衆議院

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第4号 平成18年11月2日(木曜日)

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平成十八年十一月二日(木曜日)

    午後二時四分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 北村 誠吾君 理事 寺田  稔君

   理事 中谷  元君 理事 笹木 竜三君

   理事 前田 雄吉君 理事 遠藤 乙彦君

      井上 信治君    石破  茂君

      大塚  拓君    大前 繁雄君

      瓦   力君    土井 真樹君

      冨岡  勉君    中根 一幸君

      馳   浩君    浜田 靖一君

      原田 義昭君    福田 良彦君

      山内 康一君    若宮 健嗣君

      内山  晃君    小宮山泰子君

      神風 英男君    津村 啓介君

      長島 昭久君    赤嶺 政賢君

      保坂 展人君    西村 真悟君

    …………………………………

   国務大臣

   (防衛庁長官)      久間 章生君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛庁長官政務官     大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  山本 庸幸君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      松山 隆英君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   富田 耕吉君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁総務部長)  新保 雅俊君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  千田  彰君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西  正典君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     冨岡  勉君

  高木  毅君     井上 信治君

  仲村 正治君     若宮 健嗣君

  宮路 和明君     馳   浩君

  山崎  拓君     原田 義昭君

  神風 英男君     小宮山泰子君

  辻元 清美君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 信治君     中根 一幸君

  冨岡  勉君     安次富 修君

  馳   浩君     宮路 和明君

  原田 義昭君     山崎  拓君

  若宮 健嗣君     土井 真樹君

  小宮山泰子君     神風 英男君

  保坂 展人君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  土井 真樹君     仲村 正治君

  中根 一幸君     高木  毅君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(防衛施設庁問題等)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に防衛施設庁問題等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長山本庸幸君、公正取引委員会事務総局経済取引局長松山隆英君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、防衛庁防衛参事官富田耕吉君、防衛庁防衛参事官小川秀樹君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長増田好平君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁総務部長新保雅俊君、防衛施設庁建設部長千田彰君、外務省大臣官房審議官西正典君及び外務省国際法局長小松一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 本日は、防衛庁の省昇格法案、その審議の前提として、今般の防衛施設庁の官製談合問題、その検証、またその改革について質問をしたいと思うわけでございまして、調査委員会の調査結果からお伺いをしたいと思っております。

 この防衛施設庁の官製談合事件というのは、ある意味では、平成十年に発生をいたしました調本事案にもさかのぼることができるような事案ではないかなと思うわけでありますが、その際には、当時の秋山事務次官が調査委員会の委員長を務められて、十ページ足らずの調査報告書をまとめられた。今回は、北原長官が委員長を務められて、調査委員会が設けられて、その中で一応この五十六ページに及ぶ報告書というものがまとめられたわけでありますが、防衛庁として、この報告書をもって今般の事案についてのけじめがついたんだ、そういう理解であるのかどうか、まずその点を、防衛庁長官に御認識を伺いたいと思います。

久間国務大臣 決してけじめがついたわけじゃなくて、これをもとに、これから先起こらないように抜本対策等も考えたわけでございますけれども、それをどうやって実行していくか、それが大事なことでございまして、問題は、これからそういうことのないようにいかにしてやっていくか、そういう決意のもとに取り組まなきゃならないと思っているところでございます。

神風委員 昨日の本委員会でも、この官製談合事件、五十年代の半ばからもう発生をしていたというお話でありまして、調本事案がわずか八年前にあったにもかかわらず、また懲りもせず今回施設庁事案というものが発生をいたしたわけでありますが、防衛庁のある意味では根深い隠ぺい体質というのがあるんだなと、非常に強い憤りを覚えるわけでございます。ぜひ、この集中審議の中でその防衛庁の根深い隠ぺい体質というものを変えていただきたい。逆に、その隠ぺい体質がこの委員会で払拭できなければ、新しい防衛庁の生まれ変わりというのは私はできないんだと思っておりますので、そういう御認識のもとに御答弁をいただきたいなと思うわけであります。

 そこで、まず、この調査報告書によりますと、四ページに、今回の調査対象として、施設庁発注の工事全体ということではなくて、談合の事案があったとされる東京、広島、福岡、各防衛施設局発注の本件事案十件の工事について調査をしたということが書かれているわけでありますが、これは、この十件の本件事案についての調査のみであったのか、あるいは、施設庁全体について、全体の工事についてきちんと調査対象として行ったのか、その点をまず確認したいと思います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私ども、先生御指摘のように、私を委員長といたしまして、大臣の統括のもとに調査委員会が発足いたしました。それで、調査委員会が発足したのは三十一日でございますが、三十日の時点で三名が逮捕され、その容疑が指摘されたわけでございます。岩国の案件等でございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、この十件を中心に、そして、そうしたことを調査していく過程で割り振り表というものの存在が明らかになってきたこと等から、調査の対象を全国の施設局あるいは支局まで拡大いたしまして、割り振りの対象となった可能性のある工事ですとか、それから本件の事案の背景と考えられるOBの再就職の状況といったことにつきましても、逐次調査を実施したものであります。

神風委員 この調査報告書の作成あるいは公表に至るタイムスケジュールについて伺いたいんですが、結局、この事実関係について、いつからいつまでこういう調査をして、あるいは、この報告書をいつからいつまでの期間で作成をして、当初、公表の日程というのはいつごろを想定されていたのか。どういうタイムスケジュールの中で今回のこの調査書の作成と六月十五日の公表ということになったのか、その点、教えてください。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 調査報告を取りまとめるといったことにつきましては、我々としては、できるだけ早くその実態を明らかにして取りまとめたい、そのように考えて作業に着手をしたところでございます。これをいつまでにということで具体的な日を限ったわけではございませんが、できるだけ早く、しかも、いいかげんな調査ではなくて、我々としての、今防衛施設庁がこういった大変な事件を起こしてしまったわけでございまして、しかも、調査の責任が私を長とする防衛施設庁の調査委員会に与えられたということで、かつ、先生からも通常国会でも御指摘をいただきましたが、自分で事件を起こして自分が委員長になるというのはお手盛りになるんじゃないかという厳しい御指摘をいただきました。事案が事案であるだけに、そのような御指摘を受けるのは本当に自然というか、そういうように認識しました。

 であるがゆえに、我々の本庁それから局を挙げまして、この事実の究明に努めてきた。そして、その結果が六月十五日になったということでございまして、いつありきではございません。できるだけ早く、しっかりとしたものを御報告申し上げたいということでやってまいりました。

神風委員 今回のこの官製談合については、ことしの二月の予算委員会の方でも質問をさせていただいたんですが、そのときには、まだ現在調査中であるからということで、答弁を差し控えるという回答が大半でございましたので、きょうは、それに関して明確にお答えをいただきたいと思うわけであります。

 そこで、まず、施設庁発注工事の入札における全体の平均落札率について伺いたいわけでありますが、平成十六年度については、施設庁が発注した建設工事の平均落札率は九三・八%という数字であったと思いますが、それでよろしいでしょうか。

北原政府参考人 ただいま先生御指摘の平成十六年度につきましては、トータルの平均落札率は先生御指摘の九三・八%であります。

神風委員 では、今回調査対象となりました、まさに本件事案十件の発注工事の落札率、これはどのぐらいになりますか。

北原政府参考人 御指摘の十件でございますが、この平均落札率は九三・六%になっております。

神風委員 談合が明らかにあったこの十件の平均落札率が九三・六%、施設庁全体が九三・八%、ほとんどこれは変わらない数字であるわけです。わずかに〇・二%しか落札率が違わない。

 ということは、逆に言えば、普通、自然に考えれば、すべての施設庁発注の工事に関して官製談合が行われていたと思っても自然だと思いますが、いかがですか。これは防衛庁長官、いかがですか。

久間国務大臣 落札率と談合との関係がよく言われるわけですけれども、私は、良心的に入札に応じた場合には、落札率がそんなに極端に下がるということ自体が本来はちょっとおかしいんじゃないかな、そういう気がするわけであります。

 というのは、まともな設計を出して、そして、それには適正な利潤も入れて入札をした場合には、やはりある程度、そんなに食い違いがあるはずないわけでありまして、最近ちょっと話題になっておりますけれども、ぐんと下がったような落札をするというのは、そこはもう利潤を度外視して、赤字までいかぬかもしれぬけれども利潤を度外視してやっている、そういうケースが多いんじゃないかな、そういう気が実は個人的には非常にしているわけであります。私は専門家じゃありませんからわかりませんけれども。そうしなかったら設計の意味がないんじゃないか。みんな非常に、落札率が低いとめでたしめでたしと言いますけれども、利潤が全然出ていない。

 そうなると、これはある意味では、入札の制度そのものが果たしてそれでいいのか。適正な利潤を当然ながらそこには入れて契約をするというのは自由主義社会では求められることでありまして、その利潤に対してもちろん法人税あるいは事業税その他税金がかかってくるわけですけれども、赤字で落札して、それがいいということになると、建設業については果たしてそれが続いていくんだろうか、そういう危惧を持っておりますから、今おっしゃられるように、全部が全部それは談合なんだというような、九〇%台で落札したものは談合なんだと決めつけるのはいかがかなと思います。

 しかしながら、その当時の全体の状況を私わかっておりませんので、私自身がそれに答えることはできませんけれども、落札率だけでもって談合だというふうに決めつけるのはちょっとどうかなという感じを持ったわけでございますので、お答えになるかどうかわかりませんけれども、そういうような感じを持ちました。

神風委員 それでは、今回の施設庁事案、それ以降の施設庁の平均落札率というのは幾らぐらいになっていますか。

北原政府参考人 一連の事案が起きまして、関係する企業等についての指名停止ですとか、そういったものを行いました。そして、三月三日以降の、十七年度分でございますが、これにつきましては、件数が四百八十四件で、平均落札率は八六・五%になっております。

神風委員 七・三ポイントもやはり下がっているわけですよね、官製談合事件の発覚以降の数字というのは。

 やはり、これは先ほど防衛庁長官がおっしゃったようなもろもろの状況というのはあるかとは思いますが、七・三%、これだけの落札率が低下しているというのは、調査をしていないその十件以外の施設庁発注の工事全体についてやはりそういった談合というのがあったと思われても、これはいたし方ないと思っております。

 そういう中で、なぜこの十件に限ってしか調査をしていなかったのか、あるいは、これからほかの発注の工事についても調査をしていく予定があるのかどうか、お答えいただけますか。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 私どもの報告書にも書いてございますけれども、いわゆる割り振りにつきましては、一定規模以上の工事、土木建築その他含めまして行われておりました。そういうことも調査の過程でわかったわけであります。

 したがいまして、起訴されました十件以外の工事につきましても同様の談合関与行為が行われた可能性があるといったことを、私ども、調査報告書に取りまとめているわけでございます。

 それで、報告書の中でも、直近の十七年度それから十六年度につきましては、割り振り表の作成の考え方のもとにいわゆる談合が行われた可能性があるというものについての件数、金額等を明記いたしております。

 それからさらに、同様の考え方のもとで、対象となったかもしれないということで、これは書類の保存期間が五年でございますので、十二年度までの書類につきましても、我々といたしましては、これを公正取引委員会の方にすべて通報しているところでございます。

神風委員 平成十六年度発注の主要な工事の中で、一体何割程度が官製談合が行われていたという結果になっているんでしょうか。

北原政府参考人 御指摘の点でございますが、十六年度につきましては、発注済みの件数が、建設工事は千三百八十六件、金額では約二千五十六億円ございますが、先ほど来申し述べました割り振り表の考え方に沿ってその建築工事を抽出した場合、これによりますと、全体として約五〇・六%、工事総額の約半数がその割り振りがなされた可能性がある、そのように考えているところでございます。

神風委員 五〇・六%というのは、最小に見積もって五〇・六%。つまり、半分以上は談合が行われていたということであるんだなと思うわけであります。

 それで、防衛施設庁の総事業費、これは平成十六年度は、前回聞いた限りでは約二千二百六十億円、建設工事は二千五十六億円になるのかなと思います。

 そこで、防衛庁長官に伺いたいわけですが、これは、適正な入札が行われていた場合、つまりどれだけ損失をしたのか。適正な入札が行われていれば、それだけ損失がなかったわけですから、適切な入札が行われていたと仮定した場合との差額、損失額、これはどれぐらいだと推計をされておりますか。

 これは推計になると思いますが、その点、前回も、予算委員会のときに伺ったときには、今回の調査が終わった段階できちんと対応したいという額賀長官の御答弁であったものですから、その調査が終わったわけですから、それについてお答えをいただきたいと思います。

久間国務大臣 談合事件で国が実質的に最終的に損失があったかどうかというのはなかなか難しいんじゃないかと思います。

 というのは、今度の事件みたいになりますと、違約金を徴されますし、損害賠償等もあるわけでございますし、あるいはまた公取の方で摘発した場合には課徴金も取るわけでございますから、国損として幾ら発生したかというのはなかなか難しいわけでございます。

 それと、先ほどおっしゃられましたように、入札と落札率の差をもって国の損失というふうに言えるかどうかというのは、これはなかなか難しいんです。

 実は、本件じゃございませんけれども、長崎県内で行われた防衛施設庁の入札なんかで、五〇%台の落札だったわけですね。そのために下請業者がなかなか決まらないような、そういうケースがありました。果たしてその落札率がいいのか、政府側が設定している設計が過剰なのか、そういうような問題もございます。

 だから、そういう意味では、これが国損と言えるのかどうか、そこはなかなか難しいんじゃないかと思うんです。業者の方がむしろ安い値段でどんととって無理してやっている、そういうケースもないわけじゃございませんで、今、そういうことで非常に議論が出てきているわけであります。

 だから、その率でもって国損だというような、そういう推計をすることが果たして妥当なのかどうか。それでもって国損として、そしてまた裁判になったときに、果たして国家賠償で請求して取り返すことができるかどうか、なかなか裁判の維持が難しいんじゃないかなという気もいたしますので、国損額はそういう形では推計といいますか算出できないんじゃないかなと思っているわけであります。

神風委員 前回も額賀長官からも同じような趣旨の答弁があったように記憶をしておりますが、やはりこれは国民の税金を相当部分無駄に使ってしまったという事実は変わらないわけでありますから、やはりその認識をもう少し持っていただきたいな、質問していてもその認識が非常に希薄であるなということを非常に痛感いたしますので、その認識をしっかりとお持ちいただきたいなと思うわけであります。

 それで、例えば、二〇〇四年に公正取引委員会が公表している推計によりますと、仮に談合がなければ落札価格は一八・六%下落をするという数字が出ているわけであります。これは公正取引委員会の資料等の中に出ている。

 つまり、その推計によれば、仮に、先ほど官製談合が五〇・六%あったということに照らしてみれば、平成十六年だけで百九十三億円、これだけの損失ということになるわけですし、あるいはすべての工事全体に照らせば四百億円近い金額が損失をこうむっていたということになるわけでありまして、これだけの税金の無駄遣いをしてしまったという認識をまずお持ちいただきたいなと思いますが、この額はそれほど妥当性がないとお考えなんでしょうか。

久間国務大臣 委員会での議事録を読ませてもらいましたが、その中でも、公正取引委員会の方もおっしゃっておるように、いろいろな職種の違うものを平均して出して一八・六%という数字が出ているので、それをこの件に当てはめて計算して果たしてそういうことが妥当であるかどうか、それはちょっと心配だというような旨の答弁があっているようでございまして、私は、そこのことを気にしているわけでございます。

 全体の、水道工事からガス工事からそういうものまで全部ひっくるめまして、そういうもので出した平均値でもって、それが今度の事件のいわゆる損失である、そういうふうに決めつけるのが非常に気になるなということを言っているわけでありまして、今度の事件で、そういう適正な価格で本来ならやるべきものが、高かったんじゃないか、そういう思いはございます。それは確かに指摘できますけれども、その辺の平均値を出すというのは非常に危ないということを言いたかったわけであります。

 というのは、私自身、公正取引委員会にいつか申し入れをしたことがございます。これは全然関係ございませんが、この立場と違って。

 大分のある市で、コンサルの仕事のときに、ほかは全部一千万円台で入札したんですけれども、ある業者が五万円で落札したわけです。そういうのを公取は黙って見過ごしていいのかということを言いました。それは知りませんでしたということで調査して、調査した結果、そのとおりですというので話をしてきました。

 しかしながら、公取としては、その契約を無効にすることはできませんので、それはもうやむを得ませんと。ということで、そのままそれは実行されたわけですけれども、みんなが一千万円のときに五万円で落としたわけですね。

 だから、ただ単に落札率というのは非常に危ないなというのを私自身はそういうことで経験しているものですから、必要以上にこんな話をさせていただいておるわけでございまして、大変お気に召さないかもしれませんけれども、そういう点で、全体をひっくるめての落札率というのは、一般競争入札ではそういうようなケースもあるということもぜひひとつ御理解賜りたいと思うわけであります。

神風委員 今長官がおっしゃられたような構造というのは確かにあるんだとは思いますが、久間長官も第二次橋本内閣で防衛庁長官を既にあの当時務められていらっしゃいました。そのときにもう既にこの官製談合というのは構造的に行われていたわけであります。

 その時点で、長官として、この施設庁の平均落札率は異常に高いんじゃないかなと思うようなことであるとか、あるいはその構造について認識は全くなかったんでしょうか。

久間国務大臣 正直言って、そんなに、防衛施設庁のこういうようなことがあったということについて私は知りませんでした。いろいろな調本事案が起きたのに何でこんななのかなということは、その後に今度の事件が起きて思いましたけれども、正直言いまして、施設庁という別組織みたいになっているからかなというような思いをその後事件が発生してから持ちましたけれども、あの当時からそのようなことについてはよく存じませんでした。

神風委員 これは二月の予算委員会のときに北原長官にも同様な質問を伺いましたが、そのときには、全く認識をしていなかったという回答でございました。確かに、北原長官は平成十七年の八月に長官に御就任されているわけでありまして、それは無理からぬことであるかなと思うわけであります。

 ただ、今回、この調査報告書の中で、三千百名の職員に対して、十日間をかけてアンケート調査というか、いろいろな調査も行われているということでありますが、施設庁全体の職員の中でどの範囲まで、どの段階ぐらいまでの職員が今回の事案を認識していたのか、あるいは漠然とでもこういった構図がありそうだというような認識を持っていたのか、そこら辺はどういう調査結果になっているんでしょうか。

北原政府参考人 私ども、三千百名の職員に対しまして、調査委員会におきまして、多角的な観点から職員の皆さんの意識を調査して、そして、事案の原因ですとか背景、あるいは再発防止について検討する資にしたいということで実施をいたしました。回収率が九九・二%、ぐあいが悪い方とかそういう方を除きまして、ほとんどの職員が真摯に向かっていただきました。

 ただ、その中で、この事案について認識をしていたかといった質問につきましては、その質問はつくっておりません。ただ、今回のような事案がどうして起きたのか、その背景、原因をどのように考えるか、さらにそれを再発防止していくためには皆さんはどうしたらいいと思いますかといった種類の質問をさせていただいたところでございます。

 したがいまして、この事案について具体的に承知していたと言った者につきましては、私ども、六月十五日の調査結果を発表し、そこで処分をしておりますので、現職においては、その処分、それにかかわった者たちが認識していたということになるかと思います。

神風委員 その調査項目はなかったというのは非常に解せないというか、私としては納得がいかない面もございます。今後はそういった面もきめ細かく調査を進めていただきたいなと思うわけであります。

 次に、昨日の本委員会での高山議員の割り振り表廃棄の件に関連して、少し事実関係を整理して質問したいと思うんです。

 まず、この報告書によりますと、昨年の十一月の下旬ごろ、いわば、河野敏明、前、当時の建設部長が割り振り表を処分するように伝えたというふうに書かれております。また一方で、新聞報道では、ことしの一月の上旬に部下に命じて割り振り表を細断機にかけて処分するように命じたというふうになっているものもあるんですが、これはどちらが正確な事実なんでしょうか。

北原政府参考人 本年、新聞報道がありましたことは承知をいたしております。

 私ども、調査の結果につきましては、先生今御指摘をいただきましたが、去年の十一月下旬ごろに建設工事の割り振りに係る資料を処分するよう部下に伝えたといったことにつきまして、本年の一月の十六日に至りまして、当時の建設部長から申し出があった次第でございます。

神風委員 その直後、その事情を知った東京地検特捜部が任意で河野部長を調査したところ、証拠隠滅を認めた。このため特捜部が、一月の三十一日に行った本格的な家宅捜索に先立って、一月の十六日に施設庁を捜査した。その一月の十六日に、まさにきのうの答弁によりますと、当時訪米中であった北原長官のところに連絡が行って、それで防衛庁長官にも御報告を申し上げたという答弁でありましたが、報告の内容というのは、そのときどういう報告の内容であったんでしょうか。

北原政府参考人 電話で受けたわけでございますが、この点につきましては、十一月、当時は十一月ごろというふうに私は承知しておりますが、十一月ごろ、破棄といいますか、書類を破棄するよう指示したといった漠とした報告でございました。

神風委員 これは、当時の河野部長から北原長官に電話で連絡が行って、北原長官が同じく訪米中であった額賀長官にそれをお伝えしたという理解でよろしいですね。

北原政府参考人 河野から本庁の、防衛施設庁の総務部長にお話がありまして、総務部長から私は電話を受けた次第であります。

神風委員 そして、その旨を額賀長官に報告したということでよろしいわけですね。

北原政府参考人 当時、ホテルにおりました。それで、電話を受けました。そして、電話を受けてから、私はできるだけ早く大臣に概略のお話をさせていただいたということでございます。

 それにつきましては、そのときに大臣から、一層の協力をしなさい、それから、しっかりと調べなさい、るるそういったお話等があったわけでございます。

神風委員 そして、その後、二月の二日に、河野敏明前建設部長は施設庁付に更迭をされる、指定職から十一級に降任というんでしょうか、されているわけでありますが、これはなぜですか。理由は何ですか。

北原政府参考人 当時の河野部長から、心身ともに職責にたえられない、外していただきたいといったお話がございまして、私としてはそれを認めたものでございます。

 そして、なお、今先生が御指摘をされましたが、建設部長というのは公務員の中では指定職ということになっております。その職を外してほしいということで、付にいたしましたので、自動的といいますか、建設部長は指定職でございますが、そのときに当時の十一級になって、付になったというものでございます。

神風委員 これは非常に特異な人事異動というか、普通、イレギュラーな異動だと思うんですが、こういった場合に、手続上、通常であれば何か診断書みたいなものを提出するのかなと思いますが、その状況はどうなっているんでしょうか。

北原政府参考人 本人からは診断書等の提出はございません。ただ、本人の意思といたしまして、職務にたえられない、したがって外していただきたいということがありまして、私は、それを受け入れた、付発令を命じたところであります。

神風委員 これは、この河野部長の場合ではない場合に、同じような手続でそういうふうな措置をされるんですか。また、これまでそういう経験というか、過去の例というのは何件ぐらいあるんでしょうか。

北原政府参考人 今手元に過去の例ですとか、それはちょっと持ち合わせがございませんので、正確にお答えすることは難しいわけでございますが、今回について申し上げれば、大変彼が心身ともに疲弊していたことは事実であります。その時期が時期である、これから本当にしっかりやっていかなければいけない中で、彼の意思を尊重し、また施設庁長官としての判断を加えまして、私は彼の付の申し出を受け入れたものであります。

神風委員 北原長官が記憶している限りでそういった例はほかにあるんでしょうか。

北原政府参考人 私の経験では、ございません。

神風委員 仮に、今後そういった事態が発生した場合、単に、河野部長ですか、そういった方が、こういう状況であるから職務を外してもらいたいというような場合に、診断書も何も提出も求めずにそういったことが行われるんですか。施設庁の方式というのはそういう方式なんでしょうか。

北原政府参考人 決して人事がいいかげんに行われているものではございません。

 それから、今手元にデータは持っておりませんけれども、診断書がなくても付発令は行われる、かつ、そういった例もあるようでございますので、そこは後ほどまた調べて御提出をさせていただきたいと思います。

 ただ、いずれにいたしましても、本人が心身ともに大変疲弊しているということと、それから彼の方からその職にたえないと申し出ているわけでございますので、私は組織の責任者として、彼をこのまま建設部長として建設部長の仕事を続けさせるわけにはいかないということで決断をした次第であります。

神風委員 二月の予算委員会のときには、北原長官は、検察の捜査とは特段の関係がないということで御答弁をされているわけですが、今の事実関係を見て関係がないと思う人はだれもいないと思いますが、いかがですか。

北原政府参考人 私が彼の申し出を受け入れましたのは、今るる申し上げましたけれども、引き続き建設部長の職にとどまって職責を全うすることはできないと言った彼の気持ちと、私の施設庁長官としての判断、このもとに辞令を交付したものであります。

神風委員 結局、六月の十五日に、河野敏明施設庁付は、降任二級ですか、十一級から九級という処分を受けて、同日付で退職をしているということになったわけでありますが、きのうも高山議員の質問の中でありました、二月の二十二日、予算委員会で高山議員がこの証拠隠滅についての質問をされていた。私もその後、高山議員の後に質問をしたものですから、その席におりましたのでそのときの状況をよくわかっておりますけれども、額賀長官は、午前中最後、お昼直前の質問で、私は証拠隠滅がないことを信じていますという答弁をされていた。お昼の休憩があって、残り十分、頭だけ高山さんがまた同じような質問をされて、今度、午後になると一転、コメントを差し控えるという答弁にあのとき変わったわけであります。

 この時点で、額賀長官自身、証拠隠滅についての認識は相当お持ちだったと思いますが、いかがですか。

北原政府参考人 二月二十二日午前また午後と国会が開催されていました。そうした中で、私、先ほど申しましたけれども、まず、第一報につきましては概略的な話でございました。そして、そうした中で検察の捜査が当時並行して進んでいたわけでございます。そうした中での我々の調査がございまして、そして、さらに引き続きまして、逮捕、一月三十日にされました。そして、大臣から直ちに、全面的に捜査には協力せよ、それから、私を長として調査委員会を立ち上げろ、それから、木村副長官を長として再発防止検討会を立ち上げる等々の指示が幹部を全員集めましてあったわけでございます。

 そうした中で、我々、先生から御指摘の十件を初めとして調査をスタートいたしたわけでございます。その中で、今のこの資料の破棄といった点についてもまさに国会でも御指摘をいただいているわけでございますので、我々としては、検察当局の捜査に妨害になることは避けながら調査を、対象としては、この資料の破棄に関係する者については、まずその洗い出しをいたしました。

 その数が、私、報告書にも御報告申し上げておりますが、トータルで二十六名になったということで、これらの者につきましても、ほかの割り振り表その他についても関与している者たちでありますので、こういった者について調査をしてきた。そして、最終的に百三十日間ほどかかりましたが、六月十五日のこの報告書に取りまとめることができたといった次第でございます。

神風委員 そこで、お伺いいたしますが、毎日新聞が当時の河野部長らによる談合割り振り表の廃棄を報じた二月六日、額賀長官が閣議後の記者会見で、その件に関しては報告を受けていないと述べておられます。これはどういうことなんでしょうか。二月の六日の記者会見の記録を見ても、そういうことについては新聞で見ましたけれども、私自身は報告を受けていませんと。先ほどのお話では、訪米中、御一緒しているときに電話で受けて、それを即刻額賀長官にお伝えしたということでありましたけれども、この食い違いはどういう状況なんですか。

北原政府参考人 新聞報道がございました。そこにはいろいろなことが書かれていました。いろいろわかっているけれども、隠ぺい指示が出たとか、るるいろいろなことが書かれていました。

 したがいまして、当時、額賀大臣といたしましては、先ほど申しました一月の十六日に私の方から一報を申し上げて、そして私に対しては、ちゃんと調べろと言われているわけです。そしてさらに、調査委員会がスタートして、そこでも調べているわけでございまして、調査の継続中でございますので、その概要あるいは全体像についてはまだ大臣には報告はしていなかったわけでございまして、また、できるような状況ではございませんでした。

神風委員 今の、大臣に報告をしていなかったというのは、何を報告していなかったんですか。

北原政府参考人 この件について、破棄をしたといった件について、調査結果、全体の今回の談合事件についての全体像と離れて、この件についてだけの報告をするといったことはできる状況にはなかったわけでございます。

神風委員 いや、先ほどおっしゃっていたのは、総務部長ですか、建設部長から連絡があって、その旨、隠ぺいがあったらしいということについての報告はあったわけですよね。それをすぐに額賀長官にお伝えしたとさっきおっしゃったわけですよね。その報告をなぜ額賀長官が受けていないということになるんですか。全く食い違っているじゃないですか、答弁。

北原政府参考人 私が今この場で御答弁申し上げましたことをちょっともう一度繰り返させていただきます。

 一月の十六日に東京から、総務部長から電話で、漠とした言い方ですけれども、資料を廃棄、処分と言ったか、たしか破棄と言ったような思いでございますが、したと。十一月ごろという話だったと思います。大臣にはその旨を、資料を破棄したようですという話はさせていただいたことは事実です。

 そして、そのときに大臣の方から、この件について、全体として検察が今捜査をしているから、よく、それに支障がないようにしろということと、それから調査の指示があったわけでありまして、私といたしましては、そこからもろもろのことについて、捜査に影響を与えない範囲で我々なりの努力をしてきたわけであります。

 そうした中で一月三十日の逮捕になったわけでありまして、そして一月三十一日に調査委員会がスタートした。調査委員会がスタートいたしましたが、その中の検討項目の中には当然この問題も入れる。入れるのは当然でありますので、それも入れたわけでございます。そして、いろいろのこととあわせまして、調査をまさに継続中でございましたので、この件について、具体的にこれはこういうことでしたということはその時点におきまして報告できるような状況ではなかった。そういうことを大臣は踏まえて、記者会見でしょうか、お答えになっている、そのように考えております。

神風委員 このときの記者の質問というのは違いますよ。施設庁の談合事件に関連して二日付で交代をした前建設部長が資料の廃棄を指示したというような報道がありますけれども、事実関係についてどう報告を受けていますか、それで答えとして、「そのことについては新聞で見ましたけれども、私自身は報告を受けていません。」と。

北原政府参考人 ぜひとも御理解いただきたいのは、この事案というのは、申すまでもなく、公務員として職務は厳正かつ公正でなければならないということ、そして、防衛施設庁自身が本当に信頼を失墜してしまうような事件を起こしてしまいました。

 そうした中で、きのうも申し上げましたけれども、八年前に調達実施本部事案がございました。そのときに、いわゆる私どもの幹部の書類といいますか資料の保管について、大変あってはならない事態があったわけでございます。そういったときに、額賀大臣は、当時額賀長官でありました、そして今、八年たってまた大臣でいらっしゃった、そうしたときにこういうことが起きたわけであります。

 そして、この端緒というのは、さかのぼりますと、昨年の十一月十七日の新聞報道でございます。もうそのときに大臣は、捜査に全面的に協力しろという指示をされておられます。その後も私は、累次にわたりまして大臣からそういった指示を受けております。私も、施設庁の職員にはその旨指示をしていたわけでございます。

 したがいまして、そうした中で、年が明けまして、実は十一月に云々という話があった。それは電話で受けまして、第一報は入れています。入れているけれども、まさにここにあるように、事実関係についてはまさにその時点では調査中であったということは偽らざる事実でございます。

 私も、委員長といたしまして、二月からずっと、一月の三十一日から調査委員会が立ち上がっておりますけれども、この問題についても本当に全面的協力、しかも、中で資料を隠す、あるいは破棄するといったことは、しかもその幹部がやるといったことはあってはならないということの認識のもとに調査をしていた。したがって、その事実はどうなんだということについては、大臣に御報告できる段階ではなかったということでございます。

神風委員 そんな、全体像については報告をしろなんて言っていないでしょう。全体像についての報告じゃないですよ。そういう事実があったけれども、それがどうなっていますか、どういう報告を受けているのかというのを記者から聞かれて、その報告さえも受けていないという形で答弁をしているわけですよ、額賀長官は。だから、この新聞記事によれば、「額賀長官の説明どおりなら、組織ぐるみの証拠隠滅行為にもかかわらず、北原長官は三週間以上、額賀長官に報告しなかったことになる。」と。

 三週間以上報告しなかったんですか。

北原政府参考人 今新聞記事を読み上げられましたので、私申し上げたいと思いますが、その新聞記事は間違っています。すなわち、私るる申し上げておりますように、この案件を電話で受けて、そして大臣にその一報をお話ししたことは、それは事実なんです。

 ただし、今新聞で書いてありますように、事実というのは何だということについては、ただ当時の河野からの、そういうことをしましたというだけでありまして、全体の事実関係はまだ把握できる状況にはなかったわけであります。全体というのはこの破棄の問題についてでございますが。したがいまして、大臣はそのようにお答えになっている、それが事実でございます。

神風委員 今の言い方であれば、結局、調査報告書が出なければ何も言えないということですよね。すべてがわからない、すべて答えられない、そんないいかげんなことがありますか。逆に言えば、それを言わないために現在調査中ということでずっと逃げ回っていたわけでしょう。

 それでは、逆に、何を報告したんですか、アメリカで額賀長官に。どう報告したんですか。

木村委員長 北原防衛施設庁長官、時間が来ておりますので、簡潔に願います。

北原政府参考人 アメリカでは、大臣に、河野建設部長から十一月ごろ資料を廃棄、破棄したという連絡がありました、どうもそういった連絡がありましたということを大臣には口頭で伝えたわけであります。そして、大臣から、その点についてもちゃんと調べなさいという指示があったわけでございます。そして、今の新聞記事が二月に入って出たわけでございますが、事実関係はどうなんだということは、私どもの調査報告にも書いてありますが、二十六名からそれぞれ聞き取りをする必要があった、そういった段階で調査報告をまとめたわけでございますので、ぜひそこは御理解いただきたいと思います。

木村委員長 神風英男君、簡潔に願います。

神風委員 はい。

 そのときの記者会見で、その同じ場で、そういう実態があったかどうかについては、我々に、つまり額賀長官にその人が報告するかどうかについては私はわからないわけですみたいな、私は全く蚊帳の外で知らなかったというスタンスの発言をされているわけですよ、額賀長官。

 これは額賀長官御自身に伺わない限りは真相はわからない、真偽はわからないと思いますので、ぜひ参考人としての出頭をお願い申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わりにいたします。理事会でぜひよろしくお願いします。

木村委員長 理事会で協議中でありますので。

 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 本来は、この国会の安全保障委員会の審議の最大のテーマは防衛庁の省移行の法案でございます。それが、入り口でこの談合問題の総括の審議がなされていることは、私どもにとっても甚だ不本意な状況であるということを冒頭に申し上げたいというふうに思います。

 私は、国会に参りましてから丸三年がたとうとしますけれども、もともと外交、安全保障を専門にやりたいと思って政治家を志してまいりましたから、今回のこの防衛庁の省移行、省昇格、この歴史的な法案を本委員会で審議させていただく、大変光栄に感じておりますし、それだけ責任も非常に重いというふうに思っております。

 昭和二十九年に防衛庁・自衛隊が創設されて以来、ひどいときには、憲法違反の存在だ、こういう言われ方をされながら、それでも現場の防衛庁、自衛官の皆さんは歯を食いしばって、それこそ命がけの仕事に精励されてこられた、このことに、我々は国民の一人として、心から敬意を表したいというふうに思います。

 この省移行については、古くは、昭和三十九年に閣議決定までされていながら、この問題も、また省移行の本格審議のときに改めてこの時代の経緯についても伺いたいと思っておりますが、何と国会に提出をされないままであった、こういう経緯がございますし、新しくは、平成九年の行革会議の最終報告で、新たな国際情勢下における我が国の防衛の基本問題については政治の場で議論すべき課題である、こうされて、防衛庁の省移行の議論が本格化した、このように承っております。

 我が党でも、二〇〇〇年にこの問題が集中的に議論されたときに、政策論としては考慮に値するんだという結論をつけております。我が党の小沢代表も、国防の任に当たる役所が単に内閣府の一外局であってよいはずがない、国家機構の中にきちんと位置づけるべきだ、こういうことをかねがね持論として述べておられます。

 そういう意味では、本当に私どもとしては正々堂々とこの法案の審議をしてまいりたいというふうに思っておりますので、間違っても国対的な手法とかあるいはローカルな知事選に絡めてこの法案を取り扱ってほしくないということを、与野党の理事の皆さんに申し上げたいと思っております。

 したがって、ぜひともこの問題は、慎重審議、二週間でも三週間でもかけてきちんと議論をしていただきたいというふうに思っております。

 国民の皆さんも注目をしておられると思いますし、周辺諸国の皆さんも注目をしておられると思います。国会におけるシビリアンコントロール、民主的統制というものが日本ではきっちりと機能しているんだということを内外に示す絶好の機会であるというふうに思っておりますので、私もきょうは冒頭、談合問題を質疑させていただきますけれども、ぜひ、我が国の国防体制、あるべき国防体制について多角的な議論をさせていただきたいと思っております。

 夏の休会中に私は前委員長の浜田靖一先生と一緒にドイツ、イタリアと視察をしてまいりまして、特にドイツでは、ドイツの軍隊というのは議会の軍隊、連邦議会の軍隊、こう呼ばれておりまして、本当に議会によるシビリアンコントロール、チェックというものがきちんと機能している、そういう様子のブリーフを受けまして、非常に感銘を受けました。諸外国で、特に日本とドイツというのは同じような経験を持った二つの国でありますから、こういう経験を我が国の新しい防衛機構に生かせるような、そういう議論をぜひしていきたいというふうに思います。

 きょうは冒頭、談合事件の総括について、そしてその後、核保有の問題について、それから集団的自衛権の問題、そして、きょう岩屋副大臣にもお越しいただきましたので、周辺事態の問題についても時間があればお伺いをさせていただきたい、こう思います。

 また、その議論の中身に入る前に、まず防衛施設庁の談合問題、この総括の機会を設けていただきました与野党の理事の皆さんに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 三点に絞ってお伺いをしたいと思います。これは、けじめという観点から三点に絞らせていただきました。

 まず第一点は、施設庁の談合問題に係る防衛庁本庁の責任はどこにあるのか、いかがなものか。この防衛施設庁の談合事件で二つの報告書ができて、そしてその結果、施設庁は解体、そして本庁に吸収されることになったわけですね。先ほども議論がありましたけれども、本当にこれで一件落着なんだろうか、防衛庁がこれによって、また省に昇格することによって焼け太りという印象はないんだろうか、そういう国民の皆さんの懸念もあると思いますね。この疑問に、ぜひこの委員会を通じて的確にお答えをいただきたいというふうに思うんです。

 先ほど防衛庁長官、どうも施設庁の中の別組織という、そんな印象を持っておられるというようなことをおっしゃっておられましたけれども、私は、本庁の責任というのも極めて重いと思っているんです。

 というのは、三つ申し上げます。一つは、防衛庁の本庁では、防衛庁全体の所掌に係る会計監査あるいは会計制度については、長官官房の政策評価監査官という方が担当されていた、これが第一点。

 それから第二点は、防衛参事官は、防衛庁の所掌事務に関する基本的方針の策定について長官を補佐する立場にあった。

 第三点は、施設庁の幹部ポストですね。逮捕された技術審議官、そして事案発覚後に降任処分となった建設部長を除いて、ほかに五名、いわゆる部長ポスト以上の方が長官を含めておられる。その皆さんは、すべていわゆる本庁採用のキャリア組の事務官の方々だ、こういうことであります。

 防衛庁長官、ある意味で本庁の責任の所在として、この三つの点、認識は間違っていないでしょうか。

久間国務大臣 防衛庁長官は、防衛庁だけではなくて、防衛施設庁もその所管の組織でございますから、そういう意味では、全体に対して責任がございます。

 しかしながら、防衛本庁における事務次官を初めとする内局といいますか、そこは防衛庁設置法上は指揮監督権限がないわけでございまして、その辺がやはり、従来の歴史的な経緯もあると同時に、現在の組織上も言うなれば独立している、そういうことから非常に、同じ防衛庁長官の管轄下の組織にありながら違うような存在になっておったという、そこのところが問題なんじゃないかと思っております。

 そういう意味では、防衛庁長官としては全体の責任者でございますから、この防衛庁長官を補佐するという意味での仕事は全部が持っているわけで、施設庁長官にしても、審議官等も、持っているわけでございますけれども、今言いましたように、本庁の内局は防衛施設庁に対して指揮監督の権限がない、そういう組織上の限界があったんじゃないかなと思っております。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

長島(昭)委員 防衛庁長官がおっしゃるように、厳格に言えば指揮監督の権限がなかった、こういうことでありますが、これだけ人事交流といいますか人事的に重なっているし、キャリアの事務官が施設庁に実際行っているわけですから、全くこれは指揮監督、統制が及ばなかったというふうに言い切るには無理があろうかと思いますので、この点、そういう離れた施設庁を今回取り込んで本庁の改革をしていくわけですから、その改革には、本庁の責任というものをきちんと明確にした上で移行していただきたいということを一言申し添えておきたいと思います。

 二点目は、退職金の自主返納についてであります。その実施状況についてであります。

 先ほど来、落札価格については複雑な要素があるんだ、一概には判断できないんだ、こういう長官の御答弁ですけれども、公正取引委員会の調査によれば、仮に談合がなければ落札価格が平均で一八・六%下落するんだ、こういう推計がなされている。

 先ほども神風議員から指摘がありましたけれども、官製談合の最大の被害者は、やはり国民、納税者、国民であるわけですから、この一連の対応を見る限り、先ほどの落札価格の複雑な要素も含めて、国民に損害を与えたんだという意識が、この報告書を見ても、どうも希薄な感じがするんです。

 防衛庁は、事案の対応の一環として、技術審議官や建設部長経験者の施設庁OBに対して、退職金の自主返納及び寄附を呼びかけているということでありますが、その実施状況についてお伺いをしたいと思います。

北原政府参考人 今御指摘の点でございます。

 私ども、調査委員会の六月十五日の報告書を公表する際に、今先生御指摘のように、既に防衛施設庁を退職しています技術審議官それから建設部長経験者に対しまして、退職金相当額の全部または一部の自主返納あるいは寄附などについて検討していただくよう、呼びかけを行ったところでございます。

 この呼びかけは強制力を伴うものではございませんで、あくまでも、報告書でも記させていただきましたが、長年にわたりまして建設部で行われてまいりましたまさにあしき行為について反省の気持ちを持つ技術審議官等の経験者に、本人の自主的な判断としてなし得る何らかの行動を呼びかけたものでございます。

 それで、現在の状況でございますが、国庫への返納実績というものは、きょう現在、まだございません。ないものと承知しております。

長島(昭)委員 岐阜県の裏金問題でも自主返納しているんですね。ですから、これは呼びかけたんだけれども実際には全く行われていないということは、国民の皆さんから見れば、どれほど反省しておられるんだろうかということになりかねませんよね。しかも、その呼びかけの対象者が技術審議官や建設部長という、まさに手を染めた人たちに直接なんです。

 やはり、先ほどもちょっと触れましたけれども、問題となった人事管理を昭和五十年以来ずっと容認してきた経緯が昨日の委員会審議でも明るみに出たわけですけれども、当時の施設庁長官とかあるいは次長、本庁の総務部長あるいは人事課長、こういった方々にもやはり責任を感じていただかなきゃならない、そういう方々にもあわせて退職金の自主返納を呼びかける、そういう意思はおありでしょうか。

北原政府参考人 報告書でも私ども書かせていただいておりますが、この今回の談合事件につきましては、技術審議官をトップとして建設部の幹部三人が主導してやってきたというものでございます。そして、それぞれの案件について全部調べましたが、当時の上司である防衛施設庁長官には一切報告はなかったということが調査の結果わかっております。そこで、我々といたしましては、この主導してきた技術審議官、建設部長に絞りまして呼びかけを行っているものでございます。

 先ほど、岐阜県等の例を御指摘いただきました。我々は、この呼びかけをするに当たりまして、内部で検討もさせていただいたところであります。それは、例えば、ある公金について、自分たちでそれをプライベート用に使った、あるいは別の用途に使ったとか、そういった、自分たちに損害額とかそういったもの等が明らかになっている場合、るるいろいろなケースについて勉強をさせていただいたわけでございます。

 法的な専門家にも御相談をさせていただいたわけでございますが、我々としていろいろ調査、いわゆる検察機関ではございませんが、調査した中で、でき得る限りのことは、この仕事に携わってきた技術審議官等が主導して長年やってきたという図式が明らかになってまいりましたので、自主的な判断を求める次第でございますが、調査結果の公表のときにあえて呼びかけたといったものでございまして、強制力を持つものではございません。

長島(昭)委員 北原長官、本当に御苦労なさっているのはよくわかるんですけれども、これはやはり、先ほど防衛庁長官は国損額を算定するのはなかなか難しい、こうおっしゃっていましたけれども、官製談合ですからね。官製談合ですから、本来であればここまで国民の税金を使わなくて済むものを、天下り先を確保するためにそれ以上の税金を使ってしまった、こういうケースですから、それは、今の長官の御答弁では、国民の皆さん、納税者は納得できないと思いますよ。

 だから、次の問題へ移るんですけれども、損害賠償の請求という話に必然的になってくるわけなんです。

 官製談合防止法ではこうなっていますね。法律によると、発注者、これは防衛施設庁ということになるわけですが、公正取引委員会からの改善措置要求を受けて、談合にかかわった職員に対し、損害賠償請求などを検討しなければならない、こうなっておりますが、きょう、公正取引委員会の幹部の方にもお越しいただいておりますが、この法律の趣旨について御説明をいただきたいと思います。

松山政府参考人 お答えいたします。

 入札談合等関与行為防止法は、御案内のとおり、各省各庁の長が、公正取引委員会から改善措置要求を受けた場合に、損害の有無、職員の賠償責任の有無、賠償額について調査を行いまして、職員が故意または重過失により発注機関に損害を与えたと認めたときは、速やかに損害賠償を請求しなければならない旨を定めております。

 御案内のとおり、入札談合等関与行為を行うということは極めて問題のある行為でございまして、そういう行為を防止するということからこの法律が定められているということでございます。

長島(昭)委員 それでは、この法律に基づいてこれまで官製談合と認定された事例は幾つありますか。そして、それぞれについて、簡潔に説明をしていただけますか。

山田政府参考人 これまで、公正取引委員会が入札談合等関与行為防止法の規定に基づきまして措置をとった事案としては、三件ございます。

 具体的には、平成十五年の岩見沢市発注の建設工事に関する事件、それから平成十六年の新潟市発注の建設工事に関する事件、それから昨年度の旧日本道路公団発注の鉄橋の上部工事に係る入札談合事件でございまして、これらにつきまして、入札談合関与行為等が認められたことから、発注者に対しまして改善措置要求をしたところでございます。

長島(昭)委員 そのうち、損害賠償請求が行われた事例はありますか。

山田政府参考人 私どもが承知していました範囲では、その三件につきまして、発注者側が職員に対しまして損害賠償請求をしたことはないと承知しております。

長島(昭)委員 ここも、先ほど北原長官がおっしゃった、発注機関側の自主的な措置にゆだねられているということもあって、まだ損害賠償の請求が行われた事例がないわけなんですけれども、ここでやはり一つ先例をつくるというのも、けじめの一環としては私は重要なことだというふうに指摘をしておきたいと思います。

 公正取引委員会の審査が五月十六日から行われていると認識しておりますが、今どんな状況で、この審査はどのくらいで終了するめどであるか、お答えいただけますか。

山田政府参考人 防衛施設庁が発注いたします建設工事に係る入札談合事件につきましては、公正取引委員会では、ことしの五月に立入検査をし、その後、鋭意審査を進めているところでございます。

 今後の審査の見通しにつきましては、現在審査中の事案でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、鋭意審査を進めまして、結論を出していきたいと考えております。

長島(昭)委員 最後に、防衛庁長官にお伺いしたいんですが、この審査の結果を受けて、そして談合が行われたという認定を受け、そして談合にかかわった職員に対して、防衛庁長官として、もちろん防衛庁の中でもいろいろな調査をして、損害額の算定は難しいとおっしゃっていましたけれども、そういう調査もされておられるんだと思うんですが、仮に公正取引委員会の審査結果を受けて、防衛庁長官として、損害賠償の請求に、損害額の回復の手続に入る、そういう御意思はございますか。

久間国務大臣 今後の公正取引委員会のいろいろな作業に全面的に協力をいたして、その推進を図るように努力したいと思いますけれども、その結果を受けまして、またあらゆる角度から検討いたします。

 しかしながら、先般の三月の委員会の議事録等を読んでみましても、公正取引委員会の方からの答弁でも、なかなかこの損害額が、まずつかめるかどうかということ、それと、故意と過失によって、そのうちのどの部分がその人が損害を与えたことになるのかどうか、そういうような非常に難しい問題があるので慎重になっているんだろうというような、その趣旨の答弁があっておりますので、私どもも、損害賠償の請求をするということになると、やはり裁判をやって、相手に対してむしろこちら側が負けて名誉毀損になってもいかぬわけでございますから、やる以上は、損害賠償の請求をする以上は、きちんと勝てる、そういうような内容のもとにやらなければ、それでなくてもとにかくやるんだという意味にとるわけにはいきませんので、その辺は、これから先、慎重に対応したいと思っております。

長島(昭)委員 長官、そして北原長官も、国民が注視をしている、この総括をどうやってやっていく、まだ総括が終わっていないという先ほど大臣の御答弁でしたから、今私が指摘をさせていただいた三点、特に留意をされて総括に努めていただきたいというふうに思います。

 それでは、本題と言うとちょっと語弊がありますが、次の論点に移りたいと思います。

 核保有の議論が閣僚あるいは与党の政策責任者から依然として続いている。何か、やめておけやめておけと言われると何となくしたくなるのかどうかわかりませんが、どうもそんな感じがする。

 しかし、私は、ここで、そんなことけしからぬ、国会で議論しちゃいかぬと申し上げるつもりはありません。これは私は、この際、きちんと議論をしておく必要がある、それぐらい重要な問題だというふうに思っています。

 実際、これは結果論ですけれども、こういう一連の発言が日本で行われたことによって、少なくとも中国はかなり敏感に感じて、これは核のドミノが東アジアに起こったらたまらないということで、北朝鮮に対してもかなり強い姿勢に転じた。これは因果関係があるかどうか、ぜひ防衛庁長官に伺いたいと思うんですが、そういうポイントが一つありますね。

 それからもう一つは、ライス国務長官が先日訪日をされて、アメリカは抑止と安全保障についての日本へのコミットメントをあらゆる形で、フルレンジで履行する、こういうふうに、改めて米軍による拡大抑止を再確認をして帰られました。

 久間大臣は、この議論を通じて、一貫して、このタイミングで核の保有の論議をするのは国際社会に対して誤ったメッセージを与えることになりかねないんだと、一貫して慎重な姿勢をとってこられましたけれども、一連の閣僚や与党の政策責任者によるこういう発言が中国の政策決定に影響を与えたのかどうか、あるいは米国の政策決定に影響を与えたのかどうか、この辺、防衛庁長官の御所見を承りたいと思います。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

久間国務大臣 私は政策決定に影響を与えたとは言えないと思います。

 といいますのは、中国はかねてから、朝鮮半島ではとにかく核を持たせない、そういうような方針をずっと強く言っておりましたし、また、日本あるいはまた台湾、そういったところに核を持たせないんだというようなことは中国は昔から言っているわけでございますから、そういうような全体の流れの中で、今度、国連決議の議論が始まったときも、ああいう発言が出る前からかなり積極的に中国は動いていたというふうな、そういう認識を私は持っておりますので、あの発言によって、中国が慌ててトウカセンを派遣してどうこうしたとかそういうことじゃないので、中国は前から北朝鮮の核はとにかくやめさせなきゃいかぬ、そういう気持ちは強く持っておったというふうに、それはもう確信を持って言えるんじゃないか、私はそう思うわけでございます。

 一方、ライス長官の発言にしましても、やはりアメリカとの共同のもとできちっとやるんだということに日本が不安を持っているんじゃないかという思いがあればこそ、シーファー大使にしてもライスにしても、いち早くに我が国に来まして、コミットメントを強化するということを主張したわけでありまして、政策がそこで変わったというようなことは私は感じておりません。

長島(昭)委員 中国に対して影響があったかどうかということについては私も大臣と同意見でありますが、アメリカの政策が変わったと言ったのは、私の説明ぶりがちょっと悪かったと思いますが、今までの政策をさらに、コミットメントを新たにした、そういう因果関係というか影響はあったというふうに私は思っているんですね。

 しかし、ちょっと私としても懸念を持っているのは、自民党の中川政調会長が、アメリカにまで行かれて、会う方会う方にこの話をされているというのは、私は非常に危惧といいますか懸念を持っているんです。

 これはもう大臣には釈迦に説法ですけれども、日本が独自の核保有の議論をするということは、同盟国の米側から見れば、あなた方の核の拡大抑止をおれたちは信用していないんだよ、だから自分たちで持たなきゃならないんだよというメッセージですよね。それを、アメリカのどなたに会ったか私はつまびらかにしませんが、会う方会う方にそういう議論をされるセンスというのは、私は非常におぼつかないと思いますし、同時に、アメリカ側からすれば、そういう日米同盟関係の信頼の基盤を毀損する前に、日本はもうちょっと日米同盟を強化するためにやり残した宿題があるんじゃないのと。

 例えば、後で触れますけれども、集団的自衛権の行使の問題とか、あのアーミテージ・ナイ・リポートでは、二〇〇〇年の段階で、集団的自衛権の問題が日米同盟の強化のネックになっているんだ、そういう表現をしていますね。そういう問題は棚に上げて、何だか自分たちの独自の核を持つんだとか、あるいは、もうちょっと古くなりましたけれども、敵基地を攻撃するんだとか、こういう議論が日本から聞こえてきたら、それは日米同盟のアメリカ側の政策担当者からすると、日本というのは本当に信頼できる同盟国なのかな、こういう気持ちになると思うんですが、防衛庁長官、いかがでしょうか。

久間国務大臣 アメリカに中川さんが行かれたときに、どういう状況でどういうふうに言われたのか。今の委員の話ですと、自分から積極的に言って回ったみたいな印象ですけれども、そうではなくて、恐らく向こうに行くといろいろな人が、あなたはこう言ったそうですねというようなことで問いかけたときに、それに対して、ああ、言ったんですよというような返事をすると、それはもう向こうでも言ったということになりますし、その辺の状況がつまびらかでないので、私はここでコメントするわけにはまいりませんけれども、恐らく、私は、今私が感じているような状況の中での発言じゃないかなと思うわけであります。

 そんなにみずからが、非核三原則を日本が持っているというのは、それは党の幹部でもみんなわかっていることでございますので、ただ、核についての議論はやはりしておいた方がいいよというような、そういう気持ちがあったからそれを言ったのがその後非常にいろいろなところで取り上げられるので、それを否定すると政治家としてはまたおかしいわけですから、それで非常に、頑張っておられるといいますか、それに固執しておられるんじゃないかな、そういう思いはします。

 今、日本の政治家の中で、非核三原則を否定するような人は与野党の中でも余りいないんじゃないか、やはり日本の選択肢としては非核三原則がいい、そういうふうにほとんどの人が思っているんじゃないかなと私は思っておりますので、それほど心配していないわけであります。

長島(昭)委員 ですから、私も、全くその議論をすべきでないと申し上げているわけではないんですね。ですから、政調会長にしても、一回でいいんですよ。一回言われれば、それで国民の間に議論が喚起されて、それでいいじゃないですか。

 この前、外務大臣は、あなたたちが聞くから自分は答えざるを得ない、こういう答弁をなさっておられましたが、そういう部分もあるいはあるのかもしれません。あるのかもしれませんが、やはり事あるごとに、きのうもたしか記者クラブでそういうような講演をされたというふうに聞いておりますが、どうも言わされたという感じは私は持っていないので、そこは引き続き野党として追及していかなきゃいかぬ、こう思っています。

 私の持論ですけれども、私の持論は、私も非核三原則を貫くべきだと思っていますし、核保有というのは日本にとって、いい選択肢、現実的な政策選択肢ではないと思っていますが、核を保有しないという理由は、例えば、唯一の被爆国であるからというような、語弊がありますけれども情緒的な理由一本でやっていたのでは、なかなか国際社会に説得力を見出せないんですね。私自身も、原爆症の認定の皆さんの御支援もさせていただいてまいりましたし、世界的な核廃絶を求める議連のメンバーでもありますので、この点は自分としては譲れない一線ではあるんですけれども、もう少しリーズナブルな理由を、国際社会が、ああなるほど、そういう理由で日本は核保有をしないんだなという、そういうわかりやすい議論をしていかなきゃいかぬと思っているんです。

 そういう意味では、こういう場をとらえて、やはり、核保有が持っている政策的なメリット、あるのであればメリット、それからデメリット、そして、それを議論した上で、かくかくしかじかの理由で核保有というのは日本にとって有効な政策ではない、愚策なんだということをきちんと国民の皆さんに説明する、そういう義務が国会というのはあると私は思うんです。

 では、少し個別具体的にお話を進めていきたいと思うんです。

 そもそも、我が国が何のために核を保有しなければならないのか、仮に保有を目指す議論があるとすれば。考えられるのは、一つは、これはもう言うまでもありませんが、自国の安全保障のためにだ、こういう方もいらっしゃるでしょう。それからもう一つは、脅威に対する抑止力として持つんだ、こういう考え方もあるでしょう。また、北朝鮮のように、核を持つことによって国際的な外交交渉力を上げていこう、こういうちょっとおかしな議論をする方もいると思います。

 それぞれについて、少し私の意見を申し上げて、長官の見解、御所見を承りたいんですけれども、まず、安全保障の環境が、日本が核を保有することによってよくなるか。これは逆ですよね。さらに悪化することは必至だと思います。周辺国との間に、よく言われていますが、セキュリティージレンマ、要するに、おまえも核を持つんだったら、ではおれたちも持つ、三発持つなら十発持つ、こうやってどんどんどんどん安全保障の環境が悪化のスパイラルに入っていく、こういうことでありますので、私は、日本の核保有というのは、そのまま日本の安全保障に資するとはとても思いません。これが第一点。

 それから、抑止力。長官も朝日新聞のインタビューで、「日本が核を保有しても抑止力になるわけではない。」こういうふうに明快にお答えになっておられます。その理由についてちょっと考えてみたいんですが、冷戦時代は、米ソの間で、相互確証破壊ということで、お互いとにかくオーバーキルというか、お互い破壊し尽くす、でもまだおつりが来るぐらい核の打撃力を持ち合うことによって、もうこんな無駄な撃ち合いはすべきでないということで抑止力がきいていた。しかし、北朝鮮というのは実はそういう相手ではない可能性が極めて高い、これが一つですね。つまり、抑止の理論が本当にきく相手かどうかわからない。

 それからもう一つは、日本のように、大陸にへばりついたように、これを軍事用語では縦深性というんだそうですけれども、縦深性の非常に浅い地形であって、しかも人口や経済中枢が非常に偏在しているような国にとっては、一発ばあんと来られたらもうあとは終わりですから、報復の核を持っているからといってもそれが抑止力にそのままならぬ、こういうことなんだろうと思うんですが、この点についての御所見を承りたいと思います。

 三点目ですけれども、これは言わずもがなですが、日本が核保有をすれば、当然のことながらNPTから脱退ということになりますね。そしてIAEAの査察官も追い出すようなことに当然なるんでしょう。そうなれば、今、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、フランス、こういった国々と協定を結んで、濃縮ウランとか天然ウランとかを輸入しているわけですね。そうすると、日本の電力消費の三〇%を今担っている原発はたちどころにストップになってしまう。そうなれば、日本の経済はもう完全に破綻をする、エネルギーも破綻をする。こういう状況ですから、いいことは一つもないんですね。

 この点について、長官のお立場で、私が申し上げたこと以外でも、核保有についての妥当性というポイントで少し御所見をいただきたいと思います。

久間国務大臣 今委員がおっしゃられた三点は、三点とも全くおっしゃるとおりでございまして、一点もそれに対して異を唱えるところはございません。

 さらにあえてそれにつけ加えるとすれば、私は、戦争の形態が、やはり二十一世紀は、国対国が対立する形での戦争はもうだんだん減ってきている。国対国がやるときには核抑止力というのが双方に働くけれども、北朝鮮というのは独裁国家の国で若干違いますけれども、やはりそれよりも、テロなんかが核を持って攻めてきたときには、それに対しては抑止力には全然ならないわけでありまして、そういう意味では、むしろ核を拡散させない、核をとにかく抑え込んでしまうというのがいかに大事かということをこれから先は気を払っていくべきだと思うんですよ。

 そういう意味では、やはり日本が非核三原則をずっと持っていることによって、そういう核の拡大についても大きく主張することができるんじゃないかなと思いますので、そういう点で世界をリードできるんじゃないか、そういう思いもあって私は言っているわけでございます。

 被爆国だから持つべきでないというような、そういう考えは、そういう意味では、私は、間違ったメッセージを与える。自分が被爆で受けたからやらないということではなくて、とにかく、核を持つこと自体が、やはり世界から核をなくすということに努力すべきであって、自分が核を受けておろうが受けまいが、では受けなかった国は持っていいのかという話になりますので、そういうことを抜きにして、もう情緒論じゃなくて、核は持たない方が世界の平和にいいんですよということを本当に、心底みんなに訴えたいな、そういう気持ちです。

長島(昭)委員 大臣の御見解、御見識を承りまして、本当に安心をいたしました。

 確かに、唯一の被爆国という話も、やはり欧米の方と話をすると、では環境が変わったら気が変わるんじゃないか、こういうことでありますから、だから、なおさら今こういう議論をするのは慎重であるべきだし、正確であるべきだと思うんですね。

 そこで、一点だけ、国民の皆さんは多分そういう誤解をされていると思うので、ぜひ防衛庁長官から明確に御説明をいただきたいんです。

 よくある議論で、日本は核保有の能力は持っているんだけれども、現にプルトニウムは四十トンぐらい持っているわけですから、能力は持っているんだけれども開発をしないんだ、それが政策なんだ、でもその気になれば一週間ぐらいで持てるようになるんだ、こういう議論がありますが、長官、いかがですか。

久間国務大臣 私は技術屋でもないのでわかりませんけれども、正直言いまして、核を兵器としてつくって、そしてそれをまたミサイルその他の兵器に詰め込むという、それを一週間でそう簡単にできる、そういうわけにいきませんので、一週間でできるんですよというのはためにする議論であって、そんな簡単なものじゃない、それは言えるんじゃないかなと私は思っております。(発言する者あり)

長島(昭)委員 一年という声がありますが、私はもう少し、数年かかるんだろうと思っていますね。

 つまり、日本が持っているプルトニウムというのは、兵器級のプルトニウムではなくて、いわゆる原子炉級の、何かまぜ物をした純度の低いものですから、もう一回それを純度の高い、しかも大規模なものにつくりかえていくためには別の施設を新たにつくらなきゃいけない。それをIAEAのあれだけの査察の中でやるというようなことは、全く奇想天外な話であります。

 どうやってそういう核保有に走るかわかりませんが、核保有賛成論者に聞いてみたいところなんですが、宣言をするのかどうか知りませんが、宣言をしてから核保有までに数年あるとしたら、それまでの、つまり開始してから核保有の実現に至るまでの間にさまざまなコストやリスクを背負い込むわけで、そのことについての説明が全くないという意味においては極めて無責任な議論だというふうに私は思っておりますので、この点はぜひ国民の皆さんと情報を共有していきたいと思います。

 そこで、このポイントでは最後の質問でありますが、これだけ北朝鮮のミサイルの発射それから核の開発ということで脅威が高まっているんですけれども、核開発とその運搬手段であるミサイルが結びついたときには、日本にとっては極めて深刻な脅威になると思うんです。その際に、弾道ミサイル防衛システムの配備、開発の段階からもう配備に入るわけですけれども、配備はやはり緊急の課題だというふうに思うんですね。

 七月のミサイルの連射を受けて、防衛庁は配備計画の前倒しを決定して、一部もう既に具体的な決定を見ているというふうに報道されておりますが、現状がどうなっているのか、どういう配備前倒し計画を持っておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。

久間国務大臣 核との関係がなかったとしても、ミサイルに対してどう対処するかというのは、やはり非常に大事なことであります。

 私がこの前に防衛庁長官に就任しましたときに、中国に行って、ミサイル防衛についてアメリカと技術研究を始めたというときにあそこの国防大学で講演したときに、中国の教官から何でやるのかと言われたので、とにかく、我が国の生命財産を預かっている身として、ミサイルを撃たれたときになすすべがないというのも、これほどつらいものはないですよという話をしましたら、専守防衛のためにミサイル防衛をするというのは、それはわかるんだ、そんなことを言われたことがございます。

 そういう意味でもこれはぜひやらなければならないと思っておりましたが、こういうときでございますので、これはぜひやりたいと思って、今の計画でいきますと、二十三年度までかかることになっております。十九年度末に配備されることになっておりますけれども、それを前倒しして、できれば十九年の末までにそういうことを整備していきたいと思いますし、予算の許す限り前倒しで、二十三年をもっと早めるようにしようというふうに思っているところであります。

長島(昭)委員 これは補正予算を組んででも前倒しをきちっとやっていただきたいと私は個人的には思うのですけれども、どうも、いろいろ仄聞をしますと、予算措置以外にもこの前倒しの障害になっていることがあるやに承っているのですが、防衛庁長官、予算措置以外の障害というのは何があるのか。

久間国務大臣 やはり物をつくりますときに生産工程というのがございますから、どうしても、そういう意味で、生産工程がちゃんと間に合うかどうか、その辺も詰めなければなりませんので、これは、やるとしたらアメリカとの関係でいろいろな調整をやっていく必要があるんじゃないかと思っておりますが、やはり一番の問題は予算の制限が非常にあるので、どれだけ前倒しできるか、その辺の問題があろうかと思います。

長島(昭)委員 そうしますと、我が国の予算の問題があるということですと、これは在日米軍でこれを補うというのも一つの方法だと思うのですが、シャイローという、新しいSM3の搭載型のイージス艦が来ている、九月に配備された。それ以外に、在日米軍その他で補強するような配備計画あるいはそういう予定というのはあるのでしょうか。

久間国務大臣 先般、沖縄の嘉手納にペトリオットPAC3を入れました。そしてまた、首都圏の方にも米軍の施設にそういうのを配備してもらいたいという気もございますし、また、これから先、できるだけ米軍等においても、あるいは三沢等においてもそういうことをしてもらえればいいと思っておりますが、米軍は米軍としていろいろの制約もあるでしょうから、我が国独自でやれることについても精いっぱい頑張らなきゃいけないと思っております。

長島(昭)委員 そういう意味では、まさに日本の防衛とアメリカによる日本防衛というのが一つに重なってくるというケース、これはBMDなんかはまさに、今は集団的自衛権を、次に集団的自衛権の問題に行きたいのですが、集団的自衛権を認められていないから日本は個別的自衛権の行使で何とかやる、こういう説明ですが、アメリカ側の政策担当者からすると、この前、シーファー大使も講演されていましたけれども、やはりこの集団的自衛権の宿題を日本がきちんとやってほしい、いろいろな方とお話をすると、そういう希望を持っておられるようです。

 さて、安倍政権。安倍政権は、集団的自衛権の行使についての解釈の変更も視野に入れた検討機関を政府内に設置する、こういう表明を総裁選挙の中で今の安倍総理がなさっておられたと記憶しておりますが、今、政府部内でどういう研究を実際になさっておられるのか。

 これはなぜ聞くかというと、小泉政権の発足のときも、たしか最初の就任の記者会見か何かで集団的自衛権の研究をすると言って、看板倒れに終わっているんですね。ですから、安倍政権ではどういう具体的な動きをなさっておられるのか、御説明いただきたいと思います。

久間国務大臣 少なくとも、今、具体的なそういう研究が始まった、検討が始まったとは私自身は感じておりません。

長島(昭)委員 今後、具体的な研究に着手する、そういう予定というのはあるのでしょうか。

久間国務大臣 まだそういうような具体的な動きはございません。

長島(昭)委員 時間ももう迫っているんですが、歴代政府は、大体七〇年代以降はほぼ一貫して、この集団的自衛権の解釈については、国際法上有しているが行使するのは憲法違反だ、国内法的に憲法に違反するんだ、こういう政府解釈でずっと来ていると認識をしておりますが、国防の現場を担当される防衛庁長官として、この政府解釈というのに違和感を持っておられませんか。

久間国務大臣 かねてから私は言っておりますように、私自身としては、自衛権を二つに分けてしまうというのがいいのかどうか、そういう意味での違和感は持っております。

 しかしながら、従来から政府がとっているそういうような解釈の仕方、それについては、これまでもずっと積み重ねもございますから、それを踏襲しておるということをかねがね言っているところであります。

長島(昭)委員 せっかくの機会なので、この委員会を通じて、少しその検討のポイントみたいなものを議論したいと思っているのですが、私が調べた限りは、六〇年代までは極めてリーズナブルな政府解釈を実はしているんですね。

 例えば一九五九年の、当時、岸内閣ですが、林法制局長官の答弁、三月十六日ですが、外国の領土において武力行使をして外国を援助するという意味での集団的自衛権の行使は、日本国憲法に言う自衛権の範囲に入らない、こういう御答弁がありますね。それから、それに加えて、翌年の三月三十一日、これは岸総理御自身の答弁でありますが、集団的自衛権の内容が最も典型的なものは、他国に行ってこれを守るということだが、これに尽きるものではないと。

 つまり、さっき言った自衛権の範囲に入らないという話と、これに尽きるものではないという指摘を少し私なりに敷衍してみると、集団的自衛権の中にも、この概念の中に、今言ったように、外国領土にまで行って、そして一緒に実力の行使をする、例えば一番端的な例は、アメリカ合衆国が攻撃を受けたから日本の自衛隊がそこまで行って一緒に戦っていく、これが集団的自衛権のいわば中核概念、これは佐瀬昌盛という学者の言い方ですけれども、こういう概念に入らないいろいろな日米協力のあり方というのはあるのじゃないか。

 例えば、自衛隊のオペレーションには、戦闘だけじゃなくて、情報交換とか、あるいは輸送だとか災害救援だとか、あるいは公海上のパトロールとか、こういういわゆる戦闘行為でないものが幾つもありますね。そういうものを日米の間で協力していくことについては、集団的自衛権というコアの概念からは外れるのでありますから、そういうところについては柔軟に日本国政府としてこれから解釈をしていってもいいのではないか、こういうふうに私自身は思いますが、長官、もう最後になりますが、いかがでしょう。

久間国務大臣 今おっしゃられたようなものは、集団的自衛権、個別的自衛権、そういうような切り口じゃなくて、もっと違った、自衛権の範囲はどこまでなのか、そういう議論で十分賄えるんじゃないかな、そういう思いがいたしております。

 アメリカまで行って、アメリカがどこかから攻撃されているのを助けるのは日本の自衛権じゃないわけでありまして、それはアメリカの自衛権なんですね。それを集団的自衛権かのように言っているところに間違いがそもそもあるんじゃないか。だから、それを私は、アメリカがニカラグアとやっているときに、アメリカにこっちが応援するのは日本の自衛権じゃない、集団的自衛権には当たらない、そういうことをもっとはっきり言うべきだと思うのです。

木村委員長 長島昭久君、時間が来ております。

長島(昭)委員 ありがとうございました。

 これは、まさに初めの、最初の最初の議論でありますので、ぜひ与野党の理事の皆さんにお願いしたいのですが、こういう議論を何度となく深めていって、そして、国民の皆さんが、ああ、なるほどこういう議論を通じて防衛省が誕生するんだ、そう思っていただけるように、ぜひ慎重審議をお願いして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉です。

 昨日に続きまして、防衛施設庁の談合問題について伺いたいと思います。

 冒頭に当たりまして、やはり我が国の安全保障にとって、その最前線で一生懸命汗を流して精進している隊員の皆さんがいるわけでありますので、こういう隊員の皆さんに長官から一言お声がけいただけたらと思います。

久間国務大臣 この施設庁の談合問題その他のいろいろな不祥事が出まして、やはり二十七万の全体の隊員は非常に黙々と汗を流しながら真っ正面向いて頑張っているわけでございますから、一部のそういうような事件あるいは不祥事が、さも全体がやっているかのように国民の目に映るというのは本当に返す返すも残念なことでございまして、そういう意味で、そういう隊員の皆さん方にかわっても、この問題については本当にはっきりと、そういうことのないように努めたいということを声を大きくして言いたいと思います。

前田委員 今も長官がお話しになりましたように、隊員の皆さんが本当に最前線で頑張られているわけであります。それに対して、施設庁の幹部が、防衛庁高級官僚がこうした官製談合を行っていたということは、私は、憎むべき事実であると思います。ですから、これを厳格に、当委員会でしっかりと話をしていかなければならない。

 今回の集中審議も、防衛庁の省への昇格ということを前にして、きちんと厳正、厳粛にけじめをつけなければいけないという意味でこの集中審議が行われているわけであります。しかしながら、私は、昨日の審議にも当たり、まことに残念でしようがない。官僚が官僚を守る、その姿勢しか伝わってこなかった。

 そして、きょうは、資料を出してもらえないことについて質問したいと思うんですよ。

 今、皆さんにお配りいたしましたペーパーが二枚あります。これは、昨日私が、当委員会が終わりました直後に防衛庁に対して、控室に対して出させていただきました資料請求であります。さんざん、きのう、四十五分にわたりまして、北原長官に対して、この調査報告書の根拠となる証言内容について、氏名は伏せても結構だからと言って、これは個人情報保護法等ありますからね、要求をしました。三百名にわたる証言記録があるんだと言われましたので、その記録の開示を求めたわけであります。そして、特に、建設工事に関する割り振りに係る資料の破棄関係の二十数名分の証言記録、これも求めたわけでありますけれども、これは全くノー回答でありました。

 私は、これは本当にけじめをつけて、庁を省にするという大事な時期を迎えてこの集中審議が行われているわけでありまして、その集中審議の意味から考えても、こんなことはあり得ない。本来ならば、当委員会、今のこの時間に開かれる委員会が飛んだわけでありますよ。次回、私はまた、もう少し絞っても結構ですから、きちんと資料の開示をお願い申し上げたいと思っております。

 そして、まず、私がこうした証言記録を求めたにもかかわらず全くのノー回答であった理由を北原長官に伺いたい。

北原政府参考人 前田先生に御答弁申し上げます。

 三百名の証言あるいは二十六名についてでございますが、これにつきましては、我々、次のように考えているところでございます。

 私どもの一月三十一日に発足いたしました調査委員会において聴取をいたしました関係者の個々の供述の内容を明らかにすることにつきましては、次の二点からなかなか難しいと考えております。

 その最初は、今回の調査でございますが、これは、私ども行政府といたしまして、強制的な権限のない調査委員会によるものでございまして、聴取を受ける者、インタビューを受けた者の任意の協力を得て実施されたものでございます。したがいまして、特定の個人の供述内容そのものを公にいたしますことにつきましては、今後、またいろいろな形で、今回のこの事件ばかりではございませんが、いろいろの何かが生起したような場合に、また聴取を受ける人たちの協力を求めて調査を行うといった場合に、任意で提供される情報というものが限定されてしまい、公正かつ公平かつ客観的な調査に支障を及ぼすおそれがあるといった点が一点でございます。

 それから二点目は、先生もお触れになられましたが、私ども、個人情報保護の観点からも、被聴取者の方々に対する聴取の内容といったものにつきましては、これは個人に関する情報でございまして、その情報に含まれるお名前ですとか生年月日その他の記述等によりまして特定の個人が識別できるもの、ほかの情報と照合することによりまして特定の個人を識別することができるものとなるものもこれは含んでいるわけでございますが、そういったもの、あるいは、特定の個人を識別することはできないけれども、これを公にすることによってなお個人の権利利益を害するおそれがあるといったものに該当する。

 本件についてはそれらに該当するおそれがあるということで、個々の供述の内容につきましては、ここにお答えすることは控えさせていただいた次第でございます。

前田委員 今、これは任意で、これからのことを考えると協力してもらえなくなるから今回も開示しないんだ、あるいは個人情報保護法で出せないんだというお答えでしたけれども、それもよくわかります。もちろんそうであります。

 でしたら、これは内部できちんと特定をされているんですか。私はきのう言いました、五十年代のいつから始まったんですか。五十年代からだと言われました。だったら、どこでどういうふうにこの官製談合が始まったのか、どういう経緯をもってこれが始まったかを確認しない限り、この事件を絶つこともできない。これからまた再び起こるかもしれません。きのう長官も他の公益法人についてはわからないという言い方をされましたけれども、本当にそういう可能性があるんですよ。

 これは、先ほど神風委員も触れましたけれども、国民の皆さんがその国税を損したという事案であります。払わなくてよいものを余分に払わざるを得なかった。どうして防衛庁の高級官僚のために国民の皆さんがその生活保障をしなきゃいかぬのですか。おかしいじゃありませんか。私は、そういった観点から、国民の皆さんの前にきちんと、どういう経緯でこれが始まったのかということも詳しく言わなければいけないと思うんです。

 例えばアメリカの軍事小委員会だったら、こういう安全保障案件あるいは秘密がかかわる部分については、国会議員に対して守秘義務を課して秘密会をやるということもあります。私は、そうしたこともこれから考えなければいけない時期に来ているんだと思います。

 例えばこうした事案でも、記録すべてを、きちんと我々、守秘義務を課して、そういうスキームがちゃんとつくられた上での話ですけれども、そして、すべてを見て、チェックをして、どの時期からどういうふうに始まってということをきちんとしない限り、本当にこの報告書が、きのうも申し上げましたけれども、絵にかいたもちになっちゃうんですよ、幾ら枠組みを理解してください、御理解くださいと。だけれども、僕は思いますけれども、そういった談合男たちを野放しにしておいて、刑事事件にならなくても社会的非難は受けるべきだと思いますよ、それで国民の皆さんの税金を食いつぶしているわけですから。

 そういった意味で、私は、きちんとこの始まり、どういった経緯で始まってきたのかということの御説明を一度しっかり求めたいと思います。どうですか、北原長官。

北原政府参考人 今回の事案につきまして調査をしてまいりました。そして、私どもの報告書で報告させていただきましたのは、先生今御指摘になりましたが、「「昭和五十年代半ばにおいては、談合関与行為とみられる行為は、既に行われていた」との供述を行っているOBもおり、建設部幹部職員による関与がかなり以前から継続的に行われていたものと推定される。」これが五十年代の云々のくだりでございます。

 この点について、いつ、だれからという御指摘でございますが、その点につきましては、先ほど我々の一般的な考え方は申し述べさせていただきました。ただ、昨日来、先生の、国民の皆さんの御理解をいただくといった観点からの御指摘もございました。

 そして、今申しましたような五十年代云々ということにつきまして、一人一人の個別の供述等について明らかにすることはできませんが、今私どもがここで引用した供述につきましては、ちょうどその当時、地方の幹部をやっていた者がこのような話をしておりまして、その供述の概要を申し上げますと、ちょうど自分がいたころ、そういった雰囲気があるなということを知りましたといった供述をしているわけでございます。それから、あと、別の人間でございますが、どんな形にしろ、かなり前からある、彼は、五十年代後半にはもうあった、やっていたんじゃないかというような御指摘もございました。

 その他、一人一人の供述を得られた者たちの供述を総合的に分析、評価しまして、私ども、ここに、昭和五十年代半ばにおいては行われていたのではないかと推定されるといった趣旨で御報告申し上げたところでございます。

前田委員 今こうやってお聞きすれば、個人は特定されない限りでお答えになるじゃないですか。どうして出さないんですか、それを。それでも結構ですよ。

 私は、この二問目の話でもそうですけれども、私がきのう請求しました、一月十六日に証拠隠滅が明らかになったときより、二月二十二日の予算委員会答弁前後までの経緯を書いていただきたいとお願いしました。これは、皆さん、本当に驚くなかれ、委員会が五時に終わりまして部屋に戻りまして、すぐに防衛庁の控室に出させていただきました。それで出てきた経緯が、何ですか、これは。「一月十六日 建設部長より総務部長に対し、十七年十一月下旬頃、部下の企画官、設備総括及び通信総括に対し、建設工事の割り振りに係る資料を処分するよう伝えたとの申告。」云々、それがありまして、その次、飛んで一月三十一日であります。これは何ですか、この経緯は。

 私は、けさの九時ぐらいまでに下さいという時間も切りました。これもちゃんとそこのところに書いてありますね、期限、二日の朝九時ということです。それで、できません、済みません、十二時まで待ってくださいと総務課長さんが見えました。いいですよと言って待ちました。私はてっきり、ほかの証言記録をしっかりきのう一晩かかって一生懸命つくられて、まだ間に合わないんだと思ったんですよ。皆さん、見てください。このA4の紙半分のペーパーをつくるのに、ひどいじゃありませんか、これは。当委員会の集中審議を侮辱するんですか、北原長官。答えてください。

北原政府参考人 先生からの資料要求を受けまして、私が責任者でございます、これまでの経緯につきまして、我々としてこの経緯を取りまとめて先生に御提出をさせていただいたものでございまして、先生からごらんいただきまして大変時間を要したことにつきましては、おわびを申し上げます。

前田委員 こんなA4の紙半分のものをつくるのに、三十分もかかりませんよ。そして、内容はこの調査報告書以下じゃありませんか。これをもっと簡単にしたものじゃありませんか、これは。

 それで、先ほど我が党の神風委員が質問をしましたら、北原長官御自身がしっかり答えてみえるじゃないですか。河野部長から総務部長に対して証拠隠滅について話があり、一月十六日、北原長官から額賀防衛庁長官に対して電話をしたんだとか、ホテルにみえたのでとか、いろいろ詳しく言われているじゃありませんか。それをどうしてここの紙にできないんですか。結局、議事録に残るわけですよ。これは、やはりこの委員会の審議を侮辱しているとしか思えない。

 こうした資料の提出の仕方をしていたら、幾ら我々が審議をしっかりしようとしても、ベースとなる資料を出さないわけですから、それで委員会で聞けばそれをちゃんと答える。先ほどの記録もそうじゃないですか、証言記録も。これは何ですか、一体。委員会で聞いたらちゃんと答える、それで資料は出しません。どうしてこんなA4の紙半ぺらのもので時間が一晩もかかって、そして、朝にはできませんでした、十二時まで待ってください、総務課長さんがわざわざ車を飛ばして見えた。そんなことをどうしてしなきゃいかぬのですか。

 こういう資料の提出の仕方をしたら、委員会審議がすべてできなくなるんですよ。そういう認識はありますか。もう一度答えてください。

北原政府参考人 経緯の十六日の事象につきましては、国会で御答弁させていただいているものと内容は同じものが盛り込まれている、私はそのように考えております。

 ただ、先生、先ほども今もおしかりをいただきましたが、資料の御提出の要求がありまして、結果として大変時間がかかってしまいましたことにつきましては、こうしたことがないように努めてまいりたいと思っております。

前田委員 この資料は一体どなたがつくったんですか、具体的に。

北原政府参考人 この資料は、防衛施設庁として、私の責任のもとに提出をさせていただいております。したがいまして、作成責任者は私でございます。

前田委員 ということは、このいいかげんなA4の紙半分の資料の責任は北原長官にあるということですね、もう一度。

北原政府参考人 私どもといたしましては、先生の御要請に極力おこたえをしていく、それから、この審議が行われている中での資料要求でありました。したがいまして、そうした点を踏まえまして、この資料を作成したものでございます。

 中身につきましては、今申しました経緯並びに処分ということにつきましては、これで御説明ができるものと考えております。

 ただ、結果として、繰り返しになりますが、時間が大変かかり、先生に御迷惑をおかけした、国会の御審議に影響があったという御指摘でございます。その点につきましては、こうしたことがないように今後努めてまいりたい、そのように思っております。

 責任は私であります。

前田委員 これは、党としても一回厳重に抗議を申し上げたいと思っております。

 そして、先ほどおかしなことを言われた。それは、国会の審議があって、それと違わない形でこれを出させてもらったという言い方をされました。きょう、これが出た後で我が神風委員の質問があって、この一月十六日の経緯が具体的に、どなたからどなた、そして額賀防衛庁長官に伝わったという経緯もしっかりと出てきたわけでありますよ。そういう経緯もきちんと細かく出さなきゃいかぬ。

 もし私のこの質問の意図がよくわからなかったら、聞けばいいじゃないですか。それすらもやらずに、資料は出さない、そしてこれで審議をしてくれ。十分皆さんに厳粛なけじめをつけていただいたと考えて省へ昇格というわけにはならなくなっちゃうんですよ。北原長官のために、いっぱい我が党でも質問した皆さんもあるわけですよ。

 やはり基本的な資料はきちんと開示していただきたい。先ほど答えられた形で結構ですよ、氏名が特定されなくてもいい。先ほど五十年代の経緯について話されましたよ。そういうペーパーをきちんと提出していただきたい。どうですか。

北原政府参考人 ただいま先生の御指摘につきましては、私ども、適切に対応させていただきたいと思います。

前田委員 本当にこれは、例えばサラリーマンの皆さんが給料から天引きされていく税金、そしてその税金が集まって全体の国家予算があるわけです。

 安倍総理も、額に汗するすべての国民の皆さんのために政治をしたいというふうに言われています。そうしたら、本当に国民の皆さんに、私はもう政治なんか関係ないわと言われないためにも、きちんとこの問題にけじめをつけていかなければいけない。そうじゃなければ、本当に、防衛省になってよかったと言われる国民の皆さんの数が減ってしまいますよ。ですから、きちんと資料を提出いただいて、お答えいただきたいわけであります。重ねてお願い申し上げて、先に進みます。

 私どもがこの審議で要求するベースの資料を出してくれ、いや出せない、ゼロ回答だと言っておられて、私は本当に、「防衛庁を省に」というこの立派な、ゴージャスなパンフレットがありますけれども、ここの最後にも書いてあります。Q7で「防衛施設庁の不祥事にきちんと対応していますか?」、ずっと書いてあって、「行政上、組織上の問題点を洗い出し、抜本的な改革を行うことを決定しました。」と。やはりこういうものをきちんと出されるというのも非常に大事なことだと思います。しかし、これは郵政民営化のときと同じように、タブロイド版で、郵政民営化法案が通る前から全国にばっとまかれたりしております。たしかこの資料が出されたのは五月であったと思いますけれども、いかがでございますか。

西川政府参考人 お答えします。

 五月の上旬に出しております。

前田委員 こういう自分のところの不祥事のことに対しては資料は出さないわ、反対に、自分のことにだけはどんどんこういうパンフレットを出すわでは、国民の皆さんは理解できませんよ。

 一体、これは幾らかかっているんですか。今、事前の通告なく聞いていますので、答えられなかったら後でも結構です。

西川政府参考人 突然ですので詳しい数字はあれですが、たしか五百万ぐらいかかったかと思います、全部で、総数で。

前田委員 これは五百万円でできるんですか。そんなに配っていないんですか。

西川政府参考人 総数では、部数二十九万つくっております。

前田委員 そうですか。それぐらいの予算にしろ、私が言いたいのは、こうした……(発言する者あり)非常に安価につくってみえるので、そこで私の印刷物もつくっていただきたいと思いますけれどもね。

 こういうものだけ、六月九日の法案提出、省への昇格法案提出以前にばんばん出しておいて、いや、不祥事については資料は出しませんというのは、これはもう国民の皆さんは納得できない。ですから、これだけはきちんと私は抗議しておきたいと思います。

 さらに、これからまだまだ聞きたいことがいっぱいありますので、先にちょっと進ませていただきます。

 この報告書ですけれども、三百名余りに聞き取り調査を行われたということであります。そして、その調査の記録もきちんと残っている。この聞き取りの調査の中で、積極的に関与を認められた方ばかりじゃないと思うんですね。中には、談合について、予定価格の漏えいを認めなかった職員の皆さんもいた可能性はあると思うんですけれども、この点、どのようにお答えになっていたでしょうか、伺いたいと思います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 調査につきましては、施設庁関係職員、現職については約二百名、トータルでOBを含めまして三百名を超えているわけでございますが、私どもといたしましては、調査委員会のもとにこのインタビューをするチームをつくりまして、全国にも派遣して、何度か重ねてまいりました。

 そして、今先生御指摘の、予定価格云々の類推できる情報を部外に話したと言った職員につきましては、今回の報告書の中でも記述しておりますが、約二名がそれぞれのポストで供述をしているところであります。

前田委員 反対の、予定価格の漏えいを認めなかった人たち、いや、私はそんなことはやっていないんだと言っていた人たちもあると思うんですけれども、いかがですか。

北原政府参考人 調査に当たりましては、この予定価格、つまり落札率が高いとかそういうことがございますので、当然、質問の事項には入っております。しかし、今申しましたように、予定価格を類推できるような内容等、あるいはそのアクションをとったということを供述した者は、今報告書に書いてある二名というように承知をしているところであります。

前田委員 ということは、他の皆さんは、いや、そんなことはしていなかったと言われたわけでありますね。いかがですか。

北原政府参考人 はい。これも報告書の中に書いてありますが、予定価格を漏らす、漏らすといいますか、という者についてはほかにはいなかった。ちょっと表現を失念しましたが、その趣旨のことをそれぞれの事案のところに記述させていただいた次第であります。

前田委員 六月十五日に、これは八十四名の処分がなされているわけであります。二名については四月だということでありますので、この六月に入ってからは八十二名だということですよね。

 この皆さんというのはどうやって特定していったわけですか。結局二人しか認める人がいなくて、でも、ほかの方からの意見陳述で確定していったと思いますけれども、この人たちの、八十四名の処分の根拠はいかにあったかということをお聞きしたいと思います。

北原政府参考人 八十四名の処分を実施いたしました。その中には四月の懲戒免職の二名も含まれております。

 処分を行うに当たりまして私どもが調査委員会としてまず行いましたのは、事実の解明等でございます。そして、事実関係を踏まえつつ、これらに関与した可能性のある職員に対しましては、今度は、自衛隊法等でその懲戒処分等の手続が決まっておりますので、それにのっとりまして、一人一人に事情聴取を行いまして供述調書も作成、また場合によっては、その供述の内容を補完するため、必要に応じて答申書なども本人から得るなどいたしました。いずれにいたしましても、自衛隊法に定める所要の手続を踏んで処分手続をしたものであります。

 そして、処分の概要といたしましては八十四名、その中には免職二人が含まれております。その処分の内容でございますが、内訳といたしましては、入札談合などへの関与行為に係るものは五十三名、それから、この国会で御指摘をいただいております談合関係資料の破棄に係るものといたしましては十一名。なお、この十一名は、先に申し上げました入札談合への関与に係るものと重複をしているものであります。それから、今先生御質問いただいております、予定価格情報を外に教示した等に係るものは二名、これは守秘義務違反になります。さらに、指揮監督義務違反など、これは私を含めてでございますが、これがトータルで三十名おります。

 それから、先ほど、国会での議論等が再発防止策に生かされたかという御質問等もあったかと思いますが、前回の国会の中でもう一つ指摘されたのが、財団法人の防衛技術協会に対する委託がさらに再委託されていた。再委託されるに当たって、再委託しますよという申し出が防衛施設庁になく、他方、防衛施設庁からすれば全くそれを見過ごしていたということで、この見過ごしたことについての責任といったことで二十名を注意処分にしているところでございます。

前田委員 今、るる処分の内容を御説明いただきました。私は、先ほど冒頭に申し上げましたように、こうした処分が、たとえ刑事罰じゃなくても、これは税金の無駄遣いがあったわけですから、一番損をしたのは国民の皆さんなんですよ。だったら、こうした処分を受けた皆さんは特に、私は、社会的な非難を受ける、受けて当然である、しかりであるというふうに思います。

 しかし、この処分でも、私が要求したペーパーの中にありましたように、例えば、この資料、証拠の隠滅に係っても、お名前が挙がっているのが本庁の建設部長の一名ですね。あとは、この十名の方は役職が書いてあるだけだということでありますね。

 こうしたことで本当に国民の皆さんが、自分の税金を勝手に無駄に使われて、納得できると思われますか。どうですか、北原長官。

北原政府参考人 私ども公務に携わる人間は、自分が所掌する業務につきましてはどこまでも厳正かつ公正でなければならない、そのように考えております。特に、我々自衛隊員でございますが、防衛庁、防衛施設庁、特に国民の皆さんの理解が必要である。

 そういった中で、今回のような大変な、謝罪して許される事態ではないということは十分承知しております。大変な事案を起こしてしまいました。でありますがゆえに、今現在、再発防止策の着実な実施と、それから、こういった事案が起きたときは、当事者は、これは大変だということで身が引き締まるわけでございますが、時間とともに、のど元過ぎれば熱さを忘れるとか、初心忘れるとか、そういったことがございますので、我々としては、そういったことが絶対あってはいけないということで、執拗にといいますか、意識改革と、初心に立ち戻ってこの仕事を一生懸命やっていかなきゃいけないということで、信頼回復に向けて、三千百名、大臣の御指導のもと、全力で今取り組んでいるところでございます。

前田委員 今、結局部内だけのこうした処分で、本当に国民の皆さんは納得されますかということなんですよ。御自身の出された、本当に汗水垂らして働いて、給料から天引きされていく。例えば、毎日毎日働いている、満員電車に乗っていかれる、そうしたサラリーマンの皆さん、今や本当に毎日のお小遣いも少なくなる中で、税金だけは天引きされていく。その税金がこんな形で無駄遣いされていったら、泣くに泣けないじゃありませんか。

 そして部内だけの、例えば降格とかそういう処分、それだけで本当に、私は国民の皆さんは納得できないと思いますよ。私は、本来なら氏名を全部公表して、当然、これは我々国会議員と同じように、キャリアの皆さんはそうした税金を扱っているという重要な仕事でありますので、そうした指導的地位にある方は全部氏名をきちんと公表してやるべきであると思います。それは、中での内規があって云々ということで、言えないでしょうけれども。

 そして、先ほど北原長官が言われた中で、供述調書があると言われた。供述調書に基づいてそれぞれの処分を決めていったと言われました。

 私は、本来ならこうした供述調書も全部、こうした集中審議の前には守秘義務を課して全部開示して、それを見た上でこうした審議、そうすると、この調査報告書は本当であるというふうに納得できるわけですよ。ただ何も見せない、そんな中でこうした集中審議は、私は本当はできないと思う。ですから、先ほど、これから資料の提出には極力協力するという言質をいただきましたので、次回はきちんと、それに私は期待したいと思います。

 そこで、この八十四名の処分、もちろん昭和の五十年代から続いている、ここの過去何代にもわたる官製談合であったわけでありますので、この八十四名が、現職ではない方もあると思います。この処分というのはきちんと過去までさかのぼって行われたのでしょうか。そして、既に退職してしまわれた方の扱いはどういうふうになっているのか。厳しい処分と先ほどから何度も言われますけれども、私は、具体的にどの点が厳しいのかということを言っていただきたいと思いますよ。それが国民の皆さんに対する、納税者の皆さんに対する説明であると思います。いかがですか。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 処分の対象でございますけれども、私どもは、まず、調査委員会の報告でさかのぼれるだけさかのぼりました。そして、現職につきましては、関与したすべての現職職員に対して処分を実施いたしました。

 それから、この処分でございますが、いわゆる懲戒処分等でございますが、これは部内の規律維持を目的とするものでございます。すなわち、公務員であることの身分を有する者に対してのみこれは科することができるものであります。したがいまして、既に退職した者に対しましては処分は実施しておりません。これは御理解いただきたいと思っております。

 それから、我々といたしましては、この八十四名につきましては、厳正な処分をしたと考えております。それは、調査結果に基づいて、そしてこういった事態を起こしたその行為に対して、我々としてはきちっとした厳正な処分をして、そして出直す、新たな再発防止策を着実に実施していくといった重要性を認識しておりまして、八十四名の処分をしたわけでございます。

 この中には、現職で免職になった者が二名おります。それから、降任二級、実質的にはこれは三級の降任になるかと思います。防衛庁・自衛隊特有なものでございまして、免職には至らないけれども停職より重いということで、降任二級の一人を含めまして、また、停職、減給、それから戒告その他等々、我々といたしましては、その違反事由に基づきまして厳正に処分をした、そのように考えているところであります。

前田委員 甘いんですよ。一言で言えば甘いんですよ。だから、幾らでもこうした官製談合は続くんです。

 今言われました、既に退職してしまった方に関して、退職金の自主返納とかそういうことは求められていると思いますけれども、そうした人は取り得なんですか、結局、簡単に言えば。こうやって腰かけのこの技術協会に二年籍を置いて、さかのぼって五年の、関係のある企業には行かずに二年だけ公益法人に腰をおろして、またお目当てのところに天下っていく。

 そうしたOBの皆さんは、税金が余分に使われる談合によって、談合情報をとることによって、その企業に利益を与えて、そしてそこで自分は給料を得て食っていく。要は、その出どころは国民の税金じゃありませんか。談合事件で損をしているのは国民なんですよ。そして、食い得である、いわばやり得だったというのが、この退職したOBの皆さんじゃありませんか。

 こうしたOBの皆さんへの処分はどういうふうに考えるんですか、もう一度聞きますよ。

北原政府参考人 処分につきましては、現在、先ほど私が申し上げましたけれども、自衛隊法に、懲戒処分ということで、第四十六条その他の規定がございます。したがいまして、私を含めまして自衛隊員は、この自衛隊法に基づきまして違反事由に相当する処分を受けることになっております。ただ、OBにつきましては、それを規制する、あるいはいわゆる行政処分を科する、懲戒処分を科する仕組みはございません。何もこれは防衛庁・自衛隊だけではございません、全体について言えることだと思っております。

 ただ、我々といたしまして、もう一つ、身分、いわゆる部内の規律維持を目的とするこの懲戒処分と、先生、場合によっては念頭にあるかもしれませんが、いわゆる刑事罰との関係があるかと思います。この懲戒処分と刑事罰というのは全く違った性格のものでございまして、まさに刑罰は犯罪に対する処罰でございまして、繰り返しになりますが、私どもの懲戒処分というのは公務員関係における公務員の義務違反あるいは非違行為といったものを対象とするわけでございまして、刑罰といったものはまさに社会、公共の秩序を維持するといったことを目的としております。

 他方におきまして、先ほど、八十四名についていたしました懲戒処分というものは、この公務員関係の秩序維持を目的とするといったものでございまして、懲戒処分は公務員である身分を有する者に対してのみ科することができる、そういった今の制度になっていることは御理解いただきたいと思っております。

 他方におきまして、先ほど来出ておりますが、損害賠償その他につきまして、所要の手続が必要な場合には行えることは当然でございます。

前田委員 それは必要な場合だけじゃないですよ。いいですか。これは本当に、結局はOBの皆さんは逃げ得じゃありませんか、はっきり言えば。こういう談合男たちを許したら、国民の皆さんは納税意識を失いますよ。もう一度しっかり、こうした退職者に対してどういうことをされるのか、言っていただけますか。

北原政府参考人 私ども法治国家のもとに生きている者といたしまして、現在の法律のもとで、OBの、防衛庁をやめた人間に対しまして、いわゆる処分、行政庁が行政庁の権限として処分することは、これはできません。

 他方におきまして、損害賠償等、仮に損害を与えたとか、そしてそれがどのぐらいだとか等々につきましては、先ほど来の議論があるとおりでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、今の法制度のもとでは、現職のみが処分の対象になるというものであります。

前田委員 それははっきり、退職者は逃げ得だということですね、もう一度。

北原政府参考人 退職者につきましては、処分の対象にはならないということを重ねて申し上げます。

前田委員 だから甘いんですよ。直らないんですよ。退職していったら何も処罰も受けない。だから営々と続いたわけでしょう、この官製談合が。どういうふうにこの官製談合が続いていったと思いますか、その指示がずっと続いていったと思いますか。

 やはりこうした、今私が申し上げたように、退職者は逃げ得だ、退職者は処分いたしません、できませんと言われる、ここが問題なんですよ。だから幾らでも、逃げたら、もう退職したら終わりだから、自分の生活だけ何とかできればいいやということになるんですよ。

 そしてまた、先ほどから答えられていない、私の質問に答えていない点がありますよ。どういった意味で厳しい処分なわけですか。何も厳しくないじゃないですか。こうした三級降格、多少給料が落ちるとか、そんな程度じゃありませんか。この人たちは国民の税金をむさぼったんですよ。本当に国民の皆さんに申しわけないという気持ちでいるんでしょうか。談合が職務なんというばかな世界にいたわけですから、私は、しっかり厳しくこうした人たちも処分されてしかるべきだと思います。

 どういった意味で厳しい処分だというふうに言われるわけですか、もう一度答えてください。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今回の入札談合等につきまして、それを主導していた者、またその主導していた者の部下として動いた者等々、それぞれの行為の態様は異なってまいります。我々といたしましては、そうした行為の、また一人一人につきまして、その違反行為を厳正に認定いたしまして、私どもといたしまして大変これは厳正な処分を実施したというものでございます。

 繰り返しになりますけれども、工事の対応から、現職の二名については免職処分にしているところでございます。その他、これは人数だけの問題ではございませんけれども、我々として、関与した者につきましては、現職である者についてはすべて厳正に処分した、そのように考えておりますし、その処分に当たりましては、そういった気持ちで処分を実施したところでございます。

前田委員 退職者は逃げ得、厳しい処分といってもそんな程度、だから官製談合は続くんです。

 先ほど私が要求しました資料、御対応をいただけるということなので、それを確認して、私の質問を終わりたいと思いますが、また、一月十六日近辺のこの証拠隠滅についての神風委員が要求しました資料も、詳しいこの辺の経緯を私も要求しまして、私の質問を終えたいと思います。

 理事会でぜひお諮りいただきたい、資料請求に関して。もう一回言いましょう、私の以前からの要求するこの証言の請求したもの。

木村委員長 新たな資料請求ですか、理事会で協議した請求以外の請求ですか。

前田委員 そして、この一月十六日近辺の、同じものでありますけれども、きちんと理事会で協議していただきたいと思います。

木村委員長 引き続き理事会で協議していきます。

前田委員 終わります。

木村委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 久間長官にお聞きをしていきたいと思います。

 就任直後から大変厳しい事態で御苦労さまでございます。ただ、今回の集中審議はちょっと時間差審議みたいなものでございまして、本来なら、国会閉会の前にこういうものは出していただいて、前通常国会でしっかりと防衛庁のあり方ということをただしていくべきことだったというふうに思いますが、その点、閉会を待っていたかのような報告書のタイミングというのは大変納得がいかないということを申し上げた上で、久間防衛庁長官も、過去の長官としての経験もございます。今回、長官に就任するに当たって、やはり、かつての調本事件、そして今回の施設庁談合事件、随分いろいろ不祥事が続くなという中で就任をされたということで、信頼回復について重大な決意を持たれての就任だというふうに思います。

 そこで、今回の長官就任に当たって、今回八つの工事が摘発をされた、防衛施設庁の談合事件ですね、これらの摘発された企業から長官自身の政治団体にかつて献金が、例えば過去五年間を見て、おありになったかどうかということを点検されたんじゃないかと思いますけれども、この点について答えていただけないでしょうか。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

久間国務大臣 私は、自分の政治団体は余り直接関与しておりませんので、ほとんど見ておりませんけれども、恐らく何らかの格好で、そういう会費とかいろいろな形で入っているんじゃないかなとそれは思いますけれども、きょう先生からお聞きして、一回調べてみようと思っております。今まで調べておりません。それはしかし、結構数は多いわけですから、恐らくその中には、そういう業者も中には入っておったんじゃないかなという思いがいたしております。

保坂(展)委員 これをお聞きしたのが時間的に短かったということで、今わからないということはわかりますけれども、続けて、例えば長崎県、佐世保の米軍基地でもこの事件になっておりますが、こちらの方の建築土木にかかわる会社からの献金についても同時にお調べいただいて、一応、この委員会及び質問をしている私に対して報告というか、お答えいただけないでしょうか。

久間国務大臣 その辺は調べてみようと思います。

保坂(展)委員 では、これはいただけるということでいいですね。(発言する者あり)いや、きょうじゅうなんて言ってないです。なるべく早くお願いします。

 先ほど、談合の落札率の率のことで長官の方からお話があったと思うんですが、例えば、半額くらいの額で落札をしてしまった地元の企業もあるということなんですけれども、どうしてそんな低価格になってしまったのかという事情を聞いていらっしゃいますか。

久間国務大臣 私は、地元の企業かどうかはわかりませんが、長崎県内で行われた入札で五十何%という契約をしたというのを聞いて、非常にびっくりしました。また、県の工事でも、これは県発注ですけれども、六十何%とかという契約率で落札したというのを聞いて、一体そういう値段で本当にやれるんだろうかと正直思いました。しかしながら、業者がやると言えばやってしまうんだなというような、そういう思いで、この落札率というのは、本当に、果たして正しい価格を示しているのかなと。

 そして、私自身の経験で言いましたように、かつて大分のある市で、とにかく一千万以上でみんなが入札しているときに五万円で出しているという、そういうのも決まっているわけですから、落札率となりますと、それは恐らく、全国平均とった場合に、そういうものはぐんと下がるわけですね。そういう平均落札率については、落札率そのものが正しいのかどうか、私は非常に疑問に思っております。

保坂(展)委員 私に二月に防衛施設庁から出していただいた資料によれば、多分、これは同じかどうかわかりませんけれども、佐世保の米軍の護岸工事が、これは八千二百六十三万円のところを四千六百八十一万円ほどで地元の企業が落札されているという事実もあるんですね。これは平成十五年度ですが。ところが、平成十六年度を見ますと、やはり同じ護岸工事で、これは北原長官にちょっと伺いたいんですけれども、護岸工事というか岸壁工事ですね、実は、事件になったのは、平成十五年の米軍の佐世保でいえば岸壁工事だというふうに把握をしておりますが、その平成十五年度の翌年の平成十六年度のやはり同じ工事、岸壁工事の数字を見ると、予定価格が四十億六千百三十万円に対して落札価格が四十億三千二百万で、九九・二七%なんですね。よろしいですか、いわゆる事件になっていない工事です。これは高いなと当然思うわけですけれども、この工事については何か問題はなかったんですか。

北原政府参考人 ちょっと突然の御質問でございますので。

 ただ、確かに十件、逮捕、起訴、判決を受けたものにつきまして、護岸工事は十五年度のものでございます。我々、十五年度また十六年度、あるいは十七年度につきましても、これまでこの場で御議論いただいてまいりましたが、いわゆる割り振り表に基づいて行っていた、その対象になった可能性は否定できない、そのように考えております。

保坂(展)委員 きょうの集中審議のこの報告書の二十二ページの方をちょっとごらんいただきたいんですが、この二十二ページの福岡局というところ、佐世保の件かと思うんですが、下のところに、「本件二件の工事とは別の土木・建築工事に関して、H企画官から指名業者の選定に関する連絡を受けながら、これらの工事に係る入札・契約事務処理過程において、上司に報告する等の適正な対応を執っていない。このような対応は、建設工事に係る入札・契約関係業務に携わる者の行為として、不適切なことであって、職務上の義務に違反する行為である。」こう書かれておりますが、これは、どの工事にこういう対応をしたということなんでしょうか。

 つまり、報告をしていただくのならそこまで書いていただかないと、これじゃ何のことかさっぱり読んでいる方はわからないわけです。防衛施設庁から工事一覧表を出してもらいましたから、こちらの方に一応、土木建築にかかわる一覧表を持ってございます。そうすると、どの工事がこの二十二ページに該当するのか、これは予告してありますから答えてください。

北原政府参考人 御指摘の点でございますが、立件されました福岡局発注工事二件以外の建築土木工事についてということでこのように書いておりますが、至急そこは調べて、すぐ御報告を申し上げます。ちょっと今手持ちがございません。

 ここで言うところの立件された福岡局発注工事二件以外の工事ということでございますけれども、いずれにいたしましても、調査報告書で書かせていただいてあるわけでございますが、ここで私どもが言わんといたしましたことは、本来であれば、工事発注部局以外の者からの指示等についてはこれを排除するといった、適切に処理すべきところであったところを、それを行わないで、また上司などに報告することなく当該事務処理を行った結果、結果として官製談合に係る行為を見過ごしてしまったというところでございます。

保坂(展)委員 今手持ちがないのでとおっしゃったんですが、この平成十四年から十七年度までの防衛施設庁から出していただいた書面についてあしたは質問しますよということをきのう予告しているんですね。きょうになって、この部分、二十二ページのこの下段の記載についてはどこかということを聞くから調べておいてねということを言っているんです、これは昼前の段階で。

 今手持ちがないんですか。これは、この中のどれかということについては必ず答えられるんですか。つまり、今事務的に捜せないだけで答えないのか、それとも答えないということなのか、それをはっきりさせてください。

北原政府参考人 答えないということはありません。これは調べます。

保坂(展)委員 それでは、先ほど、前田委員の話を聞いておりますと、今学校で問題になっている単位未履修の問題で、卒業した者は問わない、今の生徒たちは補習を受けるという話とちょっと似ているなと思って考えていたんですが。

 これは、落札率はすべからくかなり高いわけでございまして、刑事事件になるということは、やはり一罰百戒効果をねらっているということは長官もよく御存じなんだろうと思います。要するに、そこが事件として立件する材料を確保できたという、証拠の固めができたということであって、ほかのものが問題がなかったということでは必ずしもないんですね、捜査というのは。それは十分わかっていると思いますが。

 今施設庁長官にお尋ねしましたが、佐世保の例えば相当に高い落札率の工事もあるということを指摘しましたけれども、他の事件についていろいろ注意をしたりなんかということについても把握をして、国会に対して報告をしていただきたいということについて、いかがですか。

久間国務大臣 今回の事件で、施設庁長官を中心とする調査委員会、そしてまた副長官をトップとするこういう検討委員会、そういうので結構やってこられたと思って、それによりまして一つの調査報告書と概要が発表されたわけでございますので、私は、精いっぱいやったんだろうと思っております。

 したがいまして、むしろ私たちの仕事としては、これを受けて、どういう形でこれを徹底してやっていくか、それはこれから先の仕事じゃないかと思いますので、もう一回さかのぼって調査をしろ、そういう御指摘をされましても、また改めてやるというのはあれでございますから、その辺は、今出されました調査報告書あるいはまた検討委員会の報告書、これに基づいてやっていきたいと思っているところであります。

保坂(展)委員 この質問をこれで終わろうと思っていたんですが、今北原施設庁長官は、私が二月の段階で施設庁の米軍の佐世保に関する工事の一覧表をもらっているんですよ、ほかの工事と書いてあるので、その工事についてはちゃんと調べて報告しますと言われているので、そういうことは大事ですねということを確認しているわけであって、それを長官がやめろというふうに制止しているかに聞こえてしまいますから、そういうことじゃないということを言ってください、ちゃんと。

久間国務大臣 それは決してそういう意味ではございませんで、私は、委員の御指摘を、もう一回ほかについても、一罰百戒なんだから、この一罰だけじゃなくて、あとの方の百戒についても調べる必要があるんじゃないかとおっしゃられたと思いまして、それは勘弁していただきたいということを言ったわけであります。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

保坂(展)委員 私は、少なくともこの報告書、相当こういうものを読みなれている方でもよくわからないんですね、実際。非常にわかりにくい。特に事件化されていないものについては全くわからないということでは、やはり報告書として未完成ではないかということで、集中審議に当たってはしっかりそういうことを出していただきたい。

 今具体的に指摘しましたけれども、ほかにも出せるのならぜひ出していただきたいということを要望します。委員長にぜひ御努力いただきたいと思います。委員長に御努力いただきたいんですが、理事会で。

木村委員長 後刻理事会で協議します。

保坂(展)委員 次に、自殺の問題なんですが、久間長官、過去十年間の自衛隊員の痛ましい自殺者、どのぐらいになっているのか、過去三年間はどのぐらいの方がみずから命を絶っているのか、お答えいただけますか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 過去十年間、平成八年度から平成十七年度のトータルで、自衛隊員、事務官等も含めまして七百七十九名でございます。また、直近の三年間、平成十五年度から十七年度でございますが、二百八十二名でございます。

保坂(展)委員 私、防衛庁からもらった数字だと、平成十五年度が八十一人で、十六年度が百人で、十七年度が百一名、残念ながら非常にふえている。

 さて、ここで、今ちょうど教育基本法の特別委員会や文部科学でやっている問題があるんですね。これは、子供のいじめ自殺のゼロが続いた、こんなことがあるのかということで、安倍総理も、ゼロというのはおかしいというふうに言いました。

 これは事務方に伺いますが、原因が五類型ですね。借財、病苦、職務、家庭問題、不明、この五つの中でどれか選ばなければならないということなんですが、では、職場のいじめ等で心労で追い込まれて死を選んだ場合にはどこに入るんでしょうか。不明なんでしょうか、それとも職務なんでしょうか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 今先生から御指摘のように、私どもでは、自殺について、借財、また病苦、家庭問題、職務、あと、その他不明というように大きく分類をして整理しているところでございます。必ずしも自殺の原因が実は一つに特定されるわけではございませんが、あえて分ければこういう分類かなということで分類をしているところでございます。

 そういった意味におきまして、今先生御指摘のような形の、いわゆるいじめというものに関連した自殺が今の時点であるかどうかということは、必ずしも統計的に把握しておりません。(保坂(展)委員「そっちはまだ、次に聞くことです」と呼ぶ)済みません。

保坂(展)委員 質問していないのに答えちゃうというのも困るんですけれども。

 では、これはもう一回聞きますね。要するに、過去十年間で、いじめを理由とした自衛隊員の自殺者がゼロだと断言できるのか。もし今後いた場合には、今後ですよ、それを答えていないでしょう、どの類型に入れるのか、これを答えてください。

増田政府参考人 私どもとして、いわゆる今先生が御指摘の、いじめによるのが原因の自殺者がいるという形での数字は把握しておりません。他方、そのことが、いわゆるいじめが原因で自殺した者がいないということではございません。

 今後もし今先生御指摘のような者がいた場合にどの分類に入れるのかということは、今後検討したいと思います。

保坂(展)委員 久間長官、これは前にも、何か石破長官時代にこういう国会での議事録があるんですけれども、なかなかいじめがあるというのは組織としては言いづらいことなんだということですね。ましてや自衛隊という、大変、一種の規律のある組織で。

 ただ、実際には、海上自衛隊の「たちかぜ」の隊員が暴行容疑で逮捕されたというような事件も起きています。これは事故調査委員会が海自の中にできて、要するにいじめ、防衛庁が出した書類によれば、パンチパーマにするという約束だったのに短い髪にしてきたということで、正座をさせて、エアガン、BB弾などで撃った。ガス銃という新聞記事もありますけれども。この方は自殺しちゃったんですね。自殺されて、それが訴訟になっているということもあります。だから、この事件について、いじめですか、いじめでありませんかということを長官に今どうだというふうに迫るつもりは、本当は聞いてみたいんですけれども、訴訟中だから言えない。

 だけれども、今の話で、これだけの自衛隊員の亡くなっている方の中には、職場によるいじめ死というより、これが原因の自殺というのはないとは言えないというふうに今言っているんですね。そして、分類も把握も余り正確じゃない。

 ここらはしっかり実態を踏まえていただきたいと思いますが、いじめによる自衛隊員の自殺者ゼロという数字は、必ずしもそうじゃないという実感はございますか。

久間国務大臣 いじめというのが何かという、そこの問題もありまして、今言われたように、暴行を働いたようなものについては、これはいじめあるいはそれ以上のものかもしれませんので、そこは把握しやすいんですけれども、そこまでいかないで、やはり職制上の上下の関係、そういうようなことからのいろいろな圧力等もあるかもしれません。だから、厳密には何がいじめで何がいじめでないか。

 いずれにしましても、何らかのそういう隊内における問題として発生したような自殺者というのがやはりあるかもしれませんので、そういうことについてはよく注意をしていかなきゃいけないと思っております。

 分類の仕方というのは、いじめという項目で果たして整理できるのかどうか。これは私もよく聞いてみないとわかりませんけれども、なかなか学校なんかにおけるいじめの問題とは、職場でありますから、またちょっと違うんじゃないかなと思いますので、言われる意味はわかりますので、受けとめてやってみたいと思っております。

保坂(展)委員 ぜひきちっと取り組んで、もしそういう形で、特に船の中などは外に行けないわけですね、そういうときにどういうふうに救護を求めたらいいのかという仕組みも考えていただきたい。これはいかがですか。

久間国務大臣 それは大事なことですから、そういうのが原因で自殺になってみたり、自殺にならないまでもノイローゼになって隊員をやめるとか、そういうふうなことになりかねないわけですから、本当に、せっかく貴重な隊員を失うことのないように、これから先努力しようと思います。

保坂(展)委員 いろいろな大事な情報がインターネットで流れてしまったという問題も起きました。

 この中で、なぜ流れたのかという議論は随分あったみたいですが、流れた情報の中で、いわば佐世保を中心として、周辺事態から日本有事へというシミュレーションのものがあったと聞いています。

 そこで、きょうは単純に一点だけなんですが、その中に周辺事態兆候という言葉があるよということを教えてくれた方がいらっしゃいまして、周辺事態兆候というのは一体どういう概念なのか。つまり、例えば、周辺事態認定をする前に、周辺事態兆候という概念を自衛隊ではつくっているのかどうか、これについて答えてもらえますか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 御案内のとおり、防衛出動につきましては、自衛隊法七十七条で待機命令というのはございます。

 ただ、周辺事態につきましては、ある事態が周辺事態かどうかにつきましては、その対応措置を決める際に閣議決定で決めますので、そういう意味で、周辺事態の事前の段階について、兆候というような形で整理する法的概念はございません。

保坂(展)委員 久間大臣、これはいろいろな議論があって、今回六カ国協議復帰へというニュースがありましたけれども、核実験二回目、かなり蓋然性は高いなと私も思っていました。つまり、核実験が起きた、次の実験があったら、確認があったら、もう周辺事態ではないかという議論までありましたよね。そういうことを言う方もいらっしゃった。

 周辺事態兆候ということをいうと、では、ここ二、三週間が周辺事態兆候だったんじゃないか、こういう気もしますけれども、その点については、そういう概念はないと明言できますか。

久間国務大臣 よく勘違いしておられる方がおられるんですけれども、私はあの法律を最初つくったときからずっと関与していますからわかりますが、周辺事態の認定作業というのは実はないわけでありまして、周辺事態に該当するときにはどういうことをするかということは、政府が決定して、基本計画を決めて、閣議決定して、国会の承認を得るわけでありますから、そういう意味で、周辺事態であるかどうかの認定作業というのもないわけなので、兆候という概念があるとはちょっと、今先生言われましたけれども、私は、あの議論の中でもまず出てこなかったので、考えられないんです。

 それと、今言われますように、核実験が一回だったら何でもない、二回だったらそうかというと、そうでなくて、そのときどういう緊迫した状態になっておるか、そういうような状態の中で国としての対応策を決定していく、そして基本計画を決めるというような流れの中で決まっていく、そういうふうに認識していただいた方が正しいんじゃないかと思います。

保坂(展)委員 インターネット流出事案は、もう当然内容、概要を内局の方もきちっと把握しているでしょうから、これはぜひ確認してください。そういう私の聞いた話が単なるうわさだったのか本当に書いてあるのか、ぜひ確認してください。周辺事態兆候という文字があるようですよ。

久間国務大臣 先生の御質問がございますから、こういうのを調べようとすると、またその漏れたものがウィニーなどいろいろあるから、そう思いまして、それとなくやったんですけれども、そういうような兆候という言葉の出ているのは、私自身はつかみ切れませんでした。

 だから、それは先生がどういうルートでやられたのかわかりませんけれども、周辺事態兆候という言葉がネット上に出たというのは把握できませんでした。

保坂(展)委員 では、これはより精査して、だから、私が一番気にしているのは、周辺事態兆候というようなことがあるんだったら、今長官言われたように、シビリアンコントロールがきく場面がその事前の段階でなくなっているんじゃないかということを危惧するから聞いたわけで、その意味でも、そこはしっかりやっているということでよろしいですね。

久間国務大臣 よく趣旨はわかりますので、そういうつもりで調べてみます。

保坂(展)委員 外務副大臣においでいただいています。

 私も、核の保有論議は封殺しないというような麻生大臣の考え方について聞きたかったんですが、これはもう大臣は大臣ですから、この点についてはまた別の機会にするとして、この間、中国においてアメリカとそして北朝鮮と三者会談があって、六者協議に対して復帰をするんだ、そして金融についても作業部会を設けるんだと、極めて重大なニュースが駆け回った。我々も、その六者協議に早く無条件で戻れということを痛烈に望んでいましたから、これはいいニュースだと思うんです。

 ただ、果たして日本の外務省はいつどこの時点で中国あるいはアメリカからこの情報を聞いたのか、どの時点で知らされたのか、どれだけ把握していたのか。蚊帳の外に置かれていたなんということがあったんじゃないかという指摘もあるので、そこはしっかり事実関係を答えていただけますか。

岩屋副大臣 先生御承知のように、非常に複雑な力学の中で、これから、時期は決まっておりませんが、六者会合というのが行われると思っております。

 したがいまして、どの国からどの時点でどういう情報があったというのも非常に機微な外交情報になりますので、詳細については差し控えさせていただきたいと思いますが、今般の米中朝の発表については、事前に米国より連絡がありましたし、また北京等においてしかるべく関係国より情報提供はございました。

 ただ、今申し上げたような理由で、詳細については差し控えさせていただきたいと思います。

保坂(展)委員 では、どのくらい前にという、時間ぐらいはお答えいただけますか。

岩屋副大臣 事前に御連絡がございました。

保坂(展)委員 五分前でも事前なので、どうですか、その辺は。ある程度、半日とか三時間とかそれとも直前か、そのくらいの三つの中でどれですか。

岩屋副大臣 それについても詳細は差し控えさせていただきたいと思いますが、しかるべく関係国より情報の提供があったということでございますから、先生がおっしゃるような一分前とか三十秒前とかいうことではないというふうに御理解いただきたいと思います。

保坂(展)委員 時間だけを聞いて終わるのもちょっと残念なんですが、本当にこの六者協議というのは非常に困難な局面をたどると思うんですね。特に、中国そしてアメリカそして韓国もいろいろ議論が今起きているところで、日本の外交というのは六者協議の中においてどう発揮されるのかということをもっと我々の前に語ってほしいということを申し上げて、時間になったようでございますので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木村委員長 次回は、来る七日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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