衆議院

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第7号 平成18年4月21日(金曜日)

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平成十八年四月二十一日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 河井 克行君 理事 寺田  稔君

   理事 吉川 貴盛君 理事 神風 英男君

   理事 長島 昭久君 理事 佐藤 茂樹君

      秋葉 賢也君    石破  茂君

      小里 泰弘君    大塚  拓君

      瓦   力君    北村 誠吾君

      篠田 陽介君    下村 博文君

      高木  毅君    谷川 弥一君

      永岡 桂子君    丹羽 秀樹君

      萩原 誠司君    宮路 和明君

      山内 康一君    小宮山泰子君

      田村 謙治君    中川 正春君

      渡辺  周君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   東  良信君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  藤岡 文七君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   増田 好平君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   小島 康壽君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   佐々木達郎君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁総務部長)  地引 良幸君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     永岡 桂子君

  小里 泰弘君     丹羽 秀樹君

  谷川 弥一君     秋葉 賢也君

  福田 良彦君     萩原 誠司君

  宮路 和明君     下村 博文君

  山崎  拓君     篠田 陽介君

  内山  晃君     中川 正春君

  細野 豪志君     田村 謙治君

  前田 雄吉君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     谷川 弥一君

  篠田 陽介君     山崎  拓君

  下村 博文君     宮路 和明君

  永岡 桂子君     安次富 修君

  丹羽 秀樹君     小里 泰弘君

  萩原 誠司君     福田 良彦君

  小宮山泰子君     前田 雄吉君

  田村 謙治君     細野 豪志君

  中川 正春君     内山  晃君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官東良信君、内閣府沖縄振興局長藤岡文七君、防衛庁防衛参事官増田好平君、防衛庁防衛参事官小島康壽君、防衛庁防衛参事官佐々木達郎君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁人事教育局長飯原一樹君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁総務部長地引良幸君、防衛施設庁施設部長渡部厚君及び外務省大臣官房審議官梅本和義君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。

赤城委員 おはようございます。赤城徳彦であります。

 額賀長官におかれましては、連日の委員会審議、大変お疲れさまでございます。また、きのう報道されておりましたけれども、この委員会の終了後に訪米をされてラムズフェルド国防長官との会談に臨まれる、こういうことでございます。中心的な議題は米軍の再編にかかわる問題であると思いますし、なかんずく海兵隊のグアム移転に伴う経費の問題であろうかと思います。

 この移転、大変結構なことなんですけれども、経費が百億ドルかかる。そのうちの七〇%を日本に持てというのは余りにも過大でありますし、この額をいかに削減していくかということが大変大事であります。また同時に、額が幾らになるかということもさることながら、中身として、こういう経費は日本側が負担するにふさわしいもの、あるいは、こういう経費は当然アメリカが負担すべき中身であるというような、その中身の問題も大事だと思います。

 そうした点について、額賀長官はどういう方針でこの会談に臨まれるのか、また、会談で合意をする見通し、ここら辺についてどういうような見通しをお持ちか、伺いたいと思います。

額賀国務大臣 赤城先生には、日ごろから安全保障、防衛問題でお世話になっております。郷里も一緒でありますし、心からお礼を申し上げる次第であります。

 今の御質問でありますが、御承知のとおり、米軍再編をめぐっては、北海道もあるし、山口県もあるし、鹿児島県もあるし、沖縄もある、さまざまな地域でそれぞれの問題を抱えているわけであります。と同時に、抑止力を維持し、どうやって負担を軽減するかということが二つのテーマになっているわけでございます。

 その中で、大体のことは、方向性は固まりつつあるのでありますけれども、最後は、米軍海兵隊のグアム移転に伴って、それを一日でも早く、沖縄から負担を軽減、縮小していくためにはどうしたらいいかということで、日本側も応分の資金的な措置を考えなければならないということで政府は考えているわけであります。

 これについていろいろ議論をしている真っ最中なわけでございますが、まだ日本と米国の間にはギャップがあります。したがって、今度私が米国に行ってラムズフェルド長官と会談をすることによって一足飛びに合意ができるかどうかということは、まだそこまで確信を持っているわけではありません。

 ただ、今赤城委員がおっしゃるように、国民の負担の上に立ってこの問題の解決を図っていくということでありますから、国民の皆様方に対しきちっと説明ができるようなことでなければならない。そしてまた、国会の場でもさまざまな御議論があるわけでございますので、そういうことを踏まえて、私も、委員がおっしゃるように、ちゃんと筋道が立てられて説明ができるような形をつくっていくということと、日本の言うべきことは言っておく必要があるということで、今度ワシントンで率直な意見交換をし、それが前進の一つのはずみになればよいというふうに思っております。

 一月十七日にラムズフェルド長官と会談をしまして、米軍再編についての審議を加速しよう、そして米軍再編の問題を解決するために全力を注ごう、最後はやはりお互い政治的な判断で成功させなければならないという話をしておりますので、そういう大局観に立って率直な話をすることがこの問題の解決を促進することになるだろうという思いで、行ってくることにしたということでございます。

赤城委員 この米軍再編に伴う基地の問題、長官言われますように、北海道から九州、沖縄まで、全国にかかわる大変難しい問題でございます。その問題に真っ正面から取り組んでこられ、ここまで持ってこられた、その長官の御努力に心から敬意を表したいと思いますし、いよいよ胸突き八丁、大事な局面でございます。ぜひ大きな成果が上がりますように期待いたしております。

 以下、この法案につきましてちょっと具体的に何点かお尋ねしたいと思います。

 一つは、施設行政というのがこれまでと大きく変わってきた、特にこういう大きな課題、あるいは安全保障環境の変化に応じて企画立案機能を強化していく、こういうことが大事になってまいります。

 そこで、防衛局に施設課が移管されまして、米軍との戦略的な事項についての施設行政に関する企画立案を防衛施設課が行う、こういうことになります。この防衛施設課と防衛政策課、いずれも戦略的な事項に関する政策を行う、こう書いてあるんですけれども、この仕分けはどうなっているのか、お尋ねします。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今回の防衛庁設置法の改正後、新設が予定されます防衛施設課と申しますものは、従来、長官官房に施設課があったわけでございますけれども、この施設課が行ってまいりました自衛隊施設の取得及び管理の基本に関する事務等に加えまして、新たに、米軍施設・区域に係る事務のうち、防衛及び警備の見地から特に重要な事項についての企画及び立案並びに調整に関することを所掌することになります。

 この防衛施設課と、防衛政策の立案を担当します防衛政策課の事務分担に関しまして例を挙げて申し上げますと、例えば米軍の兵力見直し、トランスフォーメーションを例にとって申し上げますと、防衛政策課の方は、我が国の安全保障にとって何が重要であるかといった視点に立って米国の駐留のあり方を検討するという立場だと思っております。それに対して防衛施設課は、具体的な配置案を作成し、その上で、その実現可能性の観点から、まず施設庁から米軍施設・区域の所在地の地理的特性や地元自治体の動向等の情報を収集しながら、この政策課と連携しつつ、その施設・区域の提供等の企画立案を実施することになる、こういう整理になろうかと思っております。

赤城委員 今のお話を聞くと非常に近いというか、近いからこそ連携していくということに意味があるのか、こう思います。ぜひ、防衛政策局、こういうことになって、その中でよく連携を深めていっていただきたいと思います。

 次に、調達に関する問題ですけれども、平成十年、大変残念な事件がありまして、調達に関する制度改革をやりました。きのうの議論でもございましたけれども、原価計算機能と契約機能を分離したわけです。それによってチェック機能を果たそうと。残念ながら、その後も過払い事案というのは発生したわけですね。このチェック機能というのがこの仕組みによってちゃんと果たされてきたのかどうか、まずその評価を伺いたいと思います。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘の調本事案の反省を踏まえまして、調本を解体して原価計算と契約機能を分離する、それから、外部のチェック機能を入れるということで防衛調達審議会を設置してその調査、あるいは、内局の監査を入れるということで不祥事、過払い事案の未然防止というのに努めてきたところでございますけれども、遺憾ながら、そういった措置を講じた後も、過払い事案が御指摘のように九件判明しております。

 しかしながら、これらはいずれも、防衛庁がそういった調査体制の中で定期的な調査あるいは部外者からの指摘に基づいてみずから調査して発見して、それに対して的確に処理して、九件すべてについて過払い額の返還請求をするとともに、新たに設けました違約金制度に基づいて違約金も取ってきております。

 そういうことで、調本事案以降防衛庁が講じてきた措置によりそういったのは的確に処理してきた。そういう意味で、有効に機能してきたのではないかと思います。

 今後とも、こういう過払い事案を初めとする不祥事に対しては、防衛庁みずからいろいろな調査をするとともに、発見されたら取引停止とかあるいは違約金であるとか厳正なる措置をとって、そういったことが二度と起こらないように抑止力を強化していこうと考えております。

赤城委員 そこで、今回の改正でよく指摘されるのは、一度分離しなければいけないと言った機能をまた一緒にしているということですね。それは装備品のライフサイクルを考えてという、そういう要請はわかるんですけれども。

 では、そのチェック機能について、分けなければだめだと言われてやったことについて、そこにちょっと特化して伺いたいんです。

 今回は、副本部長で、原価計算の基準を担当する副本部長がいます。それから、別に副本部長が何人か、それぞれ担当します。その副本部長は原価計算と契約を、ここは一緒なんですね、そこがよくわからないんですが。原価計算の基準を立てる副本部長と計算と契約を担当する副本部長、こういう分け方にすることによってどういうふうにチェック機能が働くのか、あるいは働かないのか、そこを伺います。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘にございましたように、今回、装備本部は、ライフサイクル管理を強化するという観点から、契約本部、原計部を再編成するということにしたわけでございますけれども、御指摘の御懸念が払拭できるように、あえて性善説の考え方に立って、今回そのチェック体制を一段と強化したわけでございます。

 今御指摘のございました、装備本部内で、原価計算の実務をする担当副本部長とルールをつくる担当副本部長を分離する、必ず原価計算の実務を担当する副本部長には別のルールを担当する者に絡ませるということをして、恣意的な計算ができないようにしたということでございます。これは、調本事案のときに、一人の副本部長のところにルールをつくる権能と計算実務を行う権能、それから契約を行う権能とを一体にしたことによってああいう過ちが起こったことにかんがみて、ルールをつくる人と計算実務を行う人とを分離したということでございます。

 加えまして、装備本部内に監査担当の副本部長それから監査課を置いて、そういった計算実務を行うところについて厳重な監査を行うとともに、さらに、それぞれの担当副本部長のところにおいても、日常の不自然な状況、コスト情報に係るコスト漏れの問題ですとかあるいは入札の不手際、そういったことがないように、日常的にチェックする統括調達官も置く。

 加えて、装備本部の外から、先ほども申しましたけれども、内局による監査ということで、新たに監査担当の審議官、監査課を設ける、そして抜き打ち検査やヒアリングをする。あるいは外部のチェック機能として、従来設けました防衛調達審議会のほかに、民間法人による監査も新たに導入する。

 そういう意味で、多重的、重層的なチェック体制をつくるということで、御懸念のような問題が起こらないように、あるいは本部内における業務運営がなれ合いになったり緊張感を失うということがないように万全を期す考えでございます。

赤城委員 今のお話は、原価計算の実務と契約は一緒になったとしても、基準、ルールは別につくられるから、そのルールどおりちゃんとやるので問題ないんです、こういうことですか。

小島政府参考人 そういうことでございます。

赤城委員 ちょっと時間がないので先に進ませていただきます。国際活動教育隊の話に移ります。

 これは、国際任務を行う部隊に対しての専ら教育を行う、こういうことで編成されていますけれども、そのいろいろなノウハウを得るためには、国際活動教育隊自身が現地に行っていろいろなノウハウ、また現地での実情というのを身をもって体験しなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、この教育隊自体はそういう海外での活動を行うのかどうか。

 それから、もう一歩進んで、海外協力活動をする専門の部隊をつくって、そこに専らやらせるべきではないかという議論がありますね。各部隊が順繰り順繰りに行くことによって、そのたびそのたび教育しなきゃいけないですし、国内での任務に穴があくとかやりくりしなきゃいけないとか。だから、専門の部隊をつくったらどうだという議論に対して、これは教育隊をつくります、こういうふうに答えています。その点についてはどういうふうに考えているか、伺います。

大古政府参考人 一点目のお尋ねでございますが、国際活動教育隊自身が国際平和協力活動を部隊としてやるということは想定されておりません。ただ、各種の専門能力を持った自衛官が教育隊におりますので、基幹要員なりそういう形で行くことはあり得るかと思っております。

 それから、専門の協力部隊をつくったらどうかというお話でしたが、中央即応集団自体が、国内で、侵攻されたような場合におきまして即応して活動するということで基本的に考えております。そういう即応態勢をつくっているということから、例えば海外で災害が起きたような場合に、即応して対応するということについてのノウハウがあるのではないか、そういうノウハウについて教育隊で教育する方が部隊の編成の仕方としては効率的であろうということで考えた次第でございます。

赤城委員 この国際活動教育隊ですけれども、今、イラクでの復興支援活動とか、あるいはインド洋での対テロ支援活動をやっています。これからは、恒久法をつくっていろいろな活動に対応していこう、そういうものに対してもこの教育隊が教育に当たるということになるのかと思うんですけれども、そうすると、海上自衛隊や空自の活動もあります。この教育隊は陸上自衛隊中央即応集団の隷下にありますけれども、統合運用ということなのかと思いますけれども、そこはどういうふうに運用していくのか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 この国際活動教育隊につきましては、陸上自衛隊の部隊でございますので、イラク人道復興支援活動等で得た教訓事項も含めまして、陸上自衛隊が実施する国際平和協力活動について幅広く教育を行うということを考えております。

 他方、そういう意味では、インド洋での海上自衛隊の給油活動とか、イラクにおける航空自衛隊の航空機による輸送という活動もございますけれども、そういう専門的な教育そのものをここで行うということは想定しておりません。

 ただ、新たな統合運用体制に移行したということもございますので、海上自衛隊や航空自衛隊が得た各種ノウハウについてもこの教育隊におきまして幅広く共有していく必要がある、そういうふうに考えております。

赤城委員 あっという間に時間が来たようでございまして、最後になりますが、額賀長官、ぜひ気をつけて行っていらしていただいて、大きな成果が上がりますことを重ねて期待いたして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 今赤城委員の方からもお話がございました、この委員会の後に額賀長官は訪米をされるということでございます。このところ、二、三回の審議官級協議を見ておりましても、海兵隊のグアム移転問題については膠着状態でなかなか進まない。ほかの分野については少しずつ前進しているんですけれども、ぜひ、難航しているこの問題につきまして打開の道を探っていただきたいな、そのように思う次第でございます。もうこのことについては特に答弁は求めません。

 それで、きのうから防衛庁設置法の一部を改正する法律案に入っているんですけれども、時節柄、内容を聞いておりますと、一般質疑のように大分広がっている部分がありますので、私の方からは、時間の範囲内で法案の中身につきまして集中してお聞きをさせていただきたいと思います。

 一つは、陸上自衛隊の中央即応集団の新編につきまして何点かお聞きをしたいわけでございます。

 まずお聞きしたいのは、今回中央即応集団が編成されることによりまして、第一空挺団など、これまでの防衛庁長官直轄部隊が、中央即応集団ということで一元的に管理されることになるわけでございます。これは、ゲリラや特殊部隊などによる攻撃など新たな脅威や多様な事態に実効的に対応する、そういう目的で一元的に管理しようということなんですが、この結果、従来からの自衛隊によるテロ、ゲリラの対処の仕方に比べてどのような対処能力の向上が図られると防衛庁として考えておられるのか、まずお聞きをしたいと思います。

額賀国務大臣 今佐藤委員御指摘のとおり、中央即応集団、新しいさまざまな脅威に対して機動的に、即応的に対応していくためにはどうしたらいいかということが問われているわけでございますので、それに対応する形で陸上自衛隊に中央即応集団を新編することとした。

 委員がおっしゃるように、中央即応集団というのは機動運用部隊、ヘリ団や空挺団などでございます。また、各種専門部隊、特殊作戦群などを管理しているわけであります。平素からゲリラ、特殊部隊による攻撃などの事態に実効的に対処するための教育訓練を行っているわけでありまして、その上に立って、これをうまく組み合わせながら迅速に事態に対応していこうということであります。

 今おっしゃられた、一元的にという管理の問題でございますけれども、隊務を統括するという趣旨は、第一空挺団あるいは特殊作戦群等を指揮監督するという意味でありまして、おっしゃるように、中央即応集団司令官は第一空挺団等に対して指令、命令を行うことになっているわけであります。一方で、一元的に管理するというふうに用いておりますのは、中央即応集団司令官がこれらの隷下部隊の能力を踏まえた運用構想を平素から検討し、また教育訓練等を実施させ、事態発生時に迅速に任務を遂行するため全国各地に派遣することが可能になるような形をつくっていくために訓練をし、管理をしようという意味であるということを理解していただきたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 今長官に基本的なことを御答弁いただいたんですけれども、要は、私が言いたいのは、今まで第一空挺団にしろ特殊作戦群にしろ第一ヘリコプター団にしろ、今回名前が変わりますが、今の名前で言うと第一〇一化学防護隊にしろ、これは防衛庁長官直轄部隊として既存の組織なんですね。これはもう、ある意味で言ったら、防衛庁長官が今の段階でも、何か事態が起こったときに、機動的に運用しようと思ったらできるわけです。

 今回、形として見た場合に、その間に、中央即応集団司令官というのがかわりに一元的に管理しますよ、それは長官の指揮命令を経てそういう形でやりますよ、そういう形にしか見えないわけです。要するに、この中央即応集団司令部というのが司令官のもとにできたことによってどれだけ対処能力が強化されるんですか、そこの部分がもう少し国民にわからない。

 特に私が言いたいのは、当初構想されていたと言われている緊急即応連隊ですね。これは中央即応集団司令官のもとに直属でそういうものを、当初は何百人かそういう部隊をつくろう、そういう構想もあったのに、今回の段階ではそういう直属の連隊もつくらない。そうすると、今まであった部隊をただ中央即応集団司令官のもとに再編成するだけの、そういう集団じゃないのか、どこが能力が向上するんだということを改めてちょっとお聞きしたいんです。御答弁いただきたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の緊急即応連隊は今検討中でございまして、十九年度以降の編成を検討したいと思っております。

 先生、既存のものを組み合わせるだけで、実際の能力が変わらぬのではないかという御指摘でございますが、これは先ほど大臣も申し上げましたように、ヘリ団、空挺団のような機動運用部隊、それから特殊作戦群なりの専門能力を持った部隊を組み合わせることによりまして、基本的には事態の起きた場所に即応して対応して行くということで、輸送能力と専門的な戦闘能力、こういうのを編成上平素から組み合わせて訓練も一緒にやるということによって、効率的な対処ができるんだというふうに考えておるところでございます。

佐藤(茂)委員 今お聞きすると、平素から一緒に訓練等をやって、いろいろな事態に対処した訓練もやっておくことによって対処能力が向上するんだ、そういうことだと思うんですけれども、私は、その辺をぜひ、陸上自衛隊でも部隊運用の全く新しいケースだと思いますので、本当にこの中央即応集団が編成されたことによって能力が向上した、そう言われるようなものにしていただきたい、そのように思うわけでございます。

 そこで、特にもう一つこの件でお聞きしたいのは、今までは東部方面総監のもとにあったわけですね。中央即応集団が実際に運用される場合に、集団が活動する地域を担当する方面総監との関係がどうなるのかということを具体的にどう整理されているのか。

 特に、防衛庁の組織図でいくと、今回の中央即応集団司令官というのは方面総監と同格に位置づけられるわけですね。事態の内容にもよりますけれども、同じ地域に中央即応集団の隊と、従来からその地域を統括している陸上自衛隊の方面総監の指揮の下に動いている地元の部隊、こういうものが混在する、そういうケースが出てくると思うんです。この中央即応集団司令官と方面総監が上下関係でなく並列関係であるならば指揮権が混乱する、そういうおそれが出てくるんじゃないかと思うんですが、そこはどのように整理されているのか、御答弁いただきたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 その点は、事態の、戦闘の様相によって一番効率的な編成ということになりますので一概には言えませんけれども、基本的には二つのケースが考えられると思っております。

 一点目は、中央即応集団が全体として、特別の能力がございますので、一定の地域なりを、まとまった任務があるような場合につきましては、中央即応集団司令官が隷下部隊を率いて戦闘をするということが考えられるかと思います。

 他方、方面隊なり師団が主としてその戦闘において活動していて、中央即応集団の隷下部隊が側面から支援するというような場合には、当該方面総監なり当該師団長が、中央即応集団の隷下部隊も含めて全体の指揮をとるということになろうかと思います。

佐藤(茂)委員 中央即応集団はほかにも聞きたいことがあるんですがこれぐらいにいたしまして、あとは、今回装備本部が新設されることに伴って幾つかの懸念、先ほど赤城委員からもありましたので、その部分は割愛いたします。

 装備本部のつくられる目的というのが、総合取得改革の一環としてこの新しい体制をつくられるということなんですが、それの実を持たせるためには、やはり私は、こういう制度とか組織の改革とあわせて、ライフサイクルコスト抑制の数値目標をきちっと設定して、そしてこの実現に向けて努力していく、そういう取り組みが必要ではないか。

 これは私が言うだけではなくて、二年前ですか、我々が議論しました中期防の中にも、「装備品等の取得の合理化・効率化」という項目で、「調達価格の抑制を含む装備品等のライフサイクルコストの抑制に向け、具体的な達成目標を設定しつつ、取組を一層強化する」、そういうふうにあるわけですね。

 ですから、そういう抽象的な、組織をこうしたからライフサイクルコスト抑制ができるんだとかいうことで終わるんではなくて、具体的に、例えば向こう五年で五%削減するとか、実際の数値目標というものを掲げて改革を軌道に乗せていくべきではないかと思いますが、防衛庁の見解を伺いたいと思います。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 装備本部の設置の目的は、先生御指摘がございましたように、装備品が、高機能化とか大型化とか、あるいは取得数の減少によって高価格になって、その中でよりいいものをより安くするということで設置するわけでございます。

 ライフサイクル管理を導入するということが主眼でございますけれども、それだけでは装備品のコストの削減というものは達成できないことは先生御指摘のとおりでございまして、我々、平成十五年から総合取得推進会議を設置して、いろいろな方策を検討してきたところでございます。その中でも、装備品のライフサイクル管理をするほか、補給システムの改善ですとか、あるいは研究開発にも、ライフサイクルコストの抑制を重視した研究開発をするとか、あるいは防衛産業の生産基盤、技術基盤も強固なものにする、そういったもろもろの政策をあわせてやることによって、防衛装備品のコスト削減の実現が図られるということでございます。

 今検討している政策は、装備本部を設置してライフサイクル管理をするというほかに、装備品を集中的にまとめ買いする、あるいは民生品、民生技術を活用する、あるいは、企業の方に生産の効率化努力を促すようなインセンティブ制度、料金設定におけるインセンティブ、その他のインセンティブ、そういったものの政策を検討しているわけでございます。

 そういった政策を総動員してコスト削減を図っておるわけでございますけれども、その場合には、先ほど御指摘のありました、中期防にございますような具体的なコスト削減目標、達成目標を設定して、それに向けて政策を行っていくということで取り組んでまいりたいと考えております。

 それから、ちょっとこの場をかりて一言、先ほど赤城先生に対する答弁で、チェック体制を一段と強化するとあえて申し上げたところが間違っていまして、あえて性悪説の立場に立って一段と強化すると言うべきところを、性善説に立ってと全く正反対のことを言って過ちを犯しましたので、その点をおわびして、訂正いたしたいと思います。

佐藤(茂)委員 それでは、ぜひ達成目標を明確にして取り組んでいただきたいと思います。

 もう一つ、今回、余りこの会でも議論になっていませんが、地方連絡部の地方協力本部への改編につきまして、まとめて一点お聞きをしたいんです。

 今回、今までは自衛隊員の募集業務などを中心としていた地方連絡部が、新たに改編されて、国民保護や災害対策などの分野で地方自治体に対する窓口となる。防衛庁の資料でいうと、ワンストップ行政サービスでやるんだ、そういうことなんですが、そこで一つ大きな懸念は、災害派遣のときの対応ですね。

 これをぜひしっかりと考慮していただきたいなと思うのは、もう既に自衛隊の災害派遣については、阪神・淡路大震災以後、各自治体が非常に意識が高まりまして、従来から積み重ねてきているわけですね。現実には、既に、各自治体の災害担当者と管轄地域の自衛隊、例えば陸自でいえば近くの普通科連隊とか、そういうものとの間にスムーズな連絡調整体制というのは確立しているんです。

 ところが、今回、地方協力本部が自治体と部隊との間に入るということで、確立していたものをもう一回取り壊して、その間に一段ふえる、ワンクッションふえるというか、そういうことになって、かえって意思疎通に支障を来すおそれがあるんじゃないのか、そういうふうに思うんですが、そのことをどう考えておられるのかということが一点。

 もう一つは、やはり災害というのはいつ起こるかわかりません。国民保護も、あってはならないことですけれども、あったときにも、いつそういう事態になるかわからない。そうすると、初動の対応というのが非常に大事になってくるわけですね。そのときに、連絡に時間を要しているとかスムーズにいかぬとか、そういうことで間違っても出動におくれを生じたなんという批判が出てくるようなことだけは避けなければいけない、そういう事態だけは。

 それで、これから、災害派遣としては原則として地方協力本部が窓口、一本化しますよということであるならば、この地方協力本部というのは、当然、国民保護や災害対策については二十四時間態勢をとります、そういうことをやはりしっかりと体制としてとってもらわなければこれは役に立たない。そういう体制をとるおつもりなのかどうかということを二点目にお聞きしたい。

 三点目には、それでもなおかつ緊急の場合には従来どおりの、自治体から部隊へダイレクトに連絡ができる、そういうルートを残す必要があるんじゃないのか。要するに、地方協力本部の担当者がなかなかつかまらぬ、そういうこともあり得ると思うんです。また地方協力本部の場所自体が被災するというようなこともあり得るわけで、そういうときにダイレクトで連絡できるきちっとした体制を残す必要があるんではないのかと思うんです。

 その三点について、まとめて御答弁いただきたいと思います。

西川政府参考人 三点についてお答えを申し上げます。

 結論的に申しまして、先生今御指摘のところで、この地方協力本部をつくって、そこを通さなきゃどこも動けない、そういうことは一切考えておらないということでございます。

 御案内のとおり、都道府県の知事が要請されますが、そのほかのこういう要請先として、地方連絡部、あるいは地方連絡部がなった地方協力本部のみならず、各部隊、今までのところにも御連絡していただいてもいい。要するに、そういう意味では、一つまたそういうポイントがふえた。そのポイントがふえた、そこから、例えば一つ例を挙げますと、山形の方で機雷を除去したい、災害とちょっと違いますが、そういうときに、それは管轄でいいますと舞鶴なんですね、近くというわけじゃございませんが。そういうときも、協力本部へ連絡すれば、すぐにそういう連絡はとってくれる。もちろん近所の、従来コンタクトがあるところでも、近場にお願いすることもできるということもあります。一つつくりましたけれども、そこに行けばどこへでもやってもらえます。

 そういう意味では、一つ総合の窓口、大きなのをあけて、従来のものにさらに利便性を増強させていただいた、こういう感覚で考えていただけばいいんじゃないかと思っております。

佐藤(茂)委員 いや、今のではちょっとわからない。要するに、地方協力本部というのは二十四時間態勢はとらないということですか。定時、夕方になったらお帰りになる、そういう本部として考えておられるのかどうか、ちょっと。

西川政府参考人 当直とかそういうのは残すというようなことになりますけれども、二十四時間のフルで市役所があいているという形ではない。ただ、連絡がとれる体制は、常時開くということを考えております。

 なお、これは新しい制度をつくりましたので、今後とも勤務の仕方等について検討は重ねていくつもりではございますが、とりあえずはそういう格好から始めていこう、こういうふうに考えております。

佐藤(茂)委員 最後、時間となりました。

 冒頭申し上げましたけれども、額賀長官、きょうから訪米されますけれども、ぜひラムズフェルド長官と忌憚のない意見交換をしていただき、向こうも多分苦しいところだと思います。ただ、これは本当に沖縄の負担軽減策の一つの大きな柱にもなることでございますので、ぜひ実りある成果を期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、神風英男君。

神風委員 おはようございます。民主党の神風英男でございます。

 本日、防衛庁設置法の一部改正ということでございまして、質問させていただきたいと思っております。

 きのう、二月の予算委員会に引き続いての質問からということでお話ししていたんですが、時間がなくなるといけませんから、本題の方から入りたいと思っております。後半時間があればそちらの方で予算委員会に引き続いての質問もあわせて行いたいと思っておりますので、ちょっと順番が違いますが、よろしくお願いを申し上げます。

 今回の改正案の中で、これまでも何人かの方がもう既に質疑をされておりますが、装備本部の新設に関連して、多少細かく伺っていきたいなと思うわけであります。

 かつて、九八年のときに、旧調達実施本部を舞台にした防衛庁の背任事件が発生をした。その背任事件の最大の原因とされたのが、旧調達実施本部内における原価計算部門と契約部門の相互牽制が働かなかった、いわゆるチェック体制が機能していなかったという問題があったわけでございます。

 そこで、九八年の十一月に防衛調達改革の基本的方向が決定をされて、その中でも、その改革の目玉とされたのが、まさにこの相互チェック機能を確実にするために、調本を解体して、調本で行われていた原価計算業務と契約業務とをそれぞれ別個の組織に実施させるというものでありました。つまり、原価計算部門と契約部門とを組織的に分離して、原価計算部門は内局に移して、契約は新設の契約本部が受け持つことにしたわけであります。

 これについて、これまでの評価、チェック体制は有効に機能していたという評価であるのか。まず、現在の体制の評価についてお伺いをしたいと思います。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がございました調本事案の反省を踏まえて、防衛庁は、組織的には原価計算と契約機能を分離した、あるいは不正を抑止するための違約金制度を導入した、あるいは外部の防衛調達審議会による調査・審査制度を導入した、そういうことによって不正の未然防止、それから早期発見に努力してきたところでございます。

 こうした相互牽制機能や監視体制を強化することによりまして、その後発生しました企業による過払い事案も、先ほども申し上げましたが、防衛庁みずからの定期調査あるいは外部からの通報に基づきます調査で発見して、かつ、その過大請求の請求額は利子をつけて全額を返還させておりますし、また違約金も課してそれも返還させているということで、チェック機能が有効に働いている、こう評価いたしているところでございます。

神風委員 今のお話ですと、有効に機能していると。ですから、分けたことによって、現状で何か問題があるんでしょうか。あるいは、分けたことによって役所の中で、使い勝手が悪いとか、何らかの不都合が発生しているということがあるんでしょうか。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生も先ほど御指摘ございました、調本事案の後、防衛調達制度の検討委員会で基本的方向というのを出したわけでございます。

 その中で、一つは、そういうチェック機能、監査機能を強化するということで、二つに分離するということが目玉として掲げられておったんですが、それと同時に、その当時も、プロジェクトチームによってプロジェクト管理をする、それによってライフサイクルコストを削減するということが、九〇年代の末期に英米においてもそういうことがある、そういうことも十分検討する必要があると。ここの表現を言えば、「プロジェクトチームの導入の可能性についての検討」ということで、「装備品取得プロセスの有機的連携を図る体制の導入の可能性につき引き続き検討する必要があると思われる。」というくだりがあるんですが。

 それを踏まえて、調本を解体して原計部と契約本部にした後も、防衛庁においては調達制度のあり方を引き続き検討してきております。その過程においては、例えば平成十四年には契約本部の職員二十名をトヨタに研修に行かせるとか、その後、六つのプロジェクトについてプロジェクト管理の試行をするとか、そういういろいろな検討を重ねてきて、勉強してきたわけでございます。それを集大成して、今回、ライフサイクル管理による調達ということを実現するということで、装備本部を設置することにしたわけでございます。

神風委員 今、英米のお話が出たわけでありますが、まさにこの九八年、調達背任事件が起こった後の改革の方向の中でもその例が取り上げられております。米国においては、監査、いわゆる原価計算、日本でいう原価計算が極めて重視されており、契約を締結する部門とは独立して、調達契約に関する原価計算を行う部門、国防契約監査庁が設置された。イギリスにおいても、そういった同様の例がこれにも記載されていて、契約を締結する部門とは独立して、価格の監査、つまり原価計算を行う部門として調達専門業務庁が設置された。それに倣って日本も分けるんだという形でこの報告書の中にも書かれているわけであります。

 今現在、アメリカあるいはイギリスにおいて、この原価計算部門と契約部門を分けていることに対して何らかの問題が発生しているのか、あるいは不都合といったものが発生しているという状況があるんでしょうか。

小島政府参考人 英米において、調達部門と監査部門をそれぞれ持っているということは現状においても変わりはございませんし、別に不都合があるということは聞いておりません。

神風委員 そういうと、やはり何か、今回の法案というのは非常に不思議な感じがするわけですね。装備本部の新設の中で、これまで分けていた契約部門と原価計算部門をあえてまた再統合しようと。

 しかも、今回、施設庁の方でああいった官製談合事件が起こって、先般、談合再発防止に係る抜本的対策の基本的方向についてという報告書が出されて、この中でも「建設工事の発注手続に係る相互牽制機能の強化」というのがうたわれていて、結局、これまで建設部に一緒に入っていた積算と契約を分離するという形で、わざわざ今回の施設庁の改革の報告書の中にもそういう形で、牽制機能を働かせていこうという形で変わっているにもかかわらず、今度、装備本部でそれを再統合しようということであります。これは長官に伺いたいんですが、矛盾を感じませんか。

額賀国務大臣 やはり国民の皆さん方の信頼を得るために一番大事なことは、公務員としてそういう不正を行わないこと。本当は、性善説に立ってお互い信頼し合って、法律もなく何の規約もなくても整然と仕事がなされるのが望ましいけれども、現実的には、防衛庁においても調本事件が起こったり、施設庁事件が起こったりしているわけであります。

 したがって、こういうことが再び起こることがないようにということで、そういう相互牽制、チェック体制を強化してきた。施設庁においても、教訓が生かされなかったということで、そういうチェック体制を強化する。これはいつの時代でもしていかなければならないことであると思っております。

 一方で、装備本部あるいは物の調達の問題については、やはり財政的な問題とか、あるいはまた、いかに必要最小限の経費で最大の効果を上げる、安くいいものをつくる、調達するということもまた国民の一方の要望であり要請でありますから、それにもこたえていかなければならない。それを両方やっていくために今度の装備本部をつくるような形になったというのがそもそもの考え方であるというふうに御理解をいただければありがたいと思います。

 つまり、装備については、研究開発段階から生産、製造、運用、維持、廃棄に至る過程でできるだけコスト削減を図っていこう、あるいは使い勝手がいいようにしていこう、そういうこともあわせて考えていきたいということでこういう組織の新しい体系づくりを行ったということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

神風委員 多少昔の話についても伺いたいわけですが、調本事件が起こって、当時、調本の天皇であるとかあるいは原価計算の神様と呼ばれた上野さんという当時の副本部長さんがいらっしゃった。この方が原価計算の基準作成と契約実務をやっていて、その方に集中してしまったと。この原価計算の基準作成業務をその当時行っていた方というのはほかにいらっしゃらなかったんでしょうか。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の当時の調本副本部長のところに基準作成業務と原価計算実務、実は、基準作成実務はその当該副本部長さんだけが担当でございました。それ以外に、物別に原価計算実務を担当する副本部長、それから契約実務を担当する副本部長というのがおりまして、当該副本部長さんは、基準作成業務と物別の原価計算業務と契約業務、三つの権能を集中して持っていたということでございます。したがって、先ほどの調本事案の後は、原価計算と契約を分けるということで相互牽制を働かせるという仕組みにしたということでございます。

 それから、先ほど私、新しい装備本部の中でも相互牽制機能というのは働かせる仕組みになっていると。それは一つは、原価計算の基準をつくる副本部長と、物別の原価計算実務、契約実務をする副本部長とは分離するということ、それから、監査担当の副本部長はそれとはまた別に置くということで、その三種類の副本部長間での相互牽制がまず働く。それから、それ以外にも、統括調達官を得るとともに、内局での監査、外部監査ということをやるということで、二重三重の相互牽制機能を働かせるということでございます。

神風委員 その当時の体制でも、ほかに四人の副本部長さんがいらっしゃったわけですよね。この四人の副本部長さんというのは、当時のその上野さんのいわゆる専横ぶりというんでしょうか、それに対して何ら対応することができなかったんでしょうか。

小島政府参考人 先ほど申しましたように、それぞれの権限が分離されていたために、相互に干渉ないし牽制するということは結果としてもなかったということでございます。

神風委員 私はこの実務経験というものがないものですから、この職場の実態がよく、いま一つつかみ切れないというか、わからない部分があるんですが、ちょっと類推しますと、原価計算の基準作成業務というのがある意味では一番技術を要するというのかキャリアを要するというのか、そういうポジションであるのかなというような気がするんです。この基準作成をやられる方というのは、どういう方が実際につかれるのかなと。

 これは私の認識が違っていれば訂正していただきたいんですが、例えば防衛関連機器の場合、もうほとんどが特殊機器と言ってもいいぐらいの面があるわけでありまして、そういった特殊な装備品の原価計算あるいはその基準作成というのを防衛庁だけで担えるんだろうか、あるいはメーカーの協力なしに原価計算というのができるのかなというのが非常に疑問であります。

 例えばFSXの開発においても、三菱重工であるとかアメリカのゼネラル・ダイナミックス社であるとか、あるいは川重であるとか富士重工などの協力体制によってつくられていたわけでありまして、そういった場合に、メーカーの協力なしに積算であるとか見積もり、あるいは原価計算というものができるのか、その基準作成をどういった人がやれるのか、ちょっとその点を教えていただけますか。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、原価算定、原価計算をどういうふうにやるかということでございますけれども、いろいろな諸元、諸項目について企業の側からいろいろなデータを出してもらって、それに基づいてそれを査定するという形を原価計算部はやるわけでございますが、そのときに、どういう項目で、どういう割合で出てきたデータをとるか。

 例えば、ある戦車をつくる場合には、直接材料費とか直接経費の部分があるわけですけれども、それに間接部分がかかわってきて、その間接部分を、その戦車をつくるためにどのぐらい貢献しているかということで、どの部分を割り掛けるかとか、そういう基準が必要で、その割り掛けによっては大きくもなり小さくもなるということでございまして、したがいまして、その原価計算のもとになる基準、ルールというのは非常に重要でございます。

 では、どういう人間が原価計算部においてこれを担当しているのかということでございますけれども、現在、原価計算部、百八十人ぐらいの体制でやっておりますけれども、そのうち四十人が基準作成を担当しています。その四十人のうち十名程度が原価計算実務経験二十年以上の者、それから十五、六名が経験十五年以上の者ということで、かなり原価計算の実務に精通して、あるいは企業の実態に精通した人に基準づくりを担当させているところでございます。

神風委員 今回の改正案の中でも、基準作成の副本部長さんだけは別枠で設置をされる形になるわけですが、想像すると、やはり基準作成の方に権限が相当集中するのではないかなという気がするわけであります。これまでは、少なくとも組織として原価計算と契約実務が分かれていたわけでありますけれども、これが装備本部という同じ組織内になるということに対しては、その相互牽制機能に対してそれが働かなくなる、働きづらくなるといったリスクというのは私自身はやはりあるのではないかなという気がするわけです。

 これまでのお話を伺っていますと、逆にそのリスクを負っても、やはり装備品のライフサイクルコスト管理の面からの要請が大きくて、今回それを統合するんだという理解でよろしいんですか。

小島政府参考人 先ほど、原価計算を担当する副本部長、それから物別の原価計算、契約を担当する副本部長、これも四人ぐらいいますけれども、分離するということで、原価計算の基準を担当する副本部長は原価計算実務にはかかわりませんので、基準を恣意的に仮にやったとしても、その基準によって利益を得る者もいないし、原価計算の実務を担当する副本部長が何か違うことをやれない仕組みで、その原価計算のルールに合っているかどうかは原価計算を担当する副本部長が常にチェックする体制になっている。そういう意味で相互牽制が働いていますので、副本部長単位でまず実務と基準が分かれておりますので、そういう相互牽制が働くことによってリスクは非常に少ないんじゃないかと思います。

 加えて、先ほど申しましたように、それを監査する副本部長もいて、さらにその両者をチェックするという相互牽制を働かせるということにしておりますので、そういう意味において、装備本部内においても三つの権能がそれぞれ相互牽制するということで、先生の御指摘になったリスクというのはかなり低くなっているんじゃないか。

 それに加えて、あえて性悪説に立って内局監査それから外部監査を導入するということですので、それによってさらにリスクは軽減されるのではないかと思います。

神風委員 そのリスクを負っても、やはりライフサイクルコストからの要請がそれは強いということですか。今のお話を伺っても、私は、同じ組織になれば、それは情も移るし、いろいろな面で、組織が別枠であったときに比べればそういう相互牽制機能というのはやはり減ずると思うわけですよ。ただ、そのリスクを負ってもやはりライフサイクルコストでの要請が強いという理解でよろしいんですか。

小島政府参考人 リスクは、可能な、最大限減じるという措置を講じるということが前提でございまして、さらに、組織的にそういういろいろなチェック機能を加えるとともに、人事的な配置についてもそういう配慮をして、なれ合いとかそういうことが生じないようにする、それによってさらにリスクを排除するということでございまして、そういうことをした上でコスト削減のためのライフサイクル管理を導入するということでございます。

神風委員 先ほどアメリカの話が出ましたけれども、アメリカでは今でも分かれているわけですね。国防兵たん庁と国防契約監査庁に分かれている。分かれていながら、ライフサイクルコスト管理は先進的になされているわけですよね。それがなぜ日本ではできないのでしょうか。

小島政府参考人 先ほど、アメリカでも原価計算する、あるいはライフサイクル管理をするところと監査部門は分かれていると申しましたけれども、兵たん庁と監査部門が分かれているということじゃなくて、ライフサイクル管理は、主要な装備品についてはそれぞれ陸海空の軍の中でやっておりまして、それから、それ以外の装備品についてはおっしゃる兵たん庁でやっておりまして、それぞれの中に、ライフサイクル管理をする部門と監査をする部門がそれぞれあるということでございます。

神風委員 それにあわせて、ライフサイクルコスト管理ということであれば、むしろ技術研究本部、技本といわゆる原価計算部との統合の方が急がれるはずではないかなと思うわけでありますが、実際には、平成二十一年まで待たないと技本の開発部門が統合されないということになっているわけです。これはどういう状況でそうなっているのでしょうか。

小島政府参考人 先生御指摘のとおり、装備品のライフサイクル管理をするということであれば、開発から調達、それから維持、運用が一体となるということが理想的でございまして、最終的にはそうならないと意味はないわけでございます。

 一方で、今の現状を見ますと、次期固定翼哨戒機ですとか輸送機、あるいは新戦車という大きな開発プロジェクトが進行して試作の最終段階にあるという状況ですので、その段階で組織をいじって人の異動をしたりすることによってこの研究開発プロジェクトに影響を与えるということも問題でございますし、このプロジェクトが順調に進捗するということも非常に大事なことであることから、こういう主要なプロジェクトは運悪く、運悪くといいますか、大きなプロジェクトが皆、試作最終段階に入っているということでございまして、これは二十年度、二十一年度で終了しますので、そのときに開発部門も装備本部に移行するということを計画しております。

 ただ、その間何もしていないということではございませんで、装備本部の方ではいろいろな、プロジェクト管理に必要なマニュアルの整備とか人員の養成とかをやるとともに、もうデータの運用とか維持のデータの収集というのは始めて、三年後に開発部門が来て、それから、先ほど申しました大型プロジェクトの量産設計に入るときには、そういう運用とか修理のデータ、その他のデータ、それからプロジェクト管理のスキルを活用して、新しい装備品の量産に向けてのプロジェクト管理もしていくということを考えているところでございます。

神風委員 今、CX、PXの開発の途中であるからというお話であったわけです。であれば、組織をいじるという問題はあるのかもしれませんが、なおさらライフサイクルコストの管理の面から統合された方がいいのではないかなと。

 逆に、CX、PXの開発に当たっては、このライフサイクルコスト管理のそういった概念というのは取り入れられていないんでしょうか。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 PX、CXの開発に当たってもライフサイクルコストの抑制ということを重視して開発を行うということは、これは数年前から、総合取得改革の中で、技術開発をライフサイクルコストの抑制を重視して行うという方針が出ておりましたので、その方針に沿って技術研究本部の業務計画、あるいはこのプロジェクトの推進の基本方針の中でもその点を考慮して、現在も試作研究をしているところでございます。

 それからさらに、この試作開発が終わった三年後からPX、CXの量産のための設計に入るわけでございまして、そのときに、これまで集められたいろいろなデータをそこに集中するということで、そこでPX、CXについてもまさにプロジェクト管理がスタートするということでございますので、PX、CXが、ライフサイクル管理が行われないということはないと思います。

神風委員 これまでの議論を聞いていても、技本と原価計算部を統合することは非常に私も納得はいくんですが、契約本部というのは別個の組織にしておいた方が本来的にはやはり相互牽制機能というのは働くんだと思うわけです。

 逆に言うと、ライフコスト管理の面から、何で契約本部まで統合しないと管理ができないということになるのか。ちょっとその点、教えていただけますか。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 契約本部という名称が誤解を招いているのかもわかりませんけれども、契約本部でやっていることは、入札を行ったり随意契約をしたりする、そういう契約手続を行う、あるいは契約実務を行うということのほかに、契約管理、工場において契約どおりに適正に行われているか、そういう工場検査とか、あるいは品質管理検査みたいなものを契約本部の支部の職員が工場に入ってやるということをやっております。そういう仕事の一環として、今までは、コスト管理とか生産管理という意識よりも、契約どおりに行われているかという、あるいは品質管理が行われているかという側面だけに集中しておりましたので、もう少しコスト意識あるいは生産効率化というのを持って、検査職員にそういう機能も果たしてもらうということで、契約本部の職員もここに投入するのも必要だということでございます。

神風委員 防衛庁長官、今の点はいかがですか。防衛庁長官の御見解を。

額賀国務大臣 契約本部自体もそういう装備調達の全体的な流れの中にあるわけでありますから、そうすると、全体のライフサイクルコスト削減の一環として、当然、そのノウハウ等々について参画されて関与していくことが大事ではないかというふうに思います。

神風委員 なかなか納得しづらい面もあるんですが。

 ちょっとライフサイクルコスト管理の面で伺いたいんですが、例えば、今、F15の近代化改修というのをやっていますね、一機当たり五十億円かけて。これはライセンス生産ですから、一機当たり今百十億円。その中で一機五十億円かけて近代化改修をやっている。つまり、新しい飛行機の約半分の額をかけてそれをやっているわけですが、仮にいわば装備本部というようなものが現状で機能していた場合、どれぐらいそれがコスト削減できたというような試算があれば、ちょっと教えていただきたいと思います。

小島政府参考人 ただいま、F15の近代化改修についてのプロジェクト管理をしたらどういうコスト削減ができるかという御質問でございましたけれども、残念ながら、そういう試算は行っておりません。

 ただ、一般論として言えば、今の近代化改修の場合は、飛行機本体ではなくて、新しいレーダーですとかコンピューターですとかミサイルの搭載のための改修でございます。そういう意味で、改修事業そのもののプロジェクト管理をする余地というのは余りないかもわかりません。ただ、それにつけるコンピューターですとかレーダーですとか、そういうものを最初から開発するということであれば、一般論で言えば、プロジェクト管理によって相応のコスト改善ができたのではないかとも思われますけれども、いずれにせよ、仮定の議論ですし、ちょっと具体的には、どういうふうな効果があるかということについては確たることは申し上げられないというのが現状でございます。

神風委員 ちょっとF2の問題もあわせて伺いたいんです。

 F2、政治的な話はこの際わきに置いておいて、日米共同開発案の中でF15、16、FA18、これらが一応選定をされて、その中からということに決まってF16という形になったわけですが、なぜこのF16になったのか。

 このF16というのは、あの中でも、エンジンは単発であって小型の制空戦闘機、しかもあれだけ完成度が高い戦闘機であって、そこに改良を加えるというのは、恐らく多くの技術者は無理な話ではないかと思った節があるのではないかなと思うんですが、なぜそれをあえてF16という選択になったのか、ちょっとそれについて教えていただけますか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先生今御指摘いただきました、支援戦闘機F1の後継機としてのF2の開発に関しましては、当時、外国機の導入あるいは開発にするか、そういったこと等々を踏まえさまざまな検討を行いまして、最終的には、F15JあるいはF16を改造開発する二つの案が、取得の確実性とか費用対効果、あるいは日米のインターオペラビリティーの確保等の観点から残ったものでございます。

 さらに、この二つの案につきまして検討しまして、F16の改造開発案が費用対効果の面等の観点から最も適切であるという結論を得まして、昭和六十二年十二月に行われました安全保障会議において最終的に決定されたというふうに承知しております。

神風委員 今のお話では、F15か16という形で選定がされたということでありますが、これは、例えば三菱重工など五社から成るFSX民間合同研究会の調査報告書ではFA18が一番最適であるという判断であったわけですよね。結構、専門家の中でも多くの方が、このFA18の方が改造には適しているという選択であったのではないかなと思います。

 ただ、これに関して、FA18の改造案に対して、防衛庁、とりわけ運用サイドの空幕の方からかなりの反対があったと。聞くところによりますと、当時の空幕長が防衛庁長官にF18だけは避けてほしいと直訴したというようなことが書かれている資料もあったわけであります。

 逆に、装備品の場合、仮に新設をされる装備本部がある意味で的確な判断をされても、こういった上記のような運用サイドからの問題というか、そういった問題というのが起きてくるのではないかなという気がするわけですが、それに対しては、どういう解決というか、どういう方針で臨まれるお考えでいらっしゃいますか。

小島政府参考人 ただいま先生御指摘の、機種選定ですとかどういう装備をするかということは、別途戦略上の観点から検討していく課題でございまして、装備本部は、そういうことにより選定されたもの、あるいは決定されたものに基づいて、どうコスト削減をして具体的に実現していくかという任務を担うわけでございまして、装備本部が直接そういうことにかかわるということはございません。

神風委員 それに対しては、装備本部としては、何ら介入するというか関与する余地はないという理解でよろしいんですか。

小島政府参考人 防衛庁の中でそういう役割分担がされておりますので、装備本部は、そういう決まったものを実施する部隊ということでございます。

神風委員 ちょっと防衛庁長官に伺いたいんですが、このF2、当初の計画段階では開発費として千六百五十億円、最終的にはこれが三千二百七十四億円になってしまった。また、一機当たり当初五十四億円の予定であったものが百二十億円。いわばF15を超える高価な飛行機になってしまった。調達の導入機数も、百三十機の予定が結局は九十八機で調達中止となったわけでありまして、いわば、開発費と購入経費を合わせれば一兆五千億円ぐらいが、無駄とは言いませんけれども、非常に有効には使われなかったということだけは事実であるかなと思いますが、この責任というのはどなたにあると理解すればよろしいんですか。

額賀国務大臣 今神風委員がさまざまの論点を言われているわけでありますけれども、F2の性能については、速度、行動半径、搭載武器等の当庁が設定した要求性能を満足することを各種試験で確認しているということも事実であります。また、部隊での実運用においてもその能力を発揮しており、ふぐあいが多発して性能が悪いということでもないわけでありまして、パイロットからすると、なかなかいい飛行機だと言う人もいるわけであります。

 そのF2の問題で、確かにコストアップしたり予想外の経費がかかったりしたということも事実でありますけれども、性能それ自体はそんなに問題ではないと実際に飛行機に乗っている人たちが言っているということもありますので、これはやはり現場の声を大事にしたいなというふうに思います。

神風委員 今の現場の声、パイロットの声というのは、あくまでもそれは装備をつけないで飛ぶとあの飛行機はいい飛行機だということであって、装備をつけるとあの飛行機は相当に無理がある飛行機であろうというのが大方の専門家の認識でありますから、その点だけは御認識をいただきたいなと思います。

 また、今防衛庁の方で、今のF4ファントムの後継機として次期主力戦闘機の選定を本格化させていこうということで、できればFA22あるいはF35というものが有力視されているということを伺うわけであります。

 これがライフサイクルコスト管理の面で、例えばこのFA22であるとかF35というものを調達あるいは日本が導入することになった場合には、装備本部がいわゆるメーカーであるロッキード・マーチン社と何らかの共同の作業をするようなことがあるんでしょうか。あるいは、調達の場合であればそういったものは何も機能しないんだということなのか。逆に、仮定の話ですけれども、これが例えば日米の共同開発ということであれば、この装備本部とメーカーであるロッキード・マーチン社が共同作業をしていくというような図式になるのか。ちょっとその点を教えていただけますか。

小島政府参考人 お答え申し上げます。

 今のF4の後継機がどういう形になるかまだわかりませんので確たることを申し上げられませんけれども、共同開発の場合であっても輸入の場合であっても、装備本部、それぞれかかわり方は違いますけれども、輸入ですと例えば開発段階に装備本部がかかわるということはあり得ないわけですけれども、いろいろなかかわり方があると思いますので、それは今後、装備本部としてライフサイクル管理あるいはプロジェクト管理の立場から、自主開発の場合、共同開発の場合、輸入の場合、あるいは改良開発の場合とか、そういったことについてこれから研究していきたいと思います。

神風委員 先ほど佐藤議員からもコスト削減目標を設定するべきだというようなお話がありましたが、仮に装備本部が新設をされてそういったコスト管理ができた場合、逆に想定としてどれぐらいの全体としてコスト削減ができるだろうという予測なのか、その点を教えていただきたいと思います。

小島政府参考人 コスト削減の目標を立ててこれからやるということでございますけれども、プロジェクト管理によってどれだけ実現できるかというのはまだ、我々、未経験なので今すぐに申し上げるということはできませんし、コスト削減効果も、長いライフサイクルの中でどういうふうに出ていくかということで、徐々に出てくるものだと思います。

 ただ、参考になるものとして、アメリカで九〇年代の末からそういうプロジェクト管理を始めて、幾つか効果が出始めているものの報告がありますけれども、例えばジョイント・ストライク・ファイターの戦闘機については、開発段階で運用維持コストの低減を図った設計を実施して、それによって耐久性向上とか部品交換の容易化ということをしたことにより、ライフサイクルコストが二二%ぐらい削減できたという例もございます。

 そういったものも参考にしながら、我々、これからスタートするわけでございますけれども、ライフサイクルでのコスト削減、コスト抑制がどのようにできるか、それからプロジェクト管理でどうできるか、あるいは民生品活用、民生技術の導入とか、その他の政策も総動員して、どういうことができるかというのをこれから研究したいと考えております。

神風委員 わかりました。

 次に、今回の改正によって、米軍施設・区域に係る事務のうち、防衛及び警備の見地から特に重要な事項についての企画立案事務は防衛庁内部部局の所掌事務になるとされるわけですが、この特に重要な事項というのは、具体的にその内容は何なのか、またどういう範囲なのか、ちょっとそれについてお答えをいただきたいと思います。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の特に重要な事項でございますけれども、法的に言えば、米軍の施設・区域に係る事項で我が国の防衛政策の見地から極めて重要な事項という抽象的なものになりますが、具体的にイメージしておりますものを御紹介すれば、例えばSACO、また兵力構成見直し、トランスフォーメーションに関しましていえば、具体的な配置案の作成であるとか自衛隊施設との共同使用、そして施設・区域の提供等についての企画立案というものがあろうと思います。また、重要な新規装備品というようなものが配備されるということに際しましては、その実現可能性、そして適地の選定等の事務というものがここに言われる特に重要な事項に当たると考えております。

神風委員 昨年九月二日に、海上自衛隊の岩国基地で、解析隊新庁舎が建設費約六億円をかけて完成して本格稼働をした。ただ、この解析隊は特殊任務を担う飛行隊であり、新庁舎には同飛行隊が収集したデータ分析を行う装置も設置されている。ところが、そのわずか二カ月後の十月二十九日、いわば日米安全保障委員会で米軍再編中間報告が取りまとめられて、同解析隊の厚木基地への移駐が決定した。つまり、この完成したばかりの解析隊新庁舎というのはこれからどうする予定なんですか。

北原政府参考人 海上自衛隊の施設等につきまして、先生御指摘のように、今回の2プラス2の共同文書の中では岩国におります海上自衛隊の飛行機十七機が厚木へ行くようになっておりますが、私どもといたしましては、国民の貴重なお金を使いまして建てた施設等につきましてはその有効活用を図ってまいりたい、そのように考えているところでございます。もちろん、どうした形で具体的に使えるかどうか等につきましては、また検討していきたいと思っております。

神風委員 こういった事態になったのは、防衛庁と施設庁との関係の問題であるのか、あるいは防衛庁と米軍との連携のミスなのか、その点はいかがですか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今の先生御指摘の点について、ちょっと事実関係を調べまして先生にお答えしたいと思います。済みません、今の段階でどういう事実関係なのか承知しておりませんので。

神風委員 今回、中央即応集団がつくられて、司令部が朝霞の駐屯地に置かれる。私の選挙区でもあるんですが、そちらに約二百人の司令部付隊ができるということでありますけれども、米軍の再編中間報告では、この中央即応集団をいわばキャンプ座間に設置するとされている。朝霞駐屯地で発足しながらも、実際にはキャンプ座間へこれから移転をする予定になっているわけであります。にもかかわらず、今度の予算でも、朝霞の駐屯地に七億五千万円をかけて新しい司令部の新庁舎ができるということになっているわけでありまして、キャンプ座間に移転した後、その新庁舎はどうされるつもりなんでしょうか。

大古政府参考人 確かに、中央即応集団につきましては将来的には座間に移転することとしておりますけれども、この部隊の編成をしようという観点から法律をお認めいただいてことしに発足した場合には、新庁舎を朝霞に建てる予定でございます。

 座間に移るのは、既存の建物が米軍等ありますので、それを壊して新しい建物をつくってから座間に行くということになるかと思いますが、朝霞の新しくできた庁舎については、その後、東部方面隊で有効に活用していきたいというふうに考えているところでございます。

神風委員 余りそういう税金の使い方はしてほしくないな、やはりきちんと目的と使い道が合致するような形でこれは使っていただきたいなと思いますが、長官いかがですか、今の件について。

額賀国務大臣 これは神風委員御指摘のとおりでありまして、まさにそういう意味では、米軍基地も含めまして、基地を担当している施設庁、それから日米同盟関係の共同体制とか運用を考えたり、あるいは防衛政策全体を考えるところの連携をさらに密にしていかなければならないということがそれによってもうかがえるのではないかと思っておりますから、委員の御指摘のようなことがないように、整然と秩序立ってできるように、防衛庁の政策体系が有機的に機能するようにしたいというふうに思います。

神風委員 ぜひそうしていただきたいんですが、同時に、防衛庁として〇七年度中に施設庁を解体して防衛庁本庁に吸収する方針を既に固めているということであるわけでありまして、施設庁解体ということになれば、そもそも論で言えば、この防衛庁設置法の一部改正案についても、なぜ今ここで議論しなければならないんだという問題もあるかと思いますが、その点は長官としていかがですか。

額賀国務大臣 最初の、施設庁と防衛政策との言ってみれば統合は今言ったような考え方で、新しい事態にどう対応していくか、基地政策をどうしていくか、そういったことを関連した形で今度の組織再編を行うものであります。

 一方で、施設庁の解体というものは、ああいう不祥事が起こったことに伴って、きちっと、二度と不祥事を起こさないという形を、施設庁の地方の施設局の仕事と、不祥事を起こさない組織の再編、それから防衛庁全体の中で統合性を持っていく、そういうことを将来考えていく、十九年度の予算編成の中で考えていきたいということで、施設庁の解体と防衛庁の統合というものを考えた次第でございます。

神風委員 最後に長官に伺いたいんですが、例の二月の予算委員会の施設庁の官製談合事件をめぐる集中審議においても、長官は、防衛庁の省昇格について、昇格は検討しなければいけないが、その前に再発防止策を立てて、国民の信頼を得ることが第一だと述べられていて、防衛省設置法案の今国会提出は困難という認識を示されていたわけです。私も、これが今の段階では一つの御見識だと思うわけで、高く評価するところでございますけれども、それが三月二十四日には、できるならば今国会に提出をしたいという発言に変化をしている。この推移というか、この変化についてお答えいただきたいのと、もう一点、新聞報道によりますと、二階経済産業大臣が、議員立法で防衛省昇格を目指せという形で署名活動を進められているというような報道もございまして、長官としては、これは越権行為ではないかと思うわけでありますが、その点、不快感を二階大臣の方に示されたのかどうか、ちょっとその点を最後にお伺いしたいと思います。

額賀国務大臣 恐らく、防衛省昇格の問題については、ああいう不祥事が起こったときは、まず国民の信頼を回復することが最も大事なことである、再発防止策をつくるために全力を注ぎたい。今の段階では、省昇格について非常に言うことが適切なときではないという意味で申し上げたのを、新聞が困難であるという見出しをつけただけでございまして、真意は、きちっとそういう不祥事の再発防止をつくり上げ、国民の信頼を得た上で省昇格をするのは、これは長年の我々の目標であり、防衛庁の、あるいは自衛隊の任務、仕事というものは日増しに拡大をしております。そういう中で、やはり外国並みにきちっとしておくことが国際的な認識をしていただくためにも必要なのではないかと思っておりまして、できるならば、民主党の賛同も得て今国会でしっかりとやらせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 また、二階グループの話については間接的に聞いておりますけれども、二階グループの国会の先生方がさまざまな活動をするのは、政治家としての見識に基づいた行動であると思っております。

神風委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたのでこれで質問を終わりますが、会計検査院の方には、お越しいただいたのに、ちょっと時間がなくなりまして、申しわけありませんでした。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案に入る前に、米軍再編の協議の現状について聞いていきます。

 築城、新田原の基地については、昨年十月の日米合意で、嘉手納、三沢、岩国からの米軍戦闘機の移転訓練が盛り込まれただけでなく、普天間基地が持つ緊急事態の基地機能の移転も盛り込まれております。ここで言う緊急時とはどういう場合を指すのでしょうか。

大古政府参考人 一般的に、日本有事とか周辺事態というような事態を考えておるところでございます。

赤嶺委員 そうすると、基本的にということですが、それ以外の場合もあるんでしょうか。

大古政府参考人 それ以外の事態は今念頭にあるわけではございません。

赤嶺委員 緊急時という認定なんですが、それに当たるかどうか、これはだれが判断するんですか。日本ですか、アメリカですか。

大古政府参考人 いわゆる安保条約上の五条事態については、日本については防衛庁という制度が法的にございます。それから、アメリカとの関係では、事態の様相について協議して調整するということになるかと思います。あと、周辺事態については、これは法律上規定がございますので、その事態を日本政府として認定するということになるかと思います。

赤嶺委員 地元自治体への説明ペーパーを皆さん配付していらっしゃいますけれども、緊急時の使用に備えた訓練、これも行うということになっているんですね。これはどれだけの規模で、どういう訓練を行うんですか。

大古政府参考人 具体的な訓練の計画につきましては、細部について今後アメリカが計画をつくるということになりますが、現在の日米間の話し合いの中では、日米合同委員会合意における、共同使用の年間の総使用日数、それから訓練一回当たりの使用期間の制限の範囲内で行う。それから、実際の訓練の態様については、航空自衛隊の基地でございますので、これと同じ態様で実施されるということで話し合っているところでございます。

赤嶺委員 米軍による単独訓練の形で実施される可能性があると地元自治体へのペーパーの中に書いてありますが、これは、戦闘機による訓練だけなのか、あるいはヘリや空中給油機、輸送機、これらの訓練も含むんですか。

大古政府参考人 基本的にこの問題につきましては、現在普天間飛行場が果たしている機能について、代替施設でできないので、新田原とか築城で行うこととしております。具体的な訓練の形態についてまでまだ日米間で話し合っているわけではございませんが、そういう意味では、比較的長い滑走路を使用する飛行機の訓練が行われるということで考えているところでございます。

赤嶺委員 ですから、普天間で行われている訓練を行うんでしょう。

大古政府参考人 今の普天間につきましては、戦闘機も飛来することがある、それから比較的大きな輸送機も飛来することがあると承知をしておりまして、そういうふうな飛行機についての緊急時の訓練ということになるかと思います。

赤嶺委員 飛来してタッチ・アンド・ゴー訓練もやっていますので、その認識は持っていただきたいと思います。

 日米合意でこういう書きぶりがあります。「緊急時の使用を支援するため、これらの基地の運用施設が整備される。」こうありますけれども、これはどういう施設をつくるんでしょうか。

大古政府参考人 例えば駐機場とか整備格納庫、それから米軍人のパイロット用の宿泊施設というようなものが考えられると思っておりますけれども、まだ日米間で基地ごとに具体的にどういう施設を整備するかという話し合いは行っておりません。

赤嶺委員 そうすると、長官、グアム移設で一兆円規模をどうするかという話し合いを今行っていらっしゃる。普天間代替施設も当然負担が出ていく。普天間飛行場の緊急使用時の問題での施設の整備、それから共同訓練での施設の整備、これも新たに加わってくるという認識でいいんですか。

額賀国務大臣 もちろん、この再編に関連をいたしましてそれぞれの、例えば普天間がキャンプ・シュワブに、一部ヘリポートが移転すればその経費がかかる、あるいはまた、今おっしゃるように緊急時の滑走路を新田原等にお願いしていくことになるわけでありますけれども、それに伴う施設に伴う経費も伴う、そういうことが必要になってくるものと思っております。

赤嶺委員 そうすると、グアム移転の費用負担、普天間、緊急使用時の新田原、築城その他の基地の整備となると、総額で大体どのぐらいの規模だと長官は考えていらっしゃいますか。

額賀国務大臣 今まさに米国との間で協議をしておりまして、方向性は固まりつつありますけれども、海兵隊のグアム移転の経費等については、真っ最中でありまして、これはまだ日本と米国の間で距離もありますし、そういうことを考えると、現段階できっちりと根拠ある数字の上に立って概算が出てくる段階ではないということであります。

赤嶺委員 大筋皆さんが合意された緊急時の使用、これにかかわる費用というのはどのぐらいかかるというぐあいに見込んでおられますか。

額賀国務大臣 これもまた、今まさに、最終合意に至っていないわけでございますから、日米間で協議をしている、どの程度の施設が要るのか、そういうことも詳細に決まっているわけではない、規模がはっきりしているわけではないということでございますので、現段階でお答えできる状況にはないということを御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 駐機場をつくったり米軍のための新たな宿舎をつくったり、場合によっては、新田原などについては基地を拡張しなければいけない、その土地代とか、莫大になっていくんじゃないかということを懸念しております。

 私は、加えて、緊急時の使用といったときに、緊急時の態様にもよるわけですが、そうなりますと、アメリカ本国から大量の戦闘機が日本に飛来してくる、部隊がやってくるということは当然想定されるわけですね。これを支える機能ということになりますと、一体どれだけの兵員、航空機などの展開を想定しているのか。そして、これに見合う施設の建設を行うということなんでしょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 緊急時に米軍の飛行機がどの程度来るかという御質問ですけれども、その点については、事態によって異なりますので、それから、事の性格上、この場では答弁は差し控えたいと思います。

赤嶺委員 この場で答弁を控える問題じゃないですよ。これからどれだけ日本国民の財政負担がこの米軍再編にかかわってやってくるかという問題ですからね。すべてそういう形で明らかにしないというのは、本当に私、けしからぬと思いますよ。

 ただ、普天間基地に緊急時の基地機能があるとおっしゃいました。現在の普天間基地の基地機能、どれだけの規模の緊急事態の基地機能というのがあるんですか。

大古政府参考人 普天間基地につきましては、海兵隊のヘリポートでございますけれども、滑走路が二千八百メートルあって、米側の運用構想上として、状況により戦闘機も飛来することがあるということで聞いておりますけれども、緊急時にどの程度使用するかということについてまで確認しているわけではございません。

赤嶺委員 本当にはっきりしないんですが。

 ただ、やはり緊急事態の基地機能ということになりますと、前線への補給それから中継拠点として、いわゆるあらゆる軍種、陸海空海兵隊ですね、あらゆる軍種の部隊が使用することは当然考えられると思うんですが、この点、いかがですか。

大古政府参考人 先ほど申し上げましたように、現在の普天間飛行場の米軍の緊急時の運用構想の詳細を承知しているわけではございません。

 ただ、現在、緊急時の使用ということで新田原と築城について話しておりますのは、普天間の基地の機能を、訓練時も含めて新田原、築城を使用するということで考えているところでございます。

赤嶺委員 緊急時の機能という普天間の機能を新田原、築城に移す。新田原、築城にはあわせて嘉手納のF15も移ってくる、訓練移転でやってくる。いわばこの二つの基地というのは、普天間の機能と嘉手納の機能が九州に移ってくるという問題ですね。

 この中身、明らかにされないけれども、今の議論を通じて、費用の負担も日本側が行う、そしてどれだけの規模の戦闘機が飛来するか今は言えないの一点張りですが、嘉手納と普天間を見れば極めて深刻な事態を招きかねない、それによって普天間や嘉手納の負担の軽減にもつながらない、こういう事態が起こるというのを指摘しておきたいと思います。

 それでは、法案の中の中央即応集団について聞いていきます。

 きのうの審議の中では、国内の運用について説明がありました。海外で活動する場合はどうなるのか。海外での活動については、今後、中央即応集団がその計画、訓練、指揮のすべてについて一元的に行うと聞いているわけですが、そういうことになるんですか。また、各師団との関係はどうなるんですか。

大古政府参考人 中央即応集団につきましては、御説明しているとおり、自衛隊の国際平和活動の教育機能を持つこととしております。

 それから、陸上自衛隊が国際平和協力活動を海外で行う場合につきましては、一定の要員がこの中央即応集団から行くことはあり得ると思っております。また、中央即応集団の幹部が、国際平和協力活動するに当たって、隊長なりその隊の幹部になることはあり得ると思っております。ただ、中央即応集団がそのまま海外で国際平和協力活動をするということは想定されないところでございます。

赤嶺委員 私、今、指揮系統の問題を聞いたわけですが、去年の九月の朝雲新聞によりますと、司令部のもとに置かれる部隊は、司令官の指揮のもとで一元的に運用されることになり、ゲリラや特殊部隊の攻撃など、事態の態様によって必要なだけピックアップ、各地に迅速に戦力を提供するという、陸自にはこれまでにない全く新しい部隊運用の形態となる、このようにありますけれども、こういう運用が行われることになるわけですね。

大古政府参考人 中央即応集団につきましては、そのときの様相に応じて、日本が侵攻されたような場合に、現地に緊急に展開し、その特別の能力を発揮するということで考えているところでございます。

 ただ、その指揮につきましては、現地の部隊が活動していてそれを支援するような場合は、普通は、中央即応集団の隷下部隊が、その現地で活動している方面総監なり師団長の隷下に入る、その指揮下で活動するということになるかと思われます。

 他方、中央即応集団全体がその特別の能力を生かして、ある一定の地域なりをまとまって担当するような場合には、中央即応集団司令官が隷下部隊を指揮するというようなこともあるかと思っております。

赤嶺委員 中央即応集団とキャンプ座間につくられる新たな米軍司令部との関係についても聞きたいのですが、米軍と自衛隊の司令部同士が同じ基地内に置かれている。これはなぜですか。また、そういう体制になったのは、日米どちらの側からの要望になっていますか。いかがですか。

大古政府参考人 中央即応集団は、今後、座間に配置して、在日米陸軍との連携を深めたいと考えておるところでございます。これにつきましては日米間で合意がなされていますが、いろいろ調整の上、日米間で合意に至ったものでございます。

 それから、どういう協力をするのかということでございますが、例えば日本有事でございますれば、陸上自衛隊と米陸軍とが共同して対処していくことがございますので、そのためには普段から連携を高めることが非常に有効であるという考えに基づいているところでございます。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

赤嶺委員 ふだんから米軍と自衛隊が連携を高めることによって、今国内のことを申されておりましたが、海外で共同して対処する必要が出てきた場合には、それぞれどういう役割を果たすのかという任務の分担をしておくことになるんですか。

大古政府参考人 日米で、米軍と自衛隊が海外で協力する場合というのは、基本的に、災害の場合に緊急対応するとかいうような場合で考えておるところでございます。ですから、中央即応集団として陸上自衛隊全体のそういう任務を持っているというわけではございませんので、あくまでも、ここで言う連携につきましては、日ごろから、例えば米軍にもすぐれたノウハウとかがありますので、そういうのを吸収するとか、そういう意味での連携として考えているところでございます。

赤嶺委員 今、米軍の側のすぐれたノウハウとおっしゃっております。

 政府が相模原市の質問に出した回答で、「平素からの在日米陸軍司令部との交流を通じて中央即応集団司令部が得た米軍・米陸軍の運用等に関する知見を、自衛隊の運用などに活用することが考えられる」、このようにあります。米軍の運用などに関する知見、これはどういうものか。

 それから、第一軍団はイラク戦争にも参加しているわけですが、例えばイラクで行っているような、市街地での戦闘をどのように行うのか、こういう知見はアメリカ軍は非常にすぐれていると思いますけれども、そういうものも含まれるんですか。

大古政府参考人 陸上自衛隊の任務として必要な能力について米側の知見がある場合は、それを吸収することも重要であるということで言っておるところでございます。具体的にはテロ対処能力、これについては米軍も長い経験がございますので、そういうところは、陸上自衛隊としてもその知見を吸収することが大事であると思っております。ただ、他方、こちらから知見を提供する場合もございますので、一方的に教えてもらうという関係だというわけではないと思っています。

 また、先ほどから連携という言葉を使っておりますけれども、情報交換とか研究会の交流だとか、いろいろ形は考えられようかと思っております。

赤嶺委員 いろいろな形で連携を密にして、そして知見を学ぶ、これは、今、日米間には、いわばガイドラインに基づいて日本有事の際の日米共同作戦計画、それから周辺事態の際の相互協力計画がつくられているわけですが、ここでの交換された知見、座間においてですね、そういう知見や情報を密にしたら、相互協力計画やあるいは日米共同作戦計画、これらの計画にも反映されていくことになるんでしょうか。

大古政府参考人 御指摘のところは、結果的に反映ということはあり得ないわけではもちろんないと思っておりますけれども、これは、そういう共同作戦計画の検討なり、それを直接しようということで今回座間に中央即応集団司令部を配置するということではありません。

赤嶺委員 長官は戻ってこられますか。

岩屋委員長代理 ちょっとトイレで。ごめんなさい。

赤嶺委員 長官質問ですから、ちょっとだけ猶予をいただけませんか。

岩屋委員長代理 そうですか。ほかの質問はございませんか。長官ですか。

赤嶺委員 もう長官だけの質問なんです、申しわけないですが。

岩屋委員長代理 ああそうですか。では、長官にちょっと急いでもらって。

赤嶺委員 いやいや、急がなくていいです。

岩屋委員長代理 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

岩屋委員長代理 では、速記を起こしてください。

 赤嶺君。

赤嶺委員 私、今、座間のことについていろいろ伺ってきたんですが、一九七一年に横浜防衛施設局が当時の座間町と結んだ覚書では、「キャンプ座間の基地縮小について最大限の努力をする」というぐあいにあるわけですね。座間に、新たに米軍の改編された司令部も自衛隊の司令部も持ってくるというのが、何で基地の縮小について最大限の努力をするということになるんでしょうか。

額賀国務大臣 それぞれ、日本全体の立場で申し上げますと、今度の米軍再編におきまして、防衛能力を維持しながら、抑止力を維持しながら基地の縮小を図ることを目標にしてやっているということでございまして、若干負担がふえるところもありますけれども、全体的に見ると縮小されているというふうに認識をしております。したがって、座間におきましても、神奈川県全体から見れば縮小されているのではないかというふうに私は思っております。

赤嶺委員 座間町と皆さんが結んだ協定の中に縮小という文言が入って、二つの司令部が結果として置かれる、これがなぜ縮小かという疑問は消えません。

 それで、最後の質問ですが、鹿屋のKC130。これの移駐先、ローテーションで鹿屋などで訓練をする、実際の訓練はローテーション的に考えるとなっています。岩国と鹿屋の関係、そして鹿屋には訓練に伴う施設はつくらないということなのかどうか。この点、いかがですか。

額賀国務大臣 鹿屋においてどういうふうに訓練をしていくかまだ詳細は決まっておりませんが、鹿屋も含めて、グアムも含めてローテーション的に訓練をしていく、その場合に、必要な施設等々があればつくっていかなければならないというふうに思います。

赤嶺委員 岩国も住民投票の結果が出ているわけですが、その住民投票の結果に逆行するような新たな配置を決めていく、さらに鹿屋でも訓練を行う、途方もない訓練拡大を全国に広げるもの、こういう米軍再編は直ちに見直すべきだ、こういう国内の強い意見も訪米活動の中で伝えていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。

岩屋委員長代理 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党・市民連合の辻元清美です。

 きょうは、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の具体的中身について一、二お聞きしまして、この全体像、一体どういうことが目的で、今、特に日米の連携強化という発言がこの委員会でも多々出てきましたけれども、そうしますと、アメリカの米軍再編も含めて、一体どの方向に向かっている中でのこの法案の改正かということをお聞きしたいと思います。

 まず、具体的なことでもう一度確認したいんですけれども、今回の改正の中身の一つに、施設行政に係る内部部局の企画立案機能の強化、十条関係ですね。それからもう一つ、先ほどからも議論されております中央即応集団、これは十条及び十二条の三関係だと思うんですけれども、これらの改正の一つの大きな目的が米軍との連携強化という認識でよろしいんでしょうか。

額賀国務大臣 これは全体的に申しますと、まず、施設庁と防衛庁との、きちっとした有機的な政策官庁としての展開をしていくということがあります。

 それは、施設庁が米軍基地及び自衛隊基地に伴う周辺住民との調整、地域の発展のことを考える、一方で、防衛庁としては防衛全体、安全保障全体の関係を考えなければならないこと、その防衛政策との絡みをどういうふうにしていくかということ、日米同盟の言ってみれば運用とか連携をどういうふうにつくっていくか、機能的にしていくか、そういうことの絡みでもって組織の再編が行われているというふうに考えていただいて結構であります。

 しかし、これは目的は、日本の国民と国家の安全と地域の安全保障体系を、きちっと基盤づくりをしていくということであります。

辻元委員 今、日本の安全保障のことをおっしゃったわけなんですけれども、果たして、今の米軍再編及びアメリカの世界戦略の中で、それだけで済むのかどうかという大局的なところもしっかり議論しなければならないと思います。

 長官はアメリカを訪問されるということなんですけれども、私は以前からちょっとお聞きしたいことがありまして、アメリカがブッシュ・ドクトリンを出しましたね。ここのところ、やはりアメリカの軍事戦略というのは大きく変わってきていると思うんです。ですから、今、日米のことで御答弁もいただきましたけれども、このアメリカの軍事戦略、どういう方向に変わっているというように長官はお考えでしょうか。

額賀国務大臣 一つは、例のテロ事件を契機にいたしまして、従来型の脅威に対応する形から、やはり、敵が不確定、見えない敵に対していかに対応していくか、テロ対策だとか、あるいは大量破壊兵器にどう対応していくか、みずからの国を守ると同時に、地域の同盟国あるいは地域の安定、そういったことを念頭に置きながら戦略が練られていくものと思います。

 その根底には、我々と共有している自由主義とか民主主義とか、そういう普遍的なもの、民主主義国家群をつくっていくことによって世界の安定を考える、人類の幸福を考える、やはりそういったものが底流にあるものと思っております。

辻元委員 今、不確定、見えないという御発言がありました。

 私が懸念するところは、やはり世界じゅう戦場になってしまう可能性があるということについて非常に懸念しているわけですね。

 その中で、特にアメリカの軍事戦略の中で、先制攻撃を辞さずという姿勢を明確に打ち出したこと。特に、ことしに入ってからのアメリカの軍事戦略の中でも、イラク戦争の、大量破壊兵器が見つからなかったということがございましたので、不確定要素がある場合も先制攻撃を認めるのかというところが焦点になっていたと思うんですが、不確定要素があっても先制攻撃を認めるという方針です。

 これについて、私は、大きな懸念と、この方針はおかしいと思っておるんですけれども、長官、率直に、この方針、いかがでしょうか、日本として認めるんでしょうか。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

額賀国務大臣 アメリカの場合も、そういう先制的な考え方というものは、この前のQDR等々にもあるいは戦略構想にも入っておりますけれども、それがいわゆる国家侵略のための正当化されるものではないということ、その前に平和的に外交的な手段をもって国際的な安定を考えるのは当然であるということ、あるいはまた国際的な法的な枠組み、国際協調、そういうことを尊重しなければならないということもあわせて言っているわけでございますから、それを一つだけピックアップして取り上げるのはアメリカについての健全な理解にはならないのではないかというふうに思っております。

辻元委員 なぜ申し上げるかといいますと、やはりその点について私たちは深く考えなければいけないのではないかと思っているからなんです。

 イラク戦争の行方を見ましても、非常に混迷を深めております。このイラク戦争に対するいわゆるアメリカの攻撃というものをどう総括していくのか。私は、そこは日本も、日本政府及び私たち独自に、これは一体どういうことだったのかということの検証が必要だと思うんです。ああいう形でこれからも世界じゅうに、テロの脅威かもしれない、または関連があるのかもしれないということで武力行使をしていく、軍事攻撃をかけるということについては、私は賛成しかねる立場ですけれども、日本政府はイラク戦争について当時支持及びサポートするということでしたけれども、しかし、この点についてはかなり深刻に検証し直す必要があると思うんです。

 そういう中で、アメリカがまだ先制攻撃のことを言っております。ここはやはり突出していますよ、アメリカの政策としては。ですから申し上げているんですね。

 イラク戦争については、いかがですか、私は深刻に総括した方がいいと思いますが。どうでしょう。

額賀国務大臣 これはもう何度も議論されておりますけれども、イラクは当時、独裁国家として、さまざまな大量破壊兵器を使って、自国の国民を虐殺したりした経緯がある、あるいはまた侵略戦争を行った経緯もある。そういう中で、十二年間にわたって国連の決議を無視して我が物顔で国家運営を図っていた。そして、そういう中で、我々は、国連の決議に基づいて、こういう独裁国家あるいは大量破壊兵器の拡散、そういったものが世界じゅうに広まっていくことを恐れて、多国籍軍の戦争に対して同調をしたわけでございます。それは、テロの温床として世界の不安定な要因をつくり出していくことをやはり我々は恐れたわけでございます。

 戦争の後に、今、さまざまなイラクの民主主義国家を目指す動き、政治プロセスが行われているわけでございますけれども、我が国は、やはりイラクの国家においてイラク人の手で民主化されていく作業を少しでもお手伝いしようということで、自衛隊を派遣させていただいているわけでございます。イラクがきちっと国家としてみずからの手で成り立っていくことが我々の理想とすることでありますから、そういう環境づくりのために国際社会の一員としてそれなりの汗をかかせていただきたいというのが我々のスタンスと思っていただきたいと思います。

辻元委員 今の御答弁の中にもあらわれているんですけれども、私はもっと深刻な事態だと思うんです。これからアメリカがどういう軍事戦略をとっていくのか、そして私たちはどうつき合っていくのかというところをきちっと考え直す時期ではないかというふうに私は思っております。

 今、長官の御発言の中に、恐れてという言葉が二、三回出てまいりました。そういうことなんです、恐れて攻撃するという。これは、やはり過去の戦争の歴史の中で、私たちは何回も過ちも繰り返してきたわけです。

 今、同時代に生きる者として、私たちがどういう方向に進んでいくべきなのか。例えば、テロの拡散とおっしゃいましたけれども、イラク戦争の結果、テロは私はふえていると思います。拡散していっているわけです。

 ですから、今、政府としてのかなり一つの定型の御答弁をいただきましたけれども、私は、日本の安全保障を考える上でも、このイラク戦争及びアメリカの世界戦略をどう見るのかということをしっかり考えるべきだと思うんです。なぜかといいますと、同床異夢じゃないかと思うんです。

 先ほど長官は、日本の安全保障というようなことを中心に御答弁を最初にされました。しかし、アメリカは世界じゅうに、いわゆる自由主義という発言もございましたけれども、ある意味先制攻撃も辞さずという姿勢で臨もうとしています。これは世界に大きく戦場を広げたという考え方もできると思うんですね。そういう中で、日本とアメリカの関係をどうすべきか。日本は、いや、うちの安全保障やと言って、アメリカは世界戦略。

 そういう中で、やはり、自衛隊との人事、情報、作戦、兵たん、調整の一体化を進めていくということがどういう方向に行くのかという懸念を持っております。

 例えば、陸海空といいますけれども、陸の話は、先ほど座間の話が出てきました。アメリカの陸軍第一軍団司令部、そして中央即応集団が行く、かつ空の方でも、共同統合運用調整所と、横田に自衛隊とアメリカの空軍、そして海の方は、横須賀、第七艦隊ということで、私は、統合を進めていく方向というものは、アメリカの世界戦略の中に日本がどんどん組み込まれていくというのでいいのかというように思っているわけです。ですから懸念を申し上げているわけです。この話は最後にもちょっとお聞きしたいので。

 その中で、先日私が質問いたしました普天間の代替施設の問題についても一、二お聞きしたいんです。沖縄というのはその中核を担う可能性がありますので。

 一つは、どういうものが普天間から代替施設に、まだ決まっておりませんけれども、行こうとしているのか、具体的にお答えいただきたいんです。ヘリの訓練とかというのは抽象的なんですよ。ヘリコプターが何機、そして固定翼機、先日は御答弁で三機ということでしたが、何がどれだけ行こうとしているのか。これは地元の住民の皆さんも、一体どうなるんだろうというふうに不安をお持ちですので、ここではっきり事実を確認しておきたいと思います。いかがですか。

額賀国務大臣 お答えいたします。

 今の普天間はキャンプ・シュワブに移転することになるわけでありますが、現在の普天間にある状況というものを説明させていただきますと、海兵隊のヘリ約六十機、固定翼連絡機三機及び空中給油機十二機が配備されている。機種については、ヘリがCH46E二十六機、CH53E十四機、AH1W十三機、UH1N八機、固定翼連絡機、人員輸送機ですが、C12二機、UC35一機、空中給油機、いわゆるKC130十二機と承知をしているわけでございます。

 この中で、普天間飛行場代替施設に配備される航空機について、現時点で申し上げられることは、KC130以外の航空機が代替施設に移転するものというふうに思います。

辻元委員 そうすると、それが移転するのみと考えてよろしいですか。

額賀国務大臣 今まさに協議中でありまして、これから具体的なことを策定していくわけでありますけれども、現時点ではそうなります。

辻元委員 それからもう一点、前回私がどうも納得いかなかった桟橋問題なんです。

 結局、桟橋というのは、軍港と申し上げましたが、これは要するに米軍の施設の範囲内の港ということで軍港と申し上げたわけですが、普天間の代替施設というのであれば、普天間に港はないんです、普天間に。ないと思います。そうすると、なぜ港をつくるのか、普天間の代替と言っているわけですから。

 どういうことかといいますと、例えば、沖縄のどこかに新しい米軍の港をつくりますと言うたら問題になります、新しい基地の増設じゃないかと。これは、ヘリポートの移設とその横に港をつくるというセットになっているから隠れていますけれども、軍が使用する新たな港をつくる、港の機能をつくるということと同じ意味で、普天間飛行場には、飛行場はあるけれども、港はありませんよね。いかがですか。

額賀国務大臣 大体、データ収集と物知りの辻元先生にも私の方から教えさせていただきたいと思いますが、現在の普天間飛行場に燃料を供給している港があります。桟橋があります。これは、金武湾の天願というところで油をもらって、パイプで普天間に供給をしております。

辻元委員 それは普天間飛行場と一体化していませんよね。いかがですか。

額賀国務大臣 これは普天間の燃料供給の桟橋であります。

辻元委員 ちょっと御説明に無理があると思うんですね。

 そうすると、燃料を別に、キャンプ・シュワブもございますので、運べばいいんじゃないですか。どうですか。

 要するに、基地の負担というのは、どれだけの面積、どういう機能を持つものを新しくつくるのかというところなんですね。普天間飛行場ですよ、飛行場の移転。桟橋という言葉、これは桟橋と書くと何かよくあるはしけみたいに思いますけれども、私、ピースボートという活動で世界じゅうの港へ結構行っておるんですね。これは港機能と同じなんですよ。

 ということは、私は、この間から申し上げていますように、普天間のヘリポートの移設と言っていますけれども、実は、やはり飛行場と港は新しく新設になると思いますよ。これは新設じゃないと言うことはちょっと無理があると思うのですが、新設じゃないですか。

額賀国務大臣 これは普天間飛行場代替施設の建設部分であります。それの燃料供給用の桟橋をつくるということであります。

辻元委員 私はそれはまだ納得できません。

 そうしますと、これは、燃料補給用とずっとおっしゃっている、それ以外の機能は持たないということですか。どれぐらいの長さの、何トンまでの船が入れる桟橋ですか。

大古政府参考人 桟橋の具体的な規模等については、まだ日米間で調整中でございまして、決定されておりません。

 ただ、先ほど大臣から御指摘のあった天願桟橋ですと、二万トンの船が横づけできる桟橋であるというふうに承知しております。

辻元委員 二万トンの船が出入りできる桟橋というたらかなりの大きさですよ、港としての機能としては。一万トンの港でもかなり大きいわけです。例えば、昔、石垣島などは一万トンの船はつけられませんでしたので。二万トンというのはすごい規模の大きな港をつくるということです。これは引き続きまた、まだ納得できないので、お聞きします。

 結局、私は最初に申し上げました、アメリカの世界的な軍事戦略をどう見るのかと。そこはかなり深刻に、したたかに見ていただかないと、将来とんでもない方向に日本が連れていかれかねない。そして普天間の機能についても、ヘリポートの代替施設であるという説明だけじゃなくて、軍港は二万トン級の船が入るものをつくる可能性があるわけですから、そういうことをきちんと御説明なさるべきだと思います。そこをあいまいにしたまま、いや、ヘリポートの訓練だけ移設するんだということであれば、後で米軍がそこを、港と飛行場を一体化した大きな基地として沖縄の中心的な施設にしていったとき、私はやはり、住民にうそをついたというか、住民の側から見たらだまされたと思います。

 ですから、この点は引き続き私の方からもまた調べて質問していきたいと思いますが、きょうはこれで終わります。

浜田委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 最後の質問ですので、ぜひお願いします。

 長官がこの再編で大きな役割を果たしていただいて、この再編の結果は間違いなく沖縄の基地の整理縮小につながると思いますので、ぜひ頑張って、再編で成果を上げていただきたいと思います。

 しかし、今、協議の最中でありますけれども、私からすると、これからもお願いをしたい部分があるし、この部分はもっと直しておけばよかったなという部分もあるので、そのことをお話しさせていただきたいと思います。

 ちょっと資料一を見ていただきたいと思います。

 もう一回原点を見てほしい。これが今の普天間の状況ですよね、長官。この両方のルートは、どこから入るにしても住民の上を飛んでくる。これが一番危険だと言われるのが、普天間の一番の要素ですね。

 それで、二ページ目にありますけれども、タッチ・アンド・ゴーというのは、向こうでは固定翼はやっていないと僕は思いますね。ヘリコプターのタッチ・アンド・ゴーをここではやっている。だから、この前の委員会でも、タッチ・アンド・ゴー、タッチ・アンド・ゴーという話がありましたけれども、ヘリコプターのタッチ・アンド・ゴーをしているけれども、固定翼のタッチ・アンド・ゴーは向こうでなかなかやっていないというようなことなんです。

 だから、これが一番危険だから、これをどうにかしようという、この原点をもう一回しっかり考えると、私たちは早く結論を出さなければいけないということになってきます。だから、どうしてもこの問題を解決することが大事だという認識を深く持っていただきたいと思うんです。

 その中で、大臣、十年間、この普天間の問題は解決しませんでしたね。このことは非常に大きいという反省を、やはり政治家として、大臣だけじゃなくて私も持たなければいけないと思っておりますから、そのままにしていたというのは非常に大きな問題があると思うんです。

 それと、資料三を見ていただきたいんですけれども、この資料三で、冒頭全部言うと、いろいろな振興策があるんですよ。今までに、一九九七年から二〇〇五年までに基地と関係する予算、きょうは内閣府の方々も来ていますけれども、内閣府の予算とは別に、こういうような予算を全部やると、この八年間で大体三千八百億ぐらいのお金が投下されているんですね。これはすごいお金だと思いますよ、予算的には。

 この三千八百億の予算が投下されているんですけれども、その他の予算が来ても、資料四を見ていただきたいんですけれども、沖縄の失業率は変わりませんね。沖縄県の公債残高はもう六千億まで超えましたね。名護市の公債残高も悪いですね。法人税も落ちてきました。そして地方消費税も思ったように伸びないというようなことになってくると、これは、出した割には成果が出ていないというようなことなんです。

 そして、きのうの新聞を見ると、また同じように二見北部の人たちが、一軒当たり一億五千万お金を出せとか、毎年二百万要求をするとか、年間で六十億出しなさいとかと言っていますけれども、沖縄側からこういう要求をやってきても絶対のんじゃいけませんよ。こういうふうなことをやると沖縄がよくならないんですよ。

 それで、もっと自分でできる方法を、今までのやり方もだめだ、これからも同じようなやり方をしたらだめなので、沖縄を育てるという思いがあるんだったら、ダイナミックな見直しをして、しっかりとした経済振興をやる。それが沖縄を思う人のやり方だ。箱物をつくって、どんどん捨てるというやり方じゃないんだということをまずしっかりと御認識いただきたい。

 まずは塩崎副大臣から行って、そして木村副大臣に行って、最後、トリは防衛庁長官というふうに、質問通告していませんけれども、よろしくお願いします。短目にお願いしますよ。

塩崎副大臣 ODAも同じでありますけれども、やはりそこの方々がみずからの足で立ってみずからが頑張るというのが基本であって、それをどうサポートするのかということが一番大事だろうと思いますので、今の下地先生の御指摘に私も賛成をいたしたいと思います。

木村副長官 下地委員の今の御提言、私も大変共感するところがあります。

 失業率のお話もされました。実は、私の地元は沖縄県に次いで失業率が高い地域でありまして、これまでの姿がいいのかどうかはやはりしっかり検証する必要があると思います。

額賀国務大臣 やはりこれから沖縄が真に自立経済圏を確立していくためにはどうしたらいいかということを、一番行動力のある下地委員からアドバイスを受けながら、しっかりとした対策を立てていきたいというふうに思います。

下地委員 もう二千八百ヘクタール規模の土地が返還されてきますから、第二の沖縄の勝負どころになりますので、ぜひサポートをお願いしたい。

 それともう一つですけれども、大臣、二本滑走路をつくりましたけれども、(資料を示す)私はこの案がよかったんじゃないかと思うんですよね。百メートル海の方におろして角度を十八度変えると、全く松田の上空も豊原の上空も飛ばない。カヌチャのリゾートとか安部の地域といいますけれども、もう大臣おわかりのように、オスプレーというのは、離発着は、もう大体八割は離発着地点です。離陸をするときだけ、荷物を積んでいたり燃料が重いときだけ飛んで、おりるときは、八割近くはもうそのままヘリコプターみたいにおりるというから、僕は、安部の上空をそんなに飛ばないと思うんですよね。そしてカヌチャの上もそんなに行かないと思うんですよ。だから、私からすると、この方がよかったと。

 だけれども、もう大臣はお決めになって腹を据えていますから、今から違うとかイエスとか言いませんけれども、ただ、こういう案の方が、経済的にも効果があって、非常におもしろい。

 何でもかんでも、特に、ちょっと間違った人は、地元合意をしなきゃいけないと言うんですね。アメリカのローレスさんが地元合意と言うんですけれども、沖縄で米軍基地をつくるのに地元合意なんてとれるわけないですよ。余計なおせっかいだと言いたいな、アメリカに。みんなこれは安保のためだから我慢してやっているのであって、何を考えているんだとあの新聞記事を見て思うんですね。

 だから、大臣も、さっきの経済の政策と同じように、地元合意に縛られてはいけない。そしてアメリカの言葉にも縛られてはいけない。

 最終的に、このパンフレット、大臣たちが五万部つくって配ったパンフレットがあるじゃないですか、六千部しか配っていなくて、あとの四万部はもうどこに行ったかわかりませんけれども、これはなかなか説得力がありましたよ。僕は見て、防衛庁にしてはなかなかやるなというふうに思いましたよ。

 だから、僕は、もっと自信を持っておやりになれば、二本の滑走路じゃなくて、こういうやり方でも一つの理解は深まったんじゃないか。私から言わせると、二本の滑走路の支持よりも、一本の滑走路でこれをやられた方が沖縄県民の支持は得られたんじゃないかなというふうに僕は思っていますから、ぜひそのところも考えていただきたい。この辺だけ、一分でちょっとお願いします。

額賀国務大臣 下地委員がもし自民党員であったらアドバイスをもっと早く聞くことができたんじゃなかったかなと思っております。

 いずれにいたしましても、さまざまなアドバイス、本当に地に足のついた御意見だと思っておりますので、参考にさせていただきたいというふうに思います。

下地委員 やはり現実を見ましょうね。ちょっと人気がないんですよね、この二本の滑走路。人気がないけれどもそのままおやりになるということよりも、よく大臣がパッケージという言葉をおっしゃいますから、その人気がないのはパッケージで薄める必要があると思うんですね。

 僕は、何で薄めるかというと、二つあると思うんです。一つは地位協定ですよ。今、沖縄の人で、基地問題で何を一番感じますかといったら、地位協定と言う。しかし、改定というとそんなにすぐは、簡単に改定はできないと僕らもよくわかっていますから、沖縄の人に、一歩でも二歩でも三歩でも、ちょっと地位協定に関して進んでいるなという雰囲気を今度の再編の中で感じさせることは、大臣、私は物すごく大事なことだと思っています。今、局長級で話をしている地位協定を、外務大臣と防衛庁長官とアメリカの大使とこっちの司令官と年に二、三回でもお話し合いをして、地位協定に関して前向きに検討するという機関を公設でやるということを今度の再編成にやると、今、少し二本の滑走路で人気がないところも、ぐっと人気が出てくるかもしれないなと。

 私は少し言っておりますけれども、これは本当に非常に大事なので、そのことについて、大臣のお考えと塩崎副大臣のお考えをちょっとお願いします。

額賀国務大臣 下地委員にお答えをさせていただきます。

 V字形の滑走路というのは、やはり名護市民それから周辺の関係町村の皆さん方が、住居の上空を飛ばないでほしい、これが地元の皆さん方の切実な声である、そういう声を反映させるためにはどうしたらいいのかということで、こういう考え方について、V字形の滑走路で合意を得させていただきました。下地委員が言うような、カヌチャの左側、安部の向かって左側を飛ぶ考え方も、私も考えたのは考えた。だけれども、地元の皆さん方はなかなか理解をしてくれなかった。そういういろいろな経緯があります。

 そこで、地元の皆さん方が最も要請をしていた、上空を飛ばない、周辺の安全を考えるということ、それから藻場をつぶさないということ、そして、先ほど下地委員が言ったように、十年間何も手をつけられなかったことは我々にとって責任を果たせないことでありますから、今度こそはきちっとつくらなければならないということ、この三つを前提にして考えさせていただいたということでございます。

 それから、地位協定については、今度の再編をめぐって関係知事それから市町村を歩いたときに、いずれもそういうことを強く要請されております。

 だから、地元のそういう負担の問題について、米軍に対してどういうふうに反映をさせていくのか、あるいはまた努力目標、お互い日米関係でそれを守らせていくためにはどうしたらいいのか、そういうことについて知恵を絞らせていただきたいというふうに思います。

塩崎副大臣 今額賀長官からもお話ございましたが、これまで地位協定の問題については、下地先生からの熱い思いをいつも聞いておりました。

 今回の御質問の中で、フレームワークを変えたらどうだ、レベルアップせい、こういう話でありますが、明らかに、不断の見直しをしていくことは間違いない、その必要性があることは間違いないと思っております。

 ともあれ、今、日米合同委員会というのがあって、そこで局長級でやっているわけでありますから、とりあえずそこで、今回の問題を含めて、再編を含めてどこまで考えられるのかということを議論し続けていく中で、どういうものが次にあり得るのかということを考えていくのかなというふうに思っております。

下地委員 最後になりますけれども、大臣、民家の上を飛ばない飛行場なんて世の中一個もありません。石垣空港も民家の上、宮古空港も民家の上、那覇空港も民家の上、嘉手納の上空も民家の上、普天間も民家の上、全部民家の上です。民家の上をゼロにして飛行場をつくるなんて不可能な話なんです。不可能なものには不可能だとはっきり言わないと僕はだめだと思いますよ。そこはしっかりとやらなければだめだと思いますね。

 それと、最後になりますけれども、一個だけ。

 今、演習が大体百回以上フィリピンに行くんですけれども、今度の再編に大型の訓練はフィリピンでやるというのを書くと、これはまた非常に沖縄の負担軽減になるんですね。これを何とか書かせてもらいたいんですね。アメリカとも会いました。アメリカもオーケーと言っております。またフィリピンの国防長官も、日米でこういう話があれば、回数がふえることは私たち、やぶさかじゃないというコメントも出ていますから、この地位協定の問題と、フィリピンで火器演習をふやす、大型の火器演習をやる、この二つを日米協議で再編の中に書くと物すごく沖縄の負担軽減の成果が出ますから、このことをぜひやっていただきたい。

 最後にお二人のコメントをいただいて、終わります。

額賀国務大臣 今の下地委員の御提言をよく吟味させていただきたいと思います。

塩崎副大臣 この委員会で、三月十六日に麻生大臣からも、一考に値する考え方だという、フィリピンへ演習をより多く持っていくということについて、そういうお話がございました。

 一義的には米軍が決めることでございますから、今回の協議の中で、米軍が、アメリカサイドがそういうことであればそうなることでありましょうが。我々が云々する話ではないのかなと思っておりますけれども、お考えは前々からよく聞いておりますし、一考に値するという大臣の言葉も重く受けとめたいと思います。

下地委員 提案してください。

 ありがとうございました。

浜田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛庁設置法等一部改正案に反対の討論を行います。

 本法案は、アメリカの世界的な米軍再編方針に沿って、自衛隊の本格的な海外派兵部隊への転換と日米軍事同盟の再編強化の一環として、防衛庁・自衛隊の組織改編を進めるものであります。

 中央即応集団は、海外活動の本来任務化を打ち出した新防衛大綱、中期防に基づき、陸上自衛隊の特殊部隊や機動展開部隊を束ねて新編する海外派兵の中核部隊であります。海外派兵の計画、訓練、指揮のすべてを一元的に担い、いかなる事態にも三十日以内に展開できる体制をつくろうとするものであります。

 重大なのは、日米両政府が、同司令部を新たな米陸軍戦闘作戦司令部が置かれるキャンプ座間に設置しようとしていることです。米軍と自衛隊が一体となった海外殴り込みの司令塔づくりなど、断じて許されません。

 次に、防衛庁の中央・地方組織の改編です。

 従来防衛施設庁が一元的に担ってきた米軍基地の企画立案事務のうち、重要事項については防衛庁本庁の内部部局が所掌するとしていますが、これは、米軍基地のあり方をめぐる本庁と施設庁との足並みの乱れが指摘されてきたもとで、対米交渉を担う内部部局に権限を集中、一元化し、米軍再編協議を初めとする日米間の戦略協議をトップダウン方式で強力に進める体制をつくるものであります。

 また、全国五十カ所で自衛官の募集を担ってきた地方連絡部を地方協力本部に改編し、渉外、広報を所掌事務に加えるとしています。地方自治体が進める国民保護計画づくりや訓練を後押しし、地域から防衛庁・自衛隊の方針、施策を国民に周知徹底することによって、米軍の戦争に国民を動員する体制づくりを進めるものであり、断じて容認できません。

 以上、討論を終わります。

浜田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党・市民連合を代表して、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。

 本法案が米軍のトランスフォーメーションに対応するものであり、アメリカが世界じゅうを背景にした新しい軍事戦略を展開する中で、自衛隊の役割を拡大し、米軍と自衛隊の一層の一体化が本法案によって実現するものであると考えられます。

 施設行政に係る内部部局の企画立案機能の強化とは、米軍と自衛隊の連携が深まることに対応し、米軍の施設・区域に係る重要な事項の企画立案事務を防衛施設庁から本庁内局に移管し、米軍施設行政を自衛隊と一体的な運用につなげようとするものです。

 そして、中央即応集団の新編とは、新しい戦闘司令部、UEXに改編してキャンプ座間に移転してくる米陸軍第一軍団司令部と一体的に運用するための部隊をつくることであると考えられます。

 なお、装備本部の新設については、八年前に防衛調達に関する背任事件、不祥事が続出したことを受けて組織的に分離された原価計算部門と契約部門の再統合です。これは、八年前の教訓がどのように生かされたのか、もう一度統合する意味がわかりません。

 地方連絡部の地方協力本部への改編は、これまで主に自衛隊員の募集を行っていた地方連絡部を強化し、自衛隊の総合的窓口として機能させようとするもので、地方自治体に自衛隊の論理を持ち込み、いわゆる有事体制を全国化するものだと考えられます。

 アメリカの軍事予算は今四千億ドルと言われ、世界じゅうの国々の軍事予算の総計は八千億ドル余りで、その半分がアメリカです。どんどんそのように軍事的に力を伸ばしていっているアメリカ軍と一体になっていくという方向に拍車をかける法案だと思いますので、そこを強く訴え、本法案に反対をいたします。

 以上です。

浜田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、岩屋毅君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺漏なきを期すべきである。

 一 防衛施設庁入札談合事件については、防衛庁が原因を究明し、その結果を早急に公表するとともに、そのことを踏まえ、契約事務等に関しては、業務の適正化に努めること。

 二 装備本部による調達については、透明性を確保するとともに、監査機能の強化徹底に努めること。

 三 陸上自衛隊中央即応集団の運用については、その機動性、迅速性が十分確保されるよう努めること。

 四 国際活動教育隊に対しては、国際平和協力活動の重要性に鑑み、我が国が同活動に主体的・積極的に取り組むための礎を築くべく支援を図ること。

 五 施設行政に係る内部部局の企画立案機能の強化に当たっては、防衛政策と施設行政が密接に連携した体制の確立を図ること。

 六 米軍施設・区域に係る事務の執行に当たっては、地元との意見調整や環境への配慮など、周辺地域との調和を図るとともに、広く国民の理解が得られるよう最大限の努力を払うこと。

 七 地方協力本部は、国民保護・災害対策の重要性に鑑み、地方公共団体等との協力関係を深めるための活動に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

浜田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浜田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。額賀防衛庁長官。

額賀国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、努力してまいります。よろしくお願いします。(拍手)

    ―――――――――――――

浜田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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