第9号 平成27年5月14日(木曜日)
平成二十七年五月十四日(木曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 江藤 拓君
理事 加藤 寛治君 理事 齋藤 健君
理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君
理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君
理事 井坂 信彦君 理事 石田 祝稔君
青山 周平君 井野 俊郎君
伊東 良孝君 伊藤信太郎君
池田 道孝君 今枝宗一郎君
勝沼 栄明君 木村 弥生君
瀬戸 隆一君 武井 俊輔君
武部 新君 中川 郁子君
中谷 真一君 中村 裕之君
西川 公也君 橋本 英教君
古川 康君 前川 恵君
宮路 拓馬君 森山 裕君
簗 和生君 山本 拓君
金子 恵美君 岸本 周平君
小山 展弘君 佐々木隆博君
福島 伸享君 井出 庸生君
村岡 敏英君 稲津 久君
佐藤 英道君 斉藤 和子君
畠山 和也君 仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 林 芳正君
内閣官房副長官 加藤 勝信君
内閣府副大臣 西村 康稔君
農林水産副大臣 あべ 俊子君
内閣府大臣政務官 松本 洋平君
農林水産大臣政務官 佐藤 英道君
農林水産大臣政務官 中川 郁子君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 若生 俊彦君
政府参考人
(内閣府消費者委員会事務局長) 黒木 理恵君
政府参考人
(消費者庁審議官) 岡田 憲和君
政府参考人
(農林水産省大臣官房長) 佐藤 一雄君
政府参考人
(農林水産省大臣官房統計部長) 佐々木康雄君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 小風 茂君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 櫻庭 英悦君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 西郷 正道君
農林水産委員会専門員 奥井 啓史君
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委員の異動
五月十四日
辞任 補欠選任
伊東 良孝君 中村 裕之君
橋本 英教君 青山 周平君
簗 和生君 木村 弥生君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 橋本 英教君
木村 弥生君 簗 和生君
中村 裕之君 伊東 良孝君
―――――――――――――
五月十四日
農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出、衆法第二一号)
農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)
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○江藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長佐藤一雄君、大臣官房統計部長佐々木康雄君、消費・安全局長小風茂君、食料産業局長櫻庭英悦君、経営局長奥原正明君、農林水産技術会議事務局長西郷正道君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官若生俊彦君、内閣府消費者委員会事務局長黒木理恵君及び消費者庁審議官岡田憲和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○江藤委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子恵美君。
○金子(恵)委員 民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
冒頭、昨日の一般質疑でも多くの先生方、議員の皆様が質問されておりましたTPPについてでありますが、アメリカ上院与野党がTPA法案で合意、十四日に審議入りの採決をするという、また新しいニュースが入っているところでありますが、日々このようにアメリカも動いている。
では、我が国、我々議員は何ができるのか。TPP交渉の中で、我が国の農林水産業、第一次産業をしっかりと守っていくということを既に決議しているわけですけれども、その中でしっかりと、この農林水産委員会の中でも、心を一つにしていかなくてはいけないなと改めて感じているところであります。日々動いているこの中で、私たちも前進をすべきところは前進をしていくということでありますが、それはあくまでも農林水産業を守るということであります。
きょうは、農林水産省設置法改正案についての質疑でありますけれども、法案の中身について質問をする前に、地元福島の皆さんの声を届けるということで、何点かお伺いさせていただきたいというふうに思います。
地元福島県の農家の方々から、日々さまざまな課題についてお伺いしているところでありますけれども、風評被害と戦い、全力で福島の農産物等の安全性をPRしているということであります。これまで以上に品質のよいものをつくって、安定した価格で消費者の方々にいいものをお届けしたい、いい農産物をお届けしたい、そしておいしく食べていただきたい、そういう強い思いを持ちながら営農をしていらっしゃいます。
震災後、必要であったのが、まず、放射性物質により汚染された農地の除染、そして樹木の除染、農産物等の検査体制の構築でありました。福島の米については、全袋検査が実施されております。そして、ほかの農産物等、おいしい果物、野菜等につきましても、これも検査体制がしっかりと構築されておりまして、安全性が確保され、市場に出ているものは、本当に消費者の皆様に安全、安心な形で食べていただけるというものでもあります。私は、福島県の農産物は、本当に一番、日本一おいしい、そして安全であるものだというふうに思っております。
福島の農業者の皆さんが、ふるさとの再生のために、ふるさとの農業の再生のためにこれだけ頑張っている中ではありますけれども、三月の二十七日に、農水省は放射性セシウム濃度が高いため池の放射性物質対策に関する技術マニュアルを初めて策定し、公表いたしました。これまで、農業用ため池の放射性物質対策は実証実験も行われてきたわけですけれども、効果が認められた底質の除去、底質の固定、取水工の位置変更、汚濁防止フェンス設置の四工法が柱で、汚染状況に応じて採用する工法を決めるということであります。
そこで、この放射性物質対策をどのように今後行っていくのか、特に技術指導などをどのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
福島の農家の方々に私も何度もお会いをしておりますが、本当にさまざまな御心配がある中でございます。
その中で、委員の御質問のため池の放射性物質対策の推進、これに当たりましては、実施主体であります市町村が、技術マニュアルを活用して適切かつ円滑に取り組みを実施できるように、国が、工程管理も含めて、技術指導などの継続的なフォローアップを行うこと、これが重要だというふうに認識をしているところでございます。
ことしの四月には、福島県が主体となりまして、ため池の放射性物質対策を推進するための協議、また調整、情報共有などを行うことを目的といたしまして、県、市町村などから構成されるため池等放射性物質対策連絡会が設置されたところでございまして、農林水産省の方もオブザーバーとして参加をさせていただいております。
今後、この連絡会の場も活用いたしまして、市町村が行う取り組みの状況を確認しつつ、また、効果的かつ効率的な対策が実施できるように、農林水産省といたしましても、全体の工程管理、また、ため池における放射性物質などの調査、対策工法の選定、実施に当たっての技術的助言などを行うこととしているところでございます。
さらに、東北農政局内にため池の放射性物質対策に係るワンストップ相談窓口を設けるなど、今後も丁寧な対応に努めてまいりたいと思っております。
○金子(恵)委員 丁寧な対応をしていただくということですが、まさに、どの工法が適切なのか、そしてその前の段階で、どのため池に対策が必要なのかということの判断もしっかりしていかなくてはいけないということ、対策の工事中の周辺地域の安全確保というもの、そしてまた工事に携わる労働者の方々の安全確保等、さまざまな課題があるというふうに思います。
さらには、副大臣御存じのとおり、福島の自治体の職員の皆様は大変疲弊している状況にもあります。その中で新しい取り組みを進めるということでありますが、それが大変過重な負担にならないように気をつけなくてはいけないというふうにも思っております。
そういった点で、さまざまな会議等に農水省がオブザーバーとして参加するということではなく、本当に前面に出て、支えるという立場、寄り添うという立場でさまざまな助言等をしていただく、そしてまた支援をしていただきたいというふうに思っているところでもあります。その件について、いかがでしょうか。
○あべ副大臣 委員御指摘のとおり、本当に福島の方々にさまざまな御負担もおかけしないように、私ども農林水産省といたしましても、しっかりと取り組みをしてまいりますので、ぜひともこれからも御指導のほどお願いいたします。
○金子(恵)委員 よろしくお願いいたします。
一方で、ため池の放射性物質対策というのは、福島再生加速化交付金を活用した放射性物質対策事業で実施していくということになっていくと思います。
政府は、既に国の集中復興期間を平成二十七年度で終えるということを決定しているわけですが、ため池の放射性物質対策の財源となる福島再生加速化交付金を安定的に確保できるのかという課題もあると思います。いかがでしょうか。
○あべ副大臣 委員がおっしゃっているように、今回のため池の放射性物質対策は、平成二十五年度補正予算で出た福島再生加速化交付金のメニューとして創設されたものでございまして、市町村などが平成二十九年度までの五年間で取り組むこととされているものでございます。
農林水産省としては、先ほども委員がおっしゃられた、本年三月に、ため池の放射性物質対策技術マニュアルを策定して公表したところでございますが、このマニュアルを活用して対策に取り組む市町村の増加が見込まれるところでもございます。
本対策の今後の財源確保、これも本当に委員が御心配であると思いますが、市町村などの意向や取り組みの進捗状況を踏まえながら、営農再開また農業復興の観点から必要な対策が講じられることとなりますよう、福島再生加速化交付金を所管する復興庁と十分な相談と調整をしてまいります。
○金子(恵)委員 平成二十九年で一回は終わるというような形で今御説明もいただいているんですが、マニュアル自体はできたばかり。今まで実証実験等はされていますけれども、実際にため池の放射性物質対策が前進してきたということは今までない。ですから、ここからがスタートなんです。
これから本当にスタートするこの事業に対して、しっかりと財源は確保しなくてはいけないわけですから、単に、マニュアルをつくりました、自治体等にお任せしますということではなく、本当に、このため池の対策が終わるまで支援をしていただけるということだと私は信じております。
これは簡単にできることではないです。何年もかかることだと思っておりますので、財源確保のために、今後ともぜひ御尽力をいただいて、今、復興庁とともにということではありますけれども、農水省としても、営農再開に必要な大切な水の安全の確保ということでありますので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。もし何かおありでしたら、よろしくお願いします。
○あべ副大臣 水は営農再開に本当に必要なものでございまして、これからの進捗状況を、しっかりと現場の声を酌み上げていきながら、復興庁と検討をさせていただきながら、財源確保にも取り組んでまいります。
○金子(恵)委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
次の質問に行きたいと思います。
福島県は、御存じのとおり、桃の産地であります。地元の桃農家の方々も、やはり風評被害と戦いながら日々頑張っているわけですが、残念ながら、桃の伝染病であります桃せん孔細菌病、この病気の対策というものに大変御苦労されているという状況でもあります。
特にここ数年間、福島県で桃せん孔細菌病の発生が多く見られておりまして、これまでも病気が蔓延しないように対策は講じてきているのですが、効果のある薬剤の製造がなされていないという意見もありまして、桃農家の方々からは不安であるという声が上がってきているところであります。
福島県では、四月の二十四日に、福島県病害虫防除所から桃せん孔細菌病について病害虫発生予察情報、注意報第一号が出され、発生量は多いと示されています。四月の中旬で春型枝病斑の発生が見られた発生圃場割合は、福島地区は例年の三倍、伊達地区では例年の約十倍というふうにもなっています。
農林水産技術会議が三月の三十一日に決定した農林水産研究基本計画には、重点目標の二十八番目に、病害虫や家畜伝染病等の防疫技術の高度化があります。「病害虫の発生予察技術をさらに高度化するとともに、農作物の特性に応じた耕種的な防除法のさらなる確立、薬剤抵抗性が発達しにくく生物多様性への影響等環境負荷の少ない薬剤及びその利用技術の開発、」などという内容が書かれているところであります。
実際に、どのようなお考えをお持ちになりながらこの病害虫対策技術開発の研究が進められているのか。さらに、今申し上げました桃せん孔細菌病、この対策としての技術開発については研究がなされているのか、お伺いしたいと思います。
○西郷政府参考人 お答えいたします。
御指摘の桃せん孔細菌病の効果的な対策技術の開発といったことにつきましては当然重要な課題として認識しておりまして、これまでに、病気にかかりにくい桃の系統の特定でございますとか、あるいは、この病気が細菌によってもたらされるということでございますので、防除効果のある微生物の特定などを行ってきているところでございます。
今後は、これらの研究成果を活用いたしまして、病気にかかりにくい品種の育成、微生物農薬の開発、それから既存の薬剤や、この病気に感染した葉っぱが飛来してまた感染していくということを防ぐための防風ネットとか、あるいは発病しにくい植栽の仕方などを組み合わせた総合的な防除方法の確立などの研究開発を進めることといたしております。
さらに、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の果樹研究所は、近々、福島県におきまして、主な桃生産県の関係者の方々とこの病気の鎮静化に向けた意見交換、実質的にどうやったらいいかという施策の意見交換を行うための検討会を開催する方向で日程を調整しているところでございます。
これらの取り組みについて、生産現場における技術的課題の解決に貢献してまいりたいと存じておりますし、御指摘の研究基本計画に書かせていただきました方向で、総合的な防除のための技術開発を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございました。
農林水産技術会議事務局長から今御答弁をいただきましたが、実際に農林水産技術会議でどのような研究開発等がなされているかということを多くの方々に知っていただくということも重要だというふうに思って、私は、あえてこの件についても御質問させていただきました。実用化される、そういう開発、研究というものがなされていく必要な機関として今存在しているわけですが、それが、地域の農業を守るというために本当に重要な機関であるということを知っていただければというふうに思っています。
今おっしゃっていただいた桃せん孔細菌病につきましては、対策会議というか、そういう形で、産地の方々が福島県内にお集まりになっていろいろな検討をしていくということでありますが、これにつきましても、オブザーバーとかそういう形ではなくて、やはり前面に出ていただいて、実際に、せん孔病の多発生の要因の解明、あるいは効果的な防除法、そして効果的な薬剤の登録促進ということなど、いろいろな課題があるということ、そしてまた、国が前面に出てできることというのがあると思うんです。
地域は、あるいは地方では、特に福島県では、繰り返しになってしまいますけれども、原発に由来するさまざまな課題を本当に持っておりまして、地元の皆さん、それぞれが大変厳しい状況の中で働いていて、そして課題に対応するために頑張っているという状況でありますので、そういった点でも、被災地に寄り添う、福島に寄り添う、そういう思いを持っていただきながら、ぜひ頑張っていただきたいと思うんです。
それで、JA伊達みらいの安彦組合長からもお話を伺うことができまして、実際に、農薬について、薬剤について、今まで効果がない状況だったということで、ぜひ効果のある薬をつくってほしいという御要望をいただいているところでもあります。口頭ではあったけれども、農水省に対して、桃せん孔細菌病の対策をぜひ支援してほしいと要望したこともあるというふうにおっしゃっておられました。
また、実は、JA伊達みらい管内の伊達市、国見町、桑折町、そしてJA伊達みらい、伊達果実農業協同組合連名で、福島県に対しては、桃せん孔細菌病対策について要望書が提出されました。その要望書の内容というのは、せん孔細菌病の多発生要因を早急に解明し、効果的な防除法を確立すること、現在の防除基準を再検討すること、そして、早急に効果的な薬剤の登録促進を国及び農薬メーカーに要請することということでありました。
国に要望するということではありますけれども、手続の問題等も農薬の登録についてはありますので、これはなかなか簡単なことではないというのはわかります。しかし、繰り返しになりますけれども、どういうものが本当に効果的なのかということを、やはり被災地サポート、被災地を支援するという観点からもぜひお考えいただきたいというふうに思います。
今申し上げました多発生の要因の解明、効果的な防除法、そして効果的な薬剤の登録促進などについて、国としてはどのような支援をしてくださるのでしょうか。確認したいと思います。
○あべ副大臣 福島の桃に関しては、本当においしい桃を一生懸命皆さんがつくってくださって、私も本当に毎年楽しみにしながら、福島県の方から送っていただいている桃でございます。
そうした中、今回の桃せん孔細菌病は、大変皆さん御心配だと思います。これに関しましてのいわゆる桃せん孔細菌病の防除技術研究に係る検討会におきましては、農林水産省は、オブザーバーではなく、正式メンバーとして参加をさせていただいているところでございます。
そうした中、桃せん孔細菌病に関しましての感染、特に風雨による感染の拡大ということが言われておりまして、葉や果実に穴をあけ、落葉による樹勢低下、また果実の商品価値を低下させるという、本当に農家の方々は御心配な病気でございまして、特に福島県におきましては、広範囲で発生し、防除対策に苦労されているということは、委員がおっしゃったように、私ども農林水産省として承知をしているところでございます。
本病への対策といたしましては、感染した枝の除去、また防風ネットなどの設置及び農薬散布による防除の徹底が重要でございます。このため、福島県と農林水産省が連携をいたしまして、発生の予察情報、また防除の情報などの発表、JAなどの関係者との意見交換を行うなど、産地に対しまして、注意喚起を行うとともに、適切な防除を指導しているところでございます。
現在、本病に効果のある農薬は複数登録されているところでございます。他県におきましては、それらによって防除が行われているところでございます。新たな農薬を登録するには、農薬メーカーによって安全性などに関する試験成績が提出される必要がございます。メーカーからの申請がございますれば、速やかに登録審査を進めてまいります。
また、本病で、いわゆる風雨を介する感染の防止が極めて重要であることでございますので、農林水産省といたしましては、果樹経営支援対策事業の推進によりまして生産者が園地に防風ネットを導入する際に要する経費の一部、二分の一補助でございますが、支援するところでございます。
ことしの六月には、福島県におきまして主産県の研究者を参集し、防除対策検討会を開催し、総合的な防除対策の検討を行う予定でございまして、今後とも、福島県と連携をいたしまして、適切に取り組んでまいりたいと思います。
○金子(恵)委員 私も、実際に圃場に足を運びまして、せん孔細菌病に感染している枝の病斑というのを確認させていただきました。その場で切り落としまして、しっかりと処理をするということを丁寧にやっていかなくてはいけないわけなんですけれども、現段階で、私がいろいろと拝見をさせていただきました場所では、やはり風の通り道に近い場所に桃のせん孔細菌病の発生が見られているということでありまして、防風ネットが効果があるだろうというお話でもありました。
しかし、残念ながら、福島県ではなかなか防風ネットの普及というのがなされてきていない状況にありまして、一つの理由というのは、もちろん、農業者の方々に重い負担がかかっている、財政的な負担ということであります。
今後、後継者の育成というものを含めて、長期的に、今回、例えば防風ネットを導入することによって、きちんと生産というものの安定につながっていくんだということをしっかりとプランとしてつくり上げていければというふうには思っているんですけれども、現段階で、なかなか投資をするということの勇気を持つことができない人たちもいるのかもしれません。それは一つの要因かもしれません。
しかし、いずれにしましても、繰り返しになりますが、風評被害と戦いながら頑張っている桃農家の方々を支援するために、今一番効果もあるというふうにも言われている防風ネットの導入のためには、さらなる財政的な支援というものが必要になってくるのではないかというふうに思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○あべ副大臣 委員にお答えします。
これから先、農家が続けていけるかどうかというときに、投資が本当に難しくなっていくということは委員がおっしゃるとおりだと思っております。
防風ネットのみの定額助成は今の段階では非常に難しいところでございまして、せん孔細菌病の感染対策に対する植えかえ支援も含めた総合的な防除対策を通して、しっかりと支援をしてまいりたいと思っておりますし、この植えかえ支援に関しましては、十アール当たり十六万を含めた対策がございまして、これまで七ヘクタールにはこの防風ネットは普及しているところでございます。
これからも、現場の声をしっかり聞かせていただきながら、総合的にまた対策を立ててまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
植えかえ、改植の話もありましたけれども、繰り返しになりますが、ぜひ農水省が前面に出ていただきまして、福島の桃というのは献上桃としても実は有名でもありますので、この桃の産地を守っていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
地元に戻りまして、農業者の皆さんと意見交換をするたびに感じることというのは、制度がころころ変わることによって農業者の方々は本当に振り回されているなということです。農業者戸別所得補償制度などのよい制度は変えないでほしい、変えないでほしかったとの声もよく聞かれます。農業に関する制度をつくる場と、そして現場が本当に近くに存在しているということが望まれるというふうに思いますし、農業者の皆様の声を直接吸い上げる、そういう場をつくることもとても重要であろうかというふうに思っております。
そこで、農水省設置法改正案について質問をしたいと思います。
今回の改正案は、地方組織の体制整備を図るため、地域センターを廃止するとともに、地方農政局及び北海道農政事務所の所掌事務について見直し、現場と農政を結ぶための相談業務や輸出促進業務を追加するというような内容となっています。
まず、地域農政のコンサルタントとしての地方農政局長直属の地方参事官を県庁所在地等に配置するということとしていますが、地方参事官の役割は具体的にどのようなものなのでしょうか、そしてまたどのような権限を持つことになるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○林国務大臣 活力創造プランや食料・農業・農村基本計画、こういう農政改革というのをやることになっておりますが、これは今委員からもお話がありましたように、現場レベルで着実に推進をしていくというためには、まさに今御指摘いただいたように、現場に近い農林水産省の地方組織を、現在は統計調査、食品表示監視等の個別の執行業務をそれぞれやるという組織形態になっておりますが、今おっしゃっていただいたように、現場とキャッチボールを行いながら、現場と農政を結ぶ機能を担い得る組織に転換する必要がある、こういうふうに考えております。
このために、地域センターを廃止しまして、地方農政局長の直属で現場と農政を結ぶ業務を担う地方参事官を県庁所在地等に配置することとしておるわけでございます。
具体的には、農政を現場にお伝えするということと、キャッチボールでございますので、今度は酌み上げるということ、そしてさらに、現場とともに一緒になって課題を解決していく、こういうことで、キャッチボールを行いながら、現場におけるネットワークというものを構築、充実させて、それぞれの地域の実情に即して、農政改革を現場現場で着実に推進していく役割、こういう役割を担っていただきたいと思っておるところでございます。
○金子(恵)委員 今大臣がおっしゃっていただきましたように、現場に伝えること、現場の声を酌み上げる、そして、現場とともにいろいろなことを解決していくということだと思います。それが現場と農政を結ぶ機能を充実させることにつながっていくということであります。
今、地方参事官のもとで各地を本当に走り回ることができるスタッフの方をしっかりと確保するということも重要ではないかと思いますが、その体制が充実してこそ、そしてその仕事を進める職員の方々が動きやすい環境をつくり上げることこそが、本当に仕組みのしっかりとした機能を持たせるということにつながっていくというふうに思っていますが、地方参事官以下の職員体制についてはどのようになっていくでしょうか。
○佐藤政府参考人 金子先生の御質問にお答えします。
今先生の方から御質問がございました地方参事官関係でございますが、大臣の方からお話がありましたように、農政改革を現場レベルで着実に推進していくということで、現場と農政を結ぶ業務を担う体制といたしまして、県庁所在地等に、地方農政局長直属の地方参事官とそのスタッフ二十名程度を配置する予定でございます。全国では約九百人程度の配置を予定しているところでございます。
地方参事官とそのスタッフの業務といたしましては、県や農業団体などの幹部と定期的に情報交換いたしまして、地域の抱えております課題を把握しまして、国と県の役割分担などを調整する、あるいは、市町村あるいは関係団体にこちらの方から出向きまして、これらの関係者の皆さんとのネットワークも活用しながら、農政改革に基づく各種政策を周知する、そして地域の農政課題を把握した上で、地域の課題解決に貢献するために、関連する事業あるいは制度の情報提供、こういったことを行うことを考えているところでございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
制度等についてお知らせをしていくということであるとか、また、それに関しての相談を受けていくということなんですが、今回、農水省の所掌事務に関する相談に関する事務というものが地方農政局の所掌事務に明示されたわけであります。
拠点を集約する一方で、やはり各自治体や関係機関、生産者、消費者へのワンストップサービスが提供できるような、そういう窓口というものも必要になってくるわけなんですが、現場と農政を結ぶ部門としては、さらに、どのようなイメージになっているのか。繰り返しになりますが、ワンストップサービスが本当に提供できる仕組みになっていくのでしょうか、お伺いしたいと思います。
○林国務大臣 今回、地方参事官を新設いたしまして、地方参事官を含めて新たな拠点ということになるわけですが、今官房長からも答弁いたしましたように、県、農業団体等の幹部と定期的に情報交換をして、その地域の課題を把握して、役割分担というものをしっかりと調整していただきたい。また、市町村、関係団体に出向いて、こういう皆さんとのネットワークを活用しながら、農政改革に基づく各種政策を周知するということと、さらに進んで、事業、制度の情報提供やそれぞれの地域の課題の解決の貢献に向けた相談業務というものを行う、こういうことにしてございますので、今までのように、この人は監視をする人とか、この人はこういう仕事だということではなくて、かなり幅広くやれるようにしておりますので、まさに今委員からおっしゃっていただいたように、ワンストップで、ここと話せばもう大抵のことは済むという形をぜひ目指していきたい。
特にこの農林水産業の関係、お地元の関係では復興というのも大変大事になってきますので、そういうことに向けた相談も含めて、地域固有の課題にワンストップで対応できる、こういうことを努めていきたいと思っております。
○金子(恵)委員 そうしますと、その相談の内容については、これまで強調されていました政策、制度についてということだけではなく、例えば先ほど私が申し上げました生産技術の問題、そして病害虫防除策なども含めて、農業者の方々が抱えているさまざまな課題についてしっかりと受けとめてくださる、そういうワンストップサービスをしてくださるという理解でよろしいんでしょうか。
今までであれば、制度について、そして農業経営についてなどの相談というのが、恐らく、ほぼそれで一義的に行われていたのではないかというふうに思いますが、その辺について幅広くいろいろな相談を受けられる、そういう受け皿となっていくのかということをお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 基本的には、我が省が所掌しておりますこと全体について、事業、制度の情報提供をするということでございますので、当然、技術対策に対しても、こういう仕組みがございますよ、それから、どういう御要望が現場であるんでしょうかという酌み上げ、この双方向でやっていく。これでもってキャッチボールを続けて、ワンストップで、ここに行けばいろいろな情報もとれるし相談もできたなということにしていきたい、そういうふうに考えております。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
地元から見ますと、そういう窓口ができるのが大変ありがたいんですが、実際に、先ほど職員体制二十名ということでありますが、各地を走り回る方々も必要である、そしてまた幅広い内容についての相談を受けるという、そういう人たちも必要となっているということであります。本当に、しっかりと職員の皆さんが働きやすく、そしてまた十分な定員といいますか、必要な定員の拡充というのもこれからしていただきたいと思っております。
特に、また福島県の話になりますが、先ほど申し上げましたように、自治体の職員は本当に疲弊しているわけですが、急激な農政改革から、大きな負担というものを背負ってしまうのではないかという懸念もあります。そして、先ほど言ったような病害虫との戦いもあり、風評被害との戦いもある、輸出を促進といっても、なかなかそれができない、本当に取り残されていくのが被災地の現状でもあります。
その中で、自治体職員の方々を支えることができるような、そういうワンストップサービスの提供をしていただきたいとも思っていますし、また、農林水産行政を機動的に展開するにも、繰り返しになりますけれども、地方組織における必要な定員の拡充をすべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
地方参事官、そしてスタッフにつきましては、今回、初めての試みといいますか組織改革でございまして、その趣旨につきましては、林大臣の方からお話があったとおりでございます。
まずは、現場と農政を結ぶ業務を担う体制として、平成二十七年度から地方参事官とそのスタッフを新たに配置する予定でございまして、まずはこれが現場で定着するということが最も重要というふうに考えているところでございます。
そうした中で、我々としましても、円滑な運用ができるよう、まず、スタッフになる人間に対しまして研修等を行いまして、十分いろいろな政策につきまして勉強していただいた上で、現場に出ていっていただくといったようなことを考えているところでございます。
今後、現場と農政を結ぶ機能を発揮していく中で、その状況を見ながら、政策動向あるいは現場ニーズの変化に対応できるよう、適切な体制といったものを確保していきたい、このように考えているところでございます。
○金子(恵)委員 ありがとうございます、これからということではあるんですが。
実は、昨日、民主党に福島県原子力損害対策協議会の皆様が要請に来られました。そのときに、メンバーのお一人の川俣町長の古川町長さんから、ふるさと再生のために営農支援をお願いしたいので、農水省から自治体に派遣してほしいとお願いしたが、農水省は力がなく、人が足りないからだめだったという趣旨の発言がありました。
実際に、これまでも各省は定員の減員が行われてきたわけですけれども、政府全体の減員数の半分近くを農水省がカバーしてしまっているということであります。地方組織も、今後さらに減員されるとしたら、地域のニーズに応えることができないのではないかと思います。十分な定員を確保し、さらに拡充しなければ、本当に現場と農政を結ぶ仕組みというのは機能しないと思います。
そしてまた、現場と農政を結ぶといいながら、地域センターが廃止になります。組織が集約されることにより、各自治体から遠い存在、遠い組織となって、きめ細やかな行政サービスの提供ができなくなるのではないかと懸念するところでありますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今、我が国の農業は、農業生産額が減少する、高齢化が進展する、こういう問題に直面をしておりまして、活力創造プランに基づく農政改革の着実な推進が求められております。
地方組織が現場と農政を結ぶ役割を十分果たすためにも、今委員から御指摘がありましたように、農業者にとって身近なところで、幅広な法令、各種事業を所掌する地方農政局の職員が直接の窓口になりまして、農政に関する広範な相談、課題解決に向けた迅速なフォローアップを受けられる体制とすることが求められておるところでございます。
結局、センターに行っても、この仕事は私の担当ではないということではなくて、直接、農政局の職員がいろいろ担当している中でワンストップにしていくということが大事でございますし、先ほど申し上げましたように、例えば食品表示監視というような既存の業務を見ても、だんだんと広域的な産地偽装等への対応にシフトしてきておりますので、やはり農政局長そのものが直接指揮をとる、そして多くの担当官に一斉に検査を行わせる、こういったことができる体制にしておくということが非常に求められてきておるということもあるわけでございます。
したがって、農政局、センターという二段階の地方組織ということではなくて、スクラップ・アンド・ビルドも徹底した上で、地方農政局の職員である地方参事官などを現場に派遣する、直接配置するということで、農政局長に直接つながって、直接指揮のもとで広範な課題に機動的に対応できる体制、こういうふうにしたところでございます。
したがって、地方参事官は、どなたかいらっしゃるのを待っているのではなくて、今度はみずから県内各地の市町村、農協などの関係団体というのに出向いていって、いわば御用聞き的にくまなく回っていくということをしていただいて、相談に対応し、キャッチボールを行って、何よりも現場の皆さんと信頼関係をしっかりと構築していくことによって、今よりもっと身近な存在になるようにしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○金子(恵)委員 ぜひ機能させていただきたいと思いますが、私の地元の福島県のように、被災地として特別なニーズを有する地域等における組織については特段の配慮も必要であるというふうに思います。
福島県においては、地方組織は、集約されることなく、震災からの再生に向けて前進しようとする地域のニーズに対応することができるよう、当面存置となっています。
平成三十年度までに段階的にこの組織を集約するということでありますが、当面存置となっている福島県の組織は、平成三十年度後も存置という扱いになるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
またさらに、北海道や福島県以外の地域でも、地理的、物理的な条件等から地域組織を存置すべき、残すべき地域があるというふうにも思います。平成三十年度までの段階的な組織集約の工程の中で、その判断というのは柔軟になされるべきだというふうにも思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤大臣政務官 まず、地方参事官、福島県にかかわってのお話もございました。
これは、国が施策を推進する上でのカウンターパートナーとなる県庁や農業団体と幹部レベルで密に連携し、各地域の課題解決に向け調整を行う必要があるために、県庁所在地に配置をしようとしているものでございます。
しかしながら、委員の地元であります、原子力災害の被災地である福島県につきましては、その復興は最重要な課題でありますことから、県庁所在地以外のいわき市等におきましても、当面の間、活動拠点を置いて、震災復興や風評の被害対策に関する相談に対応をするとともに、福島市とともに地域センターを設置していたいわき市にも地方参事官を配置するなど、復興に万全を期していきたいと考えているところでございます。
これらの活動の拠点につきましては、今後の復興状況を踏まえつつ検討していく考えでありますけれども、いずれにいたしましても、委員御指摘のとおり、震災復興を最優先に判断をしてまいりたいと考えているところであります。
○金子(恵)委員 ありがとうございます。
まずは地域に寄り添う組織、そしてまた、今お願いをいたしましたように、被災地に寄り添う組織としてしっかりと機能するように、ぜひお願いを申し上げまして、時間となりましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 民主党の福島伸享でございます。
まず冒頭、毎日お疲れさまでございますが、西村副大臣にこれまでの経緯について質問させていただきたいと思っております。
西村さんは私の先輩でありまして、私が入省したとき、たしかサービス産業課の総括班長をされていたと思うんですけれども、格好よくて、もてもての憧れな先輩でありました。政治家になられてからも、若くして自民党総裁選に挑戦されて、恐らく天下国家をこれから背負っていくんだという意思で政治活動をされている、本当に尊敬する先輩であります。
きのうのあの謝る姿を見て、あたかも浮気が奥さんにばれちゃった旦那さんみたいな謝る姿は、正直言って、私は見たくないですし、きょうは、謝罪は結構でございますので、ぜひ思ったことを正直に御答弁いただければというふうに思います。
きょう、ニュースがやってまいりまして、上院の与野党がTPA法案で十四日に審議入りを合意ということで、TPA法案だけじゃなくて、労働者支援プログラムという、いわゆる貿易支援法とあわせたパッケージで審議をするということが出てまいりましたが、その前の五月十二日、米国の上院で、TPA法案のクローチャーというんですか、討議を終了して採決に向けた議論だけが許されるという、審議が開始されるという動議が否決されたというふうに言われております。
もともとアメリカの議会は、上院は成立する見込みがある、下院はもっと厳しいと言われておりまして、上院でまず可決をして、勢いをつけて下院で審議をしようというもくろみであったわけでありますが、採決に至る議論に入ることすらできなくて、この貿易による影響のための労働者の支援とかというのは、民主党の賛成を得る可能性があるから今回抱き合わせをするんでしょうが、これを抱き合わせをすると、今度は共和党にこれに反対する人もいますから、これに新たに賛成する人もいる分、新たに反対する人もいる可能性もあるわけでありまして、いずれにしても、非常に厳しいスケジュールなのだと思っております。
資料の一、一枚目をごらんになっていただきたいんですけれども、五月十五日から二十五日に首席交渉官会合がグアムで予定されて、その後にでも閣僚会合を開いて大筋合意ということだったんでしょうが、恐らく、アメリカの議会は五月の後半はメモリアルデーで休みということですから、TPA法案が五月中に、もし十四日に通ったとしても、上院、下院も含めて通る可能性というのは私はほとんどないと思うんですね。
そのTPA法案自体に書かれていることを見ますと、そもそもTPA法案は、これは玉木委員が何度も指摘していることでございますけれども、従来は、トレード・プロモーション・アクト、大統領に交渉の全権を委任する法案であったんですけれども、今のTPA法案というのは、名前が、略称するとTPAですけれども、トレード・プライオリティーズ・アンド・アカウンタビリティー・アクト、つまり、貿易の優先事項と議員に対する情報公開を定めた法案、TPAでアルファベットは同じなんですけれども、実は全然違う法案であります。
ここに掲げてあるのは、例えば、協定締結の六カ月前に自由貿易、TPPに対する影響に対して講ずべき措置について報告しなさいとか、九十日前に協定締結の意向を通知しなさい、六十日前に協定条文をウエブサイトに公開しなさい、三十日前にどうたらと決まっているんです。
六カ月前にもう決めなきゃならないんです。年内妥結だとするならば、六月の末に決めないと、このTPA法案に書いてある義務をオバマ大統領は履行することができないわけでありまして、私は、これはもう年内妥結は無理なんじゃないかと思うんですけれども、それを見越した対応をすべきではないか。
TPA法案は、TPP交渉年内妥結に向けてやるためには、議会を通過する可能性がない。それを見越した交渉をアメリカとの関係でも行うべきではないかと思うんですけれども、西村副大臣の認識はいかがでしょうか。
○西村(康)副大臣 今御指摘のありました、アメリカの政治状況も含めて、残された時間がそんなに多くあるわけではないということも認識しつつ、私どもとしては、TPPの早期妥結に向けて粘り強く交渉をしているところでございます。
その中で、やはり御指摘のあったアメリカのTPA法案の成立が交渉妥結には不可欠だという認識でおります。私どもとしても、まさに御指摘のあったTPA法案の審議入りの採決が現地時間のきょう午後十時にも行われるというふうな情報も入ってきておりますので、これはぜひ審議に入っていただいて、早期成立を期待しているというところでございます。
○福島委員 これは、我々が早期成立を願うんじゃなくて、アメリカにとってはある意味弱点でもあるわけですよ。我々にとって攻めどころなわけですね。TPA法案の早期成立を願うというんじゃなくて、TPAすら成立させることができない政権と我々は交渉しているところをもっと強く、我々は攻めるべきところだと思うんですよ。
もう既にオバマ政権はレームダック化しているわけですね。先日、安倍総理はアメリカの議会で大分気張った発言をTPPでされていましたけれども、そんなに気張る必要はないんです。アメリカに当面外れてもらったって結構じゃないですか。TPAが成立するまではやらない、残りの十一カ国でまず合意しますと言っちゃえばいいじゃないですか。
私は、内閣の中に政治家が入るというのはそういうことだと思うんですよ。外務省の人や交渉担当の人は、そうした大きな判断はできません。決められた期限に向けて、合意に向けて努力をするのが役人の仕事ですよ。でも、そこに入る政治家、甘利大臣も含めて政治家は、もっと大きな戦略を決めるのが仕事ではないか。
今、アメリカは苦しんでいるんですよ。それに手を出すことによって、アメリカから何かを譲ってもらうというのも必要ですよ。そういうことをやっているかどうかは寡聞にして存じません。もめているからこそ、先に十一カ国で決めちゃって、後からアメリカに入ってもらうという戦略を決めるのも大戦略ですよ。
私は、そういった大戦略をまさにこの議会の場で西村副大臣や甘利大臣と議論する必要があるからこそ、情報開示をということを言っているんですよ、我々の思いを。政府だけに任せている局面では今はないのではないか、だからこそ情報開示をする必要があるのではないかというふうな観点から、きょうは質問をさせていただきます。
ところで、クイズのようで恐縮でございますけれども、通告してありませんけれども、我々がやった農林水産委員会の決議の六番目には何が書いてありますか。細かい文言じゃなくていいので、内容だけちょっとおっしゃっていただけますか。
○西村(康)副大臣 順番を覚えているわけではないんですけれども、私の勘違いでなければ、情報開示についてしっかりと行うということが書いてあるというふうに認識をしております。
○福島委員 民主党お得意のクイズ質問みたいで恐縮なんですけれども、外れです。重要項目が守られない場合は脱退も辞さないというのが六番目なんですよ。きのうどなたかが、毎日決議を胸ポケットに入れて仕事をしてくれということを言っていましたけれども、残念ながら、その点は副大臣の頭からすぽっと抜けているのかもしれない。
これも重大な政治判断なんです。役所ではできません。政府の中に入った政治家しかできないことなんですよ。そういう判断も、では、今、重要五品目の交渉がどうなっているのか、細かい関税率までは、そこは政府が交渉中だから言えないかもしれない。しかし、その判断に資するような情報は、少なくとも議会のしかるべき人たちには開示をすべきではないかというふうに私は考えております。
きのうの西村副大臣の発言をお聞きしておりますと、こういうことかと勝手にまとめさせていただきましたけれども、あの発言は、できる限りの情報提供を行わなければならないという西村副大臣の善意の思いが強く出て、政府内を調整しないで個人的に出してしまった、日米には制度上の違いがあるから、アメリカと同一の対応はできない、その中の日米の一番の違いというのは、議員の情報漏えいに対して刑事罰があるかどうかだということだ、日本の制度の制約がある中で、できる限りの工夫をしながら情報提供を行っていきたい、そういう趣旨でよろしいですよね。
○西村(康)副大臣 ワシントンでの私の発言は、日米の違いがあるにもかかわらず、アメリカと同様の情報開示ができるというふうに受け取られてしまったこと、このことを修正し、撤回したものでございます。
できる限り開示をしたいという思いは強く持っておりますし、日本の制度、制約の中で、引き続き、何ができるか、どういう工夫ができるか、これを考えていきたい、そういう趣旨でございます。
○福島委員 結局、その日米の違いというのは何ですか。きのうの玉木議員との議論をお聞きしていますと、結局、刑事罰があるかどうかということに集約されると思うんですけれども、それでよろしいですか。
○西村(康)副大臣 一つは、御指摘のありましたその刑事罰の有無がございます。それから、それぞれの議会での規則がございますので、日本での規則、アメリカの規則、必ずしも、これは全て一致しているわけではありませんから、この点でも若干の違いはあると思います。
○福島委員 恐らく、後者は若干なんだと思うんですね。刑事罰があるかどうかというのは、恐らく本質的ではないと思っています。
要は、情報漏えいを行わせないための実効性のある担保ができているかどうかであって、アメリカは訴訟社会ですから、そうした刑事罰みたいなものはあるのかもしれないけれども、日本の国会議員は、院の中の我々国会議員同士の自律的な措置により担保されて、なおかつ、国会法上、最後は除名という議員の身分を失うまでの懲罰の措置まで法律上は規定されているわけです。あとは、そこに至るまでのさまざまな細かい手続や、除名まではしないまでも、情報漏えいの場合の具体的なものは、それは院の自律的な措置の中で決めればいいことであって、西村副大臣も国会議員として政府の中に入っているわけです。その政府に入った国会議員が、同じ仲間の国会議員を信用するのかしないのかという問題だと私は思うんです。
ですから、我々の法案は、まず情報公開をしましょうというのを法律で決めた上で、残る秘密漏えいの担保の措置は、例えば議運などでしっかりとルールをそれぞれ政治家同士の場で決めて、それを守る信用のもとにやっていく。それが、日本の麗しい信用の文化であって、アメリカの訴訟社会と違うものであって、それは確かにアメリカとは形式上はちょっとは違うかもしれないけれども、情報漏えいに対する万全さという意味では、日米は違いがないと私は思いますよ。
ですから、それを、もし我々が出した法案を成立させて、そして議院の中で、衆議院の中できちんと情報漏えいに関するルールを決めた上で秘密会をやれば、そこは日米の違いはないと思うんですけれども、どうですか、副大臣。
○西村(康)副大臣 まず、国会での審議のあり方、やり方、これは、私は今政府の一員として入っておりますので、その立場からコメントすることは差し控えたいと思いますし、議員提出の法案についても、同様に議会の方でどのように取り扱うか議論がされると思いますので、私の方からコメントすることは差し控えたいと思います。
大事なことは、まさに御指摘のあった、秘密保持の契約が、しっかりとその趣旨が守れるか、交渉内容が外部に漏れないということが担保できるかということと、それと関連しますけれども、十二カ国で交渉を行っている、その信頼関係をしっかり維持していけるのかという、そのことが大事だというふうに考えております。
○福島委員 こうやって政治家が、政府にいる人間と立法府にいる人間が分断されたら、もう政府側の思うつぼなんですね。西村副大臣は、行政府の人間でもあるけれども、立法府の人間でもあるわけです。国会に行けば、本会議できちんと採決にも加わる立場なわけですね。
ですから、私は、政府の立場としてそう言うのはわかるけれども、半分はやはり立法府の人間でもあるべきだと思うんです。そうした意味では、立法府がそれを決めれば、それに従うと私は今の答弁を聞いて感じましたよ。
なぜそれを言うかといえば、これもリーク情報で正しいかどうかは交渉中なのだからわからないと答弁するでしょうが、先日の日経新聞に、TPPの規制がかかる国有企業の対象として、成田空港とか日本郵政とか上場していないJRの会社が入るというのが出ていました。この国会で、JR九州を完全民営化する法案というのが出ているんですよ。まさに、TPP交渉の今の状況とこの法案は大きく絡む立法府で議論しなきゃならない問題のはずですけれども、我々には何の情報もない。
ですから、国会側がしっかりと、必要な情報を全部よこせとは言いませんよ。交渉している政府に一々口を出せとも言いません。
でも、今までの通常の通商交渉において、私もシンガポールとのEPA交渉に、生物化学産業課にいるときに多少携わらせていただきましたけれども、そのときに、治験を日本とシンガポールで双方でやるために、医師とかの免許を相互認証しましょうというのをシンガポールが提案してきました。我々経産省は積極的にやろうと思った。しかし、それは、当時の政権与党は自民党さんですけれども、その中のさまざまな厚生労働関係の議員の皆様方の議論の結果、それを日本として受け入れるのはやめましょうと。全部情報提供して、与党と密接に議論しながらやったことを覚えていますよ。
今までの通商交渉、貿易交渉は全部そうやってきている。野党まで全部見せろというのは筋違いかもしれない。でも、少なくとも与党の皆さん同士では、緊密に連携をとりながら政治決断をしてきたわけじゃないですか。
今回は、私は異常だと思いますよ。いろいろな四の五の四の五のできない理由を見つけるのであれば、私はやれる理由を見つけるべきであると思う。西村副大臣にはその思いが私はあるんだと思うんです。半分以上、立法府の人間としての自覚があるんだったら、西村副大臣あるいは甘利大臣、そして、こっちの国会側の院のメンバーも入った上で、どういうルールを使えば情報漏えいを実効的に防げるかどうか、そういう協議の場をつくるべきだと思いますけれども、副大臣はどう思われますか。
○西村(康)副大臣 まず、このTPPの交渉が、これまでにない、いわゆる保秘契約というものを結んで、十二カ国でその情報をしっかり外部に漏れないよう管理しながら進めていくという、これまでに例のないやり方で進めてきております。そのことがこれまでの交渉とは違うという点がまずございます。
それから、私は、政府に今入っている立場で、議会運営の進め方について何か申し上げる立場にはありませんけれども、議会での進め方については一定のルールもありますので、そのルールの中で御議論いただくのが私は筋かというふうに思います。
いずれにしても、秘密保持がしっかり守られる、外部に漏れないということはしっかり担保されることが大事だというふうに考えております。
○福島委員 よくわからない答弁でしたけれども、委員長、我々は法案を既に維新さんとともに提出をしているんですよ。その扱いとともに、あわせて、法案を審議するかしないかとともに、もう一つは、では、仮にそれが成立した場合に、どうやったらアメリカと同等と認められる程度の、情報漏えいを防ぐための院の自律的なルールをつくるかということも、政府も入れて協議する場を設置することを検討いただけませんでしょうか。
○江藤委員長 理事会にて協議をさせていただきます。
○福島委員 よろしくお願いいたします。
引き続き、この問題はずっとやっていきたいと思っておりますので、きょうは、西村副大臣もお忙しいでしょうから、これで結構でございます。ありがとうございます。
続きまして、農林水産省設置法案、本題についてまいりたいと思います。
この法案は私にとっても因縁のある法案で、民主党政権時に、一度、農林水産省設置法というのができて、農林水産技術会議という技術の本場を廃止して、農林水産行政監察・評価本部という内部警察みたいな組織を新しくつくるという内容と、地方農政事務所を廃止して、今回さらに廃止される地域センターを設置するという内容を閣議決定して、我々は与党でしたけれども、政府が出してきた。それを、この法案はけしからぬ、内部の監察機関のために農林水産技術会議という技術政策をつかさどるところを廃止するのはおかしいのじゃないかということで、与党が反対をして政府提案の法案を潰したといういわくつきのものなので、私にとっては非常に思い入れがあります。
その後、二〇一一年、農林水産技術会議の廃止というのを外した法案が成立したわけですけれども、次に資料の二枚目を見ていただきますと、その法案が施行される二〇一一年八月まで、地方には、農林水産省は三百四十六の拠点がありました。農政事務所が三十八、地域課が百三十二、統計・情報センターが百七十六。それ以降、我々の政権のときにつくった法案によって百三拠点に集約をいたしました。地域センター六十五、支所三十八。今回はそれを五十一拠点に段階的に集約していくという話でございます。
大体、組織に関する法律はどうせ法案ではチェックされないと役所はたかをくくっているんですね。私は、あえてきょうはしっかりと、後ろでにやにや笑っている役人の方がいますけれども、審議をしてまいりたいと思っております。
今回の改正は、ちょっと前ですが、その二〇一一年改正でつくられた地域センターを見直して、地域農政のコンサルタントとして地方農政局直属の地方参事官を県庁所在地に配置するというふうにしております。
先ほどの大臣の答弁で、それを支える組織は各県に二十人ぐらいいて、現場の声を酌み上げ、そして現場に政策を伝えるというキャッチボールをやるんだという話でありますけれども、二〇一一年にできた地域センターの一体何が問題で、その問題を今回の改正でどう変えようとしているのかということを具体的に御答弁いただけますでしょうか。
○林国務大臣 地域センターでございますが、平成二十三年の九月に、今経緯の御説明をいただきましたけれども、地方農政事務所と統計・情報センターを廃止しまして、統計調査、農業経営の安定、食品安全に関する業務等の執行業務の担当組織として設置をされたものでございますが、この制度の定着によりまして食品表示の違反の率が減少するなど、業務を取り巻く環境にも変化が生じてきております。
また、地域センターは、先ほども答弁いたしましたように、現場に最も近い地方組織であるというものの、統計調査それから食品表示監視等の個別執行業務のための組織でございまして、生産、流通、消費にわたる一連の農政改革を現場に伝えて、現場の声を酌み上げる等の機能は十分なものとなっていないということでございます。
一方で、活力創造プランをつくりまして、農政改革、かなり大きなものを着実に推進していかなければならない、こういうことが求められておりますので、特に、いろいろなことを決めたことが現場までなかなか届いていないんじゃないかということを最近よく聞くこともあるわけでございますので、やはり現場とキャッチボールしながら、この改革の方向性とか考え方というものをやはり現場と共有して、スピード感、ずれることなく施策を推進していくということが必要であると考えております。
また、活力創造プランに基づきまして、輸出促進、これも産地産地でいろいろな特色がございますので、産地と密着をして本格展開するということも待ったなしの課題である、こういうふうに認識しております。
こういう状況を踏まえて、今回見直しをいたしまして、現場と農政を結ぶ役割を果たす組織へ転換をして、現場レベルで農政の改革が着実に推進をされること、また、地方農政局等においてもより活発な輸出拡大に向けた取り組みが展開されること、こういうことを可能にしていこうと考えておるということでございます。
○福島委員 ありがとうございます。
失礼ながら、恐らく役所から言われていることをそのまま発言されているだけだと思うんですけれども、現場、実態はそうじゃないですよ。今のような答弁を現場の農水省の職員が聞いたら怒ると思いますよ。
我々の政権で戸別所得補償制度というのを入れたときに、地方の地域センターの皆さん方は、農村に入って、夜遅くまで懇々と農家の皆さんに説明していましたよ。人・農地プランというのをつくるときには、市町村の農政部局が細っている中で、農村の集落まで入って一生懸命説明していましたよ。私は、もっと現場を見た方がいいと思います。今回、集約して数が減っていくわけだから、より現場から遠のくわけですよ。今までの人がだめだったから集約するんじゃなくて、今までの機能が弱いのをもっと強くしなければならないのであって、私は認識が違うと思います。
輸出も同じです。一体、これはどういう人が輸出担当業務に農水省の参事官のもとで当たるんですか。
○櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。
現在、輸出に関しては、各国々から産地証明書等の証明書を求められております。その証明書の発行業務、あるいは県域を超える産地連携の取り組み、それから他省庁の地方組織、地方自治体、商工会議所、金融機関等の連絡調整、それから、農政局ごとに協議会を持っておりますので、輸出拡大の取り組みについて検証等を行うということで、農政の知見を持っている方々が現場におりますので、そういった職員の方々が行うということでございます。
○福島委員 私は、それを輸出関連業務と言うのは誇大広告だと思います。産地証明書の発行とか他省庁との連絡調整なんというのは、普通の農水省の一般の職員がやる事務ですよ。みんなが想像するのは、輸出促進のために走り回ることだと思うんですね。
茨城県は、去年、ジェトロの事務所が初めてできたんですよ。ここに西川さんという所長が来まして、帰国子女で英語もぺらぺら、その前はベトナムに行って人脈を築き、その前はバングラに行ったという人が来たんです。
つい五年前まで、茨城県は農産物の輸出はゼロです。全国二位の生産高の茨城は輸出を全くしていなかった。でも、それが、下妻という私の地元の梨、あるいは鉾田のメロン、次から次へと輸出が始まって、今は輸出ブームなんです。どんな中小企業のおっさんも、西川さんのところに行けばいろいろ相談に乗ってもらえるといって、急に輸出づいて、物すごい盛り上がっているんです。これは人なんですね。ちゃんとそうした人脈とノウハウを持った人がいる組織であれば、周りもわあっと盛り上がるんですよ。
輸出の窓口だって、この参事官のところへ行ったら、産地証明書の発行しか私はできませんと言ったら、それは輸出業務をやるとは言わないと私は思うんですよ。むしろ、輸出をやるなんというのは、今回の法律にはそういう条文はあるけれども、他機関との連携が大事なんですよ。
省内にそういう人材を抱えられないのだとすれば、今、ジェトロの地方組織は、私はこれも人によるとは思いますけれども、頑張っているところは物すごい頑張っていますよ。そういうところに委ねればよくて、あえて縄張り根性を出して、輸出がメーンなのかもしれないけれども、地方農政局にそういうことをやらせるよりは、むしろジェトロならジェトロに任せてしまうという役割分担をしっかりやることが必要だと思います。
今回の法律改正で、これをもって参事官のところで、地方で輸出業務をやるというのはやめた方がいいんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。
○櫻庭政府参考人 先生御指摘のとおり、ジェトロは、確かに、貿易実務とかそういったマーケティング、海外、それから国内にも事務所を多く持っておりますので、そういった連絡網を持っているというのは事実でございますし、私ども、二年前から輸出サポート事業ということで、ジェトロに今年度も十五億円ほどお願いしまして、ジェトロと連携して行う。しかも、ジェトロと行うそのノウハウを、農水省が持っている現場とのネットワーク、例えばJAであるとか漁協であるとかそういった方々との協議会、そこの結節点として行うという形で進めたいと思っております。
○福島委員 そういうことはちゃんとやっていただければいいと思うんですよ。
もう一つの点は、今回、この設置法を改正するに当たって、本省でどういう組織改革をするのか、その点についてお聞きしたいと思います。
○佐藤政府参考人 福島先生の御質問にお答えいたします。
本省におきます改革でございますが、活力創造プランに基づく農政改革を着実に推進していくということで、本省におきましても、専門性、政策性の発揮、あるいは産業政策と地域政策の推進体制の整備の観点から、組織体制を見直すこととしておるところでございます。
具体的なものは、非常に複雑あるいは高度な農政課題に機動的に対応するために、各局にまたがるような事案が多く出てきておりますので、その重要な政策の司令塔となる政策統括官を一名新設するということと、大臣官房に審議官二名を増員するといったことがまず第一点であります。
また、二番といたしまして、試験研究から普及までの技術政策の強化のために、技術政策の司令塔機能の強化ということで、技術政策室といったものを設置することとしているところでございます。
また、先ほども出ておりましたが、国内外における日本の農林水産物あるいは食品の市場拡大のための体制を整備するということで、課を二つほどつくるというようなことを考えているところでございます。
それと、日本型直接支払制度などの農山漁村の活性化を推進するための体制を整備するということで、日本型直接支払室、こういったものを設置することとしているところでございます。
概略は以上でございます。
○福島委員 そんな長い答弁は要らなかったんですけれども、結局、政策統括官という局長級のポストを一つと審議官を二つつくるんですね。
そこに齋藤委員がいて、省庁再編をやったときを覚えているかと思いますけれども、一つの省で局長を十人以内にするというのをあのとき決めたんですよ。総務省とか国土交通省とかいっぱい集まった省は、十人じゃ既存の局長がおさまらないところを、政策統括官という局長級ポストをつくって処遇したんですよ。
今回、それを新たにつくるために、スクラップ・アンド・ビルドのために、地域センターを潰しているんだと思うんですね。これは、私は本当にいいかげんな改正だと思いますよ。私は、党の方針に従って採決には加わりますけれども、今回のこの法案改正は、農林水産技術会議を潰すのと同じように、農水省のキャリアの局長ポストをつくるために、地域の組織を潰して、それで審議官も、いつの間にか指定職も二人ふやすという改正は、林大臣もずっと自民党で行革を担当されていたと思いますけれども、もうちょっと厳しく御指導をされた方がよろしいんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
○林国務大臣 齋藤理事であったり私であったり、確かに公務員制度改革や党での行革をやってきたということは事実でございますが、そのときも、単にマクロで数字を管理するということだけが行政改革ということではなくて、やはり、制度をいろいろとよりよいものにしていって、最終的に働く人がやる気が出るということを通じて、いわゆる、生産性という言葉がいいかどうかわかりませんが、そういうものがきちっと上がっていくということが最終的な目的であろうか、こういうふうに思ってやってきたつもりでございます。
まさに先ほど申し上げましたように、この農林水産業・地域の活力創造プラン、また、それをもとに新たな食料・農業・農村基本計画ということで、かなり大きな状況の変化もあって、それに対応して大きな改革をやっていこう、要するにそういうことがありまして、本省と地方組織も見直さなければいけない、こういうことになったところでございます。
政策統括官の設置も、政策の企画立案能力を高めて、機動的に専門性、政策性を発揮し得る横断的な体制ということでございますし、地方組織についても、先ほど金子先生の御質疑のときにも申し上げたように、農政局長直属でぐるぐる回ってもらうというようにしたわけでございますので、今御指摘があったように、単に、スクラップ・アンド・ビルドを数字上やって、つじつまを合わせたということではないというふうに認識をしております。
○福島委員 今大臣から、マクロの数値の調整だけではないという話があったので、ちょうど加藤副長官もいらっしゃったので、その点を先に質問させていただきたいんです。
資料の最後をごらんになっていただきたいんですけれども、平成二十七年度定員審査結果についてという表があるんですけれども、これの一番下の合計というの見ますと、増員が、新規増員というのが二千五百六十七人、業務改革による再配置が四千八十二人、減員が七千七百四十二人、差し引きすると、役所全体で千九十三人の減員となっております。
ほかの多くの役所は、増員もするけれども、それに相当する減員もやって、ちょぼちょぼのプラマイ・ゼロか、ちょっとプラスするぐらいの役所が多いんですね。国交省と総務省は多少数が多いですが、農水省はそのうち四百二人。千九十三人の純減のうちの四割を農林水産省が担っております。
その裏のページをごらんになっていただいて、さらに五年間さかのぼってみますと、平成二十六年は、純減一千一人のうちの三百五十四人が農水省。平成二十五年が、純減一千四百人のうちの六百人が農水省。二十四年が、千三百人のうちの四百四十七人。その前が、千二百二十三人中の六百七十四人。つまり、政府全体の減員の大体半分近くを、農林水産省の職員を純減することで、五年以上前にさかのぼってもそうですけれども、ずっとやっているんですよ。
私は、これが本当に持続可能なのか、このまま毎年同じことを続けていったらどうなっちゃうのかということを思うわけです。
その前のページに農林水産省の定員の推移というのがございます。これは、ずっと一貫して、平成十七年から二十七年の十年間にかけて、右肩下がりで下がっています。ブルーは、今議題になっている農政局等以外の部分です。それが、平成十七年は一万一千九百三十三人が平成二十七年で一万一千百五人ですから、本省等はほとんど数字が変わっていないんですよ。地方の部分は、一万八千百七十六人が一万八百八十九人と、大幅に減っています。
つまり、この間、定員を減らすのは、一貫して地方の定員を減らすことによって対応してきたんですよ。地方にコンサルタントを派遣するのもいいけれども、地方をしわ寄せにしてきたんですね。
その後ろの農林水産省の職員構成というのをごらんいただきますと、一番高い山が五十代です。下のオレンジのところが地方で、上が本省などですけれども、余り変わらない。しかも、これを見ていただくと、三十代の働き盛りというのは著しく少なくて、五十代の人がやめちゃったら物すごい減ってしまうという、企業で見れば、もう店じまいをする前の会社のような状況になっちゃっているんですね。
今回、そうした機構定員の査定についてお聞きしようとしたら、答弁者は内閣人事局長ですと。いや、これは政務でやってくださいと言ったら、大臣がこの委員会に来られぬのはわかる、担当の副大臣、政務官がいないんですよ。それで、きょうは、お忙しい中、加藤副長官にお越しいただいたんです。
これは、機械的に一律削減をやって、しかもその半分を農水省に委ねるというのを機械的にやるんじゃなくて、一度立ちどまって、本当にこのまま農水省を減らし続けていいのかどうかというのを政務としてお考えになったらいかがかと思うんですけれども、加藤副長官、いかがですか。
○加藤内閣官房副長官 福島委員にお答えいたします。
その前に、答弁への対応の時間に対して御配慮いただきまして、ありがとうございました。
今の御質問でありますけれども、まず、これまでの経緯でございますが、国家公務員の定員については、厳しい財政状況のもとで、業務の見直しなどにより定員の合理化を計画的に進める。一方で、増員に関しては、例えば震災復興、治安、外交など、内閣の重要課題に重点化を図りつつ、できるだけ抑制しつつも、めり張りをつけて、政府全体としては、公務員等定員の削減に努めてきたところでございます。
その結果において、農水省の定員については、他の省庁と比較して大幅な純減になっているというのは、御指摘のとおりだと思います。
今後でありますけれども、引き続き財政健全化、まさにこれから大変重要な課題になるわけでありますけれども、その中で、国家公務員の定員をどうしていくのか。当然、引き続き抑制をしていく、全体としては抑制していかなければいけないというふうに思っておりまして、機械的にというよりも、仕事をいかに効率化していくか、そういった点から、業務の実施体制を見直していく。
しかし他方で、それぞれの行政分野には対応していくべき分野もございます。その辺も踏まえながら、適正な定員の配置を行っていきたい、こういうふうに考えております。
○福島委員 やはり、地方創生というのであれば、農林水産省の地方をこれ以上減らすことはほぼ無理な状況になっていると思いますよ。
私は、これはきちんと政治の意思として、これ以上、合理化は必要です、合理化は必要だけれども、全ての定員の削減を農水省に委ねる、全てとは言わないまでも半分近くを委ねる、あたかも農水省が今まで人員がだぶついて無駄な仕事をしているようなことを言うのは、私は今働いている人にとって失礼だと思うんですよ。むしろ、地方で重要な仕事をしている人がいっぱいいる中で、一度立ちどまってこの流れを見直すということを林大臣は主張してみるつもりはございませんか。
○林国務大臣 随分前に、先ほど御指摘いただいたように、私は党の方で行革をやっておったときに、かなり、定数を削減する中で農水省の部分が大きいということは意識をしながらやっておったという事実がございます。こちらに来て、なるほど、当時の非を悔いるわけではございませんが、かなり農水省の部分が大きいな、こういうことでございますが。
当時からやはり考えておりましたのは、食糧管理業務における国の関与の低下とか、それから農産物検査業務の民間への委託ということがあった、そういう政策的な動きがあって、一方で、食糧管理部門などで多数の定員を抱えていた、こういう背景があって、他府省を上回る定員合理化が進められたということは事実としてあったんだろう、こういうふうに思いますが、その中でも、業務の不断の見直しを行いながら、新たな行政需要に対応するため、必要な定員を確保してきたわけでございます。
二十七年度についても、先ほど御説明申し上げたように、統計業務、表示監視業務など定型的な執行業務の合理化を行う一方で、現場と農政を結ぶスタッフの新設については、定員の再配置により対応して、そして農政改革の着実な推進のためにも必要な新規増員も確保をしております。
今後、今御指摘いただいたあのグラフにあるように、定年退職者数が増加をしていくということになります。一方で、現場と農政を結ぶ業務の必要性は今後とも継続をしていく、こういうふうに見込んでおります。また、新たな行政需要への対応に対しては必要な新規増員を確保するということも必要になってまいります。
今、人事局長からも全体としてそういう御趣旨の御答弁があったところでございますので、やはり必要な業務を担うためにはしっかりと必要な定員は確保するということでやってまいりたいと思いますし、そのためにも、計画的、安定的に新規採用も行っていきたいと考えております。
○福島委員 ぜひ、行政改革のプロでもある林大臣のときに、今のこの毎年減らされ続けていく流れというのを断ち切っていただきたいんです。
というのは、今回、統計も専門調査員というのに委託しようとしておりますけれども、私は統計に関する仕事もやったことがあるんですけれども、非常に心配ですね。
統計というのは、一般的に、調査票を配って集計するだけのように思われますけれども、そうじゃないんですよ。誰を調査客体に選ぶかということは非常に現場を知っていなきゃできません。それをやった人が、回収した後に、統計の数字というのはいろいろな癖があるんですね、それを補正したり調整したりして、統計というのは積み上がっていくんですよ。それは、客体を選んで、調査を行って、集計して、分析をするというのは、全部一体じゃなきゃできないんです。昔、通産省も統計部局を民間委託しようかといって、その部分を委託しろと言われて、いろいろな検討をしましたけれども、結局、一体じゃなきゃできないんです。
今回、生産統計あるいは経営統計というものを専門調査員という人に、外に出しますけれども、本当にこれで統計の質が保たれるかどうかというのは大いなる実験だし、統計というのは非常に地味ですけれども、統計がなきゃ政策立案も何もできないわけです。
だから、私は、今回、統計を専門調査員に委ねるのも、恐らくOBの方とかそういう方に委ねるんでしょうけれども、委ねたことによって、職員の中に現場感覚がなくなって、統計の企画立案すらできなくなってしまう。統計というのは職人わざなんですけれども、その職人わざが農水省の中で伝わることがなくなるというのを非常に危惧しているんですよ。もうこれ以上定員削減したら、そういうところが廃れるところに来るのかもしれないと思っているんです。
私はいつも言うんです、全農林さんという組合があって、連合加盟で、御支援もいただいて、その代弁をするわけじゃないですよ、ちょっと物わかりがよ過ぎるんじゃないの、スト権は公務員だからないにしても、もうちょっと主張したらいいんじゃないのと。
私がそういう交渉をやったとき、相手は全通産という別の政党を支持されている組合で、非常に怖くて、朝行くと、赤旗読者会と言ったら政党がばれちゃいますけれども、そういうチラシが載っていて、特権階級の労働強化を許すなといって、非常に厳しい交渉をしていたんですよ。
私は、今の農林水産省の労使関係は、ある意味、働く側の人たちのきちんとした誠実な対話によってこういう大きな組織改革がなされているし、職員の皆様は、何か非効率だとか、何かこれまで機能していないみたいな失礼な話がありましたけれども、一生懸命これは本当に働いているんですよ。問題はないとは言わないですよ。働いているんですよ。
そういう意味では、公務員制度は、やはり自律的な労使関係。今、労働基本権が制約をされております。協約締結権のようなものがありません。平成二十年の福田内閣のときに成立した国家公務員制度改革基本法の十二条で、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係を構築すると条文に書かれております。我々が与党のときも、その法案を国会に提出させていただきました。
今、この検討はどうなっているんでしょうか。大臣はいるけれども、副大臣も政務官もいない。内閣人事局に丸投げということではなくて、法律の十二条に規定されていることですから、国家公務員の労働基本権に関する議論をやって、今まさに農水省の労使関係が、ある意味、公務員の労使関係のモデルにもなると思うんですよ。その議論は今どうなっているのか、加藤副長官、御答弁をお願いいたします。
○加藤内閣官房副長官 今御指摘がありました自律的労使関係制度については、今お話がありました国家公務員制度改革基本法、平成二十年、この第十二条にも規定をされ、また、今回の国家公務員法等の一部を改正する法律の附帯決議においても、衆参それぞれ内閣委員会で決議をいただいているところでございます。
そうしたことはしっかり認識しつつも、この自律的労使関係制度については、国民にとって具体的にどのようなメリットがあるのか、労使交渉コストが明らかに増加し、交渉現場の混乱や行政の停滞を招かないか、あるいは、市場の抑制力が働かないため、労使間で自主決着ができないのではないかといった、こうした御意見、多岐にわたる議論もございますので、慎重に検討していきたいと考えているところでございます。
○福島委員 いや、これは福田政権のときの法律にちゃんと書いてあることなんですよ。今の答弁はもう初めから検討する気がないような話でありますけれども、法律に規定されていることですから、私はもっときちんと前向きに検討されるべきであるというふうに考えます。
そして、最後なんですけれども、一番今問題になっているのは、国だけじゃなく、市町村の農政担当部局も人が非常に足りません。人・農地プランをつくろうと思ったら、農村の中に入れる職員がほとんどいないというのが現実でありました。土地改良区も、今はそんなに負担金が取れないですから、人がおりません。農業共済も、これは我々の政権のときに事業仕分けで事務費を削って、それで職員もいない。
つまり、農村の中に入って公的な役割を果たせる人が、国だけじゃなくて、県も市も、改良普及員も少ないです。市も、それ以外の団体も、少なくなっているんです。もし農協が今の農協法に基づいて株式会社化されたら、そんな公的な役割を果たす農協の職員なんていなくなってしまいますよ。どんなに政策統括官をふやして、どんなに立派な政策をつくろうが、地方でそれを伝える人は、参事官では無理ですよ。
やはり、農村に根差して、ああ、誰々ちゃん、来たのと言われて、統計の人が言っていましたよ、統計の調査員がこれから統計をお願いしますと言っても、応じてくれないんです。まず、農家の庭先に入ったら、ああ、いい庭ですねと言って、庭を褒めるところから始まって、おばあちゃん、元気と言って、そういうところから始まらなきゃ会話が始まらないんですよ。それができる人が行かなきゃ、いきなり農村に行って、これから輸出拡大しましょうと言っても、あんた誰ですかと言われて終わっちゃうわけですね。
それは国、県、市、農協、土地改良区、農業共済、いろいろあるんですけれども、垣根を取っ払って、何か農村に入って農家の御用聞きをするのは今度の参事官だけじゃなくてもいいんですよ。そういう縦割りのもの、壁を越えた、そうした人たちというのをつくるべきじゃないかと思うんですよ。それをやらないと、どんなに立派な政策をつくったとしても、全く農村には広がっていかない、伝わっていかない。
農家の人たちには理屈は伝わりません、気持ちですよ、やはり。気持ちを伝えられる人が行かないと、どんなに立派な資料を見たって、いきなり田んぼから帰ってきて漢字ばかりの資料を見たって、これは何けと言われておしまいですよ。
私は、もう一度、農村における公的な役割、政策の伝道者、あるいはニーズの吸い上げをやる人は、この参事官だけじゃなくて、ほかの、今農村で活動している公的な機関も含めて再編整理、整理というと何か行革みたいですけれども、もう一回再整理をして、その機能を強化すべきであると思いますけれども、林大臣、その点の検討を進めるおつもりはございますか。
○林国務大臣 おっしゃるように、まず農家に行って庭を褒めて、おばあちゃん、元気ですか、こういう人というのは、我々のように選挙をやった者が一番向いているのかな、こういうふうに思いながら聞いておったわけでございますが、OBの数も限られておりますので、そういうわけにもいかないかもしれませんが。
まさに今おっしゃっていただいたように、やはりキャッチボールを行って、先ほど金子先生にもお答えしたように、信頼をかち取る、この人が言うんだからというところがやはり最終的にはないとなかなか難しいな。こういうことは当然のことだと思っております。
今まさに御指摘いただいたように、市町村も行革をやっておられるので、今まで農政をずっとやっていた人がいたのに、最近は転勤してきたばかりとか役が変わったばかりの人がたまたま担当しているとか、都道府県の普及指導員にしても減少傾向にある、こういうことでございますので、まさにそういう中で現場と農政を結ぶ役割を担ってもらわなければいけないと思っております。
そういう意味で、地方参事官には、県内各地に出向くのは当然でございますが、都道府県や市町村、団体、いろいろな皆さんとネットワークを構築してもらって、さっき言ったように、みんなが顔見知りになって、しっかりとノウハウ、チャンネルを効果的に、シナジー効果を持って活用していく、こういう体制になるようにしっかりと運用してまいりたいと思っております。
○福島委員 ぜひ、そういうさまざまな場の人が一堂に会して、誰が何をやっているかわかるように情報共有する場とか、具体的な何かを始めていただければというふうに思っております。
本日は、どうもありがとうございました。
官房副長官、お忙しいところをありがとうございました。
○江藤委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。よろしくお願いをいたします。
設置法の一部改正法案の議論ということで、今、福島先生のお話を伺っていたんですが、私も、しっかり働いてくださる方であれば、当然、引き続き頑張っていっていただきたいという思いはあるんです。一方、余りその役を果たしていないというのであれば、やはり、時代の情勢、地域の変化に応じて体制も見直していかなければいけないのではないかなと思います。
まず、私から、地域センターのことについて伺いたいのですが、地域センターが設けられたとき、平成二十三年の改正だと承知をしておりますが、そのときの国会の附帯決議の一文に、「新設される地域センター及びその支所においては、人材の育成に努めるとともに、地方公共団体等との連携を密にし、利用者の利便性の維持・向上を図ること。」そういう文言がありまして、この地域センターのことを私が農家の方に伺ったら、残念ながら、知っているという方がまず少ない。
事前に、かなり前になりますけれども、この法案についてレクチャーをいただいたときにも、センターの職員の高齢化、平均年齢も極めて高い、そういうようなことを伺っておりまして、そもそも、地域センターというものを四年前の平成二十三年に設置して、その役割をきちっと果たしてきたのか。人材の育成ですとか、地方公共団体等との連携を密にし、利用者、農家ですかね、その利便性の維持向上、こういった役割を果たしてきたのかというところをまず伺いたいと思います。
〔委員長退席、加藤(寛)委員長代理着席〕
○佐藤政府参考人 井出先生の御質問にお答えします。
今先生の方からございましたが、地域センターでございますが、これは、古くは食糧事務所あるいは統計事務所といったものが組織がえされたものでございまして、地域センターにつきましては、平成二十三年九月に地方農政事務所と統計・情報センターを廃止しまして、統計調査、農業経営の安定、あるいは食品安全に関する業務等の執行業務の担当組織として設置されたところでございます。
この地域センターにつきましては、まず、統計調査では、現場段階での調査、審査を適切に行いまして、経営所得安定対策等の施策の企画立案及び実施に不可欠な統計データの整備、提供を行ってきたところでございます。
また、農業経営の安定面では、経営所得安定対策等の百万件を超える申請に対しまして、交付事務を実施しているところでございます。
また、食品安全では、事業者への巡回調査等を適切に行いまして、食品表示制度を初め、米、牛のトレーサビリティー制度の浸透、定着、こういったものに機能を発揮してきたところでございます。
○井出委員 確かに、今御説明があった業務の御説明もありました。
例えば、統計の調査を一つとっても、先ほど福島先生がおっしゃったように、実際に統計をとる人のところに行く、いただいている発足当初の業務の資料の中にはそういうこともあったかと思うんですけれども、ただ、実際に聞いてみると、その存在を知らない方が多い。役所に聞いても、二月か三月に、実はもうこれでなくなります、そういう御挨拶がありましたぐらいの話で、ちょっと私は、今までこれは何をやっていたのかなというところがあるんです。
今、食糧事務所の組織改編といいますか、食糧事務所時代の名残なんだと。聞くところによれば、職員の方の高齢化、また、新規採用もたしか二十年近くずっとやっていないと伺っているんですけれども、そういうものを四年前につくったときに、地域センターで人材の育成に努めるとか、地方公共団体等との連携を密にするとか、そういう附帯決議をそのとき国会で決めているんです。
そもそも、この附帯決議の趣旨と相入れない、食糧事務所時代の、もうだんだん終わっていくような組織である、そういう方向性であるにもかかわらず、無理くりつくったと言ったら言い方は悪いんですけれども、明らかにその附帯決議の趣旨と全く関連するところがないなと感じざるを得ないんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
まず、附帯決議との関係でございますが、前回の改正法案に付されました附帯決議で、「新設される地域センター及びその支所においては、人材の育成に努めるとともに、地方公共団体等との連携を密にし、利用者の利便性の維持・向上を図る」といったことがうたわれたわけでございますが、これにつきましては、地域センター及びその支所におきまして、本省や地方農政局本局が開催する業務研修、あるいは地域センター内での学習会の実施、あるいは本省と地方、県間の広域的な人事交流の促進により、職員の資質向上に努めてきたところでございます。
また、具体的に、例えば経営所得安定対策では、地域農業再生協議会等と連携しながら、市町村、農協等々の関係機関に出向いて申請書類の受け付けを実施しましたり、あるいは、表示関係では食品表示一一〇番、あるいは六次産業化の推進に関する相談窓口等、地域の方々からの意見や問い合わせの窓口を設置するといったようなことで、地方公共団体と連携しながら利用者の利便性の維持向上に努めてきたところでございます。
○井出委員 この四年間ということで、地域センターは四年で閉じるということになるんですけれども、その役割を果たしたと言えるのかどうかというところを端的に御答弁いただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
今先生の御質問にございましたように、どのような役割を果たしてきたか、そしてまた今日的な意義ということでございますが、確かに、地域センターの業務を取り巻く状況につきましてはかなり変化してきたというふうに思っております。
先ほど林大臣の方から御答弁ありましたように、定型的な業務といったものを地域センターは行っているわけでございますが、今まさに、活力創造プランあるいは新しい基本計画といったようなことの中で、農政改革を着実に推進するということが緊急の課題となっておりまして、そうした中で、今般、地域センターというものを見直しまして、さらなる拠点集約などの簡素化を図りまして、やはり、定型的業務も大事でございますが、現場と農政を結ぶ地方参事官等を配置するといったようなことで新しい施策の浸透を図っていくような、こうした業務につきまして非常に重要になってきているのではないか、このように考えているところでございます。
〔加藤(寛)委員長代理退席、委員長着席〕
○井出委員 地方参事官のことは後で伺いたいと思うんです。
確かに、地域センターの統計の調査ですとか、食品表示の監視とか、経営所得安定対策の事務を、いずれも大事な仕事とは、私もそのことは思っているんですけれども、食糧事務所時代の一連の流れで、職員の新規採用もなくて高齢化が進んでいる。そういう中で、四年前にこの地域センターというものを設置して、四年でその役割を、統計調査なんかは恐らく、先ほど福島先生おっしゃったように、農協のOBとかそういったところの方にお願いをしていくことになると思うんですけれども、むしろ、私なぞは、これは四年前に改革できたことじゃないかと思うんです。
地元の話を何人かの農家の方に聞いていて、全然知らない、知らないからなくなってもいいんじゃないか、どうしてもそういう話が多くて、私は、むしろ、今回の改正というよりも四年前の改正の段階でやるべきような、残念ながら、四年間役割を果たしてきたとはなかなか言えないんじゃないかと思うんですが、大臣の感想を伺いたいと思います。
○林国務大臣 四年前は、先ほど福島委員に与党時代の御経緯を説明していただきましたので、そういう経緯があって民主党政権時代におつくりになったということだと思いますが、我々としては、そのセンターというものを、今官房長から答えさせていただきましたように、しっかりとその目的を達するようにやってきたということでございます。
まさに、その中で、先ほど申し上げましたように、新しく農政のプランというのをまとめまして、農政改革というのをかなり大きくやっていかなければいけない、こういう状況になったということもあって、今回こういうさらなる改革をしたということが大きな背景にあるわけでございます。
したがって、現場の農家の方の受けとめというのも、今先生がおっしゃったような方もいらっしゃるかもしれませんし、逆に、先ほど福島委員からは、現場は非常に一生懸命やっているんだという声もあるわけでございますので、いろいろな声をよく受けとめながら、新しい制度がしっかりとワークするように運用してまいりたいと思っておるところでございます。
○井出委員 もちろん、一生懸命やっていただける方に、農政の方向性、農政の目的に合った形で農業のために働いていってもらう、そのための組織改編だと思いますし、そういう目的と実態と、やってきたことがどうだったのかなというところをこの地域センターについては感じざるを得ないんですが、やはり、組織の改編に当たっては、大臣もおっしゃったように、農政の目的、方向性に合致する改革をしていかなければいけないと思います。
そこで、次に、地方参事官のことについて伺いたいんです。
これは、端的に言えば相談役で、それも、参事官ほか二十名ぐらいの体制で、先ほどのお話ですと、現場を回る、市町村、関係団体を回りますという話をいただいているんです。
農政局の組織というものを見ますと、農政局は、局長がいて、一般的に次長がいて、それからいろいろな組織、部がある中に企画調整室というのがありまして、企画調整室なんぞはまさにそういう相談ですとか地元との連携をするような室ではないかなと思うんですが、地方参事官とこの企画調整室との関係というのはどのようにお考えなのか、教えてください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
今先生御指摘いただきましたように、地方農政局には企画調整室というのがございまして、全般的な窓口というようなことになっておるところでございます。でありますから、先生がおっしゃった趣旨にあるのかもしれませんが、こういったところが、地方参事官が今後果たそうとしている地域との結びつき、あるいは地域との相談役といったような、こういった面も決してなくはないと思っておりますが、いかんせん、この地方農政局、広いところは八県ぐらいを担当しておったりしているわけでございまして、全部を面倒を見切れないといったような状況がございます。
やはり、こうした中で、先ほどから出ております地方参事官ということで各県に配置いたしまして、できるだけきめ細かな相談活動に乗っていくといったようなことが必要だ、特に今回の農政改革といったものを現場におろしていくためには必要不可欠なものだというふうに考えているところでございます。
○井出委員 農政局にある企画調整室と、各都道府県ごとに新設される参事官とそのスタッフというものの役割分担というものは、どのようにお考えになるんですか。
○佐藤政府参考人 役割分担でございますが、先ほど何回も申し上げましたが、非常に地域と密接な関係となって、いろいろな現場のニーズを承ってくるのが地方参事官というふうに考えていただいて結構だと思います。
地方農政局の企画調整室というのは、各県のいろいろな団体の皆さん、あるいは農家の方々と意見交換しますが、それ以外にいろいろと、地方農政局での白書の作成でありますとか、局全体の企画管理、こういったことをやっておるところでございまして、特に、表現がいいのかどうかわかりませんが、地についた行政をやっていくという上では、この地方参事官というものがまさにそれに今度は該当するのではないか、このように考えているところでございます。
○井出委員 企画調整室にも室長がいらっしゃると思いますし、地方参事官が各都道府県に行く。
お話を伺っていると、地域に密着をしていくのは参事官だと思うんですけれども、その上下関係と申しますか、そこに上下関係があったり、例えば地域によって、場所によっては何か兼任をするようなこと、そういうことがあるのかどうかというところを教えてください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
地方農政局の企画調整室長と地方参事官の兼任というのはないかというふうに思っております。
先ほど来申し上げますように、実際、私どもも聞いておりますのは、今、現場の中で、国が直接来て、いろいろと活力創造プランあるいは基本計画の施策について具体的に国から説明してほしいといったような要望が結構上がってきておるところでございます。これについて、企画調整室といったところがいろいろとスケジュールをつくるんでしょうけれども、全て対応することがやはりできないというような状況にも相なっているところでございまして、そうした場合に、この地方参事官といったことが機能を発揮していくというふうに考えているところでございます。
また、地方参事官というのは、地方農政局の中では、これは地方農政局長の直属のものというふうな扱いにしておりまして、等級的には本省の室長あるいは若手の課長クラスといったような等級の者を地方参事官ということで任命していきたいというふうに考えているところでございます。
○井出委員 そうすると、等級としては、農政局の企画調整室長よりも各都道府県の参事官の方が、立場としては、役所の上下関係としては上なんだけれども、その上の立場の肩書の人間が地域に密着して入るという御理解でよろしいんですか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
企画調整室長と地方参事官は同格というような扱いでございます。
○井出委員 私は、相談窓口をつくって、あと、参事官の方は現場に密着していく、その目的意識はいいと思うんですけれども、似たようなものがふえただけだとかそういうことになってしまうと、先ほど言いました農政の目的を果たすために、それにふさわしい組織体系に果たして本当になっていくのかどうかというところが問題意識としてありまして、質問をさせていただいているんです。
それともう一つ、私もいま一つ、これもまた相談役かなと思っているんですが、地方創生の関係で、地方創生コンシェルジュというものがこれまた全国で九百人ぐらいいて、農水省関係者も百五十名以上いるというようなことを聞いていて、これもまた地域の相談役だと聞いているんですが、これと参事官の関係はどうなっていくんでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
今先生御指摘の地方創生コンシェルジュでございますが、これにつきましては、地方公共団体が地方創生の取り組みを行うに当たりまして、国が相談窓口を設け積極的に支援するための体制として、当該地域、市町村に愛着のある各府省の職員を選任するものでございまして、農水省では、現在、本省、地方農政局、地域センターの各段階で計百六十二人の職員を地方創生コンシェルジュに選任しているところでございます。
このうち、地域センターにおいては、地域センター長を選任して、地元地方公共団体等からの問い合わせに対応しているところでございます。
なお、今般新設いたします地方参事官でございますが、これにつきましては、みずから県内各地の市町村や農協等関係団体をくまなく回りまして、現場の相談に対応するなど、現場とキャッチボールを行って、現場と農政を結ぶ機能を担うこととしているところでございます。
このことにつきましては地方創生コンシェルジュ制度の趣旨とも重なるものでございますが、組織の見直し後は、各県に配置する地方参事官を地方創生コンシェルジュに選任して地方公共団体の取り組みを支援していくということも考えているところでございます。
○井出委員 農家の方のそういう疑問とか相談にしっかり応じていく体制ができていくのであれば、それはそれでいいかと思いますけれども、私の地元の農家の方のお話を聞いていますと、農家の方は、ほかの業種の方と比べると、国とか市町村のやっている政策を割合知っているなと私は地元を回っていると結構思いまして、知った上でいろいろまた問題提起をいただいたりするんです。ですから、そのあたりはかなりレベルの高い相談もあるかと思いますし、そういったものにしっかり応じる体制をつくっていっていただきたいと思います。
今度、その相談内容、情報提供の内容ですが、今までの答弁を伺っていますと、農政の政策に関することの情報提供だということを伺っているんですけれども、そのほかの、純粋に農家の、もう少し販売をうまくやりたいとか、技術的なこととか、そういったことに関することはここではやらないということでよろしいんですか。
○佐藤政府参考人 今先生の御指摘がちょっと聞きづらくて、恐縮でございますが、今考えておりますのは、先ほどからお話がございましたように、活力創造プランあるいは新しい基本計画、こういうところでかなり多くの新しい施策というものが打ち出されております。こうしたものの情報提供あるいは現場段階での普及、こういったものをキャッチボールするといったことがまず挙げられるかと思っております。
そうした中で、やはり各県あるいは各市町村でいろいろな状況がございまして、ちょっと聞き取れなかったんですが、技術的な相談みたいなことも出てくるかと思いますが、これについても一応地方参事官あるいはスタッフが承りまして、どのような解決策があるか、いろいろと検討していくというふうに考えているところでございます。
○井出委員 技術的なところとかも相談に乗っていただくというお話が今ありまして、そっちの分野でいくと、一つ、改良普及センターの事業もあるかと思うんですけれども、そちらも、非常に頑張っている農家さんにとって余りいい話を聞かない。
私が聞いているところですと、ある方が、改良普及センターの方から、新規就農者が定着できる、そういうことを教えていただきたいということで毎年言われているんだけれども、もう十年以上、新規就農の定着について伺いたいと言われている、自分が農業を始めてからもう二十年になる、しかも、どの担当者がいらっしゃっても、大体文書を届けに来る、時間を決めていただければ待ってお話をしますよと言っても、大体いないときに来て紙を置いていく、だったらもうメールでもいいじゃないか、そういう御意見も、今回、この質疑に当たって地元を回っている中で出ております。
参事官とスタッフ、改良事業が別のものだとは思うんですけれども、重なり合うところもありますので、改良普及事業についても、もう一度その中身、実態というものをしっかりと見詰め直す機会にしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 今先生御指摘いただきましたように、やはり現場では、この普及と、地方参事官あるいはスタッフとの相談といったものがダブる部分というのは出てくると思っております。
これについては、先ほどもありましたが、県段階で、やはり県庁の方とも十分よく連携をとりまして、技術相談だからこれは我々は受け付けられるものがない、あるいは営農指導の相談は一切私は行わない、そういったものではなくして、やはり現場に耳を傾けていく、こういう姿勢のもとで地方参事官あるいはスタッフ制度といったものを運用していく必要がある、このように考えているところでございます。
○井出委員 さっきの参事官と農政局の企画調整室長の話もそうですし、あと、今の話もそうなんですけれども、重なり合う部分がある中で、ぜひその目的を達するように運用をしていっていただきたいと思います。
次に、新たに加わる輸出の業務について伺いたいんです。
先ほど証明書を出すというような話を伺いましたが、あとはもう一つ、農政局としても積極展開をしていく。県域を超える連携であったり、金融、商工関係との連携というようなお話もあったんですけれども、本当に農家が輸出を拡大する、輸出を始める糸口となるような、そういう何か人材、そういう能力のある人を雇ったりするようなことというのはあるのかないのか、伺いたいと思います。
○櫻庭政府参考人 お答えいたします。
先ほど福島先生のときにお答えいたしましたけれども、ほとんどの県においてはジェトロの県センターがございます。そのジェトロの県センターが行う商談会とか、あるいはセミナーがございます。そういうところの御案内をしたりして、まずきっかけをつかんでもらうということもあります。
それから、六次産業化プランナーという方もいらっしゃいまして、六次産業化をして、直売ならぬ輸出まで行いたいという法人の方々も最近は出てきております。そういう方々の橋渡しを行うという形で、そういった調整、企画という形を担っていただいているというところでございます。
○井出委員 そういう意欲的に農業に取り組んでいる方は情報収集に対する要求も高いと思います。セミナーとか商談会だったらホームページを見ていればわかるみたいなところもあると思うんですよ。ぜひ、相談に有効なアドバイスができるようなことをしっかりと検討していただきたいと思います。
この輸出の関係でもう一つ伺いたいのですが、輸出促進協議会というものが、各農政局の単位であったり都道府県の単位であると聞いているんですが、そもそも、この輸出促進協議会との関係がどうなるのか。輸出促進協議会が今まで何をやってきたのかも、ちょっと私、不勉強でわからないんですが、そこのところも含めて教えていただければと思います。
○櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。
輸出促進協議会は、全国の都道府県、それから経団連初め関係団体、食品関係の団体、それから輸出入に関係する商社の団体等がこぞって参加している組織でございまして、これは全国組織というのがございまして、その会長はキッコーマンの会長の茂木さんでございます。そして、ただそれを全国だけで行っているのでは具体的には進まないということで、各地方農政局単位、ブロック単位にその組織を置いております。
例えば、先生のところの地元では、関東ブロックにもこの協議会会員を置いておりまして、まず、組織といたしましては、会長が農政局長でございますけれども、各県にも協議会をつくっております。各県の協議会の方、それからJAの方、農業法人協会の方、あるいは林業、食品産業、流通、経済界、そういった方々がみんな参加しております。
その中で、戦略的な作物をどういうのを決めようか、それをブロックとして行っていこうという方々もいらっしゃいます、ロットをまとめようという方々もございます、そういった具体的な実務的な話し合いをする。
あるいは、全国大会におきまして、海外との商談会に対してどういった形でまとまって出品していこうかとか、そういった協議の場として活用されているし、また、先駆的に行っている方々の事例をそこで紹介し、そして研さんする、あるいは表彰事業を行う、そういった取り組みを行っているところでございます。
○井出委員 今、ブロック単位で取り組みをやっているというようなお話も輸出促進協議会の方はあったかと思うんですけれども、そうすると、新たに加わる輸出の業務で、先ほど御答弁の中で、県域を超えて取り組みをしていくとか、これまた重なり合う、似たような話になってくるなと思って、重なり合って一緒じゃないかと言うと余りにも身もふたもないので、私は、そういう既存の組織と新しいことをやっていくところで、どうやって与えられた体制の中で輸出というものに対して最大限の取り組みができるのかと前向きに考えて質問をしたいと思っているんです。
輸出促進協議会とこれとの役割分担をどうされていくのかというところを、お考えを伺いたいと思います。
○櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。
まず、大きな組織として農林水産物等輸出促進全国協議会というのがあります。その全国協議会の下に、輸出戦略実行委員会ということで、実際に司令塔として動かす組織をつくっております。
その中には、まずは物別の品目部会ということで、牛肉の部分、あるいはお米を中心に、その中には日本酒も入っています、それから林産物、青果物、花卉、お茶、そういったものが縦にこうありまして、それぞれの協議会を今順次つくっております。
もう一つは、卸売市場をどうするか、卸売市場の方々が取り組む、あるいはハラール問題、物流問題という横断的なテーマがございます。その横断的なテーマ別の部会をつくっているという形で、縦軸、横軸をつくったということでございます。これが全国組織でございます。
その中で、今度は、地域ごとに特性がございます。その地域によってブロックで行う。
つまり、こちらの全国の方は本省で行っておりますけれども、地方においては事務局を地方農政局が担っております。地方農政局は、先ほど福島先生のときに御答弁させていただきましたけれども、この中の実行部隊、つまり実務部隊として地方のジェトロがあります、そこの調整を担っているというのが地方農政局の組織でございます。
○井出委員 しっかりと成果を出していっていただきたいと思いますので、両者の役割分担と業務状況をこれからもよく見て、我々も見ていかなければいけませんし、そこのところはしっかりお願いをしたいと思います。
こういう農政の体制、組織を変えていくということは、農業の環境が変化してくれば私は当然のことだと思いますし、そのときに、今まであったものをどうしていくのか、どうしても重なり合うところも出てくると思いますが、そういう中でも、一番は、やはり農政の目的、農業の発展のために組織の改編をするということが大原則だと私は思うんですね。
そこで、前回の一般質疑のときに私が伺った農地中間管理機構と農業委員会の関係について、改めて伺いたいんです。
農業委員会は、戦後、農地解放が行われて、当時の資料を見ますと、当時は日本人の約半数が農業に従事をしているといったようなデータもあります。当時、小作人という状況の中で、農業を実際にやっている人が土地を持てるようにしよう、それを独立した機関がきちっと管理をしていこう、そういうことで農業委員会制度というものができた。
それが、戦後これだけの期間がたって、当時は農業をやっていた人が、離農する人もかなり多くなった。土地を持っている人が農業をやっているという状況が、著しくそこに乖離が出てきた。だからこそ、農地中間管理機構をつくって、もう一度、農業をやっている人とこれからもっと頑張ってやっていこうという人と、農地のあり方、ベストミックスを探っていこうという政策だと思うんですね。
私は、それはそれで、一つの方向性としてはいいと思うんですが、ただ、前にも述べたんですけれども、農業委員会を残して、農業委員会にも農地の最適化推進委員というものを設けると聞いておりますし、その一方で、農地集約のメーンは中間管理機構なんだ。そこは連携するとは言っておりますけれども、私は、今、そしてこれから農業を頑張っていく人たちのための農地のあり方を本当に考えていくのであれば、一本化するぐらいのことを考えなきゃいけないんじゃないか、丸いタイヤと四角いタイヤが両方についていて、ぼこぼこ車が走っていくような状況ではいけないんじゃないか、そういう思いで前回質問をさせていただいたんです。
農地中間管理機構と農業委員会のあり方、今の関係について、大臣から改めて伺いたいと思います。
○林国務大臣 農業の成長産業化を図るためにも、今委員からも御指摘いただいたように、担い手への農地の集積、集約化、これを加速化することは待ったなしでございまして、今後十年間で担い手への集積の割合を五割から八割にしようということで、農地中間管理機構の整備をしたところでございます。
一方で、農業委員会は、農地に関する市町村の独立行政委員会でございまして、担い手への農地利用の集積、集約化、それから新規参入の促進、耕作放棄地の発生防止、解消、こういうものを積極的に進めていくことが期待をされておるところでございます。
管理機構と農業委員会は、役割は異なるものの、やはり目的は共通するところが、今御指摘のあるように、多いわけです。したがって、やはり的確な連携ということが政策効果を大きくするためには大変大事になってくる、こういうことでございます。
まさにそういう観点で、今回、農業委員会も改革をすることにいたしましたけれども、委員の選出方法、今委員からも、土地を持っている人と実際に耕作をする人の関係は時代とともに変遷してきている、こういう御指摘があったところでございますが、そういう意味でも、誰が農業委員になるのかという選出方法を、今までは選挙でやっておったわけでございますが、今後は、市町村議会の同意を得た上で市町村長が選任をする、そういうことにいたしまして、さらに、農業委員の過半は認定農業者になっていただく、こういうことにいたしました。
またさらに、農地利用最適化推進委員ということを新設いたしまして、まさに、推進委員は、この活動を行うに当たっては、農地中間管理機構との連携に努めなければならないということを法案にはうたっておるわけでございます。
こういう改革をすることによりまして、農業委員会が地域の農地利用の最適化をよりよく果たせるようになるものと考えておりまして、機構を通じた農地の集積、集約化も農業委員会との連携によってより活発になる、こういうふうに考えておるところでございます。
○井出委員 今、農業委員会は行政から独立したという話があって、そのことも前回伺って、きょうはちょっとその確認をしたいんです。
農地中間管理機構は、私は、前回、行政の関与が強まると申し上げたんですよ。それは、貸す人にインセンティブ、お金を出す、お金の面でインセンティブがあるような仕組みもありますし、だから私は行政の関与が強まると申し上げて、そのことは、私はだめだという意味で申し上げたんじゃないんですよ。土地を持っている人と農業をやっている人、現状これだけ乖離しているんだから、行政が関与してもいいんじゃないかという一つの問題提起で私は質問したんです。
この間の、行政がかかわっているというものではありませんというところの、改めて、今の私の意図を酌んでいただいて、もう一度あのときの見解をいただきたいんですが。
○奥原政府参考人 この点は、前回、たしか三月だったかと思いますが、御議論いただいたところでございます。
私の理解が十分でなかったかもしれませんけれども、今回の農地の中間管理機構の制度、それから、さらに農業委員会を含めて、今回、改革案を国会にお出しをしておりますが、そこで狙っているのは、まさに担い手のところに農地を集めていく、それから集約化をしていく、単に面積が大きくなるだけではなくて、できるだけまとまった面積を使えるようにしていくということで、それに向けて政策的なものをいろいろ強化していこう、こういうことでございます。
そういう意味でいいますと、行政の関与がある程度強まるのも当然のことだというふうに思っております。ただ、これが、行政が強権的にやるかということになりますと、そういう話ではないのです。
多分、ちょっと私が前回のときに理解が十分でなくてお答えしたのかもしれませんけれども、政策的には、担い手への集積、集約化を、いろいろな手法も使って、特に機構という法制度を新たにつくりましたし、予算措置もかなり手当てをしております。それから、現場での人・農地プランというのを農家の話し合いも含めて強化をしていこう、こういう発想でございます。
○井出委員 今あったお話のように、農地を集約化していくことに力を入れていく、それが農政のメーンになってくるということはもうずっと明確に言われてきたことなんです。
では、そのときに、農業委員会が行政から独立をしているのは最初にお話しした農業委員会ができた経緯もあるかと思うんですけれども、農地の管理を行政から完全に独立したところがやるということが、戦後の時代と今と比べて、その必要性は今もあるんでしょうか。
○奥原政府参考人 先ほども先生ちょっとお触れになりましたけれども、農業委員会が戦後できた一つの経緯としては、やはり戦後の農地解放というものはあると思っております。
農地解放がある程度安定してきたところでこの農業委員会制度はできてきたという経緯はございますけれども、地主の方から国が農地を買い上げまして、小作人の方に大体平均ですと〇・八ヘクタールぐらいで売り渡す、これが農地解放でございました。農業は、本当に耕作をする方々が農地を所有していただいて、きちんとした農業生産をしていただく、これが一つの目的だったと思います。
そういう体制がきちんと維持できる、こういうことも一つの農業委員会制度の目的でございまして、農地の権利移動、あるいはその転用、こういうことに当たりまして、市町村という行政機関本体だけではなくて、農家の方の代表が構成している農業委員会において、そこをきちんとみんなで点検をしながらやっていく、これが一つの発想だったというふうに思っております。
これが、戦後五十年、六十年たつ間に、農地についての状況もかなり変わってまいりました。実際に階層分化も相当進んでまいりましたので、経営規模の大きい方と小さい兼業的な方と、かなり分かれてまいりました。
これからの農業を安定的に発展させるということを考えた場合には、担い手の方々、本当に意欲と能力を持って自分の経営を発展させる、地域の農業を小さい方も含めて引っ張っていく、こういう方々のところにもっと農地の利用を集めていく、こういうことが重要な課題になってきている、こういう状況でございます。
それを円滑に進めるという観点で農地の中間管理機構も整備をしていただきましたし、それから農業委員会についても、そういった活動がよりやりやすくなる、そのためにどうするかということで、今回、農業委員会の改革の法案もお出しをしている、こういうことだと思っております。
○井出委員 独立性の必要性について、なかなか明確に御答弁がいただけなかったかなと思うんですけれども。
先ほど、農地の集約を行政が強権的にやってはいけない、そういうことをおっしゃって、私もまさにそのとおりだと思うんですよ。強権的にやってはいけない、そのために農業委員会が今まであったんでしょうし、それはまさにおっしゃるとおりだと思うんです。
ただ、これから農地を集約していくときに、今まさにおっしゃったように、強権的にやっていきません、片っ方で、農業委員会を残して、農業委員会はそのメンバーも構成も変えなければいけない、人数も変えなければいけない、俺たちの仕事はどうなるんだろうなと思っている農業委員の方は非常に多いんですね。
農業委員会の方は、いろいろ言われておりますけれども、やはり地元の農地の状況については非常によく把握をされている。その一方で、前回も伺いましたけれども、農地中間管理機構の実際現場で動き回る職員というのがいないということは、この間の質問で明らかにさせていただいたと思うんです。
だから、農業委員の皆さんの力をかりて、一本化してやっていけばいいんじゃないかと思うんですよ。そのことはどうでしょうか。これは大きい方向性の話なので、大臣からもコメントいただきたいんですが。
○江藤委員長 奥原局長、時間が経過しております。端的にお願いします。
○奥原政府参考人 農業委員会の委員の方、それから新しい制度のもとでは農地利用最適化推進委員という方もおりますけれども、こういう方々が地域の中で積極的に動いていただく、これは一つの重要なポイントだというふうに我々は思っております。
これまでの農業委員会の状況を見てみますと、やはり地域によってかなり違っておりまして、本当に一生懸命動いていただいているところと余り活動が活発でないところとございます。そういうこともあって、県全体で農地の流動化を進めていくスキームとして、県に一つずつの農地中間管理機構をつくる。
この体制についても、市町村への委託も含めて、県あるいは機構がリードする形で県内全体の農地の流動化を進めるという体制をある意味つくってきたわけですが、機構と農業委員、あるいは今度の最適化推進委員の方々がうまく連携すれば、さらに農地の流動化は進むことになりますので、そこは両者がきちんと連携しながら仕事をすることが極めて大事というふうに思っております。
○井出委員 連携も大事ですけれども、一本化という方向性についてはいかがお考えか、大臣に一言だけ。
○江藤委員長 時間が経過をしております。端的にお願いします。
○林国務大臣 委員の御意見は御意見として今拝聴させていただきましたが、今我々はこの法案をまさに提案をしておるところでございます。
一本化というのが、独立行政委員会とこういう行政の機関という中で、機能のダブるところはありますけれども、役割という意味で、自治的にやっていらっしゃるところとそれから行政としてやるところ、こういうところが両々相まってやることの意味というのは、役割が共通してきたからすぐになくなるというものでもないのではないかということも考えられますので、大きなテーマとして、御意見は拝聴しておきたいと思っております。
○井出委員 終わります。どうもありがとうございました。
○江藤委員長 次に、斉藤和子君。
○斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。
農林水産省設置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
現在、北海道と沖縄を除き、全国を七つのブロックに分けて地方農政局が置かれ、そのもとに六十五カ所の地域センターと三十八カ所の支所が置かれています。先ほどもありましたが、全国に百三の地域の拠点を今回の改正は廃止する、そして、農林水産省は、農林水産業・地域の活力創造プランなどに基づく農政改革を現場で着実に推進するために、より機動的で、現場と農政を結ぶためとして設置を変えるとしていますが、北海道は六カ所の地域センターを五カ所に、そしてその他の都府県では県庁所在地に一カ所と、現在ある地域センター、支所を含めても、半分に拠点を縮小することになります。
明らかに、より現場と農政が離れると私は思うんですが、大臣はどのように認識をされていらっしゃるでしょうか。
○林国務大臣 現場と農政を結ぶ業務については、地方参事官とそのスタッフを県庁所在地に集約することで、県や農業団体等の幹部と定期的に情報交換をいたしまして、地域の農業の課題解決に向けた役割分担を調整するなど、県庁や農業団体と密接に連携をするということ、また、災害それから家畜伝染病等の緊急事態発生時において重点的に人員を投入すること等が可能となりまして、より一層効果を発揮することが期待をされます。
それから、今御指摘があったように、活動拠点を集約しても、地域の課題解決に必要な農政サービスが十分に提供されなければなりませんので、地方参事官とそのスタッフがやはり出向いていくということできめ細やかに対応していく考えでございます。
さらに、出向くだけではなくて、県それから農業団体、さらには市町村等々とやはり密接に連携しまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、こういう方々とネットワークを形成していただいて、これを活用しながら現場と農政を結ぶ業務を行うこととしております。
こういうことをすることによって、拠点そのものが集約される中にあっても、現場と農政を結ぶ機能がより効果的に発揮されるように対応していきたいと思っておるところでございます。
○斉藤(和)委員 きめ細やかな対応をということでしたけれども、実は、先ほどもありましたけれども、前回の改正法案の附帯決議で、人材の育成や、今大臣がお答えになられた地方公共団体等との連携を密にするということが既に書かれています。こうしたことをどう総括しているのかということと、あわせて、そもそも地域センターはできて三年半、地方農政事務所そして統計・情報センターなど三百四十六カ所あった全国の拠点を、六十五カ所と三十八カ所の支所、合わせて百三カ所に集約したわけですけれども、この間の取り組みをどう総括されているんでしょうか。
○林国務大臣 地域センターは、今、斉藤委員からお話がありましたように、二十三年の九月に、地方農政事務所と統計・情報センターを廃止しまして、統計調査、農業経営の安定、食品安全に関する業務等の執行業務を担当する組織として設置をいたしました。
その後、地域センターにおいては、統計調査におきましては、現場段階での調査それからその審査を適切に行って、経営所得安定対策等の施策の企画立案や実施に不可欠な統計データの整備、提供を行う、また、農業経営の安定というところでは、経営所得安定対策等の百万件を超える申請に対して交付事務等を実施する、食品安全では、事業者への巡回調査等を適切に行いまして、食品表示制度を初め、米や牛、また牛肉のトレーサビリティー制度等の浸透、定着を図ってきた、こういう機能を発揮してきたところでございます。
また、本省、それから地方農政局の本局、地域センターの各レベルで業務研修を行いまして、さらに、本省と地方農政局の間の人事や県間の人事交流、こういうものを促進することによって、職員の資質向上にも努めてきたところでございます。
その一方で、この地域センターの業務を取り巻く環境が変化したということ、それから、先ほど来申し上げてまいりましたように、活力創造プランに基づく農政改革を着実に推進していく、こういう課題が出てきたわけでございますので、今般、地域センターを見直して、さらなる拠点集約などの簡素化を図りながら、現場と農政を結ぶ地方参事官等を配置する等の体制整備を行うことにいたしたところでございます。
○斉藤(和)委員 やはり地域センターが果たしてきた役割というのは非常に大きいと思います。確かに、現場と農政を結ぶという新たな機能を設けるということは大事だと思いますが、拠点を集約するわけです。
前回の改正のときに、地域センターの設置位置は都道府県庁から移動時間がおおむね二時間以内になるように調整したというふうにされています。
なぜ、設置するときに二時間以内というふうにあえて設定したんでしょうか。その根拠を明らかにしていただければと思います。
○佐藤大臣政務官 二時間の根拠ということでございますけれども、地域センターの設置に当たりましては、戸別所得補償制度等の農業経営の安定や食品表示監視等の食品安全に関する業務等を国が的確に実施するために、農業者への円滑なサービスの提供、それから、食品事業者等が集中する地域への迅速な行き来に適した立地となることを基本とさせていただいたところであります。
その際、農業者が来所して用件を済ますのに半日程度で往復できるようにということで、農業現場から片道二時間から三時間で移動可能な配置としたところであります。
○斉藤(和)委員 非常に私は大事だと思うんです。しかし、今回は県庁所在地に一カ所になりますから、例えば長野県でいえば、今まで地域センターが長野と松本に二カ所、さらに支所が四カ所あったわけです。それを一カ所にするわけで、例えば、宿泊で調査をやるというようなことがレクのときにありましたけれども、そもそも宿泊するような場所もなかったりとか、レンタカー会社もないような場所があるわけで、そうなれば職員の皆さんがより長距離な出張になり、負担が大きくなる、現場と農政を結ぶ新たな業務というふうに言いますけれども、日常の業務さえ支障が出るというふうに思うんです。
少なくとも、こうした現場から支所を残してほしいという声が出ています。地域の実情に合わせて検討すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
まず、今回の見直しによりまして現場の活動拠点を集約するわけでございますが、先ほど佐藤政務官の方から御答弁ありましたが、例えば、経営所得安定対策につきましては、交付申請等の受け付けに当たっては、従来から市町村段階の地域農業再生協議会、こういうところが申請書類の農業者への配付あるいは農業者からの回収を行っているといったような実態になっております。また、職員が出張して、市町村あるいは農協などの会議室で臨時受付を開設、あるいは農業者が県庁所在地の拠点に直接郵送、あるいは県庁所在地拠点で直接受け取りといったような受け付けも行っていくようなこととしておりまして、まず農業者に不便をかけないようにしていきたいというふうに考えているところでございます。
また、先生の方から御質問ありましたように、地域センターにつきましては幾つかの業務を行っているわけでございますが、統計調査でございますが、これにつきましては、これまで統計業務にかかわってきた職員のOB、あるいは都道府県、農協、銀行の職員OBといった農業等の専門的知識を持った方を調査員に任命いたしまして、調査の外部化というものを図ることとしているところでございます。
また、表示の監視業務でございますが、これまで食品表示、あるいは米トレーサビリティー、牛トレーサビリティーの法律ごとに分かれた体制でやってきたわけでございますが、これを統合して、調査対象が重複する食品事業者等の監視業務を同時に行うといったような合理化、また、特に産地偽装といいますか、原産地表示の偽装問題なんかを取り扱ってきたわけでございますが、これまで一つ一つ伝票等をチェックして、かなり時間的なものをかけまして確認をしていたところでございますが、やはりDNA分析ということで、簡単に申しますと、店に行って検体をとってくればすぐにせものかどうかといったことが科学的に立証できるといったようなことで、産地や品種の偽装の有無を判別する立入検査等をDNA分析等を活用しまして重点化するといったような合理化を行うこととしているところでございます。
また、先ほど出ておりましたが、距離が遠くなるといったようなことがあるわけでございますが、やはり計画的に行うということを考えておりまして、この場合には必要に応じて宿泊つきの出張を行うといったようなことを考えているところでございます。
いずれにいたしましても、現場で業務を実施する職員に対しましては、組織再編の趣旨あるいは業務の実施のあり方について引き続き丁寧に説明して、職員の声にも耳を傾けながら、業務に支障が生じないよう対応していきたい、このように考えているところでございます。
○斉藤(和)委員 業務に支障が出ないようにということですが、先ほども言いましたけれども、宿泊する場所がないというような実態もあるわけで、やはり職員には負担がかかることは明らかです。
同時に、私は問題だと思うのは、職員を減らすことによって、やってきた業務内での合理化が進むということです。地域センターが担ってきた統計だとか食品表示の監視などの外部化、合理化が、今言われたとおり、行われます。
お手元に資料をお配りいたしました。「地方組織における業務及び定員の見直しについて」という資料をごらんいただきたいと思うんです。
例えば、一のJAS法に基づく表示監視に係る業務では、巡回調査は原則として広域業者を対象とするとし、十月以降の体制をもとに二〇%程度削減、体制に見合った調査店舗数に削減とあります。
また、二の米トレーサビリティー法及び改正食糧法に基づく米穀流通監視に係る業務では、調査対象の重点化と、やはりここでも、人員に見合った調査件数に削減とされています。
そもそも、米のトレーサビリティーがなぜ始まったかといえば、二〇〇八年、平成二十年の九月に、複数の米の業者が、国から、非食用、工業用ののりの原料として購入した事故米、つまり、残留農薬が検出された米やカビ米などを、食用にふさわしくないと認定された米を食用として不正に横流ししていた事実が発覚して、最終的には、弁当だとかお菓子などに使われて、私たち国民の口に入っていたということが明らかになって、米製品の安全性に対する消費者の非常な怒りと不安が増大をいたしました。
このもとで、農林水産省に対する信頼は著しく低下をし、当時の農林水産大臣、また事務次官が引責辞任をするという異例の事態となりました。
そのもとで、翌年、二〇〇九年に、米トレーサビリティー法で、米穀などの受け渡しの情報の記録や原産地情報の伝達を義務づけたわけです。
この監視をやっていたのが地域センターなわけで、この廃止によって監視体制というのは弱まらないでしょうか、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今回の組織再編では、百三カ所ある地域センターなどを見直しまして、拠点は、先ほど斉藤委員からお話がありましたように、五十一カ所に集約をするということになっております。
一方で、今御指摘のあった食品の表示監視ですが、制度の定着もございまして、店頭での違反率は低下をしておりますので、網羅的、悉皆的な店頭指導から、広域的で悪質な事案への対応にシフトをしてきておるところでございます。
生鮮食品の原産地の不適正表示率というのが、平成二十年度は一五・四%でございましたが、平成二十五年度は二・七%まで低下をしてきているところでございます。
こういう状況を踏まえて、これまで各地域センターにそれぞれ配置をされておりました食品表示等の監視業務を行う担当者につきましては、より広い範囲で監視業務を実施する広域監視官ということで、地方農政局に配属になってもらって、各県庁所在地に駐在をすることにしていただきます。
こういう広域監視官については、先ほど官房長からありましたように、DNA鑑定等の科学的手法を拡充する、また、従来は、米穀の流通、それから牛トレーサビリティーの監視担当官であった者も広域監視官として食品表示に係る監視を実施する、また、県域を超えるより広範な地方農政局のブロックの範囲で監視業務を実施する、こういうことをすることによりまして、監視業務の実効性をしっかりと確保していきたいと思っております。
○斉藤(和)委員 監視業務をしっかりやるというのは、私は、国民に対する責任だというふうに思うんです。
今、牛のトレーサビリティーの問題が出ましたけれども、そもそも、この牛のトレーサビリティーも、二〇〇一年の九月にBSEの感染牛が日本で初めて確認をされ、食肉の偽装事件などが続発する中で、BSE問題に関する調査検討委員会が発足し、その報告を受けて、今ある食品安全委員会が設置をされたりだとか、農林水産省や厚生労働省などにおけるリスク管理体制の見直しなどが決められ、今回廃止となる地域センターの、統合前になりますけれども、地方農政事務所が設置をされた経過があります。
同時に、牛のトレーサビリティー法で、牛を個体識別番号により一元管理するとともに、生産、流通、消費の各段階において、当該の個体識別番号が正確に伝達されているのかどうか、この義務づけも行いました。やはり、その監視を担ってきたのも、この廃止されようとしている地域センターです。
今回の合理化で、この資料にありますけれども、生産段階では、全頭確認から地域の実情に合わせた抽出率の設定などとあります。また、流通段階では、巡回調査の頻度を見直す、さらには、十月以降は、体制に見合った巡回調査件数に削減とあります。
これで本当に食の安全を担保できるのか、私は非常に不安に思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今までも地域センターにおいて、食の安全それから消費者の信頼を確保するために、食品表示法に加えて、米トレーサビリティー法、食糧法、牛トレーサビリティー法に基づく監視業務、今御指摘がありましたように、実施をしてきたところでございます。
これらの監視業務につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、個別の法律ごとにそれぞれ監視担当官を配置してきたわけでございますが、今後は、より広域な範囲で、複数の法律に基づく監視業務を横断的に実施をする広域監視官を地方農政局に配置の上、各県庁所在地に駐在させて実施をすることにしたわけでございます。
こうした中で、牛トレーサビリティー法に基づきまして、生産から流通、消費段階に至るまで行われる個体識別番号の記録、伝達等に対する監視業務も、DNA鑑定等の科学的手法を拡充するということ、それから、広域監視官が機動的、効率的に実施することによりまして監視業務の実効性を維持することにしております。
こういったことによりまして、引き続き食の安全や消費者の信頼を確保してまいりたいと思っておるところでございます。
○斉藤(和)委員 表示の問題でも、先ほど大臣からありましたとおり、違反率が非常に落ちている、また、BSEも出ていないというような状況があります。
しかし、確かに米と牛で分けていたものを横断的にやるということは、それはあり得ると思うんですけれども、それによって監視業務自体が縮小していってしまう、これ自体は本当にないように、やはり、横断的にやるのだから、監視業務がより強化されたというふうになるように体制をつくっていく必要がある、私は、それが、国民に対する食の安全に責任を負う、監視業務をやっている農林水産省の責任ではないかというふうに思います。
さらに、六ページ目に、統計業務のことで一つあるんですけれども、作況特定筆調査について、現在、農家の聞き取り対象筆数が約二万筆となっているものを、十分の一の約二千筆に縮減するんだと。私は、これを見て非常に驚いたんです。
日本の農業統計というのは、世界からも評価され、信頼の高い統計というふうに認められています。それは、先ほども質問があったとおり、職員が出向き、きちんと農家の皆さんと膝を交えてやった統計だからこそ信頼がある。それをそもそも減らしてしまう。
作況指数というのは、米価にも大きく影響を与えますし、政策立案にとっても非常に大きな影響を、ある意味土台となるものです。それを削減するというのは、統計の信頼性そのものを損なうものになると思いますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今般の組織見直しによりまして、現在、統計調査の実際の調査それから調査結果の審査の業務を行っている地域センターが県庁所在地に集約化されることになるわけでございます。
他方、統計調査については、平成二十七年度からは、これまで職員が行ってきた経営統計、生産統計業務につきまして、統計業務に携わってきた職員OBそれから都道府県、農協、銀行の職員OBなど、農業などの専門知識を有する外部の調査員が現地の調査実務に携わる体制に順次移行していくこととしているほかに、調査結果の審査業務は地方農政局本局の方に集約化をしていくということで、業務の外部化、合理化を図っていくこととしておるところでございます。
これらによりまして、引き続き質の高い信頼性のある統計データを整備、提供することとしておりまして、今般の組織見直しによって統計調査に支障が生じることのないように対応してまいりたいと思っております。
○斉藤(和)委員 本当に、統計の信頼を損なうということは絶対にあってはならないと思います。
先ほども質問がありましたけれども、統計というのは、数だけではなくて、やはり職人わざだというふうなお話がありましたけれども、私も本当にそのとおりだと思います。そうした技術や知識を持った、技術の継承じゃありませんけれども、そういったものをきちんと農林水産省の中に確立していくということは、やはり今後の農政の土台をつくっていく根幹にかかわる問題だというふうに私は思いますので、減少になるようなことがないように、信頼に十分足るような体制をぜひつくっていく必要があるというふうに思います。
地域センターの廃止に伴って、四月からは、表にありますとおり、表示監視業務では五十五人、米穀流通監視業務では三十三人、農畜産安全管理業務では三十三人削減が行われ、十月には三つの業務合計で四百九十四人が削減されることが予定されています。農政局などに百四人振りかえられるというふうになっていますけれども、大幅に人員が削減されることには変わりがありません。さらに、統計業務でも、四月に七十二人、十月に二百十人と削減されます。食品の安全の監視でも統計でも、この表にありますとおり、体制に見合ったものに調査対象を削るという方向が打ち出されています。
私は、現場と農政を結び、かつ食の安全、安心に対する責任を果たすのであれば、やはり、今ある地域センターを廃止するのではなくて、存続をさせ、さらに体制を強化して、現場と農政を結ぶという新たな取り組みもやっていくということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 先ほど官房副長官からも御答弁いただきましたように、やはり、行政運営の簡素化を図って、よってもって国民負担の軽減をしていく、これは、農林水産省に限らず、行政に携わる者は常に心がけておらなければならないことであろうか、こういうことだというふうに思っております。
そういう意味では、この厳しい財政状況の中で、業務、定員合理化、これは真摯に取り組まなければならない、こういうことでございますが、その中で、先ほど来お答えをしてまいりましたように、いろいろな新しい状況に対応した工夫等をすることによって、食品表示に対する監視にしても、いろいろな今までやってきた統計等の信頼にしても、確保されるようにしっかり対応してまいりたいと思っておるところでございます。
○斉藤(和)委員 人員削減によって国民の負担の軽減に努めるというふうにありましたけれども、国民の負担の軽減に努めることは大事ですが、この安全監視業務を削ることや統計の業務を削ることは、むしろ私は、国民の生存にとって、国民の命にかかわって、削ってはならない部分だと思うんです。
だからこそ、やはり、人員削減という全体の流れのもとでも、人員が削減されたから、それに見合って業務を変えるのではなくて、国民の安心、安全のためにはこれだけ人員が必要だから確保してほしいんだ、もっと別のところを削れるじゃないかという要望を、逆に言えば、出していただきたいというふうに要望して、次の食品の表示問題についてちょっと質問をします。
今、食品表示問題というのが極めて重大な局面にあります。食品表示法が四月一日から施行されました。これまでの表示法では、農林水産省のJAS法、厚生労働省の食品衛生法が消費者庁の食品表示法に一本化をされました。しかし、残された課題は、遺伝子組み換え表示だとか加工食品の原料原産地表示など山積みです。
さらに、国民にとって私は問題だと思うのは、消費者庁は表示の企画立案はしますけれども、監視の業務は手足はない。表示が適切に行われているかどうか監視するのは、農林水産省と四十七都道府県に配置されている保健所に任されています。それが、今、法案で出ているように、それぞれの省庁だとか地方自治体の都合によって人員が削減されたり、専任の職員が置けずに兼任になっていたりして、監視機能が低下する事態が起ころうとしています。
消費者庁として、どのようにこの表示の監視機能の強化を行おうとしているのか、どう取り組む必要があるというふうにお考えなのか、お答えください。
○松本大臣政務官 お答えいたします。
食品に関する表示でありますけれども、消費者が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関しまして重要な役割を果たしております。このため、平成二十七年四月一日に施行されました食品表示法の的確な執行が重要であることは、委員御指摘のとおりだと考えております。
食品表示の監視体制につきましては、消費者庁のほか、農林水産省、財務省、都道府県、保健所設置市等が監視、取り締まりを行える体制をとっておりますし、これからもそのような体制をとっていくものと承知をしております。
消費者庁は、食品全般の横断的な監視、取り締まりをみずから行いながらも、地方出先機関を有し、監視業務についてのノウハウを有する農林水産省及び財務省と、また、地域的な事案や保健衛生に係る事案を所掌する都道府県及び全国の保健所と連携を図り、効果的、効率的な法執行を図ってまいりたいと考えております。
また、食品表示法における関係省庁や地方公共団体との一体的な運用を図ることが大変重要でありまして、このため、行政処分指針等の作成、公表を行ってきたところでもあります。この指針に基づいて、統一的な法執行を図ってまいりたいと考えております。
○斉藤(和)委員 やはり、他人事のように、お願いベースで各省や地方自治体に依頼するというのでは何の保証にもならないと思います。やはり、表示の監視機能強化に対する抜本的対策を内閣全体としてやるべきだということを求めて、次に、機能性表示食品の問題を質問したいと思います。
機能性表示食品は、特保のような許可制ではなく、届け出制で、機能性成分を証明する研究文献を提出すれば、どんな機能性も表示できるものになっていて、多くの企業がビジネスチャンスだということで殺到をしていますが、その一方で、健康被害も心配をされています。
健康食品に関するリコムのサプリメント、蹴脂粒、このエノキタケ抽出物が機能性表示食品として届け出をされ、四月十七日から消費者庁のホームページに掲載をされています。しかし、この成分というのは、エノキタケ抽出物について、ことしの二月三日の食品安全委員会で、その作用によって心血管系、泌尿器系、呼吸器系、生殖器系など多岐にわたる臓器に影響を及ぼすことを否定できないため、提出された資料からは本食品の安全性が確認できませんでした、安全性を評価することはできないと判断いたしましたと報告されています。
きのう報道されましたけれども、十二日の食品安全委員会で、安全性がやはり確認できないという最終的な評価書をまとめたとされていますけれども、そういったもとで、消費者庁は、特保では認められなかった、安全性が確認できないとされた食品を、機能性表示食品では受理し、ホームページに掲載し、二カ月後には市場に出回る。極めて問題だと思いますが、いかがでしょうか。
○松本大臣政務官 お答えをいたします。
五月十二日の食品安全委員会におきまして、今委員御指摘のとおり、特定保健用食品として申請中の蹴脂茶につきましての評価書が決定をされたことは承知をしているところでございます。これは、まだ、食品安全委員会からの答申がなされたということでありまして、この答申の中身というのは、今お話がございましたとおり、評価ができない、そういう答申がなされたところであります。
手続といたしましては、これを受けまして、消費者委員会においてどのようにこの結果を受けとめ考えていくのかはまた改めて判断がされていくということで、今後の手続というものは進んでいくものと承知をしているところでございます。
そうした状況でもございますので、今後、消費者庁におきましては、食品安全委員会に答申の趣旨を確認するなどして、評価書の内容をぜひ精査させていただいて、消費者委員会における機能性及び安全性に関する審査を経た上で、最終的に消費者庁において許可に係る判断を行わせていただきたいと考えております。
また、機能性表示食品制度は、事業者から消費者庁に届けられました安全性や機能性に関する科学的根拠に関する情報を消費者庁のウエブサイトで公表することで、届け出後の事後チェック制度をしっかり機能させることが前提となっておりまして、消費者庁は、公表資料を端緒として寄せられる疑義情報も活用しながら、届け出情報の公表後に、安全性や機能性に関する科学的根拠などにつきまして、食品表示法に基づく事後監視を行うこととしております。
今お話がございました機能性表示食品、蹴脂粒につきましては、蹴脂茶の審査状況も踏まえつつ、消費者庁におきまして、評価書の内容を精査いたしまして、必要な調査を行うこととなるものと考えているところでございます。
いずれにいたしましても、科学的根拠に基づかない表示がされた食品の流通を防ぎ、消費者の安全が確保されるように制度を運用してまいりたいと考えております。
○斉藤(和)委員 朝日新聞には、特保で安全性が認められなかった成分が、機能性表示食品では体によい成分として表示される、経済成長戦略の一環として導入された新制度だけれども、早くも課題が突きつけられているというふうに書かれています。
やはり、今の消費者庁の手順的にはいろいろあったとしても、安全委員会が確認できないと言っているわけですから、これは実際に販売されてはならないし、もっと言えば、健康被害を出すようなことが絶対にあってはならないために、強化をお願いしたいというふうに思います。
終わります。
○江藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○江藤委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。斉藤和子君。
○斉藤(和)委員 農林水産省設置法の一部を改正する法律案について、私は、日本共産党を代表して、反対討論を行います。
反対する第一の理由は、前回の改正において設置された地域センターは、農業経営の安定や食品安全に関する業務を的確に実施するために、大多数の職員が統計調査や食品表示監視などを行ってきました。その地域センターを十分な評価、検証をすることなく、わずか三年半で廃止することは容認できません。
統計調査は、業務を外部化、合理化することにより民間委託となり、人員削減が大幅に行われます。科学的分析調査は、巡回調査数を減らし、国民にとって重要な業務である監視業務においても調査件数を減らしていきます。これでは、チェック機能の後退だけでなく、農政の構築や推進に必要となる基礎的データの収集、整理、食の安全、消費者の信頼確保に万全を尽くすことができません。
反対する第二の理由は、改正後の効果を、現場に伝える、現場の声を酌み上げる、現場とともに解決するという現場と農政を結ぶ機能を充実し、農政改革を着実に推進する、そのために、農政を機動的に展開できる体制を整備するとしています。しかし、地域農政の拠点が半減するのですから、現場と農政を結ぶための業務に支障が出ることは明らかです。現場と農政を結ぶというのであれば、全国一律の拠点集約ではなく、地域の実情に合わせた拠点にすべきです。
本来であれば、農林水産省が主体となり、食の安全、安心を推進し、食品の表示監視を強化すべきです。そのための抜本的な対策に乗り出すべきときに、それに逆行する地域センターの廃止は容認できないことを強調し、反対討論を終わります。
ありがとうございました。
○江藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○江藤委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、農林水産省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○江藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○江藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、齋藤健君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党及び公明党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。福島伸享君。
○福島委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。
農林水産省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
農林水産業・農山漁村の現場が抱える課題が多様化する中、これに迅速かつ的確に対処するためには、現場に即した農林水産行政を推進する体制の整備が喫緊の課題である。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 地域における農林水産業の育成はもとより、農政全般について、現場に伝え、現場から汲み上げ、現場とともに解決する機能を充実・強化するため、農林水産省本省及び地方農政局等において必要な定員を確保し、中長期的視点に立った採用、研修を通じて人材育成を行い、現場と農政を結ぶバランスの良い人員配置を行うとともに、専門性を要する職務に従事する職員の処遇改善及び職場環境の整備等に特段の努力を払うこと。また、都道府県及び市町村との連携を一層強化して、農林水産行政の推進に当たること。
二 農林水産物等の輸出に関する事務については、本省及び地方農政局等が一体となり、関係府省はもとより日本貿易振興機構を始め関係団体との緊密な連携の下、輸出促進が真に農林水産業・農山漁村の発展に資するよう、強力に推進すること。また、原発事故に伴う輸入規制措置の緩和・撤廃に向けて、諸外国・地域に正確な情報を提供した上で、科学的根拠に立った対応を引き続き要請すること。
三 東日本大震災の被災地における農林水産業の復旧・復興を迅速かつ着実に進めるため、担当地方参事官の相談業務等を通じて現地の意向の的確な把握を行い、関係府省が連携した実効ある施策展開につなげること。また、被災地等特別のニーズを有する地域における組織については、特段の配慮をすること。
四 統計調査・食品表示監視等の個別執行業務の外部化・合理化に当たっては、そのレベルの維持向上を旨として実施するとともに、特に、統計調査については政策構築の基礎データの提供という役割の重要性に鑑み、精度の低下を招くことのないよう、専門性の継続に十分留意すること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○江藤委員長 起立多数。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。
○林国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
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○江藤委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十分散会