衆議院

メインへスキップ



第2号 平成16年10月22日(金曜日)

会議録本文へ
平成十六年十月二十二日(金曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 小林 興起君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 高木  毅君 理事 仲村 正治君

   理事 池田 元久君 理事 大石 尚子君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      石破  茂君    奥野 信亮君

      嘉数 知賢君    瓦   力君

      北村 誠吾君    佐藤  勉君

      坂本 哲志君    寺田  稔君

      額賀福志郎君    浜田 靖一君

      原田 令嗣君    古川 禎久君

      御法川信英君    武正 公一君

      津村 啓介君    中野  譲君

      西村 真悟君    本多 平直君

      前原 誠司君    松本 剛明君

      村越 祐民君    佐藤 茂樹君

    …………………………………

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   内閣官房副長官      杉浦 正健君

   内閣府副大臣       七条  明君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   総務副大臣        今井  宏君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  増田 好平君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武田 宗高君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    山中 昭栄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十二日

 辞任         補欠選任

  中谷  元君     原田 令嗣君

  古川 禎久君     佐藤  勉君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     古川 禎久君

  原田 令嗣君     中谷  元君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官増田好平君、内閣府政策統括官武田宗高君、防衛庁運用局長大古和雄君、防衛庁人事教育局長西川徹矢君、防衛施設庁長官山中昭栄君及び外務省北米局長海老原紳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小林委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 おはようございます。自由民主党の寺田でございます。

 本日は、ここ安全保障委員会の場におきまして防衛庁職員給与法の改正案がかかっておりますので、この職員給与の改正案と、若干それに付随いたします関連事項につきまして、二十分の持ち時間で御質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 まず最初に、今回の防衛庁の職員の給与の改正案でございますが、人勧に係る中身につきましては、給与水準そのものは人勧がもう据え置きということでございます。したがって、この給与水準については今回余り議論にならないわけでございますけれども、今回、一つ大きなポイントといたしまして、国立大学の法人化に伴います措置が含まれているわけでございます。この国立大学の法人化に伴いまして、一般職に適用者がいなくなりますところの教育職の俸給表、これが廃止されるということでございます。しかしながら、防衛庁におきましては、この教育職の適用者が現在いるわけでございます。教頭、教諭あるいは教務職員といったような職種でもって、この教育職俸給表の適用者が依然としております。

 したがいまして、大臣にお伺いをするわけでございますが、これらの教頭、教諭、教務職員等の、現在この教育職俸給表の適用になっている職員に対しては、今回の廃止に伴いまして一体どのような措置がとられるのか。できればその対象人員、またこの教育職俸給表にも俸給表その(一)とその(二)、二つの俸給表がございますので、それぞれの対応措置につきまして、わかりやすく御説明をいただければと思います。

大野国務大臣 寺田さんは、かつて財務省の防衛担当の主計官をされていらっしゃいましたので、十分おわかりの上の御質問ではないかと思いますけれども、今おっしゃられましたとおり、確かに今回の法人化、大学の法人化につきまして、大きく言いますと二つのカテゴリーで影響がございます。

 まず、国立大学の附属高校の問題でございますけれども、こちらは合計九十人おりまして、これが廃止になりますと、今例えば少年工科学校で働いているこれらの方々、先生方、これの給料表がなくなってしまう、こういうことで、新しく自衛隊教官俸給表というのをつくります。つくって手当てする。

 もう一つは、大学レベルの問題でありますけれども、大学レベルでは、ここは例えば防大、特に防衛医大の方でございますが、実験の手伝いなどをしている方がいらっしゃいます、教務職員でございますが。ここは今七十二名働いております。したがいまして、こちらの方の手当てといたしましては、いわばこの職務は国家試験とか国家資格が必要ありませんので、こちらの方は一般の行政職で対応していこう、こういう考えでございます。

寺田(稔)委員 ただいま大臣の方より懇切丁寧に御説明を賜ったわけでございますが、いわゆる教頭、教諭、現在でいいますと国立大学附属高校並びの職員につきましては、自衛隊教官俸給表という新たな俸給表をつくる、防衛庁については三つ目の俸給表ということになろうかと思います。

 しかし、もう一つのカテゴリー、いわゆる防大、防医大の教務職員、いわゆるスタッフでございますが、これについては行政職、これは行(一)の俸給表というふうに理解をいたしますが、行(一)の俸給表に移行するということでございます。

 そういたしますと、教育職(一)の行(一)の方に移行いたします職員については、御承知のように、教育職の俸給表と行政職(一)の俸給表というのは、実は似ておりますが、水準が異なるわけでございます。異なる区分、しかも、いわゆる異なるブラケットを持っておるということでございまして、単純に同額の、横横の移行にはならないということになろうかと思います。したがいまして、この教育職の(一)から行(一)への変更によりまして、個人で見ますと若干の額の変動が当然出得るものと思うわけでございます。

 公務員ですから、当然現給保障、現在の給与水準を合理的な理由がない限り下げられないというふうなことでございますので、この現給保障の考え方をとりますと、当然、同額のブラケットに移る者については横横で問題ないかと思いますけれども、若干、人によっては数百円とか、あるいは場合によっては千円ぐらい、現在の行(一)の俸給表と教育職を比較しますと、どうしても上がるというふうな対応になろうかと思いますが、一体それについてはどのぐらいの額の変動が見込まれるのか。あるいはまた、若干上がるときに、人勧自体はもう据え置き、横ばいということでございますが、教務職員について上がることについて一体どういうふうにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおり、本年度、俸給月額の改定は行われないという確固たる一つの方針がございまして、これにつきましては我々も、若干でも俸給月額が上昇するということは本年の人事院勧告の趣旨にはそぐわないという形で、それを何とか生かしていく、それに沿って対応していくということを考えております。

 また、これにつきましては、年度途中で適用変更を行うといたしましても、現在予算措置等がございませんので、コスト等についても今後いろいろ検討することは必要であろうという格好で考えております。

 そこで、先生、これまた大変お詳しいので御指摘いただきましたが、当庁としては、教務職員につきましては十七年度の行政(一)を適用させていただきたいという形で現在予算措置を行っておるところでございます。したがいまして、十七年度の予算におきまして行政職(一)への適用が認められました場合、先生御指摘のように、まず彼らの給与の保障ということを確実にしなければなりません。同額のところはいいんですが、それ以外のところはできるだけ最小限にするべく、年俸でそこを保障するという形で、一番それに近いところを押さえていきたいということで現在関係省庁と調整中でございますが、そういうものを適用した結果、先生御指摘のように数百円になるか、そのあたりはまだちょっとやってみないとわかりませんが、俸給月額に若干の変動があり得ることもあるのではないかと思います。

 ただ、これにつきましては、人事院勧告の実施に伴う今般の給与法改正という形で直接俸給月額が変動したということじゃなくして、我々としてはいろいろ、それにかわる措置として予算を措置して、一応また関係省庁と調整をしたその結果、そういうことがあり得るんじゃないだろうかという形で、人事院勧告の趣旨についてはできるだけ沿っていこうという気持ちで今対応しているところでございます。

 なお、現在調整中でございますので、確たる形での内容は差し控えさせていただきたいと思います。

寺田(稔)委員 ただいま局長の方より答弁がございましたが、それは確かに人勧自体、横ばいなわけでして、今のお答えですと十七年度から、来年の四月から、行(一)への移行に伴い適切な調整を行いたいという御答弁でございました。

 ここは、当然ほかの、教務職員以外の、全く据え置く職員とのバランス、均衡ということもございます。また、予算措置とはいえ給与水準が動くこと自体については、人勧の趣旨を踏まえますと、やはりなるたけ最小限にとどめるというふうなことが適正かと思いますので、適切な調整及び運用をぜひともお願いいたしたいというふうに思います。

 次に、自衛官俸給表作成の際、非常に毎回予算編成のときも大きな論点になるわけでございますが、その算定の基礎となります医療費の控除率というふうな問題があるわけでございます。これは、当然、自衛官の適正な処遇あるいはまた福利厚生とも絡む非常に大きな論点になってこようかと思います。

 この医療費控除率については、現在千分の十六の水準であるというふうに承知をしておりますが、この千分の十六でいいかどうか。そしてまた、自衛隊の自衛官の処遇改善のために、控除率はもっと引き下げて、実質的な水準としては福利厚生の向上を図るというふうなことが必要かと思うわけでございますが、防衛庁の御見解をお伺いいたしたいと思います。

西川政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の医療費控除率でございますけれども、これにつきましては、過去の経緯というのが、昭和二十五年の警察予備隊の発足以来、いわゆる警察官との均衡を図りまして、その上で、当初は千分の二十三、二十三・五、そういうふうな数値で動きまして、おおむね昭和六十二年ごろまでそういう水準で参りましたが、これが、自衛官本人の私傷病につきまして、共済組合との均衡、そういうものを勘案いたしまして、自己負担とすべきところがあるんじゃないかということで、実は昭和六十年から六十二年の間に実態調査をいたしました。その実態調査に基づきまして、先ほど先生御指摘ございました千分の十六という数字が示されたところでございまして、その数字に近づくべく、毎年、逐次いろいろな見直しをしてまいりました。

 これが経緯でございますが、平成十四年度でやっと千分の十六というところまで下がりまして、先生今御指摘の、もっと引き下げを考えるべきじゃないかというふうな御指摘でございます。

 この自衛官の医療費の控除率につきましては、引き続き、医療費の使用の実態というものに合うように、こういうものを踏まえて適正なものになるように努力してまいりたい、こういう所存でございます。

寺田(稔)委員 ただいま、引き続き適正な水準、引き下げを考えたいという御答弁でございましたが、実態調査自体がもう相当古いわけですよね。昭和六十年から六十二年、今からもう十九年前の調査でございますので、この実態をより適正に把握していただきまして、自衛官の適正な処遇をやっていただきたいと思うわけでございます。特に自衛官というのは、みずからの身の危険を顧みずに国防のために業務に従事をしておる者でございまして、国家公務員の中でもそういう特殊性がある。かつ、常日ごろの訓練によって精強性を維持している。医療費はその精強性の代償でございますから、ぜひとも適正な御配慮をお願いいたしたいというふうに思う次第でございます。

 次に、この点とも多少関連するわけでございますが、近時の軍事技術の進展というものは本当に目覚ましいものがあります。RMA後にさまざまな新技術が出て、もう本当に日進月歩の状況でございます。八〇年代前半にレーガン大統領がSDI構想を打ち上げたわけでございますけれども、当時はまさにスターウオーズ計画ということで、本当に夢物語だったわけでございますけれども、今やそれが現実の配備がなされようとしているという、本当にすごい技術の進展がある。

 そうした中においては、我が国においても、PAC3の配備でございますとか、あるいはスタンダードミサイル、SM3発射によりますイージス艦によりますミッドコース防衛、この二層のミサイル防衛をやっていこうということで、まさにこれから予算化がなされ、配備がなされんとしているわけでございますが、そういうふうな状況を踏まえますと、特にミサイル防衛のように、最先端の、高度な任務につく自衛官というのがこれから出てくる。しかも、それは非常に高度のエキスパーティーズを要する、専門性を要する分野でございます。そういった職員については、一般の自衛官とはやはり異なる処遇が要るのではないかというふうに思うのでございますが、そのあたりの御見解を大臣にお伺いいたしたいと思います。

大野国務大臣 自衛官の給与について、基本的な考え方は、もう御存じのとおり、職務の類似する一般職の公務員とバランスを図る。その上で、職務の特殊性がある部分については、その特殊性を十分生かすような対応をしていく制度とする。こういうのが一般原則でございます。

 もう少し具体的に申し上げますと、例えば、一般職公務員の俸給に準じながらも、超過勤務手当相当額を繰り入れして調整する。それが自衛隊の自衛官の俸給表でございますけれども、今おっしゃったいろいろな危険な業務がある。まあ不快と言うとあれですけれども、危険とか特殊性、不快という言葉が適当かどうかわかりませんが、不快とか困難とか、今先生がおっしゃった技術力の問題、いろいろあると思います。そういうものが特にあるのは落下傘部隊の自衛官ですね。あるいは艦船の乗務員、もう潜水艦なんかに乗っていると大変ですよね。それから航空自衛隊の乗務員、自衛官、こういう方々には、やはりそういう特別な拘束なり危険なり困難があります。その特殊性を考慮した特別の手当を支給していることは御存じのとおりでございます。

 今お尋ねの、弾道ミサイル防衛に従事する者はどうか。このあり方につきましては、適正なものになるよう検討してまいりますけれども、弾道ミサイル防衛の任務につく自衛官については、今後、弾道ミサイル防衛のシステムができ上がるまでには、今申し上げたような諸般の問題を考慮しながら、具体的な職務内容が明らかになるときにはしっかりとそういう対応をしたいと思っております。

寺田(稔)委員 ただいま大臣より、それが現実化されて職務内容が明らかになる時点で適正な対応をするという御答弁でございましたので、ぜひともそのような対応をいただきたいというふうに思います。特に、これだけ業務が高度化、専門化してまいりますと、やはり場合によっては、今、手当の対応という点も言われましたけれども、例えば情報本部でもそうでございますけれども、かつて情報職という新たな職種の御要求もあったわけでございまして、そういう業務の専門性に対応した新たな措置をぜひとも御検討いただきたいと思うわけでございます。

 あと、そういった意味で処遇のめり張りをつけるというのは非常に重要でございますけれども、当然のことながら、装備体系全体の配備についてもめり張りをつけていくことは、これはもう処遇と一体する問題でございます。

 特に、我が国が現在導入をしようとしておりますミサイル防衛につきましては、イージスBMDとペトリオットのPAC3、この二つの組み合わせで行われるわけでございますけれども、予算面におきましても、あるいは技術的安定性、確率性におきましても、やはりイージス艦発射のSM3を使ったところの防衛の方が多々すぐれている面はあるわけでございまして、現に来年度の概算要求、防衛庁のBMDシステムの整備の要求の数字を見ましても、イージス艦配備はこれが約三百十五億ということでございます。これは、現在のイージスのベースライン7の技術水準を前提にして、それにイージスシステムを付加する、一艦八発体制という前提の予算かと思います。片や、ペトリオットのPAC3の方は八百四十八億でございます。しかも、これは極めて限定的、局部的な配備でございまして、現在あります十六ユニットのうちのわずか四分の一でございます。

 したがいまして、御承知のように、ペトリオットのPAC3というのは中枢防衛でございます。それに対しまして、海上のミッドターム防衛というのはかなり広域防衛でございますし、成層圏飛行の安定飛行のところを撃つわけでございますから当たる確率も高いということでございますが、当然、そういうふうなことを総合的に勘案しますと、このイージス発射のBMDというものを中心に据えるべきであるというふうに思うわけでございますが、御見解をお伺いいたしたいと思います。

大野国務大臣 世界の、あるいは日本を取り巻く安全保障の環境というのはどんどん変わっております。そこで、ミサイル防衛もやらなきゃいけない。本当に、抑止力というのは、機動力、対応力、柔軟性、こういうことが必要になってきております。

 御存じのとおり、昨年十二月十九日の閣議決定でミサイル防衛ということを言っているわけですけれども、お尋ねの点で申し上げますと、やはりイージス艦の方はミッドコース、いわば大気圏外で対応していく、撃ち落としていく、こういうことでありますけれども、当たる確率が高いというふうに先生はおっしゃいましたが、それでも当たらない場合もあるかもしれない。そうした場合は大気圏内に入ってくるわけですね。そのときやはりペトリオットが必要になってくるわけでございまして、やはりミッドコースとターミナル段階と両方の備えが必要なんじゃないか、こういうような考え方で両方の配備を考えている次第でございます。

寺田(稔)委員 質疑時間も終了いたしましたのでこのあたりで終わりますが、やはり適正な処遇とともに装備体系についてもめり張りをつけて、これからまた時代のニーズに合った形でもって必要な見直しを果敢にやっていただくことを切に要望いたしまして、私からの質疑を終えたいと思います。どうもありがとうございました。

小林委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。きょうは、十分間時間をいただきました。

 今、自衛隊の持つ業務の高度化あるいは専門化という話にまつわる細かな話がございましたけれども、私の方からは、自衛隊が持つ業務の高度化という部分とはちょっと逆の方向かもしれません。極めて多様化、さまざまな任務が、今まさにミサイル防衛から鳥インフルエンザの始末まで、大変な任務が自衛隊に押しかかってきているという事態があるわけです。

 実は、昨日までの日本じゅうを襲った、ことしの夏から今日にかけて、十個もの台風が日本じゅうをおびえ上がらせたといいますか大変な被害をもたらして、今回の台風二十三号でも八十人を超える皆さんが亡くなられたり現在行方不明になっておられるという大変痛ましい災害が起こっております。

 亡くなられた皆さんには心よりお悔やみ申し上げるとともに、被害に遭われた方にお見舞い申し上げるわけでございますけれども、今この時間でも、私の住んでいる地域の周辺、兵庫の北の豊岡では、まだ陸の孤島に近い状態になっているところがあって、私の知人の仲間もまだ連絡がつかないというふうなことが起こっておりまして、まさにボートを常駐させておかなくちゃいけないという、笑うに笑えないというか、そういう深刻な事態が起こっているわけでございます。

 今回の台風で、例えば兵庫県の場合は、淡路のいわゆる洲本関連、津名町、一宮町に自衛隊の出動要請があったということで、合計二百人の出動要請があったと聞いておりますけれども、一連の台風の襲来によって、自衛隊が、今回のこの夏から今日に至るまでの十個の台風に対してどれだけの出動要請があって、何人出られたのかをまずお聞きしたいと思います。

大古政府参考人 お答えさせていただきます。

 自衛隊の災害派遣につきましては、今般の台風二十三号災害に際しては、きのうの段階で六府県からの派遣要請がございまして、延べ約二千二百名の人員が派遣されているところでございます。

 この台風二十三号を含めまして、ことしの夏から秋にかけての一連の台風等の水害に関連いたしまして、これは六個の台風と七月におきます新潟県及び福井県の集中豪雨を含みますけれども、自衛隊の災害派遣要請の件数は、十五府県から計二十二件に達しております。延べ一万三千名の人員が派遣されているところでございます。この点につきましては、過去三年の実績と比較いたしますと、既に要請件数、派遣人員数とも二倍以上となっているという状況でございます。

赤松(正)委員 今お聞きしましたように、過去の例とも比較しても極めて大変な出動要請が出ている、こういうことがあるわけですけれども、私、自衛隊の重要な任務としての災害に対する派遣、本当に地域住民の皆さんは、自衛隊の存在に対する大変力強いものを感じた、自衛隊を本当に身近に感ずる大きなケースとしての災害に対するこういう取り組み、本当に心から、皆さん自衛隊の存在に対して喜びと感謝をしている、そんなふうに思うわけです。

 これはいつも取り上げられる話でありますが、こうした自衛隊の災害対応というのとあわせまして、国内における日本の安全保障という、先ほど来お話があったような日本の防衛という観点と、それから、同時に一方で、こうした自然災害における国民の命と暮らしを守るという側面、性格は大きく違いますけれども、人間の命を守るという部分で、自衛隊が果たす役割というのは極めて重要なものがあると重ねて申し上げる次第でございます。

 日本の国における自衛隊の取り組みについては、今申し上げたような点、あわせて昨今一段と、この約十三年間、あの湾岸戦争以来の国連平和協力のさまざまな活動というものも自衛隊にとって非常に重要な役割を今示してきている。さきの安全保障と防衛力に関する懇談会、いわゆる荒木懇談会というんでしょうか、がまとめられた報告書を見ましても、国際平和協力活動における自衛隊の行動というものをしっかりと自衛隊の本来任務に格上げをするべきだという趣旨の報告がなされておるところでございます。

 私ども公明党も、この点につきまして、近い、今月末に開きます公明党大会における政策提案の中で、自衛隊の国際平和協力活動の本来任務への格上げということをぜひするべきだという提言を盛り込むことにいたしておりますけれども、ぜひとも今、八章雑則の百条の七ですか、こういったところに規定されているような状態というものをやはりもう少しきちっと整とんしなくちゃいけない。自衛隊法第三条にある自衛隊の役割、任務についての記述というのは、要するに我が国の安全を保つための直接侵略及び間接侵略に対する防衛ということが主たる任務として挙げられて、後半に、「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」、こう書いてある。この「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」というものは、どう読んでも災害というふうには読めないな。時代の変遷とともにやはり法律というものもきちっと現状に合わせていかなくちゃいけないというふうに感じるわけで、災害対応という側面あるいは国際平和協力という側面、こういったものをきちっと自衛隊法上に位置づけをするということが非常に大事だと思うんですね。

 きのう大臣は所信表明、これは来週きちっとまた改めてやるわけですが、印象的だったのは、所信表明の一番最後のくだりで防衛庁の省昇格ということを最後に強調しておられましたが、私はその問題も大いに関心があり、そういうふうにしていきたいと思っておりますけれども、まず、手近という言い方は適切じゃないかもしれませんが、できることから、急がれることからやるという点では、自衛隊法の今申し上げたようなことを改正するということで積み上げていくということが、先ほど冒頭で申し上げました国民の自衛隊に対する関心というものとも相まって、名称を変えるということに先立ってそういったことをしっかりやっていくということが大事だと思いますけれども、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

大野国務大臣 自衛隊法上、本来業務とそれから付随的業務と大きく分けられております。本来業務の中には、主たる任務、従たる任務、こういう分け方かと思いますけれども、考えてみますと、国内で自衛隊の存在が一番高く感謝を持って迎えられているのは、今まさに災害出動しておりますけれども、災害救援、こういう業務でございますし、国際的に見ましても、一九九二年にカンボジアへPKOを出しましたが、あれ以来ずうっと今までPKO活動、特に今イラク、インド洋でございますが、活動して高い評価を受けております。

 また、考え方も、私は、初めのころは、初めPKOをやったころは国際貢献だという考え方であったと思うんですけれども、今は考え方が非常にグローバルになってきて、日本が国際協力をすることは国際の平和につながる、この国際の平和がまた日本の平和につながってくる、こういう考え方に変わってきているんじゃないか、私自身はそう思っております。

 また、御指摘の安保防衛懇の中で、やはりPKO活動、国際活動というのは付随的業務、つまり、本来業務に差し支えない限度においてやるんだ、こういう位置づけでなくて、わき役じゃなくてスターに、主役にしていく、これはやはり私は評価すべき考え方だと思います。

 この問題、私は今後、例えば安全保障会議で十分議論して、そして検討して結果を出したい、このように思っております。

赤松(正)委員 ぜひ結果を出すようにしてください。

 以上で終わります。ありがとうございました。

小林委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 おはようございます。

 新たな委員長のもとで、新大臣、閣僚の皆さんと審議をさせていただきたいと思っておりますが、こちらの方は変わらず安全保障委員ということでございますので、よろしくお願いをいたします。

 まず冒頭に、ことしの夏、台風、昨日、一昨日も大変大きな被害が二十三号で発生をいたしました。私も瀬戸内、大野大臣も逢沢外務副大臣も七条先生も、瀬戸内がたくさんおるんですが、台風になれている地域、なれていない地域もありますが、いずれにせよ、大変な被害が出ておりますので、政府の迅速かつ丁寧な対応をお願いいたしたいと思って御要望を申し上げておきます。

 それでは、早速、法案についてまずお伺いをしたいと思います。

 この現在審議にかかっております防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案ということでございます。内容につきましては、当初想定をしたとおり、与党の皆さん、自民党の先生からも御質問もありましたので、私の方からは、私どもにいただいた御説明でも、本法案は寒冷地手当の支給日の十月末日との関連で同日前の施行が必要、こういう御要請をいただきましたが、若干その関係の御説明をいただきたいというふうに思います。

大野国務大臣 今回の防衛庁職員給与法の一部改正案でございますけれども、御存じのとおり、特に松本先生は、お父さんが防衛庁長官であられます。私は、お父さんから随分いろいろ教えていただきましたけれども、御存じのとおり、今回の場合は国立大学の法人化という点がございます。そこで適用する職務がなくなってしまった、これが問題点でございまして、その点は先ほど御説明したとおりでございます。

 そこで、法案の施行期日でございますけれども、一般職給与法が改正されますと、現在の教育職給与表(二)が廃止されます。その日から当該職員に適用する俸給表がなくなるということがありますので、施行日は一般職給与法の改正法の施行日に合わせる必要がある、このことは御理解いただきたい。

 それから、一般職給与法の一部改正については、寒冷地手当法等との一括改正法案として今国会に提出されているため、現行制度による寒冷地手当の支給日である十月二十九日の前日までに施行する必要があるということであります。このような理由から、防衛庁職員給与法の一部改正法についても、同様に十月二十八日までに施行させていただく必要があります。

 このような事情から、極めてタイトな日程の中で御審議をお願いいたしておりますが、何とぞ御理解のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。

松本(剛)委員 となりますと、一般職の給与法について御所管の総務省にお伺いをしたいと思うんですが、これからお見えになるということのようでございますので、この点については後ほどおいでになられてから若干質疑をさせていただくということで、本日は、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案ということですが、そのいわば背景となります防衛全般について、大野大臣初め関係の大臣にお伺いをしてまいりたいと思っております。

 私どもは、実は、当委員会では閉会中の審査も御要望をしてまいりました。一点は、安保懇、防衛計画の大綱を含め、大幅に防衛の体制が変わるという状況にある中で、討議を進めさせていただきたいということで閉会中審査を求めてまいりましたし、同時に、ことしの八月十三日に米軍のヘリが沖縄に墜落をするという事故があったことにも関連する審議も、ぜひこの安全保障委員会でお願いをしたいということで求めてまいりましたが、残念ながら日程協議相調わず本日に至りましたので、その分の思いも込めて、二、三御質問申し上げたいと思います。

 宜野湾市でヘリコプターの墜落事故が発生をいたしましたが、長官は現場をごらんになるとか事情を聴取されるとかいうことはされましたでしょうか。

大野国務大臣 まだいたしておりません。ただし、事情につきましては十分聞いております。

松本(剛)委員 私も八月に現場を見てまいりました。そのときは、一応民主党の防衛政策の責任者ということもありまして、事情は私も聞いておるつもりでしたが、やはり現場を見て本当に大変なことであるということの実感を一層強くいたしましたので、今からでもぜひ機会をとらえて長官には沖縄にお運びをいただきたいということもお願いを申し上げておきたいと思います。

 本事件に関連しては御質問申し上げたいことがたくさんあるんですが、何点かにも絞ってお伺いをしたいと思います。

 この同型のヘリコプターの飛行中止と再開に関連する一連の経緯について御説明をいただきたいと思っております。

 まず、その飛行中止でありますが、現場、事務レベル、各方面からされたと思いますし、最終的には川口大臣も何日だったかに飛行中止を申し入れておられたのではないかというふうに思いますが、その経緯は防衛庁と外務省にお伺いをしたらいいんでしょうか。関係の省庁、それぞれ御説明をいただきたいと思います。

山中政府参考人 私どもも、今回の事故の重大性にかんがみまして、何よりもまず事故原因の早期徹底究明、それから実効性のある再発防止ということを要請してまいりまして、とりわけ、八月の二十日に至りまして、私どもに事前の連絡もなく、まずCH53D以外の回転翼の運航を再開された。さらに、二十二日に至りまして、事故機と同型のCH53D、六機でございますが、事故原因等についての十分な説明がないままに飛行が再開されたということがございまして、同日に私から横田の在日米軍司令官に対しまして電話で抗議をし、さらに翌二十三日でございますが、直接横田に赴きまして面談の上、あらゆるその航空機の運用にかかわる要素を網羅的に再検討をして、飛行の安全が確保されていることを十分に確認した上で飛行再開を行うべきであるというふうな申し入れをいたしました。

 さらに、八月の二十七日に至りまして、その事故機と同型機が普天間から岩国の方に飛行するという情報がございまして、私どもも、次長の方から在日米軍の副司令官に対しまして、十分な説明がされるまでは飛行を停止するように改めて文書により要請をしたということでございます。今外務省の方も、ほぼ同趣旨の要請をいたしておりまして、こういったことを受けて、在京米大使館が、二十八日でございますが、同型機の飛行についてはこれが適切となるまでは行わないという表明がなされたという経緯がございます。

海老原政府参考人 同型のヘリの飛行停止の問題について御答弁申し上げます。

 同型ヘリにつきましては、八月二十二日の正午ごろ、在京米隊のマハラック臨時代理大使より私に対しまして、普天間飛行場においてCH53Dヘリ、これは同型ヘリでございますが、を飛行させたいということで、次のような連絡がありました。

 普天間飛行場にあるCH53Dヘリ六機をイラクでの米軍の作戦に向かわせるために飛行させることとしたい、飛行は本日の十二時半より行われ、午後一時半までには終わる予定である、飛行に当たってはヘリコプターの機体、乗務員の双方について十分な点検、安全対策がとられたので、飛行の安全については確保できるという連絡がございまして、これに対して、私よりも、これはそれに先立ちまして内々我々の方に打診がありましたのに対して日本政府としては同意できないということを申していたことでございますが、日本政府の反対にもかかわらず米側がCH53Dの運用を再開することは極めて遺憾である、さきの墜落事故の原因について十分な説明がなく、再発防止策が十分にとられたとの十分な説明もないまま事故機と同型機の運用が行われることについては強く抗議するということを述べました。その後、向こうの通告どおり、同型ヘリ六機が飛行したというふうに承知をしております。

 本件につきましては、その後も事故原因や再発防止策についての十分な説明なくして飛行させることがないようということを重ねて申し入れましたのに対し、その後、米側は、在日米軍は海兵隊CH53Dヘリの飛行をこれが適切となるまで行わないということを伝達してまいりました。

松本(剛)委員 もう一度確認ですが、墜落をしてすぐに事務レベルで飛行中止を申し入れたという理解でよろしいんですか。そして、それにもかかわらず運航したいという内々の打診があり、その打診に対して日本政府はノーと言ったにもかかわらず、米側はイラク作戦に関連をするということで強行した。大臣レベルの抗議はその後という理解でよろしいんですか。簡単に、今の時系列、間違っているか間違っていないかだけ。

海老原政府参考人 抗議自体は、私が外務省を代表していたしまして、大臣が直接ということはございません。これは外務省を代表して私が行ったということでございます。

 後の時系列……(松本(剛)委員「それは最初ですか、いつごろですか」と呼ぶ)いやいや、最後に飛んだときの話でございます。(松本(剛)委員「一番最初は」と呼ぶ)一番最初は、これは私からも行いましたし、それから大臣も、これは大臣がたまたま外国に行っていたものですから、記者会見の場でということでございますが、そもそも事故そのものについて非常に遺憾であるということ、それから、原因究明とその再発防止ということをとるまでは飛行再開は望ましくないということは言っておられます。私も言いました。

松本(剛)委員 私も、また民主党の同志も、大変日米の関係は重要であるというふうに考えておりますし、米国の大使館とこの件に関連して、大使館のそれこそマハラック臨時代理大使と私もお話をさせていただいたときにも、国民に理解をされるようにすることが今後の日米のために大変重要である、だからこそ、このヘリコプターの運航についてもということを私どもも申し入れをいたしました。

 そんな中で、まず一つは、あえて大臣レベルというふうに申し上げたのも、日本の政府を代表して閣僚がきちっと米国に申し入れるということの重みというのがやはり、もちろん外務省を代表して局長がされたんでしょうけれども、あるというふうに思いますし、同時に、残念ながら、イラク戦争という米国にとっては大変重要な案件であっただろうというふうには思いますが、言うなれば、抗議をしたにもかかわらず聞き入れられなかったということも大変残念なことであります。

 ことしの八月であったと思いますが、本会議で同僚の前原議員が中国の海洋開発に関連をしてお聞きをしたときも、大臣からは、適切に抗議をし処理をしておりますというような御答弁をいただいたというふうに思うんですが、当時、川口大臣だったと思いますが、いや、あれは総理の答弁だったかもしれません、ちょっと正確ではありませんが。

 私どもが申し上げたいのは、日本の外交というのは、ただ抗議をして、向こうは言うことを聞いてくれなかった、それでおしまいということなのかということであります。今ここで御答弁を求めようとは思いませんが、やはりこれでは国民の方も納得できない形になってくるわけでありまして、抗議そのものも、中国の件もそうでありますし、今回の在日米軍関連のこともそうであります。いわば、国民に対して、抗議を我々はしたんですよと。政府はそれだけで終わってしまうという形を、ぜひ、アメリカにも十分な理解を求め、きちっと実のある形にしていただきたいということをこれに関連しては申し上げたいと思っております。

 それから、運航再開に関連して、文書は拝見をいたしましたけれども、もう一度、国民に対して、こういう根拠を我々は確認したから安全だということで運航再開を了解したということをこの場で御説明いただきたいと思いますが。

逢沢副大臣 お答え申し上げます。

 徹底した事故原因の究明、そして再発防止、このことについては、国民に責任を果たしていかなくてはならない、当然のことであります。

 本件事故の原因及び事故機と同型機、CH53Dの安全点検等に関しましては、まず、米側からの調査報告書の提出がございました。これを踏まえ、日本側の専門家、これは国交省また自衛隊の専門家でございますが、専門家が普天間飛行場を訪問いたしました。そして、事故分科委員会において検証を行い、政府として、これらを通じて事故原因及び飛行再開に向けた再発防止策について十分な説明を聴取することができたとの認識を得たわけでございます。

 その勧告となっておりますことは、中身について若干申し上げますと、事故原因となった部分の点検を飛行前の点検の項目に追加する、そして整備マニュアル中不明瞭だった部分を改正する、整備要員の勤務時間につき見直しを行う、適切な整備手続を行わなかった者に対しては懲戒、行政処分を科す等々の具体的な勧告も確認をすることができたわけであります。

 そういうことを踏まえ、今月十二日の関係大臣等会合で確認をし、その中身は、米側が事故機と同型のCH53Dヘリの飛行を再開したことに対し、政府としては異論を唱えないとの立場に立たせていただきました。

 なお、当然のことでありますけれども、普天間飛行場でのヘリの運用につきましては、今後とも、米側に対し、沖縄県民の方々の不安に何といっても強く配慮をする、そして飛行の安全を確保し、最大限慎重に運用するよう引き続き働きかけてまいりたい、そのように存じております。

松本(剛)委員 ぜひ、我が国の外務省でありますから、信頼をし、期待をし、こたえていただきたいというふうに思っておりますが、残念ながら、前後のビヘービアで私もまだまだ申し上げたいことがたくさんあります。これはもう衆参の沖縄北方委員会等でも同僚の議員が数々指摘をしてきたことでございますので、割愛をさせていただきたいと思います。

 ちょっと順序が前後いたしましたけれども、よろしゅうございますか、副大臣、お見えになったところでございますが、早速。

 法案の審議に関連をして、今回、私どもは、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を審議させていただいておるところでございますが、本法案は、今回、総務省所管の一般職の給与法と、給与表の廃止と作成ということの裏表の関係になっている、そして総務省さんの方の法案が今度は寒冷地手当と一本の法律になっているということで、連鎖の理由で我々はこれを十月の末日までに処理をしなければいけない、言うなればこういう羽目に陥っている部分があります。私どもも、早期の国会を求めてきた中で、残念ながら早期に開催をされない。そして、国会が始まってみますと、これは日にちがないから大至急やらなきゃいけないから、大臣所信に対する質疑も飛ばして先にやってくれと。こういう形になると、国会の審議はやりたくないけれども法案は通してくれ、率直に言うとこう政府に言われているような感じがいたします。

 この点について、特に副大臣においでをいただきましたのは、人勧の関係に基づくとはいいながらも、寒冷地手当のように、だれから見ても早急に、日程がタイトになっているものと、言うなれば俸給表の廃止と裏表ということであれば、いわゆる組織変更に伴うものということであれば、きちっと分けてやっていただけたら、我々はこんな苦労をしなくて済んだのではないかというふうに思っておるわけですが、ぜひ私どもとしては、まず一点は、特に総務省としては、こういう日程がタイトなものを抱えておられるのであれば、政府として与党とも御調整をいただいて、早く国会を開くように、今後やはり日程を見て御努力をいただきたいということを一つ申し上げたい。

 それから、これだけ日程がタイトになってしまった中で性格の違うものを押し込めて一括で、これがつながり、これがつながり、これもつながっているからあなたのところはすぐにやってもらわないといけません、こういうのは、ぜひ私どもとしては、強くこの点については抗議を申し上げたい、このように思っております。

 もし一括で処理をするということについて、人事院勧告だから共通だという御説明は事務レベルでお聞きをしておりますが、特に何か御説明があれば承りたいと思いますが、もしそうでなければ、私ども民主党としても、また国会議員としても、こういうタイトな日程になってしまうということ、法案のつくり方とか日程のつくり方ということについては強く抗議を申し上げたいということを、所管の総務副大臣としてお受けとめいただきたいということを私から申し上げたいと思います。

今井副大臣 今井でございます。松本委員に御答弁をさせていただきます。

 今質問もございましたように、当委員会でもタイトな日程になったという抗議のお話をいただきまして、真摯に受けとめさせていただきたい、かように思っています。

 さて、なぜか、こういうことでございますが、御質問の一部にも触れておりましたように、ことし八月に当然のことながら人事院の勧告がされるわけですが、その人事院勧告に両方セットとして勧告をされているというのが一点かと思います。この二つの法案につきましては、お互いにかなり相互関係、関連が強いわけでございまして、どちらも公務員に対する給与に関するものであるということが一つと、それから、民間の給与に準拠するといいますか合わせる、こういうことだと思うわけであります。

 いずれにいたしましても、過去の例によりましても、平成八年に同じように両法案は一括してお願いし成立をさせていただいている、こういう経過もございますので、特段の御理解を賜りたいと思う次第であります。

 以上です。

松本(剛)委員 私どもを代表する民主党の理事と与党側の理事の皆さんとお話をさせていただいて、特段の御理解をすればこそ、多分ここで審議をしておるんだというふうに私は理解をいたしております。

 ただ、法案の今申し上げたようなつくり方とか日切れの持っていき方ということについて申し上げたいという私の抗議はぜひ受けとめていただいて、総務大臣も昨日総務委員会で御発言をされておられるようでございます。そのことをもう今ここでは申し上げませんけれども、ぜひ総務大臣にもお伝えをいただくと同時に、副大臣間、そして内閣の中でも、もう一遍、私どもは国会で建設的な審議をこれからも進めていきたいと思っておりますので、その趣旨にこたえていただくということを政府に求めて、私の方から総務省への、今井副大臣への質問を終わらせていただきたいと思います。副大臣、どうぞ。

 それでは戻りまして、先ほど逢沢副大臣に運航再開の経緯についてお伺いをしたところまでお話を申し上げたと思うんですが、事故の原因についての事故報告書、私もちょっと全部はとても目を通せなかったのです、英文でしかいただけなかったものですから、日本人には大変つらい仕事になったわけでありますが、概略の中にも出ておりますように、整備要員が相当過酷な労働条件下にあったということが一つの原因として上がってきておるというふうに承知をしております。

 これは、やはり明らかに、イラクに関連をして世界の米軍が忙しかったということがかかわっているというふうに私は判断をしておりますし、先ほどの運航再開に関して飛んだものも間違いなくホワイトビーチからのイラク関連の案件であったということで、言うなれば、米軍の態勢は平時ではないのではないかというふうに私は理解をしております。

 そこまでは今お伺いをしませんが、やはりこれは、イラクと関連をした、そのことが原因の一つとしては認めざるを得ないという理解でよろしゅうございますでしょうか。事故報告に関しては施設庁ですか。

山中政府参考人 事故の直接的な原因は、いわゆるコッターピンが装着をされておりませんで、ボルトが外れてテールローターがいわば不正常な動きをして、これが垂直尾翼を折った。その主たる原因、それに至る要因でございますが、これは、事故調査報告書によりますと、整備要員が長時間の勤務についておりまして、夜勤と日勤の整備要員の引き継ぎが十分ではなかった、コッターピンの装着をしていないことについての引き継ぎがなされていなかったというようなことが要因として記述をされております。

 なぜこういう長時間の勤務という事態が生じたかということにつきましては、これは報告書に記載されております航空機の整備幹部の証言でございますが、後にクウェートに向かいました強襲揚陸艦エセックスに搭載をするための飛行に備えまして、八月の十日から一日十二時間勤務をしていた。また、別の整備要員の証言でございますが、我々は三日間続けて十七時間勤務をしたというような記述もございまして、要員が全体として数日間、長期間の勤務態勢に置かれていたという事実があったということがうかがわれるわけでございます。

松本(剛)委員 今申し上げたように、曲がりなりにも私も多少読みましたので、十四時間、十六時間、十七時間といったような数字が出ているのは拝見をいたしました。

 申し上げたいのは、仮にも先進国のアメリカの軍とはいえ、平時に、いつも毎日十六時間も十四時間も十七時間も働かせる国であるはずがないわけですよね。そんな中で、何日も連続してそれだけ長時間働かざるを得なかった。逆に言えば、それが当たり前だとしたら、毎回事故がいつ起こってもおかしくないでしょう。非常時であったり緊急時であったればこそ、残念ながらそういうことが重なってそういうことになったんだろうというふうに思います。

 やはり我々はその背景もきちっと理解をし、だからやむを得ないということだともちろん言える話ではありません、どういうふうに改善をするのかということでありますが、やはり事態をきっちりと、その先のことはもう書いていないから知らないということで済ませるべき話ではないというふうに思っております。

 これは、後ほど若干議論をさせていただきたいと思っておりますが、在日米軍の持つ意味とか、そういうことにも大きくかかわってくることにもつながっていきますので、引き続き、これで終わりとせずに、背景をしっかりと政府としても確認していただきたいということを御要望申し上げて、次のお話に移りたいと思います。

 七条副大臣においでをいただいておりますので、沖縄に関連して、二点まとめてお伺いをいたしたいと思います。

 一点は、当然、改めて普天間基地の移転というのが今回の事故でクローズアップをされたわけでありますが、先日私も沖縄へ行かせていただいたときにも、関係の方々から出てきた声の一つが、あっちこっちからお話をいろいろ問い合わせとかをいただくけれども、政府の窓口を我々はどこで考えたらいいんだというようなお話がありました。

 内閣府の中に沖縄担当ということでおいでをいただいているわけでありますから、私としてはぜひ、やはり大臣そして七条副大臣に、沖縄の方々に向いている部分というのはお取りまとめをいただくぐらいの形で、当然関係省庁から出てまいりますけれども、お願いをしたいということをまず冒頭お願いをしておきたいと思います。

 そんな中で、当然、この代替施設の建設を進めて普天間基地を移転しようという今のお話だろうというふうに思います。我々は、政治的に、現実的に非常に困難を伴うのではないか、代替施設なき返還をもう一度米国と交渉するべきではないかというふうに提言をしておりますが、現在の政府の立場は代替施設建設だというふうに我々は承知をしております。この見通しと普天間基地の移転についてお伺いをしたいのが一点。

 二つ目は、地位協定の改定の問題であります。

 これは、沖縄県そのものも地位協定の改定を既に求めてきているわけであります。諸先輩の方がよく御存じだろうと思いますが、後世格別の御高配をというお話のありました沖縄でありますが、今の状態では残念ながら破格の負担ということになってしまっている状況であります。

 ぜひこの改定が、私からすると、相手のあることですから簡単にできるとは思いませんが、なぜ最初から選択肢にも入らないのか、改定はできない、運用の改善しかできないということなのかということを、特に沖縄の立場においでになる七条副大臣からお話をいただきたいと思います。以上、二点。

七条副大臣 松本先生の方から、今、沖縄担当だ、これからのいろいろな問題の中で沖縄の皆さん方に対して沖縄担当が何ができるのか、特に今度のようなヘリの事故だとか、あるいは普天間の飛行場の代替建設についての見通しも含めて、こういうことでございます。

 私どもの方からは、各関係省庁と連携をとりながら、担当としては柔軟に対応する、沖縄県民の皆さん方の負託にこたえていこうと考えておりますが、普天間飛行場の見通しにつきましては、これは、今私たちが申し上げられますことは、市街地に所在をするということである。そういう観点に立ちますと、普天間飛行場の一日も早い移設や返還に向けて、平成十一年の閣議決定等に基づきまして全力で取り組んでいかなければならないものと考えているところでございます。

 そして、さらにもう一点ございました件でございますけれども、沖縄担当の立場で地位協定についてどう考えるか、こういうことでございます。これにつきましては、本来は地位協定についてはもう外務省が所管であろうと考えておりますけれども、我が担当といたしますと、地位協定につきましてはさまざまな論議がされておる。特に、沖縄県知事初め地元の関係の皆さん方から、改定の要請がなされているところも知っているところでございます。

 しかしながら、地位協定につきましては、その時々の問題について、運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であると。運用の改善によってどういうことができるか、対応していける場合を想定していかなければならない。しかしながら、それでもできないということがある場合については、改定も視野に入れて検討をしていく、こういうふうに対処していかなければならないと考えているところでございます。

 以上でございます。

松本(剛)委員 ぜひ改定も視野に入れてというお話でございました。

 政府が対外的にあちこちでばらばらな違うことをおっしゃっていただいては我々も困りますが、一番上の閣議を初め、中は会議があるはずでございますから、もちろん、地位協定は沖縄だけではなくて基地の存在する各地にかかわりのある問題でありますが、やはりどうしても集中をしている沖縄にとっての最大の問題であるだけに、政府の中においても、七条副大臣の方からも御発議をいただいて、県民の声に安心していただけるようにこたえていただけるように御尽力をいただきたいと思います。

 地位協定の改定については、やはり御所管の外務副大臣にもお伺いをしておきたいと思います。

 私どもとしては、どうしても外務省のコメントは、選択肢にも入れたくないというふうに聞こえてくるのでありますが、そこのところ、御説明をいただきたいと思います。

逢沢副大臣 地位協定のあり方につきましては、沖縄を初め基地を抱える地元の皆様のみならず、国民の皆様からも大変さまざまな議論をいただいております。

 在日米軍の基地があり、そしてそこでアメリカ軍人が活動をいたすわけであります。言うならば、日々あるいは日常的にさまざまな問題が起こる、あるいは新たな課題が提起をされる、そういった状況が続くわけであります。それでは、その時々の問題に一体どのように対応したらいいのか。それは、やはり運用の改善というものによって機敏に対応するということが合理的だ、あるいは実質をより確保ができるというわけであります。

 そういった考え方のもとで運用の改善に今までも努力をしてまいりましたし、今現在も、常に運用の改善には前向きな姿勢で我が国政府としては臨まなくてはならない。そして、そのことを通じて少しでも基地を抱える地元の方々のいわば広い意味での負担の軽減に資していくということが、繰り返しになりますけれども、最も合理的であり、また、実質を確保するという意味では成果を上げてもまいりましたし、またこれからも成果を上げ得るというふうに私どもとしては考えさせていただいております。

 もちろん、先ほど七条副大臣からも御答弁がございました。物事の大きさあるいはその深さ等々のことにつきましては、政府全体として適切に対応することも当然必要になってこようかというふうに存じます。

松本(剛)委員 効果が上がってきたということについては評価がいろいろ分かれるところではないかというふうに思いますが、効果が上がっていると、もし、政府がおっしゃるようにそうだとしても、効果が上がっているということについての国民の理解ないしは沖縄県民の皆さんの理解というのが足らないとすれば、その点も含めてさらに御努力をいただきたいというふうに思います。

 一言、感想に近いことになりますが、私は、特にアメリカ人というのは、ルールを決めたら、ある意味ではその中でベストを尽くす、きちっと書いてあるルールをきちっと決めることがむしろ大事ではないか。我々のように、あうんの呼吸とかそういったものとは若干考え方が違うのではないかというふうに思っています。

 だからこそ、書いてあるものをきちっとやるということが大事ではないかなというふうに思っていますし、肝心なときに、そこですれ違ったことが大きくあちらこちらで波紋を呼んでいることが大変多いのではないかという気がいたしておりますので、私は、さっき申し上げたように、日本政府のスタンスとして、地位協定の改定を言うなれば最初から選択肢から外しているような発言を重ねる必要はないのではないかということを申し上げて、話を前へ進めさせていただきたいと思います。

 続いて、この基地の返還の問題とも関連をしてまいりますが、御案内のとおり、今、米軍が再編というもの、いわゆるトランスフォーメーションというのが行われております。そもそも、米軍の再編の意味するもの、そしてこれが日本の安全保障にどういう影響があるのかということをどのように御理解をいただいておられるのか、防衛庁長官とそれから外務省、逢沢副大臣にお聞きをしたいと思います。

大野国務大臣 安全保障の分野におきましては、二〇〇一年九月十一日の、ニューヨーク世界貿易ビルに対して同時多発テロが起こった。これは本当に、ブッシュが新しい戦争だと言われるように、領土のないテロ、領土を持っていないテロ、テロリストが攻撃を仕掛けてくる。しかも、攻撃されたビルの中には、日本人も含めていろいろな国籍の人がいた。

 こういうことを考えますと、本当に、テロというのは人類共通の敵であって、これを何とか地球上から追放していかなきゃいけない、こういう問題があるし、もし仮にテロあるいは専制独裁国家が核を含めて大量破壊兵器を持つような事態になったら、これはもう大変な世界の脅威であります。だから、そういう安全保障の環境の変化に対応した防衛力というのを持っていかなきゃいけない、こういう問題が一つあろうかと思います。いわばテロリスト、大量破壊兵器の問題ですね。

 それともう一つは、軍事力の技術、軍事力を支える技術がもう高度に発展していって、展開力とか機動力というのは相当高くなってきている。こういう背景があって私はアメリカのトランスフォーメーションという宣言になってきたんじゃないかと思いますけれども、この中身は、昨年十一月に発表されましたブッシュ米大統領声明にありますとおり、海外において適切な軍事力の配置を確立していく、それは今申し上げたような背景があると思いますが、地球規模での軍事体制の見直しを進める。そして、今申し上げましたように、テロ退治のためにはやはり国際協力が必要だというような観点からも、同盟国などとの協議を強化していかなきゃいけないというふうに考えられます。

 そこで、米国、アメリカの方は本年八月に軍事体制見直しに関する発表をしておりますが、それを見ますと、一つ、今後十年間にわたり、海外に展開している米軍のうち約六万人から七万人の軍人を帰国させる、二番、アジア地域においては、太平洋地域の機動展開能力を追加的に前方配置していく、それから三番目として、北東アジアにおいて軍のプレゼンスと司令部機構の再編のため同盟国との協議が必要だ、こういうことを言っているわけでございます。

 日本としては、やはり、日本の抑止力というのをアメリカのトランスフォーメーションによって影響されちゃいけないわけですから、何としても日本の抑止力、これを維持していかなきゃいけない、こういう問題が一つあると思います。

 同時に、やはり、このトランスフォーメーションによって、何といっても施設・区域の住民の皆様の負担の問題、これはもう沖縄を中心として軽減していかなきゃいけない、こういう観点から進めていかなきゃいけない、こういう問題があるわけでございますけれども、日本を含むアジア太平洋地域においてどのような形でこの問題が今後展開していくのか、また、アメリカがその軍事体制をどのように見直していくのか、また、我が国の防衛政策にどのような影響を及ぼしていくのかという点については、従来も検討しておりますけれども、これからも十分に見きわめてやっていかなきゃいけない、こういう問題だと思います。

逢沢副大臣 第二次大戦以降、世界は、いわゆる東西の冷戦の時代を長く経験したわけであります。アメリカとかつてのソ連がお互いに角を突き合わせる、そういった冷戦時代が続いておりました。しかし、ソ連が崩壊をし、そして冷戦は終了をいたしたわけであります。私たちは、その段階で、冷戦が終わった、これからは平和で安全な地球になるか、そういった期待を抱いたわけでありますが、しかし、私たちの前には新たな脅威というものが出現をしてまいりました。それは、テロであり、核を初めとする大量破壊兵器の拡散といったような問題であり、あるいはまた、その大量破壊兵器の運搬手段であるミサイル、そういった脅威が出現をいたしてまいりました。そういったテロや大量破壊兵器の拡散等々との闘いに私たちは勝利をしなくてはならない、そんな認識を持つわけであります。

 こういった状況の中で、米軍は、全世界に展開をしている米軍のあり方を再編する。軍事技術の進展もございます。例えばMDもそうでございましょう。そういうものを活用しつつ、より機動性の高い体制を整える、新たな脅威に十分対応できる米軍のあり方を今模索し、そして再配置をするという作業に取りかかったわけであります。

 当然、我が国としても、日本の安全あるいは極東の安全の確保のために、米軍のそういった新たな状況認識を背景にしたトランスフォーメーション、再編ということは必要なことであり、また、それがよりよい形でアウトプットがもたらされるようにお互いに協調し努力をするということは、当然、我が国の平和や安全のためにも必要なことであるというふうに承知をいたしております。

 したがいまして、米軍のトランスフォーメーションにつきましては、その基本的な考え方、あるいは地域における情勢認識や、日本、極東におきましては、日米の役割、任務といった基本的な論点についてまず包括的に議論をする、議論を詰める。そして、その上で、では一体どのような再配置が望ましいかというアウトプットをお互いの協議の中で出していくということが非常に大切であるというふうに認識をさせていただいております。

松本(剛)委員 時間が限られておりますので、私の方から若干申し上げたいと思うんです。

 今回の米軍の再編というのは、今おっしゃったように、確かに、いろいろと出てきたテロとかの事象に対応するということであろうというふうに思いますが、テロとかゲリラの定義はさまざまあると思います。主体が国家でないということであったり、地域が世界じゅう全くどこでもあるということであったり、いわば標的が無差別というのは、残念ながら戦争というのはそういう要素を常に持っておりますけれども、そういうことを考えると、場合によっては、冷戦後とかいうことではなくて、もう二百年、三百年のネーションステート以来の戦争の態様が根本的に変わるというぐらい大きな変革ではないかというふうに思います。

 その中で、米国がこういう形で変わってくるということは、迅速、機動的な展開といえば極めて機能的な部分だけが強調されますけれども、在韓米軍は非常にわかりやすい形になっておりますが、基本的に、いわば韓国なら韓国担当、日本なら日本の防衛担当ということで張りついていた米軍が、世界じゅうどこへでも行くことになるということになってくると思います。現実に、先ほど申し上げたように、沖縄の海兵隊もイラクにかかわってくる、三沢の空軍もイラクにかかわってくる、横須賀の海軍は全世界のベースになっているということであります。

 となると、私ども日本としても、一つは、今までは日本の防衛のための日米安保であったわけでありますが、全世界にかかわる米軍と本当にどうかかわるのかということをもう正面から国民の前で議論をすべきではないかというふうに思っております。これが、ある意味では、もう既に我々はやらなければいけない段階に来ていたはずなんですが、トランスフォーメーションで突きつけられているのではないかと思うのが一つ。

 もう一つは、今申し上げたように、各地区の担当ではなくて、それぞれそのときそのときに応じて米軍は世界じゅうどこへでも飛んでいくということになれば、我が国を守る自衛隊については、役割分担もおのずと変わってこざるを得ないと思うんですね。そうなると、法制であれ体制であれ、今、防衛計画の大綱を見直しておりますけれども、さらに言えば、法制からもう一歩踏み込んだ根本的な憲法の問題にまでかかわってくる問題を今我々は突きつけられているという認識をぜひ持ちたい、共有をさせていただきたいと思っております。

 この議論をさせていただくと、多分それだけで大変な時間がかかると思いますので、後ほどまた当委員会でも一般の質疑もあるだろうと思いますので、私の要望を申し上げて、話を先へ進めていきたいと思います。

 米軍の今の状況について一、二確認をしたいと思っておったんですが、イージス艦が日本海に配備をされるようになってきたというふうに報道されております。新潟港にも、一件は台風で中止になりましたけれども、つい先日も入ったというような話がありました。

 簡潔に確認だけしていただけますでしょうか。イージス艦が日本海に常駐配備されているということは政府としても確認はされておられるんだろうと思いますが、そのことの確認と、このイージス艦の目的はミサイルディフェンスだというふうに言われておりますけれども、日本の防衛のためだという理解でいいのかということの二点だけ、簡潔に確認をいただきたいと思います。

海老原政府参考人 我々が米側から聞いておりますのは、米国のイージス艦が日本海において弾道ミサイルを監視、追尾する等の活動を通じて情報収集を行うという行動を行っているというふうに承知をいたしております。

 したがいまして、これらの活動は、我が国及び極東の平和と安定の維持という安保条約の目的に沿った形で、米軍による抑止力を強化するというものであるというふうに考えておりますので、我々といたしましても安保条約の目的に合致するものだというふうに考えております。

松本(剛)委員 この問題も、ミサイルディフェンスということになってくると、相当いろいろな問題を含んでくるというふうに思っております。最初に申し上げたように、法制その他を含めて整理をしておかないと、本当に限界になってきておるとむしろ考えるべきではないかというふうに私は思っております。

 極めて機能的な考え方ではあるだろうと思いますが、これからお聞きをする極東条項に関連して、報道でありますので正確かどうかわかりませんが、町村外務大臣が、柔軟に考えて、最後は枠内におさまるように整合性をとったらいい、こうおっしゃいました。まさに今まで政府が解釈等でおやりになってきた考え方だろうと思いますが、整合性がとれるようにということの無理な整合性にもう既に入りつつあるのではないかと我々は思っておりますし、多くの自民党の先生方も、憲法調査会等で議員のお立場でいらっしゃるときはそういう御議論に御賛同をいただいておりますので、政府としてもぜひお考えをいただきたいと思います。

 極東条項について日々議論に上がっておるようでございますが、現段階での政府としての極東条項についてのお考え方、それから米軍再編に関連するお考え方を、これは大臣からお話をいただいた方がいいですか。

大野国務大臣 極東条項の問題でございますけれども、極東条項の解釈、これはもう従来のとおり変わっておりません。私、参議院の予算委員会でしたか御答弁申し上げたときは、その前提を申し上げるのをちょっと怠っておりまして、全体の考え方、これはもう変わっておりません。極東条項なり安全保障の問題については、二転三転というようなこともおっしゃるかもしれませんが、全然変わっておりません。

 ただ、問題は、きちっとあのとき書いてあったものがありますけれども、その部分だけ読ませていただきますと、「この区域に対して武力攻撃が行われ、」この区域というのは極東ですね、日本及びその周辺の地域であって、韓国、台湾地域を含む、「この区域に対して武力攻撃が行われ、あるいは、この区域の安全が周辺地域に起こった事情のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するために執ることのある行動の範囲は、」「必ずしも前記の区域に局限されるわけではない。」こういうことでございます。

 これは一般論で私申し上げたつもりなんですが、こういうことを申し上げますと、すぐ報道によって座間がどうのこうのという話になりますので、座間への移転受け入れ容認とかなんかそういう話になって、報道で伝わってしまいます。

 そういう司令部がどうのこうのという話は、まだ協議の中で意見交換しているわけでございまして、座間とは申しませんが、そういう意見交換をしている段階でありまして、まずそれが固まってからこういう問題を論じなきゃいけないんですけれども、それが、論理の方が先走って、その論理が座間と結びついてしまうものですから大変誤解を生じたかもしれませんけれども、申し上げたいことは、解釈については三十五年以来変わっていない、このことを申し上げたいと思います。

松本(剛)委員 座間といった言葉が飛び交っておりますが、アーミテージ国務副長官も、来られたときに、話の順番を間違ったというふうに言われたように記憶をしております。

 今私どもが申し上げているのは、日本とアメリカの関係をトランスフォーメーションを含めてどう考えていくのか、その結果として日本はどういう協力をアメリカにするのかという考え方が必要ではないかということから、あの極東条項の話も、大臣のお話では、一度整理する必要があるというようなこともちょっとおっしゃったようなところがあって、私も実はそう思います。場合によっては改定まで含めて、さっきの地位協定と一緒ですが、考えなければいけないときが来ておるのではないかというふうに思うわけでありますが、それを無理やり、今の解釈は変わっていないけれども、変わっている解釈というのを憲法九条の解釈でさんざんやってきましたけれども、もうそういうことはそろそろ限界に来ているのではないかというふうに思っております。

 もう一点、再編協議との関係で、これは安保の枠内でやるということについて、大臣、十五日の記者会見か何かで、記者さんからの問いで、再編協議をするのは安保のあくまで枠内で考えるということでしょうかということについて、報道はそうなっていますが、決まったわけではありませんと言っております。今、再編協議は安保の枠内でやるというふうに我々は聞いておりますが、この時点では決まっていなかったんですが、今は決まったという理解でよろしいんでしょうか。

大野国務大臣 それは私の恐らく勘違いか思い違いで、日米共同宣言の話をそういうふうに報じられたんじゃないかと思いますけれども、当然安保の枠内ということでございます。

松本(剛)委員 では、この記者会見は訂正というか、誤解を招く表現だったということで。

 それで、極東条項の運用のことについても、十九日の記者会見でお答えをされておられるのを若干引用させていただきたいと思います。極東という区域で考えますと、日本の防衛のために極東の範囲で米軍が行動するという場合にはもちろん、極東条項の関係で事前協議はありませんけれども、日本の防衛ではなく、例えば台湾海峡の紛争であるとか、朝鮮半島へ行くとかいう場合には、日本の防衛と関係がない、若干略して申し上げていますが、関係がない場合には、これは事前協議の対象になろうかと思います、これはこういう理解でよろしいんでしょうか。

大野国務大臣 正確に今お読みいただいたのを私は理解しているという前提で申し上げますと、極東の範囲の安全、極東の安全に影響することであれば、これは事前協議は必要ない、ただし、全く関係ないことでやろうとすれば当然事前協議が必要だ。それから、例えばイラクへ行くような場合には、これは移動ということで考えている、こういうことを申し上げたと思います。

松本(剛)委員 大臣、正確な御記憶でございます。その後、極東の範囲を超えていったらどうなんだということについては、これは移動だというふうにおっしゃっておられます。

 二点確認をさせていただきたいと思いますが、我が国にとっては、安全保障上、台湾海峡の紛争というのは看過すべき問題ではないと思っておりますが、これは極東の範囲に入るというお話だったというふうに思いますが、そういう理解でいいのかというのが一点。

 もう一つは、もうこれは大臣先におっしゃっていただきましたのをまとめてお聞きをいたしますが、極東の範囲を超えたら移動で、極東の範囲の中は日本防衛かどうかで事前協議になるものとならないものとある。こうなると、結局は、どこでも行ける、移動という名前をつけたらどこでも行けるということに、今現実にそういう運用をしているのではないかと思いますが、これでは日米安保条約六条の極東条項というのは、基地使用を認めるということでも、結局は、看板が違うだけで、何でもどこでも行けるということになってしまうのではないかというふうに思いますが、その二点についてちょっとお伺いをしたいと思います。――大臣にお伺いをしているんです。大臣にお伺いをしているんですよ。

小林委員長 では、先に海老原北米局長。その後、大臣。

海老原政府参考人 私から事実関係だけ簡単にお話しいたします。

 まず、台湾でございますけれども、台湾海峡の話でございますが、これは昭和三十五年の政府統一見解におきましてのとおりでございまして、具体的に言いますれば、台湾海峡も極東の中に入るということにしております。

 それから、先ほど防衛庁長官が、日本と極東の平和と安全に関係のあるものは事前協議は要らないが、それに関係のないものは事前協議が要るとおっしゃいましたのは、事前協議という言葉がどういうことかということでございますけれども、これはいわゆる岸・ハーター交換公文による事前協議ではございませんで、そのときには、日本として、安保条約上、当然に了承するということはないということを申し上げた趣旨だというふうに理解をいたしております。

大野国務大臣 先ほど申し上げたところで不分明なところがありましたのは、日米安保条約第五条の規定に基づいて行われるものは除いておりますので、その点は御理解くださいますよう。

松本(剛)委員 議事録を拝見させていただいて、また後日審議もあると思います。大臣のこの御発言を含めて、相当いろいろ議論をすべき点があるんですが、私の持ち時間はあと限られておりますので、この部分は後に続く次回の審議の同僚に譲ってまいりたいというふうに思っております。

 外交というのは、饒舌であることも一つの仕事なんだろうというふうに思いますけれども、私は、大臣のある意味ではきちっとお考えに基づいた御発言というのも、踏み込んだ発言というのも時には必要だろうというふうに思っております。

 ただ、もちろん裏打ちと戦略性がなければ軽率な発言になりかねないわけでありまして、そこは大臣の力量でお取り計らいをいただく部分だと思いますが、大臣にお聞きをしている、大臣の発言をお聞きしている中で、外務省の方にお出をいただく必要はないということを申し上げておきたいと思います。

 官房副長官においでをいただいておりますので、最後に一、二点、もう限られておりますので確認を申し上げておきたいと思います。

 テロ特措法の基本計画の延長に入るということになると思いますが、政府の方針を御説明いただきたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 時間もございませんのであれでございますが、先生の安保問題に対する御見識には常々敬意を表しております。お父様には、私新人議員のころ大変御指導いただきまして、感謝しているところであります。

 お尋ねの点でございますが、十一月一日に期限がやってまいります。十一月二日以降の活動について、これは閣議決定をするわけでありますが、先生先ほどおっしゃっておられましたテロとの闘い、まだ続いております。そういう状況のもとで、アルカイダなどはアフガンでも選挙妨害をやっておるし、パキスタンでもインドネシアでもテロ行為をやっております。両国以外でもさまざまなテロ行為に及んでいるわけでございますので、脅威は依然として存在するという認識のもとに、さまざまな調整を行っておるというところでございます。

松本(剛)委員 もう一点、これも法案の所管は官房だと思いますので、イラクの自衛隊派遣の延長の問題について、現在の政府の立場を簡潔に御説明をいただきたいと思います。

杉浦内閣官房副長官 これは総理が本会議、予算委員会等で再三申し上げておりますとおり、これは派遣期間、十二月十四日までとなっておりますが、延長するとすれば二度目の延長に相なりますが、引き続きイラク復興の状況や現地の治安状況等を総合的に勘案して、検討して、適切に判断したいということを申しておられますが、そのとおりでございます。

 私も、総理のところに来られたムサンナ県の知事と会見されたときに同席したんですが、大変自衛隊の人道復興支援活動に対して感謝をして、評価をしておられました。同時に、車の両輪でODAをやっておるわけですが、その方も大変期待しておられるということでございました。

 イラクの復興は、まだ道半ばでございます。総理もおっしゃられているとおり、我が国にふさわしい、ここでは人道復興支援活動等をやっておるわけですが、引き続き積極的に貢献することが重要であるという点は、総理も常々申されているとおりでございます。そのラインに沿って検討を続けてまいることになると思います。

松本(剛)委員 まだこれから検討するというふうにお聞きをしますが、ムサンナ県の知事さんが来て、高く評価をされて、恐らく引き続きODAの増額なり継続と自衛隊の駐留も求めたのではないかと思いますが、それに対して総理が御返事をされているとすれば、それは既に約束になっているのではないかというふうに思います。きちっと国会にも御説明をいただきたいというふうに思います。

 我々は、総理があちらこちらで言われたことを、新聞やテレビを集めて、場合によっては国会でお聞きをするより民主党が番記者をつくった方が総理の話が聞けるなんという全くおかしなことになるのは、ぜひ勘弁をしていただきたいと思っております。国会では、もちろん議事録もありますし、大変発言は重たいですけれども、だからこそ、政府の方針を示していただく、一番先に示していただくのにふさわしい場だというふうに思っております。

 私の質疑時間が終了いたしましたので、これについて副長官にコメントがあればということと、最後に長官にも、お一つ御要請を申し上げておきたいと思います。

 前の石破長官にも御要請を申し上げましたが、このテロ、イラク、イラクについては私どもは、フセインの善悪という議論に持ち込むのではなく、戦争という手段をとるべきであったのかどうかという議論をするべきだというふうに思っておりますが、そのことはきょうはここではさておいて、これだけの数の自衛官を海外に派遣をしておる中で、今の法制や予算では相当な負担になっておると思います。法律や憲法の解釈も相当限界に来ておると思いますが、自衛隊の体制も限界に来ておると思います。

 その中で、テロと闘うべきだ、これは先ほどのフセインの善悪の話と一緒だと思うんです。日本がどこまでやるべきか。今の自衛隊の力量で何がどこまでできるのか。世界に対して誠意ある対応は必要でありますけれども、きちっとそのことは自衛官を預かる長官として御対応をお願いしたい。

 杉浦副長官と防衛庁長官にそれぞれお願いを申し上げて私の質問を終わりたいと思いますが、もし何かありましたら伺います。よろしいですか。

杉浦内閣官房副長官 先生、八月四日ですか、委員会で細田長官に御質問なさっていますが、細田長官が詳細な御答弁を申し上げたとおりでございまして、安保防衛懇の提言もありまして、引き続き検討してまいることになると思います。

大野国務大臣 お励ましありがとうございます。

 この問題、これから、安保防衛懇の報告書をも踏まえて、安全保障会議で十分議論してまいりたいと思っております。

松本(剛)委員 終わります。

小林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小林委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小林委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.