衆議院

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第2号 平成15年10月2日(木曜日)

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平成十五年十月二日(木曜日)

    午前七時十分開議

 出席委員

   委員長 田並 胤明君

   理事 小島 敏男君 理事 蓮実  進君

   理事 山口 泰明君 理事 前田 雄吉君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

   理事 赤嶺 政賢君

      赤城 徳彦君    浅野 勝人君

      岩倉 博文君    臼井日出男君

      嘉数 知賢君    北村 誠吾君

      佐藤  勉君    虎島 和夫君

      仲村 正治君    野呂田芳成君

      町村 信孝君    水野 賢一君

      村上誠一郎君    吉野 正芳君

      大出  彰君    桑原  豊君

      小林 憲司君    樋高  剛君

      前原 誠司君    高木 陽介君

      今川 正美君    保坂 展人君

      粟屋 敏信君

    …………………………………

   国務大臣        

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  小林 誠一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     浅野 勝人君

  臼井日出男君     村上誠一郎君

  杉山 憲夫君     水野 賢一君

  中山 利生君     吉野 正芳君

同日

 辞任         補欠選任

  浅野 勝人君     岩屋  毅君

  水野 賢一君     杉山 憲夫君

  村上誠一郎君     臼井日出男君

  吉野 正芳君     中山 利生君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)




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     ――――◇―――――

田並委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁人事教育局長小林誠一君及び外務省北米局長海老原紳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田並委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。皆さん、おはようございます。

 きょうは、特例中の特例の委員会の開催の仕方として、この時間から臨んでおります。

 それで、法案については後に討論の機会がありますので、そのときに私たちの党の立場を述べたいと思いまして、きょうはせっかくの機会ですから、沖縄で起こっている問題について取り上げていきたいと思います。

 海上自衛隊が、次期哨戒機ヘリとしてSH60K、これの導入をし、そしてミサイル発射管制機能を確認する試験ということで、沖縄の久米島の鳥島で実施するとしております。先ほどの理事懇でも、この委員会、沖縄大好きな先生方が大勢いることを肌身で感じておりますけれども、この久米島で試験をする、ミサイルの発射管制機能を確認する試験という場合に、使用するミサイルが、六発のうち四発は実弾を使う、こうなっているわけです。

 御承知のとおり、鳥島は米軍の演習場です。米軍基地の負担の軽減を建前としているはずです、政府は。建前としては持っている。その政府が、沖縄にある米軍基地を自衛隊と共用する、これは私にとっては非常に理解しがたい問題です。なぜ鳥島でこういう演習を行うんですか。

石破国務大臣 早朝から御面倒をおかけいたします。いろいろと御厄介をおかけしておりますことに厚く御礼を申し上げます。

 今先生からお尋ねがございましたSH60Jが搭載しておりますミサイルの試験につきましてでございます。

 事実関係を御説明を申し上げますと、私どもの技術研究本部で、平成九年度から、現有のSH60Jの後継といたしまして、護衛艦に搭載をし、対潜水艦戦、対水上艦戦、警戒監視等を実施する艦載型の哨戒ヘリコプターSH60Kの開発を行っておるわけでございまして、現在、技術実用試験を実施中でございます。

 今回、この試験の一環といたしまして、先生御指摘の米軍鳥島射爆撃場におきまして、これに搭載予定の空対艦ミサイル・ヘルファイア2、これはアメリカから輸入をしたものでございますが、これの発射管制機能の確認のための試験を行う、こういうことにいたしております。六発の実射を計画いたしておりまして、期間につきましては約一週間というふうに考えております。

 では、なぜこの地域でやるのだということでございますが、ミサイルの試験というのはどういうものかと申しますと、特に安全確保の観点から、ミサイル性能を確認するために必要とされます射場の規模、データを取得するために必要となります計測設備の有無、進出、帰投に伴う距離などを勘案いたしまして、実施場所を選定しておるわけでございます。

 当該空対艦ミサイル・ヘルファイア2でございますが、まず第一に、これは艦艇に搭載をするものでございますが、艦艇への搭載試験を実施いたしておりません。したがいまして、現在ございます航空基地から進出、飛び立つこと、これが必要であるということが一点。第二点に、このミサイルもただ撃ちゃいいというものではございませんで、この照準等のためにレーザーを使用いたしております。レーザーを使用いたします関係上、周辺に樹木等の障害物がない射場で実施する必要がございまして、鳥島の射爆撃場は、地表が砂、岩でございます。したがいまして、レーザーの反射率が低うございまして、海面や樹木等の反射による影響を避けることができる、より正確なデータを得ることができるというものでございます。

 こういう点を勘案いたしまして、当該射爆撃場が最適な場所というふうに判断をいたしたわけでございます。

赤嶺委員 今の長官の答弁を聞いていますと、鳥島というのは砂浜と岩場だ、演習するのに絶好の場所だ、こういうお話なんですけれども、確かに砂と岩場です。暮らしとかけ離れた絶海にある孤島ではなくて、久米島からわずか二十キロ離れて、眼下に見渡せる島であります。島の人々は、米軍の演習によって毎年毎年鳥島の地形が変化していく、崩れていく、子供のころ見た鳥島でなくなっていく、その島を悲しい思いで見続けている。米軍の演習でさえそういう思いを抱いているのに、演習に適当な場所だからといって選ばれた、そういう関連があります。

 漁業の従事者であったら、あの島の付近で一度漁をしてみたい、操業してみたいと言われる、漁業者にとって、漁民にとっては本当に絶好の漁場、そういう魅力ある環境に囲まれた地域でもあります。

 それで、SH60Kの導入計画ですが、防衛計画大綱においては四十八機となっておりますが、これは導入のたびに今回のような発射管制機能を確認する試験が必要なのでしょうか。

石破国務大臣 導入のたびにというお話でございます。それがどういうことを意味するか、正確に理解をしていないで答弁をして恐縮でございますが、これは新たにこのタイプのミサイルを導入するということでございます。したがいまして、これの最初の試験ということでやっておるわけでございまして、それをすべて、調達をいたします数分だけ実験をするというものではございません。このタイプの試験につきまして私どもとして確たる知見を得る、納税者の税金でこれは買うわけでございまして、きちんとした性能が発揮ができるかどうかという試験を行うわけであります。すべて試験を行うという性質のものではございません。

赤嶺委員 そうすると、今回は初回だが、二回、三回はあり得るということですか。

石破国務大臣 基本的には、今回のものですべての性能に関します所見、知見が得られますと、今回で終了ということに相なります。ただ、仮にふぐあい等々が発生をした場合、新たなる知見を得る必要性が生じた場合には、必ずこれで終わりということは断言はできない、試験というのはそういうものだと思っております。

赤嶺委員 試験の性格からして、今後使うことも起こり得るということでございます。そうすると、鳥島は、今度の試験以外にも、自衛隊が適切な訓練ができるというぐあいに認識した場合には、今後、別の訓練、演習その他でも使うことがあり得ますか。

石破国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたように、これはレーザーの反射というものを勘案し、かつまた艦載型でございますが、それがまだ実現をできていない。したがって、地上の基地から進出をするというような条件、そういうものが重なりまして、この地におきまして実験をするということになりました。今後、そういうような条件が幾つも重なりました場合には、そういうことが全くない、今後全くそういうことを行わないということを断言することは極めて困難であろうかと思っております。

 ただ、先生おっしゃいますように、私もいつも国会で申し上げておりますが、毎年毎年沖縄に参りまして、沖縄の美しい自然もそうでありますし、米軍基地の大半が沖縄に集中しているという事実もございます。沖縄の県民の方々、漁民の方々、島民の方々、そういう皆様方のお気持ちというものをきちんとしんしゃくをしないでそういうことを行うことがあってはならないと思っております。したがいまして、この件に関しましては、御地元の皆様方の御理解を得るように、今後とも最大限の努力をするように私の方から指示をいたしておるところでございます。

赤嶺委員 久米島の鳥島に限らず沖縄の米軍が使っている沖縄県内での演習場、訓練場、こういうものの場所についても、自衛隊が今後必要であれば演習場として使うことはあり得る、こういうこともあり得ますか。

石破国務大臣 重ねてのお答えで恐縮でございますが、本当にここしかないのだ、いろいろな地域を比較考量してみて本当にここしか行うことができないのだということがありました場合には、そういうこともあり得るということでございます。絶対にないということを私はここで断言をすることはいたしかねます。しかしながら、本当にここしかないのかということ、そしてまた島民の方々、県民の方々の御理解をきちんといただいているのかということについては、今後とも極めて慎重かつ誠実であらねばならないと思っております。

赤嶺委員 日米共同訓練というのは非常に盛んになってきている。最近は、新しい軍事情勢に備えた新しい軍事機能の装備というものを皆さん一生懸命おっしゃっている。そういう中で、本当にここしかないという事態は、今後これまで以上に多くなるんじゃないかと私は想像するわけですが、この点はいかがですか。

石破国務大臣 確かに、近年、急速な技術の進歩に伴いまして、新しいタイプのそういう装備というものがふえてまいりました。これはエレクトロニクス技術の進歩でありますとか、そういうものに従いまして、そういう新装備というものが出てきておるわけでございます。

 しかしながら、繰り返しになりますが、本当にここしかないのかということを選定いたします際には、より慎重に、より誠実でなければならない。私が今了知しておる範囲におきましては、このミサイルの試験において、この沖の、鳥島が最適地であるということでございます。ですから、今後全くそういうことがないとは言えませんが、本当に全国いろいろな地域をよく比較考量し、勘案し、本当にここしかないのかということは常に正確な判断に基づくものでなければならないと考えております。

赤嶺委員 より慎重に、より正確に判断するというのは、どんな場合にあっても、沖縄であってもなくても極めて当然のことです。ただ、そういう新しい軍事技術の進展に伴って新しい訓練というのは今後多くなる、そういう場合に沖縄の米軍基地の演習場を使う頻度も高くなる、そういうぐあいに私は懸念しているわけですが、石破長官、いかがですか。そのことを聞いているんです。

石破国務大臣 それは、沖縄の頻度が高くなるというふうには私は思っておりません。それは、地形、この場合には地形、あるいは地上から進出をしなければならない、ヘリコプターはそんなに長い距離を飛べるものではございませんので。沖縄に限って頻度がふえるということは、私は論理的には成り立ち得ない御議論ではないかと思っております。

赤嶺委員 そうすると、日本全国の問題として、沖縄の頻度も、その中で当然視野の外には外さないということですよね。言っている意味がわかりますか。どうぞ。

石破国務大臣 それは、仮に沖縄がほかに代替できない地域であると、どういう場合ということを特定することはこの際いたしませんしできませんが、本当に沖縄しかないのだ、こういうような実験、試験を行うのに沖縄しかないのだということが起こりました場合に、それを外すということには相なりません。

赤嶺委員 除外しないということであります。

 それで、今回のミサイルについてもうちょっと聞きたいんですが、ミサイルの国内での訓練というのは、安全確保の上から、短距離射程というんでしょうか、短射程というものについて行っている、中長射程のホーク、ペトリオットなどについてはアメリカで訓練を行っている、こういう説明を受けました。国内で行っている短射程のミサイルについて、使用されているのはほとんどが演習弾だ、こういう説明も私は聞いております。

 今回のミサイルの射程距離は八キロなんですね、鳥島で使うミサイルは。これだけの八キロという射程距離を持つミサイルの実弾訓練を実施している地域が、本土の演習場にありますか。演習場名を挙げてほしいと思います、八キロという射程の長いミサイルを使った。

石破国務大臣 恐縮でございます。そのようなことが具体的にどこであるのだということにつきまして、私、正確な知識を持っておりません。後ほど、正確な、どの地域においてどれだけというようなことがあればお答えをさせていただきたいと思っております。

 確かに、委員御指摘のように、中射程のもの、パトリオットでありますとか、そういうものは外国、米国におきまして試験を行っております。短距離でございますので、これは国内で行うことはあり得ます、演習も行うことはございます。

 今回の場合には、初めて導入をするヘルファイアというものである。それがレーザーを使って本当に正確に所要の性能が得られるかどうかということの試験を行うわけでございます。試験を行います場合には、最も条件が適当な地域で、先ほど反射のことを申し上げました、最もそういうようなことを行うのにふさわしいところでやりませんと、今後の運用というものに差しさわりを生じます。したがいまして、試験に最適な場所ということで選ばせていただいておるわけでございます。

赤嶺委員 先ほどから、沖縄も特別に視野の外には置かないというお話もありましたが、私、この安保委員会でも何度も取り上げてきましたけれども、沖縄の米軍演習場というのは、例えば伊江島では、パラシュート降下訓練と称してコンクリートの塊が畑に落下してくる。物資投下訓練はせめてやめてほしいと村当局が要求してもやめない、中止の申し入れもしない、これが政府の立場であります。

 名護市の数久田のレンジ10の実弾射撃訓練場、ここはアメリカ政府自身が、どんな対策をとってもここの訓練場の欠陥は防げない、事故は防げないという調査報告書を出した訓練場です。そこで、パイン畑の農家の足元に実弾が撃たれる、そこの訓練を中止してほしいと要求しても、そこの訓練はとまりません。

 それから、嘉手納や宜野湾での爆音飛行、せめて夜間飛行はやめてほしいというような日米間の協定がありながらも、協定があるから守られているという立場はとっていますけれども、実際には夜間の爆音というのは地獄のようだ、嘉手納町長の言葉をかりたら、嘉手納はまるで毎日が戦場だ、こういう状態が続いているわけですね。こういう沖縄に、基地の負担の軽減を建前としてきた政府が、今後は皆さんの防衛政策の展開いかんでは米軍の演習場を使うこともあり得る、あるいは使う対象、検討対象になるんだということが、果たして県民の納得が得られるかどうか、この問題が一つあると思うんです。

 そこで聞きますけれども、今回のミサイルの試験についても、石破長官は地元の理解を得てと先ほど答弁なさいました。あれですか、地元の理解は得られているというぐあいにお考えですか。

石破国務大臣 例えて申し上げますと、九月二十九日に久米島の町議会におきまして、ミサイル発射試験実施に反対する決議というのが行われておることは、私もよく承知をいたしております。この決議は、私あて、あるいは外務大臣、内閣総理大臣、沖縄北方対策大臣あてになされたものでございまして、このような状況のもとで自衛隊のミサイル発射試験ときた、一度許せば恒常化することは各地の事例よりも明らかであり、我々はこのたびの計画を認めるわけにはいかないというような御決議をいただいておることも承知をいたしております。

 町民のお気持ちを代表されます町議会において、このような決議が九月の二十九日になされているということから考えまして、現状におきまして、私どもが考えておるような御理解が得られたという段階になっているとは私は判断をいたしておりません。

 したがいまして、今後、誠心誠意、御説明をし、御理解をいただくべく最大限の努力をしておるところでございまして、現段階におきましては、現在、調整中という言葉はおかしいですね、現在そういう段階にあるということでございます。

赤嶺委員 つまり、理解を得られていない。これは町議会が決議を上げていますからね、これ以上の住民代表の意思の表明というのはないと思うんですよね。町議会だけではないですよ、漁協も来ておりますよね。沖縄県漁連からも来ておりませんか。これはどのように受けとめておりますか。

石破国務大臣 恐縮でございますが、私も昨日は一日委員会をやっておりました。したがいまして、まだそういうようなことにつきまして具体的な報告をいただいておりません。これは、仮に、今先生御指摘のような沖縄県漁連、そのほかの反対の決議あるいは意思の表明というものがあれば、きちんと私が把握をしなければいけないものだというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、先生おっしゃいますように、町民の意思を代表する町議会においてこのような決議がなされたということは重く受けとめねばならない、決して軽々しく扱っていいようなものだとは私はいささかも考えておりません。

赤嶺委員 私は、重く受けとめるのであれば、この議会の決議を尊重して、ミサイルの試験発射はここでは中止するというぐあいに態度を表明してほしいと思うんですよ。

 大体、皆さんは沖縄で行われている米軍の演習について、訓練中止申し入れないんですから。訓練中止申し入れないという立場でしょう、安全に配慮して訓練はやってくれという立場でしょう、沖縄での米軍の。せめて日本政府がやる演習ぐらい、地元の町議会が反対決議を上げ、そして漁協が安全な操業について配慮してほしいと町議会以前にそういう要請文は出ていますよ。

 日本政府の意思でとめられない米軍の演習についてとめ切れないのであれば、自衛隊の演習ぐらいやめてもいいじゃないですか、どうですか。

石破国務大臣 これは、私どもの試験というようなものは何のためにやっているかといえば、当然のことでございますけれども、日本国の独立と平和に資するためということでやっておるわけでございます。

 したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、この試験というものが、本当に日本国じゅう見渡してみまして、これは沖縄に限りません、それは北海道なのかもしれない、あるいは青森や、どこでもいいのです。地域の名を挙げることは適当でないとすれば、日本国じゅう四十七都道府県どこでもいいのです。ここしかないのだということになりましたときに、そしてまた、私どもが取得をし、現在開発をし、装備しようとしているものがこの国の平和と安全のために必要なものであるとするならば、この地域を除外するということは私はないと思っております。これはどこでも一緒でございます。

 しかしながら、地元の方々の御理解を得るという努力は最大限にしていかなければなりません。そしてまた、米軍がやめられないのであればせめて自衛隊だけでもやめたらどうか、こういうお話でございます。お気持ちは私も十分理解できるものでございますし、日本の政府のことでございますから、より私どもとしてその点において真摯であらねばならないと思いますが、繰り返しになりますけれども、仮にその地でなければならないということになりましたときに、それを除外するということは、沖縄のみならず、日本全国それは同じことだと思っております。

赤嶺委員 住民の理解が得られていない現段階での長官の答弁とは思えないような答弁であります。

 大体、日本の独立と平和と安全とか、極東の平和と安全とかというのを、こういうのを沖縄県民が受け入れて基地の現状を容認したら、沖縄というのは成り立たないんですよ。そういう言葉のもとに、そういう大義のもとにどれだけの犠牲者を生んできたか、つくってきたか、その歴史を持っているか。そこの歴史の重みを理解しないで、沖縄も本土と同じだというような程度では、本当に政府としての見識を疑うものです。

 この島はそれ以外に別の要素があるんです。皆さんよく御存じだと思います。九五年から九六年にかけて、日本国内では使用が禁止されている劣化ウラン弾を米軍があの島に向かって射撃訓練をしました。千五百二十発、劣化ウラン弾をあの島に撃ち込んで、回収できたのは二百四十七発です。これについて日本政府は、調査をしました、人体に影響はありません、被害は認められない、今後も影響は出ないだろうということで調査を打ち切った。

 全くアメリカの言い分と同じだな、劣化ウラン弾を使った湾岸戦争やイラクでのアメリカの言い分と同じことを言ってくれたなという思いでこの調査報告を見ましたが、にもかかわらず、せめて島の人たちは、久米島の人たちは健康調査、そういう健康診断だけはやってほしい、こういうことを要求しておりますが、これについても拒否をしております。健康診断、やるべきじゃないですか、いかがですか。

田村大臣政務官 先生御指摘をいただきました平成七年−平成八年、十二月及び一月に起こりました米軍の鳥島射爆場におきましての件でありますけれども、基本的には、専門家の評価を得まして、人体に影響がないという結果を得ております。久米島自体でも放射能の調査等々したわけでありますが、それにおきましても劣化ウランの影響はないという結論でございますので、健康診断の必要はないというふうに考えております。

 なお、御指摘をいただきましたその調査でありますけれども、過去五年間やりまして、結果的には、環境に対する影響、人体に対する影響がないということでありますので、打ち切らせていただいた、こういうことでありますけれども、これに関しましては、いろいろと島の、島民の方々の御心配等々もあるということもお聞きをいたしております。五月には、担当室長及び関連専門家を久米島に派遣いたしまして、地元に対して説明をさせていただき、また、一応この調査自体は終了をいたしましたけれども、同時に、皆様方が大変御心配をいただいておるということも踏まえまして、我が国において放射能水準を把握するために、全国で調査を行っております。その一環といたしまして、放射能水準、放射能の環境放射能調査というものをこの久米島でも実施させていただくということにいたしております。

 以上でございます。

赤嶺委員 そういう態度であります。専門家の意見が、大体、人体に被害があるかどうかを、健康診断をしないで被害はない、そういう判断を下せる専門家がいるのであれば、これは本当に大した専門家だと私は思います。

 それでは納得しないんですよ、住民は。しかも、米軍はその後も毎年その島での劣化ウラン弾の影響について調査をすると言っておりますが、きょう外務省への質問の時間はなくなりましたが、調査をしているかどうかの報告書も請求していない、こういうところですよ。そして、劣化ウラン弾の安全性についてだけ声高に強調する。こんなことでは納得しないですよ。

 劣化ウラン弾というのは一年間秘密にされておりました。沖縄県民はアメリカの新聞を通じてこれを知りました。演習というのは、目の前で、教室からでも見えるんですよ。鳥島での演習というのは音も聞こえるんです。こういう近くです。こういうところで、劣化ウラン弾の調査もまともに行わない、加えて、自衛隊がミサイルの発射試験を適当な演習地域だと判断してやる。こういうのは絶対に納得がいかないということを申し上げまして、質問を終わります。

田並委員長 次に、今川正美君。

今川委員 社会民主党の今川正美です。

 けさ、朝早くからの審議でありますが、まず最初に、今回内閣から提出されました防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、反対であるということを表明しておきたいと思います。何よりも、人事院勧告の今回の勧告には反対であることと、与党の皆さんはこの法案に賛成のようでありますが、いわば、自衛官に対して、これまでにない危険な任務につけ、しかし給料は下げるぞというような非情な仕打ちには同意できないという意味も含まれております。

 さて、来年は自衛隊創設からちょうど五十周年。私たちは、冷戦後の国際社会の大きな変動の中で、世界の警察官であるべき国連を中心にして、改めて、自衛隊の役割なりその規模、装備、経費など、あらゆる面で再検討すべき時期に来ているんだと私は思います。そして、何よりも私が懸念するのは、国際貢献、国際協力ということを理由にしながら、自衛隊の海外派遣、海外派兵がいわば常態化していること、さらに、私も国会議員になって三年余りたちますが、多くの政治家の皆さん方が自衛隊の保有する装備について余り関心を強く持っておられないということを私は心配いたします。

 そこで、まず幾つかお尋ねをしたいと思いますが、一つは、大型ヘリ搭載護衛艦、いわゆる一六DDHの建造についてであります。海上自衛隊も、創設されて四十九年間の歴史の中で、一万六千トンのいわば砕氷艦「しらせ」を除きますと、一万トンを超える艦船をこれまで保有することはありませんでした。ところが、冷戦後、一万三千五百トンクラスの補給艦とか護衛艦を保有し始めたわけですね。まず、その理由なり根拠をお尋ねしたいと思うんです。

 私の記憶をたどりますと、およそ十年ほど前に、現在既に海自が保有しています「おおすみ」型の大型輸送艦の建造計画が発表されたころ、例えば、イギリスのジェーン海軍年鑑では次のように論評しているんですね。「巨大な飛行甲板と艦尾ドックをもつイタリア海軍の強襲揚陸艦サン・ジョルジョに似たデザイン。明らかに複数のシーハリヤーを運用することを想定しており、おそらくは空母建造に向かう中間的な一歩だろう」という論評なんですね。あるいは、イギリスのこれはブリティッシュ・エアロスペース社ですかも、いよいよ経済大国日本も空母を保有する時期に来たのかというふうな論評、指摘がありまして、これに対して、当時たしか防衛庁は、そうしたハリアーのような垂直離着陸式の戦闘機の熱などには耐えられない、そういう飛行甲板ではないというふうな弁明をなさったようなことを私は記憶しているんですけれども、この「おおすみ」型大型輸送艦は、水陸両用の上陸用舟艇、いわゆるLCACを二隻搭載していますよね。

 そこで、今申し上げたような一万三千五百トンクラスの補給艦や護衛艦を保有する、その理由なり根拠をまずお尋ねしたいと思います。

石破国務大臣 なぜ大きな輸送艦を持つかということでございます。

 この「おおすみ」タイプの輸送艦というものは、私もずっと考えてみますと、湾岸戦争の後に、やはり日本として、多くの物が積める輸送艦というものは必要なのではないだろうか、あるいは、阪神大震災の折にもいろいろな議論がございました。病院船のようなものを日本は持つべきではないかとか、あるいは、海外における邦人輸送の場合にも、大きな容量を持つ輸送艦というものが必要なのではないか。これは委員もよく御案内のことでございますが、輸送機にいたしましても輸送艦にいたしましても、これは基本的にではございますが、大きければ大きいほど使い勝手がいいということはございます。

 輸送艦というものは、確かに先生御指摘のように「おおすみ」タイプ、LCACを積んでおります。LCACの有用性というのも先生御案内のとおりであって、これはホバークラフトみたいなものですから、海の上から地上から、ブッシュがあっても非常に移動が容易であるということでございます。そういうような観点から、大型の輸送艦というものを導入いたしました。

 これは、邦人救出ということでもあり、あるいは島嶼防衛ということに使えるかどうか、これは別にいたしまして、敵が上陸段階にある最も弱いときにこれをたたく能力をいかに強く有するかということもございます。我が国の専守防衛の考え方から、そしてまた、高まる緊張の中でいかにして邦人救出をきちんと行うかということ、あるいはマルチパーパスという観点からもございますが、大きなものをつくるということをお認めいただいて建造しておるものでございます。

今川委員 確かに、おっしゃるように、国内での災害等で十分使えるではないか、一度に大量の物資も運べる、あるいは今おっしゃった海外での邦人輸送、確かにそうかもしれません。しかし、同時に、先ほど申し上げたのは、約五十年近くの海上自衛隊の歴史の中で、やはり、今長官がおっしゃったとおり、専守防衛という基本的な理念に基づいて、持っていい兵器と持ってはならないというその線引きといいますか、そこら辺は、かなりきちっと抑制的に、長い歴史の中で歩んできたんだと思うんですよね。

 そこで、もう一点お伺いしたいのは、一万三千五百トンのいわゆる一六DDH、これが、当初の、今の中期防計画が発表された段階と違って、現在はいわゆる全通甲板型に変わっている。その理由はどういうことなんでしょうか。

石破国務大臣 それは、一にかかって使い勝手の問題でございます。すなわち、全通甲板がよろしいのか、それとも当初のイメージ絵図にございましたように、あれだけ広い甲板を持ちながらアイランドがど真ん中にどんとあるということになりますと、これはヘリを積みましても同時離発着が非常に難しいということになります。

 私どもは、国民の皆様方の貴重な税金を使わせていただいて船をつくります以上は、どうやってそれを専守防衛の範囲内において、決して他国を侵略することはないという目的内において、いかに有効に運用するかということであります。

 例えば今のDDH、「はるな」にいたしましても、「ひえい」にいたしましても、「しらね」にいたしましても、「くらま」にしてもそうですが、同時離発着ができないような船でございます。あれだけ大きな船でヘリコプターを積んでいながら同時離発着ができないというのは、これは納税者に対しましても大変に申しわけのないことではないかと考えております。

 したがいまして、ヘリを三機から四機搭載するということ、そしてまた、同時に二機から四機が離発着できるということから考えますと、アイランドを真ん中に置くということは極めて非合理なことであるということで、現在のような形状を考えておるわけでございます。

今川委員 私は、この船型のイメージ図を見ましても、言ってみればこれはヘリ空母、イギリスやイタリアなどが持っている軽空母そのものではないかなという気がしまして、そこで、歴代の内閣法制局長官などの説明によると、次のようにありますね。攻撃型空母を保有することは憲法上許されないが、保有し得る種類の空母はある、例えばヘリコプター搭載空母や垂直離着陸機搭載空母は対潜水艦水上艦艇の一種と考えられ、保有できるのであると。これは間違いないですね。

 そうしますと、先ほど申し上げた、一万トンクラスには達していないけれども「おおすみ」型の大型輸送艦の場合にでも、イギリス等外国から、そういう懸念といいますか、いよいよ日本も空母を持つ時代になったのかという指摘、論評もありましたが、今回のこの一六DDH型の大型護衛艦というのは、そういう攻撃型ではないかもしれないけれども、我が国としても諸外国並みの軽空母、ヘリ空母ということを十分想定したものだというふうにお考えですか。石破長官、いかがでしょうか。

石破国務大臣 これは、先生御案内のとおり、攻撃型空母ではございません。攻撃型空母という概念が、本当に何が攻撃型空母で何が攻撃型空母じゃないのかというのは、これはなかなか難しいことだと思います。だれが見ても、カール・ビンソンやニミッツやエンタープライズ、あるいはそういうタイプのもの、フォレスタル級もそうですが、あれはどう見たって攻撃型空母でございましょう。では、そうでないものということになれば、とにかく攻撃型空母では間違ってもないということになります。例えば、ジュゼッペ・ガリバルディという航空母艦がございますが、これを攻撃型空母と言う人は世の中にはだれもいないわけでございます。ですから、少なくとも我々が持つことを禁ぜられていると解釈しているがところの攻撃型空母ではない。

 では、今度のこれは一体何なんだということでございますが、それでは、これはヘリの運用というものを専ら専一に考えた、ヘリコプターの運用のためのヘリ空母なのか、ヘリ母艦なのかといえば、それはそうではないのだろうと思っております。

 これは、ヘリコプターのそれだけを専ら専一に考えたものではございませんで、ほかに搭載しておる装備、そういうものを考えてみますと、これはやはり我々が今までイメージをしてまいりました、定義をしてまいりました護衛艦というものにふさわしいのではなかろうか。ただ、そのヘリの能力というものが今のDDHよりは格段にすぐれておるということはございます。

 さらにつけ加えて申しますと、これに搭載します回転翼航空機、ヘリコプターは、他国に脅威を与えるようなものでも何でもございません。これは、持っております装備等々から考えまして、確かにヘリの能力というのは今までに比べて向上はいたしております。しかし、ではこれが、イギリスが持っておりますヘリ母艦のオーシャンに比べましてそれではどうなのだということを考えましたときに、ヘリの搭載機数あるいは同時の離発着能力、それから考えましても、これはヘリ母艦という形の範疇に入れるよりは、むしろヘリの離発着能力、搭載能力を向上させた形のまさしくDDH、ヘリ搭載の護衛艦であるというふうに概念づけるのが適当だと考えております。

今川委員 今の石破長官がおっしゃった、あくまでもやはり護衛艦という範疇に入るというおっしゃりようなんですが、我が国の場合には、やはり諸外国と違って、例えば巡洋艦、戦艦、駆逐艦、フリゲート艦というふうな呼称の仕方はないですよね。一くくりで、輸送艦である、護衛艦であるというふうに、これは歴史的ないろいろな意味合いがあるわけじゃないですか。

 そこで、いま一つお尋ねしたいのは、随分古い話になって恐縮ですけれども、一九九〇年、もう十三年前の八月なんですが、これは新聞記事です。「潜行する“空母の夢”」という見出しがありまして、「ハリアー購入計画は布石?」空母の布石なのかという意味ですね。その記事によりますと、「「マル秘」扱いの資料」「海自次期防計画 海幕素案」とあるんですね。

 その中に示されているハリアー導入のシナリオは次のようになっている。「平成三年度から七年度と想定した次期防で、米英が開発中の新型機ハリアー2プラスを十三機とAV―8Bを四機の計十七機。八年度以降の次々期防ではそれぞれを三十二機以上と四機以上の計三十六機以上を購入する。年度別には五年度から五、六機ずつ、八年で合わせて五十三機以上という大量導入をもくろむ。」とあります。

 総計四十五機の艦載用ハリアー群。これが意味するものについて、当時江畑謙介さんは、飛行機の性格、機数からして空母想定以外は考えられないと。空母一個群の常時運用を可能にするには、待機・補修分を見て三個空母群が要るとされていますので、一隻に十五機ずつでちょうど数も合うというのですね。

 そういうのが海幕の素案としてあったんだという話なんですが、この事実関係と、それがやはり今日一つの構想として防衛庁の内部にあるのかないのか、そこをお示しください。

石破国務大臣 そのような構想はございません。

 そういうような船を持って、つまり垂直離発着機が使えるようなそういう船をどのように使うのだということを考えてみましたときに、どうもその有用な運用というものが私どもは考えつかないのでございます。

 これは、先生御指摘のように、まさしく兵器というもの、我が国の言葉で言えば装備というものにきちんとした関心を持つというのは私は大事なことなんだろうと思っています。そう言うと、またすぐ軍事オタクとかなんとか言ってしかられちゃうのでありますが、そういうものをきちんと持ちませんと、これは、いいんですよ、いいんですよという話のもとに、とんでもないものができてしまったり、あるいは逆に納税者に対して非常に不誠実なものができてしまったりする。

 今の「はるな」「ひえい」「くらま」「しらね」という船も、それはそれなりにすぐれた船でございますが、世界じゅうにあのようなタイプの船はほとんどございません。あれは二次防のときの議論だったと思いますが、やはり今回のようなものは考えたのだけれども、これは空母だよと言われて、それでは持たないということでああいう形になったという説も一説にはございます。

 しかし、私どもは、垂直離発着機のお尋ねでございますが、それがでは離発着できるためには、その高温に耐えられるような甲板でなければいけない。そして、一回おりられればいいというものではなくて、それが常時離発着できるためには相当に熱、重さに強い甲板をつくらねばならない。今回のは、そういうものでもございません。

 そしてまた、垂直離発着機の場合には、これはイギリスの航空母艦もそうでございますし、例えばロシアにアドミラル・クズネツォフというタイプの航空母艦のようなものがございますが、これもスキージャンプを備えております。これも今回は全く考えておりません。

 私どもとして、事実として申し上げれば、そのようなことを考えたという事実はございませんし、そのような運用というものがいかに有効なものかということにつきまして、私としては全く解は見出せないところでございます。

今川委員 今、石破長官の御答弁の中にありました、これはそれほど私はこだわってしつこく追及するつもりはありませんが、当時、「おおすみ」型の輸送艦の建造計画があったころに、今長官がおっしゃったとおり防衛庁はそういう弁明といいますか説明をしているんですが、イギリスのエアロスペース社というのはハリアー戦闘機を売り込む会社ですから、防衛庁がそういう説明をしても、御希望とあらば四十八時間でスキージャンプ型のフライトデッキを取りつけることが可能であるということをまた反論しているんですね。そのことはそれでいいです。

 それで、やはりこれまで、石破長官、陸海空問わず自衛隊が保有する装備等に関しては、防衛庁としても非常に慎重には慎重を期してそういう装備の導入を図ってきたということを私は認めます。

 もう時間が余りないんですが、例えばF15を導入するときあるいはF4を採用するとき、私は昭和五十三年三月四日付の衆議院予算委員会要求資料というのを今手元に置いているんですが、その中で、例えばF15の場合、「ある程度の対地攻撃機能を付随的に併有しているが、空対地誘導弾や核爆撃のための装置あるいは地形の変化に対応しつつ低空から目標地点に侵入するための装置をとう載しておらず」云々とあります。

 それから、F4の採用に当たっても、次のようにあるんですね。「同機の行動半径の長さを勘案すればいわゆる「爆撃装置」を施したままでは他国に侵略的、攻撃的脅威を与えるようなものとの誤解を生じかねないとの配慮の下に、同機には」いわゆるF4には爆撃「装置を施さないこととしたところであり」云々というふうにあります。さらに、F4の空中給油装置についても、「これを地上給油用に改修した。」これぐらい神経を払い、慎重に装備の採用というのをやってきたということがこれまでの経過としてあるわけですね。

 そういう観点からしますと、先ほど石破長官がおっしゃったような、あるときには海外にいる邦人の輸送であるとか、あるいはPKO等で一度に大量の物資を運ぶことができる、あるいは国内における災害等にも援用できる、そういう理由を並べ立てれば、なるほどそうだとは思います。しかし、これは自衛隊に限りませんけれども、この自衛隊の場合を考えますと、専守防衛的であると同時に、使い方によっては他国に対して攻撃的な性能も有する、同時にあわせ持つことができるということもあり得ると思うんですね。そうした意味で、やはりかつての自衛隊が装備を導入し採用するに当たってのそうした慎重さというのが今はどこに行ったのかなという気がし、ある種の懸念を禁じ得ません。

 さて、いま一つ端的にお尋ねしておきたいのは、例の弾道ミサイル防衛システム、MDの導入であります。

 まず、手続上の問題を一つお尋ねしたいんですが、これまで政府は、このMDに関しては、研究段階、それから開発の段階、さらに量産、配備の段階というふうに、それぞれ段階を踏んで閣議決定をきちっと必要とするというふうにしてきたはずでありますが、今回政府の来年度予算に向けた防衛庁の概算要求に、そうした配備に向けた、これはいわゆるスタンダードミサイル、SM3の問題とPAC3の問題と二段階あると思いますけれども、少なくとも手続上にそごがありはしないかと思うんですが、この点、石破長官、いかがですか。

石破国務大臣 私ども外局でございますので、私どもとして概算要求ができる立場には当然ございません。内閣府として行っておるものでございますけれども、これはまだ政府としての予算というものを取りまとめたものではございませんで、防衛庁、内閣府としての概算要求というのを行っているという段階でございます。

 これは手続上そごがあるかということでございますが、これはそごはございません。私どもとして、政府としての予算決定までこれからいろいろな議論があろうかと思います。私どもとしては先生御指摘のようなものを含みました概算要求というものを行っているという段階でございまして、手続的には何ら問題はございません。

今川委員 いや、今の問題に関しましては、朝日、毎日新聞から読売新聞に至るまで、やはり政治的な手続上の問題ということで非常に問題だというふうに各社社説等で指摘があるんです。

 そこで、もう一つお尋ねしたいのは、これまで政府がアメリカと一緒に共同研究をやってきた、これがこれまでの記事によると、共同研究の分、累計百五十六億円ほど既に使っているということのようでありますが、これまでの日米のそういうMDに関する共同研究と今回政府が導入を図ろうとしているMD導入の間の整合性。

 これは技術的にはまだ未完成だと言われていますね。何か、米国はスパイラル方式とかいって、未完成のまま順次着手をしていって、手を加えながら最終的に完成させるというふうな方式をとっていると聞き及んでおりますけれども、いずれにしても莫大な経費がかかりますよね。

 それで申し上げたいのは、これまで我が国が米国との間に行ってきた共同研究の直接的な延長線上の問題じゃないですね。これまでの研究は続けつつ、なおかつ米国が米本土を含めて配備を前倒し的にやる、そういうこととあわせて、まずPAC3から導入を始めていくということ、その整合性をお尋ねしたいと思うんです。

石破国務大臣 まさしくこの点は私どもきちんと御説明をしていかねばならないものだと思っております。

 これはこれ、それはそれと言っちゃいますと、何か切って捨てたような話でございますが、私どもがアメリカとともに共同研究、現在研究の段階でございますが、しておりますものは、キネティック弾頭ですとかノーズコーンでありますとか赤外線シーカーでありますとか、今アメリカがブロック04で入れようとしているものの先にあるものでございます。先生まさしくスパイラルと御指摘になりましたが、開発しつつ配備をし、配備しつつ開発するという中にあって、将来的により精度の高いもの、より能力の高いものを目指しまして、日米で共同研究をしておるものでございます。これと今回私どもが考えて概算要求をさせていただいているものとは、これは理屈からいえば別のものでございます。

 私どもとして、これから先ミサイル防衛を配備していくということが仮にあったといたしまして、その将来像の中にこの今、日米共同研究というものが入っていくことはあり得ると思っております。これを現在研究いたしておる段階でございまして、物としましては全く別のものでございます。ただ、現在私どもが考えておりますものの延長線上にこれが入ってくるということは、論理的にはあり得ることでございます。

今川委員 これは石破長官、とりあえず、概算要求、約一千四百億でしょう。これも新聞記事だけでは当てになりませんからお尋ねしますが、例えば、SM3の場合は調達費用が一発当たり約二十億円、あるいはPAC3も一発当たり五億円とか報道記事等にありますが、これは確かですか。

 それと、そういう形で導入を図っていきますと、防衛予算、約年間五兆円でしょう。その大半を占めるのは、御案内のように、人件糧食費ですよね。そうすると、石破長官、いいですか。新たな装備をどんどん導入せよという観点からじゃないんですよ。限られた予算の中で、これまで、新しい、今の、現在の中期防計画の、例えば戦車導入とか、いろいろな装備を導入していくことに経費上影響を与えないんでしょうか。

 これが、量産配備という段階に達しましたら、少なく見積もっても一兆円規模の莫大な経費を必要とする。いわば、今防衛庁は中期防計画、その後のまた新たな計画が準備されているんでしょうけれども、そういう従来の経費の枠組みの中で、果たしてこういうMD導入というのは、技術的にも問題があるけれども、経費的に見ても問題を生じないんでしょうか。いかがですか。

石破国務大臣 今回私、新たに小泉総理からこのような指示をいただきました、再任をいただくに当たりまして。それは、テロからの脅威、あるいは弾道ミサイルからの脅威に対応するために、従来の組織や装備を思い切って見直して効率化を図れ、こういう指示をいただいております。

 これは、漫然と今までやってきたものにMDを入れるということになりますと、先生御懸念のようなことが生じるだろうと思っております。我が国に対する危険性あるいは懸念というものは、弾道ミサイルでありあるいはテロであり、いろいろなものが加わっております。それを従来のものに単に乗っけるということではなくて、本当に今の「脅威」、かぎ括弧ですが、「脅威」にふさわしいもの、そして納税者の御負担にたえ得るもの、そういうものをきちんと見直していくことが必要なんだろうと思っております。

 何を見直すかということにつきまして、現在、本当に不眠不休のような状態で、防衛庁内においてあり方の検討というのを行っております。それは、きちんと納税者の前に、議論をある程度は公開するということも必要でございましょう。私は、何をどのように使うのかということは、何を持つのかということも大事ですが、それをどう使うのかという点において政治がどのようにきちんとコントロールをするか、正確な知識に基づいてコントロールをするか、その両面が大事なんだろうと思っております。

 納税者に対する説明責任をきちんと果たしながら、皆様方に御納得のいくような、そしてまた委員の御指摘にもきちんとこたえられるような、そういうようなものを目指しておるところでございます。

 今後ともよろしくお願いを申し上げます。

今川委員 もう時間が参りましたのでこれで終わりますが、石破長官、このMD計画に関しましては、もう時間がありませんから一言だけ言わせていただきたい。

 少なくとも、アメリカの軍需産業の側からしますとそういういわば軍事ビジネスみたいなものに、軽々に乗ってほしくない、そのことだけ申し上げて、質問を終わります。

田並委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉でございます。皆さん、憲政史上初めての七時十分からの委員会、御苦労さまでございます。

 早朝でございますけれども、新しい情報を得ましたので、この確認からさせていただきたいと思っております。

 この十七日にブッシュ大統領が来日し、そして二十三日からイラクの復興支援会議があり、だんだん我が国のイラクへの対応策を明らかにしなければいけない時期になってきたと思うんです。そこにありまして、十人の政府調査団、これがイラクに現在赴いておられるわけですけれども、この帰国予定が三日から延期された、このことを伺っておりますが、長官、これはいかがでございましょうか。

石破国務大臣 これは、内閣官房がお答えするのが適当かと存じます。私、現在の立場で、いつ帰国が決まったというようなことにつきまして正確な知識を持ち合わせておりません。恐縮でございます。

前田委員 これは、三日の帰国予定、もともと大体決まっておりまして、それが延期された理由。

 北部にモスルという都市がございます。ここは、七月の末には米駐留軍のサンチェス司令官が、北部のモスルや南部のバスラは治安が保たれている、こういう認識を示されておりまして、自衛隊の派遣先としてイラクの北部が有力視されていたわけでありますけれども、しかし、八月以降、このモスルは、非常に米軍への攻撃が激しくなっている。実際に、この二十四日には映画館に手りゅう弾が投げられる、あるいは、二十五日に米軍の車列に計画的な攻撃が加えられる、非常に危険な地域になっています。

 このモスルに、米軍から、アメリカから陸上自衛隊に五十人規模の派遣を要求された。慌てて十人の調査団は、このモスルで対応可能なのかどうか今現在調査に当たっている、そういうことじゃありませんか、長官。

石破国務大臣 要求されたというような事実は、私が知る限り一切ございません。アメリカ合衆国が他国に対しまして何々をやれというようなことを要求することは、これは委員もコアリションというものがどういうものか御案内かと思いますけれども、そういうようなことは全くございません。

 そしてまた、モスルにおいていろいろなことの調査をしているということにつきましても、それは、私としては承知をいたしておるところではございません。

 いずれにいたしましても、イラクの中でどのようなニーズがあるのか。あるいは、治安状況がどうであり、そしてまた、どのような装備が必要なのか。そしてまた、我々がそれに、治安状況に応じて行動するためにはどのような装備がこれまた必要なのか。ニーズに対応する装備、あるいは治安状況に対応する装備、そのほかのいろいろなことを多面的、多角的に調査をするというのが今回の調査団だというふうに承知をいたしておりまして、特定のことについて深く掘り下げてというようなこと、ましてや、それが要求を受けてというようなことではございません。

前田委員 派遣される自衛官の命がかかっていることであります。やはり具体的に、どのような形で、どのようなところで調査をし、そして、今の調査団が実際に本当にモスルで調査をされているかどうか、この点はどうですか。

石破国務大臣 これは、私の所掌でお答えをできる範囲というのがございますので、その点は御了解いただきたいと思います。

 私が承知をしております限りでは、どの地域においてどのようなことをということは、これは申し上げないということでございます。それは、調査団の安全ということがございます。そういうことも踏まえまして、いつ帰るのかというお尋ねもございましたが、そういうこともあわせまして、いつ、どの地域で、どのようなことをやっているということをお答えするということは、差し控えさせていただきたい。

 しかし、委員がおっしゃるように、まさしく自衛官の命がかかっておることでもございます。これは、戦闘地域か非戦闘地域かなぞという、憲法九条をきちんと満たしているか満たしていないか、憲法九条二項の趣旨をイラク特措法で具現化したものが非戦闘地域という概念なのでございまして、問題は、イラク特措法九条に書かれている、防衛庁長官が派遣される隊員の安全に配慮しなければならないということを満たしているか満たしていないかということがまさしく議論なんだろうと私は思っていますが、その点から考えましても、自衛官の安全に、それは自衛官の能力、装備をもってして安全という意味で申し上げているのですが、そこに最大限の配慮をする。

 そのための調査というものを、どこでいつということは申し上げられませんが、行うべきことは当然のことでございます。

前田委員 ということは、モスルでの調査を否定されていませんね。どうですか、長官。

石破国務大臣 そのようなことは申し上げることではないということを言っておるのであります。

前田委員 実際に、北部のこのモスルという都市、非常に私は、治安が今乱れている、米軍も治安維持に躍起になっている地域であると思います。ここはもう非戦闘地域ではないと私は考えます。非戦闘地域か戦闘地域か、この区別をという前に、もう既にそういうことが迷うような状態である地域ならば戦闘地域ではないか、そう思いますが、このモスルは非戦闘地域と考えられますか、長官。

石破国務大臣 憲法九条第二項というものを具現化したものがイラク特措法における非戦闘地域だということを申し上げました。委員も御案内のことだと思いますが、憲法九条二項において禁止をされておりますのは、国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇または武力による行使であり、そしてまた、戦闘行為というのは、国または国に準ずる組織による組織的、計画的な武力の行使ということに相なっております。

 今のモスルがそういうような状況なのかどうかということにつきまして、この場所でお答えすることはできません。私も見てきたわけではございませんし、調査団の報告を受けているわけでもございません。いずれにいたしましても、非戦闘地域でなければ自衛隊は活動しないということだけは確かでございます。

前田委員 モスルでの調査の有無も否定されない、また、非戦闘地域かどうかという判断も示されない、戦闘地域ではないと言い切ってはおられないわけでありますので、この辺に、これから我が国のイラクへの自衛隊派遣が明らかにされていく段階で、私は今非常に重要な時期に差しかかっていると思うんです。

 実際にまた、この地域に我が自衛隊が派遣される、私は七月の中旬に、自衛隊が派遣されれば犠牲者が出る、その犠牲者の我が国への搬送オペレーションについての検討がもう防衛庁の中であったということを伺っております。C130で犠牲者を我が国に搬送すれば非常に時間がかかる。だったら、民間機を使ってイラクで犠牲になった自衛官を我が国へ搬送する、そういう方法があるのである、そういう検討が行われているというふうに伺っておりますが、長官、いかがでございますか。

石破国務大臣 そのような事実はございません。

前田委員 これは、私は思うんですけれども、我が国の本当に大義をかけて行かれる自衛官の皆さんでございます。私は、命、非常に重いものであると思いますので、もしもの、万が一のことに備えて、当然こういうことも考えていかなければいけないことだと思っております。非常に緊迫した対応がこれから必要になってくるときでありますので、十分慎重に御対応いただきたいと思っております。

 質問を先に進めさせていただきますけれども、実際、イラクへの自衛隊の派遣、どういう段階を踏まれるのか、九月の十二日に茂木当時の外務副大臣が都内の講演の中で、自衛隊のイラク派遣について次の三段階を示されておられます。第一に現地警察への通信機材の提供、第二に航空自衛隊による物資輸送、第三に陸上自衛隊の派遣である、こうこの三段階を示されておられましたけれども、防衛庁長官もこの三段階をお考えでございましょうか。具体的にお答えいただきたいと思っております。

石破国務大臣 これは、茂木副大臣は、イラクにも行っておられるわけでありますので、それなりの知見に基づいて御発言になったものではないかと推測をいたしております。しかしながら、政府といたしましては、茂木大臣の行ってこられた知見も踏まえ、なおかつ、現在調査団が出ておる最新の情勢把握も踏まえました上で、ニーズ、あるいは装備、あるいは治安状況等々勘案して決するものでございます。

 現段階におきまして、まず第一に警察への通信機材、第二に空自による物資輸送、第三に陸上自衛隊の派遣というようなことを現在具体的に検討しておるというようなことは、調査団も帰ってきていない段階でそのようなことを検討しておるというような事実はございません。

前田委員 実際、現地は酷暑であり、砂ぼこりに耐えられるような装備、この改修が必要であると思います。また、部隊の訓練などに最低でも三カ月は必要である、私はそう思いますけれども、事実上、陸上自衛隊のイラク入りは、現実的に年内不可能ではないでしょうか、長官。

石破国務大臣 それは、どこで何をやるかによります。イラクの気候というものも、地域によって、日本よりもはるかに広い国ですから、日本で考えられることがそのまま当てはまるとは限りません。そしてまた、訓練も、何をやるかということによります。ですから、年内かどうかというようなことをきちんと申し上げられるだけの材料がございませんので、できますともできませんとも、そういうことは申し上げられません。

 しかし、これはもう先生もよく御案内のことで、つとに御指摘をいただくことでございますが、不十分な装備や不十分な訓練のまま我々の自衛隊を出すということは、国家のためにも自衛隊のためにも、そしてまた国際社会のためにも、私はあっていいことだとは思っておりません。行くからには、十分な情勢把握に基づきますきちんとした装備、きちんとした訓練、それを持って行くのが当然のことであるというふうに思っております。

前田委員 もうこの十七日にブッシュ大統領が実際に見えるわけですよ。もう二週間しかないわけですよ。そのときになって、今から十分な訓練、十分な判断と言われても、これはどうやってその対応をされるんですか。現実的に、陸上自衛隊の派遣は無理じゃありませんか。長官、再びお願いします。

石破国務大臣 それは、御質問の趣旨をちょっとよく理解をいたしかねますが、ブッシュ大統領が十七日にお越しになる、そこでブッシュ大統領が何をお話しになるのか、そういうことは全くわかっておりません。わかっていない段階で、それは無理であるとかないとか、そのようなことはお答えできません。

 ブッシュ大統領が本当に何をおっしゃるのか、そういうことはわかりませんし、これはきのうの予算委員会でもあった議論でございますが、それでは幾ら出せとか、あるいは自衛隊を派遣させろというようなこと、そういうことをおっしゃるというような仮定に基づいての御議論だとするならば、それはその仮定につきましては、私どもとしては知らないとしか申し上げようがありません。

 我々は、当然、これは合衆国とも認識を共有しておることでございますけれども、法律に基づいて、日本の主体的な判断として何を行うべきかということを真剣に考えておるわけでございまして、ブッシュ大統領がおいでになるからどうのこうのということと、私どもの行動というものがそのままリンクをして議論をされるということは、私は必ずしも適切ではないと思っております。

前田委員 実際、政策担当責任者として、これはそんな悠長なことを言っておっていいんでしょうか。しっかりと準備だけはしていかなければいけないと私は思うんですけれどもね。

 では、先に進めますけれども、今度は外務副大臣に私は伺います。政経塾の先輩でございますけれども、あえて質問させていただきます。

 イラクに実際に自衛隊が派遣された場合に、これは日本の戦後初めての地上部隊の海外での展開ということになるわけでありますので、当然、東アジア情勢にも影響を与えると考えます。とりわけ、北朝鮮の核開発阻止、拉致問題解決を我が国の国益と考える上で、東アジアの三国、中国、北朝鮮、韓国、この反応をどう予測されておられますか。

逢沢副大臣 委員御承知のように、イラク特措法による自衛隊の派遣は、イラクにおける国の復興あるいはまた人道支援に関する安保理決議一四八三に基づくオペレーションであることは御案内のとおりであります。その活動を通じて国際の平和及び安全を確保しよう、その目的を立てて我が国が主体的かつ積極的に実施をするということでありますので、決してアジア及び周辺諸国に懸念を抱かせる、そういう性格、性質のものではないということを申し上げておきたいと思います。

 なお、法律の審議の過程あるいはまた作成の段階から、中国や韓国及び周辺諸国に随時その意図、趣旨、目的というものを細かく、また正確に説明してまいっております。基本的にそのことは理解をいただいているものと私どもとしては承知をいたしております。

前田委員 具体的に三国がどういう反応を示されるか、その予測を私は伺っておるのですけれども、いかがでしょうか。

逢沢副大臣 中国あるいは韓国、歴史をひもときますと、例えば十年前、PKO法を審議いたしました。確かに、歴史的な経緯もございまして、懸念も表明をされた。しかし、その後の日本のPKOにおける活動、これは内外から高く評価をされておりますし、また、韓国や中国も多くの地域、国のPKOに実際に参加をしている。そういう経験をお互いが積んできたわけであります。

 確かに、中国の江沢民主席は、アジアの人々の心の中にはいささかの警戒感があることを覚えておいてほしい、その一言の言及があったということは報告を聞いているわけでありますけれども、その他のことにつきましては、PKO法の経験あるいはまたテロ特措法の経験、そういう積み重ねの中に大変信頼が醸成をされておるというふうに私どもは承知をいたしております。

前田委員 私の質問時間は過ぎましたけれども、民主党の時間を使わせていただいて、継続させていただきます。

 次に、復興支援。

 当然、日本の財政的な貢献、これがこれからの問題になってくるわけでありますけれども、十七日に米大統領が訪日の折に、あるいは二十三日からのイラク復興支援会議、ここで日本政府として当然、どのぐらいの規模で支援をするのか、その額面を明らかにしていかなければいけない時期に来ていると思うんですね。当然また、それには国民の皆さんの御理解をいただかなければいけないと思っております。それには、もう早くからきちんとした説明をしていただきたいと思っておるんですね。

 二十四日にアーミテージ米国国務副長官が明らかにしていますように、米政府が二〇〇四年度の補正予算に盛り込んだ約二百億ドルに加えて、実際に数字で三百億ドルから四百億ドルの復興費の見積もりを明らかにしております。上限こそ、五百五十億としていた従来の上限から下方修正されておりますけれども、莫大な額の復興支援費になると思います。

 九一年の湾岸戦争や二〇〇一年のアフガニスタン掃討作戦での国連の分担金比率の二割が日本の負担率になる。そう考えますと、八十億ドル、約九千億円の負担がこの日本に求められる可能性が非常に高い。とすれば、この九千億円をどうやって負担するのか。ODA予算か、予備費でもこれはおさまるところはないと思いますね。額面をどのぐらいに考えられているのか。従来、漏れ聞こえるところによれば、外務省の高官の皆さんは、数十億ドル規模になる、そうおっしゃっておられますけれども、実際にどのぐらいの額面になるのか、また財源をどこに求めるのか。

 当然、イラクには石油収入がありますので円借款も考えられますけれども、返済する責任政府が今現在ないわけでありますね。とすれば、円借款もだめ。だったら、無償の援助が中心にならざるを得ないのではないでしょうか。

 額面の規模をどのように外務副大臣はお考えになるのか、あるいはその財源をどこに求められるのか、御答弁いただきたいと思います。

逢沢副大臣 イラク復興に必要な資金の額、あるいはまたどういう拠出の仕方になるのか、そのことについて現段階で政府としてどう考えているのか、それを示せという御質問でございます。

 委員御承知のように、実は、本日、マドリードにおきまして次官級の準備会合なるものが開かれるわけでありまして、我が国からは外務省の藤崎審議官がきょうそれに出席をいたします。どういった準備会合の中身になるか、私どもとしても大変注目をいたしているわけでありますが、それを踏まえて、マドリードにおける本会議、今月の二十三日、二十四日に開かれます本会議の具体的な準備に取りかからなくてはならない、そのように承知をいたしております。

 したがいまして、今の段階で、貢献額の規模あるいは内容また財源等につきまして正確にお答えができる段階ではないということを申し上げておきたいと思います。

 もちろん、私どもといたしましても、マスコミ、新聞紙上等でいろいろな数字が飛び交っている、そのことは承知をいたしておりますし、アメリカも二百億ドルの計上をするという報道にも接しているわけでありますが、全体としてそういうことを今整理いたしているところであります。

 また、先ほど委員は、日本の貢献のウエート、割合、二割というものが一つのメルクマールというふうに表現をなさったわけでありますが、例えばアフガニスタンの復興支援につきまして、日本は二年半で最大五億ドルという金額を提示し、既に四億四千万ドルは拠出をいたしているわけでありますが、これは、全体の四十五億ドルのウエートからいたしますと、約一一%ということでございます。

 さまざまな国際における復興支援、もちろん日本も積極的にコミットしてきた経緯があるわけでありますが、そのウエート、割合につきましては、二割あるいは二割前後が定着しているものでは必ずしもないということを御報告申し上げておきたいと思います。

前田委員 では副大臣、外務省高官が今まで新聞等で言われていました数十億ドル規模という支援額については否定されませんか。

逢沢副大臣 先ほど申し上げましたように、確かにイラクの復興支援、かなり大きな金額、巨額が全体としてかかるという認識は持っているわけでありますが、果たして日本がそのどのくらいを負担するかということについて、もちろん政府部内の検討はさまざまなレベルで行わせていただいているわけでありますが、今、その金額の規模について言及をさせていただく段階ではないということを、恐縮でありますけれども重ねて申し上げておきたいと思います。

前田委員 とにかく、もう時間がないところにまで迫っていると思います。ですから、防衛庁長官も外務副大臣もきちんと御対応いただけるように、また慎重に自衛隊のイラク派遣については御対応いただきますようにお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 以上です。

田並委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 まず冒頭、職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、若干関連してお尋ねをしたいと思います。

 数年前だったでしょうか、神奈川県の玄倉川といいましたか、川でキャンプをしている子供を連れた家族連れ数グループが、増水して、取り残されて、不幸にも小さい子供が犠牲になったというような事件がありました。このとき、私の地元でもありました御殿場の駐屯地から捜索に出かけたんですけれども、本当に痛ましい事故でありました。

 そのときに、後で当時の方に聞いたんですけれども、日の出から日没までというふうに言われながらも、日没過ぎてもサーチライトを当てて、とにかくその亡きがらを、まあ生存者がいればよかったんですけれども、本当に捜された。最後の一人の小さな子供が見つかったときは、まさに、若い隊員が、同じ年ごろの、生まれたばかりの間もない自分の子供と同じような子供の亡きがらを見つけて、本当に涙をしながら手を合わせて懇ろにあれされたというようなことを聞きました。

 例えばこうしたところに派遣される隊員の方々、日の出から日没までとはいいながらも、サーチライトを深夜まで当てて、とにかく純粋な使命感とその責任において努力をされたんです。そういう話は、この問題に限らず、ことしの夏、九州でも水害がありました。

 こういう方々の手当というのは、私は、ほかの方々と比較をして、防衛庁当局にも伺いましたけれども、例えば警察でありますとかあるいは都道府県の職員でありますとか、こういう方々に比べると、手当は、まあ階級にもよりますけれども実は低いんですね。もちろん金額の高い低いということが問題ではないんですけれども、ただ、私はこの方々のお話を聞いていると、本当に、何時から始まって何時に終わるなんというすぱっと切れるものではなくて、本当に若い純粋な隊員たちが一生懸命泥まみれになって汗をかいて、台風災害、土砂災害、あるいはこういう幾つかの不幸にして起こった災害に対して取り組んでいらっしゃる。

 ぜひ、長官、私は、金額がどうこうということではありませんけれども、ぜひこういう隊員たちの思いに耳を傾けていただいて、また、その現場に行かれる方々にはぜひ直接激励をいただきたいと思うんです。

 どうしても自衛隊の方々、国防が第一義とはいいながら、災害出動に出られる方がいます。当然だというふうに国民は思っています。ところが、この方々は少ない手当の中で、一生懸命見えないところで努力されているんですね。ぜひ、そこに対して、長官、現場に行って、これから、もちろん選挙戦もありますが、長官は安泰だと思いますので、長官に、この後また留任されて、ぜひそういう若い現場の隊員たちを私は激励していただきたいと思うんです。

 そういうことは、長官、御自身として認識していらっしゃいますか。

石破国務大臣 先般、私は、災害の視察ではございませんが、帯広へ行ってまいりました。そのときに、先般の地震でも、本当に、あそこの第五師団帯広駐屯地初め、大変によくやってくれたという感謝のお言葉を市町村長さんの方々からいただきました。私もできるだけ全部回りたいのです。ただ、それは国会もございますし、いろいろ難しい。

 私は、心がけておりますのは、とにかく、災害派遣で、先生おっしゃるように、日の出から日没までどころじゃなくて、日の出前から日没後までみんなやっているわけです。とにかく現場の司令には電話は入れようということは必ずやっております。疲れた人間がどれだけいるか、本当に、倒れちゃった人間がいないか、倒れる人間が出ても不思議じゃない状況であります。とにかく司令には必ず私が直接電話を入れる。本当にみんなによろしく伝えてくれ、そしてまた、市町村長さんたちが本当に感謝していてくれた、本当に頑張ってくれよということは申し上げる。それは、私はやるべきことだと考えております。

渡辺(周)委員 私は、どこのだれと比べて何がし高いとか低いとかいう金銭的なものではないと思うんですね。ですけれども、その心意気に対して、やはり私は、政府の首脳が目線を同じにして激励をしてやっていただきたいな、激励をしてやってなんて言うといけませんね、激励をしていただきたいなと思います。

 また、手当の多い少ないじゃありませんけれども、ぜひ、正当な、活動に見合うだけの、賃金にも含めて、私は、持論は、痛みを伴う改革はまず税金を使う官僚、公務員、政治家の側からだと思っています。特に、税収が少なくなれば、それに見合った形で、当然公務員給与が下がる、あるいは政治家も今、国会議員も歳費一〇%カットしていますけれども、それは当然だと思います。しかし、そういう努力をされている方々には、やはり見合うだけの何らかのことも考慮に入れていただきたいなというふうに私は思います。

 これは持論でございますので答弁は結構ですが、もう残り時間があと五分でございますけれども、ぜひ、そういう点については防衛庁としてどう考えていらっしゃるのか。これは、きょう、参考人来ていらっしゃいますか。何か、一言で。

小林政府参考人 これからも、いずれにしましても、自衛官の給与につきましては手当の充実に努めてまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 大変簡潔な答弁で、まあいいんですけれども。時間もありませんから、これはまた私も首尾よく当選して帰ってきたら、またきっと安全保障委員会でこのことをやりたいと思います。

 もう時間もありません。この後、参議院の予算委員会があるというふうに聞いていますので、私の質問時間はちゃんと時間を守りますが、防衛庁長官にお尋ねしたいんですが、副長官にもお答えいただきたいと思いますけれども、ずっと防衛論議、安全保障論議をする中で、例えばミサイル防衛でありますとかイージス艦の配備ですとか、いろいろな防衛政策に対する議論は何回も繰り返されてまいりました。私は、幾らの多額の予算をかけてどういうことをすればというような議論をもちろん私自身もしてきたつもりでありますけれども、問題はこの質の部分、例えば、本当に国防に携わる方々をどう教育するか。昨日のテロ特でも申し上げました。ちょっと私も外務大臣の答弁を聞いて逆切れしたので、頭が真っ白になって質問を続けることができなかったんですけれども。

 やはり例えばインテリジェンスの部分において、これはもちろん外務省や内閣官房とも連携してやるべきことだとはよくわかっていますけれども、ぜひとも日本の国防にかかわる方々、例えば防大の方々もそうです、防衛研究所もそうですけれども、この質を高めるということについてはどうされていくのかということについて、これは長官なり副長官の、ぜひこの日本の国防に当たる方々の質の向上、あるいはこれがどうあるべきかということを、限られた時間内でお答えをいただきたいなと思います。

石破国務大臣 これは、個々の要員は相当にレベルが高いと思っているんです。そしてまた、海外に出ております駐在官にいたしましても、本当にいい情報というものをいろいろな手段でとってまいります。

 要は、その人たちをどのように継続的に育成し、そしてまた、その人たちの処遇をどうするかということをきちんと考えませんと、例えば防研の職員も、定年が来たらおしまいだ、そこから先の再就職は自分で探せというようなことになってくる。あるいは、早くどこかへ行って大学の先生になりたいというようなことではだめなので、特に情報分野というのは、そのことがすごく地味なわけですよね。再就職というのは引く手あまたというわけじゃないわけですよね。その人たちが地味な仕事、そして、千ぐらいある情報の中で役に立つというのは本当に五か十ぐらいしか役に立たないわけで、ほとんどはだれにも目に触れない地道な作業なわけです。彼らのそういうような人生設計というのかしら、それに報いるようなのは何があるんだということを考える必要があるだろうと思っています。

 それから、人員は今のままで十分なのか、予算は今のままで十分なのか。我々の防衛駐在官のあり方を外務省との間で先般見直しましたけれども、これで本当にいいのかどうか、外国に比べてどうなんだ。確かにECHELONがどうのこうのという議論がありました。我々として持てるものも持てないものもございます。すべてのものを持つということはできません。しかし、今ある中で本当にこれで十分なのかという議論は、今後とも委員とこの場でさせていただければ私としてはとても幸せでございます。

浜田副長官 今長官がおっしゃったとおりでございまして、我々とすれば、当然質の向上というのは常に組織としてなければいけないと思っております。ただ、今足らざるところ多くあるわけでございますので、その点も含めて議論をさせていただきたいと思っております。

 一つだけあるとすれば、やはり優秀な人材を育て上げるには、それなりのコストと時間がかかるということは事実でございますので、いろいろな議論も含めて今後させていただければと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

渡辺(周)委員 日本には、経済や金融のシンクタンクがたくさんあります。安全保障や外交戦略に関するシンクタンクというのは、残念ながら知っている限りでも少ないんですね。ぜひその点については、そうした分野にいた方々が、民間の相談役や顧問になることもあります、ジャーナリストになることや大学教授になることもありますけれども、ぜひそういう方々の働き場として、私は、防衛や外交戦略のシンクタンクというものをこれから本気で考えていくことがあるだろう。そのことを私は常々思っていましたことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

田並委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田並委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛庁職員給与法一部改正案に対し、反対の討論を行います。

 本法案は、一般職の国家公務員の例に準じて、裁判所職員や国会職員などと同様、特別職たる防衛庁職員の給与の改定を行うものであります。

 人事院は、今年度の一般職国家公務員の給与について、二年連続で俸給表の切り下げに踏み切り、期末手当等を〇・二五月分引き下げるという、労働基本権制約の代償措置としてのみずからの役割を放棄する、過去最大のマイナス勧告を行いました。

 これに基づき、一般職給与法の改定とその特別職への準用を行う結果、すべての国家公務員の年収が五年連続で引き下げられることになります。

 このような国家公務員の給与引き下げの一環をなす本法案には、反対であることを表明して、討論を終わります。

田並委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田並委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田並委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田並委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田並委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前八時五十二分散会




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