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第5号 平成15年5月9日(金曜日)

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平成十五年五月九日(金曜日)
    正午開議
 出席委員
   委員長 田並 胤明君
   理事 岩屋  毅君 理事 木村 太郎君
   理事 浜田 靖一君 理事 山口 泰明君
   理事 桑原  豊君 理事 渡辺  周君
   理事 赤松 正雄君 理事 樋高  剛君
      岩倉 博文君    臼井日出男君
      北村 誠吾君    小島 敏男君
      杉山 憲夫君    虎島 和夫君
      中山 利生君    仲村 正治君
      野呂田芳成君    平沢 勝栄君
      町村 信孝君    大出  彰君
      小林 憲司君    前田 雄吉君
      田端 正広君    赤嶺 政賢君
      今川 正美君    粟屋 敏信君
    …………………………………
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   防衛庁副長官       赤城 徳彦君
   防衛庁長官政務官     小島 敏男君
   安全保障委員会専門員   小倉 敏正君
    ―――――――――――――
四月十一日
 自衛隊艦隊派遣などアメリカの戦争拡大への協力反対に関する請願(原陽子君紹介)(第一七二五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国の安全保障に関する件(テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及び現在までの自衛隊の協力支援活動の実績について)


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     ――――◇―――――
田並委員長 これより会議を開きます。
 国の安全保障に関する件について調査を進めます。
 この際、テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更及び現在までの自衛隊の協力支援活動の実績について政府から報告を求めます。石破防衛庁長官。
石破国務大臣 テロ対策特措法に基づく対応措置に関する基本計画の変更について御報告申し上げます。
 テロ対策特措法に基づく基本計画において、協力支援活動等を外国の領域で実施する自衛隊の部隊等の派遣期間を延長し十一月一日までとすることが、昨日の安全保障会議の後、本日の閣議で決定されました。なお、あわせて、私が定めている実施要項についても、近日中に総理の承認を得て変更し、実施期間を本年十一月一日までとする予定です。
 次に、今回の基本計画の変更に係る背景について御説明申し上げます。
 三月一日、アルカイダの幹部の一人ハリド・シェイク・モハマドがパキスタンにおいて拘束される等の一定の進展は見られるものの、依然としてウサマ・ビンラーディンやタリバーン最高指導者のオマル等、アルカイダ、タリバーンの主要メンバーは捕捉されておりません。また、アフガニスタンにおきましては、アルカイダやタリバーン残党によると見られるテロ事件が頻発しております。さらに、アルカイダは、アフガニスタンから世界各地に拡散しており、今後もテロを計画、実施する可能性があるなど、依然として国際社会にとって深刻な脅威となっております。
 これに対して、米軍等は、アフガニスタンにおいて、アルカイダ、タリバーンの残存勢力の追跡、掃討を継続しており、特に最近では、アフガニスタン南部及び南東部での作戦を強化しております。また、米軍等は、アラビア海等において、アルカイダ、タリバーンの残党の海路による逃亡を阻止するための活動を継続しています。
 米軍等による活動について、具体的には、今月一日に開催された第五回調整委員会におきまして、米側より、一、米国とコアリション参加国は、アフガニスタン国内の状況にかんがみ、アルカイダやタリバーンの残存勢力の追跡、掃討、武器弾薬関連施設の捜索、押収、破壊、さらなるテロ阻止等のための情報を収集するためにアルカイダやタリバーンのメンバーを拘束、尋問するといった活動を実施しており、二、米国及びコアリション参加国は、三月下旬に、アフガニスタン南部におけるアルカイダやタリバーンの残存勢力に対するバリアントストライク、勇敢な攻撃作戦に約六百名の兵力を投入し、三、米国は、アフガニスタンに二十一カ国より派遣された約八千名の兵力とともに約七千名の兵力を派遣中であり、四、不朽の自由作戦、OEFの海上阻止活動、MIOはアフガニスタンでのテロとの闘いにおける重要な一部をなしており、米国とコアリション参加国は、これまで何百という船舶に対して調査を実施しているとの説明がありました。
 また、アフガニスタン国内に所在する米軍以外の兵力としては、国際治安部隊、ISAF等が展開しており、国際治安部隊には約四千六百名の兵力が派遣されているとともに、不朽の自由作戦の海上阻止活動には、現在米国を含め、十一カ国から二十隻以上の艦船が参加していると承知しております。作戦が開始された当初に比べ、兵力の派遣規模が小さくなったことは否めませんが、引き続き、テロとの闘いが行われておるところであります。
 他方、アフガニスタンにおけるテロとの闘いについては、今月一日、アフガニスタン訪問中のラムズフェルド米国防長官が、我々の活動が主要な戦闘から安定、安定化及び復興に明らかに移行しているとの結論を出したと述べていますが、同時に、アフガニスタンのある地域においてはいまだ抵抗勢力が存在しており危険な状態であり、迅速かつ効率的な対応が必要であるとの認識も示しています。
 また、ブッシュ米大統領も、同日、空母エイブラハム・リンカーン艦上における演説において、テロとの闘いは終わっていない旨述べています。
 さらに、先述の第五回調整委員会において、米側からは、アフガニスタンの一部では治安、秩序が回復したところもあるが、アルカイダやタリバーンによる活動は完全には終わっておらず、テロリストによる脅威は残っている。したがって、アフガニスタンとその周辺においてこの脅威に対処するためのオペレーションを継続する必要がある。アフガニスタンから逃亡するテロリストによる脅威は、不朽の自由作戦の海上阻止活動により減少しているが、引き続き、同活動を続ける必要があるとの説明がありました。
 このように、テロとの闘いは長く続くものであり、この点は現時点でも変化はなく、各国が依然として足並みをそろえて、この問題に取り組んでいる現状にあります。
 政府としては、このような状況にかんがみ、残存するアルカイダ等によってもたらされている国際テロの脅威は今も除去されていないことから、国際テロ根絶のための取り組みに寄与すべきとの考えのもと、これまで実施してきた協力支援活動について、期限が切れる五月二十日以降も継続すべきと判断し、前述したとおり、基本計画を変更し、自衛隊部隊の派遣期間を延長したところであります。
 次に、これまでに実施したテロ対策特措法に基づく自衛隊の活動の実績について御報告申し上げます。
 海上自衛隊については、現在、補給艦「はまな」及び護衛艦「こんごう」「ありあけ」がインド洋北部において活動中であり、補給艦「ときわ」と護衛艦「きりしま」「はるさめ」が帰路の途中にあります。これらの艦艇を含め、これまでに派遣された艦艇は、延べ二十三隻に上ります。協力支援活動としての艦船用燃料の提供については、これまで、米英軍に限定し実施してきたところ、二月二十八日にフランス、ドイツ及びニュージーランド、三月十一日にイタリア、オランダ及びスペイン、三月二十八日にカナダ、ギリシャと交換公文を締結し、新たにこれら八カ国を支援対象国としたところであります。艦船用燃料の提供を開始した平成十三年十二月二日以降現在までの間に、米軍の艦艇を中心に艦船用燃料を二百二十三回、約三十万一千キロリットルの艦船用燃料を提供し、概算値にしてその総額は約百十三億円となっております。
 また、輸送艦等により、本年二月から三月にかけて、アフガニスタンにおける米軍の拠点、航空基地を整備するためのタイ陸軍工兵部隊の建設用重機等を、タイからアフガニスタンへの中継基地となるインド洋沿岸の港まで、海上輸送を行いました。
 さらには、航空自衛隊については、C130H型輸送機等により、一昨年十一月二十九日以降現在までの間に、計百六十九回の国内及び国外輸送を行っております。
 なお、このような自衛隊の活動につきましては、政府広報、防衛庁ホームページ等を通じて広く国民にお知らせしているところであります。
 艦船用燃料の提供については、米国等によるイラク攻撃に関連して、海上自衛隊による艦船用燃料の提供が、テロ対策特措法の目的外の活動に使用されているのではないかと御指摘がなされることがあります。
 艦船用燃料の提供につきましては、米国等協力支援対象国との間で交換公文を締結した上で支援を実施するほか、第五回調整委員会においても、米側より、日本から提供された支援はテロ対策特措法の目的にかなった活動に用いられるべきであるとの点については十分承知しています。この点を踏まえ、海上自衛隊の補給艦により提供された燃料はイラクの自由作戦に使用されておらず、今後も使用されないとの発言があったところであります。
 先日、米空母キティーホーク空母機動部隊司令官が、同機動部隊が海上自衛隊から間接的に洋上で燃料補給を受けたと発言したとの報道がありました。本件については、米側に照会したところ、同司令官の発言は、我々は、海上自衛隊から燃料をもらっていない。しかし、米軍の補給艦は、オマーン湾において海上自衛隊から燃料を受けた。我々は、対テロ戦争における日本政府の支援に感謝している旨のものと確認し、あわせて、米海軍が、海上自衛隊から提供された燃料をテロ対策特措法の目的外の活動に使用したことはない旨を確認したところであります。
 テロ対策特措法に基づく支援活動は、米国を初め支援対象国と交換公文を締結するとともに、これまでの調整においてテロ対策特措法の趣旨や支援実施の条件などについて繰り返し説明してきており、我が国が提供した艦船用燃料がテロ対策特措法の目的外の活動に使用されることはあり得ないと考えています。
 このような我が国によるテロ対策特措法に基づく主体的な努力は、国際的なテロリズムの防止や根絶のための国際社会の取り組みに積極的、主体的に寄与するとの意義を有することはもちろん、結果として日米安保体制を緊密かつ実効性のあるものとする上でも極めて重要な意義を有するものと考えております。平成十四年十二月の日米安全保障協議委員会、2プラス2を初めとするさまざまなレベルのさまざまな場において、米国等から謝意の表明がなされる等、国際社会からは高い評価と称賛を得ているところであります。
 最後に、防衛庁としては、テロ対策特措法に基づく基本計画が今般変更されたことを受け、さらに一層、国際テロ根絶のために国際社会の一員として責任を果たし得るよう、また、国民の期待にもこたえることができるよう、全力を尽くしてまいりたいと考えております。委員各位におかれましても御理解、御協力をお願い申し上げます。
田並委員長 以上で報告は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時九分散会


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