衆議院

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第13号 平成27年6月2日(火曜日)

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平成二十七年六月二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君

   理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    岡下 昌平君

      勝沼 栄明君    木内  均君

      鈴木 隼人君    瀬戸 隆一君

      武井 俊輔君    武部  新君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      橋本 英教君    藤丸  敏君

      古川  康君    前川  恵君

      宮路 拓馬君    森山  裕君

      簗  和生君    山本  拓君

      金子 恵美君    岸本 周平君

      小山 展弘君    佐々木隆博君

      福島 伸享君    井出 庸生君

      落合 貴之君   松木けんこう君

      稲津  久君    佐藤 英道君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   農林水産副大臣      小泉 昭男君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            櫻庭 英悦君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  松島 浩道君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (林野庁長官)      今井  敏君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局次長)        長谷川博章君

   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     石崎  徹君

  西川 公也君     木内  均君

  橋本 英教君     井上 貴博君

  古川  康君     鈴木 隼人君

  山本  拓君     岡下 昌平君

  井出 庸生君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     藤丸  敏君

  石崎  徹君     今枝宗一郎君

  岡下 昌平君     山本  拓君

  木内  均君     西川 公也君

  鈴木 隼人君     古川  康君

  落合 貴之君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  藤丸  敏君     橋本 英教君

    ―――――――――――――

五月二十八日

 農業改革の名による農業・農協潰しをやめ、地域を守ることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二〇一号)

 同(池内さおり君紹介)(第一二〇二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一二〇三号)

 同(大平喜信君紹介)(第一二〇四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一二〇五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一二〇六号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一二〇七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一二〇八号)

 同(清水忠史君紹介)(第一二〇九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一二一〇号)

 同(島津幸広君紹介)(第一二一一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一二一二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二一三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一二一四号)

 同(畠山和也君紹介)(第一二一五号)

 同(藤野保史君紹介)(第一二一六号)

 同(堀内照文君紹介)(第一二一七号)

 同(真島省三君紹介)(第一二一八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一二一九号)

 同(宮本徹君紹介)(第一二二〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第一二二一号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一二五三号)

 同(畠山和也君紹介)(第一二五四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七一号)

 農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出、衆法第二一号)


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     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案及び岸本周平君外三名提出、農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省食料産業局長櫻庭英悦君、生産局長松島浩道君、経営局長奥原正明君、林野庁長官今井敏君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君、法務省大臣官房審議官金子修君及び国土交通省土地・建設産業局次長長谷川博章君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤信太郎君。

伊藤(信)委員 おはようございます。自由民主党の伊藤信太郎です。

 私の思いは、どうやったら、農業者の収入をふやし、農村地域社会を活性化して、人口減少に歯どめをかけて、農業者、そして日本国民が本当に真に豊かさを感じられる、そういう農業、また地域社会、日本という国をつくっていけるか、そういうことであります。

 そういった観点から、議題となりました農協法等の一部を改正する法律案についての質問をさせていただきたいと思います。

 本改正案では、農業協同組合の事業運営原則の明確化ということがうたわれておりまして、組合員及び会員のための最大の奉仕というものが最初の組合の目的として示されているわけでございます。また、農業所得の増大に最大限の配慮ということが義務づけられておりますことや、高い収益性を実現、こういった目標も掲げられているわけでございます。

 本日は、この改正案が本当にそうしたことに資するものであるかどうか、その点を中心に質問させていただきたいと思います。

 本改正案では、農業協同組合連合会や各単位農協は株式会社化する選択というものが可能とされております。全国農業協同組合中央会の方は三年六カ月以内に一般社団法人化する、そしてまた各都道府県農業協同組合中央会は農業協同組合連合会に移行するということが示されております。

 そこで、全国農業協同組合中央会、いわゆる全中ですね、これが一般社団法人になるということでどのようなメリットがあるとお考えでしょうか。また、そのことによるデメリットがあるかどうか。想定されているかどうか。御質問申し上げたいと思います。

奥原政府参考人 中央会制度の関係でございますが、現在の中央会制度は、昭和二十九年に追加で導入をされた特別な制度でございます。単位農協、それから農協連合会が自主的に設立をされておりますのに対しまして、中央会は、これは昭和二十九年当時ですけれども、農協の経営が相当厳しくなりまして、貯金の払い戻しもできないというところが続出をいたしました。そのことを踏まえて導入をされた特別認可法人の制度でございます。

 そういう意味で、行政にかわって農協の経営なり事業を指導する、こういう役割を中央会は法的に与えられてやってきたわけでございますが、その当時と比べまして、現在の農協をめぐる状況を見ますと、農協の数も相当減っております。当時は一万を超えていたものが、現在は七百程度になっている。それから、経営も相当しっかりしてきている。こういったことを踏まえまして、今回、中央会につきましては、農協を会員とする自律的な制度に移行していただく、こういうことにしております。

 従来、農協法の中で、農協、それから連合会、中央会、これがそれぞれ規定をされていたわけでございますが、これからは、もともとの農協法の本来の姿に戻りまして、地域農協が中心となって運営をしていく、こういうことになります。

 したがって、地域農協の役員の方々が、従来以上に経営者としての責任を自覚して、農業者のメリットを大きくするように、創意工夫して取り組んでいただくことを期待している、こういうことでございます。

 それから、全中の場合には一般社団法人へ移行するということになっておりますけれども、一般社団法人ということになりますと、行政庁の監督を受けるということはなくなります。したがいまして、地域農協を適切にサポートする観点から、会員の範囲ですとか事業の範囲についても、定款で自由に決めていただく、こういうメリットがあるものというふうに考えているところでございます。

伊藤(信)委員 全中の経常収入の九割以上が賦課金によるもので、その多くは、全国農業協同組合連合会、全国共済農業協同組合連合会、農林中央金庫のものでございます。

 例えば、平成二十五年度の私の地元宮城県の農業協同組合中央会の収支を見ますと、総収入のうち六割超の六億二千万が、管内の単位農協と全国農業協同組合連合会、全国共済農業協同組合連合会等からの賦課金による収入となっております。

 そこで、全国農業協同組合連合会、いわゆる全農や単位農協が株式会社化した場合、全中や都道府県中央会の総収入のかなりの割合を占めております賦課金の収入はどのように変わると想定しているでしょうか。

奥原政府参考人 今回の改正によりまして、全国中央会の方につきましては一般社団法人に組織変更するという形になっておりますけれども、一般社団法人の場合には、一般社団法人法の第二十七条によりまして、社員からの会費の徴収、これができることになっております。

 それから、都道府県の中央会の方につきましては農協連合会に組織変更するという規定でございますけれども、農協連合会でございますので、農協法の第十七条に基づきまして、会員からの賦課金の徴収ができる、こういうことでございます。

 単位農協が組織を変更したり、あるいは全農が組織変更するということが選択肢として今回入れられておりますけれども、そうなった場合でありましても、一般社団法人となりました全中が定款において定める会員の資格を満たせば、会員としての会費を徴収することは当然可能でございますし、農協法で定める農協連合会の会員の資格を満たせば、これも会員としての賦課金を徴収することは可能でございます。

 組織変更後の中央会の費用につきましては、誰がどのように負担するかは、その事業の内容等に応じて、当該中央会とその会員でよく話し合って決めていただく、こういうことになるものと考えております。

伊藤(信)委員 大変オプティミスティックな見解ですけれども、果たして、会費ということになると、賦課金と違って義務制や、あるいは組織のヒエラルキーの中での決定ではなくなるわけですね。そうした場合、一般社団法人化した全中あるいは連合会に移行した中央会の運営が行き詰まる、財政的に難しくなるということは想定していないでしょうか。

奥原政府参考人 全中それから県中が組織を変更するといたしましても、農協をメンバーとする組織であるということについては、基本的に変わりはないと思っております。

 今申し上げましたように、一般社団法人法あるいは農協法に基づきまして会費や賦課金の徴収はそれぞれできるわけでございますので、ここはそれぞれの中央会と会員の方々がよく話し合っていただく。どういう事業をこれからやっていくのか、それに当たって、その費用としてどのくらいを想定して、それをそれぞれどういうふうに負担するのか、こういうことをきちんと話し合ってやっていただけば、会員にとってメリットがある限り、その仕事はきちんとできるものというふうに思っております。

伊藤(信)委員 単位農協に対する全中による監査の義務というものが廃止されるわけでありますが、そのことで、単位農協の自主性や主体性というものが向上して、地域に根差したサービスや活動というものがよりできるようになるということが期待されているわけですけれども、それはどのような根拠によるものでしょうか。

小泉副大臣 今回の農協改革の中で、全中の監査の義務づけを廃止いたしまして、公認会計士の会計監査を義務づけることとしたわけでございます。

 これは、准組合員が農業者である正組合員を上回る状況となったこと、また、農協の数も、先ほどもお話がございましたが、七百の農協となりまして、一農協の貯金量の規模、これも平均一千二百九十億円と大きくなっているわけでありまして、中には一兆円を超える農協もございます。これらを考えまして、農協が信用事業を今後とも安定的に継続的に進めることができるように、他の金融機関と同様の会計監査の体制をとることが必要と判断をしたわけでございます。

 また、業務監査につきましても農協の任意といたしまして、地域農協が農産物の販売体制の刷新等を進めて農家の所得向上を図ろうとするとき、これは自由に能力のあるコンサルを選べる、こういうことにしたわけであります。

 これまで、一定規模以上の農協は、毎年必ず全中の会計や業務の監査を受けるとともに、中央会の会員であるか否かにかかわらず、全ての農協が中央会の指導の対象となっていた関係がございまして、全中監査の義務づけを廃止いたしまして、中央会も行政代行的に指導を行う特別認可法人から自律的な組織に変更することによりまして、地域農協の役員が従来以上に経営者としての責任を自覚して、農業者のメリットを大きくするよう、創意工夫し取り組んでいくことが期待されるわけであります。

 以上でございます。

伊藤(信)委員 都道府県中央会は、連合会に移行後も、単位農協の経営相談、総合調整等の役割を担うこととなっているわけですけれども、単位農協が農協から独立した監査法人に監査を依頼している場合、その監査法人と連合会との間の情報共有、連携というものはできるのでしょうか。また、どのような仕組みでできると考えていますか。

奥原政府参考人 今回の法律の中では、都道府県中央会につきましては農協連合会に移行することになっておりまして、仕事の中身としては、会員の要請を踏まえた経営相談ですとか監査、会員の意思の代表、それから総合調整、こういったことをやることになっております。

 この中で、都道府県中央会が連合会に移って行う経営相談でございますが、これは会員の求めに応じて行うものでございますので、例えば、その会員である農協が監査法人から指摘された内容、これにつきましても、会員からその提供を受けて、連合会に移行した県の中央会が相談に応じるということは当然可能でございます。

 それから、県の中央会から農協連合会に組織変更をする場合に、監査法人から指摘された内容については、必ず農協連合会の方に提供していただくといったことを農協連合会に対する加入の条件にするといったスキームもつくることができると思っております。こういったことをすれば、情報の共有ですとか連携、こういったことは十分できるものというふうに考えております。

伊藤(信)委員 全農が株式会社ということを選択した場合についてお伺いするんですけれども、どのようなメリット、デメリットがあるかということなんです。

 株式会社ということになれば、当然税制上の立場というものは変わってくると思います。法人税は高くなるでしょうし、それから資産償却税の扱いも変わってくる、要するに負担増が予想されるわけですが、このことに対して何らかの対処をお考えでしょうか。

奥原政府参考人 全農の株式会社への転換でございますけれども、今回の農協改革の中では、地域の農協を的確にサポートするという観点で、農業ですとか食品産業の発展に資するような経済活動を経済界とも連携して積極的に行っていく、こういった従来の業務を超えて新たな事業展開を戦略的に行うということが求められているところでございます。

 その観点で、選択肢として、全農についても株式会社に転換できるという規定が入ってございますけれども、株式会社にする場合には、協同組織としての性格に由来する農協法上の員外利用規制ですとか、あるいは事業範囲の制限、こういったものはなくなります。そういう意味で、民間企業と同じスキームのもとで取引を円滑に行うことが可能になる、こういったメリットがございます。

 一方で、株式会社ということになりますと、法人税等が会社と同率になる、それから独禁法が全面的に適用される、こういった問題もあるところでございます。

 ですが、税金の方の問題につきましては、これまでのところ、全農は法人税についてはここ数年は払っていないような状況でございますので、独禁法の方は、事業をこれからどういうふうにやるかということで、いろいろ戦略を考えた上で公取と相談をするといったことが必要になってまいりますが、当面、税金の方については大きな問題はないのではないかというふうに考えております。

伊藤(信)委員 今、独禁法の話が出たわけでありますけれども、独禁法の適用対象になるということで、米等の価格決定や価格交渉において抵触するあるいは不都合が生じる危険性はないでしょうか。

奥原政府参考人 株式会社に転換するということになれば、当然、独禁法は全面適用されるということになってまいります。ですけれども、現在全農が行っております、農協の販売委託を受けて農産物を販売する、あるいは生産資材を共同購入する、こういった事業につきましては、一般の事業者が行っている事業とほとんど同等でございますので、仮に独禁法が適用されたとしても、基本的には問題がないものというふうに考えているところでございます。

 これから先、全農の方が農業、食品産業の発展に資する新しい、積極的な事業を考えるということになりました場合には、その事業戦略を具体的に立てていただいて、その上で、必要があれば公正取引委員会と事前に相談をするといった対処が必要になるというふうに考えております。

伊藤(信)委員 株式会社となれば、やはり行動原理としては、利潤追求ということが行動原理となるわけですね。当然、株主への利益還元も考えなければならない。当然、生産者組合とは組織の性格そのものが大きく変わらざるを得ないということになります。

 そうなりますと、各単位農協また全農にとっても、お互いに相手の取引先のような関係になる可能性があるわけですね。そういった関係性において、究極の目的である農業者の所得の増大であるとかあるいは農村地域の振興に、どのように今回の改正が寄与できるかということについて御説明願いたいと思います。

林国務大臣 今回の改革で、全農については、地域農協を適切にサポートしていただくということで、有利販売のための大口需要者との安定取引の関係の構築をやっていただく、それから、農業、食品産業の発展に資する経済活動を、例えば経済界と連携して積極的に行う、こういうことが求められているわけでございまして、必要な場合にはそういう展開をするために農協出資の株式会社に組織変更できる、こういうふうになっているところでございます。

 組合であろうと株式会社であろうと、構成員、組合の場合は組合員ですし、株式会社になれば株主ということですが、この構成員の利益になるよう的確に事業を運営すべきということは変わらないわけでございます。

 株式会社になりますと出資配当が原則となりますが、農協は出資配当には法定上限がありまして、配当は利用高配当を基本としている、ここが違うわけでございます。

 全農もしくは地域農協を株式会社にされるとしても、株主は現在の出資者である農協、農業者の皆さんということになりますから、出資者たる農業者、ひいては農村の利益に資するように運営されるのが当然である、こういうふうに考えております。

 株式会社に組織変更するかどうかは、全農の会員である農協等の判断による、こういうことでございます。

伊藤(信)委員 その出資者なんですけれども、株式ということになれば、農業者以外、あるいは農村地域以外の資本流入、また外国資本の流入ということもある意味では拒めないのではないかと思いますが、この点について何らかの対処というのはお考えでしょうか。

小泉副大臣 御指摘の部分でございますが、全農等が株式会社に組織変更する場合、株式は、現在の出資者である農協や連合会、特に農協が株式会社に組織変更する場合には出資者である農業者等に割り当てられることから、組織変更当初は、株式会社の意思決定は、株主である農協や連合会によってとり行われることとなります。

 しかしながら、会社法上、一般的に、株式は譲渡可能であるために、農協等がこれを第三者に譲渡していけば、第三者の株式が増加するわけでありますので、農協や農業者の意向が及ばなくなることもあり得るわけであります。

 会社法におきましては、株式に譲渡制限をかけることもできることとなっておりますが、今回の改正に当たりまして、組織変更計画の記載事項として、農林水産省令において、組織変更後の株式会社の発行する株式を譲渡制限株式とすることを定めたことによりまして、このような懸念がないようにしていきたいと考えております。

伊藤(信)委員 次に、単位農協についてちょっとお聞きしたいんです。

 単位農協も株式会社化できるということになっているわけですけれども、御案内のように、単位農協というのは、生産者組合としての役割だけでなくて、地域住民の生活インフラとして非常に大きな機能、役割を持っているわけですね。それらを利用する住民は、必ずしも現在は農業者ではありません。

 しかし、そういった方々も、そこで生活し、経済活動を営むことで、農村社会を守るという役割を担っているわけですね。また、自治体も、農業者、農協との連携というか関係の中で農村を守っているわけです。

 株式会社の性格上、これまで農協が果たしてきた公共的な役割、特に地域の生活インフラの整備、維持といった役割を継続できなくなる、そういう懸念はないんでしょうか。

奥原政府参考人 現在の地域農協は総合農協でございますので、いろいろな事業をやっていただいておりますが、事業の対象者の方も、担い手農業者がいらっしゃり、兼業農家もあり、それから、准組合員や単なる地域住民の方々もいらっしゃいます。対象者も非常に複雑化をするという中で、一つの農協がそれぞれのニーズに応じまして事業を適切に運営するという観点で、事業の内容や対象者に応じて、適切な組織形態を選択できるようにするということも必要ではないかというふうに考えております。したがって、必要な場合には、選択によって農協の組織の一部を株式会社に組織変更できるようにする、あくまで選択でございますが、こういった規定を今回入れております。

 地域農協が株式会社になった場合には、法人税等が会社と同率となりますし、それから、独禁法の適用除外ということはなくなりますけれども、一方で、員外利用規制を受けることがなくなりますので、地域住民に対して必要なサービスを提供しやすくなるといった側面がございます。それと、事業範囲の制限もなくなる、こういった側面もあるというふうに思っております。

 御指摘のとおり、農協が、実際上地域のインフラとしての側面を持っているというのは事実でございますけれども、組合員でない地域住民に対しても、今後ともサービスを適切に提供していくという上で、必要な場合、特に農協法に基づく員外利用規制ですとか、そういったものがネックになる場合には、株式会社への転換が一つの選択肢になるものというふうに考えております。

伊藤(信)委員 農協が株式会社となりますと、理論上、現在農協がやっている複数の事業を行う株式会社が同地域にできることが想定されます。その場合、同様の事業を行う別会社と同地域で一種の競争関係になるわけですけれども、その場合、健全で公正な競争というのはどのように担保されるんでしょうか。

奥原政府参考人 健全な競争の観点でいきますと、農協であるかあるいは会社であるかにかかわらず、取引先との関係において優越的な地位にあることを利用して不公正な取引を行うということは、独禁法上禁止をされております。

 現在の農協法では、独禁法の適用除外はございますが、不公正な取引方法については適用除外になっておりませんので、農協につきましても、これがあれば違反ということになってまいります。

 例えば、農産物の販売ですとか、肥料、農薬の購入を強制する、あるいは、融資を行うに当たりまして農協から資材を購入することを条件とするとか、こういったことをやれば、優越的な地位の濫用、不公正な取引方法ということになりまして、独禁法上規制をされる、こういうことになってまいります。

 このことは、農協であるか会社であるかにかかわらず、共通でございますので、これによってきちんとした公正な競争が行われるというふうに考えております。

伊藤(信)委員 単位農協の収支を見ますと、私の地元、宮城県なんですけれども、宮城県の単協を見ると、信用事業、共済事業による収益が事業収益の多くを占めているんですね。大体五、六割なんですね。

 株式会社化するときは、信用事業、共済事業はできないので、切り離して、いわゆる経済事業といいますか、特に営農指導事業が期待されているわけですが、この営農指導というのはほとんど全部赤字ですよね。

 そうしますと、収益の少ない経済事業、営農指導を中心に株式会社になった場合、果たして経営というのは成り立つのだろうか、その点が大変疑問なんですけれども、この点についてお答えいただけますか。

奥原政府参考人 地域の農協の組織を分割してその一部を株式会社に転換する、これは選択肢で入れているわけでございますけれども、このときに主として想定をしておりますのは、農業の関係の仕事ではございません。農業の関係の仕事はまさに農協の最もメーンの仕事でございますので、これは協同組合としてきちんと続けていただくべきものと基本的に思っております。

 むしろ、想定をしておりますのは、地域のインフラとしての機能の側面でございます。

 例えば、農村部で現に農協が行っております生活購買店舗ですとかガソリンスタンド、これは組合員の方も当然利用されておりますけれども、組合員でない方、准組合員にもなっていらっしゃらない方もかなり利用されているという実態もございます。だんだんこの組合員でない方のシェアが高くなっていくといったことがあった場合には、今後とも地域インフラとしての機能を十分に果たすためには、員外利用の規制がかかる農協よりも、ほかの組織形態を選んだ方がサービスが提供しやすい、こういうことがあるわけでございますので、そういった観点でこの選択肢を入れている、こういうことでございます。

伊藤(信)委員 最後に、農業委員会等についてお伺いします。

 確かに農業委員会は公選制になっているんですけれども、私の地元でも、前回、十六委員会中、実際の選挙は四委員会です。全国で見ても、千十五のうち八十三委員会しか実際の選挙は行われておりません。そういう意味では、公選制というものに問題があるのは事実なんですが、他方、今度の改正で首長による選任のみで選ぶという場合、首長個人の恣意性とかあるいは政治的中立性というのはどのように担保されるんでしょうか。恣意性の排除ですね。

奥原政府参考人 農業委員会の関係でございますが、農業委員会は、農地に関する市町村の独立行政委員会でございます。担い手への農地利用の集積、集約化、それから新規参入の促進、あるいは耕作放棄地の発生防止、解消、こういった仕事をやっていただいているわけでございます。

 今回の法案では、適切な方が確実に農業委員に就任できるようにするという観点で、公選制から、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に改めるということにしておりますが、これに関連しまして、法律の中では幾つか工夫をしてございます。

 農業委員の選出につきまして、議会の同意のほかに、あらかじめ地域からの推薦を求めたり、あるいは募集を行うということ、それから、推薦を受けた方あるいは募集に応募された方についてはその情報を整理して公表するということ、それから、市町村長の方では、推薦や募集の結果を尊重しなければいけないということ、こういったことが法律の九条のところに書いてございます。

 こういった措置を講じることによりまして、市町村長が、合理的な理由なく、恣意的に委員を選任することは非常に難しいという仕組みになっているというふうに考えているところでございます。

伊藤(信)委員 今回の非常に大きな改正につきましては、その効果あるいはその影響について、よくわからない、不明瞭さを感じている農業者の方が非常に多くいらっしゃいます。また、急激な制度改革がもたらす現場の混乱、それから、それに伴う我が国の農業の弱体化を心配する声もあるわけですね。

 私たちは、未来に責任を持つ政治を進めなければなりません。それには、問題を先送りせず、農業者を初めとする利害関係者、国民の理解と納得を得ることが必要であります。ぜひとも、本委員会審議を初めとして、あらゆる機会を通じて、丁寧な説明と幅広い意見聴取に努め、政府として、我が国の農業をしっかり守り発展させていくという強い意思を、農業関係者そして国民の皆さんにお示しいただけるようにお願い申し上げて、私の質問を終えさせていただきます。

江藤委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 おはようございます。公明党の石田祝稔です。

 まず、私は、法案の話に入る前に、口永良部島の件でちょっとお伺いしたいと思います。

 六月一日に私が政府からいただいた資料の中には余り農林水産省関係のことが書かれておりませんが、被害状況の掌握と、これからどういう対応をとっていかれるのか。

 ちなみに、ちょっと申し上げますと、農林水産省の対応という政府からいただいた書類の中では三項目書かれており、総理指示を徹底、職員を派遣して情報収集、それから、家畜の飼養頭数等を確認し、緊密に県と連携をとる、こういうことしか書かれておりません。

 これは、その後、被害状況を掌握して、対策というのはどういうふうにとられる予定なのか。これは大臣にお伺いをいたしましょう。

林国務大臣 口永良部島の農業ですが、肉用牛の飼育が中心で、耕地のほとんどで飼料作物が作付をされておりまして、このほか、カンショ等の作付が行われているということでございます。

 五月二十九日の噴火に伴う農作物や農地の被害状況については、現在、全島避難中のために、まだ把握をできていないということでございます。

 畜産についてですが、鹿児島県によりますと、現在、口永良部島には肉用牛が六十頭、それから豚が一戸二十五頭、鶏が二戸三十一羽、馬が一戸一頭、こういうふうにおられるようでございます。

 牛と馬は放牧でございますので、水及び餌となる草が十分にあるということですが、豚や鶏については舎飼いでございまして、定期的な給餌が必要な状態であって、ニュースでもやっておりましたが、昨日も、一時帰島した方が給餌を実施した、こういうふうに聞いております。

 家畜への対応については、飼養者の皆さんの御意向を聞きながら、鹿児島県と屋久島町で検討をされておられると聞いておりまして、我が省としても、飼養者等関係者の安全をまずは第一とした上で、鹿児島県や町と緊密に連携をして協力をしていきたいと思っております。

石田(祝)委員 済みません、ちょっと確認をします。

 政府が一括して出している内閣府の防災担当の資料には余り詳しく書かれておりませんが、経営局からは二十九日付をいただいておりまして、これは、大臣の御答弁とちょっと違うんじゃないかというのは、肉用牛が九十頭になっているんですね、もらっているのは。豚のことは全く書かれておりません。ですから、私は、ちょっとどうかなと思ったのは、島民の方が一時帰島されて、豚に餌をやれてよかった、こういうお話もあって、あれ、豚のことは書かれていないな、こういうことで今お聞きをしたところであります。

 肉用牛の頭数も相当違っておるんですが、これは大臣の御答弁が正しいとは思うんですけれども、確認できますか。

奥原政府参考人 実際の頭数等につきましては、県庁と連絡をとりながら最新の情報をもらうようにしておりますので、ちょっと時点時点で変わってきているかと思いますけれども、先ほど大臣からお答えしたのが、現在、県から聞いている最新のデータでございます。

石田(祝)委員 局長、こういうことは言いたくないんだけれども、わずか数日で、時点時点で三十頭も変わるんですか。もうちょっと丁寧な答弁をした方がいいんじゃないですか。何で三十頭も変わっちゃうんですか、一日、二日で。ちょっとそれは、日ごろ精緻な答弁をされる局長らしからぬ御答弁じゃないかと。

 頭数を争うわけではありませんけれども、生き物というのは、常々言われているのは、口のあるものは大変だ、餌をやらなくちゃいけない、こういうことでありますし、島民の方々が先行きがなかなかわからない中で、肉用牛を飼っている人、豚を飼っている人、また、作物を育てている人、それぞれ大変な思いをしておりますから、特に農林水産省もそれを酌み取って、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 きょうは、農業委員会について主にお聞きをしたいんです。

 これは、まず、大臣にお伺いをしたいんですけれども、今回、公選制から選任制に変わった、こういうことで、先日も、農業委員会の大会に私も出席をさせていただきまして、特に意見を聞く時間まではおりませんでしたが、大臣の御挨拶もお伺いをしたところです。

 そういう中で、農業委員の方々が、大会が終わった後、ちょっと私の部屋にも要望ということでお見えになって、やはり、お聞きをすると、公選制ということで、公職選挙法にのっとって選ばれているということが一つの誇りになっている、こういうお話で、これは当然、私たちが与党の中で議論をするときも、そのことをどう受けとめるか、こういう議論もあったわけであります。

 今回、選任制で、推薦制と応募制ということになりますけれども、それに基づいて市町村長が議会の同意を得て任命する、こうなっていますが、農業委員の方々、これは、やめた後も守秘義務があるという、ある意味では重い仕事でもあるわけですけれども、それがやはり誇りを持ってやれるということについて、公選制は今回法律でなくすということになっていますけれども、それにかわるものを、大臣としては、何か、こういうことで誇りを持ってやっていただけるような仕組み、また、そういうものはお考えなのかどうか、お伺いをしたいと思います。

林国務大臣 実は私も、大臣に就任する前から、全国で大会がありますと、地元の山口県から出てこられた皆さんと一緒に食事をするというのをずっとやっておりまして、当日もそういう機会があったわけでございます。やはり、今おっしゃったようなお話や、それから今までやってこられたこと等々、また、現場の農業の状況等もいろいろ聞くことができたわけでございます。

 まさに、適切な人物が確実に農業委員に就任をするということで、今回は、制度的に、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制ということに改めたところでございますが、首長さんが、まず、あらかじめ地域から推薦を求める、それから募集を行う、推薦を受けた方々や募集に応募した皆さんに関する情報を整理して公表する、さらに、その結果を尊重して委員を任命しなければならないということを、九条でございますが、明記をする、こういうことにいたしました。

 これは農業委員会法で独自に工夫した方式でございまして、推薦もしくは公募の皆さんの氏名や農業経営の内容等農業委員としての資質を備えているかを判断するための情報を公表した上で選任されるということで、選ばれた場合には、これまで同様に誇りを持って取り組んでいただけるのではないか、実際に運用していくときにも、そういうことに意を用いてやっていきたいと思っております。

石田(祝)委員 先ほど申し上げましたように、最適化推進委員も農業委員もともに守秘義務というんですか、職を離れた後も秘密を守らなくちゃいけないという、ある意味でいえば大変大きなプレッシャーをずっと持ちながら、感じながらやっていかなきゃいけませんので、誇りを持って委員としてやっていける、私は最大限配慮していくべきだというふうに思っております。

 それで、このことについてちょっとお伺いをしたいんですけれども、私も見させていただきますと、この法律案が重いんですよね、重さも重いんですけれども中身も重いということだと私は思いますけれども、第八条で、農業委員の定数は条例で定める、こういうふうになっていますね。そして、第九条の第一項で、あらかじめ、農業者、農業者が組織する団体その他の関係者に対して候補者の推薦を求めるとともに、募集をしなきゃならない、こういうことを書かれておりまして、第三項では、募集の結果を尊重しなければならない、こういうことを書いておりますけれども、これは私はちょっと疑問に思うので、お答えをいただきたいんです。

 定数を条例で決めるということは、数が決まるわけですね。そうすると、推薦をされた方、そして募集に応じて手を挙げられた方、こういう方が定数を超える可能性があるわけですね。そのときに、一項の結果を尊重しなければならないというのをどう読むのか。

 ですから、二十人というふうに定数を決めて、推薦が十五人あって、手を挙げた方が十人いたら二十五人になるわけですね。そうすると、定数を超えるわけなんですけれども、そのときに、要するに、推薦者と応募者、これを尊重しなくちゃいけない、これしか書かれておりませんけれども、これは具体的に、定数を超えたときにどうするかということはどうお考えになっているか、お答えをお願いします。

奥原政府参考人 これは推薦とそれから募集を行うということになっておりますが、それは、場合によっては、推薦、募集の方々の数がその地域の農業委員の定数を上回るということも当然あり得ることでございます。

 このときに、どうやって適切な選任が行われるようにするかというのは一つの重要なポイントだと思っておりまして、法律に書いてございますのは、先ほど先生言われましたとおり、その結果を尊重するというところまででございますけれども、例えば、いろいろな手続を入れていく、これはこれから決めていくことになりますけれども、その候補者に関しまして必要な情報を公表した上で地域の関係者の意見を聞く機会を設けるとか、一定のプロセスが必要ではないかというふうに考えております。

 一律に推薦された者の方を優先するということが適当とは思っておりませんが、制度の運用に当たりましては、現場が混乱しないで、かつ適切な方がきちんと選任されるように、そこのルールにつきましてはよく検討していきたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 これから検討されるということでありますけれども、やはりそういうところを心配なさっているわけですね。

 農業者または農業団体から推薦された人と、自分がやりたいよと手を挙げた人、そういう人が、どういう経歴を持っていて、どういう考え方を持っているかというのはここで整理されるだろうと思いますけれども、そのときに、団体から推薦をされた、例えば今まで農業委員として務められていた方、そういう方が選ばれない可能性もこれは出てくるわけですね。ですから、そこのところで私がちょっと心配するのは、市町村長さんが恣意的に選ぶことがあってはならない。

 これはなぜかと申しますと、今回、農地の転用の許可、これは国から、認められた市町村長に渡すことになっていますね。ですから、私が大変心配しているのは、市町村長さんが転用の許可権限を持つ、さらに、農業委員の方もある意味では自分が選任をする、野球でいったら、ピッチャーとアンパイアを一緒にやるようなことになっては困るということで申し上げているわけですので、ここのところはこれからの、法律が通った後のお考えかもしれませんけれども、そういう心配がないようにぜひお願いをいたしたいというふうに思います。

 それから、第八条の件でありますけれども、この第八条に、年齢、性別等に著しい偏りが生じないようにしなければならない。これは、議論の中で私たちも、やはり女性の方や若い方の意見が反映されるように、こういうことで申し上げて、入れていただいたわけであります。

 この年齢構成は、平成二十五年の十月一日、六十歳以上七十歳未満が二万名、全体総数の約五五%を占めていて、四十歳未満は百六十八名で一%もいない、こういう状況でございます。また、女性の農業委員数は二千二百四十九名で、全体の六・三%、こういうふうな状況でございますけれども、例えばこれで、女性の枠だとか、また、ある一定の青年、青年といっても何歳を区切りにするかというのはありますけれども、これは一種のクオータ制みたいなことは考えられないのか。これについてはどういうふうにお考えでしょうか。

 著しい偏りが生じないように配慮しなければならないということで、これは大きくくくっているわけでありますけれども、実際にブレークダウンをして市町村長のところに行くと、それぞれが推薦されたり応募された方を選んでいくということになりますから、実質、偏りが生じないということに反するようなことも出るんじゃないかと思うんですけれども、ここのところは、ある意味では明確な枠をつくるとかいうお考えはありますでしょうか。

中川大臣政務官 石田先生御指摘のとおり、農業委員の平均年齢は六十四歳でありますが、基幹的農業従事者に占める四十代以下の農業者は約一割でございますが、農業委員に関してはわずか三%、おっしゃるとおり、全国で百六十八人。女性の割合が四割であるのに対して、委員が七%ということになっておりますので、青年や女性の意見が十分反映されるものになっていない状況であるというふうに思います。

 このため、昨年六月の政府・与党の取りまとめでは、「女性・青年農業委員を積極的に登用する。」との文言が盛り込まれたところでございます。

 これを踏まえまして、今般の改正では、市町村長が農業委員を任命するに当たりましては、年齢、性別等に著しい偏りがないように配慮することとしています。

 それぞれの地域内での農業者の性別、年齢別構成を踏まえた上で、各地域で工夫をして、女性や青年農業者も適切な人数を任命するようにしていただきたいと考えておりまして、あらかじめ女性や青年の定数の枠を設け、その枠だけ満たせばよいといった運用は適当ではないと考えています。

 農林水産省といたしましても、法案成立後、この規定の趣旨を周知徹底し、各地で青年や女性が推薦を受け、また、公募に応じるように働きかけてまいりたいと存じます。

石田(祝)委員 ぜひ趣旨が生かされるようにお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 時間がないので最後になりますけれども、ちょっと角度を変えまして、国土調査、地籍調査、また、境界確定についてお伺いをしたいと思います。

 これは東日本大震災のときもそうでありますけれども、要するに、もとの地籍がはっきりしていないということで、これが大きく動いたときに全くわけがわからなくなってしまった。ですから、もともとのものがあれば、何センチ動いたからと復元をして、大体こういうことだろうというのがわかるんですけれども、これが非常におくれております。

 これについては、国交省がやっている部分と、都市部の地図混乱地域を法務省がやっている、また、林野庁は山林の方の境界の明確化、こういうものをやっている、こういうことでありますけれども、現状、予算を含めて、そして、これからどうするのか、どれだけふやしていくのか、こういうことを、国交省、法務省、林野庁、順次手短に御答弁をお願いします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 地籍調査は、市町村が実施主体となりまして、一筆ごとの土地の境界や面積などを調査し、明らかにしていくものでございます。この実施によりまして、地域づくりや災害発生後の復旧や復興の迅速化に役立つほか、取引の円滑化を通じまして、農地の集約化にも貢献するものと考えております。

 農地における地籍調査の進捗率は平成二十五年度末で七二%と進んでおりますが、都市部や林野部、山林部を含めました全国の地籍調査の進捗率は五一%にとどまっており、今後さらに促進することが必要であると考えております。

 このため、近年、厳しい財政事情のもとではございますが、国土交通省といたしましては、今後とも、引き続き市町村への財政支援を行うなど、地籍調査の促進に努めてまいります。

金子政府参考人 法務省が実施しております登記所備えつけ地図作成作業の現状と今後の取り組みについてお答え申し上げます。

 登記所備えつけ地図は、登記された土地の区画を明確にするものであり、これによって現地における各土地の筆界を特定するものであります。もっとも、現状におきましては、このような地図の整備が必ずしも十分ではないため、種々の弊害が生じていることから、法務省では登記所備えつけ地図の整備に努めてきているところでございます。

 具体的には、平成十五年の都市再生本部の方針を受けまして、都市部における地図混乱地域について計画的に登記所備えつけ地図の整備を進めてきたところでありまして、直近では、八カ年計画に基づき、平成二十一年度から平成二十六年度の着手分までで約百十一平方キロメートルについて整備が完了したところであります。

 本年度からは、登記所備えつけ地図の整備のさらなる推進を図るため、予算の手当ても含めまして、新たに本年度を初年度とする三つの作業計画を策定しまして、登記所備えつけ地図の整備を行うこととしております。

 具体的には、従来からの全国における登記所備えつけ地図作成作業を拡大して実施するとともに、大都市などその整備がおくれている地域や東日本大震災の被災地においても新たに登記所備えつけ地図作成作業を実施することとしておりまして、これらの計画に基づき、登記所備えつけ地図の整備を推進していく所存でございます。

今井政府参考人 林野庁の取り組みについてお答え申し上げます。

 林野庁におきましては、森林整備地域活動支援交付金という予算を措置いたしまして、森林組合等が森林所有者の所在確認ですとか境界の確認などの施業の集約化のために行う活動に対する支援を行っております。二十七年度におきましては、二億三千四百万円を予算措置しております。

 こうした予算を活用しながら、都道府県、市町村の林務部局あるいは地籍部局、そういうところとの情報共有などをしながら、森林境界の明確化活動と地籍調査が連携し、森林所有者や森林境界の明確化を推進していきたいと考えております。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 いよいよきょうから農協法等の改正法案の本格審議が始まりますけれども、改めて、先週、八人の参考人の皆さんにお話を聞いて、本当によかったなと思いました。それぞれに見識をお示しいただき、与党の推薦の方、野党の推薦の方、ともに本当に審議に役立つ発言をしていただいたと感謝を改めて申し上げたいと思います。

 しかし、聞けば聞くほど、私は、今回の改革が、何のための、誰のための改革なのかということがますますよくわからなくなったというのが正直な気持ちであります。大変重要な改革と呼ばれているわけですから、その趣旨、目的を明確にしていく、後世に恥じない改革案としてきちんと仕上げていくことが、与野党を超えた、我々農水委員会にいる者の責任だと思いますので、きょうは、改めて改革の目的を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、規制改革部局に質問いたします。

 安倍総理は、いわゆる岩盤規制ということで、さまざまな、長年続いてきた、特に民間の活力をそぐような規制については、それを、強い、かたいドリルで岩盤に穴をあけていこうということで、国内外でそういう発言をされておられますけれども、そもそも、安倍総理の掲げている岩盤規制とはどのような規制のことを指すんでしょうか。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 岩盤規制はもちろん法律上の用語ではございませんので、そういった定義があるわけではございませんけれども、現在、内閣において言及されます場合には、やはり、長年の間規制が行われており、そういった規制が時代の変化に必ずしも対応していないもので、かつ、長年あるがゆえになかなか改革が難しい、そういった規制を一般的に指すものと承知をいたしております。

玉木委員 岩盤だから、かたいんでしょうね。要は、なかなかあかないからこそ岩盤だし、長年続いてきたから岩盤ということなんだと思います。

 規制部局に引き続きお伺いしますが、農業分野における岩盤規制とは、規制改革会議等で議論される中で、具体的にどのようなものが象徴的な農業分野での岩盤規制としてこれまで政府として取り組んでこられたのか、お答えください。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 現行の規制改革会議におきましても、農業のワーキンググループを設けまして、さまざまな議論を行っております。

 その中で、農業のいろいろな規制をしている中の基本的な法律として、もちろん、今回御議論をいただいています三法の関係がございます。農協の関係もございますし、農業委員会の関係もございます。また、農地法の関係につきましても、例えば、最近は農地中間管理機構をつくるというようなことがございましたけれども、そういったさまざまな制度。一つ一つは当然理由があるわけでございまして、変えるべきもの、維持すべきものがあると思いますけれども、そういったさまざまな規制について議論をしてきているというところでございます。

玉木委員 抽象的で、よくわかりませんね。

 それでは、ちょっと言い方を変えます。

 資料の一をごらんください。

 総理がアメリカにいたとき、私もアメリカにいて、この演説は現地で聞いておりましたけれども、上下両院での歴史的な演説というふうに言われていますが、農業についてはさまざまなことをおっしゃっていて、こういうことを言っています。「私たちは、長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。六十年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。」

 よく六十年ぶりの改革というふうに言いますけれども、この六十年ぶりの改革というふうに総理がおっしゃる改革は具体的に何を指すのか、わかりやすく説明してください。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 農協法につきましては、御案内のとおり、昭和二十二年当時に制定されたものでございます。その当時の社会経済的な背景を中心に、背景といたしまして制定されたものと思っておりますけれども、そういった制度の基本的な部分については、これまで大きな意味での改正は行われてこなかった。もちろん、個別のいろいろな手当てはございましたけれども、そういった中で、今般、やはり農協制度の基本的な部分につきまして改正が行われたということを指しているというふうに理解をしております。

玉木委員 基本的な部分とは何ですか。

刀禰政府参考人 何をもって基本的な部分と申し上げるか、それはその方によっていろいろな解釈はあるかと存じ上げますけれども、今回の農協法案につきまして、一つは、農協の中央会及び県の組織といったものの見直しが行われますし、また、監査のあり方についても見直しが行われるものだと承知をしております。

玉木委員 組織のあり方、監査のあり方ということを言いましたけれども、もう一度お聞きします。

 六十年ぶりの改革ということは、六十年間さわらなかった規制があるということですよね。監査制度については、実は何度も見直しを行っていますし、法律の改正も行っています。

 もう一度聞きます。

 農協改革のうち、何が六十年ぶりの改革なのか、お答えください。

刀禰政府参考人 我々、規制改革の事務局でございますので、規制改革で議論が行われたことを中心にお答えさせていただくことになるかと思います。

 具体的な改革の全貌につきましては農林水産省からお答えいただくことが適切かと考えておりますけれども、農協改革の中で、今般の農協法の中では、経営の目的の明確化が盛り込まれておられますとか、また、農業者と農協との関係が、選ばれる関係を徹底していただくとか、また、責任ある経営体制をとっていただくとか、そのほかにも、全農の組織の関係、都道府県の中央会の関係、全国の中央会の関係と、組織の根本的な部分についてさまざまな改正が盛り込まれているというふうに理解をしております。

玉木委員 よくわかりません。

 六十年ぶりの改革とアメリカにまで行って打ち上げているもの、あるいは岩盤規制といって、本当に、例えば混合診療とかはよく厚生労働分野では言いますし、一部認められていますけれども、医療分野への株式会社の参入、こういったようなことについては非常に岩盤だと言われていて、これは安倍政権だけではなくて、この間、累次にわたって、規制を緩和することはなかなか難しいといって少しずつ緩和をされてきた分野だと思いますが、今の説明を聞いても、一体なぜ、今我々が審議しているこの農協等の関連法案の見直しが六十年ぶりの改革で、岩盤規制の改革なのか、わかりません。

 なぜ私はこういうことを申し上げるかというと、農林水産省で、各省庁で閣法をつくって説明するときに、要綱をつくったり、一枚紙で法律の概要のポンチ絵というのをよくつくりますね。これは資料にはつけておりませんが、私は前から指摘をしているんですが、法改正の目的というふうにまとめた中にこういうふうに書いているんですね。「地域農協が、自由な経済活動を行い、農業所得の向上に全力投球できるようにする」。

 政治家がどこかの演説で言う文書ならいいんですけれども、およそ行政のつくる公式文書の中に「全力投球できるようにする」ということが法目的というのは余り見たことないですね。余りにも抽象的過ぎて、一体これは何を指すのかということをこの間も聞いてきましたが、いまだによくわかりません。

 大臣にお伺いします。

 今、規制改革部局からいろいろな御説明をいただきましたが、私は腹に落ちませんし、多分ネット中継をごらんになっている農業関係者、農協の関係者は特にそうでしょうけれども、一体なぜこの改革を、法律改正をしているのか、ここで審議しているのか、よくわからないと思っておられる方が多いと思います。ですから、わかりやすくぜひ御説明をいただきたいと思います。

 中央会の監査制度について少し集中して質問をしたいと思います。

 中央会監査の見直しが今回の法律改正の大きな柱の一つになっていることは間違いないと思いますけれども、この中央会の監査制度を見直すことがどのように岩盤規制に穴をあけることになるのか、裏から言うと、どのような岩盤規制があるから、この中央会制度を見直すことによってその岩盤に穴があいていくのか、このことについてわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

林国務大臣 大変基本的な御質問をいただいた、こういうふうに思っております。

 この改革をずっと二年超にわたって進めてまいりましたけれども、私は党に帰っておって、調査会長として取りまとめをした最後の議論のところで、今委員から御指摘のあった、監査のあり方が最後に残っておりまして、そこに焦点が当たったものですから、見出し的にそこだけが出たという部分があると思いますが、実はその前に、農協の自己改革が秋に出されておりまして、その前の六月に全体的な農協や生産法人、農業委員会の取りまとめというのがなされております。その前に、実は官邸プランというのをまとめて、大きな農政の転換というのをやっていった。入れ子のように、これは全体として改革を進めていくのが大事だ、こういうふうにまず思っております。

 大きな背景としては、まさに農協法が制定された昭和二十二年、それから、たしか二十九年に今の全中の仕組みもできた、こういうふうに思っておりますが、そのときは食料が不足基調であった。したがって、いわばサプライサイドを中心にどうやってしっかりと量も質も確保していくか、皆さんが食べたいものが手に入るようにしていく、こちらが非常に重きを置かれておったということですが、現在、むしろ食料が過剰基調になっておりまして、私も含めてダイエットなんということを言う時代になってきた、こういうことでございますから、どうやって売っていくか、プロダクト・アウトからマーケット・イン、サプライサイドよりはディマンドサイド、こういうことをやっていくということで大きな改革をやってきたということでございます。

 その中で、大きな改革を進める中で、主体である農協、法人、農業委員会にもそれに対応して変わってもらわなければならないということにこの改革を位置づけなければ、まさに今、玉木先生からお話があったように、監査のところだけ取り出すとなかなか全体像は見えにくい、こういうことではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。

 またさらに、中央会については、制度発足時に一万を超えていた単位農協というのが、これは中央会の役割は果たされたということだと思いますけれども、七百程度に減少して、一県一JAも増加しているということ、また、信用事業については農林中金に指導権限が与えられているということで、制度発足時と状況が変わってきている、こういうことも踏まえて今回の改革をやった、こういうことでございます。

 全中監査が義務づけられておるということで、金融の監査をやる、それから業務監査もあるということでございますので、いわば、単位農協が独立した本社なのか支店なのかという議論を我々は党の中でもやりましたけれども、やはり社長であってほしい、支社長ではなくて社長であってほしい、こういうふうに我々は思っております。

 地域農協それぞれが、まさにどうやって所得を向上させていくかということを主体的に、いわば経営者的に考えていただく、こういうことをしっかりとやっていくことによって、農業者のメリットを大きくするように、それぞれ地域性に合わせて、創意工夫を持って取り組んでいただく、そういう環境をつくっていこう、こういうことにしたところでございます。

玉木委員 いつも頭脳明晰、答弁明瞭な林大臣が少しわかりにくかったですね、安保法制の安倍総理の答弁みたいに長くて。こういう説明はいつもいただいています。

 私があえて限定して質問したのは、実は、生産が少なくて、需要サイドが多くて、それが逆にひっくり返ったというのはきのうきょう始まったわけではなくて、もう私が生まれたころぐらいからそういう基調にはなっています。ですから、今回の改正、改革が本当に何のためにやっているのかということについては、もちろん、昭和二十年代から続いている制度を直していくのは、それは直すところは直したらいいと思うんですが、本当の法改正の目的が明確にあって、せっかくであれば、そのことにきちんと対応した改革をした方がいいと思うんですが、今の説明を聞いてもぴんとこないんですね。

 これから輸出をふやしていくことは大事です。私もそう思います。だったら、この委員会でも取り上げましたけれども、今、各県が、例えば同じ和牛であっても、いろいろな各県ブランドで出すことによって、向こうで受けた、例えばシンガポールとか台湾とか、何とか牛、何とか牛と言われてもわからないんですよね。それを、一定の品質の日本の和牛として一つのブランドにして、まずオール・ジャパンで一つのブランドとしてやっていくには、そういった全中なり全国組織がまとめていって、外に向かってはワンストップになるんだという機能がむしろ大事なのではないかと私は思うんです。

 それで、もちろん、各それぞれの県が本社だ、支店ではない、そのとおりかもしれませんが、外に向かって出ていくときには、全国で一つきちんとまとめていく組織というのは今日的な意義があるのではないか、むしろ、それにあわせて今日的な意義を付加していくことが改革の方向性として大事なのではないかと私は思っています。

 もう一度、監査についてお伺いします。

 監査制度の見直しは、私もやった方がいいと思います。ただ、これは、新聞にも議論の中にも、監査の見直し、全中監査の見直しと一言で言われますが、今大臣がおっしゃったように、大きく二つのものが入っています。会計監査と業務監査です。

 前者の会計監査については、私はむしろ規制を強化すべきだと思います。なぜなら、民間の金融機関と同じように、一般の人も相手にしながら金融業務をやるのであれば、それなりの金融の業界で通用するルールに従ってもらわなきゃいけないし、システミックリスクということを考えても、きちんとした第三者的、客観的な監査を入れるということは当然だと思います。

 ですから、我々の政権も含めて、そしてその前の自民党政権も含めて、会計監査の客観性、第三者性を高めろという議論は、それこそ規制改革会議を中心にずっとやってきました。このことを今回きちんと踏み出したことについては評価をしています。

 ただ、話をもとに戻しますけれども、何か監査が入っていて、それがあるから、がんじがらめになっていて、それで仕事ができないから、それをとると自由になるということで、ある種とっているのは、この法律の中では業務監査ですよ。業務監査については、確かに、ある種義務づけられたものが外れていきます。

 しかし、会計監査については、組織は外出しにして公認会計士を入れていく、第三者性を高める、どちらかというと、むしろそれは規制が強くなってくる。ただ、それが悪いとは言いません。

 だからこそ、附則に、新たな会計監査制度に移行することによって実質的な負担が生じないように配慮することということをわざわざ書いてあることは、新たな制度に移行することによってコンプライアンスコストは上がることが前提に法律もなっているからです。これは別に間違っていないと私は思います。だから附則があるんです。

 問題は、業務監査を外すこと。このことが、突き詰めれば、私は、六十年ぶりの改革の一つなのかなと法理的には思うんですね。

 ここで質問なんです。明確に聞きます。

 会計監査ではなくて業務監査、業務監査の義務づけを外すことが単協の自由度を高めることに具体的にどうつながるのか。もっと具体的に聞くと、今までの制度のもとで、全中の業務監査があったことによって、単協の自由な経済活動が抑えられていた例があれば、それをお示しください。規制部局でも、農水省でも、どちらでも結構です。

林国務大臣 まず、先ほど和牛の例が出ましたけれども、念のために申し上げておきますと、輸出の方は、まさに委員がおっしゃったとおり、WAGYUブランドということで、全国協議会をつくって、この間もロンドンでやってまいりましたが、そのことと全国で中央会というものが七百の農協全体をまとめるということは若干違って、それぞれの地域農協が、うちは和牛でいこうとか、うちは野菜でいこう、そういう意味での地域の特性ということを申し上げたというふうに御理解いただければと思います。

 今御質問の、中央会が単位農協の経営の自由を制約した事実があるのか、こういうことですが、これはあくまで農協側の主観的な受けとめ方である、それから、やはりJAグループの一員ですから、一員として、公然と発言しにくいということはあろうかと思いますが、我々が党で議論したときも、JAの皆さんからも当然ヒアリングをいたしましたが、JAの利用者である農業者の皆さんからも当然ヒアリングをさせていただいたわけでございまして、そういう方々の声を聞きますと、参考人でもそういう御意見があったかと承知しておりますが、いろいろな御意見があった、こういうことでございます。

 したがって、この問題を議論するときには、少なくとも、我々は、自民党の中では、JAの組合長のアンケートももちろん拝見をいたしましたけれども、さらにその先の農業者そのものの皆様の御意見も聞いた、こういうことでございます。

玉木委員 大事だと思うんですね。

 この前、参考人の意見を聞いて、ああ、そうだなと思ったんです。農業者からすれば、組合員からしたら、文句はいっぱいあるんですよ、地域農協に対して、あるいは都道府県中央会に対して。身近だから、特に、働きが最近悪くなった、昔はもっと小まめに来てくれたとか、いろいろなことも含めてあります。

 皆さんも覚えていらっしゃると思いますが、参考人の一人がこうおっしゃっていました。部会に入ると、インターネットのホームページさえつくれない。だめですよ。でも、それは単協の話です。

 もう一回聞きます。

 今回の農協改革の大きな柱の一つ、あえて紹介します。ことしの二月二日の予算委員会で、有村規制改革担当大臣は、六十年ぶりの農協改革によって中央会制度を新たな制度に移行すること、これが農業分野における岩盤規制の見直しと答弁しているんです。だから、中央会制度の見直しというのが今回の六十年ぶりの岩盤規制の見直しの柱なんですね。

 絞って聞きます。

 会計監査ではありません。今回、法律の中から確かにとれている業務監査が、単協の自由な活動あるいはその構成員たる農業者の自由な活動を阻害している、先ほど言ったようなホームページはつくれないとか、こういう例を一つでいいからお示しください。

林国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、自民党の中の会議でいろいろとヒアリングをやっておりますが、その中では、これはJAの組合の組合長の方ですが、圧力は、ここで言うようなことではないが、ここまでやるかという感じで大変である、こういう御発言がございました。それから、これは農業者の方でございますが、JAが指導される立場では自立はできない、今の組合長の多くは自立しようという思いもないという印象だ、こういう御発言をいただいたところでございます。

玉木委員 与党内の議論を一部御紹介いただきましたが、正確にもう一回お答えいただきたいんですが、その与党内の議論も、農業者とかあるいは組合長が、ここまでやるかというある種の制約や規制を受けたり、これは中央会からの指導なんですか、それとも全中からの何か縛りの結果そういう発言になっているのか、都道府県中央会の縛りによってそういう発言になっているのか、その点、大臣、与党内の議論をもう一度御紹介ください。

林国務大臣 これはそのときの発言でございますので、この発言は必ずしも全中なのか県の中央会なのかということを明示してはおっしゃっておられませんけれども、農協改革についてヒアリングをしたときの御発言でございます。

玉木委員 どうですか、皆さん。一体いかなる根拠に基づいてこの法律はつくられているんですか。もし今都道府県中央会だったら、都道府県中央会を徹底的に改革しましょうよ。でも、今回の法案では、全中については監査権限がとれますけれども、県中には残るんですよ、任意ですけれども。そこの問題点、つまり、お医者さんでいえば、一体どういう病状なのかという、それを正確に診断しなければ、正しいお薬を出せないじゃないですか、正しい手術ができないじゃないですか。

 今与党の話をお聞きしたので、政府側に聞きます。

 規制改革会議のワーキングの議論の中で、全中の指導あるいは監査、こういったことが現場の地域農協、単協、あるいは構成員たる農業者に対して具体的にどのような弊害があるのか、つまり、この法律の立法事実になるファクト、このことについてどのような具体的な発言があったのか、御紹介ください。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 通告がございませんので、私の記憶の範囲でお答えさせていただきますけれども、規制改革のワーキングの中で、委員が今直接言われた、そういった御発言があったかどうかは今記憶にはございません。

 ただ、いろいろと、我々規制改革会議のワーキングの中で議論をしておりました際にも、まさに先ほど農水大臣が言われたのと同様でございますけれども、農協の方ですとか農業者の方からいろいろなお話を伺ってまいりました。そういう中で、業務監査を受けている立場というものであれば、そういう監査を受けている立場が順番に回り回ってくる、そういう全国的な統一的な仕組みの中で、やはり個々の農協の、例えば組合長さんの経営意識というものは非常に弱くなっているというふうなお話は事例としてはございました。

玉木委員 正確にお答えください。そのお話は誰のお話ですか。

刀禰政府参考人 私の記憶でございますけれども、農協の組合長さんから伺ったときか、または農業者の方から伺ったときか、似たような話があったというふうに記憶をしておりますが、今手元に資料がございませんので、そういうふうにお答えさせていただきます。

玉木委員 次長、前任者の答弁をよく勉強されていますか、大川さんの。私は、もちろん細かい通告はしていませんが、この間の経緯について全部聞くというふうな通告をしています。私は、これは初めて聞く質問ではありません。ワーキンググループの中で、中央会の監査によって弊害があって、その結果、最初は中央会の廃止ということを規制改革会議は打ち出されましたけれども、そういった議論がワーキングであったのかというふうな私の質問に対して、一回もありませんでしたという答弁をされています。御存じですか。

刀禰政府参考人 前任者の発言を全て記憶しているわけではございませんけれども、冒頭申し上げましたとおり、先ほど委員が言われた、直接そのような発言はなかったものと記憶をしております。

玉木委員 直接な発言はないんですよ。

 今、これは重大な問題ですよ。これから本格的に、先ほどおっしゃった、厚くて重い法律を審議していく中で、改革の根本たる根拠、立法事実が、今聞いても、何かそんな話をどこかで聞きました、記憶はないけれども、何かそういう話があったと、風のうわさ程度で六十年ぶりの改革をしていいんですか。

 私は改革には賛成です、自分もやってきたから。農協にも多く問題があることは知っています。

 でも、繰り返します。

 診断が間違ってしまうと正しい薬が出せないし、場合によっては間違った手術をして、切ってはいけないところを切ってしまうかもしれないんです。

 だから、この点について、我々だけではなくて、農業者、そして農協の関係者の皆さんにも納得のできる説明をお願いしたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 私がさっきお答えしたのは風聞ではなくて、私はその場に、ヒアリングに立ち会ってお聞きをいたしました。お名前を出さなかったのは、お名前を出すということを前提にしてヒアリングをやっておりませんので、先方の御了解も必要になってくるので、お名前はあえて出しませんでしたけれども、事実、そういうことをおっしゃった方がおられたということであります。

 また、よく出されるアンケートについても、幾つかの組合の組合長からは、やはりそういう事実がある、こういうことでございまして、そういうヒアリング、また委員からも、よくそういう意見は聞くんだということがあったと思います。

 いろいろな皆さんの意見を聞いて、政府・与党として見解を取りまとめたというものを作業して、それを受けて、政府として成案を得た、こういうことでございますので、そういう御理解をいただければというふうに思います。

玉木委員 理解ができないんです。私は、いたずらに反対するつもりはないんですけれども、やはりきちんとした病状把握をしたいんですね。

 資料二に、私は何度もこれを出しましたけれども、日本農業新聞がアンケートしたら、九五%の組合長さんは、何か中央会が単協の自由度を妨げているようなことは感じないと言っています。これは水かけ論になりますから、組合長に聞いたら言うわけないじゃないかとか、農業新聞が調べたらバイアスがそもそもかかっているだろうとか、いろいろなことを確かに言われます。

 ただ、大きなトレンドというか、方向性としては、これは自分自身もいろいろなところを回ってみた実感なんですけれども、問題はもっと別のところにあって、中央会の業務監査があらゆるものの根源的な問題なんだ、少なくとも主要な問題なんだ、手術をして取り除かなければいけない問題だとは私は思えないんですよ。もし思える人がいたら、後で私に教えてほしいんですが、もちろん、名前を出せなかったり、農協組織の中で反対するようなことを言うのは難しいですよ。それもよくわかる。

 ただ、やはり改革をするためには、問題と事実を正確に把握してから前に進まないと、私は本当に責任ある審議ができないんです。

 なので、委員長にお願いしたいんですが、今、与党内、そしてまた政府内、正式にはないけれども、農業者や組合長さん等の、多分立ち話も含めて、いろいろなやりとりの中でそういう話を聞いたんだということは伝わりましたので、できるだけ、名前とか組織は出さなくても結構なので、この法律の根拠になる具体的な中央会の業務監査のデメリット、マイナス点、弊害、とりわけ自由な活動を妨げるような弊害についての事例を当委員会に提出してください。それに基づいて、もう一度質問したいと思います。

 ですから、最大限の努力をして、そうじゃないと、この法律は、本当に、どこがよくて、どこが悪いのか、どこが直すべきところなのか、私はわからないんです。

 ですから、ぜひこの点を、政府におかれては、時に与党の御協力もいただきながら、可能な限り資料を提出いただきますことを委員長にお取り計らいをお願いしたいと思います。重要なので、ぜひお願いします。

江藤委員長 私の職権の範囲内でできることはいたしますが、これは、参考人その他の方々との信頼関係もございますので、理事会等でも慎重に検討させていただきたいと思います。

玉木委員 これだけの改革をするので、一定の弊害の量があるはずなんですよ。全国に七百単協があって、ここに十ぐらいは確かにあったということなんでしょうけれども、改革をこれだけしようとしているわけですから、例えばドローンが官邸の上に落ちた、だから規制をしようということで、立法というのはある具体的な問題が生じることに対応するからやるんですよ。それには一定のインパクトと量が必要で、中央会は見直していくというんだったら、見直していけばいい。

 ただ、どういう問題があるからこういう改革をするんだということをやはりきちんと示すべき、これは政府の責任ですよ。政府は、立法府に対して、法律をつくって提案し、審議をお願いしている立場なんですから、それはできる限りお示しをいただきたい、改めてお願いしたいと思います。

 あっという間に時間が過ぎてしまっていますが、次に進みます。

 資料の三を見てください。

 私は、いつもこの法律を読んで不思議に思うのは、さっき言ったように、診断が間違っているんじゃないかという疑惑がある。でも、百歩譲って、その診断が正しいとして、中央会の監査制度等々を見直さなきゃいけない、中央会は昭和二十二年以来ずっといじくっていない制度なので組織も見直さなきゃいけない、そこに合意しましょう。合意した上で法律を見ると、手術をするすると言って、していないんですよ。

 資料三を見てください。

 本則で、法律を確かにこれは全部見ましたけれども、いわゆる中央会制度のところは、がさっと全部削除になっていますね。その意味では、中央会制度というのはまさに廃止されるんだ、これはなかなか大胆な改革をするなと思ったわけです。旧三章全削、全部削除されている。

 と思ったら、この右を見てください。今回の法律は附則が百十五条もあるわけですね。たっぷりついている。中央会制度は廃止といいながら、現に存する、今現行法の中である農業協同組合中央会は、新しくできる法律のもとでも「なお存続するもの」と書いています。附則の九条から十一条に書いています。

 加えて、中央会は、意見の代表とか総合調整することを主目的とする一般社団法人になれる。さらに、一般社団法人になった後も、全国農業協同組合中央会という名前は使えるとなっています。

 中央会を廃止する、でも、中央会は存続して中央会と名乗れる、これは何の改革なんでしょうか。百歩譲って、中央会をとにかくいじらなきゃいけないということに合意をしたとしても、結局、廃止していても残っているじゃないですか。何がしたいのかがよくわからない。

 中央会制度を廃止して、中央会という名前を使える。これは附則ですから、移行期間の三年間とか五年間とか既存の名前を使えるという経過措置を設けることは法律上よくあります。しかし、これは法律をよく読むと、一定の要件を満たせば永続的に中央会という名前を使えるので、全国農業協同組合中央会というのは残るわけですね。

 全国農業協同組合中央会を廃止するけれども、全国農業協同組合中央会を残す意義を教えてください。

林国務大臣 委員は、あるいはおわかりになってお聞きになっているのかもしれませんが、まさに、制度を廃止するということが今の第三章を削除するということでございます。

 今、委員が附則のところに触れられたのは名称でございますので、名称は、この中央会という名称を呼ばれてきた慣行がございますので、ここに配慮をして、看板まで全部、中央会というのを全部消せということではない。

 しかし、やらなければいけないことは、行政にかわって農協組織の指導を行ってきたこの農協中央会制度、これが改革をされるべきだ、こういうことでございまして、全中は自主的な組織である一般社団法人に変わる、したがって、強制力のある事業は行わないことになる、これが大事なところである、こういうふうに考えております。

玉木委員 いろいろな御苦労があったことは仄聞をしておりますが、やるならやるで、しっかりやったらどうですか、私は同意しませんけれども。ただ、中央会制度を根本から見直すと言ったのに、こういうやったふり、改革をしたふりというのはいかがなものか。

 どっちにしても、私はおかしいと思います。改革の方向性も間違って、さっきでいうと、診断も間違っている、でも間違った上で手術をしようとしたら、手術の腕も悪い。どっちも非常に中途半端になっているのではないかなというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってきたので、これも何度も聞いていて、いまだに明確な答えがないので、納得できないのでお伺いしますが、資料の四をごらんください。

 本年一月二十九日の衆議院予算委員会で、安倍総理はこのようにおっしゃっています。「農業の成長産業化に全力投球できるようにしていく観点から、」全力投球なんですね。「農業者の視点に立った農協の抜本改革を断行していきたい、」この抜本改革は、法律できれいに読み分けていくと業務監査の廃止なのかなと思いますが、今よくわかりませんでしたが、していきたいと。「こうしたことを行うことによって農業者の所得倍増を目指していきたい」、こういうふうにおっしゃっています。

 質問をします。

 農協の抜本改革の断行、とりわけ、中央会の業務監査の廃止と農業者の所得の倍増はいかなる関係にあるのか。正確に聞きます。何度も林大臣と議論をさせていただきましたが、農業・農村の所得の倍増ではなくて、議事録に残っていますが、安倍総理は農協の抜本改革の断行が農業者の所得の倍増につながるかの答弁をしておりますが、中央会制度の見直し、とりわけ、業務監査の廃止と農業者の所得倍増との関係、メカニズム、因果関係について御説明ください。

林国務大臣 先ほど冒頭で申し上げましたように、全体の需要フロンティアの拡大、バリューチェーンの構築、生産現場の強化、これをやらなければいけない。そのために、昨年の夏に、これに対応して経済主体の改革もしなければならない、それに呼応して、全中、農協グループの自己改革というのが出てきて、最後に、ことしの頭に、今の監査、業務監査も含めたところのことをやったということですから、業務監査一点をもって農業所得の向上を目指そうということを我々は申し上げているわけではないわけであります。

 したがって、全体の農政改革の中で農業所得の向上をやっていこう、そのためには、経済主体の改革も必要であるし、経済主体の改革の中の農協の改革も必要である、農協の改革の中の監査も必要であるし、監査の中の業務監査の改革も必要である、こういう論理関係にあるわけでございます。

 したがって、今回の一連の改革を進めていく中で、地域農協が農業者にとって最も身近な経済主体でありますから、農業者や農協の役職員に徹底して話し合いをしてもらって、役員体制をどうするか、販売方式をどうするか、これはそれぞれの地域農協でその地域に合ったものをやっていただく、それがもっとやりやすい仕組みを整えるというのが今回の農協改革の趣旨でございますので、それをやらなければ、今回の改革が成立したとしても、それはある意味では必要条件であって、十分条件としては、地域の農協の皆さんが農業者と一緒になってそれをやっていく、それが両々相まって初めて所得の向上につながっていく、こういうふうに考えておるところでございます。

玉木委員 大臣、よくわかりません。

 なぜ農協の抜本改革、そもそもこの抜本改革が何かも、きょうお聞きしてもわからない。それがどう所得の向上、とりわけ倍増につながるのかというのは、私はわからないし、そんなことはないと思いますよ。

 今、現場の農家の人はどういう思いでいるかというと、倍増なんかしなくていいから、米価は下がって大変厳しい環境にある中で、せめて現状を何とか維持して、再生産可能な所得が得たいというのが現場の切実、誠実な意見だと思いますよ。だから、余り大上段に構えたこういう議論ではなくて、本当に農家の所得が具体的に上がっていくような意味のある改革にそれこそ全力投球で我々は取り組むべきではないかと思います。

 時間が来ましたので、最後に、農業委員会について質問をして、次の福島委員に譲りたいと思います。

 これもちょっと確認したいんですが、資料の八を見てください。

 我々の政権のときも同じでありましたけれども、非担い手から担い手にしっかりと農地を集積、集約していくことは大事です。賛成します。問題は、それを行う主体が、今の安倍政権は過度に農地中間管理機構に寄り過ぎているのではないのか。もちろん、中間管理機構には頑張ってもらわなければいけません。これは大きな可能性を秘めた仕組みだと私は思うし、我々も、法案に賛成した責任から成功してもらわなければいけないと思いますので、積極的な提言をこれからもしていきたいと思います。

 資料八を見ていただきたいのは、これは農林水産省がつくった、たしか平成二十五年八月二十二日、規制改革会議に出した資料なんです。

 流動化、農地の権利移動はいろいろな形で行われるということで、三つ大きなカテゴリーが書かれています。一つは農業委員会。もう一つは、いわゆる円滑化団体、これは市町村段階の団体ですね。農業委員会は市町村の独立行政委員会。それで、農地法人、農地保有合理化法人、いわゆる県の農業公社でありますけれども、これを今回見直して中間管理機構にしているわけです。これらが相まって、いずれにしても、農地の集積、集約を担い手にしていくというのはいいと思うんですが、ここの実績というところをちょっと見ていただきたいんです。

 最新のデータはないんですが、二十三年だと最新がそろっていますので見ていただきたいんですけれども、一番右の農業公社、八千ヘクタールぐらい、円滑化団体が三万二千。農業委員会は、これは括弧書きに書いていますけれども、利用権の再設定を含んでいるので少しダブりがありますが、桁が違っていまして、十二万六千六百七十九ヘクタールということです。

 私が言いたいのは、どれも大事だと思うんです。その中において、法改正の目的にまた戻りますが、農業委員会が、現在、名誉職であったり、いろいろな、農林水産省のアンケートにも弊害が指摘をされていて、どうも農地の流動化、あるいは集積、集約の阻害要因になっているというようなことがこの法改正の前提になっていると思うんです。

 質問をします。

 昨年度の中間管理機構を経由したいわゆる農地のマッチング、これは先般出していただきました。約二万四千、二万三千八百九十六ヘクタールだったと思いますが、農林水産省から説明があったように、担い手への農地集積の総数は、たしか六万を超えていましたね。そうすると、いろいろな形で農地集積は進んでいるんですが、その中で農地バンクの果たした役割は約三八%ぐらいですね。残りは多分、農林水産省のかつての資料を見ても、やはり円滑化団体とか農業委員会も頑張っておられると思うんですよ。

 中間管理機構以外の主体による農地のマッチングについての数字を教えていただけますか、昨年度分。

林国務大臣 今回の調査は、農地中間管理機構の初年度の実績に焦点を当てて、全国の県にお聞きをして調査を行っておりますので、円滑化団体、今御指摘のあったように、大事だと思っております。もう中間管理機構以外はやるなということではなくて、まさに、それぞれの役割を果たしてもらわないといけないということでございますが、今回の調査は行っておりません。

 ほかのルートとの比較は、これは重要だと思っておりますので、もう少しお時間をいただいて、しっかりと調査していきたいと思っております。

玉木委員 もう終わりますけれども、数字がないということは、私は問題だと思うんですよ。

 何でかというと、今回、農協法の改正と一緒に農業委員会の見直しも、これは農協法以上に、大規模かつ現場には極めて大きな影響を与える改革が今行われようとしているんです。その前提は、やはり農業委員会は、言葉は悪いですが、できが悪くて、これからは新進気鋭の農地バンクに頑張ってもらうというような前提でどうも法改正も行われているように感じるわけです。

 それで、私は、やはり農業委員会の果たす役割も、これは客観的に、正確に、現在どういう役割を果たしているかを捉えるべきだと思うんです。

 今、数字をまだ持っていない、わからないとおっしゃったので、これも、先ほどの農協の中央会の弊害の事例と同じように、農業委員会が農地のマッチング、とりわけ担い手への集積、集約についてどういう具体的な役割を果たしているのか、面積でしっかりとこれを出していただいて、整理して委員会に提出していただく。この上で、農業委員会の改革法案についてしっかりと審議をしていきたいと思いますので、あわせて、これは委員長に取り計らいをお願いしたいと思います。

江藤委員長 努力をさせていただきます。

玉木委員 それでは、いずれにしましても、しっかりと現実と現場を踏まえた改革になるように、しっかりと責任ある審議をしていくことをお約束申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民主党の福島伸享でございます。

 大事な大事な農協法、農業委員会法、農地法の審議、二回目に立たせていただきます。

 今回のこの農協法等の審議は、委員長や理事各位のお取り計らいによりまして、まず最初に参考人から意見を聴取する、私は、これはやってみて画期的だなと思ったのは、やはりこれだけ分厚い法案を見ていると、どこが問題点かというのはなかなか理解できません。現場で実際にさまざまな努力をされている皆様方のお話をお聞きして、それから審議をすることによって、ある意味、さまざまな問題点が明らかになったと思います。

 きょうは、私は、そうした参考人の皆様方から勉強させていただいたことをもとに、そして、前回、五月二十一日に林大臣に質問させていただいて、いただいた答弁をもとに、さらに深掘りする議論をさせていただきたいと思っております。

 ただ、今回の参考人からの意見の聴取は、与野党で決めたわけでありますけれども、学者と生産関係者が大部分でありまして、一人だけ都道府県の農業会議の会長さんがいらっしゃいましたが、それ以外は、野党系が学者、与党系は生産者ということで、肝心の、この法案の対象としているJAの関係者、中央会の関係者、そして公選で選ばれている農業委員会の皆さん方が入っていないというふうに思っております。

 そして、学者の皆さん方は一様に、言うことは皆同じなんです。今回の法律改正、とりわけ農協法改正が協同組合原則というものをゆがめるという大きな懸念を示している。現場の生産者の皆さんは、農協法を、どこを変えるべしという具体的な提言はなかったと思います。ただ、今の農協が抱えるさまざまな問題点は指摘されました。

 例えば、担い手を育成しろとか、職員の専門性を高めろ、意識改革が必要だ、これらは、大部分は法律を改正せずしてできることであって、あるいは、もっとプロの農家であれば、今の農協だったら使わないよ、私はそれであってもいいと思うんですよ。プロの農家に使われない農協であるならば、使われる農協になろうと自己改革するのがJAであり、あるいは、そうした人たちじゃない人をターゲットにする事業というものもあり得るわけですから。

 現場の生産者の皆さんから聞いても、先ほど、同僚の玉木委員からもお話がありましたけれども、なぜ今回のような農協法の改正が必要なのかというのはいまいちわからなかったという意味では、ぜひとも、現場のJA関係者、中央会の皆さん、公選で選ばれている農業委員の皆さんからも、この場でお話を聞く場というのを持っていただければありがたいというふうに思っております。

 また、先日、全国農業委員会会長会議というのがありましたけれども、その場でもいろいろな懸念が出されたやに聞いておりますし、その後、私の部屋にも地元の会長さん方ががん首をそろえていらっしゃっていただきましたけれども、皆さん、今回の改正で、農協法等といって、「等」の中に大事な大事な農業委員会の問題が隠されていることに大きな不満を持っておりました。

 農協は協同組合の組織ですから、今回の改革に当たっては、単協あるいは各県の中央会も含めて、かなり綿密な意見交換を行っております。しかし、農業委員会はそうした協同組合ではないので、現場の、今まで公選で、まさに投票で選ばれた農業委員の皆様方にとっては、何か自分たちがないがしろにされて今回審議されているんじゃないか。今の玉木委員の質問でも、農業委員は最後のちょっとの時間でしかできないわけです。

 ぜひこれは、前回、束ね法はけしからぬという話をしました。参考人の方からも、農協法と農業委員会法を束ねているのはおかしいんじゃないかという意見がありました。これは、やろうとすれば、安全保障の法制と同じで、本会議で法案分割決議というのを出して、九十五人の賛同者がいれば提出できるそうですから、こっち側の皆さんで出させていただいて、記名投票にして牛歩でもやればおくらせることができるわけですよ。そんな品のないことは恐らく玉木さんはやろうとはしないと思いますけれども、国対委員長代理はどういう趣味かわかりませんけれども。

 ただ、農業委員会と農協と、両方を対等な、等しい時間審議をする、そうした丁寧な審議を、ぜひとも、委員長、お願いしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

江藤委員長 はい。理事会で十分協議いたします。

福島委員 いつも委員長にお願いばかりで恐縮なんですけれども、理解のある名委員長だと思っているので、頼らせていただきます。

 それでは、まず、農協のそもそもの役割ということについてお聞きをしたいと思っております。

 五月二十一日の審議におきまして、林大臣は、農協は、農業者が自主的に設立する協同組織、そのとおりだと思います。これは法律にも書かれていることです。農業者が農協を利用することでメリットを受けるために設立されているものであると考えております、したがって、農協は、農業者、特に担い手から見て、その所得向上に向けた経済活動を積極的に行える組織である必要があるということでございます、所得を上げるということは、売り上げをふやすこととコストを下げる、こういうことでございますので、農産物を有利販売するということ、生産資材を有利に調達する、これが最重点で事業運営を行うことが重要である、そうした御答弁をいただきました。

 私は、これをきちんと読んでみると、農協の利益と農業者の利益というのは微妙に違うと思うんですよ。農協が、農業者が自主的に設立する協同組織というのはそうなんですけれども、しかし、この分厚い法案を読んでみますと、今回、どういうことが書かれているかというと、新しい七条の二項でありますけれども、「組合は、その事業を行うに当たつては、農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない。」これはあくまでも配慮なんですね。これは農業者の所得の増大です。

 一方、三項で、「組合は、」ですよ、「組合は、農畜産物の販売その他の事業において、事業の的確な遂行により高い収益性を実現し、事業から生じた収益をもつて、経営の健全性を確保しつつ事業の成長発展を図るための投資又は事業利用分量配当に充てるよう努めなければならない。」ということで、ここで規定されているのは農業者じゃなくて農協の収益性の向上だということで、私はこの二つの概念がごちゃごちゃになってしまっていると思いますけれども、どうお考えになりますか。

林国務大臣 前回の質疑でそこはやりとりさせていただいたかもしれませんが、やはり農業者のためにあるものということでございまして、多分、その一人一人の、例えば二十人ぐらいでつくられた場合に、その十九人の方のためになるけれども、一人のためにならないみたいなことをあるいは想定されておっしゃっておられるのかもしれませんけれども、やはり、例えば価格でいえば、確かに、たたいて、農業者から安く買って高く売れば農協の利益になるわけですが、それは小山先生とやった話かもしれませんが、そうではなくて、農業者の利益をふやすということであれば、なるべく高く買って、そして高く売る、これがやはり目指すべき姿であろう、こういうことではないか、こういうふうに思います。

 そのために、やはり農業者がみずから自主的につくるということでありますから、まさにそういうガバナンスの構造を通じて農業者が有利になるようにするというのが農協の役割だ、これが基本的な考え方ではないかと思います。

福島委員 そのとおりだと思うんです。

 そうであるとするならば、今回、「組合は、その行う事業によつてその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とする。」なぜ、旧八条にあった「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という規定を削除したんですか。

 恐らく、農業者の利益と農協の利益は違うんです。農協はみずからの利益を上げるためじゃなくて、農業者の利益を上げるために活動するというのを担保するのが、この八条の後段にあった「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という規定じゃないですか。なぜこれを削除したんですか。

林国務大臣 そこはこの間もたしかやりとりさせていただいたと思いますが、この営利という言葉が、あたかも黒字になってはいけない、こういう誤解を招くのではないか。黒字になっていいわけですね。それで、上限はありますけれども、出資者に配当ができるということでありますから、そこは、専ら配当目的のために利潤を追求するということではなくて、先ほど申し上げましたように、農業者の利益になるようにやるのであって、赤字でなくてはいけないとか、黒字を出してはならないということではないので、そういう誤解がないようにするためにあえてそういうことをやらせていただいた、こういうことだと思います。

福島委員 私はそんな懸念を持っている人は誰もいないと思いますよ。誰が赤字を目指してやりますか。組合員はみんな出資をして、出資をした組合だからこそ、組合というのは組合員のものであるという意識は当然組合員にもあるし、理事の皆さん方も組合員によって選ばれた理事なわけですから、民主的な手続で選ばれた人なわけですから、黒字になってはいけないなんて考えている組合の理事さんや、あるいは組合員がいるとは全く思いません。

 しかも、第五条で、剰余金の配当の規定があるんですよ、この規定の前には。そもそも剰余金を想定しているからこそ、この剰余金の規定が利益の前にあるわけですよ。私はこの規定を外すべきではないと思いますよ。

 いつも古文書ばかり出して申しわけないんですけれども、「農業協同組合法の解説」農林省農政課編。私は、祖父も昔農林省で働いておりましたけれども、昔の農林官僚というのは本当に骨があったと思いますよ。昭和二十二年に書かれた本、これには、この八条の条文についてこう書いてあります。本条は、協同組合の本質について規定しているものである。

 何でここをいじるんですか。協同組合の本質ですよ。それは、組合が組合員のために最大の奉仕をするんです。奉仕ですよ、サービスですよ。営利目的の活動じゃないんですよ。だから、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」というのは、全部セットなんですよ。

 私は、これをもし修正する気があるとするならば、全ての学識者の参考人が今回の農協法改正法案はそうした協同組合としての農協を潰すんじゃないかと大きな懸念を持っているわけですから、そんな黒字になると誤解されるより、この法案が協同組合潰しという誤解の方が、これは国際的にICAの皆様方も心配しているわけですよ。

 この削除はやめるべきではないですか。どうですか、大臣。いいですよ、局長は。局長は条文の解釈だけを聞くんですよ。

奥原政府参考人 では、条文の解釈を御説明いたします。

 御指摘のとおり、現在の農協法第八条は、後段ですけれども、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」ということが書いてございます。この法律的な意味は、株式会社とは違いますので、剰余金を出資配当でもって無制限に配ってはいけないという趣旨でございます。

 協同組合の場合には、基本的にメンバーが利用するということですから、剰余金の配当については基本は利用高配当。出資配当もできますけれども、法律上、上限が決まっているということでございます。その出資配当の上限は、現在も法律の五十二条第二項に書いてございまして、これは今回いじってございませんので、この趣旨については今後も生きているということでございます。

福島委員 そういう役人答弁を聞きたくないから立たなくていいと言ったんですよ。

 法律というのは皆さん方がつくるんじゃないですよ。国会議員がつくるものなんですよ。ですから、ここは、精神的な一番法律の根幹をなすものを規定しているものであって、そこを役人がちょろちょろいじるというのはそもそもおかしな話なんですよ。

 ここの旧八条というのは、農協法の中の一番魂がこもった条文であると私は思っているんですよ。ここを変えるというのは憲法を変えるのと同様の意味を持つわけですよ。三分の二の賛成をもってしか発議できないぐらいの重いものなんですよ。

 ですから、ここ立法府で与野党で話しているわけですから、私は、八条の後段の、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」というものは戻した方がいいと思いますよ、林大臣。そうしないと、黒字にしないという誤解以上の誤解を受けて、そのことが今回の農協改革を何だかいかがわしいものにしているし、局長がさっきみたいな答弁をすればするほど、何か助平心があるんじゃないのと思われてしまうわけですよ。

 そうしない意思を示すために、私は、八条の「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という条文は維持すべきだと考えますが、大臣の御所見をお願いいたします。

林国務大臣 物事はそういうふうに思って疑って見るとそういうふうに見えてくるところもあるかもしれないなということを、今、福島委員の御質問を聞きながら思いました。

 今御指摘の中にもあったように、奉仕をする、これは確かにそうなんですが、特にNPOとかボランティアという議論を一般的にするときもよくそういうふうに思われがちですが、やはり、収益といいますか、経費と収入の差が出てはならないのではないかというふうに思いがちなところがある、私はそういうふうに思いますので、余りいろいろなことを考えずに、素直に、営利を目的としてはならないということが誤った解釈もされがちであった、こういうこと、利益を得てはならない、もうけてはいけない、こういうふうにならないように、まさに有利販売等に積極的に取り組もう、こういう趣旨で変えたわけでございます。

 条文上の解釈は今局長が申し上げたとおりで、剰余についても別途規定があって、そこは変えないということもあわせて読んでいただければ、その趣旨は明快である、こういうふうに考えております。

福島委員 私はそこは、隣で違いますと言うので、つられて違いますと言ってしまいますけれども。

 さっきの全中の話は陰口の話だと疑って、こっちは、参考人の皆さん方も、こういう七条のような条文があるから今回は協同組合潰しじゃないかと言われるわけですよ。

 そもそも協同組合は、株式会社のような利益とか収益という概念はないんですよ。剰余なんですよ。余ったお金をどう配分するかであって、収益を目的とするのであれば、その言葉を当てはめるのであれば、株式会社になればいいわけです。

 株式会社と協同組合はそもそも別のものだからこそ、別の法律に基づいて設立されているわけですよ。どっちが優劣があるとは言いませんよ。それぞれのニーズに応じて、協同組合を使うときもあれば、株式会社を使うところもあってもいいわけですよ。

 しかし、この法律は、そうした協同組合の精神を守るためにつくられた法律だからこそ、私はこの条文を維持するべきだと思っているんですけれども、何度答弁しても認識は改まらないようですから。

 ただ、ここは、この法律を議論するに当たって一番大事なことなんですよ。一番根幹になるところなんですよ。この削除を入れたがために、今回の農協法のそもそもの改革の理念というのが誤解をされる、あるいは本当にそうなのであるというものを隠していると思われてしまっているわけですね。

 ぜひ、今後の議論を通じて、この条文をどうするかというのを同僚の議員にも御審議をいただければと思っております。

 そして、今回、新しく三項というのをつけ加えております。「組合は、農畜産物の販売その他の事業において、事業の的確な遂行により高い収益性を実現し、事業から生じた収益をもつて、経営の健全性を確保しつつ」云々。

 この七条三項というのは何のために入れた条文なんでしょうか。

林国務大臣 先ほどのところでも少し触れさせていただきましたけれども、まず、そもそも、利益を得てはならないという誤った解釈もされがちなので、規定を削除して、農協が農産物の有利販売等に積極的に取り組むことを促すために、「農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない。」という七条二項、さらに、「事業の的確な遂行により高い収益性を実現し、」その収益で、「事業の成長発展を図るための投資又は事業利用分量配当に充てるよう努めなければならない。」こういうふうに第三項を追加させていただいたということでございます。

福島委員 私は、それが違うと思うんですよ。

 利益を上げてはいけないわけではないですけれども、利益を上げる目的ではやらないんですよ。剰余金は出ますよ。しかし、それは組合員への奉仕なんですよ。奉仕を行うのが協同組合であって、利潤追求のためにやるわけではないんですよ。

 利益を上げることが目的という、そうした精神を協同組合に入れるとどうなるか。

 例えば、高い収益性の実現は、確かに、高く販売すれば収益は上がりますよ。しかし、コストも下げれば収益は上がるんですよ。農業者じゃないですよ。農協がコストを下げるというのは、一番何のコストを下げますか。どうやったらコストが下がりますか。それは、もうけにならない非営利の部分を下げるのがコストを下げることですよ。ですから、営農指導とかそうした経済的に成り立たないものを減らせば、高い収益性がまさに実現するわけですよ。

 そうしたことを目的としないで、目的は奉仕だ、むしろ非営利の活動を行うことが協同組合の目的なんですよ。だから、私は、この八条の営利を目的としてを削除するのと、この三項というものを合わせわざにしたときに、農業協同組合の協同組合としての役割が全く変わってしまうんじゃないか。

 しかも、二項は、「組合は、その事業を行うに当たつては、農業所得の増大に最大限の配慮」ですからね。普通の条文だったら、その事業を行うに当たっては、農業所得の増大のために行わなければならないと言ったらわかるけれども、配慮というのは、別に目的があって、こっちでは農業者の所得増大にもちょっと頭を置いてねというのが配慮ということですよ、ここの配慮というのは。

 私はこの一文一文が一々こうやって気にさわるんですよ、今回の改正案は。微に入り細に入り、そういうところに芸が細かいわけです。

 つまり、組合は、収益性をまず上げるわけですよ。そのときに収益ばかり上げていたら農家所得の増大につながらないこともあるから、最大限と書いてありますけれども、目的が組合自体が高い収益性を上げることになってしまっていませんか。

 私は、この新七条一項、二項、三項、これは三項に合わせていくことによって、根本的に農業協同組合の理念が変わる条文になっていると思うんですけれども、大臣、御認識はいかがですか。

林国務大臣 大事な問題でありますが、繰り返しになるかもしれませんけれども、営利とか利益とか、今委員の方から奉仕という言葉がございましたけれども、やはり、株式会社と比べた場合の、出資配当を目的として事業を行うかというところが一番違うところであります。

 やはり、しっかりと組合が、事業の的確な遂行によって高い収益性を実現し、こう書いてあります、その収益で、事業の成長発展を図るための投資または事業利用分量配当に充てるということで、よってもって、これは回り回って農業者に、委員のお言葉をかりれば、奉仕をすることにつながるわけでございます。

 したがって、今申し上げたようなところは、組合というのは、先ほども申し上げたように、農業者がみんなでつくった組合でございますから、基本的には農業者の利益と一致をしている、そのためのガバナンスがあるわけでございますから、農業者の犠牲の上に組合が収益性を上げるということではないことは当然のことでございますし、それはるる説明してきたとおりでございます。

福島委員 図らずも、奉仕という言葉を私の言葉と言ったところに、恐らく、林大臣自身もこの農協法の第八条というのが頭に入っていないと思うんですよ。協同組合は奉仕なんですよ。それが何か、いつの間にか、利益を上げることが目的で、それが当然だみたいな認識のもとに法律改正を行うからこそ、多くの疑念を生んでいるということをもう一度指摘させていただきたいと思います。

 これは私の言葉じゃないですからね。農協法の中に奉仕ということが書いてあるんです。(林国務大臣「七条に書いてあるんでしょう」と呼ぶ)新七条ね。旧八条です。済みません、条ずれをしています。新七条です。

 次に行きますけれども、先日の質疑に対して、林大臣は、今回の農協改革は、農協が、正組合員である農業者のメリットを大きくするという原点に立ち返っていただいて、地域農協が、農産物販売や資材の調達等を通じて農業者の所得向上を図るために、担い手を中心とする農業者と力を合わせて全力投球できるような環境を整備するというふうに答えられております。

 ここに書いてある組合員への最大の奉仕というのは新七条でも入っておりますけれども、この組合員の中には准組合員は入らなくてよろしいんですか。

奥原政府参考人 事実関係でございますので。

 この新しい七条の一項のところの組合員は、正組合員だけではなくて、准組合員も含んでおります。

福島委員 ちゃんと法律には、組合員は正組合員及び准組合員の両方が入るんです。それはわかっています。そういうことを聞きたいんじゃなくて、先日、大臣が、今回の農協改革では、農協が、正組合員である農業者のメリットを大きくするというのに立っているのと、七条の一項の、組合員への最大の奉仕をするということは矛盾があるんじゃないですか。

 大臣、准組合員のメリットの増大というのは今回の農協改革では全く考えていないと考えてよろしいんですか。

林国務大臣 ちょっと御質問の趣旨を正確に捉えているかどうかわかりませんが、新七条一項は、「その組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とする。」と書いてございますので、当然、その組合員には、今局長が答弁したように、正組合員、准組合員は含まれる、こういうことではないかと思います。

福島委員 それでは、前回、なぜ、今回の農協改革では、農協が、正組合員である農業者のメリットを大きくするという原点に立ち返ってと、農協の原点というのは正組合員のメリットを大きくすることということは、これは答弁として誤ったということですか。

林国務大臣 そのときの質問がどういう御質問だったかというのが、ちょっと記憶がよみがえってきませんが、正組合員は当然農業者ということでございます。農業をやっておられない方が准組合員、こういうことの整理でございますので、農業協同組合法は、まさに農業所得の増大、こういうことが一番大きな目的でございますので、そういう趣旨でお答えをしたのではないかというふうに思います。

福島委員 そこも、先ほど来議論しております協同組合制との議論で一番大きな議論になることだと思うんですよ。今後の附則の准組合員の調査の話は、きょうは時間がないのでできないと思いますけれども、それとも絡んだ話であります。

 農協法というのは、そもそも農家の正組合員の利益の増大のためだけをやっているんじゃないんですよね。農村に住む准組合員の利益の増大を図ることも目的としているんですよ。それはここに、組合は、その行う事業によって組合員のために最大の奉仕をすることを目的とすると書いてあって、組合員が正組合員と准組合員という分かれがあるからです。

 これは、また過去の古文書を出して恐縮なんですけれども、では、なぜ正組合員と准組合員をつくったかというと、ただ単に農業者とすると、当時、まだ終戦直後でしたから、不在地主とか、いろいろな資本家の関係の人も想定されたわけですね。

 だから、組合員というのは、まさに自分で土地を持って自作でやっている農家で、むしろ、そうした今まで不在地主だったような人を防ぐ、でも、その人も組合の中には入れましょうねという趣旨で准組合員というものを入れたというようなことがこの中に書いてあります。しかも、それは自治なんですよ。

 誰が組合員で、誰が准組合員かというのは、農協法では定款で定めるとされているわけですね。組合員は、農業者と、あとは、当該農業協同組合の地区内に住所を有する個人または当該農業協同組合の施設を利用することを相当とするものとして、これを一方的に決めるんじゃなくて、定款で決めるとしているんですよ。

 まさに自治の精神で、誰を正組合員にし、誰を准組合員にするかというのは、それぞれの協同組合で地域の実情において決めてください。正組合員、准組合員では、確かに意思決定に関して多少というか、それなりの違いは設けてありますけれども、それは、まさに農家のための組合であるという観点から、それは組合で独自に決めなさいというのがこの農協法の趣旨だと私は思うんですよ。

 そうした観点から考えて、特に准組合員というのはどういう人かというと、例えば、これからはどういう人が准組合員になるかというと、政府が一生懸命やっている中間管理機構、これが進めば、成功することを心から祈っておりますけれども、それがあったとしたら、離農する人がいっぱいいるわけですよ、集落の中で。

 恐らく、私らの地元だと、二百軒ぐらいで一つの集落を形成しております。その中で、仮に、三軒の人に専業になってもらって、あとは土地を貸したり売ったり、集約するとしたら、あとの百九十七軒は農家じゃなくなります。では、その人は農家じゃなくなったから准組合員ですね、さらにそれで利用に制限がかかりますね、あるいは農協の意思決定に影響できなくなりますね、三軒の人だけが農協の正組合員ですよ、そんなことをやったら、みんな農協を相手にしなくなっちゃうと思いますよ。

 あるいは、北海道のようなところでも、集約が進む中で、農村に住んでいる人が、かつては農業をやっていたけれども、今、准組合員として農協にかかわることによって、農地を持っていようが、農地を持っていなかろうが、耕作をほかに譲ろうが、みんなで耕作をする人を支えるというのが農村社会であり、その応援団がそもそも私は准組合員という制度だと思いますよ。

 すなわち、准組合員の利益は農村の利益でもあり、ひいては農業者の利益につながるという趣旨でこの法律はつくってあるんですよ。

 だから今度は、別に員外規制というのもあるわけですよ。正組合員でも准組合員でもない人の利用規制というのも、十条ですか、その中でずらっと列挙されております。つまり、組合員がいて、准組合員がいて、そして員外の利用がある。確かに、農協がばかすか農業と関係のないことでもうけを上げる、これは員外利用規制の話です。

 准組合員は、むしろ組合員を農村で支えるバックアップの人たちであり、そのバックアップをすることによって協同組合としてのメリットを受けられる人が准組合員だと思うんですけれども、林大臣、准組合員のそうした位置づけについてはどのように認識されますか。

林国務大臣 今の御質問は、大変本質的な、大事な御質問だ、こういうふうに思っておりますし、自民党内で議論したときも、今のような御議論が随分出たところでございます。

 まず、第一条に、「この法律は、農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進」云々、こういうふうになっておりまして、「農業者の協同組織の発達を促進」、これがまず第一条に来るわけでございますので、農業者の協同組織であるという基本線は今回維持をした、こういうことでございます。

 その中で、先ほど来いろいろ御議論をいただいたように、所得の向上に向けてやっていこう、こういうことでございます。

 一方で、過疎化、高齢化が進行する農村社会で、実際上、今お話があったように、地域のインフラとしての側面を持っているということですが、地域住民のいわば生活協同組合的な協同組合ではないということがこの一条において明らかにされている、ここがポイントでございます。

 したがって、准組合員についてはいろいろな議論がございまして、まさに今委員が御指摘になったように、特に、多面的機能をお支払いして、地域に残っていただいて、水路の掃除をやるだとか、草刈りをする、しかし、耕作自体は集積をしていく、こういうことになっていきますと、こういう方々は、まさに今おっしゃっていただいたように、応援団、サポーター、こういうことになろうか、こういうふうに思います。

 一方で、我が党の議論の中でも、そういう方もいらっしゃるけれども、ただ単に金融サービスを利用するためだけになっていらっしゃるということがあるのではないか、こういう指摘もある、こういうことでございましたので、同じ准組合員ということを指す場合にも、いろいろな事象を指していろいろな議論が行われている。

 したがって、やはりこの准組合員の利用についてしっかりと実態の調査をした上で、地域差もあると思います、それぞれ先生方が御議論されるときに、自分の地域ではこうなっているけれどもと、大体こういうことが多いわけでございますので、そういうこともあるかもしれない。したがって、全体的にしっかりと実態調査をした上で、このことについてはさらに議論していこう、こういう取りまとめがなされたわけでございまして、それに対応したことになる、こういうことでございます。

福島委員 ありがとうございます。

 今、一条は農業者の協同組織だという話がありましたけれども、もともとの制定当初は農民の協同組織なんですね、農業者じゃなくて。農業者と農民というのは同じようで私は違うと思っていまして、水戸という私の地元は、水戸学、農本主義思想があるところでありまして、農民というのは国民と同義なんですよ。土地に根差して暮らしている人はみんな農民なんですよ。産業としての、仕事としての農業をやっているわけじゃなくて、その土地で生まれるいろいろな自然の恵みをいただきながら、ともに肩を寄せ合って暮らす人はみんな農民なんですよ。天皇陛下はその農民を大御宝として大切にされてきたというのが私は日本の国体だと思っているんですよ。

 ですから、農業者の協同組織と変えた途端に、何か農業が一つの産業で、農業をやって利益を上げる人たちだけの協同組合というのは、それは違うと思うし、現に参考人質疑をやってよかったのは、石田参考人がおっしゃっていました、日本の農協は、生まれながらにして職能組合であり、かつ地域組合である、この農協というのは三元交配で生まれたと。産業組合、農会、販売農協、この三つの三元交配で生まれたという成り立ちが、当初の法律を改正することによって曖昧になってきたからこそ、我々野党は、条文修正の案を、別の対案を出させていただいているんです。私はそこは大きな違いだと思っておりますので、ぜひこの点は国民の皆様方にも訴えていきたいと思っておりますし、我々も本質的な部分で対案を出しているということを申し上げたいと思っております。

 ちょっと論点を移したいと思います。

 そうした中で、今回の農協改革で幾つか具体的な点があって、もう時間がないので一点か二点聞きますけれども、まず理事要件です。

 改正法案第三十条十二項、理事要件があります。ここで、一号で認定農業者というふうにしております。なぜ、理事の過半を認定農業者にしなければならないとしたんでしょうか。

奥原政府参考人 今回の農協法の改正の中では、理事の過半につきまして、原則として認定農業者または農産物の販売、経営についての専門的な能力を持った方という要件を入れてございます。

 今回の農協改革の最大の目的は、農業所得の向上につなげていく、そのためには、特に農産物の有利販売、これをそれぞれの農協の個性を生かして鋭意取り組んでいただく、そういうところにあると思っておりますが、そのためには、地域の担い手の方々の意向を反映した形で農協の運営がなされる、それから、販売方式を決めなきゃいけませんけれども、その販売をこれからこうやっていこうという方針に従って、きちんとした経営能力のある方がやはり経営に当たらなければいけない、こういう観点で、過半の方を認定農業者、または販売についてのプロの方、こういう規定を入れているところでございます。

福島委員 わかりました。

 この認定農業者とは一体なんでしょうか。それは、法的に言うと、ここにも書いてありますけれども、農業経営基盤強化促進法第十二条に基づいて農業経営改善計画を作成した農家ですよ。それにしかすぎないわけですよ。

 先ほど、担い手とか経営能力がある方と言いますけれども、法律上は、そもそも農業経営を改善しちゃっている人は、本当のプロは経営改善計画なんてつくらなくていいんですよ。

 結局、この法律にぶら下がっている、例えばスーパーL資金とか、そうした支援を受ける人が、計画をつくった人が認定農業者になるにすぎないのであって、誰が担い手で、誰が経営能力があるかなんというのは、認定農業者を認定するのは市町村ですから、市町村で認定すべきものではないと思うんです。余計なお世話だと思うんですよ。

 誰が担い手かというのは、まさに、地域の人が見れば、認定農業者だろうが、そうじゃなかろうが、この人はプロの農家だねと一目置かれる農家はいますよ。逆に、本当のプロだから、スーパーL資金なんというのは入れないで、自分で頑張るぞといって認定農家じゃない人はうちの地元には幾らでもおりますよ。

 なぜ認定農業者だけがプロの農家なんですか。なぜこの農業経営基盤強化促進法という別の目的を持った法律を引いてきて、認定農家だけに認定するんですか。さらに、では、認定農家といって認定することで、市町村の職員には、この人は担い手だねとか、この人は経営能力があるねと実際に認定する能力はあるんですか。

 私は、ここで、認定農家という、ほかの法律で定義された、農業経営改善計画を作成した農家に担い手を絞るというのはおかしいと思いますけれども、大臣、いかがお考えですか。いや、大臣、いかがお考えですか。法的な話を聞いているんじゃないんですよ。

奥原政府参考人 食料・農業・農村基本法の中で、これからの農業を安定的に発展させて、国民に対する食料の安定供給を確保するという観点で、効率的かつ安定的な農業経営が生産の相当部分を担う農業構造を構築することが重要だということが明確に書かれております。

 これを受けまして、本年三月に閣議決定をいたしました食料・農業・農村基本計画、この中で、担い手の方々、どういう方々を中心に考えるかということを整理してございます。この中で、効率的かつ安定的な農業経営を目指して経営の改善に取り組む認定農業者、これが一つの中心になっておりまして、もちろんこれだけではございません。集落営農ですとか認定新規就農者も入っておりますけれども、こういった方々にいろいろな政策を集中するということをやっております。

 したがって、認定農業者だけが担い手ではもちろんございません。ですから、今回の理事の規定につきましても、基本的に理事の過半はということで書いてあるわけでございます。

福島委員 今の基本計画は閣議決定であって、我々は法律を議論しているんですから、今の政権のことに我々は賛成しているわけじゃないですよ。今、法案審議をしているわけですから、法案審議の中に、そのような基本計画でどうたらこうたらと書いているのを言うのはぜひやめてほしいと思います。

 過半数に義務づけているわけですよ。それにこの認定農業者という、プロの農家のうちの一部分の人だけを特定で出すというのは、私はおかしいと思いますよ。だったら、もっと抽象的に、農業を専ら営んで、地域の人によって、この人は経営能力のある農家と認められる人でいいじゃないですか。なぜ認定農業者という、ほかの法律によって、農業経営改善計画を作成する農家に限定するのか。大臣、これはおかしいと思いませんか。

 みんな地元で言っているんですよ。農水省がやる政策は、役所の認定を受けなきゃ担い手として認めないのかと私のところにいろいろな人が言ってきますよ。最近の農水省は農家の神経を逆なですることばかりやりますねと言っていますよ。担い手なんだから、誰でもいいじゃないですか。ただ単に担い手とすればいいじゃないですか。

 何でここを認定農業者に限定するんですか。おかしいと思いませんか。

林国務大臣 先ほど説明したように、認定農業者、また、将来認定農業者になることが見込まれる認定新規就農者、それから、将来法人化して認定農業者になることも見込まれる集落営農、こういうものを中心にやっていこう。

 閣議決定は確かに国会の審議を経ておりませんけれども、政府としてこの法案を提出させていただいておりますので、それも当然関係をしてくる、位置づけが出てくる、こういうふうに思っております。

 いずれにしても、何らかの基準といいますか、こういうものをしっかりと位置づけをしてきて、食料・農業・農村基本法の方向でやっていこう、こういうことにしておりますので、今回の農協法においても、それを使ってやっていこう。

 ただ、原則としてというふうにさせていただいております。地域によっては、認定農業者の数が少ないところもある、こういう議論もございますので、適切な例外も設けていくということにいたしたいと思っております。

福島委員 そうやって、将来認定農業者になろうとする人とかといって、みんな認定農家として囲い込もうとする姿勢自体が物すごく嫌がられると思いますよ。上から目線の、金が欲しかったら、法律で認められた経営改善計画を出して認定を受けろと言っているように現場からは見られるわけですよ。私は、これが、役所とか政府に対して物すごい農家の皆様方の不信というのを生む原因になっていると思います。

 この問題は、ちょっとまた別途時間をいただいて、理事要件については深く議論させていただきたいんですけれども。

 最後に、せっかく資料を持ってきたので、その点をやりたいんですけれども、中央会の話でいろいろ議論になっています、それと関連をするんですけれども、今、全国土地改良事業団体連合会の会長さんというのはどなたですか、林大臣。

林国務大臣 全国土地改良事業団体連合会の会長は二階俊博先生だ、こういうふうに思っております。

福島委員 おっしゃるとおりだと思います。

 これは、今ちょっと通知をお手元にお配りさせていただいたんですけれども、農林水産省農村振興局長名のものです。「土地改良区等における政治的中立性の確保について」ということで、線が引いてありますけれども、「土地改良区及び土地改良事業団体連合会にその政治的中立性の確保が求められることは当然のことである。」記として、二に、「土地改良区等の役員等の執行体制について、議員等が兼職により就任するなど特定の組織、政党等の影響を受けているのではないかとの疑念を持たれることのないものとすること。」この通知はまだ生きているんでしょうか。

林国務大臣 これは平成二十二年の一月十五日に農林水産省農村振興局長から出されているものでございまして、その後、これを変更するようなものは出されていないと承知しております。

福島委員 おっしゃるとおりだと思います。

 変更するものが出されないのだとすれば、これは局長が個人で出したり趣味で出しているものじゃないんですね、行政が行政として出されたものであるから、私は、この通知というのはいまだに有効であると考えますが、先ほど全国土地改良事業団体連合会の会長に二階俊博衆議院議員、自民党さんの総務会長でありますけれども、それがつくということは、この通知に照らして、どうお考えになりますか。

林国務大臣 この全土連における会長選任は、リーダーシップ、見識等を総合的に勘案した会員の総意の結果によるものである、こういうふうにお聞きをしております。

 今御指摘の平成二十二年一月の農村振興局長通知、これはいわゆる行政手続法三十二条第一項に規定する行政指導ということになりますので、この場合は、相手方である全土連の任意の協力によって実現をされるものである、こういうふうに考えております。

 したがって、特定の政党等の影響を受けているのではないかという疑念を持たれることのないように、引き続き本通知の趣旨を全土連に対してはお伝えをしてまいりたいと考えております。

福島委員 でも、先ほど通知は生きていると言ったじゃないですか。

 しかも、二階さんは総会でこう発言しているんですよ。自民党が政権をとったんだから、農家の皆さんにもわかっていただける予算編成をしなければいけないと、会長になった就任の挨拶でおっしゃっているんですよ。政党等の影響を受けていないと言えるんですか。自民党が政権をとったんだから、予算をいっぱいとる役割を会長としてやりますと言っているんですから。これに対して指導も何もされないんですか。

林国務大臣 先ほど申し上げたとおり、これは手続法の三十二条一項に規定しております行政指導でございますので、任意の協力によってのみ実現されるものであるということでございますので、本通知の趣旨を引き続きお伝えしてまいりたいと思っております。

福島委員 この通知の趣旨を二階さんにお伝えして、どう身分を考えるかというのを考えろということをおっしゃるということですね。よろしいですね、そのことで。

林国務大臣 全土連に対して、引き続き本通知の趣旨を伝えてまいりたいと思っております。

福島委員 なぜこのことを申し上げるかというと、今回の中央会の改革は、中央会が一方的に単協の自由とかなんとかを縛っているのが問題だといって、全中の改革をやるわけですよ。あるいは、全国農業会議所も、よくわからない何とかネットワーク機構という軽々しい名前の機構に名前を変えようとしているわけですよ。

 私は、むしろ、大事な本質というのは、特定の政党や政治的思惑にこうした組織が利用されてきたこと、ある意味、行政の代行であるとともに、利権と言うと品がない言葉で安っぽくなってしまいますけれども、そうしたものの配分の役割を果たしてきたことこそが、今までの農政をゆがめてきた失敗の一番の原因じゃないかと思うんですよ。

 別に、自民党だから悪いと言っているんじゃないですよ、私は。我々のときだって、ではといって、野中さんをひれ伏させたりとか品のないことをやったかもしれませんよ。やったかもしれないけれども、もうそういうのはやめにしたいんですよ。

 農協や土改連やあるいは全国農業会議所が、政権がかわるごとに、その会長さんがどっちの政党を支持するんだなんといって右顧左べんすることをなくして、純粋に農家のため、農村のために働く組織にしなきゃならないんですよ。それをやるために、今回の農協法、農業委員会法の改正案を出してきているんじゃないですか。

 そのときに、今の大臣の答弁をしている姿を見たら、到底納得できない、信頼されませんよ。もし、戦後六十年で最大の農政改革というんだったら、まず足元から、皆さん方の総務会長なんですよ。全国の土改連の会長に特定の政党の幹部がついて、会長が堂々と、自民党が政権をとったんだから、農家の皆さんにもわかっていただける予算編成をしなければならない、こんなひどい挨拶。

 ちなみに、土改連、土地改良区は全部自民党かといったら、決してそうじゃありませんよ。私の支援者の中には、私を一生懸命応援してくれている土地改良区の理事長さん、政治活動をしているじゃないかといったらそのとおりかもしれないけれども、そういう方だっていらっしゃるわけですよ。

 だから、そういうふうな、特定の政党や政治的な思惑でやらないということをやった上で今回の法案を出すことが必要だし、そういう意味で、我々の民主党案では政治的中立性と出させていただいているんです。

 この点、もう一度、大臣、まさに土改連の会長人事があったわけですから、みずから襟を正して、そして、この戦後六十年ぶりと自称する、余り自称すると景品表示法等違反になるんじゃないかと思いますけれども、そうならないように、ぜひ、まず土改連の話をしっかり、別に農水省が表に出ていって、やめろと言う必要はないんですよ。こっそりと、今、戦後農政の大改革をやっているところだから、李下に冠を正さずで、次の人に譲りますと二階さんが言えばいいだけですよ、そういうふうにしむけられないんですか。どうですか、御認識は。

林国務大臣 しむけるという言葉がどういう意味かわかりませんけれども、やはり、李下に冠を正さずということであれば、土改連そのものが御自身で、ここで私が何か申し上げることではなくて、また、そういう御指摘を受けることではなくて、みずからがお考えになることだ、こういうふうに思います。

福島委員 いや、もうそれだけでそんな指摘を受けているし、みんなからそういう疑念を持たれていますよ。

 二階先生は総理よりも強いといううわさもありますから、怖くて言えないのかもしれませんけれども、しかし、戦後六十年の大改革をやると言っているんですから、まさにそうした既得権益に切り込むところからやらないと、現場の農家の皆さんや、これから公選制による誇りある農業委員という身分を剥がされる現場の方は納得しないと思います。

 ぜひとも、そうしたことにもしっかり取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、引き続き、また別の機会にしっかりと法案の審議に臨んでまいりたいと思いますので、そのことを申し上げまして、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

江藤委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 前回の質問に続いて、農協の性格や目的にかかわる部分から質問したいと思います。

 現行の第八条の変更について、改めてこの間の経過なども調べました。

 与党取りまとめを踏まえた法制度等の骨格という、この間もずっと見てきましたけれども、左側に昨年六月の与党取りまとめ、右側に法制度等の骨格という表になっているものですけれども、そこで、現行第八条の取り扱いについて、与党からは特段の記述はないんですけれども、骨格では、それが翻訳されて、第八条の改正というふうに出されています。これはなぜなんでしょうか。

奥原政府参考人 現行法の第八条のところは、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」ということが記述をされております。この規定の趣旨につきましては、株式会社と協同組合は当然違いますので、出資配当を目的に事業をするわけではないということでございます。その意味で、別の条項で、五十二条のところでは、出資配当の上限というものも決まっているということでございます。

 ただ、この出資配当の上限ということで、営利を目的として仕事を行ってはいけないとは書いてございますが、この規定が関係者に誤解をされている部分が結構あるのではないかというふうに思っておりまして、この規定があるために、そもそも利益を得てはならない、あるいはもうけてはいけないといった解釈もされている傾向が見られるところでございます。

 今回の改正では、この規定を削除することによりまして、それぞれの地域農協が、本当に農産物の有利販売に取り組んでいただいて、農業所得の向上につなげていただくということを促す観点におきまして、この営利を目的として事業を行ってはならないという部分は削除しております。

 そのかわりに、組合は、事業の実施に当たり、農業所得の増大に最大限の配慮をしなければいけないというのを二項で書きまして、さらに、組合は、農畜産物の販売等において、事業の的確な遂行により高い収益性を実現し、その収益で、事業の成長発展を図るための投資または事業利用分量配当に充てるよう努めなければならないという規定を追加しているところでございます。

畠山委員 きょうも議論になっていますけれども、この現行第八条の改定、変更の問題というのは真剣に論議しなきゃいけないというふうにやはり思うんですよね。

 先日の参考人質疑でも、懸念の表明が相次ぎました。

 谷口参考人は、持続性を担保する上で、営利が全くない状態でいけるかといったら、いけない、高い収益という言葉で実現できるようなことが求められる局面がある、それはわかるんです、としても、それが最終目的かというと、そうではないだろうと指摘をしました。また、協同組合としての特性を踏まえながら、営利規定ということで十分なので、前のままでいいというのが基本的な私の考えと表明しました。

 また、石田参考人からも、協同組合の非営利原則というのは、高い利益を上げるかどうかということに関心があるわけじゃない、得た利益をどう分配するかに関心があるわけだなどと述べられました。

 先ほども述べましたように、総じて、現行法第八条の改正が必要なのかどうか。前回の質問でも私は疑問があるということを述べましたが、このように、参考人からも現状でいいのではないかという指摘に対して、改めてどのように受けとめますか。

奥原政府参考人 五月二十七日の参考人の質疑は私も聞かせていただきましたけれども、参考人の方々の御趣旨、十分私も理解できていないところがあるかもしれません。

 今御指摘ございましたように、谷口参考人の方からは、農協は適切な利益を上げて還元すべきだけれども、利益の獲得が最終目的ではないことから、現行第八条は改正する必要はないという御意見だったのではないかと思っております。

 それから、石田参考人からは、改正後の七条第二項につきまして、農協は准組合員にも奉仕するものであるので、農業所得の増大に配慮ということは削除すべきだという御意見もございました。

 それから、太田原参考人からは、大いにもうけなければならないというふうに規定してしまうと、独禁法に抵触するのではないかといった御意見も出されたというふうに思っております。

 これらの御意見につきまして、真意が十分わからないところもございますが、石田参考人の御意見につきましては、准組合員を含めて組合員の方に最大の奉仕をするという部分を維持した上で、農業者の協同組織でございます、議決権を持っているのは正組合員の農業者でございます、そういったことを踏まえて、農業所得の増大に配慮するように求めるという趣旨で今回入れているというふうに考えておりますし、それから、谷口参考人、太田原参考人の御意見につきましては、改正後も、農協には出資配当には制限が課されております、五十二条は維持をされておりますので、農協が営利組織、出資配当を目的とする組織になってしまうことはないということでございますので、御指摘はちょっと当たらないのではないかなというふうに考えております。

 今回の八条の改正の趣旨は、あくまでも、営利を目的として事業を行ってはならない、この規定の趣旨が誤解をされて、利益を得てはならないとか、もうけてはならない、こういった誤解がされがちであるということを考えまして、規定を削除するとともに、農業所得の増大に最大限配慮するということ、それから、販売等において、的確な事業の遂行によって高い収益性を確保して、その収益で、成長発展を図るための投資ですとか事業利用分量配当に充てるといった趣旨のことを書き込んでいるということでございます。

畠山委員 それは、もう何度も聞いてきて、誰が誤解しているのかということもさんざん議論してきたんですけれども、今言ったように、第五十二条の上限規定が残るから趣旨は残るということも、レクなどで何度も聞いてきました。

 しかし、趣旨が残ることと新たな性格が加わることは意味が違う。農業所得の増大を目指して高い収益性を実現するとなれば、ハイリスクなことにも手を突っ込むということがあり得るのではないのか。規制改革会議では、農協もリスクを負うべきだとの議論が見られます。そうなれば、もうこれは協同組合とは言えなくなってくると思います。

 協同組合の特性を踏まえれば、出資配当の上限規定は残すにしても、今焦点となっているこの基本の現行第八条について、このままでいいんじゃないかと思いますが、改めていかがですか。

奥原政府参考人 ただいまリスクの話がございましたが、農協にはやはり農産物の有利販売に積極的に取り組んでいただきたいと思っておりますけれども、それには、ある程度のリスクをとることが当然必要だというふうに我々は思っております。

 現在の農協は、九六%ぐらい委託販売という形でやっておりますけれども、これは、農協にとってはリスクは非常に低いわけでございます。農産物の値段が下がっても、そのリスクは農家の方が負うという形になるわけで、その結果として、農協の販売努力が本当に十分なのかといった問題も生じているというふうに思っております。

 そういう意味では、いきなり高いリスクをとるということを求めているわけではございませんので、昨年からの政府・与党の取りまとめの中でも、買い取り販売を段階的にふやしていく、適切なリスクをとりながらリターンをふやしていく、農家の所得がふえるように創意工夫をしていくという趣旨のことをずっと書いてきているわけでございます。

 そういう意味で、従来の第八条、今回、改正法第七条ということになりますが、この規定の改正は必要なことだというふうに考えております。

畠山委員 参考人などが言っていたのは、そういう道を切り開くことに対する懸念が表明されてきているというふうに思うんですよ。そして、産業競争力会議の議論などでも、今局長がおっしゃったように、フェアな競争ができる環境になっているかということから議論が始まって、さまざまな競争のイコールフッティング論などがけしかけられてきているというふうには私も承知はしています。

 ただ、今言ったように、これは農協の原点を変えてしまうものなのではないか。しかも、産業競争力会議や規制改革会議などの、上から変えていくようなことでいいのかという問題があると思います。

 現行法のもとでも経済事業が良好な農協はあるわけですし、改正案のような、目的まで変える必要はないのではないかということを改めて指摘して、時間もありますので、きょうは、監査問題を少し中心的に伺っていきたいと思います。

 これまで農水省は会計監査と業務監査を一体に行うからこそ単協の健全な経営を確保できたと認めてきたというふうに思うんですね。改正案は、公認会計士か監査法人による会計監査を受けることにしています。業務監査は任意にしています。

 今後は、会計上の健全さのみが確保できればいいということなのでしょうか。なぜ業務監査は任意としたのですか。

奥原政府参考人 監査の問題でございますが、今回の農協改革の中では、全中の監査の義務づけを廃止いたしまして、公認会計士の会計監査を義務づけるという改正をしているところでございます。

 これは、准組合員が、農業者であります正組合員を上回るような状況になってきているということ、それから、農協の数も現在は減っておりまして七百農協になっておりまして、一農協の貯金量の規模も非常に大きくなっております。平均でも一千億を超えておりますし、中には一兆円を超える貯金量の農協というものも幾つか出ている状況でございます。こういったことに鑑みまして、農協が信用事業を今後とも安定的に継続できるようにするという観点で、会計監査につきましては、ほかの金融機関、銀行、信金、信組と同様の監査体制をとることが必要というふうに判断をしたものでございます。

 一方で、業務監査の方でございますけれども、これは、ほかの民間組織におきまして業務監査を受けることを義務づけられている組織は基本的にございません。基本的に、それぞれの組織が自分たちで、内部で監査をやりますし、監事も置かれているということでございます。そういう意味におきまして、業務監査につきましては、ほかと同様に任意にするということで、今回は規制をかけておりません。

 したがいまして、農協の方からしますと、自分の農協の農産物の販売体制の刷新等を進めて農家の所得向上を図ろうとするときに、自由に能力のあるコンサルを選んで相談するですとか、いろいろなことが自由にできるようになってくる、こういうふうに考えております。

畠山委員 先ほど、最初に言いましたけれども、これまで農水省は会計監査と業務監査を一体にやってきたからこそ意味があったという立場をずっととってきたじゃないですか。何で、他の組織で義務づけられていないから今回外しましたと、なぜ今になってそうなるのか。

 少し進めます。

 農協は、御存じのように、総合事業体で、例えば部門別で損益計算をやるとしますね。そうすれば、もちろん信用、共済が黒字で、それから農業関連、営農関係を含めた事業が赤字というふうに分かれることは見込まれるでしょう。それで、会計士さんの方から赤字部門の効率化だったり改善ということが指摘されることは、もちろん一般的にはあり得ることだと思うんですね。

 そのような可能性はあるというふうに思うかどうか、それだけ確認します。

奥原政府参考人 会計監査の仕事というのは、総会等に出します会計書類が正しいかどうか、これをきちんと判断して証明するという仕事でございます。それを踏まえて経営改善の指導とかをするのは、これはまた別の話でございます。

 従来の全中の監査につきましては、全中は監査権限と同時に指導権限を持っておりましたので、そういうことも実態的にはあったかもしれませんけれども、基本的に、監査というのは、出されている会計書類の数字が正しいということを証明する、それにとどまりますので、それを踏まえて組合員の方々がきちんと今後の経営方針を決めていく、こういうことだというふうに考えております。

畠山委員 それならば、では、改めて、これまで公認会計士さんが、さまざまな国による中身に含まれているものがあったんですけれども、結局、どういう役割を果たすことにならざるを得ないかということを少し具体例で述べたいと思うんですね。

 北海道の赤平市というところの市立病院があります、ちょっと病院の話から始まって恐縮ですが。二〇〇七年に自治体財政健全化法が成立しました。これは、特別会計や第三セクターも連結して、自治体財政に組み合わせてチェックするというものでした。当時、北海道でしたので、夕張の財政破綻が表面化して、もちろんそれにかかわる流れだったというふうに思います。

 もちろん、この市立病院でも多額の累積赤字を抱えていたわけです。そのときの国の支援策で行ったのが、公認会計士を送って経営改善策を提案させるということでした。先ほど局長がおっしゃったように、公認会計士としては本来やるべき別の中身はあるわけですけれども、ただ、その結果、いろいろ市の方でも努力したり、苦労したり、病院とも相談したという経過は承知しているんですけれども、あらわれたものは、事務職員の契約社員化だったり、あるいは給食の外注化などなどでした。

 それで、患者の負担増や医療の質が低下する心配はないか、これは、当時、NHKの「クローズアップ現代」でも報道されたほどの問題だったんです。病院の問題ということではなく、損益の計算をしていけば、どの事業でもこういうようなことは起こり得るということだと思うんですね。

 先ほど述べたように、農協でいえば、赤字部門の典型は営農指導などの分野で、なかなかやはりこれを黒字にするということは難しい。しかし、組合員が今農協に一番強化を求めている分野の一つにこそ、この営農指導があると思います。これが仮に赤字だからといって、人が減らされて、さらに現場に足が遠のいたり、賦課金や指導料の引き上げということになったりすれば、これは組合員の利益にならないし、負担もふえることにならないか。

 私の言っていることに飛躍があるなら、それはそれでそう指摘してもらいたいんですけれども、そういうような現場の組合員にとって、この監査の制度を変えることがどのような影響を与えるかというのは、みんな、わからないし、非常に知りたいところだと思うんです。

 監査を外せば所得がふえるという論理でこの問題はずっと議論されてきたと思うんですけれども、逆に、このような可能性がないというふうに言えますか。

奥原政府参考人 先生が御指摘になった市立病院のケースですが、詳しいことを全く承知しておりませんけれども、今のお話を伺っておりますと、それは公認会計士の方が会計監査をしたというのを超えておりまして、多分、コンサル業務も頼まれているというケースだというふうに思っております。まさに提案をさせるというふうに先生は今言われたと思いますけれども、その経営の状況、数値の面を含めた上で、具体的にこれからどうしていくかという提案をする、これは通常の会計監査を超えた話だと思います。

 通常、会計監査を受けるだけであれば、会計書類の数字が正しいかどうかをチェックする。当然、部門ごとに赤字かどうかは正確にわかるようになってくると思いますが、そのときに、それぞれの部門をどういうふうにするかは、それはそれぞれの組織が自分たちで決めていく。仮に赤字であっても、その地域にとってその事業は絶対必要であるという場合には、これは継続する判断は当然あり得ますし、従来もそういうふうに農協は判断をしてきているというふうに思っております。

畠山委員 それでしたら、さらにもう少し聞きますけれども、今回の監査問題というのは、先ほど林大臣もおっしゃられたように、最後まで残った論点で、その結果、焦点が当たったというふうに話されましたけれども、残るのは残っただけの意味がやはりあったというふうに思うんですよ。

 信用、共済で赤字の部門を埋めているとの指摘がされているのに対して、せめて透明化をして健全性を図らなければいけない、さまざまなそういう議論や経過などがあったことは私も承知はしているんです。

 ただ、先ほどの繰り返しになりますけれども、監査を外すことによって農業所得が増大するという理屈はなかなか組合員や農業者の方が理解できないとずっと言ってきているじゃないですか。だから、この結果、監査を外してどうなるかということが組合員にとって重要なんです。

 私が言ったように、実際、損益計算していったら、こんなふうに赤字の部門というものはどうしても効率化していく対象になっていくんじゃないか、それが促進されるんじゃないか、一般的にはそのようなことが考えられるんですけれども、改めていかがですか。

奥原政府参考人 監査のところの制度を直したからといって、それで直ちに農業所得が上がる、こういう因果関係には基本的にないと思っております。

 先ほどから御説明しておりますように、基本的に、今回の監査体制の変更につきましては、信用事業が相当大きな事業になっておりますので、一兆円を超える貯金量を持っている農協も出てきている、こういう状況の中で、やはり農協が信用事業を安定して営んでいかなければ、これは農協にとっても、それから地域社会にとっても困るという、この現実はやはりございます。そういう意味では、安定的に信用事業が営めるようにするためにどうするかという観点でございます。

 従来から、全中が行っている監査につきましては純粋な外部監査とは言えないのではないかという指摘はいろいろなところから受けているわけでございますので、そういった批判を受けることなく、これから安定的に信用事業をやっていけるようにするという観点で、会計監査については全中監査から公認会計士監査に切りかえる、こういうことにしたわけでございます。

 それから、業務監査の方につきましては、これも先ほど申し上げましたように、基本的に、ほかの民間組織でもって業務監査を義務づけられているというところはございません。これは、やはりその組織自体が自分たちで点検をしてやっていく世界が基本でございます。必要なときには部外者にコンサルでお願いするということはもちろんあっても差し支えございませんけれども、全てのところに義務づけるという話ではございませんので、むしろ、必要なときに必要なところのコンサルを適切に頼めるという体制をつくった方がいいのではないか、こういう判断でございます。

畠山委員 そうしたら、奥原局長、なかなか正面からお答えになってもらえませんので、二〇一三年五月三十日、第十一回規制改革会議ですけれども、これは局長さん、御参加されていたはずで、このときに、いろいろ事業を展開していく上で農協の経営の透明性について外部監査を受ける必要があるという議論がなされたのに対して、奥原局長さんはこのように述べられているんですね。

 農協の方の経営の透明性ですけれども、

  これにつきましては農協も金融事業をやっておりますので、金融の観点から他の業態と同じような規制は法律上かけております。

  監査につきましては、公認会計士による外部監査を直接は義務付けておりませんけれども、全国農協中央会がやる監査を必ず受けなければいけないというのが法律で義務付けておりまして、しかも全中には公認会計士の方を三十人入れておりまして、この方の指導のもとに監査をするということになっております。

  全中がやっている監査は会計監査だけではなくて業務監査もやっているのです。農協の場合には会計上の処理がきちんとしているだけではなくて、本当に農家にメリットが出るようなきちんとした仕事の仕方をして欲しいということもございますので、全中が公認会計士の指導も受けながら、会計監査プラス業務監査をやっているというのが今の法制度でございます。

ということで、この間、やはりずっと会計監査プラス業務監査を一体にやってきた趣旨を、きちんとこの会議の中で局長さんは述べられているじゃないですか。

 このままでいいんじゃないんですか。何で変えるんですか。

奥原政府参考人 今御指摘いただきましたのは、多分二年前ぐらいの規制改革会議での議論かと思いますけれども、それまでの農水省の考え方をそこで御説明したことは間違いないと思いますが、まさにこの二年ぐらい前から、農協組織のあり方、事業のあり方をどうするかということが政府でも与党でも相当な議論になってまいりました。当日、私は今のようなことを御説明したかと思いますけれども、それに対しましてもいろいろな御意見をいただいたわけでございます。

 その後、政府・与党の中でいろいろ議論した上で、本当にどうやればこの農協組織全体が農家にとってメリットのある組織になっていくのかという観点で、単協のところも、連合会のところも、中央会のところも、いろいろな見直しを検討させていただきました。その一環として、監査につきましてもこのような改正をする、こういうことになった次第でございます。

畠山委員 林大臣に伺いますけれども、今言ったような経過だったり、規制改革会議の議論なども私も読ませていただきました。しかし、今回、公認会計士をこのように入れる問題とともに、業務監査を任意にする問題について、その趣旨がやはり理解できないんですね。そして、先ほど局長さん、くしくも二年前のところで言っているように、業務監査と会計監査を一体にやることの意義の方が私は大きいと現時点においても思うわけです。

 林大臣、この間のやりとりも含めて、今どのような認識をお持ちになりますか。

林国務大臣 そこも大変な議論になったところでございますが、そもそも業務監査というのは、実は農協の世界から一歩外に出ますと、余りない概念でございまして、まさに先ほど本社と支社というような例えをいたしましたけれども、単協が支社であれば、会社の組織の中として指導して、支社が本社の方針に従ってやる、こういうことはあるけれども、独立した会社である場合には、任意にコンサルを受けて、もっと経営状況をよくしていこう、もっといい組織運営をしていこうということがあれば、コンサルを受けるのは当然でありますが、一方、金融監査は、信用事業を営むに当たっては必須のものだ、こういうふうにされておるわけで、これは必要なものでございます。

 したがって、党の中でもいろいろ議論したときも、ここをやはり分けて、信用事業を持続的にしっかりやっていくための金融監査、これは新しい仕組みの中でしっかりと位置づけていく。

 しかし、業務監査は、信用事業の健全性が担保されるという前提のもとで、いろいろなことをそれぞれの地域の特性に応じてやってもらう必要があるということですから、一律に全中の金融監査と一体となった業務監査ではなくて、あくまで単位農協が必要であればやっていくということをしっかりと位置づけて、そして、それぞれの創意工夫でもっていろいろなことをしっかりとやっていただく仕組みをつくっていこう、こういう議論がありまして今の形になった、こういうことでございます。

畠山委員 時間も迫ってきたんですが、結局、監査を外すことによって何が生じるのかということは大きな焦点だと思うんですね。これを外すことによって農業所得がふえるんだというのが政府の議論のたてつけになっている。

 しかし、組合員にとって不利益になる懸念があるのではないかというふうなことが私の疑問であります。しかも、農協にとって最も農協らしいと言える部分がもちろん切り捨てられてはならないわけでして、それが、ひいては農業者の所得がふえることにつながるのかどうかということを改めて指摘し、時間もないので、最後、理事のことだけ一言質問して終わります。

 理事の定数の三分の二については組合員でなければいけないとなって、組合員とは、第十二条で、農業者や、当該農協の地区内に住所を有する者や、同じく住所を有する農民が主たる構成員や出資者となっている団体などとして定められています。つまり、その地区内に住所があるとか、地域に根差しているということが原則だろうというふうに思います。

 この点こそが地域農協たるゆえんだと思いますが、この理事の要件を変えることにかかわって、この点を含めた大臣の認識を改めて伺いたいと思います。

林国務大臣 今先生から触れていただきましたように、現行の農協法は、理事の定数の三分の二以上が正組合員でなければならない、こういうふうにされております。

 農協法が制定された当時、農地解放の直後であったということもあって農業者も均質であったことから、理事に占める農業者たる正組合員の割合を一定以上にすれば農業者のニーズに応えた農協運営を行うことができた、こういうことでこういう規定ぶりになっているということでございますが、申し上げてきたように、現在、農業者が大規模な担い手農業者と兼業農家、規模の小さい方が多いわけですが、こういうふうに階層が分かれてきて、組合員ニーズも多様化してきたということでございますので、現行の理事要件だけでは、農業者、中でも担い手農業者のニーズに十分応えられなくなってきたというふうに認識をしております。

 したがって、地域農協が、農業者、なかんずく担い手の意向を踏まえて、農産物販売等農業所得の増大に配慮した経済活動を積極的に行っていくことができるように、理事の過半数を認定農業者等とする見直しを行うこととしたということでございます。

畠山委員 そういう説明でありますけれども、地域に根差しているからこそ、地域農協の意味と強みということがあると思うんです。

 そこで、これは局長でよろしいんですけれども、確認ですが、理事に新たに加える農産物販売や経営のプロと言われる方々ですが、今回、法律をちゃんと読めば、先ほど述べた、その区域内に住所を持たなくても、あるいは農業を営まないケースも、産業化していけばいろいろ出るからあるんだ、そういうケースもあり得るということはよろしいですね。確認です。

奥原政府参考人 従来からあります、理事の定数の三分の二以上は正組合員でなければならない、この規定は、今後ともそのまま、まず維持をされます。したがって、三分の二以上が正組合員であれば、三分の一未満の方々はそういう方でなくても今でも役員になれる、こういう仕組みになっているということでございます。

 そのことを前提にした上で、さらにこれに加えて、今度の、農協の理事の過半数を原則として認定農業者や農産物の販売や経営に関して実践的な能力を有する者とするというのがかぶってくるわけでございますので、この販売や経営に関して実践的な能力を有する方というのは、これは地域外の方も当然いらっしゃるとは思いますけれども、それでも、理事のトータルの三分の二以上が正組合員、地域の方であるという点は何ら変わらない、こういうことだと思います。

畠山委員 終わりますが、多くの理事は地域から選ばれている実態もあって、だからこそ、組合員の実情も踏まえた議論と決定などがされてきたというふうに思います。

 その地域農協たるゆえんが崩れないかという心配や懸念があることだけを最後に指摘して、質問を終わります。

江藤委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十六分開議

江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。村岡敏英君。

村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。

 一時間の質疑をもらいまして、ありがとうございました。

 まず初めに、口永良部島の大きな噴火、そして、全島民が避難しているという大変な状況であります。本当にお見舞い申し上げたいと思っております。

 いろいろな対策、いろいろなことを政府の方でもしているとは思います。

 我々の党の九州福岡出身の河野正美議員を筆頭に、我々の党では、五月三十一日日曜日に、屋久島の方に視察に行ってまいりました。三カ所に避難しているということで、避難まで二十分程度しかなく、網戸を閉めただけ、窓を閉めていないとか、家のことも心配であったり、また家畜の心配があったり、いろいろなことがあるそうであります。

 しかしながら、八十世帯百数人、この方々はふだんきちんと噴火に対して備えておりまして、学校の先生などは逃げる方向に必ず車をとめるということがあったり、そしてまた、全島、どこにいるかというのを必ず確認している、そういう緊急の場合の準備態勢が整っていたという中で全員助かった。

 そして、お一人、やけどをした方もおられるそうですけれども、それも海からどこにいるか把握していて、助けて、命には別状なかったということで、緊急的な災害というものに対しても準備を万端にしていくことは人命が助かるということにつながりますので、その点は口永良部島の皆さんの訓練の成果だ、こう思っております。警察官は一人もいないそうであります。消防団だけでそういう訓練をしているという島だそうであります。

 そこで、ここにも農業があるわけですけれども、今は、まだ噴火が起きて間もないわけですけれども、農業関係の被害やそういうものを把握して対策をこれからとろうとしているのか、お聞かせ願えればと思っております。

林国務大臣 口永良部島の農業でございますが、肉用牛の飼育が中心で、耕地のほとんどで飼料作物が作付をされておって、このほか、カンショ等の作付が行われているということでございます。

 五月二十九日の噴火に伴う農作物それから農地の被害状況については、現在、全島避難中でございますので、まだ詳細な把握をしていないところでございますが、午前中の質疑で若干触れさせていただきましたように、肉用牛が六十頭ですとか、豚が二十五頭、鶏が三十一羽、馬一頭、こういうような家畜が四戸の皆さんのところでやられている、こういうところまでは県から聞いておるところでございます。

 今後、調査の進展で被害が判明してまいりますと、県や屋久島町、関係地元自治体と連携して、被害への迅速、的確な対応を図ってまいりたいと思っております。

村岡委員 全体にかかわることですけれども、農業の部分もしっかりと把握をして、対策をお願いしたい、このように思っております。

 それでは、きょうの質問に移らせていただきます。

 この前、参考人質疑がありました。参考人の方から、賛成も反対もこの法案に対してありましたけれども、それぞれの思いをお聞きしまして、大臣として、また政府として、その方々の、反対であっても、そのことに対してどういうふうに応えるのか。賛成の中にも、もう少し進めていかなければならないということも言っておりましたので、そこをぜひ大臣にお聞きしたいと思います。

 初めに、石田参考人から、大学の教授でしたけれども、このような指摘がありました。

 第一条の何が問題かというと、私は、第一条の中で、最後でございますが、「もつて国民経済の発展に寄与する」、つまり国がある、それから全国連がある、県がある、そして地域農協があるというたてつけになっております。そうではないでしょう、皆さんたちが戦後体制からの脱却と言うのであれば、お国のための農協から地域のための農協になるべきだ、こういうたてつけにしなきゃいけないわけで、第一条のここに、「もつて国民経済の発展に寄与する」を、もって地域の発展に寄与する、ここから書き直さないと本当ではないと思いますという御発言がありました。

 今回の改正では、目的規定は手を加えておりません。しかし、石田参考人が言っているように、今回の改正が六十年目の大改正というのであり、戦後体制からの脱却ということであれば、農協をこういう形に、またこういう方向性に持っていきたい、その目的を考え直さなければならないと思いますが、大臣の見解をお願いいたします。

林国務大臣 この一条でございますが、今先生からお話がありましたように、「農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、」そして後段で、「もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする。」こういうことになっております。

 まさに前段にありますように、農業者がメリットを受けることを主目的とする農業者の協同組織、ここはやはり原点に戻って、適切な事業運営をできるようにするということがまさに今回の農協改革の目的であろう、こういうふうに思っております。

 そういった意味で、組合の事業運営原則を明確化して、農業所得の増大に最大限配慮しなければならない、また、理事の過半数を認定農業者や、農畜産物の販売や法人の経営に関し実践的な能力を有する者とする、こういう改正をしたところでございます。

 農業者の協同組織という基本的な性格を原点に返ってやるということで、ここを変える必要性はないということで、むしろ第一条の趣旨をより徹底するために行うものであるということで、第一条は変更しなかったわけでございます。

 「国民経済の発展に寄与する」というところでございますが、国民経済の発展というのは、広い意味で国民経済でございますので、当然この趣旨としては、それぞれの地域における農協がこの目的を達成していただければ、それぞれの地域、また、農産物等々の販売等によって国民経済の発展に寄与するということですから、対立概念ではないのではないかというふうに考えております。

村岡委員 石田参考人と私と考えが同じだというわけじゃないんですけれども、そういう反対に近いような形の方々のところに伝わっていないというのが少しあると思います。そこはやはり、農村社会の所得倍増、農業者の所得倍増という中で、地域社会でしっかりとそこは、農業だけじゃなく、倍増していくのか倍増していかないのか、どうしても方向性がわからないという方が多いことも確かだ、こう思っております。

 そういう意味で、大臣が今答えられた説明というのは、農村社会というのは、賛成や反対が入りまじっていると、やはり改革は成功しないと思うんですね。やはり多くの人たちにしっかり説明していくということをこれからも心がけていただきたい。それは政治家だけじゃなく、農林省の方もそういう説明がやはり不足していると私は考えておりますので、ぜひお願いしたい、こう思っております。

 そして、次に、参考人の中で小川参考人、株式会社小川牧場代表取締役でしたけれども、この方から、農協についていろいろ注文をいただきました。午前中もちょっと話題になっていました。

 小川参考人の意見でありますけれども、担い手の育成が進まなくて、高齢化ですから、なかなか後継者が育たない。その原因というのは、経営がなかなか安定していないのと、将来の不安があるのではないかということで後継者が育たない。もっと積極的にJAも担い手育成をやっていただくようにしていただきたい。

 職員の関係ですけれども、異動が、金融機関等の指導の関係もあるんでしょうけれども、五年を目安にというふうな指導がありますので、いわゆる営農担当の職員、経験が豊富な職員が頻繁にかわってしまうと、地域との密着も進まない。

 農協自体も事業本部制をしいていますが、営農部門、金融部門、それから生活とかに分かれていますが、そういった連携をなかなかしていないという弊害が起きています。現場のニーズが、営農で融資等の要望があっても、内部の連携ができていない、補助事業等も末端までなかなかつながってこないというような問題がある、こういうふうに指摘しております。

 いずれも、農林省は、既にそういう指導に取り組んでいると答えると思いますが、実際には、現場ではまだ進んでいない。少なくとも農業者が進んでいないと思っているわけですけれども、これについて、大臣はどのように思われるでしょうか。

林国務大臣 まさに農業者の立場から御意見を述べられたものというふうに思っておりまして、まさに利用者の立場ということではないか、こういうふうに思っております。

 したがって、今、指導があって転勤がある、こういうような御発言があったという御指摘でございましたけれども、やはり、全国押しなべて一律にやりますと、何年かというのをつくって、それぐらいでやはり異動しないと、こういうことになるのでございましょうけれども、一方、地域の農家の方は、せっかくなじんできたのに、また新しい人が来てと、こういうことでございますので、どちらかが一律に正しいということではなくて、やはり地域地域の特性に応じて、そこのところは弾力的にいろいろな創意工夫をしてもらうということが大事なのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。よってもって、その地域地域で特性を生かすことによって、その地域の農業者の所得向上を図っていくということが大事なことではないか。

 したがって、地域農協がそういうことをしっかりやっていく、連合会、中央会はそれを適切にサポートしていく、こういう基本的な考え方でこの改革を取りまとめたところでございます。

村岡委員 小川参考人は余り農協を利用していないということの中で、農協が変わっていただきたいという中で、役所的だ、もう全然つながりがなく、一つの部門に行って聞けば、もう一つ違う担当だと言われるようなことがある。そういう農協ではだめだし、そして大きく農業をしていくと、だんだんと農協から離れていく。その状況はなぜなのかということの御指摘の中で、例えば、農薬でも資材でも買うときに、多かったから下げるという柔軟性がない。いろいろなお話をされておりました。

 そういう意味では、これから農協を改革していく上で非常に参考になるのは、やはり、農協というのは全国にいろいろなネットワークもありますし、また販売ももちろんあるわけで、小川参考人も、農協が変わっていくことによってぜひ利用したい、このようなことも申しておりました。そこが農業にとって大切なことだと思っているわけです。

 現時点で、農協の改革というのは組織中心に変えていっているわけですけれども、目的は販売まで含めて農協が変わってほしいというわけです。こういう組織をいじることによって、今まで農協を使っていなかったような法人が使えるようになるという対策はどのように考えていらっしゃるのか、答えていただきます。

林国務大臣 まさに、今先生おっしゃっていただいたように、参考人からもいろいろな声が出ておりまして、これは鈴木参考人の御発言でございますが、組合員皆平等という言葉もありますけれども、何か農協にはちょっと商売っ気がないような感じがするんですよね。もちろん、ほかの企業と同様に、早期予約割引ですか云々、こういうふうにおっしゃっておられる。

 まさに、そういうサービスを求められる方と、また地域のインフラ的なものを求められる方、先ほど、午前中の質疑でも申し上げましたように、農家の方も均質でなくなってきて、いろいろなニーズが出てきている。

 したがって、大事なことは、やはり農業者の皆様、これは出資されて組合員になっていただいているわけですから、ここと農協の役職員が徹底した話し合いを行って、うちの農協はどういう役員体制でいくのか、販売方式はどういうふうにするのか、資材の調達はどうするのか、こういうことをしっかりと話し合っていただいて、全国どこへ行っても同じことをやるということでなくてもいいわけでございますので、そこのガバナンスをしっかりそれぞれできかせていただくことによって、よってもって地域の農協が農業者の所得向上に資する、この姿をしっかりと実現していっていただければ、こういうふうに思っておるところでございます。

村岡委員 それから、これは新福参考人の言った言葉の中で、政治家が考えなきゃいけないことなんですが、政党及び政治が農村での支持拡大をしようと競い合う、この結果、今までいろいろな政策の問題の核心や課題がぼけてきて、政治のため、選挙のために農業政策をやった、この本末転倒しているようなことを今後はしっかりと、この農業改革というのは五年、十年という、計画的にやっていただきたい、こういうふうに新福参考人は言っていたわけですけれども、大臣はどう思われるでしょうか。

林国務大臣 これは、我々は全てよく拳々服膺すべき言葉だろう、こういうふうに思っております。

 私も取りまとめのときは党の立場でおりましたけれども、やはり、議員として地元に行って、いろいろな意見を聞いて、それがなるべく生かされるように政策を立案していく、これは当然の仕事でありますので、そのこと自体がやってはならないということではない、こういうふうに思いますが、今の御発言にあるように、政治的にそれを利用すると言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、そういうことではなくて、あくまでいろいろな方の御意見を聞いて、よりよい仕組みをつくっていくということは、どういう立場にあっても、まずは考えなければいけないことではないかというふうに思っております。

村岡委員 これは言われていることなので、事実かどうかわかりませんが、やはり農協が政治運動が中心になってしまった、そこに対して政府の方は、農協は本来のところに戻るべきだ、これが一つの改革のきっかけになったとも言われていますけれども、その点はどう考えていますか。

林国務大臣 これは政府というよりも、むしろ党でいろいろ議論をしたときに、農政連というのがございますので、いろいろな団体があって、政治活動をやる場合には別途政治連盟的なものをつくってそこでやるということはほかの団体でもやっておられますので、やはりその原則をしっかりと貫徹すべきだ、こういう御議論はかなりあって、JAさんの方もそういうことで進められていこうとされておられるのではないか、そういうふうに受けとめております。

村岡委員 大変無難な答えをいただきまして、ありがとうございます。

 でも、やはり政治的なものは別に農業者の方々ももちろんやっていいわけですけれども、政治に振り回されてきたというのは非常に感じているんですね、現場へ行くと。そういう意味では、今回の改正が、飼料米にしてもいろいろな対策にしても、しっかり継続しなければ信頼されないということがあります。

 まだまだ現場には、飼料米政策に関しても、これは来年になったらどうなるんだろう、そして総理がかわったらどうなるんだろう、農林大臣がかわったらどうなるんだろうという相当な声があります。この声はつかんでいらっしゃると思いますけれども、これに関しては、大臣はどのような。

林国務大臣 餌米について、転作を奨励していこうということで大きな取り組みの一つに位置づけておりますが、まさに現場の方からこれは本当に続くんだろうかという御懸念の声があるということは承知をしておるところでございます。

 したがって、私もどれだけ長くやっているかわかりませんけれども、基本計画というものをことしの三月につくらせていただきました。これは、政府が閣議決定ということで、たびたび申し上げておりますように、財務大臣も当然含まれた閣議の場で決定をする。その場で、この計画にきちっと位置づけて、目標を定めて、それに向かってやっていくんだということを政府全体として決める、こういうことをやっていく。

 こういうことをしっかりと発信していくことによって、皆さんが、というのは、餌米をつくっていただく方もそうでございますけれども、畜種側の利用される方も、ことしは餌米を使ってみたけれども、政策が変わったのでまたできなくなったということでは、そちらの方も二の足を踏んでしまわれる、こういうこともございますので、双方の皆様にとってしっかりと先ほどのことを説明していく必要がある、こういうふうに思っております。

村岡委員 一年に一遍しか飼料米だってとれないわけですから、しっかりと継続性ということをやっていかなければ経営もできていかないということだと思いますので、そこの点は継続性を大事にしていただきたい、こう思っております。

 谷口参考人から、大臣がよく言われる、価格決定力を農業が持たなきゃいけないということの中で、御意見がありました。

 価格が自分で決められるということの意味は、生産費と価格との関係が自分の中で明確になり、市場価格が高くてもある一定価格で売る、市場価格が安くてもある一定の高い価格で売る、つまり、自分の経営の再生産ということを前提にして、一カ月、二カ月単位ではなく、一年、二年単位でもって生産が可能になる仕組みに組織していく、そのためには規模を拡大していかなければならない、こう考えているということでした。

 ただ一方で、規模の経済を重視し、労働力を排除してコストダウン、薄利多売という方向は、地域経済にとっては活性化とある意味では対立的になる。つまり、一部の経営だけが伸びるという側面があります。

 こういう多様な担い手の中で、やはりどうしても農家の方々に今不安があるのは、一部の経営的に成功する人たちだけが農村社会で伸びていく、しかし一方で格差ができてくる、こういう不安がたくさんあるということを谷口参考人がお話をされていました。

 この点に関して、大臣はどのように思いますでしょうか。

林国務大臣 大変大事な御指摘ではないか、こういうふうに思っております。

 我々はよく車の両輪と言っておりますが、産業政策としてしっかりともうけていただくという農業と、もう一つは地域政策としての多面的機能等で、後押ししていかなければならない多面的機能、こういうものは両々相まって効果を発揮していく、こういうことでございますので、やはり現場においても、どちらか一方を選択するということではなくて、なるべくこれを両立させていくということが非常に大事なことではないか。

 産業政策的なものがなくて、地域政策だけになってしまってはなかなか難しいということも一方であるわけでございますので、これをどうやって両立させていくか。そのためには、いろいろな施策を、それぞれの目的は明確にした上で、私がよく言っているように足し算でやっていく、こういう考え方が大事ではないかと思っております。

村岡委員 実は、ここは非常に難しいところで、前に質問の中で秋田県の大潟村の話をしました。大潟村は、全国から集まってきた開拓農家ですけれども、その方々は、今のビジネス的な、大きくしようというモデルの中では、モデル地域になるぐらい大きいわけですけれども、ほかの、大潟村の囲いの外の人は全然受け入れてこなかった。

 そういうことが各農村集落で、今後、大きい人と小さい農家との、農村社会の中で争いが起きないようにしなきゃいけない、そこが本当に大変だと思うんです。車の両輪だということを言っていても、なかなか人間の感情として、大きい人はやはり大規模経営ですから、販売力も何もあって、全国へどんどん進出する。輸出もするかもしれない。一方、小さい方々は、もう本当に家族経営でやっている。

 うまく農村社会でお互いが協力していくという仕組みを、一年や二年でできないと思いますが、やっていくというのは、これが本当の農村社会の所得倍増にもつながり、地域社会がしっかり守られていくことだと思います。ここの取り組みはまだ出てきていないように思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 まさに谷口参考人もおっしゃられておりますように、大事な点は、AかBかどちらかということではなくて、両者を適切に組み合わせて地域農業を組織化するということになります、こうおっしゃっておられます。

 私は、全国でこれが正解だということが一つあるということではないんだろうな、こういうふうに思っておりまして、今、村岡先生がおっしゃった米の場合は、これは土地利用型でございますので、ある程度までは規模をどんどん大きくしていった方がコストが下がる、こういうこともございますが、施設園芸ですとか畜産ということになってまいりますと、必ずしも農地の規模というものではないところが生産性にかかわってくるということもございます。

 それから、たしか富山県だったと思いますが、ハト麦を専門にやられている氷見の例などは、その地域の特性を利用して、みんなで取り組むことによって特産物化していく。ちょうど六月一日からGIの受け付けも始まっておりますけれども、そういう特産物化をするということであれば、規模等々ではなくて、やはりその地域の特性を生かしたところに付加価値がついてくる、こういう行き方もあるわけでございます。

 やはり、その地域地域の特性に合わせて、その土地はどういうやり方をやっていくのかということを、先ほど申し上げましたように、農業者と農協の役員の皆さんと関係者が一緒になっていろいろ御議論いただいて、この方向でやっていこうと話し合いを持ちながら進めていく。多面的機能というのも新しいメニューの中に加えさせていただきましたので、必ずしも耕作を続けていかなくても、集落の一員としてやっていく活動に対してしっかりと応援していく仕組みというものもできてまいりましたので、こういういろいろなツールを活用していただいて、それぞれの地域に合ったものをしっかりと話し合いの中で生み出していっていただければ、こういうふうに考えておるところでございます。

村岡委員 そこが本当にこの改革及び農村社会がしっかり守られていくところの肝だと思いますので、そこはよろしくお願いしたいと思っております。

 そこで、もう一つ、先ほどの格差と同じように、原則として認定農家や販売に強い人という農協の理事です。

 鈴木参考人は、ぜひとも青年枠も設けてほしいということを言っておりましたが、一方、石田参考人は、こういう方も地域に帰ると非常に多いんですが、理事の割り当て制、クオータ制を今度導入いたしております。認定農業者であれ、実務精通者であれ、理事に入っていただくということは決して悪いことではないと思っております。それを法律で半分以上入れろという、この割り当てが問題だと石田参考人は思っているそうです。認定農業者であっても、自分の経営が忙しいから入りたくないという人もいる。これは現実に結構いるんですね。入って、俺は協同という取り組みを頑張るぞ、そして、地域の組合員の皆さんから信任を得るという形で理事に上がってくるのが一番望ましいのであって。

 どうしても入れろとかこんな人を入れろと言うと、地域社会というか農協の中でなかなか意見がまとまらない、混乱するんじゃないかと心配している人がたくさん実際に農協でいると思うんですけれども、そこにはどう大臣はお答えになるでしょうか。

奥原政府参考人 農協の理事の関係でございますが、今回の農協改革では、地域農協が、担い手農業者の意向も踏まえて、農業所得の増大に配慮した経済活動を積極的に行えるようにする、こういう観点に立ちまして、農協の理事の過半数を、原則として、認定農業者あるいは農産物の販売や経営に関して実践的な能力を有する者とする規定を置くことにしております。

 今回の農協法改正に際しまして、先週の参考人質疑でも、一部の参考人の方からはこれについての御意見もあったと承知をしております。

 しかしながら、今回こういう規定を置いておりますけれども、具体的にどなたを理事にするのか、これについては組合員が判断をするということになります。それから、実践的な能力を有する者、これがどなたであるかについても、その農協の販売事業あるいは経営の方向性、こういったものをきちんと議論していただいた上で、その農協において、その販売方針にふさわしい適任の方を選んでいただく、こういうことになると思っておりますので、組合の自主的な決定ということは基本的に変わらないというふうに思っております。

 今回の理事の要件の規定につきましては、地域農協が農産物の販売力の強化に向けた自己改革に取り組むための環境を整えていく、こういう観点でございますので、組合員が農協の活動を発展させる最もよいやり方を自分たちで決める、これを妨げるようなものではなくて、むしろこれを後押しする、そういった規定を置いているというつもりでございます。

村岡委員 当然、今までの認定農業者であったり販売に精通している人が入ってくるのは、農協を活性化すると思うんです。

 ただ、現実には、認定農業者で、自分自身で販売網を設けてやっていたり、いろいろな先端的な農業に取り組んでいる人は、農協の仕事をやったら自分の農業ができない、忙しくなってしまう、こういうふうに思っているところが本当は問題であって、農協をしっかり立て直して、自分の農業にもこれは役に立つんだ、地域の農業全体にも役に立つんだと思わなければ、やりたくないと思っている人がいるようでは、農協という組織は活力も出てこないし、新しい取り組みもできてこない、こう思っています。その点は、大臣、どう思いますか。

林国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、農業をがっつりやって、自分でもいろいろやっていらっしゃる方が、農協の役員になるのは嫌だということは、何か自分のやっていることと関係ないところに時間をとられる、そういう思いがどうも伝わってくるわけでございます。

 そもそも、なぜ農協をつくるかといえば、みんなで集まって、いわゆるバーゲニングパワーを増していこう、たくさん集まって資材を調達した方が一人でやるよりも安く調達できるのではないか、また販売力も、みんなで集まった方が強くなるのではないか、私はそこが原点じゃないか、こういうふうに思っております。

 そういう意味で、そういうことをしっかりとやっていくためにこういう方に入っていただくということであれば、そのために時間を割いてやっていこうということにもなってくるのではないか、こういうふうにも考えるわけでございますので、まさに原点に返って、有利調達、有利販売というものをしっかりとやっていく地域農協になっていただく、これが大事ではないかと思っております。

村岡委員 そういう方が入って、積極的にこれまでの農協の方々と議論しながら、農協が変わっていかなければならない、こう思っています。

 ただ一方、今まで農協に入っていないで、自分で販売網を設けて、農協活動よりも自分自身のことをやっていた人は、比較的地域の中で一匹オオカミ的な人が多いので、農協もその方のいろいろなノウハウを取り入れるというところがなければいけない、こういうふうに私も思っております。

 それでは、次の質問なんですが、谷口参考人が監査について述べられております。

 全国的に農協の数が七百弱ありますけれども、その地域に適当な数の監査人に当たるような公認会計士の人がいるのかどうか、農業のことに詳しい人がいるのかどうかを考えたときに、恐らく、旅費だとかいろいろなことを考えていくと、積み上がるコストが高くて、安くならないんだ、いわゆる経済性の問題でも議論があると思います、しかし、私は、それが大事なんですけれども、先ほど言いましたように、一番大きいのは、農業の詳しい事情をどこまで知った公認会計士さんがいるかどうか不安です。

 そこで、この谷口参考人の不安に対してどう応えるかなんですが、会計監査のコストは今までよりもかかるのか、かからないのか、業務監査の内容は一般の公認会計士でも十分対応できるものと考えているのかどうか、それをちょっとお聞かせ願えればと思います。

奥原政府参考人 監査の関係でございますけれども、今回は、農協の会計監査につきまして、農協の信用事業を、これはイコールフッティングではないといった批判を受けることなく、安定して継続できるようにするという観点で、信用金庫、信用組合等と同様に、公認会計士による会計監査を義務づけることにしております。

 その際、今回の農協法の改正の附則におきまして、第五十条というところですが、公認会計士への移行に関しての配慮事項、これが幾つか書いてございますけれども、その中で、政府は、農協が実質的な負担が増加することがないこと等を規定しているところでございます。

 この配慮規定の具体的な中身については、これは改正法の施行後に検討していくことになりますけれども、まずは、これまでの農協の監査に関する負担がどのくらいであったか。これまでは中央会に対する賦課金としてトータルで払っておりますので、個々の監査コストについての請求書があるわけではございません。実質的にどのくらいのコストであったのかということをまず確認するところから始まります。

 それから、公認会計士、監査法人の方にやっていただいた場合にどのくらいのコストになりそうか、こういったことの検証も必要だと思っておりますので、こういった数字をよく見ながら、仮にこれは上がりそうだという場合には、そこについてどういう手だてを講じていくか、そこについての方策をいろいろ検討していく、こういうことになってまいります。

 それから、業務監査の方ですが、今回の監査の改正では、この業務監査、ほかの民間の組織では義務づけられているところはございませんので、これについては基本的に、農協についても任意という形になっております。必要な場合には、農協の方から見て、内部統制の補完としての業務監査が必要だ、あるいは販売を強化するためにコンサルを受けたいということがあります場合には、その能力を持ったところにいろいろ頼んでいただくということになります。

 県の中央会は農協連合会という形に組織は変わりますけれども、会員の要請に応じて監査をするということは附則でできるようになっておりますので、この県の中央会、連合会に変わったところがやるというのも一つの方式ですし、それから、一般の監査法人、これは会計監査もできますが、コンサルの業務をやっておりますので、そういったところのコンサルを受ける、こういった方法もあり得るというふうに思っております。

村岡委員 今局長がお答えになりましたけれども、そこがちょっと農協の方々や現場の方々に伝わっていないと思うんですね。コストはこれから調べなきゃ幾らだかわからないから高いのか安いのかわからない、業務監査も、公認会計士に全部やらせるのかとか、いろいろな制度的なものがまだわかっていないので不安になっているという現実があります。

 結局、玉木委員の話した全中監査の何が問題だったのかという指摘が、やはりそこを変える目的があるからこそ、この新しい公認会計士の制度を入れて変わってくると思うんですけれども、そこはどう思われていますか。

奥原政府参考人 従来の全中監査機構による監査制度の問題点がどこにあるかといいますと、全中監査機構の監査についても、質を高める努力は、これは行政も一緒になっていろいろ工夫をしてきたわけですが、それでもやはり、仲間内の監査であるという批判は外部から受けているわけでございます。純粋な外部監査とは言えない。したがって、純粋な外部監査としての公認会計士あるいは監査法人の監査を受けるべきである、こういう指摘はこれまでずっとされてきております。

 これだけ農協の信用事業が、規模が大きくなって平均でも一千を超えておりますし、農協によっては一兆円の貯金量を超えるというところも出ておりますので、これからも安定してこの信用事業を営んでいくためには、この際、やはりきちんとした、ほかの金融機関と同等の外部監査の体制を整える、これが農協が仕事をやっていく上で非常に重要なポイントではないか、こういう観点に立って、そこは見直しを行ったということでございます。

村岡委員 あと、農協の全国中央会は、現実にはこれまでの権限は失うわけですけれども、各単協がしっかりと取り組んでいくということです。我々維新の党は、複数農協も積極的に競争を生むためには必要だと思っているわけですけれども、やはり地域を超えて農協を利用していくということも必要だと思っております。

 例えば、私はよく地方創生でも言っているんですけれども、サクランボというのは山形というイメージがありますけれども、実は佐藤錦というのは、最初は秋田の人が開発したもので、ほとんど地域が同じところがあるんですね。

 そういう意味では、農協が一緒になった方がロットもふえて、いろいろな組み合わせで、農協が、一つの地域だけじゃなく、どんどん有為なところを選んでいくことも必要だと思う。

 ただ、地域が崩れてしまうというのはあるんですけれども、積極的にいいものをつくったら、一番高く売れるところでそれを販売していく、そういうことも必要だと思っておりますけれども、大臣はどのように思っていますでしょうか。

林国務大臣 いわゆる地区が重複する農協の設立ということですが、平成十三年の農協法改正で、総合農協であるかないか、すなわち信用事業を行う農協かどうかにかかわらず、これは認められておりまして、これまで九十九件認可されて、不認可というのがございません。

 十三年の改正当時は、行政庁が認可をするときに中央会へ協議をするということが義務づけられていたわけでございますが、これも平成二十五年の改正で廃止をされております。

 この認可ですが、地区の重複する農協の設立については、他の農協の地区と重複することにより当該地区の農業の振興を図る上で支障があると認められるときは認可をしないということでございますが、今までの例で、先ほど申し上げましたように、こういう支障があると認められた事案は発生しておりません。それにもかかわらず、このような規定があるということになりますと、地区重複が制限的に捉えられて、競争を通じた組合員サービスの向上の妨げとなっている、こういう指摘もありましたので、今回の改正法においてはこの規定を廃止いたしまして、この地区重複に関する規制というのは全くなくなる、こういうことでございますので、自由に地区の重複する農協を設立できるようになる、こういうふうに考えております。

村岡委員 必ずしもできるところとできないところはあると思いますけれども、やはり今まではできにくかったということがありますので、農協にとっても、競争も一つの必要なことだと思っておりますので、推し進めていただきたいと思っています。

 そこで、谷口参考人がTPPについて言っております。これは、比較的、現場に行って農家の方々や農協の人たちに聞くと多い言葉なんですけれども、農協の組織改革はTPPを締結するために、先ほどの農協の政治運動じゃないけれども、そこを潰さなきゃいけない、これが目的だったんだと実際言っている人がたくさんいるんです。実際、政府に対し、自民党は我々の反対運動が許せないということの中で改革を進めた、こう言っている人たちが多いんです。そこには誰も、それは応えるのかどうかわかりませんが、大臣も総理も何も言わないわけですけれども、実際にはそういう不満を持っているということにはどのようにお応えいたしますでしょうか。

林国務大臣 大変いい機会でございますので、そういうことではないということをはっきりと申し上げておきたい、こういうふうに思っております。

 TPP交渉は、交渉参加を安倍政権になって決めたわけでございますが、TPPというこの言葉自体が人口に膾炙するようになった前から、農家の平均年齢がもう六十歳を超えているですとか、耕作放棄地がふえている、若い方が入ってこない、こういう問題はずっと言われてきたところでございまして、先ほど玉木委員からも、もう需要サイドにシフトしなければいけないということはここ数年ではないという御指摘があったとおりでございます。

 いわゆる農政の改革は待ったなしの状況であったわけでございますので、これはTPPがあろうがあるまいが、この全体の改革、その中での経済主体の改革としての農協改革、これはやらなければならないことである、こういうふうに認識をしております。

村岡委員 なかなか人間は、そう思うと変えるのは大変だとは思うんですが、そこに根強い、渋々改革を受け入れたみたいな形があるので、ここは改革していく上でやはり障害になると思っていますので、そこはしっかりと説明していかなければならない、こう思っています。

 そして、TPPは妥結していないわけですけれども、このTPPが成ったとき、今の改革だけで、これは農業を進める、妥結しないからわからないという答えしかないんでしょうけれども、でも、実際には今までよりはお互いに自由貿易のルールでやっていくということですから、それは当然農業にとって厳しい状況も起きてくると思います。この厳しい状況に対しては、さらに農業対策に取り組む姿勢でおられるのかどうか、教えていただければと思います。

林国務大臣 まさに委員がおっしゃっていただいたように、まだ全体をパッケージとして交渉しておりますので、何も決まっていない、何ら確定しているものはないということですが、これは農林水産委員会の決議が衆参両院でなされておりますので、これが守られたという評価をいただけるように、政府一体となって全力で交渉に当たってまいりたい、こういうふうに思っております。

 この農林水産業・地域の活力創造プランに基づいてやっている農政の改革というのは、まさに、これにかかわらず、待ったなしの極めて重大な課題でございますので、どういう結果になろうとも、この趣旨がきちっと生かされて、目的が達成されるように、しっかりと施策を推進してまいりたい、こういうふうに思っております。

村岡委員 守られたかどうかというのは、これは農業者の方々が判断することだとは思うんですけれども、我々なんかはもう選挙の最中からTPPに参加ということを言っていますから、TPPに参加して交渉で国益は守る。しかしながら、その中で妥結した条件が出てきたときには、農業対策をしっかりする、そのことによって農業の成長もしていく。

 やはり覚悟を決めながら、守るということは大前提なんですけれども、しっかりと、その出てきた内容を精査したものでは、守っていくことが一番大事なんですが、これから農業が世界市場の中でしっかりと勝負していかなきゃいけないわけですから、これまでの対策よりもより踏み込んで、やはり農業の成長、それから中山間地の社会政策的なものもやっていくというメッセージはいずれ出さなきゃいけなくなる、こう思うんですが、大臣はどう考えていますか。

林国務大臣 申し上げましたように、まだ交渉が途中でございますので、この交渉の結果によって対策が必要になってくるのかならないのかということは、結果を見ないとなかなか申し上げにくいところがございます。

 したがって、このいかんにかかわらず、やっていこうと思っております農政のプラン、これをしっかりと遂行していくということがまずは大事なことではないかというふうに考えております。

村岡委員 次に、参考人の方で、農地中間管理機構に関してお話しされていましたけれども、先ほど玉木委員が話した午前中の話もありますが、集積円滑化団体、ほかの団体でもよくやっていると。何か新しい団体だから、非常に活躍している。前の質問でも、自分たちの自己評価は非常に高いというようなことなんですけれども、中間管理機構の政策が間違っているとは私は思っていないんです。しかし、何かほかの団体と一緒になってやっていくという連携が現場でとれていないんじゃないか、こう思っております。

 だから、そこの連携というのは、農林省、政府としては、集積のための部分を、各団体がありますけれども、どのような形で連携させていくのか、または将来的に、どのようにこの団体をある程度まとめていくのか、その辺のところを教えていただければと思います。

林国務大臣 先ほど午前中の質疑でもございましたように、農業委員会ですとか農地利用集積円滑化事業をやっていただいているところ、これはやはり連携をしてもらわなければなりませんので、しっかりとやっていかなければいけないということでございます。

 農地中間管理機構自身が業務を委託できる、こういうふうになっておりまして、市町村や地域のJAの皆さんにもいろいろ御協力をいただきながらやっていかなければなりませんし、人・農地プラン等々を活用して、やはり集落単位でいろいろな話し合いがなされないと実質的には難しいということもあろうか、こういうふうに思っております。

 一方で、よく言われている分散錯圃というのがございます。従来やっておりました円滑化事業は、出し手がいらっしゃった場合に、出し手の代理として受け手を探していく。したがって、まず出し手が出てこないと始まらないというところがございます。

 人・農地プランの中でいろいろ御議論があって、そこの先に、もう少し出し手からも出してもらう努力をする、そしてそれを、分散錯圃を解消するために、畝をとって大きな一枚のものにしていく、こういうものがあるとさらにいいな、こういうお声もあって、実は農地中間管理機構というのができてきた。こういう経緯がございますので、まさに主体的に借り受けの主体となって、そして借り受けたものを、そのまま代理人として貸し手を探すのではなくて、機構の中で大きくしていって、いわばディベロッパー的な意思を持ってやっていく、ここが農地中間管理機構に求められているところであろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。

 農地中間管理機構、一年目の実績がこの間出てきたわけでございますけれども、それをよく詳細に分析して、一体どういうケースでは、今委員がおっしゃったように、農業委員会とさらに連携が必要なのか、また、円滑化事業をやっているところとどういう場合はやったらいいのかということをケース・バイ・ケースでよく見ながら、しっかりと連携をして、二年目に成果が上がっていくようにやっていきたいと思っております。

村岡委員 まさに今大臣が言ったようなことは、この分散の部分で、鈴木参考人という若い新規参入の方が言っていたんですけれども、僕のような新参者にはどうしても農地が集まらないため、非常に非効率なのは重々承知の上でも、三つの市をまたいで農地を借りて農業をしています、遠い畑では、農園の本拠地から三十キロ以上離れたところにありまして、往復の移動時間だけでも一時間半ほどかかりますと。

 これは、新規に入った人が、農地中間管理機構に行ってもなかなか情報が得られず、非常に条件不利地だったり、遠いところの場所になっている。現実はまだ一年目ですから、今大臣が言われたように、いろいろなアンケートの結果をしっかり分析して、こういう問題が現実にあるんだということを認識していただければと思いますので、この対策もしっかりやっていただきたいと思います。

 そしてまた、鈴木参考人が土地のことに関して言っているんですけれども、高齢者に体力の限界が来て離農を考えているという状況になったときに、例えばこんなことができたらと思っているのは、農地をそのままの状態でお貸しいただけませんかという形で、長年その方が育ててきた農地をお借りする、そのときに、農地をお借りするだけではなく、何らかの形で、協力なのか雇用なのか、その方たちと一緒に協力体制がとれるような状態になると、我々みたいな新規参入者も早期に技術がつけられ、そして身近に、その人たちの農村社会に溶け込むことができると。こう思っているんですが、現実にはなかなか農村社会というのは新しい人たちを受け入れる土壌がないわけです。

 ですから、新しい人たちが、新規参入者が農村社会に入っていくときに、はい、土地がありますよといって、土地を与えるというだけで本当に農村社会に溶け込むかどうか、このあたりは、もう精神的な分野ですから、農林省がやるべきなのかどうかの問題はあるんですけれども、でも、実は新規参入者がふえてくるということの中には、そこをクリアしないと、なかなか農村社会に入っていけない。

 このことに関しては、大臣はどのように思っていますか。

林国務大臣 そこも大変大事なところでございまして、やはり新規の方が着実に定着をしていただく、そういう意味では、今までやってこられた方や周りの方と近所づき合いをしていただいて、たまには一杯やりながらいろいろな話を聞いて、本当はそうかなと思う話にも、そうですねなんとうなずいたり、そういうことがやはり大事なのです、これは農業にかかわらずどういう世界でもそうかもしれませんけれども。

 高齢農業者の方は、ずっと担い手として活躍をされてきておられますから、やはり豊富な農業技術とか経営ノウハウとか土のつくり方、こういうものを持っておられるわけでございますので、こういうものを新しい方に伝承していくというのは大変大事なことであろうというふうに思っております。

 したがって、後継者が自分のところにはおられなくて、農業経営を移譲することを希望される高齢農業者の皆さんと、新しく入ってくる、経営の継承を希望する皆さんとの間のマッチングとか、そういう方に入っていただいた実践的な研修をする、こういうことをやって円滑に継承されていくということを推進しておるところでございます。

 今後、今先生がおっしゃったように、出し手の中にはこういう方がたくさん出てくるということが予想されますので、やはりこういうノウハウ、技術を伝承していただけるように、さらに工夫をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

村岡委員 大臣が言われたように、私が質問しても、そうでもないなと思っているのを、はいはいと聞いていただいているかもしれませんが、それは別にしまして、農村社会は、例えば地方というのは、私のところは、近所に農地は本当に少ないわけですけれども、それでも転勤や、それからまた学校に転校してくるとなかなか溶け込めない。農村社会に行くと、小さいころから全員が名前も知っている、そしてどこの学校に行っているかも知っている、そういう状況の中で農村に入ってくるというのが、なかなか大変なことは現実問題としてあります。

 そして、大臣が言ったように、マッチングだとかそういう言葉の中であるんですけれども、高齢者の方は、例えば、テレビ番組でDASH村というのを見たことがありますか、そこに行った若者たちに教えるというのは本当は大好きなんです。伝承していく弟子みたいな形になる。

 だから、入り込みが農地でどんと入っていくというよりも、いろいろな技術を学びに行く、高齢者のいろいろな経験を、そして地域のことを学びに行く、こういう何か、学校でもないですけれども、何かの仕組み、そうすると新規参入の方々も、そこの地域にもう七十年、八十年住んだおじいちゃんやおばあちゃんがかわいがってくれて、農業の技術、地域の話を教えてくれる。何かそんな仕組みを少し考えていく、そうなると入りやすくなる。

 新規参入で農業をやりたい人は結構いるんです。ところが、農業だけをやりに行くわけじゃないんです。やはり農村社会、地域に溶け込んで、地域のお祭りに参加したり、そうやっていくと、一、二年頑張るけれども、三年ぐらいで疎外感で出ていってしまうということがありますので、最初の入り方の問題のところで何か考えられないかと思いますけれども、大臣はどのように思いますか。

林国務大臣 まさにいろいろなことが地域地域であるんじゃないかな、こういうふうに思います。

 先ほどのマッチングの事業なんかをきっかけとして、今まさに先生がおっしゃっていただいたように、お祭りとか、それから、大体集落へ行きますと、公民館とか集会所みたいなところがあって、何だかんだそこで集まってやる。ですから、そういうところに積極的に参加していただいて、俺はいいトマトをつくるんだから、それ以外のことはやらないんだというんじゃなくて、やはりその集落の一員となっていろいろなことを一緒にやっていくんだ、こういう気持ちを最初から持っていただくと、よりスムーズに溶け込んでいけるし、そこから学べることも多いのではないかな、こういうふうに思っております。

 ちょっと違いますけれども、「WOOD JOB!」という映画でも、若者が入っていったときに、最初はよそ者扱いされるわけですが、そのうち、いろいろなエピソードがあって、だんだんと溶け込んでいく、それで彼も成長していく、こういう姿がございましたけれども、ああいうことがやはりいろいろなきっかけでできていくということが本当に大事なことではないかなというふうに思っております。

村岡委員 先ほど言ったように、いろいろな農業者で先端的にやっている人たち、この人たちは同じ地域に住んでいてもあつれきがあったわけです。それが、新しく新規参入してくる人たち、でも、むしろ、身近で争っているよりも新規参入者の方が、最初の取り組みをしっかりすれば、私は溶け込めるんじゃないかと思う。

 長年争ってくると、なかなか同じ地域に住んでいても、近所だからこそ非常に許せないということがありますので、そこはそこで解決しなきゃいけないんですが、新規参入のとき、高齢者の人たちから、一緒になって技術を学ぶという方向性の何か仕組みを先に考えられた方が、新規参入の方々が農村社会にしっかり溶け込んで、その農村社会の一員として頑張れるんじゃないか、こういうふうに思っておりますので、少し、私自身も考えますので、農林省の方も考えていただければ、こう思っております。

 そして、きょうの農業新聞なんかにも書いてあります地理的表示、やっとスタートして、第一号が、長野県の柿などが申請されているということです。この地理的表示をいろいろな農業者の人たちも非常にブランドということで評価いたしておりますけれども、大臣が進められた改革といいますか、しっかりとブランド化を進めてということですけれども、これは海外展開にはどのように役立っていくと思っていますか。

林国務大臣 おかげさまで、昨日ですが、地理的表示法が施行されまして、登録申請の受け付けを開始いたしまして、早速、夕張メロンとか神戸ビーフなど十九件の申請を受け付けたところでございます。ニュース等でもそのシーンが放映をされて、櫻庭局長の大きな顔が大写しになっていたところをごらんになっていただいたのではないか、こういうふうに思いますが、十九件ですから、多数の申請が受け付け開始日になされたことは、本制度に対する産地の高い期待をあらわすものと感じておるところでございます。

 国内でほかの方が、もうこれは、もし認められれば、同じ名前はできないということはもちろんでございますが、このGIマークというのが取得をされる、これをつけることができる、海外展開においてはこのGIマークそのものをそれぞれの国で商標権で保護されるようなものにしていこう、こういうふうに思っておりますので、海外のほかの方が神戸ビーフでこのGIマークというのをつけますと、このGIマークの部分がその国における商標法違反、こういうことになるような、典型的にはそういうことを活用して、国内でGIをとった方の保護が海外においても行えるというふうにして進めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

村岡委員 ぜひ、国内でも、地理的表示のブランドというのは非常に農業のそれぞれの商品の販売とか促進につながると思いますが、海外でほかの各国から認めてもらう、しっかりと認識してもらう、これがやはり農業の成長産業の中で大切なことだと思っております。

 櫻庭局長も写真に目いっぱい写っておりましたけれども、これを海外にどのように進めていくのかを、地理的表示の部分でどう進めていくことを各国と話し合っていますでしょうか。

櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣の方からございましたけれども、まず、商標であるとか、そちらの方のポイントはございますけれども、話し合いも、実は先行している国は百カ国以上ございまして、重立った国だとEUとか東南アジアがございます。そういう国々とお互いに相互登録の、この国と話し合いの結果、相互に登録産品を保護し合う、そういった枠組みづくり、こういったものを、まだきのうスタートしたばかりでございますけれども、今後進めていきたいというぐあいに考えております。

村岡委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、ここは非常に大事だと思いますので、ぜひとも、今度は大臣がそれぞれのブランド品を食べながらの写真で載っていただければと思います。

 きょうは、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十六分散会


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