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第3号 平成14年11月8日(金曜日)

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平成十四年十一月八日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 田並 胤明君
   理事 岩屋  毅君 理事 木村 太郎君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 末松 義規君 理事 渡辺  周君
   理事 田端 正広君 理事 樋高  剛君
      岩倉 博文君    臼井日出男君
      大木  浩君    北村 誠吾君
      小島 敏男君    佐藤  勉君
      杉山 憲夫君    虎島 和夫君
      中山 利生君    仲村 正治君
      萩野 浩基君    平沢 勝栄君
      町村 信孝君    伊藤 英成君
      江崎洋一郎君    大出  彰君
      川端 達夫君    津川 祥吾君
      赤松 正雄君    赤嶺 政賢君
      今川 正美君    粟屋 敏信君
    …………………………………
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   防衛庁長官政務官     小島 敏男君
   外務大臣政務官      土屋 品子君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  村田 保史君
   政府参考人
   (防衛庁防衛参事官)   大井  篤君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長
   )            田中  均君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   政府参考人
   (外務省中東アフリカ局長
   )            安藤 裕康君
   安全保障委員会専門員   小倉 敏正君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月八日
 辞任         補欠選任
  逢沢 一郎君     佐藤  勉君
  仲村 正治君     大木  浩君
  野呂田芳成君     萩野 浩基君
  前原 誠司君     津川 祥吾君
同日
 辞任         補欠選任
  大木  浩君     仲村 正治君
  佐藤  勉君     逢沢 一郎君
  萩野 浩基君     野呂田芳成君
  津川 祥吾君     前原 誠司君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――
田並委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官村田保史君、防衛庁防衛参事官大井篤君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、外務省アジア大洋州局長田中均君、外務省北米局長海老原紳君及び外務省中東アフリカ局長安藤裕康君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
田並委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。
末松委員 民主党の末松でございます。
 きょうは法案の審議でございますが、それと同時に、テロ特措法に基づく協力支援活動についても、時期的なものが迫っておりますので、それについても質問をさせていただきたいと思います。
 まず、法案の関係でございますが、防衛庁の職員とそれから一般の公務員、まあ特別職というところもあってやや給料の出方が違う。その出方で考えますと、例えば、防衛庁の若い人たちが、超過勤務が全然つかないというもともとの制度の違いもあって、それがかなり各省に出向した場合に、逆に各省に出向した方が、よく超過勤務をする方にとっては生活が楽になったというような話もあるわけでございますが、そういうもともとのシステムの違いが、今回のこの法案によって違いがあるのか、あるいは違いがないのか。その点についてお聞きしたい。
 あと具体的に、もう一点は、テロ特措法の関係で、例えば百四十九億円、今までテロ特措法の協力支援活動で行われているわけなんですが、そのうちの七億円が職員の諸手当という話になっております。この諸手当について、何か今回の法律によって影響を受ける、そういうふうなことがあるのかないのか。その点をごく簡単に御説明いただきたいと思います。
宇田川政府参考人 二点御質問がございました。
 一点目の、自衛官俸給表あるいは防衛参事官等俸給表に超過勤務手当等があらかじめ含まれているのではないか、その辺のことが変わっていないか、こういう御質問だと思いますが、おっしゃるとおり、自衛官俸給表と防衛参事官等俸給表には、勤務の特殊性という面からの超過勤務等手当の相当分が含まれております。
 今回、この二つの俸給表の改定を行うわけでありますが、これは、人事院勧告の取り扱いの閣議決定に基づきまして、一般職の例に準じ、超過勤務手当等が支給される他の国家公務員との均衡を考慮して給与改定を行っているものでありまして、一般職との間で不利になるということはございません。
 それから、もう一点ございました。テロ特措法に基づき派遣されている自衛官に支給される諸手当についての影響であります。
 御指摘のとおり、テロ特措法の規定によりまして、インド洋沿岸の港湾または空港等の区域において協力支援活動等に従事する自衛官には、区域等に応じまして、一日につき四千円から四百円の特別協力支援活動等手当が支給されております。
 この特別協力支援活動等手当は、特殊勤務手当の一種でありまして、その職務の特殊性等を評価して手当額が決められております。したがいまして、俸給とか扶養手当、あるいは期末・勤勉手当のような官民の給与格差に基づいて決定されるものではございません。したがいまして、今般の給与改定によりまして、この特別協力支援活動等手当の減額が行われるということはございません。
末松委員 今、テロ特措法の関係の話も申し上げましたので、このテロ特措法に関連する協力支援活動について、次に質問させていただきたいと思います。
 今、インド洋を中心に、先ほど申し上げた、この一年間で百四十九億円のお金が協力支援活動に行われておりますが、この活動について簡単に、今行っている活動の現状を知りたいと思います。大体給油活動がメーンな活動になっていると思いますけれども、この活動について御説明をいただきたいと思います。
西川政府参考人 先生ただいまお尋ねの活動状況でございますが、大まかに申しまして三つのパターンがございます。
 一つは被災民救難活動ということで、これにつきましては、国連難民高等弁務官事務所の方から、テントと毛布を運んでもらいたいという格好で、去年の暮れの段階で一度運んでおります。
 それから、もう一つのパターンは協力支援活動ということで、その大きな一つが補給でございまして、この補給が米国に対しまして百二十九回、それから英国の船に対して八回、計百三十七回、十一月七日現在でやっております。総量は、二十三万キロリットルということになっております。
 それで、もう一つのパターンでございますが、これは航空自衛隊がやっておりますが、国内及び国外の空輸という格好で、国内の米軍基地から基地とか、あるいは日本国内の基地から米軍の在外基地、こういうところへ物を運んでくれという形で、これは総数で、国内関係は九十七回、国外が十五回という、約百回ですね、これぐらいを運んでいるというのが今の実情でございます。
 これでよろしいですか。
末松委員 今、アメリカを中心とした多国籍軍というんですか、アフガンの軍事オペレーションは、ひところに比べてかなりその規模が縮小して、陸上では、どちらかというとアルカーイダとかターリバンの残党を追っているような、そういう状況であろうと思います。
 そうなると、日本が主にやっています海上の給油、あるいは、それらテロリストの残党が海上から逃げていく、そういうことを監視するということだろうと思いますけれども、正直言って、ことしの初めですか、に比べたら、かなり活動量は減っていると思っているんですけれども、その辺はいかがですか。
守屋政府参考人 お答えいたします。
 先生、今御指摘のとおり、アフガンにおける戦闘でございますけれども、大規模な地上作戦が行われることはなくなりましたけれども、大きな特色といたしまして、この戦争の目的でございますアルカイダ、タリバンの主要幹部の捕捉、こういう面からいたしますと、アルカイダのオサマ・ビンラディンを初め主要幹部、これは捕まっておりません。それから、タリバンの最高指導者オマル師も杳として行方が知れないという状況が続いておりまして、このため、今、アフガニスタンにおける地上作戦というのは、パキスタンとの国境のトライバルエリア、二千メートルから四千メートルの高地における、ここでの幹部の掃討作戦というのが地上作戦の大きなものとなっております。
 それからもう一つは、今先生御指摘がございましたように、アラビア海等において、アルカイダやタリバンの残党が海路を経て逃走しまして世界各地に拡散しているという動きがございまして、他国をテロの温床としたり再びテロを起こすことを阻止するための活動、海上における指導者捕捉活動という作戦が命令されておりますけれども、大きく言って、この二つの作戦が継続されているということが大きな特色でございます。
 この二つの作戦のために活動している艦船については、これは軍事オペレーションでございますから、すべての国が艦名や艦船の数を詳細に公表しているわけではございません。それから、中には近隣国の港湾に寄港している場合もあること、頻繁に艦船の入れかえがあることがございまして、私どもとして断定的な数字については申し上げることは困難でございますが、大体、この地域の米軍等の艦船につきましては、十二カ国から成る、日本は除きますけれども、約五十隻程度であると考えております。
 この米海軍の艦船について、季節によって、月によって変動があるということは確かに御指摘でございますけれども、大変大事なことは、現時点で、このテロ撲滅の軍事オペレーションから撤退した国があるということは、私ども承知いたしておりません。すべての国が、軍隊を派遣した国は、最初からそれを撤退することなく活動を続けているということが大きな特色でございます。
 それから、ではこの作戦がいつまで続くのかということにつきましては、ラムズフェルド国防長官は七月二十日、テロとの戦いはいまだ終結からほど遠いということで、今後も数年続くということでございまして、戦いは今後とも継続される見込みであると考えております。
末松委員 まだ質問していない質問に対してお答えをしていただいたのでございますが、よく質問を聞きながら言ってくださいね。
 トライバルエリアについて捕捉をしているということ、それから海上活動においてそういった指導者の残党を捕捉していることという話がありましたけれども、実際に海上で、逃れてきた、それを捕捉したという実例はあるんですか。
守屋政府参考人 お答えいたします。
 海上における指導者捕捉活動の具体的な成果、方法や数については、これはオペレーションの具体的な内容にかかわる事項でございまして、米軍等も公表いたしておりませんから、お答えすることはなかなか難しいのですけれども、一例を挙げれば、これまでの活動を通じて、カナダ海軍がアルカイダのメンバーと思われる人間を拘束した事案が公になっていると承知いたしております。
末松委員 それはいつごろで、何人ぐらい捕捉したんですか。
 それで、カナダ以外、今一例と言われましたけれども、そこはほかに、詳細というのはないにしても、それは大体何件ぐらいあったとか、やはり結構頻発しているとか、あるいはほとんどないとか、そのくらいの情報は別に軍事的な機密でもないでしょう。そこは、例えば今度延長問題で我々がどういうふうな判断をしていくかという中で貴重な材料になりますから、そこは言ってください。
守屋政府参考人 これは、カナダ軍当局は、七月の十五日、同国海軍がアラビア海北部でテロリストと関係している疑いのある男を二人拘束、アメリカに引き渡したことを明らかにしている。米国防当局は、同日、この事実を確認したが、詳細については明らかにしていない。カナダ軍の航空機が十三日夜、オマーン沖で小型船三隻を発見、駆逐艦が近づこうとしたところ、三隻は高速で逃走、他の船なども動員して追跡劇を展開しまして、約二十五人が乗った一隻を停船させて調べたところ、二人が乗っていたということ。二人は二十代から三十歳代と見られるが、名前などは明らかになっていない。
 今私どもが公になっているデータとして承知しているのは、この案件だけでございます。
末松委員 私もいろいろなほかの筋からも聞くんですけれども、ほとんどないよねという話がまず第一の印象でありました。
 それから、そのために百四十九億円のうち百二億円ほどを給油活動で使っているんですけれども、そういう具体的な活動の中で、五月の十七日に答弁で、大体十一カ国、五十一隻の船がそこで活動しているというのをアメリカ軍が発表したということで、国会でも答弁されておられます。
 今、防衛局長が言われたのは、どの時点で五十隻程度というお話、艦船の数ですよね。これは、私は思うんですけれども、本当に五十隻近くいるのか。そのうちアメリカ軍というのは、大体艦船は、百二十九回ですか、ほとんど九割以上がアメリカの艦船でしょうけれども、五十隻ぐらいのうち、アメリカの艦船がどのくらいいるんですかね。
守屋政府参考人 先ほど申し上げましたところでございますが、艦艇を出している国は十二カ国、日本は除きますけれども、米国を含めまして十二カ国でございます。
 それで、五十隻と申しましたけれども、このうちの約半分程度は米国の艦船でございます。残り十一カ国で約半数ということで、この半分の数については出入りがございますので、大体平均して二隻から三隻程度ということでございます。我が国の海上自衛隊の艦艇につきましても、派遣規模は五隻ということでございますけれども、やはり艦艇のやりくりによりまして、場合によっては三隻しかいないこともございますので、そういう自国の所要あるいは艦艇の整備、そういうことで、現場における艦艇の数というのはやはりどうしても出入りがあるということ、あともう一つは軍事オペレーションのこともございますから、正確にその時点で何隻があるということは言えないというのが現状でございます。
末松委員 別に、正確には言えないというのはわかるんですよ。私が知りたいのは、以前に比べて減っているのかふえているのか。そうすると、五月の時点からほとんど変わっていないという認識ですね。
 では、油の給油量なんですけれども、大体二十万キロリットル強の油を日本がずっと給油してきたということなんですが、十二カ月間で月別に大体何キロリットルで、それは幾らぐらいの値段なんだと。それは予算というか執行が出ていますから、きちっとわかっていると思いますから、それを述べてくれますか。
西川政府参考人 月別の金額並びに給油量についてのお尋ねでございます。
 今まで、十二月二日から十月までの数字でございますが、去年の十二月が、艦艇ですので、一・六万キロリットル。単位は万キロリットルです。それで、金額が約九億円、これは十二月です。一月が二・六万、それで金額が九億。二月が二・二万、それで金額が七億。三月が四万、それで金額が十三億円。四月が一・五万、それで金額が五億。五月が一・九万、それで金額が約七億ですね。これはすべて約がつきますが。失礼しました。六月が一・六万、それで約六億円。七月が一・七万、これで約六億。八月が一万三千、これで約五億です。九月が一・九万、それで約七億。十月が二・三万ということで、約九億。月平均で二・一万で約八億、こういうところでございます。よろしゅうございますか。
末松委員 これで見てみますと、大体二・一万、八億円。ただ、どちらかというと減少傾向的な形まで言えるかどうかわかりませんけれども、まあ大体そこそこだなというところですね。これが急激にふえもしないし、あるいは、これはむしろ、このアフガンだけに限るのであれば、これから月日がたてばたつほどこれが減少していくというのが実態であろうと思います。
 私が、ややここで心配をするのは、イラクの攻撃というものが、今、安保理決議でいろいろと審議されておりますから、実際にどうなるかというのはわからない、現時点ではわかりませんが、今度、これが対イラク攻撃をアメリカ及びその同盟国が行うという話になれば、艦船の数が一気にあの地域にふえるということも考えられるわけです。
 今のこの数字が、月平均で二・一万キロリットル、そして八億円ですか、もし、これが突如として急激に上がり始めるというようなことになれば、対イラク攻撃以降、あるいは直前ぐらいからかな、これはテロ特措法関係でどうも対イラク攻撃に関連するかもしれないなというような懸念をする識者もふえてくるとは思うんですけれども、このテロ特措法について対イラク攻撃が対象となるということを現時点で判断しているとは思いませんが、これはちょっと突然の質問になるかもしれませんが、防衛庁長官、その辺の御認識について、防衛庁長官としていかが思われておられますか。
石破国務大臣 あくまでテロ特措法の目的に沿うものであるかどうかという一点において判断せられるべきものと考えております。
 先生御案内のとおりで、私どもは法律の規定がなければ全く動かすことはできません。そのテロ特措法というものにかなったことであればそれはやりましょうし、かなわないことであればそれはやるわけにはまいりません。そこで何が行われるかということについては、今の時点で申し上げることは困難でございます。
末松委員 ということであれば、もし、これがテロ特措法ということでイラクが対象になるという大きな判断があれば別ですが、ないときに、この給油の量が急激にふえていく、それはアメリカの艦隊がテロの指導者の残党狩りのためにたくさんやってきたんだ、そういうふうな理屈は通らないと思いますが、防衛庁長官、いかがですか。
石破国務大臣 重ねてのお答えになって恐縮ですが、どういうことが行われるか、今の時点をもって予断することは非常に困難でございます。
 結局、委員御指摘なのは……(末松委員「対象の範囲。特措法の対象になるわけですか」と呼ぶ)特措法の対象になるかならないかということですか。(末松委員「いや、ならないときに、この油の量がどおんと上がることはないよなと」と呼ぶ)それはわかりません。つまり、タリバンあるいはアルカイダ、その残党という言い方を仮にするとするならば、それが国際社会にどんどん拡散をしていって、テロの拡散ということを防ぐということも大きな目的であります。
 イラクというものがどうなるか、これは全く今の時点ではわかりませんが、そのテロの拡散防止ということが、これから先もそう早い時点でなくなるとは思わない。そして、そのアルカイダの残党がどういう形で海外に逃亡しようとしているかということも、今の時点で予断を持って言うことは不可能であります。ですから、それが急にふえることはないよな、こう言われましても、そうでございますねという御答弁がいたしかねるのはそういう理由でございます。
末松委員 それについて、そことの関連性の関係ですから、今の通常の形がよほど特別な事情によって変わらない限り、今のこの活動が大きく変わることはない。
 ただ、それは今の時点だからわからないよということは、そこは一般的には言えるでしょうけれども、対イラク攻撃が始まったと同時に一挙にこれがふえ出すということは、どう見てもそれは対イラクに派遣される艦船に給油をしているとしか思えないような場合は、テロ特措法の対象というしっかりした位置づけがないならば、それは日本としてはおかしいじゃないかということを、今の時点では私は強力に指摘をさせていただきたいと思います。
 それから、あと防衛庁長官にちょっとお伺いしたいんですけれども、イージス艦とかP3Cとか、アメリカから要請があったような報道がいろいろと行われております。
 私は、ちょっと防衛庁長官に聞きたいのは、今までいろいろな護衛艦とかそれから給油艦とか派遣していますけれども、これで東アジア、我が国近海の、通常は防衛しなければいけない、監視しなければいけないものは、つまり穴があいているわけですよ。その穴についてはどう認識しているのか。それで、どう穴を埋めてきているのか。そこについてはどうですか。
石破国務大臣 これは当然、法律に、自衛隊法附則十七及び十八に、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において協力支援活動を行う旨、こういうことは規定をされておるわけでございますから、現在インド洋でそういう支援を行っておったとしても、この法の趣旨にのっとりまして、自衛隊の任務の遂行には支障を来しておりません。来すようなことはいたしておりません。ですから、穴があいているねという御指摘を受けますと、それは、穴はあいておりません、支障は来しておりません。その範囲で任務を行っておるところでございます。
末松委員 そうなると、穴が全くあかないと。実は困って、それを何とか工面していくということであればまだしも、全く穴はあいておりません、そう明らかにされると、そうすると、じゃ、そういう艦船は余分なのか、本来きちんとあるべきものが実はそれ以上に余っているから、そういう余分なものは向こうに回していいんだ、そういう認識でいいんですね。
石破国務大臣 これはおわかりになった上での御質問かもしれませんが、余分なぞというものはございません。これは余分ということはありません。つまり、今本当にぎりぎりで工面はいたしています。それは、もっと余裕があればありがたいです。それは、自衛官も本当に精神的にも肉体的にもぎりぎりの中で、インド洋でもきちんとしたオペレーションをやりたい、そして日本の周辺においてもそういうことがないようにしたい。委員も現場はよく御案内のことかと思いますが、隊員たちは本当にぎりぎりのところでやらせていただいております。余裕があってとか余分だとか、そのような認識は私ども全く持っておりません。
末松委員 そうであれば、初めからそういうふうに答弁していただきたいと思います。
 その中で、イージス艦、私も「きりしま」でしたか、乗せていただいたんですけれども、確かに能力的に見れば普通の艦船よりも非常に警戒能力も高いし、精度的にはいいので、個人的に見れば、私、個人的ですよ、党とは見解が違いますけれども、あれをもとから行かすという選択も確かに検討してもよかったのかなというような印象は持っているんですよ。なぜあれを行かさなかったのかなというところの疑問に自分自身がなかなか答えられないものですから。
 そこは何か、普通、イージス艦、アメリカから要請が非公式にされたとかされてないとか、そういう話もありましたけれども、その辺について、なぜ行かせなかったのだろうという話については、どうお考えになりますか、あるいは、どういうふうにお答えになられますか。
石破国務大臣 総合的に判断すると、そういうことになるということだろうと思います。
 といいますのは、委員御指摘のとおり、高い能力を持った船であります。それは攻撃能力というよりも、VLSを持っておりますから、攻撃能力も確かに十数年前につくられた船よりは高い、これは当然のことでございます。それはイージスシステムによって、空に対しましても、海のものに対しましても、早く危険を察知する能力ということはすぐれておるのであります。
 しかし、いろいろ、じゃ、どこまでの危険があるか、どれぐらいの危険にどのような船で対応するか、そういう判断もあろうかと思います。いろいろな判断が総合的になされた結果、これが理由だということを一つだけ特定して申し上げることは、私は難しかろうかと思いますが、総合的に判断した結果、現在イージスは出ておらないということだろうと思います。
末松委員 もちろん、そのもう一つの理由は、多分、今イージス艦が担っている役割、これが重要であるがゆえにそこまで余裕がないというようなこともあるかもしれません。
 時間が参りましたので、実は私が一番聞きたかったことが聞けなくなって、またこの次に聞かせていただきたいと思います。他省庁でいろいろと来ていただいた方には大変申しわけありませんが、次の機会に質問させていただきます。
 ありがとうございました。
田並委員長 次に、渡辺周君。
渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。それでは、民主党の持ち時間の中で、末松委員に続きまして質問させていただきます。
 今、インド洋での我が国の海上自衛隊の行動についての質疑がなされました。関連しまして、政府が今イージス艦の派遣を検討しているというように聞いているわけでございますが、この点について防衛庁長官はどうお考えか。また、アメリカからイージス艦の派遣要請というのがあるのか、それともこれからあると考えられるのか、その点について関連してお尋ねします。
赤城副長官 お答えいたします。
 アメリカからイージス艦等の派遣についての要請があったかどうかという点について、私からお答えさせていただきます。
 アメリカからは、御指摘のイージス艦の派遣を含めて、我が国による支援について、いかなる要請も受けてございません。
渡辺(周)委員 防衛庁長官、きょうですか、アメリカ側と何か協議をすることがございましたね。そのときに、今後の中で、米国の国防関係者と会ってそういう話が出るのではないかと一部報道もございますけれども、その点について、イージス艦を派遣するということについての長官としてのお考えはいかがですか。
石破国務大臣 御指摘のように、本日、ファイス・アメリカ国防次官、政策担当の国防次官でございますが、私、お目にかかるような日程を組ませていただいております。
 どういうような議題になるか、まだ全く設定もいたしておりません。その場になってみないとわからないというお答えで恐縮でございますが、先方からどのようなお話があるか、今の時点でお答えできる状況にはございません。
渡辺(周)委員 いろいろとバージョンアップして、今の現状のインド洋での自衛隊の活動、そのバージョンアップされたイージス艦が派遣されることには、与党の中にも慎重論があるということ、それから、私自身も現時点では時期尚早だと思うわけでございます。
 今後、アメリカから例えばこういう要請があった場合、どう判断するか。これは、きょうの議題になっているかどうかというのはその場になってみなきゃわからないということでございますから、推測で物事の質疑を続けるわけにいきませんけれども、現実問題として、テロの脅威が九月十一日のあの生々しい直後から、そして世界じゅうにテロが拡散するのではないかというときに、我々としても当然、これは国際社会に対する脅威であるということで、賛成をいたしました。
 そして、今、この御認識を伺いたいのは、それから一年たって、果たしてこの脅威が、インド洋における脅威というものがいかなる状況になっているんだろうかということについて、これは確かに、私が言うまでもなく、インドネシアでもフィリピンのミンダナオでも、イスラム原理派によるいろいろな形でのテロが起きているわけです。その反面で、逆に言うと、インド洋における脅威というのを今どのように御認識していらっしゃるのか、その点について御見解を伺いたいと思います。
石破国務大臣 これがテロの難しいところだと思うんですよね。脅威が減ったとかふえたとかいうことが一概にわからないのがテロだと言っちゃいますと、それじゃ、わからないものに対してどれだけ備えたらいいのか、それに対して、あれも出すんだ、これも出すんだみたいなことはいかがなものか、そんな議論になってしまうと思うんです。
 正直言って私が悩んでいますのは、テロの脅威というものがはかれない、ないだろうと思ったところへ突然どんと来るわけですよね。それはもう本当に四六時中、三百六十五日、二十四時間、一二〇%の能力を持って、本当にネズミの入れるすきも許さない、アリの入れるすきも許さないみたいな、そういうことをやればわかるのでしょうけれども、そこはテロリズムの本当に難しいところだと思います。
 それにどれだけどのように備えていけばいいのか、これだけ備えれば十分であるとか、今、インド洋の脅威はふえたとか減ったとか、そういうことのお答えを責任持って国会の答弁の場で申し上げられない、これが正直なところです。
渡辺(周)委員 この質問をまた今後したいとは思うんですけれども、イージス艦を派遣するということは、巷間いろいろ専門家から指摘されているように、私どももそう思うわけですが、今後、イラク攻撃が現実のものとなるであろう、そのときに歩調を合わせるようにしてイージスが派遣されることになれば、これは情報の共有の仕方によっては、当然、対イラク攻撃に対しての一体行動になってくるわけであります。
 そのときにやはり問題なのは、果たして我が国が、先ほど末松委員もおっしゃいましたけれども、イラク攻撃をする、そして、それとテロとの関与、これを我々として判断をするすべを持っているのかどうなのか。
 つまり、いわゆるテロ特措法の目的と、そしてイラクの脅威というものが合致するかどうか。アメリカは、恐らく何らかの形でフセイン政権を転覆させなきゃいけない、そして新たな親米国家を樹立したいという形で、アメリカとしてはいろいろな戦略を練ってくるでしょうが、日本がイラクとそしてテロリズムということと合致をするという、この法の目的に沿った形でできるかどうかということが、正直、一番懸念されるわけでございます。
 そのときに、日本政府として、アメリカの一元的な情報だけを根拠にして、これは残念ながら検証する能力が我々にはないわけですね、正直申し上げて。そのときに、アメリカがイラク攻撃をするのは一種の、一種といいましょうか、テロの脅威に対する除去である、そしてそれには、例えばアルカイダ、タリバンという勢力とイラク政府が結びついている可能性がある、しかしその証拠については我々は出すことができないんだ、それはお見せすることはできないけれども、我々は確かな確証を得ているという話になれば、当然我々は、法の延長上としてイラク攻撃をテロ掃討という形で続行しなきゃいけない。
 これは、私かつてテロの特別委員会のときにも質疑をしたわけでございます。そのときには、まだイラクの脅威についての、そこまでの危機的な状況に陥っているという認識はまだ我々も持っていませんでしたが、ここへ来てかなり現実味を帯びてきたという中で、その点について日本政府はどう判断しますか。その点について、防衛庁長官、お尋ねをしたい。
石破国務大臣 これは何度もお答えしておることですが、合衆国としても、イラクをたたくというふうに決めたわけでも何でもない。今回の国連決議が仮に通ったとしても、それが自動的にイラク攻撃ということにはならないということは委員御案内のとおりであります。
 ですから、とにかく我が国としては、イラクがきちんと査察を受ければそんなことにならなくて済むわけで、今の時点で、そうなったらどうこうするということは議論すべきことだと私は思っていません。イラクが査察をきちんと受ける、それが国際社会の合意であり、それが達成されるために全力を尽くすということに我が国は専念すべきだと思っております。
渡辺(周)委員 それは、もしかして長官というお立場で今ここでお答えができづらいのかもしれませんが、少なくともあるものとして、対策を当然考えていなければいけないと思いますね。なければなかったで、イラク攻撃が回避されたということは非常に望ましいことでしょうし。
 しかし、あった場合にどうするかということ、そのときになって、また日本政府の判断が結果的におくれた、あるいは日本政府がその考えについてまとまっていなかったということになった場合に、日本という国の国際社会での信用というもの、あるいは対米関係を重視するという上において考えれば、日本はその可能性を考えていなかったのかということになるわけです。何か予断を挟んで今ここで議論することは、長官のお立場としてそこまでしかお答えできないんでしょうけれども、その点については、やはりこれは当然のことながら、その場合はどうするかということは進めておくべきだろうと思います。これはまた議論したいと思います。
 次の質問に移りますけれども、とにかく、この問題について私自身の考えを言えば、テロとイラクの脅威がどこで重なるのか。日本が独自に判断できる、検証できるだけの能力を持っていないと、アメリカから言われました、こういう会話の、ECHELONでとらえた電話の通知記録があるんだ、これは見せられないけれども、間違いないからあなた方もこれは一緒にやってくれということでは、当然、我々として、アメリカの自動参戦装置になってしまうわけでございまして、それはどうしても避けたい。その点については御認識も持っていらっしゃるでしょうから、言うにとどめます。
 続いての質問に入らせていただきます。
 今月五日付のワシントン・ポストの報道では、CIAがまとめた報告書の中で、イラク、ロシア、フランス、そして北朝鮮が天然痘のウイルスを持っているというような報道があったわけでございます。
 こういういわゆるBC兵器、ケミカル兵器あるいはバイオ兵器につきまして、どのような情報を持っているか、日本の場合は。こういう情報を持っているのかどうなのか。九月十一日のテロのときは炭疽菌の問題があって、アメリカでもこうしたBC兵器に対する対応が必要だということですが、今その脅威が、国内では炭疽菌騒ぎ等が鎮静化したこともあって、議論の中から少しプライオリティーは下がっているようには思うんですけれども、こういう場合、日本、我が国はどのような対処ができるのか。そしてまた防衛庁として、大宮にあるのは陸上自衛隊の化学学校ですか、地下鉄サリン事件のときに現場に行かれて、そしてまた上九一色村の例のサティアンの強制捜査のときにも待機をしていたわけですけれども、こうした装備がどのぐらいになっているのか。また、我が国がそうしたBCテロに対して対応できる能力は今どうなっているのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
守屋政府参考人 まず最初に、私の方から北朝鮮の化学生物兵器に関する認識をお伝えいたしたいと思います。対処については後ほど運用局長から答弁をさせていただきます。
 アメリカのCIAの秘密報告、北朝鮮が生物剤として天然痘を保有しているという御指摘の報道については、防衛庁は承知いたしておりますけれども、防衛庁として当該報告をまだ確認しているわけでない状況でございますので、現段階でその内容についてコメントするということは差し控えさせていただきます。
 ただ、北朝鮮の化学生物兵器に関する認識は、既にアメリカ、韓国とも明らかにいたしておりまして、アメリカの国防省が二〇〇一年に出しました「拡散―脅威と対応」という中では、北朝鮮は、生物兵器専用の、生物剤を生産するのに使用できる施設を有しており、生物兵器を実戦に使用することができるかもしれない、それから、前駆物質及び化学兵器専用の化学剤を相当量貯蔵していると信じられている、シナリオによっては、恐らく米軍及びその同盟軍に対し、化学剤を使用するだろう、こういう認識を示しております。
 お隣の韓国ですが、二〇〇〇年の韓国国防白書、これが一番新しいものでございますが、化学剤を大量生産することが可能な八個の化学工場において生産した神経性、水疱性、血液性、嘔吐、催涙性等の有毒作用剤を六カ所の貯蔵施設に分散貯蔵、または炭疽菌等の生物兵器を培養生産することのできる能力を有しているものと推定される。化学弾の保有量は二千五百から五千トンと見積もられる。北朝鮮は、多様な化学弾投射手段というか運搬手段を保有しておりまして、前方地域に対しては迫撃砲、野戦砲及び多連装砲、後方地域に対してはスカッド及びノドン、航空機等により化学弾攻撃が可能、また、特殊部隊による後方地域での生物兵器の隠密裏の散布能力を有していると推定ということでございまして、こういう報告書があるわけでございます。
 それで、日本としてどう思うかということでございますけれども、北朝鮮の生物兵器の開発と保有状況につきましては、御承知のとおり、同国が極めて閉鎖的な体制をとっていることに加えまして、極秘裏に進められている活動でもあることから、防衛庁として確たることは申し上げられませんが、このような米国、韓国の認識から、生物兵器については一定の生産基盤を有している、そういうふうに認識いたしております。
西川政府参考人 私の方から、これまでの経緯とそれから対応について、簡単に話させていただきたいと思います。
 サリン事件等がございまして、それを踏まえまして、現行の中期防で、十三年から十七年度の中期防でございますが、NBC兵器による攻撃への対処能力を向上するという格好で、いろいろなことをやってきております。
 かいつまんで数個の例を挙げますと、十二年の五月に、部外者の方を集めまして、生物兵器への対処に関する懇談会というものを開催いたしまして、ここが昨年の四月に、いわゆる生物兵器対処の取り組みに関する報告書を長官に出していただいております。
 この報告書を踏まえまして、去年の五月の段階で、庁内に生物兵器対処に係る連絡会議、こういうものをつくりまして、具体的な体制の整備等を図ることを検討しておりまして、昨年の十月に、そういう中で、今回の炭疽菌のような事件が起こってきたというので、大変大きな取り扱いがされたところでございます。
 具体的に、十三年度、十四年度、十五年度という予算要求で、十三年度は基盤整備を専ら行い、十四年度の予算では化学防護衣だとかあるいは部隊用の防護装置だとかあるいはワクチンに関する検討の経費あるいは研究用の器材の拡充等で約三十六億、それから、十五年度……(渡辺(周)委員「短くしてください」と呼ぶ)はい、わかりました。そういう格好で予算要求等を続けておるということです。
 また、対処でございますけれども、生物兵器によるテロ攻撃、これがございました場合には、特徴といたしまして、潜伏期間がございまして、被害をこっちが認知するまでちょっと時間がかかる、そういう厳しい特徴がございます。一義的には、そういう意味では医療機関による対応が行われるということでございますが、自衛隊の具体的な活動としては、消毒剤等によります除染活動、あるいは患者等の搬送あるいは医療といった活動を実施する、こういうことになります。こうした活動のために出ていった隊員が二次被害を受けないようなそういう措置も講じていく必要がある。
 これは例えでございますが、こういう生物兵器テロの攻撃がございましたときに、一般の警察力をもっては治安が維持できないということが相当高い段階で認められる場合には、自衛隊が治安出動により生物テロ攻撃を行う者の鎮圧と対処という格好で対応するということが今のところ考えられる、こういうことでございます。
渡辺(周)委員 つまり、そういうことがあった場合に対応できるということですか。
西川政府参考人 今の体制の中で精いっぱい頑張っている、こういうことでございます。
渡辺(周)委員 とにかくその点については、我が国は不幸にもサリン事件というのがございまして、この事件によって、いかにこういうことが起きるかということが図らずも実証されたわけでございますので、近隣の国が、これは核開発の問題もございます、しかしBC兵器もまた所有をしているということで、とにかく隣国には脅威が存在するということに対しては、やはり万全の備えをしていただかないと困るわけでございます。
 ちょっともう時間がありませんので早口で進めますが、北の脅威からいえば、BC兵器を保有しているということもそうでございますが、不審船のというよりも工作船ですね、この問題について。
 先般引き揚げられた船から重装備が出てきた。これは、第一義的にはもちろん海上保安庁が担当しているわけでございますけれども、海上の警察行動をとる海上保安庁と、相手は、ある意味では非対称なんですね、向こうは地対空ロケット弾を持っているような重装備の、これはある意味じゃ小型の軍艦でございまして、軍艦というと、軍艦の規定にはないなんというふうにこの間もうちの党の部会で議論がありましたけれども、いわばちょんちょん括弧のついた軍艦でございまして、これだけの重装備をして、向こうはプロの兵士といいましょうか、死もいとわないような人間が乗っているわけです。こちら側は、どちらかといいますと、海上保安庁では、まさに取り締まりを中心とする業務の警察行動。そうしますと、今ここでこういう問題が出てくる中で、防衛庁・海上自衛隊がやはりもう少し海上保安庁と強い連携を持って当然取り組むべきだろうと私は思います。
 その点をよく考えますと、今回の武装工作船に対する対応として、防衛庁はどれぐらい情報を今度のいろいろな調査の中で得たのか。端的にお答えしていただきたいと思います。それによって、今後この北朝鮮の海の脅威に対してどう対応するのか。私は、正直言って海上保安庁では荷が重いと思うんですよ。やはりこれについてもっと防衛庁が踏み込んで情報収集なりをするべきだと思いますけれども、現状いかがなんですか、そして今後は。
守屋政府参考人 お答えいたします。
 不審船等の案件につきまして、海上保安庁との協力関係でございますけれども、これはあくまでも刑事事案としての、犯罪としての捜査によって行われたものでございますから、防衛庁としてはこれに直接かかわる立場にはないわけでございますけれども、御指摘のような大変重武装の船ということで、軍事専門的な知識も必要とされるということでございますので、防衛庁としては、当初から捜査に支障のない範囲で海上保安庁から情報提供を受けているということで、両省庁とも緊密な連絡体制をとっている、こういうことでございます。
渡辺(周)委員 やはり実態論で考えなきゃいけないと思うんですね。第一義的にはどっちだとか、自分たちの主管ではないとか、そんな役所の縦割り的な物の言い方ではなくて、やはり実態論として、相手は破壊兵器を持ってきているわけでございますから、これに対して、やはり当然それに対応できるだけの能力を持ったところが前面に出るであろう、防衛庁であろう、私はそう持論で思います。ですので、そこは、役割がどうとかこうとかというよりも、とにかくやはり我が国に対する脅威だ、我が国に対する挑戦だということで、これは我が国として、余り組織論みたいなことよりも、ぜひともその気概を持ってやっていただきたいなというふうに思うわけでございます。
 BC兵器それから工作船、幾つかございます、もう質問をまとめて申し上げますけれども、我が国に対する脅威がございました。ここでお尋ねしたいのは、防衛庁は、北朝鮮のもう一つの最大の脅威である核開発について、どれぐらいの認識を持っていらっしゃるのか。
 そして、外務省にお尋ねしたいのは、この十一月末の日朝の安全保障の協議会で、幾つか申し上げたような我が国を脅かす脅威に対してどれを議題に上げていくのか。そして、そのときにどういう方々が、日本の場合、防衛庁の方も入って交渉されるのかどうなのか。その点についてお尋ねをしたいと思います。
 それから、その脅威に備える一つのミサイルディフェンスという概念が当然出てきているわけでございますが、このミサイルディフェンスについて、研究から開発という段階に移行するのではないかというようなアメリカ側の発言もあるやに聞いております。防衛庁長官、その点について、ミサイルディフェンスを開発ということに引き上げた場合にどのような問題点が出てくるのか、あるいはどのような効果が期待されるのか。時間がございませんが、その点についてまとめて質問いたします。
石破国務大臣 核並びにミサイルにつきましての懸念は委員御指摘のとおりであります。これはもう、アメリカまで届くミサイルはないわけですよね。テポドンだってまだ実用化になったわけじゃないし、韓国に撃つとしたら何も弾道ミサイルを撃つ必要はないわけで、だとすれば何なんだ、その可能性は排除できないねということだろうと思います。
 そしてまた核についても、それを持っているというふうに言ったということは、これから小型化ですとか軽量化ですとか、そういうことがあるとかないとかいうことについてはわかりません、わかりませんが、とにかくあるということを認めたこと自体大変なことだろう。
 そしてまた、日朝平壌宣言においてミサイルモラトリアムということをはっきり言っているわけですから、今回はそれをやらないというふうに言ったとすれば、これは明白な日朝平壌宣言に背馳するものであって、この点については、我が国としては毅然とした態度で臨まなきゃいかぬということだろうと思っています。
 それから、ミサイルディフェンスの研究から開発ということについて言及がございましたが、これは要するに、研究成果が出なきゃ開発に移らないわけですよね。では、これが十中八九とか六七とか四五とか、いろいろな言い方があるんだろうと思いますが、一体どこまでの精度を上げて落とせるんですかねということについて、まず判断をしなきゃいかぬでしょう。そしてまた、費用対効果という面でもこれは議論されなきゃいかぬことでしょう。
 いずれにしても、これが開発に移るまでには、研究の成果というものが一体どこまで上がるかということを早急に詰めていく必要があるだろう。そうでなければ、研究から開発へと幾ら口で言ってみたところで意味のないことだし、それに移る場合には当然我が国において安保会議の議を経ることは、委員御案内のとおりでございます。
田中政府参考人 日朝の安保協議についてのお尋ねでございますけれども、これは具体的には、今後、北朝鮮側と調整をしていく必要があるということでございます。
 私どもとしては、当然のことながら関係省庁の御参加を得るということでございますし、議題につきましても、平壌宣言に基づいて行う、日本の安全に脅威を与えるような事項、当然のことながら、核、ミサイル、工作船の問題、あるいは生物化学兵器の問題等々を取り上げたい、こういうふうに考えております。
渡辺(周)委員 ミサイルディフェンスについては、私ども安全保障委員会でことしワシントンへ行きまして、国防総省のミサイル防衛局ですか、行ってまいりました。そのときにもいろいろレクチャーを受けて、いろいろ資料もいただきました。実験の経過はまだ五〇%ぐらいの命中精度である、当然そのことも踏まえた上で御質問をしたんですが、もう時間がありませんので、また次回にさせていただきます。
 では、終わります。
田並委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 おはようございます。自由党の樋高剛でございます。きょうも質疑の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、きょうは法案審議へ入ります前に、若干議論させていただきたいと思いますが、旧日本軍遺棄の毒ガスが発見されまして、化学兵器によります被害が戦後初めて発生した件につきまして伺いたいというふうに思います。
 旧相模海軍工廠跡地に当たります神奈川県寒川町のさがみ縦貫道路工事現場におきまして、ことしの九月の二十五日、不審な液体の入ったビール瓶が割れ、異臭が発生をしまして、作業員八名の方が被害に遭われました。人体に毒ガスによって戦後被害があったのは初めてということのようであります。発見された不審物は、大宮の化学学校の方で分析なさったそうでありますけれども、化学兵器禁止条約で規制されているびらん剤イペリット、つまりマスタードガスと、催涙剤クロロアセトフェノンであることが判明をしたわけであります。
 その間、九月二十五日、この事案が発生をいたしましてから、対応のおくれ、危機意識のなさ、認識の甘さにはあきれるばかりでありますけれども、きょうは国交省副大臣にお越しいただいています。いかがお考えになりますか。
中馬副大臣 まず、今の事案でございますが、委員御指摘のとおり、突然のこととはいえ、八名の方々が大変な御災難に遭われたわけでございまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 今回の事件は、工事現場から古いビール瓶、その中に入ったいわゆる化学兵器による被害ということになりましょうが、工事中のそのビール瓶が割れた状況等も含めて、かなり詳細に報告をいただいております。
 その時点においては、少し異臭は感じたようでございますが、特に何も発症等の被害はなかったようでございます。しばらくしまして、十月一日から十二日にかけてぱらぱらと、まず作業員の六名の方が湿疹やかぶれ等がありまして、そして北里大学病院に通院、現在もされているようでございますが、そういうようなことが起こったわけでございます。
 直ちに、そういうことがわかりましてすぐ、そのビール瓶の内容物の確認のために、民間の分析センターに分析を依頼いたしました。分析センターの方では、その後、分析は不能だという報告がありまして、と同時に、インターネット調査等によりまして、現場付近が相模の旧海軍工廠の跡地であったということも判明いたし、そういうことも含めて、民間分析センターに再度依頼をいたしましたけれども、六社次々と断られました。
 そういうことで、工事を十月二十八日に中止を指示いたしまして、その後、神奈川県の保健予防課あるいは防災対策課、茅ケ崎警察署の保安課、防衛庁等関係機関に連絡及び協力を依頼した次第でもございます。
 そして、正式に国土交通省から防衛庁に不審物の分析依頼をいたしまして、その結果が判明しましたのが、サンプリングを十一月一日に試料して、行動を起こしております。
 そして、十一月六日に、防衛庁から国土交通省に対しまして不審物の分析の結果の通知がありまして、今委員が御指摘されましたマスタードないしクロロアセトフェノンですか、こうしたものだということの結果報告を受けたわけでございます。
 今回は、通常では考えられない物質への対応でありまして、確認に時間を要したことは事実でございますけれども、各段階で、それぞれの部署が迅速にかつ誠実に対応したことと思っております。
樋高委員 今の発言を聞きまして、またちょっと落胆をいたしました。
 前回も、不審船の引き揚げのときにも、反省していない、九カ月もかかったにもかかわらず、反省していないということを堂々と議事録に残されておいででありますけれども、今回も、誠実に対応した、期間はかかったけれども誠実に対応したと。こういう政府の対応、そういう考え方自体がちょっとおかしいんじゃないか。
 そもそも、この毒ガス、イペリットは、専門家の話によりますと、日中では数百メートル、風などによって拡散をする、また、夜間では一キロから二キロ、周囲に拡散をするというふうにも言われております。また、地表に一たび浸透いたしましたときには、そのまま放置しておきますと一カ月はその毒性が分解されないという大変な猛毒のようでありますし、実際にこういうふうに被害があったわけでありますから、きちんと対応しなくてはいけない。
 昨年でありますけれども、一月には、今回の現場の近くにおきまして、不審な鉄製のつぼもまた発見されまして、これは防衛庁の方ですけれども、陸上自衛隊の化学防護隊が調査するなど騒ぎになったわけでありますけれども、今回の被災を公表した十月の三十一日時点でも、その騒ぎを国交省としても知らなかったということのようであります。
 やはり今回の事件は、旧日本海軍が化学兵器製造拠点として毒ガスをつくっていたいわゆる旧相模海軍工廠の跡地なのでありますから、毒ガスの瓶が埋まっていることなども少しは予見できたのではないか。しかも、縦貫道をつくるに当たって、その土地が以前どういう用途に使われていたかぐらいは当然確認しなくてはいけない。
 このようなものが今なお埋まっていて、不幸にもこんな事件が起こるという可能性というのは、全く予想、想像できなかったのかという部分を私はただしていきたい。監督責任は免れないのではないかと思いますが、どのようにお考えになりますか。
中馬副大臣 事後から申せば、そういうことも場合によっては言えるかもしれませんが、当時におきましては、その敷地は日東化学という民間会社の敷地でございまして、そこから購入をした上でこの工事を始めているわけでございます。
 当時、現場が旧相模海軍工廠の跡地であって、今御指摘の十三年一月に現場付近から、化学工場の跡地から不審な鉄製のつぼが発見されたことも事実でございましょうが、このときの調査では、中身がもちろん空っぽのようでございまして、化学兵器であったという確認はできていなかったということでございます。
 ともあれ、戦地でもないところでそうした化学兵器そのものが埋められていることは、到底予見はしていなかったと思います。しかし、これが事実としてこうしたことが出てきたわけでございますから、今後はそのようなことを慎重に対応していかなければいけない、このように認識いたしております。
樋高委員 当然あってはならないことでありますけれども、防衛庁長官に伺いますが、今回、こういった予想し得ない事態が発生をしたということでありますけれども、防衛庁として、具体的な対応策、どのようにとっていかれるおつもりでしょうか。
赤城副長官 お答えいたします。
 ただいまの本年九月二十五日の不審物の件についての対処、対応いかん、こういうことでございました。
 我が省といたしましては、国土交通省からこの内容の分析の依頼を受けて、十一月の六日に国土交通省に分析結果を通知したところでございます。昨日、神奈川県知事から、当該危険物に係る所要の措置を講ずるに当たっての技術的助言、協力に関する依頼を受けたところでもございます。防衛庁としては、当面、この化学的知見に係る助言を行うということにしてございます。
 なお、今後の事案の処理についてでございますが、これにつきましては、中央及び地方の関係機関の役割分担を明確にした枠組みづくりということがまず不可欠であると考えておりますが、その中で、防衛庁としても、関係機関等と連携しつつ、可能な協力を行ってまいりたいと考えております。
樋高委員 可能な協力を行うのは当然でありますけれども、主体的にきちんと対応していただきたい。こういうときこそ、やはり国が責任を持って――今までの歴史もあります、今までの経過もあります。しかし、そういうときにこそ、防衛庁さんが主体的にきちんと責任を持って対応するということが問われているのではないか。しかも、今回、被害が実際に出たわけでありますから、その地域だけじゃなくて全国が注目をしているのではないかというふうに思います。
 今回は旧海軍ということで神奈川県の寒川町でありましたけれども、私も書物を調べましたらば、陸軍では毒ガスをつくっていたのは広島ということであります。同様に、全国にそういった瓶詰なり、もしくはボンベに積まれたまま埋め込まれているということも十分想定し得る、また今後いつ発見されるかわからないというふうに思うわけでありますけれども、今回の毒ガスのように、遺棄されているかもしれないというところは全国にありますでしょうか。また、もしそれがわからないのであれば、それをきちんと調査すべきだというふうに思いますけれども、いかがお考えになりますか。
石破国務大臣 今副長官から答弁申し上げましたように、これからどういう枠組みをつくっていくか。枠組みというのは、一義的には対応をどうするかということでありますが、委員御指摘のように、旧軍がそういうものを持っておった、では、そういう場所もどこにあるかということについて、今後、知見を深めていく。
 いずれにしても、国民の皆様方に不安を生じせしめないように関係各省よく連携して、そのときにどの役所だ、どの役所だと言ってもしようがないことですから、対応できる枠組みの構築に努めるということだと思います。
樋高委員 今、長官から前向きな御答弁をいただきましたけれども、この案件をいろいろ調べて、対応策を聞いてまいりますと、本当に縦割りもいいところでありまして、それは神奈川県の事例だ、それは寒川町の事例だ、これは国交省に聞いてくれ、これは防衛庁に聞いてくれ、これは警察庁に聞いてくれと、その内容によりまして、全くの縦割りでありますけれども、こういうときこそ長官、今回就任なさって、私は期待をしておりますので、主体的に、積極的にきちんと対応していただきたいというふうに思います。
 一方で、副大臣にお伺いいたしますけれども、この周辺の住民の安全対策、やはりこれは縦貫道、道路を整備するということでありますから、同じように掘削をしたり掘り返したりするわけであります。
 今回、そもそもそういった毒ガスが埋まっているということは、当然、前提条件としてないという中で発見されたから驚いた、対策が後手後手に回ったんだろうというふうに思いますけれども、情報公開や、また周辺地域の徹底的な調査、残った瓶の発見、三本見つかったうちの一本はまたわざわざ埋め戻したそうですから。しかも、割れた瓶はそのままいまだに野ざらしにされているということのようであります。一応塀はつけて、警備員の方はつけているようでありますけれども、今後どういうふうに対策を講じて、付近住民の方々の安全と安心を確保するのか、きちんとした責任を持った御答弁をお願いしたいと思います。
中馬副大臣 縦割りというお話がありましたが、現在におきましては、国土交通省、そして神奈川県、神奈川県警、寒川町及び疾病対策の専門家等で構成する地元対策連絡会議を近々設置して、立ち上げることにいたしております。そして、早急にこの連絡会議におきまして、この事案につきましての連絡調整を図りつつ、住民の安全対策、これも幅広く万全を期してまいりたいと思っております。
 具体的に申しますと、発見された危険物や発見の現場、建設発生土、土ですね、この適正管理につきましては、神奈川県が防衛庁に、助言指導を得るため協力依頼を行ったと聞いております。
 国土交通省といたしましても、これを受けまして、適正に対応してまいりたい、このように存じております。
樋高委員 イペリットは、吸い込みますと、死亡したり、十数年後にがんが後遺症として発症するという可能性も指摘をされているわけでありますけれども、それではこの八人の被害者の方、まだこれから発症する方がまた多く出てくる可能性も高いと私は思います。思いもかけない災難でありましたけれども、この被害者の方へのいわゆる精神的なケアも含めて、いわゆる補償、国としてどういうふうに行っていくおつもりでしょうか。
中馬副大臣 この補償等の問題につきましては、現在のところでは、びらん、水疱に関しては中等症、それ以外については問題ないという担当医からの報告を聞いております。しかし、引き続き、被害者の治療や心のケアの問題もございましょう、そういったことにつきましても適切に対応してまいりたいと存じております。
 なお、補償につきましては、工事請負契約に基づいて工事請負業者と協議し、これも適切に対応してまいりたいと思います。
樋高委員 きょうは、外務省から政務官にお忙しい中お越しをいただいております。ありがとうございます。
 今回発見された毒ガスは化学兵器禁止条約の規制対象になっておりまして、日本には、化学兵器禁止機関、OPCWというそうでありますが、本部がオランダにあるそうですが、申告義務が課せられております。そして、その申告内容が事実かどうかを確認するために、外国から現地に査察が、いわゆる国際査察が入るということになるようでありますけれども、申告の有無、時期、そして査察の見通しはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
土屋大臣政務官 樋高委員が御指摘のように、この発見された不審物の中には、主成分としてびらん剤であるマスタードが含まれていることは承知しております。
 このため、この不審物は化学兵器禁止条約上の老朽化した化学兵器に該当する可能性があるということでありまして、我が国は、化学兵器禁止条約の締約国であり、条約上、老朽化した化学兵器の存在を知った場合には百八十日以内に化学兵器禁止機関、OPCW技術事務局に情報を提出することが義務づけられています。それで、我が国といたしましては、この不審物が老朽化した化学兵器かどうかの判断をすれば、速やかに化学兵器禁止条約の関連規定に従ってOPCWに対し情報を提出する考えを持っております。
 ただ、今確実に老朽化したものであるかどうかというのは、戦後もう五十年以上たっておりまして、その結果がまだ出ている状態ではございませんので、今申しましたように、結果が出次第速やかに提出するという状態で、期日はまだわかっておりません。
 それで、査察については、我が国がOPCWに対して情報を提出した後に、OPCWがその時期を決定するものでありまして、その見通しを申し上げることは、今の状態では困難でございます。
樋高委員 ありがとうございました。
 いずれにいたしましても、またこの案件につきましては私自身もかけてまいりたいと思いますし、いろいろな事態がまた出てくる可能性も高いと私は思っておりますので、国がきちんと責任を持って主体的に取り組んでいただきたいというふうに思います。この化学兵器禁止条約では、当該国が処分をしなくてはならないという規定があるわけですから、きちんとやっていただきたいというふうに思います。
 そして、今回、給与法の改正ということでありますけれども、副長官に伺いますが、私自身、今回は減額改定ということでありますけれども、それに伴ってさまざまな矛盾点も生じ、また考えさせられた部分もあったわけでありますけれども、今回の措置につきまして、いわゆる不利益遡及の脱法行為であるという批判的な声も聞かれました。また一方で、不公平が生じるであろうと。
 それはどういうことかといいますと、いわゆる今回の調整措置によりまして、期末手当などの支給対象になるものとならないものができてしまうという不公平が生じますし、また一方で、支給対象の中で、実質的過払い相当額が期末手当の額を超過して、いわゆる未調整分が発生をする、こういった不公平感が生ずるわけであります。
 私は、賛成の立場で申し上げるのでありますけれども、これらの疑問点について、どういった論点の整理をなさったのか、御説明いただきたいと思います。
赤城副長官 今回は減額改定ということでございまして、その取り扱いについて、委員、さまざま御指摘をいただきました。
 まず、この経緯でございますけれども、去る八月八日に人事院勧告を受けました。その人事院勧告の中に、給与水準引き下げ改定であるため、遡及することなく、公布日の属する月の翌月の初日から実施するが、四月からの年間給与について実質的な均衡が図られるよう、十二月期の期末手当の額について所要の調整措置を行う、こういうふうな人事院勧告が出されまして、それを受けて、九月二十七日に閣議決定で、人事院勧告のとおり給与改定を行うこととし、特別職の国家公務員についてもその趣旨に沿って給与の改定を行う、こういうことで今回の改正案を出させていただいております。そこで、当庁といたしましては、このような人事院勧告に沿って、こういうことで行っております。
 したがいまして、委員御指摘のように、今回の給与、俸給引き下げに伴う十二月期の期末手当による調整措置について、本年四月から十一月までの期間について支給される給与の額と、同期間について改正後の給与法の規定により算定した場合の給与の額との差額により調整する、こういうことになるわけでございます。
 これは一般職の給与改定と同様の措置でございまして、既に支給された給与をさかのぼって不利益に変更する措置は行わないという考え方のもとに、法施行日以降に支給される期末手当の額の調整を行うということであって、遡及適用には当たらない、こういうわけでございます。
 さらに、委員からの御指摘のありました退職者との関係でございますけれども、十二月期の期末手当の調整措置を受けない退職者と、調整措置を受ける在職者との間に不公平が生ずるのではないか、こういうことでございました。
 この点につきましても、さきの人事院勧告に沿っての措置でございまして、既に支給された給与をさかのぼって不利益に変更する措置は行わない、こういう考え方のもとに、法施行日以降に支給される期末手当の額の調整を行うということで、従来どおり、四月からの官民給与の均衡を図る、こういうことでございますので、十二月期の期末手当が支給されない退職者については調整が行われないということになりますけれども、これは、既に支給された給与は不利益に変更しない、こういう考え方に基づくものでございます。
 以上のような整理でございまして、御理解を賜りたいと思います。以上でございます。
樋高委員 最後に一問、長官に伺います。
 今回のこの給与法の改正は、今、リストラ、経費削減の時代の中で、給与を民間でも引き下げをしておりますので、それはやむを得ないというふうに考えるわけでありますけれども、一方で、防衛庁職員は一般職の公務員と比べても、仕事にも特殊性がございますし、また時には危険とされる場所にも赴かなくてはならない、そういった防衛庁職員の手当や補償につきましては、私はしっかりとサポートしていただきたいという思いで申し上げるわけでありますけれども、どのようになっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
石破国務大臣 手当等々の詳細、委員も御存じの上でお尋ねかと思います。
 これだけあるんだなと私も改めて思っていますが、一般職の例に準じて支給される手当、また防衛庁独自の手当ということで、勤務の特殊性にかんがみてそういうような手当、補償等々行っておるわけであります。また、私どもの世界独特の言葉かもしれませんが、賞じゅつ金なぞというものもありまして、なるだけ手厚いようにしたいとは思っている。しかし、これで十分かといえば、私は、そうでない部分もあるのかもしれない。
 あわせて、人はパンのみにて生くるにあらずで、本当に、宣誓を行って、事に臨んでは危険を顧みずということを宣誓してやっているわけです。それに見合うだけの、金銭だけじゃなくて、本当に国民みんながそのことに感謝し、尊敬しているかということ、私は、あるいはそれが一番大事なのかもしれない、そんな思いもしています。
 そういう名誉の面におきましても、これはもう本当に、委員も同じような思いをお持ちかもしれませんが、国会におきましても御議論をいただいて、そういうような職務に当たる者が誇りを持って、そして家族の皆様方も、みんなが誇りを持って勤められる、そういう国であってほしいなと思っておるところでございます。
樋高委員 やはり私も誇りと自信を持って、そして、世の中からも社会からも尊敬されるように頑張ってまいりたいと思いますので、長官も、主体的にしっかりとリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 ありがとうございました。
田並委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 給与法については、後に我が党の態度を明らかにしたいと思います。
 テロ特措法の基本計画の期限も間近に迫っているわけですが、そのテロ特措法のあり方、運用の仕方について質問をいたします。
 十一月四日の朝日新聞に、「派遣自衛艦修理に民間人」、インド洋周辺国へ七、八月、計十二名、「戦闘支援中の自衛隊に民間協力をさせる戦後初のケースとなった。」このように報道されております。
 この報道は事実でしょうか。事実であれば、派遣の期間、それから目的、派遣人数について明らかにしていただきたいと思います。
大井政府参考人 お答えいたします。
 防衛庁・自衛隊におきましては、通常、保有する装備品、船舶あるいは航空機、そういったものの修理等につきましては、基本的にみずから行うことにしておりますが、能力が超えるような部分、こういった修理につきましては、能力を有する民間企業に協議をして合意を得た上で契約に基づいて依頼をする、こういう形をとっているわけでございます。
 御指摘のありました七月、八月にかけての派遣でございますが、これは、護衛艦「あさかぜ」、補給艦「はまな」、護衛艦「いなづま」につきまして、搭載の装備品の故障が発生いたしました。この故障につきましては、乗員による修理が不可能というふうに判断されまして、当該部位の修理技術を有する民間企業と契約を締結し、修理のための従業員が派遣されたということでございます。また、これに加えまして、十月には護衛艦の「ひえい」につきまして、同様の理由から民間企業に修理を依頼し、修理のための従業員が派遣されております。これまで五回にわたり計十六名の派遣というものを依頼しているわけでございます。
 修理期間、派遣人数というお尋ねがございましたが、申し上げますと、「あさかぜ」につきまして、修理期間は七月九日から十日にかけて、派遣人数につきましては四名。「はまな」は二回ございます。七月十八日から七月二十四日、二名、それから八月十二日から八月十九日にかけまして、三名。それから、「いなづま」でございますが、八月二十一日から八月二十二日、派遣人数は三名。「ひえい」でございますが、十月二十九日から十月三十一日、四名。合計十六名、こういうことになっているわけでございます。
赤嶺委員 そうすると、この新聞の報道よりも回数が一回ふえているということになるわけですね。
 これの請け負った企業名を明らかにしていただけますか。
大井政府参考人 この作業を請け負った企業でございますけれども、私ども、請け負った企業の正当な利益等が害されるおそれがあるということで、従来からお答えは差し控えさせていただいているところでございます。
赤嶺委員 いや、従来、公表しているんですよ。五月十七日のテロ対策の特別委員会で我が党の児玉議員が、東ティモールのPKOに派遣された輸送艦の問題で、乗艦したままLCACの輸送用エアクッション艇の修理に当たったという場合には、企業名を国会で答弁していらっしゃるわけですね。ですから、何で今回は明らかにできないんですか。
大井政府参考人 お答えいたします。
 五月十七日のテロ防止特別委員会で児玉議員から御質問がありまして、中谷防衛庁長官の方からお答えがあるわけでございますが、これにつきましては、御指摘のとおり、PKO活動に係るものでございます。今回につきましては、テロに関連するということで、その特殊性等かんがみて、企業の名前というものを出さないようにしている、こういうことでございます。
赤嶺委員 PKOのときには企業名は公表できるけれども、今回、テロの特殊性にかんがみてという御答弁でありましたけれども、今回派遣された民間人の派遣先、これはそれぞれどこになっていますか。
大井政府参考人 具体的な派遣先でございますが、これも具体的に派遣されています艦船等の行動にかかわる問題でございますので、これにつきましても、従来から答弁を差し控えさせていただいておるところでございます。
赤嶺委員 自衛艦に乗艦しての作業はありましたか。
大井政府参考人 基本的に、すべての修理は自衛艦に乗って修理を行うという形態であったと思っております。
赤嶺委員 それは洋上での作業であったということですね。
大井政府参考人 お答えいたします。
 洋上ということではなくて、すべて港、岸壁に着岸した上で行っているということでございます。
赤嶺委員 極めて大変慎重な、企業名も明らかにできない、行き先も明らかにできないということですが、仮に、民間人を派遣してテロ攻撃に当たるという不測の事態の場合に、その場合には、派遣された技術者に対する補償の問題、これは防衛庁はどのようにお考えですか。
大井政府参考人 お答えいたします。
 基本的には、先生も御承知のとおり、テロ特措法に基づきますと、私どもの艦船が派遣される場といいますか、それにつきましては、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域において行う、こういうことになっておりますので、そのような御懸念はないのではなかろうかというふうに考えているわけであります。
赤嶺委員 論議の流れからして、皆さんの今の答弁は非常に理解しにくいものです。
 テロという特殊性にかんがみて、企業名も明らかにできない、派遣先も明らかにできない。これはやはりテロという問題があるからなんですね。一方で、今、安全なところに派遣していますと言う。矛盾しているんじゃないですか。防衛庁長官、どうでしょうか。
赤城副長官 ちょっと所用で長官が退席しておりますので、私から。
 委員御指摘されましたが、まず、寄港地とか具体的な企業ということについては、今防衛参事官からお答えしましたように、それは公表を差し控えさせていただきたい。
 一方、安全な地域ではないか、こういうことでありまして、これは、今回のテロ特措法に基づく協力活動、支援活動は、現に戦闘が行われておらず、期間を通じて戦闘行為が行われていないと認められるような地域で行う、こういうことでございますから、直ちに危険な地域であるということではございません。
 しかしながら、テロ特措法に基づく協力支援活動であるということにかんがみまして、具体的な寄港地とかその企業名というのは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
赤嶺委員 矛盾したことを答弁の中に含んでいるんですよ。
 安全な地域に派遣していますと言い、一方ではテロ特措法という、テロという特殊性にかんがみてと言う。ここには、一方で危険なことですよと言いながら、もう一方では派遣しているところは安全な地域ですと言っている。非常に理解しがたいんですね。こういう矛盾をどのように理解していいかわからないんです。
 それで、民間人をそういう場所に派遣しているわけですが、民間人に犠牲が出たとき、そういう場合には防衛庁としてはどのように考えられますか。
大井政府参考人 お答えいたします。
 先ほども答弁させていただいたように、私ども、派遣している場所というのは基本的に戦闘行為が行われていない、そういった地域において行っているわけでございますけれども、その中で、派遣された従業員が何らかの事故等に遭ったときにどうするか、こういうお尋ねでございます。
 私どもは、この派遣につきましては、いわゆる防衛庁と企業との間の契約ということで対応しているわけでございます。両者における合意に基づいて出ている。我々の理解では、そこら辺の従業員のいろいろな事故等に対する対応につきましては、企業側の方で対応を講じているものというふうに理解をしております。
赤嶺委員 民間人をテロ特措法に基づいて派遣されている艦船修理のために派遣をして、テロという特殊的な状況のもとで仮に被害に遭っても、それは企業が責任を持つようになっていますということですね。
 そうすると、皆さんとしては、その民間人の安全について、どういう体制で、どういう方針で臨んでいらっしゃいますか。
大井政府参考人 お答えいたします。
 防衛庁といたしましても、派遣される従業員の安全には配意をしているところでございます。
 先ほど冒頭、お答えいたしましたように、基本的に修理をする場所というのは港で、着岸した上で行っているということも、私どもとして、従業員の安全ということにも配慮した結果であるというふうに考えております。
赤嶺委員 港だから安全だという、安全の担保が確保できるんですか。
 ここで、アラビア海で洋上補給支援に当たった杉本正彦海将補のインタビュー記事が新聞に出ています。アラビア海で任務を行い、八月に帰国した京都府舞鶴市の海上自衛隊第三護衛隊群司令の杉本正彦海将補は、産経新聞のインタビューに対し、杉本海将補自身の言葉として、こう紹介しています。
 「どこで何をしているというのは公にできない。われわれがテロの対象となるし、今回は実際のオペレーションなのだから」「洋上に出れば心配はないが、洋上補給後に給油地の沿岸国の港に入るときは見張りに船全体が緊張した」と言っているんですね。
 皆さんが港で修理をさせているから安全だというのは、現地に行ってきた海将補のインタビューからすれば、何の担保にもなっていないじゃないですか。一番危険なところになっているわけでしょう、港というのは。自爆テロも非常に慎重に対処しなければいけなくなっている地域、民間人の安全についてどういう対策をとっているかと聞いたら、安全対策として港でやっていると言っている。現場に行ってきた人たちは、そうではないと言っている。ここにも皆さんの無責任な民間人の派遣があるんじゃないですか。
    〔委員長退席、末松委員長代理着席〕
大井政府参考人 どこの港でということを申し上げることはできないのでありますけれども、通常、私どもが修理をお願いしている、修理をしている港というのは、通常の商船等も出入りをしているところでございます。
 なお、テロ特措法に基づきます基本計画におきましても、いわゆる当該活動というものが、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域において実施されるよう、また、当該活動の安全が確保されるよう、諸外国の活動の全般的状況、現地の治安状況等を十分に配慮するものとする、こういうふうになっておりまして、この計画に従って行動しているということについて御理解を賜りたいと思います。
赤嶺委員 理解しようにも、皆さんが派遣した自衛官の中から、自分たちが寄港している港は大変危険で入港するときには神経を使うということを言っているわけですから、安全なところに民間人を派遣しているという皆さんの答弁は全然信じられません。それを納得させる答弁にもなっていません。こういう問題を放置したまま安全な地域に民間人を派遣しているというようなことは、これはやはり偽りであります。私は、そういう問題について、やはりきっぱりと国民に真実を説明していただきたい。
 契約して派遣しているということの御答弁がありましたけれども、労働者は、企業と労働者の契約の中で、断った場合にはやはり自分の身分が保障されない、こういうような仕組みの中ででき上がっているわけですね。こういう仕組みを一方に持って、安全性についての担保も確保されていないのに民間人をここに派遣する、こういうやり方は、派遣される労働者にとっては、職場で戦時派遣という言葉もはやっているんですよ、そういう職場で。そういうことになっていますから、こういう強制的な派遣はやめていただきたい。(発言する者あり)結果として強制じゃないですか。こういうことをやはりきちんと指摘しておきたいと思います。
 それで、今回の派遣なんですが、これはどういう法的な根拠に基づいて行っているんですか。
大井政府参考人 私どもといたしましては、根拠といいますか、私ども通常の行為として、艦船あるいは装備品等の修理等を行うということが我々の設置法等にも書いてございますので、その条項に照らして行っているということになるということでございます。
赤嶺委員 防衛庁設置法に基づいて派遣しているということでしたか、今。もう一度ちょっと答弁してください。
大井政府参考人 防衛庁の設置法五条十三号というふうに考えております。
赤嶺委員 それで、テロ特措法の場合には防衛庁設置法で派遣していると言われています。周辺事態法はその九条で、民間の協力、必要な協力を国以外の者に対し依頼することができるというのがあるわけですね。テロ特措法には民間協力に関する規定は一切ないわけです。
 なぜテロ特措法には規定もないのに派遣要請を行うことができるんですか。なぜそれを防衛庁設置法五条でできるというんですか。周辺事態法は九条にちゃんと、国以外の者に対する協力の依頼の定めがありますよ。
大井政府参考人 お答えいたします。
 周辺事態法に基づき修理等を行うという場合におきましても、私どもの根拠といたしましては五条十三号ということで、「所掌事務に係る装備品、船舶、航空機及び食糧その他の需品の調達、補給及び管理並びに役務の調達に関すること。」ということで、民間と合意の上契約を結び、その条件に従って修理をお願いするということになっているわけでございます。
赤嶺委員 周辺事態法では民間人の協力を予定した九条があるわけですね。テロ特措法にはそういう条文はないわけですね、民間の協力。なぜないのにできるんですか。周辺事態法が民間人の協力を求めるための法的な手続、それがあるのは条文に沿って理解できます。テロ法は条文にないのに、なぜそれができるんですか。
大井政府参考人 お答えいたします。
 私どもが所有しております艦船等が修理を要する、しかしそれは私どもでは能力が不足している、そういう事態において、民間企業の合意を得て、その合意に基づき締結される契約に基づき修理を行うということについては、当然のことであろうというふうに思っております。
赤嶺委員 防衛庁設置法というのは、制定当時、海外に民間人を派遣することなど予定していないわけですね。国内になっています。
 昭和五十一年の参議院の内閣委員会の中で、茂串内閣法制局長官はこのように答弁しています。
 役務の調達にはもとより限界があり、自衛隊法、防衛庁設置法の趣旨から見て、本来的に専ら自衛隊が担当すべき性格を有する業務については、他の者の役務によりこれを行うことはできないということで、民間に容易に役務の提供を要請すべきではないという基本的な考え、それは先ほど皆さんの方からも答弁にありました。
 同時に、役務の調達というのは、防衛庁が物資の輸送をいたします場合に、国鉄とか日通にその役務の調達を求めるという場合と答弁しているわけですね。
 防衛庁設置法ができたときに、民間人を国外に派遣する、こういうことは全く予定していなかったと思います。防衛庁設置法で民間人を国外に派遣するというのはおかしいんじゃないですか。
    〔末松委員長代理退席、委員長着席〕
大井政府参考人 お答えいたします。
 先ほどから何度もお答えしております、私が契約に基づきというふうに申し上げているのは、公権力の行使の一環として派遣しているわけではない、あくまでも民間との合意に基づき派遣をしている、そのようなものにつきましては、前からあります五条十三号に基づき行うものである、これは当然のことであるというふうにお答えしているわけでございます。
赤嶺委員 民間人の契約に基づき、防衛庁設置法を使って派遣していると言いますが、防衛庁設置法で国外に派遣することまで予定していなかったはずですということです。
大井政府参考人 派遣という言葉に主語をつけなかったことが御理解を妨げたのかもしれませんが、防衛庁が派遣をしているわけではなくて、企業が派遣をしているということでございます。
赤嶺委員 皆さん、いろいろ言い繕ったってだめですよ。(発言する者あり)浜田先生には防衛庁長官の席に座られたときにたっぷり質問いたしますので、今答弁は遠慮してください。
 内閣参事官の青木信義さんという方がいらっしゃいますね。その青木さんが書かれたテロ特措法の論文の中でこう言っているんですね。「なお、民間団体等による支援、協力については、政府としても期待しているところであるが、本法は」テロ特措法は、「国として実施する対応措置を定めるものであることから、民間等が実施する活動についての規定は設けていない。」ということで、はっきり民間等の活動については規定は設けていないということがあるわけです。
 ですから、テロ特措法の趣旨からいっても、民間人を、たとえ契約に基づいてであれ、危険な地域に派遣するのは根拠のないものだということを指摘しまして、私の質問を終わります。
田並委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 まず最初に、私は、今回提出されました公務員の一般職及び特別職のいわゆる給与法案に関しまして立場を明らかにしておきたいと思います。
 従来、私たちは、人事院の勧告は完全に実施するようにという立場で臨んできたのでありますが、今回、初めて人事院勧告史上マイナスベア、勧告ということになっておりますが、今の経済状況下を考えまして、しかも、本来これは民間企業でもそうなんですが、労使できちっと合意をしていくということが前提になろうかと思います。そういった意味で、やはり公務員労働者にかかわる労使協議という制度が改めて問題にされざるを得ないというふうに思います。
 そういった立場で、私は、今回提出された法案に対しては、社民党としては反対であるということを意思表明しておきたいと思います。
 さて、まず一番目に、今、国民も大きな関心を持っておりますイラクの問題と国連に関して、五点ほど質問いたしたいと思います。
 まず、外務省に対してでありますが、ことし九月に出されました米国の国家安全保障戦略、いわゆるブッシュ・ドクトリンと呼ばれているものに関して、我が国の政府としてどのような理解と認識を持っているのかをまず説明をいただきたいと思います。
海老原政府参考人 お答え申し上げます。
 今、今川委員からお尋ねのありました国家安全保障戦略の報告でございますけれども、これは米国の行政府が議会に提出したものでございまして、テロや大量破壊兵器の拡散という冷戦後の新たな脅威に対しまして断固たる姿勢で臨むというところが強調されております。
 また同時に、国際社会と連帯しつつ、米国が強力なリーダーシップを発揮するという決意も示されておりまして、我が方といたしましては、そういう点を評価いたしております。
今川委員 これは、いろいろな専門家の間でも一番話題になっていますのは、いわゆる先制攻撃論というのが出てきていますよね。そういった意味で、歴代の米国の大統領の声明、あるいはこうした国家安全保障戦略、防衛政策の中で、これほどあからさまに、非常に傲慢とも見えるような政策が打ち出されたのは過去に例がないんじゃないかという思いがするわけです。
 そこで、今、ブッシュ政権は、国際協調と言いつつも、場合によっては国連の決議がなくてもイラクに武力攻撃をしかけるという姿勢を見せており、しかも、先般の米国の中間選挙では共和党が圧勝したということで、さらにイラク攻撃に向けて圧力が強まるのではないかという懸念があるんです。
 政府にお尋ねしますが、国連で新たな決議がとれた場合にイラク攻撃をするというケースと、それから、米政府も言っていますように、場合によっては、国連決議がとれずとも単独でイラク攻撃に踏み切るという選択肢もあるというふうに伝えられておりますが、そうしたケースに合わせて、我が国政府としては、米軍を支援するしないという問題にかかわって、どのような立場をとられているのかを御説明ください。
安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 米国は、イラクによる国連安保理決議の履行を確保するためということで、新たな安保理決議の採択に努力を傾注しているところでございまして、イラクに対する軍事行動を行うということの決定をしているわけではないわけでございます。
 現在、安保理の理事国間におきまして、米英共同提案の決議案を中心に、その妥結を目指して最後の精力的な協議が行われているという段階でございます。したがいまして、米国がイラクに対する軍事行動をとるということを予断したような形で考えるということは差し控えたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、重要なことは、イラクが実際に査察を即時、無条件、無制限に受け入れて、大量破壊兵器の廃棄を含むすべての関連安保理決議を履行することでございます。そのために必要なかつ適切な安保理決議が採択されるべきでありまして、我が国といたしましても、そのために外交努力を継続していきたいと考えているわけでございます。
今川委員 今、予断を持ってとおっしゃいましたけれども、例えば、ドイツ政府の場合には、先般行われた選挙でも、シュレーダー首相あたりは、イラク攻撃には反対をするという意思表明をしながら、それを選挙の一つの争点に据えて、国民にその審判を問うというケースもあるわけですね。
 やはり日本としても、予断を持つ持たないということではなくて、少なくとも幾つかのケースが考えられるわけですから、例えば、国連決議があってイラク攻撃に踏み切る場合、あるいは国連決議がなくとも、米国あるいはイギリスとともにイラク攻撃に踏み切る場合という幾つかのケースを考えて、その場合にそれぞれ日本政府としてはどのような対応をするのかということは、少なくとも国会であらかじめ議論をし、いろいろなケースで日本が動くときに、やはり国民のコンセンサスをきちっととらなければならないと思うんですね。
 そういった意味で、アメリカが一定の決断を下すまでは模様眺めということでは、国民に対して責任がとれないんじゃないですか。いま一度、そこを答弁してください。
安藤政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、現在は、国連におきまして、米英共同提案の決議案を中心にした妥結の努力というものが続行中でございます。
 一昨日、ネグロポンテ・アメリカの国連大使が、安保理の非公式協議の終了後、記者に対して述べた言葉といたしまして、我々としては、我々が共同提案国として提出した決議案が、平和的手段によりイラクの軍備縮小を達成する最善の方法であると考えているというふうに発言しておりますし、我々日本政府といたしましても、この問題が平和的に解決されるように、今、国連でのあらゆる努力が傾注されているわけでございますので、その国連での動きというものをバックアップしていきたいというふうに考えるわけでございます。
今川委員 きょうの新聞報道によりますと、国連の安全保障理事会は、今月八日、米国が最終案として提示した対イラク決議案、これは英国が共同提案となっていますが、この決議案の採決を行う見通しであるというふうに報道されておりますが、我が国政府として、この最終案に対する評価なり認識というのをもう一度ちょっとお示しください。
安藤政府参考人 委員御指摘の米英共同決議案でございますけれども、これは六日の日に安保理の非公式協議で正式に提示されたわけでございます。
 依然としてその後、国連において、この修正案についてどう対応するかということが議論をされているということでございまして、確かに委員御指摘のとおり、報道ベースでは日本時間の八日の夜にでも採択されるのではないかという見方もございますけれども、まだ各国のそれぞれの立場からのいろいろな議論が続いている最中だというふうに私は了解しております。
 日本政府といたしましては、基本的には、安保理のメンバーでないので、これに対して、この決議案の内容に対してどうこうという立場にはございませんけれども、我々といたしましては、査察が即時、無条件かつ無制限に実施されるように、そのことを確保するために強い決議案が採択されることを希望しておりまして、この安保理での協議というものが早急にまとまって、その決議案が成立するということを希望しているということでございます。
今川委員 私は、湾岸戦争の後、国連などがイラクに対して大量破壊兵器に関する査察をしたわけですけれども、政府も御案内のように、イラク政府の側もこの査察を妨害したりうそを申告したりということで、結局九八年以降ですか、査察が中断してしまったという経過があるだけに、今回やはり、先日、国連のアナン事務総長に対して、イラク政府の方も即時、無条件で受け入れるというふうなことが報道されておりますけれども、今政府から説明があったように、即時、無条件かつ無制限にということですね。いずれにしましても、国際社会から見て厳格、厳正に今回はきちっとやっていかなければならないと思います。
 そういった意味では、イラク側に妙な口実を与えてもいけない。といいますのは、イラク側から査察妨害があったときに、私の記憶する限り、イラク側は査察団の一部に米国のスパイらしき者が入っていたということで、それが口実にされていますね。そういうことのないように、やはり国連としてもきっちりした体制で臨んでいく必要があると思うんです。
 政府にお尋ねしますけれども、今、即時、無条件、無制限というふうにおっしゃいましたけれども、もう少し具体的に、国連がイラク政府に対してどの程度の内容のものを査察として考えているのか。そしてイラク政府の側は、現時点、アナン事務総長に対してであれ、どの程度の内容を受け入れようとしているのか。特に焦点となるのは、イラクの大統領関連施設まで踏み込むことができるかどうかということも話題になっておりますが、その点の御説明をお願いしたいと思います。
安藤政府参考人 イラク側は、サブリ外務大臣発アナン事務総長あての書簡を九月の十六日に発出いたしまして、委員御指摘のとおり、査察の受け入れを決定したわけでございます。
 その中では、本年三月、五月、七月の国連・イラク対話、及び、九月十四日及び十五日のムーサ・アラブ連盟事務総長を交えた国連との対話を踏まえ、無条件で国連の査察官の帰還を許可するとのイラク共和国政府の決定を伝達するというふうに述べられております。
 この書簡に基づきまして、イラク側と国連側で具体的な査察の手続についての話し合いが一度行われたわけでございますけれども、それがまだきっちりとした形で、その査察のやり方、方法についての確認がまだ文書で成立していないわけでございまして、その間、今申し上げましたように、この査察を即時、無条件、無制限に行うためにどうしたらいいかという、それについての国連決議の話し合いが今先行している。
 したがいまして、その決議を踏まえて、さらに具体的な細かい査察の方法についての話し合いが国連側とイラク側で行われるというふうに了解しておりますので、この先、そういう査察の手順が動いていくというふうに思います。
 ただ、先ほど申し上げました、サブリ外務大臣からアナン事務総長あての書簡を見ましても、イラク側はこういうことも言っております。
 イラクは、国連及び安保理のすべてのメンバー国が、関連安保理決議及び国連憲章第二条に記載されているように、イラクの主権、領土の一体性、政治的独立を尊重することにコミットする重要性を強調しているというふうなことも言っているわけでございまして、これから査察を即時、無条件かつ無制限に行っていく上で、まだイラク側からいろいろな主張が出てくるということも排除されないというふうに思いますので、まさにその点をいかにして確保していくかというのが国連でのこれからの話し合いになろうかというふうに思います。
今川委員 いずれにしましても、私は、米国によるイラクに対する武力攻撃というのはぜひともやはり避けるべきであると思いますし、そうではなくて、今申し上げた、国連がまずは厳格に国際社会の同意のもとにイラクに対する大量破壊兵器に関する査察を行うということが優先されるべきだろうというふうに私は思います。
 そこで、次に、これも政府にお尋ねをしますが、今の核不拡散条約、NPT体制そのものにも、国際社会からは、特に途上国あたりからは厳しい批判の意見があることは御承知かと思います。
 私が思うのは、確かにイラクという国は、過去イランとの戦争で、あるいは自国のクルド系住民に対して化学兵器を使用したという悪い実績を持っています。ですから非常に懸念されるんですが、だといって、世界最大の核保有国である米国の現在の核政策というものに果たして合理性があるのか。イラクの側からしますと、あるいはイラクならずとも核を持ちたいと思っている国からしますと、世界最大の核を持っている国はその核兵器を手放そうともせずに、これから持とうとする国に対して核兵器を持つなというのは不公平じゃないかという意見があるわけですね。
 そういう意味で、我が国政府として、世界で唯一の被爆国でもあるわけですから、今の米政府のとっている核政策というものをどのように理解されているんでしょうか。合理性があると思われますか。
海老原政府参考人 米国の核政策でございますけれども、ことしの一月に議会に提出されました核体制の見直し、いわゆるNPRという報告がございます。この中におきまして、冷戦後の新たな安全保障環境を踏まえまして、ロシアとの相互確証破壊に基づく関係は終わらせ、核兵器を初めとする大量破壊兵器の拡散、脅威の多様化等に柔軟に対応するため、米国、同盟国等の安全保障のための最小限の核戦力維持、通常戦力の強化等を目指していくことを述べております。また、核戦力の削減につきましても、実戦配備の核弾頭数を二〇〇七年までに三千八百に、また二〇一二年までに千七百から二千二百に削減するということを述べております。
 我が国といたしましては、米国がこのように戦略核弾頭の削減を目指しているということを歓迎いたしております。同時に、米国の新たな戦略体制の構築努力が、軍備管理・軍縮あるいは不拡散努力を含む国際の安全保障環境の向上に資する形で進められるということを強く期待いたしております。
今川委員 そのようなことでは被爆国日本として、やはり核軍縮ということは、今多くの国が求めているように期限を切って究極的には核兵器をなくしていくという道筋を、国際社会が納得し得るようなそういう方向性に向けて、やはり同盟国たる日本はアメリカにもっと厳しく求めていかなければならないというふうに私は思うんです。
 さて、時間の関係もありますから次に移りますが、今イラク国内では、湾岸戦争のときに使われた劣化ウラン弾による放射線障害を持つ子供たちが非常に多いということが、NGOなどの報告で明らかになっています。そこで、これは外交問題、外交上のものとは切り離してでも、今イラク国内にいる放射線障害を持つ子供たちに対する人道的な援助、支援というのがやはり必要だと思うのでありますが、この点、我が国政府としてはどのようにお考えでしょうか。
安藤政府参考人 一般的に申し上げまして、劣化ウランの問題については私どもも大変強い関心を有しておりまして、しかるべき対応をしていきたいというふうに思っております。
 ただ、湾岸戦争時に使われました劣化ウランの問題につきましては、これまで米国大統領諮問委員会が発表した最終報告書というのがございまして、これによりますと、湾岸戦争中に劣化ウランにさらされたことが、湾岸戦争復員軍人が訴えていた健康上の問題の原因であった可能性は低いというふうに結論づけられております。
 他方、今委員御指摘のような事実がもしあるのだとすれば、私どもといたしましても関心を持ってその点をフォローしていきたいというふうに思っておりますし、一般論として申し上げますと、我が国としては、イラクにおける緊急な人道上のニーズにはこたえる形でさまざまな努力を行っておりまして、一九九一年以降、国際機関等を通じた約一億四百一万ドルの人道支援も行っているということで、この人道支援については、引き続き適切な人道支援を行っていきたいということを考えておりますので、今委員御指摘の点については、私どもの方としても、どういうことであるのかよく調べてみたいというふうに思います。
今川委員 私は、こういうケースの場合に、米政府、今おっしゃったように因果関係ですね、そういった意味では、湾岸戦争以前と湾岸戦争以降に例えば子供たちがどのように、白血病など放射線障害のあり方、実態、どの程度違うのかどうかという意味では、やはり政府として積極的に調査団でも派遣して、もしその被害の実態というのが一定程度把握できれば、それにふさわしい医療など救援、人道支援をやるということはぜひ必要なことだというふうに私は思います。
 さて、余り時間がございませんが、次に移りたいと思います。ミサイル防衛についてであります。
 これは多くの専門家の間でもよく言われますように、ピストルの弾をピストルで撃ち落とすようなもので非常に難しい、技術的な困難性ということが言われております。
 また一方、財政上も、私が持っていますのは、国立国会図書館の調査及び立法考査局が出した資料の中に、現在、日米共同技術研究では、我が国が負担する費用は約二、三百億円と見積もられている。しかし、これが開発、配備に仮に踏み切った場合の費用、これは、例えばPAC3とNTWを組み合わせるもので一兆八千億円が見込まれ、五年間で調達する場合には、その間自衛隊の装備費の四割を割かざるを得ず、自衛隊が機能できなくなるほど防衛費を圧迫するとの見方もあるというふうにございます。
 そうした意味で、技術上の難点あるいは財政上の大変な負担ということから、果たして現実的にどうなのかということなんですが、政府の御見解をお伺いしたいと思います。
石破国務大臣 これは、要はその抑止力をどう考えるかという話だと思うんです。
 先ほど来、核廃絶のお話があります。被爆国としてそのような立場に立つべきだろうと私も思います。ただ、現実問題として、核による抑止力によって戦争が起きなかったということは一つの事実としてあるのだろうと思っています。
 そうした場合に、今、MADといいますか相互確証破壊の理論というものは、これはやはり恐怖の均衡みたいな形で平和が保たれるのはよくないことですねという発想がまずあった。そして、しかしながら、どうやってその抑止力を保っていくかとするならば、それはミサイル防衛ということなのだろう。仮に核ミサイルを撃ったとしても、それはブースト段階で落とされてしまうから何の意味もないんだよという、私は、ミサイル防衛にはそういう意味があるんだろうと思っています。それを踏まえて議論をする、少なくとも等閑視するべきだとは思っていない。
 技術の面からいえば、これはもうピストルの弾をピストルで落とす、確かにそうなんです。しかし、かなりの精度で上がってきた、THAADの実験なぞは先生御案内のとおりだと思います。これの確度を上げていくことは可能なんだろう。今度は、費用対効果の議論になったときに、ネイビー・シアター・ワイドで確かにそれぐらいかかるという議論はあります。そうした場合に、そのまま軍事予算がふえていくということではなくて、そうすると何をどのように減らしていくのかな、こういうお話もあるんだろうと思っています。
 私は、先生先ほど来御指摘のように、核を廃絶するというお話、そしてまたミサイル防衛というお話、そういうことを本当にきちんと考えていく必要があるんだろうと思っています。また、それが軍拡を招くんじゃないかというお話もありますが、私は、ミサイル防衛というものが論理必然的に軍拡を招くものだとは考えておりません。そのあたりにつきましても、これから先、国会におきましてもいろいろな御議論を賜りたい、このように思っております。
今川委員 もうほとんど時間がありませんが、今石破長官がおっしゃったことで一点だけ、これからまた機会を改めて議論はしたいと思うんですけれども、やはり軍拡の一つの要因になったということはあると思います。
 八〇年代、レーガン時代に、SDI構想、いわゆるスターウオーズ計画というのがありまして、これがとんざする、挫折する最大の原因はやはり財政上の問題だったと思います。しかし、これが冷戦が終わってから、そのいわば二番せんじみたいに出てきたというのは、やはり私は、そこの底流には、この冷戦が終わって十二年間ほどの間に、米国の軍需産業は大編成になっていますよね。例えばミサイルで有名なレイセオン社とかいろいろな編成があって、それが米政権を突き動かしている。ですから、純然たる抑止力の立場で必ずしも出てきたのかどうかということに、私自身は疑いを持っているんです。
 きょうはもう時間がなくなりました。また機を改めて、ぜひ御議論をお願いしたいと思っています。これで終わります。
田並委員長 次に、岩倉博文君。
岩倉委員 自由民主党の岩倉博文でございます。
 きょうの質疑でもありますように、我が国の安全保障政策がこれからどうあるべきかという点において、極めて大切かつ重要な局面を迎えているこの今の時代ではないかというふうに認識をいたしております。石破長官にはぜひ、大変な時期でありますけれども、一層の御努力をいただきますように、冒頭にお願い申し上げたいというふうに思います。
 きょうは、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案ということでございまして、質疑の最後でもございますので、この法案について二、三点、副長官にお尋ねをいたしたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。
 まず第一点は、防衛庁の職員、とりわけ自衛官の給与制度でありますけれども、一般の国家公務員と比較してどのような違いあるいはどのような特色があるのか、このことについて教えていただきたいと思います。
赤城副長官 自衛官の給与制度が一般の国家公務員と比較してどのような特色があるのかというお尋ねでございました。
 自衛官の給与制度は、基本的には一般職の国家公務員の給与制度に準じているところでございますが、特に、この自衛官が我が国の平和と安全を守る、こういう一般職の職員と比較して職務の特殊性が認められます。そういう部分につきまして防衛庁独自の制度を設けているところでございます。
 俸給についていいますと、一般職において職務の類似する公安職(一)、または行政職(一)等の俸給を基準としつつ、常時勤務態勢にあるという点を考慮して超過勤務手当相当額を繰り入れるなど、独自の自衛官俸給表を適用することとしております。
 さらに、諸手当についてでありますが、扶養手当、期末手当及び勤勉手当等は一般職の職員とおおむね同様の体系によっておりますが、やはり自衛官の職務の特殊性に応じた特別の手当として、航空手当、乗組手当、落下傘隊員手当及び特別警備隊員手当等が設けられております。
 このほか、いわゆる現物給与として、食事の支給、被服の支給または貸与、療養の給付等が行われております。
 概略でございますが、以上でございます。
岩倉委員 今回提出された給与法案の内容というのは、一般職の国家公務員の例に準じて自衛官の給与の引き下げを行うというものであります。特にバブル崩壊以降、民間企業の厳しい実態があるわけでありますし、また、昨今の国家財政事情を考えれば、自衛隊員といえどもこのような給与の引き下げもやむを得ないというふうに思うわけであります。
 しかし、そういった中にも、特に危険な任務を遂行している隊員に対して、何か特別な配慮が必要ではないかというふうに考えているわけでありますが、この点に関する防衛庁としての見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
赤城副長官 委員から御指摘いただきましたように、今回は人事院勧告で俸給の引き下げ改定、こういうことでございましたが、特に自衛隊員、その任務の特殊性、役割がございます。そういう中でも特に危険な任務につく、こういうことに配慮した対応が必要ではないかということでございました。
 まさに御指摘のように、特に危険な任務に従事する隊員に対する給与につきましては、隊員の処遇上、平素から最も重要な施策の一つとして考えてございます。
 そういうことで、危険な任務に当たる隊員に対する手当として、従来から、爆発物取扱等作業手当、危険航空作業手当など、各種の特殊勤務手当のほか、特別警備隊員手当などを設けております。また、この委員会でも先ほど来議論がありました、テロ特別措置法に基づくインド洋に派遣される隊員等につきましては、特別協力支援活動等手当を新設してございますし、本年度においても、不審船対象業務等に従事する隊員に支給する特殊勤務手当として、船舶検査等手当を新設したところでございます。
 また、特に危険な任務に従事する自衛隊員に対する手当について所要の概算要求を行っておりまして、平成十五年度概算要求の中で、陸上自衛隊に新設が予定されております特殊作戦群、これは主としてゲリラや特殊部隊による攻撃に対処するために新編される、まだ仮称でございますが、特殊作戦群に対して手当を新設するということを要求してございます。そのほか、落下傘降下作業手当、夜間特殊業務手当など特殊勤務手当の支給の範囲の拡大など、平成十五年度の概算要求において要求しているところでございまして、委員の御理解、御協力をよろしくお願いを申し上げたいと存じております。
岩倉委員 任務あるいは訓練を取り巻く、さまざまな時代の変化に伴う隊員の皆さんに対するさまざまな負荷が高まってきている昨今でありますから、ぜひ、今副長官御指摘のことについて配慮をしていく必要があるのではないかというふうに考えております。
 実は、私の選挙区に登別という町があるんですが、そこに幌別駐屯地がございます。ここはここ数年、PKO活動に向けての訓練も担当しているわけでありますけれども、私も何度かお邪魔をして、大変緊張感のあふれた中で、本当に皆さん一生懸命努力をされておられるわけですね。
 特に、へえっと思って聞いていたのは、防衛庁の中では当たり前のことなのかもわかりませんが、最近、英語のスピーチコンテスト、弁論大会というんでしょうか、隊の中でやると、女性の隊員も含めて非常に質が高まってきている、そういう話をるる聞いて、なかなか大変なんだなというふうにつくづく私もそのとき感じました。
 そういった時代の変化に伴うさまざまな状況によって、隊員の皆さん方は大変御苦労されているということが、そういった部隊に触れさせていただくたびに感ずる昨今でありますけれども、隊員の皆さんの給与を引き下げざるを得ないという状況の中で、いかに隊員の士気を維持して、士気を向上させるためには、どういうことが必要なのかということをやはり考えていかなきゃならないのではないかというふうに感じております。
 防衛庁における隊員の士気向上のための施策と今後の取り組みについて、何か具体的な方針があればお教えをいただきたいというふうに思います。
赤城副長官 委員御指摘のまさにそのとおりでございまして、特に自衛隊の組織の基盤は、まさに人でございます。いかに優秀で士気旺盛な隊員を維持していくか、士気を高めていくか、こういうことが大事だと思っております。給与の面、俸給の面ももちろんでございますけれども、隊員の士気を高めていくというためには、そのほか施設の面もございますし、また精神的なケアの面もあると思います。
 一つには、隊舎、宿舎等生活関連施設でございます。私も副長官に就任して、隊舎がどんな状況であるかということをいろいろ見させていただきました。かなり狭い、また老朽化している。同年代のほかの人たちに比べてかなりの制約のある中で、しかし頑張っておられます。そうした面から、隊舎、宿舎関連施設の整備を充実させていきたい、こういうふうに感じた次第でございます。
 また、諸手当についても、先ほど申し上げたところでございますけれども、これを改善を図っていく等、この処遇をきちっと確保していくということ。またさらに、就職援護をしていく。任務の特殊性から、若年で定年するという退職者に対しての給付金制度、こういうことを通じて退職後の生活に不安を感じないようにしていくということも、また士気を高めていくことの一助になろうかと思います。
 もう一つの側面としては、精神的なケアでございます。なかなか限られた生活環境の中で重要な任務を担っていくわけでございますので、そういう精神面でストレスを感じる、こういう隊員もあろうかと思いますので、そういう隊員に対してのメンタルヘルスを保持するためのカウンセリング体制を充実しましたり、その教育用のビデオを作成、普及するなど、そうした対策を講じているところでございます。
 今後とも、隊員が強い使命感を持ち、士気を高め、任務に安んじて取り組んでいけるように、この施策の充実に取り組んでまいりたいと思います。
岩倉委員 士気の向上というのは大変大事な問題でありまして、ぜひ、給与等の問題も含めて、積極的に、前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。
 多少の時間を余しておりますけれども、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
田並委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
田並委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。
赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛庁職員給与法一部改正案に対し、反対の討論を行います。
 本法案は、一般職の国家公務員の例に準じて、裁判所職員や国会職員などと同様、特別職たる防衛庁職員の給与の改定を行うものであります。
 人事院は、今年度の一般職国家公務員の給与について、期末手当等の〇・〇五月分の引き下げに加え、人事院勧告制度発足以来初めて、民間の基本給に当たる俸給の引き下げに踏み切る過去最大のマイナス勧告を行いました。
 これに基づき、一般職給与法の改定とその特別職への準用を行う結果、すべての国家公務員の年収が四年連続で引き下げられることになります。
 このような国家公務員の給与引き下げの一環をなす本法案には反対であることを表明して、討論を終わります。
田並委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
田並委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
田並委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
田並委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時一分散会


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