衆議院

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第17号 平成27年6月16日(火曜日)

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平成二十七年六月十六日(火曜日)

    午後三時四分開議

 出席委員

   委員長 江藤  拓君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君

   理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君

   理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    井野 俊郎君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      大岡 敏孝君    瀬戸 隆一君

      武井 俊輔君    武部  新君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      西川 公也君    橋本 英教君

      古川  康君    前川  恵君

      宮路 拓馬君    森山  裕君

      簗  和生君    山本  拓君

      金子 恵美君    岸本 周平君

      小山 展弘君    佐々木隆博君

      福島 伸享君    井出 庸生君

      松木けんこう君    稲津  久君

      佐藤 英道君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   参考人

   (株式会社庄内こめ工房代表取締役)        齋藤 一志君

   参考人

   (前新篠津村農業協同組合代表理事組合長)     三品 幸治君

   参考人

   (東京大学大学院農学生命科学研究科教授)     中嶋 康博君

   参考人

   (農事組合法人ニューファーム千畑代表理事)    樽川  隆君

   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十六日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     大岡 敏孝君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     勝沼 栄明君

    ―――――――――――――

六月十二日

 農業改革の名による農業・農協潰しをやめ、地域を守ることに関する請願(斉藤和子君紹介)(第一八〇七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七一号)

 農業協同組合法の一部を改正する法律案(岸本周平君外三名提出、衆法第二一号)


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     ――――◇―――――

江藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業協同組合法等の一部を改正する等の法律案及び岸本周平君外三名提出、農業協同組合法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、株式会社庄内こめ工房代表取締役齋藤一志君、前新篠津村農業協同組合代表理事組合長三品幸治君、東京大学大学院農学生命科学研究科教授中嶋康博君及び農事組合法人ニューファーム千畑代表理事樽川隆君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、齋藤参考人、三品参考人、中嶋参考人、樽川参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、初めに、齋藤参考人、お願いいたします。

齋藤参考人 ただいま紹介いただきました、山形で百姓をやっております齋藤でございます。よろしくお願いします。

 まずは自己紹介ということで、私は会社を三つ持っておりまして、最初が有限会社いずみ農産でございます。平成二年に養豚を中心とした事業ということで立ち上げたんですけれども、実は、一昨年、大雨の被害で豚舎二棟が崩落しまして、豚が二百頭日本海に流れた、まさにその農場経営者でございます。

 そういう養豚をやっている会社なんですけれども、平成五年、平成六年というあのパニックのときに、消費者の方から米の供給に対していろいろあったものですから、米を集荷することになりまして、いずみ農産という養豚をやっている会社の米の取り扱いがどんどん大きくなってまいりました。

 ということで、このままでは、売り上げが五億を超したあたりから、どうも農地法に触れるんじゃないかという話もありまして、つくったのが株式会社庄内こめ工房でございます。

 これは、今、出資者は百名の専業農家、一部兼業もおりますけれども、実はこの株式会社庄内こめ工房は、本当は農業協同組合庄内こめ工房ということで設立しよう、そういう意気込みで設置した会社でございます。当時は中央会の意見が求められる時代でございましたので、設置しようと思ったんですけれども、なかなか好感が得られないだろうといううわさが聞こえてまいりまして、途中から、やむなく株式会社という設立で臨みました。

 現在、二万俵から四万俵の米を集荷しまして、約百から百二十人の生産者でございますが、肥料、農薬、それから生産資材、そういうものの供給、それから農機具のレンタルをやっております。そういうことで、コストを下げながら良食味のお米を生産しようということでなった会社でございます。

 それから、三つ目、これが平成二十一年に設置した、今でいう六次産業化なんですけれども、餅の加工場と、それから、お米を供給するために、本当に、きれいな米じゃないとだめというよりも、マーケットの方が、通常の色彩選別機だけでは供給が無理になってまいりました。

 今は、ガラス選別機という数千万の機械を入れないと、スーパーさん、それから外食さんに納品できない、そういうことがありまして、農業法人たちが、一生懸命外食とかスーパーに納入はしていたんですけれども、そういうことで、なかなかなし得ないということでしたので、では、農業法人で金を出し合って会社をつくろう、そのほかにも餅の加工の施設も一緒にやろう、そういうことで設置しましたが、みんな農業法人だったので、どうせだったら、低コストの稲作、これは実証試験なので、なるかならないかわかりませんが、そういうことで、株式会社まいすたぁというのを二十一年に設置しております。

 これが自己紹介ということです。

 次に、農業現場の現状について少し報告させていただきたいと思います。

 皆さん御存じのとおり、今は生産過剰、供給過多でして、米が大暴落です。当然のことながら、ナラシ対策ということで、先日、補助金等々の金額がようやくわかってほっとしている時期ではございますが、今の流れを見ると、もう生産過剰が確定です。消費はどんどん落ちる中で、農水の方から、生産数量目標という指示がありますけれども、まだまだ状況は多いように感じます。

 これをマーケットの方が当然キャッチしまして、余っているんだったら当然下がる、ひょっとしたらもっと下がるかもしれないということで、買い控えというか、ほかよりも高く仕入れてしまえば、そちらのスーパーさん、それから外食さんは負けちゃうので、なるべく仕入れコストを下げようということで、当然の行為をしていると思います。

 そういうことで、この生産過剰の中、今の農業現場では、平均年齢六十七歳ということで、何も六十七歳でやって悪いことはないですけれども、現場では八十歳の人がまだまだ現役で、トラクターに乗り、コンバインに乗り、頑張っております。そういう方々も含めて、専業農家として面積をどんどんふやしている私の仲間たちが、今、経営困難でいる真っ最中でございます。

 こういうときに、皆さんが今議論しております農協改革法案というのが出されまして、私も農家の一人として大変期待をしております。

 農協の方は今どうなっているかというと、私も当然、個人も、それから法人も農協の組合員になっております。うちの農協は結構私みたいに自分で売るとか、そういう農家がいっぱいいる農協なので、随分先進的な農協だとは思いますけれども、まだまだ改善の余地があろうかと思います。

 まず一つが、どんどん正組合員が減っている状況です。それから、取扱高が減っている状況です。ふえているのは、貯金それから保険、そちらの方の業務、それから准組合員の人数です。数年間で百万人もふえているというのは異常な数字だろうと思います。

 そんな中、なぜ農協から規模の大きくなった農家が離れていくかというと、一つには、組合員は皆平等という不平等があり、それが農協離れを起こしていると思います。

 私の方の、米じゃなくて養豚の方なんですけれども、餌、飼料の取り扱いは、JAグループが五〇%から、今三分の一までどんどん落ちている状況なんですけれども、養豚事業で一番コストがかかるのは飼料です。餌代が本当にコストの半分ということなんですけれども、やはり飼料の能力、それから価格、それを我々経営者として、農場で使って、それを見て選びながら経営が残っていくわけでございますが、その単価、それがどうしても農協の方は民間の方に対抗できなかったということかなと一つは思います。高いので使えなくて、業者と見積もりをとりますと、どうしても民間の方の会社を選ばざるを得ない、そんな状況でございます。

 実は肥料、農薬の方はもっとひどい状況でして、すごく封建的な制度がまだまだ、規制緩和がなっていなくて、各県に特約店とか代理店とかというのがもろもろあって、そこの伝票をいっぱいくぐって農協にほとんど卸すような形になります。そうすると、そちらの方から我々農業法人とか大規模な農業者が直接買おうと思っても、何も農協は悪くないんですけれども、そちらの業者さんが気を使い過ぎて、なかなか安く出してくれない、そういうのが現実でございます。

 それで、農協が安く売っちゃだめとか、そんなことを言っているという話は聞いたことがございません。ただ、出入り業者が、やはり農協がメーンの卸先なので、それより安くは出せないとか、農協がこのぐらいの価格で出しているのに、齋藤さん、これ以下で出してもらうと困るんだよねというのが現実の話だと思います。そういうことで、なかなかコストを下げようと思っても、我々の力ではなし得ない、そんな現実でございます。

 どうすればいいかといいますと、何のことはない、農協がもっと民間を使うようにして改善してくれれば、早い話、商人系の肥料で、農協の大きな力で入札をかけて、一番安く協力してくれるような、そういう卸先を見つけてくれれば、我々農業法人、大規模農家も、どんどん農協を利用してくれるんだろうと思います。

 ただ、そういう農協も今いっぱい出てきていますので、大変期待はしていますけれども、現実問題、農協自体が、工場を持ち、輸入し、原料の輸入から製造、販売まで一手に担っているということは、工場の稼働率もありまして、できればそのJAグループのものを使わないとというのが心情だろうと思いますので、これは仕方ないかなと考えております。

 ただ、今後、農業も、七十代、八十代の人がリタイアして、規模が大きくなるにつれ、そういう人たちが農協離れを起こすということは、何も農協にとっていいことではないし、そして、我々のコストが上がっていくというのもまたいいことではないと考えます。

 ぜひ、今回の農協改革によって、農協の方が、大規模な農業者というか、私は大規模じゃないですけれども、農業法人とか大規模農業者と一緒にできるような農協に生まれ変わるということを期待しております。

 今現在は、農協の決算を見ましても、営農、それから販売業務の赤字を金融、共済で消し込んでいるという、すごく不健全な経営体になっていると思います。そして合併して、今や一県一JAみたいな、そういうでかい農協がどんどん出現しておりますけれども、それが農家との疎遠、農業法人や大きい農家と話し合う機会がどんどん薄れてくるし、それから、支所には販売する部署もないような、そういう現実があちらでもこちらでも出てきている、そんな現状だろうと思います。

 今は、結局は金融と共済なので、兼業農家と准組合員のための農協、これがまさに現実の農協だろうと思うし、我々が欲しいのは、これから日本の食料、農地を背負うような専業農家、そういう人たちと一緒にできるような農協がすぐにでも欲しいと思っております。

 私は、農協が不要だとか、そういう考えは持っておりません。今の現場において、事務処理の多いこと、農協がほとんどのそういう面倒な事務処理をやっているからこそ、補助金もいただくことができるし、農機具も買うことができる。それほど、現場では事務処理というのがふえています。田んぼに出て、水を見て、田植えをして、稲刈りをして、そういう感じじゃなくて、まず、時間の三分の一ぐらいが、写真を撮り、帳簿をつけ、それから文書を書き、印鑑を押して、これが今の農業です。これの相当な部分、農協が職員を配置して頑張っている姿が現場では見ることができます。

 昔の農協は、営農技術員というのがいまして、朝五時半とか、そのころから田んぼのあぜ道にみんな集まって技術指導、まず一つは苗の指導、それから青田指導といって追肥の指導なんですけれども、そういうものをやって、楽しい農村でした。

 今回の改革によって、巨大な総合商社が、昔のような、あぜ道に職員を配置できるような農協になることを期待しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。(拍手)

江藤委員長 ありがとうございました。

 次に、三品参考人、お願いいたします。

三品参考人 北海道から参りました、一農家の三品といいます。現実の農家の生の声を届けるため、参考人をお引き受けいたしました。よろしくお願いいたします。

 四月までJAの組合長の立場でもありました。小さい、合併もしていない村でありますが、私の前任の組合長は全中の会長を二期務めております。まだ当JAの顧問としてばりばりに元気で務められています。新篠津で二人目の参考人でありますが、引き受けていながら、このような場所は不得手でございます。さらに、退任をいたしまして二カ月余りのブランクがあるというふうなことで、数字は最小限にとどめさせていただきまして、本村農家の内情、現状を踏まえてお話をさせていただきます。本来の趣旨である農協法改正から外れている点もあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。ひとつ御理解をお願いするところであります。

 ここに入りまして、町村前衆議院議長の肖像画を見て、お世話になったこと、助け合ったこと、論議したこと、走馬灯であります。改めて、謹んでお悔やみを申し上げたいと思います。

 新篠津村の人口は、二十七年四月現在でありますが、三千二百九十六人、石狩平野の平たんな地であります。札幌市から三十五キロ、山、国道、鉄道もありません。一軒当たりの車の保有台数が自然と多くなっていますが、石狩川の右岸、本当に農業が基幹、中心の村であります。大雪の年もあり、平成二十四年には、自分のところで、三月の頭で二メーター三十一センチの積雪がございました。降雪量では、全国に報道されることがあります。

 JA新篠津村は、村内外に四千八百ヘクタールの農地があります。昭和四十四年、六百九十三戸の農家がありました。平均八ヘクタールであります。水田のみの作付でありました。現在は二百六十一戸まで減少し、平均耕作面積は十八ヘクタールを超えました。

 農地拡大に非常に意欲的な村であります。田植えを人材派遣会社の応援で乗り切れば家族労働でいける地域であります。十条のオーダーメードの田植え機でありますが、一番入っているのかなと推測をするところであります。一日六ヘクタール近く移植をする農家がいます。耕作放棄地はゼロであります。認定農業者はほぼ一〇〇%。JAの役員構成年齢は五十五歳を大分切っている村でもあります。近隣の市や町にも土地を求め、村以外に求めた土地は二百ヘクタール程度であります。

 現在の作物は水稲が半分を占め、道内の主力品種でありますゆめぴりか、ななつぼし等々であります。転作の作物比率は、麦が六割、大豆、小豆が三割、残りを野菜、花卉が占めております。一戸当たりの収入は、奨励金も含めまして二千六百万弱と推測しております。

 経費と収穫時期のバランスを考え、肥料は、収穫が終わって、十一月にほとんどの農家が引き取りをしています。大豆の収穫前には麦をばらまき、葉っぱが落ちて土がわりになるというふうなことで経費を抑える麦作付、また、水稲に関しては、直播、じかにまく、乾田とか代かきをしてまくやり方で経費節減に努めております。

 農商工連携では、農家、村商工会、農協と協力し、道の駅で産直市場にも参画をしています。JAで農産物の試験圃場を持っています。札幌市の小学生、親子と、農業体験と称しまして、田植え、稲刈りツアーもやっています。新品種の収量調査も行っているところであります。

 先週、学生時代の仲間と稚内で会いました。今、前任者の斉藤さんが離れた地域であります。彼は、震災の地、宮城県で数年ぶりに実家に帰ったそうであります。道が変わっており、間違えたそうであります。周りには草が生い茂り、米価が下落のため、つくる意欲がないとのこと、悲しい現実であります。

 本村の話に戻ります。

 組合員の経営は、非常に厳しい状態であります。田んぼの十アール売買平均単価は四十一万五千円です。農業開発公社事業を活用しておりますが、借入金であります。基盤整備以前は一枚の田んぼが四十アールでしたが、現在、田んぼは大きくなりまして、百アール、基本は一ヘクタールであります。基盤整備、暗渠、客土をして、効率化を図っております。これも借入金であります。

 これら農産物をJAが集荷し、それぞれの調整施設で最後の仕上げをします。機械も施設も、農水のいろいろな補助事業を最大限活用して入れております。本村の水稲農家の一軒の最大が六十五ヘクタール、北海道では百ヘクタール、そこにいらっしゃる佐々木先生のところは百ヘクタールも超えていると思うんですけれども、一軒であります。畑作、酪農になれば、数倍大きな規模となります。機械の補助事業は、面積要件で、軒数制限もあります。食料基地北海道は、一軒でも機械を持てる事業も必要ではないでしょうか。

 そして、専業農業者は、昔、北海道は十ヘクタール、本州は四ヘクタールと区分けした時代がありました。今、農家には線引きがなくなりました。やはり、ここで専業農家のしっかりとした位置づけは絶対に必要ではないでしょうか。

 牛乳は水道ではありません。酪農家がなぜ減っているのか。投資に見合う単価になっているのか。日本農業は家族労働が主であります。収入確保ができる兼業が生き延びられるような気がしてなりません。法の改正と収入の確保がどうなるか、私どもはしっかり注目をしていかなければならないと考えております。

 正組合員、准組合員の比率でありますが、私が就任して、逆転をいたしました。これからも、齋藤さんが言われたように、准組合員は確実にふえていく傾向にあります。農民は、離農しても、大半の人々はそこに居住をしております。正組合員資格は、御存じのように、所有面積、作業日数の二点であります。離農しても、自分の農協の意識はあります。出資金はぎりぎりまでおろしません。それが、北海道が全国でも一番准組合員が多い現実がここにあります。北海道のJAは、准組合員がいなければ経済的に成り立ちません。

 新篠津村内で食料品を売っているのも、JA組織のホクレンショップのみであります。ガソリンスタンドは二店ございますが、JAのスタンドが主流であります。それも規制対象であります。

 JAに来れば、銀行、保険も含めて、全部の用が足りる、これが北海道の農協です。農協が地域に根を張っていて、農民、村民はその必要性を十二分に認識しているところであります。JAは、村民の働く場の提供、地域経済を支えています。五年はすぐそこであります。この点も御配慮を切に要望いたします。

 なぜ農民が商社と対抗するためにつくった組織を今改革するのか、私にはよくわかりません。やはり改革は自分でするものではないでしょうか。農協法は悪法ではありません。もう少しじっくり考える余地があるのではないでしょうか。

 村の新規就農者は、Iターン、Uターンを含め、毎年五人から七人、多いときは十人を超える年もあります。若者が夢、理想を持てる政策を切に望みます。

 私自身がUターンの農業者であります。外の社会を見て就農するのは大変よいことと思われます。それでも平均年齢は年々上がってきており、現在、五十五歳が平均年齢であります。

 農家は、泥、天候と格闘いたします。本村では、まだ一部でありますが、グリーンツーリズムの会をつくり、道内外の中高の修学旅行生の生徒を受け入れています。農家の応援隊は国民であってほしいものであります。

 農民が一生懸命汗水して仕事を覚えても、一人前にするには五年、十年という歳月がかかります。お医者さん並みに貴重な人材であります。食料は国の財産です。日本でつくったものはきちんと国内で消化する体制も必要と考えます。今農家を育てなければ、大変なことになります。食は一番に大切なことであります。

 北海道米は、学生時代に、厄介道米、猫またぎ米と言われました。前の前の主力品種、麦のホロシリという品種は、何かの間違いだと思いますが、製粉会社ではぼろ尻と書かれていました。言葉は悪いですが、何くそ、今に見ていろ、不屈の精神で、組織が改良費を農民にうたい、品種改良に努めました。それが実り、全国有数の米、麦の主産地となりました。農民組織が頑張った成果であります。大豆、小豆もしかりであります。

 水稲農家の若い人たちは主食の米をつくりたいのであります。現在、主食、加工、備蓄、飼料米と、昔では考えられなかったバラエティーの時代に入りました。単価を含め、現在は、現時点の価格は逆であります。おかしくありませんか。それでも輸入です。現実的には無理なことは重々わかっておりますけれども、国が取り決めたSBSを含めたMA米がなくなれば、数量は合います。それ以外にもさらに輸入。私には意味がわかりません。

 全国、全道の専業農家は後を継がせたい、これが本音だと思います。自分の財産、知恵を一緒に継がせたいのであります。ただ、将来に不安があり、農家が減少しているような気がしてなりません。

 水稲、畑作、酪農、日本の農業全ては、再生産に合う単価は絶対に必要であります。所得倍増政策、自給率五〇%はどこへです。与党、野党の区別は農業政策には関係ありません。農業が将来も振り回されないよう、しっかりと考える中で進めてほしいと思います。

 農業委員も六カ月余り、短い間ですが、経験をいたしました。農地のあっせんもいたしました。各地区から選出されている委員が地域の内情を理解して、順位、人を決めます。本来の農業委員会の姿であります。ある市の話をいたしますが、議会から農業委員会に送り込まれた人の発言はないそうであります。わからない人がなるとこういう状況になります。大都市はどうなるのでしょうか。企業の参入は大丈夫なんですか。大規模に所有して、撤退後はどうなるんですか。農家はきちんと引き継いでいるんですよ。声を大にして、農家は生きる糧の農地をずっと守っています。

 まだ数日間、JA北海道厚生連の役員です。広い北海道は、病院は死活問題であります。大半は赤字で、市町村からの繰り入れをして運営しています。先日、厚生連が運営をしているある総合病院の産婦人科医が一人になりました。閉鎖の危機であります。産みたくても産めない現実に、地区の首長がこぞって、何とか継続のお願いに来たそうであります。地域に根づいた組織はこんなにも大事なことなんです。医療法人移行は本当にメリットなんでしょうか。担い手対策、産めない地域にお嫁さんは来るんでしょうか。いま一度、現場をしっかりと見てください。

 地方創生はつくることであります。崩壊でもありません。自分の、今私が住んでいる地域はいい方の部類であります。代表は全体を見なければなりません。政治は東京、農業は地方であります。

 最後に、ここに立たせてもらって、我々の系統組織と農協はこれからも必要な組織であります。農協改革、農政改革、どちらが先か。

 最後に、共存同栄、万人は一人のために、一人は万人のための精神であります。長くなりましたが、ここにいる代議士の皆さん、ひとつよろしくお願いをいたします。(拍手)

江藤委員長 ありがとうございました。

 次に、中嶋参考人、お願いいたします。

中嶋参考人 東京大学の中嶋でございます。

 本日は、このような発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 初めに申し上げておきますと、私は必ずしも農協や農業委員会制度の専門家ではございません。三月に食料・農業・農村基本計画が閣議決定されましたが、その基本計画の見直し作業にかかわった者として、このときの議論で前提としていた日本の農と食の基本構造の変化と農政改革が目指している方向性を踏まえて、農協や農業委員会など農業団体にかかわる制度の再設計はどうあるべきかについて意見を述べさせていただきたいと思います。

 特に政策の一体性、それから補完性を考えたとき、今回の一連の農政改革など農業団体の制度改革は必要だと私は考えております。

 なお、農業団体における制度改革においては、とりわけ実態、実務性に配慮した設計が求められることは言うまでもございません。この実態に即した詳しい制度設計に関する議論は、本日御参加のほかの専門家の皆様にお願いしようと考えております。

 ただ、私自身は、フードシステムや土地改良関係の研究を行ってまいりましたので、その観点から実態に即したお話ができるかもしれないと考えております。

 まず、基本的論点でございます。

 農業団体の制度を見直すに当たってのポイントは二つあると考えております。これはとりたてて目新しいことではございませんが、まず整理させていただきたいと思います。

 第一に、農業団体や組織を立ち上げる上で前提としていた社会経済の状況が大きく変化したということです。

 戦後すぐに組織化されたとき、第一に、戦後復興へ取り組むこと、第二に、人口増加、経済の高成長、急速な都市化など、膨張する社会におけるさまざまな課題の解決へ取り組むことが求められておりました。しかし、今や我が国は、人口減少、経済の成熟、都市化の停止など、かつての事態とは反対の状況となっております。

 第二に、農業団体の基礎となる農家の構造が分化し多重化していることです。

 均質的な農家群ではなく、意識や利害が多様化しているために、必ずしも全ての農家が農協に参加したいとは思わなくなっております。今般の農政改革によって、農業構造はさらに大きな変化が進むことは必至であり、このことは、農業団体のあり方についてより一層の見直しを迫ることになると考えております。

 以上に加えて、もう一つ、経済活動を行う農業団体、すなわち農協のあり方を考える上で指摘しておきたいポイントは、いわゆるフードシステムの現状と関係性です。

 先ほど触れました人口減少、経済の成熟、都市化の停止は、我が国の農や食に大きな影響を与えております。さらに高齢化の進展もあり、一九九〇年代半ばを境にフードシステムは大きく変容してまいりました。金額ベースで見た国内の食マーケットは縮小し、質的変化が起きております。食マーケットは極度に成熟化する時代になったと言えると思います。加えて、グローバル化がますます進んでいることも見逃せません。

 このフードシステムの例を初めといたしまして、食料、農業、農村には新たに解決すべき課題が次々に発生しております。その課題解決をするためには、個々の農家で対応することには限界があります。やはり、経済面の課題に取り組むには、農業団体、農協へ期待するところが大きいのです。

 農業構造が大きく変わってきたといっても、数多くの農家が日本農業を構成するということには変更はございません。ただ、その農家は、先ほど指摘しましたように、均質的なものではなく、多数の土地所有者と限られた伸びゆく担い手とが共存する、いわゆるヘテロな構造へと変わっていることが取り組みを難しくしていると思っております。

 そういった状況の中で懸念されることは何か。それは、逆選択状態に陥るおそれがあるということです。これは、経済学における通常の保険の議論で言う逆選択とは違うのですが、とにかくこのままでは、農協に参加してもらいたい農業者であればあるほど農協に入ろうとしなくなるのではないかということが懸念されます。

 これから本格化する人口減少社会において、農業界が最も力を尽くさなければならないのは人材確保だと思います。農業経営はもちろんのこと、農協組織に有力な農業者を引きつけることが求められています。それらの農業者が農協に加入したからこそ事業が伸長するようにする、そのような可能性を高める環境づくりを目指すべきだと思います。そのような状況になることで、加入した農業者も利益を得ますし、招き入れた農協、つまり組合員全体が利益を得るようなウイン・ウインの関係をつくり上げるべきではないでしょうか。

 新たに招き入れた農業者には、地域農業の所得をふやす事業の展開に力を尽くしてもらわなければいけません。その際に、事業のポートフォリオの見直しが行われるはずでして、六次産業化はそのための手段を用意してくれると大いに期待しております。

 農協の理事会には、事業のポートフォリオをプランニングする機能を強化する必要がございます。この意思決定を確実なものにする上で、第七条の改正には私は異論はございません。

 これまでも、認定農業者には地域農業の将来を託していろいろなお仕事をお願いしてきました。ただ、負担だけを感じる農業者も多かったのではないかと想像いたします。しかし、もし農協理事として責任ある立場で地域農業の行方に関与できるならば、仕事の達成感も高く、みずからのビジネスの環境整備にもなるので、意欲を持って参画する強いインセンティブを持たせることができるのではないかと予想しております。

 新たな基本計画で政策を進めていくならば、これまで以上に担い手に地域農業を任せていくことになります。地域農業の運営の責任者としての意識を高めていただき、地域農業の活動にコミットしてもらうこと、そして、それが当事者の利益にもつながるようにすることが重要だと思います。そのための話し合いの場が必要ですし、若い農業者であれば、改めて研さんを積む場に招き入れる工夫が求められております。

 農業委員会改革において、農業委員の過半を認定農業者にすることも、地域農業の活動にコミットしてもらうために重要な仕掛けになると考えております。

 なお、ビジネスの効率性を上げるためには、実質的に利用高に基づいた発言権の付与も考慮すべきこともあるかと思いますが、ただ、民主制に基づいた意思決定のあり方も維持しておく必要があると思います。

 ビジネスが栄えて農村が荒廃するのは困ります。持続的事業、持続的社会を維持発展させていくためにも、多様な意見を内部に保持し、それを意思決定に反映させる仕組みが求められていると思います。

 事業面で健全な活動が続くこと、社会生活が安定すること、自然環境を保全することは、持続的地域社会を構築する上でそれぞれが必要条件であり、それらが全て満たされることで必要十分な条件が整うのではないかと思っております。

 実は、私は昨年、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律の一部を改正する法律案などの審議において、担い手支援と資源、環境保全のあり方について意見を参考人として陳述いたしました。その際に、今般の農政改革において、日本型農業モデルは維持すべきだと考えていますと申し上げました。

 この日本型モデルとは、過去の高い人口圧力のもとにおいて歴史的に展開したものであり、限られた農地を前提に食料の安定供給を実現するため、農業、農村ストックの共同の維持管理システムが構築されたというものでございます。そして、人口稠密な農村において生活と生産が密接に関連しているために、環境破壊を起こさない生産スタイルを心がけてくるという特徴がございました。私は、これが美しい農村を生み出す社会機構になっていると考えております。

 この日本型モデルを維持する上で、これまでの農村における意思決定のあり方が大きく貢献したことは間違いありませんが、しかし、経済的に持続しなければ元も子もございません。

 議論が行きつ戻りつしてしまって恐縮でございますが、このようなバランスを考えた運営が重要であり、ビジネス志向的な協同組合に脱皮することは、そのことを実現するために適当な組織になるのではないかと期待しております。

 あと、フードシステムの視点からの意見を申し上げます。

 人口増加、経済成長、都市化が進み、食のマーケットが拡大した時代、これは先ほど申し上げましたが、そのときに農協モデルは有効に機能したと考えております。しかし、その成功体験は通用しなくなっていることは農協自身が強く意識していると思います。

 現代のフードシステムでは、川下部門の小売や外食などの取引相手がチェーン化していることもあって、取引するには一定程度の組織としての規模が必要です。それは、県レベルの規模であったり、市町村の広域連携レベルの規模であったりして、品目によってさまざまです。そこには、規模の経済を発揮することが求められています。農協の広域合併は、かつて信用事業での理由から進められましたが、今や経済事業においても求められていると思っております。

 現代のフードシステムにおいて、食ビジネスは熾烈をきわめております。その中にあって、地域が事業を進める上でのブランド力を維持することは、競争を勝ち抜く上で極めて重要です。ブランドを磨き上げるためには、個々の事業者による地域内の健全な競争が必要なことは言うまでもありません。しかし、地域内で関係者が一致協力して一定程度の規模にまとまることも、現代のフードシステムで交渉力を持つためには必要となっております。

 地域内の事業者が相反する動きをして、ブランド形成の面で混乱するような事態になるならば、マーケットに対して間違ったシグナルを発信することになります。そのときに、本来は、ブランド形成の調整役として、農協組織が最も適切な役割を果たすポジションにあることは認識すべきであります。有力な生産者との戦略的な連携が必要なときもあると思っております。

 ただし、常に組織が大きくなることで発生する非効率化へ注意を払うべきであります。PDCAサイクルに基づく組織内部の改善活動を伴わないのであれば、大組織になったときの弊害も生まれてしまうことに留意すべきであり、緊張関係を維持しながらの切磋琢磨は絶対に必要だと思っております。

 組織としてのまとまりは、今後の輸出を考える上でも重要なポイントです。現在、個別の農業者が試行的に輸出に挑戦しております。その取り組みを妨げるべきではないと思っておりますが、国が目指す輸出目標を達成するためにも地域としてまとまっていくべきです。協同組合を利用してこの活動を拡大する上でも、今回の改革は有効だと思っております。安全、安心な農産物を生産、販売するためにも、高度な技術を導入し、組織的に保証していくことが求められております。そういった点に関して、農協は積極的に取り組むべきであると思います。こういった圏域を超えた活動の展開については、中央会や連合会が政策面、ビジネス面からサポートしていくことが望まれます。

 先ほど指摘しましたとおり、我が国の食は極めて成熟したものとなっております。それがゆえに、大産地による大量生産とは違う、少量多品目の生産、そういったビジネスにも注目が集まっております。先ほど規模の経済の有用性を指摘したことと矛盾するように思われるかもしれません。しかし、これは事実です。

 量販店を中心にした大量生産、販売がある一方で、直売所や宅配便販路もございます。このようなフードシステムの二重構造が形成されていることも現代の特徴となっています。こういったことは、中山間地域の農業者にとっても経営を持続していける可能性を高めるということになります。

 しかし、これを実際の消費者に届けるためには相当な工夫が必要であり、少量多品目であるために、かなりの手間とコストがかかることは御案内のとおりです。

 そのサポートを農協がもっとできないか。そのためには、数段上の経済事業の底力をつけなければならないと思っております。このような事業を伸ばしていくための知恵を出す経営者が求められています。

 食のマーケットが変化するスピードはますます速くなっていて、機敏に差別化を進めるためには、小回りのきかない組織ではかえって障害になることも懸念されます。

 日進月歩で進化すると言っても過言ではないフードシステムに、農業者がどのようにつき合っていくべきか。これは大きな課題でございますが、こういった課題の解決のために農協が果たすべき役割は大きいと思っております。

 しかし、そのためには、農業、農村、そして農協においても継続的なイノベーションが求められます。意思決定と行動の面において、柔軟でしなやかな組織が求められていますが、それを実現する上での運用面での配慮が特に重要になってくると思います。

 終わりとして、地域サービスと農協の問題に簡単に触れます。

 農協に期待される地域サービスは現実に存在します。

 農業者の生産経済行為をサポートすることが、おのずと地域サービスの充実につながるかどうかは、地域の実情によって異なっていると言ってよいと思います。かつてのように、地域住民全員が実質的な組合員であった時代には、当然そのような相乗効果が見られました。しかし、農家階層は多重構造となり、非農家の割合がふえた農村では事態は変化しております。

 このような状況において、活動の原則を明確にしないと組織としての持続性を確保できないおそれがございます。地域組合的運営を重視するならば、例えば生協型の地域ぐるみの活動に衣がえした方が効果的な場合もあるかもしれません。また、地域の生協との連携を強化することも考えられます。

 一方で、組合員を超えた経済活動を進めるならば、株式会社への転換もできるというのが今回の改正案だと思っています。

 どっちつかずとならないようにしながら、地域の経済活動は株式会社と生協との中間に位置づけられる組織として、多様な生産者を協同組合の理念のもとに結びつける新たな機能主義的な農協組織に再編しなければ、現在の農業、農村を強力にサポートする組織とはなり得ないのではないかと思っております。

 最後に、繰り返しになりますが、農協が担い手農家に選ばれずに利用率が下がるかもしれないことが重大な問題であります。もう一つ気をつけなければならないのは、組織構成が高齢世代に偏っていて、その世代がリタイアしたときに次世代が農協を選ばなくなることが懸念されます。まだ実現していないことなので、このことへの懸念はもちろん想像の域を出ませんが、かなり注意が必要だと思っております。

 現世代にも、次世代にも、そして新規参入者にも選ばれる農協となることが今日の改正のポイントではないかということを最後に指摘いたしまして、私の陳述を終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

江藤委員長 ありがとうございました。

 次に、樽川参考人、お願いいたします。

樽川参考人 秋田から来ました樽川です。

 農協改革、今非常に論議されていますが、私個人的には、もう十数年前に農協改革をきちんとしておれば、農村の今の貧困はなかったのではないか。今ここで農協改革をけんけんごうごう、弱り切った農家、弱り切った農協、そういう前で、農協改革、中央会の改革、そういうところの改革を唱えるのはいかがなものか。

 私は、今でもやはり農協改革は必要である。私自身、三百六十五日、毎日毎日野良仕事に、朝、日が出て、夜、暗くなるまで、農家の皆さんと一緒に働いております。

 私が法人を立ち上げる一番のきっかけは、近所の若いお嫁さんが四人の子供を残し過労で亡くなった、そういう姿を見て、これは農業法人をつくらなければだめなんだ、これでは農家全体がだめなんだ、将来の子育ても、介護も、地域のコミュニティー、文化もだめになるんだ、そういう思いから、これは何としても農業法人を立ち上げなければならない。

 農業法人を立ち上げる際に、十数年前でございましたが、一番反対したのはやはりJAでした。そして、次に反対したのは行政でした。そこで、やはり県庁の方々がわざわざ本庁から出向いて、庭先まで来て、いろいろ相談させていただいて、そして法人を立ち上げることにしました。

 そこには非常に大変なハードルがございまして、一軒一軒の借金の問題、農機具の問題、労働力の問題、家族構成の問題、そういう問題がたくさんございましたが、やはり公でしゃべれる場所はなかなか少ないわけで、そういう家を私は夜一軒一軒、あなたの家では借金は幾らぐらいあるんだ、これから農業をどうするんだと。

 こういうグローバルな時代には、農家にとっては、農業にとっては、いずれこういう時代が来るんだ、そして、減反政策というのはいずれ需給のバランスが崩れていくんだと。四十七年の、減反政策の始まった折に、おばこ農協の組合報に寄稿させていただきました。若かりしころのいろいろな思いが、減反というのは需給のバランスが崩れちゃうんだ、やがて将来、三割、四割、五割というような、統計学上、人口の高齢化は進むし、人口減は必ず起きる、需給のバランスが崩れる、将来はそういう事態が起こるんだと。

 当時の秋田県の知事は、いや、そうではないんだと。一割減反、二割増産というようなお話は先生方も聞いておると思いますが、正しい政治的な判断、知識、洞察力があれば、今現在、こういうふうな結果にはならないのではないか。

 実際、現場の農家というのは、日夜、毎日汗水流しながら働いております。その中で、きのうの夕方まで現場で働いておりましたが、その折に、農家の方々が話を聞いて私のところに駆け寄りまして、正直に言ってきてください、農家の姿、農家の気持ち、そういうものを正直に伝えてくださいと。

 そういう点で、きょう、こういう機会をいただきまして、先生方にはまことに感謝しておりますし、野良仕事の合間じゅう、ああ、先生方は一生懸命考えておられるんだ、農家の幸せを今いろいろ苦しみもがきながら考えているんだという、きょうの姿を家に帰ってお伝えしたいというふうに思います。

 一夜漬けですが、私の考え方をメモしてまいりましたので、朗読させていただきます。

 農協法改正の狙いに対する評価。

 農協は、農家のためという名のもとに、さまざまな経済事業を実施し、総合商社化した嫌いがある。一方、高齢化等により、農業生産全体の縮小に加え、大規模農家の農協離れにより、本業である農業部門が縮小しておられる。農協にとって、農家は、資材を売り、生産物から出荷手数料を取り、さらに収入から保険等を売る商売相手となっていないか。

 今回の法改正については、農家のための農協から農業のための農協という原点に立ち戻ろうとする点は非常に評価しております。

 また、准組合員については、農協事業の准組合員の利用制限は、実質的には農協の経済事業活動への制限となるので慎重に扱ってほしい。農協は、ガソリンスタンドや保険、介護などさまざまな事業活動を行っているが、地域の実情によってさまざまであり、農協経営に与える影響のみならず、地域の経済社会に果たす役割などを検証して、一律に決めるべきではない。

 それから、中央会制度の改正については、農業所得を向上させるため農協の自主性を高めるという趣旨は理解できますが、しからば、中央会制度を改正すれば農業所得が向上するということはどういうことか理解に苦しみ、逆もまた真なりとはならない。

 全農などJAグループという名のもとで、農協に暗黙の圧力をかけていないか、農家に無駄な経費負担をさせていないか、そういう点は検証する必要があるのではないか。

 また、例えば全農の問題ですが、流通ルートが多様化している中、全農の系統販売の役割や必要性について検証する必要があるのではないか。全農を通すことによって農家の出荷手数料が上がることになるが、農協が独自開拓した販路まで全農を通していないか。全農に対する農協の裁量権というのはどういうふうになっておられるのか。全農は全国一本の会社であり、各県本部は一つの支社にすぎないということと、各農協が独自性を出そうとすればするほど、全農の方針と相入れない場面が出てくるのではないか、そういう点が懸念されるのではないかというふうに思います。

 例えば、農協の実力の問題ですが、地元のJAおばこは、米の独自販売を初め、最近は園芸に力を入れており、農協の中でも農業振興を熱心にやっておられます。こうした農協は独自に事業を拡大していく力はあるが、一方、全農の言いなりになっているところは立ち行かないのではないか。こうした弱い農協をどうするかが現実的な問題ではないか。

 農協の今後の方向性について、私の考え方を述べさせていただきます。

 農業所得を向上させるためには、当然ながら、農業生産を拡大しなければならない。これまでは、みんなで物をつくって、市場に出荷して、価格がよかった悪かったと一喜一憂していたが、その結果、農家は減り、生産量は減少しております。一方で、一定規模の農業法人は、農協や市場を飛ばし、直接契約する動きが出ており、そういうところは活気があり、後継者もおられます。これは何を意味しているのか。こういう状況の中で農協はどうあるべきかということをみずから考える必要があるのではないか。

 以上のことを踏まえると、米以外について市場以外のニーズにも積極的に対応し、農協の出荷機能を生かして、担い手に限らず意欲ある農家を集め、ロットをそろえて販売していく取り組みがもっともっと必要ではないか。その際には、一定の価格を見通して、採算を確保する形で農家に生産誘導を図ることが大事で、従来の市場流通に加えて、手間のかかる仕事だが、こういう一つ一つを積み重ねていくことが大事ではないかというふうに思っております。

 ちなみに、私は現在、小さな農業法人の代表をさせていただいておりますが、私は、年じゅう出荷できる、化石燃料を使わない、そういう農業経営を目指しております。小さいながら、内容の充実した、若い人が、働きに来ておる方々が介護の時間を十分にとれる、子供の教育の時間を十分とれる、そういう地域をつくり、皆さんが少しでも幸せな人生を送れるよう、これからも自分の力のある限り頑張りたいと思います。

 以上で、私の御報告を終わらせていただきます。(拍手)

江藤委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

江藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗和生君。

簗委員 自由民主党の簗和生でございます。

 本日は、参考人の四人の皆様方、大変お忙しい中にもかかわらず、貴重な御意見を拝聴させていただきましたことに心から御礼を申し上げたいというふうに思います。

 今、四人の参考人の皆さんから御意見をお伺いしている中で、特にこの法案の審議に当たって重要であること、これは二つあるというふうに私は思っております。

 まず一点目が、農協の協同組合としての性格、これをいかに維持しながら、JAグループの自己改革案の中にもある、農業所得の増大を図っていく。すなわち、担い手、大規模化した農家、法人、こういった皆さんとのつき合いをしっかりとやって、農協を利用していただいて、所得を増大してもらう。そしてその一方で、これまで農協が果たしてきたいわゆる条件不利地域、こういったものにもしっかりと対応して、我が国の農業、農村を守ってきた、この両面をいかに両立させていくかである、私は、まずこれが一点目だというふうに思っております。

 そして二点目が、准組合員の利用制限のお話であります。

 農業者の組合である。これは設立から当然のことでございますけれども、また、その反面、地域の中で農業に従事をしていない人々にとっても地域のインフラとして大変重要な役割を担ってきた、これもまた事実であります。

 その中で、農業者の所得の増大を図りながらも、これからいかに地域のインフラとしての機能を維持していくか。これも二律背反と思われる部分もあるのかもしれないですけれども、地域によっては同じ意味を持っている。すなわち、信用そして共済という事業によって収益を上げ、そして営農経済がそこで機能している、運用できている、こういう地域もあるわけですから、これについては地域のさまざまな事情も考慮しながら、これから慎重に議論をしていかなければいけない、これが二点目であるというふうに思っております。

 そこで、質問に入りたいというふうに思います。

 まず、齋藤参考人にお伺いをしたいというふうに思います。

 農業所得の向上というもの、これが大変重要になってくるわけですけれども、具体的なお話として、農協が入札をかけて、安いところから有利に調達をすればいいんじゃないかという御提案がありました。

 こうした点も含めて、より具体的に、これから農協が農業者の所得を上げるに当たって、どのような事業を展開していけばいいのか。補足あるいはさらに強化すべき点があれば、御指摘をいただきたいと思います。

齋藤参考人 私の方からは、ただいまの質問に対しまして、まず一つ、今、この米の価格の暴落は異常でございます。二万二千円になっていたものが八千五百円。プラス、今山形では千二百円ぐらいの補助金しかないので、完全なる赤字でございます。

 これを何としても解消するということで、例えば売りの方ですけれども、今生産数量目標をさらに上回る減反をやるように現場では努めていますけれども、さらに農協の方で、例えば一割強化しよう、一気に過剰を解消しようというのが、農協だったら、できると思うんです。市場が過剰で下落しているんだから生産をとめればいい、そういうことを発案できるのはやはりJAだろうと思います。

 あと全集連、農協に加盟していないような我々農業法人とかにも呼びかけをしまして、国はこの生産数量が一応適正であるとやったとしても、それをプライスリーダーとして、日本の農業を引っ張る立場として、そういう生産を引き下げ、価格を安定する、そういう仕事とか、あとは、先ほど申したように、肥料、農薬、そういう生産工場が、結局、原体を海外から持ってくるのもJAのグループ、それを原料につくる工場を持っている、運営しているのもJAです。ではなくて、今、民間は一つの工場で、いろいろなメーカーさんが委託をしながら、物すごく効率のいい経営に入っています。

 ぜひJAグループでも、その工場をフル稼働するために、民間にもっと声をかけるとか、工場はどんどん減ってはきていますけれども、そんなことをして、より安い資材の提供とか、先ほど言ったように、より高くなる、今過剰で困っているので、それを絞るような発言とか、ぜひ期待したいと思っています。

 以上です。

簗委員 貴重な御提言をいただきまして、まことにありがとうございます。

 続けて、齋藤参考人にお伺いをいたします。

 先ほど、金融、共済で営農経済の赤字を補填している、これについて不健全という御指摘があったんですけれども、地域によっては、こうした信用、共済によって収益を上げることによって、ようやく営農経済の部分が回っている、そういう農協もあるわけです。これについて改めて御意見を頂戴したいと思います。

 これからの農協のあり方として、やはりさまざまな地域の事情がある、そういうものも踏まえたときに、改めて御意見を頂戴したいというふうに思います。

齋藤参考人 まさに当農協も多分その状況だろうと考えております。

 ただ、信用、共済が順調に回っているから営農部門に予算が回せないとか、それが農協離れの一つだろうと思います。逆に、信用、共済、これをやめろというんじゃなくて、いわゆる中金が機関投資家として非常にいい成績で回している、この現実はあるわけですので、その力を利用して現場に投資していただきたい、日本の農業への投資をぜひお願いしたいと思います。

 以上です。

簗委員 どうもありがとうございました。

 それでは次に、三品参考人にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 三品さんの御意見の中で一番印象的だったのは、農協の協同組合としての性格、共存共栄、これをしっかりと守っていくことが我が国の食と農を支えていく、これは大変印象的であるというふうに私は思いました。

 その中で、准組合員のお話、いわゆる地域インフラとしての農協のお話もありましたけれども、今、この法案の中では、五年間、正組合員と准組合員の利用実態を調査して、そして准組合員の利用制限について検討するという形になっています。

 その中で、三品参考人としましては、特にどういったところを調査の対象として見ていくべきか。これについて、より具体的な御指摘があれば御意見を頂戴したいというふうに思います。

三品参考人 非常に難しい問題であって、今突然言われて、何がポイントかといったことを言うのは、現時点で、そのままのインフラを含めた中で、私はある程度対応できているのかなと。代表者、農協というものは、いつ何どきでも組合員の目線を忘れない、誰から選ばれているんだ、そういう指針でやることによって、いろいろなハレーション、まず自分としてどうとるというふうなことを考えれば、ある程度の自然とした答えが出るのかなと。

 余りにも難し過ぎて、ちょっと唐突ではあるんですけれども、現状のままで、ある程度のことは、今でもハレーションは本村では起きておりません。本当に皆さんにこぞって来てもらえます。私のところはこのままの体制でいいのかなと。

 ただ、法が改正されたときに、それが准組合員に及ぼす影響を極力少なくしたいというのが私の信念であります。

 以上であります。

簗委員 どうもありがとうございます。

 今回の法律の最大の趣旨は農家の所得の向上ということでありまして、これについては、JAグループさんも自己改革案の中で一丁目一番地に挙げていただいている。これは共通の認識であるというふうに思っております。

 その中で、准組合員の利用について考えるときに、先日の農林水産委員会で、政府の答弁としては、農家の所得の向上というものが図られている限りは、准組合員の利用制限についてはそれほど考えなくてもいいのではないかという趣旨の答弁があったわけであります。

 ただ、これについて考えたときに、もちろん農家の所得を上げるというのが最大の目的でありますけれども、だからといって、准組合員の方のお話がそこで直接に関係しているわけではないわけです。つまり、先ほど言ったように、信用や共済事業、こういったもので収益が上がっているから、それを営農、経済の方に回せて、そして所得の増加があるかもしれない。そういうことを考えたときに、ここのリンクについては、改めてしっかりと考えていかなければいけないんだと私は思っております。

 それでは、中嶋参考人に御質問させていただきたいというふうに思います。

 フードシステムの視点から貴重な御意見をいただいたというふうに思っております。その中で、特に重要な指摘があったのは、大規模の農家あるいは担い手が農協を利用していく、そのメリットというものがある、つまり農協に入った方が彼らにとっても利益を伸ばせる、そういった農協であるべきだということであるというふうに思います。そしてさらには、規模の経済というものもしっかりと強みとして生かしていく。

 ただ、その一方で、中山間地域のような条件不利地域があるわけです。ここについては、直売所などの運営によって地域の農産物を売っていく、こうしたことも図っていかなければいけないというお話でありますけれども、先ほど来私が申していますように、規模の経済を追求して農家の所得を上げていくという反面で、農協のこれまでの使命として、条件不利地域の小規模の農家も守っていく、この両立もしっかりとしていかなければいけないわけであります。

 この辺を、これから農協が目指していくビジネスモデルの中でどのように両立することができるのか。これは大変重要な視点だと思いますので、改めて、より深めて御意見を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。

中嶋参考人 御質問ありがとうございます。

 私は、現在の食というのは非常に成熟化していて、ある意味二重構造になっていると思います。非常に安くて利便性の高いものを食べる人と、それから特別な差別化されたものを食べる人とに分かれていく。前者の方が、かなり規模の経済を発揮するようなフードシステムを構築しなければいけませんし、後者の方は、例えば中山間地域でつくられた特別なものを提供していく必要があると思っております。

 ただ、後者は、非常に量が少なく、それからそういった顧客を見つけるのが難しいので、特別なスキル、ビジネススキルが必要になってくるかと思うんですが、そういったことを農協自身が高めていく必要もあるのではないかと思っております。

 前者の方は、かなり大規模な農協になってまいりましたので、量販店とつき合うことが可能になってまいりましたが、それにしても、求める量とか質を合わせて組合員さんに出していただくのはなかなか難しい。また、そこら辺のレベルアップというのが求められているというふうに思っております。

簗委員 御指摘ありがとうございます。

 農協に入った人が当然そのメリットを享受できるということ、これがやはり大変重要であるわけですけれども、その中で、やはり中山間地域と平場の大規模農家、こういった人たちが同じようにメリットを受けていくというのはなかなか、農家の多様化という言葉もありますけれども、一つの事業モデルでは行きにくいという状況だと思いますので、これについて農協の中でいろいろと試行錯誤をされながら、協同組合としての農協も維持しつつ、大規模や担い手の農家をしっかりと支えていけるような、そういった農協のあり方を、これからもいろいろと御議論をさせていただきながら目指していければというふうに思っておるところでございます。

 そして、樽川参考人に御質問をさせていただきます。

 同じように、准組合員の利用制限については慎重にという趣旨の御意見をいただきました。

 改めて、先ほども私は質問させていただきましたけれども、五年間、政府が正組合員と准組合員の利用実態を調査していく中で、どのような点に特に注意をしていけばいいとお考えか、御意見を頂戴できればというふうに思います。

樽川参考人 准組合員がいなければ、今の農協経営というのは成り立たないというのが実態ではないか。そういう点から考えて、慎重に准組合員と組合員というものを導かなければならない、そういう点を慎重に考えていただきたいというふうに考えております。

簗委員 どうもありがとうございました。

 続けて、樽川参考人に御質問させていただきますけれども、大規模農家の農協離れが進んでいるという御指摘がありました。

 これから我が国の農業を支えていく、その主要なキープレーヤーは、やはり担い手であったり大規模農家であったりするわけだというふうに思いますけれども、大規模農家に農協を利用してもらう、こういう方向に持っていくためには、より具体的に農協がこれからどうあるべきとお考えか。具体的なところがあればお聞かせいただきたいと思います。

樽川参考人 私は、農協離れは今の農協の役員の選任制にあるのではないかと。どこの指導かよくわかりませんが、いつからか、組合員でありながら総代制、選任制というものが入りまして、我々本人にすら選挙権がない。そういう状況の中で、果たして農協は、選挙があって初めていろいろなお話が、役員の目指すもの、農家の目指すもの、そういうものが長年成り立ってきた。今はそういうコミュニケーションをとられない。そして、JAの選挙というのは公職選挙法にひっかからない。そうすれば、そういう人方に正常な経営ができるのかと。働く農民はそういうところに疑問を感ずるのが普通のことではないでしょうか。

 私どもは、農協が、これからも新しい形で、新しい農家のための農協であるならば、いつでも利用しますし、今でも利用しておりますが、これからもさらに一層利用したい、そして、組織をせっかくつくった、農民のための農協を大事にしたい、そういう思いは農家全員のお気持ちではないでしょうか。

 しかし、原因はそこではなくて、そういう、ちょっと我々には考えられないし、先生方の考えられるような世界ではない、そういうふうに考えております。

簗委員 貴重な御意見をありがとうございました。

 本日は、四名の参考人の皆様方、それぞれのお立場から、そして現場の実態も踏まえて、貴重な御意見を頂戴できたことを心から感謝申し上げたいと思います。しっかりと審議をして、農協法改革がこれからの農業をしっかり支えていくような法案として機能できるよう、これからも努めてまいる所存でございます。

 質問の機会をありがとうございました。

江藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 きょうは、四名の参考人の皆様方に御同席いただきまして、先ほど来から大変貴重な御意見を頂戴いたしておりますことに、改めて心から感謝を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。

 それで、私の方からこれから順次質問をさせていただきたいと思うんですけれども、できるだけ、同じテーマでそれぞれの参考人の皆さんから意見をいただければなというふうに思っています。

 最初は、大変基本的な話をお伺いしたいと思っていたんです。それは、この農協法改正の狙いというか趣旨を本来お聞きしたいところなんですけれども、その前に、もっと根本的な、今の日本の農業の状況をどう見るか、あるいは今後どうしていったらいいのか、そのような所見についてお伺いしたいなというふうに思っているんです。

 もう少しはっきり言いますと、日本の農業をこれからも成長産業化していくためにどのような対策、方策が必要なのかといったような、それらに関連することで結構でございますので、お話を伺いたいと思います。

 特に、中嶋参考人には、先ほどその点についてかなり詳細にお話をいただいたというふうに思っております。しかしながら、その上で、また改めての御意見があれば、それをお伺いしたいと思っています。

 それぞれ順番に伺いたいと思うんですが、その前に、このテーマについて一つの共通の認識にお互いに立ちながら御意見をいただきたいと思っていますので、私が、これは農水省からデータをもらって、これも委員の皆さんはほとんど知っている話ですけれども、そのことを先に申し上げておきたいと思います。

 例えば、今の日本の農業情勢がどうなっているのかということで、例えば販売農家数を平成六年と二十六年で比べると、平成六年は販売農家は二百七十九万人、このように推計されていますけれども、二十六年には百四十一万人に大幅に減っているということ。

 それから、認定農業者の数が、これも御案内のとおりですけれども、平成六年度は一万九千百九十三人、約二万人というのが、平成二十五年度ですけれども、これは大幅に伸びました、二十三万人を超えるような状況になっている。

 また一方で、農業生産法人、これはきょう参考人の皆さんからもお話がありましたが、生産法人は、平成二年に三千八百十六であったのが、平成二十六年には一万四千三百三十三、大幅にふえているわけですね。

 それから集落営農、これも平成十七年で約一万であったのが、平成二十七年には一万四千八百五十二ということで、相当ふえております。

 一方で、では、農業生産額はどうなのか。これは一番大事な話になるんですけれども、想像どおり、やはり減っているということ。平成六年に十一兆三千億円だったのが、平成二十五年には八・五兆。特にこれを品目別に見ると、野菜とか畜酪のところは、どちらかというと現状維持か少しふえている。ただ、これはコストも上がって、価格も上がっているということですから、実際の農家収入がどのくらいふえているかというのは、ここの数字だけで容易には見ることができません。

 ただ、米でいうと、平成六年、三兆八千億ぐらいあったのが、平成二十五年では一・七八兆円ということで、これは相当生産額が落ちているということは事実でございます。

 このような環境のもとに、この現状を踏まえて、これからどのような方策をとっていったらいいだろうかということについて、それぞれ各参考人の皆さんから御意見をいただきたいと思います。

齋藤参考人 私は、稲作、それから養豚、畜産を両方やっております。稲作の方が、先生今おっしゃるとおり、大変な打撃。それから、ほぼ全域米づくりというのがあって、農業というのはまさに米だと思います。

 米が今現在どうなっているかというと、価格の暴落、これは過剰による暴落です。食管法、食糧管理法があったときは、国が全て責任を持ちながら、需給から過剰対策からやっていましたけれども、今やそういう法律もございませんので、これは完全に市場に委ねられております。

 それから、平成二十九年以降は生産数量目標も発効しないということで、我々農業者みずから数量を決定しながら持っていかないと、本当に安い、今、世界でも指折りの安い米になっているんじゃないかと思うんですけれども、そんな中、現場はどういうことが起こっているかというと、二十六年産の暴落を受けて、規模の大きい人がやめるという判断が始まっています。

 多分、このまま低米価を容認するというか、国の方で投げている状況だと思うんですけれども、このままで、大きい人に集積すればこれまたよしという作戦かもしれないですけれども、現場は、やはり米の価格、米によって生計、それから会社の経営となっているところにおいては、この暴落は非常にきついです。農水では一万六千円の生産原価、それから、現実我々がやっているコストは一万二千円ぐらいです。それが、八千五百円から一万五百円ぐらいが売り上げ、せいぜいそんなものだと思うので、全くの赤字。

 これで新規投資などもできるわけなく、今後、私の近くでどんなことが起こるかというと、今平均六十七歳と言われていますので、最初はまず、高齢化によってリタイアする方たちが徐々にふえるかもしれませんけれども、それ以上に米専業の農家の方はやめます。先日、うちのすぐ近所で、十ヘクタール以上が三名ほどやめるという判断をしております。国が何を言おうが、どんな政策をやろうが、金がないんです。農業には、特に米農家には金が入ってきませんので、継続は無理です。

 それから、当然、父親が自信を持ち、こんないい仕事ないぞと、それで生計を続けているところは何とかなりますが、赤字を抱えながら、先行きの見えないようなこの相場の中で、生産調整がなくなる二十九年までに大規模の方からどんどん潰れていくのではないかと、本当に怖いような感じがします。三十年になって、生産調整がなくなるんだから百姓はみんなつくるんだろうという、実際つくらなくてもマーケットの方ではそう認識するんだろうと思います。そうなれば、三十年は大暴落です。

 今の国際価格が、FOBで、タイ米で八十円ぐらいなんですけれども、何と今、中国では二万円を超すような中国産のコシヒカリが出現している中で、日本が七千円とか八千円の市場が出ているというのは本当にびっくりです。これを考えても、数年後に米だけで食べている人はどんどんやめていくというのがわかると思うし、それに対する政策というのがあるはずです。

 TPPとかが間近に迫っている中で、ほかの国は直接支払いに、中国も直接支払いが発効していたなんてこの間まで知らなかったんですけれども、農業へ直接支払いが始まりまして、物すごく農業がいい職業と認識されているということを聞いて、とにかくびっくりしました。ぜひそんな国にしていただきたいと思います。

 以上です。

稲津委員 同じ質問を順次お聞きしたいと思っているんですけれども、大変すばらしい、丁寧なお話をいただきましたけれども、ちょっと時間の関係がありますので、大変恐縮ですけれども、少し短目に、コンパクトにお三方にお願いいたします。

三品参考人 地元の先生というふうなことで、将来展望を、私もあるなら聞きたいんですけれども、安全はお金であります。そして、今、齋藤さんが言われたように、大暴落が一つの原因であります。米の単価はなぜこんなに安いんだ。缶コーヒー一杯と一膳、二膳、三膳、一食分が、それでもどうのこうの言っている。将来展望は、逆に質問はできませんけれども、これはお願いとして、ここにいる代議士に適正な価格をお願いする以外はないと考えます。

 以上であります。

中嶋参考人 今幾つか数字を御紹介いただきましたけれども、生産額が減ってきている最大の理由は、私は国内の消費が減ってきているからだというふうに思っております。消費が減ることによって価格が下がり、それによって生産が減るという悪循環構造が起きている。あと、この時期は円高が進んでおりまして、それについての国際競争力も低下したというのがあったと思います。

 それで、消費が減るというのはこれからも予想されます。ということは、このままだとじり貧が続くのではないか。そのためには、新たなマーケットをやはりつくっていかなければいけない。例えば、介護食の取り組みというのが進んでおりますけれども、やはり輸出、ここら辺にてこ入れをすべきではないかと思います。

 最後に一つ、働いている人の数が減ってきているというのがございましたけれども、この人手不足を考えますと、少ない人手でもやっていける農業というのをこれから構築する必要があるんじゃないか。ただ、やはりコアになる方は絶対に確保しなければいけないので、そのための担い手対策というのは重要だと思っております。

 以上です。

樽川参考人 私は、これからの農業というのは、やはりグローバル化は避けられない。国際的なそういう認識のもとに農業もやらなければならない。

 では、その中で、どういう面で農家が生きられるか、そして地域が守れるか、コミュニティー、文化が守れるかということになりますと、やはり、上からの目線でなく、泉のように地域から湧き出る、その地域をつくる、文化をつくる、コミュニティーを持つ、そういう発想があってこそ初めて地域が豊かになる。

 そして、あの三・一一の大地震以来、日本の食生活もいろいろ変わりました。非常に変わったと思います。そういう変わった状況を、農家自身が着実に消費者の動向をキャッチしながら、消費者のニーズに応えられる、貧乏でも、そういう努力がきっと幸せをつかむのではないか。

 そして、国際的に、国際のことは我々はよくわかりませんが、これだけ世界が身近な茶の間に来るようになりますと、それを避けて通ることはできない。農家自身も対応を考えなくてはならないというふうに考えています。

 私どもはちっちゃな法人ですが、集まりながら、これからどうしよう、いつもそういうことを話し合っております。

稲津委員 大変ありがとうございました。

 私に与えられている時間があと五分しかなくて、まだまだたくさんいろいろなことをお聞きしたいところなんですけれども、それでは、もう一点だけお聞きしたいと思います。

 これは各参考人の皆さんからも少し触れていただきましたけれども、いわゆる准組合員のサービス利用の規制の話なんです。

 農協というのは、正組合員である方々の、いわゆる農業者の利益、メリット、これを最優先して事業を行っていくわけですから、そこはもう言うまでもないんですけれども、ただ一方では、現実的な問題として、やはり農協が各地域の大事なインフラを担っているというのも事実だと思います。今後五年間かけてこれを議論して、調査をして、少し検討しようということになりました、今の改正案の中では。

 先ほど三品参考人からもお話がありましたけれども、確かに北海道はおっしゃるとおりで、私も極めて同感でございます。都府県とはまた少し違うのかなと思うんですが、例えば、北海道の場合だと准組合員さんも多いんですけれども、利用の金額とか種別でいくと、正組合員の方々が圧倒的に多くを占める。それが違う県に行きますと、今度は准組合員さんの数も若干多いんですけれども、しかし、金融の方だけに准組合員さんが行っているとか、あるいは、ストアとかそういうところだけに利用が行っているとか、これはいろいろ地域によって特性があると思っています。

 いずれにしても、そういう状況の中で、准組合員の制度について、今後どうなっていくことが必要かということについて、大変時間がありませんので、四名の方にそれぞれお聞きしたいものですから、その点で御協力いただきたいと思います。

齋藤参考人 准組合員のことは、実は田舎に住んでいると、本当にわかりません。どの人が准組合員で、どの人が正組合員なのかすらわかりません。ただ、農業をやっているのは正組合員なのであれですけれども、それより都市部の方の准組合員さんの立ち位置がよくわからないというのが現実です。

 以上です。

三品参考人 わかりやすく言います。

 うちの農協は、出資配当、事業分量配当、期中割り戻し、これだけのものにきちんと、准組合員、そういうふうなことは出資配当でいいでしょう。そして、正組合員に関しては、期中というふうなことで、小さい村ですけれども、大体、十二月のときは、六千五百万ぐらいを期中割り戻しいたしました。それで、健全化率は、あえて言うこともないと思っているんですけれども、北海道でも少し高い方だと思います。三四・三七%であります。

 以上です。

中嶋参考人 私も、准組合員制度は今のところ維持すべきであるというふうに思っております。

 ただ、やはり組合員ですから、協同組合の理念をきちんと理解して、そしてお互いにとってウイン・ウインの関係になるような仕組みをつくっていく必要があるというふうに思っております。

樽川参考人 私も、准組合員か組合員かというのは、誰が准組合員であって、誰が組合員なのか、まあ、販売高が十五万なければ組合員ではないということを言われておりますが、実際はわかりません。

 私たちも、私たち家族四人が出資しておりますが、では、誰が組合員で、誰が准組合員なのか、家族の中でも。私すら選挙権がございませんので、私も准組合員というふうに思っております。

稲津委員 時間が参りましたので、私の方からはこれで終わらせていただきたいと思っておりますけれども、いずれにしましても、農協法等の改正について、これまでさまざまな議論をしてまいりました。

 必要なものはやはり必要だろうと思うんですけれども、その上で、きょうは、大変お忙しい中こうしてお越しをいただいて、貴重な意見をいただきました。それらのことについても、かなり詰まってはきていますけれども、しっかりまた反映していきたいと思っております。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、参考人の皆様方には、それぞれの立場で大変貴重な御意見をいただきましたこと、心から御礼申し上げます。

 私はJAの女性部の部員でありまして、JAの応援団ではありますが、自主改革を進めている中、もちろん改善すべきところもあるというふうに思います。しかし、重要な多面的な機能というのはぜひ守っていただきたいというふうに思っています。

 その中で、今回の農協法改正案なんですが、私は地方公聴会にも行きました。そのときは、ほとんどの方々が、賛同意見はなかったということでございまして、今回このような形で本当の意味での農業改革ができるのだろうかと懸念するところでもあります。

 まず最初に、全ての参考人の皆様方から御意見を伺いたいと思います。

 先ほど来お話がありますけれども、どのように所得が増大していくのか、今回の農業改革の中では明確に示されていないというふうに思います。まず、それについてのお考えを伺いたい。

 それから二点目は、もちろん、産業政策としての農業というものは重要なんですが、地域政策でもあるということで、このバランスが大変重要かというふうに思います。このことについての御意見をお伺いしたいと思います。

 それぞれの皆様からよろしくお願いいたします。

齋藤参考人 二つですよね。(金子(恵)委員「所得増大の話です」と呼ぶ)これが我々農家も一番よくわからないんですけれども、先ほど説明したように、もし農協が、仕入れの入札、いろいろなことでコストの安い資材の提供とかそういうことができるのならば、それはコストが下がり、所得が向上すると思います。

 それから販売、これも全部全農に売るんじゃなくて、みずから、今もみずから相当な量を売っているんですけれども、さらに自分のJAとして販売策を講ずるならば、また販売単価が上がるのではないかと思います。ぜひそういう農協になってほしいと考えております。

 あと、もう一つは……(金子(恵)委員「産業政策、地域政策のバランスの話です」と呼ぶ)農業は私たちのレベルでは産業です。だから、産業政策と地域政策を同じ法律で一緒にやるというのが逆に困るんですよ。それはちょっと別の角度で、予算なり制度なり団体なりをつくっていただきたい。

 もしJAが、例えば地域の介護とか、うちなんかはもう揺りかごから墓場まで完璧にJAなので、今葬祭センターを新築して、ばんとやっているところなんですけれども、何もそこまでやることはないような気がするんです。全てJAが持つというのは物すごく違和感があります。

 そういうことで、地域を農協が背負うというのは余りにも重過ぎるんじゃないかな、いろいろな、厚生労働省の方からとか、もっと別の角度から欲しいと考えます。

 以上です。

三品参考人 難しい問題であります。所得と改革は別な問題であります。そして、全農の話をみんなそれぞれされるわけなんですけれども、全農の米の集荷率は余りにも悪い現実があります。北海道でも、ホクレンというふうなことがあるんですけれども、かなり頑張って集荷率を上げることによって適正価格のバランスができるのかなと。

 そういうふうなことをすると、独禁法であります。種子の問題しかり、いろいろな問題で独禁法が一つの規制となっています。タマネギの種子をとってみても、北海道はホクレン一括というふうなことで、何かやろうとすると独禁法がかかるというふうな問題が別にあるんです。

 やはり昔は、齋藤さんも言われたように、食管法というものがあったときに、易しい掛け算ができました。一万円掛ける十俵は十万円であります。ですが、今の掛け算は、掛ける方の俵数は大体推測するんですけれども、単価がわからぬ。

 私は何回も言いますけれども、ここにいる代議士の人たちがそれぞれの現場をつぶさに見て、こんなに大変なことをやっているんだ、これには適正価格が必要だという施策を切に要望いたします。

 以上であります。

中嶋参考人 所得の向上でありますけれども、基本計画のときに使った図式で説明いたしますと、PマイナスCということがありました。そのPの部分、これは付加価値の高いものをつくっていくということだと思うんですけれども、あとは、Cを引き下げるというのが所得向上の方策である。例えば、農協がその資材を安く提供するというのは所得を引き上げることになります。

 もう一つ、私が気になっているのは、この所得が農村に発生するということに注目すべきだろうと。もしコストがかかったとしても、それがその地域の雇用を生み出すならば、それは地域内の所得は発生させることになります。なので、例えば、農協がいろいろな作業を請け負い、そこに人が雇われているというような形でも、所得をふやす可能性はあると思っております。

 それから、産業政策と地域政策の関係ですが、地域政策は地域振興の方策だと思っておりますけれども、その中にグリーンツーリズムとかさまざまな取り組みがございますが、産業政策と地域政策のダブる部分があるんじゃないか、そういったところのバランスといいましょうか、戦略的な取り組みというのが求められているように思っております。

樽川参考人 むしろ、先生がJAの女性の応援団であれば、先生からどういう方向に我々を導いていくのか聞きたい場面でございますが、我々からは質問できませんので、いつかの機会にお教え願いたいというふうに思います。

 私はいつもこういうふうに考えております、大規模化が果たして農家の発展につながるかと。面積が大規模化、六次産業化、そういうものが果たして農家の発展の切り札になるのか。そういうところを、政治家の皆さんがやっていただけることなので間違いはないと思いますが、極度の大規模化それから六次産業化、これについてはもっと深く検討しなければ、かえってそれが民間を圧迫するという逆のことが起きないかと私は心配しております。

 いずれ、農家も所得の向上のために、研究、六次産業化、大規模化というものを慎重に検討していかなければならないし、また政治家の皆さんから、そういう点で目に見える御指導をいただきたいというふうに思っております。それが農家の所得向上につながるのではないか、こういうふうに思っています。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 先ほど、齋藤参考人からお話がありましたように、産業政策と地域政策を一つの場で議論するのは難しい、すべきではないというお話もありましたが、なりわいを守っていく産業政策と、地域と地域の住民を守っていく地域政策という点で、両者は、農業者を守っていく、そして農村を守っていく、農業を守っていく、これは一体なんですね。

 ただ、今回の農業改革法案の提出の仕方というのはやはり私は問題があると思っていて、農協改革と、農業委員会法の改正と、あとは農地法の改正等ですから、それが全部一つになって、それを審議せよということで、こんな分厚い形で来るわけです。参考人の皆さんはもちろん全て法案の改正案はごらんになったとは思いますが、これを全てこの場で本当にやっていくのか、もっと丁寧な形で、きちんと一つ一つ審議をすべきだと私も思います。そういったところでは、多分、齋藤参考人と同じ思いはあるんだというふうに思っています。

 次に、私は三品参考人にお尋ねしたいと思うんです。

 私が事前にいただきました資料の中で、昨年の八月の十三日の日本農業新聞の記事に、当時の三品組合長が、「協同組合の基礎には、共存同栄、相互扶助といった不変の理念がある。自らの意思で改革を行い、JA組織の地盤を強めていこう」というお言葉がありまして、そういうふうに訴えたとありました。先ほどもおっしゃったとおりであります。本当に強い信念を感じます。

 自己改革を進めるために、組合員の皆様、本当に戸別訪問をして、意見をそれぞれから吸い上げてきたという御尽力もなさったというふうに伺っておりますが、一方で、そういう取り組みもなさっていますが、今回の、政府から押しつけられたような形での改革との乖離があるのではないかとも思いますが、その辺のところはいかがでしょうか。

三品参考人 私は、この案件のものはバッグに持ってまいりました。持ってまいりましたが、届いたのが日曜日の三時ぐらいでした。とてもではないけれども、私として読める時間がありませんでした。ですが、事の大事さは思っています。

 そして、執行者としてやるべきというのは、いつでも基本は変えないというふうな中で、組合員の意見を聞くときにはきちんと御用聞きに行きなさい。いろいろなときに行って、いろいろな問題点があったときに、その担当者がこうですよというふうになったときは、自然といい流れになるのかなと自負しております。

 そして、先ほど言い忘れて、ちょっと本題から外れるかもしれないんですけれども、今、法人の方が最後に言われたように、大中小があって、機械が順番に回っていく、平均化というのは恐ろしいこともあります。

 ですが、ここに中川さんがいますけれども、太田寛一が出た地域というのは、まず、きちんとした核をつくるときに同一の面積にしようと。太田寛一というのは全農の会長までやった方であります。おまえのところは我慢して次だというふうなことを率先してやっていた。それで、今、いろいろな理念がいろいろなところから、ここのところも赤じゅうたんという魔力があるのかもしれないんですけれども、やはり魔力に負けない。

 きょうの農業新聞の中では、もう決まるような発言がされている。私たちは、本当の意味でいい改革になる発言者としてきょうは来ているわけであります。いかにも新聞報道が、農業新聞というのは農業に関してはピカ一の新聞だと自負しております。これが、失礼ですが、アリバイづくりにならないように、この四人が一生懸命きょう発言したというふうなことは、答申とか決定のときに、一考、考える余地にしていただければと。

 先生の質問と私の発言はずれているのはわかるんですけれども、応援団というふうなことでお許しをいただきたいと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 三品参考人に確認をさせていただきたいんですが、准組合員が利用制限されるということによって、三品参考人の御地元のライフラインはどうなりますか。

三品参考人 めちゃめちゃになると思います。

 以上であります。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 そのライフラインを、JAの多面的な機能をしっかりと守っていかなくてはいけないというふうに思っております。

 次に、ちょっと中嶋参考人にもお伺いしたいと思います。

 今の准組合員の関係と関連していますが、フードシステム論の講義をされているということで、フード・コミュニケーション・プロジェクトも推進しておいでだというふうに聞いております。その中で、つまりは、食品事業者に対する消費者の信頼向上を図るというのが目的なんですが、当然のことながら、生産者と消費者の間での信頼関係を築くということがとても重要になっていて、その両者の間でのコミュニケーションというのが本当に重要だと思っています。

 私は、生産者と消費者をつなぐというのが、例えばJAであったり、あるいはJAの直売所であったり、そしてまた、組合員と准組合員の間で、例えば生産者、消費者となっていくこともあると思います。

 そういった点では、ここはすごく重要だと思うのですが、今後、この改革がどういうふうになっていくかわかりませんが、生産者と消費者のコミュニケーションをいかに保っていけるかということ、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

中嶋参考人 私はフード・コミュニケーション・プロジェクトにもかかわっておりますが、今おっしゃっていただいたように、消費者と生産者のコミュニケーションまでつながればいいなというふうに思っております、今の段階では食品事業者と消費者ですが。

 そのときに、これもおっしゃるとおりだと思いましたけれども、農協の段階で、准組合員さんは応援団にはなるんじゃないかと本当に思います。というのは、やはり組合員として入っていますので、生産のことはよくわかっていらっしゃると思っています。その場は、例えば直売所かもしれませんし、少し産直のような形かもしれません。CSAのような取り組みというものにつながればいいなということは私も思います。

金子(恵)委員 中嶋教授は、先ほども准組合員は必要だというようにおっしゃっていただいた。

 今の点で確認ですけれども、そうしますと、今の仕組みがあるからこそ、生産者と消費者のいいコミュニケーションが可能になっていくということでよろしいですか。

中嶋参考人 そのきっかけにはなるというふうに考えております。

金子(恵)委員 それでは、再度、齋藤参考人にお伺いしたいと思うのです。

 齋藤参考人は、強い農業をつくるための研究会のメンバーでいらっしゃるということで、そこで政策提言をつくられているようです。「強い農業を作るための政策提言」、その中でこのように書かれているんですが、JA農協を、農業協同組合ではなく、生活物資の供給、集落の維持、公共サービスの提供など地域の相互扶助を行う地域協同組合として出発させ、すなわち、JA農協が転化した地域協同組合と職能組合としての主業農家主体の専門農協をつくるというようなこと、そういう内容が書かれています。いずれにしても、農協の協同組合としての機能は残すということだと私は理解しています。

 一番最初に御紹介があったようですけれども、もともとは専門農協を目指してきたけれども株式会社になったというようなお話でもありました。そうであれば、今回の法案の中にもあるような株式会社化という部分は必要ないのかなというふうに思うのです。協同組合、あくまでも協同組合として農協がこれからも機能を果たすということで、ここでは、そういう意味で政策提言をされたということでよろしいでしょうか。

齋藤参考人 私の考え方は、今の農協が、今、全国でなっているように、地方のインフラを担っているような組織になって、農協という組織ではないような気がします。だから、海外ではほとんど専門農協のような感じで、あそこの農協は肥料が安いぞ、こっちの農協は米を高く買ってくれるんだというような感じで、選べる農協、各県一農協の総合商社的農協は専業農家にはもう必要ないです。

 ぜひ、専門農協みたいな、そういう農協こそ、おらが農協だと思うので、総合農協は、生協と、そういう資材、それから地域のインフラを整えるのであれば、農協という名前じゃない方がふさわしいのではないかなと考えて、多分、当時、そういう提案を出したんだろうと思います。

 以上です。

金子(恵)委員 時間が参りましたので終了いたしますが、樽川参考人には御質問はできませんでしたけれども、樽川参考人は、JAと法人代表者で構成するJA秋田おばこ農業法人連絡協議会の初代会長でもいらっしゃるということで、恐らくJAの総合支援というのも重要視していらっしゃるのではないかというふうにも思っているのですが、また別な機会にいろいろとお話を伺えればというふうに思っております。

江藤委員長 一言、伺いますか。

金子(恵)委員 よろしいですか。

 では、一言お願いいたします。

樽川参考人 私どもの管内で百くらいの法人が立ち上がりました。その初代会長を仰せつかっておりますが、JAとともに発展するためにはどういう姿がいいのか、これからの法人はJAとどういうふうにおつき合いするのか、JAは法人に対して何をやってくれるのか、法人はJAのために何をするのか、そういう点で、忌憚のない意見をどんどんぶつけ合いながら進めていきたいというふうに思いますし、それが真のJAと担い手の発展の道ではないか、私はそのように考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございました。

 参考人の皆様方の御意見をこれからも審議にしっかりと反映させていただきたいと思います。

 さらなる審議を求めていきたいと思います。ありがとうございました。

江藤委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆さん、大変ありがとうございます。長時間にわたって我々の質問にも答えていただき、本当にありがとうございます。

 今、農協法の一部を改正する法案を審議しているわけですけれども、まずは齋藤参考人にお聞きしたいと思います。

 経歴やいろいろな著書を見ると、むしろ農協に頼らず、自分独自の道でしっかりとこめ工房の会社を立ち上げて、従業員の方々と一緒になって今努力されているということですけれども、その著書の中で、今、米を輸出するということが非常にチャンスだと書かれているのがあります。

 我々維新の党も、今、日本にとって米は本当は一番強みであるはずだ、米や米の加工品、そういうものを輸出していくことに力を入れていかなきゃいけない、そこを考えているわけですけれども、参考人はどのようにお考えでしょうか。

齋藤参考人 日本の稲作農家のこれからの対策として、輸出ということは避けられないと思います。

 私は本当にちっちゃな会社の社長で、農業者ですし、日本でもいろいろな卸さんとか商社さんが今頑張って売ろうとしております。チャンスというのは、今、八千五百円ぐらいの仕入れ、それがさらに円安によって以前の半分以下になっているような状況があり、今、日本食が世界じゅうに広まっている、こんなチャンスはないと思います。

 ここでやはり、我々は現場でやることは農協と一緒にやりますけれども、全農こそ、日本の輸出者として一番前に出て、出口対策をやってほしい。その間、皆様から予算をつけていただいた飼料米でこの過剰を何とか引きとめながら、いずれ全農が日本の旗を持ちながら世界じゅうで米を売って歩くという姿が、本当に日本の田んぼに主食用の米を植えることができる唯一の手ではないかと思います。

 いろいろな会社、いろいろな人がそれぞれ輸出という行為をやっても、向こうでバッティングするだけなので、JA全農が中心になり、日本を背負って日本の米の輸出をやるのが本当に出口対策として有効だと思いますので、先生方、ぜひ推進をお願いします。

村岡委員 私もまさに言ったとおりだと思います。

 一九六〇年代は、日本はアメリカやオーストラリアと同じぐらいの外国に対しての輸出量だった。それが、機械化が進み、そして土地が大規模化になって、アメリカやオーストラリア、それぞれ各国はどんどん外に輸出していった。一番できて強みのあるそのときに、日本は減反政策というのをとってしまい、農家の力を弱めてしまった。

 今こそ、もう一度しっかりと輸出戦略を国としてつくっていかなきゃいけない。その中に農協もしっかり入り込んで、日本の農産物を海外に売る、こういう姿勢に転じてほしいと思っていますので、共通のことなので、これからもその政策を進めていきたい、こう思っております。

 そして次に、三品参考人にお聞きしたいんですが、三品参考人のお話ですと、今の改革というのはなかなか中身がないような形でのお話でありました。

 ただ、私は、逆に言えば、三品参考人の農協は、ほかの農協より非常に努力して、大規模化も大変進み、そして六次産業化も進んでいる、非常にいい例の農協だと思うんですけれども、全国各地ではなかなかそうじゃない農協もあるという現状は、そこには何が問題があると思っていらっしゃいますでしょうか。

三品参考人 わかりやすく言えば、うちの農協は、昔からの農業です。農産物をしっかり主として、そこから上げる、そして、貸し出しは組合員を中心として、危ない橋は渡らぬというふうなことに徹する。

 非常に日本でも少ない感じかなというふうなことであるんですけれども、いろいろな農協があるときに、それぞれ農協は皆さんのものがあるわけですから、うちの農協はどうしてそういうふうになったといったときに、それは、先代からの教えとして、これは守れというふうなことで堅実な経営をしている、これに尽きます。

 以上であります。

村岡委員 やはり、今現在の農協を改革しなきゃいけないという動きの中は、非常に頑張っているところは、多分、制度が改革していっても独自にさらに成長していくと思うんです。成長しないところの、今まで衰退してきた農家の部分に何か弊害があるからこの農協改革というのはやらなきゃいけない、私はこう思っているんです。

 その中で、今回、全農、全中というのが全国組織の中である程度縛りがあり過ぎて、単協が自由なことができなかった。でも、多分、参考人の場合は、それはなく、単独できちんと、全中や何かともしっかりと連携をとりながらやれたと思うんですけれども、実はなかなかやれない農協の方が多いことも現実であります。

 そして、先ほど、このまま変えない方がいいということを言われましたけれども、それでは、その方々に対して、なかなかうまくいっていない農協に対して、もっとこういうことをやれば今の現行制度でもしっかりやれるんだというアドバイスとか何かはありますでしょうか。

三品参考人 今、それぞれの代表者が一番その地域の問題点を理解するときに、私はこうやっていますということは言えますけれども、人の懐に入ってどうのこうのは言う立場にはありません。やはり、それぞれの農協の抱えている問題点を一つ一つ潰していく、それがみずからの改革だと思います。

村岡委員 そうですね。そこが、言われるように大事なところだと思います。

 ただ、農協政策というのは、どうしても陥る点が、全国一律になってしまう、都会の農協もそして地方の農協も一緒だということがやはり大きな問題だなと思っております。ただし、法律ですから、一応の基準は決めながら、やはり地域に合わせた政策もしていかないといけないというふうには考えております。

 次に、中嶋参考人にお聞きしたいと思います。

 中嶋参考人の中の、鍵は外食や中食需要への対応と国民理解の熟成ということでありますけれども、中食、外食という中で、安いものは当然取り入れられるんですけれども、なかなか高付加価値のあるものが今まで取り入れられてこなかったということで、実際には全農家の部分ではなかなか所得向上につながらなかった、そういう問題があります。その点はどうお考えになるんでしょうか。

中嶋参考人 時期によってちょっと違うんじゃないかなと思います。

 八〇年代はかなり付加価値もついていたんだと思うんですが、九〇年代になってきて、だんだん値段も安くなり、所得につながらないという状況が起きています。それは、消費者の意識が多様化して、それに合わせた商品を提供できないというところがあったかもしれません。

 あと、ちょっともう一言申し上げると、そういったものを最終的に提供するのは食品産業でありますけれども、その食品産業と一緒になって、例えば食材の開発をするというような取り組みをもっとやっていれば、価値がその部分についたのではないかなというふうには私は思っております。

村岡委員 例えば、先ほどの話に戻りますが、海外への輸出なんかでも、米のパックなんかも海外で見るわけですけれども、これを本格的に売ってきたかというと、そうでもないんですね。海外に行ったときに、日本食の、ある程度の場所にちょこっとある。やはり、それを本格的に売っていく。

 やはり、海外に米を売っていくというときには、今、韓国の方や中国の方が来て炊飯器を買ったりしているわけですけれども、炊飯器がないのに日本の米を売ってもおいしく食べられないわけです。だから、そこはそこでやっていかなきゃいけないですけれども、パックで電子レンジでそれをやるような簡単なものも含めて、やはりそういうものを積極的に売っていく。

 そして、先ほど言った八千五百円というのは安過ぎるんですけれども、でも、円安の中で輸出ができるとすれば、今がチャンスならば、これをしっかり進めていくということが所得の向上につながる。

 そして、国民の理解というのは、国内もあるんですけれども、海外に日本の農産物を売っていくということが、やはり日本人も海外にこれだけ出ているわけですから、日本の食材を誇りを持って売っていくのを一緒にやっていくべきだ、こういうふうに思っていますが、中嶋参考人はどのようにお考えですか。

中嶋参考人 それに関しては全然異存はなくて、まさに今がそのときであるんじゃないかと思っております。

 ただ、基本的に、私の考えとしては、食というのはどの国でも保守的でありまして、新しい食をなかなか取り入れることができない、そういう歴史の積み重ねがあったと思います。ようやく日本の食が世界の中で認知されるようになって、どういうふうに食べればいいのか、先ほどおっしゃったように、その経験とかその知識というのが流布しておりますので、このチャンスを生かすときではないかなと思っております。

村岡委員 確かに、食というのは保守的なものだと思っております。日本人が比較的受け入れやすいのか、ハンバーガーから始まって、チキンだとか、何かそういうのはどんどん日本人は受け入れてきたわけですけれども、でも、やはり商品の売り方というのはあると思うんですね。

 そして、三つ子の魂百までもじゃないですけれども、日本のものはやはり安心で安全なものだと自負しながら海外にしっかり売り込んでいくということが、農家の所得を上げ、農業全体が成長していくということだと思うので、その点は進めていきたい、こう思っております。

 そして、樽川参考人にお聞きいたしたいんですけれども、農業法人を立ち上げるときには、私は秋田ですから、なかなか秋田というのは保守的なところですから、いろいろな意味で、新しいものをするというと、反対や、またなかなか協力してくれなかったという御苦労があったと思いますけれども、この御苦労の中で農業法人をしっかり続けてきた、その中の、まず自分が成功されている部分を、こういうことをクリアしていったということを教えていただければありがたいと思います。

樽川参考人 化石燃料を使わずに秋田で冬期農業をやるということを最初から目標にしておりました。それは、法人を立ち上げる前に、こういう地域ではこういうことができるんだというふうに自分なりに夢を描いておりました。その夢がようやく、十一月から三月のあの厳しい中でも、雇用をしながら、売り上げが大体千二、三百万、冬期間の、あの厳寒期の、雪が二メートルぐらいある中でも、燃料を使わずにそれだけの売り上げを上げることができた。

 その面では、夏場はつくれるのは当たり前でありまして、夏場はいいものをつくれば買っていただけるところがたくさんある。冬場の雇用と品質のよいものをどういうふうに出すかということを常々考えており、このごろ、ようやくそういう夢が実現した。それが、多くの雇用者を生み、地域のコミュニティーとか文化に寄与しているというふうに考えております。

 以上です。

村岡委員 秋田ですから、本当に冬場の農業というのは、四カ月、五カ月できないという中で、ハウスを使って、燃料の問題もあります。

 それとまた、なかなか、全国一律の制度なんで、冬のハウスのところに対して補助をやるときに、例えば雪がほとんど降らないところであれば、そのハウスの分だけに補助が行くわけですけれども、秋田なんかの場合だと除雪しなきゃいけないですから、ある程度面積をとって申請すると、いや、ハウスだけだというチェックが来たりするわけです。

 やはり、先ほども言っていますけれども、そういう全国一律という中に、地域の実情を考えないという大きな問題が、会計検査院が無駄なことをちゃんと指摘するのはいいんですけれども、地域の実情を知らずしてチェックをして、農家の方々がそれはもう厳しくなっていくだけだという形に思っているのは、本当にここは残念なところで、直していかなきゃいけない、こう思っております。

 准組の問題も、我々の党も、見直しの部分というか、きちんと調査はするべきだと思っていますが、それは、准組で農村社会を支えているところの地域と、それから、都会のところで、ほとんど農業と関係ない、正組合員だけれども、本当に正組合の定款でどのぐらいの基準で農家と言っているのかわからないような状況がある。だから、ここは、やはり調査するにしても、都会と、地方の農村社会が形成しているのと、違う調査をしていかなきゃいけない、こう思っていますけれども、これは三品参考人にちょっとお聞きしたいと思います。

三品参考人 本当に言われるとおりであります。

 私のところで、一晩で一番大雪が降ったときは、朝までに百三十四センチ降りました。やはり、ケース・バイ・ケースの中で、地域に合った農業のものを考えてもらわないと、大体、ハウスが七メーター何ぼのものが建っていたら、倍以上の、要するに、両側にハウスが建っていたら芸術的に盛ります。頭が二百三十一センチのときに、私が苗場を全部重機を使って除雪をします。壁が六メーター何ぼになりました。

 それを芸術的に積むのも技術なのかもしれないんですけれども、やはり、ハウスを移動しなさい、二重、三重のハウスになっているのは、そんなに生易しい問題ではありません。やはり、きちんと考えてほしい。

 そして、先ほどの問題で、ちょっと本題から外れるんですけれども、皆さん、輸出の話をしました。輸出は、全農と総合商社のしっかりしたところがついてやるならば問題ないんですけれども、代金回収に非常に不安が残る。

 そして、日本の高い技術のものが向こうへ行ったらおいしい米になるのかもしれないんですけれども、よく考えなければならないのは、最終的に、浮かれているだけで輸出をして、ちょこっとは足しになったかといったときに、やはり、日本の食料事情、米の大切さ、健康食を国民にしっかり訴えるべきだと思います。

 以上であります。

村岡委員 海外の話まで大変ありがとうございます。

 それはもちろん必要なことだと思っていますけれども、やはり、日本人は今これだけ世界各国のいろいろな食材を食べていますから、再認識するというのは、海外でもよさをわかってこそ再認識するということもあるので、そこは輸出はちゃんと伸ばしていかなきゃいけないとは思っております。

 そこで、樽川参考人に聞きます。

 今、冬場のハウス農業で、芸術的に積むのをやっていて大変なことなのであれですけれども、秋田も同じように冬場の農業が課題だと思っています。そして、おばこ農協も園芸というのをこれから力を入れていくわけですけれども、いろいろな対策の中で、もちろん、改革という全体は必要ですけれども、予算づけの中で、冬場の農業に対して、今、使いでが悪い、そしてまた、冬場の事情を考えていないというようなことで何か御意見があればお願いいたします。

樽川参考人 今一番問題になり、我々が悩んでおるのは、先生もおっしゃいましたが、転作確認で、会計検査院にハウスとハウスの間は転作として認めないと指摘されたからといって、では、この豪雪の中で、どうやって歩くのか、どうやってハウスを管理するのか、どうやって除雪をするのか。そういうところが、今、現にもう十九日には確認に来る。農政局が随行していらっしゃる。それが本当に農業に対する思いやりだろうか。

 やはり、そういう点は近々の課題でございますし、今、法人の約八割ほどが経営が苦しいわけで、それは、先生方、皆さん御事情は知っておられると思いますが、その中で、農業法人であるから厚生年金、そして健康保険、それに入らなければさかのぼって罰しますという通達がどんどん近くの法人に入っております。今現在入っております。

 我々は、今一生懸命、利益を出そう、そして税金を少しでも納めよう、そして消費税もきちんと納めるように、今までも納めてまいりましたが、納めるように努力しております。

 そういう面での少しばかりの思いやりが、これからのいろいろな面の農業の発展につながるのではないか。むしろ大幅な補助金よりも、そういうふうな思いやりが農家をやる気にする、そして冬期農業も確立される、そういうふうになるのではないかと思います。

村岡委員 もう時間が参りましたのでやめますけれども、本当にそこなんですね。

 この改革も進めていき、その中で、例えば米の体質強化二百億というのも、百三十億も返納されるというような状況。地域の実情や地域に使いでがあるものをやっていない。それからまた、冬場の転作作物の面積も、会計検査院がしゃくし定規に、冬場の雪の降るところであるかないかも全く関係ない。それから、社会保障の問題も、農業法人は立ち上がったんですけれども、それまでそういう形を言っていないのをいきなり注意する、指導する。そして、農業法人をできないようにする。

 やはり、そういうきめ細かいところにもしっかり配慮した上で改革していかなければならないということを述べて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江藤委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。最後の質問者になりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、私からは四人の方に同じ質問をしたいと思います。

 私、実は農家の娘でありまして、改めて、農業というのはつくる喜びと売る喜び、これがやはり相まって農業の生産意欲がより高まるなというのを、祖母を見ていて思うんです。もうほとんど、ばりばりと農業ができるというような状況ではありませんが、自分の体力の許す限りで物をつくり、そしてそれを直売という形で身近な方々に売って、そして、そこに喜びを感じている、それが生きがいになっているということを私は感じているんです。

 農業を産業化していく上で、大規模化、これも重要だとは思います。ただ、この日本という国土の特徴からいって、平野が非常に少ない、そして中山間地が非常に多い、こうした状況の中で、私は、大規模農家と同時に、零細小規模農家もやはり大切だというふうに思うんです。

 そうした点で、やはり農協が果たしてきた直売所というような、零細農家や小規模農家の方であっても、つくって売る喜び、そこを支えてきたという役割があるのではないかというふうに私は感じているんですけれども、参考人の皆さん方はどのように、大規模農業と中小零細農業、両方私は重要だと思うんですが、いかがお考えでしょうか。

齋藤参考人 私も、大規模農業者、それから山手で小規模でもやっている農業者、両方とも必要だと思います。ただ、法律が全部同じ法律になるものですから大変なんです。

 今、中山間地の直接支払い等々で、小規模でも、それから条件が厳しくてもできるような法律を出していただいて、何とかなりますけれども、逆に、平場の大規模の方が、昔あったじゃないですか、四ヘクタールでどうのこうのということで、それでメリットを受けながら規模拡大ということで出していたんですけれども、それがなくなってしまって、中山間の方は中山間地域等直接支払制度によって、あれも直接来るんだったらいいんですけれども、集落に来るものだから、どうやって分けるかみたいなのが頭の痛い問題になっているぐらいです。

 本当に先生方から、見た目は汗だくになって、真夏に草刈りなんかばかみたいと思われるかもしれないですけれども、あれは結構楽しいんですよ。そんな楽しい生産と、それから売るとき、本当に喜んでもらえること自体が、金をもらうよりも、声をかけてもらう、それから手紙をもらう、電話をもらう、こんな楽しい職業はないと思いますので、中山間の直接支払いプラス、大面積でこれから集約しながらやる方にも一定の生き残るチャンスをいただきたいなと考えます。

 以上です。

三品参考人 本当に、斉藤さんが言われたように、つくる喜びと、そういうふうな、私は、農家というのは非常に貴重な産業だと認識をしております。ただ、喜びと、それに生計というふうな一大事があったら、現実は違うというふうに考えています。

 そして、四ヘクタール、十ヘクタールというのは、いろいろなことがあってなくなった施策をどうこう言うつもりはありません。ですが、専業、兼業というふうにきちんとした線引きをしてくれというお話をしただけであります。

 それぞれ小さい農家は、そうやって産直をしたり、いろいろなときに、日本の食料を支えているというふうなことは、同じ農民として差別はするものではないんですけれども、やはり収入の大半をどこから得ているんだというふうになったときには、言葉でなくても、一体どういうふうな形がベターか私はよくわかりません、専業農家の位置づけをきちんとしてほしいというのが信念であります。

 以上であります。

中嶋参考人 私は、協同組合の一つのミッションは、組合員の全ての方に役割を与えるということだと思います。それで、中山間地の方々が何をつくり何を売るのか、そのための出口として直売所というのをフル活用するのは非常に大賛成です。

 それから、中山間の地域はやはり高齢化が進んではいますが、例えば、そこの食材を手間をかけてさらに価値のあるものにするときに、そこの方々が非常に大きな役割を果たすんじゃないかなと思っています。

 そういった、一見すると弱点になるようなところも強みにするような取り組みというのも行っているんじゃないかと思って、評価をしています。

樽川参考人 私のところの法人というのは二十六戸で構成されておりますが、一町歩以下の組合員が半数以上でございまして、その方々に最初に言ったのは、除草剤散布の機械と草刈り機以外は買わないでください、その他は全部私どもがお手伝いする、そして、自分のところでとれました余剰な野菜は私どもの品物と一緒に売ってやる、そして、おばあちゃん、おじいちゃんに百円でも二百円でも還元してやる、そういう考えで、お互いに助け合いながら、そういうふうにして進んでいく。

 そうすれば、おじいちゃん、おばあちゃん、身障者の方々も、非常に喜びを感じ、そして何か生き生きとしていく。それが健康につながり、地域のコミュニティーにつながるのではないかというふうに思っております。

 私どもの方ではうまくやっております。

斉藤(和)委員 ありがとうございます。

 それでは、齋藤参考人にお聞きしたいんですけれども、事前にいただいた資料でちょっと見ましたら、米づくりはこれまで生産調整や補助金といった国の政策に支えられたり振り回されたりしてきた、だからこそ、それぞれの土地に適したローカルな工夫や知恵が試される、農家はみんなローカリスト、土地や地域やコミュニティーを離れては生きていけないんだ、それが、今、米価暴落によって危機になっているというお話があったんです。

 齋藤さんから見た場合、今回の農協改革で地域の中の農協が大きく変わっていくわけですけれども、先ほどお話があったように、農協がさまざまな事務処理をやってくれていたというお話もあったんですが、そういう観点から見た場合、今回の改革というのはどのようにお感じになっていらっしゃるでしょうか。

齋藤参考人 事務処理は、一般の農家には農協がやっています。うちのメンバーにはうちがやっています、山のような書類づくりですけれども。

 そういうことで、今改革しなかったら、例えばこれが、農協改革、もう五年後、いやいや十年後というような感じだとするならば、多分、専業農家はもういなくなると思うんです。だから、今が本当に最後のチャンスだと思いますので、専業農家、法人から本当に使ってもらえるような農協に今変わらないといつ変わるんですかという、そんな状況だろうと思います。

 以上です。

斉藤(和)委員 ありがとうございます。

 三品参考人にお聞きしたいんですが、先ほどもありましたけれども、農協はみずから改革することが必要だということで、組合員の皆さんを戸別訪問で意見もお聞きしたというお話がありました。

 その上で、やはり私も、農協というのは協同組合であって、組合員さんのものであると思うんです。だとしたら、組合員の皆さんの要望に応える改革こそが本来の改革ではないかというふうに感じているんですけれども、今回、官邸主導とも言われていますが、こうした農協改革、どのようにお感じになっていらっしゃるでしょうか。

三品参考人 斉藤さんの言われるとおりだと思います。

 今いろいろな観点の中で、ずれてしまうというふうなことがあったときに、やはりこういうふうに改革を自分でするときに、やはり一回真っさらになって、一体どういう形がいいんだというふうなことの中で、いい意味に改革をするのだったら、私は一つあるのかなと。

 そして、私の中で、もう時間も大分経過していて何を言ったか覚えていない現実もあるんですけれども、私のところは、自分個人で有限会社をつくって四十数年経過をいたしました。それでも、きちんと農協は利用しています。

 以上であります。

斉藤(和)委員 もう一度、三品参考人にお聞きしたいんですが、農業委員もやられていたというお話がありましたが、今回、農業委員会の方も、今まで農家の皆さんがみずから代表者を選ぶという公選制という形から、市町村長が任命する選任制という形になるわけですけれども、こうした農業委員会の大きな意味合いを変える、これはどのようにお感じになるでしょうか。

三品参考人 本来、農地を一番わかっている委員が農業委員の任につかないと大変なことが始まりますよ。

 地域の中で選ぶときに、その自治会、自治区なりが一致団結して、この人にやってもらおう、そういうふうな観点で農地を動かすから健全な農地であるわけです。それが、大都市、上からの落下傘があったときに、これは、きちんと維持できるか非常に不安を感じる次第であります。

 以上であります。

斉藤(和)委員 ありがとうございます。

 樽川参考人にもぜひお聞きしたいんですけれども、町議会だとか県議会だとか、議会の方で活動されていたこともあるということを経歴を見て知ったんですが、その上で、議会の立場から、同じなんですが、農業委員会が公選制から選任制になる。しかも、農業委員会は、これまで議会推薦だとか農協団体からの推薦もあって選出をされていたのが、これがなくなってしまう。全て市町村長からの選任になるということなんですけれども、議会の経験をされた樽川さんから見た場合、この農業委員会の改革というのはどのように映るんでしょうか。

樽川参考人 今、農協改革、農業委員会の改革、いろいろな改革がある程度見えてまいりましたが、私は、むしろ、このぐらいの改革をするのであれば、農地法全体を改革する、そして、万般にわたって、百年の大計を考えた日本のあるべき農業の姿、農地のあるべき姿というのが見えてほしかった、そういうところに英断を持った進め方をしていただきたかったというふうに思っております。

 それが全て変わるということになれば、農家も必然的に変わってまいります。そして、それに向かって一体になって進んで、よりよい姿の日本像ができて、浮かび上がらせることができたのではないかな、そういうふうに考えております。

斉藤(和)委員 ありがとうございます。

 中嶋参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほども、弱点があるところが逆に強みになるというお話があったんですが、事前にいただいた資料の中でも、今、団体は株式会社への見直しが課題になっていますということで、ただ、株式会社だけが本当にいいのかということを指摘されているわけですけれども、私も、やはりもうかる農業という一方で、中山間地などはもうからないことが多い、ただ、株式会社になればやはりもうからなければいけない、こうした相矛盾するものがあると思うんです。

 ただ、農地というのは、食料の生産と同時に、やはり農業が果たしている役割は国土の保全もあるということを考えたときに、仮にもうからなかったとしてもしっかり農業としてやっていける、そういう土台が私は必要ではないかというふうに考えているんですけれども、中嶋先生はどのようにお考えでしょうか。

中嶋参考人 その地域地域において、どういうビジネスの形態が適当なのかというのは違うんじゃないかなと思います。株式会社型がいい場合もあるし、協同組合型もいい場合もあると思います。それから、もう少し違うNPOの形態もあるかもしれません。

 私は、協同組合の場合は、全員で議論をして合意していくそのプロセスがとても大事だと思っていて、例えば、それは、地域の環境を守るというミッションも入れながらビジネスをやっていくためにはそういうスタイルがいいかもしれません。株式会社の場合には、利益を追求し、さらに組合員の境界を超えて、もっと幅広くさまざまな活動をするには適しているんじゃないかと思います。

 食料を供給するという観点からすると、手広くやった方が、それは世のためになるところもあると思いますので、それは、どのような作物をつくっているか、どういう条件かによってそれぞれが御判断するところではないかなというふうに思っております。

斉藤(和)委員 ありがとうございます。

 最後に、三品参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほどの農業委員会の続きです。

 農業委員を今回は半減して、そのかわりに農地利用最適化推進委員という、農業委員がやっていた認可だとかそういう部分と、逆に、農地の集積だとかパトロールの活動は別のこの農地利用最適化推進委員にやってもらおうという二段階の仕組みにしようとしているんですけれども、農地利用最適化推進委員になってくれる方がいるのかなという私は素朴な疑問があるんですが、いかがでしょうか。

三品参考人 やってみなければわからないと思うんですけれども、今、樽川さんがどういう発言をしたか。

 百年の大計をしっかり考えてやるのが、この場の中で思いつきとか、そういうふうな段階の中でこれいい、あれいいというふうになると、最後は農民が振り回されるんですよ。ですから、信念が必要だ。私の言っていることは、そういう信念に基づいてきちんと発言をしているわけです。ちょっとあれのときに、僕は言うことはできるんですけれども、質問はいたしません。おかしいと思います。農業をわかっている者、精通者が農業委員をすべきだと思います。

斉藤(和)委員 ありがとうございました。

 四人の皆さん、それぞれのお立場から御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私も、農業を農業としてしっかりと、食べていける農業、同時に、それとあわせて、国土を保全するという重要な、国の根幹である農業、これを両立させていく、やはりそのための改革でなければならないというふうに思っています。

 その中で農協が果たしてきた地域での役割というのは非常に大きかったんだろうということを考えますと、やはりもっともっと、現場で働いている農家の皆さんの声が、そして、逆に言えば、農協の組合員の皆さんの声が本当に反映されているのかどうかというところを私は非常に疑問に思いますが、皆さん方の御意見を参考に、ぜひ、農協が本当に農協として組合員の皆さんのためになるように、引き続き審議を進めていきたいというふうに思っております。

 きょうはありがとうございました。

江藤委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表しまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 次回は、明十七日水曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十八分散会


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