衆議院

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第1号 平成18年10月17日(火曜日)

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本国会召集日(平成十八年九月二十六日)(火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 浜田 靖一君

   理事 赤城 徳彦君 理事 岩屋  毅君

   理事 寺田  稔君 理事 仲村 正治君

   理事 吉川 貴盛君 理事 神風 英男君

   理事 長島 昭久君 理事 佐藤 茂樹君

      安次富 修君    石破  茂君

      小里 泰弘君    大塚  拓君

      瓦   力君    北村 誠吾君

      高木  毅君    谷川 弥一君

      福田 良彦君    宮路 和明君

      山内 康一君    山崎  拓君

      内山  晃君    細野 豪志君

      前田 雄吉君    渡辺  周君

      田端 正広君    赤嶺 政賢君

      辻元 清美君    下地 幹郎君

      西村 真悟君

    ―――――――――――――

九月二十八日

 浜田靖一君委員長辞任につき、その補欠として木村太郎君が議院において、委員長に選任された。

平成十八年十月十七日(火曜日)

    午後一時三十二分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 笹木 竜三君

   理事 神風 英男君 理事 長島 昭久君

   理事 前田 雄吉君 理事 遠藤 乙彦君

      赤澤 亮正君    大塚  拓君

      大前 繁雄君    瓦   力君

      木原 誠二君    北村 誠吾君

      高木  毅君    浜田 靖一君

      広津 素子君    福田 良彦君

      松本 洋平君    宮路 和明君

      山内 康一君    内山  晃君

      津村 啓介君    東  順治君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   国務大臣

   (防衛庁長官)      久間 章生君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   外務副大臣        浅野 勝人君

   防衛庁長官政務官     大前 繁雄君

   防衛庁長官政務官    北川イッセイ君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   外務大臣政務官      関口 昌一君

   外務大臣政務官      浜田 昌良君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山浦 耕志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上 源三君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  伊佐敷眞一君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小笠原倫明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西  正典君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 佐渡島志郎君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   中根  猛君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 竹内 春久君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 清水  治君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全監)  袴着  実君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    藤井 章治君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十七日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     木村 太郎君

  高木  毅君     大前 繁雄君

  田端 正広君     東  順治君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  細野 豪志君     笹木 竜三君

  渡辺  周君     津村 啓介君

十月二日

 辞任         補欠選任

  佐藤 茂樹君     遠藤 乙彦君

同月三日

 辞任         補欠選任

  小里 泰弘君     中谷  元君

  谷川 弥一君     高木  毅君

  吉川 貴盛君     今津  寛君

同月十七日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     松本 洋平君

  石破  茂君     赤澤 亮正君

  山崎  拓君     広津 素子君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     石破  茂君

  広津 素子君     山崎  拓君

  松本 洋平君     木原 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     安次富 修君

同日

 理事岩屋毅君九月二十七日委員辞任につき、その補欠として中谷元君が理事に当選した。

同日

 理事佐藤茂樹君同月二日委員辞任につき、その補欠として遠藤乙彦君が理事に当選した。

同日

 理事吉川貴盛君同月三日委員辞任につき、その補欠として今津寛君が理事に当選した。

同日

 理事神風英男君及び長島昭久君同日理事辞任につき、その補欠として前田雄吉君及び笹木竜三君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

九月二十六日

 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第九一号)

十月十六日

 米軍と自衛隊の一体化等に関する請願(笠井亮君紹介)(第二二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六二号)

 同(笠井亮君紹介)(第六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言ごあいさつを申し上げます。

 このたび、安全保障委員長に就任いたしました木村太郎でございます。まことに光栄に存じますとともに、その職責の重大さを痛感している次第であります。

 今日においても依然として不透明な国際情勢のもと、我が国の平和と安全を確保するため、当委員会に課せられた使命はまことに重大と考えております。

 ここに、委員各位の御協力を賜りまして、公正かつ円満なる委員会運営に努めてまいりたいと思いますので、各委員の皆様方の御協力をお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

木村委員長 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事神風英男君及び長島昭久君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任並びに委員の異動に伴いまして、現在理事が五名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      今津  寛君    中谷  元君

      笹木 竜三君    前田 雄吉君

   及び 遠藤 乙彦君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中、国の安全保障に関する事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

木村委員長 この際、国務大臣、副大臣及び大臣政務官より、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。久間防衛庁長官。

久間国務大臣 防衛庁長官の久間章生でございます。

 本日は、木村委員長を初め委員の皆様に防衛庁長官としてごあいさつを申し上げます。

 今日の安全保障環境は、米国同時多発テロに見られるとおり、従来のような国家間の対立のみならず、国際テロ組織などの非国家主体が重大な脅威となっております。さらには、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展等が強く懸念されております。このような新たな脅威や平和と安全に影響を与える多様な事態への対応が、今日の国際社会における差し迫った課題となっております。

 十月九日、北朝鮮が核実験実施を発表しました。北朝鮮が大量破壊兵器の運搬手段となり得る弾道ミサイル能力の増強をしていることとあわせ考えれば、これは深刻な問題であり、極めて憂慮すべきものであります。防衛庁としては、関係省庁との連絡を密にしつつ、引き続き情報収集等に努めるとともに、同盟国たる米国を初めとする関係国と連携しつつ、国と国民の安全の確保のために必要な施策について早急に検討を行う所存であります。

 また、十五日に対北朝鮮経済制裁を含む安保理決議が採択されたことを踏まえ、防衛庁としても、国際社会と協調し、今後いかなる措置が必要かを早急かつ具体的に検討を行う所存であります。

 我が国を取り巻く安全保障環境の変化を受け、防衛力の役割は国政の中でますます重要性を増しております。国民の安全、安心を確保する危機管理体制を一層充実強化し、国際社会の平和と安定に主体的かつ積極的に取り組むためには、防衛庁を省として位置づけるとともに、国際平和協力活動等を自衛隊の本来任務とする必要があります。このような観点から、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を国会に提出させていただいているところであります。防衛庁といたしましては、国会において、十分御議論の上、できるだけ早期に成立させていただけるよう、全力を尽くしてまいります。

 日米安全保障体制及びそれを中核とする日米同盟は、我が国防衛や地域の平和と安定、さらには国際的な安全保障環境の改善において、重要な役割を果たしております。日米同盟を安全保障環境の変化に応じて発展させていくため、近年、日米協議に取り組んでまいりましたが、本年五月の日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2会合において、兵力態勢の再編の最終取りまとめがなされました。

 在日米軍の再編は、抑止力の維持と地元の負担軽減を通じて日米安全保障体制を一層実効的なものにしていく上で、極めて重要な一歩であります。今後とも、地元の声に耳を傾け、御理解と御協力を得つつ、地域振興策などについてもしっかりと取り組み、米軍再編を着実に進めてまいります。

 国際社会は引き続きテロとの闘いに取り組んでおり、海上自衛隊による協力支援活動は各国から高い評価を得るなど、我が国に対する支援のニーズが引き続き存在しております。このような中、防衛庁といたしましては、今国会においてテロ対策特措法の期限の延長をする必要があると考えており、引き続き国際的なテロリズムの防止及び根絶のため、国際社会の一員として積極的かつ主体的に取り組んでいきたいと考えております。

 イラクにおいては、陸自派遣部隊がその活動目的を達成し、本年九月、全員無事に帰国いたしました。陸自撤収後は、空自派遣部隊が国連及び多国籍軍への空輸支援を継続しております。これらイラクにおける自衛隊の活動は国内外から高い評価を得ているところであり、防衛庁といたしましては、イラクの復興及び安定に引き続き主体的かつ積極的に貢献してまいる所存です。

 本年七月の北朝鮮による弾道ミサイル発射事案は、我が国の安全保障や国際社会の平和と安全、さらには大量破壊兵器の不拡散という観点から重大な問題であります。このような新たな脅威や多様な事態に実効的に対応していくために、防衛大綱の多機能で弾力的な実効性のある防衛力の体制を整備していくことが重要であります。特に弾道ミサイル攻撃に対しては、弾道ミサイル防衛システムの早期配備に努めるとともに、米国とも緊密に連携し、対応に万全を期してまいります。

 国の防衛という任務は、国民の信頼なくして成り立ち得ないものであります。多くの隊員が日々職務に精励し、我が国及び国際社会の平和と安定のために努力している中、防衛施設庁談合事案等が発生したことは、まことに遺憾であります。

 このような不祥事の発生を防止し、国民の期待と信頼にこたえ得る防衛庁・自衛隊とするため、隊員の徹底した意識改革、再発防止策の確実な実施、新たな時代の防衛を担うにふさわしい防衛組織の構築などに全力を傾注して取り組んでまいりますので、委員の皆様の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いいたします。

 自衛隊が我が国の防衛という任務を適切に遂行するためには、主権者たる国民の皆様の御理解と御協力が不可欠であり、国民の皆様に対して説明責任を果たしてまいる所存であります。

 木村委員長初め委員各位の一層の御指導と御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

木村委員長 次に、麻生外務大臣。

麻生国務大臣 衆議院安全保障委員会の開催に当たり、木村太郎委員長を初め委員各位にごあいさつをさせていただきます。

 北朝鮮は、我が国を含む国際社会の再三の警告にもかかわらず、核実験を実施したと発表いたしております。詳細につきましては後ほど改めて御報告をいたします。

 これまで北朝鮮は、大量破壊兵器の開発、ミサイル実験などを行い、我が国をめぐる安全保障環境を大きく不安定化させてまいりました。これに加えて、核実験の実施の発表を行ったことは、我が国のみならず東アジア及び国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり、断じて容認することはできません。

 北朝鮮の行為に対する国際社会の強い非難を背景にして、日本時間十五日未明、国連安全保障理事会は、経済制裁を含む厳しい内容の決議を全会一致で採択しております。北朝鮮はその場でこの決議の受け入れを拒否しておりますが、北朝鮮は国際社会の一致した要求を誠実に履行する義務があると存じます。

 政府としては、今回の安保理決議を受け、今後いかなる措置が必要か、米国などと緊密に連絡しつつ、具体的に検討し、適切な措置を講じてまいります。

 拉致問題につきましても、すべての被害者の生還を実現すべく全力で取り組みます。

 北朝鮮の核兵器保有は、東アジア地域の安全保障環境を大きく変容させます。そうした中、我が国の安全と繁栄を確保するため、日本外交のかなめとなるのは、引き続き、日米安保体制を基盤とした日米同盟関係であります。今回の北朝鮮の一連の行動を受け、日米両国は、日米同盟に基づく米国の抑止力が揺るぎないものであるとの認識で一致をいたしました。

 政府としては、引き続き、米国と緊密に連携しつつ、ミサイル防衛を初めとする日米防衛協力及び在日米軍再編の着実な実施などを通じ、日米同盟の抑止力の信頼性を一層向上させていく考えであります。

 近年の国際社会では、地域紛争が頻発し、国際テロや大量破壊兵器などの拡散といった新たな脅威が出現しております。こうした課題に対処し、国際社会の平和と安全を確保することは、我が国の安全保障政策にとって重要な課題であります。

 イラクでは、依然予断を許さない状況が継続しております。イラク政府は、事態の改善に向けて懸命の努力を払っており、イラクの復興も、困難な中ではありますが、着実に進んでおります。我が国は、航空自衛隊やODAを通じた支援により、引き続きイラクの復興を支援してまいります。

 イランの核問題は、国際社会として毅然とした対応が求められる問題です。我が国は、この問題の平和的解決に努め、核軍縮・不拡散体制の強化に向けて国際社会をリードしてまいります。

 九・一一テロ以降、国際社会はテロとの闘いを続けております。インド洋における自衛隊艦船の活動などを継続していくために、先般テロ対策特措法を一年間延長する法案を国会に提出し、御審議をいただいているところでもあります。

 以上のような諸課題に取り組むためには、国民の皆様の理解と支持が不可欠であります。木村委員長を初め本委員会の皆様方の御支援と御協力を心よりお願い申し上げます。(拍手)

木村委員長 次に、木村防衛庁副長官。

木村副長官 防衛庁副長官の木村隆秀でございます。

 北朝鮮の核問題を初めといたしまして、防衛庁が直面をいたします喫緊の課題に速やかに対処すると同時に、我が国の防衛政策の一層の推進を図るため、両政務官と手を携えながら久間長官を補佐し、誠心誠意務めさせていただきたいと存じます。

 木村太郎委員長を初め委員各位の皆様の御指導、御鞭撻を賜りますように心からお願いを申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。(拍手)

木村委員長 次に、岩屋外務副大臣。

岩屋副大臣 このたび外務副大臣を拝命いたしました岩屋毅でございます。

 木村委員長初め委員の先生方に一言ごあいさつを申し上げたいと思います。

 国際社会において未解決の問題が山積する中、我が国の安全と繁栄を確保し、国民の生命と財産を守ることは、政府が取り組むべき最優先課題でございます。時局極めて多難な折ではございますが、私は、麻生外務大臣を補佐し、我が国が直面する外交、安全保障上の諸課題に全力で取り組んでまいる所存でございます。

 長らくこの委員会に所属をしておりましたので、与野党を問わず、御指導いただいた先生方ばかりでございますが、今後とも木村委員長初め先生方の御指導、御鞭撻を心からお願いを申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。よろしくお願いします。(拍手)

木村委員長 次に、浅野外務副大臣。

浅野副大臣 外務副大臣の浅野勝人でございます。

 我が国の繁栄と安全を確保するため、麻生大臣を補佐して、外交、安保政策等、真剣に取り組んでまいります。

 木村委員長初め委員の先生方に厳しい御叱責と温かい御指導を賜りますようお願いを申し上げて、就任のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

木村委員長 次に、大前防衛庁長官政務官。

大前長官政務官 このたび防衛庁長官政務官を拝命いたしました大前繁雄でございます。

 就任に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。

 安全保障は、国家にとりまして最も重要な基本問題であると認識をいたしております。木村副長官、そして北川政務官とともに久間長官を補佐し、全力で職務に取り組んでまいることを決意いたしております。

 木村委員長初め委員の皆様方の温かい御指導、御鞭撻のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

木村委員長 次に、北川防衛庁長官政務官。

北川長官政務官 このたび防衛庁長官政務官を拝命いたしました北川イッセイでございます。

 我が国の防衛行政には、取り組むべき課題がたくさんございます。木村副長官、大前政務官とともに久間長官を補佐し、全力を挙げて課題の解決に取り組んでまいりたいと思っております。

 木村委員長初め委員の皆様方には御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

木村委員長 次に、松島外務大臣政務官。

松島大臣政務官 外務大臣政務官に就任いたしました松島みどりでございます。

 木村太郎委員長を初め委員の皆様に一言ごあいさつ申し上げます。

 外務大臣政務官として、国民の皆様の期待にこたえることができる外交を推進すべく、麻生太郎外務大臣を補佐し、一生懸命頑張ってまいる所存でございます。

 政務官三人の中では、特に私がこの委員会を担当させていただくことになりました。どうか木村委員長を初め委員の皆様には、御理解と御指導、そして御協力をいただきますように、よろしくお願いいたします。(拍手)

木村委員長 次に、関口外務大臣政務官。

関口大臣政務官 このたび、外務大臣政務官に就任いたしました関口昌一です。

 木村委員長を初め委員各位の皆様方に謹んでごあいさつを申し上げます。

 外務大臣政務官としての責任を果たすべく、麻生大臣の御指導のもと、外交政策の推進に全力で取り組んでまいる決意でございます。

 木村委員長を初め委員各位の皆様方の御指導、御鞭撻をよろしく賜りますようにお願いを申し上げ、あいさつにかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)

木村委員長 次に、浜田外務大臣政務官。

浜田大臣政務官 外務大臣政務官の浜田昌良でございます。

 木村委員長を初め委員各位に謹んでごあいさつを申し上げたいと思います。

 外務大臣政務官としての職務を全うするため、麻生外務大臣の指導のもと、我が国の外交、安全保障上の諸課題に全力を尽くして取り組む決意でございます。

 委員長を初め本委員会の皆様の御指導と御鞭撻のほど、何とぞよろしくお願いします。(拍手)

     ――――◇―――――

木村委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、北朝鮮による核実験について、防衛庁長官及び外務大臣からそれぞれ報告を聴取いたします。久間防衛庁長官。

久間国務大臣 北朝鮮による地下核実験実施発表について御報告申し上げます。

 十月九日、北朝鮮が核実験を実施したとの発表をしたことに関し、防衛庁としては、私を対策本部長とする北朝鮮による核実験に関する対策本部を設置し、今後の情報の収集、分析と対応に万全を期すこととしています。

 また、当面の対応として、国内関係機関や米国を初めとする関係国と連携を密にしつつ、次の点を徹底いたしました。

 情報本部を中心に関連情報の分析を進めるとともに、今回の事案の事実関係の詳細な把握に努めること。

 北朝鮮の今後の動向に関し、情報本部や関係機関は、情報収集態勢を強化すること。

 国内関係機関が行う放射能調査に必要な協力を行うこと。

 この放射能調査への協力として、九日夜、航空自衛隊の航空機により高空の大気浮遊じんの採取を実施し、試料を分析機関に輸送したところです。以後、原則として毎日、集じん飛行を実施しております。

 引き続き国内関係機関等と連携しつつ、国及び国民の安全の確保に万全を期してまいる所存であります。

 また、十五日に対北朝鮮経済制裁を含む安保理決議が採択されたことを踏まえ、防衛庁としても、国際社会と協調し、今後いかなる措置が必要かを早急かつ具体的に検討を行う所存であります。

木村委員長 次に、麻生外務大臣。

麻生国務大臣 今般の北朝鮮による核実験実施の発表について御報告をいたします。

 十月九日、北朝鮮は、核実験を実施した旨の発表を行いました。これに関連して、米国政府は、現地ニューヨーク時間の十六日、大気サンプルの分析により、北朝鮮が十月九日に地下核爆発を実施したことを確認する放射性物質が検出された旨発表したところです。

 北朝鮮による核実験については、北朝鮮が実施したとの発表を行ったこと、気象庁が通常の自然地震の波形とは異なる地震波を探知したことなどに加え、今回米国がこのような発表を行ったことも加味すれば、我が国政府としては、核実験が実施された可能性が高まったと考えております。しかし、現時点で結論は出ておりません。引き続き事実確認に努めてまいります。

 北朝鮮が核実験の実施を発表したことは、我が国のみならず、東アジア及び国際社会の平和及び安全に対する重大な脅威であり、断じて容認することはできません。

 これを受け、政府としては、対応を検討し、一、すべての北朝鮮籍船の入港の禁止、二、北朝鮮からのすべての品目の輸入の禁止、三、北朝鮮籍を有する者の入国の原則禁止といった厳格な措置をとることとしました。前二者の措置につきましては、十三日に閣議決定を行っております。

 さらに、十五日には、国連安保理におきまして、決議第千七百十八号が全会一致で採択をされております。我が国は安全保障理事会の議長国として、本決議の迅速な採択に向け、鋭意調整に努めました。

 同決議は、さらなる核実験及び弾道ミサイル発射の中止、すべての核兵器及び既存の核計画の放棄などを義務づけております。同時に、軍、核関連の品目などの北朝鮮に対する供給などの防止、北朝鮮の核、弾道ミサイル、大量破壊兵器関連の政策に責任を有する個人の入国禁止、これに関与する個人、団体の資金凍結などを国連加盟国に義務づけております。

 なお、同決議において、北朝鮮が国際社会の他の安全保障及び人道上の懸念に対応することの重要性も前文において明記をされております。この文言は、我が国が決議に拉致問題に関する文言を入れるべきと強く主張した結果挿入されたものであり、ここに言う懸念に拉致問題が含まれていることは明白であります。

 政府といたしましては、国際社会と連携して、北朝鮮に同決議の履行を求め、北朝鮮の諸問題の解決に向け全力を尽くす考えであります。木村委員長及び委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。

木村委員長 以上で報告は終わりました。

    ―――――――――――――

木村委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山浦耕志君、内閣官房内閣審議官井上源三君、内閣官房内閣審議官伊佐敷眞一君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君、消防庁国民保護・防災部長小笠原倫明君、外務省大臣官房審議官西正典君、外務省大臣官房審議官佐渡島志郎君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長中根猛君、外務省北米局長河相周夫君、外務省国際情報統括官竹内春久君、財務省大臣官房審議官清水治君、文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全監袴着実君、厚生労働省健康局長外口崇君及び海上保安庁次長藤井章治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今津寛君。

今津委員 自由民主党の今津寛でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 木村委員長、どうも御苦労さまでございます。頑張っていただきたいと思います。

 また、ただいま久間、麻生両大臣を初め、副大臣、そして政務官のごあいさつがありましたが、御就任を心からお祝い申し上げると同時に、ひとつ、我が国の国民の安全、安心そして幸せのために、ぜひ、精励、頑張っていただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 最初に、久間大臣の方から、所信表明の中にありました省への移行の問題でございます。

 これについては、防衛庁・自衛隊は、懸案のことでございまして、本当に全力で今まで取り組んできたんですが、なかなか成立することができず、前回の国会も岩屋副大臣が大変御苦労されたことは承知をいたしているんですが、継続審議になって、今回、不退転の決意でこの法案を通していただきたいと思っております。

 野党におかれましても、ぜひ、積極的にこの議論に参加をしていただいて、そして賛成をしていただくように、全会一致で賛成をしていただくように、しかもできるだけ早く審議を進めたいと思いますので、御協力をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、麻生大臣からは安保理決議のことがお話ありましたが、十五日の未明ですから、わずか六日間、全会一致ということが非常に大きかったと思うんですね。しかも、拉致問題に対することも含まれたということは、私は、議長国である日本が本当に頑張っていただいた結果が出ている、そのように思っておりまして、御努力に感謝をしたいと思います。

 また、麻生大臣におきましては、私の地元北海道の札幌大通で街頭演説会がありましたけれども、あのときに、イラクへ派遣された自衛隊の皆さんに対する御慰労の言葉、ねぎらいの言葉、私は涙を流して聞かせていただきました。そういう、防衛庁・自衛隊を評価していただくお気持ちに心から感謝申し上げたいと思います。恐らく、自衛官諸君も、そのことに感激をして頑張っていただけるというふうに思います。

 質問の前提として確認をさせていただきたいんです。先ほど麻生大臣の御報告の中にもありましたけれども、北が本当に核実験をしたのかどうなのかということは、ずっといろいろな報道がなされていたんですが、きょうの朝、大体各紙、アメリカのネグロポンテ国家情報長官、「北朝鮮が九日に発表した核実験について、十一日に空中で採取した塵のサンプルの分析から、放射性物質を検出したとし、「北朝鮮が地下核実験をしたことが確認された」」ということが報道されて、今の大臣のお話の中に、我が国も同様の認識に近いものを持っているということがお話ありましたが、そのことでよろしいでしょうか。

麻生国務大臣 今、今津先生からお話がありましたように、日本時間の本日早朝、未明に、ネグロポンテ、国家情報長官の声明として、アメリカ政府として公表しております。豊渓里の近くで地下核爆発を実施したことを確認する放射性物質が検出された旨発表いたしております。

 この核実験につきましては、地震波が極めて微弱であったという点とか、またいろいろな点が最初から疑問視をされていたところではありますが、少なくとも私どもとしては、北朝鮮が自分たちが実施したと発表していること、それから、あの当時、日本の気象庁の地震波にも、普通の地震とは異なる異常な波形を探知したというようなことも加味いたしますと、日本としては核実験が実施された可能性は極めて高まったと思っております。

 ただ、私どもとしては、自身の手で、これは科技庁を初めいろいろ調査をするところもありますし、CTBT初めいろいろありますので、引き続きこの事実確認をきちんとしていく必要があると思っております。

今津委員 核実験が行われたという前提で御質問させていただきたいと思います。

 九日の日に、気象庁が通常の波形とは異なる地震波を観測した、これが十時三十五分であります。外務省から官邸、総理に報告がありましたのが十時四十分でございます。そして、十一時二十分に内閣官房から防衛庁に核実験をした可能性があるということで報告があり、十一時四十分に大臣秘書官に連絡があり、しかしそのときは久間大臣は飛行機の中におられたということでございます。

 私は、この連絡の方法というものは一切瑕疵がないというふうに思っております。通常から、非常時のときにはこのような形で連絡をしていく、こういうとおりでされたのであります。

 しかし、後で振り返ってみますと、最初に外務省が官邸に報告されたのは十時四十分。そして、防衛庁の大臣の秘書官に御報告があったのが十一時四十分。約一時間かかっているわけです、内閣官房とかそういうところを通って。

 もし万が一、このことについては事前から北朝鮮の予告もあり、あるいは地震波のこともあり、だとすれば、このような重大なときは、ルールというものはあるのかもしれませんが、しかし、この重要性、緊急性にかんがみて、直接大臣の方に御連絡できる方法というものはなかったのか、あるいはそういうことを考えてみる必要があるのではないかということを私は感じていましたが、それについて、久間大臣、どのようにお考えになりますでしょうか。

久間国務大臣 防衛庁長官というのは、個人ではなくて組織でございますから、やはり組織から組織への連絡というのが原則でございまして、そして、その組織から組織へ連絡する、そのときにそのトップにどういうルートで渡すことが一番確実であるかということで、各省でもそうでございますけれども、原則として秘書官に連絡することが、大臣の動向については一番知っているわけでございますから、一番かたいということで、そういうようなことは、大体、ルーチンといいますか、通常とられているわけでございまして、そういう意味では、今回も別に落ち度は、落ち度といいますか、それはそのとおりされたわけで、特別の問題はなかったんじゃないかと思っております。

 それと、私は、出発するというよりもその前の金曜日に、実は、これから先こういうふうになったときにどうするかという一つの案を内部でつくっておりまして、そのときは代理としてだれかを指名する、現実に今度の場合は北川政務官を代理として指定したわけでございますけれども。それと同時に、具体的な指示の文案もつくって、それがいつでも出せるような状態にして、そして行動しておったということでございます。

今津委員 中国の潜水艦の海上警備行動のとき、あのときも私は同様のことを感じまして、ぜひ、一つの研究課題として、恐らく大臣の胸のうちも、なに、一時間もたっておれのところに連絡したのか、こういうお気持ちは多少あると思うんですよね。そういう意味で、研究課題としてひとつ取り組んでいただきたいとお願い申し上げたいと思います。

 そこで、北朝鮮の核実験はいわゆる周辺事態に認定できる事案なのかどうかということをお聞き申し上げたいと思います。

久間国務大臣 周辺事態法は、あの法案をつくるときからずっと関与しておりますからよく知っておりますけれども、北朝鮮の核実験があったということで、直ちにもってこれが周辺事態であるというわけにはいかないだろうと思っております。

今津委員 大臣がそのことについては慎重な御発言に終始しているわけでありますけれども、その間、いろいろな報道がなされていて、一体政府はどのようなことを考えながら、同盟国、米国などとの協議を進めているのか、非常に関心の大きいところでございます。

 周辺事態についての政府統一見解というのがございまして、そのうちの六番目のこと、これもよく報道に出ていることでありますが、ある国の行動が、国連安保理によって平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為と決定され、その国が国連安保理決議一七一八に基づく経済制裁の対象となるような、四十一条、場合であって、それが我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合に私は合致するというふうに思いますし、麻生大臣も、このところを北朝鮮ということにちょっとかえてみて、これは国連の決議だな、合致するのではないかというようなことを申したというような報道も一部あったわけでありますが、防衛庁長官は非常に慎重なんですが、麻生外務大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

麻生国務大臣 今からどのような対応をするかにつきましては、今津先生、米軍も、少なくとも、この国連決議を受けまして作戦行動を企画立案して実行に移すためには、最低十日や二週間は絶対かかるところだろうと存じます。日本側としても、どのような行動をするかというのは、あすライス国務長官が来日されますし、それ以後、韓国において、潘基文外務大臣と私とライス長官、三者の会談を行うことにしております。そこらのところにおいて、いろいろ詰めてみなければいかぬところも多々あろうと存じます。

 現実問題、この一七一九というものを着実に実施してまいります場合に、一番近くにいます影響のある国というのは、どう考えても日本と韓国ということになろうと存じますので、そこらのところの足並みがそろっていくというのが大事なところだと存じます。したがって、今お話がありましたように、どういう状況判断をするか、また、韓国、アメリカ、どのように対応していくかということは、私どもとしてはきちんと――済みません、一七一八。ごめんなさい、一九じゃありません、一七一八。その件につきましては、私どもとしてどのような対応をしていくかというのを詰めねばならぬところだと思っております。

 あらゆる面を検討しなくちゃいかぬところだと思いますので、これは防衛庁に限らず、外務省また内閣としても、この点を、いろいろな点を勘案してきちんと詰めて、そごがないようにきちんとしておかないと、一七一八の履行を言っていくことになろうと存じます。

 ただ、日本側としてきちんとした対応をするということにつきまして、日本側で独自で発表しております中で、例えば、北朝鮮籍の船の入港禁止等につきましては、既に閣議決定の翌日の午前零時からこれを実施いたしております。現在の段階で北朝鮮籍の船は、年間約六百七、八十隻来ていたと思いますが、今現在、日本国内に北朝鮮籍の船は一隻もありません。

 以上です。

今津委員 防衛庁長官も外務大臣も、大体同じ認識だということですね。事態の重大性にかんがみ、しかもアメリカを初め諸国との連携をとりながら慎重に、しかし最大限にいろいろとやるべきことをやっていこう、こういうことだろうというふうに思います。

 たらればの話をして大変恐縮なのでありますが、周辺事態ということで認定をしたとするならば、今の国内法でできることというのはどういうことができるのか、久間大臣、国民にわかりやすく、ひとつ御説明いただきたいというふうに思います。

久間国務大臣 周辺事態として認定したならばという前提に立てば、船舶検査法が発動されまして船舶検査を行うことができますし、また、周辺事態法に基づいてのいろいろな諸活動ができるわけであります。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

今津委員 大臣、諸活動と言っても、大臣の頭の中には、全部おわかりで、いろいろあるんでしょうけれども、国民が聞きますと、諸活動と言っても、諸活動とは一体何なのか余りわからないわけですね。それで、わかりやすく御説明していただきたいということを申し上げたんですが。

 同意を得て船舶検査法に基づく船舶検査ができる、これはいいですよね。それから、船舶検査を実施している米軍への、ガイドラインに沿って、米軍への後方支援、補給とか輸送など、これもできますね。これはいずれも、周辺事態という認定をしてから国会の承認があればやれるということでよろしいでしょうか。

久間国務大臣 そのとおりでございます。

今津委員 そこで、安倍総理は、憲法の枠内でできることは何でもやりたい、やるべきだという談話を発表されているんですが、そういうことでいえば、憲法を超えることはできませんけれども、例えば、特措法をつくって対処できるものはないだろうか。これは、実は自民党の中でも今いろいろと研究、勉強をしているところなんですが、私は例を挙げてみたいと思いますので、御評価をお願い申し上げたいと思います。

 例えば、まず船舶検査において、警告射撃や同意を得ない乗り込みを行う。要するに、強制力がないと言われているものを、同意を得ない乗り込みを行うことができる、そういうことにしなければ実効性がないのではないかということですね。北朝鮮が万が一、例えば、その旗国がいやいいですよと簡単に言わない場合は、ではどうですか、どうぞということになってしまうので、そこに強制力をつけるということを特措法で決めたらどうか。

 それから、アメリカ以外の国に対して、例えば豪州とか韓国とか、日本が支援をできるというようなことも特措法でつくって考えたらどうか。

 今国会で間に合うかどうかということも別途ありますけれども、しかし、今私が二つ事例を申し上げましたが、これは例えば、そういう法律を新たにつくらなければできないというふうに解釈していいのか、ということは、同時に、今の現行法ではできないというふうに解釈していいのか、防衛庁長官の御見解をお聞きします。

久間国務大臣 この船舶検査法をつくったときに、かなり縛りが実はかかっておるわけですね。最初の案よりも修正が加わって、周辺事態という、そこも、そのまま放置すれば武力攻撃に至る等我が国にとって重要な影響がある場合というふうに、等とそこでも縛りがかかりましたが、それと同時に、今言う武力行使等ができないような仕組みになっておりますから、それはいろいろな関係があったんだと思いますけれども、やはり憲法九条との関係もあったんだろうと思います。

 そういう意味で、特措法をつくったならばと言われますけれども、どこまでつくれるのか。それは、あのときですらかなりの議論があっておりますので、今、今津委員がおっしゃられたように、すべてできるような、そこまでやるとアメリカとほとんど変わらないわけでございますけれども、そこまでやれるような法律が果たして可能かどうか。それは、これまでの議論を踏まえますと、大変厳しいまた意見が出てくるんじゃないかと思います。

 それと同時に、今度の場合は、国連決議が、七章の適用はあっておりますけれども、四十一条の適用でございまして、そもそも武力行使をしない、そういうような形での、四十一条の経済制裁、そういう形になっておりますから、そういうところとの絡みからも、今度の国連決議との絡みで、直ちに今言われる特措法まで持っていけるか。

 特措法をつくるとしても、アメリカ以外の国に対しても後方支援をしていいじゃないかとか、少なくとも、停船を求めて、そして、それに対して同意があったら乗り込んでいくとか、そういうようなことをやるとか、周辺事態でない場合でも、そういうのは、今度の、これだけの世界各国が協調して国連決議をして、そして各加盟国に協力を求めてきているわけでありますから、そういうような範囲内において、各国が協力できることは、やはり国連加盟国の一員として当然必要な法律をつくっていく、そういう姿勢で与野党間で協議が調っていくならば、私はそれも一つの方法じゃないかなと期待しているわけであります。

今津委員 久間大臣のお考えは本当にそのとおりだというふうに思っております。そういう方向にぜひ向いていけたらいいなと、我々も努力をしなければならないと思います。

 問題点を一、二だけ申し上げたいと思います。

 現行法では、みずから行う船舶検査は主に日本領海とか排他的経済水域に限られている、米軍の補給は戦闘地域以外の公海などでもできるが、どこまで出ていくのかという問題が残る。この公海というのは防衛庁長官が実施区域をつくればいいわけでありますが、そこのところが一つ問題点がある。

 また例えば、自衛隊が、海自が公海上で米軍と一緒に活動している、そのときに米軍艦船が攻撃を受けた、そのときに海上自衛隊が反撃できるのか、あるいは支援できるのか、こういう集団的自衛権の問題。

 集団的自衛権の問題は常に出てくるんですけれども、アメリカ海兵隊のグアム移転費の問題などにしましても、日本の負担がアメリカよりも多いということは、やはり集団的自衛権で自国の防衛については武力行使をするし、あるいはそれなりのことをやるけれども、しかし、同盟国をいざというときに助けることができないというようなことは常にこれからそのたびごとに問題が出てくる。やはり私は、この集団的自衛権の問題についてはいち早く取り組んで解決をしなければならない、そのように思っているわけでございます。

 そこで、やはり、こういう事態になったものですから、ミサイル防衛のシステムをできるだけ早く前倒しにするべきだ、国民はそのことを望んでいるというふうに思いますが、防衛庁長官の御答弁で、参議院の予算委員会でその旨御発言がございましたので、予算のこともありますが、できるだけ早く整備できるように要請をさせていただきたいと思います。

 また、PAC3の配備のあり方などについては、私自身は一億国民を今の計画で守れるのかという疑義を持っておりますので、そのこともぜひ御検討いただきたいと思います。

 さらにあわせて、敵基地攻撃の問題でございます。

 前の額賀防衛庁長官は、実はその敵基地行動については研究してみる値があるのではないかという発言をどこかでされたような感じがいたします。そのときに、我々の大先輩であります山崎拓先輩は、そういうことは考えてはいけないのだ、日本国というのはそこまでやるということは憲法で禁止されているんだということをすぐ明快に言って、そのことについては同調しなかったのでありますが。

 私は、やはり、日本の国民を守っていく、どうやったら守れるのかということを考えた場合に、長官、今北朝鮮のテポドン2が開発、失敗したようですけれども、しかし、これが開発をされて、テポドンXということになるんでしょうか、もしそういうものが開発されたとしたら、たらればの話で恐縮なんですが、今のミサイル、核を持っている国というのは、八カ国目なのか九カ国目なのか、恐らく北朝鮮が九カ国目に私はなると思いますけれども、その核を保有した国はただの一度もアメリカから攻撃を受けていないということだとすれば、これは、もしそれが開発されたとき、アメリカが今の私たちとのこの同盟関係を維持し、そして自国が攻撃されたとみなして日本の国土、安全というものを守ってくれるかということについては、信じてはおりますけれども、しかし、そういう意味で、抑止力という意味でも、我々が敵地を、国民を守るという意味でのいわゆる攻撃ということではあるかもしれないが、しかし、実質的には守るという意味での能力を持つべきだという意見も私は国民の中には多いと思いますが、それについて久間長官のお話を伺いたいと思います。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

久間国務大臣 法理論上どうかという研究をすることと、現実にどうかということは別でありますけれども、それだけではなくて、そういう研究をするということがどういうふうな影響を他国に与えるか、近隣諸国に与えるか、そういうこともあわせながら政治家の場合は発言をせざるを得ないわけでありますし、特に防衛庁長官としての立場にある私にしてみれば、やはり非核三原則というのを守っていっているということをきちっとメッセージとして伝えなければなりません。

 それと同時に、我が国がもうぎりぎりになって、自分の国が滅びるときにどうするかというのは別として、敵地まで攻撃するというようなことは、そういうことはしませんというようなことをやはり言い続けることが、どれだけ我が国の姿勢をよそに伝えるか、そういう点で非常に大事なことでございますから、従来の防衛庁長官としても、そういうのは、日米の安全保障条約に基づいて、アメリカが矛の役は果たすけれども、日本は盾の役割を果たすんだ、そういうことで徹してきたわけでございまして、私自身もその考え方を踏襲しておるわけであります。

今津委員 久間大臣はなかなか先を読む方でございまして、将棋だとか碁が達人でございまして、我々は今目の前を見て熱くなるんですが、大臣は先、先を読まれて的確に御判断されるという意味でございまして、今熱くなって、そして、そういう議論というものをもっと慎重にしろというような御示唆だと思いますが、行使する行使しないは別なんですよ。しかし、そういう装備はしておいて、できるぞということだけはならず者国家などには見せておかないと何をするかわからないという意味で、抑止力ということで、私は研究課題だなというふうに思っております。

 それから、宇宙の平和利用の決議の件でありますが、もう時間がないのではしょっていきたいと思います。

 これは、昭和四十四年でしたでしょうかありましたが、今これだけ時代が変わってきましたら、やはり宇宙を安全保障の面にも大いに活用していく、しかも、アメリカなどのそういう同盟国に頼らないで、みずからそういうものを、情報をいち早く探知するというようなことが、やはり自分の国は自分で守るということにつながってきますし、私は独立国家としてはごく当然のことだというふうに思うのであります。これは、自民党の中でも、今勉強会ができておりまして、取り組んでおります。宇宙基本法などもこれから提案をするというような準備に、いろいろと研究しているようなので、これについては、その際、よろしくどうぞお願いを申し上げたいと思います。

 最後に、日本の防衛について、基本的なお考えを聞かせていただきたいと思うんです。

 麻生大臣、私は、日本の防衛が、日本の国民の安心、安全というものが守られなくなる、もしそういうことがあるとすれば、同盟国アメリカの信頼を日本という国が受けられなくなった、そのときから始まる、そういうふうに思っております。そういう意味で、同盟国アメリカとの関係が大切だというふうに私は思います。やはりどんなときがあっても、自国が攻撃された、そのように感じていただいて、そして反撃をする、絶対に許さないぞ、こういう気構えというものをいろいろな国に伝えておく必要があるというふうに思いますが、それについて、大臣の考えを聞きたいと思います。

久間国務大臣 その前に、宇宙の平和利用について一言申し上げさせていただきますと、確かに、四十四年にはああいう決議がございます。しかしながら、四十四年といったら、ここの委員の方々はほとんど国会議員になっておられない方でございまして、そういう国会の決議で、ずっとそれが時代とともに変わらないのか、そういう問題が絶えずあるわけであります。

 現に、私が議員になりましてから、その後、米については我が国は一粒たりとも入れないという決議があったわけでございますけれども、WTOのときに、そういうことはもう許されなくなってきて、ある程度のものはやむを得ないだろうというような形で入れました。そのときに、その決議をどうするかという話のときに、結局無視してしまったんですよ。決議を変える決議をしなかったんです。法律も出さなかったんです。それで、無視したまま、その決議はあったけれども、入れたわけですね。

 だから、時代とともに、そぐわない決議については私は効力があるんだろうかという疑問を絶えず持っております。だから、そういう角度からも、この議会の中ででも、過去の決議について効力があるのかどうか、時代とともに変わってきているんじゃないか、そういうことについてやはり議論をしてもらって、法律を出さなきゃその決議が生きているんだという、そういう前提に立って議論をする必要はないんじゃないかというふうに思っております。

 といいますのは、やはりミサイル防衛とかなんかになりますと、攻撃のためではなくて、我が国の専守防衛のために情報を収集しなければならないわけでございますが、そのときに相手国がミサイルを発射した、そういう探知することすら宇宙からの探知ができないという、アメリカならアメリカに頼らないとできないとか、よその国に頼らないとできないというのが果たして正しいことかどうか、その辺についてひとつ議論してもらいたいと思うわけであります。

麻生国務大臣 基本的に、抑止力の基本は三つです。

 一つ、抑止力という力が要ります。これは力がなければ話になりません。次に、その抑止力があっても、それを使うという国民的合意が要ります。合意がないと、持っていても使わなかった例はハンガリー等々幾つもの例があります。三つ目は、それを使うという意思が、国民的合意があるということを相手に知らせておくというのが三番目の抑止力になります。これを怠ったのが多分イラン、最近ではフォークランド戦争で、イギリスは航空母艦を一方的に引き揚げましたので、フォークランドを守る意思がイギリスはないとアルゼンチンは判断をして結果的にあのようなことになったという経緯がありますので、一つの行動が思わぬ方向に影響を与えるということを、防衛というものを考えるときには常に考えておかねばならぬ大事な問題だと思っております。

 そこで、今の日米安全保障条約のお話ですけれども、私も今津先生と同じ感覚でありましたので、今回のいわゆる北朝鮮の核実験に伴いまして一番最初に私がやりましたのはライス国務長官との間の電話会談でして、日米安全保障条約というものはきちんと日本の危機に対しては作動するという確約の取りつけが私のやった仕事の一番最初です。その後、三国間、五カ国間の電話協議というのを次々やっていったんですが、最初は日米間におきます日米安全保障条約のいわゆる対応ということだと思います。

 基本的には、今津先生おっしゃるとおり、自分のことは自分、自分の国は自分で守る、これが基本です。しかし、それの足りない部分を日米安全保障条約で補うということを我々は安保条約締結以来ずっとこれまでやってきておりますので、条約というものは会社でいえば契約みたいなものですから、その契約がきちんと契約どおり履行されるかどうかというのは、ふだんからの商売している相手とのつき合い、条約を結んでいる相手国とのつき合いの積み重ねだろうと思いますので、今回もその点は、この五年間、少なくとも日米関係というものは政治レベルの中においては極めてうまく作動してきているというのが今回の一連の速やかな対応につながっていっている、私自身はそう思っております。

今津委員 通告をしていないんですが、両副大臣に御意見を聞きたいと思うんです。

 予算編成のときに、例えば防衛なんかも聖域でないといって、三角印三%と書いて、そしてそこから予算の説明が始まるんですよね。そういうことをずっと我々も受け入れてきて、そして、今日さあ大変だということになったけれども、装備も何もまだ十分でないじゃないか、それから、法的な議論もしてきたはいいけれども、結論を出さずで先送り先送りしているものですから、現実的に今、ほら今度は特措法だということになってしまったわけですよね。

 そういう意味で、私は、防衛あるいは外交、こういう問題については、やはりいわゆるシーリングだとか、他の省庁とはちょっと違う、やはりとるべき予算はとる、必要なものは予算化していくということでないかというふうに思いますが、両副大臣のお話、一言ずつお聞かせをいただきたいと思います。

木村副長官 国防は国家の大きな柱である、そういう意味においてこの国会でも省移行の法案を出させていただいて、これからしっかりと行動ができるようにその基盤を整えていただきたい、お願いを申し上げているところでございます。

 また、今、北朝鮮の問題を初めとして大変緊張感ある事態になっておりますので、そのような声、また国民の皆さんの声をしっかり予算にも反映できるように私ども全力を挙げて頑張っていきたいと思っておりますので、ぜひ委員の先生方の御指導、お力を賜りますようにお願いをしたいと思います。

岩屋副大臣 先生御指摘のとおり、防衛関係予算についても聖域ではないという扱いを受けてきたわけでございますが、しかし、大綱、中期防というもので我が国防衛力の根幹をしっかりと定めているわけでございますし、これから米軍再編等々の問題もございます。そういう中にあって、その防衛力の根幹を揺るがすような予算編成については私もいかがなものかなというふうに思っておりまして、大臣ともども努力をさせていただきたいと思っております。

今津委員 突然の質問で大変申しわけありませんでした。

 木村副大臣も岩屋副大臣もですが、私はベストの副大臣だと思うんですね。両大臣を支えて、これから予算編成にも入りますが、そういう面で御活躍をお願いしたいと思います。

 そして、両大臣にお願いをしたいと思うんですが、やはりアメリカは今イラクとかイランとか中東に非常に勢力、力をとられておりまして、この東アジアにおいては、非常にいろいろと、力がどれだけ結集しているかということについて心配がないわけではありませんが、ぜひ米国と連携をとり、しかもその他の国々とも連携をとり、国民の安全のために御奔走いただきますようにお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 まずは、木村委員長の御就任、心からお祝いを申し上げます。よろしく御指導のほどお願いいたします。

 また、久間大臣、麻生大臣、そしてまた木村、岩屋両副大臣、御就任おめでとうございます。我が国の安全保障、非常に困難な局面を迎えた時期に、この重大な任に当たられまして、ひとつ皆様の御奮闘を心から御期待を申し上げます。

 久間大臣、また麻生大臣につきましては、尊敬する大先輩でございまして、日ごろから御指導いただいております。こういった重大な時期に、見識高く、また指導力あるお二人が防衛、外交の任に当たられることを大変心強く感ずる次第でありまして、ぜひとも御活躍をお祈りしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 それでは、北朝鮮の核実験問題に限定して質問を始めさせていただきたいと思っております。

 十月九日、北朝鮮が核実験をやったということを声明いたしました。また、十四日には国連安保理決議が出されたわけでございます。こういった北朝鮮が核実験を行ったという前提におきまして議論をしたいんですけれども、この北朝鮮の核実験に関する政府の認識、特に脅威という点についての認識につきまして、その根拠をお聞きしたいと思っております。

 私は、今回の北朝鮮の核実験によりまして、我が国の安全保障環境もいよいよ新しい時代に、新しい局面に入ってきたなという感を深くする次第でありまして、冷戦崩壊後、今後の大きな焦点は地域の紛争や大量破壊兵器の拡散に伴う問題ということを言われてまいりましたが、そういった時代に入ってきて、いよいよ今回の核実験によって本格的にそういう時代を迎えた、大変困難な問題に直面することになったと。ぜひともこういった現実を直視して、どう抑止と対話を組み合わせながらこの地政学リスクを抑え込んでいくか、大変難しい課題に直面するわけでありまして、そういった点、しっかりとこれからこの委員会を通じて議論をしていきたいと思っております。

 そこで、脅威の認識という点につきまして、十月九日午後の内閣官房長官の声明では、北朝鮮による地下核実験実施発表に対しまして、この北朝鮮の核実験を「我が国の安全に対する重大な挑戦であり、」「我が国のみならず、東アジア及び国際社会の平和と安全に対する重大な脅威である。」と断定をしております。この安全保障の議論において、脅威ということは大変重大な意味を持つわけで、脅威の認識ということからあらゆる安全保障論議がスタートするわけでありまして、大変重大な意味を持つことは御高承のとおりでございます。

 それで、私もある意味ではこの考え方を共有するものでありますけれども、従来、政府としては、脅威の認識についてはその意図と能力に即して判断するということで今まで議論がされてまいりました。そういった意味では、今回の北朝鮮の核実験をやったという前提において、この北朝鮮の核実験並びに核武装への動きということは我が国への重大な脅威であるということをいろいろなところで表明されております。

 しかしながら、やはりこの脅威の認識というのは大変重要なポイントでございます。今後のさまざまな議論、政策議論の出発点にも当たりますので、これは、脅威と断定するのか、あるいは脅威になり得るけれどもその前段階みたいな認識とは全然違ってきますので、ここら辺につきまして、ちょっと改めてその確認をしたいと思っております。

 まず、能力と意図という従来の基本的な要因から、なぜ北朝鮮の核実験を脅威と断定するに至ったのか、その根拠につきまして御説明をいただければと思います。

久間国務大臣 従来から言っておりますように、確かに、能力と意図、これらが伴って、脅威としてこちらが感ずるというような受けとめ方でございます。

 そういう意味では、ほかの各国とは友好国として交流があっておりますけれども、北朝鮮とはいまだにいわゆる戦時体制のままになっておるわけでございまして、平和条約その他は結ばれていないわけでございますね。そういう意味では、拉致等も行われておりますし、非常に敵対的な意図が感じられる。それにもってきて、能力という点で、今まではさほど感じなかったのが、ミサイルの開発をどんどん進めてきて、そして今度は核実験までやったということになりますと、まさにこの意図と能力とがともに加わってきたんじゃないか、そういうようなことがあるわけです。

 それともう一つ、能力の点でいいますと、遠いところと違いまして、非常に近いところでございますから、ミサイルではなかったとしてもいろいろな形で運ぶことが可能であります。

 そういうことを総合的に感じますと、ほかの国と違ってその脅威というのは非常に高まってきている、そういう認識をしていいんじゃないかと思うわけであります。

遠藤(乙)委員 大変わかりやすい御説明で、ありがとうございました。

 それで、先ほどごあいさつを伺ってちょっと気がついたんですが、麻生大臣のごあいさつの中には、北朝鮮の核実験、「重大な脅威」という言葉が使われております。他方、久間長官のごあいさつの中には、前文の一般的なところでは「脅威」という言葉が出てまいりますが、北朝鮮の状況の部分については脅威という言葉が使われていないんですけれども、これは何か慎重な意味があるのか、それとも、脅威と認識はしているけれども単に言葉として使わなかったのか、あるいは、北朝鮮の部分について脅威という言葉は使っていないことは何かニュアンスがあるのかという点につきまして、久間長官にお聞きいたします。

久間国務大臣 脅威を感じるというのは、感じないわけじゃありません。しかしながら、どのくらいまでその能力が高まってきたか、これは例えば、まだ小型化していないんじゃないか、核実験をやったけれども、それがどれぐらい本当の意味で成功しているのか、そういう確証を得ていないだけに、脅威と認定して言うほどの自信が私自身にはございませんでしたので、ややほかの方と比べるとトーンダウンしているのかもしれません。

 しかしながら、今言うように、脅威をひしひしと感じ始めているのは間違いないわけでございまして、そういう点では外務大臣とそれほどの違いはないのかもしれませんが、ややそこのところの言い方が、少しトーンダウンしているのかもしれません。

遠藤(乙)委員 そこら辺の政府の表明に当たって、やはりこれは国民の側でいろいろ受けとめ方が出てきますので、この点はどういうふうに統一するのか、お伺いいたしたいと思っております。

 それで、特に、麻生大臣のごあいさつの中で重大な脅威ということが二度出てきておりますし、また国連の決議にも、国際社会の平和と安全に対する明白な脅威、クリアスレットという言葉が出てまいりまして、国連や麻生大臣の場合には、脅威とかなり明確に断定しておられる。久間大臣の場合にはややちょっと留保して表現しておられる。そのニュアンスの違いが外務省と防衛庁の今後の体制の違いに出てくるのかなと若干関心を持っております。これは初動の段階でリアクションをしたわけですけれども、これからこの辺は、脅威の認識というのは大変重大な意味を持ちますので、理論的、実態的にもよくこれは検討されて、ここら辺の表現につきまして細心の表現をして、単なるレトリックではありませんので、大変重大な点だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思っています。

 それからもう一つ、この脅威という点でお聞きしたいんですが、さっき長官の御説明でも私は納得しておりますけれども、核は北朝鮮だけじゃなくて、ロシアにもあり、中国にもあり、インド、パキスタンにもあります。

 ロシア、中国の場合には、既にNPTに加盟しておりますし、長年の友好関係もあるので、脅威とは言わないと思います。ただ、インド、パキスタンの場合には、NPTに参加しておりません。国連や国際社会の要請に対しても、それをはねつけて、NPTに参加せず、核実験をやり、核兵器保有に至っておりますし、ミサイルも非常に高度なものを持っておりまして、パキスタンなんかは北朝鮮とのそういった核技術の交流すら言われているわけであります。

 では、なぜ、北朝鮮が脅威であるのに、インド、パキスタンはどう違うのか、この点、お聞きしたいと思います。

久間国務大臣 インド、パキスタンの核を認めているわけではございませんで、私どもとしては、世界各国の、特にインド、パキスタンが核実験を行った、後から加わったNPT、そういうような国に対しては、あのときも一緒になって経済制裁をやるべきだというふうに言ったぐらいでございますから、やはりそういう意味では核をとにかく廃止してもらいたい、そういう気持ちが特に長崎出身の私にとっては強いわけであります。

 しかしながら、日ごろの友好国として、インド、私も行ったこともございますし、パキスタンにも、行ったことはありませんが、非常に皆さん往来が激しいわけでございまして、そういうような国が、脅威論という、脅威という感じでとらえているかというと、それは必ずしも脅威までは高まっていない。けしからぬことだ、やめてもらいたいという気持ちはありますけれども、日本に対する脅威があるかとなると、そこは余り、それほどの脅威になっていないのではないかと思うわけであります。そういう点で、若干違うんじゃないかと。

 北朝鮮との関係は、国と国との関係がいまだに正常化しておりません。それとまた往来も、普通の政府間の、そういう国の機関も置いていないわけでありまして、しかも日本に対して拉致を行ったような、そういう国が、その問題を解決していない国が、ミサイルを開発して、そして核実験までやって、ミサイルに積み込むための小型化の技術についても着々と努力しているということになると、これはやはり脅威として感じないわけにはいかないわけでございます。

 それともう一つ、インド、パキスタンの場合はやはり距離が離れておりますから、あの方から日本に運搬するとなりますと、そう簡単にはできませんけれども、北朝鮮の場合だったら日本海を船で持ってくることだって可能でありますし、あるいはまた、今の北朝鮮の爆撃機ではやや距離が往復するにはどうも無理かなという、まだ能力的に言ってそういう感じがしますし、ましてや戦闘機等に積み込むだけのそういう小型のものというのは、戦闘機だったら往復は無理じゃないかと思いますから、そういう点では、ややまだ、脅威としてひしひしと感じはしているけれども、断定するかどうかは別として、ほかのインドやパキスタンと比べるとややちょっと違うという感じがしておるわけでありまして、それはニュアンスのとり方です。

 ただ、間違っても、インド、パキスタンの核を認めたなんて思ってもらっちゃ困るわけでございまして、私は、現在持っている国すらやめてもらいたい、そういう気持ちは今でも変わらないわけであります。

遠藤(乙)委員 長官の御意向、よく理解をいたしております。

 我々も、核には絶対に反対、基本的に反対という姿勢で来ておりますので、特に我が国の核拡散に対する強い姿勢、これはやはり常に表明していかなきゃならない。しかし、今回の北朝鮮の場合には、それプラス今おっしゃった地政学的な要素、私は、北朝鮮のさまざまなビヘービアが非常に不信を与えるということがあるかと思います。

 特に、北朝鮮の意図に関して重大な問題点は、パキスタン、インドの場合には一貫してNPTに参加しないと言って、自分たちの論理を、自衛のために必要だ、また、印パのお互いに抑止力として必要だということを言って、それなりの論理は一応あったように思います。もちろん我々はそれを認めるわけではありませんけれども、そういう一応一貫した姿勢はあった。

 ところが、北朝鮮の場合には、枠組み合意を結んでは破り、また、NPTを一たん入って出る、保障措置もまたやめる、それからまた日朝合意も破棄する、それから南北の非核化合意も破棄する、あらゆる形で約束を守って破ってという繰り返しであって、今までのそういった実態を見ると、そういう合意はあくまで核開発を進めるための見せかけ、隠れみの、時間稼ぎにすぎないという、これは大変厳しい問題だと思っておりまして、この点はきちっと認識をし、脅威の分析の中に入れる必要があるんだろうと思っております。

 また、核の技術をいろいろ持ってくるためのさまざまな裏取引といいますか、麻薬取引とかあるいはにせドル問題とか、さまざまなそういった不法な手段をもってやっていることもそういったことに加味しなければなりませんし、そういった意味で、脅威の認識ということについて、非常にある意味では緻密な分析をした上で、意図、能力、国民にわかりやすくここら辺を政府としてもう一度きちっと説明していただくことが大変重要かと思っておりますので、この点ひとつよろしくお願いをしたいと思っております。

 続いて、この能力に関して一言申し上げたいんですが、結局この北朝鮮の核開発は一貫してやってきたということは明確でありまして、もしこのままの状態でいきますと、この能力は時間とともに向上していくことは間違いない。それに対する抑止は、日米安保体制がありまたミサイルディフェンス等もあってそれなりに努力はしますけれども、いつかこれが対処し切れなくなる時期も来ることは間違いないわけでありまして、そういった意味では、この能力に対してどのようにブレーキをかけていくかというのは大変重大なテーマだと思います。

 意図については、これはもちろん対話、六者協議、また国連新事務総長が行くというような話もありますし、いろいろな角度から、この意図については、これを覆すことを努力していくのは当然でありますけれども、特に能力について、この客観的な能力をどうやって、今全くなくすわけにはいかないかもしれませんけれども、どうやってブレーキをかけ、スローダウンさせるかということは重大な戦略目標になるかと思っております。

 特に、核の能力につきましては、やはり資金の問題、それから資材、技術、人材等、こういった問題が非常に重要でありますし、また、逆に北朝鮮の核能力がほかの国へ拡散するという問題もあって、これは非常に現実的な差し迫った問題だというふうに思っておりますので、余りやはり北朝鮮の核が、一発ぐらい核実験をやったからまだ脅威ではないということはないと思いますので、むしろ、そこら辺の能力の時間とともによる成長とその拡散に対する強い危機意識を持って、どう国際社会として実際にブレーキをかけるかということは、真摯にこれは考えなければならない問題だと思っておりますので、その点も含めてよろしく御検討をお願いしたいと思っております。

 続いて、国連決議一七一八に関してであります。

 これは北朝鮮の実験表明後、わずか六日後ですか、非常にスピーディーにやったということ、内容的にも従来の安保理決議に比べまして非常にバランスがとれ、いろいろな問題がかなり幅広く加わっておって、私は非常にこれは、特に日本が議長国として取りまとめ、高く評価すべき点だと思っております。

 また、単に制裁ということのみならず、そういった決議をめぐる論議においても、対話への道も開かれていることは明確でありますし、決議のみならず、その周辺的ないろいろな発言等を考えますと、北朝鮮が核を放棄、検証可能な形で核を完全に廃棄して対話に戻れば、それに対する経済支援も行う、また決して体制を覆すものではないということも明確に出ておりまして、こういった国際社会の意思を明確に北朝鮮側に伝えていくことは大変重要なことだと思います。

 特に大事なことは、北朝鮮が長期的に体制の存続に悲観的になって短期的な冒険主義に出て、追い込んでいく、これが一番危険な状況であります。これを逆転させて、短期的な軍事的冒険主義は絶対に効果はない、むしろ自分たちが破滅に向かう道であるということを、強く抑止し、これをくじいていく姿勢、他方、長期的に、本当に核を放棄して国際社会に協力すれば、いろいろな国が発展に向けて、国民生活の向上に向けて支援する、そういう長期的な期待感を持つようになれば、これは非常に大事なことであって、それに向けてしっかりと抑止と対話を組み合わせながら粘り強く進めていくということが大事だと思っております。

 そういった中で、今回の国連安保理決議に対する評価、また今後我が国としてこの具体的なそれぞれの項目についてどのように取り組んでいくのか、その決意をお聞かせいただければと思います。これは麻生大臣にお願いいたします。

麻生国務大臣 今、遠藤先生おっしゃったように、少なくとも一九九三年、ノドンが出ましたときには安保理の反応はゼロ、九八年のテポドン1のときには二週間、十五日ぐらいかかって、たしかプレスステートメントだったか議長声明だったかだと思います。

 二〇〇六年の、テポドン2というか今回のにつきましては、従来のものでいきますと、これはよくて議長声明ぐらいだったところが、日本だけが断固決議というのを、安保理のメンバーの一人でもありましたので、これは日本が主張して、結果として各国がこれに同調をすることになって、十一日目でいわゆる決議が通ったという形になりました。

 今回の核の話につきましては、これはミサイルに対する世界の反応とか意識、認識というものと核に対する認識とはかなりの差があります。したがって、核に関しましては、これはもう日本が議長国であったから六日間で即制裁決議ということになった点もそれは確かにありますけれども、総じて世界じゅう、これはミサイルとは全然別の次元の話というので、はなからこれは、プレスステートメントだと思った人は一人もいませんから、ぱっと話が早くいったのが多分六日間でできた大きな背景だと存じます。

 その中に拉致なんかが入ってきたのは、それは確かに議長国だったというところもあったとは思います。しかし、総じて反応が早いことになってきたのは、九三年から九八年、我々のやったことを全然学ばぬではないか、学習せぬではないか、したがってこれはきちんとしたメッセージが一番偉いところに届いていないのではないか、したがってきっちりしたメッセージを迅速に出すべしということに関しましては、安保理の常任理事国を含めて理解が非常に早かった、できていたというのが、今回の決議が速やかにかつ厳しいものになった一番大きな背景だと思います。したがって、これは後これをきちんと実行していくところだと思います。

 今、今津議員の方から質問があっておりまして、これは臨検とか船舶検査とかいろいろ新聞にはかしましく出ていますけれども、書かれている原文はインスペクション・オブ・カーゴになっております。したがって、あれは例のビジットと称する臨検とは全然また違う次元の言葉です。したがって、インスペクション・オブ・カーゴですから、これは船舶に限らず陸上からのものも含まれているというところが、私に言わせると一番しんどいところでして、陸上で輸送している国があるわけですから、そこらの国にとっては、そこの検査をやらねばならぬというのを強制されるのは、これは物すごいしんどいことになるというところが大きな背景だったと思います。それがなかったら、多分もっと早くまとまったかなと思うぐらいです。

 したがいまして、その点を考えますと、この一七一八ができたものをいかに実効あらしめるようにするかというのが、今回、日本に限らず、安保理に限らず、国連加盟国全部に対しての要請というか決議文になっていますので、それを実行していくために今からどうやってやっていくかという詰めをまずは先方の反応を見ながらいたしませんと、朴吉淵という北朝鮮の国連大使も、決議文が出たら直ちに反応しています、決議の受け入れは全面拒否ですと。全面拒否はしておりますけれども、対話と対決、いずれの道も選ぶ用意があるということを、これは朴吉淵というのは言っておりますので。

 またP5、常任理事国側の方も、安保理のあれを受けて六者協議に復帰してくる、無条件で復帰してくるというのであればといういろいろ条件をつけて、最後の道、オプション、選択をここに出しておりますので、そこらのところを見きわめた上で対応していくということがこれから必要になってくると思って、しばらくここのところは対応を見きわめた上で、日本は決めたことはきちんともう既にやっておりますので、そういったところを含めて今後どうしていくかというのを今から詰めていくところだと存じます。

遠藤(乙)委員 今の大臣の言われた実効性、これは大変重要なテーマでございまして、特に、中国、韓国が非常に重要な要素を占めておりまして、ここら辺が協力してくれないと、なかなか経済制裁は効果ないんだろうと思います。

 ただし、きょうの最新のニュースですと、王光亜中国大使などは、通常の貨物検査は行うということを表明しているようでございますし、韓国も、太陽政策も見直して余り資金が流れないようにどうするかということも今後の検討課題だと思いますので、ぜひこの五カ国でしっかりと協議をして、この辺の実効性ある経済制裁を進めるよう日本としても努力をお願いしたいと思っております。

 時間もちょっとございませんので、最後に一点だけ。ちょっとまだ気が早いんですが、逆に、対話に向けてのシグナルという意味で、国連決議の解除条件、どういうことが満たされたら解除できるかということも、これは明確にしておく必要があるかと思っております。

 なかなか北朝鮮は簡単には応じないと思いますけれども、六者協議に無条件に復帰するだけじゃなくて、いろいろな国連決議に示された項目をクリアしなければ当然解除できないと思いますけれども、その対話促進への一つのシグナルという意味で、どういう解除条件が満たされれば国連決議が解除されるか。及び日本の独自にやった制裁、これの解除条件、特に拉致問題の進展を含めるかどうかにつきまして、最後にお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 基本的には、今回の安保理の発動にしても六者協議の話にしても、すべてこれは手段であって、目的は、核並びに核製造技術等々の放棄が本来の目的であります。あとはそれをさせるための手段ですから。

 したがって、六者協議に復帰したから、はい、それでもう解除なんというわけにはいかないことははっきりしております。それはもう最低条件なんであって、復帰した上でどうやって後対応していくかということになると思いますが、少なくとも、対応ぶりというのは、拉致、核、ミサイル、日本の場合はこの三条件なんですが、この拉致、核、ミサイルの対応条件をちょっとよくまず見ないかぬ。

 まず何といってもこの核の話、しかも、これが拡散するというのを断固と承知しない。少なくともこれがテロ組織に渡るなどというのは最悪なシナリオですから、そういったことのないようにきちんとするというのが一番大事なところだと思います。それらのところを見きわめた上で、ちゃんとこれは交渉に乗ってくるなというところになって六者協議をスタートさせて、その上で話が初めて始まるというところであって、先方も対話か対決かはまだと言っておりますし、P5側も同様なことを言っておりますので、まずは、少なくとも、一七一八が出たから即戻るというほど、それほど単純だとは思いませんけれども、ここはいろいろ駆け引きが一番激しくなってくるところかなと思います。

 今の段階でこの条件だったらといえば、一番簡単なのは、核の技術の放棄というのが一番確実だとは思いますけれども、そこに至るまでのところは、今のところまだ何とも申し上げられる段階にはございません。

遠藤(乙)委員 従来の北朝鮮の対応から見れば大変長いプロセスになるだろうという予測がされますけれども、ぜひ、この新たな状況に対応して、抑止と対話を織りまぜながら地政学的リスクを平和的な方法で抑え込んでいく。大変重大な挑戦になることは間違いありませんので、ぜひ久間大臣、麻生大臣のひとつ御尽力を心から期待したいと思います。

 最後に、やはり今、安倍新政権にとって二つの保障、一つは内なる社会保障、外なる安全保障、ソーシャルセキュリティーは社会保障でナショナルセキュリティーは国家安全保障ですが、この二つが直面する大テーマである。これをいかにして安心、安全なものにしていくかということは本当に差し迫ったテーマでありますし、我々公明党も全力を挙げて、この解決に向けて、改善に向けて頑張っていきたいと思っておりますので、どうか両大臣のひとつ御尽力を心から期待いたしまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 民主党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。よろしくお願いします。

 今回、この国連決議にほぼ全会一致でこぎつけたというのは非常によかったなと思いますし、非常に頑張られたんだろうなと思います。そのことに敬意は表しますが、まず、その中で具体的に今問題になっている貨物検査、船舶検査、このことについてお聞きをしたいと思います。

 これを周辺事態として認定して、この貨物検査、船舶検査がやれるようにしようということがあるわけですが、先ほどからも質問がありますが、これを周辺事態と認定するにはどういうことが一番困難、難しくて、どういうことがネックになっていると考えられているか、もう一度確認をしたいと思います。

久間国務大臣 周辺事態法といいますか周安法、あそこで言う周辺事態というそのイメージといいますか、そういうのは、もっと具体的なイメージを描きながらあのとき法律をつくっていると思うんですよ。だから、こういう形で脅威が発生してきているというのをみんな余りイメージしていなかった。

 それで、国連決議がなされて、国連加盟国の一員としてそれに協力しなければならない。そうしたときに一番手っ取り早いのは、あそこで言う周辺事態に認定して船舶検査をやればいいじゃないかという、これはもう与野党限らず、皆さん方どれをとるかというときに、それでいいんじゃないかという話がございますけれども、若干、最初法律をつくったとき、あるいはその法律の修正におたくらが、民主党さんがかかわって、こういう形で縛りをつけていった。そういういきさつから考えると、今の事態で直ちに周辺事態というふうに認定できるのかな、そういう思いが実はあるわけであります。

 だから、やはり国連決議がされて、いろいろな国、特にアメリカがどういう動きをするのか、そのときにどういう緊張状態が発生するのか、それによってまさに周辺事態という認定がされる場合も出てくるであろうし、あるいはそういかない場合でも、場合によってはこれは周辺事態でやるべきだというふうに政府が判断する、そういうケースだってあるかもしれない。だから、そういう点では、これから先の推移を見ないと、今この時点で周辺事態でありますというふうに言い切るのはちょっとどうなのかな、そういう感じが私はしております。

 非常に、どちらかというと、皆さん方から見ると慎重な意見を述べているなというふうにおっしゃられるかもしれませんが、当事者としては、国民全部が、そうなんだ、これは周辺事態のこれに基づいて行動していいんだというようなことを大声で言ってもらえるような雰囲気の中で海上自衛隊としても活動したいと思っておるから、あえてそういうような気持ちで言っているわけであります。

笹木委員 今、長官がお話の中で、具体的なことも考えてというようなことがありましたが、これは、最初に制定したときには、恐らく朝鮮半島ですとか、あるいは台湾海峡であったり、そうしたところで具体的な有事と言われるようなことが発生した、具体的なことを考えてというのはそういうことを含むんだと思いますが、それに比べて今回は、先ほどから質問者の話にもありましたが、北朝鮮が地下核実験をした。これは、発表はしたと。大臣のごあいさつの中にも長官のごあいさつの中にも、発表したというふうに書いてあります。

 みずからが核実験をしたと言っているけれども、アメリカは確認をしたと言っている、しかし、日本みずからは今最終的な確認ができているわけじゃない。言ってみれば、当事者本人が核地下実験をしたと言っている。そのことだけをもって、もちろんこれは、ミサイルを撃ち込んでやるとか、どこどこを火の海にしてやるとか、当事者のそう言っているような方が、その国が発表しているわけですから、当然危機は高まっていると考えていいと思いますが、しかし、このことをもって、今言った、具体的にこの法を制定したときの周辺事態に当てはまるかといえば、非常に無理がある。具体的に言いますと、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」とはなかなか難しいと思うんですね。ですから、今、長官御自身も言いましたが、それを周辺事態と認定するのはかなり難しい理屈が必要になる、そういうふうに思います。

 それと、もう一つは、これからアメリカが具体的にそういう活動もやっていって、そんな中でいろいろな状況が起こり得るということがありましたが、今現在はまだそういうふうになっていないということもあるんだと思います。

 それで、まずはそういう認定が非常に困難だと私自身は思っておりますが、そんな中で、仮に周辺事態というふうに認定した場合、この場合に、今言った貨物検査、船舶検査、どのようなことが具体的にできるのかということをもう一度確認させていただきたいと思います。

久間国務大臣 我が国の場合は海でございますから、貨物検査は、結局は、国内の場合ですと税関等港湾でのいろいろな検査もありますけれども、原則として海上での貨物検査ということになりますと、船舶検査になるわけであります。

 そういう船舶検査を我が国自身が周辺事態になったら、認定したならばやれますし、そのためにはまた米軍に対する後方支援もできるわけでありますし、またそれに付随して、いろいろな航行する船舶の行き先その他を、お互いに船舶検査をやっている国同士に連絡をし合うというような、そういうこともできるわけでありまして、それで、各国と協力しながらそういう検査をして、いわゆる経済制裁を科していくということになろうかと思います。

笹木委員 その場合に、この船舶検査については、具体的にどういうことが余り無理をしないでし得るのかということについても確認させていただきたいと思います。

久間国務大臣 それは、法律にもありますように、船長の同意を得て、あるいは旗国の同意を得て、そして停船してやるわけでございまして、これは主として不審船じゃなくて商船を対象にしてやるわけでございますから、粛々と行われていくだろう、そういうふうに思います。

笹木委員 先ほどから質問の中でも話題になっておりますが、その場合でも強制力がなかなかないということ、さらに威嚇射撃とか、こういったことを実際に行うことが難しいということ、この問題があるわけですね。

 そんな中で、今いろいろ報道なんかで出ていますが、そういう難しいことを除いて、では何ができるのか。例えば情報提供、米軍などへの情報提供、これは確実にできるんだろう。あるいは監視活動、そういったことも確実にできるんだろう。今の段階でですが、今の状態の中でですが、こういった確実にできることを確認させていただきたいと思います。

久間国務大臣 今の段階でというのはその法律によらずしてという意味なのかどうなのかですけれども、法律によらずしても、監視活動あるいはまた情報の提供はその法律によらずしてもできるわけでございまして、船舶検査法によらないとできないのは、我が国の自衛艦が船舶検査をできないというのがその法律の一つのあれでございますし、それと無償で後方支援ができない、この点が現在のほかの一般法では難しいということでございます。

笹木委員 周辺事態と認定した場合です。その場合の活動として確実にできる検査活動ですとか、その中でできることは何でしょうか。

久間国務大臣 相手が同意をして、停船をして、そして荷物の検査等をするというのが、これは事態に認定すれば確実にできます。しかしながら、相手が逃走して、そのスクリューを壊したり、あるいはその前に体当たりをする、そういうようなことは周辺事態に認定してもできないわけであります。

笹木委員 それと、議論になっておりますが、例えば米軍に対する補給活動、こういったことについても、仮に米軍が攻撃をされた場合に、それに対してどうできるかということについては、長官は正当防衛としてとかそういうことも言っておられますが、これも一般的に、すんなりと、簡単にいく話ではないわけですね。

久間国務大臣 従来からその種の議論が、さもできる、できないというふうに言われているわけですけれども、そういう現場におって攻撃されてきたときに反撃できないか。あなたがそのときの司令官だったら、やはり自分が攻撃されたとみなして反撃されるんじゃないか。それが自然体じゃないかと思うんです。

 だから、私は、よく言うんですけれども、集団的自衛権と個別的自衛権と非常に、二つに峻別してしまっているけれども、そういうようにはっきり分けられるのか。

 よく例として、この間の委員会でもちょっと言いましたが、二人並んで歩いているときに、相手の背の高い方に最初にかかってきた、そいつがやられたら、二人連れが向こうから来て二人でかかってきたときに、やられたら次は自分だと思うときに、黙っておりますか。

 そういうようなことと同じように、まずそこを攻撃されたときにそれは一緒になってとにかく防御するというのは、個別的自衛権、集団期自衛権、そういうように分けてしまうこれまでのやり方でいいんだろうか。

 だから、そこのところは、やはりもう少し何かの、個別的自衛権というのはそこまで含むんだ、そういうような考え方とか、あるいは、国連憲章でも個別的または集団的な自衛のための固有の権利という言い方をしていて、集団的自衛権、個別的自衛権という二つの分け方じゃなくて、個別的または集団的な自衛のための固有の権利を有するというような書き方をしている。ということは、そんなに峻別できないんじゃないか、それを前提にして言っているんじゃないかなと私自身は思っているわけなんです。

 だから、そういうような議論が今までされていなくて、二人、沖合で補給をやっているときに、こっちが攻撃された、自分は攻撃されていないからおれは知らないよというようなことが果たして現実に選択できますかということを思うときに、そこはやはり正当防衛で、二人連れ立っていたときに正当防衛でやると同じような、そういう概念が取り入れられるんじゃないかなというふうに思っているから、そういう答弁をしたわけであります。

笹木委員 その議論はもちろんしないといけない、これからしていかないといけないとは思いますが、しかし、今回のこの船舶検査において、政府の中でも、きょうの新聞等にも出ていますが、例えば、先ほどからお話ししています、強制力について難しい、威嚇射撃についても難しい、あるいは、今言った米軍の近くにいた場合の武器使用基準についてもなかなか、いろいろ困難な面があると。そういうこともあって、不測の事態が考えられる海域は米軍など他国軍が担当し、海自はそことはまた別のところを担当する、場所を離してやるとか、そういった案も出ている。あるいは、与党の中でも、今長官がお話しになったような、正当防衛としてそういうこともやれるようにしようということについては、非常に慎重な意見もたくさんあると聞いております。

 結果的に認定をしたとしても、なかなか、強制力とか威嚇射撃とか、米軍と一体の活動をしているときに攻撃を受けた場合の反撃ということについても、すんなりとクリアできるとは限らない。これは別に野党ということだけじゃありません。政府の中でもそうだろうと思います。そういう現状があります。

 それで、ちょっと話を移したいんですが、今回、非常に御苦労されて国連決議に持っていったわけですが、この七章四十一条、これは非武力的な措置、非軍事的な措置、そういう枠組みというか傘がある、そういう中での制裁だというふうに考えていいわけですね。それと、先ほどから言っているこの貨物検査、船舶検査、インスペクションですか、これは、従わない場合の強制的な措置をすることについても、そう簡単じゃないという面があるわけですね。一〇〇%だめとは限りませんが、恐らくこれもいろいろな国の中で解釈が分かれるところだろうと思います。

 そうしますと、今最初に、一つ目で確認したような、周辺事態として認定をしたとしても、余り無理なくやれる活動というのは非常に限られてくる、自衛隊がやれる活動というのは非常に限られてくる。この決議の枠組み、四十一条という枠組みでいっても、非武力的な措置ということでその枠がある。こんな中で、しかし、何とか我が国としてなるべく前に進むような活動がしたいということだろうと思います。

 ここで、これは事務方の方でも結構ですが、一般的に、例えばアメリカが、今、日本の周辺に来て、朝鮮半島周辺に来て船舶検査をするという場合じゃありません。アメリカが自分の領海とかその近くで船舶検査をする場合にどういう体制でやっているのか、それについて御説明をいただきたいと思います。

岩屋副大臣 先生お尋ねの米国による貨物検査でございますが、これは、米国内法及び関係行政機関、極めて貨物検査に関しては多岐にわたっておりまして、なかなか包括的にお答えすることは難しいんですけれども、例えば、合衆国法律集というのがございます。それによりますと、米国沿岸警備隊は、公海や米国が管轄権を有する水域で、米国法違反の防止等の目的で検査、差し押さえ、逮捕等の措置を行うことができる旨規定している、そのように承知をいたしております。

笹木委員 そういう場合に、米国の場合に沿岸警備隊がこの検査に当たる、先ほど御説明がありましたが、軍艦によって行われる臨検とは区別して、特に経済制裁的な検査については沿岸警備隊がそれに当たる、そういうふうに聞いておりますが、どうでしょうか。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げたことは、貨物検査、いろいろなものがございます。今回の安保理決議に基づく貨物検査という部分はございますし、そういう安保理決議等とは全く別個に、アメリカの国内法に基づいて、違法行為が行われているのか、そういうことをチェックするに当たっては、沿岸警備隊がアメリカの比較的近い水域でそういう活動を行っているということでございまして、必ずしも安保理に基づく今回の貨物検査もしくは船舶検査を一義的に沿岸警備隊がやるということではないというふうに了解しております。

笹木委員 アメリカだけじゃなくていろいろな国が、そういうふうに沿岸警備隊とか、あるいは貨物検査の場合には国境警備隊とか、そこがまず当たるというような工夫がされているというふうに聞きます。

 海上保安庁にお聞きをしたいわけですが、例えば、今回、これは国連決議ということでじゃありませんが、日本の独自な措置として、北朝鮮からの輸入をとめるということがあります。この北朝鮮からの輸入をとめるということについて、違反船があった場合には、海上保安庁は警察活動としてその検査に当たることはできますよね。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁では、従前から、我が国の港に入港いたしました北朝鮮船舶に対しましては、国内法違反の防止の観点から、関係機関と連携をいたしまして立入検査等を実施してきたところでございます。

 先ほどのお尋ねの件でございますが、当庁といたしましては、先般決められた政府決定を受けまして、関係機関とも情報を共有し、密接な連携のもとに、必要に応じ、入港した船舶に対しまして厳正な立入検査を実施するというふうにやってまいりたいと思っております。

笹木委員 それと、今この決議の枠組みでいうわけじゃないですが、海上保安庁のこういった日常的な検査、海上保安庁法に基づいた検査ですが、この行動において、相手船舶を停船させるために行う射撃は許されているわけですよね。

藤井政府参考人 海上保安庁におきます巡視船等の武器使用の面でございますが、基本的には、警察官職務執行法、あるいはまた、極めて厳格な中での武器の使用ということが警察比例という立場の中で認められておるというふうに理解をいたしております。

笹木委員 もちろん海上保安庁の枠組みでは国内の治安維持ということがあるし、例えば問題があった方に対して裁判にかけるとか、そういったいろいろな、もちろん国内の治安維持、警察活動という原則のもとで活動されているという説明が常にあるわけですが、しかし、例えば工作員対策として、この数年間でいろいろな改善というか修正が行われてきました。今言ったような、例えば威嚇射撃もそうでしょうし、ある程度の強制力ということも可能になってきているんだろうと思います。

 お話ししたいのは、例えばアメリカの場合、あるいはヨーロッパの幾つかの国の場合に、経済制裁のもとでの検査、これをいきなり軍隊じゃなくて、沿岸警備隊とか国境警備隊にまず当たらせるという工夫をしているのはどうしてなのか、それについて、事務方の方でも結構ですし、お答えいただきたいと思います。

河相政府参考人 お答え申し上げます。

 私、必ずしも詳細まで事実関係をつまびらかにしておりませんけれども、例えばアメリカの場合、先ほど、沿岸警備隊の活動、これが貨物検査をやる権限を有しておるわけでございますが、その基本は米国国内法の違反の防止というのが一つの前提になっている。そういう意味では、日本においては、海上保安庁が今御説明したような行動を行っているという部分がございます。

 片っ方で、安保理決議に基づいた船舶検査、これは広く言えば貨物検査でございますので、いろいろなことがございます。例えば、日本の税関での検査というのもその一部に当たると思います。ただ、公海上における安保理決議に基づくいろいろな諸活動があるとすれば、それらについてアメリカが、一義的に沿岸警備隊がその任に当たるということではないというふうに理解しております。

笹木委員 お聞きしていることについてはお答えいただかないので、私の考えを言いますと、あるいはそういうことを主張されている方ももちろんたくさんおられますので。

 結局、先ほどお話ししましたような軍艦とか軍隊が直接行う臨検とは違って、経済制裁のもとでの検査というのを国境警備隊であったり沿岸警備隊にやらせるという工夫をやっているのは、経済制裁あるいはそのための検査をやることによって、それがそのまま軍事的な紛争につながることを防ぐため、そういう目的もあってこの工夫がされているんだろうと思います。もちろん、それだけで大丈夫なのかという面も一方でありますし、先ほどお話ししたアメリカの海上での検査の場合には、その後方には軍隊が控えているとか、そういうケースでやる場合もあるとは聞いておりますが、そういった目的のもとでの工夫だと思います。

 話を戻すわけですが、先ほど最初に確認をさせていただきましたように、いろいろ論理というか理屈を重ねて周辺事態と認定を何とかやった、そうしてもやれることにはかなり限りがある。そうであれば、もちろん今、法律の枠組みが全然違いますから、あるいはこの国連決議との関係でいうといろいろ枠組みが違う面はありますが、今言ったような、ほかの国が工夫をしているような、日本でいうと海上保安庁ですが、こういった場合に海上保安庁としてやれること、それをもう少ししっかりと突き詰めて、最低限こういう修正とか、こういった解釈でやれるのはどこまでやれるのか、その検討はどのぐらいされているのか。やはりそれをしっかりやるべきじゃないか。それをやった上で、いや、軍隊でしかできない部分はこの部分がある、それについてはどうするか。

 しかしそれは、いずれにしても、意見を言わせていただきますと、やはり周辺事態と認定して理屈を重ねていくということじゃないと思うんですね。それはやはり新法でやるべきだろうと。こういうふうにお話しすると、いや、時間がないんだと言われるわけです。

 麻生外務大臣にお聞きしたいんですが、二週間から半月というふうに言われていますが、それはいつの時点から二週間から半月なんでしょうか。

麻生国務大臣 笹木先生、これは基本的には、安保理が通ったときからいろいろアメリカも考えているところを開始するところだと思いますので、それから大統領まで上がって、大統領から起きて検討せいと言ったときから最低でも二週間ぐらい。これは企画立案のところですよ。それから、それを実施に移すとなると、これは兵糧といって食料から水からあれから何からしなくちゃいけませんので、そこのところは全然別問題。

 ただ、何となく新聞記者の話とか聞いていますと、大体あの種のことにおよそ無知な人があの世界には多いものですから、えらい勇ましい話がやたら多いでしょうが、いきなりその周りをずっと軍艦で取り囲んでなんという、全然漫画の読み過ぎみたいな人の話が多いと思うんですね、僕はああいう話を聞いていると。こういうのが一番世の中を間違った方向に扇動するんですよ。

 僕は、そんなことじゃないんだと思いますね。事実、日本には船が入ってきていませんから、全く。したがって、向こうから出てくる船はないわけです。だって、こっちに六百何十隻来たものがゼロになっていますから。そんな、取り囲むも何も、出てくる船がないわけですから。

 そういった意味では、もうちょっと事態を見た上でないと、よくアメリカの、これは多分海軍の考えるところでしょうけれども、国防総省が考える話ではあります。ただ、そこらのところの対応を見ないとなかなかわからぬというのが一つです。

 それから、日本の場合は隣国ですけれども、アメリカの場合はずっと太平洋を越えてくる話ですから、第七艦隊をベースに考えるということだと思いますが、ちょっといろいろ、こっちもほかに、これだけをやっているわけじゃありませんから、そうそう手があいているわけでもありませんし、それほど、海上からのものよりもっと陸上から来ているものが多いんじゃないのという意識というのは多分多いと思います。そこで、インスペクション・オブ・カーゴという言葉を使ったのであって、単なるインスペクションだとこれは船舶検査になりますけれども、インスペクション・オブ・カーゴという名前をつけた理由は、多分、ライト・オブ・ビジットとかライト・オブ・ボーディングという、臨検というふうに通常訳されるのと違って、定義が余り明確でないのがこのインスペクションなんですが、それをインスペクション・オブ・カーゴとして陸上輸送も全部はめてきたのが一番のみそかな、この種の交渉事に携わった人間としてはそんな感じがしております。

 したがって、今の段階でいつぐらいと言われると、ちょっとなかなかお答えのしにくいところだと存じます。

笹木委員 今期間をお聞きしたのは、よく大臣がそういう発言をされているから確認をしたかったんですが、しかし、実際にこの貨物あるいは船舶検査が始まったとしても、まずはみずからの港湾からとか、まずはみずからの領海からということなんだろうと思います、それぞれの国にとってまず優先されるのは。そこからやっていくわけで、もちろん、アメリカとの関係では何ができるか、これも詰めていかないといけませんが、結論から言うと、十分時間はあると思うんです。決して足の引っ張りばかりやったりしませんので、よりいいものをつくっていく。

 そして、これ以上拡大解釈とか継ぎはぎとかその場しのぎをやっていって、本当に説明のしようがないというか、国民から聞いてわけのわからぬ状態をふやすことじゃなくて、これはさっきお話ししましたように、まずは、ほかの国でやっているような工夫も参考にしながら、海上保安庁でやれること、そして軍としてやれること、これを煮詰めた上で新法ということをやはり考えるのが筋だと思っております。ぜひそのことを検討するべきだと思います。

 一言感想を、一言ずつでいいですから、長官と大臣にいただきたいと思います。

久間国務大臣 まず、私は、今度の国連決議というのは、素早く、しかも強い決意で、とにかく北朝鮮に、早くやめなさいよ、国連憲章の七章を適用しますよと。しかも満場一致でそれを決めて、ただし四十一条だけでやりますよということを決めたわけですから、これはワンステップだと思うんですよ。これをやらないのなら次の四十二条にだって行くことがあるんですよ、そういう気持ちを込めて、国連憲章の第七章を発動します、しかし四十一条ですよということですから、これから国連の加盟各国、特に常任理事国が中心になって、北朝鮮に対してやはり圧力といいますか、早く帰れ、六カ国協議に帰って核をやめろというような形でこれを機会にやるのが一番いいと思うんですよね。それをまず、最大限の努力をやはりしてもらいたいなと思うんです。

 それと同時に、現在の国内法でできる範囲で皆さんやりましょうよというふうに要請を受けているわけでございますから、私どもも、その範囲内でどれだけできるか、そういうことをやろうと思っておりますし、その中で自衛隊としてやれることはやらなきゃいかぬというふうに思っております。

 それが感想でございます。

麻生国務大臣 今、基本的には長官の言われたとおりなんだと思いますが、今回のこの決議文に対して、北朝鮮の報道官がきょう十七日にしゃべった話を見てみますと、安保理制裁決議について、決議は宣戦布告としか考えられない、我が方は、今後、米国の動向を注視するであろうし、それに応じて云々と書いてあるんですが、宣戦布告と言いながら動向を注視すると、両方、また例によってリャンメン待ちなんて言うと余り品のいい表現じゃないですね。動向を注視するであろうし、いわゆる宣戦布告とみなすと、両方のことを言って待っているという感じのように見えるんですね、いつもの表現なんですが。

 したがいまして、今おっしゃったように、直ちにわあっというような話が、やたらあおった話が出ますけれども、そこのところはきちんと、我々は日本としてやるべきことはもう全部既に実施しておりますので、そういった状況の中にあって、これは必ず影響が出ますから、そういう意味で、あと金融のところがさらにきつくなってくると思いますので、金融の取引の停止を中国側がしてみたり、いろいろなことが少しずつ始まってきておりますので、そこらがどういうメッセージとして北朝鮮当局の一番上のところに通じるかというところがこれから見守っていかねばならぬ大事なところで、その上でやらねばならぬ。

 しかし、こっちはきちんとして、一番被害を受ける確率が高いのは日本ですから、その意味では、一番きちんとした対応を心しておかねばならぬと思っております。

笹木委員 この点についてはもうこれで終わりますが、あした以降、ライス国務長官が来て大臣ともお話をされて、その後、韓国、中国ともというふうに聞いています。先ほど、陸での検査も入っているのがみそだと大臣言われましたが、恐らくこの貨物検査、船舶検査というのは、中国、韓国、あるいはロシア、ここらも含めてかなりの協力が得られないと抜け穴だらけになってしまう可能性があるわけですから、ぜひ、アメリカに対してやれること、最大限にこれから取り組んでいくのは必要でしょうが、韓国、中国ぐらいはかなり乗ってこられるようなもの、そうしたことも意識して取り組んでいただきたいと思います。

 それと、本当はきょう最初にこの点をお聞きしたかったんですが、ほかの委員も質問されたので繰り返しにならないようにしたいと思います。

 こういうことをまた蒸し返すのもちょっとあれですが、やはり私は、防衛庁長官への連絡、これはどう考えても遅いと思います。

 これは別に、長官が飛行機に乗っていたから悪い、そのときにどこに向かったから悪いとか、そんなことは今から蒸し返しませんが、やはり連絡のつきにくい状況は、いろいろ毎日の生活の中でもあるんだろうと思います。

 とにかく、十時半過ぎに中国から連絡が来て、総理には十時四十分ぐらいに報告が行った。しかし、内閣官房から防衛庁にまず情報が入ったのは十一時二十分。これがまずどう考えても遅いと思いますし、その後、長官に、これは飛行機に乗っていたということもありますが、長官に届いたのが十二時半ということですよね。

 ですから、ぜひお願いしたいと思うのは、危機管理センターとか、そこらがどうなっているのかはわかりませんが、もう少し一斉にちゃんと情報が届くようなシステム、そうなっているという話がやはりなっていないんだろうと思います。それが必要でしょうし、ほかの国では、いろいろ専用回線で、何かあったときには優先的につながるような回線を持っているとか、特に国防関係にかかわる、その省独自に持っている場合もあると聞きますし、そういった工夫もやっていると聞きます。どうしても連絡がつきにくいときがある、そういったときに必ず連絡がつくことに向けてもう少し改善していく、その必要はあるんじゃないかと思いますが、長官にお答えいただきたいと思います。

久間国務大臣 確かに、常時どんな場合でも連絡できるようにするというのは大事なことでございますけれども、なかなか一〇〇%というのは難しい点もございます。

 それと同時に、民間機の場合、民間機に対する無線というのは機長を通じてやるわけでございますから、そういう意味では、民間人でございまして、そういう点で、今度の場合、政府専用機でありますと、総理にはいち早く連絡があったというのは、政府専用機はそれなりの無線の連絡がとれるわけでございますが、民間機の場合は、御承知のとおり、もちろん携帯電話もだめでございますけれども、中からの電話も最近は外されておるわけでございまして、そういう点では、ややそこは断絶する、そういう問題がございます。新幹線ならよさそうですけれども、新幹線もトンネルの中に入ったときには切れるわけでございまして、そういう点では、そういう空白というのはどうしても避けられないわけであります。

 政府専用機、もっと閣僚の場合は政府専用機を使うように、小型のやつを使ってもいいじゃないかという世論といいますか、そういうのを閣僚用に使ってもいいですよというようなことを防衛庁としては言っておりますけれども、これもなかなか、そうはいうものの、実際には、特に政務というか公用ならいいわけですけれども、党活動として大臣が動くときにはそれもやはり使えない、そういうジレンマがございます。だから、これから先、そういうときにどういうふうにしたら空白の時間を極力なくすことができるか、これは私たちとしても研究してみようと思います。

 よく野党の皆さんが、この間、参議院の予算委員会等で議論がございましたけれども、政権が交代した場合には野党の皆さんが閣僚になることだってあるんですよ、そのときに同じような質問をされたときにどう答えますかという気持ちがありました。これは、お互いがやはりそういう点の空白をできるだけ減らすように努めなきゃなりませんが、なかなか一〇〇%というのは難しいというふうに思います。

 ただ、今度の場合は、先ほど言ったように事前にいろいろな手は打っておりましたし、はっきり言って、ミサイルの実験をやったときよりも核実験の方が防衛庁長官としては危機感は薄いわけですよね。地下実験をやるというのと、ミサイルが飛んでくる場合は、ひょっとしたらこちらに飛んでくるかもしれないということで、そのときはもっと危機感というのは強いわけでありますけれども、地下核実験をやったということで、寸時を惜しんで反撃する、そういうような事態ではないわけでありますから、そういう点では若干違うわけですけれども。

 やはり、いずれにせよ、そういう空白時間を少なくするように努めなきゃいかぬというのはおっしゃるとおりでございますので、私どもも、何かいい方法がないか、これから先も努力していこうと思います。特に、関係省庁の連絡体制については、もう少し緊密な連携がとれるように私たちも心がけようと思っております。

笹木委員 もちろん我々が与党になってもという前提で聞かせていただいていますので、だから、いろいろな工夫がもっとないかということを言っていますし、予算面でも人員面でも、これについてはもっとしっかりと充実したものをやるべきなんだろうと思います。

 繰り返しになりますが、政府専用の緊急通信ネットワークとか、あるいは国防に関連する機関がみずから通信システムを、そういう場合もヨーロッパではあるわけですし、だから、ぜひそういったことも含めて検討をするべきだと思います。

 それと、先ほど他の委員も言及されていましたが、あいさつの文章を見ますと、核実験をやったという発表があった、今後も情報収集して確認を急ぐということなんですが、具体的にどうやって日本としては確認をしていきますか。地震波と放射能調査、これはわかりました。しかし、日本独自の放射能調査ではなかなか異常値は出てこない。地震波についても、それは異常な地震波ではあるけれども、これは核実験とは限らない、ほかのものの爆発の場合でもあり得るかもしれない、そういう報告はお聞きしました。

 そうすると、今後、日本として、アメリカの確認したという情報の裏づけをとっていくというか、それを検証していく手だてはあるのか、あえてお聞きしたいと思うんですが。

久間国務大臣 完全にあるのかと言われますとなかなか厳しい点がございますが、通常の核実験が行われて、それが成功した場合はかなりの地震波が伝わるわけでありまして、そういう意味で、世界各国が、韓国も中国もロシアも全部とっているわけでありますから、それを全部ウィーンに送って、うちの場合は放射能対策会議が中心になりますけれども、その窓口は官邸で、その座長といいますか中心になるのは文科大臣でございます。それをウィーンに送って、そこで世界各国のいろいろな状況を照らしてやるわけでございますが、今度の場合は非常にデータが小さかったわけですね。

 だから、そういう意味では、ちょっと今度のやつについては、みんながやはりううんと頭を傾けた点、そこがちょっとキャッチするのが非常におくれた。そして、放射能のちりにしましても、うちもT4を飛ばして集めましたけれども、うちの方には異常値は見られなかった。しかし、自衛隊の場合はどうしても我が国の防空識別圏の管内、そういうふうに限られております。

 米軍がどうやっているか知りませんから、それはまた我々わかりませんけれども、米軍は何らかの形でもっと違うところまで行ってとったのかもしれませんが、それはもう我々には伝わってこないわけでございますので、その辺では、確実に向こうの言ったようなことを我が方で確認することができるかどうか、時間をかけたからといってなかなか難しい点もあるんじゃないかな、正直なところ、そう思います。

笹木委員 ぜひ、あいさつの中でも言われていたように、何か、核を持つべきだとかなんとかというのが新聞をにぎわしていますが、仮に核を持ったとしても日本がそんなに軍事強国になれるとは思いませんが、やはり情報についてはもっと強い国になるべきなんだろうと思います。どこかの国の総理大臣がイラクの問題のときにアメリカの情報を信じるしかないと言いましたが、結果的に苦い経験につながっているわけですから、ぜひこの情報面で確認の作業を続けていただきたいと思います。

 それと、最後に、もうあと五分ぐらいしかありませんが、これは外務大臣にお聞きしたいんです。

 北朝鮮で、今回の核実験についてはまだ最終的な確認はされていませんが、ミサイルに搭載できるような小型の核、今のところはまだそこまでいっていないんだろうと一般的に言われますが、七月のミサイル発射があった後で中国に、二日後ぐらいにたまたまいて、向こうの戦略研究所とか外交学会の方々と話をしていたら、数年と具体的な数字も挙げましたが、そういうふうに言っていました。そういう考え方もあるんでしょう。

 余り具体的に言いにくいんでしょうが、その技術に到達している可能性がある、可能性はあるとお考えなのか。あるいは、ほぼ難しいんじゃないか。その場合には、早くて何年ぐらいでの可能性があるのかなと。それについての認識をお聞かせいただきたいと思います。

岩屋副大臣 今、小型核爆弾開発の進捗状況いかん、こういうお尋ねでございますが、この場で断定的なことを申し上げることはできません。これは防衛庁長官がほかの委員会でもお答えになっておられたと思いますが、小型化するためには相当な技術が必要だということでございまして、現段階で北朝鮮がミサイル搭載することが可能なほどの小型化技術を完成したという情報は得ておりません。

笹木委員 大臣はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 笹木さん、これは、昔から広島型とか長崎型というのは圧縮爆弾と分裂型といろいろあるんですが、今回の場合は多分圧縮型だと思われますが、これを核弾頭の上に積んで、ノドンレベルのものですと最低一・五トンとか、そんなものまでというのはかなりな技術だと思いますので、その意味では、正直に申し上げて、今すぐできるなんというのは考えられぬ。

 今回の核爆発の地震波から逆算して、あの程度のマグニチュードでいくのであれば少なくとも何トンぐらいというような、プロは全部逆算できるんだそうですけれども、それからいきますと、アメリカができるのより小さいという地震波にしかなっていないという話がよくあります。

 したがって、そんな技術があろうとはとても思えないのでという話に、みんながまゆにつばつけて、最初からちょっとそんな技術があるとはとても思えぬという話になって、おまけに向こう側の放送を見ていても、普通、成功したら、あのおばさんが出てきてドカンと言って、あれが全然ありませんから、何となく、もうちょっと喜んでもいいんじゃないかなと思っていたんですけれども、それが全然なかったので、これはちょっとおかしいなというのが私の正直な勘というか反応なんです。

 したがいまして、ちょっと何となく失敗しちゃったのかなという感じですけれども、核というか微粒子がとれたというから一応やったんだろうけれども、圧縮してざあっと広がっていかなかったというのかな、仕掛け花火がつながっていかなかったという、簡単に言えばそういう話なんだと思いますけれども。ちょっといま一つそこらのところの技術が、さらに小さくしてああなっているとはとても思えませんので、今すぐ急に小型化のレベルがどれぐらい進んでいるかといったら、とてもきょうあすできるような話ではない、そのように感じております。

笹木委員 ではこれで終わりますが、最後に、きょうこの点はお話しできなかったんですが、具体的に一般の方から言われるのは、いや、もし飛んできたらどうすればいいんだということなんですよね。ですから、もちろん勇ましい話で、やられたらやり返すとかそんな話、これも言い方の工夫が必要なんでしょうけれども、核を持っていないことのメリットをどう生かすか、核を持っていないことをどう補うか、この検討は当然するべきだと思いますが、そんなことよりも、国民にとっては、いずれにしても、最悪の場合、自分はどうやって生き残れるんだ、これが一番気になるわけで、そういう点で、最悪に備えるのであれば、国民保護という視点から、国民保護法も非常に、これでいいのかということはありますから、ぜひ検討していただきたいと思います。それはまた別の機会にお話ししたいと思います。

 ありがとうございます。

木村委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉です。

 私は、先週の日曜日、十五日、私の自宅から十分の距離にあります、木曽川を渡りまして岐阜県の各務原、ここの航空ショーを見させていただきました。本当に久しぶりに航空自衛隊の皆さんの練度の高い曲技飛行を見せていただきまして、私は、そうした有事に備えての精進を進められている隊員の皆さんに敬意を表しまして、質問を始めさせていただきたいと思います。

 まず初めに、核実験、先ほどから外務大臣の報告にもありましたけれども、まだ事実確認に努めていくという段階であるということですけれども、私は、より具体的に、少しずつ話を詰めていかなければいけないと思っております。

 この十六日に、先ほどから出ておりますネグロポンテ、アメリカの国家情報長官声明で、その場所の話ですけれども、咸鏡北道吉州郡豊渓里、ここの核実験場と見られる場所であったのではないかという話もありました。当初は、場所の方は、北緯四十・八度、東経百二十九・一度、咸鏡北道金策市上坪里付近ともされておりました。十三日は、CTBT、先ほどから出ております包括的核実験停止条約機構、ここが、北緯四十一・三一度、東経百二十九・〇二度ということでありますけれども、また、十三日に発表された韓国の地質資源研究院の発表はこれまた違う。

 非常に地震波も軽微であったからなかなか特定ができないということだと思いますけれども、この場所を政府としてはどこであるというふうに今御認識されているかということから伺いたいと思います。

岩屋副大臣 これは事実関係ですから私の方からお答え申し上げますが、人工地震の震源は、どこの観測所のデータを分析したかによって異なってくるわけでございます。

 我が国気象庁、先生御指摘のCTBTO準備委員会事務局、それから韓国地質資源研究院が発表した震源は、どの観測所のデータを分析したかによって異なっておりまして、我が国気象庁とCTBTOの分析結果ですが、おおむね同様となっております。気象庁の方は、北緯四十一・二度、東経百二十九・二度、CTBTOの方は、北緯四十一・三一度、東経百二十九・〇二度でございます。韓国政府の発表では、先生今御指摘になった咸鏡北道上坪里が震源とされていたわけでございますが、十三日に気象庁やCTBTO等の分析結果に近い場所に修正した、韓国政府の方は後から修正したというふうに承知をしております。

 また、CTBTOですが、当初コンピューターによる自動解析を行っていましたが、その後、分析者による、専門家による手動解析を経て誤差修正を行った結果、先ほど申し上げた震源を特定したというふうに承知をしております。

前田委員 今、政府としての、正式にどこが核実験場所であったかという特定をされたと思いますけれども、それでは、今度は、その核実験の認定作業についてであります。

 政府は、放射能対策連絡会議が行われて核実験と断定されていくわけでありますけれども、これに当たってどのような、今、T4を飛ばされたとか地震波等ありましたけれども、さらにどういう情報を得て、先ほど来出ていますCTBTOの配下にありますIMS、国際監視制度、ここからの観測調査報告を受けておられると思いますけれども、また、先ほどから出ています米軍の方からの、アメリカからの情報もあるでしょう。一体どういう情報をこれからまた精査されて核実験を実施したという断定をされるでしょうか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 いわゆるCTBT、コンプリヘンシブ・テスト・バン・トリーティーという例のCTBTの機構が出しましたものというのがあるんですが、これによって今まで得ている情報は、もう先生御存じのように、いわゆる放射性のものは検出されていないというのがCTBTからの答えです。

 それから他方、日本時間のけさ未明に、ネグロポンテ、アメリカのDNIの一番責任者の声明として、仮にもアメリカの国家情報長官の声明として出しておりますが、十一日に捕集された大気サンプルの分析により、北朝鮮が十月九日に豊渓里の近くで地下核爆発を実施したことを確認する放射性物質が検出されたと発表したということを承知しております。

 他方、一番隣国の韓国においては、放射性物質が検出されたと韓国政府は言っておりません。

 そういう状況にありますので、今の話は難しいので、おれは人を殺したと言っているんだけれども死体がない、だれを殺したんですかという話で、全然、やった本人は、おれがやった、やったと言うんですけれども、肝心のものがないという話になって、ふだんとちょっと逆な話なんです。普通は、だっておまえがやったろうという話なんですが、いや、そうじゃなくて、こっちはやった、やったと本人が言っているんですけれども、やられた人が、ちょっとものがないという話になっているので、非常に話が、先ほどのイラクとはちょっと逆な形になっているのが、今回なかなか話が難しい。イラクの場合、やったろうとこっちは言っているんですが、向こうはやっておらぬという話と、今度は、向こうはやったと言っているのに、いや、本当かといって行って調べているわけですから、これはなかなか、ちょっと話が難しいのが正直なところです。

 しかし、ただ、御本人たちがやったと言うことと、それから、少なくとも地震波には異常値が検出されたということと、そして今回のアメリカのネグロポンテ長官の話を三つ総合すると、これはやったと思われる確率としては高いということ以上のことは、先ほど長官からもお話があっておりましたように、文科省のところでやっておりますものにつきましても、今きちんとしたものがまだ日本として確認がとれておりませんから、そういった意味では、私ども、引き続き事実確認に努めていかねばならぬと思いますけれども、最終的にどんな形でそれがとり得るかというと、先ほど久間長官からのお話がありましたように、防空識別圏を越えて北朝鮮側に入っていくというわけにもなかなかいきませんので、そこらのところが正直なところ難しいというのが現実な問題のところだと存じます。

前田委員 でしたら、これはちょっと通告にありませんけれども、実際にすべてのこれからの行動のもとになるわけでありますので、大体いつぐらいまでに、なかなか難しいかもしれませんけれども、認定あるいは断定の作業を終了される予定でありますか。

麻生国務大臣 ちょっと正直、今の段階で、これ以上確たるものが韓国側でとれるとかなんとかいうことになりますと、少し我々も一歩確実に踏み出せていけるとは思いますけれども、どなたも、一番近くのところがとれていないということになりますと、なかなかちょっといつまでというのは、今の段階で申し上げる自信がございません。

前田委員 文科省が各都道府県に放射能測定の要請を出しているわけでありますけれども、各都道府県にどのようにこの実験に関しての情報収集を要請されているのか、伺いたいと思います。

袴着政府参考人 放射能測定に関して、文部科学省におきましては、核実験発表のありました十月九日の放射能対策連絡会議代表幹事会の申し合わせに基づきまして、地方自治体に対し、放射能の測定態勢強化への協力を依頼いたしました。

 現在、四十七都道府県が実施しております空間放射線量率及び降下物の放射性核種分析、そして三十六府県が実施しております大気浮遊じんの放射性核種分析について、毎日報告を受けております。しかし、これまでのところ、異常値は検出されておりません。

 文部科学省としましては、引き続きこれらの放射能調査に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

前田委員 ぜひまた早くやっていただきたいと思いますね。

 それでは、先ほど外務大臣も少しお話しになりましたけれども、この実験の成否ですね。既にこの十五日、福井市内での討論会で、谷内外務次官が失敗ではなかったかという発言をなさっております。これは本当に、北の発表では地下核実験は成功裏に実施したというふうに言われておりますけれども、この実験の成否についてどのように分析されるんでしょうか、伺いたいと思います。

麻生国務大臣 谷内の話ですけれども、次官の話ですが、これは断定して申し上げているわけじゃなくて、失敗した可能性が高いのではないかということを言っておる背景というのは、これは基本的には、先ほどちょっと申し上げましたけれども、余りにも地震波が小さいから、よほど小さな、極小化することに成功しているというのであれば、それは大したものです。しかし、そんなにできるかねとアメリカも間違いなく疑っておりますのが二つです。それから三つ目は、これは、これまでの傾向値から見て、自分らがやって成功したんだったらもっと大々的に言う話にもなろうと思うんですが、今回はそんなふうが全然見えませんので。

 しかし、微量ではあれ一応採取はできたというアメリカの話を信用すれば、それは、これだけいくやつのものがこれぐらいで爆発がとまったから、一応流出はした、上に微粒子が少し出たのかなというところになると、結果として、核実験はしたけれども成功はしなかった。成功というのは、百いくはずのものが三しかいかなかったとか十しかいかなかったという話だったと思いますので、失敗という確率というのは、情況証拠としてはそういうことは言えると思いますが、これも断定的に失敗だったと言い切ることはできないというので、ただ憶測でしか言えないところだと存じます。これは多分アメリカ側もほぼ同じ意見、いわゆる情報機関としては皆ほぼ同じ意見だと存じます。

前田委員 これまた本当に、その成否についても非常に難しい判定を下さなければいけない、実際にそうしたものをもとにして今度の国連決議ができたわけで。

 そこで、今度、先ほど来出ていますけれども、周辺事態と認定することの可否、要件、判断基準というものについて伺いたいと思います。

 先ほど来久間防衛庁長官も、本日も慎重な発言を繰り返されておりますけれども、十二日の参議院の予算委員会でも、核実験実施を発表した現在の状況で周辺事態が発生しているわけではないが、今後周辺事態として認定する状況も出てくる旨を述べておられます。

 政府として、具体的にどのような状況になった場合にこれが周辺事態になるのか。先ほどは、推移を見守らないとわからない、あるいは国民の皆さんが広く理解していただけるようになってからだという発言もありましたけれども、どのような状況になった場合に防衛庁長官はこれを周辺事態と言い得るのか。この法律ができたときは、朝鮮半島有事あるいは台湾海峡有事という話も委員会の答弁の中にありました。どのような状況になった場合、簡単にわかりやすく御説明いただきたいと思います。

久間国務大臣 あの当時の議論では、今おっしゃられたように、そういうように朝鮮半島とかあるいは台湾海峡とか、場所は特定しないというような言い方で、努めて話をその当時は、防衛庁長官時代にしました。しかし、最終的にでき上がった法律は、その後修正された形で、私がやめた後実は法律は成立したんですけれども、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等」となったわけですね。

 この「等」というのがくせ者でして、「武力攻撃に至るおそれのある事態」だけだったら、今、武力攻撃のあるおそれまでは来ていないわけですね、脅威は感じるようになってきていますけれども。だから、これだったらそうはならないんですけれども、「等」というのがそのときにつけ加わったんです、さらにリアクションとして。それだから、もっと幅広く、そして、しかもその後に、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態と。そういうふうに、例示は挙げたけれども、結局は文言としては同じなんですよ。

 そういう形になっておりますから、余計意図が読みにくいので、広く読もうと思えば読める。しかしながら、立法の本当の趣旨からいったら、そこまでは考えていなかったと言われればそういうふうにも言われる。非常に微妙なところでありますので、非常に表現が難しくて、みんなが納得するならば読んでもいいし、納得しなかったら読めないんじゃないかというような形で、周辺事態の認定は最終的には政府が決定するわけですけれども。

 私が言いますのは、やはり、ただ核実験をやったという、そういう事態だけで周辺事態にはならないんじゃないか。そういう事態があって、その後に追っかけて国連決議が出たからといって、では最初の事態が変わったかというと、それも変わっていないんじゃないかと。ただ、両方合わせて、緊張状態が上がってきて、そして我が国に対する非常に重要な影響を与えるような事態になってきた、そういうふうにみんなが判定して、政府が判定してもそうだというような、そういうことになったら私は認定ができ得るんじゃないかなと思って、その辺、非常にあいまいな表現ですけれども。私は、どっちかというと慎重に、そういう雰囲気が今できているかというと、今はまだできていないんじゃないか、そういうことを言っているわけであります。

前田委員 それに対して、麻生大臣は十五日のテレビで周辺事態の認定について、法的に不可能ではない、あとは政治決断だと述べておられます。

 政府部内で認定について慎重な考えも多いわけでありますけれども、意見の一致がなかなか難しいようであります。これに対して麻生大臣はどのようにお答えになりますか。

麻生国務大臣 決して閣内不一致をつこうとしておられる気持ちでないことだけはわかった上で話をさせていただければと思っておりますが。

 基本的にどういった状態が当たるのかというのは、これは、最後に今、「等」という一言のおかげで非常に話は幅広く理解できるようになる。これは、役所とつき合って、この「等」という言葉がついていると、これぐらい幅の広い単語はありませんので、これは大蔵省に「等」なんて使われたらほとんどもう無限大に広がる用語の一つですから、この「等」というのは、私どもとして立法する場合に、この「等」という一字をつけるかつけないかによって全く意味が違ったものになりかねませんので、この種の話は難しいんだと思います。

 ただ、今長官の方からもお話がありましたように、基本的には、どう脅威を感じる話というのは、これは国民の感情論の話になりますので、地下核実験の方が、飛んでこないんだからまだ大丈夫というのと、ミサイルは本当に飛んでくるんだから、これにいわゆるBCというバイオとケミカルの武器を載っけられてまかれた方がよっぽど、安く上がるし、影響は大きいしというようなことを考えなきゃいかぬ立場にある長官の立場というのは、これはもう全然感じ方がみんな違いますので、核は大変だけれども、バイオとケミカルは余りぴんとこないという方の方が多いと思います。

 そういうところからいきますと、ちょっと今の場合、どの辺までが、これが読めるか読めないかというのは今からの判断だと思いますが、向こうが続けて何か核実験をさらにやってくるとか、ノドンとかテポドンとか、北の方じゃなくてもっと東の方にずっと角度を下げて実験をされるとか、いろいろな形で脅威がさらに持続するということが絶対起きないという保証は今ありませんので、推移を見守っていかなきゃならぬので、あらゆることを検討しなければ何とも答えられないと先ほどから申し上げているのが、前田さん、私らの立場です。

前田委員 では、現行の船舶検査活動法、これに基づく自衛隊の船舶検査について伺いたいと思います。

 十六人が一組になって相手の船舶に乗り込む。そして武器使用は、警察官職務執行法の準用ということで、正当防衛あるいは緊急避難の場合、これに限られる。停船させるための警告射撃が認められていない。強制力がなかなか伴わないのが現状であります。

 そうすると、効果が、あるいは対応が本当に図れるのかどうかということが疑問であると思いますが、同法に基づく船舶検査活動の実効性について、政府としてどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。

久間国務大臣 これは、工作船みたいな意図をはっきり持っている対象だったら実効性も非常に難しいと思うんです。しかしながら、原則として商船ですから、商船がそういうような、我が国だけじゃなくて米軍も含めて船舶検査をやっているときに、それを振り切って逃げるかというと、我が国の場合は強制力を持っていないです。しかしながら、アメリカ国の軍隊の場合はどれだけ強制力があるのか、それぞれの国内法に基づいてやっておりますから、それはまた違うと思うんですね。そういうときに、そういう商船が振り切って逃げるというのは、よっぽどの確信犯か、何かもう、見つかったら大変だということでやるか。

 そういう意味では、一〇〇%の実効力がないかもしれませんが、やはりかなりの効果は上げ得るんじゃないかというふうに私は思っておりますから、協力して国連の決議に基づいてやらなきゃならないというふうな、事態認定がされた場合にはそれなりの効果は上げ得るんじゃないか、私はそういうふうに思います。

 それと、米艦船に対する補給活動とか後方の支援はできるわけでありますから、そういう点でも、非常に両方が連絡を密にしながら連携を保っていくと、実効性といいますか、かなりの効果は上げ得るんじゃないかなというふうに思っております。

前田委員 政府が周辺事態と認定された場合の話を、緊張が高まってきて、国民の皆さんも多くが周辺事態だと思うという場合について、この船舶検査自体は行わずに、周辺事態安全確保法に基づく後方支援を行うという報道もあります。

 しかしながら、まさに我が国が直面している北朝鮮問題に係る危機に関して、各国が危機と隣り合わせて臨検をしている、その一方で我が国が補給活動等だけを行うというと、諸外国の理解が得られるかどうかというのが非常に今私は疑問であると思います。

 他方、現行法では、要請と説得による船舶検査活動の実効性を担保する程度にとどまっている、米軍の支援だけに限定されるということで、麻生大臣はやはり十五日のテレビでも、別の番組でも言われていますけれども、まず周辺事態法で当面は対応する、法律ができるまである程度時間がかかるので、時間をかけてきちんとやるという二段の考え方があると述べられておられます。

 この船舶検査活動法の実効性を強化する方向での法改正とか、本件に関した特別措置法をつくられる必要を考えておられるのか、外務大臣と防衛庁長官のお話をそれぞれ伺いたいと思います。

麻生国務大臣 今、基本的には、久間長官の言われたことでかなりの実効性を上げることは、前田先生、間違いないと思いますね。

 ただ、不審船の例もありますように、少なくとも、上に青いビニールシートがかぶさっているから、これはまた何か普通の貨物かと思っていたら、全部兵隊がそこにずっと伏せていたとかいう可能性は、これはゼロとしません。

 したがって、停船を命じてとまったらいきなりばっというようなことになると、それは最前線に行かされている保安庁なり警察官なり自衛隊員は一番の被害者ですから、法律が不備であるがために対応できないなんということになりますと、これは政治の責任としては大きなことになろうと思います。そういった危険というものを、法の不備によって危険に巻き込まれるというのは、これは我々の責任としては、きちんと政治家が対応しておかないかぬということになるんだと思っておりますから、その意味では、そういったときにはこっちも対応できるような法的なものをきちんと構築しておかないと非常に不幸なことになる、私はそう思っております。

 したがって、これはちょっとしばらくやってみないとわかりませんけれども、どういった対応が向こうで出てくるか、また現場としてどんなことになり得るかというのを、幾つかのことを見た上で、これはどうしてもということになり得る可能性は僕はゼロとしないんです。

 したがって、そのときには、これは国民の理解も得やすいところだろうと思います。少なくとも、現実的に北朝鮮の核の話は、うわさはこれまでもありました。しかし、現実、そこに出てきたという脅威は、私らのように長崎におりますとか福岡におりますと、日本海側にいる方はかなり現実的な問題でして、太平洋側と住民の意識も大分違うように、地元にいてそう思いますので、その意味では、こういったものに対して、佐世保から行かされる人、舞鶴から行かされる人、いろいろいらっしゃるんだと思いますが、その人たちにとりましては、これはとてもじゃないけれども我々の身にもなってみてくださいという声が出てくる可能性というのがある。

 そういった状況に極力ならないような対応が北朝鮮から出てくることを私どもは期待しますけれども、常に最悪のことを考えておきませんと対応はできませんので、今そういったものを、一応こういったものでやった上でとか、いろいろなことを考えていかねばならぬと思って、過日、あのような発言を申し上げた次第です。

久間国務大臣 私は、二段階で法整備を行ってという話もございますが、それは、現在の法律の不備を補っていくというのは非常にいいことなんです。しかしながら、この法律ができたときに、国会での議論の中で、結局、船舶検査が我が国の武力行使と非常に表裏一体のところがあるから、だから、これは強制力を伴うような、そこまではしないというような、そういうあのときの与野党の皆さん方の意見で、現在みたいに非常に武力行使を禁じたような、あそこまでしなくてもというような思いがないわけでもないですけれども、かなりできないわけですね。

 それで、海上保安庁の場合だったら、これは犯罪者を摘発するということでやる。そのときに、海上保安庁で対応できない、領海なら領海内で。そのときには海上警備行動がすぐ発動できて、そしてある程度強制力を持ってやれるわけですけれども、公海の船舶検査については、そこまでやるといかがなものかというような、そういうことから今みたいな法律になっておりますから。

 こういうような事態を踏まえて、もう少し一歩踏み込んでもいいんじゃないかというような、そういう意見がまとまってくるならばもう一歩踏み出すことはできるかもしれませんが、しかし、逆に言えば、核実験をやったということだけで、憲法が変わるわけじゃないわけですから、憲法との比較の中においてどこまでできるかというのは、やはりおのずから制約があるということも理解しておかないといけないことじゃないかなと思うわけであります。

前田委員 これは与野党共通の認識の上に立っていただいた発言であると思い、感謝します。

 これから、決議後の金融制裁について伺いたいと思います。

 この国連の対北制裁決議ですけれども、国連憲章第七章下での経済制裁ですけれども、過去としては、九〇年八月の、クウェートに侵攻したフセイン政権下のイラクとの金融取引禁止、九九年十月の、アルカイダ、ビンラディン引き渡し拒否のアフガニスタン、タリバン政権への海外資産凍結決議、これがあるわけでありますけれども、今回のこの対北経済制裁決議の前にも、アメリカはかなり資金的に北の核開発を締め上げてきた形跡があると思います。しかも、去年来、中国をステークホルダーと呼んだり、非常に米中が連携をとりながらこの経済制裁を科してきたような感触がかなりいたします。

 例えば、中国銀行。昨年の六カ国協議以降、中国銀行は、これは中国での四大銀行の一つですけれども、イラン口座をも含めて北朝鮮との取引口座を閉め、またこの七月には、中国銀行のマカオ支店、ここでの北朝鮮資産凍結をしてきました。そしてまた、この決議の直前の十三日付で中国は、遼寧省丹東市と吉林省延辺朝鮮族の自治州、北朝鮮との商取引の活発な地域でありますけれども、ここでの送金業務の停止を通達しております。

 こうしたこと等、外務省は、中国政府が対北資産に対して、あるいは北朝鮮との取引に対してどのようなふうに動いたかというのをどう把握されておられますでしょうか、教えてください。

岩屋副大臣 ただいま先生から、中国による北朝鮮に対する金融政策についてのお尋ねがございました。

 先生が御指摘になった点も私ども承知をしておりますけれども、これは、中国が中国の国内法に基づいて法執行を行ったということでございまして、政府として、他国の法執行についてコメントすることは適当ではないというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、中国は六者会合の議長国でございますし、我が国としては、北朝鮮を一日も早くこの六者協議の場に復帰をさせるように、中国ともさまざまなレベルで働きかけを強化していきたい、こう考えているところでございます。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

前田委員 では、今度は財務省に伺いたいと思います。

 財務省もこの金融制裁の対象を、これまでの十五団体、一個人から拡大を検討されているということです。また、昨日の記者会見で藤井事務次官は、安保理の制裁委員会で新たな規制対象者が指定されれば日本の資金移転防止措置の対象に追加するという発言もされておられます。

 日本には北朝鮮関係の取引口座が三百以上あるとされますけれども、財務省としてこれからどのように具体的な施策としてこうした北朝鮮との対応をされるのか、伺いたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮に対する制裁につきまして、国連の安保理決議がこのたび全会一致で採択されたことにより、北朝鮮に対する制裁の国際的連携が強化されたことは歓迎すべきものであると認識しているところでございますが、財務省といたしましては、今回の決議で求められてございます資金移転防止措置につきましては、御指摘のとおり、北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及びミサイル開発計画に関連する十五団体、一個人に対しまして、九月十九日に既に措置を実施しているところでございます。

 本措置の規制対象者につきましては今後不断の見直しを行っていくこととしてございますが、今般の安保理決議によって設置されます制裁委員会によって新たな規制対象者が指定された場合には、これを日本の資金移転防止措置の対象に追加いたしまして、今回の決議の確実な実施を図ってまいりたいと考えているところでございます。

前田委員 今金融制裁について伺いましたけれども、今度は、この核の拡散という状況に当たって、外交上どのように核の抑止体制を世界で構築されていくか、日本がどのようにこの体制を築いていくかということを伺いたいと思います。

 先ほど来私は、米中の協力のもとでの非常にバンデージが太い、まあ外交の成果だと思いますけれども、北朝鮮に対する資金の締め上げを挙げてまいりましたけれども、今回、トウカセン氏が、ワシントンに飛び、そしてモスクワに飛び、今度は北朝鮮に入るかもしれない、非常に活発な外交活動を展開されている。

 これは時期的に、外務大臣も先ほどから、実際に米軍に、第七艦隊に指令が出て、計画を練って実行に移されるまで十日から二週間程度かかるんだというお話がありました。時期を勘案すると、明日からライス長官も見えるということですので、あともう一つ重要な観点として、十一月七日のアメリカの上院、下院の中間選挙があると思います。

 アメリカのブッシュ政権にとって、自分の政権の維持をかけてやるとすると、それまでにかなりの北朝鮮からの妥協を引き出さないとなかなか批判にたえられない。これは、例えば理由なきイラク戦争に対しての批判もありますし、それから対北弱腰外交の批判がブッシュ政権、与党内からも出ているわけでありますので、これを乗り切るには、やはり六者協議に引き出すという結果を出さないと、なかなかこの中間選挙は乗り切れない。

 そんな中で、中国、ロシアは、もちろん北朝鮮が崩壊すれば大量難民が、二千万人の人口の三分の一ぐらいが難民として大量発生するわけでありますので、陸続きの国家にとっては経済的にも大変な負担になる。緩衝地帯としての北朝鮮を設ける、そのまま体制、レジームを維持するべきではないかという考えであるとも思われます。

 そうしたことで、妥協案として、私は思うんですけれども、アメリカには、六者協議に引き出す、その間に二カ国協議には十分に話し合いの場が設定できるのではないか、あるいはそうした中で大体の合意を醸成していくのではないかというふうに思っておりますけれども、外務大臣としてどのようにこの核の抑止体制をつくられていくのか、日本外交の責任者としてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 こんなとき、またライス長官が明日からお見えになりますので、恐らく強制的な、かなり強制力のある検査への協力を各国に依頼される。また、先ほど来、なかなかこの核実験も成功であるとは言えない。だったら、また、わずかな残り少ないプルトニウムでもう一度、核実験を再度行うかもしれない、そのときの情報交換をということだと思いますけれども、そのライス長官の訪日の意味をどういうふうに受けとめられているか。そういうことも含めまして、この核抑止の体制を、外交をどのように展開されるかということを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 トウカセン中国特使が、みんながニューヨークに注目しているときに一人だけワシントンに行ったというのは、いろいろ中国として、この北朝鮮の核実験を受けてどう対応していくかということについてアメリカ政府当局者と話し、かつ、その後ロシアに飛んでいますから、そこのところでラブロフと会って当然この北朝鮮問題を話し合ったと考えております。ただ、第三国の話でありますので、その内容については、これは憶測の域を出ませんので、何とも申し上げられません。

 もう一点は、六者協議というのは、前田さん、もともと北朝鮮に核を持たせないためにつくった組織ですから、だから、本来の意味からいきますと、この核実験が実際になされたとするならば、この六者協議の本来の目的は完全に失敗した。それが目的でつくったわけですから。それは、成功しなかったという前提に立たないと話がちょっと違ったものになると思います。

 したがいまして、中国にとってもアメリカにとっても、北朝鮮が六者協議に復帰するというのは国連の決議に基づいていますから、これを復帰させるために双方で話をしなくちゃならぬ。北朝鮮がしゃべりたい相手は中国ではなくてアメリカですから、そのアメリカと直接話をしたい。

 アメリカにしてみれば、これまで北朝鮮と話をした例というのは、マデレーン・オルブライト、民主党のときの国務長官がそのときにカーターを送って、いずれもその結果は、早い話がきれいにアメリカはだまされたという形にしかなっておりません。やるやると言って実際は核実験をずっと訓練していたわけですから、話とは全く違ったことになった。

 だから、だまされたじゃないかと言ってその民主党をついて当選した共和党ですから、それは、また行ったら、何だ、おまえらも同じじゃないかということになるという意識がありますから、そんな簡単に乗れるはずはありませんから、その意味では、なかなか、今の話を言われてもということだと思います。

 ただ、六者協議に出てこないと話になりませんから、六者協議に出てきた段階で、六人のところで二人だけ別に話すなんというのは、それは可能性のない話ではない、現実問題として。

 また、これまで、覚えていられると思いますが、イランのときには、少なくとも、大使館人質事件等々で、イランとアメリカとは二十五年間ぐらい没交渉だったと思います。それが今回は、イランとのいわゆる直接交渉のパイプを復活させておるという例がありますので、そういった意味では、その種の話が行われ得る可能性がゼロとはしない。しかし、これはいずれも第三国の話なものですから、想像の域を出ません。

 ただ、いずれにいたしましても、日本としては、核が拡散をするということが核実験より、この核がテロ組織に渡るとか何とかに渡ることがもっと恐ろしいので、ミサイルの技術にしても核の製造技術にしても。そういったものがないようにするためにどうしていくかというのがこれからの一番大きな話題になっていく。したがって、日米の話にしても、これは基本的に、政治家の話としては、中長期的にこの核の拡散をいかにとめるかというのが大きな関心になるであろうと思っております。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

前田委員 最後の質問に当たりますけれども、北朝鮮の我が国への攻撃の類型は私は三つぐらいと思うんですね。一つはミサイル攻撃、もう一つは通常兵器であります空軍による攻撃、もう一つは我が国の重要施設へのゲリラ・コマンドー、発電所とかそういうところですね、その三つ。それらについて、NBC兵器、核とケミカル、化学と生物が使われる可能性が非常に高い。そこの中で、今まで聞かれていない部分でありますけれども、大量に北朝鮮が保有しているとされる天然痘のウイルスに対するワクチンの準備量を伺いたいと思います。

 平成十三年十一月にNBCテロ対策関係閣僚会議がつくられて、ワクチンの準備等の保健医療体制の強化を決定されておりますし、十三年度の補正予算以来、この天然痘ワクチンの確保に予算がつけられているわけであります。どのぐらい準備量があるのか、また、鳥インフルエンザのウイルスに対するワクチンの準備量もお教えいただきたいと思います。

外口政府参考人 お答え申し上げます。

 天然痘ワクチンの備蓄量についてでございますが、平成十三年度から相当量を備蓄しております。危機管理上の理由もございまして詳細については公表しておりませんけれども、毎年追加備蓄を進めているところでございます。

 一方、今後世界的に流行が懸念されます高病原性鳥インフルエンザウイルスにつきましては、人から人へと感染拡大するような場合に備えまして、現在、鳥から人に感染を起こしたウイルスから作成したワクチンについて臨床試験を行っているところであります。まだ不確定な要素はございますが、今年度末を目途に一千万人分を確保することを目標として鋭意取り組んでいるところでございます。

前田委員 時間が来ましたのでこれでやめます。ありがとうございました。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 きのうもテロ特別委員会が開かれまして、外務大臣、防衛庁長官には北朝鮮問題を質問いたしましたが、きょうは、米軍再編にテーマを切りかえまして質問をしていきたいと思います。

 米軍再編については、久間長官は就任以来、米軍再編問題が第一の優先課題、こうおっしゃってまいりました。しかし、この問題をめぐっては、今でも多くの自治体あるいは住民の反対が続き、沖縄県では知事選挙を目前にしておりますが、両陣営の候補者がV字形には反対だという公約も出しておられます。

 そういう反対の声が非常に強い中で、長官は、この米軍再編、どのように進めていくおつもりですか。

久間国務大臣 いや、そういうふうにおっしゃいますけれども、地元とは、協議会も設置されまして、いろいろな場で協議が行われておりますし、それと、日本とアメリカとの関係におきましても、額賀長官の時代に鋭意この問題について議論されて、とにかく再編をする、そしてそのときに、米軍の海兵隊を八千人、家族を九千人減らす、あるいは嘉手納以南の施設を返還する、そういう協議が調ったわけでございます。

 これは、戦後、私のときに実はSACOで最初幾らか返ってまいりましたが、それと比べてもかなりの前進でございますから、沖縄にとってはまさに千載一遇のチャンスだ、そういうふうに思えるわけでございますので、是が非でもこれはやるべきである、そういうふうに思っているわけでございます。

 だから、これから先も地元とは、協議会も設置されておりますけれども、それ以上にいろいろな形で地元と協議を重ねて理解を得ていこう、そういうふうに思っているところであります。

赤嶺委員 沖縄にとっては千載一遇のチャンス、海兵隊も八千人減るではないか、こうおっしゃっておりますけれども、この問題について少し確認をしていきたいんです。

 実は、これまでも、私何度もこの場で質問してきましたが、八千人という御説明がありました。

 ところが、八千人移るグアムで、最近、どういう基地建設を進めるかという計画、これは資料を出しておりますが、この資料、数字が出ておりますけれども、アメリカの太平洋軍がグアムで新編を計画する海兵旅団の編成。これは、取り出しましたのはグアム統合軍事開発計画、太平洋軍のホームページに載っておりました。長官、これがそのホームページで公開されていたものですが、約百ページぐらいの文書であります。これによりますと、グアムには、司令部で二千八百人、地上戦闘部隊で二千九百人、後方支援部隊で千五百五十人、航空戦闘部隊で二千四百人、合計九千六百五十人、これだけの海兵隊の基地をつくるんだというのが書かれているんです。

 これだけの海兵隊の基地をつくるんですが、沖縄から移転するのは司令部とその要員ですよね。これは明確に政府が説明していらっしゃいます。では、それ以外の地上戦闘部隊、後方支援部隊、航空戦闘部隊はどこから来るんだ、沖縄から来るのかということについて、この冊子の中では、さまざまな地域から移動してくる、このように書いているんですよ、ホームページで。

 そもそも沖縄に一万八千人の海兵隊がいて、それで八千人減ったら一万人残りますという。実際には、私たちが米軍に問い合わせたら、沖縄の海兵隊は一万二千五百人しかいない。沖縄県の資料でいっても一万三千人しかいない。だから、八千人というのはそもそもあり得ない話じゃないかということを何度も言ってきたんです。そうしたら、それを裏づけるような、司令部だけで二千八百人、その他実戦部隊も来て、九千六百人の基地をグアムにつくるけれども、それはさまざまな地域からやってくる。となってくると、沖縄からグアムに行くのは二千八百人、八千人というのは一体どういうことなんだと。

 これは、沖縄県民に対して千載一遇のチャンスだと言っているけれども、実際に米軍がホームページで公開した資料によるとそうではない、うその説明をしてきたことになるんじゃないかと思いますが、この点、いかがですか。

久間国務大臣 額賀長官時代に、アメリカと本年の五月に合意された再編実施のための日米のロードマップにおいて八千人という、約というのがついていますけれども、約八千人をとにかく減らすというふうに言っているわけでございますから、我々は、そのアメリカの約束どおり八千人が減るということで。

 ただ、ではグアムがどういう編成になるかというのは、これはまたアメリカの軍の編成の中身でございますから、海兵隊を、そのまま八千人を軍として使うのか、あるいはほかの陸上部隊にかえるのか航空部隊にかえるのか、これはまたあるかもしれませんが、沖縄にとっては、八千人が減ってくれるということは、そして、しかも抑止力は、グアムに置いてきちっと残しておるから抑止力そのものは維持できるという形の中で、八千人が減るというのは大変いいチャンスだと思うわけであります。

 そして、しかも嘉手納以南の各施設がまた返還される、普天間をそのかわり必ず移設して、キャンプ・シュワブに施設をつくって、それが約束ですよと。また前回、十年前みたいに、約束はしたけれども、日本政府が移設をしないということだったら私たちも約束は守れませんよ、そういう厳重な縛りつきでありますけれども、とにかく普天間の移設をして、そして普天間も返還する、そしてキャンプ・シュワブにちゃんとできるならば八千人をグアムへ持っていくというようなことになっているわけですから、これは沖縄にとっても、今まで戦後ずっと動かなかったのがかなり大幅に動くということですから、反対というよりも、先生も含めて、ぜひ、このチャンスにということで、賛成していただきたいという思いであります。

赤嶺委員 久間長官はSACOのときも担当長官でありまして、そのときも、このときがチャンスだ、今がチャンスだ、動かなければ県民のためにならないと言って、しかし動かなかったわけですよ。新しい基地をつくるということは沖縄では無理なんですよ。そのことの認識をまず持っていただきたい。

 私が今聞いていますのはそういうことではなくて、八千人とおっしゃいました。政府は説明しました。その八千人の中身は司令部と司令部要員が中心と言いました。実戦部隊と旅団は沖縄に引き続き残る。残って一万人と言いました。八千人移ると言ったんですよ、司令部を中心に。しかし、このアメリカのホームページでは、司令部は二千八百人、海兵隊がグアムにつくる拠点基地は全部で九千六百五十人。それは、さまざまな地域からやってきて旅団を編成するんだと言っている。説明が違うんですよ。

 アメリカは、八千人の内訳について、ロードマップにも書いてありますが、どこから、どの部隊から何人、そういう説明ありますか。

久間国務大臣 日本との関係で約束したわけでございますが、その中身は、どこから幾ら、どこから幾らというのはこれから詰めていくわけでございまして、我々は約束したことを守ってもらう、そのかわり私たちは約束したことをきちっと実行する、そういうことでやっていかなきゃ一歩も前進しないわけであります。

 SACOのときも約束しました。ところが、反対で、あのときは沖合で環境調査すらとめられたわけでありまして、そういう反対運動の中でできなかったために普天間の返還ができなかったわけでございまして、私は、十年前に約束したことができなかったのにどれだけ悔しい思いをしたか。それは、我が方がきちんと施設をつくればアメリカは普天間を返したわけでありまして、普天間の周りの人たちはそれでどれだけ安心な思いができたかと思いますと、非常に残念でなりません。

赤嶺委員 長官、環境調査さえさせなかったとおっしゃいますけれども、事実は違うんですよ。環境アセスもしないで環境豊かな海にボーリングを掘ろうとしたから、海底地形調査をやろうとしたから、余りにも環境に対するやり方が乱暴じゃないかといって国際社会からも批判の声が起きて、そして、もともとむちゃな計画だからできなかったんですよ。これはできなかったんですよ。

 そして、今のグアム移転も、千載一遇のチャンスと言うけれども、アメリカは約束したと言うけれども、約束したアメリカが別の資料を出していたら、ちゃんとこの資料との関係をアメリカに対して求めるべきだと思いますが、いかがですか。県民が納得するような説明をアメリカに対して求めていく。

久間国務大臣 グアムにどういう部隊を置くかというのはアメリカの軍の方針でやるわけですから、我が方としてはとにかく沖縄の海兵隊が八千人減ってくれればいいわけでありまして、グアムに海兵隊がふえるのか、あるいはほかの部隊がふえるのか、それは米軍のいろいろな軍の運用に関する問題ですから。我が方として、沖縄にとって大変大事なことは、とにかく沖縄の海兵隊が八千人減ります、家族も九千人移りますという、家族が九千人移るというのは経済的には結構大きな影響があるかもしれませんが、少なくとも、海兵隊が、今まで減らなかったのがここで八千人減るという約束をしたということは大変重いわけでありますから、それを奇貨として、この際やろう、一歩前進しよう、そういうふうに思ってもらうことの方が自然じゃないかと思うんですけれども。

赤嶺委員 ですから、約束した中身と違う中身が、太平洋軍の司令官のチェックを受けた資料がホームページに公開されている、それとの関係と疑問を説明してほしいということですよ。

久間国務大臣 八千人が減ると約束したのは、それは違うんだ、八千人は減らないんだ、海兵隊が減るんじゃないんだというふうにアメリカが言うならともかく、アメリカは、海兵隊は八千人減るんですよ。ただ、グアムの部隊の中身がどういうような編成になるかというのは、これはまたアメリカの軍の編成の問題であって、それを、軍の編成が海兵隊中心になっていないからけしからぬというような形で、この話は御破算にしましょうと、そんなことは言えないでしょう。八千人が減ってくれる、そのためには、そのかわりちゃんとした基地をつくって普天間を移転するということが約束の前提だと思いますから、それをやった上での話ですけれども。

赤嶺委員 グアムにつくる九千六百五十人というのは、海兵隊だけで九千六百五十人ですよ。陸海空、四軍のそういう統合軍事開発計画、陸海空それぞれ持っているんですよ。今、九千六百五十人というのは、海兵隊だけでグアムにこれだけつくると言っているんですよ。

 それで、私もう一つ不思議なことがありましたのは、実は、このホームページを見つけまして、私たちの赤旗新聞でも報道いたしました。それから、沖縄現地では琉球新報が報道したんです。報道したら、くしくも両方とも九月二十八日付でしたけれども、ホームページが翌日からなくなっているんですね、これが。それで非常に不思議でたまらなかったわけですけれども、十月十二日付の朝日新聞の報道によると、関係者の話として、「日本政府がクレームをつけたためだ」、このように報じているわけです。アメリカ側にそういうことをおっしゃったんですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから御指摘の米太平洋軍のホームページの関係でございますが、防衛庁として確認しましたところ、グアムの将来的な軍事関連施設の配置等につきまして、現時点で米政府として正式な決定は行われていない、それから、このホームページに掲載された資料につきましては、太平洋軍関連のいまだ概念的なレベルの情報である、したがって、現段階で太平洋軍のサイトに掲載されたことは時期尚早であるという説明を米国から受けているところでございます。

赤嶺委員 掲載していたという事実をお認めになりましたけれども、これは司令官の掲載していいというサインもあるんです。やはり何らかの力が動いて、米側としては都合は悪くなかったんだが、何らかの理由でホームページが閉じられた。

 私、グアムの移転というのは、八千人が沖縄県民のためになるといって、日本国民の税金六十・九億ドル使うわけですよね。八千人分の住宅、九千人分の家族住宅も日本政府が負担するわけですよね。これも全部、沖縄県民の負担の軽減だということを口実にしているわけですよ。

 しかし、中身は非常にあいまいだ。違う概念の計画を米軍が持っている、それを確かめてくれと言っても、それはもう米軍と約束したことだから確かめないと言って、信じなさいと言うだけでは絶対に信じられないと思うんですよ。

 私は、委員長、これは国民の税金六十・九億ドルをどう使うかということともかかわっておりますから、今の問題について、本当に米側の考え方というものをきちんと理事会に説明を求めたいと思います。いかがですか。

木村委員長 時間が来ておりますので簡潔に、久間防衛庁長官。

久間国務大臣 今の数字にしましても、六十・九億ドルですか、これも今からいろいろ積み上げるわけでございますし、そして、税金、税金とおっしゃられますけれども、融資の分については、これは税金じゃなくて、将来返ってくる金も入っているわけでございますから、その辺も踏まえながら、我々としても、やはり国民の税金を使う部分もあるわけでございますから、十分判断をこれから先もしっかりやっていこうと思っております。

赤嶺委員 ではこれで終わりますけれども、嘉手納基地以南の土地千五百ヘクタールというのも額賀長官は繰り返してまいりましたが、それもそうでなくなっているんです。

木村委員長 赤嶺委員、時間が来ておりますので。

赤嶺委員 そういうことを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

木村委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 社民党は、戦後一貫しまして核廃絶運動に取り組んできました。また、私は本委員会でも、この核拡散の問題は非常に深刻であると考え、質問もしてまいりました。

 きょうは、北朝鮮の核実験に対する今後の日本政府の対応や、それから核拡散をどうすれば防止できるのかという点などについて質問したいと思います。

 まず最初に、対北朝鮮制裁決議、国連の安保理で出されまして、先ほどから議論がなされています。

 久間防衛庁長官にお伺いしたいと思うんです。

 先ほどから、今の事態を周辺事態に認定されるのかどうかという質問が出まして、長官は現時点ではかなり認定するのには無理があるという御認識で、これは私も同じような認識です。

 といいますのは、日米新ガイドライン関連法を議論したとき、私も委員でした。あのときは、自社さ政権から自自、自自公と移っていくときの過程で、与党にいたときも、連日、自民党の皆さんと協議、議論をした覚えがあります。私たちはこの法案には反対いたしましたけれども、議論は何十時間も行ってきたと思います。

 その過程で、久間防衛庁長官は、途中で野呂田防衛庁長官にかわられたと思いますけれども、その過程を一番御存じになっていると思うんですね。そういう、言ってみれば国会の中でもこの周辺事態の認定については一番御見識がある方のお一人だと思いますけれども、そのお一人の今認定できないと言われるのは、非常に重い発言だと思っております。

 さてそこで、私は、新法、新法と軽々しく言うべきではないと思っているんです。

 というのも、この船舶検査、国連の決議の表現によりますと貨物の検査になっておりますけれども、この船舶検査法をつくる折もかなり時間をかけた議論をいたしました。現行の憲法下でどういうことができるのかというぎりぎりの範囲を決めたのがあの船舶検査法として成り立っていると思います。

 ですから、現状において、あの数年前から現在に至って憲法が変わったわけでもなく、あの船舶検査法というのがぎりぎりの範囲であるとなれば、この貨物の検査ということに基づく船舶検査に対しての新しい法律をつくることも、現行の日本では非常に無理があると思います。

 ですから、今の状態で周辺事態の認定も、それから船舶検査にかかわる新しい法律を安易につくるということも非常に難しいのではないかと思いますが、長官の御認識をもう一度お願いいたします。

久間国務大臣 ぎりぎりの法律だったかどうかは、ちょっとそこは意見が分かれるかもしれません。

 かなり安全弁、安全弁という形で、我々与党側としても、憲法九条は、本当ならここまではもう一歩踏み込んでいいんじゃないかなと思うことすら遠慮するような形で従来ずっと立法してきておりますから、それは、国会なりあるいはまた政府なり、現時点でどこまでやれるかというのは新たに、あれから十年たっておりますから、やはり議論をしていいと思うんです。また、状況も変わってきておりますので、新たな事情等も発生しているかもしれませんから、あの法律に織り込まなかったようなことをやれるかどうか、その検討をしながら、踏み込んでもいいと思います。

 ただ、原則として言えますのは、我が国はやはり憲法九条での制約があるからかなりの制約が伴うんだということをあの当時も結構意識しておりましたので、これから新法をつくる場合でもその問題というのは避けて通れないという認識はございます。

辻元委員 北朝鮮制裁決議の中には、特に船舶検査等を含む貨物の検査のところは、自国の国内法上の権限及び国内法令に従いとあるわけですね。やはり国連加盟国はそれぞれの国によって事情が違いますので、ですから、うちの国でできることをやろうという話だと思うんです。

 船というのは、公海上などに出る前にどこかの国の港から出ていくわけですよ、例えば北朝鮮に対して物資を運ぶ場合も。そうすると、やはり、まず国連加盟国の港でのきちっとしたチェックをしていくということは、これは第一義的に非常に重要なところで、そこは足並みをきちっとそろえるべきだと思います。

 それ以降、やはり国内法との関係で、私は、浮き足立ってと申し上げると恐縮ですけれども、そういうことはやはり今避けるべきだと。これは防衛庁長官の認識も同じだと思います。

久間国務大臣 やはり、こういう問題にみんな浮き足立っているときは浮き足立たない方がどちらかというといいわけで、私は、核実験に成功した成功したと北朝鮮が言うときに、果たして成功かなといつも反対のことを考える、そういうあまのじゃくなところがありますので、そういうふうな目でいつも見ているわけであります。

 ただ、今言われましたうち、ほかの国から北朝鮮に行くのはいいんですけれども、北朝鮮から積み出されるやつについては公海を通っていくわけでありますね。そうしますと、密輸なんかまさにそうなんですけれども、公海での引き渡し等がありますから、出口でやはりそれをチェックするというのは大事なことでありまして、そこのところをどうするかが今回は一番難しい問題じゃないかと。

 よそから入ってくるのは、世界各国が自分の港を、日本でいうなら海上保安庁、その国の沿岸警備隊等がきちんとやればいいんですけれども、北朝鮮から出る物資に核物質その他を積まれてよそに出ていって拡散される、そういうのを防ぐためには、果たして北朝鮮がやらないときにそのまま野放しにしていいのかとなると、そこは理論上も、それで結構ですとは辻元先生でも言えないんじゃないでしょうか。

辻元委員 それはおっしゃるとおりです。

 ただ、先ほど申し上げましたように、今浮き足立たないということで、防衛庁長官はとにかくその姿勢でいっていただきたいんですけれども、国内法との関係がございますので、それぞれの国が独自に判断する。それは今までのやはり議論の積み重ねを大事にしていかないとまずいと思います。

 さてそこで、核拡散の問題もそうなんですね。先ほど、インド、パキスタンの話が出ました。私は、やはりインド、パキスタンのときに日本も制裁を解除したということは甘かったんじゃないかと思っております。

 先ほど、何か長官のお話を聞いていますと、仲のいいところは何だか、交流もあるし、まあまあまあと。仲の悪いところはあかんと。これではやはりこれから核拡散は防げません。なぜかといいますと、IAEAのエルバラダイ事務局長が一番懸念されるのは、新たな対策をとらなければ、極めて短期間に二十から三十カ国の核兵器製造能力を手に入れる国が出るんじゃないかというぐらい心配をしています。これはイランだけではなく、途上国も含めてですけれども。

 さてそこで、インド、パキスタンの場合と北朝鮮の場合の実験の規模はどれぐらいだったんでしょうか。

久間国務大臣 インド、パキスタンの場合はいいと言っているわけじゃございませんで、インド、パキスタンについても、とにかく核兵器を廃止してもらいたい、そしてまた、それについてはこれから先も言い続けたい、そういう気持ちはあるわけです。

 ただ、北朝鮮と比べると、インド、パキスタンの場合は脅威としての感じ方が違うというニュアンスで先ほど言ったわけでございますので、そこのところは、どうかひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。

麻生国務大臣 キロトンで申し上げた方がいいんだと思いますが、正確な数字は必ずしも明らかではありませんが、一九九八年、インドの核実験の規模につきましては、政府発表ですけれども、合計五回の爆発が行われておりまして、それぞれ、一回に十二から十五キロトン、それから四十三から四十五キロトン、残りの三回につきましては一キロトン以下であったと承知をいたしております。

 同じ年のパキスタンの核実験の規模につきましては、パキスタン政府関係者がプレスに述べたところによりますと、合計六回の爆発が行われ、そのうち一回は三十から三十五キロトン、もう一回は十四から十五キロトンであったと承知をしております。(辻元委員「北朝鮮は」と呼ぶ)北朝鮮は全然わからないわけですよ。

辻元委員 きょうの報道によりますと、北朝鮮の実験、アメリカが確認ということですけれども、一キロトン以下という報道がなされています。どちらにいたしましても、パキスタンが三十から三十五、インドが十二から十五、アメリカもかなり大きい実験を行っておりますので、規模でいえば、かなり北朝鮮の場合は小さいわけですね。

 ですから、脅威というのが有効とか、私は、核の場合は違うと思います。先ほど長官は、インドとパキスタンはそれぞれ対立しているので核の抑止と言いました。そうおっしゃったですよ。そうすると、例えば北朝鮮がもしも持つんだったら韓国もと、これが核のドミノというわけです。

 ですから、私は、あらゆる核に対して、今、ダブルスタンダードと言われています。あっちはええけれどもこっちはあかんと。すると、それを見ている人が余計反発してとか、核を持っている国がおまえら捨てろと言うても、あんたらも持っているやん、こうなってしまって、日本は非常にいい位置にいると思うんです。唯一の被爆国です。あんたら持ったらあかん、持っている国々にも、もう持たさぬようにするんやと。一番いいポジションにいると思いますので、私はそのポジションのメリットを生かすべきだと思っています。

 さてそこで、今度はインドなんですけれども、NPT体制にもインドは入っていません。ところが、二〇〇五年に、昨年、アメリカが原子力協定を結んだわけです、インドと核協力をすると。そして、ことし七月にはアメリカの下院で、アメリカとインドの原子力協力促進法というのを成立させました。これは結局、ウランの確保にかなりインドは苦心していましたから、アメリカはそこに協力していくということなんですね。いわゆる民生用のところに協力するということで、そうすると、国内的に、軍事に転用する量がふえるんじゃないかという専門家の指摘もなされています。

 さてここで、今北朝鮮に対して、各国そろって、足並みそろえて制裁しようというときに、NPT体制にもインドは入っていない。そしてさらに、これはアメリカとインドだけが協定を結んでもできません。四十五カ国で原子力供給国グループというのがあります。これは全会一致が原則なんですけれども、そこも、インドはNPT体制に入ってへんけれどもアメリカと協力していいですよと言うのか、この状況下で、核拡散が心配されている状況下で。日本も間もなく態度が迫られるわけです。

 私は、先ほど言いました、唯一の被爆国として、核はすべてだめだと。北朝鮮に強いことを言うためにも、ここは、NPT体制に入っていないインドに対しては例外を認めないという態度をとるべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。

麻生国務大臣 これは、ダブルスタンダードの話は前からある話ですけれども、民生用の原子力協定に関する米印合意、意味わかりますね、物すごく大事なところですよ。インドの戦略的重要性、エネルギー需要の増大の手当ての必要性については、これは日本としても理解をしております、この点に関しては。すごく大事なところです、ここのところは。ここのところは、これはインドがあの十億人の数が爆発的にふえていくときに当たって、いわゆる石油のということになりますと、これはえらいことになりますので、そういった意味でも、理解をしております。

 他方、NPTに加入していないインドに対して原子力協力を行うことについては、NPTを基礎としております国際的な核軍縮・核不拡散体制への影響というのは必ず出ますので、その他関連の要因を注意深く検討する必要があると常々申し上げてきております。

 そのような観点から、日本としては、先ほどおっしゃいましたNSG、原子力供給グループなどでの国際的な議論にも積極的に参加をしているところであって、先ほど言われましたように、被爆国の話もありましたとおり、日本としてはこの点を最も言いやすい立場にもあるというのは間違いない事実だと思います。

辻元委員 民生用というのがよくダブルスタンダードに使われる、それも常套手段なんですよ。イランは民生用と言っておるわけです。ですから、そこは大臣、そんなに甘くないですよ、この状況は。私は、きちっと、日本は毅然と被爆国として反対すべきだと思います。

 さて、その大臣にお伺いします。

 これは二〇〇三年なんですけれども、毎日新聞が、核武装を検討すべきかどうかということを選挙の直前にすべての候補者に調査をいたしました。そこでは、今問題になっている中川自民党政調会長や、安倍当時の幹事長も検討すべきと返事をされていて、麻生大臣も、びっくりしました、検討すべきという御回答をされているんですけれども、そういう認識なんでしょうか。私は、今外務大臣がそういう御認識なのかと愕然といたしました。

麻生国務大臣 そもそも、日本において核兵器保有の選択肢というのは考えられないという政治の立場については、もう従来から累次にわたって説明してきたと思っております。

 ただ、日本の核政策の変更の議論というのは全くされておりませんが、その当時、核兵器というものの保有について検討すべきか、だんだんだんだん隣がみんな持っていくときに、日本だけ何の検討もされていないというのはいかがなものか。いろいろなものを検討した上で持たないというのも一つの結論ですから、そういった意味で、何の勉強もしないまま、無知のままでいくよりは、きちんと勉強した上で持たないというのも一つの選択肢だと思っております。

辻元委員 私は、その点は非常に残念な御発言でした。

 この北朝鮮核問題に、直接いろいろな国と交渉なさるわけです。日本はやはり被爆国。非核三原則を堅持するということをしっかり示されないと、検討するということは、変える余地もあるということですよ。ですから、私は、外務大臣こそよく勉強していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。この問題は引き続きまたやりたいと思います。

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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