衆議院

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第5号 平成16年3月25日(木曜日)

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平成十六年三月二十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小此木八郎君

   理事 岩屋  毅君 理事 小島 敏男君

   理事 高木  毅君 理事 仲村 正治君

   理事 大石 尚子君 理事 長島 昭久君

   理事 細野 豪志君 理事 赤松 正雄君

      赤城 徳彦君    大前 繁雄君

      嘉数 知賢君    川崎 二郎君

      瓦   力君    北村 誠吾君

      佐藤  錬君    中谷  元君

      林田  彪君    古川 禎久君

      山口 泰明君    青木  愛君

      大出  彰君    小林 憲司君

      佐藤 公治君    西村 真悟君

      前田 雄吉君    松本 剛明君

      渡辺  周君    遠藤 乙彦君

      御法川信英君

    …………………………………

   国務大臣

   (防衛庁長官)      石破  茂君

   防衛庁副長官       浜田 靖一君

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  堀内 文隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  貞岡 義幸君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    瀬川 勝久君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   河尻  融君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   松谷有希雄君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君

   政府参考人

   (消防庁次長)      東尾  正君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 齋木 昭隆君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)  上田  茂君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 杉山 篤史君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 矢部  哲君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

小此木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官堀内文隆君、内閣官房内閣審議官貞岡義幸君、警察庁警備局長瀬川勝久君、防衛庁防衛参事官河尻融君、防衛庁防衛参事官松谷有希雄君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長西川徹矢君、消防庁次長東尾正君、外務省大臣官房審議官齋木昭隆君、外務省北米局長海老原紳君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官上田茂君、国土交通省鉄道局次長杉山篤史君及び国土交通省政策統括官矢部哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小此木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川禎久君。

古川(禎)委員 おはようございます。自由民主党古川禎久でございます。

 まず冒頭に、昨日、我が国の固有の領土でありますところの沖縄県魚釣島に中国人七名が不法に入国をいたしました。これを即逮捕いたしましたけれども、昨夜遅く、駐日中国大使武大偉がこれに抗議をするという旨を伝えられたということを新聞報道で読みました。

 これは、本来日本の固有の領土であります領土を不法に侵しておりながら、さらにこのような主張をされるということに対して、非常に遺憾の意を表しますとともに、立法府の一員として抗議をさせていただきたいと思うわけであります。

 ドゴールも言っております。国境を守れない政権というものは、どのような政権であっても正統性を失ってしまう、国家は国家たり得なくなるということを言っております。

 ここ数年来、北朝鮮による拉致問題が明るみに出、そしてこれが国民の間に広く浸透するところになるに従いまして、主権が脅かされるということに対する日本国民の感情も非常にナーバスになってきておろうかと思います。その意味でも、主権の一つを構成する領土をきちんとした、毅然とした態度で断固としてお守りいただきますように要望いたしたいと思いますし、政府としてとられた毅然たる態度に対しまして、私もこれを支持したいと存じます。

 この点につきまして、大臣の御見解、コメントをお願いしたいと存じます。

石破国務大臣 防衛庁長官としてお答えすることが適当かどうかはわかりませんが、私は基本的に先生がおっしゃったこと、そのとおりだと思っております。

 我が国はとにかく法治国家でありますから、法にのっとって厳正に対処をするというのは当然のことであります。我が国は人治国家ではございませんで法治国家でございますので、法に抵触をするということがあれば、断固としてこれに対処するということは当然だと思っております。

 尖閣が我が国の固有の領土でありますことは、るる政府として明らかにしておるところでございますし、領土を侵されるということは、先生御指摘のとおり、主権の侵害以外の何物でもございません。政府といたしまして、今後とも、法にのっとって断固たる厳正な処置をとることが国としてあるべき態度だというふうに考えておる次第でございます。

古川(禎)委員 ありがとうございました。

 断固たるお言葉をいただきまして気も静まりましたので、それでは早速、本日の議題となっております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして二、三質問を申し上げたいと思います。

 先週、三月十九日に、国連東ティモール支援団のカマレシュ・シャルマ事務総長特別代表を本委員会におきまして参考人としてお招きをいたしまして、御意見を伺いました。その際、特別代表は、我が国そして我が国の自衛隊の貢献に対して心からの謝意を表しておられましたことに対しまして、私もまた、大変感激をし、感謝の意を表したいと思っております。

 シャルマ代表がおっしゃいました言葉を引かせていただきますと、日本の自衛隊の施設部隊がなされました貢献というのは、これは大変立派なものがありまして、私は敬意を表したいと思います、ちょうど私が安保理事会で発言したときに敬意を表したと同じように、ここでもその敬意を表しますと述べられた上で、我が自衛隊の具体的な貢献した事項としまして、空港、港湾、そして九十七路線に及ぶ道路改修及び工事機材の提供、上水道の整備、農業かんがいへの協力、漁業管理に関する訓練、浜辺の美化、植林活動、公園の建設、サッカー場の建設、教育研究、学校、職業訓練センターの建設、孤児院や幼稚園への支援、場合によっては音楽のレッスンまで、そして職業訓練と、実に幅広く、微に入り細に入り、我が国の自衛隊が現地のために一生懸命汗をかき、それに対する感謝の言葉を述べられました。

 私も一日本人としまして、自衛隊の皆さんの活躍に対しまして心から敬意を表したいと思いますし、さすが日本の自衛隊は優秀だというように誇らしく思っておるところであります。

 さらに、シャルマ大使は、遠藤委員の質問に対しまして答える中で、PKOというものは概念として少し進化をしてきた、PKOというのは、国家建設、ネーションビルディングというような分野にも入ってきているというふうに認識されていると思います、何とならば、どんなに平和を維持したとしても、そこに持続可能性あるいは耐久性というものがなければ、せっかくつくったものもそれは持続しないわけでありますと述べられまして、国際社会の平和と安定を守るためにこの自衛隊が今行っておるPKO活動というものの意義、その値打ちというものを明らかにしてくださいました。

 現在の防衛計画大綱におきましても、防衛力の果たす役割としまして、まず第一に「我が国の防衛」、そして「大規模災害等各種の事態への対応」、そしてさらに「より安定した安全保障環境の構築への貢献」というふうに明確にうたわれております。

 先般、イラクの人道復興支援にも、支援活動に陸海空各自衛隊が現場に行っておることでもあります。こうして、今、きちんと国際協力活動が我が国自衛隊の重要な任務の一つとして位置づけられ、それが広く認知をされてきたように思っておるわけであります。

 この際、私は、こうして厳しい環境にあって現場で奮闘しておられる自衛隊が評価され、その活躍が正当に顕彰されるべきだ、評価されるべきだと考えておりまして、そのような意味で改めてお尋ねしたいんですが、現在、いかほどの人員、装備が海外にて展開をしておるか。テロ対策特措法に基づいての協力支援活動、東ティモール、ゴラン高原の平和協力業務、それからイラク、今の時点でいかほどの人員と装備が展開をしておられるのでしょうか。これは、この際、国民の皆様にもこれだけの人たちが海外で頑張っているんだということを知っていただきたいという思いを込めまして、お尋ねいたします。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、国際貢献等で海外に派遣されております自衛官のまず総数でございますが、二千三百名でございます。

 この内訳につきましては、先生が先ほど御指摘いただきました国際平和協力法の分野では、東ティモール、ここに陸上自衛隊員約四百十名入っております。それからゴラン高原には陸上自衛隊員等、これは約五十名が派遣されておるところでございます。なお、ここにおきます装備は、機関銃あるいは小銃等を持っていっております。

 それから、イラク人道復興支援特措法に基づきまして現在派遣されております部隊といたしまして、陸上自衛隊におきまして約六百名弱でございます。そして海上自衛隊、これは現在こちらに帰国途上にございますが、約三百三十名でございます。それから、航空自衛隊員が約二百名。こういう数の自衛官が派遣されておりまして、その主要装備につきましては、陸上自衛隊は、装輪装甲車、軽装甲機動車等の車両等々、それから海上自衛隊にありましては、護衛艦の「むらさめ」及び輸送艦の「おおすみ」、それから空自にありましては、C130を三機、現在も行っております。

 それから、テロ対策特措法に基づきましては、海上自衛隊員約七百二十名、これが現在派遣されておりまして、現在向こうで活動しております艦船につきましては、護衛艦「みょうこう」「さみだれ」及び「とわだ」、そして補給艦の「ときわ」が派遣されておるところでございます。

 以上でございます。

古川(禎)委員 ありがとうございました。

 もう実に二千三百余の人員と相当の装備をもちまして、我が国が一生懸命外国のために、ひいては我が国のために頑張ってくださっているということだと思います。

 さて、昨年末でしたか、ハリウッドの映画で「ザ・ラストサムライ」という映画がありまして、私も時間を縫って早速見に行ってまいりました。これは、もう一見してわかるとおり、西郷隆盛の西南戦争をモチーフにしておろうかと思いますが、西郷信奉者の私としましては、いま一つ描き切っていないなという個人的な不満はありますけれども、それはさておきまして、私が大変驚きましたのは、見終わりまして映画館から出てくる人たち、老若男女いっぱい行ったんですけれども、若い人たちが泣きながら、感動したと言って、たくさん出てくるさまに驚きました。

 これは、恐らく、その映画を見た方は感じ取られたと思うんですが、そこで描かれているところの日本人の、あるいは日本民族の精神性といいますか、死生観であるとか、いわば神秘性といいますか、そういう日本人らしさ、日本の精神文化というようなものを、改めて、ハリウッドの映画を通じて気づかされたんじゃないだろうか。今まで気づかなかった自分自身に対して映画を通して気づかされた、それに対する感動があのような涙になっているんじゃないかなと私は勝手に解釈をいたしたんですけれども、私は、その「ラストサムライ」でも描かれておりますとおり、日本の独自性、日本文明の固有性というものに対して大変自信と誇りを持っております。

 文明史観というものについて、学者さんの世界でいろいろな研究もなされておりますけれども、日本文明というものがあるならば、これは、西洋文明でも、アジア文明というような一言でくくれるものでもない、日本固有の独自の文明観、精神文明というものを持っておると思っております。そして、かつて日本に訪れましたアインシュタイン博士がコメントをされましたように、いずれ世界人類がさまざまな紛争に疲れて、行き着くところまで行ったときに、それを調整し得るのは日本民族しかないだろうということを予言として言っておられます。

 和をもってとうとしとなせという言葉であらわされますように、この日本の調整力、どこの世界の文明圏にも属さない、そして、それの間に立って調和をもって調整をし得る文化、文明、精神文明を持っているのは我が日本民族ではなかろうかと私は思っておりまして、そのような中で、我が自衛隊が海外に、本当に、今シャルマ大使の言葉を引きましたけれども、さまざまな分野で現地の人のために一生懸命尽くす姿というものは、必ずや世界から評価をされて、そして感謝をされるものだと自負をいたしております。

 シャルマ大使は、赤松委員の質問に答えてこう言っておられます。自衛隊施設部隊について言及をいたしましたが、これは、ただ単に、その専門的な技能ゆえにすばらしいということばかりではなく、東ティモールの人々に対し、共感を持って、また連帯感を持って活動してくださっているということで申し上げたわけでありまして、十分高い評価に値するものでございますと言っておられます。改めまして、このような評価を受ける我が国の自衛隊に対して敬意を表したいと思うわけであります。

 さて、昨年十二月、安全保障会議及び閣議におきまして、「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」が決定されまして、その中で、防衛力全般の見直し方針としまして、一つ、新たな脅威への対応、二つ、国際協力の積極的取り組み、三つ、本格的な侵略事態への配意という三つの柱を立てておられます。

 私は、極めて妥当な方針だと考えておりますが、さて、この決定の中で、ことし十六年末までに新たな防衛計画大綱、そして新たな中期防を策定するということがうたわれております。ことし末といいましても、もう三月も終わりに入ったわけですが、防衛計画大綱、そしてそれに基づいた中期防ということになりますと、時間もさほど残っていないかと思われますが、この新たな策定についての時期的な見通しを大臣にお尋ねいたします。

石破国務大臣 新たな大綱あるいは中期防、中期防の前提として新たな大綱をつくるということでございますが、その経緯につきましては、今先生御指摘をいただいたとおりでございます。

 これを、十六年度ではなくて十六年末でございますから、あと八カ月少ししか残っていないということになりますか。そういたしますと、スケジュール的には、これは概算要求との関係をどうするか、それから十七年度予算との関係をどうするか等々、いろいろとございます。今の段階で、いついつ示せるということを申し上げられるような状況にはございませんが、そのような予算との関係もよく考えながら、議論を進めてまいりたいと思っています。

 これは、当然、防衛庁だけで決める問題ではございませんで、政府全体、内閣として決めるものでございます。

 そこにおきましては、この新しい大綱、すなわち、最初の大綱というのは昭和五十一年にできたものでございます、それが何と平成七年までそのまま続きまして、平成七年で今平成十六年ですが、新しい大綱をつくるに至った理由というのは、つまり、平成七年の大綱というのは、ポスト冷戦というものをにらんで、それなりによく考えられた大綱だったと思っていますけれども、その後、テポドンは飛ぶ、工作船は来る、そしてまた自衛隊が、先生御指摘のように、海外においていろいろな任務を果たすようになった、他方、非常に財政事情が厳しくなっているということもございます。

 平成七年から今日に至りますまでにいろいろなことが起こっておりまして、このことを取りまとめていくに当たりましては、相当広範な御議論が必要であろうと思っております。そういう点から、議論を加速させ、そして広く皆様方の御意見を徴しまして、平成十六年中に大綱が定まるように努力をしていきたいと思っております。本委員会におきましても、いろいろな御議論を賜りたいと思っております。

古川(禎)委員 ただ、ことし末までというような、近々にこれを議論し、策定していくんだというようなことではよろしいわけですね。

石破国務大臣 これは、防衛庁内におきまして、防衛庁のあり方検討というものをずっと、二十数回にわたって会議をいたしております。それは、大臣、副大臣、政務官も入れましてやっておるということでございますが、防衛庁の会議に至りますまでに、それぞれの部局あるいはそれぞれの幕僚監部、いろいろなところで大議論をいたしております。私も、就任以来、一年数カ月になりますが、このことだけで相当、もう何十時間になりますか、百時間になるかもしれません、超えるかもしれません、議論をいたしました。

 近々ということは言えません。それはなぜかと申しますと、総論賛成、各論反対みたいなところがございまして、総論はみんな賛成である、しかし、各論に至りましたときには、やはりそれぞれがそれぞれの合理性を持っていろいろな主張をしますわけで、私は、この新しい大綱をつくるときに、足して三で割るとか足して四で割るとか、そういう手法は絶対とっちゃいかぬと思っているのです。防衛力のあり方を決めますときは、本当にそれぞれの御意見ごもっともで、それではそれぞれ痛み分けにしましょうかとか、愛の共同募金方式でみんながそれぞれずつお金を出しましょうかとか、そんなことは絶対やったらいかぬと思っております。

 したがいまして、議論は加速させます、しかしながら、時期的に近々ということがまだ申し上げられるような状況ではないと認識しています。

古川(禎)委員 わかりました。

 なぜ、そういうことをお尋ねしたかといいますと、今回のこの自衛隊員の定数を変更するための法案、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案は、目前にそういう防衛計画大綱、そして中期防というような大原則が改定されるのであれば、何も今ここで、人員を減らす、ふやす部分もありますけれども、減らす方向で改正をする必要はなかったのではないか、凍結でもよかったのではないかというような思いがありましたので、そのようなことを申し上げたわけです。

 と申しますのは、昨年十月一日、衆議院テロ防止・イラク人道復興支援特別委員会におきまして、長官が、「DDHとイージス艦をどうやってやりくりしていくか、あるいは補給艦をどうやってやりくりしていくかというのが、私どものような相当の船を有しております海上自衛隊においても相当にきついわけでございます。」と答弁されておられます。また、防衛計画の大綱におきましても、「海上における侵略等の事態に対応し得るよう機動的に運用する艦艇部隊として、常時少なくとも一個護衛隊群を即応の態勢で維持し得る一個護衛艦隊を有していること。」というようなことも決められておるわけですけれども、現在優秀な部隊がインド洋を含めて海外に展開をしておるわけですが、こういうときに、我が国の周辺で万が一ということがあった場合に大丈夫なのかなということを素直に私感じております。

 そして、付随的任務ということで、後から後から、この数年来、こういう新しい任務が出てくるわけですけれども、限られた人員でやりくりすることが相当に大変ではなかろうかというようなことを案ずるがゆえに、お尋ねしたわけでございます。

 先ほど教えていただきました人員数も二千三百余り、艦船や車両等機材も相当なものに達していると思います。そういうものを含めて、未来の自衛隊のあるべき姿を展望した上で、当然、この人員というものは決められてくるものだろうと思いますので、その意味で、今回のこの改正案、法律案は、タイミングとしてはいささかずれているのではないかというようなことを感じた次第であります。

 さらに一点、気になりますのは、今の大綱が、これは平成七年に策定されたものだと思います、「平成八年度以降に係る防衛計画の大綱について」ということでありますが、この大綱において定められた水準に移行するために二つの中期防が組まれていると思うんですけれども、平成七年以来もう八年経過した今においても、まだこれが十分移行が進んでいないというような、こういう事態を見ますときに、果たして、今度新たな防衛計画大綱、そして中期防を策定される際、当然、目標年次とか予算の総額ということも決められると思うんですけれども、それがきっちりと、定められた年限内で速やかに、着実に装備が進められますように、そのような御配慮をお願いしたいと思います。

 さまざまな状況の影響等もあろうと思いますが、しかし、事は国家の安全、国の独立、国家の主権と国民の人権を守るための安全保障という重大な任務でありますので、そのためにも、新たな策定をするに当たっては、定められるべき目標年次、そして装備が着実に進められるように御配慮ありたいと希望いたします。

 その点につきまして、大臣に。

石破国務大臣 これは、白紙的に申し上げますと、大綱って何ですかというところから議論をしなきゃいかぬことだと実は思っているのですね。

 ことしで防衛庁ができて五十年でございますが、先ほど申し上げましたように、大綱というのはもともとあったものではございません。それぞれ一次防、二次防、三次防というふうに防衛力を整備してまいりましたが、やはり方針というものを決めなきゃいかぬのだということで、五十一年に大綱というものが初めてできた。そのときには、先ほど申し上げたように、それが平成七年までもつわけですね。平成七年に定めたものを平成十六年に変えようとしているわけでありますが、大綱というものはそもそも何なのであろうかというお話もしなきゃいかぬのだと思います。

 そこには、御存じのように「別表」というものが書いてあって、それを何回か中期防を組みまして達成するようにするということでございまして、先生から御指摘をいただきましたが、陸上自衛隊を除きまして、ほぼ大綱の「別表」に定められた水準には到達をしておるのではないかと私は思っています。

 それぞれの国において、どのように防衛力は整備をされるのか。私どもは、侵略国家には絶対ならないわけでございますが、抑止力をきちんと確保するために、それぞれの国は、例えばアメリカ合衆国はどうであり、これはQDRみたいなものを出しておるわけですよね。やはり防衛力というのは、時系列的に、昔の防衛庁・自衛隊の装備と比べて今はどうなのという比較も、それは大事かもしれません。しかし、同時に、ほかの国と比べてみたときにどうなのということもやはり議論をしなきゃいかぬことなのだろうと思っています。

 あわせまして、この厳しい財政事情でございますので、今あるものを本当に根底、ゼロベースで見直していかなきゃいかぬと思っています。

 今先生、船のことを御指摘になりました。私どもは、護衛隊群というものと、ほかに地方隊というものを持っておるわけでございます。それは、大湊にあり、舞鶴にあり、横須賀にあり、呉にあり、佐世保にありということになるわけですが、例えば海上自衛隊で申し上げますと、地方隊というものは今のままで本当にいいんでしょうかということも議論をしなきゃいかぬと思っています。そして、船はありますけれども、では、乗組員の充足率が足りないということで本当に船はちゃんと動くんでしょうかということも議論をしなければなりません。そうしますと、装備の取得のあり方あるいは更新のあり方というのも、今までのままでよいということにはならないはずでございます。

 そのあたりも含めまして、本当に、国民の貴重な税金をいただきながら、どうやって抑止力をきちんと発揮するか。

 もう一つ、先生からもよく御指摘をいただくことでございますが、海外において自衛隊が展開をするということは、それはよいことです。シャルマ氏からも評価をいただきましたし、きのうは、イラク統治評議会の議長初め評議会の皆様方、そしてまた議員の方々、大勢防衛庁にいらっしゃって、評価もしていただいて、ありがたいことだと思っています。

 しかしながら、本来任務でありますがところの我が国の防衛というものとどのように考えていくのか。では、海外の任務というものも本来任務にするということになったときに、防衛力の水準というのはどのようなものになり、それは本当に納税者の御負担というものがどうなるのか。これは、先ほど総論賛成、各論反対というふうに申し上げましたが、そこまできちんと議論をしなければいけないことがたくさんあるのだろうと思っております。

 納税者の代表の皆様方が集まっておられます国会におきましてそういうような御議論を賜りまして、私ども、本当に国民の皆様方に、そして世界にきちんと責任が果たし得る防衛力というものを築いてまいりたいと考えておる次第でございます。

古川(禎)委員 丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。限られた予算、その他いろいろな難しい情勢もあろうかと思いますが、ぜひ、組織や装備の充実を着実にお願いしたいということでございます。

 さらに、私思いますのは、この装備、組織の充実、さはさりながらそれ以上に大切なものがある。それは何かといいますと、私は名誉だと思っています。あるいは、自衛隊の活動に対する国民の感謝や尊敬の気持ち、これが何にも増して大事だと思っております。古今東西、軍人に対する名誉が与えられない国家というものはかつてなかったろうと思っておりまして、その意味でも、先般、イラクへの人道復興支援活動に対し国民の中にさまざまな意見があったわけですけれども、どのような意見があろうとも、大事なことは、我が同胞であるところの自衛隊の皆さんが厳しい状況の中でいわば危険と隣り合わせになりながら頑張っておられる、そういうことに対する感謝と尊敬の気持ちというものを、今、日本国民は一人一人がやはり胸に刻むべきときだと私は考えております。

 そこで、最後になりますが、現在防衛省設置法案というものの議論が進んでおりまして、速やかに、防衛庁が防衛省として日本の政治の中できちんとした位置づけを改めてされるべきだと私は考えております。

 先ほど来申し上げてまいりましたように、我々の日本文明の役割とは何か、我々の日本固有の精神文明というものはどういうものかということをしっかり自覚しながら、その上で、それを体現する形で自衛隊が海外において遺憾なく能力を発揮されること、それが世界の平和と安定に直結し、なおかつ、それが我が国の平和と繁栄につながるんだということを考えておるわけですが、そのためにも、防衛省、きっちり今回移行できますように、私も議員の立場で一生懸命努力をしていきたいと思っておりますので、そのことを申し上げておきたいと思います。

 昨日、地元の宮崎県のえびの市議会におきましても、防衛庁の省昇格、省移行への意見書が採択、決議されました。そのような地方議会も数が相当なものにも及んでいると思います。いわば今これが国民の声になっているんだというようなことで、私も頑張っていきたいと思っております。

 ありがとうございました。

小此木委員長 次に、西村真悟君。

西村(真)委員 「ラストサムライ」という映画、今質問にありました。非常にいい映画です。見ましたか。見ていなかったら、ぜひ見てください。

 今の御議論を聞いておって、ちょっとひっかかるところは、江戸時代にあった、おだてともっこには乗りたかねえという江戸っ子のあの短歌、ちょっと思い出しました。というのは、私から見て、余り、国連の人が褒めるからといって有頂天になっては危ないなと思うからですね。おだてともっこには乗りたかねえ。

 さて、法案の審議の時間ですが、法案を支える根本の防衛思想、つまり、現在日本の国内の状況に対する認識、これについて素朴な議論をしたい、このように思っております。

 と申しますのは、番匠隊長以下イラクで自衛隊が頑張っておられる、それは非常に高い評価を我々は与えるべきなのであろう。しかしながら、彼らが祖国を振り返ってみれば、祖国の現状というものは、国民が拉致されても取り戻すことができない、国土が僣窃されつつあるのに手をこまねいている、治安が悪化しているのはごらんのとおりの状況、そして政治は事なかれ主義で今までどおりずるずるいく。これでは士気が上がらぬだろう。そもそも国際貢献をするに足る国家なのか、国家を国家らしく運用しろ、しかる後に他人様の面倒を見よ、こういうことなんです。今、素朴にこれを議論したい。

 それで、今回は拉致問題ではなくて、国民の拉致ではなくて、国民が住む領土に関していささか議論したいと思います。

 北方領土は戦時において略取された領土である。しかし、平時において、これは普通の国家では考えられぬことですが、竹島、尖閣諸島は脅威にさらされておる。この平時において領土が向こうに奪われつつあるという状況は、我が国の防衛思想のすきをついたものであろうか、このように思いますね。

 しかしながら、防衛思想そのもののすきをつかれて平時において領土を奪われるならば、それは国家の防衛思想であろうか、いや、そうではないだろう、えせという言葉を上に冠しなければ通用しないであろう。つまり、えせを捨てて本当の防衛思想に立ち直らねばならない。そういうふうな考えが大勢を占めるきっかけになるのが竹島問題、尖閣問題であると私は思っておるので、素朴に議論しよう、このように思います。

 自衛権についてお聞きすると言っていましたけれども、これは当たり前の話で、我が国には自衛権があって、必要ならば自衛権を行使しなければならない、そのために今審議している法案があるということです。当たり前のことはもう聞きません。

 竹島に関して、大臣の郷里に近い竹島、これは現状どないなっておるんですか。韓国人が上におるんですか。どういう種類の韓国人か、公人か軍人か民間人か。武器は持っておるのかどうか。どういう工事をして立てこもっておるのか、その工事は要塞なのかミサイル発射基地なのか。こういうことで、現状認識をお伺いいたします。

石破国務大臣 昭和二十九年七月から現在に至るまで、韓国は、竹島に警備隊員、これは警察でございますが、これを常駐させるとともに、宿舎、灯台、監視所、アンテナ等を設置、年々強化されている模様と認識をしております。平成九年十一月には、我が方からの累次にわたる抗議にもかかわらず、五百トン級船舶が利用できる接岸施設を完工させている。さらに、平成十年十二月には有人灯台を完工させているものであります。

 二〇〇四年一月現在、本年一月現在、竹島には、韓国の一般住民一世帯三名が居住をしておりますほか、警備隊員三十八名が常駐されているという報道がなされておるところでございます。そのように認識をしています。

西村(真)委員 韓国が今のような状況で占有している竹島に関して、我が方は、自衛権を発動して彼らを排除し、日本国領土としての実体を回復するということはできるんですか、できないんですか。

石破国務大臣 これは委員もずっと御指摘をいただき、政府もずっと同じ答弁をさせていただいておるところでございますが、一般論として申し上げましたときに、自衛権を発動する三要件、すなわち、急迫不正の侵害があり、これを排除するためにほかの適当な手段がなく、最小限度の実力行使にとどまるべきことということになっておるわけでございます。自衛権発動の三要件というものに照らしましてこれはどうであろうかという一般的な御議論に帰着をしようかというふうに私としては考えておるわけでございます。

 では竹島はどうなのというふうに考えましたときに、大韓民国と我が国との外交上の関係、いろいろなものを勘案いたしまして、やはり外交努力というものが必要なのだと思っています。

 これは口で言ったって仕方がない話でありまして、委員御指摘のように、例えば私の県であります鳥取県の漁船というものが、一昨年であったかと思いますが、竹島近くで韓国の警備船の尋問を受け、そして体当たりをされて、これは乗り移るときにたしか当たったというふうに記憶をいたしております、正確ではないかもしれませんが。それで境港へ帰ってきたということがございました。

 そのとき私は大臣ではございませんでしたけれども、こんなことで泣き寝入りをしてはだめなのだ、それはきちんと抗議をし、そして、このようなことが行われたということに対して、日本政府としてきちんとしたことを言い、そのことを記録に残していかなければだめなのだということを申し上げた記憶がございます、外務省に対しまして。

 やはり、私どもとして、韓国が現在そういうような状況に置いております竹島というものに対して自衛権を行使するか否かということは、一般論に照らしましたときに、それはなかなかそういうことにならないだろうと私は思っておりますが、しかし、外交努力といいましても、そういうようないろいろな状況が生起をしておりますわけで、そのときそのときにやはり毅然とした対応をとることが私は肝要なことではないかと思っています。

西村(真)委員 そのときそのとききちんとした対応をしてこなかった、御承知のとおり。それでこういう事態になった。つまり私は、橋本内閣のときに、北は北方領土から日本海の竹島、南の尖閣諸島、領土に関して大敗北を喫し続けたと思います。

 今大臣がおっしゃった、平成九年、五百トンの船の接岸設備をしたという時点、これは日韓紛争処理に関する交換公文の次元を超えたわけですよ。約束の次元を超えたわけです。向こうが次元を超えたならば、こっちも次元を超えねばならない。しかし、何もしなかった。したがって既成事実は、五百トンの船が接岸できる竹島になった、そしてその船は韓国の船だ、ミサイルも設置することができるようになった、こういうことですな。

 きちんとしたという内容ですが、日韓紛争処理に関する交換公文で何年も定期的に、行事のように抗議をして、向こうは領土問題は存在しない、こっちは存在するとやっておったんですが、にっちもさっちもいかない。そして、今私が申した質問が出たわけです。お答えは、できないということですな。うなずいておられる。急迫不正の侵害ということについての要件も当たらないだろう、もう上られておるんだからと。

 さて、そこで、これはどうなんだろう、不法侵入というのは継続犯である。入ってきた昭和二十九年の一時点が不法侵入なのではなくて、その者が居続けるその瞬間瞬間に犯罪は継続しているというならば、あすに対して急迫不正のことが本日起こっているではないか、こういうことが言えるんです。家に居座る者に関しては、居座ってから一日たっても正当防衛は成立する、これと同じことです。

 だから、これ以上余り繰り返しは聞きませんけれども、もう一つ、きちんとしたことをするのは、五百トンの船の接岸設備があるところに五百トンの船が来る場合、それを来させない海上封鎖を海上自衛隊はできるか。領空を韓国が領土のように飛ぶけれども、それをさせない、空の封鎖。海と空の封鎖、竹島に関してできるんであろう、こう思いますが、どうですか。できないんですか。

石破国務大臣 継続犯の御議論がそのまま自衛権の議論にスライドできるかどうかということについては、いろいろな議論があるのだろうと思っております。委員は法律家でいらっしゃいますから、そのようなことは十分吟味された上での御発言かと思いますが、私自身は、継続犯の要件というものがそのまま自衛権行使の要件にスライドしてくるのかなというと、それは違うのかもしれないという気が若干いたしております。

 委員御指摘の海上封鎖というようなこと、現在それを行うべきだというふうには考えておりません。それは、あくまで私どもとしては外交努力ということによって決着をすべきものである。と同時に、これは防衛庁長官という立場を離れて申し上げるとするならば、この手の領土紛争というものに対して、これを解決するための国際的な枠組みというものは一体どうなるのだという議論が一方にあろうかと思っております。

 実際に、この竹島の問題も、私も議員になりまして以来ずっと議論をしてまいりました。あの地域で操業できない船というのはたくさんございます。あるいは、先ほど申し上げたような例もございます。これを、委員のような御議論は御議論といたしまして、一方において、では、このような場合に、韓国がそのような国際的な判断の場所に出ることを拒んだ場合に一体どうなるのだということであります。

 私どもは、粘り強い外交努力によってこれは解決すべきものと思っておりますが、これはあるいは委員のお教えをいただきたいところなのですけれども、こういう問題を解決するための国際的な枠組みというものをどう構築すべきなのかという議論も私どもは一方において行いませんと、いつまでたってもこの問題は解決しないということになるのではないか、私は一議員としてそのように考えております。

西村(真)委員 国際的枠組みはできない、できないから我が国が独自に、我が国自身の領土を守るために何をすべきかということの御議論が必要だということですね。漁民が排除される、行ったら銃撃を受ける、アワビとりに行く人が、民間人、漁民でなくても銃撃を受ける、その一事一事が急迫不正の侵害。領土を侵害されるということは、ただ単に領土でなくて、その上で生活しようとする人々全体に対して急迫不正の侵害が、瞬間瞬間、占有されて継続して起こっておるんだということですね。

 その何かきっかけが必要だというならば、私は平成九年、五百トンの接岸工事をするときに、向こうが次元を超えた以上、こっちも次元を超えるということで初めて解決可能なんだと思っておったけれども、橋本内閣は何もしなかった。北方領土は、御承知のとおり線引きの提案をした、あれは法と正義をどぶに捨てたんですね。線引きです。不法占拠者に対して線引きの提案をした瞬間に、相手は交渉当事者となって、不法占拠だから出ていけとは言えなくなる。それで、尖閣諸島ですな。こういうことです。

 では、ミサイル発射台を構築し始めた時点、ミサイルを搬入しようとした時点、これはキューバのことを思い起こしていただいたらいいんですが、軍隊が上陸しつつある時点、こういう時点では、いずれはできるんだろうと私は思いますが、いかがでしょうか。お答えできないかもわからぬですね。しにくい、しにくいですか。できるでしょうと僕は思う。

 それは、あれですよ、一議員で長年やってこられた、大臣になった。私は議員の立場。それは、両者思いは共通なんですけれども、立場が違ったら答弁できないというのが日本の防衛思想の一番の欠陥なんです。議院内閣制だから、議員が考えて、議員のときに発言したことを大臣になったら実現するというのが議院内閣制なんです。大臣になったら言えないということが我が国防衛関係には多過ぎるわな。(発言する者あり)余り言うても、答えが長かったらあれなんだけれども。

 それで、本当に領土に関しては、国際的なことを探っても無理、無理です。イスラエルとあそこを見てください。日本もそうなんです、領土に関しては。断じて譲歩できない。戦争を決断する、極端に言えばですよ。日本にそれをやれと言っているんじゃないですよ。しかし、例えば平成九年、金泳三大統領が、江沢民さんが韓国に来た、このときに急にハイになって、竹島の部隊に電話かけて、日本のふざけたやろうの侵略を断固として排除しろというパフォーマンスをやって、岩壁工事を始めた、その瞬間に直ちに反応しなければならない。だから、領土は守れないです。

 一般の家でもそうです。朝起きたら、どこかの庭の片隅にテントを張ってだれか住んでおると、ほっておいたと、もうだめですよ。ほっておいて、十年たって、例えば、橋本内閣の北方領土のときに、どこからあなたの領土で、領域で、住んでもいい場所で、どこからが私の庭か線引きをしましょうと提案した瞬間に、彼は不法占拠者でなくなる。こういうことを日本がやっているという痛恨の思いを持って竹島も尖閣も見なけりゃならぬ、こう思いますね。

 次に、これはなぜそう言うかといえば、文明の衝突なんです。尖閣であれ竹島であれ、国内の統一を確保しようという内政上の課題から、竹島に韓国人の耳目を集める、台湾を併合する、台湾と中国はともに中国であるということを認識させるためには、共通の敵日本が自国の領土を僣窃しているということをアピールしなければならない。だから、尖閣に来るんです。

 これは、ことしに入ってから、竹島は、三月一日テレビ生中継のレポートをやりおった、切手を発行しおった、観光ツアーを企画しておる、領有権保全対策の一環と称して携帯電話網を竹島に整備した、これが竹島の流れです。

 それから、新聞報道によると、尖閣については、ことし、尖閣を含む台湾から小笠原までの広大な海域での我が国排他的経済水域内における中国の違法な海洋調査が急増して、既に三月で十一件に上っておる。昨年は一年間で八件だったのが、ことしはもう三月で十一件だ。これは何を意味しておるのか。明らかに台湾総統選挙における中国の主張を実効あらしめるため、あわよくば台湾を併合するために着々とやっているぞという示威運動を兼ねた調査なんです。

 だから、これは国際的にどこかの機関がやってくれるというのですが、絶対やってくれない。国際社会はそういう社会ではありません。そういうことで御質問しております。

 今、竹島の問題は、長官も本当に気にしておられることだと思いますが、ある一定の次元で、日本は竹島を領土だと言う以上は腹をくくらねばならない。摩擦を避けて領土は解決しない、むしろ、摩擦を引き受けるという思いを決して初めて解決できる、国際司法裁判所に行くという、向こうが納得をするということですよね。

 それで、次に行きますが、今、中国の我が国周辺の海洋調査、これは違法調査だと。P3Cは我が国が東アジアで最大機数、百機ぐらい持っておるわけですから、大体わかっておる、どこに来おったとか。これは何を調査しておるんですか。それで、この調査は我が国の安全にいかに関係するのか、マイナスになるのか、プラスになるのか、無関係なのか。また、ひいては、この東アジアにおける中国の海洋調査、つまり、海洋に出ていく、海洋覇権の思想の実現化の行動はどういう影響を与えるんであろうか、放置していいのか、放置しておってはならぬのか、こういうことを含めて御答弁いただけますか。

石破国務大臣 先生御指摘のように、事前に我が国が同意をしていない中国海洋調査船の活動を私どもが視認をした場合には、公表を行っております。十六年は現在まで十一回というのは御指摘のとおりであります。この海洋調査船が海中に向け音波を発信、クレーンからワイヤーをつり下げ、あるいはそのような活動をしておるわけでございますが、何を目的としているのかというのは見ただけではわからないことがございます。

 ただ、一般論として申し上げましたときに、海洋調査によりまして集められたデータというものは、軍事目的も含めて、さまざまな目的に利用することが可能であるというふうに考えられます。要するに、水中の温度でありますとか、あるいは地形でありますとか、あるいは海流の流れ等々によりまして軍事行動というのはさまざまに異なるわけで、どれだけデータを蓄積するかということは、一般論としては極めて重要なことでございます。そういうものが一般論としては申し上げられるのだろうというふうに考えております。

 同時に、中国海軍が現在進めております最新の国産駆逐艦あるいは潜水艦の建造、ロシアからの輸入等々で近代化を進めているという認識は私ども持っております。

 それで、我々としてそれを全く等閑視、問題視しないということは当然ございません。非常に重大な関心は持っておるところでございます。我々といたしましては、よく関係省庁とも連携をいたしまして、この動向というものを注視していかねばならないと思っております。あらゆる可能性を否定するものではございません。しかしながら、我々として現在できますことは、強い関心を持ってこの動向を注視していかねばならないということでございます。

西村(真)委員 平松茂雄杏林大教授がたびたび警告しておられるのは、これは、原子力潜水艦を太平洋に遊よくさせ、日本近海に遊よくさせることだと。これができれば、アメリカは日本を守れなくなる、アメリカが日本を守れなくなると、アメリカのワシントン等々のどこに核攻撃があるかわからない危険を冒しながら台湾も守らないだろう、こういうことなんだろうと思いますね。

 私としては、中国は着々とやってきておる。これは見ただけではわからない、そのとおりです。これは臨検して、何をやっておるんやと、違法なことを領海でやっておるわけですから。こういうことも一遍やってもいいなと私は思うんですけどな。中国はアメリカの偵察機に海南島方面でやったと、ああいうことをやる国でありますから、放置しておっては将来大きな乱を呼ぶ中国の行動である、このように思うわけであります。

 尖閣諸島を中国がなぜ領有権を主張するんだという戦略的意図は、やはりこれは尖閣諸島に基地をつくればすごいことになる、台湾は併合寸前、台湾はもう我が掌中にありと中国は思うでしょうな。台湾の島というのは、あれは小さいですが、富士山以上の高い山が五つぐらいある。東海岸における無傷な台湾軍は西海岸に迂回して防衛に当たってくるわけですが、尖閣をとれば、台湾軍は東から西に迂回することができない。尖閣は台湾併合の橋頭堡ですね。それから、日本のシーレーンを扼する橋頭堡だと私は思います。だから、中国は来る。そしてもう一つ、共通の敵日本をつくって、台湾との精神的統合を呼びかけるという、非常にポイントとしてあるんです。

 そこで、昨日、ちょうどこの議論をしたいなと思っていたやさきに、飛んで火に入る夏の虫のように七人が上陸しおった。これを逮捕したというのは、この七年間の日本の変化ですね。前は逮捕もしなかった。北京では、上陸した中国人の行動は理解できる、なぜならあそこは中国の領土であるから、こう北京が言っていて、我が国は何も攻撃しない。今回もぶつぶつ北京は言ったようですが、逮捕してしまったら終わりです。我が国は法治国家なんですから。

 そこで、すきを見つけて逮捕して、逃げ回られたら、あそこも広い島ですから、また立てこもられたら、武器を持って上陸しられたら、警察力では対処し得ないんですね。そういう事態にならないためには、自衛隊一個小隊が交代勤務で尖閣に駐留する必要がある。

 イラク派遣のときにあれだけ、自衛隊でなければならないんだ、なぜなら自己完結的組織だからという前提を言った以上、やはり自己完結的組織、あそこは水はある、水はあるけれども、ほかの食料は魚で、釣るしかない。だから警察官に行かすのは余りにも酷、そんな訓練はしていない。だから、自衛隊一個小隊が交代で尖閣諸島の一番広い島、魚釣島に駐留する。そして、来よったやつはすべて捕まえる、即時捕まえる。そして、紛争が拡大することを未然に防ぐんだ。つまり、上陸しよったら、捕まえられたくない、抵抗する、武器を持って抵抗するという相手なら、紛争は拡大しますよ。

 中国は、北京の言うことは想像つくんですけれども、日本軍国主義が、これは現実に向こうの言葉ですが、日本軍国主義は、東の海から頭をもたげて我が固有の島を占領しつつある、これが向こうの公式的な言葉にある表現なんですが、固有の中国の島にいる中国人に対して日本軍国主義が攻撃をしかけた、こういうことを言う口実、口実のためにそういうことを中国人民にさせる国なんですから、そういうことを未然に防がねばならない。一個小隊駐留させるという私の提案については、どうですか。

石破国務大臣 現在の大綱におきましても、あるいは中期防におきましても、島嶼部に対する対処をどのようにするかということは議論をし、そしてまた部隊の新編等々も行ってまいりました。どこというふうに具体的に申し上げることはいたしませんが、委員御指摘のような、島嶼部が侵略された場合に適切に対応できる能力というものは整備をしてまいっておりますし、今後ともさらにそれを充実させなければいけないと思っています。

 今、それでは尖閣に一個小隊を駐留させるつもりがあるかということをお尋ねいただくとするならば、それは現在その予定はございません。しかし、その島嶼部というものに対する能力、対侵略能力というものはきちんと保持をせねばならないと考えておるところでございます。

西村(真)委員 先ほどの、やっと軍艦があらわれたんですね、あの海域に。初めはいわゆる情報収集艦が、三年前に、日本列島を津軽海峡から一周して房総沖でかなりとどまっていた。そういう調査活動があった後は必ず軍艦が姿を見せてくる。尖閣諸島周辺には軍艦が姿を見せたということでありますから、今、民間漁船と思われる船を使って、民間人と思われる者が上陸しておりますが、軍艦で接近しつつありということになれば、これは自衛隊が出なければならない、こういうことだと私は思っております。そして、それをやれることで初めて自衛隊は、税金によって国家を防衛するための実力組織としての存在価値があるんだろう、こう思います。

 それから、イラクに関してですよ。イラクに行けと命令を発した以上、それを達成するに足る装備と、その命令を達成するに足る情報を政府は持っていなければならない、これは当然のことです。と思っておりましたら、危惧するようなレポートが出た。これは日高義樹の、ハドソン研究所主任研究員ですか、この方のレポートを見てそう危惧をしたので質問いたしますけれども、なぜ戦車を持っていかなかったのかということです。

 なぜ戦車を持っていかなかったのか。戦車は、戦車専門家によると、戦車というものは最適の防御用のものである。そして、クリントン時代、アメリカはソマリアで戦車がなく、大変な死傷者を出してしまった。それ以来、国防総省の戦車専門家が言うには、ゲリラ地域に出動する場合は、防御用として戦車を持っていくのが常識であるというふうになった。それで、こういう常識があるので、自衛隊に対して、他国の人の評価は、なぜ戦車がないのかというふうな奇異の目をもって見ているということがあります。

 戦車が防御用兵器であるという、そして、いつどこから攻撃を受けるかわからないゲリラに対しては非常に抑止力になるんだという国際的常識を前提にして、自衛隊はなぜ戦車を持っていっていないのかという理由について、長官にお伺いします。

石破国務大臣 日高氏は日高氏の見識に基づいて言っておられることだと思いますが、私は、イラクに軍事組織を派遣しておる国で、戦車を持っていっている国の方が少ないんだと思います。戦車を持っていっているのは、合衆国あるいはイギリスが持っていっておりますが、戦車そのものを持っていっている国はそんなに多くないという認識を私は持っておりまして、私は、自衛隊が戦車を持っていないことが非常識であるといって奇異の目で見られているというふうな認識は、全くこれは持っておりません。同じムサンナ県に駐留し、そして治安に責任を持っておりますオランダも、これは治安ですよね、我々のように人道支援やあるいは安全確保支援というものではない。治安に責任を持っているオランダも、戦車は持っていっておりません。

 戦車は確かに、守るという意味では強い能力を持っておりますが、同時に、戦車が陸の王者だと言われますのは、それは攻撃面においても大変な能力を持っておるということであらばこそ、陸の王者というふうに言われておるわけでございます。

 その戦車を持っていく必要が本当にあるのかということを考えました場合に、私どもといたしましては、我々の任務から考えましたときに、そして、きのうもイラクの方々がお見えでありました、サマワ出身の閣僚もいらっしゃいましたが、サマワの市民の我々に対する親近感、それは、委員冒頭に御指摘いただいたように、おだてとかそういうようなことではなくて、本当に日本に対して期待をしておるという意味での親近感、それを確保しなければ、きちんとした情報も入らないということだと思っています。

 そこへ戦車が、九〇か七四かは存じませんが、それが登場いたしましたときに、それはやはり自衛隊に対する親近感、あるいは、占領軍ではない、本当にこの地域を復興しようとする同志としての気持ち、そういうものを私は減殺させることになる。別の言葉で申し上げれば、威圧感を与えるのも戦車でございます。

 私といたしましては、派遣される自衛官たちに十分な装備、これはもう、私のように自衛官であったことがない者が言うよりも、実際に行く人たちがこれで十分なのかどうなのかということを何度も何度も聞きました。それは装輪装甲車であり、いろいろな装備を携行いたし、持っていっております。それで必要かつ十分であるというふうに判断をいたしておりますので、戦車は持っていっておりません。

西村(真)委員 まあ、そうなんだろう。戦車も持っていった部隊が他国に護衛してもらっているというのは漫画ですから、持っていかないでいいと思うんですが、各国の常識はこうだということで質問してみたわけです。私もそう思いますよ、あれがあるところにめったなことではしかけられないから。

 それで、情報収集に関しては、外務省に聞いたら、北朝鮮の地図はないということを聞いてびっくりしたこともあって、奥大使ら二名が殉職された、そのときに、彼らは外務省からアメリカの軍用地図を渡されておったのかということで、現地では問題になったらしい。アメリカの軍用地図は道路別に色分けしてかかれておって、克明に危険度を分けた色分けであった。まさに、奥大使が走って狙撃されて殉職された道路は赤で塗られておって、その赤は、軍用車両の護衛なくして走行すれば極めて危険であるというところであった。しかしそれは、奥大使の所属する外務省はその地図はなかって、奥大使にもその地図はなかって、護衛なく走行して殉職したということなんですね。

 いずれ、我々の共通の課題として、国家の情報収集の中央機構の創設と、そしてスパイ防止法ですね。個人情報を流せば公務員は二年以下の懲役ですが、国家機密を漏らせば一年以下の懲役だ、こんなあほなことはないんで。拉致された人々もスパイ防止法があれば拉致されずに済んだんだろうと思います。我々は、情報をいかに収集するか、それからその収集した情報をいかに守るか、この二つの今完全に欠けている体制に取り組まねばならない、このように思います。そうでなければ、すべての装備は張り子のトラということになります。このことについては、また日を改めてやりたい。

 時間は余っておりますが、これでやめますけれども、私が危惧しているのは、全然違う分野ですが、ちょっと私の独白だと思って聞いてください。

 我々は、ゲリラからの攻撃、テロリストからの攻撃はどこに来るだろうというふうに思っておる。それは正しい。しかし、そのときの観点は、例えばゲリラが日本に来るときには、日本の治安維持組織を脆弱にした上で来るだろう。だから、内部告発はいいんだが、警察機構の公金横領問題に犬が、表現は悪いですが、猟犬がにおいをかがされたそのにおいばかり追及するように追及しておって、警察組織が萎縮しているところにテロは起こるんだろう、このように思います。

 私は、すべてのものが一人のテロリストのいわゆる謀略で進行しているとは決して思いませんが、何かそういうものが、原因者があっていろんな問題が生じていて、その切り結ぶところに治安維持の非常なすきが生まれる、そういうふうに思っておりますので、この場で委員の皆さんにも聞いていただきたく、発言をいたしました。よろしくお願いします。

小此木委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 それでは早速、時間も限られておりますので、質問に入らせていただきますけれども、昨日起きました尖閣諸島への中国人グループの上陸、そして逮捕というような大きな事案がございました。これは、きょうは警察庁の方にも来ていただいておりますが、中国人グループの逮捕、そして現状どのような状況になって、今後どうされていくのかということにつきまして、まず第一点、お尋ねをしたいと思います。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 事案の概要でございますが、二十四日早朝、尖閣諸島の魚釣島に中国人活動家グループが上陸をするという事案が発生をいたしました。沖縄県警察では、海上保安庁の輸送の支援を受けまして、所要の人員を尖閣諸島に派遣いたしました。昨日の午後七時過ぎまでに、上陸をしました中国人男性七人を出入国管理及び難民認定法違反で逮捕いたしました。海上保安庁の巡視船により那覇へ移送し、先ほど那覇港に到着をしたという報告を受けているところでございます。

渡辺(周)委員 そうしますと、身柄を拘束して、海保の協力を得て那覇港に先ほど到着した。では、取り調べとか人定も含めて、いかなる方々がいかなる目的で来たんだということについては、まだ全くわからないわけですか。その点、確認しておきます。

瀬川政府参考人 御質問のとおり、今後、先ほど申し上げました出入国管理及び難民認定法違反で捜査を行うということにしておりまして、今後、犯行の動機、内容等々について捜査の中で明らかになっていくものというふうに承知をしております。

渡辺(周)委員 この点については、今後、取り調べで、いかなる目的で、いかなる人たちが上陸されたのか明らかになってくると思いますから、その点につきましては、今後当然発表もされるでしょうし、この委員会のみならずほかの委員会で、またいろいろと外交的立場については質問等があろうかと思います。ですので、ここでは、ちょっと時間も限られておりますので、事実確認にとどめさせていただきます。

 今度は、ちょっとこの法案について御質問をするわけでございますが、今西村委員から情報体制についての指摘がございました。私も、実はこの問題についてお尋ねをしたいわけでありますけれども、今回の法律では、情報本部の機能強化ということを目的に増員するというふうにございます。インテリジェンス、情報の価値については、これはもう言うまでもございませんけれども、防衛庁長官にぜひお尋ねしたいのは、現状の情報収集能力、これは今現状、国際基準に比較した場合、どのレベルにあるとお考えなのか、そしてまた衛星でとらえた情報を解析する能力、この点については、現状どのようになっているんでしょうか。ぜひお尋ねをしたいと思います。

飯原政府参考人 現状のところだけ、まず御説明をさせていただきます。

 現状、十五年度末で、情報本部二千七十九人という定員でございましたが、十六年度予算案におきましては、今御指摘のとおり、情報収集機能、分析等を総合的に実施する体制の充実強化が必要ということで、全体で百人の増員、内訳が、自衛官九十人、事務官十人でございます。

 それで、具体的には、相互分析能力の強化及び緊急動態情報の収集処理体制の強化のための増員であるとか、それから画像、電波情報の収集処理体制の強化のための要員の増員といったことに力を入れておりまして、これらの増員をお認めいただければ、画像情報、電波情報、緊急動態情報等の情報処理能力が質、量とも向上するとともに、これらを集約して一層高度な分析を行うことが可能となるというふうに考えております。

石破国務大臣 現状は、今防衛局長からお答えをしたとおりです。

 一番難しいのは、今回の情報本部の増員とは直接関係ございませんけれども、画像をどのように解析するのかというのは、見たって、これが何なのかというのがわからないと何の意味もございませんで、これは相当の経験を積み、いろいろなものを見ませんと、そういう能力は取得ができません。これは一朝一夕にできるものではなくて、情報収集衛星、今二機上がっておりますが、これが四機になりましても、それで万全ということにはならない。したがいまして、他国の情報あるいは商業衛星等々のいろいろなものを組み合わせながらやっていかなければなりません。これは私どもとして、その画像を分析し、何であるかというものが判断できる能力、これを上げていかねばならないという認識は強く持っております。

渡辺(周)委員 まさにそのとおりでございまして、前も、この点につきましては、私はたしか委員会で議論をしたことがあると思いますが、どんなに立派なレントゲン技師がいて、どんなにその病気の部位の部分を細かく詳細にレントゲン写真を見せても、これが一体何であるかということがわからなかったら、まさに全く意味がないわけでございます。

 今おっしゃいました中には量と質ということがありました。特に情報の質、そしてまた事が起こっていることが何であるか、ある地域を監視している、そこに入ってきたところに例えば人が集結をしている、一体ここに何があるのか、それがわからなければ、つまり相手国の行おうとしている行動が理解できないわけであります。ぜひその点につきましては、これからどうされるのか。

 つまり、結果的に、ある地域の地図がある、これは商業衛星からも手に入れることができる。しかし、ここにある建物が外から見ただけでは何だかわからない。一体ここにいる人たちが何を目的にそこへ集まっているのかわからない。そういう意味での情報の共有という意味では、これはどうしても米英に比べれば非常に劣るわけでありますが、例えばそうした場合において、この解析するに当たっての専門家の養成ということについては、今後どのようにされるお考えですか。

石破国務大臣 先ほど西村委員からも御指摘がありましたが、きちんとした地図は持たなきゃいかぬということがあります。それと比較しませんと、写っている絵が何だかわからない。それから、あとは、例えばデコイみたいなものを置きまして、見た目は何だかすごくいろいろなものが構築されているように見える、それが精密である。しかし、それは実は本物ではなかったのだということをどうやって見抜くのかねということもございますし、委員御指摘のように、この集まっている人は一体何ということがわからなきゃいかぬ。そして、それは相当の連続性を持って見ないと比較が難しいわけですよね。

 それをどのようにして養成するかということにつきましては、これはやはり、そのことについて知見を持っております合衆国あるいは英国等々を初めとする、そういうところの今までの蓄積というものを活用しなければいかぬということがあると思っています。そういうような分析、評価ができる要員の育成というものには相当のエネルギーを割かねばならないと思っております。

渡辺(周)委員 いずれこの人員はつくっていく、そしてまた、そのためには他国とも当然交流といいましょうか、一緒にこれは研究し、さらに協力を深めていかなければならないわけですが、先ほど西村委員もおっしゃいましたけれども、その中で、例えば情報を共有するという部分においては、我が国の情報共有をする上での、これを漏えいした場合にどうなるかということを考えますと、他国から見ると、非常に日本という国は危ないのではないかと。つまり、一緒に研究し、情報を共有したときに、他国では重罪に当たるものが、我が国においては実はいとも簡単に漏れてしまう。それは公務員のみならず、情報を共有する人たち、例えば内閣情報会議でありますとか合同情報会議でありますとか、そうした政府の首脳、それから我々国会議員も含めて当然何らかの一定の制約があるというのならば、恐らく情報の共有ということもあり得るのかなというふうに思います。

 この後ちょっとテロのことについて質問をしたいと思うわけですが、まず一点、これは私の個人的な意見でありますけれども、インテリジェンス、情報のシビリアンコントロールという意味においても、これは例えば政府首脳なり国会の議員なりが情報を共有し、それはしかし秘匿されるという上においては、何らかのこれから考えていくべきことはあるのではないかなと思いますが、現状、長官はどうお考えですか。

石破国務大臣 先生おっしゃいますように、日本は怖くて情報が共有できない、日本にはもう危なくて教えられないというようなことであるとするならば、それは国民の生命財産を守るという点から考えればマイナスなんだろうと思っています。一昨年でしたか、その前かな、法改正は行っておりますが、それで十分かどうか、少なくとも前進はしたと思っています。

 先生御指摘のように、これをどこまで広げるべきなのかということは、人権とかあるいは言論、報道の自由とかいうものとの兼ね合いがございまして、慎重に議論をしなければなりませんが、そのことがなければこの国の平和と安全というものにとってマイナスであるということは、一種のコンセンサスになりつつあるんだろうと思っています。それと人権とか報道とか出版とか言論とかいうものをどのようにして均衡というか、とっていくべきなのか。先生のお言葉を使えば、情報の文民統制的な意味でどうすべきなのか。統制というのは何もそういう意味で申し上げているのではありませんが、そういう御議論というものは慎重かつ真摯に、国会の場におきましても、また我々政府の立場におきましても行うべきものだと考えております。

 これは、憲法の保障されたものをきちんと守るという観点を忘れてはならないことは、当然私も認識はいたしております。

渡辺(周)委員 思い出しますのは、セプテンバーイレブン、九・一一の直後に、アメリカがアフガニスタンに対して攻撃をする。そのときに、本当にあの九・一一が、我々は当時、あのときはテロ対策特別委員会だったでしょうかのときに、果たして本当にオサマ・ビンラディンを中心とするアルカイダのしわざなのかどうか、その証拠は一体どこにあるのかと。これは当時の、たしか議論の中で出てきたのは、政府が、これは間違いない、それはアメリカあるいはイギリスから確度の高い情報を受け取っていると言われるんですが、我々にしてみると全くわからない。そこで議論を進めて、果たしてアフガニスタンへの攻撃を本当に言われているようなことだけで判断していいのだろうかというときに、証拠を出せということを言ったわけです。

 そのとき議論になったのが、与党と野党の国会議員が例えば秘密会をやって、何らかの形で、これはこういうことがあるんだ、しかし、これを他言した場合にはあなたも大変な機密漏えいに当たるんだということがあれば、ひょっとしたら秘密会の形で、与野党の理事なりあるいは各党から代表者が出て、その何らかの証拠を得ることができたんじゃないか。たしかあのときは、何か通話記録か何かのようなものの一部が、通話記録ではなかったですかね、何らかの、そうであるという紙が渡されまして、これがその犯行の理由であると断定したに至る理由であるというようなことで何か議論をしたような、たしかいたしました。

 これは何度も申し上げませんけれども、こういう問題については、これはもちろん人権とか報道の規制、抑圧になってはいけないことはわかっております。ただしかし、情報を管理する側の者として、それは政府首脳、国会議員も含めて、あるいは閣僚も含めて何らかの形でこれから考えていくことは、私は今後の検討課題になるのではないかなというふうには思っておりますが、もう一度長官のお考えを聞きたいと思います。

石破国務大臣 基本的に委員と同じ認識でございます。

 国会の秘密会につきましては、私も外務委員会のときに随分議論をいたしましたが、それが本当に秘密が保たれないと意味がないわけで、秘密会をやったけれどもその内容がそのままテレビに出ているみたいな話は全然だめなのでありまして、どうやって本当に秘密会を秘密会たらしむるかということは、これは院におきまして、あるいは委員会におきまして御議論をいただくべきことかと思っております。

 参議院の予算委員会で、どなたでしたか、秘密会、秘密会、秘密会を開くべきだというような御指摘をしていらっしゃる議員がいらっしゃいましたが、本当にそれをどうやって担保するのかということは、それは国益との観点からも重要なことだと思っています。

渡辺(周)委員 この点についてはまた議論を深めたいなというふうに考えております。

 次の質問に移らせていただきますが、テロ対策。

 先般、スペインでの大きな列車爆破事件がございました。その後、アルカイダ系のアブハフス・アルマスリというグループから日本が名指しをされております。そのことを受けて、今非常に高いレベルで、各地で重要施設を警備しようと。

 例えば、この間私も東京駅を利用した際に、警察犬というんでしょうかね、何か火薬をかぎつける犬が、早速デモンストレーションといいましょうか、マスコミの方のフラッシュの放列を浴びてちょうどコンコースを巡回しているところが報道用に紹介されておりまして、新幹線に乗っておりましても、これは先生方どなたも、皆さんもそうだと思いますが、駅から駅の間を、例えば名古屋と東京の間でしたら岐阜県警の方が、車両をパトロールといいましょうか、巡回をされていると思って見ていたわけですが、このテロの今現状に対する認識というのは、国民は非常に高い関心を持っているわけであります。

 テロというのは、まさかこの国で起こるわけがない、今テレビでやっている、例えばそれが中東やあるいはどこかの国で、アジアの国で起きていることがまさか我が国で起きるわけがない、大体、我が国は島国だから、怪しげな連中が入ってきて、風体の違うのが入ってきたら、大体それは水際で取り押さえられるはずだというふうに、実は私なんかも、みんな本当は思っていたわけですね、我が国はテロとは無縁であると。ところが、実際我が国に、もう既にひょっとしたら観光客を装って入ってきているかもしれない。そうした中で、非常にこのテロというのが、名指しされたことによって、これは非常に我々に対して暗い影を落としているわけであります。

 そこで、テロの現状について伺いたいんですが、例えば、我が国に対して何らかのテロが起こるという情報を今持っているのかどうか、あるいは何らかの危険性が切迫しているのかどうかということについて、まず一つ。それから、こうした鉄道の警戒等をしているわけでありますけれども、この態勢でしばらくいくのかどうか。いつの時点で、例えば警戒の度合いをレベルファイブからレベルスリーにするのか、あるいはレベルスリーがレベルフォーになるのかわかりませんが、そうした中で、どの時点で判断をするのか。先ほどの情報にも関係する点でございますので、今現状どのようにしているのか、また今後どうするのか、そして、今そういう情報を持ち合わせているのかどうかという点につきまして、お答えいただきたいと思います。

貞岡政府参考人 御説明申し上げます。

 スペインのテロ事件の関連でございますが、そのような報道がなされておりますことは承知しておりますが、出所が不明確でありますので、これをもって、直ちに我が国の権益に対する脅威があるとは考えておりません。

 しかしながら、アルカイダの指導者であるオサマ・ビンラーディンによる声明の中で報復の対象として日本が言及されていることなどから、国内外において日本の権益に対するテロの潜在的脅威は存在するものと考えております。

 政府としましては、外国の関係機関等とも緊密に連絡しつつ、テロ関連情報の入手に鋭意努めているところでありますが、具体的な関連情報の有無につきましては、まことに恐縮でございますが、事柄の性質上、コメントを差し控えたいと考えております。

瀬川政府参考人 スペインのテロ事件を受けての国内のテロ対策はどうだ、こういうお尋ねかと思います。

 御質問にもありました米国同時多発テロ事件、これ以降、やはり国際テロに対して、我が国としても、これは真剣に対策を講じていかなきゃいけないという認識を持っておりまして、大変テロの脅威が高まってきているというふうに考えております。

 そこで、こういった国際テロに対する対処としましては、大きく基本的に三つのポイントがあると思います。

 一つは、やはり水際でテロリストを発見し入国させないという対策。入国管理局と連携をして、これをしっかりやっていく。それから二つ目は、何といってもやはり情報収集でございます。国内外において外国の治安機関あるいは情報機関等と連携をとって情報を収集する、あるいは国内においてもテロリスト容疑者の発見に努めるという活動であります。それから三つ目は、我が国国内における重要施設、あるいはイスラム過激派等の関係でいいますと米国の関連施設、こういった重要な防護対象に対する警戒警備をしっかりやる。この三つが柱だろう、こういうふうに思っております。

 スペインにおけるテロの関係でございますけれども、公共輸送機関に対する警戒というのは、従来から、こういった一連の警戒の中で警察としても実施をしてきたところでございますが、今回のスペインの鉄道爆破テロ事件を踏まえまして、さらにこれをしっかり強化していかなきゃいけないというふうに考えております。

 御質問にもありましたとおりでございますが、警察犬、これは爆発物を探知する能力を持った犬でございますが、こういったものを運用する。あるいは、機動隊員をどんどん列車に警乗させるというようなこと。それから、非常に大量な輸送機関でございますので、全部その乗客をチェックするということは、これはもう事実上不可能でございます。パトロールを強化することによって、不審者を発見して積極的に職務質問をする。それから、何といっても、乗客の方々の御協力をいただいて、身近といいますか、周りに不審者あるいは不審な物がないかどうか、あった場合には通報、連絡をいただく、こういった協力の呼びかけ等が非常に重要だろうと思います。

 鉄道の事業者と大いに協力をいたしまして、自主警備もしっかりやっていただくと同時に、警察としても警戒警備を徹底しているところでございます。

 いつまでこういった警戒を続けるのかというお尋ねでございますけれども、なかなかこれは、いつまでというふうにこちらで期間を区切って実施するということにはならないんだろうと思います。国際的なテロの情勢の推移というものを十分勘案しながら、必要な期間、必要な範囲でしっかりやってまいりたい、こう考えているところでございます。

渡辺(周)委員 今、内閣官房と警察庁からいただいたわけです。

 ちょっと防衛庁長官にお尋ねしたいんですが、今ソフトターゲット、世界各国のテロの対象に、それは、先ほど申し上げた主要駅であったり、あるいは他国の大使館であるとか、あるいは赤十字であったり劇場であったりするわけですね。例えば、こうした施設に対して多大なる被害を与えるためにテロをしかける、それによって相手を恐怖に陥れる心理的衝撃、これをテロリストたちはもくろむわけでございます。

 例えばですが、これは日本の自衛隊が、こうした攻撃の大きな被害をこうむる、かつても丸の内で三菱重工を初めとした幾つかの企業が立て続けに襲われた事件がございますし、死傷者を出した大変大きな事件がございましたけれども、今、自衛隊法第八十一条の二で、内閣総理大臣が、特別の必要がある場合には自衛隊の施設と米軍の施設及び区域を警護することができるという警護出動が規定されておりますけれども、まさに国としてテロリストと闘うんだというファイティングポーズを見せる意味でも、例えば、そうした施設に対して将来的に自衛隊が何らかの形で警護に当たるということは考えられないでしょうか。

石破国務大臣 これは考えられるんだろうと思いますが、問題は、何で米軍と自衛隊の施設に限ったかといいますと、それがやられちゃったらばどうにもならぬだろう、まさしくそういうようなものに対処するために、あるいは有事に対処するために自衛隊があり米軍があるのであって、それがやられちゃったらどうにもならぬだろうということで、これはカテゴライズしやすいものだったと思います。その他重要施設なぞといいましたときに、それではどこまでやるのということが極めて難しかろうということがある。私は、立法としてはあり得ることだと思っています。

 ただ、法律に自衛隊並びに米軍施設というふうに書きましたのは、それがまず一つのカテゴリーとしてあって、それ以外のものをどのようにするかということについては、やはり議会における御判断なり御議論というものを賜らねばならないと思ったからであります。その他重要な施設と書いちゃいますと、これは余りに茫漠としてしまうのではないか。しかし、それでは首相官邸とか国会とか書いたとしますね。そうすると、では自民党本部はどうだという話になって、では民主党もちゃんとやってくれなきゃ困るみたいな話になって、これはもう何だかよくわけがわからなくなる。これをどうするんだという御議論はあるだろうと思います。

 私は、そのことの必要性というものが指摘をされていることもよく存じておりまして、このことを国会において、同じ答弁を何度もしていますが、どうすべきなのかという御議論、これはいただかねばなりませんし、私どももきちんと議論をしたいと思っています。

渡辺(周)委員 もう一つ自衛隊が、警護出動と、あるいは治安出動という局面が出てまいります。治安出動をするという段階、それから、治安出動が下令される前に情報収集の行動を自衛隊はとることができますけれども、この時点で、例えば、こういう例を挙げます。

 日本海側のある県に、かつて韓国であったように、どこかの国の特殊潜航艇、潜水艦が座礁して、そこから何人かが逃げた形跡があるんだというようなことが例えばある。あるいは、どこかの国が犯行声明を出して、アメリカに協力をする同盟国の日本に対して、四十八時間以内に何らかのダメージを与えるという犯行声明がどこかの国であった。どうもそういう形跡も実はあるとなった場合に、これはあるエリア、限られるかどうかわかりませんけれども、治安出動前に情報収集という形で自衛隊の方が出られる。そのときに、例えば、非常に不審な人物がいる、そのときに、何らかの犯罪の予防といいましょうか、テロを未然に防ぐ意味において、例えば警察官職務執行法に準じた形で行動ができるのかどうなのか、その点について、今どうなっているんですかね。

 つまり、目の前で今起ころうとしていることに対して、自衛官がどこまで情報収集の活動の中でできるのか、その点については、今いかがになっていますか。

石破国務大臣 先生御認識のとおりです。

 その場合には、質問ですとか、犯罪の制止ですとか、立ち入り等の警察官職務執行法上の権限は準用をいたしておりませんということです。

渡辺(周)委員 それは、まさに治安出動の場合は、警察権限の行使の延長上ということで、今長官が挙げられました、いわゆる質問でありますとか、あるいは立ち入りでありますとか、もっと言えば、武器の使用ということが認められるわけですが、いわゆる情報収集活動の時点でこれらの警察権を行使するようにできないのかどうなのか。

 これは、事柄の性質上、非常に危険な状況が差し迫った、そういう状況になってきたときは、もうこれはかなり国家的な危機に瀕している場合です。その場合は、これはどのように判断をしますか。

石破国務大臣 情報収集出動というのをつくりましたときには、結局、治安出動を下令すべきなのかどうなのかという情報を収集しましょう、こういう話で設けた規定でございますので、私、先生の設けられましたようなシチュエーションからいいますと、治安出動をいかに早く下令するかという運用の問題なんだと思っています。情報収集出動をやらなければ治安出動は下令できないものでは当然ございませんので、要は、治安出動というものをどれだけ迅速に下令できるかという態勢の問題であります。

 ですから、情報収集出動そのものに警察権的なものを付与しなければならないということには論理的には必ずしもならないし、運用を適切に行うことによって先生の御懸念なさっているような事態というのは避けることができるのではないかと私は思っています。

渡辺(周)委員 ただ、まだ治安出動というのは下令されたことがございません。ですので、確かに情報収集活動は必要である、しかし、もう目前に今そういう危機がある、まだ治安出動が下令されていない、しかし、これは極めて我が国にとって危険な状況が今あるという場合に、私は、その運用上、理想を言えば、実効性を高めるためには付与すべきではないのかなと思いますけれども、長官、その辺の認識はいかがなんですか。

石破国務大臣 これは、この規定をつくるときにも随分議論はいたしました。先生おっしゃいますように、一度も治安出動ってやったことないんですね。訓練やることすらだめだという話でした。それは、今図上演習は行っておりますけれども、実際に、国民に銃を向けるのかみたいなお話があって、治安出動を下令ということ自体議論されることはなかった。要は、どれだけ迅速に治安出動が下令できるかという問題なのだろうと私は今でも思っています。

 情報収集出動に警察権を付与してしまいますと、今度は治安出動との区分をどうするんだということになってまいりまして、法的な整理はかなり難しいかと思っています。

 要は、治安出動をどういう場合に迅速的確に下令できるかということについていろいろなシミュレーションを行っておくことは、法治国家として、つまり治安出動という規定があるわけですから、これを効果的に運用できなければ、それはもう法治国家でも何でもないわけでありまして、これをどうやってきちんと効果的に運用できるか、迅速的確に運用できるかというシミュレーションの問題だと思っております。

渡辺(周)委員 もちろん、そういう事態がないことが我々にとっては非常に好ましいわけでありますけれども、そのような差し迫った危機がないということは言い切れない。こうした現状の中で、国民の生命と財産を守るためのまさに安全と安心の施策、そしてまた、その時点における我が国の持つあらゆる能力を駆使してでも危機を回避しなければいけないということで、この点についてはまた議論をしたいと思います。

 もう一つだけ、この治安出動に関して長官の御認識を伺いたいんです。

 治安出動を命ぜられた自衛官が土地の使用や建物の形状、例えば、どこかの施設を警護しようというときに、突破してくるかもしれないということを考えれば、何らかの、バリケードを置いたり土を盛ったり、あるいは、そこに監視するためのどこかの場所を借りて、あるいは、周辺にある、テロリストがそこを一望できるようなどこか高いところを、ある意味では、そこに対して使用禁止にするというような土地の使用、建物の形状変更等というのは、治安出動下では認められているんでしょうか。もし認められてないんであれば、この点についてはどうされるのか、その点、ちょっとお尋ねします。

石破国務大臣 この点も議論がございますが、今の時点で、治安出動におきましては認められておりません。それを付与すべきではないかという御議論、これはございます。

 治安出動を命ぜられた自衛隊の部隊が武装工作員等の侵入事案への対処を今後適切かつ効果的に行うために、自衛隊法を十三年に改正いたしました。内容は繰り返して申し上げることはいたしませんが、私は、治安出動でそこまでの、先生御指摘のような土地の使用とか形状の変更を認めなければ実効性が挙げ得ないというふうには認識をしておらないところでございます。事態が治安出動はそこまで考えていないというふうに思っておるわけでございます。

 治安を侵害する勢力への対処に対しては、想定される活動の実態を踏まえまして、具体的な必要性あるいは相当性が認められるかどうかという観点から、先生を初めといたします御指摘、国会における御議論、そして世論の動向を踏まえつつ対応しなければいかぬと思っています。

 治安出動というのは、もともとテロとかゲリラとかいうものを想定してつくった規定というよりは、国内的な騒擾事態を想定してつくった条文でございますから、これをどうやってテロに対して的確に運用し得るかということは、これは御議論のあるところだと思っています。現状におきまして、私どもとしては、その必要性を認識はしておらないところでございますが、国会における御議論、よく傾聴したいと思っております。

渡辺(周)委員 時間が五分しかなくなってしまいました。

 こういう議論はかねてからあって、あえて確認のために今回質問したわけでありますが、とにかく、これは、我々が今想定できる限りのことを幾つか挙げてみても、現場現場でどうなるかわからない部分がございます。実際、切迫している場合には何らかの形で警察権を治安出動下令前に付与することが、あるいは治安出動下において、そうした、例えば、相手の突入防止であるとか、どこか非常に甚大な被害を得るような重要施設の周辺に高い建物があった場合には、そこに対して使用させないようにするとか、あらゆる最善の可能性を尽くすべきだろうなというふうに私は思っております。

 きょうは、たくさんの方に参考人に来ていただいているんですが、ちょっと質問をする時間がなくなってしまいました。あと二、三分でございますが、これは将来の、今から議論されるであろう有事法制の中とも関連してくるんですが、地方自治体と自衛隊の連携の中でこういう話があります。例えば、災害現場に行ったことのある自衛官、そうした方々が、これから地方自治体との窓口といいましょうか連絡役といいましょうか、できれば地方自治体に何らかの形で、そうした災害出動の経験のある方、あるいは、レンジャーのような形で非常に特殊な経験を持った方々、そうした方々が、例えば地方自治体の中に、OBの方がそうした中に入っていくような連携もこれから必要ではないかと私は思うんですね、地方自治体の役割が国民保護の中で大きく位置づけられましたから。その点について、現状どうなのか、これからどうされていくのか。

 それからもう一つは、地方自治体、私どもの党の部会でも警察庁や消防庁の方にも来ていただきましていろいろ話をしましたけれども、一種の統一的な整備、共通化された整備とでもいいましょうか、例えば通信機一つにしても互換性がない。つまり、ネットワークを共有できない。そのことを考えると、これから何らかの形で、そうした専用の装備品を例えばストックする、それからまた、組織とまでは言わないまでも、自衛隊の方々が自治体とのパイプになって、あるいはそこに常駐されて、身分は例えば地方公務員になるのかもしれませんけれども、そうした中で、先ほど申し上げたテロ対策あるいは将来の国民保護ということを考えた場合、そうしたことをとにかくこれから考えていくべきではないのかなと思いますが、最後に長官の御答弁をいただきたいと思います。

石破国務大臣 先生の静岡県におきましても、今、県庁総務部防災局防災調整監あるいは県庁総務部防災局防災管理室防災連絡員等々、自衛隊から出ておりますし、OBも相当、各都道府県あるいは市町村に出ております。例えば、志方俊之先生なぞというのは東京都の防災担当もなさっておられるのは、先生御案内のとおりです。

 これは、現職の自衛官を欲しいというふうに大体どこの自治体もおっしゃるわけですね。私の鳥取県におきましても、全国第一号みたいなことで何年か前、現職の自衛官に来ていただいたことがあります。ただ、現職がすべてよろしいかといえば、そういうものでもないだろう。先生おっしゃいましたように、OBでも非常に高い知見を有する人間もたくさんおります。あわせて、うちの若年定年制ということの問題もございまして、これの活用というものは今後各自治体においてぜひお願いをしたいし、私どもも最大限御協力することを考えております。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 もう一つは、互換性の問題の御指摘がございました。

 これは、いろいろネットワーク等々で、うちの陸海空も当然のことでございますが、あるいはいろいろな訓練をやってみましてわかりますのは、例えば、警察と自衛隊と使っている地図が違いますとか、使っている用語が違いますとかいうと、一緒にやれと言われてもなかなかできないことがある。通信ネットワークもそうでございます。ただ、保秘の問題とかいろいろございますが、いざというときに全く連絡がとれない。これは海上保安庁と海上自衛隊の間においてもそうでございますけれども、そういうネットワークの構築というものはきちんとやっていかねばならぬ。それは、点検を常に行っていかねばならぬことだと思っております。

渡辺(周)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、精神論とかけ声だけで、地方自治体がこうあるべきだ、こうするべきだといっても、いや、そんなことを言ったって、我々には専門家もいなければ装備品もないんだ、いざ何かあったときにはどうやって意思疎通していいのかもわからないということが当然これから出てくるわけでありますから、将来的なテロ対策あるいは国民保護という意味においても、ぜひともこれは御検討いただきたいと思います。

 きょうは、消防庁あるいは厚生労働省、国土交通省にも参考人としてお願いをしたんですけれども、時間の関係で御質問できなかったことをおわびを申し上げたいと思います。大変御足労をかけまして、失礼しました。

 どうもありがとうございました。

小此木委員長 次に、大出彰君。

大出委員 民主党の大出彰でございます。

 きょうは、法案の関係もございますが、防衛の予算について中心に質問をさせていただきたいと思っております。あした参議院で予算が通るという話でございますが、辛うじて一日前ということで。

 実は、この予算に、いわゆるBMDを導入するということになったものですから、どうもいろいろな、今回の法案もそうですが、しわ寄せが来たといいますか、方針が大転換をしたものですからしわ寄せが来たような、そんな思いもありまして、この予算について、特にミサイルディフェンスの、BMDの監視網について、時間がなくなるといけませんので、変則的ではございますが、その辺からお話を伺いたいと思っております。

 まず最初に、この間の北東アジアの情勢といいますか、どんなことになっていたかということを少し時系列的に前提を置かせていただきたいと思います。

 この問題、まず、九三年の三月の十二日に北朝鮮が核拡散防止条約脱退表明をした。このあたりから具体的に問題が起こっておりまして、九四年の三月の十九日に板門店で南北の実務協議が行われまして、北の方では祖国平和統一委員会の書記局長という方が、韓国の方は統一院の次官という方でしたが、その方に対して、戦争になればソウルは火の玉になるだろう、宋先生も多分生き残るのは難しいだろう、こういうことを言われたということがありまして、九四年の五月と六月というのは大変この問題については緊張したときであったということが後々わかるわけでございます。

 九四年の五月から六月について、後々ペリー国務長官は何とおっしゃっているかというと、北朝鮮がソウルを攻撃するおそれがあったので、核疑惑施設を攻撃することも検討していたとアメリカの上院外交委員会公聴会で証言をしたというのがワシントン・ポスト、九五年の一月の二十五日に載っておるわけでございます。このことは、当時の金泳三韓国大統領も、九四年六月、北韓の寧辺の核施設を米国は飛行機と空母で攻撃しようとして、戦争勃発一歩手前までいったと語っておられるわけですね。これが九九年の十月の十九日に読売新聞に載っておるわけでございます。

 このように核問題が日本にとって問題になっているということから、最近になりましては、九五年の一月に専門家レベルでの日米弾道ミサイルの防衛共同研究から始まって、今回の〇三年の十二月十九日のMDシステム導入という閣議決定に至っている、こういうことになっているわけでございます。

 そこで、御質問でございますが、日本のミサイルの、BMDシステムでございますが、監視網について、宇宙と空中と海上と地上でどのようになっているかということをお願いします。

飯原政府参考人 現状でございますが、宇宙からの監視ということであれば、これは、我が国はまだ、現在自前の監視網の衛星を持っているわけではございませんので、米国からのアーリーウオーニングということで、情報の提供を受けることはございます。

 それから、海でございますが、九八年ですか、テポドンの発射のときにも追尾をしましたが、イージス艦のレーダーが有効に発射の確認及び追尾を行うことができる能力を有しております。

 それから、現状、地上にはFPS―3改レーダーというものもございまして、これも追尾ができる性能がございます。

 それから、そのほか、AWACS等々の機材で関連情報等も含めて情報収集能力があるというのが現状でございます。

大出委員 実は、アメリカの方の情報という話をしたんですが、確かに、宇宙の方はアメリカのいわゆるDSP衛星ということだったんですが、本当は、気になっていたのは、いわゆるアラート情報というのがございまして、コロラド州のファルコン空軍基地にアラートシステムがあるわけですが、その情報から直接情報を得ているのかなと思っていたら、どうもそうではなくて、そのデータが北米航空宇宙司令部、NORADに送られてデータ処理している、こういうことだと思っていたんですが、実はそうではなくて、韓国にあるJTAGSを経由して情報が来ているのではないか。この辺のことをお願いするためにわざわざ詳しく質問通告をしたんですが、そうではございませんので。

 私は、実は、コブラボールの話をいたしますが、〇三年の三月の二日に、新聞に載っておりまして、いわゆるRC135S、通称コブラボールという、この偵察機に北のミグ29フルクラムというのとミグ23フロッガーというのが四機接近をいたしまして、そして二十二分間追跡をして、そして一機は十五メートルまで接近をし、三度火器管制レーダーでロックオンをした、こういうことがございまして、そのときに、大変なことになったなと。もしこの偵察機、いわゆるコブラボールが落とされていれば、当然のことながら、北朝鮮に爆撃をやるだろう、そう思ったんですね。

 そのときに、このコブラボールというのが、実はアメリカは三機しかないわけですよ。私は、一機でのほほんとそんなところへ行っていて撃ち落とされたりしないのかなというふうに思っていたんですが、その点についてはどのように防衛庁あるいは長官は考えておられるんでしょうか。

石破国務大臣 別にのほほんと飛んでおるわけではないのでありまして、それは、コブラボールがどういう飛び方をしておるかにつきましては、私どもも十分承知をしておるわけではございません。しかし、今先生御指摘のような、近接して北朝鮮の飛行機が飛んだ、あるいはロックオンしたというようなことも報道では承知をいたしておるところでございます。

 アメリカのコブラボールの飛び方ということにつきましては、日本の安全保障上も極めて重要なものであります。詳細について言及をいたすことはいたしませんけれども、これが、それにふさわしい任務を持ち運用されているというふうに私どもも承知をいたしております。

大出委員 どうですかね、私は今、コブラボールが撃ち落とされたら、核戦争も含めた戦争になっていたのではないかと思いますが、その辺はどうでしょうか。

石破国務大臣 それは、仮定のことにはなかなかお答えできないというお話になるわけでございます。

大出委員 そういう逃げ方が最近はやっていまして。

 では、次の質問をしますけれども、一九九六年の四月ぐらいから、実は、先ほどアラート情報と言いましたけれども、アメリカから日本にこの早期警戒情報は来ていたんだと思うんですが、その辺を防衛庁、提供されていたのかどうか、お願いします。九六年の四月ぐらいから。

石破国務大臣 いろいろな情報につきまして合衆国と密接に連携をとっておるということでございます。個々のことにつきましては、お答えを差し控えます。

大出委員 そういう逃げ方もあるわけですね。要するに、四月からとかそういうのは認めないということですね、言えないということですね。はい。

 それで、核攻撃でもいいですが、ミサイルが飛んできた場合に、どれくらいで着弾をするのかということと、その間に、何分くらいの間に日本はどうすればいいのかという点についてお伺いをしたいのです。

石破国務大臣 それは、実際に撃ってみたことがございませんので、何分ということはわかりませんが、北海道から九州、沖縄までございますけれども、おおむね十分程度というふうに認識をいたしておるところでございます。発射してから着弾しますまでにおおむね十分程度というふうに考えております。

 その間にどうやって対応するかということは、システムの面におきましても、あるいは運用の面におきましても、法制度の面におきましても、これは確立をしておかねばならないことでございます。

大出委員 十分程度と言うんですが、先ほどアメリカの情報ということを言いましたけれども、アメリカから情報をいただきますね。そうしたら、まず、どれくらいでいただけて、どれくらいで判断するのか、その辺を聞きたいのです。

石破国務大臣 これは、あるいは予算委員会でもお答えをしたかもしれませんが、私どもの今回お願いをいたしておりますシステムというのは、基本的に、私どものセンサーあるいはウエポンあるいは指揮統制システムで動かすことにいたしております。合衆国からの情報がなければ今回のBMDシステムが運用できないものではございません。しかしながら、それが入ってくるということが有用になるということは当然あることでございます。

 したがいまして、どれぐらいの時間で入ってくるかというお尋ねでございますけれども、このことにつきましては、なかなか機微に触れることでございますので、お答えはいたしかねますが、合衆国からの情報がなければ運用できないというシステムではございません。基本的に、私どものそういうようなセンサー、ウエポンあるいは指揮統制システムで運用するものでございます。

大出委員 合衆国からの情報がないと運用できないということを強調なさっていますが、そういうふうに私は言っておりません。

 それで、何分で着弾するかの話をしましたので、実は、この防衛庁の防衛研究所の東アジア戦略概観二〇〇四年、これをきょうテレビあたりで報道しておりまして、いわゆるミサイルが、ミサイルといいますか、相手国が実行の着手をすれば攻撃できるのではないか、そういう話なんです。

 実行着手といいますと、まず、例えばミサイルに液体窒素を注入し始めて、六時間ぐらいかかると言われていますが、四時間かもしれません、そうなったときに実行の着手ということになるのか。言葉上の実行の着手があれば、当然防衛はできますよね。できますが、そのときに攻撃をすることができるのかという点について、お答えいただけますか。

石破国務大臣 例えて言えば、ある国が我が国に向けて、東京を火の海にしてやるというふうに宣言をし、東京に向けてミサイルを発射せよというような指令が下り、そしてミサイルが直立をし、燃料が注入をされたという状況を考えたときに、それは実行の着手というふうに評価を法的にされる場合があり得るということでございます。

 そして、自衛権の発動というのはいつなのかといえば、それは、おそれでは足りない、しかし被害を受けてからでは遅い。いつなのかといえば、それは着手した時期である。今申し上げたようなことが着手に法的に評価されることがあり得るということを従来政府は申し上げておるわけでございます。

大出委員 それはそうでしょうけれども、そのときに、攻撃能力としてはあるんですか。

石破国務大臣 これも従来からお答えをいたしておりますが、ガイドラインにおきましても明らかにしておりますように、その打撃力というものは、私どもはアメリカにゆだねるというような体制でおります。我が国として、そのような能力を保有しておりませんし、保有するという方針も現在持っておりません。

大出委員 どうも石破大臣は、攻撃的なものも持った方がいいのではないかと言ってはいませんでしたか。攻撃的なものを持つ必要があるのではないかとは言いませんでしたか。(石破国務大臣「言いません」と呼ぶ)そうですか。はい、わかりました。

石破国務大臣 そういうふうに言われますのは不徳のいたすところで、そのようなことを私は申し上げたことはございません。

 ただ、それは今までの政府のことを整理して申し上げておるわけでございまして、そのことについてどうなのかということは、政府の方針としては、そういうような合衆国にゆだねておるわけですし、それを変えるという方針でもないわけでございます。

 しかし、例えば、きょうの報道でも紹介されておりますように、そういう御議論というものは、それは当然議会の場においてあるというものだと思っています。政府の方針は変更したということはございません。

大出委員 ちょっとこの話が長くなってしまいましたけれども、今言われたので、これはミサイルという特殊といいますか、短期間で飛んでくるものだからおっしゃっているのかというところなんです。

 というのは、必要最小限度を超えないというのが原則でございますよね。その場合に、ミサイルの場合には、それをやることも必要最小限度の中に入ると考えているわけですか。

石破国務大臣 それは、自衛権の行使の三要件として当たり得る場合がございますでしょう。さればこそ、それは法理論的にあり得るということを申し上げている。

 ただ、政府として、その能力を合衆国にゆだねており、保有するつもりはないということで、法の議論とはまた別物であります。

大出委員 そう思いますね。

 それでは、実は、新レーダーシステム、いわゆるFPS―XXというのを考えていると思いますが、私はこれを見たときに、もともとこのMD問題というのは、アメリカのNMDというのが基本であって、最初からアメリカの防衛の一部として日本にお願いをしているというところがありまして、最初から集団自衛権の話だったと私は思うんですね。

 この新しいXXでみずからの国が判断の能力が上がるんだとすれば、自分で判断するわけですから、集団自衛権の行使に及ばないで済むのではないかという思いがあって、思いがというか、そういう経過をたどりながらの導入なのではないかと思っているんですが、その辺はどうでしょうか。

石破国務大臣 ということではございませんで、仮に情報をアメリカから入手をしたとして、それに基づいて我が国が自衛権を行使したということは、全く集団的自衛権の問題ではございません。それは、我が国を防衛するために自衛権を行使してミサイル・ディフェンス・システムをワークさせておるわけでございまして、それは我が国を守るためにやっておるわけでございますから、そもそも集団的自衛権の議論とは関係のないものだという整理をいたしておるところでございます。

大出委員 というのは、ミサイルをあそこの国は垂直に打ち上げますからね。垂直に打ち上げたミサイルがあったときに、それが本当はアメリカを向いている、これはわかりませんよ、どこに来るか。そのときに、アメリカの統制下でもし情報をもらって判断をする、そうしたところ、実は自分の国ではなくてアメリカだったけれどもミサイルディフェンスを行った、パトリオットを撃ったとか、そういうとき、そういう話をしているんですよ、そういうときに、判断は今のところできないのではないですか、こう言っているわけでございます。

石破国務大臣 ということでありますならば、我が国としては、いずれにしても、集団的自衛権を行使するということはないということでございます。ですから、その点、法制局の方からの答弁をさせるのが一番よろしいのかと思いますが、私どもとして、いずれにせよ、集団的自衛権を行使するということは現状において考えられていないし、そのような運用もいたさないということであります。

大出委員 実は、では、今核攻撃を受けたら日本は守れますか、今核攻撃が来た場合に。

石破国務大臣 これも、いろいろな仮定を置かないとお答えをできないことでございます。ですから、今核攻撃を受けたとして、日本が守れませんなどということを私は申し上げるつもりは全くございません。

 しかし、もちろんこれは委員もよく御案内のとおりで、そういうことにならないように、いろいろな、六者協議もあり、外交的な努力もあり、信頼醸成もありということでございます。そういうありとあらゆる努力にもかかわりませず、相手が国家であるのか国家でないのかいろいろな場合がございましょうが、核攻撃を受けた場合でも、国民の生命財産、国家の平和と独立というものを害しないようにするのが政府の務めだと認識をしております。

大出委員 大分、あっという間に時間が過ぎているということがわかりまして、私はこれはどうも、衛星がまず、今のところアメリカの衛星の情報を得るということで、偵察機情報もアメリカで、戦闘統制におけるデータ処理もアメリカで、それから戦闘管理のプログラミングのシステムもアメリカで、そうすると、このシステムの目とか耳とか頭脳はすべてアメリカだということなんですね、現実には。だから、中には、MDを独自で開発しろというような話も出てくるんですが、私はどうもこの体制、特に新しいレーダーのFPS―XXあたりができるまでは、さっき言ったような意味の集団自衛権に踏み込むことがどうしてもあるのではないかと思っていまして、その辺はどう思いますか。総合的に判断するとですよ。

石破国務大臣 いや、それはございません。そしてまた、すべて目も耳も実際のウエポンもアメリカではないかという御指摘でございますが、先ほど来申し上げておりますように、私どもが持とうといたしておりますシステムというものは日本独自で運用ができるものだということでございますし、現段階でそれを保有しておりません以上、それは合衆国に抑止力、これは核も含みます、核抑止力はゆだねておるわけですね。そしてまた打撃力もゆだねておるわけで、直接の敵地攻撃能力という意味から申し上げれば。しかし、それは日米安全保障条約に基づき、これはもう日本ですべてやるなんということはできませんから、日本と合衆国の条約に基づきまして、それは有機的に抑止力を働かせ国を守るということでございます。

 ですから、集団的自衛権のお話とは、私は全く結びつくものだとは考えておりませんし、そのことはよくアメリカも了解をした上で、現在運用をいたしておるところでございます。

大出委員 集団自衛権の話はおくとしましても、まずは最初の、監視の方から話をしましたけれども、MD自体がどうも有効ではないのではないかと実は思っています。

 というのは、アメリカのいわゆるミサイルディフェンスといいますか、配備の基本的な考え方が、クリントンさんのときには、脅威があった、それに対して、脅威があった場合に、どのような能力が備わったのか、武器がですよ、武器が備わったかという点で、備わっていれば配備するという方針だったはずなんですよ。ところが、今のブッシュさんのは、その製品がその能力があるかどうかは関係なく、今あるもので配備しましょうというベースなんですね。

 ですから、もともと完璧ではないのではないかと思われるようなものを、買いなさいと言われて買っているんじゃないかという思いがあるんですよ。その辺はどうでしょうか。

石破国務大臣 そのような税金のむだ遣いはいたしません。

 と申しますのは、これは、もちろん世の中には完璧というものはございませんからこそ、アメリカは、スパイラルアプローチという、今ある、二〇〇四年から導入をしておりますシステム、その次のシステムということ、もう常に切りかえていくというシステムをとっておるわけです。相手方のミサイルも進歩をしますから、こちらも進歩をしていかねばならない。それは何もミサイル防衛に限ったお話ではございません。軍事技術というのはそういうものだと思っております。

 今から二十年ぐらい前でしょうか、ミサイル防衛構想というのは何も新しく始まったものではございませんで、ABM条約なんというのはそのためにあったものでございますから。ただ、昔のミサイル防衛というのは、飛んでくるミサイルの近くにミサイルを撃って、核爆発を起こして、落ちなばもろともみたいなことですね。かなり荒っぽい話だったわけです。しかし、今のミサイル防衛システムというのは、ヒットキルと申します、直接ぶち当てるというやり方でございますから、極めて難しいと言われておったものが実際にできるようになった。アメリカ合衆国が、日本円にいたしますればたしか八兆円だったと思いますが、それぐらいのお金をつぎ込んでやってきたものでございます。

 そして、納税者の視点が厳しいのはアメリカも一緒です。どれだけ正確なものであるかということを実証した上で、アメリカにおいて配備が始まり、我が国もこれを導入しようとしておるわけで、そのような当たるも八卦当たらぬも八卦というようなものではございませんです。

大出委員 大臣と議論しているとその話ばかりになっているわけですが、ですが、どうもMD自体の、先ほど言ったような基本的な考えが変わっているという点もありますし、それにいろいろな方から言われて、例えば、だったら今のアメリカのシステムじゃなくて、パトリオットじゃなくて、イスラエルのアロー2の方がいいではないかというような話もあるでしょう。

 要するに、それは我々は現場で見てやっているわけじゃありませんが、そういう意見が出るほど、あるいは、今はパトリオットがいっていますが、将来、レーザー兵器の方が先に来るのではないかと言われているんですよ。そうすると、なぜ今決めてそれでやるのかな。そして、さっきのFPS―XXが二〇一一年までかかるわけでしょう。そうすると、その間、芽がないのに買っていてもしようがないのではないかという思いがあるわけですよ。その辺はどうでしょうか。

石破国務大臣 というような御議論もたくさんあります。それをもう何年も何年も議論をいたしました結果として、今日に至っておるわけです。

 確かに先生御指摘のように、アローというものは単体で見れば、しかしあれもアメリカと共同開発をしたものでございますから、それは決してイスラエルだけが独自の技術を持って、コストパフォーマンスが高いというものでもございません。

 私どもは、イージスそして地上配備型のシステム全体として、これはアメリカのシステムというものを日本として導入する、そして日本で独自に運用することが最もよろしいであろうと考えて決めたものでございます。

 レーザーのシステム、エアボーンレーザーみたいなもの、これも発達をしていくでしょう。そういうものが出たらまたそれを入れるということも、これは将来のお話としてあることでございます。

 しかし、このシステムというものは、専守防衛的な、まさしく日本にふさわしいシステムであるという自信は持っておるところでございます。

大出委員 どんどん時間がたっていきますので、ほかの省庁も呼んでおりますので、ちょっとお聞きをしましょう。

 なかなか私は守るのは大変だと思っておりまして、その中で、警察の方に聞きますが、五十二基の原発がありますね、これをどうやって守るのかということと、それから、通告してありますが、全国に五百キロリットル以上の石油タンクだとかガスタンクが一万三千以上あるんですね、これをどのように守るのかということをお尋ねいたします。

瀬川政府参考人 お答えいたします。

 原発、それから石油、ガスタンク等に対するテロ対策でございますけれども、いずれにいたしましても、未然防止をするということが第一義だと思います。それから、万が一発生した場合には、的確にそのテロを鎮圧するということだと思います。そしてさらに、二次災害といいますか、被害の拡大を防止する、そのために住民等の避難誘導等も的確にやる、こういうことが基本だろうと思います。

 未然防止という点は、こういった重要保護対象に対する国内テロ一般、共通するかと思いますが、各国の治安機関との情報交換を含む情報収集活動をしっかり強化する、それから水際対策でテロリストを国内に入れないというような対策を強化する、それから国内におけるそういったテロリストのインフラ等の発見に努める、そして個々の警戒警備をしっかり強化していく、こういうことでございます。

 警戒警備の強化の部分についてでございますが、まず、原子力発電所そのものにつきましては、私どもの銃器対策部隊、これはライフル、サブマシンガン、それから装甲警備車、こういったものを持ったものでございますが、これを原子力発電所に常駐させておりまして、二十四時間体制で警戒警備を実施しております。

 万が一、こういった原発に対するテロが発生した場合には、特殊部隊として警察が保有しております通称SATというものがございますが、これを投入して対処することとしております。このSATにつきましては、不断に外国の特殊部隊とも合同訓練等も行いまして、テロ対処能力の向上に努めているものでございます。

 それから、原発の案件でもう一点ですが、警戒警備の万全は警察のみならず、海上保安庁におきましても海上からの警戒警備を実施していただいておりまして、緊密な連携を図っております。警察庁と海上保安庁、あるいは現場の部隊と当該原子力発電所の沖合において警戒に当たっている巡視船の間で連携をとるということで、通信体制の確保も含めまして行っております。

 現実に、これは昨年の六月以降でありますが、現在まで七つの道県におきまして、緊急事態の発生を想定しました共同訓練も行っているところでございます。

 それから、ガスタンク、石油タンク等の警備でございますが、御質問にありましたとおり、極めて数が多いということでございますので、情報収集あるいは国内テロリスト等の発見、国際テロリストの潜入の防止、発見等々は、これは共通で実施をしておりますけれども、恒常的な、警察官を常駐させての警備ということは現時点では実施をしておりません。今やっておりますのは、事業者の方に自主警備をしっかりお願いするということ、異常があった場合の緊急連絡通報体制ということ、それから、警察といたしましてはパトロール等を強化していくということでございます。

 どちらにいたしましても、その情勢をしっかり見きわめまして、情勢が出てきたというときは、これはまたそれに応じた的確な配置をしてまいりたいというふうに考えております。

大出委員 ありがとうございます。

 時間がなくなってきましたので、外務省の方に聞くかな。

 ミサイル防衛というのは失敗をすることが当然あるわけですね。そうすると、まず第一に、国民を守るということを一番最初に考えなきゃいけないと思うんですが、なかなかどうも、今の北朝鮮との関係の中で、戦争に近くなっていると言ったら失礼ですが、必ずしもうまくいっていないというふうに思っていまして、その辺をどのような外交態度で頑張ろうとしているのかという点についてお尋ねいたします。

齋木政府参考人 お答えいたします。

 基本的に政府としては、日朝関係を前に進めたい、前に進めていくということが日朝双方にとって利益になる、ひいては北東アジア地域全体の平和と安定に利益になる、そういう考えでございます。

 その際、私どもとしては、日朝平壌宣言が今後の日朝関係を形成していく、形づくっていく、その方向性を示す非常に重要な、基本的な文書であるというふうに認識しておりますし、日朝間の懸案、核問題、ミサイル問題、拉致問題、こういったものを包括的に解決して、北東アジア地域の平和と安定につながるような、そういう形での日朝の国交の正常化、これを目指していくというのが基本的な方針でございますし、そういう方針でこれまでも臨んでおりますが、今後とも、この基本的な方針を堅持していくという考えでございます。

 当然、私どもとしては、今私が申し上げたような日本政府の考え方について、北朝鮮側においても同じような認識を共有して、ぜひとも前向きに、六者会合であれ日朝間の政府間協議であれ、対応してくれることを強く期待しておる次第でございます。

大出委員 ありがとうございます。

 もう一つ、内閣官房。核攻撃等を受けたときの話をしてありますが、要人避難というのをやるのかどうか、そういう計画があるのか。

 アメリカの九・一一のときには、いわゆるパラレルガバメントといいまして、要するに百人ぐらいの要人が別のところに移った。それに従業員も含めますと全部で二百人。それで、黙ってやったものですから問題になっているんですが、当然、要人の避難等を考えているのかどうかという点、内閣官房、お願いします。

堀内政府参考人 お答えをいたします。

 国及び国民の安全に重大な影響を及ぼすさまざまな緊急事態にすき間なく対処することは、国家の重要な責務であるというふうに考えております。

 政府といたしましては、外部からの武力攻撃を初めとする国家の緊急事態に迅速かつ的確に対処できるよう、武力攻撃事態対処法、安全保障会議設置法等の関連法令に基づきまして、平素から必要な検討に取り組むことが重要であるというふうに考えております。

 我が国に対する武力攻撃といった極めて重大な事態につきましては、これを未然に防止するための外交努力を行うことがまず何よりも重要であるというふうに考えております。

 万一の場合に備えまして、関係省庁の緊密な連携のもとに政府全体として必要な検討を行っているところでありまして、対処体制の確立に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

大出委員 あと少ししかありませんから、最後に、中期防の見直しをやることになっているわけなんですが、閣議決定の中で、「従来の整備構想や装備体系について抜本的な見直しを行い適切に規模の縮小等を図ることとし、」こう書いてあるんですね。

 ところが、見ていますと、陸も海も空も縮小していないのではないかと実は思っていまして、それで端的に申し上げますが、陸の場合、戦車十五両、これは幾らでしょうか。火砲八両、これは幾らでしょうか。

飯原政府参考人 お答えをいたします。

 九〇式戦車十五両で百二十一億円でございますので、平均単価で約八億円。それから火砲、百五十五ミリりゅう弾砲は八両で七十八億円でございますので、平均単価約十億円ということでございます。

大出委員 今、戦車、火砲について言ったんですが、陸について言ったんですが、海についても、対潜水艦整備構想等を転換しまして、潜水艦を一そうつけているんですね、五百九十八億円でしょう。空の方も作戦用航空機等を要するに転換するわけですね。支援戦闘機五機、これは六百十八億円ぐらいでしょう。

 これは、目的に合った規模の縮小をうたっているのに、それで中期防というのは、今回この問題で新たにやるわけですよね。凍結するわけでしょう。そうすると、これを入れてくるのはおかしいのではないか。総額、海陸空で千四百十五億円ですが、これは削除、削減すべきではないかと実は考えているんですが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 それは、そういうことにはなりません。

 なぜかと申しますと、今、防衛局長から戦車のお答えをいたしました。これは、バスやトラックを買うわけではないといつも申し上げておりますように、注文したらすぐ届くというわけではございません。

 この戦車が、十六年度に十五両調達をいたします。これでも最低でございますが、これが納入をされますのは十七年度でございます。十七年度にはどれだけの戦車がリタイアするかというと、四十四両の戦車がリタイアをするわけでございます。結果といたしまして、全体の戦車数量は二十九両削減ということになるわけでございまして、私どもが防衛装備品を調達しますのは、減勢も見込みましてやっておるものでございます。

 したがいまして、一気にゼロにするとか、一切その予算から落とすとか、そういうようなことはできないものでございます。戦車あるいは潜水艦あるいは航空機、それなりの意味を持っておりまして、我々の脅威は、脅威かぎ括弧つきで申し上げれば、テロやゲリラあるいは弾道ミサイルだけではございません。それ以外の従来型の懸念というものも存在いたします以上、それなりの合理性を持ちまして予算要求をさせていただいているものでございます。

大出委員 閣議決定であるわけですから、目的に合った規模の縮小が行われているというふうに内閣官房は考えますか。どうぞ。

小此木委員長 どなたがお答えになられますか。

 飯原防衛局長。

飯原政府参考人 十二月十九日の閣議決定において、その前に、「将来の予測し難い情勢変化に備えるため、本格的な侵略事態に対処するための最も基盤的な部分は確保しつつ」ということでございますので、従来の戦車であるとか、今御指摘のような装備につきましても、基盤的な部分は確保すべきものというような閣議決定がなされているところでございます。

大出委員 国民保護法制なんかを見ましても、どうも、国民はどういうふうに守ってもらえるのかなというのがよくわからないところがありまして、私はよくシェルターをつくれと言っているんですが、その方が現実的ではないか。

 北欧なんかでもシェルターをつくったり、ヨーロッパも、前の核問題が起こったときにシェルターをつくるというような動きがありまして、どうも国民保護法制なんかも、一カ所に集めるんだけれども、集めた場合に、戦争状態のときに集めちゃうと逆に国民が死ぬことが多くなったりするかもしれませんし、ただの災害とは違うわけですから、そんな意味で、やはりシェルターをつくった方がいいんじゃないかというような話も出てくるのではないかと思うので、目に見えた意味のというか、本当に国民を思っているような保護ということをしていただきたいなと実は思っているところでございます。

 そして、もう時間的にありませんから、最後に、例のヘリコプター搭載護衛艦、DDH、これですが、ヘリコプターが三つ載っているんですよね。ところが、四機同時着陸ができるはずだから、四つ載せないとおかしいんじゃないかと思いまして、これはちょっと少な目になっているのではないかと思います。これは四つ同時でしょう。これはこういう記載ではなく、四つ同時にできますよということで、目いっぱい機能をあらわしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

小此木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 石破長官、また浜田副長官並びに関係の皆さん、大変長い予算審議、またイラクの事態を瞬時気にしながらの状況、大変に御苦労さまでございます。

 きょうは、私、最後でございまして、既にこの委員会に来る前にあちらこちらかけ持ちしておりましたので、つぶさにここでの議論は聞いていないんですが、恐らく、大半、もう既に出たようでございます質問ばかりなんですが、確認も込めて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今も大出委員から出た話でありますが、これからの日本の防衛という面にとって、今一番大きな転換期になっている。前回の委員会でも長官にいろいろお話をお伺いいたしましたけれども、冷戦対応型、またポスト冷戦対応型、そしてまたポスト九・一一対応、そういう側面というものをこれからの日本の防衛を考えていく上において強く意識して、恐らくこれからの中期防、また防衛大綱の見直しということを考えておられる、当然のことだろうと思います。先ほど来そういった答弁をお聞きしておりまして、そういったことを強く意識したわけです。

 まず、ポスト冷戦という観点からいけば、要するに、BMD、ミサイル防衛というものが一つの中核に浮かび上がってくるんだろう。そして、ポスト九・一一という観点から見れば、テロという、テロ防衛、テロディフェンス、こういった問題がその中核になるだろうというふうに思うんです。

 先ほどもありましたように、陸海空それぞれの自衛隊についてどうするかといったときに、陸上自衛隊はいわゆる戦車、また海上自衛隊は潜水艦、また航空自衛隊は従来型の航空機の規模を縮小していくということが恐らく考えておられる。もちろん、先ほど話があったように、大幅に云々というよりも、よく全体のバランスを考えながら、比較相対的に言えば従来よりは規模を縮小して、違う方向にシフトしていく。高度の情報というものをしっかり入手する。こういった観点、技術力、情報力というものを高めながら、先ほど来申し上げているようなことを考えておられるんだろう、こんなふうに思うんです。

 過去、長官が長官になられて予算を編成されたのは二回ですね。いつまでもされないだろうとは思いますので、過去の二回のそのことを踏まえ、具体的にどういう手だてを講じてこられたのか。いや、それはこれからであって、もう既に今の時点までは従来を踏襲しただけにすぎない、こういうことなのか。その辺を踏まえて、若干最初に確認をしたいと思います。

石破国務大臣 今の予算までは今の大綱、つまり平成七年の大綱に基づいて行っております。

 平成七年の大綱というのは、基本的な考え方というのはポスト冷戦の考え方であって、先生のお言葉をかりれば、何ですか、いわゆるテロとかゲリラというもの……(赤松(正)委員「ポスト九・一一」と呼ぶ)ポスト九・一一というものはもちろんないわけですよね。そして、合理化、効率化、コンパクト化というキーワードのもとに現大綱はつくられ、それに基づいて予算を編成いたしております。

 もちろん、ポスト九・一一、つまり部隊の新編等々、今度新しく習志野にできます部隊などが典型でございますが、そういうものに合ったような部隊というものはつくっております。しかし、抜本的に考え方から変えるというのは、今年末に大綱が決まり、そしてまた新たな防衛力整備計画が決まる、それに基づいて行われることになると考えております。

赤松(正)委員 それから、今回、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正のこの法案で、陸上自衛隊が二千九十三人少なくするということですよね。

 今日まで毎国会ごとに、合理化、効率化、コンパクト化ということで、自衛隊の中の人数の移動、シフトというのですか、そういうことが行われてきたんですが、そういう人的な部分で、これから新しい中期防策定に当たって、何か特徴的な人間の配置、そういうことについて特にお考えを今の時点で持っておられるかどうか、あるいは特にそういうことは考えていないということなのか、その点について。

石破国務大臣 これは、かなり基本的な議論が必要だと思っております。

 今のところ、募集の状況というのは好調でございまして、今、自衛隊に入るのは大変な競争率ということになっております。しかし、これは、今の少子高齢化がこのまま続くといたしますと、必ずしも将来的に楽観を許さないということがある。そして同時に、私どもの年齢構成というものがありまして、他国に比べてかなりシニアな組織になっている。これをどうするのだということがございます。

 もう一つは、充足率をどのように考えるべきなのか。そして、予備自衛官のあり方、これをどう考えていくべきなのか。また、陸海空、空と海はかなり機械で動いておりますので、人員の削減というもの、合理化というものも可能な部分がございますが、陸の場合には、なかなかそれがストレートにきかない場合がございます。ここのところをどうするのかということでありまして、人的な考え方、新しい考え方というもので、今当庁の中で多くの議論を行っておるところでございます。

赤松(正)委員 先日、委員長も御一緒、また大石筆頭理事とも一緒でございましたけれども、横須賀走水、小原台にある防衛大学の卒業式に初めて参加をさせていただいて、思うところ非常に多かったわけです。

 私の地元の兵庫県の姫路あるいは伊丹の陸上自衛隊の皆さん等も大変に、それこそ、阪神・淡路の震災の対応から鳥インフルエンザの鳥の死骸の埋め込みに至るまで、ありとあらゆるさまざまな、ロシアの船のタンカーがまき散らしていった油の処理から、いろいろなことに活躍をしてくれているわけです。

 防大の学生の皆さんの卒業式のときの一人一人の顔を見ながら、大変深い感銘を受けたんですけれども、全国のそういう、先ほど自衛隊の隊員についての募集は非常に好調であるということでありましたけれども、ぜひ、量的、質的にしっかりとした体制をつくっていくべく頑張っていただきたいということをお願いしたいと思います。

 二点目でございますけれども、先ほどのポスト冷戦対応、BMD、そしてポスト九・一一テロということの観点からいくと、最初のBMDということについて確認をしたいと思うんですが、四つの点で確認をしたいと思います。

 まず、大前提としての情報収集の能力向上。いわゆる情報収集衛星という問題、これはなかなか、現状ではアメリカに頼らざるを得ない、ここから先も、かなりの部分そうなんだろうと思います。しかし、さはさりながら、日本の基本的な部分について、日本もしっかり情報収集をしていこうということで衛星を活用するということなんですが、この四月に新しい体制のもとで情報収集衛星の画像を収得する、そういうふうな認識でいるんですけれども、その辺の現状について、まず第一点、確認をしていきたい。

 それからあと、防衛庁長官が御自分の書かれた本の中で、前回も申し上げましたけれども、このBMDのことについては、当時まだ、去年の十二月に最終的に安全保障会議で決定しておられるわけですから、その前段階なので、残された課題というふうなことで三つに分けておっしゃっている。

 一つは、いわゆる技術力。そして二つ目は、費用、予算の話。三つは、BMDを運用するに当たっての法的な整備というか法的課題。この三つが課題なんだという話の中で、これは裏返せば、要するに、一般的にある、私なんかもついこの間までというか、今もなお思っているのは、そんなの当たるのか、うまくいくのかよ、そういう懸念、技術的な部分の最大のそういう問題点。それから二つ目の費用については、めっぽう金がかかるんだろうな、それは大変なお金を必要とするBMD整備の計画になるんではないのかというポイント。三つ目は、従来言ってきた集団的自衛権の問題。これはお答えの中にそんなに入れていただかなくてもいいんですけれども、つまり、考えは既にわかっているわけで、それは、敵方というか相手方の撃った弾道ミサイルが瞬時にどちらの方向を向いているかわかるという問題で、集団的自衛権問題はクリアできるというお話だろうと思うんです。

 それ以外に、わずか十分以内、七分ぐらい、昨日の某大新聞の連載の第一発目にも、そうした短い期間の中で本当に、それこそ、今こうやって話しているときにも、もし仮に、未来においてそういうことがあった場合にどういう対応をするのか。瞬く間にそういう時間が過ぎちゃう。そういう中でたくさんの法的問題をクリアするということについての課題が、当時、あの本の中では残っているというお話でしたが、今どのようにクリアされたのか、あるいはまだ残っているのか、この辺についてお伺いをいたしたいと思います。

石破国務大臣 確かに三つあるというふうに考えております。

 一つ、当たるのかねという話ですが、当たります。

 当時、例えば、ここからゴルフのティーショットをして、富士山のレーダー、もう今はなくなっちゃいましたが、あれに当てるほど難しいというふうな話を聞いたことがありますが、これは、GPSでもそうですし、アメリカの精密誘導ミサイルでもそうですが、例えばある攻撃目標というものがあるとして、衆議院第二議員会館などという漠としたものではなくて、第二議員会館の五階とかいう漠としたものではなくて、第二議員会館何号室のこのあたりとかいうと、どんとそこへ精密に当たるということが実際に行われておるわけでございます。

 それは、やはりそういう技術というもの、進歩というものはすごいものでありまして、これは、アメリカにおきまして、ハワイにおきまして随分とイージス艦を使いました迎撃試験はいたしてまいりましたが、相当に精度の高いもの、そしてまた、私どもとしては、イージスに積みますSM3とPAC3というものを組み合わせますので、相当に信頼性が高いというふうな認識をいたしております。

 費用対効果、先ほど私、大出委員にお答えしました、アメリカ合衆国で八兆円というふうに申し上げましたが、これは十兆円の間違いでございますけれども、アメリカにおきまして十兆円も納税者のお金を使って開発をしてきたものでございます。私どもでも八千億から一兆円かかると思っておりますが、費用はそれで出るわけですが、効果というものははかれないということだと思います。

 一番大きな効果は、それを持つことによって、どうせ撃ったって撃ち落とされてしまうんだったら撃つのをやめようということが一番大きな効果でございます。そのことはお金にかえられるものではございません。そして、万が一、それが飛んできたとしても、それがかなりの確率で落とせるとすれば、これは効果はお金にかえられるものだと私は思っておりません。費用対効果はそのように考えるべきものと思っております。

 そして、最後の法的な問題点でございますが、先生御指摘のように、発射してから到達まで十分以内ということになりますと、基本的にこれは自衛権の発動というふうに考えまして、防衛出動の規定に従うべきものということになりますが、それを全部やっている時間があるのかね、こういうことになってまいります。閣議を一々開くのかねとかですね。その場合にどのような対応をするか、防衛出動を下令し、そしてまた発射するまでにどのような手続を経ることになるか、それは多くの議論がございます。それは、防衛出動でいくべきなのか、あるいはほかの法的な枠組み、例えて申し上げれば、領空侵犯措置、対処みたいなもので構成できるか、そうすると、飛んでくるミサイル、それは航空機なのかとか、いろいろな議論がございます。

 いずれにいたしましても、法的にきちんと機能できるような枠組みをつくらなければなりませんし、それが自衛権の発動であります以上、シビリアンコントロールというものをきちんと確保をするということ、そして国会における御議論というものをどのように考えるか、いろいろなことを考えながら、このミサイル防衛システムというものがきちんとワークできるような、そういう法的枠組みを構築する、その必要性は感じております。政府部内におきまして、今本当に議論を加速させておるところであります。

赤松(正)委員 政府部内における議論を待ちたいと思いますけれども、しっかりと対応していただきたいと思います。

 三つ目の問題ですが、テロに対する防衛、TDと言っていいのかどうか、何でも英語の頭文字を使って言う言い方は余り好ましくないんですが、対テロ防衛の問題です。

 九・一一以降、そしてつい最近のスペインにおける列車爆破事件というものがあって、私なんかもほとんどというか、しばしばにわたって新幹線を利用する機会が多いので、列車に対する、鉄道網に対する今のテロ対策というのは、ほとんどなかなか対応は難しいな、飛行機というわけにいかないし、飛行機におけるテロ対応というとまた性格が違うから、難しいなという気がいたしているんです。

 先般、井上忠雄さんという元陸上自衛隊の化学学校の校長をされた方が書いておられる「「テロ」は日本でも確実に起きる」という、読みようによっては、聞きようによっては非常に恐ろしい本を書いておられますのを、ちょっと斜め読みしたわけです。

 要するに、テロに対しては日本の場合は極めて無防備で、それこそ、警察庁あるいは防衛庁が、国が何をしてくれるのかということよりも、それもそうなんだけれども、まず、人間一人一人、国民一人一人の対テロ防衛意識というか、そういうことに対する姿勢というか意識というものが大事だ、こんなふうなお話が書いてありまして、それはそうなんだろうけれどもと、いろいろ思った次第です。

 そんな中で、要するに、防衛庁とそれから各地方自治体、もちろん、東京、首都圏は大変にそういった部分で意識が高くて、石原都知事あるいは埼玉県知事、神奈川県知事、千葉県知事等々、かなり横の連絡をとりつつ、非常にいろいろな角度で対応を研究しておられると聞いております。今も、たった今、ここへ来る前に、イラク復興支援特別委員会で志方さんが参考人質疑の答えをしておられて、文字どおりそんな話を委員の質問に対して答えておられましたので、大体そういう代表自治体としての東京の取り組みというのはわかるんですが、先ほども同僚委員の中から質問があったようでありますけれども、全国全体の各地方自治体とそれから防衛庁とのそういうテロに対するふだんからの連携、いろいろな意味での連係プレーというものが非常に大事だろうと思います。

 旧聞に属しますけれども、阪神・淡路の震災のときのあの対応で極めて、どこといっても、阪神・淡路と言えばどこだとわかっちゃうわけですけれども、いささか自治体が自衛隊との関係というものを疎遠にしていたがゆえに、ちょっと適当性を欠く対応も一部にあったということがありまして、ふだんからの自衛隊とのそういう災害対応、テロ対応の重要性というものが十分今わかってきておると思うんですが、そういった点で、まず、防衛庁とそういう地方自治体との協議というか連係プレー、これについてお聞かせ願いたいと思います。

石破国務大臣 現在、二十八の道府県と図上演習を行いました。そして、各都道府県警察と協定を結んでおるところでございます。

 先生御指摘の阪神・淡路のときにも、必ずしも完璧にうまくいったとは全く思っていないわけであります。これは比較したらおしかりをいただくのかもしれませんが、鳥取県西部大地震というのがございまして、あのときに一人も死ななかった。人がいないから死なないんだなんてことを言った人もいましたが、そんなことではないのでありまして、それはやはり、地震があったときに、鳥取市には自衛隊の部隊は全くございませんが、地方連絡部長、一等陸佐でございました。彼は、実は定期検診か何かで病院に入っていたわけでございますけれども、地震があって、その足ですぐ知事室に行って、知事と一緒に協議をしながら適切な対応をしたというふうに聞いております。

 やはりこれは、日ごろから自治体と自衛隊、それだけのみならず警察、海上保安庁あるいは国土交通省、あるいはJR、そういうような公共機関と常に、何かあったらどのように対応するのかというシミュレーションをやっておかなければ、いざというときに動かないのだと思っております。

 私ども、そういう問題意識のもとに、いろいろな自治体あるいは警察、海上保安庁、関係機関とともに、できるだけ多くの回数やった方がいい。訓練というのは、できるだけ多く、そしてできるだけ突然に、そしてできるだけ大規模にやること、これが必要なことだというふうな認識を私は持っておるところでございます。

赤松(正)委員 先ほど、地方自治体の数ではまだ全体から見れば半分強ぐらいだと思うんですが、さらにその数をふやしていく努力をしていただきたいと思います。

 次に、同じ範疇の問題で、今イラクの事態、アフガンからイラクという流れの中で、要するに、この地上における世界の現状に対する認識というものが大きく変わってきている、つまり九・一一以降の世界認識という話です。

 そういう状況の中で、私は、日本外交あるいは日本の防衛の任に当たっておられる皆さん、また私たちの物の考え方というのは、これはテロに対する防衛同盟というんですか、これは劇作家で東亜大学の学長の山崎正和さんが、そういう言葉としての対テロ防衛同盟という言葉を使って、そういう枠組みというか、それは本人に聞いてみないともう少し具体的なイメージはわいてこないだろうと思うんですが、そういう、言ってみればテロに対するネットワーク、テロ防衛に対するネットワークを国際社会の中でつくり上げていくことが必要なんだ、そういうようなことを言っておられます。なかなかそれは、一朝一夕にはいかないことでしょうけれども、そういう国際社会における国際テロに対応するための、今申し上げたようなことを含めてのネットワークということについては、どういう考え方を持っておられるのか。

 さっきの例でいくと、志方さんが先ほど、今の日本はやはりアメリカに依存せざるを得ない、私も含めてのことでしょう、日本の政治家の皆さん、対米依存、協調、対米追従というのが多過ぎるということをよく皆さんおっしゃるけれども、しかし、ではどうやったらアメリカに依存せずに生きていけるのかというその方途を示してほしい、こういう議論をしてほしいというお話、彼の持論でありますけれども、そういうことをまた言っていました。そんな中で、言ってみれば情報について、ヒューミント、人間にかかわる情報の部分についてはアメリカに依存しなくてももっとやっていける、そういう分野だろうという話をされておりました。

 ちょっと余計なお話をいたしましたが、対テロ防衛同盟についてのネットワークづくりというような観点の考え方というのは、長官、どういうふうにとらえておられますでしょうか。

石破国務大臣 結局、エリント、シギント、ヒューミントの中で、日本で相当できる部分も実はありますよね。だけれども、まさしく先生御指摘のヒューミントの部分をどうするかということは、これからの課題になるところがあるだろうと思っています。

 相手がテロであるだけに、国際的なネットワークというものをきちんと持たないと、テロリストというのは、本当についさっきまで普通のおじさん、おばさん、お兄さん、お姉さんだったのが突然テロリストになるわけで、その情報というものをきちんと持っておかないと、外国の人が来れば水際で食いとめられますよというのは、議論の中でもありましたが、かなり錯覚、油断に近いものだと思っておりまして、ヒューミントの意味での連携の強化というものはさらに図っていかねばならないことだと思っております。

 私どもから申し上げれば、それは防衛駐在官の役割ということになるわけでございまして、これも外務省とさらに議論を重ねながら、防衛駐在官がさらにその役割を発揮できるように私ども努力をしていかねばならないし、それはほかの政府関連機関ともよく議論をしながら、ヒューミントの能力というものを上げていく、そしてそれが国際的なネットワークとしてワークできるように私どもとしても努めていく、非常に総論的なお答えで恐縮ですけれども、そのように考えておるところであります。

赤松(正)委員 私たちも、いわゆる国際社会における日本人のそういう情報収集力というか、情報収集だけにとどまらないんですけれども、さまざまな紛争処理に対して、直接的にでなくても、間接的にせよ何にせよ、人的パワーという部分で、今、防衛庁からいえば駐在官のお話がありましたけれども、それ以外に、さまざまな分野におけるそういった人的供給源というものを現状よりも大きく拡大していかなくちゃいけないということを強く意識しておりますので、ぜひともいろいろな連携をとってうまくやっていきたいと思います。

 時間がもう参りましたので、最後に一点だけ、今の話に関連しまして、いわゆるオーシャン・ピース・キーピング、海洋平和維持活動について。

 実は、このOPKというのは、私、国会議員になって直後に、防衛研究所の研究官の方から詳しく聞いたことがありまして、OPKについて非常に強い取り組みを防衛研究所がやっているということを意識いたしました。九六年ぐらいに防衛研究所が国際会議においてOPKの提唱をしたということを知っているわけですが、そういうところからぐっと何年たったんでしょうか、昨年、長官が、いわゆるOPKについての提唱を、アジア太平洋会議ですか、アジア太平洋地域でのそういったOPKの必要、海上交通路の安全確保、海洋汚染とかあるいは資源の乱獲とか、いろいろな問題がそこに含まれているんでしょうけれども、OPK、海洋平和維持活動を提唱されたということです。

 まとめてお聞きしますけれども、一つは、これについては懸案がいろいろな角度であるんでしょうけれども、防衛研究所の最初の提案から七年ほどたって、昨年そういう提案に至った背景には、そういう懸案が幾つかもう解消したということが背景にあるんでしょうけれども、そういうことについてのお考え、並びに、これは海上保安庁にかわって海上自衛隊が出張っていくという話でしょうから、そういう問題についてどう処理しているのかという話を中心に答えていただきたいんですが、これについては、あと、各国の受けとめ方等、最後にお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 結局、海軍力と便宜的に申し上げますと、海上防衛力というふうに言いかえてもよろしいのですが、これをどうやって警察権的に使うのかなということなんだろうと思っています。

 これから先、例えば海賊というものを考えましたときに、海賊というものの六割はアジア海域で起こっている。ハイジャック型の海賊なんということになりますと、全体の八四%がアジアで起こっている。これをどうするか。それは、海賊ですから警察権ということになるわけですけれども、それではコーストガードだけでやれるのか、それはそうではないであろう。やはり海軍力というものが警察権的に活用されるということがあってしかるべきではないのだろうかという議論であります。

 防研が九六年にこの議論を提唱いたしまして、私も、多分先生と同時期だと思います、こういうお話を聞いて、まさしく多くの資源を海外に依存している、この地域の安定というものがまさしく国益である我が国こそ、この問題に取り組むべきではないのか。しかし、それは各国いろいろな思惑がございます。これは二国間協定みたいな形でやっているところが多いわけですけれども、これをどうやってアジア全体でそういうオーシャン・ピース・キーピングみたいなものをつくることができるだろうかということであります。

 この議論には、オーストラリア、あるいはインド、あるいはカナダ、そういう国が強い関心を示しておりまして、国連海洋法条約との関連、そして各国の国内法整備との関連もありますが、この議論を前に進めていくことは、アジア地域、そしてまた我が国の利益に必ずつながるものであるというふうに考えております。

 このことにつきまして、これもある意味で大綱の中の議論に入るのかもしれませんが、どのような形で我々の海上防衛力を使うべきなのだろうか、各国とどうやって連携をしていくべきなのか、そういう点につきまして、さらに議論を深めたいと思っております。

赤松(正)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

小此木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小此木委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小此木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小此木委員長 次回は、来る三十日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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