第10号 平成27年5月19日(火曜日)
平成二十七年五月十九日(火曜日)午前九時六分開議
出席委員
委員長 江藤 拓君
理事 加藤 寛治君 理事 齋藤 健君
理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君
理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君
理事 松木けんこう君 理事 石田 祝稔君
青山 周平君 井野 俊郎君
伊東 良孝君 伊藤信太郎君
池田 道孝君 今枝宗一郎君
尾身 朝子君 加藤 鮎子君
勝沼 栄明君 瀬戸 隆一君
武井 俊輔君 武部 新君
中川 郁子君 中谷 真一君
西川 公也君 橋本 英教君
古川 康君 前川 恵君
宮路 拓馬君 森山 裕君
簗 和生君 山本 拓君
金子 恵美君 岸本 周平君
小山 展弘君 佐々木隆博君
福島 伸享君 鷲尾英一郎君
井出 庸生君 村岡 敏英君
稲津 久君 佐藤 英道君
斉藤 和子君 畠山 和也君
仲里 利信君
…………………………………
議員 岸本 周平君
議員 福島 伸享君
議員 小山 展弘君
農林水産大臣 林 芳正君
内閣府副大臣 西村 康稔君
農林水産副大臣 あべ 俊子君
農林水産副大臣 小泉 昭男君
内閣府大臣政務官 小泉進次郎君
法務大臣政務官 大塚 拓君
農林水産大臣政務官 佐藤 英道君
農林水産大臣政務官 中川 郁子君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 澁谷 和久君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 高田 潔君
政府参考人
(内閣府消費者委員会事務局長) 黒木 理恵君
政府参考人
(消費者庁審議官) 岡田 憲和君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君
政府参考人
(外務省経済局長) 齋木 尚子君
政府参考人
(財務省主計局次長) 岡本 薫明君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 中山 峰孝君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 今城 健晴君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 櫻庭 英悦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 松島 浩道君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 三浦 進君
政府参考人
(水産庁長官) 本川 一善君
農林水産委員会専門員 奥井 啓史君
―――――――――――――
委員の異動
五月十九日
辞任 補欠選任
瀬戸 隆一君 青山 周平君
簗 和生君 尾身 朝子君
小山 展弘君 鷲尾英一郎君
井坂 信彦君 松木けんこう君
同日
辞任 補欠選任
青山 周平君 瀬戸 隆一君
尾身 朝子君 加藤 鮎子君
鷲尾英一郎君 小山 展弘君
同日
辞任 補欠選任
加藤 鮎子君 簗 和生君
同日
理事井坂信彦君同日委員辞任につき、その補欠として松木けんこう君が理事に当選した。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七一号)
農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出、衆法第二一号)
農林水産関係の基本施策に関する件
――――◇―――――
○江藤委員長 これより会議を開きます。
理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に松木けんこう君を指名いたします。
――――◇―――――
○江藤委員長 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官今城健晴君、食料産業局長櫻庭英悦君、生産局長松島浩道君、経営局長奥原正明君、農村振興局長三浦進君、水産庁長官本川一善君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣官房内閣審議官高田潔君、内閣府消費者委員会事務局長黒木理恵君、消費者庁審議官岡田憲和君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、外務省経済局長齋木尚子君、財務省主計局次長岡本薫明君及び厚生労働省大臣官房審議官中山峰孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝沼栄明君。
○勝沼委員 おはようございます。自由民主党の勝沼でございます。
本日は、トップバッターとして質問の機会を与えていただきまして、江藤委員長を初め理事各位の先生方には、改めて心より感謝申し上げます。
時間もありませんので、早速質問に移りますが、本日は、水産業についてお聞かせいただきたいと思います。委員の先生方にとっては釈迦に説法のことも多いと存じますが、しばしのお耳汚しをお許しいただければと思います。
言うまでもなく、我が国は、四方を海で囲まれ、排他的経済水域は世界第六位、水深を含めた立体的な体積で申しますと世界第四位でございます。暖流と寒流がぶつかり、栄養豊富なプランクトンが豊富に存在するすばらしい漁場を周辺海域で形成して、また、そういった影響のもとに、世界二万五千種のうち三千九百種の魚が生息している。非常に恵まれております。さらに言えば、三陸沖には北西太平洋海域という世界三大漁場の一つがございます。非常に恵まれた海洋環境、そう言っても過言ではないと思います。
では、実際、その中で仕事をしている漁業の現状はどうかと申しますと、漁獲量は、一九八四年の千二百八十二万トンをピークに右肩下がりで下がり続けて、昨年は四百七十八万九千トンです。生産量に至っては、一九八二年、この年が二兆九千七百七十二億円でした。それが、一番最近の統計では一兆四千億円。さらに、漁業就業者も、昭和三十六年には約七十万人いらっしゃった方が、現在は十七万三千人、さらに高齢化率で、六十五歳以上の方も三六%に及んでおります。
今、統計的な数字だけ述べさせていただいたのですが、この数字だけ見て、率直な感想をぜひお聞かせください。
○中川大臣政務官 委員の質問にお答えをいたします。
先生御指摘のとおり、我が国の漁業は、昭和五十年代初めからの各国の二百海里規制やマイワシの漁獲量の急減などによりまして、生産量、生産額ともに長期的に減少傾向にございまして、また、漁業就業者数なども減少するなど、厳しい状況に置かれているというふうに認識しています。
しかしながら、一方で、世界の水産物需要が高まっていることなどを背景に輸出が拡大しています。また、太平洋のマサバのように、資源管理の効果があらわれているなどの例も見られておりますし、さらに、新規就業者につきましては、近年、活力ある漁業就業構造の維持に寄与する二千人程度を確保しています。また、大変若い方たちが就業しているなど、明るい兆しも見え始めているというふうに認識いたしております。
○勝沼委員 今お話がありましたけれども、厳しい状況にあることは変わりないと思うんですね。数字だけ見てもそうです。今、いろいろちょっとずつよくなってきているというお話がありましたが、以前、日本は世界で漁業を最先端で走っていた。それが、今の状況がこれであります。こういった結果をもたらしてしまった原因は、果たして何だと思われるでしょうか。
○本川政府参考人 御指摘のように、やはり漁業生産量が大きく減少してきている要因といたしまして、私ども、ことしの白書でも整理をさせていただこうと思っておりますが、各国の二百海里規制やマイワシの漁獲量の急減、こういったものによりまして、生産量が大きく減少してきたということが一点です。
それから、沿岸域の藻場、干潟など、自然環境が変化をしてきたこと、それから、漁業経営体数の減少により、漁獲する漁業者が減少したこと、こういったことで漁業生産量が減少してきたというふうに分析しているところでございます。
○勝沼委員 今お話がございましたが、確かに、日本人の消費の低迷ですとか、また、地球温暖化、海洋環境の変化ですとか、藻場、干潟などの産卵場所が減少といった漁業を取り巻く環境の変化はあると思いますけれども、先ほど中川政務官からもお話がございましたが、世界を見てみますと、世界の漁業生産量はどんどん右肩上がりを続けて、昨年は一億八千万トンを超えています。今、世界の漁業は非常に活況を呈している。
環境の変化というのは、やはり世界の海も連動しているはずですから、日本周辺の海域だけが劇的に変わってこれだけ落ち込んでいるということはないと思うんです。やはり私は、一番の原因というのは、資源回復を上回る漁獲を続け、それになかなか効果的な対策を講じてこれなかった、これが一番の原因だと思っております。
年々減っていく水産資源に反比例するように、漁獲能力はどんどん上がっております。そして、何とかその中から収入を得ようと、やはり漁業者の方々は成長する前の小さい魚にまで手を出さざるを得ない、そういった状況がある。小さいものは当然魚価も安いです。二束三文で買われて、今、飼料用にされる魚は三〇%に及んでいると聞いております。今、漁業で成功しているノルウェーなどは、それが数%、三%ほどと聞いております。そして、その繰り返しにより、さらに資源が枯渇していく。この悪循環を断ち切らない限り、世界でトップをとった、そういった水産日本の復活はあり得ないと思います。
今まで水産庁も、当然現場の漁業者の方々も、決して手をこまねいて見ていたわけではないと思いますし、実際さまざまな規制や国際的な取り決めがあるわけでございますけれども、今までの日本における資源管理、果たしてどのようなことが行われていたのか、教えていただけないでしょうか。
○本川政府参考人 まず一点、世界の漁業生産の動向でございますけれども、国別の漁業生産量の推移を見てみますと、漁業でとる資源としては、一九九〇年からここのところ、大体世界九千万トン程度で頭打ちであるといったような状況でございます。
今、世界の生産量が伸びているのは主に養殖業の生産量、特に中国における養殖業の生産量が伸びているということが、一つ大きな原因であるというふうに理解をしております。
それから、我が国における資源管理の進め方でございますけれども、私どもとしては、まず第一に、投入量の規制ということを実施しております。これは、漁業法に基づく投入量規制により実施をしているわけでありますが、漁船の隻数あるいはトン数、その馬力、操業区域、こういったものを投入量規制として、まず公的な管理を行っているところでございます。
それからもう一つは、出口の規制、アウトプットのコントロールでありまして、我が国による国連海洋法条約の批准に伴って、漁獲量が多く国民生活上重要な七魚種について、平成九年から、漁獲可能量、こういったものの上限を定めるTAC制度を実施しているところでございます。また、その中で、ベニズワイガニなど数種につきましては、個別の漁獲割り当て、最近よく議論されておりますが、いわゆるIQ、こういう方式も実施をしているところでございます。
それからもう一つは、我が国として特徴的でございますけれども、こういった公的な管理に加えまして、漁業者による自主的な管理制度、こういうことを実施しておりまして、特に平成二十三年度からは、資源管理・収入安定対策という下支えによりまして、幅広い漁業者の参画を得て、資源管理指針あるいは資源管理計画、こういったものを進めておりまして、全国的に約千七百の計画ができて、進めているところでございます。
ただ一方で、そういう中で資源が低位にある、あるいは漁獲量が減少している、そういったようなことが大きな課題でございまして、さらに適切な資源管理を進めるということが、我が国の現時点における課題であるというふうに認識しております。
○勝沼委員 ありがとうございます。
冒頭に述べましたように、日本は恵まれた海洋環境に囲まれているからこそ、魚種も多様性に富み、そして漁業の歴史も古く、諸外国に比べて漁業者も漁船数も、特に小型漁船の割合が非常に多いわけでございますが、さらに、漁業者の方々が地元の漁場を共同で管理、利用する秩序、いわゆる浜の文化、こういったものは根強く定着しております。
そんな状況の中で、資源管理を適切に行うのは一筋縄にはいかない、非常によくわかるんです。ただ、全ての魚種の資源状況を調査して、各漁港に人員を配置、そして監視員が船に乗る状況も出てくると思います。人的にも金銭的にもコストは莫大でございます。歴史のある浜の文化に敬意を示しつつも、当然、漁業者の方々の生活を守りながらというのも相当な胆力の要ることだと思っております。だからこそ、今、長官のお話にありましたように、漁業者の自主的な管理と、さらにインプット、テクニカル、アウトプットというような、公的な管理を組み合わせることで行ってきたというのはわかるんですね。
ただ、やはり目に見えた結果が一部の魚種に限定されていて、全体としては冒頭の統計になってしまっている。先ほどお話のあった、平成八年から国連海洋法条約に基づいて始まったTAC制度、漁獲可能量制度でございますが、その対象魚種は七種、そして特にその中のスケトウダラとかを見ますと、そのTAC、漁獲制限のもとになるはずのABCというのがあると思うんですけれども、いわゆる生物学的許容漁獲量といいます。これが、制限量を大幅に超えている状況がずっとありました。これ以上とったらその集団の維持に悪影響を及ぼしますよという量を大きく超えて漁獲可能量を設定していたわけです。
調整枠の存在ですとか、海洋生物資源保存管理法の第三条にありますように、TACの設定には社会経済的な要因を考慮できる旨が示されているということから、スケトウダラの漁獲制限を大幅に下げてしまいますと、やはり漁業者や加工、流通業者の経営に大きな影響を与える、そういったことを鑑みての結果だとは思いますけれども、やはりそれは本末転倒だと思います。まだとれるときはいいかもしれない、でも次の年、またその次の年は確実にとれなくなっているのはわかっているわけですから、それを続けていくと必ず破綻するわけです。
そこは、やはり未来を考えて、ぐっと耐えてもらって、影響が出た部分は、先ほどの経営安定対策もございましたが、国がしっかり補償する、そういった対策を前から行ってくるべきだったと思います。そういった状況も、やはり水産庁の方も漁業者の方も頭ではわかっていると思うんですけれども、このままでは未来はない。しかし、やっと最近になって、水産庁も重い腰を上げてくれたと思っております。
昨年の三月から七月まで計五回、資源管理のあり方検討会というものが開かれまして、その取りまとめが行われたと聞いております。その取りまとめを受けての今後の取り組みを、ぜひ教えてください。
○本川政府参考人 今御指摘がありました資源管理のあり方検討会におきましては、先ほど私が申し上げた公的な規制、それから自主的な管理、こちらにつきまして、それぞれ高度化を図るべきではないかといったようなことを指摘をいただいております。それからさらに、四つの魚種について、具体的な方向性について管理のあり方が示されたところでございます。
これを踏まえまして、例えば先ほどお話のあったスケトウダラの日本海北部系群につきましては、従来、ABCを上回る、生物学的許容漁獲量を上回るTACを設定しておりましたが、これを漁獲量に等量にするように改善すべきではないかといったようなこと、それからマサバについては、試験的なIQを導入して改善効果を検証すべきではないか、このような御指摘をいただいております。それを今実行に移しているところでございます。
それから、自主的な管理につきましては、資源管理計画などについて、成果や課題を整理して、計画の改善による管理の高度化を進めようとしているところでございます。
○勝沼委員 ありがとうございました。一歩前進といったところではございます。
世界を見てみますと、ノルウェーなど、やはり漁業で成功している国は、しっかり国が漁獲を制限して、今漁業が非常にもうかる職種になっております、若者もどんどん参入してきている、そういった状況がございます。ノルウェーとかの海外の成功事例を全面的にそのまま導入するのは、やはり日本の漁業の状況、そして長い歴史を考えると、大変高いハードルだと思いますし、中国や韓国との暫定水域の歴史とかの問題もございます。しかし、やはり科学的根拠に基づいた合理的な資源管理、そして、今後IQの試験的導入の結果を見ながらと思いますけれども、これを確実に導入して、資源回復の戦略を練り直すのは今が最後のチャンスだと思っております。
浜の伝統、文化を大事にしつつも、丁寧な粘り強い説明を続けていただきまして、漁業者の方々の意識を変えることが何よりも大事です。その意識改革と科学的な海洋資源調査をあわせ、なおかつ日本の国柄に合った資源管理手法の確立は待ったなしだと思っております。
老子の有名な言葉に、飢えた人に魚を与えれば、一日の飢えから救うことができる、しかし魚の釣り方を教えれば、一生の飢えから救うことができるという言葉がありますが、私はそこに一言つけ加えたいと思います。適切な魚の釣り方を教えれば、子の代、孫の代まで飢えから救うことができると。
海洋資源は無限ではありません。また、資源が減ったから管理をするのではなく、資源が減る前に管理をするのが本当の資源管理だと思います。昔はよかったと嘆く漁業者の方に、これからが楽しみだとぜひ言っていただかなければなりません。
本日は、資源管理のみ特出しして質問させていただきましたけれども、水産業はほかにも問題は山積みしておりますし、水産日本の復活はイバラの道と認識しております。しかし、水産日本の復活は、今、私は石巻在住でございますけれども、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた、そういった南三陸沿岸地域の復興のみならず、地方創生に直結する問題でございます。ここは、多少の痛みを伴ってでも、覚悟を持って取り組んでいっていただかねばならないと考えますけれども、最後に、水産日本復活に向けての意気込みをぜひお聞かせください。
○林国務大臣 大変すばらしい老子の言葉を引いていただきまして、そのとおりだ、こういうふうに思います。
水産日本は、復活と申しておりまして、そもそもは大国であった。それにはそれなりの理由があって、まさに、三陸沖を含めて、多様な魚介類を漁獲できる世界六位の排他的経済水域を持っておりまして、こういう可能性がある。また、昨今では、和食がユネスコ無形文化遺産ということで、おすしや刺身といった、そういう中心的な食材となる水産物、輸出も大いに期待される状況でございます。
何より、いろいろな今御指摘いただいたような取り組みを通じて、やはり漁業者の所得向上を図って浜の活力を取り戻していく、そのためにやるんだということを、しっかりと漁業者に説明をしながら、水産日本の復活を目指すということでございますし、そのことがまた、我が国有数の漁業地域でもある被災地の復興にも大いに資するものである。しっかりやっていきたいと思っております。
○勝沼委員 ありがとうございました。
終わります。
○江藤委員長 次に、石田祝稔君。
○石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔です。
時間もありませんので、早速質問に入りたいと思いますが、きょうは、農地中間管理機構について主にお伺いをいたしたいというふうに思います。
やっと、けさほど、二十六年度の数字をお示しいただきました。このストックの実績値、集積率について、まず数字をお示しいただきたいと思います。
〔委員長退席、齋藤(健)委員長代理着席〕
○奥原政府参考人 農地中間管理機構の関係でございます。
担い手の利用面積の実績値、それから集積率でございますが、平成十二年度、これは十三年の三月末でございますけれども、百三十万ヘクタール、これを担い手の方が使われて、二七・八%というシェアでございましたけれども、これが平成二十二年度、二十三年三月末には二百二十一万ヘクタール、四八・一%に上昇した後、近年は横ばいで推移をしてまいりました。
これに対しまして、平成二十六年度、二十七年三月末でございますが、担い手の利用が二百二十七万ヘクタール、率で五〇・三%ということで、前年に比べますと六万ヘクタール、一・六ポイントほど上昇しております。
したがいまして、この中間管理機構、初年度、担い手への農地の集積は増加に転じたというふうに考えております。
○石田(祝)委員 ちょっと大臣にお伺いしたいんですが、ふえたということはそのとおりだろうと思いますが、これは認定農業者から新規就農者も含めた、ちょっと裾野を広げたのではないかというふうに思うんです。
それはさておき、担い手に八割まで農地を集積する、こういう目標でスタートしているわけでありますけれども、大臣、この二十六年度、私は思ったほど進んでいない、こういうふうに率直に思います。多分、大臣ももうちょっと進むのではないのかなと思っていらしたとは思うんです。
そういうことであれば、なぜ、どういう阻害要因があってこういう数字になっているのかということをまずお伺いいたしたいと思います。
○林国務大臣 各都道府県の実績を今報告させましたが、これを見ますと、やはり全ての都道府県においてこれを伸ばす努力をしなければならない、こういうことだと思っております。
石田先生が今お尋ねの問題点として考えられるのは、今からしっかりと分析をしなきゃいけませんが、まずやはり、私も申し上げてきたんですが、右左をつなぐ不動産屋的な仕事ではなくて、集めて開発していくというディベロッパーのような仕事をしてほしい、地域農業の将来をデザインして実行していくんだ、まだそういう自覚が十分あるということが足りないのではないか。また、それは役職員の体制としても、そういうことにふさわしい役職員の体制に全部がなっているということではないのではないかということが一つあると思います。
それから、人・農地プラン等で、地域において、まとまった農地を機構に貸し出す方向での話し合いというのがまだ多数のところで進んでいない、これがあるのではないか、それから、どうしても、やはり所有者の方が農地を貸すということになかなか踏み切れない、ここのハードルをどう取り除いていくか、こういう課題があるのではないかと思っております。
機構や都道府県に対して、抜本的な意識改革と役職員等の体制整備を求める、それから、人・農地プランの本格化に向けた見直し、農地所有者への機構への農地の貸し付けのインセンティブを強化する、こういった改善策を講じていく必要があるのではないかと思っておりますが、今後、政府・与党内の議論を踏まえて、具体的な改善策を検討していきたいと思っております。
○石田(祝)委員 農地の集積が進まないということは、以前、中間管理機構の前の組織というべき農地保有合理化法人、これがありましたが、大体売買が中心だ、こういうことで余り成果が上がらなかったというふうに私は思っております。
ですから、売買ではなくて貸借、こういうことで、今大臣もちょっとお話がありましたが、貸す方は、貸したら返ってこないんじゃないかとか、借りる方も、すぐ返してくれと言われるんじゃないか、お互いに、貸す方も借りる方も、若干手探りというんでしょうか、疑心暗鬼のところもあったと思うんですね。そこに中間管理機構といういわゆる公的なセクターを置いて、お互いに心配ない、そういう形の中でしっかりと農地の集積をやっていこう、こういうことでスタートしたわけでございます。
大臣も、これからもうちょっと子細に分析をしていただけるだろうと思いますけれども、大体のところ、今大臣のおっしゃった問題意識、これは問題意識は問題意識でいいわけですけれども、そういう阻害要因のところを、では、どう解決していくか、こういうことがこれから求められるだろうと思いますので、若干の質問をいたしたいと思います。
その前に、これは農林水産省がどうこうということではないかもしれませんが、先週の段階で、共同通信の配信記事の中に相当詳しく書かれておりまして、私も地元でそれを見まして、我々は何も聞いていない。若干、数字については、去年の十二月末の数字で、三%しか進んでいない、こういう数字がありましたけれども、その数字は、ことしの三月末、年度末でこうだったというのは頂戴いたしましたが、今回、正直、私もけさいただいた。そういうものが、もうマスコミに土曜日の段階で出ているんですね。これは、私は、与党の立場としても非常におかしい。
どこからどういうふうに漏れたのか、これは共同通信の取材能力を褒めるべきなのか、それとも出した人がいるのか、こういうことだろうと思いますけれども、これは犯人捜しみたいな話になりますから、これ以上申し上げませんけれども、少なくとも、これは、議員が知らされていない中で突然出てくる、やはりこういうことは私はあってはならない、こういうふうに思っております。
それで、大臣、人・農地プランのお話もちょっとなさいましたけれども、実は私は、一昨年、島根県の出雲市の斐川というところに行ってまいりました。ここはもともと斐川町というところだったんですが、合併して出雲市になった。しかし、私たちが行ったときは、JAは合併しないんだ、こういうことでやっておりまして、人・農地プラン、誰を我が地域の次の農業の後継者にするのか、こういう話し合いが非常に進んでおりまして、農地の集積と同時に、ばらばらに百区画あって、それを三人に集積したとしても、あちらこちら三十ずつ散らばっているというのじゃなくて、非常にまとまった形になっておりまして、これはやはり、町でしっかりと話し合いをして、彼が我が町の農業の次の世代を担う中心者だ、こういう話し合いが非常に進んだという結果だろうと私は思うんです。
この人・農地プランと中間管理機構をどういうふうにリンクさせてやっていくか。これをしないと、集積は進んだんだけれども、さっき申し上げたように、百区画あったら、それがばらばらにあって非常に効率が悪い、これでは、集積はしたんだけれども実際の効率が上がらないということになりますから、機構と人・農地プランとの連携、これはどういうふうにこれからお進めになるのか、お答えをお伺いしたいと思います。
○奥原政府参考人 今御指摘ございましたように、人・農地プランと農地の中間管理機構、これは非常に重要な連携を持っているというふうに我々は思っております。
中間管理機構の法制度は、機構から借りる人については公募制でございますが、機構に対して貸す、出し手の方については公募制をとっておりません。といいますのは、これはやはり地域でもってまとまった面積を機構に貸していただいてということがありませんと、担い手が使いやすい農地を借りるということができませんので、この人・農地プランでもって地域の方々に話し合っていただいて、まとまった面積が機構に貸される、これを担い手の方に転貸をする、このためには、地域の話し合いが十分に進んでいくことが必要だというふうに思っております。
平成二十四年度から人・農地プランを始めておりますけれども、プランはできたものの、例えば、公庫の資金を無利子にするですとか青年就農給付金をもらうために対象者をプランの中に書いたという程度にとどまっておりまして、農地の流動化についてまで書かれていない、要するに本格的なプランになっていないところがまだかなりあるというふうに思っております。
ここは、今回の一年目のいろいろな実績の評価もきちんとしながら、各地域で農家の方々の話し合い、農地の流動化に向けての話し合いがきちんと進むように、ここのところはさらに意を用いてやっていきたいというふうに考えております。
〔齋藤(健)委員長代理退席、委員長着席〕
○石田(祝)委員 これはぜひ進めていただきたいというふうに思います。
それで、時間もございませんので、農地の整備事業の予算等についてちょっとお伺いをいたしたいんです。
これは、平成二十一年に、当時の自公政権から民主党に政権がかわった。そして、二十二年度のいわゆる農業農村整備事業の予算が、私の記憶では約六二%削減された、約四割弱になってしまった、こういうことだったというふうに記憶をいたしております。若干補正で戻した部分があるかもしれませんけれども、当初予算では約四割弱。非常にその影響がいまだに残っているのではないか、こういうふうに思います。
それで、ちょっと過年度を見てみますと、これは今そのままというわけではないと思いますけれども、平成元年から平成十三年までは、農業農村整備事業、当初予算は約一兆円をずっと超えておりました。それがずっと下がってきて、先ほど申し上げた二十二年でがくんと減って、なかなか当初予算では戻ってきておらない、こういう状況になっているわけですね。
それで、さまざま補正で工夫もしていただいておりますけれども、私は、ぜひ、これからの農業を考えた場合に、集積をするということを含め、やはり農村の整備事業にもうちょっと力を入れるべきではないか、こういうふうに思っております。
そこで、これは提案も含めて申し上げたいんですけれども、農業農村整備事業、農地の整備事業と中間管理機構の事業、これは私は一体不二のものとして進めていく必要があるというふうに思います。
これはなぜかといいますと、借りたい人、貸したい人、そのマッチングをしていただくわけでありますけれども、貸したい人が土地を出しても、借りたい人がその土地で本当に農業をしっかり進めていけるか、やはりこれは農地の整備をある程度していただかないと借りたいということにならないだろうというふうに思います。
今は、数字だけ見ると借りたい人の方が多いわけですけれども、実際は、借りたいといっても、狭隘な土地で、水の問題もさまざまあるとか、土地がふぞろいだとか、そういうところはなかなか借りる人もいないだろうと思うんです。
ですから、中間管理機構で、ただマッチングするのではなくて、やはり整備もやらせて、そして整備をやりつつ借り手を探す、貸し手の土地を整備して借りやすく、貸しやすくする、こういうことが必要ではないかと思うんですね。
そこで、二十七年度は百億円のお金を農地の整備に上乗せをしていただいたというふうに私はお聞きをしておりますけれども、さらにここをもうちょっと融合させて、二十八年度はさらに、本来の公共事業の農地の整備プラス、非公共であろうが、私は、この農地の中間管理機構の予算の中で、やはり土地の形、いわゆる矩形にするという、三十アールが基準だと聞いておりますけれども、そういうことをしつつ進めていかないと、いつまでたってもなかなか進まない。
今年度も、数字をいただきましたが、約十五万ヘクタールの予定で約三万ヘクタール、二〇%の進捗率ということでありますので、そこはちょっと発想を変えてやっていく必要があるのではないか、こういうふうに私は御提案申し上げたいんですが、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○林国務大臣 担い手への農地集積、集約化、これを図っていくためには、農地中間管理機構による農地の借り受け、貸し付けと連携して、今まさに御指摘いただいたように、農地の大区画化、汎用化等の農地整備を推進していくことが重要だと考えております。
このため、都道府県における農地中間管理機構の担当部局と農地整備担当部局との連携強化をまず図るということと、予算においても、農地中間管理事業のモデル地区内への農地整備事業の予算の優先配分をする、それから、農地中間管理事業の重点実施区域を対象として、今お話のあった簡易な基盤整備を機動的に実施する農地耕作条件改善事業を創設する、こういうことをいたしまして連携の強化を進めてきたところでございます。
今後も、中間管理機構と農地整備事業の連携した取り組み、これを一層推進していきたいと思っております。
○石田(祝)委員 最後に一言。
きょういただいた資料の中で、私が申し上げたことは措置済みになっているんですね。百億ということで、金額をこれからふやすお考えかもしれませんが、形はもう措置しましたよ、こういう考えでは進まない、私はこのことを申し上げると同時に、今回はどうもあめとむちを用意しているようでありますけれども、余りむちは振るわないようにお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
○江藤委員長 次に、鷲尾英一郎君。
○鷲尾委員 鷲尾でございます。久しぶりに農林水産委員会で質問をする機会をいただきまして、大変ありがたいと思っております。
それでは、早速でございますが、四十分という時間をいただいておりますので、質問させていただきたいと思います。
まず、ちょっと前の話というか、過去の話をするのは大変嫌なことだとは思うんですけれども、私は、この年初に発表されました、米価下落対策と銘打ちました稲作体質強化緊急事業についてずっと話をしてきたんです。国費を二百億もかけていますので、この話についてまず問いたいというふうに思います。
たしか、以前、大臣に、大臣就任直後に分科会で質問したときには、これからまた三次募集へ向けて頑張りますという話でしたけれども、二百億枠をとったこの予算、最終的にどれだけでしたか。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
今回の御質問いただきました稲作農業体質強化緊急対策でございますが、特に、米価変動に対応できますように稲作農業の体質強化を図るため、生産コスト低減に向けた取り組みを行う農業者を支援するというものでございました。
委員が御質問のように、今回、いわゆる主食用米の作付面積の半分の面積について申請が行われたとしても万全な対策となるような十分な予算額を確保したところでございますが、委員おっしゃるように、申請額は予算額に対して約四割の七十八億円でございました。
しかしながら、全国で約三十五万ヘクタール、全国のいわゆる米の作付面積百四十七万ヘクタールの二三%の水田で稲作の生産コスト低減を図る取り組みが行われることとなりまして、一定の効果を果たしているものと農林水産省といたしましては考えております。
○鷲尾委員 二百億で、これはたしか年明け、米価下落対策で皆さんにできる限り使っていただこう、そういう趣旨の説明を受けましたよ、当初。ところが、終わってみたら、四割もいっていないわけですよ。これはもうこの事業自体、農水省として全く検討をされずにやってきたなというのがよくわかるわけであります。
今、副大臣、効果のほどという話をしましたが、これはよく見るとこれからですからね、これからコストが削減されるかどうかという話であって、稲作農家さんにしてみたら、できるだけ申し込んで、申し込めばもらえますよ、現場でこういう説明をしていたはずなんですよ。ところが、そんな効果があるなんて、そう簡単に私は判断できないと思いますよ。
今、その効果があると思っておりますと言うから、これはどういうふうに評価するんですか。
○松島政府参考人 今御質問ございました稲作農業体質強化緊急対策、これは二十六年度補正予算で措置した事業でございますが、対象となりますのは、農業者が二十七年産米について生産コストの低減に取り組むということで、その二十七年産米の営農計画の作成に当たって、みずからどういう取り組みをするのかということを約束することで補助金を交付する仕組みとなってございます。
今議員からお話がございました、その低減の効果の実施状況や、効果の把握でございますけれども、これは、二十七年産米の作付、収穫などが終わった後、各事業者から報告をいただくことになってございまして、その段階で評価をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
○鷲尾委員 私は、農水省も、二十六年産が米価下落で大変な農家に、できるだけ幅広にこの制度を使って、やはりある程度しっかり申し込んでいただいて、米価下落対策とちゃんと補正予算の中で銘打っているんだから、その中でやる、そういう事業だと思っていましたよ。
ところが、現場で、まず周知が遅い、全然周知されていない。それから、周知される内容も、本当に入り口が厳しくて、全然皆さんが申請できないような内容になっていたわけですよね。だから、これしか、四割もいかないような状況になってしまっているわけですよ。ここに対する反省がなかったら、せっかくこんな二百億も予算をとっておいて、もったいない、私はそう思いますよ。
百二十二億、これはどうするんですか。
○松島政府参考人 稲作農業体質強化緊急対策の未執行額、これは百二十一億九千八百万円ということでございますけれども、これにつきましては、二十六度末をもって、不用として整理させていただいたところでございます。
○鷲尾委員 そういうことは、普通はやっちゃいけないわけですよ。予算をとったら、しっかりと皆さんに利用してもらうというのが農水省の役割じゃないんですか。何か、今の言い方を見ると、余り反省がないんじゃないかな、そんな気がしてくるところであります。
ちなみに、この二百億という金額、きのうちょっと事前に通告してありますけれども、仮に米の直払いだとどれぐらいの金額に該当するか、教えてください。
○松島政府参考人 事業目的が異なる仕組みでございますので機械的に計算させていただきたいと思いますけれども、二十六年度の米の直接支払交付金の交付対象面積が百一万ヘクタールでございます。これに対しまして仮に二百億を均等に配分するとした場合には、反当たり約二千円の配分額になるということでございます。
○鷲尾委員 生産局長に答えてもらって恐縮ですけれども、やはりこれは、私は、米の直払いで二千円分に該当するような予算を四割の人しか使えない状況で国庫に返納しなきゃいけなくなったというのは大きなことだと思いますよ。
これがもし、これは三月にも言ったんですけれども、敵に塩を送るようで恐縮ですけれども、これは稲作の米価下落対策、緊急対策だといって、二百億を使って米の直払いで二千円上がったら、我々は太刀打ちできないですよ、本当に。現場は本当に感謝したと思いますよ、この二千円があれば。ところが、四割しか使われない。これでは、二百億も予算をとって、農業の現場、農家の現場は誰も評価していないんだから、こういう予算の使い方というのは私は本当によくないと思いますね。
しかも、今、玉木理事からも声が上がりましたけれども、本当に手続が煩雑なんですよ。そんないろいろな制度を後づけでつくって手続が煩雑になったら、農家が自律的に経営判断するなんということはできませんから、シンプルにしなければ自主的な判断なんかできません。そのことも申し添えておきたいというふうに思いますけれども、結局、何が問題だったと思いますか。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
稲作農業の体質強化緊急対策に対しまして、現場からいろいろ教えていただいておりまして、まず、コスト低減の検討を行うには二カ月少しの申請期間は短過ぎるという声はございました。また、この事業内容がなかなか正確に伝わりませんでして、例えば、新しい機械を導入しなくても補助対象になるとか、二十六年産と比べコストが低減したかの確認を求めるものではないなどという内容が正確に伝わっていなかったことも事実でございます。
また、地域別に見ますと、いわゆる主食用米の作付面積に対する申請面積の割合が、北海道は八六・七%、東北は三三・四%、北陸では二九・七%となっているのに対しまして、九州は六・八%、中四国は七・六%など、東海以西の地域は低いものになっているという地域間の違いも確かにございます。この西日本地域では農業者の稲作への依存度が低いということもございまして、本事業によりコスト低減に取り組もうとする機運も相対的に高まらなかったというものと考えております。
この事業に対しましては、いわゆる主食用米の作付面積の半分の面積、約七十万ヘクタールでございますが、申請が行われたとしても万全な対策、対応が可能となるよう十分な予算額を確保したところでございますが、申請額が予算額に満たない結果になりました。
○鷲尾委員 今ほど副大臣から話をしていただいたとおり、コストが低下しているかどうかということは求めないと今おっしゃいましたでしょう。稲作の体質強化でコスト低減を求める取り組みをしてくださいと言いながら、低下したかどうかは求めない。これはちぐはぐなんですよ。そもそも、事業自体がおかしい。米価下落対策だったらそっちでやるべき。稲作の事業の体質強化だったら、ちゃんとそれに基づいて、周知して、それこそ今副大臣がおっしゃったように、周知期間をちゃんと置いてやったらいいんです。これは本当に中途半端だと思います。しっかり反省してください。
米の直払いをやはり考えるべきですよね。そうすれば、農家の現場は相当喜ぶと思います。
私は敵に塩を送っているんですよ。そこは申し上げておきたいと思います。
では、次の質問に移りたいと思います。
今、担い手にいろいろ集積するという話が出ていますけれども、ちょっとその前に、外国人技能実習制度の話をします。
この外国人技能実習制度、大変横断的な問題でありますので、きょうは大塚政務官も来ていただいています。
農業の現場では、今、日本全体で労働人口、働く人が非常に足りなくて、需給が逼迫している状況であります。建設の現場でも人件費がどんどん上がっている。非正規なんだけれども人が足りていない、人を確保するのに大変だ、こんな話をよく聞くわけであります。
そんな中、農業も全く人がいない、人手不足だということで、さまざまな制度が用意されていますけれども、ちなみに、この外国人技能実習制度で農業に携わっている外国人の方はどれぐらいいらっしゃいますか。
○奥原政府参考人 外国人の技能実習生でございます。
農林水産省の方では、監理団体を対象にアンケート調査を行うなどによりまして、毎年独自に農業分野の受け入れ人数を推計しておりますが、平成二十五年度の数で申し上げますと、一年目の方が一万二百七人、それから二年目の方が七千二百五十二人、三年目が六千百四十一人で、合計で二万三千六百人でございます。
○鷲尾委員 二万三千人を超えていますね。相当な数になっていますね。(発言する者あり)ちょっと今、福島先生から不規則発言があったので、ちょっと私も、佐渡島の人口よりは少ないですけれども。
外国人技能実習制度で、今二万三千人就農しているという話ですけれども、ちなみに青年就農給付金で目指している新規就農者の目標というのはどれぐらいですか。
○奥原政府参考人 新規就農者、青年就農者でございますが、これにつきましては、現在、大体定着ベースで一万人でございますけれども、これを二万人ぐらいにふやしていくということでやっておりまして、全てが給付金の対象ということではございませんが、目標は二万人ぐらいを毎年定着させるということでございます。
○鷲尾委員 頑張っていただいているというのは、そこはわかりますけれども、二万人というハードルは大変高い目標であるということは、恐らく共通の認識だと思います。
ところが、外国人技能実習制度では、もう二万三千人、日本に入って農業をやられている。この辺の実態をしっかりと捉えないと、農業の現場は大変なことになるんじゃないですかということを申し上げたいわけであります。
私の地元でもそうですけれども、恐らく福島先生の地元でもそうだと思いますけれども、生産法人のトップの方は大体高齢ですよ。もう六十代を超えて、七十代を超えている人もいる。そんな中で、外国人技能実習制度で外国人の方に来ていただいているんです。
私は、ある方に聞いたら、いや、鷲尾さん、もし私がけがをしたら、もうやめなきゃいけない。もし、この外国人の子たちがいなかったら、自分はもう全部農業をやめなきゃいけないんだ、こんな話をされるわけです。
外国人技能実習制度というのは、国際貢献というのが建前で、日本の技術をうまく移転して途上国に生かしてもらう、そういう趣旨なんですよね。そういう趣旨なんですけれども、実際に農業の現場では、その人たちがいないと大変だ、ある意味、労働力としてかなり貴重な資源になっているという証拠なんですよ。
こういった声があるというのは認識していますか。
○林国務大臣 今先生からお話があったように、この制度は、我が国で開発された技能、技術等の開発途上地域等への移転、これをすることによって国際協力を推進するというのが目的でございまして、国内の労働力不足を補うというための制度ではない、今御指摘いただいたとおりでございます。
農業の現場からは、この制度に関しまして、実習期間を五年間に延長してもらいたい、こういう要望も提出されておりまして、受け入れ拡大のニーズがあるということでございます。一方で、国内外の人権団体から、人権擁護の観点での問題も指摘をされております。
したがって、法務大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会の分科会で、昨年の六月に、制度の見直しに関する基本的方向が取りまとめられた、こういうことでございます。
○鷲尾委員 大臣も今御発言にありましたけれども、三年から五年に、これから改正案を国会で審議するというふうに聞いておりますけれども、そこで農業の需要もあると、今、大臣、そう表現されました。これはどういう需要なんだということなんですよ。三年から五年に延ばす農業の需要というのはどんな需要かと思うんですよね。
あくまでも、この需要というのは、外国人技能実習制度という建前であるならば、海外の皆さんの需要であるべきですよね。だって、日本の技術を国際的に移転していくということですから、その実習を日本で行うということなんだから、それが三年から五年に延びたその需要というのは何の需要なのか。それは、それこそ海外の需要だ、日本側の需要ではない、こう私は思うんですけれども、大臣、どう思われますか。
○林国務大臣 農業法人協会というところから要望が出されておりまして、まさにここで、二年間延長してほしいという御要望が出ております。
その理由でございますが、技能実習については、やはりいろいろな作業の組み合わせで技能習得、習熟というのを行っていきますけれども、栽培する作目によっては年に数回程度の栽培しか経験ができないんだ、また、気象条件や病害虫の発生等、栽培環境が毎年再現できることにならない、よってもって、実習生の方に高度な技能を習熟していただくためには、やはり技能実習期間の延長等の技能取得機会の確保が必要と考える、こういうことで要望が出されているところでございます。
○鷲尾委員 大臣、要望が出されているからといって、そのままうのみにするというわけじゃないですよね。実態はそんなに甘いものじゃないです。
新規就農者二万人、これから目標にしてやっていくわけですよね。実際、現場では、もう外国人の方が二万三千人働いているわけですよ、実習制度という建前だけれども。これは相当大きな問題だと思いますよ。
私は、これはだましだまし議論をしているんじゃないかと。つまり、だましだまし技能実習生を実質的には労働力として使いつつ、そういう現場があるにもかかわらず、国の方で余り抜本的な議論がなされていないんじゃないか、私はそういう懸念をしているわけであります。
大塚政務官にこの点を聞きましょうかね。
では、質問します。
この外国人技能実習制度について、これは抜本的な議論を避けている。さまざまな現場で人手不足に陥っている。実質的にはこれは労働力として扱っているというか、実際に働いてもらっているわけですから、労働力ですよ、技能実習制度という枠組みだけれども。私は、これは国が抜本的な議論を避けているんじゃないかと思っています。どうですか、大塚さん。
○大塚大臣政務官 委員は大変この分野にお詳しく、御熱心に取り組んでいらっしゃいまして、法務委員会の方でも一回御質問にいらっしゃったことを記憶しております。
よく御存じのとおり、技能実習制度そのものは、これはあくまでも、労働力ではなくて、技能の移転を通じた国際貢献ということの目的でやっている制度でございます。
それと同時に、労働力という観点で見ますと、これは、いわゆる高度人材と言われている専門的、技術的、そうした高度のものを持っている外国人材については積極的に受け入れていこう、日本経済のためでもあるということは、これはコンセンサスが日本社会としてもあるんだと思うんですね。
一方で、そうでない、専門的、技術的分野の人材であるというふうに評価をされない外国人の受け入れについては、これは日本社会にも非常に大きな影響があるという観点から、さまざまな議論があるというふうに承知をしております。恐らく、労働関係の団体なんかでも、相当慎重な議論を求める、こういう声もあるんだと思います。
こうしたところも含めて、やはり国民的なコンセンサスがあった上で進んでいかなければ、これは外国人に労働力として来ていただく場合には、技能実習制度は現状では三年間の実習という制度ですけれども、定着をしていくということにもつながってまいりますから、コンセンサスなしで受け入れていくというのは恐らくなかなか難しいということになるのではないのかな、こんなふうにも思っておるところでございます。
○鷲尾委員 受け入れる、受け入れないという話の前に、これは、前に私も法務委員会で質問したときに、要するに中長期的な課題だとおっしゃっていたわけですよ。中長期的な課題じゃないですから。そこをちゃんと認識していただきたいというふうに思っているんです。
今の農業の現場も大変。新規就農者をふやそうと思って躍起になっている。しかし、二万人を超える方が農業の現場で外国人実習制度ということで働いていて、やはりその中で、いろいろな建前はありますけれども、現場の声からしたら、もうこの人たちがいなかったら全然回らない、こういう現実もあるわけですから。それを、団体の要望だとか建前だけの話で終わらせるのではなくて、それは横断的にしっかり議論していかなきゃいけないんじゃないですか。林大臣、いかがですか。
○林国務大臣 まさに今、大塚政務官からも御答弁がありましたように、法の趣旨、制度の趣旨というのがあるわけでございますから、その現場の研修を受け入れていただく方のニーズというのも当然、先ほど申し上げたように、あるわけでございますが、一方で、人権団体等からもいろいろな問題もございますので、やはりこれは我々単独でというよりは、法務省それから厚生労働省とも連携してこの運用をしっかりとやっていって、何か労働力のかわりで人が来て、ただ労働力として使われて帰っていく、間違ってもこういうことがないようにしっかりと運用をする、これが大事だと考えております。
○鷲尾委員 ちょっと時間がないんですけれども、大臣、今の制度の運用の話というよりは、今、農業の現場での人手不足について、外国人技能実習制度が、表向きの話とは別に、代替されているんじゃないかという話を私はしているんです。そういった現場に目をつぶらずに、建前の議論だけを聞いて終わりにするのではなくて、本質的な人手不足というものをちゃんと政府横断的に考えてくださいねというのが趣旨ですから、運用面での話は私もよくわかっていますから、これは言いっ放しになりますけれども、そこはお願いしますねということです。
それで、実際、今大臣からも話がありましたけれども、単に労働力として使って、それで戻ってもらうだけじゃ困る、今大臣がおっしゃったとおりですよ。
では、実習生が、終了後、国元に帰りますね。どういう評価が行われているかという話が聞きたいです。
○中山政府参考人 お答え申し上げます。
帰国してからの評価ということでございますけれども、厚生労働省といたしましては、フォローアップ調査を行っております。直近のフォローアップ調査は、平成二十五年八月から十一月の間に帰国した一万一千七百三十一名を対象として実施しておるところでございます。
○鷲尾委員 いやいや、きのうのレクの方が詳しかったんですけれども。
一万ちょっとに聞いている、こういう話ですけれども、それはどれぐらいから回収しているんですか。大体、一万人というのも少ない。
○中山政府参考人 対象は一万一千七百三十一名でございますけれども、有効回答数は一千八百十、回収率は一五・四%となっております。
ちなみに、技能実習生の送り出しが多い上位五カ国、中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイの実習生に対して実施した結果でございます。
○鷲尾委員 これはもっとしっかり調査してもらわなきゃ困りますよ。だって、労働力として使って、ぱっとそのまま本国に帰られちゃ困るといって、こっちにいる間は、送り出し機関から受け入れ機関から、全部徹底的に監理しているわけでしょう。法務省の団体で徹底的に監理しているんだから。しかも、検査までしっかり行っていて、アンケート調査だけ何で一五%しか回収できていないんですか。これはおかしいですよ。しっかりやってもらわなきゃ困ると思うんです。
これはどこに聞いたらいいんだろう。厚労省かな。しっかり答えてください。
○中山政府参考人 何しろ帰国してからの調査ということになりますものですから、調査票をなくしてしまったりとか、実習生の方にもいろいろ御都合があろうかと思います。
厚生労働省といたしましては、今後、この制度の趣旨にのっとりまして、どのようなフォローアップ調査が行われればより効果的に、的確に帰国後の状況を把握できるかということにつきまして工夫してまいりたいと考えております。(鷲尾委員「今ちょっと聞こえなかったんですけれども、最後、何してまいりたいと言ったんですか」と呼ぶ)
○江藤委員長 語尾をもう一回。
中山審議官。
○中山政府参考人 帰国後の就職状況等をより的確に把握できるよう工夫してまいりたいと考えております。
○鷲尾委員 今、工夫と言いましたから、これはまたねちっこくやりましょう。工夫と言ったんだから、ちゃんと工夫できているかどうか確認しますよ。
それでは、青年就農給付金が今始まっていますけれども、私が恐れているのは、給付金が終わったときに、また離農しちゃう人がいるんじゃないかな。この点、どういう工夫をされていますか。
○奥原政府参考人 青年就農給付金でございますけれども、新規就農者の定着をやはり確実なものにしていくということが非常に重要だというふうに思っております。支援の対象となった新規就農者が地域の中心となる農業者として定着するまで、都道府県、市町村等の地域の関係機関が互いに連携して丁寧にフォローしていく、これが重要であるというふうに考えております。
このため、青年就農給付金、特に経営開始型の方でございますけれども、これにつきましては、給付に当たりまして、地域での徹底的な話し合いによってつくられます人・農地プランの中で中心経営体として位置づけられるということを要件にしているわけです。地域で話し合っていただいて、この人を新規就農者として育てるという合意のもとにスタートしている、これが一つございます。
それから、給付期間終了後三年間は、給付主体であります市町村が、就農状況を把握した上で、必要な場合には、地域の関係機関が連携をして、これは普及とかいろいろございますけれども、連携して指導助言等を実施するということにしているところでございます。
今後とも、支援の対象となりました新規就農者の就農後の定着状況、これをきちんと把握して、丁寧にフォローして、確実に定着が図られるようにしていきたいと考えております。
○鷲尾委員 時間がありませんので、これは本当に申しわけない、ちょっと全部いけるかどうかわかりませんが、今、人手不足の話をさせてもらったので、今度は担い手の話、中間管理機構の話を少ししたいと思います。
十年で五割から八割という高い目標を掲げておられます。この制度が運用されて少したちますが、集約の実績、目標的に言うと、十年で五割から八割、担い手に集めるということでありますから、年約十四万ヘクタールは中間管理機構を利用して集約していかなきゃいけないという話でしたけれども、今の実績はどうですか。
○奥原政府参考人 農地中間管理機構の初年度の実績の問題でございます。
二十六年度の担い手への農地の集積面積、これは十年間で五割から八割にと言っているわけですが、二十六年度の農地の集積面積は二百二十七万ヘクタールでございまして、農地面積全体の中で担い手が使っている率は五〇・三%ということになります。
それから、二十六年度の中間管理機構による農地集積の実績でございますが、中間管理機構が借り入れた面積が約二万九千ヘクタール、それから貸し付けの面積は二万四千ヘクタールでございます。
中間管理機構はリースだけではなくて売買もできるようになっておりますけれども、売買も含めて見てみますと、借り入れと買い入れ、これを合わせて約三万六千ヘクタール、それから転貸と売り渡し、これを合わせまして約三万一千ヘクタールということでございます。
この実績につきましては、ここ数年、担い手への農地の集積は横ばいでございましたけれども、六万ヘクタールの増加に転じているということでございます。
それから、農地中間管理機構の実績自体、これは当初の目標、今御指摘がございましたように、県別の目標を積み上げますと、大体年間で十四万ヘクタールぐらいになりますけれども、この目標には届いておりませんが、前身の農地保有合理化法人の時代と比べますと、全体の実績で約三倍、貸借だけで見ますと約十倍の実績ということになっております。
もちろん、この数字で十分というふうに思っているわけではございませんので、これをさらに加速するような工夫をいろいろしていきたいというふうに考えております。
○鷲尾委員 初年度ということもあるんでしょうが、これも見ていきたいというふうに思いますけれども、大分目標値との差がありますので、それをどう埋めていくかですね。
一言申し上げたいのは、先ほどの米価下落対策もそうなんですけれども、目標をどんと掲げておられるんだけれども、そんな高い目標が本当にできるのという直観は、現場の農業者はちゃんと感じていますよ。
実際に、今もそうですけれども、ちょっと現場が追いついていない。目標値に全く達しない。目標に達しないことが当たり前の状態になってほしくないですよね。ちゃんと目標を立てるんだったら、それをしっかり達成し切るというのは大事な話で、十四万ヘクタールと言っているんですから、それを言った以上は、ちゃんとやってもらわなきゃいけない。活力創造プランだと、農業、農村全体で所得を倍増させると言ったわけですよね。倍増させると言ったんだったら、やはりそれをちゃんと現実を伴う形にしてもらわなきゃ困ると思うんです。さっきの補正予算の話もそう。二百億使ってもらう。四割ですよ。こういうことをずっと続けていると本当に農政に対する信頼がなくなりますから、頑張ってもらいたいなと思っているんです。
もう一つ質問します。高付加価値化の話をちょっとしましょう。A―FIVEの話をしましょう。
A―FIVEも、私もずっとこれはモニターしているんです。最初はかなり鳴かず飛ばずな状況だったんですが、これは将来的には相当な市場規模を見込んでいますよね。相当な市場規模を見込む中で、実際それは到達できるのかどうかという話を、きょうは櫻庭局長もお見えですから、ちょっと具体的にしていただきたいなと思うんです。
○櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、A―FIVEは二十五年二月に開業しまして、二十五年度の実績は八件、ただし、二十六年度は新たに四十五件の出資が決まりまして、五月十三日現在では五十九件という形になっております。出資決定時の計画ベースでは、約千二百名の新たな雇用がこれでできたというぐあいに考えております。
今先生の御指摘でございますけれども、ファンドの活用については、まずは徹底して現場の一次産業の方々にこの制度を周知するという形が一つでございますけれども、制度運用としても、やはり見直すところは見直ししなきゃいけないということで、昨年、平成二十六年十月に、ファンドの活用における農林漁業者やパートナー企業の出資負担の軽減を図る、そういった視点で、従来五〇%を上限としておりましたけれども、サブファンドの出資の引き上げが可能になるよう大臣告示を改正しました。
また、ファンドを活用する場合の留意点、活用事例、ファンド活用における資金調達の具体的な方法などを明らかにしたガイドラインを策定、公表して、それを周知活動につなげているということでございまして、農林漁業者等にしっかり周知していくことを通じまして、さらなるファンドの活用を図ってまいりたいというぐあいに考えております。
○鷲尾委員 これは目標に対してどうかという話をちょっとコメントしてください。目標に対してどうなのか。今、目標に対してどれぐらいの目測になっていますかという話をしてください。
○櫻庭政府参考人 本年三月三十一日に閣議決定されました食料・農業・農村基本計画にあわせまして、農村地域の関連所得の試算を行った、その中で、ファンド活用により、平成三十七年度までに一・一兆円程度の市場規模を見込んでいるということでございまして、昨年からスタートしたばかりでございますけれども、これに向かってしっかりと対応してまいりたいというぐあいに考えております。
○鷲尾委員 もうちょっと具体的に言ってほしかったですね。
もう時間がないので、またちょっと違う話に移りたいというふうに思います。TPPの話もしようかと思ったんですけれども、本当にこれは準備していただいて申しわけないんですが、飛ばさせていただきまして、圃場整備の話を少しさせてもらいたいというふうに思います。
圃場整備ですけれども、今、地方の現場ですと、大体、土地を持っている人はもう高齢化していますから、誰かに預けていますね。預けているというところで、圃場整備をしようという話になると、預けちゃっている土地なので、負担が多いのであれば、もう圃場整備とかはいいや、こういう現状なんです。
ですから、こういう現状にどう鑑みて政策を打っていくかというのは大事な視点でありまして、あるいは、相続によって地主さんがわからなくなっちゃっている、しかし、地元の合意というのはやはり極めて大事な事業でありますから、そこを政策的にうまく手当てする必要があると思いますが、この点、いかがでしょうか。
○三浦政府参考人 お答えいたします。
担い手への農地の集積、集約化を進めるために、農地の大区画化や汎用化等の農地整備の推進を図ってきているところでございますけれども、事業の実施に当たりましては、事業参加者となる農業者等の事業費負担を含めまして、地元の合意形成が十分に図られる必要があるというふうに考えております。
その場合、事業費の負担の軽減ということが重要になってまいりますけれども、これに関しましては、農業競争力強化基盤整備事業における農業経営高度化促進事業としまして、農地整備事業完了後の中心経営体への農地の集積率に応じて、事業費の最大一二・五%の促進費を交付することができるということとしております。これを農家負担に充当することによりまして、実質的に農家負担なしで事業を実施するということも可能になっております。
また、圃場整備等の土地改良事業の同意徴集に当たりまして、所有者の所在が不明であるというような農地につきましては、財産管理制度を活用するということも可能でございます。
○鷲尾委員 そういう形、これはいいと思います。いいと思うので、ぜひしっかりやってもらいたいと思います。
最後に、大臣にちょっとコメントだけもらいたいのは、中山間地なんですけれども、圃場整備をしようにも、中山間地というのはやはり難しいですよね。
そういう中で、実は、中山間地というのは、平成の市町村大合併でなくなった町村であることが結構多いわけですよ。
以前は、町や村で取り組んでいたことがそのまま農水省にもしっかりと伝えられたし、そして、農水省も、そういうところにも、では頑張りましょうということで、積極的に現地に足を運んでサポートしていたという現実があったわけですよ。
ところが、市町村合併になった。そういうところは、ある意味、埋もれてしまうわけですよね。独自の取り組みで頑張っていらっしゃるところはたくさんある。ですから、今、中山間地の条件不利ということを考えたら、やはり私は、旧町村単位でしっかりと、農水省本省が、前は来たと言っていて、今は来ていないと言うんですから、やはりこんなことを言われちゃいけないですよ。
しっかりと現場に足を運んでサポートをする、これが大事だと思いますけれども、大臣、どう思いますか、最後に。
○林国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、うちの山口県でも、合併をしますと、一市三町が一つの市になって、昔の町と言っていたところが役場がなくなっちゃったりすることがありますけれども、こういうところは、中山間地は結構多くて、独自の取り組みをやってきたわけですね。したがって、やはり地域の要請に応じて、今言っていただいたように、職員が現地に出向く等の支援をこれまでも行ってきております。
今後も、例えば、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金等々を活用して、本省それから地方農政局、こういう職員が、都道府県や市町村の職員と一緒になってやはり直接現地に出向くということを、今までもやってきましたけれども、今後も、合併したので行かないということじゃなくて、同じようにやっていきたい、こういうふうに思っておるところでございまして、キャッチボールと私は呼んでおりますが、いろいろな課題を聞いて、また、こういうのがありますということを丁寧に続けていきたいと思っております。
○鷲尾委員 では、合併された旧町村にもしっかりと対話をしていただけるということで、今そういう御答弁をいただいたということで、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○江藤委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前十時二十三分休憩
――――◇―――――
午後四時十六分開議
○江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。玉木雄一郎君。
○玉木委員 玉木雄一郎です。
まず、質問の冒頭、このように遅い時間に質問の時間がずれ込んだことについては、これは与党の責任であります。いろいろな予定が入っていた先生方もいらっしゃいます。我々同僚議員の中でも、それをキャンセルして、この時間帯に開くということをお願いした先生もいらっしゃいますし、維新の党の皆さんにおかれては、大変重要な党内の会議があって、参加できないというようなことにもなっていることを考えると、今後このようなことがないように、やはり法案を提出し、それを成立させていくのは、一義的には与党の責任でありますので、政府・与党の責任でありますので、ぜひ、こういうことがないように、御留意をいただきたいということをまず申し上げたいと思います。
もう一点、これは質問に絡めて申し上げますけれども、きょう、こうして委員会の開催がおくれたのは、きょうJA全中さんが主催をする会合に、与党の一部の先生方がどうしても出席をするということで、それなら委員会をとめましょうということで、こういう形になっているわけであります。
その全中さんの会合、TPPの反対集会でありますけれども、私の記憶によれば、我々が与党だったときには、各党から、そういった会合には参加をしておりましたけれども、何回か前から与党のみということになりましたし、きょうもそういうことでありましたので、与党の先生方の都合で各党の委員の先生方に迷惑をかけるのはいかぬということでとめたわけでありますが、そもそもそういった全中のあり方については、私は疑問だと思っております。
組合員の皆さんにはさまざまな支持政党の方もいらっしゃいますし、もちろん政治との関係というのは、農政は強いですけれども、これからいかに農家あるいは地域農協の自由度を高めていこうという議論をしているわけでありますし、我々も提出した法案の中には、そういった観点から、特定政党のために働くのではなくて、中立的な観点から活動すべきだということを盛り込んだ法律を提出しております。
そういった、まさにこれから農協法の審議が始まる、その直前に、我々からすれば、けんかを売るような形で、特定政党だけを呼ぶような集会を開き、そして委員会にも影響を与え、こういうことは大変問題だと思っております。
今後、農協法の審議が始まった中で、全中さんには、どういう趣旨でこういう対応をしているのかについては、参考人等によりまして、意見を一度聞かせていただきたいと思っておりますけれども、いずれにしても、政治的な中立性といったようなことを一定程度確保する必要があるのではないかということを今回も改めて感じたわけであります。
そこで、何か問題がありますか。(発言する者あり)全中及び農政連と聞いております。
いずれにしても、大臣にまずお伺いしたいのは、こうした全中、農協組織が……(発言する者あり)それも確認しましょう。どこの主催だったかについては、私も、案内もいただいていませんので、知りようがないので、ただ新聞報道等に基づいて今私は発言しておりますので、そういった点についても確認する必要があると思います。
それは、政治団体たる農政連なのか全中本体なのか、あるいは共催であるのか、そういったことについても、それではこの委員会で確認をしてから、私も改めて質問をさせていただきたいと思っておりますので、当委員会あるいは理事会等において、今回の会合については、一度明確な説明をいただく。与党の先生の中にも、そこの認識が必ずしも明確じゃない、私もわかりませんから。確認をした上で、私も正確な質問をしたいと思っております。
大臣に質問いたします。
全中については、これから改革のさまざまな議論がされると思いますけれども、例えば、生活協同組合とか他の協同組合組織がございます。法律上、さまざまな優遇も与えられている組織形態の一つでありますけれども、こういったところについての政治的中立性といったようなものについては、他の法律と同様、確保すべきではないのか。これは、一度、我々の岸本委員からも同様の質問があったというふうに記憶しておりますけれども、農協組織、全中、農協についての政治的中立性について確保すべきではないかと思いますけれども、大臣の御所見を伺います。
○林国務大臣 協同組合についてのいわゆる政治的中立の規定については、農協法、森林組合法、水産業協同組合法、信用金庫法では、特段の規定を置いておりません。生協法、それから中小企業等協同組合法は、「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」こういう規定でございますが、労働金庫法では、「金庫は、その事業の運営については、政治的に中立でなければならない。」と規定されておりまして、規定があるものの中でも、規定ぶりは異なっております。
今申し上げましたのは、いずれも昭和二十年代につくられた法律でございましたので、ここからわかることは、全ての協同組合を通じて統一的に規定されたものではない、こういうことでありますが、一方で、農協法の立法過程でなぜ政治的中立が規定されなかったかという理由は、必ずしも明らかではございませんので、それぞれの制度の創設時に、それぞれの組織をめぐる状況に基づいて個々に判断された結果であろう、こういうふうに思っております。
したがって、農協等の政治活動は、その自主的な判断に自主的な組織ですから委ねられるべきという観点で、中立的規定を設けることについては慎重な考慮が必要であると考えております。
○玉木委員 今後議論を深めていきたいと思いますけれども、他の協同組合という組織形態の中には、政治的中立性、これは政治的中立性という定義もいろいろあると思うんですね、今大臣がおっしゃったように、特定の政党というふうに明確に書かれているもの。
なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、今回のTPPの議論を見ていると、各政党の中にも、賛成する人もいれば反対する人もいるんですね。ですから、私は、個々のそれぞれの政治家の信条が、ある組織の理念に合っていれば、応援すればいいと思うんですが、まとめた政党組織というものを利するようなことというのは、この際、他の協同組織、協同組合の規定を参考に、規定をアップデートしていくべきではないかなと思いますので、この点、まず冒頭申し上げたいと思っております。
次に、西村副大臣にお伺いしたいと思います。
きょうもお越しをいただきまして、ありがとうございます。
一連の情報公開についての問題でありますけれども、また、きょうもお手元に資料を配付しております。
きょう私が確認したいことは一点です。
まず、五月の四日に最初の公開をしますという発言をされ、五月五日に訂正会見をされ、そして五月七日に再び訂正会見をされたという一連の説明をこれまでいただいております。
資料一に書いておりますが、これは内閣府の参事官の言葉でありますけれども、我々の、民主党農林水産部門会議に、五月八日、日本時間の午前八時半過ぎにこういう説明をいただきました。西村副大臣も五日の夜に再度記者会見を行い、具体的に方針が決まったり調整しているわけではないと発言をされている。また、副大臣が翌日、五日になって訂正の会見をしており、冒頭申し上げたように、具体的に方針が決まったり調整しているわけではないと明確に発言されています。また、西村副大臣室作成、訂正会見概要というペーパーがありまして、これには、今申し上げたような、具体的に方針が決まったり調整しているわけではないというようなことが記述をされているわけであります。
これは、理事会に提出資料として求めたものの中に、五日の会見のさまざまな経緯について整理をして出していただいたものがございます。それを見ると、資料二に書いていますが、四日に開示しますよということで一度会見をされ、五日に訂正会見をされたということなんですが、参加者はたしか共同通信と日経の二社だったというふうに資料にもありましたし、我々の理解なら、これは政府による告知ではなくて、ジャパン・ソサエティーから通知をしていたものだと。その記者会見に乗っかったというか、その記者会見を利用してお話をされたということだと思うんです。五分間ぐらいで、質問なし、全く記事になっていないということでありますけれども、この会見が、会見と内閣官房の参事官も言っていますけれども、これは本当に会見だったんでしょうか。
資料三を見ていただくと、これは調べたら、どういう会合をしていたのかというと、我が党の玄葉元外務大臣や長島昭久さん、御党では岩屋さん初め小野寺元防衛大臣が出席されて、必ずしもTPPに限らないパネルディスカッションのようなものをされていると理解しております。このパネルディスカッションの終わった後に、個々、質問がパネリストにあれば、そういう機会を設けますという通知を、理事会提出資料によれば、五月四日の午後出しているということなんです。
内閣官房からいただいた理事会提出資料によると、このプレスリリース、プレスへのお知らせが訂正会見のお知らせだったという説明なんですけれども、私は、これは違うんではないかなと思うんですね。これはあくまで、こういうセミナー、パネルディスカッションをするので、それが終わったら、このパネルディスカッションに関して質問の機会があるから来たらどうですかということであって、主体的に前日のTPP交渉の情報公開に係る発言を訂正するために政府がセットした会見ではないと思うんですけれども、それはそういう理解でよろしいですね。
○西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。
御指摘のとおり、ジャパン・ソサエティーでのセミナーの後に予定をされておりましたぶら下がり会見というものがありましたので、その場を利用して、これは以前にも答弁させていただいたとおりですけれども、その場を利用して発言の真意を説明しようということにした次第です。
○玉木委員 西村副大臣は終始一貫そういう御説明をされていて、そのとおりかなと思うんですが、内閣官房の説明では、西村副大臣は翌日すぐに訂正会見をされました、なので、我々としても聞いていないし、調整していることはないんですと事務方はその後ずっと我々に説明をしてくれたし、農林水産委員会理事会に提出した資料にも、そのようなことを思わせるような記述で資料提出がなされたわけですね。でも、私はこれは違うと思います。
事務方にあえて聞きたいんですけれども、質問なんですが、五月四日の十五時四十五分から最初の、公開をしますという会見をしていますね、西村副大臣が。資料二を見てください。次の日の訂正会見のプレスへの通知は、同じ五月四日の午後に出されていますけれども、これはどちらが先ですか。
○澁谷政府参考人 内閣官房のTPP対策本部は、今回の西村副大臣の出張に全く同行しておりません。行程も詳細に承知はしておらなかったところでございまして、今の先生の御質問、事前に私ども、承知をしていなかったところでございます。
○玉木委員 いや、私の質問は、西村副大臣が開示方針の会見をしたのは五月四日の十五時四十五分ぐらいなんですね、ワシントンで。その後、翌日に訂正会見、私は会見じゃないと思いますが、一応会見としましょう、会見をするということの通知のプレスへの案内、ジャパン・ソサエティー経由とされていますが、これは五月四日の午後に通知をしたとなっているんですけれども、訂正会見をするのであれば、少なくとも十五時四十五分にして、そこから、例えば十七時にニューヨークのプレスに、翌日ニューヨークに行くから訂正したいということで、プレスへの通知を領事館経由か何かでお願いしたということだったらわかるんですけれども、セミナー主催団体より在ニューヨーク邦人プレス宛ての通知が西村副大臣の開示方針の会見より前に出ていれば、これは、そもそも開示とは全く関係ない、単なるセミナーの通知にすぎなかったんじゃないかと思うんですが、その時間の先後関係を聞いているので、どっちが先なのかということを改めて御答弁ください。
○西村(康)副大臣 前後関係、今のところ確認できておりませんが、さらに、確認できるかどうか、努力をしたいと思いますけれども、いずれにしても、私から、事務方、領事館を通じて、改めて前日の発言について真意を申し上げたいということは伝えて、そして、ぶら下がり会見が開かれることを確認しました。出席の社も何社かあるということも確認した上で、そこで私は真意を話そうというふうに思った次第であります。
ちなみに、セミナーの直前に打ち合わせをやりまして、このときは御党の玄葉議員あるいは長島議員もおられましたけれども、今回の訪米の事務局を務められた公益社団法人の日本経済研究センターの方から、このセミナーの後、ぶら下がり会見がありますということで、打ち合わせの場で話がありまして、そのときに御党の議員からも話があって、要は、西村さんのきのうの話についてですねというふうなことをそこで雑談のように話をしましたので、これは、主催者側もそのときにもおりましたし、そういう意味で、主催者側も含めて認識をしていただいたものというふうに考えております。
○玉木委員 ちょっと答弁がすれ違っているんですが、A4でつけている一番最後の資料を見ていただきたいんです。これは、五月十二日付、当農林水産委員会の理事会に提出された内閣官房からの資料であります。
五月五日の記者会見について教えてくださいと言って、どうやって同行記者団に対する告知をしたのかというふうに聞いたら、五月四日の午後、ジャパン・ソサエティー、公開セミナー主催団体より、セミナー出席登録済みの在ニューヨーク邦人プレス宛てに西村副大臣の記者会見について通知をしました、こういう報告を我々は受けたんですけれども、これは誤解を与える書きぶりじゃないですか。
これは、私は今副大臣からもいろいろなお話を聞きましたけれども、何か、このために在ニューヨークのプレスに通知して訂正会見をしたような代物ではなくて、やはり、先ほど少し資料二に書きましたけれども、要は、セミナーが終わった後の立ち話的に二社にしゃべっただけということにすぎないんじゃないかなと思うんです。
これは表現が、私は委員会提出資料としては不適切だと思うんですけれども、どうですか。
○澁谷政府参考人 最初、ワシントンでの西村副大臣の会見があった後、西村副大臣の秘書官等から、翌日ニューヨークでぶら下がり会見が既にセットされているので、その場で副大臣が改めて説明をするというふうに私どもは聞いておりました。
つまり、もともとセットされていたぶら下がり会見で副大臣がさらに補足的なお話をされるということは、私どもが承知していたのはそういう程度でございまして、今回の副大臣の出張は、内閣府の経済財政担当の方がずっとロジの担当をしておりました。今回、委員会の理事会に提出をさせていただいたロジ関係の資料も内閣府の方で作成したものでございまして、私どもは詳細に承知をしておりませんが、ただ、今の先生のお話を伺っておりまして、非常に説明が不十分というところがあるような気がいたします。ここは大変申しわけないとおわびをする次第でございます。
○玉木委員 おわびをしていただきましたけれども、委員会への提出資料ですから、ごまかすような記述はやめてください。
今回、こういう混乱を生じていることについては、西村副大臣も、言い過ぎたとかいろいろなことを何度もおっしゃっていますが、よくよく注意をしていただいて、それだけ今微妙な時期に来ていますし、やはり情報は公開してもらいたいとみんなが思っていますから、本来そういうことで検討されているのであれば、繰り返しになりますが、当初の西村副大臣の思いの方向で開示をするということをぜひやっていただきたいなと思います。
今聞くところによると、私はアメリカに行って聞いてきましたけれども、もう米と自動車の部品以外は大体ディールが成っていて、あとはそこだけなんだというようなことを言う議員もいました。真実かどうかはわかりません。
ただ、そういうことを間接的に聞くだけでは、我々だけではなくて、何よりも農家の皆さんが極めて不安を感じているわけでありますから、出せるところは出せる、しっかりとした国民的な理解と議論を得ながら進めていくということが極めて大切だと思うんですが、もう一度改めて、開示に向けた副大臣の現時点での何か方向性、検討している中身、さらに言えることがあればおっしゃってください。
○西村(康)副大臣 戻ってまいりましてからも、大臣あるいは事務方とも、引き続き、何か工夫ができないのかという努力は続けているところでございます。
多くの皆さんがいろいろ不安に思っていることもよくわかりますし、交渉が終盤を迎えているということも事実でありますので、そのような思いが強く出て私のあのような発言になってしまったわけですけれども、引き続き、情報開示についてできる限りの対応をしていきたいというふうに思っておりますので、努力していきたいというふうに思います。
○玉木委員 ぜひお願いします。口先だけじゃなくて、本当にどこまでできるのかということをきちんと検討してもらいたいと思います。
この委員会には、副大臣がおっしゃったような日米の違いが、本質的にどこが本当に違うのか、日本でできないことの差の本質的なところは一体何なのかということは整理してこの委員会に出してほしいということを今委員長にもお願いしている最中でありますから、事務方にも奨励をいただいて、当委員会に、わかりやすい、そういった資料を出していただくことを改めてお願い申し上げまして、副大臣に対する質問は、これで終わりたいと思います。
お忙しいと思いますので、委員長、もしよければ、結構でございます。
○江藤委員長 では、御退席ください。
○玉木委員 それでは、残りの時間、農地中間管理機構について質問したいと思います。
きょう、資料がようやく出てきたと思います。四月の末時点での締め切りで各都道府県から出てきたということを整理されたということでありますけれども、ぜひ明確にお答えをいただきたいのが、初年度の二十六年度の面積ベースの実績と、特に、私がずっと予算委員会等でも問題にしてきた機構集積協力金、出し手への支援策の予算の執行状況の実額と、あとパーセンテージ。パーセンテージは、教えてほしいのは、十四、五万ヘクタールではなくて、補正予算の根拠ともなった二十三万ヘクタールを分母にしたときの率を教えてください。
○奥原政府参考人 農地中間管理機構の実績でございます。
二十六年度の担い手への農地の集積面積、これは、前年度より六万ヘクタールぐらいふえておりまして二百二十七万ヘクタールで、集積率が五〇・三%まで上がったところでございます。
一方で、二十六年度の農地中間管理機構、ここによる農地集積の実績でございますが、借り入れの面積が約二万九千ヘクタール、貸し付けの面積は約二万四千ヘクタールということでございます。中間管理機構は売買もできることになっておりますので、これも加えた全体の実績で見ますと、借り入れたものと買い入れたものの合計で約三万六千ヘクタール、それから、転貸あるいは売り渡したもの、これが合計で約三万一千ヘクタールでございます。
それから、機構集積協力金の交付の実績でございますけれども、二十六年度補正予算までで、各県の基金に積み増したものが、基金造成額が全部で四百五十三億円ございます。この中で本年の三月末までに交付されたもの、これが全部で八十億円ということでございまして、その執行率でいきますと一八%ということになるかと思います。
○玉木委員 局長、前段の面積の方の率もちょっと教えていただけませんか。
約二十四万ヘクタールというのが、年間集積目標面積ということで十四、五万ということは、十年間を十で割って単年度が十四、五万ということだったのですが、繰り返しになりますけれども、補正予算の機構集積協力金二百億を積むときの根拠は、予定したより九万ヘクタールふえて、初年度二十三万ヘクタールの借り受け希望総面積があるので、それをもとに予算査定、予算計上したはずであります。
この二十三万ヘクタールに対して、今おっしゃった二万四千弱でしょうか、この比率は幾らになりますか。
○奥原政府参考人 これはいろいろな数字がございますので、誤解のないようにちょっと御説明をさせていただきたいと思います。
まず、年間の集積目標面積、これは十年間で、担い手が現在五割利用しているものを十年で八割まで持ってくる、こういうことでございますが、これに即して各都道府県で目標の設定をしていただいております。
基本的には、従来の担い手の集積率の二・五倍程度まで拡大をするということで各県につくっていただいておりまして、この目標面積、十年間の面積ですが、これを一年分に、十分の一に割って各県合計しますと十四万九千ヘクタールということになります。
これだけの面積を基本的に担い手の方に集めていきたいということでございますが、これに対応する数字、要するに、一年間で担い手の集積がふえた、これは中間管理機構を介したものと介さないものといろいろございますけれども、その数字でもって動いているのが六万二千九百三十四、こういう数字でございます。
率は、今正確に計算しておりませんけれども、半分弱ということでございます。
それから一方で、協力金の方でございます。
出し手、それから出し手の地域の方に対して交付する方の金でございますけれども、この協力金、二十六年度の補正予算までで積んだお金が四百五十三億円でございます。これは、二十六年度の補正のときには、各県の機構が受け手の方については公募をしておりますので、この公募をしたときに出てきた面積が全体で二十三万ヘクタールということもございまして、それまでで積んだ額だけでは不十分かもしれない、二十三万ヘクタールまでカバーできるように二十六年度補正予算までで追加をしよう、こういうことでございます。この四百五十三億円に対しまして、こうした実績が八十億、執行率で一八%、こういうことになるわけでございます。
○玉木委員 面積のところはなかなか答えにくいのか、答えてくれませんね。
もっと正確に言いましょうか。これは、担い手への集積をするということなんで、担い手から担い手に権利移転していることはきちんと省くべきですよ。そうじゃないところから集まってきたというところが実際ネットで幾らなのかということをきっちりと議論しないと、本質的な議論はできないと思いますよ。
きょういただいた資料だと、そこが精査中で出てきていないんです。早く出していただきたいと思います。ありますか。非担い手から担い手に、まさに我々が目指している、担い手に集積をしていこうということがこの機構を通じてどれだけ行われたのか、額を教えてください。
○奥原政府参考人 先ほど申し上げましたのは、一年間で全国で十四万ヘクタールぐらい動かすという目標になっておりまして、機構を介したかどうかにかかわりなく、担い手のところに集積された面積がこの一年間で六万二千九百三十四、こういう数字です。
それと一方で、機構が実際に借りて、担い手の方に転貸をした面積というのがございます。合計で、これは三月末までに権利が移転したものでございますけれども、機構が借りたものが二万八千八百二十二、この中で機構からさらに受け手の方に転貸をされたもの、これが二万三千八百九十六でございます。
今、先生御指摘になりましたのは、機構が借りて転貸をしていても、もともと担い手が使っていたものもあるでしょうと。これは当然そうでございます。
今回の中間管理機構は集積だけではなくて集約化も狙っておりますので、担い手の方がまとまった面積にするということもありますから、できるだけその地域でまとまった面積を機構に貸していただいて、担い手に使いやすい形にして転貸をする、こういうスキームでございます。そういう意味で、この機構が借りて転貸をしたものの中には、従来担い手が使っていて、機構を介する形でもう一回担い手に転貸されたもの、こういうものも実は入ります。
その中で、今先生御指摘がございました、本当に担い手が利用している五割から八割に向けて動いた部分、機構を介することによって動いた部分が幾らか、こういう問題がございます。これが、うちの方がお出ししている資料では、二ページのところの新規集積面積というふうに言っておりますけれども、御指摘のように、山形県と福島県だけこの部分の数字がまだ精査中になっておりますので全体が出ておりませんけれども、この部分が、ある意味五割から八割に向かって機構が使って動いた部分、こういうことになるかと思います。この精査中の数字は、精査が終わった段階できちんとお示しをしたいと思っております。
○玉木委員 ちょっとあえて苦言を呈したいと思いますが、六万二千九百三十四、担い手への集積が進んだと。これは中間管理機構の議論をしているんですよ。中間管理機構以外のところを経由して全体として担い手に集まった数字を発表して、それが半分ぐらいになりますなんということを言ったってしようがないじゃないですか。
中間管理機構の一年目の、どういう実績だったかを分析して、我々も法案の成立に協力したから、別に批判するだけじゃなくて、どうやったらもっとうまく運ぶんだと現状を正確に把握したいのに、そこからごまかしていたら議論ができないじゃないですか。
それで、なかなか局長が言わないので申し上げると、十四万九千二百十ヘクタールのうち、本当は新規の数字が欲しいんですけれども、新規の分がないので、ダミーの変数として機構の転貸面積の二万三千八百九十六、いえば、これで大体一六%ですよ。予算積算、特に補正の積算根拠になった九万ヘクタールをこれに加えた二十三万ヘクタールのベースでいうと、この約二万四千ヘクタールは一〇%ですよ。受け入れ希望の総面積に対して実際貸し出されたものというのは一〇%、実際には、純粋な非担い手から担い手というのはもっと減りますから、多分一〇%未満なんでしょう。予算は、さっき言ったように、四百五十三億円で八十億だから、これは一八%ぐらいですか。
いずれにしても、やはりこれは極めて低執行率、低執行なんだということから始めないと、制度改正できないですよ。制度の見直しはできないですよ。だって、半分ぐらいできているんだったら、これは放っておけばいいじゃないですか。何も見直す必要はない。でも、見直さなきゃだめでしょう。そのことにやはり我々は向き合うためにも、数字をしっかり見なきゃいけないと思うんですね。
きょうは、財務省にも来てもらっています。最後に聞きたいんですが、資料の四と五を見てください。
これは予算委員会でも何度も使った資料ですけれども、この出し手への補助金である機構集積協力金、まず二十五年度の補正からついているんです。すごく前倒しで百五十三億円。昨年度の二十六年度当初で百億円。九万ヘクタール乗るからといって二十六年度補正で二百億乗せて、今年度で九十億乗せて、今五百四十三億円ですよ。このうち八十億を二十六年度で使ったということですね。
次の資料五を見てください。
これも予算委員会の資料ですが、田中主計局長はこういうふうに言っていました。一月から三月に恐らく、農閑期なので、一番マッチングが行われる時期、担い手の方々の旺盛な意欲に、いざとなれば万全の対応ができる予算の手当てを行うと。念のため積んでおくということを、主計局長にあるまじき答弁をいただいたんです。
私は問題点を指摘したいと思います。
八十億円使ったということですね。八十億というのは、見ていただくと、資料四に戻っていただくと、二十五年度の補正の額も使い切っていないんですよ。ましてや、二百億の二十六年度補正なんて一円も使っていないですよ。
だから、私は当初を返せとは言いませんが、緊要性に基づいて、財政法に基づいて積んだ二十五年度補正の百五十三億の八十億使ったとしたら、これは七十三億まだ残っていますね。二十六年度補正だって、これは一円も使っていないとしたら、計算上、二百七十三億円は国庫返納すべきだと思いますけれども、どうですか。
○岡本政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のように、農地中間管理機構に係る予算につきまして、二十六年度までの計上額、これに対しまして、執行実績が大きなギャップがあるということは御指摘のとおりでございます。
この計上に際しましては、予算委員会でも御説明させていただきましたが、現在の農業政策の中での最重要課題ということで、一定の借り受け規模に対して、農林省また各自治体は全力を挙げてこのマッチングをするということで計上していったものでございますが、現状はこのようになっている。
また、こういった現状を検証、評価いたしまして、今後どうするかということを農林省におきまして検討しているものと理解しておりますので、私どもとしては、それが今後どういうふうに進展していくのか、執行状況はしっかりと注視していきたいと思っております。
また、今、返納という話がございましたが、本事業につきましては、この一部、今御指摘の部分につきましては、特に基金方式で計上しております。
基金につきまして、これまで予算委員会での御議論等を踏まえまして、昨年十月に補助金適正化法施行令を改正いたしまして、運用の厳格化と、他に余剰資金が出た場合には国庫返納を義務づけるというふうにしたところでございまして、農林水産省におきましても、将来、仮にこの基金の額が事業の実施状況等に照らして過大であるというふうに認める場合には、国庫返納を行うということになっているところでございます。
いずれにしましても、今後のこの事業の遂行状況、執行状況につきましては、財務省としてもしっかりと注視してまいりたいと思っております。
○玉木委員 終わりますけれども、これは本当に予算の面からも制度の面からも、しっかり現状を見ましょうよ。余りごまかして、うまくいった、うまくいったという説明じゃなくて、客観的に事実に向き合って、しっかりいい制度をつくっていくように、与野党を超えて議論を深めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
質問を終わります。
○江藤委員長 次に、斉藤和子君。
○斉藤(和)委員 質問させていただきます。
前回の表示問題で一問ちょっとできなかったので、そこからさせていただきます。
消費者委員会の表示部会についてですが、ここで加工食品の原料原産地表示が議論されることになっているようです。しかし、一向に開催される動きがないということで関係者から不満の声が出ていると聞いているんですが、なぜこの表示部会は開催されないのか、そして、いつごろをめどに開催し、検討を進めるつもりなのか、消費者委員会からお答えいただければと思うんですが。
○黒木政府参考人 お答え申し上げます。
加工食品の原料原産地表示でございますけれども、消費者委員会におきましても重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、少し前になりますが、平成二十五年十一月の消費者委員会の本会議において、ただ、この当時、喫緊の検討課題でございました新たな食品表示法施行に向けた食品表示基準に関する検討の後に、準備が整い次第、検討すべき幾つかの課題の一つとして報告をされていたところでございます。
加工食品の原料原産地表示の検討につきましては、現在、消費者庁において御準備を進められているということで伺っておりますので、消費者委員会としては、その状況を注視しているところでございます。
○斉藤(和)委員 消費者庁の動向を見ているということですが、消費者庁はいかがでしょうか。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
消費者庁におきましては、食品表示法案の検討に先立ちまして、食品表示一元化検討会を設置し、食品表示に係るさまざまな論点について検討を行ったところでございます。
その検討において結論を得ることができなかった事項につきましては、食品表示の一元化とは別に検討することが適当とされ、本年三月に閣議決定されました消費者基本計画におきまして、インターネット販売における食品表示、加工食品の原料原産地表示、食品添加物表示、遺伝子組み換え表示のあり方につきまして、順次実態を踏まえた検討を行うということとされたところでございます。
食品表示法が本年四月から施行されたことを踏まえまして、まずは、新たな食品表示制度の普及啓発に努めることが最も重要であると考えておりまして、現時点におきましては、各課題についての具体的な検討スケジュールは決まっていないところでございます。
○斉藤(和)委員 食品表示法が、先ほどもありましたけれども、四月から既に始まっているわけで、そうした点で、今検討を行うとされている遺伝子組み換えにしても、この加工食品の原料原産地表示にしても、消費者の皆さんにとっては非常に大きな関心事でもあります。
こうしたことを放置するのではなくて、やはり早急に対応して、検討していく必要があるということを強調して、ぜひやっていただきたいことをお願いします。
次の質問に移ります。
TPP問題について質問をいたします。
既にこの委員会でもたびたび議論がされていますが、アメリカの議会でTPA法案が成立しなければ、TPPの最終合意案が仮に合意されたとしても、条約交渉権を持っているのはアメリカ議会ですので、アメリカの国益に沿って修正ができる。
そのため、TPPの参加国というのは、みずからの国の最終カードをこのTPAの法案の成立の動向によって切るか切らないかを待っている。すなわち、交渉に応じるかどうかというのは、このTPA法案をめぐる動向と非常に緊密に関係している。
当然、日本も同じ認識でよろしいでしょうか。
○西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。
交渉参加している各国は、TPPの妥結にはTPA法案の成立が不可欠というふうに認識をいたしておりますし、私どももそうした認識を共有しておりますので、私も、今回訪米した際にも、TPP交渉の妥結にはTPP法案の成立が不可欠だということを関係する議員などに申し上げたところでございます。
○斉藤(和)委員 TPA法案の成立が不可欠だということでいいと思います。
問題は、そのTPAの審議状況がどうなっているのかということだと思います。
アメリカ議会上院でTPA法案の審議が開始をされ、今週中に可決を目指すというふうにも報道がされていますけれども、審議が難航しているということも伝えられています。
TPA法案は、上院だけでなく下院でも可決されなければ成立しないわけで、下院の審議状況はどうなっていますでしょうか。
○齋木政府参考人 お答え申し上げます。
米国時間五月十四日、TPA法案の米国上院本会議における早期審議入りに必要な動議が可決され、米国時間十四日及び十八日に上院本会議において審議が行われたと承知しております。明十九日も、引き続き上院本会議での審議が予定されていると承知をしています。
政府として、他国の議会における法案審議の見通しを予断する立場にはございませんけれども、上院は五月二十三日から三十一日まで、下院は五月二十二日から三十一日まで休会予定であると承知をしております。現時点で下院本会議の審議スケジュールは未定であると承知しております。
○斉藤(和)委員 今ありましたとおり、五月二十三日から一週間ほど休会されるということです。メモリアルデー、戦没将兵追悼記念日があるからだということだと思いますけれども、そうなりますと、下院の審議入りは六月に入ってからになるわけです。
現在、グアムで二十五日までの日程で首席交渉官会合が開かれていますけれども、鶴岡首席交渉官は、TPAの法案が成立しなければ交渉をまとめる必須条件が整わない、その中での交渉進展は難しいというふうに、新聞報道もされていますが、述べています。
この交渉官会合の後に閣僚会合を開くという見通しになっていますけれども、この閣僚会合の開催の見通しというのはどうでしょうか。
○西村(康)副大臣 先ほど私は言い間違えたようでありますが、TPA法案でございます。
今御質問がありました件でございますけれども、御指摘のとおり、アメリカ・グアムにてTPP首席交渉官会合が開催されているところでございまして、早期に閣僚会合を開催できるよう、そういう状況をつくるべく、残された課題について各国が鋭意交渉に努力をしているところだというふうに認識いたしております。
次回の閣僚会合の開催につきましては、その首席交渉官会合の進捗状況、それから、先ほど来御指摘のありますアメリカのTPA法案の審議状況によるところが大きいわけでございまして、現時点で、日程とか場所とか、何ら決まったものはございません。
○斉藤(和)委員 早期に閣僚会合を開くようにということなんですけれども、具体的には決まっていない。
要するに、日米の両政府が描いていたシナリオどおりにはなかなか進んでいないということだと思います。今週中にTPA法案を成立させて、首席交渉官会合で争点を減らして、五月下旬にも十二カ国の閣僚会合を開いて日米協議、全体会合を合意させるというシナリオが頓挫しているというふうに朝日新聞にも書かれているわけですけれども、このこと自体が日米両政府にとって深刻になっているというふうに思うんです。
米国議会は、来年の二月から大統領選挙の予備選が始まるわけで、ことしの秋以降は議会が機能しなくなるというタイムリミットがあります。しかも、下院では、七月の末から夏季の長期休会に入ると聞いています。
そうなると、スケジュール的に大変厳しい状況になると思いますが、外務省の方からこのスケジュール感をお答えいただければということと、もう一つ、こうした状況を政府としてどのように認識をされているのか、お答えいただければと思います。
○齋木政府参考人 お答えいたします。
TPA法案につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、アメリカ上院本会議において、米国時間の十四日、十八日、審議が行われたところでございます。
政府として、他国の議会における法案審議の見通しを予断する立場にありませんが、現時点で下院本会議の審議スケジュールは未定だとお答えを申し上げたとおりでございます。
そして、休会のことの御指摘がございましたけれども、上院は五月二十三日から三十一日まで、下院は五月二十二日から三十一日まで休会、その後、六月二十七日から、上院は七月五日まで、下院は七月六日まで再び休会となります。下院は、御指摘のとおり、七月三十一日から九月七日まで、上院は八月八日から九月七日まで夏季休会を予定しているところでございます。
いずれにしましても、交渉参加各国はTPPの妥結にはTPA法案の成立が不可欠と認識をしており、我が国としてもTPAの早期成立を期待しているところでございます。
引き続き、TPA法案の動向を注視しながら、早期妥結に向け全力を尽くしてまいる考えでございます。
○西村(康)副大臣 今外務省から答弁があったとおりでございますが、繰り返しになりますけれども、TPP交渉の妥結にはTPA法案の成立が不可欠という認識を各国とも共有いたしております。
その動向をしっかり注視していくわけでありますけれども、一方で、首席交渉官会合も今開かれております。できる限り事務的に詰められるところは詰めていくということでありますし、日米の残された課題についてもできるだけ早くまた協議を行って、残された課題についてできるだけその距離を埋めていく、そして、引き続き早期妥結に向けて全力を挙げて粘り強く交渉していきたいというふうに思います。
○斉藤(和)委員 TPP早期妥結は、私としてはやるべきではないというふうに思うんですけれども、その上で、早期妥結にしても何にしても、TPA法案というものが、やはりそうはいっても、一番の肝になるわけです。
そのときに、アメリカ議会でなぜここまでTPA法案の取り扱いが難航しているのかということだと思うんです。それは、アメリカ国内でもTPP反対の世論が一方では広がっているということです。
民主党の支持基盤の労働組合は、TPPで雇用が守れないと反対運動を展開しています。同時に、TPPが施行された後にその影響で職を失った労働者に失業手当や再就職支援を行う貿易調整支援法案、TAA法案と、貿易相手国が故意に自国の通貨を下げることを禁じる為替条項をTPPに加えることを要求し、その取り扱いをめぐって上院での審議入りがもめたわけです。
それだけではありません。TPPやTPAに反対する世論は、アメリカの地方自治体からも広がって、起こっています。
お手元にお配りした資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、多くの自治体で、TPP除外地域宣言とかTPA反対、TPP反対が表明されていることがわかります。こういった世論が広がる中で、来年選挙が予定されている下院では、上院よりもさらに厳しい対応になるだろうということが予想をされるわけです。
もともとTPA法案は、過去に米国大統領が取得を求めても、例えば、クリントン大統領のときも、八年間の在任中、六年間取得ができなかった。ブッシュ大統領も、TPAの取得に二年間費やし、期限が切れた後、期限延長を二回も否決されているというわけです。
そういう困難がある中で、TPP反対の世論も広がっているアメリカ国内で、TPA法案を通過させる見通し自体が極めて厳しいというふうに見られるわけですが、そういう認識を日本政府は共有されているんでしょうか。
○齋木政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、米国においてTPAまたはTPPに反対をする地方議会の決議が複数なされていることは承知しております。
政府といたしましては、他国の議会における法案審議の見通しを予断する立場にございません。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、TPP交渉参加各国はTPPの妥結にはTPA法案の成立が不可欠と認識しており、我が国としてもTPAの早期成立を期待しているところでございます。
政府としては、引き続き、同法案そして同法案をめぐる動向をしっかりと注視してまいりたいと考えております。
○斉藤(和)委員 それぞれ、アメリカ議会、地方自治体でこういう反対が起こっているということは認識しているということで、早期妥結のためにTPA成立をというふうにおっしゃいましたけれども、このTPAを通すこと自体が非常に困難になれば、やはりTPPの交渉自体も難航することは目に見えているわけです。
しかも、安倍首相はTPPの出口は見えたとしていますが、TPA法案一つにしても既にさまざまな修正がなされている。
例えば、上院の財政委員会では百二十六本もの修正案が出されたと言われています。項目だけでもこれだけの修正が出された。そのうち三本が今回の法案に盛り込まれ、例えば、人身売買や強制労働で改善が見られない国との貿易交渉にはTPAを与えないというものが盛り込まれています。この修正を加えた上院の議員は、マレーシアをTPPから除外することが目的だというふうに語っています。さらに、今、上院の本会議で二十三本の修正案が提出されていると言われている。
このように、修正がTPP交渉を一層複雑なものにすることは目に見えていますし、そもそもTPA法案の上院と下院との協議が、修正をされれば不可避になる、その協議自体も難航するということも予想をされています。
出口が見えるどころか、TPPの漂流の可能性が現実味を帯びてきているというふうにも見られるんですが、いかがでしょうか。
○西村(康)副大臣 TPA法案につきましては、アメリカ議会で今審議中の内容でもありますし、また、アメリカ国内での法案の審議の話でありますので、私からその内容についてコメントすることは差し控えたいと思いますけれども、いずれにしても、我が国としては、TPA法案の動向も注視をしながら、国益を最大限実現すべく、TPP交渉の妥結に向けて粘り強く交渉してまいりたいというふうに考えております。
○斉藤(和)委員 妥結する上で絶対に欠かせないこのTPAが、アメリカ国内でもう本当に成立するかどうかさえ見えないような状況になっているということは、いかがでしょうか。
○西村(康)副大臣 繰り返しになりますけれども、アメリカ国内での審議が今行われているところでありますので、私がコメントすることは差し控えたいと思いますが、しかし、アメリカ政府あるいはTPPを推進しようとしている議員の皆さん方も何とかこれを通そうということで努力をしておられる姿は、私は訪米中に意見交換の中で感じました。
いずれにしましても、私どもとしては、早期成立を期待し、そして、TPP交渉妥結に向けて全力で努力してまいりたいというふうに考えております。
○斉藤(和)委員 もっと深刻に私は受けとめるべきではないかというふうに思っています。
TPPの情報公開について、政府の対応がこの間も全く後ろ向きだというふうに言われているんですけれども、二〇一五年のTPA法案は、正式名称が二〇一五年超党派議会貿易優先事項及び説明責任法というふうに、TPPの情報公開、すなわち説明責任が法案の表題にされています。
さらに、大統領は、通商協定署名六十日前までに協定テキストをUSTRのウエブサイトに公開すること、実施法案などを議会に提出する三十日前までに最終協定テキストの写しなどを議会に提出するとしています。
国会議員に対するテキストの閲覧ということとあわせて、米国と同様にこうした取り扱いを日本でも行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○西村(康)副大臣 TPA法案につきましては、まだ審議中でありますので、どういう形で成立するか、これはしっかりと注視をしてまいりたいと思います。
一般論として申し上げれば、交渉に大筋で合意した後に、署名までの間、どの時点でどのような内容のものを公表するかについては、十二カ国全体で相談しながら対応していくことになるというふうに思います。その際、協定案文の精査の状況なんかも勘案しながら判断されることになると思いますが、いずれにしましても、私ども、できる限りの情報開示は引き続き検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○斉藤(和)委員 TPAはまだ通っていませんけれども、仮に通ったとしたら、ウエブサイトに公開するということは、国会議員だけではなくて全ての人が見られるわけです。
だとしたら、私は、このアメリカのTPA法案に倣って、日本国内でもしっかりと協定テキストが見られるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○西村(康)副大臣 アメリカも含めまして十二カ国で合意がなされた場合に、その後、どういう形で開示をしていくのか、アメリカの法案もどういう形で成立するのか、これも含めてでありますけれども、相談しながら対応していくことになると思いますけれども、いずれにしても、私どももできる限りの情報開示に努めてまいりたいというふうに考えております。
○斉藤(和)委員 アメリカがやると言ったら、日本もやりますか。
○西村(康)副大臣 繰り返しになりますけれども、十二カ国でしっかりと相談をしながら対応していきたいというふうに考えております。
○斉藤(和)委員 ぜひ、しっかりと対応していただいて、公開していただきたいというふうに思います。
最後に、今ありましたけれども、国会議員に対するTPPのテキストのアクセスというのは、アメリカでは認められているけれども、日本では認められていない。そして、重要五品目の大幅な関税削減や十七万トンにも及ぶ米の別枠輸入までが検討されている、国会決議に真っ向から反するような交渉が進んでいるということも報道されていて、これは絶対に認められるものではないと思います。
そして、交渉自身も、TPA法案をめぐる動向などを含め、漂流目前というふうになっているもとで、やはりTPP交渉から撤退する、私はこのことこそが国益を守ることになるというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○林国務大臣 どのような場合に交渉から撤退すべきかにつきまして政府として申し上げることは、逆に言えば、どこまで譲歩できるかということを示すことにもなりますので、交渉戦略上、不適切であると考えておりますし、そのことは繰り返し申し上げてきたところでございます。
衆参両院の農林水産委員会決議は国会の意思表示でございます。まさに批准をいただく立法府の意思表示でございますから、これを守ったと評価していただくように、しっかりと交渉していきたいと思っております。
○斉藤(和)委員 TPPをめぐる問題で、TPAも不透明な状況の中で、国会決議に反するようなことが次々と出されている、こうしたTPPからは即時撤退することを最後に求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。
最後の質問者になりましたけれども、よろしくお願いいたします。
小泉政務官、わざわざどうもありがとうございます。
この前、西村副大臣にお聞きしたことを、確認の意味で小泉政務官にもお聞きしたいと思います。
私はそのときに、西村副大臣には、決して間違った発言はしていない、国会議員に対してテキストをアクセスするようにこれからする、それを撤回する必要はない、それは大変国会を重要視し、国会議員を信用して、そして交渉をしっかり進めていくということで、これは正しいことだから、しっかりそれを進めてほしいということで質問しました。
小泉政務官は、この情報開示というものは、どのようにお考えでしょうか。
○小泉大臣政務官 情報開示のあり方というのは、農水委員会の決議の中にありますとおり、真摯に、でき得る限りの情報を、国民の皆さん、そして議員の皆さん、議会に対しても、努めていくのが私たちの責任だと思っております。
ただし、この交渉の中で、保秘の義務というのがありますから、それを関係各国がしっかりと認識して、共有した上で、その中での最大限の情報公開のあり方を模索している、そういった認識を持っております。
○村岡委員 最大限努力するといっても、TPPが、これはTPAが成立してからの話ですけれども、もうそろそろ合意が近くなってきて、合意してから発表するのでは何も開示していないと同じで、あとはマルかバツかということになってしまいます。
その努力というのは、実際にどういうスケジュールで進めて情報開示を考えていらっしゃいますか。
○小泉大臣政務官 情報開示のスケジュールというのは、いつまでに何をやる、そういったことではないとは思いますが、ただ、今まで、交渉官会合等それぞれの会合の後には、必ず関係の団体の皆さん、そして今回は、五月に入りまして、一般の方々に対しての説明会も開始をしました。
そういった形で、今交渉も大詰めを迎えている中で、非常にこの交渉の行方を注視している方々に対して、一体何が私たち政府側としてでき得る限りのところなのか、それを常に、関係大臣、副大臣、政務官、また事務局等を含めて、みんなで考えて取り組んでいきたい、そういった認識でこれからも情報公開に努めてまいりたいと思っております。
○村岡委員 考えていただくことは何回も考えているんですけれども、全然情報開示がされなければ、考えただけで終わってしまう。それで、さっき言ったように、結局マル・バツだけを最後は国会で求めるということになってしまいます。
それは外交の交渉ですから、アメリカのルールやほかの国のルールというのはありますけれども、やはり国会で最後には議決をとらなきゃいけない。そういう意味では、この農水委員会というのはやはり重要な場だと思うんですね。農水委員会を秘密会ぐらいにして、そのメンバーも絞ってもいいですけれども、そういう情報開示の仕方。
それは、一般の人たちに情報を開示しているといっても、新聞記事や、参加した人に聞くと、別に、それは何か重要なものに触れるようなことじゃないことを説明していると聞いています。そういう意味では、それは情報開示という形ではないんじゃないか。実際にアメリカが、情報開示で国会議員がアクセスする、そのレベルぐらいまではいかないと、それは全く情報開示とは言えないと思います。
住民に説明会を開きました、関係団体に説明会を開きました、しかし、その内容は何もない、そうなれば、それは情報開示ということではないんじゃないかと思いますけれども、どう思われますか。
○小泉大臣政務官 まず、保秘の義務があるということが前提の中で、一〇〇%その情報を公開できるわけではないというのは誰もが共有している認識だと思います。そういった上で、どこまで理解をしていただけるような内容を御説明できるか、これは本当に最初からずっと悩みながらやってきたところです。
村岡先生のおっしゃったように、これはやはり人と人との気持ちの問題もありますから、どこが情報開示として納得していただけて、また理解をしていただけるレベルの情報開示なのかというのは、それぞれ立場によって差はあると思います。
ですので、それが一〇〇%の、よく情報開示をやってくれたと言っていただけるかどうかはさまざまあると思いますが、少しでも多くの方に、保秘の中で努力をしたな、そういうところはどこなのか、これは引き続き検討しながら対応していきたい、そう考えております。
○村岡委員 TPPというのは、我々の党も賛成でありますし、自由貿易をさらに進めていこうということで、進める政府の方針にも、我々の党はTPP交渉参加賛成ということを常に言っております。
しかしながら、やはり聖域の五品目があり、そして、情報開示というのもこの決議の中であったわけですから、それは進めていく上で、決議を、ただ踏まえて、こういうふうに言いますけれども、全然踏まえていないという認識があるのが業界団体であり、我々国会議員なんです。
やはり決議を守っていくとなれば、その五品目の部分も大切ですけれども、その中にある情報開示というのも守られなければ、何であの決議をしたのかということになります。決議の重さを考えたら、しっかりとその情報開示というものを、具体的に、そしてスケジュールを言うものじゃないと言いますけれども、スケジュールがなければ、情報開示というのが一体いつなのかわからなければ、何の議論もすることができない。
その認識だけはぜひ持っていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○小泉大臣政務官 もちろん、TPPは、最後は国会の方でお認めいただかなければこれは成立しないわけでありますから、その交渉の過程の中での努力も少しでもお認めいただけるような、そういった情報開示のあり方を、常にこちらもよりよいあり方を模索するというのは当然の努力だと思っております。
○村岡委員 次に、TPPのことでお聞きしますけれども、基本的に、日本はアメリカのTPAが上院、下院、両方で可決されなければ、TPPの交渉の妥結に向けて閣僚会合なりそういう段階には進まないと考えてよろしいんでしょうか。
○小泉大臣政務官 TPAの動向というのは、アメリカの議会のことですので、注視をしていくということだと思いますが、やはり、大統領に対して貿易権限が付与される、こういったことというのはTPP交渉において大変重要なステップだと思っております。
○村岡委員 重要というのは、それが上院だけ通っても閣僚会合に進み、下院が通っていなくてもTPPの妥結をするということですか。
○小泉大臣政務官 アメリカの議会のTPAの動きというのは、今、交渉参加国それぞれが関心を持って見ているところであります。今ちょうどグアムにおきまして首席交渉官会合が開催中でありますが、残された課題を首席交渉官同士で議論しておりますが、その後には、やはり閣僚同士でなければ決めていくことができない、そういった課題というのは残されると思っております。
その中で、最後の交渉妥結に向けて努力をする中で、やはりアメリカのTPAの動向というのは、よく考えれば、間違いなく必要なことでありますので、議会の動向をこれからもしっかりと注視して、そして、実際に妥結に向けてステップを上がっていけるように、交渉の中で努力していく、そういった姿勢で、現在の首席交渉官会合で残された課題を詰めております。
○村岡委員 ちょっとはっきり言っていただけないわけですけれども、アメリカの方は、上院が通ったら、もう閣僚会合で妥結の方に行きたい、そういう感じの戦略を描いているように新聞記事では載っていますけれども、そのことに関しては、上院だけ通っても、下院まで行かなくても進めることもあり得るということですか、小泉政務官。
○小泉大臣政務官 今アメリカの議会で審議されているところだと聞いていますので、引き続き、TPA法案の動向を注視していきたい、そういうふうに考えております。
○村岡委員 そこは気をつけていただきたいのが、もちろんこれは新聞記事なんですけれども、アメリカの思惑は、上院が通れば、もう後押ししてTPPの妥結に向けていく、そうなれば、下院がまだ通っていないわけですから訂正できる、こういう意識がアメリカの中にあるのではないかと推測されるんですけれども、そこはしっかりと、どちらなのか、上院だけ通っても、アメリカはこれで押し通すんだということでいけば妥結しちゃうのか、いやいや、やはり上院、下院がしっかりと大統領に一任しないと、それは大統領に一任したことになりませんから、その認識だけはしっかりしておかないとこれはいけないと思いますので、政務官、お答え願えますか。
○小泉大臣政務官 甘利大臣も記者会見できょうこれに触れていますけれども、TPA法案が上院、そして下院と可決されないとTPPは事実上まとまらない、そういった認識で交渉に当たってまいります。
○村岡委員 そこは確認してよかったです。
アメリカにすれば、上院を通って、よし上院を通ったんだからもう下院も通るだろうから、こういうことでやられて、結果的に、アメリカの方はそう思っているんです、実際に。上院だけ通ればもう我々は通すんだ、上院の共和党の皆さんがやる、やらないということの中で、上院を通ればもう日本は言うことを聞いてくれるだろう、十二カ国も言うことを聞いてくれるだろう、こういうことをやってきますので、その今の認識を聞いて、それはしっかり守っていただきたい、こう思っております。
そこの点を聞きましたので、小泉政務官、きょうはどうぞ。そこはしっかりと守っていただきたいと思います。
林大臣にお聞きします。
先ほどの議論の中でも、農地中間管理機構の実態といいますか、実績という質問がありました。
いただいた農林省からの資料でアンケート調査というのがあります。その中で、中間管理機構の業務の進め方について、これは各都道府県の農業地域を有する計五百二市町村の中から無作為に十市町村を抽出して、こうなっています。
そこのところの第一問目に、市町村に全面的に任せるのではなく、機構が主体性を持って市町村と連携を密にしながら事業を推進している、こう思う人は二三%。農地の利用調整などは市町村に全面的に任せずに、機構が主体性を持って連携できているとは言えないという人が六四%。こういうアンケートが今のところ出てきています。
このアンケートは、そのほかにも、現場におけるコーディネート活動を行う職員の体制は十分かというと、はいという十分は二〇%、いいえは八〇%。そして、機構に現場におけるコーディネート活動なんといっても、適切な指示、指導をしているというのが三三%。非常に率が悪いんですね。
こういうことを踏まえての、アンケートをとったことは非常にいいですけれども、その解決策というのは考えておられますでしょうか。
○林国務大臣 昨年度の実績を各都道府県別に見ますと、やはり全ての都道府県で実績を伸ばす努力をしていただかなきゃいかぬ、こういうことだと思っております。
ただ、数字だけではなくて、やはり、今御指摘いただいたようなアンケートもとって、なるべく多角的な分析をして、どこがボトルネックになっていたり、どういうことをさらにやらなくてはならないのかということをしっかりと分析して、そして問題点をきちっと絞り出してから対策をつくっていかなきゃいけない、こういうふうに考えております。
問題点としては、まだ詳細な分析を今からするわけですが、やはり、私が前から言っているように、右左をつなぐ、いわば待っているだけの不動産屋ではなくて、自分たちが前に出て、その地域の将来をデザインしていくんだという、いわばディベロッパー的な自覚を持った体制、またそういう役職員の体制、こういうものが必要だと言ってきましたが、そこがまだ十分でないのではないかなということと、それから、やはり人・農地プラン等々で、地域においてそういう話し合いがまだ進んでいないので、この人ということになっていないということ。さらに言うと、まだやはり農地を持っておられる方が貸し出すということについて、心理的なハードルもあってなかなか踏み切れないということがあるのではないかな、こういうふうに思っております。
それぞれの問題点について、政府・与党内の議論も踏まえながらやっていかなきゃいけないと思いますが、まずは機構や都道府県に対して意識改革をさらにやっていただくとか、役職員等の体制整備を求める、また人・農地プランの本格化に向けてどう見直していくか、それから農地所有者の機構への農地の貸し付けのインセンティブ、これは今までもあったわけですが、これをどう強化していくか、こういうことが今から検討課題に上がってくるもの、そういうふうに考えております。
○村岡委員 このアンケート調査は非常に詳しく書かれているので、これを参考にして、ぜひ直していただきたいと思います。
これは中間管理機構を最初に法案で通したときも、ここで中央公聴会をやったときに、百ヘクタール、二百ヘクタールをまとめた人たちが来ましたけれども、そのときも、ただの不動産屋さんではだめだ、それからまた、熱意を持ってやらなきゃいけない、こういうことを言われていましたので、一年やってのアンケート調査はぜひ大事にしていただきたいと思います。
そして、農地中間管理機構の担当部長の人たちの自己評価結果というのが、非常に自分でいいんですね。だから、自分のことは自分でよくするというのはありがちだけれども、この政策を進めていく上においては、自己評価が、いや、別に一年目ですから、反省の自己評価がない人は満足しちゃっていて、せっかく大臣の方針が、そのようにアンケート調査の結果を踏まえてしっかりと手直ししていくといっても、担当部長が自己評価が高かったら、反省していないということになりますから、その点はいろいろ御指導していきますでしょうか。
○林国務大臣 やはり、自分でだめだ、だめだと言うのもなかなか難しいんでしょうけれども、自分でやっていらっしゃる方の意識も調査をするけれども、先ほど触れていただいたような、サービスを受ける側の立場の人の意識もきちっと調査をする、それを見てもらうということですね。
それからもう一つは、各都道府県別に全部数字が出ておりますので、それぞれの県において、目標をこれぐらい定めたけれども、実際はこうだったということを全部比べていただいて、一体自分の県というのはどのあたりにいるのかということも自覚を持っていただく。こういうことも含めて、しっかりと意識改革を進めていければと思っているところでございます。
○村岡委員 ぜひ、自己評価で満足しているとか、そういうのが八五%とかそういうのじゃなくて、どこで苦労しているかということを、逆に、担当者の方々、農地中間管理機構に、何が問題でこれが進んでいないのか。先ほど玉木委員からも、お金の使い方、もう全然使われていない。それはやはり原因を見ていかなきゃいけない。
我々も賛成なので、そういうところの部分をぜひ今後、ただやっているかやっていないかの自己評価をしてくれと言えば、それは自分が悪いとはつけられないということがありますので、むしろ、苦労していること、なぜ進まないのかということをお聞き願いたい、こういうふうに思っております。
そしてもう一つ、中間管理機構を進めていく上で、今、平地の中で集まり始めているということはありますけれども、中山間地はなかなか進んでいないのが現実です。それは効率も非常に悪いということもありますし、なかなか進んでいないんですけれども、これに関して、集積というのは今後どのように考えていくのか、ちょっとお答え願えればと思います。
○奥原政府参考人 農地の中間管理機構は、平地だけではなくて、中山間地域を含めて農地を担い手のところに流動化させる、こういう目的でございます。
特に、中山間地で果樹等をやっている場合に、放っておきますと、そこが、虫が発生したり、周囲の農家にとっても支障の生ずる状態になることもありますので、早いうちに担い手の方のところに農地がきちんと移っていく、こういうことをやらなければいけないと我々は思っております。
したがって、平地と中山間地と別に差をつけるつもりはございませんが、とりあえず初年度の状況を見てみますと、各県とも、やはり平地を中心に物事は今のところはやっているということで、中山間のところでどんどん数字が上がっているという状況にはなっていないというふうに思っております。
ここは、二年目以降も、中山間地域をどういうふうにやっていくか、各県で優良な事例があれば、どんどん横に広めていきたいと思っておりますし、そういうことも詳細に、これからいろいろヒアリングをしたり分析をしながら、中山間地を含めて進めてまいりたいと考えております。
○村岡委員 中山間地を別に外しているわけじゃないということはよくわかっています。だけれども、簡単に言えば、借りる人がいないからなんです。中間管理機構だって、借り手がいれば集めて、そして借り手がいれば貸すわけですけれども、そういう部分が結局できないわけですね。そこの対策を考えないと、やはりそれは進まないと思います。
それに関しては、今、事例と言いましたけれども、何か事例がありますか。
○奥原政府参考人 中間管理機構の法律を御議論いただくときにも、そこについてはいろいろな御意見をいただいたところでございます。
例えば、中山間地もいろいろでございますけれども、景観がいいところであれば、そこをその県の県庁所在地の方々にとって使いやすいような市民農園として貸すというような方法もございます。それから、場合によっては、そういったところを放牧地として使って、要するに、草刈りを家畜にやっていただきながらうまく活用しているという事例も中にはございますので、そういう一部の優良事例をできるだけうまく広めていきたいというふうに考えております。
○村岡委員 その事例は後でまた教えていただければと思います。
そこで、今の中間管理機構なんですけれども、集積していって、担い手に対して五割から八割ということですけれども、これは五割から八割まで目標で持っていって、例えば、販売農家というのは百四十万あるわけですけれども、この方々がまとまっていったときに、どのぐらいの農家所得を想定してその人たちにやってもらいたいと将来的に考えているのか、ちょっと教えていただけますか。
○奥原政府参考人 担い手の方のところに農地の利用権の八割を集積するという目標でやっておりますし、そこはできるだけ使いやすい形で、集積だけではなくて、集約化もして、効率よく、コストを下げて生産していただくということを狙いにこれはやっておりますが、個別の経営体の所得がどうかという目標を特につくっているわけではございません。
それは、経営体につきましては、経営の形態にもよりますけれども、例えば法人であれば、人を雇うことによって相当な面積を一つの経営体が担うということも当然あるわけでございますので、現在でも法人経営の方々の販売額が一億円を超えているところが四分の一ございますが、まさに経営の規模によって、その辺の所得や何かも変わってくることになります。そこの経営のあり方につきましては、それぞれでいろいろ工夫していただいて、再生産がきちんとできて、生活が向上するような所得水準を目指してやっていただく、こういうことだと思っております。
○村岡委員 もちろん個人の所得を、私が言ったのは、所得倍増をしていくということになれば、農村社会で、個々の農家だって平均このぐらいというのがなければ、所得倍増なんという目標は出るはずがないんです。それは、その経営体は、この人は五千万だ、この人は五百万だといっても、でも、それを合わせて倍増と言っているわけですから、何かの平均的な目標がなければ、倍増という言葉は出てこないはずなんです。それは全く考えていなかったんですか。
○奥原政府参考人 所得の話は、必ずしも農地の流動化だけの話ではなくて、六次産業化ですとか輸出振興だとか、そういうものを含めて、農業、農村の所得を上げていくという話でございますので、中間管理機構でやっている農地の流動化のところでそういう具体的な目標をつくっているわけではございません。
○村岡委員 それはそれぞれの分野でどのぐらいなのか、もし六次産業化でも、その中で所得倍増していくという何かシミュレーションした数字、それは今じゃなくてもいいので、後で教えていただければと思います。
千五百万円以上の農業経営者というのは、現在八万四千戸あるんですけれども、それをふやしていこうというためのものなのかどうなのかというのは、農林省はどういうふうに考えられているんですか。
○奥原政府参考人 そこは、やはり経営者の所得を上げていくのが一つの目的でありますので、規模拡大をして集約化をしてコストは下げる、それから効率よくつくって高く販売をする、そういうことによって所得を上げるのがこの一連の農政改革の目的でございますから、それに資する形で農地の流動化もきちんと進めていく、こういうことでございます。
○村岡委員 そこで、法人化とかいろいろ問題になってくるのが、現時点でもあるんですけれども、農家の方々は今まで会社経営という部分が少なかったわけで、どうしても、社会保険関係に加入して、新たにコストがかかるというのに、今大変苦慮し始めているんです。季節的なアルバイトならば入らなくてもいい、それから時間制限すれば入らなくてもいい。しかし、法人で、人を雇っていくということになれば、社会保険に加入していかなければならない。その実態を農林省でつかんでいますか。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
農業法人などに雇用される形での就農は最近ふえておりまして、非農家出身者の方々、こういう方々を中心に重要な就農ルートとなっていく中で、やはり農業界におきまして優秀な人材を安定的に確保し、また定着させていくためには、雇用先である農業法人などにおいて社会保険また労働保険の加入を促進し、ほかの産業並みの就業環境を整備していくことは極めて重要である、委員の御指摘でございますが、私どももそう考えております。
そうした中で、農林水産省といたしましては、厚生労働省とも連携をいたしまして、特に社会保険、健康保険、厚生年金保険、また労働保険、これは雇用保険、労災保険などでございますが、こういう制度などを整理いたしました啓発パンフレットを作成、配付しているところでございます。
また、農業法人などにおきまして新規就農者の雇用を促進する農の雇用事業におきまして、雇用保険さらには労災保険などに加入している法人などを支援するということをしているところでございます。
今後とも、こうした取り組みによりまして、農業法人などにおける社会保険また労働保険の加入を促進し、雇用の就農者の安定的な確保、定着に努めてまいります。
○村岡委員 ここは本当に、法人化になって雇用もふえていくというのが非常に大事なところで、今できている法人の中で、社会保険を掛けなさいという指導が来て、厚生年金まで掛けちゃったら、これではとても赤字だ、それではやっていけないというところがたくさん出てきているんです。今度は法人化をどんどん進めていった場合に、これは相当大きな問題になる、こう思っているんです。
また、働くのも、例えば雪国ですと、働くという農家の仕事があるのは、基本的には雪が消えてから雪が降るまでの間。では、冬は、それはハウスを建てればいいと。ハウスなんて建てて暖房をたいてやったら、物すごくお金がかかる。そうすると、そこはやはり従業員として雇えない。
そうなると、いろいろな面で雇用をふやしていくというときに、それの上に社会保険を掛けろといっても、実際に利益が上がらなければ掛けられない、そういう問題がだんだん法人がふえてくるたびに起きている現実をしっかり調査してほしいと思っています。
農林省の方で調査したのは非常に少ないんですね、全国的に。全国的に調べたのは、どのぐらい調べましたでしょうか、農林省、社会保険とか。
○奥原政府参考人 社会保険の加入率の調査でございますが、これは二十五年三月に全国農業会議所がやった調査でございます。
回答数がそれほど多いわけではございませんけれども、法人経営のところを見てみますと、労災保険ですと、加入しているというふうに答えた方が九九・六%、未加入の方は〇・四%でございます。それから、雇用保険は、加入している方が九九・三で、未加入が〇・七%。それから、健康保険につきましては、加入が八八・七で、未加入が一一・三%。厚生年金保険については、加入が八八・一%で、未加入が一一・九%。こういう数字でございます。
○村岡委員 これは、調べているのが農林省じゃなかったんでしょうけれども、ある程度優良なところを調べているんですよね。たった四百三十六ですから、全然答えないところに関しては、これを報告したら、自分の企業はちゃんと社会保険を掛けていないなということで、報告していないところがある。
これは、これまでそういう意識がなかったわけですから、今後雇用していくということになると、これは全国的に農林省は調査した方がいいです、法人をふやしていって、しっかり会社組織としてやっていくというつもりならば。それは、大臣、どうでしょうか。
○林国務大臣 今御議論いただいたように、やはりきちっと社会保険の加入を促進して、雇用されている人が安心して働けるようにする、これは大変大事なことでございますから、法人の数をふやしていこうという中では、しっかり現状を把握するということが大事になってくると思いますので、まだどの程度の精度でどれぐらいのアンケートができるかというのは今すぐお答えしかねるところもありますが、しっかりとデータをとって政策に生かしていきたい、こういうふうに考えております。
○村岡委員 大臣からいただきましたので、社会保険関係を調べていただくのと、それと、やはり重要なことは、法人の中でどんな勤務体系になっているか。というのは、一般のサラリーマンとは違うんです。九時から五時とかというわけじゃないんです、実際法人に勤めて、農作業というのは。例えば夏であれば、三時から、日が上って少しまだ暑くない八時ぐらいまでやって、昼間の暑いところは休んで、また夕方やる。いろいろな雇用体系があると思うんです。
その雇用体系をしっかりと把握しながら、社会保険も、いきなり全部基準どおりに掛けろといえば、そうすると何が起こるかというと、働く時間を短くされる。それで、何人も雇って基準の数字にならないようにして、法律に違反しないようにしてやりますと、当然収入が減っちゃいます。最初のうちはやっているでしょうけれども、こんなに収入が低いのでは、やはり法人に勤めていてもだめだ、こういう状況になります。
だから、ふやしていこうというのは、雇用がふえても、それから社会保険を掛けてしっかりとした会社の体制みたいにしても、実際には低所得者がふえるという状況になります。そういう点を踏まえて、このアンケートというのは、今後法人をふやしていくという方針ですから、ぜひそこはお願いしたい、こういうふうに思っております。
そして、この前から大臣に聞いている台湾の輸入規制に対する対策、いろいろと大臣も台湾に対してやっていると思いますけれども、最初の、産地を偽装したんじゃないかとか言われた会社というのは、実際偽装したという把握なんでしょうか。
○林国務大臣 三月二十一日ですが、台湾当局から、日本からの輸入食品について産地ラベルの偽装があったということで、店頭から該当商品の撤去を命じたということでございます。
私が食料産業局長に下命をしまして、四月十七日に訪台をしてもらいまして、台湾側要人に対して、産地偽装問題の早期解決と輸入規制強化、その時点ではまだ実行されておりませんでしたが、即時撤廃等について申し入れをしたところでございますが、その際、産地偽装とされる問題については、日台が緊密に連携して速やかに原因解明していこうということで認識は一致をしております。
その後、事実関係の解明には協力して取り組んできたところでございますが、台湾側が産地偽装だという根拠ですが、台湾の輸入申告書や包装ラベルの記載シール等にどういうふうに記載するのかというルールがあるわけですが、これについて、どういうルールがあって、偽装だったという件についてはどういうところがこれに違反しているのか、こういうような説明を台湾側にずっと求めてきておりますが、これまでのところは明確な回答が得られておらない、こういう状況でございまして、まだ原因の所在について明確なものとなっていないという現状でございます。
○村岡委員 認識とすれば、まだ台湾とやりとりをやっていて、本当に偽装があったのか、偽装がなかったのかということはまだ調査し切れていないということでよろしいですか。
○林国務大臣 先ほど申し上げたとおり、どういうことであったかということが、その記載ルールについての説明に対する回答がないので、まだ確定をしておらない、そういう状況でございます。
○村岡委員 そこはまだ確定していないんですけれども、では、一体どこの日本の会社が疑われているというのは把握していますでしょうか。
○林国務大臣 いろいろと協力をしている中で、データ等は、ラベルで、写真に撮ってCD―ROMに入れてというのを、データをいただいていますので、それで判読できるようなものは入手しておるわけでございますが、企業名ということですので、どこのどういう方がというのは、ここでは控えさせていただきたいと思います。
○村岡委員 それは別に公表してくれということじゃなくて、その会社も偽装していないかもしれないわけで、それを把握していないんじゃないかということが外務委員会の中であったんですね。会社がどこだかというのが、外務省も農林省も会社を全然把握していない、だからどこなのかわからない、それでは何の調べようもない、こういうふうに何か外務委員会の質問の中であったんですけれども、それは違いますね。しっかり、どこの会社が疑われているということはわかっているわけですよね。
○林国務大臣 先方からいただいておりますのは産地偽装と疑われるラベル写真ということでございますので、それでわかる範囲でわかっているということで、網羅的に、どの会社、どの会社、どの会社ということが今の段階でわかっているというレベルではないということでございます。
○村岡委員 ここは、もう大分時間がたっていますし、一カ月後には発動するとも言われているわけですから、これはしっかり農林省の方で把握して、その業者も全然産地偽装をしていないかもしれないわけで、どこの会社だと全部を把握していないまま、ただ違うだろう、違うだろうといったら、それは何の解決策をここ一カ月やってきたということにならないので、そこは疑われた会社をしっかり調べていただいて、台湾に、そういうことはないんだということをぜひやっていただきたいんです。
やはり日本にとって、輸出で三番目に日本の農産物を買っている地域なので、そこはしっかり、大臣もう一度指示して、風評被害以外にこういう偽装を疑われるとすれば、違うんだということを、もし偽装をしていたとしたら、それはその会社に注意を与えなきゃいけないですし、そこをもう一度お答え願いたい。
○林国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、この問題のスタート時点から、まず、産地偽装がもしあったとすれば、それについてしっかりと事実解明をして、偽装したものがおれば、法令に従って対応する。そのことと、新たな科学的根拠に基づかない規制をするというのは全く別問題でありますので、こちらの偽装と言われる問題については、協力して解明をします。今の解明の段階は先ほど申し上げたとおりでございます。
一方で、これがもし理由となっているのであれば、こちらは、科学的根拠がない規制強化というのはまさに遺憾であるので即時撤廃してほしいとずっと申し入れてきたところでございますが、五月十五日に始まっているというのが現段階でございますので、今既に始まっておりますのは一刻も早く撤廃をしていただきたいということを引き続き申し入れをしておる、こういう状況でございます。
○村岡委員 科学的な根拠に基づかないことは、それはしっかりと言っていただいて、しかし、偽装だと疑われたところもこっちの日本側で、しっかり協力してというか、日本側の会社が疑われているわけですから、しっかりとそれは調べていただくということを、ぜひこれは輸出の促進のためにも必要なことだと思っていますので、よろしくお願いしたい、こう思っています。
そして、農協改革の中で、いろいろな農家の方々や、また農協の方々とお会いするとよく言われるのが、この委員会でも質問が出たのかもしれませんが、理事等の構成について非常に聞かれるんです。
これは、例えば県によって違うと思いますが、認定農業者が少ないところもあるんですね。そういうところに関しては、原則と書いているから、いや、それはちゃんと対応できると言っているんですけれども、やはりそう書かれると、本当にそれでいいのかという部分をよく聞かれるんです。
これは本当にあくまでも原則なのかどうか、お聞きしたいと思います。
○奥原政府参考人 今回お出しをしております農協改革法案の中では、地域農協が、担い手農業者の意向を踏まえまして、農業所得の増大に配慮した経済活動を積極的にやっていただく、これを促進するという趣旨におきまして、農協の理事の過半数を、原則として認定農業者や農産物の販売や経営のプロとするということを求める規定を置くことにしております。
御指摘のように、地域によっては、認定農業者の数が少ないとか、原則どおりの役員構成とすることが困難な事情があることから、あくまでも原則ということでございますので、適切な例外を省令でもって決めるということにしております。
制度の運用に当たりましては、実態調査を行うことなどによりまして、制度の趣旨を踏まえつつ、現場の実態を踏まえた適切なルールとなるように十分留意してまいりたいと考えております。
○村岡委員 普通のいろいろなこういう文言を書いて原則というと、原則だから、逆に言えば原則じゃなくてもいろいろな運用ができるんだなと考えますけれども、農家の方々は、それから農協の方は、比較的真面目なんですよ。ですから、あの二百億の米の体質強化なんかも、真面目というか、真面目なのはいいんですけれども、その文章どおり読むと使えないお金だと思って申し込んでいなかった人もいっぱいいるんですね。
そういう意味では、やはりどうしても、いろいろな改革をしていくときに、現場に対して説明不足だという認識を持っていただきたいんですよ。だから、予算をつけてもそれに申し込む人がいない、それから、いろいろな改革をしていくときに、不安になっている人がたくさんいる。ここで議論すると、この中では皆さんわかるわけですけれども、現場に行っての説明不足は、先ほどの中間管理機構の自己評価じゃないですけれども、自己評価では説明不足じゃないと思っていると思うんですよ、農林省の方々は。実は、説明不足なんですよ、いろいろな問題、混乱が起きているのは。
その認識を、ぜひ大臣、これから進めていくものは、農業が発展して、世界にも日本の農産物をやっていくという、目的として、また共通な目標としては、農業者の人たちもみんな賛成だと思うんです。
ただ、この説明不足は本当に認識してもらわなきゃいけない。もう説明していますよという自己満足の世界が、結果的に使われない、政策をよく理解していない、不満がたまる、こういうことになっているので、こういう政策でも、説明の仕方、また説明がちゃんと十分尽くされたかの部分も把握していってほしいんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○林国務大臣 これは、説明不足だという認識は少なくとも我々はしっかりしておるつもりでございまして、半年近く党に戻っておりましたけれども、そのときは党の調査会長の立場で、ここにいらっしゃる農水の幹部の皆様と口をそろえて、事あるごとに、説明が足らないと、農水省の事務方を督励しておりました。
実は、この間、衆議院では通させていただきました設置法においても、そういうことも踏まえて、やはり待っているんではなくてこちらから出かけていって、現場の方とチームワークを組んで、しっかりと説明をするという新しいことで、参事官ということも置いていこう、こういうこともしたわけでございます。
さらに、一般論としてはそういうことですが、農協改革でいいますと、どうしても昨年の六月に政府・与党でまとめたものをベースに、説明会、都道府県の県庁に対しては本省講堂でやりましたが、JAグループに対しては管内のJAグループの役職員対象にブロックごとに八カ所ぐらいやっておりますが、あの時点での説明でございまして、その後、ことしの冒頭に、政府・与党で調整をして、団体とも調整をしてまとめたものを今まさに法案としてお出ししているということでございますので、この法案を成立させていただいた暁には、また最終的な細かい内容についてもしっかりと説明をしていかなければならない、こういうふうに思っておりますが、その間においても、あらゆる機会を通じて、しっかりと、どういう考え方でこれをやろうとしているのかということは機会を捉えて説明をしていきたいと思っておるところでございます。
○村岡委員 大臣も与党の農水関係の先生方も、そういう認識がある。
農水省もお持ちですか。農水省が持っていないと、それぞれ議員の方々から説明不足だと言われたときには、これから説明します、これは何年も前から続いているのです。別にそれは責めているわけじゃないんです。やはり新しいことをやるときにはしっかり説明していく、その説明不足だったという認識を責めているわけじゃないです。その認識を持っていただきたいんですけれども、農林省の方はどうでしょうか。
○奥原政府参考人 そこは大臣からもいろいろ御指示いただいておりますし、我々自身、仕事を進める上で、そこについてはいろいろな反省点を持っております。
ある意味、政策をつくって、これが現場に浸透して初めて意味を持ってまいりますので、今回の中間管理機構はまだ数字が大きく上がっているわけじゃございませんので、こういうことも現場に徹底するために最大限の工夫をしていきたいと考えております。
○村岡委員 農協改革の中身はこれから審議していきますけれども、一つ一つこの農水委員会で我々に説明するのはもちろんですけれども、しっかりと現場が理解できる説明をしていくという努力をしていかなければ、農協法の改革に関しても、農業の再生にしても、でき得ないと思いますので、そこはよろしくお願いします。
きょうは、時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
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○江藤委員長 次に、内閣提出、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案及び岸本周平君外三名提出、農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
これより順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣林芳正君。
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農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○林国務大臣 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
政府においては、農林水産業・地域の活力創造プラン等に基づき、需要フロンティアの拡大、需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築、生産現場の強化等の農政改革を進めてきたところでありますが、これらの改革が成果を上げるためには、政策を活用する経済主体等が積極的に活動できる環境を整備していくことが必要不可欠であります。
こうした観点から、平成二十六年六月に閣議決定された規制改革実施計画及び「日本再興戦略」改訂二〇一四を踏まえて、農業協同組合、農業委員会及び農業生産法人に関する制度の一体的な見直しを行うこととしたところであります。
次に、これらの法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、農業協同組合法の一部改正であります。
まず、農業協同組合の事業運営原則を明確化し、農業協同組合が事業を行うに当たって農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならないこととするとともに、農畜産物の販売等の事業の的確な遂行により利益を上げ、その利益を事業の成長発展を図るための投資や事業利用分量配当に充てるよう努めなければならないこととしております。
加えて、自主的組織としての運営を確保する観点から、農業協同組合は、事業を行うに当たって、組合員及び会員に利用を強制してはならないこととしております。
さらに、農業所得の増大に資する責任ある経営体制の確立を図る観点から、農業協同組合の理事の過半数を、原則として認定農業者または農産物販売、法人経営に関し実践的な能力を有する者でなければならないこととしております。
また、農業協同組合及び農業協同組合連合会は、その事業を対象者のニーズに応じて適切に運営する観点から、必要な場合には、その選択により、新設分割や株式会社、一般社団法人、消費生活協同組合及び社会医療法人への組織変更ができることとしております。
昭和二十九年に農協の経営指導により農協組織を再建するために導入された農業協同組合中央会制度については、これを廃止して自律的な制度に移行することとし、都道府県農業協同組合中央会は農業協同組合連合会に、全国農業協同組合中央会は一般社団法人に、それぞれ移行することができることとしております。
また、一定規模以上の信用事業を行う農業協同組合等は、今後、安定的に信用事業を継続できるようにするため、公認会計士または監査法人による会計監査を受けなければならないこととしております。
第二に、農業委員会法の一部改正であります。
まず、農業委員会の事務として、農地等の利用の最適化の推進に重点を置くことを明確にしております。
次に、農業委員の選出方法について公選制を廃止し、市町村長が市町村議会の同意を経て任命する方法に改め、農業委員の過半数は、原則として、認定農業者でなければならないこととしております。
さらに、農地等の利用の最適化を推進するため、農業委員会は、担当区域において農地等の利用の最適化の推進のための活動を行う農地利用最適化推進委員を委嘱することとしております。
また、都道府県知事または農林水産大臣は、農業委員会相互の連絡調整等の農業委員会の支援業務等を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、都道府県または全国に一を限って、農業委員会ネットワーク機構として指定できることとしております。
第三に、農地法の一部改正であります。
農業の六次産業化を促進する観点から、農地を所有できる法人の要件のうち、役員の農作業従事要件について役員等のうち一人以上の者が農作業に従事すればよいこととするとともに、議決権要件について農業者以外の者の議決権が総議決権の二分の一未満まででよいこととしております。
このほか、農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫及び特定農水産業協同組合等による信用事業の再編及び強化に関する法律を改正するとともに、農業倉庫業法を廃止する措置を講ずることとしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○江藤委員長 次に、提出者小山展弘君。
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農業協同組合法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○小山議員 民主党提出、農業協同組合法の一部を改正する法律案について説明いたします。
我々民主党は、本年一月十三日、農林水産委員会の閉会中審査で、全国農業協同組合中央会、全中の監査制度をいじることでなぜ農家所得が向上するのかと農林水産大臣に質問いたしました。あれから四カ月、何度も同じ質問をしてまいりましたが、今に至るまで一度も明確な答弁はいただいておりません。
また、中央会が地域農協の自由な経営を妨げている具体例を示してほしいと質問をいたしましたが、今に至るまでただの一例も示していただいてはおりません。
さらに、准組合員は悪だといったステレオタイプの批判のもと、事業をばらばらにしようとする政府・自民党の改革案は、農家の所得向上や経営の安定にはつながらない、改革のための改革だと断じざるを得ません。
そこで、我々民主党は、真に農家の所得向上と経営の安定につながる総合パッケージとして、去る三月二十七日に提出した農業者戸別所得補償法案等に加え、今般、我々の農協法改正案を対案として提出した次第です。
次に、主な内容について説明します。
まず、地域のための農協としての位置づけを明確にする規定を新設いたします。
我が国の農協は、総合農協として、農業の振興のみならず、金融を初めとしたさまざまなサービスを住民に提供し、地域社会で大きな役割を果たしています。
そこで、民主党案では、農業協同組合の行う事業が、住民の生活及び地域社会において重要な役割を果たしていることに鑑み、当該事業を通じて、豊かで住みよい地域社会の実現が図られるよう配慮されなければならない旨の規定を新設いたします。このことで、農業者のための農協という役割とともに、地域のための農協という役割を法律上明確に位置づけます。
また、農協の自主性が真に担保される規定を新設いたします。
中央会の監査があるから地域農協の自主性が奪われるわけではありません。時の政府や政権が中央会や農協を利用して行政の下請をやらせてきたことが、農家の自由な経営を妨げてきた問題の本質であります。
そこで、民主党案では、国及び地方公共団体は、業務運営における組合の自主性を尊重しなければならない旨の規定を新設しています。
さらに、政治的中立性の確保についても規定します。
中央会や農協が特定の政党の立場に立つことは、多様な考えを有する組合員に混乱や分裂をもたらすばかりでなく、組織に対する誤解や偏見を生むおそれがあるからです。
加えて、現行法では、中央会が、組合の定款について模範定款例を定めることができるとされています。例えば模範定款例が、組合員資格について年間農業従事日数九十日以上と定めることで、地域の実態に即して柔軟に組合員資格を定めることが難しくなっている面があります。
そこで、中央会が模範定款例を定めることができる旨の規定を削除し、地域農協が自主的、自律的に正組合員の資格等を定めることができるようにします。
最後に、地域重複農協や都道府県域を超える農協の設立を容易にし、真に農家のメリットにつながる農協を実現するための規定を設けています。
政府案も、農協の設立要件を緩和するための対応を行っていますが、民主党案では、これらに加え、新設組合がその活動区域を定める場合、他の組合の活動地域と重複する地域や、都道府県域を超える地域を活動区域として定めることができるとの規定を設けています。
以上が、民主党提出法案の内容であります。
真に農家と地域のためになる内容となっておりますので、徹底審議の上、可決いただきますようお願い申し上げ、提案理由の説明とさせていただきます。
○江藤委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時十四分散会