衆議院

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第7号 平成16年4月15日(木曜日)

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平成十六年四月十五日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 小此木八郎君

   理事 岩屋  毅君 理事 小島 敏男君

   理事 高木  毅君 理事 仲村 正治君

   理事 大石 尚子君 理事 長島 昭久君

   理事 細野 豪志君 理事 赤松 正雄君

      赤城 徳彦君    大前 繁雄君

      嘉数 知賢君    北村 誠吾君

      佐藤  錬君    林田  彪君

      古川 禎久君    山口 泰明君

      青木  愛君    大出  彰君

      小林 憲司君    西村 真悟君

      樋高  剛君    前田 雄吉君

      松本 剛明君    渡辺  周君

      遠藤 乙彦君    御法川信英君

    …………………………………

   防衛庁長官政務官     嘉数 知賢君

   参考人

   (杏林大学総合政策学部教授)           平松 茂雄君

   参考人

   (岡崎研究所理事)    金田 秀昭君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  佐藤 公治君     樋高  剛君

同日

 辞任         補欠選任

  樋高  剛君     佐藤 公治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(東アジアの安全保障情勢)


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     ――――◇―――――

小此木委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に東アジアの安全保障情勢について調査を進めます。

 本日は、参考人として杏林大学総合政策学部教授平松茂雄君、岡崎研究所理事金田秀昭君に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。

 この際、平松、金田両参考人にごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中のところ御出席をいただきましたこと、心から御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、両参考人からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 御発言は着席のままで結構でございます。

 念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知いただきたいと存じます。

 それでは、平松参考人、お願いいたします。

平松参考人 平松でございます。きょうは、お招きいただきありがとうございました。

 時間がありませんので、余分なことはやめて早速本論に入りますけれども、最近、中国が日本の周辺の海域でいろんなことをやっているということで、皆さんも関心を持っていただくようになったことは大変ありがたいことでありますけれども、実は、中国が海洋に出てきたのは、きのうきょうに始まったことじゃなくて、非常に長い歴史を持っているということをまず第一に認識していただきたいと思います。

 中国が国連に入ったのは一九七一年でありますけれども、国連に入って中国が最初にやった大きな活動の一つが海洋の問題でありました。七三年に国連で海洋法条約の審議が始まります。七〇年代というのは二百海里の時代だと言っていいと思うんですが、それに向けて、中国は第三世界の立場に立って、第三世界の利益を代弁するということで、みずからも利益の目的を追求するということをやったわけであります。

 その前に、六〇年代の後半に、いよいよ海洋の時代が始まるということで、国連が世界のいろんな海域で調査をいたしました。東アジアでも、東シナ海、南シナ海の海洋調査をやった。その結果、どちらの海域にも大陸棚に石油が埋蔵されているらしい、そういうことが発表されて、にわかに周りの国が関心を持つということになったわけであります。尖閣列島の周辺に石油があるらしいということがわかったのが六九年であって、にわかに、今まで尖閣列島の領有権を主張したことのなかった、まず中華民国、台湾、次いで中華人民共和国が領有権を主張して、その海域の石油資源はおれのものだということになった。これが今日の摩擦の起源になるわけですが、それは七三年の国連海洋法条約に始まるということであります。

 ここで申しておきたいことは、当時の中国はどういう状態であったかということを一言申し上げておきますと、実は、六〇年代の十年というのは不毛の十年間と中国研究者は言っております。つまり、実りがなかったと。何ゆえかといいますと、まず一つは中ソ対立がありました。ソ連に援助を打ち切られて、中国は経済成長がストップする。それから、その後半が文化大革命です。しっちゃかめっちゃかのような状態が起きたわけであります。

 しかしながら、そういう時期にあって、中国の指導者、その中心は毛沢東という人間でありますけれども、この人間がちゃんと、これから世界は海洋の時代に入るということをはっきり認識していたということであります。

 そして、国連に入って海洋法条約の活動をするわけですが、そのとき中国は、七四年、つまり海洋法条約が始まった翌年に南シナ海の西沙諸島に出てまいりました。ここで軍事力を行使して、西沙諸島を完全に押さえるということをやる。そして、それから十数年たちますけれども、八八年に南沙諸島にやはり軍事力を送り込んで、この一部を支配するということをやったわけであります。西沙から南沙に出るのに十数年かかっているわけでありますけれども、それだけ大変だったということであります。

 つまり、中国という国は、見ていますと、やはり力を持つとそれに伴っていろんな活動を始めてくるということでございます。つまり、西沙から南沙に出てくるのに、やはりある程度の海軍力がなければできなかった。それができることによって出てきて、そしてそこを押さえて支配する。そうすると中国は、共同開発やりましょうとか平和的手段で解決しましょうということを言い出すわけですが、とかく我々はそういうところを受けてしまって、中国があたかも非常に平和的なことを言っているかのように思うわけですが、実はそうではないわけで、力でもって押さえてからそういうことをやるということであります。つまり、ここのものはおれのものよ、だから一緒にやりましょう、そういうこともやってきておるわけであります。

 なぜ南シナ海に出てくるかということですが、それは今申しましたように、一つは石油、海洋資源という問題が一つと、それから、ここはシーレーンが通っているということであります。そういう意味での、交通及び軍事的な要衝であるということから出てきておるということであります。そして、何よりも重要なことは、石油資源もそうですが、それよりも、やはりここが非常に重要なシーレーンのルートであって、それにかかわる問題があるということであります。

 一方、中国がそうやって南シナ海に出てくるときにアメリカは何をしていたかということですが、アメリカは何もしていません。見ているだけで、そして、領土問題にはかかわらないから当事者で解決してほしいということであります。したがって中国がここを支配してしまったということになります。

 問題は、シーレーンが脅かされたときにアメリカはどうするか、そういう問題になってくるだろうと思います。これは、台湾問題、東シナ海、それから、これから述べます太平洋、そういった問題に関連していると思います。

 そのように南シナ海に出てきて、そしていずれは東シナ海に出てくるということで、東シナ海に出てくるのが、九〇年代になってくると大っぴらに出てくるわけですが、やはりそれにも歴史があって、八〇年代の十年間に中国は、この東シナ海の海域、日中中間線ということが言われておりますけれども、その向こう側の、つまり中国側の海域で石油の探査を始める、つまりボーリングをどんどんやっていくということが進んでくる。そして、その一部を、これは平湖と言っていますけれども、この平湖油田の石油を上海に持っていくという話が具体化してきて、九〇年の終わりには、もう現実に今この石油が上海に送られているわけでありますけれども、そういうところまで進んでくる。

 そういう動きを見て、実は、このままの状態でいくと日本側の海域にも入ってくるから、やはりやるべきことはやらないといけないということを私はずっと言い続けてきてまいりました。皆さんのお手元に、私が産経新聞の「正論」にずっとこの数年来、そのことを飽きもせずに繰り返し言って訴えてきたものを皆さんの御参考に差し上げましたので、後からごらんいただければと思います。

 私としては、一応私はこれだけのことを今までやってきたよ、にもかかわらず、ほとんど関心を持ってもらえなかった。ようやく、こうやって取り上げていただいたということを私としては大変うれしいことでありますけれども、いささか遅過ぎた、もう少し早く関心を持ってほしかったというのが私の偽らざるところであります。

 そうやって東シナ海に出てくるわけですが、日中中間線を説明すると長くなりますから、ちょっと後から、御質問のところでお話ししたいと思いますけれども、そのようなものがあって、日本が、東シナ海の大陸棚は半分日本に権利があると、それに対して中国側は、日本にはないという考え方に立っている。したがって、考え方が違うわけですから、日本としては自分の立場をはっきり宣言しないと、どんどん日本側にやってきますよというのが私の一つの論点であったわけです。

 事実、そのようにどんどん中国側が入ってくる。九〇年代中ごろに入りますと、どんどん入ってくるようになってきたわけであります。日本側はそれに対して、ここは日本の権利がある海域であるから海洋調査をやめなさいと言っても、それをやめないと言って、一種の無法状態がだんだん生まれてくるわけであります。

 そういう中で、一九九六年の七月二十日に日本は海洋法条約を批准して発効しました。それによって、日本は初めて日中中間線を設定したわけですね。したがって、この日中中間線を設定した段階で、日本ははっきりと、ここから日本の領域であるから中国が勝手なことをやるなと言って、これをとめなきゃいけなかったわけですが、結局は口先で言っているだけで、この無法状態というのはますますひどくなるという状態になってきたわけであります。

 そうやっているうちに、私は、海洋調査船の次に軍艦が来るよということをずっと言い続けてきたわけでありますけれども、軍艦があらわれるということになりました。

 そして、決定的になったのが、二〇〇〇年に、バトルシップではありませんけれども、情報収集船が日本を一周する、そういう出来事が起きました。対馬海峡から津軽海峡を通って、そして房総沖で情報調査をやり、そして太平洋側を、南をずっと、いわば日本の表玄関の海域をずっと西に走っていって、そして中国に帰るということをしました。

 これはやはり自民党政府にとって大変ショックな出来事であったことは間違いないわけで、それでようやく中国側とこの問題について交渉するということをやったわけです。

 そこまではよかったわけですが、その先が実につまらないことをやってくれたわけであって、日本がそのとき、日本側の海域でやるんだったらあらかじめ事前に通報しなさい、そして許可を得てからやりなさい、そういうまことにばかばかしいことを、大変申しわけないです、自民党の方がいらっしゃるのでそういうことを言うのは非常に失礼かもしれませんけれども、まことにばかばかしいことをやってくれた。中国はそれに乗って、事前通報制度というのができました。これは二〇〇一年の二月にできました。つまり、中国側も大っぴらに、堂々と日本の海域でやっていいということになって、それが行われたわけであります。

 ところが、それにとどまらなくて、今世紀に入ると、二〇〇二年から、今度は日本の太平洋側で海洋調査を始めるということになりました。今までの東シナ海の調査というのは、これはきっかけは石油であるわけですが、それだけではなくて、宮古島と沖縄本島の間の海域で、明らかに潜水艦の通航の調査をやっていると思われるような調査を始める。そして、それが太平洋へとつながっていくわけでありますけれども、太平洋側でやっている調査というのは、資源調査もあるかもしれませんけれども、それよりは、潜水艦あるいは機雷を敷設するとかそういった軍事目的の調査である、私はそのように見ているわけであります。そういう調査まで始まってきているわけであります。

 そのように、中国の海洋戦略というのは実は意外に早くから始まっていて、そしてそれを中国の中央の政治がはっきりと認識して、一つの国家戦略としてずっと持続してやってきている。そして、そのための政策がとられ、お金の配分がされ、それでもってだんだん具体化してきているということであります。

 私たちは、とかく、中国というと、中国に対して非常に過大評価する人と非常に過小評価する人があるわけですけれども、しかし、私たちはやはり冷静に中国という国がやっていることをちゃんと見きわめる必要があると思うし、皆さんにも見きわめていただきたい。やっていることは、始めたときは大したことないかもしれませんけれども、やはり十年、二十年たつと、かなり物を言うような、具体的なことがわかってくるわけであります。

 これはきょうのテーマとは違いますけれども、中国は核兵器を持っております。意外と中国が核兵器を持っているということにむとんちゃくな人がいらっしゃるんですけれども、実は、この核開発を見ても、非常に時間をかけて着実に進んできておる。日本としては、中国の核兵器にどう対処するか、そういう核兵器を盾にして海洋に出てくるということは、やはりお考えいただきたいと思います。

 そういう意味で、尖閣列島の問題というのがあるわけですけれども、実際に日本にとって尖閣列島というのは、軍事的には私はそれほどの意味はないと思います。もちろん、ないわけではありませんけれども、ただ、中国にとっては、尖閣列島というのは、東シナ海から太平洋に出ていくというときには、やはりこれは確保したいというところだと思いますし、これは、台湾侵攻ということを考えればなおさら重要であるということであろうと思います。我が国にとっては、沖縄諸島がちゃんと健全であれば、それほど尖閣列島というのは気にすることはないと私は思いますけれども、向こうに言わせると、そうであるということですね。

 それから、もし中国が台湾に軍事侵攻するというようなことになれば、当然この辺の海域というのは戦場になるわけですから、そういうことも考えておかなきゃいけないということなんだろうと思います。

 それから、太平洋の調査というのは一体何のためにやっているかということですけれども、いろいろあるにしても、私は、当面の問題は、やはり台湾に侵攻するときに、当然アメリカの空母が出てきますから、あるいはグアム島の原潜が出てくる、それをブロックするということになる。そうなってくると、これは日本の自衛隊もかなり全面的に協力せざるを得ないような状態になってくるわけですけれども、そうなったときに日本は一体どういうことになるのか。それだけの備えを今からしておかなきゃいけないというふうに思いますけれども、そういう問題がある。

 十五分来ましたからやめますけれども、一つだけ申します。

 今度の尖閣に関して、これは私が皆さんに差し上げた産経の「正論」の中に書いておいて、こういうことを言っているのは私だけしかいないかもしれないんですが、中国が無人島の管理を始めたということで、そういう中で、尖閣列島は無人島であるし、自分の領土であるから、ここをちゃんと管理しようといった中で出てきたということを申しておきたい。今までの尖閣の問題とは違ってきているということですね。

 今度は民間団体を装って来ているわけですけれども、それは政府が何らかの形で関与しているというふうに思わなければいけないということで、そういう観点から見ると、今度の出来事を、尖閣列島に不法に上陸したから逮捕した、そういう単なる刑事事件ではないということを私は申し上げておきたいということです。

 これでやめます。(拍手)

小此木委員長 ありがとうございました。

 次に、金田参考人、お願いいたします。

金田参考人 岡崎研究所理事の金田でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、東アジアの安全保障というテーマでお招きいただきまして、どうもありがとうございました。

 私は、米国の新アジア戦略と我が国の防衛戦略の整合という観点からお話をしたいと思います。

 非常にテーマが広くなりますので、とりわけ、米軍が今実施しております変革、トランスフォーメーション、なかんずく、前方展開兵力の再編成と我が国の防衛計画の大綱の改定問題を中心にお話をさせていただくことになっております。

 まず、ブッシュ政権の安全保障戦略でございますけれども、国防政策の基本はどこにあるかということで、これはなかなか難しい問題ではございますけれども、公式文書をひもといてみますといろいろわかってくるということでございます。

 政権最初の国防政策基本文書は、〇一QDR、二〇〇一年に発表されました。これは、九・一一テロ直後の九月三十日という日付でございますが、QDR、カドレニアル・ディフェンス・レビューということで、四年ごとの国防計画見直し、こういう日本語になるんでしょうか、これが基本文書の最初でございます。

 そして、着々と準備を進めていたのが、九・一一テロということがあったので、急遽見直しをしたということになりましたので、米国の本土防衛を最重要任務と位置づけることを強調はしておりますけれども、基本的には、それまで機会あるごとにブッシュ政権が示してきた考え方が示されている。すなわち、お手元に資料があると思うのでございますが、国防政策の四基本目標は、一つは地域安全保障へのコミット、二つ目が軍事競争の予防、三つ目が脅威の顕在化抑止、四つ目が侵略への対処でございます。その後も、先制攻撃理論とかいろいろなことをやっておりますが、国防政策の基本ということはここで間違いないだろうと思います。

 その中で、いろいろな、今までの政権とは一味違う考え方があります。

 例えば、脅威ベースのアプローチから能力ベースのアプローチという形で国防計画の移行がされております。これは、なかなか難しいのでございますけれども、米国は、ただいま本日、米国の脅威となる可能性があると認識するものに対してだけではなく、より広く、米国がどのように脅威を受ける可能性があるのか、また米国が勝つために必要となる能力は何かということについても詳細な計画をする、そのような発想でございます。

 また、この四つの目標の底流に流れておりますのが、前方抑止、これは明確に言っておりますが、ディターフォワード、こういう体制を維持するということでございます。

 そして、クリントン政権で評判が悪かった二MTW戦略、ツー・メジャー・シアター・ウオー。二つの大きな戦域で勝利するということでございますが、これは、どんどん国防費を減らしているのに仕事ばっかり押しつけるということで、軍がどんどん弱くなっていってしまうというようなことがございまして、これを変更いたしまして、いわゆる一・五MTWプラスそれよりも低い数々の事象、LIC、ロー・インテンシティー・コンフリクトといいますが、こういったものに変わっていったということでございます。

 そして、後で申しますが、軍の変革、トランスフォーメーションを推進するということでございました。

 ブッシュ政権の新アジア戦略でございますが、もうこれは皆様方御承知でございますように、アーミテージ・ナイ・レポートというものがございます。これは政権発足前に出た文書でございますが、今の国務副長官のアーミテージさんなどが練った案でございまして、二〇〇〇年の十月に発表されております。ここでは、日米の成熟したパートナーシップに向けての前進などということが言われております。昨年十月は、ライス補佐官が我々のアジア政策というようなことを発表しております。また本年三月は、パウエル国務長官がアジアで進行中のパートナーシップということで、米国のアジア戦略の基幹は日米あるいは米豪のような安全保障同盟である、このように言っております。すなわち、米軍の前方展開部隊を基盤といたしまして、基軸となる同盟関係と域内の多国間協力といった重層的なアプローチ、これでいくんだということでございます。

 次に、前方展開兵力の再編成というテーマについて申し上げます。

 ここでは、今の米軍の変革、トランスフォーメーションというものにおける、では前方展開戦略というのは何かということについて触れてみたいと思います。

 これは、ラムズフェルド国防長官が発表しております軍の変革、これの中で、トランスフォーメーションというのは、ある事象ではなくてその過程である、プロセスである、こう言っております。つまり、アメリカは常にほかの国よりも軍事的には先行していくんだ、こういう考え方なんですね。その中で六つほどのポイントを言っております。これは時間がございませんので省略させていただきますが、この中で四つほど線を引いたところがその前方展開戦略に関係するところでございます。

 トランスフォーメーションというと何かRMA、レボリューション・イン・ミリタリー・アフェアーズ、軍の変革というものばかり、システムがどうだとか精密兵器がどうだとか衛星がどうだとか、そんなことばかりに目が行きがちでございますが、その基本というのはこの前方展開戦略にあるということでございます。ここに書きましたように、ファイス国防次官などもそのように言っておるわけでございます。

 我が国の防衛戦略との関係をここで考えますと、日本を含むアジア太平洋地域での米国前方展開戦略との整合性が緊要になってくるということでございます。このことについて特に申し上げたいわけでございます。

 次に、前方展開兵力の再編成ということで申し上げます。

 米国の前方展開兵力の歴史的背景でございますが、冷戦終了直後には約五十四万人という兵力が世界各地に展開しておりました。現在は、欧州を中心にしまして削減して、半数以下の大体二十三万人ぐらいと言われております。

 ブッシュ政権の前方展開を再編成するという考え方でございますが、この基本構想は、現在あります大規模で恒久的な在外米軍基地の大部分を、必要に応じて利用できる、より小規模で多数の基地に変えるということです。アフガンでの戦い、イラクでの戦い、こういったときに、やはり中東であるとか中央アジアであるとか南西アジアであるとか、こういったところに頼れる基地がなかったじゃないか、イラク戦争のときにはトルコから入れなかったじゃないか、そのようなことが反省材料としてあるわけですね。

 そして、その中で基地を三つほどに分けまして、例えば日本のような頼れるところは中枢作戦基地に、それから前方作戦基地という少数の兵力で維持をしていくという基地、さらには基地、兵力は維持しないが何かのときには使わせていただくよという前方作戦地域、こういった三種類に分けて進めておると言われております。

 アフガンやイラクでの戦闘の軍事力の結果、前方展開基地の再編成は加速されるということになっております。

 昨年十一月、ブッシュ大統領は、同盟友好国と本格的交渉開始の意向を表明しました。今後は地球規模でこういったものが進捗し、あらゆる地域で再編成があると言われております。早ければ今夏、初夏あるいは五月ぐらいということもありますが、大体において結論を出すのではないか、しかしながら、大統領選の影響などもございますので、その発表というのは恐らく年末ぐらいになるのではないか、大統領選後ではないかということで言われております。

 中身でございますが、欧州や中東の再編成構想は、これは相当な規模で進むと思います。特に、ドイツでありますとか、いわゆる古い欧州ですね、アメリカの言う古い欧州。ここから中欧であるとか南欧、中東方面にアクセスできるというふうな意味から、こういったところに動くということでございます。この中には、古い欧州から新しい欧州への変革などということもうかがえるわけでございます。中東では、イラクでの戦闘への反対者と支持者に対する米国の対応の差が恐らくあらわれるであろうと思います。今後、注目をして見ていかなきゃいけないと思っております。

 アジア太平洋地域の再編成構想でございますが、韓国などで言われております第二歩兵師団の配転でございますとか軽快展開部隊との交代など、在韓米軍の運用に柔軟性を確保するための措置が行われる予定でございます。また、東南アジアとか南西アジアでは、先ほども言いましたように、アクセスするポイントは今までなかった。したがって、前方作戦基地や前方作戦地域というものをできるだけ拡大していきたいという措置がとられております。また、これは米国領でございますので前方作戦基地ではございませんが、米国領のグアムをアジア太平洋地域の中枢作戦基地とするという考えのようでございます。

 では、焦点となります在日米軍の再編成構想でございますが、これはいかがか。

 もとより、朝鮮半島や台湾海峡有事への対応、あるいは極東やそれ以外の地域への作戦展開とか後方支援の中枢基地など、また現下の情勢を考えれば抑止力の維持強化は必要であろう、こういう考えだと思います。当面、したがって在日米軍の重要性に変化はなく、大幅な削減の可能性は非常に小であろうと。しかしながら、ウォルフォビッツさんなども話しておりますように、在日米軍には間違いなく穏やかな変化があらわれるであろう、このようなことを言っております。

 それを観測してみますと、例えば、日本という中枢作戦基地としての海空兵力中心の戦略拠点機能は維持強化したいということでございますね、まずは。ただ、日本におります司令部機能の統廃合による削減の可能性を追求する、そういうふうなことから、在日米軍兵力は、今後は、極東のみでなく、遠隔地の紛争等に柔軟に対応可能な機動運用部隊として位置づけるというようなところが挙がっています。いずれにせよ、アメリカもこういった大きな戦略の変更をするわけでございますので、日米間で政策、防衛の両側面から緊密な戦略的整合を行う必要があろうかと思うわけでございます。

 そして最後に、私の本題でございますが、我が国防衛戦略との整合、日米同盟の再整合、リアジャストメントというんでしょうか、それをお話ししたいと思います。

 今申しました米軍の変革、前方展開戦略の変更に伴う在日米軍の性格の変更でございます。

 たびたび申していますように、在日米軍は、単なる地域対処兵力ではなく、より広域の各種事態対処への機動展開部隊としての存在になるだろう、そうすると、ますます我が国防衛戦略との整合性というものが必要になってまいります。従来の安全保障政策、我が国の安全保障戦略に余り拘泥しない戦略的発想に基づく、あるいは一新するというような政策措置が必要になろうかと思います。

 ここで地域の安全保障情勢を見ますと、ここに書いてありますように、必ずしも安定ではなくてむしろ不安定な状況、しかもそれは、いつ何が起こってもおかしくないという状況などがございます。いわゆる伝統型の戦争というものから国際テロあるいはシーレーンへの妨害などなど、いろいろな問題があるわけでございます。また、先ほども平松先生がおっしゃられました中国の動向ももちろん気になるところでございます。

 同盟の意義をここでちょっと申しますと、これは私どものような者がお話しするのは全く恥ずかしい限りでございますが、ちなみに私の考えを申しますと、今までの同盟というものは、冷戦時代に基本的にできておるわけでございますが、明白な脅威への対応でございました。しかし、同盟というものは進歩し続けるんだろうと私は思います。進歩し続ける同盟というのは、仮に明白な脅威が目前にない場合でも有益である、こういうことでございます。

 今後の同盟は、したがいまして、伝統的な抑止とか集団的防衛はもちろんきちっとかたくやっていかなきゃいけませんが、より国際的で広範な安全保障上の協力といったものを含意するべきである、このように思います。

 日米同盟の深化と拡幅ということを僕は考えていくべきであろうと思います。

 いろいろ、これは日米同盟は何たるかということを話しますと、時間がとてもございませんが、端的に言えば、五十年の長きにわたる日米同盟というのは、大局的に見て日米両国にとって大きな利益をもたらしたということだと思います。強固な日米同盟は、アジア太平洋地域やより広範な世界の各地で両国の国益を追求するために不可欠でございます。一方、緊密な日米協力は、相互依存関係の深化した地域の政治、経済、安全保障等、広範な領域の基盤をなすものでございます。そして、安定的かつ予見性のある地域関係の維持のために寄与いたしますし、そういう意味から、今後、日米同盟の意義は深化、拡幅すべきであると思います。

 これはいろいろなことがございますが、三つほどに集約していきますと、一つは、本来の機能でありました日本の防衛、共同対処、あるいは極東の防衛、基地の提供といった面でのより緊密な協力の側面というものがあろうか。二つ目は、アジア太平洋や隣接地域、さらには国際社会全般の安定に寄与するといった側面。最後に、在日米軍兵力などへの弾道ミサイル防衛を提供する。今回予算が成立いたしましたけれども、我が国が我が国の施政権下にある在日米軍兵力などに弾道ミサイル防衛の提供をするわけですね。そのことに、米国の防衛、米国の兵士、米国の戦力、こういった防衛への地域的な寄与、我が国における寄与、これを行うということなんです。これは双務性を発揮できるということにほかならない。

 最後でございますが、我が国防衛戦略と米国アジア戦略の再整合というものを主張したいと思います。

 なぜならば、現在、防衛計画の大綱の改定が、やはり本年末を目途に行われるわけです。片や日本は、防衛計画の大綱の改定をしようとしている、片やアメリカは、アジア戦略を変えようとしている、米国のトランスフォーメーションをやろうとしている。この時期に、この二つのファンクションをもっともっと緊密に近づける、そしてより戦略的な調整を図って、その上で防衛計画の大綱なり、あるいはアメリカの戦略の変更なり、そういったものに結びつけるべきではないのか、そのための努力を惜しんではいけないのではないかということでございます。

 細かいことは、ちょっと時間もございませんので省きますが、一つは、自衛隊と米軍との我が国防衛に際しての運用面での役割分担。我が国弾道ミサイル防衛における日米共同による防衛、さらに被害局限、これは市民防衛ともいいますが、そういった面、あるいは反撃といったことについても、日米でやはり考えていくべきではないかと思うわけでございます。

 また、地域的、地球的な日米の運用面での役割分担。大量破壊兵器の拡散阻止の活動としてのPSI、国際テロ阻止行動、広域のシーレーン防衛、海洋安全保障協力、そういった意味での有志連合、コアリションですね、こういったことをやはりやっていくべきだと。

 また、装備面での役割分担も大事だと思います。BMDとか関連装備の共同研究開発、あるいは情報通信・主要装備品等の相互運用性、インターオペラビリティーの確保、こういったことが大事でございます。

 より根本的には、米国との政策あるいは防衛の両側面からの十分な戦略協議が必要である。例えば、有事や緊急時における自衛隊と米軍基地の相互利用、自衛隊と米軍の戦略配備に関する調整、また、その前提としまして、集団的自衛権の問題とかあるいは地位協定の改定など、より対等な、公平な、お互いに尊敬し得る日米同盟を模索すべきではないかと思います。

 防衛計画の大綱の改定に際しまして、米軍の変革に対応した明確なビジョンの提示を期待しておるものでございます。

 以上でございます。(拍手)

小此木委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

小此木委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 参考人に対する質疑は、理事会の協議に基づき、まず、各会派を代表する委員が順次質疑を行い、その後、各委員が自由に質疑を行うことといたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤錬君。

佐藤(錬)委員 自民党の佐藤錬です。

 それでは、先生方に、一、二、それぞれお聞きしたいと思います。

 まず平松教授にお聞きするんですが、お話によりますと、東シナ海だけじゃなくて、我が国の排他的経済水域である地域、太平洋の地域まで中国の海洋調査活動が急増しておる。その活動が、国連の海洋法条約で保障された純粋な科学的海洋調査ではなくて、地質調査だとか資源調査、軍事調査が行われておるというお話を承ったわけですが、法律にのっとった調査と今申し上げました不法な調査との峻別といいますか、それを日本政府がきちっと掌握するということは難しいのか、できないことなのかどうなのかを、まず一点お聞きしたいと思います。

 それと関連して、もう一つお聞きしたいんですが、そういった不法な行為に対して、我が国の主権及び国益を守るためには、毅然とした、拒否をする、抗議をする、そういったことが大事だろうと思いますし、断固たるそれに対応する措置をするということ、また、今お話ありました、尖閣列島が日本の領土であることを中国、台湾へ国際的にも主張し続けること、日中中間線の画定にきちっとイニシアチブをとること、また我が国の大陸棚の資源開発にも取り組んでいくこと等々が大事であると思います。

 一方、外務省が、そういった弱腰というか遠慮しておるというか、あいまいな態度をとるのは、やはり中国との友好関係に悪影響を及ぼしたくないというような思いからではなかろうかと思います。

 そのようなジレンマというか、そういう局面に対して、平松先生の、いわゆる実効ある対応、いろいろ抗議をするが、注意勧告をするが実効が伴わないというお話がありましたので、その実効ある対処をするためにはどのような具体的なことをやらなきゃいかぬのかというようなことについて、まずお聞きしたいと思います。

平松参考人 最初の問題は、一般の科学調査なのか資源調査なのか軍事調査なのかということは、これは厳密に区別できないもののようです。これは国際法の問題になってきますから、その専門家に伺うのが一番いいんですが、しかし、私も参考のために、国際法の専門家が私の周りに何人もいますから、国際法の専門家に伺うんですけれども、結局要領を得ない。つまり、国際法というのは、いわば法律だか何だかわけのわからないような、こう言うと国際法の先生から怒られるんですけれども、非常にあいまいなところがあるわけで、結局、途中で何かわけがわからなくなってしまうということです。

 これは何も日本だけじゃなくて、どこの国についてもそう言えるわけで、結局、政治の解釈でもってやっていくほかないということだと思いますね。だから、アメリカのような非常に力のある国ですと、世界のどこの海域にも軍艦が行くという建前からいけば、余り規制されたくないということになるわけですが、逆の立場に立てば、力のない国はやはりこれを規制しようとする。そういうことのようで、御質問に正面からお答えできるようなものでは、どうやらないらしいということだと思いますね。だから、やはり日本にとって必要なことは、これは科学調査です、これは資源調査ですというようなことは、余り厳格に分けて考えない方がよろしいのではないかと私は思います。

 それに関連して一つ申し上げておきたいことは、中国が東シナ海で海洋調査を勝手に日本側の海域でやっているというときに、さっきも申したと思いますけれども、事前に許可を得てやりなさい、事前通報制度ということでやったわけですが、事前通報でもって許可を与える、そのときの条件として、日本側が一応挙げているのは二つ。一つは、日本の経済的利益を侵害されないという、つまり資源調査は認めませんよということ。もう一つは、日米安保条約に基づいて、日本の米軍に危害を与えるような、もうちょっと具体的に言えば、米軍のいろいろな情報がそれによって盗み取られるような調査は認めませんよということが書いてあるわけですが、肝心の、日本の自衛隊が危害をこうむることは認めませんよということは書いていない。

 まさにそこが非常にとんでもないことであって、つまり、自衛隊というのは軍隊でないわけだから、まあそういうことになるのかなと、私はそうやって自嘲的に解釈しているんですけれども、そういうところにあるわけで、御質問のように、これが軍事調査、資源調査、そういうことを厳密にやるよりは、やはり日本が日本の立場に立って、だめなものはだめと言っていくほかないだろう。やはり政治の力でもって解決するほかないと思うし、それにはある程度の力をバックにしてやるほかないということだろうと思います。したがって、日本に力を持てというわけではありませんけれども、やはりそれなりに外交の後ろ盾のある力がなければだめだということになると思います。

 それから、もう一つの御質問ですけれども、これも非常に難しい問題で、結局、今の問題と同じことになると思うんですが、私が皆さんに差し上げた産経新聞の「正論」で、ずっといろいろなことを書いてきたのですけれども、あの中で言っていたことは、南シナ海で海洋調査がどんどん進んでいく、海洋調査が行われて、そして軍艦が出てきて力でもってとる。そういう動きが進展している中で、きょうはちょっと申しませんでしたけれども、中国は、中国の周りの海、つまり、北から黄海、東シナ海、南シナ海はおれのものだ、そういう立場に立ってやってきているわけです。したがって、南シナ海の次は東シナ海だろうということで、私は、南シナ海がある程度固まったら東シナ海に出てくるよということをずっと言ってきたわけです。

 そのときに必要なことは、日本側が、東シナ海の大陸棚は、要するに中間線といって、半分は中国側に権利があり半分は日本側に権利があるわけだから、そして中国側はどんどん開発が進んできているわけですから、それが進んだら日本側に来ますよ、だから早く中間線を引きなさいということを私はずっと機会があるたびに要望してきたんですけれども、それをしないまま入ってきてしまった。

 国連海洋法条約を批准して発効して、日本政府が中間線を引いたわけですから、引いた以上はそれは守る、その中では絶対中国に勝手なことをさせないということをちゃんとやらないと、そうするとずるずると後退することになる。中間線で後退したらその次はもう領海ですから、領海まで来られたらもうこれは終わりですから、領海の前で食いとめなきゃならない。日中中間線で食いとめなきゃだめよということを私は言ったんですけれども、結局それがどうしようもなくなってきてしまっているということで、このままでいったら、もう尖閣列島とられちゃうんじゃないでしょうか。私はそう見ていますけれども、今のような状態だったら。余りお答えにならなかったと思いますけれども。

佐藤(錬)委員 もう終わりですか。

小此木委員長 十分間ですから、どうぞ。

佐藤(錬)委員 では、急いで簡単に金田理事に対してお聞きします。

 最後の結論なんですが、米軍の変革に対応した明快なビジョンをということなんですが、これについて金田先生のお考えがあればお聞きしたいなと思っておるんです。

 特に、自衛隊に対して、今後役割の増大や、海外に自衛隊が派遣される、これから要求してくると思うんですね、大綱でも見直しが進められているようですが。その場合に、いろいろな課題がありますが、集団的自衛権の問題やら特別措置法の恒制化やらあると思うんですが、特にそういったことについてのお考えを簡単に述べてください。

小此木委員長 金田参考人、恐縮でございますが、時間でございますので、簡単によろしくお願いいたします。

金田参考人 では、簡単に申し上げます。

 私は、新たな時代における防衛のあり方というものを検討していく、その際に米国の戦略変換というものを考えていく。その一番基本となりますものは、今日本の中でもいろいろと言われております、例えば国益というような考え方。国益というのも非常に難しくて、何とも難しいんですが、例えばそれを、二十一世紀における日本の長期的国家目標などということに少しブレークダウンすれば、比較的皆さんが大きな議論ができる、コンセンサスもできるんではないかと思います。まずそれをしっかり持つということだと思います。

 そして、私はそれはどういう考え方かといえば、日本的なアイデンティティーを持って、自国の安寧とか繁栄を確保しながら、世界や地域の安全保障あるいは経済的発展にとってかけがえのない重要な存在として、あらゆる側面において国力にふさわしい責任を持つ国となることではないかと思います。

 そのために、それでは防衛戦略を見るとすれば、具体的には、より能動的な国家安全保障関係構築へ寄与すること、あるいは新たな戦略環境下において通用し得る防衛体制への移行をすること、そして先ほど来申し上げております日米同盟の再整合というようなことが必要だと思います。

 そして、自衛官に望むことは、新たに課せられる任務遂行に適応した精神的基盤の確立、これは大事だと思います。国際性でございますとか、やはり政治ということについて、関与はしないが強い関心を持つとか、そういうようなことがこれから自衛官に非常に望まれていくことではないかと思っております。

佐藤(錬)委員 ありがとうございました。

小此木委員長 次に、青木愛君。

青木委員 民主党の青木愛です。よろしくお願いいたします。

 平松先生、金田先生にお一つずつ質問をまず冒頭にまとめて述べさせていただきます。

 平松先生の方から、中国の海洋調査が資源調査から潜水艦の航路を開拓する軍事調査に変わりつつあるという御指摘でございます。極めて基本的な質問なんですけれども、今の胡錦濤政権におきます東アジアの外交の動きを見ますと、FTA戦略ですとか東南アジア友好協力条約への加盟等に象徴されますように、いろいろな国々と友好的な外交政策をとられているようにも見受けられるのですが、一見この矛盾するような両者の動きをどのように解釈すればいいのか、また、どのような方向性を持つものなのか、平松先生の御意見をお伺いできたらと思います。

 続きまして、金田先生にお伺いしたいのは、海上テロ対策についてなんでございますけれども、今や日本のシーレーンをめぐる脅威というのは、国際テロですとか大量破壊兵器の拡散ルートに使われるのではないか、そういったおそれが高まっていると思います。また、私の地元の千葉県でも、密入国などの国際犯罪にかかわる中国船舶の問題等がございます。

 こういったシーレーン防衛というのは、エネルギーとか食糧を他国に依存するという点でも我が国にとって大変な問題だと思うんですけれども、アメリカやアジア諸国との協力体制、それから日本の役割、今後の課題について金田先生の御意見をお伺いできたらと思います。よろしくお願いいたします。

平松参考人 今の御質問は、私の話の中でもちょっと簡単に触れましたけれども、中国のやっていることを見ますと、まず力で押さえてからにこやかな政治をやるということ、それに尽きるということだと思います。

 よく中国が、南シナ海でもあるいは東シナ海でも、共同開発しましょうというようなことを呼びかけてくる。今までも呼びかけたことがありますけれども、これからもあろうかと思いますけれども、それは、これはおれのものだよということで共同開発しましょう、平和解決しましょうということだということをはっきり認識してください。そうじゃなくて、白紙の状態で共同開発しましょうというときと、押さえてからやりましょうとにこにこしてやるのとは全く違うということ。それから、そう言いながらも力が出てくるとまたやる、そしてまたにこにこするということですね。

 一度この問題で産経新聞が非常におもしろいことを書いて、私も本の中で引用したことがあるんですけれども、これはベトナムの人間が、中国のやっていることというのは、私のポケットの中に中国が手を突っ込んで、その中にあるお金を握って、これで今晩飯を食わないかと言っているようなものだ、そんなものに対してどうして一緒に飯を食えますかということを言っていて、そういうことだというふうに理解してください。それでよろしいでしょうか。

青木委員 ありがとうございます。

平松参考人 それからもう一つは、さっきも申しましたように、島に関してはアメリカはかかわらないということで何もしませんから、そうすると、当事者で話し合ってくれということになれば、それは力のある中国の方が強いに決まっているわけですから、大体中国に有利になっていくということになれば、やはり東南アジアの国としては、これは将来の日本もそうかもしれませんけれども、一体アメリカが助けてくれるかどうかという不安がある場合には中国の方にすり寄っていくということになると思うんですね。

 そういう流れの中でとらえないと、何かやっていることが非常に、いや、そうじゃないんじゃないかと、中国は随分変わってきていると思われることが一番危険だと思います。

青木委員 わかりました。ありがとうございます。

金田参考人 それでは、今の御質問にお答えいたします。

 御指摘のとおり、我が国の平和と安全、繁栄、こういったものはシーレーンの安全に非常にかかっているということは論をまたないわけでございます。

 それは、冷戦時代などでありますと、例えば東西の戦争が起こる、それに巻き込まれるというふうなこともございまして、こういった点について、昨今の安全保障関係においてはもう全くないのか、戦争とかシーレーンをめぐる戦闘だとか、そういったものは全くないのかというと、それはそうではなくて、今はそれが直ちに起こるということは言えないかもしれませんが、先ほど来平松先生がお話しのように、例えば中国の非常にアクティブな海洋への進出があるというようなことを考えれば、やはり将来への対応、将来に備えるということは大事だと思います。

 防衛というものは、今直ちに、すぐに何かの事象が出たらそれに対応するというようなものではありませんで、百年兵を養うは一日の用にありというごとく、やはりきちんとした整備を行い、きちんとした訓練を行い、そしてモラールを高め、そういったことをやっていかなきゃいけませんので、これはやはりそういった本格的な戦闘ということも怠ってはいけない。

 しかし、一方、現在の国際安全保障環境を見ますと、恐らくそういったことの御指摘だと思いますが、例えば国際テロや、あるいは海賊、不法な麻薬の取引、人身売買といったものが東南アジアを中心にして行われております。日本でも二、三年前でしたか、アロンドラ・レインボー号というものが海賊に乗っ取られまして、これはインド海軍の協力によって助けられたというようなこともございます。それから、アルカイダが約十五隻から二十数隻ぐらいのコンテナ船を管理下に置いているというような話もございます。したがいまして、今、国際テロとそういった海賊というものが暗部で結びついているという可能性も、これは我々は検討に入れていかなければいけないと言われております。

 協力体制の考えでございますが、例えば我が国が関与いたしますシーレーンを考えますと、中東から北東アジアまで、ここにシーレーンというものがあるわけです。これは、もとより日本だけで、すべての努力だけでこれを守れるわけではございません。関係の沿岸国の協力が必要でございますので、そういったものを、まず枠組みをつくるということが必要になろうと思います。しかしながら、各国の考え方はまちまちでございますし、安全保障観などもまちまちでございますので、これは言うべくして至難のわざでございます。したがって、まずは関係国の間のコンセンサスをつくるということが大事だと思います。

 その際に、安全保障の面からアプローチしますと、これはなかなか難しいと思います。したがって、今の国際テロでありますとか海賊でありますとか、そういった安全保障ではなくて安全ですね、海上の安全、そういうものにみんなが一緒になって取り組もうではないかということを主張し、そしてそういう枠組みをつくるということは、より易しい問題だと思います。故小渕首相の発案でそういったイニシアチブも日本はやっておりますので、そういった意味ではどんどん強力に推し進めるべきではないかなと思っております。

 そのためのプロセスとしてはいろいろなプロセスが考えられますが、まずはコンセンサスづくりというのが大事だと申しました。それから、域内諸国の海軍と沿岸警備隊というような組織ですね、海上保安当局と海軍、こういったものが全部一体となってやらないと、国際テロでありますとかそういった脅威には対応できないということはもう明白でございます。さらに、ただ単なる軍隊、警察機構だけではなくて、税関でありますとかそういったものの措置も必要だ。

 つまり、今アメリカが主導でやっておりますPSIというイニシアチブ、プロリフェレーション・セキュリティー・イニシアチブ、大量破壊兵器拡散阻止構想というものでございますが、これも日本は参加をしておりますけれども、大量破壊兵器を阻止するといった行動だとか、あるいは国際テロを封じ込めるための情報の交換でありますとか、そういった各般にわたる努力は必要でございます。その中で特に、実力組織として海軍や沿岸警備隊というものの活躍が望まれるわけでございまして、海軍だけで、あるいは沿岸警備隊だけでいいものではないし、またそれは、先ほど言いましたように、シーレーンの沿岸国すべての協力が必要になってくる、そういったものをやっていかなければいけないと思います。

 また、現在、平松先生がおっしゃられましたが、海上における国際法というのが今のような国際テロでありますとかそういった新たな脅威に対して対応できるかというと、十分にはできておりません。したがって、そういう面につきましても、世界的にいろいろな努力を重ねまして、日本もそれに対してイニシアチブを発揮し、こういったものがきちっと取り締まれるという対応をしていくべきではないか、そのように考えております。

青木委員 本当に貴重なお話ありがとうございました。

 質問を終わります。ありがとうございます。

小此木委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 平松参考人、また金田参考人、きょうは貴重なお話ありがとうございました。

 まず、平松参考人にお伺いいたします。

 先ほど来のお話を聞いておりまして、私も非常に感慨深いものがございます。参考人の、御自身おっしゃっておりました、十年近くこの中国の海洋進出に関する注意を喚起してきたんだけれども、ほとんど確たる反応がなかったというお話、先ほどは尖閣もとられちゃうよというお話がございました。

 当日本国国会においても、参議院では八年前に平松参考人は外務委員会の場にお出になっておられるんですが、衆議院はきょうが初めてのようであります。

 私もこの問題について、先般防衛庁の担当といろいろ話す機会があって、私自身恥ずかしながら、日本の目と鼻の先というよりも、ほとんど玄関先に中国のそういう調査船が来ているという事実を明確に頭の中に意識していなかったということがあって、改めて自分自身の認識の弱さを知ったわけであります。

 この問題について参考人にお伺いしたいのは、要するに、もうほとんど総論的な、全体的なお話でありますが、日本の政府もマスコミも、またオピニオンリーダーも、あらゆる中国にまつわる専門家がすべて、言ってみれば平松参考人のそういう問題提起に関心を示してこなかったということの理由というものを、中国との友好関係を維持するためかというふうな表現で「正論」の中に書いておられますが、その基本的な、なぜそうであるのかということについての御認識を、まず第一点聞かせていただきたいと思います。

 それから二点目に、私も少なからず関心は中国というものに対しては持ってきたわけですけれども、平松参考人のごとく、中国の軍事力の特に海洋方面における増強ぶりというものを、この十年、言葉が適切かどうかわかりませんが、執拗にいろいろ発言をしてきておられる。これについて平松参考人は、あらゆる意味で、学術的な研究の場を含めて中国を御訪問された過去の経験、並びに、そういう経験を通じての中国から何らかの妨害を感じられたことはあるのかどうか、その辺のことについてお聞きしたいと思います。

 以上、二点、お願いいたします。

平松参考人 いずれもちょっと非常にお答えしにくい御質問ですけれども、率直に私は、ちゃんと記録までとっておるからまずいといえばまずいんですが、私がずっとやっていて感じたことを申します。私はやはり、その部局の人がかかわりたくない、そうとしか思えないですね。要するに、自分がそのポストにいる間は余分なことはやりたくない、だから先送りするという、そんな感じしか思えません。

 余り具体的に言うとどなたか名前がわかっちゃいますから、非常に遠回しな物の言い方をしますけれども、私が長年おつき合いしていて、この人ならば話を聞いてもらえるだろうという人がさる枢要なポストについたものですから、私は、あくまで個人的な、別にこれを新聞に書いたりなんかしませんから、ただ、私が考えていることがどう見ても世間からは全く聞いてもらえないので、私がおかしい――僕の考え、自分のやっていることがおかしいなということは常に、今でも感じていますけれどもね。それでもって、だから、私の考えていることはおかしいですかと何人かのところにお伺いに行ったことがあったんですけれども、この人だったら答えてくれるだろう、要するに、個人的にお話ししてくださいと言っても、答えてくれないですね。

 私が、ここの中にも書いているかもしれませんし、本の中にも書いているんですけれども、寝た子を起こすようなことをしなくてもいいでしょう、そういうことをおっしゃるんですね。今、中国とかあるいは台湾との間は非常に友好関係にあります、それを、何も事を荒立てることをしなくてもいいでしょうとおっしゃるから、私は、事態が起きたときには、それはだめなんですと。今度のことでもわかりますように、何か事態が起こってしまったら、領土とか国境とかということになれば、あるいは資源になれば、だれでも、何らかの形で非常にナショナリスチックになり、エキセントリックになるわけですから、やはり平時の冷静なときにこそ話し合いをやって、じっくりと解決しなければ解決しない、有事になったら、それはだめですよということを私は申し上げているんですけれども、寝た子を起こすことないでしょうと。そういう返事ですね。

 そこから伺えることは、ああ、この人はやる気がないんだなと。その人は、トップないしはそれに近いところにいるわけですから、もうあとはそれで終わるわけだから有終の美を飾りたいとお考えなのに、事を荒立てることもあるまい、私がその人の将来を台なしにするわけにいかないと思って、ああ、わかりましたと言って私は引っ込んでいるんですけれども。よく、寝た子を起こすこともないでしょうと。私は、そのときに、いや、もう寝てないんですよ、もう起きて暴れ始めているから私は心配しているんですよと申し上げたんですけれども、大体そういう返事だということです。

 二点目は、これもちょっとあれですけれども、実を言いますと、お答えになるかどうかわかりませんけれども、私の研究というのは、実は中国のトップが非常に評価しています。これは、私の周りにいる多くの人は、私が非常に反中国的な人間だから、さぞかし中国は私を嫌っているだろう、中国に行けないだろうというふうに思っている方も多いのですが、確かに、まともに大使館に行くと、領事館に行くと、私にビザを出してくれません。一発でだめだと言われます。つまり、それだけブラックリストのトップの方に私の名前が載っているらしいんですが、しかし、中国の上の方から、特に軍事関係のところから私に対して、毎年のように、来ないかという話が来ています。ただ、私は、そうかといって、ほいほいといって喜んでは行きません。やはり、こちらも適当にじらして、何回かに一回は、行きましょうと言って行っております。

 そうすると、向こうは、私が何を見たいか、どういう人に会いたいかということはよくわかっておるわけですから、何も言わなくても、向こうは、それなりのものを見せてくれるし、それなりの人と会わせてくれます。それは決して、どこそこに行きます、だれそれに会いますと言ってやるのではなくて、私も、だれそれに会いたいとか何を見たいということを言いませんから、ただ、来ませんかと言うから、何回かに一回行けば、向こうはそれなりのものを見せます。したがって、私はかなり中国の軍事施設は見ています。それから、それなりの人と会っています。ただ、それは一切、何も言っておりません。

赤松(正)委員 ありがとうございました。かねて、その部分、関心が強かったもので、参考になりました。

 時間がなくなってきましたので、では、金田参考人に一点お伺いします。

 中国の弾道ミサイルの整備状況といいますか、中国の弾道ミサイルの脅威の程度といいますか、それについて簡単にお願いいたします。

金田参考人 はい。どうもありがとうございました。

 中国は、言ってみれば、持ち得る弾道ミサイルというのはすべて持っている、端的に申せばこういうことだと思います。

 中国は、独特の核戦力抑止理論、最小限抑止理論というものを持っておりまして、例えば、アメリカというような強大な核保有国に対しても、少数の核兵器ではあっても、しかし、それが例えばロサンゼルスに届くというような状況があればアメリカは手を出さないであろうというような独特の理論を持っております。

 そういう中で、冷戦期間中でございますけれども、基本的にはソ連からの技術をかりまして、特に蜜月時代ですね、そういったものをかりまして、そして中国独自による開発を行ってきた。したがいまして、まず大陸間弾道弾、これはアメリカの本土に届きます大陸間弾道弾をまず持っている。約二十発程度と言われておりますけれども、これを持っております。また、これの新型化を図る努力も行っております。それから、中距離のいわゆるIRBMと称するものでございますけれども、このミサイルも、ちょっと古いもの、それから新しいもの含めて持っております。新しいものは東風21という中距離ミサイルでございますが、これは日本を、あるいは日本に存在いたします米軍基地をターゲットにしているのではないか、このように言われております。これは、先ほど平松先生のお話がありましたように、核弾頭を装備できる、このように言われております。

 また、台湾海峡問題で一九九六年に明らかになりましたように、また今もいろいろな報道がなされておりますように、短距離の弾道ミサイル、これは主として台湾に備えたものでございますが、三百から四百発程度の短距離弾道ミサイルを台湾の対岸に配備しておる、実戦配備の状況にある、このように言われております。

 日本にとっての脅威ということを考えますと、先ほど言いました東風21を中心といたします中距離弾道ミサイルでございますが、一方、短距離弾道ミサイルも、例えば南西諸島といいますか、沖縄列島というんでしょうか、それの最も西端には届く距離にあるんだということでございます。これに加えまして、潜水艦、原子力潜水艦ですね、これに大陸間弾道弾と似たような非常に長距離の、しかも大型の核弾頭を搭載できます弾道ミサイルを搭載し、そして実戦配備というのか、まだ弾道ミサイルを搭載する原子力潜水艦そのものの数が少のうございますけれども、これに搭載をし、またその近代化を図っておると言われております。

 例えば、先ほど来平松先生がお話しになっておりますように、中国海軍のそういった原子力潜水艦が実用化を果たした弾道弾を持ちまして、ロサンゼルスの沖、あるいはロサンゼルスの沖まで行かなくてもハワイ近海、あるいは、現在、平松先生の御指摘にありました我が国のEEZですね、排他的経済水域と申しますか、我が国の領域の南側にあります我が国の排他的経済水域、このあたりからも優にアメリカの大陸を攻撃できる能力を持った潜水艦を保有しようということで、研究開発を進めているのではないか、このように観測されております。

 以上でございます。

赤松(正)委員 どうもありがとうございました。

小此木委員長 次に、御法川信英君。

御法川委員 グループ改革の御法川でございます。

 平松先生、金田先生、きょうは本当にありがとうございました。簡単に二つほど、両先生にお伺いしたいと思います。

 まず、平松先生の方にですけれども、ずっとるる、この中国の海洋に対する進出、または潜水艦の航行、機雷敷設のための調査等、中国が行っておることについての説明をいただきました。

 一方で、去年の十二月十九日の閣議決定をしております「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」という文書があるんですけれども、この中で、「海上自衛隊については、対潜戦を重視した整備構想を転換し、弾道ミサイル等新たな脅威等への」というふうに、そういうものへシフトしていく、よりそういうものに対する注意を払わないというような方向づけを政府がしているようにも見受けられますけれども、この点について、平松先生の御意見、御提言等ありましたら、お願いしたいと思います。

平松参考人 実は、ちょっと私は今の政府のあれは余りよく見ていませんので、詳しいことはわかりませんが、今おっしゃられたようなことで言うことになると、私は、今までお話ししましたように、これから日本の近海に潜水艦がかなり来ると思いますし、当面、潜水艦はまだそれほどじゃないにしても、かなり機雷は敷設していくだろうと思いますから、そういう意味で、海上自衛隊がやる任務というのはこれからうんとふえていくだろう。

 政治の建前からいって、海上自衛隊が中国の潜水艦を追い回したとかあるいは掃雷をするとかというような、つまりアメリカの第七艦隊に協力するような形でやるということが起こると、これはまた大変な問題ではありますけれども、いずれ、このままだとそういう方向になっていくだろうということで、弾道ミサイル防衛だけやっていればいいという問題ではないだろうと私は思います。

御法川委員 ありがとうございました。

 それと、金田先生の方に一つお伺いをいたしますけれども、アメリカの戦略と日本の戦略とのすり合わせみたいな話、防衛計画大綱でのそういうことの必要性ということをるる御説明いただきました。私の印象で、これは非常に漠然としたもので大変恐縮なんですけれども、アメリカの国益と日本の国益がアプリオリにもう一緒なものだという前提でこの安全保障の問題を考えるのであれば問題はないとは思いますけれども、果たしてすべての場合においてそうであるのか、また、そうでない場合にどうしたらいいのかということについての御意見を伺いたいと思います。

金田参考人 はい。ありがとうございました。

 もとより、米国の国益と我が国の国益とが一致をするということは絶対あり得ない、このように思います。しかしながら、先ほど申しましたように、五十年間の間、日本は日米安保という中で、日本はと言いましたが、日米ともにその恩恵を受けてきたということは事実でございます。

 冷戦時代は、東西対抗という中で、安全保障という面に関して言えば、特に太平洋正面でソ連軍と対峙をするという構造でございましたので、安全保障という面では日米の国益というものはほぼ一致してはいたかもしれません。

 ただ、もう御案内のように、経済面では非常に大きな摩擦が生じ、むしろ冷戦の末期ごろになりますと、アメリカは日本を経済面でのライバル、このように思うというようなことから、そもそも日米の国益というものが完全に一致するということはないわけであります。

 しかしながら、同盟の価値ということは、その国益の差を、もとより、国益は完璧に違っている、百八十度違っている国々同士が同盟なんてことを結ぶわけないのでありまして、基本的には、基調的には同一方向を向いている。しかしながら、個別の問題になりますと、やはり違う路線があるといったことが当然起こるわけでございますが、少なくとも、国の根幹をなしますところの安全保障という面では米国と日本は一致をしていたということだと思います。

 冷戦後、いかなる状況になるかということでございますが、それは先ほど私が申しましたように、まさに、単一のソ連という脅威に対応するということではなく、安全保障環境そのものが大きく変わってきたわけですが、その中で、やはり日米同盟というのは再整合を必要とするのではないか、このようなことでございます。

 私は、私の立場からすれば、それはむしろ、行き違いであるとか誤解であるとか、そういったことを極力なくし、そして先ほども申しましたが、日本もアメリカも同様に対等の関係で、それぞれの国益は確かにあるが、しかしながら、日米同盟というものの重要性、こういったものを考えた場合に、お互いに妥協するというのか調整をするというか、そういった方向で共通点を見出していく、そういった努力を行っていく必要があろうかと存じております。

御法川委員 引き続き金田先生に、それを受けた形で御質問させていただきたいと思います。

 例えば、平松さんが御説明なさっていた尖閣の問題であるとか領海の問題等で、アメリカは基本的に領土問題には立ち入らないというような基本的な線はあると思いますが、こういう部分でコミットあるいはエンゲージをさせるという可能性、あるいはそういうことをしたらどうなるか、その辺について一つお伺いしたいと思っています。

金田参考人 はい。ありがとうございます。

 尖閣の問題につきましては、私は十分に専門家ではございませんが、私の承知しておりますところ、クリントン政権時代は、確かに、おっしゃられるように、尖閣の問題そのものにつきましてはアメリカ政府は明確な立場をとってこなかったと思います。

 しかし、先ほど言いましたアーミテージ・ナイ・レポートにもございますように、尖閣の問題については、これを含んでアメリカはコミットをしていくということを明確に述べているんです。これはアーミテージ・ナイ・レポートですから、政権が成立する前の文書でございますので、もちろん政権の縛りをやっているわけではございませんが、そういった性格の文書でございませんが、アーミテージ・ナイ・レポートというものには、現在のアメリカ政府の、ブッシュ政権のアジア政策、なかんずく対日政策というものの中核をなす考え方が盛り込まれている、このように言われておりますので、それが基本にあるんだろうと思います。

 そして、私が報道によって知る限りは、つい最近、アメリカ政府は明確に、尖閣列島の領有権が日本にある、こういうことを述べているわけです。これは、政府の責任ある立場の者が、ブッシュ政権を代表する形で明確に述べております。これは間違いないことでございまして、非常に強いアメリカ側の日本に対する、もちろん中国との問題、尖閣は、御承知のように、中国のみならず台湾も領有権を主張しておりますが、そういったことを意識しながらも、やはり日本に対して明確なシグナルを送ってきたということだと私は理解しております。

御法川委員 ありがとうございました。

小此木委員長 以上で各会派を代表する委員の質疑は終了いたしました。

 これより自由質疑を行います。

 この際、委員各位に申し上げます。

 質疑のある委員は、挙手の上、委員長の許可を得て発言されるようお願いいたします。また、発言の際は、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。

 なお、理事会の協議によりまして、一回の発言時間は三分以内となっておりますので、委員各位の御協力を御願い申し上げます。

 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。

大前委員 先ほどの御法川先生の御質問にも関連するんですけれども、平松先生が、このままでは日本の尖閣諸島が乗っ取られてしまうというお話でございました。私もその点について危惧をいたしております。

 例えば、中国の国軍が、この間は民間の人だったですけれども、国軍がある日突然に尖閣を占領するという事態が現出した場合といったことですね。昔、二十年ほど前に、イギリスのフォークランド島がアルゼンチンに占領されまして、後で取り戻しましたですけれども、そういった場合に、奪還行為につきまして、我が国の場合、憲法第九条で、国際紛争を解決するために武力を使わないということになっておりますので、大変困った事態が起こってくるんじゃないかと思っております。

 それを防ぐためには、正当防衛もしくは自衛のための戦闘行為であるという形式を整える必要があるために、常時警備をしておく、常駐しておくということが必要であると思うんですが、この場合の我が国の武力の行使について、金田先生、もしよろしかったらお教え願いたいと思うんです。

金田参考人 尖閣の問題でございますけれども、これは我が国の固有の領土でございます。したがいまして、領土の保全というものに対して、日本は、当然でございますが、全力を傾けるべきでございます。

 大前先生が御指摘のように、今は民間の活動家であるがこれから軍隊がひょっとしたら上陸するではないか、あるいは侵攻するではないか、かような可能性が将来的には出てくるかもしれない、それに対してどのような備えをするか、こういうことでございましょう。

 我が国には、防衛、自衛隊という軍事組織のみならず、警備組織があるわけでございます。したがって、我が国としては、いろいろな段階に対応しまして適切な対応をしていくということが基本的には望まれる。しかしながら、最終的には、おっしゃられましたように、我が国の固有の領土を確保するというための体制は万全なものを持っておく必要があろうかと思います。

 一方におきまして、防衛面で何かほかに対応措置をとることはできないのかということも、新たな問題として出てまいると思います。尖閣という問題だけでなくて、例えば台湾海峡に何かこれから事態が出てきた、例えば、一九九六年に中国が台湾に向けて弾道ミサイルを発射したということがございましたけれども、このことは日本にとって一体どういうことであろうかということを考える必要があると思います。

 それは、我が国には、台湾に非常に近接した我が国の領土が、これは中国や台湾も固有の領土とは主張していないところの島があるわけですね。私の聞いておりますところ、その一九九六年の弾道ミサイルが発射されたときに、この島の方々は、基本的には漁師、漁業をなりわいにされている方だと思いますが、怖くて出漁することができなかったということなんでございます、こういったものは余り報道されていないけれども。要するに、我が国の領海、領土の近くでそういう不都合な事態が、不測の事態が出てくる、緊急な事態が出てくるということは、とりもなおさず我が国の防衛というものに直結する問題でございます。少なくとも、警備というような問題にも直結する問題でございます。

 したがいまして、こういったものに平素から常々、我が国が持っておりますあらゆる手段を適時適切に活用しまして十分な対応をとっていくことが大事だろう、このように思います。

長島委員 平松先生、金田提督、きょうはありがとうございます。

 まず、平松先生にお伺いしたいんですけれども、先生、二〇〇一年の相互事前通報制度、これはばかげているというお話を先ほど率直にしていただいたんです。私も非常に腑に落ちないのは、そもそも、国連海洋法条約のもとで、EEZに対する主権的権利は沿岸国にあるんだ、それは事前に同意を取りつけてから調査をするんだということがあるのに、この東シナ海について相互事前通報制度をつくった意味はどれぐらいあるのかということ、これが第一点ですね。

 それから、東シナ海にはあるんだけれども、その後、太平洋にどんどんどんどん進出してきている、その別の海域における調査についても、先生はこの相互の事前通報制度をつくる必要をお認めになっていないのかどうか。しかも、太平洋についてはアメリカに対する戦略的な脅威もあるんだということですから、南シナ海のときにアメリカはほとんど関心を示さなかったと言っておりましたけれども、この太平洋における日本のEEZに対する中国の調査というのは、これはかなりアメリカにとってもナーバスな問題ではないか、こういうふうに思いますので、この点、日本として調査を一切拒否することもできるのかということも含めて、御示唆をいただきたいと思います。

 それから、金田提督に、先ほど御法川委員から、まさに、対潜水艦戦についてはもう古いというような大綱の見直しの基本方針が政府から出されたことについて疑問を呈されましたけれども、まさに海上自衛隊の御出身の金田提督として、この点についてどうお考えか、御示唆をいただきたいというふうに思います。

平松参考人 事前通報制ですけれども、これはやるならやるで、ちゃんと日本の利益を考えてやってもらわないと困るわけで、要するに、ただ日本側でやるんだったら事前に通報して許可を得なさいということでやっているわけで、全く余分なことをしたとしか思えないんです。

 この問題は、細かな言葉に入りますと随分いいかげんなところがあるんですよ。それは、今ちょっと、私ももう年をとって記憶力が非常に悪くなったものですから、今正確にちょっと申し上げられないんですけれども、日本側の海域と中国側の海域での調査の表現が違うんですよ。だから、その辺でも明らかに、かなりいいかげんというか、私としては、かなりずさんなことをやったものだなというふうに思います。

 中国側は、ずうっと科学調査という言い方をしているんですよ。だけれども、実際にやっていることは、科学調査の域を逸脱して資源調査をやっていると思われるし、それから、それは軍事的にも使えるようなことをやっているわけだけれども、あくまでも科学調査という言い方をしている。日本側と表現に食い違いがあるんですよね。

 その辺の調整を、やったんでしょうけれども、調整がつかないから違う表現をしたということなのかもしれませんけれども、それにしては時間をかけていない。食い違うぐらいだったら、もっとやはり時間をかけてすり合わせをしなきゃいけないと私は思うんですけれども、そういう点で非常に安易であると。何かこの事前通報制度というのは、私は見ていると、非常に安易な形でやって、それで解決したと思っているように思われるということです。

 それからもう一つは、太平洋でやっているのは、これは国連海洋法条約に基づいてやっております。国連海洋法条約では、科学調査に関しては沿岸国はこれを拒否できない、むしろ、なるべく速やかにできるようにやるというものが入っていて、日本は優等生ですから、非常に速やかにやっているということが言えると思います。だから、そういう意味では別に違法なことではありません。

 ただ、問題は何をやっているかということですから、やはりこれも科学調査ですから、先ほども申しましたように、科学調査、軍事調査とか資源調査というのはどこが違うんだという、その辺のあれは非常に難しいわけですし、解釈によって、細かなことを話しますけれども、例えばエアガンを使うのは、このぐらいなのは別に資源調査に入らない、科学調査だと。ボーリングはもう明らかにちょっと違いますけれども。というような、やはり国際法学者によっても解釈が違っているのですが、余りこういうことを理論的に詰めていくと空中分解しちゃいますから、もうやはり力の問題だ、力と力の対決だというふうに私は思います。そういう意味では、やはり日本も力を持たなきゃいけないし、それにはやはりそれの裏づけを持たなきゃいかぬだろうというふうに思います。

 これでお答えになったかどうかわかりませんけれども。

金田参考人 はい。ありがとうございます。

 対潜戦、防衛計画の大綱の改定の骨子に、海上自衛隊の部分に触れて、対潜戦はもう古い、端的に言えばそういうことではないかどうかということに対しての御質問だったと思います。

 こういった政策文書というのは、いろんなところをはしょりますので、その真意はよくわかりません。私はもとより、今そういったことに従事しているわけではございませんので、報道を見る限りでございますから、何とも言えません。しかしながら、対潜戦というものが、今後、比重を軽くしていいのであろうかということに対しての御質問だということでありましたら、それは明確にノーであるということを言えると思います。

 先ほど、青木先生の御質問にもお答えしたわけでございますが、百年兵を養うは一日の用にありということでございます。そして、そのために自衛隊というのが、ずうっと兵力を、兵力といいますか防衛力を養ってきたんだろう、そのための努力をしてきたと思います。そして、そういったことを通じた、日米同盟を基調としてやってきたわけですが、日米同盟の役割の中で、特に米軍、なかんずく米海軍が期待しておりました日本の海上自衛隊の役割というものは、先ほど平松先生のお言葉にありましたが、対潜水艦戦、対潜戦、ASWなどといいますが、対潜水艦戦、それから機雷戦でございます。

 この二つは特徴があるわけでありまして、要するに水中の戦闘なんですね。機雷は海の中にある、潜水艦も水中に潜っている。これは、専門的なことになって恐縮でございますが、水中というものは、空中あるいは水上、そういったものに比べまして非常に情報を入手することが難しい。そこに行動しております潜水艦の存在情報、それから機雷の存在情報、そういったものを得るのは至難のわざでございます。そして、そのための努力を重ねておりますけれども、簡単にはいかない。

 例えば、もっと簡単にいいますと、防空戦。飛行機が突っ込んでくる、ミサイルを撃つ、爆弾を落とす、これを探知するのはそれほど難しいことではありません。しかしながら、対潜戦や機雷戦というのは水中での勝負でございますので、先ほど言いましたように非常に難しいんですね。探知すること自体が難しい、存在を見つけること自体が難しい、そういう特性がございます。そういうややこしい業務、これを海上自衛隊はやってのける、そういう信頼感をこの五十数年の間に米海軍に対して見せてきたということだと思います。

 私は、日米同盟という中で、これから何かあった場合に、一緒になってともに戦おうというときに、アメリカが、弱い味方は敵より怖い、ここを任せているのに、一緒になって任せているのに、本当に能力を発揮してくれないかもしれない、全然だめかもしれないとなれば、そこがぽこっと穴があいてしまうわけですね。そういう存在になってはいけないわけです。我々はやはり、しっかりと日米同盟という、お互いの持ち分というもの、役割分担というものはございますけれども、そういう中でしっかりとやっていく必要がある。そして、それは、今持っているレベル、能力を維持するということは非常に大変な労力がかかると思います。そして、一たんそういったものから手を引いてしまう、一たんそういった努力を怠ってしまうとなれば、それを回復することは至難のわざでございます。

 したがいまして、先ほどちょっと御質問にお答えしました、私は新たな防衛体制への移行というものが今後は必要であろうと思っておりますが、それは、先ほどアメリカの新しい戦略の中で述べました、意図方式から能力方式に変えていくというものとも関連するわけでございまして、今そこにある本日の脅威ということではなくて、およそ想定し得る脅威というものに対応して、最善の能力を開発し、備えるということがこれからも必要であります。

 そういう意味において、やはり、我々が今考えなきゃいけないものは、脅威というのか危険要因というのか、そういったものが周辺の安全保障環境を見回しますとございますので、それは今直ちの脅威ではないが、しかし将来にも備えなきゃいけないという危険要因であるとすれば、それをおさおさ怠ってはいけないということであろうかと思います。

岩屋委員 自民党の岩屋です。

 両先生に一問ずつ、端的に質問させていただきたいと思います。

 平松先生に対しては、尖閣諸島の話ですが、いかにすれば我が方の実効支配を強化することが可能かということでございます。

 先生御指摘あったように、事実上無人島でございまして、魚釣島ですね。標くいはあるのかもしれませんが、あとは右翼のつくった構築物程度しかない。もちろん、何かやらかそうと思えば、中国側は大いに反発をし反抗してくるでしょうが、それでも何か我が方にオプションはあり得るのではないかと思いますが、その辺についてのお考えを聞かせていただきたい、こう思います。

 それから、金田先生に対しましては、果たして、これから我が方が始める弾道ミサイル防衛の有効性やいかにということでございます。

 平松先生の御指摘にもありましたように、中国は、GPS衛星を打ち上げたり、先ほども話がありました、水中発射ミサイルを強化したり、核弾頭の複数化の開発などを行っているということでございますし、衛星情報が集まれば、巡航ミサイル等の開発も、もうやっているのかもしれませんが、さらに強固になっていく。我々とアメリカがやっていく弾道ミサイル防衛が、北朝鮮程度のミサイルならばブロックできるのかもしれませんが、中国やロシアの技術をもってすれば簡単にブレークできるということが明らかにされた段階では、大変大きなダメージを受けることになるのではないかな、こう思います。これはイタチごっこの話だと思いますが、その辺についてのお考えを聞かせていただければと思います。

平松参考人 海洋法条約で、二百海里経済水域とかあるいは大陸棚を主張する条件というのは二つあって、一つは人間が住んでいるということ、もう一つは経済活動を営んでいる、いずれかの条件が満たされれば、例えば沖ノ鳥島のような岩であっても、あるいは南シナ海に中国が実際に進出して拠点としているところは岩であるわけですから、それでも、二つの条件のうちいずれかが満たされれば、島として、二百海里、排他的経済水域及び大陸棚が主張できるということですね。

 そういうことからいえば、尖閣列島というのは、あの島は富士五湖の山中湖を一回り小さくしたぐらいの大きさの島ですから、非常に大きい。写真でごらんのように、そそり立っている島ですから平地が非常に少ないわけですけれども、しかしながら、かつては石垣島の古賀さんという方があそこで生活をして経済活動を営んでいたわけですから、人間の住めないところではない。そういう意味で、あれを無人島のままほったらかしておく方に私はやはり責任があると思うんですね。

 恐らく中国としては、今度も、無人島を管理するというようなことでもって、人が住んでいないんだったら、じゃ、おれがもらうよと。おれがもらうと言う前に既におれのものだと言っているわけですけれども、実際におれのものだと言ってやってくるだろうという可能性はある。そういう意味で、人間が住むとか経済活動を営むということをやっぱりやらなければいけないだろうと私は思います。それが一番だろうと思います。もちろん、それに対して中国は反対するでしょうけれども。

 今灯台の話が出ましたけれども、あそこの灯台というのは、日本青年社が建てたわけですけれども、あれは無人灯台で、それを海上保安庁に申請して国際の航路標識として認可してもらおうとして、海上保安庁が一応それを受け付けたわけですが、それを認可する段階で外務省がクレームをつけたということがあるわけです。だから、その辺に問題があるわけであって、やはりやるべきことはやらなきゃいけないということ。

 それから、今までもいろいろな方の御質問にも出ているんですけれども、私は中国が、ある意味では、今の段階だったら中国の軍事力でもってとりに来てくれれば一番話は簡単、つまり、自衛隊が出ていくだけの口実ができますから。だけれども、そういうばかなことはやらないだろう、今のところまだ自衛隊の方が強いですから、日米安保もしっかりしていますから。だけれども、中国がこれからだんだん軍事力を強化していって、それから日米安保、日米関係もどうなるかわかりませんから、そうなってくればまた軍隊が来るかもしれませんが、今の段階では軍事力が来たらこれは余り形勢は有利じゃないですから、そういうことはしないだろう。むしろ、そうでないいろいろな形で、手をかえ品をかえしてやってくるということ。

 もう一つは、南シナ海でやっていることを見ますと、南シナ海のあの岩礁にへばりついて頑張っている人間というのが、これは海軍の陸戦隊が行ってやっているんですよね。写真で見ると民間人の装いをしているんだけれども、ところが軍の新聞を見ていると、海軍の陸戦隊が行ってやっているということがちゃんと書いてあるんですよね。ですから、これから民間人を装って尖閣に来るのも、案外海軍が来るかもしれない、陸戦隊が来るかもしれない。

 それから、東シナ海で石油開発をやっているのを見ますと、これも軍の新聞を見ていると、海軍の退役軍人だとかいうのがやっているということははっきり書いていますから。だから、もうそういう意味では、軍と民の区別はない。日本という国は、自衛隊が嫌われていますから、軍と民というのをはっきり区別しちゃっているけれども、こういう国は世界でも珍しいわけですから。そういうことを考えていけば、何をやるかわからない。

 私は、今度の事件、出来事を見ていて感じたことは、もう少し私は政府なり世論が沸き立つか、特に世論が沸き立つかと思ったんですけれども、余り起きないところを見ると、今まで私は、尖閣列島を何かの形でとりに来たらやはり世論が沸くだろうと思ったんですけれども、沸かないところを見ると、中国としては案外安心してとりに来るかもしれませんね。今まではちょっと世論とか何かを気にしていたと思いますけれども、今度の出来事は、やはり日本の世論が余りわあわあやらないから、これはいいや、しめたと思って何かやるかもしれないという危険性はあるような気がいたします。

 そんなことでよろしいでしょうか。

金田参考人 はい。ありがとうございます。

 岩屋先生の御質問にお答えいたします。

 私に対しましては、弾道ミサイル防衛、これを政府が導入を決定したが、これが将来的に、例えば中国の弾道ミサイルに有効性があるのかないのかというお話でございました。

 確かに、御指摘ありましたように、例えば中国の弾道ミサイルは、恐らく北朝鮮が持っておりますノドンであるとか、あるいは開発中と目されておりますテポドンというようなミサイルに比べましても、進んでおる部分が多いのではないかと思います。例えば、弾道ミサイルを発射して、上空に行ってから幾つかのおとりが出てくる、実弾とは違うおとりを出すというようなこと、目くらましのためですね。それから、御指摘のように、MIRV、多弾頭で攻撃してくる。そういうようなものに対して、それではどうかということでございます。

 米国が、いわゆるMD構想、ミサイルディフェンス構想というものをブッシュ政権になりましてから進めております。それの特徴というのは、多層防衛、マルチプルレイヤーと言っておりますが、多層防衛と、それからスパイラルアプローチ、この二つでございます。

 多層防衛というのはどういうことかというと、弾道ミサイル防衛に対して、単一の迎撃体でこれを防衛するんではなくて、幾つかのポイント、ポイントで、弾道ミサイルというのは発射されてからいろいろな飛しょう形態をとりまして、上昇、中間、それから終末と、大きく分けてこの三つでございますが、このそれぞれの段階で阻止をするという構想ですね。

 今回、我が国が導入しようとしております弾道ミサイル防衛は、その中間段階、これをイージス艦が搭載しますSM3というミサイルで、それから、大気圏に弾道ミサイルが再突入しまして、最終的に目標に激突する、そういう終末段階、これをパトリオット、PAC3、こういう二つの組み合わせで、専門的に言いますと、縦深防御性、ディフェンス・イン・デプスと言いますが、そういった形で効果を上げていこう、こういうことでございます。そういうことによって、単一の迎撃体だけではなくて、幾つかの重層的な対応をとっていくということが一つの方法として考えられます。

 それから、スパイラルアプローチということはどういうことかといいますと、先ほどちょっと申しました、防衛の計画に当たって、意図方式をやめ、そして能力方式に変えるということなんです。

 意図方式というものは、例えば、こういったものの装備の、装備品の、兵器の開発ということで当てはめて考えますと、例えば、こういうミサイルがどうも相手国から出てきそうだ、そういうものに対して、では、十年後に出てくるので、それに対して備えるために急遽開発をしなきゃいけない、営々と十年間開発をして出てくる。しかし、今の安全保障環境や技術の進展のぐあいを見ると、そのときにはもう手おくれじゃないか、随分と変わってくるじゃないかということですね。そして、それに追いつくような形でやっていきますと、いつまでたってもこの勝負は終わらないということです。

 そういったものを改善するために、より相手の脅威、この場合でいいますと、弾道ミサイルの種類、能力、その技術力、そういったものをむしろ幅広く検討し、そしてそれを、厳密な分析により、それに対する対応、対抗の方法を考えていく、より幅広くということですね。そして、それに対する我が方が持っている能力はどういうものかということを考えていくということなんです。

 いずれにしましても、随分先の目標を追って研究開発を行うということをやっていきますと、どうしても、やはり時代に合わなくなってしまう。そこで、アメリカが今考えておりますこのスパイラルアプローチは、二年ごとのブロック方式というわけです。

 ですから、ブッシュ政権が配備を推進して、初めてこのMD構想が実現するわけですが、これを我が国もその一部を導入するわけでございますが、それをブロック〇四と言っています。二〇〇四年のMD計画の初めの装備ということです。ですから、初めの装備ということは、今のスパイラルアプローチの中で、私の説明でおわかりのように、非常に初期段階の能力であるということです。もちろん、北朝鮮の弾道ミサイル、ノドンのミサイルというようなものについては十分な対応能力を持っておりますが、しかし、これから発展するであろう、あるいは中国が持っておるであろうような、より高性能のものに対してはいかがかということもあるかもわかりません。

 したがいまして、そういう意図方式から能力方式に変えていく、そのスパイラルアプローチの中で、二年ごとに、アプライする、適用する技術をそれぞれ検証しまして、そして二年ごとに導入ということに結びつけていく。ですから、ブロック〇四の次はブロック〇六になるわけですね。二〇〇六年にはこういう目標、現実的なより近い目標を置いて、それを現実化する、ブロック〇八においてはこういうものを導入する、そういうことでございます。

 その際に、今、日米では、日米共同技術研究というものをやっていまして、イージス艦に搭載する迎撃体であるSM3ミサイルというものの部品、構成部品ですね、これの四つの項目について、目下、平成十一年からこれを続けているところでございまして、こういったものは、将来的に、例えばブロック〇八とかブロック一〇であるとか、そういったところで取り込んでいくということの努力がまず一つは可能でございます。

 それ以外にも、例えば、イージス艦に搭載いたしますレーダーとかあるいはミサイルの次の開発でありますとか、あるいはパトリオットミサイルのPAC3でありますとか、あるいはもっともっと幅広く、情報システムですね、情報や指揮管制システム、これはBMC4Iと実は言っているわけでございますが、そういうものについての共同開発、こういったものを行っていくということが必要かと思います。

 そして、そういう中で、日本が日米共同という努力を行っていきます際に、やはり日本がアメリカに対して、戦略的な技術力、戦略的な科学力、そういったものを持つということは、先ほど来申しておりますように、日米の応分、対等な関係を構築するのにも役に立つのではないかと思います。

 最近、武器輸出三原則の見直しにつきましてもいろいろ議論がなされているところでございますが、そういった面で、新たに今度、自民党の国防部会の方から、新四原則ですか、こういった考え方も出されているようでございますが、私どもは、そういったものの成り行きに非常に注目しているところでございます。

大出委員 民主党の大出彰でございます。

 金田参考人にお聞きをいたします。

 一つ目は、北朝鮮の不審船のときに、中国の港を利用しているんではないかという話がございまして、中国側はこれを否定したんですが、その辺はどのように考えているかというのが一つ。

 そして、銃撃の末、沈没をして、海上保安庁が証拠保全をやっておったわけですが、あのときに、周りにほかの船はいますかとお聞きをしたら、いるというんですね、ほかの船が。どこの船と、中国の漁船なのかわかりませんが、そういうときに、中国側は潜水艦みたいなものを出すようなものなのかどうかということが一つですね。

 それからもう一つは、三つ目、これで終わりですが、北の有事といいますか、休戦協定が崩れたような状況が生まれたときに、ロシアと中国との関係で、それぞれ二国間で条約があって、自動参戦条項みたいなものがございますよね。まず、それがあるということの確認と同時に、しかし、現実にはどうなんだろうか、本当に自動参戦するのだろうかというのを、アメリカのMD構想がロシアをどうも巻き込みたいみたいですから、そうなってくると、これがそのとおりなのかどうか、その点についてお伺いをいたします。

金田参考人 はい。ありがとうございます。

 三つの質問をお受けしたわけでございますが、いずれも、私が今、そういった情報でありますとかそういったものに直接接する立場にはございませんので、何ともお答えはできかねるところでございます。

 ただ、一般論として申しますと、やはり中国と北朝鮮の極めて緊密な、あるいは朝鮮戦争以来の特殊な関係ということから考えれば、今幾つか御指摘のありました、例えば、スパイ船、スパイボートが中国の港に立ち寄ったんではないかとか、あるいは銃撃戦の際にその近辺に中国の船がいたんではないかとか、そういった問題について、そんなことはないんではないかということは言えないというぐあいにお答えできると思います。

 それから、自動参戦条項でございますけれども、MD構想との関係で御質問されたわけでございますが、私も深い認識をこの問題について持っているわけではございません。しかしながら、MD構想、これが現実化になりましたときに、アメリカとロシアの関係を見ますと、要するに、もう御承知のとおりでございますが、いわゆる、それまで相互確証破壊という理論、これを根底から支えておりましたABM制限条約、これの議論の際に、中国はこれに干渉してきたわけですね。もとより、ABM制限条約というのは、アメリカとソ連、それから冷戦後はアメリカとロシアの関係だけを規定する条約でございますが、それに対して中国が何かを言ってきている。本来、当事者でない国がそういったことを述べるというのはおかしいわけでございますが、そういったところからも、ややそういったところがうかがえるのかもしれません。

 いずれにしましても、ブッシュ政権が決断をしまして、ABM制限条約を廃棄するということで、ロシアも結局はこれをのむ、そのかわり、核戦力の削減条約、モスクワ条約というものを結ぶわけですが、それでお互いに顔が立ったというようなことでございますが、これに対しては最近は中国が何も言っていないということ、その程度のことしかちょっと私としてはわかりません。

小此木委員長 次に、松本君、西村君でありますけれども、残り時間がわずかでございますので、お二人で時間内にまとめていただくようにお願いします。

松本(剛)委員 民主党の松本剛明でございます。

 両先生には本当にありがとうございます。時間が限られているということでございますので、本当に簡単に両先生に一問ずつお聞きをしたいと思います。

 一点は、今御法川委員の質問にもございましたけれども、日米の国益が完全に一致することはもちろんないというお話でございました。そんな中で、特に、今お話のありました対中国との関係、冷戦時代の対ソ関係はほぼ日米の方向性が一致をしていたのではないかというお話でありましたが、今の米中の関係の距離というのは伸びたり縮んだりということにも見られるように、しかし日本にとっての中国の位置というのはそうまた変わるわけではない中で、私たちはこれから防衛計画の大綱の改定という問題にも直面をしなきゃいけないので、日本の防衛における対中戦略を考えるときの、特に日米関係の、協調というより補完的側面として留意すべき点について、一つでもヒントをいただけたらというのが金田参考人への質問でございます。

 それから、平松参考人の方には、これも時間がないので結論だけお伺いしなきゃいけないのかもしれませんが、やはり南シナ海、東南アジアとの関係が東シナ海における日本との関係の一つの参考になるのではないかというふうに思いますが、南シナ海においても、先ほど、相手のポケットに手を入れて、そのお金で御飯を食べに行こうという話だということでありました。東南アジアとの関係は、彼我の力の差がかなりはっきりしているのかもしれませんが、一方では、青木委員から申し上げたように、経済的関係は相当密接な関係が構築されようとしている。これは、領土問題等を含んだある程度力の関係の差が、双方認めざるを得ないような定着したものになったというふうに分析をするべきなのかどうかということをお伺いしたいと思います。

 以上です。

金田参考人 はい。ありがとうございます。

 米中の関係、例えば、冷戦時代のように、米ソあるいは日ソというような敵対関係といいましょうか、そういった認識というのをとることはもちろんできないと思います。ただ、先ほど来、平松先生もお話ありましたように、私も若干そういった示唆をしたわけでございますけれども、やはり危険要因という、本日ただいまの脅威ではないが危険要因だということを考えてみる。そうすると、安全保障という面では、やはりそれは相当気にしなけりゃいけない相手だな、このことだと思います。

 ただ、もちろん国と国との関係は、もうこれはここで言うまでもないことでございますが、安全保障だけではないわけでございまして、ほかにも政治、経済、文化、多々あるわけでございますから、あらゆる面で、やはりその危険要因が実際に脅威にならないように各般の努力を重ね、そして軍事的には、防衛的には、信頼醸成措置ということで、例えばお互いに高官同士の交流を図るとか、お互いの軍艦がお互いの港に行くとか、こういったことを重ねていく。

 それから、先ほど来、青木先生のお話にもありましたが、安全保障という面ではなくて、それに近いような、国際テロであるとかそういったものに対しては共通のコンセンサスが得られそう、得られやすいであろうと思われますので、そういった面については、より緊密な協力体制をとりまして、そしてやはり信頼醸成に結びつけていくということは大事だろうかと思っております。

平松参考人 直接のお答えになるかどうかわかりませんけれども、私は、やはり一番問題なのは中国の核兵器と台湾問題だろうと思います。それで、これはもうどちらもアメリカがかかわってきているということだろうと思います。

 ちょっときょうの金田先生への御質問とかそういったものと関連してくるんですけれども、中国の海洋の問題というのは、実は宇宙と密接に関連して、一体となって進んでいるということですね。七〇年に国連に入って、海洋の話をずっとしたわけですが、同時に中国は、その段階で、大体七〇年代にかけて、中国の核ミサイルがとにもかくにもできていく、それをもっと信頼性の高いものに高めようと思って、今懸命になっていろいろやっている。それが、例えばこの間の有人宇宙船の打ち上げというあたりに出てくるように、中国の宇宙開発と海洋というのは一体となって進んでいて、それは一体となっているものである。つまり、宇宙から海の中を調査する、それが衛星を通して地上に送られていくというところまで、そういう方向に進みかけているということですね。

 そういう点から見ると、日本の自衛隊にはそういう能力は全くない、すべてアメリカに依存しているということであります。ですから、このまま行くかどうかはわかりませんけれども、このまま行くと非常に問題となってくるだろうというふうに思います。

西村(真)委員 民主党の西村です。

 平松先生に、先ほど、尖閣方面に軍が出てくれば簡単だと言われましたけれども、ゲリラ戦から発達した中国軍というのは、便衣兵というものがあって、軍人であると思えば服を脱いで平服になる、平服だと思うていたら軍服を着る、こういうことですから、我々日本は、歴史的にその便衣兵的戦法の相手になって知り尽くしているわけですから、平服を着ておってもかの行動は軍事行動と断定するという前提で、海洋調査船及びのこのこ上がってくる民間人と見られる人たちを軍事行動として明確に対処すれば、かの行動はとまるのではないか。それを例えば、こちらが海洋調査船を軍事行動と断定して、海上自衛隊が臨検し、横須賀に持ってくるとか、こういうことは海洋法上可能なんでしょうかということが一点ですね。

 それから、金田先生に簡単にお聞きしますが、今のことと関連するんですが、我が国が海の通路をふさがれれば経済は崩壊するということは、昔も今も変わりません。その中で、相手はローテクで来る。武装漁船が百隻、国籍不明が遊よくして日本の船だけをねらえば、日本の株価はがたがたになるということですから、この広い海域で、やはり二十世紀的な空母機動部隊をもって直ちにパワーを移動、集中さすことができるような能力を備えておかなければならないのではないか。

 こう申し上げるのは、イラクにおけるアメリカの失敗は、RMAの軍隊はわかるんですが、歩兵が緻密に治安を制圧するというふうな軍隊ではなかったことから生まれておる。我々日本は一番それをやられやすい。なぜなら、その専門家が、中国という隣におる大国ですから、やられやすいのではないのか。

 質問はお二人に、端的に、空母機動部隊を持つ必要があるというふうに御認識かどうか、金田先生にお伺いします。

金田参考人 答えはイエスでございます。

 御指摘のように、例えばゲリラ的な漁船が数隻群がって来るという状況ももちろん考えなきゃいけないと思います。それは、まさに先生の御指摘のとおりでございます。

 しかしながら、それ以外に、やはり海上自衛隊が作戦する海域、適切な海域といいましょうか、やはり各種の海上作戦能力を備えた行動というものが必要な時期、行動場面というものがむしろ非常に多くあるであろう、このように私は思います。

 それの持ち方につきましては、今直ちにどうこうということではございませんけれども、これは、非常に戦略的な話ではなくて、極めて戦術的なレベルの話で、私は、必然として持つことを考えていくべきではないのかなというように考えております。

平松参考人 私が先ほど、軍が来た方が簡単だと申し上げたのは、これは正規軍が来るという話であって、正規軍が来たら、まあ海上自衛隊の方が強いだろう、私はそう思っているんですけれども、これは実際やってみなきゃわかりませんけれども、今だったら問題なかろう。だから、そういう意味で、軍が正面から来てくれた方が簡単だということを申し上げたわけです。

 しかし、おっしゃるとおりに、民間人を装って軍が来るということをやりますから、そういうやり方でもって、手をかえ品をかえてやってくるだろうというふうに私は思っています。

小此木委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 参考人のお二人におかれましては、本日は、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げ、また、お二人の今後の御活躍を心からお祈りいたします。本当にありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

小此木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小此木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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