衆議院

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第5号 平成28年4月26日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十八年四月二十六日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小里 泰弘君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 武部  新君 理事 宮腰 光寛君

   理事 簗  和生君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 上田  勇君

      あべ 俊子君    井野 俊郎君

      伊藤信太郎君    今枝宗一郎君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    瀬戸 隆一君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      西川 公也君    橋本 英教君

      古川  康君    古田 圭一君

      細田 健一君    前川  恵君

      宮崎 政久君    宮路 拓馬君

      山本  拓君    吉川 貴盛君

      吉野 正芳君    渡辺 孝一君

      井出 庸生君    金子 恵美君

      佐々木隆博君    鈴木 克昌君

      田島 一成君    福島 伸享君

      村岡 敏英君    横山 博幸君

      稲津  久君    佐藤 英道君

      中川 康洋君    真山 祐一君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       森山  裕君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   農林水産大臣政務官    加藤 寛治君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            末松 広行君

   政府参考人

   (林野庁長官)      今井  敏君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官) 吉野 恭司君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 亀澤 玲治君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     小倉 將信君

  宮路 拓馬君     若狭  勝君

  金子 恵美君     鈴木 義弘君

  斉藤 和子君     島津 幸広君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     勝沼 栄明君

  若狭  勝君     宮路 拓馬君

  鈴木 義弘君     金子 恵美君

  島津 幸広君     斉藤 和子君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     吉野 正芳君

  池田 道孝君     小島 敏文君

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  古川  康君     神山 佐市君

  細田 健一君     宮崎 政久君

  前川  恵君     古田 圭一君

  佐々木隆博君     鈴木 克昌君

  稲津  久君     中川 康洋君

  佐藤 英道君     真山 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     古川  康君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  小島 敏文君     池田 道孝君

  古田 圭一君     前川  恵君

  宮崎 政久君     細田 健一君

  吉野 正芳君     あべ 俊子君

  鈴木 克昌君     佐々木隆博君

  中川 康洋君     稲津  久君

  真山 祐一君     佐藤 英道君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 森林法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)

 農林水産関係の基本施策に関する件

 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

小里委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、森林法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省生産局長今城健晴君、農村振興局長末松広行君、林野庁長官今井敏君、資源エネルギー庁資源エネルギー政策統括調整官吉野恭司君、環境省大臣官房審議官亀澤玲治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。自民党の吉野正芳です。

 森林法及び議員立法で提案される予定であります合法伐採木材等について質問をさせていただきます。

 私たちの地球ができて四十六億年たちます。生命が誕生して四十億年と言われています。その中で、恐竜は何と二億年の長い間生存をしております。これは、自然に逆らわないで、自然の恵みをうまく活用していれば、二億年という長い長い時間生きることができます。絶滅は隕石によるものということで、これは外部の要因で絶滅したと言われております。

 翻って、私たち人類は直近の研究で七百万年くらいたつだろうと言われています。それで高度な文明を築いてきました。でも、二億年後の生物はどうあるべきかという本が出版されまして、「フューチャー・イズ・ワイルド」という、外国の方が書いたんですけれども、ここには人類の姿はございません。いわゆる恐竜よりも長生きができないということであります。

 でも、自然の恵みをどう知恵を出して活用して我々人類を長生きさせるか、恐竜のまねをすれば、自然の恵みをきちんと活用していけば、知恵を出して、汗を出していけば、必ず二億年後の世界にも我々人類はいるのかな、こんな思いをいたしているところであります。

 さて、五年に一遍の森林・林業基本計画が今見直しをされております。その中で、私はびっくりしました。二十七年度の蓄積量は五十億立方あります。二十年後、平成四十七年の蓄積量は五十五億立方です。若干伸びています。でも、一年間に育つ量、成長量、平成二十七年は七千万立方あります。二十年後、何と五千五百万立方なんです。蓄積量はふえているけれども、成長量はかなり落ちている。ということは、森林吸収源等々にもかなり影響をしていくわけであります。これは、切ったら植える、植林していないという、そういうツケが平成四十七年にはあらわれているのかなということであります。

 つまり、森林の持続可能性がかなり低下をしている。今度の森林法等改正法案では、ここの持続可能性をきちんと守っていくんだというところに大きな主眼があろうかと思います。そのポイントがどこにあるのか、まず大臣にお伺いしたいと思います。

森山国務大臣 吉野委員にお答えいたします。

 戦後造林をされた人工林が本格的な利用期を迎えている中で、持続可能な森林をつくるためには、切って、使って、植えるという森林資源の循環利用を促進することが重要であると考えております。今般の法改正は、こうした観点から提案を申し上げているものでございます。

 まず、切ることに関しましては、所在不明の森林所有者がある共有林での伐採や、組合員の利益の増進を図る目的での森林組合による森林経営など、これまで法制上の制約により思うようにできなかった森林における伐採等を、一定の手続を経てできるようにしております。

 また、使うことに関しては、バイオマス発電燃料を含めた木材需要が増大し、県境を越えた木材流通が求められている実態を踏まえまして、木材の広域流通、安定供給の円滑化を図ることとしております。

 さらに、植えることに関しては、伐採後の造林の状況報告を求める制度を創設させていただき、伐採後の再造林を確保することとしております。

 このように、今般の法改正は、まさに切って使って植えるという森林資源の循環利用を促進するための一体的な措置を講ずることにより、林業の成長産業化の実現を図ることを狙いとするものであります。

 以上でございます。

吉野委員 大臣のおっしゃるとおり、持続可能な森をつくっていくということは今度の森林法等の改正の大きなポイントだと思います。ぜひ成立を期待するものであります。

 そして、森林整備をする上で一番基本となるものは、森林台帳、林地台帳だと思います。地主を確定し、境界を確定し等々をやるわけで、平成二十八年度の総務省の地財措置で約五百億、各市町村に台帳整備をする予算が組まれております。でも、それだけでは間に合いません。

 森林法の改正においても、市町村の林地台帳の整備が盛り込まれているところです。平成三十年をめどに林地台帳を整備するということですけれども、制度はつくられても、その中身がきちんと、一番大事なのは中身でありまして、どの山に行って、森林整備をする場合に、台帳はあっても、台帳に書かれていなければ利用できないわけですので、この辺の中身の整備についての林野庁の意気込みといいますか、やる気を聞きたいと思います。

今井政府参考人 林地台帳のお尋ねに関してお答え申し上げます。

 先生から御指摘がありましたように、木材価格が低迷している、あるいは森林所有者の世代交代等によりまして森林経営意欲が低下している中で、現在、森林所有者の所在が不明な森林ですとか林地の境界が不明確な森林が増加してきておりまして、それによって森林整備を進める際の支障となっている、それが現状でございます。

 そうした中で、林地に係る情報といたしましては、都道府県が作成しております森林簿ですとか、約半数の市町村で作成しております森林GISが整備されておりますけれども、これらは、森林所有者ですとか林地の境界に関する情報を一元的に整理したものとはなっていないのが実情でございます。

 そこで、今般の法改正によりましては、市町村がこれらの情報を一元的にまとめたものを林地台帳として整備することとしております。

 その際、林地台帳の整備に当たりましては、まずは、林地等に係る登記簿等の既存の情報を一元化した上で、新たに森林の所有者となった人からの届け出ですとか、今回の法案において新たに措置します森林所有者本人からの台帳情報の修正の申し出ですとか、あるいは各種事業の実施結果によって得られました所有者や境界に関する情報、そういったものを、順次、情報の精度向上を図っていくということが重要であると考えておりまして、そうした姿勢でしっかりと精度の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

 なお、林地台帳の整備につきましては、市町村にとって初めての事務ということもありまして、国と地方自治体による林地台帳の整備等今後の森林整備の推進に向けた協議の場というものを要請に基づいて今回設置したところでございまして、このような場での議論も活用しまして、台帳の整備ですとか、その後の精度向上について、市町村に対し、きめ細やかに対応していきたいと考えております。

 以上です。

吉野委員 次に、違法伐採対策について伺います。

 小泉総理がグレンイーグルズ・サミットで、初めて違法木材は使わないようにしようということでサミットメンバーの合意が得られたわけであります。そして、その年の次の年に、平成十八年なんですけれども、合法木材ガイドラインがつくられまして、グリーン購入法に入りまして、違法木材は使わないという、我が国では、世界で初めて、いわゆる法制度のもとで違法木材を排除する、そういう制度がつくられました。

 もう十年もたつわけでありますけれども、この合法木材ガイドラインが十年間どういう役割を果たしてきたのか、お尋ねしたいと思います。

加藤大臣政務官 合法木材についてのこの十年間の成果についてのお尋ねにお答えをいたします。

 我が国では、グリーン購入法に基づき政府が調達する木製品については、林野庁が定めた木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドラインにより、合法性が証明されたものとしております。

 本ガイドラインに沿って合法性の証明された丸太の量は、国産材については、平成十八年の九十一万立米から平成二十六年の八百五十八万立米、国内生産量に占める割合は五%から四〇%となっておるところでございます。

 輸入材につきましては、平成十八年の五十八万立米から平成二十六年の百六十五万立米であります。総輸入量に占める割合は五%から三一%と、それぞれ増加をしておる現状でございます。

 なお、合法木材を供給する事業者数は、平成十八年の約五千から、平成二十七年の一万二千まで増加をしております。

 このように、合法性が証明された木材、木材製品を政府調達の対象とすること等を通じて、徐々に合法木材の供給体制が整備をされてきておると考えておるところでございます。

吉野委員 TPPの合意でも、環境のチャプターのところで、違法木材は使わないという合意がなされているところです。

 これを受けて、日本政府は、平成二十七年度の補正予算で二億円の予算を計上して調査をしているわけですけれども、どのような調査をしているのか、中途経過でしょうけれどもお示しをしていただきたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のありましたように、農林水産省におきましては、平成二十七年度補正予算におきまして、違法伐採緊急対策事業を措置し、違法伐採、合法木材利用の普及啓発の支援、生産国における違法伐採に係る現地情報の収集等について二億円を措置し、実施を行うこととしたところでございます。

 本事業によりまして、これは民間団体に委託をして行うものですけれども、その民間団体は、これから、マレーシア、ベトナム、そしてチリにおきまして、木材のサプライチェーンや関係法令の運用状況について現地調査を行い、林野庁は本年十二月にその報告書を受け取るという予定になっております。

 報告書の内容につきましては、国内の事業者が、違法に伐採された木材を避け、合法木材を調達することができるよう幅広く提供し、合法木材の利用促進に努めてまいりたいと考えております。

吉野委員 グリーン購入法の合法木材ガイドラインをつくって十年たったんですけれども、十年前は世界各国から我が国は評価をされておりました。でも、最近は評価をされなくて、もっと厳しい法制度をつくれ、そういう御意見が世界各国から出ております。

 外国で既に法整備をしているわけですけれども、どんなような法になっているのか、お尋ねをしたいと思います。

今井政府参考人 外国での違法伐採対策の法整備についてお答え申し上げます。

 違法に伐採された木材及びその製品が国内に流通することを防ぐため、EU、アメリカ、オーストラリアにおきましては、法律によりまして、木材輸入業者などの木材を供給する事業者に対しまして、その調達する木材、木製品について合法性の確認を義務づける、その上で、事業者の取り組みを担保する措置として罰則を設けている、そういうような法律構成になっていると承知しております。

 アメリカにおきましてはレイシー法という法律、EUにおきましてはEU木材規則、オーストラリアにおきましては違法伐採禁止法、そういう法律で、共通するのは、先ほど申し上げましたような合法性の確認の義務づけと罰則による担保という構成になっていると承知しております。

吉野委員 長官に再度お尋ねしますけれども、外国の法律が整備されたわけですけれども、それによって、法にかかったという事例はございますか。

今井政府参考人 アメリカにおいては、二社において罰則の適用があったということは承知しておりますが、EU、オーストラリアにおきましては、罰則の適用についてはまだないというふうに承知しております。

吉野委員 EU、オーストラリアでは、いわゆる供給サイドにデューデリジェンスという義務を課すという、供給サイドに重きを置いた法体系になっていると思います。

 今回、委員長提案で出される予定である我が国のものは、供給サイドプラス需要サイド、なぜ合法木材が売れないのか、いわゆる違法木材が売れるのは需要があるからだということで、需要サイドに、合法木材しか使いませんというある意味の宣言をしてもらう、ここに大きな我が国の特徴があろうかと思います。

 そういう意味でも、ぜひ、皆様方の御理解を得て、きょう、議員立法で御理解をいただきたいというふうに思います。

 さて、森林環境税であります。

 これは、森林整備をする上で、安定財源がどうしても必要であります。温暖化対策においても必要でありまして、去年の十二月に、与党の税制大綱にこう書かれております。「市町村が主体となった森林・林業施策を推進することとし、これに必要な財源として、都市・地方を通じて国民に等しく負担を求め、市町村による継続的かつ安定的な森林整備等の財源に充てる税制(森林環境税(仮称))等の新たな仕組みを検討する。その時期については、適切に判断する。」と書かれております。

 林野庁として、税調大綱の趣旨を反映した仮称森林環境税の骨格を今検討しているというふうに思うんですけれども、その検討状況についてお伺いしたいと思います。

今井政府参考人 二十八年度与党税制大綱において位置づけられました森林環境税の検討の方向につきましては、長年の懸案になっておりました森林吸収源対策の安定財源確保に向けた道筋をつけていただいたものというふうに受けとめております。

 それで、この森林環境税の具体化に当たりましては、例えば、市町村等が主体となって行います森林整備を具体的に進める仕組みをこれからどういうふうにつくっていくか、あるいは、現在、県の独自課税として住民税の上乗せ措置がされておりますけれども、そうしたものとの関係、あるいは現行国庫補助事業でやっているものとの関係、さらには、これらを踏まえた事業規模をどうしていくかといった今後さらに整理すべき課題もありますけれども、与党税制改正大綱で示された新たな仕組みが森林整備を安定的に進める上で効果的なものとなるよう、引き続き、当省が中心となって検討を急いでいきたいと考えております。

吉野委員 実施時期については、「適切に判断する。」というふうに大綱には書かれているところですけれども、林野庁としては、二十九年四月を実施時期にしてほしいという強い要望を私は出すべきだというふうに思っております。そこについての林野庁のやる気といいますか、そこまできちんと骨格を固めて税調の方に申し入れをすべきだというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

伊東副大臣 お答えいたします。

 森林環境税の導入につきましては、今、吉野委員御指摘のとおり、与党税制改正大綱において、「適切に判断する。」とされているところでありますが、農林水産省といたしましては、与党の皆様と御相談をいたしながら、できるだけ早期の導入を目指し、新たな仕組みが効果的なものとなるよう、事務方に具体的に制度の検討を急がせたい、このように考えております。

吉野委員 ありがとうございます。やはり政治主導で、事務方に、まず骨格を早くつくって、そして後は政治の世界で、導入の時期をいかに早めるかということでありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、木材のマテリアル利用についてちょっと質問をしてみたいと思います。

 同じく昨年の与党の税調大綱に、「エネルギー起源CO2の排出抑制のための木質バイオマスのエネルギー利用や木材のマテリアル利用を普及していくことは、森林吸収源対策の推進にも寄与することから、地球温暖化対策のための税について、その本格的な普及に向けたモデル事業や技術開発、調査への活用の充実を図ることとし、経済産業省、環境省、林野庁の三省庁は連携して取り組む。」というふうに書かれております。

 まさに、活用の充実を図っていく、これは石油石炭税の上乗せでありまして、いわゆる環境税でございます。地球温暖化対策のための税について活用の充実を図っていくというふうに大綱では書かれております。

 低炭素社会をつくるためには、低炭素の材料、これで世の中をつくっていかねばならないと思います。例えば、鉄という素材は、山に行って鉄鉱石をとってきます。たくさんブルドーザーを動かしてCO2を出します。そして、鉄鉱石になれば、次は溶鉱炉でこれまたたくさんCO2を出して、やっと鉄という材料、素材ができるわけであります。木材と比べると、木材は吸収をして貯蔵をしていくわけですから、行った来たが違うわけでありますので、CLT工法等、今、木材でビルが建つ、そういう時代になっておりますので、低炭素な材料をこれから我々は使っていかなければならないわけであります。

 木材がマテリアルとしてどんどん使われる事業を創設すべきと私は思いますが、林野庁と、同税を所管する経産省の意気込み、ここをお伺いしたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 今吉野先生から御指摘がありましたように、平成二十八年度の与党税制大綱におきましては、森林環境税と並びまして、地球温暖化対策税の活用ということも明記されたところでございます。これを踏まえまして、林野庁といたしましては、経済産業省及び環境省と連携して、この地球温暖化対策税の活用を図っていきたいというふうに考えております。

 まず、本年度、平成二十八年度からですけれども、農林水産省といたしましては、地方公共団体あるいは関係団体、事業者等に情報提供を行いまして、積極的にエネルギー起源CO2の排出抑制のための木質バイオマスですとか木材のマテリアル利用に係る事業に応募してもらうような働きかけを行っているところでございます。

 また、来年度、平成二十九年度の事業の活用につきましては、この与党税制大綱を踏まえまして、木質バイオマスのエネルギー利用、木材のマテリアル利用などの本格的な普及に向けたモデル事業あるいは技術開発、調査への活用、そういったところの充実を図るべく検討を進めていく考えでございます。

吉野政府参考人 お答えいたします。

 私ども経産省といたしましても、与党税制改正大綱におきまして、木材のマテリアル利用の普及に向けて環境省、林野庁等と連携をして取り組むこととなっているということで承知をしておるところでございます。

 経産省としましては、二十八年度予算におきまして、木材を原料として、鉄鋼の五分の一の軽さで五倍以上の強度を持つとされる高機能リグノセルロースナノファイバーの技術開発ですとか、それから、今後課題になります建築物のゼロエネルギー化を推進する観点から、木材を利用した断熱性の高い建材の導入、これをモデル事業として進めていくことに関して、林野庁とも連携して取り組んでいきたいと考えております。

 引き続き、御指摘のございました大綱を踏まえまして、省エネルギー性能の高い木材製品の利用を促進するモデル事業などに、環境省、林野庁と連携をして、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

吉野委員 両省とも、大綱の意を酌んで、積極的に木材の利用を図ってほしいと思います。

 ちょっと飛ばしちゃった質問がございますので、それをやります。

 森林法の改正の中で、奥地水源林の整備のところでございます。

 今回、名称を変更して、森林総合研究所を森林研究・整備機構という形で、森林整備も新しい機構の大きな仕事だという位置づけをしているところです。そして、新しい分野にも機構ができるような法改正になっていますけれども、いわゆる民間事業者との協力関係、コラボレーションという形で私はやってほしい、このように思うわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

今井政府参考人 水源林造成事業のお尋ねにお答えいたします。

 現行の森林総合研究所が行っております水源林造成業務は、奥地水源林地域におきまして、土地所有者等との契約によって、旧森林開発公団以来、公的主体が植栽段階から森林の造成を行っているものでございます。

 一方で、奥地水源地域におきましては、土地所有者によって植栽はされたものの、経営条件の厳しさから、その後の間伐等の森林施業が適切に行われないまま、過密化し水源涵養機能等の公益的機能が損なわれる、そういったことが危惧されている森林も多くなってきているのも実情でございます。

 そうした状況を踏まえまして、今般の法改正におきましては、従来の土地所有者等との契約による造林に加えまして、土地所有者が植栽した育成途上の水源林の公益的機能の維持に必要な森林施業についても水源林造成業務の中に含めるという改正を行うとともに、奥地水源林地域について保安林の施業を早急に進める必要がありますので、その担い手として、都道府県とともにこの機構を位置づけるという改正を行うこととしております。

 その際の、民間事業者との関係についての御質問がありましたけれども、この新たな業務につきましては、これまでの水源林造成事業と同様に、奥地水源地域に位置し、森林所有者の自助努力によっては適切な整備が期待できない、公的主体でなければなかなか森林整備が実施できない箇所で行うということと、事業の実施に当たりましては、機構が直接行うのではなく、機構が地元の森林組合ですとか造林事業体に事業を委託して実施するというやり方を考えておりますので、民間に対する悪影響等はないものと承知をしております。

吉野委員 もう一つ、合法木材ガイドライン、十年たったんですけれども、改善すべき点があるのかないのか、あれば、どういう点が改善すべき点なのか、ここもお尋ねしたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 先ほど加藤大臣政務官から、この十年間の合法木材のグリーン購入法に基づく成果の答弁をさせていただきまして、その際に、合法性が証明された木材、木材製品を政府調達の対象とすることを通じて、徐々にではありますけれども、合法木材の供給体制が整備されてきているというふうに考えております一方で、グリーン購入法は、政府調達分野での木材の合法性の証明を求める一方で、木材の需要の九割を占める民間分野は対象としていないために、民間分野における合法木材利用の取り組みがおくれているのではないかというような指摘を各方面から受けているのも事実でございます。

 このため、農林水産省といたしましては、企業等を対象とした合法木材利用促進のためのセミナーの開催ですとか一般消費者向けの展示会の開催支援等によりまして、民間分野における合法木材の利用拡大について普及啓発活動も実施してきているところでございますが、今後、本格的に民間分野での合法木材の利用拡大を進めていく必要があるというふうに今認識をしているところでございます。

吉野委員 今長官がおっしゃったように、国の調達では合法木材制度はきちんと根づいております。でも、まだ民間のところには広まっていないということでありますので、今度の委員長提案である議員立法は、まさにこの民間のところに合法木材を使っていこうという形になりますので、ぜひとも皆様方の御賛同を得たいと思います。

 最後に、実は私は福島県選出の国会議員であります。我が福島県は、東日本大震災で原発事故が起きて、被災をしております。福島の山、ここをどう再生していくかというのは重要な、我々福島県選出の国会議員にとっては大きな仕事になっております。

 現在、森林・林業の再生に向けた事業を国でとっているわけですけれども、その事業の進捗ぐあい、そして課題等々がございますれば、お話を伺いたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 福島県の森林・林業の再生につきましては、本年の三月九日、復興庁、農林水産省、環境省、三省庁によるプロジェクトチームが開催されまして、森山大臣にも出席していただいた上で、福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組というものが取りまとめられたところでございます。

 これに基づきまして、林野庁といたしましては、住居周辺の里山の再生に向けた取り組み、放射性物質対策と森林整備を一体的に行う取り組みの継続的な実施、さらには林内作業者の放射線の安全、安心対策に関するガイドブックの作成、こういったことを他省庁とも連携しながら総合的に進めていくこととしております。

 中でも、里山の再生に係る里山再生モデル事業の具体的な進め方につきましては、この四月七日に関係省庁及び福島県による事務方の連絡会議を開催いたしまして、今後、関係市町村の意向も把握した上で、夏ごろを目途にモデル地域の選定を行い、事業を着実に実施していくという方向について、関係者の間で確認をしたところでございます。また、それを踏まえて、現在、林野庁の担当者も各市町村に赴きまして、意向把握等も行っているところでございます。

 林野庁といたしましては、引き続き、関係省庁や福島県と連携をして、福島の森林・林業の再生に向けた取り組みを一層積極的に進めてまいる考えでございます。

吉野委員 ぜひモデル事業等を進めていただきたいと思います。

 福島県は今、県木連を中心に、自主規制ルールをつくっています。〇・五マイクロシーベルト・パー・アワー、空間線量ですけれども、ここ以下じゃないと伐採はできないという自主ルールを決めています。

 福島県の全森林の実に九割は、〇・五マイクロシーベルト・パー・アワー以下であります。一割が切れない地域になっていますけれども、そういう意味でも、福島県の林業、林政、木材産業、頑張っておりますので、皆様方の御支援をよろしくお願い申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。

 きょうはありがとうございます。

小里委員長 次に、上田勇君。

上田委員 どうも、おはようございます。公明党の上田勇でございます。

 まず、熊本、大分県を震源といたします地震で被災をされました多くの皆様方に、改めてお見舞いを申し上げる次第であります。

 この地震におきましては、農地、ハウス、畜舎等各種農業施設、また用水路等の農業水利施設、山林、林業関係施設などに多大な被害が発生をしているというふうに承知しております。

 現時点で把握をできている被害の概況についてまず御報告をいただければというふうに思います。

森山国務大臣 上田委員にお答えいたします。

 農林水産省といたしましては、地震発生直後から九州農政局に立ち上げました現地対策本部を中心に、被災状況の迅速な把握に努めるとともに、被災された皆様に対する食料支援を行ってきたところでございます。

 食料支援につきましては、食料供給の担当責任者である櫻庭食料産業局長を現地に派遣いたしまして、関係機関、業界の協力を得ながら、被災された皆様のお手元に確実に届くように努めてきたところであり、引き続き、ニーズをしっかりと捉えて応えてまいりたいと考えております。

 他方、交通網の復旧が進んできたことに伴いまして、農業用施設の損壊や死亡牛の発生など、農林水産業への被害も明らかとなってきているところであります。現時点では、農地の地割れや液状化、選果場の破損、農業用ハウスの損傷、乳業工場の操業停止、畜舎等の損壊、死亡牛の発生、一部のため池のひび割れ、林地の荒廃、林道施設の損壊等の被害が生じていると報告を受けております。

 農林水産省といたしましては、本省の担当課長、農業土木技術職員、森林土木技術職員、水産庁職員を現地に派遣させていただき、速やかに被害状況の全容を把握するとともに、今後の激甚災害の指定を受け、関係自治体とも連携をして、一日も早い経営再開に向けて迅速かつ的確な復旧を図ってまいりたいと考えております。

 田植えの時期を迎えますので非常に気になるところでありますが、きょうも担当課長を派遣いたしまして、田植えのできる地域と、米は植えられないけれどもほかの作物を植えることが可能な地域があるのかどうか等について現地で判断をさせたいと考えております。

 以上でございます。

上田委員 ありがとうございます。

 まだ地震が続いている中で、なかなか全容を把握するというのには困難な面もあるんじゃないかというふうには思います。先週十九日には、私たち公明党農林水産部会といたしましても、森山大臣に御要請もさせていただきました。今御答弁のありましたとおり、一日も早い復旧と営農が再開できるように、引き続き万全の対応を御要望させていただきたいというふうに思います。

 続いて、法案の内容について何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、今回、この森林法等の改正におきまして、これからの森林それから林業の振興を図っていくというさまざまな施策が盛り込まれております。そして、安定した森林経営を確立していくためには、やはり木材生産の拡大と安定がどうしても必要でございます。

 林業産出額は、ピーク時の昭和五十五年だったというふうに聞いておりますけれども、当時は一・二兆円あったものが、長期減少のトレンドがずっと続いて、近年若干増加に転じているとはいうものの、平成二十六年のデータでは四千五百億円程度ということでありますので、半分以下になっております。この間、林業者の経営意欲も減退をし、従事者も激減をしてまいりました。

 これに対するにはやはり木材需要をふやしていかなければならないというのが根本にあります。その中でも、特に、木材需要の四割を占めているのが建設用材でありまして、国産材について見れば、さらにもっと高い割合を占めております。その中でも、やはり、現在、新築住宅の四分の一程度が枠組み壁工法と言われているんですね、いわゆるツーバイフォー、ここは輸入材の利用の割合が高いとも言われております。この分野でも国産材の利用拡大に取り組んでいかなければならないだろうというふうに考えます。

 また、先ほどの吉野委員の質問にありましたけれども、中高層建築物や公共建築物の木造建築、まだまだ少ないのが現状であります。近年、林野庁と国土交通省が協力をいたしまして、CLTや耐火性部材の利用拡大などの新たな技術の開発普及も相当進んできていると承知をしております。この分野は、やはり今後の需要拡大が望める、期待できる分野だというふうに考えております。

 これまで、建築物における木材の需要拡大についてさまざまな御努力が行われてきたことは承知をしておりますが、効果という面では必ずしも十分とは言えない面も多いんじゃないかというふうに思います。今後のこうした建築物、最大の需要を占める建築物における木材の需要拡大に向けての取り組みについて、御見解をお伺いしたいと思います。

伊東副大臣 上田委員の御質問にお答えを申し上げます。

 委員おっしゃられるとおり、建築分野での木材利用の促進は、国産材需要を確保する上で極めて重要であると、同様の認識をしているところでございます。

 この建築分野のうち、住宅分野につきましては国産材需要の過半を占めておりまして、工務店等と林業、木材加工業の連携による地域材を活用した住宅づくりの推進等に取り組んできているところであります。

 非住宅の分野におきましても、これまで、公共建築物等木材利用促進法に基づきまして、木造公共施設の整備への支援等を行ってきたところであります。これは、法律施行後、順調に伸びてきている、このように理解をしているところでございます。

 今後は、本年四月までに、CLT、お話ございました直交集成材の関連告示が施行されたこと等を踏まえまして、中高層建築物等に活用可能なCLTやあるいは耐火部材などの新たな製品、技術を活用した建築物等の実用化と普及にも力を入れ、さらなる建築分野での木材需要の拡大に力を入れていくこととしております。

 今後とも、国土交通省など関係省庁と連携しつつ、国産材の需要拡大に向けて、さらに取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

上田委員 もう一つ、需要の拡大が望める分野に、木質バイオマスエネルギーの分野があります。

 特に、この木質バイオマスのエネルギー利用では、未利用間伐材による発電とか、またチップやペレットなどに加工してのボイラーの導入などもかなり進んできていると聞いております。発電所は全国で約二十カ所建設をされているというふうに承知をしております。

 ただ一方で、ヨーロッパ、特にオーストリアなんかは非常に有名なんですけれども、とかスウェーデンとかそういった国々では、こうした木質バイオマスの利用というのがエネルギー供給のかなりの部分を占めるというところまで来ている。それに比べれば、まだ我が国における取り組みというのはこれから発展の余地があるのではないかというふうに思っております。

 木質バイオマスは我が国の重要な国産エネルギー資源でありますし、今後の普及等による需要拡大というのが期待できるものだというふうに思っております。

 この木質バイオマスの利用の重要性についての認識、それからまた今後の取り組みにつきまして、御見解を伺いたいというふうに思います。

今井政府参考人 需要拡大についての木質バイオマスのエネルギー利用についてのお尋ねでございました。

 木質バイオマスのエネルギー利用は、本格的な利用期を迎えております国産材の大きな需要先となるだけでなく、今まで未利用で使っていなかったものが使えるということで、地域経済の活性化ですとか地元への雇用の創出など、地方創生の面でも大きな貢献ができる分野ではないかと考えているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、山元に利益が還元されるということが非常に重要な視点だと思っておりまして、木材のカスケード利用を前提として未利用の間伐材等の利用を促進していくという観点から、一つは、木質チップやペレットの製造施設、あるいは、ボイラーなど熱利用施設などの整備への支援、さらには、木質バイオマス事業者と原木供給者との間で安定的な取引に関する協定を締結する、そういったことの促進、さらには、生産コスト低減に向けた路網整備ですとか高性能林業機械の導入への支援、そういった取り組みを行っているところでございます。

 現在、固定価格買い取り制度のもとで設備認定を受けた未利用木材を利用する木質バイオマス発電所は五十八件認定されておりますが、そのうち既に二十二件が稼働しております。

 そうした状況の中で、今後とも引き続き、これらの施策によりまして山元に適切に利益が還元され、未利用間伐材等の木質バイオマスがエネルギーとして適正に利用されるように取り組んでいきたいと考えております。

上田委員 ありがとうございます。

 需要を拡大していくことが重要なんですけれども、それに見合う供給力もやはり拡大をしていかなければなりません。需要だけふえても結局は輸入材がふえるということになりますので、今回の法改正におきましては供給力をふやしていくためのさまざまな方策が盛り込まれていると承知をしております。時間の関係でここの部分はちょっと質問は省略をさせていただきますけれども、やはり、今回の法案でこうした制度が整備をされた、それによって国産材の供給力を増強していく、そうした取り組みを引き続き強力に進めていただきますようにお願いしたいというふうに思います。

 次に、この法案の中の林地台帳の作成についてお伺いをしたいというふうに思います。

 今、林地の所有者とか境界線などの情報というのは、法務局にあったり、それから森林組合が持っていたり市町村が持っていたりということでばらばらに保有をされておりまして、まとまった形で備えられていないというのが現状であります。これを一つの統一した形で台帳として整備をするというのはいろいろな意味で意義が大きいというふうに考えています。

 ただ、これは相当大変な作業になるんじゃないかというふうに思っています。情報を突き合わせて集約するだけでも大変な事務量でありますし、しかも、現状は、林地だと、境界線などの情報というのが必ずしも正確なものが備えられていない、現況となかなか合わないといった事態もあるのが現状であります。これを市町村が実施をしていくというのは相当負担が大きいというふうに考えておりまして、これはやはり国の全面的なバックアップがなければ実際にはなかなか進まないだろう。一つの境界線や所有者を確定するだけでもやはり技術者や専門家も多数必要になってまいりますし、そうした国による強力な支援が必要だというふうに考えておりますけれども、それについて農水省としての御見解を伺いたいというふうに思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘ありましたように、林地に関する情報といたしましては、現在、都道府県が作成しております森林簿、あるいは市町村が作成しております森林GIS、そういったものもありますけれども、森林所有者や林地の境界に関する情報が一元化されていないというのが実情でございまして、今般の改正におきましては、そうした実態を踏まえて、市町村がこれらの情報を一元的にまとめたものを林地台帳として整備するということにしております。

 ただ、これも今御指摘いただいたように、市町村にとりましては初めての取り組みでもありますし、これを円滑に進めていくためには各般にわたる国からの支援というものも非常に重要なものとなっていると考えております。

 そこで、現時点におきまして、国としては、市町村における林地台帳の作成に当たり、まず一つは、統一的な作業手順ですとかマニュアル等を国から丁寧に指し示すということをまず行った上で、マンパワーの面では、市町村役場等は非常に人材も手薄になっている実情でありますので、国有林の職員OBの手伝いですとか都道府県のOB等の活用というものも検討してみるですとか、さらには、予算面におきましては、現在でも市町村の森林GISの整備に対する支援を行っておりますけれども、それを引き続き行っていくほか、平成二十八年度の地方財政計画におきまして、新たに林地台帳の整備を含む森林・林業対策として五百億円が総務省の方から措置されておりますので、その活用を行っていく、こうしたことを総動員しながら林地台帳の整備が円滑に進められるよう取り組んでいきたいと考えております。

上田委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったとおり、これはなかなか大変な作業になってまいりますので、ひとつ国とそれから都道府県また市町村、しっかりと協力して進めていっていただきたいというふうに考えております。

 もう最後ですけれども、違法伐採木材についてでございます。

 本日の委員会は、この後、委員長提案で、合法木材の利用を促進することを通じて違法伐採木材の流通、利用の撲滅を目指していくという趣旨の法案が提案をされ、可決をされる見通しであります。

 これまで、この違法伐採木材問題については、G7サミットを初め国際的な枠組みでも対策の強化についてさまざまな議論がなされてまいりました。我が国でもこれまで、違法伐採木材は利用しないんだという大前提のもとでさまざまな施策に取り組んできたわけでありますけれども、我が国における違法伐採木材の流通並びに利用の現状、及び、これまでどういう方策を講じてきたのかについてお伺いしたいというふうに思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 我が国におきましては、グリーン購入法に基づきまして、政府が調達する木製品につきましては、林野庁が定めました木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン、これによりまして合法性が証明されたものというふうにしまして、これにより合法木材の利用が拡大するように進めてきたところでございます。

 本ガイドラインによりまして合法性が証明された丸太の量は、国産材も輸入材もそれぞれ増加しておりますし、合法木材を供給する事業者数につきましても、制度が始まった平成十八年の約五千から平成二十七年には二倍以上に増加しているところでございます。

 ただ一方で、グリーン購入法は木材需要の九割を占める民間分野は対象としていないという構成になっておりますので、農林水産省といたしましては、企業を対象としたセミナーの開催ですとか、一般消費者向けの展示会の開催支援等によりまして、民間分野における合法木材の利用拡大についても普及啓発活動を実施してきたところでございます。

 こうした中で、今後さらに民間分野での合法木材の利用拡大に本格的に取り組んでいく必要があるという認識を高めているところでございます。

上田委員 これで終わらせていただきますが、引き続き、やはり違法伐採木材の利用はしていかない、そういった政府の基本方針を堅持していただきまして、今いろいろと御答弁いただきました普及啓蒙もさらに強力に進めていただくように要望いたしまして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

小里委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 鈴木であります。

 私からも、まず、九州・熊本で災害に遭遇され、お亡くなりになり、また大変な被害をお受けになっている皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げ、一日も早い御回復を心から御期待申し上げ、また、徹底的に我が党も挙げて支援をさせていただく、このことをお約束させていただきたいというふうに思っています。

 さて、今回、質問の機会をいただきました。森林法の改正、それから森林組合法の改正、そして違法伐採対策という順に通告をさせていただいておるわけでありますが、違法伐採対策からまず始めさせていただきたい、このように思っておりますので、あらかじめ御了解をいただきたいというふうに思います。

 我が国は、言うまでもありませんけれども、国土の六六%、三分の二が森林であります。これは世界でも、フィンランドやスウェーデンに次いで、ある意味では森林の本当に多い国でございます。

 森林は、人々に与える影響というのは非常に大きいわけでありますが、日本学術会議の試算では、いわゆる地球環境保全、それから水源涵養、土壌保全と土砂災害防止、そして保健、レクリエーション機能、この四つの機能で年間約七十兆円の経済効果がある、このように言われておるのはもう既に御案内のとおりであります。

 そこで、少し、違法伐採対策について、なぜ今必要かというところから入らせていただきたいと思うんです。

 これは、グローバル・ウィットネスというNGOが出した、きょう冊子を持ってきたんですが、そこの冒頭に、「世界の多くの国が違法伐採問題にとりくむ必要性に目覚めている。違法伐採は熱帯雨林を破壊し、気候変動を悪化させ、森林に住む人々の住居、食料、薬を奪い、豊かな森林をもちながら金銭的に貧しい国々の経済を損なう一方で、国際組織犯罪を助長している。 この脅威の深刻さを理解する主要木材消費国の大半は、需要を抑制することで違法木材市場に打撃を与えるべく、違法に調達された木材製品の輸入を禁止する措置をとってきた。」これはまだ続くわけでありますが、これぐらいにさせていただきます。

 そういうことで、いわゆる林業の成長産業、そしてまた木材産業の持続的かつ健全な発展を実現するためには、違法伐採の問題について、これは本当に今ここで真剣に考えていく必要があるというふうに思うわけであります。それが今回の委員長提案のこの法律になった、このように理解をいたしております。

 アメリカやEUの話も先ほど吉野委員の質問の中にもありました。厳しい違法伐採対策の規制が制定されている中で、日本が実効性のある違法伐採対策を実施しなければ、他の消費国に輸出できない違法リスクの高い木材が、規制のない日本に流入してくることが懸念をされるということであります。

 日本は世界最大の熱帯材合板の消費国であります。その約半分をマレーシア・サラワク州から輸入しておるわけであります。

 先週公表された、先ほど御紹介したこのNGOの報告書によれば、日本の木材輸入大手商社七社の実名を挙げて、これらの会社が、いずれも違法伐採を行っている現地伐採会社との取引を継続しており、問題を指摘されているにもかかわらず、現地調査を十分に行っていないことが指摘されていますということであります。

 これは一NGOの報告でありますので、実態は私もつぶさに承知をしておるわけではありませんけれども、しかし、こういうことを指摘されるというのは、やはり責任ある木材調達国ということは言えないんじゃないかというふうに私は思うわけであります。

 そんな中、先ほども申し上げましたように、超党派の議員立法で、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律が提出される。これは本当に時宜を得たものであるし、ここまでこぎつけていただいた委員長初め関係各位に感謝を申し上げたいというふうに私は思います。

 我が党も、この問題、真剣に議論をさせていただき、かなりいろいろなことを申し上げました。そういった無理もある部分聞いていただいて今回の法律になったということで、本当に喜んでおる一人でございます。

 ただ、やはり、仏つくって魂入れずということになっては何にもなりませんので、数点にわたって今からちょっとお尋ねをさせていただきたいというふうに思うわけであります。

 まず、木材の合法性の確認、ここが非常に難しいところだというふうに思うんですが、これについてお伺いをしていきたいと思います。

 違法伐採木材の流入を防止するためには、事業者が木材の合法性の確認を行うことが最も大事であります。その際、原産国政府のガバナンスが不十分な場合には、形式的な書類の確認にとどまらず、適切なリスク評価及びリスク緩和措置を行うことや、木材の原産国における先住民など森林を利用している第三者の権利も考慮する必要がある、このように考えるわけでありますが、その点、林野庁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

今井政府参考人 合法性の確認の方法についての御質問がございました。

 我が国におきましては、グリーン購入法に基づきまして政府が調達する木製品について、林野庁が定めたガイドラインにより、合法性が証明されたものということにして、合法木材の利用の拡大を進めてきたところでございます。

 ただ、今先生から御指摘がありましたように、証明書類による確認ができない場合などもございまして、その際に、事業者自身に違法伐採木材のリスク等を適切に評価させるということが難しい場合もあると承知しております。

 そのため、そうした場合には、林野庁といたしましても、民間受託による委託事業等を通じまして、各国の法令の施行状況ですとか木材の流通状況等について、各国の制度、木材の生産、流通に関する情報を把握して、それを事業者に情報提供して、事業者の負担を軽くしていく、そういった努力も必要かなというふうに考えておりまして、いろいろな情報を収集しながら国としての責務も適切に果たしていきたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(克)委員 まさにこのところが、どの木材が合法なものであるかどうかの確認というのは本当に難しいと思います。

 ただ、原産国の政府のガバナンスが不十分と言うと大変誤解があるかもしれませんけれども、やはりそういうところもあると思います。

 したがって、今長官がおっしゃったように、情報収集を徹底していただいて、本当に実のあるといいますか、効果のある形をぜひとっていただきたい、このことをお願い申し上げるわけであります。

 続いて、事業者の取り組みをどう促すか、今の御答弁の中にも若干あったわけでありますが、ここについて再度お伺いをしたいんです。

 違法伐採木材の流入を防止するためには、できるだけ多くの事業者が任意の取り組みを行うことが必要であります。しかし、単にその数がふえればよいというわけではありません。適切な基準に基づいた取り組みを行う事業者の数をふやす、このことが重要であるわけであります。

 こうした事業者による取り組みを促すためにどのような措置を講じていくのか、林野庁にその決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 違法伐採木材につきましては、木材を見ただけでは、その木材が違法に伐採された木材なのかそうでないものなのかという区別がなかなかできないという難しさがございます。そういうことから、違法伐採木材の流入を防止するためには、合法木材の利用を拡大させるというアプローチをとることが非常に重要なのではないかというふうに考えております。

 その合法木材の利用を拡大するというアプローチをとろうとする場合には、取り扱う木材について合法性を確認する、そういった取り組みに参加してくれる事業者をふやしていく、まさに今先生から御提案のあったような取り組みを進めていくということが重要かと思っております。

 このため、農林水産省といたしましては、関係省庁とも連携しながら、木材の供給側であります輸入事業者や国内の木材業界への働きかけを強化することはもとより、川下の実需者側である紙ですとか家具ですとか建設等の事業分野についても合法木材の利用を促していく、両面のアプローチが重要かと考えておりまして、そのような取り組みを通じまして事業者による取り組みの普及、定着を図っていきたいというふうに考えております。

鈴木(克)委員 まさにおっしゃるように、どの木材が違法なのかということはなかなか見きわめにくい、だから世界じゅうでもこれが大問題になっているわけですよね。

 そういう中で、逆に合法木材の流入を促進していく、確かに、逆もまた真なりということであるわけでありますが、この部分も、理屈を言えば、何が合法なのかということで、何が違法かがわからないのは、裏を返せば、何が合法かわからないということにもなってくるわけであります。したがって、そこのところをやはり所管庁としてしっかりと取り組んでいっていただきたい、こう思うものですから、屋上屋を重ねる議論で恐縮でありますが、申し上げておるところであります。

 今長官から関係省庁とのお話も出ました。まさに、林野庁が所管する事業者のみならず、今お話がありました、経産省は家具業界、製紙業界、国交省は建設業界など、本当に幾多の関係省庁があるわけでありますし、関係業者があるわけであります。

 もう一度、その辺の関係省庁との連携というものについて、長官からその決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

今井政府参考人 関係省庁との連携についてのお尋ねでございます。

 現在のグリーン購入法の枠組みの中におきましても、家具ですとか公共工事に用いられます製材、合板など、合法性証明の対象となっている林野庁所管以外の役所で所管している物資もございます。

 そういうことから、現在におきましても、そういう業界を所管する経済産業省あるいは国土交通省とも連携を図って、合法性証明の取り組みをやっているところでございます。

 今般、与野党で御議論いただいております新しい枠組みにおきましても、木材関連事業者の登録制度というものにより合法木材の利用を促すという枠組みと承知しておりますけれども、その際におきましては、先ほど先生からも御指摘のありました製紙業界、建設業界、そういった業界との関係も出てまいりますので、引き続き、経済産業省あるいは国土交通省等との連携を一層緊密に制度の推進に当たっていきたいというふうに考えております。

鈴木(克)委員 まさに、関係省庁と連携をしてきちっと対処していくという姿勢は、私は本当に大事だというふうに思います。

 ややもすれば、なかなか、直接ではないので、それは林野庁さんがおやりになればいいんじゃないですかというようなことを絶対させないように、これはしっかりまた大臣にも後でお願いをしたいと思いますけれども、このところの連携をびしっとやっていくことがやはりこの問題を解決する一歩になっていくのではないかな、このように思っております。

 続いて、世界の例でいくと、かなり規制も厳しいし、罰則も厳しいということなんですが、なかなか、今我が国の中で罰則をということは非常に問題があります。

 したがって、それはさておいて、事業者の取り組みが不十分な場合に、それを是正させるといいますか、是正をする必要性について伺ってまいりたいというふうに思います。

 違法木材の日本への流入を防止するためには、リスクの高い取引を行っていることが懸念される事業者に焦点を当てて、事業者による合法伐採木材の利用の実施状況に関する情報を把握する必要がある、このとおりでございます。そして、違法伐採木材の取り扱いが懸念をされる場合にはその是正に努めるということが必要だと思うんですが、どういう形で是正に努めるかというところの見解をお聞かせいただきたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 国内におきます違法伐採木材の流通を防止するためには、違法伐採のおそれがあるとされる国ですとか地域からの取引を行っている事業者について、合法性が確認された木材を取り扱うように指導していくということが重要になるのではないか。

 先ほど、吉野先生からの質問で、諸外国では罰則で担保している国もあるようだがという御質問をいただきましたけれども、その際にも、アメリカで二社だけ罰則の適用があったというのが現実でございますので、そういった実態を考えますと、罰則で担保するということだけではなくて、違法伐採のおそれがある国や地域との取引を行っている事業者を指導監督していくというアプローチも非常に重要になってくるのではないかと思っております。

 このため、これまでも、業界団体が開催します合法木材を取り扱っている事業体を対象とした研修会等におきまして、違法伐採問題というのはどういう問題なんだということを周知して、その上で、違法伐採木材を取り扱わないようにしてくださいというような注意喚起等を行ってきたところでございます。

 そういう延長線上で、今回新しい法制度ができた場合には、不適切な対応を行っている事業者等に対し、是正のための指導なり助言、そういったものを強化していくということが特に重要になるかなと考えているところでございます。

鈴木(克)委員 いろいろと御答弁ありがとうございます。

 まさに指導助言を徹底的にやっていただく、そして、研修会等で取り扱わないようにお願いをするということではなくて、もう取り扱ってはならないんだ、罰則はないけれども、日本として絶対にそれはもうやらないんだというぐらいの強い決意でもって臨んでいただきたいというふうに私は思います。それが今回の超党派で出す違法伐採の法律の真髄だというふうに私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いします。

 ちょっと視点を変えまして、TPP関連の、二十七年の補正で予算化された違法伐採対策緊急事業についてお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、この事業の目標設定についてお伺いをしたいんですが、この事業の説明資料の中で、輸入木材のうち合法性の証明された木材の割合を、平成二十六年の三八%から平成三十二年に七〇%にするということが説明されておるわけです。

 これは、大臣にも後でまとめてお答えいただきたいんですけれども、七〇%という目標は私はやはり低いと思うんですよね。世界は、だめだ、やらない、数値は言っていませんけれども、要は、一〇〇%だめだということを言っているのに、日本は掲げておる目標が最初から七〇%ですよ、これはやはり、いかにも日本というのはゆるゆるではないのかなと思われてしまうというふうに思います。

 そこで、大臣、これはやはり目標ですから、高く掲げるのは当たり前ですよ。最初からできそうなところへ目標を置くなんというのは私は目標じゃないというふうに思いますので、このことについてちょっと大臣から直接御答弁いただきたいと思います。

森山国務大臣 鈴木委員にお答え申し上げます。

 我が国では、グリーン購入法に基づきまして、農林水産省が定めたガイドラインにより、合法性が証明された木材の流通を促進しているところでありますが、これにより、輸入材に占める合法性が証明されたものが直近では三八%となっております。

 違法伐採対策緊急事業は、TPP協定において違法伐採に関する各国の行政措置の実施等が規定されたことを踏まえて、違法伐採対策の取り組みを強化するために二十七年度補正で開始したところであります。

 この事業においては、セミナーの開催を通じ、民間需要の鍵となると思われる木材流通販売業や、工務店など実需者への周知を強化することによりまして、現状の約二倍の七〇%という我々としては意欲的な目標を達成しようと考えたものでありますが、委員の一〇〇%を目指せというのはエールだと思って、しっかりと受けとめさせていただきたいと思います。

 今回、民間分野も対象とする新たな法制度が議員立法として検討されておりますので、これが成立をした場合には、非常に力強いことでございますから、早期の目標達成を実現してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(克)委員 今の大臣の御答弁で、この法律ができたことを契機に、さらにひとつしっかりやっていくということであります。その大臣のお言葉を聞けば、ここまで苦労してきた関係者の皆さんのあれが本当に少しでも実るかなというふうに思っていますので、大臣が、一〇〇パーなんだ、だめだというふうに言えば、それがやはり一つの目標になっていくと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 続いて、サミットに向けた大臣の決意をお伺いしたいと思います。

 実は、今回、我々がこうして議員立法で急いで出そう、何とかまとめようといった陰には、陰というか表かわかりませんが、これをサミットに何とか間に合わせて、総理に世界に向けて日本の姿勢をアピールしてもらいたい、こういうことがあったのは紛れもない事実でございます。

 そこで、今、サミットに対して、また関連会合で、政府として、また大臣として、この違法伐採の取り組みをどういうふうに表明していくのか、その辺を、ひとつ大臣の決意をお示しいただきたいと思います。

森山国務大臣 お答えいたします。

 四月の二十三日、二十四日に新潟で開かれましたG7新潟農業大臣会合におきまして、違法伐採の問題について、私から、違法伐採に対処することが世界的な課題であり、地球環境を保全する上で非常に重要である、我が国は違法伐採対策及び合法木材の利用推進に積極的に取り組んでいく所存だという発言をさせていただきました。

 また、おかげさまで、今回の閣僚宣言の中で、「違法伐採及び関連した貿易の排除並びに合法に伐採されかつ持続可能な方法で生産された木材の利用支援のための適切な措置をとることを決意する。」というふうに盛り込まれたことは大きな成果であったと考えております。

 こうした成果と、今回、議員立法として検討されている新たな法制度も踏まえまして、今後、より一層の違法伐採対策の推進に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 ありがとうございます。

 新潟でのそういった動きについては私も伺っておるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、やはりこれは地球環境の問題であります。日本がどういうことを考えているかということを世界にアピールするいい機会なものですから、やはり総理の口から、このサミットの宣言の中にひとつぜひ織り込んでいただいて、日本はこういう形でしっかりと違法伐採対策に取り組みます、これからは一切違法伐採の木材を使いませんというぐらいの宣言を入れるべく、ぜひ大臣の最後までの御努力、御尽力をお願いしたいし、場合によっては、総理にじきじきに我々関係した者がそろってお願いに行くということも、これは野党の私が言うことではありませんけれども、ぜひ委員長を中心に考えていただければありがたいかな、私はこのように思っております。

 さて、繰り返しになりますけれども、いずれにしても、今回の議員立法は、結果的には罰則というところまでは行きませんでしたけれども、しかし、先ほど長官も、罰則がなくてもきちっと守らせるんだということをおっしゃっておるわけであります。そういう意味で、ぜひ、関係した議員の気持ちを酌んでいただくならば、今後、法律に書き切れなかったところを省令でしっかりとまた補足していっていただきたいし、今回のサミットを契機に、日本は違法伐採に対しては絶対に許さないというような国の一つになっていただきたいということをお願い申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 それでは、通告の順番に戻りまして、まず、森林法の改正について伺っていきます。

 森林について、また話が戻るわけでありますけれども、戦後、植林をいたしました。その材がちょうど今伐採の時期に入ったわけですね。ただ、国内の林業は路網整備や施業の集約化のおくれ等々で依然として生産性が低く、材価も低迷をしておるわけであります。

 このような状況を踏まえて、民主党政権下で、いわゆる木材自給率五〇%以上を目指す森林・林業再生プランを作成して、現行の森林・林業基本計画に盛り込み、森林・林業の再生に関するさまざまな施策を講じてきたわけでありますが、今回の森林法の改正というのはその延長上にあるというふうに理解していいのか、御答弁をいただきたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘がありましたように、平成二十一年、森林・林業再生プランを策定いたしました。これは、路網の整備、施業の集約化、人材育成、こういったものを軸として、森林・林業を再生していくための指針としよう、そういうものとして策定したものでございます。

 これを受けまして、林野庁といたしましては、平成二十一年以降、一つは林業専用道など丈夫で簡易な路網の整備を推進するということで、二十三年度以降、予算措置をして進めておりますし、意欲ある人への施業の集約化を図る森林経営計画制度を創設するということにつきましては、平成二十三年の森林法の改正で新しく措置をいたしましたし、さらには、地域全体の森林づくりの構想の作成等を支援いたします日本型フォレスター制度の創設ということにつきましては、平成二十六年度、通達等により創設をするなど、順次施策の具体化に取り組んできたところでございます。

 こうした中で、今般の法改正は、戦後造成された人工林がまさに本格的な利用期を迎えている中で、一つは国産材の安定供給体制を構築する、もう一つは森林資源の再造成を確保していく、さらには奥地水源林等公益的機能の維持増進を図っていくという大きな三つの柱で、こういった措置を一体的に行うために五つの法律を一遍に改正して、まさに切って使って植えるという森林資源の循環利用を促進しようというものでございます。

 こうした内容であります今回の法律を、御指摘の森林・林業再生プランとの関係で分析してみますと、森林・林業再生プランで示された施策の方向をさらに進めるという点におきましては、伐採後の再造林の確保ですとか国産材の安定的な広域流通の促進といったことについてはそういう分析ができるかと思う一方で、森林・林業再生プランを策定した後に大きな課題となった分野に対し、新たに施策を講ずるものとして、今回、所在不明の共有者が存在する森林での施業の円滑化ですとか奥地水源林の整備の推進、こういったものにつきましては新たな課題への対応という面があろうかと思っております。

 いずれにしましても、プランの延長線上にある内容も含め、今回の法案は多様な内容になっているというふうに分析をしております。

鈴木(克)委員 路網の整備、それから施業の集約化というのが本当におくれておるし、これが生産性を上げ、そして材価を上げていく基本だというふうに私は思っておるわけです。

 その中でも、特に施業の集約化についてもう一度繰り返しお尋ねをしたいんですが、今回の法案で、施業の集約化を進める措置というのがどういう形で講じられているのか、ちょっと御紹介をいただきたいと思います。

今井政府参考人 施業の集約化の措置に関するお尋ねでございます。

 我が国の森林所有者の多くは小規模零細でありますので、間伐等の施業について集約化を図ることでコストを低減し、森林所有者への利益還元を行うということが非常に重要かと思っております。

 特に、近年、木材価格が低迷し、森林所有者の世代交代等により森林所有者の経営意欲が低下している中にあって、地域の森林組合に対しましては、地域の森林の施業を集約化する役割をより一層、今まで以上に果たしていくということが期待されているんだ、そういうふうに分析をいたしました。

 このため、今般の法改正におきましては、森林組合系統が積極的に森林経営を行えるように、組合員の同意に基づいてではありますけれども、組合員の利益の増進を図る目的で森林経営を行えるように、そういう道を開くとともに、組合員の同意をとりやすくし、連合会も組合と同様に森林経営ができるようにする、そういった改正を行うものでございます。

 これによりまして、従来からの施業の受託、森林経営信託に加えて森林経営ができるということで、地域の森林の施業がより効率的にまとまってできるようになると期待しているところでございます。

 さらに、今回の法案におきましては、市町村が、森林所有者や林地の境界に関する情報を一元的にまとめたものを林地台帳として整備するということも法案の中に含めておりますので、この活用によりまして、施業集約化に向けた意思決定がより行いやすくなるのではないか、そういう期待もしているところでございます。

鈴木(克)委員 ありがとうございます。

 今回の措置で施業の集約化はある程度進んでいくというか、かなり進んでいくということの御紹介があったわけであります。

 もう一つ大事な問題が、所有者の高齢化、それから不在村化なんですね。

 森林所有者のうち不在村者が二四%、それから、相続時に何も手続をしていないという方が一七・九%もある、このようなデータがあるわけですよね。そういう中で、経営意欲や所有意思のない所有者が増加している中で、今回の法改正で、いわゆる共有林については所在不明者の持ち分の移転等を行う裁定制度を設けるということであります。

 これは施業集約にとって、今御紹介があったように、非常に重要なことだと思うんですが、私は、共有林に限らず、所在不明の森林についても施業可能となる措置を講ずるべきだ、このように考えます。もちろん、所有権の問題とかいろいろあるかもしれません。しかし、そんなことを言っておったら、さっき申し上げた、相続時に何も手続をしないという方が一七・九%なんというのは異常な状況だと私は思うんですね。それほど今林業が衰退をしたと言えばそれまでのことかもしれませんけれども、これは本当に残念なことであります。

 したがって、もう一度申し上げますが、共有林に限らず、所在不明の森林についても施業可能となるような措置を講ずるようなお考えはないかどうか、何か問題があるかどうか、御答弁ください。

今井政府参考人 共有林のお尋ねでございました。

 先生から御紹介もありましたように、我が国の民有林の約二割が共有林でございます。その共有林につきまして、不在村化ですとか相続だとかを契機に、共有者の一部の所在がわからなくなってしまって、共有者の同意が得られないということで、木を切ろうにも伐採ができないといったような問題が生じております。

 こういった現場の実態を踏まえまして、今回の法律改正におきましては、共有林における森林の施業を円滑化するという観点から、都道府県知事による裁定の手続ということと、補償金の供託というものを経て、財産権の保障にも配慮しながら、所在不明の共有者の立木の持ち分が移転できる、そういう法律構成をして制度を改正したところでございます。これが、現状における憲法二十九条による財産権の保障とぎりぎりの調整ということで、内閣法制局とも長い議論を重ねながら措置したものでございます。

 そういうことで、今回こういうものを提案させていただいておりますけれども、今先生の方から御指摘がありましたように、共有林に限らず、全ての森林について、所有者の所在がわからない場合には第三者が伐採ができるように検討したらいいではないかというような指摘も受けることが多々ありますけれども、その点につきましては、憲法の財産権保障の規定等の観点から、さらに慎重な検討を重ねていく必要があるかなというふうに考えているところでございます。

鈴木(克)委員 私は、憲法は守らなきゃいけないというふうに思っていますから、財産権を侵していいなんというふうには思っていないんですが、しかし一方では、本当にこのまま山が荒れてしまう、山が荒れるというのは国が荒れるということですから、やはりここは何らかの形で、我々は知恵があるわけです、だから、その知恵を使って現状を一歩でも進めていくということが必要だというふうに思います。

 二十九条の話や財産権の話はよくわかりました。だけれども、そこを何とかひとつ我々の知恵で頑張っていって、国土を守る、森林を守る、林業を守るということで頑張っていきたい、このように思うわけであります。

 では、続いて、森林組合法の改正について少しお話をさせていただきたいと思います。

 森林組合法を改正して、森林経営事業の要件緩和を行うというふうにあるわけであります。これは森林組合がみずから森林を経営する方向にかじを切るということであります。これは非常に画期的なことだというふうに思うんです。

 ただ、組合というのは一体全体何だろうかということになるんですが、協同組織として、いわゆる経営指導や施業受託など、組合員のための事業を行う組織であるというふうに一方では考えられるわけですね。

 そうすると、組合員への経営指導等の本来業務がおろそかになってしまうのではないか、こういうおそれがあるわけですが、組合員の利益に反して、協同組織のあり方として問題が生ずることはないか、この点について御答弁をいただきたいと思います。

今井政府参考人 森林組合法の改正の部分についてのお尋ねでございます。

 今般の森林組合法の部分の改正におきましては、森林組合が、あくまでも組合員の同意に基づいてですけれども、林業を行う組合員の利益の増進を図る目的で、みずから森林経営を行えるような道を開くという内容の改正を行おうと考えております。

 このように、今回改正されます森林組合の森林経営事業につきましては、組合員の同意に基づくものでありますので、組合員の利益と相反するものではない上、組合員の経済的社会的地位の向上を図るための一つの手段として行われるものでありますので、協同組織であるという性格と整合性がとれているというふうに整理をいたしております。

 農林水産省といたしましては、森林組合が森林経営事業を実施するに当たりまして、組合員の意思が適切に反映され、本来業務が適切に行われるよう、しっかりと指導していきたいと考えております。

鈴木(克)委員 わかりました。

 組合員の同意に基づいてやっていくということだから、組織としてのあり方についての問題はないという御見解であったわけであります。

 そういうことであれば私はいいんですけれども、ぜひひとつその辺を、何か林業経営にばかり力が行っちゃって、組合員に対する手当てがおろそかになるようなことのないようにしていただきたいというふうに思います。

 もう一点、組合のことなんですが、当然、森林所有者から森林を購入するわけですよね、森林組合が。そうすると、やはり経営に余力がなければなかなかできないというふうに思うんですね。

 森林組合の合併が進んできておるというのを私も承知しておりますけれども、しかし、森林組合の経営体力が弱い中で森林経営事業の要件を緩和しても、事業ができない森林組合が出てくるのではないか、このように思うんですが、その点、森林組合の体力、財力、力ですね、弱いところと、あるところと、その辺についてはどのようにお考えになっているんでしょうか。

今井政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生からも御指摘がありましたように、近年、木材価格が低迷し、森林所有者の世代交代等もある中で、森林所有者の多くは経営意欲を低下させているというような現象が進んでおります。そういうことから、地域の森林組合に対しましては、地域の森林の施業を集約する役割をもっと担ってほしいという期待が高まっているのも事実でございます。

 そうした期待に応えるために、これまで、施業の受託ですとか森林経営信託の引き受けという手法はとれておりましたけれども、組合がみずから森林を所有し、経営をできるようにするということについては制約がございました。

 そこで、今回の改正では、森林組合系統が積極的に森林経営が行えるように道を開くという改正を行おうと考えているところですけれども、その際には、一方で、森林組合によっては、経営基盤が脆弱で、そうした森林経営事業を行うのが困難な組合があるのも事実でございます。

 このため、今回は、県連、森林組合連合会も森林組合と同様に森林経営が行えるような道を開くという措置を講ずることとしておりまして、これによりまして、森林組合系統として地域の林業の施業の集約化が円滑に行えるように、そういうふうに措置したいと考えたところでございます。

鈴木(克)委員 県も含めて系統としてやっていくということであれば、若干そういった資金力に余裕のある組合、ない組合というのはバランスがとれていくのかもしれないといいますか、その辺は解決できそうな今の御報告でございました。ぜひひとつ、そのようにしっかりと指導をしていただきたいというふうに思います。

 それから、森林組合法の改正で、施業の集約化は森林組合が行うというふうに今受けとめておるわけでありますが、現行の森林・林業基本計画では、持続的な林業経営の主体は、意欲ある森林所有者、それから森林組合、そして民間事業者というふうになっているわけですね。

 そうすると、森林組合と民間事業者のイコールフッティングが確保されているわけでありますけれども、今回の森林・林業基本計画の変更においてもそのことは変わらないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

今井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ありましたように、現行の森林・林業基本計画におきましては、森林経営計画の作成と計画に基づく事業実行のそれぞれの段階での森林組合と民間事業体のイコールフッティングの確保の必要性が示されております。

 その趣旨は、補助事業の採択ですとか各種情報の提供等におきまして、森林組合あるいは民間事業体のどちらか一方を優遇するようなことはせず、森林組合と民間事業体の双方が対等の立場で競争が行えるような環境を整備する、そういう趣旨でございます。

 そういう観点から申し上げますと、現在検討しております森林・林業基本計画の見直し案におきましても、現行の基本計画と同様に、森林組合と民間事業体のイコールフッティングの政策の方向性には変わりない位置づけを与えているところでございます。

鈴木(克)委員 森林組合法の改正についてはこれで終わりますが、一言で言うと、やはり経営基盤が脆弱なんですね。

 紹介をしますと、森林組合は六百四十四、組合数があるんですね、二十五年で。組合員が百五十五万人ということであります。組合員の所有森林面積が一万ヘクタール未満が四一%、それから常勤役員数が六人未満が三六%、払い込み済み出資金額が五千万未満が四七%ということで、非常に経営基盤が脆弱な組合がたくさんあるわけであります。

 そういうところが本当に日本の林業を守っておるという実態の中で、大変御苦労されておるということも我々は忘れてはならないというふうに思いますし、この森林組合法の改正を契機に、そういった目で今後もしっかりと組合の指導、育成、そしてまた成長を見守っていかなくてはいけない、このように思っておるところであります。

 さて、それでは、もういよいよ最後の質問項目になりますが、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の一部改正についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 木材の安定供給の確保に関する特別措置法は、当時、我が国の林業及び木材関連産業がともに小規模零細であったために、木材や製品が一定のロットでかつ安定的な供給体制が構築できなかったことを背景に、その体質強化を図るために創設されたものだと理解をいたしております。

 そこで、お伺いをしていくんですが、木材の安定供給の確保に関する特別措置法の総括として、まず、本法律が施行されてからこれまで、我が国の林業及び木材関連産業までを含む一体の構造について、どのような改善が図られたのか、その実績や効果についてお伺いをしたいと思います。

今井政府参考人 お答えいたします。

 木材の安定供給の確保に関する特別措置法、これは先生から今御指摘がありましたとおり、森林所有者から製材合板工場への大ロットでの安定的な木材供給、これを目的として制定されたところでございます。

 林野庁といたしましては、この法律が制定された後、法律措置だけではなく予算措置の面におきましても、例えば、平成十六年度から十八年度にかけまして、曲がり材や間伐材等を使用して集成材や合板を低コストかつ大ロットで安定的に供給する新流通・加工システムという助成制度を設けました。またさらに、平成十八年度から二十二年度までの五年間、林業と木材産業が連携し、地域材の利用拡大を図るとともに、森林所有者の収益性を向上させる仕組みを構築する新生産システム、こういった支援措置も実施してきたところでございます。

 こうした法律上の措置と予算上の措置が相まって、その成果といたしまして、製材工場などの国産材加工施設の大規模化と原木の直接取引が進むとともに、これまで外材に依存していた合板分野では国産材への転換が急速に進展するなど、大規模な木材加工施設の工場数、一工場当たりの原木消費量も増加した結果、都道府県域を超えた流通の広域化も進んでいるというのが現状でございます。

 このような状況も踏まえまして、今般の改正におきましては、新たに、複数の都道府県にまたがる計画についての認定制度を創設し、森林経営計画の対象森林に係る伐採制限の緩和など、認定事業者に対する支援措置も拡充しよう、そういった改正を考えたところでございます。

鈴木(克)委員 大臣にちょっとお伺いしたいんですが、今回の事業計画の中で、例えば木質バイオマスの利用事業者を加えるとか、それから都道府県域を超えて取引を行うとか、そういったことも認めていくということになるわけでありますが、我が国では、現在、全国的に多くの人工林が利用期を迎える中にあります。冒頭私が申し上げたとおりであります。

 この改正を行うことによって、木材の供給量がどの程度増加すると見込んでみえるのか、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 近年、国内の各地では、大量の木材を消費する大規模製材工場等の整備が進んでおります。地域によっては、同一県内だけでなく、県外からも木材を調達して安定供給をすることが求められているという現状があると思います。

 現行の木材安定供給特措法は、同一県内の木材流通に対して特例措置を講じているところでございますが、県外からの木材流通が増加している現状を踏まえ、今般の法改正においては、新たに、複数の都道府県にまたがる計画についての認定制度を創設する、森林経営計画の対象森林に係る伐採制限の緩和など、認定事業者に対する支援措置の拡充等を措置し、木材の広域流通、安定供給をより進めようとするものであります。

 現在、製材工場等が調達する原木について、他県産の割合を十年前と現在とで比較いたしますと、製材用では一六%から二二%に、合板用では一三%から四七%に増加している現状がございます。

 また、未利用間伐材を活用した木質バイオマス発電施設につきましては、十年前にはなかったものの、この五年間に二十二カ所が稼働しておりまして、平成三十年までに六十カ所程度が稼働予定となっており、その燃料確保には県域を超えた流通も必要となってまいります。

 このように、地域や用途によっては県域を超えた広域流通が求められるようになってきており、今般の法改正はこのような要請に対応できると考えております。

 さらに、施業の集約化、間伐や路網整備の推進、ストックヤードの整備等の川上の対策も一つはやらなきゃなりませんし、生産効率を高めるための木材加工流通施設の整備、いわゆる川中、川下の対策などの取り組みを通じて、従来からの木材の用途に影響を及ぼすことなく、需要に応じた国産材の安定的、効率的な供給に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 ありがとうございます。

 木材供給量をふやせ、そして、どんどん使うようにしろといいながら、またちょっと逆というか、地域間格差が今度は心配になってくるわけですよね。

 この地域間格差について少し大臣のお考えを聞きたいんですが、今もお話がありましたように、特定地域の特定の材に需要が集中するということになると、林業経営の地域間格差の拡大や、過度な供給による森林の公益的機能を損なうというようなマイナスの面が懸念をされるのではないか、このように思うわけでありますが、その点について大臣の御所見をいただきたいと思います。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁を申し上げたところでありますが、現行の木材安定供給特措法は、同一県内の木材の流通に対する計画の認定制度と特例措置を講じております。

 一方で、先ほども申し上げましたように、県外からの木材の流通が増加しているという現状を踏まえまして、今回、新たに、複数県にまたがる計画の認定制度を創設させていただいたところであります。

 森林所有者の経営安定を図り、また製材工場等の安定的な操業を確保するためには、木材流通の圏域を問わず、木材の直接取引を進めることが重要であると考えております。このため、本改正によりまして、全国の林業経営全体が底上げできるのではないかというふうに考えております。

 また、今般の法改正は、森林経営計画の対象森林に係る伐採制限の緩和などの支援措置を拡充し、木材の安定供給をより進めようとするものであります。森林経営計画の伐採制限の緩和に当たっては、森林経営計画の属する森林計画区全体の資源量を考慮し、主伐量の上限を定めるとともに、主伐後の植栽を要件とする方向で今検討しておりまして、森林の公益的機能が着実に発揮されるように措置することとしたいと考えております。

鈴木(克)委員 これで最後にさせていただきますけれども、最後に財源の問題をちょっとお話ししたいと思うんですね。

 地球温暖化対策というのは国際社会にとって重要かつ喫緊の課題でありますが、この問題に対する財源は当初予算では措置されていないという状況でございます。現在は京都議定書の第二約束期間に入っているわけでありますが、その目標の年平均を下回る森林整備予算となっているというふうに認識をしております。

 そこで、地球温暖化防止のため、京都議定書の第二約束期間における目標及び昨年末に合意されたパリ協定を踏まえ、間伐や植林等の森林吸収源対策を着実に推進するための安定財源の確保に向けた検討を早めるべきではないか、このように思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。最後の質問です。

森山国務大臣 鈴木委員御指摘のとおり、財源をどう確保するかというのは最も大事なことだと思っておりますし、その中でも安定財源の確保をどう図るかということが重要であると考えております。

 昨年末に決定をいたしました平成二十八年度与党税制改正大綱において、安定財源の確保に向けた道筋がついたというふうに受けとめております。

 与党税制改正大綱では、地球温暖化対策税について、木質バイオマスのエネルギー利用の普及などへの活用の充実を図ること、森林環境税、仮称でございますが、については、市町村による森林整備等の財源に充てる税制等の新たな仕組みを検討することが明記されております。

 今後、与党税制改正大綱で示された新たな仕組みが森林整備等を安定的に進める上で効果的なものになるように、具体の取り組みや検討を急いでまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 終わります。ありがとうございました。

小里委員長 この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十四分開議

小里委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。金子恵美君。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。

 冒頭、今回の熊本地震で亡くなられた皆様方に心から哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 私も福島県の被災地の人間であります。そして、今は復興に向かって本当に大きく前進して、そして森林の再生にも本当に尽力をしている方々を支えているつもりではありますけれども、本当に一度災害が起きると多くの方々が傷つく、そして私のふるさと福島県では、私たちのふるさとの多くを占めている美しい山々も傷ついてしまいました。

 こういった点では、今、九州森林管理局では森林の被害調査を進めていらっしゃるわけでありますけれども、南阿蘇村では大規模な斜面崩壊があったり、そしてまた林野関係による人的被害というものも起こってしまったということで、大変残念なことであります。

 雨によって今後また二次的災害というものも発生する可能性があるということから、本当にしっかりと取り組んでいただきたいということを強く求めたいというふうに思います。

 どうも震災対応についてはまだまだ対応がおくれているのではないか、そういう声がありますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 それでは、森林法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 今回は、森林所有者に対して伐採後の造林の状況報告を義務づけ、再造林を確保するとしていますが、立木の伐採やその後の造林についてはこれまでも市町村に事前に届けることになっており、これにつけ加えて森林所有者等が市町村へ造林の報告をしなければならないという義務づけをすることによって、過剰な負担となって伐採そのものがとまるのではないかというふうに懸念されているところでもあります。

 私は、実は昨夜地元に戻っておりまして、林業に携わる方々と意見を交換させていただいてまいりましたけれども、このことについても、伐採ができても再造林、造林するお金はないんだ、これで伐採後に造林がされず放置されるということはない状態をつくり上げるんだなんというふうに法改正をして簡単にできるものじゃないんだ、そういう言葉をいただいてまいりました。

 まずは手続上の問題でありますけれども、報告をこうやって義務づけるということについて過剰な負担になり得ないだろうか、御所見を伺いたいと思います。

森山国務大臣 金子委員にお答えいたします。

 森林資源の循環利用の推進と森林の有します公益的機能の継続的な発揮を確保していくためには、森林を伐採した後に適切に更新が行われる必要があります。

 このため、現行法におきましても伐採及び伐採後の造林に係る事前届け出制度を設けているところでありますが、それに加えまして、今般の法改正では、伐採後の造林の状況報告を求めることとしております。これは、市町村が地域の森林の状況を把握しやすくなり、森林所有者等への指導監督を通じて再造林の確保がより一層図られるようにするためのものであります。

 ただ、委員御指摘のとおり、今回の事後の報告に当たりましては、造林後の森林の状況の写真を送付すればよいこととするなど簡易な方法での報告とする方針であり、森林所有者等に対して過剰な負担とならないよう配慮することを考えております。このため、これによって伐採がとまるといったようなことにはならないように対応してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 手続上は過剰な負担にはならないということをお約束させていただきました。ありがとうございます。

 それで、今申し上げたように、一方で、木材価格の低迷によって、伐採による販売収入によって育林、造林経費を捻出することができないということもあります。造林が適切に行われないおそれがあるというふうにも思います。

 そこで、やはり国の責任として再造林を確実に行うための支援というのが必要になってくると思います。

 御存じのとおり、今、立木一本当たり例えば一千七百円でありますが、主伐の販売収入では育林経費が不足するのは当然のことでありまして、育林経費のうち造林初期コストは約七割を占めていますけれども、一ヘクタール当たり百七十万円もかかるわけです。それ以外に鹿の防護柵とか森林作業道を整備するということになりますと、どうしても、今申し上げましたように、伐採して販売して、その得た収入によって造林ということにはならないという状況です。

 国はどのような支援をされますか。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 伐採後に森林所有者等が造林を円滑に行える環境をつくっていくということは、政策として非常に大事なことだと考えております。

 このため、森林所有者が伐採後の造林を行う場合の直接支援として、国と都道府県、合わせて大体七割ぐらいの補助になるのではないかと思っておりますが、そういうことを一つは行っております。また、コンテナ苗を活用した伐採と造林の一貫作業システムの導入や、成長にすぐれた苗木の活用の推進による造林の低コスト化等を行っており、こうした事業の活用により、一層の環境整備を進めてまいりたいと考えているところでございます。

金子(恵)委員 ぜひお支えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そしてまた、先ほどももう既に質問がありましたけれども、林地台帳の整備についてお伺いしたいと思います。

 先ほどのやりとりの中で私が質問させていただきたい件についての内容はわかりましたが、一言で言えば、やはり、この台帳を整備するに当たってマンパワーが不足しているというのは否めないことであります。特に市町村の状況を見ますと、林務の担当職員が配置されていない市町村というのは多くあります。そういう状況の中で、いかにこれを進めていくか。先ほども大臣の御答弁の中であったと思います。恐らく多くの仕事量になっていくだろうということではありました。ですので、改めて、具体的なしっかりとした支援策はどのようなものになっていくのか。

 それで、先ほども御答弁の中であったと思いますが、マニュアルをつくり、そして国と地方の協議の場というのも立ち上げていく、設置していくということであったり、そして、さまざまな情報、今まで自治体が持っていた情報も含めまして、それをとにかく一元化していく、整理していくという手続だということも伺いました。

 改めてお伺いしますけれども、先ほど登記簿の話もありましたけれども、法務局、地方公共団体、そして森林組合などはそれぞれの情報を持っているんですが、それを生かした形で、できるだけ市町村の負担を軽減する形で、この情報、林地台帳の整備というのを行うということでよろしいかということ。

 そしてまた、さらには、林地台帳の情報には、所有者の氏名、住所、土地の所在、面積、地目、境界測量の実施状況等を記載するというふうにもされているんですが、個人の氏名や財産に係る内容が含まれているわけですので、これらの個人情報に当たっては簡単に公表してよいものではない、本来であればそう思いますが、具体的にどのように扱われるのか。

 まとめてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

加藤大臣政務官 金子委員の御質問にお答えいたします。

 市町村におけます林地台帳の作成に当たりましては、国が統一的な作業手順やマニュアル等を示すとともに、マンパワーに関しましては、国有林や都道府県の職員のOB等の活用も検討をすることとしておるところでございます。また、予算につきましては、市町村の森林GIS等の整備等に対し引き続き支援をするほかに、平成二十八年度の地方財政計画におきまして、新たに林地台帳の整備を含む森林・林業対策として五百億円が措置されているところでございます。

 こうした措置を通じて、林地台帳の整備が円滑に進められるように取り組んでまいる考えでございます。

 中でも、林地台帳の情報の精度をより高めるように、法務局の不動産登記簿、都道府県が作成します森林簿、森林組合が有する森林組合員名簿や境界の情報も活用して台帳の整備に取り組んでいただけるように、市町村に対しまして助言をしてまいる考えでございます。

 なお、本事務は、市町村にとりましても初めてということもございますので、林地台帳の整備、公表等について検討、協議を行うため、国と地方自治体によります林地台帳の整備等今後の森林整備の推進に向けた協議の場を設置したところでございます。このような場も活用をしながら、きめ細やかに対応してまいりたいと考えておるところでございます。

 それと、林地台帳の個人情報の扱い方についての御質問でございますけれども、林地台帳の情報のうち、氏名や住所など、公表することにより個人の権利利益を害する情報等については、一般的な公表対象から除外することといたしております。その上で、施業集約化を含む森林組合等が行う場合に限定をしまして、氏名や住所を含む台帳情報を提供する方針でございます。

 いずれにいたしましても、林地台帳の取り扱いについては、個人情報が適切に取り扱われるようにしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 きめ細やかな部分をどのように進めていくかということを伺いたかったのですが、ここでは、とにかくしっかりと対応していただくことをお願いしたいというふうに思います。

 次に行かせていただきますが、森林経営計画についておただししたいと思うんです。

 今回、森林経営計画の認定要件に鳥獣害防止に関する規定を追加するとしているわけですが、近年、野生鳥獣の被害が本当に深刻化しております。鳥獣被害対策は大変重要でありまして、これも中長期的な目標設定と施策をしっかりと検証する仕組みというのが必要になってくるのではないかと思います。まず、そのことについて一点お伺いしたいと思います。

 そしてまた、さらには、実際にこの森林経営計画制度は大変重要で、地域の林業の持続的かつ健全な発展に関して本当にかなめとも言える施策だというふうに思うんですが、現状は森林経営計画の認定率は二八%と大変低いものになっています。要因は、先ほど来お話がありますけれども、森林所有者の高齢化や不在村化などがあるとは思いますが、森林施業プランナーなどの人材の育成をさらに進めていく必要もあります。

 そしてまた、この制度の定着に向けては、地方自治体主導の取り組みの強化が必要でありまして、市町村への林務担当職員配置、人材育成に向けた国の支援策を講じるべきだというふうに思うんです。先ほども申し上げましたが、地方自治体の中で林務に携わる方々、いろいろな専門的な知識も持って林務担当者となる方々のマンパワーというのは本当に不足している状況にあります。そこからしっかりと進めていかなければ、我が国の国土の七割である森林を守ることはできないと思うんです。いかがでしょうか。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 今般の法改正におきましては、森林整備と一体となった鳥獣害対策をさらに促進するために、森林経営計画の認定要件に鳥獣害対策の実施を追加する等の措置を講ずることといたしております。個々の森林経営計画区域内の鳥獣害対策の目標設定や結果の検証のあり方については、今後、有識者等の意見をお聞きしながら検討してまいりたいと考えております。

 また、市町村は、こうした市町村森林整備計画の策定のほかに、森林所有者が作成する森林経営計画の認定など重要な役割を担っておられるわけでありますが、市町村の林務担当職員数は近年減少をしておるというのも実情であるわけでございます。

 このため、農林水産省では、森林技術総合研修所におきまして、市町村職員を対象に森林・林業に関する知識やノウハウの研修を実施したり、森林総合監理士、いわゆるフォレスターによる市町村の支援等を行っているところ。

 今後とも、計画制度の定着に向けて、人材育成を図りながら、市町村の支援に引き続き取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 政務官におかれましては、恐らく林務担当者がゼロである自治体の把握等もされていることだとは思います。もう一度しっかりと、私は、林野庁としても確認をし、そして今いろいろと助言をするお立場だというふうにも思いますので、しっかり育てるという仕組みをつくり上げていただきたいと思いますが、政務官、いかがですか。

加藤大臣政務官 先ほども申し上げたわけでございますけれども、市町村の林務担当者の職員というのは近年非常に減少をしておるわけでございますから、そうした職員の減少をカバーするためにも、今後とも、森林・林業に関しましての知識やノウハウの研修を実施しながら、市町村の支援を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。

金子(恵)委員 研修をまず行うといっても、そもそも、今、地方自治体には人が本当にいない、人手が足りないという状況でありますので、研修をやりますよというふうに開催のお通知を出しただけでは人を出していただけない可能性もあります。それでは育たないんです。ですので、全体を見ていただいて、なぜこの林務に携わる方々、専門の知識を持った人たちが必要であるかということをしっかりと発信していただかないと、多分、林務担当職員ゼロというところは絶対なかなかなくならないと思います。驚くべき数字です。ですので、しっかりと取り組んでいただきたいということをお願いさせていただきたいと思います。

 それでは、やはり人の話ですが、林業の成長産業化を実施、実現するためには、まずは地域の森林資源を活用した林業、木材産業による事業と雇用の創出、そして就業機会の増大、若者定住に向けた条件整備を推進することが必要と考えます。

 林業労働者の現状はどうなっているかといいますと、林業労働者の人数は徐々に減少し、最近では全国で約五万人となっています。緑の雇用によって新規就業者が入ることで高齢化率は下がってきたというふうに、数字は出していただいていますが、しかし、政府として、これ以上の減少を食いとめるためにもっとさらなる対策を講じる必要があると思うんです。

 まずはそのことについて質問をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。大臣、お願いします。

森山国務大臣 金子委員にお答え申し上げます。

 林業従事者は長期的に減少の傾向を示してきておりましたが、平成十五年度からの緑の雇用の事業によりまして、現在、五万人程度で下げどまっている状況にあると思います。

 また、従事者に占める三十五歳未満の若手の割合は、平成二年の六%が底でございまして、近年は二割程度まで増加してきておりまして、少し若返りの傾向も見られるのではないかなというふうに思っています。

 また、林業の成長産業化の実現に向けては、委員御指摘のように、何よりも現場を支える林業労働者の確保、育成を図っていくということが非常に重要なことだと考えております。

 このため、農林水産省におきましては、緑の雇用事業による新規就業者の育成に取り組ませていただくとともに、高校生に対する就業体験への支援、林業大学校等で学ぶ青年に対する給付金の給付、林業事業体による安全指導の実施等により、林業労働者の確保、育成に努めてきたところでございます。

 少し明るい兆しだなと思いますのは、林業大学校が平成二十七年度まで全国に九校しかなかったんですけれども、平成二十八年に五校開校できまして、今、十四校になっております。また、二十九年度も二校開校の予定でございまして、十六校は開校のめどが立ってきております。

 また、少し気になりますのは、農業高等学校における林科がほとんど消滅する傾向にあるというところが非常に気になるところでありますが、やはり林業の専門家を育てるということは大変大事な課題だと思っておりますので、引き続き努力をさせていただきたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 さまざまの取り組みをして、そして、しっかりと林業に従事する方々をお育てするという方向性はお見せいただいていることだと思います。しかし、なかなか現状は前進しない、本当に厳しい状況だというふうに思います。

 先ほど触れていただきました緑の雇用でありますけれども、定着率は、数字だけを見ると本当にすばらしいんです。平成十八年から二十四年は七五・四%というふうに聞いています。でも、これは三年後定着率、三年間従事していたということです。ですので、問題は、緑の雇用で新規に就業者になったとしても、三年間は頑張ったけれども、その後どうだったかということだというふうに思うんです。林業は、大臣も御存じのとおり、二、三年で一つの成果物が全て出るというような、そういう産業ではありませんから、三年だけとりあえず林業に携わったけれども、その後はどうなっているかということをしっかりと把握する仕組みというのも私は必要ではないかというふうに思っています。

 そしてまた、さらには、現場技能者等の育成として取り組んできたキャリアアップ研修とか、多能工化等による経験と能力が適切に評価される、そういう労務単価の設定と処遇改善と一体的な施策を講じることによって他産業並みの処遇を確保する、そうした対策が新規就業者の定着にさらにつながるのではないかというふうに思いまして、その部分について、とても重要な観点から、就業者の確保、育成に向けていろいろな取り組みをしていただきたいと思っています。

 雇用の安定化と労働条件の改善、安全な労働環境の確保、そして研修や資格取得支援など、就労環境の整備をさらに進めていくことが必要ではないかというふうに思いますが、今回の法改正においてはその点についてどのような措置が講じられているのか、お伺いさせてください。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 就業環境の整備につきましては、今までも、緑の雇用事業における研修生の社会保険等の事業主負担への支援、また、労働災害防止のための巡回指導や安全教育の実施等を行ってきたところでございます。

 今般の法改正では、国産材の安定供給体制の構築、森林資源の再造林の確保、森林の公益的機能の維持増進に取り組むために必要となる法的措置を一体的に講じまして、切って使って植えるという森林資源の循環利用の促進、林業の現場作業の拡大を図るということにしております。

 また、林業施策については、法的な措置だけではなくて、予算措置、金融措置、税制措置を一体的かつ総合的に講じていく必要があると考えておりまして、今後とも、人材教育を含め林業の成長産業化に向けたこれらの施策を通じ、林業就業者の確保、育成にもさらに努力をしてまいりたいと考えています。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 人を育てなくてはいけないというその認識は、私は同じだというふうに思います。

 ところで、国内の労働者、人を育てるということと逆行するようなことがあってはいけないという議論を少しさせていただきたいと思うのです。

 外国人技能実習制度についてでありますが、この見直しが検討されておりまして、技能実習二号の対象職種の追加が検討されておりますけれども、林業のように、他産業よりも労働条件の整備が進んでいない業種での実習生の受け入れは、低位な労働条件の固定化につながり、林業労働者の育成、確保に逆行するということが懸念されていると思います。

 外国人技能実習制度の見直し、技能実習二号の対象職種の追加の検討については、関係者の意見を聞いて、慎重に扱うべきであろうかと思いますし、そもそもが、先ほど来、いろいろな取り組みはしていただいておりますが、国内での労働者の育成ということをまずは前面に出して進めていくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

伊東副大臣 金子委員の御質問にお答えいたします。

 外国人技能実習制度は、我が国で開発されました技能、技術等を開発途上地域等へ移転し、国際協力を推進することを目的としている制度でございます。

 本制度につきましては、出入国管理法等によりまして、職種を問わずに、実習期間を一年以内として行う技能実習一号と、特定の七十四職種のみを対象として、さらに二年以内の実習期間が認められております技能実習二号があります。林業は、この七十四職種には含まれておらず、これまで技能実習一号の実績もないところであります。

 農業、水産業を初め、相当なところでこの技能実習が導入されているところではありますけれども、外国人技能実習制度を通じまして日本の高い林業技術を途上国に移転することは、国際貢献の観点から意義があることと考えられておりますが、一方で、当該制度の活用は、国内林業労働力の動向や受け入れ側となる業界団体の意向、さらには送り出し側となる途上国のニーズ等を総合的に勘案しつつ、適切に検討していくことが必要であります。委員おっしゃられるとおりであろうかと思います。

 林業労働力の現状把握とあわせ、全国森林組合連合会、全国素材生産業協同組合連合会等の関係団体ともしっかり意見交換を行っていきたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 人手不足の部分を外国人労働者で補うという考えではないということを確認はさせていただいていると思うのですが、でも、まだ懸念が残ります。ですので、今副大臣おっしゃっていただいたとおり、慎重な扱い、慎重な検討ということをしていただきたいとお願いを申し上げます。

 また、さらには、林業の労働力を確保するためには、林業事業体の育成というのもしていかなくてはいけません。現在、事業体の登録、評価制度が導入されているところでありますが、実施している都道府県は非常に少ないようでありまして、八道県での実施にとどまっています。そうした意味では、地域林業を担う事業体への安定的な経営に寄与していないのではないかと思います。

 また、国の事業を中心とする一般競争入札は、安定的な経営に支障を生じさせ、事業体の減少や労働力の処遇改善の支障の一因となっているというような議論もあります。

 昨年三月に改正された山村振興法において、基本理念に、地域の特性を生かした産業の育成による就業の機会の創出、住民の福祉の向上等による山村における定住の促進を図ることを旨として行われなければならないとあります。

 定住の促進に向けて、地元の事業体の受注機会の増大に向けた対策を講じて、地域の事業体の育成、確保を図っていくべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。山村地域において雇用の拡大、改善を行う企業に対する支援措置など、具体的な施策を進めていくべきでありますが、御所見を伺います。

伊東副大臣 お答えいたします。

 今御指摘のとおり、平成二十四年から林業事業体の名称や所在地等を公開し、その事業実行能力や安全管理体制等を評価する制度の導入を進めているところでございます。

 現在のところ、国の通知のとおり、林業事業体を幅広く登録、評価する仕組みを導入している道県は八道県にとどまっております。しかし、林業労働力の確保の促進に関する法律に基づきまして、都道府県知事の認定を受けました雇用管理の改善等に取り組む林業事業体等に限って名称等を公表している県もありますし、また、入札参加資格を有する事業体を公表している県も加えますと、二十九道府県となるところでありまして、林業事業体の基本的な情報の公開は一定程度進んできていると考えているところであります。

 今後、林業事業体の登録評価制度の活用を進めていくためには、例えば緑の雇用事業の対象を登録された認定林業事業体に限定させていくことなども検討する必要があるのではないかと考えております。

 このような林業事業体への支援を通じて、山村の豊富な森林資源を活用した林業の成長産業化を実現してまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 それぞれ、今までもいろいろな制度をつくってきてくださっているわけです。ただ、その制度が本当に生かされていないということで大変残念でなりませんし、そしてまた、さらに、その問題点というのをしっかりと検証していかなくてはいけない。なぜ活用されないのかということをしっかりと検証していただきたいというふうに思いますし、もしこれが活用されないのであれば、違う形での施策をしっかりと考えなくてはいけない。そしてまた、今、地元の林業事業体を本当にしっかりと育てるという強い意思を持って、いろいろな政策づくりを進めていただきたいと思いますし、今回の法改正によってそれが前進することを願います。

 次に行かせていただきますが、今回、国立研究開発法人森林総合研究所法の一部改正をなされるということであります。

 水源林造成業務を本則に位置づけ、森林総合研究所の名称を森林研究・整備機構に改称するとともに、奥地水源地域の保安林の整備の担い手として位置づけていくということでありますが、森林総合研究所が、森林・林業、木材産業と林木育種に関する研究開発を一体的に実施する我が国最大の総合的な研究機関であるということを踏まえまして、その役割を十分に発揮できるように十分留意するということが大切であります。

 実は、研究開発の分野で多くの実績を持っているこの森林総研が、国内外においては森林総研として今までも知名度があったわけです。それを維持するということも重要かというふうに思います。その中で研究をされてきたすばらしい人材の方々、育った方々にとっても、やはり誇りを持ってこの研究所で働いてこられたことだと思います。

 まずは、その名称は変更でありますけれども、今後、どのような形で旧森林総研として発信をしていくのかということについて十分な配慮というものが必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。

伊東副大臣 お答えいたします。

 森林総合研究所は、森林・林業に関する総合的な試験及び研究などのほか、平成二十年に廃止をいたしました旧緑資源機構から承継いたしました水源林造成事業を附則業務として暫定的に行ってきたところでありますが、その受け皿法人につきましては、政府内で検討の結果、研究所の正式業務とするとの結論を得たところでございます。

 このため、今般の法改正では、水源林造成業務を研究所の本則業務として位置づけるとともに、研究所の名称を国立研究開発法人森林研究・整備機構と改めることとしたところであります。

 しかし、こうした中で、独立行政法人内の組織の名称につきましては機構の内規において独自に定めることとなっておりまして、これまでの研究開発の成果並びに国内外における知名度が維持されるよう、現在の名称を研究部門の一般名称として使用することにつきましては問題ないと思っているところでございます。

 ですから、従来どおり、森林総合研究所ということで使えるということでございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。誇りを持って仕事をしている方々をぜひ支えていただきたいと思います。

 当然、必要な人材の育成、確保と組織の充実、そして予算の確保も必要であります。また、機構の組織運営は今後どのようになっていくのかもお聞かせいただきたいと思いますし、さらに、繰り返しになりますが、この機構は、研究所は、我が国の森林の多面的機能の高度発揮と林業の成長産業化を推進し、次世代に向けた森林の整備に貢献が図られるということだと思います。

 職員の雇用の安定、処遇改善、そして職場環境の整備等も確実に進めるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。大臣にお伺いいたします。

森山国務大臣 奥地水源地域の森林におきましては、土地所有者によって植栽されたものの、経営条件の厳しさから間伐等の森林施業が適切に行われないまま過密化し、水源涵養機能の公益的な機能が失われることが危惧されております。

 こうした状況を踏まえまして、今般の法改正においては、土地所有者が植栽した育成途上の水源林の公益的機能の維持に必要な森林施業についても水源林造成業務に含めるとともに、奥地水源地域において早急に施業が必要な保安林の整備の担い手として機構を位置づけることとしておりまして、森林整備センター職員の技術を最大限生かしていきたいと考えております。

 引き続き、全国各地に所在をする組織、要員を活用し、新たな業務を確実に果たすために、これらの業務に必要な技術の習得に向けた職員の研修の強化や必要な予算の確保に努めていきたいと考えております。

金子(恵)委員 よろしくお願いいたします。

 最後になりますが、私の地元の福島の森林・林業の再生についてお伺いさせていただきます。

 森林・林業の再生のための関係省庁プロジェクトチームが開催され、二回の会合で福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組をまとめ、そして、四月の七日には里山再生モデル事業連絡会議が開催されているという経緯は私は理解をしております。

 このプロジェクトチームですけれども、復興大臣、森山農水大臣、そして丸川環境大臣がこのプロジェクトチームのメンバーになっているということでございまして、大変重要なPTだと思っています。たった二回で取りまとめた総合的な取り組みでありますが、PTは今後も重要な役割を担っていくものだと私は理解をしておりました。

 今後開催されることがあるのかということと、そしてまた、四月七日に里山再生モデル事業連絡会議が開催されましたが、そこで決定されました今後のモデル事業十カ所を決めていくということでありますが、これについてもスピーディーに進めていただきたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、森山大臣にお答えいただければと思います。

森山国務大臣 福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組をまとめさせていただいたところでありますが、私も本プロジェクトというのは非常に大事な事業だと思っております。また、私自身もこの会議には出席をさせていただきました。

 この中で、当省の関係の施策といたしましては、農林水産省の関係の施策といたしましては、住居周辺の里山の再生に向けた取り組み、放射性物質対策と森林整備を一体的に行う取り組みの継続的な実施、林内作業者の放射線安全、安心対策に関するガイドブックの作成等が位置づけられたところでございまして、極めて大事な役目を担っていると思っています。

 今後とも、各省庁が連携して総合的に取り組みを進めていくこととしておりますし、三省庁によるプロジェクトチームについては、その進捗も見つつ、必要に応じて開催をすべきものであると考えております。

 また、里山モデル事業のことでございますが、四月七日に事務方の連絡会議を開催させていただきまして、これを踏まえて、現在、市町村等の意向を把握しているところであり、夏ごろを目途にモデル地域を選定して、事業を着実に実行に移していきたいと考えております。

 本事業につきましては、本年度から三年程度を目途として実施することとしておりますが、その過程で得られた知見については随時、県内の他の市町村における里山再生の取り組みにも反映をさせてまいりたいと考えておりますので、しっかりとした取り組みをさせていただき、他の市町村にも反映をさせるべく努力をしたいと思います。

金子(恵)委員 時間が参りましたので終わりますが、どうぞスピーディーな対応をお願いいたします。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 民進党の小山展弘です。

 昨日は、連合審査ということで、大臣初め政務三役の皆様もお疲れさまでした。また、農水委員会の皆様もお疲れさまでした。

 きょう審議されておりますこの森林法等の改正ですけれども、昨日の連合審査で議論されました国家戦略特区法案のように、規制改革会議という、こう言ってはレッテル張りだと言われるかもしれませんが、どこか上からの、どこか違うところで議論された法改正ということではなくて、もう十年来、現場からの要請に基づいて、農水省さんあるいは関係団体の皆様とも準備、調整を経て提出されてきた現場からのこの法改正ではないかなと思っておりまして、私は全体として評価できるものではないかという感想を持っております。

 共有林の持ち分移転の裁定制度については、これは憲法の財産権とも整合性をとって行われたものですし、また林地台帳の整備など、懸案の解決に向けて前進するものだと評価、評価と言うのもおこがましいですが、させていただいております。

 きょう午前中の鈴木克昌議員の質問にもありましたが、今後、所有者不明の林地についてどう対処していくかということなんかも、これは相当、もっと大きな問題になろうかと思いますが、またぜひ今後もお取り組みをしていただきたいと思っております。

 森林法等の質疑に入る前に、一点だけ、取引の始まりましたお茶について質問させていただきたいと思います。

 静岡県では四月二十一日に一番茶の初取引が行われましたが、市況は低調に推移をいたしております。

 私も土日を中心に地元のお茶工場をちょっと回ったんですけれども、ことしの需要の低迷あるいは価格の低迷から、往年の収益の三分の一ぐらいまで収入が減るんじゃないかというようなことを大変心配している農家の方もいらっしゃいました。去年は、価格が七割、収量が七割で、掛け合わせて大体半分ぐらいじゃないかということで、それも大変厳しかったんですが、ことしはさらに厳しいと。

 もちろんこれは、個々の農家さん、あるいはお茶に携わっている方によっても、経営体によっても違うわけですけれども、現状の一番茶の市況に対する大臣の認識と今後の見通し、価格対策、需要対策等のお茶振興に対する大臣の意気込みについて、これは静岡だけじゃなくて、もちろん、鹿児島や京都や三重や、あるいは全国のお茶産地のお茶農家の皆様の元気が出るような一言をぜひお願いしたいと思います。

森山国務大臣 小山委員にお答えいたします。

 本年度のお茶につきましては、天候に恵まれ、品質のよい産地が多いと聞いておるところでありますが、一番茶の取引につきましては、各地、四月の中旬ごろから開始されたばかりでございますので、今後の価格の動向については注視してまいりたいと考えております。

 今委員も御指摘になりましたが、生産量第一位である静岡県におきましては、昨年よりも市場出荷量が一・五倍と多いということも一つあると思いますし、平均価格は昨年並みに今は推移しているのではないかと見ております。生産量第二位の鹿児島県につきましては、昨年比七割程度の市場出荷量でありまして、平均価格は一・四倍ということになっております。量と価格の関係はそういうことであろうかと思います。

 お茶市場の活性化のためには、国内外における需要の拡大に向けた取り組みが重要であることから、平成二十八年度予算においては、国内外における市場調査や、カテキンなどお茶の機能性の分析等を支援するとともに、水出し緑茶などのリーフ茶の新しい飲み方の提案、国産茶葉を活用した紅茶、ウーロン茶の生産等を積極的に進めることとしております。

 また、平成二十七年度補正予算において措置した外食産業、加工業者等と連携した国産茶葉を活用した新商品の開発、新たな抹茶加工技術、高性能の機械、施設の導入や、輸出相手国における日本と同等の残留農薬基準の設定申請などへの支援もあわせて実施をさせていただいて、需要拡大に向けた取り組みも積極的に行ってまいりたいと思います。

 新潟で行われましたG7の農業大臣会議でも、緑茶を振る舞わせていただいて、大変喜んでいただきました。大変印象に残りましたのは、アメリカの農務大臣の御家族は非常に緑茶をよく飲んでいただいているようでございまして、日本の緑茶について非常に高い評価をしていただけたことは、私にとってもうれしいことでございました。

小山委員 ありがとうございます。

 静岡市場につきましては、昨年がおととしよりも一割減の価格だったということもあるのと、ずっと低調な状態で続いてきたので、経営体力というか、そのところも消耗しております。根本的には需要の拡大というところかと思いますが、なかなかこれも、無理に買えということも言えないし、今大臣もお話しになったような商品の開発とか、あるいは輸出といったことも含めて取り組んでいくことになろうかと思っております。

 それこそ、参議院では何かコーヒーが飲めるらしいので、衆議院ではぜひお茶をというようなことも、そのようなことも提案しつつ、きょうは森林法の審議でございますので、また、今後ともぜひ積極的にお取り組みをいただければと思っております。

 それでは、森林法等の質問に入らせていただきたいと思います。

 今回の一連の法改正の目的あるいは改正による政策効果として、林野庁は、適切な森林施業を通じた林業の成長産業化ということをうたっております。昨年の農協法等の審議でも、もうかる農業というような言葉、あるいはもうかる林業、今回もそういう言葉がありますけれども、このもうかるとか成長産業というのはどういったイメージなのか。高度成長期のようにどんどん所得がふえていくようなことまで想定しているのか、あるいはむしろ、一定の収入を得られて、今の生活を維持できるというようなことを想定するかでかなりイメージが変わってくるかと思いますが、今回の、この成長産業という言葉に込められたイメージといったものはどういったものでありますでしょうか。

伊東副大臣 小山委員の御質問にお答えいたします。

 林業の成長産業化とは、林業及び木材産業を安定的に成長発展させ、山村などにおける就業機会の創出と所得水準の上昇をもたらす産業へと転換することであると考えております。

 林業の成長産業化を実現するため、需要面では、CLTやあるいは耐火部材の実用化と普及、また、公共建築物の木造化の推進を通じた木材利用の促進、さらには、木質バイオマスの利用促進、またさらには、セルロースナノファイバーの開発、実用化等に取り組んでいるところであります。

 また、供給面におきましては、川上から川下までの関係者による需給情報の共有をする、あるいは、施業集約化を進めるための森林の境界の明確化等の支援、さらに、路網の整備や高性能林業機械の開発、導入等による低コスト化の促進等に取り組んでいるところであります。

 近年、若い人たちが参入してくるようになった。大変うれしいことであります。

 今後、今般の法改正による法的措置だけではなく、予算措置、金融措置、また税制措置を一体的かつ総合的に講ずることが必要と考えておりまして、これらの施策を総動員して林業の成長産業化を実現してまいりたいと考えております。

小山委員 伊東副大臣、ありがとうございます。

 今、所得水準の上昇というお話がありまして、それが多分ベストだろうとは思いますが、まずは、所得の下げどまりといった、維持というか横ばいといったところが当面の目標ではないかなということを私は思います。

 先日、元水産庁の佐藤力生さんという経営指導室長をお務めになった方を実は民進党内のグループの勉強会にお招きして、お話を伺いました。私がまだ農林中金の担当者だったときに、ちょうど経営指導室の室長だったということです。

 漁業を例にしていろいろな講演をされたんですけれども、漁業は、漁業資源が上がったり下がったりするということで、大変生態として波があるわけなんですけれども、漁業者もそれに合わせて、漁業資源があるときには大変収入が多くなる、競争すればするほど、それぞれ、たくさん頑張ったところがふえる。だけれども、極度に資源が減ったときには、むしろ漁場を割り当てて、プール制というらしいんですが、共生の論理で、たくさんとった人も、いい漁場に割り当てになった人も、そうではない端っこの方の漁場に割り当てになった人も全部集めて、収入とか漁獲高を平等に分配する、こういう成長と衰退を繰り返すのが生態系のシステムであり漁業だと。

 ですから、何が申し上げたかったかといいますと、衰退とか停滞というものを私たちは恐れ過ぎているんじゃないだろうか。常に成長成長ということを追い求め過ぎて、かえって破滅というか大きな崩落にいってしまうということがあるんじゃないだろうか。戦争とかいったものは本来ない方がいい、ないにこしたことはないものですから、余り成長ということで走り過ぎてつまずかないようにというようなこともやや思いまして、今申し上げたようなコメントもお話をさせていただきました。

 ここから森林組合法の改正について伺ってまいりたいと思います。

 まず、森林経営事業の対象となる山林面積というのはどの程度のものを想定されていまして、また、どのような山林を森林経営事業の対象というふうに認識されていらっしゃるでしょうか。

今井政府参考人 森林経営事業のお尋ねについてお答え申し上げます。

 現行の森林経営事業につきましては、公益目的のものに限定されておりますので、また、かつ手続も非常に厳格になっておりますので、取り組みが限定的になっておりまして、実施面積は全国で五万ヘクタール、地区内の民有林面積のわずか〇・三%程度というふうに把握をしております。

 その一方で、近年、木材価格の低迷等によりまして森林所有者の経営意欲が低下する中で、森林組合に対しましては、地域の森林の施業を集約する役割をもっと担ってほしいという期待も高まっているところであります。

 このため、今般の法改正におきましては、森林組合系統が積極的に森林経営ができるように、森林組合が、組合員のあくまでも同意に基づいて、組合員の利益の増進を図る目的で森林経営が行えるような、そういう道を開くという改正を行おうと考えております。

 これによりまして、森林組合が、その経営判断に基づき森林の経営を行い、地域の森林施業を集約化していくことになると考えておりますけれども、具体的にどの程度の経営を行うかということに関しましては、法律が成立した後、その内容の周知と活用に努めながら把握をしていきたいというふうに考えております。

小山委員 具体的にどのぐらいというところまではまだ把握されていないということでしたが、恐らく、今長官がお話しになったことと、午前中の議論を聞いていましても、ちょっと私も感じたところなんですが、安定供給の契約を結ぶということがございました。

 安定供給の契約を結んだときに、これは大体森林組合とか県森連などが結ぶことになろうかと思うんですが、価格が下がったりしたときに、安定供給を結んだけれども、大口の材木業者さんなんかに木を切って供給をする、ところが、所有者の方がまだ木を切りたくないと言ったときには供給できない。ですので、森林組合さんとか県森連さんなんかでも、ある程度自分のところでバッファーとしての玉を持っておきたいということも多分理由にあるんじゃないかなということも感じておりまして、それは確かに安定供給契約を結ぶということになったときに、そういう不安というのは、これは私も実際聞いたことがありますし、相当あると思うんですね。ですので、基本的には今回の法改正というのは理解をしているところであるんですけれども、その上であえてお尋ね申し上げたいと思います。

 森林組合、森林組合連合会の現在の経営状況はどのようになっていますでしょうか。

今井政府参考人 森林組合の経営状況についてのお尋ねでございます。

 森林組合の経営状況につきましては、平成二十五年度は、六百四十四の森林組合のうち約八割が事業利益を計上しております。したがいまして、約二割が赤字ということでございます。ただ、一組合当たりの事業利益について見ますと、平成二十二年あたりがかなり減少傾向にありましたけれども、その後、資源の成熟等の影響もありまして、組合員から委託を受けて行う森林整備事業の量も大きく増加したこと等から、平成二十五年度には大きく改善しているというのが単協の方の経営状況でございます。

 県連の方について見ますと、平成二十五年度では、三分の二が事業利益を計上しております。一連合会当たりの事業利益につきましては、これも二十二年度から減少傾向にありましたけれども、県連の方につきましては、共販所での市売り等を行う販売事業量が増加しているというようなことから、二十五年度には改善をしております。

 全国森林組合連合会、全国連の方におきましては、平成二十五年度で約二千万円の事業利益を計上しております。これは二十三年度には赤字を計上しておりましたけれども、二十四年度以降黒字に転換しているというのが今の現状でございます。

小山委員 ありがとうございます。

 今の経営状況を伺って、平成二十五年時点で森林組合の約二割が赤字、それから県森連の約三分の一が赤字ということでございます。ですから、非常に、この二割、三割というのが多いか少ないかということですが、私はやはりちょっと多い方ではないかなと。

 それともう一つ、今長官がお話しになった中で、この後の質問の中でも私がお尋ねしようと思うことにも関連するんですが、委託を受けて販売をする事業が堅調だったというお話がありました。買い取り販売、買い取り林産でなくて委託販売だから、森林組合も堅調に今まで少しずつ経営改善をしてくることができたということではないかなと私は思っております。

 そこで、最も実は懸念されますのは、森林組合、県森連の中で、赤字を埋めるために森林経営事業を積極的に行って、過度なリスクをとってしまうんじゃないかという懸念であります。

 林野庁は、森林組合並びに県森連が新たな森林事業を行えるほどの体力があるか否かについてどのように認識しているでしょうか。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、森林組合の経営状況につきましては、平成二十五年度で八割の組合が事業利益を計上している、二割が赤字であったということを申し上げましたけれども、それは、木材の価格が損益に影響される面が強いなど、必ずしも安定的な事業運営が実現できていないという面もあろうかと考えております。

 このため、農林水産省といたしましては、都道府県との密接な連携のもと、森林組合における合併による経営基盤の強化ですとか、施業の集約化を通じた事業量の拡大、効率化ですとか、あるいは不採算事業の見直しだとか、そういった組織に対する指導等も行っているところでございまして、そちらの方の対応もしっかりと進めてまいりたいと考えております。

小山委員 今、合併のお話も少し答弁の中でありましたが、少し前のことになりますが、ある程度時間的経過がありますので、そういうことであえてお尋ねしたいと思っております。

 平成十五年に、森林組合の経営改善やあるいは合併、組合の黒字化等を目標とした森林組合改革プラン、これは系統内の自主プランということではありますが、それを策定しました。少なからず林野庁も指導にかかわっていたかと思っております。

 平成二十年に改革プランは終了しまして、その後も継続となる中期経営計画等が引き継がれておりますけれども、最初に申し上げましたとおり、そろそろ冷静に評価できる状況じゃないかなと思うんですが、この森林組合改革プランの総括について、現状の森林組合の合併状況も含めて評価を伺いたいと思います。

今井政府参考人 森林組合の合併状況についてのお尋ねでございます。

 先生御指摘のとおり、全国森林組合連合会におきましては、平成十四年に森林組合改革プランを策定いたしまして、一定の事業利益が確保できる健全な財務基盤の基礎となる出資規模が確保されるよう、森林組合の合併を強力に推進していく、そういう方針を十四年に出しまして、十五年以降実行に移してきたということでございます。

 その後、合併がある程度着実に進みまして、組合の数でいきますと、平成十五年度に九百七十組合であったものが、十年たった平成二十五年に六百四十四組合と約三百程度減少しております。

 また、こうした合併に伴いまして、一組合当たりの出資規模、平成十五年度の平均で五千二百七十三万円から、平成二十五年度には八千三百六十五万円と増加をしている。

 さらに、平成十五年度におきましては全組合の約一割は常勤役職員が不在の組合でありましたけれども、平成二十五年にはそうした常勤役職員が不在の組合というのがほぼ解消しております。

 また、事業利益を計上している組合の割合も、平成十五年度の時点では七六%でしたけれども、それが、数字的には若干ですけれども、先ほどから申し上げておりますように八〇%まで増加しているということで、全体といたしましては、経営基盤は徐々に強化され、長期的に改善傾向をたどっているんだろう、そういうふうに分析をしております。

 農林水産省といたしましては、今後も、都道府県と密接な連携のもと、森林組合の経営基盤の強化、健全な経営が確保されるよう、適切な指導に努めてまいりたいと考えております。

小山委員 今、合併について、また森林組合改革プランの総括についてもお話しいただきました。三百ぐらいの組合の減少というのは、これは林野庁の指導とあわせて、森林系統の自己努力も大変なものだったんじゃないかなと。ほかの、今言われている電機産業とか自動車業界とかそういったところが、よく規制改革会議なんかで、農林水産業のことを改革が進んでいないとかと言いますけれども、よっぽど業界の中の数は減っているんじゃないかというふうにも思います。

 こういった改革プランが必要になったのはなぜかといいますと、先ほども少し申し上げました、買い取り林産、買い取り販売の失敗で大幅に経営悪化したからでございます。当時は確かに材価も乱高下したりとか、またその中で一発逆転を狙って木材販売なんかをやったとか、まだまだ少しコスト削減といったところよりも積極的にやっていくんだというバブルの気風も残っていたというようなこともあったかと思います。

 今回、もちろんそのように、悪意にマイナスな面ばかりを見ているわけではないんですけれども、森林経営事業に係る規制緩和をすることによって、過度にリスクをとることになって、森林組合の経営悪化にならないようにするために、森林組合の経営悪化を防ぐ歯どめ策といったものを林野庁の方でも何か講じておりますでしょうか。

森山国務大臣 お答えいたします。

 今般の改正は、森林組合が、組合員の同意に基づいて、組合員の利益の増進を図る目的で森林経営を行えるように道を開くというものであります。

 一方、森林組合によっては経営基盤が脆弱で組合員の要請に応えられないこともあることから、森林組合連合会も森林組合と同様の森林経営を行うことができるように措置をしております。

 また、森林経営事業の実施に当たっては、総会の特別決議等を必要とするとともに、森林経営規程を作成して、行政庁の承認を受けることとしております。組合員の意思を適切に反映し、また行政の一定の関与のもとで行われるように措置をしているところでございます。

 農林水産省としては、本来業務が適正に行われるように、しっかりと今後も指導してまいりたいと考えております。

小山委員 この森林経営規程というものも含めて、暴走することは多分ないとも思いますけれども、ぜひそこはしっかりウオッチしていただきたいと思っております。

 なぜこのようなことをねちねちと申し上げたかといいますと、平成十年ぐらいから森林組合の経営が非常に悪化して、その立て直しで本当にみんな大変だったんですね。かなりリストラなどで職を失った職員さんなんかも県森連でもかなりいらっしゃいます。先ほども、三分の一が県森連でも赤字ということで、県によっては県森連も経営が悪いというところもありますので、ようやく、血のにじむような努力と、そしてまたコスト削減で人員削減を繰り返してきたものですから、相当人員の部分で手薄になっていることがあろうかと思っております。

 そういったことも含めて、もう二度と経営悪化をさせてはならないということと、もう一つ、これに関連して、先ほど金子議員からの質問でも、フォレスターとか森林施業の人材確保ということは、非常に、これまでも、また今後についても積極的に取り組んでいただくというようなお話がございました。一方で、森林組合の経営とか森林組合連合会の経営管理を行っていける人材の確保や育成というのもあわせて必要なのではないでしょうか。

 今申し上げたとおり、大変少数でやってきたということ、そして、極めて、給料も決して多いとは言えない中で皆さん頑張ってきているわけですけれども、そういう中で仕事はどんどんふえてくる、施業集約化もそうですし、新たな森林経営事業というのもそうですけれども、こういう人材の育成とか確保について、ぜひ、林野庁として、取り組みの意欲、あるいは今後考えている施策について御答弁いただきたいと思います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 森林組合が、今般の法改正による森林経営事業を初め、地域の森林・林業の担い手としての役割をさらに一層果たしていくためには、経営感覚にすぐれた役員ですとか、あるいは組合の財務、経理にも通じた職員ですとか、そういった職員を継続的に確保していくということが非常に重要かと考えております。

 このような中、昨年十月に、全森連が、五年に一度つくる運動方針ですけれども、その中におきまして、職員の能力向上、事業の継続性の確保の観点から、森林組合監査士や認定森林施業プランナーといった資格取得を進める等の方針をその中で打ち出し、示しているところでございます。

 このような中で、いろいろ事例を調べてみますと、森林組合の中には、銀行OBなどの外部人材に経営に参画をしてもらって、製材工場の生産管理だとか販路開拓などの販売管理等の面で助言をいただいて、いい成果をおさめているといった、そういう取り組みも見られているところでございます。

 農林水産省といたしましては、森林組合が打ち出している方針を後押しできるように、各種研修への講師を林野庁の方から派遣するですとか、講師をあっせんするですとか、あるいは、森林施業に加えて事業収支や経営管理にも通じた森林施業プランナーの育成に対する支援を行うですとか、そういうことも行って、今後とも、都道府県と連携して森林組合系統の取り組みをしっかりと後押ししていきたいと考えております。

小山委員 ありがとうございます。いい御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 ちょうど、森林組合改革プランができたあの当時、非常に、買い取り林産等で財務が傷ついたり、あるいは森林組合連合会も材価の低迷で傷ついたところからこれまで経営改善してきた、当時ミドルだった財務課長とか経理課長だったような方々が部長になって、参事になって、それで今専務になって、多分ここ二、三年ぐらいでかなり退職を迎える時期に来ております。

 非常に人材も少ない、ぎりぎりまで人数を絞っていますので、そういう大変目ききな方々ですから後継者は育成しているとは思うんですけれども、これから非常に人数が少ない組織ほど属人的になりやすいですので、そういう経営感覚にすぐれたリーダーというのがこれから退職をする時期に来ておりますから、そういった意味で、今、あえてこの人材の育成といったことで質問をいたしましたので、ぜひお取り組みをいただきたいと思っております。

 それでは、ここから鳥獣害のことで、今回も鳥獣害対策も改正に入っておりますものですから、それに関連してちょっとお伺いしたいと思いますけれども、鳥獣害は農業にも大変深刻な被害を与えておりまして、鳥獣被害対策実施隊というのを設置した場合に税制上の優遇措置等ということを設けるということで取り組みをしていただいておりますが、これがまだ全国千十二市町村の設置にとどまって、私の選出県、出身県の静岡県ではわずか二市のみということで、それしか設置されていないということでございます。

 市町村によってかなり取り組み意欲に欠けるところもあるんじゃないかということがうかがえるわけですけれども、農水省として、林業のみならず、農業の鳥獣被害を低減させるためにも、鳥獣被害対策実施隊の拡充を初め、特に自治体の設置促進に力を入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。

末松政府参考人 お答えします。

 農林水産省では、捕獲や侵入防止柵の設置、追い払い活動など、地域ぐるみで行う鳥獣被害を防止するための取り組みについて、鳥獣被害防止総合対策交付金で総合的に支援しているところでございます。

 先生お話ありました捕獲や侵入防止柵などの被害対策を実践する市町村の鳥獣被害対策実施隊について、その設置促進や体制強化を図ることは特に重要であるというふうに認識しております。

 このため、農林水産省では、鳥獣被害対策実施隊の活動に対しては一市町村当たり二百万円まで定額で支援したり、設置に係る課題の解決事例集を作成するなど、積極的に設置促進と体制強化を図ってきたところでございます。

 特に、全国的にばらつきがございますが、早期の設置が望まれる市町村に対しては、平成二十七年度から、農林水産省職員が直接ヒアリングや現地訪問を実施して、助言等を行っているところでございます。議員御地元の静岡県では八市町でヒアリングや現地訪問を行わせていただいております。

 引き続き、現場の声に耳を傾けながら、きめ細かく対応してまいりたいというふうに考えております。

小山委員 本当にこの鳥獣被害というのは全国的な問題にもなっておりまして、基本的には、その町で住民の方、市民の方から対策を実施してほしいということが首長さんやあるいは議員さんのところに話があって、独自にということが原則ではあると思いますけれども、そこではすくい切れていないという声もあると思いますので、本省さんからの今のような、各自治体さんにも積極的に取り組みを促進することもぜひ今後もやっていただきたいと思います。

 それと、有害鳥獣の獣肉の処分についてですね。年々この捕獲頭数というのは増加いたしております。基本的には、焼いたりあるいは埋めたりということで、その場で処分もできないわけではないんですけれども、一方で、焼却施設等の処理が追いついていないということも伺っております。

 焼却施設に対する支援というのはどのようになっているか、また、食肉としての利活用、ジビエの活用についても、これもいろいろと衛生面の問題、課題も多いかとは思いますが、期待されているところですけれども、それについてはどのように力を入れていらっしゃいますでしょうか。

末松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、野生鳥獣の捕獲頭数の増加に伴い、処分の負担増が課題となっております。また一方、これを地域資源として捉え、野生鳥獣肉、いわゆるジビエとして有効に活用しようとする機運も高まりつつあるというふうに認識しております。

 農林水産省では、鳥獣被害防止総合対策交付金において、捕獲鳥獣の焼却施設の整備を支援するとともに、食肉処理加工施設の整備支援により鳥獣利活用を推進しており、静岡県の伊豆市の処理加工施設でも本交付金を御活用いただいております。

 さらに、本年度から、ジビエの需要拡大を推進するため、全国段階の協議会による普及啓発や広報、PR等の取り組みを支援しているところでございます。

 ちょうどG7新潟農業大臣会合におきまして、大臣の御指示で、国産ジビエ料理を提供するということをしました。土曜日に開催された歓迎レセプションにおいて、会場の一角においてジビエコーナーを設け、国産ジビエを提供いたしました。各国の大臣の方々からも好評を得たというふうに承知しております。

 農林水産省といたしましては、野生鳥獣の利活用を通じて、持続的な被害防止対策につなげられるよう、関係省庁と連携しつつ、しっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

小山委員 去年ですかね、イノシシの柵に電流が流れているのが、たしかあれも静岡県の伊豆市でしたけれども、電流を流し過ぎて、それに人が触れてしまって亡くなったというようなこともありました。私も子供のころにはああいう電線みたいなのは見たことがなかったと思いますが、それだけ鳥獣害がふえているということだと思いますので、ぜひ、ジビエとか大変前向きな取り組みですので、進めていただきたいと思います。

 それと、今回、先ほどの質疑をされた先生は、ちょっと名前は失念してしまいましたが、林地台帳の整備でも国有林の職員さんが関与するというような答弁があったかと思いますが、今回、法改正に伴いまして、森林研究・整備機構、今までも大変業務が多かったわけですけれども、それで、昨年、これは農業、水産業の方の研究所の人員の関係とかの設置法の議論がございましたが、公務員さんの人員削減というと必ずこれは農水省さんにしわが寄ってきていたように思います。余りにもちょっと人を減らし過ぎているんじゃないか。

 むしろ、林地台帳の作成にも国有林の職員さんがかかわるというようなことも先ほどございましたが、人員削減をとどめて、人員増強もある意味必要なのではないかというふうにも考えますけれども、これについて農水省の認識を伺いたいと思います。

伊東副大臣 森林総合研究所の森林整備センターにつきましては、森林所有者の自助努力では整備が困難な奥地水源地域におきまして水源林の造成を行うためでありまして、川崎市の本部のほか、全国に六整備局と三十二事務所を配置いたしまして、約三百五十名の要員によりまして、約四十七万ヘクタールの造林地の管理を行ってきているところであります。

 また一方、今般の法改正におきまして、土地所有者が植栽した育成途上の水源林の公益的機能の維持に必要な森林施業につきましても、水源林造成業務に含めるとともに、奥地水源地域におきまして早急に施業が必要な保安林の整備の担い手として、この機構を位置づけているところであります。

 今後、各種研修の実施などによる人材育成等を通じまして、現有の森林整備センター職員のマンパワーと技術を最大限生かしていくことにより、新たな業務を含め適切に運営していけるもの、こう思っております。

 また、新たな業務も含めた水源林造成業務が適切に運営されるよう、今後とも必要な体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

小山委員 ありがとうございます。

 ぜひ今後も、人員の確保といったことは、何か人減らしというと農水省さんの職員を減らすということになって、余りにもやり過ぎてきたんじゃないかと思いますので、ぜひここは、闘うところは闘っていただきたいと思います。

 ちょうどあと一分ほどですが、私、いつも一分、二分質問時間をオーバーしますので、きょうはこれで終わりにさせていただきます。一分早いだけですけれどもさせていただきたいと思います。

 どうもきょうはありがとうございました。

小里委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 森山大臣とは、先週の月曜日から、きょう数えたら五回目の質問ということになって、また君かというふうに思わないでいただきまして、早速質問に入りたいと思います。

 本題に入る前に、国と北海道と北海道むかわ町が三月に結んだ協定について一言伺います。

 これまで、町と道、道と国、国と町がそれぞれ連携していたものを、今回、流域が一体となって森林の整備、管理、また森林資源の有効利用を図ることとした協定と聞いています。

 さまざまな問題を抱えている林野行政の中で、国と都道府県と市町村がこのように三者協定を結んだことは、重要な意義を持つものと考えます。

 そこで、今回のこの協定が、今回審議されている法案や、見直しが進められている森林・林業基本計画との関係でどのように位置づけられるのか、内容や意義について説明してください。

伊東副大臣 畠山和也議員の御質問にお答えしてまいります。

 お話にありましたように、本年三月二十二日、むかわ町、そして北海道庁、北海道森林管理局との間で、むかわ町における地域主体の一体的な森林づくり協定が締結されたところであります。この協定は、お話にございましたように、国有林、道有林、町有林、そして私有林の所管を超えて、流域一体となって森林整備やあるいは森林資源の循環利用を推進することを目的としたものであります。

 畠山委員御指摘のとおり、林野庁といたしましては、地域の森林・林業を活性化する観点からは、国有林と民有林との連携が重要であると考えております。これまでも、こうした協定に基づき、路網の整備や効率的な間伐等に連携して取り組む森林共同施業団地などの取り組みを進めてきたところであります。

 今般見直しを進めております森林・林業基本計画の案におきましても、森林共同施業団地の推進等による国有林と民有林との連携した取り組みの推進の方向を位置づけているところでありまして、引き続き積極的にこれらに取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

畠山委員 今ありましたように、積極的な内容を持つし、積極的な意義があることというふうに私も思います。

 大分前になるんですが、むかわ町の、合併した穂別の方にあります木質ペレット工場や森林組合を伺ったことがあります。今も、きょう議論されているとおりですが、多くの木が伐期を迎えるということから、森林資源の有効利用について学ばせていただいたんですね。

 同時に、そこに向かう途中で、大きくはないんですけれども土砂崩れがあった現場も通りまして、急激な天候の悪化のときだったというふうに聞きましたが、そこがどこの所有の山だったかちょっと記憶にないんですけれども、いずれにしても、活用と同時に保全、保安の重要性もその現場で学んだという記憶があります。

 つまり、先ほどの答弁にもありましたように、現状は、国有林、民有林なども問わず連携を強めながら、根本的なさまざまな検討を必要とする時期を迎えているということを確認しておきたいと思います。

 そこで、本改正案について伺いますが、まず大臣に、森林をめぐる現状認識について伺います。

 むかわ町に限らず、戦後造成されてきた人工林の半数以上が主伐期を迎えている中で、切ったら植えなければいけないわけですので、森林資源の有効利用と計画的な再造林は一体なものであることは間違いありません。

 木材需要は近年増加傾向ですが、一方で、木材の価格がさほど上がっていない。これらを背景にして、森林所有者の経営意欲の衰退や森林組合員の減少などが森林の管理、保全や有効利用を困難にしているのではないかと思います。

 このような現状や問題点について、まず大臣の認識を伺います。

森山国務大臣 畠山委員にお答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、やはり、近年、木材価格が低迷をしてきておりますし、また、森林所有者の世代交代等により森林所有者の経営意欲が低下をしてきているというふうに見ております。地域の森林組合に対しては、地域の森林の施業を集約する役割を一層果たしていくことが期待をされるようになってきているというふうに認識しています。

 その期待に応えるためには、これまでの施業受託や森林経営信託の引き受けという手法に加えて、組合がみずから森林を所有し、経営できるようにすることが有効であるというふうに考えたところでございます。

 このため、今般の法改正では、森林組合系統が積極的に森林経営を行えるように、森林組合が、組合員の同意に基づいて、組合員の利益の増進を図る目的で森林経営を行えるように道を開くとともに、組合員の同意をとりやすくして、連合会も組合と同様に森林経営ができるようにする等の改正をお願いしているところでございます。

畠山委員 今大臣、中身についても御答弁いただきましたけれども、この後、少し掘り下げて質問させていただきたいと思っています。

 ただ、いずれにしても、ここは認識は同じでありますが、木材価格の低迷に対してどうするかということは重要な点だと思いますので、まずこの点を少し伺いたいと思うんですね。

 振り返ってみますと、戦後の復興資材から見れば、当時、大量の木材が、復興資材ですから、必要とされ、伐採をされて、人工林が成長する前に高度経済成長期と当時の東京オリンピックを迎えることとなりました。

 そこで当時の政府がとった策として、丸太の関税もゼロにして海外材を大量輸入するということもありました。これで当時の需要を賄うことはもちろんできましたけれども、低価格の輸入材が市場に定着してしまうことになったのではないか、それが、今日、国内需要の約七割を輸入材で占めてしまう出発点となってしまったのではないかと考えます。

 人工林の約七割近くを占める杉とヒノキの木材価格が、今、ピーク時の約三分の一から四分の一となっています。ある生産森林組合にお話も伺ったんですが、木材価格が安過ぎて人件費が払えないという表現をされたんですね。それで、二〇一三年の森林組合統計を見ると、生産森林組合の方ですが、総数三千七十九のうち二千九十二組合が平均で六十四万円の赤字となっているということは、現状は共通しているというふうに考えます。

 そこで、先ほど大臣が答弁されましたように、いろいろな形態も変えていったりすることになる本改正案ですが、生産森林組合でいえば、株式会社、合同会社、認可地縁団体など多様な形態に変更できることとしています。

 今の低い木材価格に対して、これで経営が改善できる環境といいますか、そういうことになるのかどうかについて伺います。

今井政府参考人 生産森林組合のお尋ねについてお答え申し上げます。

 生産森林組合は、森林経営の協業化を望む組合員が、みずからの森林、労働力等を出し合って、法人形態で効率的な森林経営を行うための協同組織としてつくるものでございます。

 そういった制度の趣旨から、組合員みずから組合の事業に従事するということが法律上求められておりますけれども、高齢化等により、みずから組合の事業に従事することが困難となっている、そういう場合があったり、あるいは、生産森林組合の経営を多角化したい、そういう意向を持つ場合であっても、森林組合法で規定されている事業以外の事業を行うことが制約される、そういったこともあり、今日的に見ますと制度と実態との間に不都合な面も生じている、そういうことではないかと我々としては分析しております。

 このため、今般の法改正で、組合の活動状況ですとか経営の意向の方向等を踏まえまして、保有する森林の管理を継続しながら、生産森林組合から他の適切な法人形態へ移行できる措置を講じてはどうかと考えたところでございます。

 今回措置する組織変更の規定によりまして、生産森林組合が株式会社になる、あるいは認可地縁団体になる、合同会社になるということで、法人としての活動がより自由になって、経営が今よりも改善される部分があるのではないかということを考えておりまして、先ほど先生から御指摘があった組織形態の変更というのは、材価の低落に伴う対応ということではなくて、むしろ、組織の行為能力、その活動の仕方をより自由にして経営能力を発揮できるようにするというような趣旨で今回法改正を考えたところでございます。

畠山委員 今、森林組合法の話となりましたので、もう少し中身について伺います。

 経営能力の発揮という点では、生産森林組合、森林組合、県森連なども含めて対象で、考え方としては同一だと思うんですが、二十六条には森林組合がみずから森林の経営ができる規定があります。

 この改正案では、これまで例外的に認められていたという経営事業をやりやすくするものということで理解をするんですが、確認なんですけれども、それでは、今までなぜ経営事業の目的は限定され、実施手続も厳格に定められていたのか、その厳格さが求められていた理由について、確認のため伺います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 森林組合は、森林所有者等によって構成される協同組織でありますので、施業の受託、販売事業などによる組合員の森林経営のサポートを行うとともに、森林の保続培養、森林生産力の増進を図ること、そういうことを目的とした組織でございます。

 森林組合がみずから森林を経営することにつきましては、組合員が行う森林の経営と競合し得るという面もございますし、また、森林組合がみずから森林経営を行うことになりますと、森林組合自体のリスクともなり得るということから、組合員の利益に影響するおそれもあります。

 そうしたことから、当初の森林組合法におきましては、事業の目的に限定をかけまして、法第一条に定められる法目的の一つであります森林の保続培養、森林生産力の増進のために行う場合に限ってその森林経営の実施を認めてまいりました。

 また、その実施に当たりましては、組合員の意見を適切に反映する観点から、組合員の三分の二以上の書面による同意という厳格な手続を定めていたところでございます。それが当初の制度を創設したときの考え方でございます。

 しかしながら、近年、木材価格の低迷ですとか、森林所有者の世代交代によりまして森林所有者の経営意欲が低下する中で、地域の森林組合は、組合員の方から、森林施業を集約する役割を一層果たしてほしいということが大きく期待されるようになってきているところでございます。

 その期待に応えるためには、今般の法改正におきまして、法第一条に定められるもう一つの法目的であります森林所有者の経済的社会的地位の向上に資するものとして、林業を行う組合員の利益の増進を期する、それを森林経営事業の目的に追加しまして、森林組合みずからによる森林経営を行いやすくするように措置しようと考えているところでございます。

畠山委員 先ほど、小山委員でしたか、経営上のリスクの問題であったり、今答弁がありましたが、適切な組合員の意見の反映など、協同組合としての原点である相互扶助などが厳格さを必要としていたと思うんですね。それで、今回のように、森林組合が森林を取得して森林経営を行うとすれば、組合員の利益に反することになりはしないかということなどは、先ほどから議論があったとおりだと思います。

 今回の改正内容を改めてもう一度確認していくと、一つに実施手続等の緩和があるわけです。組合員数八百人以上規模の組合については、組合員の過半数が出席した総会において、出席組合員の三分の二以上の議決でよしとする。二つに、組合員の従事義務を廃止するなど実施手続も簡素化する。三つに、公益目的とされている森林組合の行う森林経営の目的に、林業を行う組合員の利益の増進という経済目的を加える。四つに、森林の経営主体に都道府県の森林組合連合会も位置づけられるなどなどとなります。

 それで、今ありましたように、組合員の減少であったり高齢化などから、森林経営事業の労働力として見込めないことなどに、一定の緩和や廃止などの措置はやむを得ない面がある現状は理解しています。

 一方、森林組合や連合会が、木材の加工販売や、今回はバイオマス事業者等の大口取引先の問題も入っていますけれども、林地残材や未利用資材を販売するなど経済事業に積極的になればなるほど、森林組合法の第四条に書いてある、組合は「その行う事業によつてその組合員又は会員のために直接の奉仕をすることを旨とすべきであつて、営利を目的としてその事業を行つてはならない。」という理念との整合性について、矛盾はないのかどうか、これは大臣に御答弁いただきたいんです。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 森林組合法第四条は今先生が御指摘になったとおりだと思いますが、今般の法改正におきましては、森林組合が、組合員の同意に基づいて、林業を行う組合員の利益の増進を図る目的で、みずから森林経営を行えるように道を開く等の改正を行うものでございます。

 このように、今回改正される森林組合の森林経営事業は、組合員の同意に基づくもので、組合員の利益と相反するものではないと理解をしております。また、法目的の一つである組合員の経済的社会的地位の向上を図るための手段として行われるものであることから、法第四条の基本理念とは矛盾をしないと考えております。

畠山委員 あわせて、関連して少し質問を前に進めたいんですが、改正案では、都道府県域を超える取引を木材安定供給確保事業計画の認定対象に追加して、計画の策定主体に木質バイオマス利用事業者を加えることにもしています。これによって、大型製材工場や木質バイオマス利用事業者等が広域から木材を集荷しやすくして、木材の安定供給体制の構築を促進することとしています。

 この事業計画の策定主体に木質バイオマス利用事業者が入ることについて、いろいろ聞き取りもしたんですけれども、ある首長さんからは、大手のバイオマス事業者が山を丸ごと買いたいと言ってきているというところがあるそうなんですね。大手に山ごと囲い込まれてしまわないかという心配の声もあるんだという懸念のお話も伺いました。

 そもそも、木質バイオマス発電についてもいろいろまた調べましたけれども、今まで林地に捨てられていた林地残材を活用して地域の林業振興の一助にするという狙いも一方にあったと思います。

 しかし、今回、森林組合が行う経営事業の見直しや共有林の持ち分移転の裁定制度の創設などと相まって、施業の集約化と利益を上げるための伐採が優先されて、地域に根差した林業再生や森林資源の保全という観点が後景に追いやられるという心配、おそれはないかということについて伺います。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の法改正におきます森林経営事業の見直しですとか共有林の持ち分移転の裁定制度の新設は、近年、木材価格の低迷や森林所有者の世代交代等により森林所有者の経営意欲が低下する中で、適切な森林の整備ができない問題が顕在化していることを踏まえ、それに対する対応策として考えたものでございます。

 具体的には、施業の受託だとか経営信託に加えまして、森林組合がみずから森林を所有し、経営できるようにする、あるいは、所在不明の所有者の存在により施業が困難となっている共有林の立木持ち分が移転できるようにするということにしておりまして、これらにより、森林施業の集約化と面的な森林整備が促進されるものというふうに考えております。

 これらの措置によりまして森林が伐採されることとなった際におきましても、森林計画制度における伐採の届け出ですとか森林経営計画制度、保安林制度等により適切な施業が担保されるとともに、今般の法改正におきましては、森林所有者等による造林の状況の報告等の制度も創設し、市町村による指導監督を行いやすくすることとしておりまして、これらの制度の適切な運用を通じまして、森林の保全を考慮しない無秩序な伐採などが行われることがないように取り組んでいきたいというふうに考えております。

畠山委員 そのほかにも個別の観点でいろいろ聞きたいことがありまして、林地台帳の問題も先ほど来質問がされまして、私の方も問いたかったんですけれども、やはり事務作業を、地方自治体において負担を軽減しなければいけないという点などがあるということを指摘しておきたいと思います。

 時間の関係で、少し先に進めたいと思うんです。

 いろいろこのような形で、さまざまに個別も含めた、議論を深めるべき論点があると思っているんですね。それほど林業の現状が深刻だということで、一つ一つを解決することはもちろん大事だと思っているんですが、ちょうど今、基本計画を見直していることに当たり、根本的な問題を改めて議論もしておく必要があると思っています。

 この森林・林業基本計画の見直し案には、輸入材に対抗し得る高い競争力を確保していくことが強調されて、望ましい林業構造の確立という部分では、意欲ある者に森林経営計画の作成と長期的な施業の受託を推進し、同計画に基づく低コストで効率的な施業の実行の定着を図るとあります。

 意欲ある者という理解なんですけれども、これは力のある森林組合や生産森林組合、あるいは民間の林業経営事業体に支援を集中するとも読める内容と理解していいのか、それが目指している内容なのか、答弁いただけますか。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 何度か先生からも御質問いただきましたけれども、現在、一番の問題は、木材価格の低迷、森林所有者の世代交代等により森林所有者の経営意欲が低下している、それが非常に深刻な事態にまで至っているということではないかと思います。

 そういう中で、林業の持続的かつ健全な発展を図るためには、その地域の森林を森林組合等にまとめる役割を果たしていただく、そういうことが必要かというふうに考えておりまして、とりたてて、力のある大きな林業事業体、森林組合等に全てを任せるということではなくて、全体の森林経営に対する意欲が低下している中で、地域の森林を守っていくという意思を持っている事業体にいろいろな計画等をお願いできるような、そういう枠組みをつくるということが重要ではないかというふうに考えております。

 そういうことから、今見直しを行っております森林・林業基本計画の見直し案の中では、森林経営計画の作成による施業の集約化ですとか長期受委託を推進することに加えて、生産森林組合ですとか共有林の活用等を通じた施業ロットの確保、生産性の向上、あるいは自伐林家の取り組みへの支援、そういった地域の森林・林業にかかわる全ての主体が活躍できるような、そういうフィールドをつくっていきたいというふうに考えております。

 今後とも、特定の主体に偏ることなく、地域の実情に即して多様な担い手が育成、確保されるとともに、それぞれの活躍を通じ、林業の持続的かつ健全な発展が図られ、森林の多面的機能の発揮が確保されることを目指していきたいというふうに考えております。

畠山委員 何で先ほどのような質問をしたかといいますと、同じようなところの部分で、自家労働により施業をしている林家については、この計画案の中で次のように書いてあるんですよ。地域の森林・林業を効率的かつ安定的な林業経営の主体とともに相補的に支える主体として捉えると書いてあるんですね。相補的、よくわからなかったんです、私の理解が悪いのかどうか。

 今御答弁ありましたように、全ての主体が活躍できるような環境をつくるであったり、多様な主体をもって支援するんだということであるのかどうか、もう一度、ここの私が指摘した内容について、関連して説明していただけますでしょうか。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 林業の持続的な発展を図るためには、林業従事者の多くが居住する山村におきまして、林業生産が活発に行われ、定住が促進されること、そういうことが非常に重要だと思います。

 その際には、いろいろな事業体が地域にはありますので、森林組合、あるいは民間事業体、さらにはいわゆる自伐林家などの多様な担い手が相互に協力していくということが非常に重要であり、かつ効果的なんだろうと思っております。

 相互に協力することの具体的な効果といたしましては、例えば、林業事業体による活発な林業生産活動を通じて整備された路網等を自伐林家が有効に活用する、あるいは、造林など季節性のある林業事業体の労働力を、自伐林家が一時その労働力として担うことにより、自伐林家の収入の確保に資する、あるいは、林業事業体が中心となって木材を安定的に供給する中で、地域の材の価格安定につながり、それはひいては自伐林家の利益にも資する、そういった相互に補完するような関係というものがあって、そういうものが実現するようなものを目指していくことにより、多様な担い手が地域の森林・林業を効果的に支えていく姿、そういうことを目指したいということを基本計画の中に位置づけたいと考えたところでございます。

畠山委員 施業の集約化の必要性だったり、今述べたような中身もあるかと思うんです。一概に否定するつもりはもちろんないんですが、大規模な事業体だけに限らず、バランスよく支援の仕組みを充実するということは必要だと思うんですね。

 というのも、今年度予算をもう一度見てみると、例えば、高性能林業機械導入支援事業というのが、年間素材生産量が三千立米以上という要件になっている。小さな生産森林組合では対象にならないところもあるんですね。

 林政審議会でも、こういう大規模集約などだけではない、もう一つの道があるんじゃないかという問題提起に私は注目しました。いろいろな実例も議論されていましたよね。群馬県では、県森連が渋川市に製材施設を設置して、全量買い取りの出口対策を行っていることですとか、きょう冒頭にも紹介した、地方公共団体との連携によって地域の林業関係者を支える多様な道もあるのではないかというふうに思うわけです。

 年間二千立米ほどの素材生産量がある生産森林組合でもちょっと聞き取りをしましたら、施業困難な森林所有者の委託を受けて仕事を確保し、黒字化してきたという努力も伺いました。一方で、自分たちのように地域に根差した林業経営をしている小さな事業体は、大きな事業体が進出してきたら太刀打ちできないと述べているわけです。

 これは大臣に一言きちんと述べていただきたいんですけれども、こういうような現場の声に対して、どのように受けとめられますか。

森山国務大臣 林業の現場においては、効率的、安定的な、大規模な事業体のみならず、それぞれの地域の実情に応じた多様な担い手が存在することが重要であると認識をしております。

 このため、小規模な事業体と大規模な事業体が相互に協力、役割分担をしながら、地域の森林・林業を支えていくことができるように、引き続き、小規模な林業事業体による造林、間伐等への支援など、各般の施策を講じてまいりたいと考えております。

畠山委員 残りの時間、最後に問いたいのが、政府の林野行政の位置づけについてです。

 まず、基本を確認いたします。

 森林・林業基本法は、第四条で、「森林及び林業に関する施策についての基本理念にのつとり、森林及び林業に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。」と国の責務を定めています。

 確認します。ここにある基本理念とは何でしょうか。事務方で結構です。

今井政府参考人 お答えいたします。

 森林・林業基本法におきましては、第二条及び第三条におきまして、国、地方公共団体や林業従事者等の関係者が進むべき方向となる基本的な考え方を基本理念として規定しております。

 まず、第二条におきましては、森林の適正な整備及び保全を通じて、森林の有する多面的機能の持続的な発揮が図られることが重要であるということが一つ目の理念として掲げられております。

 その上で、第三条におきまして、その森林の多面的機能の発揮のためにも、林業が持続的かつ健全に発展するとともに、林産物の需要に即した供給と利用促進が図られるべきであるということが二つ目の理念として掲げられております。

 その上で、第四条は、国は、この二つの基本理念にのっとり、森林及び林業に関する施策を総合的に策定、実施する責務を有するというふうにされておりまして、林野庁といたしましては、こうした理念にのっとり、第二条、第三条の二つの理念に基づき、森林・林業基本計画に基づいた具体的な施策を講じていくという構成になっていると認識しております。

畠山委員 森林の多面的機能の持続的発揮のための整備、保全、また山林における継続的な林業生産活動も一体として捉えるということがこの基本理念の中にあるかと思います。この方向で林業の再生を図っていくことが基本だろうと思います。

 そこで、今回の法案を見て感じることが、国の責任を軽くして、市場に任せようという姿勢ではないのか。その姿勢が、政府の林野行政に対する位置づけにも端的にあらわれているというふうに思います。

 というのは、二〇一五年農林業センサスで、二〇〇五年に二十万あった林業経営体が二〇一五年に八・七万経営体と五六・六%減ってきていました。

 軌を一にして、林野庁の資料によれば、林野庁の職員数も、二〇〇七年度は七千百八十三人いたのに、今年度は四千九百七十二人と約三割減です。統計のある昭和三十九年、ですから一九六四年だと思いますが、当時は八万八千五百三十八人いたんですね。

 改めて、林野庁の入庁案内、職員募集パンフも見たんですね。転勤も多い職場なんだなと改めて思いましたし、森林の大切さを理解して、山を守りたいという職員の初心や思いというのが伝わってきました。ですから、人員削減が続いてきたことが残念でなりません。こういう機会に改めてその点を指摘しておきたいと思うんです。

 営林署から人が消えてもう久しいですし、予算で見ても、二〇〇六年度の四千二十六億円から、今年度二千九百三十三億円と三割減。森林資源の活用はもちろん必要だと思いますが、水源確保や防災の観点も含めて、森林の保全という国の大義を改めて確認すべきではないかと思います。

 この基本法の理念に基づいて、指摘されているとおり、ふさわしい人員や予算が必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

森山国務大臣 お答えいたします。

 林野庁の職員につきましては、その大半が国有林野事業の職員でありますが、政府の行政改革の方針のもと、人員、組織の徹底した合理化、縮減に取り組みました。

 昭和三十九年がピークでございまして、そのときは八万九千人いた職員が、先ほど委員も御指摘になりましたとおり、本年四月時点で約五千人弱になっているところでございます。

 また、平成二十五年度からは、国有林野事業の事業、組織全てを一般会計に移行したところでございます。

 一方、林野庁の予算については、政府の厳しい財政状況のもと、平成九年度がピークでございますが、このときは五千三百億円でありましたけれども、本年度は二千九百億円となっているところであります。

 今後とも、業務の効率化を図ることは大事なことだと思っておりますが、必要な予算の確保を行い、森林の多面的機能の発揮や林業の持続的かつ健全な発展などの基本理念に掲げた政策の実施に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

畠山委員 今回の法案を審査するに当たって、私自身も本当にいろいろな現状を学ばせていただきました。所有者がわからない、先ほどあった木材価格の低迷、いろいろな問題が複合的に絡まっていて、今述べたように、歴史的に、林野行政はどうあるべきだったんだろうかということも思いました。

 法案が五本一括で出されて、必要なものもあると思っていますし、懸念しているものも率直に言ってあります。

 これまでの矛盾が膨らんできたことで、全てを解決しなきゃいけないということから五本一括ということだったのかもしれません。ですが、これまでの林野行政の総括なしに展望はなかなか見えてこないのではないかなというふうにも一方で思います。

 大臣、最後に伺いたいんですが、今回の法改正にとどめず、林野行政のこれまでの全般的な総括を求めたいと思いますが、最後に、いかがでしょうか。

森山国務大臣 お答え申し上げます。

 戦後造林をされました人工林が本格的な利用期を迎える中、森林資源を循環利用し、木材需要の拡大と国産材の安定供給体制の構築を車の両輪として、林業の成長産業化を実現し、地方創生に貢献することが喫緊の課題であると認識をしております。

 このため、需要面では、CLTや木質バイオマスの利用促進等による木材の需要拡大、供給面では、施業集約化や路網の整備など低コスト化の推進を通じた国産材の供給力の強化、間伐等の森林整備、保全等を通じた森林の多面的機能の維持向上などの施策を総合的に推進し、木材需要の拡大と国産材の安定供給体制の構築に取り組んでいるところであり、林業の成長産業化の実現に向けて最大限の努力を今後も続けてまいりたいと考えております。

畠山委員 なお、この後提案されます合法伐採木材等の法律案について一言だけ申し上げます。

 地球温暖化の防止、日本を初め各国の森林資源の保安、保全に向けて、合法伐採の木材を活用することで違法なものを市場から排除する仕組みは我が党も必要なものと考えます。関係団体や国際NGO団体からも提起されてきた問題であり、可決する意義は大きいものと考えます。

 これを機に、輸入業者、関係業者が林業、木材加工業等の健全な発展に貢献することを期待するものであります。

 質問を終わります。

小里委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。畠山和也君。

畠山委員 日本共産党を代表し、森林法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 日本の森林は、戦後造成されてきた人工林の半数以上が主伐期を迎え、森林資源の有効活用と計画的な再造林を進めるべき段階に来ています。一方で、森林所有者の経営意欲の衰退や森林組合の組合員数減少、経営難が、森林の管理、保全や木材の安定供給を困難にしている現状があります。

 日本の森林は、戦前は軍需物資等として、また戦後は復興資材等として大量の木材が伐採されました。これが戦後の木材需要拡大期に国産材の供給不足を招き、それを補うため木材の輸入自由化が進められ、現在、輸入木材は国内需要の七割を占めるに至っています。こうした事態に有効な手だてがとられずに来たことが、木材価格の長期にわたる低迷をもたらし、日本の林業を衰退させてきたのです。

 今こそ、森林・林業基本法が掲げる基本理念に沿った方向で、外材中心の加工、流通体制を、地域の実態に即した安定的な国産材の生産、加工、流通体制に構築し直すなど、これまでの林業政策を抜本的に見直し、健全な森林の育成と持続的な林業経営の確立を目指すべきときです。

 本法案は、その内容が林業政策全般にわたるものであるにもかかわらず、森林法、森林組合法、分収林特措法など五つの個別の法案を一括して提出するものです。今日の林業が直面する窮状を打開するために必要と思われる内容も含まれてはいるものの、現場の関係者からさまざまな懸念や評価が分かれる意見が出されているものもあります。本来なら、現場の意見を十分酌み上げて、一つ一つ時間をかけて審議すべきものです。

 現在見直し作業中の森林・林業基本計画は、力のある一部の林業経営事業体に支援を集中し、効率的な林業生産や木材の加工、流通体制を確立する林業の成長産業化を通じて、日本の林業、木材産業が輸入木材に対抗できる高い競争力をつけることを目指しています。

 本法案は、こうした方向に沿って、森林組合の森林経営の見直し、生産森林組合の株式会社などへの組織変更、木質バイオマスなどの大口需要者へ木材集荷を行いやすくする木材の広域流通の促進など、経済目的を重視した林業経営を推進しようというものです。外材依存の現状や木材価格の長期低迷という今日の林業経営を衰退に追い込んだ根本に手をつけることなく経済目的重視の林業経営が拡大すれば、森林の多面的機能の発揮に必要な森林の整備、保全という林業の重要な役割が軽視されかねません。

 本法案には、これらさまざまな懸念があることから、反対することを表明し、討論といたします。(拍手)

小里委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、森林法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、宮腰光寛君外二名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。岸本周平君。

岸本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    森林法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  森林は、国土の保全、水源涵養、生物多様性の保全、地球温暖化防止、木材の物質的生産等、多面的・公益的な機能を有している。しかし、我が国の林業は、木材価格の低迷、森林所有者の世代交代、山村地域の過疎化等により、依然として厳しい状況から、林業の成長産業化を実現するため、適切な森林施業を通じて、国産材の安定供給体制の構築・森林資源の再造成の確保・森林の公益的機能の維持増進を図る必要がある。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項について適切に対応すること。

      記

 一 森林資源の循環利用の推進のためには、主伐後の確実な再造林が必要である。しかし、木材の伐採収入で再造林に係る経費の確保は困難であり、確実な再造林に向けて、公的補助の拡充等を図ること。

 二 集約施業の加速化を図るため、林地台帳整備にあたる市町村等への支援の強化を図るとともに、森林経営計画作成の促進に向け、プランナー等の人材育成、国の職員による技術的な支援の更なる拡大や、集約化が困難な森林の地方公共団体等による公有林化に対する支援の強化等の施策の拡充を図ること。

 三 森林組合による森林経営事業については、過度なリスクを取ることで森林組合の経営悪化を招くことのないよう、農林水産省は引き続き森林組合・森林組合連合会の財務を監督するとともに、森林組合・森林組合連合会の経営・財務管理を担いうる人材の育成に注力すること。

 四 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会施設への国産材利用に積極的に取り組むとともに、木材利用の拡大、森林認証・認証材の普及促進、木材の輸出促進などにより、国産材需要の拡大に全力を挙げること。また、地域材の安定供給体制の確立に向け、川上・川下における木材需要に対応した供給調整を担う組織、人材の育成など地域における必要な方策を検討すること。また、セルロースナノファイバー等の新たな技術の開発・実用化等に取り組むこと。

 五 地域林業の確立を図るためには、林業事業体の育成と林業労働力の確保は不可欠であり、山村振興の観点からも、地域の企業の受注機会の増大・所得向上に向けた支援等必要な方策を検討すること。

 六 国際社会にとり重要かつ喫緊の課題である地球温暖化防止のため、京都議定書の第二約束期間における目標及び昨年末に合意されたパリ協定を踏まえ、間伐や植林等の森林吸収源対策を着実に推進するための安定財源の確保に向けた検討を加速化すること。さらに、安定財源が確保されるまでの間においても、必要な予算の確保を図ること。

 七 自然環境の保全に配慮した木材産業の持続的かつ健全な発展を図るため、事業者が合法伐採木材の利用を確保するため適正なリスク評価その他の措置を講ずることを促すとともに、事業者による合法伐採木材の利用を確保するための取組の実施状況に関する情報の把握に努め、違法伐採木材の取扱いが懸念される場合には、その是正に努めること。

 八 近年の山地災害の頻発やその被害の増加を踏まえ、国民の安全で安心な暮らしを守るため、予防治山対策を含めた治山事業の確実な実施に努めるとともに、必要な予算の確保を図ること。

 九 東日本大震災からの復興について、海岸防災林の再生や福島の森林・林業の再生をはじめとする復興対策に全力で取り組むこと。また、平成二十八年熊本地震による災害について、治山事業による崩壊地の早期復旧や二次災害の防止、被害を受けた森林・林業の再生に全力で取り組むこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

小里委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣森山裕君。

森山国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。

 附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

小里委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

小里委員長 次に、農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、各党間の協議の結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び主な内容につきまして御説明申し上げます。

 本案は、我が国または外国における違法な森林の伐採及び違法伐採に係る木材の流通が地球温暖化の防止、自然環境の保全、林産物の供給等の森林の有する多面にわたる機能に影響を及ぼすおそれがあり、また、木材市場における公正な取引を害するおそれがあるものであることに鑑み、自然環境の保全に配慮した木材産業の持続的かつ健全な発展を図り、もって地域及び地球の環境の保全に資することを目的とするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、基本方針についてであります。

 主務大臣は、合法伐採木材等の流通及び利用を総合的かつ計画的に推進するため、合法伐採木材等の流通及び利用の促進の基本的方向に関する事項等を定めた基本方針を定めることとしております。

 第二に、国の責務についてであります。

 国は、合法伐採木材等の流通及び利用を促進するために必要な資金の確保、情報の収集及び提供、木材関連事業者の登録に係る制度の周知その他の必要な措置を講ずることとしております。

 第三に、木材関連事業者の判断の基準となるべき事項についてであります。

 主務大臣は、合法伐採木材等の流通及び利用を促進するため、木材関連事業者が合法伐採木材等の利用を確保するために取り組むべき措置に関し、木材関連事業者の判断の基準となるべき事項を定めることとしております。具体的には、木材関連事業者が取り扱う木材等が我が国または原産国の法令に適合して伐採されていることの確認に関する事項、その確認ができない場合において合法伐採木材等の利用を確保するために木材関連事業者が追加的に実施することが必要な措置に関する事項等であります。

 第四に、木材関連事業者の登録についてであります。

 木材関連事業者であってその取り扱う木材等について合法伐採木材等の利用を確保するための措置を適切かつ確実に講ずるものは、登録実施機関が行う登録を受けることができることとしております。

 第五に、国際協力の推進についてであります。

 国は、外国における違法伐採の抑止のための国際的な連携の確保その他の合法伐採木材等の流通及び利用に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずることとしております。

 第六に、報告及び立入検査についてであります。

 主務大臣は、この法律の施行に必要な限度において、木材関連事業者に対し、合法伐採木材等の利用の確保の状況に関し報告をさせ、またはその職員に立入検査をさせることができることとしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小里委員長 お諮りいたします。

 合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。

 なお、ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十一分散会


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