衆議院

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第6号 平成18年4月20日(木曜日)

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平成十八年四月二十日(木曜日)

    午後二時五分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 河井 克行君 理事 寺田  稔君

   理事 吉川 貴盛君 理事 神風 英男君

   理事 長島 昭久君 理事 佐藤 茂樹君

      今津  寛君    小里 泰弘君

      大塚  拓君    北村 誠吾君

      篠田 陽介君    高木  毅君

      谷川 弥一君    福田 良彦君

      宮下 一郎君    山内 康一君

      山崎  拓君    細野 豪志君

      渡辺  周君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    阿部 知子君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   増田 好平君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   西山 正徳君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   小島 康壽君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   佐々木達郎君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  仲村 正治君     河井 克行君

同月二十日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     篠田 陽介君

  石破  茂君     今津  寛君

  宮路 和明君     宮下 一郎君

  辻元 清美君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  今津  寛君     石破  茂君

  篠田 陽介君     安次富 修君

  宮下 一郎君     宮路 和明君

  阿部 知子君     辻元 清美君

同日

 理事仲村正治君同月十九日委員辞任につき、その補欠として河井克行君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に河井克行君を指名いたします。

     ――――◇―――――

浜田委員長 内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官増田好平君、防衛庁防衛参事官西山正徳君、防衛庁防衛参事官小島康壽君、防衛庁防衛参事官佐々木達郎君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長飯原一樹君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁業務部長長岡憲宗君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君及び外務省北米局長河相周夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田でございます。

 三月二十七日より、いよいよ自衛隊の統合運用がスタートをいたしました。統合幕僚長のもと、三幕の幕僚長が自衛隊の統合的、機動的、弾力的な運用に努めていくということになるわけでございます。

 そうした中において、確かに運用面においては統合の機運も醸成をされつつあります。特に海外活動においては既に統合運用がスタートしているというのが実態でございますが、正面装備の企画立案段階、あるいはまた予算化の段階、さらには個別定数の張りつけ段階、そしてまた主要装備の換装段階、この各段階におけます統合的、一体的運用については、残念ながらまだその機運が醸成をされておりません。先日も、私、幕の制服組の幹部の方々と意見交換を行いましたが、そういったような体制についてはこれからであるというふうなお話であったわけでございます。

 これらの点について、やはり早期に三幕の統合体制の確立を図っていくべきであるというふうに考えるわけですが、防衛庁長官としていかなる方途をお考えなのか、御所見をお伺いいたします。

額賀国務大臣 寺田委員は、財務省、大蔵省時代から防衛問題には大変お詳しい方でありまして、御理解をいただいておりまして大変ありがたいと思っております。

 今御指摘のように、統合運用が実際的にスタートしたわけでございますけれども、何事もやはり経験というのは大事でありますから、しっかりと目標を定めて、さまざまの経験をしながら、試行錯誤をしながらいい形に持っていくことが大事であろうというふうに思っております。

 恐らく、自衛隊自体も、戦後六十年たちますけれども、PKO活動とかそういうことで初めて実体験をしたし、そしてまた、イラクにおける人道復興支援等で自分の体を使って現場で真剣勝負的に仕事をした経験、そういうものを蓄積されていくことが大事だというふうに思っております。

 そういう意味では、統合運用の形もそういうことだろうと思っておりまして、さまざまの分野で統合的な形がこれから現場で実験されていくことになるわけでありますから、その中でさまざまな教訓というものを得ながら、実際的に運用面で力を発揮することが望ましいというふうに思っておりますので、幕僚長以下三幕の機能を生かしながらその統合的な運用の成果というものを上げていくように、私どもも環境整備をしていきたいというふうに思っております。

寺田(稔)委員 なるだけ早期にそうした体制の整備をお願いいたしたいと思います。

 次に、不審船事案を契機に創設をされました海上自衛隊の特警隊、特別警備隊の部隊がございます。これは、平成十三年に新編をされたわけでございますが、専ら武装工作船対応を行う専任部隊として現在その地位を築いているわけでございます。

 しかしながら、近時の我が国の周辺海域におけます侵犯事案、あるいはまた海底資源開発問題に見られますような諸問題に的確に対応していくためには、特警隊自身の機能を付加いたしまして、海上及び島嶼部における機動的防衛力として、沿岸重要施設の警備、警護、あるいはまた陸自の部隊と緊密な連携をとった上での離島防衛体制の確保、またさらには、さまざまなレベルにおけますテロ事案に対応した、一般船舶すなわち民間の船舶に対します救援救助活動等の対応能力を新たにこの特警隊に付与していくということが今後必要不可欠であるというふうに考えるわけですが、防衛庁長官の御所見をお伺いいたします。

額賀国務大臣 最近のテロだとかあるいはゲリラだとか不測の事態、あるいはまた突然起こった事態に対していかに対応するかということが我々が課せられている課題である。

 そういう中で、今委員がおっしゃるように、かつて不審船事案が起こったときに、その体験を生かして海上自衛隊において特別警備隊というものを平成十二年度につくられたということは御承知のとおりでありますけれども、一方で、陸上自衛隊の方においても、海上自衛隊の特別警備隊と呼応する形で特殊作戦群というものをつくられたわけでございます。

 この場合、陸上自衛隊の場合は、もうあらゆる事態に対応していくという形を整えようとしているわけでありますが、海上自衛隊の場合は、規模も小規模でありますし、まだ十分に、いかような事態にも対応できるような体制とはなっていないわけであります。むしろ、やはり今度、そういう陸上の特殊作戦群等々と役割分担というか、任務をどういうふうに分かち合って全体的な即応力、機動性というものを発揮していくか、そういうことが問われていくのかなという感じがいたしております。せっかくそういう特別警備隊それから特殊作戦群というのがあるわけでありますから、機能的に、有機的にこれがうまく生かせるようなことが考えられるべきではないかと思っております。

寺田(稔)委員 ぜひともこの特殊作戦群と特警隊との有機的な連携に努めていただき、そうした離島防衛体制の確立も努めていただきたいと思います。

 次に、今回、防衛施設庁の入札談合事件が起きたわけでございますが、防衛庁から三つの抜本的対策としての項目が発表され、その中で、いわゆる総合評価落札方式の導入とその拡大が提言をされております。この総合評価方式については、これは価格入札と違いまして、価格要因以外の、実績でありますとか技術力でありますとか、あるいは人的体制、あるいは当該会社の財務状況等を総合的に点数評価して落札を決める方式であることは御高承のとおりでございますが、かえって、そのことによって、官の裁量性と恣意性が増すというふうな問題も指摘をされております。

 すなわち、一定の資格要件さえ整えば低い価格をとるというのが、価格の透明性が確保されて談合が排除できるのであれば、これは財政の見地からも一等ふさわしいわけですが、そういう意味で、この総合評価方式というのは一種の妥協の産物であるというふうに私は見ております。現に訴訟も多発をしているわけですね、先発をしております国交省の事例を見ましても。

 そういったようなリスク、特に、官の裁量性と意思決定自体のブラックボックス性、これに対していかに対処され、チェック機能を発揮されていかれるのか、お伺いをいたしたいと思います。

木村副長官 額賀長官の統括のもと、私を委員長として、今検討会で、きのうまで十一回の検討を重ねておりまして、その中で、今委員御指摘のとおり、総合評価落札方式の導入、拡大ということも方針として打ち出しております。そして、その検討会の中でも、今委員がお述べになりました、ある面では一つの心配な点も私たちも当然に、検討会でも意見も出ましたし、また議論をしてまいりました。そのために、私ども、この導入、拡大を今年度からしていくわけであります。

 まず、いわゆる品確法の基本方針、これを我々も大事にしながら、そして、総合評価の実施方針及び複数の工事に共通する評価方法を定めるときに学識経験者の御意見を聞くこととしておりますし、また、個々の工事における競争参加者の評価結果及び落札結果につきまして、契約後速やかに公表したいというふうにも思っております。さらに、入札手続の客観性、透明性を確保した上で実施していくという方針を示しております。

 また、総合評価落札方式の入札手続の過程等につきましては、監視の機能を強化しなければならないということを我々大事にしたいと思っておりまして、この点、本庁サイドだけではなく、地方に対しても設置することとしております。そこにも、第三者から成る入札監視委員会で審議をしていただくことを打ち出しておりまして、いわゆる第三者サイドからの監視体制というものも整備して、そういった御心配な点にこたえていきたいというふうに思っております。

寺田(稔)委員 今、副長官の方から、専らプロセス論についての透明化、第三者を入れるとかあるいは学識経験者を入れるというふうなお話がありますけれども、そもそも仕組み自体が極めてあいまいなわけです。すなわち、技術点を評価するときに、A社よりB社の方が技術が高いというのは、これは人によって、主観によって異なってくるわけですよね、技術のどの面を見ていくか。あるいは、施工工事に対してその技術力をどういうふうに評価するか、そこの客観性はいかに担保されるのか。すなわち、中身としての点数化するときの技術力、財務体質、あるいは人的体制、そして価格要因、これらをいかなるウエートでいかに客観性を持たせて評価していくのか、その点の仕組みについてはいかがでしょうか。再度お伺いをいたします。

木村副長官 その点は、最終報告に向けまして、検討会のもとに作業グループというのを設置しておりますので、そういった一つ一つの細かい点を今作業グループの方で議論して、最終報告できちっと打ち出していきたい、こう考えております。

寺田(稔)委員 ぜひとも、その具体の中身、客観性、透明性のある中身についてきちっと確立しないと、訴訟が起きる、そのときに対抗できないわけです。それで実際の結果が覆る例が多発をしておりますので、十分その点は御留意をいただきたいと思います。

 次に、情報流出事案についてでございます。

 今回、秘密電子計算機情報流出等事案が発生をし、その再発防止に係る抜本策が先週発表になりました。高木政務官が御尽力をされたわけでございますが。その具体的措置を見ますと、データの暗号化、あるいは防衛秘密への移行と抑止力の強化、さらには処分基準の明確化が打ち出されております。やはり一番大事なことは、防衛秘密の厳格な管理と職員の意識、すなわち秘密保持に対する職員の周知徹底こそが真に必要な措置であるというふうに思うわけです。

 と申しますのも、過去も、IPアドレスの流出事案でありますとかあるいはSAMの流出案件等々、非常に憂慮すべき幾多の情報流出が多発をしております現状にかんがみますと、来年の四月というふうな悠長なことを言わずに、ぜひとも本年中のなるだけ早い時期にこれらの措置を実施、実行に移すべきであるというふうに考えますが、政務官の御所見をお伺いいたしたいと思います。

高木長官政務官 ただいま委員御指摘のとおり、私を長といたしまして、本事案が発生直後、抜本的対策の検討会を開設いたしまして、以後、十分に議論をしてきたところでございます。

 そして、四月十二日に、多くの対応策を講じるということを発表させていただいたわけでございますが、もちろん、委員御指摘のとおり、大事なことは早く着実に実施することというふうに認識をいたしておりまして、そういう観点からも、このたび新しく、いわゆる実施を監視する、そういったような委員会も立ち上げたところでございます。いろいろと対応策はあるわけでございますけれども、とにかくできるものから着実に行っていこうかというふうに思います。

 特に、御指摘いただきました、今あります極秘あるいは秘あるいは機密、そういったものを防衛秘密にする、そういう作業でございますが、何せ非常に件数が多うございます。ちなみに、機密が約三百件、極秘が約八千件、秘が約十二万一千件あるわけでございまして、もちろん可及的速やかにこういった作業も行うつもりでございますが、何分、非常に多うございますので、やはり一年ほどかかるのかなというようなことで、一年というようなことをめどにいたしております。

 繰り返しますが、委員御指摘のとおり、速やかに着実にこれも実施してまいりたいというふうに考えているところでございます。

 また、意識の話もございましたけれども、先般も、長官の命を受けまして、全庁的、全部隊に対しまして保全教育というのも実施いたしました。やはりこれから、このときだけではなくて、継続的にそういった保全教育というのもしっかりやって意識を持続させることも非常に大切なことだということを認識いたしているところでございます。

寺田(稔)委員 やはり、なるだけ早期に実施をしないと、一年の間に次のまた新たな不祥事が生じてしまってはこれは何の意味もないわけでございますので、ぜひとも迅速な対応の方をお願いいたしたいというふうに思うわけでございます。

 次に、今回の米軍再編、基地のリシャッフルを行っていく中で、岩国の問題というのが、特に私の地元と空域がオーバーラップするわけですが、クローズアップされております。五十七機の艦載機が厚木から岩国にやってくる、その音の問題、安全性の問題、飛行ルートの問題、それに加えましてCHヘリの移設の問題、さらに鹿屋との関係でKCの駐機場の問題、あるいは訓練の問題、またさらには愛宕山の公共残土の利用問題、そしてまた地域振興の問題、そしてまたエプロン、ターミナルの設置のロケーションの問題、さらには軍民共用化に伴います地籍明確化の問題等々、さまざまな関連の諸問題が顕在化していることは長官も御承知のとおりでございます。

 そうした中において、人口密集地におけます音を七十五デシベル以下に抑止するというふうなことを行う中で、懸案となっております飛行ルートについては、事前に日本側の同意なくしてアメリカ側が飛行ルートを設定できないというふうな事前同意ルールをやはり明確に導入していく、そして、そのことについての合意を地元に示していくということが私は必要なんだろうというふうに考えますが、この点について、ぜひとも、事前同意ルールの導入に向けた長官の御決意をお伺いいたしたいと思います。

額賀国務大臣 これは、岩国の騒音問題を解決するために沖合移設を考えたわけでありますが、その際に、新しい飛行ルートを考えるときも、もちろん岩国市それから施設庁、よく協議をし、米軍とも打ち合わせた結果、現在の飛行ルートというものができ上がっておりまして、旧来の施設における騒音と、今度新しく沖合にできた滑走路における飛行ルートによる騒音等々を比較いたしますと、面積においても防音工事をやらなければならない戸数においても非常に激減、激減と言うとオーバーかもしれませんが、縮小されているのが実態でございますし、そういうことに神経を配りながら地元との協議を続けている。

 それは、委員がおっしゃるように、やはり地元の理解なくしては基地の存続もあり得ないことでありますから、地元とよく協議をし、それが米軍の運用面にも生かされていくように考えていかなければならないというふうに思っております。

寺田(稔)委員 この事前同意ルールは、基地再編のみならず、最近非常に多発しております低空飛行の問題、これにも絡んでおります。このオレンジルートの設定とそれに向けた低空飛行というふうなことで、非常に大きな音の問題が発生しておりますし、また、新たにKCの問題も付加的に追加をされておりますので、この問題については、具体の基準を七十に引き下げることも視野に入れて、ぜひとも総合的に御検討をいただきたいというふうに思うわけでございます。

 あと、最後に、今回の設置法改正によりまして中央即応集団が新編をされるわけでございますが、この実効的な統合運用を行っていく上で、実際に中央即応集団が各方面隊あるいは師団と一緒になって仕事を行うというふうなケースもあるわけです。

 そういったような中央即応集団が各師団の業務を支援するためにいわゆる合同運用を行う場合、いかなる指揮命令系統のもとに活動していくのか、やはりそこを明確化しておかないと実際の統合運用がうまくワークしない、機能しないということになるわけでございますが、この点についての御所見をお伺いいたしたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 中央即応集団の指揮系統につきましては、事態の様相に応じて最も適切な指揮関係がとられますので、一概にこうだとは言えないところがあります。

 ただ、基本的に二つございまして、現地の戦闘場面におきまして、中央即応集団の特別な能力を生かして特定の地域を分担するとか、そういうふうにまとまった活動をする場合につきましては、中央即応集団司令官がその隷下の部隊を指揮するということになろうかと思います。

 他方、現地の方面隊なり師団が戦闘しておりまして、これに対して中央即応集団の隷下部隊がその特殊な能力を生かして方面隊や師団を支援する、こういうような場合については、基本的に、方面総監なり師団長が中央即応集団の隷下部隊を指揮するということになろうかと思います。

寺田(稔)委員 そこのところがなかなか現場まで徹底しておりません。私も地元の第一三旅団のメンバーとも、そもそも今回統合運用が始まること自体知らない隊員がいたことも驚きであったわけでございますけれども。

 そういうふうな実際の連携がどうなっていくか、あるいは、いわゆる合同運用のときに、だれがどういうふうに動くか、どういうふうな指揮命令系統かというふうなこともきちんとしておかないと、多機能弾力的な防衛力の発揮と安全保障環境に対する実効的な対応ができないことは論をまたないわけでございますので、そこらの体制構築についてもなるだけ早期に取り組んで、この実効運用の実を上げるように努めていただきたいというふうに切望するものでございます。

 以上で終わります。

浜田委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 防衛施設庁の談合事件というのは、大変に国民の信頼を損ねたと思います。そういった意味で、防衛庁としては、まず信頼回復ということは大変大事なことですから、その点をしっかりと意識して、さらに国民の皆さんから理解いただけるような、そういうことにまず努めていくことが大事ではないかな、そういう観点でちょっとお尋ねをさせていただきます。

 今回、防衛庁設置法の改正案の中で、調達行政について、旧の調達実施本部と、今の現実と、そしてまた今回の新しい改革案、こう三つ考えてみますと、私、ちょっと理解が足らないのかと思うんですが、旧の、平成十一年の不祥事が起こったときに、このときには、原価計算機能と契約機能が一定の副本部長に集中していたということで、その反省から、相互牽制をするとか、そういう仕組みがなかったという意味で、チェック体制を含めて、不祥事をなくすということで今の組織にされたと思うんです。

 それが、今回また装備本部が、再統合されて、原価計算機能と契約機能が一緒になる、そういう形になってくるわけであります。もちろん、コストコントロールという意味ではそこに集中した方がはっきりするわけですから、それはそれでいいんです、安く調達する、そういう意味では。しかし、やはり前回の平成十一年の不祥事のことを考えますと、これでいいのかな、どうなんだろう、また後戻りしないだろうか、こういう懸念もあるわけであります。

 そういう意味では、監査体制を、例えば外部の人の監査体制とか、そういう仕組みをしっかりしないと平成十一年のことに戻るのではないか、そういう心配をしておりますので、まず、長官、どういうお考えでございましょうか。

額賀国務大臣 田端委員がおっしゃるのは当然の疑問だろうと思っております。ちょっと見ればそのような疑念を起こしかねないということだと思っております。特に今回は施設庁のこういう談合事件みたいなことがあったから、余計にそういう思いに駆られることもあろうかと思っております。

 かつての調達本部解体のときは、おっしゃるように、原価計算部門と契約部門を分離しました。そして、第三者的な監査体制を入れ、相互牽制ができるような仕組みをつくった。その結果、八年間においては、従来のような水増し請求事件、そういう事態が起こればみずからの力で発見できるようになっているというのがこの八年間の歩みだと思っております。

 一方で、日本の場合は、やはり委員御承知のとおり、装備の調達というのは特殊な環境の中でやっているものですから、なかなか、諸外国と比べると、コスト高の中で装備調達が行われております。したがって、安くていいものをどうやって確保するかということが極めて大事なことでございます。

 そういう中で、言ってみれば、企画、計画、開発、それから運用、維持、それから廃止する、そういったもの、全体的なサイクルを見てコストダウンを図る、その中で新しい装備体系というものをつくれないかということが、この装備本部をつくった経緯、動機だというふうに思っております。

 その際に、やはり企画・計算部門、生産部門とか、そういうところに、それぞれの過程で生かしていく、一貫した形で仕事ができるようにするために、若干機能が同じようになることになっている場合があるわけでございますけれども、そこは従来の経験を生かして、チェック体制は生かす、一人の者に、一人の副本部長に権限を集中させることはない、極めて、その部門部門においてもチェック体制をしき、あるいはまた外部における第三者的な監察、監視体制もしっかりしているので、再びああいう不祥事が起こることがないような体制もとっているということをぜひ御理解いただければありがたいというふうに思っております。

 特に、原価計算の基準の作成を担当する副本部長と装備品の実務を行う副本部長とを分離しているということ、それから監査担当の副本部長と監査課を設けているということ、それから入札やコスト情報にかかわる不自然な状況を日常的にチェックする複数の統括調達官を新たに置いているということ、そういったチェック機能もきちっと内部的にさせているし、外部から、従来の契約本部でも機能しておった防衛調達審議会における調査、あるいは民間の監査法人もつけ加えている、重層的に監察体制がなっているということで安心をしていただけるのではないか。そしてまた、こういう不祥事が起こっただけに、しっかりとそこは我々も関心を持って、そういうことが起こらないように見据えていかなければならないというふうに思っております。

田端委員 ぜひ信頼回復のために御努力をお願いしたいと思います。

 それで、問題の防衛施設庁の談合事件で、大変な御努力をいただいて、防衛施設庁解体に向けたスケジュールというものが今できていまして、そして、それに従って順次作業が進められていると伺っております。そういう意味では、これはぜひ、一度きちっとおっしゃるように解体していただいて、そして新たに来年夏から再出発していただきたい、こう思うわけであります。

 ところが、今回の防衛庁設置法の改正案の中で、米軍再編の今一番大変な山場の中で、在日米軍の部隊配置の見直しという大きな問題の中で、米軍施設・区域に係る施設行政部門と政策部門とが連携強化を図るということで今回改正をされています。

 つまり、そういう意味では、企画立案機能を強化する、そういう方向になっているんだと思いますが、その一方で防衛施設庁の解体、再編、こういうことがあるわけですね。そうすると、もう来年夏には新たなスタートになるわけですから、今慌ててやらぬでも、一年じっくり時間かけて、来年から新しい体制でいけばいいのではないかという感じもするわけであります。対米交渉に本庁で一本化して力を入れて頑張るぞ、こういう意味はわかるんですけれども、今回の防衛施設庁の解体ということと、そこのところがどうもしっくりしないなという、そこを少し整理して御説明いただきたい、こう思います。

額賀国務大臣 施設庁の場合は、御承知のとおり、こういう不祥事が起こったものですから、二度とこういう不祥事を起こさせないということであります。

 これは先ほどの契約本部と装備本部との関連とも似ているわけでありますが、従来の施設庁の仕事というのは、米軍基地あるいは自衛隊基地と地域住民、あるいはまた地域との調整、あるいは地域の発展のために基地がどういうふうに作用していくのか、あるいはまた負担についてどういうふうに軽減措置を図っていくのか、安心をどういうふうにつくっていくのかということが主な仕事だったと思うんですね。

 ところが、防衛体制あるいは装備においても、あるいは戦略的な面においても、やはり従来とは違った形になっている。それは、テロ対策だとか弾道ミサイル防衛だとか、あるいは島嶼対策だとか、そういう政策と基地のあり方、あるいはまたそういう政策とその地域住民、あるいは基地の利用の仕方、あるいはまた米軍と自衛隊の共同使用とか、そういうものをどういうふうに合理的に、効率的に考えていくか、そういうことが問われていくときに、やはり施設行政と防衛政策というものがきっちりと絡み合っていかなければ、真に日本の防衛力というものが整備されていかない、あるいはまた同盟関係を、負担を軽減しながら抑止力を維持していくという形がつくれないのではないのか、そういうことから、施設における企画能力と防衛政策をよく考えていこうではないか、そういうことがこの組織再編には込められているというふうに認識しております。

田端委員 趣旨はよくわかるんですが、しかし、一年後に大きな改革をするわけですから、どうかなという感じもいたしました。そこはぜひ、実務的にといいますか、そういうことで優先するんだという意味で理解していきたいと思います。

 それで、中央即応集団が新しく編成されて、陸上自衛隊の国際平和協力活動、これを部隊レベルで指揮を一元化して、今までのノウハウというものを集約して、そして専門の部隊として教育からすべてやっていこう、こういう意味で、この中央即応集団のもとに国際活動教育隊というものを新設する、こういうお話でございます。

 これは、私たちとしても、非常にいいことだと。つまり、国際平和協力活動等すべてのノウハウというものをそこに集約していただいて、そして、いろいろな意味で今まで経験してきたものをここに取り入れていただいて平和貢献にも尽くしていただく、そういう意味では大変いいという意味で期待しているわけでありまして、また、私たちも積極的にこれを今までもサポートしてきたつもりであります。

 これは今後、具体的にどういうふうにされていくのか、そして、例えば何人体制でスタートするのか、その辺のところから少し前向きに今の状況を、こういうふうになっていて今後こうするぞということを、国民にぜひメッセージを送っていただいて、強化充実していただくことをお願いしたいと思います。

額賀国務大臣 私も田端委員と共通の思いがありまして、やはり最近の自衛隊の役割というのは極めて広範囲にわたっております。九六年に冷戦後の日米安保共同宣言があったときとは予想ができないような事態の、自衛隊の活動が広範囲になっていると思っております。

 当時から言われておりますのはPKOとか国際平和協力活動でありますし、これからは、イラクの人道復興支援だとかテロ対策のアフガン支援だとかに見られますように、もっともっと国際的な平和協力活動を、よく我々与党の間では、一々法律をつくらなくても、国会の承認を得るなりして国際的な平和協力活動ができるようにしようじゃないかという機運があるわけでございますけれども、そういう場合に、今までは個別に陸自の各方面隊が出ていったりしているわけでありますが、それぞれの分野で、それまでの経験とか蓄積が生かされていないんですね。だから、やはりこういう平和協力活動の教育隊みたいなものをつくることによって今までの経験を、いいところを蓄積していく、そして自衛隊全体、陸自全体にこれを教育していく、そしていつでも機動的に対応できる、そういうことをやっていこうじゃないかということだろうと思っております。

 自衛隊の機能の場合は、これからは、はっきりしていますことは、自分の国を守るということと、それから国際平和協力活動を、どういうふうにして地域の安定をつくっていくかということだと思っておりますので、その意味では時宜を得たものではないかと思っております。

田端委員 ぜひ、そういう意味で前向きにお取り組みいただきたいと思います。

 もう一点、ウィニーによる情報流出事案についてお尋ねしたいと思います。

 これはいろいろなところにもかかわっているわけであります。しかし、防衛庁というのは、国家機密といいますか、そういった意味では大変大事な部門に当たるわけでありまして、海上自衛隊の「あさゆき」の乗組員の一個人のパソコンからいろいろな形で情報が流出したということは、そういう意味では、危機管理に過ちはなかっただろうか、こういう反省はやはりしなきゃならないと思います。フロッピーディスク二百九十枚が流出したというんですから、これはもう大変な数だ。数字にすれば、ちょっとわからない、膨大な分量の数字が流出しているのではないかと私は思います。

 この点について、今どういうふうなことをされているのか、御答弁をお願いしたいと思います。

高木長官政務官 ただいま委員にも御指摘いただきましたけれども、まさに国防を担うという非常に大事な、国家にとって重要な組織である防衛庁からこうした事案が発生したということは、全く申しわけないというふうに思っているところでございます。

 先ほどの寺田委員にも答弁させていただきましたけれども、この「あさゆき」事案を受けて即座に、私を長といたしましていわゆる抜本的対策を検討する会議を立ち上げまして、以後、十分な議論を尽くしてきたというふうに思っております。そして、四月十二日に抜本的対策というものを公表させていただきました。幾つかあるわけでございますが、大事なことは、そういったものを速やかに着実に実施することだというふうに認識をいたしておりまして、その検討会を今度は、実施を監視する、そういったような委員会に衣がえをいたしまして、これから、できるものを着実に、順次その対応策を講じていきたいというふうに考えているところでございます。

田端委員 これは、こんなことがしばしばあってはならないので、ぜひ対策をしっかりと立てていただきたいと思います。

 そこで、ちょっと気になることは、私物のパソコンを締め出すために五万六千台を緊急調達する、この九月には納入して隊員に配付する、こういうお話を伺っておりますけれども、この機種がデル製で、ユニアデックス社とこの契約をした、こういう話を聞いています。何で国産を使わないのかな、今までは防衛庁なり防衛施設庁は、例えばNECとか東芝とか、全部国産で何かやっていたんじゃなかったのかな、安いからといってそれでいいのかな、こういう感じも一点します。

 それから、こういうウイルスの感染ということも大変なことですが、それ以上に、もし今後サイバーテロ攻撃をかけられた場合に本当にセキュリティーが大丈夫なのかと、非常に不安があります。特に防衛庁の場合は、内局と陸海空と縦割りになっている、システムがびしっと統合されているのかどうかという意味では非常に心配があるわけであります。

 こういう危機管理の運営に対してしっかりとした取り組みをしていただいて、バックアップ体制等も考えなきゃならないと思うんですが、その点、御答弁をお願いしたいと思います。

高木長官政務官 パソコンの緊急調達についてのお話でございますが、今般、五万六千台のパソコンを緊急調達いたしました。私有パソコンを一掃することが必要であるというふうに考えたわけでございます。

 なぜ国産ではないのかということでございますが、いわゆる一般競争入札で契約をさせていただいたところでございます。もちろん、ウィニー等ファイル共有ソフトが起動しないように設定をする、あるいはまたウィニーを検知する機能等も有しておりまして、こういった情報流出に対しては問題ない機種だというふうに考えたわけでございます。今回のこの事案についての、国産であるかあるいはまた外国のものであるかということは問題ではなかったというふうに考えて調達をさせていただいたところでございます。

 サイバー攻撃につきましても、これも非常に大事な視点であるというふうに考えているところでございます。

 現在、言うならば三段階といいますか、攻撃をかけてくる間に、まずファイアウォール、いわゆる外部からの不正侵入防止というものをしっかりかける。あるいはまたサーバー、いわゆるシステム管理者レベルにおいてもそれを防ぐような手だてを講じる。あるいはまたいわゆる端末レベル、利用者レベルにおいてもそういったことのないようにやる。いわば多重的にそういう防護をしなければならないというふうに考えておりますが、何せ、まさに日進月歩といいますか、こういったものは日々いろいろなものが出てくるわけでございますので、そうしたことにしっかりと対応していくということを考えているところでございます。

田端委員 以上で終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 本日とあすと防衛庁設置法の改正案の審議ということで、私の方からまず幾つか質問させていただきたいと思います。

 今回の設置法の改正の最大の目玉は、恐らく装備本部の新設ということになると思います。

 九〇年代の後半から、欧米各国ではいわゆる調達改革ということで努力をしてまいりました。スマート・アクイジション・イニシアチブという言葉があるように、アメリカは九六年から、イギリスは九八年から極めて積極的にこの調達改革を進めてまいりました。

 今回防衛庁が着手をいたしますこの装備本部の新設というのは、そういう欧米の潮流にいわばキャッチアップする、ようやく国際先進国の標準に追いつこう、そういう努力の大きな一歩だということで、私としては大変画期的な一歩だというふうに思っております。

 先ほど田端委員の方から一つの御指摘がございました。八年前の調本のスキャンダルのときに改革をして契約部門と原価計算の部門を分けた、しかし、今回装備本部をつくることによって一度分けたものをまたくっつける、これで大丈夫なのかと。もちろんそういう懸念も国民の皆さんの間にはあろうかと思いますけれども、私は、今回の装備本部の新設というのは、後ろ向きといいますかそういう改革をしていくこととまた別の次元で、日本の装備品の、兵器の調達に新しい一歩を刻むという意味で、大変積極的にとらえていきたいというふうに思っております。

 よく説明を受けると、装備品を、単に開発、生産という側面からだけではなくて、研究開発から調達、運用、維持、修理、そして廃棄まで、ライフサイクルのコスト全体を見据えて調達をしていこう、こういうことだろうと思うんです。

 今回着手することになった調達改革について、国民の皆さんにぜひ長官のお言葉でそのねらいとするものをわかりやすく御説明いただきたいのと、なぜ欧米、ここでは特にイギリス、アメリカですけれども、アメリカ、イギリスに十年近くもおくれをとってしまったのかということについて、その原因といいますか、何が障害だったのか、どういうことがそのおくれにつながってしまったのか、この二つについて御説明をいただきたいと思います。

額賀国務大臣 長島委員は今、今度の組織再編について一定の前向きの評価をしていただいて、大変ありがたいと思っておりますけれども、その基本的な認識は共通のものでございまして、大変ありがたいと思っているわけであります。

 やはり、委員御承知のとおり、日本の装備品の調達は非常に高コストであるとよく言われているわけであります。それは、言ってみれば市場が国内市場だけである、あるいは航空機製造法とか武器製造法等々いろいろな制約を受けている、そしてまた従来の装備品の開発については、開発をする過程で膨大な設備投資が要る。そういうことの中で、競争メーカーというものが次から次へと起こってくるものでもない、そういう環境の中で、どうしても欧米と比べると競争原理が働かないところがある、あるいはまたライセンス生産的なところもある。そういうことから、我々はこれをどうやって脱皮していくかということに終始悩んできたわけでありますけれども、これだけの財政難の中でさらに防衛の基盤というものを弱体化させていくわけにはまいらない、そういう中から、改革を図っていこうということになったというふうに思っております。

 その意味で、おっしゃるように、研究開発から生産、運用、そして廃棄に至る過程でそれぞれ、生産コストを下げ、品質をよくし、安い価格でいいものをつくろう、そういうことの基本的な哲学、理念のもとに今度の改革が行われているということでございます。

 これは国民の皆さん方にも、やはり日本の国の、我々が日常生活とか経済活動を営んでいく上においても、安全とか安心とかがあって初めてそういう活動がなされていくわけでありますから、その安全、安心を形づくる基礎的なものの分野において、我が国自体もしっかりとその能力を維持していかなければならないということについては認識をしていただけるのではないかというふうに思っております。

 欧米と比べておくれをとってきているのは、そもそも、バブル経済崩壊後、我が国の経済システムにおいてもあるいは行政システムにおいてもいかにおくれてきたか、そして新しい脱皮ができなかったかということは、それはかつての高度成長時代のぬるま湯につかって世界の変化に気づくのが遅かった、外に出ると風邪を引いてしまうのではないかという恐怖感の方が多くてじっとしていただけである、むしろ前向きに出ていって新しい道を改革していく、そういう進取の精神にようやく最近になって気づいたところである、これは日本人全体の意識であるというふうに思っております。

 そういうものが、この一連の冷戦後の安全保障体系、あるいはまたテロだとか大量破壊兵器だとか、その装備の体系の変化によりまして、我々も、このままではいけないという事態に直面をしてこういう変革を行っているというふうに認識をしております。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 世界の趨勢というふうに長官はおっしゃいましたけれども、実は日本の民間の企業ははるかに前からこういうことを実践していて、特に契約本部の職員の皆さんがこの間トヨタに研修に行かれたりしてこられたということを伺っておりますが、この改革をまさに加速化するために、新しくできた装備本部の本部長には民間の方を抜てきするとか、そういう人事もぜひお考えをいただきたいというふうに思っております。

 今長官から御説明いただいたように、これはまさに研究開発から廃棄まで一気通貫で考えていこうという考え方なんですが、実は今回の改編でちょっと中途半端だなと感じたのは、肝心の開発部門がこのシステムに合流するのが四年後、平成二十一年ということなんですね。これはいかにも中途半端というか、四年待てないんですか。質問として、疑問として、四年待てないのかというのが一つ。それから、逆に言うと、私は非常に画期的な第一歩だというふうにとらえていますから、まさにきょうから始めていただきたいと思いますけれども、そうなると、実は中途半端なスタートになってしまうんじゃないだろうか、本当にこんなので大丈夫なのか、おぼつかないのではないかという心配もあるんですけれども、その辺、御説明をいただければと思います。

額賀国務大臣 まさに重要なポイントを御指摘いただいたわけでありますけれども、本来、今おっしゃるように、研究開発から廃棄まで一気通貫でコストダウン、生産、品質管理を図っていこうということでありますから、こういう技術研究本部というものが合流していく時期がずれているというのはちょっと不可思議に思うのは自然かもしれません。我々も、この技術研究本部の開発管理機能を統合していくことが避けられないというか、当然のことであると思っております。

 残念ながら若干その時期がおくれておりますのは、実は、次期固定翼哨戒機それから次期輸送機、それぞれPX、CXの大きな開発プロジェクトを今抱えている。これらの開発プロジェクトに大きな影響を与えないために、現在の仕事が完成する平成二十一年度に装備本部に統合しようという計画をしているわけでございます。

 もちろん、だからといって漫然とそれを見過ごしているわけではなくて、その過程で、そういう装備本部の理念、考え方に沿って技術研究本部の意識あるいはまた問題意識を持ってもらって、運用とか仕事の面では通常から改革をしていっていただく、ノウハウを身につけていってもらう、そういうふうな体系をつくっていきたいというふうに思っております。

長島(昭)委員 今の御答弁で十分納得はできないんですけれども、あしたまた私の同僚の神風委員の方から補足でぜひ聞いていただきたい、こう思います。

 きょうは時間がございませんので、先に行きたいと思います。米軍再編の問題であります。

 一昨日の質疑を聞いておりまして、なかなかいい質疑だったなとは思ったんですが、ちょっと政府の皆さんの答弁ぶりがおぼつかなかったんじゃないかなと多少不満が残っておりますので、少しおさらいをしてみたいと思うんです。

 普天間基地の移設問題なんですが、自民党の仲村先生も御指摘になられましたけれども、普天間から辺野古の沿岸に移設をされる機能というのは、普天間が担っている三つのうちヘリコプターの訓練の部分である、こういう御答弁だったわけです。

 そのヘリコプターの訓練を行う際に、V字の滑走路にしたわけですけれども、これは、防衛庁の当初の説明でいけば、海側、陸側どちらの滑走路を使っても、いわゆる有視界飛行の場合には騒音の問題がない。もともと集落の上空を飛ぶようなことはないのでほとんど問題がないと思われるんですが、これを二本使ってやるということが一つですね。ここはちょっと私も腑に落ちない。それから、普天間でやっているタッチ・アンド・ゴーが辺野古の沿岸でもできるのかという疑問についても、きちっとしたお答えはなかったように思います。

 それから、計器飛行というのがヘリの訓練でもあるだろう、しかし、それはほとんど限られた機会しかそういうことはないというと、さて、では何で二本滑走路が要るんだろうかという疑問がわいてくるし、いやいや、実は数機の固定翼の連絡機があるんだ、それは離着陸のときに上空を飛ぶ可能性があるんだ、多分こういう説明なんだと思うんですが、たった三機のために、後でちょっとコストの問題も伺いたいと思うんですけれども、二つの滑走路をつくる意味が本当にあるんだろうか。しかも、なぜ千八百メートル掛ける二なのかというのが、きちっと説明がなされていないように思うんです。

 今幾つか申し上げました。タッチ・アンド・ゴーはやられるのか、あるいはV字滑走路のどちらを使っても通常のヘリの訓練はできるのであるからこれは一本でいいんじゃないか、あるいはたった三機しかない連絡機のために二本は本当に必要なのだろうか、そして一本の滑走路が千八百メートル、何でそれが二本必要なのか、この四つぐらいの点について、もう一度丁寧な御答弁をいただきたいと思います。

額賀国務大臣 これは地元の名護市あるいは周辺の町村の代表者の皆さん方とさまざまな意見交換をしたわけでございますけれども、我々が一番考えましたことは、一つは、やはり周辺住民の皆さん方に安心感を与える、周辺住民の安全を考えるということでございました。もう一つは、環境の保全というものも考えなければならないということでございました。それから、今度の米軍再編の中で最大の焦点は普天間の全面返還をどうやって実現するかということでございましたから、普天間飛行場の代替施設の建設の実行可能性というものを追求しなければならないということでございました。

 その結果、まず第一番の周辺住居の上空を飛ばないということのために、一つ、地元の皆さん方の意見は、キャンプ・シュワブ沖合の縮小案ということを言っておりました。

 しかし、これは従来の沖合の飛行場建設と同じで、果たして建設実行性があるのかどうか。あるいはまた膨大な面積の藻場をつぶしていきます。そういうことから、これが本当に正しいのかということを考えたときに、我々は、そのとおりにはいかない。そういう中でいろいろ議論をした結果、地域の住民の皆さん方は住居の上空を飛んでほしくない、これが前提であるということでございました。

 したがって、あのキャンプ・シュワブの辺野古地区、豊原地区、安部地区の上空を飛ばないこと、それと同時に、一方で宜野座村の松田地区の集落の上を飛ばないこと、そのことを考えたときに、メーンの滑走路は陸側の滑走路、そして、サブの滑走路として海側に角度を変えてつくらせていただいた。

 メーンの滑走路は、これはヘリの有視界飛行の場周経路、日常これを使います。そして、離陸するときは海側の滑走路を使って離陸していきますから、安部地区の上空は飛ばないという形になって、楕円形の飛行ルートができ上がるわけでございます。これによって、ほとんどこの辺野古地区、キャンプ・シュワブの住民の上空は飛ばないということが担保されているわけでございます。

 そしてまた、もう一つは固定翼機の関係でございますけれども、これは、昨年秋の中間報告の中でも、滑走路それからオーバーランを含めて千八百メートルであるという日米の合意があるわけでございます。この滑走路の中身については、政府案を原則にしてこの滑走路を考えるということも了承していただいておりますので、今後、具体的には地元の皆さん方と協議していく中で決められていくというふうに思っております。

 それからもう一つ、タッチ・アンド・ゴーの話でありますけれども、お地元の方々はタッチ・アンド・ゴーをしているというふうな話を我々にするわけでございますけれども、アメリカが、米軍が我々に対して言っていることは、タッチ・アンド・ゴーのニーズが今あるということを我々に伝えているわけではない、そして、米軍の運用上のことであるから、これについて我々が承知しているわけではないという話をしたわけでございます。

 これで大体いいんですか。

長島(昭)委員 その一つ一つ、反論したいところもあるんですね。

 タッチ・アンド・ゴーは我々関知せずというのは、これは地元の皆さんに対してどれほど説得力があるのかちょっと心配ですね。

 実際、私、額賀長官と島袋市長さんがもう何度も何度も交渉されながらV字案までいったときは、長官の執念も感じましたし、これは画期的な案が出てきたのかな、こう思ったんですけれども、何回か質疑を聞いていて、例えば一昨日、赤嶺委員も言っていましたけれども、ヘリの場周経路一つとっても、これは別に陸側じゃなくても、海側を使っても集落の上はかからないようになっていますよね、防衛庁の図式の説明でいくと。ですから、これも特に二本必要とすることはないと私は思うんですね。

 こうやって考えてくると、二つ疑問があるんです。一つは、なぜ計器飛行の部分が残ってしまうのか。つまり、計器飛行さえなければこの集落の上を基本的に通る作戦機はないわけですから。これが一つと、それからもう一つは、なぜ千八百メートルなのか。

 後者のなぜ千八百メートルなのかというところに、ぜひずばりお答えをいただきたいんですね。政府案が千八百メートルだから、それを根拠に千八百メートルでぜひお考えをいただいた、こういうお話なんですけれども、なぜ政府案は千八百メートルの滑走路ということを定めたのかというその根拠について、ぜひお答えいただきたいと思います。

額賀国務大臣 今、長島委員も御承知のとおり、小型の輸送機三機を抱えているわけであります。(長島(昭)委員「連絡機」と呼ぶ)連絡機ですね。これが言ってみればこのキャンプ・シュワブで人を輸送したりすることがあるということでございます。したがって、これが通常離発着する分には、メーンの滑走路を使ったり、あるいはまたサブの滑走路を使ったりすれば問題がないわけでございます。だから二本の滑走路をつくったわけでございます。したがって、上空を飛ばないわけでございます。

 ただ、計器飛行の場合、メーンでやれば北東に向かってくるわけでありますし、そしてまた南西の風が吹いている場合は、サブを使えばきっちりと着陸ができるということになるわけでありますから、上空を飛ばないという前提をこれは満たしているわけでございます。

長島(昭)委員 一昨日と同じ御答弁だったんですが。六十機か七十機あるヘリコプターのためにどうしても二つの滑走路が必要だというのであれば、私どもも国民の皆さんに対して税金のお願いをする可能性は出てくると思うんですけれども、たった三機しかない連絡機のために二本の滑走路というのは、どうしても腑に落ちないのです。

 それで、腑に落ちないところで、想像力たくましいと言われてしまうかもしれませんが、このなぞを解くかぎは、恐らく、もう古くなってしまったCH46あるいは53というこの中型、大型の輸送ヘリの後継機の問題があるんだろうというふうに私は推測をするんですね。

 あのオスプレーというのは当然のことながら、後継機はオスプレーですね、V22。これは間違いございませんね。このオスプレーというのは、ヘリコプターのように垂直離着陸をするんですが、燃料を節約するために、プロペラを九十度傾けて、普通の固定翼機のように飛ばしていく。離発着のときは特にそういうふうにすると燃料も節約できるということで、そういう飛行をすることがあるんですね。このオスプレーのまさに所要の滑走路の長さというのは一千五百五十メートル、こう言われています。そうすると、ぴたりと合うんですね、千八百メートルに。

 だから、日米両政府、一昨日の長官の御答弁では、そんな協議はしていない、今までそんな話は聞いたことがない、こういうお話でしたけれども、恐らくは、合理的に考えると、練習機三機のためにこんなに無理をして、コストを上げてまで二本の滑走路をつくる必要はないと私は思いますが、オスプレーが来るのであれば、そういうことであれば、もしかしたらこの二つの滑走路というのは極めて合理的で有効な発想になるんじゃないか、そう思うのですが、いかがですか。

額賀国務大臣 僕も余り装備については詳しい方じゃないんだけれども。オスプレーについては、委員御指摘のとおり、将来、米海兵隊が使用している輸送ヘリを代替していく予定であるというようなことは聞いておるのでありますけれども、一昨日答弁申し上げましたように、本年二月に外務省より外交ルートを通じ改めて米国政府に照会をしましたところ、米国政府から、オスプレーの我が国への配備については具体的な計画を有していないという返事であります。

 だから、私どもは、その千八百メートルの滑走路というのは、昨年秋の中間報告の中に、日米合意の中で明記をされ、それに基づいて今度の地元との協議をしたわけでありますから、その延長線上で千八百メートルということがなされており、と同時に、一番肝心なことの地元の要望、住居の上空を飛ばさないでくれということにどうやってこたえるかということの一つの考え方として二本の滑走路をつくった、地元の要望に基づくものであるということをぜひ御理解をいただきたい。

長島(昭)委員 地元の要望はよくわかります。それはオスプレーを否定するものではないですね。オスプレーがたとえ来たとしても、長官がおっしゃるように、地元の要望を満たして二つの、V字の滑走路で何とか上空を飛ばさないようにする、これはよくわかるんです。それは別にオスプレーを否定する論理ではないというふうに思います。

 まずお考えいただきたいのは、オスプレーはもう既に逐次調達が開始されています。〇六年会計年度で九機、〇七年会計年度で十四機、これは国防総省のことしの二月に出た予算の資料の中にはっきり書かれております。

 そして、代替されるCH46、中型輸送ヘリは、既に四十年物であります。設計寿命が一万時間で、それを何とか改修して一万五千時間まで耐用飛行時間を延長して今日に至っていますが、寿命延長のための改修の予算は〇八会計年度で途切れるということがこの資料にはっきり書かれているんですね。途切れるということは、それ以上量産しないということですよね。そうなると、〇八年を境にして、海兵隊のヘリコプターというのは順次、これは最終的には四百五十八機までいくそうですけれども、オスプレーに代替されていくということなんです。

 さて、沖縄に米海兵隊が駐留をし続けていて、海兵隊が日本の平和と安全とも関連のある抑止力を担っていくとすれば、沖縄といえども、外国といえどもやはりベストの装備をここに持ってこようと考えるのは、これは合理的なことですよね、長官。としますと、遠からず、辺野古に移設した後、ここの海兵隊の基地にCH46にかわってオスプレーが来ることになるとこの予算の資料から類推すれば当然合理的に考えられるんですが、長官、それでも、アメリカ側から言ってこないからそれは私はあずかり知らぬ、そういう御答弁になるんでしょうか。

額賀国務大臣 将来、ヘリの代替輸送がオスプレーにかわっていく計画があると聞いておるということは、先ほども言いました。しかし、ことしの初めに確認をしたところ、我が国に対して具体的な計画を持っておるものではないということを外交ルートを通じて言ってきたので、そのとおりのことを私は言っているわけでございます。

長島(昭)委員 ちょっと私がわからないのは、オスプレーが今あるCH46、53に代替をされて沖縄に配備されるということは、別に日本政府としてこれを断る理由はないんですよね。ここはどうなんですか。ここは認められない何か理由があるんですか。アメリカ側から言ってこないから知らないんではなくて、これだけエビデンスがあるわけですから、場合によっては将来的にオスプレーが配備されることもあるよ、そして、そのためにこそこのV字滑走路の工夫があるんだよということはぜひこの場で正直にお認めいただきたいと思うんです。認められない理由でもあるんであれば、またその理由を教えていただければと思います。

額賀国務大臣 私どもが現在、名護市とか地元の方々とかいろいろ相談をしてきましたのは、現在の普天間の機能の一部を、そのヘリ機能をキャンプ・シュワブに移転していく、その現実的な対応としてどういうふうな形をつくるかということについて議論をした結果、先ほど言ったように、周辺住民の安全、環境の問題、しかもなおかつ、十年間も実行できなかったから、確実に工事ができる、そういうことの視点で今度の考え方を合意したということでございまして、オスプレー云々で議論したわけではありません。

長島(昭)委員 いや、どうもすれ違ってしまうんですけれども。やはりオスプレーを認めないと、千八百メートル掛ける二、滑走路二本というのはなかなか私は説明がつかないと思いますので、これはまた追ってさらにやりたいというふうに思います。

 もう時間がないんですが、もう一つ、海兵隊のグアム移転についてお聞きします。

 三月十六日の赤嶺委員とのやりとりの中で、今回のグアム移転する海兵隊の兵員の数、そして、その兵員が所在する基地のある意味で整理と恐らく関連してくるんだろうと思うんですけれども、その実数がどのぐらい今現在いるかということを赤嶺委員が問うたところ、数字が把握されていない、しかし、調査をして後で御連絡させていただきますというふうに長官お答えになっているんですけれども、その後、現有の沖縄に所在する海兵隊の兵員数は判明したんでしょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 赤嶺先生のお尋ねは、基地ごとに海兵隊が何人いるかというお尋ねでございました。当時、ちょっとデータを持ち合わせておりませんので後ほどお答えすると言いましたけれども、その後調べましたところ、現在、米軍は基地ごとの人数を公表していませんので、こういう場で数字を言うことは差し控えさせていただきたいということで考えているところでございます。

長島(昭)委員 そうすると、八千人減るという宣伝は日米双方からなされているんですが、本当に、どこの八千人が削減されるのか、これはまさに雲をつかむような話で、私としてはどうも納得いかないんですね。負担の軽減の目玉ですよね、これは。負担の軽減の目玉ということは、人員が削減されると同時に、やはりその人員が今まで所在していた施設も削減されていかないと、これはフットプリントが縮小するということにはならぬと思うんですね。

 私は、それぞれの基地がどうなるのかということを基本的な情報に基づいて調べてみたんですが、司令部があるのはキャンプ・コートニーというところですね。第三海兵遠征軍、あるいは第三海兵師団、あるいは旅団の司令部はキャンプ・コートニーというところにある。それから兵たん軍というのがあって、これはキンザー。これは牧港の補給処にあるわけですね。それから第一海兵航空団もキャンプ・フォスター、これは瑞慶覧ですけれども、にある。それから家族住宅がキャンプ桑江にある。こういうことになるわけです。

 今申し上げたキャンプ・コートニー、キンザー、フォスター、それから桑江、この四つの施設は大方、そうすると、八千人とともに、あるいはその家族、合計一万七千人とともに、整理統合というか、整理されることになるんでしょうか。

大古政府参考人 今御指摘の牧港、キャンプ・キンザーという言い方もいたします。それからキャンプ瑞慶覧、それから陸軍貯油施設……(長島(昭)委員「桑江」と呼ぶ)キャンプ桑江はSACOのときから議論されている問題でございますけれども、現在、米軍再編の中で、今言ったところについて、返還するとか一部縮小するとか、そういうことについて日米間で議論されております。

 ただ、具体的にまだ決まっておりませんので、まだ協議中だということで御理解いただきたいと思います。

長島(昭)委員 今までの説明によると、グアムへの移転経費の問題と横田の管制空域、空域の管制権の問題以外はほぼ合意に達したというふうに聞いているんですけれども、それは誤った認識ですか。

 もう時間がないんですね。

浜田委員長 大古局長、最後に答えてください。

大古政府参考人 今御指摘のところにつきまして、全部返還もしくは一部返還ということで議論していまして、方向性は日米間で議論されております。ただ、最終的にまだ決まっておりませんので、調整中であるということで御理解いただきたいと思います。

長島(昭)委員 これは本当に沖縄の皆さんにとっては非常に大切な兵力の削減、負担の軽減ですから、きちっと日本側も調べた上で対米交渉に臨んでいただきたい、こう思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 安全保障委員会、本日のこの防衛庁設置法の一部改正案、昨年もたしか私はこの法案のときに質問に立たせていただきました。昨日まで行政改革の特別委員会に長いことおりまして、その間、防衛庁長官とも質疑をさせていただきました。

 前回の、一昨日だったでしょうか、防衛庁長官との行革特でのやりとりでは、ちょっと時間がなくて、残念ながら議論が余り深まらなかったと思うんですが、ここで時間をかりて、ぜひこの防衛庁設置法の改正案に、定員の問題含めてかかわる問題でありますので、まず冒頭はその点につきまして質問させていただきたいと思うんです。

 行政改革の法案が本日の本会議で可決をされました。我々民主党案が否決されたわけでありますけれども、その中で私どもは、国と地方の役割を明確にしようと。三年間で二割も国家公務員の人件費を減らすことなんというのは、これは無理じゃないか、空論じゃないかといろいろな反対の意見ももちろんあります。もちろん我々は根拠があってその数字をはじき出してきたわけでありますけれども、その中で我々は、自衛官の定員については、いわゆる国の公務員の定数から除外をして考えたんです。なぜなら、国防ということは、これはやはり国家の根幹にかかわる問題でありまして、生存の根拠となり得る。そして、それはやはり地方で担うことではない。ですから、一般職の国家公務員ができるいわゆる行政の分野の仕事と違いまして、その特殊性と困難性からいえば、これは国家がやることでなければできない。

 ですから、役割を見直すということを考えた場合、やはり外交、防衛、皇室、あるいは通貨やエネルギーの管理ということは、これはもう国がやるべきことであります。地方に移管できる問題ではない。ただ、警察力のような、地域における治安の確保、治安の維持ということに関しては、警察力でできる部分も当然地方にゆだねればできるわけでありますが、やはり国防ということに関しての、これは国家意思でありますから、まさにその点においては、木村副長官が先日、沖縄選出の、ちょっとお名前の難しい与党の委員の方、いらっしゃいますね。御名字をちょっと私失念したんですが、この方の……(発言する者あり)安次富さん。安次富さんの質問に答えられて、おっしゃっていました。そこで大変私と同じようなことを申されておりまして、やはり自衛官の定員、人員というのは、これは国家意思である。ある意味で言えば、要約すると、やはり国の防衛力そのものであるというような趣旨のことをおっしゃっておりました。

 それだけに、今回この法案の中で、簡素で効率的な政府を実現する、それだけのことで、その簡素で効率的という中にも、これは実は法案の第四十四条の中で、読み上げますと「平成十八年度の国の一般会計の歳出予算の基礎とされた平成十七年度末の自衛官の人員数については、自衛隊の隊員に対する教育及び食事の支給並びに防衛庁設置法第五条第十三号に規定する装備品等の整備に係る業務その他の業務の民間への委託その他の方法により、前項の規定の」、前項というのは行政機関の職員の純減の項でございます、「規定の例に準じて純減をさせるものとする。」というふうにあります。木村副長官は、答弁の中で、準じてという言葉であって、決してやるということではないんだというようなことをおっしゃっていましたけれども。

 ぜひ長官にお尋ねしたいのは、本当に、行政改革の推進、これはもちろんしなきゃいけませんけれども、私は、果たして防衛問題、つまり安全保障の問題というのは行政改革という言葉の範疇になるのだろうか、もっと言うと、行政改革という概念のもっと外側に、国家のまさに存立基盤として考えればもっと大きな概念じゃないだろうかというふうに思うんですね。

 ですから、行政改革ということと国家の安全保障ということについて、やはりこの兼ね合いというのが、私は、この行政改革の法案に、一条、一文の中で縛られるべきではないと思うんですけれども、長官、改めてそのお考えを伺いたいと思います。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

額賀国務大臣 渡辺委員のおっしゃっていることは、非常にじゅんじゅんと胸に入ってくる言葉でありますが、おっしゃるように、言ってみれば、国の統治の要諦は安全をどういうふうに確保するかということでありますから、これは絶対的に必要なものは確保しなければならないという基本的な考え方があると思っております。

 しかし、そこの周囲の環境、安全保障環境あるいは日本を取り巻く情勢、あるいはまたそれまでの経緯の中で日本がどういう安全を確保してきたのか、あるいは単独で日本の安全を確保しているのか、あるいは同盟関係をもって安全を確保しているのか、さまざまな要因を考えていくことも大事だと思っております。

 そういう流れの中で、我が国が置かれている立場というものは、一つは、これだけの財政問題を抱え、できるだけ合理化、効率化を図っていこう、その中で、安全保障の分野においても、安全を、いわゆる抑止力をいじらないで、抑止力に影響を与えないで合理化できるものはあるのかないのか、そういうことの視点に立って我々が考えていく分野があるのかどうか、そういうことについては考えてみようではないかという視点で、四十四条何項になるのかわかりませんが、国家の行政機関に準じて考えましょうというふうに盛られていると認識をしておるところであります。

渡辺(周)委員 この点について、どうですか、実際この法案をつくるときに、これは自衛官も含めて対象とするんだということについて、防衛庁側と行革本部なり内閣府とこういう話があったのかどうなのか。それがまた、このような形で書き込まれるということは、やはり縛られることになりはしないだろうかということを非常に懸念するんです。その間、そういう意思の統一がちゃんとあってこういう行革法案が出されたのかどうかということを一つ。

 それから、もう一つ伺うとすれば、これはこの間の委員会で申し上げました、法案にあります「装備品等の整備に係る業務その他の業務の民間への委託」。

 この間、例えば航空機の点検整備なんかの部分についてはできないかどうか検討すると特別委員会ではおっしゃいましたけれども、実際問題、どうでしょうか、装備品等の装備に係る業務。その他の業務というのは、ここに例示されている教育だとか食事だとか、食事なんというのは、どういうふうな形態をとるのかわかりませんけれども、例えば民間が支給して、というのは、弁当屋が弁当でも持ってきたらいいのではないのかというような意味もあるのかなと思ったりもしますけれども。

 ただ、どうでしょう、装備品を、やはり民間への委託その他の方法ということがここに書かれ、これについても本当にそういうすり合わせがあって、すり合わせというか事前の調整があって法案提出の運びとなったのかどうなのか。そこは、長官、いかがなんでしょうか。

 それからもう一つ、重ねての質問ですが、こういう防衛に関する部分の装備品の整備ということに関して、本当にいつぐらいまでにめどをつけられるつもりなんですか、何が民間に委託できるかということについては。いかがですか、長官。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

額賀国務大臣 まず、内閣府というか官房とよく相談をしたのかということについては、我々は、当初、安全保障、自衛隊のことについては、これはストレートに他の行政機関と同列のものではないということは強く主張したわけでございます。しかし、全体的に無駄はないのかということについては点検をしましょうということで、準じてという形になっているわけであります。

 新しい最近の安全保障環境に応じて、例えばミサイル対応とかテロ対策だとか、あるいはまた、こういう自分の国の安全とかの問題以外に、国際平和協力活動をどうするかとか、そういうことについて、自衛隊の主要な任務、仕事についてはきっちりと確保していく、そういう基本的なものは守られているというふうに思っているわけでございます。

 したがって、日本の安全保障の根幹を揺るがすようなことはあってはならないし、そういうことはさせないという思いでやりたいというふうに思っております。

 それから、装備品のことについてでございますが、おっしゃるように、これはなかなか、戦闘機とかそういうものになるとおっしゃるような御懸念があると思いますが、練習機というか連絡機というか輸送機というか、そういうものについてはどうなのかとか、ちょっとそれは研究をしてみようと。それから、定期的な点検とか何年かに一遍の機体を全面的に修理する場合は、もう民間にこれを戻しているわけですね。あるいは製造したところに戻してやっているわけですね。そういうものを支障がないように。

 それからまた、渡辺委員が御懸念でありました秘密の漏えい、そういうことにも十分注意をしながらこれはやっていかなければならないということで、まだ具体的に何年にどうのこうのというところまではいっていないわけでありますが、そういう点も研究をしてみようということでございます。

渡辺(周)委員 これは非常に難しい問題だと思うんですね。法律にはさらりと書いてあります。私、読んだときに非常に意外に思ったのが、行政改革の中で、国の事務事業、いわゆるデスクワークの部分、あるいは調査、統計なんという部分は、地方自治体がやろうと国がやろうと、やる能力というのは一緒だと思っているんです。たまたまそれだけの人員がいるか、あるいはノウハウがあるかないかというだけで。ただ、国防に関する部分についてだけは、やはりこれは経験を積んできた防衛庁でしかできないことなんですね。ですから、余り安易に民間への委託なんという言葉が、さらりと書いてあるものですから、随分思い切ったことを言うんだな、紛れ込んでいるなと思いました。

 ただ、もうこれ以上言いませんが、実際今みたいにやるとなると、これはやはり難しいと思うんですよ、防衛機密の問題。ただでさえ、この間もあのウィニーによってさまざまな情報が流出をしてしまった。民間に委託をする、民間を信用しないわけじゃありませんけれども、かかわる人間が広がれば広がるほど情報の漏えい、機密の漏えいというのは当然ふえていくわけであります。パソコンの中からどんどん、今やもうかなりの情報が流出する時代でございまして、この管理の仕方をめぐっても、本当にこれは考えていかなければならない。

 ましてや近隣には中国のような、日本の国のあらゆる情報をどんな手を使ってでも得ようというのは、外務省の領事官の事件でも、まさに戦慄するような事案がわかりました。実際国際社会というのはここまでやるんだということを考えると、隣にこういう大国がある限りは、あらゆる手を使って我が国のさまざまな機密や情報を丸裸にしようというような勢力というか思いが当然渦巻いているわけでございます。

 この点につきましては、最後に一言、行政改革という言葉だけで、国防の根幹にまでがこの言葉に縛られることは私はないんじゃないか。だから民主党は、あくまでもこの問題については対案の中では触れなかった、そのことを申し上げて、ぜひこの点についてはまた議論をしていきたいと思います。

 さて、そこで、今お話あった中で、これは民主党が資料要求した防衛庁の随意契約の一覧なんです。これは防衛庁が出したものです。平成十七年度における随意契約、このことも行革の特別委員会で随分やりましたからここではそんなにやりませんけれども、例えば、防衛弘済会から本当にたくさんいろいろなものを買っているんだなと。随意契約の理由についてもいろいろ書いてございます。

 こういう中には、当然、ほかと相見積もりをとってやったってもっと安くできるものがあるんじゃないか、何も防衛弘済会でなくてもいいんじゃないだろうかというようなものがあります。それから、ほかにできるところがないからといって随意契約でやっている。例えば記念品の購入なんということについても、随意契約でなくたって、もう少し工夫をしてやればもっとコストを下げることができるんじゃないだろうかということはまた改めて追及をしたいと思いますけれども、ぜひその点についての御見解。

 一つ気になるのは、例えばハイウェイカードなんというのがいっぱい出てくるんですね。随分ハイウェイカードを買っているんだなと思います。うちの事務所でこれを全部計算したら、大体一億円近い金額になりました。九千何百万円だったと思います。

 別にハイウェイカードも、自衛官の方々が当然高速道路を使って移動することもあるでしょうから、それが何か疑念があるとは申しませんけれども、例えばこういうものを見ていくと、実際こういう換金性の高いようなものがこんなに短期間に大量に購入されていると、これ、実は本当に使っているんだろうかとやはり思うわけですね。これを監査する、チェックする仕組みがない。

 そうなりますと、例えば航空券、回数券、あらゆるものを買って、性格の悪い人間がこれを読むと、これを全部どこかへためておいて、どこかいわゆる駅前の金券ショップへ持っていって換金しているんじゃないだろうかと思うぐらい、もうこれ以上余り言いませんけれども、だって、ハイウェイカードを一遍に百五十万円も買っているとか、これはちょっと普通じゃないなと。

 いや、本当なんですよ。これは十七年のあるところですけれども、十七年の四月十一日の日にハイウェイカードを百四十一万円買ったら、四月十九日、八日後にまた百五十万円買っている。その三日後には今度は七十三万円買っているとか、それからまたしばらくすると百五十万円買っている。こんなにハイウェイカードを買って、そんなにハイウエーを使っているんだろうかと。自衛官の方、防衛庁の方がこんなにハイウェイカードを使う理由があるのだろうかということを、これは細々聞きませんけれども、こういうのを見ると、何かとりあえず現金化できるものをたくさん買っておくんじゃないかというふうな疑念すら抱くわけです。

 例えばこういう内部監査体制、ちゃんと必要なものを買っているんでしょうね、無駄に使っていませんよねと。あるいは、相見積もりをとったり、これから入札してできるものはしなさいということに対して、やはり私は内部の体制改革も必要だと思うんですけれども、いかがですか。その辺について、長官のお考えを聞かせてください。

額賀国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

 施設庁の案件が起こってから、防衛庁は二十一か二十二の公益法人があるわけでありますが、これは今、全部点検中でございます。おっしゃるように、これは官がやらなければならない仕事なのか、民に渡していくことができるのかどうか、これをきちっと点検しなければならないというふうに思っております。

 それから、今、弘済会のハイウェイカードとかの問題についても質問があったものですからちょっと調べてみましたら、若干内部的に、自分たちの内部チェックで、横領的にやっていたことがありました。それはきちっと内部チェックがあったからできたのでありまして、今後も、内部チェックをきちっとしていくことを考えなければならないというふうに思います。

渡辺(周)委員 今、横領があったと……(額賀国務大臣「横領というか、自分でね」と呼ぶ)要は、公私混同していたと。

 ただ、これを見てもそう思うんですよ。どう考えたって、私の地元にも駐屯地が四つあります。自衛官の方々は大体普通は駐屯地のそばに住んでいらっしゃいまして、大体、こんなに使って高速道路をそんなに行ったり来たりすることはないだろうなと。大体駐屯地のそばにみんな住んでいるわけですね。官舎や、若い人たちは隊舎に住んでいるかあるいは近隣に住んでいるわけでありまして、幾ら何でも、私の地元の沼津というところから御殿場の駐屯地に私の身内が毎日通っていますけれども、それにしたって、高速道路を往復使ったってそんなにかからないんですよ。一般道路を使ったってそんなにかからない。高速道路でも往復で五百円、六百円ぐらいの話なんですね。だから、百五十万円買って、その三日後ぐらいにはまた百四十万円も買っているなんというのは、これはどう考えてもおかしい。

 こういうことは本当にもう、終わるまでやっていきますけれども、ぜひ内部でちゃんと、システムとしてやれるようになっちゃっているんですね、その点については見直しをしていただきたいと思うんです。

 それから、今内部点検をしていると言いますけれども、例えば防衛装備品のような民間に委託できないものは官でやるんだと。しかし、物品の購入だとか、あるいはさまざまな役務の提供なんというものは、これは民間の例えば人材派遣会社でもできるじゃないかというところもあると思うんですね。給食サービスができるところならやってもらえばいい。そこのところはちゃんとめり張りをつけてやっていただきたいなというふうに思います。

 そのことを申し上げまして、この問題に時間を割き過ぎましたので、もう残りあと十分ほどですが、次のテーマに移らせていただきます。竹島の問題についてであります。

 連日報道されておりまして、いわゆる海上保安庁の海洋調査船が鳥取県の境港にもう既に待機して、外務省として今、これは何とか外交的に解決をしたいと。しかし、向こうは向こうでなかなか振り上げたこぶしをおろしてこない。

 もともと竹島の問題というのは、これは今さら申し上げるまでもありませんが、今回のこの問題、今現状どのようになっているのかということを、まず外務省に、最新の状況を教えていただきたいと思います。

 また、これは防衛庁が出てくるとややこしいことになるのかもしれませんが、向こうも海上保安庁、こっちも海上保安庁、まだ今のところは警察権同士の、あるいは外交ルートを通しての話し合いであります。ただ、当然、どういうことになるかわからないということを考えれば、防衛庁としても、我々の影がちらつくと余計事がこじれるからといって見ているわけではないと思うんですが、この問題についてはどのように今考えているか、どのようなことを今後考えておくべきなのかということにつきまして、まず外務省、それから防衛庁に伺いたいと思います。

塩崎副大臣 きのうきょうと、いろいろマスコミで報道をされておりますけれども、政府としては、現時点で、今般のいわゆる海上保安庁による調査、これは国連海洋法条約の第五十六条に定められております海洋の科学的調査を行う管轄権、これにのっとって冷静に、しかし粛々と進めていくという予定でいるわけであります。

 背景についてはもう御存じのとおりで、六月に会議があるということでありますが、我が国としては、対案を示すためにそのデータが必要だということでこの調査をするわけでありますけれども、御案内のように、EEZについて日本と韓国と別々の考え方があって、それについても調査を行うことについては国際法上は問題がないというふうに私たちは考えておる。これは海洋法の七十四条という根拠があるわけであります。

 この調査を行う測量船、海上保安庁のものでございますけれども、これは、御案内のように、非商業目的の政府船舶ということでありまして、国際法上、これも九十六条という根拠がありまして、このような船舶は他国の管轄権の行使から免除を享有できるということでございます。したがって、今いろいろと言われていますが、我が国の測量船に対して韓国側が執行管轄権の行使を含む措置をとるというようなことは国際法上認められない、そういう基本スタンスであります。

 ということで、私たちとしては、冷静に、しかし国際法にのっとって対応していくという考えで、韓国に対してそういう外交的な努力を重ねているわけでありまして、御案内のように、外交通商部の潘基文長官と大島大使がけさ方話し合いをしているところでありまして、外交的な努力は進めてまいるということで、冷静に話を進めているところでございます。

額賀国務大臣 今塩崎副大臣がおっしゃいましたように、我々としては、国際法にのっとって冷静に両国が対応されることが望ましいというふうに思っております。また我々は、平素の、通常行っているこの地域の警戒監視態勢というのは淡々と行っているという状況でございます。政府として、これはお互いに連絡態勢をとりながらやっていくことが重要であるというふうに思っております。

 一般論的に言えば、第一義的には、今、警察、治安関係のことでございますから、我々は、冷静にこれを運ばれることを期待しておるというふうに思っております。

渡辺(周)委員 防衛庁長官に伺いますが、相手の出方次第、つまり、韓国のいわゆる海軍の勢力なりがどのように次動くかということについては察知ができるように把握をしながら、当然、そういう準備をしている、準備をしているというか、相手の動きを注視しているというふうなことでよろしいんですか。

額賀国務大臣 淡々と日常の警戒監視態勢を行っているということでございます。

渡辺(周)委員 淡々と日常の警戒監視活動をしていると。たしか東シナ海のガス田のときも、何かちょっとそんなような言葉がございました。

 しかし、我が国のこの問題、外務副大臣、非常にこれは難しいと思うんですよ。片っ方で、北朝鮮の拉致問題解決のためには、めぐみさんの夫とされる人間のDNA鑑定でほぼ判明した。となると、やはり韓国とは、そういう意味では、拉致の解決のためにはやっていかなきゃいけない。しかし、目の前にまたこういう問題が出てくると、また日韓の、何とかこっちでうまくやろうとしてきて、少し韓国の拉北者の救出の動きというのは今まで鈍かったんだけれども、ここへ来て拉致問題につけて少し韓国も動き出したというときに、今度は片っ方でこういうことが起きる。これが本当に時悪くしてなのか、それとも何か進まないようにわざとこっちに新しい火種を巻き起こしているのかなということも考えたりもするんですが。とにかく韓国との関係については非常に難しいわけであります。ただ、それは冷静にといっても結論を出さねばならないわけですから、この点についてはぜひ外交努力をしていただきたいと思います。

 さて、最後の質問ですが、もう一つ外務省にお尋ねをします。地位協定の問題であります。

 先ほども質問がありました今回の米軍再編の問題でも、各自治体の、特に知事から、神奈川県知事なんかも盛んに言っておりましたけれども、戦後、五十六年たっていまだに変わらない日米地位協定。これは、ああいう沖縄の本当に悲しい事件がありました。そして横須賀でもこの間事件が起きました。神奈川県に住んでいる方は、実はこういう不幸なことがあって初めて、日本というのは実は地位協定というものによって、非常に残念ながら、まだまだ、一体我々はどこの国の法律を守っているんだろうかと思うような現実にぶつかるわけであります。

 今回の、これから地位協定の問題。私は、やはり日本の国というのが、今、これから郷土や国を愛する心、あるいは愛する思いを法律に明記して、例えば国民にそれを守れという、それは当然のことだと思っております。そんなもの、国や郷土を愛さないで国家というものが一体成り立つんだろうかと思いますけれども、反面で、やはり政治がそれだけのきちんとしたことをしなきゃいけないわけでありまして、中国や韓国、北朝鮮のみならず、やはりアメリカに対しても、我々は言うべきことは言わなきゃいけない。

 この五十六年間変わらなかった地位協定。韓国が、やはり米軍が撤退した後の環境のいわゆる回復については米軍の負担でやりなさい。そこまでも韓国はやる。ドイツ並みというのが我々の理想ではありますけれども、地位協定について、今実際どのように、アメリカと本当に話をしているのかどうなのか。我々の日本側の思いというものを本当に伝えているのかどうか。その辺については、外務副大臣、どうなっているんですか。最近、非常に何かあきらめムードのようなものが感じられるんですけれども、いかがでしょうか。今どうなっていますか。あるいは、これからどうされますか。

塩崎副大臣 この地位協定の問題につきましては、各党それぞれいろいろな議論がございます。自民党の中でもいろいろな議論があります。

 政府として、今までそういった政治のサイドからのリクエスト、それから現地、例えば沖縄の皆さんからの御要望に応じていろいろ努力をしてきたわけでありますが、基本線は運用の改善を図るということで、これまでそれなりに改善をしてきたというふうに思います。

 特に、刑事手続の起訴前の身柄の引き渡し問題、それから環境については日米の法律のきつい方でやれというようなことにもなってきたという意味において、運用は改善をされてきているんであろうと思いますが、もちろんさまざまな問題が起きてくることも想定し得るわけでありますので、運用の改善を中心に、やはり政府としては、これから地位協定についてはどうすべきかということを考える、改善の努力をしていくということを第一義的に考えていくのが基本姿勢だろうというふうに考えております。

渡辺(周)委員 もう時間が来ましたので、最後にします。

 これで、申し上げて終わりにしますが、いわゆる今おっしゃった運用の改善ということは、恣意的な運用を可能にするんですね。対応がその時々で変化するんですよ。我が国は法治国家でありますから、なぜ我が国の主権を私たちはそこまで放棄しなければいけないのか、全くわからないです。今の話を聞いていると、とにかく運用の改善だけでいこうと。それは、やはり我々は、いつまでたっても日本という国はアメリカの一部なのかと思わせる中で、せっかくいろいろな取り組みが行われても、すべてそこでだめになってしまう。この問題については、改めてこの問題だけでやりたいと思いますけれども、当然政治としてこれは改正するんだということをぜひ申し上げまして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 法案に入る前に、本土の五つの演習場で行われている米海兵隊の実弾砲撃演習について聞いていきます。

 この演習は、九七年以来、沖縄の痛みを分かち合うとして、キャンプ・ハンセンで行われていた百五十五ミリりゅう弾砲の実弾砲撃演習を本土に分散移転したものであります。

 ところが、ことし一月末から始まった日出生台の演習場での訓練で、突然米軍と日本政府から、小銃、機関銃の訓練もやらせてほしいとの要請があり、守屋事務次官が現地に入り、額賀長官自身が大分県知事に電話で受け入れを要求する、こういう極めて異例の対応がとられたわけです。

 これに対して地元からは、当時そのような説明は一切受けていない、そして地元と防衛施設局が結んだ使用協定にも一切ない訓練だという強い批判の声が上がり、明確に受け入れを拒否いたしました。結果、訓練は実施されませんでした。

 ところが、わずか二カ月で再び、しかも今度は、日出生台に限らず五つの演習場すべてを対象として、小銃、機関銃の訓練の受け入れを求める地元への要請を防衛庁は始めたようであります。先週の十二日、福岡防衛施設局が大分県などに対して、翌十三日には、札幌防衛施設局が北海道に対して要請を行っています。

 あんなに大問題になったことが、二カ月後に、しかも今度は五つの演習場に拡大して要請行動が行われる、これは一体どういうことなんだという思いを持つわけです。

 それで、聞きますが、今回、小銃、機関銃の訓練受け入れの要請を、いつ、どこの自治体に対して行い、また今後行うのか。それから、自治体の反応はどのようになっているのか。いかがですか。

額賀国務大臣 おっしゃるように、当庁といたしましては、一〇四移転訓練を効果的に実施したいとの米側の要請を踏まえまして、平成十八年度以降の一〇四移転訓練に際し、百五十五ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練と一体のものとして小火器の実弾射撃を伴う砲陣地防御訓練を行うことについて、関係地方公共団体に協力を要請いたしたのは事実であります。

 具体的なお尋ねでありますから申し上げますと、日出生台演習場関係自治体には四月の十二日、矢臼別演習場関係自治体には四月の十三日と十四日、東富士演習場関係自治体には四月の十三日、十四日、北富士演習場関係自治体には四月の十七日、十八日、王城寺原演習場関係自治体には四月の十九日に、それぞれの防衛施設局から要請を行ったわけでございます。

 その反応でありますけれども、その反応については、今般、地元の理解を得るよう要請を行ったところであるが、関係地方公共団体においては、現在、検討していただいているというふうに報告を受けております。

赤嶺委員 地元自治体に検討していただいているというのは、反応はどうだったかという答えにはならないんですよね。反応は、私は厳しいものがあると思いますよ。

 それで、防衛庁長官は、日出生台のときには、小銃、機関銃の訓練をやらせてほしいと。そうしたら、地元の自治体、知事初めこれを断った、使用協定にもない訓練だと言ったと。そのときは、アメリカに対して、地元自治体も納得していないので訓練はやめてほしいということをアメリカ側に要請したわけですね。これは私への答弁の中ではっきりとおっしゃっています。

 今回何で、その地元自治体がつい一月、二月に明確に反対している、だのに、中止を申し入れないんですか。

額賀国務大臣 日出生台の申し込みの際は、米軍の要請もありましたものですから、実際に大分県の状況というのはどういうふうになっているんだろうと思いまして知事さんに電話をし、知事さんからよく事情を説明していただき、実際に引き受けることはできないということでしたので、米国に対しても、これは自治体の理解を得ることができないので演習をやめることが適当であるという話をしたわけであります。

 その後、いずれにいたしましても、そういうりゅう弾砲の演習と一体的なものとして小火器の訓練もしたいという米軍の要請もありますので、自治体においてどういう形でこれが、受け入れられないのか、受け入れる可能性があるのかどうか、そういうことについて検討していただこうということで要請をしたということであります。

赤嶺委員 二月に長官が米側に訓練をやらないでほしいと申し入れた後に、大分県や関係市町村では決議が上がっています。協定にない訓練はやるなということであります。今度の皆さんの申し入れについても、大分県の副知事からは、明確に受け入れられないというような答えが報道されております。もう立場は明確なんですよ。地元が協定にない訓練はやるなと言って、長官も一たんはやるなと言ったのに、何で今回、アメリカの立場に立ってやらせろということを言うんですか。

額賀国務大臣 今回は、先ほども言いましたように、五演習場自治体に対して改めてこういう申し入れをしたということでございまして、協力要請を、日出生台だけではなくて、ほかの演習場自治体にもやりましたものですから、日出生台にもさせていただいたということでございます。

赤嶺委員 もう話が、地元の立場に立っているのか、あくまでもアメリカの要請を地元協定を無視して受け入れろということを迫っていくのか、本当にむちゃくちゃなやり方だと思いますよ。

 SACO合意と一体のものである、砲陣地防御訓練と実弾砲撃訓練はSACO合意と一体のもので、SACO合意に含まれる、このように言っているわけですけれども、小銃、機関銃を使って行う訓練は、現地の司令官も、これは通常訓練だと言っているんですよ。そして、小銃、機関銃の訓練は、通常訓練の一部であり、部下の安全を守る上でも大変重要だと述べているわけです。しかも、SACO合意にもそんな訓練なんか書いていない。何でそれがSACO合意に含まれるんですか、通常の訓練が。

長岡政府参考人 まず、SACO合意との関係でございますけれども、SACOの最終報告におきましては、県道一〇四号線越え実弾砲兵射撃訓練を日本本土の演習場に移転させる旨が記述されてございます。

 沖縄県におきまして実施されておりました本土に移転される前の訓練でございますけれども、百五十五ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練と一体のものとしての小火器の実弾射撃を伴う砲陣地防御訓練が行われていたものでございます。本土の演習場に移転して実施される一〇四移転訓練において、同様に小火器の実弾射撃を伴う砲陣地防御訓練を行うことになったといたしましても、SACOの最終報告に照らして問題があるものではないと考えておるところでございます。

 それから、先生、今、一般の訓練で行っているという御指摘でございますけれども、さようでございまして、この一〇四ではなくて、一般の訓練ということで、富士等で海兵隊も演習しております。そのときにも小火器の射撃はいたしております。それはもちろん一般的でございます。それからまた、りゅう弾砲の実弾射撃訓練を行うときにこういった小火器を用いた砲陣地防御訓練を行う、これも一般的なことでございます。ちなみに、今の五演習場では陸上自衛隊はそういった小火器を使用させていただいておりますし、日米共同訓練におきましても米軍が使用させていただいておりまして、決して、今までやったことがないような新しい訓練をやるということではないので、何とぞ御理解を賜りたいと思っておるところでございます。

赤嶺委員 SACO合意と一体だというわけですから、SACO合意に基づいて明確な使用協定を自治体と防衛施設局が結んでいるわけですから、その中に一言もそんな小銃の訓練なんか書かれていないのに、一体だからやらせてくれと言う。日出生台では、砲陣地防御訓練と小銃を使った実弾射撃訓練、これは同じ場所でやっているんですか、それとも訓練場は別々にあるんですか。いかがですか。

長岡政府参考人 日出生台の場合におきましては、砲を発射する訓練場、ここでは撃てませんので、陸上自衛隊等が通常撃っております射場、標的が出て、跳弾がしないように土手がつくってございますけれども、そこへ行って撃つようになろうかと思っているところでございます。

赤嶺委員 長官、全く別の場所でやっているんですよ、離れた別の場所で。一体だというようなことになれば実弾砲撃訓練が、というのは、さまざまな訓練があるんですよ。例えば今、この間から問題になっていますキャンプ・シュワブの近くに北部訓練場があります。北部訓練場の県道のすぐちょっと行った場所でヘリの訓練を海兵隊がやっています。その砲撃訓練の砲座をつり上げるような、そういう訓練もやっているんですよ、砲座そのものでなくて、コンクリートのその重さ、塊のものを。大変危険です。そういうのも、一体のものだということで今後米側から要求があれば、いや、SACOと一体だからやらせてほしいということになるんですか。

長岡政府参考人 ただいまいろいろ御説明をさせていただいています砲陣地防御訓練につきましては、これは従前から百五十五ミリりゅう弾砲の実弾射撃訓練と一体のものとしてなっておりますので、そういうことで今回もお願いしているところでございまして、何でもかんでも一体かとおっしゃいますと、それはおのずと限度があろうかと思っています。

赤嶺委員 書かれてないものを、八年たったらこれは一体化した訓練だからと言い出したら、それは何でもかんでも、一体化ということでいえば、幾らでも訓練が拡大できるということじゃないですか。

 では、そういう一〇四号越え実弾砲撃訓練と一体であるというのであれば、沖縄では今後、小銃を使った訓練は行われないということですね。長官、いかがですか。

長岡政府参考人 訓練にはいろいろあると思いまして、りゅう弾砲を撃つということではなくて、ただ小火器の射撃訓練をやることもございますし、あるいは、本土でやっておりましたように、砲だけを撃つ。砲陣地防御訓練については、これまで九年間やらせていただいたように、射撃姿勢だけをとってそこでとめておく。訓練にはいろいろなやり方があると思うわけでございます。

 今回お願いしたのは、繰り返して恐縮ですが、新たな概念をつくって新たなことをやらせていただこうというものではなくて、従前沖縄においてやらせていただいた百五十五ミリりゅう弾砲と同時に行われていた小火器の射撃を本土の演習場においても、自衛隊も使用させていただいておりますので、お願いしたいということで、地元自治体に御協力をお願いしているところでございます。

赤嶺委員 SACOのときの発表文書を見ても、次のとおりの内容の訓練を実施するとしてあるのは、実弾射撃訓練は本土の五つの演習場、最大三十五日間実施する、最大年間四回、各演習場では最大十日、人員三百名、砲十二門、車両約六十台、訓練の実施に当たっては安全に配慮する、これだけしか書いてないんですよ。皆さんが、防衛施設局と当該自治体と結んだ使用協定の中にも、小銃、機関銃を使った訓練というのはないですよ。だから、大分の副知事も、やらせたくない、やらせないということじゃないですか。

 だから、長官は、むしろそういう立場に立って、アメリカにやらないでほしいというのを申し入れるべきじゃないですか。

長岡政府参考人 今先生御指摘のSACOに関する日米合同委員会の覚書でございますけれども、先ほど先生おっしゃったとおりでございます。繰り返しませんが、訓練規模が、最大規模で人員約三百名強、砲十二門等と書いてございます。これは規模を規定いたしておりますもので、そこへ持っていって訓練する装備品、器材等を網羅的に書いたものではございませんので、そういうことでございます。

 それから、地元との協定、先生おっしゃるとおりで、当時、地元の方から文書による照会がございまして、撃つのは百五十五ミリりゅう弾砲のみですねということで、施設局長の方がそうでございますという御返事をしたのが、地元協定に八条として載っているところでございます。

 当時は、先回も御答弁させていただきましたけれども、百五十五ミリ砲を撃って帰って、小火器の射撃は沖縄で行うということでございましたので、そういうことを局の方からお答えしたわけでございます。

赤嶺委員 今長岡さんは、協定にもない訓練を今度やらせてほしいと言っているんだということを認めたんですよ。私は、これは実弾砲撃訓練にとどまるものではないと思います。

 おとついのこの安保委員会の議論でも、名護のV字形案、二本滑走路案について、使用協定を結んで安全性を担保するというようなことをおっしゃっていました。ところが、その使用協定を結んでも、八年後には、使用協定に書かれていないようなことが、アメリカの要請だからやらせてほしいと、アメリカから要望が来て、皆さんはそのアメリカの要望に沿って動いていく。これでは、使用協定は結んでも意味がない、守られないということになりませんか。

額賀国務大臣 これは、いずれにいたしましても、この前、日出生台で知事さんと話したときに、地元で納得が得られなければできないことははっきりしているわけでございますから、これについてほかの五演習場の自治体の皆さん方に改めて要請をし、その結果、検討中であるということでありまして、今後、どういうふうな形で地元の皆さん方の対応が出てくるのか、そういうことを踏まえて我々は考えていく必要があると思っております。

赤嶺委員 地元が納得しなければ行わせない、今の大臣の答弁は非常に重いものがあります。それがもし破られた場合には、名護のキャンプ・シュワブの使用協定も全く意味がないもの、既に意味がないんですけれども、ほかの基地について、意味がないものを示すものであるということで私は認識しておきたいと思います。

 法案に入ります。

 今回の法案は、防衛庁の中央と地方の組織を大きく見直すものとなっています。一つは、米軍基地に関する企画立案事務の所掌の変更です。

 法案では、これまで防衛施設庁が所掌してきた米軍基地の企画立案事務のうち、重要事項については本庁内部部局に移すということになっています。このような変更を行う理由はどこにあるんですか。

額賀国務大臣 これは施設行政部門と政策部門との連携についての話ですね。

 これは、先ほども申し上げましたように、施設庁が単純に米軍基地とか自衛隊の基地と地元調整ということだけではなくて、今後、新しい防衛体制あるいは安全保障環境の変化に合わせて防衛政策も変わっていくことになっております。あるいはまた変わりつつあります。あるいは変わっているものもあります。

 そういうこととよく連携をとって、きっちりと新しい防衛体制をつくり上げていくことが大事であるということで、施設行政の企画部門と防衛政策の部門が有機的に結びついていくことが大事であるという発想のもとに考えたことでございます。

赤嶺委員 防衛施設庁が米軍基地の企画立案事務、そういうことをこれまでどおりやっていくというのがどこに限界があるのか、そして、今後どんなふうに変わっていくんですか。

額賀国務大臣 基本的には、自衛隊との米軍基地の共同使用とか地域の特性とか日米の役割分担をどうするとか、そういったことを考えていかなければならない。あるいはまた、新しい装備が配備されていくときに、どういう地域が適切なのか、そういったことをよく考えていかなければならない。そういうふうに、施設と、それから防衛体制の考え方と構想と、それから具体的な日米同盟の役割分担、そういったものが有機的に結びついていかなければならない。実質的にこれが能力を高め、実効的になっていかなければならない。

 そういうことから、こういうふうに企画能力と防衛政策をかみ合わせようということになったわけであります。

赤嶺委員 安全保障環境の変化だといって自衛隊が海外に出ていく、あるいは米軍再編で米軍と自衛隊の一体化が進んでいく、そういう流れに対応した防衛庁の体制の強化というぐあいに今の答弁を聞いて私は理解をしているわけですが、それはそれで非常に重大な問題だなと思います。

 ただ、気になるのは、施設庁と防衛庁の足並みの乱れというのが言われました。去年一年間、特に沖縄では、レンジ4を使っての金武町伊芸区での実弾射撃訓練あり、それから少女わいせつ事件、米兵の乱暴事件あり、ボーリング調査ありで、防衛施設行政をめぐって、防衛庁本庁と施設行政の足並みの乱れということがたびたび指摘されました。現場でそういう足並みの乱れが、そごを感じる場面がありました。そういうことも関係しているということですか。

額賀国務大臣 もろもろスムーズにいくことが国民にとって望ましいと思います。

赤嶺委員 それでは、防衛局と運用局、これらについても、今度の設置法では新しい任務が与えられております。この二つの局については、どういう考え方で、どういう改編を行うんですか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛庁といたしましては、新たな時代の防衛を担う政策官庁としての体制を整備するということが一つの目的になっておりまして、いわゆる政策立案機能の強化、あるいは施設行政に係る総合的な企画立案機能の強化、あるいは地方公共団体との調整や協力に係る機能の強化など、こういうことを図る観点から、この十八年度中における内局等の改編を実施したいと考えているところでございますが、内部部局の局、課にありましては、政令で現在定められておりますので、今回の法律案が成立した後に当該政令の改正を行い、十分に措置していきたい、こういうふうに考えております。

 今回、運用局あるいは防衛局をこういう形で改正していくという一番の大きな目的の中には、従来の安全保障のあり方の中で、いわゆる抑止から対処重視へという大きな、現在、防衛力のあり方が変わってきております。その中で、自衛隊の任務の拡大あるいは多様化等がございまして、ある意味では、統合運用というものが、いわゆる部隊での時代に合った形での現在の安全保障に対する機能の仕方をする、それをさらに支える形で内局、運用局あるいは防衛局の方では政策部門の能力を強化し、この時代に合ったような安全保障への対応をとっていきたいということで、今回の改編を考えたところでございます。

赤嶺委員 あした引き続き質問を続けることにして、きょうはこれで終わります。

浜田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、実は神奈川県の選出でございまして、この委員会でも多くの皆さんが沖縄の問題をお取り上げでございますが、神奈川も沖縄に次ぐ第二の基地県でございますし、昨年来のいわゆる日米のいろいろな交渉、2プラス2の中でも、私のおります神奈川にかかわることがたくさんございます。

 そのこともございまして、昨年の暮れにアメリカのワシントンに出向きまして、先方の国務省並びに国防総省あるいは安全委員会の皆さんともお話を伺い、逆に、非常に大きな、先方はチェンジという言葉を使いましたが、あなたたちは変わらねばならないというふうに言われまして、その言葉の強さと印象が非常にある中で、果たして私どもの国は今、何を、どう変わることを要求されているのか、あるいはそれについて国民合意はあるんだろうかということを深く懸念するものであります。

 冒頭、通告外で恐縮ですが、一昨日のこの委員会の議事録を読ませていただいていて、平岡委員と麻生外務大臣のやりとりの中で、日米安保条約の極東条項のお話が出ておりました。

 額賀長官にお伺いしたいですが、例えば私どもの神奈川では、座間に米陸軍第一軍団司令部、そしてあわせて、横須賀に原子力空母の配備が二〇〇八年段階で合意されております。原子力空母は、この間の米国のQDR、四年ごとの国防見直しの中でも、広くアジア太平洋州に展開する、今後の迅速性、機動性において、格段に今までの通常型空母とは異なるものと言われております。

 そうした場合に、日米安保条約の中の極東条項、フィリピン以北並びに韓国や台湾の周辺という地理的条項については、額賀長官は、せんだって私がイラク委員会でこのような趣旨を遠回しに伺ったのですが、現段階でも日米安保条約における極東条項の政府統一見解というのは堅持したままでこの再編に臨もうとしておられるのかどうか、いかがでしょう。

額賀国務大臣 もうこれ以上議論が進んでいくことはないと思いますが、阿部委員のおっしゃるとおり、従来の安保条約に基づいて、日本の安全とこの地域の安定のために作用している、その範囲の中でやっているわけであります。

阿部(知)委員 その点を確認いたしますと、私から見ると、幾つかのそごが出てくるように思います。

 先ほど申し上げましたように、座間には米陸軍第一軍団司令部、それがアメリカから来るものなのか、日本国内の改編で配置するのかというところは、麻生大臣の御答弁を聞くとややグレーゾーンには見えますが、とりあえず、この米陸軍第一軍団司令部が座間に置かれ、そこに我が国の中央即応集団が置かれるということで、現実においては、テロの問題を含めて、移動においても地域的な問題においてもかなり広範な共同の行動が要求されるゆえに、我が国の中央即応集団は座間にともに置かれるんだと思いますが、この点はいかがでしょうか。

額賀国務大臣 新しいそういう、テロだとかあるいはまたゲリラだとか、脅威に対応していくために、そういう中央即応集団及び米軍の第一軍団が、改編された司令部が来られるということにおいて、お互いに共通の認識を持ち、日本の防衛体制が強化され、国民の安全を守る、あるいは地域の安定にも寄与するという意味においては、従来の枠組みの中であるというふうに思っております。

阿部(知)委員 これは先ほど申しますように、既に二〇〇一年のQDRでもそうですが、広く不安定の弧をにらみながら米軍が行動していくときの機能強化とそれから再編でございますから、当然、現状のイラクやアフガニスタンを見ましても我が国が後方支援しているわけですし、地理的要件は既に乗り越えておるのだと私は思います。でも、額賀長官はこの前の御答弁で法治国家であるからとおっしゃいましたから、その辺は逆に、私は、私の立場は違いますが、そごがあるのであれば、国民から見えづらい形にしないということも重要だと思っております。これ以上詰めても御答弁いただけないと思いますので。

 あわせて、ここにもう一点、国際活動教育隊ということをあわせ置くことについて、私は、さまざまな国際平和活動、あるいは人道支援活動、あるいは地震等々の救難救援活動は我が国の自衛隊がむしろ世界の中で特殊な能力を持っておりますし、今後、その能力、ノウハウを生かして本当に国際的に活動してほしいと思うものですが、そうするためにも、実は、今回のこの中央即応集団の中に、一つの組織図として、その一環として置かない方がむしろ大きな意味での発展があるように思うのです。

 なぜならば、先ほど来お話し申し上げますように、座間に来るという米陸軍第一軍団司令部と中央即応集団がリンケージしたもとで、情報交換をしたもとでさまざまなゲリラ対策やこれからの平和維持活動が想定されます場合に、世界は今、アメリカに対しての、イスラム圏の対立をも含めて、あるいは国連レベルでの合意事項も含めて、必ずしも一致したものにはなっておりません。例えばイラクの攻撃にしても、アメリカは有志連合という形をとりましたし、これは国連全体でかかわったものではない。しかしながら、世界じゅうで起こることは、実はイデオロギー対立やいろいろなその時々の状況を超えて、やはり世界の中から飢餓や貧困をなくし、困難を一つでもなくしていくための我が国がこれからやるべき活動が国際活動というものだと私は思いますから、なぜあえてこの中に置かれたのか。非常に卑近な例をとれば、例えばアメリカに対立するエリアで何かが起きた場合に、この平和活動協力隊は、あるいは平和活動は十分に機能し得なくなる懸念も抱かれます。この点についてどうでしょうか。

額賀国務大臣 これは阿部委員とも共通のものがあるといいと思っておりますが、今後、自衛隊を活用していくに際して、いわゆる国際平和協力活動というのは、仕事は拡大していくんだろう、これは災害救助とかそういうことも含めまして。これまで、PKO活動とか、イラクにも行っているしアフガンの対テロ活動もしている、そういった、我々の自衛隊が体験をした、そういうものをやはり自衛隊の財産として継承していく必要がある。その場その場で各方面隊の一時的な経験に済ませていくのはもったいない。そういうものを体系づけて、我が国の自衛隊の今後の二十一世紀の主要な仕事として平和協力活動を展開していくために、こういう国際活動教育隊というものを陸上自衛隊の中心的な活動の一つとして位置づけていこうというふうに理解をしております。

 そういう意味で、陸上自衛隊全般に教育をしたり経験を蓄積させていく、そういう一環であるというふうに理解していただければありがたいと思います。

阿部(知)委員 私も、そのような方向にしていくためにも、実は幾つかの論議が必要だと思っております。

 一つは、アメリカとの共同行動をどこまで、どのように仕切っていくのか、あるいは自衛隊と別組織でこれを行うのか。

 もちろん、これまでのノウハウを蓄積して、本当に得がたいノウハウは幾つもあると思います。陸上自衛隊だけでなくても、航空自衛隊にもあるいは海上自衛隊にもいろいろな、日本の自衛隊が頑張ってきて、それは本当に、人命の救助やあるいは災害への救助であるということは他国にはない財産ではないかと思っておりますから、それが十分に世界還元できるような組織のあり方で、特に、さっき申しましたように、この間、我が国が日米の協力関係、それも軍事的な共同行動まで踏み込んでいこうとするときに、そうであるがゆえにできなくなってしまうことがあるのではないかと懸念いたしますので、この部分についてはぜひ、ノウハウを蓄積することには賛成でございます。ただ、別の組織、ここのあり方でないことを求めるものであります。この点についても、これからいわゆる自衛隊の任務のあり方についてまた別途御論議の場があろうかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 引き続いて、後半の質問に移らせていただきます。

 私は、きょう、長官のお手元に、平成十七年度の自衛隊の自衛官の自殺の数を載せさせていただきました。

 私はまだ国会に参りまして六年目でございますが、この間、我が国における自殺者数が毎年三万人を超えるということや、あるいは、本来は本当にいろいろな意味で国民のために最大の奉仕を心がけておられるであろう自衛官が、あるときは夢が破れたかもしれない、あるときは経済的困難かもしれない、あるときはいろいろな御病気かもしれないが、とにかく、みずから死を選ばれるという自殺ということを非常に悲しむものであります。

 毎年の予算委員会でこの自衛官の自殺は取り上げさせていただいていますが、本当に残念なことに、去年とほぼ同数の数でございます。グラフを見ていただければわかりますように、平成十六年、十七年、それは前年の十四、十五を上回る数に増加しております。

 額賀長官も、この点については、私も何度もお伺いしますので、配慮はしておるという御答弁でございますが、さらに今年度のこの数をごらんになってまたいろいろなお取り組みもお願いしたいわけですが、お考えをお願いいたします。

額賀国務大臣 今、この数字、それからこのグラフを見させていただきまして、前途ある有為の自衛隊の方々が自殺をしているということについて、改めてつらい思いをいたします。

 原因について、どういうふうにこれを分析されているのかまだ承知しておりませんけれども、よく中身を考えさせていただいて対応をとっていきたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 この間、自衛隊の中でも相次ぐさまざまな事件、一つはサラ金等々で破産をなさる、あるいは大麻の問題、あるいは隊内のいじめの問題。私は、やはり組織というのは人でもつ、やはりそこの中にいる人がどのように考え、どのように行動し、自分の役割や意義をきっちりと確認しながら前に進めるかということが実は最も肝要なのだと思っております。

 自衛隊内でも今挙げましたいろいろな対策のプロジェクトは組まれていると思いますが、やはり一度は長官みずから全体像をごらんになって、今隊員に何が起きているんだろうかということを、隊員のお話を聞くことも含めて鋭意お取り組みいただきたいと思います。

 そして、私はきょうもう一つ、実は、命に深くかかわります問題といたしまして、自衛隊の医官の問題を取り上げさせていただこうと思います。

 二ページ目をあけていただきますと、昭和五十四年から、自衛隊に附属するための医官を防衛医科大学で養成するようになりまして、数を見ていただきますれば、順次ふえてまいっておる。年間七十数人がどんどん養成されて卒業していくわけですから医官の数はふえていくはずでありますが、下のグラフをごらんになっていただきますと、実は、平成十四年度をピークに、十五、十六と、自衛隊の医官は減っております。

 これは、時間の関係で私が勝手にしゃべらせていただきますが、なぜかというと、防衛医科大学校を出られて自衛隊の附属する病院に勤務されても、卒業の七年目くらいでおやめになるという方が約三割、昨今ではおられます。ここにはいろいろな原因があるという、アンケート調査等々も担当部局でなさっておられるように伺いますが、実は、自衛官をやり、そして自衛隊員の命を守ると同時に広く国民に奉仕したいと考える医師たちが、その途上で、例えば臨床経験、患者さんの数が少ないということも含めて、自分の医者としての将来に不安を持たれる。

 これは、さらに次のページをめくっていただきますと、各自衛隊に附属する陸海空の病院が書いてございますが、大体、例えば病床数五百の一番大きい自衛隊中央病院でも病床の利用率が三七・〇%、要するに入院されている患者さんが少ない。場合によっては十数%、ベッドはがらがらという状態になるわけです。

 もちろん自衛隊の医官は隊員のための医師であることは原点でありますが、しかし、自衛隊員とていい医療を受けたいと私は思うのです。そうなると、臨床経験を豊富にしていただいて、また医師自身が、おのれのスキルを維持できるような形で医官を教育したり研修したりサポートするということが必要で、その一つとして、もっと多くの病院で一般の方を診る、地域住民を診る、国民とのきずなをもっと深める、役に立つようにしていただきたいのです。

 今のところ二つしかオープン化されておらず、さらに今後二つ、とりあえずはというお話ですが、大臣、いかがでしょうか、もっと思い切って、このオープン化を基本方針として、もちろん無理なところはあるかもしれません。ただ、基本をどっちに持っていくかというところで、御英断をお願いしたいと思います。

額賀国務大臣 せっかくの自衛隊病院があって、しっかりと勉強なさった先生もおられるわけですから、それが臨床の経験にもつながるし地域の皆さん方も喜ぶ、その辺のところは方向性としては考えるべきじゃないかなと思いますね。

 今おっしゃるように、駆け出し、そんなに数は多くないけれども、前向きに検討していくことは大事なことではないかと思っています。

阿部(知)委員 今、この国会では医療制度の改革が論議されておりますが、こちらにおいても実は、医師たちの内的な動機が崩れ去っていくということが一番大きな問題で、おやめになる、あるいは立ち去り型サボタージュといって黙って去っていくということが今、医療現場ですごく多くなっています。命を支える本当に大事な役割で、まして自衛隊の医官となればその思いもひとしおと思いますので、ぜひこれは間髪を入れず大臣が検討していただきたい。

 さらに二点お願いがございます。

 実は、自衛隊の三宿の病院で空調施設の談合問題が生じました。私は、自衛隊の病院といえども、私は実は民間病院を運営しておりましたが、他の病院と同じようにその財務諸表を明らかにする。例えば、医業利益と申しますが、医療による収入がどのくらいで、人件費がどのくらいで、それから建物をメンテナンス、器材をメンテナンスする、購入するために幾らかかるかを国民にオープンにしていく、私はそういう時代だと思っております。これが一点と、もう一つ、地域で医師が足りない。産婦人科医と小児科医が足りない。ぜひこの自衛隊の医官の中からも、もちろん本来任務に差しさわってはいけませんが、鋭意、配置、配属を地域と連携して積極的に行っていただく。

 二点、いかがでしょう。

額賀国務大臣 公的な機関であるほど透明性を求められるのは民主主義の原点であります。したがって、そういう視点で点検をしてみる必要はあると思います。

 それから、医務官ですか、医師不足にどう対応するかでありますが、最近いろいろな地域でそういう御相談を受けておるのでありますけれども、なかなか、言われるように、十分に対応できるような数がそろっているわけではない。自衛隊病院自体にも産婦人科とかそういうものがないところもあるわけでございますから、そういう地域の要望ということはよくわきまえておりますので、我々もよく考えてみたいというふうに思っております。

阿部(知)委員 名護には産婦人科医が行くのではないか等々言われていたり、基準を明確にしていただいて、やはり国民全体にわかる形でよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

浜田委員長 次回は、明二十一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十七分散会


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