衆議院

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第8号 平成13年6月14日(木曜日)

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平成十三年六月十四日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 川端 達夫君

   理事 石破  茂君 理事 園田 博之君

   理事 浜田 靖一君 理事 水野 賢一君

   理事 高木 義明君 理事 渡辺  周君

   理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君

      岩屋  毅君    臼井日出男君

      嘉数 知賢君    瓦   力君

      下地 幹郎君    中山 利生君

      平沢 勝栄君    宮下 創平君

      吉川 貴盛君    米田 建三君

      伊藤 英成君    小林 憲司君

      今野  東君    首藤 信彦君

      河合 正智君    赤嶺 政賢君

      今川 正美君    小池百合子君

      粟屋 敏信君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   防衛庁副長官       萩山 教嚴君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   防衛庁長官政務官     平沢 勝栄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岩橋  修君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    伊藤 康成君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   飯村  豊君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長

   )            谷内正太郎君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍

   備管理・科学審議官)   宮本 雄二君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局国

   際社会協力部参事官)   森元 誠二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長

   )            中川 雅治君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  西尾 哲茂君

   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件




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     ――――◇―――――

川端委員長 これより会議を開きます。

 この際、委員長から、外務大臣に対し申し上げます。

 去る五月三十一日の本委員会において、外務大臣が、質疑者の要求があるにもかかわらず、その質疑終了前に了承を得ることなく退室したことは、極めて遺憾であります。

 今後、かかる事態が生じないよう厳重に注意をいたします。

 この際、外務大臣から発言を求めます。

田中国務大臣 おはようございます。

 五月三十一日の安保委員会において、今川議員の質疑終了前に、突然予定が入り、総理訪問のために議場を退席せざるを得なかったことにつきまして、おわび申し上げるとともに、事情御賢察の上、御理解賜りますようお願い申し上げます。

 以上です。

     ――――◇―――――

川端委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官岩橋修君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛施設庁長官伊藤康成君、外務省大臣官房長飯村豊君、外務省総合外交政策局長谷内正太郎君、外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官宮本雄二君、外務省総合外交政策局国際社会協力部参事官森元誠二君、外務省北米局長藤崎一郎君、外務省経済局長田中均君、海上保安庁長官縄野克彦君、環境省総合環境政策局長中川雅治君及び環境省自然環境局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川端委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

川端委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。

石破委員 おはようございます。

 訪米を控えられました外務大臣並びに防衛庁長官に幾つか質問をさせていただきたいと存じます。

 まず、外務大臣にお尋ねをいたします。

 外務大臣は、先般の当委員会におきまして、このようにお述べになりました。これまでに我が国の安全及びアジア太平洋地域の安定と発展のために機能してきた日米安全保障体制の信頼性の向上に引き続き努め、日米同盟関係の強化を図ってまいります、このようにお述べいただいたかと存じます。今回の訪米がこのような大臣のお気持ちにさらに資するものであり、そしてまた日米同盟強化というような大きな果実が得られますように心から期待をするものであります。

 一つ冒頭に申し上げておきますが、外務大臣の御発言の中で、繁栄、安全、平和という言葉がありました。あわせて、我が国の独立というものもきちんと御認識をいただきたいと思っております。

 昭和三十二年にできました我が国の国防方針、基本方針ですが、その中には「わが国の独立」という言葉がきちんと書かれております。繁栄も平和も重要であります。安全も重要であります。しかし、その根幹となるのは、我が国の独立がきちんと保たれる、であらばこそ我が国の繁栄も平和もある。そのことをどうか御認識をいただきたいと存じます。

 大臣にお尋ねをいたしますが、大臣は、ここで同盟というお言葉をお使いであります。同盟というものについて、大臣はどのようにお考えでありますか。かつて、政府の答弁書の中にも同盟の定義というものが出てまいりました。大臣は、同盟というものはどのようなものであるというふうにお考えになり、同盟の本質とは何であるとお考えになっていらっしゃいますか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 国際法上にそのような定義がしっかりと法的に確立されているとは思いませんけれども、一般に同盟関係、同盟ということを言います場合は、共通の利益を有する複数の国家間において緊密な協力関係を持つということであるというふうに考えております。

 そして、今のお尋ねの日米間の問題ですけれども、これは総合的な関係をとらえて、同盟あるいは日米で合同の同盟関係というものをしっかりと築いていきたいという意味でもって日常的に使用されているというふうに理解しております。

石破委員 今、五十六年の答弁書をそのまま引用なさったと存じます。五十六年の答弁書には、そこには集団的自衛権というものを明確に否定しておる、そういう意味では同盟とは言えないというようなくだりがあります。そしてまた、軍事的ということよりも、むしろ全部、総合的にというようなとらえ方、それはあえてそういうような定義をしたのだろうと思っています。

 しかしながら、世の中には協商関係というものもあります。私は、同盟というものの本質は、やはり軍事力というものを抜きにして語ることはできないのではないか、そしてまた、集団的自衛権というものをあえて否定した同盟の定義、その日本国政府の見解というものがこれから日米関係において問われるであろう、そのように思って質問をした次第であります。

 さて、大臣は、日米安保の信頼性の向上、同盟関係の強化、こういうふうにおっしゃいました。言葉はそのとおりです。具体的にはどのようなことをお考えでいらっしゃいますか。

田中国務大臣 具体的には、今その独立というお言葉を先ほど委員使われましたけれども、私はむしろ、自立した関係、それは何かといいますと、私の認識でいきますと、追随というよりも自分で自発的に、例えば沖縄の状態等が極めて典型だと思いますけれども、そういう実情においてどういう問題があり、どういう点が改善されるとよりよい関係ができ上がるかという点について、主体的にもっと意見を言うという関係、そしてまた、先方がおっしゃっている、この場合アメリカですけれども、アメリカがどのような考えを持っているかについてもしっかりと聞いてくる、そしてそれを前広に国の中で議論をするということだというふうに思っておりますけれども。

石破委員 合衆国がいろいろな国と同盟を結んでいますね。その中で、日米安保といろいろな違いがあります。その中で、いろいろな自立した関係がありますよ。例えば、NATO諸国もそうでしょう、韓国もそうでしょう、日本だけが自立、自立というわけではなくて、合衆国がいろいろな国と同盟関係を結んでいます。その中にあって日米安保の特色とは何だとお考えですか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 憲法の範囲内であると、我が国の。ということですけれども、要するに、多分御指摘は双務性がないということを思っておられるかと思いますけれども、やはりこれは我が国の憲法の範囲内であるということです。

石破委員 そのことも特色の一つです。

 しかしながら、では、NATO条約と比べてみた場合に、ほかの条約と比べてみた場合に、応援発生事由、応援義務の発生事由、そしてまた適用範囲、適用の地理的範囲、そういうものについてもいろいろな違いがあることは大臣御存じだと思います。そのことについてどういうようにお考えですか。

田中国務大臣 お答えいたします。

 それぞれの国情とか、それからそれぞれの地政学上の問題とか事情というものがありますので、日本と、日米とは違った関係のものをNATOなりほかが持つということは当然だというふうに思います。

石破委員 それぞれ当然のことであります。ですから、外務大臣には、もちろん既になさっておられることと思いますが、御訪米前に、日米安全保障条約は、ぜひ日本語、そしてまた英語、両方きちんと読んでいただきたい。そしてまた、NATO条約と那辺に違いがあるかということであります。

 例えば、NATO条約におきましては、締結国に対する武力攻撃、それを全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する、アグリーという言葉が使われていますね。そしてまた、援助する、ウイル・アシスト、こういう言葉が使われておるわけであります。それでは、日米同盟はどうなのか、日米安保はどうなのかといいますと、武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくすることを認識するという言葉になっているのです。レコグナイズという言葉になっているわけですね。そしてまた、NATOにおいてはウイル・アシスト、援助するという言葉になっていますが、日米同盟ではウッド・アクトという言葉ですね。そういうようなえんきょくな表現が使われておるわけですね。

 そしてまた、日米安保の特色は、日本の施政下の地域、こういうことになっています。つまり日本の施政下の地域ですから、それ以外で、例えば日本の施政下外にあるところで日本の船が攻撃をされました。日本の自衛隊が攻撃をされました。その場合に、すなわちそれがすぐアメリカが応援をするという理由にはなっていない。その国の、日本の施政下だけ、このように限定された条約というのはほかに例を見ない。そのことが日本の事情、特殊性、そしてどういうようなメリットということになっているのか。そのことについて御見解はいかがですか。

田中国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、日米安保は我が国の憲法というものがすべて前提になって結ばれていますので、ですから、それなりの特色があるということはもう申し上げるまでもないというふうに思います。

 先ほど私が片務性か双務性かということを申しましたけれども、アメリカは我が国防衛の義務があるということは安保条約の第五条で決まっておりますし、他方、我が国は、アメリカに対して、我が国及び極東の平和と安定のために施設でありますとか区域の使用を認めるということ、これは安保条約の六条、これはもう御案内のとおりですけれども、それによって米国の義務とバランスをとっているというのが実情でございます。

石破委員 ここでそれぞれについて議論をするつもりはございませんが、日米安保は日本国の施政下にある領域が適用範囲であります。

 繰り返しますが、施政下外において日本国の船舶や日本国の護衛艦やそういうものが攻撃を受けたときに、すなわちそれを助ける義務は米国にはございません。そのことは一つの大きな特色であります。

 そのことが我が国にとってどうなのか。憲法上、憲法上というふうにおっしゃいますが、本当にそれが外務大臣のおっしゃる我が国の平和、安全、繁栄、それに寄与するものであるかという観点から御認識をいただき、これから先、米国ともお話をしていただきたい、そのように私は思ってお願いを申し上げておるわけであります。

 そしてまた、周辺事態安全確保法というのがございました。このことにつきましては、中谷現防衛庁長官、随分御努力をなさいました。このことは中谷長官にはお尋ねをいたしません。外務大臣の御認識を承りたいと存じます。

 周辺事態安全確保法、あれは私どもも本当に一生懸命努力をして成立させました。あれはなくてはならない、そういうような法律であったというふうにかたく思っておる次第であります。しかしながら、あれはあのままで本当にいいんだろうかということであります。

 例えば、日本海公海上、周辺事態において、周辺事態というのは、そのまま放置すれば我が国の安全に重大な影響を与える、そういうような事態ですね。そういうような事態において、米軍が日本海の公海上を航行しております。行動をしております。そこへ日本の自衛隊が補給をいたしました。そのために航行いたしました。ところが、アメリカの艦船に突如として敵国の航空機が飛来をして攻撃を加えました。そうしますと、補給のために行っておる日本の船は即座に引き返さなければいけない。これが条文どおりの読み方のはずであります。

 そこで、大臣、お尋ねしますが、国会の議論の中では、まあそういうことになるだろうねということでありました。しかし、実際にそういうことが起こった場合、そのまま放置すれば我が国が重大な事態に至る、そういうような事態において合衆国が行動しておる。そのために、補給をするために日本の船が走っておる。直前まで来ました。近くまで来ました。さあ補給しましょうということになった。米軍もそれを待ち望んでおる。しかし、その米軍が攻撃を受ければ、さよならと言って帰るわけですね。

 それが、仮に、大臣もアメリカでお暮らしでしたからおわかりかと思いますが、合衆国の国民がそれを見たとしたら、同盟関係はどのようになるとお考えですか。

田中国務大臣 個別的、具体的な状況にならないと、具体的には私の立場では意見は申し上げかねますけれども。

 ただ、自衛隊と共同で活動している米軍が公海上で相手国から攻撃を受けたとか、あるいはその逆の場合も今おっしゃったわけですけれども、我が国の個別的自衛権の行使の要件、もう御存じのとおりですから繰り返しませんけれども、それを満たす場合には、自衛隊が相手国による攻撃を排除するということは個別的自衛権の行使として認められていますので、ですから、これはやはりいろいろなケースを想定しながら、今の御質問に対しても考えていかなければいけないというふうに思いますし、また、こういうことについて、まさしくこういう委員会で、いろいろな意見があるわけですから、議論を、研究をしていただきたいというふうに考えております。

石破委員 恐らく大臣も御案内かと思いますが、アメリカの国民のほとんどの人、九九%の人はそういう事態において、つまりアメリカの船だけが攻撃をされた事態、もちろん日本の船もやられれば当然個別的自衛権ですよ、しかしながら、アメリカの船だけがやられた場合ということを私は前提として申し上げている。そのときに、日本の船は当然アメリカの船を助けるねというふうにアメリカ国民のほとんどは思っているはずです。間違いありません。私、どんなアメリカ人に聞いてもそう言います。そういうのが仮にテレビで放映をされたとしたら、日米同盟というのは一瞬にして危機に瀕するであろうというふうに私は思います。そう考えるのが普通の考え方であろうというふうに思っておるのであります。

 同時に、例えて言いますと、同じような例ですが、米軍機が傷ついて、例えば日本の空港におりました。小松なら小松でもいいです、おりました。そしてまた飛び立ちたいということを言ったときに、その飛行機に対して、油をつぐことも整備をすることも発進準備中の飛行機に対してはできないということになっているわけですね。

 繰り返して申し上げますが、そのまま放置すれば日本が重大な事態に至る。そのことのために米軍は戦っているわけですよ。もちろんアメリカの共通の利益ということを前提にしての話ですがね。そのときに、じゃ、油もつぎません、整備もいたしません、ここにこのままいてちょうだいという場面が放映をされたとしたらどうなるだろうかということです。お答えは要りません。

 しかしながら、日米同盟というのは本当に、特に合衆国は民意の国ですから、国民がどのように考えているかということ、それが最も大事なのであります。紙の上では、議論の上では確かにそれでいい。整理はつきます。しかし、その場になってみなければわからないというような、そういうようなお話で、本当に国の独立と平和と安全が守れるとは私は思っていない。

 そういうようなことを国会でも議論をしていきたいが、外務大臣にもぜひそのことを御認識いただきたいと思います。いかがですか。

田中国務大臣 ですから、憲法の範囲内、それから個別的自衛権の範囲内でしか行動ができませんので、今お尋ねのようなことについて、国会の場において前広に皆様で研究、討論をしていただきたい、かように考えております。

石破委員 もうそのことについては、それではまた最後にお尋ねをいたしましょう。

 しかし、今は日米安保が結ばれたときと違いまして、ミサイルは一遍にどこでも落ちるんですよ。あっという間にどこでも落ちる。そして、スホーイ27なんぞという戦闘機はマッハ二・三で飛ぶのですね。日本海を渡るのに十数分しかかからないわけです。そうすると、後方地域なぞというような概念が、大臣、後方地域なぞという概念はある意味では瞬時に吹っ飛んでしまって、そのまま日本有事になりかねない。そのことを我々はよく認識しながら議論を進めていかねばならない、このように思っております。

 一つ技術的なお話になりますが、お尋ねをいたします。

 日米安全保障条約と今議論をされております有事法制、その関係についてどうお考えですか。そして、外務省はどのように対応なさいますか。

田中国務大臣 この有事法制ですけれども、これは今後、内閣官房を中心として十二分に検討していくものであるというふうに承知いたしております。

 そして、日米は共同で対処するということになりますので、有事法制を考える際には日米安保体制の、これはもう円滑かつ効果的な運用というものが欠かせないというふうに存じます。

石破委員 今議論をしておりますのは、有事において、防衛出動下令時において自衛隊はどのように行動ができるかということ、どのような制約があるかということを議論しているわけですね。しかしながら、そのことは、米軍もどうなのですかということなのであります。そしてまた、有事版のACSAみたいなものはどうなりますかということであります。つまり、その部分がきちんとしなければ、米軍の行動に係る有事法制をきちんとしなければ、実は有事において日米の共同の行動はできないに等しいということであります。

 したがいまして、そのことをいかに急ぐかということだと思っていますが、いかがですか。

田中国務大臣 おっしゃるとおりと思いますけれども、極めてこれは重要なイシューだというふうに思いますので、早期に整備されればよろしいですけれども、こういうことについても、やはり十二分に議論、検討も皆さんでしていくというのが前提になるというふうに思います。

石破委員 これは私どもにも責任はあるんですが、研究が終わってから、例えば防衛庁の公表文が出てから、二十数年何もしないで来たわけですよ。有事というのはいつ起こるかわからない、あした起こるかもしれない、あさって起こるかもしれない。そのときに十分な議論をすることは必要ですけれども、そのことのために外務省として全力を挙げて御努力をいただきたい、そういうお願いをしたいのであります。

田中国務大臣 はい、よくわかりました。

石破委員 それでは、ミサイル防衛構想についてお尋ねをいたします。

 五月一日にブッシュ大統領はこのことに対して演説をいたしました。ブッシュ大統領の演説の内容につきまして、大臣はどのように評価をなさっておられますか。

 私は、ブッシュ大統領のおっしゃることは、今までの相互確証破壊の時代は終わったんだということ、MAD、相互確証破壊の時代は終わりましたということ、そしてまた防御力、それが必要なんだ、防御力そのものが抑止力を強化するのであって、たくさんのミサイルを持つことが抑止力というよりは、防御力を持つことが抑止力を強化するのである、そういうふうにおっしゃっておるのだろうと私は思っています。そしてまた、一方的にミサイルを削減するということもおっしゃっておられるわけですね。

 ブッシュ大統領の演説は、大臣御精読のことだろうと思っています。このことにつきまして、大臣はどのような評価をなさっておられますか。

田中国務大臣 現在承知しておりますだけでも、四十一でしたか四十幾つかの国がミサイルを持っているというような状態の中で、大きなやはり世界に貢献する力を持っているアメリカがそういうことに危機感を持たれて、新大統領が核の不拡散という意味でこのミサイル防衛構想を出されたということは私は理解ができますし、やはり世界を平和に、戦争のないところに導いていくためには、抑止力としてそういうふうな考え方があるということは理解もいたします。

 ただ、これにつきましても、近々訪米をさせていただきますので、そのときにパウエル長官を通じて、どういうふうなところにポイントがあるか、フェース・ツー・フェースで確認ができればというふうに考えております。

石破委員 現在伝えられる限りで、ミサイル防衛構想の持つ日本にとってのメリットは何ですか。どのようなものだとお考えですか。

田中国務大臣 これもフェース・ツー・フェースでお話をしてみないと、報道だけでは、また役所の情報もありますけれども、わかりかねるところもあるので、やはりはっきり伺ってみたいと思いますが、これは私の考え方でいきますと、ともに研究をするということ、開発ではなくて、それは私は、科学技術庁のときもそれをすごく思ったことなんですけれども、研究をすることによって民生に役立つようなとてもいいことが、例えばほかの面とかの、安全保障に直接つながらないにしても導き出されることもありますし、そういうふうな、ともにやはり研究をする方向というのをこちらが理解しているということは、決してすべてマイナスではないというふうに私は感じております。

石破委員 確かに、軍事技術の研究が民生に波及する、いろいろな民生品、汎用品ができてくる、そういうメリットはありますが、そのことは事の本質とは何の関係もないのですよ。何の関係もない。

 問題は、私は、ミサイル防衛というのは、これこそ専守防衛であって、こんなに専守防衛的なものはないというふうに思っています。そして、確かに、ブッシュ大統領がヨーロッパにいらっしゃって、きのうもあれこれと議論をなさった。むしろヨーロッパの方は否定的だというふうに報道がされている、だから日本も余り賛成しちゃいけないね、拙速はいけないねというようなお話がずっと広がっていくわけですね。

 しかし、ヨーロッパと日本と何が違うか。冒頭にNATOと日米安全保障条約と何が違いますかというふうにお尋ねをしましたが、ヨーロッパと日本は全く事情が異なるのです。

 NATOの中でアメリカの構想を積極的に支持している国があります。それはトルコなんです。なぜトルコが積極的に支持をするか。それは、イラクあるいはイラン、そういうような疑念、核兵器を持つ、弾道ミサイルを持つ、そういうような国に対して、隣国であるその脅威を間近に感じているからこそ、NATOの中でも、トルコは積極的にアメリカの構想を支持しているのです。

 言葉をきちんとしたいのですが、構想は支持できるのか、構想は支持できるがお金が幾らかかるかわからないとか、できるかできないかわからないとか、それとも民生にどれだけ影響があるかわからないとか、どれだけのメリットがあるかわからないとか、だからもう一回見きわめようということなのか、構想自体が支持できないということなのか、大臣のお立場はどちらですか。

田中国務大臣 ですから、いろいろな御意見があるわけですので、それをフェース・ツー・フェースでしっかりと確認をしてきたいと。そういう使命も、私がアメリカに行くことについてはあるわけでございます。

石破委員 大統領は、演説を何度もされておられる。あるいは、大学の入学式でも演説をしておられる。そして、在米の日本大使館は、もちろん優秀な防衛駐在官もおります。情報を一生懸命集めて、そして、今の段階で日本国としてどうなのかということのために一生懸命やっておると思うんです。会わなきゃわからぬというようなお話、それは私はいかがなものかなと思っているんですね。

 そして、アメリカは、私は思うんですが、ひょっとしたらば、一体どこが本当の同盟国なんだろうかということ、この構想をどこが評価してくれるんだろうかと。先ほど申し上げましたように、ヨーロッパは、直接弾道ミサイルの脅威にさらされている国は少ないのです。そして、イギリスであれ、フランスであれ、限定的ではあるけれども、核の抑止力を持っておるのです。

 日本は、非核三原則に基づいて核抑止力はもちろん持っておりません。アメリカの核の傘のもとにあって、抑止力を維持しているのです。そして、テポドン、それが我が国の上空を飛来した。そのことは我々の記憶に新しいところなんです。ヨーロッパの諸国と日本とは、事情が全く異なる。だとするならば、日本として合衆国に対して、構想自体を理解するというような姿勢は、さらに支持をするというような姿勢は、私は持ってしかるべきではないかというふうに思っておりますので、ぜひ、アメリカに行って向こうの主張を聞き、我が国の姿勢を固めていただきたい、そのために有益な会談を持っていただきたい、そのように思っておるのであります。

 では、ロシアはどうなんだろう、中国はどうなんだろう。このアメリカの構想に対して、ロシアや中国がいろいろなことを言っていますね。プーチン大統領は中国に行き、そしてブッシュ大統領の会談に臨むわけです。それでは、プーチン大統領に、江沢民主席にどうですかというふうに、これまたフェース・ツー・フェースで聞かなきゃわからぬということなのかもしれませんが、今大臣は、ロシアは何を考え、中国は何を考えておるとお思いですか。

田中国務大臣 決して会わなければわからないとかいうことは私は申しておりませんけれども、せっかく訪米をさせていただける御許可が出ましたので、お会いして、フェース・ツー・フェースのときにしっかりと、やはり会うことによってニュアンスとか細かい機微の問題もしっかりわかりますので、そのときにしっかり確認をしたいという意味で申し上げました。そして、ミサイル防衛計画を検討しているということは私たちもちゃんと理解をしておりますということが、もちろん最前提でございます。

 それから、中国はミサイル防衛に反対をしております。そして、本件については米国と協議を継続していくということになっております。アメリカも、同盟国や中国やロシアと話をしながらということはおっしゃっています。さらに、ロシアにつきましても、アメリカのミサイル防衛配備の制約となるような米ロ間のABMの問題がありますね。大陸間弾道弾の話があるわけですけれども、それを維持することを主張していますけれども、同時に欧州諸国に対してもいろいろと意見があるわけですから、それぞれの立場でもって、やはり米国と話をする、米国も話をしていくというように声明しているというふうに承知しております。

石破委員 同盟の強化というのは、同盟の強化のために大臣はアメリカにいらっしゃるわけですよ、大臣のごあいさつからすれば。同盟強化が一番大事だというふうにおっしゃっておられるわけです。

 このミサイル防衛構想に対して、日本という国が置かれた状況、日米間のいろいろなつながり、それから、日本は何を言ってくれるんだろうか、日本はどのようなメッセージを発してくれるんだろうかということは、私は同盟の強化にとって極めて大事なことだというふうに思っています。

 自立というお言葉も結構です。しかしながら、同盟というのは、本当に信頼できる相手であるか、そしてまた、こちらの事情を向こうがどれだけわかり、向こうの事情をこちらがどれだけ理解し、会う前にはそのことを全部確認して同盟の強化に資するものであっていただきたい、そのように思うのです。

 アーミテージ、ナイ・レポートというのがございます。これは今までの政府のお答えでは、あれは政権に入る前につくったもので、今の合衆国政府の立場をそのままあらわしたものではないというような答弁がされます。私自身、そのような答弁をしたことも実はございます。しかしながら、アーミテージさんが政権の中枢に入っておる。だとすれば、その考え方は相当程度に合衆国の政策に反映をされる、そういうふうに見るのが自然であり、素直な見方だろうというふうに私は思うのですね。

 アーミテージ・レポートの中ではこのように言われておる。集団的自衛権のお話です。集団的自衛権に対する日本の禁止は同盟の協力を規制するものである、この禁止の除去は、より緊密でより効率的な日米安全保障協力を許すことになるだろう、これは日本国民だけができる決定である、このように言っていますね。そういうふうにはっきり言っているわけですよ。

 このことについては、恐らく大臣としてはお答えになれないだろうと思います。集団的自衛権がどうかということについてはお答えになれない、そういうお立場なんだろうと思います。

 しかしながら、ミサイル防衛構想というのは、やがてどこかでこの問題に抵触せざるを得ない、そういうものを含んでおります。すなわち、ミサイルが打ち上げられて、それが明らかに日本に向かっておる、そういうことがわかれば、それは個別的自衛権でよろしいでしょう。しかしながら、ブースト段階で、打ち上がっておる段階で、それがどこに向いているのかわからないという状態でそれを撃つことは、さて、これは個別的自衛権で片づけられますか。技術の進歩というものが、集団的自衛権というもの、今まで政府がずっと解釈してきたこと、それに正面から触れる、そういうようなときが必ず来るのであります。

 アーミテージ、ナイ・レポートについて、大臣、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

 そして、総理はこのようにおっしゃっておられる。研究してもよいのではないかというふうにおっしゃっておられますね。研究するのはだれかといえば、それはもちろん国会議員も研究をいたしましょう、国民の皆様方、識者の皆様方も研究をなさいましょう。しかし同時に、政府も研究をしなければならぬのではないですか。政府が従来の法制局の解釈をそのまま朗読をする、そういうようなことで本当に研究したということになるのか、国民に対して議論を挑んだということになるのか、国民の理解を得る、そういう努力をしたと言えるのか。私は、そうは思っていないのであります。

 大臣は、政治主導というお言葉をよくお使いになります。それはまさしくそうあるべきものであって、官僚主導よりは政治主導、それは国民の声を背景にした政治主導で政治は行われるべきものだというふうに私も考えます。

 しかし、官僚支配の最たるもの、私は、官僚の皆さん方がやってきたことがすべて悪いとは思いません。官僚の皆様方も、使命感を持って国のために一生懸命やっておられる方がたくさんおられることは、大臣もよく御存じのとおりであります。

 しかし、官僚支配、そしてまた政治がその力及ばざるところ、その典型は、私はその集団的自衛権の解釈、そういうものだろうと思っているのですね。これを打ち破っていくことが日米同盟、これを強化することであり、政治主導、そのことを国民の理解のもとに確立をすることだというふうに私は思っております。

 大臣の御見解を承ります。

田中国務大臣 アーミテージ・レポートについて、最初に委員がおっしゃったように、今は完全にこの内閣の枢要、ブッシュ政権の枢要な地位におられるので、ですから、彼の考えていることが、アーミテージ・レポートそのものが、やはりアメリカの安全保障政策の中核になるというふうに考えてよろしいと思います。

 ところがまた、翻って、委員がおっしゃったように、日本は法制局を中心として五十数年間、このことについて、憲法というものに拘束があるという理由で、まあ法制局の理由にするのは果たしていかがなものか、むしろ国会が機能していなかったということかもしれませんけれども、あるいは世論がなかなかそこまで成熟していなかったのかもしれませんが、いかなる理由があるにしろ、二十五年間かけて研という字になり、二十五年間かけて究になったというふうなことであってはいけないと思いますけれども、やはり我が国は我が国の今までのそうした経緯もあります。経緯もあるんですが、憲法論だけではなくて、こう思うんですね。

 日本の地球上の位置というものは移すことができないわけですから、地政学上からいって、日本が抱えている、この地域が抱えている不確実性とか不透明性というもの、それはぬぐいがたいものが今現在の段階で、これは二百年後、三百年後どうなるかはまたわかりませんけれども、そういう状態にありますので、やはり自分の国、国民の皆様の生命財産を守るという視点からいたしまして、どのような考え方を私たちが持つべきかということについて、本当に前広で、これはフリーに、アメリカとも話し合いもしなければいけませんし、国内においても話をしなければならない。

 ただ、現憲法下では集団的な自衛権の行使というものを許されておりませんので、ですから、それについて、二十五年かかって研であり究であるという、研究をしていきたいというのがこの内閣のスタンスでありますし、総理や防衛庁長官と今までいろいろと話し合いをしてきておりますのも、そういう観点でございます。

石破委員 どうも声が出にくいようで恐縮ですが、あと一、二問、御辛抱いただきたいと思います。

 集団的自衛権といいますと、何かすごくおどろおどろしいような、大国のそういうような横暴に日本は力をかすのではないか、こういうような見方をされる方もあります。しかし、何で国連憲章五十一条において集団的自衛権というものが入ったのか、そこまで理解をした上で議論をしていかねばならない。

 五十一条に集団的自衛権が入ったのは、何も大国の横暴とかそんな話ではない。むしろ、拒否権を持つ大国のそういう横暴に対して、小さな国が、弱い国がどうやってまとまって自分の国を守っていくか、そのときにどうやって相互援助していくか、そういうことでリオ条約というものがあり、チャプルテペック協定というものがあり、五十一条が入った。

 よく国会の議論なんかも聞いていますと、集団的自衛権は大国の横暴に力をかすものでけしからぬ、そんなものは許さない、そういう議論がありますが、集団的自衛権の本質はそんなものでない。そしてまた、集団安全保障というものが完全に機能しない、なかなかそのような理想の国は出現をしない、そういうもとで認められたものであるということについて、大臣の御認識はいかがですか。

杉浦副大臣 大臣の状況がちょっと、ああいう状況でございますので、私から答弁させていただきます。

 その前に戻るのですけれども、アーミテージ論文は非常に私は高く評価しますし、重要な問題も提起しておると思います。

 集団的自衛権については先生のおっしゃるとおりでございますが、あの論文でアーミテージ氏たちが言っておることは、その問題については日本人のみが決定できる問題だというふうに十分に認めた上で、日本人の間で検討されることを期待しておると思うのです。

 さまざまな議論がこの委員会でもされてまいりましたし、政府部内でも、小泉総理が言われまして、研究をしようというふうに相なっておるわけでございますが、これは将来的には憲法改正の問題も視野に入れながら、我々は十分に、日本人の間で、我が国の安全をどう守っていくかという立場から検討されるべき問題だ、こう思っております。

石破委員 これをもって外務大臣に対する質問は終わりますが、要は、副大臣、キーワードは集団的自衛権というもの、いつかはそれに触れざるを得ないのですよ。周辺事態法、先ほど申し上げた艦船の例にしても航空機にしても、それを助けることもできない、整備もできない、油をつぐこともできない、それはすべて集団的自衛権に抵触をするからだと。そして、アメリカのミサイル防衛構想も、部分的には支持ができない、理解もできない。それも集団的自衛権にかかわってくるのですよ。この問題を避けて通れない、そういう時期に来たと私は思っているのですね。

 繰り返しますが、御答弁は結構です、従来のように、集団的自衛権を認めることは大国の横暴に力をかすことだというような流説がどうも横行をしておる。確かにそういうこともあった。それは国連において、アメリカに対して非難もなされたこともございます。そういう場合は当然、乱用は戒められてしかるべきものであります。しかし、本来それが出たのは、チャプルテペック協定によって、小さな国が攻められたときに、それが拒否権を持つ国であったり、拒否権を持つ国が後ろにいたり、そういうものに対して対抗するためにできたのがこの国連憲章五十一条であるということから、きちんと議論をすることが私は必要である、そのことが二十一世紀の日本の独立と平和と安全と繁栄を守っていくために避けて通れない議論である、そのように思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、残りの時間、防衛庁長官にお尋ねをいたします。外務大臣はごぐあいが悪ければ、残余の時間、御退席いただいて結構です。

 沿岸・重要施設警備と機密保全についてお尋ねをいたします。これは、私も前内閣において責任ある立場におりました。これができなかったことについて、私は大きな責任を感じております。その責任を感じておるという立場から、中谷防衛庁長官にお尋ねをいたします。

 例の工作船、あえて工作船と申しましょう、あれは工作船ですからね。あれが来てから、もう二年以上経過をいたしました。大臣も随分と党で議論をして、自民党で危機管理プロジェクトチームにおいて中間報告をまとめた、それがその年の六月のことでありました。もう二年もたちました。先ほどのお話ではありませんが、いつ来るかわからない、あした来るかわからない、あさって来るかもわからない、今のままの法律では、この間と同じことが起こるでありましょう。このことをいかに早くするかということであります。そしてまた、古くは下甑島の事例なぞがありました。

 では、多衆集合しない二人や三人、そういうような武装ゲリラに対して、今のままで対応できるかといえば、恐らく対応はできない。治安出動が下令される前に、恐らく大勢の犠牲者が国民にも警察官にも出るでありましょう。それを放置しておくことは、私は、政府の責任でもあり、私ども国会の責任でもあり、もし仮にそういうような事態が起こって犠牲者が出れば、我々は責任のとりようがない、本当に申しわけないで済むようなお話ではない。

 このことについて、一刻も早く立法すべきだというふうに考えております。大臣も思いは同じだろうと思います。このことの進捗状況、そして今の問題点、簡潔にお述べをいただきたい。

中谷国務大臣 最近の不審船の事案とか下甑島の事案とか等を考慮いたしますと、国民の安全を守るために、防衛庁といたしましては、早期に、この沿岸・重要施設の整備に関する法的措置につきましてはその必要性があると認識いたしております。

 問題は、政府がこれを責任を持ってやるということでございまして、特に、関連する警察庁また国土交通省、この省庁も同じような認識を持っていただいて、そういう事態に対してきちんと責任を持って内閣全体が対処できるようにするべきであるというふうに思っております。

 具体的には、現在、問題点としては三点ございます。

 第一点は、不審船の対処でございますが、あの事例でも発生いたしましたけれども、不審船が停船したときに立入検査を行う必要がございますが、現在、自衛隊に与えられている武器の使用の権限につきまして、海上警備行動時の立入検査ということは警職法の準用でございまして、相手の対処がなされない場合は、国内の警職法の準用ということでこちらから対処ができないということでありまして、この立入検査を行う要員の安全確保の点で問題があると認識しております。

 第二点は、武装工作員の場合でございますけれども、この場合、自衛隊に対しては、現行の法体系でいきますと、治安出動が下令をされた場合に対処できることになっておりますが、自衛隊法第九十条の治安出動の場合の警護、鎮圧のための武器使用は多衆集合してというふうに規定をされておられまして、少数の武装工作員に対して有効に対処できるかどうか、この文面を見ますと、なかなか現地の指揮官が判断しづらい面がございますので、この点につきまして検討中でございます。

 第三点は、治安出動がかかる前の自衛隊の対応につきまして、現行法では、治安出動が下令されない限り、情報収集や警戒監視が必要な場合に自衛隊が情報収集に出ましても、素手で銃を持たずに行くものですから、不測の事態に対して要員の身の安全を確保する、つまり自己防護すらできる状況ではございません。

 そういう意味で、自衛官の生命、身体の安全の確保から問題があるという三点は認識をいたしまして、その法律改正をいたしたいところでございます。

 なお、この問題につきましては、最初に述べましたとおり、ほかの省庁、特に警察庁並びに国土交通省の認識がまだ十分でない面がございますので、大いに各省間で話し合いをする必要があると同時に、現在、自由民主党内におきましてもこの問題を検討する国防部会の中に防衛政策小委員会が設けられまして、この問題点につきまして御議論をいただいているところでございまして、各党、特に与党などの議論を踏まえつつ、所要の法整備につきまして全力を挙げたいというふうに思っております。

石破委員 経過をすべてわかった上で御答弁なさっておられるんだろうと思います。

 今、我が党の小委員長の浜田さんもおられますし、認識が十分ではないというふうにおっしゃいましたね。そういうことがあってはならないんですよ。防衛庁がどうの、海上保安庁がどうの、警察がどうの、そんな問題ではないんです。これは政府全体としてどう対応するかというお話であって、認識が十分ではないなどということが、二年もたってもそのようなことで、本当に現場の海上保安官や警察官や自衛官はどうなるのかということは、自衛官出身の大臣が一番よく御存じのはずでしょう。

 これは何としてももうこの国会、何とか出したいと思って私も努力しました。時間的に相当難しいと思います。臨時国会ということになれば、夏の間はそういうことが起こったらどうにもならない、超法規でやるかというような話になってしまうんです。そんなことを自衛官や保安官にさせてはならないんです。

 そして、もう一つ私が思っていますのは、仮に停船したとしますね、停船のための武器使用ができたとしますね、そういうような海上保安庁法の準用かもしくは自衛隊法の改正か、いろいろなやり方はあるでしょう。それで、とまりました、その船に工作員が乗っておりました、海上保安官か自衛官か出てこいというふうに言いますね。向こうが、悪うございました、お縄ちょうだいということには絶対にならないですよ。恐らくならないですよ。保安官や自衛官を撃て、そしておまえたちも死ねというふうになった場合には、これはどうしても警察官職務執行法の準用の範囲を超えられないんです。正当防衛、緊急避難、これは向こうが撃ってきた場合の話ですから。漁業法であれ、関税法であれ、懲役三年以上の凶悪な罪ではありませんので。そのときに本当に悲しい犠牲が出る。そしてまた、日本国の治安が保たれない、あるいは主権が保たれない、そういうことがあっては絶対ならないというふうに私は思っている。それは、政府も私どもも共同して責任を負わねばならない、そういうものだと思っています。

 どうか大臣、何が何でもこれは次期国会に出すということで、できればここでその宣言というのかな、御確約というのかな、いただきたい。

 あわせて、機密保全にしてもそうです。萩崎事案で大騒ぎになりましたが、大臣も御存じのとおり宮永陸将補事件というのがありましたよね、二十数年前に。全く同じパターンですよ。当時の新聞を読めば、ほとんど同じです。

 アメリカと日本の間で大事なのは、日本は本当に秘密が守れる国なのかいということであります。そのことにおいても、少なくとも自衛隊において、防衛庁において、本当は国家公務員法や外務公務員法やそういうものを見直していかねばならないのでしょうけれども、これは日米同盟というものを強化する上でも、この秘密保護、その立法というものは必要だというふうに思いますが、あわせてお答えをいただきたい。

中谷国務大臣 領域警備の問題につきましては、現在、与党内におきましても精力的に御議論をしていただいているところでございますが、政府、防衛庁といたしましても、この法律の制定に向けまして、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 秘密保全につきましては、昨年九月の事案を教訓といたしまして、その再発防止の一環として、自衛隊の保有する重要な秘密を漏えいした一定の者を対象とする罰則の新設を検討いたしております。この件につきましては、前副長官の石破先生も大変な御尽力をしていただいております。

 現在、この検討を要する法的問題につきまして、関係省庁と検討を実施しておりますが、具体的な問題点といたしまして、例えば、保護法益としての秘密の範囲、罰則の対象となる行為の形態、自衛隊法における罰則の体系や他の秘密漏えい罪とのバランス、こういう点がございますので、早期に精査をいたしまして、法律の提出及び成立を願うところでございます。

石破委員 不審船の話、工作船の話から二年たちました。もっとすごいのは有事法制ですよね。これはもう二十何年、二十四年間。こんなことがあっていいのかという話なんですよ。これは、私は、自分に対する反省も込めて申し上げておるのであります。自分だけが正しいなんぞということを申し上げるつもりは全くありません。

 特に、第一分類なぞというのは、例えば百三条の政令、そして防衛庁の所管にかかわる事項ですよね。これは、とにかく防衛庁において早急にやらねばならないでしょう。そして第二分類、例えば河川法はどうであるか、森林法はどうであるか、建築基準法はどうであるか、道路法はどうであるか、そういうことにつきましても、もう公表文が出たのが二十何年も前のお話であって、森内閣になってやっとそれが前に進むようになった。小泉内閣も同じ方針であるというふうに考えております。

 立法化を前提としないという縛りが外れました。立法化を前提としないという縛りが外れましたね。そうすると、防衛庁において、例えば、河川法を所管する、道路法を所管する国土交通省、森林法を所管する農林水産省、建築基準法を所管する国土交通省、あるいは野戦病院の場合にどうかという場合の厚生労働省、そういう各省庁と具体的な議論に入って、どんな問題点があるのか、公表文が出た後に新しい事例が起こっている、例えば河川法が改正になったとか、いろいろなことがありますよね、そういうことについて、どういう問題点があり、それではどのように条文を書いたらいいのかというようなシミュレーション、それをしていかねばならぬだろう。

 要するに、こういう法律ですよというふうにできて、それを法制局に持っていって審査を仰ぐということになれば、これはもう立法でしょう。しかしながら、問題点を洗い出し、そしてまた条文について議論を行い、そのことは、立法準備作業として当然今やっていかなければ間に合う話ではない。

 有事というのはあした来ないとも限らない、あさって来ないとも限らない。有事立法がありませんでしたので自衛隊が動けませんでした、米軍が動けませんでした、そんなことで、どうやって我々は国民に向かって、独立を守り、平和と安全を守るなんということが言えるのか。そのことについての進捗状況を承ります。

中谷国務大臣 有事法制につきましては、まさに御指摘のように、有事の際に国民の生命財産を守るということで、必要不可欠な法案であると思います。

 御指摘のとおり、この問題は内閣全体の問題でございまして、防衛庁といたしましては、昭和五十六年に問題点を取りまとめる形で研究を始めておりますが、内閣の方も、より検討を進めていただきたいと総理から指示がございまして、検討されている状況にございます。

 そういう中で、御指摘の第一分類、防衛庁に係る点につきまして、何が問題点なのかという点につきましては、これは防衛庁だけの問題ではない部分がございまして、例えば、現行法令に基づく法令の未整備の、未制定の部分、つまり政令が未制定の部分につきまして、有事の際に、物資の収用、土地の使用等について規定をいたしておりますが、この物資の収用、土地の使用については、地方自治体の県知事に要請をして、知事が管理する施設、必要な手続は政令で定めるということになっておりますが、果たして県知事が、そういう際に本当にそれに従っていただけるかどうか。これは自治省の、自治省というか旧自治省の、現在総務省の判断によるものがございまして、こういう点におきまして、まだ調整がされてない問題がございます。

 また、武器の使用におきましても、現在は、防衛出動がかかるまでは武器の使用等が認められておりませんけれども、防衛出動がかかる前に待機命令が出ますけれども、この待機命令を受けたときに、駐屯地の中にいる要員の、部隊の要員等を保護するときに武器の使用をすることが憲法上許されるかどうか、こういう点におきましても、法制局との調整等が続いておりまして、まだ結論が出ていない部分がございます。

 いずれにしましても、こういう点につきましては早期に検討を進めまして、また、この問題は防衛庁としては必要がある問題でございますが、政治状況の中で、各党各会派のそれぞれの御意見、そして国会での御議論が必要でございますので、そういう政治的な面も配慮しながら進めてまいりたいというふうに思っております。

石破委員 先ほどの工作船の話もそうですが、政府の中で、要するに立法化を前提としないという縛りが外れたわけですから、今大臣がおっしゃったようなことは、それはもう公表文に書いてありますから、全部知っています。そういうようなことをお尋ねをしているのではありません。

 本当に、これは防衛庁がお願いをして、国土交通省さん、話を聞いてくださいとか、厚生労働省さん、話を聞いてくださいとか、総務省さん、お話を聞いてくださいとか、そんな話じゃないのですね。政府全体として、本当にどう考えるかということなんです。その縛りが外れた以上は、各省同士で、防衛庁とそれぞれの省庁、それがお話をしながら条文を練っていって、そして可能な限り早い国会に提出をするということが、私は国民に対する義務だと思いますよ。

 それをやらないで、どうして自衛隊が動けるんですか。それは私は、政府は国民に対する義務だと思います。各党がどうであれ、それを説得し、国民の生命と財産、国の独立、それを守るのが義務じゃないですか。ぜひそのことを御認識いただきたいと思います。

 最後に、二点お尋ねします。

 一つは、PKFの凍結解除についてです。これは議員立法でやらなければいけません。

 一つだけお尋ねをしたい。九十五条の適用除外、これを外すだけではなくて、警護任務というものを与えなければ、つまり、九十五条だけで言えば、自分たちが持っていったものしか守れないわけですね。任務の達成もできない。そしてまた、すぐ近くにいるという現場性がない限りは、仮に総理大臣が行かれても、防衛庁長官が行かれても、外務大臣が行かれても、それを守ることはできないはずです。

 そして、カンボジアにおいてPKOの要員が何をやったかといえば、私が伝え聞くところでは、そういうことだから、それじゃ、自分たちが撃たれている状況をつくって、自分たちが弾の中に飛び込んでいって正当防衛の状況を現出しなければこれは守れない、そういう本当につらい、悲しい決断までしたことは、大臣御案内のとおりだと思います。このことにつきまして、端的にお答えをいただきたい。

中谷国務大臣 そのような問題意識があるということにつきましては、石破委員と意見を同じくするところでございます。

 問題は、PKO活動が、国際平和、また人類の福祉のためにいかなる貢献をしているかという価値を国民がいかに理解をし、そして現在憲法で書かれております海外における武力行使の禁止、これの兼ね合いをいかに考えて、そしてそのための自衛隊の権限をいかに考えていただけるかという問題でございますので、我々といたしましては、せっかく現在自衛隊が行っている国際貢献活動というのは海外からも大変高い評価を得、そして同地域におきましては平和をもたらして、その地域の人々の幸せにつながっている行為でございますので、今後、さらに我々としても、世界平和のために、またその地域の人々のために少しでも貢献をいたしたいと考えております。

 御指摘のとおり、議員立法におきましてPKFの凍結がなされ、そして武器の使用につきましては五原則の一項目として定められておりますので、どうぞ国会の場で御議論をいただきまして、この問題の対処を早急にいたしていただきたいというふうに希望いたしております。

石破委員 これは、憲法が禁じた海外における武力の行使なんかに絶対に当たりません。個別的自衛権にも、集団的自衛権にも抵触しません。そういうようなことになったら、それはもうピースではないので撤収です。私は、そういうような認識のもとに警護の任務というものをきちんと与えなければ、九十五条、その適用除外だけやったって意味がないというふうに思っておりますので、また議論をしながらやっていきたい。これも早急にやらなければ日本の責任が果たせない問題であるというふうに考えます。

 最後に一つ承ります。

 総理は、こういうことをおっしゃっておられる、記者会見、初会見におきましてね。憲法に触れられました。自衛隊は軍ではないという憲法の部分は不自然である、万一のとき、命を捨てる覚悟で訓練している集団に敬意を持って接する法整備、環境をつくるのが政治の責務であるというふうに小泉総理は述べておられます。私は、これに全面的に賛同するものであります。

 しかしながら、これは憲法だけ変えればいいというものではない。つまり、自衛隊を軍にする、そのためには憲法だけ変えればいいという話ではないですね。

 つまり、実力組織として軍隊というものがある、警察というものがある、どちらも国家が持っておる実力組織ですよ。では、軍と警察、これは何が違うのだろう。

 大臣御案内のとおり、自衛隊法というのは警察予備隊令がベースですから、それが保安庁法になり、そして自衛隊法になっている。これはポジとネガがひっくり返っているのですよね。自衛隊法は何々をしてよい、何々してよい、それ以外のことは一切やってはいかぬ、こういうお話でしょう。本来、軍というのは、ネガリストで法律は書かれなければいけない、そういうもののはずなのです。

 そして、軍の行動単位はあくまで部隊なのです。警察は、警察官一人一人が行政機関として権限を行使するのです。しかしながら、軍というのは個人というのはあり得ないのであって、部隊という集団が常に動く単位なのです。しかし、自衛隊法にはあちらこちらに「自衛官は、」「自衛官は、」「自衛官は、」というのが出てくる。九十五条なんかその典型ですね。私は、そこは直していかなければいけないのじゃないかと思っています。

 自衛隊を軍にするというのは、本当にそういう集団に対して敬意を持って接する法整備を行うというのは、単に憲法だけ変えればいいということではございません。

 そして同時に、軍刑法がないからね、そういうことを得々として言う人がいます。しかし、軍刑法というのは何のためにあるのか。それはその任務が重大であり、扱うものが重大なものであり、だからこそ厳しい規律が必要なのである。同時に、そういうようなことに従事をする人たち、命をも顧みず従事する人たちには、当然その恩典があって、栄誉があってしかるべきである、それが軍というものだというふうに私は思っています。刑罰も厳しくない、しかしながら栄誉もない。本当にそれが総理のおっしゃることにかなうことかといえば、私はそうは思いません。所管の大臣として、そのような問題意識を持って、本当に総理のお気持ちが成就をするように御努力をいただきたいと思います。

 御所見を伺って、質問を終わります。

中谷国務大臣 私も、総理がおっしゃるように、我が国を守るために命がけで昼夜を問わず訓練に、そして部隊勤務につき、現実に我が国の安全保障に対して身をもって行動している隊員が自信と誇りを持って仕事ができるように考えるべきでもございますし、また、国民の方もそういう者に対して敬意と感謝を持って見ていくというふうになるように、心から期待を申し上げる次第でございます。

 ただ、我が国の憲法上の五十年以上にわたる論議は、御指摘のとおり、特に石破委員の名文句でございますけれども、温泉旅館の建て回し、違法建築というふうな言葉がございますけれども、全く小さいところから、一つ一つ国会議論を経まして積み上がったわけでございますし、その大前提として自衛権をいかに考えるかということで、基本的に自衛権発動の三要件ということで、必要最小限度の実力行使にとどまるべきであるという前提から議論が積み上がっておりますので、この問題につきましては、やはり根本的にその大もとの土台をどうするかという議論、すなわち憲法を改正いたしまして、やはり国を守るためにやるべきこと、必要なことはきちんとそこに明記をし、そして、やってはいけないこと、他国を侵略するというような事柄につきましてはできないこととして明確に書いて、やはり国民の皆さんがこの憲法を読んで、そして我が国の防衛のためにいかにやっていくかということを考えて、そして議論ができるように、そのような土壌をつくっていくということも必要であると思っておりますので、ぜひ国会の中でそのような議論がなされますように期待をするところでございます。

石破委員 ありがとうございました。

 土井たか子君の質問に対する政府の答弁書というのが出ていますが、それが軍ではないということの証左だ、今大臣がおっしゃったようなことですね。私は、その考え方は余り正しくないと思っております。そのことにつきましてはこれからも議論をさせていただきたいと存じます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

川端委員長 次に、伊藤英成君。

伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。

 外務大臣は六月十七日から、そしてまた防衛庁長官は六月二十一日から、それぞれ訪米する予定で今いろいろと調整をされているというふうに理解しておりますけれども、もしも訪米するというふうになれば、それこそブッシュ新政権になる、そして日本も小泉新内閣、そしてまさに二十一世紀の明けた年でもあるわけでありまして、そういう意味では、非常に重要なそれぞれの会談になるのだろうと私は思うのですね。

 そういう意味で、ぜひそのときには本当に意義のある会談になるように心から期待をするわけであり、そんなことを思いながら、幾つかのことについてお伺いをしたいのです。

 まず防衛庁長官、先般、総理大臣と外務大臣と防衛庁長官の三者で、外交や安全保障問題についての方針のすり合わせというのでしょうかね、協議が八日と十一日、二回にわたって行われたわけでありますけれども、その三者の間で結構意見の差があったのかどうか、だからやったのかどうか、その辺はちょっとよくわかりませんが、そんな意味でも、長官に、まずどういう経緯でなぜこういう協議が行われたのか、その辺について防衛庁長官から伺います。

中谷国務大臣 経緯といたしましては、今回に限りましては、現実的に総理が三十日、訪米されることが決まりまして、またその後、私が二十三日に訪米することが決まりまして、まだその当時は外務大臣の訪米が調整中だったということでございますが、現実に私が一番最初に行くということになりますと、当然外務大臣また総理から御意見を聞いておく必要がございまして、懸案となる事項につきまして、当初外務大臣と、そして両省庁の、北米局長とまた我が省の防衛局長も入りまして、政策的に政府の考え方をすり合わせた後、この官邸での三者会談になったわけでございますが、意見調整ということで、御自分の認識を述べていただき、また、総理からも御意見を伺うという形でございます。

 そして、外務大臣の方は、ちょっと若干ニュアンスが違っておりまして、そもそも国の外交防衛政策につきましては、従来の官僚的な発想ではなくて、本来政治主導で、大もとに国の国家戦略というものがあるべきではないか。

 特にアメリカにおきましては、新政権ができますと、もう半年も一年もかけてその政権の国家戦略構想を練ってから動き始めるわけでございますが、我が国の場合は、やはりそういう意味で、官邸主導の我が国の国益を考えた国家戦略とはいかなるものかという点につきまして、政治主導で、両大臣が国民を代表する形で意見を言い、そして今後の外交戦略を練る必要があるということも必要ではないかという御認識ではなかったかなというふうに思っておりますが、私もこの意見には同感でございます。

 以上の経緯でございます。

伊藤(英)委員 その協議をした結果、政府の見解といいましょうかね、というのはどういうことになったということなんでしょうか。

中谷国務大臣 これは、政府として基本認識を確認するということでございまして、特にミサイル防衛の問題、またブッシュ政権の国防見直しに関する見解、またガイドラインの問題、また沖縄の問題、これ三者が違った、ばらばらのことを米国に申しますと、米国も混乱をすることが予想されますので、この点につきまして基本的な認識を確認したわけでございます。

伊藤(英)委員 ミサイルの問題、ミサイル防衛の問題については、これはどういうことになったわけですか。

中谷国務大臣 ミサイル防衛の問題につきましては、現在、この構想の概要が出た段階で、それ以上の詳しい状況がわかっていないわけでございますので、従来から述べております政府の五項目につきまして、この基本的な立場を確認したところでございます。

伊藤(英)委員 今度ワシントンに行かれて、かなり詳細にいろいろ考え方を聞かれることになると思うんですね。そういうふうに聞きますと、今まではやや、かなりあいまいに、まあ理解するというような感じで言っているんですが、その辺の考え方が少し変わってくることになるんでしょうかね。考え方というか理解の仕方といいましょうかね、やはり理解する、こう言っているんですが、本当に理解しているのかよくわからないなということなんですが、今度詳しく聞くわけですよね。どうですか。

中谷国務大臣 それは、行ってみて、先方がどういうことをおっしゃるかわかりませんので、行ってみなければわからない問題でございます。

伊藤(英)委員 私は、いつも、これは外務大臣にも今までも何度も申し上げたと思うんですが、今の日米関係というのはどういうふうにあるのか、どうあるべきなんだろうか。そのときに、聞いてから全部それから考えますというのでは、本来おかしいと私は思っているんですね。要するに、自分たちとしてどういうふうに考えるんだろうか、あるいは、アメリカに対してもどういうふうにしてもらいたいよというような姿勢で外交は展開しなきゃいけない、こう思っているんですよ。

 そんな意味でも、もうちょっと伺うんですが、今少なくとも伝えられているところのいわゆるミサイル防衛の構想を聞きますと、かつては、いわば落下時点で云々というような議論がありましたよね、現実問題として。もちろんTMD、あるいはNMDという表現でいろいろされたりいたしました。もちろん、いろいろな迎撃の仕方といいましょうかね、というのはあるとしても、さらに最近は、さっきもちょっと話が出ておりましたけれども、いわゆるブースト段階でというのも言われますね。

 例えば、ブースト段階でというふうになりますと、私の聞く限りでは、いわばTMD絡みで考えますと、せいぜい一分か一分半ぐらいの勝負の話になってきますね。NMDになっても四分ぐらいかかるという話ですよね、ぐらいのことになる。(発言する者あり)もうちょっとかかるという説もある。私も専門家に一応聞いているつもりですが、そういう形ですよ。

 さらに、ひょっとしたら、ミサイルとロケットと、なかなか区別がつくのかなということでありますね。その段階の、ブースト段階で云々という話になりますと、これはもうまさに限りなく、ひょっとしたら、アメリカに撃つつもりだったやつを日本の近くでといいましょうか、それを撃ち落とすことをやろう、こうなったりいたしますと、さっきの話の集団的自衛権の問題等々に、もうこれはそのままいわば抵触してくる話だろうと私は思いますね。その辺はどういうふうに長官としては思われますか。所感を伺います。

中谷国務大臣 現在行っている我が国のミサイル防衛につきましては、BMDと申しますけれども、弾道ミサイルによる攻撃に対して我が国の国民、生命を守るために、純粋に我が国の防衛上の研究でございます。

 米国は、現在もNMDとTMDと、これを切り離して考えておるわけでございますが、それ以上のことにつきましては、まだ現段階でどういうふうなお話をされるかわかっておりませんが、当然のことながら、我が国の憲法、すなわち集団的自衛権の問題は十分に念頭に入れて臨んでまいりたいというふうに思っております。

伊藤(英)委員 今の集団的自衛権のこともという話は、やはり私の申し上げたように、そういうところに抵触してくる話になるから、あるいは、なるおそれがかなりあるから、そういうことを考えて検討するという意味ですよね。

 それから、外務大臣、先般六月一日の外務委員会の方で、大臣がこのミサイル防衛構想について、アメリカに行った場合に、政府以外からの米国内の幅広い意見を聞きたいという話をこの間答弁されているんですが、今度アメリカに行く機会があったときにはそういうことを、政府関係以外の幅広い意見を聞く予定でありますか。

田中国務大臣 そういう機会があれば望ましいと思っておりました。今もそう思っておりますが、現実に、先方から、パウエルさんの御都合が大変今も御多忙らしくて、いただいた日にちが月曜日の朝ということでして、週末に参りますし、その会談後即に飛行機に乗って帰ってこないと、またこちらの日本の国会予定に合わないという予定になっておりますので、そういうスケジュールの関係上、今大使館でいろいろやってくださっているようでございますけれども、在米、ワシントンの大使館ですね、かなり難しいというふうに聞いております。

 ですから、もう本当に週末に行って、そしてパウエルさんに朝お会いして、そしてその後のプレスリリースの時間も飛行機の関係でないらしくて、この日のこの時間、何分というふうにおっしゃっているわけですから、まず不可能ではないか、今回はというふうに思っていますが、アメリカに行かなくても、また来られる方もおられるでしょうし、あらゆる方法でいろいろな方の意見を聞くということはできると思いますが、今回アメリカに行ったときに、それというのは多分不可能だというふうにお答えした方が正しいと思います。

伊藤(英)委員 今の話は、これはまあ難しいだろうというお話ですね。

 今、プレスリリースの時間がないという話をされましたけれども、これは、要するに記者会見をする時間がないという意味だと私は思うんですが、今度行かれて、記者会見はされないんですか。私は、それはぜひ、これだけ重要なとき、しかも外務大臣が行かれるわけでありますから、記者会見は私はされた方がいいと思うんですが、外務大臣。

田中国務大臣 私も、記者会見は極めて重要だと思っておりまして、そういうことをしっかりとお知らせするために行くわけでございますから、国民の皆様方も、それからアメリカとかほかの国のメディアの方も多分関心をお持ちであろうと思っておりますので。

 ですから、今それも私も、事務方と言うとまた怒られちゃうんですけれども、外務省から来ているスケジュールを見ましても、次の国会と時差の関係でいくと本当に短い時間しかできないので、これでいいのかと思っていますが、何か国会の予定が、ですから副大臣がおられるので、ちょっと御趣旨と違うんですが、やはり副大臣制度もありますので、もう全部何が何でも国務大臣でなけりゃいけないというような運営でいきますと、本当にそういう一番大事な記者会見みたいなこともはしょるようなことになってしまうんですね、飛行機の時間とか見まして。これは細かいことはどうぞ、役所の担当者が詰めておりますので、午後でもいつでも機会のあるときに聞いていただきたいと思います。

 私自身も、お会いしましたわ、はい、すぐ飛行場に飛んでいくんだということですので、これでいいんですかということは言っているんですが、そうしないと次の国会に間に合わないということですから、もし、ちゃんとゆっくり、説明責任というのはありますので、させていただいて、そしてその翌日にこうした委員会が開かれるのであれば、それは外務大臣対応であるとか、あるいはそれを変えていただけるとかいうふうな、国会自体の、国対というのか私にはよくわかりませんけれども、そういうことがないとよくないんじゃないかなとは私は思って、そこも懸念いたしております。

伊藤(英)委員 今の話は、具体的なスケジュールはどうなっているか、どういうことを予定されているのかわかりませんが、私はぜひされた方がいいと思うんです。

 それで、国会の日程のことを言われましたけれども、私は国会の日程に支障を来さなくても多分可能だろうと思いますし、例えば私がワシントンに、後からもちょっと触れますが、アーミテージなんかと会ったときも、私はたしか二泊しかしていないと思います。しかも、私、何人かとも会ったりしていますが、そのときも記者会見を私もいたしました。

 例えば、ワシントンに行って二泊ぐらいされる予定でしょう、今のところ。そこのときに、記者会見をする時間がないからというのは、何がそんなに忙しいんだろうかという気さえいたします。だから、ぜひ、大臣としてはぜひ記者会見をしたいという意向のようでありますから、それは私、記者会見しなかったら非常によろしくないんではないかと思いますよ。何かいろいろ御相談されている、よろしいですか。

田中国務大臣 これは大事なことですので申し上げなきゃいけないと思うんですが、月曜日の午前中にセットされているというふうに承知しておりまして、これはもうアメリカの御都合なんですね。そうすると、帰ってくる飛行機の都合ということで、これは何でしたら、北米局長が一生懸命やってくださって、きょう来ておりませんけれども、私も、そのまますぐ飛行場へ行くというんじゃ、どういうことなのかと思っていますが、これは事務的に本当に詰めておりますので、ほかの便はないんですかということは私も相当聞いているんですけれども、もう一回ちょっとやっぱりしっかり詰めるべきだというふうに私も思っておりますので、お時間をいただきたいというふうに思いますけれども。

伊藤(英)委員 これ以上その重要性については申し上げませんが、これは本当に重要ですから、ぜひ私はされた方がいいと思います。

 それから、さっき、このミサイル問題についていろいろ申し上げましたけれども、今アメリカから、このミサイルの問題の共同研究について、それをさらに拡大しようという話はあるんでしょうか、あるいは、要請されたら今後どうされるんでしょうか。

中谷国務大臣 せんだってアーミテージ氏が来日されまして、お話をいたしましたけれども、この構想は現在行っている日本のBMDの共同研究には何ら支障を与えるものではないというふうに言われましたので、現在行っている共同研究は現在のまま十分に継続していくというふうに考えております。(伊藤(英)委員「拡大するかどうかは」と呼ぶ)その点につきましては、言及はございませんでした。

伊藤(英)委員 申し上げたのは、拡大の要請があった場合にはどうされるんでしょうかと質問したんですが。

中谷国務大臣 どのような要請があるのかわかりませんので、お答えすることはできません。

伊藤(英)委員 これは、冒頭申し上げたんですが、それは本当におかしいなと。そんなことは十分に検討すべき話、しておくべき話だと私は思いますね。中谷防衛庁長官らしからぬ発言ですね。

 外務大臣、きのうもブッシュ大統領は、ヨーロッパでNATOの首脳とこのミサイル防衛構想等についていろいろ話もされたりしているんですが、ABM条約の撤廃についても話をしたそうですが、このABM条約の撤廃、見直しの問題について、外務大臣はどう思われますか。

田中国務大臣 これは米ロの問題でございますので、今の段階で、直接その場に行ったわけじゃございませんから、コメントいたしようがありませんけれども、私は、まさしく、先ほどもほかの委員の方にもお答えしましたけれども、じかに行って、パウエル長官に、どういうふうな考えを持っておられるのかということ、それも含めて、フェース・ツー・フェースということの意味はそこにあると思いますので、それも含めて伺ってみたいというふうに思っております。

伊藤(英)委員 もう一回改めて伺うんですが、今度ミサイル防衛構想についてさらに詳しく聞かれるということなんですが、私は、素直に考えてみても、これは今いろいろな国からもある意味では、もちろん賛成論もあります、支持する見方もありますし、非常に疑問視するといいましょうか、懸念を持っている国もいろいろあります。

 ある意味では、当然だろうという気がするのです。本当にこれは技術的に可能かしらん、そもそもね。何となく常識的に考えると難しいんじゃないのかしらんというのも、非常に私は自然な見方だと思うのですよ。あるいは、コストだってどうなんだろうか。あるいは、日本から見れば、中国その他隣国の人たちの懸念、反対ということもありますよね。そういうようなことはいろいろ考えて、ある面では懸念をしたり、ある面では支持もしたりというようなことはあるんだろうと私は思うんです、率直に言って。

 今度、外務大臣は、この話の問題についてどういう主張なり見方を言われることになるんでしょうか。(田中国務大臣「どういう……」と呼ぶ)どういう主張なり見方を、意見を言われることになりますかと。

田中国務大臣 これは私、いつも委員会でミサイル防衛構想について五つの大事なポイントをお話しすると思いますが、その冒頭に毎回申し上げていることは、核拡散というものの危険性というものですよね。そういうことについて、私は共通認識を持っております。

 ただ、それとはまた別に、今まさしく委員がおっしゃったように、この研究開発がどのぐらいかかるのか、費用対効果もどんなであるかということもまだつまびらかになっておりませんので、そうしたことをやはりじかに伺ってみて、どれだけの見通しがあるのであろうかということも、やはり実際に伺ってからでないと軽々に発言がまだできないというところが正直なところでございます。

伊藤(英)委員 私がアメリカ側だったら、外務大臣は今どういうことを考えているのかなということは非常に大きな関心ですね。もちろん、今度首相がワシントンへ行かれても、そうですよね。新しい政権、少なくとも今のところ余り明確にこうした問題についての見方も発言されているようでもない。本当はどう考えるんだろうか。まさにフェース・ツー・フェースと言われるように、そこで意見があるのかないのか、ただ聞くだけなのかという、外務大臣、ということだと私は思いますね。

 それから、沖縄の基地の話ですが、普天間の代替施設の関係のいわゆる十五年使用期限問題ですね。これは本当にどうするんですか、今回行かれて。私は、この問題は非常に重要だと思うんですね。

 では、その前に、あの代替施設の完成は、いつまでに完成しようと思っているんでしょうか。

田中国務大臣 この普天間の移設の問題は、十五年という年数の話とそれから移設自体の話がありますけれども、これはこの間、何日でございましたかね、今月の初めだったでしょうか、日にちはちょっと今正確には記憶しておりませんけれども、総理官邸でもって、稲嶺知事さん以下沖縄の関係者もお出になって、そして私たち関係閣僚も出て説明会等がございました。

 その中で、まさしくお尋ねのような、いつごろ、どのぐらいのコストでどういうものができ上がるのかということについて、やはりこれは国対国でもって安全保障の政策はあります、日米同盟があるけれども、やはり沖縄というところに一極集中している中で、県の皆様の声というものをしっかり聞いていかなければいけない。

 そして、理解も得ながら、完璧な理解はあり得ませんけれども、その上にのっとって、それに立脚して、じゃ果たしてメガフロートがいいのか、ケーソン工法がいいのか、埋め立てがいいのかというふうなことになっていくと思いますので、私自身も、これはやはり地元の理解を得ながら、そして国が主導で決めていくのであろうからということで、質問を、伊藤委員と同じことを聞いたぐらいなんです。それが一つでございまして、これは速やかに、どうするのかということについて、合議ですから、一人でもって独断専行はできませんので、それは御理解いただけると思います。

 それから、十五年問題の期限の問題につきましては、これも名護市長さんやら沖縄県知事さんからそういう要請がなされているということ自体は重く受けとめております。ですけれども、やはりアメリカに対しまして、これは取り上げてこれから、今もきておりますし、取り上げていかなければならないと思いますけれども、アメリカの立場というものもあるわけです。ですから、外交の基本は、やはり要諦にあるのは、相手の立場、それからこちらの立場、主張というのがありますので、その整合性をどのようにとっていくかというところにこの問題はあるというふうに感じております。

伊藤(英)委員 きのう、きのうでしたかね、きのうかおとといだったかな、外務委員会でも似たようなことを言っておられました。

 私はちょっと違うと思っているんです。アメリカのもちろん考え方もある。しかし、この辺の安全をどうやって守るんだろうか。日本としても、例えばこの辺の基地をどう考えるんだろうかということだと思うんですよ。

 だから、例えば十五年という問題についても、どういうふうに自分たちが考えるかということに関係するんですよと。だけれども、ついこの間も何かアメリカが、アメリカがというような感じで発言されているように私は見えたんですよ。

 では、ここはちょっと聞きますが、よく話が出るのは朝鮮半島、朝鮮半島はなかなか大変だ、十五年問題でも、この辺の国際情勢がどうなるかによるんだ、こういうことですよね。では、朝鮮半島が、米朝協議もやる、日朝交渉もやる、そして、その結果として、もしも朝鮮半島が脅威とならない状況になったときには、この沖縄の基地あるいは普天間の移設したところは、あそこは要るんでしょうか、要らないんでしょうか。

田中国務大臣 毎回申し上げていますように、この地域、アジアには不透明性とか不確実性とかいろいろなファクターがございます。したがって、それらも勘案して考えなければいけないのですけれども、今のような仮定の問題には、残念ですが、お答えいたしかねます。

伊藤(英)委員 いいですか。不確実性がいっぱいある、その中で朝鮮半島がそうなったらどうするんですか。私が言っているのは、じゃ、外務省は朝鮮半島問題、北朝鮮問題をどんな意識で交渉するんですか。

田中国務大臣 かねがね申し上げていますとおり、北朝鮮問題については、日米韓で緊密に連絡をとりながら情報を交換しながら連携して進めていくということになりますし、そのことが北東アジア全体の平和と安定に資するというふうに考えておりますし、そして、日朝間の関係をよくするために、あらゆる知恵を投入して粘り強く平和に向けて努力をしていくということがもう基本、ベースにあることは間違いありません。

伊藤(英)委員 いや、私が言っているのは、今おっしゃったように、朝鮮半島問題が北東アジアの平和に寄与します。だから、聞くんですよ。それが平和になったら、あれだけの規模の在日米軍基地、沖縄にそれだけの基地は要らないんでしょうと。十五年使用期限問題というのは、北朝鮮、朝鮮半島だけかどうか知りませんが、朝鮮半島がそうなったら、この辺は減らすことができる、あるいは、普天間の基地の使用期限の十五年問題もそこに大きく影響すると思われませんか。

田中国務大臣 おっしゃるようなことも勘案しながら、トータルであらゆる状況を考えながら、我が国の国益、生命、財産、すべてを守り、そして世界がトータルで平和に行くように知恵を絞っていくということが基本にあるということを御理解いただきたいと思います。

伊藤(英)委員 では、もう一回改めて聞きます。

 十五年問題は、アメリカには、外務大臣として、使用期限を十五年にしたいという意思を持って話をしているんですか。今度話すんですか、十五年問題は。

田中国務大臣 もちろん、地元からそういう要請がずっとございまして、そして私も、じかに、知事さんがおっしゃったと思いますけれども、知事さんだと思いますが、そういうふうな要請があるし、とにかく一般の皆様からそういう声があります、国会でも。したがって、そのことは事実ですから重く受けとめまして、そしてそのことをアメリカに対して、今までも取り上げてきておりますし、取り上げてまいります。

伊藤(英)委員 では、地元の人がそういう意見だとしますね。どういう解決策を日米間でやったらいいと思われますか。

田中国務大臣 まさしくそのことがフェース・ツー・フェースで話し合いをするわけですので。

 ただ、いただいているお時間が大変短いようですので、その中で通訳を入れながら、どれだけこの話を詰められるか。先方も、会話というのは生き物ですので、マニュアルどおりにいかないわけですので、先方がどういう問題についてどうおっしゃるかということもありますが、こちらは自主的に、今国会でお約束申し上げているような、委員がおっしゃっているようなことも含めて、かみ合う形でしっかりと冷静に話をしなければならないと思っていますから、それがこの限られた時間内でのミーティングの難しさだと思っていますから、どういう順番でどういう表現をして話をするか、これが外交の極めて難しいところでして、あらゆる英知を集めていかなければならないというふうに思っております。

伊藤(英)委員 本当は、実は私はいろいろな案があると。こういうやり方もある、こういうやり方もある、こういうやり方もある、そういうことを考えながら相談しようと。

 そして、例えば、アメリカ側の意見に対して、いや、自分たちから見るとそれはやはりよくないな、こちらの方がいいよということだと思うんですよ。フェース・ツー・フェースはいいんですが、向こうがどう言うかわからないから向こうのやつを聞いて云々という話は、それが外交だから云々という話は、私は理解しにくいと思っています。

 例えば、これは今からちょうど一年半ぐらいになりますが、アーミテージと、もちろんそのときは彼は副長官になっているわけではありません、いわば一民間人と言った方がいいかもしれません、彼にとってこの問題はどうした方がいいんだろうかという話を私はしたんですよ。そのとき、彼はこう言ったんです。まず自分は、例えば十五年問題についても期限を設けることには懐疑的だ。自分は懐疑的。自分は、両国政府が定期的に返還の時期を検討する仕組みをつくることがいいんではないかと思っている、その段階ではですよ、という言い方をしていました。それも一つかもしれません。しかし、これはやはりよくないということかもしれません。

 要するに、案を考えるんですよ、どうした方がいいか。どうしたら例えば沖縄の人たちの気持ちにもこたえることができるだろうかというようなことを含めてするわけです。それは日本こそ考えなきゃいけない。これはまさに日本政府の問題だというふうに沖縄の人も言っているんじゃないですか。日本政府が大体本気に取り組んでいるのかねということだと思うんですよ。

 どう思いますか。彼はこういう案を言ったりしていますが。

中谷国務大臣 アーミテージ氏の書かれた文章を私も読みましたけれども、当然、今後の対応につきましては、参考にはしていかなければなりませんけれども、個人的な見解で、また国務副長官に就任する前に書かれたわけでございますので、このレポートについてどうするかという点につきましては、今の時点ではお答えは控えさせていただきます。

伊藤(英)委員 きょう私は以上で終わりますが、いつもいつも向こうから、先方の話を聞くだけだよというようなイメージにならない方がいい。それで、日米のパートナーシップがどうのとか日米同盟がどうのとかいうような話は私は通用しないと思っています。しかも、自立してどうのこうのというわけでしょう。それは何を意味しているか、どういう外交をしなきゃいけないかということですよね。

 外務大臣。外務大臣に聞いています。いや、外務大臣に僕は聞いています。外務大臣に聞いています。

田中国務大臣 副大臣制度もございますので、ぜひ副大臣にも、今後皆様チャンスを与えていただいた方がよりグローバルないい議論ができると思いますが、せっかくでございますから申し上げますけれども、やはりこれは、まさしくこういうことにつきましても、総理それから防衛庁長官、私とも話をいたしておりますので、ただ、私たちの会話の中では、先ほど申しましたけれども、先にぼんと言うことが果たしてそれがうまくいくのかどうかわかりませんので、これはやはり政治家の外交というものがそこにあると思うのですよ。

 したがって、相手がどうおっしゃっているか、どういう物の言い方をするかと。こちらも腹案が全然ないなんということは一度も言っておりませんので、そこまでは御理解いただきたい、かように考えます。

 副大臣にチャンスを上げますか、どうですか。

伊藤(英)委員 いいです。

 終わります。ありがとうございました。

川端委員長 次に、首藤信彦君。

首藤委員 民主党の首藤信彦です。

 小泉政権が発足して以来、この安全保障委員会で質問するのは初めてなので、基本的なことをお聞きしたいと思います。

 私は、実は当選してまだ一年に満たないのですが、その間に外務大臣は二人目、そして防衛長官は三人目ということで、目まぐるしくかわられているのですが、ぜひ中谷防衛長官には次の観艦式まで頑張っていただいて、あなたと一緒に同じ船に乗りたいと思っていますので、ぜひ頑張って実力を発揮していただきたい、そういうふうに思う次第であります。

 そういうことで、最初なので、安全保障にかかわる基本的なことをもう一度確認させていただきたいと思います。

 まず、基本的に日本の安全保障にとっての脅威は何かということなんですが、冷戦後における日本にとっての安全保障上の脅威とは何かということを外務大臣にお聞かせ願いたいと思います。よろしくお願いします。

田中国務大臣 先ほどの委員の質問にもお答えしていますけれども、日本という島国の位置というものは、それは何億年かの間には少しずつ変わっていくかもしれませんけれども、基本的認識として、地政学上全然変えられないわけでございますから、そうすると、いろいろな国の状態、情勢がいろいろありまして、それらが年代別にやはり変化がそれぞれ国の中でしておりますから、そういう中でもって、一言で言えば、不透明性、不確実性というものは、もう人類の歴史の中では、地政学上のものは固定化していますけれども、そこで暮らしている人間たちの状態の中でもっていろいろな不透明性、不確実性等がありますので、そういうものが脅威になり得るということは常に頭の中に置いておかなければならないのではないでしょうか。

首藤委員 今、透明性という言葉があって、何か全然よくわからなかったのですけれども、基本的に何もわからなかったのですが、そういうことをお聞きしているのではなくて、脅威、これはもう決まり切った言葉であって、英語で言った方がわかりやすければスレットなんですけれども、要するに、日本の安全保障にとっての脅威は何か。

 私の聞いているのは、ちょっとまあ回答を誘導するかもしれませんが、要するに、それは地政学的なことを言われるのだったら、どの地域がどういう日本の安全保障にとって脅威なのか。地政学上といったって、地図を開いて、ああ、日本は北東アジアにあるというだけじゃないでしょう、日本の安全保障というのは、今のグローバル化の時代に。

 だから、日本の安全保障にとって、特にこの冷戦後の世界において、日本にとっての脅威は何か。それはもちろん地理的なことも言われるし、内容的なことも言われるし、構造的なことも言われるでしょう。だから、日本の安全保障にとって脅威は何かということをきっちりお答え願いたいと思います。外務大臣です。

田中国務大臣 先ほど日本語の発音が悪くて不透明性を透明と言ってしまったのでありましたら、おわびして言いかえさせていただきます。日本語でも英語でも不調法で、申しわけございません。

 脅威というのは、私は、今ここに具体的にこれが脅威でございますというふうなことではなくて、むしろ不確実性という言葉の中にあって、いつ何がどうなるかわからないというのが、この地球上に人間が暮らしている中で想定されることではないのでしょうか。そういうことをグローバルな意味で脅威と。それは存在し得ることですから。そういうふうに思っておりますが。

首藤委員 私は、その発言を聞いて大変うれしい。個人的には、研究者としては大変うれしいですよ。それが、まさにこれからの安全保障であろうかとも思います。

 しかし、現実に日本国の外務大臣として、それはやはり違うのじゃないか。日本の差し迫った、今防衛庁では中期防をやり、外務省もさまざまな対応をしている。そういう対応を今、一生懸命お金もかけてやっているわけですね、予算も組んで。なぜそういうことをやっているかといったら、それは現実に脅威があるわけですね。

 ですから、冷戦後における脅威のパターンは、じゃ何と何を中心に考えておられるか、その点をお聞きしたいと思います。外務大臣、お願いします。防衛大臣は、後でゆっくり細かいことを聞きますから。

田中国務大臣 具体的なことを仮定の状況に基づいて論ずるということは、必ずしも外交上適切であるとは思いません。

首藤委員 お答えに全然なっておりませんけれども、私も、訪米を直前に控えてそれはいろいろお忙しいと思いますし、ここはまあ武士の情けということで、きょうはここで、時間もありますからやめさせていただきますけれども、要するに、我が国の防衛をどう考えるのか。冷戦構造におけるそういう対応なのか、あるいは地域紛争型の脅威を考えていくのか、あるいは――ちょっとそこ、静かにしていてください、私の調査を聞いておいてください。あなたを別に教育しているわけじゃありませんけれども、よく聞いておいて、また質問しますから、そのときにはきっちりお答え願いたいと思いますので、よく聞いておいていただきたいのです。

 そうした地域紛争型の脅威に対応するのか、あるいはそれ以外のLICとかさまざまな形での脅威に対応しようとしているのか、そこのところをきちっと把握していかないとこれからの外交というのは成り立たないので、ぜひその点は十分に把握していただきたいと思います。

 それは、なぜ私がそういうことを言うかというと、アメリカはまさにそういうものを脅威と考えて、それへの対応を次々と打ち出してきているわけなんですよ。ですから、日本がいつまでも冷戦構造時代の対米関係、日本とアメリカの安全保障関係だけ考えていると、なぜアメリカがこんなことを言っているのか、なぜこういう譲歩を迫ってきているのかということがわからないということなんですね。ですから、この辺は時間があればぜひきっちりと考えていただきたいと思うわけです。

 では、そういうことで、これは外務大臣もおっしゃっていましたけれども、地政学的な問題、まあ地理的な問題、この北東アジアにおける地域紛争ということを考えるというふうに解釈しましょう。それからまた不確実性、これはいわゆる危機管理型の防衛システムだということを考えるとしましょう。そういう前提で、では防衛庁長官、どのような安全保障体制の対応を考えられますか。

中谷国務大臣 まず、脅威というのは、能力と意図があるわけでありまして、この意図というのはもう瞬時に変化するものでありまして、事外交に負うものが大きいわけでありますが、防衛庁としては、能力という点に着目をいたしまして、侵略し得る軍事能力に着目して、潜在的脅威という表現を使用してきました。ところが、冷戦後につきましては、ソ連という存在がなくなりまして、極東ソ連軍を潜在的脅威と表現しておりましたけれども、現在ではそういう表現はやめておりまして、潜在的脅威と表現する国があるとは考えておりません。

 現時点で脅威は何かと申しますと、国民が一般的に恐怖を感じるものでございまして、お話のとおり、核、ミサイル、生物兵器、またサイバーテロ等、新しいものがふえてきております。先生もお話がありましたとおり、米国におきましてもOTTW、アザー・ザン・ザ・ウオーということで、一般的なもの、例えば麻薬の取り締まりとかゲリラとか、そういうものも脅威の対象にいたしてきております。

首藤委員 それで結構です。御理解、十分理解されているとわかりました。

 そうした脅威に対して、では防衛庁は具体的にどう対応しようとしているのかということですね。例えば、中期防を見てもよくわからない。それから、この「日本の防衛」にも、それは包括的なことはいろいろ一応書いてありますけれども、もちろん「日本の防衛」を書かれた、平成十二年度版ですけれども、これが成立したときには長官はその職になかったわけですけれども、では、今あなたが考える対応というものはどういうものを考えておられるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。長官、お願いします。

中谷国務大臣 現在の中期防におきましては、この国会の委員会、当委員会でも積極的に御議論がございましたし、各党それぞれ安全保障政策で御意見を述べておられまして、現中期防ができておりますが、現中期防におきましても、冷戦後の我が国の防衛ということで、事象を先取りいたしておりまして、いわばサイバーテロに対する対策、またゲリラ・コマンドー等の不測の事態に対する対応、また生物兵器、化学兵器等の研究等、文章にいたしておりまして、それの方向に沿って現在進めてきているわけでございます。

首藤委員 わかりました。それが新しい方向だということで理解しました。

 そうした防衛庁の方向というものがあるわけですが、そういう線に沿ってアメリカは日本に対してさまざまな要求を言ってきているんだと思うんですね。ですから、基本的に、サイバーテロを含めて、今長官がおっしゃっていたことはRMAの対応だと思うんですけれども、この点に関して、アメリカは当然言ってくると思うんですけれども、外務大臣はどのように対応される御所存でしょうか。

田中国務大臣 新しい事態に対応するためにも、よく話を聞いていくというふうなスタンスでまいります。

首藤委員 全然お答えになってないんですけれども、これは何か外務大臣を苦しめるためにローマ字を並べているんじゃないんですよ。これはもう本当に日本の防衛あるいは世界の防衛にとって、これしかない、これからの戦争はこれですよ、これへの対応はこれですよといって、この世界の人は、少なくとも安全保障委員会に出ている人はみんな知っている言葉なんですよね。

 ですから、ぜひ、この問題に対してどう考えるのかということ、特に、アメリカへ着いたらすぐそれが出てくるわけですから、それへの対応をぜひ外務大臣にお願いしたいと思いますね。外務大臣。

田中国務大臣 これには、今、私も中谷長官と電話で話をしたこともありまして、全然関心がないとか知らないという意味ではありませんで、RMDの科学技術の進歩ですよね、そういうことにつきましても……(首藤委員「RMA、RMA」と呼ぶ)ああ、RMA、済みません、ちょっと熱っぽいもので済みません。

 情報通信技術を初めとする科学技術の進歩がこれまでの防衛戦略に大きな変化をもたらす可能性があるということを踏まえまして、将来にわたって的確に防衛力の整備を進めていくためにも、将来の防衛力のあり方や防衛力整備の進め方について検討を行うことにしているということでございます。

首藤委員 なぜ私はこれを言わんとしているかというと、RMAに対して説明してほしいことじゃないんですよ。RMAとミサイル防衛システムの構想とは非常に近いわけですよ。同じように進めているその一環の中で、ミサイルという、言うなればプラットホーム、言うなればキャリアですよね、これが問題となってきているわけですよ。ですから、問題はRMAなんであって、これに対してどういうふうに対応すべきかということを言っているわけです。

 先ほどから、我が党の伊藤委員からTMD、NMDの話がずっと出ているわけですが、TMD、NMDといいますけれども、一体これは何かということですよね。ずっとTMDに関しては、少なくともこの十年ぐらいですか、いろいろな議論があって、特にこの三年ぐらいは言われているわけですけれども、この問題は一体何なのかということを、我々はもう一回原点に返って考える必要があると思うんですけれども、外務大臣、このTMDというのは一体何ですか。TMDって英語で何ですか。

田中国務大臣 私は英語が得意ではございませんですけれども、私が思うには、シアター・ミサイル・ディフェンスというふうに思っております。

首藤委員 いや、よく聞こえませんので、もう一度、済みません。

田中国務大臣 シアター・ミサイル・ディフェンスでございます。

首藤委員 では、そのシアターというのは一体何を意味しているんですか。

 いや、大臣。大臣にお願いしているんです。

田中国務大臣 戦域でございます。

首藤委員 シアター、普通のシアター、THから始まるシアターですよ、シアターじゃなくてね。別に私は英語の能力を試しているわけでもない。実は、このTMDのTというのはすごく重要なんですよ。防衛の関係者の皆さん、御存じでしょう。例えば、第二次大戦の雷電、何戦闘機といいますか。シアターでしょう、これ。ですから、シアターというのはどういう意味で、戦略、もう一度そのシアターの意味を言ってください。

 いやいや、大臣に聞いている、途中ですから。

田中国務大臣 戦域でございます。

首藤委員 要するに、これは昔、さっき雷電の話を言ってヒントを差し上げたのは、雷電は局地戦闘機と言われていたんですよ。要するに普通の戦闘機、ゼロ戦みたいにどんどん飛んでいってというのじゃなくて、雷電というのは、燃料が限られていて、B29迎撃のために上がって、同じ飛行場におりてくるのをこれを局地戦闘機というんですよ。これがシアターなんですよ。

 私が何を言わんとしているかというと、TMDというのは本当に日本を守って、そういうふうなものですけれども、NMDとなると――TMDというのは、要するに根っこが生えていて、足が生えていて、日本に足があるということを前提としているミサイル・ディフェンス・システムなんですよね。ところが、NMDというと、今のように、どこから飛んでくるかもわからない。それから例えば、アメリカという国を守るのだったら、アメリカの国というのは広いわけですから、例えばカリブとかいろいろあるわけですね。キューバがそうだということを言っているわけじゃないですよ。だけれども、今みたいにだんだんだんだんミサイルが小型化してくると、ICBMだけじゃないわけですよ。だから、ナショナルであり、ミサイルの防衛だというふうになっているわけですよね。

 ですから、そこのところを理解していただかないと、NMDというのは、何か遠くからICBMが飛んでくるだけを考えると、この問題はわかりませんよと。ここをぜひ理解していただきたいということで、先ほどからしつこく言っているわけなんですね。

 それで、この問題に関して、実はきのう党首討論が行われました。外務大臣、党首討論が行われました。その中で、我が党の鳩山党首の質問に答えて小泉首相が、NMD構想が軍拡につながる可能性がありますともう苦渋に満ちた顔でテレビでおっしゃっていたわけですけれども、一体それはどういうことを意味されているんですか。外務大臣、外務大臣。

川端委員長 外務大臣、御答弁。補足があれば、副大臣でお願いします。

田中国務大臣 一つの可能性として議論をなさったんだと思いますけれども、あの短い時間の中で、盾と矛という言葉も確かにおっしゃっていましたし、私たちと話し合いをいたしましたときにもそういう表現を使っていらっしゃったので、あのおっしゃったとおりの意味であろうというふうに解しております。

首藤委員 副大臣、発言されて結構ですよ。そのときは私の質問時間を長くしてください。それでよろしかったら、私は副大臣の発言、どうぞお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか、委員長。

川端委員長 委員長において判断し、指名いたしますので。

 引き続き首藤君。

首藤委員 党首討論で、やはりNMDがある、これに対する脅威というものは、これは確かに非常に短い時間で話されたわけですけれども、これは大きな問題なんですよ。

 我々は、NMDというものが世界平和や軍縮につながると、私たちはもう単純に考える。しかし、総理大臣が、ううん、これはもしかしたら軍拡につながっていくかもしれないと答弁されたということは大変なもので、問題は、もちろんそのことはアメリカに伝わっていまして、プライムミニスターのジュンイチロウ・コイズミさんが、これは軍拡につながるかもしれないと認識されているということなので、当然そのメッセージを、外務大臣はアメリカへ行かれる、閣僚としては最初、この問題に関する閣僚としては防衛大臣より先に行かれるわけですから、この問題に対してどういうふうにお考えか、外務大臣の御見解をお願いします。

田中国務大臣 これは、軍拡につながるというふうな意味だけではなくて、これは反対の意味からいきましたら、軍縮にもつながるかもしれないという理解もできるわけでございます。

首藤委員 いや、それは全然違って、我々は最初から、これは軍縮のための、世界平和を導くための、今までのMADみたいに、お互いにミサイルを投げ合って、おまえの方がたくさん投げるのならもっと投げ返せるぞ、おまえらが三人殺すのなら、おれたちはもう全人類を何十回も殺せるだけの報復をするぞ。こういうばかげた、本当につくった人もMADという名前を付した、マッドという名前を付したようにばかげたシステムがようやく終わって、ようやく終わって、これからはもうどんどんどんどん軍縮へ行くのだ、もう世界じゅうからこれによってミサイルは要りませんよという考え方なんですよね。

 これは、技術はレーガン政権のSDIから来ているわけですよ、基本的な考え方は。世界からミサイルをなくしていこう、大陸間弾道弾をなくしていこうという発想にあるわけで、それが軍拡の可能性があるというのは、もうすごい、百八十度の転換なんですが、外務大臣、御見解はいかがでしょうか。

田中国務大臣 ですから、先ほども申し上げているように、「盾と矛の関係」という言葉もたしか、ここに議事録がございますけれども、いろいろな可能性がある、可能性がないとは言えないでしょうということをおっしゃっているわけでして、これが軍縮につながるようにというふうに私ども少なくとも自由民主党は考えていて、それをやはり話をフェース・ツー・フェースのときに、総理は総理、それから防衛庁長官は防衛庁長官、外務大臣は外務大臣としてメッセージも発出し、先方のお立場や御意見もちゃんと伺ってくるということでございます。

首藤委員 いや、それは外務大臣、よく聞いてください。私は、この委員会でうまく答弁や、うまく質問をして点数を上げるためにやっているのじゃないのですよ。これは、アメリカに対してのきちっとした最初のメッセージになるのですよ。ですから、外務大臣、あなた自身が一二〇%きっちり理解して、あなたの言葉で言っていただかないと、その中間に入った通訳の方だって間違ったメッセージを送るのですよ。ですから私は、もうあなたをいじめるためではなく、副大臣の発言をとめるのじゃないのですよ。私は、あなたが理解してほしい、この問題の危険性というものをあなたが理解してほしいと言っているのですよ。

 一見、盾と矛と言いました、これも多少安全保障に関係した者はみんなわかるように、守るというのは、ディフェンスということは、決して守っているだけじゃないのですよ。あなたは御存じないかもしれないけれども、クラウセビッツって御存じですか。クラウセビッツが防衛というテーマに関して一体どういうことを言っていますか、中谷長官。

中谷国務大臣 ドイツの戦略家だと思いますが、軍事は政治の手段であるというふうに言ったと記憶しております。

首藤委員 不正確なあれですけれども、防衛大学ではそういうふうに教えているのかもしれないので、私はそれ以上追及しませんが、クラウセビッツのやはり最大の、あの「戦争論」の中で言っていることは、外務大臣、よく覚えておいてください。

 外務大臣、クラウセビッツというのは、経済学におけるケインズと同じですよ。アダム・スミスと同じですよ。ですから、外交問題、安全保障問題を言うときは、クラウセビッツはケインズと同じぐらいのバリューを持っているのですよ。そのクラウセビッツが何を言っているか。それは、クラウセビッツの最大の、彼の哲学というか彼の主張の最大のメリットは、要するに守るということが、ディフェンスということが、ディフェンスこそが最大の攻撃である、こういう発想の転換だったわけですよ。今までは攻めることが最大の防御だと言われていたのが、そうじゃなくて、守ることが最大の攻撃だという発想の転換に変わったわけですよ。彼は、ナポレオン戦争の後、戦場をずっと見て、その結論に達したわけですよ。思い出しましたか、長官。

 ですから、ディフェンスというのは、ただ簡単に、これは守っているのだ、守っているのだ、平和が来るのだというのはすごい誤解があって、どういう形で守るかということが、この国あるいは世界の安全保障にとって物すごく重要だということなんですよ。ですから、ここをしつこくしつこく言っているわけですよね。ですから、それは確かに首相の言われたのも、時間が短くて苦し紛れに言われたのかもしれない。しかし、最初に今度アメリカへ行くのはあなたですよ。

 ですから、このNMDに関しても、どういうコンセプトでやっていくのかをアメリカに主張しなければいけないし、これが軍拡につながる可能性、これによって軍拡がふえていくのだったら、あなたが指摘されたようにNMDは恐ろしいところがある、こういうあなたの主張は、一政治家としてはもう本当に正しい主張なんですよ。ですから、それをこの外交の、難しい外交の中でどういうふうに表現していくか。これはじっくり考えてやっていただきたいと思いますね。

 これは残念ながらもう時間がないので、次のテーマに移らせていただきたいと思いますけれども、次に、まだこの間発生した、海南島に不時着したEP3の事件に関して質問したいのですね。

 これは、一見するとただの事故でありますが、これは大変怖い事故なんですよね。私は、八九年にメリーランド大学の研究所に客員研究員として行って、アメリカの核戦争が発生するメカニズムを研究している人なんかと一緒に研究していたのですけれども、彼らが言うには、核戦争というのは、両方ともMADがありますし、なかなか起こらない。しかし、起こる可能性があるとしたら事故から発生する。何らかの事故で、どういう形で発生するのではないかという事故からの発生メカニズムをずっと研究していたわけですね。ですから、そうした事故というのは、今回非常に可能性としてあったわけです。

 これはアメリカと中国との関係のようですけれども、実はアメリカと中国と日本が関係した事件なんですね。それは言うまでもなく、このEP3が嘉手納から出ているわけですよ。これはディエゴガルシアから飛んでいったのじゃないのですよ。嘉手納から出ているのですよ。本当に紛争寸前になって、人民日報の記事によれば、一機が接触して落ちた、そのとき飛んでいた僚機が中国当局に対してこのEP3の撃墜の許可を求めた、こういう記事が載っていますよ。それに対して中国政府は、いや、今やれば戦争になるから、ちょっと待てといってとめた。もう本当にこの辺は、この辺で起こればまさに周辺事態、周辺事態というのは地理的な条件ではないというけれども、こういう条件で起こればまさに周辺事態に発展したかもしれない事件だったのですね。

 この一件に関して、一体どちらに責任があるのか。この件に関して、海洋法との関係からも無害航行権の関係からも、外務大臣、これはどちらに責任があるとお考えですか。

田中国務大臣 これは、今日本の立場でお答え、どちらがどうだというふうなことを言える立場ではないのではないかと思いますし、事態を直接、全部掌握しているわけでもありません。もちろん報道等はフォローしておりますけれども、今の現在のこの時点での日本で、どちらがいいとか悪いとかというふうなことは言うべきでもないと思います。

首藤委員 これは、私が前文で、その前に言ったことの重大さをちょっと御理解していない発言だと思いますけれども、お疲れだと思うのでそれ以上は突っ込みませんけれども、私が聞いているのはそういうことじゃないのですよ。

 こういう状況に対して日本が態度を、態度が日本がいい悪いというのじゃないのですよ。日本が決めなければいけないといったら、どういう根拠に基づいて、この問題をどのように日本の判断とするかということなんですよ。それを外務大臣にお聞きしているのです。これは海洋法との関係もあるし、太平洋の安全保障にとっては非常に重要なテーマなので、ぜひお答え願いたい。

田中国務大臣 多分おっしゃりたいことは、米軍機が今おっしゃったように嘉手納から発進したということであって、これが日米安保上問題がないかということを問うていらっしゃるのかというふうに思います。

首藤委員 いや、そういうことを全然聞いているんじゃなくて、無害航行権の関係でこういう状態がこれから出てくるわけでしょう。ずっと脅威を与えているわけですよ、中国の沿岸に対して、何度も何度も飛行機を飛ばして。それが無害通航権に当たるのか。果たして、中国が人民日報でしつこくしつこく言っているように、これは挑発ではなくて脅威であるということになるのか。これはもう海洋法上の解釈がこれから非常に重要となるので、ぜひ、本当に重要なテーマなので、よく記憶していただいて、この問題、今後類似なものが出てくるときはきちっと対応できるようにしていただきたいと思うんですね。

 それで、このEP3ですけれども、どんな情報活動をしていたのか。長官、いかがですか。

中谷国務大臣 一般論として推測しますと、中国の南東部において電波情報の収集を行っていたのではないかというふうには思っております。

首藤委員 では、このEP3というのは日本にも五機ございますね。岩国にある。よく御存じのとおりですね。岩国にありますよね。日本にあるEP3の搭乗員数とアメリカのEP3の搭乗員数と、実際今回不時着した搭乗員数と言ってください。

中谷国務大臣 搭乗員数までは、私、人数は把握をいたしておりません。

首藤委員 あなたが知っていて言わなかったら、それは政治家として立派だと言えるかもしれないけれども、この程度を知らないと防衛庁長官は務まりませんよ、これから。それは十五人、二十二人、二十四人なんですよ。だから、EP3は二十二人乗っているんですよ。どうして二十四人乗っていたかと。その二人は、あとはどういう人が乗っていましたか。

中谷国務大臣 主に目的は、この飛行機は情報収集でございますので、いろいろな機材を積んでいると思いますので、そういう計器とかコンピューターとか、そういう操作をする人だというふうに思います。

首藤委員 これは安全保障委員会の皆さんも、やはり我々は、日本の安全保障、この場しかないんですよ。言うならば、日本の安全保障の最高峰なんですよ。ですから、もっとやはり大きなフィロソフィーの部分も、それから細かい、しかし細かいといったって、小石でつまずく危機管理という言葉がありますけれども、本当に小石一個で防衛も危機管理も決まるわけですよね。

 ですから、なぜこれをしつこく言っているかというと、中国は人民日報の中で、この二十四人のうちの中の一人は海兵隊だと言っているんですよ。なぜ海兵隊がEP3に乗っているのか。これはやはり上陸情報の収集でしょう。ですから、このEP3がやっている行為というのは、日米安保体制にとっても、アメリカがやっていることは何かよくわからなくて大変危険なわけですよね。ですから、このEP3がやっている行為というものは、日本の安全保障にとって、あるいは日米安保体制――ちょっとそこ、済みませんけれども、私の話なんか聞きたくないのかもしれませんが、副大臣、質問されるのはいいけれども、私の話を聞いてなかったら質問だってできないでしょう。

 もう時間もないので、では、最後の質問ですよ。外務大臣にお聞きします。この問題、EP3がやった情報収集とアメリカが同じように目指しているECHELONとの関係は何ですか。これはヨーロッパで重要な問題で、外交課題ですから、防衛課題ではなくて外交課題ですから、ぜひお答え願いたい。

田中国務大臣 私の認識では、ECHELONとの関係は、直接関係は比較できないと思いますが、トータルの意味では考え得ることかとも存じます。

首藤委員 どうして関係ないのか。さっきから私が最初から最後まで、三十五分間言っているのは、まさにそのことでしょう。RMAから始まってここに至るまで、みんな同じじゃないですか。どうしてECHELONが関係ないと言えるんですか。

田中国務大臣 衛星通信傍受をやっているであろうECHELONによる通信傍受活動といったことの事実は、私どもは全然承知していないんですよね、現段階で。

 ですから、我が国としても、本件についてはちゃんとフォローはしていくべきだというふうに思いますが、お尋ねの質問がしっかりと整合性のあるものだというふうにはちょっと私には思えません。

首藤委員 もう時間が来ましたので、私はこれで終わりますけれども、また原点に戻って言いますけれども、私の三十五分間というのは一貫してこの点を聞いているんですよ。日本にとっての安全保障というのは何か。今までのように銃を持ち、鉄かぶとをかぶっていくのが安全保障ではなくなってきているんですよ。まさにRMAに代表されるような、軍関係のものにおける技術革新、そして、この中において最も重要性を持っているのは情報であって、情報を収集することがすべてになってきているわけですよ。

 ですから、ミサイル防衛システムに関しても、今進められているのは、ミサイルが発火して引火して飛んでいく九十秒じゃなくて、むしろ、電波障害によって発射させないシステムというのが今すごく研究されているんですよ。そのためにこそEP3も飛んでいて、そのためにこそECHELONもあるわけですよ。

 そういう大きな枠組みで、今、防衛体制、安全保障システムがあるのに、それに対してまだ十分に日本の安全保障システムが機能してないし、世の中がそうなって、ヨーロッパでも必死になってECHELONに対して、攻撃をどうするかということで、対応を考えている。アメリカの軍事上の、安全保障上の、要するに独裁を回避するためにやろうとしている。そういうものに対して、日本は、外務大臣として、外務大臣、行ったときに真っ先に触れられるのはここですよ。ここをしっかりしないと、アメリカに行っても意味がないですよ。フェース・ツー・フェースといっても、一時間会って気持ちが通じるのは恋人同士だけですよ。

 ですから、そこのところをきっちり理解して、行く前にしっかり勉強していただきたいということをもって、私の質疑を終わります。どうもありがとうございました。

川端委員長 次に、小林憲司君。

小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。

 今、いろいろとミサイル防衛構想についての御質問が繰り返されておりますが、私も、それを中心といたしまして御質問させていただきます。

 いろいろなお話がもう出ておりますので、大まかにお伺いしますと、前政権までアメリカ政府は長距離ミサイルの、先ほど来よくお名前が出ておりますNMDと中短距離ミサイルのTMDという二本柱でミサイル防衛政策を進めてきたという経緯がございますが、ブッシュ政権になってからは全く新しいミサイル防衛構想を提唱しているというようであります。ブッシュ大統領は、今後、この構想に対して同盟各国に支持を求めてくる、これはもう既に我が国としても早急に情報を収集して対応しておられると思います。

 そこでまず、先ほど来、田中外務大臣ばかりに集中しておりますので、大蔵委員会で私個人的に大変お世話になりました萩山防衛庁副長官にお伺いいたします。

 現時点で、ブッシュ政権のミサイル防衛政策をどのように認識しておられるのか。これはもうミサイル防衛政策を抜本的に転換しているというふうにとらえてみえますでしょうか。お教えください。

    〔委員長退席、高木(義)委員長代理着席〕

萩山副長官 かつては大蔵委員会で、委員長と委員という立場で大変お世話になりました。厚く御礼申し上げます。

 お答えいたします。

 新たなミサイル防衛は、概念的にはNMDとTMDを包括したものであるというふうに見られております。また、具体的な内容については、検討中のことでもあり、現段階ではこれをお話しすることはできないということであります。いずれにせよ、弾道ミサイルの拡散が安全保障上の深刻な脅威になっているということには米国と認識を共有いたしております。

 これについて、ミサイル防衛計画を検討していることも理解をされていると思いますが、ブッシュ大統領が表明した核兵器の一層の削減については、我が国もこれを歓迎するところでございます。また、米国が同盟国やロシア、中国と十分協議していくということも表明されているわけでありますが、日本国といたしましても、我が防衛庁といたしましても、これを歓迎するということに、基本的には考え方は同じであります。

 本件について、米国と引き続き緊密に、そして検討し、研究の材料にしていきたいというふうに思っております。

小林(憲)委員 新聞、報道などいろいろな情報、今防衛副長官の方からもおっしゃられたとおり、まだいろいろなことがはっきりしていないのでありますが、今後のアメリカのミサイル防衛システムというものは、射程に関係なく、ミサイルが発射されましたら、直後に迎撃するということになっていると聞いております。

 しかし、現在の技術では、ミサイルが発射直後に、それがアメリカへ飛んでいくのか、はたまた日本に飛んでいくのか、これはわからない。判別が大変困難だ。したがって、日本がそのようなシステムを使うということは、これは集団的自衛権の行使になる可能性がある、憲法違反だ、一部のそういう意見がございます。

 防衛庁長官は、これからミサイル防衛構想と集団的自衛権との関係について研究を始めるということを、先ほどの伊藤英成代議士の質問の中でもおっしゃってみえましたが、具体的にこれはどのような方向で研究をしたら、集団的自衛権との関係について、ミサイル防衛システムの関係について兼ね合わせながら、どのような研究をしていったらいいとお考えになられておりますでしょうか。お教えください。

中谷国務大臣 お話のありましたとおり、第三国からミサイルが発射されたときに、それが我が国に落ちるのか、それとも米国に落ちるのか、こういうことを考えているうちにミサイルは我が国に落ちてしまうかもしれませんので、当然、この問題につきましては、集団的自衛権の研究の対象にはなり得るというふうに思っております。

 現在、ブッシュ政権は、NMDとTMDの区別をやめて、米国、同盟国並びに在外米軍を防衛するためのミサイル防衛構想を構築することを検討するという表明をいたしておりますが、それ以上具体的にまだ踏み込んでお話が来てない段階でございますので、現時点で、防衛庁として、集団的自衛権の関係をお答えするということはできませんが、将来、やはりこの集団的自衛権の関係につきましては研究対象になり得るというふうに考えておりまして、今後、国会での御議論を十分に踏まえながら検討してまいりたいというふうに思います。

小林(憲)委員 私は、今のお答え、大変ちょっと不満足なのでございますが、ぜひとも、総理があれだけはっきり、恐れず、ひるまず、集団的自衛権だと絶叫されている中で、各大臣がちょっとひるんでいるのではないかなという感情があるのですが、ぜひとも長官御自身の意見として、私は、今お話ありましたように、我が国に向かってミサイルが発射されて、そのミサイルが撃ち落とせないというようなことは絶対にあってはならない、問題である、私はそう思います。

 今まで小泉総理は、またこの間の党首討論でも、今までできなかったと言ってきたことは、これからもできないですよと。こういうことを、たしか共産党の方との党首討論だったかと思うのですが、言っておられるのですが、私は、これまで政府の憲法解釈、特に第九条をめぐる解釈などは、過去の政府見解との一貫性に余りにもとらわれ過ぎている。現実の安全保障情勢に対応できていないのではないかと考えられるのです。ですから、その中で長官が、集団的自衛権のことは必ずかかってくるのだけれども、今云々、なかなか言えませんというような姿勢でおられると、大変これは物事は進まないのではないかと思います。

 ぜひとも、今まで不毛の憲法解釈論争と言いますと、いろいろとしかられるかもしれませんが、とまでは申してはいけませんけれども、あくまでも日本の国民と国土を守るという方向で、ミサイル防衛と集団的自衛権との関係をぜひともきちんとした形で研究していきますということを長官に言っていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 現時点、今すぐそういうことを私が申しますと、現在日本で行われておりますBMDという研究は、我が国を防衛することを目的とした個別的自衛権での研究をいたしておりますので、この集団的自衛権との問題を絡めますと、現在行っている研究を行うことができなくなってしまいます。ですから、そういう意味で、将来研究をすべきだというふうに申しているわけでございます。

    〔高木(義)委員長代理退席、委員長着席〕

小林(憲)委員 余り時間がありませんので、ぜひとも、私の思いと国民の思いを理解していただいて、前向きにきちんと、恐れず、ひるまず、絶叫してやっていただきたいと思います。

 次に、ミサイル防衛構想につきましては、田中外務大臣の発言がねじ曲げられてリークされたということで、先日来大騒ぎになっておりますが、それで急遽会談されて、アメリカの新しいミサイル防衛構想に関しては理解するという見解を維持するということを、総理と防衛庁長官、外務大臣の間で確認されたということであります。

 そこで私は、田中外務大臣の発言問題についていろいろありますが、言った言わないなんていう話は、一切私は関係ない。また、そういうことは今ワイドショーでもたくさんやっておりますし、たとえそれが非公式の場で言われていたとしても、そういうことが、外交という大きな国と国の駆け引きをするところで、またそれが本当に役所内からリークされているというようなことがあれば、大変世知辛い下品な世界だなと思います。ですから、このことに関して、言った言わないということはどうでもいいのです。

 それよりも、外務大臣の真意が、日本はもっと自立して対米関係を築くべきだということであるならば、私はそれは立派な見識であると大変思いました。改めて、きょうここでお伺いしたいなと思っておりまして、田中外務大臣は、日本はアメリカに対して、今まで何も言わなかったのではないか。もっと自立した、独立した国として、自立した関係を築くべきだ。いろいろな意味において、日本は物わかりがよ過ぎたのではないですかと。アメリカの顔色ばかり見て、怖がっていたのでは本当の対等な関係は築けない、それを恐れずに、きちんと対等な関係を外交上でつくっていきたいという思いでおられるのか。そこを、大きな問題ですが、お教えいただきたいと思います。

田中国務大臣 日米同盟が、もう再三繰り返しておりますけれども、日本の安全保障にとって基軸であるという認識は、全然変わっておりません。

 そして、ただし現実の問題として、世界で四十一でしたか、そのぐらいのところにミサイルがあるというふうなことを考えながら、世界の脅威というのはどういうものであるか、国を守るということ、世界を平和に導くということはどういうことであるかということについて、虚心坦懐に、単なる哲学だけではなくて、もちろん哲学がなければ外交はできませんけれども、現実の問題について時間の許す範囲内で、ただ、話すプライオリティーをつけながら話をしていきたい、こういう心組みでおります。

小林(憲)委員 ですから、これは要するにアメリカの顔色を見ないで、しっかりと日本の言いたいことを言っていく。そういうことを自分は実施しているのだということで理解してよろしいのでしょうか。

田中国務大臣 自立した、自主的な外交というものはどこの国もそういうふうに心がけておられるし、実践をしておられるというふうに思います。

小林(憲)委員 わかりました。

 それでは、理解するというのは、先ほどの話ですけれども、かなり幅のある言葉だと思います。したがって、ミサイル防衛計画を検討していることを理解しているというのは、国民にとってかなりわかりにくい表現であるのではないかなと思うのですけれども、理解するという言葉には、検討することを積極的に支持しますということが込められているのでしょうか。それとも、検討することは一応認めますという程度なのでしょうか。外務大臣、ぜひその辺をよろしくお願いします。

田中国務大臣 世界の核拡散を防止するためにアメリカが努力をするという基本的ベースに立って政策を考えていくということ、そういうお立場を、そういう考え方を頭でもしっかりと理解ができるという意味でございます。

小林(憲)委員 ちょっとわかりにくいのですけれども、理解するという言葉というのは、一応認めますというようなニュアンスでよろしいのでしょうか。

田中国務大臣 その発言なり事象なりを理解するということでございます。

小林(憲)委員 わかりました。

 小泉総理は、アメリカの新しいミサイル防衛構想は、核兵器を無意味にするかもしれない大きな意味を持った研究だと表明しておられます。しかし一方では、中国などとの戦力バランスを崩し、新たな軍拡競争を招く危険な構想だという主張も一部にございます。

 田中外務大臣にお伺いしたいのですが、現在我が国がアメリカの新しいミサイル防衛構想に理解を示している、認めているということが中国との関係にどのような影響があるとお考えになられますでしょうか。お教えください。

田中国務大臣 アメリカも、ミサイルディフェンス、攻撃、戦略ミサイルですね、この構想をやるに当たっては、我が国を含んで中国及びロシアと十二分に話し合いをしながら進めるというふうにおっしゃっている。そこにすべてが込められているというふうに思います。

小林(憲)委員 アメリカの有力シンクタンクのランド研究所では、日本が集団的自衛権の行使における憲法上の制約で新しいミサイル防衛構想に関与できない場合、日米同盟関係に亀裂をもたらす可能性があるという報告もされております。

 私は、日本が集団的自衛権を行使できないままだと、日本がアメリカと対等な立場で同盟関係を維持することは大変困難になってくるのではないかと思います。日本が、将来集団的自衛権を行使できる方向で憲法を改正するか、あるいは解釈を変える必要があると思います。

 この点に関しまして、田中外務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 これは総理が再三再四おっしゃっているわけですけれども、憲法を変えるとか変えないとか、あるいは解釈でやっていこうというような意見もあるようでございますけれども、これを前広に検討する、研究するということはいいことではないかということですよ。この委員会を見ましてもいろいろな意見がありますし、ましてや連立でございますので、したがって、その中でもって研究をしていくということは大変よろしいことで、歓迎するという視点でございます。

小林(憲)委員 アメリカ国防総省の元日本部長であるジム・アワーさんが、日本が集団的自衛権の行使について明確にしないために、アメリカの軍事計画が極めて複雑になっている、こういう発言をされております。

 同じ質問なんですが、中谷防衛庁長官は、集団的自衛権の行使について、今いかがお考えになってみえますでしょうか。お教えください。

中谷国務大臣 従来、政府といたしましては、集団的自衛権の行使はしないというふうに答えておりますので、それを尊重しております。

小林(憲)委員 小泉総理は、六月六日の党首討論で、後方地域とは何かという問題が出てきた場合、その定義についてはいろいろあって、研究の余地があるとおっしゃっておられます。

 後方地域の定義は見直す余地があるということですが、私も、後方地域などということは、現実的にかなりこれは無理な話だなと思っております。戦闘地域が急速に拡大してきたら、ここからここは後方地域だという定義が崩れるわけでして、では、ここまで急速に広まった場合に、逃げ出して帰るということに、現実にはそういうことはできないと私は思います。

 中谷防衛庁長官は、後方地域の定義の見直しということに関してはどのようにお考えでしょうか。

中谷国務大臣 この問題は、ガイドラインの法案質疑でも議論をされましたけれども、後方地域という定義につきましては、現在戦闘が行われてない地域であり、また将来も戦闘が行われる見込みのない地域という表現でございまして、現実に戦争がありますと、安全な地域と安全でない地域というのは概念的に分かれるわけでございますので、後方地域というのは存在するのではないかというふうに思います。

小林(憲)委員 私は、日米の協力関係を実効性あるものにするためには、戦闘地域での後方支援は最低限可能にすべきだというふうに考えております。

 今の政府の憲法解釈は、集団的自衛権の行使はできないので、アメリカ軍の武力行使と一体化した後方支援はできないというものでありますけれども、しかし、それでは周辺事態法というものは、これは実質的な意味がなくなるのではないでしょうか。例えば、防衛研究所の出した報告書では、日本側の行う捜索救助活動はむしろ前線に接近した地域で行われるものであり、それを後方地域に限るのは意味がない、こう指摘しております。

 後方支援を集団的自衛権の枠外に置いていくという解釈変更をすべきだと思いますが、防衛庁長官はどう思われますでしょうか。

中谷国務大臣 それは、今後の国会での御議論、各党での御研究によるものだと思います。

小林(憲)委員 今後の今後のというお話が大変多いのですが、ぜひとも今後、実際にこれはやっていただかないと、総理は、やるやると絶叫しておられるわけですから、各大臣もやっていただきたいと思っておりますが。

 私が防衛庁長官に質問した内容は、恐らく、お答えがなかなか難しいのは、近隣諸国との関係で問題を引き起こす可能性が大変多い問題だと思うのです。後方支援を集団的自衛権の枠外に置くというような解釈変更をしましたら、多分近隣諸国との友好関係の間で何か問題があるのかなとも思いますが、これは決定的にその友好関係を壊すものになるのでしょうか。これはぜひ外務大臣に教えていただきたいと思いますが。

田中国務大臣 いろいろな思い、御意見があるのはわかっておりますけれども、現段階ではそうしたことにはお答えできません。

小林(憲)委員 余り時間もないのであれですけれども、一つだけ。なぜお答えしていただけないのか、理由だけぜひ教えてください。お願いします。今の私の質問は御理解いただいていますでしょうか。

田中国務大臣 これは、これからみんなで研究して、前広に討論をしていこうということでございますから、それが理由でございます。

小林(憲)委員 ちょっとどうも的を得ないお答えをいただいているので。わかりました。いいです。

 要するに、私が聞きたいのは、近隣諸国の、集団的自衛権を枠外に置くようなことをしていくと近隣諸国との友好関係が崩れるかどうかということで、それをみんなで話し合ってこれから決めていくというよりも、何か問題がありますかということを聞いているものですから、ちょっとお答えになってなかったかなと思って、残念ですけれども、まあいいです。時間もないので、民主党の方も持ち時間も少ないので、もう行きます。

 最後に、私が教えていただきたいのは、森内閣のとき、有事法制の検討をしていきますということで、前回斉藤前防衛庁長官のときに私も質問させていただきまして、防衛庁主導ではないが、政府内で検討を開始するというお答えでした。内閣がかわりました。小泉内閣では、有事法制については今どのような取り組みをされているのですか。それと、今後どのように取り組んでいくのか、ぜひともお教えいただきたいと思います。防衛庁長官、お願いします。

中谷国務大臣 小泉総理からも、私、就任時に、有事法制の検討を進めていただきたいという旨の御下命がございました。防衛庁ではさらに人員をふやしまして、この有事法制の研究をさらに法制化に向けて進めているところでございます。

 一方、内閣では、他省庁もこの問題について積極的にやっていただきたいわけでございますので、各省庁から担当の方が内閣の方に集まってその研究をされているというふうに伺っておりますので、一刻も早く有事法制が整って法制化が実現できますように、私も今後とも全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

小林(憲)委員 ぜひとも、今の心強いお言葉を最後に聞けまして、頑張って有事法制のことはきちんとやっていきたいと思いますので、私も頑張りますので、どうかよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

川端委員長 今野東君。

今野委員 民主党の今野東でございます。

 私は、国会に来てから田中眞紀子さんのことをずっと見ておりました。ずっと見ておりましたといっても、決してストーカー的な見方ではなくて。前政権の森さんのときも、随分森さんに対してずばずば言っていらっしゃって、どこか気持ちいいところもありました。例えば、口にばんそうこうを張っていて黙っていてもらえばいい、夜は料亭でぱくぱく口をあけていればいいなんていうことをよくおっしゃっていました。そうだそうだと思う部分も随分あったのですけれども、しかし、いざ我々野党が不信任案を出すとちゃんと反対の札を入れて、何だ口だけではないのかなんていうふうに思っていたのです。しかし、今月二日の朝刊を見まして、私は本当に心から拍手をいたしました。

 アメリカのミサイル構想への疑問をイタリア、オーストラリアの外相に伝えていたという記事で、私は今もお守りのようにこうやって持っているのですけれども、その記事で、大臣が言われたとされる内容は、ミサイルの脅威と言うが本当にミサイル防衛が必要か、日本とヨーロッパは声を合わせてアメリカにやり過ぎるなと言うべきだ。それから、アメリカは中国の経済的、軍事的脅威に対抗したいと考えているのだろうが、それは知恵で対抗すべきで、武力で対抗すべきではない。技術やテクノロジーを軍事的に利用すれば世界は不幸になる、このことをアメリカ側に強く申し入れるべきだ。

 私が思っていたこと、私が考えていたことと本当にぴったりで、よく言ってくれたと、新聞に向かって余り拍手することはないのですが、私は拍手をいたしました。

 ところが、その後、これを言わないことにしちゃったというのは、僕は余りにももったいない、残念というふうに思うのですが、これは各所で大臣は言わなかったということにしていらっしゃるようなのですが、ですけれども、大臣はこういうふうに考えてはいらっしゃるのだということは、私は思っていいのでしょうか。

田中国務大臣 熱弁を振るっていただいた後でもって大変恐縮でございますけれども、個別の報道ですとか個別の会議の中身についてコメントをしたりするということはいたしません。なぜかと申しますと、相手のあることでございますし、そうしたことがもう既に否定されているということは御存じでいらっしゃると思います。

 多分この後、オーストラリアの外務大臣でありますとかドイツの外務大臣でありますとか、個別にお聞きになると思いますので、時間の関係もあると思いますので一括してお答えを先に申し上げておきます。

今野委員 いえ、それは個別にお伺いするつもりは最初からありませんでした。

 中谷防衛庁長官は、アメリカのミサイル構想についてどう考えていらっしゃいますか。

中谷国務大臣 これはアメリカ本土の防衛の話でありまして、現在、四十一カ国にわたるミサイルの拡散によって米国本土が非常に危険にさらされるということで考えられておるわけでございます。したがいまして、私はこのような考え方に対しては理解をしているわけでございます。

 また、この構想によりますと、核兵器削減、またミサイルの減少ということでございますが、SDI構想がレーガン時代にございました。これについては、けんけんがくがくの議論で、もったいないとか反対だという議論の中で、途中で今のNMDに変わったわけでありますけれども、この結果どうなったかというと、ソ連という国が崩壊をして結局冷戦に終結を打ったという点におきまして、SDIの果たしたこの効果というものは歴史的なものがございます。したがいまして、米国のNMDの研究による安全保障上の成果というものは、努力次第では人類にとって大変大きな成果があるのではないかというふうに期待はいたしております。

今野委員 そういうことも含めまして、小泉総理と田中外務大臣、そして中谷防衛庁長官が日本の安全保障政策について意思統一をされたのですよね。意思統一ではないのですか、話し合いをされて、さっき我が党の議員もお尋ねをしておりますが、その質問について、どうも構想の段階で、詳しくないお答え、わかりにくいお答え、政府の五項目について合意したとかいうようなことがあるのですが、もう少しわかりやすくお話しいただけますでしょうか。どのような点について話し合い、そしてどのような点について合意をされたのか。

中谷国務大臣 ミサイル防衛構想につきましては、弾道ミサイルの拡散が安全保障上の深刻な脅威となっていることについて米国と認識を共有をいたします。米国がミサイル防衛計画を検討していることを理解をいたします。核兵器の一層の削減を表明していることを歓迎をいたします。そして、米国が同盟国やロシア、中国と十分協議していると表明していることを歓迎し、我が国としても、本件について引き続き米国と緊密に協議をしていくということでございます。

今野委員 先ほど沖縄の問題についてという言葉が我が党の伊藤議員の中にちょっと出てきていたように思うのですが、それは私の聞き違いですか。沖縄に関して今ちょっとおっしゃっていただけなかったようなのですが。

中谷国務大臣 このほかにも日米関係に関する全体の問題等は話をいたしました。当然沖縄の問題も話をいたしましたけれども、すり合わせというのではなくて、お互いの意見を述べ合ったということでございます。

今野委員 お互いの意見を述べ合ったということは、意見を統一させてこれからこういう考え方をベースにしていきましょうねということではなくて、述べ合っただけなのですか。田中大臣、答えてください。

田中国務大臣 基本的には外交と安全保障ですから、重複している部分はありますけれども、やはり受け持っているものが違うと思うのですよね。私の認識で言うと、ほかの委員会でいつも申し上げていますが、殊に参議院でこういうことを問われることが多いので、初めてこちらでお話しすることになりますが、やはり九割は世界の平和に向けて外交努力というものをされるべきだと思いますし、そうであっても、やはり有事のような何か事が発生した場合には防衛でどういうふうにして守っていくかというふうなことのベストミックスが常に頭にないと、国家というものはなかなか運営できないだろうというふうな認識を持っております。

 それに立脚して、総理もトータルで、今度は国の責任を持っていらっしゃる方ですし、そしてまた外交と防衛とが、一緒に行ければ済むことなのですけれども、やはり先方の御都合がありますから、ですから別々のときに、一週間置きずつぐらいにこうやって行きますから、それはやはりお互いの考えていることを確認し合うというかそういう目的であって、いわゆるすり合わせるというと、何か違うものをねじ曲げるとかそういうことではなくて、お互いがどういうことを考えているかということ、アメリカとの関係でどの辺がどうかということ。

 具体的に言いますと、ミサイル防衛の問題ですとか朝鮮半島の情勢、中国の問題もありましょうし、ガイドラインもありますし、もちろん沖縄の基地の問題もありますから、そういういろいろな、外務省とそれから防衛庁がカバーしているイシューについての基本的な意見の確認ということでした。

今野委員 中谷長官、それでよろしいですか。そういうことですか。

中谷国務大臣 そのとおりであります。もともと基本認識というのは共有をしていたというふうに思っております。

今野委員 それでは、次の質問なんですが、安全保障条約第六条に基づく日米地位協定によって行われているいわゆる思いやり予算なんですが、アメリカ国防総省の報告、これは二〇〇〇年度版なんですけれども、共同防衛のための同盟国の貢献というのを見ますと、イタリアは、駐留米軍に対して十一億一千三百八十三万ドル支出しておりまして、ドイツは九億五千六百九十七万ドル、イギリスが一億二千七百五十三万ドル、そしてNATOの加盟国、これは十九カ国だったでしょうか、この加盟国合計で二十四億二千八百五十三万ドル、駐留米軍に支出しているのですね。

 では日本はというと、両大臣ももちろん御存じと思いますが、四十億一千三百三十六万ドル支出しておりまして、NATO加盟国合計の一・七倍も支出しているのです。

 私はまだ国会に来て一年なんで、何で日本だけがこんなに多く支出しているのか疑問なんですが、これは中谷長官、お願いします。

中谷国務大臣 HNSという在日米軍の支援の経費につきましては、日本の最も重要な責任の分担の貢献の一つでございまして、日本のHNSは同盟国の中では最も寛大なものでございますが、日米同盟を維持強化、発展していき、そして日本の防衛及びアジアの周辺の安定を図るためには必要なものだというふうに思っております。

今野委員 今、最も寛大なものとおっしゃいましたが、日本の側の寛大な心によって出しているのだというふうに理解していいのですか。

中谷国務大臣 先ほど委員の御指摘の、NATOの数字の話がございましたけれども、その数字の話を受けた私の考えでございます。

 認識といたしましては、我が国の負担比率は最も高いものであるというふうに承知をいたしている次第でございます。

今野委員 ですから、なぜそんなに高いのかということを伺っているのです。

中谷国務大臣 先ほど、寛大なものというお話をいたしましたが、これは私の基本認識の間違いでございまして、今の表現は、米国側の同盟国の貢献に対する報告の表現でございまして、その表現を私が言い間違えました。

 私としては、その比率は最も高いものであるというふうに位置づけをしております。

今野委員 ですから、その比率は非常に高いのはそれはなぜですかと聞いているんです。

 では、田中大臣、お願いします。

田中国務大臣 これはちょっと、我々おなかがすいてきて、長時間やっているもので、多分エネルギーがあれしたので中谷長官もちょっと思い違いなさったかと思いますが、私は、基本的にベースが違うと思うのですよね。NATOに比べて日本の方が一・七倍、数字の面はそうかもしれません。しかし、NATOのトータルな抱えている問題点と私たちと、違っておりますのでね。それから、アメリカと日本との関係、アメリカとNATOとの関係というのは、それぞれ歴史的にも違ったものがあります。

 したがって、そういう中ではあるけれども、だから、これをこのままコンクリートに決めてしまっていいというものでももちろんないでしょうし、本来だったら、こういう負担というものは少しでも少ない方がいいに決まっていますし、ですから、そういうことについても、こういうところで皆様に意見を言っていただいたものを我々が内閣として取り入れて、意見を言っていくということがやはり政治として必要ではないでしょうか。

 ただし、日本も、昨年、特別協定を結ぶに当たりまして、一定の削減というものは既にいたしております。御存じでしょうか。これはアメリカ側がかなり節約努力をしているのですよ。ですから、やはり日本もしょっちゅうしょっちゅうそういうことを言っていかなければいけない。言われたら出すというものではなくて、日本の財政事情も厳しいですから、そこのところをやはりよく、常に意識に置いておかなければならないというふうに思います。

今野委員 田中大臣が、しょっちゅうそういうことを言っておかなければならないというふうに言っていただきまして、それは全くもうそのとおりと思うわけですが、間もなくアメリカにいらっしゃる、これもお話しになられますか。

田中国務大臣 あっちこっちでいっぱい言われて、帰ってきたら何にもやらなかったと言われたらどうしようかと思うので、やはりプライオリティーの問題があるので、しっかり考えて整理をしなければなりません。いずれの問題も大変大切です。

 しかし、相手があることで、時間の限りもあります。先方がどのぐらい話す方なのか、私みたいに引っ込み思案でもたもたしていたら、きっと全部言われてしまって何も時間がないかもしれないので、そのための体力もつけておかなければいけないと思っております。おっしゃることの重要性はよくわかっております。

今野委員 決して引っ込み思案な性格ではないと思いますので、どうぞ、どしどしこういうことはおっしゃっていただきたいと思います。

 さて、アメリカのブッシュ大統領ですが、今月一日、ワシントンの大学でミサイル防衛について演説をしましたね。その中で、NMD計画よりさらに大がかりなミサイル防衛システム網を構築する方針を明らかにいたしました。そして、そこで、米ソABM制限条約の障害を乗り越える必要性、つまり見直す必要性があるということを言ったのだろうと思いますけれども、このABM制限条約を乗り越える必要性というのを訴えました。

 これについては、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、ロシアもカナダも韓国も、まあ表現は条約にとどまるよう促したとか、あるいは核兵器廃絶に逆行させるおそれがあるとか、表現の仕方はいろいろですけれども、意思表示をしております。日本は、日本としての考えを伝える用意はありますか。田中大臣、お願いします。

田中国務大臣 大統領がおっしゃったことは、五月一日だと思うのですけれども、このスピーチの中で、ABM条約、すなわち弾道ミサイルシステムの制限条約の制限を乗り越える必要があるというふうに表明をなさったわけですけれども、一九七二年に米ソが締結した戦略弾道ミサイルを迎撃するシステムの配備というものを制限する条約でもありますから、我が国は同条約の締結国ではありませんから、その評価についてコメントする立場にはございません。

 しかし、米ロ両国が話し合っていくべき問題でもありますし、日本がやはり米ロ間の協定が進展するということをもちろん期待する立場であることは言うまでもございません。

今野委員 恐らく田中大臣の性格ですから、受け身で、受け身で、受け身でいくということは恐らくないと思うのですけれども、こういうことについても日本側の、もちろん防衛政策上の考え方もいろいろあるとは思いますけれども、一つの意見をしっかり持ってそれを相手国に伝えるという姿勢が大事なのではないかと思いますので、その辺をお願いしておきたいと思います。

 さて、次の質問ですが、沖縄の普天間の移設先の名護市辺野古沖の使用期限十五年問題について、これは技術的な作業が順調に進む一方で、知事や名護市長が移設条件に掲げているにもかかわらず、この十五年問題については棚上げされております。何かだましのテクニックがそこにあるのではないかという気すら、こんなに延び延びになっていると、するのですが。この問題について田中大臣、私は、アメリカ側と、これが条件なんだから、十五年期限をしっかり守ってくださいよという話をしてほしいのですが、そのあたりはどうなんでしょうか。お願いします。

田中国務大臣 取り上げていく所存でございます。

今野委員 どのように相手側に伝えますか。

田中国務大臣 地元の意見も聞きながら、関係者からもちろん聞いてもおりますけれども、アメリカとも緊密に協議をいたしまして、そして移設の実現に向けて努力をするというふうなことをしなければいけないというふうに思っております。

今野委員 そこはひとつ沖縄の方々、名護市の方々、先ほどからいろいろなところで田中大臣はフェース・ツー・フェースということをおっしゃっていますけれども、ぜひハート・ツー・ハートでお話をしていただきたいと思います。

 次の問題ですが、沖縄に外務省から行っている特命全権大使という人がおりますね。今、橋本宏という大使なんですが、この沖縄大使というのはどういう経緯で置くようになり、そしてどういう目的で存在しているんですか。

飯村政府参考人 まず沖縄大使の職務でございますけれども、一つは、外務省の沖縄事務所がございますので、そこの事務を総括しております。

 いろいろな仕事がございますけれども、主要な点を幾つか申し上げますと、一つは、沖縄における米軍にかかわる問題、さらにその関連において、日米安保体制全般について沖縄県の自治体、議会あるいは民間団体の皆様からの御意見、御要望をお聞きするということが一つございます。

 それから二番目には、沖縄における米軍のいろいろな活動や地位協定の具体的運用に関する事項につきまして、那覇におけるアメリカ総領事館あるいは在沖縄米軍との間で連絡調整等を行ってこれらの問題に対応するということでございます。

 それから三番目には、日米安保体制の意義あるいは沖縄米軍基地問題に関する政府の立場につきまして、沖縄県の自治体、議会、民間団体の皆様に対して御説明をさせていただく等々ございます。

 それからさらに、必要に応じて東京に来てもらいまして、これらの事項につきまして随時意見を付して外務省の本省に報告させる、あるいは必要に応じて政府関係者などに対しても直接報告を行うことを職務としております。

 二番目は、設置の経緯でございますけれども、平成九年に発令、初代の原島という者がされておりまして、沖縄の重要性にかんがみて、外務省としてハイランキングの者を現地に派遣することが必要であろうということでこの制度を開始した次第でございます。

今野委員 今いる橋本大使という人ですが、地元沖縄県や名護市とどうもぎくしゃくしているという事実は御存じでしょうか、田中大臣。

田中国務大臣 橋本元総理の御親戚ということで、この間代替地の話がありましたときに、移設問題がありましたときに初めてお目にかかりましたが、そのようなことはうわさとも何も私は一切聞いておりません。

今野委員 これは地元の新聞報道によるものなんですが、稲嶺知事が基地の過重負担軽減などをアメリカに要請するためにアメリカに行こうとすると、外交防衛の交渉や話し合いは両政府の専権事項だから、訪米したとしても余計なことを言うなというようなことを言って批判を受けたり、それから、米軍が二月と三月にかけて名護市の上空で、民間地域の上空で飛行訓練をしたんですね。これについても、名護市も民間地域の上空で米軍の戦闘機が訓練できるとは認識していなかったので、名護市議会が那覇防衛施設局や橋本大使がいる外務省沖縄事務所に米軍機の訓練について要請に行ったんですね。

 そのときのやりとりなんですが、市議の一人が、何の前ぶれもなく提供訓練空域でもない市街地上空でこのような事態が生じることに強く怒りを感じるということを伝えたんです。そうすると橋本大使は、訓練機の移動はあるけれども、名護地域で訓練をやっているとは聞いていないというふうに答えているんですね。この市議は防衛施設局に、訓練だったかどうか事前に確かめているんです。なので、これは訓練だったと聞いていたわけですから、施設局は訓練だったと言っていますよと伝えたんですね、橋本大使に。すると橋本大使は、ああ、そうですか、私はちょっとわからない、と返事をしている。それで、この市議さんも、何で私たちが、ああいう問題があったのに施設局に確認をしないんですかと大使に指摘をした。そうすると橋本大使は声を荒げて、そういう言い方をするのか、あなたがおっしゃった話は聞く、私はわからないものは残念ながらわからないと言わざるを得ない、申しわけないがそれが私の性格だ、と怒ったというふうに言うんです。

 これは琉球新報の四月六日の朝刊に載っているんですが、事実関係把握が不十分であると指摘されると、切れる大使なわけです。

 さらに市議が、独立している国かどうか問われていると前置きして発言を始めますと、大使は遮るように大きな声を出して、日本はとっくに独立している、そんな話を受けるわけにはいかない、私はちゃんとした日本国の役人だ、立派な。私は聞く耳を持たない、やめてほしい、幾らあなたが言ったって聞かない、聞こえない、と続けたんだそうですが、こういう事実関係は把握していらっしゃいますか。

 田中大臣にお伺いします。大臣に。

川端委員長 初めに大臣。承知しているかということですから。

田中国務大臣 そこまで克明には存じてはおりません。

今野委員 知ってはいらっしゃいましたか、こういう事実は。

田中国務大臣 事実かどうかわかりませんが、そういう報道があるということはちらりと聞いたことはございますけれども、今おっしゃったように細かい状態であるというふうなことは今初めて聞きました。

今野委員 それでは、外務省からちょっと説明をしてください。余り時間がないので、済みません、短く。

藤崎政府参考人 お許しを得られましたので、答弁をさせていただきます。

 二点御質疑がございました。

 一点は稲嶺知事の訪米についてでございますが、これにつきましては、橋本大使、外務省等も協力をさせていただきまして、日程づくり、十分なものができた、感謝するというお言葉を知事自身からいただいておりますし、知事はこの旨を記者会見でも述べておられる次第でございます。

 第二点でございますが、四月五日に、これは現内閣ができる前の話でございますけれども、名護市議会が橋本大使に、訪問いたしまして、この訓練の空域の問題について提起したわけでございます。その際の逐一のやりとりをここで御説明はいたしませんが、若干のやりとりがございまして、その後、大使の方から、これについては外務本省、米側とも確認した上でお答えしたいという返事をいたしまして、これは四月五日でございますが、十日に大使はヘイルストン司令官に会いまして、その後十二日に名護市に赴きまして、ヘイルストンから聴取した、この説明をいたしました。

 そして、その際に、先般のやりとりについて、もしやりとりの際に御不快なお気持ちを与えたとしたら申しわけないということを述べている次第でございまして、その後、実は名護市議会の方が私どもの方に、東京でもお話を伺っておりますが、今ぎくしゃくしているというような話は私どもも聞いていないところでございます。

今野委員 中谷長官に伺いますが、名護市街地上空は米軍機の訓練空域になっているんですか。

中谷国務大臣 名護上空の訓練空域の設定でございますが、那覇局長の話によりますと、一般に米軍による飛行訓練については地域を限定しているわけではなく、実弾射撃訓練を伴う場合は別として、その他の訓練はあり得る、しかし、米軍は訓練に際し我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきものであるということでございます。

今野委員 それでは、市街地上空で訓練をすることについては、中谷長官はどう思われますか。

中谷国務大臣 一般的に、先ほどお話ししましたとおり、空域を設定するわけではございませんが、我が国の実情に合わせて訓練をしていただきたいというふうには思っております。

今野委員 つまり、好ましくないことだと考えていると理解していいですか。

中谷国務大臣 当然地元の住民の生活に配慮すべきであるというふうに思っております。

今野委員 沖縄に橋本という大使がいらっしゃるわけです。こういう問題が起きたときに、中谷長官に今そうお答えいただいたように、こちらが中央の政府といろいろ相談をすればそういう答えが出てくるわけです、好ましくない。それならば、そういう答えを持って、米軍に、アメリカ側に、これは好ましくない、これからこういうことをやめてくれと言うのがこの橋本大使の仕事なのではないでしょうか。田中大臣、お答えください。

田中国務大臣 そのとおりだと思います。

今野委員 ということは、この人は職責を全うしていないということになりますね。

田中国務大臣 マスコミの報道そのものが、全部がどこまで正しいかという基本的な問題が、私は最近特にそういう思いが残念ながら強いもので、それもありますし、同時に、北米局長が今お答えしたこともございますので、それをトータルで勘案しないと、今即右左ということを、今急に問われてお答えはいたしかねます。通告しておられましたか、このことを質問に。

今野委員 もう時間がありませんからやめますが、この事実関係をもう一度大臣お調べいただいて、適切な処置をするというお考えはありますか。大臣にお聞きします。もう一度この事実をお調べになられて対処されるというお気持ちはありますか。

田中国務大臣 通告のないお尋ねでもございますので、するかどうかも兼ねて検討いたします。

今野委員 こういうことがありましたので、名護市議会の方々も大変この問題については心を痛めておられます。沖縄にあるいろいろな問題を解決していくという上でも、こういう問題の一つ一つを丁寧に解決していかなければならないと思いますので、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。

 このような橋本大使、どこを向いているのか。アメリカを向いているのか、日本の中央の政府のどこを向いているのか。長い長い苦しみの中に、日本がいわば置き去りにしてきたと言ってもいい沖縄の人たちの思いをきっちり受けとめて、沖縄にいる大使としての役割を果たしているとは、こうした一連のことからはとても思えない。ぜひ対処していただきたいと思います。

 さて、田中大臣は、お風邪のようですし、風邪も治さなきゃいけないし、アメリカにも行かなきゃいけないし、大変だろうと思いますけれども、アメリカとの同盟関係、非常に大事なのだという考えをベースに置きながら、日本として言うべきことは言わなければならない。それができるのが私は田中眞紀子さんだと思っております。ただ黙ってうなずく日本の外交という姿勢は捨ててください。そうお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

川端委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十六分開議

川端委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 中谷長官、田中外務大臣におかれましては、このたび相そろってアメリカに行かれるということで、非常に喜ばしいと思っております。

 まず最初に、最近、集団的自衛権について非常に議論が活発になってきて、私はこれはある意味ではいいことだとは思いますが、何かよく考えてみますと、アーミテージ・レポートのころからか、あるいは先般アーミテージさんが来られたころからか、何かその辺とのタイミングがあるような感じがするわけであります。もしそういうことならば、少しアメリカ側の意向のかかった、そういう形で世論ができつつあるのかなというそういう懸念もするわけであります。

 その点について中谷長官、まずどういうお考え、御認識でございましょうか。

中谷国務大臣 委員御指摘のとおり、アーミテージ・レポートのタイトルは成熟した大人の関係というタイトルでありまして、冷戦後の安全保障政策について、我が国に対して一石を投じているということは事実だと思います。

 この中で言われているのは、バードンシェアリングからパワーシェアリングということで、責任の分担というようなことを言われておりますけれども、日本のこの冷戦後の状況において、やはり常に独立国として、どのようにこのアジアの地域を眺めて、かつまた我が国の安全保障を考えていくかという点については、常に自国の判断で考えていかなければなりませんし、同時に、アメリカがどのように戦略を立ててアジア地域を見ているのかという点もあわせて考える必要がございますので、集団的自衛権をするのかしないかも含めて、常に我が国の安全保障という点につきましては真剣に考えていかなければならないことであるというふうに思っております。

田端委員 先日、総理と三人でその辺のことについてお話し合いをされたということが出ておりましたが、アメリカのミサイル防衛構想については、長官はどういう御認識でございますでしょうか。

中谷国務大臣 アメリカのミサイル構想につきましては、クリントン政権下でNMDとTMDという形で構想をされておりましたが、ブッシュ政権になりまして、このミサイルから確実にアメリカを守りたい、また、世界の核兵器の削減及びミサイル拡散の縮小に資するため、もっとしっかりした構想にしたいというものであるというふうに認識をいたしております。

 その前のレーガン政権のときにSDIが構想として検討されましたけれども、結果的にこれによって、ソ連の国が現在ではもうなくなっておりますし、冷戦もなくなってしまったという点をかんがみますと、こういう研究をすれば、世界の平和秩序の新しい形での安定にもつながる可能性もあるのではないか、そういう点で、我が国としては理解をしているわけでございます。

 一方、核を縮減するとか、各国に対して対話の努力、構想を話し合うという姿勢につきましても評価をできるわけでありまして、中国に対してもアメリカ政府から高官を派遣して説明をいたしておりますし、ロシアに対してもABM条約の交渉もやっております。

 そういうことで、我が国としては理解をしているわけでございますが、現在、我が国に対するミサイル攻撃に対しましては、BMDという我が国独自でミサイルに対処することを目的として米国との共同研究を実施しておりますが、この点につきましては、引き続き研究を進めるべきだというふうに思っております。

田端委員 今お話しになったTMDの共同研究ということでありますが、この点について、米ミサイル構想と集団的自衛権という関係性から少しお伺いしたいと思います。

 今回、ブッシュ大統領が、新たな脅威に対抗するため、攻撃力、防衛力双方に依存する新たな抑止の概念、ミサイル防衛を可能にする新たな枠組みが必要である、こういうことからミサイル防衛構想というのが急浮上といいますか、大きく取り上げられ、また、大変強い信念でこれを世界各国に今協力を要請している、理解を要請している最中だと思いますし、昨日も、EUの首脳との会談でもいろいろ話題になっているようでありますが、この問題について、小泉総理は、ミサイル防衛が集団的自衛権に当たるかということについては議論は全くなかった、だから研究の余地があるのだ、そういうことを先般もお話しになっておりました。

 ということは、少し踏み込んだのかなという感じもいたしますが、NMD、TMDの区別がなくなって、そしてミサイルの発射直後に迎撃するという、こういう非常に難しい技術を要することだと思いますが、こういうことになってきますと、アメリカの構想の中で、日米が共同研究をしていくというそのことがどういうふうになっていくのだろうと。もし、この技術が完成して実用化されて、そうなった場合に、日本はこのミサイル防衛のための技術協力をしたことによって、結果として集団的自衛権という問題にかかわってくる責任があるのではないかという、これは思い過ごしかもわかりませんが、そういう感じがいたすわけでありますけれども、その点について、長官、大臣、それぞれお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 この構想につきましては、委員御承知のような内容のレベルでしかまだ話が来ておりませんけれども、現在行っている共同研究につきましては、NTWDという海上配備型の上層システムという、中距離のミサイルに対して我が国を防衛するという見地で研究をいたしておりまして、これは純粋に我が国の安全保障、国民の生命財産を守るという防御的なものでございまして、我が国の憲法の現行の解釈による研究の域を超えるものではございません。

 将来どういうふうになるかという点につきましては、不確実な要素はございますけれども、現時点におきまして米国からそのレベルのお話は何もないわけでございますし、また、現在行っている研究開発につきましては何ら支障のないものであるという説明がございましたので、現段階でそのことを判断するという事態にはまだ至っておりません。

田中国務大臣 お答え申し上げます。

 ブッシュ政権がTMDとNMDを一括して、N、ナショナルという概念を取ってMDというふうにするということは決めてあるわけですけれども、それはあくまでも、言ってみれば概念上の整理といいますか、そういうことでありまして、個別のプログラムはこれから個別に検討していく、継続して考えていくということであって、詳細についてはまだはっきりとは決まっていないというふうに認識しております。

 ただ、私たちの政府といいますかこの小泉政権で、私たち三人で話し合っておりますことは、これは核の不拡散ということが基本にある。それから、この研究をするということにつきましても、まだ予断を持ってどうなるかということは決定はできませんので、したがって、先を考えれば、今おっしゃっているような集団的自衛権との関連とか、そういう問題はもちろん想像はつきますけれども、しかし、やはり、午前中も申し上げましたけれども、四十一でしょうか、大体の国にそうしたものがあるということを考えた場合に、アメリカの考え方も私たちは検討してみる価値がある。ただ、これが今すぐ、何年で、幾らかかってどうなるというものでもないわけですから、余り予断を持たずに、そして今回、たまたま個別に、個別的自衛権じゃなくて個別に三人がアメリカに参りますから、そのときにきちっとやはりそれぞれの立場で意見を聞いてきて、それからまた、それもフィードバックしていかなければいけないというふうなスタンスであるということは御理解いただきたいと思います。

田端委員 重ねて伺いますが、イージス艦からの発射システムのNTWD、そういう研究をやっている、こういうことでありますが、それはそのまま拡大していけば、つまり全世界にアメリカが艦船を配備して、どこから発射されても迎撃できるというそういうシステムをいずれはつくろう、こういう構想だということは想像できるわけです。

 そうすると、例えば日本周辺でそういうふうなことであった場合、日本の艦船ではなくても、アメリカの艦船であったとしても、発射されたミサイルを迎撃して撃ち落とすということに、日本周辺でその技術が実用化されて生かされた場合、これはやはり集団的自衛権にかかわってくる問題ではないか、私はこういう危惧をしているわけであります。

 だから、日米共同研究というものがどの程度なのか、どういう形でこれから進んでいくのか、長官のその辺のところの御見解を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 委員のお話は、ブーストフェーズでの、打ち上げ直後のミサイルに対する対処だと思いますけれども、この点につきましては、確かに御指摘のように、集団的自衛権、また対米支援をいかにするかという問題はあろうかというふうに思います。

 ただ、研究の次が開発、開発の次が配備ということで、米国政府自身もまだこの研究に着手をしておらず、この研究が成功するかどうかまだわかりませんし、それが終わった後、開発するのか、配備するのか、その時点でも、いつになるのか現時点ではわかりませんので、我が国としてどのように対処するかという問題につきましては、その時点での議論になろうかというふうに思います。

田端委員 これは先の先の話だからというお話なので、今はそういう懸念を表明するということにとどめたいと思います。

 外務大臣にお尋ねしたいと思いますが、今回パウエルさんとのお話し合いの中に入っているかどうかわかりませんが、ぜひ入れていただきたいことは、京都議定書の問題であると思っております。

 ことしの三月末でしたか、突然ブッシュ大統領が京都議定書離脱ということを言われました。そして、私も四月に政府・与党代表団としてアメリカに抗議という形で行かさせていただきましたが、非常に私は、ガードがかたいなという実感を持っております。

 一昨日でしたか十二日だったと思いますが、ブッシュ声明が新たに出ましたけれども、この気候変動政策に関する中身は、温暖化の仕組みに関する科学の研究、大気中のCO2吸収技術開発、中米諸国との協力、そして新エネルギーの利用拡大等々、項目は出ていましたけれども、基本的に京都議定書にかわる新たなものであるということにもなっていない。また、結論も出ていない。そういう意味で、非常にどうなるんだろうということのまだ回答にはなっていません。しかし、京都議定書はこれは根本的な欠陥があるということだけはブッシュさんはおっしゃっているわけであります。

 そういう意味で私は、COP3において日本が議長国として取りまとめ、そして、先般四月に、国会でも衆参で全会一致で国会決議もしたこの京都議定書の問題については、これは大変大事なことだと思いますし、また外務大臣も四月の初めだったと思いますが、何というテーマか忘れましたが、京都議定書を守れという国会議員と市民の会の緊急集会に御出席されたかあるいは代理かだれかが行かれたか、名前が出ておりましたから、と思いますが、そういった意味で、大臣もこの問題は大変認識されているんだなということを私も感じております。

 CO2排出の二五%、四分の一を占めるアメリカがこの枠組みから外れた場合でも日本はやっていくのかどうか、それを今回どういうスタンスでアメリカに行ったときにお話しされるのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 もうどんどんどんどん、アメリカでこれをお話ししなさい、これを話しなさいといって、荷物が山ほどになって、米百俵が大変なことになってきますから、この環境問題はやはり触れざるを得ないだろうというふうに思っておりますが、それは、御存じだと思いますが、六月十一日の日、日本時間の深夜だったと思いますけれども、ブッシュ大統領が声明をお出しになったのですね。日本ではたしか夜中だと思いますが、局長から途中で私に報告があって、最終的なものは、きのう川口環境庁長官からクエスチョンタイムのときにたまたま偶然、あれどうなりましたかと私が伺ったのですね。そのときちょっと意見交換していたら、たまたまあのクエスチョンタイムの中で鳩山代表が何か触れておられましたけれども、それとはまた別に、元に戻してお話しいたしますけれども。

 今回の声明の中で大統領いわく、科学的知見を前進させて、国際協力の強化を重視している点、また市場原理や技術革新を考慮する旨言及している点は評価し得るものである、一方、京都議定書には致命的な欠陥があるという表明をした上で、具体的な提案については何ら言及がなく、また、数値目標に関して直接的な言及もなかったということを懸念しておりますが、建設的に参加するように私たちは今後働きかけていかなければいけないと思いますし、これは内閣全体として、窓口は環境庁でありましても、地球の海外、世界じゅうに影響を及ぼすことですから、外務省ももちろんこのことはアラートになってしょっちゅうメッセージを発信しなければいけないというふうに思っています。

 今も委員おっしゃったように、世界で一番大きな温暖化ガスの排出国でありますし、それから経済も大きな国でありますので、そういうふうなことについて、多分ブッシュ政権も発足したばかりなのでいろいろと調整も時間がかかったりするのでしょうけれども、日本もこういうことはアメリカに対しても、先ほど来言っている自立したといいますか自主的な外交をする上でも、メッセージの発信はしていきたいと思っています。

 なお、一言、お時間いただかないように早口で申しますと、市民運動は私は行ったことがございませんで、きのうたまたま鳩山代表がおっしゃった中にあるのですが、民主党さんの議員さん六人と自民党の私たち六人、たまたま六人六人に偶然なったのですが、京都議定書を履行してほしいというメッセージをアメリカの新聞に意見広告として私たちの実費で負担をしながら出しました。

 そういう経緯もありますので、これは地球市民としてぜひアメリカに、政治的なことではなくて地球市民という立場でメッセージも発しましたし、今度はまた外務大臣としての重みもありますので、このことについてはしっかりと発言はいたしますし、何らかの返事をいただければいいと思いますが、きょうのこの発信の、十一日付のブッシュ大統領のを見ていますと、なかなか大変なのかなと思ったりもいたします。

田端委員 なかなか大変だと思います。私も実感したことは、つまり、アメリカの経済に陰りが出てきた今日、これは悪影響だ、それから途上国が入っていないのは不公平だ、それからもっとひどいのは、これはゴア副大統領がサインしたものだ、おれたちは反対だった、こういうスタンスですから、これはNMDと同じく、そのぐらい強い決意で臨んできているなという感触を受けました。

 だからこそ、私は、アメリカにはっきりと物の言える外務大臣に頑張っていただきたいな、そういう思いを込めて今メッセージを送っているわけでありますが、大臣、どうぞこの二十一世紀、今もお話あったとおり二十一世紀の地球、そして我々の子孫を守るためにも、この問題はぜひ重要視していただいて、これはもう外交の最大のテーマに取り扱っていただいて、そのぐらいの強い日本の意思を持っていかないと、アメリカはもう本当に、何といいますか強い、もう本当にガードのかたい雰囲気になっている、こういうように思いますので、重ねて大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

田中国務大臣 田端委員が本当にいい、建設的な御指摘をくださったと思って、感謝を申し上げます。

 振り返りまして、ASEM、北京での会議がありましたときも、何か違った報道みたいなことばかりいつも質問されていますが、このことは大変、地球環境問題は、欧州の外務大臣もそれからほかのアジアの国の外務大臣も複数おられて、大変大きな議題として討論の対象になりました。ですから、やはり先ほど申し上げましたような気持ちで発言をするように、時間の配分を考えながら努めてまいります。

田端委員 防衛庁長官、この件はいかがなものでございましょうか。御感想、御意見を。

中谷国務大臣 これはやはり、地球環境という全世界の環境をいかにするかというテーマでございますが、その中でも一番経済活動が盛んな米国の動向というものは非常に影響が大きいものだと思います。私もその意見広告に署名をした一人でありますけれども、やはり地球全体の行動に対して、京都でああいう宣言をして、みんなやりましょうと言ったわけでございますので、その点を踏まえて米国政府も対応していただきたいというふうに思っております。

田端委員 外務大臣にお伺いしますが、実は、ペルーの問題でありますが、今回トレド氏が大統領選で当選しました。そして、フジモリ氏の職務放棄有罪、公職追放という判断等が出ておりますが、そういう中で、実は先般も、現地における日本人及び日系ペルー人、この人たちが大変苦労されているという話を伺いまして、確かにそうだなという思いがします。フジモリ氏が大統領のときは日系人は非常に胸を張れたと思うんですが、今は一転してしまった。そして、国際的にも今日本はこの問題にどう対応するかということも注目されていると思います。

 そういった意味で、非常に難しく、大変厳しい問題だと思いますが、このフジモリ氏の扱い、つまり国籍を取得している人を保護するというそういう立場を踏まえつつ、しかも日本とペルーの関係、友好回復を図る、あるいは信頼回復を図る、こういったことが必要だと思いますが、この点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

杉浦副大臣 皆様御承知のとおり、トレドさんがこの間の大統領選挙でお勝ちになられましてトレド政権が発足しようとしておるわけでございますが、私どもとしては、大統領がかわられてもペルーとの関係は今までどおり維持して、いろいろな問題に直面しておられるようでございますので、関係を強化していくという考えに変わりはございません。

 日系人の方々が、ある意味でフジモリさんが日系人の代表、チャンピオンといいますかね、というような形でおられた関係で、肩身の狭い思いをされておられるであろうということは容易に想像つくわけでありますが、大使館等を通じて聞きましても、特に社会の中で日系人が、他のいろいろな民族の方がいらっしゃるわけですが、とりわけ厳しい批判にさらされているという雰囲気にはないようでございます。注意深く見守ってまいりたいと思っております。

 それから、フジモリ氏は日本国籍を持っておりまして、現在日本に滞在しておられることはもう御案内のとおりなんですが、まだフジモリ氏に対する、不正蓄財に対する追及がなされていることも聞いておりますし、まだそれらの手続がどうなっているかもはっきりはいたしておりませんけれども、将来、それの追及がなされ、フジモリ氏の引き渡しを求められてきた場合には、もちろんのこと、この日本の国内法に基づいて適切に処置することに相なろうかと思います。

田端委員 ぜひ信頼回復、友好回復をしていただきたい、こういうふうに思います。

 次に、劣化ウラン弾についてちょっと伺いますが、湾岸戦争でイラク空軍に対して大量に使用された、それが今、イラク住民に白血病やがんの誘発ということで、問題が指摘されています。そして、コソボのときにNATO軍による劣化ウラン弾が三万発も発射したということでありますが、そういった意味で、UNEPの方で今現地調査を行っているようでありますが、体力が落ちたとかせきがとまらないとかいろいろな症状が起こっているようでありまして、これは大変な人道問題にもなっていると思いますが、こういった問題に対して日本はどう対応されていくのか、お伺いしたいと思います。

 それから、同じく日本の東富士、北富士演習場、あるいは北海道等の実弾による演習場等で、ここは鉛とか鉄とかいろいろなものがあると思いますが、私は、そういう実弾演習によって土壌汚染、水質汚染が起こっているだろう、こう思います。

 ところが、今までこれらのことについての指摘もデータも何も出ておりませんが、これはぜひきちっと廃弾を回収して地下水の汚染等にならないようにこれからは配慮していただきたい、こう思うわけでありますが、これらの問題について、これは防衛庁長官か防衛施設庁長官になるんですかね。よろしくお願いします。

萩山副長官 時間がありませんので、急いで申し上げます。

 劣化ウラン弾は、防衛庁は所有していませんので、答弁は差し控えさせていただきます。

 また、陸上自衛隊演習場における実弾射撃場に使用しております弾薬、小銃、機関銃などの小火器については、土壌を汚染する可能性がある物質について、鉛を弾心に使用しているが、りゅう弾砲、迫撃砲、戦車などについては、これは鋼やアルミ合金などを使用しておりますので、基本的には土壌を汚染するような物質は使用していないというふうに申し上げておきたいと存じます。

 また、弾薬については、使用後、従来から射撃部隊が射撃後に回収を行うとともに、演習場の定期的整備も回収を実施しているところでございます。また、火器、小火器に使用しておりますが、地域の表流水が公共用水に流れ込む、こういうことについては、鉛に関する水質検査を実施いたしております。現在のところでは、水質汚濁にかかわる環境基準〇・〇一ミリグラム・パー・リットル、なかなか難しいのでございますけれども、まさに少量という結果を得ております。

 これから水質検査を断続的に、継続的に行うことと、使用後は弾薬についてもしっかりと回収するとともに、田端先生仰せのとおり、公害のないような環境保全に防衛庁は真剣に今後取り組んでいくということを申し上げて、御答弁にかえさせていただきます。よろしくお願いします。

田端委員 ありがとうございました。終わります。

川端委員長 次に、藤島正之君。

藤島委員 最初に、外務大臣に幾つかお尋ねをしたいと思います。

 就任後、外務大臣は、就任直後から記者会見とかいろいろなのがあって、そういうところで話をして、またしばらくするとそれを見解を変えたような形になるのは余り望ましくないんじゃないかというようなことをおっしゃったことはございますか。

 もう一回質問しますと、外務大臣とか各大臣が、就任したばかりのときに、まだ知識がない間にいろいろなことを聞かれると、その場でいろいろお答えする、それがしばらくするとその見解が変わったような形になるというようなことになるので、就任した直後にそういう記者会見とかいろいろなことをやるのはいかがかというような趣旨のことをおっしゃっておりますか。

田中国務大臣 そういう側面は確かに、閣僚になりますと、どなたも経験なさるとおわかりになると思うんですけれども、閣僚になって即官邸で記者会見になりまして、所管の役所からブリーフは受けますけれども、全部が全部、余りいい表現じゃないでしょうけれども、いわゆる族議員でいらしても、すべて問題点を整理してあるかどうかわかりません。

 したがって、閣僚は自分の希望するポストにつけるわけでもございませんので、そこでやはり急にあるよりも、願わくば事前に何かしっかりと、閣内もやはり必要ですし、特に今連立でございますから、そういう党との政策別の整合性をしっかりある程度持って、そして臨む方がそごを生じないし、委員会ももっとスムーズに運べるというふうには考えております。

藤島委員 私は、その御意見がいい、悪いと言っているのではなくて、やはり大臣になってから研修期間のような形で研修をして、それから本物の大臣になっていく、これじゃ、外務大臣というのはもう即戦場みたいなものですから、そういうわけにはいかないのじゃないか。就任したら即、外交はもう生きておるわけですから、外務大臣としての職務を遂行していく必要がある、こう思っておるわけでございます。

 外相は、四月二十七日の、今お話にありました就任の記者会見で、外交の要諦は国益、最優先は国家や国民の生命財産をどう守っていくか、あわせて世界の平和と安定にどう貢献していくかということだ、こういうふうに強調しておられますが、これは外相の御自分の御意見ですか、それとも、先ほどお話がありました、外務省がペーパーを書いたものをお読みになったんでしょうか、どちらですか。

田中国務大臣 これはもう私の日ごろといいますか育った中で、自分なりの個人外交、民間外交もありますし、公の外交に携わったこともありますけれども、ずっと自分自身で思ったことでありまして、役所からはむしろ、個別にこういう案件がありますよというふうな話だけでした。

 それから、外務省が特別相手があることですし、待ったなしだということもわかりますが、ほかの大臣も経験して思いますことは、それぞれに、すぐロケットの打ち上げがあるとか、高レベルのごみが返ってくるとか、それぞれありますので、ほかはゆっくり待てるけれども外務省だけが待てないというものでもないのではないかというふうに思います。

藤島委員 ほかは待てるけれども外務省が待てないというか、やはり外交というのはもう即、継続しているわけですから、休むことは私は許されないと思うんです。

 私は、今申し上げたのは、これは非常に立派な御意見だし、こういう考え方で外交を本当に進めていただきたい、本当にいい御見識をお持ちだということを実は申し上げたかったんです。

 その後に外相は、ちょっとこれは外相と外傷をくっつけたようなあれですが、内閣の外傷にならないよう一生懸命やりたいと、この外傷というのは外の傷の外傷なんですけれども、と述べている。まさに私もそういう感じがしておるわけでありまして、この一カ月半、外相がやられてきたことは、非常にいろいろないいことをやっておられると思いますが、機密費事件を起こした外務省の体質改革、これについて、何ですか、ほとんどの精力を費やしているんじゃなかろうか。ですから、外交政策の責任者というよりも、外務省の改革担当特命相といったような感じが非常に我々あるいは一般国民も感じられるんですが、この辺は、外務大臣はどんなお考えでやっておられるんでしょう。

田中国務大臣 本当に報償費の問題、このことが、外務省の職員、現職の方それから在外公館でもちろん現職の方、かつて外務省に奉職していらした方、皆様がいろいろな思いを持っていらして、言ってみればジレンマのようなものが非常に心理的にあって苦労なさっている。これがもっと早い段階で、前の内閣とだけは申しませんけれども、長い間のものでしょうと思いますので、もっと早い段階から整理がされていればよかったのにとつくづくいつも思っております。

 そうはいいながらも、これがそういうところにぶつかってきたということが私は宿命でもあると思っておりますが、そのことだけにエネルギーをかける、そういう質問ばかりをする方がおられるということが残念でして、これはできない範囲内で一生懸命私たちはやっておりますし、それから、前の公明党の委員の御質問なんかも、本当に具体的な、まさしく私たちが個人としても、議員としても、大臣としても関心のあるウラン弾の装てんの問題ですとかそれから地球環境の問題ですとか、外交にじかに関係がある問題なんですね。もちろんミサイル防衛もそうです。それをミサイル防衛ばかり言って、言った言わないとかじゃなくて、前に進めるためのいいアドバイスをいただいたと思いますし、こういう議論を現実にやってくださる方もおられるんですね。ですから、そういうふうなやはり前向きなこと。

 それから、では機密費をやらないというんじゃありませんし、これにはこれなりのやはり手当てもしておりますので、それを少し長い目で見ていただいて、必ず結論は出すと総理がおっしゃっていますし、私たちは総力を挙げておりますので、今のような質問もしていただけて、逆に客観的に少し冷静に見ていただけてありがたいと思います。御礼申し上げます。

藤島委員 おっしゃるとおりだと思うんですね。この機密費の問題は、きょうあした即結論を出すといって急ぐほどではないと思うんですね。まだ時間をかけてよく調査をして、きちっとすべきはしていただきたいと思いますが、同時に、大事なのはやはり本当の外交政策の問題だということを申し上げたかったし、大臣もそういうふうな認識であろうということで、先ほどの外交の要諦をちょっと申し上げたわけでございます。

 ところで、アーミテージさんの問題ですけれども、外務大臣はアーミテージさんという人物をどんな人か知っておられましたか。

田中国務大臣 アーミテージ・レポートというものの概要もわかっておりました。それから、今回枢要なポストにつかれる前、いろいろと識見を持っていらっしゃるということも、私も安全保障問題に関心がありましたのでわかっておりましたけれども、どういうルックスの、外観の方でいらっしゃるかというのは、今回いろいろ騒動というかテレビで映られて、ああ、大きい人だな、初めてああいう顔の人かということがわかったという認識でございます。

藤島委員 昨年十月十一日に「日米 成熟したパートナーシップに向けて」という報告が出されているんですけれども、これのある意味では主役のような役割も果たしている方なんですね。

 それで、先日、訪日したことに関しては、実はブッシュさんが、五月一日、国防大学でミサイル防衛に関する演説というのを行っておりまして、その中で、本日、自分は、世界の現状を反映する安全保障と安定のための新しい枠組みを形成する我々の共通の責任について議論するために、同盟国たる欧州、アジア、オーストラリア、カナダの人に、ハイレベル代表団を派遣することを発表する、代表団は来週にも出かける。その代表団という中にアーミテージ副長官もおって、そういう説明の役割もあったと思うんですが、その辺はどうでしょうか。

 要するに、私は、アーミテージさんが来たのはそういう重要な役割を担ってきておったということを申し上げたかったんですが、そういうアーミテージさんを、ルックス云々の話は別にしまして、日程をキャンセルしたというようなことが、私は、単にちょっと近くに来たから寄ったとかいう場合のキャンセルでなくて、こういう重要な役割を担っているのを承知の上でキャンセルしたのかどうかということなんです。

田中国務大臣 今、何日に日本にいらっしゃったか御記憶でいらっしゃいますか。とにかくあれは着任早々だったと思いますが、毎回キャンセル、キャンセルと言われますが、これは事務的にまだ調整中でございました。

 と申しますのは、目的は総理大臣に対して親書を持っていらしているということですね。それから、私が外務省の局長たちから聞いておりましたのは、局長たちがまず会って、前から多分そういう慣例なんだと思いますけれども、事務的で特に枢要でいらっしゃるという方のときは、ほかの、防衛庁はわかりませんが、外務省がやはりしっかりと話し合いを、実質をするというのが過去の経緯だったようでございますね。自分たちは時間をできるだけとらなければいけない。

 結果として、午前中に会議をやり、お昼も食事を一緒にし、複数の外務省が出て、先方も大勢出られたようですけれども、夜は事務次官が一緒にお茶を飲んだとおっしゃったか一杯飲んだとおっしゃったか、とにかく外務省は総力を挙げていて、その報告は私はもらわなければなりませんよということは言っておりました。

 ところが、アーミテージさんのスケジュールのメーンの理由は、総理に大統領からの親書をお渡しすること、私あてじゃないんですね。それから、あと、うちの事務方がしっかりと対応すること。あと、もちろん防衛庁長官が前から旧知でいらっしゃったそうで、お会いになること。それから、うちの副大臣お二人は当然お会いになるということであって、私の場合は、しっかりとセットされたものであれば、それを急に断ればキャンセルですが、調整中でありました。

 したがって、古いことの記憶をまた蒸し返すようですが、私に会わなかったことがどうのこうのというふうなことを、御本人もおっしゃっておられないし、逆にそういうことがすごく日本でうわさになった、評判になったということを本人が聞いて、何かコメントもちょっと聞いたこともありますけれども、間接的に。

 ですから、そこのところからやはりボタンがかけ違えて、そういうふうなキャンセルしたんだ、したんだということでいくことはやはり間違いだと思います。調整中であって、それで一切別に、ですから、私と会ってくだされば多分それは表敬だったと思います。

 私もぐあいがよければと思っていましたから、事前にパウエル長官と極めて短い時間、触れ合うような会話で、お互いに名前を言うだけぐらいな感じで、できたらイタリアで会いましょうというぐらいで終わったんですが、そのとき、私が、見えるということは事務方からもメモが入っていましたので、アーミテージさんがいらっしゃるときにはお目にかかりたいと思っていますということを私の方から申し上げたぐらいです。

藤島委員 決まったのをキャンセルしたというのと調整中だったという御説明ですけれども、それはそれとしてよしとした場合でも、最初に面会を断った理由に、緊急の用事が入った、これは八日におっしゃっておって、その後九日の記者会見では、私用が前から入っていたから、こうおっしゃって、十四日の衆議院の予算委員会で我が党の達増委員が質問したときに至っては、心身ともにパニック状態で国会図書館で休んでいた、こういうふうに変わっておるわけですけれども、これは余りよろしくないんじゃなかろうか、こう思うわけですが、いかがですか。

田中国務大臣 就任直後でございまして、とにかく、おなりになればわかりますが、外務省が特別忙しいとおっしゃいましたけれども、待ったなしでして、いろいろなイシューから宮中行事からたくさんありまして、ですから、言ってみれば、役人が書いたものでも全部読んで、絶対肉声を発しないということであれば、そういう方法もまた今後もあるかもしれませんけれども、やはりその時々のこともありますし、それから、自由党の議員さんがおっしゃったことについては、随分人格を傷つけるような、何が証拠かわかりませんけれども、大変一人の人間に対して、私は初めてあの方と相対してお話をして、よく存じ上げなかったのですけれども、お互い私語を交わしたこともない人間に対して思い込みでああいうことをおっしゃるということ自体も、それこそびっくりしまして、それこそパニックみたいなものでありますので、ですから、そうであると、だんだんともう役所の書いたものだけを読んでいくようなことになってしまうので、このことが大きくとらえて、今回行けばきっとアーミテージさんにお目にかかれるだろうということを事務方も言ってくだすっていますし、ですから、ちゃんと、しっかりと、ただ単に表敬とか、やったやらないという形式ではなくて、要は、外交は実質だと思いますね。中身の問題だと思うのですよ。

 ですから、この二年間で、この二カ月間で結構学ばせていただきました、二年分に相当するかどうかわかりませんけれども。ですから、その中でしっかりと、どなたであっても、私は、日本国の外務大臣として、国益を踏まえて、世界の平和と安定ということを考えながら、あらゆるイシューについて、ただ時間はすごく限られているようですけれども、できる限りの努力はしたいというふうに思っております。

藤島委員 私が申し上げたいのは、もちろん外交は実質であって、そういうことは当然なんですが、説明が余りくるくる変わらない方がよろしいんじゃなかろうか、こういうことを申し上げておるわけです。

 これは、東京都の石原知事が八日の記者会見で、外務大臣に対して、みだりにゆうべ何時間しか寝てなかったとかパニックになったとか絶対言ってはいけない、これから交渉をするかもしれない相手に足元を見られることになる、国益を失いかねないと注意を促した。さらに知事は、女だろうと男だろうと、政治家である限り、責任ある地位についた限り、体を張って仕事をしないといけない、女性だから許されるというようなものではない、こういうふうにおっしゃっているんですが、もし御意見があればお聞かせください。

田中国務大臣 全くその御意見に同感でございます。

藤島委員 それでは、次に移りますが、先般、中国に行かれたときにホテルの話が報道されておったんですけれども、実はつい最近、元外務大臣、私の先輩ですけれども、お会いしたときに、それはそれで理由があるんだ、国際会議等を急にやる場合に、部屋がなかなかとれないとかいうことで、あれは外務大臣というのは個人であっても個人じゃないというようなことで、そういうことで大きな部屋を、むしろ会議をやれるような部屋をとっているんだというふうなことをおっしゃっていたんですけれども、外務省に伺いますけれども、そういう部屋をとる基準みたいなのはあるんですか。

飯村政府参考人 お答え申し上げます。

 特に基準という明確なものはございませんけれども、一般的に、外務大臣が外国出張されるに当たりまして宿舎を選定いたしますが、通常、現地の大使館等からの報告、それから、必要に応じまして、先方政府の推薦を踏まえて、警備、あるいは会談場所、訪問先、空港等へのアクセス、あるいは施設、サービス等の利便性、それから経済性などなどを総合的に勘案して決定しておりますが、同時に大臣のお部屋というものは、宿泊のためとの目的に加えて、必要に応じまして、ケース・バイ・ケースでございますけれども、客間部分を利用して外国の要人をお迎えして会談を行ったり、あるいは部内の打ち合わせ等を行うことも想定されております。

藤島委員 そういう理由で部屋もあるんだと思うのですね。そうでないと、歴代の外務大臣が何をやっていたんだというような話にもなりかねないわけですね。

 そんなことで、キャンセルされて、キャンセル料を取られたから大した差が浮かなかったようですけれども、これからもその辺は合理的な範囲で、必要に応じた範囲でやっていかれるのがよろしいんじゃなかろうか、こう思います。今の意見は、外務省のあれを弁護しようという話ではないのですけれども。

 それから、実はもう一つ、けさの新聞に、外務大臣が守秘義務云々で、機密費の関係資料を御長男に見せたとの趣旨の発言を外務省にしておられると。あるいは、政府関係者にもよると、その外相の発言は、先月末、外務省の局長らを集めた協議の場で行われ、公認会計士の息子さんに見せていると述べた、それに対して、同席した人からたしなめられたというような話があるんです。これは事実でしょうか、事実でないんでしょうか。

田中国務大臣 これは事実無根でございまして、それを証明させていただきますので、貴重なお時間ですが、大切なポイントですので、しっかりと申し上げたいと思います。

 着任以来、先ほどのお尋ねにもありましたけれども、外務省は機密費の問題で、過去の方たち、現在のいる方たち、在外公館、皆様本当に大変な、それぞれの立場でつらい思いをしていらした。そういう状況で私が行きました。

 そして、国民の皆様も、前内閣の一生懸命対応なさったんだと思いますけれども、松尾事件、これは司直の手にゆだねられておりますものの、この機密費の使途というもの、実態について、これでもってふたを閉めてしまえばいいというような世論ではなかったというふうに思います。特に小泉総裁は前から、小泉候補で、自民党総裁選挙の候補のときから私は行動をともにさせていただいていますけれども、あらゆる機会に機密費の問題は切り込むということを公約になさっていました。

 したがって、私が、くしくもその内閣のこの枢要なポストをいただくようになりまして、外務省に行って、これは私はやらざるを得ないと思いました。そして、この問題をずっとずっと役所の幹部に言っておりました。ずっと、それは私、過去の委員会でも言っておりますが。そうしましたらば、とにかく説明がありません。逃げているのか何なのか、もう決着済みということでしょう。ですけれども、これでもって、国民も内閣も納得をしない。そして、そのものを何度言っても、説明の紙とか説明には来られます、幹部が一人で。ですけれども、それは文章が書いてあるのであって、中身がわかりませんよ。こういう項、目がある、こうですよ、ああですよというだけでして、そんなものだけ見ても全然わからないわけです。それで、何度言っても説明の紙だけですので、数字もないわけですから。

 では、これを見に行こうと思って、私は、副大臣と、それから役所の若い方と、警護官二名と、もう一人事務の方とでもって、突然、五月の末に、どこにあるんですかと、会計課にあるに違いないから。私、一体、どこかの貸し倉庫にでも入っているのかと思いましたらば、二階の会計課にありました。突然行きました。もうみんなびっくり仰天していました。六人でどっと行きました。そこにあるのが、これが機密費です、これで全部おしまいでしょうかと。膨大なものです。そうしたらば、地下にも実はありますと言って、また全員で行きました。一つのファイルが大きなものでした。それは領収書等が添付してありまして、全部は見られませんけれども、見てびっくりしました。こんなにたくさんあるのじゃ大変なことで、これじゃ、ちょっと説明といっても、過去何十年間ものものがあるでしょうし。

 それから、会計検査院がもちろん入っているなということはわかりました。領収書添付で、どの局長がだれと飲み食いした、ほとんどそういうふうな飲食費代でしたけれども、もう克明に書いてありました、どこの店で何を食べてどうのと。これは会計検査にたえるものだと思います。これで全部ですかと言ったら、そうだということでした。

 でも、それを私たちが、時間もないし、専門家でもありません。それで、これで全部かと言ったときに私たちびっくり仰天したのです。これじゃ全容がとらえられない。だって、切り込みを私たちはやると言っているのに、材料がないじゃないですか。何をもとにして総理に御説明すればいいのか。

 そうしましたら、あるときに、実はほかのものがあるということをまた幹部のお一人がおっしゃったので、一対一のときでしたので、それはどこにあるかと言ったら、一人なら連れていってあげますと言われたんです。どこか私は存じません。それで、それは困るじゃないかと言って、私とちょっと押し問答になりまして、常時私は顔を見れば、機密費のことです、機密費の説明、これは国会で国民の皆さんに報告義務がありますと言いました。

 そして、ほかの委員会でも言っておりますから申しますが、六月一日の日になって、その幹部の方が、そのファイルの膨大なものを示されました。どこから持ってきたか知りません。それも、私たちが見てわかるようなものじゃないんですよ。それで、私は、何人か部屋にいたかもしれませんが、大臣室で、ああいうものを国会議員がぼんと置かれてもわからないので、例えば税理士とか会計士さんとかあるいは弁護士さんとか専門職、うちも息子が会計士でいるけれども、それはもう大勢がチームを組んで、何カ月か何年間か精査しないとわからないということを発言いたしました。

 したがって、私がその六人で行ったときも、あるいはほかのときに、大きなファイルからそれを抜き取るとか、そんなことはできませんし、では、息子が弁護士であれ会計士であれ何であれ、そういう人が黙ってそういうところに行って一人で見ることができないんですよ。そういう状態で管理されていないということです。

 したがって、この記事はどこから出たのか私はわかりません、推測はつきますけれども。えらく世論を惑わすような、またまたがっかりするような議論に入るようなきっかけを、何で今ごろまたこんなことを、証明されればすぐわかるのにということを思っております。

藤島委員 要するに、この記事は全く事実無根であるというふうにきっぱり御否定なさる。(田中国務大臣「はい。はい」と呼ぶ)はい、それはそれで、私は非常にすっきりしてよろしいと思います。事実は事実ですから、すっきりした方がよろしいと思います。

 それと、余りこういうことばかりやっているといかぬのですけれども、昨日ですか国会で、告訴、告発などと言ったことはないというふうにおっしゃったようですけれども、リークに関連してですね。その前には、法的手段を検討しているといったようなことはおっしゃっておられますか。

田中国務大臣 法的手段といいますか、措置も考えなければならないことになるかもしれないということを言っておりました。機密費のこと云々じゃないですよ。(藤島委員「リークということについて」と呼ぶ)そうですね。それによって、例えばそういうふうなこと、今のおっしゃった記事みたいなことも、やはり私たちも人権がありますし、どういうものかと思ったりもいたしますし、事実が違って伝えられることによって、報道の方は、何ですかニュースソースの守秘義務というんでしょうか、秘匿といいますか、それもあるそうですし、こちらが違っていた場合に、どこまでいってもこういう議論を繰り返すことになるということは残念だと思いますので、それもまたやはり専門家がいますので、それは機密費のことではありません、繰り返しますけれども。そういうことをトータルで、法律家の、専門家の知識がないと限界があるということを申しました。

藤島委員 これは機密費の話じゃなくてリークの話だと思うんですけれども、法的手段をとるのなら、はっきりとってすっきりした方が、それも一つの方法かなという感じはしますけれども、うやむやに、中途半端にしておくよりもその方がはっきりするという面はあるんじゃないかという感じはするものですから、何もすぐ告訴、告発などと言ったことはないとか言って逃げないで、やるのならやられたらいかがでしょう。これは、きのうの参議院の外務委員会でそういうことをおっしゃったということのようですけれども。

 それでは、あと残り少しですけれども、防衛庁長官に一、二お尋ねしたいと思います。

 先般、党首討論で、小泉総理は、米ミサイル防衛のことに関係しまして、ミサイル防衛が集団的自衛権に当たるかという議論は全くなかった、こうおっしゃっているんですが、防衛庁長官、これは事実ですか。政府部内でこういう検討は全く議論したことはないということは事実ですか。

中谷国務大臣 小泉総理の発言につきましては、ブッシュ政権のミサイル防衛構想と憲法、集団的自衛権との関係について今まで議論がされてないという発言でありますが、現在我が国が実施しておりますBMDと申しますと、個別的自衛権の範囲の構想でございまして、集団的自衛権に入るかどうかという議論はなかったわけでございます。

藤島委員 そういう意味じゃなくて、要するに、現在研究している、その研究をするに際してどの程度まで我が国が関与できるかという点については、当然のことながら、集団的自衛権に入るのか入らないのか、その辺を十分検討した上で現在の関与の仕方になっているということですね。したがって、集団的自衛権に当たるかどうかという議論は全くなかったというのは、全く間違っているんじゃないですかということなんです。

中谷国務大臣 いわゆるTMDを我が国が研究するかということが国会の委員会でも議論になったこともあろうかと思いますし、このBMDを研究するという時点でも、そういう集団的自衛権に抵触するかどうかという議論はあったと思います。

藤島委員 そこをきちっと確認しておきます。したがって、小泉総理は完全に認識が間違っている、この点については。ということを申し上げておきたいと思います。

 それから次に、PKOの見直しの件でございますけれども――どうぞ、もしあったら。

中谷国務大臣 小泉総理の言われている弾道ミサイル構想ということは、ブッシュが提案した、いわゆる全世界を包含するような、そういうミサイル構想でございまして、それに対して、集団的自衛権に当たるかどうかという議論はなかったということでございます。

藤島委員 その前に、いわゆるこの関係について言えば、政府部内では十分に検討しておったということなんですね。

 たしかブッシュが言ったこのことについては、まだ新しいことですから、研究する暇がなかったわけですから、当然ないわけですけれども、いわゆるこのミサイル防衛網という構想に関して言えば、最初からこの問題が我が国の集団的自衛権に絡んでくる問題であることは当然だったわけですから、十分研究してきていた。そこを総理は、勉強不足だったのか。勉強していなかったんでしょう、多分。

 それで、PKOの見直しの問題ですが、PKOという、我が国でPKFと言っている部分はありますけれども、これは広い意味でのPKOの範囲で、本当のPKFというのはもっと外にあるので、我が国はその分野はいわゆるやらないということにしているわけで、憲法上の問題もあってやれないという感覚であるわけで、今の凍結解除のPKFというのは、いわば世界でいえば、PKOの範囲なんですね。その中の一部なんですが、この凍結解除は、武器使用の規定、御承知のように二十四条にございますね。「自己又は自己と共に現場に所在する他の隊員の生命又は身体を防衛するためやむを得ない」「相当の理由がある場合」と、非常に狭い解釈になって、いわゆる自然権的権利というようなことで、武器も本当に小火器に限られている。その規定をそのままにしたままでPKFの解除、これは我々としては絶対に反対していかないかぬと。

 これは、案が出てきてから反対というのでは間に合わないので、政府部内で検討する際には十分そこのところを考えていただきたい。そうしないと、派遣される自衛官が全く手段を縛られたまま世界と同じPKOの行動をしろということになるわけですから、こんなにきついことはないわけでありまして、現場の隊員のことを十分考えて、解除する場合には必ず武器使用の規定も見直して、世界のほかの国並みの武器使用ができるようにしていただきたい、検討に際して長官はそういう点を十分御認識いただきたいと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 私も、隊員の命を預かる責任者であります防衛庁長官といたしまして、派遣される隊員が安全に、そして支障なく任務を遂行させてあげる必要性を十二分に感じておりますので、藤島委員の意見に全く同感でございます。

 そして、PKOを武力行使であるかどうかという点につきましては、御意見があるところでございますが、これまでPKO活動を派遣した現状とか、世界平和に対してPKOが果たすべき役割を考えると、平和のための国連を中心とした大変立派な活動であって、今後、我が国は大いにこの分野で参加をすることによりまして、世界諸国から尊敬される、そういう国になることを目指していくべきだというふうに思っております。

藤島委員 今の力強い御意見を聞いて、本当に心強く思います。

 最後に、前回のこの委員会でも申し上げたのですが、自衛官の災害派遣の際の手当、これが非常に少ない。一日泥まみれになって犠牲者を助けたりしながら、一日、一日ですよ、八百円ですからね。一日八百円。確かに、警察あるいは各府県なんかが出た場合にも手当はあるのですけれども、あの人たちは、最低でも大体一日一万円以上はもらっているわけですね。ですから、二十日間ぐらい連続で行くと大体二十万円ぐらい実質的にはもらっている。自衛官は一日八百円ですから、これを何とかしてほしいと思います。

 確かに、給与法の体系とか手当の体系とかいろいろな今までのそういう問題がありまして、これを改善するというのはなかなか難しいと思うのですけれども、私も、現に厚生課長をやっておりましたとき、自衛官退職給付金という制度をつくった、それは大変難しいものでした。新しい制度、これは大変難しいのですけれども、それは難しい難しいと言っていたんじゃやれないわけでありまして、何とか知恵を出してぜひ改善していただきたい、これを要望して終わります。

川端委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 まず最初に、昨十三日に起きました米軍普天間基地付近での落下事故について、お伺いしたいと思います。

 きのうの午前七時二十三分ごろ、米軍普天間基地のフェンスから約百二十メートルしか離れていない住宅のそばに、これは住宅のそばというよりは住宅の玄関の手前と言った方がいいと思うのですが、米軍のヘリから、衣類や水筒、ガスマスクらしきもの、防弾チョッキの入った十三キロと十キロの袋二個が落下しております。

 アメリカの海兵隊の第一航空団のジェームズ・カートライト司令官は、落下物は同隊CH53Eヘリから落下したものであることを認めております。現場の状況から見ても、人の上に落下するという重大事故につながる可能性が高い事故でありまして、市の中心部に基地があり、市民は常にその危険にさらされている。

 にもかかわらず、米軍のヘリが市街地上空の訓練を繰り返し、また、宜野湾市の要請を無視して市街地上空での旋回飛行も行う、このことが普天間基地の危険性を増大させていると思います。今回の被害者の住民も、我が党のきのうの調査に対して、本当に大変なことだ、ヘリは民家の上空を飛ぶときでもドアをあけている、旋回をすれば落下するのは当然と語っています。

 この点について、宜野湾市はこれまでもたびたび戦闘機及びヘリコプターの事故が起こるたびに、住宅地域上空での訓練の中止、旋回飛行をやめてくれ、こういう要望が出てきたと思います。先ほども、民主党の今野先生の質問の中で、防衛庁長官は名護市の住宅地域上空、訓練区域外での訓練については住民の安全に気をつけるということをおっしゃっておりましたが、宜野湾市のきのうの落下事件の実態は、気をつけているどころか、市民の安全性に全く耳をかさない米軍の横暴な訓練の結果だと思うのです。宜野湾市住宅地上空での米軍の訓練を中止するようにということを政府は申し入れるべきだと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 今回の米軍ヘリから落下物があったということに対しましては、私も大変遺憾なことだというふうに思っております。直ちに、防衛施設庁の那覇の局長が在日米軍沖縄地域調整官に対して遺憾の意を表明いたしましたし、事故原因の究明と再発防止につきまして申し入れをした次第でございます。

 それに対しまして米軍のカートライト少将からも、本件につきましては、遺憾でございます、そして、今後再発防止を図っていきたいし、また沖縄の方々に在日米海兵隊が任務を安全に、またプロとして行っていくということを信じていただきたいという旨の発言がございました。

 防衛庁といたしましては、今後とも、米軍に対し、安全管理を徹底し再発防止に向けて努力をいたしていきたいと思っております。

赤嶺委員 非常に白々しい謝罪だと思うのですよね、再発防止だとか注意をするとか。ことしの三月にも宜野湾市議会は、ヘリコプターの接触事故に対する抗議決議書を上げているわけですよ。あれから三カ月もたたない。そのときも再発防止、気をつけるということを言ったはずですよ。市民に対して謝罪もしたはずですよ。

 一番肝心な問題は、そういう旋回飛行をやって住宅地域上空を飛ぶときもドアをあけている、あれでは荷物が落下するのは当たり前だと言っている、こういう問題だとか、何よりも住宅地域上空での訓練をやはり中止させる、このことが最大の再発防止だと思いますが、そういう住宅地域上空での訓練中止について、これだけの事故を頻発させているのですから、その中止を政府として申し入れる姿勢はありませんか、こういうことを聞いているわけです。

中谷国務大臣 今後とも、住民の皆様方の安全には十二分に注意を払って訓練をしていただきますように、最大限米軍に要請をしてまいりたいというふうに思っております。

赤嶺委員 十二分に注意を払っても事故を頻発しますからね。日本語をつくっていかなきゃいけなくなりますよ、十二分どころか、十三分、十五分とか。

 ですから、再発防止にきちんとした態度をとり切れない限り、言葉だけでは解決しないのですよ、これは。私、本当に、住宅地域上空での訓練中止を申し入れることができない、申し入れるということをはっきり表明できない、そういう小泉内閣の態度というのは非常に残念です。県民のそういう危険、安全をも顧みない姿勢だと言わざるを得ません。

 次に、弾道ミサイル防衛についてお伺いいたします。

 政府は、TMDへの参加が集団的自衛権の行使につながるのではないかとの批判に対しても、あくまで、専ら我が国に対する弾道ミサイルの攻撃から我が国を防衛するためのシステムであって、他国を防衛するものではありませんから、そもそも集団的自衛権との関係で問題が生ずることはありませんと強弁してまいりました。

 しかし、今回アメリカの方は、さきのブッシュ大統領の演説でも明らかなように、ミサイル防衛ということで、これまでのNMDとTMDを一体化させる方向を打ち出してきています。これまでのように、弾道ミサイルが下降してくる段階で迎撃するという構想だけでなく、上昇段階で、それがどこに向けて発射されたものであろうと撃ち落とすという構想を新たに組み入れようとしております。そうすれば、おとりに惑わされることも回避できるし、同盟国の理解も得やすくなるというわけですが、ラムズフェルド国防長官も、NとTを区別するのはもはや有益ではないと発言しております。

 このように、NMDとTMDが一体化するということになれば、個別的自衛権の行使だから参加できるとしてきた政府の説明の前提が崩れることになるのではありませんか。もはや集団的自衛権の行使そのものではないかと考えますが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 ブッシュ大統領が発言をした段階におきましては、米国本土をミサイルから防衛するためのシステムということでございまして、あくまでも米国の防衛という見地でございます。

 一方、現在我が国が実施いたしております研究は、先生も御承知のとおり、我が国の領土に落下してくるミサイルを撃ち落とすための研究でございまして、あくまでも個別自衛権の範囲の中での研究でございますので、この構想と現在行っている研究がリンクをするということはございません。

赤嶺委員 実際にはもうNとTを区別しない方向で進んでいるわけですから、より危険な方向に踏み出していると思うんです。

 そもそも、この弾道ミサイル防衛構想なんですが、防衛的だと言ってきた今までの政府の説明自体が説得力がないものだと思います。アメリカが引き続き圧倒的な核戦力を保有して、核の先制使用政策も放棄しておりません。こういう中でガイドライン関連法もつくられて、日本に対する武力攻撃がないもとでも日米が共同して対処しようという体制がつくり上げられてきています。

 日米は、このような圧倒的な矛の部分を保有しているという事実を無視して、ミサイル防衛が防衛的だなどと主張することは詭弁であると思います。そこへ、そういう圧倒的な矛を持つところに、圧倒的な盾まで持とうということになれば、周辺諸国に多大な懸念、不安を与えるのは当然です。そうした国々が、その弾道ミサイル防衛を打ち破ることのできる新たな兵器を開発しようという誘惑に駆られ、軍拡競争が再燃することになります。

 憲法九条を持つ国として、このような軍拡競争を引き起こす計画には参加すべきではないと私たちは考えますし、今からでも研究をやめるべきではないか、軍拡競争への仲間入りを断ち切るべきではないかというぐあいに考えますが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 現実に、この構想は、現在世界に、四十一カ国に拡散しております弾道ミサイルに対して、米国本土を防衛するかということが趣旨でありまして、いわゆる飛んでくるミサイルを撃ち落とすというところに視点が置かれております。もし、これが成功をいたしますれば、現在持っているミサイルが無用化をされるということで、軍縮につながることもございますので、ぜひ、この成果がいい方向に展開をいたしまして、世界の軍縮が進んでいくように、また核を保有することが無意味であるように、そのように努力することを我々は期待いたしております。

赤嶺委員 圧倒的な矛と盾を持てば、それに対して圧倒的な矛と盾で対抗する勢力があらわれる、こういう軍拡競争なのか、あるいはやはりミサイルが使わなくても済むような平和外交、九条に基づく平和外交なのか、このことが求められており、本当に九条に基づく外交を強めていかなきゃいけないと思いますが、この点でも、小泉内閣、中谷防衛庁長官の発言は、逆行しているものであります。

 それで、上瀬谷の通信基地返還の問題について、さらに伺います。

 きょう、上瀬谷基地の地主が原告の返還要求に基づいて、裁判所が現地を調査しているところですが、この横浜市瀬谷区の米海軍上瀬谷通信基地について、五月三十一日の参議院の外交防衛委員会で、我が党の小泉議員が指摘したように、同基地の一部、一八%を除けば、全く使われておりません。私も現場まで行ってまいりました。

 一昨年の九月七日には、当時の我が党の中路前衆議院議員が、外務省を通じて在日米軍の承諾も得た上で、同基地の現地調査を行っています。そのときの対応者は、在日米軍上瀬谷支援施設司令官デビット・P・スミス氏でありました。この司令官の案内で基地内を見て、懇談をしておりますが、その際に、司令官は、上瀬谷基地の地図を使って説明し、現在使っている面積は百八エーカー、基地内でフェンスで囲まれた部分であり、これは全基地面積五百八十七エーカーの一八%であると述べ、八〇%以上は遊休地になっていると明確に言っています。

 ことし四月の参議院での我が党の小泉議員の質問に、河野前外務大臣は調査を約束し、そして、さきの委員会で田中外務大臣は、なぜこんなに調査について時間がかかるのか、事務方に指示しますという趣旨の答弁もされました。

 その後、その調査はどうなっているのか。調査をして、結果を報告していただけませんでしょうか。これは外務省になりますか。

藤崎政府参考人 御答弁申し上げます。

 今、委員御指摘の点、二点でございまして、一つは、上瀬谷通信施設の利用状況でございますが、本件につきましては、私ども、同施設の司令官に確認いたしましたところ、上瀬谷通信施設のうち、囲障区域内の部分は百八エーカーの広さであるということを述べて、囲障区域外も含め同施設を現在も通信施設として使用しているという説明を行った次第でございますという報告を受けております。

 この旨につきましては、質問主意書に対する答弁書という形で差し上げているところでございます。

 第二点、現在の上瀬谷通信施設についての状況でございますが、これにつきましては、委員御指摘のとおり、河野前外務大臣が参議院外交防衛委員会において調査する旨答弁いたしまして、さらに五月三十一日、同じ参議院外交防衛委員会で田中外務大臣からも、これについてきちんと把握していきたいという御答弁を申し上げたところでございます。

 私どもといたしましては、大臣の指示も受けまして、御指摘の施設・区域の現状について、引き続き関係省庁と協力いたしまして鋭意現状把握に努めているというところでございます。

赤嶺委員 北米局長、現場に行って調査をなさいましたか。

藤崎政府参考人 しております。

赤嶺委員 中路前議員に対して米軍の司令官は、囲障地域以外の場所は使われていないという発言を、政府は、いや、実は使われているんだというぐあいに打ち消されましたけれども、現場に行けば明らかなんですね、囲障地域以外は使われてなくて野菜畑になっているんですから。しかも、通信基地として必要な施設を撤去したわけですから、通信基地として規模を縮小してきたことは明らかなんですよ。それをアメリカは、私たちには使っていないと言い、皆さんには使っていると言う。そういうやりとりがあるから、そこに私たちは日米交渉の非常に不明朗なものを感ずるわけです。

 それで、問題なのは、アメリカ側は、米海軍上瀬谷通信基地の一部など横浜市内の複数の米軍基地、施設約百八十ヘクタールを返還する、その見返りとして、上瀬谷通信基地内に米海軍の家族住宅を日本側が負担する思いやり予算で建設してほしいということを日本側に申し出ていることです。

 日米の事務レベルの協議でアメリカからそのような要求が出されているというけれども、どんな内容のものなのか、具体的に明らかにしてほしいと思います。これは防衛庁ですかね、防衛施設庁ですか。

伊藤政府参考人 神奈川県内におきまして、米軍の家族住宅が不足しているということはかねてから言われておりまして、私ども、横須賀のベースの中等々でいわゆる提供施設整備として住宅等の建設をやっておることは事実でございます。

 ただ、ただいま御指摘のような、これだけ返すから上瀬谷にこれだけをつくれというようなお話につきましては、極めて事務レベルと申しますか、恐らく現地レベルと申し上げてもよろしいかと思いますけれども、そういうレベルの意見交換の過程で一つの考え方というものが示されたという経過はございます。

 しかしながら、これはあくまで事務レベルのものでございまして、いわば米軍の一つのアイデアにすぎないというふうに考えておりまして、その具体的な内容についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

赤嶺委員 一つのアイデアが出された、使ってない基地を返還するかわりに思いやり予算で米軍の住宅をつくってくれ、そういう一つのアイデアが出されて、そのアイデアに基づいていろいろな検討を、皆さんなさっていると思うんです。

 それで、私、日米の事務レベルの協議で、上瀬谷通信基地などの一部返還を条件に米軍住宅の建設をするということについて話し合うこと自体が問題だと思うんですよね。アイデアだという認識を持つこと自体が問題で、上瀬谷通信基地は、通信基地として使わなくなったら今度はアメリカ海軍の家族住宅として使用させる、しかも日本側の思いやり予算で建設するなどということは、これは本当に許してはならないと思うんです。

 地位協定の第二条三項では、アメリカ側は、提供施設・区域の使用目的が終了したときはいつでも日本に返還しなければならない、このように定められています。したがって、在日米軍が使っていない上瀬谷通信基地は直ちに無条件で全面返還するのが当然だし、そのことを求めて裁判を起こしている地主もいるわけです。

 ですから、日本政府も、使わなくなっているんだから、しかも、使わなくなったものを一つのアイデアとして住宅地をつくろうなどというような協議をするのではなくて、無条件に返還をせよ、これをアメリカに求めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

伊藤政府参考人 上瀬谷の通信施設の現況につきましては、先ほど外務省の方から御答弁があったとおりでございます。そして、先ほどの御答弁の中でも申し上げましたが、横須賀地区と申しましょうか、神奈川県に所在します米軍、特に米海軍でございますけれども、この家族住宅の不足という状況はあるわけでございます。

 そこで、私どもとしましては、適切な建設場所があるかどうか、そういったようなことについても検討はしておりますが、先ほど申し上げましたように、まだどこそこを返してどうするというような話を公式に検討しているわけではございません。

赤嶺委員 暗黙の前提として、上瀬谷通信基地は使わなくなっているのに、次、米軍住宅をつくる必要があるので今返還要求はしない、こういう姿勢で日米関係はいいのかということが問われていることを申し上げたいと思います。

 そこで、普天間基地の代替施設の問題について伺いたいと思います。

 普天間基地の代替施設について、六月八日の第七回普天間基地代替施設協議会で、防衛庁側から八つの代替施設案が示されました。地元の意見を聞いた上でこの中から一つ選び、基本計画を策定する、こういう方向になっています。

 そこで、環境省に伺いたいんですが、基本計画を策定後、環境アセスが義務づけられております。その環境アセスの結果、あの地域に米軍基地をつくることは余りにも環境への影響が大き過ぎるということで、そのアセスの評価として、事業は行わない、何もしない、こういう選択があり得るのかどうか、この点について環境省の御意見を求めます。

中川政府参考人 事業を実施するかどうかにつきましては、基本的には、事業者が、環境影響評価の結果、そのほかいろいろな事情などを踏まえまして総合的な検討を行うことにより判断されるというふうに認識いたしております。

 環境省といたしましては、適切な環境影響評価が行われるように助言をいたしますし、また、審査に当たりましては、事業者において必要な環境配慮がなされたかどうか、厳正に審査を行いまして、環境保全上の観点から必要な意見を述べる考えでございます。

赤嶺委員 事業をやめるか続けるかというのは、あくまでもこれは事業者の権限に属することで、環境省のアセスによってその事業がやらない、何も行わないということはあり得ないということですか。

中川政府参考人 あり得ないということを申し上げているわけではございませんで、そこは事業者が、環境影響評価の結果等も踏まえて総合的な判断で決めるべき問題だというふうに申し上げております。

赤嶺委員 環境省が判断することではなくて事業者が判断することだということですね、これは。そういうことでいいですか。もう一度答弁してください。

中川政府参考人 事業を実施するかどうかの判断は、基本的には事業者が判断することでございまして、環境省といたしましては、環境への影響を回避するために必要な助言を行い、また環境影響評価の適正な審査をするという立場でございます。

赤嶺委員 それで、あの地域につくられるのは米軍基地なんですね。米軍基地をつくるわけですが、アメリカの国家環境政策法、いわゆるNEPAと言われているものですが、これは基本計画策定以前に、その事業そのものの行為を行わないというのも、環境アセスの権限でできるようになっているわけですね。日本の場合には、まだ事業アセスという限界を持っている。

 それで、きのうの環境省の答弁で、基本計画の中に、基本計画として八つの案が出てくれば、複数案について環境アセスをやりますというような御答弁も外務委員会でありましたけれども、結局、基本計画というのはつくるということを前提にして、どれが環境に与える影響が少ないかということになれば、今、そういう環境アセスが行われる前に、八つの案から一つ選べということになっているんですよ。

 それで、八つの案を見せていただいたんですが、もう環境に対する評価というのはずさんですよ、この八つの案について。科学的な調査が入ったわけでもない。研究者自身が、藻の移植とおっしゃいますけれども、きのうも外務大臣も外務委員会で答えておられました、その代替施設協議会で、藻場の移植といっても、果たしてそれがうまくいくのかと。私、琉球大学の藻の研究をしている先生に伺いました。そんな藻の移植なんて、科学的に確立されているものではない、一、二年根が生えただけで藻の移植が成功したと考えるのは大間違いだ、根っこが根づいただけでは移植成功とは言えませんよということなんですが、あたかも、あの八つの案を見ると、藻場が影響を受けても移植すれば大丈夫だとかという話をやっているんですね。

 それで、藻場がなくなると、ジュゴンがいなくなる、絶滅危惧種がいなくなる、こういうところがあるわけですよ。それから、この地域というのは、沖縄県でも、自然環境の保全に関する指針というのがありまして、この地域は自然環境の厳正な保護を図る区域ということになっているわけですね。

 私、こういう厳正な保護を図る区域でありながら、科学的な調査は何も入れないで、八案の中から沖縄の側で一つ選びなさい、これは余りにも無責任だと思いますよ、全く無責任。そういう科学的な調査と裏づけと評価があって、初めて選ぶ基準も出てくると思うんです。これは基本計画策定後ではだめなんです。基本計画策定以前にやるべきだと思うんです。

 それで、去年の十月、アンマンで国際自然保護会議が行われたときに、一つの決議が行われました。その地域のジュゴンの保全に努めるべきだと。

 環境省はその地域のジュゴンの調査に乗り出すということを聞いておりますが、防衛庁、防衛庁長官、せめてこれらあの地域の、厳正な自然保護を努めるあの地域に皆さんが基地をつくりたいといって八案を出すのであれば、沖縄県民が科学的な裏づけを持って見解が出せるような、少なくとも環境省のジュゴン調査が終わるまでは基本計画を策定しないと。

 尾身沖縄長官に至っては、二、三カ月で策定しようなんというような発言もして、後で撤回しているようですが、皆さんの当初の計画としては、八月でつくろうというようなことを言っていますけれども、あれだけの自然にあれだけのものをつくろうとするときに、全くただの、調査も入れないような所見、自然に対する所見程度で選べということがむちゃくちゃだと思いますし、やはりジュゴンの調査が終わるまで、皆さんとしては基本計画の策定をとめておくというのが当然だと思いますけれども、これはいかがでしょうか。

中谷国務大臣 今後、基本計画の策定に当たりましては、環境面の配慮につきまして、環境影響評価を実施し、そしてその影響を、最大限にとめるための対策を講じ、そして、必要に応じまして、新たな代替環境の積極的醸成に努めてまいりまして、最良の場所の選定を行っていきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 防衛庁長官、私の話、何にも聞いていらっしゃらないと思うんですよね。代替環境というのは、藻場の移植のことでしょう。これは成功していないんですよ。科学的な裏づけがない。

 それから、事業実施に当たって、環境への影響が少ない方法をとると。これは事業実施ですよ。しかし、皆さんが今沖縄県民に提起したのは、八つの案ですよ、八つの案から一つの案を選べと。一つの案を選んで、その事業を実施するときに環境影響に少ないものをどうするかという話であって、八つの案を選べというのであれば、まともな、環境に与える影響について、所見程度ではなくて科学的な裏づけのあるまともな所見を出してほしい。

 それは、今環境省がせっかくあそこでジュゴンの調査をやろうというわけだから、そのジュゴンの調査、二年かかるか三年かかるかわかりません。でも、そういうしっかりした調査を踏まえるまでは、少なくとも、あの環境を大事にしたいという気持ちがあれば、基本計画はつくらないというのが当たり前じゃないですか。何でそういうことが約束できないんですか。

中谷国務大臣 その環境影響評価を基本計画策定前に実施すべきだという御指摘でございますけれども、代替施設の建設が環境に及ぼす影響について、調査、予測、評価を行う環境影響評価は、協議会における検討を経て決定される代替施設の規模、工法及び建設場所を含む基本計画の策定を踏まえて、環境の影響を最小限にするべく、より詳細な検討を必ずその後行うわけでございますので、その点を御理解いただきたいというふうに思います。

赤嶺委員 長官、私の質問の意味を理解してないのか、意識的にそらしているのか、答えたくないのかわかりませんけれども、私、基本計画以前の環境影響評価とは言っていないんですよ。ただ、余りにも、環境に与える影響について、皆さんの出した八案の中には、だれが見てもこれはずさんだなという程度の所見しか書かれてない。

 これを本当に科学的な裏づけのあるものにするためには、最小限、環境省が今やろうとしている、国際自然保護会議の勧告に基づいて動いているのかどうかわかりませんが、ジュゴンの調査はやろうとしている、このジュゴンの調査が終わるまでは、これは環境影響評価とは違いますよ。(発言する者あり)ジュゴン何匹いるんだよというのはだれが言いました、今。ジュゴンが何匹いるかということさえきちんとした調査していないんですよ。大体、政府はジュゴンを見つけようともしませんでしたから。あれは民間の人たちが見つけてきているわけですから。しかも、そのジュゴンが絶滅の危機に瀕するということを保護できない国は、どういう国だと言われますよ。

 ですから、ジュゴンについての調査が終わるまでは基本計画をつくらないということを、ジュゴンの調査が終わるまでは待ちましょうということを最小限言うべきじゃないですか。いかがですか。

中谷国務大臣 ジュゴンのお話が出ましたけれども、この代替施設の建設がジュゴンを含む環境に及ぼす影響につきまして調査、予測、評価を行うものでございまして、この中で、建設地点におけるジュゴンの生息状況、代替施設の建設が及ぼす影響等について詳細な調査を行おうというふうに思っております。

 今後、この件につきましても、環境省と十二分に協議をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

赤嶺委員 ジュゴンが絶滅の危機に瀕しながらも、ジュゴンに対する知見は環境省でさえ十分に持ち合わせていないというような段階で、米軍基地建設だけを、基本計画の策定だけを進めることについては、地元からも厳しい批判が起きています。二つだけ新聞の記事を紹介したいと思います。

  正直な感想を言わせてもらえば、市民生活や自然環境への影響が避けられない巨大な米海兵航空基地が、合意形成も図られないまま、新たに建設されるというのは、極めて深刻な事態であり、憂慮に堪えない。

  そもそも政府は、大事なことを棚上げにしている。県や移設先の名護市が強く要求する十五年使用期限の設定や、基地使用協定の締結に関することだ。これを置き去りにし、基本計画策定に向けた作業だけが着々と進んでいる。政府は八月にも建設場所や工法を決定したい意向だが、建設を前提として作業を急ぐ姿勢には、危機感を抱かざるを得ない。

という地元マスコミの二つの新聞社の声を紹介して、私の質問を終わります。

    〔委員長退席、高木(義)委員長代理着席〕

高木(義)委員長代理 次に、今川正美君。

今川委員 私は、社会民主党・市民連合の今川正美です。

 きょうは、主に田中外務大臣に対する質問が中心になるかと思いますが、田中外務大臣におかれては、御就任以来、いろいろな意味で話題の中心におられて、相当心身ともに疲労もおありかと思うんですが、まず最初に、この間の一連の、外務大臣が幾つかの国の外相と会談の中で発言されたことについては、既にこれまでいろいろな委員から質問等もあっておりますので、具体的な御回答は無理なのかなと思いつつも、大臣がおっしゃった、もろもろの個別の外相会談の中で、自分が発言したこととは随分違って、言ってみればねじ曲がって一部の外務官僚から一方的に情報が漏れてしまっているというふうなことをおっしゃっているわけだけれども、少なくとも私は、例えば五月の二十五日のフィッシャードイツの外相との会談の中身、あるいはイタリアのディーニ外相とのミサイル防衛をめぐるやりとりだとか、私自身は、新聞に出たことが真実であるとすれば非常に共鳴できる部分があるものですから、自分はこういうことを実際は語ったのに、実際新聞の報道を見てみると、こんなにここの部分がこう違うということは、やはり現時点でも、その真意はこうだったんだということは、こういう席で御発言は控えられますか。

田中国務大臣 これは極めて重要なことでして、日本の外交の、何といいますか、信頼性ということがまず基本にあることと、それから世間の方に違った情報を、マスコミがいいとか悪いとか、そういうことじゃないんですよ、意図的にやろうと思えば流せてしまう、国民の方たちをミスリードする、違う方向に誘導できるという恐ろしいことがあって、それから、そういう中でもって、何か閣僚なんというとえらく偉そうに聞こえますけれども、個人としての人権は全然守られない国家であるということが、私の感想として非常に切実に感じております。

 そして、こういうことに、本来やるべき議論ももちろんやっていますけれども、必ずどなたか、五人に一人ぐらいは必ず聞かれるという状態、それはやはり関心がおありになるからだと思いますし、ではありますけれども、やはり相手の方があることであり、会話は生き物ですので、何というんでしょうか、セリフのようにQがあってAがあって、QがあってAがあってという原稿どおりいくわけじゃありませんのでね。

 ですから、会話というものは大切ですし、その中から想像しないようないろいろな話し合いが、人によって違う組み合わせがあるということなんですが、要するにそれが私の総括した今の意見ですが、あえて言えば、例えばドイツの外務大臣とのケース、これは個別の中については触れませんが、今までずっと繰り返している発言を委員は御存じでいらっしゃいますよね。オーストラリアのダウナーさんが否定し、イタリアのディーニさんが否定し、ドイツもフィッシャーさんが否定しておられて、すべて向こうが中身が違うと。すなわち、相手がしゃべったことを私がしゃべったようにも改ざんというか、中身になっていたり、それから全然そのテーマになっていないことがあったりするので、根本的に違う。

 それも、一対一じゃなくて、きのうも私、参議院でちょっとお話ししたんですが、複数の方がおられますね、役所の方、その大臣に何人か。私の場合は回りに何人かおられる。通訳もおられる。したがって、複数の人が確認していてそれがなかったということですから、事実とは違うわけですが。

 つい最近になって、数日前、私は、このドイツの問題は、六月八日の東京新聞に、これはもうぜひはっきり申し上げたいんですけれども、さも会話のような形で、ドイツがこう語り、日本がこう語りというふうになっているのがありまして、それは直接その場で通訳した若い外交官が、私、気の毒だと思いますが、自分はこれではないと、自分の通訳したことは。そのノートも持っておられますし、それから電報ですぐ本省に送ったものも見せてくださいましたし、それと記事が違っている。自分が外務省の幹部に報告したことも書いてありますけれども、それとも違ったものがさも事実のように報道されている。

 私が記憶している話は、ドイツと一番話をしたのは、私は環境問題もしましたし、ユーロの問題です。なぜかといいますと、私は経済の問題で、日本の財政構造改革、それから財政再建もありますけれども、景気の問題等もありますが、国際金融という中でユーロが占める影響力、これは極めて世界の歴史で画期的なものになると思うんです、これはうまくファンクションすればですよ。

 したがって、毎年、そういうことの関心があるので、主人とイギリスに行って、そういう関係者や一般の人の意見を聞いたりずっとしてきております、ここ過去何年間か。それについて某紙に投稿したこともあります、ユーロについて。これによって相当日本の経済も変わると思って、アメリカとの関係もそうですが。そのことについて、なぜかというと、ドイツ、フランスもそうですけれども、ドイツは非常に主導的な役割を果たしてきているんですね。

 ですから、外交ではありますけれども、外交というとすべてを包含しておりますから、経済の問題に興味があって、その話をいたしました。通訳をやった人も、それがまず出てきました。極めて熱心にユーロの話をしたでしょう。環境の話もしたでしょう。それから、もちろんアメリカの話もしています。ドイツに限らず、ほかの場合も、あなた、なっておめでとう、日本で初めて女性の大臣ですってねと。女性の大臣は私のほかに四人おられましたから、ヨーロッパの方を中心に。そういう中でもって、あなた、アメリカにいつ行くのとか、新しいブッシュ政権、だれか会ったことあるというのは自然にほかの国の方たち同士もしているわけですよ。ありません、私、行って会ったわ、どんなだったんですかと。自分も会った、こんなこと政策を言っていた、ふんふんと聞くこともあるわけですよ。生き物なんです、会話ですから。

 それが、私が少なくともしゃべってないことで、通訳をやった人のノートにもないものが、役所に公電で行ったときも、それはコンフィデンシャルでしょうけれども、それにも私が言ったとおりが載っていて、そして本省に渡して、そこから新聞に出るときは全然、その新聞社が私は悪いと言っているんじゃないんですよ、どうしてそういう形でもって、さも真実のごとく報じられるのかと。

 それから、先ほども機密費について、何か一部私が見せたとか見せないとか。あり得ないことですよ。保管してある場所が大きなところで、個人でなんか入れませんし、役所の方もみんな、これを聞いても、見たことも行ったこともないと皆さん言っていますから。そんなところに個人が行ったり、持ち出したりなんかできるような分量じゃないんですよ。一枚抜けるような、そんな状態じゃないんですから。本当なら、皆さんいらしてみたらすぐわかるような状態ですよ。

 ですから、そういうことを、いかにも人が信じてしまいがちなことを、これは日本国民の皆様に対して、大変なこれは問題だと思うので、こういうことをちゃんと調べて、ちゃんとした、法的措置と言うとまたきつい云々と言われますが、では、どういう方法があるのかと私は思っています。

 こういうことがまた起こっていいんだろうかという思いを深くしておりますので、相手がこう言った、マスコミがこう言った、そういうことを、一々秘密でありますと言ってふたを閉めるのは、従来であれば、こういう紙がありますから、役所のを読んで、できますよ。これはもう、こうこうこうでありますので、相手があるのでお答えはしません、コメントはいたしませんと言って議事がとまってもそれをできますけれども、あえて私はそれはしてはいけないと思います、日本のために。幾ら自分がつらい思いをしても、それがやはり、私が今たまたまもめている、大変な曲がり角の外務省で重責を担わせていただいているという宿命でしょうから。これがきちっと片づかないと政治に対する信頼も取り戻せないと思っています。

    〔高木(義)委員長代理退席、委員長着席〕

今川委員 それでは、具体的に少し中身に入ってみたいんですが、きょうもこの委員会では相当例のアメリカのミサイル防衛計画について議論が集中しておりますが、このミサイル防衛計画、これもTMDあるいはNMDあるいはBMDという、一般の国民にはちょっとわかりづらい言葉が並びますけれども、今、クリントン政権時代から新しくブッシュ政権にかわって、どこからか飛んでくる弾道ミサイルを防御する、いわゆるミサイルの、迎撃ミサイルによる防衛網を張る、そういう考え方でしょうけれども、先般の党首討論の中でもありまして、小泉総理の方も、こういう新しいミサイル防衛計画が実現したら核兵器を無力化できる、あるいは全く新しい展開になるんではないかという趣旨のことをおっしゃいましたし、昨日は、軍縮、軍備管理のためにやると言ったとしても、軍拡の、軍備拡大の可能性がないとは言えないともおっしゃっています。

 これは、ただ理屈、理論だけではなくて、アメリカが長い間、八〇年代を通してミサイル開発あるいはミサイル防衛計画が変遷をしてきていますけれども、その背景に一つ、私は見逃せないのは、アメリカの九〇年代を通して大編成をされた巨大な軍需産業、ここを無視できないと思っています。もちろん、それを裏で操ると言うと表現が妥当ではないかもしれませんが、巨大な石油メジャー、こういったものがあるんだと思います。

 ちなみに、この大編成をされたアメリカの軍需産業の中で、特に弾道ミサイル防衛計画に深くかかわるアメリカの軍需産業、いわゆる国防総省、ペンタゴンの受注額のランクからいきますと、第一位ボーイング、第二位ロッキード・マーチン、第三位TRW、それから第四位レイセオンとか、この後もずっとまだあるわけですけれども、非常にそういう軍事理論上どうかということの側面だけではなくて、より現実的には、特に冷戦が終わってから一番そういった意味では厳しい局面に立っていた軍需産業の側が、買収をしたり合併をしたり再編成がされたり、そういう中で、政権がかわると同時に、まあ平たく言うと巻き返してきたという気もいたします。

 そういった意味では、これが中長距離ミサイルであるか短距離ミサイルであるかを問わず、飛んでくるミサイルに対してミサイルでまた迎え撃つというふうな論理を重ねていけば、これはだれがどう見たって、やはり軍拡競争につながっていかざるを得ない、そういうふうに思うわけです。

 そうした意味で、七二年に当時の米ソの間で結ばれたABM制限条約にいたしましても、アメリカは、新たなミサイル防衛計画を進めるに当たって、撤廃もしくは見直したい、これをロシアなどに持ちかけたいというふうに言っているわけでして、そういった意味では、これまでの九〇年代を通して進んできたSTART1あるいはSTART2という核軍縮にも逆行してしまうんではないかと思うんですが、その点、外務大臣、いかがですか。

杉浦副大臣 アメリカのミサイル防衛の考え方については、私も、この間アーミテージさんが来られたときに植竹副大臣と一緒に相当長時間、お話をお伺いいたしました。

 まだ、どういう方向に動いていくかわからないんですが、その基本的な考え方は、私は、アメリカが自分の国を他国のミサイル攻撃からどう防衛していくのか、自国の国益に立った防衛をしなきゃならないという考え方から出ているものだというふうに理解いたしました。

 御承知のとおり、先生もちょっと今触れておられますが、かつては、ABMが結ばれたころは、超大国、米ソを中心とするごく少数の国しか大陸間弾道弾、よその国、遠くまで飛ばして攻撃する武器は持っていなかったわけであります。

 御案内のとおり、再三発表されておりますけれども、現在はもう四十一になっておるというわけでありますが、そのミサイルが広範に拡散をして、しかも、彼らはローグカントリーと言っていますが、ならず者国家、どこを指しているかわかりませんが、これが幾つかある。したがって、アメリカの国土に予期もしないところからミサイルが飛んできて、自分の国が破壊されるという可能性が非常に増加している、冷戦後ですね。そこに着目をして、自国をどうやってミサイルから防衛するか、しなきゃならないという見地から検討を始めようとしているものだというふうに私は理解しているわけでございます。

 私どもも、植竹さんと二人でいろいろとお伺いしたんですが、まだこれから検討、研究をして、どうしたらできるかということを、これはブッシュさんの選挙の公約でもあるわけですね、意向という段階であって、例えば洋上防衛になるのか、陸上で防衛するのか、どういうようなミサイルを開発するのか、それはこれから検討をしていくわけであって、ある程度のアイデアはあるけれども、まさにこれからの問題だ、したがってそういう我々の立場を理解していただきたい、そのコンサルテーションに来たんだ、こうおっしゃっていました。日本との間では日本の防衛のためのミサイル防衛の研究もやっているけれども、それとは直接関係のない、アメリカの防衛の問題だということでございます。

 それに対して、したがって、アーミテージさんは、私は大変ある意味で感動したんですけれども、まず日本へ来た、アメリカの高官としてですね。その気持ちは本当にありがたいと思いましたし、それから、中国へも行く、インドへも行く、もちろんチームを編成してロシアにも行くし、EUともいろいろと話をさせていただく、御理解を得てやっていきたいということを申しておられました。

 一方において……(今川委員「ちょっと手短にお願いします。時間があれですから」と呼ぶ)はい。ロシアとの関係では、もう一方的に、ちょっと数字は今手元にありませんが、大量の一方的にミサイルを破壊する、破棄するということも言明しておられるわけでございまして、私は、これからどういう姿をとってまいるかわかりませんけれども、それは少なくとも理解できるものではないだろうか。

 防衛産業というのは、御案内のとおり、冷戦後、核兵器の大量破壊ということでアメリカの場合大変なリストラをやりました。平和の配当とも言われておるわけですが。もちろん、防衛をやっていくためにはそれをつくり出す産業もある程度は必要なわけでございまして、日本でも防衛産業はあるわけですが、再編成も行われておるということがあるわけですけれども、その産業の再編成とこのミサイル防衛計画と直接のかかわりがあるというふうには私は思えないところでございます。

今川委員 持ち時間が少ないのでできるだけ簡明にお願いしたいと思うんですが、このミサイル防衛に関して、例えば中国あるいはヨーロッパの国々はどのような反応をしているかということですが、田中大臣、これは御存じのように、中国は相当厳しく批判をしていますよね、NMDはやるべきでない。最近は、NMDとTMDをブッシュ政権は一体化して運用していくということのようでありますが、その違いは別にして、ヨーロッパ方面でも、新聞報道でもありますように、技術的な困難さ、あるいは膨大なコストの面からいかがかという問題であるとか、これが結局、先ほど申し上げたように、軍備拡大競争、軍拡の方に連動していかないかどうかというやはり非常に厳しいハードルを設けて、慎重な姿勢を崩していないと思うんですね。

 例えば、これは一つの例なのですが、昨年一月と七月に米国では実際にNMDのテストをしていますが、二回とも失敗しています。そのときのTRWの技術者だったある人が次のように証言しているんですね。ミサイルを空中で識別できる確率は五ないし一五%しかなく、テストは失敗続きだった、さらに続けて、これはアメリカを守るためのものではありません、政府を食い物にする陰謀にすぎない、要するに軍需産業が職場をつくり出すのになくてはならないものなのですという証言もあります。

 それから、さらにさかのぼるとSDI構想のころ、レーガン時代、八四年の六月に見事にミサイルを撃ち落とすテストに成功したという話があったらしいんですが、これは全くうそであって、ニューヨーク・タイムズ紙上で科学者が次のように言っています。撃ち落とされる側の標的用のミサイルの内部に発信装置をあらかじめ仕込んでいますから当然当たりますよね、こういうふうなトリックがあってみたりします。

 これがすべてとは言いませんけれども、このように軍事理論上のことだけではなくて、いわば軍需産業の側が誘発をしていく、そういったものが多分にあるんだと思うんですが、先ほど申し上げた中国とか欧州各国の反応を、田中大臣、どう評価されていますか。

田中国務大臣 それぞれのお立場で思いがおありになるのだというふうに思いますのでコミットはいたしませんが、ただ、このミサイルの戦略構想につきましては、アメリカは、日本を含めてロシアや中国、もちろんヨーロッパにも同盟国があるわけですけれども、これらと緊密に連絡をとりながらやるということを言っておられますし、それからもう一つは、やはり核の拡散、今も四十一カ国というふうに言われていますけれども、そういうものを未然に防ぐというような、そういう考え方が基本にあるということを私は理解をしてよろしいというふうに考えます。

 ただ、これが盾と矛の関係になると、きのうのクエスチョンタイムで総理がおっしゃっていましたけれども、そういうふうな面も、やはり冷静に見なければいけないという面もあるかと思いますので、したがって、私は、こういうことも含めて、ほかの国はほかの国の立場の意見もおありになると思いますが、何かこの訪米、短い時間でこんなにいっぱい抱え込んで私は大丈夫かしらと思っちゃいますけれども、やはり冷静に、どういう見通しが立っているのか、実験の過去の失敗、将来の見通し、コストの問題ですね、それらも伺ってみたいというふうに考えております。

今川委員 次に、あと二点ほどは、これは中谷防衛庁長官の方にお尋ねですが、防衛白書の最新のものだと、日本の政府としてあるいは防衛庁としてはBMDということで、BMDの共同技術研究というふうに言葉を使われていますね。TMD、この一応の基礎的なものは私も理解はしているんですが、どちらかといいますと、政府が日本の国民に対して説明をするときには、アメリカの説明によるいわゆるこのTMDなるものは、同盟国あるいは海外の米軍基地を防衛するためにあるんだと言った方が説得力があるように思うんだけれども、あえてBMDという言葉で統一しているというんですか、防衛白書などではそうなっていますが、その使い分けをどうしてそういう形でしているのか。ここはちょっと長官、説明ください。

中谷国務大臣 おっしゃるとおり、これ全体で米国は何と呼んでいるかというと、BMDと呼んでおりまして、この中にTMDとNMDがありまして、NMDは米国本土をICBM等から守る、TMDにつきましては、海外に駐留する米軍及び同盟国、友好国を戦域弾道ミサイルから防衛するものでありまして、中短距離ミサイルを視野に入れたものでございます。

 我が国の場合、TMDと呼称をいたしますと米国の弾道ミサイル防衛の計画の一環と混合されてしまう可能性がありますので、我が国におきましては、米国の固有のプログラムの名称を用いずに、より包括的かつ一般的な意味を有する弾道ミサイル防衛という意味でBMDというふうに呼ぶようにいたしております。

今川委員 これは先ほど他の委員からも同じ質問があっているんですが、今私の手元にあるのは朝日新聞の六月二日付なんですが、その見出しは「米が共同研究拡大打診」、ただし、その中の記事を見ますと「研究分野を広げるよう、非公式に打診していることが明らかになった。」というふうになっていますが、改めてちょっと再確認なんですけれども、まず、アメリカ側が、これまで通称TMDの共同技術研究を実際やっているわけですね。この分野を拡大したいということに対しては基本的にどう認識されていますか。

中谷国務大臣 防衛庁の各局に確認をいたしましたところ、御指摘のような分野を拡大とするような提案を米国が非公式にも打診しているという事実はございませんでした。

今川委員 時間の関係で、本来は、事前の通告では、宇宙条約に関する問題であるとか集団的自衛権のところもちょっと外務大臣の方にお聞きをしたかったんですが、途中、時間の関係でちょっと入れかえまして、三番目の、ガラスメーカーHOYAに関する問題を先にやらせていただきたいと思います。

 これは、光学ガラスの日本の大手メーカーであるHOYAという会社が、実はアメリカの水爆研究施設、国立点火施設、略称NIFというんですか、にその主要な部品となるレーザー光線増幅用の特殊ガラスを納入しているという問題です。これに対しては、市民団体や被爆者団体などがかなり厳しくHOYAに対しては抗議を申し入れて、そういうことをやめてほしいということを言っているわけですけれども、まずこの事実確認ですが、外務大臣、これは御承知ですね。

宮本政府参考人 存じております。

今川委員 これは核爆発を伴うような実験に直接かかわっているんじゃないんですけれども、少なくともこれは、現在米国が持っている核兵器の維持管理、あるいは、そこにとどまらずに新型の核兵器の開発にもつながりかねない、あるいはつながっているかもしれない、そういうところに、HOYAの現地法人ではありますから、直接的に、武器輸出禁止三原則に直接触れるわけじゃないんですけれども、そういう水爆開発という核開発にかかわるようなところに、少なくともこのHOYAの場合にはNIFが必要とする三千五百枚のガラス板のうちの約半分を納入し、残りの半分は米国にあるドイツのショット社というところが納入しているらしいんですけれども、少なくとも日本の民間企業がこのような形でかかわっていいのかという問題はどうですか。

宮本政府参考人 NIFが実施しております計画でございますが、これは保有する核兵器の安全性と信頼性を核爆発を実施することなく確保するための保有核兵器の管理運営計画、その一環でやっているというふうに聞いておりますし、その種の行為、行動につきましては、CTBTが禁止しております核爆発には該当しないというのが国際社会の共通した理解でございますので、そのことをもって直ちに問題があるというふうには理解いたしておりません。

今川委員 確かにCTBTは、今国内的にも問題になっているのは、核爆発を伴わなければそれでいいのか。よその国は別ですよ。我が国は少なくとも非核三原則もあり、特に被爆国ですから、そういう核の開発だとかという問題にはもっと厳しい姿勢でありたいと思うんですね。

 これは、少なくとも、ことしのたしか三月ぐらいでしたか、広島の市長などもやはり中止すべきだということでHOYAに申し入れて、ごく一時期ですけれども一たん見合わせているんですね。そういった意味では、日本の政府として責任を持って、HOYAの本体、本社に対して、これはやはり問題があるということで早急に中止を申し入れていただきたいと思うんですが、この点、田中大臣、いかがですか。

田中国務大臣 この問題も私も関心を持っておりますけれども、今のところは確かにHOYAから直接詳しい情報はまだ得られておりませんので、詳細なコメントはできずにおりましたし、また、いろいろ調べてみても、核爆発につながるようなものではないというふうなことは間接的に聞いておりますけれども、今そういう御提案もありますので、今のような、もう少し事務方から、詳しい説明のお時間をいただけるのであればもう少し詳しいことを申し上げますが、いずれにしても、CTBTの早期発効に向けて努力をするということは大事であるというふうに思っております。

 あと、事務方からもう少し詳しいことを申し上げた方がいいと思いますので。

宮本政府参考人 核軍縮を行えというのが日本国民の強いお気持ちであるということはわかっております。

 政府といいますか外務省としましても、そういうお気持ちに沿って政策を実施していくべきであるというふうには考えておりますが、本件に関しましては、先ほど申し上げましたように、核兵器国として、通常、これはアメリカ以外も類似の施設は持っておるというふうに聞いておりますけれども、そういうところで行われておる核兵器の管理運営計画ということでございますので、そのことに対して協力されることをもって一概に政府としてどうこうというのはなかなか難しいかなというふうに思っております。

今川委員 そこのところは、もう少しはっきりさせたいんですね。今申し上げたように広島、いわゆる一地方公共団体が、その長が、特に広島は被爆県ですから、やはりそういう立場からHOYAに申し入れて、たとえ限定された一期間であれ、納入を見合わせたという実績がことしに入ってからあるわけですから、それをまた再開したから問題になって、被爆者団体などが一たん納入をストップしたのにまた再開するとは何事だという申し入れをしているわけです。

 ですから、これは外務大臣、もう一度、きょうあしたということじゃなくてもいいんですが、きちっともう一度事実関係を押さえて、核爆発に直接かかわるのでなければいいんだということではなくて、少なくとも被爆国日本が、一民間企業が現在米国が持っている核兵器の維持管理であるとか、場合によっては新型核兵器の開発にもつながりかねない、私はつながっていると思うんですが、その一番心臓部分のところに必要な特殊ガラスなんですね。それを現地法人を通した形で、ドイツの社と日本のHOYAと二社だけがそこに納入をしている。非常にそういった意味では、国際的にも関心を抱かれている問題でありますので、これは十分早急に調査した上で、申し入れるものは申し入れるというふうにおっしゃっていただきたいのです。いかがですか。

田中国務大臣 民間のことでございますから、なかなか国が直接関与するということは難しいかと思いますけれども、検討に値するというふうに思います。

今川委員 時間がもうちょっとしかありませんが、集団的自衛権の問題も今非常に大切な問題として話題になっておりますので、まずこれは外務大臣にお伺いしますけれども、これまでの日本政府が理解をしてきた従来の集団的自衛権にかかわる政府見解に変わりがあるのかないのか、そこをよろしくお願いします。

田中国務大臣 このことはもう繰り返しいろいろな委員からあらゆるところで質問をされてきていることでございますけれども、集団的自衛権の研究というものは、仮定の状況を個々に検討するということよりも、日米安保体制というものの強化、国連の平和のための活動、そうしたことのために日本としてもっとなし得ることはないのかということを本当は私たちは考えていかなければいけないというふうにも思っております。

 そして、これは毎回お経のように同じことを申し上げて恐縮なんですけれども、日本は国際法上は集団的自衛権というものはあるということでありますけれども、きょう午前中の議論でもございましたけれども、憲法第九条のもとにおいては、やはり許容されている自衛権の行使というものは、日本を防衛するための最小限度のもの、最小限度の範囲に限るというふうな、とどめるべきであるというふうなことでありますので、集団的自衛権を行使するということは憲法上許されないということになっておりますが、そのほかいろいろと議論がされて、今特にこの内閣になってから活発になっておりますので、そういういろいろな御意見を研究するということがこの小泉内閣の命題でありますし、総理大臣もそういうふうにおっしゃっておられますので、ぜひ活発な御意見の開陳をしていただきたい、そのように思っております。

今川委員 もう時間が参ってしまいましたので、この問題に関しては、田中外務大臣が、四日後ですか、訪米されるということもお聞きしていますので、その後、またこの国会の会期の中で許されれば引き続き議論をしてみたいと思っています。

 最後になりますが、先ほどのミサイルの問題も、私は少なくともこう思います。

 短く言えば、ミサイルに対してミサイルで守ったりどうしたりということのもう時代ではなくて、私は、前内閣の場合にも申し上げたんですが、きょうお二人を前にしていて失礼なんですが、これからの日本の安全だとかアジアの平和だとかというのは、どちらかというと防衛政策が前に行くのではなくて、やはり外務省主導、外交政策がもっと全面的に前に出るべきであると思います。

 そういうミサイルの問題は、七〇年代少なくとも米ソ二カ国だったのが、今はもう四十カ国を超えているよということ、現実はあります、ありますけれども、しかしそれは、外交の中で事前に紛争を予防する、あるいは大きいか小さいか国の規模を問わず、少なくとも外交のお互いのやり合いの中で、不要なミサイルの輸出がなくていいように、あるいはミサイルをどのように具体的に削減していくのかというのは専ら外交の仕事だと思いますから、ぜひ、外務大臣も防衛庁長官と十分その横の連携をとっていただきながら、国際社会から笑われないような方向でリードしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

川端委員長 次に、小池百合子君。

小池委員 保守党の小池百合子でございます。

 まず最初に、防衛庁長官に伺いたいと思いますが、私ども保守党、前回の国会でも、防衛庁の防衛省昇格ということで法案を出させていただきました。残念ながら、途中で不幸なことがございまして、一人提出者が欠けてしまって要件を満たさなくなった。細かいことは申しません。

 ということで、また再度、今度は参議院の方で挑戦をさせていただくということでございます。参議院の方は、提出者、全体で十一名が必要ということでございますので、今何とかかき集めているところなのでございますが、本来は、集団的自衛権の問題など、これほど正面にぼんと持ってきておられる小泉内閣であるならば、まさに自民党がそれで一致すれば、すぐできる話なんですよね。

 一月六日の省庁の再編で、環境庁は環境省に堂々と昇格をされました。環境も十分、もちろん大変重要な分野でございますけれども、私は、国を守るという防衛というのは、それにも増してというか、匹敵するほどというか、それ以上、私は重要だと思っているんですね。そのあたり、いかがでしょうか。防衛庁長官としての御意見、そしてまた、ぜひ自民党もおまとめいただきたいという、お仲間もたくさんいらっしゃいます、その気概の方を聞かせていただきたいと思います。

中谷国務大臣 防衛庁の省昇格につきましては、行革会議の最終報告におきまして、政治の場で議論すべき課題というふうにされておりますが、防衛庁といたしましては大変、小池委員の御提案、御発言はありがたい話でありまして、一日でも早く省への移行をお願いいたしたいと思います。

 その理由としては、まず第一点は、国の安全保障、防衛は、国民の生命財産を守る大変重要な部分であるということ。第二点は、現在、阪神大震災とか不審船の事案におきましても、自衛隊を運用することも、また法律の制定なども、防衛庁長官の名前で閣議を求めることができません。予算の要求や執行を財務大臣に求めることもできていないわけでございます。

 このような点を改善するためにも、ぜひとも一日も早く省へ移行するように、私は個人的にはそう思っておりますし、これからもよろしくお願いいたしたいと思っております。

小池委員 こうやって防衛庁を防衛省にするということは、システムを変えるわけですから、まさしく構造改革ではないかということで、参議院でまず法案を提出させていただきますけれども、ぜひ防衛省でしっかりと我が国の国防をお願いしたいと思っているところでございます。

 さて、世界の技術革新、特にITなどはドッグイヤーと言われて、本当に日進月歩で変わってきているわけでございますが、軍事の世界、防衛の世界も同じでございます。言うまでもなく、米軍の場合には、RMAというのを真っ先にと申しますかいち早く、いろいろな法律なども設けて、十分な予算をとって、RMA型の軍隊ということに変えてきているわけでございます。

 防衛庁におかれましても、市谷の方に新庁舎をおつくりになった際にはそういったことも念頭に置いて、また中期防の中でもそういったことも念頭に置かれた予算の編成がなされたと思いますけれども、やはりこのRMA化を進めていくというのは、世界の中の防衛ということにおいておくれをとらないといいますか、逆に言えば、やはりこういった情報技術が軍事の優劣を決めてしまうということは、コソボなどの例を見てもよくわかるわけでございます。

 そういった取り組みについて、その全体的なシステムとしての取り組みについて、また、人材の育成など、これもこれまでとは、ただ体が丈夫ということでも困ってしまうということで、特別そういった専門の人も必要になってくると思います。そういった取り組みについて、教えてください。

中谷国務大臣 御指摘のように、RMAというのは、レボリューション・イン・ミリタリー・アフェアーズ、軍事における革命ということで、各国とも研究を進めているところでございます。

 御指摘のとおり、情報技術が軍事力の優劣を決するというのはそのとおりでございまして、私も、イラクに対する米軍の攻撃の中で、砂漠にいる兵士がどこから飛んでくるかわからない弾に逃げ惑う姿をテレビで見たわけでございますけれども、まさしく情報技術が軍事力の優劣を決める一例だと思います。

 今行われているのは、これをいかにシステム化をするということ、それから、インターネットが生活を変えていることに象徴されますように、戦術も、組織、訓練、そして戦い方、これはすべて変わってきております。二点ございますが、一点は、サイバー攻撃等については、これはまだ、それに対する認識が高くて、国を最終段階に至らしめるほどの問題はないと思いますが、もう一点のコンピューターのネットワーク化、ハッキング攻撃と申しますけれども、これに伴う戦い方の変化が大変重要な問題であると認識しております。

 注意する点は二点ございまして、こういう情報量が大変増大しておりますので、必要な情報を選別したり処理する能力が困難になって、人間の能力を超えてしまう。特にコンピューターを扱うことがなかなか必要になってまいりますので、その能力を持たせるということ。もう一点は、情報RMA化された部隊が、本来のゲリラとか人海戦術とか、いわゆる情報と非対称にある組織にいかに戦っていくかという問題につきましては、今後大変重要な問題でございますので、今後とも防衛庁といたしましても、情報RMAの研究を行ってまいりたいというふうに思っております。

小池委員 ありがとうございました。特に、日米同盟関係の中で、さまざまな共同訓練も行われるということでございますから、あちらのデジタル化とこちらのアナログ化とがうまくコンパチしなければ、なかなかその辺の共有もできないという問題になってくるかと思います。そういったRMAという方向に根差してこれからの訓練の内容も変わってくるんじゃないかなと思うんですね。

 そして、先ほど申し上げましたように、人材、これからの新しいリクルートといいましょうか、新しい隊員のリクルートにとっても、違うファクターも入ってくるんじゃないかなと思っておりますので、ぜひそういったマインドでお進めいただきたいと思っております。

 それから、私、ちょっとシーレーンのことについて伺わせていただきたいと思っております。海上保安庁の方もいらしていると思いますので、防衛庁の考え方も含めて伺いたいと思いますけれども、今、原油の輸入量、そして天然ガスを含めた輸入量は、年間で二億一千万トン強となっております。日本がこういった海外にエネルギーの源を依存しなければならないという国であることは、これは逆立ちしても変わらないわけですから、そういった意味で、シーレーンの防衛というのは大変重要な問題だと思います。

 今申し上げました数字を、大体二十万トンタンカーだとすると、一日に三隻の船が日本の港に入る必要があるということでございまして、そして全体を平べったくいたしますと、この二十万トンタンカー換算をいたしますと、たった今も二百七十隻が日本に向かう航路上にある計算になるわけですね。それほど日本の間をタンカーが行ったり来たりしているということでございます。

 ここへ来て、特に九〇年代になってから、海賊問題というのが大変頻繁に起こってきているわけでございまして、日本のシーレーンとなりますと、特に今問題となっておりますインドネシア、例のロンボク海峡なども通っていかなければなりませんし、そしてまた有名なマラッカ海峡ということでございますが、二十万トン以上の船はマラッカ海峡を通らないんですね。アチェの紛争とか、今インドネシア情勢も大変緊迫の度を深めている。そこで日本の船が通過をしていく。さらには、そういった各国の緊張した情勢に加えて、海賊による襲撃が大変頻繁に起こっている。これはまさに、日本に運ばれるそういったエネルギーを守るというのも、これも大変重要な話でございます。

 まず、海賊という点は、これは海上保安庁の方の役割になるかと思いますけれども、どうも国内法の整備などが十分できかねるような状態だと伺っております。その犯人を沿岸国が捕まえてもそれを日本の方では罰せないとか、いろいろ問題があると思います。また、東京で海賊対策国際会議というのを去年お開きになっておられますけれども、法律的な面も含めて、どういった対応をとっておられるのか伺わせてください。

縄野政府参考人 海上保安庁からお答え申し上げます。

 いわゆる海賊行為、船舶に対する武装強盗でございますけれども、おっしゃられますように、船舶の安全航行、つまり海外に物資、エネルギーを頼っております我が国にとって非常に重要な問題でございます。特に東南アジアで発生する海賊行為は私どもの、我が国の存立にもかかわる大きな脅威となっていると考えております。

 そういうことで、昨年四月に、関係国の海上警備機関、私どものような立場の機関の代表者によりまして海賊対策国際会議を開催させていただきました。基本的に、関係国によりますいろいろな情報の連絡窓口を作成するとか、自国の取り締まりのそれぞれの体制を強化することでありますとか、連携の活動を強化する、それから技術のレベルアップを図るというようなことについて、さらに、それらの内容について専門家会合を続けていくというようなことを合意いたしたところでございます。

 これに基づきまして、さらに昨年の十一月には、とりあえずでございますが、インドやマレーシアと私どもとの共同、連携訓練を行いまして、さらには、先月実施しました私どもの総合訓練、観閲式にはインドからも巡視船を派遣していただきまして、その後共同訓練を行いました。

 基本的には、私どもとその関係機関の協力体制を明示することによりまして、一つは抑止効果を私どもとしては目指しておりますし、それから関係国の、私どもを含めました技量のアップというものも図っております。海上警備機関だけでこの問題が解決するとは思っておりませんが、関係機関とも連携をとって、さらに体制強化を図ってまいりたいというふうに思います。

 御質問の法令の問題でございますが、基本的には、例えば日本の船が他国の領海において海賊行為に遭った場合に、基本的には、一義的にはそれぞれの沿岸国の主権によって捜査あるいは警備、摘発というものが行われます。ただ、日本の国籍であれば、状況によっては、駆けつける状況であれば私どもが、非常に時間はかかりますけれども駆けつけるということも考えておりますし、それから、事後になりますけれども、私どもが日本船籍の船について取り調べをするということはもちろん可能でございます。

 そういうことで、関係国とのそういう制度面での連携強化についてもさらに深めてまいりたいというふうに思っております。

小池委員 余り時間がかかったら駆けつけるという表現はふさわしくないんじゃないかなと思いますけれども、第一義的には海上保安庁、そしてそれをバックアップするという意味では防衛庁の役目もあると思います。いかがでしょうか、今の質問。

中谷国務大臣 防衛庁といたしましては、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合には、おおむね一千海里程度の海域におきまして海上交通の安全を確保することを目標に、艦艇、航空機等、これらの作戦に必要な防衛力の整備に努力をしているところでございます。

小池委員 ありがとうございました。

 防衛というのは、単にドンパチではなくて、むしろこういった海賊問題などの方が日常的な話でございますから、ぜひうまく連絡をとって、我が国への富が運ばれるということをしっかり守っていただきたいと思います。

 さて、きょう、例の小泉内閣メールマガジン創刊号というのが流れたようで、私は、きのう登録したのでまだ今週号はいただけないみたいなんですけれども、そこで、ちょっと手に入れた中に、なるほどおもしろいなと思って読ませていただきました。

 小泉総理が、「総理というものは、二十四時間全て公人、何が起こってもすぐに対応できなければならないと思います。」というふうに書いておられる。まさに今、田中大臣は二十四時間公人でいらっしゃるということから――お疲れですか。そうですか。

 その後、「大臣のほんねとーく」ということで、扇国土交通大臣が一筆を寄せておられる。それで、「昨年の七月四日に私が建設大臣に就任した時、国民の皆様は驚かれたことと思います。」そして、しかし、「大臣を受けた以上は、「二度と女は建設大臣にしない。」と言われたのでは後輩に申し訳ない。「初めて女が建設大臣をやったけれど、女がやってよかった」と言われるようなことをしたい。」というふうにおっしゃっておられます。

 私は、大臣が男であろうが女であろうが関係ないというふうには思っておりますけれども、しかし、田中大臣、初めての女性の外務大臣に御就任されて私ども大変喜んでおります。と同時に、大臣はそういう意識はないかもしれないけれども、やはりほかの方は女性だという目で見ておられるというのは、私、これは事実だと思うのですね。大丈夫です、女性でやっていけますから、まだ。

 そういう意味では、私どもというか、ほかの女性議員も、一挙手一投足、マスコミではございませんけれども、注目をしている、これは事実でございますので、ぜひとも、パニックであるとか寝てないとか、忙しかったとか、時間がないとか、そういう弱音を公式な場では吐かないでいただきたいと思うのでございますけれども、お疲れでしょうけれども、いかがですか。

田中国務大臣 エールを送っていただきまして、ありがとうございます。

 ただ、私、学生のころから余り女性として、男性ばかりの学校におりましたのですけれども、全然女性というふうに認知されていたというふうに、自覚も余りありませんし、この職場に来ましても、人物本位、能力本位、適性というふうに思っていますし、やる気の問題と思っておりますので。

 この間、ASEMのときに、時間がありませんから、ちょっと短くお話しした方がきっと御迷惑がないと思うのですけれども、欧州から四人の女性外務大臣が来られました。ルクセンブルク、オーストリア、オランダ等ですけれども、ウエルカム・ツー・アワ・クラブと言われて、何のクラブと言ったら、あなた、私たち女性じゃないと言われて、ああそれはそうと思いましたけれども。

 何といいますか、やはり世界じゅうで、女性がそういうふうに地位につくということは貴重な経験でもあるし、また極めてハードワークであると思います。小泉総理がおっしゃるように、大変な重責を総理が担っていらっしゃるということと同じように、外務大臣というのも大変重責であると。ということですけれども、やはり基本は私は人間であるというふうに思っておりますので、またこれは誤解されたらいけないのですが、私、余り気負っていませんで、気負わなきゃいけないんだ、その自覚がないと、こう言うと言われるし、どっちにしてもバッシングがあるわけですから、バッシングはなれておりますからちゃんと耐えますけれども。弱音ということではなくて何というか、ではひとつ建前だけでいくのかしらと。これはまたいっそのこと個人的にお話もいたしましょう、お茶でも飲みながら。

 別に、特別気負っておりません。ということは、ふだんから、やはりベストコンディションでいたいし、最善を尽くしたいと思うし、後悔したくないというのは、私自身のライフスタイルの中でありますので、ですから、自分なりに最善は尽くしておりますが、公人でありますので、弱音ととられたり誤解をされると後に続く女性のために大変御迷惑であるということも改めて考えなければいけないということが、扇大臣の先ほどのコメントでわかりましたので、いろいろとそちらの方の気配りも以後いたしますので、また御指導いただきたいと思います。

小池委員 まあ国内でしたら、それはそれでいいんですけれども、やはり外交というのは、すきあらば相手のミスを引き出して、そして足元を見て、そしていろいろなことを、まさにディベートの世界でいろいろと国益というものにもかかわってくるから私は申し上げているのであります。

 弱音とか、女だから、そういう問題ではありません。まさに国益のためにとおっしゃるのであるならば、絶対に公人としては言ってはいけないことをさらっと言っていらっしゃるので、私などは大変驚いているところでございます。大体、上手な、得意な分野でこけるといいますから、お気をつけいただければというふうにも思っておるのですけれども。

 それから、余り私も女性、女性と言いたくないのですけれども、ただ一つひっかかったことがある。それは、女性の通訳は使わないでほしいということをおっしゃって、それはまた違うとおっしゃるかもしれませんが、特殊な言語になりますと、女性しか今都合がつかないとかいろいろありましょう。また、そういった形で報道されるというのは、大変女性にとって、田中さんが、外務大臣が損をするということを申し上げておきたいと思います。

田中国務大臣 これもまことに、私が思っているよりも、これは数えたら三十ぐらいあるんですけれども、寝ながら、これもやられた、これもやられたと、いろいろあるんですけれども、そのうちの一つでして、私は、一番波長が合っている方は女性なんですよ。

 あるメディアで働いている日本人ですけれども、大変語学がうまくて、ほかとはどうかわかりませんが、とにかく私と彼女はすごく英語の波長が合うんですね。私が日本語で言う、彼女が訳す、意味が違う、こう訳すというのを、全く一緒にしゃべっているぐらいで、決して彼女はサイマルテーニアスでもってやっているわけじゃないんですけれども、すばらしく合うんです。私とですよ、小池さんと合うかどうかはわかりませんけれども。

 それで、そういう方を今回も、複数の人がいた方がいいと思って、ああだこうだということよりも、民間も入ってもらって、そして役所からもというふうな方が間違いがないだろうと思いますし、それから、いろいろな委員の方、中ではもう英語は使わない方がいいとか、いろいろアドバイスがありますので、もう公のところは、特にデリケートと思われるところは本当にすべて日本語でやって、そして完全に、パーフェクトはないんですよね。なぜかといいますと、ニュアンスというのは国によって、民族によって大変違いますから、完璧なものというのはあり得ないと私は思っていますが、でもそれに近い状態でしゃべれる人は、女性なんですけれども、今回も彼女を考えていたんですけれども、相手の御都合もあるし、それから社会的な立場があって、メディアにその方はいるものですから、ちょっと偏ってしまうのではないかということがあって、大変残念なんですけれども。

 私は、女性でなければ、女性はだめだなんて言ったことは一度もありません。先ほど私が言ったとおり、能力、適性です。すべて人間本位です。そういう教育を受けていますし、私もそういうふうに見ています。男性ですばらしい人もいるし、女性ですばらしい人もいるし、逆もしかりですから。それだけのことです。

小池委員 ただ、そういうふうな報道がされているということは、報道されてしまうと損をするのは、私は外務大臣だと思います。ですから、そういう形に、まあ何にもないところには報道はふだんはしないと思うんですけれどもね。

 さて、余りこのことも聞きたくなかったんですけれども、この言った言わないの話がずっと続いていて、私も、これこそこんなことを言っていたら国益を損なうというふうに思うんですが、ただ、先ほども、これがきちっと片づかないとということを大臣自身がおっしゃいました。

 私は、これをずっと考えていると頭がくらくらしてきちゃって、わからなくなるんですけれども、正しい、正確なことが外に漏れて報道されたら、これは守秘義務の問題になるということですね。それで国家公務員法の話なんというところまで行く。

 ところが、大臣がそんなことは言っていないということであるならば、正しくないことが外に漏れ、だから正しくないことが外に漏れるというのは一体どういうことなのか、であるならば、違うことを書いたマスコミに対してこそ何か法的な手段をおとりになるのが、例えば名誉毀損であるとか、そういうお話の方が私は物事の整理がつくと思うんですけれども、もうこのお話はお嫌なようですけれども、いかがでしょうか。

田中国務大臣 すべて、私の今後の行動とか、よく見ていただきたいと思いますし、アドバイスはたくさんいただいておりますので、拳々服膺いたします。

小池委員 その言葉は結構お好きなようで、あちこちでお使いになっているようでございますが、いずれにいたしましても、言った言わないがこれでずっと続くというのは、私は本当にばかばかしい話だと思っているんですよ。大体そういって、そもそも、会談の内容をこれから大臣が全部チェックしてからお出しになるということですけれども、私は、大臣の本来の仕事はそういうことじゃないと思うんです。

 それから、外務省の改革要綱でございますけれども、ここで機密費の問題、それで結局、外務大臣決裁ということだと伺いましたけれども、これは大体一年間六千件あると聞くんですね。大臣のお仕事は私、別のところにあるんじゃないでしょうか。いかがでしょう、大臣。

 大臣に伺っています。いや、私は大臣にお願いしているんです。いや、いいです。私は大臣にお願いしているんです。

田中国務大臣 税理士さんとか会計士さんがやるように全部私が監査をなんかできるわけもありませんが、すべて役人主導で、政と官の関係でやってよろしいかというと、そうではないと思うんですね。したがって、納税者の皆さんの痛税感ですとか、今回の機密費の問題を初めといたしまして、松尾事件もありましたし、逆ですけれども、機密費の方がもっと昔からあったのかもしれませんよね。ですから、そういうことをトータルで、納税者の皆様に政治が責任を果たすというような視点が必要なので、やはり政治家が見る。

 ただし、そういう政治家ばかりが外務大臣になるかどうかわかりませんから、これがベストな制度かどうかわかりませんので、それはまた今後も、これが最終だと思いませんし、細かいところは副大臣が御存じですので、そちらにお聞きいただくということになると思いますけれども、やはり政治が責任を持って納税者の負託にこたえるという姿勢が今まで欠落していたのではないかと。

 そういう意味では、この時代の私の認識としては、八〇%以上もの支持をどうしてこの小泉内閣がもらっていたか。そうすると、今までの、おざなりとは申しませんけれども、古い意思決定の仕方ですとかシステムとか、そういうことに対してやはり国民の皆様たちがもううんざりしていて、このやり方はノーなんだ、変えてください、もっと政治が前に出て、顔の見える政治、顔の見えない役人ではなくて、顔の見える政治家が前へ出ろということじゃないんでしょうか。

 ですから、小泉総理も、私たちも頑張っていますし、この改革の話につきましては、これはベストではありませんけれども、まず皆さんの知恵を勘案してつくったものでございますから、どうぞ皆様からいろいろと、女性も男性も関係なく、世代も職業も関係なく、いろいろなメディアの方からももちろん結構ですし、学者の方も一般の方も、いろいろと今度御指摘のメールマガジンもできております。どうぞ御意見をお寄せください。

小池委員 ありがとうございます。

 ただ、今おっしゃっている納税者の感覚で、納税者の目をということなんですけれども、この外務省の改革要綱、非常に重要なものだったと思うんですね。まさに機密費の問題、国民が、これはおかしいことをやっているんじゃないのということで、その松尾室長だけつかまえて云々かんぬんの話がございますけれども、では、これからどうやっていこうかというシステムの問題ですよね。ですから、私は、これこそが重要であったと思うんです。

 目の前の何とか局長がだめで何とか局長はいいとか、そういうことの問題は、組織ですから、人事異動でどんどん動くわけですから、意味がない。むしろ、システムとしてこれをしっかりやるべきだったというふうに思いますが、肝心の、例えばどれぐらい予算を削減するかということ、これについて数字が突然消えちゃったというんですけれども、何で入れないんですか。まさにそれを入れることこそ、この改革要綱の一番の魂だったと思うんですね。いかがですか。これは副大臣でいいです。

杉浦副大臣 あの益体もない松尾事件を契機にして改革の歩みが始まったわけですが、機密費の問題につきまして、これは前内閣、河野大臣のころから引き継いで私どもやっておるわけですけれども、最終的に大臣の責任で支出をするということにいたしまして、今、決裁規程を検討を始めております。全部が全部、大臣決裁を仰ぐということにはならないと思います。

 それで、我々二人の副大臣、政務官三人で議論を重ねたんですが、効率的に使用をして節約をするということはもちろんのことなのでございますが、現時点において私どもは詳細把握いたしておりません。

 もちろん、一般的に、行政経費については一五%……(小池委員「数字がなぜないのかだけ答えてください」と呼ぶ)はい。努力しようと。具体的に数字の目標は入れませんでしたが、効率的使用と節約に努めようということでスタートをするつもりでございます。

小池委員 その表現だけではだめなんですよ。「一層の効率的使用と節約に努める。」ということなんですが、これは内閣だって、小泉さんはずっと続けるとおっしゃっていますけれども、どういう形になるか、年末、わからないじゃないですか。まさに、システムとしてそういうものをビルトインしておかなければ要綱の意味がないということを申し上げたいんですけれども、大臣、ここにどうして数字を入れなかったのか答えていただけますか。

田中国務大臣 あちらこちらで相当このことについては具体的に発言をいたしておりますが、まだおわかりになっていらっしゃらないようですから御説明申し上げますが……(小池委員「初めて聞きました」と呼ぶ)ああ、そうですか。こういうことなんですよ。

 十三年度についてはもう今執行されておりますので、四半期別にそれぞれむだの見直しをする。そして、残った分は大蔵省にお返しせざるを得ないですね、予算の編成上。しかし、今度、十四年度分は暮れにやります。

 ですから、すべての、機密費の中の問題、それから今の要綱のことを踏まえながら、先ほど私が申し上げましたように皆様の意見を聞きながら、そして現実に即して、この機密費というのは、御存じかどうか知りませんが、シークレットファンドといって世界じゅうありまして、これは緩みも必要なんですね、喫緊の事態が起こることもありますので、ぎちぎちに家計のように締め上げてしまえばいいという問題ではありません。したがって、そういうバッファーを考えたものを、その国に見合ったような、そして将来の危険も予知しながら組み込まなきゃいけない。

 したがって、そういう作業もきちんとやって、暮れの予算のときに何割削減、これはもう小泉総理がこの間の総裁選挙のときからきちっと公約としておっしゃっていることですから、きょう言ったからあしたできるというほど簡単なことではなくて、ちゃんと予算の時期というものを見ながら適切に衆知を集めてやっておりますので、よくここのところは全国の皆様にも、また委員の方々にも同じ質問が出ませんように、勉強していただきたいと思います。

 以上でございます。

小池委員 ありがとうございました。

 最後に、仏壇つくって仏入れずということだというふうに思いますので、ぜひこれを副大臣、もっと肉づけしてください。よろしくお願いします。ありがとうございました。

川端委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十一分散会




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