衆議院

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第15号 平成27年6月9日(火曜日)

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平成二十七年六月九日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君

   理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      大見  正君    鬼木  誠君

      勝沼 栄明君    瀬戸 隆一君

      武井 俊輔君    武部  新君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      西川 公也君    橋本 英教君

      古川  康君    前川  恵君

      宮路 拓馬君    森山  裕君

      簗  和生君    山本  拓君

      金子 恵美君    岸本 周平君

      小山 展弘君    佐々木隆博君

      福島 伸享君    井出 庸生君

      松木けんこう君    稲津  久君

      佐藤 英道君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    仲里 利信君

    …………………………………

   議員           岸本 周平君

   議員           玉木雄一郎君

   農林水産大臣       林  芳正君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   農林水産副大臣      小泉 昭男君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  松島 浩道君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月九日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     鬼木  誠君

  今枝宗一郎君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     大見  正君

  鬼木  誠君     井野 俊郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     今枝宗一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七一号)

 農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出、衆法第二一号)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案及び岸本周平君外三名提出、農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、両案審査のため、昨八日、第一班石川県、第二班山梨県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。

 まず、第一班として石川県に派遣された委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、私、江藤拓を団長として、宮腰光寛君、渡辺孝一君、簗和生君、金子恵美君、福島伸享君、井出庸生君、稲津久君及び畠山和也君の九名であります。

 会議は、昨六月八日午前十時十五分より金沢市内の金沢東急ホテルにおいて開催し、意見陳述者の方々から、現在本委員会で審査中の二法案について意見を聴取した後、これに対して各委員より質疑が行われました。

 意見陳述者は、株式会社六星代表取締役社長輕部英俊君、石川県農業協同組合中央会会長上坂英善君、小松市農業協同組合代表理事組合長西沢耕一君及び加賀市農業委員会会長小川廣行君の四名でありました。

 意見陳述者の陳述内容について、簡単にその要旨を御報告申し上げます。

 まず、輕部英俊君からは、農協は肥料等の生産資材の販売価格を下げる努力をする必要性、農協が収益を上げるための具体策について議論する必要性等の意見が述べられました。

 次に、上坂英善君からは、農協の監査制度を変更する場合、政府が農協の費用負担が増加しないなどの配慮を行う必要性、准組合員の利用量規制を実施した場合、地域の利便性を損なうことへの懸念等の意見が述べられました。

 次に、西沢耕一君からは、農協、行政及び民間企業が連携して事業を行う意義、認定農業者等に限らず、多様な人材が農協の理事を務める必要性等の意見が述べられました。

 最後に、小川廣行君からは、農業委員の選任方法を公選制から市町村長の選任制に変更する場合、農業者からの信任が得られる代表性を確保する必要性、農業委員と農地利用最適化推進委員との役割分担の明確化と連携の必要性等の意見が述べられました。

 次いで、各委員から、これまで農協が果たしてきた役割及びこれから果たしていく役割、農協中央会が単位農協の自由度を妨げているかどうかの確認、農協が独占禁止法の適用を除外されている現状に対する評価、今般の農業委員会の改革に期待する点、農業委員の公選制の廃止についての見解など、多岐にわたる質疑が行われました。

 以上が第一班の概要であります。

 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれにより御承知願いたいと存じます。

 今回の会議の開催等に当たりましては、地元の関係者を初め多数の方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

 次に、第二班吉川貴盛君。

吉川(貴)委員 第二班として山梨県に派遣された委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、私、吉川貴盛を団長として、加藤寛治君、齋藤健君、石田祝稔君、中谷真一君、岸本周平君、佐々木隆博君、松木けんこう君及び斉藤和子君の九名であります。

 このほか、現地参加議員として、堀内詔子君、宮川典子君及び参議院議員森屋宏君が出席されました。

 会議は、昨六月八日午前十時十五分より中巨摩郡昭和町内のアピオ甲府において開催し、意見陳述者の方々から、現在本委員会で審査中の二法案について意見を聴取した後、これに対して各委員より質疑が行われました。

 意見陳述者は、有限会社ぶどうばたけ取締役三森かおり君、巨摩野農業協同組合代表理事組合長小池通義君、梨北農業協同組合常務理事仲澤秀美君及び楽農人農園主・山梨市議会議員深沢敏彦君の四名でありました。

 意見陳述者の陳述内容について、簡単にその要旨を御報告申し上げます。

 まず、三森かおり君からは、今般の農業改革の内容を農業者にきちんと理解してもらう必要性、農業に関する団体の明確な役割分担を示す必要性等の意見が述べられました。

 次に、小池通義君からは、政府の農業改革は、日本をどんな国にしたいのかという理念が見えてこないこと、農協の遊休資産の活用方法を大幅に見直す必要性等の意見が述べられました。

 次に、仲澤秀美君からは、農協は組合員に選んでいただける農協でなければならないこと、JA梨北が買い取り販売など新しいことに取り組めるのは、系統組織という大きなスケールメリットに支えられているためであること等の意見が述べられました。

 最後に、深沢敏彦君からは、農協に対する全国中央会による監査の義務づけ廃止と農家の売り上げの増加の関連性に対する疑問、農協は小規模農家にとっては生きるための支えであるため慎重に法案審査をしていただきたいこと等の意見が述べられました。

 次いで、各委員から、農協を販路拡大や営農指導等に力を注ぐ組織にするために必要な措置のあり方、農業委員会法改正案において新設される農地利用最適化推進委員に対する評価、今般の農協改革や農業委員の選出方法の変更等に関する意見、農業者の所得向上を図る上で農協の果たす役割、農協の理事の構成を見直すことによる弊害など、多岐にわたる質疑が行われました。

 以上が第二班の概要であります。

 会議の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれにより御承知願いたいと存じます。速記録は、本委員会議録に参考として掲載されますようお取り計らいをお願いいたします。

 今回の会議の開催等に当たりましては、地元の関係者を初め多数の方々の御協力をいただきました。ここに深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

江藤委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

 お諮りいたします。

 ただいま報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

江藤委員長 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長松島浩道君、経営局長奥原正明君及び内閣官房内閣審議官澁谷和久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

武井委員 おはようございます。

 きょうは、トップバッターで、梅雨も吹き飛ばすような思いで臨んでまいりたいと思います。

 早速でございますが、きょうは配付資料もあるんですが、これは後ほどということで、質問をさせていただきたいと思います。

 農協法の議論ですが、今、本当にさまざまな角度での質問も出てきておりまして、先週も地元に戻りまして、農業者またJA職員の皆さんともいろいろと意見交換してまいりましたが、この話も出たな、この話も聞いたなというような話をある程度整理しながら、何点か質問をしていきたいと思います。

 まず、これは職員の皆さんなんかと話をしたときに出た監査の話。これも何度も出ておるわけですけれども、信用事業を行う監査につきまして、全中監査から会計監査への移行について、会計監査人の監査を受けなければならない場合は、組合の実質的な負担が増加するようなことがないように配慮するといったようなことがあるわけですけれども、これについて、具体的な配慮というところが、もちろんこれから決めていくというところでしょうけれども、非常に心配があるというところがあるようでございます。

 全ての事業を監査人が実施するということであれば、当然多額になる、そういうような心配もあるわけですけれども、この監査につきまして、現状と、また、経営につきましてのさまざまな心配の声があるんですけれども、これについてどのようにこれから御説明をされていこうということであるか、お伺いをしたいと思います。

奥原政府参考人 会計監査の関係でございます。

 今回の農協改革におきましては、会計監査につきまして、農協の信用事業をイコールフッティングでないといった批判を受けることなく、安定して継続できるようにするという観点で、信用金庫、信用組合等と同様に、公認会計士による会計監査を義務づけることにしております。

 その際の改正農協法の附則第五十条でございますけれども、公認会計士監査への移行に関しまして、政府は、農協が実質的な負担が増加することがないように配慮するということも規定しているところでございます。

 この配慮規定の具体的な内容につきましては、改正法の施行後に検討していくということになりますけれども、現時点では、監査も中央会の賦課金で賄われておりますので、監査コストが幾らか必ずしも明確でございません。これまでの農協の負担がどのくらいか等を確認した上で、会計監査人となった場合の負担がどの程度になるか検証していくことから着手をするということになるものと考えております。

 その上で、必要な場合には、例えば、公認会計士協会と連携した農協の組織、事業内容についての監査法人の説明ですとか、農協の負担が実質的に増加しないよう、公認会計士協会等とも協議をしながら、さまざまな方策を検討して実行していきたいというふうに考えております。

武井委員 この点は結構話に出た点ですので、まだこれからも、わかりやすく丁寧な御説明をお願いしたいと思います。

 また、JAの単協、私の選挙区の中にも単協が二つあるんですけれども、単協、特に理事の皆さんなんかと我々はお話をする機会が多いわけですが、今回、理事について、過半数を原則として、認定農業者や農産物販売、経営のプロにするといったようなことを求めるといった規定、また、理事の選任に当たっては、年齢や性別に著しい偏りが生じないように配慮するといったような旨の規定があるわけであります。

 理事の皆さんとちょっといろいろと、夜、焼酎などを飲みながら話もしておったんですが、自分たちも自分たちなりには一生懸命努力をしてきたという思い、自負も非常にあるわけでして、理事さんも、話を聞いてみるといろいろ忙しいんですね。冠婚葬祭も出ないかぬし、きょうは夜に二件お通夜に行ってきたみたいな話もちょうどその日もされておりました。やはり表に理事としての仕事と、理事であるがゆえにその地域で求められる仕事といったようなものもある、非常にそういうものに時間を割いているんだといったような話もありました。

 そういった意味で、自分たちがこれまで評価されてこなかったんじゃないのか、こんなにやっているのにといったようなお話もありました。これには、もちろん、決してそうじゃないんだということはしっかり申し上げましたし、これからもそういったことはしっかり私たちも伝えていかなければならないと思っているんです。

 やはり、制度を変えるということは、なかなかそのあたりの理解というものをうまくしていかないと、そういう人たちの、傷つけると言ったら変ですけれども、モチベーションとか思いとか、そういった今までの活動というものはしっかり評価した上で、今回こういうふうに変えていくんだということをより丁寧に伝えていかなければいけないのではないだろうかと、改めて思いを強くしたわけであります。

 そういったような思いも踏まえまして、今回農協の理事のあり方を見直すということの趣旨について、改めて御説明をいただきたいと思います。副大臣、お願いします。

小泉副大臣 理事の件についての御質問でございますが、今回の農協改革は、地域農協が、担い手農業者の意向も踏まえまして、農業所得の増大に配慮した経済活動を積極的に行えるようにするためでございまして、農協の理事の過半数を、原則として、認定農業者や農産物の販売や経営に関し実践的な能力を有する者とすることを求める規定を置くこととしているわけであります。

 このうち、認定農業者につきましては、担い手の意向を農協の業務執行に反映していくことを目的といたしまして、また、実践的な能力を有する者につきましては、大口の実需者等と渡り合って農産物の有利販売等を実現することを目的としているわけであります。

 いずれにいたしましても、これを契機に、農協の農産物販売事業等を発展させる観点に立ちまして、組合員が適切な人物を役員として選出いただくことが重要と考えているところでございます。

武井委員 ありがとうございます。

 本当に今の趣旨は非常によくわかるわけですけれども、当然、理事の皆さんも、今申し上げましたけれども、今まで一生懸命やってきたという強い思いもございますので、これから改革また説明に当たっては、そういった皆さんへの配慮、これは、例えば表現一つ、言葉遣い一つということもあると思いますが、ぜひ十分気を使っていただいて、今後とも取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 続きまして、理事についてでございますけれども、原則として、これは例外もあり得るといったようなことで、さまざまなケースで、先ほどいろいろと条件を申し上げましたが、では、この人はどうか、この人はプロなのかとか、そういったようなことをよく聞かれたりするわけであります。

 最近、それぞれ、うちの地元だけではないんだろうと思うんですが、いろいろと理事の動向を見ていますと、やはり単協の職員のOBの方というのが結構ふえてきている。うちも改選のたびに、そういう方がまた一人、今度は単協OBの方々が二人とかというような形が、過去の経緯を見るとあるわけです。

 これは、もちろん、職員として農家の皆さんといろいろなおつき合いをしてきたということもそうなんだろうと思いますが、やはりそれぞれ専門分野を持って農家とともに生きてきたということ、ですから、農家の皆さんも、この人は単協にいて、うちでいうとJA宮崎中央と綾町という二つがあるんですが、中央農協の職員だったからわかるだろう、では、理事をお願いしてというような話も結構あるというようでございます。

 そういった中で、いわゆる理事の条件の、経営のプロという基準なんですね。もちろん、これは省令でこれから定めていくということであるわけですけれども、職員のOBの皆さん、それは職員の皆さんにも、ずっと信用事業一本でやってきました、そういう方ももちろんいらっしゃるわけですけれども、やはり職員のOBの皆さんというのは、そういう意味では非常に単協の経営にも精通もされているわけですので、今後、単協が理事構成を考えていく上で、私は、ほぼ大部分の職員のOBの方というのは経営のプロとみなしていってもいいのではないかというふうに思うわけなんです。

 職員のOBの方をぜひそういう形で経営のプロとしてしっかりと位置づけて、理事の中核を担っていただくということも非常に大事ではないかと思うんですが、このあたりはどのような見解でいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

奥原政府参考人 理事の要件でございますが、今回の改正法の中では、理事の過半を認定農業者の方または販売や経営のプロの方にするという規定が入っております。

 この場合の販売、経営のプロという方ですけれども、具体的にはどなたがそれに該当するかはそれぞれの農協の判断ということになりますが、それぞれの農協におきまして、それぞれの地域の農産物をベースにしてどういう販売をしていくのかという方針をまず立てていただくということが極めて重要だと思っております。

 その販売方針との関係で、どういう方が専門的な能力として販売力があるかということを認定していく、こういうことになりますので、そういう販売方針との関係で、農協においてどなたがプロであるかということを判断して、組合員にも説明していただく、こういうことだと思っております。

 したがいまして、そういう意味での販売能力があれば、農協の職員の方が理事になるということも十分あり得るということだと思っております。

武井委員 ありがとうございます。

 この点は、話を聞いてみると、結構関心が高いところでございました。これによって構成も大きく変わるということになりますので、また単協から御相談があったときは、ぜひとも、そのあたりは柔軟に、適切に対応していただきたいと要望しておきたいと思います。

 引き続きまして、岸本委員、玉木委員、提案者の方もお越しをいただいておりますが、お待たせをいたしました。

 こちらの、御党の岡田代表の顔写真のありますブログの件を含めて質問してまいりたいと思います。

 対案につきましてでございますが、ちょっと気になりました点がありましたので、これはあえて持ってきたわけでございます。

 インターネットで、岡田克也というお名前でありますとか農協改革ということを検索して見ておりますと、このブログが出てまいったわけでございまして、これは二〇一四年五月二十七日のものでございます。お手元に配付をしておりますけれども、簡単に御紹介いたしますと、もともとタイトルが、「農業改革案 農業を大きく変えるために思い切った改革を」というふうに大変すぱっと書いてございまして、その三番目のセンテンスに、

  私が全国を回り、意欲を持って農業に取り組んでいる若い世代の人たちと意見交換をした感じでも、例えば、農業者ではない人が農業をやろうとしても農地の確保が困難であったり、農業法人や株式会社といってもいろいろな制約があったりするということでした。これからの農業を成長戦略の中に位置づけるには、様々な規制を緩め、変えていくことが必要だと思っていました。

  今回、規制改革会議で出てきたものは、そういう趣旨のもので、農業委員会の見直し、農地を所有できる法人の見直し、そして、農業協同組合の見直しというのが入っています。これはかなり思い切った改革案だなというのが率直な感じです。

これは、本当にすぱっと書いてあるわけでございます。このように、規制改革会議の意見が紹介されております。

 さらに、ちょっと一部をはしょりますが、「例えば、全農を株式会社化する。」「単位農協が物品販売などに全力投球できるように、」また、

  本来の業務から金融機能を切り離す。理事会の見直しで外部者を登用する。こういった改革案が盛り込まれています。

  農協法に基づく中央会制度の廃止というのもあり、いわば単位農協の自由度を高め、ピラミッドではなくフラットな組織として、様々な地域の特性に応じた意欲的な取り組みができるようにするというものです。

ということを述べられた上で、

  よくここまで踏み込んだなと率直に思っています。安倍総理も前に進めるべきだということを言われていますので、是非これを実現したいものだと思っています。

と応援演説のような文章が並んでおるわけでございます。

 これは民主党の提案者の方に御質問したいと思いますが、この岡田代表のお考えと、今回皆様が提案をされているこの農協法改正案との整合性、また、これの感想も含めてどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

岸本議員 武井委員の御質問、ありがとうございます。

 私ども政治家は、自分でブログを書きますけれども、ほかの政治家のブログを読むことはないものですから、私も初めて岡田さんのブログを読ませていただきました。ありがとうございます。

 感想を先に申し上げますと、この写真がちょっと若過ぎるので、最近の写真を使うようにまず申し上げておきたいと思いますのと、よく書けていると思います。非常に論旨明快ですし、分量もちょうどよいですし、わかりやすい、とてもすばらしいブログだと思います。やはり岡田さんというのは頭がいいんですね。とても頭のいい方の文章だと思いました。

 ただ、あくまでも、前提の置き方が違いますと、幾ら論理的でも結論が間違うという、すばらしい例でもあるわけでございます。

 それで、その上でお答え申し上げたいんですが、実は武井委員のブログも拝見いたしましたけれども、自民党内でも農協改革をめぐってはいろいろな御議論があったと仄聞しております。私どもの中でも、いろいろな意見がありました。本当にけんけんがくがく、いろいろな議論があるわけです。

 自民党さんのすばらしいところは、いろいろな意見があっても、最後は部会長一任、総務会で通れば全員それに従う、一致団結箱弁当、これが自民党さんのすばらしいところであります。残念ながら、我が党にはその一致団結箱弁当がなかったんです。だから、政権を失ったんです。

 今回、私たちは、けんけんがくがく議論した結果、幹事長であろうと代表であろうと、みんなで議論して別の結論が出たときにはそれに従う、ようやく私どもも自民党さんに近づいてきた、政権を再びとれる政党になったということのすばらしい証拠であるということを申し上げておきます。

 ありがとうございました。

武井委員 御決意は十分理解したところでございますが、さはさりながら、これは代表の御意見でございますので、この件についてはまた今後も同僚議員からの質問が続くのではないかと思いますので、私からは今の御意見を開陳いただいたというところにいたします。

 せっかくですから、大臣にも、ぜひこのブログを読まれての御感想をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 岡田代表らしい、私も個人的にもよく存じ上げておりますので、全国各地を回られて、やはり担い手の農業者の皆さん、若い方と意見を重ねられた、こういうことで、農協等をこういうふうに改革していく必要がある、党の意見ではなくて個人の意見だという岸本委員の御答弁でございましたけれども、個人の意見ということであっても、そういう考えに対しては敬意をあらわしたい、こういうふうに思います。

 このコメント自体は、多分、五月の規制改革会議の意見に対するものですが、今読んでいただいたように、大筋において我々の政府案と大変近いお考えだなと考えておりまして、私としては、ぜひこれを実現したいものだ、ぜひ前に進めたいと、今でも個人としてそう考えておられるということであれば、ぜひ、いろいろなお立場で政府案の速やかな成立に御協力いただければありがたい、こういうふうに思っております。

武井委員 ありがとうございます。

 本当に、こういった、思いは非常に近いんだなということを改めて実感ができたのではないかと思っております。

 ちょっと時間もありますので、最後に一点お伺いをしたいと思います。

 農地法についてお伺いしたいと思います。

 農地法の改正ですが、やはり農業生産法人の規制見直しについて、非常に誤解がまだまだ多いように思います。営利企業が好き勝手にやるんじゃないかとか、そういったようなことを、報道なんかもそういった切り口でやっている場合も多いんですが、やはりこのあたりがまだまだ国民の皆様に、また農業者の皆様に正確に伝わっていないという印象を持っております。

 農地法の見直しについて、改めて御説明を伺いたいと思います。政務官、お願いします。

中川大臣政務官 農地を所有できる農業生産法人につきましては、農業を継続的に真剣に取り組んでいただくことを担保する観点から、役員や議決権等について一定の要件を設けているところでございます。ではありますけれども、六次産業化などの経営展開を進めていく場合には、この要件がネックとなることがございます。

 このため、今回の農地法の改正におきましては、農業生産法人の要件について、法人が六次産業化などに取り組む際の障害を取り除き、法人の経営発展を推進していく観点から、役員の農作業従事要件や議決権要件を見直すことといたしております。

 具体的には、現行では、役員の四分の一程度が農作業に従事する必要がございますが、六次産業化を進めれば農作業のウエートは下がりますので、役員等の一人以上が農作業に従事すればよいことといたします。

 そして、現行では、総議決権の四分の一以下に制限されている農業者以外の者の議決権について、六次産業化を進めるために外部からの資本調達が必要となる場合もありますので、二分の一未満まで保有可能とするという見直しを行うことといたしています。

 このように、今回の改革は、法人の経営発展を後押しするものであり、この改革によって農業の成長産業化がさらに推進されるものと考えております。

武井委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので終わりますが、改革は本当に、先ほど理事のお話も申し上げましたが、人の感情、思い、気持ち、そういった感情のひだみたいなものも十分配慮して進めていただきたいと最後に要望いたしまして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

江藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 きょうは、農協法等の改正についてお伺いしますけれども、その前に、バターの輸入追加のことについて、まずお伺いしておきたいというふうに思います。

 これは、先月の二十五日に、農水省として、バターの一万トン、それから脱脂粉乳の五千トンを追加輸入するという方針が明らかにされました。特にバターについては、八千トン弱不足する、それに加えて、夏の猛暑の中での生産量がまた落ちるんじゃないか、そういった総合的な判断から、一万トンということを決めたというふうに承知をしております。

 最初に、この輸入追加と国内生産の状況について確認をしておきたいと思うんですが、これは、私も、農水省の方からいただいている情報をもとに整理しますと、やはり生産量自体が、二十二年度から比較すると、昨年度で大体三十万トンぐらい減っているということで、ここのところがしっかりしていかない限りは、なかなか厄介なことなんだろうなというふうに思っています。

 それは承知の上でお聞きしたいと思うんですけれども、この輸入追加と国内生産の状況について、お答えいただきたいと思います。

松島政府参考人 まず、我が国の酪農生産の現状ということでございますけれども、高齢化や後継者不足などから、酪農家戸数や乳牛の飼養頭数がともに減少しておりまして、近年、生乳生産量が減少傾向で推移しているという実態にございます。

 昨年度の生乳生産につきましては、全国で七百三十三万トンということで、前年に比べまして一・六%の減少という形になってございます。

 また、今年度の見通しにつきましては、生乳生産については、北海道を中心にいたしまして回復傾向にあるということでございまして、一般社団法人Jミルクによりますと、北海道の生乳生産量の見通しは、二十七年度でございますけれども、三百八十八万トン、対前年に比べまして一・五%の増加というふうに見込まれておりますけれども、一方で、都府県につきましては、三百四十五万トン、対前年比一・六%の減少という見込みとなってございまして、全体として見ますと、二十六年度と同じ七百三十三万トンが生産される見込みという状況でございます。

 この結果、バターの生産量、脱脂粉乳の生産量は、二十六年度に比べまして、二十七年度はおおむね五%増加する見込みとなってございますけれども、依然としまして、バター、脱脂粉乳ともに、需要量が生産量を上回っているということで、先ほど委員からも御指摘がございましたように、追加輸入を決定したということでございます。

 具体的に、追加輸入の数量決定の考え方でございますけれども、バターや脱脂粉乳の需要というのは、毎月変動するということで、毎月の需要に見合った供給量が必要となっているということを前提といたしまして、二十七年度の毎月の需給状況を見通しますと、バターについては年末に約八千トンの不足、脱脂粉乳につきましては年度末に三千トンの不足ということが見込まれております。

 これに加えまして、例えば夏の猛暑などがございますと生乳生産が減少する可能性があるということもございまして、そういった場合であっても、安定供給に支障が生じないよう、それぞれ二千トンずつ上乗せしまして、バター一万トン、脱脂粉乳五千トンを追加輸入することといたしました。

 これに加えまして、バター八千トンにつきましては、年末の需要期に向けまして、遅くとも十月までにユーザーに引き渡してほしいという条件をつけられるような運用改善を行いまして、バターの安定供給に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

稲津委員 それで、言ってみたら、需要と生産のバランスのところに入ってくる問題でもあって、一つは、やはり生産量が落ちてきているから、上げなきゃいけないというのがあると思うんですが、問題は、例えば駆け込みで、消費者の方が、バター不足、あるいは高値になるんじゃないかということで動きがあると、またそれが非常に難しい問題になったりして、ここは需給のバランスということも注視しなきゃいけないんだろう、こう思っています。

 ただ、全体として、やはり生産の方が、北海道の動向もお話がありましたけれども、そこを強化していかないと、この問題はなかなか抜け道が出てこないんだろうなというふうに思うわけなんです。

 それで、ぜひ大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、大臣は、今回の追加輸入の方針決定の後に記者発表等でこのようなお答えをされていらっしゃいます。国内の生産基盤強化が重要だ、こういう認識を持っているということ、それから一方では、バター、脱脂粉乳を無秩序に輸入するようになってしまったら需給のバランスが崩れてしまうんだ、こういう指摘もあって、全くそのとおりだというふうに思っています。

 ただ、生産基盤の強化をしていかないと、生産者自体が減ってきているという現状もあって、ここはしっかり手当てしていかなきゃいけない。

 そこで、畜産クラスター事業の強化ということを図っていただいて、特に畜産収益力の強化対策、牛舎の建てかえとか、いろいろな機材、リース等も含めて、ここを厚く支援していこうということでした。非常に大事なことで、これからの予算の確保もしっかりしていただきたいと思っています。これは以前の委員会でも私は指摘させていただきました。

 ところが一方で、その基準の、補助単価のところがこの物価高騰で上がってきている。だから、補助率は二分の一なんですが、結果としては現場サイドでは三分の一になっている。これに対しての先般の御答弁としては、しっかり現場の意見を聞かせていただいて必要な検討を行っていくという非常に前向きなお話もいただきました。

 その上で、あえてまたお伺いしますけれども、こうしたバターの追加輸入の前提となっている問題をどういうふうに解決していくのか、特にクラスター事業の強化について、改めて大臣の御意見をいただきたいと思います。

林国務大臣 我が国の酪農生産ですが、今委員からお話があったように、生乳生産量の減少、それから戸数の減少、こういうことが課題としてあるわけでございまして、やはり生産基盤の強化を図っていくということが大変大事だと思っております。

 こういう状況でございますので、新たに、酪農家を初めとした地域の関係者が連携、結集してやる仕組み、すなわち今お話しいただいた畜産クラスター、これをしっかりと活用して、地域全体で畜産の収益性の向上を図っていきたい、こういうふうに思っておりまして、経営規模の拡大、新規参入の促進のための施設整備や、また負担の軽減に資する搾乳ロボット等の機械導入、こういう支援をやっておるところでございます。

 特に生産現場では、畜産クラスター事業を通じて、酪農生産基盤の強化を実現していこう、こういう機運も高まっておるところでありまして、非常に御要望も強い、こういうことであります。

 今まさにおっしゃっていただいたように、現場の要望、例えば、二分の一だと思っていたら、いろいろなことが起こって実際はそうなっていない、こういう例も今委員から御指摘があったところでございます。こういう現場の要望というのをしっかり踏まえて、継続的に事業が実施していけるように、必要な予算を確保していきたい、こういうふうに思っております。

 なお、この酪肉近、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針ですが、これにおいても、畜産クラスターの継続的な推進を位置づけさせていただきましたので、酪肉近の推進のための地域ごとの、ブロックごとの説明会を四月以降やっておりますが、方針の周知を図っているところでございます。

 今後も、現場の意見をよく聞きながら、畜産クラスターの効果的な活用を図ってまいりたいと思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 現場の意見を踏まえて、特に、大臣から事業の継続性のお話もいただきましたので、大変期待をいたしております。ぜひ、対策強化をお願いさせていただきたいと思います。

 次に、今度は、農協法等について、数点お伺いしてまいりますけれども、最初は、全中の新監査法人についてなんです。これも委員会の中で、与党野党を問わず、さまざまな議論がなされてまいりました。

 そこで、もう一度、確認の意味も含めて、私の方からお伺いしておきたいと思うんです。

 監査法人には、独立性を保持することが求められている。その上で、これはその戦略によるものと思いますけれども、全中が新監査法人を立ち上げた場合に、当該の監査法人が、農協の監査のみというか、農協の監査ばかり行うわけにはいかなくなるのではないだろうか、こういう基本的な、率直なことの確認をさせていただきたいと思っていますので、御答弁いただきたいと思います。

奥原政府参考人 監査法人の独立性の問題でございます。

 公認会計士法の第一条の二というところで、公認会計士は、独立した立場において公正かつ誠実にその業務を行わなければならないというふうにされておりまして、さらに、金融庁の企業会計審議会の監査基準、この中では、監査人は、独立の立場を損なう特定の利害関係を有したり、こうした疑いを招く外観を呈してはならないということが定められております。

 こういった法律の要請に応えるために、日本公認会計士協会は、倫理規則、それから、これに基づく独立性に関する指針を定めておりまして、監査法人等はこれらを遵守しなければならないということになっております。

 全中を外出しして設立をする新たな監査法人につきましても、公認会計士法に基づく監査法人ということになりますので、ほかの監査法人と同様に、この独立性に関する指針を遵守するということが当然必要になってまいります。

 この独立性に関する指針の中で、監査法人等の特定の依頼人に対する報酬の依存度が高いことは独立性を阻害するということが書かれておりますけれども、このときの依頼人という言葉の中には、その関連企業等が含まれておりまして、関連企業等とは、依頼人が直接的または間接的に支配している企業等をいうということになっております。

 例えば、大企業の親会社、子会社を含めた企業グループ、これは親会社の支配が及んでおりますので、この企業グループ全体として一つの依頼人ということになります。したがって、大企業のグループ一つを対象に監査をやる法人があるとすれば、そこについては、独立性の観点でいろいろ議論が出てくるということになります。

 これに対しまして、個々の農協の場合にはどうかということでございます。JAグループという言葉がございますけれども、それぞれの農協は、農協法に基づく独立した法人でございます。個々の農協がほかの農協とか連合会を支配するという関係には特にございませんので、関連企業等には該当することはないということでございます。

 したがって、農協だけの監査を行うという監査法人であっても、その農協の数が多数であるとか、独立性の保持の観点から直ちに問題になるわけではないというふうに考えております。

稲津委員 今、明確に、簡潔にお答えいただいて、全くそのとおりだと思うんですね。一つは、きちんとした公認会計士法上の性格、位置づけ、それから、単位農協と新たな監査法人との位置づけというのは今御答弁いただいて明確になりましたので、ここはそういうことだというふうに十分理解をさせていただきました。

 次に移ります。

 次は、農地利用最適化推進委員についてということで二点、最適化推進委員の具体的な業務について、それから農業委員会、農業委員との関係性についてということをお伺いしたい。

 これは、きのう石川に行って、いろいろと陳述人からお話をいただきましたけれども、まだこの辺のところが整理がされていないというか、理解がまだ十分されていただいていないのかなというふうに思っています。

 そういうことで、これは今回の農業委員会法の肝の部分の一つですから、ここも確認の意味を含めて、お答えいただきたいと思います。

奥原政府参考人 現在の農業委員の機能は、大きく二つに分けられると考えております。一つは、委員会としての決定行為、それから、それぞれの委員の方が各地域での現場での活動をする、この二つに分けられるわけでございますけれども、それぞれが的確に機能するようにしていこうというのが今回の発想でございます。

 そのため、今回の法改正では、農業委員とは別に農地利用最適化推進委員を新設することにしておりまして、この改正が成立をしますと、農業委員の方は、合議体としての意思決定を行うということになりますので、具体的には、農業委員会の総会、または部会の会議に出席して議決権を行使して、農地の権利移動あるいは農地転用の許可に当たっての具申すべき意見等を審議する、こういうことになってまいります。

 これに対しまして、推進委員の方は、それぞれ担当区域が決まりますので、みずからの担当区域におきまして、農地集積、集約化、あるいは耕作放棄地の解消、こういったみずからの区域における農地等の利用の最適化の推進に関する活動に携わっていただく、こういうことになるわけでございます。

 推進委員の方々は、具体的に言いますと、農地の集積、集約化を進めるための地域の農業者の話し合いの推進ですとか農地の利用状況の調査、あるいは、遊休農地になっているところについて利用の意向調査を行う、遊休農地の所有者に対して中間管理機構に貸し付けることを働きかける、こういった仕事をやっていただきます。さらに、新規参入の促進に向けて、現場での調整ですとか相談活動も行っていただくことになるというふうに考えております。

 それから、御指摘いただきましたように、農業委員と推進委員の連携、これは非常に重要でございます。ともに農地利用の最適化の推進をやっていくということでございますので、今回の法改正の中では両者の連携規定というのも置いてございます。

 一つは、推進委員は、農業委員会が作成する農地等の利用の最適化に関する指針に従って活動を行うということになっております。これは、改正後の農業委員会法の第七条一項、それから十七条の第三項でございます。

 それから、農業委員会は、農地等の利用の最適化に関する指針を定め、または変更するという場合には、推進委員の方の意見を聞かなければいけないという規定も入っております。これは改正後の農業委員会法の第七条第二項でございます。

 それから、農業委員会の総会または部会は、推進委員に対していつでも報告を求めることができますし、推進委員の方も、その担当区域についての農地の利用の最適化の推進についてであれば、総会、部会の会議に出席をして意見を述べることができるということも書いてございます。これは改正後の農業委員会法の第二十九条でございます。

 こういった規定によりまして農業委員と推進委員の連携をきちんと図りながら、農地の最適化を進めていきたいというふうに考えております。

稲津委員 丁寧に答えていただいて、ここの関係のところはしっかり明確になったと思います。

 その上で、もう一つお伺いしておきたいのは、農業委員の定数についてなんです。

 これは、これまで七条で、選挙で行われていた。今度は新しく、改正の方では八条で、「市町村長が、議会の同意を得て、任命する。」というふうになった。そして、農業委員の数については、八条の二項のところに、政令で定める基準に従って条例で定める、こうなっています。

 これを踏まえて、第十七条一項二号の農地利用最適化推進委員の委嘱のところで、「農地等として利用すべき土地の農業上の利用並びに農地等の利用の効率化及び高度化が相当程度図られていることその他の事情を考慮して政令で定める基準に該当する市町村」は、要するに、これは推進委員を委嘱しないことができるという規定になっている。

 今どうしても議論の中心に入ってくるものは、最適化推進委員を置いたら農業委員の数が減るということになる、しかし、最適化推進委員を委嘱しなくていいような状況のところについては、今私が申し上げました十七条一項二号、こういうところについては委嘱しないとなると、現状の農業委員の数で別に減らす必要はないだろうと。

 今も実際に農業委員としてその地域において仕事をしているということですから、ここのところを明確にしておきたいと思いますので、御答弁いただきたいと思います。

小泉副大臣 お答えいたします。

 御指摘の部分でございますが、今回の農業委員会の改革でございますけれども、農業委員につきましては、委員会を機動的に開催できるよう委員の数を現行の半分程度とするとともに、農業委員とは別に現場で農地等の利用の最適化のための活動を行う、先生御指摘の農地利用最適化推進委員を新設することとしているわけであります。

 この際、現行の農業委員一本の制度のもとで、農地利用の集積や耕作放棄地の発生防止等が相当程度図られていること等の基準に該当する市町村におきましては、農地利用最適化推進委員を置かなくてもよいということにしているわけであります。

 この場合、農業委員につきましては、現行と同水準の委員数を置けるようにする方向で検討する考えでございます。

 いずれにいたしましても、農業委員の定数の見直しにつきましては、地域の実態を踏まえまして、農地利用の最適化が進むよう、適切に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

稲津委員 終わりますけれども、最後に副大臣の方から大変大事なことを御答弁いただきました。私も全くそういう形で進めていくべきと思っていますので、最後に意見を付させていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 玉木雄一郎です。

 まず、きょうは、ちょっとTPPのことを一点確認してから本題に入りたいと思います。

 六月二日、国連で人権問題を担当する国連の専門家十名が、TPP交渉が食品の安全あるいは健康保護といった分野での人権への悪影響がある、また交渉の秘密性を懸念する、こういった趣旨の声明を発表しています。

 政府は、この声明が提言するように、国会議員や国民が賛否を検討できるよう、交渉テキストを公開すべきではないかと考えますけれども、西村副大臣は、以前、この公開についていろいろな検討をしてみるとおっしゃいました。この声明も踏まえて、その後の公開に向けての検討状況はどうなっているのか、お答えください。

西村(康)副大臣 お答え申し上げます。

 国連の専門家グループから出された提言も承知をいたしております。

 透明性を持って交渉することということを含めて提言がなされておりまして、これも承知をしつつ、これまでも、各国がそれぞれ国内の制度に即して秘密保持契約の中で何ができるかということを、悩みながら検討、対応してきたわけでございます。

 私どもも、御承知のとおり、五月一日には交渉テキストの概要を公表したところでありますし、十五日には、関係団体に加えて、一般国民への説明会、十八日には、都道府県担当者向けの説明会も開きまして、最新の交渉状況について説明を行っているところでございます。

 今後、何ができるのかということを常に考えておりますけれども、十二カ国の信頼関係がございますので、十二カ国ともよく相談をして、引き続き、情報提供について努力、工夫をしていきたいというふうに考えております。

玉木委員 本文は、これは国連の人権の専門家が出した、重いと思います。ここにはオール・ドラフト・トリーティー・テキストと書いていまして、フルテキストとかいろいろなことを言われますけれども、これも全てのドラフトテキストを出せと言っておりますし、なぜ出さなきゃいけないかというと、レビューするための十分な時間を議員やあるいは市民社会に与えるべきだという提言であります。

 ですから、我々野党が出せ出せと言っているのではなくて、国連の機関も含めてこういう懸念が出ているわけでありますし、アメリカで一定程度情報公開が進んでいるということは確認できたわけでありますから、ここは踏み込んで、国会、国民を巻き込んで、このTPPの議論を、最終局面だと聞いておりますけれども、進めていくことが必要だと思いますので、副大臣、これは本当に踏み込んで検討していただきたいと思います。

 もう一度、決意と覚悟をお願いします。

西村(康)副大臣 できる限り情報提供をしていきたいという気持ちは常に持っておりますので、今いただいた御指摘も踏まえながら、保秘契約がありますし、十二カ国の信頼関係がありますので、他方、そのことも念頭に置きながら、何ができるかということは常に考えていきたいと思っておりますし、テキストそのものを公開することも含めて、いろいろ何かできないかということは考えてきておりますけれども、それを公開しないまでも、その具体的な内容について、これまでもできる限り詳しく説明してきておりますので、そういったことも含めて、引き続き真剣に考えていきたいというふうに思っております。

玉木委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。

 副大臣、もう結構でございます。

 それでは、本題の農協改革等の議論に入りたいと思いますが、この間、議論をいろいろしてきて、私は四つ問題があると思うんですね。

 一つは、これは何度も申し上げていますけれども、特にこの農協法については、改革の前提、立法事実が、探しても探しても見当たらないということが一点目。二つ目は、今回の改革と呼ばれているものと農業者の所得の向上との関係がいまだによくわからない、これが二点目。三点目は、協同組合の大きな原則である自主自立ということが、今回の改正によってむしろ侵害されているのではないか。きょう、与党の皆さんの質問でも出ましたけれども、典型は、理事要件を法定して、市町村が認定する認定農業者に過度にウエートを置いているようなこと、このことにあらわれていると思います。四点目は、これは改正七条二項にあらわれていますが、過度に職能組合に純化する、職能組合純化路線がとられているのではないか。この四つが、私はこの法案の大きな問題点だと思いますし、そのことが浮かび上がってきたのかなというふうに思います。

 そこで、これに沿って質問したいと思いますが、まず一点目の立法事実、この法改正の大前提でありますけれども、きょうの理事会に越前たけふの例が示されました。回収という形での文書ではありましたけれども、読ませていただきました。しかし、それを読んでも、いわゆる全中の監査や指導が現場の単協やあるいは農業者の自由な活動を妨げている例ではないんですね。

 これは、引き続き、ぜひ出していただきたいということをお願いしたいと思います。なぜなら、これだけの、戦後六十年ぶりの改革と総理が言っている大改革の、その前提がいまだに見つからないというのは前代未聞でありまして、一個でもいいので、我々も、最終的な賛否はいろいろなことがあると思いますが、やはりこういうことがあるんだったら改革しなければいけないなという、これは腹に落としたいんです、後世への我々の責任としても。

 ですから、たけふの例の聴取をしていただいたことは高く評価をいたしますが、ただ、繰り返しになりますけれども、全中監査が現場に弊害を与えている事例ではありませんので、この法律の改正の前提となった、全中の監査、指導が、とりわけ、私は、正確に申し上げますと、業務監査が現場に悪影響を与えているという例を、ぜひこれは採決までに出していただくよう改めて求めたいと思います。

 その上で、きのう地方公聴会が行われました。私は行く予定だったんですが、ちょっと残念ながら行けなかったんですが、きのう、一班、二班の議論を夜中に聞かせていただきましたし、今、当委員会の冒頭の報告でもそれを聞かせていただきましたが、現場の意見をやはりもっと聞いてほしいというのが、これは与党推薦、野党推薦を問わず、現場で意見を述べられた方の共通の思いだったと私は認識をいたしております。

 その上で、今の一番目の質問に関係しますけれども、これは大臣も報告を受けておられると思いますが、一班、二班でそれぞれ意見を伺った中で、全中監査が単協やあるいは農家の自由な活動を妨げているから、これを直してくれという意見を表明した方はいらっしゃいましたか。

林国務大臣 昨日、石川県、山梨県で地方公聴会が開催をされたということで、地域の農業者の方を初め、関係者から幅広く御意見をいただいたということでございます。その概要は先ほど御報告いただいたところでございます。

 農協中央会については、中央会がJAの自由な活動を妨げているという実態はないという発言がJA石川県中央会の会長からあった、それから、全中は仕事のルールを示してくれるという点で必要な組織であるという発言が山梨県の農協の常務からそれぞれあった、こういうふうに聞いております。

 冒頭委員がおっしゃられたことに関してですが、この中央会制度については、昭和二十九年に導入された特別認可法人の制度でございますので、単位農協数の減少等の状況の変化を踏まえて、会員が必要とする事業を行う自律的な組織に移行する、こういうふうにしておるわけでございまして、前提となっているというふうに玉木委員はおっしゃっておりますが、我々として、そういうことが前提でこの法案を御提案したというふうに提案理由のところでは申し上げていないところでございます。

玉木委員 ちょっと、大臣、それは逃げの答弁だと思いますよ。

 提案理由には書いていないからそうじゃないというんですが、これまで規制改革会議や与党の中での議論も踏まえて、実際この地方公聴会でも、皆さんはそういう前提で発言をされているわけですよね。やはり中央会があって、それが縛るので、それをある意味規制緩和するというか、そういうおもしを取り除けば、そのヒエラルヒーの中で抑えつけられているのが解放されて、より自由になる、ある意味こういうストーリーの中で、この間の改革法案がつくられてきたのは事実ですよ。

 確かに、提案理由の中にそういうことは書いていないということかもしれませんけれども、今さらそういうことを言われても、ちょっとそれはどうかなと。これは我々だけじゃなくて、農業者やJA関係者もそう思っておられるんじゃないですか。

 そこで、先般、憲法審査会で、与党が呼んだ人まで違憲だということがあったんですが、もちろん、これは与野党が呼ぶ人、いろいろな委員会でありますけれども、今回も、私はあえて、野党が呼んだ人の意見ではなくて、与党側が呼ばれた人の意見に注目したいと思うんです。

 特に、梨北農業さん、あるいは有限会社ぶどうばたけの三森さん、これは、自民党の会議にも、そして規制改革の会議にもヒアリングで出られている方だと思うんですね。そういう方々が何を発言したかということは極めて重要だと思っておりまして、石川会場での発言は、この後、実際に行かれた福島委員から話があると思うので、私は、山梨会場での意見をちょっと取り上げたいと思うんです。

 一つ注目したのは、今大臣からも少し紹介がありましたが、JA梨北の仲澤常務さんです。梨北は、いわゆる買い取り販売をして、非常に先進的な取り組みをされているということで、そういった改革の場所にも出てきていろいろな提言をいただいている方でありますが、こういうふうにおっしゃっていますね。

 こういう新しいことに取り組めるのは系統組織のスケールメリットに支えられているからだということをおっしゃっています。あわせて、昨年二月のヒアリングのときから話が変わってきているといったような趣旨もおっしゃっているんですね。もともとは生産者の所得の向上だったのに、全中監査の見直しに目が向けられているようになっている、そのことについての説明もないというようなことを、これは与党が呼ばれた仲澤常務もそういうふうにおっしゃっておられますけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

 今の改革を進めていくということの前提で幾つか進めておられるんですけれども、むしろ、そういう系統組織があることが大事だというふうに発言もされておりますし、あと、こういうふうにも言っていますよ、梨北の常務さん。協同組合の理念を理解すべきだ、農協というのは、ある種、護送船団が農協なんだ、強い者だけが勝って弱い者を取り残していくというのは協同組合の理念ではないのだということをおっしゃっているんです。

 こういうことからすると、今の改革案というのは、きのう地方公聴会で意見を述べていただいた方の思いともずれてきているのではないでしょうか。

林国務大臣 何回か前の委員会でも私から申し上げた記憶がございますが、まさに今回の改革というのは、まず農政の改革全般を、車の両輪ということで産業政策と地域政策をつくって、産業政策の方で、需要サイド、供給サイド、バリューチェーンということをやって、そういう状況の中で経済主体としての農協の改革ということで、昨年の六月に大筋の取りまとめをして、その後、JA御自身の改革案というのが出されて、その中で最後に残ったのが、今委員が御指摘の監査の部分が自律的な制度の具体的な内容ということで残っていたわけでございます。

 ですから、足かけ二年かけてやったものの、最後のところは、まさに今おっしゃったような監査の改革というのが残っておりまして、これについて議論して結論を出したということでございますので、やはり、そのときの模様が大きく報道されたということもあって、そこの部分だけが今回の改革の全体像だ、こういうふうに誤解をされるようなことがあったのではないか。

 したがって、今御指摘のあったように、協同組合の趣旨ですとか、それから系統のスケールメリットというものは、当然生かせるものは生かしていく。まさに仲澤参考人が最初におっしゃっていただいたように、選ばれるJAでなければならない、農協は組合員になりたいと思っていただけるような取り組みが必要、まさにこれをやっていこうということで、我々は全体の改革をつくっているということでございます。

 説明が足らない部分は、この法案の審議を通じて、また、通していただいた暁には、しっかりとやはり説明をしていくということが大事だというふうに思っております。

玉木委員 今の大臣の説明を聞いてもよくわからないですね。

 石川会場で、これも与党推薦の小松市農業協同組合代表理事組合長の西沢さんが、全中監査は機能しているとおっしゃっています。今の仲澤常務も、山梨会場でありますが、公認会計士監査に切りかえても決して生産者の所得の向上にはつながらないと。これは、いずれも与党推薦の方の言葉ですよ。

 私が何度も何度もこれを聞くのは、もちろん、いろいろなものを改革していくことは必要です。ただ、それは、きちんと問題点を把握して、それに対して対処して、その結果、農業者の所得が上がるという最終目的を達成するものでなければならないと思うんです。

 私は、仲澤さんの言葉で非常に印象的だったのは、今回の改革について聞かれたときに、一石を投じたことにはなったと言って、ここは評価をしています。一石を投じた。しかし、的が外れている。石は投げて波紋は広がったかもしれませんけれども、石を投げる先が間違っているんじゃないかというのが、繰り返しますが、与党推薦の仲澤常務からの言葉でありまして、真摯に耳を傾けるべきではないかなと私は思うんです。

 法律は、もちろん役所が中心になってつくりますけれども、映画のキャッチフレーズじゃないですけれども、会議室では答えがなくて、やはり常に現場に答えがあって、問題も答えも常に現場にあるんだと思うんですね。

 遅きに失したといって我々野党も批判されましたけれども、こうして現場で聞いた声というのは何より大切で、そのことを今からでもきちんと法律に反映させていくというのが、今、農林水産委員会で六十年ぶりの改革という大変重要な改革を担っている、与野党を超えた我々農水委員の責任ではないかなというふうに思います。

 改めてお伺いします。

 これは何度も聞いて、大臣も嫌になっているかもしれませんが、改めて聞くんですが、二番目の私の問題意識です。

 今回の改革と農業者の所得の向上との関係については、何度聞いてもわかりません。とりわけ、これも先日申し上げました、ことしの一月二十九日の予算委員会での総理の言葉。農協の抜本改革を行うことによって、農業者の所得倍増を目指していきたいと総理は答えています。

 改めて伺います。

 今回の農協改革が農業者の所得倍増にどうつながるのか、農家の皆さん、そして系統の関係者の皆さんにわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

林国務大臣 何度かお答えをしていることだと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、こういう与党の推薦の参考人の方から意見が出てくるということですから、これはよく説明をする必要があると私も思っております。

 申し上げているのは、まず全体の改革がある、その中で経済主体の改革がある、その中で農協の改革の中に監査の改革がある、こういうことでございますので、それを全部完成した暁に、すなわちこの法律を通していただいた暁には、セットで御説明していくということが非常に大事だろうと。

 まさに仲澤さんがおっしゃっているように、当初は農業者の所得向上が目的だったのが、いつの間にか全中監査の話になっておる。まさに、農業新聞を読んでいれば、ことしの正月の話というのはそこばかり焦点が当たっていましたけれども、そのときに、もう既に決まっていた官邸のプラン、需要サイドや供給サイド、いろいろな議論をしていろいろなことをやっておりますが、このことは、全く報道は当然のことながらされないわけでございますから、そういうことを読まれて、報道を見られて、こういう印象を持っておられるんだなというのは私も感じておるところでございます。

 まさに、幾つか挙げれば、需要サイドで輸出を促進していこうですとか、医福食農連携をしていこうですとか、新しい需要をしっかりと掘り起こしていこう、例えば、ハト麦をやっていただいたり、長芋の輸出をやっていただいたり、こういういい取り組みの例をどんどん横展開していこう、こういうこともずっと言ってきておりますし、実行しているわけでございますし、それとあわせて供給サイドの改革もしていこうと。

 こういう話は、まさにこれをやっていくために、農政の政策もそういうことをやっていくけれども、それを受けとめて実行する経済主体である農協、農業委員会、生産法人というものも改革をしていかなければいけないというふうな位置づけが今回の農協法でございまして、そのことを全体像としてしっかりと説明していく必要があるということをかねがね申し上げているところでございます。

玉木委員 今の大臣の答弁を聞いても、農協の抜本改革をすれば、なぜ農業者の所得が上がるのかということを理解できる人はいないと思いますよ、大臣。

 何度も私は同じ質問をして、同じような答えが返ってくるのは、ある意味予想しつつ聞くんですが、ただ、これは我々国会議員ではなくて、まさに農業に従事されている方は、我が身の問題としてそこを感じているわけです。ですから、これは、法律を作成し、立法府に提出をし、今通そうとしている側が最低限果たさなければならない説明責任なんだと私は思うんです。

 実際、所得の向上についての関係がよくわからないというのは、きのうもそういう意見が一人ではなく出ました。ですから、やはりそういう声を聞いてきた以上、この委員会でも、そういった疑問に対してきちんと答えていく、そのことを政府とのやりとりの中で明らかにしていくということが我々も必要だと思って、きょうはあえて質問させていただいたんですが、十分な答えはいまだにいただけませんので、また同僚議員が同じ質問をすることになると思います。

 ここでちょっと確認をしたいんですが、これも何度もやらせていただきましたが、大臣、倍増するのは、あるいは倍増できるのは農業者の所得ですか、農村所得ですか、あるいはそれを足したものですか、どちらですか。

林国務大臣 何度も同じ説明になって恐縮なのでございますが、やはり、具体的にそれぞれの地域で、例えば先生のお地元の香川であればオリーブ牛というのが有名ですけれども、そのオリーブ牛をやっていくということがありますけれども、これを法律の議論で、全国一律にそういうオリーブ牛をやるとか、こういう議論ではないと思うんです。

 したがって、やはり所得をふやしていくということは、すなわち有利な資材の調達と、それから農産物の有利販売、ここが相まって農家の、農業者の所得が向上していくということでありますから、地域農協が、農業者や役職員の間で徹底した話し合いをしていただいて、役員体制をどうするか、販売方式をどうするか、六次産業化や輸出拡大にどう取り組むか、こういうことをまさに検討していただく。これが農業所得につながっていくということだと思っておりまして、これをやりやすくするような、いわば地方分権をやっていこうというのが今回の改革でございます。

 まさに、経済主体の改革である農協改革と、全体の農林水産業・地域の活力創造プランで決めさせていただいた政策の見直し、これがうまく連動することによって農業所得の向上が図られる。

 農業・農村所得の倍増については、この委員会でも何度も御議論して、この間の基本計画のときにミクロ、マクロのモデルを示したところでございますので、それに従ってしっかりと取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。

玉木委員 これもよくわからないですね。

 おかげでオリーブ牛も大分売れるようになってきているんですね。輸出もふえてきているんですが、それは今のJAシステムの中で輸出もふえているんです。大臣がよくおっしゃるように、五千億、四千八百ぐらいだったものが六千ぐらいになって、一兆円を目指そうということで、これはある意味現行のシステムのもとでも輸出は確実に伸びていますよね。為替の影響もあるし、販路拡大の努力を今それぞれ農業者や、今のJAの皆さんもよく頑張っているんだと思いますよ。

 ですから、制度をいじくる、特に全中の、しかも監査をいじることと今大臣がるる御説明いただいたこととの関係は、結局はよくわからないままだなと私は思います。

 もう一つ、ちょっとこの点に関してお伺いしたいと思うんです。

 先ほど、私が四番目の話として、職能組合純化路線になり過ぎているのではないのかという話を申し上げました。これは同僚議員からも話が何度か出ましたけれども、これは、ある意味協同組合というものの基本にかかわる問題でもあります。

 そこで、改正法の七条二項で、「組合は、その事業を行うに当たつては、農業所得の増大に最大限の配慮をしなければならない。」と書いています。一方で、一項には、「組合は、その行う事業によつてその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とする。」と書いています。

 組合員というのは、法律上、正組合員と准組合員、両方入った概念ですね。組合員のために最大の奉仕をするという一項の大原則があって、二項で農業所得の増大に最大限の配慮ということをあえて書いているということで、この点についてむしろ懸念が出ているんですね。

 なぜかというと、日本の農協は総合農協として今日の地位を占めていて、それがまさに、農家のための農協であると同時に地域のための農協だ、これが相まっての役割を特に地域において果たしてきた。これは与党の先生からもそういう話がありまして、それに対する積極的評価もあったというふうに理解をしております。

 そこで、私がお伺いしたいのは、先ほど大臣おっしゃったように、これから倍増していくのは農業者の所得と農村の所得ですよね。その観点でいうと、まさに、農業者のための農協としての役割と地域のための農協という役割、この二つが相まって農業・農村所得倍増が成り立つと思うんですよ。

 こういうことを政府として掲げているのであれば、私は、過度に農業者の利益のみに偏るのではなくて、七条の一項にあるような組合員、これは正組合員も准組合員も含めて最大の奉仕をしていくというこの農協の精神を素直に奨励していけば、まさに農業・農村所得の倍増に最もつながっていくのではないかなと思うんですね。

 農業者も大事、地域でさまざまな経済活動をしている人も大事、そして農業者の所得も農村の所得もともに向上していく、その基幹インフラとしての新たな農協の役割を、今日的な意義を与えていく、こういう改革の方が政府の目指す農業・農村所得倍増にフィットするのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 今の、農協法の第七条二項の規定で、農業者の協同組織として、農業所得の増大に配慮する、これは第一項で組合員に最大の奉仕をするということを維持しておりまして、これは当然准組合員も入ってくるわけでございます。

 この農業所得という言葉でございますが、組合員である農業者がその行う農業から得る所得ということでございますから、組合員が生産した農産物の販売だけでなくて、生産した農産物を原料として加工して販売したり、観光農園や農家レストランなど六次産業化して得る所得も含む、こういうことでございます。

 ですから、逆に、農業者の所得の中には、農業とかかわらない、兼業されておられる方がございますので、例えば、県庁に勤めていれば給料は出ますけれども、そういうものは含まれない、こういうことでございますので、今委員がお触れになった観光農園や農家レストラン等、広い意味で農村の所得に位置づけられるものの中にこの所得は含まれている、こういうことだと思います。

玉木委員 それであれば、一項だけ置いておけば十分だと思いますよ。

 それこそ、理事会の要件とかいろいろなところでプロ農家の意識が反映されるように入れていくんですから、私は、一項と二項の関係というのは少し矛盾するのではないかなと思いますね。

 これは、参考人の皆さんもこういうことを指摘していましたが、やはり七条二項を入れることによって、農業者たる正組合員のみを優遇して、地域のための農協の機能を弱めてしまう、ひいては総合農協の解体につなげていく規定ではないのか、こういう疑念を生じさせているのも事実なんですけれども、大臣、そんなことはないですよね。そのために入れた規定ではないということを明言してください。

林国務大臣 多分、准組合員がどうなるかとか員外利用がどうなるか、こういう御趣旨ではないか、そういうふうに思いますが、一条がございまして、農業者の協同組織であるということを農協法一条で明記をしておりますので、やはり職能組合であって、先ほど申し上げました所得の増加のための農産物の販売や生産資材の調達などの事業を利用することでメリットを受ける、これが主目的であるということは明記をされておるわけでございます。したがって、この意思決定は、御案内のように正組合員で行われているということでございます。

 まさに、そこの原点にきちっと配慮してもらうという意味で、農業所得の増大に最大限の配慮をするように求める、こういうふうになったわけでございますが、一項で、准組合員を含めた組合員のために最大の奉仕をする、こういうふうに引き続き明確に書いておりますので、第二項があるからといって、准組合員の事業利用を規制するようなことにはならない、こういうふうに思っております。

玉木委員 大臣、ここは非常に大事なところで、農協というものの原点が本当に職能組合なのかどうか。我々は、原点は総合農協であり、職能組合であり、地域組合だというのが原点だと思っています。

 先ほど我が党の岡田代表のブログがありましたけれども、農業協同組合を含む協同組合についての深い理解がないとああいう感じになるんだと思うんですね。いや、これは大事なことで、私も実は、今だから告白しますけれども、十五年ぐらい前は同じように考えていたんですよ。でも、いろいろ実態も勉強し、今、私自身は田んぼの真ん中に住んでいますから、地域社会で、ずっと東京暮らしが長かったので、選挙に落ちて戻って、久しぶりに田舎で十年ぐらい住むと、やはり、都会でクーラーがきいた部屋にいて、暖房がきいた部屋にいて考えることと、現場のそこにリアルにある現実をどう受けとめて、その中でいいものをつくっていくかというのは、ちょっと頭の使い方が変わってくるんですよね。

 私は、齋藤先生にもちょっと御指摘いただきましたけれども、別に改革マインドが落ちたのではなくて、本当に役立つ改革は何なのかということを本当に考え始めるようになったときに、何か理論的に美しいものは書けるんですけれども、そうではない、現実を見ながら、それを踏まえながら、抱き締めながら、どうやって少しずつ改善をしていくのかということを考えると、いきなり准組合員を規制しろとか、そういうことにはやはりならないんですね。

 農協法一条の話がありましたけれども、それを言うんだったら、上位法令の憲法の話を、憲法というか農業の分野における憲法である基本法の話をちょっとしたいんです。

 食料・農業・農村基本法の第九条には、農業に関する団体は、農村振興を含む基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとするとあります。たしか二条から五条に基本理念が幾つか書かれているんですが、やはり農村振興というのも、およそ農業団体、これはいろいろありますけれども、JAも含む農業団体が担わなければならない役割の一つなんだと思うんですね。

 ですから、もちろん、農家のための団体であることは大前提でありますけれども、それは同時に、農村振興、農村に対しての一定の役割、貢献を求められる組織でもあるし、あるべきだと思うんです。そのことを法的にもしっかり担保していくということが大切なことだと思うので、やはり二項で過度に農業所得、職能組合的な側面を強調することは、この基本法の理念にも反すると私は思うんですけれども、大臣、どうでしょうか、御所見があれば。

林国務大臣 基本法の九条と今おっしゃいましたけれども、「農業者及び農業に関する団体は、農業及びこれに関連する活動を行うに当たつては、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。」こういうことでございますか。

 まさにその基本理念にのっとるということですから、まさに法律の名前も食料・農業・農村基本法になっているように、これは一体として考えていくべきでありまして、その中で、農業者の協同組織でありますから、先ほど申し上げましたように、七条一項に、准組合員を含めて組合員のために最大の奉仕をするということでございます。したがって、准組合員の事業利用を二項で規制するようなことにならないと申し上げたのも、そういうことでございます。

 したがって、自民党の取りまとめというか与党の取りまとめも、いろいろな議論がある中で、我々は同じ事象を見て本当に議論しているんだろうか。いわゆる員外規制、員外利用と准組合員利用というのが混同されている例もありますし、それから、地域によって准組合員というものの位置づけがさまざまであるという御指摘もあったわけでございまして、都会で全く農業をされていない方が信用事業のみを利用される。

 よくそういうCMもあって、JAは町のバンクだ、こういうようなCMもあるわけでございますが、そういうところと、それから、我々が多面的機能というものを今後やっていく中で、多面的機能支払いをお受けになりながら、農業自体を担い手に集積していって、しかし、草刈りや水路の溝上げ、こういった部分については一緒にやっていこう。これは当然、応援団といいますか、一緒になって農業をやっていく、農村のためにやっていくということであろう。

 いろいろな議論があったわけでございますので、まさにそこは、まずどういう実態なのかということをよく調査した上で、ここは議論しようではないかということにいたしたわけでございます。そういう意味では、冒頭申し上げた全体のプランも、産業政策と地域政策の車の両輪ということをここでも何度か申し上げてきましたけれども、まさに地域政策の部分で、例えば多面的機能支払いなんかをしっかり使って、農村の集落としてのコミュニティーの機能というのを維持していく、これは大変大事なことである、こういうふうに思っております。

玉木委員 七条の二項を見ていると、やはり職能組合純化路線を示唆していますよね。それとあわせ持って、附則の五十一条の二項の、例の、五年間で、正組合員と准組合員の事業の利用状況を見て、検討を加えて、結論を得ると書いている。これはセットで読むと、准組合員がふえてくると、何かその後、規制が入るのかなと思うし、その根拠条文が七条二項になっているのではないのかと思うわけですよ。

 大臣がおっしゃるように、准組合員を否定するものじゃないというのであれば、附則の五十一条二項をとってしまえばどうですか。そうしたら、余り心配されないと思うんですね。

 確認したいんですけれども、准組合員と准がついているので、ちょっと格が落ちる人みたいな感じなんですが、そもそも准組合員というのは何が問題なんですか。

奥原政府参考人 准組合員も、農協法の中に位置づけられた組合員でございます。ただ、農協法の中で、正組合員には議決権がありますけれども、准組合員には議決権はありませんので、要するに、農協の事業を利用できる方が准組合員、そういう形になっているわけでございます。

 それで、准組合員自身が問題ということではありませんけれども、現在、農協の置かれている状況、農協のやっている事業、組織のあり方を検討したときに、何が問題かといえば、多くの農業者、特に担い手農業者の方々から見て、今の農協が、農産物の有利販売ですとかあるいは生産者に有利な調達、これに余り力が入っていないんじゃないかというふうに言われている向きが非常に多いということです。

 農家の方のアンケート調査をやれば、八割ぐらいの方がそういう答えをされているわけでございまして、これは人によって見方はいろいろございますが、自分のところの農協は、准組合員の方のサービスには非常に力を入れているけれども、農業者、担い手農業者を中心とする農産物の有利販売だとか資材の有利調達に余り力が入っていないんじゃないか。そこのところをやはりきちんとやっていかないと、農協が、農業所得の向上につながった、そういうふうに農業の発展につながることがきちんとできないんじゃないか、そういう問題点があるという指摘を受けておりますので、そこをどうするかということで議論をしてきた、こういうことでございます。

玉木委員 今の局長の答弁でいえば、金融的な、銀行、保険、共済、そういったものに一生懸命頑張るから、本来の農家のための有利販売に力が入らない。よってもって、准組合員へのサービスを低下させるあるいは縮小させれば、その余った力が有利販売等に回るので、こちらを縮めることが、皆さんの言葉で言うと全力投球につながる、そういうことなんですか。

 私は、仮に今の有利販売を頑張っていないのであれば、准組合員に対するサービスも今頑張っている、では、同じぐらい頑張りなさいというのが改革の方向であって、こっちをやめろ、縮小しろ、だからといって、では、有利販売を頑張るようになるとは思えないんですけれども。

 これも、何か前提が随分違っていると私は思うんですが、ただ、こういう附則を見ると、とにかく准組合員は縮小しろ、縮小しろというようなことが書かれてあって、これがいたずらに現場に不安を生じさせているのは地方公聴会での意見からも明らかなので、こういうものはとってはどうかと私は思います。

 もう一つ聞きますが、員外利用であります。

 これはまさに組合員のさらに外、准組合員よりも外の話でありますけれども、そうすると、准組合員のサービスをすることでも、こういうことをすると有利販売がおろそかになるからだめだというのであれば、さらに組合員の外の員外利用に何かやっていたら、例えば厚生連が病院のサービスを地域住民に提供したりとか、ガソリンスタンドで、一つしかないところでガソリンを提供することをするから有利販売ができないんですかという論理であれば、員外利用はどんどん規制していかなければなりませんね。そういう論理になりますね。

 実際、奥原局長、覚えていらっしゃると思いますが、我が党と維新の党とで合同で勉強会をしたときに、いわゆる員外利用について、制限を超えた場合、これは今後厳しく取り締まるのかと私が質問したら、このようにお答えになっています。当然その可能性はある、今の農協は事業をやり過ぎていると答えていますけれども、そういう方針で厳しくこれから員外利用は取り締まっていくという方向でしょうか。

奥原政府参考人 員外利用規制の話は、これは准組合員の話とは違いますので、現在の農協法の中でも規制をされているものでございます。現在の農協法の十条第十七項というところで、員外利用について、これは正組合員も准組合員も含みますけれども、原則は組合員の利用の五分の一までという規制が法律上かかっております。事業によっては幾つかの例外があるということでございます。

 したがいまして、現在の農協法のもとでこれは規制がかかっておりますので、これにつきましては適正に監督をしていくという必要が当然ございます。

 これにつきまして、監督行政庁であります都道府県、ここできちんと把握できるようにするという観点で、各農協から都道府県に毎年提出をしていただいております業務報告書、この中で、信用事業、共済事業等の事業ごとに員外利用割合の比率を記載することにしているところでございます。

 その上で、農林水産省におきましては、監督指針を出しておりますので、農協の監督行政庁であります都道府県に対して、毎年度農協から提出を受けます業務報告書等によって員外利用の状況を把握して、違反が確認をされた場合には、農協法に基づく報告徴求命令によって違反の改善に向けた計画の提出を命ずるなどによって、個別に違反を解消させるということを指導しているところでございます。

 このように、農林水産省としては、員外利用規制については、都道府県において、違反が確認された場合は、その都度、個別に解消する仕組みを構築しているところでございまして、今後ともこのルールにのっとってやっていきたいというふうに考えてございます。

玉木委員 ということは、厳しく冷たく取り締まっていくという御答弁だったと思いますが、私は、それが本当に今政府が進めている地方創生につながるのかなと思うんですね。むしろ地域において、民間主体でありながら公的な機能を果たしている農協のような組織に対して、もう少し積極的な意味づけを与えていく、財政上、税制上のインセンティブも含めて考えていく方が、むしろ安上がりになっていくのではないかなと、ど田舎に住んでいると思うので、そういう観点から、やはり今回の法律は見直すべきところは見直すべきだと強く思っております。

 きょう、冒頭、四つの問題点を取り上げました。まず、改革の前提がいまだに発掘できない、発見できないということ、所得向上との関係の説明が全くないこと、そして協同組合の自主自立の原則に抵触するような理事要件の見直しなどが盛り込まれていること、四番目は、きょうるるやりましたが、職能組合純化路線になり過ぎているということでありまして、ぜひ、これは農家あるいは関係の皆様の御理解を得るためにも、私は、七条の二項あるいは附則の五十一条二項、こういったところは削除した方が不安が広がらないのかな、その中で改革の方向性をきちんと出していけるのかなと思うので、この点については、今後さらに議論を深めていきたいと思っております。

 最後に申し上げたいのは、やはり現場の理解が進んでいないということは明らかだと思いますので、ぜひ、これは地方の関係者の声、あるいは、まさに当事者であります全中あるいは農業委員会、こういった人も含めて、いま一度そういった声を聞く場を設けることが私は必要だと思いますし、責任ある議論を行ったと胸を張って言えるためにも、やはり現場の理解を得られる丁寧なプロセスを経て最終的にこの法案を仕上げていくことが大切だということを強く申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民主党の福島伸享でございます。

 昨日、石川県の金沢の地方公聴会に行ってまいりまして、本当に大変有意義なお話をお聞きし、また議論をしてまいりました。

 東京から移ってきて、六次産業化に取り組んでいる、御両親が茨城県出身ということで御縁があるものだなと思ったんですけれども、イケメンの会社社長や、石川県の中央会の会長さん、農協の組合長さん、農業委員会会長さん、それぞれ皆様方が一番おっしゃっていたのは、それぞれの仕事をプライドを持って現場でやっているという姿をお示しいただき、農業を愛し、ふるさとを愛し、頑張っているんだという思いはひしひしと伝わってきました。

 それぞれ四人の方々に、今回の農協法、農業委員会法等の改正に対する感想というものを聞いてみました。

 正直言って、与党推薦の人も含めて、誰も積極的に支持する人がいないという状況は、先ほどの山梨の例等を見ても、私は、国会議員として、これは与党、野党関係なく、深刻に真剣に受けとめなければならないと思っております。

 ここで呼んだ、六星という、先ほど言ったイケメンの輕部社長、この方は、安倍総理も訪れたということでしょうから、恐らく与党の皆さん方がお薦めして呼んだ方だとは思いますけれども、その方も、例えば、先ほど玉木委員が議論した七条、現実にJAがどうやって農業で利益を上げていくのかというのは、そんな簡単なものじゃありませんよ、農業者の利益を搾取してまで農協が利益を上げるというのは適切じゃないんだというようなことをまさにおっしゃっておりました。

 また、単なる監査を入れるだけでは経営の向上なんかにはつながらないんだ、むしろコンサルの部分、特に今までの業務監査、この部分をどうするかということの方が大事なんだという本質を経営者の観点からおっしゃっていました。

 そして、今まで百町歩を超える農地を集めておりますけれども、それに際して地元とトラブルがなくやっていけたのも農業委員の存在があったからだ、農業委員が一生懸命頑張ってきてくれたからこれまでできたんだ、むしろ問題は、それに伴う膨大な書類の提出とか手続の問題であって、農業委員会の問題というよりは、むしろ事務の話なんだということをおっしゃっておりました。

 安易に法人化とか六次化だけでは農業の所得を上げることは難しいんだ、JAの役割もあるんだという、まさに現場に立ったお話をしておりまして、今回の政府の出している法案というのがいかに観念的で現場の実態をきちんと見てやっていないものかということを改めておっしゃっておりました。

 これほど政府案に対して賛同がない法案をなぜ我々は国会で審議し、通さなければならないのかというのは、私はいまだによくわかりません。腑に落ちないところがあります。

 ですから、先ほど同僚の玉木委員からもお話がありましたけれども、東京の場でやった参考人も、農業者あるいは学識者からは聞いておりますけれども、当事者のステークホルダーである全中の会長、あるいは農協の組合長、農業委員会や農業会議所の会長、そうした人からは意見を聞いておりませんから、誰かがこの法案を支えるということを明確に示す、あるいは、このような不安がこの委員会の審議を通じて解消されたということを全てのステークホルダーが理解されるような、そのような審議をぜひしていただきたいと思っております。

 そして、この模様は、私の地元の多くの農業者、農協の関係者、農業委員会の関係者も、インターネットでじっくり見ています。みんな言うんですよ、見れば見るほど、何でこの法案が提出されているのかわからないというのが現場の皆さんの声です。そして、申しわけないですけれども、答弁に立つ政府側の皆様方の姿を見て、本当に農水省というのは農家のため、農業のためにやってくれているのという素朴な、直観的な感想をおっしゃる方が物すごく多いんです。

 先ほど玉木議員が、問題はこの場で起きているんじゃないとおっしゃいましたけれども、やはり現場の人の思いを踏まえた審議をしなければならないし、その思いに応える法案なのかどうかということをこの場で議論していかなければならないのだと思っております。

 先日の日本農業新聞社さんも、「与野党追及足りぬ」「農家やJAが不安を感じている論点について、与野党の追及不足で、政府から十分な答弁を引き出せていない」というお叱りもいただいているところでございますので、きょうは張り切って質問させていただきますが、基本的に、これまで議論した、御答弁いただいたことは前提として質問させていただくつもりでございますので、従来の答弁の繰り返しであれば、それは必要はございませんので、新しい答弁というか別の観点からの答弁をいただければと思っております。

 先ほど玉木議員からもありましたけれども、この法案の一番の欠陥は、なぜそれを行う必要があるのかという立法事実がないことであります。それは、先ほど来、玉木議員が言っていた、中央会の業務監査がなぜ単協の自由度を縛っているのかという問題が一つ。

 もう一つは、前回、私も指摘させていただきましたが、なぜ旧八条の中の「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という条文を削除したのかということであります。

 林大臣は、前回、利益を得てはならないという誤った解釈もされがちなので削除したとおっしゃっていますけれども、この答弁はこれでよろしいですね。

林国務大臣 そういうふうに申し上げたと思っております。

福島委員 私、その答弁をいただいたので、いろいろな農協の関係者にもお聞きをしましたし、きのうの地方公聴会でもそうですけれども、恐らく農協関係者で、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」とあるから営利を上げちゃいけないなんて思っている人は誰もいないですよ。むしろ、監査があるから、赤字になっていると突っ込まれるから、何とか赤字を避けようと思って必死に努力をして、緊張感を持ってやっているのが現場の組合長さんの実態であると、みんな口をそろえて言いますよ。

 これはまさに営利を目的としちゃだめで、組合員の奉仕のためにやるということは、中にはごく一部例外はあるかもしれないですけれども、組合を運営している人たちはまず骨の髄からそれがしみついていて、私はそのような誤解を持っている人はいないと思うんですよ。

 前回、小山議員が遠慮がちにその事実を出せと言いましたけれども、どういう具体的な誤解があるか、ぜひ示していただけませんか。

奥原政府参考人 前回もちょっと口頭で御説明したと思いますけれども、昨年六月に政府・与党としての改革の方向がまとまったときに、農林水産省といたしまして、ブロック別に農協の組合長あるいは役員の方に対する説明会をやっております。そのときに出た関係者、農協の組合長の方々の御発言の中でそれに類する話が幾つかあったと思いますので、御紹介をさせていただきます。

 一人の方は、農協が稼いで農家に還元せよということだけれども、これは農協法に定める非営利規定に抵触するのではないか、こういう発言をされた方もいらっしゃいます。

 それから、これは別の農協の役員の方ですけれども、積極的に経済事業で利益を上げろという話については、農協には員外規制があるので、利益を上げることは必然的に組合員から吸い上げることになると思うが、その辺の矛盾はどう解消したらよいのか、員外利用を拡大し、組合員以外から利益を上げて組合員に還元するなら理解できるが、今の制度で経済事業で稼げということは、組合員から巻き上げ、それをまた組合員に還元するというおかしな構造になるのではないか、こういった発言をされた方々もいらっしゃいます。

 この方々の真意をさらに根掘り葉掘り聞いたわけではございませんけれども、これはやはり、従来の農協法の八条のところの、営利を目的として仕事をやってはいけない、これが、農協はもうけを出してはいけないんだというふうに誤解されていることが一つ背景にあるのではないかというふうには考えているところでございます。

福島委員 いや、今のそれぞれのヒアリングで答えたことはみんな正しいことを言っていて、要は、利益を目的としてはいけないというこの条文をそのまま言っているのであって、決して、もうけてはいけないということを理由として言っているのじゃないと私は思いますよ。

 局長は非常に頭のいい方であるから、そこをそう勝手に推測するのはおかしな話で、皆さん利益を上げることはいいと思っているんですよ。ただ、農業者の利益じゃなくて、農協自体の利益を目的として経済活動を行うことは農家を搾取することになるからいけないというのは、それは我々は常に言っていることでありますよ。

 それはここの、消していない条文の「奉仕をする」ということをそのまま言っているのであって、利益を上げる目的でやってはいけないというのは、それはわかりますよ、でも、今言った、これがあるから利益を上げてはいけないと誤解している人は、私は誰もいないと思うんです。

 むしろ、この条文を削ったことによって、先ほど玉木委員の言ったような職能組合路線を行くんじゃないかとか、協同組合の根本原則を否定しているんじゃないかという意見の方が多いんですよ。

 これは誤解ですか、誤解じゃないんですか、どっちですか。事実ですか。

奥原政府参考人 今回、農協法の従来の八条のところを直して、新しい七条というふうにしているわけでございます。

 従来からありました、組合員に対して最大の奉仕をすることを目的とする、これはもうそのまま生かしてございます。

 その上で、今回は、「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」というこの部分を削除して、そのかわりに、事業を行うに当たっては、農業所得の増大に最大限の配慮をしなければいけないということと、高い収益性を実現して、その収益を投資または組合員に対する利用分量配当に充てるということを書いているわけでございます。

 今回削除した「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という趣旨は、これは、出資配当の形で組合員に還元するというのは株式会社のスタイルですよということを言っているわけですので、きちんと利益を出していただいて、これを組合員に利用高配当の形で還元していただく、特に、農産物を有利に売っていただく、あるいは資材を安く調達をしていただいて、農家にメリットが出て、農業所得が上がるようにする、こういうことを進めていくためにこの八条を七条に改正したということでございます。

福島委員 誤解か誤解じゃないかと聞いているんです。

 冒頭申し上げましたように、これまでやった答弁をもう一度繰り返さないでください。それを前提に、全部こういう議事録を読んで質問しているんですから、そこは理解した上でやっているんです。

 今の局長の答弁によると、それはそういうことではない、今回の法改正で削除したのは協同組合制を否定するものではないということでよろしいんですよね。ですから、それに対して、今回この営利条文を外したことが協同組合の株式会社化への道を歩むものだということは誤解ということですよね。一言で答えてください。

奥原政府参考人 それは誤解ということだと思います。

福島委員 これは削除したら誤解を生むんですよ。局長は削除しないと誤解が生まれるから削除するんだと言ったけれども、先ほど示された組合長からのいろいろな話では、私は誤解じゃないと思いますよ。農協の組合長の人は、忠実に、営利を目的としないという協同組合の精神を言ったのであって、営利を出してはいけないなんてことに対して言っている意見はないですよ。

 でも一方で、今いろいろな論壇や学識者の中から、先日の参考人の意見でもありましたけれども、この項目の削除は農協のそもそもの本質をゆがめるものであるという、私は誤解じゃないと思っていますけれども、まさに誤解が生じているわけですよ、削除したことによって。

 そうであるとするならば、誤解が生じないようにこの規定は残せばいいじゃないですか。その後の配当の規制の規定があるから事実上は大丈夫なんだという答弁はもう要らないですよ。そういう答弁をするから。

 そうじゃなくて、現に誤解が生じているんだから、農業協同組合法の精神の根幹である非営利目的規定のところの削除はやめるべきではないですか。大臣、御答弁をお願いいたします。

林国務大臣 そもそも、そういう誤解が生じないようにこうして法案の審議をしていただいて、我々が御提案をしている提案者でございますから、提案者がそういうふうにきちっと説明をして、そういうことは誤解だと言っている以上は誤解である、条文の解釈としてはそういうことになる、そういうふうに思います。

福島委員 片や誤解があるといって削除して、片や別の誤解があるからといって、ほかの一般の国民や農業者の誤解は悪いもので、皆さん方の誤解は正しいというのは、私は、そういう姿勢が、この審議を聞いている人から見て、何か最近の農林水産省さんは上から目線で、政府の中で農業者の代弁者だと思っていたのに、何か変わっちゃったよなと思われることにつながると思うんですよ。

 これまでの参考人招致でも、ほとんどこの法案に対する積極的な賛成者がいないという状況も、そうした精神の根幹、なぜ農業の中に協同組合が必要なのか、農業協同組合というのは何なのかという基本的な理念の部分で政府案に疑念があるからこういうことになるんだというふうに私は思いますので、私は、改めて、この条文は削除すべきではないということを申し上げたいと思っております。

 次に、これまでも何度も議論になっていた点を深掘りさせていただきますので、これまでと同じ答弁は結構なんですけれども、組合の理事要件です。

 なぜ、理事の過半数を認定農家と販売農家のプロにしたのか。それについて、今までの答弁では、地域の担い手の方々の意向を反映した形で農協の運営がされるとか、きちんとした経営能力のある方が経営に当たらなければならないとしている。私は、そのとおりだと思います。

 農協改革の一番の本質は経営者ですよ。経営者に誰がつくかによって農協というのは全然変わるし、ちゃんとした経営者をどう生み出すかというのが、私は事の本質であると思っています。それは、監査とかそういうのじゃないですよ。

 理事要件を法律で定めるというのは、その手段として本当に適当でしょうか。皆さん、国会議員は選挙で選ばれています。この今の理事要件は、立候補する前にテストを受けて合格しなきゃ立候補できませんという規定と一緒なんですよ。私は、それは違うと思うんです。

 農協法上、役員というのは選挙で選ぶということが原則になっております。法律上は、理事になりたくて立候補するわけですね。立候補する人は、自分で経営に関して実践的な能力を有する者とかと自称するんですか。誰がこれを判断するんですか。お答えください。

奥原政府参考人 農協の理事の選任の仕方は、選挙もございますし、選任議案の形で認めるというものもございまして、九五%ぐらいは選任議案の形でつくられているというふうに思っておりますけれども、そのときに、今回の理事要件、理事の過半は認定農業者または販売、経営のプロの方にする、これを満たしているかどうかにつきましては基本的にそれぞれの組合が判断をする、こういうことになると思います。

 ただ、組合としては、当然、組合員の方に説明できるように、資料を整理したりということは必要になってくるかと思います。

福島委員 選任の場合が事実上多いのは農業委員も同じですけれども、しかし、法律上は、組合員が選挙で選ぶということが原則になっているわけです。その上での選任なわけですよ。

 私の地元でも、農協の理事の選挙となったことはありますよ。それは、私の地元のある農協ですけれども、理事長がずっと代々職員上がりの人がなっていて、それに対して、このままじゃだめになっちゃうといって、それで、プロの農家で、きちんと実績を上げている人を、まだ若手なんですけれども、組合長にしようということになって、そのときに各地で組合長を選ぶ理事の選挙が行われて、結果として、それまでの職員上がりの人じゃなくて、プロの若手の農家が、若手といっても私よりも年上ですけれども、組合長になったという事例もあるんですよ。それはなぜかといえば、こうした選挙によって選ばれるという民主制が担保されているからなんですね。

 仮に、選挙になって、経営のプロの人と、認定農業者じゃないけれども極めて地域の農業を思う立派な人が手を挙げて、選挙をやって、その結果、経営のプロや認定農業者の人が負けちゃって、そうじゃない人が当選をして、理事会の定数の要件を満たせなくなったら、その場合はどうなるんですか。

奥原政府参考人 そこは、今回の理事のルールが決まった後は、選び方については、それぞれの農協においていろいろ工夫をしていただく必要があるというふうに思っております。

 選任議案の場合には、この規定に配慮して、どういうふうに選任議案をつくるかということになりますけれども、選挙でやるという場合には、選挙のときに一定の枠をつくって選挙をするというようなことも必要になるかもしれませんので、そこは選出方法についての工夫がそれぞれ必要になるかというふうに考えております。

福島委員 今びっくりしました。選挙に枠をつくる。

 つまり、これを国会で考えてください。国会議員の過半数は自民党員でなければならないという規定をつくって、自民党員の選挙の枠をつくれと言っているのと一緒のことですよ。こんな不思議な制度がありますか。別に民主党でもいいですよ。過半数は民主党でなければいけないでもいいんですけれども。私は、これは全くもって制度としておかしいと思いますよ。

 そんなに地元の農家の人をばかにしたり、不信感を持ってはいけないですよ。農協の理事になる人は、何か談合で、何にもしていないそこら辺の年をとったじいさんがなっていると思ったら大間違いです。時にはそうなることもありますよ。しかし、そうなって農協の経営がおかしくなれば、そこは自律の意思が働いて、今度はかえっぺよ、組合長をかえっぺよ、理事をもうちょっとちゃんと働かせっぺよとなって、たとえ選任であったとしても、もうあの人はいいべとなるのが、これが農村社会における民主主義なんですよ。

 これが、もし、そうじゃなくて選挙で、クオータ制みたいにしないで、この法律で定める要件を満たさなかった場合には、農林水産省は、例えば、究極の話は、農協法九十五条に基づく命令とかそういう対象にはなるんですか。

奥原政府参考人 単位農協の場合には、基本的には都道府県が監督をしているわけでございますけれども、必要な場合には、都道府県の方から、理事の選任の仕方について、その事情の説明を県が聞くということはあるかもしれません。

福島委員 いや、法律上、この九十五条に基づく命令の対象にはなり得るんですか。

奥原政府参考人 そこは、その実際の選任に当たっての事情をよくお伺いした上での話ということになるかと思います。

福島委員 法律上はなり得るという話ですね。

 なぜこれを聞くかといえば、法律で一定の要件を定めるというのは、こうした命令とか、そういう強制的な権力行為と密接な関係にあるからなんですよ。

 一方で、自主自立のために、自分たちで自分たちの経営者を選んでいくという理念がこれまでの農協法にあって、その中に、本来、組合員の選挙で選ばれる理事について、一定のクオータ制みたいなものを設けるわけですよ。しかも、それを満たさなかった場合には、実際やるかやらないかは奥原さんの裁量次第かもしれない、でも、法律上はその対象になり得るというのは、非常に重い規定なんですよ。

 それで、どうするかといったら、私は幾つかの農協に聞きましたよ。経営のプロというのは誰を入れるんですか、農産物販売のプロといって思い浮かぶのは誰ですかと言ったら、それは農協職員のOBだと言いましたよ。

 結局、役所の皆さんはせっせとルールをつくるんだけれども、ルールの適用を受ける方は、抜け穴とは言わないですよ、この人は悪意でやるわけじゃないけれども、それを満たすためにどうするかといったら、結果的に、私の地域の周りの農協では、農協のOBの理事の数がふえますね。それが今回の法目的と合致しますか。

 役所というのは、つい現場実態を踏まえないルールをつくりがちなんですよ。でも、現場はもっとしたたかで、そのルールに当てはめてどうするかというのを工夫した結果が、皆さん方が思っているような結果を招かないときもあるわけです。

 きのうの地方公聴会でも、JA小松の組合長さんが言っていましたよ。十三の支店があるそうですけれども、今まで支店ごとに理事を置いていたわけですよ。でも、Aという支店は認定農業者で、Bという支店は非認定農業者とか、そんなのできないんですよ。これまで、そんなことを言われなくても、支店代表はそれぞれの地域のリーダーとか、その一方では、そうではない農外の人とか、いろいろなバランスを考えながら理事というのは選んでいるものなんですよ。

 私は、これは本当に余計なお世話だと思うんですよ。こんなことを法律の要件でかけて、法律の要件でかける以上は、農協法上の農林水産省の最終的な命令の対象になる。私は、この条文も削除すべきであると思いますけれども、林大臣、いかがですか。

林国務大臣 先ほど玉木委員のときにも、憲法と法案の間に基本法がある、こういうお話でございましたが、食料・農業・農村基本法の二十一条というのがございます。そこに、「効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立」、こういうふうに明記をしておりまして、これを受けて、食料・農業・農村基本計画で、担い手を、認定農業者や将来これになることが見込まれる認定新規就農者、それから集落営農、こういうことで置いております。

 また、農地中間管理機構の目標も、現行五割程度である担い手がやっている面積というのを八割にしていこう、こういうことで今やっておるわけでございます。

 したがって、こういう中で、やはり原則として、認定農業者やそれから販売や経営に関し実践的な能力を有する者という規定を置くことにしたわけでございますが、適切な例外を設けるということもあわせて今までも答弁しておるところでございまして、そういう理由でこういう提案になっているということでございます。

福島委員 私はもっと本質的なことを聞いたつもりで、林大臣は、今回の改革は、地域農協がそれぞれの地域に合った創意工夫をしていただくようにする、いわば地方分権の発想に立って、農家の所得向上に全力投球できるような環境を整備する。

 地方分権とか創意工夫ということをおっしゃっているならば、もっと農協自体の自主性に任せた方がいいんじゃないですかという観点なんですよ。どうですか。

林国務大臣 これはまさに、全体のプランをつくって、そして、その経済主体である改革の骨格というのを昨年の夏にまとめて、その後、JAの自己改革の案、こういうのも出てきたわけでございます。

 まさにJAの自己改革の案の中にも、JAの業務執行体制を強化するということで、理事等の担い手枠の設定、拡大ということが書いてあるわけでございますので、こういうことも踏まえて今回の御提案になっている、こういうことでございます。

福島委員 そうであるならば、自主改革に任せておけばいいじゃないですか。

 法律の条文に要件で入れるというのは、先ほど申し上げたように、仮に選挙になって、要件に満たなくなったら、改善命令が出されたり調査報告の義務がかかったりという、そうした公権力の介入を招くことなんですよ。だからこそ、こんな条文は私は要らないと思うんです。

 抜け道もあるというか、例外もあるということなので、念のためお聞きしたいと思いますけれども、三十条十二項で、「認定農業者が少ない場合その他の農林水産省令で定める場合」とありますけれども、「認定農業者が少ない」というのは具体的にどういう状況のことを言うんですか。あるいは、「その他の農林水産省令で定める場合」というのは何を定めようとしているんですか。ぜひお答えください。

奥原政府参考人 その点につきましては、これから実態調査等をいろいろな形で行いまして、現場が混乱しないできちんとできるように、適切な例外規定を決めたいというふうに考えております。

福島委員 これからではだめだと思いますよ。なぜなら、ここは理事の要件を定める厳格な条文なわけですから、省令自体を定めるのは後ほどでも、調査を行わなきゃ省令が定められないんだったら、この条文は削除してくださいよ。

 大体こういうのは、省令を定めるときは、ある程度のめどというのがあるんですよ。認定農業者が少ない場合というのはどういう場合ですか。具体的に何を基準にするんですか。

奥原政府参考人 認定農業者の方、現在大体全国で二十三万人ぐらいいらっしゃいます。現在の農協の数が大体七百でございますので、一農協平均、これは農協によってエリアの大きさが大分違いますから千差万別ではございますが、平均的に言えば一農協当たり三百人ぐらいいらっしゃる、こういうことだと思います。

 一方で、一農協の理事、これは大体平均的には二十人ぐらいいらっしゃるという姿ですので、この二十人のうち、過半を認定農業者の方とそれから販売や経営のプロの方にしていただく、これが今回の法律で書いてあるルールの中身ということになります。

 二十人であるとすれば、このうちの十人ちょっとぐらいの方を認定農業者とそれから販売、経営のプロにする、こういう発想で、この中の認定農業者と販売、経営のプロの方の比率をどうするかはそれぞれの農協の判断でございますので、そこについては特に枠はございません。仮に、この二十人のうちの半分ぐらい、このうちの半分を認定農業者の方になっていただくとしますと、五人ぐらいの方を選んでくる、こういうイメージになるかと思います。

 これが標準的なイメージですけれども、こういったことも念頭に置きながら、どのくらいの数の認定農業者の方がいらっしゃれば円滑にこのルールが守れるか、これについては、その実態もよく調べた上でルールをつくっていきたいと考えております。

福島委員 こんな、全然イメージも湧かない中で省令に委ねられますか。だって、これは施行されるのはいつですか。すぐですよね。それまでに、今から調査して省令を決めるんですか。私はこれもまことにけしからぬ話であると思います。ぜひ、どういう省令をつくるかのイメージというものをこの委員会に提出していただきたいと思っております。

 「その他の農林水産省令で定める場合」というのも、これは何ですか。具体的に言ってくださいよ。こんなのは要らないじゃないですか。認定農業者が少ない場合として農林水産省令で定める場合でいいじゃないですか。「その他の」ということは、認定農業者が少ない場合以外の場合もあるということですよね。これは具体的に何ですか。

奥原政府参考人 今後、実態調査等をやりますので、いろいろなことができるように、そこについては書いてあるということでございます。

福島委員 いや、そんな答弁で省令に全権を委任することはできないと思いますよ。わざわざ、ある意味、認定農業者にしなければならないという規制強化を行っておきながら、その抜け道は、法律ができた後、省令で、農林水産省の裁量でできますなんという、そんなでたらめな、いいかげんな法律を出すのは、私はまことにけしからぬと思っております。

 ぜひこの委員会に、この「認定農業者が少ない場合」というのは具体的にどういう場合をいうのか、「その他の農林水産省令で定める場合」というのはどういうものを想定するかというのを御提出いただきたいと思います。

 委員長のお取り計らいをお願いいたします。

江藤委員長 理事会で十分に協議させていただきます。

福島委員 私は、先ほど申し上げましたように、今の農協の理事の皆さん、組合長の皆さんが経営能力を持ってもらうというのは必要だと思いますよ。それは、手段として入り口の理事の規制をすることじゃないと思っているんです。これは、言ってみたら、入学試験を難しくして卒業試験を簡単にしているのと一緒なんですね。いかにもお勉強ばっかりして試験をやってきた人の考える発想なんですよ。

 そうじゃないんですよ。組合同士をまず適度な競争環境に置く。だから、我々の対案では、県域を超えた農協を設置したりして、エリアもダブれるような、そうした条項を確認的に設けることとしているんです。

 もう一つは、経営状況をしっかりと見える化することですよ。どこの農協がどれだけ優秀で、どこの農協がサボっているかというのを、監査とは別に見える化をして、そして評価をする。そのことによって、自己努力によって、いい経営をする農協の組合長や理事長として何とか認めてもらおうというインセンティブを働かす制度をつくるのが、私は本来の農協の制度改革の本質だと思っているんですよ。

 今回は、その制度じゃなくて、理事に問題があるから、最初の理事要件を厳しくしておけばそれで経営能力が向上する、とてもそうはなりません。実際は、その要件に合うような理事を適当に取り繕ってもたせるだけで、余計農協の理事の構成がゆがむと思いますよ。

 どうですか、林大臣、この点についての御認識は。

林国務大臣 まさに今、福島委員が御自身で、確認的な規定を置かれるとおっしゃっていただきましたけれども、それは今の我々の提案しているもの、また現行でもできている。累次、そういうことをやりやすいように、中央会にはお伺いを立てずにやれるという仕組みに変えたという、たしか小山先生かどなたかからこの間聞かれて、そういうやりとりもしたと思いますが、したがって、そこの部分は我々も共通をしておる、こういうことでございます。

 したがって、それに加えて、先ほど申し上げましたように、JAの自己改革案の中でも、業務執行体制、ガバナンスの強化というものは、理事の担い手枠、それから、この間御指摘があった女性枠というのもここに出てきておりますが、そういうことを踏まえて、しっかりとこれが実現されていくようにこの規定を置いた、こういうことでございます。

福島委員 私は林大臣をずっと尊敬申し上げておりますし、将来はこの国を背負って立つべきお方だと思いますけれども、何かきょうの答弁はずっとやる気を感じませんね。私が嫌でそういう答弁をされるのかもしれないですけれども、これはみんな見ているんですよ、ネットとかで結構見ているんですよ。

 事の本質は、事前規制で理事なんかを決めるよりも、まさに今、自己改革の話をおっしゃったんですから、もっと農協みずからがちゃんとした経営者を選べるようなインセンティブを講じる規制改革の方がよろしいんじゃないでしょうかという質問だったんです。そのことに対して、残念ながら、前向きな答弁が得られなかったというふうに思っております。

 時間も過ぎちゃいますので次に移りますけれども、農業委員会の問題はなかなかいつも時間がなくて行けないので、農協でほかの論点もあったんですが、先に農業委員会の方に入りたいと思っております。

 先ほどの玉木委員の話ではありませんけれども、この農業委員会制度の改革自身も、私は立法事実はないと思っております。なぜ農業委員会制度を変えるんですか。

 これまでの答弁では、農業委員の農家への働きかけが形式的であって、遊休農地等の是正措置を講じなくて、名誉職になっちゃっている、したがって、農地利用の最適化をよりよく果たせるように、適切な人物が確実に農業委員に就任していただくように公選制をやめるんだ、さらに、農地利用最適化推進委員を新設した、こういう認識でよろしいでしょうか。

奥原政府参考人 答弁を繰り返すなということですので、基本的にそういう御説明をしていると思っております。

福島委員 答弁の御協力をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、農業委員会の中で一つの大事な役割というのは、これは、檜垣徳太郎さんの「農業委員会法の解説」ばかりを引いて恐縮ですけれども、農業委員会は農業者の代表として設置されるということだと思うんですよ。だから公選制だと思うんですね。

 今回の法律では、さまざまな条文が変わっております。例えば、法律の一条で、「農民の地位の向上に寄与するため、」という目的が削除されております。確かに農民という言葉は何か農水省さんは嫌いみたいで削除しておりますけれども、この「農民の地位の向上に寄与する」というのはどういう意味かと檜垣徳太郎さんはるる書いていて、時間がないから全部は言いませんけれども、農業生産力の発展と農業経営の合理化が行われるということなんですね。工業に比べて農業の所得が低いから、農家の所得が向上するような政策の提言を行うこと、それが農業委員会の大きな役割だということを檜垣先生はおっしゃっているわけです。

 私は、まさに今政府がやろうとする農家の所得の向上というその目的が「農民の地位の向上」という規定に係っていて、そしてもう一つは、六条の二項で、さまざまなことを「事務を行う」として、できると言って、農地だけじゃなくて、「農業生産、農業経営及び農民生活に関する調査及び研究」「農業及び農民に関する情報提供」とあって、三項に建議権というのが規定されていたというのは、農業委員会が農業者の代表として、農政全般に関して調査を行い、意見を言う、そういう代表性を持った機関であるということなんです。

 今回、それを薄めるような法律改正をあちこちでやっているんですけれども、それは、農業委員会に課せられた農業者の代表という役割は、もう時代の役割を終えたということでよろしいんでしょうか。

奥原政府参考人 農業委員の場合に、地域の農業者を代表する性質を持っているというのは今後とも当然維持をされるというふうに我々は思っておりますけれども、農業委員会の一番大きな目的がどこにあるかといいますと、やはり人と農地の問題を解決する、その地域の中の耕作放棄地を発生させない、発生してしまった場合には速やかに解消する、それから、農地の出物が出ている場合には、それを中間管理機構がうまく使って、担い手のところに集積、集約化を図る、あるいは新規参入を促進する、こういった人と農地の問題の解決が一番期待をされている仕事だというふうに我々は思っております。

 全国の農業委員会の活動状況は本当に区々でございますので、立派に成果を上げていただいているところもあるのは事実でございますが、総体として見ますと、何回もアンケート調査を見ていただいておりますけれども、農家から見ても評価をされていないといったところもあるのも事実でございます。そこを、全ての地域の農業委員会がきちんと機能して、農地利用の最適化に向けてきちんと仕事をしていただくためにどうするかということが今回の法改正の基本的な背景でございます。

 御指摘がございました法律の条文のところをちょっと御説明させていただきますが、まず第一条のところですけれども、ここで、「農民の地位の向上に寄与するため、」という部分は今回なくなっておりますけれども、これは、この一条の中に、従来、都道府県農業会議それから全国農業会議所が書いてございました。今回の制度改正では、ここが農業委員会ネットワーク機構に変わりますので、ここについては書きかえなければいけない、こういうことがまずございます。

 その観点で、この一条の書きぶりを現代的なものに改めるという観点で、法制局での審査が行われまして、確かに、昭和二十六年、農業委員会ができた当時、農地解放の直後ということもございまして、やはり農民の地位が低かった、それを向上させようというのが強い目的としてあったわけでございますけれども、現在の時点で、農家の地位もやはり相当高くなっている、この状況の中で、この書きぶりを直すときに、維持をする必要があるのかということで、ここを削除いたしまして、最後のところに、「農業の健全な発展に寄与する」ということで書き加えているということでございます。

 それから、六条の第二項のところで、業務の話でございますが、ここは、農地利用の最適化の推進に重点を置くということで、これまで余りやっていないような仕事については整理をするということをやっております。

 それから、特に六条の第三項でございます。意見を公表して、建議をして、諮問に応じて答申をすることができる。

江藤委員長 簡略に願います。

奥原政府参考人 意見の公表につきましては、これは今後とも当然できることでございます、法的な根拠がなくてもできることですので、農地利用の最適化に力を入れていただくということにおきまして、この三項については削除をしておりますが、一方で、後の方の別の条項のところで、これは農地制度についてのPDCAサイクルをきちんと回すという観点におきまして、必要なときには改善意見を必ず述べなければいけないという規定を入れているところでございます。

福島委員 長々とありがとうございます。

 農民の地位の向上というのは、これは檜垣さんはどう言っているかというと、農地解放の話じゃないんですよ。むしろ、農民の地位はある程度自作農として確立されたけれども、工業が発達して、工業の労働者と農民の地位の格差が生じたから、それを埋めなければならないということを言っていて、それは、私は今でも変わっていないと思いますよ。

 もし変えるのであれば、そこを現代的に、皆さん方の大好きな、農家所得の向上のために全力投球とか、そういう条文にすればいいだけの話であって、やはりこれを削るのはけしからぬと思います。

 なぜ、農業委員会が人と農地の問題の解決に携われたかといえば、農民にとってやはり一番大事なのは土地なんですよ。玉木さんのポスターには一所懸命と書いてありますけれども、まさに一所懸命なわけですよ。だからこそ、権威のある農業者の代表がかかわらなければ農地に関する権利調整を行うことができなかった。だから農業委員会に農地の問題を扱わせていて、農業委員会というのは、三つぐらいの団体が集まって農業委員会になっているんですね。だから、そこはセットであって、人と農地の問題の解決のために、今回、農業者の代表制を外したというのは、逆にこの解決に弱くなると私は思いますよ。

 何か、公選制だと農業委員が名誉職になると言っていますけれども、なぜ、公選制だと農業委員が名誉職になって、市町村長による選任だと名誉職にならないんですか。その根拠をお示しください。

奥原政府参考人 そこは、現実に、農村の現場でもってきちんと活動していただける方が多数入っていただけるかどうかという、まさにそこにかかっている問題だというふうに思っております。

 現在の選出方法のもとでも、これを一生懸命やっていただいている農業委員の方々がいっぱいいらっしゃるのは事実でございますし、先ほどから、地域によってまちまちということを申し上げておりますが、これを全ての地域で本当にきちんとやっていただくためにどうするか。それには、本当に意欲と能力のある方になっていただくような仕掛けをつくった方がいいのではないかというのが今回の改正の発想でございます。

福島委員 市町村長による選任だとそうならないんですか。何が違うんですか。今の答弁を聞いてもよくわからなかったんですけれども、なぜ違うんですか。

奥原政府参考人 従来、公選制をとっているわけでございますけれども、実際には、投票行動に至るのは一割だけ。九割につきましては、事前に調整が行われて、立候補者が一人という状態で、投票行動に至っておりません。

 ですが、これは各地の農家と意見交換しておりますと、自分も出たいんだけれども立候補させてもらえなかったといったような話もやはり聞こえてくるのも事実でございます、全ての地域かどうかはわかりませんけれども。

 そういう意味で、意欲のある方々は今なっている方々以外にもいろいろいらっしゃるというふうに思っておりますので、そういった方をもっと幅広くその中から選択できるような仕組みをどうつくるかということだと思います。

福島委員 だからこそ公選制が必要なんじゃないですか。

 水戸市の農業委員会は、ずっと選挙がなく農業委員が選ばれていましたけれども、そういった今の農業委員会じゃだめだという人が立候補して、選挙になって、その方が当選されました。その方が精力的に活動した結果、さまざまな事実が明らかになって、農林水産省さんも把握しているかと思いますけれども、今、農業委員会が根本的に変わろうとしているんです。

 公選制かそうじゃないかという違いは、さっきの理事を選ぶ要件もそうですけれども、内部の自浄作用が働くかどうかなんですよ。皆様方がやろうとしているのはおせっかいであって、そうした内部の自浄作用なんて起きっこないという、そういう視点がうかがえるから、みんなの共感を得ないんですよ。

 農村というのは、時間はゆっくりとしか動きませんよ。動かないけれども、長い間、時間をかけて蓄積された知恵に基づいたうまいやり方で、余りにひどい農業委員会があったら、長老みたいな人が、おい、おまえ、もういいかげんにしろみたいなことを言ってやめさせたりとか、時には選挙になって、選挙になるのもしゃあんめといって、なったりとかとやって、何となくそれなりのところに落ちつくんですよ。

 現実には、農業委員会はなり手がいないんですよ。給料も安いし、その割に忙しいし、一番嫌なのは、農地の転用という、個別の家の財布にかかわるところに携わらなきゃならないことが、これは本当に嫌なことなんですよ。夜中に酒を二升持って、ちょっと認めてくれよとか、まあまあまあとかという関係をみんな結びたくないから、やりたくない中で、その中で、それでも引き受けてくれるような人望がある人を選んでいるのが実態であって、選挙制度だから、だめな農業委員とか名誉職になっているということでは決してないし、仮に市町村長の選任にしたって、今、都道府県の公安委員とか教育委員というのは名誉職ですよ、完全に。同じになるだけだと思いますよ。

 だから、私は、この農業委員会の公選制を廃止するということも立法事実がないと思いますけれども、林大臣、どのようにお考えになりますか。

江藤委員長 福島君、ただいまの発言の中に大変気になる部分がありましたので、後に速記録を調査させていただいて、もしかしたら措置することもあるかもしれませんので、御承知おきいただきたいと思います。

林国務大臣 まず冒頭、福島委員が嫌いで何かきょうは元気がないわけではございませんので、そこだけは申し上げておきたい、こういうふうに思っております。誠心誠意お答えしているつもりでございます。

 今委員からは立法事実というお話もございましたが、これは、きょうは同じ答弁をするなということでございますけれども、ほかのものと比べても、公選制なのか選任制なのか、いろいろ例があるというのは今御指摘のあったとおりでございますし、それから、局長から答弁いたしましたように、農業委員会の事務局が自分でどう思っているかということと、それから地域の農家の方がどう思っているかというところに、やはり少し開きがあるというのがアンケートでも出ておるところでございます。

 やはり、今、大変な仕事があるんだということでございましたけれども、まさにその部分と、それから委員としての仕事ということを区別できればやっていこうということもあって、最適化推進委員というものも置くことができる、こういうふうにして、今ちゃんとやっていただいているところは、このことによってさらにそういうことが進んでいくように、今のものが全部悪いから全部変えるということではないということだ、こういうふうに考えております。

福島委員 もう時間がなくなったので議論はいたしませんけれども、この農地利用最適化推進委員ですか、それを農業委員と別に分けて、今までの答弁ですと、農業委員の皆さんは農地転用に賛成か反対かの採決をするだけの係で、実際に土地を回っていろいろ調査をしたり権利調整するのは最適化推進委員で、今までの農業委員会は単なる採決要員ですよみたいな話も、これまで農業委員を務めてきた人から見れば、非常に私は失礼な話だと思うんですよ。

 やはり、これは教育委員会とか公安委員会と違うのは、農業委員会というのは、農家として登録されている人じゃなきゃ選挙権がないわけです。まさに農家の代表なんですよ。農家の代表の人が判断することだから、それには従いましょうというのが農村のルールであったわけですよ。その精神を今回は根幹から変えて、従来の農業委員がだめだから、別の農地利用最適化推進委員という別の委員をつくればうまくいくというのも、これも立法事実として、政策の手段として私はおかしいんじゃないかというふうに考えております。

 まだまだいろいろな論点があります。農業委員会、きょう、ようやくそのさわりに入ることができましたけれども、全中、中央会の組織の話、あるいは株式会社に転換できる規定の話、経過措置の話、まださまざまな議論し尽くされていない話がございます。

 また、多くの参考人の人たち、あるいは地方公聴会で意見陳述をした方々がこの法案に大きな懸念を表明している以上は、さらに丁寧に審議をさせていただき、問題点を明らかにしていただいて、これを聞いていただいている多くの農業者の皆さん、農村の皆さん、関係者の皆様方の御判断に必要な審議にしてまいりたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わりとさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

江藤委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。本日もよろしくお願いをいたします。

 私も、昨日、金沢の方の地方公聴会に参加をさせていただきました。

 私が最も印象に残ったことをお話しさせていただきますと、意見陳述者のお一人で、小松市の農協の組合長、西沢組合長が冒頭にお話をされていたんですが、西沢さんは、自分は、基本的にはどうしたら小松市の農業をよくできるのか、そのことがいつも頭の真ん中にある、組合員が期待をすることは、資材を安く、そして農産物を高く売って、そういうことが期待をされていると。

 この農産物を高く売るというところは、恐らく収益を上げていくということだと思われるんですけれども、この言葉を西沢組合長は冒頭二度ほど繰り返されまして、資材を安く、農産物を高く、それを組合員が期待をして、どうやったら実現できるのかということをいつも頭の中に置いて悩んできたと。私も、農協の改革をするのであれば、農家や組合員のための改革をするのであれば、ここがまさに本丸なのではないかなと思います。

 きょうは、そのなかなか高い資材、肥料の問題、そういったものの一つの要因であると私が考えております独禁法の問題について伺いたいと思います。

 農協が独禁法二十二条の適用の除外を、組合ですから受けている。ただ、果たしてそれが本当にふさわしいのかというところはずっと議論のあったところだと思います。

 今回の農協法の改正の中で、この独禁法の除外規定、農協はもう少し独禁法にきちっと向き合っていった方がいいんじゃないか、そういう長年の議論に対して、今回の法改正ではそこの部分は見送りということになったのかと理解しておりますが、そこの理由について局長に教えていただきたいと思います。

奥原政府参考人 独禁法の関係でございますが、農協もほかの協同組合と全く同様でございまして、独占禁止法の適用除外ということになっております。これは、農業者は、ほかの中小事業者も同じですけれども、単独では大手の食品流通業者ですとか肥料、機械メーカーといった大企業と対等に取引を行うことのできる状態にはないということで、農業者が協同組合を組織して、市場において対等に取引を行うことを期待して、こういう適用除外規定を置いているわけでございます。

 この農協に対する独占禁止法の適用除外制度、これにつきましては、平成二十二年の行政刷新会議の農業ワーキンググループで議論が行われまして、規制・制度改革に係る対処方針、これは二十二年六月十八日の閣議決定でございますが、これに基づいて、公正取引委員会は農林水産省と連携して、実態の把握と検証を実施するということになりました。

 この実態把握と検証の結果といたしまして、公正取引委員会は、平成二十三年でございますけれども、農業者は依然として大企業に伍して競争または大企業と対等に取引を行うことのできる状況にはないということ、それから二つ目といたしまして、農業者や単位組合は農畜産物の販売それから生産資材の購入についてみずからの判断で取引先を選択できるということ、それから三つ目といたしまして、この適用除外制度があるために規制できない農協等の問題行為は特段認められなかったこと、こういったことを理由といたしまして、公正取引委員会は、農協等の適用除外制度を直ちに廃止する必要はないという結論に至ったところでございます。

 このことを踏まえまして、今回の法改正におきましても、独禁法の適用除外そのものについては特に改正をしておりません。

井出委員 今局長からお話があった平成二十三年四月の公正取引委員会の出した考え方、今お話のあった三つの要件、大企業と伍して競争、取引できる状況にない、そういったものを初め三つあるんですが、私は、この三つ目に紹介されました、適用除外制度があるために規制できない農業協同組合等の問題行為は特段認められなかった、確かに、公正取引委員会の方でさまざまな事案に対してこれまで指導されてきていることは私も承知をしておりますが、そうは申しましても、この適用除外があるがゆえに、現実の個々のケースは別としても、適用を免れることが想定されるようなものもあるのではないかな、そういうふうに思っております。

 これは平成二十三年に出たものなんですが、もともとやはり農協というものは、農業を行う者の経済的社会的地位の向上、農業生産力の増進を目的として組織をされた。しかし、個別の案件ではなく一般的に申し上げますが、農作物をつくるとき、その品種等に農家に自由がなかったりですとか、最初に申し上げました、割高の農業資材のせいで、結果として、それが農家の負担でもありますし、農業資材が高ければ、それが農産物の値段にもはね返ってきますし、ひいては、それは農産物の競争力というものになっております。

 そうした現状認識というものは持たれているのかどうかを確認しておきたいと思います。

奥原政府参考人 独禁法には大きく分けて二つございまして、要するに、共同行為をする、一種のカルテルですけれども、共同行為をする方と不公正な取引方法と、大きく二つの規制がございます。

 協同組合全体について適用除外になっておりますのは共同行為の方でございまして、不公正な取引方法については、これは現在の法律のもとでも適用除外になっておりません。

 例えば、農協が農家組合員に対しまして、農産物の農協への出荷を強制する、あるいは、農協から機械を買わないのであれば融資をしないとか、こういうことをやりますと不公正な取引方法ということになりますので、これは適用除外になっておりませんから、現在でもこれは違法として公正取引委員会の摘発がされる、こういうことになっているわけでございます。

 したがって、協同組合全体に適用が除外をされているのは、共同でやるということ、例えば、共同で販売することによってできるだけ有利に売るようにする、あるいは、共同で生産資材を購入することによってできるだけ安く調達できるようにする、これが共同行為を適用除外にしている目的でございます。

 残念ながら、これまでの実態を見てみますと、その成果が農協で十分に上がっていないケースも結構ございまして、例えば、農家が自分で米を販売した方が、農協を通して共同で販売するよりも有利に売れるというケースがあったり、あるいは、資材についても、農協から買うよりも自分で調達をした方が安いというケースがあったり、要するに、適用除外となっている共同行為、これのメリットが十分出されていないようなケースがあるということが一つの問題で、そこは本当にメリットが出るように農協の仕事の仕方をきちんと見直していく、これが重要ではないかなというふうに思っております。

井出委員 一つ、実際に公正取引委員会が警告を出した事例について取り上げたいのですが、平成二十六年の九月十一日に、公正取引委員会が山形県内の五つの農協に対して警告をしております。

 この概要は御存じの方も大変多いかと思いますが、その五つの農協が、米の販売手数料を、もともと定率であったものを、米価が下がると手数料の収入、農協の方の収入も下がってしまう、そういうことで、農家から取る販売手数料を定額にした。この件に関して、公正取引委員会はきちっと警告を出されております。その点においては、違反行為に対して適正な注意、指導というものがなされたと思っているんです。

 ここで一つ伺いたいんです。

 この山形の五つの農協のケースは、五つの単位農協が話し合いをして、米の販売手数料を定額にしよう、四百十円にしよう、そういうことを決めて、組合員から定率じゃなくて定額のお金を取った、その話し合いがいかぬということで警告になったんですが、これを、山形県の県の農協の方で、県本部の方で全ての単位農協に対してそういうことをやったときは独禁法の適用除外の中に入って処分されない、違反にならない、そういうことがるる指摘をされております。

 この件について、私は、その五つの農協同士の話し合いというのもまずかったと思うんですけれども、それが、なぜ県の本部が、例えば、それを組織決定して、単位農協全てに実施されたときは、そっちは独禁法の適用除外に当てはまってセーフになるのか。それはちょっとどう考えてもおかしいんじゃないかと思いますが、それについてのコメントをいただきたいと思います。

奥原政府参考人 この山形県のケースは共同行為の話ではあるんですね。要するに、不公正な取引方法を問題にしているのではなくて、共同行為ではあるんですけれども、農協としての、農家の協同組織としての農協の行為の問題ではなくて、農協が農家と接するときの事業者としての立場で、農協同士がカルテルを結んで、一定の手数料を取るようにしたということが問題とされております。

 農家の協同組織として共同行為をやるときには独禁法の適用除外がかぶるんですけれども、単なる事業者として共同行為をやる場合には独禁法の適用除外にならない、これが今の法制度でございます。

 この山形県のケースにつきましては、山形県下の五つの農協が、今御指摘ございましたように、米の販売手数料、農家から取る手数料を一俵当たり四百十円を目安にする、定額化するということでもって話し合いをした、こういうことでございまして、公正取引委員会が調査をした上で、この話し合いをした五農協に対しては警告が出ておりますし、それから、価格の目安を示した、これは山形県の農協中央会に対してでございますけれども、ここに対しては公正取引委員会から注意が出ております。それから、五農協の会合に便宜を図ったということで、全農の山形県本部に対しましても職員研修等の再発防止の要請が出ているということでございます。

 こういった、農業者の協同組織としてではなくて、あくまで事業者として共同行為をやれば、これは現在でも独禁法の適用除外ではございませんので、公正取引委員会の摘発を受ける、こういうことになるわけでございます。

井出委員 農協が、事業者としてそういうことをするとだめだ、協同組織としてするのは法律上いい。

 しかし、実際、五つの農協が組合員に高い販売手数料を取ることにした。事業者の立場としてやったから違反になったんですけれども、これは五つの組合だけの話なんですよ。

 それを、山形中央会が、協同組織として米の販売手数料を定率から定額に、上げてはいませんけれども、五つの農協に示唆した程度なんですけれども、これを県の中央会がやったら、協同組織としてやっているから違反じゃない、セーフだというのは、私は、被害と言ったら言い方が変なんですけれども、五つの農協と山形の中央会がもしそれを組織として決定してやったらセーフだというのは、それは余りにもおかしいんじゃないかと思うんですけれども。

奥原政府参考人 農協中央会が指示してやらせれば合法になるという話ではございません。

 現在、二十六年九月十一日の山形に対する公正取引委員会の処分におきましても、価格の目安を示した農協の中央会には注意処分が出ているわけでございますので、仮に、この五農協の談合じゃなくて、中央会の方から一方的に指示をしたとしても、それは独禁法に違反するということになると思います。

井出委員 そうしますと、山形県内の二十の単協の方から、二十の単協全体としてそういうことを決めれば独禁法の適用除外になるのかならないのか、ちょっと教えてください。

奥原政府参考人 そこは、五農協か二十農協かという問題ではございませんで、今回話し合って決めているのは、それぞれの農協が農家から取る米の販売手数料を幾らにするか、これについて、本来、それぞれの農協が自分で決めるべきものですけれども、複数の農協が集まってこの金額にしようということを決めた、割高な金額に決めようとした、このことが独禁法に違反するというふうに言っているわけでございますので、全部で集まればいいとかそういうことではありません。

 独禁法の適用除外になっている農協の共同行為というのは、農協が、農業者の協同組織として、農産物を集めて外に向かってまとめて販売をするとか、資材を外からまとめて買ってくるとか、こういうことは共同行為として合法的にできますよということを言っているだけなんです。

 農家からどれだけの手数料を取るかとか、これはあくまで農協の事業者としての行為ですので、これについて複数のところが話し合って決めれば、これは独禁法に違反するおそれが当然出てくるということでございます。

井出委員 もう少し一般化して伺いたいのですが、例えば、五つの農協が集まって、農産物の販売価格を決めて、農協同士が相互に守る、これに類似した行為が山形の五農協のケースだと思いますが、これは独占禁止法の違反に当たる。

 それに対して、農協の連合会、県経済連やJA全農が農産物の販売価格を決めて、傘下の農協にそれを守らせるのは独禁法の適用から除外されるというのが今の仕組みじゃないかなと思っております。

 そうすると、農協の連合会が全体として決めることの方が、それに参加させられる組合員や、また、価格が上乗せされた農産物を買う消費者に対する影響というものは大きいと思って、私は問題じゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

奥原政府参考人 今御質問のありましたのは、農産物の販売でございますね。

 販売の方は、共同行為であれば、独禁法の適用除外になるわけでございますので、特に農産物の共同販売の場合には、農家がつくった農産物を農協が集めて、ロットを大きくして農協が売ったりするわけで、そのときは、その価格は当然農協が決めて売っています。いろいろな農家の方から集めていますけれども、農協が価格を決めて売りますが、これは独禁法上何の問題もございません。

 それから、農協からさらに連合会に出荷をされる、連合会がいろいろな農協から集めて、これをまとめて販売する、価格を自分で決めて販売することも、これも共同行為として当然できますので、独禁法上の問題は全くないということになります。

井出委員 法律上の問題はないんですが、そこに、一部の農協同士でそういうことをやったときはだめで、県全体でやったりする場合はいいというのでは、私は、実影響が非常に大きいと思いますし、そこは考え直さなければいけないという問題意識を持っております。

 大臣にも伺いたいんですが、しかも、この山形の農協のケースは、米の販売手数料を、定率だと米価によって安くなっちゃうから定額にしよう。これも本当に例えが、私も語彙が足らなくて非常に失礼なんですけれども、タコが自分の足を食っているようなものじゃないか、こういうことが許されていいのか。自分たちの販売手数料を確保するために組合員から高いお金を吸い上げる、これは実際、警告が出ているわけです。

 もう一つ私が伺った販売価格の話をすれば、一部の農協同士はだめです、でも、県全体で販売価格を決めるのはいいです、それだって、消費者やそこに参加している組合員農家の数の大きさからいえば、実影響があるわけですよ。

 やはり、農協の独禁法の見直し規定というものは、農家の負担ですとか、それが最終的に農産物の価格になって消費者に与える影響ですとか、そういうことを考えれば、農協改革をするというのであれば、これはしっかり向き合わなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今の例えで言うと、この例は、まさに自分の足を食べている、農家から販売手数料を、価格が下がっているときは定額にすれば高く取る、こういうことでございますから、まさにそうですが、逆に、集荷したものを売る場合は、よそから餌をとってくる、こういうことだと思うんですね。そのとった餌で自分の足にどんどん栄養が行くようになるということですから、そこが違うということではないかというふうに思います。

 それは要するに、農協というのは農業者の組合員の協同組織ですから、組合員が、これがなければ大企業やほかの経済主体と比べて競争力が、バーゲニングパワーがない場合に、みんなが集まることによって競争力を劣後しないようにしていこう、そもそもそこがスタートであります。

 よって、農家と農協の関係においては、農家が集まってつくったわけですから、それはタコと足の関係になるわけですが、集まってつくった農協がほかの主体に対して販売行為をやるということにおいては、農家のためにやって、ほかから餌をとってくる、こういうことでありますから、まさにそこに着目して独禁法の適用除外がなされている、こういうことではないかというふうに思います。

井出委員 農産物の販売価格の方なんですけれども、一つの単位農協が自分たちで価格を決める、それが安ければ農家は御苦労されるかもしれないですけれども、逆に、競争力がアップして売れるかもしれない。

 逆に、県の中央会とか全体で傘下の単位農協に一律の価格を課すということは、それは、一義的には生産者を守るということになるかもしれませんけれども、その価格設定を間違えれば、競争力が低下して、消費者が、高いから買いたくないという話にもなると思います。

 ですから、私がせいぜい農協の独禁法の適用について考えるところ、単位農協は自由な裁量で物を決めていただいていいと思うんですよ。しかし、県ですとか全中とか、その上の組織の独禁法の適用除外というところは、これはやはり真剣に考えるべきじゃないかな、そういう問題意識なんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 委員の趣旨が今少しわかったような感じがいたしますが、まさに、バーゲニングパワーは、百人が集まって共同で売るか、百人が十個集まって千人で売るか、どちらがバーゲニングパワーが出るか、こういうことでありますから、意思決定のプロセスがボトムアップである限りは協同組合の本旨にのっとって除外になるということでございますので、そこは結局、高い値段をつけて何も売れなかったということになれば、これはまさに元も子もないわけですから、そこはきちっと勘案していくわけですが、やはりバンドリングといいますかバーゲニングパワーがたくさんになればなるほど一般的には価格の交渉力というのは上がるのではないか、こういうふうに思いますので、したがって、単協よりも広い範囲で、県中なり全国の全農なりも、今のたてつけでは協同組合としてそういうことができるということになっております。

 したがって、このこと自体は、しっかりと価格設定をして売っていく以上は問題はないのではないかというふうには思っておりますが、一方で、協同組合の意思決定が株式会社に比べてなかなか迅速に行われないのではないか、こういう議論もありまして、全農については株式会社化するというオプションも今回入れさせていただいて、これはあくまで自主的にみずからが御判断をいただく、こういうことではないかというふうに思っております。

井出委員 きのうの金沢の公聴会の話の中にも出たんですが、特にきのうの金沢では株式会社六星の輕部社長という方が農協についてお話をされていたんですけれども、例えば、信用事業に関しては、政策投資銀行とかほかの地銀さんの方が少しサービスがいいから、農協さんとは余りおつき合いがない、逆に、自動車の共済関係なんかはお世話になっている、肥料、農薬についても価格の面でなかなかおつき合いというわけにいかないというようなことをおっしゃっていて、農協にとって、外部の方からの真摯な提言であったなと思っているんです。

 その方が、農協はそれでも地域のトップリーダー、まとめ役なんだ、農協のスケールメリット、農協にしかできないことをやって地域をまとめていってほしい、そういうことははっきりとおっしゃいました。私の地元を見ても、やはり農協が地域全体を支えている、農協がなくなってしまったら地域がなくなるようなところも多々あると思っているんです。

 ただしかし、スケールメリット、地域にとって大きな存在であるからこそ、独禁法の問題、特に単協の上の組織については、大きなスケールメリットを持って、地域のトップリーダーであるからこそ、そこにしっかりと向き合わなければいけないですし、それと向き合ってもらうためには、やはり農協法の改正をやっているここで、政府に考えていただいて、議論していただくことが大事だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 これは、一条がよくここで議論になりますが、農業者の協同組合であるという原則がそこに書かれておりまして、これは、前の議論では、もう職能組合ではなくて地域の協同組合にすべきではないか、衆法の提案者からはこういう提案があったところだ、こういうふうに思いますが、我々としては、農業者の職能組合、こういうことを一条で掲げているわけでございます。

 したがって、前段は農業者のための職能組合ということですが、後段は協同組合である、こういうことでありますので、あくまで協同組合である以上は、先ほど委員がおっしゃったように、株式会社と同列に競争するということではなくて、皆さんがスケールメリットを生かして、大きなところと競争力を伍していけるようにするというのが一つの協同組合の目的だろう、こういうふうに思いますので、そこの部分はしっかりと協同組合として維持して、その地域の事実上果たしているインフラとしての機能も考慮した上でやっていくということが一つでございます。

 まさに、その中で、組織形態については、みずからの判断で株式会社なり消費生活協同組合なりといったほかの法人形態もとることができる、こういうふうにいたしたのと、また、先ほど申し上げたように、経済事業をやっている全農については株式会社化のオプションというのが入ったということと、それから、全中については一般社団化する、こういう形で、法人格がそれぞれ変わっていく、こういうことが規定をされているところでございます。

井出委員 組織の改正が今回なされるということはわかっておりますが、地域のリーダーとして非常に大きなスケールメリットがあって、それが、例えば資材を高い価格で組合員の人に売るとか、スケールメリットがそういう悪い方向に働いている部分もあるんじゃないか、そこを変えてほしいというのが、農協の組合員の中から、やはり農協改革といったら組合員の声を聞きたいですし、では、今の改革案で果たして資材とかが安くなっていくのか、その辺はこれまでもいろいろな先生方が取り上げましたけれども、そういう意味において、今回、組織の改正が目玉になっておりますけれども、私は、この独禁法の問題もいずれしっかりと向き合っていく必要がある、そういうことを問題提起させていただいて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

江藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

江藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。松木けんこう君。

松木委員 皆さん、どうも御苦労さまでございます。ちょっと少ないような感じもしますけれども、まあ大丈夫です、そのうち皆さん来るでしょう。ああ、結構座ってくれているね。ありがとうございます。

 地方公聴会も行って、前回に引き続き、農協法改正、農業委員会法改正、農地法改正の議論を進めていきたいというふうに思っております。

 前回の質疑では、林大臣も、今回の改革で失われると心配の声が上がっている農協の機能についても、大事にするんだという趣旨のお話も聞けたように思えますけれども、産業として経済面で農業が発展していくことはとても大事ですし、経済的に持続性を失えば、農業の存続、存立そのものが危うくなることも事実でございます。

 しかし同時に、農業にはさまざまな機能もあるわけでございます。自然を守る、国土を守る、食料供給の面から国家の安全を守るということもあるし、日本の文化を守る、日本の原風景を守るという機能もあるわけであります。

 特に、農業というのは、なりわいという字も書くんですけれども、国の基本、国の大もとだというふうに私は考えているわけでございます。豊葦原の瑞穂の国と古来から呼ばれてきた我が国の原風景は、まさに秋に美しく稲穂が波打つ田園風景のイメージがあるかというふうに思います。今でも、天皇陛下が皇居で五穀豊穣を祈念され、季節ごとに田植えや稲刈りをされる、こういった伝統の祭りを最も大切に継承されている天皇陛下のお姿に象徴されるのが、私たち日本人の文化、魂とも深くかかわる精神性だというふうに私は思っているわけでございます。

 その意味では、経済的合理性を超えた非常に大事な価値が農業にはあるんだなというふうにも思うわけでございまして、日本国民の皆様とこういう経済合理性を超えた価値を共有しながら、あすのすばらしい日本の農業の姿を考えてまいりたいというふうに思っているわけでございます。

 同時に、農業が経済的にも強くなって、多面的な機能を守りながら持続的に発展していくようにすることは大変重要だというふうにも思います。何事も変化は必要だというふうに思いますし、改善が必要ということであれば直していく、これは大事だというふうに私も思っております。

 ただ、同時に、余り急激に変えてしまうと組織も産業の基盤もぐちゃぐちゃになってしまう、ここは工夫しないといけないというふうに私は思います。ちゃんとソフトランディングをしていく、そういう問題意識も持って質問をして、政府の皆さんに工夫をお願いしていきたいというふうに思っております。

 今回の法改正は、大きな制度変更が伴うわけでございます。少なからず不安を持っている方もいらっしゃるというふうに思います。委員会での議論を通じて、農業の現場で汗を流す皆さんの心配が一つでも多く解消されていけばというふうに願っているわけでございます。

 林大臣以下、農林水産省の皆さんにおかれましては、ぜひとも積極的な、前向きな御答弁もいただきたいというふうに思います。地方公聴会でも、ちょっと不安だなというような御意見なんかも結構あったんじゃないかなというふうに思っております。

 それでは、まず一問目です。

 国際協同組合連盟、ICAというんですか、理事会で示された、我が国の農協改革への懸念表明についてお聞きしたいというふうに思います。

 二〇一四年の六月にこれは出されたようでございますけれども、内容は多分大臣も御存じだと思いますのできょうは言いません。この声明自体は昨年の時点のものなんですけれども、農協の理事の資格を国が定めることで組合員の自治が弱まるという指摘は、今回の法改正の内容にも当てはまる内容かというふうに思います。

 この声明を受けて、日本政府としてはどういった感想を持っておられるのか。特に、組合員による自治が弱まるという指摘について、日本政府としてどういう認識をしておられるかということが質問でございます。

奥原政府参考人 国際協同組合同盟、ICAの方が、昨年十月に、農協法の改正の動きに対しまして、ICAの協同組合原則を侵害するという表明を出したことは承知をしております。

 このICAの協同組合原則は、非政府組織、NGOである国際協同組合同盟において採択されたものでありまして、条約ではございません。

 農林水産省としては、世界の数多くの協同組合が参加をしているICAの協同組合原則、できる限り尊重したいとは考えておりますけれども、政府として解釈権を持っているものではございませんし、内容に拘束されるものでもございません。

 ただ、今回の農協改革は、農協の自己改革を促進するという観点から全体を構成しておりまして、特に、地域農協が責任ある経営体制を確立するための理事構成ですとか経営の目的などを規定し、自己改革の枠組みを明確に示す、それから、行政にかわって経営の再建指導を行う特別認可法人でありました中央会について、地域農協の自己改革を適切にサポートする、そういう自律的な組織体制に移行するということを規定するものでございます。

 したがいまして、自治、独立、民主制などについて、ICAが懸念するような内容のものにはなっていないというふうに考えております。

松木委員 今局長さん、ICAの言ったことは、そうはいうものの、やはり大切にしたいというお気持ちであるというふうに私は理解したんですけれども、それでよろしいですか。

奥原政府参考人 ICAの原則もできる限り尊重したいと思っております。

松木委員 局長、できる限り頑張りましょう、そういう気持ちも大切にして、いろいろな考えがあるわけですから。

 それでは、次の質問でございます。

 農業委員についてお聞きしますけれども、今回、公選制を廃止するということですけれども、これの意義と、市町村長の任命ということになれば、その選任過程が場合によってはちょっと不透明化するおそれがあるのではないか。

 さらに、農業委員の過半数を認定農業者とするというふうに定められているわけですけれども、さきに触れた、同じ理由ですけれども、行政が決定権を持つ認定農業者制度に基づいて認定された人を、市町村長の任命で農業委員にする。民主的なプロセスをどちらかといえば制限したような形になると思うんですけれども、このような変更を行わなければならないその理由をちょっと教えていただきたい。

 加えて、これまで市町村長に対して独立をしていたのが、市町村長の影響を大きく受けることによって、非常に大きな権限を持つ農業委員会の中立性が損なわれる危険も危惧されるわけですけれども、公聴会でも、首長だけが選任できるとなると、もっと利権となる懸念があるということを言った方もいたわけでございます。

 そういう指摘もあるわけですけれども、そういうおそれについてもどういうふうにお考えなのか、お答えください。

小泉副大臣 お答えいたします。

 農業委員会は、農地に関する市町村の独立行政委員会であることは御案内のとおりでございますが、担い手への農地利用の集積及び集約化、それともう一つには、新規参入の促進、耕作放棄地の発生防止、これらの解消も含めまして、地域農業の発展を積極的に進めていくことが期待されているわけであります。

 一方で、農業委員会の活動の状況につきましては、地域によってまちまちでございまして、平成二十四年に実施したアンケート調査によりますと、農業委員会の活動を評価している農業者は約三割にすぎない、こういう現実がございまして、農地集積などの農家への働きかけが形式的、二つ目には、遊休農地等の是正措置を講じていない、三つ目には、農業委員が名誉職となっているなど、農業委員会の活動は農業者から余り評価されているとは言いがたい状況も見られるわけでございます。

 これは、農業委員の四割が兼業農家であるということ、担い手などの農業経営に真剣に取り組んでいる者が主体となっていないことに起因する面があるのではないかと考えているところでございます。

 これらを踏まえまして、今回の法案では、適切な人物が確実に農業委員に就任するようにするため、公選制から、市町村議会の同意を要件とする市町村長の選任制に改めることとしているところでございます。

 その際でございますが、市町村長は、農業委員の選出について、市町村議会の同意を得る、これは第八条一項でございますが、このことに加えまして、第九条一項では、あらかじめ地域からの推薦を求め、募集を行う、続いて同条第二項では、推薦を受けた者及び募集に応募した者に関する情報を整理、公表する、そして第九条の三項には、推薦及び募集の結果を尊重しなければならないこととしているわけであります。

 このため、市町村長が、合理的な理由なく、恣意的に委員を選任することは困難と考えているところでございます。

松木委員 ありがとうございます。

 今の中で、農業委員会が支持されているのがもう三割ぐらいしかないという話、名誉職になっているんじゃないかという話、こんなこともあったわけですけれども、そんなものですかね。

 これは、市町村長の選任になったら大分変わりますかね、副大臣。どういうふうに思いますか。余り変わらないんじゃないかなという気もするんだけれども。形骸化しているとかいろいろな意見もあるから、一応、民主的にというか、それもわかるんだけれども、どうなんですかね。選任制というのは若干問題があるような気もするんですけれども、副大臣、もう一度ちょっと。

小泉副大臣 御指摘の部分でございますけれども、さまざま勘案した中で、やはりこの選任制が一番時代の流れの中に沿っているんじゃないか、こういうことでこういう方向になっているわけであります。

松木委員 なるほど、そう考えましたか。わかりました。

 いろいろな意見がありますからね。ただ、今までの農業委員が余りよくなかった、名誉職になっていると余り言うのもちょっとかわいそうな気もしますけれども、はい、わかりました。

 それでは、次に行きましょう。

 農業委員会制度で、今回、大規模に変更するわけですけれども、その目的というのは今聞きました。政府は、農地の集積、集約化、競争力強化を訴えておられると思いますが、今回、農業委員会制度を変更することによって、農地の集積や集約化はどういった影響を受けることになるのでしょうか。

 また、地方自治法では、農業委員会の役割を、「農地等の利用関係の調整、農地の交換分合その他農地に関する事務を執行する。」と定めています。これは農地中間管理機構とも密接に絡んでくるというふうに思うんですけれども、この二つの組織の関係はどういうふうになっていくのか、変わっていくことになるんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

奥原政府参考人 今回の農業委員会法の改正は、基本的には、地域の人と農地の問題の解決をよりやりやすくするという発想でございます。耕作放棄地の発生防止、解消、それから担い手への農地利用の集積、集約化、それから新規参入の促進、こういった農地利用の最適化が従来よりもっとうまく進むようにするということで見直しを図っているところでございます。

 特に、従来、農業委員会一本で仕事をしてまいりましたけれども、機能として大きく二つございます。農業委員の方に集まっていただいて多数決で決定をする、権利移動の許可ですとか、それから転用についての意見具申、これを多数決で決める行為と、それから、それぞれの委員の方がそれぞれの地域でもって耕作放棄地の発生防止の点検をする、あるいは、農地の出物が出たときにそれの担い手への集積を図っていく、こういった現場の活動と、大きく二つございます。

 現在の制度はこれを農業委員一本の制度でやっておりますが、中には一本の制度でうまくいっているところもございますけれども、多くの地域はなかなかこれ一本ではうまくいかないという状態になっているということも踏まえまして、今回、それを二つに分けることにしております。

 合議体として決定する行為を農業委員の方に主として担っていただいて、それとは別に、農地利用最適化推進委員というのを置きまして、この方々はそれぞれ担当区域が決まります。それぞれの担当区域におきまして、耕作放棄地が発生していないかとか、それから、耕作放棄地の所有者がいれば、その方に中間管理機構に貸しませんかという利用の調整をする、それから、担い手への農地利用の集積、集約化を図るといった現場の活動をやっていただく、これが推進委員の主たる役割でございます。

 この二つに分けることによって農地利用の最適化をさらに進めていくということでございますが、このとき、今御指摘いただきました農地中間管理機構、これとも密接な関係がございます。中間管理機構も、人と農地の問題を解決して農地利用の最適化を図るということですから、目的としているところは中間機構と農業委員会と共通の部分がございます。

 ただ、中間機構の方は、自分が権利の主体となって農地を所有者から借りて、これをまとまった形で担い手に転貸をしていくという、権利の主体としての仕事を中心にしておりますが、農業委員会、特に推進委員が新たに置かれますが、この推進委員の方は現場での調整活動を中心にやっていただくということですので、この推進委員の方と農地中間管理機構とがうまく連携をして、農地の流動化、担い手への集積、集約化ですとか耕作放棄地の発生防止をやっていく、こういうことになります。

 中間管理機構ができたときから農業委員会との連携というのは大きな課題になっておりましたけれども、今回の農業委員会の制度改革によりまして、そこの連携がよりやりやすくなるものというふうに考えております。

松木委員 ある意味、今までよりシステマチックに動いていくんだよ、こういうことですね。はい、わかりました。

 次は、今回、農地法の改正というのも行われるわけですけれども、ここでは役員の農作業従事要件について、役員等のうち一人以上の者が農作業に従事すればよいこととするということと、議決権要件について、農業者以外の者の議決権が総議決権の二分の一未満までよいこととするという二点が法案に盛り込まれているわけです。

 株式会社の農業参入をやりやすいようにするのが目的という印象を私は持っているんですけれども、農業委員会制度の変更とあわせて、将来的に株式会社の農地所有を可能にしようということを一つ目指しておられるのかなというふうに思いますけれども、そこら辺はいかがでしょうか。

奥原政府参考人 農業生産法人の要件の関係でございます。

 農業生産法人は農地を所有できる法人の要件を決めたものでございますけれども、今回の農業生産法人の見直しは、農業を継続的に真剣に取り組んでいくことを担保する観点から、従来、役員ですとか議決権について一定の要件を設けているわけでございますが、六次産業化等の経営展開を進めていく場合に、この要件がネックになる場合がございます。

 今回の改正では、法人が六次産業化等に取り組む際の障害を取り除いて、その経営発展を推進していく、こういう観点から、農業生産法人の役員の農作業従事要件ですとか議決権要件を見直すということにしております。

 農作業の従事要件の方は、従来ですと、役員の大体四分の一程度の方が農作業そのものに従事をしていただくという要件になっておりましたけれども、六次産業化を進めてまいりますと、どうしても役員の中でも販売とか加工のウエートが高まってまいりますので、なかなか農作業に従事する方をふやすというわけにはいきません。そこで、役員等の方のうち一人以上が農作業に従事すればいいという形に緩和をするということでございます。

 それから、議決権の要件の方は、従来は、農家以外の方は議決権の四分の一以下、これが原則になっておりましたけれども、これを、これから六次化を進めていきますと外部からの出資を求めることもふえてまいりますので、二分の一未満までであれば農業者以外の方からも出資を求めることができる、こういう形で緩和するというものでございます。

 このように、今回の見直しは、農業生産法人に既になっている方々の経営の発展を後押しするというのが基本的な発想でございまして、この改革によって農業の成長産業化がさらに推進されるものというふうに考えております。

 企業の農地所有の話が出ましたけれども、さらなる農業生産法人の要件の緩和につきましては、日本再興戦略の中で、農地中間管理事業の推進に関する法律の五年後見直しに際して、それまでにリース方式で参入した企業の状況も踏まえて検討するということになっておりますので、この政府の方針のもとで今後検討していくということでございます。

松木委員 株式会社がどんどん農業に参入していくというのは、やはり将来像としてあるということで、局長、いいんでしょうか。

 いや、俺は別にそれが悪いと言っているんじゃないんだよ。そういう考えもあるよね。

奥原政府参考人 これだけ耕作放棄地がふえておりますので、企業の方にも農業に参入をしていただきたいという気持ちは我々は持っております。

 ただ、基本的には、平成二十一年の農地法改正で行いましたリース方式、リースはもう今は全て解禁をされておりますので、どこの企業もリースであれば農業に参入することはできるようになっておりますから、まずはこれを活用してやっていただく。しかも、農地中間管理機構はリース方式でやるということを基本にしておりますので、リースで参入していただくことを基本に考えているところでございます。

松木委員 局長、いろいろな形が考えられますものね。いずれにしても、やはり地方が本当に衰退してどうしようもなくなるなんということにならないようにすることが大切ですよね。

 次は、きのうの公聴会で、農業の現場で働く皆さん、関係者とかも含めて、お話を伺ったんですけれども、この中で、今回、現場の思い、農家の思いが反映される機会が余りなかった、最初は所得倍増の話だったのが、いつの間にか、監査機能がどうのこうのとかということになってしまった、こういう指摘をされている方もおられました。

 実際に法改正について政府で議論をしていた規制改革会議のメンバーを見てみますと、やはり圧倒的に経営者の皆さんが多い。ワーキンググループに入っている方も、会社として農業生産法人をやっている経営者、学者、大手食品会社の役員といった人たちですね。もう少し、農協の現実を知る人たち、一般の農業従事者の皆さんの声を酌み上げる仕組みがあってもよかったのではないかというふうに私は思っているんです。

 これは今からでも遅くないので、これでもういろいろな農業の改革も終わるわけじゃないと私は思いますので、どうですか、大臣、もうちょっと、現場に近い人なんかがこういういろいろな話し合いの中にもっともっと入れるような、そういうことを検討されるというか、そういう予定もあるかどうか、ぜひそうしたらいいんじゃないかなというふうに私は思っていますので、お答えください。

林国務大臣 まず、今回の改革の検討の過程で、今お話のあった規制改革会議の農業ワーキング・グループ、これは総理の諮問機関ということですが、それから与党、これは吉川先生が座長になっていただいて、自民党においては農協改革関係のプロジェクトチームの検討をいたしたわけですが、ここで地域農協の方、JAグループの関係者、それから個人で農業をやっていらっしゃる方、法人でやっていらっしゃる方、いろいろな方から実はヒアリングをやってきたところでございます。

 また、二月には、JAグループの皆さんとも何度も協議を重ねて、最終的には、JAグループの皆さんの合意も得た上でこの法制度の骨格を取りまとめた、こういういきさつがございます。

 そういった意味で、我々は、これをつくるに当たっては、幅広い農業関係者の声を聞いて反映させてきた、こういうふうに思っておりますが、一方で、今先生がおっしゃったように、公聴会でもいろいろな御意見もあった、こういうことでございますから、これで終わりということではなくて、今後もこの趣旨、内容というのを周知、そして理解を深めていただくということでございますし、制度ができたからそれで終わりではなくて、運用をしていくときにでも現場とのキャッチボールというのを常に心がけていきたい、こういうふうに思っております。

 この間、農林水産省の設置法も改正していただきましたので、ああいう仕組みも、地方参事官なるものも活用して、しっかりと現場に対して丁寧な説明をしていきたいと思っております。

松木委員 大臣、より現場の人たちの声が反映できるようなことを、一生懸命頑張ったのはわかるけれども、また、より一層ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。

 それでは、もう余り時間がないんですけれども、これが最終質問になるかな、いずれにしても、きのう、地方公聴会でおもしろい意見もありましたので、これをちょっと聞いてみようかなと思います。

 営農指導のことで、公聴会の中で組合長さんが、うちは営農指導員が二十二人いて、人件費が一億一千八百万、そして、この部分は赤字計上ということになる、こう言われていました。給与水準も、これは市の職員から見て、ラスパイレス指数で一〇〇対八〇ぐらいで、賞与の差も大きいので、そんな高いお給料を出しているのではないところで結構頑張ってもらっているという話がありました。

 この営農指導員の養成、こういうものも農協単独で行われているので、こういうことの財政負担というんですか、こんなこともぜひ公にやはりある程度やるべきじゃないかという意見があったわけでございますけれども、これに関してはどういうふうにお考えですか。

林国務大臣 二十何人で一億円ということですと、お一人当たり五百万程度ということでしょうか、そういう人件費というのはかかっておられる、そういうヒアリングの御意見だったということですが、農協は農業者が自主的に組織する協同組合、こういうことでございまして、営農指導は、基本的にはやはり農産物の販売、これと結びついて、販売先のニーズに応じてどうやって有利に農産物を販売するか、そのためにどういう作物を作付するか、どういう品種にしていくか、それから、つくり方を向上させて、もしくは生産資材の使い方を変更して品質を向上させる、全て販売と結びついているわけでございますので、やはりセットとしてそれぞれの農協でやっていただくということが原則ではないか、こういうふうに思っております。

 したがって、先ほど申し上げましたように、新しい地方の我々の出先も活用しながら、そういう自主的な活動を我々としてどういうふうに後押しをしていくのかということ、いろいろな施策がございますので、こういうものを活用していただくということで一生懸命サポートしていきたいと思っております。

松木委員 大臣、これは少し何か助けるようなシステムというのができれば僕はいいと思いますので、ぜひお考えをいただきたいというふうに思います。

 もう時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、あと、おもしろい意見で、自分たちの資産を自由にできないんだ、もっともっと自由にしてもらいたいよな、こういう話も実はありました。何かローソンに貸したら月七十万だかをもらえるんだけれども、あと何カ所かあるんだけれども、なかなかそれは簡単に貸せないんだよなということを言っている組合長さんもいました。いろいろなことがあるんだなということをつくづく思いました。

 いずれにしましても、農家の皆さんがよりよくなるように、農業自体がよりよくなるように、ぜひ、林大臣、頑張ってください。

 以上です。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 通告していないんですけれども、最初に奥原局長に、先ほど松木委員の質問でのやりとりについてちょっと伺いたいんですよ。

 ICAの問題について問われて、これは以前に、私もICAから政府のこの間の取り組み方について懸念が示されていないかということを質問し、たしか小泉副大臣からの御答弁だったと思うんですが、第二原則、第四原則、第七原則と、一つ一つ丁寧に御答弁をいただいて、そういうことを踏まえているものだと思うんですが、先ほど局長の答弁は、ICAの原則というのはできる限り尊重して、拘束されるものではないんだと、答弁が後退しているような印象を受けたんですが、小泉副大臣が述べたように、そういうような国際的な懸念があることを一応踏まえて今回このようにやってきたんだということだったのではなかったんですか。何でこのような、後退するような答弁をするんですか。

奥原政府参考人 特に後退をしているつもりはございませんけれども、事柄の性格を先ほど申し上げたつもりでございます。

 それと、この協同組合原則をできる限り尊重するということも申し上げたつもりでございますので、小泉副大臣から御答弁いただきましたように、ICAの協同組合原則、第二原則、特に第四原則、それから第七でしょうか、こういった項目に即しましていろいろな検討を我々もさせていただいておりますし、基本的に、我々の解釈です。我々は有権解釈権を持っておりませんけれども、我々の理解としては、これに即した法改正になっているというふうに理解をしております。

畠山委員 できる限り尊重するとか、一般的な話じゃないわけですよ。ICAというのは、あのときの質問でも言いましたけれども、歴史をきちんと持って、国連に対して提言もできる、そういう機関からの懸念が示されたということを重く受けとめてほしいという質問をしたはずです。

 改めて小泉副大臣があのような答弁をした重みをきちんと感じてほしいし、答弁の中身というのは、質問者だけでなく、委員会全員と国民が聞いているわけですから、改めてその点を指摘しておきたいというふうに思います。

 質問に入ります。

 本来、この間行ってきた農協法の質問の続きをしたいんですけれども、農業委員会法もまた、今回重要な改正の中身が含まれていると思います。

 そもそも農協法も農業委員会法も、そして農地法も重大な内容を含んでいるのに、三つ一遍に審議を進めるという点では、まだまだ質疑するべき内容が多くあるというふうに思っています。

 昨年の冬に私は当選して、半年間、こちらの農林水産委員会で、ずっと会議録も読んできましたし、規制改革会議にさかのぼって、さまざま読んでもきました。その最初の方に、農地や農業委員会のことを出発点とする議論となっていることを記憶しているんですね。

 ですから、この農業委員会法の改正というものも、やはり重大な中身を持って、議論するべきだというふうに思うんです。

 一つ一つ確認していきます。

 重要な論点の一つに、公選制から市町村長の選任制にすることと委員数の削減があります。

 まず、現状を確認します。

 現在の農業委員のうちの選挙委員は、専業農家、第一種兼業農家、それから第二種の兼業農家でそれぞれ何%を占めていますか。

奥原政府参考人 全国の農業委員会の委員の総数でございますが、平成二十五年十月一日現在で三万五千五百十四人でございます。この中で、選挙委員の総数が二万六千六百五十六人、農業委員の総数の七五%を占めております。

 この選挙委員の内訳でございますが、専業農家の全国の総数が一万四千四百二十一人で五四%、それから第一種兼業農家の全国の総数が三千六百七十人で一四%、それから第二種兼業農家の全国の総数が七千六百四十六人で二九%となっております。

畠山委員 第一種、第二種の兼業農家を合わせて約四割いて、これは先ほども御答弁がありましたけれども、それが農業委員会の活動にかなり影響を与えているというふうに政府が問題視をしてきたわけです。

 五月二十一日の本委員会の政府答弁で、農地の利用集積や、耕作放棄地が発生しないよう点検するためには、農業で本当に生活をしている方々というふうに局長は答弁されているんですけれども、そういう表現で、この方々を中心に運営することがポイントで、その一つの代表として認定農業者を考えていると述べました。

 認定農業者を改めて確認します。

 認定農業者とは、農業経営基盤強化促進法に基づいて、市町村が策定する基本構想の目標を目指して農業者が策定した農業経営改善計画を認定するものである、間違いないですね。

奥原政府参考人 御指摘のとおりだと思います。

畠山委員 それでは、もう一つ伺います。

 今言ったことが認定農業者ということなんですけれども、それ以外に、認定される要件として、それでは、専業なのか兼業なのかは問われますか。

奥原政府参考人 ちょっと質問の通告を受けておりませんので、正確に記憶しておりませんけれども、基本的には、基盤強化法に基づきまして自分の経営の五年間の経営改善計画をつくっていただいて、これが市町村の基本構想に基本的に合っている、そういうものを認定して、いろいろな支援をしていくというのがこの認定農家の制度でございますので、そのときに、専業、兼業という区分は特別設けていないというふうに私は思っております。

畠山委員 今答弁のように、専業、兼業は問われないわけですよ。ちゃんと農水省の資料でも、年齢、性別や専業、兼業の別などを問わないで、今言ったような計画で認定されているというふうに書かれている。

 そうであるなら、兼業農家の多いことが問題だと言うけれども、認定農業者が兼業でふえていくということもあるわけで、認定農業者がふえれば解決するという理屈はおかしいんじゃないですか。

 もっとおかしいのは、新たな農業委員の被選挙権の問題です。重要な問題ですので、これは大臣に伺います。

 現行法では、区域内に住所を有することや耕作の業務を営むなどの被選挙要件があります。しかし、改正案では書かれていません。区域外からも、場合によっては国外からも入れるということになるんじゃないでしょうか。

 この点を私は本会議で質問したんですが、そのときの総理の答弁でも、適切な人物が確実に就任するようにするというだけで、何の答弁にもなっていません。

 なぜ、こういう住所や耕作するという要件をなくすのか。区域外で経営する人でも法人でも企業でも、例えば事業拡大の意図で、農業委員としても入ってこられるということになるんじゃありませんか。この問題をどう考えますか。

林国務大臣 改正後の農業委員会法第九条で、選任制になりますので、市町村長が選任をすることになるわけですが、あらかじめ地域から推薦を求めもしくは募集を行うということ、そして推薦を受けた者や募集に応募した者に関する情報を整理、公表する、その上で、その結果を尊重して委員を任命しなければならない、こういうふうになっております。

 市町村長の選任制に変更しても、農業委員が地域の代表としての側面を持っておるということ、そしてその活動で地域の特性や地元の事情を適切に反映していくことは、改正後の九条で担保されるもの、こういうふうに考えております。

畠山委員 それでは否定していないというふうに受けとめますよ。できるということではないですか。そういう、今私が懸念するようなことが起こらないかと。

 区域内に住所を有することや耕作の業務を営むという現行の規定があるから、今、地域の代表者としての信頼が生まれているはずです。私がきのう行った地方公聴会でも、農地を動かすためには顔の見える信頼と信任が大事だという意見がありました。その最良の手段が選挙だというふうに思うんです。だから、地域に根差して農業委員は働けるということではありませんか。

 政府は、この公選制をやめる理由に、選挙になっていないとか名誉職化しているとかなどなど言うけれども、最初に答弁してもらいましたが、現実は、選挙委員のうちでも、専業農家だけでも五四%、第一種、第二種兼業農家を合わせて四割といいますけれども、第一種兼業も専業農家と合わせれば約七割になっていくわけです。政府が言うような農業で本当に生活をしている方々がこのように多数を占める結果と今なっている。公選制をやめる理由には私は思えないんですよ。なぜこれで公選制をやめる理由と言えるのか。

 改正案は、公選制をやめて市町村長による任命制にするとあります。地域推薦や公募を尊重することとしています。公募となれば、特定の地域や団体の利害を代弁する人が出ることもあり得ます。また、今まで、選挙ですから公職選挙法で準拠してやっていたわけでして、この公選制をやめれば、地域の推薦をかち取るための、例えば買収だとか供応が出たときにどうするのか。公職選挙法で対応できない。それでも、地域で選んだからといって、これでいいんですというふうに政府として見過ごすことになるんですか。いかがですか。

奥原政府参考人 地方の独立行政委員会というものはいろいろございますけれども、現在の状態では、選挙制をとっているのはこの農業委員会と海区の漁業調整委員会の二つでございます。ほかは全て首長の選任制をとっておりまして、これが特に不公正に行われている認識は我々は持っておりません。

 今回の選挙制から選任制への変更に際しまして、先生からも御指摘いただいておりますが、地域からの推薦をしたり、それから、それぞれ農家の方が公募に手を挙げていただく仕組みを入れております。それも、単に手を挙げておしまいではなくて、誰が推薦されたか、誰が公募で手を挙げたか、きちんとガラス張りにしてその地域の方々に見えるようにする、その上で、その推薦なり公募の結果を尊重して市町村長が選任をする、そこまで手続をこの法律の中に書き込んでおるところでございます。ここをやることによって、より適切な選任が得られるのではないかというふうに我々は思っているところでございます。

畠山委員 私は、公選制が必要だと言ったのは、きのう地方公聴会をされた地域の方の言葉をそのまま用いましたけれども、農地を動かすためには顔の見える信頼と信任が大事だ、それとして公選制の役割があったんだということを述べているわけですよ。ほかが選任制でやっているから農業委員会も選任制にするんだみたいな、そんなことではやはりだめなわけですよ。

 それで、不公正と思っていないと言うけれども、なぜ公選制にしてきたのか、そしてその結果、今農業委員がどのような役割を果たせているのかということが基本ではないかと思いますよ。

 ガラス張りにして見えるようにすると言うけれども、それでは、具体的に公募や推薦があった人のいろいろな情報をずらっと並べて、何か報告書みたいにして全部の農家に配るようなやり方でもするんですか。ガラス張りにするというのはどういうふうにやるんですか。

奥原政府参考人 手続の細部まで決めているわけではありませんが、推薦をされた方、それから公募で手を挙げられた方、この方々が一体どういう農業経営をやっていらっしゃるかとか、農業委員あるいは推進委員になったときにどういう方針で仕事をされたいかとか、そういったことはきちんと整理をして、皆さんが見られるような形にはしなければいけないと思っております。

畠山委員 余りにもちょっと、これから決めていくようなことばかりが、先ほどからも省令で決めるようなことがあっていいのかと思いますよ。

 先ほどありましたけれども、地域に住所がない人も選ぶことができる、買収や供応も禁止できない、あるいは特定の地域や団体の利害も排除できないかもしれないし、参入企業の比率を高めることも可能にもなる、そういったことに狙いがあることになっちゃうんじゃないんですか。

 繰り返しますけれども、農業委員は地域農業者から選挙で信任を得たから農地に責任を負うことができました。地域と結びつきが弱まるような農業委員会でいいのか。農地の管理や集積に本当に地域で責任を果たしてもらうのなら、公選制を維持すべきであることを主張しておきます。

 通告では最適化推進委員のことも聞くことにしていましたが、飛ばします。

 先に、建議の問題を伺います。

 建議について、削除する理由が、これまで政府は、一言で縮めて言えば、主たる業務に専念してもらうということを言ってきました。これは、農地の集積など実務的な業務を中心にしろという意味というふうに受けとめます。でも、これでは、建議や意見表明というのは何か副業にすると言っているようなものではないかというふうに私は受けとめるんですね。

 まず、大臣に認識を伺います。

 全国農業会議所のホームページがあります。この中で、「真に農業者や地域の農業の立場にたって、その進むべき方向とこれを実現するための政策のあり方を明らかにしていくことは、農業者の代表として選ばれた農業委員で構成される農業委員会の極めて大事な役割」と建議について述べています。

 現行法において建議が認められているというのは、このような全国農業会議所で述べているような理由によるものと確認してよろしいですね。

林国務大臣 現行法は今お読みになっていただいたような規定でございますが、削除の理由というお尋ねでございますので、まさに今委員がお触れになっていただいたように、主たる任務として、担い手への農地利用の集積、集約化、耕作放棄地の発生防止、解消、こういった現場の実務でございますが、今、耕作放棄地が拡大をしておりまして、必ずしも十分に機能していない面があるわけでございます。したがって、意見公表や建議というものは、法的根拠がなくても当然できるわけでございます。

 したがって、先ほど申し上げました農地利用の最適化の推進業務に集中して取り組むことができるようにするために、法的根拠がなくても行える意見公表や建議というものは、法令業務から削除をさせていただいた、こういうことでございます。

 改正案の中で、農地に関する施策についてですが、農業委員会がその所掌事務の遂行を通じて得た知見につき、必要があると認めるときは、関係行政機関に対して、農地等の利用の最適化の推進に関する施策についての具体的な改善意見を提出する義務を課すということにしておりますし、それから、改善意見を提出された関係行政機関の方は、その意見を考慮しなければならない、三十八条でそういう規定を置いておるところでございます。

畠山委員 第三十八条のことを今大臣は先に述べられましたけれども、答弁されたように、これにおいては、農地等の利用の最適化の推進に関する施策についての建議というふうになっているわけですよ。農業政策全般ではないんですよね。

 だから、法的根拠がなくてもできるとか、あるいは、レクなんかでもそうですけれども、これまでの意見公表の機能は確保されるとか言うけれども、全然確保されていない。今言ったように、農地等の利用の最適化の推進に関する施策と限定されているんです。

 先ほどホームページからの引用を紹介しましたけれども、農業者や地域の農業の立場に立って政策に反映させるという建議の性格が変わるんですよ。先ほど紹介した全国農業会議所のホームページとあわせて、この建議について、農業者の公的代表機関としての性格を前面に押し出したものとしています。

 大臣に、再度伺います。

 改正案では、私が今述べたように、政策への反映としての意見公表は限定されるわけです。それでは、意見表明というのは何か副業扱いなのかと私が最初に疑問を述べたのは、ここに根拠があります。

 公的代表機関とこのホームページで言っているような全国農業会議所の立場はもう認めません、限定された意見しか聞きませんということなんですか。

林国務大臣 先ほど申し上げましたように、三十八条では、むしろ、農地の利用の最適化の推進に関する施策についての具体的な改善意見は、これは提出する義務があるということでございます。

 それをもって、それ以外に関することを公表もしくは建議してはならないということはどこにも書いてございませんので、当然、法令業務の中から削除をしたとしても、意見公表などは自由に行うことはできる、こういうふうに申し上げたところでございまして、農業会議の方のホームページですか、今御引用なさったような観点からいろいろな意見公表や政策提言をされるというのは今後もやっていただける、こういうことだと思います。

畠山委員 自由と民主主義の国日本なわけですから、意見表明を自由にできるということは当然なわけです。

 私が問題にしているのは、行政庁の農業施策に反映させるための手法が限定されたということではないかという問いです。

 それなら、角度を変えて質問します。

 二〇一四年二月三日の規制改革会議第八回農業ワーキング・グループでは、農地転用許可などの行政的な側面が農業委員会にあるのと、農業者の自治として意見を述べる側面との二面性がある、このことについて次のような意見が出されています。このように農業委員会に両側面あることがいろいろ少し弊害を生んでいるというようなことから議論が進められているのが、このときのワーキンググループの議論なんです。

 大臣も、農業委員会にこのような二つの側面はあると思いますけれども、このように両側面あることで弊害を生んできたという認識はありますか。これまで建議をこうやって認めてきたことによって、何か弊害でもあったんでしょうか。

林国務大臣 今のところは御通告がございませんでしたので、規制改革会議で多分お読みになったような議論がなされたんだろう、そういうふうに拝聴いたしました。

 我々が今御説明しているのは、市町村の独立行政委員会たる農業委員会の主たる任務としては、担い手への農地利用の集積、集約化、耕作放棄地の発生防止、解消、こういうことが主たる任務である、こういうふうに御説明をしておるわけでございまして、これに集中して取り組むことができるように、法的な根拠がなくても行えるところは法令業務からは削除をする、そういうふうに申し上げているところでございます。

畠山委員 この建議が外されるということは、後でもう一度振りますけれども、農業委員会としての性格を変えていくことにつながっていくというふうに私は思います。

 農業委員会だって、もちろんこれまで好き勝手なことを言ってきたわけではありません。建議の中身が政府に厳しいことがあったとしても、それは地域の実態を踏まえて出されてきた意見なわけです。きちんと踏まえて施策に反映させていくということが当たり前であって、私は、この建議の問題というものについて、全面的に、これまでどおり残しておく必要があるということを指摘しておきます。

 次に、ずっと読んできて、私はわからないことや疑問のものがたくさんあるんですけれども、情報開示にかかわって、いろいろなところで条文があります。

 まず確認だけをしていきたいと思います。

 第五十二条では、ネットワーク機構の情報提供についての定めがあります。その第一項に、農業経営を営み、または営もうとする者の求めに応じ、情報の提供を行うことができるというふうにあります。

 今、農地ナビが運用されていて、農外から参入する方や法人に対して、かなりの農地の情報は入手できるというふうに思います。

 この第一項で言っている中身というのは、農地ナビ以上のものも提供できるということになるんでしょうか。局長、お答えください。

奥原政府参考人 基本的に、この第五十二条第一項で書いてございますのは、農地ナビの話を想定した規定でございます。

畠山委員 農地ナビの範囲内ということで確認します。

 ただ、問題は、農地ナビの範囲内というふうに出す方は考えるんですけれども、第五十二条だけでは、求めに応じて情報を提供しなければならないとしか書いていないんですね。つまり、いろいろなことをとにかくじゃんじゃん聞かれて、しかし農地ナビの範囲内におさめなきゃいけないということであるならば、どこかで何か条項に担保しなければいけないのではないかと思いますが、それはどのように考えますか。

奥原政府参考人 農業委員会のネットワーク機構の仕事ということになりますので、ネットワーク機構については、いろいろな条文がございまして、特に、業務をやる場合について、業務規程というものをつくって、これは、県のネットワーク機構であれば県知事、それから全国のネットワーク機構であれば農林水産大臣の認可を受けるということになっております。こういったところで、そこについてはきちんとコントロールをしたいというふうに考えております。

畠山委員 今の答弁の内容で確認しておきたいと思います。

 それでは、情報と秘密にかかわって、どうしてもよくわからないのが、ずっと条文を読む中に、第十四条で、農業委員の秘密保持義務規定が新設されるんですね。この秘密保持義務規定は、農業委員だけでなく、最適化推進やネットワーク機構などにも課せられる同じ規定があります。

 今回、なぜ新設したのか、また、この場合の秘密というのは何を指すのでしょうか。

奥原政府参考人 まず、農業委員の方でございますが、これは特別職の地方公務員ということになります。したがいまして、地方公務員法の対象外ということになりますので、地方公務員法第三十四条に書いてある守秘義務がかからないということにまず法的になります。

 そこで、今般の改正では、近年、個人情報の保護の必要性が相当高まっておりますし、特に、農業者の多様化が進む中で、農業委員会がいろいろな相談を受けた場合に、相談者の個人情報ですとか企業の経営に関する秘密、こういったものについて慎重な取り扱いを行う必要が生じてきていることもございます。

 それから、一昨年の農地法の改正、これは農地の中間管理機構のときの改正でございますけれども、これによりまして、先ほど御指摘いただきました農地台帳ですが、農業委員会にその作成が義務づけられました。今回、農地ナビでもって、個人情報は除いておりますけれども、インターネットで情報を見ることができるというふうになっているところでございます。

 こういったことも考慮いたしまして、地方公務員法では守秘義務がかからない農業委員につきましても、法律の中できちんと秘密保持義務を課して、情報管理をすることが適当であるというふうに判断したものでございます。

畠山委員 今までも、もちろん個人情報に農業委員の皆さんは触れることがあったはずなんですよね。いろいろ知り得ていたというふうに思うわけです。それでも、きちんと個人情報は守られていたのではないのか。わざわざ法律に書かなくとも、地域の農業者により選挙で選ばれた地域の代表としての自覚や責任があるから、個人情報を含めた農地情報はきちんとこれまでも管理されてきたというふうに思うんです。いわば、公選制が秘密保持の担保として働いてきたのではないかというふうに思います。

 しかし、今回、改正案では、公選制を変える。委員の要件も変える。先ほど指摘したように、いろいろな人が委員になるかもしれない。秘密保持義務規定を置くことで、図らずも、信頼や責任を負えるかわからない人が委員に選ばれるおそれがあることを証明したのではないかというふうにも思うんですが、そういう想定を含めてこの規定を新設したんですか、どうなんですか。

奥原政府参考人 法案をつくるに際しましては、政府の中で、内閣法制局を含めて、相当議論をしてつくってきておりますけれども、この秘密保持義務に関しまして、公選制との関係で議論をしたことは一度もございません。

 従来書いてございませんでしたけれども、これだけ個人情報の保護が非常に重要な課題になっているときに、やはりこれは書いておかなければいけない、そういう整理をしたということでございます。

畠山委員 農地の個人情報は、今になって初めて農業委員が触れているものではないはずです。法律に書かれなくても、地域の代表としての自覚で自律的に守ってこられたというふうに思います。

 新しい委員の要件で、農業に関する識見を有する人というふうにしていますよね。それでは秘密を守るのに不安だということになるのであれば、どれほどの識見かということになるわけです。そもそも、要件の変更が生み出した問題ではないかというふうに私は思います。考え直すべきことを求めます。

 時間が迫っていますので、農業委員会法の第一条について、先に進めます。

 きょうは、農業委員の公選制、委員の要件変更、飛ばしましたけれども最適化推進委員、それから建議権の削除などなど、個別に見てもさまざまな重要な変更があって、それが総じて農業委員会の性格を変えることになるというふうに思います。そもそも目的を定めた第一条を変えることに問題がある、ここが大問題だと思います。

 それで、現行法について、農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄与するため、農業委員会などについて定めることを目的としています。改正案では、きょう議論はされましたけれども、農民の地位の向上に寄与するという規定がなくなります。それに対しての政府の答弁は、戦後、そして今現在との状況が異なるということが出発点のような答弁をしました。

 ただ、当時、法の制定時と現状が異なるという説明だけでは、わざわざ目的を変える理由にはならないんじゃないかと私は思うんですね。

 農業委員会は、農地転用の許認可だけが仕事ではなく、これは午前中の答弁でもあったと思うんですけれども、人と農地をきちんと守っていくという、人という言葉を局長は答弁されたと思うんです。農民という人の暮らしを支える仕事も農業委員は行ってきた、それが農業生産力においても重要な意味がある、これが現行法の目的の当初のことだというふうに思うんです。それが今でも生きているはずです。

 例えば、きょう、パンフレットを持ってきましたが、これは、二〇一三年度の「「家族経営協定」のすすめ」というパンフレットです。農水省の男女共同参画加速化事業で推進協議会が編集、発行をしたものです。家族経営において、家族一人一人の役割や就業環境について家族で話し合い、協定を結ぼうという呼びかけのパンフレットです。

 この協定を結ぶところが年々増加していますし、ページを開くと、家族経営協定を結ぶとこんな効果があるということで、経営理念などを家族みんなで共有できるようになり、家族全員の経営意識が向上したとか、結束が強まったとか、経営の合理化が進んだなど、よいこと尽くしに書かれているわけです。

 こういう事業にかかわって、農業委員はどのような役割を果たしていると認識していますか。

奥原政府参考人 ちょっと通告がございませんでしたので、詳しく担当からまだ聞いておりませんけれども、農業委員の方々は、やはり地域の中で農家に働きかけて、この家族経営協定を結ぼうという働きかけは相当されているんじゃないかなというふうには思っております。

畠山委員 局長が、人と農地を守るために農業委員の役割はあるんだと答弁されたように、これ自身も、家族、人を守るための、あるいは発展させていくための重要な協定をつくる作業として、農業委員が役割を果たしているわけです。

 この家族経営協定を結ぶ手順の中に、普及指導センターや農業委員会などの指導機関からの意見も聞いてみましょうとか、協定を結ぶときは、家族員だけでなく、そのような指導機関の立ち会いがあるとさらに確かなものがありますということで、農業委員会は、農地の許認可だけでなく、このように、家族経営をさらによりよくしていくものも含めた役割を十分に果たしてきている、これが現状の仕事の中身の一つだと思うんですね。これは、現行第一条の精神で、農家の暮らしと経営の改善に深くかかわってこられた、これが農業委員の中身だ、本旨だというふうに思います。

 今回は、その目的が変わる。人と農地と言っていたものを、農地の方に重きを置いて、このような家族や農民、人というところにかかわる役割はもうしないということにならないのか。定数が減らされるということになって、こういうような仕事というのは一体誰がやるのか、推進委員がやるんですか、どうするんですか。こういうような事業ということも含めて、農業委員の中身というのは検討されているんでしょうか。

奥原政府参考人 今回の農業委員会法第一条の改正ですけれども、主眼が、農民の地位の向上に寄与するというのを落とすことにあるわけではございません。

 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今回の改正の中で、これまでの都道府県農業会議、それから全国農業会議所、これがそれぞれ農業委員会ネットワーク機構に変わるという制度変更がございます。目的の中には、この県の農業会議と全国農業会議所が書いてございますので、ここはもう書きかえざるを得ないということで、この目的の部分の見直し、検討をした、こういうことでございます。それがなければ、この一条について、特に変えるという必要は生じなかったというふうに我々は考えておりますので、基本的に、従来やっていた、そこの部分の仕事が変わるというふうに我々は考えておりません。

畠山委員 ちょっとよく理解できないんですけれども、同じような答弁が午前中もあったかと思いますが、つまり、組織を変えるから目的を変えたということになるんですか。普通、目的がこのような、中身を変えるがゆえにこう組織を変えましょうとか、そういうことではなく、今言ったような話をもう一度。

林国務大臣 一条の古い方と新しい方を比べていただきますと、現行の方は、農業委員会、都道府県農業会議及び全国農業会議所について、その組織及び運営を定めること云々、ここが今回の法律で新しい組織、農業委員会ネットワーク機構というふうに変わりますので、ここは変えなきゃいけないわけですね。したがって、この一条の所要の改正をしたということでございます。

 当然、そのときに、その全体についての書きぶりを、いわば現代的なものに見直すということで、農民の地位向上という言葉は、昭和二十六年にこの法律が制定された終戦後の間もない時期でありまして、地主が小作人を一方的に搾取する関係にあった農村の、民主化とか機械化等による農業生産力の発展を図っていく必要性が高かった、こういうこともあって、農民の地位の向上、こういうことが目的規定になったわけでございますが、近年は、この昭和二十六年当時とは大きく変化をしておりまして、地主が小作人を一方的に搾取するというようなことはないわけでございまして、現在も変わらぬ課題である農業の健全な発展ということをそこに規定させていただいたわけでございます。

 当然、農業の健全な発展をするに当たっては、今委員がおっしゃったような、その主体である農家の皆さんがしっかりといろいろなサポートを受けてやっていくということは、当然このことの前提になるというふうに考えております。

畠山委員 きょうも、午前中議論がありましたけれども、小作農の話云々かんぬんはもちろん承知はしていますけれども、さまざまな産業がある中で、農家の方々がきちんと安定した手取りを確保できる、安心して生活できるということが目的として書かれている中身だったんじゃないんですか。この第一条の目的が変わることによって、逆の話も先ほどしていましたけれども、所掌事務も変わるし、建議についても、先ほど言った限定もかかわってくるというふうに思うわけですよ。

 こういう農業委員会が、いわば農地流動化の事務的な団体に矮小化されるんではないのか。政府の言う、担い手と参入企業への農地集積を進めるだけの機関に変質することになるんじゃないかというふうに指摘をしておきます。

 最後に、時間がありませんので、農地法について一つだけ大臣に伺います。

 規制改革会議では、農地法も第一条の目的規定から変えることが議論されています。現行第一条の結論を読むと、「もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。」とあります。ただ、今回はこの第一条は改正されません。

 この第一条は変える必要はないということを確認していいですね。そのような認識でいいですね。

林国務大臣 そのまま御提案をしているということは、今変えるということではない、そういう御提案でございます。

畠山委員 確認しました。

 農地法もこのようにまだ議論を始めたばかりですし、最初に述べたように、農協法についてはまだ質問すべきことがあるというふうに思っています。

 引き続き審議をすることを改めて私から強調し、質問を終わります。

江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

    ―――――――――――――

   派遣委員の石川県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十七年六月八日(月)

二、場所

   金沢東急ホテル

三、意見を聴取した問題

   農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)及び農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出)について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 江藤  拓君

       宮腰 光寛君   簗  和生君

       渡辺 孝一君   金子 恵美君

       福島 伸享君   井出 庸生君

       稲津  久君   畠山 和也君

 (2) 意見陳述者

    株式会社六星代表取締役社長          輕部 英俊君

    石川県農業協同組合中央会会長         上坂 英善君

    小松市農業協同組合代表理事組合長       西沢 耕一君

    加賀市農業委員会会長  小川 廣行君

 (3) その他の出席者

    農林水産委員会専門員  奥井 啓史君

    農林水産省大臣官房参事官           金丸 康夫君

    農林水産省大臣官房総務課長          岩濱 洋海君

     ――――◇―――――

    午前十時十五分開議

江藤座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院農林水産委員会派遣委員団団長の江藤拓でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 皆様御承知のとおり、当委員会では、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の審査を行っているところでございます。

 本日は、両案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、当金沢市におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党の宮腰光寛君、渡辺孝一君、簗和生君、民主党・無所属クラブの金子恵美君、福島伸享君、維新の党の井出庸生君、公明党の稲津久君、日本共産党の畠山和也君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 株式会社六星代表取締役社長輕部英俊君、石川県農業協同組合中央会会長上坂英善君、小松市農業協同組合代表理事組合長西沢耕一君、加賀市農業委員会会長小川廣行君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず、輕部英俊君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

輕部英俊君 皆さん、こんにちは。私は、株式会社六星の代表をしております輕部と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、少しお時間をいただきまして、お手元に資料を配付させていただきました、六星の会社案内二〇一五というのがありまして、そちらをちょっと使いながら、簡単に弊社の御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、四ページ目に地図が載っておりますが、私どもは、当地金沢市から南西に車で大体三十分ほど行きました白山市という市に属しておりまして、そちらの方でお米を中心の稲作経営を行っている会社でございます。

 一ページに戻っていただいて、概要が書いてございますが、設立から約三十八年ほど組織は成り立っておりまして、二〇〇七年に株式会社化をし、私が二代目という形で代がわりをしております。

 一番最後のページに少し組織図が書いてあるんですが、左上の青い枠になっております「取締役(非常勤)」というこの方々が私どもの会社の創業の方々で、それぞれの地域で個人の農業をしていた人たちがまずは任意に集まって、組合としてスタートした。その後、法人化をし、有限会社にして、株式会社という形になった段階で私にバトンタッチしたというような沿革になっております。

 私自身は、ちょっとプライベートなことなんですけれども、実は、平成九年にこちらの地に移住をしまして、会社に入社をしております。東京の町田市の出身でして、私、先ほどの創業者四人のうちの一名の立場的には娘婿という形で、もともと、栽培を行い、販売の方に注力をしていた会社だったものですから、私はもともと東京の方でそういう仕事も、建材の営業をしていたもので、そういったところもあって、営業の強化というようなこともあって、こちらに移住をし、入社をした経緯がございます。

 ですので、実は、私が入社して今十八年になるんですが、やはり外部から入ってきたということもあってか、比較的農業に対しては今でも客観視をしながら見ているという、いい面と悪い面が多分あると思うんですけれども、そんなような形で日ごろから経営を行っておりますので、今回のテーマの一つ大きなテーマであります農協さんというところでいきますと、意外に僕は先入観がないといいますか、入社した当時はいろいろな意見を皆様からよく耳にしたんですけれども、私自身は特に、いわばそういう経験もなかったものですから、いい面も悪い面もなかなか把握していないというようなところもあって、ずっと来ています。ですので、意外にフラットに常に農協さんを見ているというような状況があります。

 結構今は大世帯になっておりまして、百人を超えるスタッフが仕事についていただいております。

 お米をつくりながら、その四割ほどはモチ米をつくって餅加工にしているという、資料の中ほどに少し商品が載っていたりしますが、独自のブランドを築いて、個人のお客様からスーパー、百貨店さん、あるいは飲食店、こういったところにお餅やお米を販売して、近年は三店舗ほど直売所を持ち、そこで、販売から、最近では飲食ですとかレストランなんかもやっておりますし、お弁当ですとかお総菜、こちらが今非常に勢いとしては伸びている事業ではあるんですけれども、そういったことを行って、いわゆる六次産業というような形で今は経営を行っております。

 先日も、安倍総理が石川県にお越しの際に私どものところにも御視察いただきまして、おだんごがおいしいぞというふうに言っていただいたんですけれども、そういった意味からも、一つ六次産業ということでは、リーディングカンパニーを目指しながらやっているというような感じでございます。

 そういった意味で、百五十ヘクタールほどの田んぼを、年々蓄積していきながら経営を行っておるんです。全て請負という形でそれをやらせていただき、先ほども申し上げましたが、モチ米をかなりつくっているというところが経営の肝になっておりまして、それによって安定した収益を得ていくというところです。

 一方で、お米につきましては、コシヒカリがメーンなんですけれども、いわゆる特別栽培米という、少し付加価値をつけたような形で、独自のルートで販売をしていくというようなことを行っております。

 最終の方に組織図があるんですけれども、もう一つの私どもの特徴といたしましては、やはり若いスタッフをかなり積極的に採用を行い、登用している。責任者、いわゆるマネジメントの部分も若い人間を採用しておりますし、右上の取締役のところを見ていただいても、県外から来て普通に入社した人間を経営にも参画させているというようなことが非常に特徴的かなというところで、行く末がなかなか見えてこない農業なんですけれども、やはり人の力で何とか乗り切っていこうというような思いで、できるだけ優秀な人間を採用していくというような活動を行っております。

 非常に簡単ですけれども、以上が会社の説明になりまして、今回のこの法案に関してのお話を少しさせていただきたいと思います。

 まず、農協さんとの現状のおつき合いといいますか取引の現況ですけれども、まず、信用事業につきましては、やはり私どもは設備投資産業でございますので、スーパーL資金などの制度を積極的に活用させていただいていることからも、日本政策金融公庫さんとの取引が中心になってきております。

 また、一般の日々の取引におきましても、どちらかといいますと、地方銀行さんとの取引が多いという形になっています。これは、サービスであったり、あるいは、今でこそ少しあれですけれども、担保と保証というところ、保証協会をつけるとか、その辺のところでいくと、やはりどうしても地方銀行さんの方が比較的取り組みやすいということがありますので。今は少しそういうふうに農協さんも変わってきてはいるんですけれども、これまでの流れの中で、そういったような形で地方銀行さんが多くなっているというところがあります。

 共済事業につきましては、こちらも一般のメーカーさんといいますか会社さんとのいろいろ選択の中で取引を決めさせていただいておりますので、自動車保険については共済事業を使わせていただいておりますが、それ以外についてはほとんど利用はございません。

 メーンとなります経済事業につきましては、資材、肥料なんかは、やはり農協さんを通じてでないと取引ができないという企業さん、会社さんもございますので、そういったところでは比較的お取引をさせていただいているのではないかと思います。ただ、若干ですけれども、価格面でもう少しよくなればいいなというふうには思っております。

 農薬につきましては、価格面の部分もあるので、一般の農薬会社さんとの取引が多いというふうに思います。

 自動車につきましては、結構自動車も所有しておるんですが、こちらの方はアフターサービスなんかも含めましてきちんとしていただけていますので、これも一般の会社と比較した上で、農協さんがいいんじゃないかということで、かなり、かゆいところに手が届くような、車も、軽トラが一つ故障しても作業に大きく影響してきますので、非常にいいサービスをいただいているというふうに思っておりますので、ここは全面的にお取引をさせていただいております。

 販売あるいは営農関連事業につきましては、私どもの販売もかなり量もふえていっているものですから、乾燥調製施設が少し手狭になっているところで、農協さんの施設をお借りできているというところは非常に助かっております。今後につきましても、この辺については、実は私どもの経営に一番大きく影響してくるものですから、もう少し積極的な取り組みをさせていただけないかという要望は持っておるところでございます。

 幾つか今回の法案に関して少し絞って見させていただきますと、現在の農協さんにつきましては、小規模農業者と我々のような担い手と言われているような農業者では、やはり農協さんに対するリクエストといいますかニーズがちょっと違うんじゃないかというふうに思っており、どちらかといえば、現状は小規模農業者さん寄りの農協さんになっているのではないかというふうに見ているんですけれども、これは僕が言うのも変ですけれども、ある程度いたし方ないところではないか。農業をずっと見ていきますと、担い手とか、あるいは大型とかいうこと、企業化すること自体が、言えばつい最近始まったことだと思いますので、やはり従来の、農協さんが発足した経緯から見ても、これは現状はいたし方ないのではないか。

 ただ、今後につきましては、この辺を、価格の折衝、先ほど申し上げました肥料ですとか、そういう資材なんかも含めて、やはり価格の折衝能力なんかが少し求められるのではないかというふうに見ております。

 また、農業は、栽培だけではなくて、地域の用水ですとかあるいは農道ですとか、そういったものを地域で守っていくということがどうしても農村においては必要になってくるんですけれども、我々のような担い手が、その土地で耕作は行いながらも、やはり地権者の方がいらっしゃいますので、用水や農道を、全てを私どもが取りまとめていくということはなかなか難しいというような一つのポイントがありますので、そういった意味からも、農協さんが地域のまとめ役となって、地権者と我々耕作者をまとめていくような役割は非常に重要なのではないか、そういったところに期待をしているというところであります。

 また、農協さんと連合会、中央会というようなところでございますが、これまでも、石川県なので石川信連さんとの取引をさせていただいておりますが、制度資金なんかを使わせていただきますと、経営計画ですとかあるいは財務状況、こういったものを報告しなくちゃならなかったり、計画を策定しなくちゃならないんですが、そのときにはかなりのサポートをいただかなくちゃならないもので、そういったときにはやはり信連さんに、単協さんではなかなか難しいというのが現状かなと思っておりまして、そういうようなところでサポートをしていただいております。

 ただ、本来であれば、やはり地元の、私どもをよく知っていただいている単協さんにしていただくのが一番ベストではないかなというふうに思うものですから、こういったような体制づくりをしていくということを一つ前提に、連合会や中央会の機能をどうするかというとこら辺を議論していくべきではないのかなというふうに思っております。

 また、中央会さんを中心に農業者を代弁するような政策提言ということで、今、今後も言われていくと思うんですけれども、現状で、大型農家あるいは担い手と言われている人たちが若干農協さんから離れている中で、本当の現場の声というものが吸い上げられているのかというような思いはしておりますので、やはりそこら辺も一つポイントであり、それによっては、新たな組織、きちんと現場の声を集約できるような新たな組織が必要ではないか。それは何かはわからないです。例えばですけれども、農業法人協会なんかもございますので、そういったものも一つの案として持たれてもいいのではないかというふうに思っております。

 もう一つ大きなポイントといたしましては、今回の第七条のところの、農業所得の増大に配慮して、高い収益性を持つべきであろうというようなことなんですが、これに関しましても、もちろん、組織を強化していく上では明確な命題といいますか目標を持っていくということが必要だと思いますので、これは一つの方策ではあるのかなというふうに思いますけれども、現実的に、農協さんが農業事業において本当にどういう形で収益を上げていくのかというようなとこら辺の具体策が議論されていかないと、ややもすると、結局、それを意識し過ぎて例えば農業者自体の利益を搾取されるとか、そういったことはやはりあってはならないと思いますので、具体的にどんな形で収益を上げていくのか、これは僕は結構難しい問題だと思いますよ、そんなに簡単ではないと思いますので、その辺をやはり描いていかないと、この議論はなかなか成り立たないのではないかなというふうに思います。

 あとは、最後の方、中央会の方のお話もございまして、会計士の監査を受けるというようなことも書いてございますが、こちらの方も、経営の透明性ということでいきますと確保できるのではないかなと思いますので、よろしいことかと。

 ただ、単なる監査だけをしても、先ほどと同じように、経営の改善にはつながらないというふうには思います。ですので、そこの経営のコンサルティングな部分であったり、実際に本当にどうやっていくかというとこら辺を誰がやるのか、あるいはどのようにチェックしていくのかということが大切かというふうに思います。

 あと、農業委員会の改革についてもございますが、私どもは、大体二百五十人ほどの地権者の方々から千五百筆の水田をお借りして経営を行っております。基盤整備がもうできないような場所でございますので、非常に小さな田んぼを細かくやっているというようなイメージなんですけれども、田んぼを契約していく上でも、かなり事務手続が煩雑であるというのが非常に悩みなところであります。ただ、私どもも含めまして、これまで、農業委員会さんの頑張りで、仲介をきちんとしていただくことで大きなトラブルがなかったことは、非常に評価できるのではないかというふうに思っております。

 今後については、細かい事務作業みたいなものをどこがやるのかというようなところで、やはり中間管理機構なんかに少し任せて、本来やるべき、耕作放棄地ですとか、そういったような地域をつくっていくようなとこら辺を農業委員会がやるということで、きちんとしたすみ分けを、お考えだとは思うんですけれども、することがあり、やはり地域の調整役というような位置づけを明確にするべきではないかというふうに思っております。

 最後に、所有できる法人の要件の緩和の部分もございましたが、こちらにつきましては特段意見はなく、門戸が広がるということは、活性にはつながって、いいのではないか。ただ、門戸が広がれば、当たり前ですけれどもリスクも広がるということはきちんと把握した上で、やったけれどもだめだったから、どうする、宅地化してというようなことをやられてしまうと大変なことになってしまいますので、やはり継続的な事業として取り組んでいただくということをきちんとチェックしていくような機能が必要かというふうに思っております。

 私からは以上です。

江藤座長 ありがとうございました。

 次に、上坂英善君にお願いいたします。

上坂英善君 私は、石川県農協中央会会長の上坂でございます。

 昨年の六月にこの職に就任をいたしております。今、信連、それから全農の県本部、それから全共連の県本部の運営委員会の会長も兼務をしておるという状況でございます。また、平成二十二年から、地元は私はJA金沢市でございますが、そこの代表理事組合長の職にあります。

 今回、このような衆議院の農林水産委員会石川地方公聴会の意見陳述の機会を与えていただきましたこと、本当に光栄に存じ、厚くお礼を申し上げる次第でございます。

 初めに、若干ですけれども、本県のJAとそれから農業の概況等について御説明をさせていただきます。

 今、石川県内には十七のJAがございます。県段階には、今申しましたように中央会、信連、全農、それから全共連、四つの団体、組織がございますが、石川県全体のJAの組合員は十一万九千人というところでございます。正組合員は六万六千人、それから准組合員は五万三千人というふうな状況でございます。

 また、本県の農業産出額につきましては、平成二十五年のデータでございますが、五百十八億円というのが石川県の総産出額でございます。全国シェア〇・六%、四十三位という位置づけに相なっております。そのうち、米が二百八十四億円で、全体の五五%ほどを占めておる。それから次いで、野菜が九十一億円、畜産が八十九億円、果樹が二十四億円等々になっておるところでございます。

 また、耕地面積につきましては、四万二千七百ヘクタールということで、ただ違うのは、そのうち水田が八四%を占めておるということで、水田の全国平均が五五%と聞いておりますので、それからしますと、石川県は、どちらかといえば水田率の非常に高い県であるということをまず冒頭に申し上げたいというふうに思います。

 それでは、私の方は、農協法の一部改正に係る法案の関係で思っていることを少し述べさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初は、中央会の制度に係ることでございます。

 今回の農協改革の議論の中で、当初、中央会は農協の自由な活動を妨げるんじゃないかというふうな声があったように記憶をしておりますが、本県ではそのような実態はないんだということで各JAの皆さん方からもいろいろお聞きしていますけれども、まず、このことを先に皆さん方に申し上げたいというふうに思います。

 当中央会におきましては、現在、十七JAに対しまして、農業生産振興、販売力の強化、また、担い手の育成の関係とか指導事業関係等を中心にして、地域農業戦略の策定を支援いたしておるところでございます。また、一面、全農県本部と連携をしながら、JAの営農指導の関係者の研修、また、担い手農家訪問活動、これは全中、全農ではTACという表現を使っていますけれども、TACの充実を図る等々、営農指導事業の向上を強く後押ししておるという状況でございます。

 経営指導の面では、JAと一体となってJAの経営健全性向上に取り組んでおりまして、この関係においては、全国でも上位の経営状況を平均値では確保しているんじゃないかなというふうにも思っております。

 また、本年度は、私どもの県全体の中期三カ年計画では第三十七次のJAグループの基本戦略を策定するというふうな年でございます。我々なりに、それぞれJAの代表者の皆さん方と、寄っていただきまして意見を交わしながら、石川県のあるべき方向をこの中に整理していくというふうな形で、現在それは三十七次というところまで来ております。

 今回の農協法改正案は、全中は一般社団法人に、都道府県中央会は連合会に移行するというふうな案でございます。

 我々は、やはり農と食を基軸として地域に根差した協同組合というのを基本に置いて、農業所得なり農業生産の拡大なり地域の活性化を柱として、実は、JAグループの自己改革の実践ということで、自己改革に関する考え方も昨年の十一月に全中を中心にして取りまとめをしておりますけれども、この後の法改正が今度成ったときに、全中あるいは県中におきますその位置づけといいますか、機能の位置づけといいますか、あるいは役割分担等々に関して、やはりそこの明確化というよりも、移行しやすいように、皆さん方にまた法等の上でも特段の御配慮をお願いできればというふうに思います。

 次に、監査の関係について申し上げたいと思います。

 これは、平成三十一年の九月末までに監査法人化するJAの全国監査機構や新たな中央会が引き続いてJAの経営健全化の確保に円滑かつ適切に機能を発揮することが必要だということの中で、監査法人への円滑な移行や移行後の業務運営がどうなるのか、監査法人と新たな中央会との情報を共有できる体制というものができるのかどうか、あるいは組合の費用負担がふえないのかどうかということ等も非常に心配しておるところでございます。改正法の配慮規定等に基づく措置をひとつ確実に実施していくことをお願い申し上げたい、こう思っております。

 農協監査士については、移行後もJAの組織なり事業なりについて専門知識を持った者が監査業務に従事できるような御配慮とともに、JAにおいては、財務諸表の監査、会計監査だけでなく、組合員のための業務運営がなされているのかどうかの業務監査が非常に重要だというふうにも理解をしております。そういった面で、新たな監査法人がこれらの両方の監査を円滑に効率的に担えるように、また御配慮方をお願いいたしたい、こういうふうにも思っております。

 次に、理事の構成の関係についていろいろ記載がございます。

 本県におきましても、先ほど六星の社長が申し上げましたけれども、石川県の農業法人協会というのも組織をしてございますし、中核農家を中心に、いしかわ農業振興協議会という組織もございます。大型農家の皆さん方がこれのメンバーでございますが、こういう皆さん方と定期的に意見交換会を私ども中央会の方でも持たせていただきながら、法人農家や大規模農家の経営上の課題とか、JA事業に対する、運営に係る疑問等について相互理解を図っておるというふうな今現状にございます。

 今回の法改正においては、新たに、理事の過半数は、認定農家あるいは農畜産物の販売やその他当該農協が行う事業または法人の経営に実践的能力を有する者というふうなことで規定がなされております。

 県内の現在のJAの実態を調べましたところ、認定農業者は全理事の二四%いらっしゃいます。認定農業者のOBというか、その方を加えますと三七%になっております。今現状の数字でございますが、こういうことからしても、ある程度、農協の理事の皆さん方の中には、認定農業者の方々も一緒に参画しながら経営に反映されているものというような理解も一部私どもはとっておるところでございます。

 ただ、地域農業、農協の組織発展のために、JAの理事はやはり円滑な事業運営を行う責務があるということからして、単純に、認定農家であることだけを条件に安易に理事になるとかというような形ではなく、やはりそこの中で、しっかりと農協の経営等に対して一家言を持っていらっしゃる方、また、非常にその辺の考え方をきちっとしていらっしゃる方にぜひ理事についていただきたいということ。

 もう一つは、JAごとにかなり偏りがあるのではないかという心配も実はしておるんです。JAの理事の過半数と法律上できちっと決められれば、やはり選出できない農協や、あるいは地域バランスが崩れる。これは、支店の中で、農協の中でも、非常に認定農家の多い支店とそうでない支店といろいろございます。そういったところのバランス等も考えますと、事業運営の上での弊害も想定されますので、一律ということではなくて、少し弾力的な動きができるように、またその辺の御配慮方もお願いできればというふうに思っておるところでございます。

 それからもう一点、准組合員の事業利用規制等の関係につきましては、本県の正組合員と准組合員の割合は、先ほど申しましたように、五五%が正組合員、准組合員が今のところ四五%ということで、正組合員の方が多い状況にございます。

 御承知のとおり、准組合員はJAの役割や事業を理解して組合員になっていただくと同時に、我々は、自己改革の中でも、准組合員を農業や地域経済の発展をともに支えていただけるパートナーとして位置づけ、JA事業に非常に協力をいただいておるところでございます。

 本県は、中山間地が非常に多い、またそれを抱える農協が多いということを含めて、能登地域、加賀地域にも、かなりそういった面で過疎化あるいは高齢化が進行している、そういうところもございます。JAが、地域の生活基盤、いわゆるライフラインとして地域住民の生活する上で重要な役割を果たしているということから、政府はこの後、准組の利用実態を五年間調査し判断するとしていらっしゃいますけれども、仮に利用を制限するということになれば、地域の利便性の問題、あるいは地域住民の生活にも大きく影響するというふうになりますので、利用制限については絶対認められないというふうに私は思っております。

 政府が進めようとする地方創生とか、地方を活性化するということの逆行だというふうにも考えるところでございますので、この辺もひとつまたしっかり御配慮いただきながら、これからの動きを、私どもも対処していきたい、こう思っています。

 それから、まとめになりますけれども、JAグループは、御承知のとおり、昭和二十二年に農協法が制定されて以来六十七年余り、その時々の政府・与党の政策に従いまして、食料増産や安定供給、減反政策への協力に取り組んできました。同時に、担い手の育成や集出荷施設の建設、あるいは共同販売、直売所、こういった形で、地域農業を地道に私どもは支えてきたものというふうに思っております。

 そういう形とともに、高齢者福祉、あるいは過疎地域での金融、生活品購買拠点の設置等を考えますと、地域のライフラインの一翼を担ってきた。

 こういうことから、厳しい環境下でこの事業が可能であったのは、やはり、JAが総合事業としての事業を営みながら、正組合員、准組合員、そしてまた地域の住民の皆さん方に事業、活動等に協力をいただき、参加をいただいてきたからだというふうに思っておるところでございます。

 今後とも、我々は、農業所得の増大、生産の拡大、地域の活性化に力強く取り組んでまいりたいと思いますし、JAの自己改革を尊重していただきたい、こういう思いでもございます。

 最後に、もう少しだけ聞いていただきたいと思うんですけれども、三月十四日に待望の北陸新幹線が着きまして、やがて三カ月になろうとしております。金沢を初め県内の各地には、かつてない人出とにぎわいが続いておるというふうにも思っております。

 私どもJAグループは、このことを、五十年、百年に一度のビッグチャンスといいますかビジネスチャンス、いわゆる食の需要の増大なりあるいは販売の需要拡大等々からしてこういう捉え方をしながらも、石川へ来られた大勢のお客様においしい石川の農畜産物でおもてなしをするという大切な使命、役割があるというふうにも理解をしておるところでございます。

 そういった面から、農畜産物の品質の向上と生産拡大こそが、今とるべき農家の所得をふやす道だというふうな考え方も我々は持っておるところでございます。各JAへもそういった形での呼びかけをしながら、JAにおきましては取り組み策はそれぞれ異なりますけれども、懸命に石川農業のあすに向かって組合員を引っ張っていっていただいておるというふうに私ども自負しているところでございます。

 私も、そういった形の中で、特に、石川の基幹は米でございますけれども、さらに米プラスアルファ農業をどう組み立てるかというところにやはり農家の所得向上への道があるというふうにも思うところでございます。

 一例でございますけれども、私の地元のJA金沢市では、昨年から、園芸の生産拡大を目指して、「作って増やして・かがやき野菜。メイドイン金沢パワーアップ運動」、ちょっと長いですけれども、こういう運動をつくりまして、農家の皆さん方と一緒になって取り組みをしております。JA独自の園芸支援策として、金沢は三十六の、JAにそれぞれ園芸、野菜の作物部会を組織しています。七つの果樹部会も持っております。こういった中でできる部会からこれに取り組めというふうな形で、これは加賀野菜のみならず、金沢産全ての野菜の新規作付や増反、あるいはハウスの設置、品種試験、こういったこと等、部会を中心にして生産者に対して一定の助成措置を新たに私どもは講じておるというところでございます。組合員も、ことしも懸命に取り組んでいただいております。

 JA金沢市の二十六年度の販売実績は、販売額ではトータル六十一億ありますが、お米は約十一億、それから園芸では野菜が二十三億、果樹が十三億、それから、ほがらか村等を中心にした園芸の直売が七億六千万ほどの実績でございます。どちらかというと、米もありますけれども、園芸関係が金沢は非常にたくさんあるということで、個々の皆さん方と一緒になって、どういうふうな形で所得を上げることができるのか、ここを一生懸命取り組みをしてきたということでございます。

 いろいろ申し上げましたけれども、御出席の先生方に、また当局の皆様に特段の御理解と御配慮をお願い申し上げまして、私の陳述を終わります。

 ありがとうございました。

江藤座長 ありがとうございました。

 次に、西沢耕一君にお願いいたします。

西沢耕一君 現在、小松市農業協同組合の組合長をしております西沢です。どうぞひとつよろしくお願いします。

 私のうちでは何代か専業農家をやっておりまして、私も今、三ヘクタール規模で水稲農業、稲作経営を行っております。私は、大学を卒業してから、信連の職員として何年間か勤務した後、現在、JA小松市の役員として、また代表理事組合長として農協のお世話全般を行っているというところであります。今までJAに関して、一組合員として、また信連の職員として、また農協の役員として、いろいろな角度から農協にかかわってきました。そんな私が、今の農協法の改正について思うことを述べさせていただきたいというふうに思います。

 私は、一番責任ある立場の代表理事組合長として農協の運営全般にかかわっているところでありますけれども、私の運営する基本、頭の真ん中にあるのは、どういうふうにしたら小松市の農業を振興できるか。私の農協の範囲は行政区域の小松市というところでありますけれども、小松市の農業振興をどういうふうにすればできるか、どうやったらできるか、また結果として、組合員の所得確保にはどうすれば一番いいのか、そのことをいつも考えておりまして、いつも頭の真ん中にあるところであります。

 組合員から見て農協に期待することは何かといいますと、資材を少しでも安く、またつくった農産物を少しでも高く売ってほしい、それが組合員の農協に期待するところでありまして、そのことをどうやったら実現できるかということをいつも頭の真ん中に置いて行っているというところであります。

 JA小松市もJAグループの一員ということでありますから、JAグループの一員としてできることをやっていこう。例えば、地域農業の振興策、どういうふうに今農業振興を行うかということでありますけれども、私のところの行政区域は、海抜ゼロメートル地帯が非常に多いということで、水稲中心になるということでありますけれども、水稲中心の中でも、所得を上げるためには、二年間で三回作付しよう。冬場は雪が積もりますから作物はなかなかつくりにくい、水田農業中心ということですけれども、二年間に三回つくろう。米はもちろんですけれども、麦をつくろう、大豆をつくろう、麦を刈った後も作付しよう、大豆をつくろう、また加工用米も作付しよう、そういうような推進運動を展開しているところでありますけれども、そういう比率については、県下の中でも非常に高いレベルで維持できているというふうに思います。

 また、米についても、例えば特栽米をつくれるところはつくって、産地として高く売っていこう。私のところでは、ブランド米、蛍米というふうに言うんですけれども、約一万俵について、普通の慣行栽培に比べたら随分と高く生産者に還元できている、そういうような取り組みもやっていこう。

 また、園芸については、トマトが一番多いんですけれども、トマトについて産地化して、どういうふうにしたら規模を拡大できるか、所得を上げることができるかということを現在進めているというところであります。

 それから、直売所も二カ所経営しているのでありますけれども、そのうちの一カ所は、資材を自己取りする拠点とともに、つくった農産物を組合員の皆さんが自分で値づけをして売ってもらう。米については、なかなか個人で売るのは難しいということでありますから、集荷をしてまとめて全農に委託販売する、あるいは自分のところでも直売をするということを行っているんですけれども、園芸作物も、基本的には産地をつくって販売するということですけれども、みずからの責任でみずからの値づけで直売をする、そういう生産者の方の受け皿のために、二カ所のうち一カ所はそういうことであります。

 もう一カ所は、道の駅の管理運営も行っております。なぜ道の駅の管理運営をJAが行うかということですけれども、食と農の情報発信基地として、特にそこでは農産物の直売をやっている、そのことが農家の所得向上につながる、そういう判断から、直売の経営と、それからレストランについても、地元の農産物を使って料理をつくってもらう、結果として農家の所得向上につながるということから、直売所を二カ所現在経営しているということであります。

 それから、全国でも珍しいかどうかちょっとわからないんですけれども、株式会社小松製作所と行政の小松市とそれから小松市農協、三者で、三つの団体がこまつ・アグリウエイプロジェクトというのを現在行っております。これで二、三年経過をしたというふうに思いますけれども、私のところの市長が株式会社コマツのOB、そういう御縁もありまして、コマツさんの方から多額の資金提供もいただいて、例えば、六次産業化について研究しよう。一定の結論が出たんですけれども、現在は、ICT農業をどうやって進めるかということをコマツさんと一緒に研究している最中ということであります。

 行政の方も入って、農協の職員も入って、コマツさんの社員も入ってということでありますけれども、なかなか、民間会社の考え方、物の見方、やり方、大分参考になるというふうにうちの職員も言っておるところでありまして、非常に役に立っている。ひょっとしたら生産のやり方が大きく変わるかもしれない、そういうところのいろいろな研究を行っているということであります。

 そのことを含めて、六次産業化にも何年か前から取り組んでおりまして、私のところの一番売れている商品、トマトカレーという商品があるんです。トマトの産地は四億円規模、販売高で四億円規模の産地なんですけれども、どうしても規格外が出る。規格外については、なかなか農家の皆さんの所得につながらないということでありまして、その規格外を使って何かできないかということで、カレーをつくって、市内あるいは石川県を中心に売っている。一定のレベルで生産者の皆さんの所得にはつながっているということでありますけれども、やっている過程の中ではいろいろ課題も多いかな、国策として六次産業化が言われておりますけれども、いろいろな課題があるのかなというふうに今実感をしているというところであります。

 それから、せっかくの機会でありますから、農協がやっている、こんなこともやっているのかということも紹介をしたいというふうに思います。

 私のところでは、小学校が二十四、行政区域の中にあるんですけれども、農協の職員あるいは地元の生産者と協力して、食育を進めております。

 例えば、小学校で稲の作付、田植えをしてもらう、収穫してもらう、そのとった米でお餅をつくってもらう、食べてもらう。トマトの作付をしてもらう、収穫をしてもらって、料理をしてもらう。そのことによって、農業がどういうものか、あるいは食べ物がどれだけ大切なものかということについて、子供の皆さんに理解をしてもらってくる。農協の職員や地域の生産者ばかりじゃなくて、女性部という組織があります。農協には女性部、青壮年部という組織があるんですけれども、女性部の皆さんも食育に非常に熱心に活動されている。

 そうやって、地域全体がいろいろなさまざまなかかわりの中で食育に取り組んでいる、そういうことも紹介をさせていただきたいというふうに思います。

 それから、もう一つ、こういうこともやっているかということを紹介したいと思います。

 十何年か前からですけれども、訪問介護それからデイサービスの運営をやっております。現在三カ所デイサービスがあるところでありますけれども、地域の皆さん、その施設がなかったらなかなか困ってしまう、そういうような仕事もJAとして行っているというところであります。

 直売所とか、あるいは食育の活動をするとか、女性部の活動をするとか、福祉事業を行うとか、そういう活動を行うことによって、准組合員の皆さんあるいは員外の地域の皆さん、非常にJAに対する理解が深まってきているというふうに私は実感をしております。

 結果として、組合員の加入が非常に多いという状況にあります。現在、一万七千人の組合員ということでありますけれども、正組合員は五千人、一万二千人は准組合員ということでありまして、結果として、そういういろいろな活動を地域の中で溶け込んで行っていることが組合員の増加につながっているというふうに私は考えています。

 農協の事業の量、事業量の中で考えてみますと、貯金の残高は大体千八百億円あります。そのうち、約四割は正組合員の利用、四割は准組合員の利用、二割は員外の方の利用、そういう構造になっておりまして、貸出金ですと非常に准組合員の方の利用が多い。また、共済では同じような比率で、正准あるいは員外の利用があるということであります。

 今、准組合員の方の利用について、五年間の検証を経た後に結論を出そうということでありますけれども、仮にそのことが制限をされるということになると、農協の運営自体に非常に大きな影響があるというふうに思います。直売所の利用であったり、あるいは福祉の事業であったり、もちろん、窓口で貯金を預ける、共済に加入する、お金を借りるということはもちろんですけれども、その他さまざまなことについて影響があるというふうに理解をしておりますので、そういうことにならないような御配慮をぜひお願いしたいというふうに思います。

 農協全体の収支構造からすると、どこでも同じなんでしょうけれども、信用事業、共済事業で収益が上がって、その原資をもとに営農を行っているということが実態でありまして、私のところでも四十名近くの営農指導員がいます。

 もちろん、いろいろな形で生産者の皆さんから手数料をいただいているわけでありますけれども、とてもそれでは人件費すら賄うことができない。また、いろいろな助成措置、奨励措置も講じているところでありますけれども、それは全て信用事業、共済事業から出る利益によってその費用を賄っている。

 そういう状態であるわけでありまして、逆に言うと、信用事業、共済事業がなかったら、そこで利益が上がらなかったら、地域農業の振興はなかなか難しいというふうになるところでありまして、今、仮に准組合員の利用が制限されるということになると、片っ方の収益事業が閉ざされてしまうというふうに思うところでありますので、そういうことにならないようなぜひ御配慮を願いたいなというふうに思うところであります。

 それからもう一点、役員の件についてであります。

 認定農家あるいは経営とか販売のプロについて、過半数を超えるような形に法改正をされるというふうに聞いておるんですけれども、私のところの実態は、理事が二十八人、監事が七人おりまして、二十八人のうち十人が認定農家であります。それから、五人が集落営農の組合長あるいは役員、そういうふうな形でありまして、そのほかにも、農協職員のOB、連合会の職員のOB、あるいは行政の職員のOB、あるいは会社の経営者、いろいろな方がさまざまな形で役員構成をされているということであります。

 農協の役員というのはどういう形で選ばれるかというと、御案内というふうに思いますけれども、それぞれ支店の中で地域のリーダーを選ぶ、実際的にはそういうことになっているわけでありまして、任期が三年ということでありますけれども、三年で交代される方もいますけれども、ほとんどの方は二期、三期、四期と続けられる。その時代を担う地域のリーダー、農業を中心とした地域のリーダーを選任するということでありますので、それを仮に認定農家だけに限るということが適当なのかどうか、私はそれは疑問だというふうに思います。仮に兼業であっても、あるいは規模が小さくても、やはりリーダーはリーダー、地域農業を思う心は同じというふうに思いますから、そのことに限定して理事構成を変更するというのはどうなのかなというふうに正直に疑問を感じるところであります。

 また、認定農家の中には、農協の経営全般について理解の深い方もいるし、そうでない方もいる。農協という法人とそれから農家とは、利益が相反する部分もあるということであります。例えば、資材の手数料。例えば、二千円の肥料を一割の手数料にするか二割の手数料にするか。農協の収益を上げるということにすれば、手数料率は高ければ高い方がいいわけでありますけれども、農家、組合員から見てどうかというと、安ければ安い方がいい。適切な判断ができるかどうか、いろいろなことを含めて、多様な方が役員を構成される方が私はいいというふうに思いますので、今法改正が進んでいるということでありますけれども、いろいろな省令等で定めがあるということも聞いておりますので、ぜひ御配慮願いたいなというふうに思うところであります。

 また、中央会あるいはまた監査の関係ですけれども、隣に会長がおいでますけれども、監査を受ける立場ということでありまして、特に中央会からこうしろああしろといろいろな指導があるか、そういうことはほとんどないです。

 今、我々農協が中央会を利用する場合は、例えばこの経営問題についてどういうふうな判断をするか、いろいろな相談事、困ったときに中央会に相談をする、確認をする、そういうケースが非常に多いということであります。

 監査については、年二回、全国監査機構の監査を受けているところでありますけれども、受ける側にとっては非常に役に立っているというふうに思っております。

 貸借対照表あるいは損益計算書の財務諸表が正しいかどうか、それを見るのはそんなに難しいことではないというふうに思いますけれども、農協らしい運営ができているかどうか、適切な運営ができているかどうか。そのことを、全国監査機構の職員も連合会の職員ということでありますから、協同組合の運営について十分認識がある、農協らしい運営ができているかどうかについても含めて監査をしてもらっているというふうに思っているところでありまして、今の全国監査機構の監査については十分機能しているというふうに思います。

 今回、外出しということでありまして、公認会計士の監査ということになるわけでありますけれども、そのことが十分配慮できるような監査の仕方、また費用の面でも、外出しをしたら結果高くついた、それでは何をしているか目的がはっきりしないというふうに思いますから、費用がふえないような、また従来のいいところが残ったような監査の仕方になるような形でぜひ法改正を願いたいなというふうに思うところであります。

 現在の農協法の改正について、いろいろ思うところを述べさせていただきました。どうもありがとうございました。

江藤座長 ありがとうございました。

 次に、小川廣行君にお願いいたします。

小川廣行君 ただいま御紹介をいただきました加賀市農業委員会の会長の小川でございます。

 本日は、衆議院農水委員会の地方公聴会ということで、この場で意見を述べさせていただくことに大変感謝を申し上げる次第でございます。

 石川県は、先ほど上坂会長がおっしゃいましたけれども、北陸新幹線が金沢まで開業いたしました。そして、NHKの朝ドラで「まれ」というテレビが今放映されております。石川県は大変活気づいております。また、先般五月には、小松市において、天皇皇后様を迎えての全国植樹祭、すばらしい経験を私ども農業委員会もさせていただきました。

 私の住む加賀市は、石川県の最も南の方に位置しております。人口は約七万人であります。石川県の農業会議の会長をしております参議院の山田先生もこの加賀市の出身であります。

 加賀市は、農業は稲作が中心に、水田二千五百十ヘクタール、農家約一千戸が主にコシヒカリを中心に作付をしております。

 水稲の生産調整には穀類を中心に取り組んでおり、大豆が百五十八ヘクタールと最も大きくなっております。次にソバが六十ヘクタール、大麦が三十一ヘクタールです。また、水田転作といたしましてはブロッコリーの栽培が盛んに取り組まれております。栽培面積は三十五ヘクタール、これは北陸では最大の作付面積であります。

 また、加賀市は果樹も大変盛んなところでありまして、梨が七十九ヘクタール、ブドウが二十四ヘクタールです。特にブドウですけれども、石川県が品種改良いたしました、赤玉で大粒の、まるで宝石のようだということで名づけられましたルビーロマンというブドウの栽培に今力を入れている状態であります。そして、面積の方も年々ふえております。

 さて、農業委員会でありますが、現在、加賀市の農業委員会の人数は二十四名おります。私は、農業委員として任期三年の現在五期目を務めており、会長としては七年目を迎えております。

 また、きょうは朝早くから、委員の先生方は飛行機でこの石川県の方へ来られたと聞いております。空の上から見ました、そして空港からおりても、大変美しい水田の緑が目に入ったのではないかと思っております。現在、私どもの最も重要な課題は、この水田を守る、農村地域と農業をいかに再生していくかであります。

 高齢化によって、農村には地域をリードしていく若者が本当に少なくなりました。そんな意味では、地域の農業者の代表としての農業委員会の存在は大変重要であると私は考えております。農業委員の活動する環境をよくすることで、農業委員一人一人が自信と誇りと、そしてやる気と情熱を持ってこの役割と責任を十分に果たしていくことが地域農業の振興に結びつくものと考えております。

 この間、新聞報道等を見ておりますと、六十年ぶりの大改革の名のもとに、現場の実態、思いとは別に、効率性を優先させて、イメージ的な議論が何か先行しているように感じておるわけです。

 確かに、農業における効率性の追求は大変重要だと思っておりますけれども、しかし一方で、農村の持つ共同体的な機能が不可欠な分野も存在しています。農地利用の調整や、そして水利関係、また共同作業、共同防除など、共同という機能の補完なくして個別の経営は成り立つものではないというふうに思っております。

 本日は、こうした観点から、現場の農地に責任を持ち、農業、農村の維持と発展を目指す者として、審議中の法律案の中で、特に改正農業委員会法案を中心に、三点ばかり絞って、私の意見を述べさせていただきます。よろしくお願いをいたします。

 まず第一は、地域推薦を基本とした農業者の代表制の確保であります。

 農業委員は農地の番人とも言われておりますが、農地の保全及び利用集積を初め、担い手を確保し育てることが大きな我々の任務であります。農地は、生産財であるだけではなくて、先祖伝来の営々と継承してきたかけがえのない財産でもあります。そうした農地を動かすためには、農業者からも、そして農業委員もお互いの顔が見える信頼と信用が不可欠であります。

 農業委員の公選制は廃止されると聞いております。公選制と同様に、農業者からの信任を得られる代表制を確保することが農業委員の業務の推進の上ではぜひとも不可欠であり、そのためには地域から推薦されるということが基本だと思っております。市町村長による恣意的な選任となっては、将来にわたる農業委員の地域活動に必ずや支障が出るおそれがあります。

 また、加賀市農業委員会の場合は、平成二十六年の十一月に改選されました。平成二十九年十一月まで現行委員の任期があることになります。改正法案が成立すれば、早い市町村では来年の四月から新体制への移行が求められてきます。

 改正法案の成立時期によっては、県内でも来年四月に新体制に移行しなければならない可能性のある農業委員会もあるわけでありますけれども、しかし、条例等を協議する議会や市町村にその説明が余りまだできていないわけで、来年度の予算や、そして四月の施行となると、まだまだ時間的には非常に厳しいものがあります。全国でも不安感を募らせている農業委員会がほとんどではないかな、こんなふうに思っております。法律施行までの準備や手続について、できるだけ早くかつ丁寧な説明と御指導をお願いしたいと思っております。

 第二点目は、農業委員と農地利用最適化推進委員の問題です。

 改正法案では、新たに農地利用最適化推進委員が設置されますが、現場では、農業委員と実際の活動においてどこがどう違うのか、本当に、全くよくわからないのが大方の実感だと思っております。

 ただ、重要なことは、農業委員と推進委員が一体となって現場に足を運び、そして地域の農地利用の最適化に向けてがっちりと連携し、そして農業委員会の力が最大限に発揮されることですので、互いの役割を明確にしていただき、補完し合う協調と協力体制をつくることが非常に大切だと思っております。

 また、現在、石川県には農業委員が四百十四名、そのうち女性の農業委員が四十名います。加賀市においても、農業委員は議会推薦の女性農業委員が二名おります。地域の今後のあり方や振興を考えるとき、女性の声や役割は極めて大きいものがあります。今回の改正で、女性の農業委員を減らすわけにはまいりません。議会推薦にかわる新しい女性農業委員の登用の仕組みをぜひ考えていただきたいし、考える必要があると思っております。

 現在、加賀市農業委員会の委員は、公選委員が十七名、団体と議会からの選任委員が七名、合計二十四名で組織しております。市内の農地面積が約三千五百ヘクタールですから、農業委員一人当たり平均で百四十五ヘクタールを担当していることになります。

 加賀市は、平成十七年十月に旧山中町と合併をいたしました。合併前の農業委員数は合わせて三十八名、十年前は農業委員一人当たりの担当が百ヘクタールでありました。地域に密着したきめ細かな活動を行うには、今の二十四名が、地域に目が届く、地域の農業者としての顔が見える最低限の人数であります。

 そして、農業委員を減らして推進委員を置くとのことですが、今以上農業委員を減員すれば、農業委員会の業務自体に支障が出てくることが懸念されています。ぜひ、地域の農業の実態に即して、弾力的に定数が設定できるようにお願いをしたいと思っております。

 次に、第三点目は、市町村農業委員会、都道府県農業会議、全国農業会議所という組織の系統性の確保、財政措置の充実であります。

 都道府県農業会議は、農業委員会にとって、法令や制度の説明、また農家経営や人材確保の相談などにしっかりと応えてくれる重要な組織であります。

 改正法案では、農業委員会ネットワーク機構として、都道府県知事が指定する一般社団法人になると聞いておりますが、それぞれの農業委員会につきましても県農業会議にしましても、法律に基づく公平公正な業務を行っておりますので、ネットワーク活動に伴う財政基盤の維持、そして財政基盤の強化に加えて、現行の系統組織の仕組みを円滑に継承されていきますことを、国はもちろん、県、市町村、農業団体の方へも強く働きかけていただきますことをお願いしたいと思っております。

 以上、多くの意見を述べさせていただきました。改正農業委員会法案の国会審議に当たっては、本日のこの地方公聴会がぜひ形だけのものにならないように、その運用も含めて御留意いただき、委員の先生方のお力で、何とか、農業、農村現場の実態や、そこに住む、生産活動に取り組む多くの人たちの思いに寄り添った、将来に希望の持てるものとなりますことを強くお願い申し上げ、私の意見とさせていただきます。

 最後までお聞きいただきまして、本当にどうもありがとうございました。

江藤座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

江藤座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗和生君。

簗委員 自由民主党の簗和生でございます。

 本日は、四名の皆様方、大変お忙しいにもかかわらず、貴重な機会をいただき、そして、これからの我が国の農政をつくっていくに当たりまして、大変貴重な現場の生の御意見を頂戴できましたこと、心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 着席をさせていただきます。

 農協と、それから農業委員会について順次質問をさせていただきます。

 まず、農協について質問をさせていただきます。

 農協改革をめぐる議論の中で、地域の皆様から非常な懸念を持って意見が述べられたこと、それは、先ほど来御意見の中でもありましたけれども、農協が果たしてきたいわゆる協同組合としての機能、農村社会の共同体としての機能、こういったものをしっかりとこれからも維持できるのか、そして、その中で、今、担い手がふえてきている、大規模化が進んでいるという中で、農協が多様な組合員のニーズに応えていかなければいけない、農業者の所得を上げていくサポートをしていかなければいけない、こういった二つの機能をこれから農協がしっかりと担っていけるかどうか、そういった懸念であるというふうに思います。

 そこで、改めてお伺いをいたしますけれども、これまで農協が果たしてきた役割と、そしてこれから農協が果たしていく役割、JAグループの中で自己改革案というものが提示をされ、その中でも農業者の所得の増大というものは第一番目に挙げられているわけでございますけれども、そうした部分、いわゆる収益性を追求していく部分と、それから協同組合としての機能をこれからも維持していく、この両者のバランスをどのように図ってこれからの農協のあり方を模索していくのか、ここについて皆さんから御意見をいただきたいと思います。

 順番といたしましては、上坂さん、西沢さん、小川さん、そして最後に輕部さんに御意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いをいたします。

上坂英善君 今御案内のありましたように、農協は、私ども、長い歴史の中で、それぞれ、農協の基本にありますように、農家の営農と暮らしを守る、この目的に沿って今までも対応してきた、こういうふうに私は思っております。

 それぞれの地帯において、農協のそれぞれの性格なり地域の組合員の構成は違うと思うんですけれども、私、県下全体のことを申し上げるわけじゃなくて、地元の農協で捉えて話をさせていただいても、かつては、金沢市農協というのは、それぞれ二十七の農協がございました、それが昭和四十九年に合併をしまして、現在のJA金沢市というふうになっております。当時はやはり、それぞれ二十七の農協は組合員との間も非常に近い形であったかもしれませんけれども、それぞれの農協の経営の形態の中で、現在は、私どもの農協は、当初二十七ございました支店の数を、今十カ所に集合しております。さらには、その中で、営農の方の、いわゆる営農体制を含むアグリセンターというものを五カ所に集約して、そこからそれぞれ、営農指導員あるいは資材等の推進活動員が農家の方へ出ておるというふうなことでございます。

 当然、やはり農協も経営体等の中では人員のいろいろな制約を受けてきたと思いますけれども、現状がこれで完全に満足ということにはなっていないかもしれませんが、私どもは、組合員の皆さん方のところへ、きっちり、推進活動あるいは相談活動に出向く体制を今とらせております。

 私が組合長になってからまだ二期目でございますので、とりたててというような形はございませんが、私ども、特に、今の農協の中では、ふれあい推進員という制度を片方でとっております。

 今のTACとは別に、特に、ふれあい推進員はふれあい推進部の中に置いているんですけれども、今までは、大型農家のところをまず回ってくれというふうなテーマを与えました。最近は、それに対して、いわゆる准組合員の皆さん方が農協に対してどういうふうな形でいろいろ要望等もしているか、そこを聞いてくれということで、そういった形で、当初四名おりました、今はいろいろ都合で三名にしましたけれども、区域をかなり広い形で、各支店の支店長あるいはアグリセンターのセンター長等も提携しながら、そういった現地を回っております。

 それから、アグリセンターの方にも推進員がおりますけれども、これは、一般のそれぞれの農家の方への営農相談に出向くという形をとっております。

 支店の方からは、支店の職員は、いわゆる複合推進の形で、信用と共済を中心に農家、組合員のところを回るということで、いわゆる営農の関係、それから支店からの総合事業でいう信用、共済の関係、それから今言ったふれあい推進部、非常に複合して、区域と地域を分けて、この方のところには誰が回るということよりも、いろいろな角度からテーマを持ってそれぞれ行っております。

 もう一つは、先ほど申しましたように、今の状況の中で、私どもは、組合員のニーズ、確かにおっしゃるように、金沢の場合でも山間地から都市部まで非常に幅広い形でありますので、テーマがそれぞれみんな違う形になっておりますけれども、そういう中で、私どもは、特に営農の関係については、先ほど申しましたように、農協の部会組織、共販組織は非常に強い形で組織をさせていただいておりますので、そこを中心にして、砂丘地の方ではそれぞれ砂丘地園芸が中心、また山手の方では果樹を中心として対応していますし、河北潟の方では広域干拓地での園芸、それから平野部の中では加賀れんこん、いわゆるレンコンの生産、栽培等もかなり大きく入ってきております。

 そういった面で、先ほど申しましたような園芸が中心の地域でございますけれども、農協として、その部会の中で組合員との接触をきっちりとりながら対応してきておるというふうな状況でございます。

 あと、問題は、これから担い手、特に後継者をどう育てていくかという問題ですけれども、今現在の品目の中で、かなり後継者の育っている品目もあります。やはり、そこでもうけが出る、稼げなきゃなかなか若い人に入ってこいよということは言えませんので、そういった面では、地域の皆さん方と部会の中でかなり活発な議論をしながら、農協がとるべき役割とかそういう機能についても相当突っ込んだ、業務、その中で協議等も持たせていただいておるというのが今現状です。

 はっきりと、こうしたらこれからの将来は大丈夫だというところまで、私、今の立場でも言い切れませんけれども、やはり、そういった面で、目線をしっかり組合員の皆さん方に置いて相談機能をしていけば、農協としてのこれから、あるいは石川の農業として、金沢の農業としての未来はあるというふうに私は確信をしておるところです。

 答えになったかわかりませんけれども、そんな思いで今仕事をしておることを御理解いただきたいと思います。

西沢耕一君 共同体として継続できるか、また所得確保をどうするか、そういう御質問だというふうに思います。

 農業協同組合ということで、今ほど会長からも話がありましたとおり、特に営農面あるいは生活面で向上させるということでありますけれども、基本的な理念は相互扶助の精神、御案内というふうに思いますけれども、お互いに助け合ってともに幸せになろう、そういう趣旨でこの協同組合は運営されているところであります。

 先ほども言いましたように、小松市農協では、地域の中で溶け込んで、いろいろなことを現在やっております。食育であったり、福祉事業であったり、直売所であったり、道の駅であったり、いろいろなことを行っているところでありますけれども、そのことによって准組合員の皆さんあるいは員外の皆さんにも非常に理解をいただいている。地域の中でこの農協という組織が、あるいはいろいろな活動が溶け込んでいるというふうに思います。

 結果として、地域の皆さんに支持されているというふうに思いますから、地域の皆さんに支持されない組織はなかなか将来は難しいというふうに思いますけれども、そのことについては懸念をしていないというふうに思います。

 それでは、生産者の皆さんの所得についてどうするか、所得確保をどうするかということでありますけれども、口で言うほど簡単ではないというふうに思います。一番肝心なところは、つくった農産物をどうやって高く売るか、そのことに尽きるわけであります。

 当然、JAグループの一員として、米については全農への委託販売が中心ということになります。ただ、自分たちでできることをやっていこうということで、特に小松市内を中心として、米については、例えば、レストランであったり小売店であったり、そういうところへ一生懸命販路の拡大を図っている。小松でつくったものを小松の中で消費できれば、一番、運賃もかからないし、あるいは手数料も低くなる、結果として組合員の皆さんの所得の確保につながる、そういうふうに思うところでありまして、自分たちでできる販路の拡大については一生懸命現在行っているというところであります。米についてはそういうことであります。

 また、園芸についても、産地を形成して、市場出荷が中心ということでありますけれども、その中でも、自分たちのつくるものについて、品質の向上、味の向上はもちろん、そのことをすることによって評価を上げる、結果として販売金額を上げていこう、そういうことで部会を中心にやっている。自分で売る方については、直売所で自分の責任で、もちろんいろいろな指導をするところでありますけれども、そうやって所得の確保につなげてもらおうということであります。

 もう一点、資材を少しでも安くということでありますけれども、これも、JAグループの一員ということでありますから、全農から仕入れるということで現在も対応しております。

 ただ、いろいろな比較の中で、自分たちはメーカーではないので、農薬とか資材を自分でつくれるわけではない、どこかから仕入れるということでありますけれども、常に、ホームセンターあるいは近くのいろいろな農薬とか肥料の小売店と価格を比較して、自分たちがやっていることについて妥当なのかどうか、適正なのかどうかということを比較しております。

 いろいろな形で価格対応しておりまして、今買う値段と予約をしてもらう価格とは違う。当然、何カ月も前に予約をしてもらえば安いし、百買う方と千買う方についても価格が違う。そういうことで、特に担い手と言われる方については所得確保につながるような対応をしているということでありますし、いろいろな比較の中で、特に安い仕入れ先があれば、そこからも対応しているということであります。

 さまざまな比較の中でそういうような対応をしているということで、今、後継者の問題とか、なかなか後継者が育たないというふうに言われますけれども、普通にサラリーマン並みの所得が仮に確保できればそういう問題は一切なくなるというふうに思うところでありまして、普通の生活ができるような所得水準になるように、できることを少しずつやっているということであります。

 答えはなかなか難しい、それができれば一番いいんですけれども、日々頭を悩ませているけれども、なかなか、今のところはそのことが一〇〇%実現できているかというとできていないというのが現状ですけれども、常に現場ではそのことを中心に据えてやっているということで御理解いただきたいと思います。

 以上で終わります。

小川廣行君 私ども農業委員会といたしましては、公選制が廃止されるということですので、先ほども言いましたけれども、やはり継承というか、組織の流れが見えてこない。農地利用最適化推進委員、これが大体現場を見る、こういうことで、では、農業委員はどんな仕事をするのか、なぜ、農業委員の数を半分にして、そして農地利用最適化推進委員たるものを置くのか、この辺が我々のまだ見えてこない点であります。

 ただ、我々農業委員は、今でも、耕作放棄地とかを回ったり、いろいろなことをしているんですけれども、人数的には決して多いわけではありません。これも、今ほど農協さんの方からいろいろなお話が出ております。我々農業委員は、農協さんを通じていろいろな協力をいただいて活動しております。今こんな状態で、先ほども言いましたけれども、農地最適化推進委員と農業委員のどこがどう違うのか全くわからないし、この辺をしっかりと方向づけをしていただきたい。

 それと、推進委員でも農業委員でも、本当に皆さん、たくさんなり手があるように思われておりますけれども、決して簡単には、推進委員も、そんなに喜んでしていただけるようなものではないと思っております。

 今まで、公選制の中で、与えられた職務を全うしなければならないという自覚を持って取り組んでまいりました。それが市町村長の指名になりますと、果たして普通の農家の方々やその辺の皆さんがどのようにその委員の方々を評価していただけるのか、その辺もまた一つ心配な面であります。

 私の方からは、本当に農業委員の継承性の問題だけはぜひともしっかりとやっていただきたいし、これからもやはり農協さんを通じて、農協さんを通じるということは、地元には必ず生産組合というのがありまして、我々は、その生産組合のお力を非常に大きくおかりしながら、放棄地やいろいろな問題等に取り組んでおるのが現状であります。

 そんなことでありますので、何とかこの辺のことを含んでいただいて、国会に反映していただきたいというふうにお願いを申し上げます。

輕部英俊君 これまでの農協とこれからの農協の役割ということです。

 私も先ほど述べさせていただきましたが、これまでは、どうしても小規模農業者を中心としたような活動であったのかなというところが一つありますけれども、ただ、地域においては、やはり農協さんの役割、これまでの功績というのは非常に大きいというふうに思います。農村のリーダーとしてまとめてこられたというところは、やはり農協さんなくしてできなかったのではないか。あるいは、政策的なもので、補助金政策ですとか、ああいったものでも、かなり、数字の取りまとめですとかそういったところは農協さんは細かく数字を拾ったりされてきましたので、この辺も非常に大きな役割ではなかったのか。

 ただ、食管法が変わって流通が大分変わってきたあたりから、やはり、どういうふうな方向性に持っていくかというところがいまいち見えなかったのかなというふうに思っておりますし、現状で言って、我々担い手ということも今いろいろ支援をいただく、今話でもいただいておりますけれども、我々がやはり今一番懸念しているのは設備の問題とかですね。特に、米は設備投資ですので、施設の問題です。こういったとこら辺を、農協さんの所有されている施設を活用させていただきながら地域をどうやって盛り上げていくかというあたりが、これは結構利己的な、僕らだけのあれでもあるんですが、でも、そうやっていかないと、農協さん自身もよりよくなっていかないのではないかというふうには一方では考えております。

 あと、よく信用事業との切り離しなんかも言われますけれども、少し見方を変えると、我々のやっている六次産業というのが、生産と加工と販売ということで、生産では不安定要素がかなり大きいので、そこを加工して販売して、要は経営の安定を図りましょうと。特に、生産をしているという強みを前面に出しながらやっていくということが一つ本筋だと思うんですけれども、そういった意味から考えると、決して信用事業がどうだからというのは、営農事業の部分を補っていくためにやっているということで考えていくと、ある意味同じような考え方ではないのかなというふうにも思っております。

 信用の部分というのは、先ほども申し上げましたが、我々は既に選択をさせていただいております、いろいろな一般の会社と。その中でいろいろと利用させていただいたり、しなかったりということがあるので、今後もその辺は、引き続き信用については競争だというふうに思います。

 逆に、営農の部分に関しては、競争するのがいいのか悪いのかわからないんですけれども、やはり、今後、農業を維持発展させていくためにはかなりの肝のポイントになりますので、農協さんしかできない、農協さんならではというか、そういったようなことをもう一回見詰めて、人ですとか、資本の部分もありますけれども、現場の情報ですとか、そういったことをきちんとあらわしていけるような組織として、日本の農業を背負っていってほしいというふうに思っております。

 以上です。

簗委員 皆さん、ありがとうございました。

 時間の関係がありますので、農業委員会の方の質問に移らせていただきます。

 小川さんにお伺いをしたいんですけれども、農業委員会の現在の事務局体制についてお伺いをします。

 データで数字を見ますと、各市町村、事務局の人員が五人ぐらいで、そしてその約半数が市町村の内部部局との兼任であるということで、事務局の体制が十分ではないのではないかという意見があります。これから農業委員会をさらに機能強化していくに当たりまして、事務局体制について御見解があればお聞かせください。

小川廣行君 今ほど言われましたとおり、本当に事務局の方は大変だと思っております。

 今現在、加賀市においては、事務局長と補佐の男が一人と女の事務員が一人の三名、そして、少し忙しくなると農林の方から助っ人をいただく、こんな状態であります。本当に何とか、五人は国から定められておるんじゃないの、こんなことを言いながらも、お願いをしておるんですけれどもなかなか現実はそうはいかないというのが、今、加賀市の現状であります。

 ぜひともその辺も市町村に対して御指導していただきたいというふうに思います。お願いいたします。

簗委員 貴重な御意見、どうもありがとうございました。

 質問を終わります。

江藤座長 次に、福島伸享君。

福島委員 民主党の福島伸享でございます。

 地元は茨城でございまして、加賀野菜は非常においしいので私も大好きであって、茨城はレンコンの生産が一位なんですけれども、スーパーに並んでいるレンコンは石川県産のレンコンの方が倍ぐらい値段がしまして、うらやましいなというふうにいつも思っているところでございます。

 本日は、貴重な意見を賜り、どうもありがとうございました。それぞれの四人の意見陳述者の方から、やはり現場にいるプライドというものを感じることができまして、私は、そうしたものを我々政治家としてしっかりと受けとめてまいりたいというふうに思っております。

 きょうは、まさにこの法案の審議の真っ最中でございますので、その審議に参考になる御意見を多くいただきたいと思っておりますので、まことに聞く立場で僣越で恐縮なんですけれども、手短に御回答いただいて、いろいろな質問をさせていただければというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 さて、安倍総理は、六十年ぶりの大改革とか、岩盤規制をドリルであけるんだということを、ことしの施政方針演説でも、あるいはアメリカに行っても、上下院で演説でおっしゃっておられました。

 確かに、日本の農業が抱える問題は、高齢化が進んでいたり、耕作放棄地が増大していたり、さまざまな多くの問題を抱えていることは事実でありますが、しかし、その日本の農業が抱える問題を全て農協あるいは農業委員のせいにするというのはどうかなというふうなことを私は思っております。

 あるいは、農業を改革する方から見ても、結局、農協改革というのは、中央会を一般社団法人やあるいは連合会にしたり、監査を外に出す程度の話であったり、農業委員会の方も、農業委員に加えて、何かえたいの知れない、農地利用何とか推進委員というわけのわからないものができたりと、一体これは何をやっているのかなという思いがあります。

 今の農業改革に対する率直な御感想を、まず端的に、四人の方からお伺いしたいと思っております。輕部社長の方からぜひよろしくお願いいたします。

輕部英俊君 全般ですか、農業改革。(福島委員「はい、今の安倍政権がやっている農業改革への感想でございます」と呼ぶ)

 私ども、再三申し上げておりますが、事業を行っていく上で、やはり生産と加工と販売というところで、直接的に、加工と販売というところではもう本当にメーカーと同じような能力とかスキルを要求されていますし、力の入れ方もそのような形でやっていますので、常に農業政策ばかりを意識しながら経営しているわけではないんですけれども。

 ちょっと答えになっているかわからないんですが、今後の農業を考えていったときにまずポイントとなっていくところはどこかと申し上げますと、やはり、なぜ成り立っていっていないのかという本質の部分を見ていただく必要があるのではないかなというふうには思っております。

 我々が今一番困っていることは、先ほど言った、施設の利用であったり、機械化、機械の部分であったり、現場でのコストダウンというのはもう、ある程度行き尽くしているところがありますので、そういったようなところが非常に経営に負担になっているというあたりを把握していただければというふうに思っております。

 以上です。

上坂英善君 当初、私どもも非常に怒りました、間違いなく。何でこんな偏見的な考え方が出てくるんだと。規制改革会議が打ち出した内容、その後でいろいろ聞いた内容からすれば、本当に我々は今まで、さっきも申しましたけれども、六十何年間、それぞれの政権のもとで、それぞれの政権の指示によって私どもは一生懸命やってきたんだ、協同組合は御承知のとおりの団体でございますので、それをなぜこういう評価をされなきゃいかぬのかなと思ったのは偽らざる事実でございます。私ども、県内の農協の皆さん方ともいろいろな協議をする中でも、やはりおかしいよということで、決起集会も持ちました。

 そういった形の中で、やはり最終的には、いろいろな経過を経て決着になった、結論が出たということでございますので、出た以上は、その中で、私どもが今まで取り組んできたことをきっちりこれからもできる形に体制、法を整理してほしい、こう思っております。

 特に、私どものこの考え方は、何も石川県だけではなくて、全国の組合を組織しているそれぞれの農協は同じような気持ちでいるんだというふうにも理解をしております。

 したがいまして、私どもは、こうやって決まった方向の中で、我々が動きやすい、いわゆる地域における農協は余りさわらないんだよというようなこともいろいろ出されてきたようにも思っておりますけれども、もっともっと、私どもが自己改革で言っている、所得を上げる、生産拡大をする、地域の活性化をする、それをしやすいような形でやはりいろいろな法のバックアップ体制を組んでほしいというふうな思いでございます。

 具体的なものはちょっと出ませんけれども、思いだけを言わせていただきました。

西沢耕一君 農業を成長産業化しようということでありますけれども、そもそも世界から見た日本の農業というふうに見ますと、アメリカは規模が百倍、オーストラリアは千倍ということでありますし、また、これまでの歴史的な経過も違う、気候風土も違う、その中でどうするのか、その視点が一番重要かなというふうに思うところでありますけれども、それらを踏まえた農業政策が必要なのではないかなというふうに思います。ただ農協法を変えただけで、どうかなというふうに正直に思うところであります。

 法改正があろうとなかろうと、自分たちは自分たちの目的に向かってしっかり自己改革を進めていく、そのことが結果として組合員、農家の所得の向上につながるというふうに信じて運動をやっているところであります。

 以上です。

小川廣行君 今ほど、安倍総理が、農業委員改革は生産コストの引き下げや農業所得の増大につながる、こういうふうにおっしゃっておるわけですけれども、生産性が高くて条件のよい土地ならば企業も大変参入してくるわけですけれども、ただ、中山間地の条件の不利なところ、そしてまた、そういうところが耕作放棄地になっておるわけです。

 今、本当に美しい棚田の維持、これは石川県でもすばらしい能登の千枚田があります。しかしながら、あれくらいの規模の棚田になれば、確かに観光としても非常にメリットのある棚田ではなかろうかと思いますけれども、山間地に行きますと、少数の棚田がたくさん点在するわけです。そんなところへ企業が来て稲作をするとか、そんなことは到底考えられないわけでありますし、ぜひその辺のところもよく含んでいただきたい。

 先ほど六星の輕部社長が申し上げましたけれども、企業が参入しますと、今ほど言われる共同の作業がなかなか、全部の、水路の掃除とか泥上げとか草刈りとか、いろいろなことは、今、我々の集落では皆さん全員が、離農した人でも一緒になって地域を守る、農村の集落を守る、そして田んぼを守るという形の中で作業を行っております。それも、やはり農業委員と農協さんがおるからやっていけるんじゃないかな、こんなふうに思っておりますので、この辺のところもぜひお含みをいただきたいと思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 上坂会長にお伺いいたしますけれども、先ほど明確に、中央会が単協の経営を妨げていることはないとおっしゃいましたが、もう一度、心当たりは何にもないですか。

 というのは、今、農協制度の諸悪の根源は中央会のようなことになっていて、我々、農業新聞のアンケートで見ても、たった五%の人がそのおそれはあると言っているんですけれども、私の地元も含めて、中央会が何か単協を縛って自由な経営を妨げているという例はほとんど聞いたことはないわけでございますけれども、全くそういうことは心当たりがないと考えてよろしいでしょうか。ぜひ端的にお答えください。

上坂英善君 私ども、先ほど申しましたように、今、県内十七のJAでございます。そのJAの皆さん方にきちっとしたアンケートをとったわけではございませんけれども、私どもも、それぞれ理事会なりいろいろな形の中で組合長等々あるいは理事の皆さん方の御意見も聞いておりますけれども、中央会、石川の中央会は要らぬもんやぞというふうな声は、正直、聞いたことはございません。

 中央会を活用する活用の仕方はそれぞれのJAによって違うと思いますけれども、私どもはそういう思いを持っていますし、そうだと信じております。

 以上であります。

福島委員 ありがとうございます。

 そうはいっても、農林水産省の方々は疑い深いのか、中央会の皆さんのいる前では言わないよ、陰ではこそこそ言っているんだよということを言うんですよ。

 そこで、西沢組合長にお伺いしたいんですけれども、隣に上坂会長はいらっしゃいますけれども、同じことでありますが、実際に組合長をされていて、先ほども明確に御回答はあったとは思いますけれども、ほかの県内の単協さんも含めて、何か中央会があるから自分たちがいろいろ縛られて大変だよねという心当たりとか、そういうものは何かありますか。

西沢耕一君 中央会があるから自分たちが思うようなことができないかということは全くありません。それは、県下のほかの組合長も同じ思いであろうというふうに思います。それは明確に、私もそういうふうに思っております。(福島委員「だから、私は、何かほとんど冤罪のような話でして……」と呼ぶ)

江藤座長 福島君、指名を受けてから。

福島委員 はい、済みません。

 冤罪のような話じゃないかなと思っていて、何か頭の中の妄想で今回の農協法がつくられているような気がするんです。

 そうはいっても、この法律、我々は一生懸命問題点を指摘して、今審議をしているところでありますけれども、仮に中央会が連合会になって、上坂さん、何か変わることはありますか。私は、今の中央会の役割としてやっていることで何ら変わる必要はないと思っているんですけれども、この法律ができたことによって、県の中央会の役割を法律に従って何か変えるということはありますでしょうか。

上坂英善君 私は、今のところないと思います。現状の業務を、ここのところは誤りがあったからこうしようというふうな形のところまで、まだ全てを見ているわけではございませんけれども、もう少し足りぬなというふうなことが中にあるかないかはこれからしっかり検証したいと思いますけれども、現状の段階ではそういった形はないと思います。

福島委員 ありがとうございます。

 それでは、ちょっと別な観点からお聞きします。

 先ほど来も話がありましたが、理事の過半数を認定農業者とか農産物販売のプロにする、法律はプロと書いてありませんけれども。現場で私も地元の農家なんかに聞いてみても、過半数って、そんなことを、そもそも理事は組合員の選挙によって選ばれるものでありますから、それに要件をつけるというのは、国会議員の過半数は大学卒業じゃなきゃならないとかと言っているのと同じぐらい、余計なお世話だと私は思うわけでありますけれども、では法律を満たすためにどうするかといったら、そのために、例えば、農協の職員であった方は農産物販売をずっとやっていたわけだから、ではそういう人の比率をふやさなきゃならないねなんということをうちの地元のJAの皆さん方は言っていて、結局、本末転倒。

 本来、この法律の趣旨は、きちんと農産物を高く売るというのを目指した理事を選びなさいという趣旨なのだろうとは推測いたしますけれども、過半数というのを入れられたことによって、逆にその理事の選び方に柔軟性がなくなって、本来の制度の改正の目的と外れるようなこともあるんじゃないかと思いますけれども、現場でどういう問題が起きると想定し得るか、西沢組合長の方からお話をいただければと思います。

西沢耕一君 私のところの現在の状況は、先ほども言いましたように、二十八人の理事のうち十名が認定農家ということであります。それを過半数と絶対要件として法律で縛られた場合は、具体的には、私のところは支店が十三あるんですけれども、一つの支店は一人、Bという支店は二人とか、Cという支店は三人、合計が二十八人ということになるわけです。結果オーライでは法律の要件を満たすことがなかなか難しいというふうに思いますから、必ずその過半数ということになると、選任する段階で、必ず、認定農家あるいは農協職員の経験がある方とか連合会の方とか、いろいろな経験がある方に限定するということになるわけでありまして、先ほども言いましたように、地域の中で非常に農業に関して意欲のある方もそう役員に登用できない、そういうケースが想定されるわけです。

 JAの役員になられる方は農協運動について非常に思いの強い方がほとんどでありますから、特に認定農家に限定することはないというふうに思うんですけれども、そういうふうに法律で縛られると、選任の仕方からまず大きく変わってくる。さっきも言いましたように、認定農家とか販売のプロというふうに限定して選任ということになりますので、現場では非常に大きな影響があるというふうに私は思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 次に、農業委員会のことを小川会長にお伺いしたいと思っております。

 私も、農業委員が抱える問題というものの多くは事務局機能が弱いことじゃないかなということを日ごろから思っておりまして、先ほど簗委員の御質問に回答されて、私はまさにそのとおりだと思っているんです。

 ところが、今の法案は、農地の集積とか、耕作放棄地があるのは農業委員が怠けているからだ、機能していないからだというようなことになって、そして農地利用最適化推進委員というえたいの知れないものを置いて、今までの国会の審議では、従来の農業委員は農地転用の賛成、反対の投票をするその要員である、農地利用に関することはこの新しい何たら推進委員というのがやるとなっているんですけれども、実際、こんなことができますかね。

 私は、やはり土地に根差した信用がある人が農地に絡まないと、みんな、農地を手放したり貸したりということはあり得ないと思うし、公選でその地域の代表の人がやるからこそ、安心して大事な農地を預けることができると思っているんですけれども、現場で見て、この農地利用最適化推進委員はそもそも必要だと思われますか。ぜひ御感想、思いをお聞かせください。

小川廣行君 今ほど、先生、本当にありがとうございます。

 ただ、農業委員の定数を半分にする、こういうことになりますと、到底、耕作放棄地、従来の作業ができません。ですから、推進委員の人数の、やるということに対しては、必要だと思います。

 ただ、それをなしに農業委員の定数を今までどおりというか確保できるならば、その辺の方向については我々は何も言うこともないと思いますし、今ほど言われるように、事務局がなまっている、農業委員会がなまっているんじゃなくて、決してそういう、一生懸命、今、公選で選ばれて、その作業に対しては責任と自信を持ってパトロールやいろいろなことをやっております。先ほどから、事務員がなまっておるとか、農業委員の事務局がなまっているとかじゃなくて、事務局は一生懸命やっております、少ない人数の中でもただただ頑張って応えてくれておりますことは、非常に我々は感謝をしているというところであります。

福島委員 ありがとうございます。

 認定農業委員も過半数なんですけれども、認定農業委員の人、みんな忙しい人が多くて、本当にやってくれますかね。どうですか、一言で。

小川廣行君 先ほど言いましたとおり、推進委員の推薦に対しては非常に厳しいものがあるなというふうに私は思っております。

江藤座長 意見陳述者の方に申し上げます。大変恐縮でありますが、挙手をしていただきたいと思います。決まり事でありますので、よろしくお願いいたします。

福島委員 私も挙手を時々忘れますので。

 では、最後に一つ。

 我々は、対案として、農協の役割、今は農業者の農協ということになっております。ただ、ずっと立法の過程を調べてみますと、もともと農協自体が、農業者のための農協であるとともに地域の農協でもあるというのの中に、農民のための農協というのが農業者に変わったんですね。農民と書くと、農村に住んでいる人は私はみんな農民だと思うんですよ、農業をやっていようがやっていまいが。

 今、農業者のための農協なんだから准組合員なんかがふえるのはけしからぬというのが政府のスタンスとなっておりまして、我々は、そうじゃないということを、改めて農協法をつくった原点を確認するためにも、農協というのが地域のためにもあるんだということを法律改正の条文として提案しているところでございますけれども、このことに対します御所見を上坂会長と西沢組合長の方からお伺いしたいと思います。

上坂英善君 おっしゃるように、私どもは、先ほども申し上げましたように、地域の活性化というのがやはり一つ農協におきます役割の大きなものだと思っております。

 したがいまして、農業者は当然でございますけれども、それとともに、その地域にいらっしゃる方もやはり我々の活動の範疇に含めるということについては異存はない、できればそういう方がありがたいというふうに思っています。もちろん農業者は主体でございます、これははっきりと整理をしていただいても、それとともにというふうなところはやはり必要だというふうに思います。

 以上です。

西沢耕一君 先ほども言いましたように、私のところの農協では、例えば、高齢者福祉事業であったり、あるいは食育、学校の先生と一緒にうちの職員が食育の授業を行うんですけれども、そういうことを行ったり、あるいはボランティア活動の取りまとめを行ったり、もちろん福祉に関するボランティアですけれども、そういうことを行ったり、いろいろなことを行っております。

 まさに地域の中で、地域の皆さん、准組合員、あるいは員外の皆さんとも一緒にさまざまな取り組みを行っております。そのことが支持されて現在の農協はあるというふうに思いますから、もちろん、主体は農業を行っている方の営農を改善しよう、それが中心でありますけれども、地域の中で溶け込んでいる、活動を行っているJAということで、准組合員の方も含めていろいろな活動を行っているということであります。

 以上です。

福島委員 ありがとうございます。

 簡潔な御答弁に御協力いただきまして、ありがとうございました。

江藤座長 次に、井出庸生君。

井出委員 維新の党の井出庸生と申します。本日は、よろしくお願いをいたします。

 私は、信州長野県の出身でして、きょうは新幹線で佐久平から参りました。私の地元も、厚生連の佐久病院初め、南に下ればJAヤツレン、高原野菜、レタスの産地がありまして、最初に輕部さんがおっしゃった、農協が地域の取りまとめ役だった、そういうところを私も非常に感じますし、ただ、今農協の方でも、この法改正に当たって、自己改革とかの案も出してこられましたし、農協自身も変わっていかなければいけないというところは、私の地元でも、組合員の方からも幾つかそういうお声を伺っておりますので、順次伺っていきたいと思います。

 最初に西沢組合長にお伺いをしたいんですが、冒頭の御発言で、どうしたら農業が組合員のためによくなるか、それがいつも頭の真ん中にある、資材を安くして農産物を高く売るためにどうしたらいいかずっと悩んできた、そういうお話があって、私も、農業、特に農協を改革するのであれば、現場の農家、組合員のためを思うのであれば、西沢さんが冒頭おっしゃったことがまさに本丸だと思うんですね。

 資材や農薬を安くして、つくってもらったものを高く売れるかどうかが改革の本丸だと思うんですけれども、一連の法改正の議論ですとか、今政府の方から出てきている法案を見て、これから資材を安く、農産物を高く、そういった、農家のためにこの改革案が果たして本当に役に立つのか、どのように受けとめられているのか、教えてください。

西沢耕一君 法改正の趣旨は、目的を変える、事業の目的について、農家の所得に最大限配慮するというふうな規定が明文化されたということで、それは非常にありがたいことでありますけれども、中央会の法人格を変えるとか、監査の仕方を変えるとか、役員についてどうするとか、あるいは准組合員の利用制限、これは五年間の検証ということでありますけれども、そのことが地域農業の振興あるいは農家の所得につながるかというと、直接つながるとは考えておりません。

井出委員 もう一点、ちょっと突っ込んで伺いたいんですが、資材とか農薬を本音としては安く提供したいというところがあると思うんですけれども、そのあたりも、やはりこの改革案では何も見えてこないとお思いでしょうか。

西沢耕一君 資材のことについて、法改正では、なかなかそこまでのことは読み取れないというふうに私は思っております。

井出委員 ありがとうございます。

 同じ、関連で今度は輕部さんにお伺いしたいんですが、輕部さんも御発言の中で、自動車にかかわることは農協がサービスを大変よくやっていただいているから最大限利用させていただいている、でも、信用とかの部分では、やはりサービスを比べてということで、地元の地銀さんを使われたりというようなことがあるというような御発言でしたけれども、農協さんのサービスを利用する側から見て、そういう農協さんのサービスが改善されていくんじゃないかというような期待を今のこの法案審議に持っていらっしゃるかどうか、教えていただきたいと思います。

輕部英俊君 今後につきましては、少しプレッシャーも受けながら、やはり改善していこうというふうにはなるのではないかというふうに思っています。

 既に、先ほど申し上げたように、担保の部分、保証の部分ですとか、あるいはネットバンキングの部分なんかも、地銀さんの方が正直ちょっと早かったんですけれども、やはり最近、JAさんなんかもそういったものを取り入れられていますので、きちんとしたスピード感は出てくるのではないかというふうには思っております。

井出委員 ありがとうございます。

 次に、上坂会長にお伺いをしたいんです。

 農協は、協同組合ですので独禁法の適用除外を受けている。そうはいいながら、現実を見ますと、全国各地の農協のさまざまな事例におきまして、公取の方は、勧告をしたり、時には排除命令を出すというような事案もここ数年かありまして、そこの独禁法の絡みのところは、今回の法改正、議論としては見送られる形となっていると理解をしているんです。

 私は、最初に西沢さんと輕部さんに質問させていただきました農協のサービスの向上という意味においては、確かに、組合だからそれを除外するということも必要なんですけれども、本当に地域のライフラインも担ってきておりますし、地域において非常に存在感、影響力が大きいだけに、独禁法との問題というものはやはり正面から向き合っていく必要があるんじゃないかな、そういう思いを持ってきておるんですが、上坂会長のお考えを伺いたいと思います。独禁法とのかかわりについて、現状でいいのか、これからどうあるべきかというところを教えていただきたいと思います。

上坂英善君 非常に難しい問題であります。

 販売、購買での、私どもは共同購入あるいは共同販売、県下のそれぞれのお米なんかも集めてそれを共同で売るという形について、一応今はその適用除外の中で対応させていただいておりますけれども、これが独禁法の規定から外れるということになれば、根本的に事業の仕組み方そのものが変わってくるというふうにも思いますし、まだ私どももそこまで突っ込んだ検討はしておりませんけれども、現状のような形で、私どもはやはり協同組合としての販売、購買等の業務を中心に一応今は考えておりますし、考えたい、こう思っています。

 ただ、今おっしゃるように、もう少し突っ込んだ形でこれは研究せにゃいかぬのかもしれませんけれども、まだそこまで私は今至っておりません。どの程度お話しすればいいかわかりませんけれども、今はそういう状況でございます。

井出委員 結構です。ありがとうございます。

 再び西沢組合長にお伺いしたいんです。

 お話の中で役員の、理事の話がありまして、理事が二十八人、監事が七人のうち、認定が十人、五人が集落営農と。お話の途中で、地域のリーダーを選任するというお話から、単純に、人数で認定農業者をこれだけの割合というのはいかぬという問題意識かと思うんです。

 むしろ、上坂さんも同じようなお話をされていたと思うんですけれども、今の農協の現状を見ますと、そのままでも、余計な法改正をしなくても、だんだんだんだん、輕部さんもおっしゃっておりましたが、担い手ですとか大規模な取り組みをされている農業者が農協の中心に自然となっていく、そんなようなお考えがあるかどうかを西沢さんにお伺いしたいと思います。

西沢耕一君 私のところは十三支店あるんですけれども、合計で二十八人の理事がいる、そのうち十人が認定農家ということでありまして、今、何も制限しない状態で理事の選任をしてもらっている、結果として十名の方が認定農家ということであります。

 その年によって、改選期によって、それがふえたり減ったりいろいろしているわけでありますけれども、認定農家の方あるいは集落営農を形成される方が少なくなれば、当然理事の中で占める割合も減っていくというふうに思うところであります。

 それを仮に半数以上というふうに限定しますと、先ほども言いましたように、最初から選任の仕方を認定農家あるいはいろいろな経験のある方というふうに限定するということになるわけでありまして、限定されるとなかなか選任が難しくなる、仮に兼業農家であっても非常に農業に対して意欲のある方が逆に選任できない、そういうケースになるわけであります。

 支店ごとに地域差がありますし、認定農家の多い支店もあるし別の支店もある、いろいろなケースがあるわけでありますけれども、限定されると非常に実務としては、現場としてはやりにくいというふうに思います。

井出委員 ありがとうございます。

 次に、小川さんに農業委員会のことについて伺いたいんです。

 私は、今回の改革部分の農業委員会に関するところは非常に厳しく受けとめておりまして、農業委員が半数になって、農地の最適化推進委員が出てきて、一方で中間管理機構の方に多額の予算を投入して、そちらに農地集約をしやすい仕組みをつくって、いずれその中間管理機構も、何か現場を駆け回る、最適化推進委員と同じような役割の職員をこれからどんどんふやしていくんだ、農林水産委員会のこれまでの審議の中で、大臣や官僚の方からそういうお話をいただいております。

 私の端的な危機感としては、今回の改正で農業委員会のお仕事、役割が、一層形骸化を進める形となって、地元でも話しているんですけれども、いずれ農業委員会がなくなってしまうのではないか、そういう危機感を持っております。

 確かに、農地の集約も大転換だと思うんですよ。戦後、耕作をしている人に土地を与えて、それを行政から独立した人たちが管理をしてきて、皆さんたちで管理をしていただいてきて、ただ、それが、耕作している方と土地を持っている方のマッチングが、時代によってまた離れてきてしまっている。

 ですから、管理機構を設ける方向性も一つの筋だと私は思っているんですけれども、もう少し農地中間管理機構と、あと、これまで現場で、農地に対する、また農家に対する数多くの知見を有されている農業委員の皆さんが、もっと一本化してというか一体化してやっていかなければいけないと思うんです。

 そのあたりの、今後の中間管理機構と皆さんとのあり方、あと、これからの農地をどういう方向性で、再編成といいますか集約をしていくことが農家の皆さんのためになるとお考えなのか、その辺を教えていただきたいと思います。

小川廣行君 中間管理機構なんですけれども、本当に、それも先ほどと同じように、何か前が見えないというふうに私は思っております。

 ただ、中間管理機構は、借り上げた農地を、いいところで借り手がなかったら地権者に戻す、こういうようなことも書いてあるわけなので、それについては本当に何と楽な形の機構かな、こんなふうに思っておるところですけれども、ただ、では、先ほどから出ています棚田とか、基盤整備のしていない小さい農地を中間管理機構が借り上げていただけるのか、でなければ必ずそこに耕作放棄地が生じるというおそれがあります。

 ですから、当然中間管理機構と地域の農地に対しては連携をとってやっていかなければならないけれども、まだまだ中間管理機構の中身といいますか、内容をもっともっと検討していただくところがあるんじゃないかな、私はこんなふうに思っております。

井出委員 済みません、ちょっと繰り返しになりますが、そうしますと、今は中間管理機構の中身が見えないと。政府からすれば、私はもっと農業委員の力をかりて一本化してやっていってほしいということを申し上げているんですけれども、とりあえずは連携してやっていきますというところで、政府側のそういう答弁なんですけれども、なかなかその連携についても、まだ全く見えていないというようなお考えでしょうか。

小川廣行君 現在、石川県では管理機構を利用しておるのが二割、今ちょっと事務局の方にお聞きしたんですけれども、二割程度であると。中間管理機構とは、私どもはまだ一遍も直接お話をしたことはありません。これもやはり、農協さんの方も非常に力をかしていただいているというのも事実であります。ですから、農業委員としては、本当に少ない人数の中で、そこら辺も皆かばっていこうとすると、大変無理がかかるというのも現実であります。

井出委員 ありがとうございます。

 輕部さんにお伺いしたいんです。

 最初に、平成九年に移住をされてきて、外からいらっしゃった、そういうお話があって、私も、実は、ずっと東京とか埼玉とか東北におりまして、地元の長野県に外から来たんです。ですから、外から見える地元のいい点、また外から来たから見えない点も私自身もあるなと思うんですけれども、農協について先入観がないとか、意外にフラットに農協を見てこられたというお話があったかと思うんですが、そこのところをもう少し、御自身がいらっしゃって、活動してくるときに思った、輕部さんが感じられた農協と、ずっとお仕事されてきて、今感じる農協についてのお考えを教えてください。

輕部英俊君 先ほども述べたとおりなんですが、私が十八年前に入ってきた段階でやはり周りから聞こえてくるのは、余りいい情報ではないというか、評判ではないというようなところが正直ありまして、私はそうなのかなという思いでずっと見ながら事業を行い、農協さんとはおつき合いしてきたんですけれども、とりたててそんなでもないんじゃないかなということを今でも思っていますし、もうちょっと言いますと、やはり日本の農業を変えていくというか、しっかりとやっていくには、法人、大型法人だけでは無理だと僕は思います。六次化だけでも無理だと思います。

 そういった意味では、いろいろな方策があるんですけれども、その中に、やはり農協さんというのは大きなキーだというふうには僕は思っております。

 以上です。

井出委員 もう一点伺いたいんですが、農協の皆さんもそれぞれ改革の取り組みをされてきて、私の地元でも、農協もどんどん自己改革を進めてくださっているなというところは感じるんですけれども、私が今、輕部さんにお聞きしたかったのは、外からごらんになっていて、農協が変わってきたなというところが、御自身が最初いらっしゃったときと今とで、何か感じるところがあれば教えていただきたいと思います。

輕部英俊君 その点につきましては、まだ特段、誇張してお伝えするようなことは余りないですけれども、やはり今後は変わっていってほしいという思いがもちろんありますし、変わっていかない限り、繰り返しになりますけれども、日本の農業は成り立たないというふうには思っております。

 以上です。

井出委員 きょうは本当にどうもありがとうございました。今後の参考にさせていただきます。

江藤座長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 きょうは、四人の、各社長また会長の皆さんに御臨席賜りまして、このように地方公聴会を開催させていただきました。大変貴重な御意見、また、これまでの意見交換の中でも、今後の日本の農政のあり方について根幹にかかわるお話もいただいて、大変感謝申し上げる次第でございます。

 それから、本当にうれしいことに、北陸新幹線金沢入りということで、先ほど冒頭の方でもお話がありまして、関心を持っている一人なんです。

 私は北海道の選出で、それも北海道の一番北の方の選出なんですけれども、かつては北前船というのがありまして、北海道の利尻島、礼文島から始まって、石川県、さらに山口県、さらに瀬戸内海を通って大阪まで、これが江戸時代等の日本の経済の背骨みたいなことだったんですけれども、それが今度は北陸新幹線金沢開通ということで、まさにいろいろな意味での、農業も含めて、この北陸の経済の活性化と、また新たな、平成の北前船と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、そういうことが期待されるんだろうと思っています。

 そういう中で、きょうは農協法等の改正のお話になりますけれども、この後何点かお話をお伺いしたいと思っていますので、よろしくお願いさせていただきたいと思います。

 座らせてもらいます。

 きょう、先ほど来の意見交換の中で一つありましたが、私も本会議あるいは委員会等で質疑をさせていただく中で、やはり我が国の農業が成長産業化をしていく、そして農家の方々の所得を向上させていく、あるいは、農村地域のこれからの将来を考えたときに、やはり社会的な側面も含めて、しっかり応援をしていかなきゃいけないだろう、こういう視点に立っての法改正であると思っております。また、そうなければいけないと思っています。

 ただ、そういう中で、大事な視点として、私はいつも申し上げているんですけれども、四つほど申し上げると、一つは、改正は農業の成長産業化に資するものであるということ、それから、単位農協の担う地域のライフラインを重視するということ、それから、准組合員の事業利用規制は現実に即した方向で検討しなければいけないということ、それから、農業委員は公的代表者であり今後も役割を果たす制度を構築すること、当たり前のことですけれども、そのことを主張しながら議論を進めてまいりました。

 それで、先ほど来の意見交換の中で、一点だけ私の方から申し上げておきたいと思うんです。

 農協の理事の過半を認定農業者あるいは法人経営のプロとするということですけれども、これとあわせて、農業委員会の委員の過半を認定農業者とするということでございますが、これはもう少し正確に申し上げますと、私も委員会の質疑等で確認をしておりますが、これは政府側答弁の中で、原則どおりの役員構成とすることが困難である場合は適用の例外の措置をする、それから制度の運用に当たっては現場の実態に合わせた適正なルールになるように十分配慮していく、これは、今後の政省令ですとか、そういう中にどういうふうに書き込んでいくかということだと思うんですけれども、そんなことがありますので、ここは確認をさせていただきたいというふうに思ってお話を申し上げました。

 さて、質問をさせていただきたいと思うんですが、まず輕部社長さんにお伺いしたいと思います。

 質問の趣旨は、二つありまして、一つ目は、先ほどのお話の中にも出ておりましたが、もう少し確認と、あるいはそれに補足するものがあればということでお聞きしたいと思うんです。

 JAというのは、やはり協同組合という性格ですから、そういう中で、どちらかというと大型農家というか大規模農家との取引というのがなかなか難しい面もあったんじゃないだろうかというお話がありました。

 今後は、そこを、今回の法改正も踏まえて、あるいはそれ以外のことでも結構ですけれども、どうやったら大規模農家の方々とJAとのお取引がしていけるか、期待も含めてお話しいただければと思っています。まずそこからお願いいたします。

輕部英俊君 今後につきましては、これも再三申し上げておりますが、例えばですけれども、機械の利用、こういったあたりも、稼働率をさらに上げて、利用料をもらえれば農協さんとしても収入があると思いますし、大型農家なんかも、そこでそういったものを活用させていただくということでメリットが出てきますので、そういったところで地域の農業全体を支えていくということをしていただければいいと思います。

 例えば、先ほど申し上げた、我々は特別栽培米なんかをつくっておりますが、例えば六星米という名前、ブランドで売っておるんですけれども、量の問題であったり、ブランディングする上でも、やはりそれには限界がありますので、やはり僕は、もっともっと産地化であったり地域というものを意識していかないといけないんじゃないかなというふうに思っていますので、そういったときに、ブランドあるいは流通なんかを統括していく上でも、機械なんかも一緒にしてもいいんじゃないかなというような期待をしております。

 以上です。

稲津委員 ありがとうございました。

 もう一点、輕部社長にお伺いしたいと思うんですけれども、今度は、農業委員会の制度の中で期待するものということでお伺いしたいと思うんです。

 冒頭お話がありましたときに、会社の方では二百五十人の地権者の方々がいらっしゃるというお話で、これは、私のような北海道にいますと驚くような数字なんですけれども、その中で、やはり事務手続が非常にボリュームがあって大変だというお話がありました、なるほどと思ったんですが。

 そこで、今後、中間管理機構の中でそうしたものを事務移譲してやっていただくとか、あるいは、農業委員会がそこに最適化推進委員も含めて関係してくるとか、いろいろなことが考えられるかもしれないと思うんですが、この辺についての、もう一度、実際の状況と、それから、今回の農業委員会の制度の改正の中で、では、ここはこんなふうに期待したいなというのがありましたらお願いしたいと思います。

輕部英俊君 農業委員会のこれまでの役割というものはかなり評価をさせていただいているというところではありますし、ちょっとやはり、はたから見ていますと、やることがたくさんあり過ぎるんじゃないかなと思うようなところは今までありました。事務的なところ、あるいはきちんと審査をする、そこに耕作放棄地なんかがないように地域を守っていくんだというようなことで、かなりやることが凝縮されていた委員会ではなかったか。

 今後、それで、中間管理機構ができて、事務的なものをそういったところに委託というか、すみ分けをして、農業委員会については、本来のやるべき姿である地域の農地を守っていくということが、きちんとすみ分けができれば非常にいいのではないかなという期待ですし、中間管理機構については、ではそこまでの事務処理能力が今備わっているのかというのがちょっと疑問ではありますけれども、そういう期待をしております。

 以上です。

稲津委員 ありがとうございました。

 それでは順番にお伺いしてまいりますけれども、次は、上坂会長にお伺いしたいと思うんです。

 上坂会長には二点お伺いしたいと思うんですが、まず一点目は、JA中央会のことがいろいろと議論をされ、注目されているんですが、一方で、都道府県の中央会の組織体制がどうなるのかということについては、十分な議論が国会の中でもまだそんなに進んでいないような気もいたしまして、これから詰めの段階の議論をしていきたいと思うんですが、会長のお考えからして、都道府県の中央会というのは今後どうあるべきか。例えば、現状のままでいいということも想定されますけれども、そのことをまず一つお伺いしたいと思います。

上坂英善君 今おっしゃったのは、私どものいわゆる県段階が連合会になる、その連合会のあり方の問題ですか。そういう御質問でしょうか。(稲津委員「そうです」と呼ぶ)

 監査が外へ出るということは、全中の段階で一応決まっていますね。しかし、県段階では、恐らく県域連合会の中でその業務も取り組んでいかなきゃいかぬのだろうというふうな思いと、経営相談あるいは代表機能、これは今までもそうですし、今後も私は変わらないというふうに思っていますので、とりたてて、今、中央会の機能を全くがらっと変えなきゃいかぬということには、思っておりません。

 ただ、それぞれこういった形で、私ども、自分たちが出した改革案が出ていますので、そのことに沿って、今まで以上にスピーディーに、また内容を突っ込んで、例えば県下の農業生産体制をどうするか、あるいは農業所得向上についてのいろいろな施策を、やはりしっかりJAの皆様方と一緒にもんで、それぞれそれを具体化していかなきゃいかぬという面で、今までと同じでいいとは思っておりませんけれども、業務の種類は同じだと思いますけれども、内容はもっともっと突っ込んだ形にしていかなきゃいかぬだろうというふうに今現在では考えています。

 以上です。

稲津委員 ありがとうございました。

 それで、もう一問お伺いしたいと思うんですけれども、これは、直接今回の法改正にかかわらないかもしれませんが、関連で、ぜひ石川県の農業ということでお伺いしたいと思うんです。

 それは、今後の石川県の中央会の、先ほど若干触れていただきましたけれども、今三カ年等の計画を立てていらっしゃるというお話がありました。そこで、紹介できるものがありましたら、こんなことを考えているところを伺いたいと思うんです。

 それは、なぜそういうことを聞くかというと、実は、事前の省の方からの説明ですとか、あるいは先ほどの会長からのお話にもありましたが、食味のいいブランドのお米をベースにして、園芸作物とか野菜等々については大変今力を入れていらっしゃる、こんなこともありました。これから恐らくいろいろな意味で注目をされる、そういう事業があるかなと思うんですけれども、いわゆる成長戦略という視点から考えたら、ぜひ、そういったことについての県中としての計画の中身について、少し触れていただけるものがあればお願いしたいと思います。

上坂英善君 正直申し上げて、第三十七次のいわゆる中期計画は、私、まだ手元で骨子を見ておりません。今から私ども、それぞれの地域で、各農協と一緒につくる。ことし、ちょうど十月が全国農協大会の年に当たっておるものですから、その時期を一つめどにして、私ども、それぞれ県内で内容をまとめていこうというふうな思いでおりますので、それ以上のことはちょっとわかりません。

 ただ、先ほど申しましたように、私、新たということじゃなくて、昨年就任したときから思い描いていたことですけれども、石川県はやはり良質米生産の、コシヒカリを中心にして、ゆめみづほとか幾つかの品種、たくさんあります。そういう中で、お米の品質向上をさらに突っ込んでいくということは当然ですけれども、それとプラスアルファの農業体系を、それぞれの地域で特徴のあるものを選び出して、そこで生産を拡大していきたいなというふうな思いを持っています。

 と申し上げますのも、皆さん方も御承知のとおり、我が石川県は、全国のちょうど中間のところにあるだけに、結構暖かいところの品目も寒いところの品目もできる地域なんです。そういうふうなこと等も含めれば、県内での選び出せる品目もたくさんありますし、現在栽培されておるものも非常に多いというふうに思っております。それぞれの地域に合ったものをそこでやはり伸ばしていくということが、お米ともう一つ、それを入れることによって、所得向上の一つの絵になるかなというふうな思いでおります。

 ただ、大きな面でできないときには、私どものところでは、直売所、ほがらか村というのを今金沢は三カ所持っていますけれども、各JAの皆さん方、それぞれそういった形の直売機能の直売所を持っていらっしゃいます。ある程度そこでの販売が可能でありますし、できることなら、県内のおもてなしだけではなくて、私どもも今現在、大阪中心に関西の方へかなりの量の青果物が行っていますし、東京へも品目が幾つか出ております、そういったところへどんどん販売していきたい、こういうふうなことを思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 次は、西沢組合長にお伺いしたいと思うんです。

 先ほど、JAの中の取り組みを説明いただいて、大変関心を持ちました。特に、コマツさんとの連携の中で、ICTの農業ですとか、それから特に、道の駅の話がありまして、地方創生が今いろいろと議論されていますけれども、その中で道の駅を中心とした地域づくりということもありまして、関心を持って聞いていましたが、道の駅をどういう形でJAで関与されているかということについての説明が、ちょっと私が聞き漏らしたかもしれませんけれども、そこをぜひ一つ触れていただきたいなということと、もう一点、これは先ほど来お話もありましたが、重ねてお伺いしますけれども、准組合員の利用制限について、ここはこれから時間をかけて議論をしていくことになっているんですけれども、そこに対する御意見で、先ほども御説明ありましたけれども、重ねてお伺いしたいと思います。

西沢耕一君 道の駅については、経営全般、管理全般をJA小松市が行政から受託して行っているということであります。

 運営している目的は何かというと、そこで農産物の直売をするということによって、生産者、組合員の所得向上につながる。それから、先ほども言いましたように、レストランでは地元の農産物を食材として使って、また、できるだけ地元の調理方法でつくって食べてもらう、そのことも生産者の所得の向上につながるということから、管理全般について運営しているということであります。経営全般、全て扱っているということであります。

 それから、准組合員の利用についてどうかということでありますけれども、先ほども言いましたけれども、私のところは一万七千人のうち一万二千人が准組合員ということであります。ただ、事業の全体額からすると、約四割は准組合員の方が利用しております。もし仮にそのことが制限されると、農協の運営全般、経営全般に非常に大きな影響が出るというふうに思います。

 この農協法の改正というのは、農業を成長産業にしよう、あるいは農家の所得を向上させようということでありますけれども、それを制限すると、むしろ逆行するというふうに思います。

 先ほども言いましたけれども、私のところは四十人前後の営農指導員がおります。その給料を負担するのは、どうやって負担しているかといいますと、もちろん米一俵に対して幾らかの手数料、青果物についても幾らかの手数料をもらって、営農指導員の給料を賄うところでありますけれども、とてもそれでは賄い切れない。

 また、米についても、あるいは青果物についても、いろいろな生産設備があります。カントリーエレベーターとか、ライスセンターとか、育苗センターとか、野菜については選果場とか、いろいろな設備があるわけでありますけれども、当初、つくるときには国庫からの補助金ももらえますけれども、非常にお金がかかる、多額のお金がかかる。運営についても、継続するには多額のお金がかかる。

 人、物、金、非常にかかるわけでありますけれども、それらは何で賄いされているかというと、信用事業、共済事業から生まれる収益によってその費用を賄いをしているというのが現状であります。私のところ、数字を申し上げれば、農業関連で、人件費を含めて、約四億ほど持ち出しをしている。農協全体の経常利益は六億ですから、ほかの事業では約十億充てているけれども、そのうち四億をそれらに使っているということであります。

 収益が上がる事業について准組合員の利用を制限するということは、それらをとめるということでありますから、むしろ地域農業の振興や農業所得の向上には逆行する、私はそういうふうに思います。

 以上です。

稲津委員 時間になりましたので、終わります。

 小川会長にもお伺いしたかったんですけれども、お許しいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

江藤座長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 私も北海道選出です。どうぞ、きょうは長い時間の話となりましたけれども、最後になりますので、よろしくお願いいたします。

 座って質問をさせていただきます。

 四人の方から大変参考になる御意見を聞くことができまして、本当にありがとうございます。これからの審議にも、私の質問にも役立てていきたいというふうに改めて思います。

 初めに、輕部社長さんに伺います。

 六次産業化の模範とも言えるような活動をされて、御苦労ややりがいもあったのではないかというふうに思います。その中で一つ御苦労されたのは、やはり農地の確保もあったかと思うんですね。先ほど稲津委員からも御質問ありましたけれども、地権者二百五十人から千五百筆ということで、農業委員会の仲介があったことで大きなトラブルがなかったというお話でした。

 そこで、実務的なといいますか業務的なことについては、先ほど輕部社長さんから御意見をいただいたんですけれども、農業委員会については、小川会長さんから、農地を動かすためには顔の見える信頼と信任が大事というお話がありまして、実際、輕部さんの立場、生産者の立場から見て、先ほどお話をされました実体験も踏まえて、改めて、農業委員の役割についてどのようにお感じになっているか、御意見を伺いたいと思います。

輕部英俊君 これまでの農地のふえ方というのは、年々という増加の仕方だったんですけれども、最近は少し硬直しております。

 そこに至るまでの間なんですけれども、実は私どもはとりたてて積極的な拡大ということではなくて、地域が金沢に比較的近いということで、兼業率が非常に高かったというような地域性もありまして、自然にふえていったというのが私どもの経緯です。

 もう一つ言うと、基本的には私ども自身は相対で、私どもの信用という中で土地をお借りしたということで、その後、農業委員会の方できちんと承認をしていただくというような流れでありまして、先ほどは一般論で申し上げた、トラブルがなく今まで来たということでの話ですので、農地の拡大については、我々のところとちょっと順序が違ってきたところではありますので、引き続き、その辺で農業委員会がきちんとした位置づけで役割を担っていくことを期待しております。

 以上です。

畠山委員 ありがとうございました。

 そこで、かかわって、小川会長さんに先にお伺いいたします。

 先ほど私からも紹介したように、小川会長さんからは、農地を動かすためには顔の見える信頼と信任が大事ということを伺いました。

 現行法では、農業委員の要件について、区域内に住所があることや一定の規模で耕作の業務を営む者というふうになっています。こういうことが、私は、農業委員を地域から選ばれていくことの肝となる部分ではないかというふうに思っています。

 ただ、この要件が改正法では、なくなっています。今も農業委員の確保はすごく大変だとどこでもお話を伺って、このような要件を外すことによって人を確保しやすいというような説明もお伺いはするんですけれども、ただ、農業委員の果たしている役割から考えたときに、素直に読んだら、このような改正で本当にいいのかな、これで地域に足場を置いて、顔の見える農業委員会と言えるのかなということは私は疑問に思っています。

 地域に根差した農業委員をふやすというのであるならば、地域の農家の生産基盤や経営の安定を進めて、裾野を安定して広げていくということが本筋、最優先だというふうには思うんですけれども、いずれにしても、このような委員の要件が変わることについてどう思うかが一つと、私が最後ですので、今回大きな改正の中心点である公選制を変えることについて、言い残したことなどがありましたら、あわせて伺いたいと思います。

小川廣行君 ありがとうございます。

 農業委員の、先ほど言われておりましたけれども、認定農業者が過半数要る、これにつきましてちょっと先に説明していいでしょうか。

 加賀市においては委員が二十四名、そのうち十人が認定農業者であります。四二%になるわけですけれども、石川県においては平均で二七%、こんなような状態であります。ただ、やはり若者が少ないというのがこの中でもかなり出てきておるんじゃないかなというふうに思っております。

 それから、今の質問でありますけれども、顔の見える農業委員会、地域に密着した農業委員ということであります。

 今ほど六星の社長さんから言われましたとおり、やはり六星さんの場合は、本当に、もともとが地域においでで農業を営んでいた方々がこうして六星という会社を立ち上げております。それでもって、その農家の方々は信頼もできるし、安心もして農地を提供することができる、そんな中で、農業委員としては、それに対して、何の心配もなくお貸しすることができるし許可をおろすこともできるというふうに思っております。

 公選制でありますけれども、これは反対もすることもなく、国がこの方向で持っていこうということであります。ただ、やはり、さっきから出ております推進委員と農業委員の問題はただただ難しいものがある、こんなふうに絶えず思っております。

 推進委員も農業委員と同等のあれであり、そして同等の力である、対等である、こんなふうにうたわれておるわけですから、それについて、果たしてどちらに主導権が握られていくかというと、恐らく推進委員の方が農家の方に密着した、顔の見える運動になると思うし、農業委員としての価値というものがやや心配される面もあるのは、私の感想であります。

畠山委員 ありがとうございます。

 今度は西沢組合長さんにお伺いいたします。

 役員の構成の問題について、多様な方がいた方が経営の適正な判断ができるという趣旨の御意見がありまして、この点は私も同感です。協同組合という組織ということから考えて、組合員の意向や実態を最大限踏まえて経営判断するということは大切だということは言うまでもない話でして、それが経営規模や専業であるか兼業であるかとは違う、リーダーがリーダーたる協同組合の中でのゆえんだというふうにも思います。

 それで、今回の改正案の方向では、先ほどおっしゃられたように、私は経営判断で偏りが出るのではないかという心配や、営利を最優先とする方向などへ進むおそれがないかということなども懸念しているのですが、実際、このような改正がされたときに心配されることなどは、西沢組合長さんとしてどのようにお感じになっていることがあるでしょうか。

西沢耕一君 役員の構成、理事の構成について、今言われているとおりの法改正がもしされたら、法律が施行されればそれは必ず守るということでありますから、半数以上が認定農家あるいはいろいろな経験のある方ということで、選任の段階からそういうふうな条件をつけて選任してもらうということになるわけですけれども、結果オーライでそれがクリアできたということではやはりだめだというふうに思いますから、それぞれ選任の段階からと。

 さっきも言いましたけれども、支店単位で一人とか二人の理事を選ぶわけでありまして、この支店は認定農家、この支店はいろいろな専門家、この支店は兼業農家でもいいよ、そういう選任の仕方はなかなか協同組合では不可能というふうに思います。そうすると、一定の条件をつけての選任ということになりますから、非常に限定された形での役員選任が想定されるということであります。兼業であっても専業であっても、意欲のある方が農協の経営に参画する、農協運動に参画する、そのことができなくなる、自分はそういうふうに思います。

 もし理事の構成が、全部が認定農家あるいは集落営農の代表、いろいろな方がなった場合、何が想定されるかということでありますけれども、農協の利益とそれから農業者の利益とは相反する部分があるというふうに思います。さっきも言いましたけれども、例えば肥やし一個、肥料一つ、農協から生産者に売る場合に、一割の手数料を取るか、二割の手数料を取るか。農協の収益は二割の手数料の方がいいに決まっているんですけれども、農業者から見れば一割の方がいい。正しい判断ができる方ばかりならいいんですけれども、そうではない方がもし役員になられた場合はどういうふうになるのか、大分混乱することが想定されるというふうに思いますから、多様な意見をベースに運営を行う方がいいんではないかな、私はそういうふうに思います。

 以上です。

畠山委員 ありがとうございます。

 次は、上坂会長さんに伺います。

 今、西沢組合長さんから農協の利益あるいは農業者の利益という言葉がありました。今回の改正において、これは私は非常に大事なポイントだろうというふうにも思います。結局、何のための今回の改正なのかということにかかわってくるのではないかというふうに思います。

 そこで、上坂会長さんは、先ほど、同じ、役員にかかわる部分で、系統に対する考え方が役員には必要ではないのかというお話だったと思います。役員の選考というのは、企業でももちろんそうですけれども、経営全般の方針に密接にかかわってくると思います。

 そこで、今回の改正において、現行法でいえば第八条の農協の基本的性格にかかわる部分においての改正がありますが、これについては、私としても農協が利益を上げること自体はもちろん否定をするものでもありませんし、利益を上げることに誤解があるから今回削除しますというような政府の答弁もあるんですが、協同組合として、組合員に最大限に奉仕する立場で、例えば実際の運用においてはこれまで、期中であっても、去年のような米価下落があったときに、期末に上がるであろう利益を前倒しして支援をするというようなJAもあっただろうというふうに思うんですが、このような形で、上がってきた利益がどのように組合員に還元されていくかということが大事であるし、本旨だったろうというふうに思うんです。

 私から見れば、今回の改定は、農協が株式会社に導かれていくような内容ではないのかなというふうには思うんですけれども、今述べた、今回の、基本的な性格が変えられてしまうのではないかという懸念が私はあるんですが、それと役員要件の改正の関係について、どのようなお考えがあるか、お聞かせください。

上坂英善君 今の御質問について的確な答えができるかどうかわかりませんけれども、先ほどありました七条絡みの農業所得の項ですね、そのさきにたしか最大の奉仕ですか、この表現が何か入っているようにも聞いておったわけですけれども、ここの項の整理だけでも私はいいんじゃないかと思います。

 農業所得を上げることは、我々にとってみれば、組合員の農協としての基本になるところだというふうな理解をしておりますし、冒頭、説明でも申しましたように、営農と暮らしの向上ということの中で我々は何をするかというと、やはり農業所得の向上を第一義に考えているんです。

 だから、それを表現しようとしまいと、私どもはその基本的な考え、理念の中にはそれを持っているというふうに理解すれば、私どもはやはり組合員に最大の奉仕をする、これが協同組合の基本理念であり、私どもはやはり一番達すべきことだというふうな理解をしています。

 農業所得、そして、その所得から上がった利益を事業配当に回す、あるいは投資に回す、これは当然、今までも私どももやってきています。だから、あえてここでそのことまで触れなきゃいかぬのかなというのがちょっと私は気になるところです。これは、先生方がまたいろいろな角度から検討していただくことだと思いますけれども、私どもで考えるところでは、これをあえて必ずここへ入れなきゃならぬとは私は個人的には思っておりません。

 それと、今申しました中で、私どものJAでもそうでございますけれども、やはり農業関係から上がった利益だけでそれができるかといったら、それはできない。先ほど西沢組合長が申しましたように、総合事業の中で生み出された利益を私どもは事業利益配当、私のところの農協でも、販売高に対しても事業配当しております。

 そういうふうな形、あるいは米に対しても出しておりますけれども、そういうことは、もちろん、それぞれの事業の対応について、各JAによって、それぞれの内容で判断をいただいているわけでございますけれども、当然しなきゃいかぬことをあえてその法の中でどこまで表示をするかということになると、非常に判断は難しいと思います。

 私どもは、それでも、やはり法律で定められた内容に従って処置するしかございませんので、できることなら、先ほどの理事の問題もそうでございますけれども、もうちょっと柔軟な形で判断、我々が処置できるような法の整理をしていただきたい、こういうふうに思っております。

 以上です。

畠山委員 ありがとうございます。

 時間ですので、最後に西沢組合長さんにもう一つお伺いさせていただきます。監査の問題です。

 会計監査と業務監査において、公認会計士の問題はクローズアップされていますけれども、業務監査が任意となるということも、一つ今回においては大事な点でないかというふうに思います。

 農協らしい運営や農協らしい活動においては、この業務監査において、それが屋台骨の一つとしての役割を果たしてきたのではないかというふうに思うのですが、監査の問題について、改めて、業務監査が任意になったということについての受けとめやお考えを最後にお聞かせいただければと思います。

西沢耕一君 農協全般を運営する責任ある立場の者からして、自分がやっていることを、自分たちがやっていることが正しいかどうかということを外部の目からはぜひ見てもらいたいというふうに思うところであります。一年間の活動については決算書の中で反映されるわけでありますけれども、その方が、実際、どのように活動しているか、それが適正なのかどうなのか、それを外部の目からはぜひ見てもらいたいというふうに思っているところであります。

 現在、全国監査機構の監査と、それから行政、農協の監督官庁は県庁の方ですから、県の監査と、二つのところから外部監査が入っているところでありますけれども、数字の監査ばかりではなくて、適正な業務執行がされているかどうかということをぜひ全国監査機構の監査でも継続してほしいな、そういうふうに思うところであります。

畠山委員 時間が迫ってきましたので、私の方からの質問は終わりにさせていただきます。

 本当にきょうはありがとうございました。終わります。

江藤座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様方におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。

 本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後一時七分散会

    ―――――――――――――

   派遣委員の山梨県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十七年六月八日(月)

二、場所

   アピオ甲府

三、意見を聴取した問題

   農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出)及び農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出)について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 吉川 貴盛君

       加藤 寛治君   齋藤  健君

       中谷 真一君   岸本 周平君

       佐々木隆博君  松木けんこう君

       石田 祝稔君   斉藤 和子君

 (2) 現地参加議員

       堀内 詔子君   宮川 典子君

 (3) 意見陳述者

    有限会社ぶどうばたけ取締役          三森かおり君

    巨摩野農業協同組合代表理事組合長       小池 通義君

    梨北農業協同組合常務理事           仲澤 秀美君

    楽農人農園主

    山梨市議会議員     深沢 敏彦君

 (4) その他の出席者

    参議院議員       森屋  宏君

    農林水産省大臣官房審議官           山口 英彰君

    農林水産省関東農政局長 末松 広行君

     ――――◇―――――

    午前十時十五分開議

吉川座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院農林水産委員会派遣委員団団長の吉川貴盛でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 皆様御承知のとおり、当委員会では、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の審査を行っているところでございます。

 本日は、両案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を承るため、当昭和町におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党の齋藤健君、加藤寛治君、中谷真一君、民主党・無所属クラブの岸本周平君、佐々木隆博君、維新の党の松木けんこう君、公明党の石田祝稔君、日本共産党の斉藤和子さん、以上でございます。

 なお、現地参加議員といたしまして、自由民主党の堀内詔子さん、森屋宏君が出席されております。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 有限会社ぶどうばたけ取締役三森かおりさん、巨摩野農業協同組合代表理事組合長小池通義君、梨北農業協同組合常務理事仲澤秀美さん、楽農人農園主・山梨市議会議員深沢敏彦君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず三森かおりさんに御意見をお述べいただきたいと存じます。

三森かおり君 それでは、意見を申し上げさせていただきます。

 私は、有限会社ぶどうばたけ、三森かおりと申します。

 私は、現在、勝沼町菱山地区を中心に、甲州市、実家である山梨市の二市にわたり、認定農業者として、六ヘクタールの圃場で生食のブドウ四十八種類以上を栽培し、自社の直売店を中心に、顧客の販売だけでなく、通販、外販、系統出荷など、チャンネルを多く販売しております。

 また、同敷地内では、昭和七年から、大日本国から免許をいただき、地域の農業者とともに、現在も手搾りの醸造所を地域の方々とともに行っております。

 自社では、二〇〇六年の会社法が変わるときに法人化しました。高齢化、農家の子弟が農業を継がない現在、農業の後継者を育てることと農業の可能性を求めて、現在もさまざまな取り組みを行っております。

 私は、農家の娘として生まれ、農業で育てていただきました。夫、私とも代々続く農業者のアイデンティティーを持つ中で、貧しくても、次世代に伝承できるブドウ、ブドウ酒をつなごうと思っております。

 冒頭に、自社では、昨年の雪害で、実家から借りているハウスが倒壊しました。今回の処置に関して、雪害を受けた農業者の一人として感謝を申し上げます。どうもありがとうございました。

 この問題に関して申し上げます。以前にも私、呼ばれたこともありますが、農協改革を農業者が本当に理解しているかということと、現地とのコミュニケーションが不足している、まずこの二点を先に挙げさせていただきたいというふうに思っております。

 以前、農水省の審議委員や昨年の果樹部会などを初め、農水省に伺うことも多々ございますが、常に思うことは、国の思うことと現場ではなかなか開きがあり、四十七都道府県、歴史、文化、気候など、一概に農業と申しましても、日本の農業の中心である米を初め、畜産、野菜、花卉、果樹などさまざまであり、平地、中山間地、都市農業と、農業のあり方も全く違うということであります。これを全て一緒にするということは、とても難しいというふうに思っております。

 私たちは、現場の農業者の一人として、国が思うことを農業者に直に伝えているということがなかなか見えてこないというふうに常日ごろ思っております。

 今回の改革に関しては、私は、農協は、まず今までのとおりというふうなことではなく、今でも皆さん汗をかいているかと思いますが、一緒になって改革をすべきというふうに思っております。

 農業委員に関しては、法律の改善はございますが、以前と同じような仕組みではないと申しますが、なかなか、誰かが任命するということは、現場では、今までと同じような危惧をしているというふうに思っております。

 最後の農地法の改革に関しますと、私たち農業生産法人から名前が変わるということもございますが、これは、名前が変わるということだけではなくて、構造自体が変わるというふうに思うことであります。要は、国民自体がわかりやすい名前というふうに思っているところではございます。

 社会が変わり、時代も変わり、以前は地域密着の農業協同組合からJAという組織に変革して、私は、何だかとても使いづらくなったと感じているのが現状です。組織が大きくなることで、なかなか、現場の職員も動きづらくなることは、歴然としております。組織の方は、組織を守ることを念頭に置いて発言することが多く感じられます。しかし、現場の職員は、常に私たち農業者とともに問題意識を持ち、さまざまな角度で分析しておりますが、なかなか個人の発言は難しいと思います。

 私は、日本農業法人協会の女性の代表として理事も務めております。全国を見渡しますと、法人協会の先輩たちに意見を伺うことも多くございます。以前は、法人対農協というふうなことは、かなり各地で起こっていたかと思いますが、時代も変わりますと、地域でも関係性がよくなってきているというふうにも考えられております。自社でも、JAフルーツ山梨にはとても御理解をいただいているというふうに思っております。

 私たち農業者は地域とともに進みますので、JAとともにということはとても大切なことというふうには考えております。

 しかし、日本には複雑な流通構造があり、系統出荷から市場を通じ消費者に届くまでには幾つもの過程があり、ここでも価格が高騰しております。農業者の所得向上を考えるには、まず農協もやるべきことがあるのではないか、農家の手取りを少しでも多くするためには、この複雑な流通構造も考えなければならないというふうには思っております。

 私たちは、農産物の生産、販売、流通を全て農協にと言われますが、改革までできない一農家では、ここのJA組織に委ねるしかすべがございません。これも一緒に今回の改革の中で進めていただきたいというふうに切に思っております。

 私たち個人の法人では、系統出荷を初め、自社の農産物をどう有利販売できるかを日々模索しております。全量契約栽培みたいなことを今後は目指していかなければ、経営は安定していかないのではないかというふうにも思っております。

 農業改革を考える中、新しい組織の農地中間管理機構や、これから新しく農業委員会を編成されると伺います。山梨では、立体と棚の施設もある私たちみたいなブドウはなかなか進まず、また、現場での処理も難しいところです。理事の選出もあわせて、現在のやり方との整合性がうかがえるところです。

 先ほども申しましたように、地位や名誉でなく、なられる方が今現在多い農業委員会というふうには伺っておりますが、利権が絡むということでは、私たちは、四十代までの若手や女性を含め、地域割りも考えていただき、組織に関してきちんと物が言えるオンブズマンみたいなものも必要ではないかというふうにも考えます。

 この問題を考える中、農業に関する団体の多さと役割分担の明確さ、そして現場との対話の中、四十七都道府県でそれぞれの地域でもっときちんと話をする機会をつくることがとても大切であるかと思います。

 もちろん各県の、このような政治家の先生方にも一緒に現場に入っていただき、政治として見ていただくこともあるはずだと思います。中央からは農水省、それぞれのブロックの局、県、市など、敵対ということではなく、今後の未来の日本の農業のかじ取りをするのは地域であり、農業者であることは間違いないことなので、そのために何が必要か、また、支えてくれる消費者の意見もきちんと尊重しなければならないというふうに思っております。

 農業界は特別視されますが、国民も一緒に考えていただき、日本の農産物を買い支えていただく仕組みも必要です。

 中央で物を考え、末端まで浸透するにはスパンが必要です。農協改革には、まさに全てのかかわる方が一緒に話をする機会を設けて、それぞれがしっかり未来を見据えて話し合い、それに向かってそれぞれの役割分担をしっかり決め、数値目標を明確にし、それぞれが汗をかいて有利販売できるよう考えることが大切だと思います。それぞれの組織が一緒になり、今できる改革を明確にし、将来像を見据えて話し合うこと。

 水面下にあるTPP問題を初め、もっと地域で話す機会を設け、それぞれの地域の農業を今後どのようにつなげていくのか。

 後継者育成をどう考え、農家の子弟をまずは教育すること。

 現在の構造の中では農家がもうからない仕組みがあると思います。国民が日本の農業を支える仕組みも必要不可欠であります。

 法人化を進める中、法人に勤める社員の位置づけ、法人の社員の教育、集落営農の未来など、現場の問題点も考えなければなりません。法人には大小あり、小さい法人には、社員教育をまずきちんとすることができない現状もあります。

 ドイツのように、後継者、農家の子弟、法人に勤める社員をしっかり育てる場所を国レベルで考えることも日本でも必要ではないかと思います。

 私は、補助金は必要がなく、所得保障は必要だと思っております。

 私たち果樹は、損益分岐点も早く、全てが手作業、斜面では機械も入らず、農薬散布もとても厳しい中、現場で農業を行っております。私たちは、地域で耕作放棄地がなるべくないように借り入れを行っておりますが、年間雇用では人件費がウエートを占めます。日本の農業者の所得を上げるには、人件費の負担を国が永続的に行うこともぜひお考えください。雇用も安定すれば、しっかり働くこともできます。会社も面積を拡大でき、安定することは間違いありません。

 地方再生には一次産業の活性化は必須だと思っております。限界集落が進む中、地域の農業を支える日本の農業者がきちんと経営できるような改革を進めていただきたいと思っております。

 私は、現在、農業の現場として今回このような席に呼ばれました。未熟ですので、先生方の質問に的確に答えられるかわかりませんが、中山間地、果樹経営、女性の視点からしっかりお話ができればというふうに思っております。よろしくお願いいたします。(拍手)

吉川座長 ありがとうございました。

 次に、小池通義君にお願いいたします。

小池通義君 ただいま御紹介いただきましたJAこま野の小池通義であります。

 まず、申し上げておきますが、私は自由民主党の党員でありますことを申し添えておきたいと思います。

 突然のことでしたので、資料などは十分把握しておりませんので、私のスタンスでしゃべらせていただくことをお許し願いたいと思います。

 私の人生のナビには農協という経路はありませんでしたが、気がついたら、JAの組合長として三年を経過してしまいました。

 波乱万丈の人生をたどった経験から、まずマクロ的に申し上げますと、この組織は、生きた化石に近い、シーラカンスとは言いませんが、よき時代を余りにも謳歌してしまった結果が、今、政府による農協改革という名のもとに試練を受けている状態ではないでしょうか。農協改革は、農家、農協が時代の変化にフレキシブルに対応してこなかった結果、起こるべくして起きてきたと思います。ゆでガエルになるか、飛び出しガエルになるかの瀬戸際であったと思います。

 しかし、日本の農業、農協をフェードアウトさせてはなりません。

 国の改革案は、失礼な言い方ですが、群盲象を評すではありませんが、適切な捉え方ではありません。政府は、TPP、農業、農協改革、医療改革、集団的自衛権、労働時間の規制緩和へとまっしぐらであり、お金とか数値にしか価値を認めず、自由化、規制緩和が全てであるように見えます。農協改革もその受け皿づくりと言えるのではないでしょうか。

 日本国のビジョンが見えてきません。国家が栄えているのに地方は年々衰退していくのはなぜなのか。国が先にあったのではないはずであります。まず、地方、村が先にあったのであります。村が守れなくてどうして国家の価値が守れるのでしょうか。農家、農協破れて山河なしでは困ります。

 目先の利益を追いかけるだけでは、どんな社会にしたいかという理念は示されません。百年後、みんなが困らない社会をつくるには何が必要なのか。それは、自然があること、ただあるのだけではだめです。農業や漁業などの第一次産業が衰退しては生きていけません。自分たちの生活を豊かにするための手仕事を大事にしたい。それらはコミュニティーがあることで続いていくことになります。

 資本主義経済は成長し続けないと行き詰まります。生産拡大のためには需要をふやさなければなりませんが、今の日本では、必要なものは大体保有しておりますから、買いかえ需要くらいしかありません。欲しいものがないということは、成熟社会への移行のあらわれと言ってもよいと思います。

 我々は、今までとは違う価値観の社会をつくらなければならないときに来ていると思います。人と人が結び合いながら、ともに生きる経済を、ともに生きる社会を創造していくときではないでしょうか。共生とは、幸せを分かち合うことだと思います。

 四季の移ろいを肌で感じ、自然の恵みをいただき、収穫の喜びを味わい、人や自然に感謝の念を抱きながら、暮らしの中で心の豊かさを実感できる循環型の社会、持続可能な発展にしていきたい、その一翼を担えるのが農協組織ではないでしょうか。

 生意気な言い方をすると、これからの国家の百年の大計にのっとって日本の農業をどう捉えていくのか、国民が真の豊かさをいかに実感できる社会を構築していくのかという前提のもとに、農業、農協改革の政府案が示されるべきだったと思いますが、いかがでしょうか。

 それでは、ここからはミクロの部分で、短い経験の中でありますが、気がついた農協経営の問題点を捉えてみたいと思います。

 まず、JAこま野の地域での環境は、南アルプス市とエリアを同じくする地域であり、商工会、消防、警察なども地域を同じくする農協であります。

 本所が一カ所ございます。支所数が十七店舗、ATMが十九カ所、Aコープ二店舗、葬祭センター二カ所、ガソリンスタンド十一カ所、農機センター二カ所、農産物直売所が一カ所、自動車センターが一カ所、コイン精米機八台、共選場十六カ所、育苗センターが一カ所。職員は三百五十九人、そのうち正職員は二百五十五人であります。

 職員に対しての標語をつくりました。「私たちの雇用主は組合員です」、農協は出資者である組合員が雇用主であるということを、しっかり役職員は頭に刻んでいかなければなりません。「職員は最も賢い顧客でなければならない」、職員は、常に自分を顧客に置きかえて組合員と接することによって対応マニュアルを考えます。

 見返りの鏡を玄関、階段に設置してあります。鏡に映し出された自分を見て接客のスタンスを整える、そのことを基本にユニバーサルデザインのJAづくりを目指します。

 ここで、昨年の実績結果から各部門の事業利益に占める割合を見てみると、共済事業が全体の三八%、購買が三〇%、信用が二二%、販売七%、その他というのは加工とかそういうものでありますが、三%となっており、信用、共済の占める比率は六〇%となっております。農協改革で問われている信用、共済分離論からいうと、経営に大きく影響してまいります。

 農協のかなめは営農指導でありますが、この部門をあえて取り上げてみますと、現在、営農指導員は二十二人おります。この人たちの給与総額は一億一千八百万円になりますが、この部門は赤字計上になります。

 ちなみに、全職員の給与総計は十五億四千万円になります。その給与も、農協は決して高くはありません。ラスパイレス指数でいうと、農協は私になりましてから毎年二%くらい上げてきましたが、市の職員の一〇六に対し、農協は八〇台であります。しかも、ラスパイには賞与はカウントされませんから、その差も大きくあります。

 さらに、営農指導員の役目は日本の原風景の創出にも大きく貢献しておりますが、指導員の養成も農協は単独で行わなければなりません。一人前の果樹、野菜の指導員を育てるのに時間と経費も当然必要であります。

 これだけ国土を守り人々の心のふるさとの原風景をつくり出してくれている営農指導員の給料くらい国が見ても当然だと思いますが、いかがでしょうか。

 商工会の職員の給料は市町村で見ているということは、当然、国から交付金で賄われていると思います。

 さらに、我が農協においては、地域貢献として、指導員を中心に青色パトロール隊を結成し、管内の治安維持にも貢献しております。

 経済部門におきましても、地方創生の一翼を農協がいかに担っているかの例をお話ししたいと思います。

 現在、農協が経営するスタンドは十一カ所ございますが、九カ所は赤字経営であります。その金額は、トータルでマイナス二千百万円くらいになります。民間は採算ベースで事を運べますが、農協は株式会社ではありませんから、優しいです。でも、本当は苦慮しているのが実情であります。地域のインフラを農協に押しつけておいて何が地方創生なのか。最前線の実情を見てほしいと思います。

 まだあります。買い物難民の話であります。

 今、Aコープも二店経営しておりますが、地域によっては、高齢化と交通の便が悪く、買い物難民対策が必要であります。我がJAは、赤字覚悟で週一回小型バスを配車して、買い物の手助けを行っております。これも、あえて言わせてもらえば、行政の仕事ではないですか。

 さらに、Aコープといえば、災害に対して、南アルプス市と災害協定を結んでいます。いざというときには食料品を中心とした七千アイテムの品が、農家はもちろんですが、員外の市民にも行き渡ります。国が問題にする員外も関係なく、分け隔たりなく農協は平等に分配いたします。

 さらに、地元消防団員とその家族にも特典を与えるサービスを行っております。

 今まで述べてきたように、農協の役割はしっかり地域に根を張って、葉を茂らせております。職員が一生懸命働いて得た小さな利益で地域の原風景、コミュニティー、インフラを守っていることを評価すべきではないでしょうか。

 しかし、問題は、農協は、御案内のように、交付金も補助金もほとんどありません。限りなく一〇〇%に近い自己財源を確保しなければなりません。それには、金融、共済事業も切り離せませんが、一番問題なのは、農協には組合員が営々として築き上げた財産が眠っております。

 遊休資産の活用策は、一方では、農協は経済界と連携してやっていけといいながら、現在の農協法では簡単に活用できません。農協が利益を上げて組合員に還元するのはもちろんでありますが、その利益を行政と相まって地方創生に役立てるためにも、農協の遊休資産の活用方法の大幅な見直しをこの際の改正点に盛り込んでいただきたいと思います。

 よく考えていただきたいと思います。自分たちが築いた財産を何で自由に使えないのか、不思議に思いませんか。国はお金を出さないなら、せめてそのぐらいの配慮は必要ではないでしょうか。

 信用事業においても、ガソリンスタンドと同様、過疎地域においては、農協が手を引けば金融機関がなくなってしまいます。しかしながら、金融店舗の要員は四人いなければ認められないのが、郵便局は二人で認めています。行政においても、国民の生命財産を守り、利便性確保のためにも、農協にも郵便局並みの扱いをお願いしたいと思います。

 金融に関することでは、ATMにつきましても、我が農協におきましては、金融機関の遠いところを中心に十九台設置いたしておりますが、ランニングコストが一台五百万から三百万円かかります。これも、組合員も員外も関係なく御利用をいただいております。

 共済事業につきましては、一番の稼ぎ頭でありますが、昨年の豪雪の折は、農業施設の補償はもちろんでありますが、建物共済の共済金は四十三億円を突破いたしました。組合員初め住民の皆様のお役に立てたと自負をいたしております。組合員の声は、農協の職員が勧めてくれたおかげと感謝されております。

 農協の共済事業は、民間の保険と違うのは、日ごろからの組合員に対する総合的なサービスがあってこそ成り立っているわけで、単純に民間に移行したからといって、その実績がキープされるとは限らないと思います。

 また、指導、販売事業においては、農協は、携帯電話のメール配信などによりタイムリーに的確な指導と販売戦略を行っております。例えば、貴陽のギネス登録、全国スモモサミット、各品種ごとのイベントなどによる宣伝効果は、各農家に返ってきます。

 今、農家も、一人で販売能力のある人、法人経営で仲間と規模を拡大して、大手バイヤーと契約を行い実績を上げる人、技術があってすばらしいものを生産し、販売が苦手な人、大玉のものだけインターネットで販売し、残りは農協へ出荷する人、さらには、二級品の六次化産品については、唯一、農協が窓口になっております。

 私は、農協は、農家の所得が上がることが究極の目的でありますから、それでいいと思います。貯金と生産資材を農協扱いにしていただいて、指導、販売の費用の原資にしてもらえればよいと思っております。

 次に、農協組織のあり方の問題で、理事の選出について条件を出されていますが、もちろん有能な理事の選出の条件も大事でありますが、問題は、代表理事組合長の選出方法については一考の余地があるのではないでしょうか。今は理事の互選によって選出しておりますが、今後有能な若い組合長を選出していくには、全組合員、または、せめて総代全員の投票などによって、より適格な人材を確保することが望ましいと思います。

 農協の最高決議機関は総代会であります。その総代の選出につきましては、何も触れておりません。現在の農協法では、正組合員だけしか資格がございません。今、正組合員にも、農業をやっていない方もいます。准組合員でも、土地を取得して農業をやっている方もございます。総代の資格とそのあり方につきましても、検討の余地があるのではないかと思います。

 また、農協経営の情報公開について、農協法でしっかり示すべきだと思います。当たり前のことですが、農協は、単協から全中まで、例えば役員の給与についても、総額幾ら、個々の役員の給与については理事会に一任願いたいとなっております。したがって、全中の会長の年俸が幾らか、理事以外は知りません。このことは、県連、単協まで同じことが言えると思います。

 手前みそになりますが、当JAにおきましては、ことしから、個々の役員の年俸を提示し、総代会で議決いたしたところであります。これからは、雇用主である組合員にできるだけ情報を公開して、参加をいただくことが基本ではないかと思います。

 これからの農協の役割は、まず、その地域の人に、身土不二の考え方のもとに、安全で安心のできる、顔の見える農産物を提供することと、次代を担う幼児、児童、生徒に生命の誕生から実りまでのプロセスを体験させることを、各単協が地方創生の一環として担うべきだと思います。

 日本人は、三、四代さかのぼればみんな農家であったと思います。日本人のDNAには、土への回帰が潜んでいます。国は、義務教育課程のカリキュラムに学校農園の設置を進めるべきだと思います。その指導は、農家、農協が受け持つ。こうした生きた教育は、JAにしかできないと言い切ってもよいと思います。

 結びに、釈迦に説法になりますが、「君子は義に喩り、小人は利に喩る」、この言葉を与党の皆さんに贈りたいと思います。

 国際社会のビジネス競争がいかに激しいとはいえ、人間が理念や品位、アイデンティティーを忘れて暴走すれば、それはみずから自滅のカウントダウンを始めたことになります。限りない右肩上がりの発展などという幻想を夢見て暴走を繰り返すには、地球は小さ過ぎます。ナイーブ過ぎるのではないでしょうか。

 地球上には、七百五十万種以上の生命種が存在するといいます。その生命種が連鎖し合って、一つ一つの命がつながり合っています。つながりの中でのみ命は営み続けられる。だから、独占するのではなく、共有し、分け合いながらつながり合う新しい進化の世界を築き上げていく必要があります。これこそが、農協が、農業が、今までも、これからも進む道ではないかと思います。

 あえて多数与党の皆さんに申し上げたい。多数決は、手続であり、結果の正しさは保証されません。

 結びに、山頭火の俳句ではありませんが、捨て切れぬ荷物の重さ前後ろ、たくさんの宿題を抱えながらも、あしたを信じながら、JAこま野は不滅でありたいと思います。

 礼儀を欠いた言い回しなど多々あったと思いますが、農家、農協に対する情熱のあらわれと思ってお許しをいただきたいと思います。

 終わります。(拍手)

吉川座長 ありがとうございました。

 次に、仲澤秀美さんにお願いいたします。

仲澤秀美君 ただいま御紹介をいただきましたJA梨北の仲澤でございます。よろしくお願い申し上げます。

 私どものJAは、昨今、JAらしからぬJA、そのような表現で時折評価されることが多くなってきております。

 ともすれば、JAのトップというのは、これまでの六十五年を超える時代の中で、生産者、販売者が主流になってきたと思われます。しかしながら、私は根っからの消費者でございまして、その消費者である私が全く知らぬ世界に飛び込み、そして物言いをしたときに、その声にきちんと耳を傾けてくれる先駆者たちがいてくださった。その方々が今のJA梨北の礎をおつくりになられたのではないのかな、そのように思っているところでございます。

 私が、女性でありながら、もしくは職員の籍を持ちながら常務理事を務めさせていただいている、そのこと自体が、JA梨北としての先進的な部分を醸し出しているのかもしれぬと思っているところでございます。

 そうはいいましても、JA梨北の歴史を少しひもといてみますと、平成五年、全国でJAの広域合併というものが取り沙汰されていたころでございます、山梨県の広域合併八JA構想、この先陣を切って私どもが合併をいたしました。一市六町三村、そこにまたがる九JAが合併をしたのでございます。今思えば、合併といいながら合体ではなかったかと、反省もするところでございます。

 そのJA梨北が、平成二十五年度、二十周年を迎えました。成人になり、ようやく組合員の皆様方にお返しができるときが参りましたと、私どもは、合体の時期を乗り越え、合併に徐々に向かっていったのでございます。

 私どもは、合併当初から、中期経営計画なるものを樹立しております。三年ないしは四年を見据えて、どのような経営方策でやっていくか。くしくも、今行っております第七次の中期経営計画のテーマが、あるべき姿の追求でございました。これは、今回のJA改革が論じられる前に私どもが書きおろしたものでございました。

 私どもは、この二十年間の間に、反省をしたことが一つあったのでございます。

 組合員は、そして生産現場は、七十歳以上の第一世代から第二、第三世代へ、そして女性農業従事者へ、確実にスライドしていたのでございます。しかしながら、私ども組織が、そして私どもの抱える職員が、その新しい組合員とともに、協同活動とは何ぞや、JAとは何ぞや、それを語ることをなおざりにしてしまった。そこに気づき得た私どもは、あえて私どもに、青臭いようですが、自分自身にもう一度原点に立ち返ることを問いかけたのが、くしくも、このJA改革が論じられるその少し前のことでした。

 そうはいいましても、なおざりにしたとはいえ、私どもは組合員の声に耳を傾けてこの二十年を過ごしてまいりました。私どもは、組合員から届いた声、それはでき得る限り実現をしてまいりました。理不尽なことは到底請け負うことはでき得ませんが、組合員が望むことで組合員のためになるなら、そのことをやってまいりました。自組織が生き延びることよりも、組合員の生産者所得が伸びること、それを考えて行ってきたのが私どもの歴史でございます。

 その中の一つに、主要農産物である米の買い取り販売がございます。今回のJA改革でも大きな柱とされているところでございます。しかしながら、私どもは、この米の買い取り販売、十年前の平成十六年産米から既に実施をしていたところでございます。その理由はなぜか。

 私どもは、味には自信がございました。しかし、そのときには余りメジャーに売っていただけている米ではなかった。その部分で、生産者への手取り額というのはなかなか思うようにお渡しすることができなかった。

 私どものとった手法、それは、私どもの管内の米だけ、まだ売れてもいないにもかかわらず、自己資金で全て買い取るということに踏み切ったところでございます。リスクは伴います。買い取っただけで売れるものではございません。当然、長い歴史の中で、米の業者との強いきずなもございました。

 しかしながら、私どもがその次に行ったのはブランド化でございます。

 梨北米という米のブランドを立ち上げました。そのブランド名、十年前は多分山梨県人で一人も知らなかったのではないでしょうか。ただ、自負するところでございます。昨今におきましては、県内では梨北米は有数のブランド米に上がってきて、そして、県内では六割の方々が梨北米を召し上がっていただけている。これまでスーパー等では柱の陰に置かれていた山梨県産米が、梨北米として一番メジャーな位置に置いていただけている。これは、生産者の所得に直につながるやり方でございました。

 しかしながら、私どもの生産物は米だけではございません。私どもの梨北管内では、ディナーコースができると言えるくらい多品目の産物がございます。肉、そして乳牛、乳ですね、野菜、果実、全てのものがございます。これらを全て底上げしていかなければ、生産者の手取り額は上がらない。よって、私どもは、梨北米というブランド構築をした。その陰には、生産物統一ブランド、メード・イン梨北というものをいずれ広げていきたいという先を見た戦略があったのでございます。

 メード・イン梨北というのは、基本的には規格をクリアしたブランドでございます。しかしながら、生産者は最初から規格外品をつくろうとしているわけではございません。真面目に、そして朴訥に、きちんと生産物をつくっていらっしゃるのでございます。

 よって、私どもは、メード・イン梨北に次ぐブランドとして、マルシェ梨北、梨北さんちシリーズ、そのように、それぞれの生産物がそれぞれの風情のままブランドを付与し、全て皆様方の、消費者のお手元に届く。JAではなかなか掲げないテーマでございます廃棄ゼロ、それをテーマに取り組んでいるところもあるところでございます。

 売ることは考えたとしても、やはり、生産コストの低減というものは永遠の課題となるところでございます。

 私どもJA梨北も、系統の端くれでございます。当然、系統組織としてのわきまえもございます。特に、生産農家さんたちが使う肥料、農薬等を主流とする生産資材、これは全農を中心とするところは当然のことでございました。しかしながら、私どもは、生産者の購買の選択肢を広げるということに手をつけました。

 当然、生産者は、全農の生産資材の強いファン層はその大宗を占めます。しかしながら、先ほど申し上げました新しい組合員層の中には、商社等から出ている低価格の生産資材、これらを求める声も上がっていたのでございます。

 よって、私どもは、全農以外にも商社と取引をする中で、低コストの生産資材、これらを仕入れ、生産者の皆様方にお示しをし、購入選択肢の幅を広げました。

 一例として申し上げさせていただければ、割合でいえばわかりやすいでしょうか、直近の平成二十六年度におきまして、生産資材において全農からの仕入れは五四%、生活資材におきましては五二%、生産資材専門店舗JAグリーンりほくを含めても、全農からの仕入れは五一%。この辺に関しても、JAらしからぬJA、そのように言われるゆえんはあるのかもしれません。

 私どもが、なぜこのようなことに踏み出したのか。それは、選ばれるJAでなければいけない、そこが原点でございました。組合員は、使う権利はありますが、使う義務はありません。私どもが組合員を囲い込むのではなく、私どもが選んでいただけるJAになること。組合員が組合員でいることに満足し、組合員になりたいと思っていただける事業推進、それが私どもに必要なことだと思っているところでございます。

 そのようなことを考え合わせる中で、私どもは、組合員メリット、そのようなものを追求することによって、このようなことをしております。

 しかしながら、私どもが何ゆえにこのような取り組みができるのか、それを少し考えてみたところがございます。

 JA改革が論じられるとともに、マスコミ等ではJAグループを三角形に見立てます。頂点に全中を、そして一番下部層にJAを位置させてございます。これは違います。JAグループは逆三角形なのです。逆三角形の一番上層部には組合員が位置します。その組合員のすぐ下に、私どもJAが一番近しい位置でお支え申し上げているのでございます。その私どもを、スケールメリットという、県が、国が、その系統組織が支えているのでございます。そして、一番下で、全中がそれをくくるかなめの役割をする。それが本来のJAのあるべき姿でございます。

 私どもの改革に銘打てる者がいるとすれば、それは組合員です。私どもは、二十年間、組合員の声を聞き、改善を繰り返してまいりました。私どもに改革を銘打つことができるのは、組合員だと思っているところでございます。

 この逆三角形の中で、そうはいっても、JA梨北がJAらしからぬことができた理由は何か。それは、スケールメリットで支えてくれる系統組織があったからでございます。

 例えば、法律一つ変わったときに、一番のかなめである全中は、その法律に基づいて、私どもが業務で足を踏み外さぬようにその道を正してくれます。決してそれは戦略的なものではなく、仕事における注意を促す、私どものリスクを排除してくれる、そのようなところの全中の指導でございます。

 過去において、私どもは、戦略において、ちょっと残念かもしれませんが、指導を受けたことがなく、稼ぐことによって指導を受けたことがなく、その稼ぎ方によって注意を受けたこともございません。ただ、仕事の仕方、仕事における法化社会におけるリスク、これをきちんと全中から指導を受けております。

 もし、この指導がなかったとしたら、全国津々浦々にある七百のJAが、最低でも七百人がその同じ仕事をせねばなりません。しかしながら、私どもの系統である全中がそれを一手に引き受けていただけているがゆえに、私どもはその結果を受ける身となり、それに投じる人も時間も、稼ぐことに費やす、生産者とともに歩み寄ることに使えるのでございます。

 私どもが、片田舎の小さなJAでありながら、米の買い取り販売に、そしてまた新たな戦略になぜ一歩踏み出せるか。全農という大きな後ろ盾があるからでございます。私どもがもし何らかでその方向性を見誤ったときにも、後ろを振り向けばそこに大きな系統組織がある、だからこそ、私どもは新しいことにいま一歩踏み出せているのではないでしょうか。

 JAグループに今回、大きな石が投げられました。この一石が投じられたことは、私はいい契機だと思っております。それぞれのJAがそれぞれに戦略を考え、大きなスケールメリットに支えられ、それぞれの地域に、そしてそれぞれのやり方に値する方向性を実施していけばよろしいのではないでしょうか。

 さきのお二人も、現場の声が届いていないJA改革論議だと、同じように言ってくださいました。

 私どもが、ともすれば、今回のJA改革の中の大きな柱である買い取り販売も、系統以外からの仕入れも、現状でき得ているのは、系統組織という大きなスケールメリットに支えられているからこそ、こうして新たなことに取り組めているのでございます。

 はたから見れば、はなから総合商社であるJA、これに関してはどうしても許しがたい部分があるのかもしれません。ただ、一言言わせていただければ、ビジネスにならないところも地域あまねく対応し、誰一人組合員をこの手から離さない、そのような経営ができるのは、総合事業体であるJAだからこそできると思っております。

 そして、もう一言言わせていただくとすれば、改革などというものは、計画どおりにできるものではないと思っております。日一日、改善に改善を重ね、その改善の結果、改革というものはなし得られるのではないでしょうか。

 皆様方が現状のJAグループをお考えいただき、御論議いただいているのは、ありがたいと思います。この投じていただいたチャンスを私どもJAグループがよりよい方向性に持っていくに当たり、皆様方のお力添えをお願いできればと思うところでございます。

 以上でございます。(拍手)

吉川座長 ありがとうございました。

 次に、深沢敏彦君にお願いいたします。

深沢敏彦君 深沢でございます。

 意見を申し上げる前に、一言、お願いといいますかがございます。

 それは、私はまだ農業について十一年しかたっていない、全く素人同然の者でございます。ですから、農協についての知識も造詣も深くありませんし、あるいは、農業生産法人の経営の経験もありません。現在、たった一人でちっちゃな農園を経営しております。

 今回も、この会に出席し、意見を述べさせていただける機会を与えていただいたということで、いろいろな意見を近隣の方々に求めました。その折に各農家さんがおっしゃったことは、この一番忙しいときになぜそんなことをやるで、我々はそういうところへ行って聞きたいよ、そういう話をというふうにおっしゃっておられました。ぜひこのことは、これからの公聴会の開催について参考にお願いできればというふうに思っております。

 それでは申し上げます。

 まず、私が、ちっちゃな、ちっぽけな農家ですけれども、どんなところに今暮らしておって、どんなことをしておるかということを少しだけ述べさせていただきたいと思います。

 私は、山梨市山根という集落におりまして、ここは戸数が百十六戸です。人口が四百十名。ですから、一戸当たり三・五名いますから、結構、親子とか、あるいは三代、四代同居の世帯もいるような、非常にアットホームな地域でございます。

 その中で、高齢者、いわゆる六十五歳以上の方が百十四名。比較的バランスがいいんじゃないかな、二八%弱ですから、いわゆる限界集落と言われるのにはまだ時間が、余裕があるのかなというふうに思っております。

 百十六戸のうち、農家、これは専業、兼業含めてですけれども、五十五戸あります。そのうち専業農家は二十八戸ですから、約半分が専業農家ということになります。

 私の住んでいます地域は、かつては米と養蚕が中心の地域でございましたが、今は養蚕はもちろんゼロ、お米を栽培している人も一軒もありません。全部が桃とブドウを栽培しております。野菜は自家消費用をつくっているだけというふうなところでございます。

 その中で、就農者数ですけれども、百十三名おります。そのうち六十八名の方が専業で農業経営に、運営に当たっておりますが、実は、五十歳未満の人は六十八名のうち五名しかいません。

 私は、十一年前にUターンで戻りました。戻った理由は、農業をするためではなくて、親の介護ということが目的で戻ったわけですが、一段落したところで農業をやることにしました。というのは、代々受け継がれてきた土地が手元にあったからであります。私も今、桃とブドウを栽培して、栽培するだけじゃなくて、もちろん出荷して、生活費に充てております。

 専業、兼業を合わせてですが、多分、平均年齢は、正確に計算しておりませんが、私の地区では六十五歳を超えるのではないか。そんな状況ですから、耕作放棄地は毎年毎年ふえております。

 また、集落のある特徴ですけれども、傾斜地、私どもの辺ではやまじと言っておりますけれども、やまじが約半分、平地が半分ということですから、傾斜地で多く栽培しているもう御高齢の方には、これから先何年できるだろうかというふうなことだろうと思います。

 そんな当集落でJAが果たしている役割、私は非常に大きいものがあるというふうに思っております。

 例えば、栽培の指導をゼロからやっていただいております。私も十一年前に就農するに当たりましては、JAの方、それから改良普及所の講師の方、それから近隣の方、まさにゼロから手ほどきを受けて始めました。その中で一番親切に、時間をとって適切に指導していただいたのが、農協の指導員の方であります。本当に感謝しております。

 また、現在は、栽培指導だけではなくて、生産資材あるいは出荷資材等につきましても、ほとんどの家で農協を窓口として手にしている。あるいは、売り上げにつきましても、共同選果所の運営、あるいは売り先である市場の開拓、確保等もJAの方の御尽力が非常に大きいというふうに私には感じられております。

 以上が私の近隣の話であります。

 山梨は果樹王国というふうに言われますが、実は、果樹王国は間違いないと思いますけれども、果樹農家というのは耕作面積が非常にちっちゃい、小規模であります。

 私が就農するに当たりまして受けました指導の中で、普及所の方がおっしゃっていたのは、夫婦二人で八十アールが適正規模ですよ。これは、品質あるいは収益面からこの辺が一番ふさわしいというふうに言われました。現在、私のおります集落で一番大きな耕作面積を持っている方、親子三人で農園経営をしていますが、それでも百四十アールであります。これが最大規模の私の近所の農家であります。

 そのように、小さな、いわゆる小規模な農家が集まって、それが結果として日本一の果樹王国、果樹生産国、果樹出荷国というふうになっているのではないかというふうに思います。

 ですから、その中でJAの果たしている役割というのは非常に大きいのではないかなというふうに私は感じております。

 ことしになりまして、JAといいますか、全中改革の話が出てまいりました。私は非常に、JAの運営そのものにも携わったことはありませんから、本当のところがよくわからないんですけれども、いわゆる監査機能を剥奪したら売り上げが上がるんじゃないかみたいな論議がされて、これというのは一体何だろう、そんな魔法のような話があるんだろうかというふうに私は思いました。

 もとより、前職の関係で、全農が、あるいは全中が系統組織と言われているのは十分承知しております。いろいろな、その途中で課題があるのも承知しております。ですけれども、今回のことについては、非常にそういう意味で奇異に感じております。これは率直な私の意見であります。正しいかどうかはわかりません、私の感じです。

 もう一つ感じておりますのは、これを危惧しているところでありますし、そうでなければ、それは的外れの心配だというふうに言っていただければ一番ありがたいんですが、実は、TPP交渉の中で出てきた話ではないのかなと。

 私は、米国というのは軍事産業と石油メジャーを除けば農業国だと思っておりまして、常に牛肉の輸入ですとか、あるいは果物、米等について、日本の流通組織がその輸入障壁、輸出に障壁になっておるというふうなことをアメリカは主張しておりました。

 そういう中で、今回も、TPP交渉の加速のために万が一にもそんな話が出てきたとしたら、非常に不純だなというふうに私は思います。そうでないことを願うものであります。

 先ほどから申し上げましたように、農協というのは、いわゆる本当にちっちゃな農家にとりましては、まさに生きるための支えになっていただいておる。ですから、この改革が、そこまで農家の人たちの生活に悪い影響が及ばないように、いろいろな場面で改革は当然必要なことだと思いますが、そういうふうなところに変な影響がいかないように、ぜひ慎重に御審議いただき、時間を焦ることなく審議していただければというふうに思っております。

 以上です。(拍手)

吉川座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

 この際、議事の途中ではありますが、ただいま現地参加議員として自由民主党の宮川典子さんがお見えになりましたので、御紹介をいたします。

    ―――――――――――――

吉川座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

中谷(真)委員 自由民主党の中谷真一でございます。

 本日は、四名の皆様、本当にお忙しい中お越しをいただきまして、また、非常に示唆に富むお話をしていただきました。我々、本当に、非常に勉強になったというところでございまして、この点に関しましても心から感謝を申し上げます。

 時間が二十分ということでございますので、早速質問の方に移らせていただきたいというふうに思います。

 まず、三森さんにお伺いをしたいというふうに思います。

 私は、三森さんとは、大変、いろいろ教えていただくという意味ではおつき合いがございまして、六次化をどんどん進めておられて、加工品を直接インターネットで販売されたり、直売されたりとか、農家レストランのようなカフェをつくられたりとか、また、農業体験にも非常に積極的に取り組んでおられるというところでありまして、まさに地域の農業のリーダーとして本当に御活躍をいただいているところであります。

 また、バレーボールをされていて、スポーツウーマンでありまして、本当にバイタリティーのある方であります。

 特に、私は、雪害のときには現場の御提言をいただきまして、本当に参考にさせていただきました。

 今回、私がこの山梨県の意見として政府に持っていった意見の中には、大変多くの、三森さん初め皆様からの御意見をいただいたというところでありまして、本当に感謝をしているというところと、本当にすばらしい農業者、また、女性の農業進出、女性が農業で活躍する、その旗頭だというふうに思っておるところであります。そういったところで、きょうは御質問をしたいなというふうに思います。

 積極的に早い段階から六次化を進めてこられた三森さんのぶどうばたけさんなんですけれども、六次化を進めていっている法人として、先ほど来ございました、農協系統に求めるものというか、どういったことを求められますかというところをちょっとお伺いしたいということ。

 また、今回は農協改革が非常に大きく取り沙汰されてはおりますけれども、先ほどお話に出ました農業委員会の改革であったりとか、また、農地法も改正をしてまいります。

 この改正は、何といいましても、法人の方々が、農地を集約したりとか、また有効活用、これは個人の方々もそうでありますけれども、こういったことをしやすくしようという改革であります。農業委員会には、特に首長さんの選任ということになりますので、行政がより責任を持ってやらなければいけなくなるというところもありまして、これを前に進めていこうという改革でもございます。

 この集約とか有効活用、こういったことにも非常に積極的に取り組んでおられるというふうに思いますので、この点の改革についてもぜひ御意見を頂戴できればというふうに思います。お願いいたします。

三森かおり君 中谷先生、いつもありがとうございます。

 私は、農業生産法人、日本農業法人協会の女性の代表として理事を務めさせていただく、これは、全部の法人がそのように当てはまるというふうにお考えにはならないでください、私の個人の率直な意見を申し上げます。

 六次化というものは、基本的に、農業生産法人、農業法人である私たちは必然というふうにもある意味思っております。しかし、今、六次化を進める中、私も講演させていただくことが多々ございますが、それは地域の歴史、文化にのっとっていなければ、六次化をしても進んではいきません。

 私たちのところでは、たまたまブドウ、ブドウ酒というものが中心的にございますので、それをもとに六次化を行っているわけですが、これは、小さい経営でやっていく中では必然的なものであるというふうにお考えください。

 しかし、私たちはあくまでも一次産業のスペシャリストであるというふうな自負がございますので、六次化が進んでいく中には、加工ですとか、あと販売というものに関して、やはりここにはスペシャリストが要る。本当は、例えば地域で分業していけるものがあれば、それは地域で支えながら地域六次化を進めていくべきというふうには思っている次第でございます。

 たまたま自社では菱山中央醸造という醸造会社もございますし、直売を設けた次第でございます。これは必然的というふうに思ってください。

 農業委員会と農地の活用法の中なんですけれども、農業委員会の中では、私が冒頭説明した中にもございますが、実は、私が住んでいる甲州市には、まだ女性の農業委員は一人もおりません。これは、なぜならば、いろいろな利権が絡んでいるということがもとにある。どうしても、農業委員というものは、国から選出されている、例えば村長の次に農業委員というふうな名誉職であるということは、私たちみたいな田舎の農村ではまだ払拭できないというところもございます。

 今回、首長さんがというふうなお話の中で私がもう一つ思うのは、こういう行政が先に立って委員を勧められたときに、本当に地域のことを考えられるのかということが、逆に、思っている次第でございます。

 この選任に関してはいろいろな御意見を、きょうも、与党も野党もいらっしゃるというふうな中で、きちっと未来の農業を見据えて考えていただかなければ、せっかくいいものをつくっていただいても、選任ということはとても厳しいのかなというふうに思っております。

 農地法に関してもう一つ言わせていただくのは、最近は、私たち農業法人に企業からの参入がございます。この企業からの参入も、今回のものはやりやすくなっている法案というふうには思っておりますが、実際に企業は、基本的には、利益が上げられなければ、地域の農地を借りたまま、そのまま捨て去ることも考えられますので、ここに関しても十分な御議論をしていただいて、活用法に関しまして、きちっと未来の農地を集約する農業法人がそちらの方にいていただく。

 企業が入ることがいいとか悪いとかということではなく、きちっと十年、二十年のスパンで考えていただき、その地域を支えていただける仕組みをこの農地法に盛り込んでいただきたいというふうに切に思っております。

 以上でございますが、先生、こんな回答でよろしいでしょうか。

中谷(真)委員 ありがとうございました。

 先ほど言われたような、十年、二十年を見据えた農地集約、どの方に集約していくかということは、私も非常に重要なことだと思います。

 また、この選任方法については、なかなか議論がございますけれども、私は、さらに行政が積極的に関与していくという点では、さらに集約や有効利用は進んでいくのではないかなという観点で今評価しているところでありまして、これは三森さんともまた議論をさせていただきながら、私もそれを持ってまた東京の方で議論に加わってまいりたいというふうに思います。

 次に、小池組合長に御質問をさせていただきたいと思います。

 元白根町長でありまして、私が大変尊敬する政治家でもございます。そしてまた、組合長になられた後は、改革派の組合長で、先ほどのお話を聞いていても、もう本当にそうであるというふうに思っております。また、全体像を示せと。全くもって私もそのとおりだというふうに思います。国は、全体像を示しながら、何のための改革かというところをもっと説明していかなければいけないんだということを改めて感じさせられたところであります。

 また、農業振興は、地域、特に我々のふるさとにとっては絶対に行わなければいけないものだということも、組合長におっしゃっていただきました。私も全くもってそのとおりだというふうに思っております。その中で、私は、農協さんには非常に力を入れていただいている。先ほど、ガバナンス、またさらに、どういったサービスをしていただいているかというところまでお話をいただいたところであります。

 我々、今の農協さんの組織をさらにいいものにしていただいて、これも自主的でありますけれども、そして生産者の利益をさらに向上させようというのが今回の狙いでありまして、特に、先ほどもお話が出ておりましたけれども、どちらかというと不採算路線でありましょうか、販路拡大とか営農指導とか、こういったところに力を入れていっていただくような組織になっていただきたいという希望があるというところであります。

 そういった組織にしていくためには、どういった行政からの後押し、もしくはこういったところの規制緩和とか、こういったものが必要なのかというところを、組合長の御意見をいただきたいと思います。

小池通義君 大体さっきお話をさせていただきましたが、ただ、ちょっと真っ向から答えないで。

 私は、さっきの中谷先生の一番最初の質問で、六次化、これは一番怖いと思っているのは、六次化の技術をどんどんどんどん日本人ですからつくっていく、最後に、六次化の、加工品の材料というのは、絶対に外国にはかなわないんですよね。それのために、六次化の技術をせっかくつくって、日本の高い原資でやったときに、TPPで安いものが入ってきてばっとやられたら大変だ、そういうこともお考えいただきたい。

 また、今農協のそういった話が出ましたが、私は、きょうはいろいろお話しさせていただきましたが、何といっても今、例えば県によっては、長野県ではファミリーマートと五農協が提携してやっていますよね。これは今後の新しい方向だと思うんですが、山梨県でも、実はうちの農協でも今、ローソンを誘致したり、ファミマの話もあり、いろいろあるんですが、これは厳しいんですよ。厳しいけれども、私はやると言って、行政が指導する側ですが、ただ、うちの場合は、行政とも一体になって、そこに一つの形をつくり出していただいているんです。

 例えば、ローソンもセブンもそうですが、うちの管内に今五十くらいあるんですよ。行政で、一つは、印鑑証明も住民票も、交付金もこれは出ますし、農協にとっては、さっき言ったATM、これが五百万から三百万もかかるんですが、こういったものがある。だから、ある信用組合あたりはもう全部廃止していますよね。そして、そういうところに任せている。

 だから、まさに、経済界と連携して、農協もそこへ一緒になって、しかもその販路は、このルートに乗せていただければ全国展開できる、そういうことも一緒になってやっていくんですが、私が関東農政局長の会議のときに質問したら、売る予定があって、その間、では貸してもいい、でも、そういうものを、賃貸業をやっちゃいけませんよと。だけれども、先ほども言いましたように、農協は、これから利益を上げなさい、組合員に還元しなさいといいながら、そういったことが許されない。

 でも、今、端的に申し上げますと、うちがある支所でやっているローソン、月に七十万いただけるんですよ。これは大きいんですよ、年間。そうしたら、そこから生み出したものでさっき言った一億幾らというような指導員の給料をこれから払えますし、そしてもし、これから地方創生で、うちが、買い物難民とかガソリンスタンドも、そういうマイナスがあっても、そういうものでカバーできたら、農協もそういう一翼を担っていける、そういうようなシステムをぜひ考えていただきたい。

 安倍総理に、生意気なことを言っちゃいかぬけれども、一遍現地へ来て、そういうような現場を見ていただけば、ああ、そういうものかとわかるのではないか。

 今、山梨県は十一農協ございますけれども、平成二十八年までのシミュレーションをやると、ほとんどの農協がもう先行き危険状態ですよ。だから、そういう状況の中で、農協がやはり組合員のためにこれからもかなめとして生き残っていくには、そういう持っている資産を活用できるシステム、そうすれば、国がお金をくれなくてもやっていけますから。まあ、お金をもらった方がもっといいですがね。そんなことをお願いしたいと思います。

中谷(真)委員 ありがとうございます。

 私も、そういった規制改革も含めて、もっと自由度を高めていくということを行っていかなければいけないのではないかというふうに思います。

 今、コンビニはすごいんですね、特に山梨とか。こういったところに乗せて物販ができるとか、こういった経済界とのコラボレーションというのは、私も非常に重要なことだというふうに思いますので、またそれをいただきましたので、それを持ってまた議論に加わってまいりたいというふうに思います。(小池通義君「ぜひ頑張って。お願いします」と呼ぶ)ありがとうございます。

 仲澤常務にお伺いをしたいというふうに思います。

 私も、当然、梨北米を食べておりまして、大変お世話になっているところでございます。また、梨北といえば仲澤常務と言ってもいいぐらいの本当に中心的な役割をされておられることに対しまして、心から敬意を表するところでございます。

 先ほどもございました、ブランド化とか、またマルシェ梨北、こういったことで、まず、やはり、組合員のつくられたお米をできるだけ高く売っていくということに、そのリスクをとられたりとか、またそういう販売努力をされて、今本当に梨北米があるんだというふうに思いますし、また、その他、それに乗らないものを、さらにマルシェ梨北ということで、軽トラックに乗せてそれを売っていくという、これはもう本当にすばらしい事業をされているというふうに思います。

 そういった事業をされていく中で、全中からは、いわゆるそういうものに対して縛るものは全くなかったというお話を先ほどいただいたところであります。

 ただ、今回の農協改革では、自由度を高めるために、全中を一般社団法人に移行して、全中監査を今回は選択制にする、そして、いわゆる公認会計士監査を義務づけるという改革を行うという法案なわけであります。

 私、今これは、非常にセンシティブな質問だというふうに思いますけれども、これをやることによって、いわゆる梨北さんとして困るということはございますでしょうか。お伺いしたいと思います。

仲澤秀美君 JA梨北オンリーであれば、公認会計士の監査を受けても一向に問題はなく、対応はできると思ってはおります。

 ただ、公認会計士の監査に切りかえたときに一番問題となる点に関しては、公認会計士の皆様方は数字上の判断をなさると思います。しかしながら、先ほど来出ているお話の中に、JAという総合事業体の中では、たとえ不採算部門であったとしても、生産者が農業を続けるに当たって切り離してはいけない事業があるのです。そこに対して、どうして収支が整わないのかと数字上の論議をしたとしても、そこを歩み寄るということはでき得ないのではないでしょうか。そこを網羅した中で、公認会計士の帯同もあった中でしているのが、今の全国監査機構監査でございます。

 客観的に聞いていますと、私どもが公認会計士の監査を受けたことがないように聞こえる場合もありますが、私どもは、既に公認会計士も帯同した監査を受けております。当然、行政による検査も受けております。その部分に関しての十分な対応は、JA梨北も含め、全国のJAがそれぞれにスキルを上げていると思います。

 ただ、そちらの方だけに偏ってしまうということが、総合事業体であるというその体裁を崩すことにならないのかという心配と、決してそれは生産者の所得の向上にはつながらない、そこだけはお伝えをしたいと思います。

 生産者の所得につながるために、先ほども申し上げましたが、JAには切ってはならない不採算部門もございます。そこは大切にしていかねばなりませんし、ビジネスとして成り立たない、その地域をあまねく拾い上げるのがJAの役割だと思っております。

 よろしいでしょうか。

中谷(真)委員 ありがとうございました。

 非常に今厳しい御意見をいただいたところでございますけれども、私は、でも、組合員の皆様からの要求もあるというところも含めて、今回のいわゆる公認会計士監査に変えて、さらに、梨北さんのようにどんどん自由にやるところはどんどんやられるんだろうというふうに思うんですけれども、こういった梨北さんみたいな農協がたくさん出てきていただくためには、やはりもっと自発性を促すような改革ということで今回の改革に進んでいるというところでございまして、ここはまた仲澤常務にもいろいろ教わりながら進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。

吉川座長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 御紹介いただきました佐々木でございます。

 地方公聴会というのは、現地で、こうやって現地の皆さん方の御意見をいただけるという意味で、きょうも大変参考になる意見をたくさんいただきました。感謝を申し上げたいというふうに思います。

 限られた時間でありますので、本当はたくさん聞きたいことはあるんですけれども、少しずつお伺いをさせていただければというふうに思います。

 最初に、三森さんにお伺いをいたします。

 先ほどもちょっと六次化の話が出てございましたが、六次化というのは我々が政権のときにつくった制度なんですけれども、あの制度のつくった意味は、本当は付加価値を上げるという意味でつくったんじゃないんです。要するに、地域の雇用をつくるという意味でつくったんですね。どうもそれがちょっと違う方向へ行きつつあるなというのは心配をしているんです。

 要するに、地域で離農した人たちもその地域に住み続けることができて、そしてそのために何かお役に立てることがないかというのが六次化の本当の狙いだったので、特別大きな収益を上げろということを目的にしているわけではありませんので、そういった意味では、今、法人として取り組んでいることとそんなに競合はしないのではないかなと僕は思うんですが、その辺の御意見。

 もう一つは、農業委員について触れていただきましたので、農業委員の中で、今、土地の権利移動をするときに農業委員さんを利用されているという割合がどのぐらいかちょっと存じ上げませんが、そこにプラス、推進委員というのが今度できることになるんですが、まだ審議中ですけれども、これは一体どう受けとめておられるか。こんなもの要らないんじゃないかというのと、こういうのができると助かるな、そういう話でも結構でございますので、ぜひ、その点をお伺いさせてください。

三森かおり君 今のお話でございます。

 私のところでも、実は、六次化に関しては、山梨県でも一番最初に認定していただきました。このことに関しましては、先ほどおっしゃるように、地域の雇用というふうなお話ですが、自社でも加工として雇用を生み出しております。

 ただ、六次化の中で一番懸念しなければならないことは、私たち農業者または農業生産法人は、まず第一次産業がベースでありますので、先ほど申しますように、加工と販売に関してはすごくプロではないです。

 このことに関して、私も国にもお願いはしたんですが、六次化を進める中で、全国を挙げて、やはり加工のプロですとか、そういったものをもう少しいただきたいというふうなお話はしました。

 全国に、例えば果樹の加工をする中では、なかなかそういったプロはいらっしゃいません。そういった中で、私たちが、例えば自社では、レーズンですとか、青デラのスパークリングワインですとか、そういったものを六次化として認めて、今実際に、米粉のシフォンケーキ、レーズンを使ったパンですとか、それはまさしくJA梨北のものを使わせていただいて、オール山梨として表現させていただいておりますが、そういった、なかなかそのプロという人たちのアドバイスをいただく機会は少ないので。

 六次化に関しては、こういったことも国の方にもお伝えしながら、オール日本ということを考えて、それぞれの地域の特産物をきちっと出していけるのが、私は六次化ではないかというふうに思っております。

 農業委員の中のお話でございますが、先日も農業委員の今回の改革を伺いました。推進委員というふうなお話もございます。

 私の中では、先ほど言うように、懸念する中の一つ、一つというか、懸念はしません。推進委員は、実際のところ、本当は、農業委員が本来の姿であれば農地中間管理機構なんというものはなくてもよかったはずだと思います。

 ただ、現在、農地中間管理機構、農業委員という中で、実際に農業者がこの区別、差別がわかっておりませんので、これらも含めて、それぞれの、推進委員を含めて、私は、わかりやすい、例えば六十、七十、八十の方々が一つの絵を見て、こういう使い方であればわかるというふうな、そういった絵みたいなものを示していただいて、使いやすさというものをぜひ御議論いただいて、この改革を進めていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

佐々木(隆)委員 ありがとうございます。

 ちょっと目線が違うと質問しづらいものですから、座ったままやらせていただきます。

 今の農業委員の話は、我々でさえポンチ絵にしてくれと言うぐらい、さらに複雑になったというふうに思っておりますので、ここはまた議論させていただきたいと思います。

 組合長にお伺いをさせていただきます。

 非常にたくさんの自分の信念みたいなものも聞かせていただきまして、原風景とか身土不二とか、懐かしい言葉もたくさん聞かせていただいて、私は大変感銘をいたしてございます。

 JAこま野の場合、事前資料を見せていただくと、手広くやっておられて、しかも健全経営を実現されておられると思うんですが、その中で特に、あれだけ幅広い、いわゆる不採算部門みたいなところも、地域のユニバーサルサービスとしてたくさんのことをやっておられて、しかも健全経営をされておられる。

 当期利益金であのぐらいを上げるというのは、この辺では普通なのかもしれませんが、北海道ではなかなかありませんけれども、そのときの総合農協だからこそ上げられている利潤というものがあると思うんですね。だから、そうでなければ、全体、総合農協として回っていかなくなるんだというふうに思うんですが、そこら辺のことと、その利潤をどうやって還元していくのか。先ほど資産の利用というようなことにもちょっと触れていただいたんですが、その辺も含めて、今までやられていたことと、どう回していこうとしているのかという、その点についてお願いします。

小池通義君 昨年の実績を見られると、確かに利益はたくさん上がったんですが、これはゴルフでいえば結果オーライみたいなものでして、決して私の努力じゃないんです。

 計画では大体一千四百万の黒字が出ればいいというのが二億三百万ぐらい出てしまった、出てよかったんですが、これは、先ほど言いましたように、総合農協だからできたんです。

 県下で共済金の支払いが二百六十億以上あったんですが、うちは四十三億円を突破した。雪害で、これが組合員の口座に入ったということで、これは信用事業を押し上げたり、また共済事業にいい形でこれがリンクしていったということで、大きな原因はそれが一番大きくて、そういう結果が出たんですが、ただ、これから安定的にそういうものをやっていかなきゃならないんだと思います。

 そして、もちろん、ことしの場合は累積の結果からいくと三億八千万ぐらいございましたけれども、あえてことしは内部留保ということで、これから農協がどういう立場に置かれるかが今改革ということで見えませんから、それと整合性を持ちながら組合員へ還元していこうということなんですが、今の時点ではそれがなかなかできない状況だと思います。

 ただ、農協経営で今私が一番懸念しているのは、私は素人で農協に入りましてびっくりしたのは、Aコープが、一店が減損会計になりますと。大体、減損会計というのは行政ではわからないんです。一生懸命勉強しましたから。

 農協で、これもぜひお願いなんだけれども、これは、小泉さん、竹中さんがアメリカの形を持ち込んだのは、農協には無理なんですよね。だけれども、無理でも今入っちゃっているから。ただ、Aコープが二店あるんですよ、二店あって、そのグルーピングができない。それはおかしいじゃないかと思うけれども、できないんですよね。だから、こういうところは、グルーピングすればひっかからないんですよ。そういう形が、ほかの施設、共選の施設とかそういうところはできているんだけれども、農協に無理なのを当てはめちゃっているから、そういうグルーピングができない。

 だから、こういう点は、もし農協に当てはめるんだったら、農協なりのそういうような形もとっていただければと。

 これも実際は、企業なんかはいいときに減損をやっちゃうところもありますから、悪いことじゃないんですが、ただ、農協も、年度年度の計上に、そこへ上がってきちゃいますから、億なんという減損をされたらその年はえらいことになってしまいますし、そういう面でもぜひお考えをいただきたいなと思っております。

 時間がないから余り言いませんが、農協というのは、やはりこれからは、利用高配当とかそういったものを還元して、そして、先ほどもいろいろな話がございましたけれども、健全経営をやっていくには、全農もございますけれども、今うちは行政と同じようなシステムで、全部入札システムを取り入れました。

 したがって、全農も、極端に言うと、大変全農には怒られますけれども、一業者として加わってもらうというぐらいの、そうはいっても、私も全農の役員にもなっておりますから、その辺は少しは考えていきますけれども、原則的にはそういうつもりでやっていかないと農協はやっていけないということでございまして、そういう形もとっておりますし、うちは、いわゆる無駄遣いチェック隊というようなものを今つくりまして、常務を親方にして、女性も入れて、全ての部署で無駄遣いをチェックしろと。

 あと一つは、いわゆる農家の工房、アグリ工房を募集しました。そして、何でも言ってくれ、何でも言っていいけれども、それをどうするかということまで決めてくれ、そういうことで、女性も含めていろいろな業種の方も入ってくれまして、つくってもらいまして、今度は、そちらから、九月までにはその進捗状況を示せと厳しいことを言う。そういう一つの形で、今農協を組合員の皆さんに気に入っていただけるような形にしていきたいと思って、一部を紹介させていただいて、そんな気持ちでございます。

佐々木(隆)委員 ありがとうございました。

 それでは、仲澤さんにお伺いをいたします。

 先ほど、米の買い取り販売を実現されたというお話を伺って、大変すばらしいことだというふうに思いました。実は、私、副大臣のときに米の上場をやるという決断をして、相当周りから叱られました。なぜかというと、委託販売だったら上場できないんですよね。買い取りしないと上場ができませんから、とんでもないリスクをおまえは農協や農家に背負わせるのかといって、随分叱られた経験がありますが、米の買い取り販売に踏み切られたということでは、大変そこはすばらしい決断をされたというふうに思ってございます。

 余り立ち入ったことをお伺いするつもりはありませんが、途中から農協に入られて、そして、今、常務さんをやられているわけですよね。農協に就職するに当たって何か思いみたいなものがあったのかどうかということも、プライバシーにかかわらない程度で、もし教えていただければというふうに思います。

 それともう一つ、全中があることによってリスク排除されているんだというお話を先ほどおっしゃっていただいたんですが、もう少しそこのところを、具体的にこんな例というものがもしあれば、そこもお聞かせいただければと思います。

仲澤秀美君 それでは、お答えをさせていただきたいと思います。

 私の経歴を簡単にという端的なお尋ねだったと思います。私は、中途でJAに入ったのでございますけれども、正直申し上げますと、そのときには、農家ではございませんでしたので、JAの事業をほとんど知らない中で就職をさせていただいたのでございます。結婚を機に転職を考えていたやさき、知人から勧められての就職でございました。全くゼロからのスタートで始めさせていただいたので、より多くの皆様方の御尽力によって、今こうして常務まで務めさせていただいてございます。

 それから、全中が私どものリスクを排除してくれているという話でございますが、全中は仕事におけるルールを私どもに導いてくれているのでございます。特に、法化社会でございますから、法律一つ変わったときにも、実際に私どもの仕事のどこそこにどのように支障があり、どのようにそれに合わせて直していかねばならないのか、それをきちんと全中がお教えくださるのでございます。

 もし、全中がそこを担っていただけなかったとしたら、今六百九十余りのJAが全国にございますが、最低でもそこのJAで一人一人が法律対応策を考えねばならないと思います。しかしながら、全中が転ばぬ先のつえを私どもに下さいますので、私どもは、そのつえを探す時間は、ほかに事業を取り進める、稼ぐことに、組合員と接点を持つことに投じることができるということを言いました。

 私は、全中は必要な組織だと思います。それぞれ、全国津々浦々にあるJAがいわゆるルールに基づいてきちんとした事業推進をする、その基礎を、レールを敷いてくれているのは全中だと思っております。ただ、そこにどのような戦略的な肉づけをするのかというのは、それぞれのJAの判断するところではないでしょうか。

 以上でございます。

佐々木(隆)委員 ありがとうございました。

 もう少し時間がありますので、深沢さんにお伺いをいたします。

 農業に従事して十一年ということでありますけれども、先ほど集落の話をいろいろしていただきました。私はもっと小さい集落に住んでございまして、全体四十戸ぐらいしかございません。そこで、六十五歳が、限りなく限界集落に近づいているという状況でありますが、そういう思いを同じくさせていただきながら、議員さんもやっておられるということで、結果、議員の職も通じて、地域とのかかわりというのを随分持っておられると思うんですね。その地域としての、今、深沢さんが地域でのいろいろなかかわりを持たれていること、それとJAがその中で果たしているというような役割などについて、感じておられることがあれば教えていただきたいと思うのです。

深沢敏彦君 先ほど言いましたように、集落の全戸数のほぼ半分が農業にかかわっておりまして、その農業といいますか、栽培あるいは出荷等につきまして、かなりのウエートで地域の農協の、JAのお世話になっておるということ。

 それから、確かに資材なんかでも農協経由だと高い場合もあるというふうな話も聞いておりますが、これは、私、常々思っておるんですけれども、無駄もやはり時には効果のあることだというふうな、無駄の効用というふうなところで考えてもよろしいのじゃないか。バーゲンハンターばかりしていて本当にいいんだろうかというふうにも思います。

 ですから、そういうふうな意味で、それと全体の農協の組織のかかわりと、それから、地域にあります出荷組合というのがまた別にありまして、それなんかも、ほとんどは農協と、JAと一体化して運営されておるということですから、私のところでは、ほぼ、かなりの部分で一体化しているんじゃないかな。

 ですから、先ほど言いましたように、いろいろな上層部、トップの改革というのがそこへ影響してきて、地域の人が生活するのに不便になったり、あるいは右往左往したりということがないことを願っておるということでございます。

佐々木(隆)委員 大変ありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わらせていただきます。

吉川座長 次に、松木けんこう君。

松木委員 意見を述べていただいた皆さん、本当にきょうはありがとうございました。大変参考にさせていただきました。

 いろいろな意見が出ておりました。営農指導員を国で見てもいいんじゃないかとか、こういう斬新なお話、これはいいと思います。あるいは、逆三角形の全農組織論なんというのもありました。なるほどというふうに思います。米の買い取り販売の、全量をやっているというお話もありましたし、TPPに関しての非常に不安感、そういうものも持っている方もおられるんだなということがよくわかりましたし、いろいろなことは、またこれからの農政の中で、委員会の中で生かさせていただきたいというふうに思っております。

 そこで、きょうは、私の方から聞きたいのは、まず、今回の農協改革に対して、皆さんの御意見、一つは、こういうところはいいじゃないか、こういうところはだめじゃないか。あるいは、こういうところは不安があるよ、それとも、これは一体何なんだ、何でもいいんです。お一人ずつ、お話をいただきたいというふうに思います。

 私の持ち時間は二十分でございますので、一応、できたら五分以内に、もっと短くてもいいですよ、次の質問もありますからね。お願いします。

三森かおり君 私は、農業改革、何度も申しますが、実際の農業者が全く論外になっているのではないかというふうに思っているところも多くございます。

 なぜならば、農業者自体が、この農業改革が何ぞやというところがよく見えていないというふうにも考えられます。なので、できましたら、個々の農協、または個々の地域がしっかり話し合うというふうなところにもう少しすり寄って、では、先ほどのJA梨北ではないですけれども、今後、どういう農協が私たちにとってベストパートナーであるかということを、農業者バーサス農協、またはその地域、いろいろな方々が含まれていると思いますが、そういう方々もあわせて、きちっと議論すべきというふうにいつも思っております。

 以上です。

小池通義君 これは、先ほど申したように、農家や農協が、やはり、もちろん改革をそれぞれやってきたと思いますが、その時代に合ったフレキシブルな対応をもっとやっていくべきではなかったか。

 ただ、今度の、こうやって機会をつくっていただいたのは大変ありがたいと思いますが、このプロセスにおいて、反対じゃないか。

 ここまで来ちゃってどうだというのではなくて、これは、今、農家はレースの傍観者みたいな形でいるわけですよね。ですから、最初から、パブリックコメントじゃないけれども、一般の農家のそういった意見をまとめて、だから、今回の農協改革というのは一体誰のために、何のためかというと、これは農家なんですよね、主人公は。だから、一番の主人公の意見を、私の農協で言いましたように、我々は、雇用主が組合員ですから、組合員の、雇用主の意見をしっかり聞いてから、どういう形で持っていくかというものを、そして、さっき言ったように、そこに国家のビジョンがあって、だから農協改革をこうやるんだというものが欲しかったと思うんですよ。

 だから、これでは説得力がない。私、自民党員と言いましたけれども、今回は厳しく言いますけれども、それは、そういうことだと思います。

 だから、これからは、これは一つのピンチかもしれませんが、我々は、これをチャンスと受けて、これからやはり農家のために頑張っていきたい、そういうふうに思っております。

仲澤秀美君 それでは、まず、よかった点。

 これに関しては、言葉は悪いかもしれませんが、旧態依然としていた組織の中に大きな石が投じられた、その石が何らかのきっかけになるのではないのか、それはよかった点ではないでしょうか。

 ただ、その石の投じ方がよかったか悪かったかと言われると、的がずれていたのかなということはどうしても否めないと思います。それが、悪かった点にもつながると思います。

 端的に申し上げれば、生産者の所得向上を目指していたはずが、いつの間にやら全国監査機構監査にターゲットが向いてしまった。それがどのような経過によるものかというのは、私どもには一切その情報が届くことがなかった。時間がない、最初からかかわらせていただければというのは、前にお話しされた小池組合長と全く同感でございます。

 全国組織においても、後ろを振り返り、JAに向かって、私たちは必要ですかとその投げかけをする時間さえなく、我が身に降りかかってくる火の粉を払いのけるだけで精いっぱいで時間を過ごしてしまったかのように見えます。

 先ほども申し上げましたが、私どもの改革は、誰に銘打たれるものなのかといえば、それは組合員の命によってやるものでございます。願わくば、このJA改革が、それぞれのJAが自立自興できる改革論で終わっていただきたい、そのようには思っております。

 以上でございます。

深沢敏彦君 先ほど意見陳述のときに申し上げましたけれども、私は、農協の組織運営とかにかかわったこともありませんし、少しずつの知識でいろいろなことを申し上げました。

 実際に、全農というんですか、いわゆる系統組織が上納金で運営されているのか、あるいはピンはねで運営されているのかも、私には正直言ってわかりません。ですから、それがいいか悪いかといえば、そんなものはない方がいいとは思います。ただ、それによって、先ほど仲澤さんがおっしゃられたように、末端のそれぞれの農協の運営に影響が出てくると、これは本末転倒じゃないか、そのとおりだと思います。

 それと、冒頭から心配していましたように、突如として、何か私には理解できないロジックで、これで所得がふえるよと。そこは、何かもう一つそしゃくできない部分がありますので、それで、慎重に、時間の中で何とか終わらせようとか、そういうふうなことはぜひぜひ避けてほしい。

 目指す方向が正しいか正しくないかというのは、正直言って私にはわかりません。わかりませんけれども、多分、いろいろな人が研究した上で、そこの組織にも手をつけようということですから、正しい方向へ行くんだろうなと思うんですが、ただ、手段が本当に今のままでいいのかなと気になるところです。

松木委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問でございます。

 今回の農業委員会の件なんですけれども、今までは選挙で、あったかなかったかというのは別にしまして、そういうルールがあった。しかし、今度の改革で、それを、市町村長さんだと思うんですけれども、そういう人たちが指名をさせていただきますよということになるようでございますけれども、これに関してのそれぞれの皆さんの御意見、あるいは不安でも結構ですし、オーケーだというのでも結構ですし、御意見を伺いたい。

 結構これは委員会で話題になっているものですから、ぜひ皆さん方の端的な御意見をいただきたいと思います。

三森かおり君 私は、前にも述べたように、どういう方法でどういうふうにやるのかというのは各市町村に任せるというふうに思ってよろしいかと思うんですが、この中に、やはり四十代ぐらいまでの若手農業者、そして女性というもの、この中の女性もしっかり農業従事者みたいなところ等々をきちっと含めていただくような、これは、国から例えば市町村にお願いするとかということではなくて、きちっとした位置づけということをもってやっていただかないと、強いて言えば、前と同じような形になるのではないか。例えば首長だけが選任できるというふうになってくると思うと、もっと利権が絡むというふうにも懸念もされております。

 二分割したことには全く問題はないかと思いますので、そこに関しても、それでは、どういう方たちが、その二分割のもう一つ、農地利用最適化推進委員として任命されるかということも、これもできれば明確化していただきたいというふうに思っております。

 以上です。

小池通義君 私は、市町村長が任命するというのは市町村長のポリシーで変わってくる。

 例えば、私もちょっと町長をやらせてもらったことがあるんですが、女性の農業委員をつくるのに議会推薦を議会の皆さんにお願いしました。四人、枠があった、四人は女性にしてくださいと。そうしたら、議会の人たちは、それはオーケーだと。そうやったから、合併したから今は少なくなっちゃったけれども、旧白根町では、だから、そういう形で当時四人置きました。

 そして、もう一つ心配なのは、今の行政委員を町村長が任命しますよね。そうすると、田舎の選挙というのは、激しい選挙をしますと、この任命された行政委員というのは町村長がかわると辞表を出しますよ。ほとんどそういう形になってくる。そうすると、農業委員さんも市町村長の任命で、行政委員と同じですから、私は、そういうことも起こり得るんじゃないか。

 今、農業委員が、一つは、変な方向に行っているのは、農業委員というのは農地を守るんですよね、だけれども、まるで転用を許可する委員みたいになっちゃっている。これは、もっともっと国で、農業委員の本来の仕事は農地を守るんだという基本的なものをしっかりそこで示していかないと。

 生意気な言い方をすると、必ずしも市町村長はわかっていませんよ、そんなこと。だから、いわゆる自分のポリシーでどんどん決められたら、本当に農業委員としての適格者が出てくるかどうかということも、これは問題になると思います。

 以上です。

仲澤秀美君 今ほとんど小池組合長が言ってくださってしまったので、そのとおりだと思います。

 基本的には、選出された方々が御自分のお仕事をわきまえた上でやっていただけるのであれば、その選出方法というのは二の次なのではないのかなと思います。それぞれの行政におかれる首長がどこまでの御判断をもって御推薦になられるのか、今後そういう方向性に行ったときにどこにリスキーな部分があるのか、そこをきちんとすみ分けた上で選出をしていただければ、選出方法が変わろうともよろしいのではないでしょうか。

 ただ、出てきた方々には、農地をお守りしていただきたい。地域から選出される方の方が農地を守るという御意識が高かったとしたら、それはやはり、選出の方法ではなく、選ぶ過程に当たってのプロセスチェックが足りなかった、そのようになると思います。

 結果的には、出てきてくださる方々が農地を守ることを考えていただければ、その選出方法についてはどちらでもよろしいのではないでしょうか。

 以上でございます。

深沢敏彦君 農業委員というのは、先ほどから諸先輩がおっしゃられているように、農業、農地を守るということ。それで、それがどうも、ある意味では利権的に動くケースが出てきちゃっているというふうな御意見もありました。

 私は、どっちがどっちかよくわかりませんが、本質的なところをきちんと間違わないで、地域の方があの人ならということで納得できる、今までは多分それで納得していた、あるいは選挙ということを、実際に選挙をしなくても、投票しなくても、それなりにふさわしい人を選出されておったというふうに信じております。

 ですから、今回、選挙という方法を、手続的に費用がかかるからか何かわかりませんが、やめるということの意味もよくわかりませんし、それが市町村長に全部、一手に集中しちゃっていいのかなという不安も若干はあります。

 以上です。

松木委員 ありがとうございました、皆さん。

 最後に、これも端的で結構でございますけれども、先ほど深沢さんの方から、TPPに対してのちょっと不安というか、交渉の中で、農協改革もいろいろとリンクしているんじゃないかというお話がちょこっとありましたけれども、それはさておいて、それぞれ、TPPに関しての皆さん方のお考えがもしあれば、端的に、いや、私はこういうところを心配しているとか、いや、いいじゃないかとか、何でも結構です、お答えいただければありがたいと思います。

三森かおり君 私は、TPPに関して、山梨県は実は、果樹ということで、そんなにTPP自体に賛成、反対という、農業者自体が問題等々を起こしたというふうには一向に思っておりません。なぜならば、果樹には、例えば補助金みたいなものがございません、米と比べて。そういうふうな中もあるかと思います。

 私たちは、今TPPが来ても来なくても、私たちは今の時期を担って果樹をしておりますが、次世代の果樹王国山梨をつなげていただくために、このTPPがどういうふうな影響になるのか、全くないというふうには考えていられませんが、もう少し明確化していただけたらというふうに思っております。

 以上です。

小池通義君 この問題についてはいろいろあると思いますが、私は、一番問題なのはやはり米の問題だと思います。そして、日本人が築いてきた、水田にして連作障害をなくして、国民の自給自足できる米を持ったんですよね。それを、今度アメリカが、またいろいろな形でどんどん輸入してくれとか来ると、もう現実に、ある農協においては肥料が売れないとか、水田の面積が減ってきます。

 果樹に影響はないと言うけれども、農業新聞にも出ておりましたが、今度は転換してまいります。したがって、いろいろな面で、これはそこだけでは済まない問題が出てくるし、これから、きょう私がいろいろ述べさせていただいたように、日本人はやはり日本の主食の米だけはしっかり守って、この伝統ある文化を引き継いでいきたい。何かアメリカに振り回されないようにお願いしたいと思います。

仲澤秀美君 端的に申し上げます。

 食を外国に委ねれば、日本は必ず兵糧攻めに遭います。そのことだけはきちんとお考えいただきたい。それだけです。

深沢敏彦君 山梨の果樹、特に私はかかわっていますからあれですけれども、よく、日本の果実は芸術品だ、農業生産品じゃないというふうなことを言われるそうです。確かにそうだろうなと思いますし、諸外国と品質で競争して、勝つことはあっても多分負けることはないだろうなというふうには自負しております。

 ただ、今、山梨がそういうようなことで果樹一本でいっておりますけれども、なぜ山梨が果樹が日本一かと言われれば、リンゴ等の、サクランボの南限が山梨県であり、ミカン等の北限が山梨である。それがもう北へ上りつつあるということで、いつまでも同じようなことを山梨でも言っていられるかなという不安はあります。

 以上です。

松木委員 これで終わります。ありがとうございました。

吉川座長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、四名の参考人の皆さん、貴重な御意見をありがとうございました。皆さんからお述べいただきましたことを中心に、ちょっとお伺いをしたいことがございます。

 まず冒頭に、昨年の雪害のとき、私もちょうど予算委員会の地方公聴会で予算委員のメンバーとして御当地にお邪魔をいたしまして、道すがら、公聴会の始まる前の道中で、ハウスの雪害で壊れたところ、そういうところも予算委員長とともに見させていただきまして、予算委員長がその場で農水省に、大臣に電話をして、しっかりと対応すべし、こういうことでそのときはやっていただきまして、我々から見ても、比較的早くさまざまな手が打てたのではないか。

 また、そのときに、どうしてもブドウの木とかがやられていましたから、これはお米と違って改植をしてもすぐにその年にとれるわけではない、だから、その間の収入の減少、そういうものもしっかり考えるべきだ、こういうお話もしっかりとしていただいたというふうに思っております。

 その意味で、私たちのきょうの参考人の皆さんの御意見がしっかり委員会の審議に反映ができるようにしてまいりたいと思います。

 それと、深沢参考人から、開催の時期をもうちょっと考えてくれ、こういうお話でございましたが、法案審査の時期によりましてきょうになりましたので、これはまことに申しわけないと思いますが、さまざま御意見はしっかりといただいたというふうに思っております。

 私からお伺いしたいのは、三森参考人のお話の中で、農業者の所得向上に農協もやることがあるのではないか、たしかこういうお話をなさっていたと思いますけれども、このことについて、やはり所得向上ということ、これは非常に大事な観点でございまして、総理も、やはり農村の所得を倍増しなくちゃならない、こういうお話もなさっておりますので、農協もやることがあるのではないかという観点で、四名の方に端的に、農業者の所得向上、こういう観点で農協の果たす役割はどうお考えか、それぞれ順次お願いをいたします。

    〔座長退席、齋藤(健)座長代理着席〕

三森かおり君 私が思う農協が汗をかくべきではないかというところは、流通のところと、あとは市場等々の構造改革でございます。こういったところでもう少し、集約性ですとか、構造が端的になっていけば、そこでもうかる仕組みがだんだん減っていけば、農家が直に所得が上がっていくはずだと思っております。手数料というものが結構高い部分で占めていることは必然的でございますので、こういったところにも、両者、もちろん農業者、そして農協が汗をかけるところではないかというふうに私は思っております。

 以上です。

小池通義君 農協がやることがないかということですが、きょうも入り口でうちもティッシュペーパーを配らせていただきましたが、国会議員の先生方にも、サクランボからスモモから桃から全部、果物の日もございます、こういったものをぜひPRしていただきたい。そんなことできょうはティッシュを持ってまいりましたので、御協力方をお願いしたいと思います。

 それから、私が今一番申し上げたいのは、農協も農業経営できるように今なっておるわけですが、中間管理機構のあり方が大変問題でありまして、今、例えば私の地域にもホウレンソウの野菜工場が出ます。農協には何の話もございません。そして、行政と県と、今度は知事さんもかわりましたから変わってくると思いますが、やっていかれる。そして、そこには、二十年とか契約をいたしますと、除去債務も全部行政が持ちます。それから、いわゆる造成費、これも反二十万円を限度として行政が見る。そして、反五万円で借りるそうですから、経費というのは非常に少ない。

 でも、農協が農業経営できるんです。そして、山梨においては、私は遊休地対策としてワインをやるべきだと思うんです。そういったものに対して、農協には何の話もない。

 これはぜひ国会議員の先生方にも、農協も農業経営ができるんだ、だからそこには、企業に対してそういうものまでやるんだったら、農協は逃げませんよ、企業は逃げますよ、それが終わったら。農協は逃げるわけにはいかない、農家と一緒にやっていますから。だから、ぜひ同じような条件を与えていただきたい。そうすれば、農協は頑張ります。

 以上です。

仲澤秀美君 難しい質問だと思います。

 私どもは、それをしたくて今まで幾つかの改善をしてきました。これからも改善をすることは、決して歩みをとめるつもりはありません。JAとして、組合員の生産者の声に常に耳を傾けて、自組織が生き残るための経営ではなく、生産者側に立って物事を判断することが生産者所得の向上につながるのではないかと思っております。

 JAが何をすべきという答えのところであえてつけ加えさせていただくとすれば、つくらないことに対する補助金よりも、つくることに対する補助金の出口対策を打っていただきたく、そして、それをJAがともに生かして、生産者にわかりやすく伝えたい。担い手も大切かもしれませんが、この日本の農業は、そして私どもJA梨北の管内は七割以上が家族農業者です。その家族農業者が粛々と農地を保全できる施策を講じていただきたい。それはお願いをしたいところです。

 JAとすれば、組合員の声を聞かぬふりをしない、聞こえぬふりをしない、できるところは一つずつ対応していく、自組織を優先して考えない、それが生産者の所得につながるのではないでしょうか。

 以上です。

    〔齋藤(健)座長代理退席、座長着席〕

深沢敏彦君 所得の向上というときに、たしか私の記憶では、規模の拡大が重要だというふうな主張だったように記憶しております。

 規模の拡大というのは大変大事なことではあると思いますが、先ほど言いましたように、私の近隣あるいはその周辺を見ても、非常に規模のちっちゃいところ、そこが本当に年間の売り上げに匹敵するような農業機械を導入して、十年も十五年もかけて償却したりとか、そういうふうな無駄は、多分、規模を拡大していけば解消されていくだろうというふうにも思います。

 ただ、山梨だけかどうかはわかりませんが、田舎の人というのは自分の土地に大変な愛着がありまして、本当に一坪でも、道路拡張というとなかなか話が進まない。ですから、あるいは農協の出番というのはそういうところにあるのかなという気もします。

 いわゆる法人化というんですか、先ほどどなたかおっしゃられましたけれども、農業経営にも携われるんだよということからすれば、農園の音頭をとって、法人化の音頭取りをするとかというふうなことも考えられるのかなというふうに思います。これは行政じゃなくて、やはり農協だったらできるのじゃないかなというふうな気がしております。

 以上です。

石田(祝)委員 三森さんにお伺いをしたいんですけれども、農業委員に女性がいない、こういうお話をなさっておりました。

 今回、法律を変えて、農業団体等からの推薦と、そして御自身が手を挙げていただく、こういう中で、議会の承認を得て首長が農業委員を任命する、こういう形になりました。

 それで、今回の法律の中で我々が入れたのは、要するに女性と青年をとにかく農業委員に入れてもらおう、そういうことで、法律の中にも、性別、年齢に偏りがないように、こういう一文を入れているんですね。

 定数を含めて、これはこれからそれぞれの議会で決めていただくことになりますので、地域で、議会の皆さんにも、私はクオータ制なんか導入したらどうかという気もしているんですけれども、そこまではちょっと法律には書きませんでしたので、議会の中で決めるときに、女性、青年のある意味では枠をつくるとか、そういうこともぜひそれぞれの議会でもお願いをしたいなというふうに思っております。

 ですから、これから、そういう点も今回法律に入れておりますので、認識を議会の議員の方にもしていただいて、そういう法律の趣旨に沿った形でぜひ私はお願いをしたいなというふうに思います。

 それで、ぜひ三森さん、ちょっとこれは個人的なお話になるかもしれませんけれども、応募もできますので、手を挙げていただけますか。どうでしょう。ちょっと個人的な話なので恐縮なんですけれども。

三森かおり君 農業委員に関しましては、実は私は夫に、私も手を挙げていいかと申しました。すごく理解のある夫なんですが、さすがに、それだけはやめてほしいというふうに夫から言われたので、今まではできませんでした。

 ただ、私は、女性の農業者の諸先輩方もいらっしゃる中なので、ぜひ、私だけではなくて、広く女性の先輩方も含めて、甲州市として、女性枠ということを考えていただければというふうに思っております。

石田(祝)委員 続いて、仲澤参考人にお伺いをしたいんです。

 平成十六年ですか、委託販売じゃなくて米を買い取ることを始めた、こういうお話で、今回も、農協法の改正の中で、やはりリスクをとれ、こういうのが政府の方からもよく言われてきたんですね。

 ですから、それを早くも十一年前からおやりになっているということで、当初、さまざま議論があったと思うんですけれども、これはリスクをとるという意味で大変な御決断だったと思いますが、これについては農協の中ですんなりといったのか、どうだったのか。また、その後、本当にやってよかったという御評価なのかどうか、それを率直にぜひお伺いしたいんです。

仲澤秀美君 新たな取り組みに入るときには、種々さまざまな論議がされたことは確かでございます。

 ただ、結論的に申し上げれば、いわゆる収穫時、出来秋のときに生産者のお手元に届く額が以前よりも非常にたくさんのものになる、そのことが最後の結論に導くきっかけとなったと思います。今までのやり方をしていたのであれば、収穫時期に生産者の手元に行く額は何分の幾つかになるので、それでは次の農業のための賄いができない、それであれば、やはり生産者とすれば収穫したときにそのほとんどをもらいたい、そういったことから、生産者の手取り額が高くなることによって、その方法がよかろう、そのように結論づいたことがございました。

 十年、十一年目に入ります。これまでは、やはりリスクも伴うというところはございましたが、時代もよかったと思います。大きなリスクもなく、ここまで来れてきてはおります。

 しかしながら、ここに来て、米の動き等が非常に難しい状況下にあります。リスクのとり方を今後は違うようにとっていかなければならないときに来ているというのも、既に意識しているところでございます。これまでのやり方でこの十年は過ごせてきたかもしれないけれども、ここで新たな経営陣は、どのようにリスクを回避していくかということを考えるときは来ていると思います。

 ただし、梨北米というブランドを構築しておりますので、今の流れを大きく変えるつもりはございません。ただ、経営が倒れてしまっては困りますので、その点に関しては、今の経営陣が非常にさまざまな御論議をしていただいてございます。その部分も組合員に迷惑をかけることなく、このやり方が対応できていればと思います。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 もうちょっとお伺いしたいんですけれども、お米の値段が去年非常に下がった。それが、一つは、概算金が低く設定されて、結局、そこのところで全体を引き下げてしまった、こういう意見もございました。

 しかし、消費者からすると、お米は安ければ安いほどいいというお考えもあるかもしれませんけれども、私は、どなたかの御意見の中で、やはり国民がしっかり農業を支えていく、そういう観点も必要ではないか、こういう御意見もたしかあったというふうに思います。

 私が以前、これは国の名前はちょっと違っているかもしれませんけれども、たしかスイスで、オランダから来た卵は一個二十円だ、スイスの地元の卵は一個五十円だ、しかし、スイスの国民の方は、やはり自分の国の農業を守らなきゃならない、そういうことであえて高い卵を買うんだと。こういう、スイスだったか、ちょっと国名は違っているかもしれませんけれども、私は、残念ながら、そこまで国民が農業を支えていくという意識が果たしてあるだろうかという気も実はしております。

 これは、消費者からすると安ければいいというものは当然あるけれども、それが回り回って全体的な食を支えていくということになるだろうか、こういうことも私は考えていかなきゃいけないというふうに思います。

 ですから、仲澤参考人がおっしゃったような、今まではよかった、しかし、これからについてはどうリスクを回避していくか、私は、これは大変大事なことだろうというふうに思います。

 これからは、米の生産調整も、平成三十年にはもう国が生産調整には関与をしない、こういうことにもなるわけですね。我々は、そのときに、農家全体の所得を補償する収入保険というものを同時にスタートさせたい、こういうことも考えておりますことをちょっと最後に申し上げておきたいと思います。

 それで、あと、小池参考人にお伺いをしたいんですが、遊休資産の活用について、これが大事だ、こういうお話があったと思います。これは最後の質問になろうかと思いますが、具体的に何かこういうものがあってこう使いたいんだ、それについて、行政、法律でなかなかうまくいかない、こういうことがありましたら、ちょっと最後に教えていただきたいと思います。

小池通義君 具体的に申し上げますと、先ほども申し上げましたが、はっきり申し上げまして、今うちが、例えばドラッグストアとかローソンとかを誘致したわけですが、これにはいろいろの制約がございまして、先ほど言ったみたいに、私は、関東農政局長の会議のときに局長に質問しましたら、将来その土地を目的があって手放すという予定がある場合は、その間はいいけれども、賃貸業をやってはいけないと。簡単に言うと、賃貸業になっちゃうんですよね。だけれども、さっき言ったように、農協が自分の資産でやはり運営資金をつくっていくということは大変大事なんですよね。

 だから、それを何とかできるようにしていただくと、例えば、一ローソンが月七十万いただけるんですよ。うちの管内全部、そういったところを見ていただいた。そうしたら、例えば四カ所はいけそうだ、そういうことでお話がある。

 今は、そこに私たちは自分たちの持っている果物とかそういったものもそのシステムに乗せてくださいとか、いろいろな形でこれはうまくできますし、行政と、そして全てが一体にできるのはうちだけかもしれませんが、エリアが同じなんですから。本当に、そういう形で、地方創生の段階で、行政もコストが下がります。農協も下がる。

 ですから、こういうものをぜひ御理解いただくような形を、公明党さんが言えば、かなり自民党さんは言うことを聞いてくれるんじゃないですか。

石田(祝)委員 どうも大変ありがとうございました。

 関東農政局長もここに来ておりますから、この場でしっかり聞いてお帰りになるだろうというふうに思います。

 参考人の皆さん、本当にありがとうございました。委員会の質疑も、明日も衆議院でやるようになっておりますので、質疑の中で、これから法律の条文を変えるかどうかということは別の話として、さらに政令、省令という段階もございますので、政省令の中でできるだけ皆さんの御意見の趣旨が生かせるように我々も取り組んでいきたいと思います。

 きょうは大変にありがとうございました。

吉川座長 次に、斉藤和子さん。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 本日は、参考人の皆様、本当に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。また、質問の時間をいただきましたことを本当に感謝申し上げます。私が最後の質問者になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、三森さんの方から御質問させていただければと思うんです。

 国の方は今、所得の倍増とか農業を成長産業にということをきっかけに、農業改革が必要だということでやられているんですけれども、御自身も農家の出身で、お母様の苦労も見ていらっしゃった中で、やはりそれでも農業を継ごうと思われたきっかけですとか、あと、先ほど、貧しくても次世代に引き継げる農業をということが話されたと思うんですけれども、そのことにとって今何が一番必要だというふうにお感じになっているか、お聞かせいただければと思います。

三森かおり君 私は、実は、日本農業法人協会では農の公益機能ワーキングというものを立ち上げていて、これは何ぞやというと、農業は私たち農家の収入ではございますが、それだけではなく、国土保全、環境、そして農村では、昔は農業が農村を守ってきたというふうなゆえんもございます。

 私は、実際に農業に携わっている中では、二年間、東京にも行ってまいりましたし、幼いころから母の後ろ姿を見て、農業こそが生命を支える産業だと思っております。工業では御飯は食べられません。なので、私は、この生命を支える産業、例えば花卉ですと、食べるものではないとはいえ、情操教育とか、そういったものもあると思います。農村では、昔からいろいろな歴史、文化が育ってきたはずだと思います。

 こういった中で、私は、何度も言うように、今なくなっているのは、TPPもやってくる中で、先ほど申されたスイスは、実は国境を農業者が守っております。こういった中で、私たち日本の農業従事者もきちんと、生命を支える産業ということをもう一度自分たちも自負しながら、国土というものも理解しながら、農業に携わっていくべきだというふうに思っております。

 なので、国民の理解、私は、基本的には、今、都市農村交流ということも進めております。ぜひ、先生方を初め、山梨に来ていただく方々を多く迎え、その地域が潤う仕組みということが、農村が生きていく、都会の人たちに支えていただく、または国民に理解して支えていただく仕組みを、今後、私たち農業者または地域の農協、それぞれの県を初めいろいろな行政も携わって、一貫してやっていくことが全てではないかというふうには思っております。

 以上です。

斉藤(和)委員 ありがとうございます。

 それでは、小池組合長さん、そして仲澤常務にお聞きしたいんですけれども、今回の改革の中で役員要件が変わります。原則として、その過半を認定農業者もしくは農産物販売、経営のプロとするというふうに書かれているわけですけれども、私は、これは農協の本来の自治という点からも大きな改変だと思っているんですけれども、これによってどんな弊害があるとお感じになっていらっしゃるか、お聞かせいただければと思うんです。弊害だけではなくても結構です。

仲澤秀美君 一番の弊害は、それぞれのお立場から役員として出てこられた方々が、まず、協同組合、JA、そういったものを御理解してからの御采配を振るっていただきたいという点でございます。

 それぞれのお立場から第一線を回してきた皆様方でいらっしゃいますから、非常に御見識も高い方々が入ってくると思われます。経営のプロが入ってきたとしても、その経営のプロが歩んでいた、例えばそれが株式会社であったとしたら、その株式会社と同じやり方が通用しない、独特な組織なんだということをまず御理解していただいた上で、その能力を発揮していただければと思うところでございます。

 また、認定農業者の皆様方、その皆様方が出てきてくださることも非常にありがたいことだと思います。農業を守る、農地を守る、そういう共通の部分は揺るがしがたいものだと思います。

 ただ、一つ言えば、農協というところは、たった一人の生産者も護送船団的に連れていかねばならない。モーターボートで素早く先に行ってしまったとしても、その人たちにJAが歩みを寄せてしまうことはできない。その部分の総体的なところをどう御理解いただけるのだろう。少し狭い世界の中で論じることが偏ると全体像が見えなくなるのかなと、その部分に関しては非常に心配するところです。

 ただ、既に私どもの役員にもこの方向性は理事会等で説明をし、後々にはその方向性になる旨はお伝えはしてございます。特にそこで反対の声は立ちませんでした。それはやはり、その案に対して少なからずいい方向性であるというそのお気持ちのあらわれかとも思っております。

 ただ、そちらの皆様方が現場に入られたときに、そこの部分だけは心配でございますので、独特な協同組合という組織のあり方をまず御理解いただきたいというのはお願いをしたいところでございます。

小池通義君 認定農業者については、最前線の市町村においてその認定農業者をどういう形で認定しているかということが、恐らく霞が関の人もわかっていないんじゃないかと思う。

 これは後追いにできるんですよ。ですから、市町村長の任命ですから、必要であれば認定農業者は取れるわけですから、そういうふうに考えると、そんなに問題は逆にないかもしれませんが、そういう形で、本当の認定農業者としてそこに存在する方じゃなくて、それもできちゃう。

 それから、今、NPOですか、そういった関係の皆さんが来るというのは、その人たちが果たして農協を現在利用しているかどうか。利用されているなら農協の理解もあると思いますが、全然利用していない方がそこへ選ばれてきた場合は、今、仲澤常務が言われたように、これは株式会社と農協では絶対なじみません。その辺もしっかりと選出に当たっての基準を決めていただかないと混乱をするもとになってしまうのではないか、そんなように思います。

斉藤(和)委員 これは、三森さんは先ほどお聞きしたんですけれども、同じ質問なんですが、今、農協改革をする上で、農業、農村の所得倍増、農業の成長産業化ということが言われて農協改革だというふうになっているんですが、このことについて、三森さんは先ほどありましたけれども、三人の方々は、どのように今の現状と、目標とされているものに対する思いというか、どのように感じていらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。深沢さん。

深沢敏彦君 そうあってほしいのは当たり前のことなんですけれども、特に私の身近なところでいいますと、桃とかブドウとかというものは、正直、なくても何も誰も困らないものであります。主食のお米とか、あるいは卵だとか肉だとかというものだと、なければならない。ですから、そういうふうな意味では、なくても困らない、誰も困らないんだけれども、なければ我々が困る。

 ただ、今圧倒的に私を含めて果樹農業者が欠けているのは、マーケティングの心構えだと思います。消費者が本当に求めているものは何だろうかというところが圧倒的に欠けておる。結局、川上発想で、流せば何とかなるだろうと。そこのところを農協がとりあえずは全部引き受けて、市場までは持っていってくれる。そうすると、余り考えていないから、値段は結局安値安定になってしまって、何でもっと収入が上がらないんだ、一個が水よりも安い桃やブドウになってしまうんだというふうな話になるので、そこのところをもう一度生産者自身も考えなければいけないところではないかな。いわゆるディマンド発想が農業にも必要じゃないかなというふうには思っております。

 それを、長くなって済みません。先ほどからお話がありますように、誰か、学者がとかじゃなくて、やはり我々の一番身近にある農協でそういうふうな指導をそれぞれの農家に、あるいは集団でしていただけると、栽培意識は変わるし、向上するし、きっといいものができれば所得はふえていくだろうというふうに信じています。

仲澤秀美君 今おっしゃられたこととほとんど同じなのでございますが、いわゆるプロダクトアウトからマーケットインへと。今までの生産者もJAも、生産者がつくって集まってきたものを売ろうとする。その売るに当たって、JAは、消費者ニーズといって何を聞いてきたか。流通のニーズを消費者ニーズだと勘違いをしてしまった。流通が野菜も果物も全て芸術品のごとくしてしまった。しかし、その流通の向こうの消費者たちは、本当は少し曲がったキュウリを食べたかったかもしれないけれども、自分の手元には真っすぐな、飾っておくに等しいほどのキュウリが届いてくる。そのギャップではないでしょうか。

 ただ、JAの側とすれば、その流通が言うニーズがあたかも消費者ニーズであるかのように伝わってきていたことは確かです。しかしながら、生産者と食べる消費者の接点というものが、流通や情報が発達してきたことによって可能になるのであれば、これからは売れるものをつくるというのが生産者所得を向上することにつながるのではないかと思います。

 それぞれの消費者が生産者の顔を見たがるということが昨今出てまいりました。今度は生産者が、消費者、食べる人を意識しながらつくってもらいたいと思っています。自分の子供に、自分の孫に食べさせる野菜に多くの農薬はかけません。家庭菜園のその向こうに、日本の皆様方のそのお顔を感じながら生産者がつくることができ得たとしたら、それが直結して、生産者所得の向上につながるのではないかと思います。

 日本の国民も、スイスのように、国産農畜産物を手にしながら、私がこの景観を守っている、そんな高い意識のもとに消費者と歩み寄りたいと思っています。

小池通義君 成長産業という意味がよくわからないんだけれども、資本主義社会の成長産業と、私がきょう述べたように、価値観が違う時代が来る。今、若者が、例えば車も要らない、いろいろ変わってきているんですよね。そして、ある地域へは田園回帰、こういった動きが非常に強い。だから、彼らはそれで満足感があるわけです。そういう意味からいくと、それが一般的な辞書で引くような成長という意味でなくても、心の中で満足感があれば、それもそれでいいと思うんです。

 ただ、今、仲澤さんがちょっと言われたように、私も、いわゆる消費者ニーズでというのは違うんですよ。いわゆる一番おいしいものは、例えば果樹でいえば生産者が知っているんですよ。消費者は与えられたものの中で、その中のいいものをおいしいというニーズをつくっているかもしれませんが、例えば果物で私が私の孫に食べさせるときは、一番おいしいのを上げます。

 だけれども、これは、これから果樹の話でいきますと、成長していくには、本当の完熟品というのは、いわゆる東京の人たちには送れません。やはりここへ来ていただかないと。東京で、どんな一流店でも、銀座の明治屋でも千疋屋でも求められないものは、地元の果樹園にあります。そこに来ていただいて食べていただく。

 これは、観光と農業を結びつけていくことによって、成長産業になるのではないかなという期待を持っているわけですが、それは、もし皆さんも、例えば私のサクランボ園へ来ていただければ、こんなにおいしいのがあったのかというのを食べさせますから。うちにはまた貴陽もございますし、そういったものは、恐らく完熟品というのは食べたことがないと思います。

 そういうものを消費者に届けて、消費者もいろいろな層がありますから、そういう形で、新しい形で成長を見つけていければいいのかなと思っています。

斉藤(和)委員 ありがとうございます。

 最後の質問になると思うんですが、仲澤常務にお聞きしたいんです。

 全中が単協の自由を奪っていたというよりは、逆に、全中があったからこそ自由な発想で組合員のための農協経営ができたというふうに私は捉えたんですけれども、仲澤さん御自身が規制改革会議の中で資料としてお配りされていたんですが、その中で、高齢化していることが何か農業がマイナスという、だから改革しなきゃいけないというのではなくて、高齢者ではなくて高齢技術者だとおっしゃっている、生産者のつくる喜びと売れる喜びがかなってこそだと。

 先ほども家族農業経営が中心になるだろうとおっしゃっていたんですが、まさにそれを支えていたのが農協ではないのかというふうに思うんです。やはり、農協の自主性といったときに、先ほども自立自興できる改革であってほしいというふうにおっしゃられたんですが、何を一番言いたいというか、御意見があればぜひお聞かせいただきたいんです。

仲澤秀美君 JA梨北はいろいろな取り組みをしているとよく御評価をいただくのでございますが、実を申し上げますと、余り研修にも出てまいりませんし、先進的な情報というのも入手はいたしません。

 ただ、私どもがこれまでやってきたその根源には、私どもは地域のさまざまな条件を一番知っているJAであると自負をしております。この地域に一番即した地域の活性化を知っているのは、多分それぞれの地域にあるJAだと思います。

 ただ、JAが、ともすれば、生産者のためにと傾注し過ぎるがゆえに、あらゆる守らねばならない基準を超えてしまわないように、全中というものがあるのではないでしょうか。何度か申し上げましたが、法律による規制、さまざまな基準、生産者のことを考えるのはいいんだけれども、ここまで基準は守らなければいけないでしょうと、そこのすみ分けをしてくれているのが全中だと思います。

 全中のその基準を踏まえた中で、その地域のさまざまな要件を一番知っているJAが、自組織のためではなく生産者のために経営判断をすることが、本来、今回のJA改革で求められていることではないでしょうか。自組織が、系統組織が生き延びるためのJA改革ではなく、それぞれの地域の生産者がそれぞれの地域を活性化しながら、それぞれの地域のコミュニティービジネスが生まれてくるようにするのがJA改革だと思っています。

 ただ、最初に申し上げましたが、改革というものは、こうしようと思って実現できるものではございません。日々の仕事の中で疑問を持ち、一つずつ改善していく結果が改革であってほしいと私は思って、これからも続けてまいります。

斉藤(和)委員 ありがとうございました。

 皆さん方の意見を参考に、本当に日本の農業がしっかりと守られていく、その中での農協の役割がしっかりと守られていく、そういう方向にぜひしていきたいというふうに思っています。

 きょうはありがとうございました。

吉川座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様方におかれましては、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。

 本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大なるものがあると存じます。ここに厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後零時五十八分散会


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