衆議院

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第9号 平成18年6月15日(木曜日)

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平成十八年六月十五日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 寺田  稔君 理事 仲村 正治君

   理事 吉川 貴盛君 理事 長島 昭久君

   理事 佐藤 茂樹君

      安次富 修君    石破  茂君

      小里 泰弘君    大塚  拓君

      瓦   力君    北村 誠吾君

      高木  毅君    谷川 弥一君

      福田 良彦君    宮路 和明君

      山内 康一君    山崎  拓君

      細野 豪志君    前田 雄吉君

      渡辺  周君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    阿部 知子君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      額賀福志郎君

   防衛庁副長官       木村 太郎君

   外務副大臣        塩崎 恭久君

   防衛庁長官政務官     高木  毅君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 和田 智明君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松山 健士君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   門司健次郎君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用局長)    山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 梅田 邦夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊藤 秀樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省経済協力局長)  佐藤 重和君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 玉木林太郎君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  辻元 清美君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     辻元 清美君

    ―――――――――――――

六月五日

 米軍と自衛隊の一体化及び自衛隊の役割強化反対に関する請願(阿部知子君紹介)(第二六八九号)

同月九日

 米軍と自衛隊の一体化等に関する請願(志位和夫君紹介)(第三二三一号)

同月十三日

 米軍と自衛隊の一体化等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三九五八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 閉会中審査に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官和田智明君、内閣府大臣官房審議官松山健士君、防衛庁防衛参事官門司健次郎君、防衛庁防衛局長大古和雄君、防衛庁運用局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、外務省大臣官房参事官梅田邦夫君、外務省大臣官房参事官伊藤秀樹君、外務省北米局長河相周夫君、外務省経済協力局長佐藤重和君、外務省大臣官房国際社会協力部長神余隆博君及び財務省大臣官房審議官玉木林太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 本日は、二十分間質問の時間をいただきまして、先般の2プラス2の合意について、外務大臣そしてまた防衛庁長官に何点かお伺いをいたしたいというふうに思います。

 まず、早速でございますが、先月の五月十一日の衆議院本会議におきまして、私からの代表質問に対しまして、外務大臣そして防衛庁長官、それぞれ御答弁をいただいたところでございます。

 そこで、まず麻生大臣にお聞きをいたしたいわけでございますが、麻生大臣は、中国におけます安全保障情勢の御認識いかんということでお尋ねをいたしましたところ、中国については、軍事力の近代化という点を御指摘になられました。そしてまた、年々増大をする防衛費について、依然として不透明な点があるという御答弁であったわけでございます。

 そこで、まず最初に、大臣が言われた軍事力の近代化についての言及でございますが、確かに、最近中国は急ピッチでいろいろな面で近代化を行っている。例えば、陸の部隊でしたら自走りゅう弾砲の整備でありますとか、あるいは海でしたら潜水艦、護衛艦、そしてまた空の方は戦闘機、いわゆるアタッカーと呼ばれる攻撃機と、後方の支援戦闘機、いずれも整備をしております。あと、神舟六号の打ち上げにも成功して、ロケット技術を中心として地対空ミサイルの整備、しかも新しいバージョンへの換装、バージョンアップを行っている。かなり急ピッチで行われていると思うわけです。

 大臣はこれらのさまざまな分野における近代化の意味合いをどういうふうに評価されているか、また特にこの点について非常に注目をしているというふうな点がありましたら、ぜひ披瀝をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 寺田先生もう御存じのように、軍事力と言う場合は基本的には三つ、まず能力、規模という定量的な話と、それを使ってどうするという意思、そしてそれを使うという意思を相手に知らしめておる、多分この三つをもってはからねばいかぬところだと思います。残り二つはなかなか見えにくいところではありますけれども、少なくとも一番わかりやすいのはその規模、量というところですが、軍隊の規模からいったら、二百万台といえば一番大きなところだと存じます。人口が多いせいももちろんあります。

 しかし、装備が今まで旧式だったんですが、このところ今言われたような装備が非常に急ピッチに新しくなっていっているというのは紛れもない事実と思って、これはいろいろな年鑑等々でもはっきりしているところだと存じます。このような状況に注目をしておくのは隣国としては当然ということになろうと存じます。

 公式発表によれば、二けたの伸びというのが過去十八年間ということになりますと、もとの職業柄お詳しいところですが、今、約四兆二千億円ぐらいの予算規模だと思いますが、この国防費の伸びが仮に一〇%の伸びであったとしても、少なくとも十年すればこれは間違いなく十兆、十八年たちますと二十兆ということで、それは一〇%で複利で計算しますから。一三だ、一四だということになると、さらにふえることになります。

 したがって、この伸び率を見ると、その内容を何にしておられるんですか、何に使っておられるんですかという透明性をきちんと示していただかないと、隣国にとってかなり不安を与えているということはもう間違いない事実だと思いますので、私どもは、この透明性の向上というのが第一ということを申し上げてきております。

 そして、五月でしたか、カタールのドーハで行いました我々の公式な質問に対しましても、日中の安全保障対話というのを、これまで長いこととまっておりますので、その日中安保対話の年内早期実施及び防衛交流の促進ということで一致をいたしておりますので、今後とも、この問題点の提起に対しまして向こうの対応があっておりますので、これを早期に実現していきたいというように考えております。

寺田(稔)委員 確かに、これらの近代化を中国は急ピッチで進めている。大臣が言われたとおり、なかなかその点の透明性がないので、我々としては今客観的な傍証から推しはかっているわけでありますけれども、とりわけ注目したいのは、シーレーン防衛の強化、すなわち海軍力の強化、これをかなり急ピッチで進めているのではないかというふうに私は見ております。

 中国は、実は、国是として海洋国家、海洋大国を目指している。すなわち、これは上海新港、洋山の港湾開発もありますし、また中国フラッグの商船隊、これを急速に今育成しつつあります。その防衛のためのシーレーン防衛もある。さらには、潜水艦の強化によりまして、特に島嶼部防衛、台湾海峡の問題。またさらには、春暁油田を中心といたします海底資源開発の問題がありますね。ここらの防衛も今急速に築いておりまして、海において中華思想を、すなわち拡大志向を極めて猛烈に強めてきている。したがって、この点はやはり最重要の課題として我々も認識をしたいし、ぜひともそういった年内の防衛対話でそこらの透明性も明らかにしていただきたいというふうに思うわけでございます。

 したがって、そういうふうな情勢を十分に踏まえて、これからは日中間の、まさにお互いがお互いを律するような関係に持っていっていただきたいというふうに思います。

 次に、額賀長官の方から、私の抑止力の問いに対しまして御答弁がございました。これは、どういうふうにして抑止力が維持されるかというふうな問いに対しまして、大臣の方から、日米間の緊密な協力、共同訓練、また情報の共有等によって維持される、維持が図られるという御答弁だったわけでございます。

 これはもう釈迦に説法でございますが、抑止力とは、他国が攻めてきたときに、こっちがやられても相手をやり返す、したがって相手もダメージを受ける、これが抑止力でございます。すなわち、攻める側から見ると、日本を仮に攻める、攻めることができても日本の方から非常に有効な反撃を食らう、したがって攻めること自体をためらう、これがディターランス、抑止力の本来の意味合いであります。

 したがって、抑止力の重要な部分というのは、敵地攻撃能力、すなわち敵基地攻撃能力ですね、これが実は抑止力の重要な構成要素になっているわけでありますが、我が国の自衛隊は、これは御承知のように専守防衛を旨としておりますから、その部分では力を発揮できません。トマホークも持てません。したがって、専らその部分は米軍に頼ることになるわけですけれども、まずこの点について、認識が共有できるか、お伺いをいたしたいと思います。(額賀国務大臣「日米間の共有ですか」と呼ぶ)抑止力の概念について、今私の考えに共有できるかなと。

額賀国務大臣 そうですね、おっしゃるとおりだと思います。

 日本を攻撃しても、自分、攻撃した国、攻撃をした主体にとってプラスにならないという思いが一定の抑止力の効果であろうというふうに思います。

寺田(稔)委員 そうだとしたら、抑止力の主要な部分は、すなわち敵地攻撃能力の部分は、安保条約によって米軍に頼らざるを得ないわけですから、仮に米軍と自衛隊とが一層協力を密にした、大臣答弁がそうでしたね、密にしたとしても、自衛隊としてその抑止力の部分について貢献できるものは少ないと思うんですが、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 例えば、弾道ミサイル防衛で技術研究をしたり共同開発を図ったりして、現実的に、これはもう隣国からあるいはどこかからでも攻撃を受ければ短い間に対応措置をとらなければならない。そのときに、抑止力というのは、だから、これを迎撃できるというのも一つの抑止力ですね、効果がないという意味では。その意味で、日米の間でさまざまな情報を共有したり、あるいは共同で訓練をしたり、あるいはまた運用を高めていったり、技術力を高めていったりしていること、それはまた同盟関係の信頼を強めていっていることになっている、こう思います。

 では、発射基地に対してどう対応するかということでありますが、それは、今委員もおっしゃるように、盾と矛の関係で米国にお願いせざるを得ないところがあるわけでありますけれども、そういうことについても、日米同盟の信頼関係というものがやはり基盤をなしていくことであるし、その中で、お互いに共同訓練だとか情報共有をしたりしていく積み重ねが私は抑止力の維持に効果を上げているもの、こういうふうに思います。

寺田(稔)委員 今防衛庁長官、ミサイル防衛を例示で出されましたけれども、ミサイル防衛は、これは抑止力とは全く関係ないんです。

 というのは、抑止力というのは、相手が攻めてきたときに攻め返す、そのことによるいわゆる相互拒否体系という今抑止の体系がありますけれども、それが抑止力の構成要因。ミサイル防衛というのは、相手が攻めてきたときにその相手の攻めてきたものを無力化するのがミサイル防衛ですから、国際的な軍事の世界でも、これは決して抑止力とは言わないんですね。したがって、もちろんミサイル防衛で協力を強化してXバンドレーダーを据えるとか、その機能を高めることはもちろん重要ですから、これは専守防衛の世界の一環であります。

 したがって、この抑止力という意味では、やはり専ら米軍が行使をすべきものであることは、これは私は明らかだと思うんですよ。そのときに、抑止力を発揮し得る、今不安定の弧の東側にある重要拠点基地が四つあるわけですね、ディエゴガルシアとアプラとアンダーセンと嘉手納です。この四つなんですね。

 実は、今回の2プラス2の合意の一つの重要な要素が、八千人の在沖海兵隊のグアムへの移転なんですね。グアムという地は、仮に仮想敵を中国に置くにせよ北朝鮮に置くにせよ、ロケーション的に、非常に精度の高い短距離、中距離ミサイルのターゲットを避けつつ、しかし相手に対して効果的な反撃を出すことができる非常に重要な拠点基地であることは、これはもう軍事の専門家の常識になっております。

 その際、重要な点は、岩国にKCが行くわけです。岩国にKCが行きますね。これは、戦闘機のレッグを伸ばす効果があるわけです。したがって、ワンレッグで嘉手納から、あるいはまたアンダーセンから有効な抑止としての敵地攻撃能力を発揮できる。そういう意味合いを私は今回のこの在沖海兵隊の移転は持っている。すなわち、抑止力をその点については増すんだという説明が可能かと思いますが、この点について大臣のお考えをお聞かせください。

額賀国務大臣 KC130が、海兵隊のヘリについての給油、補給ですね、この操作は可能だと思いますが、戦闘機に対してこれが効果的にできるのかどうかということは、技術的にちょっと問題があるんじゃないかという思いがいたしますけれども、例えば、それについて、どの程度その差があるかどうかについて把握しておりません。が、戦闘機とヘリと給油装置の機能は違っているんじゃないかと思いますけれども、そこのところは、ちょっと後で政府委員の方から答弁させます。

寺田(稔)委員 KCの具体的な機能については後ほど政府委員からということでしたけれども、きょうはちょっと時間の関係もありますので、このKCの機能については後ほどまた別の機会に検証したいと思います。

 今申し上げましたように、相手に対する有効な打撃という意味では、グアムは極めて軍事的な位置づけが高い、ディエゴガルシアもそうであります。したがって、我が国としては、この在沖海兵隊のグアムへの移転を一層早い段階で促進してあげる。これは二重の効果があるわけです。一つはグアムにおけます機能強化、もう一つは沖縄の地元基地負担の軽減という意味で、これは極めて重要です。

 でき得ればこの八千名を、七千から千名上積みをされた、これはもう高く評価をするものでございますけれども、さらに上積みをする、さらに上積みをする。あるいは、より一層、その時期を明示して、前倒してグアムへの移設を促進してあげる、こういう努力が必要かと思いますが、防衛庁長官、いかがでしょうか。

額賀国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 ですから、まず我々は沖縄の負担の軽減のためにこれをスピードアップさせる、早期に実現するために一定の負担をしてもいいのではないかという判断でこの前の合意書をつくらせていただいたわけであります。

 それは同時に、米国にとっても戦略的な意味で一定の効果が、抑止力の維持を損なわないという思いもあったというふうに思っておりますので、それはもう委員のおっしゃるとおりであると思っております。

寺田(稔)委員 したがって、抑止力という点ではその点は非常に意味がある。しかし、Xバンドレーダーであるとか共同訓練、共同運用あるいは相互運用性の向上、これは直接、抑止力とは私はダイレクトなものではないという認識なんです。すなわち、仮に米軍に対して後方的なサポートをする、ロジスティックのサポートをするとしても、それはあくまで後方支援であって、直接的な敵基地攻撃能力とはリンクしない、そこはむしろ明確に分けた方がよろしいかと思いますが、この点は確認ですけれども、よろしいですよね。

額賀国務大臣 日米の間で共同研究をしたり、開発したり、お互いに情報を共有して対処能力を高めていくということは、日米同盟の信頼関係を強めていくことになるわけですね。

 それは、だから、おっしゃるように、その迎撃態勢をつくるということは、逆に今度は米国にとっても、反撃をする、しなければならないという同盟国としての信頼感を強めていくという意味で、私は、抑止力の効果につながっていくものという考え方で先ほど述べさせていただいたわけであります。

寺田(稔)委員 したがって、そこはもちろん相互運用性が高まることによって、いわゆる相互の運用についての信頼性がより一層高まる、あるいは、日米安保条約の実際の運用面における信頼、メンタルなものも含めてですけれども、それは確かにおっしゃるとおりであって、もちろんいいことであります。それは、我が国の防衛にとっていいことでありますけれども、相手に対する攻撃能力に対する支援でないということは、くどいようですけれども、よろしいですね。(額賀国務大臣「はい」と呼ぶ)はい、わかりました。

 したがって、そういう意味で、我が国としてもそういうグアムの移設を一層促進する、そしてまた地元基地負担の軽減を全力を挙げて取り組むべきであるというふうに考えますが、最後にこの点についての御決意を、麻生大臣とそして額賀防衛庁長官、それぞれに一言ずつお伺いをいたしたいと思います。

額賀国務大臣 日米合意について、先般、閣議決定もしたわけであります。これが、政府としての決意の表明でありますので、新しいその展開をぜひ我々政府挙げて対処していきたいと思いますし、防衛庁としても全力投球でこの実現方を図っていきたいというふうに思っております。

麻生国務大臣 今御指摘ありましたように、協定、一種の契約みたいなものですから、この契約はいざというときに、実質的に、合理的、極めて有効に稼働をさせ得るように、不断の努力なり、ふだんからの机上以外の訓練等々を、実際に即した面を、我々として、まだ整備不十分なところも幾つかあろうと思いますので、そういったところを含めてきちんと対応していくように最大の努力をしておかねばならぬと思っております。

寺田(稔)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 恐らく、当委員会、きょうがこの通常国会での最後の質問の機会じゃないかと思いますので、現下の問題につきまして何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。

 一つは、ジャワ島中部地震も起きまして、災害救援ということに対して非常に意識が高まっているかと思うんですけれども、アジア太平洋地域での災害救援のあり方につきまして何点か防衛庁長官並びに外務大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 一つは、六月三日に防衛庁長官が、アジア安全保障会議、通称シャングリラ会議と言われているんですけれども、そこで講演をされまして、一言で言うと、アジア太平洋地域の地震などの災害が起きましたときに、各国の軍組織が共同で救援活動を行うような、そういう国際的な枠組みの創設を提唱されたわけでございます。

 今この地域を見ておりますと、特に、アジア太平洋地域でも、このインドネシアからパキスタンにかけまして見ますと、二〇〇四年の十二月にスマトラ沖の大地震、大津波が起きました。その三カ月後に同じスマトラ島付近でニアス島地震というのが起きました。昨年の十月にはパキスタンの大地震、そして今回のジャワ島中部地震。この一年半の間に大きなものだけでも三つ、大きな災害が起こっているわけですね。

 そのことで、本当にこの地域の皆さんに大変な被害を与えているわけでございまして、私は、今後とも迅速かつ有効な支援を行う工夫というものを、やはりこれは国際協力をして、各国が知恵を出していかなければいけないだろう。

 そういう点からいたしまして、昨年だったと思うんですけれども、東京ディフェンスフォーラムでこういう問題を取り上げられて、私もそこに非常に着目していたんです。この災害救援というのは基本的には武力行使を伴わないんですね。そういうことからすると、日本の防衛政策の基本にも非常に当てはまるわけでございまして、この災害救援活動の分野で国際協力の枠組みをつくっていくということは、これはもう日本がその地域でリーダーシップを発揮してやるべきこと、またやれることではないのか。そういう観点から、ぜひ、今後も引き続きイニシアチブを本当に発揮して、とり続けて、こういう枠組みができるように努力していただきたいと思うんです。

 きょう具体的にお聞きしたいのは、そのときに額賀長官が提唱された内容というのが、この地域で災害が発生した場合、各国の軍が迅速に対応するための制度及び手続を整備しておくことを提案したい、そういうふうに提唱されたんです。

 まず、防衛庁長官にお聞きしたいのは、この提唱されたねらいと目的、それと、ここで言われた制度及び手続、これは多分ここでは余りはっきり言われていなかったんですけれども、具体的にどういうこと、どういう内容というものを念頭に置かれてこの場で提唱されたのか、お尋ねをしたいと思います。

額賀国務大臣 基本的に佐藤委員のおっしゃることと全く同意見でございます。

 実際問題として、スマトラとかパキスタンとか今度のインドネシアにおいて、自衛隊の実績もあります。それから、世界各国ともそれぞれの当該国の要請に応じてしっかりと派遣をして復旧活動、緊急支援体制をとっておることは、世界の安定それから協調、そういう意味で非常に好ましいものと思っております。

 この前、アジア各国の国防大臣が二十カ国集まったわけでありますが、私が提唱しただけではなくて、これはラムズフェルド長官も、お互いの国々ができるところからまず協調、そしてまた、お互いの国が手助けをしていくことを考えようではないか、そのための一つの、お互いの国が取りかかりやすい、取りかかるのに一番適当なのは災害救助支援ではないかということでした。

 二つ目は、海上の安全、海上輸送の安全等々の議論が出ておりました。私も、やはり軍というのは、あるいは自衛隊というのは、それだけの体力、能力を日ごろから持っておりますし、それから、迅速に対応できるということでございます。と同時に、輸送能力とかあるいは通信手段だとか、非常に機動的に、柔軟に対応できる体力、能力も持っているということ、そういうことから、実績もあるし、これはアジア各国の中でまず共通のものをつくり出していくことがいいのではないか。

 アジアの国々は、それぞれ言語とか宗教とか文化とか違っておりますけれども、経済発展のためにお互いに協調していこうではないかという機運もあるわけであります。一方で、こういう災害とかいうところからも地域の治安とか安全のためにも協調していく機運をつくっていくことは、開かれたアジア連携というものをつくっていく上で非常に大事なのではないかというふうに思っております。

 結果的にどういうふうにシャングリラ・ダイアログではなったのかというと、こういう貴重な提言に対して、まずそれぞれの国で何ができるかということを考えてくれというふうにお互いに持ち帰ったというのが本当の姿であると思います。ですから、そういう共同的に対応ができるためにそれぞれの国がどういう運用手続ができるのか、あるいはまた、それぞれの国が災害復旧、災害対策のためにどういうデータベースを持っているのか、そういうことをお互いが認識し合う、共通の情報として持ち合っていく、そういうことを積み重ねていくことが大事なのではないかというふうに思います。

佐藤(茂)委員 そこで、それぞれの国が持ち帰ったということなんですけれども、今回、それで、ジャワ島中部地震に対しまして自衛隊が派遣されたわけでございますが、今回の派遣というのは今までの派遣と若干違うところに私は着目しております。それは、この三月から自衛隊も統合運用体制に移行したわけでございまして、統合運用体制に移行して初の海外任務だったんですね、今回の。

 それで、ぜひ防衛庁長官にお聞きしたいのは、既に、六月十六日にはこの国際緊急援助活動を終結する命令を発出されたそうでございますけれども、今回、陸海空、各自衛隊が一体となって、まず初動、より迅速かつ有効な支援を行うことができた、そういうふうに総括されているのか、あるいは反省すべき点もあったというように考えておられるのか、見直すべき点とか、どういうように今回の災害対応についての評価をされているのか、防衛庁長官にお尋ねをしたいと思います。

額賀国務大臣 ジャワ島の地震が起こった直後に、我々は統幕議長以下自衛隊の幹部が集まって、もちろん内局の幹部も一緒ではありますが、いかなる状況であるのかの情報収集、それから外務省を通じて要請があったときには即座に対応できる態勢をとっておけというふうに事前に用意をしておりました。

 それは、おっしゃるように、今度は統合体制のことでありますから、統幕議長を中心として、陸がやらなければならないこと、空がどういう、輸送手段が中心でありますが、C130を初め輸送手段は大丈夫なのか、それから海は、物資の輸送とかなんかで海が出ていくだけの状況なのかどうか、そういうことで、その対応を事前によく考えておったということでございます。議長と言いましたけれども、統合幕僚長でございます。ということでございますので、私どもは敏速に柔軟に対応できる準備をしておりました。

 十六日に、もうニーズが、我々もテントで構えているんだけれども、緊急のけがとかそういう患者ではなくて、何回も来ておられる方々が多くなっているということで、もうそろそろ緊急性というものは減じているのではないかということで、そういう指令を出させていただきました。

佐藤(茂)委員 続いて、このアジア太平洋地域の災害救援のことで、日米協力というものができないのかという観点から一つお尋ねをしたいんです。

 日米同盟というのは、もともと日本を守るという観点が一つありますし、さらには周辺事態のときに対応するというのもありますし、もう少し広げると、やはりこのアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠である、そういうことも、これは橋本・クリントン共同宣言のときからも言われていますし、現防衛大綱の中にもそういう機能というのが非常に強調されております。

 その中で、特に、防衛大綱の中にもうたわれているんですが、日米両国の緊密な協力関係は新たな脅威や多様な事態の予防や対応のための国際的取り組みを効果的に進める上でも重要な役割を果たしていると。

 この新たな脅威の方は別といたしまして、多様な事態というのにはこういう大規模な自然災害というものも当然入っているんだろうと私は思うんですけれども、今は、こういう災害対応のとき、大規模な自然災害等が起きたときには、出ていったら、たまたま例えば近くに米軍等がいたら連携がとれるところは連携をとる、大体そういうやり方になっているんですね。あらかじめ何らかの法的枠組みがあって一緒に連携をするということは今はとられていないんですけれども、今後、やはりこういうアジア太平洋地域に災害が起こったときに、日米が協力して対応していくような枠組みづくりというものも検討されていいのではないか、そういうふうに私は思うんです。

 特に、先ほど冒頭申し上げましたように、日本の自衛隊から見ると、これは武力の行使を伴わない活動でございますし、また人道援助という観点からも非常に必要ではないかなと思うんですが、外務大臣の見解をお伺いしておきたいと思います。

麻生国務大臣 ODAの二大供与国であります日本とアメリカという国が、少なくともこの種の復興とか復旧とかいうようなものに対して、効率的に、効果的な援助をやるというのは、非常に実質に資するのではないかという御趣旨なんだと存じます。

 いわゆるツナミというのは、おかげさまで日本語になりました。昔あれはビッグウエーブと呼んでいて、ハワイのビッグウエーブと間違えられると意味がないというあれから、津波という用語が日本にはあるんだという話で、あれはツナミということになったんです。

 少なくとも、アジア太平洋地域で自然災害が大規模で発生した場合に、日米間でいわゆる恒常的に迅速な行動がとれるようにということで、連携体制をあらかじめ構築しておくべきではないかという御趣旨なんだと思いますが、今具体的にそういったことをやろうとしているわけではありません。

 ただ、今言われましたように、現時点ではそうですけれども、これは、先ほど冒頭に言われましたように、この一年少々の間に大きいのは四回起きております。津波なんか起きたことのないところで起きておりますので、そういう意味では、地球は少し、いろいろ大きな意味で変わってきているという表現もあろうかとは思います。

 そういった意味では、今後日本とアメリカとの間に、今2プラス2でちょっとやたらめたらとそれに人をとられておりますし忙しいところではありますけれども、ある程度きちんとしたものができ上がった段階で、先ほどの寺田先生の御質問にお答えしましたように、具体的にきちんとしたものができ上がった次の段階として、こういったものはきちんとしたものをつくり上げておくことの方が、むしろアジア太平洋地域、特に南太平洋とかいろいろな表現ありましょうけれども、この地域の安全とか安心とかいうものに資することは間違いないというような感じもあります。

 協力の実績もありますので、今後の検討課題として、大いにいい御指摘だと存じます。

佐藤(茂)委員 そこで、もう一問これに関連して最後お尋ねしておきたいんですけれども、一年間に四回ほどそういう地震とか津波が起こったということで、このあたりのインドネシア・オーストラリアプレートが活動期に入ったのではないのか、そういう指摘もあるわけですね。私は、そういうことからすると、この地域でさらに今後続くという想定をしておいた上で、最小限に食いとめるための防災体制づくりというのは、やはり日本がいろいろな形で貢献できるのではないかと。

 というのは、日本というのは地震大国と言われておりまして、例えば住宅でもいろいろ耐震技術とか耐震建築、そういうことでは非常に進んできた傾向もありますし、また津波対策でもそれなりにぐっと日本は進めてきたわけでありまして、今、津波警報システムというものを国連とか日米が中心となって進めているというお話も伺っております。

 そういうものも含めて、さらに日本独自の貢献としては、今回テレビを見ておりましても、大体れんがづくりの家がほとんど倒壊しておる。そういうことからしますと、これから中長期的な復興を考えましたら、住宅政策で日本が貢献できることは大いにあるだろう。そういう耐震建築、耐震技術というものを通じてこの国の復興に、またこの地域の復興に役立てることができるのではないかなと思うんですが、そういう技術支援にも力を入れていくような貢献の方向性について、外務省として考えておられることがあるのであれば、ちょっと御答弁をいただきたいと思います。

塩崎副大臣 佐藤先生御指摘の、アジア太平洋地域の減災、防災体制づくりにおける日本の貢献、こういうことだろうと思いますけれども、おっしゃるとおり、結論から申し上げれば、日本というのは非常に自然災害の経験が多いわけでありまして、そういった意味での知見と技術を非常に厚く持っているわけであります。

 これを最大限活用してアジア太平洋地域で貢献していくということは極めて重要でありまして、去年の一月に、スマトラ沖地震の直後でありましたけれども、国連防災世界会議が神戸で開催されました。このときに、兵庫行動枠組というのがつくられて、この実施に向けてODAを活用する、それから、世界的なネットワークの中で、国連等を通じて、防災協力イニシアチブの基本方針に基づいて各国の自助努力と人づくりを支援していこうということで、今日まで日本としてもやってきているわけであります。

 特に、例えばインドネシアとの間では共同委員会を設置して防災対策の指針をつくるなどやっておりますし、それから、一方で、神戸にアジア防災センターというのがありまして、たまたま私の姉が勤めておりますが、各国の取り組みの支援、それから意識啓発、情報共有等を含めて、こういうものを進め、連携強化をこの域内で進めているということでございます。

 いずれにしても、この兵庫行動枠組というのが去年の国連の首脳会合の成果文書においても指摘をされていて、これを実施していくということで、日本は、国連を通じても啓発、情報共有等の活動をしているところでございます。

 津波の警報システムについても御指摘がございましたが、これについても、ユネスコが中心でありますけれども、資金拠出四百万ドル、その他、研修生を受け入れるとかあるいは専門家を派遣するとか、そういった形で全面的にこの津波警戒システムの構築に向けて貢献をしているわけでございますし、先ほどの住宅関係、建築関係、これについても、極めて技術的にも進んだ国でありますので、フルに貢献をしていくべきだ、このように考えて、実行もしているところでございます。

佐藤(茂)委員 以上、時間が来ましたので、普天間飛行場の移設の問題とか北朝鮮の弾道ミサイル発射実験について質問を用意しておりましたけれども、またの機会とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浜田委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉です。

 まず、この米軍の再編のテーマに入る前に、私は前から少し考えていることがありまして、イラクからなぜ制服を着たままでこの日本に帰ってこられないかということについて、お考えをお聞きしたいなというふうに思っております。

 ひげの隊長ことイラクの復興業務支援隊長、佐藤一佐ですけれども、二〇〇四年の七月、イラク・サマワで半年の任務を終えて成田に戻られる、このときに、隊長以下九十余人が私服姿で帰ってみえました。堂々と胸を張って制服姿で帰りたかった、隊員たちに悲しい思いをさせた、こう佐藤隊長は言っておられますけれども、私はやはり、日本の国際協力業務に当たって、危険の中、一生懸命やってこられた自衛官の皆さんが、その汗の象徴でもある制服を着て帰ってこられないというのはどうも間違っているんではないか、そういうふうに思います。

 私はできたら、このときは、成田空港の事務局から防衛庁の方に何とか空港での制服着用は遠慮してほしいということが寄せられて、それを受け入れたからだということでありますけれども、やはり、その汗の象徴である制服を着て帰ってこられるように、ぜひ私はそういうふうになったらいいなというふうに思っておりますけれども、これは、長官のお考えを、どんな御意見をお持ちかということをお聞きしたいと思います。

額賀国務大臣 最初に自衛隊が災害派遣で外国に行ったのは、中南米のホンジュラスの災害ではなかったかなと思うのでありますが、その際に、私、前の長官のときでありましたけれども、これは制服で行ってくれ、災害に行くんですから、飛行場に着いたら即座に仕事ができるように制服で行け、そこで一々背広を着がえてどうのこうのやっているような中途半端では行くなというふうに言ったことがあります。

 だから私は、本来ならば、国民の皆さん方や企業の皆さん方にも御理解をいただいて、前田委員のおっしゃるような姿が一番望ましいというふうに思っております。いろいろな事情、心配等々があって、そういう御指摘もいただいて、民間旅客機の乗客それから周辺の方々の不安、そういうことを総合的に考えて、背広に着がえて帰国したということは後で報告を聞かされておりますけれども、できるならば、ちゃんと、堂々と、仕事をしてきた形で帰国するのが望ましいし、そういうふうに理解してもらえるように、一層努力しなければならないというふうに思っております。

前田委員 全く私も同感でありまして、この質問を契機に、皆さんも、また国民の皆さんも、ぜひお考えいただけたらと思います。

 それでは、早速米軍の再編についての質問をさせていただきます。

 その前に、前提としてありますのが、平成十八年五月一日の再編実施のための日米ロードマップ、これでありますけれども、これらの案の実施における施設整備に要する建設費その他の費用は、明示されない限り日本政府が負担するとされております。アメリカが費用を負担すると明示しているもの、Xバンドレーダー配備に関する施設、相模の戦闘指揮訓練センター等に関する施設、横田における日米統合作戦調整センターに必要な米軍の装備及びシステム、これを除けば日本側が費用を負担するということでございます。

 個別の案件の具体的な金額は今後の精査にゆだねられるとされておりまして、最終的にはどの程度の費用がかかるかは、いまだ国民にとって不透明なままであります。例えば、グアムへの在沖縄海兵隊の移転費だけでも総額百二・七億ドル、日本側の負担は六十・九億ドル。現在負担している約六千三百億円の米軍の駐留経費に、またその上に新たな負担経費が上乗せされるわけでありますので、いずれにしても巨額の経費を負担することになるわけであります。

 この問題に関して、先月の二十八日、自民党の中川政調会長が、米軍再編経費のあり方を歳出歳入一体改革の中でどうするかということと、中期防衛力整備計画や防衛計画大綱の見直しは国民的議論をすべきときが来ていると述べられているわけであります。五月三十日の閣議決定「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」、そこにおいても、合理化をし、そして効率的な防衛力整備に努めた上で、中期防の見直しをすると明記されているわけであります。

 そこで、初めの質問でありますけれども、中期防といえば、今までかなりの費用的な削減がされてきてしまいまして、私は、反対に我が国の防衛にとって非常に不安な一面があるのではないかというふうに思っております。例えば、弾道ミサイル防衛システムというのは高額なものでありまして、それが我が国の防衛に不可欠な装備ということで導入する、予算的には非常に厳しい。平成十六年十二月の防衛大綱、新防衛大綱ですね。中期防衛力整備計画では、戦車、護衛艦、戦闘機というのはいわば従来型の、こうした経費を削って、縮小せざるを得なかったということであります。この新防衛大綱でも、決定からわずか一年半であります。

 財政再建と、また今度の在日米軍再編経費の捻出の目的で、自衛隊にさらなる予算的な削減を求めるようでは、私は果たして、我が国の防衛にとってこれはいかがなものかというふうに思っております。防衛費を削減するとしても、自衛隊が弱体化しない、我が国の安全保障体制が脆弱とならないような特段の配慮が私は必要であると思いますけれども、長官のお考え方を聞かせていただきたいと思います。

額賀国務大臣 前田委員の非常に御理解ある見識を披露していただきまして、大変ありがたいと思っております。

 米軍再編に伴う諸経費については、おっしゃるように、中期防計画の中には入っていないわけでございますから、これから、米軍再編に伴う諸経費については、今、目下積算中でございますが、できるだけ早く、普天間代替施設あるいはまたグアムの移転経費についても、具体的にどれくらいの額になるのか等々をきちっとした上で、その予算を考えていくわけでありますが、まあ、単年度ではありませんから、それは我々も全体的な流れの中で考えていかなければならないという思いはありますけれども、一定のその再編に伴う経費の全容が明らかになった時点で、全体の財政再建の枠組みの中でどういうふうにこれを予算措置を図っていくかということは今後の問題であります。

 閣議決定の中においても、全体の財政再建という大きな流れの中で効率化、合理化が図られていることは事実であり、防衛予算についても、そういう従来の中身を再点検しながら、この米軍再編の問題、それから防衛力の整備について支障がないようにしていくということが大事なことであるというふうに思っております。

前田委員 今長官がおっしゃられたように、単年度のものではありません、中期防は。現行の中期防は二〇〇五年から二〇〇九年を対象としており、必要に応じて二〇〇七年度に残り二年分を見直すという規定も含んでいるわけでありまして、財務省の方は、その一方で、この中期防の即時の見直しを求めているというような話も伝わっております。

 とにかく、今長官がおっしゃられたように、再編の全体像がわからなければ、この中期防の見直しに伴う経費の削減規模も明らかにならないというわけではありますけれども、私は、これから直ちに大規模な削減をするというのでは、装備、運用面で非常に支障を来すことになるのではないかというふうに思いますので、現行の中期防の見直しの時期について、長官がどのようにお考えなのか、具体的にいつごろをお考えなのかというのを伺いたいと思います。

額賀国務大臣 先ほども言いましたように、全体の米軍再編の中身を出した上で、そして、中期防計画と照らし合わせていくことが望ましいというふうに思っておりますので、今の段階で見直しに即座に入るということはできないというふうに考えておりますので、できるだけ早くそういう作業は進めていく中で、全体像と中期防計画のことについて考えをしていくようにしたいというふうに思っております。

前田委員 とにかく、現場の皆さんは、これは恐らく大規模な予算の削減になると思いますので、混乱を来すと思います。いち早く、その時期についてきちんと明示していただきたいと私は思います。

 前中期防は、平成十三年から十七年を対象としておりましたけれども、新たな安全保障環境の変化やBMDシステムの導入を踏まえ、防衛力全体の見直しを行うために、十六年度限りで廃止されて現行の中期防が始まっているわけであります。

 今般の日米両政府の再編計画というのは、自衛隊及び米軍の役割、任務、能力、全体にわたるものである以上、やはり私は、単純な中期防の見直しではなくて、もうはっきりと、現行の中期防を一たん切って、もう一度、中期防をきちんと策定すべきではないかというふうに思うんですけれども、その辺の長官のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。

額賀国務大臣 先ほども言いましたように、中期防は二年たったら見直すということになっておりますけれども、まだ二年たっていないわけであります。そういう中で、この米軍再編の問題が起こってきたわけでありますから、米軍再編に伴う経費がどの程度かかるのかということの全容が明らかになった時点で――三年たったら、三年目に見直しをするということになっておりますので、全容が明らかになって中期防との関連を考えていくことが望ましいというふうに思っておりますので、おのずとその時期がわかってくるものというふうに思っております。

 できるだけ早く、米軍再編に伴う諸経費の積算について急いでまいりたいというふうに思っております。

前田委員 今、できるだけ早くという話でありますけれども、それは明示されない。

 せんだっての、十二日の日の決算委員会締めくくり総括で、長官は、決議文がありまして、決議の趣旨を踏まえ、防衛庁としては、米軍再編について国民に十分説明するとともに、その関連経費につきましては、これから米国との間で事務的に細部を調整し、我が国が負担すべき経費の内容の詳細をきちんと精査していき、国民の皆さんの御理解が得られるように説明してまいりたいと思いますというお答えをいただいておりますので、ぜひ、私は、もっと詳しい時期を、いつまでにこの米軍再編について、国民の皆さんの理解を得られるための説明というのを、今は精査中でもしようがありません、いつを目途に、どのような手続をもってされるのかということを御明示いただきたいと思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 米軍再編に伴って、嘉手納以南の土地の返還等々につきまして、二〇〇九年三月までに詳細な計画を立てていきたいという話があります。あるいはまた、普天間飛行場は二〇一四年までに建設するということも書いているわけでありますから、我々は、できるだけ早くそれは提示をしていかなければならないというふうに思っております。二〇〇九年じゃない、二〇〇七年三月、十九年の三月という意味であります。

 そういうことで、できるだけ早くそういう作業は進めていかなければならない。その上で、正しい積算根拠に基づいた諸経費について提示をし、御説明をし、理解を得ていかなければならないという意味で、決算委員会でも申し述べさせていただいたということでございます。

前田委員 では、やはり、そうした二〇〇七年の三月という期限もあるわけですので、そうすると、逆算すれば、当然次の、秋の臨時国会までには米軍再編の経費の算定の作業をされなければいけないと思いますけれども、その辺いかがでございますか。

額賀国務大臣 今の段階で何月までにということは明確に申し上げることはできません。それは、米国の状況もあるし、それから、これは地元との協議ということもあります。

 したがって、米国にはきっちりと、できるだけスピーディーに、いろいろな根拠について示してもらわなければならないし、また、地元ともよく協議をした上で、そういう諸経費のことを積み上げていくということでありますから、今の時点で何月何日までにということよりも、できるだけ地元や米国との間でスピーディーに協議をして積算して、その諸経費について総額を明示したいということをお伝えしたい、考え方を述べさせていただきたいというふうに思います。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

前田委員 ぜひ、やはり、後ろが詰まっているわけでありますので、臨時国会までにこの作業を終えていただいて、国民の皆さんに今度の臨時国会ではきちんと御説明いただいて、また、この安保委員会でも討議できるようにしていただきたいと思います。

 長官は、このグアムの移転経費、国内の米軍基地の再編に伴う経費は米国側から詳細なデータがないと積算できないというふうに当委員会で再三にわたって答弁されておりますけれども、米国とはどのような調整を現在行っているのか、日本から積極的な働きかけを行って、この作業を促進するようなことをされているのかどうか、伺いたいと思います。

額賀国務大臣 今、最終合意の後、今後の対応について、まず我が国としては、先般、五月の初めに閣議決定をさせていただいて、政府の基本的な考え方をつくったわけであります。それに基づいて、今、米国側それからそれぞれの地域の皆さん方と、いろいろと要望を聞いたり意見交換をしたりして精力的に対応を図っているというのが実情でございますので、決してサボっているわけではないので、できるだけ、今度こそ、これは実行あらしめなければならないという最大の使命と約束を果たさなければならないということでやりたいというふうに思っております。閣議決定は五月三十日でしたな。

前田委員 次に、内閣府にお尋ねしたいと思います。

 二〇一一年、プライマリーバランスを均衡化させる、あるいはそれ以降に黒字化させるというふうに政府は公約されて、この十二日の官邸での財政・経済一体改革会議での実務者協議で、与謝野経済財政担当相が税の不足分を二十兆円から十七兆円に圧縮するという案を出されて、了承されたと聞いております。

 この十七兆円、そのうち十三兆円は歳出削減、あとは増税ということになるんでしょうけれども、今、私は一つの疑問があります。移転経費が三兆円と言われておりますけれども、その三兆円がこの十七兆円の中に、プライマリーバランスを均衡化させるための、いわゆる税不足の中にちゃんとカウントされているのかどうか。この三兆円と十七兆円の関係をお聞きしたいと思います。

松山政府参考人 委員御質問のただいまの点でございますけれども、今回、御指摘のとおり、十二日の日に与謝野大臣の方から政府・与党の財政・経済一体改革会議実務者協議会に御報告をさせていただきました。基礎的財政収支均衡のために必要な要対応額十七兆円という試算を報告させていただいております。

 この要対応額でございますけれども、今回、これを算出する考え方でございますけれども、歳入及び歳出につきまして、二〇〇六年度を起点にいたしましてその後五年間にわたる自然体での伸びを見込み、それを出発点といたしましてそこからどの程度の努力が基礎的財政収支を均衡させるために必要かということを試算したものでございます。

 その際、歳出面におきましては幾つかに分けて試算をいたしておりますけれども、社会保障費、人件費以外の経費につきましては、これを一体としまして、全体としまして名目成長率で伸びるというふうに仮定を置いたところでございます。

 したがいまして、ただいま御指摘の米軍再編に伴います移転経費、これも含めまして、個別の要因についてそれぞれを具体的に考慮するということはいたしておりません。全体として名目成長率で伸びていく、そういう極めて単純な前提を置いておるわけでございます。

 ただ、この要対応額の議論でございますけれども、いずれにいたしましても、今後の議論の出発点という位置づけでございまして、今後さまざまな議論が行われていく、そのように考えております。

前田委員 名目成長率の伸びで十七兆円と算出した、個別の案件は含んでいないという御答弁でありました。ということは、二〇一一年のプライマリーバランスの均衡には十七兆円ではなくてプラス三兆円、これはこの部分が幾らになるかまだ算出されていないということでありますけれども、二十兆円近い税源不足があるというふうに私は思いますけれども、いかがですか、内閣府。

松山政府参考人 委員のただいまの御質問でございますけれども、私どもは、この移転経費の全体的な数字、先ほど来御議論されておりますけれども、具体的なことはもちろん承知しておりません。その前提の上で申し上げたいと思います。

 この要対応額は、二〇一一年度を目指して、その時点で単年度で見てどの程度の改革努力が必要か、そういう数字でございますので、今御議論されております移転経費というものは複数年にわたる必要経費という概念で御議論されていると思いますので、そこは、直接その金額、それは幾らになるかわかりませんけれども、それが上に乗っかる、そういう性格のものではないというふうに感じております。

前田委員 単年度とおっしゃいますけれども、ことしから、二〇〇六年から一一年まで五年間あるわけですよ。当然単年度に割っても合計して入ってくるわけで、ということは、今言われている三兆円という数字は、移転経費というのはこの十七兆に入っていないということで、私はそういうふうに今の御答弁でさらに確認いたしました。

 さらに続けさせていただきますけれども、六月九日付の時事通信によれば、今度、日米両政府は、二十九日に予定されています日米首脳会談の際に、同盟関係の重要性をうたう共同文書を取りまとめる方向で検討しているというふうに報道されております。

 世界の中の日米同盟を内外にアピールするのがねらいというわけでありましょうけれども、このことに関して、五月一日の2プラス2にて、日米間で合意して決着を見るに至っていること、この記者会見において、額賀長官が日米防衛協力のための指針、ガイドラインを見直す時期に来ているとの考え方を示されたというふうに理解しております。

 また、同月八日には、長官は、小泉首相に会われて、今月の日米首脳会談で再編の意義や目的を盛り込んだ政治的なメッセージを確認すべきだとの考えを伝えたというふうに伺っております。九六年の日米首脳会談において日米安全保障共同宣言が発表され、これを踏まえて翌年の九七年に新たなガイドラインが策定されたわけであります。

 今回報道されました政府が検討中の共同文書、これは九六年の共同宣言にかわるものであり、額賀長官がかねてより示しておられたガイドラインの見直しを視野に入れたものかどうかということを確認させていただきたいと思います。長官、いかがですか。

額賀国務大臣 私が申し上げましたのは、今おっしゃるように、ガイドラインによって日米の役割分担をそれぞれ考えていこうということの出発をしたわけでございますけれども、それによって周辺事態とか有事法制とかがなされてきているわけですね。そういう中でも、有事の際に日米の協力はどういうふうにあるべきなのか、周辺事態ではどうなのかということの作業が進められてきておったのでありますが、なかなか、まだきちっとした形になっていない、途中経過である。

 そういう中で、今度、日米の再編に伴う新しい同盟関係、協力関係があったので、その延長線上で、役割分担とかいうものをもっと明確にしていこうということを確認し合ったわけであります。その意味では、従来の延長線上にあるわけでありますけれども、それをしっかりと作業していくということが確認されたというふうに思っております。

 と同時に、九六年以降に、テロの問題だとか、弾道ミサイルの問題だとか、新しい日米同盟関係が対応していかなければならないこと、さらには、世界の中の同盟関係ということで、先ほど来話があるように、災害だとか、あるいは国際平和協力活動においてどういう仕事あるいはまた共通の仕事があるのかということが考えられているわけであります。

 それがまた、今度の日米再編に伴う、その第一段階で戦略目標というものがつくられているわけでありまして、そういうことを具体的にどういうふうにしていくかということと同時に、日本の国民に対してそれを説得していくために、あるいはまた、アジアを初め世界の地域の皆さん方にも、日米同盟がどういう目的を持ってこういうふうに強化されているのかについてよく説明をしていく、政治的メッセージを与えていく必要があるのではないかという問題意識でそういう話を述べさせていただいたわけであります。

 では、今度の日米首脳会談で、どういう形でそれがなされていくかについては、今両国の間で討議をされていると思っておりますので、その詳細についてきっちりと今の時点で把握しているわけではありません。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

前田委員 では、外務大臣にお尋ねしますけれども、日米両国が今対応しなければいけない懸案の中にイランの核開発への対応があると思うんですけれども、この月曜日もライス長官と電話会談をされたということですが、五月一日に開催された2プラス2で、日米間において、イランのウラン濃縮活動の停止に向けてIAEA及び国連の安保理を通じた国際協力の重要性が確認されたわけであります。

 報道によれば、アメリカ政府が、イランの核開発問題を外交的に解決できなかった場合に備えて、我が国に対して、外為法を使った核開発、テロ関連の疑いのある金融取引の凍結、あるいは在イラン企業との新規金融取引停止といった金融制裁を検討するように求められているというふうな報道がありました。また、去る九日にも、谷垣財務大臣との会談においても、スノー財務長官が、金融面での制裁など具体策を検討するように要請されたと言われております。

 しかし、我が国は総原油輸入量の一四%をイランに依存している、またイランの南西部の中東最大級の油田であるアザデガン油田の開発を通じて、イランとの経済関係というのは密接な関係にあります。もし金融制裁の影響でこの油田開発が白紙に戻ることになったら、同じく資源確保に走る中国に利益が傾くようなこともあるかもしれません。

 したがって、我が国としては、米国からイランに対する金融制裁を求められた場合に、我が国の置かれている立場を十分に検討した上での対応が必要かと思いますけれども、この金融制裁に対して、有志連合ができるとも言われておりますが、外務大臣はどのようにお考えなのか、御説明いただきたいと思います。

麻生国務大臣 今二つ言われたんだと思いますが、今、イランの核開発の問題につきまして、ロシア、中国を含めて、EU3とかいろいろありますが、関係国が議論をして、少なくとも一致をして、右代表としてソラナEUの上級代表が向こうへ交渉に行ったというのは御存じのとおりであります。

 内容につきましては、私どもは、その案の作成のときに我々も関与しておりますので、その内容を知っております。したがいまして、その内容に基づいて、私の方からモッタキ外務大臣に電話をし、その後、外務次官のアラグチというのがおりますので、これが日本に来て、その内容等々を説明し、私どもとしてこれは非常に大事なところよという話をいろいろしたりしておりますのが現状であります。

 今、何か金融制裁の話をしておられますが、外務省に正式にその種の話が正面切って来たということはありません。また、過日の財務大臣会合でその種の話があったやに聞いておりますが、今は交渉をしている真っ最中ですから、交渉をしている真っ最中に、前田さん、あらかじめ制裁措置に言及をするということが建設的な結果をもたらすかねと、常識的にそう考えるのが普通だと思いますけれども。

 そういった意味では、私どもとして、今御質問のありました金融制裁をするとかしないとかいう話を今この段階で申し上げるのはいかがなものかと存じます。

前田委員 時間が来ましたのでこれで私の質問を終わりますけれども、これはエネルギー問題を抱えた我が国の非常に重要な案件であると思いますので、ぜひ御対処いただきますようにお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

浜田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 通告した質問に先立ちまして、一つ二つ、きのうきょうの報道されたことの中で事実を確認したいと思うんです。

 昨日の二十時二分に、これは時事通信のニュースの中で、防衛事務次官が小泉首相訪米に異例の随行をするというふうに流れておりました。これは複数の政府筋、関係者が明らかにしたというふうに、報道の真偽については、これはあくまで報道ベースでございますので、ここで改めて、防衛事務次官が総理の訪米に同行する、それは事実かどうか、まず確認したいと思います。

額賀国務大臣 そういう報道があったのは聞いておりますけれども、それが正式に決定したというふうにはまだ聞いておりません。

渡辺(周)委員 ということは、これは先走った報道もしくは誤報だというふうに理解してよろしいんでしょうか。

額賀国務大臣 私、まだ確認しておりません。

渡辺(周)委員 そう言われると私も次の質問をしようがないですね。確認はしていないということは、事実かどうかわからないけれども、まだ長官は御存じでないという今の答弁の趣旨ですね。

額賀国務大臣 そのとおりです。

渡辺(周)委員 別に私は、行くことが異例であろうと前例になかったことであろうと、その点については決して内容によって否定をするものではないんですけれども、こういうことで報道された。実際もし防衛庁長官が本当にお知りでないということならば、長官が知る以前に報道機関には流れて、何か政府関係者も複数が言っている、そのこと自体が情報管理上問題じゃないかと思うんですけれども。

 実際のところは本当は知っているんでしょう。どうですか、長官。言えないだけなんじゃないですか、正式発表の前に。

額賀国務大臣 いやいや、さっき言ったとおりであります。

渡辺(周)委員 この点について幾ら議論しても多分これ以上のお答えは出ないと思いますけれども。

 いずれにしても、総理が、ひょっとしたら、カナダへ行って、アメリカへ行って、その後、中東にも行って、サンクトペテルブルクに行って、何か三週間ぐらいずっと卒業旅行されるんだろう、そういう声もあるわけであります。

 いずれにせよ、今国会、こういう形で、重要案件がある、もっと深めたい議論がある、我々野党は追及したいことが随分山積みしているわけでありますが、何かここで大きな政治空白。与党の中にも、自民党あるいは公明党からも、今回、この国会をある意味で打ち切る、会期を延長しないということについては大変な不快感というふうに指摘する声もありますが、いろいろな声があります。

 我々としても、これだけの重要法案を次々に出してきて、防衛庁の防衛省への昇格についても、さんざん議論されながら、結果的に何かしり切れトンボのような形で来てしまった。本来いろいろもっと議論することがあるんですが、与党の事情なのか小泉総理の個人的な燃え尽き感なのかわかりませんけれども、何か非常に残念な結果になったわけでありまして、これがもし政府の高官を随行して行かれるということであるならば、やはり実りある、最後に有終の美を飾っていただかないと、単なる思い出旅行、卒業旅行で終わってしまうんじゃないか、そんな懸念を払拭できないわけであります。

 次に、もう一つ伺いますけれども、けさの新聞で、これは毎日新聞ですが、ここに、防衛施設庁の談合、天下りがシステム化されていたと。

 これについては、これだけ大きく報道されていわけで、当然御存じと思いますが、施設庁の建設部の仕切りによって、審議官クラス、千五百万円の年収を確保できるなら八億円、局長級は一千二百万円なら六億円、部長級で一千万円ならば四億円ということで、いわゆる天下り後の年収額をどれぐらい保証してくれるかによって実は発注額を決めていたというようなことでございました。

 今現在も当然、一連の事件の発覚以来調査をされていて、もう既に司直の手で判断される方もいらっしゃいますけれども、実際、こういうことが調査報告の中で明らかになるということでよろしいのかどうか。

 そして、今後どのようにするかということは、談合防止の最終案を十六日にも発表すると。これは、木村副長官のもとで再発防止検討会が行われていて、十六日のこの検討会で報告書を決定するというふうに、東京新聞ですけれども、報じられているわけであります。

 まず長官から、こういう事実の認識でよろしいかどうか、報道の内容の真偽について伺いたいと思います。

額賀国務大臣 施設庁の不祥事が起こったときにまず私が言ったことは、検察庁に全面協力をせよということ、もう一つは、施設庁でちゃんと実態を調査しろということで、それ以来調査が進んでおりました。

 それで、捜査の妨害にならないこと、それから、公判が始まりますので、公判にも影響がないようにということで今日まで来たのでありますけれども、施設庁の調査結果については発表したいというふうに思っております。金額がこういうふうに書いてあるかどうかは定かではないけれども、建設部主導で談合的なことが行われていたということを明らかにしたいということで、発表させていただくことにしたいと思っております。

 また、これに伴って、こういうことが再び起こらないために、再発防止について木村副長官に検討いただいたわけでありますが、あわせて、調査の状況とそれに伴う処分、そして、今後再び起こることがないようにするための対策というものを相前後して国民の前に明らかにしたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 いや、私が聞きたいのは、こういう天下りがシステム化されていたということは事実だということで御認識しているかどうかということなんです。

額賀国務大臣 そういう実態があったわけであります。事実です。

渡辺(周)委員 これは大変大きな問題で、ずっと我々、安全保障委員会に籍を置きながら、何度も質疑に立ってまいりました。その都度我々は、決して日本の安全保障政策を否定するものではありませんし、むしろ生ぬるいというふうに、歯がゆい思いをしているところについても再三提言をしてきたつもりでございます。

 私の静岡県では、御存じのとおり、駐屯地が数多くございます。できるだけ、駐屯地で一生懸命お仕事をされ、使命感に燃えている方々を励ますべく、地元の駐屯地の創立式典なんかは私は欠かさず出るようにしております。そして、東富士の火力演習なんかもできるだけ行って、実態をやはり実感しながら、思いを共有できるようにしてきたつもりであります。

 ですから、現場にいる隊員の方々、いわゆる制服組の方々、イラクに行かれた方々も、私の地元から行かれた方々もいらっしゃいます。そういう中で、実際士気に影響する。つまり、一生懸命やっている人たちは本当に使命感の中で、おのれの肉体も酷使しながら、そして数々の研さんを積みながらやっている方々がいる中で、いわゆる幹部職員はやめた後に、もうシステム化されて、自分たちの給料をもらえるところは、税金を使っていようが高値で談合させても問題ないんだと上の方はやっている。下の方は厳しい灼熱の、それはサマワでありインド洋であり、行かされるという中で、これはやはり非常に大きな問題なんですね。

 これは、税金の使い道、談合という許されない不正があるということもそうでありますけれども、これも断固許せませんが、やはり、現地で一生懸命やっている、本当に努力している方々にすると、ばかばかしくてやっていられないんじゃないかと。

 現役の自衛官の方々というのは、肉体的なこともありますから、若くして定年退職される。では、その方々の再就職は現実どうかといったら、もうこれは御存じのとおりだと思います。

 そんな、年収千二百万円だとか千五百万円だとか保証されるような仕事はありません。本当に、地域の企業の方々と常日ごろ密接な関係を持ちながら、再就職先を確保していく努力をしているわけですよね。こういう言い方はちょっとどうかと思いますが、決してきれいな仕事ばかりではない方々もいるんです。人の嫌がるような仕事やつらい仕事を、やはり規律を守る、そして姿勢がしっかり、凜としているということで、例えば警備のお仕事につく人もいれば夜遅い仕事につく人もいる。中には、今までの自衛官としての御経験と関係のないような仕事でもやはりつかざるを得ない方々も多数いる中で、幹部はこんないい思いをしているじゃないか、しかし、これも命令だから、仕事だからということで、一生懸命規律を守って努力をしている人がいる中で、こういう不公正、アンフェアなものがあるということは絶対許しちゃいかぬというふうに思う。これはもう言わなくても、うなずいていらっしゃいますから、わかると思いますが。

 実際、こういうことが事実であった、だとすればこれをどうするのか。直ちにもうこれはやめなきゃいけない。結果的に事実確認を、司直の手にゆだねられて、捜査の邪魔をしちゃいけないなどという理由で結論を見守っているのじゃなく、今この場で直ちに、どうするかということについて、ぜひこれは決意を伺いたいと思います。

 また、副長官からも御答弁いただきたいんですけれども、この再発防止策、東京新聞には報告書案の骨子まで書いてあります。例えば「財団法人防衛施設技術協会に二〇〇六年度中の自主解散を要請」する、あるいは「発注業務に関与した幹部職員の受注企業への「天下り」自粛期間を退職後五年間に拡大」と。これはちょっと書き方がわからないんですけれども、例えば天下り自粛期間を全面的に五年間自粛するということなのかどうなのか、それを確認したいと思います。

 それから、基本的に、先般の委員会でも、行革特の後に質問に立ちました。随意契約というものがいかに多いか。特に防衛弘済会なんかについても、幾つか不正と思われる、高速道路のプリペイドカードあるいはさまざまなものが実は一部横領されているような事実もあったとお認めになりましたけれども、こういうもののまさに性善説に立つか性悪説に立つかということを考えれば、残念ながら、やはり人間というのはやすきに流れる。つまり、だれも見ていなくて、そういう権限を与えられたらついついということは、残念ながら魔が差すときがあるわけであります。

 その上で、どうやって規律を高めていくかということも議論いたしまして、随意契約を、二〇〇六年度以降、基本的に一般競争入札に移行するというような骨子だというふうに新聞では言っていますけれども、実際、この再発防止策についてどうされるか。まず長官から、そして副長官から御答弁いただきたいと思います。

額賀国務大臣 先ほども申し述べましたように、防衛政策、防衛庁あるいは自衛隊というのは、国民の理解と信頼があって初めて成り立っていくものであります。その前線に立つのが我々でございますから、こういうあってはならないことが起きているわけであります。これは、長い間の組織的な問題もありました。

 日本の失敗の多くの例は、組織と目的を間違えていくことであります。最初の駆け出しは目的のために純粋に立ち向かっていくのでありますけれども、そのうちに必ず、組織を維持することが前面に出てきて失敗を犯します。これは、第二次世界大戦に入っていった軍のあり方もそうでした。自衛隊は何のためにあるかという目的ではなくて、組織を維持するために方向を間違うと必ずこういう問題を起こす。

 そういうことから、しっかりと組織のあり方を考えていくために施設庁を解体した、その上で、防衛庁にこれを一体化して再出直しをしていく決意であります。そして、副長官のもとで再発防止対策をさせていただいたわけでございますから、今後、信頼回復のために全力投球をしていきたいというふうに思っております。

木村副長官 額賀長官の命を受けまして私が再発防止の検討会の委員長として拝命しましたが、先ほど来渡辺委員おっしゃるとおり、考え方また気持ち的に、私、全く同じでありまして、また、再発防止の検討会での議論の中でも、政治家たる私や副委員長である両政務官、あるいは第三者の皆さんの御意見も聞きたいということで、特別委員の皆さんとの意見交換等々、先ほど来渡辺委員おっしゃる考え方と同じだというふうに思っております。

 例えば、天下りといわゆる自衛官の皆さんの再就職とはやはり違うと思うんですね。そこはやはりしっかり整理していかなきゃいけないということを、当初から私もその委員会に私の考え方を伝えてまいりました。

 例えば、いわゆる天下りという形で二つの企業あるいは団体に名を連ねて、二つとも高額なお金ではないにしても、一方は高額的なもの、一方はそうでない。しかし、そうでないものの額でも、いわゆる自衛官を退職して再就職するときに、再就職できるぐらいのお金をいただいている。では、天下りをして、もう一つからもいわゆる顧問料的なもらっているお金があれば一人の自衛官の再就職をきちっと定めることができるというようなことも実態的にはありまして、こういったことを我々いろいろ議論して、きょうにも調査委員会から、委員長である施設庁長官から検討会の方へ、つまり私の方に最終報告をいただいて、もちろん額賀長官にも報告し、その上で、また私の検討会での最終的な考え方をあすにも発表させていただきたいと思っております。先ほど、具体的に天下りの退職後五年間ということがありましたが、全面的にそういう方向で考えていきたい。

 それから、組織かどうかというようなお尋ねが先ほど長官にもありましたので、きっちり調査委員会の最終報告を見て、現職の職員に対しての処分等もしっかりしていくことも大事であるし、また、私は委員長として、既に退職された方々、つまりOBの方々にもしっかりとした最終報告を受けての対応をしなければならないというふうに考えております。

 以上であります。

渡辺(周)委員 正式発表、これはできたものがそのまま素通りするんじゃなくて、役所の不祥事再発防止のために、要は役所がつくるというのではなくて、今お話がありました副長官の言葉を信じて、やはり政治家が、こんなのじゃ甘い、生ぬるい、こんなのじゃ国民に理解されないということを逆にはっきり言っていただいてよろしいんだと思います。

 ぜひこの問題は、恐らく、防衛施設庁に限らず、どこの役所もたたけばいろいろ出てくる話だと思います。しかし、情報公開というのは、私は、防衛庁や防衛施設庁というのはやはり国家機密に関する部分、安全保障政策に関する部分がありますから、すべてつまびらかにせよとはこれまでも言ったことはありませんが、ただ、こういう契約だとか業者との不透明な関係、これについてはやはり徹底して情報公開をするしかないと思うんですね。

 例えば兵器の能力であるとか技術力であるとかそういうことについては、あるいは安全保障のコアな部分の政策については何も、何でもかんでも国会の場で聞いたことに答えろと言うつもりはございません。それは当然、公ではしゃべることができないことはあるのは百も承知でありますけれども、まさにこういうことについて、こういうことというのは、今回の談合、あるいは不透明な民間との関係、先ほどの再就職じゃなくて天下り、こういう点について、やはり政治家として、そのために副長官は座長をやっていらっしゃるわけですから、この点については、もう努力してまとめたものだからこれでよしというのではなくて、ぜひはっきりさせていただきたいと思います。

 この問題の最後に、これは内部で監査をするような機能は置くんでしょうか、それについて伺いたいと思います。つまり、どこもそうでありますけれども、やはり外部監査をできる体制、内輪の人間が何となく報告書を見て何となく監査を通すんじゃなくて、やはりかなりの権限を持って厳しい目で監査するような仕組みが必要だと思いますけれども、その点についていかがですか。その点を最後に伺いたいと思います。

木村副長官 あした最終的な考え方をまとめますが、その方向で検討しておりますし、できる限り今までにない監査システムというものを打ち出していきたいし、また、そこにはいわゆる第三者的な方も入っていただく、そのシステムをつくっていきたいと思います。

渡辺(周)委員 もうとにかく、こういうことで私も余り質問したくないわけであります。本来もっと大きな天下国家論を話すためにこの安保委員会に入ったつもりだったんですが、結果的にはこういう話ばかりになってしまったことはまさに本当に残念です。それもしかし防衛施設庁のこういう問題があったからでありますけれども、ぜひ、徹底した事実の究明と、再発がもう二度とされないという厳しい姿勢を申し入れて、この質問については終わりたいと思います。

 さて、これは我が国の危機についてでありますけれども、一つは、先ほど公明党の佐藤委員だったでしょうか、質問を用意したけれども時間がなかったというふうにおっしゃっていました。いわゆる北朝鮮のテポドン2の発射兆候の話であります。

 新聞の報道等いろいろなものを見ますと、余り大きく取り上げられていません。ただ、そういう兆候があるということは、アメリカ筋がそう言っている。これは発信元はソウルの消息筋とかあるいはイギリスの新聞だったりするわけでありますけれども。これは、我が国というよりもアメリカを射程に入れたテポドン2。ただしかし、テポドンの脅威というのは我々も既に体験しているわけであります。

 実際、今、テポドン2が発射の最終段階にあるというようなことが言われておりますけれども、これが果たして、この状況下で本当に北朝鮮がやるのかということについては、やはりデモンストレーション、交渉を有利にするための、例によって例のごとくの北朝鮮の一つの示威行動、また北朝鮮の瀬戸際外交の一つというふうに思う節もありますけれども、今、日本では、防衛庁はどのようにその情報をとらえているのか。現状でおわかりになることで、お話しできる範囲でぜひ答弁いただきたい。できれば外務大臣にも、外務省としてどう認識しているのか、この点についてお尋ねしたいと思います。

額賀国務大臣 いろいろな報道があることは承知しております。自衛隊・防衛庁としては、ふだんからこの情報収集についてやっておりますし、さまざまな情報を得たり分析したりして、日本の国民と国家の安全、この地域の安定のために常続的に努力をしております。そこは国民の皆さん方にもぜひわかっていただきたいというふうに思っております。

 一般論的に言えば、状況に応じてしっかりと情報収集態勢を強めたりすることもあります。しかし、現時点において我々がどういう態勢をとっているかということについては差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、常続的に、日ごろから艦艇や飛行機やさまざまの手段を講じて情報収集態勢をとって万全を期しているということ、これからもそうしたいというふうに思っております。

麻生国務大臣 今御指摘のありました情報の収集に関しましては防衛庁長官からのお答えのあったところなんですが、それによって、この話をいつの時点でどうして知ったかというのは、こちらの情報の向こう側に対する漏えいになりますので、そこのところの発言は、お答えすることはちょっとできないんですが。

 基本的に、今言われましたように、これをどのような目的で、いつ、どのようにするのかというのは、今渡辺先生御指摘のあったように、まず瀬戸際でやってくるというのはある程度この国の常套手段みたいなところがありますので、それをもって、今回も今までと同じなのか、それとも、本当に何もかもやみくもに、御存じのように一九九八年八月三十一日に太平洋上にやっておりますので、そういったことになるのかというのに関しましては、私ども、今の段階で右とも左とも申し上げられるような状況にはありません。

渡辺(周)委員 いや、私が聞きたいのは、実際こういうテポドン2が開発されているであろうということは我々も聞いております。つまり、それが今何らかの形で脅威的な段階にあるのか、それとも、北朝鮮側が通常どおりの態勢にあるのか、その点のことについて聞いているわけであります。別に、いつ、どの段階でどういう情報を得ているということを聞きたいわけではなくて、実際今、いわゆる何段階かに分ければ、危険な状況なのか、やや危険なのか、あるいは非常にオーディナリーな、通常の場合なのか、そういう点について、せめてどういう状況なのかということについて伺ったわけであります。その点、どうですか。極めて危険なのか、やや危険なのか、日本語はいろいろありますけれども。その点についてぜひちょっと。そこはお答えできると思いますが。

麻生国務大臣 極めて危険な状況にあるわけではないと申し上げておきます。

渡辺(周)委員 それは、思っているとか思っていないではなくて、今はそういうふうな認識を持っているというわけでよろしいですね。

 というのは、例えば、極めて危険な状況だ、発射兆候があるということであれば、先ほど冒頭申し上げた、防衛庁の事務次官が総理に随行して日本をあけるなんということが果たしてあっていいのか、防衛庁トップと内閣総理大臣が日本から不在になるなどということが危機管理上果たして許されるのかどうなのかというふうに当然思うわけであります。

 それについては、長官は最初、いや、私はまだ知らないと。行くか行かないかも、恐らく御自身は知っていてもここでは言わぬのでしょうけれども。実際もし周辺にそういう危機的な状況がある、危機の状況に置かれているとするならば、それはやはり再考を促すしかないなというふうに思うわけであります。

 時間もありませんので、幾つか駆け足で質問をさせていただきたいと思います。

 先般、私もかかわりました北朝鮮の人権侵害救済法が、民主党そして自民党というところで合意をしまして、委員長提案で衆議院で可決されまして、きょうにも参議院で可決されると思います。その中で、外務大臣に伺いたいんですが、脱北者の問題につきましてどのような御認識を持っているか。そして、我々は将来的に、今中国国境に逃げてきている北朝鮮の脱北者、これを国際機関と連携して保護すること。

 実は、私、ゴールデンウイークにアメリカへ行きましたときに、横田早紀江さんと同行しました。そのときに、ホワイトハウスに招かれて会ったとき、日本では余り大きく報じられませんでしたけれども、いわゆる瀋陽の領事館に駆け込んだハンミちゃん一家があそこへ同席していたんです。ダブルスタンダードと私は言いたいですが、イラクであれだけのことをしながら、北朝鮮では実は人道とか人権を言っているアメリカの姿勢というのもちょっと私個人は理解しがたいんですけれども、人権とか人道ということを切り口にして朝鮮半島の民主化、安定化に持っていきたいということの一環でありました。

 この北朝鮮の脱北者の実態あるいは保護をしていくということについて、外務大臣、これをどのようにお考えか。また、これについては、恐らく中国あるいは韓国あたりからも、何かいろいろなことでいろいろな声が寄せられる、何らかの懸念なりが表明される可能性も今後あると思いますけども、この法律の成立を受けて、外務大臣、どのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 昨日答弁を申し上げたところでもありますけれども、渡辺先生御存じのように、日本国籍を有する人の脱北者というものに対しては、これは邦人保護の見地からということになっております。また、元在日朝鮮人というような形で、過去に日本に在住した経験のある人を含めまして、日本の在外公館に庇護を求めて来られる脱北者に対して、いわゆる外国人である場合の対応は、その都度具体的にちょっと検討させていただかないかぬところ、いろいろなことを考えないけませんので、そういった反応をしております。

 いずれにいたしましても、この法案が成立しておりますので今後とも適切に対応してまいりますが、脱北者が、基本的に国内にいる親族とか支援者の助けをもらって生活している、ほとんど言葉ができない方等々もいらっしゃいますので、そういったことでおりますので、個別のケースとして、脱北者の方々がどのような過程を経てということについては、個別に言及することはちょっと差し控えないかぬところだと思います。

 種々な困難があることは確かです。なかなか折り合いが悪いとか、いかないとか、そういうことに関して民間団体がいろいろ支援をしておられるということも聞いております。この法律ができましたので、私どもといたしましては、脱北者を支援しておられる民間団体がございますので、その支援のあり方等々につきましては、これは厚生省とかいろいろ関係省庁があろうと思いますので、そういうところと連携をして検討させていただきたいと存じます。

渡辺(周)委員 私も実は脱北者の方々とお会いをしまして、もう日本にも大勢帰ってきていらっしゃるんです。御存じのとおり、帰ってきたルートを聞くと、今まで、法的根拠がないので、日本の外務省の方が、正直言って、非合法とは言いませんけれども、かなり危険な手も使って引き渡しをして日本に帰らせている。日本に帰ってきたのはいいけれども、帰ってくるまでは外務省の仕事だけれども、ここから先は厚生労働省、生活保護とか。では住むところはあるのかというと、実際、今おっしゃったように言葉ができない。中には、身寄りがある方ならまだしも、身寄りがほとんどもう絶縁していたような方々もいる。今さら、おいです、めいですといって例えば帰ってこられても大変困る。実際、この人たちを人道的に救うことはもちろんであります。ただしかし、日本で仕事をするのはやはり厳しい問題がある。ただでさえ北朝鮮の中で貧しい生活を強いられて何十年と生きてきた人たちには、スキルも当然ないわけであります。ですから、これについてはこれからまださまざまな検討が必要だと思います。

 私たちがなぜ北朝鮮の人権という切り口から入っていったかというのは、これはやはり御存じのとおりでして、この北朝鮮という国は、全く人権というものを無視した国。世界的にも、極東の小国の、何かヨーロッパあたりに行きますと北朝鮮も日本も区別もつかない、そんなことはよくあることなんだというぐらいの認識でしかないところへ、人道とか人権という切り口から入っていくことによって世界の耳目を、あの北朝鮮の圧政体制に対してやはり目を向けさせること。そして、これによって、なぜ国民が背を向けて自分の祖国から逃げ出してくるのか、これがやはりそもそもの原因じゃないか、そもそもの理由は何だ、そもそもの原因は何だということを、当然世界に目を向けさせることももちろんであります。

 それによって、出てくる方々が、北朝鮮の中では、日本がこういう法律を制定したということは恐らくもう伝わっているでしょう。これは自由北韓放送、ちょっと名前を忘れましたけれども、脱北者が北朝鮮に向けて今ラジオを流しています。それを一生懸命今、ジャミングというか邪魔しているんですね、北朝鮮は。しかし、またそれに何か強力なものを流して、とにかく情報を徹底して北朝鮮の国内に与える。脱北者のうち七割がラジオを何らかの形で聞いていたということであります。

 我々としては、いろいろな方が出ることで拉致問題の新しい情報、北朝鮮国内で行われている、例えばにせ札の問題、あるいはたばこだとかいわゆる薬なんかのにせものをつくっているということの情報が脱北者の手によって西側にもたらされる。ファン・ジャンヨプ元朝鮮労働党の幹部もそうであります、そして安明進という元工作員が、彼らは亡命でありましたけれども、北朝鮮から逃げたからこそ、ある意味脱北したからこそ、横田めぐみさんを北朝鮮の金日成政治軍事大学校で見かけたという生存情報が彼によってもたらされたわけであります。

 ですから、脱北者をやはり我々西側が保護することによって、あの国の神秘のベールに包まれた部分、あるいは我々として本当に知りたい拉致の情報、やはりこういうものの真相をさらに究明する一つの手がかりになるということで取り組んできたわけであります。せっかく成立した法律でございます。ぜひ、効果的な運用を我々も考えますし、また政府としても御認識を持っていただきたいというふうに思うわけであります。

 最後になりますが、前回の委員会でもやりました日米地位協定の問題。

 この日米地位協定については、まさに、今回の政府間協議そして閣議決定についても言及がない。この点についても前回も質問しましたけれども、この地位協定を、これは本当に運用でいくのか、改定するという決意はないのかということを伺いたいと思います。

 それから、沖縄の将来的な米軍施設の返還について、その跡地に対して、環境保護、つまり除去、土壌のクリーニング、土地洗浄をするというようなこと、これは免除されているわけであります、アメリカ側は。例えばこの点についてどのようにしていくのか。私は、やはりその点について、環境の条項を入れていくべきではないか。韓国では既にそうしております。

 こうした問題について、これは不断の見直しが行われて当然でありますけれども、なぜ、日米地位協定、我が国に残された最大の不平等条約、まさにこの地位協定が、改定をするという決意を見せずに運用だけでずっと来てしまったのか。また、今回のような大きな節目においても、なぜ日米地位協定について言及されていないのか。

 そして、このままいきますと、結果的には、日本側が基地の跡地についてのさまざまな対応もしなければいけない。御存じのように、これは北谷町だったでしょうか、たしか、米軍の施設跡地を掘り返してみたらドラム缶にいっぱい有害物質が入ったものが出てきた。これは国が何とか支援をしたからできたけれども、例えば自治体だけではできない。

 こういうものについて、やはり私は、米軍にも当然情報提供を求め、ある意味では米軍にも負担をさせて、その土地の浄化、クリーニングをするということも今から検討すべきだと思いますが、実際そういうことというのは考えられているのかどうか。その点について最後伺いたいと思います。

塩崎副大臣 大臣が答える前に、先ほど環境の問題、浄化の問題それから土壌洗浄の問題がございましたが、これについてだけ先にちょっと答えさせていただいて、後、大臣の方に答えてもらうようにいたしたいと思います。

 確かに、地位協定の第四条は、施設・区域の返還に際して、原状回復ということについて、提供されたときの状態に回復をして、またはその回復のかわりに日本に対して補償する義務を負わない旨を規定しているということは事実なんですね。

 ただ一方で、環境保全に関しましては、御案内のように、我が国の法令を尊重し、また公共の安全に妥当な考慮を払うことが地位協定上第十六条とか三条とかに認められておる一方で、環境保全についても、国内基準とアメリカの基準と比べてみて高い方をとれというようなことでずっと運用をやってきたということであります。

 また、2プラス2が平成十二年九月に環境原則に関する共同発表というのを出していて、「米国政府は、在日米軍を原因とし、人の健康への明らかになっている、差し迫った、実質的脅威となる汚染については、いかなるものでも浄化に直ちに取り組むとの政策を再確認する。」ことが確認されているといったようなことで、地位協定の運用の改善の中で、環境分野については目に見える成果を上げているということが事実ではないのかというふうに考えております。

 それから、土壌洗浄能力というお話をされましたが、洗浄能力というのがどういうことを意味するのかというのはよくわかりませんけれども、先ほどの十二年九月の環境原則に関する共同発表において「人の健康への明らかになっている、差し迫った、実質的脅威」、先ほど申し上げたことについては、いかなるものでも浄化に取り組むとの政策を再確認するというふうに言っているわけであります。

 こういった点で、地位協定の運用の中で、こういった環境については手を打たれているはずだということで今日まで来ているわけでございまして、運用の面については大臣の方からまた答えさせていただきます。

麻生国務大臣 これは渡辺先生もう既によく御存じのとおりに、一般国際法上、通常、駐留を認められております外国の軍隊には、特別の取り決めがない限りは接受国の法令は適用されないということになっておるのが大前提。

 他方、外国の軍隊は接受国の法令を尊重せないかぬということにもなっておりまして、国のいわゆる一般国際法上の義務であるということになっておりますのはもう御存じのとおりです。

 その上で、今、日本ではこの運用の改善ということでやってきたんですが、よく話題になります刑事手続等々につきましては、九五年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会の合意によりまして、米軍人の身柄を起訴前に日本側に移転する等々の道を開いておりまして、現実問題として、起訴前の拘禁移転が何度も行われておりますのは、米軍が駐留しております国の中では日本だけというのが実態であろうと思っております。

 そういった意味で、いろいろな意味で、この問題は運用改善の方が現実的ではないかというのが基本的な我々の考え方でありまして、今、その問題を解決する現実的な面に即しまして、運用の改善の方が適切ではないかというように、基本的にはそう思っております。

渡辺(周)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、やはりこれは抜本的な見直し、ぜひ外務大臣、この点について言及されると、私は、麻生総理誕生というのは、そんなに遠くなく誕生するんじゃないか。やはり地位協定にぜひ踏み込んでいただきたいですね。そうすると、そのことを麻生大臣のビジョンとして発表されれば恐らく支持率も、福田さんを抜いて、安倍さんを抜くぐらいのところまでいくんではないか、そんな思いです。ぜひ毅然とした態度をやはり私は見せていただきたい。

 時間がなくなりましたのでこれ以上は申し上げませんが、ぜひお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きょうは、ロードマップで言われました訓練移転、これについて聞いていきたいと思います。

 訓練の移転先として、ロードマップでは六つの自衛隊基地を挙げております。それに加えて、「双方は、将来の共同訓練・演習のための自衛隊施設の使用拡大に向けて取り組む。」こう明記をしているわけですが、六つの基地以外に「自衛隊施設の使用拡大」、どういう基地を対象に拡大をしていくんですか。

額賀国務大臣 お答えします。

 今赤嶺委員がおっしゃるように、「嘉手納飛行場、三沢飛行場及び岩国飛行場の三つの米軍施設からの航空機が、千歳、三沢、百里、小松、築城及び新田原の自衛隊施設から行われる移転訓練に参加する。」ということを考えておりまして、「自衛隊施設の使用拡大に向けて取り組む。」というふうになっておりますけれども、具体的に、日米の両国間で訓練の移転先をどことどこというふうに今考えておるわけではありません。

赤嶺委員 長官、六つの基地でさえ、三つの米軍基地から訓練移転がやってくるということで、今大変な不安や議論が起こっているわけです。皆さんロードマップに、その上にそれ以外の自衛隊基地も「使用拡大に向けて取り組む。」というわけですから、いわばそれは全く説明できませんというわけにいかないんじゃないですか、どうですか。ちゃんと、どういう基地か。

額賀国務大臣 今は、嘉手納基地の移動訓練について地元の皆さん方と交渉しているわけでございまして、他のことについて具体的にやっているわけではない、それを具体的に想定しているところではないということであります。

赤嶺委員 航空自衛隊の基地といえば、いわば六つの訓練移転される対象基地以外には、松島、入間、浜松、岐阜、小牧、美保、芦屋というぐあいに挙げられるわけですが、こういう自衛隊基地はすべて対象になるということですか。あるいは、この基地は対象にならないというのがありますか。

額賀国務大臣 今の時点で、だから、六つ以外は対象になっていないということを申し上げたわけであります。

赤嶺委員 この六つの自衛隊基地以外のすべての航空自衛隊の基地、これは対象になるわけですよね、新たな使用拡大というのは。それを対象にしないとできないわけですから。その点、はっきり答えてください。

額賀国務大臣 六つの基地について……(赤嶺委員「六つの基地以外に新しく自衛隊基地を拡大対象とするというぐあいにロードマップで書いてありますから、さっき挙げた基地は全部対象になるんですねということです」と呼ぶ)

 いや、だから、先ほど言ったように、将来の状況において検討課題になり得るということはあるけれども、具体的にどうしよう、ああしようということはないということであります。

赤嶺委員 六つの基地でさえ、私、その六つの基地を回りましたけれども、やはり、議会においても住民の間においても大変な不安や、そして中身がわからないという不満が広がっている。そういう中にあって、皆さんロードマップに、新たに拡大する、自衛隊基地は今後やっていくんだということについて、国民に説明はしないけれどもロードマップにはしっかり書き込まれている。これは説明責任を果たしたということには絶対にならないということを私は指摘しておきたいと思います。

 それで、五月十九日の外務委員会で、施設庁長官は覚えておられると思うのですが、築城、新田原で空母艦載機による訓練が行われることになるのかという質問に対して、長官は、空母艦載機については承知していないが、緊急時使用のための事前、慣熟のための訓練はあり得る、このように答えています。

 普天間飛行場で行われている緊急時の使用、そのための慣熟訓練、どんなものが挙げられますか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 現在、普天間飛行場につきまして、具体的にどのような訓練が行われているかということでございますけれども、御承知のように、普天間飛行場につきましては三つの機能がございますね。一つはヘリコプター、それからもう一つはKC130、そして今の緊急時使用ということでございます。

 緊急時使用の訓練につきまして、それが具体的にどういった機種をどのようなといった点につきましては、これはまさに運用に係ることでございますので、私どもの方からは御答弁は差し控えさせていただきたい、そのように考えております。

赤嶺委員 答弁を差し控えるということは、説明しないということと同義語なんですよ。全く説明しないで受け入れろ、理解を求めるという方が本当にむちゃだと思うんですよね。

 例えば、普天間基地では、キティーホークやリンカーンといった空母艦載機が近くの洋上に来たときに、たびたび飛来して訓練が行われております。この点についてはどのように把握しておりますか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生、まず私の方から、私どもが基地を提供しておりますから、米軍が飛行訓練を通じてパイロットの練度の維持といったことを図っていくということは、即応態勢の維持といった観点から、これは極めて重要である。すなわち、言いかえれば、日米安保体制の目的達成のために必要な訓練、これは極めて重要であるという大前提に立っております。

 そして、お尋ねの普天間での空母艦載機の訓練の内容等でございますが、これにつきましては、新聞等の報道があることは私ども承知しておりますけれども、これはまさに米軍の運用に係るといったことでございまして、私どもとして今ここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、普天間飛行場との関係におきまして、地域の皆さんの負担軽減との関係におきましては、平成八年に、普天間飛行場におきます航空機の騒音規制措置といったものにつきましてアメリカ側と合意をしておりますので、アメリカ側はこのような合意に従いまして訓練を実施している、そのように理解をしているところでございます。

赤嶺委員 この間も、普天間飛行場はスーパーホーネット、空母の艦載機ですね、これが来て爆音をまき散らしているわけです。皆さんが結んだ航空機の騒音防止協定というのは騒音拡大の協定になっている、たびたび指摘されてきたことであるわけですが。こういう実態について一向に説明しようとしない。練度の向上は必要だ、こういうことを繰り返しているばかりですけれども、実際には、普天間基地の緊急時の機能を移転するということは、こういう空母艦載機の訓練も行われていくということ、これは否定できないわけですね。

北原政府参考人 まず、緊急時の普天間の使用について、新田原と築城基地にお願いをしたいと思っているところでございますけれども、緊急時の使用に備えるための訓練としてどのような航空機が新田原あるいは築城基地を使用するかといったことにつきましては、決まってはおりません。

 ただ、この場合には、日米合同委員会で合意されております新田原それから築城基地の共同使用に関する条件のもとで実施がされるということになっているわけでございます。

 それで、その点を見ますと、現在の日米合同委員会合意におきます年間の総使用日数それから訓練一回当たりの使用期間の制限の範囲内で、そしてまた、その他の態様につきましては航空自衛隊と同様の態様で実施をされることになりますということを私ども地元へ説明しているところでございます。

 したがいまして、いわゆる空母艦載機離発着訓練が行われるといったことは想定されていないところであります。

赤嶺委員 あなた方のこういう説明だけでは納得しないと地元からいろいろな声が上がっているから、今私はその声を受けとめて質問をしているわけです。

 この間、QDRを読みまして、空母について、十二隻から十一隻に削減をする、一方で、太平洋地域では現在の五隻から六隻にふやすという方針を示しているわけですね。

 私はこの間佐世保に行ってまいりましたけれども、新しくふやす空母について、これは東京新聞の報道ですが、その母港はハワイのパールハーバーが有力視されている、しかし佐世保についても空母の寄港地として活用する考えがある、このように報道されておりました。佐世保にはアメリカの空母は寄港する、どういう実態になっているんでしょうか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 佐世保への米空母の寄港実績でございますけれども、過去十年間について御説明申し上げれば、四回寄港している、平成九年九月九日から十日までの二日間、平成十四年八月十六日から十九日までの四日間、三回目が十六年八月二十一日から二十五日までの五日間、そして平成十八年五月二十五日から二十九日までの五日間というのが実績でございます。

赤嶺委員 二〇〇二年からは一年置きに佐世保に空母がどんどん入港しているという。私は、既に準母港化という印象を佐世保に行って受けました。

 二隻態勢となると、例えば空母艦載機の訓練ですが、岩国は厚木のものが行きますから、岩国ではなかなかやるわけにいかぬだろう。私がこういう質問をするのは、沖縄に空母が近づいたら、その艦載機は普天間飛行場や嘉手納基地を使って離発着訓練をやっているんですよ。だから、空母がふえたら、日本国内でもそういうのは当然ふえていく。そして、築城、新田原は緊急時の使用、そのための慣熟訓練をふだんからやっていくということになっている。そうなれば、そういう訓練は築城、新田原ということになるんじゃないですか。いかがですか。

北原政府参考人 この点につきましては、先ほど私御答弁させていただきました。まだどういう飛行機が訓練をするかということは決まっていないわけでございますし、また、地元への今回の御説明している中でも、るる申し上げました枠組みについて申し上げております。

 したがいまして、いわゆる空母艦載機の発着訓練が行われることは想定されていないということで御理解を賜りたいと思います。

赤嶺委員 共同使用の条件の枠内とはいっても、現に空母がふえていく。そして、現在の空母でも、沖縄近海では沖縄の普天間飛行場を使って訓練している。その緊急使用の訓練を築城、新田原に移せばどうなるかということを一向に説明しないで、想定しないと言うだけでは納得できないと思うんです。

 ちょっと質問をかえます。

 今度は嘉手納以南の土地の返還について聞きますが、嘉手納以南の土地の返還について、確定した返還規模の面積は幾らですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 五月一日の2プラス2で承認されたロードマップには次のような記述、六カ所挙がっておりまして、沖縄につきまして、キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇港湾施設、それから陸軍貯油施設第一桑江タンク・ファームの六施設の施設・区域が返還対象となっております。その中で、キャンプ瑞慶覧につきましては部分返還で、したがいまして、どの程度が返ってくるかまだわかりませんけれども、我々としてはできるだけ多く返していただきたいと思っているわけでございますが、他の五つの施設・区域につきましては全部返還となっております。トータルいたしますと、五つの施設で約八百九十五ヘクタールでございます。

 したがいまして、先ほどの繰り返しになりますが、部分返還とされたキャンプ瑞慶覧と合わせまして、私どもといたしましては、これ以上の土地の返還を目指してまいりたい、そのように考えております。

赤嶺委員 今、確定した返還規模は八百九十五ヘクタール、瑞慶覧についてはまだ何も決まっていないと。瑞慶覧の返還というのは、どのぐらいの規模で、いつまでにそれは決まるんでしょうか、もう返還が確定されたかのように皆さん言っていますけれども。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 瑞慶覧を含めましてこの六つの施設・区域の返還につきましては、来年の三月までに詳細な計画をつくることになっております。したがいまして、その時点までには具体的に瑞慶覧のどこがどの程度ということが明らかになってくると考えているところでございます。

赤嶺委員 ちょっと長官への質問を控えているものですから、恐縮ですが、少しだけ待たせていただけますか。静かに待っております。

浜田委員長 副長官もいますから。

赤嶺委員 長官の見解についての質問ですので。

浜田委員長 副長官が答えられるところは答えられますから。

赤嶺委員 いや、長官の発言に関しての質問ですので。

浜田委員長 時間を待ちます。

 赤嶺君。

赤嶺委員 長官、大変失礼いたしました。

 今、私、嘉手納以南の土地の返還について聞いてきたんです。確定した面積は幾らかと伺いましたら、施設庁長官は、八百九十五ヘクタール、キャンプ瑞慶覧についてはまだ確定していないし、来年の三月までということを今答弁いただきました。

 そこで、長官は、いろいろなメディアに登場して嘉手納以南の土地の返還についても発言しているんですが、千五百ヘクタールの土地の返還だということを繰り返しているんですね。これは、キャンプ瑞慶覧の総面積、全部返還が出た場合に足し算をすれば千五百ヘクタールなんですが、確定した面積というのは八百九十五なんですよ。だから、千五百という発言の仕方は事実を誇張しているんじゃないかと私は思いますが、いかがですか。

額賀国務大臣 ですから、全部返還されれば千五百ヘクタールである、だからそういう交渉をしているということを言ってきたわけであります。

赤嶺委員 政府は全部返還の交渉をしていないんですよ。キャンプ瑞慶覧は一部と書いてあるんですよ。そういう、自分たちが書いて合意した認識についてもあいまいな認識で、千五百ヘクタール返還というような言い方はやはり誇張だと指摘せざるを得ないと思います。

 きょうは、内閣府にも来ていただきましたが、時間がありませんのでもうこれで質問を閉じますが、那覇港湾だって、軍港移設先ができ上がるのは、二十年先だってでき上がっているかどうかわからないんですよ。そんな代物を、嘉手納以南の土地の返還、負担の軽減だという言い方には納得できないということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

浜田委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 私は、本日は、地元でございます神奈川の基地問題について御質疑をさせていただきます。

 五月一日、日米の米軍基地再編の最終合意がなされ、ロードマップも発表されて、その中でもとりわけ厚木基地に関しましては、地元負担の軽減ということが随所で御答弁の中で触れられております。麻生外務大臣もおっしゃいましたし、また額賀長官もそのような御発言がございました。

 そもそも、伺いますが、ここで皆さんの言われます厚木基地の負担の軽減の中身と、軽減とおっしゃる根拠をお示しくださいますか。防衛庁長官、お願いいたします。

額賀国務大臣 自治体の知事さんだとか関係市町村長さん、地元の方ともお会いしたときに、厚木の空母艦載機が移転されれば相当負担軽減になると皆さんおっしゃっておられますし、私はきっとそうなるだろうと思っております。

 具体的にどういうことかというと、在日米軍の兵力態勢再編により、厚木飛行場から岩国飛行場にFA18ジェット戦闘機等五十九機が移転されます。また他方、岩国飛行場から厚木飛行場に移駐される海上自衛隊のEP3等はプロペラ機であるためにジェット戦闘機に比べて騒音が小さいことは歴然としているので、騒音については大きな負担軽減になるのではないかというふうに言われているわけであります。

阿部(知)委員 騒音の実態等々を身近にしております市民にとりまして、果たして今額賀長官がおっしゃったような事の運びで軽減になるかどうかということについて、私はもうちょっと中身に立ち入らせていただきたいと思います。

 麻生外務大臣も外務委員会でお答えでございますが、厚木基地というのは、人口二百四十万の人がそこに住む上に基地がございまして、日夜、ジェット戦闘機、特にF18スーパーホーネットなどがブンブン飛び回るという中で起きておりますし、上を飛ぶパイロットから見まして、下を見ればもう本当に民家が見えて、場合によっては住民とパイロットの目と目が合うんじゃないかと言われているような人口過密地にあるわけです。

 もちろん地元としても、それがどこに移るかは別として、願わくば本土に帰っていただきたいですが、とにかくこの過密状態の危険いっぱいの状態から何とかしてほしいというのはもう切なる四十年来の願いなのですが、この米軍基地の再編が発表されて以降も、新たにジャスティン・クーパー大佐という方が任官されて、例えば、厚木基地の重要性は不変であって今後も変わることがないということをたびたびおっしゃるわけです。

 そうおっしゃる理由というのは、横須賀に空母キティーホークが現在おりますが、これが原子力空母にかわり、座間に米陸軍第一軍団司令部がやってきて、空母搭載機と、そして今までの厚木基地と、さらに司令部が来る。となると、確かに今、表向き五十九機が移動していくということであるが、例えば本当に厚木基地で今後、整備を含めたことが行われなくなるのかどうか。当然、整備の部分の機能が残ればやはり離発着はいるわけですから、運んでくるわけではございませんし、そうしたことについて、言われているような負担軽減になるのか。まず米軍機についてもでございます。

 この整備部分が厚木に残るということ、これはジャスティン・クーパーさんもおっしゃっていますのでそのようだと思うのですが、果たしてそういう状態でなお本当に軽減というふうにお考えであるのかどうか、一点、お願いします。

額賀国務大臣 阿部委員のおっしゃるとおり、空母艦載機が岩国飛行場へ移駐することによって、恐らく日常的な整備機能というのは岩国に移転するというふうに思います。だけれども、おっしゃるように、定期整備それから本格的な修理については引き続いて厚木飛行場に残る部隊が実施するというふうに言われております。そういうふうになると思います。したがって、厚木に来なければならないというのは非常に頻度が少なくなるということは歴然としていると思いますね。自動車に例えれば、日常の普通の修理は現地で行うけれども、あれは、四年に一遍とか五年に一遍とか、何というんですか……(阿部(知)委員「車検」と呼ぶ)車検みたいなものはやはり大きなところでやるということだと思います。

阿部(知)委員 車検ほどの期間が長くあくものであるかどうかということについては私はちょっと違う理解をしておりますし、それと、さっき申しましたように、横須賀の機能というのは、今後、広くアジア太平洋地域の、航空母艦ですから、移動する基地ですから、ここに原子力空母を置くということは、長くいついつまでも浮遊していられるような不沈空母を置いているようなものであります。そういう中で、当然、艦載機の例えば定期点検といえど頻度が減るという保証は実は見えていないんだと思うのです。

 今、多くの自治体で、五十五自治体並びに都道府県のうちで、なかなか先が見えないこと、これからどうなるんだろう、基地機能がかえって恒久化され強化されるんじゃないかという不安が本当に強いということはぜひ長官にも御認識いただきたいと思うのです。

 そして、例えば四月二十日の航空騒音の例をとりますと、十二時半から十三時までの三十分間に何と三十七回も、いろいろ、戦闘機含めて、自衛隊機含めて飛ぶわけであります。三十分に三十七回、もう一分二機近くですね。そのうち約三十回が九十デシベルを超えて、百十デシベルを超すものもございます。現地におりますと、車を運転していてドアを閉めても防ぎ切れない騒音が入ってくるような状態に暮らしております。今後いかに実際の騒音が軽減されるかということは、これはもう住民にとっては懸案中の懸案でございます。

 そこで、もう一点、そうした不安をさらに助長していることがございます。

 先ほど長官もおっしゃいましたが、十七機の自衛隊機がかわってやってきます。これは、F18スーパーホーネットほど大型エンジンでもありませんし、戦闘機じゃないし、いいんじゃないの、簡単に言うとこういうことなんだと思いますが、実は、そのうち四機はジェット機でございます。そして、自衛隊機の飛行回数というのは、昨今では米軍機より多うございます。例えば二〇〇四年度をとりますと、米軍機は二万五千二百三十三回で、この間、自衛隊機はおよそ二万五千から二万八千回飛んでいるのではないか。すなわち、厚木の大和市の上、私のいる藤沢もそうですが、この上は、米軍機と自衛隊機と入りまじってしょっちゅう飛んでいるような状態になっているわけです。

 ですから、今後、自衛隊機がやってきて、その中でも特にジェット機がここに含まれているということは、実は、四六協定と言われておりますが、昭和四十六年に横浜防衛施設局と大和市が結びました「厚木海軍飛行場の海上自衛隊による共同使用について」という中にございますが、「ジェットエンジンを主たる動力とする飛行機は、緊急止むを得ない場合を除き、使用しません。」という協定や、あるいは、平成六年の二月、同じく防衛施設局と大和市が取り結びました「厚木飛行場への自衛隊のジェット機の乗入れについて」は「ジェット機の配備は、行わないこととする。」というこれまでの、すなわち政府なり防衛施設庁当局と市、自治体の二回にわたる協定のほご、違反になるわけです。一方的破棄と言ってもいいかもしれません。

 この点について、長官はどんなお話を地元となさいましたでしょう。

北原政府参考人 阿部先生に御答弁申し上げます。

 まず、艦載機五十九機を厚木から岩国へ移転するといった点につきまして、地元の大和市あるいは綾瀬市の各市長さん等からは大変高く評価をいただいているところでございまして、一日も早く実現するよう、国に一層の努力を求めるといった趣旨のコメントもいただいているところでございます。

 それで、今先生御指摘のジェット条項でございますが、確かに、先生御指摘のとおり、昭和四十六年それから平成六年に、横浜局長から大和市長、それから当時の綾瀬町長に御通知申し上げております。

 したがいまして、この点につきましては、その取り扱いについて現在地元と御調整をさせていただいているところでございまして、引き続き、私どもといたしましては、誠心誠意御説明して、御理解が得られるようにしてまいりたいというように考えています。一方的にほごにするとか、そういうことではございません。あくまでも御理解をいただいて対応してまいりたいと思っています。

 それから、先生、恐縮でございますが、小型ジェット機のU36A、今度岩国から厚木へ移転をお願いしているわけでございますが、これはいわゆる、いうところのビジネスジェット機でございまして、先生御指摘のFA18スーパーホーネット等とは騒音の度合いは格段に違うわけでございまして、例えて申しますと、離陸時で両者を比較しますと、二十五デシベルの違いがあります。それをもう少しイメージ的にわかりやすく申しますと、ちょうど外と防音の整備をした中くらいの違いというのが一つのイメージかと思います。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、現在大変御負担をかけております厚木につきましては騒音の度合いが大幅に減少することになると思いますので、ぜひともこれを実現すべく御理解を賜りたいと思っています。それから、当然のことながら、繰り返しですが、ジェット条項についても御理解をいただきたい、そのように考えているところであります。

阿部(知)委員 もちろん住民は、四十年の長きにわたって裁判を起こしてやってきているわけですから、このF18スーパーホーネット、特に最近出力が大きいですし、こういうものがどこかに移転してくれるということを望んでいることは事実であります。

 しかしなおかつ、おっしゃった二十五デシベル違うという自衛隊のジェット機についても、もともとが百十デシベルだったら、そこから二十五引いたって八十五あるんです。そのうるささは体感していただかなければわかりません。二十五減るからいいじゃないのと言うのはやめていただきたい。

 そして、そういうことをおっしゃるならばというか、おっしゃる前提には、やはり防衛施設庁の方も、さっき言った三十分に三十七回の現状。そして、今後、では、本当に自衛隊のジェット機は現在来る四機以上にふえないのか。だって、何の保証も見通しもないわけです。そして、申し上げたように、横須賀基地の機能が強化された場合に、日米の、自衛隊と米軍の共同の行動ということが厚木基地でも座間でも当然これから起こり得る。未来が見えないわけです。

 そういうことに対して、きちんとした見通しなく軽減だ軽減だと安易に言わないでいただきたいとお願い申し上げたいし、最後に防衛庁長官にお願いいたします。

 実は、麻生外務大臣は、十二月二十六日に厚木基地にお越しいただきました。でも、その日というのは、十二月二十六日だから、クリスマス休暇で飛行はなくて、でも、とにかくお越しはいただきました。もっとうるさいときに来てほしいなと思いますが。防衛庁長官にもぜひ一度、厚木基地を御視察もいただきまして、そして、体感していただきますこの騒音の問題と、住民の声も聞いていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

木村副長官 先ほど先生がおっしゃったように五十五の自治体があるわけでして、これらをすべて長官が直接というのは、物理的にも時間的にも、また国会も開会中でしたので、それをカバーするため、私や二人の政務官も手分けしていろいろ回りました。

 私は、長官の命を受けまして厚木の方を視察させていただき、また、先ほどお話があった綾瀬市長、大和市長とも意見交換をしてまいりました。その際、視察しながら、上空からも見ましたし、また基地内あるいは周辺も回りまして私なりに体感させていただき、それはきちっと長官の方にお伝えしてあります。

浜田委員長 阿部君、時間です。

阿部(知)委員 騒音のみならず、落下物の危機というものも住民は既に十分体感されております。重ねて、やはり自治体からの声をもっとしっかり聞いていただきたいということをお願い申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

     ――――◇―――――

浜田委員長 この際、御報告いたします。

 本会期中、当委員会に付託されました請願は、二種十四件であります。各請願の取り扱いにつきましては、理事会において検討いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、御了承願います。

 なお、本会期中、当委員会に参考送付されました陳情書及び意見書は、お手元に配付してありますとおり、海上自衛隊岩国基地航空部隊の厚木基地移駐反対に関する陳情書、自衛隊(福江島)基地の整備拡充等を求める意見書外二十件であります。念のため御報告いたします。

     ――――◇―――――

浜田委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。

 国の安全保障に関する件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。

 まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、派遣の目的、派遣委員、派遣期間、派遣地等所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、閉会中審査におきまして、委員会に参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その人選、出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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