衆議院

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第8号 平成18年5月30日(火曜日)

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平成十八年五月三十日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 寺田  稔君 理事 仲村 正治君

   理事 吉川 貴盛君 理事 神風 英男君

   理事 長島 昭久君 理事 佐藤 茂樹君

      あかま二郎君    安次富 修君

      石破  茂君    小里 泰弘君

      大塚  拓君    瓦   力君

      北村 誠吾君    高木  毅君

      谷川 弥一君    福田 良彦君

      宮路 和明君    山内 康一君

      山崎  拓君    内山  晃君

      細野 豪志君    前田 雄吉君

      渡辺  周君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     仲村 正治君

五月三十日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     あかま二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     山内 康一君

同日

 理事河井克行君四月二十六日委員辞任につき、その補欠として仲村正治君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月二十四日

 米軍と自衛隊の一体化及び自衛隊の役割強化反対に関する請願(川内博史君紹介)(第二二三〇号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二二三一号)

 同(重野安正君紹介)(第二二三二号)

 同(辻元清美君紹介)(第二二三三号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二二三四号)

 同(保坂展人君紹介)(第二二三五号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第二二六四号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第二二六五号)

同月二十九日 

 米軍と自衛隊の一体化及び自衛隊の役割強化反対に関する請願(金田誠一君紹介)(第二三九六号)

 同(日森文尋君紹介)(第二三九七号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第二三九八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(在日米軍再編問題)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に仲村正治君を指名いたします。

     ――――◇―――――

浜田委員長 国の安全保障に関する件、特に在日米軍再編問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君及び外務省北米局長河相周夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。

仲村委員 私は、五月一日の2プラス2で決定した米軍再編の中で、沖縄の嘉手納以南の基地の返還を二〇〇七年三月までに詳細な返還計画を作成すると言っている点についてただしたいと思う。

 それは、キャンプ桑江と普天間飛行場、そして牧港補給基地と那覇軍港、この四基地の全面返還と、そのほかにキャンプ瑞慶覧の部分返還及び陸軍貯油施設の返還をするとなっている。その面積はおよそ千五百ヘクタールということだから、これが実際に返還されれば、沖縄の基地は現在全国の米軍基地の七五%ですが、大体七三%程度に軽減されると思う。これは大いに歓迎される話だ。

 ただしかし、これは、来年三月までに具体的な返還計画を決めるということだから、まだはっきりした返還時期が言える段階ではないにしても、おおよそ何年後ということがわからないと、戦後六十年間米軍に土地を略奪的に奪い取られた地主の立場からすれば、本当に返してくれるだろうかという不信感を持っております。特に、基地にとられた土地は、表土は削り取られ、コンクリートとアスファルトで敷きならされた土地が返ってきたとしても、いつ使えるようになるか、こういう不安の気持ちは、そうか、返してくれるかといううれしさよりも、むしろ不信感が強いのではないかと思うのであります。

 そこで、真っ先に聞きたいことは、今回の発表と来年三月の詳細な返還決定が大きく変わることもあるのか、はっきり答えてほしいと思います。

額賀国務大臣 今の委員御指摘のとおり、日米の合意書のロードマップの中には、二〇〇七年三月までに統合のための詳細な計画をつくるということになっているわけでございます。我々は、例えばキャンプ桑江、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇港湾施設、そして陸軍貯油施設第一桑江タンク・ファームの五施設については全面返還を求めていきたい、キャンプ瑞慶覧については部分的な返還という形で交渉を始めようとしているわけでございます。

 この地域においての整理、縮小、統合というものをまずつくっていかなければなりません。その上で移転計画等々を考えていく。そういう計画を二〇〇七年三月までにつくることによって今おっしゃるような土地の返還の具体的な計画が立てられるということでございますので、これは日米の間で約束をしたことでございますから、我々もそれに沿って全面的な、全精力を注いで計画づくりに邁進したいというふうに思っております。

仲村委員 四地区の全面返還、そして二地区の部分返還、これは返してくれるなら本当にありがたいです。ただ、今大臣がおっしゃったように、そのような方向で政府としても米側に強く約束を守ってもらうようにしていくということでありますので、ぜひこれははっきり、返すなら返すで決めていただきたいと思います。

 二点目は、その返還地の跡地利用の件ですが、現在、日米地位協定では、米軍は返還地のいわゆる原状回復の責任がないので、米軍は占領後六十年余りも使いたい放題に使って、返すときはまさに使い捨ての状態で返すというのが今までの返還のあり方でございました。

 今まで、返還軍用地は、その跡地を再開発するのに平均して十三年、場所によっては二十年もかかってようやく使えるようになっているのであります。それは、コンクリートやアスファルトで敷きならされた返還地を公図、公簿に合わせて所有者の土地の位置や面積を確認し、そして米軍によるPCB汚染や六価クロム汚染やあるいは油濁汚染等々の土壌汚染を除去したり、不発弾などの危険物撤去のための磁気探査をした後に区画整理に着手するため、実際に地主が使用できるようになるまでには、返還されてから今まで平均して十三年かかっている状態であります。那覇市の新都心地区は、三回に分けて細切れ返還されたためになかなか事業に着手できず、二十年もかかってようやく地主に返ってきたようなものであります。

 したがって、今回の米軍再編で返還決定された軍用地の原状回復はすべて政府の責任で実施すべきであります。さらに、戦後六十年、米軍の占領による土地接収という国策の犠牲になってきた地主に対して、返還された土地が地主によって使用できるようになるまでは、当然、政府は今までの借地料相当額の補償金を支払うべきだと思います。その点について御答弁を願います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいまの仲村先生御指摘の点、この問題につきまして大変重要と考えております。

 そして、本日閣議決定した閣議決定の中にも、この返還跡地の利用の促進について全力で取り組むといった趣旨のことが書かれておりまして、私どもといたしましては、現行の法律、あるいは関係の省庁とともに、そして政府を挙げてこの問題に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

仲村委員 今の軍転法では、返還されてから三年、こういうことでありますけれども、今回のこの大型返還となりますと、今お話ししましたように、実際に地主が使用収益を得るまでの期間に二十年もかかる。こういう期間、もう返したからいいじゃないかということで放置されたらこれは大変です。だから、今施設庁長官が答弁したように、責任を持って、本当に地主が使用収益が得られるまでは国が責任を持って支払いをすべきである、こういうふうに考えております。

 三点目に、今回の全面返還と発表された中で、那覇軍港は既に代替施設の建設場所が五年前に決まり、毎年のようにSACO関連予算で那覇軍港代替施設の調査費としての予算が説明されております。その進捗状態を、全く何をしているのかなと思う状態であります。今回、那覇軍港の全面返還、こういうふうに言っておりますけれども、代替施設がいつまでにできるのか、ぜひ説明を願いたいと思います。

 それから次に、キャンプ・キンザーの全面返還だけれども、あれだけ広大な倉庫があります。果たして代替施設なしで全面返還するなんて全く考えられない話だと私は思いますが、代替施設なしで全面返還と考えてよいか、あるいは、代替施設を条件というならば、それはどこに移設するということなのか、はっきり答えていただきたい。

 次に、キャンプ桑江も全面返還と言っているが、そこにある海軍病院の移設予定地の宜野湾市長は反対をしています。果たしてキャンプ桑江の全面返還はいつのことか、こういうふうに思わざるを得ないのであります。

 今言った、那覇軍港の全面返還あるいは牧港補給基地の全面返還、キャンプ桑江の全面返還、来年三月までにはっきり決まったとしても、何年後のことかわからない。この三カ所について日米の協議の中でその方針を決めたわけだから、わからないでは済まされないと思います。この三地区の全面返還の可能性について政府の見解を聞きたいと思います。

北原政府参考人 仲村先生御指摘の点でございますが、まず、那覇港湾施設並びに牧港の補給処、それからキャンプ桑江、御指摘をいただきました。

 これは、先ほど申しましたが、二〇〇七年三月までに統合のための詳細な計画をつくることにまずなっているわけでございます。

 それから、あわせて承認された2プラス2のロードマップには次のようなくだりがございます。それは、「返還対象となる施設に所在する機能及び能力で、沖縄に残る部隊が必要とするすべてのものは、沖縄の中で移設される。これらの移設は、対象施設の返還前に実施される。」このように記述されておりまして、先生御指摘をいただきました返還対象のそれぞれの施設につきましては、まだ具体的に、どのような規模になるのか、そして、それを求める場合、どの機能をどこへといったことは定まっていないわけでございまして、統合のための詳細な計画を二〇〇七年三月までに作成するということを日米間で約束しておりますので、これはきちっと作成をしてまいりたい。

 それからもう一つ、キャンプ桑江の関係で、海軍病院のお話がございました。

 現在、私ども、SACOに基づきまして移転を進めているところでございまして、今設計をやっているところでございます。先生御指摘のように、宜野湾の市長さんが反対といいますか、そういった意向を御表明になっておりますけれども、私どもといたしましては、この事業の必要性、重要性等を十分御説明しながら、また、御理解を得るべく最善を尽くしてまいりたい、そのように考えているところであります。

仲村委員 私がこの三点についてあえて質問をしておりますのは、那覇軍港の移設予定地は浦添地先に決めたんですよね、五年前に。毎年SACO関連の調査費がついている。何にもしないで、全く進捗しているあれが見えない。だから、今回全面返還と言ったって、一体いつ代替施設をつくって返還されるのかわからない。そして、キャンプ・キンザー、これも米軍がいる間は倉庫は必要です、兵たん基地は。だから、これを全面返還と言っているけれども、本当に代替施設なしで返すのか、こういうことを聞いたわけでありますが、これからどこに移すのかという協議をする、その場合には、キャンプ・キンザーは全面返還、こういうことになるわけだな。

 そして、海軍病院の件については、伊波市長が今後オーケーしてくれるかどうか、これによって全面返還できるかできぬかは決まるわけであります。ぜひ、その点はしっかり、今回2プラス2で決定したことが実現できるようにやっていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。

 次に、基地返還によって職を失う基地従業員の処遇の問題であります。

 現在、沖縄の駐留軍基地の従業員はおよそ九千人だと言われております。その中で、今回全面返還される基地で働いている従業員はおよそ四千三百人ぐらいいる、こういうふうに言われておりますので、結局、全面返還すると、四千三百人が職を失うことになる。この基地従業員の処遇についてどのような考え方を持っているか、はっきり答えていただきたいと思います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生御指摘のように、今ロードマップで対象になっております六カ所の施設・区域には、先生御指摘の約四千人の従業員の方がいらっしゃいます。それで、トータルとして、そのほか、今回の再編でグアム移転等々ございます。沖縄には、これも先生御指摘のとおり、約九千名の従業員の方がいらっしゃいます。そして、その雇用の問題というのも大変重要な問題でございますので、これも恐縮でございますが、本日の閣議決定の中に次のように明示をしております。「駐留軍従業員の雇用の安定確保等について、引き続き、全力で取り組むものとする。」ということでございますので、政府としてこの問題に真剣に取り組んでまいりたい、そのように考えているところであります。

仲村委員 次に、普天間基地の代替施設として決めたキャンプ・シュワブ沿岸部のV字形滑走路は、私としては決して賛成できるものではありませんが、地元名護市長と宜野座村長との間で、陸地上空は飛ばさないという条件で合意したということであれば、それはそれとして、基地を押しつけられた地元の苦渋の決断は尊重しなければならないと私は思っております。

 ただしかし、今回、最終報告で、キャンプ・シュワブ沿岸のV字形滑走路を千八百メーターにすると決めたことに大きな疑念を感じます。それは何かというと、第一に、名護市長との約束は千五百メーターだと言っているし、次に、千八百メーターにするということは、現在、普天間基地で行っているタッチ・アンド・ゴーの訓練ができるようにすることだとしか思えない。もしタッチ・アンド・ゴーの訓練をさせるようなことになれば、いや応なしに陸地上空を飛んで、名護市長と宜野座村長との陸地上空を飛ばさないという約束に違反することになる。

 次に、ヘリの場周経路も、政府から示された図を見ると、海上上空だけしか飛ばさないと言っている。それは陸地上空での旋回飛行はさせないということである。今私が言ったタッチ・アンド・ゴーの訓練と、ヘリは場周経路を外れて陸地上空での旋回飛行はさせないということを確認しておきたい。はっきり答弁をしていただきたいと思うのであります。これが場周経路であります。(地図を示す)これは海の上だけしか飛ばないようになっているんです。それが果たして約束どおりできるのか、はっきり答えていただきたい。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、代替施設におきます固定翼連絡機等のタッチ・アンド・ゴー訓練が行われるか否かにつきましては、現時点におきまして、米側から具体的なニーズがあるとは聞いておりません。

 いずれにいたしましても、今の場周経路、周回経路含めてでございますけれども、あるいは計器飛行で入る場合でも同じでございますけれども、このV字案を政府として策定いたしましたのは、名護市あるいは宜野座村から、その上空を飛ばないでくれといった中から見出されてきたものでございますので、政府といたしましては、その点を最も重要視いたしましてアメリカ側と調整をしてまいりたいと思っています。

 それから、五月一日の2プラス2で承認されたロードマップの中にも、その普天間のところに関連しまして、これも恐縮でございますが、次のような記述がございます。「この施設は、合意された運用上の能力を確保するとともに、安全性、騒音及び環境への影響という問題に対処するものである。」これが日米間の合意文書でございまして、この文書は私どもの大臣の四月七日の名護市長さんあるいは宜野座村長さんの基本合意書につながる、そのように考えているものでございます。

仲村委員 2プラス2で決定された千八百メーター、今までは千五百メーターとしか思っていなかったのが千八百メーターとなると、これはやはりタッチ・アンド・ゴーをさせるんだなということが一つ。そして、その場周経路についてこういうふうに決めてあるわけですよ。これをはっきり守っていただかないと、もし旋回飛行を許すなら、皆さんが名護市長と宜野座村長と約束した陸地上空は飛ばさないという約束は守れないわけです。だから、タッチ・アンド・ゴーはさせない、そして陸地上空の旋回飛行はさせないということをはっきりもう一度答えてください。

北原政府参考人 タッチ・アンド・ゴーにつきましては、先ほど申しましたとおり、現在、現時点におきまして、アメリカ側から具体的なニーズがあるとは聞いておりません。

 それから、今私が説明してまいりましたこの政府案、V字案、それからこの飛行ルート等につきましては、これまでも米側から理解を得ているところでございますので、先生御指摘のこれを守っていただくということは極めて重要でございます。政府といたしましても、その基本合意書等を誠実に実行していただくようにアメリカ側と十分協議をしてまいりたい、そのように考えているところであります。

仲村委員 次に、アメリカの軍需産業紙の発表だが、現在普天間基地に配備されているCH53E大型輸送ヘリは老朽化が激しく、これ以上メンテナンスができなくなっていることが報じられております。

 そうなると、その後継機と言われるオスプレーが導入されることは間違いないと思うのでありますが、絶対にオスプレーの配備をさせてはならない、こういうふうに思いますけれども、このことをはっきり、守れるかどうか、これは防衛庁長官から答えていただきたいと思います。このアメリカの軍需産業紙が、今のヘリはもうメンテナンスがきかない、こういうふうに言っておりますので、後継機は必ずオスプレーじゃないかな、私はこのように思っておりますので、オスプレーの導入はさせないということを明確にひとつ約束していただきたいと思います。

額賀国務大臣 米国側でオスプレーに変更しつつあるという話は聞いておりますけれども、ここのキャンプ・シュワブにおいてオスプレーを代替させるということについて、外務省で、この前も話しましたけれども、問い合わせたところ、そういう考え方はないということでございますから、我々はそのように考えております。

仲村委員 次に、五月十一日に防衛庁長官と稲嶺恵一知事との間で交わされた在沖米軍再編に係る基本確認書についての考え方をただしたいと思います。

 この確認書の三項には、「今後、防衛庁、沖縄県、名護市及び関係地方公共団体は、この確認書をもとに、普天間飛行場代替施設の建設計画について誠意をもって継続的に協議するもの」となっているわけです。果たして、防衛庁は、この確認書を交わした後、沖縄県と普天間飛行場代替施設の建設計画について誠意を持って継続的な協議をしてきたのかどうか、答えていただきたいと思います。

額賀国務大臣 これは私が稲嶺知事と交わした確認書でございます。普天間の危険性を一日でも早く除去していくために、この再編問題に当たって、普天間飛行場の代替施設建設のためにいろいろと意見交換をした結果、基本的には五項目書いてあるわけでありますが、二項目めの「防衛庁と沖縄県は、平成十八年五月一日に日米安全保障協議委員会において承認された政府案を基本として、普天間飛行場の危険性の除去、周辺住民の生活の安全、自然環境の保全、同事業の実行可能性―に留意して、対応すること」とする。

 その上に立って、今後、普天間飛行場代替施設の建設計画については継続的に誠意を持って協議をするということになっておるわけでありますから、この十一日以降も、それは、事務局においても沖縄県を訪ねていろいろと意見を聞かせていただいたり、こっちの考え方を示させていただいたり、私も沖縄知事と電話で話をしたり、あるいは上京したときに直接意見を交わしたりして十分に意見を交換したから、この確認書ができたわけでございます。そして、確認書に基づいてその閣議決定の案文を作成してきたわけでございまして、その閣議決定がきょうなされたわけでございます。

 したがって、閣議決定に当たっても、知事は、閣議決定がなされたことについては、閣議決定は政府がなされることであり、国の考え方であることは十分承知している、県は従来とも県としての基本的な考え方をしっかり持っておるので、これについて今後とも主張しながら協議をしていきたいというコメントを出しておりますから、我々は、知事とも関係市町村ともしっかりと今後も協議をしていく中でお互いに理解を深め、そして実現方を図ってまいりたいというふうに思っております。

仲村委員 この確認書の四項で、「政府は、」今回の「日米合意を実施するための閣議決定を行う際には、平成十一年十二月二十八日の「普天間飛行場の移設に係る政府方針」(閣議決定)を踏まえ、沖縄県、名護市及び関係地方公共団体と事前にその内容について、協議することに合意する。」ことになっている。

 米軍再編についてけさの閣議で決定されたようだが、確認書四項で合意されたとおり、事前に沖縄県や名護市及び関係地方公共団体とその内容について協議したか、明確に答えていただきたい。

額賀国務大臣 沖縄県や名護市とよく十分に協議をいたしました。その結果、閣議決定の中身について、例えばこの普天間飛行場をめぐる問題につきましても、あるいはそのほかのことにつきましても、「普天間飛行場の移設については、平成十八年五月一日に日米安全保障協議委員会において承認された案を基本として、政府、沖縄県及び関係地方公共団体の立場並びに普天間飛行場の移設に係る施設、使用協定、地域振興等に関するこれまでの協議の経緯」、そういうことを踏まえて、今後、具体的な「代替施設の建設計画を策定するものとする。」と言っておりまして、この普天間飛行場の移設にかかわる施設、使用協定、地域振興等にかかわるこれまでの協議の経緯というものは、平成十一年の閣議決定の県と名護市にかかわる問題の、まあ、ある意味では重要な部分の考え方を取り出して、ここに我々はこれもよく配慮しながら考えていきますよということを考えております。

 そのほか、例えば跡地返還の四項目めには、「返還跡地の利用の促進及び駐留軍従業員の雇用の安定確保等について、引き続き、」全力投球でやってまいりたい。さらには、「具体的な代替施設の建設計画、安全・環境対策及び地域振興については、沖縄県及び関係地方公共団体と協議機関を設置して協議し、対応する」。そういうように、十分地域の皆さん方の意見を聞き、今後もその窓口を開いて意見を聞きながら対応するということが明確に書かれております。

仲村委員 これは、防衛庁はこの確認書を交わした後に、意図的に、稲嶺知事が政府の方針を容認したと盛んに吹聴し続けておりますが、この確認書を読む限り、どこにも稲嶺知事が政府案を容認するとは書かれていない。防衛庁はいかにも沖縄県知事を軽くあしらっているかのように思われて仕方がないのであります。

 この確認書では、明確に、「誠意をもって継続的に協議する」、こういう確認をしておきながら、全く協議なしに、今回の閣議決定では、「早急に代替施設の建設計画を策定するものとする。」とされていることに、本当に確認書をほごにした態度だと言うしかありません。

 特に、きのうの関係閣僚会議でも、閣僚の中からも拙速は避けるべきだという意見もあったというし、また、総理も地元とよく意見調整しなさいと言われたということが何回も報道されております。そのことを考えても、今回の閣議決定の手続はいかに防衛庁の独断専行の拙速なやり方であったかを指摘せざるを得ないのであります。

 特に、きのう、総理に報告したときに、地元とよく意見調整をしなさいと言われたことをちゃんとやったかどうか、答えてほしいと思います。

額賀国務大臣 小泉総理の話は、閣議決定の中身について御説明をしたときに、いよいよこれは実施段階に入るわけでありますから、そういうことについて今後も引き続いて地元の市町村あるいは自治体の皆さん方とよく相談をして理解を得るように努力をしなさいということは当然のことだと思っておりますし、我々も、そういう前提の上に立って、地元と協議機関をつくって今後の建設計画をやっていこうということを言っているわけであります。

 と同時に、やはりこの問題について、沖縄県を初め、名護市を初め、あるいは全国の基地のある地域の皆さん方と、だれが一番接触して、だれが一番話し合いをしたのか、それをよく考えていただきたい。我々は、先頭に立って、それは土曜日であろうと日曜日であろうと、朝であろうと夜であろうと、ひざを交えて話をしてきました。だれよりも沖縄県のこと、それはもう仲村先生は一番体で知っておりますけれども、やはり、政府の中では、我々は自分たちの利益のため、私益のためにやっているわけではない、これは国家のため、そしてこの地域の安全保障のため、そして沖縄県民の負担をどう軽減するか、その一心に基づいてやってきたことでありますから、これはぜひ信じていただきたい、そういうふうに思います。

仲村委員 最後に一言。これは、皆さんは何回も何回も話をした、こういう話でありますけれども、果たして地元の意見を、ああそうか、このようなことがあるのかということで、その耳を傾けてそういう方向にあなたたちの施策を持っていったのか、あなたたちの考え方だけで押しつけていったのか、その辺をよく考えていただかなければならない、こういうことを強く指摘して、私の質問を終わります。

浜田委員長 次に、田端正広君。

田端委員 公明党の田端でございます。

 冒頭、私の方から、まず、今回五千人もの犠牲者を出したインドネシア・ジャワ島での地震について心からお見舞い申し上げますとともに、政府のこれからの対応についてお尋ねしたいと思います。

 きょう、私ども公明党としても、先ほど冬柴幹事長を団長として現地調査団ということで出発させていただきました。また昨日は、航空自衛隊と陸上自衛隊の十九人の先遣隊が出発したとも伺っております。インドネシアは、二〇〇四年十二月にスマトラ沖の大きな被害があってまだ一年半、重ねてのまたこういう大きなことになりました。そういう意味では、今回、早速にこの緊急援助隊の派遣ということを決定されたということも聞いておりますが、非常にそういう意味では適切な対応であった、こう思います。

 なお、そういう人の派遣と同時に、今後また物資あるいは資金面等々いろいろなことが、これからも対応が必要になると思いますが、現時点で、今政府としてどういうふうにお考えなのか、外務大臣に今後の方向についてお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のありましたように、二十七日の未明に発生いたしましたインドネシア・ジャワ島中部での地震におきましては、インドネシア社会省、いわゆる厚生省みたいなところ、社会省の発表によりますと、本日午前までに五千四百二十七名死亡と出されております。多くの負傷者、避難民が発生をしております。

 日本人につきましては、約一名軽傷ということになっておりますが、他に被害の報告はありません。在留届が出されております九十一名全員の安全が確認済み。旅行者として把握しておりました十九名につきましても、全員の安全が確認をされております。引き続き、被害の内容、被害がほかにないか、今確認中であります。

 外務省としては、一昨日、緊急援助チーム七名を現地に派遣しておりますが、一昨晩、二十八日夜、さらなる援助として、医療関係者から成る緊急援助隊、医療チームの派遣、総額一千万ドル、約十一億円の無償資金協力及び約二千万円相当の緊急援助物資供与を決定しております。また、小泉総理よりユドヨノ大統領に対して、私どもからハッサン外務大臣に対してメッセージを送っております。

 今後も、状況を踏まえつつ適切な対応をとってまいりますが、さらに、昨日の晩、インドネシア政府より、医療関係者の需要が依然として高いという報告が来ておりますので、諸外国からの軍隊を含む医療支援に関する要請がありました。これを受けまして、防衛庁と協議をして、国際緊急援助隊として自衛隊の医療部隊、支援のための部隊等を派遣することといたしておりまして、本日午前、そのための先遣チームが現地へ向けて出発をしたというところが、今、私どもの対応の現段階までのところであります。

田端委員 日本としてできるだけの協力、また自衛隊におかれてもいろいろな形での協力が必要かと思いますので、よろしくどうぞお願いしたいと思います。

 さて、在日米軍の再編の問題について、本日、閣議決定が行われたということであります。この閣議決定の中身を見てみましたら、先般の2プラス2の合意を受けて、それを網羅的に決定されたというふうに思いますし、そういう意味では、六月末に日米首脳会談も控えている、そういう状況の中でここでこういう決定をされたということは、これはまた評価できる、こう思っております。

 その中で、きょうは何点か御質問させていただきたいわけでありますが、まず、閣議決定を受けて、今度は法案の整備ということが必要ではないかと思います。つまり、いろいろな経費がかかるわけですからそれをどうするとか、そういった意味の在日米軍再編に関する関連法の整備ということを検討あるいは今後のスケジュールの中に入れるべきじゃないか、こう思っております。

 その点についてお尋ねしたいと思うんですが、特に平成十一年の、先ほどの仲村先生の質問にもあったように、閣議決定、これはつまり廃止する、こううたっているわけですから、それとの関係ということも今後出てくるんだと思いますけれども、まず、今後の方向というもの、地域の皆さんにどういうふうに理解と協力を得ていくのかという意味でも、スケジュールを示していただきたいと思います。

額賀国務大臣 今、田端委員御指摘のとおり、きょう閣議決定をさせていただいたわけでございますけれども、これは政府の基本的な姿勢、方針が決定されたわけでありまして、これに基づいて今後具体的な実施計画をつくっていくわけであります。

 その中ではさまざまな問題があることはもう委員も御承知のとおりでございます。それは、例えば、海兵隊のグアム移転の話もありますし、地域振興策のこともあるわけでありますし、あるいはまた普天間の飛行場をキャンプ・シュワブに移設することもあるわけであります。そういうことについて、それぞれ具体的な実施計画をつくっていくわけでありますが、その基本的な政府全体としての考え方を今まとめさせていただいたわけでございますから、今後、これに基づいて、地方の団体とよく協議して、具体的な設計図をかかせていただく。

 そして、その上に立って今度は、どういう具体的な、その建設計画等はお金がどれくらい要るのかとか、そういう話になってくるわけでございますので、私どもは、今後この計画をまとめた時点で、法整備がどういう形で必要になってくるのか、予算措置がどういうふうに積算されていくのか、そういうことについて早急にまとめていきたい。具体的にこういう法整備が必要であるとかいうことが決まっているわけではない。今後、実施計画をつくる中でそういうものを考えさせていただきたいというふうに思っております。

田端委員 そういう意味で、一つの大きなポイントは、お金が幾らかかるかということが大変な国民的な関心事である、こう思うわけです。

 例えば、グアム移転についても、この閣議決定の中で、「沖縄県の負担の軽減にとって極めて重要であり、我が国としても所要の経費を分担し、これを早期に実現する」、こうきょう決定されていますが、つまり、この所要の経費、では、一体幾らになるのかということが、ここがこれから問われてくるんだと思います。そして、それがどういう方向で、いつ明らかにされていくかということになると思うんです。

 例えば、2プラス2の中では、真水二十八億ドルとか、それから出資、融資三十二・九億ドルとか、合計六十・九億ドル、こういうことが今まで言われてきておりますが、これが、今後、中期防との関係とかそういった中で、経費全体、防衛庁として、いつごろまでにどういう方向を示されていくのかということがやはり大事かと思うんですが、その辺、防衛庁長官の御所見といいますか御決意をお聞かせいただければと思います。

額賀国務大臣 田端委員御指摘のとおり、例えばグアム移転に絞れば、おっしゃるように、総枠、全体の枠組みとして百二・七億ドル、それぞれ日本と米国側の負担が書かれているわけでありますが、日本側の場合は、いずれも上限額でございまして、これから具体的な実施計画をつくって、何人が移転して、家が何戸要るのか、そういうことがきちっと積算されていく中で決まっていく。あるいはまた、我々も、コストダウンを図る、合理化を図る、効率化を図る中で、さらに予算をできるだけ少な目にしていかなければならないということをこれから作業していくわけであります。そういうものが全体的にわかってきた中で初めて、米軍再編の経費というのは幾らぐらいかかるんだねということになるわけだと思います。

 御承知のとおり、この米軍再編関連というのは、従来の中期防計画の中に織り込まれてはいないわけでございますから、今度は、中期防の中でそれをどうするのかということは、初めて米軍再編全体の経費が明らかになった時点でこれをどうするかを考えていかなければならない。

 閣議決定の中にも書いてありますけれども、厳しい財政事情のもとで、政府全体として一層の経費の節減合理化を行う中で、防衛関係費においても、思い切った合理化、効率化を行い、効率的な防衛力整備に努める、中期防衛力整備計画については、在日米軍の兵力構成見直し等の具体的な内容を踏まえ、再編関連措置に要する経費全体の見積もりが明確となったときに考えたいということでありますから、今言ったように、全体の経費を見たときに、政府全体でこれは考えていくわけだから、政府全体が努力をする中で、防衛費の効率化、合理化も考えますよ、そのときに中期防との絡みも考えましょうという考え方でございます。

田端委員 考え方はわかっているんですが、もう少し具体的な数値をしっかりと、できるだけ早くきちっと整理して、国民の理解を得るように努力することの方が大事だという意味で私は申し上げているわけでありまして、ぜひ、そういう御努力をお願いしたいと思います。

 もう一点、きょうの決定の中でちょっと感じたことを申し上げますと、普天間飛行場の移設についてでありますが、「平成十八年五月一日に日米安全保障協議委員会において承認された案を基本として、政府、沖縄県及び関係地方公共団体の立場並びに普天間飛行場の移設に係る施設、使用協定、地域振興等に関するこれまでの協議の経緯を踏まえて、普天間飛行場の危険性の除去、周辺住民の生活の安全、自然環境の保全及び事業の実行可能性に留意して進めることとし、早急に代替施設の建設計画を策定するものとする。」こうなっています。

 これを見たときに、ちょっとおやっと思ったのは、何でV字ルート案を明確にここへ示していないのかなというふうに、正直感じました。つまり、これは、稲嶺知事のおっしゃっている暫定ヘリポート案ということを念頭に置かれて、そういうこともあるので表現できなかった、こういうことなのかどうなのかということをお尋ねしたいと思います。

額賀国務大臣 政府案は、今、田端委員がおっしゃるように、「平成十八年五月一日に日米安全保障協議委員会において承認された案を基本として、」という中に入っているわけでございます。それは、キャンプ・シュワブの代替施設については、米国との合意はV字形の二本の滑走路でございます。そして、その中の、政府、沖縄県、関係地方公共団体の立場というのは、政府の立場はそういうことを主張するわけでございます。一方で、名護市との合意書の中では、きちっと、キャンプ・シュワブにV字形の滑走路をつくるということで、地図を添えて合意をしているわけでございます。沖縄知事は、名護市の決定について尊重するというふうに公で言っておられます。そういう総合的に考える中で、それぞれの立場も配慮しながらこういう文言にさせていただいた。

 だから、政府としてはきちっと、V字形の滑走路をキャンプ・シュワブにつくらせていただくという方針で、地元とこれからも協議をしていくということでございます。

田端委員 これは、先ほど仲村先生からのお話にもあったように、やはり、地元に対していかに誠意を示すかということが本当に大事な、まさに正念場のところだ、こう思いますから、ぜひ、その辺のところはしっかりと踏まえていただきたいということを重ねて申し上げます。

 それで、この普天間飛行場の移設に係る政府の方針、平成十一年の閣議決定を廃止する、こうなっています。そうしますと、この平成十一年の時点での閣議決定で北部振興に対するいろいろなことの約束事があったんだろう、こう思いますが、このことについてはどういうふうにされるのか。

 特に、理解を求めて地元との調整ということが非常に大事なことになるわけですから、そこのところはしっかりと、また情報をきちっと整理していただかないと、何か話がぐちゃぐちゃになってよくわかってこないということになりますから、その辺、ぜひお願いしたいと思いますし、また、今後とも、地元との調整を積極的にお願いしたい、こう思うわけですが、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 お答えします。

 前の十一年の閣議決定と地域の問題についてお触れになりました。

 先ほども読み上げましたように、例えば、政府案を基本として、政府、沖縄県、関係地方公共団体の立場並びにの後なんですが、「普天間飛行場の移設に係る施設、使用協定、地域振興等に関するこれまでの協議の経緯」というのは、これは平成十一年の閣議決定の後のさまざまな政府と沖縄県あるいは関係自治体との協議というのがあります。そういうことについての、例えば地域振興等についてだけ、エキスだけをとらせていただいて書かせていただいているわけであります。

 十一年のその閣議決定の中には、もともとこれは普天間飛行場の移設がメーンでありますから、そのときに、やはり十五年の問題だとか、そういうさまざまな問題も含まれているわけでございます。そういうことについてはきちっと、今度の新しい閣議決定によって、しっかりとした従来の閣議決定にかわるものとするという位置づけをするために廃止するというふうにしました。そして、そういう北部振興等については従来の意向を考えますと。

 しかし、では廃止するとなっていますからどうするかというと、最後に、これに伴い、普天間飛行場の移設に係る政府方針は廃止するものとするけれども、平成十八年度においては、上記の政府方針に定める地域の振興についてということに基づく事業については実施すると。十八年度についての北部振興策は当然予算措置されていますから実行します、十九年度以降については今後しっかりと考えていきましょう、そういう位置づけであります。だから、北部振興策についても、これをゼロにするというわけではない。

 ただ、これからしっかりとよく協議をする中で、もう北部振興策も、十年計画でありましたけれども、半分経過しているわけですから、この間で完成されたものが何なのか、継続中なものは何なのか、今後も必要なものは何なのか、それが地域にとってどういう効果があったのか、これから効果を及ぼすのか、それはこの北部だけのものなのか、沖縄県全体のことは考えなくていいのか。そういうことを、やはりこの際、過去の閣議決定を廃止したのを契機に沖縄県全体の構想も考えていかなければならないだろうし、それと同時に、基地を受け入れてくれた地域に対しては、それはそれなりにめり張りをつけていくということも考えてあげなくてはいけないんではないかとか、そういうことを考える必要があると私は思っております。

田端委員 ぜひ、県民の皆さんが理解できるようにお願いしたいと思います。

 それで、外務大臣にお尋ねいたしますが、このグアム移転に関する経費というのは、まあ最終的にはこれからどういうふうになっていくか、金額等はまだ定かではありませんが、しかし、日本国内における米軍施設の提供ということとは状況が違うわけですね。

 その状況が違う中で、この経費の負担について閣議でもこういうふうに決定したわけですから、そうしますと、現行のこの日米地位協定のこれを根拠にするにはちょっと違和感があるように思うわけでありまして、特別な協定といいますか、新たな日米間における取り決めといいますか、そういったことが必要になるんではないかと思っているんですが、その点についてどうですか。

 金額が二〇一四年まで今後ずっとかかってやっていくというわけですから、八年かかってやっていって、そうすると、トータルとしては相当の金額になると思います。だから二兆円とか三兆円とか言われているわけでありまして、それだけに国民の皆さんはそこのところをしっかりと注目していると思いますので、今後の新たな理屈づけといいますか、そこがしっかりしていないと、何で金出すんだ、こういうふうなことになるんじゃないかということを心配しておりますので、大臣の御見解をお願いしたいと思います。

塩崎副大臣 私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 先生御指摘のように、グアムへの移転の場合には、日米地位協定というのは、安保条約の第六条に基づく、米軍が我が国の施設・区域の使用及びその際の米軍の地位について規定したものですから、先生御指摘のようにその対象外ということになるわけでございまして、その施設整備費については対象とはなり得ないということだと思います。

 したがいまして、そうすると、具体的なスキームを、先ほど来防衛庁長官の方からもお答えがありましたように、これからさらに詰めていく中で、どういった法的なフレームワークが必要なのか、あるいは要るのか要らないのか、そういうことを含めて詳細を詰めながら、各省庁とよく検討しながら詰めていくという、そんな道筋になっていくのかなというふうに考えております。

田端委員 今回の再編実施のロードマップを見てみますと、抑止力を維持しつつ、日本の負担、特に沖縄における負担というものを軽減するという意味では、これは評価できる点は多い、こう私は考えています。

 しかし、なかなかわかりにくいのは、例えば、今後、ミサイル防衛、そういったことに際して、バッジシステムの情報を日米で共有するとか相互に運用性を高めるとか、あるいは日米の訓練を強めるとか、こういう緊密な連携というものが、これは大事なんですが、しかし、国民から見れば、何かアメリカの側に組み込まれていっている方向にあるんじゃないか、こういう心配が大変あるわけです。

 そこで、新しい日米再編ということがこういう流れになったわけですから、その中で、日本は日本の独自性、主体性というのはこういう点にあって、こういう意味で日本の安全保障を日本は頑張ってやっているんだと、そこはもう少ししっかりと説明していただかないと、どう見てもアメリカに引っ張られている、こうとしか国民の皆さんは受け取っていないように感じるわけでありまして、そこのところの防衛庁長官の御決意といいますか、御見解をお願いしたいと思います。

額賀国務大臣 これは、田端委員、一緒にワシントンに行ったりして安全保障問題を議論したこともありましたけれども、私が長官になる前のころは、その後も、今度の米軍再編のキーワードは抑止力の維持と負担の軽減なんですね。抑止力の維持というのは、やはり日本と米国との協力、情報共有とか、そういう協力関係によって防衛能力とかを高めていくことですね。

 これは、アメリカは、抑止力を高めていくことによって負担の軽減が起こるんではないかという発想をするわけですね。日本の場合は、やはり基地の負担というのは重たいものだから、最初に負担の軽減をしてくれということがまず先に来るわけです。

 それで、いろいろな負担の軽減を要望したわけです。例えば、横田の空域。ちゃんと今度、羽田の滑走路がオープンします。これによってどれくらい油の消費が軽減されるか、あるいは国民が利便性を得るか。例えば大阪とか西の方へ行くには、恐らく二十分とか、それくらいきっと短縮されていくでしょう。それから、横田の管理権限は全部日本に返しなさいということを要望しました。これは、では、その返還する条件を相談しましょう、そういうふうになっております。それから、相模補給廠の土地を返還してください、これも返還してくれています。そして、沖縄の負担を軽減するために海兵隊をどこかへ移してください、これも移すことになりました。

 日本の要求に応じて一連のこの負担というものがなされている、アメリカに言われてやったわけではない、そういうことをぜひ私は国民の皆さん方にも理解していただきたい。国民の負担を軽減しながら、しかも国民の安全を守る、それをなし遂げているのが今度の米軍再編に伴うこの我々の行動である。だから、我々の要望で、我々が主体的な考え方を持ってこの米軍再編を行ったことであるというふうに私は思っております。

田端委員 同じ趣旨で外務大臣にお尋ねしたいと思います。

 特に、六月二十九日ですか、日米首脳会談ということも控えているわけでありまして、日本外交というのは、そういう意味ではやはり一歩新しい時代に入ってきているのではないか、私はこういう感じもしています。それから、日米安保に関してのあり方も、グアムが拠点になるという一つの新しい時代にもなってきたということも感じるわけでありまして、日本は、どういう形で今後この日本の安全というものについてやっていくかということを日本の国民に情報を発信すると同時に、世界に対しても日本のあり方ということがやはりこれから問われていくのではないか、こう思うわけであります。

 今回の日米再編を一つの契機として、新しいこれからの日米安全保障条約ということのあり方、また日本の外交のあり方ということについて、ぜひ外務大臣の御決意をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 田端先生、随分時代も変わったんだと思いますね。

 昔、日米安全保障条約が同盟条約だと言っただけで外務大臣やめたんですよ。御記憶があるかと思いますが、伊東正義外務大臣、鈴木内閣総理大臣、宮沢喜一官房長官。アライという言葉は、allyですけれども、同盟である。隣の方に聞いていただいたらわかりますけれども、間違いなく、正確な訳は同盟。これには軍事は入っていないと訳そうという、英語を知っているという割には信じられない訳をやったある官房長官が当時いらしたんです。ふざけていると思って、当時私は当選二、三回の一議員だったと思いますけれども、とんでもない、何を考えておられるんですかと言ったんですけれども、とにかく同盟と言っただけで当時は外務大臣は辞任。それがその時代なんです、僕はそう思いますね。

 その時代からたつと、随分長いこと飽きずにこんな仕事をやっておるなと自分で時々感心するんですよ。ただ、移り変わりだけはよくわかる。

 今そういった中で、私は、同盟ということになってきたのは、世の中が変わってきたのはやはり大きくは二つで、一つは、一九七九年にソ連のアフガン侵攻ですから、だからその十年後の一九八九年にベルリンの壁崩壊、早い話が冷戦構造が終わったというのが一つ、もう一つは九・一一、二〇〇一年ですけれども、この二つがやはり日米安全保障条約というものの内容、意味、意義というものを大きく変えていった外的要因だったろう、私はそう思います。

 その結果として、やはりテロという今までとは全然種類の違った脅威に対応しなくちゃならぬというのが最近の日本におけます状況であるのが一つと、冷戦構造が終わったとはいえ、朝鮮半島、台湾海峡にはいまだ不確実なもの、不透明なものが残っておりますので、その分は日本にとってはこの地域の安定にとって非常に大きな意義がありますので、私どもとしてはその点の配慮もしておかないかぬという二つの点を考えた上で、やはりこの日米安全保障条約の持っております意義というものに関しましては、抑止力の維持というものと、長い間沖縄に迷惑がかかっておりますので、その沖縄県民への負担の軽減というこの二つを、二律背反している部分がありますけれども、それをやらねばならぬ。

 したがって、今官房長官の話がありましたように、これは日本側が要求したんですから、横田の話にしても何にしても。これは明らかに日本側の要求でやったのであって、アメリカから言われて、横田はアメリカが返すはずありませんから、我々が要求し、その要求に基づいてこれまで対応してきたというのであって、これは明らかに政府として主体的に対応した結果、今ここで言うところで話し合いが落ちつきつつあるというところと御理解をいただきたいと思いますので、主体性を持ってやろうとしている成果の一つと御理解をいただければ幸いです。

田端委員 ぜひ主体性、独自性を貫いていただきたいということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 午前中に閣議決定が行われました。私も先ほどその決定の内容を読ませていただきました、二枚紙でございますけれども。野党だから批判するというわけではありませんが、大変御苦労された大臣に直接申し上げるのは恐縮ですが、このできは極めてよろしくないと言わざるを得ません。やはり第七項目です。先ほどからお話が出ておりますが、普天間飛行場の移設先について、これが明記されなかったということの意味は大変重いというふうに私は考えております。

 と申しますのは、九九年の閣議決定を思い起こしていただきたいのですけれども、この九九年の閣議決定では、きちんと「建設地点を「キャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域」」とはっきり明記をした。明記をしたにもかかわらず実現ができなかった、そういうことですよね。

 しかし、今回は、これは新聞報道ですからわかりませんが、原案には、当初案にはきちんと辺野古崎とこれに隣接する大浦湾、辺野古湾の水域というふうに明記されていたにもかかわらず、最後の閣議決定の中からは落ちてしまった。先ほど、赤嶺議員ですらアメリカが怒るよというようなやじを飛ばしておられましたが、これはアメリカ側からすると、SACOの合意も守れなかった日本政府が本当に今回の合意をきちんと守って実行できるんだろうかというふうに思うと思うんですね。

 これも伝えられるところによりますと、外務大臣はこの部分についての問題点を指摘されて修正を迫られるというふうに、これはおとといの新聞でありますが、二十九日の関係閣僚会議で、これについて修正すべきだ、きちんと書くべきだという御発言をなさるおつもりがあるというような記事があるんですけれども、閣議決定がなされてしまいました。

 外務大臣、改めて、対米交渉をされた責任者として、この閣議決定で本当にきちんとこの合意が実施できるというふうに思っておられるか、コメントがありましたらぜひ承りたいと思います。

麻生国務大臣 長島先生御存じのように、十年間かかって沖縄は何もできなかったというのが現実ですから、もう一回繰り返してやったらとてもじゃないけれどもというような感じは、これは沖縄の方もお持ちでしょうし、またもちろん政府としても持っておるでしょうし、もちろんアメリカ軍も同様な意識があるんだと存じます。

 したがいまして、先月でしたか、ワシントンで2プラス2の後を受けまして合意をいたしましたものがありますので、基本はこれがベースだと存じますので、私どもとしては、この線に沿ってきちんと対応ができるようにしていかねばならぬと思います。閣議で決まった以上、基本的に私どもとしては、2プラス2の合意というのがありますので、少なくとも抑止力の維持と沖縄の負担の軽減、この二つを基本として、今後ともきっちり効果のあるものにせしめる必要があろうと存じますので、きちんと対応してまいらねばならぬと覚悟しております。

長島(昭)委員 もちろん、沖縄の皆さんのお気持ちを考えながら、しかも対米合意をきちんと実施するというのは大変なことですから、どの党が政権をとったってこれは至難のわざだというふうには思います。

 思いますが、もし沖縄との合意、先ほど仲村先生の方から確認書のお話がありましたけれども、沖縄との合意が前提となっているのであれば、やはりきちんと合意をとった上で閣議決定をすべきだったし、逆に、閣議決定に一地方自治体の意向が介入するというのもおかしな話ですから、だとすれば、この両方を満たすためには、やはり沖縄の皆さんと誠実にお話し合いを続けられて、そして、場合によっては閣議決定をおくらせても沖縄の皆さんとの誠心誠意のお話し合いを続けるべきだったというふうに思うんですが、防衛庁長官、なぜ、きょう、五月三十日の午前中に閣議決定をしなければならなかったんでしょうか。

額賀国務大臣 これは、もう昨年の秋に2プラス2の中間報告的な方向性、共通戦略性を伴った方向性が出され、そして三月末までに最終報告というか具体的な実施計画をつくるということであったわけでありまして、それが五月一日に日米合意ができたわけでありますから、合意ができた以上は、できるだけ早く地元の皆さん方あるいは政府部内の調整を図るのは当然であります。

 私としては、最大の基地を負担していただいている沖縄県において、しかもなおかつ、焦点の普天間飛行場の代替施設の対象であるキャンプ・シュワブ、名護市との関係をどうするかということが大事だったわけでございますから、これについては、名護市の市長さんあるいはまた周辺の町村長さんと基本合意書、日米の合意書に基づくことを基本として合意を形成させていただいたわけであります。その後、県の立場から、名護市の対応を尊重するということを前提にして基本確認書をつくらせていただいた。それぞれ、やはり安全保障については国の専権事項である、だから国が行うことは理解すると、きょう、知事のコメントもそういうふうになっております。

 そういう流れの中で、私どもは、やはり国の安全保障と地域の理解を求めていかなければならないわけですから、そういう流れの中できょう閣議決定ができるところまで来たということで、政府内の了承も得て閣議決定をしたということであったわけであります。何も絶対きょうでなければならないということではなかったわけでありますけれども、結果的に、誠意を持って交渉してきた結果、この日が閣議決定の日になったということでありますから、きょうからまた、新しい政府の基本的な考え方、姿勢、方針というのが定まったものですから、各地方の方々と誠意を持って協議をして実現方を図ってまいりたいというふうに思っております。

長島(昭)委員 こんな言い方は失礼かもしれませんが、やはり地元に対する説明がこれまでの日米交渉の過程では尽くされていなかったんだなというような多少政府の後ろめたさみたいなものがあって、今回明記ができなかったのかなと推測するんですね。

 これは変な話ですが、こういうあいまいな文言でやると、これは押していけばもしかするとまたひっくり返せるかもしれないなというような、そんな誘惑にも駆られてしまうおそれがあると思いますので、私は、誠心誠意話し合いをする、しかし決まったときは毅然と対応する、こういうことに尽きるのではないだろうかと思いますので、きちんとこれから地元の皆さんに納得していただくように頑張っていただきたいと思います。

 もう一点気になるのは、私、以前にも質問をさせていただきました、三月十六日のこの委員会でも質問させていただきましたが、やはり防衛費に手がかかってしまうのかという残念な思いでいっぱいなんですけれども、第六項目めですね。「政府全体として一層の経費の節減合理化を行う中で、防衛関係費においても、更に思い切った合理化・効率化を行い、」ということでありますよ。要するに、中期防も見直すという話が出ております。

 私がこの前伺いました。それは、この日本経済新聞三月十二日の記事に基づいて、ここに三兆円という、もう既に三月の段階で、どなたがリークされたかわかりませんが、三兆円という言葉が躍っていた。しかも中期防にも影響が及ぶであろう、こういう記事でありました。

 私がこの点を防衛庁長官にただしましたところ、長官ははっきり、日本を取り巻く安全保障環境が厳しいことを説明された後、そういう流れの中でそういう記事、今言ったこの三兆円の記事ですね、そういう新聞記事が書かれているとすれば、その書いた人は極めて偏狭的な視点に立って書いているにすぎないと思っている、こういうふうにおっしゃったんです。

 私は、そのとおりですね、私も野党ですけれども、防衛費に重大な影響が及ぶようなことは困りますね、こういう確認をさせていただいたんですが、例えば谷垣財務大臣、既存の防衛関係費も一層の効率化、合理化を図り、米軍再編に要する経費がそのまま現在の中期防に上乗せにならないようにする、こういうふうな答弁を国会で行っているんですね。この谷垣財務大臣の御発言というのは、先ほどの防衛庁長官のお話からすると、偏狭的な視野に基づくような発言というふうにとれないこともないんですけれども。

 この防衛費との関係、今回の再編、経費捻出と防衛費との関係について、改めて防衛庁長官から説明いただきたいと思います。

額賀国務大臣 先ほど田端委員からも御指摘があったわけでありますが、基本的な考え方としては、こういう米軍再編に伴う経費というものは、中期防の中に織り込んでいる経費ではないわけでございます。したがって、これは政府全体として対応していかなければならないというのが基本的な姿勢であるというふうに申し上げたいと思っております。

 今、では、どういうふうにこの米軍再編の経費全体が積算されていくのかということについては、まだ予断を持って語ることができないわけであります。だから、これをしっかりとまず積算をして、どれくらいの経費がかかるのかということを、まず総計を出さなければならない。その時点でどういう対応をするかということになるかと思っております。

 一方で、政府全体として、今財政難の中でみんな合理化を図っている中でございますから、我々もそういう流れの中で、ある意味ではそういう効率化、合理化を図っていくことはやむを得ないところもある。政府全体がそういう合理化、効率化を図っていく中で、防衛庁も当然その考え方に立って、できるものならば効率化、合理化を図っていくことが要請されるのはやむを得ないというふうに思っております。しかし、それはあくまで米軍再編の全体的な流れを見きわめた上でもう一度対応を考えたいというふうに思っております。

長島(昭)委員 確かに、これから具体的な数字が出てくる中でまた改めてこの問題を議論させていただきたいと思いますが、ただでさえミサイル防衛システムの配備で相当数の予算がかかってくるわけですから、ここは防衛庁長官もきちんと予算配分を考えていただきたい、このように思います。抑止力の維持と負担の軽減というのが二つの柱。負担の軽減をすることによって抑止力の維持もおぼつかなくなるというのでは今回の米軍再編の本旨を誤ることになりますので、一言申し上げておきたいと思います。

 それでは、もう時間もないんですけれども、一つ総論的な話を議論させていただきたいんです。

 今回の米軍再編の二大原則は、今申し上げたように、抑止力の維持と負担の軽減ということであります。

 ところで、日米安全保障体制、先ほど麻生外務大臣の方から、この二十年間でどれだけこの体制をめぐる議論が進歩してきたといいますか、変化してきたかというお話がありましたけれども、しかし、基本的な構造は一緒だったと私は思うんですね。

 私なりの言葉遣いでいくと、この基本構造というのは、有事のリスクはアメリカ、そのかわり平時のコストは日本。これは片務的ではないんです。双務的、お互いにお互いの義務を果たしてはいる。双務的だけれども、その果たす義務の内容が対称的でない、非対称的だ。双務的だが非対称的な役割分担。この微妙なバランスの上に成り立ってきたというのがこの日米安保体制だというふうに私は思うんですね。

 他の同盟関係と比べてみるとこれはよくわかる。他の同盟関係というのは、今言った有事のリスクも平時のコストもお互いさま、適正に配分し合っているわけです。ところが日本の場合は、有事のリスクについては、憲法上の制約もあり、余計な政府見解がいろいろついちゃったので窮屈になっているところがあると私は思いますけれども、その分、平時のコストの負荷が非常に大きくかかっているんですね。例えば、先ほどもお話がありましたホスト・ネーション・サポートが六千億円。これは、ドイツの千五百億あるいは韓国の九百億、イタリアの四百億に比べると、けたが違うぐらいの日本の支出になっている。

 こういう基本構造の中で、今回日米合意を目指した、抑止力を維持しながら負担の軽減を実現するとすれば、当然、日本側が有事のリスクに対するコミットメントを引き上げていかなければ、これはバランスがとれないと私は思うんです。アメリカがもし兵力削減をするのであれば、日本がその分を何らかの形で穴埋めするとか、さっき、防衛庁長官ですか、アメリカ側はどう考えているかというお話をされましたけれども、抑止力が高まるから負担というものが軽減するんだよ、こういうのが私は常識だと思うんです。

 ところが、今回は、日本の有事のリスクに対するコミットメントというのはほとんど上げないまま負担の軽減を求めたために、例えばグアム移転の費用の問題もそうですけれども、基地は減ったけれども、平時のコスト、経費負担というものが物すごく上がってしまった。それで、これは蛇足ですけれども、この経費を捻出するために、日本側による抑止の維持の基盤となっている中期防も切り崩さざるを得ないというような、そういう構図に陥っちゃっているんですね。

 私はこういうふうに理解をしているんですけれども、防衛庁長官は私のこの理解というのはどう評価されますか。間違っておりますか、それとも、要するに基本的な理解の基盤を一回つくらないと次の議論に続かないものですから、防衛庁長官、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 もともと日米安保条約の発想の仕方が、安保条約を結んだときは自衛隊はなかったわけでありますから、当然アメリカは、日本を守るから基地は自由に使わせろということからスタートしたんだと思いますから、その延長線上で今日まで来たと思っておりますが、しかし、時代を経るごとにやはり、つまりそれは、吉田総理も、経済至上主義で、できるだけ安全保障、防衛についてはお金を使わないという主義であったとは私は思わない。

 例えば、吉田茂が存命中には、防衛大卒業生がよく大磯に行って卒業の報告をしたり御指導いただいたと聞いております。晩年に行かれた方々の話を昔聞いたことがありますけれども、吉田総理は、やはりあれは、日本が本当に貧乏で半人前の国であったからそういう政策をとったのであって、日本が経済力を回復して一人前の国家になればそれなりの対応をするのが当然だろうという考え方をしておったということを話で聞いたことがありますけれども、私はそうなんだろうと思うんです。

 だから、時代が変遷し、日本が、経済も豊かになり、経済力が応じてくるに従って、自分の国は自分で守るという形を整えつつあるんだというふうに思っているわけでございます。

 したがって、だんだんと自分のリスクを背負いながら、しかもなおかつ、では、我が国がこの日本を取り巻く周囲の国と同じように独自で重武装をしていくことがいいのかどうかというと、これは選択の問題であって、それはむしろ、同盟関係を維持しながら、日本の国の安全とこの地域の安定を図っていくことがやはり賢明な選択ではないのかということが常識的な線だろう。国民も受け入れてくれるだろう。だから、そういう範囲の中でこの同盟関係のバランスをつくっていくことが大事なのではないでしょうか。

 長島先生のおっしゃることは、極めてわかりやすくいい分析だというふうに、間違ってはいない分析であるというふうに思います。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 吉田総理の真意についてはお孫さんの外務大臣に伺いたいところでありますが。

 今回の再編で私がやはり一番不満が残るのは、どうも、日本側から負担の軽減という話だけが出て、リスクの問題について日本側からきちっとしたコミットメントがないためにさらに過重な負担が負わされているんじゃないか、こういう問題意識なんです。

 そこで、ローレス副次官が二〇〇五年の九月に、上院の外交委員会の東アジア太平洋問題小委員会で証言をされているんです。これは非常にわかりやすく今回の米軍再編の意図を分析しているので、ちょっと紹介をしたいと思っているんです。

 ローレス副次官は、九九年以降日本で起こった安全保障上のいろいろなコミットメントの変化について八項目で羅列しているんです。ミサイル防衛分野における共同研究が始まった、東ティモールに自衛隊を派遣した、テロ特措法で自衛隊を派遣した、イラク特措法で自衛隊を派遣したなどなど書いて、ところが、国際安全保障に貢献し得る日本の能力あるいは日本のグローバルな国益及び世界の平和と安定から日本が受ける恩恵にかんがみれば、こういう変化は依然としてごく控え目なものだというふうに彼は判断をしているんですね、余計なおせっかいといえば余計なおせっかいなんですけれども。

 その上で、今回の米軍再編は、第一に、現在直面している緊急な必要性に対処するもの、これはいろいろあると思います。全世界でテロが続発をしている、こういう中でもっと柔軟な体制をつくらなきゃいけない、こういうことに対処するのが一点。二点目は、自衛隊の任務拡大に関する日本の変化を予測するものでなくてはならない、こう言っているんですね。したがって、在日米軍の再編は日本が自国の安全保障の将来に関して下す決断に依存しているんだ、これらの変化を過小に予測すれば、必要以上に米軍の能力を日本に残し、地元との関係に不必要な摩擦を再燃させることになるんだ、こういうふうにはっきり言っているんです。

 私は、これは至極真っ当な論理だというふうに思っています。つまり、日本の決断次第では、日本が有事のリスクに対するコミットメントをする、そういう決断次第では、必要以上に米軍の兵力は我が国に置かなくてもいい、残さなくてもいいんだということを言っているんですね。ですから、今まさに防衛庁長官がおっしゃっていただいたように、そこのバランスをどこに求めるかというのが、これはもう与党も野党もなく、まさに我々がこれから取り組んでいかなければならない問題点だというふうに思うんです。

 そこで、では何が一番重要になってくるか。日本の有事はもちろんアメリカと一緒に日本は戦うわけですけれども、やはり有事を超えた部分で、それが全世界とか地球規模になってくると国民の皆さんも相当御心配になられるというふうに思いますが、例えば周辺事態とか、そういうところで日本がアジア太平洋地域の安定と平和のために主体的なコミットメントをすることができるような体制を我が国の中でつくっていく、そういうことによって要らなくなった米軍が引いていく、これが、日本側から見た文脈での本来あるべき米軍再編の姿だ、私はこういうふうに思うんです。

 ついでですから、せっかくの機会ですから一言申し上げると、そこは、やはり集団的自衛権の問題というのは避けて通れないんだと私は思うんですね。この問題の政府解釈、またこれに波及して出てきた武力行使の一体化というものを避けるばかりに、例えば周辺事態で、我が国の平和も害されそうになっているような、そんな事態にもかかわらずアメリカ側が出撃をする戦闘機に直接給油できないとか、こういうおかしな政府解釈、そういうものをそのままにして、では日米の間で、今回も実施が決まりましたけれども、共同作戦計画といったものをつくることが本当にできるんだろうか。本当に日本というのは、そういう意味で、さっきアライというお話をおっしゃいましたけれども、同盟国として信頼に足る国なんだろうかという部分がまだあいまいになっているから、まだまだ大きな軍隊が日本に、外国軍であるアメリカ軍が残ってしまっている。

 ここはぜひ、もうすぐ次の政権になるのかもしれませんが、次の政権の大きな課題として取り組んでいただきたいし、我々ももっとこの点については委員会の中で議論を深めていきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 答弁というよりも、問題意識としては、日本は何を、今後議論をしたりして、あるいはまた対応していかなければならないのか、あるいはまた議論していかなければならないのかということについては、一つは、個別的な自衛権、自分の国は自分でしっかりと守る体制をつくるということ。それは同盟関係もあるでしょう、あるいは自分の能力を高めるということもあるでしょう。もう一つは、その議論の意味では、おっしゃるように、権限を持っている集団的自衛権についてどういうふうに対応するかということも、これからの安全保障を考えていく上での一つの問題点である。もう一つは、日本が世界の中でどういう活動をしていくかという意味においては、国際平和協力活動をどういうふうに位置づけていくかということ。この三つが大きなテーマなのかなという意味では、長島さんとここで議論はしないで、後でまたいろいろと意見を聞かせていただきたいな、こう思っております。

長島(昭)委員 長官、やはりこの議論を避けているから、今回のように膨大な経費負担を背負うことになって、国民から批判を浴びる。この前私が出た討論番組では、日本はアメリカの属国かなんという、そんなタイトルになるんですね。これはやはり同盟関係を非常に不安定にする原因になっていると思いますし、今回、河相局長を初め交渉に当たられた皆さん、せっかく負担の軽減を実現したのに、国民の評価というのは交渉担当者としてはちょっと不満足な評価にならざるを得ないな、こう思っております。多少は同情も含めて申し上げたいと思いますが。

 最後に一点、グアムの問題。

 先ほど田端委員も触れておられましたけれども、私は、グアム移転経費については、これは、外務大臣には申しわけありませんが、立ち退き料という話ではなく、もう少し、アジア太平洋地域の平和と安全というものに対して日本が財政的な分担をするんだ、こういう観点でやっていただきたいというのは、二回ぐらい前の委員会で申し上げた点であります。

 それからもう一つは、これも私の方から申し上げるのは多少僣越かもしれませんが、グアムを日本の安全保障の中でどう位置づけるかということもあわせて考えていただきたいと思うんです。

 中間報告、去年の十月二十九日の合意の前までは、たしか、グアムに共同訓練のための施設をつくるとかつくらないとか、そういう議論もあったやに承っておりますが、私はむしろ、例えば、〇四年の十一月に日本の領海侵犯をした中国の原子力潜水艦は、グアムの付近を行って戻ってきたというふうに言われています。西は日本列島、台湾、フィリピンから東はグアムぐらいのあの海域というのはこれから日本の安全保障上極めて重要な海域になると思いますので、例えば海上自衛隊のP3Cとか、あるいは空軍と航空自衛隊の共同訓練、あの地域はスペース的にはほとんど制約のないスペースですから、そういうことをやったり、あるいは、新しい防衛計画の大綱にも書いてありますけれども、島嶼地域への侵攻に備えるということでありますから、やはり海兵隊と陸上自衛隊が一緒に訓練をする。

 こういうことを含めて、私たちの国民が税金をわざわざ七千億円も出すわけですから、そういう意味で、グアムを我が国の安全保障の一つのアセットとして使っていくような、そういう方向もあり得るのではないかと思いますが、最後にコメントだけ伺いたいと思います。

額賀国務大臣 今でも空とか海とかはグアムで共同訓練をしたりしているわけでございますから、私は、日本の負担、それから日米の共同訓練、あるいは共有、さまざまな意味で、委員の御指摘もよく考えていいのではないかというふうに思います。

長島(昭)委員 ありがとうございました。これで終わります。

浜田委員長 次に、神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 まず最初に、前回、四月二十一日の安保委員会に引き続いての質問から始めたいと思うんです。

 昨年の九月に、海上自衛隊岩国基地で、解析隊新庁舎が完成をして本格稼働した。ところが、そのわずか二カ月後の十月二十九日には、いわゆる2プラス2で米軍再編中間報告がまとまって、同解析隊の厚木基地移駐が決定をしたということでございます。

 このような事態になった原因について先般の委員会で伺ったところ、事実関係を調べてお答えをしたいという答弁だったんですが、どのような事実関係であったのか、どこに原因があったのか、中間報告までの間に同解析隊の扱いについて調整が図られるようなことはなかったのか、まずその点について教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

大古政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の庁舎につきましては、平成十五年度から整備を開始いたしまして、昨年九月に落成したところでございます。

 他方、昨年十月の2プラス2の共同文書におきまして、岩国の海上自衛隊のEP3、OP3、UP3飛行隊等を、岩国の滑走路移設事業終了後に、平成二十年度の予定でございますけれども、厚木飛行場に移駐することとしているわけでございます。

 この庁舎の取り扱いについてでございますが、現時点では確たることを申し上げることは困難でございますけれども、海上自衛隊のほかの部隊は岩国に残りますので、有効に活用していきたいというふうに考えているところでございます。

神風委員 いや、その原因について伺ったのであって、どこら辺に行き違いの問題があったのか。

 加えてお尋ねいたしますが、例の陸上自衛隊の中央即応集団、これについても、中間報告の後にキャンプ座間に移転になるということが発表されたわけでありまして、まずは朝霞の駐屯地で発足をしながらも、すぐにそちらのキャンプ座間の方に移ってしまう。結局、そこら辺の行き違いが、どういう形でそうなっているのか。

 ある意味では、二つとも、かなり進行している中で突然2プラス2というものが登場してきて、急遽そういう変更を迫られた、そういう理解でよろしいんですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 今、朝霞の理由についてもお尋ねがございましたけれども、朝霞の問題につきましては、陸上自衛隊の中央即応集団をできるだけ早く設置するという観点から、今年度に、法律も認めていただいたわけですけれども、庁舎についても朝霞につくるということにしております。この部隊につきましては、日米間の話し合いの中で、二〇一二年度までにキャンプ座間に移転するということになります。

 そういう意味で、先生の御指摘としては、新しい庁舎が無駄になるのではないかという御指摘かと思いますけれども、これについても、中央即応集団司令部がキャンプ座間に移転した後につきましては、ほかに活用して、不要な庁舎にならないよう努めてまいりたいと考えております。

 なぜこのようなことが起きるかという話でございますが、日米間の話し合いの中で、もともと中央即応集団司令部については、早くつくるということで防衛庁は考えていたところでございますけれども、日米間の再編協議の話し合いの中で、このような司令部につきましては、座間の米陸軍司令部についても改編がございますので、今後、同じ座間に駐在することによっていろいろな面での連携を深めようということになりましたので、そういう観点で、庁舎については、有効活用することによって無駄にならないというふうに判断したところでございます。

神風委員 そもそもこの在日米軍の再編というのは、米軍の世界的なトランスフォーメーション、いわゆる米軍再編に合わせて実施をされることになったと伺っておるわけですが、では、もともと米軍のトランスフォーメーションとして実施を予定していた部分、その範囲というのはどの部分で、逆に言いますと、今回、日本側からの要求によってそれが変更になった、あるいは新しく実施されることになった部分というのはどの部分なのか、それをちょっと整理して説明していただきたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 米軍としての再編計画、英語ではトランスフォーメーションということになりますが、日米の再編協議の中で、もともと米側に計画があってというふうな仕分けについては、一義的にはちょっと困難でございます。

 いずれにしても、二〇〇二年末から、再編協議、三年にわたってやってございますけれども、種々の話し合いの中で双方がいろいろ考えを述べて、結果的に、まずは昨年十月末に中間的に取りまとめた、ことしの五月一日に最終的に具体的プランを見て取りまとめたということでございます。

神風委員 ちょっと答えになっていないんですが。

 それではまた伺いますが、アメリカのシンクタンクのランド研究所が二〇〇一年に、アメリカの空軍の委託によって「米国とアジア―新たな米戦略と戦力態勢に向けて」というリポートをまとめて、公表している。その中で既に、グアムをアジア全域への軍事力投射の主要ハブとして増強するという方針が示されているわけでありますし、またあるいは、二〇〇三年五月二十九日のロサンゼルス・タイムズの新聞でも、米国防総省が沖縄に駐留する米海兵隊員約二万人のうち約一万五千人を移動させることを検討しているという旨が報じられている。これについてはその直後にまた否定をされたようではありますが。ただ、いずれにしても、アメリカの国防総省が沖縄に集中している海兵隊を分散しようとしていたことは事実であろうと思うわけであります。

 しかしながら、ローレス国防副次官は、米海兵隊のグアム移転は日本の要請に基づくものであると言い切っているというか言い張っているわけでありますが、これは一体、日米いずれからの要請によってこの海兵隊の移転というのが決まったのか、その点、明確にしていただきたいと思います、防衛庁長官に。

額賀国務大臣 私が防衛庁長官になる前に、我が党の安保調査会長をしているころにローレス副次官ともよく会いましたけれども、先ほど言いましたように、若干そのニュアンスの差がありましたのは、アメリカは、やはり抑止力の維持をきちっとした上で負担の軽減を考えるのが筋ですよねと。我々も、それは抑止力の維持をしながら負担を軽減していきたいということは当然であると。その中で、やはり沖縄の負担はできるだけ軽減をしたい、特に、厚木とか普天間のような市街地の負担はぜひ考えたいねということ、それから横田のような戦後ずっと管理権をとられているところはやはり返しなさいよとか、そういう要望はきっちりと出していたわけでございます。

 海兵隊の移転についても、当然、もともと沖縄県、地元の人たちも県外移転あるいはまた海外移転等々のことを言っていたわけでありますから、我々はそういうことを主張してきておったわけであります。そして、米軍と調整をしている過程で、これは中間報告の直前だったと思いますが、ローレス側が、アメリカ側が七千人の移転は考えてもいいよということを言ったと思います。これは十月の中間報告でありますから、恐らく九月かそのころだったのではないかというふうに思っております。我々はそういう主張をしておって、そして日米協議を重ねていく中で、米国側が七千人はいいよということを言ったのが最初ではなかったかと思います。

神風委員 米軍再編の機会をとらえて沖縄の負担を軽減させるというのは非常によく理解できるわけでありますが、その費用の分担についての原理原則、どういう原理原則でそれを分担していこうとされているのか、その点、長官の方からお答えいただきたいと思います。

額賀国務大臣 やはり基本的には、海兵隊の移転によって八千人、そして家族を入れて一万七千人がグアムに移転されるということは、沖縄県民にとってもこれは願いであったし、それに伴って土地の返還というものも行われていくということでございますから、これは、我々が一定の負担をして行っても国民の理解を得られるのではないか、そして日本の全体的な負担の軽減と沖縄の負担の軽減が同時に達成できるということで、政治的な判断として、グアム移転を成功させる方向でどういう手だてがあるかを考えようということがまず出発点だったと思います。

 その中で、アメリカ側は一定の財政負担をしてほしいということでございますから、財政負担をしてでもこの移転は実現させたいという思いもありましたので、そうすると、財政負担はどれくらいにすればいいのかということが次の課題でございます。これはやはり、グアムに移転をすることでありますし、アメリカの所有物になることでありますから、アメリカの負担より多くあってはならないということが前提である。できるだけ我々はその経費の負担を少なくし、この実現方を図る方法はないかということであったけれども、アメリカ側は、全体経費の中の七五%を日本が持ってくれないか、アメリカは二五%であるというようなのが最初の言い出し値でございますから、とてもそういうことはできない。大体、総枠自体がわからないのに経費の七五%は日本なんというのは、それはとても国民を説得することはできない。

 だから、我々は、海兵隊を移転するときに、ストレートに移転に結びつく経費は何なんだ、そういうことを積み上げていくことによって、我々が負担できるお金のことを考えましょうということをまず考えたわけでございまして、それで結果的に、移転に直接結びつく住宅とか庁舎とかインフラについて、財政支出と出融資を考えさせてただいたということでございます。しかも、これは相対的にアメリカよりも半分以下、真水も、アメリカの、道路も入れれば四十一億ドル余りから比べれば、上限二十八億ドルという形にしてあるわけでございます。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

神風委員 ローレス国防副次官が示された在日米軍再編の負担総額は三兆円近くに上るという見通しについて、これはアメリカの国内世論を意識した発言で、実際の金額はもっと少なくなるということが言われておるわけですが、実際のアメリカの国内世論という存在でありますけれども、一体どんな反発というか国内世論というのがあるのか、そういうのがあるのであればお示しをいただきたいと思います。

塩崎副大臣 ただいまの三兆円発言についての米国内での世論の反応ということでありますけれども、現時点で私どもで承知している限りは、特段の反応があったわけではないというふうに考えております。当然我が国政府はこの在日米軍の兵力態勢再編の意義について日米間で話し合いをしてきたわけですけれども、米国内での世論の反応というのは特にないというふうに承知をしております。

神風委員 今の回答のとおりではないかなと思うんです。これまでの日米間の経済摩擦についても、日本の方は非常にマスコミで騒がれるわけでありますが、アメリカ国内ではほとんどその存在すら知らないという状況があるわけでありまして、その点、冷静に対応をぜひお願いしたいと思うわけであります。

 逆に言えば、その三兆円という額がどこから出てきたと想像されますでしょうか、防衛庁長官にお願いをしたいと思います。

額賀国務大臣 三兆円という数字は確かにマスコミ等で活字が躍ったり話されたりしているわけでありますが、最初はローレス副次官の発言からそういう数字が起こったのかなという受け取り方をしておりますけれども、しかし、それは、きちっとした積算根拠に基づいて三兆円という数字が出されたものとは思っておりません。

 したがって、私どもは、このグアム移転の経費については、先ほど申し上げたように、しっかりと具体的な計画に基づいて積算した数字をこれから出させていただいて、国民の理解を図りたいというふうに思っております。

神風委員 四月二十四日の内外情勢調査会の講演で防衛庁の守屋事務次官が、グアム移転経費を除き八年間で二兆円と試算をしていると述べたそうでございます。合計では約二兆七千百億円で、ほぼ三兆円になるわけでありますが、これは、ある意味で防衛庁内で既に積算あるいは試算がされているということではないんですか。その点、明確にお答えをいただきたいと思います。防衛庁長官にお願いをしたいと思います。

額賀国務大臣 守屋次官が発言したことについて私ちょっと確かめてみたのでありますが、今おっしゃるような講演における守屋次官の二兆円という数字を挙げての発言については、グアム移転経費に関連をして、既に負担している経費に加えて再編に伴う新たな経費も負担することになるから日本の負担は十分に大きいということを強く主張して交渉を進めてきた、そういういきさつをこれまでの専門的な知見を踏まえてわかりやすく話したものであるというような説明をしているわけでありまして、確かに守屋次官はもう防衛庁の職員として何十年も、恐らく三十年以上やっているわけでしょうから、沖縄の問題とか担当したこともあるので、それなりの知見はあるわけでございます。

神風委員 そもそも今回の在日米軍再編についても、二〇〇四年の九月に守屋次官が小泉総理に、この米軍再編の機会をとらえて沖縄の負担を軽減させましょう、そういった訴えによって動き始めたということも聞いているわけでありますが、ある意味でその一番のキーパーソンであるわけであります。

 今回、この委員会で守屋次官にその発言の真意を問いただしたいということで参考人として要求をしたわけでありますが、それは認められなかったわけでございます。ただ、先般の朝日新聞五月二十三日の世論調査によっても、在日米軍再編については、政府は国民への説明責任を果たしていないと見る人が八四%、また、日本の費用負担についても納得できないという方が七七%に上っているという結果も出ているわけでありまして、私たち国会議員も、与野党を問わず、十万票近くの票をいただきながら国民の代表として国会に来て、この委員会でもその真意をただすために質問をさせていただいているわけでございまして、何も秘密にしていることを話せということではなくて、講演で既に御自身が語られたことについて、その真意を確かめたいという意図で参考人として質問させていただきたいと言っているわけであります。その点、大臣としてもぜひ御検討をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 委員会でそういう御判断がなされたということでありますから、それはそれで尊重させていただきたいと思いますし、また、守屋の上司である私に聞いてくださればしっかりとお答えしますので、御理解をいただければありがたいと思います。

神風委員 ぜひ委員長にも、その点、御配慮の方、お願いしたいと思います。

 今回、米軍の抑止力の維持また地元の負担軽減ということが大きな柱となっているわけでありますが、やはり同時に、自衛隊と米軍の統合化、一体化という状況も相当部分、今回の点で進展をしていくのであろうと予想がされるわけでございます。キャンプ座間へ第一軍団司令部と中央即応集団が併存されるわけですし、横田には航空自衛隊の航空総隊司令部が併置をされるということでございます。

 二〇〇五年の十月に公表されております、これは外務省が出しているものですけれども、「日米同盟 未来のための変革と再編」の中に「共同統合運用調整の強化」についてという項目がございまして、「自衛隊を統合運用体制に変革するとの日本国政府の意思を認識しつつ、在日米軍司令部は、横田飛行場に共同統合運用調整所を設置する。この調整所の共同使用により、自衛隊と在日米軍の間の連接性、調整及び相互運用性が不断に確保される。」と書かれておるわけでございますが、この共同統合運用調整所というのはどういう機能を持っているのか。

 さらに加えて伺いますと、日米のロードマップの中にも「横田飛行場の共同統合運用調整所は、防空及びミサイル防衛に関する調整を併置して行う機能を含む。」と書かれているわけでありまして、「含む。」という以上は、それがすべてではなくて機能の一部である。ある意味では、陸海空三軍というか、すべてにおいての統合調整を行っていく機能を持つのかどうか、その点を教えていただきたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の共同統合運用調整所につきましては、情報共有等を通じて自衛隊と米軍の司令部との連携向上を図るため、航空自衛隊航空総隊司令部等の横田飛行場への移転に合わせてこの飛行場に設置されるものでございます。

 この調整所の機能としては、防空及び弾道ミサイル防衛に関しまして、日米の司令部組織間での緊密な調整や相互運用性の向上を図るとともに、防衛庁の統合幕僚監部と在日米軍司令部との間の情報の共有を図ることなどを通じまして、日本の防衛のための共同対処に資するものであると考えております。

 その意味では、航空自衛隊と空軍のみならず、自衛隊全体と在日米軍司令部全体の情報の共有を図ることとしているところでございます。

神風委員 今のお話ですと、ミサイル防衛だけに限らずすべてにおいてということでよろしいわけですね。

大古政府参考人 統合運用調整所そのものにつきましては、基本的には防空なり弾道ミサイル防衛が中心になるかと思いますけれども、日本の防衛に関連して必要な情報の交換を図っていくということを考えているところでございます。

神風委員 今回の在日米軍再編については、恐らくアメリカと日本との同盟関係に相当な質的な変化をもたらすものになるんだろう。つまり、アメリカ側のある意味で意図によりますと、日本に日米両軍の頭脳部が置かれることによって、結果的には我が国がアジア太平洋から中東、東アフリカ沿岸に至るアメリカ太平洋軍の戦力投射のハブになると言ってもいい状況が生まれるのではないかなと思うわけであります。

 結局、こうなりますと、日本にとっては、アメリカ太平洋軍の再編に伴うコスト負担だけではなくて、ある意味では憲法解釈の変更であるとか、あるいは憲法の改正といった政治的な課題というのを無意識の中で迫られていくということになっていくのではないかなと思うわけでありますし、場合によっては、国際的なテロにねらわれる危険というのも相当なリアリティーを持って増大していくのではないかなと思うわけでございますが、その点、どういったお考えでいらっしゃいますでしょうか。

額賀国務大臣 先ほど長島委員が、抑止力の維持を図りながら負担を軽減するということは、いわゆる同盟関係の協力、情報共有とか共同訓練だとか、そういう能力を高めていくことによって兵力削減が、負担の軽減ができる、それはある意味では日本のリスクの負担がふえていくということ、そのバランスをどう考えるかということの議論があったわけでございますけれども、私は、今ようやく日本の安保体制の中で、今度の米軍再編の合意書によって、例えば周辺事態だとか有事態勢のときの役割、任務、能力というものをしっかりと整えていこうというスタートになったんだと思うんです。今までは絵にかいたもちだったものを、そういうものをきっちりと実務的に、そういうみずからの、まず我が国の安全の問題について、そういうこともなし得ていない状況であるから、そういうことをしっかりとしていこうということの段階であると私は思っております。

 その上に立ってさらに周辺事態だとか国際協力だとか、そういうことが考えられていくことであって、今の時点ではまず、まだ、同盟関係として、あるいは日本の国としてアメリカとの関係をもうちょっとしっかりと形を実務的に整えていくことが要求されている段階ではないのかというふうに思っております。

神風委員 今回の米軍の再編は、単に基地が再編されるという現象ではなくて、ある意味で、日米安保改定後、同盟関係の最大の転換であると思うわけであります。そうした本質的な認識を持たないままに基地再編という矮小化した議論に終始することは、過去に大きな禍根を残す結果になっていくのではないかなと思うわけでございます。

 ちなみに、先ほど冒頭で御紹介しましたアメリカのシンクタンクのランド研究所が二〇〇一年に出しているレポートによりますと、日本の憲法改正にまで言及した記述が載せられている。「日本が領土防衛の枠を越えて安全保障の範囲を広げ、合同軍作戦の支援のための適切な能力を取得できるよう、憲法を改正しようとする同国の努力を米国は支援すべきだ。」といったような記述もあるわけであります。また、このランド研究所というのは、言うまでもなく、今の共和党政権とも非常に近い。政策立案にも深くかかわっている。しかも、調べてみますと、海外基地のあり方を検討するアメリカの海外基地見直し委員会の委員六名の中の一人にランド研究所の所長も含まれているわけでございます。

 そういった研究所が日本の憲法改正にまで踏み込んだ発言をされているということは、国会議員としては非常に不愉快な思いがするわけでございますが、先ほど田端委員からもお話がありましたけれども、主体性、日本がどうやって主体性を持ってそういった問題に取り組んでいくのか、両大臣に御決意のほどを伺って、終わりにしたいと思います。

額賀国務大臣 先ほども言いましたように、我が国は憲法に基づいて防衛体制、自衛隊の活用ということを考えているわけでございまして、さまざまな議論はありますけれども、私は、日本の安全保障というのは、日米同盟を中心として、我が国の自衛力を高めながら安全保障を考えていくことが適切であるというふうに思っておりますし、それはきっちりと憲法の枠内で考えていくべきであるというふうに思います。

麻生国務大臣 ランド研究所ですか。(神風委員「はい」と呼ぶ)一民間の研究機関が何言っても、それは言論の自由ですから、余計なお世話かなと思って聞いていましたけれども、その文章を読んでいませんので、何ともコメントのしようがありません。

 日本の憲法をどうするかということについては、それは、これだけ成熟した民主主義というものをつくり上げた日本の国家が、国民が考えて、憲法を改正しなければ対応できないような世の中になっているというようなコンセンサスができ上がりつつあるのかな、私はそういう感じはしております。余計なことを言われるとまた、あいつらに屈してやっているなんて言われかねませんので、そういうのは余計なお世話というのが一言だなというのが率直なところですけれども。こういう言い方はちょっと角が立つので、もう少し品よく言わなきゃいかぬところなんでしょうけれども、民間としていろいろな研究所がいろいろなことを言われるというのは、そういうことが許される自由はすばらしいと思います。

神風委員 どうもありがとうございました。

浜田委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 私は、日米安全保障協議委員会、2プラス2の最終合意につきましてお尋ねを申し上げたいと思います。

 まず、合意文書の中で、「新たに発生している脅威が、世界中の国々の安全に影響を及ぼす共通の課題を生み出しているとの見解を共有し、幅広い問題に関する二国間のますます緊密な協力に留意した。」とございます。この中で、「新たに発生している脅威」とはどこの何を具体的に指しているのか、外務大臣と防衛庁長官にお尋ねをしたいと思います。

塩崎副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の今の共同発表において、「新たに発生している脅威」と述べられておりますのは、例えば大量破壊兵器、弾道ミサイルの拡散、国際テロ組織等の活動などを含めまして、従来のような国家間の軍事的対立といったものだけではなくて、今日の新しい安全保障環境において新たに対応を迫られている、そういう脅威を一般的に指したものであろうというふうに思います。特定の問題についてこれと言って述べているわけではないのではないかというふうに思います。

額賀国務大臣 塩崎副大臣がおっしゃったのと共通するわけでありますけれども、冷戦後、いろいろな紛争が起こったり、テロが発生したり、あるいはまた核保有国がふえたり、大量破壊兵器の運搬手段が拡散したりして、冷戦時代は余り考えられなかったことが起こってきておりますから、そういうことにどう対応するかということについて、やはり一国だけでは守り切れない、だからお互いにこれは連絡し合い、あるいはまた共通の認識を持ってこういう不拡散あるいはまた対応策を考えようじゃないか、そういうことだと思います。

内山委員 麻生外務大臣は、五月二十三日、カタールのドーハ、中国の李肇星外務部長と一年ぶりの日中外相首脳会談を行いましたけれども、そのとき、大臣の考えで、中国は脅威というような考えといいますか、お考えをお持ちだったでしょうか、どうでしょうか。

麻生国務大臣 この話はよく出る話ですけれども、中国それ自体の経済力は、この十年間でGDPでいくと約四倍になっております。あそこは統計が余り正確じゃないような感じがしますけれども、約二兆一千何百億ドルぐらいだと存じます。それを仮に正確だとするならば、この十年間で約四倍ぐらいになっておって、結果として、中国は、間違いなく沿岸部において特に中産階級というのができ上がりつつある。

 これは、中国という国を見た場合、少なくとも、国が成熟していく段階においても、資本主義というものがきちんと育っていくためにも、この中産階級層ができ上がるというのはすごく大事な一つのステップだと存じますので、私は、基本的にこの点については、中国の発展は好機、いいチャンスだということをずっとこのところ申し上げている、この六カ月間、就任以来申し上げてきていると思います。

 脅威のところに関して言わせていただければ、少なくとも、今どれくらいになったでしょうか、ちょっと防衛費は正確じゃありませんけれども、四兆円ぐらいだと思います。あれが年間二けたで十八年間ということになりますと、今からでそれが仮にそのまま続いたとしますと、十八年間で約二十兆、複利で計算しますので。これまで来たのがこのままの勢いでずっと行きますと、日本の防衛費四兆何千億が同じ調子で行ったら脅威と感じない人は周りにおらぬと思いますけれども、そういう意味では、私どもは、その内容が極めて不透明、トランスペアレンシーがないではないかという点で、そこのところが明らかにされないと周りの国はそういった感じを持つということを申し上げているというのが正確なところです。

内山委員 同じように、外務大臣、北朝鮮というのは今どのようなとらえ方をされていますでしょうか。

麻生国務大臣 北朝鮮の場合は、二〇〇三年でしたか、我々は核を持っていると宣言をしておられます。事実、その核を搬送するためのミサイルの打ち上げを、一九九八年の八月三十日でしたか、少なくともテポドンという名前の、こっちがつけた名前ですけれども、名前で飛ばしておられるわけです。

 こういうようなものができる能力のある国が隣国にいる状況というのは、私どもにつきましては、それは明らかに、軍事力というのはその能力と意思でありますから、その意思があるなしにかかわらず、その能力があるということはその事実が物語っておりますので、私どもにはそれに対抗するだけの核を持っておりませんし、私どもはそれに対抗するいわゆる手段というものは日米安全保障条約以外は手段がありませんから、そういった意味においては、北朝鮮という国が、少なくともこの種の核保有とかいう一連のもの、また拉致含めて、私どもにとりましてはいろいろ危惧される点が多々あることは確かでありますので、ぜひアメリカ、中国、ロシアを含む六者協議に参加して、少なくとも、ステークホルダーとは言いませんけれども、責任ある立場としてきちんと対応してもらいたいという希望を言い続けてきております。

 これまでのところ、そういったものに対する反応は極めて悪いという状況でありますから、私どもとしては、それに対応するためには対話と圧力以外ほかに方法がありませんので、対話を継続しつつ、圧力という部分をいろいろな形でふやしていかざるを得ないというのが現状だと理解をしております。

内山委員 合意文書の中で、「閣僚は、日米同盟が、地域及び世界の平和と安全を高める上で極めて重要な役割を引き続き果たすよう、協力を拡大したいと考えていることを確認した。」こうございます。協力というのはどの程度までの協力の拡大を想定されているのか、外務大臣、防衛庁長官にお尋ねをしたいと思います。

額賀国務大臣 一つは、協力については、我が国の周辺事態だとか有事態勢に対するそういう任務、役割分担をどういうふうにして、きちっとマニュアル的にその役割分担を明確にしていく作業が残っております。そういうことをきちっとしないと、足元がだめだ。まず、戦後六十年、同盟関係を五十年余りやっていながら、そういうことがなされていないということ自体が物すごく平和だったわけでありますけれども、そういうことが当然なされなければならないということがあります。

 もう一つは、先ほど言ったように、テロだとかミサイルだとか、そういうことについての新しい脅威に対してどういうふうに協調関係を、情報収集とか情報共有だとか、そういうことをやっていくのかということがあると思います。

 もう一つは、やはり国際的な平和協力活動においてアメリカと日本はどういうふうに、これは安保条約とは別に協力体制がしけていくのか。例えば、スマトラの地震の支援体制のときがそうでした。そういったことを考えていくことではないかと思っております。

麻生国務大臣 御指摘のありました2プラス2の共同発表の中の部分に関しましては、協力を拡大していく意図というのを明確にしたところなんだと思いますが、では、何を具体的にやるのかという点につきましては、今額賀長官からの御答弁にもありましたように、少なくとも、日本の場合は、仮に朝鮮半島有事とか、何かテポドンとか、いろいろな有事は考えられますけれども、その有事が実際に起きたとした場合に、はい、では、これはどうなりますというのをシミュレーションやったことがあるかというと、そのときは我々は有事法制すら持っていませんでしたから、国民保護法も持っていませんでした。

 その前提で考えると、それはなかなか対応できなかったのが事実だと思いますが、幸いにしてその二つの法律ができ上がっておりますので、その法律によってもいろいろ対応できるような状況になりつつあることは、もう法的な準備が一応できておりますので、それに伴って、それは机上だけのものではなくて、きちんとそういったことができるかできないかというのは、私どもとしては、どの程度やれるかということに関しては不断の努力が要るのであって、安全保障条約とかいうのは一種の契約みたいなものですから、紙の契約というのは余り、実際になってみるといざ正確に作動するかどうかというのは不断の努力だと思いますので、条約も生き物と思っております。きちんとそういった不断の努力をやり続けていく必要があろうと存じます。

内山委員 具体的に、今、例えば確認された事項とか約束された事項というようなものはございますでしょうか。具体的に。

額賀国務大臣 役割、それから任務の分担というのは従来から言われてきたことでありまして、それが具体的になかなか作業が進んでいなかったので、これから加速しようというふうになると思います。

 あとは、具体的には、例えば弾道ミサイル防衛については、これまでも共同研究をしたり、中長期的な対策を立てると同時に、それからイージス艦を使ったりPAC3を使ったりして、短期的にもそういう迎撃態勢をつくろうというようなことは現実化しているわけでございます。

内山委員 少し心配するのは、自衛隊が他国の戦闘行為にまで入っていくような危険性が発生しないだろうか、何か歯どめをかけることができるのかというふうに心配をするんですけれども、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 日本の自衛隊の活動は、全部憲法、自衛隊法に基づいて動かされております。安保条約も、これは日本の防衛とそれからこの地域の安定のために行うことであり、武力行使は日本は行わないということできっちりとした制約があります。

内山委員 合意文書の中で、「アジア太平洋地域も、世界の他の地域と同様、不透明性や不確実性を生み出す課題に引き続き直面している。」こうあります。文中の「不透明性や不確実性を生み出す課題」とは具体的に何を指しているのか、お尋ねをしたいと思います。

塩崎副大臣 ただいまの不透明性、不確実性という言葉でございますけれども、アジア太平洋地域には、冷戦が終了したといえども、引き続き、地域紛争とか大量破壊兵器やミサイルの拡散等、依然として不安定、不確実な情勢というのが続いていることは御案内のとおりでありまして、具体的には、やはり、今回の共同発表に述べられた課題の中で、アジア太平洋地域の現状を踏まえるとするならば、北朝鮮における核計画、これも先ほど来お話が出ているとおりでありますが、それから、北朝鮮、それ以外の不法な活動や拡散の活動にも当たっているというふうに言われておりますし、それから、地域内における軍事力の不透明性、これについても先ほど来各大臣からお話があったとおりでありまして、こういったものを含めて不確実性そして不透明性と言っているんだろうというふうに思います。

内山委員 重複すると思いますけれども、膨大な移転費用を負担する今回のようなケースは世界で初めてであろうと思います。世界各国のどこにも、撤収する部隊に基地をつくってやる国はほかに例がないということだと思います。さらに、六十・九億ドル、約七千億円のうち、二十八億ドルの直接的な財政支出を含めて資金提供となっている、この主要使途明細はどうなっているのか、少し大ざっぱ過ぎなんじゃないか、こう思うんです。

 政府は、日本国民に対して、基地の建設規模、基本的な設計算出根拠というものを説明する責任、義務があると思いますけれども、いかがでございましょうか。防衛庁長官にお尋ねをします。

額賀国務大臣 基本的には、内山委員、これから具体的な計画を立てて、一つ一つ計画に基づいて積算をしていくことがスタートするわけでありますが、先般、日米合意の中でグアム移転をするときの大枠が決められましたね。

 その大枠のときにどういう概算でやられたのかということを説明させていただきますと、一つは、全体の経費の総額百二・七億ドルのうち、日本側の分担は六十・九億ドル。このうち、財政支出で整備するのは海兵隊の司令部の庁舎、教場、隊舎、学校等の生活関連施設の合計約二十八億ドル、これは上限であります。これから仕事を行う上でいろいろとコストダウンを図っていけば、軽減された分だけ日本の負担は減るわけでございます。

 また、家族住宅の整備については、二十五・五億ドルのうち、約十五億ドルを出資、融資を六・三億ドルとして措置をするわけでありますが、この二十五・五億ドルのうち、民活スキーム等を使って、二十五・五億ドル使わなくても目的を達成しよう、効率化、コストダウンを図ろう、その減った分はまた日本の負担が減っていくことになるわけであります。そのほか、電力とか上下水道などのインフラに融資七・四億ドルを措置するということでありまして、このうち、融資部分については、これはローンでありますから、返ってくることになるわけでございます。

 そういう形で大枠設定されておりますので、いずれも上限で、これから日本の努力によってさらにコストダウンが図れるということになっておりますので、これからしっかりと積算をしてまいりたいというふうに思っております。

内山委員 これも重複いたしますけれども、この費用の負担はどこの会計から捻出されるのかという問題でありまして、これから法整備をするのだろうと思われますけれども、谷垣財務大臣は、米軍再編成に要する経費はそのまま現在の中期防に上乗せにならないようにすると国会答弁をされておられますけれども、どのようにお考えになりますでしょうか、お願いをいたします。

額賀国務大臣 お答えします。

 これは、先ほども申し上げましたけれども、これから米軍再編全体の経費が幾らぐらいかかるのかということを具体的な実施計画をつくる中で積算されていくわけでありますから、その総額が出た段階で、中期防以外の金額でございますので、これを政府全体としてどういうふうに賄っていくのか、折しも財政が厳しいときでありますから、政府全体として節減合理化を図ると同時に、防衛庁もそれなりの努力をするということで考えていく、その中で中期防のあり方も視野に入れるという形で、これは財務省と基本的な考え方を同じくしているところでございます。

内山委員 そうしますと、中期防の正面整備などの予算を減額するというようなこともお考えなんでしょうか、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 今の段階ではもちろん、今言ったように、全体の米軍再編の予算がどれくらいかかるのかということを算定した上で中期防計画を考えるわけでございますから、その中で防衛費関係も節減合理化に努力するということは避けられないと思っておりますので、そこは、では何をどうするのかということについて今の時点で申し上げられない。ただ、方向性、考え方としてはそういう基本的な考え方で共通の認識を持っているということであります。

内山委員 現行法では外国の軍隊に設備費用の捻出ということはできないということでありますけれども、国民の理解が得られるようにするためには今後どのような手順で行うつもりなのか、さらにお尋ねをしたいと思います。

額賀国務大臣 これはもう、米軍の国内移転の場合は地位協定に基づいて国内予算で賄うわけでございます。今度は海外移転をするわけでございますから、基本的には従来の枠組みで負担ができないわけでございますから、これはどういうふうに負担をしていくかについてこれから考えていかなければならない。ただ、国民の皆さん方にもこれはよく説明をし、理解をしてもらわなければならない。

 そこは、どういう理由で国民の皆さん方に説明をしていくかというと、一つは、やはり沖縄の場合は第二次世界大戦の戦場で、そして占領期間も長かったし、そして占領期間が終わった後も米軍基地が集中しているところである。そういう中で、沖縄県民の思いをいたし、そして負担の軽減を図っていくために、沖縄県民にとってすれば、海兵隊の移転というのは長年の願いでもあったし、応分の負担をしていっても国民の皆さん方は理解してもらえるのではないかというのが、私どもの考え方でございます。

 つまり、沖縄県民だけに負わせるのではなくて、日本全体で負担をしながら、日本の安全保障を守り、そして沖縄の県民の負担を減らそうということについては、きっと多くの国民の皆さん方は共通の認識を持ってくれるのではないかというふうに期待をしたいし、説明をさせていただきたいというふうに思います。

内山委員 一点、グアムに移転をいたしました海兵隊の部隊に対して、もともと沖縄の部隊だということで、引き続き現在の思いやり予算という経費を行われることはよもやないだろうなと確認をしておきたいんですけれども、いかがでございましょうか。

額賀国務大臣 グアムに移転した方々に、その思いやり予算を使って移転経費を賄うという意味ですか。(内山委員「向こうに行った経費を賄うか」と呼ぶ)移転経費を賄うということはできません。

内山委員 それから、現在まだ、沖縄やまた全国各地に米国の基地が駐留をしていると思いますけれども、それぞれの今ある基地が移転するときに、今回のように当然のごとく費用が発生するわけでありますけれども、その費用の補てんのようなものが考えられるんでしょうか。いかがでしょうか。(額賀国務大臣「もう一度言ってください」と呼ぶ)現在、全国各地に、まだ基地の部隊、今回移動に該当しないような基地があると思いますけれども、そのような基地が今後移転をしたときに発生する経費の負担なんかも、これから同じように負担をさせられるのかどうかということであります。

額賀国務大臣 それは、海外に移転した場合、国外に移転した場合の話ですね。今度の場合、グアムに移転するということについての経費負担については、今申し上げましたように、従来の法律の枠組みでは負担ができないわけでございますから、これをどういうふうに、法律が必要なのか必要でないのかということを今考えている段階でございます。

 これは、ある意味では沖縄の軽減負担にストレートに結びつくことでやっておりますので、一般的に、ほかの米軍施設が自国に帰るから、ほかの国に移るからということで我が国が経費を負担するということは、常識的には考えられることではないというふうに思います。

内山委員 日米安全保障協議委員会、2プラス2の最終合意につきまして、イランとの関係について質問をしたいと思います。

 最終合意には、イランに対しすべてのウラン濃縮関連活動を停止し、IAEAの査察に協力するよう説得する努力において、緊密に協力することを確約するとともに、国連安全保障理事会の行動が協調してとられる必要性につき合意した、こう書かれております。

 現在の日本とイランの友好関係や油田開発などのプロジェクトが進行中であります。我が国の国益を考えるとき、もしアメリカが一方的に経済制裁を発動する事態になった場合に、イランと日本の関係が一挙に冷え込むことが想定されますけれども、どのように対応されるおつもりか、外務大臣にお尋ねをします。

麻生国務大臣 五月一日の日米安全保障協議委員会の中の文章を今引用されておられましたけれども、核拡散に関しましては断固たる処置で臨みます。

 イランと日本の場合は、友好関係というのは、特にアメリカは完全に関係が断ち切れておりますので、その中にあって、日本というのは、今の外務大臣が前の在日大使でもありましたし、関係もあって、私、この半年間でモッタキという人と何回やりましたかね、日本に来たのと電話でやったのが三回ぐらいあるかな、何かいろいろそういった関係が維持できているというのはアメリカにはありませんので、そういった意味では、日本との関係は決して悪くないと思っております。

 ただ、日本としては、イランに対しては、IAEAの理事会の決議、これが安保理の理事会の決議まで上がって、だんだんだんだん国際社会の要求事項というのは厳しくなってきているんだよ、どういう情報が、おたく、いろいろなところからとっているんだか知らないけれども、うちは六十年前に似たようなことをやって、世界じゅうを相手にやって、ぼろかすにやられた経験があるから、似たようなことにならないようしておかないとということは昔からの知り合いだから言っておくと。それだけはもう重ねて三回ぐらい言ったと思いますが、そういった耳を傾けないとだめですという話をしております。

 また、今アザデガンの話をされましたけれども、このアザデガンというのは埋蔵量も大きいし、結構昔から日本がやっておりますプロジェクトでもありますので、日本のエネルギー政策上極めて重要な場所であることははっきりしております。しかし、こういった経済プロジェクトの存在があるからといって、少なくともこの核の問題に関しての日本の対応、態度というものが日本の国の姿勢というものに影響を与えることはありません。

内山委員 時間が来ましたので、ここで終わりたいと思います。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 けさの閣議で、政府は、米軍と自衛隊の再編を実施するための政府方針について決定をいたしました。「普天間飛行場の移設については、平成十八年五月一日に日米安全保障協議委員会において承認された案を基本として、」「早急に代替施設の建設計画を策定する」ことを明記しております。

 これまでのいろいろな協議の結果、書きぶりがこのようになったものだと思いますけれども、改めて確認いたしますが、沖縄県が求めているキャンプ・シュワブ沿岸地区への暫定ヘリパッドの建設、政府としては受け入れる考えはあるんですか。

額賀国務大臣 今赤嶺委員がお読みをしていただいたとおり、五月一日の2プラス2で承認された案を基本として、これまでの県とか地元の人たちの意見をよく留意して、早急に代替施設の建設計画を策定するというふうになっております。

 政府案というのは、これはキャンプ・シュワブにV字形の滑走路をつくるということが日米合意であるし、またこれは地元の名護市も合意をしていただいていることでありますから、そういうことも踏まえて、早急に代替施設の建設計画を策定すると。策定する前に、これまでのSACO時代のいろいろな協議についての地元の意見はよく聞かせていただきます、そういうことでございます。

赤嶺委員 名護市長は、滑走路の長さについて、短くしてほしい、千五百メートルにしてほしいということを求めています。これは受け入れる考えはありますか。

額賀国務大臣 SACOの当時も、小型機のニーズにこたえるということが書いてあります。その上でこのヘリポートをつくるわけでありますが、小型機のそういうニーズにも対応するという形で千六百メートルの滑走路をつくる、そしてオーバーラン百メートルずつという形で日米合意をしておりますし、それが政府案の基本でありますから、それを基本として地元と協議をしていくということでございます。

赤嶺委員 SACOのときには小型機の受け入れで千五百メートル。今回、同じような小型機の受け入れで、名護の市長が、それならば千五百メートルにしてほしいというようなことを言っているわけですが、例えば、今、九九年の閣議決定で行われたさまざまな議論、平成十一年の閣議決定、そこに留意しながら進めるということがありました。その閣議決定の中に盛り込まれていたのが使用期限の問題、軍民共用の問題。今回、その閣議決定は廃止を盛り込んでいるわけですから、当然、軍民共用やあるいは使用期限は正式に廃止したということですか。

額賀国務大臣 ここに書いてありますことは「政府、沖縄県及び関係地方公共団体の立場並びに普天間飛行場の移設に係る施設、使用協定、地域振興等に関するこれまでの協議の経緯」でありますから、普天間飛行場そのものについての使用期限とか軍民共用化とか、そういうことについては念頭にありません。

赤嶺委員 結局、きょうの閣議決定というのは、V字形滑走路については表現はあいまいにした、沖縄側の、V字形滑走路は容認できないヘリパッドだということについて配慮したかのような装いをしながら、政府案を結局は押しつけるものだということにほかならないと私は思います。

 そこで、今度は普天間飛行場の代替施設の運用について聞きますけれども、ロードマップの中では、「安全性、騒音及び環境への影響という問題に対処するものである。」という表現が一般的になっているんですね。私は、そのロードマップが出る以前の当委員会でも質問をいたしましたけれども、住宅地上空を飛行しないようにアメリカ側に求めると言ってきました。そのアメリカ側の同意は得られたんですか。

額賀国務大臣 ロードマップの合意書の中に、普天間飛行場の代替施設については、安全それから環境、実現可能性等々を踏まえて考えていくということが書いてありまして、それがV字形の滑走路でございますけれども、これについては、日米合意の過程でアメリカ側は理解を示したものと思っております。

赤嶺委員 アメリカ側は理解を示したと。

 五月一日がロードマップでしたよね。五月五日にローレス国防副次官が日本のメディアのインタビューに答えているんです。こう言っているんですね。ヘリコプターの運用というのは、その性質上予測できないもので、通常どおり運用できないという状況は出てきますと日本向けのメディアに言っているんですね。

 交渉当事者のローレスさんが、住宅地上空を飛ばないという約束はできない、このように言っているわけですよ。なぜそれが上空を飛ばないと言えるんですか。

額賀国務大臣 それは、ローレス副次官がどういう条件のときにそういうことを発言したのかよく承知をしていませんし、その前後の文脈がどうなっているのか承知しておりませんからコメントはできませんけれども、私としては、米国側は2プラス2の最終合意において、我々が提示したこの代替施設案について理解を示したものと思っております。

赤嶺委員 理解を求めたと言うけれども、その理解の中身がローレスさんがおっしゃるような内容であれば、どんな理解を求めたかということが問われると私は思うんですよ。ローレスさん、相手は交渉当事者ですからね。やはり住民の要求は上空を飛ばないということです。住宅地上空は一切飛ばないというのをアメリカ側に約束させることであります。

 合同委員会で合意する。これは、住宅地上空を一切飛ばないということを合同委員会の合意として政府は求めていくのですか。

額賀国務大臣 日本が提示した代替施設というのは、地元との合意の上に立った絵でございます、考え方でございます。それは住居の上を飛ばないということの上に立ったV字形滑走路でありますから、そういうことを説明し、そして理解を得たものということでございます。

赤嶺委員 合同委員会の合意の中で住宅地上空は一切飛ばないと、ローレスさん、あなたが五月五日にいろいろおっしゃっているようだけれども、そういうことじゃないんですよというようなものを、合同委員会合意を明確に行うわけですね。

額賀国務大臣 これからキャンプ・シュワブのことについて基本的な、その合意書に基づいて、これから実施計画をつくっていくわけであります。そういう中で、地元とも話し合いをし、そして米国側とも話し合いをする。合意書の中の理解に基づいた形でそういう実施計画をつくっていくということであります。

赤嶺委員 合同委員会の合意というのは、いつ、どの時点で結ぶのですか。

北原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま赤嶺先生の御指摘は、さかのぼりまして十四年七月二十九日のいわゆる代替施設の使用協定に関する基本合意書、それを念頭に置いて御質問されていると思います。

 これとの関係で、今の御質問の点につきましては、今後、地元と政府は使用協定をつくっていくことになるかと思います。そうした中で、その使用協定の中身については、合同委員会の合意等を得るということが十四年の当時も決まっておりますので、政府としては、そうした考え方のもとに、今後そういった形でのものをつくっていく。ただし、まずその大前提になりますのは、本日の閣議決定にもございますように、これから実施計画をつくるということでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘の点、過去、経緯もある点でございますので、政府としては、整々と、また地元との基本合意書等に基づきまして、また2プラス2で承認された日米の合意に基づきまして誠実に実施してまいりたい、そのように思っております。

赤嶺委員 使用協定というのは、いつ、どういう時期に結ぶんですか。

北原政府参考人 これにつきましては、まだいつの時点でということは決まっておりません。ただ、いずれにいたしましても、運用をする等に当たりまして、使用協定の中身につきましてはこれから詰めていくわけでございます。十四年の時点でその例示は既に挙がっておるわけでございますので、今回、四月七日の、私どもの大臣と地元の名護市長さんあるいは宜野座の村長さんとの基本合意書、並びにこの2プラス2での承認されたロードマップ等に基づきまして、また閣議決定に基づきまして誠実に実施をしていく。まだこの時点では、いつということは申し上げられません。

赤嶺委員 住宅地上空は飛ばないんだ、負担の軽減につながるんだ、安全性は確保されるんだと言いながら、今の議論を聞いていて、今の議論を国会でやった後にアメリカ側の交渉当事者がああいう発言をする。そして、それの担保をとるために政府は何をやるんだといったら、全部先送りなんですね。

 結局、後になって振り返ってみたら取り返しのつかないような基地の運用だったという経験を我々は、沖縄の人々は何度も味わってきているわけです。本当に、今回の閣議決定というのも、住民の生活にかかわる問題、安全は先送りにして基地建設だけは進めさせていただきますという合意になっていると思うんです。

 それで、閣議決定ではこう言っています。「幅広い国民の理解と協力を得て今後とも施設・区域の安定的な使用を確保し、日米安全保障体制を維持・発展させるためには、抑止力を維持しつつ地元の負担を軽減することが重要」、このように述べております。しかし、今回日米が合意した米軍、自衛隊の再編、これには今も多くの自治体、住民が反対をしております。政府の滑走路二本案、これには七割を超える県民が反対です。

 そういう中で、地元との協議も十分行わないまま、頭越しに今回の閣議決定であります。再編案を着実に実施していくことが必要と述べながら、これだけ多くの国民が反対している再編計画を実施することがどうして国民の理解と協力を得るということになるんですか。

額賀国務大臣 いろいろなマスコミ等の世論調査で、反対が多い部分が見出しになったりすることがあるんですけれども、先般、朝日新聞だったかな、何かの世論調査のときに見て、中をずっと読んでいくと、今度の普天間の問題について、沖縄の負担軽減になりましたかという質問に対しては、半分以上が負担の軽減になっていますというのが出ておりました。

 そういうように、やはり、本当に国民の皆さん方の思いとか県民の皆さん方の思いというのはどこにあるのかということ、あるいはまた、五年先、十年先、二十年先のことを考えて今何をなすべきなのかというようなことをよくよく考えていきながら仕事をするのが我々の立場ではないのかというふうに思っております。

 今度、沖縄県とか名護市との間ではそれぞれ合意書、確認書をとりながら、我々はよく地元の意見を聞きながらこの閣議決定になったわけでございまして、しかもなおかつ、引き続き地元の皆さん方としっかりと意見を交換し、地元の皆さん方の意見が反映されるような形に努力していくことをしたいと思っております。

赤嶺委員 普天間飛行場の代替施設の建設が県民の負担の軽減になるというぐあいに、長官、これを沖縄でおっしゃってみてください。どんな反応が出るか。

 けさの閣議決定、長官は地元とよく協議して決めたということを言っているんですが、県知事がコメントを出しました。「沖縄県としては、」今回の閣議決定は「県や地元関係市町村と十分な協議が行われたとは言えない中で、このような閣議決定がなされたことは、極めて遺憾であります。」こう言っているんですよ。沖縄県知事でもあなた方の閣議決定は遺憾だと言っている。

 そういう状況、そういう関係がある中で、本当に理解が得られるのか。理解が得られなくてもつくるということなのか。理解が得られなかった場合、一体、こういう状況が続いた場合、どうするんですか。長官がさっき繰り返したことは何もないですよ、今のコメントに。ないんですよ、専管事項というのも。政府が決定するも何もないんですよ。

額賀国務大臣 今赤嶺委員がおっしゃったのは、知事は今東京に来ております、沖縄県でだれか代理の者が読み上げたコメントでありますが、知事は記者団のぶら下がりでこういうことを言っております。閣議決定というのは政府がなされることであり、国の考え方であることは十分認識している、しかし、県は従来から県としての基本的な考え方をしっかり持っている、今後ともしっかりと主張していきたいという云々のことがあります。したがって、今後とも、協議の場について、関係市町村とよく連携をとりながら話し合いをしていきたい、みずからの記者団に対するコメントはそういうことを言っております。

赤嶺委員 それで確かめたんです。知事のコメントとして正式に出されて、沖縄現地で副知事が知事コメントとして発表した正式のコメントですということなんですよ。今長官がぶら下がりで知事が語ったという部分でも、遺憾であるという基調の流れの中での発言なんです。

 結局、あなた方は、名護市長の同意を得たと言ったけれども滑走路の問題が出てくる、知事の合意を得ていると言うけれども今のような問題が出てくる、地元の理解は何も得られないまま進めようとしている。こういうものが成功するはずはないということを厳しく指摘しまして、私の質問を終わります。

浜田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 社会民主党・市民連合の辻元清美です。

 私は、先ほどから皆さんが取り上げていらっしゃいます米軍再編に関する閣議決定、その中でも、この普天間の代替施設関連で質問をしたいと思います。

 額賀長官にお伺いします。

 今のやりとりをお聞きしておりまして、私は、長官、やはり今の稲嶺知事の立場をかなり深刻にお考えになった方がいいと思います。ぶら下がりで閣議決定は立場が違うから理解するということを先に振りかざして、大臣がこの事態を語るべきではないというふうに思うんです。

 正式に発表されました先ほど赤嶺議員が示されたコメントも、私、驚きました。冒頭にも「極めて遺憾であります。」があって、また中にも「しかるに、今回の閣議決定については、県や地元関係市町村と事前の十分な協議はなされておりません。」と書いてあって、このような、「沖縄県及び関係地方公共団体との「事前の協議」が確約されているにもかかわらず、それが十分になされないまま閣議決定がなされたことは、極めて遺憾であります。」と、何カ所にも抗議の姿勢のコメントを発表されているんですね。

 ですから、私は、それをやはり謙虚に受けとめるべきであるということを、私の前の赤嶺議員は沖縄の出身でいらっしゃいますので、引き続いて強く申し上げたいと思います。

 そこで、長官にお聞きしたいと思うんですが、知事は何で怒っていると思いますか。一番の長官と知事の今の食い違いはどこにあるんでしょう。どのように御理解されていますか。

額賀国務大臣 私は、沖縄のこの米軍再編の問題について、知事さんを初め関係市町村長さんと何回となくひざを突き合わせて意見交換をし、あるいはまた電話で話をしたりしてきた経緯があります。

 今回のコメントについて、確かに沖縄で発表された知事コメントについては、県と関係市町村と十分な協議が行われたとは言えない中でこういう閣議決定がなされたことは遺憾であるという意見が出されていることは承知しております。

 しかし、我々は、十分にこれからも沖縄県と意見を調整しながら具体的な建設計画をつくっていくということの姿勢については、沖縄知事も関係町村の皆さん方もよくわかってくれていると思っております。

 したがって、その記者団のぶら下がりについても、我々は、政府の立場、県の立場あるいはまたそれぞれの地域の立場というものをお互いにわかりながら、安全保障あるいはまた地域の問題について、お互いにどういうふうに解決をしたらいいのかというぎりぎりの接点を探りながら今最終的な解決策を探っている段階であり、しかもなおかつ、私どもは、名護市とは一定の合意書を、お互いにサインをし、知事とも今度の再編の問題についての方向性について確認書を交わしているわけであります。その中で、お互いに、誠意を持って協議をしていく中で解決を図ろうということの共通の認識を持っているわけであります。

 その中で、それぞれ、知事の立場それから名護市長の立場というのはよく承知をしております。しかし、私は、国の安全保障を預かる立場として、しっかりとやはり国全体としてやっていかなければならないこともまたきちっと言わなければならない立場でもあるわけであります。

 そういう中で、今後もしっかりと協議をしていきたいし、そして、政府の基本的な考え方をお示しした中で、今後地元とよく協議をしてまいりたいというふうに思っております。

辻元委員 そうしましたら、その協議の中身にはこの代替施設の実態というものも入ってくるかと思いますので、引き続き、具体的な問題、ずっと私が取り上げております桟橋問題について、幾つか事実関係を御答弁いただきたいと思います。

 前回、私は、軍港施設につながるのではないかという質問をいたしました。そこで出てきた答弁が、天願桟橋の機能というような話が出てきております。

 そこで、お伺いしたいんですが、この御答弁では、天願桟橋ですと、二万トンの船が横づけできる桟橋でございますというように答えているんですけれども、この天願桟橋と同じような機能、規模と考えていいんでしょうか。

北原政府参考人 辻元先生に御答弁申し上げます。

 今回の普天間代替施設におきましてつくる揚油用の桟橋につきましては、これからどういう形でということを詰めていくわけでございます。

 ちなみに、天願桟橋につきましては、現在、桟橋の長さが大体二百六十メートル、それから陸岸から桟橋を結ぶ道路の長さは約四百メートルになっておりますが、ただ、これはあくまでも天願桟橋がそういうことでございまして、普天間代替施設の中で設ける桟橋がどういう形になるかはこれからの問題でございます。

辻元委員 天願桟橋で今給油を行っているということは、同じ規模の船が入ってくる可能性があると考えられます。

 例えば、二万トンという船の規模を考えますと、呉の場合ですと一万トンの船なんですよ、入れるのが。横須賀の海軍施設で二万トンの艦船です。

 ですから、二万トンの船が着けるというのはかなり大規模な、桟橋というのは海に突き出しているから桟橋であって、岸壁と同じ機能というように考えられるんじゃないですか。いかがですか。

北原政府参考人 先生は、岸壁をイコール例えば港といいますか港湾施設と考えて御質問をされていらっしゃるかもしれませんが、私どもが代替施設で考えておりますのはあくまでも桟橋でございます。しかもこれは、今回つくります普天間代替施設、そこに離発着するヘリコプター並びに小型の輸送機等に油を供給するための桟橋でございます。

辻元委員 二万トンの船が着けられる。例えば、軍事関係で、揚陸指揮艦ブルーリッジ級というのが大体一万九千トンぐらいなんですね。それから、よくミサイル巡航艦のタイコンデロガと聞きますけれども、これで九千九百トンですよ。ですから、一たびつくると、それがどのように使われるかということは保証がないというふうに私は非常に懸念しておるわけです。

 そういう中で、もう一点、この桟橋の機能に桑江タンクの代替機能を持たせるという予定はありますか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今、桑江のファームのお話があったと思いますが、それは、現在普天間の飛行場がそこから油をもらっているということを念頭に置かれた御質問だと思います。

 したがいまして、我々といたしましては、今後、普天間代替施設につきまして、貯油施設をどうするかといった問題がありますが、この点につきましては、現在は米側と調整をしていくという状況でございます。

辻元委員 やはり何を聞いても、調整していく、桟橋の長さもわかりませんと。これで地元と何を協議するのかということは、私だけではなく、地元の皆さんが一番深刻に考えていらっしゃる点だと思います。

 もう一点お伺いしたいんですが、すべての代替施設の埋立面積はどれぐらいになるとお考えですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 普天間代替施設の埋立面積につきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、これから具体的な計画を策定する中で決定してまいりますために、現時点においては確たることは申し上げられません。

辻元委員 そうすると、地元の皆さんと何の話し合いをしているんですか。具体的にお答えください。どういう説明をしているんですか、この代替施設について。いかがですか。

北原政府参考人 私どもといたしましては、もちろん普天間代替施設の機能、そこで果たす役割、それから、例えば、これまで私どもが政府案で示してまいりました沿岸案というのがいわゆる大体百三十ヘクタールと申しておりましたが、それよりはV字形になることによって若干大きくはなるだろう等々の御説明をさせていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、現時点におきましては、具体的に何ヘクタールになるといったことをお示しすることは難しいということは御理解いただきたいと思います。

 ただ、先生、全くあらあらの数字で、私どもが念頭に置いております数字をあえて申し上げれば、今、今回のV字案は陸上と海を一部使います。陸上につきましては大体四十ヘクタールくらいになるのではなかろうか、海には大体百四十ヘクタール、トータルで百八十くらいにはなるのではないかと思っておりますけれども、これは全くのあらあらの数字でございまして、まだ確たる数字ではございません。

辻元委員 実は、地元の中には漁協の皆さんも入っています。この大浦湾というところは、非常にいろいろな魚がとれるきれいな湾なんですね。ちょうど湾の中を海流が対流しますので、非常に魚の水揚げもいいわけです。そして、いつも澄み切った水です。そこを、今百八十ヘクタールとおっしゃいましたけれども、埋め立てをするとなること自体、中の対流をとめてしまう。そして、大浦湾の入り口には大きなサンゴ礁があります。環礁があるんです。ですから、大型艦船が入るとすればこのサンゴ礁はつぶさなきゃいけないというような、環境面でも前の案よりもこれは深刻な事態だと思います。

 今時間が参りましたので、この点については引き続き追及していきたいと思いますけれども、これで地元の理解が得られていると私も理解できないです。地元の人はもっと理解できないですよ、何を聞いてもわからないでは。

 ですから、引き続き本委員会を、委員長、ぜひ来週も再来週も開いていただくことをお願いしまして、終わります。

浜田委員長 理事会で協議させていただきます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十分散会


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