衆議院

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第7号 平成28年5月11日(水曜日)

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平成二十八年五月十一日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小里 泰弘君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 武部  新君 理事 宮腰 光寛君

   理事 簗  和生君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 上田  勇君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      井野 俊郎君    伊藤信太郎君

      今枝宗一郎君    加藤 寛治君

      勝沼 栄明君    金子万寿夫君

      北村 誠吾君    工藤 彰三君

      小島 敏文君    笹川 博義君

      助田 重義君    瀬戸 隆一君

      武井 俊輔君    中川 郁子君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      西川 公也君    橋本 英教君

      比嘉奈津美君    藤井比早之君

      古川  康君    細田 健一君

      前川  恵君    宮路 拓馬君

      山本  拓君    吉川 貴盛君

      渡辺 孝一君    井出 庸生君

      金子 恵美君    佐々木隆博君

      篠原  豪君    田島 一成君

      福島 伸享君    村岡 敏英君

      横山 博幸君    稲津  久君

      佐藤 英道君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       森山  裕君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   農林水産大臣政務官    加藤 寛治君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  奥原 正明君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 一雄君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            秋本 茂雄君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     北村 誠吾君

  池田 道孝君     比嘉奈津美君

  勝沼 栄明君     笹川 博義君

  瀬戸 隆一君     中村 裕之君

  古川  康君     助田 重義君

  井出 庸生君     篠原  豪君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     あべ 俊子君

  笹川 博義君     藤井比早之君

  助田 重義君     金子万寿夫君

  中村 裕之君     工藤 彰三君

  比嘉奈津美君     小島 敏文君

  篠原  豪君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     武井 俊輔君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  小島 敏文君     池田 道孝君

  藤井比早之君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     勝沼 栄明君

  武井 俊輔君     古川  康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 漁業経営に関する補償制度の改善のための漁船損害等補償法及び漁業災害補償法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三六号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

小里委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、漁業経営に関する補償制度の改善のための漁船損害等補償法及び漁業災害補償法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官大澤誠君、生産局長今城健晴君、経営局長奥原正明君、水産庁長官佐藤一雄君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君、海上保安庁警備救難部長秋本茂雄君、環境省大臣官房審議官早水輝好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝沼栄明君。

勝沼委員 おはようございます。自由民主党の勝沼栄明でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、先月十六日に発災いたしました熊本大地震によりお亡くなりになられた方々、御遺族、御友人、そして全ての被災された皆様に心からのお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 来週には補正予算の審議がなされるわけでございますが、我々も、与野党関係なく、一致結束して復旧復興に邁進してまいると改めてお誓い申し上げます。

 また、特に私の地元は、ちょうど五年二カ月前の東日本大震災により甚大な被害を受けました石巻市、東松島市、女川町を含む地域でございます。発災直後より、熊本県、熊本市、そして八代市、そういった自治体の皆様を初め九州地方の皆様には、大変力強い御支援と継続的な御支援をいただいてまいりました。その恩返しではございませんが、やはり、五年二カ月の間に得られた知識、経験をしっかり生かして、そして地元のニーズに合致した御支援を確実に実行してまいりたいと思います。

 それでは、早速でございますが、質問に移らせていただきます。

 復旧復興に必要なもの、これは住まい、なりわい、コミュニティーと言われています。その中でも特に今回は、このなりわいの再建に資するであろう漁船損害等補償法及び漁業災害補償法の改正案についてお尋ねいたします。

 地元の話を再度させていただきたいのですが、私の地元は、良好な漁場に恵まれ、漁業が非常に盛んな地域でございます。三陸、金華山沖は、親潮と黒潮がぶつかる潮目がございますし、また三陸沿岸につながるリアス式海岸や多くの島々が点在しておりますので、そこが絶好の魚のすみかとなっておりまして、非常に豊富な種類の、また大変おいしい魚介類が水揚げされます。

 そこを五年二カ月前に東日本大震災の大津波が襲いました。漁業者の経営基盤たる漁船や養殖施設が大変多く失われた中で、漁船保険制度及び漁業共済制度による保険金の支払いは、被災された多くの漁業者の皆様の経営再建資金として大きな役割を果たしたのは言うまでもなく、大変感謝しているところでございます。

 さて、その漁船保険制度でございますが、今回の東日本大震災のときの対応を踏まえて、今回の法改正により、各地域ごとにある漁船保険組合及び全国団体でございます漁船保険中央会が統合一元化され、事業基盤の強固な組合を設立するとなっております。

 そこでお聞きしたいのですが、この漁船保険団体の統合一元化の必要性について改めてお伺いいたしたいと思います。

伊東副大臣 おはようございます。勝沼委員の御質問にお答えしてまいります。

 今委員からもお話ございましたが、平成二十三年三月に発生をいたしました東日本大震災におきましては、我が国の水産業に極めて甚大な被害が生じたところでありまして、特に漁船保険制度では五百四十九億円という多額の保険金が支払われたところでございます。

 これによりまして、漁業者の経営再建等に大きく寄与したことはもちろんでございますが、一方で、一部の漁船保険組合におきましては、組合の準備金だけでは保険金全額の支払いができない事態となったところでございました。これは岩手あるいは宮城で起こったことでございます。

 こうした中で、漁船保険団体におきましては、事業基盤の強化のために、漁船保険中央会及び四十五の漁船保険組合を一つに統合する動きが出てまいりました。具体的には、平成二十九年四月、来年四月の統合を目指して、全ての漁船保険団体で、平成二十五年五月から昨年二十七年六月にかけまして、組織統合一元化の決議がそれぞれの団体でなされたところでございます。

 これを踏まえまして、国といたしましても、南海トラフ地震などの将来予測される大災害に備え、組織統合一元化を通じた事業基盤の強化が実現できるよう、今般、制度改正により措置することとしたところでございます。

 以上でございます。

勝沼委員 ありがとうございます。

 今回、不幸にも熊本大地震も発生し、近年の状況を見ますと、我が国においては、いつどこで自然災害が発生するかわからない状況がございます。

 また、今、副大臣の御答弁にもございましたように、今後南海トラフ地震なども心配される中で、万が一つ大規模な災害が起こった場合、漁業者の方々は大きな損害をこうむることになると思います。そういった場合に、本当にしっかりと保険金を払ってもらえるだろうかという御懸念もあると思うんです。

 しかし、今回の法改正により、保険の元受けたる漁船保険組合の事業基盤が強固になれば、全国の漁業者の皆様に一つの安心を与えることができ、そして漁業に打ち込んでいただけるのかなと思っております。

 それでは次に、統合一元化された組織についてお聞きしたいと思います。

 統合一元化された組織については、事業基盤が強固になることは今お話ししたようによいことだと思いますが、同時に、事業の円滑な実施を確保しつつ、組織の業務の合理化、スリム化もあわせて行うべきと思うのですが、実際、今回の統合一元化により、こういった組織の合理化、スリム化は果たして行われるのでしょうか。ぜひお答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 勝沼先生の御質問にお答えいたします。

 先ほど副大臣の方から御答弁ございましたように、今回の組織統合一元化の主目的でございますが、大規模災害が発生した場合であっても保険金支払いが可能となるよう、財政基盤を強化して、将来にわたって事業基盤を安定させるといったことが主目的であるわけでございます。

 他方、組織体制の見直しが行われる中で業務の効率化が図られ、これによりまして、経費の削減など必要とされる合理化は当然ながら行われるもの、このように考えているところでございます。

 なお、現在の漁船保険組合につきましては、統合後の組合の支所として存続いたしまして、現状どおり職員が配置される見込みとなっておりまして、これによりまして組織統合後も円滑に事業を実施することが可能、このように考えているところでございます。

勝沼委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただきましたように、組織の統合一元化をしっかりした体制で、漁船保険事業を実施していただきたいと思います。

 次に、漁船保険の填補範囲の拡大についてお聞きいたします。

 今回の法改正において、これまで填補対象としてこなかった拿捕、抑留等による油濁損害等によって生じた損害賠償費用や積み荷損害も填補対象とするとされておりますが、実は、漁期にロシア水域でサンマ漁をするサンマ漁船が私の地元にも三隻ございますので、ロシア当局に臨検や拿捕されるリスクがございます。

 ですから、拿捕、抑留等により損害を補償する制度は私個人としても必要と考えておりますけれども、なぜ今回の改正でそのように填補対象を拡大する必要が生じたのでしょうか。拡大の必要性について改めてお伺いいたしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 近年、ロシア国境警備隊によります銃撃事件、あるいはミクロネシア及びブラジルにおけます拿捕事件が発生するといったようなことで、拿捕、抑留等により生じる損害のリスクが一定程度存在しておるところでございます。

 また、国際的な環境保護意識の高まりの中から、拿捕、抑留等を原因とする油濁損害等であっても、船主に対しまして損害賠償費用が求められているところでございます。

 さらに、これら費用を填補する保険への加入を義務づける国際条約、いわゆるバンカー条約、こういったものが発効したことから、条約締結国へ入出港するためには、これら費用を填補する保険への加入が必要となっているところでございます。

 しかしながら、現在の漁船損害等補償制度におきましては、この拿捕、抑留等を原因といたしました油濁損害等の賠償費用や積み荷損害を填補する仕組みが存在しておりません。

 このため、本法案によりまして、拿捕、抑留等によって生じた損害の填補対象を拡大することとした、こういう次第でございます。

勝沼委員 ありがとうございます。

 次に、漁業共済制度についてでございます。

 また地元の話で恐縮でございますけれども、私の地元の牡鹿半島では大変ギンザケの養殖が盛んでございます。養殖共済の対象となり得るギンザケのマーケットは、宮城県全体で約二十二億円と言われているうち、その二十一億円を占めております。したがって、非常になじみのある制度でございます。

 今回、この養殖共済において全員加入制度を撤廃するとのことですが、撤廃する理由として、全員加入が義務づけられているために他の方の事情で共済に本当に入りたい人が入れない、そういったことがあると聞いております。確かに、養殖共済への加入を希望される漁業者が共済に入れないのは問題であり、その解決は必要であると思うのですが、そこでお聞きしたいと思います。

 そもそも、なぜ養殖共済において全員加入制度が措置されたのでしょうか。また、なぜ今回この全員介入の原則をなくしても問題にならないのか、御説明いただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 この養殖共済におきましては、地域漁協内の養殖業者の全員から申し込みがあった場合のみ加入ができまして、一人でも申し込みをしない方がいた場合には地域漁協内の全員が加入できないという、いわゆる全員加入制度を導入しているところでございます。

 この制度につきましては、台風等によりまして漁場の混乱の際に、共済加入者が共済未加入者の損害を自己の損害と偽って保険金を不正に受領するといったこと、すなわち損害のつけかえを防止するために導入されたものでございます。

 しかしながら、この全員加入制度は、加入したい方が他の方の事情で加入できないということになりますことから、過度な規制となっているとの指摘がなされているところでございます。

 こうした中、近年では養殖施設の堅牢化に伴いまして、漁場の混乱が起こらなくなってきておりまして、全員加入制度を維持する必要がなくなってきたことから、今回廃止することとしたところでございます。

勝沼委員 ありがとうございます。

 最後に、特定養殖共済における掛金補助制度の改正について質問をさせていただきます。

 またまた地元の話で恐縮でございますが、東松島市において、私のところはノリの養殖が非常に盛んでございまして、ちなみに皇室にも御献上されている非常においしいノリでございますが、これも、宮城県全体で共済対象が約二十七億円のマーケットがありますけれども、そのうち十七億円を占めております。大変盛んに行われております。

 今回の改正により、特定養殖共済では、掛金補助制度により高率の国庫補助を得やすくなる、そういったことでございますが、この高率の国庫補助を得るのは特定養殖業者の中でも漁業依存度が高い業者さんだけで、漁業依存度が低い業者さんは対象とならない、そう聞いております。確かに、高率の国庫補助を受けるべき意欲ある特定養殖業者がその制度を十分に利用できていないとしたら、それは大変問題でありますけれども、今回の特定養殖業者から漁業依存度が低い業者さんを除くことについては、漁業依存度をどのように設定するかが非常に重要になってくると思います。

 では、この漁業依存度の具体的要件について、どのように設定するのか、お伺いいたします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先生今御指摘のこの掛金補助制度におけます漁業依存度の低い者の要件でございますが、これにつきまして、既に漁獲共済におきましては、政令によりまして、漁業従事日数を要件といたしまして、一年のうち九十日に満たない漁業者を漁業依存度の低い者としているところでございまして、今般、この特定養殖共済におきましても同様の日数要件を導入することを検討しているところでございます。

 さらに、この日数要件に加えまして、より正確に漁業依存度を判断する観点から、新しく生産金額に関する要件を加えることを検討しているところでございます。

 なお、これらの要件を追加するに当たりましても、我が国の養殖業は地域によってさまざまでございますから、地域の事情を十分勘案しながら検討することとしているところでございます。

勝沼委員 ありがとうございました。

 いろいろ、短い時間でございますが、お聞きいたしました。

 いずれにしましても、保険制度も共済制度も、やはり漁業者の皆様に安心感とやる気を与えて、なおかつ現場の皆様が非常に使いやすく、わかりやすい制度でなければならないと思っております。

 今回の改正、非常にいいものだと個人的に思いますが、決してこれで満足することなく、私もしっかり現場を見て回って、状況ですとか漁業者の皆様の思いとかもしっかり受けとめて、それを伝えてまいりますので、この改正に満足することなく、常に改善を目指していただいて、ほかにもいろいろ漁業が抱えている問題、資源管理の問題とかいろいろございますけれども、水産日本、その復活のために、私も一議員としてしっかり地元の代表として努力して邁進してまいりますので、ぜひ行政府におかれましてもしっかりとした漁業行政を行っていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

小里委員長 次に、北村誠吾君。

北村(誠)委員 本日は質問の機会をお与えいただき、ありがとうございます。長崎四区選出の北村誠吾でございます。

 漁船損害等補償法及び漁業災害補償法改正案につきましては、委員各位既に御承知のとおり、去る四月六日、参議院本会議において全会一致で可決をなされ、我が院での審議を待っておるというふうな状況で、先ほど答弁にもありましたとおり、平成二十九年四月にこれを実施するという決議も、関係の団体におかれまして、組織統合についての決議ということでなされております。

 また、熊本、大分の震災に、我々は、九州は一つの気持ちで、党派を超えてこの対策、対応に取り組んでいるところでありますが、この被災地の水産関係の皆さん方の分野においても復興復旧への勇気と意欲をかき立てるためにも、本院での審議を促進し、これの成案を見ることを心から期待し、お願いを申し上げたいと思い、質問をさせていただきます。

 私の地元長崎県も大変漁業の盛んなところであります。漁船漁業また魚類養殖など、多岐にわたって頑張っておるところです。今般の改正におきましては、漁船保険及び漁業共済制度の見直しを行う、大変かかわりが深いものでございます。

 このため、法律改正によって漁業者にどういうメリットがあるのか、使いやすい制度となるのかという点について、さきの質問者に重複する部分もあるかもしれませんが、漁業者のメリットという点について、あるいは使いやすい仕組みということについてお答えをいただきたいというふうに思います。

 なお、近年の漁業者、漁船員の減少や高齢化、あるいは漁業経営環境の悪化、これに加えて、先ほどお話もありましたとおり、東日本の大震災においては甚大な被害をこうむっておりますし、我が国の水産業をめぐる情勢は一層厳しいという認識をせざるを得ません。こういう状況の中で、これまで漁船保険制度及び漁業共済制度が極めて重要な役割を果たしてきました。

 この役割について、今回法律改正をいたすことの意義、また、この改正によって期待される効果についてどうお考えなのかをお伺いしたいというふうに思います。水産庁長官にお願いします。

佐藤政府参考人 北村先生の御質問にお答えいたします。

 今回の法改正の意義、また、これにより期待される効果ということでございますが、漁船損害等補償制度、そして漁業災害補償制度につきましては、先生既に御案内のとおり、いずれも漁業や漁船に生じた不慮の事故等による損害を填補する制度でございまして、漁業の再生産の確保及び漁業経営の安定に重要な役割を果たしてきたところであるわけでございます。

 他方、漁船損害等補償制度につきましては、先ほど先生の方からお話ございましたが、東日本大震災の際、一部の組合では準備金だけでは保険金全額の支払いができなかったという教訓がございまして、この教訓を生かしまして南海トラフ地震等に備える必要があるといったような事情。また、漁業災害補償制度につきましては、タイ、ハマチといったような養殖共済におきまして、地域漁協内の全員が加入しないと共済に加入できないといったような課題があるところでございます。

 こうしたことから、今般、大震災、大災害時の保障の充実、安定、そして意欲ある漁業者の経営の安定を図るため、所要の法律改正を行うこととしたところでございます。

 これによりまして、漁業者のセーフティーネットの充実が図られ、安心して漁業に従事していただけるようになるもの、このように考えているところでございます。

北村(誠)委員 ありがとうございます。

 保険金の支払いに支障が出ないようにというふうなことで、財政基盤を強化する目的、そういうことで、現在、各地域ごとに漁船保険組合が設立されておりまして、それぞれの地域で、密着した形で漁船保険に関する業務を行ってまいりました。

 これが全国に一つの規模の大きな組合になるということでありますが、そういうことになりますと、統合一元化によって地域のそれぞれの実情に応じたきめ細かいサービスというものが行われなくなり、行き届かないというふうなことになりやしないかというおそれを持ちますが、どういった体制でその業務をきめ細かく行っていくつもりかを教えてください。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど勝沼先生の御質問に答えたところでもございますが、組織統合一元化後におきましても、現在の各都道府県にございます漁船保険組合につきましては、統合された組合の支所として、地域の漁業者の保険の引き受けを行うことを予定しているところでございます。

 このため、例えば、同一組織のもとで支所間の連携によります事故査定の迅速化が図られるなど、これまで以上に地域の実情に応じたサービスを実施することが可能ではないか、このように考えているところでございます。

北村(誠)委員 今回のこの改正案につきましては、十分な保険金の支払い能力を有することが設立認可のための要件というふうにお聞きしていますが、いつ発生するかわからない例えば南海トラフ地震等にも備えるんだということであれば、この設立認可の要件ということで、どのような考え方に基づいてその要件を定めようとしているのかについてお尋ねをします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正におきましては、組合の事業基盤を強化するものでございまして、新組合の設立認可要件といたしまして、東日本大震災級の大規模な事故が発生しても組合が確実に保険金の支払いを行うことができる資産の額を保有していることを基準とすることとしているところでございます。

 この具体的な資産の額でございますが、未曽有の大災害が発生した場合でも保険金の支払いが可能となるよう、監査法人の報告書も踏まえつつ設定することとしておりまして、具体的には、全国組合の場合には約三百五十億円となるものと試算しているところでございます。

北村(誠)委員 ありがとうございます。

 統合によってサービスは低下しない、漁業者にもちゃんとメリットがあるということは、説明でわかったようなつもりになります。

 自然災害はいつ発生するかわからないわけですから、災害に備えるということは大変重要なことですから、ぜひそれらのことについて再認識をした上で事業を具体化していただきたい。

 次に、漁業共済制度についてお尋ねをいたします。

 今回の改正で特定養殖共済について見直しを行うということでありますけれども、漁業者はどういったことで困っているのか、漁業者にとっていい制度になるのか、特定養殖共済の見直しによるメリットということについてはどうお考えなのかをお尋ねします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 ノリあるいはホタテといった特定養殖共済におきましては、地域漁協内で同じ特定養殖業を営む者の三分の二以上から共済の加入申し込みがあり、その後、地域漁協内の全員が加入した場合に、二分の一の掛金補助の国庫補助を受けられることになっているところでございます。

 他方、近年では、年金受給者等の漁業依存度の低い方がこの共済に加入しないといったようなことによりまして、加入を特に推進すべき漁業依存度の高い方が二分の一の国庫補助を得られないケースがふえてきているところでございます。

 このため、今般の改正によりまして、漁業依存度の低い方を除く地域漁協内の全員が共済に加入すれば二分の一の補助が受けられることとし、これによりまして、漁業を主たる生活基盤とする漁業者がこの高率補助のメリットを享受できるようにすることとしたところでございます。

北村(誠)委員 次に、養殖共済について質問させていただきます。

 今回の改正によりまして、養殖共済の対象としてこなかった内水面養殖業を新たに対象とすると聞いております。内水面養殖のうち、今回はまずウナギ養殖業を共済の対象にするということでありますけれども、ウナギ以外にも、アユ、ニジマスあるいはコイ、チョウザメ、そういったものが陸上で内水面の養殖に類するものとして今後盛んになることが熱心な取り組みによって予想されます。

 また、この内水面養殖業の中には、海面ではなくて陸上の人工の池でヒラメやトラフグを養殖する、あるいは、いそのアワビやウニを陸上で養殖するということも含まれるのではないかと私は思ったりするのですけれども、現在はそれぞれいろいろな養殖の形態がありまして、我が県でもトラフグやヒラメは陸上で養殖が行われています。

 そこで質問でありますが、ウナギ養殖以外の内水面あるいは陸上養殖、これらについての共済対象への追加ということについては今後どのようにお考えかということをお尋ねしたいと思います。水産庁長官、よろしくお願いします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 養殖共済への魚種の追加に当たりましては、まず、その共済ニーズがあるといったこと、そして、妥当な掛金水準で保険設計ができること、そして、損害の現場確認など漁協の協力体制が確保されており、客観的な損害査定ができるといったこと、こういった要件を満たして保険設計が可能となったものから順次追加することとしているところでございます。

 今回追加を予定しておりますウナギにつきましては、まず、近年、稚魚であるシラスウナギの高騰やその供給量の減少によりまして、事故が起きた場合の経営への影響が非常に大きくなっておりまして、共済創設の要望が特に強くなっているところでございます。

 また、ウナギの生産金額でございますが、約五百億円と十分な保険母集団を確保ができるような水準になっておりまして、妥当な掛金水準での保険設計が可能となっている、このような状況にございます。

 また、共済団体と養鰻漁協との間で事務処理につきまして協力体制が確保されることとなったことから、今回追加することとしたものでございます。

 今先生からございましたウナギ以外の魚種につきましてですが、これらの要件のいずれかを満たしていないことから、今般の改正においてはウナギのみの追加となりますが、当然、今後、ウナギ以外の魚種がこれらの要件を満たした場合には順次追加に向けた検討を行っていきたい、このように考えているところでございます。

北村(誠)委員 それぞれに御答弁ありがとうございます。

 私は、漁船保険及び共済というものがいかに漁業関係者にとって大事なものであるかということを常に感じておる者の立場から、答弁を求めず、感謝の気持ちを述べさせていただきたいと思うのであります。

 近年、漁船漁業に従事するため漁船員になる人たちが非常に少なくなって、漁船漁業は大いにピンチの状態でありますが、一つには、やはり漁船漁業の海難事故等々の危険性など、若い方々、若くない方々も、なかなか、船に乗って沖へ出ていこうというふうなことについては、おかの仕事と違って危険度が高いということで、従事者の確保に苦労しています。

 そういう中で、漁船の不幸な事故が立て続けに起きた時期がございましたが、このとき、遠洋まき網漁船の多数の乗組員が乗り込んだまま出漁したその当日、不幸にして高波で沈没してしまう、転覆、沈没という事故が起きました。会社も家族もその捜索のために大変な心労をいたしましたが、結果として、政府の真摯な取り組みによって、漁船保険の制度、仕組みを用いて捜索を完璧に行うというふうなことが実現をし、海底八十八メートルのところから台船を用いて完全に台船上に引き揚げて、行方不明の全ての船員の捜索を完璧に行うことができ、かつ、どうしても最後の最後の一人の乗組員だけは行方不明のままで捜し当てることができなかった。

 しかし、これまで我が国においては、漁船の乗組員は、海難事故に遭遇したときには、本人も家族も、船を墓場として諦めざるを得ないというふうなことで漁船の乗組員は仕事をしてきたという伝統的な考え方があったと私は聞き及んでおりますけれども、それを保険の仕組みによって、またサルベージの技術の進歩によってそういう捜索が行われ、保険の仕組みが有効に活用されて、このようなことで漁船の乗組員も大事にされるんだというふうなことで、浜においてもそういう方々の家族あるいは就労したいと望む人が大事にされる漁船員、乗組員、漁業者、漁業関係者。漁師になろうという呼びかけに応えてくれる人たちもわずかではあってもこういうことでふえてくるというふうなことに大いに期待をしていますから、この仕組みが一日も早く改良、改善されて、法案の成立ということにつながりますことを御期待申し上げ、委員各位の御協力をお願い申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、まず、法案に対する質問の前に、G7農業大臣会合についてお伺いしたいというふうに思います。

 四月の二十三、二十四日、新潟市でG7の農業大臣会合が開催をされ、森山大臣も御出席をされ、大変に御苦労さまでございました。

 このG7の農業大臣会合は、世界の食料安全保障と栄養について、持続可能な農業政策の観点から幅広い分野についての議論がなされた、意義は非常に大きな会合だったというふうに理解をしております。その会合で採択をされた宣言の中には、食料安全保障についても盛り込まれております。

 ただ、これは、食料安全保障ということを考えると、G7の国々を考えますと、アメリカ、フランス、カナダといった国々というのは食料の純輸出国でありますし、それ以外のイギリス、ドイツ、イタリアも食料自給率はいずれも六割超ということで、我が国に比べれば全然高い国々でありますし、EU全体で見ればほぼ自給しているというのが状況だというふうに考えています。

 我が国は、そういう意味では、食料自給率が低く、農林水産物の大幅な純輸入国でありますので、G7の中では特殊な存在とも言えるんじゃないかというふうに思います。

 ただ、世界的には、我が国のように食料の純輸入国というのもたくさんあるわけでありますので、G7という枠組みの中で、我が国としては、食料を海外に依存している、そうした国々の立場を代表するというような役割も期待をされているんじゃないかというふうに思います。

 そこで、大臣に、我が国のそうした立場からどのような主張をされてこられたのか、また、それが今回、この会合の中でどういうふうに生かされてきたのか、御報告いただければというふうに思います。

森山国務大臣 上田委員にお答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、先月の二十三日と二十四日に新潟でG7農業大臣会合を開催いたしました。

 改めて、御協力をいただいた新潟県、新潟市、また関係者の皆さん、ボランティアの皆さんに感謝を申し上げたいと思っております。

 この会合におきましては、農業を取り巻く新たな課題に対応して、G7そして世界の食料安全保障をどのように強化していくのかについて包括的な議論を行ったところであります。

 会合の場で私からは、農業者の高齢化、農村のコミュニティー活動の停滞、新興国の所得向上等に伴う食料需要の変化等、新たにG7共通の課題が発生をしていること、そうした中で、我が国の食料の自給率は三九%と低く、これらの課題に対処し、次世代に豊かな食と農村を継承していく必要があること、このため、人材力の強化等を含めた産業政策と農村コミュニティーを活性化するための地域政策とを車の両輪として農政を進めていく必要があることを主張いたしました。

 こうした問題設定は、各国からも、我々の共通点に目を向けることができたとの評価をいただき、議論の結果である新潟宣言でも、食料安全保障の強化を図る観点から、新規就農と女性の参画の促進等を図り、農村地域の活性化と農業者の所得向上の双方を進めていくこと、技術開発等により生産性の向上を図るとともに食料供給システムの強化、改善を図ること、気候変動に対処して持続可能な農林水産業を確立することにつき、G7が認識を共有し、課題の解決に向けて連帯して取り組んでいくという形で反映されたところであり、いい方向づけができたのではないかと考えております。

 以上でございます。

上田委員 ありがとうございました。大臣には、大変御苦労さまでございました。

 これに関連して、もう一点お伺いをしたいというふうに思います。

 宣言の中に「食料の損失・廃棄の削減」という項目が位置づけられております。そして、「経済、環境、社会において非常に重要な世界的問題である」というふうに強調されております。

 我が国においても、いわゆる食品ロスというのは年間約六百四十万トンに上るのではないかというふうに推計をされております。食品ロスを削減していくためには、消費者、そして流通、加工、外食などの事業者、また国や地方自治体などの行政が協力連携をして取り組まなければなりません。

 こうした国民的な運動を推進していくことが重要だというふうに考えますけれども、御見解を伺いたいと思います。

森山国務大臣 上田委員御指摘のとおり、G7の新潟農業大臣会合では、宣言の中で「食料の損失・廃棄の削減」が盛り込まれました。

 御承知のとおり、我が国の食品ロスの発生量は事業系と家庭系を含めて年間六百四十二万トンと推計をされているところであり、その削減は重要な課題であると認識をしております。

 これまで政府としては、食品ロス削減関係省庁等連絡会議を通じて関係省庁が連携をしつつ、食品リサイクル法に基づく発生抑制や再生利用等の目標設定を通じた食品関連事業者による削減の促進、いわゆる三分の一ルールなどの事業者の商習慣の見直しの推進、家庭でできる食品ロス削減の取り組みなど消費者向けの周知啓発などの取り組みを進めてまいりました。

 さらに、消費者、事業者等の参画を得た官民挙げての食品ロス削減国民運動、ノーフードロス・プロジェクトを平成二十五年の十月から実施し、国民一人一人の意識、行動の改革を促しているところであります。

 食品ロスについては、事業系、家庭系いずれの削減も欠かせないところであり、今回のG7新潟大臣会合宣言を機に、関係省庁との連携をさらに深め、事業者、消費者や地方公共団体など幅広い主体が食品ロスの削減に取り組めるように国民運動を強化してまいりたいと考えております。

上田委員 ありがとうございます。

 今大臣からさまざまな取り組みを行っているというような御答弁をいただきましたけれども、それに加えて、未利用の食品を、食品を必要としている困窮者に適正な形で届けるという、いわゆるフードバンクというような取り組みも今行われております。こうした取り組みへの支援もやはり考えていかなければならないんだろうというふうに思っております。

 公明党としても、この食品ロスの問題についてはさまざまな議論を今行ってきており、近くいろいろな考え方も取りまとめていきたいというふうに考えておりますので、またどうかよろしくお願いをいたします。

 それでは次に、漁船リース事業についてお伺いしたいというふうに思います。

 漁業の担い手は、ここ数年は横ばいで推移をしているものの、この十年間で見ますと六万人以上が減っている現状があります。また、新規の就業者も、年間千八百人あるいは千九百人程度にとどまっております。

 新規就業の拡大と担い手の自立、定着、また担い手の所得の向上を目的といたしまして、漁業関係団体などからは、漁船のリース事業について、拡充強化あるいは利子助成や補償制度の拡充についての要望が非常に強いというふうに聞いております。

 こうした要望に応えるものとして、二十七年度補正予算では、水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業として七十億円計上しているわけでありますけれども、改めて、この事業の目的及び期待される効果についてお伺いしたいというふうに思います。

伊東副大臣 上田委員の御質問にお答えいたします。

 御指摘ありましたとおり、漁船の老朽化あるいは高船齢化が水産業の競争力強化を阻む大きな課題となっており、私どもも認識をいたしております。漁業者が収益性の向上を図るためには、新たな漁船を導入していく、これは御要望も強いところでありますし、私どももその必要性を認識しているところであります。

 このため、今お話ございましたように、平成二十七年度補正予算で措置いたしました水産業競争力強化漁船導入支援事業におきまして、リース漁船の取得等に係る経費を助成し、漁業者の所得向上に必要となる漁船のリース方式での導入を推進していくということとしているところでございます。

 さらに、リース漁船取得に係る自己負担部分があるわけでございますが、これにつきましては、融資により対応する場合においては、実質無利子化及び保証料助成の措置を行い、事業の円滑な実施を図っているところであります。

 これらの事業を最大限活用し、持続可能な収益性の高い操業体制への転換を進め、漁業者の収益性の向上に寄与してまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

上田委員 これまで漁業関係者から非常に要望の強かった内容でございまして、そういう予算措置が講じられたことというのは非常に大きく評価できるというふうに思っております。ぜひ、それが円滑に実施をされるように特段の御努力をいただきますようお願いをいたします。

 次に、法案の内水面養殖業の漁業共済制度の対象の追加についてお伺いしたいというふうに思います。

 この法案では、これまでの漁業共済制度の対象となってこなかった内水面養殖業を対象として追加するということになっております。先ほどからの質問にもございましたけれども、当面はウナギ養殖業が想定をされていると理解をしております。

 法案を取りまとめるに先立って、有識者や漁業関係者から構成されます漁船保険・漁業共済事業に関する検討会を農水省の中に設置し、議論をしてきたわけでありますけれども、その検討会の取りまとめが昨年の七月に公表されておりますけれども、そこにおいては、ウナギ養殖業を共済に追加するためには解決しなければならない課題が幾つかあるということも指摘をされております。

 それも、聞くと確かにもっともだなというような面もございますけれども、ただ、やはりウナギ養殖業の共済追加というのは非常に関係者の要望も強いことでありますので、ぜひ実現をしていただきたい。そのためには、こうした指摘をされた課題にどのように対応した制度設計を行っていくのかが重要になってまいります。

 今後の検討方針及び今後の検討のスケジュールについてお伺いしたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 上田先生の御質問にお答えいたします。

 今先生の方から御指摘ございました、昨年、平成二十七年七月十四日に取りまとめられました漁船保険・漁業共済事業に関する検討会取りまとめという中で、ウナギのことにつきまして、大きく分けまして二つほど指摘されております。

 一つは、ウナギ養殖は濁り水の中で行われ、尾数の把握が難しいといった指摘が一つございました。また、養殖実態を踏まえますと一年を超える共済責任期間を設定することが求められるといった指摘がなされているところでございます。

 このうち、最初の指摘の尾数の把握でございますが、これにつきましては、ウナギ養殖業者の行っている日々の業務としての死亡魚の回収、あるいは養殖日誌の記載などに加えまして、今後、養鰻漁協等によります共済運営の事務処理に当たっての協力が得られることとなったことから、海面養殖と同様の管理ができるものと考えておるところでございます。

 また、共済責任期間でございますが、これにつきましては、今回の改正法の中におきまして、一年を超える共済責任期間を設定できることとしたところでございます。

 また、今後のスケジュールでございますが、共済の制度設計に当たりましては、共済掛金率あるいは共済単価等の算定のためのデータ収集及び分析が必要でございますが、平成二十八年の漁期、平成二十七年十一月以降でございますが、この漁期からウナギ養殖業が許可制に移行しておりまして、稚魚の池入れ数量を政府が把握できるようになったことから、このデータを三年分は収集いたしまして、分析することが望ましいものと考えているところでございます。

 このため、改正法のうちウナギの共済の部分につきましては、改正法の公布日から三年以内の準備が整った段階で施行することとしたい、このように考えているところでございます。

上田委員 ありがとうございます。今、これから準備も必要だということでございましたので、これまで非常に要望の強かったことでもありますので、迅速、円滑にぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 それで、最後になりますけれども、漁船の満期保険についてお伺いしたいというふうに思います。

 この満期保険は、漁船を適切な時期に更新するために、それを目的といたしました積み立て型の保険でありますけれども、加入隻数は近年減少し続けております。先ほど申し上げました検討会の取りまとめでも、その原因として、現行の積立年数と漁船の平均使用年数にギャップが生じているということが指摘をされ、単年度の保険料を抑制し、保険期間を延長するというようなことが提案をされております。

 また、近年、FRP漁船の普及や高船齢化によりまして、満期保険に加入できない漁船が多くなっているという現状があります。そうしたことを踏まえて、この取りまとめの中でも、船齢制限の条件を緩和、より多くの漁船が満期保険に加入できる道を開くことが適当ということが述べられております。

 これらを踏まえて、今後の対応方針についてお伺いしたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御指摘ございました満期保険でございますが、この保険につきましては、所有する自船の損害を填補することに加えまして、満期における漁船の更新を容易にするため、漁業者が積み立てる積立金を満期時に保険金として支払う制度でございます。

 先ほど先生の方からまさに御指摘ございましたように、近年、漁船が高船齢化している現状に伴いまして、積立期間の延長や船齢制限の条件緩和についての要望があるところでございます。

 現在の満期保険につきましては、政令におきまして保険期間を三年から十年までとしているところでございますが、これを延長することによって長期の保険期間を可能とすることを検討しているところでございます。

 また、満期保険加入時の船齢制限があるわけでございますが、鋼船の場合、今、原則として二十五年を経過しない漁船としているところでございますが、エンジンの入れかえを行った漁船等につきましては、その船齢を三十年にまで緩和することを今検討しているところでございまして、私どもといたしましては、より漁業者のニーズに応えつつ、適切な保険設計となるよう検討していきたい、このように考えているところでございます。

上田委員 ありがとうございました。

 時間となりましたので、これで終わらせていただきます。

小里委員長 次に、横山博幸君。

横山委員 おはようございます。

 真珠生産日本一を誇る愛媛県からやってまいりました民進党の横山でございます。

 今、真珠の産業振興で、議員立法で提案をされておりますけれども、これは今まで生産地が非常に少ないということで、三重県とか愛媛とか九州、全国で非常に少ないということでなかなか盛り上がらなかったんですけれども、生産地から見ると非常に厳しい経営を強いられておるということで、ぜひ農林水産省としてもバックアップをしていただきたいと思いますので、質問通告はしておりませんけれども、大臣、一言、ぜひコメントをお願いしたいと思います。

森山国務大臣 真珠の養殖は、我が国は大変歴史を持っておりますし、また輸出戦略上も極めて重要なものであると考えておりますので、今後も引き続き努力をさせていただきたいと考えております。

横山委員 大変ありがとうございます。

 それでは、法律案について質問させていただきますけれども、先ほど席に着いたばかりで、前段の質問で類似の質問があるかと思いますけれども、ぜひお答え願いたいと思います。

 大臣は鹿児島県出身ということで、水産県、養殖も盛んであるということであると思います。私も愛媛県で育ちましたから、養殖業はかなり間近で見ておりますし、過去には私自身もグループ会社でヒラメ、オコゼ、フグの養殖業を営んでおりました。若干の知識がありますから、そのことも踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 それでは、初めに、漁船の損害補償制度並びに漁業災害補償制度が今まで果たしてきた役割についてどのように評価されておるのか、そしてまた、我が国の漁業を取り巻く状況が大変厳しさを増す中、これら漁業経営に関する補償制度の改正案を提出する意義、それから、これにより期待される効果についてどのような見解をお持ちなのか、御答弁をお願いしたいと思います。

森山国務大臣 横山委員にお答えを申し上げます。

 漁船損害等補償制度及び漁業災害補償制度は、いずれも漁業や漁船に生じた不慮の事故等による損害を填補する制度であり、漁業の再生産の確保及び漁業経営の安定に重要な役割を果たしてきていると考えております。

 ただ、漁業の現場も随分変わってまいりました。私が幼きころからたしか養殖が始まったと思いますが、その当時は竹かごで養殖をしていた時代でございますし、餌もどういう餌がいいのかということを模索しながら進んできました。そういう意味では、今は漁業そのものが、養殖そのものが随分変わってきたなというふうに考えております。

 一方、漁船損害等補償制度は、東日本大震災の際、一部の組合では準備金だけでは保険金全額の支払いができなかったことは教訓としなければいけないのだろうと考えております。今後、南海トラフ地震等に備える必要があるということが大事なことではないかと考えます。

 漁業災害補償制度は、タイ、ハマチ等の養殖共済において、災害時の迅速な損害査定の観点から、地域の漁協内の全員が加入しないと共済に加入できない仕組みになっておりますが、近年の漁業者の経営状況の多様化を踏まえ、個々の漁業者が共済加入をどうするかということを決められるようにする必要があると考えております。

 今般、大災害時の保障の充実、安定及び意欲ある漁業者の経営の安定を図るために所要の法律改正をお願いしているところでございます。

 これによりまして、漁業者のセーフティーネットの充実が図られ、安心して漁業に従事していただけるようになるというふうに考えておりますので、よろしく御審議をいただき、御可決をお願い申し上げます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 次に、漁船保険団体の組織統合一元化によって経営基盤の安定化が期待されるということでございますけれども、この統合によるメリットとして具体的にどのようなものが想定されるのか、メリットがなければ進める意味はないと思いますので、その点についてお答え願いたいと思います。

 具体的には、事務費の軽減によって保険料率の水準がどうなるのか、また、事故後の保険金の早期の支払いや、ばらつきなどがある場合のサービスの充実は果たして図られていくのか、漁業者の利便性が損なわれたり負担が増加したりするようなことはないのかどうかについて、お答え願いたいと思います。

伊東副大臣 横山委員の御質問にお答えいたします。

 今般の組織一元化が行われます中で、業務の効率化が図られ、事務費の削減などの必要とされる合理化は行われるもの、このように考えております。

 こうした中にありまして、四十五ある漁船保険組合の事務費等に充当される付加保険料につきましては、現在は組合ごとの事業規模によりましてかなりの格差が存在しているところでありますが、組織一元化による事務費の効率化を通じまして、付加保険料が高かった旧組合の料率引き下げを行うことが可能となるものと考えております。

 また、組合の区域が全国に広がることによりまして、例えば、北海道の漁船が鹿児島県で事故に遭った場合でありましても、鹿児島県の支所で事故査定が可能となりますことから、事故査定の効率化や保険金支払いの迅速化が図られるもの、このように考えております。

 さらに、現在、無事戻しというのを実施している組合は全国四十五組合のうち三十一組合でありますが、組織一元化後におきましては、地域による差をつけず、全国一律、統一基準に基づきましてこの無事戻しを行うことを予定いたしているところであります。

 こうしたことに加えまして、組織一元化後も、現在の漁船保険組合は、統合された組合の支所として、地域の漁業者の保険の引き受け等を行う予定といたしております中で、同一組織のもとで支所間の連携による事故査定の迅速化が図られるなど、これまで以上に地域の実情に応じたサービスを実施することが可能となるものと考えております。

 以上でございます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 全国的な対応ができるということはすばらしいことだと思います。今までたくさんの組織があって、この保険組織の統合一元化はかなり大変な作業であったと思いますけれども、円滑な一元化に向けて、今まで国として具体的にどのような支援を行ってきたのか、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 横山先生の御質問にお答えいたします。

 保険事業としての安定性の確保、そして事業基盤の強化、こういったことを図るために、漁船保険団体の統合一元化による安定的な事業体制の確立、これが必要というふうに認識しているところでございます。

 このため、これまで、私ども農林水産省から漁船保険中央会に対しまして支援措置を講じてきているところでございまして、具体的には、漁船保険団体の組織再編に当たりまして、諸問題の検討、調査等に必要な経費を助成してきたところでございます。

 また、先ほどからもお話ございましたが、事務の効率化といったような観点からも漁船保険制度の抜本的な制度改正が必要となるわけでございますが、その際、ネットワークシステムの改修、構築といったものが必要となりますものですから、これに必要な経費についても支援しているところでございます。

 政府といたしましては、これらによりまして新組合への移行が円滑になされるよう支援してきたところでございますが、制度改正後も適切に指導助言をしていきたい、このように考えているところでございます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 もう少し具体的に保険の関係についてお聞かせいただきたいと思います。

 保険の加入漁船隻数の減少の背景には、他の産業と同様に、後継者がいない、就業者がだんだんと少なくなっているということが想定されておりますけれども、この統合一元化後も保険加入漁船隻数の減少傾向がとまらなければ、保険そのものが成立をしないのではないかと思います。

 長期で見た場合に、こういう不安が一番保険の世界では問題になってくるのではないかと思いますけれども、将来の漁船保険のあり方はどのようにあるべきだと考えておられるのか、お答えを願いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘ございましたように、漁船保険への加入漁船隻数といったものが減少することによりまして、多くの漁船保険組合では、事業基盤が年々脆弱化していくことを危惧しておるわけでございまして、これまで、組合の合併を推進するとともに、全国一元化を図ることとしたところでございます。

 こうした中、先ほどからもお話ございますように、漁船保険団体におきましては、漁船保険中央会及び四十五の漁船保険組合を統合一元化することによりまして、事業基盤が強化されることとなっているところでございます。

 今後とも、加入漁船隻数の減少を見据えつつ、将来にわたって事業基盤を強化させ、安定した保険金支払いが確保されるよう努めていきたい、このように考えているところでございます。

 なお、年々漁船の隻数が減っているわけでございますが、一方で、私どもの事業で、もうかる漁業といったような事業をやっておるところでございます。それと、先ほどもちょっとお話がございましたが、今回新たにリース事業といったようなことを展開するということで、要すれば、代船建造を今後進めていくというようなことも考えているところでございまして、こうしたものも政策的に行っていくというようなことを踏まえますと、単に減少傾向にありましても、保険金額の増加あるいは横ばいで推移するといったようなことが見通されるんじゃないかと思っておりまして、一定規模の保険金額が保たれ、事業基盤が安定していくんじゃないか、このように考えているところでございます。

横山委員 大変ありがとうございます。

 後継者につきましても、冒頭申し上げました真珠の業界も近年は少しよくなりまして、家族で取り組むというようなことも行われております。漁業につきましても、もうかる漁業と言われましたけれども、ぜひ省庁挙げて支援をしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、ちょっと視点を変えて、海外での対応についてお聞かせいただきたいと思います。

 いわゆるバンカー条約やナイロビ条約では、条約締結国に入出港する船舶について、襲撃などによって生じる油濁損害や船骸撤去費用を填補する保険への加入を義務づけており、これらの条約への対応が不可欠となっております。

 業界団体から漁船保険制度の改正の要望がなされて、今回、改正案が出されていますが、現状において、我が国の漁船が両条約の締結国に入出港する際の手続はどのように担保されているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 日本の漁船がバンカー条約あるいはナイロビ条約の締結国に入出港するためには、それぞれの国から一定の証書、条約証書と呼んでおりますが、この証書を取得しまして、船内に備え置くことが義務づけられているところでございます。

 現在、漁船船主責任保険、いわゆるPI保険でございますが、これに加入している漁船であればこの証書の発行が可能であるわけでございますが、油濁損害あるいは船骸撤去の事故原因が先生御指摘の拿捕あるいは抑留等の場合につきましては今対象になっておりませんので、最終的には、被保険者でございます船主が支払い額を負担するということになっているところでございます。

 このため、船主がいかなる場合でも負担が生じないよう、拿捕、抑留等による油濁損害や船骸撤去費用についても保険の填補対象とするよう、今回の法律改正を行う、こういう趣旨でございます。

横山委員 大変な事故の対応が今回なされるということで、いい方向に向かっているというふうに考えます。

 それでは、続きまして、海難事故関係についてお聞かせいただきたいと思います。

 漁船の海難及び海中転落による死者・行方不明者は全船舶の海難及び人身事故の中でも最も多く、漁船安全操業対策の充実を図ることが課題となっていると思われます。

 政府として、漁船の労働環境の改善や海難事故の防止のためにどのような取り組みを具体的に行っているのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、漁船の事故隻数でございますが、平成二十年が七百三十二隻に対しまして、平成二十七年が六百隻、漁船事故による死者・行方不明者数は平成二十年が九十六人に対しまして、平成二十七年は二十四人、このようになっているところでございまして、漁船事故の種類では衝突なんかが最も多く、その原因は、見張り不十分や操船不適切といったような人為的な要因が多くを占めているところでございます。

 私ども水産庁といたしましては、漁船の安全の確保が極めて重要な課題というふうに認識しておりまして、漁業者の安全意識の向上が非常に重要であると考えておるところでございます。

 このため、安全な漁業労働環境確保事業といったものを行いまして、漁業者を対象としまして安全対策の講習会の開催、二十七年度につきましては三十二回開催させていただいておりますが、こうしたものの開催や、いわゆるライフジャケットの着用を推進することとしておるところでございます。

 また、毎年十月の全国漁船安全操業推進月間の期間中につきましては、関係省庁、関係団体と連携いたしまして、安全操業の徹底の呼びかけを行っているところでございます。

 また、このほか、船舶の位置あるいは針路、速力等の情報を周囲の船舶との間で自動的に送受信する船舶自動識別装置、いわゆるAISの普及を促進するために、その設置費用に対する低利融資制度を設けているほか、漁船保険中央会においても、AIS搭載漁船に対しまして漁船保険料を助成する優遇措置を講じているところでございます。

 また、漁船の安全に関する法制度につきましては、現在、制度を所管いたします国土交通省が、ライフジャケットの着用義務の範囲拡大のための法令の整備について今検討を進めているところでございまして、私どもといたしましても最大限の協力をしてまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

横山委員 大変ありがとうございました。

 安全確保については、本当に重要な問題でありますので、より徹底して指導していただきたいと思います。

 そして次に、同様に、この法律案に基づく組織統合一元化後の漁船保険組合について、漁船事故の防止や損害の発生予防などにどのような役割を果たしていくのか、前段と少しかぶるところもあるかもしれませんけれども、期待面をお聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 漁船保険中央会におきましては、昭和四十一年度より、漁船の事故防止に資する各種事業を独自に展開してきていただいているところでございます。

 具体的には、三つほどございますが、事故防止のための訪船指導及び講習会等の経費を助成するといったような事業、また、漁協が実施した標識灯等の設置に係る経費に対する助成、そして三つ目が、漁船機関及び電気系統の整備点検を実施した漁業者に対する助成、こういったような事業を実施していただいているところでございます。

 本法案に基づく組織統合一元化後の組合におきましても、これらの事故防止対策に係る事業をさらに充実させて実施していただくことによりまして、漁船事故の防止や損害の発生予防等を図るとともに、漁船保険制度の安定的な運営にも寄与していくもの、このように考えているところでございます。

横山委員 大変ありがとうございました。

 続きまして、養殖共済につきましては、これは特異な部分かもしれませんけれども、その地区で一人が入らなければ共済に入れないという制度であったと思います。いわゆる全員加入制度がありました。

 今回の法律案でこの制度が廃止されるということになりましたけれども、養殖共済の加入手続や共済掛金に対する国庫補助についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 個々の養殖業者の方がみずからの自由意思で養殖共済に加入できるようにするという観点から、全員加入制度につきましては撤廃することとしているところでございますが、現に全員加入が成立している地区につきまして、見直し前後で不利益が発生しないよう配慮することが必要ではないか、このように考えているところでございます。

 このため、全員で加入する場合に共済掛金の国庫補助が適用されるという仕組みや、あるいは、加入手続については今般の制度改正後も引き続き存置することを考えておりまして、また、このような仕組みによって引き続き漁業者の共済加入へのインセンティブの確保に努めていきたい、このように考えているところでございます。

横山委員 全員加入制度の廃止によって、希望される方は共済にほぼ入れるということで、加入促進の大きな役割をこれから果たすことになると思いますけれども、逆に、同制度の廃止によってデメリットはないのかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御指摘ございました全員加入制度の撤廃によりまして、表現が適当かどうかちょっとわかりませんが、現在おつき合いで加入している方が脱退する可能性といったものは否めないというふうに考えておるわけでございますが、現在、約七割の漁業者の方が漁業災害補償制度を基盤とした漁業収入安定対策事業、いわゆる通称積立ぷらすと呼んでおるわけでございますが、これに加入しているところでございまして、こうしたことから、多くの脱退者が出るようなことはなかなか想定しがたいのではないかというふうに考えている点がまず一点でございます。

 また、先ほど申し上げましたが、おつき合いで加入していただいている方につきましては、一般的には、掛金負担を低く抑えるために契約金額を低く設定しているといったような状況がございます。こうしたことから、たとえ脱退したとしても、保険事業の安定性に与える影響というものは限定的ではないかというふうに考えているところでございます。

 また、今回の法改正におきまして全員加入制度が撤廃されることによりまして、今後、同じ地域漁協内の漁業者の動向に関係なく、先ほどもお話がございましたように、本人の希望によりまして共済に加入できるようになるというようなことから、これによりまして漁業共済への加入推進が図られ、事業基盤の安定につながるのではないか、このように考えているところでございます。

横山委員 詳細にわたりまして大変ありがとうございました。

 続きまして、先ほども出ておりましたけれども、ウナギの養殖業の関係についてお聞かせいただきたいと思います。

 ウナギというのは、経験的に申し上げますと、見た目よりも非常にデリケートでございまして、養殖場の近くで建設会社がくいを打ちますと、振動が伝わっていくということで餌を食べなくなるんですね。それで痩せ衰えるというようなこともあります。

 ウナギは濁った水の中にいますから、随時の尾数の把握が非常に難しいという問題があります。現行の養殖共済制度のもとに単純に共済対象魚種を追加するのみでは対応が非常に難しいとされておりますけれども、保険設計に当たってこれらの問題点についてどのように対応されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 昨年七月に出ました漁船保険・漁業共済事業に関する検討会の取りまとめにおきましては、ウナギの養殖業の関係で二つの指摘がございまして、一つは、ウナギ養殖は濁り水の中で行われ、尾数の把握が難しいといった指摘、そしてもう一つは、養殖実態を踏まえると一年を超える共済責任期間を設定することが求められるといった指摘がなされたところでございます。

 このうち、尾数の把握につきましては、ウナギ養殖業者の行っている日々の業務としての死亡魚の回収あるいは養殖日誌の記載などに加えまして、今後、養鰻漁協等によります共済運営の事務処理に当たっての協力が得られるということになったことから、海面養殖と同様の管理ができるものと考えているところでございます。

 また、共済責任期間でございますが、これにつきましては、今回の改正法におきまして一年を超える共済責任期間を設定できるようにしたところでございまして、今回の検討会の取りまとめの指摘を踏まえて対応をしているところ、このように考えているところでございます。

横山委員 ありがとうございます。

 そうしたら、ウナギの次に、ヒラメの件についてお聞かせいただきたいと思います。

 ヒラメは、一時、愛媛県でも非常に盛んに行われておりましたけれども、寄生虫を取り除くホルマリンの投下が禁止されたということで、海上の部分ですけれども、そのことによって生産量がかなり落ちて、その間に韓国から非常に安いヒラメが大量に入ってきて業界がかなり痛手を受けたということがございます。

 それで、今現在は、非常に環境がいい陸上でヒラメの養殖をされるということが行われておりますけれども、これはやはり同様に、病気による死亡率が非常に高いということ、人工種苗の導入が通年可能であることなど、保険設計上の課題が指摘されております。

 水産庁は、養殖共済の対象とするためには引き続き検討が必要としておりますけれども、陸上ヒラメ養殖を養殖共済の対象とするためにどのような検討を行っていくのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 これまで、養殖共済の対象魚種の追加につきましては、まず、共済ニーズがあるといったこと、二つ目としましては、妥当な掛金水準で保険設計ができること、三つ目といたしましては、客観的な損害査定ができるといったことを要件といたしまして、これらを全て満たした養殖業を随時共済対象に追加していきたい、このように考えているところでございます。

 ヒラメの陸上養殖でございますが、先ほど先生の方からお話がございましたように、エドワジエラ・タルダ症といったような病気によりまして、死亡率が約四割というふうに聞いておりまして、ウナギの歩どまりが九五%に対しまして、こちらのヒラメにつきましては四割程度の死亡率ということで、非常に死亡率が高く、保険設計が困難といったようなことから、まずはウナギ養殖の追加といったものを優先することとしたところなわけでございます。

 今後、ウナギ養殖の共済への追加で得たノウハウを活用しながら、引き続き、ヒラメの陸上養殖の共済への追加についても検討していきたい、このように考えているところでございます。

横山委員 ありがとうございます。

 死亡率が高いから保険を掛けるというのが現実だと思いますけれども、ぜひ対応をお願いしたいと思います。

 それでは、時間が来ましたので、一点、法律案を離れて、愛媛県の関係でお聞きしたいと思います。

 愛媛県は、冒頭申し上げましたように、マダイ、ブリ、ヒラメ、クロマグロなど、新しい魚種も含めて養殖業が盛んであります。しかしながら、この業界で問題になっているのは餌代の高騰であります。原価がかなりかかってくる。

 この点について、餌代に限って質問いたしますけれども、農林水産省の方でコスト対策についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

小里委員長 佐藤長官、簡潔に願います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘ございましたが、我が国の魚類養殖におきまして、餌代が生産コストの六から七割を占めておるところでございまして、近年高騰が続いている餌の価格対策というものは非常に重要な課題と考えているところでございます。

 このため、私どもといたしましては、平成二十二年度から、漁業経営セーフティーネット構築事業といったものによりまして、配合飼料の価格が一定の基準を超えて上昇した場合には補填を行っているところでございます。

 また、今、配合飼料のことを申し上げたわけでございますが、配合飼料以外の冷凍魚、いわゆる生餌につきましても、供給が不安定なことから、従来活用できていない時期や、あるいは活用していない地域等での水揚げ魚を調達し、需要期に向けて保管すること等によりまして供給の安定を図る取り組みを支援する事業を、平成二十七年度補正予算におきまして措置したところでございます。

 今後とも、餌の価格動向を十分注視していきたい、このように考えているところでございます。

横山委員 大変ありがとうございます。ぜひ御支援をお願いしたいと思います。

 以上で質問を終わります。

小里委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。

 午前中の最後の質問バッターでございます。いましばらくおつき合いをぜひお願い申し上げたいと思います。

 今回の漁業経営に関する二本の法改正、とりわけ漁業災害補償法の改正におきましては、私、地元が滋賀県でもございます、琵琶湖も内水面の一つでありまして、今なお琵琶湖でも漁業が行われているだけに、今回、これまで海面養殖業のみが対象となっていた養殖共済に内水面養殖業を追加していただき、海面養殖業と同等の共済制度を整備していただけること、大変高く評価をしているところでもございます。

 こうした漁業自体は、自然災害や、またさまざまなリスクの中で営まれる産業の一つであり、資源の急激な変動や事故の危険性と隣り合わせになっているということから、大変重要な産業であり、また課題も多いと認識をする中で、きょう、この質問に立たせていただいております。

 質問に入ります前に、まず、五月の九日付で、農水省の方から、「平成二十八年熊本地震による被災農林漁業者への支援対策について」という文を私の手元にも届けていただきました。この中身等についてお尋ねをさせていただきたいのですが、熊本といえば、私にとっては、環境副大臣当時に水俣病被害者救済に何度も通わせていただいたところでございます。

 本来ならば、ことし五月一日にも水俣病の犠牲者の慰霊式がとり行われる予定でありましたが、人命を尊重するという観点から、慰霊式の挙行は延期をされました。この慰霊式が挙行される会場といいますのが、熊本県水俣市の水俣湾の埋立地でございまして、かつて甚大な公害として大きな影響を与えた高濃度の水銀ヘドロが封じ込められている約五十八ヘクタールのエコパーク、親水護岸であります。

 今回の地震で、まず、あの不知火の海に影響が出てはいないのかという不安の声が地元の中からも上がってきております。地震が起こる前から、この親水護岸の施設の老朽化を指摘される声が相当ありまして、この熊本で発生した地震によって、護岸が倒壊したり、また矢板が崩壊をしたりというようなことがあっては、せっかく取り戻した不知火の美しい海がまたもとのもくあみになってしまう、そのような心配から、多くの皆さんが不安視をされているところであります。

 きょう、環境省の方にもお越しをいただいておりますけれども、熊本県でありますとか現地等々で、これまでに、この親水護岸、エコパークが大丈夫だったのかどうかという確認はされているかどうかだけ、通告しておりませんけれども、わかっている範囲でお答えいただけませんでしょうか。

早水政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のいわゆるエコパークの護岸の安全性でございますけれども、まず、護岸そのものの安全性につきましては、県の方が専門家による検討委員会をつくって確認をしているところでございます。

 また、今回の地震の後どうなったかということにつきましては、今、県の方に確認をいたしましたところ、十四日のいわゆる前震の翌日、それから十六日の本震の翌日、またその後において、目視点検でございますが、異常がないことを確認しているということでございます。それからまた、今ちょうど五年に一度の港湾設備調査の時期に当たっているということで、さらに確認をするということを聞いております。

 いずれにしましても、環境省といたしましても、本件につきましては注視してまいりたいと思います。

田島(一)委員 突然の質問で大変申しわけございませんでした。

 せっかく青い海を取り戻したあの不知火、有明の海を、今回の予想だにしなかった地震で、またかつての苦々しい経験がよみがえるということがないように、やはり万全を期していただきたい。そのためにも、先ほどお話をいただきました熊本県の検討委員会はもちろんですけれども、現地とのしっかりとした連携をとっていただく中で、二度と同じことが繰り返されないような万全の体制をぜひ整えていただきますように、まず冒頭、要望をさせていただきたいと思います。

 それと、今回、この質問に先駆けて、四月の十四日付で東京新聞に掲載された記事について確認をさせていただきたいと思っております。

 先月十四日、東京新聞に「東京湾のセシウム汚染 印旛沼から拡散」という衝撃的な報道がありました。恐らく皆さんごらんになっていらっしゃるんだろうと思いますけれども、東京電力福島第一原発事故による首都圏への放射能汚染問題として、東京新聞は、茨城、千葉県にまたがる水郷地帯における放射性セシウム濃度について、印旛沼、手賀沼、これは千葉県ですけれども、それと、茨城県の牛久沼、霞ケ浦を調査し、その結果、沼から川、そして東京湾へと汚染が拡散している状況がわかったという報道をされていました。この報道によりますと、印旛沼、牛久沼、霞ケ浦に比べて汚染が際立っていたのが手賀沼で、六百五十九から五千八百六十七ベクレルを検出したとのことであります。

 福島第一原発事故から五年たった今だからこそ、この放射性物質による汚染の現状を改めて知っておかなければならないのではないか。そのことによって、きょう議題となっています漁業災害にも大きく影響をしてくるので、確認をさせていただきたいと思っておりますが、まず、この報道の内容について御確認をされているのか、さらに、それは事実として受けとめていらっしゃるのか、その認識をぜひ冒頭聞かせてください。

早水政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましても、手賀沼、印旛沼、それから霞ケ浦、牛久沼につきましては、定期的に水質及び底質における放射性セシウム等のモニタリングを行いまして、その結果を公表しているところでございます。

 手賀沼につきまして申し上げますと、その底質につきましては、年に四回、四地点で調査を行っておりますが、平成二十七年度の調査では、放射性セシウムの濃度は一キログラム当たり二百六十四から四千二百四十ベクレルということでございますので、東京新聞による調査結果と同じようなレベルでありました。

 なお、水質については全て不検出でございました。

 環境省といたしましては、引き続き、国民の安全、安心を図る観点から、水質、底質の放射性物質のモニタリングを実施してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 どうしてこんなに高濃度になったのか。この要因というのは、調査されている手賀沼の現場がちょうどすり鉢の底のような形になっている場所でありまして、雨が降って増水し、汚れた土砂がどんどん堆積をし、水が引いた後に乾いていけば放射性セシウムの濃度はどんどん濃縮されていくというプロセスを繰り返し繰り返しこの五年間続けてきたからであります。

 局所的に濃度が非常に高くなったというふうに見られるわけでありますけれども、先ほど申し上げたこの四つの湖沼に限らず、例えば群馬県の赤城大沼にあっては、これはワカサギ釣りの名所というふうに聞いておるんですけれども、ここにあっても、東京電力福島第一原発事故の影響を受けて、湖沼が放射能に汚染されると数値がやはりなかなか低下せず、ワカサギの出荷自粛を余儀なくされているということでもあります。

 現に、先ほど申し上げた手賀沼のギンブナ、コイ、そしてウナギについても出荷制限されており、そのほか全ての魚種についても出荷は自粛されている、それが五年たった今の現状であります。

 このような状況の中で、既に千葉県からも平成二十八年度の国の施策に対する重点提案ないし要望が出されており、復興の推進と原発事故への適切な対応というのを求めていただいているというふうに思っておりますが、環境省におきましては、河川や湖沼等における除染についてどのような対応をされているのか、お答えください。

早水政府参考人 お答えいたします。

 河川、湖沼などにつきましては、一般的には水の遮蔽効果がございますので、周辺の空間線量への寄与は極めて小さいということがわかっております。

 このため、私どもは生活圏ということをまず第一に考えますけれども、その観点からいいますと、河川、湖沼等の底質につきましては、通常、除染の対象とはしておりません。

 ただ、河川、湖沼等のうち、水の遮蔽効果が期待できない場所であって、一般公衆の活動が多い生活圏に該当する箇所、例えばですが、公園、グラウンドなどの河川敷の一部を占用した公共施設、あるいは住宅や公園など生活圏に存在して、一定期間水が干上がることなどによって周辺の空間線量が著しく上昇するようなため池、こういった箇所については必要に応じて除染を実施するとしておるところでございます。

田島(一)委員 除染の対象外、そして遮蔽効果があるためそっとしておくというガイドラインに沿ったお答えだったと思います。

 遮蔽効果があるということは、つまり、湖沼に生息する魚は高濃度の中に生息しているわけでありまして、水の外で生きる人間にとってはそれでいいのかもしれませんけれども、湖沼に生息する魚をなりわいにして営んでいらっしゃる漁業の関係者にとってみれば、いわゆる死活問題がずっと今日まで続いてきているわけでありますね。完全に沼の水が干上がれば除染も多分していただけるガイドラインになっているんだと思いますけれども、そんなことはまずあり得るわけではありません。

 五年もたってしまって、原発事故そのものへの対応に加えて、周辺地域の農林水産業にかかわる対応もそろそろ加速度を上げていかなきゃいけないんじゃないかというふうに私は考えておるところであります。風評被害、そして出荷制限、自粛、地域の経済、そして農林水産業にかかわっていただいている皆さんの生活を取り戻していくために、そろそろ対応を真剣にちょっと考えていかなきゃいけないんじゃないかと私は考えるところであります。

 水が残っている限り遮蔽効果があるから除染はしません、打つ手はないとばかり言っていられないというふうに考えるわけでありますが、まずは、湖沼における水産業にかかわっていらっしゃる方々もしくはその関連事業者、そして周辺住民の懸念や不安を払拭していくための施策を考えていくべきだというふうに考えます。

 昨年、議員立法で成立させていただいた琵琶湖保全再生法にあっても、あってはならない原発事故等々を想定した形で、水質汚濁の防止に関する事項というのを施策の中の一つに盛り込み、全会一致で成立をさせていただきました。ようやく指針が成立をし、県が今後計画を立てていくわけでありますが、生息する生態系等々に全く手を出せない、漁業資源にも手を出せないというような状況が続いていくことに対して、今のこのガイドラインの流れからいくと、大変な不安を私は地元の人間としても感じているところでもあります。

 今後、福島県外も含めた河川や湖沼の汚染対策にどのように心を砕き、力を注ごうとお考えか、お示しください。

早水政府参考人 お答えいたします。

 河川、湖沼などの利用目的は多岐にわたっておりまして、事故由来の放射性物質の影響によりさまざまな課題が生じていると認識をしております。

 このため、放射性セシウムの動態に関する調査研究、あるいは食品や飲料水を通した内部被曝への対策、それからリスクコミュニケーションなどに関係機関と連携しながら取り組むことが重要と考えております。

 環境省といたしましては、環境モニタリングの継続的な実施、それから流域圏におけます放射性セシウムの長期的な動態把握のための調査研究などに、福島県外も含めまして、引き続き取り組んでいきたいと考えております。

田島(一)委員 農水省にお伺いをさせていただきたいんですけれども、実際に湖沼や河川の水が放射性物質で汚染されて、出荷制限、また自粛を余儀なくされている湖沼における水産物に関して、関係者等に対してはどのような対応をしていらっしゃるのか、また、漁業にかかわっていらっしゃる方々の暮らしや将来の展望等々について、どのような希望の持てる対策というものを示していらっしゃるのか、その対応策をぜひ開陳してください。

佐藤政府参考人 田島先生の御質問にお答えいたします。

 水産物中の放射性セシウムのモニタリングでございますが、震災以降、二十八年三月末現在ですが、約八万八千検体の検査を実施してきたところでございますが、平成二十七年四月以降、国の基準値、百ベクレルでございますが、これを超えるものは海面では検出されておらず、内水面でも十四検体から検出されたということになっておるところでございます。

 農水省といたしましては、やはり風評被害を防ぐといったことが非常に大事かと思っておりまして、地方自治体が行う水産物モニタリング調査について支援を行うとともに、モニタリング調査の結果については、ホームページへの随時掲載、あるいは国内外に向けた説明資料の作成や説明会の実施、こういったものによりまして消費者等への情報提供を行ってきているところでございます。

 また、国立研究開発法人水産研究・教育機構という独立行政法人があるわけでございますが、ここにおきましても、放射能と魚についてわかりやすく説明した冊子の作成、配布を行っているところでございまして、今後とも、消費者等に対しまして正確でわかりやすい情報提供を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

田島(一)委員 非常にリスクの高いものはリスクの高いものとして、しっかりとありのままを伝えていくことは大切だと思いますが、今お話があったように、風評被害等々についてはやはりもっともっとPRに力を入れていかなきゃいけないと思うんですね。

 消費者の皆さん、五年前と何も変わっていないというふうに思い込んでいらっしゃる方々もまだまだたくさんいらっしゃると思いますし、そのホームページをきちっとその都度その都度開いていただけるきっかけというのが、例えばスーパーマーケットに行って、鮮魚売り場でそれを一々開いて、大丈夫かどうかなんというのを見るのは不可能なんですよね。

 そう考えていくと、日ごろから水産庁が、安全ですよ、安心ですよ、もうしっかりと気持ちよく食べてください、おいしく食べてくださいというPRにもっと力を入れていかないと、現場で漁業に携わっていらっしゃる方々の苦労は五年たった今もやはり報われずに来ているということ、ここは本当に重いと思います。

 どうぞ、除染等々については環境省でしっかりと考えていただきたいし、その一方で、もう安全だと言えるのであれば、そのPRは、やはり水産物にあっても、しっかりと水産庁が前面に立って出していただきたい、そのことを強く強くお願いしておきます。もう答弁は求めませんので、ぜひお願いをし、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 さて、今回の漁業災害に関してですが、やはり我々は、災害が起きてから手を打つという今回の法案の中身だけではなく、その災害を未然に防いでいくというところについても心を砕いていかなければならないと思っております。

 漁業生産のリスク、先ほども冒頭申し上げましたけれども、台風襲来や地震による津波などなど、大変大きな損害をもたらすきっかけがありますが、この漁業生産のリスク要因に近年新たに加えるべき課題、それが、先ほどほかの方の質問で大臣からお答えになられましたけれども、G7の中でも議題に上がりました、地球温暖化による影響というふうに考えております。

 水産業に及ぼす気候変動の影響への適応を計画的に進めていくこと、そのことを重要視されて、昨年の十一月二十七日に気候変動の影響への適応計画が閣議決定されました。このことは一定評価をさせていただいているものでありますが、その中身、分野別の施策の基本的方向では、気候変動影響評価報告書において示された七つの分野、このうち農業、林業、水産業に関する適応の基本的な施策がその七つの中でトップに掲げられており、気候変動が及ぼす負の影響をもろに受けるという認識でいらっしゃるんだというふうに踏まえているところでもあります。

 そこで、この適応の取り組みというのは、実は気候変動だけに限らず他の要因とも絡み合うということから、確信度等が必ずしも高くないという評価もされているところでありますけれども、今後、この気候変動が、とりわけ水産業、そして農林水産分野にどのような影響を及ぼすとお考えか、適応への取り組みをどのようにお考えなのか、まず、総論として御認識をぜひ大臣からいただきたいと思います。

森山国務大臣 田島委員にお答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、農林水産分野は特に気候変動の影響を受けやすいと基本的に認識をしております。

 既に我が国でも、高温による米や果樹の品質低下、また豪雨の発生頻度の増加による山地災害など、気候変動の影響が大きく懸念をされているところであります。

 今後も同様の被害や異常気象が増加すると予測をされており、地域ごとの気候の違いを踏まえた対応策を展開していくことが重要であると認識しています。

 このため、農林水産省では、平成二十六年の四月に大臣政務官を本部長とする推進本部を設置させていただき、昨年八月に農林水産省気候変動適応計画を策定し、本計画に基づき、高温による品質低下が起こりにくい高温耐性を付与した稲の品種を開発していく、また、ミカンの浮き皮症の発生と高温の関係に関する研究をしっかりと進める、また、マンゴー等の亜熱帯あるいは熱帯果樹を導入していく、これはちょっと温暖化を利用しようという話でありますが、そういうことに取り組んでいるところでございまして、これらの内容は昨年十一月に、委員が今御指摘をいただきました、閣議決定もされておりまして、政府全体の気候変動適応計画に適切に反映をされていると考えております。

 このような取り組みを通じまして、食料の安定供給の確保や国土の保全等を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

 水産の関係については水産庁長官から答弁をいたさせます。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣の方からお話ございましたが、我が省では農林水産省気候変動適応計画を策定しておりまして、この中におきまして、水産業に関しましては、海洋環境の変動による水産資源への影響の把握等を基本施策として盛り込んでおるところでございます。

 基本的には三つほどございまして、一つは、環境変動下における資源量の把握や予測、もう一つが、有害プランクトン大発生の要因となります海洋環境条件等のモニタリング情報を漁業者等に提供するシステムの構築、三つ目は、高水温耐性を持ったノリの品種開発に向けた研究の推進といったようなことで、これらにつきまして現在取り組んでいるところでございます。

 今後とも、この気候変動適応計画に基づきまして、こうした気候変動の影響への適応策に関しまして、漁業者への情報発信も含めましてしっかり取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 米の適切なる土地等々の北限がどんどん北上していっていたり、また、これまで当たり前のようにとれていた漁場も大きく変わってきていたりと、年々、変化は現場で働いていらっしゃる方々が肌身をもって感じていただいていると思います。変化が起こっているのはまさに現場であります。どうぞ、こうした現場の変化を捉える声をしっかり受けとめていただいて、農水省として、しっかりとした適応計画の実践に当たっていただきたい、そのことを強く要望しておきたいと思います。

 さて、時間もなくなってまいりましたが、漁船損害の補償法の部分での課題とおぼしきP&Iリスク、とりわけプロテクション対策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 現在、戦争、襲撃、拿捕等による船主責任を補填する保険というものがないということの関係で、検討を要する事項についてお尋ねしたいと思っております。

 まず、これは所管は多分国交省だというふうに思いますが、既に七十八カ国が締結し、二〇〇八年に発効したバンカー条約、こちらの方は、締約国に入出港する対象船舶が、燃料油による汚染事故から生じる民事責任に対する保険加入が必要であり、それに対応するものでありますが、その一方で、ナイロビ条約というものが二〇一五年に発効しておりますけれども、沈没、座礁などによる海難残骸物の除去費用等を補填する保険加入を必要とする国際条約、この二つの条約、日本はまだこれを締結しておりません。

 締結国の持つ港へ入港する船舶に保険加入義務を課すこの条約でありますが、締約国に入出港する船舶にとっては、こうした損害を補填する保険が必要となってきているというような状況にありまして、現在、遠洋漁業等で海外の領海、さらには排他的経済水域で操業する日本の漁船が、水産庁の資料によりますと、バンカー条約締約国の海域で操業する漁船が三十三隻、ナイロビ条約締結国の海域で操業する漁船が百六十三隻という数字が上がってきておりますけれども、この二つの条約締結国に入出港する際、万が一に備えての手続、また締約国からの入域許可というのは担保されているのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 日本の漁船がバンカー条約及びナイロビ条約の締結国に入出港するためには、それぞれの国から一定の証書、これは条約証書と呼んでおりますが、これを取得しまして、船内に備え置くことが義務づけられているところでございます。

 現在、漁船船主責任保険、PI保険でございますが、これに加入している漁船でありますればこの証書の発行が可能であるわけでございますが、油濁損害や船骸撤去の事故原因が拿捕あるいは抑留等の場合になりますと保険がおりませんものですから、最終的には、被保険者でございます船主が支払い額を負担するというふうになっているところでございまして、今回、このようなことに鑑みまして、拿捕、抑留等による油濁損害や船骸撤去費用についても保険の填補対象となるよう、法律改正を行うこととしたところでございます。

田島(一)委員 これまで、テロでありますとか戦争に巻き込まれたりだとか、こういったリスクというのは本当にまれにまれのケースだったので、ほとんど想定外ということも考えておられたわけでありますが、ようやくここに来て、大変なリスクを背負いながらの産業であるという認識から填補することになったということは、評価をさせていただきたいと思います。

 ただ、新しいリスクの発生、これまでですと北方四島周辺だったというような雰囲気もあったわけでありますけれども、例えば、皆さんも耳にされたことがありましょうシーシェパード、いわゆる環境保護団体と称していらっしゃいますけれども、海賊のように捉えるべきなのか、テロリストのようなものとして、例えば乗り込まれたときには襲撃をされるわけでありますけれども、その捉え方等についてもきちっと対象として入っているのかどうか、彼らが言うとおり、環境保護団体という立場で来た場合は、その対象として対応がされるのかどうか、このあたりのリスク等々についてもきちっと填補できるようになっているのかどうか、ぜひその辺の確認だけさせてください。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御指摘ございましたように、近年におきましては、シーシェパードによります我が国の調査捕鯨船に対する襲撃行為が頻発しておりまして、これらにより生じる損害のリスクが高まっているところでございます。

 このような過激な環境保護団体につきましても、仮に漁船に被害を与えた場合につきましては、襲撃行為として填補の対象になるもの、このように考えているところでございます。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 確認できたので、時間も参りました、次のバッターに移らせていただきます。

 ありがとうございました。

小里委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小里委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小山展弘君。

小山委員 民進党の小山展弘です。

 今回、きょうの審議になっております漁船損害等補償法とそれから漁業災害補償法の改正は、これも前回の森林法等の改正と一緒でありまして、どこか規制改革会議とかああいうところで決まって動かしていくというものではなくて、現場の声を伺って、それが長年現場とのあるいは諸団体との協議を重ねてきた上で今回の法改正ということになっているものですから、基本的に現場からの要請に基づいて提出されたものであると思いますので、評価できるものではないかと感想を持っております。

 今回の法改正に係る質問に入る前に、ぜひちょっと数点お尋ねをさせていただきたいことがあります。繰り返しになってしまって、前回の森林法のときと時間もたたずにまた質問に立たせていただく機会もいただきまして、本当にたびたびで恐縮なんですが、ちょうど一番茶がほぼ鹿児島やあるいは静岡等が市場が終わってきまして、ちょうど時期的にもそういう時期なものですから、このことについてまずお尋ねをさせていただきたいと思います。

 ことしはお茶そのもののできばえは、天候とか気候の関係もありまして非常にいいお茶ができている。去年とことしと比べるとことしの方がおいしいというようなことでございます。全国的に見ますと、前回大臣からもお話ございましたが、価格やあるいは出荷量が昨年を上回ったというような地域も、大幅にではないんですけれども、上回ったという地域もあるということで、これは非常にいいことだと思っております。

 一方で、私の地元の静岡県の特に掛川、菊川あるいは磐田とか袋井といったような、中東遠エリアと地元では呼んでいますが、その地域でも、私もお茶工場あるいは生産農家の方とか販売店とかかなり伺ったんですけれども、そもそも伺おうとして行ってみますと、去年稼働していた工場が更地になっていたりとかあるいは電気が消えていまして、お茶の生産というか工場の操業を早目に終わったのかなと思って聞いてみましたら、昨年でもう工場を経営するのはやめましたというようなことも聞いたり、非常にどこに行っても経営が厳しい、そういう声を聞きました。

 これも、なぜでしょうというようなことで、自分自身の考えも申し上げながら少し話をしたんですけれども、やはり結果的には静岡市場は去年と同じぐらいの平均単価で、収量はやや去年よりも多い、燃料代が下がっている分だけ経営に対しては少し去年よりはましというようなことで伺いましたが、やはり去年がかなり単価が低かったんですね。去年、取引単価が非常に低いので、ことしも苦しいけれども、来年もしよくなればお茶を続けよう、だけれども、今後もこういうのが続くんだったらもうやめようかな、これが去年だったんです。ことし、去年とほぼ同じぐらいの平均単価ということなものですから、非常にこれは、ことしも経営体力の限界に近づいている農家の方も多いのかなということを大変強く感じました。

 そこで、今後の価格の見通しにも影響も出てくると思いますが、今後のお茶の需要と供給のバランスの見通し、これはあくまでも見通しですけれども、現時点でのもので構いませんので、農水省としての今後の認識をお伺いしたいと思います。

森山国務大臣 小山委員にお答え申し上げます。

 お茶の国内消費につきましては、消費支出金額ベースではリーフ茶の消費が減少傾向にあると思います。また、ペットボトル入り飲料消費は近年増加の傾向にあります。緑茶、茶飲料全体では横ばいで推移しているところではないかと考えております。

 一方、お茶の輸出はここ十年で四倍に増加しており、着実に需要拡大が進んでいると考えております。平成十七年が千九十六トンでございましたが、平成二十七年は四千百二十七トンでございまして、ことしの一月から三月までの輸出も前年比二割ほど伸びておりますので、輸出は順調に伸びてきているのかなというふうに考えております。

 他方、供給の面でございますが、国内生産ではここ十年で二割ぐらい減少してきております。ただ、輸入も十年で五分の一に減少してきております。国内生産、平成十七年は十万トンでしたけれども、二十七年は八万トンでございます。輸入は平成十七年が一万五千百八十七トンでございましたが、平成二十七年は三千四百七十三トンということでございますので、五分の一になってきているのではないかと思っております。

 こういう状況を見ますと、少しどういうことなのかなということでありますが、民間調査の推計では、近年、国内消費の量が国内供給量を上回る傾向にあるということもそのとおりだろうと思いますので、在庫の減少が進んでいると見込まれるのではないかというふうに考えております。

 また、今後もお茶の新たな需要開発や輸出の促進など国内外における需要拡大に積極的に取り組むとともに、担い手の育成や経営規模の拡大などにより国内の生産振興を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

小山委員 今大臣からのお話にもございまして、輸出が伸びているということと輸入が大幅に減少しているということで、国内の供給量自体も減ってきているということもありまして、非常に需給ギャップは改善をされつつある。

 ざっくり言って、きのういろいろと農水省の役人さんとも話させていただいたところでは、需要量が九万トン、供給量が八万トンということで、在庫がかなり減少しつつあるというのは、将来に対して見ますと、これは価格の面にもいい影響を与えていただけるのではないかという、もちろん現時点でということですけれども、そういうことも考えられるのではないかと思って、これは非常にプラスな方向ではないかとは思います。

 ですので、今後も輸出はぜひ伸びていくように御指導、御支援をお願いしたいと思います。

 ただ一方で、リーフ茶の方の需要というのは、実は私も、おととい東京に上京して戻ってくるときに、自分で手荷物で持ってくればよかったんですが、宅急便に入れてしまったので、きょう先生方にお配りできなかったんですが、昭和四十八年がリーフ茶十万トンです。昨年のリーフは約三万トンということで、非常に高価格というか付加価値の高い、急須で入れて飲むお茶が三分の一ぐらいまで減ってきてしまっているということで、輸入で入ってきた、主に中国茶ということでしたが、これはペットボトルの飲料だったものですから、高付加価値の急須で入れて飲むお茶がペットボトル用にかわっているということですので、農家の方の収入という点からしますと非常に収入の減少が進んでしまっているということも言えようかと思っております。

 ですので、もちろんさまざまな、この後の質問でもう一個させていただきますが、商品開発、需要拡大、そして輸出の拡大とともに、リーフ茶の需要が拡大していくということにぜひまたこれもお取り組みをいただきたい。

 そしてまた、その中でもさらに、やはりリーフ茶ということを前提に皆さんは茶園をつくっているものですから、もう少し供給の部分でも考えていかなきゃいけないんじゃないか。

 この後、ちょっと指定生乳生産者団体制度のことも伊東副大臣に御質問させていただきますが、学校給食というと大体牛乳ですね。この飲み物の牛乳は、需給バランスの調整をしてきたということでございます。これからもしていっていただきたいと思っておりますが。

 お茶については、そこまで強力なものではないにしても、ぜひもう少し需要というものと供給というものを見ながら、例えば今、抜根に対する支援の制度というものも入れていただいておりますが、これをもう一歩進めていただいて、オリーブとか梨とか、そういう品目転換をしていきたいと自発的に思った農家さんをさらに後押ししていただいて、お茶園が結果として減っていく、お茶でどうしても俺はやっていくんだという人はさらに強く頑張っていただくというようなことも、リーフ茶の需給を見ていると、もう一歩進めていただきたいというふうにも感じるところでございます。

 それと、今お話を申し上げました需要の拡大についてなんですが、私の知り合いでも、お茶のカレーとか、お茶の酢とか、お茶の塩とか、人それぞれ好みがございますので全てが大ヒット商品というわけではないとは思いますけれども、そういうものをつくっている方がいらっしゃいまして、もちろん、この方にお話ししたときに、同業者の中で、お茶の中で、よいお茶をつくるとか、流通ルートを開拓して販売を伸ばすとか、そういう競争はなきゃいけないですし、競争はあるわけですけれども、ただ非常に、この方、これは価値観はそれぞれありますが、私個人的に好感を持ったのは、国内のリーフ茶で飲む需要が減っていく中で、お茶の業者の中で戦ってもしようがない、全く新しい市場をつくっていきたいんだということで、お茶のカレーとかお茶の酢とかをつくっていらっしゃる。こういうところは私は個人的に、社会的にどうかはともかく、個人的には大変共感したところなんです。

 こういった新商品の開発、あるいは付加価値をつける六次産業化、こういったものも含めた新商品の開発とか需要の拡大に対して、ぜひ一層の国の支援をお願いしたいと思いますし、現時点でどのような支援の制度があるかということをお尋ねしたいのと、また、特に学校給食なんかで、これもよく月並みで話は出るんですけれども、生徒さんに飲んでいただくような、そういう需要の拡大を期待できるような優良事例がありましたら、ぜひ御紹介もあわせてしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤大臣政務官 小山委員の御質問にお答えいたします。

 近年におきましては、抹茶や粉末茶等を使用した菓子などが次々に開発をされておる現況にございます。例えば静岡県におきましては、学校給食向けに本年開発された静岡茶ミルメークが、四月以降、県内各地の小中学校などの学校給食に提供されるなど、児童や生徒に手軽に茶に親しんでもらうための取り組みが行われておると聞き及んでおるところでございます。

 農林水産省といたしましても、新商品の開発を初めとしたお茶の需要拡大が重要であると考えておるところでございますので、平成二十七年度補正予算や平成二十八年度当初予算におきましても、外食産業等と連携をしたフレーバーティーの開発や国産茶葉を使用した紅茶の開発等の取り組みを支援しているところでございます。

 今後とも、これらの措置を通じながら、需要拡大の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えておるところでございます。

森山国務大臣 私の方から少し答弁させていただきたいと思いますが、実は、G7の新潟での農業大臣会合のときに、アメリカのビルサック農務長官が御出席をいただいて、緑茶を一緒に飲ませていただきました。こんなにお茶がおいしいものとは知らなかった、こう言われまして、実は自分の息子は緑茶の大ファンで、緑茶をよく飲んでいるんだけれども、値段が高くて大変だという話を冗談まじりにされましたので、たまたま鹿児島のお茶を持っておりましたので、鹿児島のお茶で悪かったんですが、持っておりましたので、お土産に持って帰っていただくことにいたしました。

 それと、どう需要を開拓していくかというのは非常に大事な課題だと思うんですけれども、私の選挙区の志布志市では、市役所で毎日お茶を何杯か飲むという運動をしていまして、先生のお地元の掛川市のいろいろな団体の御協力をいただいて、お茶を毎日三杯だったと思いますが、飲むと健康状態がどうなるのかというデータをとる努力も今しておりまして、肥満の状態がどうなるかとか、いろいろなことをやっておりますが、そういうことも非常に大事だなと思っています。

 それと、日本のお茶農家というのは、どちらかというと一番茶に全てをかけてきたというところが否めないんだろうと思いますけれども、今はそうではなくて、一番茶はもちろん頑張らなきゃなりませんが、二番茶、三番茶というところも例えばウーロン茶にして、随分、国産のウーロン茶というのが今評価をしていただけるようになりました。また、一部、紅茶にしましても、国際的なコンクールでも評価をいただけるようになりましたので、お茶というものをどういうふうに商品開発していくかということも、業界の皆さんと一緒になって我々も取り組んでいかなきゃならないなと思います。

 素材としては、やはり日本のお茶というのは私はすばらしいものだろうと思いますので、それにどう付加価値をつけていくかということが大事なことだろうと思っておりますので、さらに努力をさせていただきたいと考えます。

小山委員 大臣からも答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 こういったさまざまな、今、ミルメークという話で、きのうちょうどあるところから入手をいたしまして、こういうものでして、私も子供のころに給食で牛乳が出ましたけれども、一カ月に一回ぐらい、ちっちゃな袋があって、コーヒーのもとみたいなものを入れてコーヒー牛乳になるようなものがありまして、あれのお茶版なんですけれども、これは私もそんなものがあったらいいなと思っていたら、もう既にあるということで、こういうもので少しでもお茶に親しんでもらえればと思います。

 それと、これはぜひ委員の先生方にもきょうはお願いをさせていただければ、きょうは本当は漁船保険の法律なので早く漁船、漁業に行かなきゃいけないんですが、多分、森山大臣もひょっとしたらそうやって言われているんじゃないかと思うんですけれども、お茶農家とかに行くと、何だ、国会議員が出ている会議の場面のテレビ中継とかビデオを見ると、みんなペットボトルが置いてあるじゃないか、何で国会議員の人たちはリーフの急須で入れたお茶を飲んでくれないんだというような話をよく聞きますので、ぜひ、派閥の勉強会とか議連の勉強会には、秘書会から嫌われるかもしれませんけれども、なるべくお茶を急須で入れて、昔ながらに飲んでいただけたらと思います。

 先ほど金子恵美先生に伺いましたら、何と参議院では、農水委員会の審議中に冷たくておいしい牛乳が飲めるんだそうでございます。決算委員会ではコーヒーが飲めるということですので、ここにもしティーバッグを入れていただければこれは冷茶になりますので、ぜひ御検討をお願いできればと思いまして、また、私も議運の委員でもございますので、きのう笠筆頭に申し上げましたら、ちょっとハードルが高いなとか言われましたけれども、また御協力、御支援をお願いできればというふうに思っております。

 済みません、漁業の質問に行かなきゃいけないんですが、もう一つ、きのうのネットニュースで、指定生乳生産者団体制度の廃止が規制改革会議で議論されて、ここ数日が農水省さんとの協議の山場ということで伺っているんですが、もともとこれはバター不足というところから始まった問題なんですけれども、内閣府は、このバター不足を指定生乳生産者団体制度を廃止することでどうやって解消していくのか、どういうロジック、メカニズムで解消されるというふうに考えていらっしゃるんでしょうか。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 本年四月八日、規制改革会議におきまして、生乳流通等の見直しに関する意見が取りまとめられたところでございます。

 この意見におきまして、バター不足問題との関係では、一つとして、長年にわたる酪農の生産量低下等に見られる生産低迷が昨今のバター不足問題の背景でもあり、また、現行の指定生乳生産者団体制度における生産上限枠の設定が生乳供給不足のリスクを助長させており、将来的にこのようなリスクは一層高まるおそれがあるといった指摘が行われております。

 こうしたことを踏まえ、規制改革会議としては、数量管理的な政策を改める制度改正が必要であり、意欲ある生産者が制約なくみずからの経営判断で投資を実行できるようにしていくことが、生産者の所得向上に結びつき、さらには我が国の供給不足リスクを低減させるとして、現行の指定団体制度を廃止することが提言されているところでございます。

 また、昨今のバター不足問題への対応等のため、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づく国家貿易の仕組みがございますが、その中でバターが輸入されております。これらの輸入バターは、その性質上、一般の民間貿易による輸入品以上に適時適量に供給されねばならないにもかかわらず、必ずしも国民のもとに適時に届けられておらず、その原因や正確な実態について関係者間で把握すらされていないことが明らかになったとしております。

 こうしたことを踏まえ、売り渡し先の要件の見直しも含めて輸入乳製品のモニタリングを強化するとともに、日々の需給動向の把握等実態調査の精度を向上させるなど、輸入バターが確実に最終需要に適時につながる仕組みを構築することが必要であるとして、国家貿易で輸入した乳製品の流通計画の確認や報告徴収、検査等を行うことが提言されているところでございます。

小山委員 私は、非常に表層的な考えじゃないかなというふうに思うんですね。規制さえなくなれば供給がふえるとか、規制さえ廃止すれば問題が解決するというのは、私はこれは違うんじゃないかと。むしろ、今の団体制度がなくなれば、お隣の佐々木先生はまさに御地元が北海道で、私が説明し切れないぐらいいろいろな弊害について御存じで、釈迦の前で説法というのはこういうことかななどとも思いますけれども。

 一時的には、価格のより高い飲用乳の方にがあっと供給が寄って、それで価格が下がるかもしれない。だけれども、そのことで、恐らく、この指定生乳の制度で経営を継続してきた、消費地から遠い、あるいは零細な、そういう酪農家の方々が廃業していく。結果的には供給が減って、そして、アウトサイダーなのかもしれませんけれども、生き残ったところが価格を上げていく、こういう効果をもたらすことになるのではないかということも私は感じるわけであります。

 こういったことについて、農水省としてはどのようにお考えでしょうか。

伊東副大臣 小山委員の御質問にお答え申し上げます。

 牛乳につきましては、御案内のとおり、毎日生産される上に、液体で腐敗しやすいという特徴があります。そしてまた、価格の高い飲用乳向けと価格が低い乳製品向けにつきまして、適切な調整がなされないと、場合によっては生乳廃棄といった事態を招きかねないわけであります。こうした特性がありますから、現在の指定団体の機能は、生乳の安定供給を確保する上で重要であるというふうに考えているところであります。

 このため、仮に指定生乳生産者団体制度を廃止し、加工原料乳生産者補給金を誰にでも受け取れるようにした場合、このような安定供給のための需給バランスを維持する機能がなくなるのではないかということから、個々の酪農家におきましては恐らく乳価の高い飲用乳向けを志向するというふうになりまして、飲用乳向けへの供給過剰を助長し、むしろバター不足を招きやすくなるというふうに考えられるところであります。

 農林水産省といたしましては、バターの安定供給を初め、消費者ニーズに的確に応えつつ、酪農家の所得向上につながるよう、経費削減や集送乳の効率化によるさらなる合理化などに向けた見直しを行いつつ、指定団体制度が有する重要な機能が適切に発揮され、我が国酪農が長期的に発展し、酪農家が安心して経営を継続できるよう対応してまいりたいと考えております。

小山委員 私も、今の伊東副大臣の考えに賛同いたします。時間ももう大分過ぎてしまったので、余り私の意見やコメントは申し上げませんけれども、これは佐々木先生の大変な御持論でもございますが、農業というのは、農産物を生産するということに加えて、地域政策というものもあわせて考えていかなければいけない。地域というものがどうなっているかということもあわせて考慮すべき必要がある。まさに零細な酪農家の方々が、消費地と遠い地域であっても、そこをまさにこの酪農に関連する人たちも含めて地域を支えている、そういう産業でもあると思っております。

 まさにこれは地域を破壊することにもなりかねない。バター不足という一つの出来事を利用して新自由主義的な考えに基づいた政策を押し通す、これは大げさに言えば、一種のショックドクトリンと言うとちょっと大げさですけれども、そういうようなにおいすらしまして、私はぜひこれは慎重な議論をしていただきたいということを強く申し上げさせていただきたいと思います。

 予定ではここまでで十五分ぐらいと思っておりましたが、漁船保険の皆様方には大変申しわけございません。

 漁業関連の質問に移りたいと思いますが、一個、きょう最初に漁業全体のことで伺いたいことがございます。

 漁業は農業と異なりまして、これは自然資源の漁業資源を収穫してくる、こういうことでありまして、乱獲なんかが最近も言われておりますけれども、資源の枯渇ということも懸念されております。そういうことで、非常に資源管理ということが重要な課題になってきているんですけれども、国は今後この資源管理政策をどのように進めていく方針でしょうか。特に、特徴的なプール制についても、プール制に対する評価も含めてお答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 小山先生の御質問にお答えいたします。

 まず、資源管理でございますが、水産資源の適切な管理は、我が国漁業及び関連産業や浜の活力再生にとって、最も重要な課題と認識しているところでございます。

 このため、現行法のもとにおきましては、漁業法等に基づく漁業許可制度、あるいは漁獲可能量、いわゆるTAC制度などの公的管理に加えまして、各地域の実情に即した資源管理が適切に行われるよう、都道府県など関係機関とともに取り組んでいるところでございます。

 今先生の方からお話ございました漁業におけるプール制でございますが、これは、漁業者の皆さんが集団で資源管理に取り組む際、全員の水揚げ金額の一部または全額を一定のルールに基づきまして個々の漁業者に再配分する方法でありまして、事例といたしましては、駿河湾におけますサクラエビの資源管理などを承知しているところでございます。

 これらの事例によりますと、プール制の導入によりまして漁業者の協調や団結が促されるということで、一つといたしましては、漁獲量の上限設定、あるいは休漁や漁具の制限などの資源管理措置に漁業者が取り組みやすくなるといったこと、また、集団操業による漁獲競争の緩和、あるいは設備投資や労働の軽減、漁獲量や魚価の安定化等の効果が見られるとの報告を受けているところでございます。

 このように、地域の実態に応じて導入されたこのプール制を含む資源管理の取り組みにつきましては、今後とも我々としても十分注視してまいりたい、このように考えているところでございます。

小山委員 今資源管理についてお話をいただきましたが、適切な資源を管理する、生産を管理するということで、かえって漁業者の方々の収益が上がったという事例がある。

 ですから、資源が減少する局面においては、競争よりも共生を重視する、そして、こういった適切な管理というか規制をすることが重要になってくるということでありまして、これは漁業と生乳生産は違いますけれども、だけれどもやはり漁業の資源管理というところに私は非常に示唆をするものがあるのではないかということも感じております。

 先日、民進党内の、鹿野道彦先生をもともとの会長とする、今も続いているんですが、素交会という会がありまして、そこに水産庁御出身の佐藤力生さんをお招きしまして、お話を伺いました。

 佐藤先生が言うには、自然資源である魚が大量に、資源が豊富にあるときはこれはどんどん競争すればいい。あえて誤解を恐れずに申し上げれば、高度成長のときには、規制緩和ということをすれば、かえって規制緩和をしないと既得権のあるところだけが大変もうかる。規制の外にあるところが、規制の中にないがゆえに得られるべき利益を得られないということがあるかもしれない。

 だけれども、自然資源である魚は非常に少なくなるときがございます。こういった資源が枯渇したときに競争をやると、みんな少ない漁場にわあっと船が集まって乱獲をする。結果として、資源がなくなってしまって、全部の漁業者が収入が得られなくなったり減収になるということもあり得る。あるいは、海外から安い魚が入ってきて、量をとることで価格による減益を賄おうとして、たくさんの漁獲量を市場に水揚げをして、数量で収入を得ようとするわけですが、それを続けていくと資源枯渇になるということであります。

 こういう状況の中で、佐藤先生によりますと、漁業資源が少なくなった場合にそれぞれいい漁場と悪い漁場に船を割り当てて、それで漁獲をした、佐藤先生の話だとプール制をこの場合にはしたということなんですが、これも先ほど長官が私みたいに大きい声じゃなくてお話しになったものですから、皆さん特にお聞きとどめになられなかったかもしれないですが、漁獲の水揚げ高を公平に分配する、あるいは一部を公平に分配する、こういうことも漁業ではやっているんですね。これによって収入がふえたという例もあるんですね。

 私は、これは非常に、今の日本経済、人口が減少して国全体の需要が少なくなっている、これでまた競争、競争とやっていけば、ありていに言えば、従業員の方とかあるいは農家の方、漁業者の方々の収入が減る、それによってまた購買力が低下する、こういう悪循環になっているんじゃないか。むしろ、先ほどのミルクの話ではないですけれども、適切な管理とか規制というものが必要なんだ、そういうことをはっきり自信を持って言っていいと思っております。

 済みません、漁船保険のお話ですけれども、漁船保険において、サスペンスドラマ、何とかワイド劇場ではありませんけれども、保険金詐欺というのが全くないわけではないということでございます。

 船を故意に沈没させちゃって、漁船保険さんの保険金で建造資金を返して、利息まで返してというようなことがございました。これは新しい船をつくって操業していてもうまくいかなかったということがその背景にあるわけですけれども。こういった保険金詐欺というのはどの程度発生していますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 漁船保険におけます保険金詐欺等の不正案件につきましては、平成二十四年から二十五年にかけまして、三組合におきまして保険金の水増し請求等が発生したところでございます。

 このため、私どもといたしましては、漁船保険組合及び漁船保険中央会に対しまして、刑事処分を含めた厳正な対応を行うよう指導したところでありまして、これを受けまして、漁船保険組合は、刑事告訴、返還手続を行うとともに、再発防止策を実施していただいているところでございます。

 なお、それ以降につきましては、保険金詐欺等の不正案件については把握しておりません。

小山委員 真面目に頑張っている、船に思い入れを持っていらっしゃる漁業者の方には、こういう話題を出すこと自体も大変失礼かなとは思いますけれども、今まで極めて低い発生率にとどめてきたということだと思っておりますし、それはまさにこれまでの審査の査定というものがよかったからだと思っております。

 今回、漁船保険組合が全国一組合となることでかなりコストの削減ということも期待されておりますけれども、役員の数は実際は減るということも伺っておりますが、この漁船保険の詐欺等に対する対策、査定が甘くなるということがないようにしていかなければならないと思いますが、その点、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 組織の統合一元化後におきましても、現在の漁船保険組合につきましては、統合後の組合の支所として存続しまして、現状どおり職員が配置される見込みとなっておりまして、これにより、組織統合後も円滑に事業を実施することができるというふうに考えているところでございます。

 こうしたことから、保険金支払いのための事故調査や査定等についても、これまでの体制が維持されることによりまして、保険金詐欺対策も含めてしっかりと対応することが可能、このように考えているところでございます。

小山委員 職員さんの体制も含めて現状維持ということで、今までの低い発生率を、この高い意識でやっていただいていた体制をぜひ今後も継続していただきたいというふうに思っております。

 それと、漁船保険につきましては、東日本大震災の際には、岩手、宮城などでは多額の保険金支払いということになりまして、約三十三億円の財源不足も発生して、国からも支援金が貸し出しされたということで伺っておりますけれども、この今後の返済の見通しというものはどのようになっておりますでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災時には、一部の被災した漁船保険組合におきまして漁業者に支払うべき保険金の支払い財源が不足したことから、これに対しまして国の一般会計から三十三億円を交付したところでございます。

 また、当該三十三億円の交付に際しましては、交付を受けた組合ごとに毎年度の決算において剰余金が生じた場合、交付された補助金の額に達するまでその剰余金を国に対し返還するということになっているところでございまして、一般会計から三十三億円を交付したわけでございますが、二十七年度までに三億円が返還されておりまして、現在の残高は三十億円となっているところでございます。

 今回の法改正によりまして漁船保険組合は新たな全国組合として運営されることになるわけでございますが、新組合におきましても、これまでどおり、年度ごとの決算により剰余金が生じた場合は国に返還していただく、このような仕組みになっているところでございます。

小山委員 今回全国一組合となりますので財務基盤も強化されることと思うものですから、こういったものに対する返済といったものも進むのではないかというふうにも、また着実に進んでいくと思います。

 きょう午前中の先生方の質問の中にも、今後、また今回の法案の趣旨にも、東日本大震災と同程度の大規模災害が発生した場合でも対応できる漁船保険組合さんの体制を整えるということがございました。

 ありていに申しまして、恐らく一番、規模が大きければ大変被害が大きいものになるだろうと心配されておりますのが、南海トラフの地震でございます。この南海トラフ地震につきましては、支払い想定額はどの程度を見込まれておりますでしょうか。また、その保険金の支払いということが実際に着実に行われるという見込みもあるのかどうかも含めまして、お尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御指摘ございました、南海トラフ地震に伴います被害額でございますが、これにつきましては、当方の方では試算してございません。

 ただ、あえて申し上げますれば、ある一部の監査法人による試算におきましては、最大で八百三十五億円になるのではないか、こういった試算があるわけでございます。

 我々といたしましては、先ほど申し上げましたように、この事業基盤を強化するといったようなことから、今回新組合が必要準備金として保有すべき金額としては約三百五十億円を想定しておるところでございます。これに保険料収入、あるいは当然、国からの再保険金といったものも充当されてまいりますので、そうした場合にはこの八百三十五億円の額に十分たえられる金額を用立てることは可能、このように考えているところでございます。

小山委員 八百三十五億円ということで、これも実際、南海トラフの地震も、どのぐらいの規模で、どのぐらいの範囲まで被害が広がるかによってかなり被害金額というものも変わってくるかと思います。

 そしてまた、今回全国一組合となるということで、漁船保険としては最大の規模にして最高の体制にする、財務という観点からすれば。ですので、それでもこの組合の中だけで対応し切れない場合には、国からの支援というのも、当然これは制度としてもあるわけですので、やむを得ないものであると思っておりますけれども、こういったものに対して、もちろん、南海トラフの地震も小さければ小さいにこしたことはないんですけれども、逆に言えばどのぐらい大きいかも想定できないところもありますので、ぜひ、想定外という言葉がなるべく聞かれないように、この体制を整えていっていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民進党・無所属クラブの佐々木隆博でございます。

 今回の委員会のテーマであります漁船損害補償法並びに漁業災害補償法、いわゆる漁災法の改正について、二十五分しか時間がありませんので、早速質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、熊本の地震について、大変多くの皆さん方が被災をされ、あるいは亡くなられた方もあるわけで、お見舞いとお悔やみを申し上げるわけでありますが、ここは農水委員会でありますので、これはマスコミの報道でありますので定かではありませんけれども、連休などを含めて、ボランティアの皆さん方がたくさん駆けつけていただいて現地の救済に当たっていただいているのでありますが、農家の方は誰もボランティアがなくて、結局、ハウスの中で病気になってしまったり腐ってしまったりというようなことが起きているというようなことの報道がありました。

 大臣、現地を視察されておりますので、そういったことは最小限に食いとめていかなければならないというふうに思います。これについては、答弁をいただいていると時間がなくなりますので、ぜひそのように対応いただきたいということのお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 まず、きょうは漁災法について中心にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。特に、漁災法の中でも積立ぷらすについてお伺いをさせていただきます。

 我々も、政権のときに、積立ぷらすをどう改正していけばいいかということで随分議論をさせていただきました。質問もいただきました。漁業共済の経営安定機能をさらに強化するということはもちろんなんですが、水産資源の管理、回復を図りつつ、漁業者の収入の安定を図るというのがこの積立ぷらすの大きな目的だというふうに私は認識をしております。

 要するに、今までも漁災法はあったわけでありますが、それにさらに積み立てる部分においては、どう漁民、漁家の皆さん方に安定的な収入を確保できるかというようなことが大きな目的の一つだろうというふうに思っているわけであります。所得補償と言えば、ちょっと嫌がる顔をされる方もたくさんおられると思いますが、いわゆる定住保障ですね。漁村にどうやって定住していただくか、より多くの漁民の皆さん方が定住していただくか。

 これは、セーフティーネット対策とあわせて、私はある意味での二本柱だというふうに思っているのでありますが、この積立ぷらすの意義というか目的、役割というようなものについてまず確認をさせていただきたいと思います。

伊東副大臣 佐々木委員の御質問にお答えをいたします。

 漁業生産量の減少やあるいは漁業経営の悪化等、我が国の水産業をめぐる状況が大変厳しい中で、国民への水産物の安定供給を確保するためには、適切な資源の管理と漁業経営の安定をともに実現していくことが必要となっております。

 このため、資源管理等に取り組む沿岸、沖合、遠洋漁業、養殖業の漁業者であって、漁業共済の対象となっている者に対しまして、漁業収入安定対策事業、いわゆる積立ぷらすにより減収の補填を行っております。

 具体的には、通常、漁業共済は、個々の漁業者の直近五年の収入のうち、最大値と最小値を除いた中庸三カ年の平均額の八割よりも減収となった場合に補填することが可能となっておりますが、積立ぷらすでこれを九割まで補填することとなっております。さらに、補填金につきましては、漁業者が一に対し国が三の割合で負担するといった手厚い補償となっているところであります。

 この積立ぷらすを利用することによりまして、計画的に資源管理や、あるいは委員おっしゃられましたように、漁場の改善、経営の改善に取り組む漁業者におかれては、安心して漁業活動に取り組んでいけるようにしたいと考えております。

佐々木(隆)委員 積立ぷらすは、その後も改正、今回の改正も含めてですが、漁業者にとって大変頼りになる、あるいは、このことによって漁業が続けられるという皆さん方がたくさん出ているという意味では、私は評価をしているものであります。

 その中で、今回でありますが、養殖共済が見直されるということで、養殖ですからいわゆる育てる漁業なわけでありまして、これから漁業の中で育てる漁業というのは大変ウエートが、非常に期待が大きい分野でありますので、ここを拡大していくということについては私は大変評価できるというふうに思っております。

 そこで、養殖共済で、参加要件、いわゆる内水だとかがプラスされたり、あるいは共済掛金の国庫負担割合が見直されたりということがあるんですが、一方で、特定養殖共済の方ですが、先ほど来議論がありますように、義務加入の制度の見直しなどが行われているわけであります。

 養殖共済あるいは特定養殖共済の見直しについて、私は非常に効果があると申し上げましたけれども、現在の加入状況、実態、あるいは、その中から何ゆえ今回ここを見直したんだという点について説明をいただければと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 養殖共済の加入率でございますが、平成十七年度の四五・五%から平成二十六年度には六九・二%ということで上昇しているところでございますが、養殖共済に加入していない養殖業者に調査をかけたところ、その四分の一の方が全員加入が成立しないために入れないということをお答えになっておりまして、全員加入制度が加入率のさらなる向上の阻害要因になっているのではないかというふうに考えられているところでございます。

 また、先般来いろいろと御議論いただいていますウナギの養殖業につきましては、共済ニーズはございますが、内水面養殖が養殖共済の対象となっていないためにセーフティーネットが構築できないという状況になっているところでございます。

 あと、特定養殖共済でございますが、この加入率につきましては、平成十七年度の七七・一%から平成二十六年度には八〇・七%に上昇したところでございますが、近年では、漁業依存度が低い方が加入しないことによりまして、加入を特に推進すべき漁業依存度が高い方が二分の一の国庫補助の掛金補助を得られないケースがふえてきている、こういうような状況になっております。

 このような課題に対応するため、意欲ある漁業者に対するセーフティーネットを充実させていくために、本法案において所要の措置を講ずることとしているところでございます。

佐々木(隆)委員 見直しによって徐々に加入者もふえてきているということも含めて、さらなる加入者をふやすということは、私はそういった意味での見直しは随時やっていくべきだというふうに思っております。

 その中で一つ、これは現地の皆さん方に指摘をいただいたので、ここで質問させていただきたいんですが、無給餌養殖についてであります。つまり、地まきと言われるものでありますが、特定養殖共済の中で、いわゆる無給餌養殖、東北、北海道で申し上げれば、昆布、ワカメ、ホタテ、カキなどの、全部ではありませんが、その中に、囲っているものと地まきでやっているものと両方あるわけであります。その中で、一部、魚種や地域によって該当しないという地域があるということがありまして、それについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 いわゆる積立ぷらすでは、養殖でいうと資源管理計画、それから地まきなんかでいうと漁場の改善計画というものを求めているわけでありますけれども、漁獲量のマイナス二〇%とかそれから休漁等の計画書をつくるときに、そういう計画をつくらねばならないというわけでありませんが、そういったようなものとか、あるいは、これは地まきの方ですが、水質改善といったようなことをどうしても計画の中に書き込まなければ、そうしないとなかなか対象にならないというようなことがある。

 無給餌養殖、地まきですから、環境にはもともと優しいわけですよ、何も囲っているわけでもないし。そういうものに対して、そういう計画がないとなかなか対象にならないというのは、私は根拠としては非常に曖昧なのではないかというふうに思うんですね。それは、逆に現地に行きますと、計画をつくる段階で非常に混乱が生じているというようなことも起きているようなんですね。

 さらにまた、地まきの場合には、環境がどう変わったかという何かデータを収集しないと対象にならないみたいな話もあって、そうなると相当な経費がかかることになるわけで、そういったような、現地では、取り組みたいんだけれども、なかなかそういうところがネックになって取り組めないというような声をたくさん聞くわけであります。

 これらの現地の不安にやはりしっかり応えていただきたいというふうに思うんですが、今私の言ったことに間違いがあれば指摘をしていただいて結構ですが、きちっとした、漁民の皆さん方にわかるような説明をいただきたいというふうに思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、漁業の積立ぷらすの加入要件でございますが、これにつきましては、自主的管理措置として、休漁や個別割り当てなど漁獲努力量を削減する措置だけではなくして、漁獲制限区域などの間接的に漁獲努力量の削減につながる措置、あるいは種苗放流といった資源の増大に資する措置を二つ以上含めた資源管理計画を作成することになっております。

 このため、ホタテなどの地まき漁業につきましては、漁獲制限区域や種苗放流などの自主的管理措置を二つ以上含めた資源管理計画を策定することによりまして積立ぷらすに加入することが可能、このようになっているところでございます。

 他方、養殖業の積立ぷらすでございますが、この加入要件につきましては、基本的に、生け込み数量や施設台数等の生産規模を一定程度削減し、水質、底質など養殖漁場の改善目標を含めた漁場改善計画を策定することになっているところでございます。

 しかしながら、先生から御指摘ございました昆布等の無給餌養殖につきましては、生産規模を削減する計画か漁場環境に応じた生産規模とする計画のいずれかを策定することにより積立ぷらすに加入することが可能となっているところでございます。

 この点についてはよく現場の方に周知徹底を図っていきたい、このように考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 今長官が最後の方でお答えになった部分、いわゆる水質の環境というものを整えるといったって、それは漁民の皆さん方にやれと言ったってなかなか容易な話ではないわけでありまして、そういうときには組合とかあるいは行政とかのある程度バックアップがなければいけないというふうに思うわけでありますので、そういったことについてもちゃんとそういう仕組みになっているということがどうも漁民の皆さん方まで私は届いていないような気がするんですが、もう一度お願いします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、今申し上げました制度につきまして、よく現場に浸透するように努めていきたい、このように考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 先ほども申し上げましたように、積立ぷらすには、私は、あえて言葉を選ばせていただければ、定住保障というような意味合いもある、要するに、そこで収入が確保されることによって定住をしていただけるということがあるというふうに思うんです。ですから、加入率、先ほどお伺いすると七〇%ぐらいでありますが、目標は九〇%でありますので、目標に向けて近づけていただくことと、このことによって、私は特に沿岸の漁民、沿岸漁業の皆さん方、ここの皆さん方がどうそこの場所で漁業を続けることができるかということが極めて大事だというふうに思いますので、積立ぷらすは特に沿岸漁業の皆さん方への意味合いが非常に私は大きいというふうに思っております。

 本来は大臣の答弁をいただきたいんですが、時間がありませんので、後ほどまとめていただきたいと思います。

 次に、資源水準が低位な魚種の対策についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 これは、北海道で申し上げますと、クロマグロの未成魚の漁獲半減、それから日本海北部スケソウのTACの半減、あるいはホッケ資源など、これがいずれも資源減少魚種というふうになっておりまして、このいわゆる資源減少魚種という魚種がどんどんふえていくような傾向に今あるわけでありますが、この辺の実態と農水省としての認識をまずお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から三つの魚類につきまして御指摘いただいたところでございます。

 まず、太平洋クロマグロでございますが、三十キログラム未満の小型魚の漁獲量につきましては、これは水産研究・教育機構の推計でございますが、一九九五年には二万トンを超えた後、増減を繰り返しまして、二〇一三年には約三千トン、二〇一四年には約六千トンとなっているところでございます。

 また、スケトウダラにつきましては、これは北海道庁の調べでございますが、稚内市から松前町にかけての日本海北部における沿岸漁業の漁獲量は、二〇一一年以降、四千トン前後で推移しておりまして、二〇一四年には約三千八百トンとなっておるところでございます。

 また、ホッケでございますが、これも北海道庁の調べでございますが、沖合底びき網漁業及び沿岸漁業の漁獲量につきましては、二〇一〇年以降、減少傾向にございまして、二〇一四年には約二万八千トンと相なっているところでございます。

佐々木(隆)委員 北海道といっても、太平洋もあればオホーツクもあれば日本海もあって、いろいろなわけでありますが、総じて減少傾向にある、主体として漁業を支えてきた分野が減少傾向にある。結果、漁業経営体ごとに発動される漁済でありますけれども、どんどんどんどん下がっていけば、先ほどの説明にあったように五中三でとるわけですから、それ自体がどんどんどんどん下がっていっちゃうことになっちゃうわけで、結果として救済されないことになるのではないかというような不安も現地にはあります。

 ただ、漁業経営というのは、漁獲量に魚価を掛けて漁獲高が出てくるわけですから、その漁獲高としての実態はどうなのかということについてお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 太平洋クロマグロの三十キログラム未満の小型魚の漁獲金額に係る統計はございませんが、一般社団法人漁業情報サービスセンターによりますと、大型魚を含む生のクロマグロのキログラム当たり年平均の単価は、二〇一一年以降、約千四百円から約二千円の範囲で推移しております。

 スケトウダラにつきましては、北海道庁の調べによりますと、稚内市から松前町にかけての日本海北部の沿岸漁業の生産金額でございますが、二〇一〇年に約七億円だったものが二〇一四年に約三億八千万円となっております。この間のキログラム当たりの単価は増減を繰り返しておりまして、キロ九十九円から百十三円で推移しておるところでございます。

 最後にホッケでございますが、これにつきましては、沖合底びき網漁業及び沿岸漁業でございますが、二〇一〇年に六十六億円余りとなった後、変動して、二〇一四年には約五十五億円となっておりまして、キログラム当たりの単価は、百円未満だったものが二〇一四年には約二百円となっているところでございます。

佐々木(隆)委員 今言われましたように、主要な魚種がどんどん漁獲量が減っていっているわけであります。いわゆる減少魚種と言われているようなものになっているわけですが、片方で、価格は上がっているからそれでいいじゃないかという話になるんですが、そうはならないんだと思うんですね。

 漁獲高、まあ生産額ですね、それが補償されたとしても、それは、漁民の皆さん方が休漁したり、あるいは減船したりしながら、まさに血のにじむような努力の結果としてそうなっているわけであります。

 漁民の皆さん方の願いというのは、新鮮で安全な魚をたくさん食べてほしいというのが漁民の皆さん方の願いだと思うんです。どんどん資源が減っていって価格が高くなるということは、漁民の皆さん方にとっては決して望んでいる姿ではないというふうに思うんですね。

 ですから、そういった意味からいっても、資源の回復というのは、漁業の振興上、私は欠かせないものだというふうに思っておりますし、それは集約や大型化で賄えるものではなくて、漁民の定着があって、そこに海岸保全というもう一つの要素もあって、結果としてそこに積立ぷらすが非常に今日まで役立ってきたんだと私は思っております。

 そういった意味で、漁業再生という意味では、私は資源回復というものが欠かせない条件だというふうに思っておりますが、最後に大臣の再生への決意をお伺いしたいと思います。

森山国務大臣 佐々木委員にお答えを申し上げます。

 太平洋クロマグロにつきましては、資源状況が厳しい中、国際合意に基づきまして、昨年一月から小型魚の漁獲量を、二〇〇二年から二〇〇四年の平均水準八千十五トンから半減して、四千七トンとする措置に取り組んでおります。また、これを確実に履行するため、公的な数量管理に向け、本年七月より試験実施を行う方向で検討を進めているところであります。

 スケトウダラの日本海北部系群につきましては、資源水準が低位にあることから、漁獲可能量、いわゆるTAC制度に基づきまして、漁獲量の上限を一万三千トンから平成二十七年度の漁期におきましては七千四百トンに引き下げたところであり、今後も適切な数量の設定を図っていくこととしております。

 ホッケにつきましては、平成二十四年より、北海道におきまして、漁業者の皆さん、行政、試験研究機関が協力をして、漁獲量または漁獲努力量を三割削減する自主的な資源管理措置が実施されているところであり、国としてもその取り組みが円滑に進むように見守ってまいりたいと考えております。

 農林水産省としては、科学的な知見を踏まえつつ、今後とも関係者の意見を伺いながら適切な資源管理に努めてまいります。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、現状そうであることは私もそう思っているんですが、やはりたくさんの皆さん方においしい魚を食べていただきたいということからいえば、資源をこれ以上減らさない、むしろ回復をさせていくというための努力をぜひ求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民進党の岸本周平でございます。

 昨日に引き続き、水産庁の行政について大臣と議論をさせていただきたいと思います。

 きょうは調査船のお話をさせていただきたいと思います。

 漁業のもとになるのは何といっても魚の資源であります。しかし、これは皆さん御承知のとおり、今、佐々木先生の御議論もありましたが、本当に年によって大きく変化をしていきます。もちろん一年一年ではないんですけれども、十年単位で見ますと大きく変化してまいります。

 例えば、マイワシを一つとりましても、一九八〇年代には毎年の漁獲高が二百万トンを超える、三百万トンの年もあれば四百万トンの年もある。二〇〇〇年代になるとこれがわずか三万トンから六万トンになるんですね。物すごい激減であります。そうなると、漁業をなさっている方にとっては大きな打撃であります。

 そういうことは当然起きるわけですので、これを水産庁の皆さんが調査船を出してずっと調査をされているわけです。きょうはそのことについてお伺いをしたいと思います。

 ことし四月一日に、国立研究開発法人の水産総合研究センターと独立行政法人の水産大学校が統合いたしまして、新しく国立研究開発法人の水産研究・教育機構が発足いたしました。今申し上げました調査は、旧の水産総合研究センターがなさっております。調査船というものを何隻か持っておられて、これもたしか一九〇一年ぐらいに最初の船ができまして、水産講習所と言っていた時代でしょうか、そこから始まっているわけですが、本当に地味な作業ですけれども、この漁業の調査船、漁船も借り上げたりなさっているようですが、この不可欠な調査について、現状どのように行われているのか、これは大臣政務官の方からしっかりと御説明を頂戴したいと思います。

加藤大臣政務官 岸本委員の御質問にお答えをいたします。

 国立研究開発法人水産研究・教育機構は、我が国の資源管理の基礎となる水産資源の評価を実施しております。評価に不可欠な多くのデータは調査船の調査から得ているところでございます。

 具体的には、同機構が所有をしております調査船九隻と水産庁の調査船一隻の計十隻が、各船の年間の運航計画に基づきまして、対象魚種の漁獲調査、産卵場における卵、稚魚の分布調査、生息環境の調査などを通じながら、対象魚種の現存量や加入量等に関するデータ収集に従事をいたしておるところでございます。

岸本委員 ありがとうございます。

 そのような体制でいろいろな調査をしていただいているわけですが、例えば今申し上げたマイワシなんかは漁獲可能量制度ということで管理されているわけです。

 その漁獲可能量制度の仕組みを簡単に御説明いただきたいのと、あわせて、調査船の調査が漁獲可能量制度にどのような貢献をしているのか、これについても簡単に御説明いただきたいと思います。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 平成九年より実施をいたしております漁獲可能量制度、TAC制度におきましては、マイワシを初め七魚種について、大臣が年間の漁獲量の上限を定めるとともに、当該上限を都道府県ごと等に配分することによりまして、年間の採捕数量を管理いたしておるところでございます。

 当該漁獲量の上限につきましては、資源評価から導かれる科学的に見て漁獲しても可能とされる量、ABCをもとに設定をいたしておるところでございます。

 資源変動の大きいマイワシにつきましては、資源が低い水準から回復傾向にございますので、平成二十年を底として資源評価結果に応じた形で徐々に漁獲量の上限をふやしてきているところでございます。

 また、このような中で、漁業調査船は、漁獲量の上限の設定に不可欠な、資源評価上重要なデータとなる資源の分布密度や産卵量等の収集に貢献をいたしておるところでございます。

岸本委員 ありがとうございます。

 仕組みはそういうことなんですけれども、本当に調査船の調査が物すごく役に立っているんですね。

 例えば、今政務官はおっしゃいませんでしたけれども、マイワシについては、動物プランクトンの種類の量が変わるらしいんですね。つまり、それは、マイワシがたくさん食べると、ある一定の動物プランクトンが減っていく。あるいは、海水温が高いと、マイワシの場合は水温が上昇すると稚魚が育たないそうなんです。そうすると、マイワシが減る。しかし、カタクチイワシは水温が高くても稚魚が育つというので、カタクチイワシがふえる。

 このデータは、全部水産庁の調査船で調べた調査の結果なんです。これが、学者の小達さんという方がこちらの研究員で、彼女の名前がついて小達コレクションというのがついていて、世界じゅうの学者がこのデータを使って研究しているんです。そういうことまでなさっているんですね。これは地味な作業ですけれども、多分どなたも存じ上げないので、私はこの機会にインターネットテレビで国民の皆さんにぜひ紹介したい。こういう地味なことをなさっているわけです。しかし、これも予算と人員の制約があって大変なんですね。

 最近、二〇〇〇年代に新しい船が一つできたんですけれども、古い小さな船も多いんです。しかも、研究員の方には女性もいらっしゃるんですが、当然ですけれども、女性専用のシャワー室とかトイレはないんですよ、小さな船には。そうすると、一週間も二週間も三週間も航海に出て、洗濯をしたりシャワーを浴びたりというのが、本当に限られた時間だけ、女性だけその時間ということで、本当に御不便をされている。これは本当に、女性活躍の社会じゃないですか、一億総活躍ですよ、大臣。地味だけれども、これだけすばらしい研究をされている調査船で、女性の研究員が、本当に船が揺れるらしいんですね、そうすると、洗濯をしながらシャワーを浴びて、十五分の間にというと、体が当たってあざだらけになるんだそうです。

 そういうことについて、大臣、どうでしょうか。本当に地味な、今新しくできたセンターの、国直接ではないんですけれども、そこについて何とか御配慮願えないでしょうか、大臣。

    〔委員長退席、簗委員長代理着席〕

森山国務大臣 あらゆる場面で女性の活躍というのは非常に大事なことだと思っておりますし、また、水産の分野でも多くの方が活躍をしていただいていることはよく理解をいたしておりますので、その方々が働きやすい職場をつくることには、今後もさらに努力をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

岸本委員 それで、今ちょっと具体的に、別に私は船に乗っているわけじゃないんですけれども、体を揺すってやりましたけれども、それは乗り組みの話なんです。

 さらに、古い船が多いんですね。古い船が多くて、しかも、いろいろな装備があるんです、装置。これまた古いんですが、予算がないものですから、船に乗っている職員の方が手で直して修理しているそうです。そうやって、非常に古い装備なんかを手作業で直しながらなさっている、そういう状況もあるようであります。

 ですから、大臣、そういう経年劣化に伴う機器のふぐあいを直す予算もない、職員が手作業で修理をしている、さらに相当老朽化している船もあるということですね。二〇〇〇年代に新しく一隻、割と大きい船ができているんですけれども、古い小さな船はたくさんあります。

 そういう装備面での予算についても、ぜひ大臣の方で御配慮いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

    〔簗委員長代理退席、委員長着席〕

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 現存しております調査船等は、御指摘のように、建造後相当の年数が経過をしまして、老朽化しているものが多いことから、研究等の推進に支障がないように、優先順位の高いものから計画的に整備をいたしておるところでございます。

 なお、日常発生します程度の機器のふぐあいにつきましては、船舶職員によります作業によって対応しておるところでございますが、ドックによる点検及び修繕も毎年実施をしておるところでございます。そういうことを踏まえながら、支障のないように努めておるところでございます。

 今後とも、代船建造や機器の修繕に必要な予算の確保につきましては最大の努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

岸本委員 ありがとうございます。

 そうすると、当然予算も限られているわけですから、最後にまた大臣の答弁をいただきますけれども、それは一遍に予算がふえるわけでもないというわけですけれども、せっかく今回統合したわけです、研究センターと水産大学校が統合したわけですので、やはり統合のメリットというものが必要だと思うし、統合のメリットがあるから統合されたと思うんですけれども、そういう意味では、今回の統合についてメリット、あるいは今後それがどうなっていくのか、大臣政務官、もう一度お答えいただけますか。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 水産大学校では、二隻の漁業練習船を用いまして、海技士、航海士及び機関士資格の取得に必要となる船の運用を学ぶための航海実習、イカ釣り漁業、ひき縄漁業、トロール漁業などの多様な漁業の実習を行いながら、そしてまた、気象の観測、水温、塩分、溶存酸素の測定などの海洋観測実習を行うこと等をしながら、我が国の水産業界を担う人材を育成しておるという、そうした現状でございます。

森山国務大臣 岸本委員に私の方から、統合の効果について答弁をさせていただきたいと思います。

 水産総合研究センターの研究開発成果を水産大学校のカリキュラムに導入したり、水産総合研究センターの施設において水産大学校の実習を実施することによって、人材育成機能が強化されるのではないかとまず一つは考えております。

 また、水産大学校の卒業生を通じまして、水産総合研究センターの研究成果が関連業界において一層活用されるようになるのではないかというふうにも考えております。

 また、水産大学校の練習船を活用することによって、水産総合研究センターの海洋資源調査等が強化され、シナジー効果の発揮が期待をできるのではないかというふうに考えております。

 また、その効果が確実になるように、統合法人内に検討委員会を設けるなど、具体的な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 ぜひ、統合の効果を出していただいて、今は執行面の話が多かったんですけれども、無駄な予算も省いていただいた上で、その上で、これだけ大事なTAC制度を守り、そしていろいろな研究の深化をされているこの事業について、必要な人件費、それから老朽化した船舶の整備、修繕等に必要な予算についてはしっかりと確保していただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わります。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

小里委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。質問をさせていただきます。

 まず、漁業保険の方から質問をいたします。

 本改正案によって、全国に今四十五ある漁船保険組合が統合されて、新たな全国組合を設立できるようにすることになります。

 その理由の中に、この二十年余り、加入隻数の減少が一貫して進んでいることが挙げられています。これは先ほど来出ていました。

 普通保険の加入隻数は、二〇〇五年から二〇一四年までの十年間で三万五千隻以上が減少したと言われています。将来起こり得る災害に備える上で、事業基盤の強化が何よりも急務であるからということで法案が提出されました。

 そこで、お聞きしたいのが、今後、これまでのように加入隻数の減少というのはとどまるかというと、なかなかそうは言いづらく、減少傾向にある、そうしたときに、安定した保険を維持するとなると、加入している漁民の皆さんからいただく保険料を値上げするということになりはしないかという懸念があるんですが、その辺はいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 斉藤先生の御質問にお答えいたします。

 保険料の算定でございますが、その際には、過去の損害率データをもとに、保険料収入と保険金支出が長期的にバランスするように設計されているところでございます。

 先生御指摘のように、漁船保険への加入隻数は年々減少傾向にあるわけでございますが、この加入隻数の減が損害率に直ちに影響を及ぼすわけではないため、保険料の引き上げには必ずしも結びつかない、このように考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、今回の改正法案によりまして、漁船保険団体の統合一元化後におきましては、全国規模の新組合が設立されることが可能となることから、十分な引受隻数及び引受金額が確保され、今後も安定した事業基盤により保険の運営ができるもの、このように考えているところでございます。

斉藤(和)委員 必ずしも上がるものではなくて、安定した運営をということでした。

 加入隻数が今後も減少し続けるということは、私はやはりどこかで食いとめなければならないということだと思います。根本的には漁業経営の安定化と有効な資源管理が必要だと考えるわけですが、この点については後でまたお聞きしたいと思います。

 もう一つ、今回の改正の理由に挙がっているのが、やはり東日本大震災で岩手、宮城両県の組合で巨額の保険金支払いが発生したことによって、保険金支払いの財源が不足する事態になったことが挙げられています。

 東日本大震災で漁船が被災し、保険金を受け取ることができるその一方で、個々の漁民の方々が支払う保険料は上がってしまうということが起こっています。津波や災害という、ある意味不可抗力で損害を受けてしまった、こうした場合にも、保険金の支払いを受ければ保険料が上がってしまう、つまり負担がふえるというのは何とかできないものかと思うのは当然だと思うんです。これは、同様に共済の方でも言えることで、養殖共済でも同じようなことが言えます。

 自然災害などの不可抗力にもかかわらず、掛金が上がってしまう。災害という痛手をこうむり、何とか漁業を再開しても、保険料や掛金の負担増になれば、漁民の方からすれば、何とかしてくれよと思うのは当然だと思うわけです。

 特に災害という不可抗力、こうした災害などの場合は、ぜひ何か工夫をしていただいて、漁民の方々の負担増にならないようなやり方を検討していただくことはできないかと思うんですが、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 保険料そして共済掛金の料率でございますが、これはあくまでも、これらの制度が保険制度でありますから、原則として、先ほども説明いたしましたが、過去の損害率のデータをもとに、収入であります保険料、共済掛金と、支出でございます保険金、共済金が長期的にバランスするように設計しているところでございます。

 保険事故につきましては、例えば、自然災害に起因する事故でありましても、漁業者の管理の方法等の人的な要因によりまして被害が左右される側面がありますことから、自然災害とそれ以外を明確に区分するような運用は行っていないところでございまして、一般的な損害保険制度においても同様に行われているというふうに承知しているところでございます。

 ただ、今の保険料率、共済掛金率の算定につきましては、平成二十三年三月に発生した東日本大震災が含まれているわけでございますが、被災した漁業者に過度な負担とならないよう率の据え置きまたは調整を行った、こういう経過はございます。

斉藤(和)委員 やはり過度な負担にならないような措置というのは今後も引き続きぜひ検討をしていただいて、この保険料の負担によって、漁業を再開しようと思ったけれども、やはり漁業をやめようというふうにならないような下支えをぜひしていただきたいというふうに強調したいと思います。

 次に、全国が、一つの漁船保険の組合が設立されることによって組織が統合され、事務処理なども一元化することで組織の合理化が図られる、経費も節減できるというふうに言われています。そのことによって事務費にかかわる付加保険料を軽減できる可能性があるというお話を伺っています。

 その一方で、先ほど来ありましたとおり、全国の支所の職員配置は今までどおり維持するというふうにおっしゃられています。

 職員の維持というのは当然のことだと思うんですけれども、職員を維持しながら一方で経費を節減していくというのは、具体的にどのような取り組みの中で経費を節減していこう、捻出していこうと考えているんでしょうか。

加藤大臣政務官 斉藤委員の御質問にお答えいたします。

 組織統合一元化の主目的は、大規模災害が発生した場合であっても保険金支払いが可能となるよう、財政基盤を強化して、将来にわたって事業基盤を安定させることにございます。

 一方、組織体制の見直しが行われる中で、業務の効率化が図られ、これによる経費の削減など必要とされる合理化は当然ながら行われるものと考えております。

 なお、現在想定をされているものにつきましては、事務処理経費について、地域組合ごとではなくて、本所一括の事務処理が可能となることによりましての経費の削減、そしてまた、同一組織のもとで支所間の連携による事故査定の効率化によります出張費等の削減等が考えられるところでございます。

斉藤(和)委員 職員を維持しながら、事務の合理化だとか、先ほども答弁の中にありましたけれども、北海道の船が鹿児島で事故に遭っても、そこに出張をわざわざせずに査定ができるということなどがありました。

 やはり、そういう職員の皆さんをしっかりと維持しながら全国組織になったことによる有利な面を働かせていくことというのは、非常に大事なことだというふうに感じています。それが経費節減につながり、保険者に還元することができるということは、非常に重要なことではないかなというふうに感じております。

 同時に、これまでは、ほぼ各都道府県ごとに漁船保険組合があり、そこで総会が行われ、方針が話し合われ、役員を選出し、財政の面でもしっかりとチェックをするなど、加入者みずからが組織運営にかかわる民主的な仕組みもあったと思います。

 それが、統合することで、いわゆる、今まで身近で、自分の組織、自分たちの地域の意見がしっかりと運営に反映されると言っていたものが、統合されたことによって、自分たちの意見が反映されなくなるのではないかという危惧を感じるわけですけれども、組合員の皆さんの意見をしっかりと反映させる民主的な手続というのは担保されているのでしょうか。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 組織統合一元化後も、現在の漁船保険組合は、統合された組合の支所として、地域の漁業者の保険の引き受け等を行う予定としているところでございますし、支所ごとに支所運営委員会が設置されることとなっております。

 この支所運営委員会は、各地域の実情を踏まえた漁船保険事業等を実施していくために、組織運営を行う本所へ地域の意見を集約、具申する等、本所と各地域の組合員とのかけ橋の役割を担う機関となりますので、これによりまして支所の意見を十分に反映させていくことができるもの、このように考えておるところでございます。

斉藤(和)委員 この改正案を準備するに当たっては、かなり関係団体や組合でも議論をされて、既に全国で統合の決議も上がっていると伺っています。

 ぜひ、今政務官からもありましたとおり、引き続き地域の声がしっかりと反映させられる、そのためにも、支所運営委員会が、おっしゃられたとおり、本当にかけ橋となって、しっかりと機能していけるようにしていくことというのが非常に大事だろうというふうに考えるわけです。

 次に、無事戻しについてお聞きします。

 全国の多くの組合で、例えば、三年以上事故などを起こさなかった場合に、保険金の支払いを受けなかった加入者に対しては、保険料の一部を払い戻す無事戻し制度が今採用されています。先ほど副大臣からあったとおり、今は三十一で行われている。ということは、つまり今四十五の漁船組合のうち十四の組合ではこの無事戻しは実施されていないということになります。

 このように、各組合によって無事戻しについてはばらつきがあるわけですけれども、全国組合に統合された後、この無事戻しの制度というのはどのようになっていくのでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御指摘ございました無事戻しでございますが、これは組合により異なりますが、おおむね三年間無事故だった場合に限定して保険料の還元を行うことでありまして、一つといたしましては、無事故者の実質的な掛金負担を軽減させて、事故率の低い方を加入促進するといったようなこと、もう一つは、漁業者の事故防止に対する意識の高揚によりまして保険金支払いが減少することで、保険事業基盤の安定が図られるという趣旨により実施されてきたものでございます。

 二十六年度の実績でございますが、無事戻しを実施している組合は全四十五組合のうち三十一組合でございますが、無事戻しを行っていない十四組合につきましては、保険の収支上、無事戻しに充てる財源が不足したといったような理由によりまして実施に至らなかったものでございます。

 統合一元化後におきましては、地域による差をつけず、全国一律に統一基準に基づいて無事戻しを行うことを考えておりまして、その詳細は今後、統合一元化が開始される来年四月までに詰めていきたい、このように考えているところでございます。

斉藤(和)委員 今は十四でやられていないけれども、全国一律でこの無事戻しもやっていくというお話でした。

 加入者の皆さんにとっても、事故がなければ保険金が返ってくるということは非常に利益になりますし、無事故を啓発していく上でも大きな後押しになるものだと考えます。非常に私は重要な制度だと思いますので、ぜひ、三年なければ保険が返ってくるという、今の一番最低ラインというんですか、のところで全国一律の基準にできるようになったらいいなというふうに個人的には思っております。

 次に、特殊保険について伺います。

 これは、戦争、変乱、襲撃、拿捕、抑留の場合に、漁船に生じた損害に対して保険金を支払うという保険になっています。本改正案は、近年でも北方の海域で拿捕事案が発生しており、一定のニーズに応える制度を拡充しつつ安定的に運営を図るものであるのは理解できるわけです。

 しかし、戦争、変乱となると何を指しているのか正直よくわかりません。例えば、民間の船舶戦争保険では、機雷などの兵器の爆発は含まれるが核兵器は除くとか、ストライキなどの争議行為も含むとか、テロや暴動、海賊行為も含むなど、それぞれ類型的に定められているものなどもあります。

 その上で、この特殊保険というのはどのような契約になるのかということと、また、この戦争、変乱というのは何を指しているのか、定義をぜひ教えていただければと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 戦争、変乱を填補の対象とする特殊保険につきましては、これは民間保険の船舶戦争保険に相当するものでございまして、戦後、朝鮮動乱の発生に伴い措置されたものでございます。

 漁船でございますが、漁船は航行中や操業中に海上の戦闘行為等に巻き込まれるおそれがございますため、現行の特殊保険におきましては、戦争、変乱についても保険の填補対象としているところでございます。

 なお、漁船保険制度におきましては、このようなリスクを漁船がこうむる可能性があることから、戦争、変乱その他政令で定めるこれに準ずるものを戦乱等としていまして、いろいろな、イラク戦争とかいったような名のつくような大がかりなものだけではなく、海上における戦闘行為や襲撃、拿捕等も広く含むこととしているところでございます。

斉藤(和)委員 一つ、どのような契約になるのかという質問が。

佐藤政府参考人 保険契約でございますので、あくまでも保険契約のことでございます。(斉藤(和)委員「期間です。普通保険と特殊保険で期間が違いますよね、契約の」と呼ぶ)

 ですから、今言ったような変乱とか拿捕とか、こういったものについては、例えば船が拿捕等によりまして油や何かを流してしまったときに、現在では対象になっておりませんが、今後、そうした場合には保険契約の中に入りますので、対象になる、こういうことでございます。

斉藤(和)委員 普通保険と特殊保険で分けているわけですよね。それは、特殊な場合というのは、海外に出ていく、その基本的な、どういう船がこの特殊保険を結ぶのかというところをお聞きしたんですけれども。

佐藤政府参考人 特殊保険ということでございます。(発言する者あり)

 船といたしましては、四カ月以内に帰ってくるものが対象ということです。(発言する者あり)

 失礼しました。保険期間が四カ月でございます。

斉藤(和)委員 ちょっと私が説明を受けたのと違うので、あれっと思ったんですけれども、普通保険は一年間で、特殊保険の場合は二から五カ月という枠があったかと思うんですけれども、四カ月というお話だったのでいいんですけれども、特殊保険の場合というのは、まさに海外の広い海域に出ていって、テロだとか変乱だとか、今ありましたように、何か事態に巻き込まれたときの対応のためにつくられている保険だということで、民間の保険会社で言われているような定義というよりも、いろいろな事態を想定して、そういう事態に巻き込まれたときにきちんと救えるような保険になるんだという理解をさせていただきたいと思います。

 次に、共済について伺います。

 改正案では、養殖共済について、先ほどもありましたけれども、これまで、漁協の中で一人でも加入しない人がいると全員加入できなかった制度を改めて、個々の漁業者が個別に加入できるようにするものになりました。これによって加入率の向上を図りたいということなんですけれども、これは非常に大事だというふうに思っています。

 そこで、共済の現在の加入率を見てみると、漁獲共済、養殖共済、特定養殖共済の全体の平均がおよそ七割だとされています。これは漁獲量をもとに割り出した共済の加入率だと思うんですけれども、経営体あるいは漁業者の数に対する加入数の割合というのは把握しているんでしょうか。

佐藤政府参考人 共済の加入率でございますが、これにつきましては、農水省が取りまとめております漁業・養殖業生産統計年報を用いまして、全国の漁業生産額と加入者の漁業生産金額をもとに算出しているところでございます。

 契約件数ベースの加入率につきましては、当方では把握しておりません。

斉藤(和)委員 漁獲をもとに七割の人が入っているということです。

 ここにちょっとこだわりたいんですけれども、漁業共済の現場のニーズをつかむ上でも、私は、漁獲量だけではなくて、経営体や漁業者の数でつかむ必要があるのではないかというふうに思っているわけです。

 というのも、漁獲共済の加入率について、例えば個別の漁協をピックアップして、漁業者の数で調べてみました。茨城県では、漁獲量で見ても漁業者の数で見ても、加入率はほぼ一〇〇%。その一方で、鳥取県では、漁獲量で見た加入率は九七%なんですが、漁業者の数で見ると加入率は四五%と、がくっと落ちるわけです。

 漁獲量のみで加入率を見てしまうと、水揚げが大きい船がたくさんあるところは、入っていない人が、入れていない人が仮に多くいても、隠れて見えなくなってしまうわけです。

 しかし、家族経営の、地域に根づいている漁業者の経営を支えていくことは、私は、漁村の地域経済を支え、活性化をしていく上でも、漁獲量の少ない漁業者の実態や要望もしっかりとつかんでいく必要があるのではないかと感じているわけです。

 加入率の低い漁協の支部にお話を聞いてみると、共済に入らない理由に、高齢化などがあり、細々とやっているから共済掛金が高くて払えない、メリットも薄い、逆にメリットがあれば入るんだけれどもという声もありました。

 こうした漁業者の皆さんのニーズをつかむ上で、漁獲量のみで加入率をはかるのではなくて、経営体や漁業者単位でつかむことも必要ではないかと思うんですが、御検討いただけないでしょうか。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 今先生の方から御質問ございました、とり方でございますが、契約件数ベースによりまして加入率の算定といったことは、これは理論的には考えられるわけでございますが、実際の実務を行う上で、母数となる件数を正確に把握するということが非常に困難な面がございます。

 例えば、採貝採藻業におきましては、集団加入しているわけでございますが、漁協が一の契約者として入っておりますが、実際にはこの一つの契約の中に複数の経営体が所属しておる。また、養殖におきましても、一経営体が複数の魚種のそれぞれで契約を結んでおりまして、また、一つの魚種においても年魚ごとに契約を締結しているというようなことで、非常に複雑な作業になるといったような実態があるわけでございます。

 ただ、私どもといたしましては、経営規模の小さな漁業者の方が共済に加入していただくことは非常に重要な課題であると認識しておるところでございまして、当然、加入促進にはしっかり努めていきたい、このように考えているところでございます。

斉藤(和)委員 なかなか数字的につかむのは困難だけれども、小さな漁業者の方にもぜひ共済に入っていただくように促進するというお話でした。

 地域の漁村を支えている方々というのはどんどん高齢化しているわけで、私はやはり、そういう実情をしっかりとつかんで、その零細な方たちが、何か災害があったからもうこれでやめちゃおうかなというのではなくて、共済に支えてもらって少しでも漁業を続けようというふうに思ってもらえるような、そういう下支えになるようなものを制度としてもしっかりと検討していただきたいということを求めます。

 次に、養殖共済の中に内水面の養殖が入るようになりました。実に、出荷額で見れば、内水面の養殖魚のうち七割がウナギなわけです。共済の加入はウナギの養殖業界からの長年の要望でもありました。

 同時に、今、ウナギの養殖に関しては重大な事態になっているというふうに思うわけです。市場に出回るウナギのほとんどは、天然のシラスウナギを養殖池に入れて育てたものです。一九六〇年代後半までは百トンを超えていたシラスウナギの国内採捕量が年々減少していっているということはいろいろな場面で指摘がされています。

 日本が世界じゅうからウナギを輸入するという状況がある中で、国際的な商取引を規制しようという動きが起こっています。二〇〇八年には、ヨーロッパウナギがワシントン条約附属書2に掲載され、ヨーロッパウナギはほぼ輸入禁止状態になりました。また、二〇一四年には、ニホンウナギ、アメリカウナギが国際自然保護連合のレッドリストに掲載をされています。

 日本は、ウナギの大消費国として、一刻も早くウナギ資源の持続利用に向けた管理が国際的に私は求められているのではないか。こうした状況の中で、日本は、ウナギ養殖業を届け出から許可制に変更をしています。

 しかし、関係各国や自然保護団体の危機感というのは高まっていて、アメリカやEUは、ことし九月に開かれる野生生物の国際的な取引を規制するワシントン条約の締約国会議で、ニホンウナギの貿易規制に向けた提案をするのではないかということが報道をされていました。

 実際は提案されなかったようですけれども、この間のこうした国際的な経緯についてどう捉えているのか、お聞きします。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、EU等、ウナギに関心を有する国、地域に対しまして、ニホンウナギにつきましては、CITESの附属書に掲載して国際取引の規制の対象とするのではなくして、東アジアの関係国、地域の協力によりしっかりした資源管理を行うことが資源の維持と持続可能な利用のために効果的である、こういうことで、附属書への掲載提案を行わないよう繰り返し働きかけを行ってきたところでございます。

 四月二十七日に附属書掲載提案の期限を迎えたわけでございますが、いずれの国からもニホンウナギの附属書掲載提案はなされなかったところでございます。

 なお、EUは、附属書掲載提案は行わなかったものの、ヨーロッパウナギが附属書に掲載された効果の評価や、全てのウナギ種の資源及び取引の状況等について議論する場を設けるというような提案を行ったというふうに承知しているところでございます。

斉藤(和)委員 全てのウナギについて議論をする場を設けるというお話でしたけれども、その中で、貿易や資源の状況についての実態調査を行う必要があるのではないかというようなことが提案されるようなこともお聞きしています。

 もしウナギについて調査を行うということになれば、日本政府としては、どう受けとめてどう対応しようというふうにお考えでしょうか。

森山国務大臣 斉藤委員にお答えいたします。

 EUの提案への対応につきましては、その詳細な内容につきまして関係省庁と今後精査した上で検討する必要がありますので、現段階で確たることを申し上げられませんが、ウナギ種について情報収集や評価を行うこと自体は、資源管理に資するとの観点から、一定の意義があると考えております。

 本提案がなされたことは、ウナギ種についての資源管理の取り組みに対する国際的な強い関心のあらわれであるという受けとめもできるのではないかというふうに考えておりますので、我が国としては、今後も、東アジア周辺国、地域に対する働きかけを含め、ニホンウナギの資源管理に引き続き取り組んでいくということが重要なことであるというふうに考えております。

斉藤(和)委員 資源管理には今後も取り組んでいくというお話でした。もし国際的に調査をやろうというふうになれば、やはり積極的に日本もかかわって、ウナギを継続的にしっかりと利用できる資源管理を行っていくということが必要だろうと思います。

 資源管理にかかわって、藻場、干潟の問題を一つお聞きします。

 藻場、干潟は、豊かな生態系を育む機能を持っていて、水産資源をふやす上でも非常に重要だと考えます。日本は、高度経済成長期以降、産業開発によってコンクリートで海岸を固め、藻場、干潟、生命の揺りかごとも言われるところを壊し続けてきたという経過があります。それをなぞるように、沿岸漁業の漁獲量も、ピークの一九八五年には二百二十六万八千トンあったものが、二〇一四年には百九万八千百五十二トンと大きく減少をしてきています。

 水産庁も、一月に公表した藻場・干潟ビジョンでは、沿岸域の開発によって藻場面積が減少し、干潟機能が低下しているとしており、我が国周辺水域の水産資源の約五割が低水準にある、漁場の環境が悪化しているというふうに認めています。

 こうした認識のもとで、水産基盤整備事業が藻場、干潟造成に軸足を移しているということは非常に重要だと私は思うんですけれども、この間、失われたものが五万七千五百四十ヘクタールに対して、この間の藻場、干潟の造成面積は年間で千三百から千五百ヘクタールにすぎません。

 私は、もっと抜本的な予算の増額が必要ではないかというふうに考えるわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。

森山国務大臣 斉藤委員にお答えを申し上げます。

 藻場、干潟は、水産動植物の産卵、生育の場として重要な役割を果たしていると認識をしております。近年、海水温の上昇やウニなどの食害生物によるいそ焼けの進行等により藻場が減少しており、水産資源への影響が懸念をされるところであります。

 このような状況の中で、藻場、干潟の造成につきましては、漁港漁場整備長期計画において、平成二十四年度から二十八年度まででございますが、水産資源の回復や生産力の向上を図るために、五カ年でおおむね五千五百ヘクタールの藻場、干潟を造成する目標を掲げて整備を推進してきております。平成二十四年、二十五年、二十六年、三カ年で三千八百ヘクタール整備をしてまいりましたので、順調に進捗をしていると思っております。

 現在、平成二十九年度を初年度とする次期漁港漁場整備長期計画の策定作業を進めているところであり、この中で、さらなる水産資源の回復や生産力の向上を図るために、藻場、干潟の造成に係る目標設定や内容の充実について鋭意検討を進めているところでございます。

斉藤(和)委員 ぜひ、二十九年度からの計画も今回を上回るような造成計画にしていただければというふうに思います。

 最後に、サミットの関係でちょっと質問をします。サミットの警備と真珠養殖の問題です。

 伊勢志摩サミット開催に際する警備で、八日間の賢島への通行制限や海上航行制限などが打ち出されています。その時期は、現地では真珠養殖の核入れ作業の最盛期であり、夜明け前から日没まで、手作業で一日約四百個の核を入れる作業をしなければならないという時期にちょうど合います。その際は母貝を作業所に持っていくために船を出す必要があり、現地では警備によって作業に支障が起こるのではないかという不安の声も出されています。

 日本共産党の三重県委員会も、四月の二十五日に三重県知事に対して、真珠養殖は核入れの時期であり、開催当日の二日間を避けたとしても、二十一日から何日も仕事をとめることはできない、仕事ができるように配慮してほしいという申し入れを行ったところです。

 海上保安庁としても、警備によって真珠養殖に支障が出ないように万全の対策を求めたいと思いますが、現状と対策についてお聞きいたします。

秋本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、伊勢志摩サミットが開催される賢島周辺海域というのは、大小の島々や入り江、浅瀬が多く、また、真珠養殖などの漁業活動が活発な海域でございます。まさしく地元住民による生活の場となっております。

 こうした地理環境、それから昨今のテロ情勢を踏まえまして、政府といたしましては、自治体等関係機関と緊密に連携しつつ、警備に万全を期すこととしております。

 海上保安庁としましては、こうした政府方針のもと、同海域における警備を的確に実施するため、警察や自治体と連携しつつ、地元の漁業協同組合、それから真珠養殖組合を初めとする関係者に対して説明を行い、地域社会と一体となった警備体制を構築しているところでございます。

 この中で、サミット期間中の賢島周辺海域における船舶の航行につきましては、漁業活動などの生活のために必要がある場合に、事前登録を行っていただくことなどによって円滑に航行ができるように配慮しているところでございます。

 今後とも、関係省庁や自治体と連携して、住民の方々の声をお聞きしつつ、サミット警備に万全を期してまいりたいと思っております。

斉藤(和)委員 賢島では、土産物店だとか飲食店を中心に、観光客がシャットアウトされるのではないか、影響が出るのではないかという話も出されています。

 真珠養殖ではかなり配慮をされて、航行ができるようにするというお話でしたけれども、やはり十分な配慮をされて、影響が想定される関係者に対してはしっかりとした対策をとることを求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小里委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小里委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、漁業経営に関する補償制度の改善のための漁船損害等補償法及び漁業災害補償法の一部を改正する等の法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小里委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、江藤拓君外三名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小山展弘君。

小山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    漁業経営に関する補償制度の改善のための漁船損害等補償法及び漁業災害補償法の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)

  漁業は、厳しい自然環境の中で営まれる産業であり、資源の急激な変動や事故発生の危険性と常に隣り合わせにある。台風が常襲し、地震が多発する我が国にあっては、暴風や高潮、津波等、漁業生産にとり大きなリスク要因が存在する。

  こうした中、漁船損害等補償制度及び漁業災害補償制度は、中小漁業者の相互扶助の精神の下、国の支援を通じて、漁業再生産の阻害の防止と漁業経営の安定のため、長年にわたり重要な役割を果たしてきた。

  しかし、近年、漁業就業者の減少や高齢化等を背景として、両制度の運営環境は厳しさを増している。再び東日本大震災クラスの大規模災害に見舞われた場合でも、漁船保険組合及び漁業共済組合が漁業者に対して保険金及び共済金の支払責任を十分に果たし得るよう、効率的かつ機能的な組織運営及び事業基盤を確固たるものにしていく必要がある。

  よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 漁船保険組織の統合一元化が円滑に進むよう、漁船保険中央会及び漁船保険組合に対し、助言その他必要な支援を行うこと。

 二 新たに漁船保険組合の設立認可要件となる資産の額については、大規模災害等における支払にも十分対応できる額を定めるとともに、組合の財政状況の把握に常時努めること。

 三 組織統合一元化に伴い、国と新たな漁船保険組合の二段階の再保険関係とするに当たっては、組合による責任ある引受審査を確保しつつ、大規模災害発生時に、国が担うべき危険負担を確保するため、国及び組合において適切に責任分担を行うこと。

 四 漁船保険の満期保険については、高船齢化が顕著となっているため、漁船の更新が円滑に行えるよう、船齢制限の緩和と積立期間の延長を柔軟に行うこと。併せて、漁業構造改革総合対策事業等の推進を通じ、高性能漁船の導入等による新しい操業・生産体制への転換を促進すること。

 五 復原性が高く転覆しにくい漁船の研究開発、衝突事故防止用の船舶自動識別装置(AIS)の普及、海中転落事故に備えたライフジャケット着用啓発等の一層の推進等、漁船操業の安全対策に必要な予算や人員を確保するなど、労働環境の整備等に特段の努力をすること。

 六 水産資源の適切な保存・管理や水産資源に関する調査・研究を引き続き推進するとともに、水産基本計画における資源管理・漁業経営安定対策の加入者が我が国漁業生産額の九割を担うとの目標を達成するため、漁業共済への加入促進に向け適切に指導すること。

 七 養殖共済の全員加入制度廃止に当たっては、漁業者に対する適切な国庫補助の下、一層の加入促進が図られるよう、加入の在り方を適切に検討すること。

 八 特定養殖共済の掛金補助制度の要件を見直すに当たり、漁業の種類や地域の実態に応じて、基準とする漁業依存度を適正に設定し、加入促進に努めること。

 九 内水面養殖業を養殖共済の対象とするに当たり、うなぎ養殖業を対象とする際には、養殖共済実施可能性検証調査事業報告書等で指摘された問題点を踏まえ、的確に保険設計を行うこと。併せて、うなぎ養殖業許可制の下で、資源管理を着実に実施すること。

 十 近年の水産動植物の陸上養殖の普及実態に鑑み、ひらめ等の陸上養殖を養殖共済の対象に追加することについて、引き続き検討を行うこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

小里委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小里委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣森山裕君。

森山国務大臣 ただいまは法案を全会一致で可決いただき、ありがとうございました。

 附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいります。

    ―――――――――――――

小里委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小里委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小里委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会


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