第21号 平成27年9月2日(水曜日)
平成二十七年九月二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 江藤 拓君
理事 加藤 寛治君 理事 齋藤 健君
理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君
理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君
理事 村岡 敏英君 理事 石田 祝稔君
井野 俊郎君 伊東 良孝君
伊藤信太郎君 池田 道孝君
今枝宗一郎君 勝沼 栄明君
小林 鷹之君 瀬戸 隆一君
武井 俊輔君 武部 新君
中川 郁子君 中谷 真一君
西川 公也君 橋本 英教君
古川 康君 前川 恵君
宮澤 博行君 宮路 拓馬君
森山 裕君 八木 哲也君
簗 和生君 山本 拓君
金子 恵美君 岸本 周平君
小山 展弘君 佐々木隆博君
篠原 孝君 福島 伸享君
井出 庸生君 木内 孝胤君
稲津 久君 佐藤 英道君
斉藤 和子君 畠山 和也君
仲里 利信君
…………………………………
農林水産大臣 林 芳正君
農林水産副大臣 あべ 俊子君
農林水産大臣政務官 佐藤 英道君
農林水産大臣政務官 中川 郁子君
政府参考人
(内閣官房日本経済再生総合事務局次長) 田中 茂明君
政府参考人
(金融庁総務企画局審議官) 森田 宗男君
政府参考人
(金融庁証券取引等監視委員会事務局次長) 藤本 拓資君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 長屋 聡君
政府参考人
(農林水産省消費・安全局長) 小風 茂君
政府参考人
(農林水産省食料産業局長) 櫻庭 英悦君
政府参考人
(農林水産省生産局長) 今城 健晴君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 奥原 正明君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局長) 西郷 正道君
政府参考人
(水産庁長官) 佐藤 一雄君
農林水産委員会専門員 奥井 啓史君
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委員の異動
九月二日
辞任 補欠選任
古川 康君 宮澤 博行君
佐々木隆博君 篠原 孝君
松木けんこう君 木内 孝胤君
同日
辞任 補欠選任
宮澤 博行君 八木 哲也君
篠原 孝君 佐々木隆博君
木内 孝胤君 松木けんこう君
同日
辞任 補欠選任
八木 哲也君 小林 鷹之君
同日
辞任 補欠選任
小林 鷹之君 古川 康君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第三二号)
――――◇―――――
○江藤委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省消費・安全局長小風茂君、食料産業局長櫻庭英悦君、生産局長今城健晴君、経営局長奥原正明君、農林水産技術会議事務局長西郷正道君、水産庁長官佐藤一雄君、内閣官房日本経済再生総合事務局次長田中茂明君、金融庁総務企画局審議官森田宗男君、証券取引等監視委員会事務局次長藤本拓資君及び総務省大臣官房審議官長屋聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○江藤委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊東良孝君。
○伊東(良)委員 おはようございます。
今般の議案になっております農業、食品関係四法人、そして、水産総合研究センター、水産大学校を初めとする水産二団体の統合のお話であります。
先週でありましたけれども、武部新議員から、日本で初めて発見されたシロシストセンチュウの問題が提起されました。そのほかにも、原因不明のもの、解決がまだなされていない病害虫等々が農産物の中にもたくさんあるわけであります。
さらにまた、水産漁業の方では、不漁原因、これは全国各地でありますけれども、異常気象であったり海水温であったり、さまざまな理由があろうかと思いますけれども、さまざまな不漁原因、不漁地域が発生をいたしております。
こうした原因究明を求める漁業者、農業者の皆さんというのは、各地からその声がたくさん上がっているところでありますが、これを一つ解決するのにも、五年、十年、あるいはそれ以上たっても解決できない問題がたくさん今までもあるわけであります。
さてそこで、解決がなかなかできない、研究が思ったように進まない一つの原因が、この独立行政法人化された研究機関、調査機関のいわゆる弱体化といいますか、そこの研究費あるいは人員の、人件費等々の削減がなされてそうなっているのではないかという声が聞かれるわけであります。
独立行政法人化して組織を縮小する、あるいは専門化する、特化する、この利点はたくさんあろうかとは思いますけれども、例えば、今般、統合の対象の一つになっております水産総合研究センターの過去十年間の推移をちょっと比べてみますと、平成十八年に百七十三億九千七百万の予算が今平成二十七年度では百四十九億三千七百万、これは八七%台でありますけれども、推移しております。職員数は、平成十八年に千九名いた職員が今年度で九百三十名ということで、これは九三%以下になっているわけであります。
統合するということは、組織を新しくする、あるいは効率化させるということではありますけれども、同時に、合理化によって調査研究が縮小してしまうのではないか、人員が減ってしまうのではないか、これが危惧されるところであります。
このたびの統合により、予算、人員につきましてはどのような展望を描かれているのか、あるいは、漁業者、農業者が求める研究調査能力は今後向上するのか、それが長期的に担保されるのか、まず、その点についてお伺いいたします。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
今回の統合に関係する法人の運営費交付金予算及び職員数の推移でございますが、平成十八年度から平成二十七年度までの間に業務の効率化を進めたところでございまして、農業関係法人の合計では、予算が一一・三%減、職員数が一三・三%減となっているところでございます。また、水産関係法人の合計では、予算が一四・四%減、職員数が八・二%減となっているところでございます。
今回の統合に関しまして、新法人の運営費交付金予算に関しまして、統合後の法人運営に支障がないような形で、統合前の法人の合計をベースに予算要求を行っているところでございます。また、統合される法人の職員は基本的に新法人が継承することになっております。
また、調査能力の点でございますが、今回の統合で、農業分野では、基礎から応用まで一貫した研究体制を構築すること、また、水産分野におきましては、研究開発機能といわゆる人材の育成機能の一層の向上を一体的に進めることによりまして、農業者また漁業者が求める研究調査に十分応えられるものと考えているところでございます。
○伊東(良)委員 危惧されるような組織の縮小あるいは研究費等々の削減、これがもろに農業者、漁業者が求める原因究明に本当に大きな心配がないように、ぜひここに意を用いて研究をし、あるいはまた調査をしていただきたいというふうに思う次第であります。
時間も私は、今回短いものですから、次の問題に移らせていただきます。
つい一昨日でありますけれども、七月十七日にロシアの国後島付近で拿捕されました第十邦晃丸が解放されました。
大変にうれしい思いでありますけれども、一月半にわたりまして、国後島沖で拿捕されておりました船員あるいは船長を初め関係者の皆様にお見舞いを申し上げますと同時に、今回の解放をお喜び申し上げたいと思います。特に水産庁、外務省を初め関係機関、そしてまた北海道や、あるいは根室方面の皆様には感謝を申し上げたいと思います。
これは、もともとがロシアの流し網の禁止が目前に迫るという中でのことし最後の出漁ということでありました。中型船という大きな船は今回なかなか採算が合わないということで、出漁を見合わせたわけでありますけれども、小型船は二十隻出漁をいたしたところであります。
中型船は、春先から乗組員を雇い、そしてまた網を買いかえ、そして船体を整備し、準備をして、相当なお金をかけてきたところでありましたけれども、残念ながら、日ロの漁業交渉の妥結が相当ずれ込んで、結局、出漁ができなかったわけであります。
こうした状況の中で、六月の二十九日に、ロシア連邦議会で提出されておりましたロシア二百海里内のサケ・マス流し網漁禁止法案というものが可決をし、そしてプーチン大統領がこれに署名をいたしたところであります。
これによる日本のいわゆる影響額というのは、さまざまな試算はありますけれども、当時の根室市で試算すると、市内全域にわたり、二百五十億を超える影響額が想定される。このままでは町はなくなってしまう、人口流出がとまらない、あるいは水産加工、漁業が壊滅する、こうした声が聞かれたわけであります。
これは、道東地域、さらには北海道、そして船主さんあるいは乗組員の皆さんも日本全国に散らばっているわけでありまして、ひとり北海道だけの問題ではないという点にぜひ御理解をいただきたいというふうに思う次第であります。
今回の問題で、きょうは、実は高橋はるみ北海道知事が午後から林農水大臣をお訪ねして、直接、北海道として取りまとめた要望を国に要請してくるところでありますけれども、大きく分けて、やはり、今回は出漁できなかった中型船を初めとする漁業に対する国としての対策をどうするか、補償をどうするかということになるわけであります。また、もう一方では、原魚をしっかり確保しなければ、水産加工、あるいは運搬トラック、魚箱等々の関係業界がみんな仕事がなくなってしまうということでありますので、ここら辺について二、三点お聞きいたしたいと思います。
まず、出漁断念、そして来年以降も出漁の見込みが全く立っていない中型船に対する損失について大臣としてどのようにお考えであるか、お聞きいたします。
○林国務大臣 本年の五月から六月にかけて日ロサケ・マス政府間協議が行われたわけですが、まず、操業期間が昨年に比べて一カ月ほど短くなったということ、それから条件が非常に厳しい状態が続いたということで、今先生からお話がありましたように、中型漁船団は今期の操業を見送ったということがございまして、昨年に比べて漁獲枠が大きく減少する、こういう結果になっておるわけでございます。
今御紹介いただいたように、きょうの午後、北海道知事がいらっしゃって、直接、対策の要望をお聞きすることになっておりまして、この中型漁船の影響についてもそこで当然お話があるだろう、こういうふうに思っております。この内容をしっかりと踏まえまして、関係漁業者の皆様の操業の実態をよく把握して、また先生を初めとする与党の皆様と十分調整しながら、しっかりと具体的な対策を検討したいと思っております。
○伊東(良)委員 ぜひ、この後の要請でありますので、しっかりお聞きいただき、対策を練っていただきたいと思う次第であります。
もう一方は、今まで魚をおろしていた根室港で、六千六百トン、公式記録でそれがあったわけでありますけれども、これがすぽっとなくなるものですから、運送業もあるいは加工業も、みんなが仕事がなくなって大変だということになるわけであります。
私は思うんですが、六千六百トン、これまでの漁獲実績に見合うサケ・マスなどをロシアから、あるいはカナダ、アラスカ方面から、これはもちろん輸入をするということに今後つながっていくわけでありますけれども、北海道根室枠としての六千六百トン、これまでの実績どおりの輸入枠を設定し、根室にこれをおろしていただけないか、こういう対策を講ずることができないかどうか、ぜひ御検討をお願いしたいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○林国務大臣 根室の市長さん等がいらっしゃって、組合長さん等からもお話を聞いたときも、漁業はもちろんですが、加工業、これも非常に道東地域の地域経済の中核を担っておる、こういうことでございまして、今まで流し網でサケ・マスの供給を受けてこられた方々、関係者が、加工原料の確保等々、懸念をお持ちである、こういうふうに承知をしております。
今、輸入枠というお話もありましたけれども、こういうところも事情をお聞きした上で、知事からきょうお聞きした要望を踏まえて、何ができるのか、しっかりと検討していきたいと思っております。
○伊東(良)委員 地元からは、魚種変更あるいは漁法の変更、さらには、これからは育てる漁業ということで、ホタテ漁場の開発や、あるいはウニやカニの種苗施設の整備などなどあるわけでありますけれども、やはりこれからは育てる漁業への転換が大事であろうというふうにも思うところでもあります。
さらにまた、これが北方領土の隣接地域ということもあります。どうか、ロシアとの国境を接する地域で起きている事案だということが最大の焦点でありますので、それを念頭に入れていただいて、これまでの対策をはるかに上回る、ひとつ、力強い、予算の裏づけをしっかりいただいた、そんな対策を講じていただきたいと思うところでありますけれども、最後に、この点につきまして農水大臣の考え、決意をお伺いしたいと思います。
○林国務大臣 今先生からお話がありましたように、国境、また領土問題がある、こういうところ、一番ぎりぎりのところでやっておられる。先ほど冒頭に拿捕のお話もありましたように、いろいろな困難な状況の中でずっとやってきておられた。この話を私も直接お聞きしたところでございますし、また、七月には佐藤政務官も現地に派遣をいたしまして、しっかりと現場のお話を聞いたところでございます。
こういう状況をしっかりと踏まえた上で、きょう、知事からも直接お話を聞くわけでございますので、皆様方にしっかりと心配なくやっていけるように、我々も十分な努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
○伊東(良)委員 ありがとうございました。
これで質問を終わります。
○江藤委員長 次に、稲津久君。
○稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。
まず、質問に入ります前に、今、伊東委員からもお話がありましたが、北海道のサケ・マス流し網漁船の第十邦晃丸が先般、約一カ月半ぶりに解放されたということで、うれしいニュース、報告がありました。
私も、実は八月の二十一日にビザなし渡航で国後に行っておりまして、その際に、もう本当に目と鼻の先なんですけれども、第十邦晃丸を前にして、船内の電話でやりとりをさせていただきました。状況を把握させていただきますとともに、激励、お見舞いをさせていただいたところなんですけれども、その際にも、もう一月以上になって大変厳しい状況にあるという話も伺いまして、とにかく一日も早い解放を強く望んでいますし、そのためにできることをしっかり働きかけていきたい、このように申し上げました。
今回、このようにして解放されましたこと、農林水産省また外務省、関係者の皆様に対して、その御尽力に対して心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。
ただ、あわせて、このことに関して申し上げますと、やはりロシアの今回の法律の制定の中で、前途が非常に危ぶまれている状況でございますので、これは今伊東委員からお話がありましたので、重複しますからあえて申し上げませんけれども、ぜひともしっかりした省としての対応もお願いを申し上げたい、このことを申し上げておきたいと思います。
それでは、法案の質問、審査に入ります前に、一点だけお話しさせていただいて、答弁を求めたいと思うんですけれども、それは、訪日外国人の消費拡大の取り組みについてお伺いをしていきたいと思います。
先般、八月の二十八日に、農水省から海外の日本食レストランの数の調査報告がありました。二年前に比べて実に一・六倍の八万九千店まで海外での日本食レストランがふえているということで、大変喜ばしいこと。これをまたベースにして、輸出拡大、インバウンドの需要につなげていきたい、そういう報告もありまして、期待をしております。
私が申し上げたいのは、このインバウンドの方々の消費欲、大変すごいものがあって、よく爆買いとかいう言葉で象徴されますけれども、私も、北海道の観光地、あるいはそうでないところも含めて、このインバウンド、特に東アジアの方々が大変なお買い物をされる姿を見ています。ただ、菓子類とかそういうものが中心であって、せっかくの日本の豊かな農畜産物等についてはなかなか買うというところまでいっていない。
これは当然理由があるわけでございまして、検疫の問題がある。この検疫のことを考えると、やはりインバウンドの方々は、何を持ち帰れるのかわからない。検疫にひっかかったらどうしようとか、あるいはどこで検査を受けるかわからないということで、私は買い控えをしているんだろうというふうに思っています。
そういうことで、今後のことも考えますと、せっかくのこのインバウンドの方々の消費欲をしっかりキャッチして応えていって、そのことによって、さらに帰国した後にいろいろな宣伝をしていただいて輸出拡大につなげていくということが重要だと思うんですけれども、これらのことに対しての今後の施策についてお伺いしたいと思います。
○小風政府参考人 お答えいたします。
訪日外国人が増加しております中、我が国の農畜水産物をお土産として持って帰っていただくということは、観光立国の実現及び地方創生の推進とともに、輸出拡大の観点からも重要と考えてございます。
一方、委員御指摘のように、外国旅行客への国産農畜産物の販売に当たっては、検疫の手続がわかりにくいとか、あるいは手間がかかる等の御指摘がございます。
このため、平成二十八年度におきまして、青果物の販売店あるいは道の駅などで購入した農畜産物が動植物検疫を経まして、空港あるいはクルーズ船の寄港地、ここで受け取ることができる体制をモデル的に整備するための予算を要求しておるところでございます。
このほか、今年度、平成二十七年度から、主要空港の旅客ターミナルに輸出検疫のカウンターを設置しますとか、あるいは、国とか地域別に、検疫上、持ち帰りが可能となっている品目を掲載したパンフレットを作成、配布などに取り組んでおるところでございます。
今後とも、訪日外国人の旅行客の方が安心して円滑に農畜産物を購入して持ち帰ることができる、こういう環境体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
○稲津委員 大変重要な答弁をいただいたと思っております。
検疫の円滑な支援というか、これは、今後その取り組みが進めていかれますと相当いろいろなお買い物もしていただけるというふうに思っていますので、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
その上でもう一つお伺いしたいと思うんですが、問題は、検疫の体制のことなんですね。
私も、羽田それから新千歳空港の検疫の現場を見ております。検疫探知犬とか検疫官の方々の業務を見ていますけれども、非常に多忙を極めている。そういうところにあって、なおかつ、今度は検疫官の方々がそれぞれ移動しながら検疫をするということになりますと、私は、いろいろなことも懸念としてあるだろうと思っておりまして、特に検疫官の増員とか体制の強化ということを求めておきたいと思いますが、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
○林国務大臣 観光立国推進による外国人観光客のインバウンドの方の増加に伴って、海外からの家畜の伝染性の疾病、植物の病害虫の侵入リスク、こういうものが高まると考えられますので、しっかりと輸入検疫体制の整備をしてこれに対応することが必要だと思っております。
また、輸出促進のためにも、輸出が可能な国、品目を拡大するための検疫協議を進めるのはもちろんでございますが、やはり円滑に対応するための体制の整備が必要だと思っております。
博多港、長崎港などでクルーズ船の寄港も大変ふえておりますので、こういうものに機動的に対応しなければならないということで、この七月でございますが、新規定員六名を含む二十一名の緊急増員というのも行わせていただきました。
また、来年度の組織・定員要求でございますが、輸出入検査担当官の増員等、検疫体制の強化を図るべく五十六名増員要求を行っております。家畜防疫官が二十六名、植物防疫官が三十名ということでございます。
今後とも、輸出拡大、観光立国実現、こういうものに向けて輸出入検疫体制の強化を図りまして、円滑な動植物検疫の実施に努めてまいりたいと思っております。
○稲津委員 ぜひお取り組みをお願いしたいと思います。インバウンドの需要の喚起、ひいては輸出拡大ということにしっかりつなげていける取り組みだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次は、法案の中身に入っていきたいと思いますけれども、まず一つ目は、独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案についてということで、国立の研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法、大変長いですけれども、この一部改正によって、法人の統合で巨大化する農業・食品産業技術総合研究機構、研究機構というふうに簡略して申し上げたいと思いますけれども、その組織運営に対する懸念について申し上げておきたいと思うんです。
これは、その機構に対して三つの法人が今度はなくなって統合されるということなんですけれども、これまでも、機構については既に二千六百を超える職員の体制になっている。大変巨大な組織です。今回、この改正によってさらに統合されて三千四百人になるという状況なんです。
そういうことを考えていきますと、この三千四百人の機構の中の組織にはそれぞれの部門があるということで、ともすれば、そういう巨大組織にありがちな縦割り行政とか、そうした機動力を失うことがあるのではないかという懸念もあるわけですけれども、今回の法改正によって、それらの懸念に対してはどう応えていくのか、この点について答弁いただきたいと思います。
○佐藤大臣政務官 委員御指摘のとおり、今回の統合におきましては、相乗効果を発揮するとともに、組織の規模が大きくなることなどによる弊害が生じないようにすることは極めて重要であると考えております。
このため、現在、関係法人におきまして、縦割りの防止や機動的な法人運営の確保のために、一点目として、主務大臣が示す目標の達成に向けた組織や研究分野の横断的な研究推進体制の構築、二つ目に、理事長のリーダーシップのもと、各役員の所掌と責任の明確化、役職員間の不断の情報共有等によりまして、これまで以上に迅速かつ的確な意思決定の業務の遂行を可能とする管理連絡体制の構築が検討されているところでございます。
こうした措置により、効率的、効果的な組織運営ができるものと考えているところでございます。
○稲津委員 ありがとうございました。
今答弁いただきましたけれども、やはり三千四百人にもなる巨大な組織を運営していくためには、当然、今お話しいただいたような取り組みが必要であろうと思っていますし、重ねての話になりますけれども、機密情報の共有化とか、それから、指揮系統の流れをしっかり把握して伝達していくということも大変重要かと思いますので、その取り組みを期待させていただきたいと思います。
次は、国立研究開発法人水産総合研究センター法の一部改正によってどのようなことが考えられるかということについてのお尋ねなんですけれども、今回は水産大学校と水産総合研究センターということで、ある意味非常に役割の違う組織を統合することになるんですけれども、当然業務の内容も違いますから、いろいろなシナジー効果のほかにも懸念することは幾つかあると思うんです。
私は、この組織統合、今回の法改正の中で、ここの分野で一番やらなきゃいけないのは、結局は水産物の安定供給とか水産業の発展にどういう寄与、貢献ができるかということだと思うんです。そのことについての期待について、お答えいただきたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
今、稲津先生の方からお話ございました両法人の統合によりまして、まず、研究成果を教育に取り込むことが極めて容易になるというふうに思っておりまして、具体的には、研究成果に対する基礎的知識、その活用方法等を理解した水大の卒業生が水産業界で指導的役割を果たして、研究成果等を活用、実践することになるもの、このように考えているところでございます。
これによりまして、御指摘ございました漁業生産現場におきましては、資源管理を意識した効率的で安定した生産、また水産加工現場におきましては、製品の安全性向上や高付加価値化、また水産流通分野では、鮮度保持の向上や消費拡大等に取り組むことによりまして、先生御指摘がございました、国民への水産物の安定供給と水産業の健全な発展に貢献できるもの、このように考えているところでございます。
以上でございます。
○稲津委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
時間の関係上、予定していた質問を一つ飛ばしまして、最後に、地方創生における政府関係機関の移転についてということで端的にお伺いしたいと思います。
地方創生、東京圏の過度な一極集中を是正して、今度は地方にさらなる活気を持たせていくということで、その取り組み、施策の一つとして、政府関係機関の地方移転ということがうたわれております。八月の末には道府県からの提案をいただいて、今後、ヒアリングを重ねた上で、有識者の意見も聴取して、十二月には中間取りまとめをするというふうに伺っています。私は非常に大事な取り組みだと思っています。
ただ、このことは単純に、地方が各省庁の、東京圏のその機能をいただくという単純な話じゃなくて、当然各省にとっても、それが移転することによって非常に意味がある、ウインになる、それから受け入れる道府県についてもウインになる、まさしくウイン・ウインの関係でなければいけないと思っています。
その意味で、農水省としてこの機関の地方移転についてどのような考えをお持ちなのか、この点についてお伺いします。
○林国務大臣 政府関係機関の移転につきましては、まち・ひと・しごと創生本部、ここで道府県からの誘致募集を行いまして、今お話がありましたように、八月末までの締め切りで、農林水産省の関連機関については二十七道県から七機関の誘致提案が出ております。
今後、まち・ひと・しごと創生本部で、道府県、それから各府省から順にヒアリングをやりまして、移転の必要性、効果、その機関としての機能の確保等、まさにウイン・ウインになるようにということだと思いますが、検証を行った上で、来年三月に移転の基本方針が決定される、こういうふうに承知しております。
この機関としての機能の確保や向上、それから地域への波及効果、こういうものが期待できるか、こういうこと等々を総合的に検討して、まち・ひと・しごと創生本部と緊密に連携しながら、真摯に対応してまいりたいと思っております。
○稲津委員 ありがとうございました。
終わります。
○江藤委員長 次に、金子恵美君。
○金子(恵)委員 民主党の金子恵美でございます。
私は今回、この法案の審査のために改めて現状を把握したいと思いまして、統合の対象法人等を視察させていただきました。ですので、そこで伺った現場の声というものをもとに質問させていただきたいというふうに思います。
今回、独法のこの改革によって、この法案が成立すれば、四月より九法人となります。このように、独立行政法人をめぐっては、この間、絶え間ない見直しと改革議論が進められてきましたが、このたび、政府としても集大成を迎えたとしています。
最初に、我が国の農林水産業の発展と国民の生活の向上に資する研究開発のあり方についてどのような考えをお持ちか、そしてまたさらに、独立行政法人制度がこれまで農林水産行政の展開においてどのように位置づけられ、どのような役割を果たしてきたかについてお伺いします。
○林国務大臣 農林水産省では、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村の創出に向けまして、農林水産業・地域の活力創造プランを決めさせていただきました。これに基づきまして、スマート農業の推進、強みのある新しい農畜産物の開発普及、こういうものに取り組んできております。
ことしの三月に農林水産研究基本計画を決定しましたが、ここに、生産現場等が直面する課題を速やかに解決するための研究開発を最優先課題に位置づけまして、生産現場に密着した技術の開発や普及の加速化を図る、それから情報通信、ロボット等、こういう異分野の技術を国産の農林水産物のバリューチェーンに結びつける新たな産学官の連携研究の仕組みの創設、こういうものに取り組むということにしております。
そういった中で、国立の研究開発法人は、民間の主体に委ねた場合にはなかなか実施をされにくいようなもの、実施をされないおそれがあるもの、また国の政策に即した研究開発に取り組んでいただく、こういうことによりまして、農林水産業及び食品産業に関する技術の向上に寄与をしていただいておりまして、今後とも、現場の課題に的確に応える研究開発を推進して、農林水産業の発展に貢献をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○金子(恵)委員 独立行政法人通則法にありますように、国民生活及び社会経済の安定などの公共的な見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業を行うことが求められています。そのために、研究成果の最大化を初め、国民生活の向上のための研究や業務遂行には、落ちついて働ける、そして安心して働きがいのある職場環境をつくること、それが本当に重要ではないかと思います。
そこで、今回で改革論議に終止符を打つべきというふうにも思うんですが、重要な役割を果たしてきたという御答弁もありましたので、改めて、今回で改革議論に終止符を打つ、これ以上の統合はないということでよろしいでしょうか。
○林国務大臣 この間申し上げましたように、集大成であると。これは、政権交代を挟んで、先生方が与党を担当されておられたときからずっと検討を続けてきて、我々になって最終的に決めた、こういうことでございますので、大きな組織の改編というのはこれで一段落だという意味で集大成というふうに申し上げました。
さらに、未来永劫やらないということではないかもしれませんけれども、今先生がおっしゃられましたように、落ちついて仕事に取り組んでいただくということも大変大事でございますので、今決められた体制の中で、先ほど申し上げたような目的に向かって運用をしっかりとやっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○金子(恵)委員 今回統合の対象になっていない法人の中には、例えば私の地元にあります家畜改良センターもあります。これは、中期目標管理法人ではありますけれども、このような、東日本大震災直後、大変な緊急事態の中で対応をしてくれたそういう法人、今も地元では大変重要な役割を担っています。それがほかの法人と統合することはない、現段階ではそのような方向ではないという理解をさせていただいておりますし、そのような法人をしっかりとバックアップするという仕組みというのもおつくりいただきたいというふうに思っております。
また、昨年六月に成立いたしました独立行政法人通則法の一部を改正する法律案等の法案審議において附帯決議が採択されていますが、この附帯決議には、
独立行政法人の統廃合等の組織の見直しに当たっては、当該法人職員の雇用の安定に配慮すること。また、独立行政法人の職員の給与等は、自主性及び自律性の発揮という制度本来の趣旨並びに職員に適用される労働関係法制度に基づき、法人の労使交渉における決定に基づき対応すること。
とあります。
そこで、独立行政法人の統合と組織の見直しに当たっては、この附帯決議を十分踏まえて労使関係制度に基づき対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 今回の統合対象の六法人、これはいずれも公務員身分を有しない独立行政法人でございまして、その職員は民間労働者と同様に労働関係法規の適用を受ける、こういうことになります。このため、これら法人の職員の給与等の労働条件は労使交渉によって決定をされております。
今回の統合後においても、こうした関係に変化はございませんので、これまでと同様に、職員の給与等の労働条件は労使交渉により決定されていくもの、こういうふうに考えております。
○金子(恵)委員 そして、この統合によって当然シナジー効果が期待されているわけなんですが、先ほども若干シナジー効果について触れた答弁がありましたが、その中で、特に種苗管理センターは改正通則法において中期目標管理法人でありまして、ほかの三法人は国立研究開発法人であることから、法人の目的や事務事業の内容等も大きく異なっています。
特にこの四法人の統合、どのようなシナジー効果が発揮されるのか。そしてまた、この四法人が統合することになった経緯と理由についてお聞かせいただきたいと思います。
○佐藤大臣政務官 農研機構を初めといたします農業関係の研究開発法人の統合につきましては、基礎から応用、実用化までの一貫した研究体制を構築することによりまして、より迅速なニーズへの対応や生産現場の課題解決が可能となる効果が期待されているところでございます。
今委員御指摘がございました、特に種苗管理センターとの統合につきましてでございますけれども、六次産業化や輸出拡大など、攻めの農業を積極的に展開することを前提といたしまして、国産品種の育成者権の侵害を防止することが重要であるところでありまして、研究機関との統合により、ゲノム情報の解析結果を用いた品種識別技術の開発によります育成者権の侵害防止体制の強化など、こうしたシナジー効果が期待をされるところであります。
さらに、水産関係の法人統合につきましては、水産総合研究センターの研究開発成果の活用によります水産大学校の人材育成機能の強化、同校の卒業生を通じた水産総合研究センターの研究成果の関連業界への普及などのシナジー効果が期待されるものと考えております。
○金子(恵)委員 期待されるということで、それをしっかりと進めるためにも、やはり法人が、先ほどもありましたけれども、ただ巨大化する、その中で、もちろんデメリットもあるということでありまして、私も、一般論として、組織の肥大化によって、指示命令系統を初めとする内部統制の問題や、組織の複雑化による機動力や活力の低下なども懸念されるというふうに思っています。
一言で言えば、風通しのよい活力ある組織としての機能が維持されるかどうかということでありますけれども、もう一度、どのように認識されているか、お伺いします。
○西郷政府参考人 法人統合によります、統合で肥大化するといったことにつきましての懸念につきましては、先ほど答弁がありましたとおりに、各部門部門の責任体制の明確化だとか、横の連絡の強化といったことを進めることによりまして、きちんと対応してまいりたいと存じております。
また、新組織でございますけれども、役員体制その他につきましては、あるいは職員の体制につきましても、大きくなるわけでございますけれども、きちんと仕事ができますように、ガバナンスがきちんと発揮できますように、役員の体制でございますとか業務の運営体制を構築されたものを検討しているというところでございます。
○金子(恵)委員 しっかりと先ほど申し上げました本当の相乗効果というものが発揮できるような体制づくりをしていただきたいと思うんですが、組織全体の体制だけではなく、各研究所がどのような形になるのかについても検討がなされているというふうに思います。
特に、現場の研究者の皆様方からの声として上がってきているのは、やはり法人統合後も、各研究所などの組織いじりというものはしないでほしい、あるいは名称変更等はしないでほしい、そういう声がありました。当然、各法人のこれまでの、それぞれ独立して研究を行って、そしてその成果というものを積み重ねてきた歴史的な経過というものもありますので、各法人は、内部研究所を含め、研究所の名称も国内外において知名度のあるものになっているというふうに思います。
ですので、今回の統合において、各研究所としての機能と研究成果の最大化がしっかりと維持され、これまでの統合と同様に、専門研究所は維持されなければならないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 独立行政法人が大きくなって統合されるということになりますと、それぞれの法人が今度は内部組織ということになります。その法人が自律的に内部組織を構築していく、こういうことに、独立行政法人でございますので、なるわけでございますが、統合後の法人においては、攻めの農政に向けた新たな課題に対応できる研究体制が構築される、これが重要だと認識しております。
内部研究所の名前について今御指摘がありましたが、これを含めて、具体的な研究体制については、こうした観点から、先ほどシナジー効果というのもありましたけれども、一方で、今委員がおっしゃったように、今までその名前で国際的にも通用してきている、こういうところもございます。したがって、そういういろいろな観点を踏まえまして、法人において、最適なあり方がしっかりと検討をされる、こういうふうに承知をしております。
○金子(恵)委員 ぜひ、この部分については、しっかりと現場の声をとにかく聞いていただきたいというふうに思うんです。
私は、農研機構等の法人を訪問させていただいたときに、実際に研究者の方々からさまざまなお話を伺っているんですが、御自分の所属している研究所に大変誇りを持っていらっしゃいます。その上で、論文等の研究の成果というものも含めまして、対外的にさまざまな形で発表されているんですが、やはり、特に国際的にも知名度のある、認知度の高い研究所の名称、これを変えてほしくないという強い要望をお持ちでいらっしゃいます。内部の研究所の組織変更とか名称の変更というものはすべきでないというふうに思いますので、ぜひこの件について、慎重に慎重に、しっかりと現場の声を聞きながら御検討いただきたいというふうに思っています。
そして、農研機構と、水産総合研究センターですが、過去に法人統合を行ってきていますが、平成十八年の中期目標における業務運営の効率化に関する事項において、四法人の統合においては、法人全体として、管理部門等の効率化を行って統合メリットを発現することにより、中期目標期間の最終年度において、平成十七年度一般管理費比で一〇%相当額の抑制を行うことが義務づけられ、それで削減されてきました。
このほかに、第二期中期計画、第三期中期計画において、それぞれ、一般管理費については、中期目標期間中、毎年度平均少なくとも前年度比三%の削減を行うほか、業務費については、中期目標期間中、毎年度平均で少なくとも前年度比一%の削減を行ってきました。これによって、統合法人は地方組織の廃止や統廃合、管理部門の効率化を進めてきており、各法人は大変厳しい運営状況にあるというふうに伺っています。
そこで、今回統合対象となる新法人についてでありますけれども、運営に支障がないように、法人統合による抑制措置は行うべきではないと考えますが、いかがでしょうか。そしてまた、第四期中長期目標の検討状況はいかがでしょうか。
○あべ副大臣 国立研究開発法人の業務費及び一般管理費におきまして、国が交付している運営費交付金によりまして賄われているところでございます。平成十三年度の独立行政法人化以降現在に至るまで、農林水産大臣が中期目標で示した効率化目標に基づきまして、各法人が毎年度、業務費や一般管理費の削減を行いまして、業務運営の効率化を進めてきたところでございます。
今後の国立研究開発法人の業務運営の方向に関しましては、平成二十五年十二月に閣議決定されました独立行政法人改革等に関する基本方針の中で、中期目標において主務大臣が指示する効率化目標については、各法人の事務さらには事業の実態やこれまでの効率化努力などを踏まえまして、法人ごとに適切な目標を設定するというふうにされているところでございます。
今後の国立研究開発法人の中長期目標に関しましては、平成二十五年十二月のこの閣議決定に沿いまして、今後の法人運営に支障がないように、適切に検討してまいります。
○金子(恵)委員 支障がないようにということでありますけれども、実際にこの抑制によって、人材の確保等も大変厳しい状況、あるいは、例えば老朽化施設や器具、機材、備品などの更新も大変厳しい状況にあるという現場の声を伺っておりまして、統合法人以外の各独立行政法人においても同じように抑制が行われてきたという経過であります。
今申し上げました人件費については、第二期中期計画、第三期中期計画において、業務運営の効率化に関する事項として、それぞれ五年間で五%以上の削減がなされている。そこで、研究員とか一般職、研究支援部門の人員確保が大変厳しいということでありまして、こういう状況の中では、やはり研究成果の最大化、法人の使命達成に邁進できる、そういう体制というのはできないというふうに思うんです。
それで、第四期中長期目標期間では、抑制方針の踏襲をすることなく、一旦棚上げすべきではないかというふうにまず思います。
そしてもう一つ、今回の二〇一六年度予算概算要求において、このような効率化係数というのは反映されているのか、お伺いしたいと思います。
○あべ副大臣 人材の確保の観点でございますが、特に研究分野で活躍する人材の確保に関しまして、現在各法人におきまして、中期計画で掲げました、研究職員の採用に当たっては、引き続き、任期つきの雇用などの雇用形態の多様化を図りまして、中期目標達成に必要な人材を確保するなどの考え方のもとに、必要な人材の確保に努めているところでございまして、そのために必要な予算を措置しているところでございます。
また、任期つきの研究職員につきましても、一定の期間を経過した後、当該期間中の研究実績を審査いたしまして、高い評価を得た方、こういう者を終身雇用とする制度を導入するなどの取り組みも行っているところでございます。
今後とも、法人が研究成果を最大限に発揮できるように、人材の確保、養成に必要な予算の確保に努めてまいります。
また、効率化係数の質問でございますが、統合予定の研究開発法人などに係る平成二十八年度運営費交付金の予算概算要求には、対前年四・五%増の五百四十億で要求を行っているところでございます。
今後の国立研究開発法人の業務運営の方向におきまして、先ほども申し上げました平成二十五年十二月の閣議決定の中で、中期目標に関しての効率化目標に関しまして、各法人の事務事業の実態、これまでの効率化の努力などを踏まえた形で、法人ごとに適切な目標ということでございます。
二十八年度の運営費交付金の予算に関しまして、今後の法人運営に支障がないよう、概算要求に向けて適切に対応してまいります。
○金子(恵)委員 またさらに支障がないようにとおっしゃっていただいたんですけれども、研究に必要な運営費交付金や、老朽化した施設を整備するための施設整備費補助金は、しっかりとこれについても予算化をしていただきたいと強く要望させていただきたいというふうに思います。
私も、実は農研機構の動物衛生研究所で話も伺ってきたんです。ここで、実験をするウイルス病第一動物実験棟なども含めましての施設の御説明をしていただいたんですが、本当に老朽化が進んで、しっかりとした実験ができるのかなという気がいたしました。これは本当に大きな問題だというふうに思っておりますので、こういうことも含めて、しっかりと本当に現場に目を向けていただきたいというふうに思っています。
最後の質問になってしまうんですけれども、これまで、政府全体として、東日本大震災や原発事故の被害に係る復旧復興の対策、そしてまた放射性物質対策等が進められてきまして、独立行政法人等各法人は大変重要な役割を担ってきたというふうに思っています。
今回、農研機構の東北農業研究センター福島研究拠点も私は訪問させていただきましたが、これまでの研究成果についてもお話を伺ってまいりまして、私の地元福島県と農研機構は、大学等の研究機関とともに共同研究グループを結成しまして、東日本大震災、原発事故により生じた放射性物質被害への対策に取り組むために、農水省の委託プロジェクト研究というものを実施しているということであります。
特に、被災地に近い研究拠点として、福島市の東北農業研究センター福島研究拠点に、平成二十四年でありますけれども、農業放射線研究センターが開設され、新たな研究員の配置、最先端の分析機器の整備など、研究体制を強化しているということであります。実際に、農研機構は福島県と包括的連携協定というのも結んでいます。
そこで、今回の統合によって、このような体制に影響はないのかどうかというものを確認させていただきたいと思います。
また、今後は、福島県が浜通り、南相馬市に整備を進めております浜地域農業再生技術支援センター、これは仮称でありますが、今年度に開所予定と伺っておりますが、それとの連携も期待されているところであります。
重ねてお伺いいたしますが、統合後も、これまでと同じように、福島県と連携しながら研究を行える体制を維持できるのか。そしてさらに、この研究センターを縮小するのではなくて、長年にわたって必要となる放射性物質対策の研究の拠点としてしっかりと位置づけることができるのか。お伺いしたいと思います。
○林国務大臣 東北農業研究センターの福島研究拠点は、これまでも作物の吸収抑制技術それから農地の除染技術、こういうものを開発していただくなど、放射能対策技術の開発において中心的な役割を担ってこられた重要な拠点であるというふうに思っております。
ことし三月に農林水産研究基本計画を策定したと申し上げたところでございますが、この中でも、被災農家の営農再開に向けた技術の解決が柱の一つとして位置づけられておるところでございます。
したがって、統合後ですが、福島研究拠点の研究員は増員ということになりまして、六人から九人に増員をして体制を強化しよう、こういうふうに思っております。また、農業環境技術研究所の放射能研究グループ、こういうところと連携をまさにしていただいてシナジー効果を発揮させていただく、こういうことを通じて、今いろいろなところの連携のお話もありましたけれども、まさに連携を通じながら、被災現場の皆様の営農再開等々に向けてしっかりと技術の開発にこれまで以上に努めてまいりたいと思っております。
○金子(恵)委員 今、人員も増員するというようなことで、体制をしっかりと整えていただくということをお伺いしましたので、ぜひ、被災地の福島県は本当に期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
改革の集大成ということですから、それぞれの法人の機能がこれからも十分に発揮することができるような改革となることを願いまして、時間が参りましたので私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 民主党の福島伸享でございます。久しぶりに質問に立たせていただきます。
まず最初に、今回、水産総合研究センターが統合されるということで、マグロ関係のことについて質問させていただきたいと思っております。
先日、全国沿岸漁民連絡協議会という方々がいらっしゃいまして、零細な沿岸漁業の経営維持を考慮したクロマグロの漁獲規制をという要望を持っていらっしゃいました。
聞くところによると、沿岸で家族経営でやっているような、特に対馬やあるいは日本海側のマグロ漁師さんたちが、本当にマグロがとれなくて困っている、水産政策というと、大手から零細までありますけれども、どうしても大手の水産会社の意見が水産業界の声のようになって、もっと自分たちの声を聞いてほしいという悲痛な声を持っていらっしゃいました。
私自身、地元の茨城の大洗の沖で釣りをやって、トローリングなんかもやるんですけれども、聞くと、やはり最近釣れるマグロはちっちゃなものばかりで、しかも数が減ってきたよなんということを漁師と情報交換をやっていると聞きますし、私の後輩には遠洋でマグロをとっている会社を経営している人間もいますけれども、この数年のマグロの資源の減りぐあいはかなりひどいということも私は聞いております。
最近ですと、ウェッジという東海道新幹線に乗っているとある雑誌の五月号とか九月号でも特集がありますし、NHKの「クローズアップ現代」などでもマグロ資源の枯渇について特集がされているということです。
記事によりますと、六月十日には、対馬の沿岸漁業者の漁船百二隻が、次の日には七十四隻が、まき網漁船があるので、これはちょっと後で説明させていただきます、それを取り囲んでクロマグロの産卵をする魚をとるなと抗議に出たりとか、八月には、水産庁に、まき網をやめろ、産卵魚のクロマグロをとるなというデモ隊が訪れているというニュースがありまして、さまざまな意見が起きているというふうに認識をしております。
ちょっとどういう経緯かを御説明したいんですが、資料の方の二ページ目をごらんになっていただきまして、資料の二ですけれども、この青い線が太平洋クロマグロの資源状況ということで、一九六〇年のピークの十四万トン、十五万トンぐらいに比べると、二〇一二年では二万六千三百二十四トンということで、五分の一ぐらいに劇的に減っているということがごらんになっていただけるかと思っております。
次の資料三が、小型魚、これから大きくなって卵を産んで繁殖に生かされる魚ですけれども、それも近年特に減っているというふうに言われております。
その要因は幾つかあるということが国際機関で研究をされているわけでありますが、次の資料四を見ていただきますと、太平洋のマグロの産卵場所というのは世界で数少ないところに固まっておりまして、ほとんどが日本の近海です。一つは沖縄の沖、そしてもう一つは中国地方の日本海側、ここに偏っておりまして、主にこの中国地方の沖の赤いところには三歳から五歳のマグロがやってきて、ここで産卵をする、それからもうちょっと大きくなった六歳以上になると沖縄寄りのところに行って産卵をするというふうに今言われているということです。
ここの日本海側の赤いところ、産卵時期になると、まき網の漁船が出てきて、産卵に来たマグロの親の魚を根こそぎとってしまうということを先ほどの零細な漁民の皆さん方は言っておりまして、この下の「危機的な壱岐のクロマグロ漁業」という資料がありますけれども、二〇〇五年には三百五十トンだった漁獲量が二〇一四年には五十トンを切るぐらいになっているわけですから、まさにこれはもう生活ができない、自分たちが漁を続けられないという悲痛な叫びをしている方もいらっしゃるからこそ、先ほど申し上げたように、まき網漁船を漁船が取り囲んだりというデモが行われているということであります。
こうしたことに対して科学的にはいろいろな見地があるようであります。ただ、私は昔ヨットをやっていたんですけれども、漁師の人の直観というのは当たるんですね。天気も、何か風のにおいが変わったな、風が変わるぞと言うと変わるし、潮の流れが変わったからちょっと魚が来るんじゃないかみたいなのが結構当たると思っておりまして、私は漁師の直観というのは、科学というのは未知の部分がありますから、それでわからない部分も証明するものがあると思っていて、これには真摯に耳を傾けなければならないんじゃないかというふうに思っております。
漁師の皆さん方は、産卵に集まってくる、まさに産卵する魚をとっちゃうから、卵が少なくなって資源が枯渇しているんだということをおっしゃっております。産卵する魚をとっちゃうと、マグロというのは何年も生きますから、三歳で卵を産んだ後、四歳、五歳、六歳、七歳となって卵を産む親の魚が減ってしまうんだと言うんですけれども、この問題は参議院でも五月、七月と農林水産委員会で取り上げられております。
水産庁は、日本海で捕獲される親の魚、さっきの赤いところです、それはたった六%にしかすぎないんだから、それをとったって資源減少に影響はないんだとか、クロマグロの幼魚が減ったのは親の魚をとったからではなくて海洋環境の変化が要因だとか、クロマグロの幼魚の増減は親魚の資源量とは無関係とか、よって、親の魚ではなくてちっちゃな魚の漁獲を制限することが重要だと国際機関が言っていると言って、まき網漁を制限することには非常にネガティブな答弁をずっとしております。
本川水産庁長官、佐藤長官の前でございますけれども、御就任おめでとうございます、本川長官は五月二十一日の委員会で、鳥取県選出の自民党の舞立議員の問いに答えて、ウェッジの記事でまさにまき網が問題だということを特集しているんですけれども、それについては、「率直に言って公平性や科学的根拠を欠くものではないかというふうに考えている」というふうに答弁していらっしゃいます。
また、七月七日の参議院の農林水産委員会では、北海道選出の我々の同僚議員の徳永議員の問いに答えて、「国際機関の合意なく、あるいは科学的な根拠なく対応するということになりますれば、規制の効果、これが十分に発現されないということになると思いますし、資源管理について漁業者の理解が得られなくなる、」「最悪の場合、訴訟等にも発展する可能性がある」とまで、ある意味たんかを切っております。
このウェッジの記事を書いているのは東京海洋大学の勝川先生という私の大学の同級生なんですけれども、別に、同級生だから頼まれてきょう質問しているわけじゃなくて、私は読んでいるだけなんです。勝川先生という方でありますし、あるいは、学習院大学の阪口さんという先生なども専門紙で科学的な観点から訴えていることに対して、科学的根拠なんて一切ないんだというふうに本川長官はたんかを切り、科学的根拠のないことに基づいて規制をしたら、最悪、訴訟になると言っているんですけれども、本当にそうなのだろうかというふうに思うわけです。
本川長官は、中西部太平洋まぐろ類委員会、WCPFCというのがありますけれども、そこのもとにある国際科学委員会で、ちっちゃな魚をとるのを制限しさえすれば資源はもつんだというふうに言っているんだからそれでいいんだと答弁しているんですけれども、果たして、このISCは、日本海で産卵魚、親の魚をとることはこの資源量について何にも関係ないと科学的に明言をしているのかどうか、この点について水産庁の御見解を伺いたいと思います。
○佐藤政府参考人 福島先生の御質問にお答えいたします。
マグロ資源が非常に少なくなっておるということで、先ほど先生の方から資料が提出されているわけでございますが、やはりWCPFCでも言われておるわけでございますが、太平洋のクロマグロの年齢別の漁獲の尾数の割合をちょっと申し上げますと、ゼロ歳が六七%、一歳魚が二五・五%、それと三歳魚につきましては五・〇ということで、合わせますと九割以上がいわゆる小型魚ということになっております。
マグロ資源を維持し、確保していくといったことは非常に大事でございますので、実は、昨年のWCPFCでは、今までとっておった三十キロ未満の小型魚の漁獲を四千七トンにするというようなことが決められまして、また、今お話にございましたように、かつ、三十キロ以上の大型魚の漁獲につきましても、二〇〇二年から二〇〇四年の水準より増大させない、日本では四千八百八十二トンといったような措置がとられまして、これを受けまして、現在、我々は関係者に対しましていろいろな説明を行っている、こういう状況でございます。
それで、ISCの関係でございますが、これにつきましては、我々といたしましては、こういったいろいろな事情につきまして科学者の意見も聞きながらやっておる、こういうことでございます。
○福島委員 もう一回、正面から答えていただいていないのであれなんですけれども、ちっちゃな魚をとることを規制するということについてのさまざまな研究がISCで行われているというのは、私も資料の一部を拝見いたしました。しかし、それだけがマグロの資源が枯渇している原因であるとは、どうも、ちょっとしか私は読んでいないですからわかりませんけれども、そうはとても思えないんですね。
先日の本川長官の答弁では、とにかく幼魚をとるのを制限さえしていればいいんだというふうにISCがお墨つきを与えているんだから、産卵期の親魚をとることを制限する必要は科学的にはないんだというふうに明言をされているわけですが、ISCは産卵期の親魚の漁獲制限というのは科学的に必要ないということは何か言っているんですか。その事実だけお答えください。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
今の先生のお話にございました産卵期の関係でございますが、ISCにおきましては、産卵期の前に親魚を漁獲すればその親魚はいなくなってしまいますので、産卵しなくなるということから、科学的には、産卵期の親魚の保護だけではなくて、親魚全体の保護を議論すべき、こういうような見解というふうにお聞きしております。
○福島委員 それは、今長官が言ったように、親魚の捕獲だけではなくそのほかも要因だということは、産卵期の親魚をとること自体は資源に影響があるということを科学的に認めているということになるわけですよね。どうですか。
○佐藤政府参考人 今お答えした中で、ISCにおきましては、未成魚だけじゃなくて、成魚の漁獲制限を行った場合を含めまして、幾つかの漁業管理シナリオに基づく将来の資源動向に係るシミュレーションを行っております。
この中で、未成魚の漁獲を半減させて成魚の漁獲を現状に抑制した場合に、十年以内に八〇%の確率で親魚資源を過去の平均水準を上回るまで回復させることができるといったことを示しているところでございます。
○福島委員 多分、それは事務方から渡されましたし、長官自身も法学部出身ということで文系でいらっしゃいますので、科学的にちゃんと見ているかどうかは失礼ながらわからないんですけれども、そのシナリオも私は見ましたよ。それは、小魚をさまざまどれぐらい漁獲制限したらどれぐらい資源が回復するかというシナリオは見ているんですよ。親魚と小魚とのどちらの漁獲制限をどうすればどうなるかというシミュレーションは、恐らくISCではやっていないと思うんですね。
私が言いたいことは、ここで科学論争をやることではない。ただ、漁師の直観というのは大事だし、マグロの資源が一体どこに要因があるかというのは、科学的に未知の部分が多いんだと思うんですね。それを一つの要因に決めつけて、別の意見を持つ科学者の人を、水産庁長官である人が、非科学的であると言って取り下げること自体が問題であると思うんですよ。
国際機関が言っているからそうなんだと虎の威をかるキツネのように言っておりますけれども、ISCにクロマグロワーキンググループというのがありまして、そのメンバーを見たら、二十九人、あるときの出席者がいるんですけれども、その二十九人のうち、日本から行っている人は二十一人なんですよ。過半数。その二十一人のうちの十九人が、この独立行政法人水産総合研究センターの人なんですよ。
私は、これはあららといってお手盛りのように見えるけれども、立派だと思うんですよ。これだけ国際機関を日本人で占領して意のままに操るというのは、TPP交渉なんかでも手本にしてもらいたいぐらいの話なんでありますけれども、ただ、これは日本の周りだけなんですよ。ほかの、ヨーロッパの環境団体とかアメリカとかに別な科学的な根拠を持って規制しろと言われたら、また鯨とかなんとかと同じような話になるのかもしれないんですね。
ですから、私がきょう申し上げたいのは、科学的知見は未知だ、さまざまな科学的見地がある、そうであるとするならば、さまざまな科学的見地の可能性を、まさに独立行政法人の水産総合研究センターで研究すべきじゃないか。一つの科学者の見解を、それは非科学的だと国会で断罪するのではなくて、独立行政法人なんですから、政府の見解によらない研究であってもやるべきではないのかと思っているんですけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○佐藤政府参考人 今先生の方から御指摘ございましたように、やはり科学的知見に基づいた対応といったことが何よりも重要かと思っております。
そのような中で、やはり我々といたしましては、日本だけでそういった科学的知見といったものが集まるわけではございませんので、先ほども申し上げましたISCのような国際機関における資源評価においては、各国の科学者が集まって、どのようなデータや資源評価手法を採用すべきかを議論して、最善と思われるものを使うのが通例となっております。
このような作業の中では、当然のことながら、我が国科学者が独自に集めたデータを提供して、我が国科学者が正しいと信ずる資源評価手法の採用を主張しておるわけでございますが、最終的にはコンセンサスを得て決定されることになるということにつきまして、どうか御理解いただければと思っております。
○福島委員 済みません、事務方というか部下に渡された原稿をお読みになるだけでしたけれども、私の言ったことが通じていないのかもしれませんけれども、ISCというところ自体が、ほぼ過半数、大部分が日本人の研究者で、しかもその日本人の研究者は農林水産省関係の出身で、その人にとってはその意見かもしれないけれども、国際機関というのはほかにもいろいろあるわけですよ。大西洋のマグロの機構もあれば、太平洋でも北半球と南半球では違う、アメリカの研究者はいろいろなことを言っている、そういったときに、お手盛りの、身内だけのものを科学的知見だと信じて出たら、私は国際交渉で足元をすくわれるところがあると思っておりますよ。
今回、独法改革をやるときに、独立行政法人を、単なる農水省の都合のいいデータや都合のいい科学的根拠を研究するだけのところにするんじゃなくて、もうちょっと幅広い見解をしっかりと立証する、今の皆さん方が使っているサイエンティストからはそうじゃないと言われるかもしれないけれども、別の仮説を立証するような研究も行うべきではないかと問うているんです。その点について、大臣、どう思われますか。
○林国務大臣 一般論として、先生がおっしゃっていることはもっともなお話だろうなと思います。
私も鯨の関係でIWCには何度も行ってまいりましたが、科学的な議論をしながらも各国の利害が複雑に絡み合う、こういうのがそういうところの現状だと思いますので、いろいろなところで脇を固めてからそういうところに出かけていくということが大事だ、こういうふうに思っております。
私も文系でございますので、ここで先生と、何が科学的に正しいのか、直観と研究がどちらがすぐれているのかということをやるだけのものを持ち合わせておりませんけれども、今度は新しい体制にもなるわけでございまして、先ほどのシナジー効果というのもありますので、もともと政府見解があって、それに合った人を集めているというよりも、多分ここの研究者の皆様の多数がいろいろと考えておられるというものが、近いものが我々の見解になっているんじゃないかなというふうに思っておりますが、本当にそうなのかどうかということは常に真摯に検証していくべきだ、こういうふうに考えております。
○福島委員 ありがとうございます。大臣のおっしゃるとおりだと思います。
そういう意味で、参議院の農林水産委員会で、異論に対して、科学的じゃないとか、科学的じゃないことを根拠に規制をしたら行政訴訟を起こされるというような水産庁長官の答弁は、私は、この場で取り消して、さまざまな科学的な仮説を中立的な立場で検証するというふうに答弁し直していただきたいんですけれども、長官、いかがですか。
○林国務大臣 長官の答弁をもう少し詳細に後で読み直してみたいと思いますが、科学的な根拠でそれぞれがコンセンサスをつくって、委員も御案内のように、それでそういう国際的なところで最終的にはいろいろなコンセンサス方式等で決まっていく、そういう手続を経ずに勝手に決めたものでやるとそういう可能性がある、多分そういう趣旨で言ったんじゃないか、私はその場におりましたので、そう記憶をしておりますけれども、今委員がおっしゃったように、何か一方的に科学的な、異論を排するという趣旨であれば、それはまた何か検討しなきゃいけない、こういうふうに考えます。
○福島委員 水産庁にデモが来たりとか、まき網漁船を漁船が取り囲んだりということまで起きているわけですから、私は、そこは漁師の、現場の人の直観を逆に科学的に証明する、実証する、そうしたこともぜひ新しい独立行政法人ではやっていただきたいと思っております。
次に、今回統合される農業・食品産業技術総合研究機構についてですけれども、今回、攻めの農業を強力に推進するため、基礎から応用まで一貫した効率的な研究の推進を図ると言って、基礎から応用までを効率的にやるんだということを言っているわけであります。
昨日、まち・ひと・しごと創生本部から公表された政府機関の地方移転の提案について見ていますと、これは資料の一でありますけれども、農水省関係の研究機関の多くはつくば市にございます、私の地元茨城県のつくば市にありますけれども、何と十四もの県から提案が出ております。果樹とか花卉とか、要するにばらばらになってこのまま移転しちゃったら、せっかく組織は統合したのに、それぞれの研究機関が切り刻まれてばらばらになっちゃうということになるのは、私はこれはおかしいんじゃないかと。この法案を出して統合の効果を上げると言っているにもかかわらず、政府の別の部署ではこれを移転するんだというのは、私はこれは何かの間違いじゃないかと思っているんですよ。
西郷さんも筑波で学んだ方でありますから、つくばに研究機関が集積をしているメリットというのは十分御存じだと思うんですけれども、大臣、今回統合となる独法が、まさかどこかに切り刻まれて移転されるなんてことはありませんよね。明確にお答えください。
○林国務大臣 私もここは非常に大事だと思っておりましたので、実は泊まりがけで、先生のお地元とは知らずに、つくばに一泊二日でゆっくり行ってまいりまして、先ほど金子先生からもお話を聞いていただいたということですが、聞いてまいりました。
そういう意味で、今回は、地方移転をして、まち・ひと・しごと創生本部というのは地方創生という観点からやられる。ですから、我々が考えている、研究開発をどういうふうにやっていくか、独法がどうあるべきかというのとは少し違った視点から、地方を活性していくという視点でやっておられる、こういうふうに思っておりますが、先ほど稲津先生の御質問にお答えしたように、農業・食品産業技術総合研究機構については九県、農業環境技術研究所については二県から提案が出ております。
プロセスは、先ほど申し上げたように、道府県、各府省からのヒアリングを通じて、移転の必要性、効果、それから機能の確保等について検証を行った上でやっていく、こういうことでございますので、我々としても、機能の確保、向上、それから地域への波及効果を期待できるか、こういうことをしっかり検討しながら、まち・ひと・しごと創生本部と連携しながら検討しなければならないと思っております。
○福島委員 もうちょっとはっきりおっしゃっていただきたかったんですよ。というのは、つくばの周りには、茨城県ですけれども、農業生産額は全国二位、水と土地が豊富で、いろいろな農業資源があるところです。
今回、攻めの農業のために、基礎から応用まで一貫してやるわけですね。先日行ったときも理事長さんが言っていましたよ。今まではどちらかといったら茨城県という地域とそこまで関係は強くなかった、我々はもっと地域に、地元に出ていって、地元の生産者の皆様方、意欲を持って農業に取り組んでいる皆さん方と共同してプロジェクトをやるべきであったとおっしゃっていて、そのフィールドは限りないものがつくばの周辺にあるわけですよ。
ほかの移転がいろいろな県から出ていて、関係する先生もいらっしゃるかもしれませんけれども、それにはない資源があるわけですし、先ほど金子先生にもありましたけれども、既につくばの何とか研究所というのは、国際機関などの場においても名前が通っているんですよ。そのブランドがあるわけですよ。
私は、そのブランドを捨ててまで切り刻んで移転する意味はないと思いますから、この場で、もうちょっと前向きに、つくばの資源、ポテンシャルをもっと生かした農業の研究開発拠点の形成のあり方ということについて、もう一言前向きな答弁をいただけませんか。どうですか、大臣。
○林国務大臣 よくクラスターということが言われます。集積することによっていろいろなシナジー効果等が出てくる、これは当然ある、こういうふうに思っております。
一方で、地方創生、それから、新しいところで新天地を切り開く、こういうことは全くないのかというと、なかなかお地元の先生にとっては受け入れがたい議論かもしれませんが、そういうものを全く聞かずして、断固指一本触れさせないというつもりは私はございませんので、しっかりと今先生がおっしゃったようなことも踏まえた上で、真摯な検討というのはしてまいらなければならないと思っております。
○福島委員 時間が来たので終わりにしますけれども、国際競争力で見ても、既に知名度もあって、国際競争力もある拠点なんですね。単に地方の提案だから検討するというのではなくて、農林水産大臣として意思を持ってぜひ御決断をしていただきたいと思います。
質問を終わりにいたします。
○江藤委員長 次に、小山展弘君。
○小山委員 民主党の小山展弘です。
今、質問の中でもマグロのことがございましたが、遠洋漁業界においても、はえ縄でやっていれば、大きい魚しか餌を食わないわけですね。ところが、まき網ですと小さい魚もみんなとっていっちゃう。これは商品にならないと思ったら海に捨てていっちゃう。ところが、マグロは、皆様も御承知のとおり、ずっと泳いでいないと死んでしまいますから、そういうことも資源の枯渇ではないかという意見もありまして、私も文系の人間でございますので、ここで科学的にどちらが正しいということは申し上げませんけれども、ただ、こういったことも含めて、ぜひこれは研究開発、独法の研究でもやっていっていただきたいなと思います。
きょうは、後で水産研究所のことはぜひ質問で触れたいと思いますけれども、独立行政法人の質問に入る前に一つ伺いたいことがあります。それは、おととい、決算報告の再延期をした東芝の不適切会計事件についてであります。
本件の発生は、証券取引等監視委員会が、一部のインフラ工事進行基準案件などについて、会計処理について怪しい、そう疑って東芝を検査したことから発覚したものであります。監査法人が機能したわけじゃない、外部の指摘によってこの不適切会計が発覚したということをまず指摘したい。
その上で、八月十八日に東芝が発表した要訂正額は二千百三十億円にまで上っている。おととい、もし再延期せずに発表していれば、これがさらに金額が大きくなるだろうということも言われております。これは最終的な報告を待ちたいと思います。
平成二十年四月から平成二十六年十二月まで、六年八カ月です。六年八カ月もの長きにわたって不適切な会計処理をしてきた。その累計である二千億円を超える金額とはいえ、これは原案どおりの国立競技場ができちゃう、いろいろ批判のある静岡空港も二千億円あればできちゃう、そのぐらいの金額が要は不適切に処理をされていっている。要は粉飾です。
この粉飾額を差し引いたとしても黒字だったからいいじゃないか、そういうお考えもあるかもしれませんけれども、投資家に対して正確な情報を提供して、正確な情報に基づいて投資判断を行っていくということを前提にした日本のマーケットの信頼を著しく失墜させるものであり、これは決して看過できない、そういう悪質な事件だと私は考えています。
内容で見ますと、先ほどもちょっと触れましたが、工事進行基準による売上原価操作の過大な利益計上、半導体事業の在庫評価の入り繰り、繰り延べ税金資産の過大計上、製造委託先への部品販売利益の、販売実績と無関係に計上することによる過大な利益計上等々、悪質で巧妙で見抜けなかったと言っていますけれども、手口は古典的なんです。古典的な粉飾決算です。
財務分析の指標を丹念に見て、経常収支比率とかあるいは資金移動表、こういったような金の流れと収益の増減、BSの科目を丹念に数期にわたって見ていけば、粉飾をやっていると、必ずつじつまが合わないところが出てくるんです。証券取引等監視委員会は、だからおかしいと感じたんです。
何で新日本監査法人はこの東芝の粉飾を見抜けなかったのか。私は、これは能力がないか、あるいは意図的に見逃していたかのどちらかだと思っております。
金融庁は、監査法人が東芝の粉飾を見抜けなかった要因をどのように認識しているのか、新日本監査法人に対する処分を検討しているのか、お答え願います。
○森田政府参考人 先生お尋ねの点につきましては、個別の事案に関することでございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
一般論として申し上げますと、監査法人の行う監査証明は、企業財務情報の信頼性の確保のため、極めて重要な役割を担うものでございます。したがいまして、監査法人は、投資家等からの信頼を損なうことのないよう、適正に業務を執行することが求められていると考えております。
また、一般に、虚偽記載の事実があると疑われた場合には、証券取引等監視委員会において厳正な調査が行われるものと承知しており、その調査の状況を踏まえながら、金融庁において会計監査に関して必要な調査を行うこととしているところでございます。
その上で、会計監査に問題が認められれば、厳正に対応していきたい、このように考えております。
○小山委員 第三者委員会の調査によれば、経営陣が関与していたことも報告されております。東芝の経営陣に対する処分はどのように検討しているんでしょうか。ライブドアの事件は数十億円で刑事告発されました。私は刑事告発相当と考えますが、いかがでしょうか。
○藤本政府参考人 個別事案に関する事項でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
なお、一般論として申し上げますれば、証券取引等監視委員会は、金融商品取引法上の法令違反に該当する行為があると疑われる場合には、必要に応じて調査を行っているところでございまして、本件においても法に基づいて適切に対応してまいりたいと思います。
○小山委員 繰り返しになりますけれども、今回のこの粉飾事件は、銀行員の視点で見れば、古典的な手口なんです。
農協法の改正が八月の末に参議院でも可決ということになりましたけれども、総合事業体であり、複数の事業を行って、協同組合の特殊性を持つ農協の会計監査について、ただでさえ十分に監査するのはなかなか困難だという声が公認会計士の方からも上がっているんです。東芝のこれほど大規模な、かつ長期にわたる粉飾を見抜けなかった監査法人に、我々の農協の会計監査を本当に委ねていいんでしょうか。私は、とてもじゃないけれども委ねられない。信頼失墜です。
今回の事件、監査法人が何らかの、見逃していただとか、あるいは見抜けなかったとか、こういうことでいえば、まさにエンロン事件と東芝事件は、これはもう西の横綱、東の横綱。
全国監査機構の場合には、公認会計士もいるけれども銀行員出身の者もいる。特に、粉飾決算した企業の融資を任されて痛い思いを経験したような人間も、あるいは農協の内部事情に詳しい者もいるんです。そして、何よりも協同組合の財務の健全性の維持を目的とした業務監査、これがまさに、単に、この会社は大企業だからいいだろうとか、信頼ができるだとか、内部統制があるから判こを押しておけばいいや、こういうようなことではなかったとは思いますけれども、そうではなくて、本当にこの協同組合の会計は大丈夫だろうか、まさか粉飾していないだろうか、間違いないだろうか、こういう業務監査の視点で、経営指導の目で財務収支を見ればこそ粉飾決算を見抜けるわけなんです。
私の知り合いも全国監査機構におりました。銀行員当時、粉飾決算を見抜け、見抜かずに融資をしたら、最悪の場合、担当者といえども背任罪になるんだ、そういう目を持ってお客様や組合員あるいは会員さんの財務を見ることも、嫌らしいけれども必要なんだ、常々そういうことを言っていました。いきなり背任罪というのはちょっと極端だなと。ちょっと個性的な方でしたけれども、過去に粉飾決算で痛い目を見た、そういう経験もあったと思うんです。こういう経験を持った精鋭が全国監査機構に集められて、農協系統の健全性は俺たちが守るんだ、そういう使命感を持って仕事をしていたんです。
これが、監査対象でもあり顧客でもある、だから顧客満足度を高めるためか、もうけのためか、数をこなすことを主に考えて、上場企業だから、規模が大きいから大丈夫だろうと機械的に仕事をしていると粉飾は見抜けないんです。
私は、こんな事件が起きて、農協法改正、特に監査に関するところは、可能であれば法案の施行というものを凍結すべきだと思います。
この点について、監査法人のこれだけの、見抜けなかったのか、意図的に見逃していたのかわかりませんけれども、こういう事件を受けて、農協の監査を監査法人に委ねることについて、大臣の所見を伺いたいと思います。
○林国務大臣 おかげさまで、今御紹介いただきましたように、農協法等は参議院の本会議で成立をさせていただいたところでございます。
今お話がありましたように、公認会計士による会計監査においても結果的に監査が不十分で問題点を明らかにできないケースがある、これは当然でございますが、あってはならないことでございますけれども、ある、こういうことでございます。一方で、全中の監査の中でも訴訟に至る事案もあった、こういうふうにも考えております。
したがって、個々のケースというよりは、やはり制度論ということで我々は議論をしてきたし、これからもそういうふうに制度として議論しなければならないと思っておりますが、制度を比べますと、監査人の資格でございますが、公認会計士は国が実施する試験の合格者ということに対して、農協監査士は全中が実施する試験である。それから、監査人の監督でございますけれども、公認会計士協会と金融庁の監督、これを公認会計士は受けるんですが、農協監査士は全中が農林水産省の監督を受けている。それから、監査の独立性については、公認会計士監査は法律で規制をしておりますが、全中監査は全中の内部ルールで規制している。こういう制度上の違いがあるということでございます。
全中監査というのは、監査を受ける農協みずからがメンバーということでございまして、外部監査と言えないのではないかという指摘が前からあった。これはもう法案のときに随分議論させていただいたわけでございます。
したがって、今回の法律で全中の監査の義務づけを廃止しまして公認会計士の会計監査を義務づけるとしたことはこういう背景でございますので、しっかりと運用してまいりたいと思っております。
○小山委員 法案も通って、今からまたこれを戻すというのは大変なことでもありますし、なかなか非現実的かもしれないですけれども、ただ、今後、この法案についていろいろ考えていくときに、新自由主義とだけステレオタイプで言うわけではないんですけれども、何か今までの世間の先入観に基づいて、公認会計士だったら間違いないだろう、農協監査士だったら何か能力が劣るかのような、そういう質問等も与野党問わず多々あったかと思いますけれども、私は、そういう先入観に余りにとらわれ過ぎてもいけないんじゃないか。今回の事件はそういうことも示唆していると思います。
何か大変印象的というか、特に実証的なことで申し上げるわけじゃないんですけれども、この東芝事件では、チャレンジと社長が厳命して、部下が粉飾に走った。農協改革でも、経済事業の赤字解消のためにチャレンジなんというようなのがもし発動されて、複雑な総合事業体の会計で粉飾を誘発して、能力のない監査法人が見抜けない、傷口が広がってからわかっちゃった、こういうことにならないように、これまで農協系統のある意味健全性の維持をしてきた敏腕な奥原局長もいらっしゃいますので、ぜひそのようなことにならないように、過度な収益性や競争の追求とか、そういうことに走り過ぎないように、ぜひとも適切に御指導をお願いしたいと思います。
本題の独立行政法人の統合について伺っていきたいと思います。
法人同士の統合について、統合後の収支見通しというのは立てているんでしょうか。例えば、コスト削減はどのぐらいを見込んでいるのか、金額で試算を出しているんでしょうか。
○あべ副大臣 お答えいたします。
国立研究開発法人でございますが、主務大臣が示しました中長期目標に基づきまして作成する中長期計画の中で期間中の収支計画を策定することになっておりまして、現行の法人の中長期計画は平成二十七年度までのものでございまして、統合した後の法人の収支計画につきましては、平成二十八年からの次期中長期計画の策定過程において検討していくことになっているところでございまして、研究成果の最大化、法人運営に支障がないように慎重に対応してまいります。
○小山委員 一般的に、民間の企業なんかでは、会社分割したりとか、分割した会社同士を統合していくなんという場合には、統合効果を見込んで、試算して、その効果がどのぐらいプラスになるかということを数字でも確認して統合に進んでいくんですね。もちろん、数字にあらわしにくい、そういうものもあるというのはよく理解しているところでありますけれども、ただ、組織が統合して、それから中期経営計画を立てるというのじゃなくて、本来、やはり統合効果を織り込んだ中期経営目標を立てて、メリットがあるから統合する、こういうのが本来の手順ではないかなと思います。
そして、コスト削減の見通しも立たない、また、先ほど金子議員の質問にもありましたけれども、統合した後に必要な経費まで削減されるんじゃないか、こういうことが職員の皆さんに対しても大変な不安につながっていると思うんですね。
ですから、先ほど農研の関係のこともございましたけれども、こういった数字の部分、今回はもう統合ということで、先にまず形ありきということになるわけですけれども、今後につきましては、こういった収支見込みというものを立ててから統合あるいは組織の再編をしていくという手順にすべきではないかなということも私は感じます。
また、金子議員からの質問にもありましたけれども、研究費とか施設費、こういったものがかなり今の時点でも苦しい。これからちょっと水産総合研究所の話も質問していきたいと思っておりますけれども、相当古い施設で頑張っております。こういったところがさらに削減とならないように私からも求めたいと思います。
また、組織変更は、先ほど林大臣の御答弁にもありましたけれども、今回が集大成ということで、文字どおりこれを最後にしていただきたい。なかなか職員の皆さんも落ちついて仕事に専念できない、どうもばたばたしてしまうという声も聞こえてまいりますので、ぜひそれは強く求めたいと思います。
水産大学と水産総合研究所の統合についてなんですが、どのようなシナジー効果というものを見込んでおりますか。また、統合の目的というものは何でしょうか。
○佐藤大臣政務官 平成二十五年の十二月に閣議決定された独立行政法人改革等に関する基本的な方針に基づきまして、研究開発機能と人材育成機能の一層の向上を一体的に進めることが、水産大学校並びに水産総合研究センターを統合することとした理由でございます。
統合後の法人におきましては、水産総合研究センターの研究開発成果を水産大学校のカリキュラムに導入することや、水産総合研究センターの施設において水産大学校の実習を実施することなど人材育成への活用を図っていこうとしているものであります。
また、水産大学校の卒業生を通じた水産総合研究センターの研究成果の関連業界への普及や、水産大学校の練習船の活用による水産総合研究センターの海洋資源調査等を強化するなどのシナジー効果の発揮が期待できると考えているところであります。
○小山委員 プラスの面ももちろんあると思うんですけれども、ただ、プラスの面ばかりだろうかということもやはり検討していかなければならないと思います。
研究と教育というのは本来別々のものであると思います。実習船と調査船を一緒に運用するということですけれども、これははたから見るとコスト削減の方がメーンなのかなというふうに思ってしまうんですが、ぜひとも中途半端にならないように、研究の方もおろそかになっちゃった、教育の方もおろそかになっちゃったということにならないように、ぜひ運用の面で最大限配慮していただきたいと思っております。
また、当該水産総合研究センター国際水産資源研究所は、研究者の数でいうと世界一のマグロの研究機関。先ほど福島議員の質問の中にもありましたが、今後、水産資源については、世界的な需要の高まりとともに資源管理が極めて重要になってくる。その資源管理の国際交渉において交渉力の源泉になるのが、漁業データであったり、あるいは資源評価に関する調査研究であると私は考えております。
まさに国益を担って研究をされている、このような研究所の意義と役割もしっかりと踏まえた上で、単純にコスト削減ということだけにならないように、国益を損なうことのないよう、十分な研究費、施設整備費の確保、そして研究しやすい環境というものを御配慮いただきたいと思っております。
今、水産研究所と水産大学の統合によって、研究成果をいち早く教育の方に求めていくということのお話がありましたけれども、この水産大学校と水産研究所の統合による教育内容の高度化というのは具体的にはどういうことを想定しておりますでしょうか。
○佐藤大臣政務官 御指摘の研究開発能力の強化についてでありますけれども、一点目に、水産大学校の練習船で収集したデータを研究開発部門に提供するなど、両部門での密接な情報共有によるデータ解析の高度化、二点目に、卒業生を活用した水産業界における技術開発ニーズの把握など、研究開発能力の強化を想定しているところであります。
また、御指摘の教育内容の高度化についてでありますけれども、水産大学校の生徒が水産総合研究センターの研究施設などを利用して実習または研修が容易となるほか、水産総合研究センターの研究開発成果をカリキュラムに取り込むなどの高度化を図ることも想定しているところであります。
○小山委員 あえて批判的にちょっとお尋ねしたいと思うんですが、それは両法人を統合しなければできないことなんですか。今のままで、例えば水産大学校の学生さんが水産研究所の調査を学びに来たり、あるいは水産研究所の研究員が特別講義で教えに行くということは、どうしてもこれは統合しないとできないことなんでしょうか。一応、統合のシナジー効果としてというお話なので、あえてお尋ねしたいんですが。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
小山先生おっしゃいましたように、統合しなくてもできるんじゃないかという御指摘だと思いますが、やはり法人格が別々でありますと、実習生が研究センターや何かを使うにしても、いろいろと、これを有料にするのか無料にするのかといった非常に事務的な面で問題といいますか課題や何かがありますので、今回のこの統合によりまして非常にそこが円滑にいくというふうに考えているところでございます。
○小山委員 円滑にいくというほどの何か説得力のあるものはちょっと余り感じられなかったんですが、とにかく私が申し上げたかったのは、形だけということにならないように、そちらの方ばかりに意識が行かないようにしていただきたいということであります。
もう少し具体的なことをちょっと伺っていきたいんですが、例えば、私もさっきの質問の中で少し触れましたけれども、特別講義みたいな形で研究員が教鞭をとってというような場面もあるのかどうか。あるいは、もしそういう場面もあると、研究体制に負荷がかかるような、負担が生じて研究の質が落ちるというようなことになりはしないか、こういう不安あるいは心配もあるんですけれども、いかがでしょうか。
○佐藤大臣政務官 委員御指摘のとおり、両法人の統合後は、水産総合研究センターの研究員において教鞭をとることはあり得るわけでありますけれども、現在におきましても実は研究者が大学で講義を行っていることから、例えば集中講義などの一時的な対応であれば研究活動に特段の支障はないのではないかと考えているところであります。
いずれにしても、御指摘のように、研究に負担が生じないような体制を構築してまいります。
○小山委員 今でも研究員が講義を行っているということですので、統合しちゃだめだというわけではないんですけれども、ますます、なぜ統合するのかという理由がちょっといま一つよく見えない部分でもあろうかと思います。
また、本当にくどいですけれども、この陰で、コスト削減、コスト削減で研究費や施設費が削減ということになって支障を来さないようにしていただきたい。
私は、最初、特別講義で二、三講義をするというようなことをレクで伺ったんですけれども、どこの研究員の方が行くのか。結構下関まで行くのは大変、そんなことを言って、下関は私もよく行ったことはありますけれども、下関が不便だというわけじゃないんです。小倉に行った方が新幹線の駅も近いですけれども。でも、北海道とかそういうところから行くということになると、これはなかなか、研究員にとっては、どのぐらい行くのかということによっては負担も出るんじゃないかということも感じたものですから、ぜひここも形だけにならないようにお願いしたいと思います。
大臣にこれはぜひお伺いしたいんです。例えば研究員の補助スタッフの人員削減とか人件費削減、こういうことは検討されているんでしょうか。検討されていないのであれば検討していないと明言していただければと思います。
○林国務大臣 下関は大変便利でいいところでございますので、ぜひおいでいただければというふうに思います。
今回の統合に当たっては、研究員の補助スタッフの人員削減、人件費削減、こういうことは考えておりません。
○小山委員 明確な御答弁をいただきました。ありがとうございます。
研究員の方の人件費削減ということだけでなく、いろいろ周りの補助スタッフの方のこういった削減というものがなされるんじゃないかというような不安もかなりあります。
先ほども申し上げましたけれども、私も、伺ったのは清水の水産総合研究所、ここだけですけれども、かなり少ない人数で高度な、また国益にかなう研究をしていると、大変敬意を表したいと思っているわけなんですが、こういう中で、さらに研究環境が悪化する、私もびっくりしました。東海大学の立派な建物があって、ここに入っていくのかなと思ったら、その隣の、本当に目立たないところに研究所がある。しかし、そこがマグロの研究では世界一である。しかしながら、施設は三階建ての建物で、耐震基準も本当に大丈夫かな、さすがに耐震工事はやっていらっしゃるとは思うんですけれども、非常に古い施設で頑張っておられる。
サーバーなんかも、本当はもっと解析ができるものがあればもっといい研究ができるんですけれどもねなんということを言っている研究員の方もいらっしゃいましたけれども、決して恵まれているという環境ではない中で頑張って研究をされて世界に冠たる調査結果を出しているということは、この場で披露させていただきたいと思います。
もう一つ、ぜひ大臣にお伺いしたいと思いますのは、日本の水産研究の質が落ちないように、本当にくどくなりますが、設備費、施設費の予算をぜひ確保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 国立の研究開発法人、こういうところがすぐれた研究成果を出し続けるということを考えますと、やはり今委員がおっしゃったように、研究費をしっかりと確保して、また、基盤となる研究施設を計画的に維持管理していく、これが大変重要だと思っております。
研究費については、運営費交付金それから外部資金の活用も図らなければなりませんし、研究施設については、優先順位の高いものから計画的に整備を進めなければならないと思っておりまして、今後とも、法人また働く皆さんが研究成果を最大限に発揮していただけるように、必要な予算確保に努力してまいりたいと思っております。
○小山委員 今大臣からも御答弁ありましたので、ぜひ今後も、私は、きょうは具体的な質問としては水産関係の研究施設のことにちょっと集中しましたけれども、ほかにも本当に農水省の職員さんは一生懸命頑張られていると思います。また、独立行政法人での研究というのも非常に頑張ってやっていらっしゃると思います。どちらかといえば、余り世間的には、マスメディアで大きく取り上げられて日の当たる場面ばかりではないかもしれないですけれども、このように大変役割を果たしているものをぜひ評価していただいて、国益にも資する研究を続けていくように御配慮いただきたいと思います。
今度は、森林のことで一つお伺いしたい。
今回の独法の改革の中では特に組織変更ということで触れられているわけではないんですけれども、森林総研内に旧緑資源公団の事業を受け継いだ水源林保全事業というものがございます。
私は、余り今までこの事業についてはよく存じ上げなかったんですけれども、民有林で特にはげ山になっていたようなところに植林をして、そして森を復活させていくということを主に事業としてやっていたということで、非常にこれは、今は逆に間伐が進まないということですので、この事業だけで対応できない問題も発生しているかと思いますが、この森林総研内の水源林保全事業に対する政府の評価についてお伺いしたいと思います。
○あべ副大臣 委員が御質問されました水源林の造成事業でございますが、森林所有者の自助努力で整備が困難な奥地の特に無立木地などにおきまして、森林総合研究所が計画的に水源林の造成を行う事業でございます。
これによりまして、昭和三十六年からこれまでに、全国で約四十七万ヘクタールの水源林を造成いたしまして、国民の生活に不可欠な水源の涵養、さらには国土の保全に貢献してきたところでございます。
今後とも、奥地の水源地域という立地条件を踏まえた効果的な森林整備を推進してまいりたいというふうに思います。
○小山委員 今のあべ副大臣の御答弁のとおりだと思っております。
なかなかマーケット、国内市場の動向もあって、民有林の収支で全て賄えない。まして、民で対応できないところを国有林の事業としてやっている。ですから、民間で収支がとれれば、全部民有林でもいいわけでして、それができないからやっている。ところが、民有林だったところもこれが荒廃してきてしまっている。そういう中で、森林総研のこの事業が果たしている役割というのも非常に大きいと思います。
これまで余り触れられなかった、光が当たっていなかったところにもぜひ注目もしていただいて、今後もこのような公益的機能が維持される事業に配慮いただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○江藤委員長 次に、井出庸生君。
○井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。
本日は、質問の機会をいただきまして、よろしくお願いをいたします。
法案の質問をさせていただく前に、一点、農業の労働力のことについて伺いたいのですが、実は今度、法務委員会の方で外国人技能実習の制度改正が、議論が始まるやに聞いております。
外国人が既に日本の農業、特に単純作業の面で果たしている役割というものは、私の地元もそうなんですけれども、非常に大きいと思っておりまして、まず、農業における外国人の力、外国人の貢献というものについてどのように大臣は今御認識をされているか、お考えを伺いたいと思います。
○林国務大臣 外国人の技能実習制度は、我が国で開発された技能、技術等の開発途上地域等への移転をいたしまして、国際協力を推進する、こういう目的の制度でございまして、国内の労働力不足を補うための制度ではないということでございます。
この制度は法務省と厚生労働省が所管をしておりますが、我々農業の現場からは、技能の実習期間を最長期間五年に延長していただきたい等の要望が出ておりますので、受け入れ拡大のニーズがあるということですが、一方で、国内外の人権団体等から、労働環境も含めて、人権擁護の観点での問題も指摘をされているところでございます。
こうした背景の中で、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案が、今先生おっしゃったように、提出をされている、こういうことでございまして、今後とも、法務省、厚生労働省と連携して、適切な制度の運用に努めてまいりたいと思っております。
一方で、ことしの六月に「日本再興戦略」改訂二〇一五が閣議決定されましたが、ここに、実は、「中長期的な外国人材受入れの在り方について、総合的かつ具体的な検討を進める。このため、移民政策と誤解されないような仕組みや国民的なコンセンサス形成の在り方などを含めた必要な事項の調査・検討を政府横断的に進めていく。」こういうふうになされておりますので、農林水産省としても、政府全体の検討の中でしっかりと検討をやることで対応してまいりたいと思っております。
○井出委員 今局長からも手が挙がりましたのでもう少し伺いたいのですが、新聞、テレビの報道等を見れば、農業そして水産業に外国人の力の果たしている役割は非常に大きくなってきている。
実際、私の地元は高原野菜の産地がありますが、中山間地、畑の小さいようなところは日本人家族、またパートの人で対応している。しかし、大規模化をして、一つ大規模化においては先進農家と言われるような方々は、もうほとんどが外国人の力をかりている、お願いしているという状況でございます。
農林水産業における外国人の力をかりている分野というものが今実際どの程度あるのか、どのように把握されているのかというところを少し具体的にお願いいたします。
○奥原政府参考人 外国人の技能実習生の実態でございますけれども、農林省がアンケート調査等でやっている結果によりますと、農業分野で入っておられる方が大体二万人程度でございます。
技能実習制度は、一年目、これは職種を限らずどなたでも入れるわけなんですけれども、一年目はどなたでも入れて、二年目、三年目に移行するときには一定の職種に限定をされて、一定の技能を持っているということで二年目、三年目に移行するわけですけれども、二十五年度の調査で申し上げますと、一年目の方が一万二百七人、それから二年目の方が七千二百五十二人、それから三年目の方が六千百四十一人ということで、合計しますと、二十五年度では二万三千六百人入っておられるということでございます。
それで、受け入れ地域でございますけれども、先ほど先生から御指摘ございましたけれども、施設園芸とか、やはり労働力を必要とする、それも、小さい経営ではなくてかなり大きい経営のところが人手を要しますので、そういったところが中心になっているという感じでございますが、地域でいきますと、都道府県別では茨城県が最も多くなっております。次いで長野県、それから北海道、熊本県、こういった順番でございます。
それから、二年目、三年目のところは、これは職種が限定をされておりますので、現在指定されているのは、施設園芸、それから畑作・野菜、それから養豚、酪農、養鶏、こういうことになっておりますけれども、耕種農業で入っておられる方が大体八割、それから畜産農業の方が大体二割、こういう感じになっております。
○井出委員 大臣に伺いたいのですが、これから日本の農業が、さきの農協改革、農地改革の議論でもありましたが、農地を集約して大規模化をしていく、そういう一定の目的、方向性というのがあるかと思うんですが、その大規模化という方向性を見ますと、今の大規模農家が外国人の力をかりているという現状を見れば、ますます外国人の力をかりなければいけない、そういうニーズが高まってくるのではないか、政策的に農業の大規模化というものを進めていくのであれば、それは必ずついてくるものではないかと私は思います。
もちろん、大臣がおっしゃったように、外国人をどのように受け入れていくのかという問題は政府全体の議論ではあるんですが、やはり農業分野、農林水産省、大臣として、外国人の力をかりていくこととどう向き合っていったらいいのか、やはり大規模化ということを踏まえますと、現実と向き合うには踏み込まなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○林国務大臣 まさに政府全体で検討していくということ、先ほど閣議決定を御紹介したわけでございますが、農業の分野においても、特に今委員がおっしゃったように、土地利用型について集積、集約をしていこう、こういうことでございます。したがって、経営をする人、それから労働集約的なところで実際に作業していただく方、いろいろな方が必要になってくる、こういうことであろうか、こういうふうに思います。
これは農業分野にとどまらず、ほかの分野もそうであろうと思いますが、我々の分野も、今言ったように、これは外国人であるかどうかは別として、そういう人材を確保していくということは大事な課題でございます。したがって、政府横断的に、先ほど申し上げたように、コンセンサスをしっかりとつくっていくということを念頭に置きながら、しっかり検討していきたいというふうに思っております。
バブルのころだったと思いますが、一度外国人労働者を急激に入れて、結果として、景気が悪くなったときにそういう方から最初に首を切られてということでいろいろな問題が出た、こういうこともあります。また、治安、犯罪の面でいろいろな意見もあるところでございますので、やはりコンセンサスをしっかりとつくっていく、これが非常に大事なことだ、こういうふうに思っております。
そういうことで、先ほどの政府全体の方針に従って対応してまいりたいというふうに思っております。
○井出委員 今、さまざまなことに思いをめぐらせてお話しいただいたと思うんですが、実際、私は一番詳しく知っているのは地元の高原野菜の件なんですが、よく農業の問題で食料自給率が重要だという話がありますけれども、私の地元などでは、外国人の方がいなければそもそも野菜の生産が成り立たない、そういう状況が正直なところかなと思います。
私の地元などでは、端的に実習生という制度ではなくて、きちっと労働法制を整備して外国の方を受け入れていく、もう少しお互いがウイン・ウインの関係になるような、そういう大きい議論をやってほしい、そういうことは私もずっと言われてきておりまして、これは、昔は日本人が単純作業をやっていたわけですけれども、それが、だんだん日本人がそういうことをやらなくなったという背景もあるかと思います。
今、TPPの議論もあります。TPPも、私としては、いろいろな交渉の中できちっと日本の言うべきことを言っていただきたいと思いますが、そういうグローバル化というものに向き合うときに、人のグローバル化にやはり一歩踏み込む必要があると思いますし、私は実は法務委員ですので、そういう大きな議論は全政府でやってくれと言われておりますので、まず、きょう林大臣の忌憚のない御意見をいただいて、それをもって法務委員会の議論に臨みたいと思っておりますが、私は、もう外国人と向き合わなければつくれない作物もあると思いますよ。そこのところの危機感というものを共有していただけるかだけ、もう一回伺いたいと思います。
○林国務大臣 まさに私の地元もそうでございますし、いろいろな現場に参りますと、例えば選果をやっておられるところとか、季節的に大変に人手が足りなくなるというようなところには、今おっしゃったように、外国人の方が働いておられる、この技能実習制度を使われているというケースも多々ある、こういうふうに承知をしております。
したがって、この検討はもう待ったなしの課題である、こういうふうに思っておりまして、そういう意味で、この夏の再興戦略改訂二〇一五にもこういう記述もしっかりと入ってきた、こういうことであろうか、こういうふうに思っておりますので、我々は農林水産業の現場の状況を踏まえてということになろうと思いますが、しっかりとこの議論をやっていきたいと思っております。
○井出委員 わかりました。
そうしましたら、法案の方の質疑に入っていきたいと思います。
この法案の説明を農水省の方にお願いしたときに、一番のポイントは、今回の独法の統合によって何が大きく変わるんですか、そういう話については、役員の数がそれぞれ、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、国立研究開発法人水産総合研究センター、大きく変わるのは役員の数です、そういうお話をいただいているんですが、その役員の数が変わるところについて改めてちょっと説明をいただければと思います。
○西郷政府参考人 お答えいたします。
統合後の法人の役員数でございますけれども、役員が担う業務分担等を整理した結果、農業分野の法人は今四法人で役員が二十九人おりますが、これが十五人、それから、水産分野の法人は今十二人おりますけれども、これが九人ということでございます。
役員の人件費につきましては、合わせて毎年一億五千万円程度の削減が見込まれるところでございます。
○井出委員 今、農業分野、水産分野で役員が、農業分野が十四、そして水産分野が三名減って、その人件費が一億五千万、そういうお話だったかと思うんですが、役員を減らす基準といいますか、どういう考え方をもって役員の減少に取り組まれたのかというところを御説明いただきたいと思います。
○西郷政府参考人 失礼いたします。
統合によりまして、例えば総務担当とかいうことにつきましては、それを一つにするだとか、そういったような役員が担う業務分担を整理いたしましてこのようなことになった次第でございます。
○井出委員 今回、統合の対象になっております、例えば農研機構の今の役員の方、理事の経歴などを見ますと、ほとんど皆さん農林水産省の御出身である。関東農政局長を御経験された方でしたり、多いのは、それぞれの研究所を幾つか回られているのかなというようなところも見られるんですが、例えば福島の農業総合センター所長の方もいらっしゃいます。
先ほど文系、理系というような話もあったんですけれども、私は、もう少し、それぞれの研究機関のたたき上げといいますか、そういう方にやはり理事に入っていただいて、研究者の現場の声というものが役員の間に反映された方がよいのではないのかなと思いますが、そういうような検討というものは今回はされたのかされていないのか、伺いたいと思います。
○西郷政府参考人 統合後、役員構成をどのようなことにしていくかにつきましては今後の議論というか課題でございますけれども、役員の業務分担を整理したところ、文系、理系という話でございますと、文系というのは基本的には総務担当のところとか、あるいは監事とか、そういったところにしかいないわけでございまして、基本的には研究に造詣の深い方々になっていただくというふうなことで、今でもなっているわけでございますけれども、今後につきましては、ますます役員の数も減りますので、業務分担をきちんとやって、業務に通暁した方々に役員に就任いただくというふうなことで進めてまいりたいというふうに存じております。
○井出委員 こういった独法の統合というものは、今回に限らず、これまでも幾つか行われてきております。ですから、今のそれぞれの独法にいる理事の方が統合前の旧独法で理事をされていたり、そこの責任者であったりということもあるかと思うんです。
私が一番懸念をしておりますのは、これでまた統合して組織全体としては大きくなるかと思うんです。役員、理事がそれぞれの統合前の母体から当面集まってくるのかな、現状を見ればそうなのかなと思うんですけれども、それぞれの研究機関の現場の声がそういう役員の間で共有されないで、何か政府とそれぞれの研究施設との中二階的な、役員会議ですとかいろいろあると思いますけれども、政府の効率化によってまた人数が減っていくということもあるかもしれないんですけれども、現場の研究施設のそれぞれの現場からの声というものをきちっと守っていけるような、そういう役員体制が果たして組めるのかどうか、その点を改めて伺いたいと思います。
○西郷政府参考人 おっしゃいますように、統合していきますと、要するに大きな法人になりますものですから、前のものと比較すれば、業務が変わらない中で役員の数は当然減るということになりますので、ここは業務分担を今までよりももっと明確化してやっていくということが必要だろう。
それから、今おっしゃったように、役員だけではなくて、研究職員の方々とも研究の情報でございますとかそういったことについては不断の情報共有などを徹底することにいたしまして、そういう肥大化による弊害みたいなものは起こさないように運営をしていきたいというふうに考えてございます。
○井出委員 次に、今回、主に研究機関、水産大学校というものも一つありますが、農業分野、水産分野も研究分野が統合される。そのことに対する懸念というものはもう既に何人かの委員の先生が質問されているとおりなんです。
私から一つ具体例を挙げて伺いたいのは、例えば農研機構の中には、原発事故対応のための研究開発というものが取り組みとしてある。原発事故の影響を受けた地域において、住民の帰還と営農の再開、国民への安全な農産物の提供を実現するため、農地土壌の除染技術、農作物における放射性物質の移行制御技術などの開発を行いますとあるんですが、こういったところは被災地の復興を考えれば言わずもがなですし、また、その風評被害ということを考えた上でも、この研究については、特に今回の統合で何かそこが規模が縮小になるとか、マイナスの影響が出ないようにしていただきたいと思いますが、この点についてのお考えを伺います。
○西郷政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、農研機構は、被災地の復興、なかんずく放射能対策につきまして、営農再開が早くできるようなといった技術開発に努めてまいりました。
これを中心に、先ほども御質問がございましたけれども、農研機構の中に東北農業研究センターの福島研究拠点といったものがございまして、ここが作物の吸収抑制技術だとか、それから農地の除染技術の開発をするなど中心的な役割を担ってきております。
これにつきましても、農林水産研究基本計画でも、今おっしゃったように、これからもきちんとやっていくということを位置づけまして、統合後は、この研究拠点につきまして人員の増等、あるいは、別の法人でありました農業環境技術研究所といったところでも放射性物質の研究はしているわけでございますけれども、そういったところも、統合によって、連携したシナジー効果を出していくということで、強化をしてまいりたいというふうに思ってございます。
○井出委員 大臣に伺いたいのですが、今回の独法改革、多くの研究機関が統合の対象になっているということで、研究の中身、これはなかなか、一つの民間企業であったり、ましてや農家の皆さんでは到底できないような研究に取り組んでいただいていると思いますので、そこを守っていく、研究分野に影響が出ないようにしていく、そこは私は一定程度御配慮いただいたのかなと思うんですが、ただ、さきに申し上げました、役員を減らしていく。
人数について言えば、三十何名のうちの半数弱減らすということになって、人件費の面を見れば一定の成果が見込まれるのかなというお話はいただいたんですけれども、ただ、役員が大きく減っていく。
私が指摘をさせていただいた、これはみんな農水省の御出身じゃないか、そういうところで、研究現場から人も減って、研究施設、研究現場からちょっと浮いた存在にその役員の体制がなって、これまた、独法の改革というものは、国の今のいろいろな状況を見れば、また避けられないものになっていくと思います。
ですから、独法を減らしていく、役員を減らしていく中で研究の実態というものを守っていくというこのバランスは非常に難しいと思うんですけれども、そこはぜひ、これで役員が減っていく、そこの業務とか、これからどういう役員を選任していくのか、農水省から入れ続けるのか、それとも、その研究機関から生え抜きの人が入る、民間の人を登用するのか、いろいろな手があると思うんですけれども、独法の改革が避けられないという中でこういう研究分野を守っていく、そのことについて大臣からお考えを伺いたいと思います。
○林国務大臣 委員がおっしゃったように、大事なことは、やはりしっかりと研究成果を出してもらう、そのためには、しっかりと環境を整備して、働いていらっしゃる皆さんが安心して研究に取り組めるようにする、こういうことであろうか、こういうふうに思っております。
今まさに御指摘いただいたように、なかなか民間ではやっていただけないようなことをやるということで独立行政法人ということでやるわけでございますが、一方、政府の中の通常の公務員ではなくて、別の法人にしてそこでやっていくということが、そのバランスをとるための一つの枠組み、こういうことでございますので、原点に返るといいますか、我々主務大臣としては、こういう目標をつくってこういうふうにやってくださいということをお願いするんですが、具体的にどうやっていくかということについては、なるべく理事長にリーダーシップをとってもらって、リーダーシップをとっていただく中でいろいろなことを独立行政法人としてやっていただく。
例えば、各役員の所掌をしっかりとするとか、所掌と責任の明確化をしっかりやるとか、それから役員、職員の間の不断の情報共有をこれまで以上にやっていく。こういうことを国家公務員の中の組織よりかなり自由に柔軟にやる、そのために独立行政法人というのはそもそもスタートした、こういう経緯がありますので、そういうことがしっかりできるように意を用いていきたい、こういうふうに思っております。
また、先ほどから農林水産省の出身者というお話がございましたけれども、文系、理系でいいますと、出身者の中には理系の研究関係に造詣の深い職員も結構おりますので、一概に農林水産省出身だから文系でなかなか溶け込みにくいということはないのではないかと思いますが、そこも含めてしっかりと独立行政法人のよさを生かすように、理事長のリーダーシップが発揮されやすいような運営というものも心がけていきたいと思っております。
○井出委員 今、農水省出身のところについてコメントをいただきましたが、今ある、これから統合されるそれぞれの独法の役員を見ていても、どうもこれまでの独法の統合の影響をまだ受けているんじゃないかな。
旧独法の、過去に統合してきた独法の肩書の方がいらっしゃって、それが今回、また、ますます、当面の間は数を減らした上でのこういうことですので仕方ないと思うんですけれども、本来は、それぞれの研究施設がしっかりと研究成果を出していただけるような、そういう役員体制、独法の効率化のあおりを受けているだけではなくて、その研究施設のあり方、役割がしっかり発揮されるような役員体制をこれから構築していっていただきたい、そのことをお願いして、終わりたいと思います。
きょうはありがとうございました。
○江藤委員長 次に、村岡敏英君。
○村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。
きょうは、独立行政法人に係る改革の推進ということで、独法の改革の法案が出ておりますけれども、私もこのセンターには、昨年視察に参りました。それぞれ農業に関する研究をしっかりとしていることを視察の中で聞かせていただきました。今回、これを統合して、そしてシナジー効果を生むということで大臣も話されていますので、その方向性は独法の改革ということで正しいと思っております。
同僚の井出議員も言っていましたけれども、これまでこういう研究というのが、私はいつも農業分野の研究所に行ったときにひっかかるのが、生産調整があったために、例えば夏の被害をなくする研究だとか地盤改良だとかそういうのはやっているんですけれども、やはり量をふやすというのはやっていなかったんです、生産調整で。
ですから、飼料米も、もちろん種子が少ないということもありますし、また輸出戦略がなかったわけですから、量がふえれば当然米価が下がるということで、今後、輸出戦略という中で、こういう研究機関というのは、攻めていく、同じ土地の面積で、多くて、収入が同じであれば。そういう形も、今後、輸出がふえてくるのに従って研究していくという考え方はあるのかどうか、大臣からお答え願えればと思います。
○今城政府参考人 お答えいたします。
確かに、単収をふやすということにつきまして、いろいろこれまでの生産調整の問題もあり、そういうことについてなかなか全面的に踏み切るということではなかった傾向もあったかと思いますが、実際に、今、現場等で広がっておりますのは、やはり実需者と安定的に取引するというようなことから、多収安定のものが欲しいとか、そういうニーズもございますので、現場ではそういう作付の動きというのも広がっております。
そういうことも踏まえて、今後、いろいろな種子のそういう研究というものもなされていくというふうに理解しております。
○村岡委員 そのように、例えば農業の全体に対する輸出戦略、攻めの農業といけば、やはりしっかりと輸出にはこういう研究機関でやっていく。もちろん、自然を相手にするわけですから、基礎的な研究も必要ですけれども、農業の目指すべき方向性の中で研究機関をしっかりと確立していく。こういう方向性で今後も研究機関というのは考えておられるかどうか、大臣にお聞きいたします。
○林国務大臣 まさに先生おっしゃるように、いろいろな方向性を出して、輸出も今大いに振興しておるわけでございます。
したがって、輸出を専門にやる独法が一つ必要かどうかは別として、こういう政府がやろうとしていることを受けてやっていただく、これは独立行政法人の重要な役割だ、こういうふうに思っております。
もとより、今、生産局長から答弁がありましたように、実需が生産者からもありますので、そういうことに対しても真摯に対応していくというのはもちろんでございますので、しっかりと統合の効果が出るように運用してまいりたいと思っております。
○村岡委員 結局、こういう研究というのは、先ほどから、何か文系だとか理系だとか出ていますけれども、文系というのは、辞書なんかを引くと、基本的に人間の活動を研究する、これが文系。理系は自然を研究する。研究所というのは、どうしても、自然を研究するという中で、人間界を研究する部分の、例えば輸出戦略、販売戦略、そういうのと結びつかないと、せっかくの研究所が研究だけで終わってしまう。その研究の成果が、農家の所得を上げていこう、成長戦略につながっていかなきゃいけない。
研究所が研究所だけであってはいけない。研究所がもう少し攻めの戦略につながっていく、こういうことが大切だということ。大臣、その点はどう思われますか。
○林国務大臣 例のプランで、需要それから供給、それをつなぐバリューチェーン、こういうふうにつくらせていただいたところであります。
留学したときに、科学技術をやるところもありました。また、MBAを取ってマーケティングをやる、こういう学問もありましたが、今おっしゃっていただいたように、自然を相手にする場合、分類でいうと自然科学ということになりましょうか、そういうところを中心として今の独法は研究していただいておりますので、そういうところに、すぐにマーケティングを考えろと言っても、なかなか面食らってしまわれるのではないか、こういうふうに思います。
バリューチェーンということで、常に需要サイドも意識して政策をやっていくというのは、我々はしっかりと意識をしてやっていきたいと思っておりますし、そういう意味で、必要なフィードバックを供給サイドの研究をやっていらっしゃる方にもなるべくやることによって、バリューチェーンがつながっていくように心がけたいと思っております。
○村岡委員 ぜひそこは心がけていただきたいと思うんです。
例えば、研究というのは、百度で稲がどうかとか、そういうのはないですけれども、例えばの話ですけれども、あと、牛なんかがどういう形でいい子供が生まれるかというときに、今の、現実的に二年、三年で変わっていくのと、二十年後の研究と、どうしても二十年後ぐらいの研究をしたがるのが、大切なことですけれども、研究者だということもありますので、確かにいきなりマーケティングは考えられないんですけれども、そこは文系と一緒に、研究者とつながっていくことによって、しっかりと攻めの農業、輸出戦略というのはできていくと思いますので、ぜひそこはよろしくお願いしたい、こう思っております。
一方、ちょっと、先ほど多収米とかそういうので飼料米に関してのことを言いましたけれども、この前の農水委員会でも質問させていただいたんですけれども、MA米そして備蓄米、これは、買ったものは飼料米であったり加工品になるということで、大変その負担が大きくなっているわけですけれども、農林省としては、MA米の方は過去五年間でどのような損益になっているか、教えていただければと思います。
○林国務大臣 前回は手元に数字がなくて失礼いたしましたが、ミニマムアクセス導入に伴う転作の強化は行わない、こういう平成五年の閣議了解がございまして、SBS方式以外の輸入米は、加工用、援助用、飼料用等の主食用以外の用途に仕向けている、こういうふうになっております。
こういう方式の前提としてミニマムアクセス米を運用しておりますので、買い入れ、販売に伴う売買差損、保管料等の管理経費、こういうもので財政負担が生じている、こういうことでございますが、年度によって変動がありますけれども、直近五年間では、約八十五億円から約三百八十億円、この範囲で推移をしております。
○村岡委員 低い方から高い方まで言ったから、何となく平均が違うような形になっていますが、これはMA米に関して五年間合計で千三百十五億円、これだけのお金がつぎ込まれている、損になる、最初から損になることがわかっている、こういう状況があります。そして、備蓄米も損益の合計が五年間で二千八百八億。合計四千億ものお金が、これは特別会計からだけなのかどうかわかりませんが、このぐらいのお金がかかっている。
この状況というのは、大臣はどう認識されているでしょうか。
○林国務大臣 先ほど申しましたようなことで経費が生じております。備蓄米についても、不作に備えて適正な数量の米の備蓄を行う、こういうことで実施をしておりますので、主食である米の安定供給を確保するという政策目的を実現する上で今後とも必要な経費である、こういうふうに考えております。
ただ、可能な限り負担の削減は努力をしなければなりませんので、平成二十二年十月から政府所有米穀の管理業務を包括的に民間委託するということで人件費の削減に努めておるところでございますし、また二十六年度からは、保管料経費を入札対象に追加するということで保管経費の節減をする、こういうことで経費の節減、削減に努めておりまして、今後とも不断の努力を続けていきたいと思っております。
○村岡委員 これはなかなか前向きな論議にならないです。必要経費であって、米価の安定のためには必要だということはわかっています。しかしながら、例えば備蓄米、二十一年度は十六万トン、二十二年度四万トン、二十三年度二十一万トン、二十四年度八万トン、十八万トンとあります。これで二千八百億もの損が出ている。
このところで、TPP、七万トン、まだ決まっていない。しかし、五万トンなのか七万トンなのか、これがしっかりと入ってきたとき、備蓄米だという報道もありますけれども、またさらに財政負担がふえてくる。何かここに、農林省として、こういうものをどう解決していくか、必要な経費なんですけれども、この積み上げがずっと続いて、それでも大丈夫なのかどうか、そこがきっとなかなか難しくなってくるということの中で、米をTPPで、備蓄米なのかどうか決まっていないと言うでしょうけれども、新たに輸入した場合に、一体これはどうなるんだろうという不安だと思うんですが、答えられないかもしれませんが、そこは、それだけ厳しいんだという認識はありますでしょうか。
○林国務大臣 TPP交渉の中身については、言及は控えさせていただきたいと思います。
一方で、米の需給については、ここでも何度も御議論させていただきましたように、おおむね八百万トンの需要がトレンドとして毎年八万トン、ですから一%ずつ減っていくということであります。需要を喚起して何とかこのトレンドを変えていくという努力をするということはもちろんでございますが、需給のバランスがとれたように、供給の方でいろいろな施策をやっていくということで、水田のフル活用ということをやってまいりまして、ことしはおかげさまで生産調整が達成をされて目標の中におさまった、こういうことになっておるわけでございます。
今の早場米の概算金にもそういう影響があらわれてきているものというふうに見ておりますけれども、引き続きこういうことをやるとともに、先ほど委員もお触れになった輸出等々、いろいろな新しい需要先も貪欲に開拓をしていく、こういうこともあわせて、しっかりと需給のバランスをとっていかなければいけないと思っております。
○村岡委員 ここは本当に、TPPがどうなるかわからない、答えられないのはもちろんですけれども、米を入れた場合に、やはりこの備蓄米、MA米の対策をどうとっていくのか。それも、守りの財政負担だけでは続かなくなると私は思っております。そこがまた農家の方々の不安になっている。
やはりそこは、このTPP交渉、相当厳しい態度で臨んでいただかないと、財政負担で耐えられなくなる。そうすると、市場に出ていく、出ざるを得ない。そうなると、成長戦略なのに米価が下がってしまう。よほど厳しい認識を持ちながらTPP交渉をしなきゃいけない、財政的に見てもそうだということをぜひ大臣には認識していただいて、担当大臣に言っていただきたい、こういうふうに思っております。
そして、一方で今、需給のバランスで、コシが一万一千円だとか何か、高いのだと一万三千円とか四千円とかこういうふうに出ておりますけれども、需給のバランスはとれたということですけれども、これは飼料米政策が一番の大きな要因だと考えておりますか。
○林国務大臣 水田のフル活用を行っていくために、転作奨励金等々を使いながらやってまいったわけでございまして、その中で、飼料用米、昨年の十八万トンからことしは四十を超すところまで来ているということでございますし、基本計画では百十万トンということも示して方向性を出しておりますので、これをしっかりと中心に据えてやっていきたいと思っております。
○村岡委員 これもまた、飼料米政策が大きな要因になったということで、それは、政策的には、非常に、需給のバランスがとれたことによって概算金がふえるということはいいことですけれども、飼料米政策が続いていくのか続いていかないのか、負担のことから。これもまた不安なんです。
これは、こんなに財政負担の中で続けるというふうに、大臣、最後に。
○林国務大臣 水田のフル活用という大変に大事な政策のために、この柱となる一つのものでございます。現場を回りますと、続けてもらいたいという要望や、本当に続けられるんだろうかという不安の声もよく聞くところでございます。
そういうことも踏まえて、先ほど申し上げました基本計画、財務大臣も入っていただいたところで閣議決定をするということで、しっかりと目標として位置づけて推進をしてまいりたいと思っております。
○村岡委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。
○江藤委員長 次に、畠山和也君。
○畠山委員 日本共産党の畠山和也です。
関連はしますが、法案の本題に入る前に、北海道の日本海側で増加しているトドの漁業被害について一言伺いたいと思っています。
トドは、環境省版レッドリストにおいて絶滅危惧種2類に分類されてきました。しかし、個体数が増加傾向にありまして、二〇一二年の見直しで準絶滅危惧種にランクを下げました。
そこで、直近三年間のトドによる被害額と対策についてと、漁業資源の減少も同地域では続いてきまして、スケトウダラやニシンなどの資源量の傾向についても、あわせて一緒に伺いたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
まず、トドの被害でございますが、主に北海道の日本海側におきまして、漁具の破損や漁獲物の食害等の漁業被害を及ぼしており、北海道庁によりますれば、直近三カ年でございますが、平成二十三年度で十五億円、平成二十四年度で約十六億円、平成二十五年度で約二十億円の漁業被害が報告されておるところでございまして、二十六年度の被害額については現在取りまとめ中というふうに聞いているところでございます。
このようなトド漁業被害対策といたしましては、北海道の離島海域における駆除活動、あるいは強化刺し網の実証試験や定置網、底建て網の強化網の導入、あるいは一斉に駆除するといったような効果的、効率的な追い払い手法や駆除手法の実証といった取り組みを支援しているところでございます。
また、先ほど御質問がございました資源との関係で、特にスケトウダラやニシンとの関係でございますが、国立研究開発法人水産総合研究センターが行った資源評価におきましては、スケトウダラ日本海北部系群及びニシンについては低位横ばいとなっております。
資源が低位となっている要因といたしましては、スケトウダラ日本海北部系群につきましては、水温の上昇が再生産に悪影響を及ぼしている可能性があるのではないか、またニシンにつきましては、長期的な資源変動の中で、現在、低位の状態にある可能性があることが指摘されております。
なお、トドの胃の内容物調査によりますと、スケトウダラはほとんど確認されておりませんが、ニシンについては確認されておるところでございます。ただし、これによりどの程度漁獲高が減少したかについては不明であるところでございます。
以上でございます。
○畠山委員 資源については、低位横ばい、長期的に見れば減少傾向というふうに言えると思うんですが、それとあわせて、今のいわゆるトドにおける漁業被害という二重の苦難ということを確認したいと思います。
こういう苦しい漁業経営の実態を前に、道庁などでも養殖などの特別対策が検討されていることです。現場に行って話も伺ってきたんですが、この後確認しますけれども、採捕数はふやしてきて、だからハンターがもっと必要なんだけれども今も少ないとか、あるいは駆除にかかる資金ももちろんかかるということで、これは先ほど出されているような対策でも盛り込まれているわけです。
ただ、そもそも資源をふやさなければいけないということで、一九九七年からニシンの資源増大に向けたプロジェクトが行われてきました。それによれば、二〇〇九年の報告書は次のように書いています。
これらの結果、二百万尾以上の種苗を生産できるようになり、また、研究結果に基づく初回産卵親魚の保護などの資源管理に関する取り組みなどが進められたことにより、平成十五年には漁獲量が千二百トンを超える漁獲量を記録し、最近の二カ年では千トン前後の漁獲を続けるまでに復活したというふうにあります。
長く、なかなかとれなかったものが現場の努力と、後ほど触れる研究に関する努力が相まってここまで来たんだけれども、せっかくふやした資源がトドに食い荒らされたのでは納得もいかないという現場のお気持ちがあるわけです。
それでどうするかで、先ほど答弁があったような対策に、さらに種苗や放流にかかわる支援ですとか、そのためのセンター機能を現地につくるだとか、なかなか難しいんだという話でしたけれども、被害を受けた際の休漁補償であるとか、さらなる現場の声を受けとめた支援の拡充が必要というふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
○佐藤政府参考人 お答えいたします。
今先生の方から御指摘がございましたように、トドの漁業被害対策につきましては、先ほど申し上げた従来の対策に加えまして、より効果的、効率的な対策の実施を目的といたしまして、長距離音響発生装置を使用した追い払い、あるいは網囲いや箱わなによる捕獲等について実証を行うこととしており、今度の平成二十八年度予算要求において拡充要求しているところでございます。
これらの取り組みを実施することで、トドによる漁業被害の軽減、防止をより一層図ってまいりたい、このように考えているところでございます。
○畠山委員 漁業者にとっては死活問題になってきている部分がありますので、さらに重ねて要望をしたいというふうに思います。
それで本題ですが、先ほど答弁の中にもありましたように、この被害などにかかわっても大きな力を発揮しているのが水産総合研究センターであります。北海道の北海道区水産研究所、札幌に視察に行ってきました。ニシンやサケの資源管理に重要な役割を果たしております。
それで、勉強させられたんですけれども、資源をどう調べるかという方法の一つに耳石を調べるというのがあるんですね。卵のときに、温度の変化でバーコードのようなマークをつけて放流して、回収した際にこの耳石をとって確認する、そういう気の遠くなるような積み重ねの上に資源管理の研究結果があるということでありました。こういうように、ニシンやあるいはサケの放流、回遊、来遊の研究や、科学的な資源管理に貢献しているというのが水産総合研究センターであります。
ロシアで流し網漁禁止法案が可決されてしまいましたけれども、日ロの漁業合同委員会で、このセンターの力もあって、資源数の協議については、この調査に基づいて、共通見解を持てた部分もあったというふうに伺いました。
それで、水産のこのような機関と、今回のそのほか農業系の機関と、それぞれが固有の役割や研究領域を持ってきたというふうに思います。これらの独立行政法人が我が国の農林水産業の発展に果たしてきた役割についての認識を確認したいというふうに思います。
○あべ副大臣 委員にお答えいたします。
統合対象となる今回の六法人でございますが、農林水産大臣が定めました目標の達成に向けまして、自律的かつ効率的な業務運営を行うこととしておりまして、農林水産省と連携いたしまして、委員がおっしゃった重要な研究開発また人材育成の面から、我が国の農林水産業の発展に大きな役割を果たしてきたと私どもも考えているところでございます。
今後も、研究成果がもたらす技術革新、また将来の水産業を担う人材の育成を通じまして、攻めの農林水産業に貢献することが期待されておりまして、引き続きその役割は重要であるというふうに私どもも考えております。
○畠山委員 これまでの役割の重要性を確認いたします。
それを具体的な形でさらに確認していきたいんですが、研究が委託されている状況からも、それが改めてわかるんですね。
例えば、二〇一四年度、平成二十六年度で結構ですが、種苗管理センターの受託収入のうち、国から委託されたものというのはどれくらいを占めますでしょうか。
○櫻庭政府参考人 お答えを申し上げます。
種苗管理センターは、平成二十六年度におきまして、先ほどの受託収入は五千百万円でございます。
その内訳といたしましては、農林水産省からの委託事業として、登録品種の標本、DNA保存が五百万円、種苗病害検査手法の開発が四百万円、遺伝子組み換え植物の緊急検査が百万円、また独法からということで、農業生物資源研究所からの委託事業として、遺伝資源の保存技術の開発が二百万円、同研究所のサブバンク、ジーンバンクのサブバンクといたしまして栄養繁殖植物の保存等が四千百万円という内訳になっております。
ただし、ここの種苗管理センターの事業の性格上、種苗管理センターは、受託収入以外にバレイショ及びサトウキビの原原種の配布、種苗検査手数料等の民間からの収入が二億二千三百万円あるところでございます。
○畠山委員 今後半に述べた原原種の配布価格については後ほど取り上げたいと思います。
受託収入にかかわっては、国からの、独立行政法人も含むとなりますが、委託は一〇〇%であります。
資料を配付していますので、ごらんください。
資料の下の段に、統合対象となる研究所などの受託収入で、国、これは独立行政法人を含むになっていますが、民間、その他などの割合を示した一覧表であります。
それぞれ、国からの委託を調べてパーセントの数字を示しておりますが、種苗管理センターで一〇〇%、農業・食品産業技術総合研究機構で九一・四%、農業生物資源研究所で九七・六%、農業環境技術研究所九三・〇%、水産総合研究センター九五・九%、水産大学校は五八・四%と、おおむね九割を超えております。現在でも、各機関が国の方から必要とされている証明だというふうに思います。
そこで、なぜ統合するのかということですが、統合することで研究結果が共用できるなどなどのシナジー効果が発揮されることが理由とされています。組織の整理や統合というのは一般にあり得ることだというふうに私たちも考えます。問題はその効果や必然性だと思います。統合でシナジー効果が生まれるというなら、もちろん限度はありますが、統合すればするほどシナジー効果が発揮されるのかということですから、中身はよく見なければならないと思います。
そこで、農業・食品産業技術総合研究機構は、これは資料の上の方にまとめておりますが、独立行政法人制度の発足以降、既に十六もの試験研究機関などと統合されてきています。研究分野の融合が進んで、新たな成果も見られるという一方で、多様な分野の業務が加わることで組織管理が困難になりつつあるという指摘も見られます。この指摘にどのように検討をされてきたのか、お答えください。
○西郷政府参考人 御指摘のように、農業・食品産業技術総合研究機構は累次統合を繰り返してきております。その際に、どのように組織運営の効率化を図ったかということでございますけれども、要するに、いろいろな研究のコンポーネントを再編したり、統合したりとか、それとか、研究予算や人員等のリソース配分の裁量権を集中することによりまして、機動的な組織運営を行ってきたわけでございます。
例えば平成十八年には、この先生の図にもございますけれども、農業・食品産業技術総合研究機構は、農業工学研究所、これは土地改良とかそういった技術の研究所でございます、それから食品総合研究所、これは食品の研究所でございますが、これらと統合いたしまして、別々に行っていた、例えばサトウキビの残渣からバイオエタノールをつくる技術など、いろいろな研究所の成果を融合したようなプロジェクトをつくったりという関係で、各研究所の壁を越えたような総合的なプロジェクト研究も推進してきたところでございます。
これまで、こういったような統合の成果も上げてきておりますものですから、今回も、そのような統合のシナジーが得られますような対策を講じてまいりたいというふうに思っております。
○畠山委員 よくわからないんですね。
これだけにかかわらず、今回、種苗管理センターの統合についても、経緯を見ても、改めてこれは確認したいんですが、二〇〇七年の計画では種苗管理センターの統合相手は農業生物資源研究所と農業環境技術研究所、二〇一二年の計画では統合相手は家畜改良センター、そして、今回の統合相手は農業生物資源研究所と農業環境技術研究所とこの機構と。
何でこんなふうに統合先が二転三転せざるを得なかったのか。変わるたびに、変えた理由が何かに記されているのか。公式な文書で何か示したものというのはあったんでしょうか。
○西郷政府参考人 御指摘のとおり、種苗管理センターにつきましては、平成十九年の閣議決定におきましては農業生物資源研究所、それと農業環境技術研究所と統合することとされました。これは、先端的研究と種苗に関する知的財産の保護、活用を結びつけるという相乗効果を狙ったものでございます。
今回の法案では、これに応用面での研究、普及の研究をやっております農業・食品産業技術総合研究機構を加えた四法人の統合となっておりまして、これは十九年の考え方に加えまして、研究成果を現場で早く普及するという観点を重視したものでございます。
一方、御指摘の平成二十四年の閣議決定では、種苗管理センターは家畜改良センターと統合し、それから農業・食品産業技術総合研究機構などは、農業研究四法人で研究としてこれを統合するということとされておりました。これは、要するに、研究開発型同士の法人を統合する、あるいは家畜改良センターと種苗管理センターのように非研究開発の技術のセンターを統合するという考え方に基づいたものと考えております。
このように、当時の、統合の全体の考え方の違いによりまして組み合わせに変更があったわけでございますけれども、いずれも、その当時、政策効果を最大化する意図をもって検討されたものというふうに認識しております。
なお、考え方が公表されているかというお尋ねでございますけれども、こういった検討経緯につきましては、内閣官房行政改革推進本部でいろいろな分科会がございますけれども、それでの検討経緯が議事録として公表されているところでございます。
○畠山委員 二転三転したことによって、該当機関から、ただ要望があったわけではないというふうには思うわけです。
それで、統合による二つの問題ということを指摘したいと思います。
一つは、職員や研究者の身分と労働環境、研究環境がどうなるかについては、先ほどからも繰り返し各委員から指摘がされたとおりであります。
一例ですが、例えば農業環境技術研究所では、二〇〇六年度、平成十八年度から二〇一四年度、平成二十六年度で、研究職員に占める任期付研究員の割合が、これは質問しようと思っていましたが、時間の関係でこちらでもう言います、五・二%から九・八%へと約二倍になっている。また、水産総合研究センターでも、同様に三・一%から七・七%へと二・六倍になっております。それぞれによってもちろん数字のばらつきはありますが、研究職員全体が減る中で任期つきの研究職員がふえて、非正規化が拡大しているのではないかというふうに思います。研究の安定には身分の安定が必要であることをまず訴えたい。
二つ目の問題、運営費交付金の削減の問題です。
発足当初から比べて、農業関係の二〇一四年度交付金は約二五%の削減、水産関係で同じく約一六%の削減となっています。そこで、節約のほかに、先ほども出ましたけれども、資金確保のさらなる努力が求められるようになりました。
そこで、種苗管理センターの、例えば北海道のバレイショ、原原種配布について、その価格が上がったというふうに思いますけれども、二〇一一年と現在で比べてどのように上がったか、お答えください。
○櫻庭政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十二年十二月に閣議決定されました独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針の中で、バレイショの原原種の生産コストと配布価格に大きな乖離があるため、配布価格を引き上げることによって自己収入の拡大を図ることとされました。
種苗管理センターでは、本基本方針に基づきまして、農林水産省と協議の上、バレイショの原原種の配布価格を、平成二十二年の二十キロ当たり千七百七十円から、平成二十三年度に千八百円、平成二十五年度に二千七百七十円に改定したところでございます。
ただし、原原種から種芋になるまで二回増殖いたします。これは一回につき十倍になりますので、大体千円が百倍に増殖されることになりますので、農家にとっての負担という形で考えますと、二十キロ当たり十円の御負担をお願いしたということでございます。
○畠山委員 そうやって負担額が薄まるという話もお聞きはしましたが、ただ、いずれにしても、そのような形で受益者の方にしわ寄せが行かざるを得ないという、金額の問題でなく、そのようなことがどうしても起こらざるを得ないというふうに思うんですよ。
実際、そのように配布価格が一・五倍にもなって、当時、引き上げるときには北海道のJA関係なども回って話し合いを重ねたといいますから、相当な努力や御苦労をされたというふうに思うんです。
ほかにも、種苗管理センターは、茶原種の生産及び配布業務の廃止に伴った原種生産のための農場廃止等もありましたし、水産総合研究センターが、たしか二〇〇八年だと思うんですが、原油高騰の影響があったときに、調査に出す船の油代を捻出するのにすごい苦労があったというんですね。国の機関だったら補正予算で対応できるんだけれども、独立行政法人だからそれはできないで、当初の予算内でやってくれということで、かなり御苦労をされたとも聞きました。
こういう一層の苦労が強いられることがないか、業務の縮小や研究環境の後退が懸念されるというふうなことが心配されます。農水省として、その認識について伺いたいと思います。
○林国務大臣 今回の農研機構ほか三法人の統合、これは閣議決定で、独立行政法人改革等に関する基本方針に基づきまして、研究開発成果の最大化を達成するために、基礎から応用まで一貫した研究推進体制の整備等を図る、こういうことでございまして、業務の縮小とか研究環境を後退させる、こういうものではないというふうに考えております。
○畠山委員 やはりもともとのことについても、最後に一言伺いたいんですよ。
きょうは、総務省にも来てもらっております。
内閣官房行政改革推進本部の独法改革等に関する分科会ワーキンググループの議事録を読みました。農水省から一生懸命に研究の重要性を説明しています。
しかし、例えばワーキンググループの第四回で、名前はわかりませんが、ある委員から、受益者負担という考え方でそれなりに適正な出願料とか登録料とかを取るべきでないかと、交付金の削減を前提に受益者負担の方向を強めろという意見が出されておりました。
また、ワーキンググループの第二回では、シナジー効果の説明をさせられて、統合十二年でようやく実を結びつつあると農水省から説明をしたら、ある委員からは、それでは遅いんだ、もうすぐにやってくださいというのが独法の使命あるいは御省の使命のように私は思いますという発言をされた委員もいるんですね。
現場の苦労や努力を理解していない意見なのではないかなと私は読んでいて思いました。
農作物の研究成果はすぐ出るんでしょうか。北海道の米だって、最近になって特Aランクをいただいていますけれども、コシホマレから優良品種となったきらら三九七まで十九年かかっているんですよ。そこから今のゆめぴりかまで十五年さらにかかっているわけです。これが研究の世界だろうというふうに思うんですね。交付金を減らして、研究者の身分も不安定な中で頑張っているのに、早く結果を出すということだけ迫るとは私は何事かというふうに思います。
そこで、今担当されている総務省に伺います。
今回の改革は、このような議論を踏まえた効率化や合理化を促進するものなのか。いや、それは違うんだ、目的はシナジー効果を発揮してもらうものだというのだったらば、必要な交付金の維持や研究者の身分を守ることが必要だと思いますが、いかがですか。
○長屋政府参考人 お答え申し上げます。
今回の改革につきましては、厳しい財政状況の中で、業務運営を効率化して、国民に対する説明責任を果たしていくという側面と、特に研究開発法人につきましては、その研究開発機能の最大化を目指すという両面がございまして、取り組んだものでございます。
具体的に紹介しますと、制度的改正の中では、これまで一律に規定におきまして規律していた仕組みを改めまして、法人を三類型にして、研究開発法人については、その特性を踏まえまして、目標期間を長期化して状況を見ていくというようなこととか、あるいは、研究開発法人につきましては、法人の目的につきまして研究開発成果の最大化であることを法律上明記して、中期目標等につきましてこれに関する事項を記載するなど、制度的改正部分でも組んでおりますし、また、運用も柔軟にしていくということで、研究開発法人としての特性がより発揮され得るようにしております。
そのような中で、今回、研究開発法人におきましては、改革の趣旨を踏まえまして、統合法人におきましては、統合効果を発揮しながら、法人の長のリーダーシップを発揮して、運営費交付金の確保などにつながるような成果を出していただく、こういったことが重要であると考えているところでございます。
○畠山委員 生産者の努力と研究者の努力が相まって、日本の農林水産業が発展してきた事実を改めて確認して、質問を終わります。
○江藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○江藤委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。畠山和也君。
○畠山委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案について、反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、今回の統合は、各独立行政法人の実情や必要性からではなく、統合先にありきにほかならないからです。
農業・食品産業技術総合研究機構には、独立行政法人制度の発足以降、既に十六の試験研究機関等が統合されています。新たな成果が創出されたとされる一方、多様な分野の業務が加わることにより、的確かつ円滑な組織管理が困難になりつつあるとの問題が指摘されてきました。こうした問題に関するまともな検討はなされないまま、今回新たに三法人が統合されます。これでは、組織管理が一層困難にならざるを得ません。
さらに、農業・食品産業技術総合研究機構に統合される種苗管理センターは、二〇〇七年の整理合理化計画では農業生物資源研究所、農業環境技術研究所との統合とされ、二〇一二年の見直しの基本方針では家畜改良センターとの統合とされるなど、組み合わせは二転三転してきました。しかも、組み合わせが変わった理由は何ら明らかにされていません。
また、性格も業務内容も異なる法人の統合をあえて行う一方で、統合後の新法人でも、種苗管理センター、水産大学校の独自性が確保されるよう代表権を有する役員を置くとしており、統合先にありきで積極的理由に乏しい措置と言わざるを得ません。
第二の理由は、今回の統合によって、一層の効率化、合理化が迫られることになり、さらなる業務の縮小や研究環境の後退が懸念されるからです。
これまでも、種苗管理センターで、茶原種の生産及び配布業務の廃止に伴う原種生産のための農場の廃止や、水産大学校で講座数の削減など、業務や施設の廃止が進められてきました。また、過去九年間の研究職員に占める任期付研究員の割合を見ると、農業環境技術研究所では五・二%から九・八%と約二倍、水産総合研究センターでは三・一%から七・七%と二・六倍になるなど、人件費削減による研究職員の非正規化が拡大しており、今回の統合でこうした傾向に拍車がかかることは明らかです。
また、法案は、農林漁業信用基金に金融庁検査を導入するとしていますが、現行でも、独立行政法人通則法や農林漁業信用基金法に基づく主務大臣への報告、立入調査が定められており、金融庁検査をあえて導入する必要はありません。
このように、今回の統合は、数合わせの組織いじりでなく、真に政策実施機能の強化に資する統廃合のみを実施するとした独立行政法人改革等に関する基本的な方針とは裏腹の、文字どおり数合わせの組織いじりと言わざるを得ないものであり、反対を表明し、討論といたします。
○江藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○江藤委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○江藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○江藤委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、齋藤健君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党及び公明党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。金子恵美君。
○金子(恵)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。
独立行政法人に係る改革を推進するための農林水産省関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
農林水産省所管の各独立行政法人は国の施策を実施するための機関としてこれまで各方面で成果をあげてきたが、今後、より一層、法人の有する政策実施機能が十全に発揮され、法人の職員が誇りを持って職務を遂行し、経済成長や国民生活の向上に最大限貢献することが求められている。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 農林水産関係の独立行政法人の改革に当たっては、研究所や教育機関の単なる組織統合にとどまらず、官民の役割分担、国と地方自治体の役割分担も踏まえ、我が国としての農林水産関係の研究開発体制の在り方、教育訓練の在り方について再検討し、体系的な政策を打ち立てること。
二 独立行政法人の組織の見直しに当たっては、当該法人職員の雇用の安定に配慮すること。また、独立行政法人の職員の給与等は、自主性及び自律性の発揮という制度本来の趣旨並びに職員に適用される労働関係法制度に基づき、法人の労使交渉における決定に基づき対応すること。
三 独立行政法人の統合に当たっては、独立行政法人通則法において「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるもの」を行うと規定されていることを踏まえ、統合後の法人の事務及び事業が確実に遂行されるよう特に予算、人員に配慮すること。また、統合する各法人の事務及び事業の成果及び国内外における知名度が維持されるよう、各研究所の成果を踏まえ新たな独立行政法人組織の名称に統合前の名称を使用することができるよう十分配慮すること。
四 統合後の法人の組織と業務運営の効率化に関する検討に当たっては、これまでの人件費削減等の効率化目標により、施設の維持及び人材確保が困難となることが懸念されることを踏まえ、農林水産研究基本計画及び中長期目標の達成が図られるよう十分留意すること。特に、独立行政法人統合に伴う新たな効率化目標を検討する場合は、今後の法人運営に支障がないかの観点も十分留意すること。また、各法人の老朽化の著しい施設については、災害対策の観点から対策を講じること。
五 研究予算の年度を越えた繰越しの運用の自由化等、独立行政法人にふさわしい柔軟な組織運営と事業評価をできるようにすること。
六 政府全体で対応している東日本大震災や原発事故に係る復旧及び復興対策並びに放射性物質の除染対策等に関する調査、研究、技術支援等に対応する独立行政法人の対策予算については特に配慮し、早期の復旧・復興をめざすこと。
七 農業・食品産業技術総合研究機構の各研究機関等がつくば市に集積していることに鑑み、今般の組織統合の効果をあげるためにも、まち・ひと・しごと創生本部が進める政府機関の地方移転の検討に当たっては慎重に対応すること。
右決議する。
以上です。
何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○江藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○江藤委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣林芳正君。
○林国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
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○江藤委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○江藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○江藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会