衆議院

メインへスキップ



第2号 平成18年2月27日(月曜日)

会議録本文へ
平成十八年二月二十七日(月曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 寺田  稔君 理事 仲村 正治君

   理事 吉川 貴盛君 理事 神風 英男君

   理事 長島 昭久君 理事 佐藤 茂樹君

      安次富 修君    石破  茂君

      小里 泰弘君    大塚  拓君

      北村 誠吾君    高木  毅君

      谷川 弥一君    福田 良彦君

      宮路 和明君    山内 康一君

      山崎  拓君    内山  晃君

      細野 豪志君    前田 雄吉君

      渡辺  周君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   外務大臣政務官      遠山 清彦君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   増田 好平君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   小島 康壽君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鶴岡 公二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            吉川 元偉君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 この際、塩崎外務副大臣及び遠山外務大臣政務官より、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。塩崎外務副大臣。

塩崎副大臣 外務副大臣の塩崎恭久でございます。

 浜田委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げたいと思います。

 国際社会において未解決の問題が山積する中、我が国の安全と繁栄を確保し、国民の生命と財産を守ることは、政府が取り組むべき最優先課題であります。私は、麻生外務大臣を補佐し、我が国が直面する外交、安全保障上の諸課題に全力で取り組む考えです。

 委員長を初め本委員会の皆様の御指導と御協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。(拍手)

浜田委員長 次に、遠山外務大臣政務官。

遠山大臣政務官 外務大臣政務官の遠山清彦でございます。

 浜田委員長を初め委員各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 外務大臣政務官としての職務を全うするため、麻生外務大臣の指導のもと、我が国の外交、安全保障上の諸課題に全力を尽くして取り組む決意でございます。

 浜田委員長を初め本委員会の皆様の御指導と御協力をいただきますよう心からお願いを申し上げて、ごあいさつにかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

浜田委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官増田好平君、防衛庁防衛参事官小島康壽君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長飯原一樹君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁業務部長長岡憲宗君、外務省大臣官房審議官鶴岡公二君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、外務省北米局長河相周夫君及び外務省中東アフリカ局長吉川元偉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 自民党の岩屋毅でございます。

 午前中のイラク特に引き続きまして両大臣は大変お疲れさまでございますが、今国会初の当委員会一般質疑でございます。これから三時間、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 いろいろな問題が山積をしております。万般にわたってお聞きをしたいのでございますが、時間の関係もございます。とりわけ米軍再編問題については、後ほど同僚の安次富委員の方からお地元のお立場も含めて質問をしていただけるものと思いますので、その他の問題について両大臣に伺ってまいりたいというふうに思います。

 最初からちょっと嫌な話で恐縮なんでございますが、さきの委員会でも話が出ておりました海自の秘密情報の流出事案について、触れざるを得ない問題であると思いますので、最初にそのことをお伺いしたいと思います。

 こういう重要な情報が流出をしてしまったということは、甚だ遺憾に私どもも思っております。当初、余り大した情報ではなかったんだというような説明もありましたけれども、きのうきょうになりまして、なかなか重要な機密が流出をしていたことがだんだんと明るみになってまいりました。特に、海図ソフトというものが流出したということは、極めて深刻な事態なのではないかというふうに思っております。

 言うまでもないことですけれども、軍事機密の中でも潜水艦に関する情報あるいはそれを哨戒する能力に関する情報というのは、極めて機微な、重要な情報でございます。そういう種類の情報が今般の事案によって流出したということについては、防衛庁としては深刻にこれを受けとめていただかなくてはならないというふうに思うわけでございます。

 また、これから統合運用ということも始まっていくわけでございまして、陸海空一体となった情報の管理というものが求められてくるときに、防衛庁は非常にわきが甘いということを指摘せざるを得ない、こう思います。

 また、これからミサイル防衛に関しては日米の情報の共有というものが大事になってくるわけでございますけれども、こういう事案が相次ぐようなことであっては、私は、米側の信頼も得ることができない、そういうふうにも感じるわけでございまして、防衛庁は今回の事案を受けてどのような対応を今とっているのか、またこれからとろうとするのか、この件について長官のお考えを聞かせていただきたい、こう思います。

額賀国務大臣 岩屋委員御指摘のとおり、今回、海自の秘密情報流出事件というものが起こりました。極めて遺憾なことであり、組織の責任者として、私も先般、防衛庁職員それから自衛隊の幹部数百人を集めまして、秘密保全体制それから綱紀粛正について訓示を行ったところであります。私といたしましても、再発防止策のために全力を尽くして、国民の安全を守るための体制をしっかりとしたいというふうに思っております。

 防衛庁としては、二月二十二日、護衛艦「あさゆき」の所属する海上自衛隊佐世保地方総監部に、事実関係の調査を行うため、事故調査委員会、委員長を総監部幕僚長、を設置するとともに、同二十三日、海上自衛隊としての再発防止策を検討するための、海上幕僚監部に海上幕僚副長を長とする特別委員会を設置したところであります。また、これは海上自衛隊のみの問題ではないわけでありますから、防衛庁全体としてしっかりと取り組むために、二十四日、情報を担当している高木政務官を長として、官房長、全局長等を網羅した、庁内全機関の長を含めて、検討会を設置したところでございます。

 これによって、とりあえず、私は、緊急の対策といたしまして、職務上使用する私有パソコンからファイル共有ソフトの削除を確認すること、私有パソコンに業務用データが保存されている場合には秘密の情報及び必要のないデータを直ちに削除すること、現在、許可を得れば職場において私有パソコンにより秘密の情報の取り扱いが認められているところ、これを全面的に禁止するということを全体的にきちっとフォローしなさい、一人ずつ点検をして、これが浸透するようにしなさいという話をしたところでございます。

岩屋委員 先ほど長官から説明があったことに加えて、私が承っておりますのは、例えば海自の現場で使っているパソコンを机にくくりつけて動かないようにするとか、笑っちゃいけませんが、笑ってしまうようなことも含めて対応を講じていただいているみたいですが、私は、私物のパソコンをかなりの自衛官が職場に持ち込んでそれを使っているということも聞いております。

 これは、先ほど委員会で長官がおっしゃったように、まあ日本人はやり残した仕事を家に持って帰ってまできちんとやり遂げてくるんだということもあるんだろうというお話もございましたけれども、事は軍事機密にかかわる問題でございますから、官製パソコンという言い方はちょっとおかしいのかもしれませんが、必要な機材はきちんと、私物を使わなくても重要な業務についてはこれがとり行えるようにするということも含めて、しっかり対応していただきたいと思いますし、高木政務官が全体の委員長さんということでございますので、しっかりこれは取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 それから、時間がありませんので次に行かせていただきますが、もう一つ嫌な問題で恐縮ですけれども、談合事案についてでございます。

 私は、こういうことが続いて、防衛庁に対する信頼が著しく損ねられているということを大変残念に思います。日本の安全保障にとっても今非常に大事な局面を迎えているわけでございまして、今般の事案については甚だ遺憾に思っているところでございます。

 今、庁内でも検討委員会や調査会が作業をしていただいておりますし、党の方でも浜田委員長が座長になっていただいて検討プロジェクトチームができておりまして作業を続けているわけでございますが、当初額賀長官はたしか解体的出直し、こういうことをおっしゃったと思います。しかし、その後、直ちに解体、統合ということを明言されたわけでございます。

 考え方としては私ももちろん理解をしているわけでございますが、施設庁という組織を解体してしまって本庁に取り込むんだという判断は、ある意味ではいささか早かったのではないかなという感じも当初正直いたしました。

 なぜならば、ただ必要な施設をつくっていくという建設部門の話だけならいいのでございますけれども、言うまでもないことですが、施設庁は、米軍の基地関係の渉外あるいは自衛隊の基地の関係の渉外、この極めて厄介な、困難な仕事を一手に引き受けて今日までやってきたわけでございます。

 この機能はもちろん今後とも極めて重要な機能で、果たして、解体をして統合するということでその機能が十分にこれからも果たしていけるのかどうか、今そこのところの検討がいまいち不十分な段階なのではないか、こう思うものですから、解体、統合案という話を聞いたときに大丈夫かなという感じが正直したわけでございます。

 この段階で確たることは長官としてもおっしゃりにくいんだろうというふうに思いますが、施設庁を解体し本庁に統合するという今後の流れをどのように現段階でイメージをしておられるのか、お聞かせいただければと思います。

額賀国務大臣 この施設庁の不祥事が新聞で報道されたときに、かつて調達本部の不祥事もあったことですから、よもや施設庁でこういうことが起こるとは夢にも思っていなかったことでございます。

 施設庁というのは一体どういう仕組みで、どういう歴史的な経緯があって今日まで来ているのかということを調べたところ、これはもともと占領軍時代の特別調達庁として機能を果たしておりました。だから、防衛庁よりも早い段階で組織が動いているわけでございまして、防衛庁が警察予備隊、保安隊、自衛隊というふうになっていく過程で、今日近くまで、採用も、技術陣は全く別組織であります。共済組合の成り立ちも、つい四、五年前までは別々の組織でございます。しかも、建設部門においては全く内局と人事交流がありませんでした。

 そういうところに停滞した動き、停滞したものがあったのではないかというふうに直感をいたしまして調べたところ、まさにそのとおりでありました。かつて調達本部で不祥事が起こった背景を見ますと、それは、コスト計算をする原価計算部門と営業の契約部門が一人の人に権限が集中し、チェック機能が働かなかったということでございました。施設庁の建設部門も全く同一的なことでございました。

 したがって、これは施設庁の組織全体を見直す必要がある。八つの局がありますけれども、仕事の発注はほとんど局でやることでございますから、それを含めて、積算部門と契約部門は分離する必要がある。しかもなおかつ、相互牽制機能を働かせるために現場と本庁というか内局との関係もつくっておかなければならないということ。それから、第三者的な監察制度とか監視部門というものもつくっていかなければならないということ。

 そういうことを考えて、まず解体はする。しかし、委員おっしゃるように、米軍基地とか日本の基地における地域住民との関連性、あるいは調和、調整を図っていかなければならないという仕事、これは日本の防衛あるいは日米関係を円滑に進めていくために不可欠であります。したがいまして、そういう機能を効率的に、透明性を保ってどういうふうに運営をしていくかということも念頭に置きながら、しっかりと形をつくっていきたいというふうに思っております。

岩屋委員 長官もお答えいただいたように、米軍や自衛隊の基地周辺の関係を取り扱う機能、これが非常に大事だと思いますので、そういう機能がある意味で損なわれることがないような解体、統合案をしっかりつくっていただきたいと思いますし、私どもも、党の側からしっかりと検討させていただいてまた提言をさせていただきたい、こう思っております。

 こういう情報流出事案や談合事案によりまして、先ほども申し上げましたように、非常に残念なことながら、防衛庁は一生懸命頑張ってくれている、自衛隊員の皆さんも国の内外で頑張っていただいているということの評価は年々高まってきていると思いますが、今日ただいま防衛庁に対する信頼が損なわれてしまっていることは事実でございまして、そのことが実は省昇格問題にも大きな影を落としていると私は思います。

 この問題については我が党も長年にわたって取り組んできておりまして、友党の公明党さんも御理解をいただく中で、あるいは野党の皆さんにも御理解をいただく中で、何とかこの国会でと実は念願をしておりましたが、非常に厳しい状況になってきたことは否めない、こういうふうに思います。

 長官は本会議の答弁でも、断念したわけではない、事案を全部片づけて対策案をつくって省昇格にも取り組みたい、こういうお話をしていただいているわけでございますが、やはり、当面の国民の皆さんの信頼を回復しないことにはなかなか難しい状況にあるんだろうというふうに思います。

 そこで、私は、今長官がおっしゃっていただいた施設庁の解体、統合、これからしっかり案をつくって、これは多分来年の通常国会に出していくということになるのでありましょうから、正直、その前にこの省昇格の問題を片づけるというわけにも実際にはなかなかいかないんだろうとするならば、この際は、この省の昇格も含めてしっかりとした案をつくって、防衛庁を省に昇格させ、施設庁を解体、統合し、新しい防衛省として来年スタートするんだというような取り組みでこれから進めていくのも一つの考え方ではないかな、このように考えるんですけれども、いかがでございましょうか。

額賀国務大臣 岩屋委員も、非常に防衛庁に思いをいたし、安全保障に非常に関心を持っていただき、精通なさっている大政治家でございます。防衛庁の省昇格について御意見をいただいたわけでありますが、基本的には共通するものがあります。

 今回の不祥事等において国民の信頼を失した感があるわけでございますから、私どもは、この問題について、できるだけ早急に不祥事についての再発防止策を国民の前にお訴えをし、そして信頼をかち取ることがまず第一であるというふうに思っております。

 したがって、先週末、言ってみれば、入札問題とか再就職の問題等々について一定の基本的な方向を出させていただいたわけでございますけれども、引き続いて、三月の中旬以降、二十日ごろまでに施設庁の組織等についての基本的な考え方を出させていただきたいというふうに思っております。それが基本的には来年の概算要求に間に合うように、組織全体の構想が描かれるようにしたいというふうに思っているわけでございます。そういう中で、今防衛庁が抱えている米軍再編とかさまざまな問題についても、これは一定の時間的な制約もあるものですから、しっかりと結論を出して、国民の皆さん方の信頼を得ることにしたいというふうに思っております。

 同時に、防衛省昇格の問題というのは、これは与党としても、それから我々も長年の懸案であり、内外ともに最近は自衛隊・防衛庁の仕事について理解を深めていただいているところでもありますので、この問題についても、国会がまだスタートした直後でもありますから、与党の皆さん方にも御議論をいただき、国会でも御議論をいただいて、しっかりと形がつくれるように最大限の努力をしたいということで思っておりまして、岩屋委員にもいろいろと御意見をいただければありがたいというふうに思っております。

岩屋委員 私は、国の防衛をつかさどるこういう役所は、防衛庁という今までの誕生からの経緯というものはあるわけでございますけれども、やはり省というしっかりとした形にすることが逆に内外の信頼を確保することにもつながると思いますし、今でももちろん責任感を持ってやっていただいていると思いますが、より大きな責任感のもとに、今日まで出てきたような事件や事案というものがもう生じることのない、しっかりとした防衛省になっていくことが大切なのではないかなというふうに思っているところでございます。この問題についてはまた機会を改めて議論をさせていただきたいと思います。

 そういう中で、当委員会は、今国会、防衛庁設置法改正案というものを審議させていただく予定であるわけでございます。本当ですともう少し静かな環境の中でこの問題を議論させていただきたかったなというふうに思うわけでございますが、これはこれとしてしっかり成果を上げなくてはいけないというふうに考えているところでございます。

 ただ、先ほど長官も答弁いただきました調本事案の反省に基づいて分離をした組織を、今度の改正ではまた一つにするというふうに一見見えているわけでございまして、したがって、チェック機能というものがかえって甘くなるのではないかというふうに一見見えることは事実でございます。そこのところがはっきりと国民に説明できなければ、今度の改正案の議論もなかなかに困難をきわめるのではないかと心配をしているところでございます。

 私ども、もちろん内容をよく承知しておりますが、実は、内部部局の監査セクションあるいは外部審議会などによってチェック機能は現状よりも強化をされる案であるということは承知をいたしておりますけれども、この辺について長官からしっかり説明をしていただきたいと思うんですね。

 本当は要請されている内容が違うわけでございますね。調本事案のときは、本当に、分離をしなければ牽制が働かないということで分けたわけですけれども、今度は、防衛庁の調達する装備品というのはライフサイクル全体できちんと見ていかなければ適正な調達にならない、そのための新しい仕組みをつくろうと。要請されている課題が違うわけで、そこらがちょっとこんがらがっているように見えるのが難点ではないかなと思うんですけれども、その点について長官からしっかりと説明をしていただきたいと思います。

額賀国務大臣 この装備本部については、委員御指摘のような経緯をたどってきたわけでございます。調本を解体し、そして契約本部をつくったことによって、これまでの過程でそういうチェック体制、第三者的な監視体制、それから職員の問題意識、意識改革というものは相当進んだものと思っております。だから、調本事件のようなああいう水増し事件というものは新しいシステムになってから、何件かあるんですけれども、ほとんどみずからの機能でこれを発見し、そしてしっかりと計算に基づいて企業から返還をさせております。だから、しっかりとそのチェック機能は働いているんではないかというふうに思っております。それから、第三者的な防衛調達審議会というものも、部外の有識者が中心となって、しっかりとチェックをしたり、あるいは具体的な例をピックアップして検査をしたりしているわけでございますから、これは緊張感が保たれているのではないかというふうに思っております。

 一方で、委員御指摘のように、日本の装備品というのは、非常に高コストで、高いものについておるわけでございます。これは、国内の需要だけしかないということでございますから競争原理もなかなか働かない、そういう中で物をつくっていることでございますので、我々も、よいものをどういうふうに安く、品質を落とさないでつくり上げるかということは、これは差し迫った課題でございます。

 したがって、委員がおっしゃるように、設計計画段階、生産、修理、それから廃棄のライフサイクル全体を見て、どういうふうにコストを下げていくかということが迫られているために、今度、装備本部というものをつくって、計画設計をする段階で既に、生産をする人たちの意見も聞く、あるいはコスト計算をしているところからも無駄が省かれているかどうかを聞く、実際に運用している人たちの意見も聞いて物の使い勝手のよさを追求する、そういう形をつくってコストダウンを図っていきたい、そしていいものをつくっていきたいということでございます。ぜひ、御議論をいただいて、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

岩屋委員 これについては、法案が出てきたときにまたしっかり議論をさせていただきたい、こう思っております。

 時間がなくなってきましたので、質問も端的に申し上げますので御答弁もひとつ簡潔にお願いしたいと思うんですが、イラクの問題でございます。

 先ほどのイラク特でも盛んにこの質問が出ておりまして、要は、もう引くことを決めたんじゃないか、これに対して政府側は、いや、そんなことはまだ決めていない、こういうやりとりでございました。

 その決めたか決めないかという問題はここで聞こうと私は思っておりませんが、いずれ、長官もおっしゃったように、出したときは当然、一般論として引くことを考えながら出しているわけですから、仮定の話ということで、もし引くことになればというお話をちょっと聞かせていただきたい、意見を聞かせていただきたいと思うんです。

 私は、陸上自衛隊の活動は、やはり法目的を達成したらできるだけ速やかに撤収させるべきなんだろうと思います。これからも国際貢献はどんどんやっていくべきだと思いますが、喜び勇んで行くというんじゃなくて、やはり実力部隊の海外での活動というのは、これは極力抑制的で今後もあるべきだと私は思っておる方でございまして、そういう意味では、目的達成したらできるだけ早く引いてもらうことがいいわけです。

 しかし一方、自衛隊は復興支援もやっていただいておりますが、我が国の外交の一部も担っていただいているわけでございますから、ここは、あらゆる観点から総合的に考えて結論を出していかなくちゃいけないんだろう。そうなりますと、ある日突然陸上から自衛隊員の姿がゼロになるという撤収の仕方で本当にいいのかどうか。

 私は、今のサマワでの活動をやめても、例えば、欧米ではプロベンシャル・リコンストラクション・チーム、こう言っているそうですが、制服の軍人さんが文官と一緒になって地域の再生、市役所がやるような仕事を現地に残ってやっていくなんという活動もあるわけですけれども、やはり何らかの形で陸におけるプレゼンスというのもあるべきではないかと思うし、空についてはむしろ、陸のプレゼンスを落としていくのであればある程度活動の範囲を広げる、あるいは拡充するという選択もあってしかるべきではないかな。

 そういう方法が今の法案で読めるのかどうかという議論はまた別にやらせてもらわなきゃいけませんけれども、私は、そういう、制服の一部が残って、そして文官と一緒に引き続いて何らかの形の復興支援を小規模にやるという方法もあるんではないかな、こう思うんですけれども、外務大臣、防衛庁長官、こういうアイデアについてどう思われるか、それぞれ聞かせていただければと思います。

額賀国務大臣 いろいろな、さまざまな報道がなされておりますけれども、自衛隊員を預かる私としては、現場で働いている、汗を流している隊員の皆さん方が、気持ちの上で動揺することなく、安心して仕事ができるようにするのが私の務めであるというふうに思っておりますので、私どもが決断するまでは私どもを信頼してしっかりと仕事をしてほしいというふうに思っております。報道に惑わされずにしっかりと仕事をしていくことが望ましいというふうに思っております。

 それから、この後のさまざまな対応についてでございますけれども、そういう時点になったら、委員の御指摘等々も踏まえて、いろいろと、イラクが引き続いて復興していくような環境づくりのために何をできるか考えさせていただきたいというふうに思います。

浜田委員長 麻生外務大臣、時間が来ておりますので、手短にひとつよろしくお願いします。

麻生国務大臣 今、二点ほど御質問いただきましたけれども、基本的には、自衛隊によります人道復興支援並びにODA等々を使いましてのイラクへの支援というものは、国際社会並びに現地から高い評価を受けているというのは、我々としても大変誇りに思っておるところであります。また、今、PRT、言われましたように、地域復興チームというように訳すんだと思いますが、これに関しましては、私どもとしては、既に人道復興支援としてODAと組み合わせて今やっておりますので、現時点でPRTに参加をするつもりは、今のこの段階ではありません。

 いつの段階かと言われたら、先に言ったらあおるように聞こえるかもしれませんけれども、この種のことが必要かどうかというのは、もっとほかにもやり方があるのではないか。いろいろな提案があろうと思いますので、私どもとして、PRTに参加するともしないとも、また別のほかの案があるのではないか、これはすべてここの治安の回復状況にかかっておりますので、今のこの段階では何とも申し上げようがないというところであります。

岩屋委員 あとイラン外交について聞きたかったんですが、またの機会にさせていただきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、安次富修君。

安次富委員 私は、昨年九月十一日に行われました衆議院の解散・総選挙により当選をさせていただきました新人の安次富修でございます。

 私は、きょうの安全保障委員会で質問をさせていただくことを大変光栄に思っており、理事の皆さんの御配慮に感謝申し上げます。また、本委員会を通じて、民主党の長島先生や、それこそ野党、与党を問わず多くの先生方が普天間飛行場の問題を取り上げ、真剣に御議論していただいておりますことに、宜野湾市民の一人として心から感謝を申し上げます。

 さて、私は、昭和三十一年に沖縄県宜野湾市の普天間に生まれ、今日まで過ごしてまいりました。普天間幼稚園、普天間小学校、普天間中学校そして普天間高校、ずっと普天間基地のそばで今日まで生活をしております。一昨年、普天間基地所属のヘリが墜落をいたしました。そのときは、我が家の隣の隣の家にまで破片が飛んでまいりました。四十何世帯という被害を受けた家一軒一軒被害を調べ、自治会長さんや那覇防衛施設局の皆さんと一緒に被害の事後処理、補償等々のお手伝いをしてまいりまして、二度と絶対にあのような事故を起こしてはいけない、また起こってはならないと。そして、八万七千市民が密集する宜野湾市のまさにど真ん中に存在する、数万の市民が危険と隣り合わせにいくことを今強いている普天間基地を早急に移設しなければならないという思いを強くいたしました。そのかたい決意のもとに、衆議院議員にならせていただきました次第でございます。

 私のキャッチフレーズは普天間から日本を変えるということであり、普天間問題はまさに、一沖縄の問題ではなくして、国家の安全保障にかかわる問題であり、アジア全体の平和と安定の根幹にかかわる重要問題であると認識いたしております。戦後六十一年間、普天間基地のゲートの前でどんなに基地撤去、基地反対を叫んでも、一歩も動かすことができませんでした。それが現実であり、もはや基地問題はイデオロギーでは解決できないことは明白であり、現実的にどう問題を解決し、動かしていくかが政府に問われていることだと思っております。

 その中で、今回の日米再編協議は、戦後六十一年間動かなかった普天間を動かす最大のチャンスであり、何が何でも、政府が覚悟を決めて、一センチでもいい、一メートルでもいい、この基地を、普天間を揺り動かして危険の除去を実現してもらいたいと思っております。

 そこで、政府に質問をいたします。

 昨年十月の2プラス2において、普天間基地の名護市、キャンプ・シュワブ沿岸部への移設が中間報告として発表されましたが、地元の同意なくして、地元の理解と協力なくしてはこの問題は解決できません。政府が覚悟を決めて、そして、六十一年間一センチも動かなかった普天間をとにかく動かしていくという、移設先の地元の同意を得ていくという覚悟と並々ならぬ決意、信念が必要であると思いますが、この歴史的な大事業に携わる担当大臣として、額賀防衛庁長官と麻生外務大臣に、この普天間問題に対する決意と覚悟を御披瀝いただきたいと思っております。

額賀国務大臣 私も、一昨年夏、ヘリの事故が起こったときに直後に現場に行ってまいりまして、その状態を見てまいりました。まかり間違えば大惨事になりかねないという状況でありました。

 しかも、なおかつ一方で、平成八年以来、普天間の移設問題が政策課題になっていたんだけれども、普天間の移設は一向に将来の展望が見えないという状況であったわけでございまして、このため、これを何とか実現させていくためにはどうしたらいいのかということを考えて、普天間の持っている機能を分散させていくことによって一日も早い普天間の全面返還ができないかということで、基本的に、昨年秋の中間報告に盛られたような形で結論を得ようとしたわけでございます。

 私は、安次富委員がおっしゃるように、あの中間報告の原則に基づいて、一日も早く普天間基地の解決のために全力を挙げたいと思っております。まず、地元の沖縄県民の皆さん、それから各市町村長さん、そして地域住民の皆さん方の理解を得るために全力投球をさせていただきたいというふうに思っております。

麻生国務大臣 御存じのように、今回の2プラス2に関しましては、これは、いわゆる在日米軍の抑止力を維持という片っ方の掲げなきゃならぬ題目と、地元負担の軽減という二つのものを同時に実行するためにどうすればいいかというのが多分一番大きな主眼だったと思います。

 その中にあって、この普天間のことに関しましては、これはもう十年以上前からだと記憶しますけれども、少なくとも人口がかなり周りに密集地帯になってきているという状況というのは、これはいつ事故があってもおかしくないんじゃないかともうその当時から言われておって、それから数えても十年以上たったと思いますが、そういうぐあいになったまま、何とも動かずここまで来たということだと思います。

 今回、御存じのような形で動くという、今一センチでも十センチでもとお話がありましたけれども、少なくともこの普天間というのは米軍が上陸した最初のところでもあったのでなかなか思い入れも向こうもあったとは思いますけれども、少なくともこの状況はとても看過できないということで、米軍が、代替地等々の話になって、初めてここで動く可能性が出てきたんだと思います。

 私どもとしては、今、移転先として沖縄県内以外にもいろいろな基地の話が出ておりますけれども、少なくとも、沖縄に七五%の基地が集中しておるという状況を、いろいろなところでこれを代替するという覚悟も決めないかぬだろうし、いろいろな意味で、そういったところはぜひ私どもに協力をお願いしたいということで誠心誠意努めておりますけれども、沖縄県内の以北に移られる。この以北側の方、北側の人にとりましては、またこれはこれでいろいろお気持ちもあろうと思いますので、私どもとしては、誠心誠意、先ほど防衛庁長官の言われましたように、きちんと地元の方々の意というものを酌んで対応していかねばならぬものだと思っております。

安次富委員 ありがとうございます。

 私は、宜野湾市の市議会議員を十年経験し、そしてちょうど橋本・クリントン会談の行われた一九九六年に県議会議員に当選をいたしました。その当時、沖縄県政は大田革新県政の絶頂期であり、特に、基地の町である宜野湾において自民党公認として県議会議員になるということは、非常に強いアゲンストでありました。マスコミ各社からも厳しい予想をされておりましたが、橋本・クリントン会談という歴史的な節目に沖縄県政に乗り込んでいって、普天間問題を解決していこうという思いでいっぱいでありました。その熱意が受け入れられ、県議会議員に当選をさせていただきました。そして、私の政治信念をかけた闘いがそのときから始まりました。

 沖縄県議会で普天間基地の名護への移設決議、それこそ二十四時間ぶっ通しの議会でのやりとり、私が決議案の提案者でありましたので、革新野党からは二百余りの質問、それに一つ一つ答弁をして、そして明け方の午前七時に移設決議を県議会で可決いたしました。

 そしてさらに、その年の十二月には、名護市の市議会で普天間基地の受け入れの決議を、ここでも二十四時間の名護市議会、私も自民党県連を代表して、市議会の控え室に陣取り、そのお手伝いをしておりました。ここも暁に及ぶ攻防で、ちょうど夜明け前の六時五十分ごろに、さきの市長選挙で名護の新市長になりました当時の島袋議長が採決をして、受け入れ決議が賛成多数で可決され、その翌々日に市長が受け入れ表明をし、政府の閣議決定に至るという、まさに血を流し、汗を流し、県民の、名護市民の苦渋の選択の中で、この十年間、普天間移設問題を進めてきたという経緯があります。

 そういう歴史的十年間の積み重ね、携わってきた一人一人の努力や英知というものを決して無駄にしてはならない、それは政府もそうであり、県もそうであります。那覇防衛施設局の歴代局長もそれこそ頑張ってきました。嶋口さんや北原長官も那覇局長でした。山崎さん、岡崎さん、西局長、それぞれ県民の中に入り込んで頑張ってきた、それは高く評価するものであります。

 だからこそ、今回、この日米再編協議の中で普天間問題を最優先して解決しなければならないという歴史的重みがあることをぜひ御理解いただきたい。そして、これ以上沖縄県に血を流すこと、汗を流すことをさせないように、沖縄県を、県民を賛否で二分するようなことがないように、政府が決然と、地元の合意を得ながら覚悟を持って進めていただくことをぜひ希望いたしますが、北原防衛施設庁長官も、どういう思いを持っておられますか、よかったらお聞かせください。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今、安次富先生から、地元御出身の議員として、また国会議員としての大変熱い決意、思いを拝聴させていただきました。

 私も、政府の一員といたしまして、先ほど額賀大臣また麻生大臣が御答弁申し上げましたとおり、一日でも早く地元の御理解を得て、負担軽減、目に見える形での負担軽減を達成できるように尽力してまいりたいと思っております。

安次富委員 次に、那覇軍港移設とキャンプ・キンザーの今後についてお聞きいたします。

 日米再編協議における那覇軍港の移設先が二転三転しているようでございます。従来、那覇軍港の移設先、浦添地先の那覇港湾の一画に決定をしたわけでありますけれども、この再編協議の中で、北部への移設であるとか、また西海岸でなければならないとか、情報が錯綜しているようでございまして、浦添市の市長、そして地元の議会の中で非常に情報が乏しいという状況でございまして、現時点における那覇軍港移設先に関する政府の公式見解を聞かせていただきたい。あわせて、キャンプ・キンザーの返還の見通しについて、現段階での公式見解をお聞かせください。

額賀国務大臣 これはもう安次富委員は御承知のとおりでありますが、平成八年十二月のSACO最終報告において、那覇港湾施設については、浦添埠頭地区約三十五ヘクタールへの移設と関連して、同港湾施設約五十七ヘクタールの返還を加速化させるための最大限の努力を共同で継続していこうということになっているわけでございます。

 これを受けまして、政府は、移設返還及び跡地利用等を円滑に進めるため、地方公共団体との間で三つの協議会を設置して協議をしていることは、御承知のとおりでございます。

 一方で、昨年秋の2プラス2の共同文書においては、嘉手納飛行場以南の人口が集中している地域における相当規模の土地の返還の可能性について示されているわけでございます。どの米軍施設区域が、いつ、どのような条件のもとで返還可能となるかについて今、日米の間で最終的な調整を行っているところでありますが、私どもとしては、日本側の希望も入れて米国側に提示をしておるわけでありますけれども、これは、米軍の海兵隊のグアム移転等々と絡んでくるために、最終的な意見調整をできるだけ早くしたいというふうに思っているところでございます。

 また、秋の合意された共同文書においては、同文書の勧告によって変更されない限りにおいて、SACOの最終報告の着実な実施はしていくということが確認されているわけでございます。

 いずれにいたしましても、那覇港湾施設の移設、返還の実現に向け取り組んでいく考えでありまして、今後、日米間の協議を加速し、地元に説明ができるようにしっかりとさせていただきたいというふうに思っております。

安次富委員 それこそ頭越しにならないように、適宜に情報を地元にも提供していただきますようお願い申し上げます。

 次に、基地従業員の雇用の確保についてでありますけれども、一例として、普天間基地のヘッドクオーター、司令官室の前には三本の旗が立っております。日本の国旗それからアメリカの国旗、そして国連の旗が立っております。

 それはどういうことかと申しますと、普天間の海兵隊、いわゆる在日米軍、アメリカ軍人であるとともにいわゆる国連軍でもある、PKF、PKO、国際平和維持活動に従事するということで、そういう自覚を持って海兵隊も任務についているわけでありますけれども、その基地の中で働く従業員もまた、単に米軍のためだけではなく、国際平和につながるんだ、国連の平和維持活動につながるんだ、そこに貢献しているんだという誇りを持って働いているのが基地従業員であります。

 そういう従業員も、今回の大幅な基地返還で、もうお払い箱ですよというわけにはいかないだろうと思うんです。こういう人たちこそ今後も雇用の場をキープしていかなければいけないと思うのでありますが、その件について政府の御認識をお伺いしたいと思っております。

額賀国務大臣 今度の米軍再編に伴って海兵隊の移転とか等々が起これば、当然、駐留軍の労働問題に波及していくことは確かなことでございます。

 我々はそういうことにも万全を期していくために、即座に関係閣僚会合というものを既に発足させておりまして、沖縄県民の皆さん方、いや、全国の皆さん方にも、総合的に政府として取り組んでいくというメッセージは既に伝えさせていただいているものと思っております。

 その上でお話をさせていただきますと、今の時点では、まさに最終協議に向かって最後の協議をしているわけでありますから、全体像がまだ明らかになっていないわけでございまして、具体的にどうするこうするという形はまだ見えていないわけでございます。

 防衛庁といたしましては、仮に米軍再編によって駐留軍の労働力の余剰が発生した場合には、できる限り他の施設への配置転換の措置により雇用の継続を図ったり、駐留軍労働者に不安を与えることがないように、米側と緊密に連絡、協力して雇用の確保に最大限の努力をしていきたい。それから、既存の制度、仕組み等々を活用して雇用の確保それから職業訓練等々、万全を期していきたいというふうに思っております。

安次富委員 基地従業員も、本音を言いますと、大変揺れ動いているのが本音でございますので、ぜひ政府でケアをしていただきたいと思っております。

 次に、嘉手納基地の使用協定についてであります。

 先日の一月二十日に、嘉手納町長、沖縄市長、北谷町長以下嘉手納基地に関係する市町村の方々が、基地使用協定について陳情を行うために上京してきました。日常的、恒常的に騒音に悩まされている、基地から発生する事件、事故が余りにも絶えないということから、嘉手納基地を抱える三市町、沖縄市、嘉手納町、北谷町と米軍との間に嘉手納基地の使用協定をしっかり結ぶことが、日米の安全保障上もより有効ではないかと思うわけであります。また、そのためには、上位規定である日米地位協定の改定が必要になってくるだろうと思っております。

 その際、トップダウンの協定締結のあり方ではなくして、協定は、地元において、現場において有効に機能するものでなければならないと思っておりますが、下からの声を吸い上げていってほしい。そして、地位協定の改定が必要なら、それを目指すならそこに踏み込んでいかざるを得ないだろうし、踏み込んでいくことがまた、国民に選ばれた、下から選ばれた外務大臣でありますので、そのことについて外務大臣の御見解を聞かせてください。

麻生国務大臣 御指摘のございました要請に関しましては、先月の一月十七日に、嘉手納基地使用協定に関する町民会議及び嘉手納飛行場に関する三市連絡協議会として、三連協という名前が使ってございますけれども、私あてに、嘉手納基地使用協定の締結についてという要請文書をいただいております。

 外務省といたしましては、嘉手納町、沖縄市それから北谷町を初めとして、在日米軍施設や区域が存在しております地元の方々というものに対して常日ごろから多大な御負担をおかけしているというのは、先ほど施設庁長官の話もあっておりましたけれども、私どももこれは十分に認識をいたしております。騒音の話とか飛行ルートの話とか、また事件、事故等々いろいろ、七つでしたか項目が書いてございましたと思いますので、そういった意味では、地元のいわゆる不安というものを払拭していくためには、さらに努力をしていかなければならぬと思っております。

 それから、地位協定のお話があっておりましたけれども、この地位協定につきましては、これまでも運用改善という手法で適切に対応してきておると思っております。

 例えば、先月でしたか、先日行われました起訴前の容疑者のいわゆる身柄引き渡しということに関しましても、少なくとも、日本側の要請によって直ちにこれが実現いたしております。これは、他国でもこういった例は余りないと記憶をいたしますので、そういった意味で、改善されている例というものをさらに積み重ねていかねばならぬ。積み重ねていかねばいかぬというのは、変に言われると、事故が起きれば起きるだけ積み重ねることになりますので、事故が起きないのが一番にこしたことはないのですが。

 そういった意味では、私どもとしては、この運用改善というもので今後ともやっていくのが早いかなというふうに思っておりますし、実現する場合の効果も大きいのではないか、基本的にはそのように考えております。

安次富委員 続きまして、対中外交について少しお聞かせください。

 麻生外務大臣は、対中外交の中で、昨今の反日運動とか靖国参拝に係る日本に対する非難、批判等々が中国で盛んに行われていることに、直接は関連しないんですけれども、経済発展や民主化の過程の中でそういう騒動はあることだ、日本も過去に安保闘争や過激な学生運動があった、中国の運動もやがて落ちついていくのではないかというような非常に楽観的なとらえ方をしているようでありますけれども、私は、果たしてそのようにして楽観視できるものなのかと。

 昨年八月十四日付の新華毎日電訊報によりますと、あなたが考える日本の国際的イメージはという問いに対しまして、大変よくないが四七・二九%、比較的よくないが三六・一%、合わせて八三・四%、八割以上の中国の若者が日本に対する嫌悪感を持っているという結果が出ております。

 こういう人がやがて共産党の幹部になっていく、そして中国政府の要人になっていく、そして中国を引っ張っていくという時代になったときに、日中関係は抜き差しならぬ関係になるのではないかということを危惧いたしますが、今、それを座視していいのか、手をこまねいていていいのかという思いがいたします。

 今手を打つべきことは今手を打っておかないといけないのではないかなと思いますが、その件に関しまして、外務大臣の御意見をお聞かせください。

麻生国務大臣 最初のところは多分、私が、アジアの戦略演説として、いわゆる外国人記者クラブでしたかどこかでした部分の抜粋の分を言われているんだと思いますけれども、重ねて御理解を得ておかなならぬのは、ナショナリズムが起きるというのは、若いナショナリズムというものは必ず経済発展に合わせてどの国でも起きてきたというのが過去の例だという例を引いたのであって、このままほっておいたらそのうちどうにかなるというようなことを言ったわけではありませんから、その点だけは重ねて申し上げておきます。

 その上で、日本でも、先ほどの話でいきますと、私どもは、ちょうど昭和三十五年、いわゆる六〇年安保のときに大学の学生が私の時代ですから、少なくとも、安保反対で荒れたあの六〇年安保の反対の真っ最中、いわゆる日米同盟による向こうの代表、ハガティという人が羽田に到着したのを追い返したという、当時、全共闘の前の全学連と我々は言った世代に育っているんですが、そういったときに追い返した経緯等々、その当時はすごかったんですよ、あの約十年間ぐらいは。ちょっと正直、今じゃ想像できないような激しかったものだと記憶をいたしますが、それが、安保反対が岸を倒せになって、岸内閣が倒れ等々、いろいろな経緯があっております。

 こういったことというのはその後もいろいろなアジアの国でいろいろ起きましたので、そういったような経験というのを我々は踏んでおるので、この種の話に安易にこちらがわあんと反応するというのはいかがなものかと。向こうがわんわん言っているからこっちも言い返さなきゃいかぬのじゃないかというのはどうかなという話を、例としてその話を引いたと思います。かつて経験したことに基づけば、七〇年安保のときには大きな騒ぎにはならなかったというのが、あのときの十年間を振り返ってみますとそういうことにもなりますので、私どもとしては、こういったものには成熟した民主主義として冷静に対応すべきものではないか、そういう経験があるという話を申し上げたんだと思っております。

 それから、国民感情につきましては、確かに日本におきます反中感情も悪くなってきております。これはもう、いろいろな数字を新聞なんかでやっておりますのは御存じのとおりですが。私どもとしては、これは両方で注意せないかぬところなんだと思います。いろいろな首脳間の話やら何やら行き違っているところはいっぱいあろうかと思いますが、その首脳間の意見が違うからといってすべて何となくほかのところが悪いかというと、私どもの見た範囲では、少なくとも、経済交流にしても人の交流にしてもいろいろ文化交流にしても、これは間違いなく進んでおります。

 そして、少なくとも、我々は、やはり重慶のサッカーの騒ぎ、甚だ不公平な騒ぎがあったことはもう皆認めるところですが、しかし、ほぼ同じときに上海でしたかでありました谷村新司の野外コンサート、あれは十万人ぐらい入る野外コンサートで、たしか最後に「昴」という歌を谷村新司が歌ったときには、十万人のうちほぼ九割の人が立ち上がって拍手をして日本語で「昴」を歌ったというのもほぼ同じ世代の同じ中国人という現実を見ておかないと、悪い方だけ見てこっちを見ないというのは甚だ偏った判断になるので、そういう報道は、こっちの報道は悪かった話ばかりされるけれども、こっちのスタンディングオベーションの話はだれも出ないのは偏っての報道ではないのかというような気が私はいたしますので、そういったところは、両方とも見ながら対応していかないかぬところなんだ、私は基本的にそう思っております。

安次富委員 あと二分ぐらいですので、させていただきます。

 三月三日発令の人事で宮本雄二現沖縄担当大使が今度中国大使に赴任されると伺っておりますが、沖縄県民は、沖縄と中国の友好関係がより一層進んでいくのではないかと大変喜んでおります。重要な職責を担う大使に沖縄を挙げてエールを送っているところでございますが、外務大臣からもぜひ激励の言葉をいただきたいと思います。

 また、もう一つ、沖縄とアジアの国際交流について、沖縄は日本の南の玄関口ということと、歴史的にも、琉球王朝の大交易時代にアジアとの積極的な交流、交易を深めてきたという経緯があるわけでございますが、そういう観点から、沖縄をぜひ生かしてもらいたい。政府、外務省も、その戦略の中に入れて沖縄を有効活用すべきではないかと考えます。

 アジアとの共生やアジア圏の発展を目指す上でも、沖縄というカードを積極的に利用すべきではないかと思いますが、その点に関しても、外務大臣のアジア戦略を、沖縄とのかかわりでのアジア戦略をお聞かせください。

塩崎副大臣 若干のディビジョン・オブ・レーバーがありまして、私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 宮本沖縄大使が三月三日付で中国大使に任命されるということが、二十四日の閣議で決定をいたしました。沖縄を知り尽くした方に中国に行っていただく、大変すばらしいことだと私も思っております。

 もともと沖縄というのは地理的にも非常に近いところでもありますので、これからさらに新大使のもとで、沖縄県も含めて、日中の友好が進んでいくことが大変大事ではないかと。沖縄県も昨年の六月に上海事務所を開設されるということなどで交流を深めているわけでありますので、そういった面で、政府としても、沖縄県と中国の友好協力関係について一層強化をし、それがまた日中友好につながるように期待をしたいと思うわけであります。

 沖縄の地理的な特性も含めて、これからのアジア太平洋地域へ向けての言ってみれば表玄関といいましょうか、そういう形で沖縄がアジア外交の、あるいは経済交流の拠点となっていくことについて私ども政府としても非常に期待をして、もちろん、もう既に九州・沖縄サミットを行いましたし、この五月にいわゆる太平洋・島サミットも行われます。それから、JICAの沖縄センターというのも研修の受け入れをやっていますし、国際交流基金もやっています。補正予算で日中二十一世紀交流事業というのがスタートし、高校生を中国から、長ければ一年ぐらいホームステイで、年間百五十人ぐらい受け入れようというふうにこれからなります。

 ぜひ、沖縄でもそういった高校生を受け入れながら、日中交流をあらゆるレベルで、先ほど麻生大臣からお話があったとおり、あらゆるレベルで交流を進めていくということが大事なので、沖縄がその拠点の一つとして大事な役割を果たすことを期待します。

安次富委員 麻生大臣、くれぐれも単騎で千里を走らないように祈念申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。

浜田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、大臣所信に対する質問ということでございますので、主に両大臣、長官を中心に御質問いたしますが、場合によっては、副大臣、副長官、政府参考人にも質問させていただきたいと思います。

 最初に、きょう多分、外務大臣、お二人の会談をされるかと思うんですけれども、イランの核問題につきましてお尋ねをしたいと思います。

 イランの核問題も、御案内のとおり、大変重要な局面を迎えております。二月の四日にIAEAの緊急理事会で安保理付託への決議が行われまして、三月の六日まで猶予期間がある。その時点では一カ月と言っていたのが、もう二十七日ですから、あと十日ぐらいしか猶予期間がないわけでございます。

 私は、このことは核拡散防止という人類共通の大変な大きな課題でもございますし、国際社会がより結束を固めて忍耐強く外交努力を続けていくべき問題である、そういう基本的な考え方に立つことはもう各国共通だと思うんですけれども、特にその中で、日本は今まで独自路線でイランとの良好な関係を築いてきた、そういう歴史があるわけですから、積極的かつ主体的にこの問題に対して対応していくことが極めて大事であろう、そのように考えるわけでございます。

 その一環として、きょうから三日間、駐日大使も経験されたモッタキ外相を招請されて会談をされるということは非常に意義があるかと思うんですけれども、まず最初に外務大臣にお聞きしたいのは、外相会談に際して、いかなる方針でイラン側を説得するつもりなのか、また、働きかける内容というものについて何かポイント等が既に決まっておられるのでしたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 一月の十何日でしたか、このモッタキという人に電話をしております。この人は日本に五年ぐらい大使でいた経験もありますし英語もそこそこできますので、私どもとしては話をさせてもらって、少なくとも今置かれている状況というのは、国際的にどういう状況におたくらは置かれているのかという理解がきちんとできているかどうかが私どもにとっては最大の関心事でした。

 少なくとも今、自分の都合はいろいろ言うのはよくわかるけれども、それを許す国際情勢にないということを正しく理解していないと、何となく突っ走ったら何となくそのうちどうにかなるのではないかということはないよという点が一番の私どものポイントでありまして、それで、役所なんかにいたり、ああいう特殊な、いろいろな関係がばさばさ切られているところに行きますと情報がかなり偏ったりするし、また国際ニュースを聞いても、例えばアメリカのニュースだったり、イギリスBBCだ、CNNだというとその種のニュースしか入ってこないというのも、これはちょっと間違っているんじゃないかと。自分で都合のいいように解釈したがるものですから。そういった意味では、おれたちの話も聞いたらどうというので呼んだら即来るということになって、きょうの会談になることになりました。

 ポイントは、私どもとしては、少なくとも今、ロシアの話やら何やらいろいろ情報は出ていますけれども、あの種の話は、新聞情報というのは当てになりませんでしょうが。したがって、そういった意味では、この話は本当かと。合意した話というのは、一部の工程をロシアでやるという話を合意したかのごとき話があるけれども、それは本当かと。それは、本当だとすれば、佐藤先生、決して悪い話ではありません、一つの前進ですから。

 そういった話の確認もさせてもらわないけませんし、いや、全然違うと、私どもがロシアに確認した話では、ロシア側はその確認した事実がありませんので、私どもとしてはよく見えていないところでもありますので、事実確認から入って、今の国際情勢を正しく認識させた上で、少なくとも今一番大事なのは、おたくでは、少なくとも長きにわたってIAEAにある意味では虚偽の申告をして、ずっと隠れて核開発をやっておったという事実は歴然としておりますので、そういった意味では、今に至るも、その種のあれをやめた、完全に放棄したというのを証明できる状況にはなっておりませんから、そういったことをやらない限りは国際社会の信用はないよというところが大事なので、何となくどうにかなるのではないかといっても、友好国の日本からしてもそれはとても世間では通らぬよという話をきちっと向こうに言わないかぬというところが一番肝心で、敵国が言うんじゃない、友好国から見てもというところを言うのが一番大事なところだと思っております。

佐藤(茂)委員 今、大分踏み込んで外務大臣からお話をいただきましたけれども、きょうの朝刊あたりに、イランで行われたアガザデ副大統領、原子力庁長官とロシアのキリエンコ原子力長官、この二人が共同会見で言われた内容として、ロシアと合弁企業を設立し、核燃料製造のためのウラン濃縮を行うことで原則合意した、そういう発表をされているんですね。これは、イラン側が一方的に発表されているわけじゃなくて、ロシアの原子力長官も同席のところで発表されている。そういうことからいうと、ロシア側がまだそれを認識していないというのは極めておかしな話でございまして、そのこともぜひ確かめていただきたいのと、あわせてもう一つ気になるのは、アフマディネジャド大統領が十一日の革命二十七年の記念集会の演説で、核拡散防止条約、NPTですけれども、この脱退の可能性を示唆したということに対しては、これはやはり、外務大臣ですけれども、NPTにとどまるように日本側からもしっかりと働きかけなければいけない、そういう時点だと思うんですけれども、少し、通告はしておりませんけれども、外務大臣として見解があれば。

麻生国務大臣 最初の方の御質問というか御意見ですけれども、イラン原子力庁関係者は、ウラン濃縮に関する研究開発活動は依然イラク国内で継続すると述べてもいるんですね。したがいまして、この合意の詳細については、その長官の発言とこっちの発言と全然違うものですから、そこでちょっと待ったという話になっておるということで、アガザデ長官はそう言っておることは確かなんですけれども、傍ら、別の話が下から出ていますので、ちょっとそこのことについては、きょう詳細を詰めてみないとわからぬと申し上げた背景です。

 それから、NPTにつきましてはもうおっしゃるとおりでして、この協定にとどまるようにというのは、これは私どもとしては言っておかねばならぬ大事なところなんだと思います。この種の話は、平和利用という名だったら日本みたいに全部出せと。うちは全部出しておるから平和利用として認められているんだから。そういった意味で、きちんと出すというのは、我々はその先輩として間違いなく全部出していますから、したがって私どものことに関しては疑いを持たれず今日まで来ているんだと思っておりますので、ぜひそういった我々の経験もということで、きちんとNPTの話は、おっしゃるとおりに向こう側に申し込まねばならぬと思っております。

佐藤(茂)委員 今外務大臣がおっしゃったように、基本合意の各種報道を見ましても、そうしたら、具体的にロシアのどの場所でやるんだとかどの機関が来てやるんだというようなことがまだ煮詰まっていないような状況で、引き続きモスクワで今後、近日中に協議する、そういう内容になっているところもありますので、ぜひお確かめをいただきたいな、そのように思うわけでございます。

 その上で、やはり我々、日米関係は大事ですけれども、しかし、対イランということに対しましたときに、国益上から見ましても、これはもうイランが世界で三番目の原油の輸入国になっているわけですね、日本から見たときに。一五%ぐらい依存している。さらに、有名な話ですが、アザデガン油田開発の七五%の権益を持っているということでいいますと、日本としては、経済制裁ということは、何が何でもそういう決定的対立になるようなことというのは避ける努力を今後も引き続き、三月六日が果たしてタイムリミットになるのかどうかもありますけれども、やはり日本としてはあらゆる外交努力をしていく必要があるんだろう。

 これは、ロシアが行きました。中国も、これは別件かもわかりませんが、外務次官が同じイランに今派遣されておるんですね。だから、場合によっては日本からも、そういう政府特使になるのかまた外務省のそういう特使になるのかわかりませんが、一緒だと思うんですけれども、逆に、外相にこっちに来ていただくだけじゃなくて、日本からもイランにきちっとした形でもう一度話を通しに行く。この三日間で外務大臣との間で外相や総理と話がつけばいいですけれども、もしつかなかった場合にはそういうところまで努力する必要があるんじゃないかと思いますが、外務大臣の見解を伺いたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のように、日本とイランの場合は、他の先進国、アメリカなんかと違って、これまでも関係は良好といえば、他国に比べればはるかに良好だと存じます。したがいまして、これまでも、私の知っている限りで、この一年間だけで、外務大臣レベルの折衝が三回、それから次官は、この間金田副大臣が会っておりまして、こちらも三回目か二回目かになっていると思っております。また、例の核不拡散の部長クラスで昨年の十一月、また十二月にも同じく西田外審等々がイランを訪問して、そのような働きかけをずっと行ってきております。

 もう佐藤先生御存じのように、これは結構根の深い話ですから、一度や二度あった会談ですぐ決着がつくような話とは全く思いませんけれども、あらゆる機会をつかまえてこういった交渉はきちんとやっていかないと、あの地域の不安定というのは、パレスチナ含めて中近東の不安定というのは、あの地域に石油の輸入のかれこれ九割近くを依存しております日本にとりましては非常に死活問題でもあろうと思いますので、私どもとしては、あの地域が安定するというためには非常に努力を、何となく遠い国で、何となく関心というと朝鮮半島の話ばかりされたりする方がよくいらっしゃいますけれども、あの地域の安定というのは回り回って石油に非常に響いてまいりますので、非常に大事な地域なんだという認識を持たねばならぬと思っております。

佐藤(茂)委員 この話題はこれぐらいにしますが、世界が注目している外相会談になるかもわかりませんので、ぜひ実りある成果を期待したいと思います。

 それでは、日中、日韓の関係につきまして、引き続いて御質問させていただきたいと思うんです。

 先ほど同僚議員が「単騎、千里を走る。」の話をされましたけれども、昨晩、外務大臣、外務省の幹部の皆さんと、中国の張芸謀監督、高倉健さん主演の映画をごらんになったそうなんですけれども。

 そこで、まず日中のことなんですけれども、先週だったと思うんですが、政党で、自民、公明の訪中団、これは中川政調会長、我が党は井上政調会長ですけれども、中心に、日中与党交流協議会というのが開かれまして、そのときに、私から言わせてもらうなら、再度提案されたのが日中の歴史共同研究の話題でございます。中国側も最終的に、王家瑞対外連絡部長も前向きに検討するということを言われたわけですが、実はこれは昨年から外務省の方も動き出されておりまして、外務省の前に、実は私どもの赤松議員が国会の中で取り上げて質問いたしました。町村当時外務大臣も、それはぜひ今度中国側に働きかける内容として検討してみたい、そういう話もいただいたんですけれども、その直後の昨年四月に日中外相会談で町村外務大臣の方から李肇星外交部長に提案されて、前向きな取り組みをしていこうということで言われているわけでございます。

 麻生外務大臣はこの日中の歴史共同研究につきましてどのような認識を持っておられるのか、まず伺いたいと思います。

麻生国務大臣 いいことだと思っております。これは御存じかと思いますが、韓国は既にやっております。そこそこかなりいろいろやってきたんですが、日中の場合はなかなかそういかなかった。

 この提案は結構、去年よりもっと前からいろいろあちこちで意見があっていたんだと思いますが、アメリカもこれに乗ってもいいと言ったと、この間来たゼーリックがそういう話を、中国に寄ってアメリカもその間に入ってもいいと言ったという話があるぐらい他国でも関心を持っておるところでもありますので、何となく当事者同士でやるよりも第三者が入った方がいいとか、いろいろな意見があるんだと思いますけれども。

 いずれにしても、六十年をたちましたので、いろんな意味で日中間で、いわゆる感情論に走ると話が込み入りますので、特定な歴史観とかイデオロギーとかいうものとはまた別にして、認識というものを、いろいろな意味で客観的な研究を深めるというのは非常に意義のあることだ、私どももそう思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、もう一つ。

 私は、歴史というのは、過去の歴史の共同認識に立つ、そういう過去を振り返ることも大事なんですけれども、大臣も所信で述べられておりましたけれども、大局的な観点から、未来へ向けた友好協力関係をいかにつくるか。そういう視点に立ったときに、日中、日韓、できれば両方ともできればいいんですけれども、日中からしかけてもいいと思うんですが、青少年交流というものをさらに大いに進めていってはどうか、そういうことを具体的に提案したいわけですね。

 というのは、第二次世界大戦後、フランス、ドイツの間というのはやはりなかなか気まずいものがあったわけですけれども、一九六三年の一月に、フランスとドイツの間でエリゼ条約というのが調印をされました。それは、パリ・エリゼ宮において、ドゴール・フランス大統領とアデナウアー・ドイツ首相によって締結された条約ですけれども、これによって、長年にわたったフランス、ドイツ間の対立を解消して、両国間に友好関係を構築して、外交、軍事だけではなくて、教育、青少年制度などの政策調整とか共同作業をやっていこう、そういうことが決まったわけですね。特に特筆すべきなのは、この年にフランス、ドイツの青少年局というのが発足いたしまして、この同じ六三年の発足以来、今までに青少年が両国間で七百万人交流を実現してきた、そういう実績があるんですね。今でも毎年十五万人交流されている。

 これは、やはり私は、ヨーロッパのこととはいえ、非常に参考にしなければいけないんじゃないのかな、そのように考えているわけでございまして、そういう両国間の共同事業の、エリゼ条約から結ばれたフランス、ドイツ間の青少年交流のようなものの東アジア版、日中、日韓版でもいいかと思うんですけれども、そういう方向で青少年交流に力を入れたこういう平和外交というものも推進すべきではないかと思いますが、外務大臣の見解を伺いたいと思います。

塩崎副大臣 ただいま佐藤先生の方から、エリゼ条約の例を引き合いに出されました。ドゴール、アデナウアーのもとで青少年交流が進んだということでありますが、基本的に、中国と韓国というのは我が国にとって非常に大事な二国間関係でありますし、バイの関係はもとより、日中韓という三つの交流というのも非常に大事だというふうに私どもも思っております。

 そして、先ほど来、麻生大臣からも、さまざまなレベルでの交流という中に、当然のことながら未来志向で青少年の交流が含まれなきゃいけないということで、先ほど安次富先生のときにも申し上げましたが、例えば日中ではもう既に、今申し上げた高校生の交流とか若い人たちの交流を深めようということで、かなり予算も用意をしているところでありますが、日中韓につきましては、既に二〇〇三年の十月に日中韓首脳共同宣言がございました。それから、日中韓の行動戦略というのが二〇〇四年の十一月にございまして、それに基づきまして、両国とともに、政治、経済、文化、人的交流にわたる幅広い交流での協力を引き続き行っていこうということに今なっているところでございます。

 したがいまして、御指摘のエリゼ条約の精神にも学びながら、日中韓版の青少年交流というのを進めていくという御提案については、そのまま独仏とはまた少しいろいろな問題について違いますから、工夫も加えていかなきゃいけないと思いますけれども、日中、日韓、それぞれバイでやるとともに、日中韓の交流を深めるということについては、全く賛成でございます。

佐藤(茂)委員 それでは、残りの時間を使いまして防衛庁の種々の問題につきまして御質問をしたいと思うんですけれども、一つは、防衛施設庁をめぐる入札談合事件でございます。

 一つは、先週、本会議でもそうでしたし、予算委員会でもそうだったんですが、額賀防衛庁長官が、先ほども同僚議員からありましたけれども、防衛庁の省昇格のことに関係して、省昇格は検討しなければいけないが、その前に再発防止策を立てて国民の信頼を得ることが大事である、この談合事件に関係してそういうふうに答弁をされていたんですけれども、本当に私自身も、この事件によって地に落ちてしまった、そういう防衛庁並びに防衛施設庁の信頼回復というのは、なかなか並み大抵なことではこれは回復できないな。我々も、努力できるところは一緒に努力をしていきたいと思うんです。

 しかし、大事なことは、防衛庁長官が、この問題が起きてすぐに、防衛施設庁を解体しますと。これは、私はもちろん当然だと思うんです。しかし、ハード面の解体だけではなくて、今明らかにされてきているのは、少なくとも三十年ぐらいにわたって、談合、天下りが長年にわたって組織化されて、そしてそれが官の側では人がかわっても連綿と引き継がれてきた、このシステム自体、またそういうことを許してきた働いている職員の体質そのもの自体を解体しなければ、そして二度とこのような恥ずかしい事件が防衛庁の組織の中で起こらないようにしていくことが、私は再発防止策を打ち立てる基本中の基本だと思うんです。

 今、ずっと調査委員会また検討会で詰められておりますけれども、防衛庁長官の、今進行中であるのはわかった上で、どういう再発防止策をやろうとされているのか、その決意のほどを改めてお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 佐藤委員には、防衛庁、安全保障の問題について日ごろから御理解をいただいておりまして、心から感謝申し上げる次第であります。

 委員御指摘のとおり、こういう不祥事は、基本的には公務員としての自覚、やはりそこが欠けているものがあると思います。それからもう一つ、企業側も、ライブドアとか偽装事件じゃありませんけれども、やはり企業の倫理とか社会的責任というものが問われていると思います。これはもう国全体としての問題で、氷山の一角として防衛庁の施設庁にあらわれているという認識を持っております。

 当然、そういうモラルについて、しっかりと原点に返ってもらわなければならない。ただ口で言っただけではわけわからないことであれば、ちゃんと懲戒処分的な仕組みもきちっとしなければならない。本当はそういうことは寂しいことだけれども、やっていかなければならないということだと思っております。

 その上に立って、さまざまな制度の問題を構築して、相互牽制システムをつくっていく。内部だけでできないということもあってこういうことが起きたわけでありますから、第三者的な監察制度、監視システムをつくっていくことによってこれをチェックしなければならないということだと思っております。

 あとは、入札制度について、競争原理をどういうふうに働かせていくかということ。これもまた、企業に対してペナルティーを科していかなければなりません。もともと建設業界というのは日本の経済システム上多過ぎますから、しっかりとそういうことは働かせた方がいいというふうに思っております。また、再就職の問題等々についても踏み込んでいきたいというふうに思っております。そういう中で、施設庁の解体を含めた組織の再編を行いたいということであります。

佐藤(茂)委員 前に並んでおられる四人の中であと木村副長官がまだ答弁いただいていないので、ぜひちょっと木村副長官に御答弁いただきたいんです。

 先週の二十四日に中間報告的に、先ほども御答弁ありましたけれども、防衛庁の方で、今の言える再発防止策というのを、検討の現状についてということで発表されました。

 その内容で、もう細かいこと抜きにしまして、そのときに、関係省庁の連絡会議で公共調達の適正化に向けた取り組みについてというのも同時に発表された、大体同じようなタイミングで。さらに、昨年の七月には、国土交通省の方で入札談合の再発防止策についてというのを発表されているんですね。

 この二十四日に防衛庁が発表された中間的な再発防止策というのは具体的に、それと、ぱっと見たときに、大体他省庁と横並びのことを防衛庁としても言ったというものにすぎないのか。それとも、防衛庁独自に、今回の事案の反省を受けて、ここに非常に知恵を出して特色ある対策を打ち出しました、そういうものがあるなら御答弁をいただきたいと思います。

木村副長官 私どもまだ、二十四日時点で公表したのも、中間報告としてもまとめたわけではありません。政府全体あるいは関係省庁の中での官製談合対策についてのそういう流れの中で、あの二十四日時点での、私ども検討会で議論している、また方向性を示しつつあることをあの時点で公表させていただいたところでありまして、ただいま額賀長官からもるるお話あったとおり、それぞれ一つ一つ検討項目をチェックしながら、どうあるべきかを今議論している最中であります。

 そういう時点にあっても、例えば受注企業社員、特にOBとの関係をきちっと適切な関係を確立するための要領を策定していこうではないかとか、あるいは問題を起こしたときに懲戒処分等の基準の明確化をきちっと示していこうとか、あるいは、よく公益法人の防衛施設技術協会のことが話題になっておりますが、これについてはもっと自粛というものを要請していこうとかということを今、その方向性を示しているわけであります。

 ですので、今後、中間取りまとめ、また最終報告に至るまで、さらに奥深く、また幅広く検討して、二十四日時点での方向性は示しておりますが、期間的なものあるいは金額的なものもまだまだ変更するというか、もっともっと新たなアイデアが出てくる可能性はありますので、検討会の中でしっかり議論していきたいと思います。

佐藤(茂)委員 最後、簡単に質問をいたしますので端的にお答えいただきたいと思うんですが、もう一つは、防衛情報の流出問題でございます。

 今回の海上自衛隊の件というのは実は非常に象徴的な話で、これはずっと続いているんですね。海上自衛隊では、二〇〇〇年には在日ロシア大使館の武官に秘密資料流出事件というのがありまして、庁内でもいろいろ、事務次官通達も二回ぐらい出されて、形としては厳しくやってきた。さらに、しかしながら、今度は海自じゃないですけれども、陸自では、朝鮮総連の科協に地対空ミサイルのシステムのデータが漏えいするというような、そういうようなこともありまして、本当にここで、もう二度とこういうことは出さないんだという抜本的な対策をやらないといけない。

 その一つは、やはり人の管理ですね。これは申しわけないですけれども、今まではやはり、言えば何とかきちっと守ってくれるだろう、そういう形の管理の仕方だったと思うんですけれども、やはりそういう性善説をとるんじゃなくて、もう現実に出てきたわけですから、部内のルールを遵守しない隊員がいるということを前提にした、そういう厳しい対応というものを、人の管理でこの安全保障の分野についてはやはりやっていかなきゃいけないだろう。二番目には、今回でも出たと言われるウィニーというパソコンソフトを使っての流出でございますけれども、これは他省庁でも出ております。しかし、特に防衛庁については、パソコンに対する取り扱いをほかの省庁よりもより厳しくしてもいいと思うんですね。こういう二点目。三点目はやはり組織の管理体制というものをもう一回レベルを上げるという、この三つの観点で再発防止策をやっていくべきであると思います。

 額賀防衛庁長官の、再発防止策として今具体的に考えておられること、緊急の対応はもう大体聞きましたけれども、さらにこういう大がかりなことをやっていきたいんだというものがありましたら、御答弁いただきたいと思います。

浜田委員長 額賀防衛庁長官、時間が過ぎておりますので、済みません、よろしくお願いします。

額賀国務大臣 今、いい御指摘をいただいたと思っております。

 基本的には、IT社会時代は世界を相手でございます。国内で、同じ日本人相手にお互いを信頼して、性善説に立っていくことはよくない。やはり、国際社会の中で、世界の中でどういう情報はんらんが起こるか、侵害、侵略を受けるかということをきちっと前提にして制度、仕組みをつくっていかなければならない、意識を改革しなければならないということについては、先生の御指摘を踏まえて対応したいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 きょうは、米軍再編の問題に絞って御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 私も、この二年半、米軍再編、とりわけ在日米軍の再編のプロセスを見てまいりましたけれども、どうも、日本側からきちっとしたマスタープランといいますか戦略ビジョンといったものをアメリカ側に主体的な形で提示し切れていなかったんではないか、そういう印象を強く持っております。本来であればこういう議論は、お互いの戦略を持ち寄ってすり合わせをして、そして両国にとって利益になるような解を探し出す、こういう形であることが望ましいと思うんですけれども、どうも、私の多少うがった見方かもしれませんが、日本側から発せられるメッセージは、二つの二本柱、抑止力の維持、負担の軽減、こういう二つの二本柱のうちの後者、負担の軽減というところ、もちろんそれは、先ほど安次富先生のお話がありましたように、我が国にとっては大変重要なポイントだと思うんですけれども、それにしても、少し負担の軽減にこちら側の主張が偏り過ぎているがゆえに、どうも、とられる必要もないようなところをアメリカ側から足元を見られてとられてしまっているような、そんな印象があるので、ちょっとその点伺いたいところなんです。

 一つは、額賀長官、今月の初めにラムズフェルド国防長官とお会いになった。そのときに、これは報じられているベースなんですけれども、改めて負担の軽減のお話をされたということなんですね。私はちょっとそこは多少違和感がありまして、なぜかといえば、去年の十月の末に日米間で取りまとめた合意、その合意を得るプロセスで日本側の負担の軽減の主張はさんざんして、それを加味した形で合意文書というのができている。そこから先、その合意文書をどうやって実施するかという際にまた改めて負担の軽減の話をされるというのは、多少米側からすると違和感があるのじゃないかな。

 実際、ラムズフェルド長官も、地方で選挙があるから、これは名護の選挙だと思うんですけれども、またことしは沖縄の県知事選挙もありますし、地方で選挙があるからとか、おくらせる理由は幾らでもある、だから、地元調整を理由に来月の最終報告をおくらせぬようにくぎを刺された、こういう報道ぶりなんですけれども、長官として、改めて負担の軽減ということを持ち出されたその理由は何なのか、ちょっとお話をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

額賀国務大臣 その前に、ラムズフェルド長官と話したときは、日米同盟というものは、日本の安全保障だけではなくて、アジアの地域、あるいはまた日本にとっては新しい脅威である弾道ミサイルとか、あるいはまたゲリラ的なものとか、日米の協力関係をきちっとしていかなければならない。あるいはまた、戦略的に日米同盟は自由主義とか市場経済だとか価値観を共有するところがあり、世界の今後のあり方を考えれば、お互いに成熟した民主主義国家群をつくっていくためには日米同盟関係がしっかりしていかなければならない、そういう前提の上に立って、この再編の中身について入らせていただきました。

 そこで、中間報告では一応の考え方がまとまりましたけれども、はっきり言って、それは米国側と日本側で若干の意識の差があります。アメリカでは、基地の問題はどこの地域に行っても総体的に言って大歓迎であります。しかし、日本においては、やはり地元の負担が多い、つらい思いをするということで、地域の皆さん方を説得することに相当のエネルギーを消費いたします。これはもう紛れもない事実であります。中間報告でまとめられた考え方を実現していくためには、抑止力の維持と負担の軽減というのは紛れもない事実でありますから、我々がきちっと、中間報告で協議したことについてアメリカ側が具体的な考え方を示せないものですから、しっかりスピードを出してやってくれという話をしたわけであります。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 私も全く同感でありまして、日米関係の強化あるいはアジア太平洋地域における日米の安全保障上の協力というのは、私どもの生存にとっても繁栄にとっても欠くべからざるものであるという認識を持っております。

 そこで、先ほどの多少足元を見られているのではないかという文脈でお尋ねをしたいのは、アメリカの海兵隊、第三海兵遠征軍の司令部のグアム移転に伴う日本側からの財政支出の問題なんですね。

 これは、去年の十月の合意文書には、「約七千名の海兵隊将校及び兵員、並びにその家族の沖縄外への移転」というものがうたわれて、「このような兵力の移転が早期に実現されることへの沖縄住民の強い希望を認識しつつ、米国政府と協力して、これらのグアムへの移転を実現可能とするための適切な資金的その他の措置を見出すための検討を行う。」と、語尾は大分濁っているんですが、財政的な支援をするというコミットメントを両国政府間でなさっておられるということなんだろうと思うんです。

 私の質問は、この財政支援の話というのは、いつごろ、日米どちら側から持ちかけた話なのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。

額賀国務大臣 これは、中間報告のころに私は政府の代表として交渉したわけではないから、すべてのことについてつまびらかではありませんけれども、基本的な考え方としては、海兵隊を移転するということは、沖縄にとっては負担の軽減につながっていくことになります。負担の軽減につながっていくことになるためには、アメリカの協力と日本の協力があることによってスピーディーにできるということが財政負担をする根拠になっていくことになります。

 どちらが早くやるということを言い出したのかということではなくて、これを延々と十年も二十年もかけてやっていくということであるのならば、私どもとしては、一日も早く負担の軽減を継承していくために、アメリカの対応が我々の要望どおりになってくれるならば、財政負担をしても結果的には国民の利益それから沖縄の利益になるのではないかというふうに判断したところであります。

長島(昭)委員 おっしゃる意味はよくわかるんですね。日本側の要望が強い場合には今の長官の御答弁は全く正しいと思うんですが、今回の米軍再編というのは、日本だけではありませんね、韓国もドイツも、全世界規模で行われている。

 同じように駐留米軍が削減をされているドイツや韓国、ここでも当然のことながら地元負担というのは、今長官がおっしゃったように軽減されるわけですね。しかし、日本とは異なって、経費負担という話は出ていないと思うんですね。そこは事実ですか。

塩崎副大臣 今、ドイツ並びに韓国のお話が出ましたが、特にドイツにつきましては、実は費用負担というのは一兆円ぐらいしているんですね。そういう事実はありますが、しかし、お尋ねが、米国の同盟国に関して行われた、米軍の移転に伴う経費負担をしたかどうかということにおいては、我々が知っている限りでは、ないというのが実態でございます。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

長島(昭)委員 塩崎副大臣、一兆円というのは、それではどういう経費負担なんですか。

塩崎副大臣 これは九四年のドイツ国防白書に記してあることでございますけれども、旧ソ連軍のドイツからの撤退時における費用負担ということで、一兆六百八十億円、百二十億マルク、これをドイツが負担しているということでございます。

長島(昭)委員 そうですよね。ソ連軍ですね。当時、ソ連はもう崩壊寸前のような、そういう国でしたから、やむを得ない一つだったんだろうと思うんですが、今のアメリカが崩壊寸前とはだれも思っていないと思うんですね。

 日本経済新聞の去年の十一月八日の朝刊に、外務省の幹部の方のコメントということで、ドイツや韓国は米国の意向による削減であって、日本側が求めた沖縄の海兵隊削減とは事情が違う、こういうコメントをされているんですが、これは外務大臣でも防衛庁長官でも構いませんが、この見解、この論理立てに間違いございませんか。

麻生国務大臣 基本的には、韓国の場合を例に引きますと、釜山から三十八度線以降にごそっと下げたのは米軍の意向、韓国は反対だったと記憶いたしますので、米軍の一方的な意向だったと存じます。それから、ドイツの場合は、先ほど塩崎副大臣の方からも申し上げたとおりです。

 今回の場合は、日本側のこれは長年にわたる希望でありましたし、先ほどの安次富委員に限らず、これは沖縄の方は皆おっしゃるところでもありますので、私どもとしては、移転を決めてもらったのはいいんですけれども、今から十五年かかって毎年五百人ずつなんというんじゃとてもじゃないので、これを一挙にやってもらうというときには、立ち退き料という表現が正しいかどうか知りませんけれども、もう少し適当な外交用語があるんでしょうけれども知らぬものですから、セメント屋としてはその程度の単語しか知らぬもので、済みません。そういった意味で、とにかく即行ってもらった方がいいのでということで、今のような話になった。その額が幾らになったかはまだ、ちょっと詰めを、存じません。

長島(昭)委員 外務大臣らしい直截的な御表現をいただきましたけれども、立ち退き料、これを本当に同盟国同士でやりとりし合うことがあしき先例にならないかというのは私非常に危惧をしておりまして、この点、これは幾らやっても水かけ論だと思いますのでここでやめますけれども、ここの認識は国民の皆さんも相当違和感を持っておられる決定だろうと思いますので、ぜひ御認識をいただきたいというふうに思います。

 そこで、さっき、ドイツや韓国は米国の意向だった、沖縄からグアムに移転するのは実は日本の意向の方が強いんだ、こういう御指摘だったんですが、私が多少調べたところによりますと、グアム移転も米国の意向ではないかと思われるような根拠が実はあるんですね。

 私、日本の政府の皆さん、いろいろレクを受けてもなかなかお答えいただけないので、少しアメリカの文書をほじくり出しまして、手元に、昨年の五月に中間報告を発表されました海外基地見直し委員会、これは米議会、連邦議会の諮問機関でありますけれども、元ジェネラルとかアドミラル、要するに将軍や提督がメンバーになって、それぞれの海外基地の見直しを国防総省とは別にやってみようということで諮問をしたそのドキュメントを持っております。非常に分厚いドキュメントなんですけれども、本文はたったこれだけなんですね。あとはアペンディックスなんですね。これは全部付録なんです。

 この付録がくせ者でして、実はこれが、〇五年、去年の五月九日に海外基地見直し委員会のホームページにアップされるや否や、ラムズフェルド国防長官が怒りまして、この中には非公開資料が含まれているということで、慌ててその委員会はこのリポート自体をホームページから削除したという経緯があるんですね。それは、五月十五日に発行されたニューズウィークで第一報があって、翌十六日のワシントン・ポストにもその記事が載りました。ですから、河相局長初め皆さん御存じなんだろうというふうに思うんですが。

 八月十五日にすったもんだのあげく最終報告が出まして、その最終報告は実にこんなものなんです。アペンディックスは全部削除された。その理由は何かというと、このアペンディックスの中に、付録の中に、国防総省から見直しの検討をするのに必要な書類、情報ということで提供した非公開文書が、情報が入り込んでいたので、これを削除しますという断りが書いてあります。私が何で持っているかというと、これもネット社会で、おもしろいもので、全米科学者協会というんですね、そこのホームページが、最初にぽんと五月九日にホームページに出たときに、これをアップロードしていて、そのホームページから私は行って入手したんです。今恐らくそのホームページしかアクセスできないんだろうと思うんですけれども。

 そこにはどう書いてあるかというと、グアムの基地の再構築という項目がありまして、第三海兵遠征軍司令部が沖縄からグアムに移転する可能性があるんだと。これは去年の五月の段階ですよ。これにより最大で二十九億ドルの大規模な施設建設費がかかる、その後アンダーソン空軍基地の強化の話、それから海軍の潜水艦や、あるいはもしかすると空母打撃部隊の寄港地にもなるというような、そういう文章が並んでいるんです。

 つまりは、私が申し上げたいのは、世界的な基地再編のその当然の帰結、米軍としては帰結としてこのグアムの基地を強化したい、その一環として沖縄の第三海兵遠征軍の司令部をグアムに移転させる、これはまさにアメリカの意向としてこういう決定がなされているわけで、麻生外務大臣が先ほどわかりやすく説明していただきましたけれども、立ち退き料というよりはアメリカの都合でこの司令部の部隊をグアムに移転した、こういうふうに考えられるのではないかと思うんですが、長官あるいは外務大臣、いかがでしょう。局長でもいいと思いますが。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 今の手持ちの資料として、ブラックのもう削除されてしまった記録というのは私持っておりませんので、必ずしも詳細にわたってここで御説明することには限界があろうかと思います。

 委員御承知のとおり、グアムには現在、空軍それから米海軍がおります。それにつきまして、海軍、空軍の能力を向上するという考え方、これは米側として持っている。これは、例えば二〇〇五年、昨年の三月のファロン米太平洋軍司令官の議会証言の中でも、戦闘機等々の部隊を強化する、それから、現在潜水艦として攻撃型潜水艦が配備をされているんですけれども、さらに巡航ミサイル搭載型原子力潜水艦を配備する、そういうようなことは考えているということは記録として出ておりますし、我々も承知しておるわけでございます。

 仮に、ブラックの中に、調査団の中に沖縄の海兵隊がグアムに移転をするということが言及されていたのかもしれませんけれども、日米間の細かい交渉経緯というものについてつまびらかにすることには限りがあるわけでございますけれども、日米間において既にそのときに、沖縄の海兵隊の司令部機能のところをどうやってグアムに下げることができるかどうかという議論は、いろいろな形でしていたという事実関係はございます。

長島(昭)委員 ですから、だまされたという言い方を私は同盟国ですからしたくはありませんが、どうも、負担の軽減をしてほしいんだろう、だから、もともと既定路線だった司令部のグアム移転も、ある意味で恩着せがましく、じゃ、あんたのところを加速するためにお金払いなさいよ、こういう話になっていやしないかという私ども不信感が実はあるので、そのことは私は議事録にとどめておきたいし、外務省の皆さん、防衛庁の皆さんにもそこはぜひ認識をしていただきたい。

 これはアメリカの戦略から考えれば理由のないことではなくて、アメリカは、今回のQDRではなくなりましたけれども、不安定の弧という、東南アジアから南西アジアそして中東をにらむ、こういう非常に不安定な地域に対するアメリカ側のかかわり方として、沖縄からグアムに司令部を下げるというのは、距離的には下がるんですけれども、弧ですから、ちょうど平行移動したような形になるんですね、地図上では。そうすると、より広いアメリカのオペレーションのコマンドをきちっとできるという意味で、グアムに移転させるというのは、別に日本側からいろいろ言われなくても、アメリカ側として非常にリーズナブルな結論として到達したんではないだろうか、こういうふうに思いますので、そこにまで日本人の、日本国民の税金を安易に投入することについては、私は非常に危惧を持っている。

 それと同時に、今、海軍と空軍の話をされましたが、今回まだ、私が聞いているところによれば、資料請求したんですけれどもこの費用負担の内訳が出ていない、こういうことなんですけれども、その内訳の中に、仮に、先ほど外務大臣がおっしゃった、あるいは防衛庁長官がおっしゃったように、沖縄からの司令部移転だけの費用負担を求められると仮定したとしても、これが空軍や海軍の施設整備費に援用されないというか、そちらの方に充てんされない、そういう保証はあるんですか。そこはどういうふうにそういう保証をとるんでしょうか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 グアムに沖縄にいる海兵隊が退くことに伴う経費につきましては、現在、日米の事務レベルでいろいろな議論はしておるわけでございますけれども、最終的な姿というものは議論の過程でまだ出ていないというのが現状でございます。

長島(昭)委員 いや、今の段階ではそこまでしかお答えできないんだと思いますが、新聞ではかなり詳細な、例えば読売新聞などは詳細な内訳を出しているんですね。

 米軍再編の過程でも私ども一番フラストレーションを感じたのは、立法府である私たちにほとんど情報が出てこない。それで、毎日のように新聞からそれらしい情報が垂れ流されている。こういう状況は私たちにとっては非常に耐えられない状況でありますので、ごまかさないでいただきたいんですが、今の海空軍の施設整備費には絶対流用されないんだ、ここはぜひ担保をとっていただきたいというふうに思います。そこまで私たちがやる必要は当然のことながらないはずですから。

 それから、沖縄の海兵隊は、この日米の合意文書によりますと、ハワイ、グアム、沖縄の間で再配分すると書いてあるんですね。沖縄にいた海兵隊がグアム以外の例えばハワイ、もっと言えば、報道レベルですけれども、フィリピンやオーストラリアという話もさんざん出てきました。ここは下地さんの方が詳しいのかもしれませんが。そういう意味では、なぜ、今まで沖縄にいた海兵隊がさっき外務大臣がおっしゃった立ち退き料で出ていくとしたら、グアムの司令部だけ、その建設費用だけ日本が負担するのか。それは、私は全部出せと言っているわけではありません、論理的に、ハワイに行くものも含めて日本は面倒を見ろという話になるんじゃないんですか。そこはいかがですか。

河相政府参考人 現在日米の事務レベルで議論していますものは、あくまでグアムに沖縄にいる海兵隊が撤退をするということに伴う経費ということでございます。

 これに関しまして、確かに七千名全員がグアムに移転するのか、グアム以外のところに移転することは全くないのかということは、それ以外の、グアム以外に移転をする可能性というものは排除されるわけではございませんが、ほかのところについての経費負担というのは議論しておりません。

 基本は、先ほど外務大臣からも御説明したように、グアムに対する移転に伴う予算、資金について日本が検討するということは、いかにして早くその移転が実現できるかということに関連して議論しているわけでございますので、ほかの地域はグアムと同様のような状況にはないというふうに私は理解しております。

長島(昭)委員 冒頭から申し上げているように、今の論理立てというのは、私は甚だ日本国民としては不満なんです。なぜかというと、全くダイナミックな思考じゃないんですよ。私、昔つたない文を書きまして、アメリカの軍事プレゼンスというのがアジア太平洋の平和と安定に必要ならば、国際公共財としてそのプレゼンスを日本がある程度財政負担をして、沖縄に負担も集中しているし、そこが分散されるのであれば、フィリピンやオーストラリアやタイやそういうところに分散されるのであれば、多少日本が財政的な支援、基金をつくって、アジア太平洋安全保障基金というようなものをつくって、そこから供出するようなアイデアもあるんじゃないか、こういう提案をさせていただいたこともあるんですけれども、それがいいか悪いかは別にして、ぜひそういう思考で当たっていただきたいんです。

 今回の日米合意文書にもそれらしいことが、長官、書いてあるんですね。「柔軟な危機対応のための地域における米海兵隊の再編」という項目に、「これらの変更には、海兵隊の緊急事態への対応能力の強化や、それらの能力のハワイ、グアム及び沖縄の間での再分配が含まれる。これによって、」ここから重要です、「個別の事態の性質や場所に応じて、適切な能力を伴った対応がより柔軟になる。また、これらの変更は、地域の諸国との戦域的な安全保障協力」、シアター・セキュリティー・コーポレーションと訳されるわけですけれども、「の増進を可能とするものであり、これにより、安全保障環境全般が改善される。」これが目的ですよね。

 これに対して、日本は、単に財政支援をするだけじゃなくて、主体的にこういう目的を達成するために、アメリカと任務、役割、能力の分担をしようというのが私は今回の日米同盟の変革と再編の最大の眼目だと思うんですね。そういう発想ではなく、何かグアムに立ち退いてくれるからお金をちょっと払ってあげましょうというような発想では、私は、なかなか日本の納税者を納得させることは難しい。

 むしろ、五千億だか七千億払うことになるのかどうかわかりませんけれども、私は絶対それは阻止したいと思いますけれども、そういうお金がもしあるのであれば、例えばこの地域の国々のキャパシティービルディングに役立てるとか、あるいは海上保安庁の能力を高めて海賊に対する対処能力をつけるとか、あるいは日本と域内諸国との共同訓練なんかの資金にするとか、あるいは高速輸送船が必要ならばそういうところから高速輸送船の購入費に充てるとか、こういうやはりダイナミックな、ああなるほど、我々の納めた税金はそういうアジア太平洋地域の安全保障にアメリカとは別の角度から貢献しているんだというようなロジックをぜひ政府の皆さんにも立てていただきたい。そうしないで、単に立ち退き料ということであれば、私は、この本委員会の委員としては絶対に認められないし、そういう説明で済むと思っておられれば、それはやはり認識を改めていただかなければならない、こういうふうに思っています。

 もし御感想があれば、大臣か長官か、御所見を承れればありがたいと思います。

額賀国務大臣 もともと米軍再編は、アメリカはアメリカなりにみずからの戦略に基づいて再編計画が行われている。我々も、従来の安全保障に取り組む姿勢から、新しい環境の中でどういうふうにみずからの安全保障、防衛体制をつくるか、あるいは日米同盟関係を考えていくか。

 その際に、アメリカ側も、長島さんが御指摘しているように、この前は不安定の弧、今度はアジアの重視、そういう戦略転換は日本と共通する問題意識がある。それは、日本の安全保障と日本のアジアの地域における役割と責任を果たす上でプラスのものがある。共通のものについてしっかりと環境づくりをしていく。私は、日米同盟関係というのは世界の中で公共財的な役割を果たしていくことがこれからの姿だろうと思っております。その意味では委員と共通の認識を持っておりますし、それなりに、きちっと負担すべきところは負担はした方がいいと思っているわけです。

麻生国務大臣 長島先生、昔、今から二十数年前、日米同盟と言っただけで内閣が一個倒れたんですよ。そういう時代だったの。今は、世界の中の日米同盟と言っても、長島さんも当然じゃないかと。そういう意識を持っておられる方が民主党にもふえた。喜ばしいことですよ、僕に言わせたら。二十年前はそんなこと絶対考えられないから。そのころから議員をやっています者からいうと隔世の感があるなと思って、今、自民党の方の御意見かなと思ってじっと聞いていたぐらい、私どもはそう思いましたよ、正直なところ。

 だけれども、私どもは、今長島さんの言われたことには、基本的には全く異論はありません。私どもとしては、少なくともこのアジア地域というところがまだいろいろな意味で不安定さを残しているということはもう確かですから、朝鮮半島、台湾海峡、いろいろ問題もありますし、その他にもマラッカ海峡の海賊の話も今されましたけれども、確かにそういった問題というのは、通商で生きている我々にとりましてはこれは非常に大きな問題ですから、そういった意味では、日本とアメリカが共通の価値観を持って、私どもとして共通の価値観を守るということに関して一緒になっていくというのは基本的に正しいんだ、私もそう思っておりますので、今言われた問題というのは、どうも日本の話になると、安保の話になると沖縄の話だけになっているみたいですが、これは沖縄の人ほど迷惑な話ですから、そういった意味では、もっと大きな視野で見るべきという意見に関しましては、私ども、全く賛成です。

長島(昭)委員 ぜひ、日本側の主体性それから戦略性を持って対米交渉を、これから最後の最終報告に向けてきちっとやっていただきたい。納税者の声もぜひ酌み取っていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 日朝包括並行協議につきまして御質問をしたいと思います。

 私は、北朝鮮に対して、今こそ日本の国益と生命を守る政策をとるべきであって、不誠実な対応を繰り返す国に対しいつまでも対話を継続すべきでないと考えています。我が国の基本姿勢が対話と圧力であるならば、対話からいきなり圧力に行くのではなく、対話をやめるとまずは宣言すべきではないかと思っています。

 麻生大臣、対話をやめるというカードを使うのはどうでしょうか、御意見をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 今内山先生からの御意見にありますように、この北朝鮮という国は、これまでの過去の交渉経過を見ると、対話だけで話が進む国ではない。はっきりしていると思いますね。対話だけじゃだめ、圧力が要ることははっきりしています。対話のための対話をしているわけじゃありませんから。そういった意味では、私どもとしては、対話だけではだめということは、全く御意見に関しては賛成であります。

 ただ、国交が基本的にありませんから、そうなりますと、何となく、一方的に切れると、いわゆる拉致された方々というのはまだ生きている可能性というのを私どもは基本的に持っておりますので、そういった意味では、それがもとでというのはいかにも忍びない話ですし切ない話でもありますので、そこはとられている方の弱みといえば弱みということになるんだと思いますが、私どもとしては、丁寧に丁寧にここまでやってきたというのがこれまでの経緯で、ただし、対話だけで話が進む相手ではない、それだけははっきりしている、私もそう思います。

内山委員 対話からいきなり圧力ということでは余りにも極端過ぎますから、その真ん中があってもいいんじゃないかな、対話をやめると言うのも一つの圧力の方法じゃないかな、こう思っております。

 米国も、自国の国益を守るために、北に対して今、金融制裁をしています。我が国も、経済制裁という言葉を使わずに、日本の国益と国民の生命を守る政策として、北朝鮮への送金停止を可能にする改正外為法、万景峰号の入港を禁止する特別措置法を行使するカードを持っているわけでありますから、北に対して経済制裁などということを言いますと、向こうは宣戦布告だなんていうふざけたことを言っておりますので、我が国のできる政策として、まずその二つのカードを粛々と行使すべきじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 おっしゃるとおり、よく言うんですけれども、労働組合をやっていて、首切るぞといって首切る経営者というのは大体余り上等な経営者じゃありませんから、知らないうちに減っていたというのが組合にとっても正しいし会社側にとっても正しい、大体そういうものだと思いますので、私どもは、少なくとも日本にあります法律に基づいて、きちんとその法律どおりやるというのは宣戦布告でも何でもない。おたくら法律を守らないからという話なんであって、今、私どももいろいろな形でやっておりますけれども、各地方自治体でも、少なくとも固定資産税をきちんと取ってくださいといって、固定資産税を取っていないところと取っているところがあるのはおかしいでしょうがという話は総務大臣のときもいろいろやったことがありますので、そういったものが一つ一つ圧力になっていっているんだと思いますし、今おっしゃいました船舶の話とか送金の話とか含めましても、いろいろこれまで結構、いわゆる朝鮮銀行の話にしてもRCCの話にしても、また万景峰もそうでした。いろいろな形で、今ある法律を法律どおり施行するということで輪が狭まってきていることは確かだと思っておりますし、また、国際世論というのも非常に気にする国民ですから、我々じゃない、向こうの話ですよ。そういう国民ですから、私どもとしては、少なくとも拉致という言葉を正式に国連で使えということを、いろいろ努力をして昨年の国連の委員会じゃなくて総会でアブダクションという言葉を正式に使わせるというところまでやる等々、幾つかそういったことをきちんとやっているところもありますが、今言われたように、これをいつやるかという期日につきましてはもうちょっと検討してみる必要があろうと思いますけれども、対話だけで話が進むとは思っておりません。

内山委員 三年三カ月だらだらと日本と北朝鮮の政府間協議をしているわけでありますけれども、この協議に対して疑問といら立ちを持っている国民は少なくないと思うんですね。私も一人の国民として、非常にやはり不愉快に思っています。

 外務大臣の所信に、さきの日朝包括並行協議において、最優先課題である拉致問題を初め、我が方の懸念や要求を直接伝えたことは一定の意義がありました、こういう所信がございましたけれども、一体、一定の意義というのはどんなものなんでしょうか。

麻生国務大臣 かれこれ一年何カ月か、いわゆる対話というか交渉がゼロという状況が続いておりました。何となく、熱しやすく冷めやすいこちらを見ていれば、そのうちに何か忘れてくれるんじゃないだろうかということはないのよと、うちは。少なくとも、もう全くこの話は、拉致が片づかない限りはほかの話は一切だめと。だから、うちは拉致の話が全くないままずっと聞きなぐられるのは困りますので、拉致の話をしてもらうためには、向こうがしたいのは正常化ですから、正常化の話もしましょう、これもしましょう、こっちをしたければこの話に乗ってこなきゃだめよという、まあよくある話ですけれども、それで両方で話し合いをした。

 相変わらず我々はこちらの話も三つやりましたけれども、基本的に、この拉致の話が片づかない限り、残りの二つ、幾らその委員会で決定しても、これが片づかない限りは、拉致の話が片づかなければ前に進まないのよということは今回さらにはっきりわからせておりますので、向こうは、持ち帰って検討させていただきます、昔だったら席立ってそのままで終わりだったんですけれども、今回は持ち帰って検討させていただきますというところまでは来たというのは、一定の意義があったんだと思っております。

 ただ、現場の人がその場ですぐ答えが出せるようなあれではないと思っておりますので、一応持ち帰って上まで上げなきゃ交渉ができない国柄だとは思っておりますけれども、私どもとしては、少なくとも、切らずに一応継続の意向を示したというのはそれなりの成果だったと思っております。

 ただ、それに基づいてどう出てくるかというのは、御存じのように、中国に汽車で一週間ぐらいずっとしておりますし、今度胡錦濤はアメリカへ行きますし、いろいろな形でいろいろな動きが出てきつつあるんだとは思っておりますけれども、きちんとした対話を、我々の姿勢を、うちは全然ふらふらしてないので、これはずっとしているというところがこの種の交渉では最も肝心なところだと思っております。軸足はぶらさぬというところだけはきちんと伝えておくというのは意義があったと思っております。

内山委員 日朝包括並行協議では、全体で二十時間の七割を拉致、安全保障に充てたと聞いています。詳細に意見交換をした。何か具体的にそこで進展をしたんだろうか。

 拉致事件と国交正常化というのは日朝の二国間協議で、核、ミサイル問題というのは多国間の六カ国協議で取り扱っている問題だと私は認識しておりますけれども、今回の日朝包括協議で安全保障をこの中に組み込んだというのは、六カ国協議をしているのにかかわらず、何でこの包括協議の中に安全保障を入れたんだろう、こう疑問に思っているんです。大臣、お願いします。

麻生国務大臣 今おっしゃっておられました、まず拉致協議の方ですけれども、この協議の中でまず私どもの言っておりますのは、基本的に三つです。生存者の帰国、これは、向こうは生きておらぬと言っておるのですけれども、いや、そんなことはないでしょうと。生存者の帰国。それから、辛光洙の話とかいろいろありますが、真相究明についてのさらなる向こう側の再調査というものが二つ目。それから、当然のこととして容疑者の引き渡しということを私ども要求しているときなんですが、向こう側の方も、DNAの鑑定、例の遺骨の話ですけれども、専門家による説明等々、脱北者というのを支援しております邦人等の七名の引き渡し等々を再提議いたしております。

 次に、今のミサイルの話ですけれども、これは、御存じのように、一年三カ月ぶりで、時間をかけてこれだけやったことはこれまで余りなかったのですけれども、私どもとして、このミサイルの話というのは六者協議の中でないとなかなか進まない話ではあるのです。ただ、一番短いやつでも届く距離に地理的にいる我々にとりましてはちょっとほかの国とは立場が全然違いますので、私どもにつきましてはこの懸念は伝えておかないと、この話だけどんどん進まれて、おまけにこの技術を海外に輸出したりなんかするという話ですから、しかもそれを売ってお金にしたりなんかしている可能性もあるということになりますと、私どもとしましては、資金洗浄に使ったりいろいろな形の話が言われてはおりますけれども、この問題につきましても、私どもは一番の隣国として最大の関心があるということをきちんと示しておくことが必要なんだと思っております。

内山委員 私は、北朝鮮と国交正常化を急ぐ必要性というのはよくわからないのですけれども、日本は一体、北朝鮮と国交正常化を急ぐ必要があるんだろうか。当然拉致被害者の救済というのもありますけれども、ぜひその辺を、国としてどう考えているのか、お尋ねしたいと思うのです。

麻生国務大臣 世界じゅう、一応小さな人口数十万の国を含めまして、今、国連登録、たしか百九十一カ国だと思いますが、その中で、正常化された国交が、正式な国交がないというのは隣の国だけなんです、日本にとりましては。

 そういった意味では、やはりある程度、隣の国と全然話ができないというのもちょっといかがなものかということで、私どもとしては、この国と国交の正常化を持っていませんと、例えば、いろいろな犯罪者の引き渡しにしても、今度の辛光洙に限りませんけれども、犯罪者の引き渡しにしても、その他いろいろな、正式なルートがないわけなものですから、それは在日韓国人、在日朝鮮人の話になりますと、途端に話がまた民団と朝鮮総連と、こっちは国交がある、こっちは国交がないとか、扱いとしては非常に難しい問題も抱えておりますので、なるべく基本的な、国交がゼロというのはなかなか、私どもにとりましても仕事柄いろいろ問題も抱えますので、仲がいいか悪いかは別にして、とにかく正常化された一応国交というものはきちんとしておいた方がいいのではないかと思っております。

 ただ、それによってどんな利益があるのか、どんな損があるのかと言われると、それは利益だけじゃないことも確かだろうと思っておりますけれども、私どもとしては、いろいろこの種の問題につきましては、何十年になるんでしょうか、五十数年の長きにわたって不正常なままずっと置いている状況はいかがなものかという感じがいたしております。

内山委員 私は、国交正常化ができなくて困るのは北朝鮮だろうと思っておりまして、あえて、ああいうのらりくらりと交渉するたびに非常に不愉快な対応を示す国には、時間をかけてじっくりと取り組むべきだろう、こう思っております。

 さて、話は変わりますけれども、二月の十一日、新聞報道で、平成十四年の日朝平壌宣言に明記されていますミサイル発射の凍結を破棄するとの意見を北朝鮮側は日本側に伝えた、こう報道で読みましたけれども、これは事実でしょうか。外務省の方からお願いしたいと思います。

塩崎副大臣 結論から言いますと、そのような事実はございません。

 今回、三つの協議が同時に行われたわけでありますけれども、安全保障協議の中で、日朝平壌宣言全体を前に進めるために、同宣言に基づいて協議を行っていくということで双方が一致をしているわけです。そうすると、その宣言の中にはこのモラトリアムがしっかり書いてあるわけでありますので、それを前提としているということでありますので、そういう事実はないということです。

内山委員 新聞報道には明確にモラトリアムの破棄、こう書いてありましたので、国民は、そちらの方が正しいと思っている方も結構いらっしゃると思うんですね。恫喝外交、いいかげんにしないか、こう非常に思うわけでありまして、やはりこういったところを考えますと、これはもう対話をする必要がないな、こういう結論になってくるわけであります。

 また、昨年の九月北京で行われました六カ国協議で、米国は、北朝鮮が核をあきらめれば、北朝鮮に対して核兵器または通常兵器による攻撃または侵略を行う意図は有しないと確約をしたとありますけれども、ここはまたよくわからないところでありまして、外務省はこの辺をどう判断しているんでしょうか。

塩崎副大臣 この九月の共同声明でございますけれども、これは、朝鮮半島並びに北東アジアの平和と安定のために六者会合が達成すべき最終的な目標というのを示したものでありまして、その共同声明の中核をなす規定というのは、あくまで、北朝鮮によるすべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な放棄の約束ということでございます。

 共同声明における、指摘が今先生からございました箇所は、北朝鮮によるそうした約束を受けて、朝鮮半島における核兵器保有に関する米国の政策を改めて確認するとともに、武力の行使に関する米国の原則的立場を北朝鮮との関係で確認したものでございまして、米国は、共同声明の採択以前にも、大統領のスピーチであるとかあるいは国務長官のスピーチなどで、そのような立場を繰り返して述べているわけであります。

 今後は、北朝鮮を早期かつ無条件に六者会合に復帰させて、共同声明の履行手順を早期に確定させることが重要であるということで、今、六者のうちの五者、それぞれ努力を重ねているというところでございます。

内山委員 今のことと日米安全保障条約との関係といいますか兼ね合いといいますか、米国は北朝鮮を攻撃しない、攻撃する意図はない、こう言っていたところで、もし北朝鮮との何らかの衝突があった、有事になったときに、日米安全保障条約はどのように機能するのか。これは非常に難しくてわからないんですけれども、ぜひ整理してお尋ねをしたい、お聞きしたいんですが。

麻生国務大臣 これは一般論として申し上げさせていただければ、アメリカというのは、日米安全保障条約のいわゆる契約上、我が国に対して武力攻撃というものが何らかの国から行われた場合は、日本という国を防衛する義務というのを負っております。したがいまして、日本として、アメリカがこの義務を履行するであろうということに関して我々が今疑いを持っているかといったら、その点に関しては持ってはおりません。

 他方、今、六者協議の話の中で、仮に、おまえ、それは北朝鮮が攻撃したときはどないなんじゃ、多分そういうことになるんだと思いますけれども、特定の国がこっちを武力攻撃した場合はおたく、どうしますと、これはなかなか、ちょっとこの場では言いにくいところだと思いますので答えは差し控えさせていただきますけれども、日本に対して武力攻撃が第三国から行われたときに、アメリカがそれに対して日米安保条約に基づいた義務を履行するということに関しましては、いささかの疑いも持っておりません。

内山委員 安心をいたしました。

 それでは、残りの時間を防衛施設庁の関係でお尋ねしたいと思います。

 防衛施設技術協会、これをちょっと調べましたら非常におもしろい傾向がありまして、防衛施設技術協会の役員が天下った企業、これは幾つもあるわけですけれども、決して優良企業とは言えないところも結構ありまして、例えば、防衛施設技術協会の九七年の姫野理事長の天下り先というのが新井組、これは再建中の会社なんですね。それで、鴻池組が筆頭株主の会社でもあります。二〇〇二年の熊谷悟朗理事長の天下り先、不動建設、これもまた再建中の会社である。九四年の田原敬造理事長の天下り先に至っては村本建設であり、前年、九三年に会社更生法の適用を受けた、再建中の会社である。

 いかにも会社再建のための天下りで、企業の方も、理事長クラスを引き抜けば今後仕事をもらえるというような図式で引き受けたのではなかろうかと。非常にトレンドが見えるんですね。確かに天下り先が優良企業もありますけれども、そうでない経営状態が大変な会社が結構ありまして、需要と供給のバランスといいますか、魚心あれば水心ということでしょうか、非常におもしろい構造が見えてきております。

 財団法人防衛施設技術協会の役員構成というのはどんなふうになっているんですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘の防衛施設技術協会の、本年の二月一日現在でございますが、役員構成は、常勤の理事長一名、それから常勤の常務理事が三名、非常勤の理事が八名、そして非常勤の監事が二名の合計十四名でございます。

内山委員 常勤が四名で非常勤が十名ということでよろしかったでしょうか。

北原政府参考人 はい、そのとおりでございます。常勤が四名、非常勤が十名、合計十四名でございます。

内山委員 常勤の四名がこの防衛施設技術協会を牛耳っているといいますか切り回しているんだろうと思うんですけれども、この役員の中に民間人が二人いると思うんですが、その所属を明らかにできますか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生御指摘のように、私どもの防衛施設技術協会の役員の中で二名、民間の出身の方がおられます。二名のうち一名は非常勤の理事でございまして、保証事業会社に勤務されておられます。また、もう一人の方は監事、これは非常勤でございまして、保険業に勤務されている方でございます。

内山委員 この二人というのは、会社名をあえて言いませんけれども、余りにも、建設業界といいますか、こういう業界に通じている人物なんですよね。保険会社の取締役社長と保証会社の取締営業部長ということでありまして、こういう役員を採用するという基準はどのような基準なんでしょうか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 防衛施設技術協会の役員につきましてでございますが、これは、同協会がまず、寄附行為に定めております事業を行うために必要な知識ですとか能力あるいは経験を有する方などを総合的に勘案いたしまして、今御指摘の民間企業ですとか大学の教授、あるいは他省庁出身者等から幅広く人材を求めまして、同協会の、これは評議員会がございますが、評議員会において選任を行っているものと承知をいたしております。

内山委員 幅広くとることによって三十年間も官製談合が続けられてきたという情報源であることは間違いないわけでありまして、この官製談合が行われなかったらどのぐらい国費が安くおさまったのか、受注のつり上げがなかったらどのくらい国民が要するに余計に税金を払わなくて済むのか、そういったところの数値、試算をされていますか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 御承知のように、ただいま、私どもの防衛施設庁発注の建設工事に係ります談合事案につきまして検察御当局の捜査が継続しているところでございまして、捜査に影響を与える可能性がございますので、御指摘の点につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思っています。

 ただ、今後、私どもの職員あるいは関係企業が国に対します損害を与えたことが確認された場合には、私どもといたしまして、関係法令に基づきまして厳正な対応を行ってまいる所存でございます。

内山委員 防衛庁が所管する公益法人というのはまだたくさんあると思うんですけれども、その数というのはどのくらいあるんでしょうか。また、健全に運営されているかどうかというのを今後調査する必要がありますか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 本年の二月現在で防衛庁が所管しております公益法人は、財団法人が十五、そして社団法人が七の合計二十二でございます。これらの法人につきましては、三年に一度は必ずそういう調査等も入るような形でこれまでもずっとやっておりますので、それなりの機能をきちっと務めているもの、このように思っております。

内山委員 二十二の公益法人、きちっと、同じような問題がないように、これはやはり今精査すべきだろう、こう思います。その辺は後でお尋ねをしたいと思っています。

 さて、空調設備会社の指名停止処分についてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 指名停止が、防衛施設技術協会は六カ月、大気社を含む三社は、重要な違法行為があったとして一年二カ月の指名停止処分がある。これは妥当な指名停止処分なんでしょうか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘のように、去る二月二十日、防衛施設庁が発注した工事の入札に関しまして競売入札妨害があったといたしまして、東京地方検察庁に、財団法人防衛施設技術協会理事長が起訴され、また、株式会社大気社、新菱冷熱工業株式会社、三機工業株式会社の役員が略式起訴されました。これを受けまして、同日、各機関に対し事務次官名で通達を発出いたしまして、指名停止措置要領に基づきまして指名停止の措置を行ったものでございます。

 まず、財団法人防衛施設技術協会につきましては、逮捕された理事長の起訴の事実は防衛施設庁審議官当時の違法行為でございまして、技術協会自身が今回の談合事件の当事者ではなかったものの、現職の理事長の起訴により協会としての信用を失墜させ、契約の相手方として不適当である、こういう理由に基づきまして、六カ月間の指名停止といたしたところでございます。

 また一方、大気社ほか二社については、談合の当事者でございまして、また、談合を行っていないとの誓約書を提出したにもかかわらず談合を行っていたこと、それから複数案件に及ぶ談合事件に関与していたこと等を勘案いたしまして、十四カ月の指名停止期間としたものでございます。

内山委員 過去に談合事例というのは、航空機のジェット燃料であるとか海上自衛隊の船舶の修理、海上自衛隊の通信機の乾電池、航空機用のタイヤなんかもありまして、こういった処分事例を見ていますけれども、今お答えいただきましたけれども、六カ月というのは非常に甘いんじゃないか、こう思うわけですね。

 生沢守容疑者が受注予定社を指定する配分表の作成を開始した二〇〇四年一月以降二年間で、談合により、これは新聞記事ですけれども、約百六十五億円の公金が無駄に支出されていた、談合は三十年間にわたって、業界側の不正利得が数千億円になる、こう出ていますけれども、この損害賠償というのはできるんですか。

浜田委員長 北原施設庁長官、時間が来ておりますので手短に。

北原政府参考人 はい。

 先ほど御答弁させていただきましたが、国に対しまして損害を与えたことが確認された場合には、私ども、関係法令に基づきまして厳正に対応してまいりたい、そのように考えております。

内山委員 ありがとうございました。

 時間が来ました。終わります。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 額賀長官に伺います。

 今月の二十一日の記者会見で、岩国の住民投票に関して、地域の問題であるのか国家全体の問題であるのか、そういうことを地域住民の皆様方にはよく考えていただければありがたい、このように述べておられます。一方、岩国市の井原市長は、基地や米軍再編全体は国の問題かもしれませんが、岩国基地に関する部分は地元に理解を求められている問題である、市民の安全、安心にかかわる事項です、こう述べております。私は当然だと思います。

 長官は、地元住民がみずからの安全の問題として意思表示をするのを否定するのですか。

額賀国務大臣 安全保障の問題については、基本的には、地域の皆さん方の御理解を得ること、国民の理解を得ることが最も大事なことでございます。しかし、国全体として安全保障、防衛体制をどう維持していくか、堅持していくかということも、これもまた、国家の運営にとって、国民を守っていく上で不可欠なことでございます。

 私が地域の県知事さんとか市町村長さんを回ったときに、大概の市町村長さん、リーダーの皆さん方は、国の安全保障のこともよく理解する、しかし、地域の住民にとっては、基地があるとすれば負担もあるし、さまざまなつらい思いもしている、そこのところを地域の政治家の代表としてはよくわかってほしい、そういうことを訴えられました。私は、それは健全な姿であると思っております。

 したがって、安全保障全体のことと地域の負担を最小限にする接点をどういうふうにつくっていくかが私の仕事であると思っています。

赤嶺委員 額賀長官は記者会見で、先ほど紹介した言葉の後にこう言っておられるんですよ。国としては、国家国民の安全、地域の安定のためにやらなければならないことはやっていかなければならない、こうおっしゃっているわけです。

 住民投票の結果がどうあれ、あくまで計画を進めるということですか。

額賀国務大臣 今申し上げましたように、全体の防衛体制、安全保障を考えたときと地域の皆さん方との意見の食い違いが生ずる場合が想定されますけれども、その点については、できるだけ理解を得るように、話し合いの中で努力をしていきたい、そしてその中で接点を探っていこう、ただ、全体のことを考える防衛庁長官としての立場としては、やはりしっかりとしたみずからのスタンスは持っていなければならないということを申し上げたわけであります。

赤嶺委員 地元住民と防衛庁長官がおっしゃる国の安全保障、今の長官のような態度をとられたら、どんな矛盾が起きていくか。このことを示している事例が実はあるんです。

 今月、日出生台で沖縄の実弾砲撃訓練、移転訓練が行われましたが、御承知のように、この移転訓練というのは、九七年以来、本土の五つの演習場で行われているアメリカ海兵隊の実弾砲撃訓練であります。

 当初政府は、沖縄の痛みを分かち合うとして、キャンプ・ハンセンで行われていた百五十五ミリりゅう弾砲の実弾砲撃演習を本土に移転しましたが、その際、沖縄で行われていた訓練と同質・同量にすると繰り返し説明し、そして地元とも使用協定を結びました。

 ところが、一月末から日出生台の演習場で行われていた演習で、米軍側が突然、小銃と機関銃による実弾訓練もやらせるよう求めてきました。訓練開始日の三十日には防衛庁から守屋事務次官らが現地入りし、そして受け入れを地元に迫る。額賀長官自身も電話で大分の県知事に受け入れを迫る。これは異例の対応だと思うんですよね。これに対し、地元の自治体、住民からは強い抗議と反対の声が上がりました。

 一体なぜ、小銃、機関銃の訓練が日出生台で、アメリカの海兵隊のそういう訓練ができるんですか。

額賀国務大臣 おっしゃるように、防衛庁としては、一〇四移転訓練を効果的に実施したいとの米側の要請を踏まえまして、一月十七日、福岡防衛施設局長、一月二十七日、防衛施設庁業務部長、及び一月三十日、事務次官からそれぞれ地元への協力要請を行ったことは確かであります。さらに、私も、そういう状況を踏まえまして、大分県の知事に電話をし、地元の状況それから米国側の要望等々について意見交換をしました。

 これに対しまして、知事からは、二月一日、同射撃は、平成九年十月に締結された福岡防衛施設局と地元との協定に記載されていないことから、受け入れられないという回答があったわけでございます。

 このため、米側に対しましては、今回の日出生台演習場での一〇四移転訓練において、砲陣地防御訓練における小火器の実弾射撃訓練を見送るように要請をし、米国側は当該訓練を実施しなかったということでございます。

赤嶺委員 米側から、効果的な訓練を行いたいといって、小銃、機関銃の訓練をやらせてくれと言った。そして防衛庁長官も事務次官も地元に迫った。何で迫れるかということなんですよ。

 例えば、SACOの最終報告に基づく訓練移転ですよね、SACOの最終報告では、百五十五ミリりゅう弾砲の砲撃演習を移転し、沖縄では訓練を取りやめるということだけしか書いてありません。なぜ小銃、機関銃の訓練ができるんですか。SACOに書いていないんですよ。SACOに基づく訓練移転でしょう。何でできるんですか。

額賀国務大臣 米軍のそういう要求もあったものですから、地元としてはそういうことは引き受けることが可能なのかどうかということについて打診をしましたところ、地元ではそういうことは引き受けることができないということでしたので、その小火器の訓練は行われなかったということでございます。

赤嶺委員 SACO合意に基づいて訓練の移転を行います、それは同質・同量ですということをあなた方は当時何度も説明したわけですよね。

 では、その機関銃、小銃の訓練というのはSACOの範囲内の訓練なんですか。

額賀国務大臣 それは、地元の御理解が得られるような環境であれば、そういうことができるのかできないのかはわからないから、地元の皆さん方に御相談を申し上げたということです。

赤嶺委員 長官、答弁をゆがめております。私は、SACOに基づく訓練移転であれば、それはSACOの範囲内だ、同質・同量の訓練だということは、九七年、あなた方は繰り返してきたと。小銃、機関銃の訓練を受け入れるよう地元に迫る。迫るのであれば、日本政府は、それはSACOの範囲内だと考えておられるんですか。

長岡政府参考人 SACOの合意におきましては、県道一〇四号線越えの実弾砲兵射撃訓練、これを日本本土の演習場に移転させる旨記述されておるところでございます。

 この一〇四の移転訓練は、百五十五ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練が中心ではございますけれども、それと一体のものとして砲陣地の防御訓練というものが行われておりまして、これが一体となって初めて訓練が完結するものでございます。

 したがいまして、実弾射撃を伴う砲陣地訓練というのは、一〇四の移転訓練の一部を構成するものであると考えられますので、SACOの合意に含まれると考えておるところでございます。

赤嶺委員 SACOの合意の範囲内、一体をなすものと、九七年当時、訓練移転のときに、小銃、機関銃の訓練もその砲撃訓練と一体のもので移転するんだと説明しましたか。

長岡政府参考人 平成八年度以前におきましては、キャンプ・ハンセンにおきまして百五十五ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練を行うときに砲陣地防御訓練も一緒に行っておりましたけれども、平成九年以降の本土に移転した場合は、引き続きそういった小銃射撃訓練はキャンプ・ハンセンで行うということでございましたので、本土では百五十五ミリりゅう弾砲のみを射撃する、こういうことになったわけでございます。

赤嶺委員 SACOの当時説明もしていなかったものが、八年、九年たってアメリカ側からやらせてほしいと言われたから、当時の合意はともかく、まず地元は引き受けるかなといってやってみたと。しかも、長官や事務次官や米側の代表まで地元に連れていくような迫り方をしている。

 アメリカはいつ、それはSACOと一体をなすものだと日本側に説明があったんですか。どこであったんですか。

長岡政府参考人 昨年の十一月ごろでございますけれども、米軍の方から正式に、本土の、ことしの頭でございますけれども、日出生台が順番になっておりましたけれども、そこで小火器の射撃訓練を実施したいというお申し出がございました。

赤嶺委員 昨年の十一月ですよ。そのときに外務省は、これはSACOと一体のものであるというようなことについて了解したんですか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど長岡部長からも御説明したとおり、もともとキャンプ・ハンセンで行われていた県道一〇四号線越え、この実射射撃訓練、これに関しましては、一つが百五十五ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練、もう一つが砲陣地防御訓練、この二つで構成をされているもので、キャンプ・ハンセンで平成八年以前行われていたわけでございます。

 そして、本土移転に関しましては、先ほど御指摘にございましたように、同質・同量ということで考えておるわけでございますので、このSACO合意においては、この二つの訓練、両方は含まれているというのが外務省の見解でございます。

赤嶺委員 まさに外務省の後知恵ですよ。当時は、訓練に厳密な限界を設けて移転した。そして、私は沖縄で行われていた実弾砲撃訓練場は何度も抗議行動に参加しておりますが、そのときの機関銃、小銃を使った訓練というのは別の場所でやっているんですよ。別の場所のレンジを使ってやっているんですよ。それが今になって一体だと言う。ですから地元は、防衛施設局と地元が結んだ使用協定にない、これは訓練の拡大だといって引き受けなかったわけですよね。受けなかったわけですよ。そういう地元の協定、政府と地元の協定というのはアメリカに対して効力を持つんですか、持たないんですか、長官。

額賀国務大臣 私は、地元の了解が必要であると思ったから知事に電話をして、地元の状況はどうですかということで、非常に困難ですということですから、訓練を取りやめるように米軍に言ったわけであります。

赤嶺委員 日本政府は、協定になくても、そして何も決まっていなくても、アメリカから言われたら地元に伝える、地元がこれは協定違反ではないかと言ったらそのときに初めて気がつく、そういうことですか。

長岡政府参考人 地元の協定があるのは私ども承知しておりまして、そういうことを踏まえてお願いをしたわけでございます。

 それから、先ほど先生の御指摘でございますけれども、砲陣地防御訓練というのは、砲を置きまして、その周りに陣地を構築して砲を守る、小銃、機関銃で守るわけでございますけれども、これは、射撃姿勢だけとるというのと実際に撃つというのがございまして、それで、演習場の形態によってその場ですぐ撃てないところもございます。例えば日出生台もそうでございますし、キャンプ・ハンセンもそうでございます。

 ですから、そこの砲陣地防御訓練というのは、砲の近くでは陣地をとって態勢をとる、こういう訓練をいたします。実際に撃つのは別の射場に参りまして、これは演習場の形態のせいでございますけれども、そこで実際の実弾射撃をする、こういうことでございます。

赤嶺委員 ですから、地元と結んでいた協定にもない、SACO合意にもなかった。しかし、去年の十一月、訓練が移転されて八年、九年たってアメリカが、最近はテロも多いし、こういう訓練もやりたいと言ってきた。やりたいと言ってきたら、皆さんは、SACOの当時説明していなかったものまで地元側にやらせてくれといって要求するんですか。そういう姿勢なんですか。

長岡政府参考人 私どもといたしましては、これまで、一〇四移転訓練におきましては、本土ではそういった射撃姿勢をとるところまでの訓練をいたしまして、実際に実弾を発射するのは帰って、キャンプ・ハンセンでやっていたわけでございますけれども、訓練の効率性それから練度の維持向上といった点からそこで一緒に行いたいという米軍の要請は合理的であるというように判断をいたしまして、地元にお願いをさせていただいた次第でございます。

赤嶺委員 何で、決まってもいなかったことを地元に押しつけるのに合理的であると。決まっていたかどうかが最大の基準でしょう。当時、SACOの合意の枠内に入っていたかどうか、そしてその地元説明を行っていたかどうか。地元の訓練の責任者であった現地の指揮官のスタッダード中佐は、小銃、機関銃の訓練は通常訓練の一部だ、このように言っているんですよ。

 ですから、最初はSACOの合意で実弾砲撃訓練を移転してきた、七年、八年使ってみたら、今度は小銃、機関銃の訓練を移転しよう、そして政府がアメリカからの要望に応じたら地元自治体を説得に行く。

 今回は日出生台で起こった問題ですが、ほかの四演習場でも小銃、機関銃の訓練は合理的だということでやらせる、そういうお考えですか。

浜田委員長 長岡業務部長、時間が来ておりますので、手短に答弁願います。

長岡政府参考人 先ほどの御指摘でございますけれども、当時は、先ほども申し上げましたように、小火器の訓練はキャンプ・ハンセンで実施するということでございましたので、特段、地元につきましては、移転される百五十五ミリりゅう弾砲の射撃訓練について説明を行ったところでございます。

 それから、米軍の……(赤嶺委員「ほかの四演習場でやるんですか」と呼ぶ)そこにつきましては、今後、米側の要望をよく聞きまして判断をしてまいりたいと思っているところでございます。

赤嶺委員 米側の要望というのははっきりしているんです。ですから、最初決めた訓練の範囲内も、時代が移るに従って、情勢が展開するに従って幾らでも米側の訓練拡大要求を受け入れていく、これを地元に迫っていく、こういうことが米軍再編の中で繰り返される危険が十分にあると思います。

 私は、日米合意そのものを撤回して、地元に基地の負担を押しつけるのはすぐにやめるべきということを申し上げまして、質問を終わります。

浜田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党・市民連合の辻元清美です。

 私は、本日、イランのモッタキ外務大臣が来日されますので、イランの核開発問題について質問をしたいと思います。

 先ほど佐藤委員からも同じような質問が出まして、その中での麻生外務大臣の答弁の三つをとらせていただいて、その点についてさらに深く議論をすることで、きょうの夜会談されると聞いておりますけれども、有意義な会談にしていただきたいと思います。

 一つ目が、日本は友好国であるということで、敵国からではなく友好国からの説得ということは重い意味を持つという御発言でした。

 今回のイランの核開発問題については、いろいろな背景があると思います。一つは、アメリカとの関係をどう考えるか。イランを悪の枢軸国であるというような発言をアメリカのブッシュ大統領がしました。敵視政策をしているように受けとめるわけですね。これについてのやはり反発というものを私たちはどう見るのかというところも、日本はアメリカにも物を言える国ですから、大事だと思います。

 そういう中で、麻生外務大臣にお伺いしますけれども、アメリカのイランを悪の枢軸国であると言った発言については、率直にどのような感想をお持ちでしょうか。

麻生国務大臣 私の記憶では、北朝鮮、イラク、イラン、三カ国。イランだけではありませんでしたね、たしか、私の記憶ですけれども。

 したがいまして、表現のあれはともかくとして、少なくとも、今は核不拡散という流れにある中にあって、唯一の被爆国ということをよく私どもは使わせてもらっていますけれども、そういった国にとりまして、核というものをさらに拡大する方向で動こうとしたイラク、北朝鮮、そして今イランということになっていることに対して、アメリカは危機意識を非常に持っているという意味だと理解しております。

辻元委員 ここは、中東と日本との関係というのは非常に良好だったわけです。イラクともかつて日本はずっと良好な関係を守ってきたということで、イラク戦争についても、中東の中での日本の今までのきずなというものに傷がついたという指摘もあるわけですね。

 そういう中で、私は、このイランの核開発問題に当たるに当たって、アメリカに引っ張られない方がいいと思っています。日本独自の、友好国としての歴史を踏まえた上でイランに当たっていただきたいということをまず最初に申し上げたいと思います。

 十二分しか時間がありませんので一つ一つ深くやれないのがちょっと残念なんですが、二つ目の御発言で、パレスチナを含めて中東の安定は我が国にとってもとても大事であるという御発言がありました。これについて深めていきたいと思うんです。

 このイランの核開発問題を初め、中東の非核化、安定ということにとげのように突き刺さっているのが、イスラエルの核保有問題です。これを抜きにしては語れないところがあるわけですね。

 日本政府は、イスラエルの核保有ということについてはどのような見解でいらっしゃいますか。

麻生国務大臣 イスラエルが核を持っているかいないかということに関しては、これは御存じのように、イスラエル自身が核不拡散条約、通称NPTでしたかに加入しておりませんので、したがって、自国の核兵器保有の確認も否定もしていないという態度なんだと思うんですね、イスラエルに関して言わせていただければ。

 したがいまして、日本政府としては、いろいろな機会をつかまえてNPTに入れという話を、私どもはずっと非核兵器国として加入するように働きかけているというのが今の日本側の態度なので、少なくともそういった意味において、私どもとしてはこれまでも、NPT未締約国、イスラエルというのも含めまして、未締約国を含めて、こういった国に無条件でNPTへ入れという話をして、たしか昨年の国連総会では、この法案を提出以来、最多の賛成を、支持を得たんだと思っておりますので、少なくとも、日本がこれまで中東地域におけます非核兵器地帯の創設及び中東における核拡散の危険ということに関しましても日本としては賛成をしておるというのが、イスラエルを含めます中東、そういったものに対して私どもとしては言い続けてきているところだと思っております。

辻元委員 このイスラエルの問題は非常に深刻で、イランの核開発にも少なからずというか、かなり、イスラエルが持っているじゃないかというような認識のもとで、その周辺国への核拡散ということが懸念されていることは常識になっていると思います。

 これは日本の防衛白書ではどういう取り扱いになっているか、イスラエルについて。こうなっています。

 核保有国であってもこれを放棄して非核兵器国として加入する国もある、NPTにですね。この事例として、南アフリカ、ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシを取り上げているんですが、次です。依然として加入を拒んでいる国もある。要するに、この前は、核保有国であっても、依然として加入を拒んでいる国もあるということで、防衛白書の例示は、イスラエル、インド、パキスタンになっています。これは、明らかに核を保有しているということを強く意識して書かれた防衛白書であると思います。

 私は、防衛庁の方に聞きました。そうしますと、イスラエルは宣言していないものの、既に核兵器を保有している事実上の核兵器国と言われているという答えをペーパーでいただいているわけです。

 そうすると、一方、イスラエルに対しては、NPTにも入っていない。イランはNPTに入っております。イランに言うんだったら、イスラエルにも国際社会でしっかり問題にしていくぞという姿勢が、やはり日本が説得するときに必要だと思うんですね。

 これはアメリカのシンクタンク、科学国際安全保障研究所、ここは核については非常に著名なところですけれども、報告書を出しました。これは昨年です。

 それで、その報告書によれば、イスラエルは軍事用のプルトニウムを五百六十キロ保有、原爆の百四十五個分ですね。インドは八十個分、パキスタンは七十個分と推定しているわけです。北朝鮮は三個から九個分に当たるんじゃないかと。そんな中で、イランは民生用の高濃縮ウラン七キロだけだったという、これはこの報告ですね。さらに、イスラエルは年間十から二十キロのプルトニウム生産を続けており、核兵器二から五個分ふえているというような報告、これは初めて公表されたものなんですね。

 こういうことが背景にある中で、イランの問題が生じてきています。一つは、アメリカとの間での敵視政策みたいなものも背景にあるし、そして、アメリカはイスラエルの核開発については黙認しているわけですよ。国際社会の中でというか、NPTの昨年の会議でも、追加議定書をめぐって、イスラエルがNPTに加盟していないのに、なぜ自分たちばかりに義務ばかり課せられるのか、入っている国のエジプトなどのアラブ諸国とかブラジルなどからもこんな声が上がっているわけですね。

 ですから、私は、今晩、外務大臣と交渉されるに当たりまして、日本としては、このイスラエルの核というものについても、しっかりとこれから国際社会の中で問題にしていくぞという構えが必要だと思うんです。先ほど、イランとの二国の間で信頼関係に基づいて説得すると言ってはるんですけれども、私、ちょっと弱いなと思ったんですよ。その背景まで踏み込む覚悟を持って説得しないと、それこそ、日本との間の油田の開発やいろいろかかってきていますからね。

 イスラエルの核問題について、当たりさわりのない答弁はもう結構です。今晩の会談に非常に大きな日本のいわゆる国益というものがかかっていると思いますので、私、余り国益という言葉は使わないですが、あえて使えば、イスラエルの核問題、国際社会で問題にしていこうじゃないか。こっちはNPT体制にも入っていないんですよ。それでこれだけ、日本も事実上の核保有国だと言っておるわけです。こっちを放置してイランに対してだけという姿勢ではないというところを日本が見せることは、アメリカは見せないでしょう、見せにくいと思いますよ。そこをはっきりと日本が見せることは、イランを核開発についてソフトランディングさせる大きなポイントだと思いますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 辻元先生から国益という話を聞いて、ああと思って非常に感激していたところだったんですけれども、直ちに取り消しされるような話だったので少々残念でしたけれども。

 いずれにいたしましても、今、私どもとしてはイスラエルに対しても、これまでもいろいろ、天野等々、天野というのは軍縮の管理官ですけれども、こういった者を使いまして、過去にいろいろ、NPTに参加する等、イスラエルにいろいろ働きかけを直接やってきたという点に関しては、アメリカよりはるかにいろいろ直接な影響を与えようと努力したことは確かです。

 しかし、今私どもとして一番の問題なのは、おっしゃるとおりに、イスラエルを巻き込んだ方がいいのではないか、一つの考え方だと思いますけれども、問題は、このイランという国は、やっとらぬ、そんなことはやっとらぬと言いながら実はやっておったという話で、IAEAに対してうちは全然やっとらぬと言い続けていた、うそついていたわけです。そういったことになりますと、これはなかなか信用がされにくいというところが、今多分一番の不信を買っているところだ。やれということになって、これは大分、ロシアを含めて皆、これはとんでもないということになっていったんだと思うんですね。

 こういった原子力のことに関しましては、これは御存じのように、日本でもいろいろ、我々はイランと違って、こっちは石油のない国ですから、原子力発電所等々いろいろ私どもやっていますが、私どもが文句を言われないのは、うちは完全にオープンだったからということが一番の違いだと思いますので、イランに関しては、断固、そこのところの不信感から取り除かないと、前に全然進まないんだと思います。

辻元委員 では、最後にもう一言だけ。

 今、先ほどの御答弁の中では、平和利用であるなら全部出せと御発言されました。情報をということだと思いますね、査察も含めて。日本はそれをやっているから国際的に信用されているという御発言もあったんです。

 そうしたら、全部出したらやっていいんですかという話になってくるわけですよ。そこも、今、NPT体制、核不拡散の問題では国際的に一番大きな焦点になっています。要するに、同じように査察を受け入れ、その体制を受け入れるならば、どこの国でも再処理やウラン濃縮をやっていいのかというところが焦点になってきているわけです。

 そこで、エルバラダイIAEA事務局長が、日本は今六ケ所で初めて再処理すると言っていますけれども、日本は物すごくプルトニウムを持っているわけですよ。このままあっちもこっちも、日本もやっている、日本と同じ条件やったらうちもやらせて、うちもやらせてといって、どんどん地球上にプルトニウムがふえていいのかという局面まで来ている中でのイランの核開発なんです。エルバラダイ事務局長は、日本も含めて一たん再処理をとめてくれ、そして、その間に国際的にこの問題をどう取り扱うか、今度ウラン濃縮についてはロシアにという委託を言っていますけれども、それでいいのかということも含めて、国際的にどういう管理体制で進んでいくのかということを議論したいからとめてくれということを提案しています。

 ですから、私は、最初、アメリカのこと、そしてイスラエルのこと、そして国際的にそういう平和利用ならいいのかというところまで議論が進んでいるということを背景に、認識された上で、イランの外務大臣と議論された方がいいと思います。

 私は、このエルバラダイ事務局長の……

浜田委員長 時間です。

辻元委員 提案は非常に懸命な提案だと思っています。

 外務大臣、何か最後に、平和利用なら日本と同じように、では条件を満たせばイランは開発していいんでしょうか。どう思われますか。

浜田委員長 時間ですので、手短に、一言でよろしくお願いいたします。

麻生国務大臣 この種の話を手短にやると、手短な部分だけとられてまた話が込み入りますので、ちょっと時間をいただくことになるかもしれませんけれども、御希望に沿うようにいたします。

 今の話ですけれども、平和利用だったら何やってもいいのかと言われても、それは、法律に違反してなきゃ何をやってもいいのかという最近はやっている話と似たような話ですよ。

 そういった意味でも、そういうことを言っても、辻元さんならいいわと言うか、麻生さんならだめだと言うか、それは世界じゅうの信用問題ですから、ここのところは、平和だから利用せいと言っても、ある日突然その技術が平和のためじゃない方にぱっと使われる可能性のある国というのも、これは危ないなと思うと、なかなかみんなオーケーしない。エルバラダイの気持ちはわからぬでもないなという感じはいたしますけれども。

 私どもは、平和利用だったらだれでもええのかと言われると、それはなかなか、それはまた別の次元の話ではないのかなという感じはいたします。

 いずれにしても、今の御提案というのは一つの参考に使わせていただきます。

辻元委員 終わります。

浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.