衆議院

メインへスキップ



第2号 平成13年11月6日(火曜日)

会議録本文へ
平成十三年十一月六日(火曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 玉置 一弥君

   理事 石破  茂君 理事 園田 博之君

   理事 浜田 靖一君 理事 水野 賢一君

   理事 末松 義規君 理事 渡辺  周君

   理事 田端 正広君 理事 藤島 正之君

      岩屋  毅君    臼井日出男君

      嘉数 知賢君    金子 一義君

      瓦   力君    下地 幹郎君

      中山 利生君    平沢 勝栄君

      宮下 創平君    吉川 貴盛君

      米田 建三君    伊藤 英成君

      大島  敦君    小林 憲司君

      今野  東君    伴野  豊君

      前原 誠司君    河合 正智君

      赤嶺 政賢君    今川 正美君

      小池百合子君    粟屋 敏信君

    …………………………………

   外務大臣         田中眞紀子君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      中谷  元君

   外務副大臣        杉浦 正健君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   防衛庁長官政務官     平沢 勝栄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  村田 保史君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  阪田 雅裕君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    漆間  巌君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    首藤 新悟君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  柳澤 協二君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  原口 恒和君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    五味 廣文君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   小町 恭士君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長

   )            谷内正太郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    藤崎 一郎君

   安全保障委員会専門員   鈴木 明夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  江崎洋一郎君     大島  敦君

同日

 辞任         補欠選任

  大島  敦君     伴野  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  伴野  豊君     江崎洋一郎君

    ―――――――――――――

十月三十日

 国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 国の安全保障に関する件




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

玉置委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案及び内閣提出、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。中谷防衛庁長官。

    ―――――――――――――

 国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案

 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中谷国務大臣 ただいま議題となりました国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 防衛庁といたしましては、国際社会の平和と安定のためには、国際連合の平和維持活動への取り組みに対してより一層積極的に貢献していくことが重要と考えております。

 そのためには、近い将来予定されている国際連合事務局における平和維持活動に対する体制強化等にかんがみて、国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律の規定に基づき防衛庁職員を派遣して従事させることができる業務として、国際連合事務局の内部部局であって政令で定めるものにおいて行う業務を追加する必要があります。

 以上がこの法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 この法律案は、国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律を改正し、我が国が加盟している国際機関等に防衛庁職員を派遣して従事させることができる業務として、国際連合事務局の内部部局であって政令で定めるものにおいて行う、国際連合の平和維持活動の方針の策定または当該活動の基準の設定もしくは計画の作成、人道的精神に基づいて行われる地雷の除去に関する活動の援助の方針の策定、当該活動が円滑に行われるための基準の設定もしくは計画の作成または当該活動に対する資金の供与等の業務を追加することを内容とするものであります。

 以上が、国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いを申し上げる次第でございます。

 続きまして、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、このたび提出された一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて防衛庁職員の給与の改定を行うものであります。

 すなわち、当分の間、各年度の三月一日に在職する指定職職員等以外の職員に対し、一般職の国家公務員の例により、原則として三千七百五十六円の特例一時金を支給することといたしております。

 以上のほか、施行期日、適用日その他この法律の施行に関し必要な措置を規定することとしております。

 なお、防衛庁職員の十二月期における期末手当及び期末特別手当の支給割合につきましては、一般職の職員の給与に関する法律の改正によって、一般職の職員と同様に、それぞれ〇・〇五月分引き下げられることとなります。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

玉置委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

玉置委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛庁人事教育局長柳澤協二君、外務省大臣官房長小町恭士君及び外務省総合外交政策局長谷内正太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玉置委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玉置委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今野東君。

今野委員 おはようございます。民主党の今野東でございます。

 ただいま長官から御説明をいただきましたこの二つの法案について、また、そのほか二、三お尋ねをさせていただきます。

 まず初めに、国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律案についてですが、これは、いわゆるブラヒミ報告による国連PKO局の改編の提言を受けて国連PKO局の職員を増員することになった、我が国も、国連PKO局に自衛官を派遣することで世界に貢献するという上で大変有意義であるということからこういう法律をつくり、自衛官を派遣するということになったようなのですが、どういう部局が何の目的で増員されるか、そういう情報を防衛庁は得ているのでしょうか、教えてください。

中谷国務大臣 防衛庁はことしの六月に、国連の本部に運用局の運用課長等の職員を出張させましてこの業務の内容について調査させたところであります。これまで、その内容につきまして、まず国連がいわゆるブラヒミ報告の勧告を受けて、本部の事務局においてPKOの体制を強化しているということと、この一環として、昨年、PKO局において九十三名増員がされております。ことしも増員が予定されておりまして、国連の日本政府代表部等を通じて情報収集した結果、今後増員されるポスト数についても、現在においても、国連内部において審議中であるというような必要な情報を逐次得ているところでございます。

 今後、引き続き、具体的な増員のポスト数、内容、既存のポスト数を含めた募集状況等についての情報収集に努めてまいりたいというふうに思っております。

今野委員 我が国でこの法案が通りまして自衛官が派遣されることになるということは予想しているのでしょうが、何人ぐらい、どういう部局に派遣することになりますか。

中谷国務大臣 現段階において、ポストの場所とか自衛官の人数等についてはまだ交渉中でございまして、確たることは申し上げる段階にはございませんが、自衛官の階級については、国連のPKO局において軍人の募集が予定されている増員のポストが中佐または少佐クラスになると聞いておりまして、防衛庁として同局に自衛官を派遣する場合には、二佐または三佐クラスになる可能性が高いというふうに思っております。

 人数については、最近の情報によりますと、軍人の募集が当初予想されていましたポストより相当限られた数になる模様であるという情報が入っておりまして、今後とも、交渉を続けておりますが、自衛官の派遣数については少数になるのではないかというふうに見通しが立っている次第でございます。

今野委員 アメリカで同時多発テロが起きてから特にそうですけれども、我が国は国際貢献をしなければいけない、世界に貢献しなければいけないということが随分叫ばれております。そのたびに、自衛官を派遣して自衛官を派遣してという話を聞くのですが、自衛官を派遣しなければ国際貢献できないのでしょうか。なぜ自衛官でなければいけないのですか、お尋ねします。

中谷国務大臣 やはり長年の知識と経験に裏づけられた専門的なノウハウと判断力というのが必要ではないかというふうに思っております。PKO自体が幅広い分野がございますけれども、その中でも軍事部門というものがありまして、各国ともこのポストに対しては軍人が派遣をされております。そういう分野における討議等におきまして我が国を考えてみますと、より専門的な分野といいますと防衛庁の自衛官ではないかという観点で、今回の派遣をしたいというふうに考えている次第でございます。

今野委員 長年の知識に裏づけられた技術を持っている人、知識を持っている人は自衛官に限りませんで、多くの人材を広く求めて、そして我が国が国際貢献をしている、世界に貢献しているという姿勢を示すという見方も大事なのではないかと思います。

 さて、こうして仮に自衛官の方が派遣されていくことになる。そうすると、PKO局に派遣される自衛官の方の給与ですが、例えばわかりやすく、四十歳で妻一人、子供二人という人の場合、モデルでひとつ教えていただけませんか。

中谷国務大臣 派遣を予定されている階級は二佐及び三佐ということでございますが、現在、二佐の自衛官は十号俸で妻と子供二人というモデルケースを考えてみますと、まず、国連から国連職員としての俸給、扶養家族手当など月額約九十三万円、年額約一千百万円が支給をされます。さらに、派遣された隊員に対しては、一般職の派遣職員と同様、在勤地である国連本部が所在するニューヨークにおける外務省の職員に支給される給与との均衡から、派遣時の俸給、扶養手当等の百分の七十から百分の百までが防衛庁から派遣職員の給与として支給され、さきのケースでいきますと、月額約五十二万円、年額約八百万円が支給をされます。これら国連及び防衛庁から支給される給与を合算すると、月額約百四十万円、年額約一千九百万円が支給されるというふうに見込んでおります。

今野委員 国連からおよそ九十三万円、私が前にもらった資料では長官と少しだけ数字が違いますが、大体、長官はおおよそをおっしゃってくださったのだと思います。

 国連からおよそ九十三万円、防衛庁から五十二万円、合計百四十四万円。私は、国会議員としての歳費は百三十五万円のはずでありまして、それよりも多い。さらに、年にしますと、期末手当がつきますので一千九百三十万円。外務省の在外公館に勤めている方も手当なんかがついて大体このような給与体系のようですけれども、この場合、国連から給与が出ていて、さらに防衛庁から出て、二重取りじゃないですか。なぜこうなっているのですか。

柳澤政府参考人 この派遣法の制度の仕組みでございますけれども、今申し上げたように、双方から給与を受けるという形になっているのはそのとおりでございます。給与制度というところから申し上げると、派遣自衛官はまさに派遣先の国連の仕事をしておりまして、防衛庁の仕事をその限りでしているわけではないという意味では、防衛庁からの給与というのは払われないのが通常のケースでありますが、この派遣法の場合は、まさに防衛庁の命を受けて国際機関で活動をするということで、その意味で、仮に先方の給与の水準が同種の仕事をしております日本国の公務員と比べて低い場合には、やはり公平の観点からこれを保障してやる必要がある。そういう補てんという意味で、派遣元の防衛庁あるいは国の方からも百分の百以内の給与が支給できる、そういう制度になってございます。

今野委員 九十三万円が国連から出ている、この給与が低いとは私は思えないし、しかも補てんというのが五十二万円というのも、これは国民の皆さんがお聞きになってどうでしょうかね。ああ、それはなるほどと納得できるでしょうか。

 ここだけじゃなくて、外務省の給与体系なんかも非常に問題で、この間また法律が変わりまして少しだけ下がったので、我が党も下がったものに対して反対することができないので仕方なく賛成したという経緯があるわけなんですけれども、もう一つの防衛庁の職員の給与についての法律案の方も、いかにも人事院勧告に従って期末手当を引き下げるのですなんて言ってみたところで、一方でこういうことがなされている、片一方で手厚いところには手厚い支給がなされているということでは、国民の防衛に対する信頼感というのはここで醸成されますかね。どうなんでしょうか。

 このことについては、僕は、外務省の給与体系なんかもちろんそうで、全体にわたっていることだとは思いますけれども、こういうものはぜひもっと国民の肌感覚に近いところに戻していただくという努力をしてもらわなければいけないと思うのですけれども、これは防衛庁長官どうお考えになりますか。

中谷国務大臣 自衛隊員は労働組合がございませんので、その分、政治レベルとか防衛庁の中で隊員の処遇等は検討していかなければなりませんが、この扱いは、一般職の職員が国際機関に派遣される場合と全く同様に扱っておりまして、御指摘の問題等につきましては、幅広く一般の職員の国際機関への派遣という観点で今後とも検討されるのがよろしいかというふうに思っております。

今野委員 幅広く検討されるのがよろしいかと思いますとおっしゃっていただいたので、その言葉を信じますから、ぜひ、ここだけじゃなくて、本当に検討してください。

 さて、それでは次の質問に移りますが、先ごろ改正されました自衛隊法の運用についていろいろ気になるところがありまして、お尋ねしたいのです。

 この改正で、駐留米軍の施設を自衛隊の部隊が警護できるようになりましたね。これは内閣総理大臣が出動を命ずることになるわけなんですけれども、よほど慎重であってほしい、できればこういう事態にならなければいいがなと私は思っているのですが、長官もそう思っていらっしゃいますか。

中谷国務大臣 もちろん平和、安定というのは理想的でございますけれども、今回の米国におけるテロ事件のように予期せぬ時期に予期せぬことが起こりまして、常に有事に対しての心がけまたは即応態勢がとれるという中で、このような警護活動等は安全な生活を維持するという上においてはやはり必要なことでございます。

 そういう観点で、現在の状況等を勘案しつつ、先方からの要請とか各省との調整等を通じて、いかなる時期に実施するかということにつきましては、必要な時期に実施しなければならないというふうに思っております。

今野委員 私は、あすとあさって、沖縄に行って経済状況を視察してこようと思っているのですけれども、御存じのように米軍基地の多い沖縄は、特に観光業界を中心に、同時多発テロ以来、旅行客のキャンセルが続いております。

 きのうの新聞報道なんかを見ますと、旅行客のキャンセルは二十万人を超えたそうです。修学旅行をキャンセルした学校は六百九十七校、十五万七千九百九十六人、一般団体観光客は四万七千三百八十六人。この二カ月で五年分の利益が吹っ飛んでしまったという中堅ホテルの営業部長のコメントもありました。県ホテル組合によりますと、売り上げ減は五十億円を超すだろうということなんです。これは警察が警備を始めたといったところからキャンセルが多くなってきたということなんですが、十月上中旬の航空旅客数は一八・三%の大幅減であります。

 これは沖縄に基地が集中しているからにほかならないわけですが、こういう実態を防衛庁長官はどうお考えになりますか。

中谷国務大臣 この観光客の激減の原因がどのようなところにあるかということはよく分析をしなければなりませんけれども、この減少は、沖縄のみならずハワイとかアメリカの西海岸等、また、海外旅行全般的にも、航空機に乗らなければならないということで観光客が減っているというのは共通した問題ではないかなというふうに思っております。

 沖縄の問題等につきましては、戦後これまでの経緯もございますが、全国の米軍施設の約七五%が集中しておりまして、我が国の平和と安全のために沖縄県の方々にさまざまな御負担をおかけしているというふうなことは十分認識をいたしております。

 しかし、沖縄の皆さんの負担を軽減するために、沖縄県からの御要望を踏まえまして、日米両国政府が努力を払って議論をしましてSACOの最終報告を決定しまして、現在それを実施いたしております。ですから、この最終報告を実現するということについて、沖縄県また各市町村とともに協力関係を構築しつつ現在努力をいたしておりまして、こういった点で軽減が、減るという努力は続けておりますが、この沖縄観光という見地を考えますと、私も、沖縄の観光は非常に行ってみたいところナンバーワンでありまして、こういう事態においても沖縄の方に出かけたいなという希望は持っておりますが、そういった影響が及ばないように、我々としても配慮をしつつ、努力をしていきたいというふうに思っております。

今野委員 長官も、今行ってみたいところの一つだとおっしゃいましたが、私も行ってみたいのです。沖縄は安全ですと、防衛庁長官、声明を出せませんか。

中谷国務大臣 私は、安全で非常に魅力のあるところだ、今も平穏無事に皆さん生活をしておられて、観光地もそれなりの体制で受け入れ準備を進めているというふうに認識をいたしております。

今野委員 なかなか難しいことであるかもしれませんが、政府全体、私たち全体で沖縄の経済についてやはり真剣に考えなければいけないことであろうと思います。

 さて次に、今度の改正された自衛隊法の秘密保全のための罰則強化についての部分なんです。

 自衛隊の既にある秘密事項のうち、庁秘とかいろいろ秘密の事項がありますね、私のところで教えてもらっている数字は、防衛庁秘が十三万五千四十二件、特別防衛秘密が八千八百六十四あるということなんですけれども、この中から、防衛庁長官は、防衛秘密として指定ができることになりました。これはどういうものが防衛秘密の対象になるんですか、改めて教えてください。

中谷国務大臣 大体のメニューというか必要なものは、この法律の別表第四に掲げておりまして、十項目挙げております。

 この中でも、暗号とか将来の自衛隊の運用計画とか電波情報とか画像とかそういうものを列挙いたしておりますけれども、その中から、これは公になっていない、そして特に秘匿することが必要であるというものを選び出しまして私が指定をいたすようなことになっておりまして、この具体的な内容等については、一つ一つお答えすることは困難でございますので、現段階においてお答えするということは困難だというふうに思っております。

今野委員 私がさっき言いました防衛庁秘十三万五千四十二件、それから特別防衛秘密八千八百六十四件、大体こういう中から防衛秘密を指定していくんだろうと思いますけれども、これは、項目は何かリストアップされているんでしょうか。

中谷国務大臣 現在は、現行の一般公務員の守秘義務に係る秘密ということ、その中でもとりわけ、秘密保全に関する訓令に定める「秘密」、これは庁秘として、御指摘されました件数、機密二千二百七十、極秘一万一千三百五十、秘十二万千四百二十件、合計十三万五千四十件というのを指定いたしておりますが、どういうふうにこうした中から拾い出すかということにつきましては、一般論で言いましたら、現行の秘密、庁秘のうち別表第四に掲げる事項で我が国の防衛に関するものであれば、機密、極秘及び秘の中で秘匿度の高いものがこの防衛秘密に該当することとなるというふうに思っております。

今野委員 この十三万五千四十件、それ以上もあるのかもしれませんが、これは登録簿あるいはリストというのはどこにあるのですか。

中谷国務大臣 これは全国いろいろなところに分散されていまして、各部隊、各機関が有しておる、その総数が十三万五千四十件でございます。

今野委員 防衛庁長官のところに、これは集まっていないのですか。

中谷国務大臣 件数が十三万五千四十件ということでありまして、全部まとめた一覧表ということはございません。現在いろいろなところに分散してあるということでございます。

今野委員 分散されていて長官のところに集まっていない、これは情報の管理としては随分ずさんじゃないですか。

中谷国務大臣 これは現在の区分の数字でございますが、これは一般公務員の守秘義務に係るところから訓令が発せられておりまして、それぞれの業務等をやっていく上において、各部隊、各機関が必要に応じてこういう指定をいたしまして、実際業務を実施いたしております。現状としては、一般の公務員もこういう守秘義務に係ることで業務をやっておりますけれども、この総計が十三万五千四十件という中で、防衛庁の中で業務をいたしております。この一般公務員等の守秘義務における、また防衛庁の訓令に基づく体系で実施をいたしておりますので、現状においては妥当だというふうには認識をいたしております。

今野委員 防衛秘密を防衛庁長官が指定するのに、そのもとになるものが防衛庁長官のところにないというのは、これはおかしな話ですよね。お答えください。

中谷国務大臣 これの運用につきましては、私もすべてを把握するというのは不可能でございますので、内訓によって私の権限を下におろして運用をさせております。それぞれの管理において、それらの秘密事項等においては管理をされるようにしております。

今野委員 各部署、部局に分散されているものを防衛秘密と、いつ指定するんですか。

中谷国務大臣 これの法律の施行は一年以内に法律で定める日というふうになっておりまして、現在においてはまだ施行期日が参っておりません。しかるべき時期に、準備をいたしまして実施いたしたいと思いますが、現在、いつから実施するかということにつきましても、検討している段階でございます。

今野委員 平成十年に、これはたしか久間防衛庁長官のときだったと思いますけれども、東洋通信機とか藤倉航装とか、防衛庁が装備品の調達に当たって過払いをしていたことがありましたね。これは平成十年のことで、防衛庁調達実施本部を廃止せざるを得なくなったという出来事でありますが、こういうことが起こって物事が明らかになろうとしているときに、それは防衛秘密だというふうに途中で指定をするなんということはないんでしょうか。

中谷国務大臣 これの運用につきましては、そのようなことがないように、まず定める場合には、この要件を厳格に規定いたしておりますし、さらに、最終的にこの判断は司法判断に服しまして、この防衛秘密の要件に該当するのが適当かどうかという点で御判断をいただくことになっていまして、防衛庁長官の指定が行政権限の汎用を招く危険性がないように実施をいたしたい、間違ってもそのような、後で指定を変更することがないように厳格に運用してまいりたいというふうに思っております。

今野委員 このような、かつて防衛庁であったような不正があってはならないし、ないと信じたいとは思います。しかし、こういう不正が暴かれていく道というのも、これはある程度確保しておかなければいけないわけでありまして、ぜひ、途中でそれは防衛秘密だったんだと指定するようなことがないようにお願いしたいと思います。

 それから、最後の質問になるかと思いますが、報道関係者が取材をする場合、これも教唆に問われることになるんでしょうか。教唆と取材の違いというのを教えてください。

中谷国務大臣 まず、教唆につきましては、以前の西山事件の判決等もございますけれども、その手段、方法が刑罰に触れるような、例えば贈賄とか脅迫といった犯罪行為でありますし、社会通念上是認することのできない手段、こういうのは教唆に該当をするというふうに思っておりまして、これ以外の行為なら教唆に該当をしないというふうに思っている次第でございます。

 報道の仕方がいろいろあると思いますけれども、教唆に当たる取材によって入手された情報を報道関係者が報道するような場合、これは、取材行為が犯罪行為を用いたり、社会通念上是認することのできない形態であるものとして教唆者が教唆罪に問われるということはあり得るとしても、それに基づいた報道を行った関係者、そういった関係者は、防衛秘密を取り扱うものを業務とする者ではないということから、当然正犯にも問われませんし、報道を行った行為が防衛秘密の漏えい罪に問われることはないというふうに認識をいたしております。

今野委員 済みません、時間がありませんが一つだけ。

 西山事件のような形で情報を得た場合、それを報道した場合は、最後の確認ですが、これは罪にならないんですね。

中谷国務大臣 それに基づいた報道関係者は罪にならないというふうに思っております。

今野委員 私はマスコミの出身でございまして、取材が幅広く自由に行われる道というのは確保しておきたいと強く思っておりまして、これまでの取材どおりで、それを行うことによって教唆ということにはならないのだということを確認させていただいて、質問を終わります。ありがとうございました。

玉置委員長 前原誠司君。

前原委員 二つの法案のうちの一つの、国際機関等に派遣される防衛庁職員の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案に関連した質問をさせていただきたいと思います。

 今政府の内部あるいは与党の中で、PKOの問題についていろいろ議論されているということを聞いております。まず、事実関係から防衛庁長官にお伺いをしたいと思うわけであります。

 きょうの新聞等でも報道されておりますけれども、東ティモールへの自衛隊派遣というものをもう計画されているような話でございますが、国連から東ティモールへの自衛隊派遣要請というものはあったのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

中谷国務大臣 国連からは、東ティモールへの派遣につきましては、これまでさまざまな機会をとらえて強い期待の表明がございました。

 特に、我が国の場合は、高度な技術とか機材を有する自衛隊の部隊というところが評価をされておりまして、私自身もことしの六月に国連本部に参りましてフレシェット副事務総長またPKO局長とも面会をいたしましたけれども、直接我が国の参加を歓迎する旨の発言もございました。

 また、ティモールのシャナナ・グスマン元CNRT議長、マリ・アルカティリ首席閣僚兼経済開発閣僚、ラモス・ホルタ外務協力担当上級閣僚等の東ティモールの指導者からも、せんだって与党の調査団の方が行っていただきましたが、その方に対しても、またほかのさまざまな形の面会された方々に、歓迎するというふうな意向の表明がされているわけでございます。

前原委員 そこで、先ほど少しお話をしましたように、今、政府内部あるいは与党の中でも、参加五原則の見直し、そしてまた本体業務の凍結解除の問題が議論されているということでございます。一部の報道によりますならば、もう来年の一月には実施計画を閣議決定して、そして三月には自衛隊を派遣する、こういう日程で動いているようなわけでありますけれども、当然ながら、ベーシックなものについては現行制度あるいは現行解釈のもとでいくという話で、言われているのは、パキスタン部隊との交代を行う中で、道路の補修作業や資材輸送などを行う。先ほど防衛庁長官がお答えをされたような部分があると思うんです。

 お伺いしたいのは、現行の参加五原則、そしてPKO法でやる内容、今の実施計画はそれに基づいていると思うわけでありますが、しかし、今同時に、政府内部、与党内部で議論をされている参加五原則の見直しの話と凍結解除の話の中でそれが行われた際には、当然ながら自衛隊の行う内容というのは変わってくるわけであります。当然防衛庁の中でも二本立てで議論されていると思うわけでありますが、現行制度での実施計画の内容、そして、もし参加五原則あるいは凍結解除の問題がなし得たときの実施計画の内容、あるいはもっと漠然とした答えでも結構でありますけれども、何ができるのか、あるいは何が望ましいのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

中谷国務大臣 具体的な実施の内容につきましては、本日官房長官から準備指示がございましたので、これから行っていくわけであります。現地の方に調査団を派遣しまして、今月中にも、どのような活動を行っていくか、特に施設関係を中心として行っていくようにしたいと思いますが、十分現地の状況を見てまいりたいというふうに思っております。

 五原則の見直しとかPKFの凍結解除につきましては、現在各党のいろいろなところで精力的に御議論が続いておりまして、その動向等をしっかりと見ながら対処してまいりたいというふうに思っておりますが、基本的には現行憲法で行うわけでございますので、武力行使にならないためにも、現在のこの五原則の基本的な枠組みは今後とも維持してまいりたいというふうに思っております。

 しかし、これまでのいろいろなPKO活動を通じまして、当初法律で定められましたことが必ずしも現場の実情とか国連の考え方に合致しないことがあり得るわけでありまして、こうした点も含めて十分検討していかなければならない問題があろうと考えておりますが、この問題につきましても、現在各政党間また政党同士で御議論をされているところでありまして、この点につきまして、十分御議論をしていただきたいというふうに思っております。

前原委員 今までの政治の決定の仕方というのは、もちろん連立政権になってからは、与党の議論の中で決まったものについて政府がそれを行うということは、理解できなくはありませんけれども、私は野党民主党という立場でありますけれども、小泉政権の大きな意思決定の仕方というのは、何を政府として行いたいのか、政府としてどのように考えているのか、あるいはもっと言えば、この問題については防衛庁としてあるいは防衛庁長官中谷元大臣としてどうしたいのか、その点がやはりまず先に出て、そして考えられるべきだと私は思うんですね。

 私が申し上げるまでもありませんけれども、国連平和維持活動への参加に関する判断基準ということで宮澤四原則というのがありますけれども、その場合は、先ほどまさにおっしゃったように、憲法とかこの国際平和協力法の枠内で行われるべきことは当たり前でありますけれども、その一つの大きなポイントとして、国内の支持を受けるものであり、また、国際社会からも評価を受けるものである。また、さらに考慮すべき項目として、当該地域が我が国にとって重要な意味を有する地域である、あるいは、活動内容が我が国の国益に合致をするというところが非常に大きなポイントであります。

 ですから、私は今の御答弁では不満でありまして、与党三党での議論というよりも、防衛庁長官として、あるいは防衛庁の代表として、責任者としてどう考えているのか。五原則の問題についてはどう考えているのか。変えるとしたらどこなのか。あるいは凍結解除については解除すべきなのかどうなのか。もし凍結解除をすべきだと考えるのであれば、なぜ凍結解除をすべきなのか。その点を明らかにしないと、この委員会で幾ら議論しても、与党の判断待ちだと。与党が判断をして、そして出てきたものを委員会で議論しても、与党が判断されたのでやりますということであれば、一体内閣の方針というものは何なのか、あるいは防衛庁長官のお考え、理念、政策目的というのは何なのか、非常に不明確になると思うんですね。その点をもう少し踏み込んで御答弁ください。

中谷国務大臣 私は、凍結解除ということにつきましては、前向きに検討すべき問題ではないかというふうに思っております。

 というのは、PKOも実施をする回数が重なってまいりまして、大体国民の皆様方からの御理解もいただけたのではないかというふうに思っておりますが、やはり日本も、先ほども前原先生も言われましたが、国益ということを念頭に、我が国として国際社会のために何ができるのか、そしてそのことによって国際社会から尊敬を受けるような国になるべきではないかという点で、前原先生とお考えは一致する部分が多いわけでございまして、やはりこういった数多く国際社会のために貢献できる点といたしましては、国連のPKO活動は、ことしもノーベル平和賞を国連自体、またこのPKO自体が受賞されたというのに象徴されるように、人類の平和と安定のために非常に価値のある崇高なことであると、世界じゅうの人がそう認定をしたわけでございます。

 我が国としても、PKO活動におきましてはもう既に法律ができ上がっておりますので、国民の皆さんの御理解を得て、早期にPKFの凍結解除を実施していただきたいというふうに思っておりますし、それに伴う活動等につきましても、それに従事する自衛官が安全かつ十分に任務を遂行し得るように、安んじて活動ができるようにしていただきたいというふうに思っておりまして、こういう点も含めて国会で御議論をしていただきたいというふうに思っております。

前原委員 今凍結解除の話をされましたけれども、参加五原則の問題はいかがですか。今防衛庁長官がお答えになったように、本体業務の凍結解除についてはやるべきであると。やるべきであるということになれば、より危険な任務というものを伴うわけで、そうすれば、当然ながらこの参加五原則の中の一つの武器使用の基準の問題については、一体的に見直さなければいけない話だというふうに私は思うんですね。その点はいかがかということと、あと、今与党の中で、切り離して、つまりは参加五原則の問題とPKF本体業務の凍結解除の問題を切り離してやるべきだという話がありますが、今お答えになったことからすると、切り離すということは論理的に矛盾をするのではないかというふうに思いますが、その二点についてお答えをください。

中谷国務大臣 この切り離しの問題につきましては、現在与党の皆さんが御議論をされておられますので、私が介入したり干渉をすべき問題ではないというふうに思っております。しかし、やはりこのPKOの活動につきましては、国際社会として実施をいたしておりますので、平和時の活動でございますので、国際社会並みの活動として実施すべきではないかというふうに思っております。

 それから、武器の使用の問題につきましても、現実にルワンダ等で活動を実施いたしましたけれども、民間人の方でNGOの活動もやっておりますし、日本人の報道関係者を含めた民間人もすぐ周辺にいるわけであります。また、同じPKO活動をしている他国の隊員も一緒に現場にいるわけでございまして、そういう現状を踏まえて、その不測の事態に、民間人の方々が危険なときに派遣された自衛隊が見て見ぬふりをして傍観しているわけにはいけないと思うんですね。

 そういうことで、現場の隊長さんが大変な苦労と心労をしつつ業務を行っておるわけでありますけれども、こういった国際社会の常識的な対応等につきましては、そういうことが実施できるように、大いに与党内でも、また各政党間でも御議論をしていただきたいというふうに思っております。

前原委員 ということは、簡単に御答弁いただいたら結構なんですが、もう一度伺いますけれども、今の御答弁の内容というのは、本体業務の凍結解除の問題と参加五原則の見直しは、これは離して議論できる問題ではないと。つまりは、一体的に議論をすべき問題であるということで認識してよろしいんですね。

中谷国務大臣 その五原則というのが、武力行使をしないというこの憲法の見地から来ております。ですから、この五原則の基本は守りつつ、やはりその武器の使用の問題等につきましては、この一項目の中に入ってはおりますけれども、この五原則を堅持しながら、この武器の使用問題については御議論をしていただきたいというふうに思っております。

前原委員 長官、質問にお答えをいただきたいと思うわけでありますが。

 PKFの凍結解除については積極的に行うべきだということをおっしゃいました。となれば、先ほど言及されたように、隊員の生命、安全というものにより配慮をするための問題として武器使用基準の問題が当然出てくるという話でありました。

 参加五原則のその文字づらではなくて、私が申し上げているのは、参加五原則の一つに、いわゆる武器の使用は要員の生命等の防護のため必要最小限のものに限られることというのがありますけれども、非常に漠とした書き方で、ですから、平成十年でしたか、国際平和協力法の改正によって武器使用の問題については改正を行っていますね。いわゆる上官の命令規定というものを置いて改正をしました。そういうことで、活動実績に基づいていろいろな改良を加えていっているわけでありますけれども、私が伺いたいのは、要は参加五原則で――じゃ、ちょっと違う観点から質問いたします。

 参加五原則の見直しが必要だとすれば、武器使用の問題であれば、武器使用のどの項目、どの内容を変えるべきなのか。あるいは、後で御質問しますけれども、例えばアフガンの問題に絡んできて、紛争当事国の停戦合意とかいろいろな問題がありますけれども、この五項目の中で、骨格は堅持しながらも見直さなきゃいけないのか。その点について御答弁をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 これは五原則でありますので、物の考え方の基本にあるわけでありまして、この項目等につきましては、政党間で本当に精力的に御議論をしていただかなければならない問題だというふうに認識をいたしておりますが、この中身については、例えば武器の使用におきましては、現行においては、自己または自己と同じ従事をしている自衛隊員というふうに限られているわけでございます。

 しかし、現場のこれまでの実例からしまして、やはりすぐそばにいる民間の人たち、事日本人のNGOの方とか、また選挙監視等で実際ボランティアで来られる方が不測の際に何もしないでおれるということは、当然そういうわけにはまいらないというふうに思っておりますので、そういう事態に際して、現場の指揮官が迷うことなく自己並びにその地域にいる人たちの安全が図れるように対応すべく、この点についての御検討をしていただきたいというふうに思っております。

前原委員 ということは、参加五原則の中の五番目の武器使用については、今おっしゃったような趣旨を踏まえた見直しが必要だということをおっしゃったわけですね。それはイエスかノーで結構ですけれども、あと参加五原則の四項目の中でほかに検討を加えなければいけない点はないんですか。

中谷国務大臣 まず、武器の問題につきましては、前原先生もお話しされましたけれども、幅のある問題だというふうに思っております。ですから、武器の使用規定を、文言も五原則で見直すか見直さないかという点も含めて御議論をしていただきたいと思いますが、私は、今の範囲内で武器の使用問題については法改正をする余地というものはまだ残されているのではないかなというふうに思っております。

 また、同意とか合意の問題も、現に戦闘行為がなくて平穏無事な場合も多々あるわけでありまして、こういう事態において、この五原則があるからという点で、全く平和な状態の、紛争のない状態に我が国が参加できないようなことはない方がいいというふうに思っておりますが、これもその同意とか合意に関する考え方の中身の問題だというふうに思っております。

前原委員 ちょっと今の御答弁、よくわからなかったんですが、平和になったときに参加できないということはどういうことなのか。

 今の参加五原則では、停戦合意が紛争当事者の間で成立をしているということですよね。そしてまた、当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国の参加に同意していることということですから、平和なときにはもうこの参加五原則では参加できる道が開けているけれども、つまりは、今議論されているというのは、例えばアフガニスタンの問題一つとりましても、タリバン政権が崩壊し、またアフガニスタンのその後の政権が確定をしていない場合にはだれが当事者かわからない。

 つまり、東ティモール、ティモールの問題でも同じような問題があったと思うんですけれども、その停戦合意の当事者が定まらないとかいう場合については出れないという問題があったと思うんですけれども、むしろそこの問題じゃないんですか。平和なときに出れないという話ではなくて、むしろそういうときに自衛隊は何らかの活動をすべきだというところで、参加五原則の一項目と二項目めが見直されるべきではないんですか。

中谷国務大臣 アフガンの例を述べられましたけれども、こういう場合には当然PKO自体も行われておりませんし、我が国は参加すべきではないというふうに思っておりますが、東ティモールのように、その当時は二つ以上のものが対立しておりましたが、現状においてはその紛争も終わって、その当事者自身の組織もなくなってしまった状態でありますので、そのような事態においてはもう同意を得る必要もなく参加できるという条件は整っておると思いますので、この辺の同意の考え方をどうするかという問題についても、五原則の問題として内容を検討してしかるべきだというふうに思っております。

前原委員 時間も差し迫っていますので、このPKOの問題でいわゆる参加五原則の見直し、またPKFの凍結解除の問題で、東ティモールの後に来るのは、可能性としてはアフガニスタンあるいはその周辺諸国ということがあり得ると思うんですね。もちろん、今、防衛庁長官おっしゃったように、現時点で出すということは選択肢として全くあり得ないわけでありますけれども、何らかの活動が、終息をして、そして平和、復興の段階になった段階においては、その派遣というものはあり得ると私は思うわけでありますし、また与党の中心におられる方も、アフガニスタンの復興へ自衛隊が例えば地雷処理なんかで参加ができないのかどうか、こういうようなお話をされているわけでありますよね。

 つまりは、きょう私が申し上げたかったのは、そのような、もちろん凍結解除、PKO参加五原則の見直しという前提があるにせよ、まず今議題に上っているのは東ティモールへの派遣の問題。しかし、その後に来るのは、現段階ではもちろん派遣することはできませんけれども、その後に来るのはアフガニスタンまたその周辺諸国という可能性があると思うわけでありますが、そういった段階になったとき、つまりは、テロ新法ではなくてPKO法で一種の平和貢献というものが、日本で、この地域でできると思うわけでありますけれども、その可能性、また政府の意思、また防衛庁長官としての思いでも結構でございますので、その点についてもお話をいただきたいと思います。

中谷国務大臣 アフガニスタンにつきましてPKO法でというお話がありましたが、現在におきましては、PKF本体業務が凍結された状態になっていますし、また、今お話のあった五原則の問題もまだ議論をされておりますので、現行のPKOでは派遣はできる状況ではございませんが、その後につきましては前原委員と同じ考えを持っておりまして、そもそもまだタリバン後の政権の枠組み自体の問題も話し合いの途中でありますし、国連のPKOが設立されるかどうかというのは極めて流動的な問題でございます。

 今後の動向を注視しなければなりませんが、今後、仮に和平が実現した場合に国際連合等からの要請があった場合には、現地の情勢、それから自衛隊の能力等を見ながら、慎重に検討の上、適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

前原委員 最後がいかにも官僚がつくった文章を棒読みされたような感じですが、御自身の言葉で、それを読まずにもう一度最後に答弁いただきたいんですが、要は、アフガニスタンの和平、復興について、今のPKO法では、今の防衛庁長官の御答弁にもありましたように、凍結解除あるいは参加五原則の見直しを行わなければできませんということをおっしゃいました。では、参加五原則の見直し、本体業務の凍結解除をしてでも日本はPKO活動を通じてアフガニスタンの和平、復興のために努力をすべきなのかどうなのか、その点についてお伺いしたいんです。

中谷国務大臣 基本的には、国際社会として、その地域の平和と安定、また人道的な見地での活動につきましては日本も積極的に参加すべきだというふうに思っておりますが、現実にそういう条件を法律的に整えているかどうかというふうになりますと、まず隊員の安全の問題がありますし、また、自衛隊自身のそういった訓練を積んで、例えば地雷処理等においても、安全確実に行うための専門的な訓練もしなければなりませんので、そのような自衛隊側の能力等も勘案して実施しなければならないというふうには思っております。

前原委員 今のような前提で、つまりは最後の御答弁をいただきたいわけでありますけれども、もちろん、今、防衛庁長官おっしゃったように、仕組みを変えてすぐ出ていけるということじゃありませんし、仕組みを変えれば訓練をして自衛隊員の安全確保というもの、あるいは、先ほどから議論のあるように武器使用の基準の見直しということをやった上で行わなければいけないと思うわけでありますが、私の伺っているのは極めて単純なことを質問したいわけです。

 つまりは、そういうこともすべて含めて、改正をし、また訓練も行い、そして体制を整えたとしても、やるべきなのかどうなのか、日本として。先ほど宮澤四原則の話をいたしましたけれども、そういう問題に基づいて、日本の国益にかなっているからやるべきなのかどうなのか、それがまさしく僕は政治の判断だと思うんですね。それを防衛庁長官としてどう考えておられるのか、その点をお伺いしたいんです。

中谷国務大臣 私の思いとしましては、日本という国家が国際社会の中で尊敬をされ評価をされるという行為に対して積極的に貢献すべきでございますし、事PKO活動のように、平和を維持して安定を取り戻すというような活動については、国としてやるべきだというふうに思っております。

前原委員 これで質問を終わらせていただきますけれども、今の最後の御答弁のように、与党三党でいろいろな議論が行われている、あるいはいろいろな世論があると思いますけれども、やはり大臣という最高のポストにつかれたわけですから、自分自身はこう考えてこうしたいという思いを、私は、もう全面的に出して、防衛庁長官としての使命をぜひ果たしていただきたいということを最後に要望しまして、質問を終わります。

玉置委員長 藤島正之君。

藤島委員 提出されている法案の審議の前に、今、前原委員の方から質疑があったPKOの問題について若干お尋ねしたいと思いますが、防衛庁・自衛隊、東ティモールに自衛隊として行きたいと思っておるんでしょうか、どうでしょう。

中谷国務大臣 私自身は、東ティモールに視察をする予定でありましたけれども、このテロの事件が起こりましてできなかったわけでありますけれども、私としては、東ティモールのPKOは実施すべきだというふうに思っております。

藤島委員 先ほど来の質疑を伺っていまして、私は、派遣するのであればやはり国際標準の行動ができるようにしてから行くべきである、こう思うわけです。

 国連の場合、特にPKOの場合でございますと、国連がやるわけですから、私は、自衛隊が派遣された場合でも、集団的自衛権の問題とか武力行使と一体化の問題、こういうものはそもそも出てくるものではない、こう考えているわけです。そうしますと、先ほど来話がありました現在のあの五原則、特に武器使用に関してもこれは国際標準に改正すべきである、こう思うわけですが、いかがですか。

中谷国務大臣 私も、当選してまだ一回生のときには、小沢一郎先生が自民党の幹事長で、小沢調査会がありまして、国連と憲法の関係について勉強させていただきましたが、このPKO等につきましては、過去の議論とか国会の答弁の積み重ねがございますので、そういう今までの議論は大事にしていかなければならないわけでございます。

 そういう点で、やはり海外における自衛隊の活動となりますと、集団的自衛権並びに武力行使に当たるかどうかという観点での議論は必要でございますので、そういった点も踏まえて、どういったことができるかということにつきまして考えていきたいというふうに思っております。

藤島委員 政府の考え方を踏襲していきますとそういうことになるんだろうと思うのですけれども、今回も、テロ対策基本法でも若干変えているわけですね、武器の使用についても。

 私は、先ほど来の長官の答弁は、与党の議論を見守るといったような発言なんですが、それでは防衛庁長官としてまことに情けないんじゃないか、やはり防衛庁長官としては、こうしてほしい、そうでなければ今回東ティモールなんか派遣しないというぐらいの強い意思で与党に当たるべきだと思うわけですが、どうですか。

中谷国務大臣 そのように積極的な御意見もございますけれども、慎重に対処するべきだという意見も与党内にございますので、そういった御意見も聞きつつ、どのようなことが必要であるのか。仮に、東ティモール、これから調査をするわけでございますけれども、隊員の活動の安全には十分重点的に気を配って、よく調査をした上で活動をしてまいりたいというふうに思っております。

藤島委員 私は、自衛隊が行きたい、行きたいと言っているとは思っていないのです。

 防衛庁長官は、中谷さん、防衛庁長官なんですよ、与党がどうのこうの言う前に、防衛庁長官として、自衛隊の命は大事なんですから、きちっとした国際標準に近い形でないと派遣できないと、どうしてそう強く主張できないのですか。今伺っていると、ともかく与党の意見を聞いて、与党がいろいろなことを言っている、そんなことで防衛庁長官として全自衛隊を掌握していけるのですか。

中谷国務大臣 私は、防衛庁長官として、現行の法律に基づいた部隊運用を命ぜられているわけでございまして、それに逸脱をするということはできないわけでございますが、今後のあり方等については、私自身の気持ちもございますけれども、これは十分国会で議論をされて、国会の合意また国民の理解がないと実施できませんので、そういう意味でも、十分に国会内また各政党内で御議論をして決めていただきたいというふうに思っております。

藤島委員 現在の法律のままで出すとすればそれを逸脱はできない、これは当たり前の話ですけれども、私は、防衛庁を代表している政治家としての中谷長官は、そういう防衛庁の意向を厳しく与党に伝え、そういう方向に持っていくべきである、これを申し上げているわけですが、そこをどう考えているのですか。

中谷国務大臣 部隊を派遣する以上は、部隊が安んじて活動がし得るように、そのような条件をつくっていただくということを希望する次第でございます。

藤島委員 ぜひ強い態度で与党に臨んでいただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。

 それでは、派遣法の方に移りたいと思いますが、現行法による派遣先は、実際どこに派遣されておるのでしょうか。

中谷国務大臣 現行法の派遣といいますと、PKO活動ですか。(藤島委員「いや、派遣法の方ですよ」と呼ぶ)済みません、失礼しました。

 この派遣職員法に基づく派遣状況でございますけれども、現在までに以下三名の者を派遣いたしております。

 まず、平成九年六月から、陸将補の秋山一郎氏を、オランダのハーグに所在する化学兵器禁止機関、OPCWに派遣中でございまして、現在も派遣中で、四年四カ月たっております。

 第二は、平成九年の六月から平成十二年の六月までの間、これは派遣期間三年でございましたが、当時の一等陸尉笠畑忠嗣氏をOPCWに派遣をいたしまして、現在帰国しております。

 それから第三は、平成十三年の二月から、二等海佐佐藤直人氏を、ニューヨークに所在するイラクの大量破壊兵器査察のための機関である国連監視検証査察委員会、UNMOVICに派遣中でございまして、現在八カ月を経過いたしております。

 以上三例がございます。

藤島委員 今回の改正の趣旨を簡単に説明してください。参考人で結構です。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 防衛庁といたしましては、国際社会の平和と安定を確保していく上で、国際連合の平和維持活動への取り組みに対しまして、より一層積極的に貢献していくことが重要であるとまず認識をいたしておりまして、防衛庁職員を国連平和維持活動局に派遣することによりまして国連の活動に協力することは、我が国が、これは従来からうちの大臣も申し上げておりますが、国際社会において尊敬される国となるといった観点などから極めて有意義であると考えているところであります。

 このため、先生御指摘の、今般予定されております国連事務局における平和維持活動に対する体制強化等にかんがみまして、防衛庁職員を派遣して国連平和維持活動局におきます業務に従事させることができますよう、防衛庁派遣職員処遇法を改正するものでございますので、何とぞよろしくお願いいたします。

藤島委員 趣旨は大変結構だと思います。

 ところで、かつてこんな議論があったのですけれども、この点についてはどうお考えになりますか。

 国連の事務局の中に作戦関係を担当するような部局もあるわけですね、そういうところに派遣をすると、自衛官がおってそれを補助すると、その行った先の部隊の戦闘行動というのもあり得る、そうすると、そういうことの作戦に加わると戦闘行為と一体化するということで、そういう部局には派遣できないといったような議論があったのですが、今、政府、防衛庁はそれについてどう考えておりますか。

柳澤政府参考人 この派遣法、平成七年に制定いたしました折には、実は、我が方のPKO経験も、実際の現場の経験もまだ余り積み上がっていないということで、当面PKO局に出すというニーズそのものが予想されないということで制定当時の法律からは除外したものでございまして、したがって、今のような議論も、といいましょうか、我が国として出すことがどうかということも、実は詰めずに来ておりました。

 今回の改正法案の作成の過程の中では、もう御承知のところと思いますが、まさにニューヨークの国連の内部部局において、個々のPKOが行うべきものの計画の策定や基準の作成を行う業務でございまして、これは現場のPKOの部隊の活動と直接つながりはないというふうに整理をしております。

藤島委員 大変結構な整理だと私は思います。

 ところで、今回派遣される部局のほかにいろいろな部局が国連にはあるわけで、現時点では具体的に想定されていないかもしれませんけれども、これは将来はいろいろな部局に派遣し、自衛官がそういうところに行っていろいろな国連の情報をとるというのは、大変我が国の防衛にとって有意義なことで、積極的に進めるべきだ、こう考えておるのですけれども、防衛庁長官、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 例えばどういう局とかどういう分野があるかという点については教えていただきたいと思いますが、検討してまいりたいというふうに思っております。

藤島委員 それじゃ、その点は、どういう部局がほかに、今すぐ具体的に行くというんじゃないのですけれども、今回行く部局はそのごく一部なわけですね。

 そうすると、ほかの部局、いろいろありますね。言ってみれば、国連の全体の構成がどうなっているのか、本当に概要でいいのですけれども、ちょっと答えてください。

柳澤政府参考人 国連は、もう御承知のように非常に幅広い機構を持っておりまして、内部部局もPKO局に限らず、政治局ですとかあるいは経済的な所管をやっている多岐にわたる組織があると思います。それから、先ほど申し上げたOPCWのような、これは内部部局以外のいろいろな国連の特定の業務をする機構があると思います。

 ただ、私ども防衛庁の職員を派遣するという場合には、防衛庁の持っているノウハウですとか防衛庁の特性とか先方も、したがって先方で言うところの軍人のポストというようなものが中心になってくると思います。そういう面で考えますと、将来はさらにいろいろ考える必要が出てくるかもしれませんが、現在はこれ以外に、特にPKO局以外で国連の内部組織に出すというのは現在のところは想定しておりません。

藤島委員 前回の法案のときも、結局当分の間はそういうことは想定していないということで非常に限定的に法律ができておるわけですね。

 第二条一項、二項で、二項で大変限定的に書いてあるわけですけれども、今回のように書いていかなくちゃいかぬわけですね。ですから、現在は七号まである。これにあと追加で三号分ですか、加えるわけですけれども、これをやっていると次々と、さっきのように作戦部門、いろいろなところに私は出していった方が有効だしこれは実益もある、こう思うわけですね。

 ほかの国では、国連の分担金なんか少ないところでも結構派遣しているところもあるわけでありますので、私はこれから国連中心にどんどん世界の安全保障問題が動いていくと思うんですね。それはまた午後御質問しますけれども。

 かつて、米ソが対立しておって、常任理事国が一カ国でも反対すると理事会が議決できない、そういう状態だったんですけれども、現在のような状況になってきますと、必ずしも常任理事国が常にどちらかの陣営に加担して反対するということじゃなくて、非常にまとまっていく可能性が高くなってきていると私は思っておりまして、我々の小沢党首が言っているような国連中心にやっていくということが、本当に空想的な理想ではなくて現実的になってきている、こう思っているんですね。

 そういう中において、私は、自衛官が国連にどんどんいろいろな部局に派遣されていろいろな情報をとって日本と情報交換を密接にしていくということは大変大事なことだ、こう思っているわけです。

 しかるに、今回のような改正でいくと、またいろいろな分野が出てきたとき、また改正しなければいかぬ、こうなるわけでありまして、法制局が限定的に限定的にということで、先ほどのような作戦部局みたいなものに行っても法制局が説明に困るようなこともあって、こういう形になっているんだろうと思うんですけれどもね。まあ悪いのは法制局なんだろうと思うんですけれども。

 今回、そういうことからすると、この二項を外したらどうか。要するに、二項では「前項の業務は、次に掲げるものとする。」こう書いてあるわけですね。そんなこと全然書かなければ、一項だけでいけばやれるわけですね。それでこれは何の問題もないと思うんですね。今回のこの法案をそういうふうに修正したらいかがですか、防衛庁長官。

中谷国務大臣 防衛庁に限って一般職員と違った法律ができておりまして、この項目に限られているということなんですけれども、いかなる理由でこのような法体系になったかという点につきましてはそれぞれの理由と事情があったというふうに思っております。

 今後のことにつきましては、藤島委員の御意見は非常に立派な御意見だというふうに思っておりますので、それぞれ将来の問題として検討すべき問題ではないかというふうに思っております。

藤島委員 今回はもう間に合わないと思うんですけれども、次回改正がもしあるとすればこの二項を削除する、削除するだけでもう何の問題もないわけですから、そういう方向で必ず検討をしていただきたいと思います。

 派遣先に対して処遇がどういうのがあるかとか、あるいは階級がどうかというのは、先ほど質疑がございましたのでやめておきます。

 ところで、駐在武官について、前回の安全保障委員会の際に、私は斉藤前長官に対してきちんとした処遇をすべきだということを質問しましたときに、斉藤長官は、「防衛駐在官が任地で誇りを持って任務に邁進できるよう、適切に対応していきたい」というふうに検討を約束しておるんですが、その後検討はどうなっておりましょうか。

柳澤政府参考人 防衛駐在官の処遇につきましては、いろいろな多面的な面があると思います。一つは、前回も藤島先生御議論いただきました格付の問題というのが一方でございますし、さらに、現地の公館におきますところの活動の仕方といったようなものもございます。

 実は、一気に抜本的に変えるというのもなかなか難しい面がございまして、現在外務省にも相談をいたしまして、例えば防衛駐在官が、一佐で出すわけでございますけれども、そうしますと一般職の方は九級ということになるわけですが、これの昇任のテンポが若干遅くなっているというような面もございます。そういったところの改善でありますとか、その他のいろいろな情報収集を初めとする活動を円滑に行えるようなための具体的な改善というのを今外務省とも相談しながら進めております。

藤島委員 難しい、難しいと言っていたんじゃ何もできないんで、これはいつまでたったって何もできるわけがないんですよね。これはできるんなら今まででもやれた。そこを工夫してもらわないとできないと思うんですよ。

 現実に、例えば何年採用というところで、防大何年卒というのを比べたときに、どうしても一般の省庁のキャリアの方が序列が上で、自衛官出身者が数年後扱いになる、同じ年に役所へ入って。これは何としてでも私は避けないかぬと思うんですね。

 外務省、この点について前回お願いしたんですが、どういうことになっていますか。

小町政府参考人 今藤島先生御指摘の点でございますけれども、防衛駐在官の処遇につきましては、防衛庁との協議を踏まえまして、外務公務員1種、国家公務員1種とさほど差のない昇格基準が採用されているとは思っておりますけれども、他方、防衛駐在官の処遇の改善を考えるに当たりましては、これらの方々が再び防衛庁にお戻りになる方々であることを踏まえまして、防衛庁のお考えを十分に伺う必要があると考えております。

 具体的には、防衛庁におかれまして1種職員と自衛官の方々の間の相違をどういうふうに反映されていらっしゃるかを参考としながら、当省として鋭意検討してまいるつもりでございますし、先ほど防衛庁側から御説明ございましたように、つい最近、防衛庁側から、今藤島先生も御指摘されたような点を含めての処遇改善についての考え方を具体的にお示しいただきましたので、これをベースといたしまして、これから防衛庁の側と鋭意相談していきたいというふうに思っております。

藤島委員 緊密に相談しながら速やかに結論を出していただきたいと思います。

 防衛庁長官、その決意をお願いします。

中谷国務大臣 これは具体的な問題として、1種選抜の一佐の場合に、防衛庁において幹部候補生になって十八年と九カ月で九級相当の一佐に昇任をいたします。ところが、海外の武官におきましては十九年三カ月という規定があって、まあ一種の処遇の問題だというふうに思っておりまして、今外務省の方に要望いたしておりますので、今後ともこの要望が実現すべく努力を続けてまいりたいというふうに思っております。

藤島委員 ぜひお願いしたいと思います。

 それから、外務省にもう一つお願いしておきたいんですけれども、名刺の肩書にあえて駐在武官に何等書記官とかいうことは私は余り書く必要がないんじゃないかと思うんですけれども、これはどうなっていますか。

小町政府参考人 今藤島先生御指摘の点につきまして、私改めて申し上げるまでもなく、防衛駐在官の方々は、外務事務官という資格においても在外公館に勤務していただいておりますけれども、もちろん、防衛駐在官の方々につきましては、相手国の国防当局や各国の駐在武官と接触される場合には、その職務遂行の観点から、自衛官としての階級を呼称することが認められていることは御承知のとおりでございます。

藤島委員 要するに、すべてこういう問題は国際標準にしてほしいということをお願いしておきたいと思います。

 それと機密費、いろいろ問題になっているんですけれども、私は、自衛官にはこの機密費をぜひ、かつて旧大戦中は大変ないろいろなそういう話はあるんですけれども、やはり外交の中でも一番大事なのは安全保障問題なんですね。ですから、情報収集のためにこの機密費をぜひ自衛官出身の駐在武官にも割り振りを十分していただきたい、こう思います。

小町政府参考人 今藤島先生御指摘の点につきまして、私自身いろいろな大使館で勤務をいたしまして、防衛駐在官の方々がどれだけいろいろな情報収集のために活躍しておられるか等々、目の当たりにして承知しております。したがいまして、その活動を支援すべく、いろいろな配慮をしていきたいと思います。

 機密費につきましては、その目的に従いまして機動的かつ有効に使用すべき経費でございますけれども、在外公館におきましては、その大使館の活動等を踏まえて使用しているのが現状でございます。

 一点だけ申し上げさせていただければ、その出身省庁で機密費を割り振るといったようなことはちょっと避けなくてはいけないと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、駐在武官の方々の活動等の実態を踏まえて、適切な御支援をさせていただきたいと思っております。

藤島委員 外務省きっての大官房長が約束をしてくれた、こういうふうに受け取っておきたいと思います。ぜひ実効性のあることをやっていただきたい、こう思います。

 時間がなくなりましたので、テロ対策法により派遣される自衛官の処遇について、一、二、お伺いしたいと思います。

 旧軍のときはどんな手当が出ていたのか、それから税制がどんなふうになっていたのか、あるいは外国ではどんなふうになっているのか、その辺について、時間がありませんので手短にお願いします。

柳澤政府参考人 諸外国の軍人がいわゆる危険な任務やあるいは海外の困難な任務につきます場合には、一般的には、それを評価した特別の手当などが出ていることが一般的であるというふうに承知をしております。旧軍におきます場合には、陸軍ですと戦時増俸ということで俸給の三ないし四割の加算、海軍の場合は四〇%ないし五〇%、それぞれ増俸が出ていたというふうに承知しております。

 それから、諸外国は、なかなかオープンにされている部分が少のうございますが、アメリカの例で申しますと、いわゆる危険地域内で勤務する者等に対しては一律に月額百五十ドルの手当が支給をされ、そしてこれらについては全部または一部が非課税扱いになっている。旧軍につきましても、実際にどの範囲で免除されたかという資料はございませんが、税の減免が行われる制度があったというふうに承知をしております。

藤島委員 今、PKO法に基づいて派遣されているわけですけれども、今回のテロ対策法によりますと、総理もおっしゃっているように、自衛隊も安全なところだけ行っているんじゃないんだ、危険なところにも行くんだ、こう言っておるわけですね。したがって、私自身は、今回の法律は中途半端で反対でありまして、それは午後また質疑しますけれども、できておる法律に基づいて自衛官が派遣される場合に、やはり後顧の憂いがないようにきちっとして派遣すべきだと思いますが、今の参考人の答弁の上で、防衛庁長官のこの点についての決意といいますか考えをお聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 今度の新法に基づいて派遣される隊員の手当につきましても、派遣される隊員が誇りを持って、また安んじて任務に従事できるように、その処遇について十分配慮していくべきだというふうに思っておりまして、この危険性等に対しまして、新たな手当の創設の検討が必要ではないかというふうに思っております。

 今後とも、派遣される隊員が安んじて任務に精励できるように、できる限りの措置をとってまいりたいというふうに思っております。

藤島委員 ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。終わります。

玉置委員長 赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。今回の防衛庁派遣職員処遇法について聞きたいと思います。

 まず、法案提出に至った経過として、防衛庁の方は国連から派遣要請があったと説明しています。長官、いつ、どのような要請があったのか、説明していただきたいと思います。

中谷国務大臣 この経緯につきましては、国連の佐藤大使でしょうか、与党の代表の方が国連に伺った折に、最近国連のPKO局において人員の増加が実施されてきた、また来年も人員の増加が検討をされているというようなことで、本部の方も各国の優秀な人材を集めたいという観点で、日本に対しても、そのような状況であるので検討してはどうかという話等もございまして、さきの国会でもお話をいたしましたけれども、防衛庁として検討をいたした結果、今回の法改正をお願いしている次第でございます。

赤嶺委員 今のお話はことしの二月のことだと思いますけれども、それじゃ外務省に聞きたいと思いますけれども、この間ずっと、国連への日本の拠出金の額に対して日本人職員が少ないという問題について、政府は国連事務局に対して再三日本人職員の増員を求めてきたわけですね。その一環として、二月に佐藤国連大使がゲエノPKO局長と会談し、増員を求めたのに対し、ゲエノPKO局長は、努力はしたいけれども、自衛官を送ることも考えられてはどうか、このように発言したのだと事前の説明では聞いています。

 この辺の経過をもうちょっと御説明をお願いしたいと思います。

谷内政府参考人 先生御指摘のとおり、本年二月に国連のゲエノPKO局長から佐藤国連大使に対しまして、PKO局の人員増強がミリタリーポストについても行われております、それで、そのポストにつきまして日本からもふさわしい候補を指名することがよいのではないか、また、そういう要請をしたい、こういうふうに言われたというふうに承知しております。

赤嶺委員 つまり、流れを追っていきますと、何か国連からミリタリーポストにも職員を派遣してほしいという要請があったというぐあいに聞こえますけれども、実際はそれは法律の改正という手続を伴わなければできない仕事であるわけですね。そういう意味でいえば、国連が求めたのは、再三再四、国連職員を増員してほしいという外務省に対して、国内の側にその増員できない要因があるのではないか、まず自分の足元からきちんとやった方がいいんじゃないですか、こういう話になっていくわけですよね。

 つまり、最初に国連職員をふやしてほしいという要請行動があってこういう話に発展をしてきているわけでありまして、結局は突き詰めていくと、法案を通しやすくするためにこの国連の派遣要請があったという形をつくり上げた、このように私たちは見ざるを得ないと思うんですよ。自衛隊の活動範囲を、そういう国際機関からの要請という形で活動範囲の拡大に利用しよう、こういう点で非常に大きな疑問を持っています。

 そこで、もう一つ問題がありますけれども、法案提出に至る過程で特に問題にしたいと思いますのは、中谷長官がことしの六月に訪米をしたときに、フレシェット国連副事務総長と会談し、その中で、ブラヒミ報告によってPKO局の職員が増員されるけれども、日本政府としては要員として自衛隊を派遣したいと発言しているわけですね。当時まだ法律も改正されていませんので、だから、防衛庁長官は一体どういう権限でそういう発言をなさったのか、これについても明確な答弁をお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 それは法律の改正が行われたらということで、当然法律がないとできない話でありますけれども、法律の改正をしたいということも含めてお話をしたわけでございますし、発言した理由も、最近ブラヒミ氏が国連の平和維持活動の充実、また、国連自体もこの活動の必要性を強調されて、本年度においてはノーベル平和賞も受賞されたわけでございますが、今後こういった分野において国連も力を入れていくということと、我が国もそのような分野も国際貢献をすべきではないかというふうなことを考えてその発言をしたわけでございます。

赤嶺委員 国連の側は、そういう軍事部門に日本が職員を派遣できないということは百も承知で、そして職員の派遣要請をしてくることについては腑に落ちないと思うんですよね。

 同時に、中谷長官は六月に自衛官の派遣を言っているわけですけれども、二月に何とか日本からの国連派遣職員をふやしてほしいということを言って、そして六月に自衛官を派遣したいという発言をしたら、実際には国内で法律の手続をとる前に国際的な約束をしたと受けとめられても仕方がないと思うんですよね。この法の論議もなされていない段階でこういう約束をするというのは、私は国会軽視も甚だしいと思いますよ。なぜなら、前回の法律を制定するときに、きちんとPKOのそういう軍人を派遣する分野について議論がされているわけですから。そこの議論を経ずして、今回この法案を提出する事前にこういう地ならしをしてきているというようなのは、私は本当にこれは国会軽視だと思うんです。

 しかも、このときに防衛庁長官は、派遣問題だけではなくて、PKFの凍結解除問題についてもこう言っているのですね。

 個人的には、秋の臨時国会でPKFの凍結解除をしていただきたいと思いますと発言して、現在のPKO法では自分の身と自国の隊員だけは防御できるけれども他国の隊員を守ることができない、この点に関して私は個人的に問題があると思っているけれども、その点についてはいかがですかと誘い水をかけているわけですね。そうしたら、この国連副事務総長は、他国の要員防護ができないのは、日本がより積極的にPKOに参加することに対してマイナスの影響を与えているのではないかという発言を引き出しているわけですね。これはやはり考えざるを得ないわけですよ、こういう発言を引き出しているということについて。

 結局は、国内での論議を待たずして国連当局の発言を利用して法案を通そう、こういう底意が見え見えなのです。こんなこそくなことはやめるべきではないか、もっとしっかり国内で、国会で、日本が抱えている問題について憲法とのかかわりについて議論をして仕上げていくという姿勢が大事じゃないかと思いますよ。そういうようなこそくな手段はとるべきではないと思いますけれども、いかがですか。

中谷国務大臣 この点については、私自身のPKO活動に対する認識を述べたわけでございまして、現在も世界各地でPKO活動が実施をされておりますけれども、本当にPKOが存在すること自体で紛争を防止し、その地域に平和と安定をもたらしている面が多々あるわけでございまして、世界各国がこのPKO活動について真剣に検討をし強化している状況を見ながら、私自身のこの国連平和維持活動に対する意見を述べたわけでございます。

 定員等に言及したのも、やはりチャンスというものはあるわけでありまして、この人員の増強というものが頻繁に定期的に行われるならそれでもよろしいのですけれども、ちょうどブラヒミ報告に基づくPKOの改革の時期で、その職員の増員がされるという将来の予測に基づいて、我が国としてもこの機会を生かしてこのポストの獲得をする必要がございますので、将来法律の改正が整ったら派遣したいというその期待の表明をしたわけでございます。

赤嶺委員 自衛隊の国連機関への派遣、特にPKOについては、日本の国内法、特に憲法とのかかわりがあって、現行法に入っていない。それからPKOについても、やはり日本の憲法とのかかわりでさまざまな制限がついている。ところが防衛庁長官は、ブラヒミ報告のこの機会を逃がしては日本が国際貢献をする機会を失うかのように言っておりますが、大事なことは、そのブラヒミ報告の中で言われているPKOがどういう問題を日本の国内法、日本の憲法との関係で含んでいるのか、これをしっかり国会で議論することが先決だと思いますよ。

 ところが、自衛隊を参加させてくださいとか、PKOについても武器使用についても見直したいと思いますがいかがですかとか、個人的な見解として断って、国連は日本の憲法とのかかわりで整理をするというような認識にはないわけですよ。それをやる責任は日本の国会にあるわけですよ。日本の国会にあるその責任を放棄して、国連の中からこだまのように、やはり武器使用を見直すべきだ、こういう発言を引き出してくるというようなのは、私は、本当に本末転倒だ、このように思います。こういうような論議は手法としても絶対にとるべきではない、こういうぐあいに思います。

 それで、今回改正が提案されている法案の問題に移りますけれども、防衛庁派遣職員処遇法は、第一に、軍備管理・軍縮条約に基づく査察や技術協力、それから二つ目に、医療などの人道援助、三つ目に、学術研究、教育の分野で防衛庁職員を国際機関などに派遣するためとして、九五年十月に成立した法律です。この法律が施行されてから現在までにどのような派遣の実績があるのか、また派遣を終えた職員は現在防衛庁内でどのような業務についているのか、これも明らかにしていただきたいと思います。

中谷国務大臣 これまで三名の要員を派遣いたしております。まず、平成九年六月から、陸将補秋山一郎氏をオランダのハーグに所在する化学兵器禁止機関、OPCWに派遣をいたしておりまして、現在も派遣中でございます。

 二番目には、平成九年の六月から平成十二年の六月までの間に、一等陸尉笠畑忠嗣氏をOPCW、先ほどと同じ化学兵器禁止機関に派遣をいたしておりますが、現在は帰国をいたしております。現在は、この知識を生かしまして、陸上自衛隊化学学校において、化学兵器禁止条約に基づく化学学校に対する査察に係る業務や、化学防護に係る研究業務等に従事をいたしております。

 三人目は、平成十三年二月から、二等海佐佐藤直人氏をニューヨークに所在するイラクの大量破壊兵器査察のための機関であります国連監視検証査察委員会に派遣をいたしておりまして、現在八カ月目を経過している状況でございます。

赤嶺委員 これまで三人送って、そのうち一人の方は戻ってきて、当時の国連での経験と知識を生かして防衛庁で勤務しておられる、こういうことですね。

 それで、法案では、NGOなどが行う地雷除去活動への援助も含めた国連のPKO活動の方針や基準、計画の作成などに携わるとしています。具体的にはこれからだと思いますけれども、現段階で、PKO局内のどのような部署に派遣することを想定しているでしょうか。

中谷国務大臣 地雷のお話がございましたけれども、地雷については、全世界的な対人地雷の禁止キャンペーンが行われまして、国連としてもこの地雷撲滅活動を重視していこうという点で、PKO局が実施するということがよかろうということで、ここに入っております。

 どの部署で勤務するかということにつきましては、現在もまだ募集が始まっていない段階でありますので、未定でございますので確たることを申し上げられませんけれども、仮に派遣ができたとするならば、国連からの要請を踏まえて、自衛官を念頭に置いていること、また、これまで軍人ポストのほとんどが軍事部に配置をされていることを踏まえますと、軍事部になる可能性が高いのではないかというふうに考えております。

赤嶺委員 今、地雷除去のお話がありましたけれども、実は、私きのうパキスタンから帰ってまいりまして、一週間パキスタンの現地を調査してきたんですが、それで非常に感じたのは、地雷除去にNGOが一生懸命頑張っておられて、荒廃したアフガニスタンの国土を本当に再興するために全力を挙げている。

 ところが、そのNGOの地雷除去の活動に対して日本政府の態度というのは非常に冷たいなというような気持ちを抱いて帰ってきたら、今度のこういう法案の中にこんな任務があるというぐあいに知りまして、逆じゃないか、今アフガンでやっているNGOの地雷除去にもうちょっと、それこそ日本政府は前のめりになって全力を挙げるべきことで、この中身についてはきょうはもう議論はしませんけれども、そういうことは一つ指摘しておきたいと思います。

 外務省はよく御存じだと思います。アフガニスタン等の地雷除去、NGOの活動にどんな態度をとってきているか、拠出金の問題一つにしてみても、とても聞きながら恥ずかしい思いを私いたしました。

 それで、法案にまた戻りますけれども、いずれにしても、PKFの部隊配置だとか武器使用基準のあり方だとか、PKOの計画や基準の策定に防衛庁職員が携わっていくことになるわけですね。現行法の制定のときには、軍縮や人道援助、学術研究など比較的受け入れられやすい分野で導入して、だんだん、今度はPKFのところまでいくわけですから、その活動範囲を広げていこうということだと私は思います。

 現在、このPKOへの参加をめぐる最大の焦点の一つは、先ほどから議論されていますように、PKFの凍結解除問題と五原則の問題です。今回のこの法案、PKO局に職員を派遣するということと、今PKOの問題をめぐって国内でテーマになっている問題について、どのような関連が出てくるのか、ここもちょっと皆さんの見解を示していただきたいと思います。

中谷国務大臣 まず、パキスタンに行って現地を見てこられたということで、敬意を表したいと思いますし、地雷の除去につきましても、私も除去議連の会長代理で、赤嶺委員初め超党派でこの条約の批准に向けて活動したこともございますので、今後、除去のためのNGO等への支援並びに我が国としての姿勢については、積極的にやるべきだという点で意見は全く一致でございます。

 お尋ねの、国連のPKO局の軍事部に派遣する上においての我が国のPKF凍結解除との関連性という質問でございますが、私自身は、PKO活動といいますと、武力行使ではなくて、世界の平和な状態での、平和を維持するための諸活動だというふうに認識をいたしておりまして、憲法に触れるような問題ではないというふうに思っております。

 我が国の場合は、法律の議論が行われまして、現在凍結が規定をされておりますが、この解除につきましては、政党間で今議論をされている最中でございまして現状を見ておりますけれども、法律が成立をしたことを受けて、憲法にPKFが触れるというふうな認識は持っておりませんで、しかるべき時期にPKFの解除をされるべきだというふうに認識をいたしております。

赤嶺委員 そのために今度の法律をつくって、職員をPKO局に派遣しよう、こういうことになるわけですね。今の長官の発言だと、非常に積極的な話ですから。

中谷国務大臣 それはそれ、これはこれで、別の分野での検討だというふうに思っております。

 今回、PKO局に派遣するということについては、世界平和に向けた平和維持活動において我が国が寄与をする問題でありまして、PKFの凍結解除におきましては、実際に部隊が派遣をされるか否かという観点で、これは国内でお決めいただく問題でありまして、関連性はないというふうに思っております。

赤嶺委員 私が関連性を聞いたら、長官が、PKOはもう積極的に変えるべきだと思っておるという自分の気持ちの方を言うものですから、私が聞いたのは関連性だったんですよ。ですから、そういう防衛庁長官の気持ちがあればなおさらのこと、それはそれ、これはこれだと言っても、大いに気持ちの上では関連していらっしゃるなという雰囲気を今の答弁のやりとりで感じたところです。

 それで、さっき地雷の話が出ましたけれども、日本に来ると地雷の除去というのは自衛隊が出ていかないとできないかのような雰囲気ですが、向こうのNGOというのは本当に一生懸命よくやっておりまして、しかも、NGOの中で、諸外国の軍人を退役したベテランの方々がNGOとして地雷除去に努めている。日本の自衛隊が行って出番はあるのかなという感じと、そのNGOの地雷除去活動に、いかにも、拠出金の拠出などをめぐって日本政府というのは恥ずかしい限りだなと。何せ去年もことしも拠出金というのをほとんど出していないんですから。だから、一生懸命やりたいというのであれば、まずそこから改めていただきたいということを、これは今後パキスタンの調査全体の中で論議をしていきたいと思っておるところですが、そう考えています。

 それで、やはり私は、先ほど、派遣を終了した職員は現在防衛庁の中にいて、そのときの知識を生かして大いに日本の防衛政策その他で働いていると。もちろん、国連の職員という立場ですから、日本政府から指示を受けてはならないという建前にはなっています。しかし、今度の職員派遣が、PKFの凍結解除だとかPKO五原則の見直しだとか、こういうところで、PKO局に職員を派遣してその存在を活用していく、国内世論をそういう方向に持っていくために活用していくというふうに出てきたのが私は普通の考えだと思うんですよ。自民党の中ではどうも普通でないようですけれども、国民的な感じ方としたら、やはりそうかと。だって、さっきの長官の答弁がもうそんなふうな順序になっていたじゃないですか。そういうのが普通だと思うんですよね。

 しかも、新聞報道でも、PKFの部隊を派遣するまでの組み立てなど貴重な情報が直接入ると。つまり、PKO局に職員を派遣して、そういう貴重な情報を直接手に入れて、部隊を派遣する組み立てをつくりやすくしていくというような発言までしているわけですね。

 ですから、私は、今度のこの法改正は、PKFの凍結解除の流れをつくる、そして、そういう分野にも自衛隊がより積極的に参加していく、こういう流れをつくっていく一環だ、このように考えます。

 そこで、ブラヒミ報告に基づいて、今がチャンスだということを長官言われましたけれども、そのブラヒミ報告の中で言われているPKOの考え方の整理について、中谷長官はどのように考えていらっしゃいますか、評価していらっしゃいますか。

中谷国務大臣 まず、カンボジアの地雷のお話は、地雷除去活動をされている代表の方が日本に来られまして、二週間ぐらい前に私も会いましたけれども、ソ連が侵攻したときの地雷が非常にたくさんあって、これからアフガニスタンの難民を受け入れる地帯でキャンプをつくる上において、非常にその除去の問題が大変だということで言われました。我が国としても、できる限りのことは検討しなければなりませんが、そういった活動に対して、できるだけのことを考えていかなければならないというふうに思っております。

 それから、ブラヒミ報告等のことについてということと、PKFのお話がありましたが、PKF活動自体も、法律に項目が書かれておりますけれども、地雷の除去だとか武器の武装解除とか停戦監視とか、そういう平和維持のための活動項目でありまして、何ら武力行使を伴うことでない。

 まさに国連の中で世界平和の理念に従って一つの局を設けて活動をしておりまして、私も、やはり世界平和を達成するための貴重な人類の知恵だ、それに伴う活動だという認識で、こういう中に入って、国際社会の中でいかにすれば平和が実現できるのかという点を大いに学んで、また国内でお話しするということは、我が国の安全保障政策にとっても平和政策にとっても意義があるということでございますので、早期に自衛官を派遣していただきたいという願いでございます。

 ブラヒミ報告につきましては、この平和維持活動を含む本部事務局の充実強化についても触れられておりますし、またPKOの多機能化に伴う体制の拡大強化、そしてこれまでのPKOの失敗例を踏まえた教訓などに関する勧告がなされておりまして、総じてPKO機能の強化をされるということに対する報告であるというふうに認識をいたしております。

赤嶺委員 そのブラヒミ報告のもう一つの中身なんですが、国連のPKO活動にとって非常に重大な内容を含んでいると思うんです。交戦規定が変わるわけですね、警察比例の原則に限定せずに、破壊的な攻撃の根源を沈黙させるのに足る反撃能力を与える。あるいは中立性概念についても、中立性とは、当事者に対する平等とは異なり、国連憲章及びPKO任務の目的への忠誠を意味するとして、大量殺りくへの対処としての武力行使にも道を開いているわけです。

 私は、このブラヒミ報告は検討すればするほど、そういう変化しつつあるPKFについては憲法上当然参加すべきではないというぐあいに考えています。大変非常に危険な内容を含んでいると思います。

 それで、本当にPKOは、平和維持活動だとか、タリバン後のアフガンにも日本のいろいろな形での関与とかと言われておりますけれども、アフガンを見ても、ソ連の侵攻によって国土が破壊され、その後の内戦の激化によって一層破壊され、そして破壊された国土を荒廃から立ち直らせるために世界じゅうのNGOが本当に大きな体制をとって全力でアフガニスタンに臨んでいるときに、今、アメリカの戦争が始まって、クラスター爆弾が投下をされて、さらに、今までの地雷除去活動の成果が無に帰すような事態が起きているわけですね。

 ですから、私は、本当に平和を維持する、あるいは国際社会の平和をつくっていくということをするのであれば、平和そのものへの脅威、あるいはアフガニスタンの国土を荒廃させる原因になっているアメリカの戦争、こういうことを中止させる、この立場に日本政府が立って働くことが真の意味の平和貢献にもつながるんじゃないかということを申し上げまして、時間が来ましたので、私の質問を終わらせていただきます。

玉置委員長 今川正美君。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 今回の国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律の一部改正に関しまして、まず最初にお尋ねしたいと思うんですが、現行法による自衛官派遣、これまで六名ほど派遣をされているというふうにお聞きしていますが、その実績などについてもう少し具体的に御説明をお願いしたいと思います。

柳澤政府参考人 先ほど大臣からも御答弁ございましたが、現行の法律で出しました実績は三名でございまして、平成九年六月からのOPCWに対する陸将補一名、さらに九年六月から十二年六月までの間の一等陸尉笠畑忠嗣のやはりOPCWに一名、さらに現在二等海佐一名をイラクの大量兵器査察のためのUNMOVICに派遣しているという状況でございます。

今川委員 ところで、現行法が制定された当時、今回のようないわゆるPKO局の業務が規定されていなかった理由について、当時の一部報道等によると、計画に携わることで戦闘行為と一体化するおそれがあるとの疑念も指摘されて、派遣先として明記することが見送られたということも聞き及んでいるんですが、現行法が制定されたときに何で今回のようなことが想定をされていなかったのか、なぜ盛り込まれていなかったのか、その点を御説明ください。

柳澤政府参考人 平成七年に現行法を制定いたしましたけれども、このときには実は、国際平和協力法、PKO法が成立しましたのが平成四年でございまして、必ずしも我が国としてその面での十分な経験の蓄積もございませんでした。したがって、平成七年の当時、確かに化学兵器の関係では自衛隊の中にも専門家がおりまして、こういうニーズは具体的にあるという前提で法律をつくらせていただいたわけでございますが、当時といたしましては、そういうPKOの部隊派遣の実績が余り上がっていない状態のもとで国連PKO局に派遣する、そういうところが当時は予想されなかったということで、当時の法案の業務内容からは外されているというか盛り込まれていないということでございます。

今川委員 今の点に関してもう少しお聞きしたいんですが、先ほど私が申し上げましたように、当時、この法律を制定するときに、政府部内において、戦闘行為と一体化する、これはPKO局ですよね、やはり戦闘行為と一体化するおそれがあるのかないのかみたいな、法制定に至る過程の中でそういう検討あるいはそういう御意見もあったんでしょうか。

柳澤政府参考人 いろいろな角度から議論はいたしましたが、当時は、PKO局に出すこと自体の憲法上の評価といったような問題については、実際にニーズがなくてその法案に盛り込まないということもあったものですから、実は十分詰め切ってはおりませんでした。

 今回、念のためこの辺の議論も法制局ともいたしました。特に私ども、今度のPKO局は事務総長のスタッフとしてPKOに係る方針の策定などの仕事をするわけでございますが、これは国連の方にも十分確認をいたしまして、個別の作戦指導は行わない、いわゆる事務総長を補佐するニューヨークの内部部局におけるデスクワークである、そしてその事務総長の権限は、現地の部隊指揮官が、PKO部隊の実際の指揮官が行います現場でのいろいろな武器使用等の指導に直接影響するものではないということを確認してございます。したがって、そういう行動の基準ですとか計画あるいは方針の策定、そういうものを提示する仕事までということでございまして、したがって、いわゆる憲法上我が国の要員がこういうことをやるからといって特段問題はないというふうに整理をしております。

今川委員 次に、例のブラヒミ報告、ブラヒミ・レポートに関してでありますが、これはその要旨なんですけれども、この報告書は、冷戦が終わってからPKOは国連カンボジア暫定統治機構のように非常に多様化、複合的に変わった、また、内戦型の紛争がふえて、それに対応するために武力行使をするケースがふえてきたというふうに分析がされているわけですね。そうした上で、内戦型の紛争にPKOを送り込む場合には、中途半端な部隊ではなくてより強力な交戦規定、ROEや相手の抵抗を沈黙させ得るほどの反撃能力を持った部隊を編成すべきだという提言内容にもなっているわけですね。

 それで、非常にやはり懸念があるのは、いわゆる在来型、伝統型のPKOから、特に冷戦後約十年余り、この報告の中にもありますようにPKOが非常に多様化をしてきている、しかも大型化をしてきているという中で、わかりやすく言うと、かつてのガリ元事務総長あたりが平和の構想ということでいわゆる平和執行部隊、平和執行活動を提言された時期がありまして、これはソマリアなどの失敗で結局はとんざをした経過になっていると思うんですけれども、いわゆるPKOが本来武力行使を基本的にはやらない、そこから始まったんだけれども、その時代時代の変化の中で、あるときには非常に軍事傾斜していくときがあり、またもとに戻る、そういう経過の繰り返しであったと思うんだけれども、今回のこのブラヒミ報告の場合に、この中身を読んでみると、あくまでもPKOの基本原則をきちっと踏まえるとしながらも、そういうような強制措置といいますか、あるときには国連憲章第七章を根拠にしての新たなPKOの考え方とかというのもいろいろ出てきておりますだけに、今回のブラヒミ報告を防衛庁長官としてどのように受けとめ評価されているのか、お聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 冷戦が終結して十年近くになるわけでありますが、冷戦の終わった後の世界における平和維持のためにPKOは大変重要な役割を果たしてきているというふうに思っております。カンボジアとか中東とかその他は成功例もありますけれども、ユーゴとかソマリアとか失敗した例もありまして、まあユーゴの方は成功したと思いますが、そういう教訓を生かしてブラヒミ氏が取りまとめをしたわけでありますが、いわゆるPKO活動と紛争予防、平和構築を含めた国連の平和活動の現状を包括的に見直しして改善のための勧告を得るということを目的とした国連平和活動検討パネルの報告として、昨年八月に公表されて種々の勧告、提言を行ったものでございます。

 この報告についての所見でありますけれども、最近のPKO活動の大規模化、多機能化に伴う体制の拡大や強化、そして、これまでのPKO活動の事例を踏まえた教訓に関する勧告がなされておりまして、現在国連において勧告内容が議論されているところでありますが、PKO機能が強化されることによって平和維持がより進展するというのであれば私はそれで望ましいのではないかというふうに思っておりますし、また、国連のアナン事務総長がこれを受けて事務総長報告を作成いたしましたけれども、このブラヒミ報告の勧告のいかなる部分も、国連が戦闘組織となることを意味したり、PKO要員が武器を使用する原則を根本的に変更するものではないというふうにされておられまして、国連の基本的な理念である武力行使をしない活動であるという原則は守りつつ、見直しを行っていくものであるというふうに思っております。

今川委員 もう少しその点をお聞きしたいんですが、なるほど、このブラヒミ報告の中にはこれまでの基本原則をきちっと踏まえるという当然のこともうたわれておりますけれども、先ほど申し上げたように、少なくとも冷戦が終わって十年間というのは、国連は戦争の惨害から将来の世代を救済するとの国連憲章の目的達成の遂行に失敗したという基本的な現状認識の中で、すべてと言わないけれども、そういう非常に強制力を伴うような提言であってみたり、あるいは待機部隊であってみたり、あるいは中立性というところに関しても、紛争当事者に対する平等性とは異なるというふうに考えるべきだとか、非常にそういった意味で、原則を踏まえながらもより軍事的な側面を強化するというふうに受け取らざるを得ないようなところがあるから、そこに懸念を持つわけです。

 先ほどちょっと申し上げましたように、例えば、これは九二年だったと思うんですけれども、ガリ元事務総長が提言された平和の構想、平和執行活動、ここと今回のブラヒミ報告の共通点なり違うところなりを、どのように認識されていますか。

中谷国務大臣 共通点としては、要員の安全確保に対する検討だというふうに思っております。

 ブラヒミ報告では、ROE等をもって自身、他の要員及び任務を守ることができなければならないというふうに述べられておりますけれども、これは、すべてのものに対して中立公平であることと、平和合意の約束に背いたり、暴力によって合意を損なおうとする者に対しても平等であることとは同じではないという考え方に基づくものでありまして、国際機関の活動でありますので、中立公正ということと、国際正義のための活動であるという原則に基づいて武器の使用等についてのルールを決めたものでありまして、要員の安全確保を検討するものであります。

 ガリ報告のときもこのことは検討されておったというふうに思いますが、違う点は、やはり平和回復のための活動に対するPKO自体の対応の姿勢が、よりガリ報告のときは強かったというふうに思っております。

今川委員 そこで、今回のPKO局への自衛官の派遣ということになるわけですけれども、PKO局そのものがこれから組織を改編していくということになるわけですね。そうした場合に、今私が少ししつこく、この十年間ほどのPKO活動を大まかに踏まえた上で、ブラヒミ報告の提言内容が、報告内容がかなり軍事的な側面を強く持ちはしないかという懸念を申し上げたのは、実は、今度この法案で予定をされているのはPKO局の軍事部というところに派遣をしたいということなんですね。

 これまでの現行のPKO局の組織形態と、それから新たに再編成される、そこにやはり軍事部門がかなり強化をされる向きはないのかどうか。現行の組織形態と改編される組織、その違いというのをどのように認識されていますか。

中谷国務大臣 この改革の過程は、現在においてもROE自体がまだ国連の本部で議論の過程であるというふうに思っておりますが、それぞれの実施されるPKOの現場において、詳細に規定をされるというふうに聞いております。その原則をどうするかということについては現在においても議論がされまして、検討中であるというふうに思っております。

 基本は、アナン事務総長がおっしゃったように、国連が戦闘組織になることを意味したり、PKO要員が武器を使用する原則を根本的に変更するものではないというふうに総括的に述べられておられますので、この枠組みと方針を逸脱するものではないというふうに思っております。

今川委員 もう少し具体的に、防衛庁長官として、この際一部法改正をして自衛官を派遣したいという意欲があられる以上、例えば、改編されるPKO局の中のどういうセクションにどういう意義と目的を持って派遣したいんだということをもう少し具体的におっしゃってください。

中谷国務大臣 PKOの実際に行われている現場を私も視察したことがありますが、それぞれ各国の部隊が、世界平和という理想に燃えて真剣に非常に高い誇りを持ってそれぞれ活動をしているということを見まして、非常に意識的に高いなというふうに思っております。

 こういった活動においては、ロジスティックにおいても、また実際の歩兵業務というか本体業務においても、両方なくして活動ができませんので、そういう場合に、各国それぞれ事情を抱えながら、こういうところには参加する、こういうところには参加しないという主体的な各国の判断に基づいて実施が行われておりまして、こういう場に日本の自衛官が行った場合に、やはり世界各国の事情を知ると同時に、また、我が国としてのできる限りの活動は何か、こういうケースには日本も貢献できるのではないかというような情報も、将来我が国としての活動を決定する場合には非常に意義があるわけであります。我が国が行う場合も、現在五原則がございますけれども、こういった法律に基づいて実施をされるわけでございますので、幅広く情報を得ることによって、我が国が適切に判断をするのではないかというような点において意義があるというふうに思っております。

今川委員 次に移りますが、カンボジアに自衛隊を派遣、カンボジアPKOに出したのが一九九二年ですね。ですから、自衛隊がかかわってきたPKO活動としては約九年間いろいろなところに行ってきたと思うんですけれども、その個別の総括は別にして、大体それぞれが、例えばカンボジアに行ったり、あるいはモザンビークに行ったり、当然その都度きちっとした報告が上げられて、成果なり反省点なり教訓とかという形で総括をされていると思うのです。

 これまでの約九年間を大くくりにしてどういう成果なりあるいは反省点なりがあったのか、その点と、先ほども他の委員から質問がありましたが、私は、PKO協力法を議論したときに、約一年かけて大変な議論の中で日本ならではのPKOに参加する際のあの五原則というのをつくったわけですが、やはりこれはきちっと踏まえなければならないと思うんだけれども、最近、与党だけではなくて野党の一部からも、この五原則の見直しであるとか、あるいは凍結されていたPKFをこの際凍結解除すべきじゃないかという意見も結構出てきているだけに、防衛庁長官としての参加五原則に関する御認識を聞いておきたいと思います。

中谷国務大臣 これまでのPKO活動の総括ということでありますけれども、一番大きなものは、この活動を通じて、日本人がやはり世界平和のために貢献をするということが大変重要なことであって、我が国としても、世界平和に貢献できるという点を実感として考えていただいておるし、また、真剣に世界の平和のことも考えていただくようになったのではないかというふうに思っております。また、自衛隊自身も、ただ単に我が国の安全を担うという観点から、世界平和のために貢献できる組織であるという点で、非常に隊員の士気が旺盛になって、部隊活動も活性化して、世界を視野に物事を考えるようになったという点は一番大きな成果ではないかというふうに思っております。

 また、この派遣を通じて国際社会と交流をする中で、世界の国々のいろいろな考え方や民族性や民俗、習慣、その土地の事情等に触れるということによって国際性が向上できたと同時に、日本のこの活動自体が、外から見て、大変質の高い、また能力の高い集団であると。自衛隊のやることは仕事がしっかりしていて、最新のハイテクのコンピューターも見事にさばき切って、その仕事のやり方と士気の高さは各国から大変高い評価を得ておりまして、この能力の高さがほかの国に伝播をして、その国のために生かされているという面もあるわけであります。

 あと、反省点といたしましては、やはり武器の使用判断、これにおいて隊員の心理的な負担が非常に大きくて、実際に不測の事態が発生したときに指揮官が大変大きな心理的負担を伴ってきたという点は、今後検討して改善する必要があるのではないかというふうに思っております。

 ほかにもたくさんございますが、これまでカンボジア、ルワンダ、モザンビーク、ゴラン高原等でPKO活動を実施してまいりましたけれども、いずれの国も平和が回復をして、現地の人が平穏に暮らせるということを見てもわかるように、大変意義があったのではないかというふうに思っております。

今川委員 余り時間もありませんが、一つは、ルワンダのケースですね。

 これはちょっと事前通告に具体的な国名を挙げていなかったんですけれども、六年ほど前に前田哲男教授が、この方、ルワンダだけじゃなくていろいろなところに足を運んで、PKOの問題では非常に詳しい学者なんですけれども、一つお聞きしておきたいのは、このルワンダの例の場合には、これは国連によるPKO活動ということではなかったんですよね。いかがですか。そうですね。日本がまさしく独自にPKO協力法に基づく国際平和協力業務として出ていったわけですね。

 ただ、これが、前田教授の論文によりますと、ルワンダに限らないんだけれども、一般論として、やはり軍事的な組織あるいは軍隊というのは民生活動には非常に不向きなんだと。どうしても、例えばスタッフ、司令部がやたら多過ぎて、そのような頭でっかちの組織では、人道援助とかという場合には特に不適格ではないかと。例えば、長官の命令に基づいて現場で働いている自衛隊の人たちは、それは必死に頑張っていると思いますよ。そういうときに、こういう自衛隊のような組織が適格であるかどうかという意味で申し上げているんですけれども、このルワンダのケースの場合には、むしろ国際緊急援助隊みたいに、そういうものが人道援助という意味でも適格ではないのかという指摘をされているわけです。

 これは、御承知のとおり、消防庁とか警察庁、海上保安庁などの救助チーム、あるいは日赤や民間の医師、看護婦から成る医療機関のほか、NGO、ボランティアも加わったいわば人助けの専門家集団ですから、しかも九二年には法改正で自衛隊もその構成要員となることができているわけですので、そういういわばスペシャリストの日本版、専門家集団といいますか、そういうもので対応し得たのに、やはりルワンダのケースを見ても、言ってみれば、このルワンダに当時いたのは自衛隊だけで、外国の軍隊は全然来ていないということもあります。

 先般のテロ対策の新法の場合にも、現に自衛隊がいるから自衛隊をまず派遣しようじゃないかということが先に立つから、やはりどうしてもいろいろな疑念が生じてしまうんじゃないかという思いがするわけです。

 そういった意味では、余りこういうげすの勘ぐりはしたくありませんけれども、先ほど新たなPKO局の組織改編にかかわって、近々、政府としては、このPKF凍結解除の問題も何らかの法案として出されるやにうかがえるわけですが、そういうところと連動しているとは思いたくないけれども、このルワンダのケースの場合に、例えば、ケースによっては、むしろ自衛隊というよりも、NGOも含めたそういうボランティア団体、せっかく国際緊急援助隊というのをつくっているわけですから、そういう対応も含めてもっと柔軟に考えることはできないのかなという思いがしますが、いかがでしょう。

中谷国務大臣 ルワンダの場合はUNHCRの要請に基づいて行われておりますが、日本だけ自衛隊を送ったわけではなくて、日本が行く前にはアメリカとかフランスとかイギリスとか、そういう主要国がもうさあっと来て、すぐに緊急援助をしてさっと引き揚げるというか、そういう各国の対応がございましたが、実際、自衛隊が行ってみて、やはりこれは自衛隊でないと行うことができないような、正直言って、非常に危険な状況もたくさんございました。現に、日本人のNGOを救出に行ったり、救出のための送迎をしたこともありましたし、かえって自衛隊がいた方が活動によってはいいと。例えば、NGOとの協力については、物資を輸送したり物資を提供したり航空輸送をしたり、かえってNGOからの要請に基づいて実施をしたということもございますので、やはり状況によっては軍や自衛隊が行った方が安全にできる例があるのではないかなというふうに思っております。これでよろしいでしょうか。

今川委員 もうほとんど時間がなくなりましたが、最後に、再確認の意味で、防衛庁長官、中谷長官として、現在のPKOにかかわる九年間のいろいろな成果もあり、あるいはその反省点もあったんでしょうが、PKO参加五原則はきちっとやはり今後も堅持をしていくということの姿勢で臨んでほしいんですけれども、その点、いかがですか。

中谷国務大臣 我が国の憲法上、武力行使を受けるという評価がないことの担保の意味で定められました五原則でございますので、基本的な枠組みは今後とも堅持してまいりたいというふうに考えておりますが、実際に派遣をする過程で、当初法に定められていないような実情が現場で発生をいたしたこともございますので、こうした点も含めて、今後は十分に検討をしていかなければならないというふうに思っておりまして、この点につきましては、各党各会派において十分御議論をいただきたいというふうに思っております。

今川委員 最後に、やはり自衛隊という組織は、これはもう釈迦に説法なんですが、創設をされたときの国際的な環境、特にアジアとの関係、それから我が国内の、これは憲法九条だけではなくて前文も含めまして、平和主義そして国際協調主義ということを基本にしながら、やはり法的には相当無理があるのを承知で、朝鮮戦争が始まったあの当時、警察予備隊から始まって創設をされていくわけですね。ですから、よその国では当然と思われることであってみても、日本の場合にはそういういろいろな特殊的な、歴史的背景であるとか憲法の問題であるとかがあるわけです。

 ですから、そういった意味で、基本的には専守防衛、わかりやすく言えば、海外に出ることはないということから始まったと思うんですね。しかし、これは時代の変化の中で、特に冷戦後、PKOにかかわるところから、自衛隊は本来の業務とは別にそういう国際的な平和活動に関与をし始めた。その歴史性、継続性ということを踏まえれば、私は少なくともPKFを凍結されていることは当然だと思いますし、そういう日本の制約条件は制約条件ということで踏まえながら、自衛隊だけじゃなくて、国際緊急援助隊であれあるいはNGOであれ、それぞれ提携しながら、本当の意味で国際社会にどのように積極的に評価をされていくのか、そういう視点からやはり臨んでいかなければならないということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

玉置委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

玉置委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております両案について審査を進めます。

 両案につきましては、先刻質疑を終局しておりますので、これより両案について討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛庁派遣職員処遇法一部改正案及び防衛庁職員給与法一部改正案の両案に対し、反対の討論を行います。

 防衛庁派遣職員処遇法は、軍備管理や軍縮、人道援助などの分野で国際機関等に自衛官など防衛庁職員を派遣するためとして、九五年に制定された法律であります。これまでに、化学兵器禁止機関及び国連監視検証査察委員会への派遣が行われてきていますが、今回の改正案は、新たな派遣先として国連PKO局を加え、国際機関等における自衛隊の活動の場を拡大しようとするものであります。

 国連PKO局は、PKFの部隊行動と配置に係る計画の作成や武器使用基準の設定を含め、平和維持活動の方針の策定、基準の設定、計画の作成を行う国連PKO活動の中核的機関であり、その活動の中心は軍事部門であります。これに防衛庁職員を派遣することは、政府・与党がねらう自衛隊の海外での軍事的活動、役割の拡大の一環にほかならず、PKF本体業務の凍結解除や五原則の見直しとも一体のものと言わざるを得ません。

 法案提出の契機となったブラヒミ報告は、今後のPKO活動について、自衛の範囲を超える交戦規定の設定や中立性概念の緩和などを求めており、PKO局への派遣とも相まって、このような活動に自衛隊が参画していくことが憲法上認められないことは言うまでもありません。

 そもそも、違憲の軍隊である自衛隊を国際機関に派遣しようとすること自体、憲法上許されないことは明白であり、国際貢献を口実にして、自衛隊の国際的認知を図ろうとすることは許されません。日本の国際貢献は、非軍事的分野でこそ積極的に行うべきことを改めて強調するものです。

 次に、防衛庁職員給与法一部改正案は、一般職の国家公務員の例に準じて、裁判所職員や国会職員などと同様、特別職たる防衛庁職員の給与の改定を行うものであります。

 人事院は、俸給表の改定を二年連続で見送り、期末手当などをさらに〇・〇五月分引き下げる三年連続のマイナス勧告を行いましたが、これに基づき、一般職職員給与法の改定とその特別職への準用を行う結果、すべての国家公務員の年収が三年連続で引き下げられることになります。

 このような国家公務員全体の給与引き下げの一環をなす本法案には反対の立場であることを表明して、討論を終わります。

玉置委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

玉置委員長 これより採決に入ります。

 まず、国際機関等に派遣される防衛庁の職員の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玉置委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

玉置委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玉置委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

玉置委員長 次に、国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官村田保史君、内閣法制局第一部長阪田雅裕君、警察庁警備局長漆間巌君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、防衛庁人事教育局長柳澤協二君、金融庁総務企画局長原口恒和君、金融庁検査局長五味廣文君、金融庁監督局長高木祥吉君、外務省大臣官房長小町恭士君及び外務省北米局長藤崎一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

玉置委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

玉置委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米田建三君。

米田委員 まず、いわゆる警護出動の規定というものが、今回の自衛隊法の改正によって新たな任務として誕生したわけでありますが、それに関連して、防衛庁長官に何点かお尋ねをしたいと思います。

 私は、これは大変画期的な規定だろうというように思っているわけであります。つまり、治安出動の下令に至らない事態で、なおかつ警察力のみにゆだねるのは、言ってみれば不安な事態に備える、そういう意味で、新しい視点に立った画期的な改正だろうというように思っております。

 しかしながら、今回の改正では、なぜかその警護の対象が自衛隊の施設または駐留米軍の施設・区域に限定されてしまいました。なぜ警護対象を限定してしまったのか、私は、いまだに不思議でならないわけでありますが、やはり当初この課題が浮上したときに、政治上あるいは経済上、その他の重要な施設というような三つのジャンルが考えられるということが議論されました。私は、それでいくべきだったと思っているわけでありますが、今後速やかに、改正されたばかりの新しい法律でありますが、やはり警護対象の拡大を真剣に検討すべきだと思いますが、防衛庁長官の見解を伺います。

中谷国務大臣 今回の自衛隊法の改正によりまして警護出動というものが規定をされたわけでございますが、いろいろと与党の議論、また政府部内の議論で今回の法案の内容に至ったというふうに承知をいたしておりまして、防衛庁としましては、まずは、今般成立した改正自衛隊法に基づき、適切な法の執行に努めてまいることが重要であるというふうに考えております。

米田委員 そういうことではなくて、政治家たる防衛庁長官に、今後拡大すべきではないかというお尋ねをしているわけでありまして、あなたのお考えをお聞きしたいわけであります、政府の現状のスタンスではなくて。今のは解説でしょう。

中谷国務大臣 警護出動という点は、自衛隊の創設以来初めての画期的なことでございまして、今後この運用等に際しましては、よく警察当局と連携をとって行っていかなければなりません。非常に事柄が重要な調整事項がございますので、今後政府部内で十分に検討していかなければなりませんが、この対象を広げるという点につきましては、参議院の議論を経まして、自衛隊の部隊等による警護出動は治安出動に至らない事態のもとにおける自衛隊の活用という視点から、必要に応じ今後検討するという決議がされまして、今後真剣に検討をしなければならないというふうに思っております。

    〔委員長退席、末松委員長代理着席〕

米田委員 重要な施設というのはたくさんあるわけで、きょうは原発に絞って、原発がテロ攻撃等に遭って破壊されたり、あるいは特別な政治的な目的を持ったグループ等に占拠された場合の危険性というものについてちょっと触れたいと思うんです。我が国は、原発がもう随分あちこちにできております。おおむね原発の今の状況というのはどういうことなのかというようにいろいろ私は考えてみたんですが、そういうテロ攻撃等の安全の観点から見て、何点か共通項があるのではないか。

 ちょっといろいろ挙げさせていただきますが、一つは、武器を持った侵入者、そういう最悪のケースに対する危機管理体制というものが果たして原子力発電所にあるのか。武装した警備員等は不在のはずであります。

 また、第二点目は、原子力発電所というものはおおむね海岸に面した山間部等、いわば人里離れたところに建設されているケースがほとんどなんですね。したがって、侵入者を阻止する設備に乏しく、かつ、海上や海中からの接近や侵入が極めて容易な地点にある。

 また、三つ目として言えることは、一般の民間の警備員の方を何名か置いているところがほとんどなんですが、その存在は、単に警察の到着までの時間稼ぎにすぎないわけであります。しかも、その警察到着までに、地理的な条件からして時間を要するようなところが大変多い。さらには、到着をしたとしても、武装工作員等の有する武力に対応が極めて困難だろうというふうに私は思うわけであります。

 もう一点。下請業者等、関連業者等も含めて、一体どこまで職員の採用時に身元のチェック等が行われているのか。私は、そういうことはまだマニュアル化されていないんだろうというふうに思っています。例えば、内通者等の獲得によって、原発のさまざまな機能を、例えば安全装置すら無力化するというようなことも可能であるだろうし、あるいは破壊も、そういう手段をとることによって容易になるというようなことも考えられる。

 また、原子炉自体は実は極めて強固だというふうにも言われておりますが、たとえ原子炉そのものを破壊できないとしても、操作パネルの訓練を受けた侵入者や、あるいは人質をとっての原子炉暴走の強要、さらには冷却水系統のポンプや配管等を破壊することによって、メルトダウンの可能性も出てくるんだろうというふうに私は考えております。

 これらの原発が破壊されたり占拠された場合の危険性について、防衛庁は研究をしたことがありますか。

中谷国務大臣 まず、数年前に東海村で、これはテロではございませんでしたけれども、事故が発生しまして、これに関して自衛隊が出動をいたしました。このような自衛隊の持つ核防護能力を活用するという見地で、御指摘の原発に対する対応に備えるということは、自衛隊の持つ能力を効果的に活用できるという面でございます。

 御指摘のようなケースにつきまして、今後、陸上幕僚部を中心に検討をしてまいりたいというふうに思っております。

米田委員 今後検討というようなことでは本当は遅いわけでして、御承知かと思いますが、軍事訓練を受けたテロリスト等の原発への侵入、占拠は、少人数でも極めて短時間に実施できるという専門家の指摘もあるわけでありまして、原子炉の破壊や政府に対する恫喝等、政治目的を達成させることが、そうなると可能になるとも言えるわけであります。

 ここに一冊の本があるんですが、これは「原発事故…その時、あなたは!」という本でして、瀬尾健さんという、京都大学で原子核工学というのを学ばれて、原子核物理学の専門家である、それから原子炉事故の災害評価等に関して研究をされ、それらに関する著作も多数お持ちの方でありますが、「原発事故…その時、あなたは!」というこの本に、日本各地の幾つかの原発について、もし破壊されたり機械等を操作されたりした場合に、一体どれだけの被害が出るのかというシミュレーションが図入りで記述されているわけであります。

 例えば、一例を挙げますと、具体的な名前を挙げるとちょっとショッキングですから、とりあえず北陸地方のある原発のある原子炉ということにしておきますが、この原発に最も近いある市の人口の九九%が急性死する。それから、少し離れた隣の市がやはり五三%。それから、人口の五%急性死率の地域は、その原発が所在する県の県庁所在地にも及ぶ。大変な数なんですね。それから、さらに恐ろしいのは、その後のがんの死者、中長期的におよそ四百万人以上に上るだろう。それはなぜかというと、放射能を運ぶ風向きによって、これは北陸地方の原発のことなんですが、実は風向きによって、何と南向きの風の場合は、最大のがんの死者は関東地方でむしろ発生するというふうな研究をされて、その結果を著作で公表されているんですね。

 各地の原発それぞれのケースをほとんど扱っておられるんですが、私はやはりこれを見て改めて愕然としたわけでありまして、これは至急、防衛庁だけでなく政府部内でしっかりと改めて実情を認識されて、テロやゲリラ等の攻撃に備える態勢をとるべきだと思っているわけであります。

 したがって、私は先ほど、警護出動規定が米軍及び自衛隊の施設に限られてしまった、それはけしからぬと申し上げたわけでありますが、今お話ししたとおり、こういう原発一つとってみても、大変な甚大な被害が国民にもたらされる、こういうことが想定されているわけでありますから、当然私は、警護対象にこういうものも含むべきであるし、加えて日常的に、防衛、警察、海保等、国防並びに治安機関が連携して情報収集並びに不測の事態に即応できる、警護出動規定なんというものだけじゃなくて、日常的にその態勢を至急とるべきだと思いますが、いかがですか。

    〔末松委員長代理退席、委員長着席〕

中谷国務大臣 御指摘のとおり、住民の安全と地域の安全を図るという点におきましては、国家のすべての機関で万全を尽くさなければなりません。原発の管理、原子力政策につきましては経済産業省が実施をいたしておりますが、これの安全性等につきましては、警察庁ともよく協議をいたしまして、この治安出動の発動要件が手続的にこのたび緩和をされましたけれども、第一義的には警察庁が責任を有しているわけでございますが、自衛隊として、速やかにすき間のない形で対処し得るよう、今後努力をしてまいりたいというふうに思っております。

米田委員 ぜひ、今までのスキームをやや乗り越えるものとして警護出動規定というものが誕生したわけですが、そんなものじゃ追っつかないということを私は申し上げているわけでありまして、本格的なやはり検討をしていかなくちゃ困ると思うんですね。

 ちなみにフランスは、今回のアメリカでのテロ多発事件を受けまして、核関連施設周辺への地対空ミサイル配備に着手し、戦闘機の出撃態勢も整えたというふうに伝えられております。また、英国の場合は、原発等の重要施設の警備に予備役兵士四万人の動員を検討しているというふうに伝えられています。主要各国が極めて真剣にとらえて、直ちに手を打とうとしているわけですね。

 改めて防衛庁長官、警察との関係だ、あそことの関係ではなくて、ひとつ防衛の責任者として決意を述べてもらいたい。

中谷国務大臣 この警備をする上の必要性の認識につきましては、米田議員と同じく、空からの攻撃、また海からの侵入、ゲリラ等ございます。今後いかにこういったものに対処するかということにつきまして、精力的に検討を積み重ねてまいりたいというふうに思っております。

米田委員 次に、自衛官に対するいわゆる賞じゅつ金についてちょっとお尋ねをいたしますが、自衛隊の任務というのは年を経るごとにいろいろふえてまいってきているわけであります。例えば今回も、対テロ特措法に基づく支援活動、あるいは隊法改正に基づく警護活動の任務というものも生まれたわけでありますが、そういう言ってみれば危険な任務の遂行中に死亡した場合、現行の規定に基づけば、賞じゅつ金等の最高支払い額は幾らになっていますか。

中谷国務大臣 国家公務員たる警察官及び海上保安官と同様に、六千万円というふうになっております。

米田委員 そこで、警察官の場合、地方公務員たる警察官でありますが、今おっしゃったその六千万円プラス三千万円、九千万円が最高額なんですね。どういうことかというと、地方自治体の賞じゅつ金プラス警察表彰規則というものがあって、合計最高額九千万になるような形になっているわけであります。

 私は、警察官や自衛官という国民のために身を賭して任務の遂行に当たられるという立場は同じだと思うんですが、自衛官についてもやはり、枠組み、建前は別の世界でしょうけれども、この辺の配慮をするということが必要ではないかと思いますが、長官いかがですか。

中谷国務大臣 地方公務員たる警察官に授与される賞じゅつ金も非常に格差がございまして、多い県は地方の金額が六千万円、しかし少ない県は三千万円ということで、地方の公務員の中でも格差があるようでございます。

 しかし、この点につきまして、今後、議員の御指摘も踏まえまして、賞じゅつ金の授与額について適切に対応できるように検討をしてまいりたいというふうに思っております。

米田委員 じゃ最後にお尋ねしますが、生物剤や化学剤によるテロへの対処の問題について伺いますが、これは防衛庁、警察庁、消防庁、厚生労働省等が、多くの省庁が関係してくると思うんですが、私は、各省庁が縦割りではなく、役割分担及び連携のあり方、これが問われると思うんですが、この辺の要領はどうなっているのか。私は、テロに対処するためには、情報集約の一元化とそして事態に即応できる指令系統の一元化が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

村田政府参考人 お答えいたします。

 テロの被害から国民の安全を守ることは政府にとって重大な、かつ基本的な任務であります。御指摘の生物化学テロへの対応につきましては、従来から、これに核テロを加えたいわゆるNBCテロへの対処として、関係機関が対処能力の向上に努めてまいりました。平成十一年には対処のためのマニュアルを作成し、平成十二年にはNBCテロ対策会議、これは関係省庁の局長級から成る会議でありますが、こうしたものを設置して、連携を図りながら政府全体として的確な対処ができる体制の確立に努めてまいりました。

 今回の米国におけるテロの発生を踏まえまして、内閣総理大臣を本部長とする緊急テロ対策本部を設置し、関係省庁による会議なども開催してきたわけですが、NBCテロにつきましては、一層連携を強化した対応をいたすために、対処の強化を進めるとともに、特に米国における炭疽菌の送付事案の広がりを受けて、我が国での万一の生物化学テロの発生に備えて、専門家の意見も聞きながら、また関係省庁の役割分担を改めて徹底するなどして、対応に漏れなきを期しているところであります。

 今後とも、御指摘を踏まえて、政府として一体となって、指揮系統も統一された形で動けるような対応をしてまいりたいと考えております。

米田委員 質問を終わります。

玉置委員長 伊藤英成君。

伊藤(英)委員 テロ対策特別措置法に基づきます自衛隊の活動等について伺いますけれども、まず最初に、十一月一日の日米安全保障高級事務レベル協議の審議官級協議で設立が決まった局長級の調整委員会が開かれましたですね。そこで、この協議において米国からはどんな要望が出されているのか、あるいはこれは正式な要請なのかどうか、あるいは政府として対米支援の具体策を何か出しているのかどうか、それからもう一つ、この会議に参加している日本側の関係省庁はどこなのか、伺います。

田中国務大臣 最初のお尋ねでございますけれども、結論から申しますと、アメリカ側から具体的な要望は出されておりませんでした。

 それから、調整委員会のメンバーですけれども、外務省、防衛庁・自衛隊、内閣官房、在京米大使館、在日米軍の局長級の代表者、これらから構成されております。

中谷国務大臣 補足をいたしますが、日本側からは首藤防衛局長、北原運用局長、外務省藤崎北米局長、米側からはヒューイ在日米軍副司令官、クリステンセン在京米大使館の首席公使が出席をされまして、日本側から基本的な考え方を説明をさせていただきました。

 米側からは、これまでの対応等に対して感謝と満足の意が表せられましたけれども、具体的に米側から意見、要求、要望等はなくて、一般的なコメントだけで、一回目は、日本側の基本的考え方を持ち帰って検討するということでありまして、なるべく早期に次回の調整委員会を開催すること、そして引き続き、調整委員会の下部機関等がございますけれども、それも開催をしていくというようなことで意見の一致を見た次第でございます。

伊藤(英)委員 防衛庁長官、そうすると、次はいつごろ開かれるかということと、米国側からは具体的に要望等が出されるんですか。どのように思っていますか。

中谷国務大臣 次回の開催の日時等については決定をいたしておりません。細部等につきましては米側と調整を行っておりますが、具体的にその内容等についてお答えするということは、現時点において差し控えたいというふうに思っております。

伊藤(英)委員 それでは、この法律によりますと、米国だけではなくて「諸外国の軍隊等」、こう明記してありますね。基本計画に関して政府が、米軍だけではなくて例えばイギリスだとかフランスだとか、そういうところに対して支援をする方針があるのかどうかというのが一つ。それからもう一つは、例えばイギリス、フランスなど、そういうところに対して支援をするとした場合には、どういうところで協議をすることになるんですか。

中谷国務大臣 我が国が支援活動を行っていく国の対象国は、このテロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めている国連憲章の目的を達成するのに寄与する諸外国の軍隊ということでございまして、米国以外の国も可能性はあるということでございますが、具体的にいかなる国と協議を行うか、またいかなる国に対して支援を行うかということにつきましては、現在検討中でありまして、まだ具体的に固まっていないことから、お答えは差し控えたいというふうに思っております。

伊藤(英)委員 協議をするとした場合に、アメリカの場合は調整委員会というのをつくりましたね。例えばイギリスなんかの場合にはその辺はどういうふうになるんですかとさっき質問したつもりなんですが、その辺はどうですか。

中谷国務大臣 他国との調整等につきましては、調整のための枠組みというものはできておりませんけれども、通常的には、大使館なり外務省等を通じてその国と調整を行う必要があるというふうに思っております。

伊藤(英)委員 それでは、米軍への支援の問題についてですが、今回、基本計画はいつごろ策定することになりますか。

村田政府参考人 先般のテロ対策特措法の成立を受けまして、政府としては、一日も早くこの法律に基づく対応を実施に移すことが必要と考えており、同法に基づき、我が国として実施する措置を定める基本計画の策定作業を行っているところであります。

 現在、基本計画の策定に係る具体的な期日について申し上げる段階にはございませんが、政府としては、関係省庁間の連携を強化しつつ、また今月から行われております日米間の協議を初めとする所要の準備を進め、基本計画の速やかな策定に取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(英)委員 今回、このテロ特措法といいましょうか、この法律が修正をされまして、国会の事後承認を行うこととなったわけですね。私の理解では、日本の自衛隊が出動するに当たって、国会承認という形をとって実際に動かそうとするのは今回が初めてだと思うんです。例えば治安出動云々も国会承認でというふうになっていますが、いまだ発動したことがない、こういうことですね。初めてのことですね。そして、周辺事態法のときにも、国会承認という話にはなっているんですが、具体的にどういう形でやるかということについてまとまっていないのだと私は思うんです。

 そこで、改めて聞くわけでありますが、今回、国会の事後承認ということで行うわけでありますが、どういう形で国会に付議をしようとするのか。今政府が想定しております国会承認の付議の仕方をできるだけ具体的に、丁寧に御説明していただきたい。よろしくお願いします。

村田政府参考人 お答えいたします。

 まず、法律の規定から申し上げます。

 いわゆるテロ対策特措法の第五条におきまして、内閣総理大臣は、基本計画に定められた自衛隊の部隊等が実施する協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動については、これらの対応措置を開始した日から二十日以内に国会に付議して、これらの対応措置の実施につき国会の承認を求めなければならないとされております。

 したがいまして、政府としては、この協力支援活動、捜索救助活動または被災民救援活動の三つの活動について、それぞれの活動ごとに、その活動の実施につき国会の承認を求めるものと考えております。また、自衛隊の部隊等の派遣先の国を追加する場合につきましても、基本的には国会の承認を求めるものと考えております。

 具体的なイメージとして申し上げます。ちょっとお時間をちょうだいいたします。

 例えば、Aという国における協力支援活動が承認された後に、新たに同じA国において別の活動、例えば被災民救援活動を実施する場合には国会の承認を求めるものと考えております。また、Aという国における協力支援活動が承認された後に、Bという国における協力支援活動を追加する場合にも国会の承認を求めるものと考えております。

 ただし、輸送業務などの場合、長距離にわたって国から国ということもあるわけですが、そうした場合に、中継地、寄港地などとして新たな国が追加された場合に、その国ごとに新たに国会の承認を求めるかどうかにつきましては、個別のケースごとに、その中継地、寄港地等における自衛隊の活動内容など、具体的な実態を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えております。

 一方、例えばAという国における協力支援活動について、その中身に入りますが、輸送に加えて医療を追加する、このように活動の業務の種類が追加される場合や、自衛隊の部隊などの装備の内容、派遣期間、同一の国の中における実施の区域の範囲の変更などについては、政府としては、国会の承認を求めることにはならないと考えております。したがって、このような事項の追加、変更につきましては、基本計画の変更を国会に報告するだけとなると考えております。

 なお、政府が基本計画を作成、変更した場合には、遅滞なく国会に報告を行うこととされております。この報告に際しての国会の審議におきまして、例えば、議院の決議によって、ある事項について国会の承認を要するとの国会の判断が明確となれば、政府として、当該事項について承認を求めることとなると考えられます。同様に、例えば、議院の決議によって、ある事項が不適当であり、基本計画の修正が必要との国会の判断が明確となれば、政府としては、これを尊重して対応するものと考えます。

 いずれにせよ、国会によるシビリアンコントロールというものは、こういう形で十分に図られるものと考えております。

伊藤(英)委員 政府として、その承認を求める事項が各活動の実施と派遣先国以外には絶対にない、こういうふうに考えているんでしょうか。

村田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、政府は、基本計画を作成、変更した場合には遅滞なく国会に報告することとなっております。

 この報告に際しての国会の審議におきまして、先ほど申し上げましたが、議院の決議で、政府としては国会の承認の対象とはならないと考えている事項について、国会の承認を要するとの国会の判断が明確となれば、政府として当該事項について承認を求めることとなると考えております。

 また、同様に……(伊藤(英)委員「もうちょっとゆっくり言ってください」と呼ぶ)また、同様に、議院の決議によって、ある事項が不適当であり、基本計画の修正が必要との国会の判断が明確となりましたならば、政府としてはこれを尊重して対応するものと考えております。

伊藤(英)委員 今、現時点で考えられていることを説明してくださったんだと思うんですね。ずっとたくさん話をされて、説明してくださったので、私としては、後ほど正確に、今言われたことを会議録でしっかりと見て、また判断したいと思うんです。

 先ほど申し上げたように、我が日本の国会としては初めて、自衛隊の出動についての国会承認の手続といいましょうか、やり方を決めることになりますよね。したがって、本当に今のでいいのかどうかということも含めて十分に精査してみたい、こういうように思っています。

 それから、先般与党の三幹事長がパキスタンの方に行かれたですね。現地調査ということをされたんですが、私の認識では、政府としては調査団が、いわゆる現地調査団としては行っていないんじゃないか、こう思うんですが、これは行く必要はないだろうということなんでしょうか。

村田政府参考人 現在、関係省庁におきまして、テロ対策特措法に基づく基本計画を早急に策定するため、所要の検討、準備を行っているところであります。その一環として、できるだけ早く調査団を派遣する方向で考えております。

伊藤(英)委員 いつごろ行かれるんですか。基本計画の日程との関係は、どういう関係になるんでしょうか。

村田政府参考人 基本計画の策定も、今速やかになされるよう急いでおります。その中での調査団の派遣ということでありますので、速やかに行いたいということであります。まだ日程的にいつという形にはなっておりません。

伊藤(英)委員 それから、これは防衛庁長官かな、イージス艦の派遣云々という話がありますね。このイージス艦の派遣ということについてなんですが、このイージス艦がそれこそ、よく言われるように、二十くらいの敵機にミサイルで一気に迎撃できるとか、あるいは非常に高性能な艦船であるということが言われますね。

 そこで伺うんですが、今回の状況をちょっと考えますと、例えばタリバンが対艦ミサイルで云々だとかというようなことが本当に考えられるだろうか。あるいは逆に、アメリカが制空権を持っているといったような状況を考えたときに、そもそもイージス艦派遣というのは若干行き過ぎじゃないんだろうかという感じを私なんかは抱くんです。

 それで、それについてどう思うかということと、もう一つ、よく言われることなんですが、情報収集、情報を把握する、そしてその情報を米軍に提供する、そのことの武力行使と一体化するのではないかという議論がされます。米軍への情報提供と武力行使の一体化というのはどういう関係にあるんでしょうか。これは法制局かもしれません。

 まず、イージス艦のこと。

中谷国務大臣 派遣の内容等につきましては、調整委員会がスタートしたばかりでありまして、具体的にどこへ何をということにつきましては、現時点におきまして固まっていない状況でございますので、お答えできる段階ではございません。

阪田政府参考人 今、防衛庁長官からもお話がありましたように、まだイージス艦の派遣が決定されたというわけではないというふうに承知しております。

 したがいまして、私どもも、防衛庁から具体的なお話を今の時点で伺っておりませんので、仮にイージス艦が派遣され、これが情報の収集に当たるということになるといたしました場合、一体どういう情報を何のために収集するのか、また、情報をどういう手段、方法で集めるのか、さらに、こうして収集された情報を米側あるいは他国の軍隊等に提供する場合、これはどういう観点で提供をするのか、また、その提供を受けた米軍等はそれをどのように活用するのか等々といったような問題について全く知見がないというのが、率直に申し上げて現段階の状況であります。

 したがいまして、今お尋ねの点につきましては、現段階では何ともお答えのしようがないということで御理解いただきたいと思います。

伊藤(英)委員 では、こういうふうに伺います。この米軍への情報提供について、平成九年四月に内閣法制局としての見解をまとめていますね。これである部分だけ読みますと、

 政府としては、従来から、我が国が自らは直接武力の行使を行わないとしても、他の者が行う武力の行使への関与の密接性などから、他の者による武力の行使と一体となるような行動を行う場合は、我が国としても武力の行使をしたとの法的評価を受けることがあると申し上げてきた。

そしてまた、その後に少し、

 特定の国の武力行使を直接支援するために、偵察行動を伴うような情報収集を行い、これを提供するようなことについては、他の者による武力の行使と一体となると判断される可能性があると考えられる。

と述べていますね。これは平成九年四月十日であります。

 平成十一年四月二十六日に、周辺事態法の問題のときに、あの特別委員会で野呂田国務大臣が、ずっといろいろ述べてまいりまして、途中からちょっと言いますと、

 自衛隊がその任務を遂行するために行う情報収集活動により得られた情報を、一般的な情報交換の一環として米軍へ提供することは、憲法上の問題はないと考えます。

その次なんですが、少し行きまして、

 例えば、特定の国の武力行使を直接支援することのみを目的として、ある目標に方位何度何分、角度何度で撃てというような行為を行うことについては、憲法上問題を生ずる可能性があると考えているところであります。

とか言っているんです。

 先ほどの平成九年のときの話と、私が後で述べました平成十一年四月のときとはどういう関係になるんでしょうか。どれが今の武力行使との一体化論の中の情報提供についての考え方になるんでしょうか。

阪田政府参考人 今御紹介いただきました二つの見解、法制局の方については、前段御省略なさったようですけれども、法制局の方でも、一般的な情報交換につきましては、憲法上問題になることはないというふうに述べております。

 そこで、いずれも、そう言いつつ他方で、専ら他国の武力行使を直接支援するための情報提供につきましては、憲法上問題を生ずる可能性があるものがあるということを述べておるわけで、その両者の違いという点は、そこでは余りない。要するに、例外的に、その情報提供であっても、武力行使と一体化するというものがあり得る。

 それで、法制局の方で申し上げておりますのは、どちらかというと、その情報の収集の方法が、例えば偵察活動と言っていますか行動と言っていますか、というような特別な行動をとってわざわざ情報を収集するというような側面、とり方の方にウエートを置き、それから野呂田大臣がおっしゃっておりますのは、情報の中身、むしろその場合、例えば米軍の武力の行使にどれだけ直接裨益するかという情報の中身にウエートを置いて、例外的に、憲法上、武力行使と一体化するものとして問題のあるものがあり得るということを述べたものでありまして、両者はそれぞれ視点が違うだけであって、矛盾するというようなものではないというふうに考えております。

伊藤(英)委員 この野呂田国務大臣の言葉をそのまま読めば、今の部長のおっしゃるような感じに考えていいかどうかというのはちょっとわからぬなということだと私は思うんです。

 これはまさに今、日本が、情報提供についてこの平成九年に出した話が今もそのまま使われているのかしらん、あるいは、野呂田国務大臣の答えられたことは、これと全く同じなんだろうかというと、私にはなかなかそういうふうに読み取れないなという気がするんです。

 それで、ぜひ、この情報提供についての統一見解といいましょうか、見解を改めて出していただきたいと私は思います。

阪田政府参考人 野呂田長官がおっしゃっているような非常にこれは、ある目標に方位何度何分、角度何度で撃てというようなたぐいの情報であるということだと思うのですが、そういう情報を得るためには非常に、要請を受けて、わざわざそういう情報をそのために収集するという活動が必要になることが多いということだろうと思います。そういう意味では、平成九年の法制局見解、それから平成十一年の防衛庁長官の見解というのは大部分においては一致しているというか、重なり合っているというふうに考えることができると考えております。

伊藤(英)委員 今のお話は非常にわかりにくい、わかりにくいと私は思います。少なくとも、平成九年に出されたものと、今申し上げた野呂田国務大臣の平成十一年のこの内容が同じというふうに言えるかなということだと私は思うのです。

 それで、僕の時間もう余りありませんので、また続きは改めていたします。

 せっかく外務大臣に出ていただいて、外務大臣にもちょっとお伺いしたいことがありますので。外務大臣、アフガニスタンの復興支援の問題について伺いたいんです。

 今、タリバン後の政権づくりについて、例えば北部同盟を中心にしたらどうかとか、タリバン穏健派を含めてやるべきだとか、あるいは国連主導でやるべきだとか、いろいろなことがされていますね。日本は、今後どういうふうにしたいという展望を持ってこの問題について取り組んでいらっしゃるんですか。

田中国務大臣 この問題は、当然国連でも議論されますでしょうし、私どもが本当に真剣に考えなければいけないと思っております。

 そしてまず、難民の方々の帰還でございますとか、定住を初めとしまして、復興のために何ができるかということが非常に大きな着目点になるというふうに思います。

 そして、あらゆる意味で幅広い分野から支援をするということをしなければなりませんので、これはまさしく忍耐強い、そして正確な、時間はかかるかもしれませんけれども、分析を必要とすると思います。

 これにつきまして、先ほど午前中に緒方貞子さんが、前UNHCRで働いていらしたわけですが、おいでくださいまして、人間の安全保障との関係で一時間ほどお話をしてくださいました。まさしくこのアフガニスタンの復興について日本が何ができるかという中で、一番緒方さんがおっしゃった基本は、安全、安全にその地域にその国の方たちが住めるようにするにはどうするかということで、やはりまさしく、日本の積み重ねが過去ある中で、忍耐強い努力が必要であるということが結論でございました。

伊藤(英)委員 緒方さんの話はいいとして。

 では、いつごろその復興会議を東京でやりたいと思っているんですか。それから、参加を要請したいのはどこを要請したいのでしょうか。

田中国務大臣 それらにつきましても、少し時間をかけながら、今どのようなことが状態が進行するかということをよく見きわめをつけながら取り組まなければなりませんので、フライングはまだもちろんできないわけでございますけれども、とにかくいろいろなアドバイスを聞きながら、現状を分析しながら、注意深く、そして忍耐強く取り組もうというふうに考えております。

 繰り返しになりますけれども、やはり難民の帰還でございますとか、定住をするということのために、幅広い分野の支援を分析しながら取り組んでいきたいというふうに考えております。

伊藤(英)委員 具体的な話はまだこれからという話のようでありますから、この話はまた次の機会にあれします。

 昨日ときょうとブルネイでASEANプラス3首脳会議等が行われていますね。そこで聞くんですが、ASEANプラス3の首脳会議で反テロ声明を出したいと我が日本としては思っていたと思うんですが、これが見送られた理由はどういうところにあると思いますか。

田中国務大臣 ASEANプラス3でございますけれども、反テロ宣言を出さなかったことは、別に日本のイニシアチブ云々ではなくて、やはりこれは、第一義的には議長国の議長の御判断ということがあるというふうに思いますけれども、プレステートメント等の中で各国の意見というものが要約されるというふうに考えます。

伊藤(英)委員 今の話は、そうすると、日本としてはASEANプラス3の首脳会議で反テロ声明を出したいというふうに必ずしも思わなかったというのでしょうか。

田中国務大臣 もちろん、我が国のスタンスはそうでございますけれども、必要なものは、そのステートメントの中にすべて私どもの意見も盛り込まれている、盛り込まれるというふうに承知いたしております。

伊藤(英)委員 今のお話は、本当は出したかったんだ、出せなかったけれども、議長声明の中に含まれていたからもういいんだよというように今聞こえた。いずれにしても、議長声明に入ったからいいんだということだと思うんです。実は、今のアジアの状況やら、あるいは日本と中国、韓国、あるいはインドネシアやらマレーシアやら、本当にそういう状況を踏まえていろいろやっていたのかな、我が日本は。外交をやっていたんだろうかというと、多分そうじゃないんだろう、だからこういう結果になったんだと私は思うんです。

 では、もう一つ聞きますが、今回、日中韓三カ国の首脳会談について、朝食会のものはそのままで、いわば公式会談というふうにはされなかったですね。なぜだと思いますか。

田中国務大臣 事務的には、会議の時間的なものが調整されなかったというふうに聞いております。

 それから、前段のお尋ねでございますけれども、もちろん、御案内のとおり、マレーシアでありますとかインドネシアでありますとか、国によってそれぞれの事情がありますから。ただ、基本的には、国際的な枠組みで反テロでいくということは、どこの国もテロリズムを容認はしているわけではもちろんございませんので、ですから日本は日本の立場の主張がございますし、それぞれの国の主張があるということは当然だろうというふうに思います。

伊藤(英)委員 私の持ち時間はもう終わりましたので、これで終わりますけれども、私は、最近日本が、特にアジア外交ということについて非常に、軽視しているのかどうかわかりませんが、私はよく言うんですが、例えば中国との間にしても、八月十三日からついこの間まで日中の外交関係はストップしていたと私は思うんです。だからこそ、テロの問題が起こっても中国とも相談もできないような状況だったんでしょう。韓国との間もなかなか大変です。私は、日本の外交を考えたときに、アジア外交をどうするかというのは最も重大な問題かもしれません。そのときに、日中韓というのはどうしても一番核ですよね。そして、今のような反テロ声明云々なんという話にしても、いかにもこんなことが、やるつもりならば事前にちゃんとできなきゃいけないと私は思うんです。今回も、何か見ていますと、今の日本のアジア外交の拙劣さがそのまま出ているんではないかと私は思います。

 何か一言あれば伺いますが、私の質問はこれで以上にいたします。

玉置委員長 渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 民主党の持ち時間の中で、防衛庁長官並びに外務大臣に質問をさせていただきます。ただいまの伊藤委員と若干重複する部分があるかと存じますが、お尋ねさせていただきます。

 まず防衛庁長官、十一月の二日、三日、四日ですか、与党の三党幹事長がパキスタンを早足で回り、イスラマバードあるいはカラチに行って、そしてムシャラフ大統領とも会って会談もしてきたという中で、この三党の幹事長には防衛庁、外務省あるいは国土交通省からも随行員が行ったというようなことがありましたけれども、何名ぐらい、どういう方が行かれたのか、ちょっとその点について教えていただけますか。

中谷国務大臣 ほかの省庁のことは存じませんけれども、防衛庁からは、内局から一名、それから陸海空、統幕それぞれ四名の方が同行させていただきました。

渡辺(周)委員 それで、四日に帰ってきて、そして総理に帰国報告があったということでありますが、その点につきましてどのような報告が防衛庁の随行員からは大臣の方にされたのか、その点についてもし教えていただければと思います。

中谷国務大臣 基本的に、与党の調査団がパキスタンに行っていただいて、政府の責任者またUNHCRの担当者から意見を聞いていただいて、政治の場でお話をしていただいたということにつきまして私も感謝をしたいというふうに思っております。

 与党調査団の方は大統領とお会いされて政治の枠組みでお話し合いをされましたけれども、防衛庁の担当職員は幹事長と別行動で、一日、イスラマバード市内またUNHCRの事務所等を回りまして、現場の意見また難民のあり方、状況等を視察いたしまして、その者から報告も伺ったわけでございます。幹事長からもお話を伺いましたけれども、両者の意見で共通している部分は、パキスタンの治安情勢などは政府がコントロールをしている状況で、心配するような暴動が多発して国内が騒乱状況にないということと、自衛隊の派遣等につきましては、難民に関しては自衛隊に対して非常に信頼を持っておって、パキスタン政府としても歓迎するというような内容でございました。

渡辺(周)委員 その点につきまして、ムシャラフ大統領との会談の中で、難民支援を自衛隊に期待するというようなことがあったようでございます。ただ、長官自身は基本計画には当初は非常に消極的に考えておるというような、これはNHKの討論番組だったでしょうか、そのようなことがありました。現時点では同国での活動は考えていないということがありましたが、しかし、その考えについて、今回の与党調査団の報告を受けて何らか考えが変わったということがございましたら、その辺は今現状どうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。

中谷国務大臣 私が報道機関でお話しした時点ではまだ調査団が帰国をしていない状態でございまして、百聞は一見にしかずということで、やはり現地を見てきた方の御意見というのは非常に参考になるものでございます。

 私が現時点においては想定していないと言った趣旨は、現時点において現に国連の機関からの要請を受けていない、また、今後の展開また現地の情勢等を見きわめつつ判断していくということで、この法律が公布されたのが十一月二日ということで、今後、より詳細に現地を調査した上で判断をしていくということでございまして、発言した時点においてはまだパキスタンで活動するということが念頭になかったわけでありますので、その趣旨を述べたわけでございます。

 今後のことにつきましては、与党調査団等の結果に基づいて、政府としても調査をしながら、実施するかしないかも含めて判断をしていくべきだというふうに思っております。

渡辺(周)委員 今のお話を聞いていて、もともと防衛庁自身は被災民支援には大変慎重であった。それは、今おっしゃったような国際機関から正式要請がないこと、あるいは現地の治安が大丈夫であるという確証が持てないということ、あるいは他国の部隊もいない中で自衛隊が単独行動するとなると、これは自己完結型の組織として行くとなると大変なボリュームで行かなきゃならないということも含めて実はこれはかなり、一番大きい問題は私は、やはりいつ何どきどのような形で国内の状況が悪化するかわからないという中での、我々は、民主党としては一貫して非常に慎重論を唱えてきたわけであります。

 そこにおいて、防衛庁長官もその時点において同じお考えだった。ところが、与党三党の幹事長が行かれて、ムシャラフ大統領の方からは強い要請があったというふうにあるわけでありますけれども、現実問題として、防衛庁長官御自身はこの基本計画策定に当たって与党三幹事長のパキスタン訪問が何か考え方を変えたということになるのであれば、これは防衛庁長官というよりも何かもう一人防衛庁長官というか意思決定の方がいるような我々は認識を持つわけであります。

 例えばですけれども、これは与党の自民党の山崎幹事長が、今回の派遣の後の記者会見の中でいろいろ質問の中に、記者の質問に対して、医療活動について防衛庁が前向きに検討するという感触はあるのかというふうに聞かれたら、当然です、私と同時に防衛庁の要員もパキスタンに行っていますなんということを言って、あるいは基本計画の閣議決定の時期がずれ込むことはあるかという質問に対しても、そもそも閣議決定の時期は決まっていない云々とあるわけであります。これは御存じかなと思いますが。そうなりますと、防衛庁長官ともう一人与党の幹事長と何かダブルスタンダード、二重の発言があって、一体どちらが意思決定の中心になっているのかというような思いを抱くわけであります。

 その点につきまして二つ。一つは、防衛庁長官がもっと積極的に、それであるならば、先ほど伊藤委員の質問にもありましたけれども、パキスタン行きも含めて、基本計画策定に当たっての防衛庁としての判断は与党三党の幹事長に随行した職員の報告だけでいいのか、あるいは、この今の状況について防衛庁のイニシアチブはどうなっているのかという点について、お答えを明確にいただきたい。

中谷国務大臣 まず、私が防衛庁長官でありますので、防衛庁・自衛隊の行動に対する最終的な決断をして、その責任を負うのは私でございます。

 幹事長等与党の皆さんが行って、現地を見てきていただいたということは非常にありがたいことでございまして、私が最終的な判断をするその一つの判断材料にいたしたいというふうに思っておりますし、非常に重く受けとめてまいりたい。というのは、政府と与党というのは一体でありまして、お互いに連絡をとって、意見交換を行いながら決定をしていくということでございます。

 なお、幹事長等の与党の調査団は、単に自衛隊の活動のみならずほかの関係省庁、政府として、全体の取り組みとしての見地での活動等も含まれておりますので、自衛隊が最終的にいかなる活動をするかということにつきましては、政府全体の基本計画の中で判断してまいりたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 先ほど来お答えの中にある、重く受けとめるということでございますので、そうすると、基本計画の第一弾の中に、これは当然、状況次第では医療活動も入るということで理解をした方がいいんでしょうか。その点、ちょっと確認をしておきたいと思います。

中谷国務大臣 この医療活動については、現地で、キャンプで病院を開設するとか、既存の病院を使うとか、また、日本から薬とか医療施設を運ぶのか、医師だけ行くのか、いろいろとバリエーションがございますので一概に言えないわけでございますが、基本計画策定を今検討いたしておりまして、いかなるものを当面の基本計画に盛り込むかということにつきましては、鋭意幅広く調査をした上で各省とも調整して決定をしてまいりますので、今の時点でどうこうという段階ではございませんが、今後検討をしていきたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 その点についてこれはいずれもう一回議論するときがあると思いますが、いずれにしても、我々として見ていますと、何か日本政府の中枢は内閣ではなくて与党三党の幹事長にある、この点について非常に我々も、どこに一体意思決定の本当に中心があるのかということについてわかりにくくなっておりますので、その辺についてはぜひともまた議論をしたいと思います。

 ちょっと先へ進めますけれども、外務大臣にお尋ねをいたしますが、今のパキスタン・ムシャラフ大統領という方は非常に親日家でもあって、そういうことでいえば、今後の日本が、パキスタンでありますとか、あるいは当然アフガニスタンの復興の問題については中心的な役割を担うことになるでありましょうけれども、その中で懸念されるのが、先般外務大臣が発言された中に、これは私が直接聞いたわけじゃなくて、あくまで新聞の見出しでしか知りませんけれども、例えば、難民激励に行くのは嫌だ、あんな汚いところに行きたくないわというようなことを言ったとかという話があります。もしこれは事実でないならば、ぜひはっきりとその旨は言うべきでありましょうし、また、こういうことが例えばパキスタン、向こうの国に報じられた場合、日本を代表する外務大臣が実は我々のことを、あんな汚いところへ行くのは嫌だというようなことを言っていたということになると、これは大変対日感情としても、今後のいろいろな支援活動をする上でも非常にマイナスだと思いますけれども、その辺の真偽について簡潔にお答えいただければ。

田中国務大臣 本当に、こうした報道がどういう根拠で、どこから出てくるのかと思いますけれども、そのような発言はいたしておりませんし、あれは私は何度も、あらゆる場所で答弁させていただいておりますが、国会が始まるときがちょうど計画がされた日でございまして、ひな壇に閣僚は並ばなければならないという、最近国会のそういうルールが非常に重たくなっていて、副大臣制度もありますけれども、とにかく本質的には、何でもかんでも、一人しかいない大臣ということになるので、本当に両手足を縛られているような状態でございます。

 ですから、私はそのような発言はいたしておりませんということを渡辺先生に対してしっかりと申し上げておきたいと思います。こうした無責任な報道がされないことを念じるのみでございます。

 それから、私はこの間も外務大臣とお会いしたり、そのほかパキスタン大使も来られたりしてお話ししていますが、できるだけ、例えば国会の束縛がない場合、今度は今月三日間連休がありますけれども、そうしたときにパキスタンなりイランなり、正式にも呼んでもいただいていますし、現場を本当に見るということは一番大事ですから、百聞は一見にしかず、先ほど防衛庁長官おっしゃいましたけれども、私もとにかく時間をいただいて、国会の御許可をいただいて、お休みのとき以外はだめだということになるんだと思いますが、今の状態でいきますと。パキスタン、それからイランも大変重要と思いますね。そういうところへじかに行く時間をとりたいと思って、事務方にもそのような努力をしてくれるように、相手の方とのスケジュール調整等をしているところでございます。

渡辺(周)委員 例えば、アメリカのメディア、ニューヨーク・タイムズとかワシントン・ポストなんていう向こうのメディアも、非常にそのまま訳されて外国に、当然メディアに報じられるわけでございます。そうしますと、日本の国として非常に、外務大臣がこういうことを言っていると極めて否定的に当然とられるでしょうし、これがこのまま諸外国に流れますと、当然のことながら、パキスタンとこれから日本が友好的な関係の中で、何らかの今後第二弾、第三弾の支援策を考えていったときにも、大変日本にとってマイナスになるであろうということでございます。

 これは、例えば、もし本当にそういうことであるのならば、日本のメディアに限らず、とにかく外国のメディアに対しても、はっきりとそれを打ち消すような否定をしていただいた方が、日本国の外務大臣として、非常にこれは日本全体のマイナスだと思いますから、その点に対して毅然とした態度で臨んでいただきたいなと思うわけであります。

 先ほどちょっとイランに触れられましたけれども、先般もイランの外務大臣が日本の協力に期待を示したということで、アメリカとイランの間に日本が橋渡しをしてもらえないだろうかというようなトーンが伝えられたということでありますけれども、対イランの関係、もし、今外務大臣が言われたように、その三日間の間にイランなりパキスタンに行かれるという強い意欲があるのであれば、ぜひその点について、日本がひとつイニシアチブをとれるのかどうか、その点についてもし御計画があれば、再度意気込みをお尋ねしたいと思います。

田中国務大臣 意気込みをお話しする前に、具体的に、もし先ほど、百歩譲って、日本のメディアかどこかが言ったようなことがあって、そしてパキスタンが憤っておられたら、大統領特使が外務大臣に会いに来られるということもないでしょうし、むしろあちらが忌避なさると思います。それよりもむしろ、私は招待をされまして、ぜひ来てほしいということも言っていただいています。それで証明できるかと思いますが。

 それから、イランにつきましてですけれども、これは、アメリカとの関係でなかなかイランも御苦労なさったと思いますし、今回のアフガン問題につきましても、イランはちょっとやはり、イランもほかの国もそれぞれニュアンスが違った立場というのは、それは当然ございますけれども、やはり率直な意見交換を結構いたしておりまして、まだ外部に出さないでほしいということもハラジ外務大臣はおっしゃっていることもございますが、差しさわりのないところで言いますと、やはり難民支援でございますとか中東の問題、これはもちろんイスラエルやパレスチナの外務大臣や何かともお話ししておりますし、そのほかの周辺国の外務大臣、あるいはこの間UNDPの方もいらっしゃったりしていますが、あらゆる関係者と話をしている中で、こうしたことについては挙げてやらなければいけないということに意見が収れんしております。ですから、日本が本当に確実にできることを先方と話をする、そして、行けるときは御許可をいただいて行ってくるということを実現するということに今鋭意努力をしているところでございます。

渡辺(周)委員 ぜひともその点についての日本として、これはイラン、パキスタン等周辺国、あるいはアフガニスタンについても、非常にこの日本という国が、ある意味では中東諸国に親日家が多いというのは、これは以前から言われていることですけれども、日本はかつて、宗教戦争というものを起こしたことがないし、中東を占領したこともなければ、中東に対して武器輸出をしたこともない。それからまたある意味では、かつて、アメリカであるとかロシアであるとか、大国を相手に大きな戦争をしながらもその独立性を保って今日まで来た、そして、目覚ましい経済発展も遂げてきたという意味で大変尊敬をされている。

 これは、静岡県立大学というところで、よく最近この問題で出てこられる宮田さんという助教授の方が私の地元の静岡の新聞に寄稿されたのを読んだんですけれども、この方がアフガニスタンに行ってきて、アフガニスタンの中で歩いていろいろ見ていたら、小学生たちにあなた方は日本が好きですかということを聞いたら、大勢の子供が手を挙げてはいと答えたと。

 非常にそういう意味では日本という国は別格扱いされていて、これは先般テロ対策特別委員会で参考人で来られた中村医師もおっしゃっていましたけれども、日本という国は非常に特別な好意を持って見られているんだという中で、日本もこれから、いわゆるアフガンの復興に向けても、周辺国の健全性に向けても努力していかなきゃいけないわけであります。

 その中で、もう時間がなくなりました、最後にちょっとお尋ねしたいんですが、先ほど伊藤委員も言われたいわゆるアフガン復興について、昨年も日本では、タリバン、北部同盟、そして元国王派という方々をそれぞれに招聘して、昨年の三月ですか、ということで和平に向けての話し合いを促進するべく呼びかけたわけであります。

 この招聘したというところまではいろいろなところで私も見聞きしているんですが、その結果どうなったかということが全然見えないです。外交青書を見ても、実はこれをやったということはないんですが、現実問題としてこれは一体、結果どうなったかということについて、現状の取り組み、当時三月九日から十九日にかけてアフガニスタンの有力政治勢力各派等を本邦に招聘したということで、結果どうであったのか。そしてまた、それぞれの政治勢力にそれだけのパイプを持っているのであれば、日本として今後どのようなことができるのか。

 今現状、考えていることをぜひとも、これは事の推移を見ながら結論を出すんじゃなくて、今からまさにその先のことを考えておかなきゃいけないと思いますが、今のアフガン復興に向けての支援策はどうなっているか、その点について外務大臣にお尋ねしたいと思います。

田中国務大臣 アフガン復興に向けてのお尋ねでございますけれども、これは先ほど伊藤委員にもお答えしたことになりますが、息が長いことになるというふうには思います。確かに、私たちはじゃどのような国を、アフガニスタンの国民の方、周辺諸国、それから大国等もありますけれども、私たち自身が、アフガニスタンの国民の意に一番沿ったものをつくるかということをやはり注意深く考えていかなければならないというふうに考えます。

 それは何かといいましたらば、アフガニスタンの国民の皆様たちが、自分たちが各層、いろいろな部族もいるそうですが、皆様が、自分たちが支持をして、そして国際社会からもなるほどねと思われる、幅広く受け入れられるような政権を樹立する。これはなかなか容易なことではないと思いますけれども、先ほど申し上げましたような関係の方の意見も聞きながら、できるところから確実にやっていかなければならないというふうに思っております。

 そして、今までの経緯も委員おっしゃっていましたけれども、昨年の三月に、アフガン各派等を個別に東京に招請して、和平の後の会議をやったという事実があるんですが、その後ことしの四月、ちょうどこの内閣ができる前ぐらいだと思いますけれども、東京招請を打診したんですけれども実現いたしませんで、そしてその後、本省の役所の中近東アフリカ局の幹部ですけれども、審議官が二回にわたりまして出張いたしまして、各グループ別の代表と意見を交換して、それは私のところに結果は収れんして来ております。

 そして、ことしの十月に、イタリアの林大使がザヒル・シャー元国王とお話をしておりますけれども、そこでの意見交換も今報道されていること以上のものはまだ収穫はないということです。

 したがいまして、今流動的にいろいろな状態で動いていますので、注意深く分析をしながら、冒頭申し上げましたような形でアフガニスタンの復興と、それから平和、安定というもの、一番は安全だと思います。

 きょうは、先ほど申し上げた緒方貞子さんも、これは本当に言うはやすくて実現するのは大変時間もかかるということをおっしゃっておられましたけれども、私もいろいろな情報を聞いていてそういうふうに思いますが、ただ、聞くだけではなくて一歩でも前に出るように、国会でいい御報告もできるように、日本の納税者の皆さんも、やはり日本はやっているんだと。外交は、きょう言ってきょうできませんけれども、少しでも前に出るように最善の努力をいたしたい、かように考えております。

渡辺(周)委員 この問題は日本が、アフガニスタンあるいは周辺国に対して、これは本当に大国ではできない、日本も大国でありますけれども、ある意味では日本ならではの本当に新たな秩序の構築ということができる最大のチャンスだと思いますので、これまで取り組んできたノウハウと、そしてまたあわせて人材の育成、そして長期的視野に立った今後の策を考えていくことをぜひともこれは与野党を乗り越えて考えていかなきゃならないなと思います。

 終わります。

玉置委員長 小林憲司君。

小林(憲)委員 民主党の小林憲司でございます。

 私は、日本の安全保障に関する問題は、現在非常に重要な局面を迎えていると考えております。

 米国に対する未曾有の大規模テロによる国際安全上の枠組みの変化、初めての戦時における自衛隊の海外派遣に伴う実務上の諸問題の発生、国会における小泉総理の憲法前文と九条との間のすき間発言など、この国の安全保障のあるべき姿について、過去の経緯を乗り越えた抜本的な発想の転換を行うべきときがまさに今来ているというふうに思います。

 このような重要な局面であればこそ、今こそ与野党が一丸となって、そしてまた政治家が国民の代表として政治家主導で素早くいろいろなことを改革していかなければならない、そういうふうに思っておりますが、そのような重要な時期に、国家の安全を保障する基盤ともいうべき外交を担う外務省内におけるさまざまなあつれきが連日のようにマスコミによって報道されております。

 大変これは残念なことなんですが、私は、本当に外務大臣、外務大臣には非常に大きな期待を抱いております。そしてまた、外務省の旧態依然たる体質を打ち破り、国民の目線に立ったわかりやすく柔軟な新しい外交政策を構築し得る外務大臣だと信じております。そして、それが実行できるのはまさしく今であり、田中外務大臣に本当にやっていただきたい、そう思っております。

 これまで実際にだれも手をつけておられなかった外務省内のさまざまな問題点を明るみに出されるなど、十分に実績も出されておる、私はそう思っておりますし、非常にその評価は皆さんに評価されるべきものだと思っております。

 しかしながら、就任されてからまだ半年余りでありますが、その外務大臣の実力を発揮していない段階にもかかわらず、初めの人事課長の更迭問題、そして秘書官の辞任問題等々、そしてまた、先ほど来質問にもありましたように、毎日毎日、細かい細かい問題や外務大臣の身の回りの問題や、そういうものが余りにも多く報道され、そして余りにもそれが表に出過ぎている。

 これはまさしく、先ほど大変怒りを込めておっしゃられたように、事実無根のこともたくさんあると私は思います。そしてまた、非常にその事実を曲げられて報道されていく場合もあると思います。しかしながら、余りにも外務大臣、毎日のように、これはこの大切な局面において多過ぎる。そしてまた、それがやはり外国の問題に絡んできたり、そしてまた国民の皆さんがそれを見て非常に不安がられておられる、こういう事実がございます。

 このことに関しまして、私は、ぜひともこの機会に直接大臣にお伺いしたいのですが、やはりこれは、大臣自身先ほど、全く周りの問題である、私はそんなこと言っていないとおっしゃるのですが、それはそうとしても、やはり外務大臣自身にも、これは何か大変な悔い改めていただかなければならないところがあるのではないかというふうにも思います。

 ですので、ぜひともこの一連の報道に関しまして、そのようには思わない、私はこれでいいのだと思ってみえるのか、それともこれはやはりこの大切な時期に外務大臣として実力を発揮して、もっともっと表舞台に出ていただいて、田中外務大臣の顔が見えるような、そんな外交が日本ができるようにするためにも、何かひとつ御自身で思われることがあるならば、ぜひともその辺を教えていただきたいと思います。

 そしてまた、今大切な時期ではございますが、日本の外交が変わらなければいけない、今までのような消極的で弱腰の外交から変わっていかなければいけない、これができるのも、私は田中外務大臣は必ずやっていただけると思っておりますので、ぜひともその大きな方針もここで教えていただきたいと思います。

田中国務大臣 前段おっしゃいましたことにつきまして一々コメントいたしますと、そのことがまた時間もかかりますし、そしてそれだけが報道されて、小林議員もそのことばかりを言っていらっしゃるような議員ではないでしょうから、天下国家、日本の外交についてお話をさせていただきまして、そして長い目で見て、政治家として、そして小泉内閣というものの外交が、そして外務省もトータルで評価がされるようにならなければならない、そのことをやはり国民の皆様も求めておられるというふうに思います。

 では、日本がどうあるべきかということですけれども、この外交については、大変大きなことではございますけれども、私は着任早々、外交とは、その要諦は何かということを申し上げています。すなわち、国益を守り、そして世界の平和と安定にどのように貢献をするかということです。

 そして、その中でもって、バイの、いわゆる二国間の話もありますし、多国間協議もございます。それはもう今まで五、六回、外国の国際会議に行って発言をし意見の交換をしておりまして、それは少しずつ時間をかけながらも、やはりいい結実をする方向に最善の努力もしてきておりますし、それはそれで問題はないというふうに思います。またさらに積み重ねていきます。

 それから、要人がもちろんいらっしゃって、あらゆる機会にお目にかかって、特に最近は、九月十一日以降、そうした関係の皆様がおいでくださることもありますし、また政府特使が行ってくださって、私が残念ながら国会の都合やそのほかの事情で行けないときに、そのほかというのはやはり今回の国連も御案内のとおりですけれども、そういう状態でもっても日本がメッセージを発信すべきとき、そうしなかったら、それはもう新しい法案もつくり、これだけ皆様が議論してくだすっているものに対して、日本の意見を言う場が必要と思っていても、やはり国会の関係でどうだろうかというふうなことになったりしますが、それでも日々、皆様の目に直接見えなくても、毎日これ外交をさせていただいています。大変多くの収穫も得ています。

 そして、こうした審議の中でも、国会論戦を通じましても、たくさんいい質問をしていただいて、それをまた調べたり勉強をしたり、それをまた積み重ねていって、これは必ず何らかの形で貢献をしなければいけませんので、当面はアフガンでございますけれども、もちろんほかの問題はたくさんありますね、外交の中で。北方四島の問題もありましょうし、サンマもありましょうし、もっと日米の安全保障の問題、沖縄の問題もありましょうし、もっと身近なASEAN、近隣の中国、韓国の問題もありますし、オールラウンドであるんですよ。

 それらをこなしながら、今は最大の優先順位をこのアフガンでやっておりますので、日本が何ができるか、やはり国民の皆様からいい仕事をやっていると思われるようにするためにも、もう前段のようなことをどうぞ余りお気になさらない方がよろしいと思います。

小林(憲)委員 先日の和歌山市におけるタウンミーティングでは、私もちょっと様子を見させていただきましたが、市民の方々の大変熱い期待を受けて、非常に元気のよい、外務省改革についての熱弁を振るわれておられましたと思うんですが、現在の外務省が抱える問題点、並びに、今後大臣がイニシアチブをとり特に進めていかれるおつもりの外務省の改革に関する施策の内容が、もしございましたらお教えいただけますでしょうか。

田中国務大臣 小泉内閣ができましたときから、前内閣から引き継いでいる機密費の問題等がございまして、たくさん次々と不祥事が出てきております。これは、小泉内閣にとりましても、また外務大臣を拝命しております私にとりましても、大変残念なことだと思います。

 しかし、これを引き継いだ立場でおりますし、一般省員の方が、在外公館でも本省でも本当に一生懸命働いていらっしゃる方がほとんどなんですね。しかし、こうした体質があるということを変えるというために、あらゆる方のお知恵も拝借しまして、例えば部局会計の一元化でありますとか、それからそのほかいろいろな制度というものを、これから後から官房長が御説明もいたしますけれども、たくさんの制度を取り入れて機構改革、そしてやはり資金の問題と人の問題等、人の問題はなかなかうまくいかなくて困っておりますが、私は民間大使なんというのも何カ月も前からこの方をと言っていますがなかなか役所が動かしてくれないんですけれども、そういうふうなこととか、活力を、やはりいい、ポジティブな活力を出していくという努力は相当いたしておりますし、制度の面でも、監察査察制度の立ち上げにいたしましても、随分できております。副大臣も先頭に立ってやってくだすっていますので。

 長年の間、五千人以上もいる役所でもっておりのようにたまっていたものを、これを変えるというものは、改革というものには、抵抗勢力も大きいし、時間もエネルギーもかかります。その間で、抵抗勢力からいろいろなことがまことしやかに流される、毎日毎日こちらがあきれ返るほどということもありますけれども、結果として、これはやはり二〇〇一年の外務省改革、これは霞が関全体からとってモデルスタイルになって、あのときの外務省のような形に自分たちもなりたいと他の省庁も言ってくれるお手本になるように今鋭意努力中でございますので、足引っ張りよりもやはりポジティブに、そういうふうにいい改革をすることによってよい機能的な外交ができるようにというふうに考えております。

小林(憲)委員 今お話を伺いまして、私も冒頭の質問で田中大臣に、このような毎日の連日の報道で、余りにも多過ぎるので、何か本当に大臣の周りから話が出過ぎる、本当にどうして今お話を伺うようなそういう活動が報道されないでほかのことが歪曲されて出されているのか、本当に大変失礼であったんですが、御自身にも何かあるのではないかというような御質問をさせていただきました。

 それで、今度は、今お話がありました事務方の方にも私は本当に今の状況を聞いてみたいとこの一般質疑の状況で思いまして、実際には事務方の野上事務次官に直接お話が聞きたかったのでありますが、そういうシステムではないということで、私も理解いたしまして、調整役であります小町官房長にお話をお伺いしたいのですが、小町官房長は非常に大臣を中で支えてみえる方なので、余りお話を聞いても、そうでない方に聞きたいような気はしたんでございますが、小町官房長にお伺いしたいのです。

 日本の外交が非常に重要な局面を迎えておりまして、それは私がこんなところで大きな声で言わなくても外務省の皆さんはよく御存じだと思いますけれども、大臣の先ほど来のお話のような、大臣が一生懸命新しいことを取り組もうということに対しましての、事務方としての間の橋渡し役をし、日本外交を十分に機能させるかなめとなっておられると思います野上事務次官及び小町官房長は、今の外務省職員の士気は、大変士気が落ちているんではないか、大臣を支えるための意欲が全く感じられない、こういうお話がいろいろなところから聞こえます。

 今回も、きょう国対委員長、民主党の方から聞きましたら、民主党の方は、報道されているように、G8外相会議や国連総会の方に行ってはいけないなんということを言っているわけではない、全くない、そうではない、そうではなくて、それが大切であるならばどうぞ行ってくださいと。大切であるならば行ってください、しかしながら、それは大切であるかどうかという判断はそちらにお任せします、そして外務省の方に、その重要性がどれだけあるのかということをヒアリングしたいので来てくださいと四度にわたって民主党は尋ねましたが、無視されております。四度ともだれも来ない、だれも質問に来ない。

 大変これはけしからぬことでありまして、大臣、私は本当に聞きたかった方に本当は聞きたかったんですけれども、どういうつもりなのかということを一度、まさしく今の状況は、日本が大変大きな事件に巻き込まれておるときなんです。一つ一つの行動が、本当に日本の国というのはどういう国かということを国際社会が見ております。それをしっかりと説明する機会であるのに、それを、どうぞ外務大臣行ってくださいと言えるような環境をつくらない、そしてまた野党がこれを知ることで、どれぐらいの重要性があるのかということを聞いてきても説明にも来ない、全くこれはどういうことなのかということを一度御説明願いたいと思います。

小町政府参考人 今先生御指摘の点でございますけれども、我々としては田中大臣を最大限お支えしてきたつもりでございますけれども、これからも一生懸命お支えしていくつもりでございますので、よろしくお願いいたします。

小林(憲)委員 私はごあいさつをいただきたくてこちらに来ておるわけではございませんので、季節のあいさつは十二月でございます、まだ早いわけでございますので、まだちょっとそれでは、この質問に対してお答えになっていないと思うんです。

 ぜひとももうちょっと、本当に私は、先ほど質問しましたとおり、外務省そしてまた外務大臣というのは、やはり君子は器にあらずとありますように道具ではないわけでして、大きな方針を示してやっていくのが大臣であって、それを支えていって道具になるのが外務省じゃないですか。それで、細かいことをしていくのがそうでしょう。それを大臣がそれは知らないからとかああだとか言って、何とかということばかりで、こういう大事なときに何もしないで、先ほど大臣が抵抗勢力というお言葉を使いましたが、抵抗勢力どころかまさしく、何といいますか、本当に野党が、我々が、初めに言いましたとおりにこの大事な時期を、与党野党なくて、この安全保障に関しては本当に国の問題だから乗り切っていこう、新しい日本の国に変えていこうとしているときに、何か旧態依然のままで、何とか自分たちだけうまくやっていこうというような感が見られる中で、そのようなごあいさつをされても困ります。

 ぜひとも、なぜきちんとした説明をしないのか、それともう一度お伺いしますが、同じ質問ですが、この今の士気が上がらない、そしてまた今回のG8、そして国連総会に対して、民主党が何度にもわたって外務省に説明を求めたのにもかかわらず一度も何の返事もしなかったのはなぜかという理由を教えていただきたい。

小町政府参考人 大臣をお支えするとの点については、先ほど申し上げたとおりでございますし、ただいまの大臣のG8御出張の問題につきましては、与党の国対に何度も説明いたしましたし、きのうも野上事務次官が大島国対委員長に説明をされたところでございます。(小林(憲)委員「与党じゃなくて野党だ」と呼ぶ)

玉置委員長 委員長から申し上げます。小林君の質問に答えてください。

小町政府参考人 はい。

 野党のそういう御要請にお答えしなかった点については、ちょっと私、つまびらかにしておりませんので、申しわけございません。

小林(憲)委員 では、このことは押し問答になりますので。

 委員長、なぜかということを今確かめるとおっしゃったので、確実にこれは確かめていただきまして、的確なお答えを民主党の方にいただきたいと思いますので、一応預かって、よろしくお願いします。よろしいでしょうか。大臣、よろしくお願いします。

玉置委員長 委員長から申し上げますけれども、外務省小町さん、今の民主党に対する、質問に答えになっていないので、民主党が呼びかけても答えがなかったという点について調べて、委員会に報告をしてください。よろしく。

小林(憲)委員 次の質問をします。

 先月からのテロ特別措置法の国会審議において、小泉総理は、憲法前文と第九条の間にはすき間があると述べられました。これは、国際協調の重要性を規定する憲法前文と戦力の不保持などを規定している九条との間には相矛盾するものがある、それを調整するという、これまで十分に論議されていなかった憲法解釈に対する問題意識を小泉総理は表明されたと私はとりました。

 また、私は憲法調査会の方に入れていただいておりまして、先日、森本敏参考人のお話を聞きまして、一般の憲法学者の先生の間にも、九条の条文と国際社会の現状との間には、戦後五十六年をたって、とても見過ごせないほどの開きが生じているという声も多いようであります。

 そこで、防衛庁長官にお伺いしたいと思うのでありますが、長官御自身としては、このような憲法のすき間、いわゆる前文と九条の間、まあはっきり言えば解釈ですよね、これはどのようにそのすき間ということをお考えでしょうか。教えてください。

中谷国務大臣 憲法の前文というのは非常に崇高なことを書かれておりまして、自国のことのみに専念することなくとか、世界の圧迫とか偏狭とかそういうものを地球上から除去する国際社会において名誉ある地位を占めたいと思うと、非常に国際協調の部分が高々とうたわれております。一方、憲法九条は、戦争放棄、武力行使を海外においてしないという抑制部分が書かれております。

 小泉総理の答弁は、今回のテロ対策において憲法で何ができるかという点を考えて、憲法九条に抵触をしない範囲で、この憲法の前文が言っている精神に沿ってでき得るものをやろうではないか、そのために法律が制定されていない、国家の基本的な統治にかかわる憲法で制定した中で法律で規定されていない部分を埋めていこうという趣旨で言われたというふうに思っておりまして、そういう意味ではまだ余地が残されているのではないかというふうに思っております。

小林(憲)委員 余地というのは、要するに解釈の部分でどちらかなということだなと思うんですが。

 またさらに、小泉総理は、今回のテロ対策特別措置法と憲法との関係について、すっきりした、法律的な一貫性、明確性を問われれば、答弁に窮してしまうと予算委員会で発言されております。

 すっきりした法的一貫性を確保しつつ、国際社会の現状に即した安全保障政策を立案、実施するためにはどういうことか。これをすっきりさせるためには、これは答えは一つでありまして、もはや集団的自衛権の行使の必要性を政府解釈の変更によって正面から認めていく、こういう作業が必要になるのではないかと私は思うのですが、このことに関しまして長官は、国際的な安全保障の実態に即した点から御意見をいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。

中谷国務大臣 私も、この憲法を読んでいろいろな解釈ができると思いますし、現実にも憲法学者の中で右から左までたくさんいるというふうに思っております。

 例えば、このコップの水が半分しか入っていないと言う人と半分も入っているというような二通りの説が出るぐらい、そういう面のいろいろな学説について小泉総理が言ったというふうに思っております。

 今回の新法は、現行の憲法の解釈に基づいて、集団的自衛権は行使せずに、武力行使をしませんという趣旨で構成をされ、つくられておりまして、現行の憲法の解釈においても憲法上問題がない範囲でつくられているわけでございます。今後のことにつきましては、やはり国民的な憲法議論をして、できることとできないことをきちんと分けて、国民だれしもが、憲法を読んで二通りの解釈をすることがないような明確な憲法にすべく大いに議論をして、改正をするなら改正するというふうにするべきだというふうに思っております。

小林(憲)委員 長官、今、ありがとうございました。本当にはっきりと、そういう問題を避けずに進まないといけないと私は思っております。

 先ほど憲法調査会のお話をちょっとさせていただきましたが、森本先生によりますと、九条ができたときとか完全に状況として、その中で携わっておられたそうですが、その九条の条文の中には、個別的自衛権をとるために、必然的にあるべき集団的自衛権を日本は放棄して、そのかわり個別的自衛権だけをとにかく持って、日本の国を守るんだという状況があったそうです。ですから、当時としてはあの中には、確実に解釈として入っていない、集団的自衛権は確実に放棄したということでありますが、とにかく五十六年たちました今、状況は変わっておりまして、まさしく一日も早くそういうことを避けずにいかなければならないと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 そのように今まで、今回のテロ対策特別措置法案のように、何か事件が起こると慌ててその対応法案を出すというようなことがこれからはあってはならないと私は思います。ですから、本当に平時のときから有事を考えて、何か起こればすぐに有事法案だ、有事法案だということになりますが、そうではないと思いますので、有事におけるそういう法制度をしっかりと今こそやらなければいけない。これが今までやってこられなかったのは本当に政府の責任であると私は思っております。

 しかしながら、いわゆる有事法制の整備に当たっては、極めて幅広い対応が必要であり、その具体化のための道のりには非常に並々ならぬ困難が伴うということもずっとこの委員会でもお話をお伺いしてまいりました。

 今、さきの森内閣以来、政府は、内閣官房を中心として、法制化を前提とした有事法制に関する研究を進める方針を表明して、また九月には、来年の通常国会における有事法制整備を目指す旨の与党三党の合意もなされているわけでありますが、今現在どのような状況でそれが進んでいるのかということを一度御報告いただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。(杉浦副大臣「委員長、先ほどの調査の結果がわかりましたので」と呼ぶ)

玉置委員長 杉浦外務副大臣。

杉浦副大臣 今調査いたしましたところ、けさほど、熊谷国対委員長が記者会見のブリーフで、外務省に対しては、二日の金曜日に四回院内控室に電話をしたが、だれも電話に出ず、対応してくれなかった、つまり外務大臣の出張に関して。外務省がそういう対応をするのは、省として民主党と国交を断絶するつもりだと思われるので、我が党もそのつもりで臨むつもりであるという旨のブリーフを記者会見でされていることを指しておられるのだと思うのですが、当方で調査したところ、当日、熊谷国対委員長は、八時半から九時ごろの間にお電話いただいたようでございます。だれもおりませんでしたので、電話がつながらなかったということでございます。

 事実関係としては、そういうことでございます。

 外務省としては、与党国対にまずお話をして、申し入れをして、御返答いただいた。民主党の方から来いということであれば、いつでもどこでもお伺いして御説明するつもりでありますので、これからとも、もし必要であれば参りますということでございます。

 それから、私が聞いている限りのことを申し上げますと、与党国対から、民主党は行かれることに賛成だという御趣旨のお話を今されましたが、行かれることは、それは政府・与党でお決めになることだが、しかし行かれた場合には、月曜日、火曜日がかかるわけですけれども、衆議院の予算委員会になるわけですけれども、外相不在のままで審議はできないので予算委員会の審議は水曜日からにしてくれ、行かれることには反対しないという趣旨で申されたと、私は、与党国対からは伺っておるところでございます。

小林(憲)委員 我々民主党は、いわゆるどれだけ大切であるか、これが大切であるならば、それは国の問題ですから行ってくださいということで言ったわけでありまして、あとは、日程ですとか国対同士のお話し合いですとか、そういうことに関してはもう与党のサイドの方にお任せするのが筋であるので、それはお任せします。

 ただ、どれだけの重要性があるかどうかを知りたいので、教えていただきたい、それを聞いた上で、それはそういうものなのかと理解して、それに対して本当に反対はしていないんです。

 ですから、重要性をまず知りたいから御説明をいただきたい、重要であるならば、どうぞそのことに対して、目くじらを立てて、外務大臣がいないからだめだ、予算どうのこうのだということは言わない、そういうことを言っているのであって、あと日程的なことでまた問題が起こるというのは、それはまた別問題であります。ですから、それはまた別問題であって、それはまた先ほどの私の質問とは関係ないことであります。

 それからあと、八時半から九時半の間に電話をかけてくださいと言われて、八時半から九時半に電話をしたらだれも出なかった。(杉浦副大臣「電話をかけてくださいとは」と呼ぶ)何ですか。いや、よく聞こえなかったんです。済みません、もう一度言ってください。

杉浦副大臣 外務省の方から電話をかけてくださいと申し上げたわけではございませんが、熊谷国対委員長の方から八時半から九時の間にお電話をいただいたようでありますが、後ほど調べたところ、そのときには、政府控室には外務省関係者はだれもおりませんでしたので、結局、電話を受け取る者がいなかったわけでございます。それを指しておっしゃっておられたということだと思います。

 それから、予算委員会の日程なんですが、私が伺った範囲では、与党としては、外務大臣不在のままで二日間予算委員会を開催させてもらえるのであれば結構だ。ところが、野党の方は、外務大臣不在のままでは困る、予算委員会は外務大臣在席でやるというのなら結構だ、外務大臣がどうしても行かれるのであれば、予算委員会は二日延ばして、衆は水曜日からやるというのなら結構だというふうに野党国対はおっしゃられた。したがって、与党としては、予定どおり予算委員会は月曜日、火曜日、衆はやるという日程で臨みたいということで、そういうことであれば、やはり外務大臣としても予算委員会出席を優先させてほしい、したがって国連行きはあきらめていただきたいというふうに、私は、与党国対から伺っておるところでございます。

玉置委員長 ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

玉置委員長 では、速記を起こして。

 では、中谷さん。

中谷国務大臣 有事法制のお答えをさせていただきますが、委員のおっしゃるとおり備えは常にということで、早期に有事法制を制定しなければならないというふうに思っておりまして、自衛隊にかかわる行動、米軍にかかわる行動、それ以外の行動という分類に分けて、一分類、二分類という形で整備をしておりますが、内閣全体の問題でございますので、今後、委員の主張、前回も御主張をされましたけれども、防衛庁にとっては非常に心強い激励の御意見でございますが、内閣全体としても、これまでの研究成果を踏まえて、全力で検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 今後ともよろしくお願いいたします。

小林(憲)委員 質疑時間が終わりましたので終わりますが、外務大臣、本当にきょうはいろいろとお話を聞かせていただきましたが、本当に大事な今、外交、やはり我々は、日本は平和を求める国家であります。私も有事法制と集団的自衛権をいつも言わせていただいておりますが、平和を求める者であります。まずは、平和というのは、やはり外交でお話し合いをしながら、しっかりと周りの国に理解していただいた上で日本の権利を主張していかなきゃいけない。そんな中で、今大変ないろいろな問題を抱えながら、中でも闘われながらやられておるわけでございますが、ぜひとも実力を発揮していただきまして、しっかりとした外務省を構築するという作業も続けながらやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

玉置委員長 田端正広君。

田端委員 テロ特措法が成立いたしまして、いよいよ実施段階という状況を迎えたわけでありますが、そういう観点からきょうは質問させていただきたいと思います。

 中谷長官、大変いろいろ御苦労されていると思いますが、マスコミでもいろいろな形で報道がされております。それで、基本方針の中身がどういう形で、今どういうふうに詰められているのか、そこのところを、国民としては大変関心を持っていることだと思いますので、ぜひ、お話しできる範囲の中でお答えいただきたいと思います。

 特に、自衛隊がいつごろ出発されるのか、そのためにはいつぐらいの閣議決定といいますか、そしてその前後に基本計画、実施計画、こういうことになるんだと思いますが、直接の担当である防衛庁の取り組みについて、またスケジュール等について、長官の腹づもりを御披露お願いしたいと思います。

中谷国務大臣 基本計画につきましては、政府の計画でございますので、内閣官房が全体の省庁を取り仕切るという点で中心になって策定を進められるわけでありますけれども、防衛庁としましては、防衛庁に関する部分については速やかに策定をすべく、全力で調査また情報収集を含めて取り組んでいるところでございます。

 二日に法律が施行になりまして、その日のうちに調整委員会を立ち上げてアメリカとの具体的な調整を始めたわけでございますし、また総理から以前から言われております速やかに情報収集のための艦艇を派遣すべきだという方針に基づきまして、この基本計画を含めて、各活動地域の海域また港湾の状況等も含めて、情報収集のための艦艇派遣をして調査研究を行いまして、今後具体的な内容を決定して、できるだけ早期に基本計画の概要についてお話しできるようにいたしたいと思いますが、現時点においては、まだ調整が開始された直後ということで、内容が事実固まっているわけではございませんので、今後ともこの作業を進めてまいりたいというふうに思っております。

田端委員 確認させていただきたいんですが、今回は米軍等に対しての物資の輸送あるいは補給、こういうことが中心に考えられているようでありますが、例えば派遣規模は護衛艦が三、四隻とか補給艦が一、二隻、あるいは規模としては総勢千人ぐらいとか、航空自衛隊はC130輸送機四機等で行くとか、こういったことが報道されておりますが、その辺は大体そういう感じなのかどうか。

 それから、例えばこの実施区域がやはり問題だと思うんです。そういう意味で、インド洋、アラビア海、ベンガル湾、マラッカ海峡、太平洋中西部という公海あるいは上空、こういうことになりますと、例えば、ハワイ・オアフ島、グアム、ディエゴガルシア島等、こういう範囲になってくるんだと思いますが、そうしますと、第七艦隊の作戦行動の範囲と二重にダブって見えるような懸念があるわけです。

 その点について誤解があってはならないので、そこのところ、ぜひ誤解のないように防衛庁として御説明いただきたい、こう思います。

中谷国務大臣 まことに重要な御質問をしていただいたと思っております。私も新聞を見まして、どういう調べに基づいて部隊の規模だとか派遣地域だとか艦艇の隻数をああいう大新聞が一面トップで報じるのか、本当に首をかしげることが多いわけです。

 というのは、先週の金曜日から米側と調整を始めたばかりでありまして、現時点において米側の要望もまだ具体的に来ておりませんし、これから具体的に詰めていくわけでありまして、現時点で報道されているようなことはまだ決定をしたわけではございません。

 今後よく調べまして、本当に国民の皆さんが理解し、納得できるような内容にいたしたいと思いますし、また、単に米軍の支援という側面ではなくて、ある程度被災民支援とか人道的な面の検討も進めて、やはり可能な分野におきまして、自衛隊の能力等も勘案して、しっかりとした計画ができるように今後策定作業を進めてまいりたいというふうに思っております。

 現時点においては、そういう具体的に決めたということは全くございません。

田端委員 長官が先ほどお話しになった事前の調査研究、つまり防衛庁設置法に基づく調査研究ですが、これはどういう形でどういう地域に、あるいはどういうユニットといいますか形で派遣されようとしているのか。例えば、その中にイージス艦等のうわさもマスコミでは出ているわけですから、その辺についてはどんなお考えなのか、御説明いただきたいと思います。

中谷国務大臣 これも、最終的には内閣によります安全保障会議を経まして決定をされるわけでございまして、現時点において、個別具体的に地域、規模についてはまだお話しできる段階にはございませんが、ある程度、我々が今後基本計画を策定する上において、また、自衛隊の艦艇が活動する海域とか港湾の状況等を現実に艦艇を派遣して調べて、安全に活動が実施できるかという観点で派遣をいたしたいというふうに思っております。

 目的はあくまでも調査研究目的でございますので、その目的に合う内容にいたしたいというふうに思っております。

田端委員 先ほど長官は、米軍への協力支援活動だけではなく、できれば被災民の救援活動等も考えたい、こういうお話でございました。

 もともと法律そのものが三つの柱があるわけですから、ましてこの被災民、難民救援活動というのは大きな要素として私たちも認識しておりました。

 したがって、その点について、例えばやるとなればパキスタンということになるんだと思いますが、先ほど来議論がございましたが、三党幹事長も行ってこられて、治安上も予想以上に心配はなさそうだというお話もあり、現地においてムシャラフ大統領からもぜひという歓迎のお言葉もあったということでもあり、そういったことで、防衛庁として、一番責任者として柔軟に対応されることが必要ではないかと思っております。少なくとも、パキスタンに行くかどうか、難民救援活動をするかどうかについての情報収集あるいは現地とのやりとりあるいは協議、検討、そういったことを柔軟にされていく必要があるのではないかと思いますが、その辺の現状はいかがでしょうか。

中谷国務大臣 全くおっしゃるとおりでありまして、最終決定をする前には十分情報収集をして調査活動をした上で実施したいというふうに思っておりますので、政府の調査団の方も今後検討されると思いますけれども、我が国としてなし得ることが可能な分野において、防衛庁としましては、実際派遣される部隊の能力とか隊員の安全の面もございますので、そういう見地での調査研究を実施した上で、問題がないというふうになりましたら決定をしていきたいと思っております。

田端委員 先ほど伊藤英成議員の御質問の中でもありましたが、今回のこの基本計画を背負ったといいますか、もとにした国会での承認という意味で、これは今までになかった大変大事なシステム、制度というものができたという御指摘でありまして、私も全く同感であり、これは非常に、国会が関与するという意味においては大変大きなシビリアンコントロールといいますか、そういった意味では、これは重大な修正ができたという意味で喜んでいる一人であります。

 その場合に、特に私は重視したいことは、この国会承認というのは、事前事後でマスコミ的には話題になりました。しかし、これで自衛隊がいざ出発、派遣される、その派遣されてからが、ここからが問題だと思うんですよね。つまり、時間とともに状況というのは変わっていくわけであり、状況が変われば日本の対応も変えざるを得ない。

 そういう意味では、つまり基本計画の大幅な変更、修正ということが必ず起こってくるだろう。それをつまり国会で承認するという、もう一度国会に戻してそこで国会が関与していくというこの仕組みができたという意味においては、この国会承認という問題は今までになかった大変大きな制度だ、こう思っております。

 例えばさっきありました、A国での被災民活動をやっている、その被災民活動を今度B国も追加したという場合には、これは基本計画の大きな修正になるから、こういった場合は国会での承認が必要になる、こういうことでありました。それから、A国での協力支援活動をやっている、そこに今度は同じA国で被災民の救援活動をプラスする、こういう大きな柱の追加の場合も、これも国会での承認が必要だ、こういう先ほど法制局側での御答弁がありました。

 私は、もうまさにそういう意味では、それはそのとおりだと思うし、そういう大きな基本計画の変更ということに関しては、今回の修正の中であるように、二十日以内に付議して国会で承認を求めるということは大変大きな歯どめであり、シビリアンコントロールになっていくんだ、そういう役割を果たすことになる、こう思いますし、今後、事態の推移によっては二カ月とか三カ月ぐらいの単位でそういうことを考えていかなければならないんじゃないかと思っておりますが、この問題について防衛庁長官は、どういうふうに現場の責任者としてお考えになっているか、御所見をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 私としましても、国会のシビリアンコントロールというものは最大尊重しなければならないというふうに思っております。

 その国会で承認を得るわけでございますが、当初の基本計画に定められていない活動を追加する場合におきまして、その変更があった場合は、先ほど委員がおっしゃったように、改めて自衛隊の部隊等に対して活動の実施を命ずることとなるように、当初の基本計画の枠を超えるような活動が新たに行われる場合には改めて国会承認を要するものだというふうに承知をいたしておりますし、また、政府が基本計画を変更した場合には遅滞なく国会に報告を行うということにされておりますので、そのような点を踏まえて、定められたことに従いまして実施をしてまいりたいというふうに思っております。

田端委員 けさの閣議で官房長官の方から、国連の要請を受けて東ティモールへの自衛隊の派遣の準備をするようにという御指示があったということを聞いておりますが、つまり、日本として正式に、これは政府として東ティモールへのPKOの派遣ということを御決定になったんだ、こう認識しております。

 先日、実は私も東ティモールを与党派遣団の一人として視察させていただきましたが、日本の施設部隊が道路や橋の補修、そういう意味でこの東ティモールの独立のために手助けをする、これはもう大変大事な役割だと思うし、私もぜひ頑張っていただきたいと思います。また、現地のUNTAETのデ・メロ特別代表とかグスマン初代大統領予定候補者とか、こういった方々も日本の参加を心待ちしている、こういう大変な歓迎でございました。

 そういう意味で、PKOのこの派遣の問題、特に東ティモールに関しては、今いろいろと取りざたされている凍結解除あるいは五原則の見直し、こういうことが私はここは必要ないのではないか、こう思っておりますが、長官はどういうふうにお考えでしょうか。

 それから、この五原則の五番目の武器の使用は要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られるということに関しては、今回のテロ特措法における自己の管理下という自然権的権利というそのものがこの五番目には適用できるのではないかと思いますけれども、そういう意味で、PKFの本体業務の凍結解除ということは与党三党でも合意をしておりますが、参加五原則というものは堅持した上で新しい事態に対応するということを合意しているわけでありまして、東ティモールの場合は今のままでいい、しかし、将来に備えて凍結解除は必要だけれども、この五原則のところはしかし大きな国民的合意として残しておく必要があるのではないかと私は考えておりますが、そういった点について長官の御所見をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 東ティモールに関しましては、田端委員も、また本委員会におられます浜田委員も、ともにティモールの現地に行かれまして、司令官やデ・メロ氏、グスマン氏と会って話をしていただいたことに対して敬意を表したいというふうに思っております。

 武器の使用についての原則も含めまして、参加の五原則についてどうかというお尋ねでございますが、我が国が国連平和維持隊に参加するに当たって、憲法で禁じられた武力行使をするとの評価を受けることがないということを担保する意味で策定された国際平和協力法の重要な骨格であるというふうに認識をいたしておりまして、五原則の基本的な枠組みは今後とも維持してまいりたいというふうに考えております。

 他方、実際に派遣を経験して実績を積む過程では、当初法で定められたことが、必ずしも現場の実情とか国連のニーズに合致しないということもあり得る例がございまして、そうした点も含めて十分に検討していかなければならない問題だというふうに考えております。

 今回も自衛隊が派遣をされますけれども、派遣の隊長が判断に困ったり迷うことなく、要員の安全も含めまして安んじて勤務ができますように、そのためには、武器の使用の範囲の問題等も、いかにしたらいいかという問題もございますので、今後、各政党間で御議論をしていただいて、それを踏まえて対応してまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

田端委員 時間が参りましたので、終わります。

 外務大臣、済みません、通告しておきながら時間がなくなりまして。ぜひ外交努力を頑張っていただいて、日本の国益のためにお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

玉置委員長 藤島正之君。

藤島委員 自由党の藤島正之でございます。

 まず最初に、テロ対策特別措置法に関してお尋ねしたいと思います。

 私ども自由党あるいは私の考えは、自衛隊の軍事行動が認められるのは、一つは、個別的であれ集団的であれ、我が国が直接侵略を受けた場合、あるいは、放置すれば武力攻撃に至るおそれのある周辺事態における自衛権の発動、これが一つ。

 もう一つは、国連の武力行使容認決議、これは安保理でもいいんですけれども、総会でも構わないんですが、それがなされ、その要請に基づく平和活動に限られる、こういうふうに考えております。例えば、湾岸戦争のように、国連の武力行使容認決議に基づく場合は積極的に参加すべし、しかし、ベトナム戦争のような米国の単独の軍事行動には、米国の要請があっても参加しない、こういう二つに限られるべきだ、こう考えておるわけです。

 しかるに、今回のテロ特措法に関しましては、米国は個別的自衛権、英国は集団的自衛権に基づく、こう言っておるわけです。しかし一方、我が国政府は、この法案は個別的自衛権でも集団的自衛権でもない、こう言っておるわけですね。

 そして、先ほど来何回も質疑があったわけですけれども、従来の政府の見解にとらわれて、法制局の見解にとらわれまして、集団的自衛権は我が国の憲法上認められていないと。我が国の憲法は集団的自衛権に一言も触れていないんですけれども、勝手にそういうふうに狭く解釈しておるわけですが、ここのところは我々とちょっと違うところなんですけれども。結局は、憲法の範囲でしか行動しない、あるいは憲法で禁止されている武力の行使はしない、こう言っておるわけです。

 そして、その延長線上で、武力の行使と一体となるおそれのある行為は行わない、輸送、補給等の後方支援活動は戦闘行動には当たらない、あるいはその一体化との関係で、一体化しない、こう強弁しておるわけですけれども、実際は、そういう制約からしまして、戦闘が始まりますと行動を中止して帰ってくるしかない、あるいは武器は、自然的権利としてしか、身を守るためしか使えない、最小限しか使えない、そういう制約を課して自衛隊を派遣しようとしているわけですね。

 今までは、確かに後方だけで安全なところしか行かない、こう言っていたんですが、先般、総理は、今回は自衛官を危険のあるところにも派遣する、こういうふうに言っておるわけです。そして、武力行使はしないと言いましても、輸送、補給等の後方支援活動は戦闘行動の一環、それは世界の軍事常識なんです。当然政府は、憲法解釈では違反しないよと言っていますけれども、事実上は憲法に違反することになる、これは当然なんです。総理はそこを、憲法解釈にはいろいろあるとか、詭弁を使っているだけなんです。

 要するに、表向きは憲法に違反しないと言っていながら、これを実行すれば必ず事実行為として憲法違反になる、こういうことなんですね。

 結局、この法律のとおりにやりますと、戦闘行為が始まれば同盟国をほうって我が国の自衛隊だけが帰ってこなくちゃいかぬ、ぽっこり穴があく、そんな不名誉なことが起こるんですね、現実に。この法律の中身がそうなんですよ。自衛官は武器の使用を制限されたままで派遣される、非常に危険な目に遭う、こんな形の、欠陥だらけの法律である。したがって私は反対したわけです。

 やはり、これは政府の立場に立つわけじゃないんですけれども、政府としては集団的自衛権をきちっと整理した上で、仮に派遣する場合は理念、原則をきちんと立てて自衛隊を海外に派遣し、各国の軍隊と全く同様の行動がとれるようにしてやる。要するに、自衛隊は軍隊なんです。そんな変な制約をかけたまま派遣すべきじゃない。これは防衛庁長官としての責任じゃないですかね。

 防衛庁長官も、最初、長官になられたころは、外務大臣もそうですけれども、いろいろ本当に政治家としていい発言をされているんですが、最近見ていると、どうも役所の書いたペーパーをそのまま読むというようなことに、外務大臣もそうですけれども、なってきつつある。これは役所にとっては便利なんですけれども、私は、そういう枠を政治家として外れることがあってもいいと思っているんですね。結局、そのときはフォローするのは大変なようでも、やはりそれを役所というのは工夫しながらフォローしていく。これがある時間を経過しますと、その歴史の一ページをあのときの大臣が開いてくれた、大変な苦労はしたけれども、結局あれが非常にいい一ページになった、こういうものだと私は思っているんですね。

 そういう点を踏まえて、両大臣に、私が申し上げたことについて、見解といいますかコメントをいただきたいと思います。

中谷国務大臣 就任して半年になりますが、常に国民の代表という立場で政治家として自分なりの信念を持って発言し、行動してまいりたいというふうに思っております。

 それで、総理の発言についてのお話がありましたが、総理は、危なくないところはないというふうに発言をされたわけでありまして、全く危なくないところはないということで、それなりの備えと心構えを持って行かなきゃいけないというふうな意味で発言をされております。

 今回の法案等につきましては、議論の間に申し上げましたけれども、派遣をする地域については戦闘行為が行われておらない地域というふうになっておりますし、また活動自体も、それ自体は武力の行使に当たらない活動でございまして、他国と、武力の行使と一体化することがないように定められておりまして、これから派遣をして実施する場合も、国会で論議があった点を踏まえて、我が国の憲法上、問題を発することがないように運用してまいりたいというふうに思っております。

田中国務大臣 このテロ特措法をつくるに当たりましては、要するに、武力行使と一体化しないで、憲法の範囲内でぎりぎりどこまでできるかということについての議論があったわけでございます。

 先ほどおっしゃったような自由党さんの案につきましては、ポイントが三つあると思いますけれども、一番のポイントは集団的自衛権というものについてしっかり、国連決議そのほかございますが、そういう三つのポイントがあるというふうに、私は非常に明快な御主張だというふうに思いますけれども、我が小泉内閣におきましては、やはり世論とかそれからすべての状態を勘案しながら、この辺でこういうことが一番すぐ今の事態に対応できる法律であるという現実的な判断からこういうことをいたしましたので、そこのところは御理解いただきたいというふうに思っております。

藤島委員 政府の解釈をそのままいけばぎりぎりのところだとは思います。ただ、現実問題としては、先ほどのような大きな欠陥が二つある。事実行為として、もしこの法律をそのまま守れば帰ってこなくてはいけないし、守らないと戦闘行為がそこで行われることになって憲法に違反するということになるということと、自然権的権利しか認められていない武器使用では自衛官の身辺が危なくなる。

 それは、先ほど防衛庁長官がお話ありましたけれども、今までのPKOと違うんです。今までのPKOは本当に、そんなに実際問題として危なくないんですね。五原則のようなものが大体あるところです。今回は何があるかわからないんですね。その辺をよく踏まえて基本計画なり実施計画はやっていただきたい。何よりも、自衛官の安全をまず。自衛官は行けと言われれば行くんです、実際。ただ、その辺をきちっと考えながらやるのが防衛庁長官の責任だ、こう思いますので。

 それから次に、外務大臣に外務省改革についてお尋ねしたいと思います。

 先ほど小林委員がいろいろ質問されましたけれども、私も重ねてまた質問したいと思いますが、最近は、本当に外務省というのはけしからぬ役所だと私も思います。全くそう思います。しかし、それはそれとして、外交がやはり大事なんですね。そこのところを踏まえていただかぬといかぬと思うんですが、現実に、今は田中大臣は外務大臣として抜かれているんじゃないか、すなわち、外務省は官邸の福田官房長官を通して総理の方に直結してやって、いつも外務大臣が外されている、いわばこけにされているような部分がある、こう思っているんですね。総理も、あからさまには言っておりませんけれども、外務大臣が辞表を出して、持ってくるのを待っているんじゃないかと思うんですね。

 こんな状況でそのまま外務大臣を続けているよりは、私は、辞表をたたきつけて格好よくいく、その方が男らしいというか田中大臣らしくていいんじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。

田中国務大臣 今も十分に男らしいと自分では思っておりますが、これ以上藤島委員がおっしゃるように男らしければ、自衛官になりまして中谷長官のもとで働かせていただければすばらしいとも思ったりしておりますが。

 こけにされている云々とは私は思っておりませんで、むしろ、そのような御同情をいただくこともありがたいんですが、いろいろ揣摩憶測、思惑絡みでいろいろなことが報道される、ほとんどおかしい話ばかりで信じられません。毎日毎日よくまあ種が尽きないと思いますが、こういうことを議論することがやはり追い落としたいと思っている勢力にくみすることになりますので、やはり本筋の外交論をさせていただきたい。

 今も何か秘書官と、何か秘書官が辞表だ、やめた何だって言われていたって、本人にこにこしておりますので、やはり事実しっかりと、いい政治をすること、いい外交をすること、そのことによって、なるほどそうだったのかということになると思いますので、ぜひ正面から先ほどのようないい御議論をお願いいたします。

藤島委員 辞表を現段階ではお出しになる気はないようですけれども、やはり外交というのは本当に大事なんです。民間会社なら、停滞しているとすぐ売り上げとか利益の数字にあらわれるんですけれども、行政、政治というのはそういう数字にあらわれないので困るんですけれども、私は非常に、現在は、今、大臣と外務省の事務方との関係を見ておると、先ほどの外交日程の問題もありましたけれども、国益が毎日毎日が損ねられているというふうに感じてならないんですね。外務大臣になられるときは外務省改革に相当、並々ならぬ熱意を持っておられて、私は、そういう改革には確かに向いているんだろうと思うんですよ。ただ、外交の責任者に向いているかどうかになると、私は疑問符をつけざるを得ない。

 したがって、今、石原行革大臣が総理の意を体して一生懸命やっているようですけれども、なかなかはかばかしくない。私は、田中大臣はむしろ行革大臣をおやりになって、外務大臣には緒方さん、さっきお名前が出ていましたけれども、そういう方になっていただいた方が我が国の国益にとっては非常にスムーズにいく。であれば、田中大臣は行革事務局と例えばいろいろあったとしても、むしろ各省の抵抗勢力、これを退治するには最もうってつけな人じゃないかな、こんなふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

田中国務大臣 外交もいろいろなファクターがありまして、そして世界も流動的でございますし、そういう中でもって、二十一世紀、いろいろな懸案がございますけれども、みんなで一生懸命頑張っておりますので、長い目でしっかり見る、いっときのことでもって判断をしないで成果を見ていただきたいというふうに思います。

藤島委員 大臣も、この半年の間、本当にいろいろなことがマスコミに報じられているわけですね。つい最近も、外務省の人事の話でもあれですけれども、総理は、大臣も事務方もどっちもどっちだと。両方の責任者で、任命権者でありながら全く無責任なことを言っておる、こんな無責任なことをよく言えたものだ、こう思うわけですけれども、内閣の一員として中谷長官はこの点はどういうふうに考えておりますか。

中谷国務大臣 外務大臣につきましては、本当に外務省の改革については、信念を持って、普通の人にできないような強力な使命感のもとに、恐れず、ひるまず、とらわれずの精神でやっているというふうに思っております。

 改革者というのは、とかく敵がいて常に命をねらわれるものでありまして、坂本竜馬にしろ幕末の時期にとっても、本当に命がけで行動して維新をなし遂げるわけでありまして、まさに外務省のみならず、行政のあり方、政治のあり方が問われておりますけれども、信念を持って国民の期待にこたえることができるために大臣になっているわけでありますので、外務大臣については、その使命を持って全力で取り組んでおられるというふうに思っております。

藤島委員 本人が全力をもって取り組んでいるのと結果が違うのは全く別問題でありまして、防衛庁長官のように、本当に一枚岩に防衛庁をまとめていってもらえると本当にいいと思うんですけれども、外務大臣は言いわけばっかしやっているように見えますので、この際、少し事実関係をきちっとした方がいいんじゃないかな、こう思いますので、幾つかの点を具体的に指摘させていただきますので、お答えいただきたいと思います。

 まず、柳井駐米大使、前大使、これに対して、一度は辞任を求めたが、その後、留任を、続投を主張したりしていると。もしそうだとすると、これは本当に対米関係にとっては大変なマイナス要因になるわけです。この辺は本当に事実なんでしょうか。国会の答弁の場ですので、事実はきちっと正確に、うそのないようにお答えいただきたいと思います。

田中国務大臣 もうこういうことを一生懸命言っていますと、また話が小さくなっていきますので、本来の外交の話についてお尋ねをくださるように。官房長までなさった藤島議員であられますので、先生の識見で、なるほどねと思われるような、正面から堂々とした質問をしてくださるようにお願い申し上げます。

 柳井さんにつきましては、この間、ショー・ザ・フラッグの話からいろいろあって、御苦労なさいましたけれども、しっかりと加藤新大使に引き継がれて、この間、退官といいますか、本省にお帰りになりました。御報告いたします。

藤島委員 ささいな問題と私思えないものですから。やはり駐米大使というのは、日米関係、一番大事な関係ですね、その中で駐米大使というのはそのかなめの人になるわけですから、その人に対して、やめた方がいいの、またいろいろあったら続投すべきだと言うのは、これはささいなこととはとても思えない、外交の中でも最も大きいことだ、こう思うから私は質問したわけです。

 次に、もう一つ移りますけれども、パキスタンの派遣の問題が起こったときに、これは新聞報道ですけれども、難民キャンプなんてあんな汚いところへ行くのは嫌よと、そのほかずずっと何とか、わながどうのと報じられているのですが、この点はいかがですか。本当にこれも大事な問題だと思うのですね。これが、どうのこうの、小さい問題ととても思えないので伺うわけです。

田中国務大臣 これも先ほど民主党の議員さんにお答えをしてございますので、藤島委員も当委員会の委員でいらっしゃるからお答えを繰り返す必要はないと思います。当然聞いていらっしゃると思います。

藤島委員 この辺は、官房長どうですか、事務方の方は。そうすると、事務方が勝手に捏造した、事実じゃないことを事務方がしゃべった、こういうことになるのじゃないですか。

小町政府参考人 大臣のパキスタン訪問につきましては、九月二十七日の臨時国会開会までに日本に戻るという必要がございましたという日程上の制約や、大臣が東京にとどまられてさまざまな情報を集約し指揮統括を行うことの重要性等の諸般の事情を考慮いたしまして、杉浦副大臣に行っていただいたということでございます。

藤島委員 週刊誌に書いてある程度なら別に私もそうあれしないのですけれども、やはりちゃんとした、れっきとした新聞紙上で書いてあるわけですね。これはやはりある程度きちっとしておくべきはしておかないと、国益は関係ない、ささいなことでは済まされない、本当に大きい国益にかかわる問題だ、こう思うから質問しているわけです。まあ官房長の立場では、こういうことは出しましたとは言えないのでしょうけれども。要するに、こういう関係があるということでいいのかどうか。

 もうちょっと言いますと、この間のイランのハラジ外相との会談に遅刻した件。この件は、外務大臣は向こうがおくれてきたから結果的に同じになってよかったんだというような話のようですけれども、やはりこういうキャンセルしたりおくれたりすることは再々やっておるわけでありまして、この件については事実関係は、官房長、どういう事実関係ですか。まず官房長に伺います。(田中国務大臣「委員長」と呼ぶ)いや、官房長にまず伺います、事実関係を。

玉置委員長 どっち。(藤島委員「官房長」と呼ぶ)じゃ、ちょっと官房長先に。

 官房長。

小町政府参考人 失礼いたします。

 当時の事情を、私、必ずしもつまびらかにしておりませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

田中国務大臣 官房長もお忙しいから大変だと思います。あなた様も官房長を不祥事でおやめになるまでやっていらしたわけですから、ぜひ外交の話を質問していただきたいと思いますが、これもここでは一回、お一人一回だけにさせていただきます、こういう質問は。

 この日にちは十一月一日でございまして、午後の三時から六時半まで衆議院の特別委員会がございました。それが六時三十分に大体終わりまして、それが、条約でございましたけれども、承認がされました。したがって、国会の慣例で、委員長でございますとか与野党の委員の方とごあいさつをいたします。これはもう委員御案内のとおりです。そして、その後社民党の先生やら他党の先生と個人的に話があって、社民党の先生は御自身がパキスタンに行かれた経緯もあって、こういうふうな席で会が終わってから立ち話をいたしました。御自分の経験をいろいろ教えてくださった。ほかの方も話をしました。その段階でもう既に七時近かったわけですね、いろいろ話をしていまして。

 ところが、その後、七時から食事はセットがされていました、ハラジさんというイランの外務大臣でございますけれども。三十分しかなかったのですね、この委員会終了から食事が始まるまでに。会場は移動しなければならないのです。そのときに、またマスコミのぶら下がりが大臣車のわきでございました。それに対応しておりました。外務省のプール金についてということで、かなり長い時間話がありました。もうそのときは既に食事の七時になっておりました。そして、車に乗って――それ以上お尋ねにならないから聞きませんけれども。ですから、この後は、外務省に行って身繕いもして、そして行きました。

 そして私は、早くに局長等がいらしているわけですから、時間がとっくに、これは終わってすべて今言ったことをやっていくときにも時間がたっておりますから、局長等が対応してさしあげないと失礼じゃないかと申し上げておきましたら、わかりましたということを秘書官を通じて言ってくださっていたにもかかわらず、格が違うとか何かおっしゃって。私、そんなこと全然ないと思っておりました。

 それで、行きましたら、御本人がおられなかった。どうしたのかと思ったら、外務省の言うには気をきかせて、先方がまだホテルにいらしたので、国会審議で大臣が少し遅くなるからお出ましを遅くしてくださいということを中近東アフリカ局長がおっしゃってくだすったそうで、私がお待ちしていて、プロトコルにのっとって、先方もちゃんとお着きになった、したがって間に合ったということを言っておりまして、非常にいい状態で意見交換もしながら親睦を深めることができたということでございまして、途中のつまみ食いだけではなくて、どうぞ外交について、仕事の中身について質問をなさってくださいますように、自由党さんの名誉のためにも、ぜひいい質問をしてくださいませ。

藤島委員 再々やるから、キャンセルしたりおくれたり再々やるから言っておるのですよ。委員会が終わって立ち話なんかする暇があったら、行ったらいいじゃないですか。ぶら下がりなんかやめて行ったらいいのですよ。

 秘書官は、じゃ、何もやっていないのですか、そういうことは。そうじゃないでしょう。結果間に合ったのじゃなくて、おくれるからといって向こうがそれに合わせてきたから結果合っただけじゃないですか。そんなことを全部やっていたら何だって一緒になりましたと結果だけでなるじゃないですか。そんな、言いわけにもならないじゃないですか。

 これが、一つ一つがやはり外交そのものなんですよ。こんなことを言ってはいかぬとか、そういう問題じゃなくて、こういうのをないがしろにしておって、外交、外交でニューヨークに行って格好よく演説する、それだけが外交じゃないと私は思いますよ。だから申し上げておるのですよ。外務大臣はその辺を、私前々から忠告しておったわけですけれども、心得違いしているのじゃないかと思うのですよ。

 時間がなくなりますので、最後に防衛庁長官にちょっと伺いますけれども、防衛計画の大綱の見直し、これについてはどういう方向で今どの程度の手順になっておるのかお伺いして、終わります。

中谷国務大臣 現在の防衛計画の大綱は平成七年に策定をされたわけでございますが、既に冷戦の崩壊を受けて、朝鮮半島における緊張が継続をするなど不透明で不確実な要素が残されておりますし、ソ連が崩壊をして極東ロシアの軍事形態が減少してきたという点を踏まえて策定をされているわけであります。

 また、新たな脅威という点で、各種事態に対応する、災害出動を含めた、国の防衛にかかわらず国際的な安全保障や新たな事態も想定した自衛隊の対応ということで、それぞれ変化を記述いたしております。

 具体的には、北海道に所在する四個師団のうち二個師団を旅団に改編、九州に所在する二個師団を維持するという点、そして今年度末には西部方面普通科連隊を新編するというふうに、九州、西部、南西部等にも焦点を当てた検討を行っております。

 今後等につきましては、不断にあり方については検討していくべきだというふうに思っておりまして、ことしの九月にはあり方に関する検討会議を設置したところでございますので、今後とも所要の検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

藤島委員 変えてしまうと、次変えるにはなかなか大変なものですから、十分慎重に検討して結論を出していただきたいと思います。

 終わります。

玉置委員長 赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、テロ特措法が成立して、今、基本計画の策定ということになっているわけですけれども、この問題について質問を行いたいと思います。

 午前中にも申し上げましたけれども、私たち日本共産党は、この八日間、四人の調査団でパキスタンを訪問しまして、イスラマバードを初め、それからタリバンの拠点に一番近いと言われているカンダハルのすぐ近くのクエッタ、そして米軍がパキスタンの基地を使っているジャコババード、それとその他いろいろな都市を訪問し、国連関係者、それから難民キャンプにまで行ってきまして、数多くのNGOの人たちとも話し合ってきました。きょうは、その辺も踏まえて、政府が考えていることと現場との関係について若干質問させていただきます。

 先ほど防衛庁長官は基本計画の策定は官邸でやっていると言われましたけれども、基本計画を策定する上で、少なくとも皆さんは自衛隊を米軍支援に送ることが国際貢献だと思っているわけですから、テロ根絶につながると思っているわけですから、その点で、一番今何が大事だと思って、今の局面で何をすることが大事かという認識なのか、これを手短に防衛庁長官と外務大臣に答えていただきたいと思います。

中谷国務大臣 法の趣旨に従って基本計画をつくるわけでありまして、法の趣旨は、先般米国で起こったテロに対して、国際連合等でこれに対処する国に対する支援を行っていく活動と、また、パキスタン等周辺国でこの難民等被災民に関して人道的な見地で我が国として貢献できる、支援できる部分についての検討でございますが、いずれにしましても、武力行使にならない前提で活動を実施するということで、そういう範囲において検討を進めていくべきだというふうに思っております。

田中国務大臣 この基本計画につきましては、基本的には防衛庁長官がおっしゃったことでございますけれども、やはり周辺国との関係で、人道的援助でありますとか、そのほか、やはり長期的なスパンでよく見ながら、どういうことができるかということについて分析し、実行していかなければというふうに考えております。

赤嶺委員 私は、政府の言い分を聞いておりまして常に思うのは、パキスタンやアフガニスタンで起こっている事柄と具体的にかみ合わせて日本がやるべき方向が全く見えなくて、何をやるにしても武力行使と一体にならない活動をやるんだという、そこばかりしか見えてこないわけですね。やはり私は、今度パキスタンにいてとても感じたのですが、そういう日本の国内の議論と向こうでの現状との間には物すごいギャップがあるというぐあいに一つ感じたのです。そこは、ぜひ私たちの指摘として、皆さんもパキスタンの現地やアフガニスタンの情勢等についてもよく見ていただきたいと思っているのです。

 それで、今行おうとしている米軍の戦争に対する支援の問題なんですけれども、実は、向こうに行って、私たちが行ったところは、さっきも申し上げましたけれども、カンダハルに近いパキスタン側のクエッタの難民病院に行ってきました。それから、同じくペシャワールの病院にも行ってまいりました。

 そこで私たちが訪ねたのは、アメリカの攻撃によって傷ついた母と子供たち、その家族でした。クエッタの難民病院では、ラディ・グルさんという二十五歳の母親なんですが、顔は全部砲弾の破片で傷ついているのですね。全身がそうだと言うのです。息子はハミード・ウラさんという一歳の子なんですが、脳に砲弾の破片が入っていて、その摘出手術をした直後でした。それから、そのめいのハナムちゃんという十歳の女の子は、空爆によって耳が聞こえなくなっている。

 そのほかに、私たちは小池参議院議員と一緒に、ドクターですけれども、行ったわけですが、小池医師がレントゲンを見て、どうすればこんな傷になるのか、かかとがこんなふうにして吹っ飛ぶというのはどういうことなのか、今まで見たことがない、戦争以外には考えられないような傷を負った人たちが入院をしていたわけですね。この病院は五人でした。

 この人たちは、タリバンと何の関係もないのですよ。本当に普通の家族。さっきの母子でいえば、空爆があって、親戚みんな一緒に住んでいるわけですが、二十三人が死んで、そして五人だけ残った、家族、親戚の中で。これがクエッタの難民病院に入院しているわけです。

 それから、ペシャワールでは、弟と妹さんなんですけれども、これは、畑の農耕作業中にひらひらとした花びらが落ちてくるように思ったので、何だろうと思って見たら、それはクラスター爆弾で、けがをしたわけですね。こういうような状況。農耕作業中といいますから、これもタリバンと何の関係もないのです。ビンラディンとも何の関係もないのです。

 それから、私は、同じくクエッタの町に、アフガニスタンから国境を越えて逃げてきたというアフガン難民の方、四十二歳の方ですが、この方にも会いました。この方は、やはりカンダハル近くのディポという村で、タリバンの弾薬庫が攻撃をされて、これが爆発をした、これに巻き込まれて多くの住民が命を失ったと。そして、十歳の子供が目に破片が飛び込んでいて、やけどしていて、たくさんの人が死んでいったと。十月八日の最初の空爆なんですよ。それでもう民間人が犠牲になっているのですね。そして、朝夕攻撃が続くので、村の人たちはロバに荷物を載せて馬車で逃げていく、そういう状態になっていて、自分も怖くなって逃げてきた。逃げてこられたのは本当に幸運なんです。向こうでは幸運な人たちなんですよ。本当に無実の罪の人たちが犠牲になっている、こういう状態に今あるわけですね。

 難民病院の先生は、ソ連のアフガン侵攻のときにはたくさんの患者が押し寄せた、しかし、今患者が押し寄せてこない、なぜかといえば、パキスタンとの間の国境が封鎖されていて出るに出られない状態なんだ、アフガニスタンの中では何が起こっているかわからない、こういうこともおっしゃっているのですね。

 まさにこの戦争は無実の罪の人たちを巻き込んだ戦争になっている、これはもうパキスタンでは非常に常識的な話なんですよ。そういう常識的な話がもっともっと日本で問題にされていくべきじゃないかと思うわけですけれども、そういう中で、皆さんは米軍の戦争支援を具体化しようとしているわけです。

 これは、日本政府が武力行使と一体になるかならないかの議論はわきに置いても、アメリカの戦争を支援するという意味では、日本も無辜の人たちが犠牲になる戦争を助けている。実態はそうですから。建前やその論はともかくとして、実態はそういう戦争になっているわけですから、そういうことになりませんか、そういう戦争に手をかすんだという認識はありますか。これも防衛庁長官と外務大臣、お二人に答えていただきたいと思います。

中谷国務大臣 現地のキャンプに行って状況を見てこられたということにつきましては敬意を表したいというふうに思っておりますが、与党の代表もパキスタンに行きまして大統領初め国の責任者と会談をしておりますし、また、米国のラムズフェルド国防長官も大統領と話をされまして、イスラム諸国もパキスタンも含めて、このテロ集団とかビンラディン氏については、許されることではない、極めて卑劣で許しがたいことであって、イスラム諸国からも、テロ行為はよくないという認識は一致をしているというふうに思っております。

 何のために米国がこういう行動をしているかといいますと、やはり市民生活を脅かすテロ行為の根絶に向けたものでございまして、現実に我々も、飛行機に乗るにしても、手紙を読むにしても、地下鉄に乗るにしても、何となく不安を感じつつ生活せざるを得なくなっております。やはりこういったテロが今後起こらないようにするために、いわゆる懲罰行為ではありませんが、テロの根絶を図るために行っているものでございまして、そういう観点で、今回の米国の行動は、我々自身の問題として、憲法の範囲内でなし得る限りの支援を行っていくべきだという国の姿勢として行っているというふうに私は認識をいたしております。

 ですから、一日も早く、ビンラディン、アルカイーダ、そしてタリバンがこのテロ行為に基づくことをしないようにするためにやっていただきたいというふうに思っております。

田中国務大臣 委員がおっしゃっておられる、アメリカの空爆によって一般の市民の方たちが、民間人が、亡くなったりけがをしたりして被害に遭っておられるのをどう思うかという御意見でございますけれども、本当にとうとい命が失われたりけがをなさっているということについては、だれ一人として、地球上の人が悲しみを覚えたりしないということはあり得ないというふうに思います。

 しかし、なぜここまで来てしまったか、それを考えますときに、基本はやはりあの連続的に起こっていたアメリカのワールド・トレード・センターを初めとするテロでありまして、これをこのまま放置していれば、完全に地球上からテロがなくなるであろうかという原点にもう一度立ち返らなければならないのではないかと思います。

 本当に人間というのは悲しいものだというふうに思いますけれども、本当にテロを根絶する、そして、そうした恐怖をなくして、そのようなテロの基地となるようなところを機能しなくなるようにしなければならないということが基本にあるということ、それに国際世論が一生懸命バックアップして、何とか早くに解決もしなければと思っているということも御理解いただきたいと思いますし、あと同時に、アメリカも、できるだけそうした民間の方に被害のないところに集中的に、気をつけながら爆撃等の行為をしているというふうに聞いておりますので、繰り返しますが、一般民間人の方の被害というものは最小限であるようにということは願ってやみません。

赤嶺委員 テロの根絶は二十一世紀の大事な、人類の生存にかかわる大事な課題ですから、テロ根絶で国際社会が一致しなきゃいけない、日本共産党もこういう主張を持っているんですよ。

 ところが、皆さんはそれが戦争だというぐあいに言い切って、そこから一歩も出ようとしていない。しかし、現場は、外務大臣、軍事施設を目的に爆撃していると言うんですけれども、タリバンの弾薬庫を爆撃したら住民が死んだんですよ。その人たちで生き残った人がクエッタに来ているわけですよ。懲罰を与えると言いますけれども、この住民はテロとは無関係の人たちですよ。

 そして、言っているんですよ。私と同じクエッタの町で、アフガン出身でNGOの活動をしている二十四歳の女性と話す機会があって、その人が言ったことが非常に印象的でしたので、メモしてきました。こう言っているんです。この戦争は罪のない人を巻き込んでいる。タリバンの人的被害は少ない。タリバンを全滅させたところで、テロ根絶にはならない。戦争に巻き込まれ、死んだ人の家族は、アメリカを憎むに決まっている。今必要なのは、飢え死にしそうな人たちへの緊急援助だ。こう言っているんですよ。

 タリバンには何の被害も与えていない。犠牲になっているのは一般の人たちだ。こういう戦争になっているんですよ。こういう戦争になっていて、無実の人たちが死んでいっている、そういう戦争を助けることについて、皆さんの良心は何のためらいもないんですか。皆さんが支援をすれば、そういう無実の罪の人たちの犠牲がふえるばかりなんですよ。無実の罪の人たちの犠牲がふえていくということについて、どのようにお考えか。

 外務大臣、さっき男性並みと言っていましたけれども、やはり女性としての気持ちもあるはずですから、母と子が犠牲になっている、こういう戦争についてどう思うのか。むしろ中止すべきじゃないかということを思いますが、いかがですか。(発言する者あり)

田中国務大臣 そうです。原因を考えてください。なぜこういうことになったんでしょうか。その原点を忘れて、男であるとか女であるとか、男の人でも悲しいと思ったこと、いっぱいいますよ。そういう議論は暴論だと私は思いますよ。そして、アメリカも誤爆は誤爆で認めていますが、そういった民間人を巻き込んでやろうなんてことをブッシュ大統領もだれも、国防長官も言っておりません。なぜこういうことになったのかということです。

 そして、早くにアフガンを復興させてこの戦争をとめて、世界じゅうに平和をもたらすために外交もみんなが英知を働かせようと言ってやっているんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 ですから、あの九月十一日のテロをきっかけに、アメリカでも犠牲が拡大し、アフガンでも無実の罪の人たちを巻き込んだ犠牲が拡大し、そしてテロの実行犯であるウサマ・ビンラーディンは何の被害も受けていない。テロの根絶にはつながっていない。こういう戦争を続けたら、無実の人たちが犠牲になるばかりじゃないか、こういうことが今パキスタンではもう大問題になっているのです。

 実は、私ジャコババードという町に行ってきました。パキスタンの側です、クエッタから砂漠の中を車で六時間です。そこにパキスタンの基地があって、米軍が使っています。米軍が使っていることをムシャラフ大統領は国民には公式に発表していません。なぜなら、やはり外国の軍隊が自国の基地を使うことについて非常に感情が高ぶっているからです、パキスタンの人たちの間に。

 私は、その基地の近くまで行ってきました。パキスタンのポリスが入り口を警備し、そしてレンジャー部隊が警備をし、パキスタンの陸軍がその中を警備し、一番の中心部分を米軍が警護している。基地に近づきたくても近づけないんですね。中は見えないのです、砂漠の真ん中ですから。

 そうしたら、翌朝の四時五十分、やはりアメリカの輸送機が飛んでいくのですよ。まさに夜陰に紛れて米軍がパキスタンの基地を使っているということをまざまざと感じてきたわけですが、なぜそんなふうにムシャラフ大統領はパキスタンの基地を使っていることを国民にひた隠しにするのか。

 パキスタンの人たちは、アフガニスタンのあの国境沿いは同じ民族だと。二十世紀初頭にイギリスが勝手に民族の間に線を引いて国境線をつくったんだと。だから、向こうで米軍が爆撃をしたら、我々の同胞が殺されているんだと。自分の兄弟が殺されているんだと。アフガンとパキスタンという国の違いじゃないんですよ。同じ民族で犠牲者が出ているという。

 そして、どういう感情が起こっているかというと、反米感情なんです。反米感情です。この人たちはテロにも反対ですよ。しかし、戦争をすることによって、自分たちの民族の仲間たちが殺されていくことにも言い知れぬ怒りを覚えている。こういう反米感情がやはり蔓延しているわけです。

 パキスタンの人たちは七五%が、世論調査によっても米軍の戦争に反対をしています。一方で、ビンラーディン一派は、これはイスラム対アメリカの戦争だと言って持ち込んできている。こういう戦争を続けている限り、テロ根絶では団結できない状態がつくられているんですよ。反米感情があおり立てられていけば、テロ撲滅という最初の目的、あるいはその点で団結するといった内容がこの戦争によって崩されてきているということも感じました。

 やはりそういう点でも、この戦争はテロ撲滅には役に立っていないというのを、パキスタンの現状からして私たちは見てきたわけですが、この点についてはいかがですか。

田中国務大臣 赤嶺委員がごらんになってきたこと、見聞はまさに正しいと思いますし、それからお聞きになった意見は正しいと思いますが、それでは、このテロを世界じゅうから根絶するためにほかに何か特別な方法があるんでしょうか。私は、残念ながら、世界じゅうがみんなでもってそれぞれの立場で英知を集めてやはりこの方法を支援しているという実態をもう一度原点からお考えいただきたいし、完全にこれをやめればテロがとまるんだ、世界じゅうから。そういう方法があったらお示しください。

赤嶺委員 私は、パキスタンの中で日本の位置というのを考える機会にも会ったんですが、向こうに行くと日本人はブラザーと呼ばれるんですね、兄弟だと。なぜかというと、やはりイスラムの国を汚していない。あの国で一番嫌われているのはソ連ですよ、イギリスですよ、アメリカですよ。白人を見る目と私たち日本人を見る目と全然違いますよ、病院などに行っても。なぜですか。やはりあの国に対する侵略と同胞を殺しているという意識ですよ、これなんですよ。そういう状態をほったらかしていて戦争を続ければ続けるほどこれは泥沼化していくわけで、テロ根絶にはつながらないと思います。

 私たちは、やはり国際社会が告発と制裁、国連を中心にする裁きの道に切りかえるということを言っておりますが、そのために国際社会が団結する上でも戦争はやめるべきだというぐあいに考えておりますが、実は戦争をやめるべきだと言っているのは私たち日本共産党だけじゃないんですよね。アナン国連事務総長も言いましたよね。そして、今本当に国際的な大問題として全体が考えてほしいということで、ブラヒミ国連特別代表、国連でアフガニスタン問題を担当している特別代表が、今戦争をやめないとこの冬の中で九十万人の餓死者が出るということを言って、戦争の中止を言っているわけですね。それから、ムシャラフ大統領だって、戦争は早く終わってほしい、ラマダンまでには終わってほしい、こういうことを言っているわけですよ。戦争中止はまさに国際社会の共通した声になってきているんです。

 これがやはり、今私たちがこれ以上戦争を続けたら九十万人の人たちが命を失うかもしれないというこの現状に立って、私たちはもう一度戦争について考え直してみるべきだと思いますが、国連のアナン事務総長あるいは国連の特別代表の発言について、この点についてはどのようにお考えですか。

田中国務大臣 そうした御発言があることもわかっておりますし、このままアフガンの実態というものは、残念ながら情報も、本当に実態がどのようになっているかということは私たちは知り得ない立場にある、これはおわかりいただけると思うんです。

 その中でもってどうやってこのことを解決していくかということが、政治であり、そして私たち人類の知恵でなければいけないわけです。ですから、一日も早くとめて被害者を減らさなければいけないという人道的な考え方がある一方、それに反対はしませんけれども、でも、どうしてもこのほかの方法がない、もっと違ったエスカレートしたテロが起こる可能性がずっとあるということについてやはり話をしていかなければいけない。

 いろいろな意見があるということは了解しています。したがって、こういうことを国連総会でいろいろな方の意見も聞きながら、国連を中心としてとおっしゃるんであれば、私を外務大臣として国連に行けるように共産党さんもぜひ働きかけていただきたい、御協力いただきたいと思います。

赤嶺委員 国連が、人道的な問題として、今戦争を終えて人道支援の体制に入らないと九十万人の人たちが命を失うかもしれないということを発表しているわけですよ。それを、国際社会にはいろいろな意見があるという程度の問題じゃありませんでしょう。国連で議論しましょうという問題じゃないわけですよ。

 私は、この国連の諸機関を向こうで回りました。やはり共通して出されているのは、この冬を迎えるのに、国連の機関がNGOと協力してきた人道支援、アフガニスタンへの食糧や水やテントやそういう支援、あるいはユニセフを中心とする子供たちへの支援、あるいは地雷の行動計画、こういうものが今戦争によって中断している、これを冬を迎える前に再開しないと本当に多くの犠牲者がアフガニスタンの国内で出る、これがパキスタンにいる国連諸機関の共通の認識なんですよ、共通の認識。

 それを、議論して方向を定めましょう、米軍への戦争支援は計画どおり進めさせてくださいということになると、日本という国は国際社会が真剣に考えていることについて背を向けているということになりはしませんか。この上に立ってテロ根絶のための国際社会の団結の方向を考えようというのがみんなの意見ですよ。これだけのギャップがあるということを本当に感じるんですが、皆さん、そういう国際社会、国連などの認識について、やはりギャップがあり過ぎるということを申し上げておきたいと思います。

 それで、自衛隊の難民支援ということをさっき防衛庁長官はおっしゃっていましたけれども、UNHCRで聞いたら、やはり向こうでの難民支援活動は、ソ連のアフガン侵攻以来二十年間以上の蓄積があるというんですね。NGOと協力すればいろいろなことができるような体制がつくられている。世界じゅうのNGOが駆けつけてきている。日本のNGOの人に聞きましたら、本当に世界のNGOの人たちがアフガンの難民支援、アフガンの中の支援を進めていて、日本のNGOの参加も、おくれたけれども今から本格化しますということで、世界からの立ちおくれを悔しそうに語っておりましたが、NGOというのはそれだけの力を持っているんですよ。

 ユニセフに行ったら、ユニセフはアフガニスタンで小児麻痺の予防でポリオを子供たちに届ける仕事を、三日間で五百万人に届け切れる体制があるというんですね、三日間で。あの国を治めているのはタリバンでもなくて、そして北部同盟でもなくて、本当にアフガニスタンの民衆を支えているのはそういう国連の機関であり、国連の機関と手をつないでいるNGOだなということがしみじみわかりますよ。

 それで、難民キャンプというのはNGOがやっているから安全なんですね。そういう権威を持っているわけですよ。今はまだ国境が閉められていますので、空爆による難民がアフガニスタンから流れ出てくるというようなのは、まだまだ閉じこめられていて困難な状態があります。でも、向こうに行ったら、これじゃ自衛隊の出番はないじゃないかというのが率直な印象ですよ。難民キャンプにはアフガン出身の医者もそろっているんです。だから、言葉の壁もないわけですね。だから、本当に難民支援でいえば、国連の難民支援活動、NGOの難民支援活動を政府が支援するということが大事だと思うんですよ。

 外務大臣、地雷の撤去もNGOが一生懸命やっていて、午前中もお話ししましたけれども、ヨーロッパの軍人を退役した人たちがNGOに参加していて、地雷の撤去をやっているというんです。アフガン人を現地から四千人雇って、技術を持っているというんです。そして、その地雷撤去の拠出金が、日本は去年とことしゼロだというんですよ、ゼロだというんですよ。それを現地で私たちは聞いてきて、一覧表ももらってきているんですよ。

 こういう日本政府のやろうとしていることは現場と本当にかみ合わない。難民支援のためにパキスタンに自衛隊を送ることは、現状からすれば全く必要ない、むしろ国連の諸機関やNGOを日本政府が支援する体制こそ強く求められているというぐあいに思いますが、これは防衛庁長官、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 現地の状況を伺いまして、共感できる面もございますが、どうしても私理解できないのは、なぜ自衛隊の活動を除外するのかという点が、どうしても理解できません。

 というのは、パキスタンの地雷の話をされましたけれども、せんだっても、パキスタンの地雷除去の民間の代表の方が防衛庁へ来られまして……(赤嶺委員「アフガニスタンね」と呼ぶ)いや、パキスタンの中に埋められた地雷です。

 それについても何とかしてもらいたいということで、我々自身が本当に大丈夫かなというふうに思うぐらい、現地の人は、それがNGOの民間でも軍の組織でもどっちでもいいと思います、自分たちを助けてくれるすべがあればそれは歓迎をするというのが率直な人の意見だと思いますし、難民の人たちも、軍に対して日本のように嫌悪感を持っているんじゃなくて、やはりそういう助けるすべがあれば歓迎をされるのではないかなというふうに思っておりまして、現地の状況をさらに我々自身も直接把握をしなければなりませんが、国家として、そういう人たちを救う組織とか手段を持っている限りは、やはりこれを使わないことの方が国際社会の常識から離れているのではないかというふうに思っております。

赤嶺委員 難民支援の場合に、先ほどから申し上げているように、いわば国連やNGOの力で万全の体制がとられているということなんですよ。何も私、自衛隊が反対だから、自衛隊は行くべきでないという議論を見つけに向こうに行ったわけじゃないんですよ。

 人道支援で今何が大事か。自衛隊を送るようなことではなくて、むしろ難民キャンプに自衛隊が行ったら、難民キャンプは本当に混乱し、危険性が増すだけです。今の安全な難民キャンプに混乱を持ち込むだけなんです。だから、やめた方がいい、そして日本政府は、財政的な支援をもっともっとやるべきだ、そういう財政支援をやってなくて、比較されて、本当に困っているところもありますよということを申し上げているんです。

 もう……

玉置委員長 終わりです。

赤嶺委員 時間ですね。

 では、最後にまとめますけれども、実は、クエッタに日本名誉総領事という方がいらっしゃるんです。その方の家には河野洋平前外務大臣の委任状が掲げられているんですが、この人も私たちの調査団に、自衛隊はパキスタンに来るのか、パキスタン国民は日本に極めて友好的な感情を持っている、アメリカと一緒に軍隊を送れば友好関係が壊れる、やめてほしい、これはパキスタンの人たちの一般的な感情なんですよ。

 それで、皆さん、与党が行ってムシャラフの合意をとってきたと言いますけれども、当日の「ドーン」ですけれども、この「ドーン」の中には、合意したということは一つも書いていないですよ。日本のNGOの活動が大事だと書いているんですよ。そして、後ろに写真はありますけれども、本文の記事はないんです。そのぐらい今皆さんが進めている計画はギャップがあるということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。(田中国務大臣「委員長、一言だけ。地雷撤去で数字を間違っておられたので、ちょっと修正させていただいてよろしいですか」と呼ぶ)

玉置委員長 はい。

 外務大臣。

田中国務大臣 対地雷ですけれども、地雷の撤去について日本は支出していないということを、どちらでお調べになったか知りませんけれども、九八年以降の我が国の援助実績として、アフガニスタンには二億四千六百八十八万円拠出をいたしております。(赤嶺委員「去年とことしが幾らだったか聞いているんですよ。そこをはっきり答えてください」と呼ぶ)以降の累積でございます。

玉置委員長 はい、終わります。

 今川正美君。

今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美です。

 まず最初に、防衛庁の方にお伺いしたいと思うんですが、先ほどの審議の中で中谷長官の方からもおっしゃっていましたように、実は新聞では、今回、自衛隊による米軍支援の基本計画に関して一面で大きく出ておりまして、先ほど長官も不思議なことだとおっしゃっていましたが、この報道によりますと、日本が、今から調整委員会の中で具体的にアメリカと細かなところまで調整をされていくんでしょうが、日本側が想定する支援内容をまず示して、米側の要請を聞いた上で、補給だとか輸送だとか具体的な活動を決めるんだということだと思うんですけれども、今月一日の日米安保高級事務レベル協議、いわゆるSSCの審議官級の会合が開かれましたね。それから翌二日には、いわゆる調整委員会を設置して初会合が開かれたというふうに報道にもあるわけです。しかも、今月十六日ぐらいをめどにして閣議決定をしたいという新聞報道がございます。

 その協議内容、現時点でわかる範囲内で教えていただきたいのと、先ほど申しました、日本側が想定する支援内容を米側に示す以上、その基本骨格といいますか、どういう中身になっているのかを御説明願いたいと思います。

中谷国務大臣 その新聞の記事の報道、私も朝の新聞を見て思わずけらけらと笑ってしまったんですけれども、その調整を開始する、いわゆるスタートの日にそのようなことの内容が決まるわけがございません。

 これから実際、その内容をお互いに調整して実施するわけでありまして、何の調査、どんな資料に基づいてその記事が書かれたかわかりませんが、防衛庁の責任者の私自身がそういうふうな資料を見たことも聞いたこともない内容であるという点でありまして、まさにその内容についてはこれから調整をするわけでございます。

 具体的な調整等につきましても、今まさに開始されたばかりでありまして、具体的に固まっておりませんので、現時点においてこちらでお答えできる段階ではございません。

今川委員 私の方も、きめ細やかな部分は別にしまして、いわゆる日米協議、調整委員会の場所でなさるわけですね。そうすると、日本側が想定している支援内容というのは当然持ち合わせて、米側の方にこういう支援をしたいというのを示すわけでしょうから、そこは別に防衛秘密でも何でもないでしょうから、そこをちょっと説明していただきたいんです。

中谷国務大臣 自衛隊の方も、現に我が国の防衛という大変重要な任務をしつつ、そのような支援活動を行うわけでありまして、当然、できる内容については限界があります。そういう点で、我が国のキャパシティーというか、できる能力についての見積もり等は行っておりまして、そういう話を実際にしたか、したというふうに思っておりますが、現実には、相手方のニーズに基づいて、より効果的な支援を行っていくものでございまして、これからそういう点の調整が行われるわけでございます。

 どれだけの能力があるかという点については、この場でお話しできる内容ではないというふうに思っておりますので、その点、御理解いただきたいというふうに思っております。

今川委員 それでは、この調整委員会という場、これは、例えば日米安保条約でいきますと、地位協定でうたわれている日米合同委員会であるとか、SACO問題の場合には2プラス2であるとか、あるいは、実際には行われていないけれども、二年前に成立した周辺事態法でいきますと日米間の調整メカニズムであるとか、いろいろな場がそういう法律を根拠にして設定されますよね。

 日米の今回の調整委員会というのは、その根拠というのは安保条約なのか、あるいは周辺事態法なのか、どうも違いそうなんだけれども、今回の成立したテロ対策新法でもなさそうなんだけれども、その根拠になるところはどこでしょうか。

首藤政府参考人 この調整委員会は、安保条約とは直接関係はないものでございまして、二日の金曜日に第一回会合が開催されたわけでございますけれども、テロ対策特措法の実施に際して必要な日米間の調整の枠組みの一部として設置されたものではあるわけでございますけれども、このテロ対策特措法に基づく協力は、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取り組みに我が国が積極的かつ主体的に寄与することを目的として行われるものでございまして、安保条約とは直接の関係はないというものでございます。

今川委員 だから、テロ対策というのはわかるんです。そういうことじゃなくて、今おっしゃったとおり、安保条約を根拠としているものじゃないということもわかります。ですから、自衛隊が米軍支援のためにどういう規模で、どういう部隊で、どの期間、どういう形で行くのかということを、詰めの作業をやるところのその一番大事な場所でしょう。その根拠になるところは何なのかということを。安保条約に基づかないということはわかりました。では、何が根拠なんですか。

首藤政府参考人 この委員会でございますが、まず、テロ対策特措法上に明示の根拠を持つものでもないというものでございますけれども、当該法律の実施に際しまして必要な日米間の調整の枠組みの一部として設置されたものでございます。

 なお、先生お尋ねの件でございますが、安全保障に関する日米間の協議、これはもろもろの分野において、各レベルでなされておるのが実態でございまして、常に個々の協議につきまして、法律あるいは条約において明確な根拠が必要となるわけではございません。このことは、例えば、我が国がアメリカ以外の諸国との間で随時実施しております安全保障に関する協議につきまして、常に法律あるいは条約上の明確な根拠に基づいているわけではないというようなことからも明らかなことでございます。

今川委員 これは答弁は求めませんが、防衛庁長官、やはり今の当局の答弁だと、一般論として、日米間では常日ごろいろいろな議論をしていますよ、それはそうでしょう。そういう一般論で濁されては困るんですね。少なくとも今度のテロ対策新法というのは、私どもは反対しましたけれども、しかし法として成立した。そうすると、直接戦闘地域に行かないにしても、いわゆるPKOとはまた違いまして、自衛隊という組織が海外に、いわゆるテロと闘っている米軍を支援するというわけですから、実際に米軍が戦闘行為を行っている、これをたとえ後方であれいわば支援をするという、これまでに経験したことのないことをやる、その枠組みを、基本計画をつくるときに必要とされる調整委員会の場が、こうこうこういう法律に基づいて、根拠として場が設定されましたというのがない方がおかしいんですね。例えば周辺事態法の場合には、ちゃんと法律の中に調整メカニズムというものを設置するというのがうたい込まれているじゃないですか。今回これが、たとえ時限立法といえども、そういう規定すらないというのは極めて重大だと私は思うんですね。

 さて、先般、与党三党の幹事長の皆さんがパキスタンを訪問されて、大統領とお会いになったりして、既に報告は政府としても受けておられると思うんですけれども、その中で、例えば自民党の山崎幹事長の談話といいますかコメントが新聞でも報道されておりました。例えば、今回、自衛隊がパキスタンの国内に入って難民支援だとか医療活動というのは、今の時点では困難ではないかというふうな新聞報道もございました。

 そういったものを踏まえて、ではこれは与党三党でありますので、政府としてもう早晩、早急に基本計画を策定されると思うのですが、当然その事前に、既に何らかの形で政府としての事前調査をパキスタンを初め周辺国を含めてなさっていると思うんだけれども、その点はいかがですか。

中谷国務大臣 与党の三幹事長が現地へ行って、いろいろな話をして、見聞きをしたということについては、情報収集の面では非常にありがたいと思っておりまして、その点では、今後の判断材料の一つにしてまいりたいというふうに思っておりますが、実際派遣するかどうかということを決定する前には、政府の調査団が行って、現地でその所要や安全を確認して、そして綿密な計画を立てるということは当然のことでございますので、パキスタンでそういう人道的な支援を実施するかどうかということにつきましては、今後調査を行うことを早急に検討すべきだと私は思っておりますが、実際調査団を派遣するかどうかということについての決定権は、官房長官初め内閣官房にあるというふうに思っております。

今川委員 なるほど、防衛庁長官としていつまでにどういう調査をするというのを単独で決めることは無理かもしれませんけれども、しかし、少なくとも今月中には早目に閣議決定をして自衛隊を派遣したいという思いであるわけですね。

 そうすると、与党三党の幹事長は既にもうパキスタン等に足を運んでいろいろな調査、安全性の問題を含めてなさっているわけであって、政府の方が、内閣官房長官であれ、そういった事前調査というものが現時点でまだないというのはちょっといかがなものかなという気がいたしますが、もう一度。

中谷国務大臣 その点につきましては、現地で大使館もございますし、駐在武官も派遣をされておりまして、その情報収集は一般的にやっておりますが、実際派遣するかどうかという見地においては、こちらで実施する側の要員が直接行って現地を見聞きする必要もございますので、先生の御指摘のとおり、早急に調査をする必要性は感じております。

今川委員 次は、田中外務大臣にお伺いしたいのでありますが、先般のテロ対策特別委員会の折に我が党の辻元議員からも質問が具体的にございましたが、我が党の辻元議員を初め三人の女性議員がパキスタンにやはり調査に入りまして、そのことは委員会が終わった後もちょっと立ち話的にお話を伺われたと思うのですね。

 やはり私どもが一番今最大の関心を抱いているのは、たとえミサイルが飛んでこようがこまいが、アフガニスタン国内の問題です。大臣も御存じのとおり、既に周辺国には何百万人という難民が出ていますね。そこに対する支援というのは日本政府としてもそれなりの対応をされていると思うんだけれども、問題は、難民にすらなり切れなくて、お金もない、しかも干ばつで水すら十分でないという、その中で、いわばことしの冬を越すのに、このまま放置されると少なくとも百万人前後の餓死線上にいる人たちがいるという、ここがやはり最優先じゃないかと思うんですね。

 いわゆるアメリカで六千人を超えようかという大変な犠牲者を出したこのテロの事件でありますけれども、このテロの事件とはある意味で無関係に、もともとアフガニスタンがこの二十数年来、内戦が相次いで、いろいろな要件の中で、食うや食わずの人たちがたくさんいる。そこに対しては、私ども社民党としても、この間の調査報告を聞きますと、例えば十人一家族のアフガニスタンの人たちが一カ月を過ごすのに、日本のお金で二千円があれば何とか食いしのぐことができるという報告を聞いたものですから、現地のペシャワールの会などNGOの皆さんと連携しながら、少なくとも、お金で済む話ではないんだけれども、とりあえずは一家族を一カ月間生活を支えるための二千円カンパということを今全国に呼びかけています。

 そういった意味では、やはりぜひ政府としても、米軍支援がああだこうだという話もありますけれども、とりあえず取り急ぐのは、アフガニスタンから出ることさえできない、そういう人たちの命をどうつないでいくのかということに、地元のNGOなどとも十分連携しながら、力を入れていただきたいと思うのですね。

 そうした場合に、私ども党の調査団の報告によると、輸送ルートも非常に限られている。例えば、パキスタンまではテントや毛布や医薬品とかいろいろな救援物資を持っていっても、これが確実にアフガニスタンの奥部、内部まで、被災民の人たちのところまで届くのかどうかということが一番大事なことだと思うのですね。そういった意味で、今、政府として、そういうアフガニスタンから流出してきた難民の皆さんだけではなくて、アフガニスタン国内にとどまっている被災民の人たちに対する救援の具体策はどの程度お考えになっているのかということが一つ。

 それから、そういう救援活動をやるためには、今米軍などがやっている攻撃を、今回のテロ事件の犯人を何とかしてとっ捕まえるんだという意気込みはわかるんだけれども、しかし、そういう攻撃が連日行われることによって、救援物資を運ぶことそのものが危険にさらされてしまうというジレンマに立たされている。そういった意味では、ぜひラマダンが始まる前に一日でも早く、とりあえず攻撃は中止してほしいということを米側にはっきり申されるべきじゃないかと思うんだけれども、以上の点、どうお考えでしょうか。

田中国務大臣 人道支援の必要性、それからまたテロとの闘い、テロ根絶のための闘いの重要性、この矛盾ということを御指摘になっていると思います。

 まさしくおっしゃるとおりに、社民党さんの辻元議員が、この間の委員会で、特別委員会でしたけれども、熱弁を振るわれて、その後も立ち話でよく話を伺わせていただいて、やはり現場へ行ってこられましたから、説得力あるお話でした。また、NGOの方たちの御活躍ぶり、ジャパン・プラットフォーム、私が送り出した皆さんとも会ったしと。そして、何をしなければいけないのかということについても切々とおっしゃいました。特にこの寒さの中でもって、アフガン内の、中にいる難民の方たちが、百万人近くが餓死するところにある、テロ根絶はもちろん大事だけれども、その方たちを人道的にほっといていいのかと。いいわけがありません。

 これは昨日、私の私的な懇談会でもって、そのメンバーの方がやはり国連のユニセフ大使でおられて、早くにアフガン問題に関心があって、同じことをおっしゃいました。ただ、食糧を運び込むにしても、水にしても、テントにしても、毛布にしても、とにかくルートがない。今現在の情報でも、バスでもって、何といいますかトラックですか、ばあっと物資を運んでいくそうです、国連からでも、アメリカからでも。我々はもちろんそうですよ、日本からのもの。しかし、最後は道がどんどん細くなって、ロバ八千頭と、五百人と言われたと思います、五百だか六百人のボランティアとか一般の地域の方たちがそれを担いで持っていくような状態である。

 ですから、本当にこれはどういうふうなルートがあるかということ、これをあれしなけりゃいけないんですが、とにかく、それは二つ目のアメリカが軍事行動をやめるべきだという問題、早期にやめるべきという問題とリンケージしますからつなげてお話しいたしますが、この人道支援の重要性、それとテロの根絶、この二つのことを混同して議論するわけにはいかないということなんです。

 ですから、いずれも並行的にやっていかなければなりませんし、ビンラーデンを初めタリバンのテロを行う人たちをかくまうようなこともできない、それを排除し、そして国際社会にとってテロの脅威がなくなるような社会を、そうした状況をつくり出すために、テロ撲滅に向けて世界じゅうが協力しているということももちろん理解をしなきゃいけないし、日本も全力を挙げております。

 したがって、また話がぐるぐる回るようですが、人道支援につきましても、もう一度官邸とも相談いたしますし、確かにいろいろな国の方とお話しするときにそういう情報をいただいています。ですから、具体的に日本が生きる援助をしなければならない、現場と違った援助をしてももったいないわけですから。また官邸でも、きょう総理も帰ってこられると思いますので、またそういう話を、現実的な対応ができるように閣内で議論をして、速やかに対応ができるようにしたいというふうに考えます。

今川委員 ただ、一言申し上げておきたいのは、アメリカ国内でもつい先日、ある新聞報道で、アメリカ国内のテロ問題の専門家、結構な権威らしいんですけれども、その方の新聞報道がありましたが、今回のこの大変なテロ事件に関して、今米軍などがやっているようなああいう空爆攻撃では、テロ根絶という意味ではやはり効果はほとんどないというふうな指摘もされているんですね。

 だから、問題はそこだと思うんです。ではどういう方法で犯人を特定して捕まえるかという問題は非常に難しい面がありますけれども、いずれにしましても、そういう攻撃によってほとんど無関係の多くの被災民が生まれ、そして生きるか死ぬかの瀬戸際に立っているというところも、もっとしっかり私たちは見ながらやっていかなければならないと思うのであります。

 三点目に、これは外務省北米局長にちょっとお尋ねをしたいんですが、先日のテロ対策特別委員会で、私が最後の方で、いわゆる日米安保条約に基づく事前協議のことをちょっとお尋ねをしました。そうしたら、これは藤崎政府参考人から次のようなお答えになっているんですね。

 空母キティーホークの出港に関して私が質問いたしましたら、米側からという意味でしょうけれども、事前協議の申し入れが行われていない以上、我が国の施設・区域から条約上の戦闘作戦行動が行われたことはあり得ないというふうにお答えになっていますが、実はこのことは非常に大事なことでありまして、一九六〇年の日米安保条約が一部改定される折に、当時の私ども社会党を含めまして、野党の側から、下手をするとアメリカの戦争に巻き込まれるというふうな批判が出まして、これに対して当時の政府は、いわゆる日本の主体性を確保するというその観点から事前協議制度をしっかり設けるから、日本の主体性、アメリカの言いなりになるということはあり得ない、わかりやすく言うと、そういうふうな考えに立ってこの事前協議制が設けられたと思うんですね。

 ところが、日本側の主体性ということであれば、この事前協議制というのは、お尋ねしますが、アメリカ側から申し入れがない以上は開かれないという制度になっているんですか。この点、いかがですか。

藤崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねのありました安保条約に基づきます事前協議につきましては、今委員御指摘のとおり、これの発議は米国から行われるものというふうに承知しております。

今川委員 もう一度再確認のため、ちょっと声が小さかったから、もう少し大きくやってください。

 では、この事前協議制度というのは、日本側からアメリカ側に何かの疑義が生じたときに、もう一度繰り返しておきますが、核兵器を持ち込んだかどうかという問題であるとか、あるいは在日米軍基地から直接出撃行為に及んだかどうかであるとか、あるいは空母なり空母機動部隊的なものが新たに配置されたかどうかであるとかというふうにありましたね。これは日本側から米政府に対して、これはちょっと問題ではないか、事前協議をさせていただきたいということはできないようになっているんですか。

藤崎政府参考人 今お尋ねのありました事前協議というものは、米国政府が提起するものであるというのが私どもの認識でございます。

今川委員 だったら、先ほど私が前置きとして言いましたように、安保条約を運用していく上で、事前協議制というのは日本側の主体性を確保するという意味で非常に大事なものだと私は思うんです。ところが、今参考人がおっしゃったように、アメリカ側からしか申し入れができないというんであれば、例えばわかりやすく言うと、今度は原子力潜水艦で、今は有事ですから、核兵器を搭載したまま入ってきた可能性があるなと日本政府が思ってみても、アメリカ側から申し入れがない以上は、核兵器が持ち込まれたか持ち込まれなかったか検証のしようがないじゃないですか。それで日本側の、日本政府の主体性が確保できると言えるんですか。その点、もう一度お答えください。

藤崎政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、昭和三十五年の、一九六〇年の安保改定のときにこの事前協議制度を導入いたしましたのは、米国が我が国の基地を利用するのに当たりまして、戦闘作戦行動を行う、あるいは核兵器の持ち込みを行うということを我が国の政府の意思に反して行うことはないということを確保するためでございます。米国としては、事前協議につきまして、日本に対する義務を誠実に遵守するということについて繰り返し表明してきておりまして、私どもはこの米国の表明を信頼するということでこれまで対処してきている次第でございます。

今川委員 あと時間が五分しかないんですが、ちょっと一番大事なところですので。

 何度も言いますように、安保条約の運用にかかわる一番大事なところじゃないですか。そうしますと、今おっしゃったように、これまで核兵器の持ち込み云々ということが六〇年代、七〇年代の国会で随分議論されましたよね。今回、具体的に言いますと、一九九二年、当時のブッシュ大統領は、海外に配備していた戦術核兵器は全部本国に撤収するということを発表されました。ただしそのときに、有事の場合には再搭載もあり得るということも同時に発表されたんですね。

 今回のこのテロ事件、今アフガニスタンのタリバーンに向けて攻撃を加えている、まさに有事、戦争ですよ。そうしますと、空母とか水上艦からは核能力そのものを除去したということも言われていますが、問題なのは、原子力潜水艦には厳として核搭載能力を残しているんですね。こういった有事の場合に、九二年当時のブッシュ大統領の発表の内容を踏まえれば、明らかに、何発かはわかりませんが核兵器を搭載したまま私の住む佐世保であるとかホワイトビーチ、それから横須賀に出入港を繰り返しているわけでありますので、これは当然事前協議の対象になりますよ。

 ところが、今おっしゃったように、アメリカ側は、少なくともイントロダクション、つまり陸揚げ貯蔵、例えば弾薬庫などに貯蔵する状態を核持ち込みというふうに理解しているんですね。そして、核兵器を積んだまま例えば佐世保の港に出入りをするというのはトランジットという別の言葉を使ってちゃんと区別をしているじゃないですか。

 この問題はもう随分長い間国会の中でも議論されたと思うんですね。それを米側から事前協議の申し入れがない以上、核兵器は積んでいないものと米政府を信用するということで国民が納得するはずないんですよ。疑義があれば、日本政府側からもきちっとまさに主体的に申し入れをしない以上、日米の同盟の関係というのはうまくいかないんじゃないですか。もう一度そこは答弁してくださいよ。

藤崎政府参考人 ただいま委員御指摘の二つの点、一つは、ブッシュ大統領のいわゆる核兵器削減イニシアチブ、これは九一年の九月に核兵器削減イニシアチブの中で、水上艦艇及び攻撃型潜水艦の核兵器を一方的かつ全面的に撤去するということを申しまして、翌九二年七月に、水上戦闘艦及び攻撃潜水艦からの核弾頭搭載巡航ミサイルを含むすべての戦術核兵器の撤去完了を発表した次第でございます。

 その際に、ブッシュ大統領は、通常の場合においては米国の艦艇は戦術核兵器を搭載することはないと言ったということは今委員の御指摘のところだと存じます。他方、現在の時点におきまして、この政策に変更があったということは私どもは承知しておりません。

 第二点、今、佐世保等を含めまして、我が国に船が、米国の艦艇が入る場合に、この際に事前協議がないではないかという点でございます。これは委員御指摘のとおり、これまで核兵器の持ち込みについて事前協議はございませんが、私どもは、事前協議がないということで、核兵器の持ち込みはないものというふうに米国政府を信頼しているというのは、今委員御指摘のところ、そのとおりでございます。

今川委員 ちょっと時間がなくなって田中大臣には非常に申しわけなかったんですが、本当は最後にこれからの世界の平和のあり方と国連の役割についてお尋ねするつもりだったんですが、今の問題、非常に大事なものですから、もう少し藤崎さん、確認しますよ。

 今回の米軍の戦闘行動と日本からの出撃、二つあるんですね、事前協議の対象となるのは。

 一つは、米海軍の原子力潜水艦に明らかに核兵器を搭載した疑いが非常に強いということで、私たち懸念しています。というのは、やはり六〇年に安保が改定された折、その当時のいろいろな文書を見ていますけれども、やはりアメリカ側も唯一の被爆国日本ということに対して物すごく慎重であり、配慮をして、例えば原子力潜水艦などが入ってくる場合には少なくとも二十四時間前に日本政府に通告をするとか、いろいろな装置といいますか制度を設けているわけですね。ですから、核兵器が再び搭載された可能性があると私ども思っておるものですから、それは当然日本政府側がもっと能動的にアメリカ政府に対して事前協議の申し入れをしなければいかぬのじゃないですか。

 もう一点は、空母キティーホークは明らかに、一度は試験航海のために横須賀に戻りましたが、その後、今度はアラビア海の方に向けて出動していった。これは日本側からの出動、出撃行為ということになるじゃないですか。

 例えば、湾岸戦争が終わった直後に、自民党の国防部会などにもかかわりを持っている方で小川和久さんという軍事アナリストがいますよね。彼が当時言っていたのも、沖縄の海兵隊が大挙してペルシャ湾に出撃をしていった、これは明らかに事前協議の対象じゃないか、それが日本政府は何ら事前協議の申し入れすらしなかったというのは大問題だということを当時おっしゃっているのです。今回だって、全く同じことが言えるじゃないですか。

 この核兵器の持ち込みの是非、それから、少なくとも横須賀から空母キティーホークがインド洋方面に出撃行為に行った、出撃をしていったということは、当然事前協議の対象になるはずです。これをなぜ日本政府としてやらないのかということを今申し上げているのです。もう一度答弁ください。

藤崎政府参考人 十分今の御質問を理解しているかどうか存じませんが、米空母キティーホークの出入国に際し、我が国に対して事前協議の申し入れがなかったということについて、今の委員の御指摘は、我が国の方から提起すべきではないかということ、次に、核持ち込みの疑いがあるのではないかということ、この二点であろうと存じます。

 第一点につきまして、私どもとしては、繰り返し御説明しておりますように、事前協議ということは、安保条約に基づきまして、米国が核を持ち込むというような場合、あるいは戦闘作戦行動を我が国から直接に行うという場合には、これは当然提起しなければならない米国の義務でございまして、これがない以上、米国を信用している、信頼しているということでございます。

 それから第二点に、我が国にこういうことが行われたんではないか、持ち込みが行われたんではないかということは、今の点の繰り返しになりますけれども、かかる事前協議がない以上はないと。

 出撃行為が我が国から行われたのではないかということでございますが、これにつきましては、先生のおっしゃる出撃行為という言葉、これが法的にどういう意味でお使いか私も十分把握しているわけではございませんが、条約上に言う戦闘作戦行動というものは行われていないというふうに承知しております。

玉置委員長 もう時間が来ています。

今川委員 もう質問時間が切れてしまいました。最後に一言だけ。

 やはり日米安保条約あるいは日米同盟というのが本当に重要であるという認識なら、こういう運用のずさんなやり方では話にならないですよ。今の答弁だって本当に木で鼻をくくったような答弁で、アメリカの方がよっぽど正直です。本当に持ち込むときには、イントロダクションという状態なら、アメリカ側から、頼まれなくとも申し入れがあるでしょう。

 この問題に関しては、アメリカの公文書を含めて、実は既に密約があったということがもうはっきり出ているじゃないですか。周辺事態法にしても、今回時限立法とはいえテロ対策新法にしても、日米のいろいろな取り決め事が底が抜けている。日本側の主体性、主体性と小泉総理も一生懸命おっしゃるけれども、主体性を裏づけるようなものがないじゃないですか。

 その点一言申し上げて、私の質問を終わります。

玉置委員長 小池百合子君。

小池委員 保守党の小池百合子でございます。

 安全保障委員会の場ではありますけれども、若干金融関係のことについてお伺いをしたいと思います。

 先日も香港に参りまして、国際会議がございました。そこで各国の方々がおっしゃっていたのは、日本の今回の防衛努力プラス、何よりも日本の経済が、金融が安定することこそが世界への今回のテロに関連してのさまざまな問題の解決に大変大きく寄与するというラブコールを聞いてまいりました。その意味で、今回テロ対策の特措法、例の不審船関係の海上保安庁の法律の改正、これもまさにいろいろな意味で総合的に安全保障にかかわる問題でございますので、大変重要であったというふうに思います。

 また一方で、今回のアルカーイダ、ウサマ・ビンラーデン容疑者という、その組織でございますけれども、その組織を支えているのは人でありお金であるという面から、資金の凍結、そしてその洗い出しという作業が今回行われたわけでございます。

 また、先月末に、我が国もかなりおくれまして、先進国、G8の中では唯一署名をしていなかったテロ資金供与防止条約、これについてようやく、おくればせながら、国内法の整備等々も含めてさまざまな準備が行われているわけでございます。

 まず、今回のこのウサマ・ビンラーデンに関連しては、外為法を活用しての検査であったと思いますけれども、結果の方はいかがだったのでありましょうか。

原口政府参考人 外為法の関係は財務省の所管でございますのでちょっと詳細はあれですが、それを活用して数件について資産の凍結を行ったというふうに聞いております。

 また、金融庁の方では、マネーロンダリング対策ということで、組織的犯罪処罰法に基づきまして、金融機関等が収受した資金が犯罪収益である疑いがある場合に金融庁長官への届け出を義務づけておりますが、安保理決議でタリバーンが薬物犯罪で収益を得ているという指摘がございますので、これに着目をいたしまして、タリバーン関係者等に関する取引について、犯罪収益の疑いがある取引として届け出を行うよう金融機関等に要請を行っております。これに基づいて現在まで相当数の届け出を受け、捜査に資すると認められるものについては捜査機関等へ提供するということで、迅速に対応しているところでございます。

小池委員 ありがとうございます。

 先ほどのテロ資金供与防止条約、各国が相次いでまた署名もするということでございますけれども、思わぬところが結構早い対応をとったのに私もびっくりいたしました。北朝鮮の外務省が十一月三日の段階でテロ条約に署名を決定ということでございます。また、九月十一日のテロが起こりました後も、反テロの立場を明確にと読み取れる発言が相次いでおりまして、これまで北朝鮮といいますと、何かと我が国にとりましてもいろいろな問題を抱えている国であり、北朝鮮がそういう言葉どおりになってくれればいいなという思いも込めまして、今私の反応を申し上げたところでございます。

 そして、この北朝鮮でございますけれども、毎年、アメリカ国務省が、テロ支援国家、テロ支援組織といった形でいわゆる白書のようなものを出しているわけでございますけれども、このウサマ・ビンラーデン、明確にこれまでその固有名詞を出したときと出さないときとございますけれども、一方で、テロ支援の国といたしましては、北朝鮮はずっと載って、認定されているわけでございます。

 その意味で、このテロ資金供与防止条約、いろいろな意味で、このウサマ・ビンラーデンという今回のニューヨークのテロ、そしてこれまでの一連のさまざまな暴力行為ということから発生をいたしておりますけれども、我が国の近隣にもアメリカ政府が言うところのテロ支援国家があるということは、今後の日本の安全保障におきましても、やはり最大の注意を払っていかなければならないというスタンスを持っております。

 その意味で、これまでもアルカーイダと北朝鮮との関係もさまざまなことがうわさはされております。そういった面、警察の方でお調べになったのか。そしてまた、北朝鮮そのものは、やはり麻薬の問題、偽造紙幣の問題、そういったことがいつも俎上に上がるわけでございまして、それを日本との関係でどのような点でお調べになったのか。そのあたりを捜査当局の方からお聞かせいただきたいと思います。

漆間政府参考人 北朝鮮とアルカイダとの関係につきましては、米国国務省のパターンズ・オブ・グローバル・テロリズムズ一九九九、この一九九九年版で、何らかのつながりを維持していたとの指摘がなされていたわけでございますが、最新版ではその指摘は落ちております。

 他方、アルカイダを庇護しているタリバンが麻薬による利益を得ているということにつきましては、国連の安保理決議千三百三十三号において明記されているわけでございます。

 北朝鮮については、かねてより、薬物や偽造紙幣などの非合法ビジネスを営んでいると言われておりまして、警察としても、北朝鮮から出たと思われる覚せい剤等を押収したりしているわけでございますが、こういうような点も考えまして、北朝鮮とアルカイダとの関係について、現在、重大な関心を持って情報収集に努めているところでございます。

小池委員 今回はアフガンが注目されて、最初はニューヨークからでございましたけれども、こういったテロというのは、まさに国対国ではなくて、国境を越えて、むしろテロリストが望むところといいますか、ねらうところが対象になるのが非常に厄介なところでございます。また、組織的にさまざまなネットワークが広がっているということもございまして、我が国の安全保障の観点から、資金の流れ、そしてまたそういった犯罪行為と別の組織とのつながり、これはやはり徹底してこの際お調べいただくことが必要だと思っておりますので、今後の捜査当局の方々のこういった関連の捜査、ぜひとも頑張ってやっていただきたいと思っております。

 しかし、アメリカの場合は国務省がそのテロ指定、先ほどことしの版では名前がなかったり前の年にはあったり、もちろん活動内容にもよるでしょうけれども、そこに名前を載せる載せないがある種の駆け引きでもあるというふうに私は思っております。

 そういった意味で、このテロ国家なりテロ支援というのを、国務省の場合はどういう定義でもって基本的な路線を引いているのかちょっと教えていただきたいと思いますが、これは外務省でしょうか、大臣、よろしくお願いします。

田中国務大臣 お答えいたします。

 テロ国家を定義づけずにあらゆる角度から根絶のために対応してきておりますけれども、やはり米国政府は、米国内法に基づきましてテロ支援国家の指定を行っておりまして、対外的な援助の禁止でありますとか武器取引の禁止、軍事関連輸出に対する許可の義務づけなどの措置がとられております。

 それから、日本ではこのようなテロ支援国家指定の制度は存在しておりませんで、テロリズムは人類全体に対する極めて卑劣かつ許しがたい挑戦行為でありますので、我が国といたしましても、これまでに、関連の国連安保理決議に従いまして、ウサマ・ビンラーデン関係の資産の凍結等の措置を実施しております。

 政府といたしましては、引き続き、断固たる決意を持ってテロ根絶のためのあらゆる努力をするという考えでおります。

小池委員 どうでしょうか、日本として、そういった危険な組織、国々があるわけでございますから、犯罪白書等々でそういった面も取り上げていらっしゃるとは思いますけれども、やはりそういったことも外交のツールとしてもなるわけでございますから、私は、そういった定義づけ等々も考えてみたらいかがかと思っております。

 何よりも、日本の方々が拉致されている国でございます。まだ行方不明者とか、いろいろと外交上のテクニックとしての言葉はございますけれども、明らかに自分の意思に反して連れていかれているということ、これの問題についてはやはり一日も早く解明しなければ、国家としての責任が薄いのではないかと私は思うわけでございますが、かつてのニュースの中でも、ベトナムのこれはARFの場でしたかしら、外務大臣、拉致疑惑について触れておられたと思いますけれども、これについてはどういう思いで、またどういう言葉でお話しになったのか、よろしくお願いします。

田中国務大臣 夏にハノイでのARFの会合がございまして、そのときの発言はつぶさには覚えておりませんけれども、基本的な問題といたしましては、北朝鮮の許鍾という代表が私のわきに座っていたこともございますけれども、拉致の問題とか、それからもちろんテポドン等の問題もあるわけでございますから、やはり私どもの国民の生命にかかわる重要な問題でありますから、日朝の国交正常化交渉などの場におきましても、北朝鮮に対しましては、拉致問題は避けて通るわけにはいかないということは繰り返し申しておりますし、そうしたことをARFの場でも発言をいたしました。

小池委員 たしか、その問題がこのテーブルにぼんとのったのは初めてではないかと思いますが、そのときの参加者の反応というのはいかがでしたでしょうか。

田中国務大臣 北朝鮮の許鍾代表のほかに、韓国の韓昇洙長官もそのわきに座っておられまして、アメリカのコリン・パウエルさんも向こうにおられまして、かなり皆さんよく集中して聞いておられましたけれども、でも、これは事実でありますので、日本の代表がこういうことを、世界の場で事実を言うということは当然だろうという反応でございました。

小池委員 言うべきことはきっちりとおっしゃっていただきたいと思っております。

 さて、そのお金に絡んででございますけれども、私は以前から国内の、日本の金融機関でございますいわゆる朝銀の疑惑、特に私は送金の部分が安全保障にかかわってくる問題であるということを思っております。

 そして、問題は、現在の日本の金融の状況というのは非常に厳しい。そしてまた、毎日のようにというか、なれっこになってしまっている我々が怖いと思うんですけれども、あちこちで破綻をする。それも一度や二度ではない。

 中でも、この朝銀関係の金融機関、信用組合でございますが、私の地元ではございますけれども、朝銀近畿というのが、近畿一円の朝銀関係の信組がつぶれ、特に朝銀大阪、そして新しい受け皿としてつくったはずの朝銀近畿、これに対して預金保険特別資金から、預保の特別資金から三千百一億円がつぎ込まれた。みんなのお金でございます。余り皆さん御存じなかったけれども、いつの間にかと言っていいと思います、約三千億が入った。そして、昨年の暮れでございますけれども、新しい受け皿がまたつぶれちゃったんですね。去年の暮れのことでございます。

 つまり、新しい受け皿へつぎ込んだ三千億というのは、結局何も意味がなかった、パアになっちゃったということでございます。そして、今、朝銀近畿が二度目につぶれて、そして日本じゅうの朝銀というのがあちこちで破綻をし、新しい受け皿をつくり、そして破綻したところをいろいろと精査していくに当たって、これまでは都道府県の管理下といいましょうか担当であったのを、それが地方分権一括法で中央に戻ってきたということで管財人を入れたわけでございます。

 金融整理管財人を金融再生法の第八条ということの中から送ったわけでございますが、これの破綻、全国の朝銀関係の破綻ということをその数字であらわすと約六千七百億円、つまりこのままいきますと、また新たに朝銀関係には六千七百億円がつぎ込まれて、さきの三千億と合わせますと約一兆円がつぎ込まれるという計算になるわけでございます。

 そしてまた一方で、これからの補正ですけれども、補正予算、雇用対策が大変重要だと言って、今回約五千五百億円をつぎ込むということになっているわけでございますが、その意味でも、新たに六千七百億というのはいかがなものかなと思うわけでございます。

 そういった中で、まず朝銀近畿が最初につぶれた、そこに三千億が入れられた、そのときに検査は甘かったというわけにほかならないわけでございます。実際には京都の問題もあった、この辺の責任は一体どうなっているのか、また、どうとるべきだとお考えになっているのか。金融庁、よろしくお願いします。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 朝銀近畿につきましては、まず、その経緯からちょっと申し上げたいのですが、平成九年の五月十四日に朝銀大阪が破綻をいたしております。その後、同年の十一月十七日に、近畿地区の五信組が合併して受け皿になるということで、朝銀近畿が誕生いたしております。(小池委員「経緯はいいです」と呼ぶ)そうですか。その年、いずれにしても、十二月二十二日に適格性の認定の申請をしてきたということでございます。

 それで、その前提としてどういうことをやったかといいますと、財務内容を正確に把握する必要があるんですが、その当時、監督官庁は各府県でございました。ですから、その直前にすべて大阪府なり各関係県が検査をいたしております。それから、当時の制度上の、預金保険法に基づいて、朝銀大阪を所管する大阪府知事の方からも、これは事業譲渡をすることが必要だということで要請もなされております。

 そういういろいろな点を踏まえまして、大蔵省の方で預金保険法に基づいて適格性の認定をしたということでございます。

小池委員 要は、その当時の都道府県の検査が甘かったということをおっしゃっているのではないかと思います。

 さて、しかしながら、今回は法律に基づいて管財人を送っているわけですね。金融再生法第十三条の方では、その管財人が、どういった内容だったのか、何が問題であったのかということの透明性を持たせるということで、報告の義務ということが書かれているわけですけれども、当然、法律にのっとってこの報告をすべきだと思います。

 これについての動きはどうなっているのか、そして今後どういうふうに考えておられるのか、よろしくお願いします。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、破綻した金融機関につきましては、金融再生法十三条に基づいて、破綻に至る経緯等について金融整理管財人が報告義務を負っております。本年八月に破綻いたしました朝銀関東を除きまして、ほかの朝銀につきましては報告が出ております。ただ、民事、刑事の責任追及という点になりますと、その後金融整理管財人をやっておりますので、その結果が出次第、追加的に報告が行われる、それでそれが公表されるということになっております。

小池委員 ただ、これまたのろのろやっておりますと、時効の問題が出てきます。そして、結局、ないものがないという証明というのはなかなかできないという捜査の方のジレンマもあると思います。そういった意味で、結局、形式犯に終わってしまって、何のこともわからない、そしてまた、特に商銀の方は、南の方はどちらかというと個人的犯罪といったところが大きいけれども、片や朝銀の方になりますと、むしろ組織と言えるのではないかというさまざまな裏づけもあるわけでございます。そういった中で、ペイオフも迫っている、そして六千七百億だ、まだ新しい受け皿が決まっていないところもございますけれども、さあ、これで一体この後そのまま入れていいものかというと、いろいろな政治判断も必要になってくるかと思います。

 そういった意味で、今後もっと力を出して、各地で一生懸命やっているのは存じ上げているわけでございますけれども、これは極めて安全保障にかかわるという観点からも、しっかりとやっていただきたい、そして責任は追及していただきたい、そして組織とのかかわりを明確にしていただきたいということを要請しておきたいと思っております。

 まさか、これで一種、何人かをちょっちょっと挙げて、逆に、ちゃんと調べましたよというお墨つきを与えるなどという、そういうお考えはないでしょうね。

高木政府参考人 お答え申し上げます。

 今までの民事、刑事上の責任追及の状況なんですが、破綻した朝銀につきましては、五信組について、たしか十一件既に民事上の責任追及をいたしております。それから、朝銀大阪につきましては、RCCが不良債権を引き取っておりますが、RCCの方から民事上の提訴もやっております。また、朝銀近畿につきましては、検査忌避ということで、金融整理管財人と近畿財務局が一緒になって刑事上の告発も行っております。

 我々は、いずれにしても破綻して国民の税金に負担をかけるわけですから、民事、刑事上の責任は最大限やるように、金融整理管財人あるいは預金保険機構に強く要請をいたしております。

小池委員 ありがとうございました。

 というか、この問題はやはり、私はひとえに安全保障だと思っているんです。金融で、バブルでというのもございますけれども、むしろ、そちらの今私が申し上げた点の方が強いと感じざるを得ません。

 実際に、ウサマ・ビンラーデンのアルカーイダのグループも、何かというと現金でもって処理をしているということが明るみになってきているわけでございまして、これは総合的な捜査ということで徹底をしていただかなければ、この後、我が国の雇用対策を超えるお金が、どうもよくわけのわからない、またどこかへ行ってしまう、はたまた四月以降のペイオフでつぎ込んだお金そのものがパアになるなんということになったら、日本といたしましても、何と言っていいのかわからない状況だと思っております。

 ということで、この朝銀問題も安全保障の問題であるということを強く指摘いたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

玉置委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十二分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.