衆議院

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第4号 平成16年11月11日(木曜日)

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平成十六年十一月十一日(木曜日)

    午後二時三十一分開議

 出席委員

   委員長 小林 興起君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 高木  毅君 理事 仲村 正治君

   理事 池田 元久君 理事 大石 尚子君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      石破  茂君    奥野 信亮君

      北村 誠吾君    坂本 哲志君

      寺田  稔君    額賀福志郎君

      浜田 靖一君    早川 忠孝君

      古川 禎久君    御法川信英君

      武正 公一君    津村 啓介君

      中野  譲君    西村 真悟君

      本多 平直君    前原 誠司君

      松本 剛明君    村越 祐民君

      佐藤 茂樹君

    …………………………………

   外務大臣         町村 信孝君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      大野 功統君

   防衛庁副長官       今津  寛君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   防衛庁長官政務官     北村 誠吾君

   防衛庁長官政務官     柏村 武昭君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   大井  篤君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   佐々木達郎君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  土屋 龍司君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  三浦 正晴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 遠藤 善久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 角  茂樹君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    海老原 紳君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難監) 横山 鐵男君

   安全保障委員会専門員   前田 光政君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十一日

 辞任         補欠選任

  嘉数 知賢君     早川 忠孝君

同日

 辞任         補欠選任

  早川 忠孝君     嘉数 知賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

小林委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官大井篤君、防衛庁防衛参事官佐々木達郎君、防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛施設庁業務部長土屋龍司君、法務省入国管理局長三浦正晴君、外務省大臣官房審議官遠藤善久君、外務省大臣官房審議官西宮伸一君、外務省大臣官房参事官角茂樹君、外務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長吉川元偉君及び海上保安庁警備救難監横山鐵男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。

赤城委員 自由民主党の赤城徳彦であります。

 両大臣、副大臣、ここのところ委員会が立て続けでございまして大変かと存じますが、それだけ国民の関心も高く、また、安全保障問題は大変重要だ、こういうことで御理解いただいて、私からも若干の基本的なことについてお尋ねをしたいと思います。

 最初に、きのう発令されました海上警備行動、そしてその潜水艦の動きでございますが、その後ずっと追尾を続けて、きょうの夜ごろには防衛識別圏を出てしまうんではないか、こう言われております。その間、いろいろな情報というのはもう集まっておると思いますので、その後どういうことが、この潜水艦はどういうものなのか、あるいは一番大事なのはどこの国籍なのか、こういうことが非常に関心が高いわけでございます。新聞等報道では、もうどこどこの国籍だとはっきり言われておりますし、どういう意図を持っているのかということもあれこれ推測されておりますが、大分政府の方は慎重なようであります。

 もういろいろな情報はあると思いますから、ここら辺で、わかっていること、特に国籍について、政府としての考え方をお示しいただいていいんではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。

大野国務大臣 まず、昨日の朝早くでございますが、国籍不明の潜水艦が先島群島周辺海域で我が国の領海内を潜水潜航している、潜って航行しているということを海上自衛隊の対潜哨戒機が確認いたしました。対潜哨戒機に加えまして、対潜ヘリコプターあるいは護衛艦も参加いたしておりまして、所要の追尾を行った次第でございます。

 御存じのとおり、昨日八時四十五分に海上警備行動を発令した。

 現在でありますけれども、現在は沖縄の西方の公海上にあります。これからどこへ向いてどういうふうに行動するのかということは、ちょっと答えを控えさせていただきたいと思いますけれども、なお追尾行動をとっていることは申し上げます。

 まず一つは、どこのどういうものかということでありますけれども、まず、ここまで潜っておられるわけですから、これは原子力潜水艦という蓋然性が極めて高い、このことは申し上げられると思います。

 それから、どこの国籍かということにつきましては、もう少し時間をちょうだいしたい。ある程度監視行動を終えた後に、情報がわかれば、その時点で当然ながら皆様にお伝えする、これはもう我々の責任でございます。

 いずれにしても、早く、毅然として、そして平和裏に解決したい、このように思っております。

赤城委員 もう少し時間がかかる、こういうことですが、いずれにしても、これをあいまいなままにしておくということはできませんし、可及的速やかにといいますか、早い時期に政府としてこれは確定をして、しかるべき抗議、対応をとっていただきたいと思います。

 それから、もう一つ言われていますのは、P3Cで発見をして、それから海上警備行動を発令するのに少々時間がかかったということが言われています。実際に、総理の承認をとって発令されたときには領海を既に出てしまったということでありますけれども、潜航する潜水艦に対しての海上警備行動は、閣議の決定を経ずに、閣議を経ずに総理の承認で発令できる、そういう仕組みにしておりますし、これまで、もう二回目ですし、不審船は何回かありましたし、その速やかな対処というのが大事だ、こういうことは言われておりましたから、そこら辺、もう少し早くできなかったのかな、そういうことを思うわけであります。

 これにつきましては、制度的な問題点とか、あるいは実態上いろいろな反省点というのはあると思いますから、また今後検証しながら今後につなげていきたいと思いますし、特に制度面で、手続でどうというふうな、時間がかかるというのはある程度わかりますが、そういうものがあらわれたとなれば、実際に海上警備行動が発令される前に、情報収集ということで現場に部隊を展開しておくことはできますし、そこで警備行動が発令されたとなれば、すぐに切りかえて対処措置をとる、そういうことができるわけでありますから、そういう手段、それから海保との連携等々、いろいろな側面があると思います。総合的に検証しながら、今後こういう我が国の領海を侵すというふうなことがないように、きちっとした対応をとっていくということが大事だと思います。

 それから、厳重に抗議をする、こういうことでぜひお願いしたいんですが、間もなくAPECが開催されて、外務大臣もそれに出席をされますし、総理、首脳会談というのも予定されております。そういう場で、トップレベルでしっかりとこのことを明言する、抗議をする、そのことが大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 それでは次の問題ですが、イラクのことについてお尋ねをしたいと思います。

 ファルージャで大規模な作戦行動が展開されております。ファルージャでどういうことが起こっているかは、日々刻々ニュース等で伝えられておりますが、心配されますのは、サマワで自衛隊が活動している、そこら辺で何か不穏な動きがあるんではないかなということでございます。

 ファルージャでの動きに連動して、イラクの各地で武装勢力がおかしなことをしているんではないか、特にサマワの周辺でそういうことが起きはしないかということを我々心配するわけでございますが、そこら辺がどういう状況なのかということについてお尋ねをしたいと思います。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 ファルージャでの総攻撃の状況と、それがほかの地域、特にサマワ近辺にどういう影響を与えているかというお尋ねであったと思います。

 まず、ファルージャにおきまして八日以来イラク治安部隊と駐留米軍が行っておりますいわゆる掃討作戦ですが、これは私どもの認識といたしましては、イラク政府が法の支配を回復し、明年一月末までに選挙を実施するためのやむを得ざる措置だというふうに認識しております。

 先生今御指摘いただいたように、ファルージャにおける掃討作戦と並行して、ファルージャ以外のところで幾つかの事件も起きております。新聞に大きく出ましたが、九日にはアラウィ首相の御親族三名が誘拐されて、拉致した集団は、解放してほしかったらファルージャ攻撃を停止しろというようなことを条件にしております。バグダッドの中での自動車爆弾とか若干のことが起きておりますが、これらがファルージャとどういう関係にあるのかというのは、さっきの拉致の事件を除きますと、必ずしも明らかではございません。

 それじゃ、サマワはどういうことになっているかということですが、日本時間の昨夜の時点で、私ども自衛隊の宿営地の中に外務省のサマワ事務所を開いておりますが、サマワ事務所が非常事態宣言を受けて、いろいろな方々との情報収集をやっております。例えば、東京にもいらっしゃったハッサーニという県知事さん、それから県警本部長、県の評議会の議員さん、議長さん、それから先ほどお話あったようなオランダ軍を含みます現地で活動している多国籍軍、こういう方々とかなり細かく情報収集に努めております。

 昨夜の段階では、サマワを含むムサンナ県全体におきまして、何らかの具体的な措置がとられた、また不穏な動きが、新しいものが動いている、そういった情報には接しておりません。

赤城委員 前から言われていたんですが、もうイラク全土が戦闘地域ではないかというようなことを言われていた。特に、このファルージャでの動きがあって、それに連動してあちこちで武装勢力が蜂起して大変なことになるのじゃないかとか、特にサマワも攻撃に遭うのではないかというようなことが言われていたわけですけれども、ただいまの御報告によりますと、ムサンナ県でそういう不穏な動きはない、こういうことでございますね。報道等で承知している範囲でも、サマワの宿営地近辺、そういうところで戦闘行為が行われているというような状況ではないと思います。

 ただ、自衛隊が活動できる要件、非戦闘地域、こういうことになっているわけですけれども、それは現に戦闘行為が行われていないということはもちろんですが、活動の期間を通じてそういう戦闘行為が行われると認められない地域でなきゃいけないという、ですから、将来も含めてそういうことがないであろうと見込まれなければいけないんですけれども、それはなぜそういうふうに言えるのかというところがちょっと気になるんですが、活動期間を通じてそういうふうに言えるのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。

大野国務大臣 赤城先生おっしゃるとおり、活動期間を通じて非戦闘地域に自衛隊を出します、こういうことであります。

 よく我々申し上げているのでありますが、サマワはほかの地域に比べたら比較的治安はよい、しかし予断は許されない、テロの可能性もある。そこで誤解が生ずるのかもしれませんけれども、テロというのは一人でもできるわけですね。その背後に組織性があるのか、いわば国または国に準ずる者がやるのか、こういう問題であります。

 戦闘行為というのは、イラク特措法で十分御存じのとおり、定義として、国または国に準ずる者が国際紛争の一環として人を殺したり、あるいは物を損壊する、こういうことでありますから、そういう状況が、今基本計画に言われております一年間、十二月十四日までに起こるのかどうか、これは予断は許しません。だけれども、いろいろな情報を集めた結果、そういう非戦闘地域でなくなる可能性はない、私どもはそういう分析をいたしております。

 ただ、治安につきましては別問題として、治安を見ますと、例えば治安というのをもう少し法律的に言いますと、これは隊員の安全を確保する、こういうことでありますから、隊員安全の確保、これは仮に、治安が予断を許さない、治安はずっと一定、時系列で見てもそう注目すべきような動きはありません。ありませんけれども、予断を許さない、このぐらいの気持ちでやっております。そういう意味で、私どもは安全に万全を期していきたい、こういうふうに考えております。

赤城委員 大野長官言われるように、戦闘行為と治安とはまた別概念ですから、ここはよく分けて考えなければいけないと思います。

 では、その戦闘行為ということ、ちょっと今気になったんですけれども、国または国に準ずる者による国際紛争の一環としての組織的、計画的、継続的でしたか、人を殺傷し物を破壊する行為、そういうふうな定義だというふうに聞いておりますけれども、では、ファルージャであれだけ大きな軍事作戦が展開されて武装勢力と戦っている、これは戦闘行為なんでしょうか、どうでしょうか。

大野国務大臣 ファルージャで行われている、あらわれているものが戦闘行為であるか非戦闘地域なのか、こういうお尋ねかと思います。

 戦闘行為かどうか、これは我々自衛隊・防衛庁といたしましては、特措法に基づきましてイラクに自衛隊を派遣する、その地域は非戦闘地域でなければいけない。非戦闘地域という議論というのは、先生も御存じのとおりでありますけれども、国際的にそういう議論はやっていないわけでありまして、これは、憲法九条に基づいて、戦闘が行われているというようなところで自衛隊が活動いたしますと、武力行使と一体になる、あるいは武力行使と一体とみなされる可能性がある、もう先生十分御存じのことでありますが、そういう議論から、きちっと非戦闘地域を分けよう、我々が判断するのは非戦闘地域でございまして、戦闘行為かどうかということにつきましては我々の判断の外の問題でございますので、お許しいただきますようにお願いします。

赤城委員 それはよくわかるんです。

 要するに、憲法の要請から、こういうふうな法律上、戦闘区域でない地域で自衛隊が活動するというふうに決めたものであるから、イラク全土を戦闘地域と戦闘地域でない地域に色分けするというふうなそういうものではないんだということですね。

 ただ、私がこういうふうにファルージャでの行動が戦闘行為かどうか聞いたのは、別の委員会で、このファルージャでの戦いといいますか、これは戦闘行為ではないんだというふうな答弁をされたというふうに、ちょっとどこかで報道か何かに出ていたように聞いたものですから、はて向こうの武装勢力の主体の国際性とか、そこら辺をどういうふうに判断されたのかな、こういうふうに思ったもので伺ったんですけれども、何か外務大臣、そこら辺お答えがあれば。

町村国務大臣 大分赤城先生にまで混乱をするような印象を与えた私の記者会見の答弁があったことは、答弁というかやりとりがあったことは事実でございまして、これはいつも大野長官がお話をしておられるように、この地域は戦闘地域であるかないかということを別に認定するために我々は仕事をしているわけではない。イラク特措法というのは、非戦闘地域と認定されたところに自衛隊を派遣する、こういう構成になっているわけでございます。

 したがって、ファルージャがどうであるかということは別にイラク特措法に基づいて判断をする必要がないというのが政府の見解でございまして、私もそうなんですが、ただ、あそこでやっている、現実に報道されているものの印象から見て、俗な言葉で言うところの、多分これは掃討作戦と言うのか戦闘と言うのか何と言うのかは別にして、そういう意味では通常でない状態があるということは、それはそうだろうということでありますが、いずれにしても、イラク特措法上の定義からする戦闘行為か否かという判断をしているわけではないということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

赤城委員 その辺ははっきりしておかなければいけないと思うんですね。新聞報道なんかでは、ファルージャでの戦闘がというふうに、戦闘行為とか戦闘というふうに言うものですから、それじゃあれはイラク特措法で言う戦闘なのかなとごちゃごちゃになってしまうわけですけれども。

 イラク特措法は、もう先ほどの繰り返しになりますけれども、憲法の要請で、我が国は武力行使をしないし戦闘行為はしない、したがって、そういうものに巻き込まれるような地域には行きません、だから非戦闘地域というところに派遣をするんです。憲法を踏み越えることのないように、二重にハードルをつけたといいますか安全弁をつけた、こういうことだと思うんですよ。その辺は、何でもかんでも戦闘がイラク全土で行われているというふうな誤解をしてもいけませんし、また、戦闘行為というイラク特措法上の概念、したがって自衛隊が活動できる地域という、この概念というのはそういうものなんだということもはっきりしておかなければいけないと思います。

 では、その戦闘行為、戦闘地域というのはそういうものだと。もう一つ別の側面がありまして、これは先ほど分けて考えなければいけないと言ったもう一つの治安であります。

 テロとか治安を害するような行為というのはどこでもいつでも起こり得るわけですし、サマワ、そして自衛隊の宿営地でも砲弾が撃ち込まれた。これは四月から八回ありましたけれども、十月に入ってからは宿営地内に砲弾が着弾するようになって、十一月一日はコンテナですか、倉庫ですか、そこに穴があいた、そういうふうなことまで起きているわけです。たまたま信管がついていなかったとか、爆発しなかったからそれでよかったねと言える事態ではありませんで、これはもし爆発すれば大変な破壊力です。

 そうしますと、たとえ宿営地の中で活動していたとしても、そこに砲弾が撃ち込まれるというふうな状況になってきて、本当にこのまま活動を続けていいのかな、こういうふうに思うわけです。そこら辺の安全対策と、それから、自衛隊の支援活動を一時中断あるいは退避というふうなことは考えなくていいのかどうか、このまま続けていける状況なのかどうか、そこら辺についてお答えをいただきたいと思います。

今津副長官 隊員の安全、そして命をしっかりと守っていくということが一番大切なことだろう、すべてそこにかかっているというふうな判断でやらせていただいております。

 八回の迫撃砲あるいはロケット弾は、御案内のとおりすべて夜撃たれているということもあり、夜については、宿営地などの中で隊員の安全を十分に守ることができる、そういう態勢は、中身については詳しくは言えませんけれども、万全な態勢はとっていると思っております。

 また、御案内のとおり、では昼間そういう行動というものがあるのかどうかということについては、現実に今まではありませんし、また、そういうときは白昼ですから、そういう何人かの行動が市民の前に見つかるといいましょうか、目撃されることもありますし、また、地元の警察やあるいはオランダ軍、多国籍軍などの活動もありますので、十分に安全な状況の中で活動ができる、そういうふうに思っております。

赤城委員 具体的にどういう安全対策をとっているかとか、どういう態勢でいるかというのは言えない部分があると思うんですけれども、これは隊員の家族初め国民が大変心配している部分ですから、御信頼申し上げていますが、十分以上に安全対策というのはしっかりとっていただきたいと思います。

 さて、ちょっと別な話に移らせていただきます。

 新たな防衛計画の大綱を策定する、こういうことで作業が進んでいるわけですけれども、これはそもそも安全保障環境が大きく変わってきたということが背景にあって、冷戦時代から、大量破壊兵器とかテロ、ゲリラ、そういうものが世界に拡散をする、そういう時代。そして、自衛隊が海外でさまざまな面で活動しなければならないというふうに任務が多様化しているとか、そういうふうなことを受けて大綱の見直しが必要なんだ、基本的にそういうことだと思います。

 そこで、一部には、冷戦が終わりました、大規模な着上陸のおそれはほとんどない、だから自衛隊の規模を縮小してもいいんだというふうな考えがあるように聞いていますが、それはむしろ違うのではないかなと思うんです。テロやゲリラの危険が増していますということは、テロ、ゲリラは少数で散発的で大したものではないと思ったらそれはとんでもない話でありまして、例えば平成八年に韓国の江陵で起きた事案、北朝鮮の潜水艦が上陸して武装工作員が潜伏をした。その山狩りをするために、これは二十六人の特殊部隊なんですが、これを掃討するために韓国陸軍が最大で六万人、五十日間かかった。わずか二十六人のためにこれだけの人員が必要だと。

 まして、九・一一同時多発テロ、こういうふうに言われるように、テロというのはあちこちで同時多発にやることができるわけで、そうしますと、これは大変な人員がむしろ必要になってくる。今までと時代が変わったということはそういうことなんだということをはっきり説明をしていかなければいけないと思います。

 これは防衛庁の資料で、テロ、ゲリラ、特殊部隊の攻撃への対処に、原発等の施設を防護するために十二万人、撃破するために八万人必要ですと。もうこれだけで二十万人です。そのほかに基盤的な部分で何万人か必要ですから、防衛庁案で十六万二千人陸上自衛隊がいればいいということですが、私はもっと、これはプラス四万人ぐらい必要なのではないかな、こう思うわけですけれども、そこら辺は初めから抑制的に、これだけで何とかやります、振り回します、こう言うのではなくて、本当にこれは大変な時代になったんだ、人員が必要なんだということを主張すべきではないかと思いますけれども、長官、いかがでしょうか。

大野国務大臣 赤城先生御指摘の点は、本当に大事な点だと思っております。

 いろいろな脅威の場面があります。だから、それに対してこたえていく、対応していかなきゃいけない、そのことは多機能という言葉であらわしております。それからもう一つ、しかしながら、この多機能で、この部隊はこの脅威だけ、この部隊はこの脅威だけといって積み上げていきますと、もう大変な数になってしまう。したがいまして、多機能弾力的といって、弾力性で、一つの部隊でいろいろな場面に対応できるようにしていこう、こういう考え方でできているわけでございます。

 しかし、その根本は、今まさに赤城先生おっしゃったように、いろいろな脅威が多様化している、いろいろな場面が出てくる。特に私、先生がおっしゃった島嶼部の防衛とかテロに対する問題、ゲリラに対する問題、これ以外にも申し上げたいのは災害派遣の問題であります。新潟県中越地震で、最高一日当たり四千四百人以上が出ております。今三千百人か二百人になっておりますけれども、この問題だって、やはり自衛隊が全国にきちっと展開していないと、直ちにその場面に対応できるということにはなりません。また、今回の安全保障及び防衛力に関する懇談会の提言におきましても、やはり国際業務というのを本来任務にしていこう、こういう提言がありまして、私は本当に示唆に富むものだと。

 つまり、安全とか平和というのは、事前にいろいろ協力する、そして何か紛争が起こった後にも、やはりその紛争の後、復興活動に参加する、こういう意味で大変大きな示唆に富むものだと思っております。こういう国際的な展開をするのも、これはやはりマンパワー、先生おっしゃるように人間力の問題であります。

 こういう意味で、本当に日本が、自分の防衛、それから同盟国との協力関係、そして世界平和という幅広い視野で見ていく、あらゆる面でこのマンパワーということを注目、力を入れていかなきゃいけない。ただ、その中で弾力的な対応をすることによって、厳しい財政のもとでできる節約はやっていこう、こういう考えで進めていきたいと思っています。

赤城委員 今私はテロ、ゲリラのことだけでも大変だ、こう申し上げたんですけれども、本当は大臣おっしゃるように災害派遣もあるし、国際任務もある。しかも、そういう国際任務は本来任務に今後は格上げしなきゃいけない、そういう状況になっていると思います。

 私、以前、インド洋でのテロ対策支援活動のときにイージス艦を派遣する、こうなったときに、もともとぎりぎり最小限しか自衛隊はないはずなのに、何でインド洋に派遣できるんだ、派遣をすれば日本周辺に穴があくのではないかというふうに問われて、それはもうぎりぎり最小限なんだけれども、その中でぎりぎりやりくりしているんですみたいな答弁をした覚えがありまして、これは、本来任務に支障のない範囲内でやるというふうなことであれば、それはそれで仕方がないのかもしれませんが、しかし、海外での活動も本来任務だ、いずれも大事なんだとなったときには、ぎりぎりの中でやりくりしていますではこれはもう済まないと思います。

 それから、弾力的にというお話でしたけれども、まさに今、災害派遣で現地で自衛隊が活動している。現地の人たちにとってはなくてはならない存在です。海外で活動している人たちももちろん。そういうときに、弾力的だから、これ戻ってこいとか、こっちを引き揚げてこっちに回しますというわけにはやはりいかない。それだけいろいろな任務があれば、それに応じて人員というのは必要になってくるんだろうなと思いますので、できるだけ効率的な運用をするということではございましたけれども、それほどいろいろな面で必要なものは必要になっているんですということもぜひ訴えていく必要があるんだと思います。

 それから、ちょっと時間もなくなってきましたので一つお願いをしたいと思うんですが、米軍のトランスフォーメーションに関して、外務大臣も言われていますけれども、我が国のスタンスとして、米軍の抑止力の維持と、それから沖縄を初めとした基地負担の軽減、こういう視点で取り組んでおられるということであります。

 これは一つ大事な側面ですが、もう一つ大きな、なぜアメリカはこのトランスフォーメーションを考えているのかというと、先ほど来の話にあるような、世界の安全保障環境は大きく変わってきている、テロ、ゲリラ、大量破壊兵器の拡散、しかも不安定の弧と言われる地域がある、そういうところへ機動的に対応していかなきゃいけない、大きな枠組みでアメリカはこのトランスフォーメーションをとらえています。

 それに対して我が国が、抑止力の維持、日本を引き続き守ってください、しかし負担は軽くしてくださいという、我が国の事情だけをお願いするという立場ではこれはいけないと思うんです。我々も、こういうテロ、ゲリラの脅威、新たな脅威というのを共有していますし、現にインド洋やイラクでさまざまな活動をしているわけでありますから共通の認識を持っていますし、これから日米のそういう面で多面的な協力というのがまた必要になってくると思います。

 この点について、安防懇、安全保障と防衛力に関する懇談会報告でも、この米軍の変革について、幅広い包括的な戦略対話の契機ととらえて積極的に協議を進めるべきであるとか、日本の防衛や周辺地域の安定のみならず、国際社会全体の着実な安定化によって我が国の脅威の発生を予防する、そういうことを目指す必要があると。さらには、日米安保共同宣言や新たな指針、こういうものを策定すべきであるというふうに指摘をされています。そういう視点がやはり必要だ、こう思っております。

 新たな安保共同宣言、新たな指針、こういうことについて両大臣どういうふうにお考えか、お尋ねをいたします。

町村国務大臣 今の赤城委員の言われたこと、大変重要な御指摘だ、こう思っております。

 ひとり日本の我が身だけが安全ならばそれでいいということではないわけでございまして、現実に、しかし振り返ってみますと、湾岸戦争以降、日本も、安保条約について言っても、周辺事態法というものをつくったり、あるいは我が国内における有事法制というものの整備をしてきたり、あるいはそれに基づく国民の権利を守るための法律をつくったりという努力というのを我が国内部でもやっております。

 また現実に、イラクあるいはアフガンへの特別立法という形での、広い意味の日米同盟の中での日本のやれる役割、それがどれだけ十分であるかということは、それは議論は分かれるかもしれませんが、我が国としてはやはりそれ相応の努力をしてきている、こう私は思っておりますので、そういう意味で、小さい我が身だけを守ればいいという姿勢でこれまでもやってこなかった。赤城先生も防衛副長官で、多分そういうお考えでお仕事をしてこられたんだろうと思います。

 ここに、確かに安防懇の資料、答申の中に、新しい安保共同宣言あるいは新しいガイドラインという指摘も確かにあります。今、日米間では、委員が御指摘のようなさまざまな国際情勢を踏まえながら、日本として、あるいはアメリカとして、それぞれどういうことができるだろうか、どういう役割分担、どういう使命を果たしていくべきかという総論的な議論をやりながら、次第に各論に入っていくというプロセスでございます。

 そういう議論の中から、何かやはり両国の政治的な意図表明が必要であるということになれば、そういうものも考えればいいんだろうと思いますけれども、今、あらかじめそれをつくるという前提に立って新しいガイドラインをつくるとか新しい安保共同宣言をつくるということを前提にして作業しているわけじゃございません。ただ、必要あらばそういうこともやることは別にやぶさかではない、こんな、どちらかというと柔軟な構えでいるのは事実でございます。

大野国務大臣 町村外務大臣と全く同じ意見でございます。

 ただ私、一つだけ強調しておきたい。大臣もお触れにはなりましたけれども、それは、やはり今、世界の中の日米同盟として、日本とアメリカが、どうすれば平和と安全が保たれるか、そういう安全保障の理念や哲学について十分話し合いをして、それに基づいてそれぞれが役割分担をしていく、ロールズ・アンド・ミッションをきちっと自覚していく、こういうことが大事じゃないかと思います。

 それからもう一つは、町村大臣おっしゃったように、初めから新しい日米共同宣言があるとかそういうことではなくて、その結果どういうふうに考えていくか、こういうことだと思っています。

赤城委員 大臣おっしゃるように、旧というのか現行というのか、安保共同宣言そしてガイドラインに基づいて、有事法制を整備したり周辺事態法を整備したり、いろいろ整備してきました。その先に共同宣言では触れられていない部分というのが、まさにあの九・一一の同時多発テロ、それを受けてのテロ対策支援法、そしてイラクの今日の事態、イラクでの復興支援、これは共同宣言に出ていない部分でありまして、まさにそういう事態に入ってきているんだなと。そういうことに対して、あるいはテロ等の脅威に対して、個別にその時々に対応していくというのでいいんだろうかと。この法律を議論してきたときにもありましたけれども、恒久法をつくるべきではないか、そのときそのときの対応ではいかぬのではないかというようなことも言われています。

 いずれにしても、そういう共同宣言やガイドラインには書かれていないような状況が起こっているというわけですから、ぜひアメリカと協議するに当たって、幅広い、そしてまた本質的な部分から十分な議論をして、それがこの先、いろいろな共同宣言、ガイドライン、具体的にそういうものを予定してというのがいいかどうかというのは御指摘ありましたけれども、アメリカとの協調、協力関係というのがむしろグローバルに必要になっているんではないか、こう思いますので、そういう大きな議論につなげていっていただきたい、こういうことを要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小林委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 それでは、民主党の限られた時間の中でまずは質問をさせていただきたいと思いますが、今赤城委員も最初に質問されました、今現在追尾しているという、昨日発令された海上警備行動についてでございます。

 今、現状、この時間帯はどのようなオペレーションが行われているのかということについてまずはお尋ねをしたいと思います。

大野国務大臣 先ほどもお答えいたしましたけれども、今、沖縄の西あたりに潜航している、こういうことであります。引き続き監視行動をとっております。

 それからもう一つ、長時間潜航、潜っておりますので、これは原子力潜水艦である蓋然性が高い。国籍につきましては、まだ申し上げられる段階ではありません。引き続き監視態勢をとってまいります。

渡辺(周)委員 国籍については、既に先ほど赤城委員もおっしゃいましたけれども、いろいろな形で報道はされている。これは、スクリュー音等から中国のものであろう。そしてまた、型式まで専門家が指摘をしているわけでありますけれども、国籍を特定するということにして、いかなる手法で特定をしようとされているのか。つまり、どういうことをしていけば特定できるのか。

 つまり、識別圏のところぎりぎりまで行って、その潜水艦がどこかの港に入港する、あるいはどこかの基地に戻る、それによってこれを判断するのか。それとも、何らかの形で、海上に浮上してくることがあれば、それによって判明させられるのか。また、そういう能力を日本は持っているのか。その点について、つまり特定をさせるだけの手段、それについては今どのような現状ですか。

大野国務大臣 先生、まことにポイントをおつきになった御質問でございまして、これに答えますと日本の監視態勢の能力を公開するということになりますので、そこはひとつお答えを免除していただきたい。

 それから、どっちへ向かっていっているんだろうか、このことはやはり監視をしていかなきゃいけない、これだけは申し上げたいと思います。

渡辺(周)委員 いや、私がお尋ねをしたのは、要は、では国籍を特定できる能力は持っているんですかと聞きます。つまり、どういう手段を使ってやったら、それは確かに日本の対潜能力、哨戒能力がわかってしまう。これは、ある意味ではオペレーション上の理由については、私自身ももちろん配慮してお尋ねをするつもりでありまして、それを詳細にどうするんだと聞くつもりはもちろんございませんけれども、それだけの能力は持っているということで判断してよろしいですか。

大野国務大臣 繰り返しで申しわけありません。そこまで申し上げますと、やはり手のうちを見せてしまう、こういうことになります。しかし、我々は、そういう面で毅然とした態度をとってこれからやってまいりますので、そのところだけは御理解をちょうだいしたいと思います。

渡辺(周)委員 では、これはちょっと時系列的に質問をしたいんですけれども、いろいろな報道等を見ていますと、実は数日前から潜水艦の救難船が既に目視されていた、あるいは潜水艦が航行している跡を既に数日前から確認をしていたということでございます。

 その点について、その辺の時系列的なところをちょっとお尋ねをしたいわけでありますけれども、こういうものがある、あるいはこういう可能性が考えられるということが既に防衛庁として理解をされたのはいつでしょうか。それから、その一報は一部には米軍からという話もありますが、それは事実でしょうか。その点についてお尋ねをします。

大野国務大臣 防衛庁といたしましては、常に監視態勢をとっているわけでございます。昨日早朝に、そのような潜水艦ということを認識しております。ただ、その潜水艦が領海内に入るのかどうか、こういう点も着目しているところでございます。しかし、海の中に潜っている潜水艦でありますから、果たして領海内、領海外、これは情報をきちっと分析していかなきゃいけない、こういう問題がございます。

 したがいまして、何時何分にどうだということにつきましては、お答えを控えざるを得ないと思っております。

渡辺(周)委員 そうはおっしゃいますけれども、新聞の話で、私も新聞のすべてを信用しているわけじゃございませんけれども、海上警備行動の発令の経緯については、さまざまな新聞で、午前五時ごろに先島諸島周辺で潜水艦の日本領海への侵入を防衛庁が確認した、また別の新聞紙上では、昨日の午前六時ごろ侵入したのを確認している。午前五時であるとか六時であるとかというふうに、もう既に書かれているんですね。

 その点については、早朝と長官はおっしゃいましたけれども、その時間帯に既に防衛庁は確認をしていたということでいいんでしょうか、その報道のとおりだとすれば。

大野国務大臣 私が第一報を秘書官から受けましたのが、六時半ごろでございます。

渡辺(周)委員 防衛庁長官が秘書官から六時半に受け取った。そして、その後は、長官に伝達された情報というのはいかなる経路で、これは官邸を含めて、行ったんですか。小泉総理大臣は、受けたのは八時ごろだというふうにおっしゃっていますけれども、その間、一時間半の間、時間差があるわけですけれども、その間はどのような経路でこの情報は伝わったんですか。

大野国務大臣 各省間との折衝等があったと聞いております。こういう情報があるとまず私に連絡してもらいました。その情報を分析する、いつまで分析したというのは私は存じませんけれども、その情報を分析する、そしてその正確性を期する、そしてどういうふうな処理をする、その調整を各省間でどうする、こういうことであったと聞いております。

渡辺(周)委員 防衛庁が確認をしたものが分析をされて防衛庁長官のところに上がったんじゃないんですか。防衛庁長官に上がった後に分析をするんじゃなくて、防衛庁長官のもとに上がる時点で、既にある程度の分析をされている。つまり、こういうことを今防衛庁はやっているということが来たんですか。その点だけちょっと確認したいと思います。

大野国務大臣 防衛庁長官のところには、こういう監視態勢をとっていて、こういうものが見られたという情報が来ております。それが六時半。それから、その情報をいろいろと分析している、それから各省庁と折衝している、こういう状況だと思います。

渡辺(周)委員 それで、防衛庁長官は、それを受けて官邸に行かれたんですか。それとも、秘書官に任せられて、総理にもこういう情報が上がる。

 つまり、総理大臣が知ったのは八時だと。海上警備行動を発令されるに当たっては、総理の承認を得て防衛庁長官が発動される。この一時間半は一体何だったのか。つまり、この間に、発令されたときにはもう公海上に出ているわけですよね。ですから、もう逃走後に実は発令されたんだというようなことになっているわけでございます。

 つまり、この一時間半は一体、長官が知ってからその間の時間差というのは何だったんですか。

大野国務大臣 この問題は、もう先生よく御存じのとおりでありますが、自衛隊法八十二条に基づいて行っております。通常であれば、自衛隊が行動する場合に、例えば安保会議を開くとか、あるいは閣議を開くとか、こういう問題がありますけれども、これも先生御存じのとおり、たしか平成八年の閣議で、そういうことは抜きにして、総理大臣の承認を得て防衛庁長官が発令するということになっております。したがいまして、その後、運用局長よりも連絡がありまして、事務的にそういうふうな段取りでやっていきます、やってくれ、こういう指示でございます。

渡辺(周)委員 当時は原子力潜水艦であったかどうか、確認されていたかどうかわかりませんけれども、潜水艦の能力からすれば、一時間半もあったら領海内からどんどんどんどん出ていってしまうわけですね。これは、九九年の能登沖の不審船のとき、あれは漁船に改造された北朝鮮の工作船だったわけですけれども、物すごいスピードでどんどん逃げていったわけですよね。時速七十キロぐらいのスピードで、普通の、海上保安庁の船で追いかけられない。それで、海上警備行動が発令されて、海上自衛隊が追っかけたけれども、どんどんどんどん引き離されていった。

 つまり、一時間半もの間のタイムラグがあると、これは御存じのとおり、どんどん取り逃がすといいますか、現実の今の状況から。つまり対応がどんどんおくれることになるんですけれども、その間については、今、各省庁といろいろ調整されたと。これは調整されたんですか。

 恐らく、これは言うまでもなく、このエリアは、今中国が周辺海域の海洋調査というのでこの周辺の海洋調査を本格化させています。昨年七件ぐらいだったものが、もうことしだけで三十三件。しかも事前の申請なしにどんどんやって、そのたびに海上保安庁の監視下にあったり、いろいろな形で公海上に追い出そう、こういうことがされているのはもう御存じのとおりだと思います。

 つまり、外交上の配慮によってこの一時間半というのは他省庁と、実は情報収集じゃなくて協議をしていたんじゃないですか。この点はどうなんですか。

大野国務大臣 あらゆる折衝をやっていたと私は思っています。

渡辺(周)委員 つまり折衝というのは、こういうことがあって、恐らく、この周辺の昨今の状況からすれば、これはもう中国の海洋調査もしくは中国の何らかのものであろうと。海洋調査であったか目的はわかりませんけれども、領海侵犯をしているのが実はこの国であると。

 ということは、我が国の領海を守る海上警備行動を発令する以前に他省庁との折衝があったということは、これはお認めになったと理解してよろしいですね。長官、どうぞ。

大野国務大臣 特に、やはり情報を、危機管理でありますから、そういう意味で正確を期していかなきゃいけない。情報について分析をする、それから、そういうことに対してどういうふうにやっていくか、こういう問題で議論はあったと思っています。

渡辺(周)委員 おっしゃる意味もわかるんですよ。ただ、防衛庁の情報が長官に伝わった時点で、先ほど申し上げたように、もうある程度のことはわかった上で長官に上げたわけですね。ですから、受けてから、それを前提にどうするということが議論されていたんだと思います。

 もちろん、慎重を期するというのはわかるんです。ちょっと話はそれますが、先般、イラクで人質になって殺害された香田さんの事件のときに、いわゆるアメリカの報道を信じて、実は死亡というふうに発表した。結果的には痛ましいことだったんですが、勇み足で先走って、バッドニュースだといってリークをしたら、実はこれは誤報だったじゃないかと。そのときは、なぜそんなに情報が錯綜したのかというふうにたたかれました。これがまた逆に遅ければ、なぜ情報が伝わってこなかったんだ、遅いじゃないかといって今度はまたたたかれる。これは、ある意味では私は理解といいますか同情する部分もあるんです。

 ただ、やはり今回の場合は事が事だけに、日本の我が国の領海に対して、それはもう以前から、九〇年代の半ばになってから、とにかく中国は海洋調査と称していろいろなことをやっているわけですね。そのたびに我が国の中でも、なぜ毅然とした対応ができないのかということが言われてきた。

 それはもうずっと言われて、過度の対中配慮が外務省を中心にあるんじゃないのか、中国に対する配慮が。これ以上もう中国との関係を悪化させたくないということで、ひょっとしたらこれは、議論をしている間に、もうできれば早いうちに公海上に行ってくれないかなというような政治的判断があったんじゃないのかと思います。

 その点については、もう総理大臣に上がった時点、これは長官や外務大臣に聞いてもお答えしづらいのかもしれませんけれども、ある程度その時点で総理のところで、八時に実は、八時四十五分ですか、発令されたのが。実はそういう協議が調った上で八時四十五分という時間になったのではないか。その点についてはどうですか。つまり、六時半に長官が知ってから二時間たっているわけですね、二時間以上が。この点についてはそうだということで理解してよろしいですか。

町村国務大臣 外務省の立場で申し上げますけれども、先ほど、ちょっとこれは本筋から、香田さんの話で間違ったニュースを流したという、それは私どもは別に断定をしたことはございませんで、終始、可能性があるという言い方をしたのを、一部マスコミが断定をして報道したところに混乱が起きたというふうにまず御理解をいただきたい。

 これはこれとしてさておきまして、私どもにも当然防衛庁から連絡がありましたが、その間に、何か対中配慮を外務省がするようにと言ったかのごとき一部報道が、けさのどこか新聞だったか、ちょっと私定かじゃありませんが、あったような気がしますが、それはとんでもない話でありまして、こういう案件でどこか特定の国に何か配慮をして何かいろいろなオペレーションをおくらせるであるとか、そういうようなことを私ども日本国政府の一員として、あるいは外務省としてそんなことをやるはずが全くございませんし、現にそういうようなことを例えば防衛庁に外務省から言ったという事実はございませんので、念のために申し上げておきます。

渡辺(周)委員 そうでなくても、防衛庁長官のところに六時三十分に報告があった、総理大臣のところに伝わって八時、それで八時四十五分に発令をされた。発見してからの間、これだけの時間があったら、これは領海から公海に出てしまうということはもう当然想定できるわけであります。その点については非常に、我が国のさまざまな協議をしていた、あるいは分析をしていたと。もしそうであるならば、その協議と分析に時間がかかったこともこれは大変な問題だと思うんですね。

 最初に長官がおっしゃったように、我が国の対潜水艦の監視能力あるいは哨戒能力というものが手のうちがわかってしまう、それもわかるんです。つまり、それによって相手はひょっとしたらその対潜水艦能力、日本の哨戒能力を見るためにわざと、今でもそうですけれども、うようようようよと日本近海から離れないでこちら側の動きを見ている。ひょっとしたら向こうが情報収集を実はしているんじゃないかと。

 またそれますけれども、かつて大韓航空機がソ連の戦闘機に撃墜されたときに、象のおりと言われる、あれは稚内のレーダーサイトが既にそれをとらえていた。ただ、しかし、それを即座に発表しないで米側と協議をしながら、時間差を持って、もうマスコミではサハリンに不時着したとかなんとかとずっと言われましたけれども、もう機影が消えた、既に撃墜された可能性が高いということは後からわかったことですけれども、実は、そのレーダー能力を、あえて手のうちを見せないために時間差を置いたんだ、その間にいろいろさまざまな協議をしていたということが、これは防衛政策上あり得るということは私も認識をしておりますので、この点についてこれ以上は申しません。

 いずれにしても、これは能力的に時間がかかったというのか、あるいは政治的折衝の結果時間がかかったというのか、その点についてはこれはまた改めて別の議員も質問をされると思いますけれども、今回のことで対潜水艦ということについて初めての海上警備行動が発令された。この点について、我が国は一体何をしていたのかということで、こういう事案ですからひょっとしたらまた私どもの想定しないことがあったのかもしれませんが、ほかの質問もありますので、ちょっと次に行きたいと思います。

 ごめんなさい、行く前に、きょうは海上保安庁にも来ていただいていますので、海上保安庁としてはこの地域をどう警戒しているのか。また、海面に出ているときは、つまり潜水艦が浮上しているときは海上保安庁が管轄をするけれども、海中にいる、つまり潜水しているときは、これは海上保安庁としてそれを探査するだけの能力があるのかどうなのか。

 それから、防衛庁長官に伺いたいのは、これだけのエリアです、問題になっているエリアですから、当然、冷戦のときから考えれば、日本近海にはもうあらゆる国の潜水艦がうようよと、いわゆるチョークポイントと言われる海峡の中にも通っていろいろなことをやっている。あそこには、あれはSOSUSといいましたっけ、対潜水艦のソナーが幾つもあって、それによって、どこの国の潜水艦が通ったと、音波を判断すれば大体八キロぐらいまでに、当時ですから八キロぐらいまでに大体所在を確認できるだけの能力は持っている。呉にある第一潜水隊ですか、あの潜水艦部隊が、実はあの辺をちゃんと海中で警備しているんだということも言われるわけです。

 前段の質問は海上保安庁にお伺いしたいと思いますし、また、自衛隊と海上保安庁が情報やオペレーションを共有しているのかどうなのか。その点は、つまり、海中は海上自衛隊の潜水艦なんだけれども、海上に浮上してきたときはこれは海上保安庁なんだというようなことで変な役割分担がされているとは思いますが、そこについての情報やオペレーションの共有というのがあるのかどうか、ちゃんとできているのか。その点について最後に確認したいと思います。

横山政府参考人 お答えを申し上げたいと思います。

 潜水艦が領海内を航行する場合につきましては、条約上、浮上して航行しなければならない、こういうことになっておりまして、一方、潜水艦が潜没して航行を行っている場合には、現在の私どもの装備ではその実態把握は困難でございますので、防衛庁の協力を得てその把握に努めるということにいたしております。

 浮上しておる場合、潜没しておる場合、いずれにしても、その実態を把握した場合には、私どもがまず対応するという考えのもとに、潜水艦は概して軍艦というふうに考えられますので、非常に慎重な対応が求められます。そういうことから、関係省庁で協議の上、これに基づきまして、現場において退去要求などの所要の措置を講ずるということにいたしております。

 また、防衛庁等との情報共有の話でございますけれども、今回につきましても早い段階から情報を共有しまして、私どもが、先ほどお話を申し上げましたような所要の警戒警備の措置を講ずる時間的な余裕も十分ございました。

大野国務大臣 先ほども引用させていただきました平成八年の閣議決定でございますけれども、そこには、「防衛庁は、我が国の領海及び内水で潜没航行する外国潜水艦を発見次第速やかに外務省及び海上保安庁にこの旨を通報し、当該外国潜水艦への対処に当たっては、防衛庁、外務省及び海上保安庁は相互に緊密に調整し、協力するものとする。」こう書いてあります。この趣旨に従ってやっております。

渡辺(周)委員 ほかの質問も用意していますので、こればっかりちょっと時間がとれないんですが、とにかく非常に日本の能力を、中国はひょっとしたら今こうして追っかけっこをしながら一生懸命情報収集しているんだろうと。だとすれば、いわゆる発表に時間差を意図的につくったりすることはあり得るのかなということも、もちろん私どもも思います。

 ただ、やはりその点について、我が国の能力というものは、そんなに私は日本という国は劣っているとは思いませんし、当然海中で潜水艦が来るということは想定の中で、当然日本の潜水艦部隊だって、何らかの形でそれなりのミッションを果たしているでしょうから、その点については特に、これはちょっとまた別の問題になりますが、改めてやりますが、この中国の海洋調査、あるいは尖閣でありますとか、あるいは油田の問題を含めて非常にこれは複雑なところでございまして、また、台湾海峡、台湾も近いと。いろいろなことの政治的な要衝でありますので、改めてこの問題については質問をさせていただきますので、次に移らせていただきたいと思います。

 ちょっとこれは一つ、ヘリコプターの不時着事案についてでございます。

 これは、実は私の住んでおるところ、沼津市というところに、十一月の二日に、午前十時ごろ、沼津市我入道というところのグラウンドに、横田基地所属のUH1Nというヘリコプターが不時着をいたしました。私は、不時着というふうに言うんですけれども、発表では予防着陸というふうに言われているんですね。予防着陸という言葉は非常になじめない日本語でございまして、実は、静岡県の沼津市が、昨日防衛施設庁に要請に行きました。正直言って、このUH1Nというのは、八月の十九日に、横浜のみなとみらいの臨港パークというところに不時着しているんですね。さかのぼりますと、これは九九年、普天間基地所属の同型機がやはり不時着をしている。こういうことがたび重なって同じようなところで行われる。

 これは、夏に起きました痛ましい、沖縄国際大学に落ちました現場周辺にも私も行ってきましたけれども、こういうヘリコプターの不時着について、予防着陸というのはいかがな日本語なのか。これは実は、予防着陸という名前で、本来不時着であるけれども、わざと予防着陸というあえてポジティブな言葉を使うことによって不時着というネガティブなイメージをなくすんだ。つまり、恐怖感あるいは不安感を払拭するために、あえてこういう言葉を使っているんじゃないかなと私自身は理解したりするわけでありますが、今回の事案について、たび重なる同型機のことにつきまして、地元の不安にこたえるために、どのように防衛施設庁として申し入れていかれるのかということ、それから、この予防着陸という概念について、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

土屋政府参考人 まず、予防着陸という言葉についてお答えしたいと思います。

 私どもも、従来から航空機事故を分類して説明する際に、米側の要望に従いまして、パイロットが、どのような軽微な事柄であっても、通常でないことを察知したときにとられる措置として、防衛施設外に着陸した事案を米側が予防着陸と分類しているものですから、すべて予防着陸として説明しております。

 他方、今先生が御指摘になりました不時着という言葉は、辞書で調べますると、航空機が故障や燃料欠乏等のため初めに予定しなかった場所におりることと書いてございます。したがって、私ども、実は予防着陸というのは、不時着を含むほか、故障などに至らない理由で着陸した場合も含むものであると理解しております。

 今回の沼津市における事案でございますけれども、さきに述べた分類上、当庁として予防着陸と表現しているところでありますが、この予防着陸の原因は液圧燃料ポンプの破損であるということから、これを不時着と表現することについては、全く否定する意図があったりというわけではございません。

 本件事故につきましては、八月十九日、今先生御指摘になったように、横浜市で同型機が問題を起こしたことに引き続くものであることから、私どもとしても重く受けとめており、本件発生直後、私から在日米軍司令部に対しまして、一歩間違えれば事故につながりかねない事態であるとの認識を示した上で、原因究明、安全管理の徹底及び再発防止について申し入れを行ったところでございます。

 それで、これに対しては米側からも回答が来ておりまして、在日米軍司令部の方から、米国政府は日本国政府の懸念に取り組むためあらゆる努力をしてきた、また、引き続きこれらの懸念に取り組み、日本の方々の安全を確保するための活動を調整していく旨の回答をしてきております。したがって、米側としても、原因を踏まえ、再発防止に真剣に取り組んでいるものと理解しているところでございます。

渡辺(周)委員 こうした事案が起こると、大体自治体なりが防衛施設庁に申し入れに行く、あるいは直接米軍に対して申し入れに行く。それで、行ったことによって、大変遺憾に思う、とにかく安全点検、安全飛行を求めたい、いつも大体そういうことで、何かいつもそれっきりなんですね。しかし、また同じようなことがどこかで起こる。

 これに対して、では例えばどういうふうなことが、今回の沖縄事故もそうだったんですけれども、どこまで日本側としてその後追跡をしているのか。本当にちゃんとした点検をしているのか。沖縄の場合は、我々もそうでしたけれども、同型機の飛行訓練をとにかくさせないということを言ってまいりましたけれども、この点についても、ぜひ地元の不安、要望を聞いていただいて、ただ言いっ放しで終わるんではなくて、こうした問題については重大な事案として取り組んでいただきたいし、言うべきことは言っていただきたいなというふうに思います。

 それで、ちょっと時間がなくなりましたので、また質問を続けさせていただきますが、ごめんなさい、それと一つ申し入れれば、先ほど不時着の中の一つの概念として、予防着陸というのがあるとおっしゃいました。こういう言葉のマジックで、米軍はそれで統一していると言うんだけれども、日米の合同訓練でもこれは英語でみんなやっているという話と一緒で、アメリカ側に全部合わせると何か本質があいまいになってしまうわけでございます。その点についても、日本側としても、やはりそこら辺は非常に本質をとらえる日本語としてできるだけ発表の際にも翻訳をしていただきたいなというふうに思うわけですし、アメリカの言い分に何も言葉までそろえることはないということをあえてつけ加えさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、北朝鮮の問題についてお尋ねをします。

 現在、日朝交渉が行われているわけでありますけれども、今の現実、この時間帯で、何か、どのような進展があったのかということを一つ。

 それから、先般、結論次第では滞在期間を延長するということを、今北朝鮮に行っている薮中局長はそのような決意をおっしゃっていましたけれども、実際そういうことがあり得るのか。つまり、どういう成果が得られなかったらこの交渉はまだ引き続きやるのか。帰ってきてしまうと、次の第四回目というのはまた何やかんやで、向こうの都合ではぐらかされて引き延ばされて、いつまでたっても会合の場所すら持てない。つまり、決着がつけられるときは今回決着をつけられるべきだと思いますが、その辺の外務省のお考えはいかがか。

 そしてまた、結果的にどういう結果が得られなかったら、外務大臣、先般、韓国の盧武鉉大統領とお会いされたときに日本の記者団に言ったそうでありますけれども、経済制裁というものを真剣に考えるのか。つまり、どういう成果が得られなかったらやるべきだとお考えか。

 その三点についてお尋ねをしたいと思います。

西宮政府参考人 初めに、日朝実務者協議の現状について御報告いたします。

 九日に代表団がピョンヤンに到着……(渡辺(周)委員「もう過去のことはいいですから、きのうのことは知っていますので」と呼ぶ)はい。

 本日十一日は、午前九時半ごろから、薮中アジア大洋州局長は金桂冠外務省副相、これは六者協議の北朝鮮側代表でございますが、金桂冠との間で約二時間、北朝鮮の核問題を中心に会談をいたしました。

 当方より、核問題の早期の平和解決のために六者協議の年内開催を強く働きかけましたのに対して、先方から、六者協議を通じて平和的解決を図ることにコミットしていることが確認されましたが、早期に協議を再開させる環境にないとの話がございました。これに対して、当方より、米国大統領選挙が終わったこの機会に、北朝鮮が前提条件なしに六者協議に応じることが重要である旨伝えました。先方は、先述の点を繰り返しつつ、引き続き努力はしていきたい旨述べました。

 本十一日午前は、その後、約一時間半、北朝鮮の調査委員会の責任者であります陳日宝局長との間で安否不明の拉致被害者に関する再調査の問題について引き続き協議を行いました。

 同局長からは、昨十日、九時間近くにわたって先方の調査結果を聴取いたしたわけでございますけれども、本日の協議では、先方の調査結果に対するさまざまな疑問点を突きつけ、さらなる真相の解明に努めることとしております。現在、引き続き協議を行っている最中でございます。

 それから、お尋ねの滞在日程につきましては、現時点で、十二日まで、あすまででございますが協議を行い、十三日に帰国するとの予定を変更するとの連絡は入っておりません。

町村国務大臣 事実関係は、以上、申し述べたようなことが二時半ごろに連絡が、ちょうどこの委員会が始まる直前ぐらいに現地の方から電話連絡があったということでございます。

 なお、その後どうするのかというお尋ねでございます。

 私どもとしては、今まさに折衝をやっている最中でございますから、その結果を見ながら、多分その場で全部判断できないこともあると思いますから、帰国をした後、先方の回答ぶりをしっかりと検証して、その後どういう対応にするかをよく考えていきたい、こう思っております。

 私が盧武鉉大統領との話で確かに経済制裁という言葉は使いましたが、前回の九月の実務者協議というものが非常に不誠実な対応であり、こういうことでは何回やっても文字どおり状況が進展しない、したがって、日本国内には大変厳しい、経済制裁を打つべきであるという声も強くなっている、そういった声を先方に伝えながら今回誠実な対応を求めているんだ、そのような話をしたわけでございまして、現在もその考えに変わりはございません。

渡辺(周)委員 交渉のさなかで、今もこの時間帯もやっているでしょうから、この後また逐次報告が入ると思いますが、外務大臣としては、どういう成果が今回得られなかったら経済制裁をやるべきだというぐらいの御決意を持っていらっしゃるのか。これは同じことの繰り返しなんですよ。これは与党の中でもそういう議論が、安倍さんを初めおっしゃっていますね。結局、いつも調査する調査する、こちらが疑問を突きつけて、また調査する。そのたびに四回目、五回目の会合が今度いつ開かれるんだということで、ずるずるずるずる引き延ばされて、何か結論としてはいつも同じことの繰り返し。これはもう残った家族の方々にしてみても高齢化をしているわけですね。もう同じことを何度も政府に申し上げながら、結局いつも結論が出ないということについて、やはりとにかくもうそろそろ次なることを考えるべきじゃないかと思いますが、外務大臣としての、つまり何が得られなかったらこれは進まないのかということ、あるいは次の手段に出るのかということは、外務大臣はどうお考えでしょうか。

町村国務大臣 家族会の方々のお気持ち、お考え、私どももそれをまさに共有しながら今回の交渉に臨んでいるということであります。

 具体に、では何をどうというのを今一つ一つ申し上げることは難しいわけでありますけれども、既に早い段階で百五十項目のいわばチェックポイントといいましょうか、これを先方に提示しておりまして、それら一つ一つについて、どれだけそれを裏づけるものが提示をされるのか、その一つ一つの積み重ねによって今後の対応は判断されるべきもの、こう考えます。

渡辺(周)委員 先般、アメリカで北朝鮮人権法という法律が署名をされました。北朝鮮の人権状況については、これはアメリカは法律の前文にも定義しているわけですけれども、法律としての体系からしてそこまでは、当然日本で同じようなことをやろうとしてもするのは難しいなと思いますが、ただ、これは北朝鮮の金正日体制を崩壊させない限りは、私は日朝交渉、日朝正常化というのは難しいんだろうと思いますし、実際不可能だと思います。

 ただ、崩壊させる手段としてどうするか。経済制裁をやるという手段も一つでしょうし、もう一つは、東ヨーロッパが崩壊したときのように、いわゆる自由と民主主義というものを求める国民に対して、やはり西側への国境をあけるということによって一気にふろの栓が抜かれるように崩壊をする。つまり北朝鮮から人が流出するというような、いわゆる脱北者を支援するということもあり得るわけですし、当然、今脱北者の方々が随分、拉致をされたであろう藤田進さんや加瀬テル子さんという方の写真を持って出てくる。実は私、一昨日までソウルに行っておりまして、脱北者の方とお会いをしたら、もう北朝鮮の経済体制はかなり厳しいことになっていて、こういうものが実際ファイルごと持ち出されているんじゃないか、日本のマスメディアなんかに拉致された日本人と知っていて写真を持ち出してきて、いろいろな形で幾つかの人を介してこれを使っているわけでございます。

 それを考えますと、やはりこの北朝鮮人権法というのは日本にも大きなインパクト、あるいは脱北者を支援するということで体制を崩壊させる一助になると思いますが、このアメリカの北朝鮮人権法というものをどう評価するか。日本として、当然アメリカから何らかの要請等がこれからあると思いますが、その点についてどういうことが想定されるのか、あるいはこの法律にどういうふうに日本として協力をしていくのか。今の段階でどのようにお考えかということをお答えいただきたいと思います。

逢沢副大臣 委員御指摘のように、去る十月十八日に米国におきまして北朝鮮人権法が成立をいたしました。米国議会またその背後にあります米国民の北朝鮮に対する、とりわけ北朝鮮の人権に対する強い関心また強い懸念、それがこの法案に結びついたというふうに承知をいたしております。

 また、渡辺先生も御承知のように、この北朝鮮人権法の中にいわゆる日本の拉致問題、拉致について二カ所にわたって具体的な記述がございます。そのことも含めて、北朝鮮の人権を確保する、また拉致問題を全体に解決に導いていく、そういういわば圧力としての効果が大いに期待をできるというふうに私どもは評価をいたしたいと思います。

 御承知のように、例えばこの法案の中には二〇〇五年から二〇〇八年までの期間に、従前の、つまりアメリカが今まで持っている予算に加えて、年間二千万ドルまでの資金をいわゆる脱北者支援のために提供する権限を大統領に与える、そういう具体的な中身が盛り込まれているわけでありますし、また、北朝鮮市民が難民としての庇護申請を提出することを円滑化するための措置をとらなくてはならない、これを国務長官に求める、そういった中身はある意味で画期的であろうかというふうに思っております。

 しかし、この法案の成立を受けて直ちに、例えばアメリカ政府が、脱北者に対して、日本に対して、あるいは日本政府に対して、個別具体的にこうこうこういうことを依頼してくるということは今の段階では想定をいたしていないわけでございますけれども、しかし、いずれにいたしましても、我が国と北朝鮮の間に残されている最大の課題、この拉致問題の全体としての解決、それに向けてプッシュをする、そういう意味で、ある意味では、この米国で成立をいたしました北朝鮮人権法を積極的な意味で生かしていく方策をいろいろと考えてまいりたい、そのように承知をしております。

渡辺(周)委員 まさにアメリカが北朝鮮の脱北者を支援するという観点から、ある意味では北朝鮮の民主化を促し、最終的には金正日の体制を崩壊させようということにつながるんだと思うんです。ぜひ日本の当局としても、関係当局、こういう中で連携をしていただいて、我々もこの問題については取り組んでまいりたいと思いますので、いろいろとシミュレーションをしていただきたいなと思います。

 きょうは、時間の関係で質問できませんでした法務省の方あるいは外務省の方、いろいろ質問は用意していたんですけれども、御足労いただきながら、お答えをいただけなかったこと、質問に触れられなかったことをおわびを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

小林委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党・無所属クラブの津村啓介と申します。

 本日、この臨時国会におきまして、新任大臣に初めて質問させていただきますので、冒頭、政治姿勢にかかわる四つの質問をさせていただきたいと思います。大野長官、今津副長官、北村、柏村両政務官に御答弁をいただければと思います。

 まず、さきの通常国会では、いわゆる年金未納問題が大変大きな議論を呼んだわけでありますけれども、長官、副長官、各政務官の年金納付状況について御教示ください。

大野国務大臣 私は、自由民主党年金制度問題調査会長をやっておりまして、与党の年金改革協議会の座長もやっております。お答えは十分かと思いますが、念のため、年金にはずっと加入いたしております。

今津副長官 平成六年か七年、どちらかだと思いますけれども、一カ月だけ国民年金未納になっております。私なりに、どうして一カ月だけ未納なのかなということを調べてみましたけれども、社会保険庁でもわかりませんし、市役所の方でもわかりませんでした。

北村長官政務官 お答えいたします。

 年金の未納の期間はございません。

柏村長官政務官 お答えします。

 年金未納はございません。

津村委員 続きまして、郵政の問題について端的に御質問いたします。

 今回の内閣改造につきましては、郵政民営化を実現するための内閣というような言い方を小泉さんもされているようですが、郵政民営化問題に対する長官、副長官、そして両政務官の御所見をお聞かせください。

大野国務大臣 郵政民営化につきましては、内閣の方針に従って対処してまいります。

今津副長官 法案の中身等を勉強して判断したいと思っております。

北村長官政務官 内閣の方針に従って対処してまいります。

柏村長官政務官 内閣の一員ではありますが、国民の側に立って、どこがよくてどこが悪い、きちんとこれから議論に参加したいと思っております。

津村委員 内閣の一員として、結果が出た後にそれに従ってというのは当然だと思うんですが、その一員として、まさに議論に参加する際のスタンスをお聞きしているつもりです。

 どういうスタンスで議論に参加をされるのか、その途中経過にかかわる姿勢についてお聞かせください。

大野国務大臣 この場でお答えするのが適当かどうか知りません。しかし、一つは、金融システムの中で、膨大なる郵便貯金あるいは簡易保険のお金がどういうふうに吸収されていくのか、どういうふうに有効に使われていくのか、これはきちっと回答を出していかなきゃいけないと思います。また、郵便局は国民生活の一部になっている部分があります。例えば山間地域でおばあちゃんが年金をもらうのに郵便局しかない、こういう場合もあるかもしれない、あろうと思います。そういう場合に、どういうふうな解決策があるのか、私の関心はそういうところでございます。

今津副長官 昨年の選挙のときは、私は郵政民営化反対ということを明確に言いましたね。そして、選挙に臨みました。今、内閣の一員になったものですから、それで大変困っております。

北村長官政務官 我が党内でもいろんな意見がありますし、部会、調査会、小委員会等の議論には私なりに十分参加をして、勉強させていただいているつもりであります。

 地元あるいは選挙区あるいは県内、いろんな意見がありますし、そういったことにつきましても自分なりに把握をしながら、先ほど質問者もおっしゃられるように、最終的に内閣の方針が決まるというふうなことになったときは従うが、その間いろんな議論をしていくことに参加はしていくということであります。

柏村長官政務官 私も、もうなくなりましたが、郵政特命委員会の方は勉強のために出席をさせてもらっておりました。

 民営化のいい点、悪い点、そして公社化が決して悪くない、いい点もあると思います。そういったことを、さっきも言いましたように、国民の皆さんの目線の上に立って、何がいいのか、何が悪いのかをこれから突き詰めて一生懸命考えていきたいと思います。

 以上です。

津村委員 皆さんのお人柄がにじみ出た御答弁をいただけたと思います。

 自民党内に郵政事業懇話会というものがあるやに伺っております。こちらに御参加をされていますでしょうか。

大野国務大臣 一議員として、いっぱい議員連盟がございます。一つ一つそういう一議員のことについてお答えするというのはいかがかと思いますので、お答えを差し控えさせていただきます。

今津副長官 恐縮なんですが、郵政事業懇話会、これは何ですか。ようわからないので聞いているので。たくさん、いろんなグループがあるんですよ、勉強会、議連が。ですから、時として間違ったら大変失礼なものですから。どういうものですか。(津村委員「綿貫さんが会長を務めていらっしゃるものですけれども、御存じないのであれば結構です」と呼ぶ)そうですか。

北村長官政務官 私は、郵政事業懇話会には参加をしていない。

 以上です。

柏村長官政務官 私、まだ一回も出ておりませんが、調べてみたら、去年の十一月に入っておりました。

津村委員 いわゆる迂回献金と呼ばれるもの、そして旧橋本派からの献金の有無について伺いたいと思います。

大野国務大臣 一切ございません。

今津副長官 私は、橋本先生のグループに所属いたしておりますので、毎年大変ありがたい献金をいただいております。

北村長官政務官 いわゆる迂回献金というものをいただいたことはございません。

柏村長官政務官 そういうたぐいのものは一切いただいておりません。

津村委員 それでは続きまして、いわゆる安保防衛懇の報告書について御質問いたしますので、副長官、そして両政務官につきましてはもう御質問いたしません。結構です。

 本年十月に公表されました、小泉首相の私的諮問機関でございます安全保障と防衛力に関する懇談会、いわゆる安保防衛懇の報告書におきまして、新たな安全保障・防衛力ビジョンとして、基盤的防衛力から多機能弾力的防衛力への転換がうたわれており、この中で統合的安全保障という概念が示されております。

 報告書では、今後目指すべき日本の安全保障は、「1、日本自身の努力、2、同盟国との協力、3、国際社会との協力という三つのアプローチを適切に組み合わせることによって、自国防衛に備えるとともに、国際的安全保障環境の改善を図る、そのための統合的な方策ということになる。」そういった形で触れられておりますけれども、具体的に述べられておりますのは、この報告書のどこを見ても、いわゆる狭義の安全保障、端的に言えば、軍事力の、軍事的な側面ばかりを取り上げておりまして、わずかに「人間の安全保障」という言葉が多少紹介されているにとどまっているように拝読しております。資源、食糧など、いわゆる経済的な安全保障、あるいは予防外交といった視点がほとんど触れられていないのが特徴かと思います。

 多少古い話ですけれども、一九八〇年、京都大学の高坂正堯教授らを中心にまとめられたとされております総合安全保障研究グループの報告書では、国民生活をさまざまな脅威から守るとの立場から、狭義の安全保障と経済的安全保障を区別し、エネルギー面あるいは資源面、食糧面、そういったものと並べて、予防外交の必要性あるいは大規模な地震などを例にとった危機管理体制のあり方までもが触れられております。

 十年後、二十年後の日本を見据えたその先見性に改めて目をみはるわけですが、テロや大規模災害を念頭に置いてこれから二十一世紀の安全保障戦略を考えていこうというこのときに、今回のこの報告書ではそういった視点が欠けているのではないかと思います。短く申し上げますと、今回提示された統合的な安全保障の概念設定が従来の総合安全保障の思想から大きく後退をしているのではないか、狭義の防衛力のみを議論しているのではないかということであります。

 恐らく、議論のどこからか、これは防衛庁の仕事として議論をしている、非常に狭い枠の中で議論をしているように思いますが、総合安全保障的な視点でこれから防衛大綱の見直しの作業を進めていかれるお考えはありませんか。大野長官にお尋ねします。

大野国務大臣 安全保障というのは、狭義、広義、いろいろな見方があると思います。先生おっしゃっていましたとおり、外交もそうだし、もちろん人的交流ですね。私は、自民党の外国人留学生問題特別委員長というのをやっておりましたけれども、まさに若い人の交流というのは未来からの大使を育成していく、養成していく、こんな意味で、大変平和の礎になるんだ、こんな思いで務めさせていただきました。また、経済的つながり、資源の問題、いろいろな意味で安全保障問題というのはとらえていかなきゃいけない。これはもう、先生のお説と全く同感でございます。

 ただ、防衛力を考える場合に、どういう面から考えていかなきゃいけないんだろうか。特に、新しい安全保障環境の変化に応じて日本の防衛力をどう考えていくか。そういう意味で、そこに絞って今回の懇談会はレポート、報告書を書いてくれたんだと思っています。

 でも、その中で、やはり本当に示唆に富むんだなと思うようなことは幾つかございます。例えば自衛隊の国際協力業務を自衛隊の本来任務にしていこうじゃないかと、今は付随的業務になっておりますけれども。これはまさに自衛隊が、戦争が起こりそうな地域、起こりそうな地域と言うと語弊があるかもしれませんが、やはり予防的業務をやる。そしてまた、紛争が起こった後の人道復興支援とか、そういう紛争の後の業務にも参加していく。それはすなわち、そういうふうにいろいろな意味で世界が平和になっていけば、それは日本の平和につながっていくのではないか、こういう思想のあらわれだと思います。今、津村先生も引用されましたけれども、自己の防衛、同盟関係、それから世界の平和、こういう幅広い視野から安保防衛懇というのは報告書を書いてくれているんじゃないか。

 そういうことを考えますと、やはり私は、この問題、幾らでも広がっていくと思います。だけれども、今、日本として防衛についてどう考えるか。その考え方は広くなっているし、そしてまた、この安保防衛懇の報告書をも踏まえて新しい防衛大綱をつくっていく、そしてまた中期防衛力整備計画もやっていく。この際に、先生の幅広く考えろということを常に背景に持ちながらやっていかなきゃいけないのだな、こんな思いを今いたしました。

津村委員 私がお尋ねをしたのは、この報告書の説明ではありません。そして、これが地理的に確かにいろいろな広がりを持っているのはおっしゃるとおりですけれども、分野を超えた、そういった広がりを持っていないことを申し上げています。もう少し端的に申し上げますと、私は、国家の安全保障ですから、これは防衛庁とか外務省とかあるいは農水省といった縦割り行政の弊害がここに見られては、あってはならないことだ、そういった問題意識から御質問しています。

 防衛庁長官はもちろん防衛庁を主として所管されているわけですけれども、しかし、こういったビジョンを防衛庁長官として示されていくこと、それは庁の枠に決してとどまるものではないのではないか。そして、まさにこうした何年ぶりかの報告書ですから、ビジョンを示すための報告書ですから、大局的なビジョンをお示しいただきたい、そういう思いで御質問しております。

 これからそういう機会は例えば防衛大綱の見直し等の場で具体的にあると思うわけですが、大野長官がそういったビジョンを開陳される機会としては、どういった場を想定されていますか。

大野国務大臣 今後、例えば安全保障会議、既に二回ばかり開かれております。三回だったですかね。この安全保障会議の場で、こういう先生のおっしゃった幅広い視野から安全保障問題を考えていきたい。

 しかし、我々がつくっていかなきゃいけないのは、新しい防衛大綱であります。そこにあらわれるのが、あるいは先生がおっしゃったような幅広い視野がちりばめられているのが見られるかどうか、これは別として、私としては、その幅広い視野から日本の安全保障を考えていきたい、その安全保障会議の場で議論をさせていただきたい、このように思っています。

津村委員 それでは、具体的な論点として一つお伺いしたいと思います。ODAの戦略的な位置づけについてでございます。

 ODAにつきましては、さまざまな側面があると思います。歴史的な経緯もあります。戦後補償の一部として始まったという見方もありますし、その後、先ほどの総合安全保障の中で位置づけられたり、あるいは国連の非常任理事国の選挙、あるいはこれからの常任理事国入りを目指すに当たって、さまざまな戦略的な配慮を主として外務省はされているのではないかと思いますが、私は、これこそまさに、予防外交その他、防衛庁の枠内にとどまらないけれども、広い意味では安全保障に当たる一つの好例だと思います。

 そういった意味で、あえて大野長官に伺いたいんですが、日本のODA政策を考える上で、これからどのような戦略的な思想を持って当たられるんでしょうか。大野長官に伺いたい。

大野国務大臣 町村外務大臣がおられますので内心じくじたる思いでございますけれども、私は、ODAの役割というのはやはり外交の中の一環であり、これは個人的意見になってしまいますので、やはりお答えしない方がいいんじゃないかとは思いますけれども、例えば、現実問題として考えられますのは、イラクで今自衛隊が人道復興支援をやっております。その中で、ODAの役割というのが大変大きな、資金協力ということで大きいわけですね。

 ですから、イラクの復興の問題一つ考えてみても、マンパワーで協力していく、これが自衛隊でございます。それから、ODA等資金協力で協力していく、これがイラク復興支援のまた一つの大きな力になっている。まさにODAと自衛隊とが車の両輪のようにかみ合って、反対に向いて走ってはいけません、かみ合ってイラクの復興に役立っている、このような思いがいたしております。だから、お互いにやはり外務大臣と十分議論させていただいてそういうものを考えていかなきゃいけないな、このように思っています。

津村委員 同じ質問を町村大臣にもさせてください。

 これから日本の国の安全保障を考える上で、ODAの位置づけを外務大臣としてどうお考えかという御質問です。

町村国務大臣 この安全保障及び防衛力に関する懇談会レポート、私も全部を精読したわけではございませんけれども、この第一部の二、統合的安全保障戦略の(二)、「国際的安全保障環境の改善による脅威の予防」という形で、この中に「日本自身の努力」として、「二国間の開発援助は、多くの国々の国づくりに役立ち、経済発展に貢献し、実質的にわが国の安全保障にも寄与してきたと考えられる。こうした援助や外交活動、さらには警察などの協力は、国際社会と連帯して行いうるのみならず、日本独自の活動としても実行すべきであろう。」こういう形で、彼らもそこのところは意識してちゃんと触れているということを念のために申し上げさせていただきます。

 その上で、今ODAと日本の安全保障の関係をどう考えるかというお尋ねでございました。これは、昨年八月に外務省でODAの大綱というものを見直して、新しくつくったところでございます。このODA大綱の「目的」という部分がございますけれども、要旨は、日本のODAの目的は、「国際社会の平和と発展に貢献し、これを通じて我が国の安全と繁栄の確保に資することである。」ということで、広く言えば、私は、日本の自衛隊の活動あるいは日米安全保障条約も、こういう究極の目標というのは同じところにあるんだろう、国際社会の平和と発展に貢献をするということであろうと思います。

 ただ、アプローチの仕方としては、資金を通ずる協力であるとか、あるいは技術を通ずる、人を通ずる協力、いろいろな側面がODAにはございまして、それらを通じて、最終的には、やはり日本の平和と安全というようなことを意識しながらこれを戦略的に活用していくということが重要なんだろうと考えております。

津村委員 私が今回あえてODAのことを取り上げましたのは、一つは、先ほど申し上げたように、省庁を超えた枠組みを、しっかりと広い枠組みをとっていただきたい、安全保障会議なら安全保障会議で大野長官の御見識を示していただきたいということと同時に、もう一つは、タイミングの問題でございます。

 今回、十月に報告書ができた、そして年内にも防衛大綱そのものの見直しも進められようとしている、そういった大きな流れが、まず年内というものが一つある一方で、昨日は参議院の方から、ODAのあり方に関して、実地の調査も踏まえた、近隣国に対するODAのあり方を見直そう、具体的な国名は申し上げませんけれども、そういった御提言も出てきた。そして、その一方で、きのう、きょうとまさしく安全保障をめぐる環境は大きく激変をしているわけです。

 そうした中で、ある程度時間を区切ってしっかりとその方向感を出していかなければ、ODAを戦略上位置づけているというそのメッセージ性が失われてしまう、そのことを申し上げたいと思います。年内という時間軸も含めて、大野長官の御決意を聞かせてください。

大野国務大臣 先生のおっしゃること、私、一々そのとおりだと思って聞いております。

 そこで、安全保障会議に臨むに当たって、もっともっと幅広い視野から安全保障を考えていく、このことは頭の中に持っております。持ってまいります。しかし、防衛大綱なりを議論するときはそういう考えでやりますけれども、出てくるものの中にそういうものがどこまでちりばめられるかということにつきましては、やはり防衛大綱によって日本の防衛はどうするんだということが主体になりますので、先生のおっしゃるような気持ちを込めて議論に参加していく、このことだけは申し上げたいと思います。

津村委員 ここからは防衛庁の方にだけの御質問になりますけれども、防衛大綱の見直しに関しまして、先ほど総合安全保障の観点というやや大きな話をさせていただきましたが、もう一つ、仮に、先ほど大野長官言われたように、狭い意味での安全保障、防衛庁関係の議論に絞って見たとしても、今回このような報告書をまとめたというのは、やはり大きな組織としての防衛庁なり自衛隊、これは日本にとっては物理的にも大変大きな組織ですし、もちろんその意義も大変大きな組織なわけでありますけれども、この組織をどうやってマネジメントしていくか、それを考える一つの大きなきっかけになると思います。

 一般企業でも、三年や五年に一度、中期経営計画というものをつくるわけですけれども、言うなれば、そういった経営ビジョンを示す絶好の機会だと思うわけですが、いわゆる経営資源として人、物、金、情報、こういった角度があると思うんですけれども、今回の報告書の中で、物という意味で装備・技術基盤の改革、あるいは情報については統合幕僚会議の機構改革、こういった方向感が出ているわけですけれども、人をどうしていくのか、あるいはお金をどうしていくのか。お金については、一定の制約、むしろ厳しい制約があることは、国家財政自体も一種の国民の安全保障の一つとも言えますから、ここに制約があることは明らかですが、残す人の問題ですね、これが今大きな議論にもなっていくのかと思います。

 もう少し端的に申し上げますと、装備の高度化ということを進める以上、それは大変資本集約的な取り組みですから、一方で人の数はどうしても合理化していかなければいけない。少なくともそういう検討はしっかりとしてビジョンを示していかなければいけないと思いますが、この人員計画について、防衛庁のこれからのスタンスを聞かせてください。

大野国務大臣 私は、これから一言で言うとすれば、考え方は多機能弾力的、こういう考え方だろうと思います。

 多機能というのは、安全保障環境が多様化していく。いろいろな脅威がありますから、いろいろな局面に対応していかなきゃいけない、これが一つであります。ただ、そういう局面に一つ一つの対応する部隊なり組織を充てますと、これはもう組織として膨大なものになってくる。これはもう先生御理解いただけると思いますが、したがって、弾力的に対応していこう、これが問題だろうと思います。そこから出てくる問題点というのは、やはり統合運用という問題だと思います。それから、即応部隊みたいな考え方だと思います。そういうものが一つあると思います。

 それから、もう一つの特色は、やはり情報力をどう考えていくか、こういう問題があろうかと思います。それから、装備についてはお尋ねでありませんので申し上げませんけれども、もちろん装備についても考え方がある。

 その中で、弾力的ということをどう考えていくか、その機能の中にどういう場面があるのか。その一つは、島嶼部の防衛もやらなきゃいけない、だとすれば、それに即応できるような配置が必要である、こういうことであります。それから、統合運用をして弾力的にやっていくには、師団の規模をどういうふうに考えていけばいいのか、こういう問題があろうかと思います。

 それから、これは災害派遣の問題でありますけれども、災害派遣につきましても、御存じのとおり、新潟県中越地震につきましても、一日当たり四千四百人以上の自衛隊の諸官が活動している。こういうふうに災害派遣を考えますと、やはり災害派遣のための、いざとなったときに国民の皆様のニーズにこたえられるだけの展開はしておかなきゃいけない。

 それからもう一つ、やはり国際協力義務を本来任務にしよう、こういう提言、私は示唆に富んだものだと思っていますけれども、それをやるためにはやはりマンパワーが必要である。そういう意味で、私は、マンパワーというのが本当に日本の防衛を支える、国民のニーズにこたえていくための大きな大きな力である、このように思っています。装備は、例えば戦車、大型戦車から装輪装甲車に変わっていく、こういう問題はありますけれども、マンパワーは力を入れてやっていかなきゃいけない問題だと認識しております。

津村委員 そのマンパワーの議論の際に、今回たまたま不幸にしてああいう震災が起きていますので、人を減らすと災害派遣等で十分なことができない、そういったようなコメントが時々新聞等で紹介されるんですけれども、それと時を同じくして、読売新聞だったと思いますけれども、六日付で、二十四時間以内に二万人投入、南関東地震に備え自衛隊計画と。南関東直下型地震を想定してこれだけ人が要るんだというような記事が出ておるんですけれども、これはどこから出たものですか、防衛庁さんの試算でしょうか。

大野国務大臣 自衛隊の災害派遣計画案でございますけれども、現在、南関東地域震災及び東海地震につきましては、人命救助活動等の救助活動を効果的に実施するための災害派遣計画を持っております。被災予想地域外の増援部隊等の指定や当該部隊の増援により、発災後、機を失せずに人命救助活動を第一義とする救援活動を行うということであります。

 いろいろな、あと細かに計画なり考えはありますけれども、細かく申し上げてもと思いますので、この程度にさせていただきます。

津村委員 もう質問時間が終わりますので、これで終わりにしますけれども、私は、今回、中途半端に南関東直下型地震なるものをいきなり出してきて、たくさん人が要るんだという話をこの時期にするのは少し話としてはおかしくて、もちろんしっかりといろいろなシミュレーションはしていただきたいと思います。東海地震や東南海地震だけではなくて、むしろ火山活動あるいは原発事故といったことも想定しながら、どのような場合にはどれだけ人が必要なのか。

 そして、やはり自衛隊の皆さんも、先日私も観閲式に出席をさせていただきましたが、皆さん大変な努力をされておるわけで、そういった皆さんのローテーション、人繰り、そういったことも現実的に考えていかなければいけませんし、ヘルスケア、メンタルケアといったことも含めて、ちょっとその東海地震のものも見させていただきましたけれども、非常に薄っぺらいものでして、これは概要かもしれませんが、やはり国民の安心、安全のための自衛隊ということで、この報告書を機会に国民の理解を深めていこうということであれば、ぜひそういったシミュレーションも、より多岐にわたる、そして自衛隊の立場から見て現実的なものをしっかりとつくって、示していっていただきたい。

 最後にそれだけ御注文して、私の質問を終わります。

小林委員長 次に、中野譲君。

中野(譲)委員 民主党の中野譲でございます。

 六年か七年ほど前になるんですが、まだ私が政治を志す前に、新聞のこういう募集欄というので、自民党の次のリーダーということで、自民党本部で、六人か七人ぐらいだったと思うんですけれども、議員の方が集まって政策等をいろいろとお話をされているという場に私もちょっと伺ったことがありまして、そのときに町村大臣もいらっしゃいまして、ほかはどなたがいらっしゃったか僕は覚えていないんですが、町村大臣が非常にストレートに、はっきりと物を言っていただけるような、そういう代議士であったというようなイメージがあるものですから、ぜひとも建設的な論議をこの安保の委員会でさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 きょうは、この間の夏にも宜野湾の方でヘリが墜落しましたが、過去の米軍の国内における墜落事故等に関するものと、安保と地位協定についてお尋ねをしたいと思うんです。

 宜野湾のヘリ墜落のときに米軍から調査報告書が出ておりますが、大臣そして防衛庁長官、その報告書に目は通されましたでしょうか。

町村国務大臣 もちろん目は通しております。

大野国務大臣 ブリーフを受けております。

中野(譲)委員 外務大臣は目を通されたということは、私もこれいただいたんです。それで、ページ数でいくと何か二百ページを超えるような感じで、冊子でいただきましたけれども、当然英語で読まれたということでよろしいんでしょうか。

町村国務大臣 恐縮でございますが、日本語で要旨を事務方がつくってくれたものを見たわけでございます。

中野(譲)委員 これは三月のイラク特だったと思うんですが、イラクに関する資料で、我が党の山田議員が、英文の資料を外務省から渡されまして、質問まで一カ月ぐらい期間がありまして、何とかその日本語の訳をもらえないかと、余り英語が得意じゃないものですからということで。ただ最後の最後まで出てこなくて、随分とお怒りだったというのを記憶しているんですが、私もこれ英文を読ませていただいて、あと別途、「事故調査報告書の概要」ということで一枚紙をいただきました。

 これは、結構厚い資料をこの一枚にまとめられる中で、抜粋をするときのその根拠というか、どなたがこれ抜粋をされて、こういう一枚紙の概要というのをつくられるんですか。

土屋政府参考人 お答えします。

 概要をつくるときには、私ども事故分科委員会のメンバーが、米側の方も概要版を公表する必要がございますので、相談してつくりました。

中野(譲)委員 そのときに、米側と相談するということであれば、ここは書いてほしくないとか、ここは強調してほしいとか、そういうような意向というのは向こうからあるんでしょうか。

土屋政府参考人 膨大、約二百十ページのこの報告書は、本文部分とそれから添付資料部分に分かれておるのですが、その本文部分、たしか三十数ページだったと思うんですけれども、それを中心に概要をつくったということで、今先生がおっしゃった、すべて事故報告書には書いてございますので、ここは例えば言ってほしくないとか、そういうことではございませんで、なるべく簡潔に、わかりやすく書くように調整をしたわけでございます。

中野(譲)委員 そうしたら、もう一度ちょっと角度を変えて質問をしますけれども、本文部分が三十数ページありますが、この三十数ページで例えば勧告の部分が、レコメンデーションズということで十一書いてあるんですが、この十一の中で、この概要の方に入っているものと入っていないものがあるんですが、これは入れて、これは入れないという、それはどこか何か基準があるんでしょうか。

土屋政府参考人 先生御指摘のように、勧告部分、幾つもございます。それから、そのほか事実関係、ファインディングという英語を使っていると思いましたけれども、事実関係も幾つもございましたけれども、要は、簡潔に一枚程度の紙でつくるということを中心につくりまして、今先生が御指摘になったような、この部分は入れる、この部分は入れない、そういうような作業をしたわけではございません。

中野(譲)委員 これは、我が党の今野東さんが十月二十七日に外務委員会で質問をされているときにヘリの墜落のときの状況を述べているんですが、ちょっと抜粋をしますと、二時二十五分ごろ、予防査察のためワゴン車で付近を走っていた消防署の職員二名が現場に到着しまして、黒煙を確認し、写真撮影をしました。付近に住んでいた非番の消防署職員も駆けつけて、先着のタンク隊を誘導して、機関員としてこの救助活動、消火活動に加わります。米軍はといいますと、炎が激しくなりまして、米軍兵士は一斉に避難をする。二十七分ごろ、先着隊のポンプ隊及び救急隊が現場での消火、救助活動を開始し、放水し、あるいは泡消化剤を使用して、三十五分ごろほぼ鎮圧状況になる。米軍消防隊のポンプ隊や化学隊が到着するのはその後だということが書いてあるんですが、この事実関係としてはこういう認識でよろしいのかどうかというのをちょっとお尋ねしたいんです。

土屋政府参考人 事故報告書の中の添付資料もしくは本文にも消火の状況が書いてあったと思うんですが、申しわけありませんが、今、子細に記憶しておらないんですが、たしか、今先生がお話しになったような具体的なことはともかく、宜野湾市の消防署の方が先に現場に着いて消火活動に当たっていたと書いてあったというふうに記憶しております。

中野(譲)委員 いや、質問は、これは防衛庁になるのか外務省になるのかわかりませんが、今のような時系列的な事実関係で認識をされているのか、されていないのか。これはイエスかノーかの問題なので、それだけ教えていただけますか。

海老原政府参考人 今、現場での対応にいろいろな問題提起をされているということで、ちょっと御説明をさせていただきたいんですけれども、事故現場における協力に関する特別分科会において、実際に日米でそれぞれどういう行動をとったのかということを検証いたしております。それを検証した上で認識を一致させようということで話し合いをしているわけでございます。

 今委員がおっしゃいました消火活動につきまして、まさにそれぞれの主張が食い違っております。これは、今業務部長からお話がありましたけれども、事故報告書に添付資料がございまして、そこにそれぞれ、宜野湾消防本部の主張する時間づけというものと、それから米側の消防隊の主張する時間づけというものが、それぞれ添付書類四十四と添付書類四十五ということでついております。

 ここで明らかになっておりますけれども、宜野湾消防本部によりますれば、例えば米軍の消防、救急車が現地に到着したのは二時三十五分ということになっておりますが、米側の方ではこれが三十二分となっているというようなことがございまして、その辺はまさに今協議をして認識の一致を図っているということでございます。

中野(譲)委員 その辺のところは、私もこれを全部読んでいますから、わかっているんです。

 お聞きをしたいのは、認識のずれがある。この報告書には、米軍と日本の宜野湾の消防署が一緒になって消火活動をしたというふうな時系列で書いているわけですよ。そういう認識のずれがあることを、例えば防衛庁長官ないし外務大臣は認識をされておりますか、この報告書とその現場での報告が違うと。

大野国務大臣 申しわけございません、認識しておりませんでした。

町村国務大臣 この委員会を初め幾つかの委員会で、いろいろな党の方々がかなり子細にそうした御指摘をされることによりまして、私も改めて認識を深めた次第でございます。

中野(譲)委員 防衛庁長官もお忙しいでしょうから、私は時間が比較的あるのでゆっくりと読む時間がありましたが、そうすると、ブリーフィングをするときに、事故分科委員会でそういうものの認識のずれがあるということをやっているんであれば、それが何で防衛庁長官のところに報告として上がってこないんですか。

 なぜ僕はこれを言うかといいますと、これは概要ということで、私たちの方には一枚紙が来ます。その中に書かれていることは、パイロットが「テール・ローターの制御不能に対し適切に対応し、瞬時の反応が地上にいる民間人及び自らの生命を守った。」ということが書いてあるわけですね。ただ、宜野湾の消防署の方々ないし救助隊の方々が現場にまずいち早く行って、そういう消火活動等、適切なことをやったことに対しての感謝をしている文章というのが全然書いていないんですよ。

 これは、日本の外務省がつくっていることで、事故発生原因が整備不良だとか、整備要員の混乱だとか、手順を守らないとか、勤務時間が長いとか、交代時に伝達不良があったとか、マニュアルに不明確な記述があったとか、これだけ聞きますと、これは一般の企業でもあり得ないようなことを米軍がやっているわけですね。

 それに対する勧告として、チェックリストに追加するとか、整備マニュアルを改善するとか、そういうことが書いてありますけれども、ここで、勧告の十一番目に、一生懸命に日本の消防そして救護隊の方々がやってくれたことに対して、改めて公式に、これはどのレベルかわかりませんが、米側はきちっとその感謝の意を表するということが書いてあるんですが、外務省だったらそういうところをもうちょっと、現場で頑張っている人たちのことというのを何で全然書かないのか。これだけ見ていると、何か米軍の広報機関か何かかなというふうに思ってしまうんですが、その辺の印象をちょっと、外務大臣はどういうふうにとらえられていらっしゃいますか。――大臣。大臣だよ、大臣。

海老原政府参考人 御指名ありました。事実関係だけちょっと、簡単に言わせてください。

 事故報告書の二十二ページ目におきまして、今回の事故調査を行った米海兵隊カーソン中佐から、在日米軍海兵隊基地司令官は、宜野湾市消防本部に対し、同本部の迅速な対応、プロフェッショナリズム、消火における技能、現場での救急医療及び搭乗員の病院への搬送に対し、公に謝意を表明することということが勧告されております。

町村国務大臣 感謝の正式なコメントがあったということは私も今初めて聞いたところでございますので、ある意味では率直なやりとりの結果がこういう報告書になっているのかな、このように受けとめた次第であります。

中野(譲)委員 やはり現場でそれだけ日本人の方々が頑張って、そういうことで大きな被害にならなかったという可能性もあるわけですから、それをアメリカが報告書にちゃんと書いているわけですよ。それを日本語に直す段階でそういうものを取ってしまうということ自体が、外務省であれば、それは、だから僕は、さっき聞いたのは、向こうが何を書いてくれとかこれは書かないでくれとか、そういう話があるのかどうかわかりませんけれども、外務省は日本の外務省ですから、そういう問題、もうちょっと、ぺら紙だって載っけてくれてもいいんじゃないのかなという気がしております。

 これはまた、うだうだ長くなってもあれですから、ぜひその辺の改善はよろしくお願いしたいと思います。

 それで、ちょっとお尋ねをしたいのが、過去の墜落事故関係で、まず過去、安保締結後、日本の国内ないし日本の領海、領域で墜落事故というのは何件ぐらいあったんでしょうか。

土屋政府参考人 お答えします。

 今、安保締結以来ということで御質問があったと思うんですけれども、私の手元にございます数字は、沖縄県が本土に復帰した昭和四十七年以降のものしかちょっとないんですけれども、このうち墜落及び主な離着陸失敗事故の件数につきましては約六十件であるというふうに把握しております。

中野(譲)委員 その六十件の中で、事故委員会が立ち上げられた件数は何件あるのか。事故調査報告書が出された件数は何件あるのか。再発の防止策がとられた、レコメンデーションという形でアメリカから出てきた件数は何件あるのか。それぞれお聞きをしたいと思います。

土屋政府参考人 まず、事故分科委員会が立ち上げられた件数でございますけれども、今手元にある墜落事故は、昭和四十七年以降の数字で約六十件というふうにお答え申し上げたんですけれども、今その年度の四十七年という区分がちょっと即座にできないんですが、事故分科委員会は、これまで、墜落以外のものを含めまして、例えば……(中野(譲)委員「何件ですか」と呼ぶ)事故分科委員会は二十件立ち上げられてございます。

 それから、墜落事故や離着陸の件数のうち、調査報告書が出されたものは何件かという御質問がございましたけれども、十数件というふうに把握しております。

 再発防止策が日本の方で把握している、もしくは提出されているものにつきましては、現在その調査報告書を見て私どもで確認の作業をしているところでございまして、数件出ているというようなことは把握しておるんですけれども、全体で何件かということは、ちょっと今作業中でございまして……(中野(譲)委員「報告書の中で全部ではないということですか」と呼ぶ)はい。その点も含めまして、報告書の中にそういう再発防止策が含まれているかどうかを今作業しているということでございます。

中野(譲)委員 そうすると、今回の、ヘリが墜落をした、分科委員会を開いて一カ月をめどに米軍から報告書を出す、その中には再発防止策も載っけていくというふうに書いてありますが、この六十件のうちで、委員会が例えば三分の一の二十件しか立ち上がらないとか、十数件ですから四分の一なのか五分の一なのか、またその中でも再発防止策が書いてあるものと書いていないものがあるのか、これはちょっとよくわかりません。そういうふうに数にばらつきがあるというのは、これはどういう基準で委員会を立ち上げるとか、どういう基準で報告書を米国から提出してもらうとか、どういう基準で再発防止策を盛り込むとか盛り込まないとかという話し合いを米国とするのかという、その基準を教えていただけますか。簡潔にお願いします。

土屋政府参考人 まず、事故分科委員会は、昭和三十八年の一月に日米合同委員会の下部組織として発足しております。これは、日米どちらか一方の行為によって、他方の人員または財産に損害が及んだ事故が起こった場合、合同委員会により付託される事項につき検討し、かつ合同委員会に対する勧告を行うことを目的として設置されております。

 それで、今申し上げたように、具体的にどのような事件について事故分科委員会を立ち上げるかどうかは合同委員会が付託するということになっておるんですけれども、これまでの事故分科委員会というものは、地上における航空機の墜落や武器の誤射など、重大で社会的影響も大きく、原因究明、再発防止が強く求められるような事故について、合同委員会により付託されてきております。

 それで、今、過去の調査報告書を全部チェックしているというところではないんですけれども、その合同委員会の付託の中に再発防止の勧告という付託がされている場合には、そういった再発防止策も含めまして報告、勧告を行うことになっております。

中野(譲)委員 報告書が米軍から出てくる、出てこないの基準はどこにあるんですか。六十件のうち二十件しか報告書が出てこない。二十件でしたか、もっと少ないですね、十数件。四十数件出てこないんですよね。出てくるものと出てこないところの線引きはどこにあるんですか。

土屋政府参考人 まず、事故分科委員会につきましては、やり方としまして、米側が一義的に事故調査を行いまして、それを受けまして分科委員会で日米が調査を行うというシステムになっています。

 したがいまして、事故分科委員会が開かれる場合には、米側から事故報告書が提出されるものとまず認識しているんですけれども、先ほどお答え申し上げました米側の事故報告書が提出された件数の中には、事故分科委員会が開かれていない事故についてのものも含まれております。

 それで、先生の御質問は、その事故報告書が提出されるかどうかについての基準というお話だったわけですけれども、これは最近では、米側……(中野(譲)委員「最近というか、あるわけですよね、基準が。どういう基準ですか、正確に」と呼ぶ)はい。そういう事故報告を日本側から、ちょっと今正確に記憶していないんですけれども、合同委員会の合意によりまして、今何年の合意かちょっとぱっと出てこないんですけれども、事故報告書を日本側が要求できるようなシステムがございまして、そういうものに基づいているというふうに理解しております。

中野(譲)委員 何かどんどんどんどん話が長くなりそうなので、また次回に回したいと思います。

 要は、日本側が要求するか要求しないかということのようですから、この六十件近くの墜落事故等で、要求しているものもあれば要求していないものもある。

 その中で、ちょっと一点だけ。逢沢副大臣、お体大丈夫ですか。済みません、ちょっと一つだけお聞きをしたかったものですから。再発防止策なんですが、ヘリの、この再発防止策というのは何の再発防止策なのか、僕、ちょっとよくわからないんです。非常に申しわけないんですが、これは何の再発防止なんでしょうか、この書面に書かれていることというのは。

逢沢副大臣 何回か同様な趣旨の御質問をいただきまして答弁をさせていただいておりますが、再発防止策、これは言うまでもなく、八月十三日に大変残念なヘリの事故が起こりました。そして、なぜ事故が起こったか、その原因をまず究明する、そして再び同様な過ちを繰り返さない、そういう意味での再発を防止するというふうに私どもは承知をいたしております。

 したがって、事故報告書の中にも、委員まさに的確に発言をなさいました、飛行前の点検の項目に何を追加しなければならないのか、あるいは整備マニュアルの中で何が不明瞭であったか、そのことを明らかにし、不明瞭であった部分を明瞭にするという改正も加えた等々、また、勤務時間等につきましても見直しを行った、それも重要な再発防止策であるというふうに理解をいたしております。

 つまり、同じ過ちを繰り返すことがないような処置を再発防止策の中で明らかにしたということでございます。

中野(譲)委員 そうしますと、在日米軍の基地が日本に幾つかありますよね。どの基地にもこの再発防止策は適用され、飛行機とかヘリコプターとかいろいろ飛んでいますが、すべてにこの再発防止策は適用されるという理解でよろしいんでしょうか。

海老原政府参考人 基本的にはそういう理解でよろしいと思います。

中野(譲)委員 きょうは、時間が来てしまいましたので、また次回に質問を続けたいと思いますが、かつての航空機事故の中で墜落等の事故が六十何件あって、それで報告書がない、再発防止策を日本政府が入手をしていない中に、例えばこの間落ちましたヘリと同型のものが過去も何回か落ちております。

 そして今、岩国とか横田とか厚木、嘉手納とか、ほかの基地がありますけれども、そこに配備をされている飛行機の中でかなりのものがかつて事故を起こしているんですが、事故を起こしているときに、報告書だとか再発防止策という話が、何か防衛庁からいただいた資料だとそういうのはやっていない。やっていなくて、何度か落ちたり、何度かそういうアクシデントに見舞われているというものがあるということだけをちょっときょうは最後に申し述べさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

小林委員長 次に、村越祐民君。

村越委員 民主党の村越祐民でございます。

 私は、本日は、国連の安保理改革、それから安保理の常任理事国入りをめぐることに関して御質問をさせていただきたいと思います。

 国連というのは、言うまでもなく、世界で唯一の普遍的な組織だと思います。つまり、最近言われることがありますが、諸国連合みたいな形ではだめなんだと思っています。

 九月に第五十九回の国連総会が開かれまして、そこで、今マスコミの報道等なんかを見ますと、にわかに日本の常任理事国入りの議論が非常に沸き起こっているという感じがしています。これは多分、この安保理入りというか、安保理改革をめぐる議論が十年ぐらいずっとなされているのに出口が余りはっきり見えてこないという理由と、もう一つは、小泉首相がそこで演説をされまして、いわば宗旨がえをなさった。かつては安保理常任理事国入りには非常に消極的なスタンスだったのに、そこで急転回、常任理事国入りを目指すんだというような演説をされたことが、今議論が沸騰している原因かと思います。

 国連改革は必要なんだということだったり、あるいは日本が国連の中で重責を担っていくべきだということに関しては、大方世論の合意があるんだと私は思っています。ただ、そこで日本が何をしていくべきか、あるいは何ができるのかという議論が全くなされていない。つまり、いわば常任理事国入りというのが自己目的化してしまっているんじゃないかというふうに私は思っています。ですから、まず常任理事国入りをするんだという結論ありきではなくて、プロセスというか中身の議論をしっかりしていかなくてはいけないと私は思っています。

 そこで、本日は、何点か、主に外務大臣にお伺いをしたいんですが、まず一点目に、どうして我が国は常任理事国入りを目指しているのかということをお伺いしたいんです。

 つまり、前任者の川口大臣は、私はテレビで見ていたんですが、どうして入りたいんだと聞かれて、そこにあるからだというふうにおっしゃいました。英語で多分ビコーズ・イッツ・ゼアという、そこに山があるから登るんだというような言い回しかと思うんですが、これは論理として私は甚だ薄弱だと思います。そこに山があるから登って、遭難して命を失ったということは幾らでもあるわけでして、安保理に関してはそういうことはないと思うんですが、非常に私はもっと別の説明をしていただきたかった。

 そこで、新任の町村大臣はどのようにお考えになっているのか、合理的な説明をぜひしていただきたいと思います。

町村国務大臣 これは、日本が常任理事国入りすること、日本にとっての意味、また国際社会にとっての意味、私は両面からそれはあるのではないかな、こう考えているわけであります。

 では、日本にとっての意味というのは何だろうかということを考えたときに、やはり日本自身の国益に直接かかわりのあることがいろいろ安保理の場で決まっていく。そこの中に日本自身が、国連における政策決定過程の中に常任理事国ということで恒常的に、かつ深くかかわる。その場で我が国が発言をし、日本の利益をそこで実現をしていくことがより可能になる。もちろん、非常任理事国でも、あるいは一国連のメンバーでもそういうことは常にやっていかなきゃならないんですけれども、常任理事国になると、よりそのことが可能になりやすくなるということであろうかと思います。

 特に日本の場合は、武力行使というものをせずに国際の平和と安全の確保ということにこれまでも力を尽くしてきたわけでございまして、そういった面で、より建設的な役割を果たすことができるようになるだろう。

 もう一つ、もし日本にとっての意味というのがあるとすると、やはりその場でのいろいろなやりとり、中には秘密会もあるでしょうし、いろいろな情報交換がより密接に行われることによって、日本は専守防衛という形でいろいろな世界の動きを的確にやはり把握をしていくということが日本の平和と安全を守ることにもつながる。そういう意味で、ある意味ではより情報入手をしやすくなるとでもいいましょうか、あるいは、情報交換をいろいろな国々の責任ある人たちとやることによって、情報入手もより可能になってくるという面もあるのではないだろうか、こう考えております。

 では、国際社会にとって日本が常任理事国になることの意味というのは何だろうかなということを考えましたときに、やはり日本は何といっても世界第二位の経済規模を有しているということ、そしてその反映として国際社会に、要するに、国連の非常に多くの分担金を、二割近く負担をしているということからしても、より責任ある大きな国が安保理事会という場で責任を果たしやすくなるということもあります。

 もう一つは、今の常任理事国五カ国のうち、アジアは中国一カ国であります。これは今の世界のバランスからいってもいかにもアンバランスだ。アジアの代表性というものが低いのではないだろうかということが言えようかと思います。

 さらに、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、他の常任理事国と違って、日本は非核兵器保有国ということでありまして、特に軍縮とか不拡散の分野で積極的にこれまでも外交努力を日本は展開をしてきたつもりでございますけれども、そのことがより一層大きく安保理の場で発言ができてくるといったようなこと。

 こういうことで、日本及び国際社会にとって、日本が常任理事国入りするということは非常に意味のあることだし、また必要なことである、私はこんなふうに考えているわけでございます。

村越委員 よく実効性とか正統性という二つのキーワードを使って御説明になることがあるかと思うんですが、実効性の話は今よくわかりました。

 ちょっと正統性というもう一つのキーワードに関して補足を、敷衍をしていただけると大変ありがたいんですが、お願いします。

町村国務大臣 ちょっと言葉の定義で、正統性とおっしゃる意味をもう少し私に教えていただきますと、何らかのお答えができるかと。

村越委員 外務省のホームページを見て御質問させていただいているんですけれども、副大臣が何かお話をしたそうな感じでしたので、ぜひ御答弁いただければと思います。

逢沢副大臣 正統性をどのように説明すべきかということでありますけれども、これはだれしも理解ができることだと思います。

 国連が創設をされた六十年前、来年でいよいよ六十年を迎えるわけでありますが、当時の、国連スタートのときの加盟国の数、四十また五十弱であったというふうに思います。しかし、今日、国連に加盟をする国の数、百八十あるいはまた百九十近くということで、全く加盟国の数も変わってまいりました。

 六十年前の日本、まさに終戦直後の状況でありまして、一人当たりの所得、日本のGDP、あるいはまた技術力、世界に対する貢献をする力、そういうものは非常に狭い、また乏しい状況でありました。

 今日、世界のGDPの、円・ドル為替レートにもよりますけれども、一四%ないし一五%を持つまさに世界第二位の経済大国。しかも、特許の出願件数等の動きを見ておりましても、いわゆる先端的な技術、新しいものをつくり出していく、創造していく、そういう面でも大変大きな力を持っている。そして、先ほど大臣からも答弁がございました、唯一の被爆国として軍縮、不拡散、こういう面に、被爆国の体験に基づいた非常に説得性のある外交活動も展開をしてまいりました。ジュネーブにおきます日本の活動も、自画自賛になってもいけませんけれども、各国から高く評価をされてきた。そういう面も付言をいたしておきたいと思います。

 そういった状況を全体的にバランスよく考えたときに、日本がまさに国際社会の安定、安全のために、その持てる能力、また世界から受けてきた高い評価、そういうものをベースにより重い責任を果たしていこう、そういう意思と決意を持つということは、まさに正統性があるということで、高く国際社会からも評価がいただけるもの、私どもとしてはそのように理解をいたしております。

村越委員 大演説をいただきまして、ありがとうございます。

 もう一点ちょっとお伺いをしたいんですが、大臣が常任理事国入りに向けてロードマップをお示しになっていると思います。まず最初に、国際機関との協調を促進する。二つ目に、安保理改革を行う。安保理改革がなされるか、行うか、わかりませんが、とにかく二つ目に安保理の改革があるんだ。そして最後に、日本が常任理事国入りをするんだというふうに、三段階で説明がよくなされていると思うんですが、これは何も考えずに素直に読むと、順序が違うのかなと思ったりもするんですね。

 つまり、国際社会と協調はしなければいけない、それはそうです。ところが、次に日本が安保理の常任理事国入りをして、それから安保理改革を行う、これだったら非常にわかりやすいんですけれども、あえて二番目に、日本が常任理事国入りする前に安保理改革が行われるあるいは行うというのが来ているのは、何か特段理由があるんでしょうか。ぜひお聞かせください。

町村国務大臣 今、国連全体の改革、その中にはもちろん安保理も含まれるわけですが、国連事務総長の諮問機関的な存在がありまして、我が国からはそのメンバーの一人として緒方貞子さんが入っておられます。十二月早々にはそこからレポートが出てくる。私はまだ、その原案の一部をちょっとかいま見たことがございますけれども、相当幅広く、膨大なものでございます。

 もちろん、その主要な課題の一つは、安全保障理事会をどうするのかというようなこと。しかし、それについても、確かに今、この間の国連総会でも、いろいろな国々が安保理は改革しなきゃいけないということは言っても、いろいろな考え方がある。現状維持でもいいと多分内々思っている国々もあるでしょうし、また、非常任理事国だけを拡大すればいいとか、常任理事国だけを拡大すればいいとか、あるいは両方であるとか、あるいは拒否権つきの国はふえてはいけないとかいいとか、いろいろな考えがある。それをある程度集約したものが出てくると思います。

 しかし、それがある程度方向性が見えてこないと、では日本がその一員としてなろう、今私どもは、他の今の常任理事国と同じであるべきだ、これは小泉総理も先般委員会で述べておられましたけれども、拒否権の有無によって何かAクラスの常任理事国とBクラスの常任理事国みたいのがあるのはおかしい、そういうのは、差があるのはおかしいという意見を言っておられましたが、しかし、差があってもいいという意見も実はあるんですね。その辺が、ある程度フレームワークが、皆さんがそうだなというのが見えてこないと、なかなか日本としての主張がしづらい部分もある、現実性が見えてこない部分もあるということもあるものですから。

 私どもは、もうある種の選挙運動を始めているわけでありますが、しかし同時にやはり安保理そのものも改革されていかないと、現状のままでいいという結論になれば何の運動も意味がなくなってしまうわけですから、そういう意味での後先という感覚があるんだろうと思います。

 ただ、もちろん安保理だけではなくて、それぞれの国際機関のあり方、非常にこれは、日本の行政改革というのを今やっておりますが、行革的感覚から見ても、明らかにこれはむだが多いとか、幾つもの問題点があると思いますので、そうした国連の全体の改革の一貫としての安保理改革だ、こういう位置づけではなかろうかと考えます。

村越委員 今大臣が若干お触れになりましたけれども、ハイレベル委員会というのがありまして、その報告書では、新しい常任理事国には拒否権は付与しないんだという旨の答申がなされる予定になっているような報道が既になされているわけですけれども、最新の状況に関してどのように把握をされているのか、また、仮にそうだとして、どのように対応をされていくおつもりなのか、お聞かせいただければと思います。

町村国務大臣 十二月の二日にハイレベル委員会の報告書が提出される予定というふうに聞いておりまして、十一月の三日から五日まで、ニューヨークで最終的な会合が開かれた、こう聞いております。したがって、どういう議論が行われたかということを含めて今議論中のところに、我々がああだこうだという余りコメントをするのはいささか失礼に当たるものですから、余りコメントはしないことにしております。

 したがって、一部のマスコミで、新しい常任理事国には拒否権を付与しないというのがあたかも結論として出てくるというふうに報道されておりますが、必ずしもそうではないのかもしれません。その辺はまだ議論をしておられるでしょうし、きっと事務局がペーパーを書いたり消したりして、また各委員と相談をしている、そんな最終的な詰めが行われている段階ではなかろうかな、このように私は思っております。

村越委員 先ほど専守防衛というふうに大臣おっしゃいましたけれども、これは、端的にお伺いしたいんですが、常任理事国入りをした際には軍事的な貢献というものが義務づけられるんでしょうか。どうなんでしょうか。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 国連憲章上、常任理事国とその他の国連加盟国との間で、集団安全保障を含め、異なる義務が課されておらず、我が国が常任理事国入りすることによって、海外において武力行使を行う必要は生じません。

村越委員 そうはいっても、事実上、常任理事国入りをした際に軍事的な貢献が要求されるんじゃないかという、危惧する声を至るところで散聞するわけですけれども、では、仮に我が国が成功裏に常任理事国入りを果たしたとして、国連の安保理で集団的自衛権の行使に該当するような安保理決議がなされることというのは十分起こり得るわけでして、その際にはその決議には従えないということになるかと思うんですが、それで果たして、ほかの常任理事国、日本が常任理事国になって、国連というか世界で本当に信頼が得られるようなことになるんでしょうか。あえて申し上げておくと、私は当然集団的自衛権は行使できないという立場なんですが、あえてちょっとお伺いしたいと思います。

町村国務大臣 この点は、日本の現行憲法で、常任理事国入りすることには何一つ問題は発生しない、まず法律的にそういう問題は、あるいは条約的に問題は発生しないということでございます。ただ、委員御指摘のようなそういう声が、それは他の加盟国から上がるかもしれないという御指摘であれば、それはそのおそれは排除しないと思います。

 ただ、現実には、例えば我が国も、かつてやっておりませんでしたけれども、国連のPKO活動というものに、いろいろな大議論を経た上で、これに現在は参加をいたしております。もちろんそこでは武力行使はしておりませんけれども、紛争後のまさにピースキーピングのためのいろいろなオペレーションに参加するなど、日本が世界の平和づくりにさまざまな面で活動しているということについての評価は、私はかなり国際的にはある、こう思っております。特に、カンボジアとか東ティモールにおける日本のPKO活動などというのは、これはどの国際機関、どの国連関係者に聞いても、それはすばらしい評価を得ていると言っても決して過言ではない、こう思っておりますので、戦闘行為に参加しなければ評価を受けないだろうということには私はならない、こう思っております。

村越委員 一点だけ大野長官にお伺いしたいんですが、今町村大臣からお話がありましたが、防衛庁としては、常任理事国入りした後に自衛隊をどうするかというような検討あるいは研究をされているんでしょうか。

大野国務大臣 常任理事国入りのためにとか、常任理事国入りをした後の日本の自衛隊の役割、結論から申し上げますと、そういう検討は全くやっておりません。

 ただ、一言申し上げたいのは、先ほど津村議員と議論させていただきました。安全保障というのは、もっともっと幅広い視野から検討するべきじゃないか。そういう意味で、ピースメーキング、これは武力行使が必要ですけれども、ピースキーピング、これは鉄砲を撃たなくても軍事力を使わなくてもできるわけでございます。ただいま町村外務大臣がおっしゃったとおり、まさに日本はピースキーピングという立場から世界の平和と安全に貢献できるのではないか。予防措置、それから事後の措置ですね。そういう意味で、私は、日本としてもそういう道を開いていくべきではないか、このように思っております。

村越委員 ちょっと時間がなくなってきたので、何点かだけお伺いをしたいんですが、非常に常任理事国入りに向けては高いハードルがあるかと思います。加盟国の支持を取りつけなければいけないわけですけれども、そのために具体的にどういったことを取り組んでおられるのか、どういう外交努力をしておられるのか、お答えいただきたいと思います。

町村国務大臣 既に、先般の国連総会の場でも、六十カ国近い国々が日本の常任理事国入りに、五十数カ国です、ちょっと正確にはあれですけれども、五、六十カ国が既に日本の常任理事国入りに賛成をするという演説をしておられます。しかし、全体から見るとまだ、どうでしょう、四分の一前後ということでございますから、そういう意味で、まだまだ努力をしなければいけないな、こう思っております。

 具体的には、これからいろいろな国々に私どもも参ります。あるいは、先生方にもいろいろな国々に行っていただく場合がある。そんな折に、先方政府要人あるいは有力な政治家等々に会っていただく際に、ぜひこれを話題に供していただき、働きかけをしていただくということをお願いできたらばありがたい、こう思っております。

 ちなみに、例えば一例でございますが、先般、アフリカ諸国、TICADフォローアップ会合といったようなものがございまして、アフリカのビジネスマン、政府の方々と、日本の政府あるいはビジネスの方々が会議を開くというような場がございまして、非常にアフリカは国の数が多いものですから、そういう意味で、アフリカの皆さん方にもそういう機会をとらえてお願いをしたり、あるいは、アフリカ・ユニオン、AUというのがございまして、そこの委員長にも、私、直接会ってお話をしました。若干のリップサービスかもしれませんが、AUを挙げて日本の常任理事国入りを支持する、そんな声明をつくることも考えようか、そんな話まで出たところでありまして、AU、アフリカ全体は日本の常任理事国入りにはかなり好意的ではないか。

 しかし、それに甘えてはいけないので、この辺も一つ一つしっかりと働きかけをしていくというような努力をすることもこれから一生懸命やっていかなければいけない。特に、副大臣、政務官の皆さん方にも積極的に票集めをやっていただこうかな、こう思っているところでございます。

村越委員 ちょっと、時間だということなのでこのあたりにしておきますが、いろいろとまだお聞きしたいことがありますので、またの機会にやりたいと思います。

 ただ、いろいろ、今大臣、非常に頑張っておられるという旨の報告がありましたが、残念ながら、一番おひざ元の中国ですとか韓国ですとかは、いろいろな懸念があるということを既に声明を出しておられます。おひざ元から火の手が上がっているような状況ではなかなか難しいかと思います。その点に関してもいろいろ御配慮をいただけたらと思っております。

 また御質問させていただきたいと思います。終わります。

小林委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 民主党の若々しい議員の皆さんがはつらつと質問された後に、ちょっと古手でございますが、質問させていただきます。中身で若々しくいきたいと思います。

 私は、きょうは武器輸出三原則の問題に限定してお話をさせていただきたいと思います。

 この問題は、佐藤内閣の昭和四十二年、そしてその後三木内閣の五十一年、さらにその後中曽根内閣、五十八年、こういうふうに三つの内閣で、当初は、共産圏諸国への輸出、あるいは紛争当事国、あるいは国連決議によって対象となった国、そういったことで武器輸出をしないということからスタートして、次の段階にはそれ以外の国にも武器輸出をしない、そして中曽根さん、きょう実は先ほど憲法調査会の公聴会に登場されたんですけれども、中曽根さんのときに、対米武器技術の部分については輸出の対象にする、武器輸出原則の中に対米技術供与については例外とする、こういった仕組みが出てきて以来二十年ちょっとたつんですかね。

 そういう歴史的経緯を踏まえて、過去いろいろな議論が政治の場あるいは国会の場でもあったと思うんですが、前防衛庁長官の石破さんのときですか、去年の暮れからことしの初めにかけて石破長官の発言等をめぐって国会の中でもその真意を問いただす場面がありました。それからまた半年以上たって、今総理大臣の私的諮問機関である、先ほど来お話が出ております安全保障と防衛に関する安防懇という場で、非常に重要なというか提言があったということでございます。

 この問題については、近過去の国会での議論を振り返ってみますと、余り生産的な議論がされていないというか、突っ込んだ話が行われていないという印象を受けますね。大野長官は、大臣に就任されてから一度、予算委員会で自由民主党の委員の方の質問に答えられて、技術力の問題、コストの問題、防御兵器あるいは中古兵器の問題などの、問題あるという所在を指摘された上で、安保防衛懇談会による議論を、少なくとも対米についてはこの武器輸出三原則を緩和したらどうかとの議論が出てまいっております、こういうふうな表現でもって紹介をされて、さらに、関係各省で研究しておりますが、国際紛争は助長してはならないという原則のもとにこれからも真剣に検討してまいるつもりです、こういうふうに述べておられるわけですね。

 これは、先ほど申し上げました、石破前防衛庁長官が、野党の皆さん中心にその御自身の発言の真意を追及されたときに、政府は一度として見直すと言ったことはない、一度も見直すとは言っていない、この問題、国会、政治の場において御議論いただくべきものとの認識を示されたという経緯がございます。

 この石破長官の言った、政府は一度も見直すとは言っていない、国会、政治の場において御議論いただく、こういうことが前大臣の発言としてあるわけですが、それと、それ以降、安全保障防衛懇談会の提言を受けて、新しい防衛庁長官の先ほどの予算委員会の発言、これからも真剣に検討してまいるつもりというのは、この二つの前大臣と今の大臣との間に何か違いがあるのか。新しい一歩を踏み出そうとしている発言なのか、あるいは、いや、全然変わりませんよ、前大臣のときと全く変わりませんということなのか。その辺の違いについて、まず大臣から見解をお述べいただきたいと思います。

大野国務大臣 大変アップ・ツー・デートなトピックを取り上げられまして、赤松先生の若々しい御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 まず、前長官は、そういう検討ということを公式の場で言っていないということだろうかなと思います。問題点は常にいろいろな場面で検討されておるのではないかと思いますけれども、問題は、この武器輸出三原則の問題が表へ出てきましたきっかけとなるのが、やはりBMDの日米間の共同技術研究の問題であります。

 共同技術研究、技術につきましては、先ほど赤松先生おっしゃったとおり、中曽根内閣、昭和五十八年だと思いますけれども、五十八年に、技術についてだけはアメリカに輸出してもいい、こういうような解禁が行われておりますけれども、日米共同技術研究、これがBMDについてなされております。やがて、このBMDの共同技術研究というのは、共同開発それから共同生産という段階に移行していくわけでございます。そのときにどういうことになるんだろうか、それはやはり一つの研究課題ではなかろうか、こういうふうに思っております。

 例えばBMDについてどういう問題があるのかといいますと、私は技術的にはよくわかりませんけれども、例えば日本で技術力がすぐれておりますノーズコーンそれから赤外線シーカー等、少なくとも四つのものが挙げられているということであります。したがいまして、そういう段階になったときに一体どういうふうにしていくんだろうかという問題が一つ、これが議論が起こったきっかけであります。それからもう一つは、やはり技術力、こういうような共同開発とか共同生産に乗りおくれるといいますか参加していませんと、日本の技術力が相当落ち込んでくるおそれがあるのではないか、こういう問題があろうかと思います。さらに、最近では、コストの問題も議論の対象とはなっております。

 しかし、それらはすべて、一番大事なことは、赤松先生もおっしゃったように、日本は平和国家である、国際紛争を助長しない、この基本的な理念が一番大切なことでありまして、この国際的な、国際紛争を助長しない、平和国家としてそういうメッセージを送ってきたわけでありますから、そのもとでどういうふうな議論が出てくるんだろうか、そういう問題意識のもとに、御指摘の安全保障と防衛力に関する懇談会でそういう示唆が出てきている、このことをせんだっての予算委員会で申し上げたわけであります。しかし、示唆が出てきただけで、この示唆に基づいてどういう議論を行っていくか、やはり研究、検討していかなきゃいけない、そういう段階に来ているということを私は申し上げたつもりでございます。

赤松(正)委員 ということは、石破さんのときよりは大きく変わりつつあるということだろうと思うんですね。

 そこで、今、BMD研究ということが一つのきっかけ、そして二つ目が、開発、生産という段階を前にして、そういった場面が起きてきたときにどう対応したらいいかという問題があるよ、コストの問題もあるよ、こういう言ってみれば各省庁との議論、防衛庁の中での議論のさわりの部分をおっしゃっていただいた。その辺は既にもう何ら新しいことではないわけですけれども。

 そこでちょっとお聞きしたいのは、その開発、生産、今は技術研究の段階、そして開発、生産というのは、長さ、時期として、今からどれぐらいの段階でその時期を迎えると思っておられるんでしょうか。

大野国務大臣 大変難しい問題でありますけれども、BMDにつきまして、その将来的な開発あるいは生産段階、配備段階、これをやはり念頭に置いているわけであります。BMDにつきましては近い将来配備計画がある、そういうことでありますが、その問題は、やはり今後の国際的な情勢を見きわめていくということも大事である。

 では、その判断を行うべき時期はいつなんだろう、こういう問題があります。開発それから生産、配備、こういうプロセスですね。国際情勢を見きわめて、この配備をやっていくのがいつなんだろうかというのが終点として、最後の問題点としてあるわけですけれども、その判断を行うべき時期でございますが、今のところ確たることを申し上げられる段階ではありません。判断に際しましては、今後の国際情勢に加えまして、共同技術研究がどういうふうな状況になっていくんだろうか、BMDの将来的な能力向上のあり方、こういう点も検討していかなきゃいけない問題であります。

 こういうことを念頭に置きながら、やはり武器輸出三原則の問題につきましては今後の検討課題として認識しておりまして、先月四日に提出されましたいわゆる懇談会のレポート、このレポートの提言も踏まえて、引き続きいろいろな角度から検討していかなきゃいけないな。時期はいつだと言われますと、ちょっと今は難しい、はっきり申し上げることができないということが答えでございます。

赤松(正)委員 ということは、国際情勢を見ながら、今私が申し上げたようなことは、今時期はどうということは言えないということなんですが、そうすると、ことしの末に計画をされる新しい防衛計画の大綱あるいは中期防の見直しというこのテーマのらち外、こういうとらえ方でよろしいんですね。

大野国務大臣 ここのところもまた難しい問題でございまして、らち外からち内かと言われますと、それは、議論が集約しまして、そして結論を得る段階に来るかもしれないし、それから来ないかもしれません。しかし、もう明らかに問題の所在はわかっております。その問題の所在を議論してどういう結論を出していくのか、その点について国際情勢とかいろいろな先ほど申し上げました要素があるわけでありまして、枠の中にあるのか外なのかと言われますと、これもちょっとお答えに困る問題でございます。

赤松(正)委員 それは、私としましては、ちょっとはぐらかされたという感じがしますね。要するに、国会の場、政治の場。政治の場では、今我が党は大議論の最中なんですが、自由民主党の、副長官なんかがなられる前、今はもう部会長等が一生懸命苦労されて、もう既に一定の成案を見ているわけですね。

 それで、私思ったのは、総理大臣がこのテーマ、いなくなっちゃったけれども松本委員なんかが野党の質問をしたときでも、まずまともに答えておられない。同じ決まったフレーズを繰り返しておられるんですね、もうここで私は繰り返しませんけれども。つまり、余りまともな議論が国会の場ではされていない。それで、ある日突然に、与党としても、私の方はまだこれからなんですけれども、それなりの議論があったからこういう方針を出せよ、こう言っても、これはいろいろな意味でなかなか難しい答えになろうと思うんですね。そういう点では、もっと積極的に政府の側の物の考え方、さわりだけじゃなくて、もっと抱えている問題を詳しく言われないと、そのままずるずるっといってあれするというのは、ちょっとこちらとしてもなかなか賛同しがたいものがあるということがありますが、少し違うことを言われるでしょうか。

大野国務大臣 まず、この問題を安全保障と防衛力に関する懇談会できちっとまないたの上にのせた、これは御認識いただけるし、我々もそれは一つの示唆であると。

 問題の所在は、先ほど申し上げた点であります。そのほかにも、もう先生御存じのとおり、やれヘルメットがどうかとか、防弾チョッキがどうかとか、あるいは中古護衛艦の売買はどうなるんだろうか、こういう問題はあるわけでございますけれども、やはり基本的には、BMDの共同技術研究、これがきっかけになっている。将来、日本のBMDの配備の問題がある、こういうことであります。

 その時期について明快に申し上げられないというのは、いろいろな議論がこれから始まるわけで、既に安全保障会議でも議論が始まっているわけでございますし、御指摘のように自民党でも議論されている。こういうことをどんどん議論していただきたいな。長年これは、昭和四十二年からこういう武器輸出三原則をつくって、これを守ってきた国であります。念頭には、やはり平和国家として国際紛争というのを助長しちゃいけない、こういう大きな大きな哲学がある中での議論であります。

 だから、大いに議論しなきゃいけない、しかしキックオフはしなきゃいけない、こういう状態になっておるので、答弁が極めて明快でない。私自身は大変明快な男と思っているんですけれども、大変明快でない、ここはお断りいたしますけれども、やはり日本がずうっと守ってきた平和国家というメッセージ、出し続けてきたメッセージ、その中でどうやっていくかという問題でありますから、本当に議論をしていただいて、しかるべき回答を出していかなきゃいけない、我々も真剣に検討しよう、こういうふうに思っておるところでございます。

赤松(正)委員 今の長官の判じ物のようなお答えで、私としては、これはことし末までに急がなくてもいい、こういうふうに思ったわけでございますが、首をかしげられたということは違うのかな。

 いずれにしましても、この問題は、長官御自身もおっしゃったように、極めて日本の基本的なあり方というものを示す非常に大事なテーマでございますので、しっかりと、もっとオープンに議論をしていかなくちゃいけない、そんなふうに思います。

 そこで、世界の紛争に手をかしてはいけない、こういうふうな一つの理念、長官も先ほど来繰り返しておられる日本の国是としての方向性というものを、この武器輸出三原則というものにしっかり盛り込まれている理念というものを大事にしていかなくちゃいけない、これは私たちもそのとおりだと思うんですが、その中で、先ほどちょっと大臣がおっしゃったことに関係して、例えば、国際テロというものがかつてより一段と大きく世界史の表層に突出してきたということがあるわけです。

 そういった点で、私は、国際テロに中立はない、こういうふうに思うんですけれども、そういうテロを防ぐいわゆる防護兵器といいますか、さっきヘルメットだとかなんとかという話が、ヘルメットがテロに対する防護兵器とは思わないんですけれども、そういうものとのいわゆるいろいろな今議論がなされている中で、一つよく出てくるのが、武器の概念というか、武器のどこまでが輸出を禁止するに値する武器なのかそうでないのか、こういう議論がよくなされるわけですけれども、現時点でそういう武器をめぐる基準を持っておられるのかどうか、事務方に答えていただきたいと思います。

大井政府参考人 お答えいたします。

 武器の規制は現在外為法で行われているわけでありますが、その外為法で経済産業大臣の許可を必要とする、こうなっているわけであります。

 具体的にどういうものを許可し許可しないか、こういう判断の基準として武器の定義も挙げられているわけですが、その中で挙げられておりますのは、武器とは軍隊が使用するものであって直接戦闘の用に供するもの、こういう概念で対応しているというところでございます。

赤松(正)委員 もう少し詳しく言ってほしかったんですが、もう私の持ち時間が終わりましたので、以後また機会があったら引き続きやるということで、きょうはここまでにしたいと思います。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

小林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十五分散会


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