衆議院

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第7号 平成14年12月5日(木曜日)

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平成十四年十二月五日(木曜日)
    午後一時二分開議
 出席委員
   委員長 田並 胤明君
   理事 岩屋  毅君 理事 木村 太郎君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 末松 義規君 理事 渡辺  周君
   理事 田端 正広君 理事 樋高  剛君
      岩倉 博文君    臼井日出男君
      北村 誠吾君    小島 敏男君
      杉山 憲夫君    虎島 和夫君
      中山 利生君    仲村 正治君
      野呂田芳成君    平沢 勝栄君
      町村 信孝君    江崎洋一郎君
      大出  彰君    長妻  昭君
      前原 誠司君    赤松 正雄君
      赤嶺 政賢君    今川 正美君
      粟屋 敏信君
    …………………………………
   外務大臣         川口 順子君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   外務副大臣        茂木 敏充君
   防衛庁長官政務官     小島 敏男君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    栗本 英雄君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    守屋 武昌君
   政府参考人
   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君
   政府参考人
   (防衛庁人事教育局長)  宇田川新一君
   政府参考人
   (外務省大臣官房外務報道
   官)           高島 肇久君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 奥田 紀宏君
   政府参考人
   (外務省アジア大洋州局長
   )            田中  均君
   政府参考人
   (外務省北米局長)    海老原 紳君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 藤原 啓司君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 小寺  清君
   政府参考人
   (厚生労働省健康局長)  高原 亮治君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    深谷 憲一君
   安全保障委員会専門員   小倉 敏正君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月五日
 辞任         補欠選任
  川端 達夫君     長妻  昭君
同日
 辞任         補欠選任
  長妻  昭君     川端 達夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――
田並委員長 これより会議を開きます。
 この際、委員長から申し上げます。
 政府より、「テロ対策特措法に基づく米軍等への支援の実施状況」についての資料が、お手元に配付しておりますとおり、委員会に提出されましたので、御報告をいたします。
     ――――◇―――――
田並委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長栗本英雄君、防衛庁防衛局長守屋武昌君、防衛庁運用局長西川徹矢君、防衛庁人事教育局長宇田川新一君、外務省大臣官房外務報道官高島肇久君、外務省大臣官房審議官奥田紀宏君、外務省アジア大洋州局長田中均君、外務省北米局長海老原紳君、財務省大臣官房審議官藤原啓司君、財務省大臣官房審議官小寺清君、厚生労働省健康局長高原亮治君及び海上保安庁長官深谷憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
田並委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田端正広君。
田端委員 公明党の田端でございます。大臣、副大臣には大変御苦労さまでございます。
 最初に、イージス艦の昨日の派遣決定についてお尋ねしたいと思いますが、この問題については、この委員会でも今までもずっと議論されてきたところでありますし、私も慎重を期すべきだという考えでずっとおりました。そういう意味では、昨日の決定は少し唐突といいますか、そんな感じを受けているわけでありますが、米国におけるイラク攻撃ということがささやかれているそのときにこういう決定をされるということにおいては、非常に国民に理解といいますか、説明をきちっとしなければ誤解を生むのではないかということを懸念するわけであります。
 それで、国際テロの根絶、そういう大義はそれは大義としてありますが、今回の政府の説明を見ても、派遣のローテーションに柔軟性を持たせるとか、あるいは高いレーダー捜索能力というものを活用するんだとか、隊員の負担を軽減する、こういう説明であります。しかし、それだけで、うむという感じがするわけでありまして、そこのところを石破長官の方からきちっと御説明いただきたい、こう思います。
石破国務大臣 このイージス艦の派遣、正確には「こんごう」型護衛艦を加えるということでございますが、このことにつきまして、これからも国民の皆様方の御理解を得るように、そして御理解のもとで自衛艦が活動することができますように努めてまいりたいと思っております。
 委員御指摘のように、ローテーション論あるいは安全性の確保、アメニティー、そんな理由を申し述べました。結局一年間たってみて、最初は想定し得なかったいろいろなことが起こってきたんだと思うのです。
 一つは、ローテーション論であります。これは船一隻で動くわけではありませんで、艦隊を組んでおりますから、指揮通信能力というものが必要だ。それはDDHとイージス型護衛艦しか持っていないもの。DDHでずっと三隻しか稼働艦はありませんから、一隻ドックに入っておりますので、これで回していくことは極めて厳しいということが一年たって認識をされたということが一点。
 それから、イエメン沖のタンカー爆破事件というのがありましたが、ああいうテロの脅威、まさしくテロの特質である、前ぶれなく攻撃が行われるということが現実のものとなっているということであります。もちろん危険な地域で活動するわけではありませんが、そういうような危険を早く察知する必要があるのだろうということ。
 そしてまた、実際にやってみて、外気温が四十度以上になる、甲板は七十度から七十五度になる、艦内はどんなに冷やしてみても三十度より下がらない。その中で、隊員が非常に困難な疲労の極の中で任務達成のために頑張っているということであります。
 委員御指摘のように、アメリカのイラク攻撃との連関についてでございますが、これはテロ特措法に定められた法律の目的に沿って行うものでございます。その目的外のことはいたすことはございません。それは、私どもは法に定められたこと以外は絶対に行うことはございません。
 そして、アメリカから要請があったか等々の御質問もいただくことがございますが、私どもは、これは私どもの任務を完全に、安全に達成するために、国際社会の責任を果たすために、日本が主体的に判断をいたしたものでございます。
田端委員 テロ特措法の範囲の中できちっとやるんだ、こういうお話がございます。しかし、十一月の十九日でしたか、半年間の延長をしたばかりであります。
 そして、イージス艦という最新鋭の護衛艦は大変能力がすぐれているという意味で、七千二百五十トンですか、三十ノット。それから三百人の乗員が可能であるとか、このレーダーシステムが非常に高性能であって、レーダーの範囲は数百キロということも言われている。そして、同時に十以上の目標に対して最大百キロ以上の攻撃能力があるとも言われている。
 そうしますと、しかも日本以外にはあとスペインですか、アメリカが中心で日本とスペインに配備されているということでありますが、こういうすぐれたものが派遣されるとなりますと、自衛隊の活動範囲がその分だけ広がるんじゃないかという誤解を招くわけですよね。だから、そこのところが少し説明が足らないといいますか、国民の理解が得られないままに少し見切り発車したんじゃないかな、こういう心配をしています。
 それからもう一点は、八日の日ですか、アメリカのアーミテージ国務副長官が来られるとかなんとかという話がある。それから十六日ですか、ワシントンで2プラス2の日米安全保障協議委員会が行われる。こういうアメリカとの接点の中で、しかもイラク攻撃ということが言われている中で、日本としてアメリカに対して、何といいますか、間接的な援護射撃をしよう、こういう配慮をしたのかなということもマスコミ等でも書かれているわけであります。
 したがって、そういうことを考えますと、もう少し丁寧にやっていただかないと、こういうすぐれたものを出すだけに、慎重を欠いているんじゃないかな、こういう気がいたしますが、もう一度お答えいただきたいと思います。
石破国務大臣 委員の御指摘を踏まえまして、さらに国民の皆様方に御理解いただけるように、最大限努めてまいりたいと思います。
 委員御指摘のとおりで、イージス艦というものはそんなに珍しい船かといえば、そういうわけでもない。アメリカの場合には、タイコンデロガ級巡洋艦、二十七隻であったと思いますが、イージス艦であります。そして、アーレイバークで始まります駆逐艦もほとんどがイージス艦でございまして、合衆国の船は一部のフリゲートもしくは大変に古い船を除きまして、すべてイージス艦ということになっております。
 スペインが現在建造中でございまして、近く就役をいたしますが、そのほかの国も、イージス艦というものを配備するべく、今計画を進めておるところです。それは一にかかって、その高い情報収集能力、つまり危険を早く察知することができる、早く察知をしなければかわすことができない、そのことに着目をしているのだろうと私は思っております。
 活動地域についての御指摘がございました。これはテロ特措法そのものが、どういう地域で活動するのかということについて定めております。戦闘が行われていないところでやるのだということでありますし、にもかかわらず、そういうことになった場合には、任務を中断して、防衛庁長官が地域を変更するのを待つということになっておるわけでありまして、冒頭申し上げましたように、法の趣旨がそのとおりでございますから、そういう地域でしか行動をいたしません。そして、その艦の目的は、情報収集によって、危険があるとするならば早く察知をして被害を防ごうということだと思っておる次第でございます。
 そして、2プラス2あるいはアーミテージ国務副長官の来日ということもございました。ただ、これはもう先生御理解いただけると思いますが、私どもは国益のためにやっております。ここに本当に遠隔の地に行って、一生懸命行動する隊員たちがおります。それを、合衆国に、ある意味歓心を買うようなという言い方が適当かどうかわかりませんが、そういうような考えで、こういう過酷な任務を隊員にお願いをするということは私はいたしません。それはあくまで、日本国が国際社会の一員として責任を果たすために何が必要なのかという判断に基づいて行ったものでございます。
 今後とも、より多くの御理解をいただきますように努めてまいりますので、御指導賜りますようお願いを申し上げます。
田端委員 このイージス艦は、「こんごう」、「きりしま」、「みょうこう」、「ちょうかい」と四隻でございますね。そして今回は、ローテーションとおっしゃるのだから、具体的にどういうローテーションでこれを派遣するのか。例えば、長官この前の議論のときにも、四隻あって、派遣する場合は一隻行って、もう一隻はサブといいますか、補完といいますか、そういう形で二隻が対になるのだ、こういう御説明があったかと思います。
 そうしますと、四隻のうち一隻は絶えず、いつも出動できるようにドック入りといいますか、点検されているんだと思いますから、実際に動けるものは実情は三隻、そうすると、四隻のうち一隻がドックに入って二隻がインド洋にということになれば、これはどうなんですか、日本周辺は一隻ということになるのかなと。その辺のところ、いかがでしょう。
石破国務大臣 これは、あるいは私が不十分な御説明をしましたかもしれません。改めて答弁をさせていただきます。
 御指摘のとおり、イージスは四隻でございます。そのうち一隻はドックに入っておりまして、これは車検とは違いまして、結構何カ月も長い間入っておるわけでございます。三隻でございますが、そのうち、このテロ特措法に基づきまして派遣をいたしますのは一隻でございます。二隻を対で出すということはいたしません。
 このイージスもしくはDDHに求められております能力というのは、結局、司令部機能ということだと理解をいたしております。つまり、船は何隻かで出るわけでありまして、単艦で出るわけではございません。そういたしますと、どれかの船が司令的な機能を果たさなければいけません。それはどの船がその機能を備えているか、そういうような部屋であり、そういうような施設でありということでありますが、それは、DDH四隻とイージス四隻ということでございます。
 したがいまして、これは対でなければ機能を発揮しないというものではございませんで、出しますのは一隻でございます。そうしますと、ローテーションでイージスが行く場合もあれば、従来どおりDDHが行っている場合もある。それがローテーションで、基本的に六隻で回そう、いつまでになるかは別にいたしまして、ということに相なります。
 そうしますと、イージス型護衛艦が四隻あります。そのうち一隻がドックに入っています。一隻はインド洋に行く場合がございます。そうしますと、二隻は稼働状況にあるわけでございますし、DDHが出ております間は三隻、稼働状態にあります。
 御懸念にございますように、イージスを出してしまって、日本周辺、特に北朝鮮情勢、非常に北朝鮮情勢に限らず、いろいろな不安定要素がある中で大丈夫であろうかという御懸念、そのことをきちんと払拭するような御説明をしてまいりたい。
 もちろん、テロ特措法というものに基づきます任務は支障を来さないようにということが法の趣旨でもございます。そういうような御懸念には及ばない、そういうことがあってはならないというふうに考えておりまして、さらに万全を期してまいりたいと思います。
田端委員 というのは、私は、北朝鮮の動きも今大変微妙だと思うから、日本の方は大丈夫ですかということを申し上げているわけであります。
 北朝鮮の方は、この前、防衛庁長官がこの委員会でミサイル防衛のことについて御発言になった、そのことをとらえて、日本がアメリカと共同してそういう策動に頼るなら我々もミサイル発射保留ということを再検討しようというふうな発言をしたり、あるいは拉致問題を取り上げて、過去の清算ということで、踏みにじるなら我が方もミサイル発射問題ということもこれは考える余地があるみたいなことを言ったり、そういうことが言われているわけであります。
 そういう意味では、このテロ対策、これはこれとして大変大事、しかし、今の時期において決してゼロとは言えない北朝鮮の動きに対して、これは備えておかなければならない、そういう思いがするわけですから、四隻のうちもし二隻行ったら大変なことになるんじゃないですかということを申し上げているわけで、その辺のところについて大臣の御見解をお願いしたいと思います。
石破国務大臣 先ほど申し上げましたように、二隻は出ません、一隻でございます。そうしますと、三隻もしくは二隻というものが日本の周辺において稼働状態にあるということだと思っております。
 そしてまた、ミサイル防衛のお話でございますが、合衆国も含めましてミサイル防衛というもの、つまり飛んでくるミサイルをこちらから迎撃ミサイルを使って、いわゆる中層段階、ターミナルフェーズではなくて中層段階で撃ち落とすという技術は、どの国も有しておるところではございません。そうしますと、テポドン事件のときもそうでございましたが、イージスがどういう能力を発揮するかといえば、それが弾道ミサイルの航跡、軌跡、これをとらえるという点において能力を発揮するのだと思っております。
 そうしますと、これは一種の、テポドン事件のときにそうでしたが、あのときには、舞鶴にありますイージス艦「みょうこう」というものがいろいろな情報に基づきまして一種の山を張るということをやっておったわけでございます。ビームを絞りまして軌跡、航跡というものを調べたということで、それが正確なものであったというふうに認識をいたしておりますが、実際にどれだけの数のイージスで航跡を把握する必要があるであろうか、そしてそれが本当に日本国民、日本国家の安全というものに資するであろうかということは、当然、軍事合理性に基づきまして私どもは判断をしてまいりたいと思っております。
 イージスのみならず、各種のいろいろな装備あるいは機材等々を通じまして、そういうような情報の把握というものに万全を期すというのは当然のことだと思っております。
田端委員 私は、基本的には、この九月十一日のテロ対策の問題と、そしてイラクに対する問題とは、ここはしっかりと立て分けるべきだ。そこが議論が重なってしまいますと大変な誤解を生むわけですから、今回のイージス艦派遣に対しても、それはきちっと整理をして御説明を国民の皆さんにしていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
 それで、イラク問題でありますが、今順調に査察が進んでいる。そういう意味では、当初予想されていた以上に、非常にスムーズにいっているなという感じがいたします。
 しかし、ここに至るまでのことを考えてみますと、ブッシュ政権がことしの一月の一般教書で、北朝鮮、イラン、イラクを悪の枢軸と規定して、そしてテロとの闘いということにすごく力を入れる、そしてその延長線上に、今度は大量破壊兵器の疑惑問題ということで大きくクローズアップして、そして安保理決議という流れになっていっているというふうに感じます。それはつまり、そういう意味ではアメリカ合衆国の世界化といいますか、非常に大きな流れを、あるいは流れというよりも圧力といいますか、そういう力をアメリカが誇示して今回のこの査察にもつながっていったんだ、こう思うわけです。
 だから、逆に言うと、そういう中で今順調にこの査察が行われているわけでありますから、ハプニングからアメリカ、イギリス軍が攻撃するようなことがあってはならない、こう思っております。例えばドイツなんかは、今回、そういう意味では、イラク攻撃に対して参加ということについては非常に否定的なことを言っております。
 そういう意味では、今の日本政府の考え方も、そこのところは日本は日本としてのきちっとした自主的な判断というものを持ってもいいのではないか、こういう選択の幅を感じるわけでありまして、外務大臣にちょっとお伺いしたいのは、こういうときだからこそ日本のスタンスというものが大事であり、日本の国民もそこのところを心配しているのではないかと考えます。
 何か国際的な世論調査を見てみますと、アメリカを好ましくないというのが、中東はもう圧倒的に、ヨルダンなんかは七五%、あるいはエジプト、パキスタン、レバノン、これも六九とか、そういう七割近いところの国民が、そういうふうに中東の人は感じているようであります。
 不思議なことに、ドイツの国民も六一%の人が今回のアメリカの対応を好ましくないと見ているようです。これは前回の調査に比べると、ドイツで一七ポイント低くなっているわけでありまして、そういう意味では、今問題は大きな問題ではありますが、しかし余りに強引な感じがありますと国際世論というものも大変大きなことになっていくと思いますので、私は、ここのところを日本も日本らしい判断、選択というものをすべきではないかなという感じがしておりますが、外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
川口国務大臣 委員がおっしゃられますように、外交問題についての我が国の方針というのは主体的に決めるということはもちろんだと思います。
 イラクにつきましては、イラクの大量破壊兵器の問題、あるいは過去国連の決議を守ってこなかったということ、これについて、この前、安保理で一四四一が満場一致で、全員一致で採択をされたということは非常に結構なことだったと思います。そして、我が国としても、イラクがこの大量破壊兵器の開発をやめて、またほかの決議を守っていくということを国際社会にきちんと実行してみせるということが大事であると思っています。その意味で、今まで国際社会が一致団結をしてイラクに対してかけてきたこの圧力というのが実を結んで、そしてイラクが今査察を受ける状態にあるということだと思います。
 我が国としては、今までも外交努力をさまざまな形で続けてまいりました。ごく最近では、中山、高村元外務大臣、そして茂木副大臣にイラクの周辺国に行ってもらいまして、我が国のこの問題についての考え方を伝え、意見交換をしたところでございます。こういった外交努力は非常に重要でございますので、引き続き続けたいと思います。
田端委員 このイラク問題では、十一月の八日にこの一四四一号の決議が採択されて、そうして十一月二十七日から査察が始まっておりますが、きょうのニュースだと、このイラクの大量破壊兵器開発計画についての申告が国連に十二月八日に到着する、こう言われています。
 そして、今の査察は、査察団の報告書が一月の下旬ぐらいになると思いますが、そういう意味では、八日に国連にイラクからの申告が届いたとして、二、三週間、どのぐらいかかるかわかりませんが、安保理で協議して、そして分析に相当時間がかかると思います。数百ページの申告と言われておりますから、相当かかると思います。
 その申告と査察団の報告書と食い違うということが起こってきた場合に大きな問題になろうかと思いますが、外務省はこの辺のところをどういうふうに分析されているのか。もし虚偽申告がイラクにあったとなれば、これは大問題になっていくと思いますが、そこら辺、どういうふうな見通しを持っておられるでしょう。
奥田政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまの委員の御指摘のとおり、十一月の八日の期限までにイラクの申告書というものが出ることになっておりまして、我々も報道でそれが大変近くなっているというふうに理解しております。
 その後どうなるかということでございますけれども、当然、安保理でその申告書というものが議論をされていくということになると思います。
 その後、それに基づいてどうなるかということにつきましては、今の段階では、まさにその安保理の審議がどうなるかということによるのであろうというふうに理解しております。そして、何もない場合でも、今委員が御指摘になりましたように、査察団のイラクにおける査察が始まりましてから二カ月たちます一月下旬には、いずれにしましても査察団の報告がまとめて出てくるというふうに理解しております。
田端委員 アメリカ軍が、十一月十八日に、イラク北部の空軍施設を爆撃したというニュースがありました。それから、十二月一日には、南部のバスラというところの石油会社の事務所を空爆した、こういうことで、何人かの死傷者が出ています。
 そういう突発的なことから大きなことに発展しないために、我が国としても、そういう意味では、きちっと査察が行われ、きちっと報告があり、そしてそこは見守っていく、こういう冷静な外交を展開する必要があるんじゃないか、こう思います。
 特に、アラブ諸国に対しての日本との関係は、欧米の各国に比べても、日本は非常に友好的にアラブ諸国とつながっているわけでありますから、そういう意味で、公平な立場で、また平和外交を推進するという立場から、イラクのこの問題、そしてイラクを国際社会に復帰させる、こういう大きな目標を持ってアラブ外交を展開すべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
茂木副大臣 イラク問題に関しますアラブ諸国との関係でありますが、先ほど大臣の方からも答弁させていただきましたように、我が国といたしましても、総理特使を関係国、周辺国に派遣したわけでありまして、私も特使として先週、ヨルダン、シリア、トルコと回ってまいりました。
 そこで、この問題は国際社会全体の問題である、そして、引き続き、我が国もそうでありますが、周辺国が、イラクに対して国際社会が一致して毅然とした態度で臨んでいくことが、働きかけをしていくことが大変重要だ、こういう認識ではそれぞれの国と一致した、このように確信をいたしております。
 我が国といたしましては、今後とも、アラブ諸国を含めました国際協調を確保して、イラクが実際に査察を無条件、無制限で受け入れて、大量破壊兵器の廃棄を初めとするすべての関連安保決議を履行すること、これが外交的につながるんだ、そのための外交的な努力を続けてまいりたいと考えております。
田端委員 IAEAの北朝鮮の核疑惑に対しての特別査察について、きょうの新聞だと、査察を拒否するという北朝鮮側のメッセージが出ているようであります。これは大変大きな問題だと思います。
 時間が来ましたのでこれで終わりますが、この問題は、拉致問題等含めて大変大事な問題だと思いますので、外務省としては、ぜひ、北朝鮮と国交のある中国とかロシアとかEUとか、こういうところにアタックして、そういう理不尽なことを言っていることに対しては、しっかりと物を言ってやっていくことが大事ではないかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
田並委員長 次に、渡辺周君。
渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。
 それでは、早速でございますが、広い意味での安全保障の中で大変重要な問題であります今回の社団法人日本外交協会の米支援、この点につきましてお尋ねをいたします。
 この日本外交協会が、ある団体の要請によって、人道支援の名のもとに東京都の非常食を北朝鮮に送っていたということが明るみに出ました。この問題をぜひただしたいわけでございますけれども、この点につきまして、まず、この社団法人日本外交協会というのはホームページもございまして、見ました。
 これは一体どういう団体なんですかね。これは外務省の委託事業を受けている団体、しかも、この会の会長は衆議院議長綿貫民輔さんが務めていらっしゃった。その点をかんがみますと、これは大変重大な問題なんですが、この日本外交協会というのはどういう団体なのか、外務省、お答えいただけますか。
高島政府参考人 お答え申し上げます。
 日本外交協会は、今委員御指摘のとおり、外務省の認可を受けた公益法人、社団法人でございまして、定款では、世界平和と民主主義を基調とする国民外交の実現を図ることを目的とする団体だというふうにうたっております。
 会長は、今御指摘がありましたとおり綿貫衆議院議長が務めておられましたけれども、十二月三日付で、今回の北朝鮮への食糧支援問題の責任をとって辞任届を提出されております。
 定款の定めによって、会長のもとに副会長、理事長、副理事長、専務理事などが置かれておりまして、ことしの三月末現在で、個人会員が二百三十六人、また法人会員が六十三団体となっております。
 この協会でございますけれども、外務省からの委託を受けた事業を含めて、いろいろな事業を行っております。
 主なものを挙げてみますと、例えば、国際情勢に関する講演会を開催して国際知識を普及するといったようなことから、外務省が出しております海外の安全情報をファクスや電話で一般に伝えるといったような仕事、それから、今回話題になっております難民救済食糧援助、それから、例えば地方自治体で既に使い終わった中古の消防自動車ですとか救急車を受け取って特に貧しい国々に配るといったような海外援助事業、それから、NGO支援セミナーといった経済協力支援事業、さまざまな事業をやっている団体と承知しております。
渡辺(周)委員 そうしますと、これは外務省の委託を受けて、そして歴代の会長を見ますと、歴代の外務大臣が会長を務めていらっしゃる、あるいは経済団体のトップを務められた方が会長を務めていらっしゃる。これは大変な公益団体であります。
 この団体が四十万食分、これを北朝鮮に送った。ある意味では、我が国の政府がかかわっている、外務省がかかわっている団体が、このような状況下にもかかわらず向こうに寄附をしていた、その点について弁明をホームページ上で載せているわけであります。
 このホームページを見ますと、今回の件について十二月二日に、「北朝鮮向け食糧援助について 日本外交協会の見解」ということで、その見解を載せておりますけれども、この中に書いてあることは、例えば、後にちょっと説明をいたしますけれども、「政府間交渉とは全く別次元の「人道援助」に徹した行為であり、このささやかな支援行為が現在進行中の日朝交渉に何らかの影響を及ぼすとは考えられません。」というふうに言っているんです。
 それで、日本外交協会というのは、今お話がありましたように外務省の事業を委託してやっている団体でありながら、政府間交渉とは全く別次元だ、こんなことを言っていますけれども、この点についてはどういう御見解を持っていらっしゃいますか。外務大臣、いかがですか。
川口国務大臣 これは別な委員会の場でも私が申し上げたことですけれども、細かい話は後で説明があると思いますけれども、もう少し違う対応があったのではないかというふうに私としては思っております。
渡辺(周)委員 違う判断があったのではないか、当然そうですね。
 これはまたここに書いてあるんですけれども、「外務省の意向を代弁する立場でもありませんし、外交政策に影響を及ぼす活動もしておりません。」というふうに言っているんです。しかしここに、この団体の事業の中身を見てみますと、この日本外交協会の概要をホームページより見ますと、この団体の「当面の重点活動」の中には、「真に国益に合致した内外政策を研究し、国の外交政策に反映させるため、」これが当面の重点活動だと書いてあるわけなんです、日本外交協会の概要について。
 ところが、ここの現在の見解では、いやこれは外交政策に影響を及ぼす活動もしておりません、外務省の意向を代弁する立場でもないと。ということは、何をしてもいいということになるんですか。こういうことを言わせておいていいんですか、どうなんですか。この御見解をお尋ねします。
茂木副大臣 まず、今回の日本外交協会の支援の問題でありますけれども、支援を実施するに当たりまして、事前に外務省の方にも連絡がございました。
 そのときに外務省から協会に申し上げましたのは、北朝鮮に対する食糧支援に関する政府としての基本的な立場を説明申し上げました。今政府としては北朝鮮に対して食糧支援等々を全く検討していない、こういう立場であります。それから、たとえ民間が行う支援であっても当面実施を見合わせる等慎重に対応してほしい、その旨は申し入れをさせていただいております。
 公益法人といいましても民間の団体でありまして、政府として個々の活動について許可するとかしないとか、そういう立場にはありませんが、先ほど大臣の方からもございましたように、同協会としてはもう少し配慮があればよかった、このように考えております。
 それから、今後についてでありますが、同協会を監督する立場から、事業の実施に当たっては現下の国内及び国際情勢等に十分留意するよう引き続き求めていきたい、このように考えております。
渡辺(周)委員 ここに、これは読売新聞の十二月三日付の朝刊ですが、外務省が毎年機密費から十年以上、年三百万円から六百万円寄附していると。昨年度も、在外公館の設備メンテナンスで約二億円、外務省ホームページの海外安全情報の運営、六百四十万円などを同省から随意契約で受注。ことし四月、外務省タウンミーティングの運営も委託された。つまり、もう丸投げしているわけですね。事業をやらせている。
 これが、今副大臣おっしゃいました、民間団体だから口を挟むことはないと言うんですけれども、だとすれば、こんな政府の方針に沿わないことをやったところに、もうこれから仕事を出したらいけないと思うんですよ。ただ申し入れしている、申し入れしているじゃなくて、実際厳しい政府の方針、これは十一月五日の安全保障委員会で、私もこの食糧支援についてはどうするんだというふうにお尋ねをしました。そのときに答えた齋木政府参考人は、「当然大きな国民的な議論というものが沸き起こると思いますし、現在の北朝鮮に対する国民感情の厳しい状況を見れば、」云々で「食糧支援も含めた人道支援を行うということは、ちょっと考えられないと思います。」また副大臣も、「御指摘いただきました食糧支援、現在の段階で政府として検討には入っておりません。」と。
 ここまで何度も否定されながら、実際はこういうことをしている。だとすれば、こういうことをしているのがわかっていながらやったということになれば、これは外務省としてこの団体に対してもっと厳しいペナルティーがあってしかるべきじゃないですか。どうなんですか。今後、今回のことはそれはそれで終わらせてしまうのか。その点についてどうなんですか、外務大臣。
川口国務大臣 二つのことを分けて考える必要があると思っています。
 一つは、食糧支援をこの団体が行ったということでして、これについては、これに使われたお金というのは外務省から出たお金ではなくて、民間の資金を使ってこれを行ったということでございます。
 外務省の認可をした公益法人、社団法人ですから、そういう意味で一般的な監督権はありますけれども、事業の一つ一つについて、外務省が委託をするということ以外については定款にのっとって行われており、かつその会計等について、きちんとまたこれもルールにのっとったものがあれば、それは、この団体は団体として適切に運営をされているということになると思います。
 また、現在の官と民の関係をどう考えるかということについての新しいパラダイムからいけば、民は民の仕事としてみずからの判断でやったことについての責任はみずからが負うということでございまして、役所が、この事業をやるべきであるとかやるべきでないとか、それを一つ一つ言うことではなくて、その公益法人の中におけるガバナンスといいますか、理事会でどう決めたか、そういったようなことで決まってくることだと思います。
 それで、外務省が委託をしていることについて、この団体に引き続き行うかどうかということについては、委託という事業の性格は、本来外務省がやるべきものを、外務省にかわってそれをやる能力のある団体に委託をする、そういう考え方でやっているわけでございますので、外務省がやらなければいけない仕事、これをやり得る仕事は、この団体だけではなくていろいろありますけれども、そういったエキスパティーズといいますか、その仕事をやるのにふさわしい専門的な知識を持っている人間あるいは経験、そういったものがある団体に対して外務省は委託をしていくということでして、その立場は変わらないわけでございます。
渡辺(周)委員 いいですか、私が言っているのは、一NGOだったら、これはそういう団体はありますよ。この間、私どもの党に来ていただいた、中国当局に拘束されて国外追放処分になった加藤さんという救援基金の事務局長さんの話も聞きました。この方が、北朝鮮内にあるみずからのネットワークで食糧を確かに渡している。それに対して私たちは文句は言えません。わかっています。
 だけれども、この団体は外務省の事業を委託している団体で、外務省が認めている。しかも、これだけの団体のところへお金が流れているわけでしょう。だから、そこに機密費で流れているんだったら、そこを答えてください。
 それだけの団体がやって、そんなのは我々には関係ないような言い方をしたら、こんなものは二元外交じゃないですか。外務省ができない分をこっちという別の、要はバイパスを通って出している、これはそういうことになりますよ。
 北朝鮮という国は、拉致がされたことすら認めていない、国内的には認めていない国ですよ。拉致のラの字も国民には知らせない国が、日本の政府から食糧が来ていると。つまり、そういうことだけをプロパガンダするわけですね。当然そういうことに利用されるわけです。
 ですから、私が言っているのは、一NGOだとか一民間ボランティア団体がやっている話と混同はしていませんよ。だけれども、これは政府がお墨つきを与えた団体で、しかも、このような時期にそういう政治判断をしていることをこの人たちだってわかっていながら、もっと言えば衆議院議長ですよ、国会のトップ、立法府のトップが会長を務める団体が、こんなことを勝手にさせたら、我々国会議員は、では何のために国会で北朝鮮に対する決議をしたんだと。その点についてはどうなっているんですか。これは責任ですよ。そんな安易な考えで物を言われたら困るんですよ。
川口国務大臣 ですから、先ほど言いましたように、私としては、あるいは外務省としては、この団体の北朝鮮に対して乾パンを送ったということについてはもう少し違う対応があったのではないか、そういうことは思っておりますし、また向こうに対しては、そのお話があったときに、外務省の考え方はこうであるということを先ほど茂木副大臣が答弁をしましたように、伝えているわけです。そういった考え方は、外務省としては変わりません。
 その上で申し上げていることは、これはその団体の、公益法人の理事会なり事業計画を、事業を実施するという適切な過程を経て決まった話であるわけでございまして、一つ一つの事業について外務省はそれを監督し、許可をする立場ではない、それは公益法人の考え方からくるということでございます。
 それから、委託はまた別な考え方でして、これは、外務省としてさまざまな事業を委託する場合に、委託を受ける専門性なり、あるいは能力、知見を持っているところに委託をする。これもそういう考え方で行われているわけです。
渡辺(周)委員 いいですか、能力を持っていると言いますけれども、今日本の我が国がどういう北朝鮮と外交交渉をやっているか、わかっているわけですよ。外務省が国会で答弁している中で食糧援助は考えていないということを無視してこういうことをやる団体が、とてもじゃないけれども、そんなまともな能力を持っているとは思えないわけです。おっしゃるような意味が全くわからないんですよ。
 大体、外務大臣、あなたはどっちの味方だ。外務省の方針を支持する側なのか。それとも、こんな抜け道みたいなことをやらせるのは、それは監督する立場ではないんだからおかしいじゃないかと。
 めり張りをつけないと、これはまた次やるということですか。また同じ申請があったときにはどうするんですか。今度は、東京都の米はけしからぬ、だけれども、ほかの自治体から預かっているものはどうするか、まだわからない。例えば、同じことがもう一回あったらどうされますか。外務省としては、どう対応するんですか。
 また、通報があったからそれでいいということですか。「供与を決断した段階で通報致しました。」というふうに外務省との関係では書いてありますけれども、協会独自の判断で行ったもの、外務省に対しては供与を決断した段階で通報いたしました。それを外務省の考え方を伝えただけじゃだめなんですよ。なぜとめられなかったのか。
 では、なぜとめられなかったかということをちょっとお答えいただけますか。
川口国務大臣 今の日本の官と、それから公益法人あるいは民、公益法人といえども民間の団体ですから、の関係がどうあるべきかということについて、社会のコンセンサスがあると思います。この食糧支援についての外務省の考え方あるいは私個人の考え方については、先ほど来申し上げているとおりです。
 ただ、その上で申し上げたいことは、これは一民間の団体であるということでして、その一つ一つの事業に外務省がイエスとかノーとか、やっていいとか悪いとかいうことではなくて、この団体の理事会なり、あるいは事業計画を決定するときに、その役割にある人たちがきちんと判断をすべき問題であり、外務省として判断すべき基準、考え方については伝えてある。
 仮にこの団体がそういったことを理解しないで、引き続き世の中として好ましくないと思うことをやり続けていく、そういうことをしましたら、それは今の世の中のルールに従って、この団体は恐らく成り立たなくなるであろう、そういうことだと思います。
渡辺(周)委員 では、もうまどろっこしいことを言わなくて結構ですから、要は今度やったらその団体はつぶすぞということですね。もう仕事も出さないよ、そういうことですね。ちゃんと答えてください。
川口国務大臣 外務省は、一般的な監督権限の行使はいたしますけれども、この団体が世の中のために役立って存在をし得る団体かどうかということは、この団体の理事あるいはそういったところにお金を出している人たち、その人たちが決める。外務省もその一員ではありますけれども、外務省の監督権は一般的なものでございまして、このほかにも会員等が大勢いるわけでして、そういう形で決まっていく。そういう形で何がいいか悪いかが決まっていく。これが今の世の中の自分の責任で物事をやる、そういう考え方であると思います。
渡辺(周)委員 いいですか、外務省の認可した団体が外務省の意向に背いてやっているんですから、そのときは、今度やったらどうするんだということをしているんです。社会のルールによって存在しなくなるということは、要は認可団体としてこれはもう認めないということでいいんですか。そこだけ答えてください。ごちゃごちゃ一般的なことはもういいですから。今度やったらどうするかということですよ。
茂木副大臣 まず、先ほど申し上げたように、我々の意向、これはこの団体にしっかり伝えさせていただきます。
 そして今、二元外交だとは思っておりませんけれども、そういう誤解を与えてはまずい、そのように思っておりますので、当然そういうことが起こった場合は、外務省としてこの団体との関係は見直しをせざるを得ない、こんなふうに思っています。
渡辺(周)委員 副大臣の答弁の方がまともなんですよ。一番すっと落ちるんですよ。
 どうして大臣は、これは民間団体だと。民間団体だったらこんな大きな問題にならないんですよ、一NGOであれば。おかしいじゃないんですか、言っていることが。
 その点について、やはりもうちょっとちゃんとしないと、こんなものは北朝鮮に間違ったメッセージを伝える、あの横田さんを初めとする拉致された家族の方々が、自分たちの子供の命をかけてももう北朝鮮には人道支援しないでくれ、そこまで言ったんですよ。もしかしたら自分の子供は命にかかわることがあるかもしれない、だけれども、これで援助し続けることは、これは間違ったメッセージを日本が送ることになるからやめてくれと、何回もこれは訴えているわけですね。そういう思いでありながらも、当事者の一番苦しんでいる方々がそこまでしてきたわけですよ。
 それに対して、何か木で鼻をくくったような答弁をしながら、何かいかにも民間団体のすることだから我々はどうにもならないんだみたいなことを言っていると、また間違ったメッセージが向こうの国に伝わるわけであります。
 実際、この問題については、総理大臣すらが、よく調べてみる、これは大変だと言っているわけですよ。実際総理大臣は何か言ってきたんですか、調査してきた、あるいは何らかの報告を出せと。総理はそう言っていますけれども、そこはどうなっていますか。
田中政府参考人 委員御質問の件でございますけれども、この問題の経緯その他、既に国会で御答弁を申し上げているとおりでございますが、その趣旨については、総理大臣にも報告をいたしました。
渡辺(周)委員 先ほどの副大臣の答弁で、とにかくそのときには関係を見直す、今度やったら許さないよということですね。それだけ確認して、最後、もう時間がありませんから次の質問に移りますが、とにかくやはり二元外交ですよ。
 向こうの国からしてみれば、日本の外務省が判断したか、あるいは日本外交協会がやったかなんてわからないですよ。日本政府から送られてきたものだと。つまり、向こうはプロパガンダに何でも利用する国ですから、こちら側としては、いや、知らないの知っているので日本側の手続みたいなことを言っても、向こうにしてみると、日本から事実として非常米なりが来たわけですね。これは相変わらずまだ食糧支援は続いている、つまり、この点については間違ったメッセージを与えるということには変わりないわけでございます。
 その点について、この団体に対して、もう一回これは私ちゃんと話をする機会があると思うのですけれども、今回のことを聞いて、その後この団体に対してもう一回、再度どうするのかということを、つまり、もうこういうことはしないという、例えば何らかのやはり申し入れなり約束をとらなきゃいけないと思うんですけれども、その点どうなっていますか。これからどうされるおつもりですか。そこだけ聞いておきます。
高島政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたとおり、この団体は民法に基づく公益法人、社団法人でございまして、年に一度私たちのところに会計報告、また活動についての報告を寄せてくることになっております。その段階で、果たしてこれが適正なものかどうかを判断して、認可をこのまま継続するか、それとも取り消すかということを判断することになろうかと思います。
 また、先ほど申し上げましたように、会長の綿貫衆議院議長がおやめになったということは、この団体にとっては極めてやはり大きなことと受けとめているというふうに私たちは判断しております。
渡辺(周)委員 ですから、これからどうされるかと。大臣、それでは端的に答えてください。もし今度こういう申し出があった場合に、通報があったときには、それはだめだと、やはりこれは政治判断しなきゃいけないわけですよ。そこのところだけ聞かせてください。
川口国務大臣 外務省のこの団体に対する一般監督権の範囲内で対応をいたしたいと思います。
渡辺(周)委員 その一般監督権の範囲内というのは何ですか。そこだけちゃんと言ってください。どうして答えられない。
川口国務大臣 一般監督権の範囲内というのは、この団体が公益法人として、定款にのっとって適切な報告あるいは事業計画、決算、そういうことを行ってやっている、その定款を見て外務省は認可をしているわけですから、定款に違反をしていない、そういうことが大事であるということです。
渡辺(周)委員 同じことばかり言わせて、私も申しわけないと思っているんです。だから、ちゃんと答えてくれればもう次の質問に移れるんですけれども。
 片っ方では公益法人だと。いいですか、自分たちの説明で、この団体は、自分は公益法人だ、だけれども食糧支援は民間団体としてやったと使い分けしているんですよ。存在は外務省認可の公益法人でありますが、このたびの食糧援助はあくまで民間団体としての判断ですと。「一切の政治的関与を排除して」と、要はわけのわからないこんな見解を書いているわけですね。こんなもうむちゃくちゃなことをやったら、一生懸命日朝交渉をやったって、片っ方で外務省の一部がやっていると思われますよ。
 では、もう大臣だめだから、副大臣ちょっと答えてください。どうしますか、この団体。もう二度とこういうことはさせないように厳しく指導する、どうしてそれを言えないんですか。
茂木副大臣 先ほどから申し上げておりますように、外務省としての考え方、これは事業の実施前に団体にも申し入れを行っております。それにつきましては報道もされておりますので、北朝鮮当局にも外務省の意向というのはきちっと伝わっている、その姿勢というのは外務省として変わっておりません。
 大臣答弁のとおり、私も申し上げましたけれども、個々の事業についてこれがいい悪い、そういう権限は外務省についてはないわけでありますけれども、しかし、こういう状態が続くのは決して好ましいことだとは思っておりませんので、外務省とこの協会の事業関係につきましては、こういう状態が続くということであれば、見直しをせざるを得ないのではないかな、こういうことを私は申し上げました。
渡辺(周)委員 もうとにかくこの問題は、今までやってきたことを本当に水の泡にするような今回の判断ですよ。ですから、これに対しては本当に、私どもじゃなくて大勢の方々が、やはり今これはこうするべきだということをあえて逆らってきた。しかもその見解の中には、何度も繰り返しますけれども、第二次大戦で日本が敗戦したときに、外国の日系人がララ物資と呼ばれる援助物資を届けた、そのことを思い出してやはりやるべきだという、もうむちゃくちゃなことを言っているんですね。こんなテロが継続している国家に対する支援と、戦後の日本の復興の、日系人が物資を送ったこととごっちゃにして一生懸命自分たちを正当化させていますけれども、これは無理があるわけですよ。
 とにかく、もうこの団体に対しては、一回この組織も見直して、やはり考え直さなきゃだめだ。私は、今回まさに、こんな公益という名前の公益に反することを平気でやった団体をこのままにしておいたらいけない、その点についてはやはり認可した外務省の対応を、しかるべき対応をされることをこれは強く申し入れておきます。
 最後になりますが、ちょっと防衛庁に質問をいたします。
 防衛庁が特殊部隊、武装工作員等による攻撃等対処に係る教範の作成について、こういうことを考えていらっしゃる。特殊部隊、武装工作員により対応する、いわゆる防衛出動下令時の攻撃対処のほか、治安出動下令時の不法行為対処に係る内容を盛り込んで、本年度中にそうしたいわゆる教本をつくる、教範をつくる、使用を開始するということでありますけれども、こういうことを早急に私もやるべきだと思っています。
 これは、昨今のさまざまな、この間青山健熙さんという方が私どもの党の中で言ったときに、まだまだ工作員と称する方々がいると。工作員といってもいろいろなレベルの方がいると思いますけれども、日本政府としてどうするかという中で、この点について、防衛庁はこうしたことをこれから始めるということでございますが、これはやるんですね。これからまさに治安出動下におけるこの攻撃対処、どうされるのか、その点についての今の段階の進捗状況をお尋ねしたいと思います。
石破国務大臣 テロ・ゲリラ対策に万全を期すために教範を作成し、そのようなものに対して対応してまいりたいと思います。
 昭和四十三年に増田甲子七防衛庁長官が、そのようなものはつくらない、しかし将来のことまでは覊束しないというような答えがございました。要は、治安出動という規定がありながら、これは自衛権を使うものではございません、警察権によって対応するものでございます。しかし、国民に向けて銃を向けるとは何事であるかというような御批判があって、治安出動という規定が大規模騒擾を想定しておったものですから、そういうような訓練を行ってこなかった。しかし、委員御案内のとおり、昨年自衛隊法を改正いたしました。それがテロ・ゲリラに対してもきちんと対応できるようにということで改正をいたしました。それにのっとって、それに基づいてと言うべきでしょうか、教範を作成いたしております。
 その内容の具体的なことにつきましては差し控えさせていただきますが、いろいろなケースに対応できますように、法律がきちんと機能いたしますように訓練を重ねてまいりたい、そのための教範だと理解をいたしております。
渡辺(周)委員 時間が参りましたので、ほかの質問をする時間がなくなりましたけれども、ぜひ外務省については、当初の方針どおりやはり毅然とした態度で北朝鮮との日朝交渉を進めていただきたい、そのためにも私どもも協力を惜しまないことを最後につけ加えまして、私の質問を終わります。
田並委員長 次に、前原誠司君。
前原委員 民主党の前原でございます。
 まず、海上保安庁長官、お越しでございますね、質問をさせていただきます。
 二日の予算委員会の続きを質問させていただきたいと思うわけでありますが、昨年暮れに、奄美大島沖で北朝鮮の工作船と海上保安庁の巡視艇が銃撃戦を繰り広げまして、工作船が沈没をいたしまして、今、回収作業が終わって、そしていろいろなものが物証として挙がってきている。七百点余りだと聞いておりますが、携帯電話の通話記録について、この間の予算委員会では、海上保安庁に今任せていて、そしてまだ嘱託を受けている段階ではない、こういう話でありました。
 暴力団との関係、あるいは朝鮮総連、現か元かわかりませんけれども幹部とのいわゆる通話、そういうものが取りざたをされておりますけれども、事実関係について御答弁をいただきたいと思います。
深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 ただいま先生から、昨年十二月二十二日に沈没いたしましたいわゆる工作船からの揚収物の一部でございます携帯電話についてのお尋ねがございました。
 私どもといたしましては、この携帯電話につきましては、工作船の行動目的など、全体の事案の状況を解明する上で重要な証拠物の一つだというふうに認識をしております。この携帯電話から日本の国内に電話が発信されていたということは我々つかんでおりますけれども、現在、その詳細につきましては鋭意捜査を進めているところでございます。
 ということで、現時点におきましてはその詳しい中身についての御答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、ただ、本事件につきましては、大変国民の関心も高うございます。そういう観点から、その捜査の状況につきましては、今後それに支障のない限り、その範囲内で適宜公表はしてまいりたい、かように考えております。
前原委員 長官、これは海上保安庁の職員に対する、殺人未遂なのかどうかわかりませんが、傷害未遂も含めて、そういう事案で捜査をされていると思います。
 そして、まだ捜査の最中ですので細かな内容についてはおっしゃれないということはそのとおりだと思いますので、それについて深く追及はいたしませんが、まさに長官が今御答弁をされたように、かなり国民が関心を持っているテーマでありますし、ちゃんと立件をしてもらいたい。亡くなっておられるので被疑者が死亡ということになるのかもしれませんが、立件をしていただいて、その中身について徹底的に明らかにするんだという決意をもう一度お示しいただきたいと思います。
深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 先生ただいま御指摘のとおり、本事件につきましては、海上保安庁にとりまして、保安庁発足以来、銃撃戦を交え、海上保安官三名が負傷するという、私どもといたしましては大変大きな事件でございました。また、先ほども申し上げましたように、本件につきましては国民的な関心も大変高うございまして、先生御指摘のとおり、当該船舶、中からの小舟等々、細かいものを入れますと七百点からに上る揚収物がございます。武器も相当の多数のものがございました。
 そういった点、先ほども申し上げましたように、本件の全容を解明するため海上保安庁といたしましては、関係機関にもぜひ御協力いただきながら、全容を解明すべく鋭意最大限の努力を全庁を挙げて取り組んでまいりたい、かように思っております。
前原委員 外交問題、安全保障問題を解決する上でも今大事な捜査をされていると思いますので、今の御決意でよろしくお願い申し上げます。もう長官、結構でございます。
 さて次に、渡辺周議員の質問にちょっと関連をしてお話をしたいと思います。
 北朝鮮との国交正常化交渉の中で、これは政府の関係者がたびたび御答弁されていることでありますし、私もそう思うのでありますが、待ちの姿勢でいいと思うんですね、基本的には。つまり、北朝鮮にとっては日本からの経済協力が必要であるということ、そしてまた、イラクでどういう事態が起きるかわかりませんけれども、ポスト・イラクの段階での北への、特にアメリカからの極めて厳しい対応、そういうものを考えると、やはり日朝間での協議というものは続けておいて、言いようによっては盾の役割を日本にしてもらうような部分があると思います。私は、その二つが北にとっては極めて大きな問題だろうと思っています。
 ただ、その中で、待ちの姿勢でいいのでありますが、待ちの姿勢でできない点が何点かあります。それは、五人の拉致被害者の方の家族の帰国の問題であります。これについては、国民の関心もございますし、御家族の心中をおもんぱかった場合には、できるだけ早くやらなきゃいけないということであります。しかし、それによって北朝鮮に足元を見られてはいけない、こちらのいわゆる外交交渉というものを、スタンスを崩してはいけない、こう思っております。
 そこで、政府内の一部に、まだ風評のたぐいではありますけれども、この五人の方々の家族を返還するために、スモールディールとして食糧援助というものを考えていいのではないか、こういう話が、あるのかないのかわかりません、しかし、私の考えをまず言わせてもらえれば、やっちゃいけない話だとそれは思っております。
 この点、スモールディール、つまりは小さな取引としての食糧援助というものがあり得るのかどうなのか。もしないとすれば、ではどういう形で五人の方々の家族の返還というものを北朝鮮と交渉していくつもりなのか、その点について外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
川口国務大臣 まず結論から申し上げれば、そういう食糧と五人の家族の方の日本への帰国の取引ということは考えておりません。
 食糧支援についての考え方というのは、人道的な観点がございますが、それに加えて、我が国の政府の方針というのは、さまざまな事情を総合的に勘案するということでございまして、今の時点で具体的に食糧の支援を検討しているという事実はございません。
 その上で、委員がおっしゃる五人の方の家族の日本への帰国、これをどうやって進めていったらいいか、これは本当に難しい問題でございます。残念ながら今の時点では、これをやれば全部解決をするというようなすばらしい手ということは現在持っていないと言わざるを得ないんですけれども、やはりこれは、委員がまさにおっしゃられたように、北朝鮮としては日本と国交正常化をする必要がある、国交正常化を、それをてこにするということと、粘り強くこれはやっていかなければいけないということだと思います。
 北朝鮮は、日朝平壌宣言を守って、遵守をして国交正常化の交渉をすると言っているわけでございますし、当然、我が国もそういう立場にあります。そういったことでございますので、その正常化をしていくということについての北朝鮮側の要望、これをてこに粘り強くやっていきたいと思います。
前原委員 二点、今の御答弁でさらにお伺いをしたいんですが、食糧援助については取引とするつもりはないとおっしゃいましたけれども、その修飾語に、今の時点ではとおっしゃいました。
 私は、今の時点ではということではなくて、もちろんそれは話が進んでどうなるかということはありますけれども、国交正常化交渉の段階で食糧援助をすべきではないというふうに私は思うんですね。その今の段階というのはどこまでの範囲を指すのか。つまりは、国交正常化になればいろいろな形の支援活動があっていいと思うんですけれども、国交正常化交渉の、大臣のお言葉をかりれば、てことして食糧援助というものは使うべきではないと思うんですが、その点について明確に御答弁をいただきたい。
 あともう一つは、これは予算委員会でも大臣に申し上げましたけれども、形の上での平壌宣言というのはそれは遵守しなきゃいけないとおっしゃるのはわかるんですけれども、向こうがもう約束を破っている部分、核の問題もあるわけですよね。だから、そこは余り平壌宣言、平壌宣言ということになると、何か砂上の楼閣で話をしているような部分がありますので、ここは別に御答弁は結構です、私はそのことについては予算委員会で質問をしましたので、さらに答弁は結構でありますけれども、余りそれを大上段に振りかざすと、相手はもう約束を破っている部分もあるよということになるということだけ指摘をしておきたいと思います。
 前者の部分だけ御答弁ください。
川口国務大臣 頭にあることを申し上げたので、あるいは余計な修飾語をくっつけたかもしれませんけれども、私が申し上げたかったことは、五人の帰国とそれから食糧支援をバーターにする、取引にするということは考えていない、そういうことでございます。
前原委員 防衛庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、工作船の問題、これはおっしゃりにくいことかもしれませんけれども、日本独自の情報収集で昨年暮れの工作船が奄美大島沖にいるということがわかったことではないということに私は認識をしております。また、核の開発については、これもまたアメリカはかなり前の段階からわかっていて、九月の十七日以前にもアメリカから情報提供があったということであります。
 そもそもの情報収集能力、日本の、いろいろな意味での。つまりは、そういう工作船なり工作員がうようよしているという情報収集の能力と、あるいは、これは情報衛星がなければなかなか難しいのかもしれませんが、他国の動きというものをリアルタイムに察知をして、そして外交政策なり安全保障政策を組み立てるというその能力について、私は根本的に欠けていると思うんですね、今の日本の体制は。やはりその点をどういうふうに今後の課題としてとらまえていくかということは、極めて重要な話だと私は思います。
 後ろ向きの話をしているのではありません、前向きの話として、日本の安全保障としてどのレベルまで情報収集能力は持つべきだと考えて、それを例えば今後の中期防なり防衛大綱の見直しも含めてやっていこうとするか、そういうやはり壮大な思いがないと、この日本の情報収集能力の欠如というものは私は是正されないと思います。新大臣というか、新にはもうならないのかもしれませんが、ぜひ大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。
石破国務大臣 基本的な認識は、私は委員と同じ認識を実は持っています。これで十分だと思ったことはありません。それぞれの任に当たっておる者が、もちろん当庁だけではありません、公安調査庁もございましょう、警察もございましょう、あるいは外務省もございましょう、それぞれの部署の人間が精いっぱいやっておるということは別にいたしまして、システムとして今のままでいいかといえば、今のままで万全だという認識は持っていません。
 例えば情報収集衛星を四機上げるというお話がありますが、これもその改善の一環ではございましょう。あるいはエリント、シギント、ヒューミントでどの部分が足りないのかということはよく考えてみなければいけませんし、もう一つ重要なことは、その情報をどのように分析、評価するかという点なんだろうと思っています。
 それは、現場においては本当に山のような情報はあることはあるんです。その中でどれが価値ある情報として上がってくるのか。そして、それが最後まで、これが正確ですよというのが上がってくるまで待っておっては遅いこともありましょう。幾つかある中でどうなんだということを判断するというようなシステムも、それは必要なことなんだろうと思っております。
 あるいは、これはもう大臣の立場を離れて申し上げますと、では、機密費をどうやって使うのという議論にもなってくるんだろうと思います。情報は一体何の対価としてとれるのかという、余り清く美しくない世界の話だって私はあるんだろうと思っています。
 国家がどのように生き残っていくかということは、そんなに生易しいことだと思っていません。どの国も、本当に国家の生存をかけて情報を収集し、分析しておるというような姿勢、認識、その部分を強く持っておりますだけに、今御指摘のように、これから先、あり方検討でありますとか大綱でありますとか、そういうことも将来議論になるわけです。そのことは事柄の一つの根幹的な部分になるだろう、そうしていかねばならない、このように思っておる次第でございます。
前原委員 今、アメリカあるいはフランスから衛星の画像をもらって、そして、それを分析する。当然ながら、タイムラグがあります。
 今おっしゃったように、四機打ち上げをして、これは建前は多目的衛星という、安全保障の目的のみに使われるものではないということですから、そういったところの充実ということは今後も考えていかなくてはいけない話だと思いますし、それに伴って、まさに大臣がおっしゃったように、分析ですよね。では、情報本部が今の人数でいけるのかといったら、多分いけないと思うんですよね。リアルタイムで情報が入ってくるようになったときには、なかなか今の体制でいける話ではないというふうに思いますね。情報本部のあり方についても、もう一度御答弁いただきたい。
 あとは、私は、情報衛星あるいは物理的な画像なんかの情報だけではなくて、まさに機密費の使い方まで言及されましたけれども、人による情報収集というのは極めて重要ではないかというふうに思っています。その上で、人の情報収集というものを、よりやっていくために、裏返しの議論として、私は、日本のスパイ活動というか、情報漏えいに対する法整備が極めてお粗末ではないかと思います。
 二つ目の質問として、昨年の自衛隊法の改正で、ある程度の情報漏えいを防ごうということにはなりましたけれども、それだけで十分かどうか。その二点についてお答えをいただきたいと思います。
石破国務大臣 情報本部がどういう経緯でできたかは、委員御案内のとおりであります。これは、結局、統合の運用のあり方検討というのを今やっております。その一環として議論がせらるべきものなのだろうというふうに思っております。
 情報本部は統幕の一部という形に今なっておるわけで、そのこと自体、私は誤っておると考えてはおりません。それが本当に有効にワークするというのは、統合運用というものをどのように見直していくか、法律をどのように変え、組織をどのように変え、そしてその実効性をどう担保していくかという中にあって、議論として、私は強い認識は持っております。今の情報本部の位置づけとしてはこれでよいと思いますが、さらに有効にワークするような手だてというものを現在考えております。
 それから、機密漏えいに対する法制が今のままで十分かというお尋ねでございます。
 これは、かつて、いわゆるそういうようなものに対して包括的な法制を設けることについてどうかという議論がございました。いろいろな人権の問題でありますとか憲法論ですとか、そういうようなお話がありました。そういうことで、そういうことについて語ることが今やや抑制的になっておるのだろうということがございます。
 もちろん基本的人権というものが損なわれることは決してあってはならないことでございますが、一方で、情報を保全するということにおいて得られる国益というのも当然あるわけでございます。そして、委員が一番御案内のことでありますが、日本は情報が全部漏れるよという話になれば、だれも本当のことは教えてくれませんねということも、一方において認識をしなければいけないのだと思っています。
 昨年の自衛隊法の改正は、とにかく自衛隊の部分だけでもきちんとしようよ、ほかにもたくさんあるけれども、まず自衛隊の部分だけきちんとしようよという議論をいたしました。では、これで万全かといえば、そうではない。
 そして、その情報が漏えいするような国家、ある意味スパイ天国と言われるような我が国が、今のこういうポスト冷戦後の世界において生き残ることができるのか。先ほど申し上げましたように、どの国も情報というものは国家の死命を決するんだという認識のもとでやっております以上、この議論は必要だと思っております。
 基本的人権の尊重が必要であることは、申し上げるまでもございません。
前原委員 認識は一緒なんです。とにかく自衛隊法の改正だけでは不十分です。
 ただ、憲法の問題などをあわせて、包括的な機密漏えいを防止するための法律というものを、今の問題意識に立って、それは大臣の責任として、他の役所にまたがる話かもしれませんけれども、ぜひリードしていただきたいということは要望しておきたいと思います。
 さて、また外務大臣にお尋ねをしたいと思います。
 少し広がった観点からお話をしたいと思うのでありますが、私は、イラクの問題と北朝鮮の問題は、ある程度相関関係があると思っています。後で防衛庁長官にお尋ねするイージス艦の問題もそういった部分があるかと思いますけれども、北朝鮮の核開発のいわゆる実験場とかいろいろな技術交流などは、パキスタンがかなり絡んでいるということが言われております。
 日本の国益を損なうような交流が北朝鮮とパキスタンとの間であるのであれば、日本はパキスタンに対してはしっかり物を言っていかなくてはいけない。しかし、御存じのように、昨年の九月十一日以降、パキスタンがアフガニスタンあるいはテロ撲滅のための一つのキーの国になっていることは間違いがない。したがって、言うべきことは言わなきゃいけないけれども、しかし、かといってパキスタンを追い込む、あるいは敵対視をするということにもなかなかいかない。
 この相対がまさに外交の妙味なのかもしれませんけれども、今の観点で、核開発のパキスタンと北との関連について、九月十一日以降のパキスタンの協力が不可欠という点も踏まえて、どう物を言っていったらいいのか、どうつき合っていったらいいのか、その点について外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
川口国務大臣 我が国にとって、大量破壊兵器の開発あるいはその拡散、これは非常に重大な問題である、重大な懸念を有している問題でございます。
 我が国だけではなくて、すべての国がそう思っている。そういう意味で、イラクについても、査察等も含めた国連の決議があるわけですし、北朝鮮についても、今、すべての国がそういう懸念を表明し、圧力をかけている。見える形でそれをやめるようにということを言っているわけでございます。したがいまして、パラレルがあるという意味では、今申した意味で、そこには問題の、懸念の共通性はあると思います。
 それで、パキスタンについて、北朝鮮との関係でいろいろな報道があるということでございますが、我々としては、この問題については懸念を持っておりまして、パキスタンに対してこれについての事実関係については問い合わせをしております。これにつきましては、パキスタン政府から、我が方の懸念は理解をするということでございますけれども、北朝鮮に核技術の拡散を行っている事実はないという返事が来ております。
 この問題は、いずれにしても非常に大きな問題、重大な問題でございますので、日本としては、引き続き関心を持ってフォローをしていきたいと思っております。パキスタンが今国際政治上で占める役割の重要性というのは、委員が御指摘のとおりだと思います。
前原委員 パキスタンの立場からすればそういう答えしかできないのかもしれませんが、しかしながら、そこはさらに日本の懸念というものを常に外交ルートで、またいろいろな要人にお会いをされる中で伝え続けていただきたい。日本の意思を明確にパキスタンに伝えるということが必要なんだろうと思います。
 さて、別の角度からまたイラク、テロの問題について外務大臣に御答弁いただきたいと思うんですが、そもそも、アメリカの九・一一同時多発テロ、それに対するアフガニスタンの空爆というもの、テロ掃討作戦、これは成功しているんですかね、していないんですかね。
 私は、これは非常に難しい判断が求められると思います。例えば、アルカイダの壊滅、あるいは首謀者と見られていたオサマ・ビンラディン氏のいわゆる捕捉あるいは殺害、こういうものの当初の目的というのは果たされていないわけですよね。それどころか、今回イージス艦を派遣するどうのこうのという話がありますけれども、どんどんアルカイダの幹部が周辺諸国に散らばっていっているわけですね。それをいかに抑えるかということでの協力もアメリカから実際求められているわけですから、それは事実になっているわけです。つまりは、アフガニスタンの体制を転覆させてカルザイさんを中心とする新たな体制になったけれども、もともとテロの撲滅あるいはそれの組織の壊滅というものの趣旨に立てば成功していないんじゃないかということも私は片っ方で言えると思うんですね。
 外務大臣として、アメリカの作戦は成功しているのか、あるいは失敗だったのか、あるいはほかの選択肢なのか、どう考えられますか。
川口国務大臣 成功、失敗の定義が何か、それからテロの問題、そういう性格の問題に照らしてそれらは何だろうかという意味で、これは難しい問題でございますけれども、私は成功をしていると思います。ただし、問題を最終的に解決するということはできていないということだと思います。
 なぜ成功しているかといいますと、例えば、これはいろいろな数字があってはっきりわかりませんけれども、そもそも空爆が始まった時点で恐らく数千と言われるアルカイダがアフガニスタンにいた、それが空爆により、あるいは基地をたたくことによって、今、その数は数百のオーダーに減ったということはあるわけでございます。これは明らかに成功したということだと思います。
 ただ、委員がおっしゃるように、テロというのが、軍隊のオペレーションのように大団体で常に動いているということではなくて、一人でもできてしまう、そういうことでございますから、その人たちがあちこちに散っているということになっているという意味で、それからまたアフガニスタンにも残っているわけですから、これは長い闘いである。これはテロというものの性格からしてやむを得ないことだと思います。世界の国々が引き続き一致団結をしてこの長い闘いに挑み続けるということが大事だと思います。
 これは空爆だけではございませんで、例えばテロの資金をとめる条約ですとか、それから、入国管理の技術移転をするとか情報を交換するとか、さまざまな手段がほかにあるわけでして、そういうことを世界の国々とともにやりながらテロと闘っていく、そういうことだと思います。
前原委員 答弁は要りませんが、私は、成功しているとおっしゃった今の外務大臣の根拠というのは余り賛成できないですね。つまりは、数が減ったから成功しているということは、少し後でフォローされていましたけれども、少し短絡的じゃないかと。つまりは、数が減っても核細胞分裂みたいにテロというのはどんどんふえていくわけで、またその精神あるいは根みたいなものは残ってしまう部分がありますから。
 無料で重油を供給し続けている、一年間で約八十六億円ですか、いつまでそれをやり続けるのという話にもなるわけです。長い長いと、それは本当におつき合いをするんですかということになってしまいますので、私は、これはもう少し時間のあるときにさらに議論させていただきたいと思います。
 最後に、石破長官、イージス艦の話についてなんですけれども、ミサイル護衛艦はもう既に出していて、それについては賛成している政府・与党首脳が、イージス艦は派遣反対だということについて、私は全く理解できないです。神崎公明党代表、あるいは元自民党幹事長野中さん、あるいは前幹事長の古賀さん、イージス艦反対だとおっしゃっていると。全然私は理解できないですね。軍艦を派遣するのは戦争に加担する話じゃないと。軍艦という言い方が適切かどうかは別にして、もうミサイル護衛艦を出しているわけですから、それについては与党として認めているわけですね。
 今三名の方を私はお話ししましたけれども、この人たちに、物をわかっていないということをはっきりおっしゃったらどうですか、全然理解していないと。イージス艦は何たるものか、あるいはその趣旨を理解していないということをこの人たちはわかっていないとおっしゃったらどうですか。
石破国務大臣 私の御説明のしぶりが悪いのだというふうに思いまして、さらに御理解いただけるように努力をしなければならないと思っています。
 ただ、御指摘のように、何が違うんだということになりますと、リンク11ということでいいますと、これは全く一緒のものなのです。リンク16というものは今のイージス艦が全部持っているわけではありませんし、仮にリンク16といたしましても、リンク11とリンク16というのは、私はきのう記者会見でも申し上げましたが、量的差異はあっても質的差異は全くないものです。
 ですから、イージスになったからといって何が変わるのと言われれば、それはより遠くまで見えますよということ、水平線の向こうまでは見えませんが、分析能力はすぐれていますよ、より安全になりますよということが違うといえば違うわけで、そのことは任務を安全に遂行するためにプラスになるものであって、法に定められた目的を達成するために今回イージスを出すという判断をいたしました。
 より一層御理解をいただけるように努めてまいりたいと存じます。
前原委員 時間が来たので終わりますが、先ほど田端議員の質問にもありましたけれども、もし私が懸念するとすれば、我が国周辺の環境の中で、イージス艦を中東に派遣することに対して、身の回りの安全がしっかり確保できるかどうか、その点は十分に検討されていると思いますけれども、遺漏なきを尽くして御判断をいただきたいということを要望して、質問を終わります。
田並委員長 次に、長妻昭君。
長妻委員 民主党の長妻昭でございます。
 時間もありませんので、端的に御答弁いただければ幸いでございます。
 まず、イージス艦の派遣決定について質問をさせていただきますけれども、その前に、海上自衛隊に対して注意を申し上げたいことがあります。
 今回のイージス艦派遣に際して、制服の方がイージス艦の派遣を推進するようないろいろな動き、これは当然、日本の国内で防衛庁の中の背広組の方に制服の方がそういう動きをするというのは一概に悪いとは言いませんが、その動きがアメリカ軍を巻き込んで、日本の海上自衛隊の制服の方がイージス艦の派遣を促進するような動きを、米の海軍に働きかけをしている、こういうような痕跡があるわけでございまして、これはシビリアンコントロールの観点からいっても、私は、よくない、慎むべきであるというふうに申し上げます。
 例えば、ことしの七月三日の有事特でも私は質問を申し上げたんですが、具体的な私が確認した名前を申し上げますと、吉川さん、第五幕僚室長が、在日米軍のある方からペーパーを入手した。そのペーパーというのは在日米軍がつくったもので、A4判の水色の縁取りがある表紙プラス三枚、そこには日本の支援に感謝するというのが前段に書かれておりまして、その後半には、これからの支援として、イージス艦あるいはP3C哨戒機の派遣も依頼というような文書を渡されたというわけであります。
 そして、どういうわけか、その文書が香田防衛部長に渡って、そして香田防衛部長が、ことし四月十日にチャプリン在日米軍司令官と会ったときにそのペーパーを見せて、チャプリン司令官はそのペーパーは知らなかったということでございますけれども、そこで、なぜそれを見せたのかというと、これは香田防衛部長御本人のお話でございますが、時々情報をチャプリン司令官が知らないことがある。チャプリン司令官が知らないと言うよりも、そのペーパーを前もってチャプリン司令官に見せて先手を打った方がいい、そういう方がイージス艦の派遣というのが促進されるのではないか、こういうお気持ちでそのペーパーを見せた、こういう一連の経緯を私は確認しておるんです。
 こういうふうに動いている方は、何か重大なことだという思いはなく、ある意味では純粋な思いで動かれている部分もあるのかもしれませんけれども、ただ、国家でありますので、やはり国会議員がきちっと自衛隊をコントロールしていく、この原則は必要でありまして、それが、米軍に何か根回しのようなことを制服の方がされるというのは、私はこれは慎むべきであるというふうに考えているんです。
 石破長官にお伺いしますけれども、この件について調査をされるおつもりがあるのかどうかというのをお答え願います。
    〔委員長退席、末松委員長代理着席〕
石破国務大臣 委員御指摘のように、この件につきましては、先国会におきまして委員と中谷前大臣の間でいろいろなやりとりがございました。
 現在私が把握をしておりますのも、その域を出ておりません。すなわち、そのような働きかけが行われたという事実はないということでありますし、加えまして、そのようなペーパーというものが存在したかどうかということにつきましては、これはお答えをいたしかねるということであります。
 まさしく真剣な思いのもとに、いろいろな情報の交換が平素から、この場合にはネービー・ツー・ネービーということになりますが、行われておるということは、ある意味当然のことでございます。しかし、それがシビリアンコントロールの趣旨に反するということがあるとすれば、あくまで一般論ですが、それは慎むべきものだというふうに考えます。
 ただ、シビリアンコントロールも、法律や予算につきましての決定権をお持ちの国会によるシビリアンコントロールというのもございましょう、あるいは内閣総理大臣や防衛庁長官によるシビリアンコントロールというものもございましょう。最終的には、民主主義的なシビリアンコントロールというのは、国民に対して直接の責任を負う者が最終的に決定を下すということがシビリアンコントロールの本質であります。いかなる議論がありましょうとも、それをきちんとした決定を下すのは、責任のある者以外はやってはならないということだと私は思います。それが民主主義型シビリアンコントロールであって、それに反するような行為はあってはならない。これはあくまで一般論でございます。
長妻委員 ぜひ調査をしていただいて、海上自衛隊のこれを聞かれている制服のお偉い方々に、御自身の行動が、それが善意に基づいたものであっても、してはいけない行動というものがあるというのを十分お考えいただきたいというふうに思います。
 そして、ちょっとこれに関連してなんですが、この件を質問する前後、七月三日の前後に私がある人物と議員会館でお会いしたわけですが、その内容を防衛庁が御存じだったというようなことがございまして、非常に気味の悪い思いをいたしたわけでございます。
 これは、こんなことはないんでしょうけれども、まさか盗聴とかあるいは尾行とか、あるいは議員会館の面談者を何か調べるとかそういうような、私も、どこからどういうふうに防衛庁の方にそれが漏れたのかというのは心当たりがなかなかないものでありますので、そういうことはよもや、あるとすればこれは重大なことでありますので、これはぜひ、よもややっているとすれば、もうやめていただきたいというのは申し上げておきます。
 そして次の質問に移りますけれども、イージス派遣は、自衛隊の部隊などの装備の内容の変更にこれは当たるのかどうか。当たらないという御答弁だと思うんですが、ここら辺をちょっともう一度、石破長官に御答弁いただきたいと思います。
石破国務大臣 当たりません。それは例えて言うと、これは護衛艦なわけですね、DEであれ、DDであれ、DDHであれ、DDGであれ、全部護衛艦という範疇に入るわけであります。
 ですから、装備の変更という場合には、この護衛艦の枠を出まして、例えば輸送艦、この間は基本計画の変更ということでやったわけですが、そういう場合には変更に相なります。しかし、今回の場合には同じ護衛艦ということでございますので、それには当たらないというふうに思っておるところでございます。
長妻委員 これは、変更に当たらないと国会の報告も要らない、あとは閣議決定も要らない、こういうことだと思うんです。
 ただ、実際、イージスというシステム自体の実際の性能はともかく、やはり今の護衛艦よりはそれは性能が向上する、異質のものであるというのは、これは国民の皆さんの認識あるいはマスコミ等の報道、実態はそういう国民の皆さんの認識になっておりますので、イージスを派遣することが自衛隊の部隊などの装備の内容の変更ではない、装備の内容は変更していないというのは、これはちょっと国民の皆さんの視点からいって無理があるのではないのかなというふうに私は思いますので、ぜひ、ここら辺を御理解いただいて、イージス、これだけ大きく言われていることが装備の内容の変更じゃないというのは考え直していただきたいというふうに、これは答弁要りません、時間もありませんので次の質問に移ります。
 万景峰92号の件に質問を移しますけれども、お配りをしている資料の中で、資料の三というのがございます。三―一には、平成十年四月一日から改正外為法が施行されて、現ナマ百万円以上を持ち出す場合は届け出をしなければいけない、こういうことになったわけであります。
 そこで、税関を管轄する財務省さんにお尋ねしますけれども、例えば、新潟港を出発した方で、万景峰号で北朝鮮に行かれる方で、大体、百万円以上の現ナマを持っていった方というのは何件ぐらいあって、何人ぐらいおられて、それが合計幾らぐらいになっているのか、例えば平成十三年の数字だけで結構ですので、お教え願えればと思います。
小寺政府参考人 今御質問ございました現金等の携行輸出に係る届け出におきましては、輸出に際して利用する船舶それから航空機の記述は求めておりません。そういうことで、個別の船に対する計数は残念ながら持っておりません。
 ただし、新潟港から北朝鮮向け、平成十三年中に届け出のあった現金等の持ち出しについて集計したところ、約二億五千万円となっております。また、その届け出の件数は五件となっております。
長妻委員 これはちゃんとした手続のお話なわけでありますが、五件。確認しますと、五件というのは別々の方だ、名前が違うということであります。平成十三年、一年間だけでありますが、ですから一人平均、単純に割り算しますと四千九百万円の現ナマを持っていって、その方はまじめにこういうふうに紙に書かれているということで、非常に大金であるというふうな考えを持つのでございます。
 それであれば、そのお金がどんなような性質なのかという点と、この五件の中で最高金額の現金を持ち出した方は幾らぐらいを持ち出されたのか、その二点をお教え願えればと思います。
小寺政府参考人 まず最初の御質問でございますが、資金の使途については届け出ることにはなっておりませんので、私ども、詳しいことは存じ上げておりませんが、海産物等の輸入貨物代金が多いという話を聞いております。ただ、これは北朝鮮向けの資金の全体についてのお話でございます。
 それから二点目でございますけれども、一番金額の多いということでございますが、届け出のあった個別金額につきましては、特定の届け出者の情報でございますので、お答えは控えさせていただきたいと思います。
    〔末松委員長代理退席、委員長着席〕
長妻委員 何が言いたいかといいますと、わかっているちゃんとした届け出だけでもかなり大金がある。そして、平成十四年の数字は今御集計中ということなので、ぜひ出していただきたいと、ここでお願い申し上げますけれども、こういう大きなお金が動いている。ということは、例えば、適正にこの紙を、申請書を一枚見せていただきましたけれども、申請書を書きさえすれば、現ナマ一億だろうが二億だろうが持ち出しができる、ノーチェックで。ノーチェックでというか、現金を持って。今、そういう体制になっているわけであります。
 これはちょっと管轄が違うんでしょうが、安全保障上の問題ということで石破長官に感想を聞きたいんですが、手続さえ整えば、一億だろうが二億だろうが、紙さえ書けば現ナマを万景峰号で北朝鮮に運べる。これは、今のまま手続さえすれば自由に運べるということでいいとお考えでございますか、安全保障上。
石破国務大臣 所管外のことでございますので、責任を持ったお答えがいたしかねます。
 手続さえ整えば幾らでもいいのかということになれば、決してそういうものではないのであろうというのが感想でございますが、しかしながら、その辺、法的な面につきまして責任を有する立場におりませんので、これ以上のお答えはお許しをいただきたいと存じます。
長妻委員 やはり先ほどの渡辺委員の質問でも、ばらばらということが、北朝鮮に対するのがありましたけれども、確かに平時、平時というか全く問題のない国であればそれはいいんでしょうが、やはり連携をとっていただいて、防衛庁、財務省、あるいはいろいろこの後質問する厚生労働省等、そして、ある統一の意思を持ってやはり国、国家として動いていただきたいということをお願い申し上げます。
 そしてもう一点、税関関係で質問なんですが、この万景峰92号の積み荷、いろいろ段ボール等ありますけれども、私が議員会館に来ていただいてお話をいただいたときには、財務省の方々は、荷物はすべてあけて中身を確認しているんだ、全部一個残らずあけて確認しているというふうに言われておりますけれども、それは間違いなく全部中身を確認しているということでよろしいですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど御指摘のございました万景峰92号の積み荷でございますけれども、これにつきましては、旅客の携帯品も含めまして、開披検査、エックス線検査を行うなど、厳重な取り締まりを実施しているところでございます。
 なお、検査率の数字そのものにつきましては、相当高い比率で厳重に検査を行っているところでございますけれども、具体的に何%かという点につきましては、今後の取り締まりに支障を来すものでございますので、従来よりこれを明らかにしていないところでございます。御理解をいただきたいと思います。
長妻委員 余り細かいことを言いたくないんですが、私の議員会館でこの問題のレクで会ったときに御担当の方が、いや、全部段ボールをあけて見ているんです、こういうふうに明言されておられるんですが、名刺もあるわけですけれども、国会の場では違う答弁になるわけですか。全部あけているわけじゃないということなんですか。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的な検査率につきましては、先ほどから申し上げておりますように、今後の具体的な取り締まりに支障を来しますので、従来から対外的にこれを明らかにしていないところでございまして、御理解をいただきたいと思います。
 ただ、一つだけ申し上げられることといたしましては、普通では考えられないほど相当高い比率で開披検査あるいはエックス線検査を行っているということでございます。(長妻委員「何%、パーセントは」と呼ぶ)数字の方は御勘弁をいただきたいと思います。
長妻委員 何で御勘弁なのか、それを出すと何が不利になるのか、私はにわかに理解できないし、私の会館で直接お会いした方が全部段ボールをあけていますというふうに言っているわけですから、ちょっとおかしいですね。きちんとやっていただかないと、こういう時期ですので困りますので、その検査率をぜひ後日提出していただきたいということをここで申し入れしておきます。
 そして、今のやりとりとか、あるいはいろいろなおびただしい情報が外に出ている万景峰号に関するもので、これは川口大臣にちょっとお尋ねをしたいんですが、今申し上げた問題以外もいろいろ情報が外に出ていますが、万景峰号のいろいろな何を運んでいるか云々は、やはり疑惑があるというふうに政府は考えておられるんですか。それとも、いや、今の時点では問題はないというふうに考えられているのか。万景峰号について、外務大臣の認識をちょっと一言。
川口国務大臣 私は、いろいろな報道は見ておりますけれども、それについてどうのこうのということを、政府としての見解を申し上げる、そういう立場にはないと思っております。政府として何かそういうことを、こうだということを言えるものはございません。
長妻委員 一事が万事そうなんですね、さっきの質問でもそうですけれども。やはりこういう問題のある国に対しては、全部の閣僚なり役所がある程度問題意識を同じふうに持っていただいて、この部分は何か国土交通省が港だから云々とか、そういうふうな対応をしていると、本当に北朝鮮になめられますよ。
 ここで石破大臣に、うなずかれているので一言お尋ねするのでございますが、寄港制限、寄港制限というのは港に寄る制限というのを、これは今は考えていないんでしょうけれども、将来的に事情がいろいろ変わってきたら、寄港制限というのも安全保障上の観点で検討することはあり得るというのは当たり前だと思うんですが、一言。
石破国務大臣 うなずいたのがいけなかったのかもしれませんが、それは委員御指摘のように、全く同じことを私は大臣になる前に言ったことがあるんです。財務省は財務省、あるいは国土交通省は国土交通省、外務省は外務省でみんなばらばらのことを言っていて、これはぐあいが悪いよと。やはり何か一つのこと、例えば今の万景峰の問題にいたしましても、いろいろなお役所を呼ばないと何が何だかよくわからないという経験は、私も同じ経験をいたしました。それを認識を共有すべきだ、そして一つの方針に従って対処すべきだという御指摘はそのとおりなんだろうというふうに思っております。
 今のお話でございますが、これは開港、不開港の問題とも関連するお話で、国土交通省所管のお話であろうというふうに思っております。
 ただ、私が知っている限りで申し上げれば、現在、そういう船に対しまして寄港を制限するということは基本的には不可能であるということが私の認識でございます。所管外でございますので。(長妻委員「将来、将来」と呼ぶ)
 これは、例えば安全保障上の理由をもってというような条文をつけ加えたらどうなるかという御指摘なんだろうと思っております。ただ、その場合に何をもって安全保障上の理由とするのか。開港、不開港の議論というのは、日本の一カ国だけで決められるお話ではございません。これは、いろいろな国との整合性ということも必要になってまいります。そのときに、安全保障上の理由をもって開港、不開港ということを決することは相当困難なことではないかという意識は持っております。
長妻委員 質問を移りますと、天然痘のワクチンでありまして、天然痘は生物兵器の一つの類型であるというふうに言われておりますけれども、厚生労働省が失態を犯したというふうに私は思っているんです。
 何かといいますと、日本が天然痘のワクチンを二百五十万人分、今現在備蓄しています、厚生労働省はこれを御丁寧にマスコミに発表しているわけですね。世界の国で生物化学兵器テロというのが起こり得るかもしれないときに、自分たちは二百五十万人分のワクチンがあります、それが人口分であればいいですよ。二百五十万人というのは、相手は、ああ、そうか、日本は二百五十万人分かとわかっちゃうわけですね。アメリカはさすがにああいう国ですから、三億人分の天然痘のワクチンを今月末に完成しますということを言っているわけですね。三億人分というと、アメリカの人口を上回るワクチンの数であります。その場合、当然発表して逆に効果があるわけです。
 この二百五十万人分というのを発表した厚生省の責任者、だれですか。どういう意図で、敵といいますか、世界に日本の手のうちといいますか、態勢をさらしちゃったんですか、二百五十万人。
高原政府参考人 天然痘につきましては、既に撲滅されている疾病でありまして、通常はその発生は考えられないことから、ワクチンの生産、備蓄についてはこれまで行われておりませんでした。昨年の米国での同時多発テロ等を受けて、テロ対策の一環として、平成十三年度補正予算等により新たに取り組んだところでございます。
 現在の備蓄量につきまして、本来公表すべきものではないという御意見も承知しておりますが、新たに備蓄について予算措置を講じていること、国民の関心が非常に高いことなどから、既に二百五十万人分備蓄していることなどについて説明しているところでございます。
 また、さらに追加備蓄というふうなサイクルに入っております。今のところ、相当万全の体制で臨んでおるというふうに考えております。
長妻委員 私も、情報公開はすべきだという議論をいつもしているんですが、ところが、安全保障については絶対言っちゃいけないことというのはあると思うんですね。局長、これは責任ですよ。二百五十万人分と世界に、もう既にマスコミに発表されているわけですから、新聞にも全紙に載っているわけですから。そうであれば、アメリカと同じように、いろいろな可能性が高いわけであると私は認識しておりますので、日本の人口分の天然痘のワクチンをきちんと早急につくる、こういうふうな御答弁、お話をいただかないとよくない。
 厚生労働省に聞きましたところ、詳細はわからないけれども、大体三百五十億円ぐらいで日本人全員のワクチンがつくれるのではないかというお答えをいただいております。天然痘に感染をしても、四日以内にワクチンを打てば、事後的にもこの天然痘の場合は効果を発揮して命が助かるわけでありますので、下手な公共事業をやめてこの三百五十億円をこういうことに使う、もう手のうちをさらけ出したわけですから、逆に全人口分つくるという前向きな御答弁をお願いします。
高原政府参考人 二百五十万人分のみではございませんで、追加を本年度の補正並びに明年度等で整備しておるところでございます。
 委員御指摘のとおり、ウイルスに接してから三、四日以内であれば発病が防止できるという、言ってみれば非常に使い勝手のいいものでございまして、リングワクチネーションという方法によりまして地上から天然痘というふうなものを撲滅した、こういう歴史もあるわけでございまして、必要十分のワクチンにつき整備してまいりたいと考えております。(長妻委員「いや、人口分はどうですかと言っているんです。人口分」と呼ぶ)現段階において、最終的には、例えば本年度以内に人口分必要であるという認識ではございません。
長妻委員 そういう認識だったら、この数字を安易にぺらぺら漏らすというのは本当に国家に対する危機を高める話ですから、そこも含めて、先ほどから私が申し上げていますように、厚生労働省とかいろいろな役所が認識がばらばらで、統一して問題の国に対する、あるいはテロ等に対する取り組みや情報管理や考え方というのがすり合わせがない。
 これは、石破長官、よくここら辺は御認識して行動される方だと思っておりますので、ぜひリーダーシップを発揮していただいて、ただ人を集めればいいわけですから、そしてきちんと会議すればいいわけですから、ぜひ早急にそういう体制をつくっていただきたいと思います。
 そして、あと一点でございますが、この資料二―一、二―二というところで、これは厚生労働省さんにつくっていただいております資料ですが、考えられる生物化学兵器のもの、それに対する備えがありますけれども、これら備えに対しても、どれだけ日本にその薬品の備蓄があるのか調査をきちんとして、調査を公表する必要はないですから、そして、その備えがないものはきちんと国家備蓄をしていくということをぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 そして石破長官に、これに関して、防衛白書で、北朝鮮が生物化学兵器については云々ということで、持っている、そして化学剤も持っているという記述がありますが、そしてもう一つ、お配りしたものに、井上さんというお詳しい方がまとめた北朝鮮の実態が資料一―二にありますが、このような実態があるというふうに防衛庁は認識されておられるんでしょうか。この防衛白書のバックデータ的なものも含めて、今北朝鮮の保有する生物化学兵器についての認識と、一―二の資料の是非といいますか、について二点お尋ねします。
石破国務大臣 これは、だれも見たわけではないし、はかったわけではないから、正確なことはわかりません。
 今の井上工学博士のお話でございますが、委員が資料一―二でお配りになられた部分、この部分は、おおむね私どもの認識と一致をいたしております。しかし、ここの記述を見ればわかりますように、「見られている。」「見積もられており、」「言われるが、」「報道もあり、」という形で、すべてこれも断定をいたしておりません。
 すなわち、我が国においていろいろな議論がなされますが、それはすべて確証、きちんと見て、はかったというものではないということでありますけれども、しかしながら、北朝鮮におきましてそのような生物化学兵器というものの開発が極秘裏に進められておるということにつきましては、認識はございます。極秘裏で進められておるがゆえに確たることは申し上げられませんし、あの国の閉鎖的な体制からいたしましても、正確なことは理解がしがたいということでございます。
 しかし、その生物化学兵器について、このものの脅威というものを認識し、それに対する対応というものをやっておきませんと、抑止力として働くことはございません。今、日本国民すべてもというような御指摘がございましたが、必要な備えというものをしておくべきだというふうに考えておる次第でございます。
長妻委員 時間が参りましたけれども、最後一問だけ、北朝鮮のノドンミサイルというのは国内に百基配備されている、こういう認識でよろしいのですか。
石破国務大臣 おおむねそのような理解をいたしております。
 ただ、それが日本に向けたものであるということかどうかは、それはわかりません。百基配備をされておりますし、それの飛しょう距離というものを考え、そしてまた現在置かれている状況というものを勘案いたしましたときに、それが日本に向けられているということは、これは考えられることであり、否定し得ないものだというふうに考えるのが物事の考え方だと思います。
長妻委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。
田並委員長 次に、樋高剛君。
樋高委員 自由党の樋高剛でございます。きょうも質問の時間をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、外務省に伺いたいと思います。
 神奈川県寒川町の旧海軍工廠跡地の件についてでありますけれども、毒ガスの入ったイペリットの瓶がまた新たに発見をされたということでありますので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
 一番最初に発見されましたのが九月の二十五日でございますから、もう二カ月もたったわけでありますけれども、対応がたらい回しということのようであります。けさの新聞報道では、そのたらい回しの批判を受けまして、国の方で担当の窓口を設置する話も政府内で出ているということのようでありますけれども、今、その瓶が発見をされて、いわゆる国際機関の査察が入るという話になっているようでありますけれども、いわゆる化学兵器禁止機関、OPCWというところのようであります。この査察が入らないと今国土交通省さんが始めている工事は再開できないということになっておりますけれども、現在の状況、どのようになっておりますでしょうか。
茂木副大臣 委員の方から累次関連して質問を受けておりますが、査察に入ることはできなくても、現場の工事等、安全措置をとることは可能だ、このような報告を受けております。
樋高委員 では、査察を受けなくても工事をそのまま続行できるという理解でよろしゅうございますか。
茂木副大臣 そのような理解で結構かと思います。
樋高委員 いずれにいたしましても、縦割り行政のいわゆる悪いところ、弊害が、この件につきましてはたくさん出ているということであります。国交省、外務省、防衛庁、また内閣府、また各自治体ともしっかりと連携をとって対応をお願いいたしたいと思います。強く要望させていただきたいと思います。
 次に、日本外交協会につきましてお尋ねをいたします。
 これは社団法人、公益法人でありますけれども、きょうは、この委員会でも議論になっておりました。大臣の、そして副大臣の答弁を聞いておりますと、どうも他人ごとのように聞こえてならないわけであります。やはり民間団体といえども、認可するのは外務省であります。そして、その事業を委託するのは外務省であります。やはりこれは、どう考えても外務省の責任が問われると思いますけれども、どのようにお考えになりますか。
茂木副大臣 他人ごとのように聞こえる、こういう御発言でありましたけれども、事前に報告を受けましたときに、私の方から直接、担当課の方にもこういう対応をとるように、こういう指示を出しております。
 それにつきましては、先ほども申し上げましたように、現段階での政府の方針、つまり食糧援助は検討していない、また、これについては慎重な対応が必要である、こういうことも申し上げております。
 その上で、改めて申し上げますが、公益法人の一つ一つの事業について、国としてこれはやっていいですよ、これはやってはいけませんですよ、こういう権限はない。しかし、全体的な監督権限はあるわけでありますから、これからも外務省としての意向はきちんと伝えていくようにしたい、このように考えております。
 また、法人の設立の許可等々に関しましては、法人の事業の全体を見て決めるというのは当然のことでありますから、その上で判断をする、こういう形になってまいると思います。
樋高委員 外務大臣に伺いますけれども、権限がないのはわかっています。その上でお尋ねをしているんですけれども、要するに、思わしくないと思われる行動をとった法人を認可したという、その責任をどのようにとられるおつもりなんですかと伺っているんです。
川口国務大臣 認可されたのは、私、はっきり記憶していませんが、何十年か前に認可をしているわけです。それで、その後、この団体がその認可をした定款にのっとってきちんと公益法人としての活動をしているか、そういう観点から、外務省は、あるいはほかの官庁もそうですけれども、責任を持っている、そういうことでございます。
 これは、この間、先ほど申しましたけれども、やはり今の日本の社会のあり方として、官庁が、自分は好まないことをやる団体に対して一つ一つ、あなた、これをやってはいけませんというふうに口を出していくということは、やはり日本として避けるべきことであろうということです。
 ですから、我が国として、一般的にこういうことを外務省としては考えていますということは、先ほど副大臣も言いましたように、これははっきり伝えてあるということでございまして、委託をするということについてはまた別な考え方がありますけれども、一つ一つの事業を、政府が好まないからといって民間団体あるいは民間企業に対して、そういうことをやっていいとか、やって悪いとかいうような社会というのは、これは随分問題がある社会だと思うんですね。
 ですから、そういう一般論について申し上げているということでして、これについて政府はどういう方針を持っているかということはきちんと既に伝えてあるし、きちんとした団体であれば、そういうことをちゃんと理解して行動すると思いますし、また、行動ができないという団体であれば、それなりの社会的制裁がある、そういうことだと考えています。
樋高委員 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。話をごまかさないでください。
 要するに、その外交協会がどうのこうのというのはまず置いておいて、そうではなくて、その協会を認可したことの責任が外務省にあると思いますけれども、どうやって責任をとるんですかと申し上げているんです。いかがですか。
川口国務大臣 何十年か前に認可をしたと申し上げましたけれども、その認可に当たっては、定款、あるいはそれをやろうとしている人たち、そういうことから話を聞き、きちんと適正に判断をしたと考えています。
樋高委員 時間がもったいないので、次に入っていきたいと思います。
 この問題も、本当に今の政府の物事をごまかす、そして責任をとらない無責任主義、本当にこんなことでいいのか。これは氷山の一角にすぎないと私は思います。まだほかにも、政官業の癒着体質の中で、こういったことが行われていると私は思っております。今後も、引き続き追及をしてまいりたいというふうに思っています。
 次に、外交努力について伺っていきたいと思います。
 イラク、北朝鮮に対しての話なんですけれども、やはり化学兵器禁止条約に加盟するように働きかけを当然日本の政府として行っていると私は思いますけれども、どのような外交努力を行っているでしょうか。
茂木副大臣 化学兵器禁止条約は、化学兵器の禁止を国際機関による査察などにより検証可能な形で確保しようとする軍縮の枠組みでありまして、我が国としては、イラクや北朝鮮などの非締結国による締結を促進していくことが大変重要であると考えております。
 こうした考え方を踏まえまして、我が国としては、本年の化学兵器禁止機関締結国条約での演説などの機会に、非締結国に対して化学兵器禁止条約締結促進を呼びかけてまいりました。
 化学兵器禁止条約非締結国に対しましては、今後とも、あらゆる機会をとらまえてそれを促進していきたい、働きかけていきたいと思っております。
樋高委員 今副大臣の御答弁いただきましたけれども、話は長かったんですけれども、要するに、事実上、していないというふうにしか私には聞こえないのであります。
 では、ちょっと質問の仕方を変えますけれども、今回、イラクに対しては一四四一国連決議を行いました。そして、今いわゆる査察が行われているという状況でありますけれども、当然、北朝鮮に対しても国連の決議をして査察をすべきであるというふうに日本政府として働きかけをしているんでしょうか。いかがですか。
川口国務大臣 北朝鮮との関係では、今まで日朝国交正常化交渉等の場で、これについては議題として取り上げて、働きかけをしています。
樋高委員 具体的にどのような働きかけをしているでしょうか。
川口国務大臣 手元に議事録がありませんのでよくわかりませんが、これについては、調べて、またお話をさせていただきたいと思います。
樋高委員 それでは、北朝鮮がIAEA、つまり国際原子力機関の核兵器開発放棄の要求決議を拒否したということについて、どのようにお考えでしょうか。
茂木副大臣 これは、四日の日にエルバラダイIAEA事務局長が白北朝鮮外相の二日付の書簡を受領して、この中で白外相が、北朝鮮は決議を拒否するということを明らかにしたわけでありますけれども、これにつきましては、我が国も理事国としてこの決議の採択に取り組んできた中心的なメンバーでありますから、大変残念である、こういうふうに考えておりますし、引き続きIAEAとの対話も続けてほしい。また、韓国等とも連携をして、我が国としても北朝鮮に対しまして働きかけを強めていきたい、そのように思っております。
樋高委員 それでは、今後の交渉に対する影響をどのように考えておりますでしょうか。
川口国務大臣 IAEAの査察というのは、国際社会が懸念をしている問題に対して、これの一つの大事なかぎであったと思います。
 そういう意味で、北朝鮮がこれを拒否したということについては、非常に残念に思う、遺憾に思うわけでございますけれども、今後、どういうことをやっていって、北朝鮮に対してそれをやめるように、廃止するように働きかけるかということについては、いろいろな国が、私、昨日、中国にも電話をして、トウカセン外務大臣にそういう努力をしてほしいと働きかけをいたしましたけれども、そういった世界のほかの国々もこれについて同じ懸念を持っているわけでして、日本だけではないので、一致団結して働きかけていくということでございます。
 また、もし御質問が国交正常化交渉一般にかかわるということで御質問でしたらば、それについても、まさに正常化自体がてこでありますので、それをてこに粘り強く働きかけていきたい、そう思っています。
樋高委員 日本は主権国家でありますから、しっかりとした意思を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、防衛庁長官に伺いますけれども、私ども自由党では、繰り返しになりますけれども、国連の安保理もしくは総会によって決議された平和活動にのみ積極的に自衛隊派遣をして、国際貢献すべきであるという考え方でありますけれども、きょうの新聞では、イージス艦の派遣ということであります。
 そもそも自衛隊をあのテロ特措法に基づいて派遣するということは私はおかしいという論点ではありますが、イージス艦云々という専門的なことは、一方では専門家に任せておいた方がいいのではないかという考え方を私個人は持っております。
 ただ、やはり私はそれについての説明責任が果たされていないのではないか。確かに、国会に報告も必要ないですし、また、いわゆる基本計画の変更も必要ないというわけでありますけれども、国民に対しての、市民に対してのアカウンタビリティー、説明責任が十分に果たされていないから、今こういう事態になっているのではないかなという部分も一方では私は考えるのでありますけれども、どのように考えますか。
石破国務大臣 そのような御意見が出ること自体が、十分に説明責任を果たせていないということなのだろうと思います。
 ただ、先ほど前原委員の御指摘にもありましたが、イージス型護衛艦とDDHに、では何が差があるのだろうかということを考えてみたときに、それは、リンク16を積んでいる船があるということと、それからイージスシステムの違いなのですね、これは。そうしますと、この違いというのは何度も御説明を申し上げました。そして、イージスがすべてリンク16を搭載しているわけではありませんし、リンク11とリンク16の間に質的な差異はございません。そして、繰り返して申し上げますように、集団的自衛権に抵触するようなことはございませんし、戦闘が行われる、あるいはそれが予測されるような地域で活動することもございません。私どもとしては、御説明はこれを繰り返し繰り返し申し上げていくことなのだろうと思っております。
 今御指摘の説明責任を果たしていないというのは、どの点について果たしていないというふうにお考えか。今、私がこの委員会の冒頭からるる御説明を申し上げておりますが、どの点につき御理解がいただけないのか、その点につきまして御教示をいただければありがたいと思います。ここの点について理解ができないということで、私どもが足らざるところを御指摘いただきまして、今後の糧にさせていただきたいというのが私のお願いでございます。
樋高委員 防衛庁長官から逆質問いただきまして、ありがとうございました。
 その点につきましては、よく政府の方で考えて、しっかりと対応していただきたいと思いますけれども、私が申し上げたいのは、どう考えても、これも長官とずっと何度も何度も議論させていただいて、一致は見ないわけでありますけれども、私は、集団的自衛権の行使、政府は認めておりませんけれども、この際、もう集団的自衛権の行使も認めるというふうに憲法解釈を政府はやはり堂々と変えて、そして自衛隊の方々が堂々と国際貢献できるような、私はすべきではないかというふうに思うんですけれども、どのようにお考えになりますか。
石破国務大臣 小泉内閣として、集団的自衛権についての解釈を変えるつもりはないということは、総理御答弁のとおりでございます。閣僚の一員である以上、それに従うのは当然のことだと思います。
 ただ、今、集団的自衛権も含めまして、憲法についてどう考えるかという真摯な議論が憲法調査会の場で行われておるというふうに承知をいたしておりますし、私もそれに参加をしていろいろな議論をしたことがございます。そのことは、では集団的自衛権ということはそもそも何なのかということから議論をする必要があるのだろう。なぜこれが国連憲章の中に入っているのか、そして、我が国がなぜ、主権国家である以上これを保有することは当然であるがと言いながら、必要最小限を超えるものであり、その行使は許されないということになっているのか、まず共通認識を持つところから議論をすることが必要なんだろうと思います。
 イージス艦もそうでありますけれども、イージス艦といいますと、何だかおどろおどろしい船であって、本当に世界に何隻しかない、本当にスーパークルーザーのようなお話をされる方があります。イージス艦とは何なのかという共通の認識を持った上で議論することが必要でありますし、集団的自衛権につきましても、集団的自衛権というのはどのようなものなのかという定義に基づいて議論をすることが必要なんだろうと思います。
 委員がお考えの、例えば今回のインド洋において活動しております自衛隊でございますが、そこに集団的自衛権というものを政府として認めよという御指摘でございます。そうすると、日本として、何をどのような行動をとるようなことになるのだろうか、そういうような具体的な議論というものが必要なのだろうというふうに思っています。
 しかしながら、小泉内閣として、集団的自衛権というものを行使できない従来の政府解釈を変えるつもりがない、そのことは総理御答弁のとおりであり、私もそのように考えております。
樋高委員 イージス艦の性能がどうのこうのということを申し上げているわけでは、まずございません。
 そうしますと、長官、今、小泉内閣ということでありますけれども、では将来的にはもしかしたら、また総理が仮にかわった場合、そして石破先生がまた御活躍なさって長官に就任なさった場合、もしかしたら、集団的自衛権を認めるということもあり得るという理解でよろしゅうございますか。
石破国務大臣 将来のことはわかりません。私は、小泉内閣の閣僚としてこの場に立たせていただいて、答弁をさせていただいております。
樋高委員 どうもありがとうございました。
田並委員長 次に、赤嶺政賢君。
赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 きょうは、大変限られた時間で、イージス艦それから沖縄の婦女暴行を質問させていただきます。
 質問に入る前に、一言申し上げたいんですけれども、この間、西部方面隊松川総監の、日米統合演習に抗議する反対集会に対して介入した問題、防衛庁からテレビニュースのビデオも見せていただきました。松川総監の表情はこわばり、そして、集会を開いている方々に対して口論を吹っかけるという態度でありました。あれは明らかに憲法で保障されている集会、結社の自由に対する挑戦であり、絶対に許すべきではないということを指摘しておきたいと思います。この点では答弁は要りません。
 それで、イージス艦の問題について聞きたいと思います。
 きょうの論議を聞いていましても、政府の方からは、今回の派遣決定の大きな理由として、乗組員の安全の確保を挙げております。これは私、大変国民を愚弄する言い方だと思うんです。テロ特措法のときに、自衛隊を派遣する場合に、もともと政府は国民に対して、戦闘地域には行かないとか、安全なところに派遣するから大丈夫なんだ、こういうことを繰り返して、そして米軍支援を始めたわけであります。
 それを、今になって安全確保を理由にイージス艦を派遣するということは本当に許されない話でありまして、安全確保が必要だという状態であれば、そこから派遣をやめるのが筋じゃないか、これまでのテロ特措法の議論からいってもそれが筋じゃないかと思います。いかがですか。
石破国務大臣 それはテロ特措法六条のお読みになり方が違うのだと思います。テロ特措法六条をよくお読みいただければ、そのような御指摘が誤りであることはおわかりになろうかと思います。
 すなわち、そのような地域しか派遣をいたしません。しかし、仮にそういうような状況になったときは、直ちにその任務を中断し、地域の変更があるまで待つものとするということになっております。それを早くわかる、それが危険な地域である、そのような攻撃がある兆候がわかる、そのことが早くわかることによって、地域の変更を待つことは早くなるのではないでしょうか。テロ特措法六条の趣旨からいって、私はそのような御指摘は当たらないというふうに考えております。
 加えまして、先ほど来申し上げておりますように、この派遣につきましての理由は、その安全性の確保ということはございます。早いうちに危険を察知できる、兆候がわかる。テロですから、本当に、兆候をつかむのは極めて難しい。それが空からのものであれ海からのものであれ、空であれば非常に広い範囲で物が見られる、海であれば、範囲は一緒だけれども、解析能力がすぐれておって、それがどのようなものかということを把握することができる数倍の能力を持っておるということであります。したがって、危険を早く察知することができるということが安全の確保にほかならないというふうに、私はこれは確信を持っております。
 加えまして、居住性の問題、ローテーションの問題、要は、どのようにして法に定められた、国連決議に基づくテロ撲滅のための国際社会の一員としての責任ある行動を全うするか、そのことを主体的に考えた結果であります。
赤嶺委員 安全な地域に派遣しているけれども、危険を早く察知するためにイージス艦を送るというのは、極めて矛盾に満ちた答弁であります。テロ特措法の二条三項には、「我が国領域及び現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる」、そういうところというぐあいに言っているわけですから、活動の期間を通じて安全なところに派遣するのにそういうイージス艦が必要だということは、全く考えられない状態であります。
 次に、憲法の問題もあります。
 憲法上、現に戦闘行為を行っている米軍の艦船と常時情報交換、情報の共有をするということは、これは防衛庁長官もイージス艦もほかの護衛艦も変わらないと言っておられましたが、私たちも、変わらない、これ自身が集団的自衛権であるというぐあいに思っています。同時に、高性能のイージス艦を派遣するということは一層の軍備増強であり、一層、憲法で禁止された集団的自衛権に深く踏み込むことになっていくと思います。
 戦闘地域で行動している外国の艦船と情報を共有していて、一体これが集団的自衛権であるかないかという議論をしているのは日本だけだと思います。憲法九条あるがゆえに、その憲法九条の枠内でガラス細工のような議論を組み立てていく、そういう結果出てきたのが今の政府の集団的自衛権の話であって、そういうのは世界では通用しないというぐあいに思いますが、いかがですか。
石破国務大臣 先ほどの答弁に補足して申し上げますと、私どもが危惧をしておりますテロというのは、また戦闘行為というのは違った概念でございます。そのことは当然のことでありまして、いずれにしても、そのような危険に巻き込まれることがないようにということで、どのように安全に任務を果たすかということであります。テロと戦闘行為というのが違うのは、委員御案内のとおりでございます。
 それから、今のどう思いますかというお尋ねでございますが、こういう議論は日本だけなのか、そうだろうという御指摘であれば、そのとおりです。それは、集団的自衛権につきましてのこの議論を私はほかの国では聞いたことがございません。寡聞にして知りませんので。集団的自衛権というものは主権国家である以上当然に保有をしているが、その行使は必要最小限の自衛の範囲を超えるので、これを行使することは憲法上許されないという議論は、この国のみにおいて存在をいたしております。この憲法解釈を小泉内閣として変えるつもりはございません。しかし、日本においてのみ存在する議論でありますから、ほかの国においてないのかと言われれば、そのとおりでございますというふうにお答えをせざるを得ないことになろうかと存じます。
 ただ、今委員が、イージスであろうがそのほかの船であろうが変わらないのだというふうにおっしゃいました。だからほかの船もだめなのだという御指摘であれば、それはそれで一つの議論かと思います。
 イージスであれほかの船であれ、リンク11、リンク16、そこに質的な差異はなく量的な差異のみであるというふうに申し上げました。そして、イージスシステムというものはレーダーの進化したものであって、従来のレーダーよりも高性能なものではございますが、それが質的な差異よりもむしろ量的な差異であるということも従来から申し上げるとおりでございます。
 したがって、今ある派遣自体も全部だめなのだ、イージスに限ったことではないというふうな御指摘であれば、それはそれなりに一つの論理であろうというふうには拝察をいたしております。
赤嶺委員 ですから、私たちは、テロ特措法に基づくアメリカの報復戦争に対する自衛隊の支援活動、それ自身が集団的自衛権だということは指摘し、テロ特措法にも反対してまいりました。同時に与党の中からも、イージス艦の派遣は集団的自衛権の行使という懸念を一層深くするものであるということでの反対の声も挙がっているわけですから。それで、やはり私は、イージス艦の派遣はやるべきではない、やめるべきであるし、そういうアメリカの軍事活動に対する支援活動もやめるべきであるということを指摘しておきたいと思います。
 そこで、沖縄で起こった婦女暴行事件、これについて質問をいたしますが、十一月二日に起こった事件なんですね。それが一カ月もかかって十二月の三日に明らかになる。きのう日米合同委員会が開かれて、犯人の身柄引き渡しを日本政府は要求したわけですが、アメリカはまだ身柄の引き渡しに応じていません。外務省は今後どうするつもりですか。
海老原政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど委員からもおっしゃいましたように、昨日合同委員会を開催いたしまして、日本側から正式に、平成七年の刑事裁判手続に関する合同委員会合意に基づきまして、米兵被疑者の起訴前の拘禁移転の要請を行いました。これに対しまして米側より、今回の日本側の要請を検討したい、また、日本側から示される特別の見解も十分考慮したい、結果についてはできるだけ早期に示すこととしたいという応答があったところでございます。
 したがいまして、現在、我々としては、米側からの回答を待っているという状態でございます。
赤嶺委員 今回、婦女暴行未遂で犯人の身柄逮捕要求、請求したわけですが、凶悪犯罪であればこれからも、未遂事件であっても身柄拘束を要求していくという立場は、外務省、変わりありませんか。
海老原政府参考人 これは、今回もそういうことでございましたけれども、何よりも大切なことは捜査が円滑に行われるということであろうと考えておりますので、平成七年の合同委員会合意に照らしまして、ケース・バイ・ケースで適切に判断をしてまいりたいというふうに考えております。
赤嶺委員 警察庁に聞きますが、今回の被疑者の身柄の拘束、これは証拠隠滅を防ぐ上でも逃亡を防ぐ上でも急ぐべきだと思いますけれども、いかがですか。
栗本政府参考人 警察といたしましては、先ほど外務省からもお話がありましたように、現在の手続にのせて身柄の拘禁移転を要請しているところであります。したがいまして、それと並行しながらも、私どもは適正な捜査を現在継続中でございますし、事案の早期解明に努めていくのは当然だと考えております。
赤嶺委員 外務省、被疑者は今どんな状態に置かれているんですか。いわば、身柄は日本の警察が拘束していないわけですよね。身柄は米軍の手中にある。その米軍の手中にあるというのは、米軍基地の中で拘束されているのか、米軍基地の中は自由に歩き回れるのか、あるいは米軍基地の外に出て外出することも可能なのか。そして、とにかくそういう状態であるんだが、米軍の手中にあり、日本側が取り調べを要求したら米側が協力するということなのか。いわば米兵は今手中にあるという一般的な答弁ではなくて、どういう状態に置かれているのか、ここの点について質問にお答えください。
海老原政府参考人 大切なことは、今被疑者が、例えば逃亡をする、あるいは証拠隠滅を行うということを防ぐということであると思います。我々が今米側から得ております説明は、そのようなことが起こらないように米軍の監視下に被疑者を置いているというふうに聞いております。
赤嶺委員 私が聞いているのは、米軍の監視下に置いている、日米地位協定の言葉で言えば、手中に置いているということは、その基地の司令官が彼を拘束しているんですか、基地内は自由に歩いているんですか、基地の外にも出かけられるんですか、このことを聞いているんです。いかがですか。
海老原政府参考人 先ほども申し上げましたように、特に、証拠隠滅あるいは逃亡を防止するということで監視下に置いているというふうに聞いておりますので、基地の中で具体的にどのような行動をとっているかまでは承知しておりませんけれども、そこは米側がきちんと監視を行っているというふうに聞いております。
赤嶺委員 つまり、今米兵がどういう状態に置かれているか、日本側は知るすべがないわけですね。過去には逃亡もありました。警察庁は、やはり身柄を拘束しないと証拠隠滅のおそれもある、米軍が捜査に協力するといってもその保証の限りではないわけですね、やはり一日も早く身柄を拘束しなければいけない。
 昨年、北谷町で起きた女性に対する暴行事件でも、身柄の拘束が、逮捕状が出てから四日間おくれて大問題になりました。今回は、いつまでにその問題、身柄拘束、はっきりさせるつもりで外務省は臨んでいるんですか。外務大臣、お答えください。いつまでにやるんですか、それを。去年は四日間かかって大変な批判を浴びました。
川口国務大臣 ただいま米軍は、結果についてできるだけ早期に示すこととしたいということを答えておりますので、米軍の回答を待っているところでございます。
赤嶺委員 米軍の回答待ちなんですね。身柄も手中にあるといっても、日本政府はどういう状態か知るすべもない、回答もいつ来るかわからない。これ自身が、皆さんは、起訴前身柄の拘束というのは、あの九五年の少女暴行事件の後の日米合意で、地位協定で運用改善、こういうことで始まったわけですが、実際には本当に日本の主権が行使できない状態、捜査にも大きな障害になっている状態を、運用改善では解決できない。
 それからもう一つは、やはりそういう被疑者に対する日本の側の甘い態度、これがこういう事件の繰り返しにつながっていると思うんです。皆さん、こういう事件が起これば、再発防止だの綱紀粛正だの、あるいは教育プログラム、ワーキングチーム、いろいろ言いますけれども、ちっともそういうことが役に立たなかった。むしろ今度は、いわば米軍の幹部がこういう事件を起こしたということで、言ってみれば皆さんのこれまでの努力というのは砂上の楼閣だったと思うんです。
 やはり私は、日米地位協定を根本的に見直してこそ、本当にこういう米軍犯罪の根本的な根絶につながる、日本が本当に主権を行使するという確固とした姿勢に立ってこそ、米兵犯罪は根絶することができると思いますが、地位協定の見直し、改めて求めておきたいと思います。
 そこで、時間がありませんので、あと一つ質問をさせていただきますが、宮崎県で、県民のパラグライダーの練習をしているようないわば憩いの場で、自衛隊が訓練をしているという問題がありますが、これについて防衛庁、説明していただけますか。
西川政府参考人 お答えいたします。
 先生御質問の件につきましては、海上自衛隊が本年十一月の十九日から三十日の間にわたりまして実施いたしました掃海特別訓練というものがございます。これに関しまして、宮崎県宮崎市内の県有地におきまして、海上自衛隊の隊員が日向灘沖で訓練を実施しておりました艦艇、船に対しまして位置情報を提供する、こういうふうな機材を運用するために展開してきたことであろう、このように理解しております。
 この当該県有地の使用につきましては、平成四年以降、これは平成十一年を除きますが、それ以外の平成四年以降につきまして、毎年、宮崎県の定めます手続にのっとりまして、県との間で書面による土地の貸与契約を締結した上で行われておるものでございまして、本年は、十七日からこの県有地においてアンテナ等の機材を設置しまして、三十日に撤収した、こういうところでございます。
赤嶺委員 この場所というのは県民のパラグライダーの練習場であり、宮崎県にとっては大切な観光地です。きのう防衛庁にこの訓練の事実について問い合わせたところ、一切答えがなくて、夜遅くになって、私たちが現地でいろいろ調査したものですから、その事実を認めるような回答をしてきたわけですが、こういう県民のパラグライダーの練習場で自衛隊が訓練するようなこと、宮崎県にとって大切な観光地でそういう自衛隊の訓練をするようなことはやめるべきだと思いますけれども、いかがですか。
西川政府参考人 この土地につきましては、先生御指摘のとおりパラグライダー等ができます小高いところにございまして、当方では、この訓練を行いました平成四年の際にも、地元の方々ともいろいろ御相談しながら、正規の手続で土地を借りてやったところでございまして、先ほど申しましたように、訓練をしている船にその位置を、電波で送って位置を知らしめるということでございますので、その適地ということでは、現在のところこういう小高いところしかないということでございます。ぜひとも御理解いただきまして、こういう訓練が的確にできるように、今後ともいろいろ地元の方にもまた御協力方をお願いいたしたい、このように考えるところでございます。
 以上でございます。
赤嶺委員 終わります。
田並委員長 次に、今川正美君。
今川委員 社会民主党の今川正美です。
 きょうは時間が二十分しかありませんので、質問に入る前、まずイージス艦のインド洋方面への派遣を昨日小泉内閣は決定したようでありますが、このことに対して、社民党として明確に反対であると言うと同時に、今インド洋、アラビア海方面に派遣をしているイージス艦以外の護衛艦や補給艦も一たん撤収すべし、そう思います。
 なぜなら、一つは、このインド洋方面に自衛隊の艦船を派遣してから約一年間、例えば、任務についていた自衛官が既に二名亡くなっていることも、私がことしの五月の委員会で質問するまでは、主体的に積極的に報告しようとすらしない。あるいは、アラビア海方面で活動しているというんですけれども、例えば、燃料や食料の補給などで立ち寄る寄港地も一切公表しない。あるいは、先般の委員会でも問題になりましたが、自衛隊の艦船の修理などのために派遣をした民間人の派遣元の企業の名も明らかにしない。あるいは、米軍指揮下に事実上入っているにもかかわらず、そこを言い逃れてしまう。
 いずれにしましても、この国会で、シビリアンコントロールということが一番大切であるにもかかわらず、一番肝心な情報が公表されない。こういうありさまでは、私たちは責任を持って国民に対してこのインド洋派遣のあり方を十分説明することすらできません。
 そういう意味合いにおいて、私はイージス艦だけが問題ではないと思います。私らの立場からすると、早晩米軍が踏み切るかもしれないイラク攻撃という事態に直面する前に、今のタイミングを見計らって一たん撤収すべきだということをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。
 さて、具体的な質問に入らせていただきますが、佐世保における第六十四護衛隊及び佐世保に配属をされている護衛艦「あさかぜ」艦内における飲酒事件であります。
 まず、この第六十四護衛隊司令と「あさかぜ」の艦長が、内規で定めていることに違反をして飲酒を繰り返しておったということが一斉に報道され、今、特に地元佐世保では大きな問題になっておりますけれども、この事案を防衛庁が知ったのはいつなのか、何がきっかけなのか、そこをまずお答えください。
宇田川政府参考人 御質問の、インド洋に派遣されていた護衛艦「あさかぜ」において、消灯時間以降も艦内で飲酒するといった服務規律違反についてでありますが、これは、私どもこの事実を承知しましたのは本年の九月末であります。
 九月末、隊員の方からの情報がありまして、直ちに、インド洋におりました六十四護衛隊司令と艦長につきまして、この上部の部隊から事実関係を確認いたしました。確認しましたところ、六十四護衛隊司令と「あさかぜ」の艦長は、飲酒の期間を過ぎて、また消灯時間以降も艦内で飲酒するということが判明いたしました。
 判明いたしましたので、六十四護衛隊司令は直ちに十月八日付で補職がえをして日本に戻しました。また、「あさかぜ」艦長についてでありますが、彼もやはり同様の服務規律違反を行ったことが判明しましたので、直ちに交代させるかどうか検討したわけでありますが、航行の安全、こういう観点がございますので、新たな六十四護衛隊司令の指揮監督のもとに任務を継続させまして、任務完遂後に人員措置を講ずるということから、帰国後の十月三十一日付で補職がえを行ったものであります。
 十月の八日に護衛艦隊司令部幕僚長を長とする事故調査委員会を設置しまして、現在、種々の調査を行っているところであります。
今川委員 地元の長崎新聞の今月三日付の報道によりますと、このようにあります。「司令は出航直後からほぼ毎晩、艦内の自室で、持ち込んだ焼酎などを飲み、酔った上で部下の乗組員らを呼び、しかりつけるなどしていたという。艦長も同席し、司令の行動を黙認していた。」。
 そこで、いわゆる海幕の「部隊等における酒類の使用について(通達)」というのがございます。この通達二九〇九号の別表三に示されているどの項目に違反したというふうになっているんでしょうか。御説明ください。
宇田川政府参考人 今議員御質問の通達の御説明の前に、飲酒の関係について防衛庁の服務関係の法令がどうだったか、ちょっと御説明申し上げますと、自衛隊員が服務規律として遵守すべき事項につきましては、自衛隊法施行規則の第五十七条第二項におきまして、前項に掲げるもののほか、防衛庁長官が定めることとされております。
 この防衛庁長官が定めることとされている具体的内容につきましては、隊員の分限、服務等に関する訓令において定められているところであります。艦船内における飲酒に関しましては、この訓令の第十条の三号におきまして「防衛庁長官が特に許可した場合のほか、酒類を用いてはならない。」とされております。
 防衛庁長官の通達が出ておって、このところでは、「勤務時間外に、艦船部隊の乗組員の士気の高揚を図るために、艦船内において使用させる場合であつて、海上幕僚長が許可したもの。」については、その使用を許可したものとすることとされております。この海上幕僚長通達では、艦船の長が、艦船内において使用する場合、使用時間、場所等にかかわる一定の許可基準により、隊員に酒類を使用させる場合には、その使用を許可したものとするとされておるところであります。
 今、今川先生の御指摘の海上幕僚長の通達が昭和四十六年の海幕人第二九〇九号でありますが、この別表三によりますと、「遠洋練習航海その他のため国外に行動し、長期間上陸の機会がない場合」に該当します。
 何となれば、護衛艦「あさかぜ」は、インド洋においてテロ対策特措法に基づく協力支援活動を行っていた際に発生したものでありますので、この別表三の今申し上げました「遠洋練習航海その他のため国外に行動し、長期間上陸の機会がない場合」に該当するわけであります。
 したがいまして、インド洋派遣艦船部隊の指揮官である第四護衛隊群司令の許可を得られれば、停泊中、日没から消灯までの一定の間、食堂等の艦長が指定する場所で、隊務に支障のない範囲で、艦長が指定する者が過度にわたらない量の酒類を使用することは可能になっておるところであります。
今川委員 実は、今答弁をいただきましたが、このいわゆる別表三で見ますと、酒を飲んでいい場合、使用を許可できる場合、「使用する場合」というところがありまして、「訓練、演習等のため行動し、」該当しませんよね。それから「演習、戦技等の訓練を終了し、」これも該当しません。「遠洋練習航海その他のため国外に行動し、長期間上陸の機会がない場合」。
 今回は、自衛隊始まって以来の戦時派遣ですよ。防衛庁長官、お聞きしますが、私の地元佐世保に戻ってきて、乗組員らの話によりますと、停泊中のみならず航海中もあったんではないですか。
 それと、この別表三にある「使用量」、「一人あたり、清酒の場合三六〇ミリリットル程度の過度にわたらない量」。普通、乗組員らの場合、非番のときに、定められた時間の中で、艦の中に常備している缶ビール一本程度というふうに聞いております。しかし、この艦長の場合は常備されているんでしょう、缶ビールか何か。自分で持ち込んだしょうちゅうを毎晩やっているわけですよ。
 この事件が発覚してからもう相当時間がかかっていますけれども、この艦長あるいは護衛隊司令以外に、どの程度の人が内規に違反して飲酒しておったのか。
 今申し上げた一つ一つのことに関して、簡潔に答えてください。
田並委員長 宇田川人事教育局長。
 質問者が、簡潔だそうでございます。
宇田川政府参考人 先ほど、事故調査委員会を設置したと申し上げました。今先生がおっしゃっています、艦長がしょうちゅうを持ち込んで飲んだんじゃないか、あるいはもっとたくさん飲んでいるんじゃないか、この点についても、いましばらく調査の結果をお待ちいただきたいと思います。
今川委員 これは石破長官に直接お聞きしたいんですが、通常訓練をしたりいろいろな場合に、今この内規に定められているような、具体的に防衛庁長官なり海幕長の許可のもとに、それぞれ艦長とかが許可の範囲内で飲ませることもある。
 しかし、今回は少なくともそういう演習じゃありません。行っている先は、先ほどからも議論があっているように、海上自衛隊始まって以来の戦時に派遣されているんです。そこで組織のトップに立つ人間が、内規を破って酒を飲んでいる、酔っぱらって部下を呼びつけてしかりつける、こういうことがあって、組織はもちますか。ここは防衛庁長官、お答えください。
石破国務大臣 戦時派遣という言葉の定義はともかくといたしまして、今回、最高の指揮官である隊司令そしてまた艦長が、ほかの隊員が本当に過酷な環境の中でぎりぎり精いっぱいやっておるときにそのようなことをやって、その艦なり隊内の規律が保てるとは私は思いません。
 したがいまして、このことにつきましては、今人事教育局長から答弁申し上げましたとおり、今調査を急いでおります。といいますのは、これはこの二人に限らないのではないかという御指摘もございますので、とにかくその船に乗っておった者、関係者、すべての事実を徴しまして、そしてその分の突合もいたしまして可能な限り速やかに厳正な処分をしなければならない。これでなければ一生懸命やっておる隊員の士気というもの、規律というもの、これが保てるはずはないというふうに思っております。
今川委員 地元佐世保に戻ってきた一般の乗組員の間では、自分たちはちゃんと内規を守って、それはストレス、大変ですよ、きちっと規則を守りながら缶ビール一本程度をたしなんでいた。ところが、自分たちの最高指揮官がこういうざまでは何だということ、多くの乗組員が怒っているんです。
 しかも、私が申し上げておきたいのは、この通達第二九〇九号、相当以前につくられた通達でありますけれども、今回のような米軍支援のためにインド洋に派遣するということは到底想定していなかったと思います。どうしても派遣する、今後も継続する必要があるんだということであれば、当然、今のようなこれまで想定できなかった新たな事態に沿った内規というのがやはり要るのではないかという気がいたします。時間の関係でこれは答弁は結構です。
 さて、これまで国内で通常いろいろな練習をやったり停泊をしたときに、自衛隊の艦船内部で飲酒やかけごとなどがあったはずです。今佐世保で行われております裁判、護衛艦「さわぎり」事件、これは今から三年前ですね、十一月の八日にこの護衛艦「さわぎり」で二十一歳の誕生日にみずから命を絶ったその自衛官が日ごろ母親に言っておったのは、もう少し自衛隊というのはまじめなところだと思った。ところが、上司が、おまえは宮崎県出身なのにしょうちゅうも飲めないのか、かけごともし切らぬのかということで日ごろいじめておったわけです。
 そういう訴えの中で、結果として、いわゆる平成十二年の二月二十日、この護衛艦「さわぎり」艦内で飲酒を調査してみたところ、幹部九人を含む六十一人を処分したとあります。こういう事例が既に二年前にあるじゃないですか。にもかかわらず、今回のこの護衛艦「あさかぜ」の信じられないような事件です。ほとんど教訓化されていない。そう思いませんか、長官。
石破国務大臣 そのような事実があって、おまえは酒も飲めぬのかというようないじめがあったというようなことについての認識についてのお尋ねですが、そのようなことが常態化しておるとすれば、これはあってはならないことだと思っています。いじめということがあってもならないことでありますし、その教訓がもし生きていないとすれば、今回の船は「あさかぜ」でございますけれども、海上自衛隊の中で船という閉鎖空間においてそういうことがある。それが一つの定性的なものであるとするならば、これは基本的に考えてみなきゃいかぬということだと思っております。
 人事教育局を通じまして、また海上自衛隊ともよく話をしながら、本当にまじめにやっている隊員が、つらい思いや悲しい思いや、ましてや命を絶つというようなこと、そういうことを根絶することが私どもの責任だというふうに認識をいたしております。
 済みません、今、一点、答弁の訂正をさせていただきます。
 先ほど長妻委員の御質問の中で、ノドンの数を百基というふうに申し上げました。そのような指摘があることを承知しておるという点が抜けておりましたので。ごめんなさい、委員のお時間をかりました。
 今の飲酒につきまして、かけごとにつきましては、そのような認識でおります。
今川委員 これも防衛庁にお尋ねしますが、今回、「あさかぜ」艦内の乗組員からいわば告発があったんですね。九月の末に知った。なぜ今日まで公表がおくれたんですか。あるいは、このインド洋派遣の再延長のために先月の十九日に当委員会がございましたが、そこでなぜこういう重大な事態を防衛庁は報告しなかったんですか。その理由を教えてください。
石破国務大臣 お答え申し上げます。
 これは先ほど申し上げましたが、乗組員全員からきちんとした話を聞きませんと全体像はわからない。この事件の全体像というのは、かかわったとされる者だけではなくて、本当に今先生の御指摘のように告発というような形をとったとするならば、全員から聞いてみて実態像を把握する必要があるだろう。
 この船が帰ってきました十月二十九日以降に事情聴取を始めておりますし、乗組員が二百名以上に及んでおります。したがいまして、時間を要しておるところでございます。私どもとしては、このような調査を踏まえて、全体像がわかった時点で公表したいというふうに思っておりました。おくれたのはそのような理由でございます。
 いずれにいたしましても、先ほどお答えいたしましたように、この調査は急いでおります。そして、厳正な判断、厳正な対処ということはこの場でお約束をさせていただきたいと存じます。
 いずれにいたしましても、このようなことが起きましたことは極めて遺憾なことでありまして、大変に申しわけのないことだというふうに思っております。
今川委員 石破長官、このことが新聞報道にあったときに、ある新聞の中で、なぜ公表をこんなにおくらせたのかと防衛庁に対して問い合わせてみたら、いわゆる法違反でない、法違反の場合には公表するんだけれども、これは内規を破ったということであって、そういう場合には一々公表していないという防衛庁のコメントがあるんです。
 もう時間がありませんのでそのことだけ一言申し上げておきたいと思いますが、いずれにしても、石破長官、ここは先ほど冒頭に、イージス艦だけが問題ではないと申し上げました、我が党の場合。これは、今インド洋に派遣されている五隻の自衛隊の船、いい機会ですから一たん本国に呼び戻す。その中で、似たようなことが絶対あっているはずです。
 これはむしろ、今回戦時派遣と言いましたが、日常的に、佐世保ですからよく見えるんです、艦内で、大酒を飲まない限りそこそこのことは大目に見ていくということがあります。それがいいかどうかは別の問題です。このインド洋に派遣された五隻の艦艇は一たん戻すべきですよ。そして、きちっと、「あさかぜ」だけではなくて、似たようなことがあったのかなかったのかということを、しっかりこれは調査をする必要があると思います。
 さて、もうほとんど時間がありませんから、イージス艦の派遣に関して、これは石破長官に直接ちょっとお尋ねしてみたいことがあるんです。
 以前、石破長官がまだ防衛庁長官になられる前に、私は少々意地悪に、石破さん、なぜイージス艦、派遣しないのと聞いたことがあります。そのときは、一議員として石破長官は、国民に対して唐突に刺激が強過ぎると思うよと。これは非公式レベルの話なんですが、今回、石破長官は胸を張って首相にも派遣をさせてくれということを申されましたが、そこは一議員と防衛庁長官という立場の違いがあるのかと思いますが、いかがでしょう。
石破国務大臣 恐縮です、記憶力が悪くて申しわけありません。記憶にないなぞと言って責任逃れをするつもりは私は全くないのですが、今川委員との間で私は、刺激が強過ぎるからねということを言ったという記憶がないのです。
 それは恐らく、イージスというものについてかなり誤った先入観、つまり、きょう、ある委員会でも、ある党の委員から、イージスというのは極めて少数の船ではないか、そのような特別な船を出すということはいかがなものかという御指摘をいただきました。
 これは、私の説明ぶりが今まで、長官就任以来十分ではなかったのかもしれませんが、イージスというのは、例えばアメリカではほとんどの船がイージス化をしている。タイコンデロガ級の巡洋艦もそうです、アーレイバーク級の駆逐艦もそうです。六十隻以上の船がイージス化をしておる。イージスというものは決して特別な船ではないのだ。
 それから、委員とお話をさせていただいたのは事態特のときではないかと思っておるんですけれども、そのときに、国民の皆様方のイージスという認識が、何か物すごい特別な能力を持った、大変な攻撃能力も持った船なんだ、けさテレビを見ておっても、そのような報道がございました。そういうときに唐突にイージスということになれば、それは先入観からいって刺激が強い、そういう単語を私は余り使わないのですけれども、使ったとすれば、そういう意味なのだろうというふうに思っております。
 ただ、この船は、この船といいますか、私どもの任務は、まさしく国際社会の責任を果たすためにやっておるわけでございまして、委員が先ほど来おっしゃっておられる、規律の厳正化ということはきちんといたしてまいります。だからといって、この船を下げる、この船を全部帰すということにはならない。この二つが両立するように努めてまいりたいと思っております。
 記憶がきちんと正確ではなくて、ちゃんとした御答弁になりませんことをおわび申し上げます。
今川委員 もう時間が来ましたので終わりますが、一言だけ。
 私どもは、イージス艦だから派遣してはいけないとは言っていません。先ほども申し上げましたように、もともと米軍がやっている戦争に、支援するという名目で派遣すること自体に憲法上も問題があるということを申し上げて、質問を終わります。
     ――――◇―――――
田並委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の安全保障に関する件、特に北朝鮮関連について調査のため、来る十日火曜日午前九時参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る十日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十三分散会


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