衆議院

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第10号 平成18年11月28日(火曜日)

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平成十八年十一月二十八日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 北村 誠吾君 理事 寺田  稔君

   理事 中谷  元君 理事 笹木 竜三君

   理事 前田 雄吉君 理事 遠藤 乙彦君

      安次富 修君    井脇ノブ子君

      石破  茂君    大塚  拓君

      大前 繁雄君    瓦   力君

      杉田 元司君    高木  毅君

      仲村 正治君    浜田 靖一君

      原田 義昭君    福田 良彦君

      御法川信英君    宮路 和明君

      山内 康一君    山崎  拓君

      内山  晃君    神風 英男君

      武正 公一君    津村 啓介君

      長島 昭久君    東  順治君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   国務大臣

   (防衛庁長官)      久間 章生君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   防衛庁副長官       木村 隆秀君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛庁長官政務官     大前 繁雄君

   会計検査院事務総局第二局長            千坂 正志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          吉田 耕三君

   政府参考人

   (防衛庁防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛庁長官官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛庁防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛庁運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛庁人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 木寺 昌人君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河相 周夫君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十八日

 辞任         補欠選任

  浜田 靖一君     御法川信英君

  宮路 和明君     井脇ノブ子君

  山崎  拓君     原田 義昭君

  津村 啓介君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     宮路 和明君

  原田 義昭君     杉田 元司君

  御法川信英君     浜田 靖一君

  武正 公一君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 元司君     山崎  拓君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十四回国会閣法第九一号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 第百六十四回国会、内閣提出、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛庁防衛参事官小川秀樹君、防衛庁長官官房長西川徹矢君、防衛庁防衛政策局長大古和雄君、防衛庁運用企画局長山崎信之郎君、防衛庁人事教育局長増田好平君、防衛施設庁長官北原巖男君、外務省大臣官房審議官木寺昌人君、外務省北米局長河相周夫君及び外務省国際法局長小松一郎君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長千坂正志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石破茂君。

石破委員 おはようございます。

 私、以前、久間大臣が防衛庁長官をお務めのときに、与党の理事、三席ぐらいを務めておりました。そのときに、久間長官の御答弁を聞きながら、なるほど、国会答弁というのはこういうふうにするものだということを大変勉強させていただきまして、その後、大臣としてその教えに沿ったようなことができたかどうかじくじたるものがございますが、こうしてまた久間長官に防衛庁の省移行について質問ができる機会を得ましたこと、大変幸せに思っております。

 さて、今度の防衛庁の省移行ですが、以前、橋本行革のときも、私ども自民党内で防衛庁を省にするべきだという議論を随分といたしました。そのときに、防衛庁を省にしないと士気が下がるというような議論がありまして、野中広務先生が、それじゃ何か、今は士気は低いのかと言われて、答弁に窮しちゃったことがあります。そうではない、士気が高まるとか低まるとか、そんな問題ではないのだと。

 例えば、農林水産省に水産庁があり、食糧庁が前はありました、林野庁がある、それは外局としてある。たまたま長が国務大臣でないというだけの仕組みであって、逆に申し上げれば、防衛庁も内閣府の外局として存在をする、その長を国務大臣をもって充てるということになっておるわけで、農水省と林野庁、内閣府と防衛庁、基本的な仕組みは変わらないと思っております。

 本当にそれでいいのか。例えば、厚生労働省に問題の社会保険庁があって、では社会保険庁は何をやっているかというと、年金の掛金の徴収とかやっておる。では、その社会保険庁が年金行政について企画立案をするかというと、それはそうではない、厚生労働省の年金局。それは財務省と国税庁においても同じこと。では、内閣府が政策を企画立案し、防衛庁が実施するのかといえば、必ずしもそうではないだろう、国家行政組織法上それはおかしいだろう、外局であるのはおかしいだろうという議論をいたしました。

 あるいは、エージェンシーという名前は、辞書を引けば代理店とか公社、公団とか出るわけで、結局、英語使用国民が読めば、日本防衛公団みたいな話になっちゃって、それも感じとしてどうかね、やはり省に移行しなければいかぬのではないかね、そんな議論をしておったところでございます。

 それから数年たちまして、今私が思っていますのは、恐れるのは、防衛庁を防衛省にすることによって、これで防衛の懸案は全部片づいた、事成れり、よかったよかったというふうになるのが一番恐ろしい。ある意味で、名前を変えて中身が変わらなければ全く意味がないわけだと思っております。

 文民統制というのは何のためにあるのだろうかというのを考えたときに、私は以前、共産主義国に文民統制はあるのですかということを聞いたことがあります。では、中国に、かつてのソビエトに文民統制はあったのか。見事にありましたですよね。レッド・オクトーバーという小説がありましたが、レッド・オクトーバーという潜水艦に制服の艦長と政治将校の艦長と二人いて、二人がかぎをあけないと命令書が出てこないという場面がございました。ですから、共産主義国家においても、民主主義国家ではない共産主義国家においても、民主主義国家ではないと仮に申しますが、文民統制は存在する。ですから、文民統制というものは民主主義がなくても成り立つものだ、民主主義がなくても文民統制というのはあり得る。

 しかし、文民統制なき民主主義というものは実はあり得ないんだ、文民統制なき民主主義はあり得ない。なぜ文民たる、文民というのは、要は選挙によって選ばれたということが私は文民の意味なのだと思っております。誤った政策を行えば、それが主権者たる国民によって審判を受ける。だから、軍事組織、実力組織の長は責任を負い得る文民でなければならないのだ。それが文民統制の民主主義国家における本当の意味ではないかと思っております。

 久間長官は大変御造詣が深いですから軍事全般に精通しておられますが、いつでもそういう人が来るとは限りません。あるいは今まで防衛をやったことがない人がなるかもしれません。ですけれども、そういう場合にあってもこの文民統制がきちんと動き、はっきり言ってしまえば、有事に軍事組織、実力組織が最も効果的に、最も的確に、最も迅速に動くということを担保しなければ全く意味はないのだと思っております。

 私自身はそのように考えておりますが、長官の御所見を承れれば幸いであります。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

久間国務大臣 全く石破委員のおっしゃるとおりでございまして、最近では、おっしゃるとおりでございます。

 しかし、もともとは、軍事組織が軍事で勝手に動かないようにどうやって縛りつけるか、そういうところからシビリアンコントロールというようなことが言われたわけで、そういうようなことまで含めてシビリアンコントロールはいかがかと言われますと、軍人でない者がいかにしてそれを統制できるか、そういうシステムをいうんじゃないかなと思いますが、最近では、民主主義に基づいて、やはり国民に選ばれた、そういったところが軍を統制できる、そういうのがシステムとしてできているかどうか、そこが大事だと思っております。

石破委員 まさしく大臣のおっしゃるとおりで、でも、今まではこれでよかったんだと思うんです。基盤的防衛力整備構想というのがあって、私は長官になったときに、この基盤的防衛力整備構想は時代に合わない部分がたくさん出てきたので、これは変えなければいけないと思ってまいりました。

 すなわち、我が国が特定の脅威に備えるというよりも、我が国が防衛努力を怠ることによってこの地域において力の空白が生じ、この地域の力のバランスが崩れることを防ぐために独立国として必要最小限の防衛力を整備する。一回聞いただけでは何のことだかよくわからない。しかしながら、米ソの軍事的緊張があって、その力がこの地域においてバランスをしておって、日本が何もしないとぽかっとエアポケットみたいなものができてしまって、そうするとこのバランスが崩れちゃうかもしれないのでと、そこまでは正しいんですが、その次に、独立国として必要最小限の防衛力を整備する。独立国として必要最小限の防衛力って何それと言うと、答えがない。

 これはどういう考え方に基づいているかというと、いざとなれば防衛力はエキスパンドするのである。私は、戦車が量産できるとも思いませんし、飛行機が急にふえるとも思いませんし、これだけ予備自衛官が少なくて、予備自衛官の数がエキスパンドするとも思いません。ある意味フィクションだと思っておりましたが、だけれどもエキスパンドするのだ。そして、この大綱においてカバーできない部分は政治的リスクなのだという言い方をそのときいたしました。

 政治的リスクって何と考えたときに、政治の側が我が自衛隊に何ができて何ができないのかを知らなければリスクの負いようがありません。何にも知らないのに責任だけ負えと言われてもどうにもならないし、政治家が責任を負うのは、それは政治家として当然のことですが、防衛機構が判断を間違うと国家そのものが危うくなるので、政治家が責任をとればそれで済むというものだとは思っておりません。

 したがって、基盤的防衛力整備構想を転換して、機能的な、実効的な、弾力的という言葉は私はどうかと思いますが、弾力的な防衛力を整備するのだというふうに変わりました。

 大臣おっしゃるように、軍はほっておくとクーデターを起こすのだ、だから文民がそれを統制しなければいけないのだ。軍という言葉を仮に使いますが、軍から国民を守るのだという考え方がシビリアンコントロールであった時期があった、今でもそう信じている人はいるかもしれない。

 しかし、そうではなくて、我々は自衛隊によってどのように国益をつくり出していくのか。機能する自衛隊といいますが、存在し、訓練する自衛隊という言い方を仮にするならば、もちろん、スクランブルとかいろいろな仕事によってこの国の独立と平和を保ってきた自衛隊の役割は十二分に認識しつつも、存在し、訓練する自衛隊から、機能する自衛隊になっていくというふうになりました。そうすると、問われるのは、まさしく、だれがどのように機能させるのか。機能させる側が問われているのだと思います。防衛庁・自衛隊、これから防衛省・自衛隊になっていく、あるいは将来的には自衛軍になるのかもしれない。しかしながら、問われているのは、ユーザーである国民の代表たる文民、政治家にとって、この組織は使いやすい組織なのか、使いにくい組織なのかということだと思います。

 私、大臣を二年やらせていただきましたが、使いやすい組織だと思ったことはありません。こんなにわからない組織は珍しいと思ってまいりました。つまり、内局というものがあって、幕というものがあって、これをどのように、どうすれば動かすことができるのかということが常に的確に大臣たる長官にわかっているかというと、それはよくわからない。

 例えば、何で予備役がこんなに少なくていいんですか。日本の予備自衛官の数というのはほかの国に比べて、今日本が一対〇・二四ぐらいだと思いますが、ほかの国はこんな比率のはずがない。予備役というのは物すごくたくさんいます。予備役の方が多い国もたくさんあります。なぜ、日本が予備自衛官の数がこんなに少なくていいの、これで本当に大丈夫なのということを聞いて、これでいいのです、これがいいのですという話を余り聞いたことがない。あるいは、陸上自衛隊に何で海や空のような総隊というものがないのか。五つの地方総監にそれぞれ長官が指揮命令するというようなことで本当に有事に動くのか、私にはよくわからない。

 そういうわからないことがたくさんあって、平時はそれでもいいのかもしれませんが、有事に本当にこれで大丈夫なのだろうかということを私たちは常に検証していかねばならないのだろうと思っております。

 この法案を提案された大臣として、ユーザーたる国民の側、ユーザーたる、文民たる長官にとって、防衛庁を防衛省にすることによって、こんなに使いやすくなったということは何だとお思いになりますか。

久間国務大臣 確かに、おっしゃられるように、防衛庁としてスタートして、単なる自衛隊を管理する、あるいはまた、先ほど言いましたように、基盤的防衛力を整備するために必要なものを備える、そういうようなことからスタートしてきたのが、やはり今では、これから先の平和と安全を保っていくためにはどういう政策をとるのか、軍事面ではどういうような装備が必要か。あるいは、軍事だけではなくて、それ以前に、各国とどういうふうに防衛問題について議論していったらいいのか、交わっていったらいいのか、日ごろからの共同訓練等はどうあるべきかとか、いろいろな幅広い視野から、外交政策とは別な形での政策をする、そういうような省庁に変わってきたんだと思うんです。

 だから、例えば、経済企画庁がかつて総理府にあったのが、経済政策というのはどうあるべきかということで、決まったことをきちんきちんとやる官庁としてだけではなくて、やはり経済政策を行う官庁として独立すべきじゃないかという議論があったけれども、あそこはとうとう最後まで独立しませんでした。

 しかしながら、環境庁はやはり環境省として、環境行政というのは、単に公害をとめるために許可をするとかしないとかいうだけではなくて、日本の環境をどうやって将来守っていくかというような観点から、政策官庁として脱皮すべきだということで環境省になりました。だから、そういう形で少しずつ変わった。

 自治省も、昔は地方自治体に任せておったのを、そうではなくて、やはり地方行政というのはどうあるべきかを国の立場として考えるべきだということで、自治省として、今は総務省になりましたけれども、変わっていったわけですね。

 そういう意味では、防衛庁も、今何でだと言われる方がいらっしゃいますけれども、そういうような一つの流れの中で、国の安全政策というのはどうあるべきかということで、ちょうど過渡期に、そういう転換点にあるんじゃないかと思うんです。だから、そういう意味で、これはやるべきだと私は思っております。

 そのときに、組織のあり方として、今言われました内容も含めて、自衛隊のあり方はどういうふうにした方がいいのか、これはいろいろ議論があるところと思います。しかしながら、今のままでも一応やれるんじゃないか、今のままで移行していっても国民の期待にこたえ得るんじゃないかということでこのままやっておりますけれども、これからまた五年、十年とたっていったときに果たして、今言われたように、確かに、空については航空総隊があって、海については自衛艦隊というのがあって、いざというときにはその司令官のもとで全国一本で動く。陸の場合は各方面隊が、北部方面総監がその司令官として、その地域ごとにやっているという問題がございます。

 これは、一つには、やはり各国がそういうことをとってきていて、陸軍については一本で運用する、地形も異なるし地域も異なるからそれぞれの方面隊にそれぞれ任せた方がいい、そういう伝統があってそういうようなことをやってきている、日本みたいな小さいところで果たして方面隊に分けるのがいいかどうかの議論はありますけれども、各国ともそれでやってきて、そういうノウハウは培ってきておりますから、日本の陸上自衛隊をつくったときもそのあれに倣って、しかも戦前ですらやはり同じような考え方でやっておった、そういうことからきていると思います。

 これから先、少子化社会を迎えたときに、日本の自衛隊の、特に陸上自衛隊のあり方についてはどうなのかというのは、その辺については、先ほど言われた予備役の問題も含めて、あり方を問われる時期が必ずまた来るんじゃないかと思います。しかし、それはまた、私に言わせれば、次の世代といいますか、次の方に検討してもらうような問題提起としては上げてもらって結構ですけれども、今直ちにここでそういうようなことまでしなければ防衛省にはできないということにはならないんじゃないかと思って、とりあえずは防衛庁を防衛省にして、それから移行していっても十分いいんじゃないかなと思っておるわけであります。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

石破委員 私は、防衛庁は防衛省に移行すべきだと思っています。防衛庁長官が国防の主任の大臣じゃないなんておかしいですから、これは絶対に防衛省に移行すべきだと思う。大臣御指摘のように、防衛省にする、そのことは、我々与党として、政権公約でもありますし、何としてもこの国会で実現しなきゃいかぬと思っております。

 その次の課題は一体何だということであります。つまり、防衛省に移行後の、まず取り組まねばならないことは、防衛省に移行したというパーティーを盛大にやることではなくて、何が今度の課題なのか、今後の課題なのかということをきちんと提示し、その日からそれに向けてプログラムをつくり、実現に向けて防衛省挙げて努力をしていかれることだ。私どももその議論にきちんと参加をして、こうあるべきだというのを提示する、これも防衛省にする与党の議員の責任であるというふうに考えております。

 防衛政策局長、何で予備役がこれだけ少なくて日本の防衛はやれるのか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、自衛隊の予備自衛官につきましては、各国の予備軍に比べて少ないのは事実でございます。

 ただ、これにつきましては、防衛計画の大綱に基づきまして、平時から必要な監視態勢をとれるとかということで、それから、自衛隊につきましては、ふだんから訓練して精強性を維持するという観点から、定員確保上、こういうふうな人数になっているところでございます。

石破委員 これは、主に政治の責任です。そのようにやってきたのは政治の責任です。

 しかしながら、防衛庁を防衛省として、本当にこれでいけるかいけないかということを政治の側に提示するのは、あなた方の責任ではないですか。それは政治が知らないからということで、きょうがあすになり、あすがあさってになってそれでよいというものだと私は思わないんですよ。予算の制約、それはあります。だけれども、予算の制約があったから国の独立と平和が守れませんでした、ごめんなさいということで本当に済みますか。それは政治の責任じゃない。政治の責任です。責任を負うのは政治家です。しかし、これで本当にいいのかどうなのかということを政治の側にきちんと提示する。予算の制約がありますのでということを言うのがあなた方の仕事ではない。これで本当にやれるのかやれないのかということを政治の場に上げて、そして政治の判断を求める、それがあなた方の仕事じゃないですか。もう一回答えてください。

大古政府参考人 お答えいたします。

 予備自衛官の員数につきましては法律で規制されているところでございますけれども、周辺情勢等を踏まえまして、不断にその規模も含めまして検討していく必要があるとは思っております。

石破委員 私には全く納得できないですね。それを専門家として、本当にこれでいいのか悪いのか、そういう判断を政治に仰ぐ、そのために内局というのはあるんじゃないんですか。その役割を果たしていますか。

 私は、参事官制度についてかなり懐疑的なのはそこなんですよ。参事官というのは、全般にわたって長官を補佐するということになっていますね。この間、参事官制度の改革がありましたね。参事官制度は何を改革しましたか。衛生とそして技術かな、これを参事官から外しましたね。そしてまた、参事官を補佐する官房参事官をつくりましたね。補佐する人の補佐をつくりましたね。だけれども、防衛参事官というのは、全般的な防衛庁の基本にかかわる事項について長官を補佐するのが参事官の役割でしょう。私は防衛局長だから、私は運用局長だから、私は人事教育局長だからほかのことは知りませんで、何で防衛参事官の意味があるんですか。これは、本当に全般にわたって補佐できる、そのことが言えますか、官房長。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、参事官という制度について、先般、御下問のときも、当時先生からも御指導、当時の大臣からも厳しく指摘ございまして、我々、その点について検討いたしました。

 特に、そのときに任務としてございましたのが、専属というような所掌事務を持たずにフリーに長官を大所高所から補佐するという形の助言機能というものと、長官の補佐、いわゆる固定した分掌にとらわれずにその時々の政策課題に応じた必要な重要なプロジェクトを長官補佐事項として機動的に活用する、この二つでまとまりました。

 先生今御指摘のように、全般的な形での助言ができるのかということでございますが、それぞれの持ち味といいますか、それぞれのバックグラウンド等ございますので、充て職の場合はそれぞれの部署も見ながら、それ以外の部分については、過去の経緯とか過去の経験等を踏まえて、いろいろな場において、助言を求められた場合には、自分の持っている力をもってやるという形。

 それから、機動的機能という部分で、先ほど先生、ちょっと予備自衛官の話も出ましたが、それだけでなしに、現在、人事的な場でマンパワー的なところを、人教局長の方のところを大きく今回また検討しようという格好で今動き出しておりますので、そういう広い面からの検討もやろうという格好で現在やっておりまして、実は、この間の見直しの際に、これでもってまた一から本来の形へ、本来求められている理想の形へ持っていこうという気持ちで再出発しているところでございまして、今後その実現に向けてまた努力していきたい、このように思っております。

石破委員 今のままでいいんだじゃなくて、今のままが一番いいんだという挙証責任が私は防衛庁にはあると思っていますよ。私自身、それを挙証しようとしてなかなかできなかった。ですからここでお尋ねをしているのですがね。

 今のままでいいじゃなくて、今のままが一番いいのだということ。すなわち、局長さんでしょう、官房長さんでしょう、それぞれ所掌を持っていますよね。所掌を持っているというのは、国家行政組織法で局とは何だということで決まっている、局長とは何だということで決まっている。所掌を持っている人たちが全般を補佐するというのは、それはぎりぎり言えば、条文同士が突合を起こしておる、不整合を起こしておる、そういうところはあるんだろうと思いますよ。しかしながら、それを乗り越えてでもこの制度が一番よいのであるというのはなぜなのか。

 私は、大臣のときに考えていたのは、やはり、長官と進退をともにする、そういう政治任用の防衛参事官というのが複数いるべきだと。それは、事務次官をやられた方でも結構、統合幕僚会議議長をやられた方でも結構、判断を、進退を長官とともにする、そして責任は国民に対して負う、そして防衛政策局とか運用企画局とか、そういうような自分の仕事ではなくて、全般にわたって補佐をした方がよりよいのではないだろうか、今よりもそちらの方がよいと私は思う。違う、今の方がそれよりもよいのだということを、有事においてそちらの方がいいのだということを挙証することが、私は国民に対する責任ではないかと思っている。

 長官がこの間御答弁になりました、教育訓練局長をどうすべきかというお話をされました。私は非常に共感を持って聞いたのですけれども、参事官制度について、あるいは防衛庁の組織全体について今後どうあるべきか、長官の御所見を承りたいと存じます。

久間国務大臣 私が教育訓練局長を制服でどうかというふうに思ったのは、今の参事官制度、そういうのをよく知らなかったこともありました。私自身、国防関係はほとんどタッチしていなかったものですから、参事官制度でそういうのが、これは参事官をもって充てる、これは自衛官をもって充てるという、法律でそこまで細かく規定されているということは存じ上げていなかったので、教育訓練局長は制服で、次長が内局でもいいじゃないかという単純なことだったんですけれども、それが参事官制度でそうはならないということを聞いて、それはその法律を変えたらいいじゃないかというふうなことを当時の官房長に言ったんです。ところが、法律を改正しようとすると、そのエネルギーは物すごくあって、ほかの法律を今出しているのにできっこないということで、あきらめました。

 しかしながら、今の制度が一番いいというふうに思うんじゃなくて、今の制度よりももっといい制度はないか、そういうことを絶えずやはり考えながらやっていかないといいものはできてこないんじゃないかなとも思いますので、これから先も、その参事官制度も含めていろいろと、これはもう与党に限らず野党も含めてみんなで議論してもらって、どういう組織がいいのか。

 ただ、そのときに、政治任用がさもいいかのように今言われておりますけれども、今度も総理大臣補佐官の話を初めとしていろいろありますが、そうしたときに、組織との整合性といいますか、兼ね合いをどういうふうにするのか、この辺はやはり政治的に非常に考えないと、組織はラインとしていろいろ機能している、それに対してスタッフとしてそういう参事官その他がいろいろな助言をする、そういうときの整理をどういうふうにするか、それも念頭に置きながら、制度のあり方としては、組織のあり方としては検討していったらいいんじゃないかなと思っております。

石破委員 私は、先輩にお教えをいただきたいのですが、なぜ我が国があの太平洋戦争に突っ込み、なぜあのような無惨な敗北を喫したのかということをよく反省しなければいけないし、長官からお教えをいただきたいと思っておるところであります。

 陸海総力を挙げて戦い、余力を持って英米に当たるとか、そういうめちゃめちゃな話があって、陸軍と海軍というのはほとんど話もしなかったし、陸軍の仮想敵はソ連であって、海軍の仮想敵はアメリカであって、そんなことで勝てるわけがないんだけれども、だけれども、時の政府、ましてや国民は、帝国陸軍に何ができ、帝国海軍に何ができるのか何ができないのかということを知らないままあんな無謀な戦争になってしまった。やはり、戦前の組織のあり方、あれは間違っていたのだ、それをどのようにして変えていくべきなのかということを考えたいと思っているのです。

 もう時間がございませんから、長官には質問要旨でお渡しをしておきましたが、これから先、ラインとスタッフというふうにいみじくもおっしゃいました。内局と幕、これをどのようにしてラインとスタッフとしてきちんと再編をしていくかということが問われておって、まさしく内局の改編、幕の改編、統合幕僚監部をつくればそれでよしということではなくて、例えば、内局あるいは制服混合した形で統合作戦局というものをつくる、政策総務局というものをつくる、装備施設局というようなものをつくる、そしてラインとスタッフを明確に分けていかなければ、使いにくい組織になってしまうのではないか。いざというときに防衛大臣が的確な迅速な指示を出すために最もふさわしい組織は何であるのかということについて、ぜひ、長官、やがて大臣になられる、命を出していただいて、どのような組織が、内局そして幕、その関係において、あるいはそれを統合した形において最も望ましいか検討せよということをお願いいたしたいと思っております。

 防衛庁が防衛省になった、それは、名前だけ変えるのではなくて、本当にユーザーたる政治家にとって、国民に責任を負わねばならない政治家にとって最も使いやすいものになったと。何か、こんな言葉があるそうです。シビリアンには誤りを犯す権利があるという言葉があるんだそうですね。つまり、民主主義というものを守るためには、時には政治家が誤った判断を下すかもしれない、しかしながら、軍人の側としてはそれを甘受しなければいけないというような意味なんだそうですが。

 さはさりながら、間違ったときに責任をとるといっても、国土が焦土と化しておっては責任のとりようもない。だとすれば、文民たる久間大臣として、これから先、そのような、防衛省に移行した後の課題はこれであるということで命を下し、お考えを取りまとめていただければ私ども幸いです。私ども、それに向けて意見をきちんと出していきたいと思っておりますが、御所見を承りたいと存じます。

久間国務大臣 軍種ごとのいろいろな組織をどう統合するか、これは各国いろいろ苦労しておりますし、またそれと同時に、軍と今度はシビリアンの内局との、その辺もどうあるべきか。世界各国を見ましても、やはり内局と軍とは、それぞれが組織があって、そこのところが非常に重複しているような、政策面では重複するようなことも出てきている、なかなか難しいんだろうと思います。だから、私は、今自分のイメージになかなか描けませんので、こういう課題についてはこれから先皆さん方でいろいろと議論しながらいいものをやはりつくっていっていただきたいな、そういう思いでございます。

石破委員 これで終わりますが、例えば九・一一と同じことがあした起こったとしたらどう対応するのだろうか。つまり、日本国籍の飛行機がハイジャックされ、それがどんどん首都圏目がけて高度を下げている。何も言わない。ただどんどん高度を下げている。このとき、日本国籍の飛行機ですから領空侵犯の八十四条は使えない。かといって防衛出動でもなかろう。だとするなら、一体どの法律に基づいてこれに対応するか、そのときには空自のどの部隊が上がるのか、そのときにはどのように長官が命令を下されるのかということ、私はよくそこがわからないのです。法律的にはわかっても、時間的にできるかどうかが自信がないのです。

 そのことについてきちんとこうだということを言わなければ、防衛の任は果たせないのではないか。そういうことに一つ一つきちんとした答えが出せる、そういう組織を防衛省に移行後直ちに検討していただき、私どもも一緒に議論させていただきたい。防衛庁を省に移行する、そのことは当然のことでありますが、その後の課題というものについて、防衛庁・自衛隊、そして私ども国会議員、みんな同じ目的意識を持ってやってまいりたいと思っております。

 以上であります。

木村委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 この防衛省移行法案につきましては、国民の多くの方々がいろいろな懸念があるということで、先般、私いろいろの質問をいたしまして、長官から大変明快な、また懇切な御説明がありまして、そういった懸念は払拭されたものと考えておりますので、違う論点につきましてお聞きしたいと思っております。

 それは、防衛省移行に当たって長官が大変力説しておられるのが、政策官庁としての機能強化ということが一番強調されておられまして、それは私も全く同感であります。その上でお聞きしたいと思っております。単なる看板のつけかえではなくて、まさに防衛省、日本の防衛を預かる防衛省として、政策的なそういった機能強化をする、これは大変重要な点でありまして、ぜひともやっていただきたいということであります。

 その上でお聞きいたしますけれども、そういった意味で、この法案をもう一回見たとき、その必要性はよくわかるわけなんですけれども、現行の設置法あるいは今回の改正法案にも、防衛政策の企画立案に関することという条項が全然ないんですね。これは、例えばほかのところを見てみますと、外務省なんかの場合には、設置法第四条「所掌事務」の中に、日本国の安全保障等にかかわる外交政策に関することということが明確に書いてあります。ところが、防衛省設置法には、防衛に関することというのはあるんですけれども、防衛政策の企画立案、これは、防衛白書には出ております、ところが、この設置法にはどこを見ても書いていないということなんです。

 長官として、防衛省移行について、防衛政策、政策官庁としての強化が必要だという認識はどこから出てきているのかということにつきまして、お聞きしたいと思います。

久間国務大臣 法律というのは、具体的に列挙しますとそれ以外のことができない、そういうふうに読まれるわけですね。だから、これこれの政策に関すること、企画立案に関することとなると、じゃ、それ以外のことはだめだということになりますから。

 本当言いますと、防衛並びに警備に関することというと、非常に幅が広くなり過ぎているから、この辺の表現も、現在あります表現だって広過ぎやせぬかな、そういう気がしないでもないんです。だから、そうすると、もう少し具体的に書いた方がいいのかなという思いはありますけれども、書いてしまうとそれ以外の所掌が今度入らないことになりますから、そういう意味で、現在あります防衛に関することで、政策立案あるいは企画、そういったこと、あるいはそれに関係する調査からいろいろな情報の収集まで入ってきますので、私は現在の規定の方が幅が広いと思っておりますので、だからこの条文でいいんじゃないかなと思っております。

 一方では、幅が広過ぎやせぬか。そうすると、防衛に関することだったら、外務省との仕分けはどうなるんだとか、あるいはまた治安の問題とかなんとか、特にこれから先、テロとかなんとかになりますと、防衛とテロとの関係でそこの境界はどうなるんだとか、そういう問題もないわけじゃないと思います。

 しかし、防衛に関することという方が広いということで、企画立案も入っているというふうに思っておりますので、少なくとも政策に関すること、企画に関することについては、私はこれでいいんじゃないかなと思っておるわけです。

遠藤(乙)委員 確かにそういう考え方もあるかと思いますが、ただ、政策官庁として非常に強調されている以上は、やはり防衛政策、政策という言葉をぜひ明示的に条文に含める方がベターなのではないかとは思うんですけれども、その必要性につきまして長官はどのようにお考えですか。

久間国務大臣 その辺については、やはり、みんなが、今度省に変わったのは何なんだ、国の安全政策について、そういうのを担当する役所なんだ、そういう認識を持ってもらうことが一番大事なわけでありまして、条文に細かくそういうふうに書く書かないじゃないんじゃないかなと思っておりますから、私はこれでいいんじゃないかなと思っておるわけであります。

遠藤(乙)委員 そういったお考え方は理解をいたしました。

 そこで、では具体的に、政策官庁として機能強化をしていく場合に、どういう仕組み、例えば人材育成、教育訓練等含めて、具体的にどういう形をお考えなのか、できる限り長官のアイデアを詳しくお聞きしたいと思います。

久間国務大臣 一般業務の書き方はそういう法律としても、具体的な課とかそういうのになってまいりますと、政策を今度は実行していくわけですから、どういう課がつくられてどういう動き方をするのか、これはやはり国民が注目しているわけでございますから、そういう点では、今度の概算要求でも、先般から問題になっております大臣直轄の独立性の高い監査、監察組織をつくったり、あるいは内部部局に企画評価課とか、これも仮称でありましょうが、日米防衛協力課とか、支分部局なんかもまた再編しながら、具体的に課をつくることによってかなりの具体性が出していけるんじゃないかなと思っているわけであります。

遠藤(乙)委員 私は、特に防衛に関する政策立案機能強化の点では、一つは情報収集機能の強化、もう一つは戦略的な思考力の強化といいますか、これは難しい課題なんですが、これは大変重要ではないかと思っておりまして、そういった意味で、長官の場合、情報収集機能の強化、それから戦略的な思考力の強化といった点、この点については具体的にどのようにお考えでしょうか。

久間国務大臣 戦略性は大事でございますから、やはりそういうものにたけた人たちを中心として、戦略企画室といいますか、そういうようなグループといいますか、課、室をつくって、そういうところでやっていくとか、これは必要だと思いますので、それもたしか概算要求の中に入れていると思います。

遠藤(乙)委員 一つ、私の具体的な提案といいますかあれなんですけれども、そういった戦略的思考力、しかも非常にグローバルな視野を持った情報収集力、あるいはまた戦略的思考力を育てる意味でも、例えば世界の主要国の戦略問題研究所みたいなところにそういった職員を研修なりで派遣する、これは、人脈をつくる上からも、またいろいろな国のそういった安全保障に関する文化を知り、また戦略的な思考を高めるために非常に重要であると私は思っておりまして、特に海外研修、こういったことは今後積極的にやるべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

久間国務大臣 これは従来からも、防衛研究所がございまして、そこには外国からも来てもらっているし、また防衛庁の方からも、防衛研究所から行く場合もありましょうし、あるいはまた、防衛研究所じゃなくて直接、今言われたように、海外の、よその国のいろいろなそういう戦略を研究しているところ、そういうのに留学といいますか派遣といいますか、そういう形で情報交換に行っているわけでもありますので、それはこれから先、強化していくことが大事だと思っております。

遠藤(乙)委員 日本の場合、戦術的なことは伝統的に非常にたけていると思いますが、戦略的な思考がどうも弱いというのが日本の、これは何も防衛に限らず、一般企業でも、例えば工場長レベルぐらいまでは非常に優秀なんですね、工場長とかエンジニア、これはもう世界トップだと思います。ところが、経営トップに行くに従って、戦略的な思考力とか広い視野に欠けて、どうも見劣りがするというのが一般的な評価でありまして、日本がこれから本当に安全保障政策を過たずいくためには、やはりこの戦略的な部分の強化、これが最重要なポイントだと思っております。

 きょうは時間がありませんので余り議論できませんが、ぜひともこの点につきましてひとつ最大の御配慮をいただいて、特に人材育成が非常に重要だと思いますので、広い視野を持った、またそういう戦略的思考にたけた人材の育成に最大の努力をすることが、防衛省移行にとって最も重要なポイントではないかと思っておりますので、ぜひこの点を要望いたしまして、私の質問といたします。

 以上です。

木村委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 私がこの法案については代表質問もさせていただいたんですが、あれが十月の二十七日でしたので、きのうで一カ月、核武装論も含めて、さまざまな日本の安全保障に関する議論がこの間いろいろと議論をされてきました。

 代表質問でも申し上げましたとおり、やはり、この法案の持つ重要性といいますか潜在的な意義も考えますと、ここは日本の安全保障政策の大きな曲がり角になり得る大切な局面だと思いますし、そのためにも、多少後ろ向きなことも議論はありましたけれども、前向きな話をどんどんしていかなければならない。そういった意味で、先ほどの石破先生そして遠藤先生からも建設的な御提案がたくさんありましたが、いろいろと議論していくべきことがまだまだたくさんあるなというふうに思っております。

 それでは、個別の質問、多少いろいろ飛びますけれども、多岐にわたって、お時間をいただいておりますので、議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、今回の法案、幾つかの法律案がセットになっているわけですけれども、いわゆる防衛庁の省昇格ということと、自衛隊の国際平和協力業務を本来任務化するということは、たまたま同時になったというふうにとらえればいいのか、それとも、何か必然的に、これは同時にやることに意味があるということなのか、その辺の相関関係を教えてください。

久間国務大臣 本来は、防衛庁を省にするというのはもっと早い時期から考えてよかったんじゃないかなというふうに私自身は思っております。というのは、先ほどから何回も言っていますように、防衛庁という形で自衛隊を単に管理するということから、国の安全政策をどう議論するかというふうに話が変わっていった、そういうところから、もう少し早い時期から庁を省として取り組んでよかったんじゃないかなと思うわけであります。

 一方、国際協力業務についての本来任務化というのは、やはりこれは、正直言いまして、PKO法をつくったときでも、国民がまだ、そこまでやる必要があるのかどうかで意見が非常に大きく分かれて、一回は流れたことがあるぐらい、意見が遅く進んでまいったわけであります。そういう点では、昨今、出ていくことについては、特に災害があったりなんかしたとき、津波があったとき、あるいは地震があったときなんかは、真っ先に行くということについてはだれも反対しない。ゴラン高原に行っている、あるいはまたカンボジアに行っている、あるいは東ティモールに行った、そういうPKO活動についても、これまた、それはやはりよその国と同じように、合意ができたのなら行くべきじゃないかということで、これもほとんどが異議がなくなってきた。

 テロ特措法があったときは、若干これは行き過ぎかもしれぬけれども、日本がもし攻撃されたときに何もなすすべがないじゃないか、それなら、そのテロにぶつかっていくアメリカを支援していいじゃないか、そういうことから、これも、行くのについては認めようというような形で法律がつくられた。

 イラクの場合も、戦争をアメリカがやっているときはこれはだめだけれども、終わってから復興のために国連が要請したのならば、それはやはりやっていいんじゃないかというようなことで、ただ、ちょっと治安状況があそこは危ぶまれるし、果たしてイラクの場合はいいのかなという不安が残りながらも、まあ行くかというふうな形で法律がつくられた。

 という形で、少しずつずうっと、そういう国際協力業務にも日本は参加すべきだ、参加するときに、やはり自衛隊以外ではなかなか危険なところに行けないんじゃないかと。戦闘地域には行かないかもしれぬけれども、戦闘地域でないところでも、やはり身の危険があるところに民間人を丸腰でやるわけにいかぬから自衛隊だ、そういうことで国民の皆さん方も理解が深まってきた。

 そういうことを考えると、この任務についても、災害派遣とまでは言わないが、やはりそれに準じた格好で、もう少し本来任務としてとらえていいんじゃないかという空気が昨今高まってきたというふうなことから、今度法律を出すときにそれも一緒にしたらどうかという形で、一緒の法律として出させていただいた。

 そういうことでございますから、時系列的に見ますならば、防衛庁の省への移行の方が本来もっと早くあってしかるべきだったんじゃないかなということを私自身は感じておりますが、諸般の事情からなかなか、議員提案があったりなんかしながらも、あるいは閣法として一回決定しながらも国会に出せなかったとか、いろいろな経過の中で今日までそれがずっと待たされてきた、そういうような感じであります。

津村委員 端的に伺うと、今の結論で大体お話しはいただいたとは思っているんですけれども、つまり、防衛庁の省昇格というのは、私、組織の中の、どういうふうに実際に経営されているかというのがよくわからないのでお聞きしているんですけれども、防衛庁を省に昇格させることは、場合によっては、この国際平和協力活動の本来任務化よりも先行させ得る、つまり、全くリンクしているものではなくて、たまたま同じ時期になった、そういう理解でよろしいですか。

久間国務大臣 たまたまと言いますとちょっと語弊がありますけれども、必ずしも、防衛庁昇格の法案だけが先に行っても、それは別に何ら整合性がないということにはならないと思います。

津村委員 代表質問でも私述べたんですが、基本的には省昇格、私も賛成といいますか、早く取り組むべき課題だなというふうに思っているんですけれども、その一方で、どうやらそれ以外の課題が防衛庁には今たくさんある。防衛施設庁のこともありましたけれども、先ほど石破先生からも、防衛参事官の問題、あるいは九・一一のテロがまた起きたらどうするんだと。本当に重要な話といいますか、宿題がまだまだ残っているわけですよね。

 しかしながら、一つ、ある面から言えば、そういうことをすべて片づけてから防衛庁を省昇格にという方もいらっしゃるでしょうが、そこは、省昇格をある意味先行させて、そのかわり、パーティーよりも先にそれをやるべきだという考え方も確かにあるでしょうし、私はそれも一つの見識だと思います。

 そう考えたときに、この国際平和協力活動の本来任務化というのが、そうしたほかにもたくさんある課題の中で、あるいは北朝鮮の脅威が高まっている中で、一緒に議論することで、場合によっては省昇格の議論の足を引っ張りかねないぐらい、今そんなに慌てて取り組まなければいけないことなのかな、優先順位をもう少し差をつけてもいいんじゃないかなというふうに思うんです。省昇格の方を先行させればいいんじゃないかなと思うんです。

 そこはどうして同時にされるのか、もう一回その理由をお聞かせください。

久間国務大臣 そこはやはり、先ほど言われたいろいろな問題がある、それをしなきゃ防衛庁をもう省にしちゃいかぬという話の問題とはちょっと違って、やはり国民世論も、自衛隊の任務として、付随的な、いわゆる雑則で、もうそれはつけ足しだというような位置づけに現在の法律がされているというのはいかがなものか、やはりそういう認識があるわけですね。だから、そこのところをもう少しきちんと位置づけた方がいいという国民世論が高まってきておりますから、そういう意味で、私は、そういうような位置づけをこの際出した方がいいということで出しているわけでございます。

 今言ったように、絶対それがイコールでなきゃいかぬかと言われるとそれは別だけれども、やはりそちらの国際協力業務も、全国民の世論調査をやってみてもこれだけ結構高まりがあるということを考えますと、本来任務としていいんじゃないか、そういうような感じがしますので、やはりこれも今の時期にやることが適切じゃないかなと思うわけであります。

津村委員 やはり性質上かなり違う話を一緒にされている感じがどうしてもするんですけれども、どうしてこれを一緒に審議するわけですか。どうして一つにまとめられるんですか。

久間国務大臣 今言いましたように、防衛庁を省にする、その一つの理由の中に、国際的ないろいろな平和環境を構築する、そういうような政策官庁としての動き、しかし、そのためには各国が国際協力業務で活動しているときにやはり日本もそれに加わるべきだ、そういうのが根っこにはあって、そしてまた、加わって一緒に活動することが日本の平和と安全を守っていくためにも非常にいい、そういうようなことで安全政策のとり方が高まってきているわけですから、絶対きちっと一緒にしなきゃだめかと言われると、さっき言ったようにタイムラグがあっていいんじゃないかという思いはしますけれども、関連がないかと言われると、そこはやはり関連はあるわけであります。

 国際協力業務をそういうふうに位置づけると同時に、そういうことを通じながら、防衛庁が防衛省として安全問題についての政策官庁としてスタートしていく、そこはやはりできることなら一緒にやった方がいいんじゃないかなと思うわけでありますから、そこは非常に論理的に、二つの法律にしてもいいじゃないかというふうに言われますとそうですが、一本の法律で、その中でそれを、これともう一つ安全保障会議の設置法の改正も出しておりますけれども、この三つをセットにしたわけでありまして、そこはやはり関連性はないわけじゃないんじゃないかなと思っております。

津村委員 もう少し掘り下げていきたいんですけれども、国際平和協力業務が今まで付随任務であったものを本来任務にしていくという話なんですが、その理由として先ほどから長官が繰り返しお述べになっているのは、国民世論の高まり、あるいは理解が深まっているというふうにおっしゃいます。それが本当にどの程度そうなのかというのは別途検証すべきだと思いますが、具体的には、そのことによって組織としてどういうメリットがあるのか、そして国民にとってどういうメリットがあるのかということをもう少し緻密に議論したいんですね。

 これまでの御答弁等では、こうした国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組むことができるというような御説明もあったように記憶しているんですけれども、これも大変わかりにくくて、意地悪な言い方をすれば、今までは主体的でもなければ積極的でもなかったのかというふうにも聞こえかねませんし、そういう抽象的な精神論みたいなことではなくて、実際の、今どういう不都合が生じていて、それをなぜ今解決しなければいけないのか、その必然性みたいなものをもう少し具体的にお聞きしたいんです。

久間国務大臣 不都合が生じているかと言われると、正直言って不都合は生じていないと言わざるを得ないんですけれども、やはり、精神的な面でちょっと言わせてもらいますならば、付随的な業務だ、その他のスポーツ大会のあれと同じだというふうに言われてみますと、海外に行って、しかもある程度危険も伴う、そういうところに出かけていって活動する人たちの仕事がそうですかねというふうに思えるわけであります。

 やはりそこは、自衛隊の任務というのがもう少し広がってきているんじゃないかと。国の安全、国の防衛というところからスタートしたが、安全という問題になってくると、各国と協力しながら一緒になってそういうのに行動するというのも非常に大事なことだ、そういう認識を国民自体が持ってきている。そうすると、自衛隊も、そういう位置づけとしての本来任務だというふうに位置づけをしてもらうことの方が、行く方も非常にしゃきっとするでしょうし、そのためにまた日ごろからそういう教育もしておく必要がある、そして教育をしておけば迅速にそれも対応できる。

 そういうようなことも考えると、この時期に、本来任務として主体的に考える、それから、言われたから行くんじゃなくて、やはり日本の安全政策の一環としてそういうことをやることが非常に大事なんだという認識を持って主体的にそういうのに取り組む、そういう姿勢を示す意味で、今回の法律改正は私は有意義じゃないかなと思っているわけであります。

津村委員 ちょっとそれも気になるのでもう少し伺うんですけれども、その前に、本来任務化するというのが、何か裏づけがあるのか。例えばそれだけの人を配置するとかお金をつけるとか、そういう何か資源を伴ったものなのか、それとも、今姿勢を示すとおっしゃられましたけれども、どちらかというと精神的な、資源を伴わないものなのか、リソースをそこに配置するのかしないのか、それは庁の経営としてどういうふうにされるのか、お聞きします。

久間国務大臣 それはこれから先の取り組み方だと思いますけれども、今、限られた人材、限られた資材、そういうので運用しておりますだけに、これができたからといって直ちに、そういう財政面での制約もありますから大きくするわけにいきませんが、やはり専門のそういう教育隊みたいなのは必要でしょうし、また、中央即応集団の中に先遣隊を、すぐ直ちに、そういうような場面が発生した場合には調査に行くというような部隊を置いておく、そういう部隊編成もこれから先検討しなければなりませんし、また、いろいろな問題があったときに今の輸送能力で十分かどうかと考えると、輸送面ではもう少し大型のいろいろな輸送態勢を組めるような、そういう装備もそろえる必要があるんじゃないか。そういう意味では、そういう若干のいろいろな出入りはあろうと思います。

 しかしながら、総体としては、今非常に財政の厳しい折でございますから、その分だけ特別に余分に追加するというようなことを直ちにここでお約束できるような、そういう状況にはございませんので、なかなかそこのところがつらいところではございますけれども、やはり何らかの対応は、迅速に対応できるような、そういう配慮をこれから先、部隊編成も含めてやっていく必要があるんじゃないかなと思っておるわけです。

 だから、私はよく部隊編成について、これはまだ陸の皆さん方とも議論したわけじゃございませんけれども、地元その他で、いろいろなところで聞くのは、今までは、出ていくときに募集をして、しかもエリートみたいな形でグループを組んで部隊編成をして出していった、そしてそれなりに成果を上げて帰ってきたけれども、これから先はそういう運用がいいのかどうか。一つの部隊が行って一つの部隊が帰ってきて、その行った経験を生かしながらそれがまたほかに伝わっていくような、そういう部隊運用の方がいいんじゃないか、集めて行って帰ってきたらまた各部隊に散っていくというのが果たしていいのかどうかというようなことを、いろいろと問題提起もこれまでこのポストにつく前に言ってきたことがございますので、そういう点もいろいろこれから先は、もしこの法律が通ったら、本来任務化されたら検討してもらいたいなと思っているわけであります。

津村委員 意地悪なことを聞くんですけれども、今おっしゃられたようなことは本来任務化されないとできないことなんでしょうか。今のままではできないことなんですか。

久間国務大臣 やはり、本来の任務というのがあって付随的な任務だというふうに位置づけされていると、付随的な任務のものを格上げするというのはなかなか難しいんじゃないでしょうか。だから、それは若干ちょっと違うような気がしますので、やはり、本来任務とされればそれに応じた体制づくりをする必要があるんじゃないか、国民に対しても説明する必要があるんじゃないかというのがきっかけになって、私の言ったようなそういう動きも加速化されるんじゃないかなと思うわけでありまして、ないとは言いませんが、加速化されて、行く方が行きやすくなる、そういう感じがいたしております。

津村委員 やはり組織ですから、組織を効率的に運営されたり経営されたりする際には、自分たちの組織は何を目的としているのかというプライオリティーを明確にしておくべきだと思います。そういう意味で、本来任務というものがたくさんたくさんあると、それは混乱を招くのではないかと思うんですね。付随任務だからといって、それは任務なんですからちゃんとするのは当たり前ですし、今だって不都合なくされているとおっしゃるわけですから、どうして本来任務をふやす発想になるのかを確認したいということで、一〇〇%反対とは申しませんけれども、やはりそこは、優先順位が見えにくくなることにはきちんと御配慮いただきたいという意味です。

 聞かずもがなではありますけれども、しかしあえてお聞きするんですが、本来任務が複数になるわけですけれども、日本の本土の防衛と国際平和協力活動のプライオリティーをどうお考えになりますか。

久間国務大臣 それは、当然本土の防衛が第一でございまして、それに支障のない限りにおいて行うわけであります。

津村委員 それをどうして法律上反映させようとしないんですか。

久間国務大臣 それは、今度の法律でも、本来任務の中で主たる任務と従たる任務という形になっておりまして、主たる任務が我が国の防衛で、従たる任務というのが幾つか、そこは並んでおります。

 ただ、しかし、防衛については、プライオリティーは第一番でございますから、これは、そのために自衛隊ができたわけでございますから、そこは外しておりません。

津村委員 誤解を招く質問だったかもしれませんが、聞かずもがなと申し上げたのはそういう部分のことですけれども、やはり、プライオリティーを少しあえていじっているというか、優先順位が今までよりはわかりにくくなっているんじゃないかということを、あえて意地悪な聞き方をさせていただいたわけです。

 実際に、今この局面で、つまり北朝鮮の問題があるということもありますし、またその一方で、同盟国である米国は今、中東でのプレゼンスというものが非常に大きくなっている。つまり、こっちが手薄にある意味ではなっているわけですよね。そういう場面で、ますますその方向を加速するといいますか、主たる任務である日本の防衛を希薄化させるとまでは言いませんけれども、ほかのものの優先度を上げるということは誤ったメッセージにもなるし、実際、これからお金や物をどこまで使うかは別として、頭は相当、本来任務化で、これから国際平和協力業務について使っていかなければいけないわけですから、今そのタイミングなのかどうかということで問題提起をしているつもりなんです。今でなければいけないんでしょうか。

久間国務大臣 今やっていることを前提にして、それらを本来任務にするのでありますから、これを機会にどんどんふやしていく、そういうような姿勢が出ているわけじゃございませんで、現在やっている、そういうのをなぜやっているかというときに、それは付随的な任務じゃなくて、それも本来任務の一つなんだ、そういう認識をみんなに持ってもらう必要があるということで、本来任務の中に位置づけようとしたわけであります。

津村委員 昨年の防衛大綱との関係で、同じ質問を繰り返したいんですけれども、平成十七年度の防衛大綱については、おおむね十年後までを念頭に置いたものだけれども、五年後または情勢に重要な変化が生じた場合には必要な修正を行うということになっていると思うんですが、今回、これはある意味では情勢の重大な変更なわけですけれども、防衛大綱の見直し時期が早まるということはありますか。

久間国務大臣 私は、これによって早まることはないんじゃないかと思っています。

 というのは、防衛大綱なんかは、現実をとらえて大綱をつくっております。だから、法律上は付随的なことになっておりますけれども、現実にもうそういう形で国際協力業務をかなり本来任務化して行っているわけですね。だから、むしろ法律の方がおくれているような感じすらするわけでありまして、大綱の方がそういう意味では先取りしているような、そういう感じがいたしますから、だから、私は、大綱はこれによって変わることはないし、その必要はないんじゃないかなと思っております。

津村委員 次の質問に移りますけれども、今回の法改正によって、改正以前に着手されている国際平和協力活動というものが引き続き継続されているわけですよね、イラク派遣等がそれに当たると思いますが、こうしたものの位置づけというのは、この法律が変わった瞬間に変わるわけですか。

久間国務大臣 それは変わらないと思います。やっていること自体は、これによって大きくするとか、そういうふうなことはないわけであります。ただ、法律上、本来任務として、自衛隊法上の、法令上の位置づけが変わるということでございますから、実態面においては変わらない、そういうふうに理解していただいていいと思います。

津村委員 ちょっと済みません。そこはもう一度確認したいんですけれども、実態面で変わらないというのはわかりました。しかし、その瞬間から、付随任務から本来任務に位置づけ自体は変わるんですか。それとも、付随任務として最初に実施されたものは、引き続きその限りにおいては付随任務なんでしょうか。

久間国務大臣 現在、国際協力業務に従事している人たちは、自衛隊法の位置づけに基づいて行っているんじゃなくて、それぞれの特別法に基づいて行っているわけでございますから、そういう意味では、内容的にも変わらないわけでありますし、また、位置づけ自体も、それぞれの法律が今度の法律の改正によって変わるわけじゃございませんので、そういう点では変わらないというわけであります。

津村委員 法律の位置づけは変わらないでよろしいんですか。

久間国務大臣 それは変わりません。

津村委員 少し質問をかえますけれども、国際平和協力活動については、外務省との連携というものがこれまでもあるでしょうし、これからも大切だと思うんですけれども、省昇格が、国際平和協力業務に限らずですが、外務省との安全保障をめぐる協議において、どういう影響を及ぼす、どういう影響を与えるとお考えになりますか。

久間国務大臣 これは、これまでもPKO事務局等が内閣府に設置されて、そこでやっております。そういうような、それぞれの法律の位置づけによって行われておりますので、私は、これまで外務省との連携を深めてまいりましたが、これから先も同じ、連携はもちろん今まであるいはそれ以上にとっていきますけれども、関係については変わらないというふうに思っております。

 ただ、取り組みが、どういう形で、どちらが先か、そういうことについては若干違ってくることもあるかもしれません。今までだったら、防衛庁で、施設庁、防衛庁もそうですけれども、どちらかというと、与えられた仕事をやるというイメージがあるんですね、庁という場合には。自分が主体的にやるというよりも、どちらかというと決められたことを、これをやりなさいというのが、例えば国税庁であり食糧庁であり、庁というときにはそういうような概念といいますか感じが強いわけですけれども、そういう意味で、省という場合には、もう少し積極的に前に出るということは出てくるんじゃないかなと思います。

 それはどういうふうに微妙に影響するのか私は一概に言えませんけれども、何かやはり協力はしなければならないが、そういう主従の関係じゃない。今までだったら、外務省が、こう決めて、こういうふうに国際協議でなったから、自衛隊さん出なさいと。実際はそうじゃないんですよ。実際は協議しながらやっていますけれども、法令上の位置づけからいくと、防衛庁の場合はそういうような感じに、感じとしてはありますけれども、今度は、そうじゃなくて、政策官庁として、双方が対等の立場で、これはやらなきゃならないとか、そういうことを議論しながらやっていくような、そういうことになるんじゃないかなと思います。

津村委員 抽象的ではありますけれども少し気になる表現があったと思うんですが、省になることによって、これまでは与えられた仕事をやるイメージだったものが、積極的に前に出るイメージに感じが変わるとおっしゃるわけですけれども、今まで大臣が、非常に抑制的に、庁が省になっても安全保障政策自体は変わるものではない、むしろ実務的な、予算の請求であるとか閣議の請議であるとか、そういうことを実務的に御説明になってきたことからすると、非常に何か勇ましいお話になったように聞こえるんですけれども、積極的に前に出るとはどういうことですか。

久間国務大臣 私の言い方が、もしそういうふうに勇ましくなったと言われれば、そこはちょっと言い方がまずいのであって、そうじゃなくて、我が国の安全政策上、こういった国々にみんなが出ていくときに、我が国もやはり行くべきであるというようなことをそういうような観点から主張ができる、そういう言い方だと思います。

 というのは、今までだったならば、そうじゃなくて、要するに、決まったことを実行する官庁というイメージなんですね、本当を言うと。ところが、現実には、防衛庁は外務省とも、いや、ここはもう自衛隊をでは使いましょうというようなことを実際は言っているわけですけれども、それは、法律の組織からいったらそうじゃなくて、防衛庁の自衛隊をこういう形で出しましょうというような形を内閣として決定して、防衛庁にそれが回ってくるという、それが、組織論として、法令上の位置づけとしては、防衛庁である場合はそういう位置づけになっているということを言いたかったわけであります。

津村委員 代表質問のときにも伺った質問と大変近いことをお聞きするんですけれども、私は、橋本元総理の省庁再編というのは、非常に大きなといいますか、画期的な業績だったと思っているんですが、その際の一つの目玉といいますか、内閣府の機能を強化させていく。ある意味では、霞が関の官庁を少しコンパクトにすることによって機能を強化する、あるいは総合的な調整機能というものを強化していく。例えば防災そして災害派遣というのはその典型的なものだと思うんですけれども、今回の制度変更というのは、ある意味ではその面で後退してしまうのではないか。特に災害派遣は防衛庁にかかわる部分ですけれども、これは内閣府の、済みません、同じことをもう一回申し上げて恐縮ですが、橋本行革のときの総合調整機能の強化というものと逆行するおそれはありませんか。

久間国務大臣 それは違うと思います。というのは、橋本内閣のときの総合調整をしたときでも、各省庁、防衛庁も含めて、各主任の大臣なり国務大臣をもって充てる、そういう省庁も含めて、そこの本来の任務については、これはそのままあのときも残したわけですよ。ただ、そういう省庁と省庁との間の総合調整が必要な部分について内閣府がやるということになっておりまして、それは現在もそのままでございます。

 だから、そういう点では、今度の法律が通ったとしてもそこは従来と同じでありまして、今の内閣府の中でも、主任の大臣といいますか、国務大臣をもって充てるという防衛庁の職務について、それは総合調整の対象になっていないわけでありますから、それ以外の分野で内閣府は総合調整するわけですから、内閣府の仕事としてはイコールであります。

 だから、官邸が機能を強化するという話と内閣府の総合調整というのはこれまた別でありまして、官邸が司令塔としての役割をもう少し強化すべきだという話はまた別途あろうかと思いますが、内閣府の総合調整機能としては従来と変わりません。

津村委員 そうすると、別の聞き方をします。防衛庁が防衛庁であったことのメリットというのは何もなかったんでしょうか。

久間国務大臣 メリットがなかったわけではなくて、やはり、防衛庁がスタートしたときに、日本は、かつての、軍が独裁に走ったような、そういうことを実力組織がしないんだというイメージを国民に与えた、そしてそういう自衛隊の管理として防衛庁ができた、そういうようなことは歴史的に私は意味があったんだと思います。

 それにみんな国民はなじんできて今日まで来たけれども、そこにやはり、政策を判断するような官庁としてもう少し脱皮したらいいんじゃないかな、そういうような思いがあって、それで、防衛庁という言葉も非常に国民に広くなじんでいるから、我々としても防衛省という言葉を使わせてもらっているぐらいでございますから、そういう意味では、防衛庁が、戦後我が国が全く実力組織といいますか、そういうのを持たないというところからスタートして、今日まで国民になじんでくるまでの間、信頼を持ってもらう間については、防衛庁としての役割は私はあったんじゃないかなと思っております。

津村委員 都道府県との関係について少し話をかえていきたいと思います。

 私の地元でも二年前に豪雨による土砂災害がございまして、自衛隊の皆さんが出動していただいて行方不明者の捜索等をしていただいたことがありました。そういった災害派遣というんですか、県の要請に基づいて行われたわけですけれども、私は正確に記憶しておりませんけれども、その際、内閣府の防災担当の方が岡山県に見えて、いろいろと情報収集をされたり、あるいはそれを中央に伝えてということもありましたので、私はその辺が先ほどの質問のイメージにあるんですけれども、都道府県との自衛隊の災害出動の連携といいますか、そういう中で、内閣府と距離ができることによって、その辺の情報の流れといいますか、指揮命令系統というのは今回変わらないですか。

久間国務大臣 今言われた内閣府と距離ができるという、それも私は余りないと思うんですね。

 内閣府の防災担当の大臣は防衛庁と、長官である私なら私、そこの防衛庁という組織と、今までだって同じような状態にあるし、これから先も同じような状態にあるわけですね。そういう点では、私は、内閣府との距離ができたからどうだということには、距離もできていないし、心配ないと思います。

 ただ、最近はやはり、防衛庁というよりも自衛隊と各県との取り組みが非常に緊密になってきておりまして、これは非常にいいことだと思っております。

 私は、阪神・淡路大震災のときも実は神戸にも行きましたけれども、あの当時はまだ、今まで一緒に災害の共同訓練なんかもやったことがなかっただけに、県の人もそうでしょうけれども、市もあるいは住民も、自衛隊は何をしてくれるのかと言わんばかりのことをやって、そんな感じだったのが、終わるときには非常によかったという感じだったし、例えば、私の地元で雲仙・普賢岳が噴火いたしました。これは十年ぐらい続いたわけですけれども、私の選挙区といいますかあそこには、自衛隊が地連も含めて一つもないところなんですよね。しかしながら、あそこのときに来てもらって、あの火山の火砕流その他のときにも自衛隊が絶えずずっとおってくれたということで、もう引き揚げるときにはずっと半島の入り口まで列をつくって送ってくれたぐらいに、非常に関係ができました。

 それ以来、何か災害の問題があると、講演に来てもらうとか、いろいろな話で今密接な関係ができておりますけれども、最近、各県ごとにそういうことができて、それぞれの師団と各県とが連携をとりながらやっておりますし、県によっては、自衛隊のそういうような防災関係を特に手がけたOBさんなんかについては、防災担当の部長なり、そういうスタッフとして県に職員として要請している、そういう県もあるわけでございますから、私はその辺は、今度災害派遣も本来任務化のうちの一部になりますけれども、それも非常にうまくいくんじゃないかなと思っております。

津村委員 今、期せずして最後にお触れいただいたんですけれども、私は、自衛官の皆さんの士気を向上させるというような議論がよくありますが、省昇格も確かにその意味があると思います。その一方で、先般の、例の談合問題のときの議論でも痛切に感じたんですけれども、やはり将来への不安というものが再就職も含めてあるんじゃないかな。そこをしっかりと、ある意味厳しいルールをつくるということもあるでしょうが、今お話に出たように、自治体への再就職の、あっせんという言葉がいいのかわかりませんけれども、再就職をする意味というのはいろいろあると思うんですよね。

 もう少し一般的に伺いますが、自衛官のOBの方々というのは、一般的にどのような技能にすぐれていらっしゃって、どういう再就職が適しているとお考えになりますか。

木村副長官 今先生の御質問でありますけれども、全般的には、もう先生御承知のように、規律正しさ、またまじめさ、行動力、実行力、そういうものにすぐれていて、いろいろ評価をされているというふうに思っております。

 今、地方との関係で、防災関係、また専門的な知識も培っているわけでございまして、そういうような面でも大変高く評価をされているというふうに理解をしております。

津村委員 その結果といいますか、私も同じように思っておりまして、地方自治体や、さまざまその技能を生かしていただく場面があるんじゃないかな。ただ、それは、地方自治体の方でも人探しにある意味では苦労されている面もあるわけで、そこは、きちんと情報を伝えていく、連携していくことが大事だと思うんですけれども、実績として、各都道府県別に見た場合、これは通告させていただいている質問ですけれども、どのぐらい都道府県に再就職というのはしているんでしょうか。

木村副長官 今お話ありましたように、退職自衛官が専門的な知識を生かして地方のいろいろな防災担当へ行っているというのは今お話を申し上げたところでございますけれども、その人数につきまして、平成十八年の九月三十日現在でございますけれども、地方公共団体の防災関係部局に在職する自衛官でありますが、四十一都道府県に五十名、五十五市区町村に五十八名が在籍をしておるというふうに承知しております。

津村委員 ちなみに、四十一とおっしゃったんですけれども、いない県というのはどういうところなんですか。

木村副長官 在職をしていない県は、今三県ございます。具体的に申し上げるんですね。栃木県、長野県、沖縄県の三県であります。

津村委員 ごめんなさい。細かいことを言ってあれなんですけれども、さっき四十一都道府県で五十名とおっしゃられませんでしたか。

木村副長官 失礼いたしました。

 今の三県は、県だけではなく市町村も含めて全くいない県が三県ということでございました。失礼をいたしました。

 県でございますと、栃木県、福井県、長野県、兵庫県、奈良県、沖縄県ということであります。

津村委員 ありがとうございました。

 以前、これは寺田委員の質問に関係するところなんですけれども、防衛施設庁の議論が行われたときに発表された早期退職慣行の見直しについて、半年前の時点で、平均勧奨退職年齢を段階的に引き上げていく努力と同時に、実施可能なものから順次実施していくこととするということになっていたんですが、公表から半年たってどういう状況ですかということを寺田委員が御質問になられて、私も聞いておったんですけれども、たしか少しお時間がなかった関係もあって御答弁が大変短かったように思うんですが、具体的には、どのような見直しを行うようにこの半年間検討を進められたんでしょうか。

木村副長官 いろいろ、あのとき、建設系技官の縦割りの閉鎖的なあれが問題になりました。そんな中で、建設系技官の勧奨退職はその後行っておりませんで、できるだけ早期に五十八・五歳の目標に達するように今努力をしているところでございます。

津村委員 五十八・五歳という数字、たしか出ていたと思うんですけれども、これはいつごろまでに達成できそうですか。また、平成十八年度の末ではどのぐらいの年齢になりそうですか。通告をしているので。

木村副長官 十八年の十一月一日現在、今、五十八・四歳ということでございますけれども、今の目標に向かって、できるだけ早く達成できるように努力をしていきたいというふうに思っております。

津村委員 今の数字は……。

木村副長官 済みません。

 建設系技官についてはしていなくて、五十八・五歳に努力をするということでございますけれども、建設系技官の勧奨については、五十八・四歳にしておるということでございます。

津村委員 ちょっと後で私もよく……。

 改めて御答弁いただけるならお願いします。

木村副長官 建設系技官については今回やっていなくて、これから目標に向かって努力をしていくということであります。

津村委員 長官、それでよろしいですか。

久間国務大臣 今回は、建設系技官については勧奨退職をそもそもしなかったということであります。

津村委員 わかりました。

 それでは、募集の方の話に少し移りたいと思うんですけれども、先ほど石破先生とも幾つか予備役の話を議論されていたと思うんですけれども、もう少し一般的に伺っていきたいと思います。

 自衛隊の新規入隊者数、そして自衛官の平均年齢というのは近年どのように推移しているでしょうか。

木村副長官 新規の入隊者数というのは、各年度の退職者数に変化をして毎年上下しているわけであります。平成五年以降でありますけれども、少ない年というのは、平成十一年度で約一万人でございました。また、多い年では、平成十七年度で十七万五千人ということになっております。

 年齢でございますけれども、定年延長との関係で、平成五年から十三年ぐらいまでは順次高くなっておりますけれども、それ以降は大体横ばいになっているという状況でございます。

 済みません。一万七千五百人でございます。平成十七年度、一万七千五百人。

津村委員 ちょっと数字が、いろいろな数字が飛び交って……(木村副長官「一万人と一万七千五百人です」と呼ぶ)

木村委員長 では、もう一度きちっと答えてください。

木村副長官 失礼いたしました。

 平成十一年度で一万人、多い年の平成十七年度で一万七千五百人でございました。

津村委員 十七倍になったのかと思っていました。わかりました。

 私は、以前経済関係の仕事をしていたものですから、景気動向と雇用の問題の関係が大変気になるのですけれども、今後、先ほども少し議論がありましたが、少子高齢化あるいは景気回復で労働市場が逼迫していくということも予想される中で、それこそ外国人労働者の問題なんかもいろいろ議論になるわけですけれども、自衛隊の採用環境というのは厳しくなる可能性が高いと思うんですね。

 そういう議論について、先ほど、石破先生からの御質問は予備役に特に焦点を当てた御質問でしたけれども、次の世代に検討していただければというふうに、ちょっと宿題を残されるような御答弁だったんですが、私は、やはりこの省昇格の場面で、これは少し丁寧に議論した方がいいんじゃないかなというふうに思うものですから、これから安定した募集を実現していくためにどういう方法をお考えかということを少し御披露いただきたいと思います。

久間国務大臣 確かに今は、不景気が続いてまいりましたので、大分募集は楽でありましたけれども、これから先は、私も、正直言って大変だろうと思うんです。

 少子化が続いていますと、とにかく百万を割ってきた、ということは、その中で男性が五十万を割るわけですから、新規の大学卒業者が五十万を割ってくる。それで、みんなほとんどが大学に行くようになってくるわけでありますから、そういう中で危険な仕事、こういったものに従事する人たちがどれぐらい出てくるだろうか、景気がよくなってきた場合には大変じゃないかな、そういう感じがしまして、これから先の募集は、やはり安定的に募集をきちんとできるような体制を今まで以上に心がけていかなきゃならない。

 各都道府県でやってもらっております募集の協力をしていただいている方々に対する感謝の意も込めて、これから先引き続きお願いしようと思っているわけですが、それだけでも済まないような感じがしまして、先ほど次の世代というか長期的にと言ったのは、言うなれば自衛隊は、訓練されて非常に規律のいい、非常にすばらしい人材でありますから、公共財みたいなものですから、この公共財を、警察、海上保安庁、消防署、あるいは刑務官、そういったところでどういうふうにして、これは海外からというわけにいかぬわけですから、こういう人たちについては。

 こういうことについて本当にみんなが配慮しなければならない時期が来るんじゃないかなと思っておりますので、募集については十分体制を組むようにしていきたいと思っております。

津村委員 私自身その定見を持たずに伺ってしまうんですけれども、自衛官の募集環境が今後厳しくなっていく中で、在日韓国人の方とか、そういう国籍という意味では外国籍の方の採用ということについて、どういうふうに考えていけばよろしいんでしょうか。

久間国務大臣 公権力の行使に当たる者については日本国籍がない者はだめだという、そこはもう大体一貫しておるわけです。特にこの自衛隊の場合も、警察官もそうですけれども、やはり、公権力の行使以上に、場合によっては武器まで持って治安に当たるようなこともあり得るわけでありますから、そこはやはり最後まで国籍を問われるんじゃないかなと思います。

 だから自衛官から国籍を外すというのはなかなか難しいんじゃないかなと思いまして、外国では外人部隊を雇っているところはありますが、それは自国においてよりもむしろ外国に行っている部隊等に使っているぐらいで、やはり自国については自国民をもって充てているようでございます。だから、そういう点を考えますと、これは最後までやはり日本国籍でやるべきだ、そういう意見が非常に強く残ると思います。

津村委員 一つの御見識だと思いますし、理解するところなんですが、そうした中で、日本人の人口がこれから減っていくとすれば、二つあると思うんですね。

 一つは、先ほど少しお触れになりましたけれども、募集相談員の方その他、リクルートで努力されている方たちをどういうふうにエンカレッジしていくのかということが一点。それからもう一つは、これはどこの企業でもそうなんですが、雇用環境が厳しい中で、つまりなかなか人が採れないという中で採った場合は、大人気企業であればまた違うのかもしれませんが、やはり教育研修というところを並行して充実させていかないと人材育成の面で問題が生じ得るということがあると思いますので、この点も以前少し議論があったんですが、どうもしり切れトンボのように聞いておったものですから。

 この募集活動、募集相談員の方たちをどうエンカレッジしていくかということが一点と、それからもう一つ、いろいろとモラールの低下を言う方もいらっしゃいますが、自衛官の研修教育についてどういう構えでこれから取り組んでいかれるのか、二点お伺いします。

久間国務大臣 長い傾向でいきますと、どうしても隊員の数もやはり減ってくると思うんですね。そうすると、一人の人の能力を、今の一・一倍とか一・二倍とか、それぐらいの能力を発揮してもらうような、そういうことにも努めなきゃならない点も出てくるわけでありますから、そういう意味では、とにかくやはり自衛隊員の教育をやっていくことによってそういう能力を今以上に発揮してもらう。それとまた、場合によっては、いわゆる筋力を使わないで済む、そういうような部署についてはリタイアした人を再雇用するような、そういう形での使い方も出てくるんじゃないかなと。

 いろいろなことを考えながらやっていかないと、とにかく二、三十年先にやってくる少子化社会をどうやって切り抜けていくのか、本当に、非常に大変なことだ、そういうような認識を持っております。

津村委員 余り時間がなくなったんですが、最後に、ミサイルディフェンスのことについて少し伺いたいと思います。

 これも以前の、たしか寺田委員だったと思いますが、議論からヒントを得たところなんですけれども、イージスシステムと迎撃用ミサイル、要するにMD防衛をこれから少しテンポを上げていかなければいけないんじゃないかという議論もある中で、できるだけやはりコストを下げて、場合によっては、PAC3の方は射程が小さいわけですから、といいますか範囲が狭いわけですから、PAC3の方が範囲が狭い分むしろSM3の方を先にした方がコスト対効果という面で効率的なんじゃないかという御質問に対して、長官からは、いや、それはやはり二重でやった方がより確実なんだという御答弁だったんです。

 それはそれとして、私は、このSM3の方を地上に配備するということが技術的にできないのかなということをちょっとお聞きしてみたいと思うんですね。

 確かに、歴史的にはこれはもともとアメリカが、自国の防衛といいますか戦域ミサイル防衛という考え方で、同盟国も含めてかなり広い範囲で機動的に運用するために移動可能な船を中心にそういう防衛構想をつくったというのがあると思うんです。日本の地形を考えたときに、以前、縦深性というんですか、日本の地形の特殊性からおのずと防衛構想が日本とアメリカで違い得るんじゃないかという議論もこの委員会でありましたけれども、まさに、この問題については、ある意味では方向は一つの方向なわけですから、基本的には西の方に向けてこの防衛網を張っていくというときに、日本海に何隻船を浮かべるかという話をよくするんですけれども、船をつくるのにも大変なお金がかかるとすれば、例えばどこの半島がいいのか、どこの島がいいのかわかりませんが、日本海沿岸にミサイル、イージスシステムを配備するというのが事日本の防衛にとっては非常に効率的だと思うんですけれども、そういうことは技術的あるいは国際関係上不可能なんでしょうか。

久間国務大臣 技術的あるいは国際関係上それが不可能というわけじゃないと思いますけれども、やはり今までの発想的に、そういうことでイージス艦を使って、そして今のSM2なんかを改良して使えるという安易さがあったので、そっちの方に話が行っております。

 だから、発想として、地上に置くということを発想していませんし、地上に置くとなると、ではどれぐらいの人間を今度新たに配置しなきゃならないか。船につけますと、今の人員のままでそのまま使えるわけですね。そうしますと、弾そのものの値段はPAC3とSM3とを比べて安い高いはあったとしても、トータルコストとしては、新たに人員を配置するよりは、船についているものにそのまま使った方がいいということもありますから、一概に比較がしにくい点もあろうかと思います。

 しかしながら、そういう御提言について、私も初めて聞いたので、地上に置くという発想はまずなかったのでコスト的に考えてみたことはございませんが、一概には安くなるとは必ずしも言えないんじゃないかなという気もします、そういうふうに。今のものは、船に乗っている、イージス艦にそのまま使えるわけでありますから。しかし、それはせっかくの御提言ですから、コスト的にもどうなのか、それをやったときにどういう支障が出てくるのか、またどういうふうなプラス面もあるのか、それは研究してみようと思います。

 SM3の場合は、我が国の場合は、常時二、三基あれば、そしてローテーションも考えて四基あればそれで一応いいわけですから、それぐらいを今考えておるわけでございますので、それ以上のことはまた、もし予算的に可能になればあれですけれども、とりあえずはその四基ぐらいを二十三年までに配備したいというふうに思っているところであります。

津村委員 現在の進められているその四基のことについてとやかく言っているつもりはないんですが、それをさらにふやそうという議論があるとすれば、そのときにはやはり人員も新しくしなきゃいけないわけですから、限界的にはより安いのじゃないかな、そういう意味です。やはり船を運用するにはそれだけの、ガソリンも含めて、あるいは、ミサイルのためだけに船に人が乗っているわけじゃないですから、いろいろなコストもかかるんでしょうし、あるいは、天候その他、どのぐらい天候に左右されるものなのかわからないんですけれども、不確定要素もそれだけふえると思いますので、そういう意味での御提言といいますか御質問を差し上げた次第です。

 では、そのことに関連してこれは伺うんですが、今、国際関係上も別に不可能なものじゃないというふうにおっしゃったんですけれども、私が自分で考えると、これはアメリカの防衛哲学というか防衛思想とある意味では矛盾するというか、日本のイージス艦の移動可能であることはアメリカにとってはメリットがあるのかもしれませんから、そこが少し気になったんですけれども、ミサイル防衛システムの開発、日本独自のものを進めていくのかいかないのか、こういう運用の構想について独自の考え方を持っていくことは可能なのかどうかということを最後にお聞きして、質問を終わります。

久間国務大臣 これは、アメリカが最初にやり始めまして日本がそれに共同研究で参加した形ですから、これから先もミサイル防衛システムについてはアメリカと共同、運命共同体といいますか、それぐらいのつもりで取り組んでいきますので、向こうのいろいろな意見等も聞きながらその辺は調整しなければなりません。やはりアメリカの場合も陸と海とでは若干違いまして、なかなかその辺の問題もあるんじゃないかなと思っております。

津村委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉です。

 私は、この省への昇格法案、この前も申し上げましたように、審議の大前提に、官製談合のけじめをきちんとつける、そして防衛政策の一貫性をきちんと担保するということがあると思います。

 これは通告しておりませんので、大まかなお考えで結構ですので、長官にお聞きしたいと思いますが、イラク戦争、自衛隊のイラク派兵について、総括をどのようにされるのか。

 と申しますのも、きのう夜からきょうにかけて、イタリアでもイラク戦争は過ちであったとして撤退を決定する、そしてブレア首相、イギリスの方は、今まで何もこれに触れなかったにもかかわらず、閣内でブラウン国防長官が来年度末までに部隊を削減するという発言をされていますので、長官としてどのように我が自衛隊の派遣を総括されるのかということを伺いたいと思います。

久間国務大臣 日本の場合は、イラク戦争そのものに対しては、それは内閣として支持をしたかもしれませんしあれですけれども、自衛隊の派遣については、戦争には、一貫してこれには参加しないという立場をとってまいりました。そして、戦争が終わりましてから、国連がイラクの復興のために各国に協力要請をしてきて、それに対してどうするかというときに、これはやはり行こう、そういうような考え方で自衛隊は派遣したわけであります。

 ただ、そのときに、イラク国内はまだ戦闘状態じゃないかという意見も一部ありました。しかしながら、地域を選べばそれは非戦闘地域もあるはずだから、そこでならやれるんじゃないかというふうな、そういう考え方の中で、あのサマワの地を選んで行きました。そして、戦争が終わった後の復興に協力をした。私は、それはそれなりに成果を上げたんじゃないかなと。

 イラク国民は、自衛隊に対しては反感は持たずに、非常に喜んでくれました。というのは、サマワの知事がお見えになりましたとき、私は今のポストじゃなくて党の要職ではございましたけれどもお会いしましたときに、大変助かっている、みんな喜んでおる、そういうふうなことをおっしゃられましたので、それはお世辞抜きで喜んでくれたんだと思っておりますから、私は、イラクへの自衛隊の派遣は間違っていなかったと今でも思っております。

前田委員 突然の質問で恐縮でございました。

 次に、核搭載艦船の我が国の領海の通過について伺いたいと思います。

 久間長官が民放のCS番組において、これは十六日であったわけですけれども、核搭載艦船が我が国をかすめるように領海を航行することを容認するような発言をしたと報じられておりましたけれども、この問題に関して、十一月二十四日の当委員会における我が党の長島委員の質問に対して長官は、「今の政府はその後の答弁でも、十二海里でも同じであります、十二海里の中に事前協議があった場合はノーと言いますということを言っておりますから、政府の態度としてはそれを貫く。」と御答弁されているわけであります。

 この答弁は、領海が三海里であった時代から現在まで、核搭載艦船の我が国領海航行に関して米国から事前協議があった場合は我が国政府は了解しないとする立場を一貫して貫いているということを表明されているというふうだったと思いますけれども、米側から事前協議がない以上、核搭載艦船が我が国領海を航行していることはないというふうに認識をしておられるのか、そういう受けとめ方をされているのかどうかを長官に伺いたいと思います。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

久間国務大臣 米国と我が国は信頼関係が強い国でございますし、その米国が事前協議をすると言っているものが事前協議をしていないわけですから、我が国の領海内を米国の核を積んだ潜水艦が通過しているとは考えられませんので、そういう認識であります。

 それともう一つは、そういう議論が昔やられました当時と比べますと、今はもう戦術核を積んでいる潜水艦というのがほとんどいない、水上艦については全部積まないというようなこともやっておりますから、核については、かなりもうそういうセンシティブな問題が起きていないというふうに一方ではまた認識しております。あの当時はまだわからなかったし、戦術核もありましたから。

 ただ、私が、かすめるような形で通過することについては、それはあり得るといいますか、法令上は、法令上というか、問題にならないんだということを言ったのは、核について日本も持つべきだ、持ち込ませるべきだというふうな、そういう議論が一方ではあるものですから、やはりそれは、一つは、核抑止力が日本にはないからそういうことを言うような空気が少し出てきているんじゃないかなということもありましたので、そういうようなことを心配せぬでもいいんですよ、核抑止力はアメリカによってちゃんときいていますよということを言いたいという気持ちも実はあったわけでございまして、現実には、最近の状況からいったら、戦術核を積むようなことはほとんどありませんし、それは、戦略核でしたら何も日本の近海にいなくたっていいわけですから、だから、そういうことを考えますと、事実上はないというようなことも考えられますし、それと同時に、日米の信頼関係からもそれはないというふうに認識しております。

前田委員 アメリカについては、これは日米安保条約で、七四年の宮沢喜一外相答弁で、すべて事前協議が必要であるというふうになっておりますけれども、では、それ以外の核保有国について伺いたいと思います。

 当然、九六年の橋本龍太郎首相答弁がありますけれども、国籍にかかわらず核搭載船の我が国領海の通航は無害通航とは認めないという立場をとっている、この立場の変更はないという橋本総理の答弁がありますけれども、では、核持ち込みに関する事前協議について合意のない核保有国の軍艦等の我が国の領海の航行については、どのような方法で核の搭載の有無を確認するんでしょうか。非常に私は難しいと思うんですけれども。

久間国務大臣 まずその以前に、アメリカ以外の国が我が国の領海内に潜水艦で入る場合、それは、そのためにP3Cが常時偵察しておって、そして領海に入ったら直ちにそういう警告をして浮上させようとしているわけですから、核を持っておろうが持っていまいが、まず我が国の領海内に入ってくることはないわけで、この間たまたま沖縄のところで中国の潜水艦が横切ったというときに、それが見破られて、向こうは恐らく内部的には大変な問題になったと思いますけれども。

 いずれにしましても、そういう形でよその国の潜水艦が我が国の領海内に入ってくることはまずないし、それを発見するために一生懸命日ごろから警戒をしているということですから、それはないというふうに思っております。

前田委員 今長官がくしくもおっしゃったように、実際に中国原潜が入ってきたわけでありますので、潜水艦司令をしておられた方が指揮をとられた、佐世保からその原潜の追尾をしたということですけれども、私は、やはりこうした場合もケースとして考えていかなきゃいけない。安倍内閣は、そうしたいろいろなケーススタディーを積極的に議論されるということですので、私はこれは考えていくべきことだと思います。

 そこの中で、非核三原則の中でも空洞化が指摘される持ち込ませずの部分ですけれども、この解釈の緩和の意向が長官にあるんではないかと私は思うんですけれども、いかがですか。

久間国務大臣 というよりも、持ち込ませずというのに、私はその言葉自体が非常にあいまいだというところで気にはなるんですけれども、ただ現実には、そういう議論がされた当時と今とでは、いわゆる戦術核が使われていないという通例、世の中の常識、それからいくと、余り神経質になる必要はないというふうに思っておるわけであります。

 あの当時はまだ小型のあるいは近距離の、対処するためのいわゆる戦術核を使うというような、そういうことでしたけれども、九〇年代から今日まで、もうそういうのは使わない、そういうことでアメリカとソ連が合意してからは、そういうのについてはほとんど気にしておりませんので、まず、持ち込ませずの概念の甘さからくるそういう問題もないんじゃないかなと思っております。

前田委員 しかし、現実に中国原潜が入ってきているわけですので、こうした考えはやはり僕はケースとして考えるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

久間国務大臣 原子力潜水艦と核を搭載した潜水艦というのはまた別でして、その辺についてはやはりきちんと区別しながら、原子力潜水艦も我が国に入るときには追尾されるというか発見されるわけでありますから、むしろ、哨戒して発見する、そういう体制をきちんとつくる方が大事なわけであります。

 そういう点では、この間のものも、発見したということがああいうふうにばれるということ自体はこちらも実は困る点もあるわけですね、向こうにわかってしまったわけですから。だから、向こうは、それによってスクリュー音を小さくしようという努力を必死でやったと思いますね。

 だから、そういうことを考えますと、とにかく軍事関係というのは、その事実を教えること自体がマイナスになることもあるし、言わないと日本は知らないと思って行ってやれという式でいくかもしれないし、そういうところが非常に微妙なあやがあるわけでございますから、とにかく、なかなかいわく言いがたいところはございますけれども、我が国としては、そういうふうに監視網を敷いて我が国の領域には領海を含めてとにかく入らせない、そういうことをやっているわけであります。

前田委員 次に、弾道ミサイル防衛と集団的自衛権の関係について伺いたいと思います。

 先ほど石破元長官が質問に立たれましたので当然この質問をされると私は思ったんですけれども、違った質問をされましたので、私が伺いたいと思います。

 二十四日の当委員会における私の、第三国に向かった弾道ミサイルの迎撃に関する質問に対して、久間長官は、技術的に不可能であるとの認識を示されておられます。

 しかし、二十六日のフジテレビの報道二〇〇一に出演されました加藤元長官と石破元長官は、技術的に迎撃が可能となった場合の対応について、それぞれこういう発言をされておられます。

 まず、迎撃の必要性については、加藤氏が、それが必要とは思わない、米国の政策もいずれ変わるのでここで急激に日本の基本政策を変えるのは慎重にした方がいい、こう述べておられます。石破さんは、撃ち落とすべきだ、撃てるのに撃たずに米国に着弾して大変な犠牲が出たときに、本当に日米同盟はもつのか、こう発言されて、さらに憲法との関係については、加藤氏が、今の憲法解釈では難しい、やるのなら憲法解釈まで考えてしっかりと腹を決めなければならない、こう発言されて、石破元長官の方は、迎撃できるイージス艦を持っているのは日米だけなのだから、アジア太平洋地域の公共財として提供するのなら集団的自衛権の問題に触れざるを得ない、その場合、憲法を改正する必要はなく、行使に歯どめをかける安全保障基本法の制定で対応できる、こう述べられたとされております。

 二十四日の私の質問でも、迎撃が技術的に可能となった場合の迎撃と集団的自衛権及び憲法改正との関係について私がただしたんですけれども、久間長官は現在の技術では不可能であると答弁されるにとどまっておられます。

 二人の元長官がテレビに出演して正反対の意見を述べられているわけでありまして、それを踏まえて、仮定の問題には一切答えないというのではなくて、こういうケースも考えなければいけないということで、これが技術的に可能となった場合について、次の点について長官の意見を伺いたいと思います。迎撃をしないことが日米安全保障体制の信頼性に与える影響について、どういうふうにお考えなんでしょうか。

久間国務大臣 仮定の話ですから非常に答えにくい点もありますけれども、仮定ですから、また仮定としていろいろなケースを考えながら言います。

 いきなりミサイルをぼんと撃ってアメリカの本土を単発でねらうというのじゃなくて、そういうような状況が出てくるときというのはかなり緊張状態が出てくると思うんですよね、それはきっかけが何なのかわかりませんが。

 そういうときに、まず、日本が一緒になって防衛出動を下令されているような状態なのかどうか。そのときに、アメリカがそれに応援している状態で、そしてアメリカ本土を応援させないように混乱させるためにそれを撃つ場合、これだったら防衛出動の一環ですから、そのための一環として、そういうことをやられた場合は、それはどうかという話はあろうかと思います。

 それとまた、全く日本と関係ないところで何かあったときに、それに対してやられているときにそれを撃つというのはどうかというのは、これは、先ほど言いました、現在の憲法の解釈からいって自衛権を越えているんじゃないか。私はあえて集団的自衛権と言いましたけれども、民主党さんと同じように、個別的、集団的というのを分けて使うというやり方自体私も余り納得していませんから。要するに、それは日本の自衛権からは外れているんじゃないか。

 それからもう一つは、周辺で何か起きて周辺事態になっているようなときに、その先制攻撃としてなされたときにどうか、そういうケースがございます。

 我が国が防衛出動をやっているときは、もうはっきり現在の憲法でもやれると思いますけれども、あとの二つについては、そういうことについては研究する余地はあるかもしれませんけれども、なかなか難しいんじゃないかな、そういう思いがいたしております。

 しかし、いずれにしましても、技術的にまだまだそういうような状況に私はならないと思いますし、仮に技術的に可能になっても、どちらが効率がいいかとなると、こちらから情報をもらって、もらった方が待ち受けてそれを落とす方がはるかに追っかけて撃つよりは効率は高いわけですから、そういうことを考えますと、現実論としてはなかなかそういうケースは考えにくいんじゃないかなと思っております。

前田委員 今、長官がくしくもこれまた述べられましたけれども、集団的自衛権の行使に関して、個別的自衛権と集団的自衛権の区別は非常に疑問があるというふうにおっしゃっておられますけれども、アメリカを標的とする弾道ミサイルの迎撃というのは、ではもう一回整理されて、集団的自衛権に当たるのかどうか。それに際しては、その場合には憲法を改正する必要があるという御認識をお持ちなのか、あるいは、石破前長官のように、安全保障基本法をつくってそれで対応できるんだというお考えなのか、伺いたいと思います。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

久間国務大臣 どんな法律をつくっても、憲法上だめだとなっているものはだめなんですから、それは無理なんですね。

 問題は、要するに、憲法で規定しておっても、自衛のためにはやむを得ないときにはもう自衛せざるを得ないわけですから、これまた自衛権の発動というのは許されるわけであります。

 そのときによく言われるのは、集団的自衛権といって一緒に同盟を組んでおったら、その国の自衛権、その集団としての自衛権があるかのように言いますけれども、我が国の憲法上の問題として考えられるのは、我が国の自衛権かどうかというのが問われるわけでありまして、アメリカが例えばニカラグアを攻めている、あるいはアメリカがどこかの国と戦争しているから、日本はそれ行けといって助けるのが日本の自衛権かというと、そうじゃない。しかし、同盟国であるアメリカがつぶされてしまう、そうしたら次は日本がやられるというときには日本の自衛権として考えてもいいんじゃないか、そういうような考え方で私は憲法調査会でも意見を述べさせてもらったことがございます。それを、さも二つのような自衛権があって、個別的または集団的な自衛権が二つあるかのように言われているのは果たしてどうかとそのとき言ったわけであります。

 国連憲章でも安保条約でも、個別的または集団的な自衛のための固有の権利といって、最後に固有の権利としてまとめられておる、この考え方を持つべきであるということで、中山調査会長にも、今度憲法草案をつくられるときもぜひこの考え方を入れてくださいよということを私は言ったぐらいでございますから、個人としてはそう思っております。

 ただ、そうはいいながらも、今まで、政府は政府の解釈として、個別的自衛権と集団的自衛権があって、我が国は集団的自衛権の行使はできませんと言ってきている、その考え方がずっと国会の議論等でも通されてきておりますから、それについては、私は政府の一員としては踏襲しますけれども、果たしてそういうふうに峻別していいのかなという思いは今でも持っております。

前田委員 先ほど、報道二〇〇一において石破元長官が、米国を標的とする弾道ミサイルの迎撃は集団的自衛権の問題に触れざるを得ない、その場合、憲法を改正する必要はなく、行使に歯どめをかける安全保障基本法の制定で対応できる、こういうふうに言われております、繰り返しますけれども。

 集団的自衛権の行使に関する問題を含めて、我が国の安全保障政策に関する基本法の制定の必要性について久間長官はどのようにお考えなのか。もしこれが必要であると言われるんだったら、最低限こういうことは盛り込んでおくべきだというお考えを伺いたいと思います。

久間国務大臣 基本法というのがどういうような内容を持っているのか、逆にそれをちょっと伺わないと、どういう法律をつくろうと思っておられるのか、それがわかりませんので。やはり憲法で本来ならばきちんと規定するのが筋でありまして、憲法でだめと言ったものを法律で可能にすることは、まずこれはできないわけです、上位法ですから。

 そういうふうに思いますと、安全対策基本法というのが、どういうような観点で、どういう内容を盛ろうとしているのか私はわかりませんので、そこはちょっとコメントしようがございません。

前田委員 では次に、ことし、十八年三月二十日の、私はこれは談合であると断定するに足る事案であると思いますが、そのことについて伺いたいと思います。

 今、委員会にこの資料を配付させていただきました。これは、平成十七年度決算検査報告の七百三十六ページ、七百三十七ページをコピーしたものでありますけれども、もちろん会計検査院が出されたものであります。検査報告はこの十一月十日に内閣に提出されたものでありまして、私は、これは許されるべきものではない、そういう事案であるというふうに考えております。

 まず初めに、今申し上げた十一月十日内閣に提出された平成十七年度決算検査報告によると、Aという防衛施設局で、これは名前を何か明らかにできないということなものですからAという書き方でしょう、平成十八年三月二十日に談合をしていると断定するに足る資料の指摘があったわけであります。これについて会計検査院に御説明を求めたいと思います。

千坂会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 事例で記述しております防衛施設局では、平成十八年三月に指名競争入札を行いました設備工事におきまして、九社が入札に参加しておりました。そして、防衛施設局が保管している工事費内訳明細書を比較するなどしましたところ、落札した会社を含む六社において共通の誤字が認められました。

 具体的に申し上げますと、消火ポンプの「消火」が食べ物を消化する「消化」になっていたり、水石けんを数える単位を「個」とすべきところを「組」としているなどの事態が見受けられました。また、落札した会社を含む三社において、一般には会社ごとの事情により差が出ると考えられます直接工事費に対する共通仮設費、現場管理費等の率がほぼ同率であるという規則性も認められました。

 これらは、防衛施設庁では、十七年十二月以降の入札においては、指名された業者は他の業者がどこかわからないような措置をとっていたことを考えますと、不自然な事態であると認められましたことから、事例として記述しているところでございます。

前田委員 つまり、まず防衛施設庁が仕事を発注するときに計画書をつくるわけですね。その計画書に、正しい方は、消火ポンプ、火を消すポンプと書いてあったのに、誤って、物を消化するその消化のポンプと書いたわけですね。水石けん入れ、個数で書いてあったものを組と書いたわけです。それから、給排水管保温塗装と書いてあったのを保温装置と書いた。同じ間違いをコピーして、九社のうち六社までが同じ間違いをしていた。三つとも同じ間違いがあったわけですね。

 これは、どれか一社が取り仕切って談合したというそのものじゃありませんか。時期も、十八年三月二十日ですよ。これは、もう既に昨年来の官製談合事案が非常に捜査が進んでいる、そして庁内でも対策が練られている、その時期に当たっていると私は思うんですね。だからこそ、この三月二十日の談合と認定するに足るこの事案というのは許されぬことだと思います。納税者の国民に対して説明がつかないことじゃありませんか。

 私は、会計検査院はよくこれを発見されたと思いますよ。この発見されたいきさつを、会計検査院、もう一回説明していただきたい。

千坂会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 防衛施設庁では、入札参加業者の不誠実な行為の有無、並びに真摯な見積もりを行っているかにつきまして確認するために、一定金額以上の建設工事の入札に当たり、工事費内訳明細書の提出を入札参加業者に対して求めております。

 今回、防衛施設庁の談合事件を踏まえまして、防衛施設局の会計実地検査におきまして、入札参加業者がそれぞれ適正な見積もりを行っているか確認するために、まず、防衛施設局が入札参加業者に交付しております数量書と落札業者の工事費内訳明細書を突合しましたところ、誤字が認められました。さらに、落札業者の工事費内訳明細書と他の入札参加業者の工事費内訳明細書とを突合いたしましたところ、複数の入札参加業者に共通の誤字が発見されました。

 事態を発見いたしました経緯は以上のとおりでございます。

前田委員 次に、施設庁長官に伺いたいです。

 この平成十八年三月というのは、前年度末より官製談合事案の処理の過程の中で一体どういう時期に当たるのか、御説明いただきたいと思います。まさにこの官製談合防止策を策定しているさなかではありませんか。北原長官、説明いただきたい。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま御指摘の三月二十日の入札の件につきましては、まず会計検査院から指摘されたとおりでございます。突合したところ不自然な事態が、私どものみずからの手で、検査院から指摘されるまでわからなかった、気がつかなかったといった点については、施設庁長官として、責任者として大変申しわけないと思っております。

 なお、この三月二十日といった時点は、今先生御指摘のように、私ども防衛施設庁が生起しました官製談合事件につきまして、一月三十日に逮捕され、そして一月三十一日付で、今先生御指摘の再発防止検討会それから調査委員会、それが同時にスタートをして、実態究明並びに再発防止策を検討している真っただ中であることはそのとおりでございます。

前田委員 今北原長官が言われなかったから私が言いますけれども、一月三十日に談合容疑で防衛施設庁の職員逮捕、これは今言われました。二月には入札契約を一時停止しているわけですね。そして三月に入って入札を再開しているわけであります。

 それで、一時停止して再開する、再開したときに、入札業者というのは、談合を行わないという誓約書を提出しているはずであります。本当ですか。

北原政府参考人 一点、御答弁の前に、私どもが一時入札を停止したのは、先生今二月とおっしゃいましたが、これは正確には一月中旬以降停止し、三月に入って再開をしているわけでございます。

 それから、今の点でございますけれども、私ども、その再開に当たりましては、まず、今回の官製談合事件等で逮捕、起訴された事案の入札参加企業等百八十一社を入札契約手続から排除いたしました。

 さらに、先生御指摘のように、私ども、入札に当たり、談合等は行っていない旨などの誓約書の提出をさせているところであります。

前田委員 今、百八十一社の過去に談合の疑いのある業者を排除されたということですけれども、また、今度施設庁OBの在籍企業は入札から排除しているということも聞いておりますけれども、これは本当ですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今先生おっしゃいましたように、私ども、入札に参加する企業から、防衛施設庁発注建設工事について捜査を受けていないこと、建設部の関与によって就職した防衛施設庁また防衛庁退職者が平成十四年度以降在職したことがないこと、それから先ほどの、談合はしていませんよといった誓約書をまず出させました。

 それと同時に、先生御指摘の、今回の私どもの発注建設工事で逮捕、起訴された事案の入札参加企業、それから、防衛施設庁建設部の関与によって就職した防衛施設庁、防衛庁退職者が平成十四年度以降に在職した企業等を含めて百八十一社という意味でございます。

前田委員 ということは、三月二十日のこの事案に関する九社というのは、すべて施設庁OBの天下りはないということですね。

北原政府参考人 私どもが排除をする今御答弁申し上げましたものに該当しない社でございます。

前田委員 はっきり天下りはないと言ったらどうですか、該当はないとか紛らわしい言い方ではなくて。

 ということは、九社のうち六社が同じ間違いをしていたわけですよ。これはだれから見ても談合そのものではありませんか。北原長官、どうですか。

北原政府参考人 大変不自然な点であることは間違いございません。

 それで、ちょっと工事費内訳明細書の点検といったことにつきまして、その設置した趣旨等でございますが、私ども、この明細書を出させておりますのは、主といたしまして、ほかの会社の工事費内訳明細書をコピーして提出してはいないだろうかとか、あるいは、数量、単価、金額等の記載が欠けて空欄になっていることはないだろうか等々につきまして点検をするといった趣旨のものでございます。

 そして、これは先生御指摘の会計検査院の報告書の中にも、院の方からも、大変な受注者側に対する負担にもなっているといったメンションもあるわけでございますが、それを私どもエクスキューズにするつもりは全くございません。あくまでも厳正、公正でなければいけない。

 そういった中におきまして、この枚数が数十枚から数百枚といったものでございまして、私どもといたしましては、結果的に、九社なら九社ということ、九社参加した一社ごとについての、縦にはずっと今申し上げたような点を見ていたわけでございますけれども、これを九社横並びにして、字が共通の不自然な一致点があるとかそういった点につきましては、十分な認識またチェックをしていなかったといった反省に立っております。

 したがいまして、大変な負担があるということも事実でございますので、私ども、この指摘を受けまして実施いたしましたことは、工事費内訳明細書が、これまでは企業によって様式といいますか、そういったものが全部ばらばらでございました。したがって、横に並べて比較するのが難しいということでございましたので、この八月に指示を出しまして、統一の様式を使ってやるように、それからさらに、内向けといいますか防衛施設庁の中におきましては、こういった不自然な点についてもきちっと見なさいといった指示を出したところでございます。

前田委員 私は、これは談合であると認定されるかどうかということだけを伺っているんですよ。長々と御答弁いただきましたけれども、納税者の前に、間違っていることは間違っていると認めたらどうですか、北原長官。

北原政府参考人 先ほど私、受注者の負担と、受注者という言葉を使ったかもしれませんが、発注者の負担でございます。改善点はそれでございます。

 今先生の御指摘でございますが、不自然な点がございます。したがいまして、私どもとして、この御指摘をいただいた点はもちろんのこと、十六年度、十七年度、書類が残っているものすべてについて直ちにチェックをいたしました。その結果も出ました。これにつきましては、公正取引委員会に通報をしているところであります。

前田委員 私は、この事案を談合かどうか、認めるかどうかということを聞いているんですよ。納税者の前にしっかり、誤ったことは誤っていると言ったらどうですか。もう一回、北原長官。

北原政府参考人 繰り返しになりますが、先生からそういった御指摘を受けるような状況にある大変不自然な事態である、そのように考えております。

 したがいまして、その権限のある公正取引委員会に、本件のみならず、すべてをチェックし、少しでも、いささかでも二社が共通するような不自然なものがありました、それにつきましては、すべて公正取引委員会に報告をしているところであります。

前田委員 また北原長官は、今の答弁の中で談合という言葉を一回も使っていないでしょう。私は、談合かどうかということを聞いているんですよ。もう一度。

北原政府参考人 したがいまして、そういった談合が行われたかどうか、私ども発注者側といたしましては、そのおそれありとか、あるいは不自然だといったものにつきまして、私どもがとる措置は、これを公正取引委員会に報告することであります。

 公正取引委員会の方でしかるべく調査が行われる、そのように認識しておりまして、ぜひおわかりいただきたいのは、一番最初に御答弁を申し上げましたけれども、三月二十日の件につきまして、これが大変不自然な事態であるということを検査院から指摘されるまで見逃していたといった点につきましては、先ほど申しましたが、防衛施設庁として、またその責任者として大変申しわけなく思っております。

 ひょっとするとこれだけではないかもしれない、それで全部調査を命じたわけであります。その結果がまた出てまいりました。そこは、先生御指摘の、会計検査院の七百三十七ページの方に挙がっている数字であります。それもあわせて、私どもは公正取引委員会に御報告をしている。

 そして、公正取引委員会で今御調査等されているということについては私どもがコメントする立場にはございませんけれども、私どもといたしましては、公正取引委員会の調査には全面的にこれからも協力してまいりたい、そのように考えております。

前田委員 しかし、今、もしこれを国民の皆さんが聞いてみえたら、はっきりと認めたらどうですか、談合事案だったら談合事案と。そういうことがないから、施設庁は今まで、五十年代から繰り返してきたわけでしょう。どうしてはっきり言えないんですか、談合だと。もう一回。

北原政府参考人 この三月に契約を再開いたしました。そのときに、先生からも御質問いただきましたが、私ども、談合があってはいけないということで、いわゆる誓約書も出させたわけでございます。先ほど御答弁申し上げました。そうした中でこれが行われ、そして、結果として見てみると、大変不自然な事態であるということでございます。

 私どもとして、これを、今先生が御指摘のような点を決めつけるといった材料は持ち合わせておりません。ただ、極めて不自然である。あえてもっと踏み込めば、可能性は否定できないということで、私どもは、その権限のある公正取引委員会に通報をしたということであります。

前田委員 これは幾ら聞いていても国民の皆さんは納得しないと思いますよ。施設庁に対して納税者の皆さんは納税意欲をなくしますよ。そういうことですよ。そんな考えしかないから、悪いものは悪いと認めない、そういう姿勢があるから何も変わってこないんですよ。

 では、少し話をかえますけれども、この九社に対して誓約書まで出させて、それを違約したわけでしょう、こんな同じような間違いをコピーしたということは。九社のうち六社、今この六社に対してどうしていますか、どういう対応をしていますか。

北原政府参考人 この件につきまして、先ほど来私申し上げておりますが、公正取引委員会の調査が進んでいるものと認識しております。したがいまして、その調査に影響を与えるような行為は一切とっておりません。全面的に公正取引委員会の調査に協力してまいりたい、そのように考えております。

前田委員 この六社は、引き続いて本年度は入札に参加しているんですか、これ以降。どうですか。

北原政府参考人 三月二十日以降、この六社等が参加しているかどうか、今ちょっと手持ちの資料がございませんので、これはまた後ほど調べさせていただきます。

前田委員 そんなことすら明らかにしていない。当然、疑わしきものがあったら一切それをストップさせるのがあなたの仕事でしょう。そうしたこともしていないからけじめがつかないんですよ、いつまでたっても。

 さらに私は伺いますけれども、会計検査院からこの談合事案について指摘を受けて、再点検をしてわかったことを御説明いただきたい。この私が配った資料の表十二に当たると考えられますけれども、いかがですか。

北原政府参考人 私ども、再点検をいたしました。そして、各入札参加者の工事費内訳明細書の共通の誤字脱字等について再点検を行いましたところ、四百九十一件の建設工事中百三十一件で確認をされたといったものでございまして、この点につきましては、先ほど来の繰り返しになりますが、公正取引委員会に通報をいたしております。

前田委員 この百三十一件すべてについて通報しているんですか、確認します。

北原政府参考人 すべてについて通報いたしております。

前田委員 そして、施設庁庁内で、この百三十一件にかかわった職員の皆さんに対してはどのような対応をされていますか。

北原政府参考人 まず、関係する局のみならず、こうしたことがあってはいけないということで、私どもとしてとりましたのは、工事費内訳明細書、これの取り扱いにつきまして、私の命によりまして、建設部長から全局に指示を出しております。

 それは、要するに、チェックをすべきポイントとして、これまでのものに加えて、他の入札参加者の工事費内訳明細書と類似し、合理性がなく、極めて不自然な場合といった今回のようなもの等々についてきちんと調査しろと。ただ、先ほど来申し上げておりますが、数十ページから何百ページになるものでございますので、これは、今度はうちの職員の負担を軽減しなければいけないということで、先ほど申しましたが、この様式を、どの業者の人たちも同じものを出すといったような様式の制定等をしたところであります。

前田委員 今まで、結局、内部調査をされて、三百五人の証言記録をとって、六月十五日にこの調査報告書を出されていますよね。それを組み立てておいて、今また、会計検査院の指摘を受けて庁内を調べて、いろいろな事案が出てきた。

 では、今、その内部的なものに関して、これの教訓をどうやって生かされているんですか。確かに、チェックを厳しくしたとかいうのは言われましたけれども、内部にきちんと聞き取り調査されたんですか、全くこれと同じように。

北原政府参考人 今回のこの不自然な事態からの、今申し上げました十六年度、十七年度、該当するものについて全部チェックしたわけでございます。それは、当然のことながら全局に、それぞれその契約に当たる者を通じて、末端まで、前線まで徹底して調べさせたというものでございます。

前田委員 だから、聞き取り調査をされたんですか。

北原政府参考人 当然のことながら、通常の業務を厳正にやっていかなければいけないという中で、職員に対する聞き取りあるいはまた書類のチェックということから今申し上げたような数字が出てきた、そしてそれを私どもとして公正取引委員会に御報告を申し上げている、それが状況であります。

前田委員 談合の成立か否かということは、落札率によっても非常にわかってくるわけであります。

 私はきのう、三月二十日以降の本年度の工事の入札について資料を出してくれと言いました。私のところにレクに来た事務官の皆さんはそれを持っていました。しかし、これは上司に聞かなければお見せすることができませんと言われたんですよ。さんざん私は、きょうまでに出せ、出してほしいと資料提出をお願いしたんですよ。しかし、私の手元に来ていませんよ。これは一体どういうことですか。

 我が国の防衛というのは非常に機密性の高いものであって出せないということを反対にかさに着て、出すべき資料も出していないんじゃないですか。きちんとそうした資料も出さずに、何%の落札率だという話は私はいただいていませんよ。どうですか。

北原政府参考人 そこは、そこはという言い方は失礼ですが、私は、先生に御提出した、そのように理解しております。私の方ももう一度調べますけれども、ゆうべ、ゆうべという言い方は失礼ですが、確認をいたしまして、先生には提出をした、そのように理解しております。

前田委員 では、私も確認しますよ、各工事について落札率がどうであったか。平均じゃありませんよ。平均はその場で答えていただきましたよ。では、後ほどこれは私は確認しましょう。

 皆さん、今、非常にこの三月二十日の事案が重大なものであるということがおわかりになったと私は思います。誓約書まで書いて、OBも天下っていないという確認もして、それから過去の談合に関係するような業者もすべて排除した。その上で、また出てきた人がやっているということは、どうやって国民の皆さん、納税者の皆さんは理解したらいいんですか。だれもこんなことは理解できませんよ。

 それで、今度、少し先に進めますけれども、天下りの腰かけ機関であった財団法人防衛施設技術協会、この解散について伺いたいと思います。

 これは、防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策報告書の中に、今回の官製談合事件で逮捕された生沢守元技術審議官が理事長をしていたところでありますけれども、防衛庁OBの天下りのための待機組織になっていた、そして、同協会の主たる収入である防衛施設庁あるいは防衛庁からの受託業務のほとんどが随意契約で委託されていた、とりわけ調査研究業務については、大半を下請に丸投げしていた。同協会の運営の実態に問題があったと認めざるを得ないと私は思いますね。

 だから十八年度中に自主解散を求められているんですけれども、まだいまだになされていないということですけれども、この協会の解散について、時期とかそういうものについて長官はどのようにお考えなのか、伺いたいと思います。

久間国務大臣 本年度末までに自主解散するように指導しているというところであります。

前田委員 では、この財団法人防衛施設技術協会、これと同様に、天下りの待機要員になっているのではないかという疑いが強い他の防衛庁の所管の外郭団体、これについてはどのようにされるのかを伺いたいと思います。

西川政府参考人 先生ただいまお尋ねの、防衛施設技術協会以外の法人、当方では二十一ございます。これにつきましては、この際に調べまして、約二年を超えてすぐにかわったような可能性のある、可能性といいますか、かわられて、先生御指摘のような待機みたいな形のものがあるんじゃなかろうかという者が六名ほど出ておるとその報告書にございますが、そういうものを当方でも把握し、これにつきましては、今後そのような事案が起こらないようにしまして、再就職規制を逃れるため公益法人を利用しているという批判を受けるような、こういう状態をなくすということで、防衛庁から常勤、有給で再就職した役員、こういう方に対して、離職五年以内に防衛庁と密接な関係にある営利企業に就職することを前提として退職しないよう所管の公益法人に対して要請しますとともに、あと、当方の中の機関とか、そういうところへもそういう話をしているところでございます。

前田委員 では次に、談合の継承について伺いたいと思います。

 与党理事と私ども、理事会等でもませていただいて、あるいは国対も入って資料の開示をしていただきました。千二百ページ、三百五人分の証言記録ですね。それによっても、五十年代半ばで官製談合が成立したと言われているわけですけれども、この発生の経緯について施設庁長官はどのように把握されていますか、御説明いただきたいと思います。

北原政府参考人 私ども、調査をいたしました。そして、そうした中で、昭和五十年代半ばにおいては談合関与行為と見られる行為は既に行われていたといった趣旨の供述を行っているOBがおりまして、建設部幹部による関与がかなり以前から継続的に行われていたものと推定されるといった御報告をさせていただいたところでございます。しかもこれが、今先生御指摘のように、大変長い前から行われていた。

 それを、さらに私どもの調査の中で、その背景は何か。やはりそれは、再就職先の確保であり、あるいは就職したOBへの気遣いといいますか、気まずいあれをしないようにといったような誤った判断があり、さらにまた、大きな原因の一つとしては、これまでの建設系技官の垂直的な人事管理といったことから、どうしても、先ほどもございましたけれども、防衛庁の本庁の平均に比べても二歳、特に建設技官のI種の人間については三歳若い、そういう段階でやめていかなければならなかった、再就職先を求めなければならなかった。しかも、垂直の閉鎖的な人事管理ということで、それらが大変ある意味では隠ぺいされた形で代々引き継いできていたといったこと等が私どもの調査の中でわかってきたということで、私どもはそれを報告書にまとめさせていただいたものであります。

前田委員 私は発生の経緯を伺ったわけで、これは、施設庁側から持ちかけて官製談合ができたのか、あるいは業者さんの方から話が来てできたのかといった点について、どのような印象をお持ちですか。

北原政府参考人 推測で物は、国会の場でございますので、申し上げることはできません。

 ただ、今回の私どものこの事案、生起した事案が官製談合事案であるということは厳然たる事実であるということは申し上げられると思います。

前田委員 では、この官製談合が継承されていったことについて、人事の変更後も業務として残されていったわけでありますけれども、これはどういった理由によるものか、それから、省への昇格によって、この施設庁は省に吸収されるわけでありますけれども、こうした談合の伝承を断つ、この防止策を具体的にどのようにとられるのか、伺いたいと思います。

北原政府参考人 先生御指摘のように、大変長い時間にわたって、代々申し継ぎのように行われてまいりました。それは、先ほど申しましたような人事の点等々の背景があります。さらには、やはり誤った仲間意識といったものがあり、そうした中で、違法だと認識しつつもこれを是正することができなかった。それがずっと続いていた。ただ、これは、私ども防衛施設庁全体としての責任でもあると思っております。

 いずれにいたしましても、こんなことはもうきちっと一切将来やらない、断じてあってはならない。そして、今御審議いただいております省移行に当たりましては、今申しました人事管理の点ですとか、あるいは再就職の点等々について再発防止策が打ち出されておりますので、これを、大臣を先頭にいたしまして、私ども防衛庁、防衛施設庁職員が全力で実施していくということに尽きると思っております。

 ただ、その場合は、人がどんどんかわりますので、初心忘るべからず、あるいはのど元過ぎれば熱さを忘れるではだめでございますので、常に隊員の意識といったものについて留意しながらやっていかなければいけない。

 あと、そういった面と、それから再発防止策の一つとして全庁的ないわゆる長官直轄の監察機関をつくるようにしておりますので、そういった点等々をあわせまして、二度とこういうことが生起しないように努めてまいりたい、そのように考えております。

前田委員 午前中の時間が来ましたので、まず、これで終わります。ありがとうございました。

木村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十六分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、政府参考人として内閣官房内閣審議官鈴木敏郎君及び人事院事務総局職員福祉局長吉田耕三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑を続行いたします。前田雄吉君。

前田委員 民主党の前田雄吉です。

 午前中に引き続きまして御質問したいと思います。午後は、省への移行についての質問をさせていただきたいと思います。

 防衛庁の省移行に係る防衛庁の広報パンフレット「防衛庁を省に」の中に、「庁のままだと何が困るのですか?」という問いに対して、次のように回答しておられます。第一点、国の防衛は内閣府の業務の一つ、防衛庁長官は防衛庁のトップであるが、国の防衛の主任大臣ではない。二、このため、内閣府の主任の大臣である内閣総理大臣を通じなければ、国の防衛に関する重要案件や法律制定等、あるいは予算の要求、執行に係る財務大臣への求めといった重要な仕事ができないのである。三、省にすることにより、安全保障や危機管理の問題に国の防衛の主任の大臣として取り組むことができるというふうに書かれております。

 その一方で、防衛庁当局は、九七年に当時の行政改革会議におけるヒアリングで、委員からの防衛庁の省移行に関する質問に関して、現在、総理府の外局として位置づけられていることで財政、会計、政省令などで事務的に煩雑な面はあるが、自衛隊の運用管理上特段の支障があるわけではないという回答も寄せられているわけであります。

 今回、七月の北朝鮮の弾道ミサイル発射直後、当時の額賀長官が敵地攻撃に係る装備等を保有するための議論を行ってもいいんではないかということを言われたり、あるいは九月の北朝鮮の核実験実施発表を受けて、中川自民党政調会長、麻生外務大臣が、我が国の核保有に関しての議論を行うことを容認するといったような考えを示されておられます。周辺諸国に対して、非常に心配がある、そして、何よりも納税者である我が国国民の皆さんに対してしっかりと、省へ移行する、このことに関して御理解を得ていただくのが、私はこの委員会での主たる役目ではないかというふうに思っております。

 そこで、まず諸外国の国防組織、省はミニストリーでありまして、我が国の庁、エージェンシーであるのは我が国の憲法に起因するところだという議論もなされております、そういうことを耳にしますけれども、省への移行と憲法との関係について御説明いただきたいと思います。

久間国務大臣 私は、憲法との関係は直接はないと思っております。ただ、我が国が戦後スタートして、我が国の現在の憲法下で我が国の防衛をどうするかというときに自衛隊がつくられてきたときに、できるだけ抑制的に、旧軍をイメージさせるようなことのないようにしようということで、自衛隊を管理するというような、そういう観点に力点を置いて防衛庁としてスタートしたのが今日までずっと続いてきている、そういうことでございますから、憲法上は問題ないと思っております。

前田委員 次に、防衛庁が内閣府の外局から外れることにより支障が出るんではないかと。内閣府は、内閣の補助部局として、これは総合調整の権限を有しておるわけですね。内閣府にある方がそういう調整業務がしやすいんではないかという議論もありますが、この点はいかがでしょうか。

久間国務大臣 内閣府が調整をするものは、いわゆる主任の大臣の権限と、省庁の権限と、そういう間におけるいろいろな調整をするんであって、今までも内閣府は防衛庁とそういう意味で調整をしてきたわけじゃございませんで、これから先もそこのところは、内閣府設置法からいっても全然同じような位置づけにあるわけであります。

前田委員 それから、国民の皆さんにとっては、シビリアンコントロールはきちんと担保できるのかといった議論があります。今までも当委員会で出てきたわけでありますけれども、もう一度大臣の口から整理してお話しいただきたいと思います。

久間国務大臣 今までも、防衛庁の長については、国務大臣をもって充てるということで、いわゆる選挙で選ばれた、あるいはまた、選挙じゃなかったとしても、国会がつくった内閣が任命する防衛庁長官がその長に当たるわけでありまして、ただ、自衛隊のトップとして最高司令官は総理大臣でございますけれども、総理大臣もまた国会が選んだ内閣のトップであるわけでございますから、そういう意味では、国会が人的な面でもコントロールすることになっております。

 それと同時に、自衛隊は、やはり防衛庁が防衛省になったとしても、予算あるいはまた法律、そういうものに基づいて行動するわけでございますから、その縛りがあるわけでございまして、これはいずれも国会のコントロールのもとで、国会で成立した法律によって、あるいは予算によって動くわけでありますから、そういう点でも担保されているわけでございます。

前田委員 次に、本来任務化の意義について伺いたいと思います。

 今般の改正案では、自衛隊法に新たに第三条の二項が追加されて、周辺事態における後方支援などとともに、国際平和協力活動が本来任務化することになりますが、しかし、新たな自衛隊法第三条二項に「別に法律で定めるところにより」との文言がある以上、やはり法の範囲内で自由に国際平和協力活動ができるわけではないわけでありますね、制限がかかるわけでありますので。また付随的任務であれ、午前中もちょっと議論がありましたけれども、本来の任務であれ、自衛隊の活動に私は変わりないと思います。

 そう考えてくると、この法改正による任務の性格の変更の意義が本当にあるのだろうかといった疑問を持たれる国民の皆さんもあると思いますので、この点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。

久間国務大臣 かつては、自衛隊が海外に出ていくというのは非常に異例なもの、そういうふうに目に映ったかもしれません。しかし、今日は、国際環境といいますか、変わってまいりまして、そういう国際的な平和と安全に寄与するということは我が国にとってもやはり避けて通れないことでありますし、むしろそれに積極的に参加することによって、そういう安全環境を構築するということにつながってくるわけでございまして、国民もそういう目で見ているわけでございます。

 ところが、そういうことにつきましては、従来から、自衛隊の任務として、言うなれば雑則、あるいはまた、もう非常にほかの、その他というような扱いになっていたような感じがいたしますけれども、今日では、そこは違うんじゃないか、もう少しきちんと位置づけをして、災害派遣、そういったところとイコールとまでは言わないにしても、それに準ずるぐらいの、その辺と肩を並べるようなことにしていいんじゃないかというような、そういうことから、主たる任務であります防衛出動、それからまた治安出動、あるいは災害派遣、それと並んで平和協力業務も同じように位置づけたらいいんじゃないか、そういうような発想から、今回、本来任務としてすべてを横並びにしたところであります。

前田委員 任務に関しては後ほども述べますけれども、本当にこれは、隊員の皆さんにとっても、惑うところなく、わかりやすいものでなくてはいけないというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、特に午前中の遠藤委員の御質問にもありましたけれども、改正後の防衛省の設置法における任務及び所掌事務においては、新たに本来任務とされた活動のほかに、防衛政策に係る企画立案について明示的にこれは書かれていないわけでありますね。午前中の御答弁にもありましたように、余り具体的に列記するとそれ以外のものができなくなるのでということだと思うんですけれども、私は、少々広目でも明記された方がいいのではないかというふうに思います。

 なかなか難しい技術的な話もあるでしょうけれども、この省移行、本来任務化に伴う効果を求めるのであれば、同法に規定する防衛省の任務及び所掌事務に、本来任務化及び今話題になっております防衛政策に係る企画立案に関する何らかのやはり文言はさらに加えられるべきじゃないかなと思いますけれども、あえてそれをまたつけ加えられないとか、その理由、あるいはもう少しこうしたらいいというお考えがあればぜひ伺いたいと思います。

久間国務大臣 各国のいろいろな法制によって違うのかもしれませんが、日本の場合は行政権限なんかにつきましては、どちらかというと制限列記といいますか、列記していることはやれるけれども、それ以外はやれないというふうな形で、逆にそういうふうに縛りを入れているわけですね。特に自衛隊とか防衛庁についてはそういうのが非常に強くて、書かれていないことはやっちゃいかぬというような、そういう否定的なことにずっとならされてきておりますから、防衛に関することというような書き方ですと、その点は幅が広いんですけれども、政策及び企画立案に関することと書いてしまいますと、今度はそれ以外のことはやれないような、そういう印象を非常に与えますので、私は、やはりここの場合は、広く今までも防衛、警備に関することということで書いてあったわけですから、それをそのまま踏襲したということでございます。

 将来、その辺については、またいろいろな機会に、もう少し縛りを入れたらいいとか、そんなことになってくれば逆に具体的に縛っていく、そういうことかもしれませんが、今は防衛に関することでもそんなに幅広く権限を言っていなかったし、これから先も言う立場にはございませんので、私は、今と実態は変わらなくて、政策立案等についてもできるというふうに思いますから、「防衛及び警備に関すること。」という従来からのを踏襲していじらなかったというのは、それはそれで御理解賜れるんじゃないかなというふうに思っております。

前田委員 これは技術論ですけれども、反対に禁止事項、これをやってはいけないというふうに書かれるやり方もあるとは思いますけれども、それもひとつまた御検討いただければと思います。

 それから、テロ対策措置法に基づく自衛隊派遣のように、長期間にわたる業務で、国際平和協力活動で、我が小牧の皆さんも、一人の隊員の方が複数回も派遣されるケースも出てきているわけでありますね。先ほど我が津村委員の質問の中に、長官のお答えで、限られた資源があり、財源があり、人材があるんだという言い方をされましたけれども、私は、国際平和協力活動の本来任務化に伴って、現在の人員のままこれまで以上に積極的に同活動に取り組むこととなれば、現場の隊員にとって大きな負担にならないかなということも危惧しております。

 国際平和協力活動でのいわゆる使用に重点を置いた装備の配備や国際緊急援助活動の待機体制の充実等も含めて、本来任務化に伴う人員、装備の充実が求められていると思いますけれども、この対策をどのようにされるのか、具体的なお話を伺えたらと思います。

久間国務大臣 今、この法律が通ったからといって、早急に装備その他をぐっとふやすとか、あるいは体制づくりでぐっとふやすとか、そういうことは考えておりませんけれども、やはり、本来任務ということになりますと、すぐ対応ができるように、そういう準備はしなければなりませんから、今までみたいに調査隊をみんなから集めて編成していくという、東ティモールに行ったときも実はそうでしたけれども、そういうやり方ではなくて、その場合はすぐ行けるような集団を宇都宮あたりの部隊を中心としてつくっておくとか、あるいはまた、災害があったときに輸送態勢がすぐ対応できるように、やはり輸送については少なくとも整備を図っておくとか、そういうことについては検討しなければなりませんので、十九年度の概算要求でも一部取り入れておりますけれども、できる限りそういう方向で対応できるようにしようと思っております。

 それと、今先生が言われましたけれども、確かに、一人の隊員が、インド洋の場合もそうですし、あるいはまた今度の空自でもそうですし、そのほかでも、イラクの陸上でもそうですけれども、やはり何回も行ったという人がおりまして、その家族にとっても大変だろうなという思いもいたします。だから、そういうローテーションについてもどうしたらいいのか。だから、今度本来任務化されましたら、そういうようなことも踏まえながらひとつ検討していきたい、そういうふうに思っているところであります。

前田委員 ぜひ、一人の隊員の方に余り負担がかからないような形で、全体の防衛力の質の向上に当たられるようにしていただけたらというふうに思います。

 私の最後の質問になりますけれども、私は、先般来、規律ある自衛隊、この維持のためには隊員が従うべき服務の明確化が必要であるというふうに思っております。

 今回の庁から省への移行法案に際しましても、私は、今までに隊員の皆さんの目から見た質問というのはなかなかなかったと思いますので、隊員諸兄にあっても省への移行で不安があってはならないと思います、隊員の目から見た省への移行という観点から御質問しますけれども、省移行と国際平和協力活動等の本来任務化により、隊員の皆さんが従うべき服務宣誓の内容は変更されるのかどうかということを伺いたいと思います。

久間国務大臣 私も、先生からの御質問がありましたので、改めてこの宣誓文を読んでみました。皆さんにもわかっていただくためにあえて読ませていただきます。

  私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。

というふうに書いてありますから、これは、今度本来任務化になっても、あるいはまた防衛庁が省になっても、私はこの宣誓文でいいと思っておりますので、変えるつもりはありません。

前田委員 今、確かに隊員の皆さんが従うべき服務の宣誓ですので、省への昇格以降に、前後で変わるということになれば混乱を生ずるのは当たり前の話で、変えないという答えが私も正しいとは思います。

 とにかく、省への昇格に当たって、国民の皆さんの不安が払拭できて、納税者にきちんと説明ができるような形での今後のまた御答弁もお願い申し上げまして、私の質問を終わりますが、ミサイル防衛等について、先ほど来、弾道ミサイルの迎撃の可能性等出てきております。ですから、私は、当委員会で、こうした防衛政策に関する集中審議を希望しまして、質問を終わりたいと思いますが、ぜひ理事会でお諮りいただきたいと思います。

木村委員長 後刻理事会で協議いたします。

前田委員 ありがとうございます。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。どうぞよろしくお願いします。

 まず、久間長官に、本題に入る前にちょっとお尋ねをしたいと思います。

 久間長官は、自民党の三役でもあります総務会長を歴任されておられましたが、言いかえれば、自民党の幹部のお一人でもございます。きょう、衆議院本会議のところでも復党の議員さんが記者に囲まれておりましたけれども、十一名が復党されましたことを自民党の幹部としてどうお考えになりますか、御意見をいただけたらと思います。

久間国務大臣 各党とも、政党はやはり自分の仲間をふやすことに一生懸命になっているわけでありますから、志を同じくしてこれからやっていこうと思うならば、私は、ふえることは大変歓迎でありますので、そういう意味ではいいことだと思っております。ただ、これは党が違えば別かもしれませんけれども、我が党から見れば、我が党に入ってくる国会議員が多いということは非常にありがたいことだと思っております。

内山委員 それでは、本題に入らせていただきたいと思います。

 国民の懸念ということで、防衛省に昇格になると軍事大国になるのではなかろうか、こういう声を聞きますけれども、これに対してどのように御説明をなさいますか、ぜひお尋ねをしたいと思います。

久間国務大臣 先ほどからも言っておりますように、自衛隊というのは、国会のコントロールのもとに予算とか法律に基づいて行動し、しかもそのトップは文民をもって充てることにしておりまして、歴代防衛庁長官が国会議員の中から内閣の一員として選ばれてその指揮に当たって、しかも最高指揮官は内閣総理大臣でございます。そういう制度が全く変わらないというような中で、ただ、防衛庁ではなくて省として政策判断その他下せるようにしようということでございますから、私は、今までの自衛隊を知っている人ならば、軍事大国にはならないという中身については理解いただけるんじゃないかなと思っております。

 したがいまして、これから先も、国民の皆さん方にも、そういうような、自衛隊は質は変わらないんだ、かつての旧軍みたいなことにはならないんだ、そのためにはいろいろな歯どめがかかっているんだということをあらゆるときに言いながら、そして、日本だけではなくて近隣諸国にもそういうことを一生懸命説明して理解を得ていくように、今までもしてまいりましたし、これからもしていこうと思っております。

内山委員 やはり国民の懸念で、もう一つございます。改正法によりますと、イラクやインド洋での米軍支援活動が自衛隊の任務として位置づけられて、自衛隊の海外派兵拡大につながり、無制限に自衛隊が海外に行くことになるのではなかろうか、こういう懸念の声も大きく聞いておりますが、これに対してどう御説明なさいますでしょうか。

久間国務大臣 これまでもそうでしたけれども、自衛隊が海外に出ていく場合は、法律をつくったり、あるいは既存の法律に基づいて出ていくわけでございまして、それについては、原則として事前に国会の承認等も得ることになっておりますから、私は、そういう点でも、非常にシビリアンコントロールはきいておりますので、どんどんどんどん拡大するようなことはない、むしろ法律をつくるときに慎重にやってもらいたい、そういう思いがあるわけであります。

内山委員 自民党の新憲法草案についてちょっとお尋ねをしたいと思うんです。

 昨年十一月、自民党の新憲法草案において、自衛軍の設置という提言をしておられます。久間防衛庁長官は、この考えについてどのようにお考えでございましょうか。

久間国務大臣 日本の自衛隊の場合は、今までも法律で自衛隊として、そして憲法上は自衛隊の位置づけもされていないわけですけれども、自衛隊として存続してきたわけでございますが、これは国際的に見た場合には、やはり一種の軍として、そういうふうに見られておりますし、そういうような位置づけもございますし、実力部隊でもございます。

 自衛軍と自衛隊と、あるいはいわゆる各国の国防軍と、要するに軍隊と自衛隊はどこが違うかというと、我が日本では専守防衛に徹するという憲法九条の考え方が根っこにあって、そういう位置づけになっておりますから、この専守防衛に徹するという思想は残しながら、しかしながら、やはり実質的には軍隊と同じような実力部隊であるということを国際的にも認められている以上は、それを見た上でというような、そういう中で自衛軍という表記で憲法草案を一応党としては考えたわけでございます。

 しかしながら、この名前が、またその内容が認められるかどうか。憲法の場合はとにかく三分の二の賛成を得て国会で発議せぬといけませんから、各党の御意見等も調整しながらこれから先決められていくものと思いますけれども、私は、その考え方で、自衛軍と名乗っても別にそれはいいんじゃないかなという、むしろ内容的には軍隊というような、そういう位置づけが、外国からは評価されておるわけですから、それをそのまま党としては書いたということでございます。

内山委員 自衛隊と自衛軍との位置づけの違いというのは専守防衛にあるということでございましょうか。今回、庁から省に昇格をいたしますけれども、自衛隊そのものの昇格というのがあるんだろうかとちょっと危惧をするわけですけれども、いかがでございましょうか。

久間国務大臣 私は、今度の法案でも言っていますように、昇格と私自身は言っていないので、省への移行と言っているわけでありまして、防衛庁という規定の仕方が時代とともに考えたときにはちょっとおくれたんじゃないか、そういう思いをいたしておりますから、決して、上に上るというような、昇格というような、そういう意識は正直言って持っていないわけであります。そこのところを、きょうもお昼、いろいろな団体の方々が昇格と言われたので、何となく私自身の意識とは若干、それよりも上へ上るような気持ちが強いんだなと思いながら聞いておりましたが。要するに、庁であること自体がおかしい、そういう認識を私が非常に強く持っているということであります。

内山委員 自衛隊の海外での階級の呼ばれ方ということについて、テーマをかえてお尋ねしたいと思うんです。

 省に昇格を今回提出なさっているわけでありますけれども、今、階級の呼び名が、例えば一等陸士とか一等海士とか、本来外国でいきますと大尉ということになるんでしょうか。やはりこういう万国共通の呼び名に改めるというお考えはありますでしょうか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 自衛官の階級呼称でございますけれども、これを改めることについて種々意見があることは承知しておりますけれども、現在の呼称につきましては、既に制定以来五十年以上が経過しておりまして、自衛隊内部及び国民の間に既に定着していると思われますので、省移行に伴いましてこれを改めることは考えておりません。

 ちょっと付言いたしますと、今先生から、国際的なといいますか万国共通というようなお話もございましたけれども、いわゆる大佐と一般に言われるカーネル、自衛隊においては一等陸佐。一等海佐はキャプテンと言う場合が多いと思いますが、一等空佐もカーネルと言った場合があろうかと思いますけれども、例えばこれにつきましても、英国系の軍隊では空軍の大佐についてはグループキャプテンというような言い方でありまして、必ずしも万国的な、国際的にも同じような呼び方があるというわけではないと承知しております。

内山委員 庁を省に今回提案なさっておるわけでありますけれども、万国共通の呼称にしなかったという理由、当初の、そもそもの理由というのは何か、どういう理由でございましょうか。

増田政府参考人 今お尋ねのように、万国共通にしなかったというよりは、むしろ、私が理解する限り、旧軍と同じ呼称にしなかった理由は何かという意味であるとすれば、それはやはり、自衛隊というものが旧軍とは連続していない組織であるということを示すために、例えば旧軍において用いていた大佐というような表現を用いず一佐というような形にしたと理解をしております。

内山委員 今まででもPKOとかイラク特措法で海外に行かれていると思うんですが、海外の現場で何か不都合な点というのが今までございましたでしょうか。

増田政府参考人 自衛官というのはまさに階級で生活をしておる方々でございますので、当然、海外に行って海外の方とお話しするときに階級を説明しなければいけないということでございますけれども、少なくとも日本語で言うわけではございませんので、まさに一等陸佐であれば、通常アメリカ系の方に理解されるカーネルというものであるというふうに説明すれば問題はないかと思っておりますし、海上自衛隊の一等海佐については、通常海軍系であればキャプテンと言えば通るというふうに理解しておりますので、その点について特に問題があるとは承知しておりません。

内山委員 ですから、海外では、英語で書きますと変わらないわけですよね。国内と海外でちょっと呼び名が違う。この際、やはりもう統一すべきではなかろうかと提案を申し上げたいなと思っておりまして、庁から省に移行するのに、憲法九条との関係がない、先ほどそのようなお話もございましたけれども、やはりその辺は、時間も随分経過をされているわけでありますから、あえて、隊員の士気を向上するということを考えますと、見直してもよかろうか、私はこう考えておるわけであります。

 それでは、今度は自衛隊法の条文につきまして事細かくお尋ねをしていきたいと思います。私は事務屋なものですから、逐条解説をするように、部分部分に切りましてまず御説明をいただきたいと思うんです。

 この改正法の第三条の二項、一言で言いますと、海外活動を行うとき、だれの判断で行えるのか、まずちょっと冒頭聞きたいと思うんです。

大古政府参考人 お答えいたします。

 国際平和協力活動につきましては、今回、本来任務化ということをお願いしておりますけれども、これは法律の条文にありますように、「別に法律で定めるところにより」自衛隊が活動できることになっております。

 それではだれが御判断するかというお話ですけれども、それはそれぞれの法律によって手続的に、総理大臣が判断するとか防衛庁長官が判断するとか、それぞれケース・バイ・ケースになっているところでございます。

内山委員 国会での承認はどのような仕組みになりますでしょうか。

大古政府参考人 そこは、自衛隊の国際平和協力活動を規定するそれぞれの法律の内容や手続に従いますので、国会承認する場合もあれば、国会に御報告するという場合もあるかと思います。

内山委員 それでは、この改正法の第三条の二項が追加されて、今までとどこがどのように変わるんでしょうか。

大古政府参考人 その点につきましては、自衛隊の本来的な任務につきましては第三条に規定することになっておりまして、三条の任務とすることによっていわゆる本来任務として位置づけられるということになるところでございます。

内山委員 済みません、もう少しよくわかるように説明をいただけませんか。

大古政府参考人 本来任務化する意義につきましては、こういう活動を自衛隊の本来任務としてやることについて国の内外にメッセージで出すという部分と、それから、現実に活動する自衛隊の隊員につきまして、その誇りとか士気を高める意味で効果があるということで従来から説明しているところでございます。

内山委員 それでは、条文の言葉で、細かくちょっと文章で確認をしていきたいと思うんです。

 改正案にあります「武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲」、どういうことでございましょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 まず、この条文に言います「武力による威嚇」についてでございますが、これについては、現実にはまだ武力を行使しないが、自国の主張、要求を入れなければ武力を行使するとの意思、態度を示すことにより相手国を威嚇することであるというように考えております。また、「武力の行使」につきましては、我が国の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうということで政府が従来から説明しているところでございます。

 三条二項において、先生御質問のとおり、「武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲において、」と規定しておりますけれども、これについては、我が国の憲法との関係で、こういう武力による威嚇または武力に当たらない範囲内において自衛隊の国際平和協力活動をするということを適切に表現したものでございます。

内山委員 具体的に御説明をいただけませんでしょうか。「武力による威嚇又は武力の行使に当たらない範囲」というのを具体的に。

大古政府参考人 繰り返しになりますけれども、武力によって相手国を威嚇するとか、実際に武力を行使して戦闘行為をするというふうに至らない範囲内においてこの活動を実施するというふうに法的に規定しているものでございます。

内山委員 私は素人ですからよくわからないんですけれども、「武力の行使に当たらない範囲」というのはどういうことなのか判断できないんですけれども、それを詳しくわかるように説明をしていただきたいんです。

大古政府参考人 繰り返しになりますけれども、「武力の行使」につきましては、先ほど御説明しましたように、我が国の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうということになりますので、これに当たらない範囲ということは、このような戦闘行為をしない程度において、こういうことになるかと思います。

内山委員 では次に、三条の二項の条文の中に「別に法律で定める」、こうございます。この「別に法律で定める」法律とはどのようなものでしょうか。

大古政府参考人 今後できる法律につきましては現段階で何とも申しようがないわけですが、現行法のことでいいますと、国際平和協力活動法、それからいわゆるテロ特措法、それからイラク特措法、そのようなものを念頭に入れているところでございます。

内山委員 そうしますと、テロ特とかイラク特、PKO、こういうものが今の段階では別に定める法律ということの範囲であるということ。

 これからもし、この三条の二項を行使して自衛隊を海外に派遣する場合には、新たな法律をつくって行うということになるんでしょうか。

久間国務大臣 そのとおりでございまして、やはり新たな法律、特別の法がもう既にあればいいですけれども、ない場合には、その法律をつくらないとこれに出てこないということでございます。本来任務にならないということですね。

 それから、先ほどの武力の行使云々というのは、第一項にああいうように書いておりますから、わざわざそれを、あえて憲法九条の規定の武力の行使に当たらない範囲においてということをそこで強調したんだと私は思います。そうしないと、国際紛争を解決する手段としてはこれを行使しないと憲法で言っているものですから、それ以外のものだったらやっていいのか、そういう反対解釈も出てくる可能性もありますので、あえてあそこにつけ加えたんじゃないかなというふうに、今、憲法を見ながらそう思ったところであります。

内山委員 そうしますと、三条の二項が、このまま改正案が通りましたとしても、これから実施するに当たって、国会で新たな実施できる別の法律をその都度つくるという、これが一つ歯どめになると考えてよろしいでしょうか。

久間国務大臣 それは、これまでもそうでしたし、これからもそういうふうに、今の状態だったらなろうと思います。

 ただ、一部に恒久法をつくるというお話がございますから、私は、それについては、恒久法の規定の仕方が、あるいは出ていく場所とかいろいろな問題がありますから、その法律をつくるときにやはり慎重に対処すべきじゃないかなと思っておりまして、やはり海外へ出ていくことについては、結構条件やその他がいろいろ違うものですから、だから、本当に恒久法が技術的にできるかなという思いも実はあります。

 恒久法があった方が非常に、あとは国会の承認だけ得ればいい、そういうことで、法律を一々つくらなくてもよければそれにこしたことは、私の立場からいえばいいんですけれども、やはりそう簡単にできるのかなということがありますので、これまでのいろいろな国会答弁でも私はそういうことを言ってきたわけであります。

内山委員 では、再度念押しで確認しますけれども、この三条の二項が通ったとしても、特措法や何かをつくった上で派遣を、自衛隊を海外へ出すということでよろしいでしょうか。

久間国務大臣 特措法になるかPKO法みたいな一般法になるかは別として、法律をつくらなければ、今列挙しているもの以外の海外への派遣はできないということであります。

内山委員 では、続きまして、改正案の条文の中に「我が国周辺の地域における」とありますが、現在、どこの地域を指しているのでしょうか。これは何度もお尋ねをしているかもしれませんが、よろしくお願いします。

久間国務大臣 これは周辺事態法をつくりましたときに私は何回も答弁して、これは事態概念であって、そこで切ってもらっちゃ困るんだと、我が国周辺の地域で我が国の平和と安全に重要な影響を与える場合という、最後まで読んでもらって、それを周辺事態として認定してもらいたいので、特定の地域を指す言葉ではありませんということを何回もあのときに答弁したのを覚えています。

 かといって、やはり地域概念であることには変わりないわけですから、遠く離れたインド洋その他を我が国周辺とは言いがたいというような、そういうことも随分そのときも言われました。

 そこはやはり、我が国周辺の事態が発生する、そういう地域を指すんだということで、周辺事態が発生するような、そういう概念でもってある程度限定されてくるわけでございまして、無制限に地球の裏側までが我が国周辺になることはどんなことがあっても言えないわけでございまして、あのときの例としては、中東から油を積んで日本に帰ってくる船がいろいろなことがあったときに、それが周辺事態になるんじゃないかという話がございましたが、ちょっとそこも、中東で何かあったからといって我が国周辺事態に適用されるとはならない、事態概念でありながらも、地域との結びつきはやはりあるんだということでお答えしたことがございます。

 これはどこの線引きということがはっきりしない概念ですけれども、我が国の周辺というような言葉にある程度縛られる、そういう要素はあろうかと思います。

内山委員 同じように、改正案の「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」とはどのような事態を指しているのでしょうか。

久間国務大臣 それも周辺事態法で使っている言葉でございますけれども、そのまま放置すれば我が国にとって非常に重要な影響を及ぼすというか、防衛出動せざるを得ないような状態に追い込まれるような事態、そういうことをあのときたしか使ったと思っておりますので、それをそのまま引っ張ってきたんだと思っております。

内山委員 まだまだちょっと続きますので、よろしくお願いします。

 同じく改正案の「我が国の平和及び安全の確保に資する活動」とはどのような活動のことでございましょうか。

大古政府参考人 条文上「国際協力の推進」ということで書いておりますけれども、具体的には、先ほど申し上げましたように、例えば国際緊急援助活動がございます。それからPKO活動、テロ特措法に基づく活動、イラク特措法に基づく活動等を考えているところでございます。

内山委員 同じように条文の中で「国際連合を中心とした国際平和のための取組への寄与」とありますけれども、その「寄与」とはどのようなものですか。

大古政府参考人 まず、「国際連合を中心とした国際平和のための取組」というところでございますけれども、これにつきましては、国連自身が統括するPKO活動、それから国連の安保理決議に基づく国際社会への国際平和の取り組みなどを意味しているというふうに考えているところでございます。

 これに対する「寄与」としては、我が国として、国際貢献の観点から、自衛隊の活動により国際社会の取り組みに対して支援する、そういう意味で考えているところでございます。

内山委員 さらに、「他の国際協力の推進」とございますけれども、どのような国際協力の推進なのか、御答弁をお願いします。

大古政府参考人 お尋ねの点につきましては、国連自身が直接統括しますPKO活動や国連決議に基づく活動以外のものといたしまして、具体的には、例えば国際緊急援助活動とか、それからテロ特措法に基づく活動等を念頭に置いているということでございます。

内山委員 最後に、「我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動」とはどのような活動のことを示すのか、御答弁ください。

大古政府参考人 これは全体的になりますので、これまで述べたところも確認的に申し上げますと、自衛隊が行いますPKO活動、国際緊急援助活動、テロ特措法に基づく活動、それからイラク特措法に基づく活動等を念頭に置いたものでございます。

内山委員 では、整理してもう一度聞きますが、国連平和維持活動、PKOや、近隣有事などの周辺事態で米軍を支援する活動は、自衛隊法改正案第三条で自衛隊の任務と位置づけられるということであり、雑則に書かれていたこれらの活動は海上警備行動や災害派遣と肩を並べることとなるわけでありますけれども、現在、インド洋での活動やイラク支援に伴う活動はどのような位置づけになりますか、確認させていただきます。

久間国務大臣 これも法律に基づいて出かけていっているわけでございまして、しかもその目的は国際平和協力活動に資することになるわけでございますから、それは同じように肩を並べることになろうかと思います。

内山委員 改正案の二項によりまして、具体的に北朝鮮に対する対応なんかは何か変わりますでしょうか。

久間国務大臣 今のところ、直ちに変わることはないと思っております。

内山委員 同じように、中国とのいろいろ問題を起こしています尖閣諸島、韓国との問題を起こしています竹島、北方領土、こういったところに対する対応というのは何か変わるものがありますでしょうか。

久間国務大臣 これは、防衛庁が省になりましても、防衛庁の所管事項じゃございませんで、むしろ国際的な、外務省マターになろうかと思いますので、自衛隊の対応としては特に、これもまた全然今までと変わりません。

内山委員 専守防衛という自衛隊の本来の姿から少し変わるところがあろうかなとも思うんですけれども、省になったときの防衛体系というのは何か変わるものがありますでしょうか。

大古政府参考人 お尋ねの防衛体系のことが、閣議決定する防衛大綱に基づく各種の自衛隊の中期防とかそういう計画ということであれば、その部分について、省移行により変更するものはないと考えているところでございます。

内山委員 次に、テーマをかえまして、国連決議による国際貢献ということでお尋ねをしていきたいと思います。

 外務省の方、きょうお見えになっていると思いますけれども、国連憲章における第五十三条強制行動と第百七条の敵国に関する行動における敵国条文についてお尋ねをいたします。

 現在我が国はどのような対応をとっていますでしょうか。

木寺政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、国連におきまして旧敵国条項の改廃について、機会あるごとにこれを求めてまいってきております。

内山委員 戦後六十一年もたっておりまして、いまだに敵国条項に日本を初め幾つかの、諸外国は別として、明確に判断できるような形でなっている。これは、外務省は今まで何をやっていたんでしょうか、再度確認をしたいと思います。

木寺政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる旧敵国条項につきましては、一九九五年の国連総会で、既に死文化しているという認識を示す決議が圧倒的多数の賛成で採択されております。また、昨年九月の国連首脳会合で採択されました成果文書におきましては、同条項における敵国への言及を削除するとの決意が示されております。

 機会あるごとにと申しておりますけれども、こういう国連憲章の改正というのはなかなか難しゅうございまして、我が国は、こういった決議や文書が採択されますときに積極的な役割を果たしますとともに、国連総会等の機会をとらえまして、旧敵国条項の早期廃止を訴えてきております。

内山委員 では、削除する方向にあるといいましても、もう六十一年も戦後たっていて、これから、いつどのようにやるのか、それをはっきりしてくださいよ。これは何でこういうことを聞いているのかといったら、自衛隊がこれから国際貢献をするんですよ。そういう中において、敵国条項に定められている国に国際貢献を求めるなんというのはおかしいじゃないですか。まずそれをちょっと聞きたい。早くやる、いつごろやるのか。

木寺政府参考人 先生のお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、憲章の改正というのはなかなか難しい作業でございます。そういった作業が難しいことも考慮した上で、先ほど申し上げましたように、国連の決議等でこのような敵国条項はもう死文化しているということが確認されているわけでございます。

 ただ、先生御指摘のように、これの廃止を求めていくという姿勢は変わりませんので、今後も引き続き粘り強く訴えてまいりたいと思っております。

内山委員 条文の削除を大至急外務省がやはりやるべきであると私は強く申し上げておきたいと思います。

 国連における日本の分担金についてお尋ねをしたいと思います。

 私の記憶では、日本の分担金は約一九・五%と記憶しておりますけれども、現在の日本の分担金の金額と割合をお尋ねいたします。

木寺政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま日本に割り当てられております分担金の割合は、一九・四六八%でございます。

内山委員 金額はどれだけありますか。

木寺政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度の通常分担金につきましては、三百六十九億円でございます。

内山委員 アメリカの分担金割合は約二二%と聞いております。しかしアメリカは、国連改革の推進の名目ということで、分担金の支払いを拒んでいます。これだけ日本は三百六十九億も負担をしておいて、いまだに敵国条文が残っているのは腑に落ちない。我が国も支払いの停止をするとか、凍結を含めて、削除しないのなら支払わないというような戦法で外務省はやるべきだと思うんですけれども、どうですか。

木寺政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、国連加盟以来五十年をことし迎えます。国連分担金の支払いを含め、国際の平和と安全、開発など、国連の諸活動に関する加盟国としての義務と責任を誠実に果たしてまいりました。このような我が国の行動は、国連経済社会理事会等各種委員会に多くの国から支持を得て選出され続けておりますことや、昨年一月より、九回目となりますけれども、安全保障理事会非常任理事国を務めていることにも示されますように、国際社会の我が国に対する信頼の向上に寄与しているものと考えております。

 こうした国際社会からの信頼は、我が国の安全保障理事会常任理事国入りに対する各国の支持の根拠でもあるとともに、より公平かつ公正な分担を求める我が国の立場を強化するものと考えております。

 したがいまして、我が国としては、国連分担金の不払いという手段は、とることが適切とは考えておりません。

 なお、我が国は、国連行政、財政改革を進めるため、昨年来の国連予算審議におきまして、アメリカと共同歩調をとりまして、国連予算の支出権限を六カ月相当に限定するという措置を主導してまいりました。

内山委員 何でもアメリカのまねをするのが日本でありますので、国連も、分担金の支払いを、敵国条項を削除しなければもう拒む、ぜひそういうカードを使って対応していただきたいなと外務省の方に強くお願いを申し上げる次第であります。

 それでは、テーマをかえまして、シビリアンコントロールにつきましてお尋ねをしたいと思います。

 国会報告の義務について。省に昇格しますと、閣議の開催を求めることができ、従来内閣府を通す事務手続が円滑に進むなどの利点がある、初動態勢がとりやすいということがあります。国会への報告はどのようになりますでしょうか、お尋ねをしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛庁の省への移行というのは、そもそも国の行政組織としての位置づけの変更というところに重点を置いたものでございまして、これによりまして、我が国の防衛政策の基本の変更を伴うものではない、これは何度かここで大臣からも御答弁がございます。自衛隊の行動に伴います国会への承認、報告といった国会との関係についても、これは一切変更はなしで、今までどおり、そういう形での報告というのはきちっとするという格好でございます。

内山委員 シビリアンコントロールについても、国民の不安に思っている声がやはり届いてくるわけでありまして、戦前戦中のように軍部の独走が起こってしまうのではなかろうか、こういう声があるわけでありますけれども、長官、このような国民の声にどのように回答なさいますでしょうか。

久間国務大臣 やはりそういう心配があったからでありましょうか、戦後できました自衛隊に対しましても非常に国会のコントロールあるいはまた政府のコントロールがきくようにつくられておりますから、私は、そういう点では、今の防衛庁について何ら心配はないんじゃないかと思っております。また、防衛庁に関することは、国会でもこういう形で安保委員会等でも審議がされるわけでございますので。

 これは、庁が省に移行しましたとしても同じような状態が続くと思いますので、そういう点では、戦前のあのような事態と全然違うわけでございますから、そしてまた、戦前の場合は特に、海軍大臣、陸軍大臣、こういった大臣がいわゆる制服からしか出せなかったというような、そういうこともございましたが、今やまさに、逆に文民が大臣としてその指揮官にあるわけでございますから、私は、そういう御懸念はないということを国民の皆さん方にも強く言っているところであります。

内山委員 省に昇格しますと、海上警備行動の発令に伴う閣議の開催要求はどのような手順になりますか。今までと違うところですね。現在の防衛庁のままでの不備や権限の違いなんかも含めて御説明いただきたいと思うのです。

西川政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生今御指摘の海上警備行動につきましては、繰り返すまでもないことでありますが、この行動を発令する際には、内閣の首長でございます内閣総理大臣の承認を経て自衛隊の部隊に防衛庁長官が命ずるということでございますが、この承認は、先ほど先生御指摘のように、閣議を経て行うということでございます。

 現在のところの体制でありますと、これは防衛庁長官の決裁をいただきまして、その決裁を得た文書を一たん内閣府に持ち込む、そしてその上で内閣総理大臣の押印をいただきまして、そして内閣総務官室に提出する、ちょっと細かい事務的な措置でございますが、そういう形でやる。

 これは省移行後は、防衛大臣の決裁をいただくと、直ちに防衛省において防衛大臣名を押印の上、それを直ちに内閣総務官室に持っていく、形の上でございますが、そういう形になるということでございます。

内山委員 それは時間的にしますとかなり速くなるんですか。

西川政府参考人 この一点をとってどれだけ速いかというと、そこらあたりはなかなか難しい話でございます。これに伴ういろいろな準備だとか、それに伴ういろいろな事前の根回しとか、いろいろなことがございますので。

 やはり我々としては、とにかく海上警備行動をかける場合、これまでかからなかったんですけれども、既にその事前の段階ということで何回か経験はございますが、本当にたくさんの事務をやる中で、こういうものが一つでも入るとやはりいろいろ負担になってまいりますので、時間で何分何秒ということは決して申せませんが、我々としては、できるだけ速くやるためには、そういう手続、簡素化できるものは、そしてちゃんとシビリアンコントロールが担保できるものは、できるだけそういうものはきちっとやって、簡略化した上で、シビリアンコントロールのもとにきちっとした行動をやっていくということを求めていくということでございます。

内山委員 今回の防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の中に、自衛隊法の一部を改正する部分において、内閣総理大臣から防衛大臣に改める箇所が数カ所ございました。「内閣総理大臣の指揮監督」という部分が「この法律の定めるところに従い、」に改まりますと、指揮監督権が内閣総理大臣から防衛大臣に移ったのではないかというふうに読んでしまうところがあるんですが、国民が一番心配しておりますのは、果たしてシビリアンコントロールが機能するのかという部分であると思うんですが、防衛大臣の指揮権というのはどこまで発揮できるのかというのをお尋ねしたいのです。

久間国務大臣 自衛隊の最高指揮官としての内閣総理大臣の権限は従来どおりあるわけでありますけれども、内閣府の長としての総理大臣の権限は防衛大臣に移ります。したがいまして、例えば人事権等は防衛大臣に移ってくるわけでありまして、そこのところがやはり若干実態的には違うかなと思います。

 もちろん、内閣の一員でありますから、内閣総理大臣が防衛大臣を命じて指揮権を発動することはできますけれども、形式的に言いますと、ちょうど各省庁の局長の人事権を大臣が持っているのと同じで、それについて内閣総理大臣がかえようと思うときは、その省庁の大臣を罷免してかえる、そういうことになるのと同じように、人事権については若干違いが出てくるんじゃないかなという感じがします。

内山委員 省に移行しまして、日米安保上何か変更は出てくるでしょうか。

久間国務大臣 私は、それは出てこないと思います。

 それは、やはり日米安保条約上は、総理対大統領の関係が最終的にありますし、いろいろな下部での調整は軍と自衛隊同士でやりますし、また、国務省と外務省がやると同じように、国防省と防衛庁が従来もやっておりましたから、今度は防衛庁にかわって防衛省がやるということになりますから、日米安保条約の機能上はほとんど差は出てこないんじゃないでしょうか。

内山委員 それでは、米軍再編との問題で、省昇格に伴いまして、米軍再編の何か変更は出てまいりますでしょうか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 これは先ほど当方の大臣の答弁の中にもございましたが、今回の省移行によりまして、日米安保体制のあり方、あるいは今後の米軍再編の進め方というものの基本的な部分というのは、基本的には変化は生じないと我々は考えております。

内山委員 余談ではありますけれども、米軍の移転に伴う費用というのは、そろそろ明確な金額が出ていますでしょうか。これは質問通告しておりませんけれども、おわかりになれば。

大古政府参考人 米軍再編に伴う経費につきましては、まだ、米軍の施設の再配置等日米調整中で、固まっていないものもございます。そういう観点で、総額についてまだお示しできる段階には至っておりません。

内山委員 それはいつごろ明確になりますでしょうか。

大古政府参考人 現段階におきまして、お示しできる時期についてのめどをお話しできる状況には至っておりません。

内山委員 それでは、テーマをかえまして、不祥事につきましてお尋ねをしたいと思います。

 前回、十一月七日、当委員会でも私は御質問をさせていただきましたが、大分県の玖珠駐屯地の小銃紛失につきまして、前回もまだ発見できないということでありましたけれども、その後の捜査、または小銃が見つかったでしょうか、いかがでしょうか。

小川政府参考人 先生から過日御質問を受けましたけれども、その後も引き続き、駐屯地所在の部隊あるいは第四師団が懸命に捜索、調査をしておりますし、また県警と連絡、連携をとって警務隊も捜査しておりますけれども、残念ながら、現段階で武器の発見に至っていないという状況でございます。

内山委員 同じように、自衛官の無断渡航につきましてもお尋ねをしておりました。前回の質問では、営内居住者と営外居住者の無断渡航の割合について、営内居住者が六割で、営外が四割という答弁をいただきました。

 前回に引き続きまして質問させていただきますが、営内居住者が基地外に出る場合は、どのような手続をとりますか。

増田政府参考人 まさに営内を管理しておる部隊の指揮官、責任者等の許可を得て、営外への外出許可を得て営外に出るということでございます。

内山委員 その外出許可というのは、何か書面で出すんでしょうか。

増田政府参考人 基本的には書面でとるということを前提にしておりますが、場合によって口頭ということもあり得ると思っております。

内山委員 そうしますと、海外に行くということになりますと、数時間では戻ってこられないわけでありますので、一泊二日、二泊三日、こういうことになるわけでありますけれども、出した書類と、海外に行っている、明らかに差があると思うんですが、うその内容が書かれている場合、それは処罰の対象となっているんですか。

増田政府参考人 お答えいたします。

 まず、手続的なことでございますけれども、営内の者が営外に出るいわゆる外出許可の問題といわゆる海外渡航の問題と、二つの手続になっております。

 営内の者が外出する場合は国内の場合もあるわけでございますけれども、その中で、さらに外国に行く場合には海外渡航の許可をとるという仕組みになっております。その際に、まさに国内のどこか旅行に行くという届けを出して外出許可をとった上で実際には無断で海外に行ったという事例が過去にもございますけれども、その場合は、必ずというわけではございませんけれども、懲戒処分の対象になる場合がございます。

内山委員 懲戒処分ということで、前回の質問の中でも、懲戒処分のベストファイブは何でしょうという御質問をしまして、後で手元に書類をいただいたんですが、交通違反がトップだ、無断欠勤が二番目で、三番目が傷害やわいせつだと。非常にやはり規律の乱れといいますか、教育の甘さが多いなとつくづく改めて思うんですが、長官、いかがですか。

久間国務大臣 やはり自衛隊の規律というのが基本でございますから、これから先どういうふうな方法を講ずれば規律が遵守されるのか。最近、これは自衛隊に限らず、いろいろな組織が非常に規律が乱れているという話も聞きますだけに余計、特に自衛隊ではそこに気を使って、よそに負けないような徹底を図る、そのために意を払っていかなければいけないと思いますが、何かまたいいアイデアがあったら教えていただきたいと思うぐらい、我々としても、その辺はどうしたらいいのか、非常に考えているところであります。

内山委員 隊員の不祥事の中にはやはり経済的な理由というのもあろうかと思うんですが、日本の国民の生命と財産を守る重要な職務についている、こういう隊員に、経済的な問題で、例えば定年退職後の仕事を、新宿かどこかでピンクサロンか何かを共同経営したとかという新聞が出ておりましたけれども、そういう副業をしなくても何とかきちっと生計を立てられるような報酬を支払うべきじゃなかろうか、私はこう思うんです。

 大臣、今の隊員の処遇といいますか給与は、どうですか、もっと見直したらいいんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

久間国務大臣 私は、いろいろな何か不祥事が起きてきている、あるいは今例なんかも挙げられましたけれども、そういうのは違うと思いますね。二十数万の隊員のほとんどはちゃんとまじめにやっていて、その一部があると、さも経済的な理由でそういうことをやっているかのように言われますと、非常にほかの人たちにしてみれば、おれだってこの月給でやっているぞというような気持ちになると思いますし、私は、ほかの公務員と比べてみても、そんなに自衛隊の処遇が悪いと思っておりません。確かに若年でやめなきゃならないということに対する不安は、これはほかとはちょっと違う点があるかもしれませんが、それでも、私はそんなことはないというふうに思っておりますから、これはやはり、給料の差に起因することではないんじゃないか。

 だから、もう少し、みんなから期待されているという意識の面での自覚、これをどうやって持ってもらうか、そこのところが大事じゃないかなと思っているところでございます。

内山委員 前回の私の質問で、長官に、ちょうど北が核実験を行った直後でございましたので、北の脅威ということをお尋ね申し上げました。長官は、この時点で北の脅威はない、脅威としては実感していない、こういうお答えでございました。

 しかし、普通の国であればいきなりミサイルを撃ってくるなんということはあり得ないわけでありますけれども、私は、北は普通の国であるとは思っておりません。いつノドンが飛んでくるのかという心配を抱いている国民も、少しずつでもふえております。さらに北は、拉致それから覚せい剤、こういう犯罪国家でもございます。私は、もっと北に対する対応というのを日本はしっかりと政策的に持つべきだろう、こう思うわけであります。

 今現在、例えば北のノドンのミサイル基地をたたこうにも、日本には能力がないわけでありまして、前回も申し上げましたとおり、日本では長距離爆撃機を持つこともできない、それから空母も持つことができない。こういう制約の中でいけば、クルージングミサイルのようなものをぜひ、撃たれる前に撃つ、ハリネズミ構想でPAC3やペトリオットを五兆円もかけて配置するよりは、よほど効率のいい防衛ができるのではなかろうか、こう思うんですけれども、再度、北の脅威、それから、その備えということについて、長官のお考えをお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

久間国務大臣 防衛庁あるいは自衛隊で脅威と言うときには、相手の能力と意図と両方がある場合に脅威として認識するというふうなことで従来からやってきておりますので、そういう意味で、私は、北が、能力的にはミサイルを撃てる、実験をやったわけですから、あるいは核実験までやっているわけですから、かなり注目しなきゃならないと思いますけれども、日本を今攻撃する、そういう意図があるかということになりますと、そこは現在は感じられない。

 確かに拉致その他ありました。拉致というのは、北朝鮮は確かに、日本との関係では国交正常化していない唯一の国でございますから、向こうから見ても戦争状態が続いていると思っているかもしれませんし、こちらはやはり拉致されないように、それだけの取り組みをしなければならないわけでございますが、武力攻撃をする、そういう意図が今あるかとなると、今の状態では直ちには感じられませんので、脅威はないと申し上げたわけであります。

 しかしながら、虎視たんたんとああいうふうな核実験の準備もずっとやってきておる、これから先、また小型化もするかもしれない、ミサイルについても開発するかもしれない。そうなると、それをどうやってやめさせるか、そこのところについては我々も最大の関心を持ってやらなきゃなりませんが、かといって、向こうをたたく、こちらがそういうようなトマホークその他を備える方がいいかとなると、そうしたらそうしたで、また向こうが警戒を持って、もっとまた軍拡にもなりかねないわけでありますから、やはりそこは、アメリカ、中国、そういったところと、あるいはまたロシアも一緒にして、北朝鮮をどうやって押し込んでいくか、そちらの方に的を絞る方が日本のとるべき方策としては正しいんじゃないかなと私自身は思っております。

 これから先の推移を見ながら、そういうのでうまくいかないときに、じゃどうするんだ、おまえはと言われると、確かにハリネズミだけで大丈夫かと言われるのに対しては大変痛い気持ちもしますが、そこはやはり、日本はアメリカとの安保条約に基づいてやるわけですから、そういう攻撃する矛の部分は、日米が、ちょうどアメリカと英国がいつも、やられたらそっちの方は同盟を組んでやるみたいな、そういう非常に緊密な間柄になる、そういうものは大事だと思いますので、今のところ、安保条約に基づく現在とっておる政策が、私は、戦後六十年、平和が続いてきたというところを考えますと、間違ってはいなかったんじゃないかな、そういう思いがいたしております。

内山委員 時間が参りました。ありがとうございました。終わります。

寺田(稔)委員長代理 次に、武正公一君。

武正委員 民主党、武正公一でございます。質疑を行わせていただきます。

 まず、今回の本来任務化に伴う自衛隊法の改正のイメージという資料も防衛庁からいただいておりますが、附則にテロ特、イラク特がそのまま残っておりまして、その説明として、時限立法であることは変えず、したがって、引き続き附則に規定、こういう説明が書かれておりますが、ということは、先ほども議論がございますいわゆる自衛隊の海外派遣恒久法、こういったものが制定された場合には本則に規定をされるという理解でよろしいのかどうか。

久間国務大臣 恒久法というのがどういう法律かちょっとわかりませんので、直ちに、はい、そうですと言ってしまうのもどうかと思いますが、自衛隊の海外派遣について、何らかの法的根拠がなければ出せないわけでございますから、そういう意味での根拠法ができれば、それはやはり同じように本来任務になろうかと思います、時限法でない限りは。

武正委員 私はやはり海外派遣恒久法については慎重な立場ということで、先ほど来防衛庁長官もそのような御答弁をいただいていると理解をしておりますが、そうした立場からすると、附則という形で一回一回慎重に海外への自衛隊派遣については対応していくのかなといった考えでございます。

 さて、今回の防衛省、省昇格に伴う法案でございますが、これまで関係省庁と防衛庁が交わした覚書というのは一体幾つぐらいあったんだろうか、また、今、そのうち効力があるのはどのぐらいで、今回省昇格に伴い見直す予定があるのは幾つなのか、防衛庁、お答えをいただけますでしょうか。

久間国務大臣 細かい数字についてはまた事務方から聞いていただいて結構ですけれども、私は、基本的には大臣クラスで覚書を交わすことはまずないですから、恐らくそれ以下だと思います。

 そうしますと、今度の省に移行したとしても、局長その他は原則として変わらないわけでありますから、そのままそれは有効性といいますか、引き続いてそのまま効力はあると思いますので、私は、改めてそれについて覚書を交わすようなことは必要ないんじゃないか、そのまま承継されるものと思います。

武正委員 環境庁が省に昇格するときにやはりこういったことがございまして、国家行政組織法上、省と庁のそういった位置づけからいうと、随分環境庁は各省と覚書を交わしておられました。そうした覚書を交わしながら環境庁のときの立法を進めていったようでございます。ですから今伺ったわけでございまして、これで防衛省になることによって、これまでの関係省庁とのそうした位置づけが変化を来すことは、やはり省ということであるので、あるのかな、こういうふうに考えるからでございます。

久間国務大臣 確かに、私も環境庁ができたいきさつとかいろいろなことを、庁ができたいきさつその他もよく知っていますだけに、あそこの場合は、公害問題から発生して、ずうっといろいろな形の中で出てまいりましたから、あったかもしれませんが、防衛庁は恐らく、ほかの省庁との関係は、あっても十件ぐらいじゃないかなと思うんですよ。ずうっとこれで今日まで来ておりますから、それほど役所の組織にかかわるようなことじゃないと思いますので、そのまま局長クラスで交わした覚書を生かしておってもいいんじゃないかなと思いますが、その辺につきましてはまた、必要ならば検討させていただきたいと思います。

武正委員 質問通告にありますので、これは数をお答えいただきたい。もしあれでしたら副長官からでもお答えいただけますか。

木村副長官 過去五年間で防衛庁が関係省庁と交わした覚書等についてですけれども、現時点において把握しておりますのは十一件でございます。

武正委員 そのうち効力があるのは幾つで、省昇格に伴い見直す予定があるのは幾つかということはいかがでしょうか。

木村副長官 いずれも現在効力を有しております。また、省移行に伴いまして見直す必要があるか否かについては、現在検討中でございます。

武正委員 過去五年間で結んだのは十一ですけれども、それ以前にも随分結んでいると思うんですね。累計では幾つですか、お答えいただけますか。

木村副長官 今手元に資料がございませんので、調べさせていただきたいと思います。

武正委員 以前、外務省を通じて、いわば在外公館を通じて現地にいる防衛事務官の本省への連絡、これは大使館を通じてやるんだという、あれも覚書の一種でしょうか、あれがたしか五十年ぶりに見直されたという報道もございました。そういうようなこと、私も記事を覚えておりますが、そのようなたぐいというんでしょうか、これまで防衛庁ゆえに関係省庁との間である面そうした約束事があったのが、多分ここで防衛省になって見直しの必要が出てくるものがあるのではないかということでお聞きしたわけでございます。ぜひ、後でその数字なり、また検討状況についてもお答えをいただければと思います。

 さて、私は、日米の物品役務協定、この付表2ということをいつも問題にさせていただいておりますが、外務副大臣がお見えですので、現行ACSA付表2に書かれている法律は何であり、要は、防衛省、省昇格法案によってその法律の改正、条項の改正とかあるのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。

岩屋副大臣 同協定の付表2に定める法律としては、テロ特別措置法、イラク特別措置法、そして自衛隊法が定められているところでございます。

 それから、今先生お尋ねございました、今回の法改正によってACSA協定の変更はあるかということでございますが、今申し上げましたとおり、ACSAの付表2には、同協定第六条に基づいて、自衛隊による米軍に対する後方支援ができるものとして自衛隊法第百条の十が掲げられております。これは、先生御案内のとおり、大規模災害等において米軍と協力できるという規定でございます。

 それで、今国会で審議いただいている防衛庁設置法改正案が成立する場合は、今申し上げた現行の百条の十は、一部技術的な変更というのがございます。それは、内閣総理大臣とされていた箇所を防衛大臣と変更する等でございますが、その一部技術的な変更を除いて内容には一切変更はないということでございますので、条文番号が第百条の十から第百条の六に変更されることになります。したがって、番号の読みかえが必要になるということでございます。

武正委員 今の番号の読みかえ、あるいは内閣総理大臣から防衛大臣への改正については、これは両国間の約束事でございますので、どのような形で米国に通知をするのか、お答えをいただけますか。

岩屋副大臣 今申し上げました読みかえの具体的な方法、どうするかということについては現在政府で検討中でございます。相手のあることでもございますし。

 ただ、今申し上げたとおり、条文の内容に全く変更がない、番号を読みかえるだけだということで、ACSAに関連する日米間の権利義務関係にも一切変更がないということでございますので、そのことを踏まえて、どういう方法が一番適切かということを検討しているところでございます。

武正委員 交換公文を交わす可能性もなしとは言えないということでしょうか。

岩屋副大臣 今申し上げたとおり、どういう方法が適切かということは今検討中でございますが、番号の読みかえのみにとどまるということ、技術的なことでございますので、それにふさわしい手続をとることになると思っております。

武正委員 この法案の審議の中でも、シビリアンコントロールという観点がそれぞれの委員から、やはりしっかりとその担保を求められております。また、国会の関与ということは、民主党を初め、それぞれの政党がやはり求めているところでございます。

 このシビリアンコントロールの観点からも、付表2に法律を加えること、これは日米間の交換公文、そしてまた国内においては政令でできるということで、国会承認は必要ないという仕組みになっておりますが、私は、このACSAの付表2に法律を加えていくことについては、やはりしっかりと国会がシビリアンコントロールの観点から関与をしていくべきだろう、こういうふうに考えているわけでございますが、まず、こうした改正が必要ではないかということについての外務省の御見解を伺いたいと思います。

岩屋副大臣 先生も今御指摘になりましたとおり、ACSAの協定は、既に国会の議決を経て成立している法律の規定であって現に有効なものを交換公文により付表2に追加することができると定めているところでございまして、このような交換公文は、先生もこの問題をずっとおやりになっておられるので、大平三原則に照らして適切に対処をするということになるわけでございます。今後とも、政府としては、その大平三原則にのっとって適切に対処してまいりたいと思っております。

武正委員 大平三原則、それから平成二年の外務委員会での丹波政府委員の答弁ということで、国会で承認をされた条約に基づいて後刻結ばれた交換公文については、重要なものを国会に提出する、こういったことで、平成五年まで衆議院の外務委員会を中心に提出をされてまいりましたが、平成六年以来一本も提出をされなかった。過日、六月二十三日結ばれました日本国とアメリカ合衆国の相互防衛援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器及び武器技術の供与に関する交換公文、これが七月二十五日、衆議院の外務委員会に十二年半ぶりに提出をされたわけでございます。

 こうした国会での答弁に基づいて、私は、シビリアンコントロールの観点から、こうした国会承認を得た条約、その後の交換公文については、やはり重要なものという観点、これはだれが重要か判断をするかというのが、外務省なりが重要と判断するような、政府が重要と判断するというのがいかがなものかなとも思いますが、そうはいっても、やはりこうした重要な交換公文を国会に提出していくというのは大変大事だろうというふうに思います。

 そこで、先ほどのお話でございますが、これから、今回のこの法律の改正によって交換公文を日米間で交わすのであれば、やはりそれは国会に提出をしていくべきというふうに考えますが、これについては、外務省、いかがでしょうか。

岩屋副大臣 先生の立法府のお立場としての問題意識は大変よく私も理解をしているところでございますが、先ほどから申し上げておりますとおり、大平三原則にのっとって適切に対処してまいりたいというふうに私どもは考えております。

 何が重要であるかというのは内閣においてこれを判断するということになっているわけでございますが、大平三原則の趣旨に沿う形で、立法府との関係についても適切に対処していきたい、こう思っております。

武正委員 先ほど来、まくら言葉にシビリアンコントロール、あるいは国会の関与ということでそうしたことを求めているわけでありますし、本法案の審議で、これについてやはり国会としてきちっとその担保を求めているからこそ、今のことに触れたわけでございます。

 そこで、防衛庁長官に伺いたいんですが、これから、2プラス2ではありませんが、多分、外務大臣、防衛大臣ということで連名で署名をする、そういう外国との約束、協定、条約、こういったものもこの省昇格に伴ってふえてくるのではないのかな、これは私の感想というか予見でありますので、これについてもお答えをいただきたいと思うんです。

 そうしますと、今まで外務委員会に、それこそ外務省が海外と結んだそうした交換公文、これは国会で承認を得たものでありますが、重要なものは提出をして、それぞれの委員会の審議に供していた。ただ、十二年半行わなかったというのは大変問題なんですが、先ほどのような形で提出をされております。これから安全保障委員会に、防衛省が結びました重要な交換公文をやはり外務委員会に倣って国会に対して提出をすべきだというふうに私は考えますが、これについての御所見を伺いたいと思います。

久間国務大臣 防衛庁が防衛省になりましても、そういう交換公文がふえるかというと、私は余りないんじゃないかと思います。

 しかしながら、防衛省と外務省が2プラス2でやったみたいにしてやった場合に、外務省が外務委員会に出す場合に防衛省としてもやはり安保委員会の方に出すという、それは至極もっともなことだと思いますけれども、その辺の判断につきましては、横並びといいますか、外務省と同じような判断をしていけばいいんじゃないかと思いますので。正直言って、外務省を抜きにして防衛省が結ぶということは、やはり外交マターですから、余りないんだろうと思っております。

武正委員 過日、外務委員会でも、日米安保条約の所管は外務省と外務大臣からも答弁があったということでありますので、外交案件は外務省がある面リーダーシップをとるんだということが今確認をされたんだというふうに思います。

 そこで、かねてより、このACSAの付表2に、どんな法律かわからないけれどもという前提つきでありますが、自衛隊の海外派遣恒久法が書かれた場合には、私は、米軍への物品役務の提供、すなわち後方支援が世界じゅうどこでも行えるようになるのではないのかな、こういったことを危惧する一人でありますが、防衛庁長官、ちょっとその意見についてはどのように思われるのか、御所見を伺えますか。

久間国務大臣 今おっしゃるような形でACSAの中身が無制限に、そういう恒久法ができたらもう自動的にどんどん膨らんでいくというようなことは、私はやはりちょっとどうかなと思います。

 だから、むしろ法律をつくるときに、どうなるのかというのをやはりちゃんと注意しながらやっておく必要があろうかと思いますし、ACSAというのは物品役務をこちらが提供するわけですから、そういうのはやはり、こういうケースの場合はやりますよというような形を少なくとも、法律で今までみたいにいく場合にはやれるということにしておっても、中身がまた違いますから、今でもイラク特とテロ特それからPKOと、それぞれの法律によって、例えば役務の提供でも武器は運べないとか弾薬は運べないとか、いろいろなことがありますから、そういう違いも恒久法でやろうとしたときでもやはり出てくるんじゃないかなと思いますから、だから、そういうようなことは、立法技術の問題とあわせて、国会の関与の仕方として注意しておく必要があろうかと思います。

 私は、どっちかというと、非常にそういうものについては抑制的でありますから、世界の浦々までACSAでやるような、そういうことには多分ならないとは思っておりますけれども、そこは慎重にやらなきゃいけないと思っております。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

武正委員 武器を運ぶことについては、武器を運ぶ役務の提供ができるんだというのがこのACSAのそうした解釈でありますので、イラク特、テロ特の法体系とまた若干ずれた形であるということもやはり留意をしなきゃいけないというふうに思うわけでございます。そういうことが広がっていくことはないということを、多分そうだろうというふうに言われましたが、そうならないためにも、このACSAの改定が交換公文だけで済む、国内は政令だけで済むということが私は懸念をされる、そうならないためにも、やはりそうした歯どめをACSAについてはつけておく必要がある、こういうふうに考えるわけでございます。

 外務省にもちょっと伺いたかったのですが、時間の関係もありますので、次に移らせていただきます。

 ことしの四月、国会では行政改革関連法案の審議が行われた折に、随意契約について、やはり大きな議論を巻き起こしております。すなわち、中央省庁発注全契約五百万円以上、その七割、八割以上が一社単独受注の随意契約であり、しかも相見積もりを一切とっていない、こういったことがあったものですから、政府は随意契約の見直しということを着手しております。

 防衛庁も六月の発表で随意契約の見直し計画を発表しておりまして、平成十七年度において所管公益法人等との間で締結した随意契約について点検、見直しを行った。それまでは、一万二千四十六件、金額一兆四千七百十四億円、公益法人との間の随意契約が平成十七年度ありましたが、それを見直し、計画でありますが、六千六十五億円は依然として随意契約のままということで、その割合は四一・二%、すなわち、六割弱は随意契約から見直しをしたけれども、相変わらず四割強は随意契約のままということを計画として提出しております。

 これはほかの省庁と比べると随意契約の割合が非常に高いということをやはり指摘せざるを得ないわけでありますが、なぜこうした高い比率になっているのか、見直し後であってもこうしたことになっているのかをお答えいただけますでしょうか。

木村副長官 先生御指摘のように、金額ベースでは今四一%ぐらいになっている、件数では一八パーでございますけれども。これらの案件につきましては、ライセンス国産に係る装備品の調達等々、いずれも契約の内容や性格上随意契約になることがやむを得ないのではないかというものでございますので、御理解を賜れればと思っております。

武正委員 この委員会でも官製談合についてのそうした集中審議を累次重ねてまいりました。随意契約は、談合ではないけれども紛れもない談合なんじゃないのか、最初から一社単独で受注をする、こういったことで、ある面の談合と同じ、こういう指摘があるわけですので、随意契約の見直しにも、これから新しい省になる今このときに、防衛庁としてやはり率先して取り組む必要があるというふうに考えるわけなので、今のような、ライセンス生産ゆえに高い随意契約が許される、こういった形で御答弁いただいてしまうと、果たして大丈夫かな、また同じようなことが防衛省になって起きるんじゃないのかな、こういう懸念をするわけでございます。

 新しい内閣になってもこの随意契約の見直しは今ちょうど進めている最中ということを伺っておりますので、この随意契約見直しについて、副長官はそういうような御答弁がありましたが、長官として、改めて今の御決意を示していただけますでしょうか。

久間国務大臣 やはり随意契約の見直しはやっていかなきゃなりませんけれども、そういう特殊性から、随意契約を避けて通れないかもしれません。

 しかし、高い随意契約と言われましたが、それがいかぬのであって、随意契約で適正な値段まで交渉して下げさせれば、随意契約の場合がいい場合があるんですよ。だから、やはりそこのところも国民に誤解を与えないようにしなければならないと思いますので、随意契約がすべて悪だというような、そういう言い方ではなくて、民間でいろいろな発注をするときは随意契約の方が圧倒的なんですね。それは、そこと値段の交渉でどんどん下げられるわけですね。役所の場合はそれができないから、逆に言えば、競争入札でやるため、みんなが適切な値段で入れた場合にはそれよりぐんと下げさせるということができないわけですね。

 だから、そこのところが若干一般に誤解も与えている点もありますので、随意契約が全部高いんじゃなくて、随意契約で、高い随意契約にならないように、どうすれば意を払うことができるか。随意契約をやはり避けて通れない分野もありますので、そのときにはやはり見積もりをとるなりなんなりでもっと適正になるように我々も注意していかなきゃならない、そういうふうに思っております。

武正委員 会計法で、一般競争入札が原則、こういうふうに法律でうたっているわけですので、その法律を遵守していただかなければならない、これが第一点と、予決令にも書かれておりますが、随意契約のときには相みつをとるよう努力すること、こういうふうに書かれているんですけれども、過日の説明では、中央省庁発注五百万円以上の全随意契約は一件も相みつをとっていない。

 今長官言われたように、民間はそれは随意契約をやっていますよ。ただ、やはりそれぞれの会社なり団体は、例えば五万円以上は、あるいは十万円以上は相みつをとってこい、そういうふうな形で内部統制をやっているわけですね。ですから、それがない公会計が問題であるので、今の点は、やはり新しい省になるわけですので、今のように、いや、いい随意契約もあるんですよ、そういう形で言われてしまうと、本当に大丈夫なのかなと。

 再度御発言いただけますでしょうか。

久間国務大臣 決してそういうふうに言ったつもりではございませんので、誤解のないように。やはりできるだけ競争原理を働かせるようにしたい、そう思っていますけれども、随意契約を避けて通れない分野も中にはあるので、そういうときには今言われるように相みつをとるとか、適正な値段かどうかについて神経を使ってやるように、そういう意味で言ったわけでございますから、ひとつ御理解を賜りたいと思います。

武正委員 先ほど、計画については公益法人との件は出していただいておりますが、公益法人以外の民間企業との随意契約、これも内閣として見直しということで前内閣から引き継いでいると思いますが、現在の見直し状況についてお答えをいただけますでしょうか。

木村副長官 所管の公益法人以外の随意契約について、今先生が御指摘のように、厳正に今見直しを実施しているところでございます。結果につきましては年度内に公表すべく今準備をしておりますので、結果が出次第、また御報告をさせていただきたいと思っております。

武正委員 民間については今やっている最中だということですので、先ほど長官が言われた、ライセンス契約というのはどちらかというと民間の方が多いんじゃないかなと。公益法人の見直しというのは、いろいろございましたよね、防衛施設協会とかいろいろな問題点。

 ですから、公益法人の見直しでさえ、四割が依然随意契約のままでいいというこの防衛庁の六月の発表というのはやはりおかしいんじゃないか、こういうふうに思うんですが、この点ではどうでしょうか、先ほどライセンス契約があるからと言ったんですけれども。

久間国務大臣 公益法人もいろいろございますから、どういう意味で四割が随意契約になっているのか、私もこれはもう一回点検してみようと思います。

 しかし、やはり、ライセンス生産とは言わないまでも、防衛庁の仕事というのは割と守秘義務というものがかたい事業だけに、ほかの人には任せられないような要素があって公益法人で縛っておる、そういう要素もあるんじゃないかなと思います。だから、それが自由競争といいますか、もっと競争が取り入れられない理由等についてももう少し調べながら、できるだけ少なくなるように努力をしていこうと思います。

武正委員 そこがいわゆる、例えば五億円以上の仕事を発注するかわりに天下りを受け入れろ、こういうような体質になったわけですので、防衛機密、当然これは守らなければなりませんが、やはりそれはあくまでも税金を使った契約でありますので、説明責任を果たす意味でも、随意契約、公益法人というのは依然四割、これはやはり速やかに改めていくべきである。再度、この見直し状況をぜひ年度内に御発表いただくよう、これは求めておきます。

 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

木村委員長 次に、神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 本日は、防衛庁の省昇格関連法案についての質問ということでございますが、その前に幾つか、これまでの議論の中で確認しておきたい点から質問をさせていただきたいと思うわけでございます。

 これまでの本委員会でも、日本のミサイル防衛システム、MDシステムについての議論がございました。まず、技術的なことからちょっと伺いたいんですが、仮に北朝鮮から日本に向けてノドンといったような弾道ミサイルが発射をされた場合、この発射から着弾までの時間というのはどれくらいなのか、また、その中でいわゆるブースト段階、ミッドコース段階、ターミナル段階と言われるものがあるわけですが、それぞれこれは何分程度のものであるのか、その点からお答えをいただきたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 ノドンの詳細な性能については我々も把握しておりませんので、定かには言えませんけれども、最大射程の千三百キロということの場合は、発射から着弾までの飛翔時間につきましては十分程度というふうに考えております。

 あと、他方、ブースト段階、ミッドコース段階、ターミナル段階、どの程度の所要かという御質問でございますけれども、発射後、燃料を燃焼して速い速度で高度を稼ぐという段階につきまして、いわゆるブースト段階ということでございますが、一般の千キロ級ミサイルでありますと一般的には一、二分だと思われますけれども、あと残り、ミッドコース、ターミナル段階については、それぞれの国際的に確立された定義もあるわけではございません。そういう意味では、全体の飛翔時間の十分程度の中で三段階に分けて何分何分という御説明は困難であるということで御理解を賜りたいと思います。

神風委員 そうしますと、飛んでくるミサイルが日本に向けられたものであるのか、あるいはこれは米国に向かっているものなのか、あるいはほかの国に向かっているものなのか、どの段階でこれは判別が可能なのか。これは二分以降ということになるんでしょうか。あるいはまた、場合によっては、そのミサイルが発射をして失敗というケースもあるかと思いますが、その判断というのもその間でつくんでしょうか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 この点についても一般論で恐縮なんでございますが、通常、弾道ミサイルにつきましては、ブースト段階を終えて飛翔が安定した段階で加速度等を検知することにより弾着点が推察されるという技術なものでございますので、一般的には、ブースト段階が終わったところで弾着点を予測するということで考えておるところでございます。

神風委員 というと、確認ですが、二分程度たった段階でということでよろしいわけですね。それと、先ほどの失敗のケースというのも判断できるのかどうかもお答えいただければと思います。

大古政府参考人 先ほど申し上げたとおり、千キロ級のミサイルでありますと、ブーストフェーズが一、二分ということであれば、一般的には、そのブースト段階が終わって飛翔の安定した段階において弾着点が技術的には予想し得るということでございます。

 以上でございます。(神風委員「失敗かどうかというところについても」と呼ぶ)

 済みません。失敗かどうかということにつきましては、一般にレーダー等で探知いたしますので、それが高度を失ってレーダーからロストするとか、そういうことになれば失敗とわかる場合があるかと思います。

神風委員 結局、そのミサイルが発射をされて、ブースト段階を経て二、三分程度たった段階でそれが判断できるということになるのかなと思いますが、ある意味では非常に極めてわずかなチャンスしか残されていない、非常に短い時間しかないという理解でよろしいのかなと思います。

 そこで、防衛庁長官にお伺いをしたいわけであります。

 長官はかねてから、集団的自衛権、個別的自衛権、これを二つに非常に峻別することに疑問を感じるということを見解として述べられております。これはテロ防止特別委員会の、私も出席していた十月十六日の答弁でも、我が国は「集団的自衛権、個別的自衛権というふうに二つに非常に峻別をしてしまって、全くそのどちらかに属するんだ、そして、こちらに属する場合は武力行使はできないというような解釈をずっととっている」ことに対して疑問を述べられておったわけです。

 これに対しては私も非常に共感するわけですけれども、そういう点でいうと、まさに「日本の自衛権というのは、とにかく自衛権が行使できなかったら国が滅びる、そういう状況下においては自衛権は行使できるわけでありますから、峻別すること自体からスタートするんではなくて、憲法だけ残って日本が滅びるようなことはあってはならない、そういう発想に立ったらどこまでが許されるのか。」ということを長官御自身が答弁をされております。

 そういう観点に立つと、このブースト段階での迎撃というのも本質的には長官の考え方と性格は同じなのではないかな。ある意味で敵地攻撃というような性格が入ってくる、だからだめなんだという議論はあるのかとも思いますが、それが本当に日本に向けられたのかアメリカに向けられたのか、あるいはほかの国に向けられているのか判断できない段階であっても、それはこの考え方に立てば迎撃ができるという考え方も成り立ち得るのではないかなと私自身は長官の考えから推測したわけですけれども、それに関して長官の見解を教えていただきたいと思います。

久間国務大臣 どの段階で自衛権が行使できるかというのは、前に、前の長官をしていたときだったかどうか思い出せませんけれども、相手が発射しない、要するにけん銃に着手もしない、しかし、じいっと後ろに回り込まれる、回り込まれてしまったらもうこちらとしては防ぎようがないというときに、どの段階でこちらは自衛権の行使ができるか、そういうようなケースを想定すると、どこかで許されるんじゃないか、そういう議論ができるんじゃないかということを言ったことがございます。

 そういうことから考えますと、ブースト段階とはいいながら、それが我が国に向けられたものであり、そして、それがこちらに着弾したならば我が国にとってはもう取り返しのつかない、一発で日本が滅んでしまうような核弾頭を積んだ、そういうものがブースト段階に入れられて、しかも相手の意図からして、明らかにそれを言っているし、相手の能力も明らかだというときに、そういうことについて黙って放置しておっていいかということになると、これは自衛権の行使としてどこまで許されるかという議論はあってしかるべきだと思うんですね。

 だから、そういう意味では、そういう議論はやはりこれから先も、もし憲法を改正したりあるいは新しく何かやるときには議論はあってしかるべきだと思いますけれども、しかし、やはり国対国の関係でいいますと、いきなりそういう形でぼんと撃ってくるということはないわけでありますから、テロ集団とかなんとかの場合はいろいろおどしに使ったりなんかすることはあるかもしれませんが、国対国の場合はやはりかなりその前の緊張状態が発生して、そういう中からそういう事態に至るわけですから、その段階になったらやはり現在の仕組みの中でももう防衛出動になってしまうということがあり得ると思いますし、そうなればそっちの方でリカバリーができるんじゃないかなと思います。

 いずれにしましても、この自衛権の問題については、これから先もいろいろな機会にいろいろなケースを想定しながら議論していくこと自体は、私は、非核三原則の議論をするよりはもっと有意義じゃないかなと思っているところであります。

神風委員 そうしますと、確認でありますが、今の政府見解では、ブースト段階では集団的自衛権との関係で迎撃はできない、しかし、今後それが見直される余地は十分に残されているという理解でよろしいですか。

久間国務大臣 残されていると言い切ってしまいますと今の政府の方針と若干ちょっとぶれますので、そういうことも含めて議論はしてもいいんじゃないか、そこまでが私の今の気持ちであります。

神風委員 ありがとうございました。難しい立場の中でお答えいただきまして、ありがとうございました。

 また、次にもう一点、やはりこれは議論の中で一つ気になった点でございまして、いわゆる談合を初めとした口ききに関連してのことでございます。

 これは十一月の頭の多分本委員会での議論であったかと思いますが、入札でぴちっとそこがとるようにしむけるようなことになったら、これは一つの事件として問題になると認識しているという答弁がございました。これについてはもうだれも異論を差し挟む余地は全くないと思うわけでございますが、それと同時に、だれかがこの入札に参加をしたいと言ってきたときに、ああ、それはいいですよと話をすることはありますということも同時に御答弁をされておったわけですが、これは、いわゆる指名競争入札の場合に、その指名に入れてやってくれと指名業者として推薦をするという理解でよろしいですか。

久間国務大臣 私はそういうつもりで言ったわけであります。それと、指名から外せというのはいけない。外すというのは、基準に合致しているものを外せというようなことは言えない。しかしながら、指名に入れてやってくれというと、指名に該当するものを、十社、二十社、三十社とある中から何社選ぶかは最終的にはその人が選ぶことになりますけれども、そういう能力があるかどうかの審査も含めて、紹介するからあなた行きなさいよというような形で行かせるということはありましたから、それは私は許されるんじゃないかというふうなことで言ったわけであります。

神風委員 ただ、そこで、実態として、多少私が問題だと思うのは、そうした口ききによって一度指名競争入札に参加できる指名業者になってしまえば、ある意味ではその順番を待っていれば必ず受注の順番が回ってくる。しかも、施設庁発注の工事というのはこれまでほとんど談合であった、そういう報道がなされているわけで、そういう状況の中で、直接その指名に入れてやってくれと言った業者が、その時点でその指名がとれなくても、落札ができなくても、そこに入れてもらうことによって、順番さえ待っていればそこで必ずとれるんだというような状況の中でも、それは推薦することは問題がないという御認識なんでしょうか。

久間国務大臣 指名に入っておればそのうちとれるかもしれないという入札ですね。それ自体は悪いことじゃないんです。今度の場合、問題なのは、そうじゃなくて、指名に入っていた、何回入ってもとれないものはとれなかったわけですよ。結局、OBさんを何人採っているかによって、それが入札がとれるか何か、それがいわゆる官製談合として指弾されたわけでありまして、指名に十回入ったら、あるいは二十回入ったら、それのうちの一回ぐらいは当たるだろうというのは、それはくじだってそういうことは当たるわけですから。だから、それ自体は決して悪いことじゃないというふうに、私自身はそういう認識を持っております。

 やはり、官が主導して、自分のOBをこれだけ採ってくれたらこれだけの仕事をやる、しかもそれを割り振り表までつくってやる、そういうところに、これはやはりいかぬということで断が下ったんじゃないかなというふうに思っております。

神風委員 わかりました。

 前回の委員会に引き続いて、積み残した質問がございますので、ちょっとそこからまたお伺いをしたいと思います。

 いわゆる入札監視委員会というものがあるかと思います。これは部外有識者によってのものでありますけれども、これについてどれぐらいその効果があったのかを、これは二月の予算委員会のときにも北原長官にもお伺いしましたが、実態として機能していなかった、「チェックする機能を持っていなかった」という御答弁でありましたし、今回の調査報告書にもその旨が記載をされております。

 私自身は、余り必要がないのではないかということで、いっそ廃止をしたらどうかということも申し上げたんですが、それに関しては当時の額賀長官が、いや、全般的にそれは見直して改革を進めていくんだということであったわけですが、現状でこれはどういう見直しが進められたのか、その点についてまず伺いたいと思います。

北原政府参考人 神風先生に御答弁申し上げます。

 先般も御指摘をいただきました。まず、この入札監視委員会でございますが、この談合事件が発覚するまでは防衛本庁にのみ置かれておりました。かつ、これは、審議事案の件数と申しますと、十六年度でございますが、トータルで二千九百七十六件中三十七件抽出したということで、残念ながら、抽出率が一・二%にとどまっていた。しかも、この審議の内容というのが、入札それから契約手続の運用状況に関する事後的な審査が行われておりました。そして、平成七年に設置されておりますが、今日まで意見具申ですとか勧告というものは行われていなかったといったことで、設置の趣旨を必ずしも満たしてはいなかったし、現実にこの談合事件が起きたということは、今回の事案の発生防止には機能をしていなかった。これは、繰り返しになりますが、そういった分析をしております。

 そこで、我々といたしましては、今の本庁の入札監視委員会を抜本的に出直しいたしました。それは、今度は本庁に公正入札調査会議というものを設置いたしました。有識者から成るものでございます。それからさらに、全国に八つ施設局がございますが、これまでは局には入札監視委員会がございませんでしたので、これをすべて設置いたしました。そして、すべて設置をし、すべて機能を今開始しているところでございます。

 八局に全部設置したことによりまして、審議対象の件数が増加するといったことを我々は期待するとともに、新しく出直してつくりました本庁の公正入札調査会議は、八つの局の入札監視委員会から説明あるいは報告を受けたものに関しまして、全国的視野で総括した統計的な分析結果に関する専門的かつ客観的な審議を実施する等々の改革をしたところでございまして、こうした体制を整えまして、我々といたしましては、談合、今回のような事案といったこと等を見逃すことのないように毅然とした対応で取り組んでまいりたい、そのように今考えているところでございます。

神風委員 今般の事案の後、この委員というのは交代になっているんでしょうか。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 本庁におりました監視委員会の先生方、五人全員かわっております。それから、八局に設置をいたしました入札監視委員会の先生方、これも新任でございます。

神風委員 この調査報告書によりますと、今般の官製談合の事案の一つである岩国その三について、入札監視委員会において審議をしたものの、談合行為の発見には至らなかったという記述があるわけでありまして、結局、談合事案に遭遇していてもそれを見つけられないというのは、ある意味で、これは個人の能力というよりもシステムに何かやはり大きな問題があるのではないかなという気がするわけであります。

 その点、見つけられなかった委員から何らかの反省の弁というのか、そういうのがあったのかどうか、あるいは、本当にこれだけの体制で今後それをきちんと把握できるという認識なんでしょうか。

北原政府参考人 具体的に委員の先生方とお話しは私いたしておりません。

 それで、新しく出直しました本庁の公正入札調査会議でございますが、これまで本庁にありました入札監視委員会が、先ほど申しましたが、入札それから契約手続の運用状況に関する事後的な審査といったことをやっておりました。いわばそれにとどまっておりました。しかも抽出率は少ない。

 そこで、今度は、そういった機能はそのままにしてといいますか、それもあわせ持ち、さらに付加いたしたものといたしまして四点ございます。

 この公正入札調査会議に付加した機能といたしましては、一点は、工事種別、入札方式別、地域別それから業者ランク別など多方面からの落札率及び入札金額状況の統計分析に基づく談合など不正行為の有無に関する審議、これを一つ任務に与えました。

 二つ目が、再度入札時の順位傾向、いわゆる一位不動とか、そういったものでございますが、それの統計分析に基づく談合等不正行為の有無に関する審議をやっていただく。

 三番目に、さらに、外部から寄せられます情報や、入札時等に提出される、けさも御議論いただきましたが、工事費内訳明細書の点検によって生ずる談合疑義案件に関する審議もやっていただく。

 それからさらに、低入札事案の発生状況についての審議もやっていただくといった、私ども、今回の官製談合事件等を十分反省いたしまして、またそれを将来に生かすといったことで、今申し上げましたような体制をスタートしたところでございます。

神風委員 改革をしましたという体裁だけをつくってもこれは実効性が上がらないわけでありまして、ぜひ、実効性が上がるような、本当にシステムを見直すような、そういう改革をしていただきたいなと思うわけであります。

 それに加えて、検討会のこの報告書の中に、「OBを含む業界関係者との適切な関係の確立」という項目があります。その中に「接触」という用語が出てくるわけですが、この「接触」というのはどういう定義になりますか。

北原政府参考人 今回の事案を調査委員会でいろいろ調査をいたしました。それから、加えて、これも神風先生からかつて御質問いただきましたが、私ども三千百名の現職の職員に対してアンケート調査を実施いたしました。そうしたアンケートからは、やはりOBとの接触に対して大変懸念を表明する職員の意見が多うございました。

 等々をかんがみまして、今先生御指摘の、いわゆる業界関係者との対応要領、接触マニュアルというものを作成したわけでございます。これはまさに、業務に必要のない、業務上必要な場合を除き接触はしないということを定めたものでございまして、これを私の方から全職員に通達をいたしますとともに、業界に対しましても、こういうものを定めましたと。それからさらに、ホームページですとか、それから、今ちょっと手元に持っていますが、私どもの「防衛施設庁職員の心構え 三千百名の決意」といった中にも、ぱっと見てわかるようなものをつくりまして、そして、やはり現実の問題としてこういう場合はどうするんだろうといった、現場の職員は迷う場合もありますから、そういった場合にはすぐ本庁の建設企画課に連絡してくださいとか、それから、あと、やはり若い人がOBに対する立場がなかなか弱いということがございますから、我々といたしましては、仕事上でございますが、OBの方々と会うときにはできるだけ複数でやり、それから、本当に、中には無理強いするOBもいないとは限りませんので、そういったときには上司が断固として若い職員を守るといったような中身も含めまして定めたものでございます。

 ただ、今先生御指摘のように、ただ定めればいいというものではございませんので、我々一人一人が、厳正かつ公正に、また今回の事案を反省しながらしっかりと取り組んでまいりたい、そのように考えているところであります。

神風委員 これは人事院の方にお伺いしたいんですが、アメリカには、合衆国連邦公務員の離職後の接触規制というのが合衆国法典の第十八部二百七条にあるということでありますけれども、この内容を簡単に説明していただけますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 合衆国法典第十八部、これは刑法に当たりますが、の二百七条では、連邦政府職員であった者が影響を与える意図を持って他の者のために合衆国またはコロンビア特別区政府と接触することを規制するものでありまして、違反した場合には五年以下の懲役または罰金を科せられることになっております。

 具体的な態様といたしましては、在職時に個人的かつ実質的に参加した案件について政府の全職員と接触することは生涯にわたって禁止、離職前一年間に当該職員の所掌下にあった案件については政府の全職員と接触することが離職後二年間禁止、準閣僚級の高級職員が離職前一年間に高級職員として在職した省庁の職員に接触することは離職後一年間禁止などが定められております。

神風委員 検討委員会の方で設けられたこの接触の禁止というのは、今回初めて設けられたものなのですか。

北原政府参考人 今回検討会で再発防止策の中に打ち出した「OBを含む業界関係者との接触について」といったフロー、あり方は初めてのものでございます。

神風委員 詳しくは私もわかりませんけれども、今の簡単な説明を聞いた限りでは、かなりアメリカの方が厳しいような感じがあるわけでありまして、やはりそこら辺のことも参考にしながら接触の規制というものも進めていただきたいなと思うところでございます。

 それでは、施設庁の解体についてお伺いをしたいわけであります。

 調本事案を教訓にして、改革の目玉として例の原価計算部と契約部門というのを組織的に分離した。それが、さきの通常国会においては、今度は装備本部の新設という形で、契約本部と原価計算部門がいわば装備本部という形で統合されたわけであります。これについては、ライフサイクルコスト管理という側面がある、そういう要請があるんだということで一応の理解をしたわけでありますけれども、今回、防衛施設庁が二〇〇七年度において廃止をされて、同庁の機能については防衛省本省へ統合されるとなっている。

 なぜ防衛施設庁は解体をされるんですか。どういう要請のもとにこれは解体をされるんですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今回の防衛施設庁が生起いたしました官製談合事件の背景といたしまして、占領軍の施設、物品の調達を担当する特別調達庁をその前身とする防衛施設庁の沿革、あるいは建設業務に従事する職員の独自の人事管理、防衛庁がスタートした中での建設本部、これが三十七年に一緒になり、今四十四年たっているわけでございます。

 そうした中で、防衛庁といたしましては、防衛施設庁を解体するという中で、今申し上げたような、また調査委員会の中でいろいろ指摘された問題点を解消して、防衛庁全体の組織の透明性、公正性を確保していく、そして新たな出発を行うんだ、この事案の背景等あるいは原因等になりました再就職、人事管理、入札手続、公益法人等についても抜本的な再発防止策を着実にやっていくんだといった総合的な観点から、再出発に万全を期すということで、防衛施設庁を廃止し、防衛庁に統合するといったことが政策として決まったわけでございます。

神風委員 施設庁を解体しても調達業務というのがなくなるわけではないわけでありまして、どうもそこら辺がいま一つよく理解をできないのが実態であるわけですが、施設庁が解体をされて、施設庁の建設部は今度、経理調達局と装備調達本部とに分かれて、いわば牽制機能を持たせられるような、図式で見るとそんな書き方がされているわけでありますけれども、この装備調達本部というのは、これは何なんでしょうか。この間装備本部というのをつくったばかりであるのに、今度これが改編をされてまた装備調達本部、単純にそういう形になるんですか。

西川政府参考人 今先生御指摘の、装備部門をつくりかえた装備調達本部を新たにつくるということで、考え方としまして、動産と不動産、二つある、それを形として統合して一つにしていこう、そういう考え方を今回とっていこうという格好でやっておるところでございます。

神風委員 そういうことであると、さきの通常国会で議論した装備本部の新設というのもよく理解ができないなという気がするわけでありますけれども、この施設庁の解体によってどれぐらい実際に合理化、効率化が図られるという評価をされていますか。

北原政府参考人 私ども施設庁、今御指摘の点でございますが、これからも施設庁が果たしてまいりました施設行政といった機能は確保していかなければならないと思っております。

 他方におきまして、聖域なく業務の見直しを行う、定員の合理化を努力するというのは当然のことでございまして、現在私どもが出しております十九年度の概算要求では、関係定員を五十六名純減することといたしております。

神風委員 では、ちょっと先ほど聞きはぐった点で、自衛隊法六十二条によりまして、防衛庁、防衛施設庁の職員が、離職後二年間以内に離職前五年間に在職していた官庁と密接な関係にある企業に再就職する場合、長官の承認を得る必要があるとされているわけでありますけれども、平成十七年度末の本庁課長級以上の承認数は百六人、前年比で十八人増であったと聞くわけであります。

 これは、人事院が三月に発表した他省庁全体の六十四人を防衛庁単独で上回っているという状況でありますが、こうした事件があったにもかかわらずという感がするわけですけれども、この事実をどう御認識されていますでしょうか。

増田政府参考人 先生、申しわけありません、防衛庁側が百数名でございますか。(神風委員「百六」と呼ぶ)今手元にちょっと数字がございませんのであれでございますけれども、防衛庁の場合には、六十二条に基づきまして、まさに今先生御指摘のように、離職後二年間、在職時点において過去五年間密接な関係にある企業について離職者審査にかかって、長官の承認を受けて、もしくはその委任を受けた者の承認を受けて就職しておるという実態がございます。

神風委員 防衛庁の天下りの議論の際に、よく若年定年制ということが言われるわけでありますが、結局、部隊の精強さであるとか定年が他産業に比べて早いということで正当化をされてきたわけでありますけれども、ある意味で、今申し上げたような、防衛庁長官の承認を必要とするような、そういったかなり上のクラスの自衛官に関して、自衛官というか、百六人のような場合には、この若年定年制を主張するのは多少おかしいのではないかなと。逆に、若年定年制を口実にして、ある意味では一部の高級幹部が企業に天下りするのを許容してきた体制というのがあるのではないかなという気がするわけでありますけれども、その点、防衛庁長官の御認識としていかがでしょうか。

久間国務大臣 自衛隊の精強性を維持するためにある年齢で制限するというのはやむを得ない点もございますけれども、今日のこういう御時世ですから、私は、もう少しそれは延ばしてもいいんじゃないかな、特に若年定年制は、そういうふうに思っておる点もございまして、今内部でもいろいろ検討してもらっております。

 それと、全部が全部じゃなくて、筋力を要しない、筋力というか体力を要しない部署その他もあるわけでありまして、後方支援部門とか、だから、そういう点ではもう少し若年定年制自体を緩和したらいいんじゃないかなと思いますけれども、若年定年制で就職をしていく人、それは、そういう意味では、私は、いわゆる今度の不祥事みたいなこととのかかわりは余り出てこないんじゃないかなと思います。

 むしろ、各地方に置かれました援護活動を通じての就職活動、これによってカバーしてもらっているのがたくさんございますし、若いだけにかえって非常に使いやすいというような、そういう評判も受けておるわけであります。

 仕事との関係でよく言われますのは、やはりある程度もう年をとってから、ほかに使い道がないけれどもそこを雇っていたら何かプラスがあるだろう、そういう意味でのあれがありますけれども、若年の場合はむしろ今が一番働き盛りだということで、使ってよかったよというような、そういうことを言っていただく方がたくさんいらっしゃいますので、先生の御指摘は、必ずしもそこは当を得ているとは思わないんですけれども、若年定年制そのものについて、もう少しいろいろな変化を持たせてみてもいいんじゃないかなということで、今内部でいろいろ検討しているところであります。

神風委員 いや、私が申し上げたかったのは、若年定年制自体は別に問題では、ある程度定年を延ばすというようなことは必要かなとは思います。それに加えて、若年定年制で再就職するような方が今回のような事案に関係しているということではなくて、それを口実にして、防衛庁として、こういう若年定年制というのがあるために、天下りを、防衛庁ではもっと積極的にしないんだというような、それを許容するような体質があるのではないかなという点でございますので、もしその点で御意見があれば。

久間国務大臣 それはないんじゃないかなと思っております。

 やはり今度の件は、かなり非常に限られた部署の限られたグループの人たちの事件だったんじゃないかな、そういう認識をしておりまして、先ほど、施設庁を今度廃止する理由をいろいろと挙げてありましたけれども、それ以前に、やはり施設庁というのが、調達庁からきた非常に限られた一家意識というのが中にあって、非常に、外からなかなか交流がなかったといいますか、防衛庁の内局の指揮監督下にもなかった、そういうような組織としての問題があったわけでありまして、今度廃止して統合しますと、人事の交流を初め、防衛庁本庁のいわゆる指揮監督が全部各出先まで行き渡るわけでございますから、そういう意味で、解体することはよかったんじゃないかなと思っておるわけです。

神風委員 それでは、省昇格について、基本的なことからお伺いをしたいと思うわけであります。

 今回、省昇格法案に関連しての一連の動きというか流れを見ていますと、庁から省に変わっても余り大した差はないですよ、だから早く省に変えてくださいというような、そういったニュアンスというか、そういう雰囲気が非常に伝わってくるわけであります。今回の改正では確かに大規模な組織変更であるとか予算措置を伴わない、ですから比較的早期に防衛省への移行が可能なんだということでありますが、ある意味でこれは、霞が関のお得意な、小さく産んで大きく育てるというような得意わざではないかなという気もするわけでございます。

 そこで、防衛庁当局の九七年当時の行革におけるヒアリングで、省移行に関連して、庁のままでも自衛隊の運用管理上特段の支障があるわけではないという回答を防衛庁御自身がされているわけでありますが、にもかかわらず、なぜこの省昇格を目指すのか。つまり、業務上こういった支障があるから省に移行せざるを得ないんだということであれば理解ができるわけでありますけれども、問題がないと御自身で言っていながら、にもかかわらず省昇格を目指すというのはどういう理由によるんでしょうか。

久間国務大臣 九七年のときは、まさしく私は防衛庁長官をいたしておりまして、橋本内閣で、民間の行革会議の方はどちらかというと防衛庁をやはり省にして政策官庁にした方がいいというようなニュアンスだったんですけれども、最後はトーンダウンしまして、並列的に、どちらにしてもいいという話だったわけでございます。

 ところが、国会での議論では何で省にしないかという意見も結構強く出されましたので、その当時としては、橋本総理が、省にしない、もうこのままでいくというふうにやったものですから、私たちとしても、庁でも差し支えないというような、そういう点もまた言わなきゃならない点もございまして、私も、議事録を調べていただいたらわかりますけれども、個人的には省にすべきであると思うけれども、内閣の方針として現在は庁のままいくという方針ですからそれに従いますという答弁をしたわけでございます。役所というのはやはりそういうときには、庁のままでも仕事はちゃんとできます、仕事は実際できるわけでありますから、仕事はできますということを言ったわけでございます。

 しかしながら、先ほどからるる言っていますように、やはり庁として残しておくよりも省として、政策官庁として脱皮させた方が私はいいと思いますので、庁のままでも仕事はできますけれども、やはり省として、政策官庁として位置づけることの方がいい。今までの、単なる政治的な管理として、あるいは防衛装備を調達する、そういう役所としての存在から、今は、国際の平和と安全をどうやって守っていくか、そのためには何を政策として掲げるのか、その辺からやはり企画するようなことも含めての省としてやってもらいたいなという思いでこの法案を出しているわけでございますので、どうかひとつ御理解賜りたいと思うわけであります。

神風委員 基本的な質問でありますけれども、防衛庁の説明の中に、諸外国で国の存立にかかわる国防を担当する機関はすべて省である、だから省にすべきだという議論があるわけでありますが、日本の場合には言うまでもなく憲法九条というのがあるわけでありまして、逆に、その憲法九条という、憲法に照らせば防衛庁であるんだ、あえて省ではないんだと言う方が説明として整合性がある、外国に対しても整合性があるという感じもするわけですけれども、その点はいかがですか。

久間国務大臣 そういう説明をした上なら相手さんも納得してくれるわけでありまして、アメリカなんかでは、防衛庁であったとしても、エージェンシーと言っても、相手も今までの歴史を全部知っていますから、憲法九条のことも我々以上に強く知っていますから、そういう点ではいいんですけれども、よそに行って名刺を出すときには、エージェンシーというふうに言いますと、先ほどから話がありますように、何か公団みたいな、実行官庁みたいな、そういうイメージを与える。そういう点が、ほかの国でいったらデパートメントあるいはミニストリー、そういう位置づけなんですよということをわかってもらうために一言説明せぬといかぬという、そこのところがやはりもどかしい、そういう気持ちはみんな職員にはあるんじゃないでしょうか。

 特にこのごろは、駐在武官も全世界に、各地におりますし、また大使館に勤務する防衛庁出身の連中もおりますし、いろいろなところで国際的に出かけていって会議もやりますから、そのときにエージェンシーという名刺というのは、何となくやはり説明を一言せないかぬというまどろっこしさがあるということから、できることならもうミニストリーという位置づけをしてもらった方が非常にわかりやすいと言っているわけであります。

神風委員 これは、民主党の笹木委員の質問主意書に対しての中で、現在まで庁とされていた理由について、こう述べられているわけです。「防衛庁がこれまで庁とされてきたのは、その任務の性格が主として防衛力整備や人事といった自衛隊の管理にあると考えられていた」ためとされているわけでありまして、ある意味では、自衛隊を管理する文官の組織であって、防衛政策を考える組織ではなかったという意味のようであります。

 ある意味では自衛隊管理庁と呼ばれるのが実態であったんだなと理解するわけでありますが、逆に言えば、今度防衛庁から防衛省に移るということは、まさしく政策立案をしていく防衛政策省といった位置づけになるのかな、私自身は今回の件についてはそう自分なりに理解をしているわけでありますが、そういう理解で当たっているということでよろしいんでしょうか。

久間国務大臣 それは当たっていると思います。

 ただ、そこで注意しなければならないのは、防衛政策省といいますと、もう何でも防衛政策の全般だと言わんばかりに、外交からいろいろな分野まで、情報の収集から公安に至るまでが、特にテロとの関係なんかにおいては、これは防衛の一部であると言わんばかりのような、そういう話になってしまっては困るわけでありまして、その辺は自分ののりをちゃんとわきまえながらやっていくという謙虚さが必要だと思っておりますので、十分心しながらやっていこうと思っております。

神風委員 そこで、お伺いをするわけですが、この省移行後の二〇〇七年度に、防衛政策課内に中長期的な視野から防衛政策を検討する戦略企画室を設ける予定というのが報じられているわけですけれども、定員としては七人から八人ということでありますが、これは一体どういう人選で、またどういう体制で、何をする組織になるんでしょうか。あわせて、あるいは今の防衛庁のシンクタンクである防衛研究所との関係というのはどうなるんでしょうか。

久間国務大臣 これは、近年の安全保障環境というのも大分変わってきておりますが、これから先もまたどういうふうに変わっていくか、その辺も見据えて長期的な戦略を一つ描きながらいろいろな防衛政策を論じていくような、そういう戦略の企画室であってもらいたいという思いの中で防衛政策局につくろうとしているわけでございまして、果たしてどれだけの人材を集められるか、防衛研究所あたりとの交流もやりながら、防衛研究所は防衛研究所として、研究専門にやってもらうという形でこれまでも機能してまいりましたし、これから先も必要だと私は思いますが、それを、今度は研究所と違って政策のグループの中に、政策局の中に取り込んでいきたい、そう思っているわけであります。

神風委員 次に、最近よく報道をされております日本版NSC、国家安全保障会議について伺いたいわけですが、この日本版NSCは、首相官邸主導によって外交、安保政策の立案や意思決定を目指すということでありますが、これについては、どういう中身というか、どういう構成で、何をする組織になるんですか。

久間国務大臣 これはやっと動き始めて、先般いろいろな人選等が行われて、諮問機関といいますか、それに匹敵するような、そういうようなグループができたわけでございますから、まさにそこで提言をしてもらって、それを防衛庁なら防衛庁、防衛省でもいいですけれども、あるいは各省庁が、警察もあるいはまた外務省も、それぞれがそれを受けとめて、どういう形でそれに応じていったらいいのか、まさにこれから研究が始まると思いますので、私は今ここでその構想が言えるような立場にはございません。

 しかしながら、かねがね思っておりましたのは、この間も委員会で答弁しましたけれども、皆さん方のグループと一緒に、海外のいろいろな情報を収集する、そういう視点に限って出かけていったんですけれども、やはり情報一つとってみても、各省庁の自分のところの集めた情報が一番のいい情報で正しいんだというような、そして価値もあるんだという評価をしているけれども、果たしてそうかどうかというのは、結果としてはなかなかそうでない場合もある。

 だから、それを、上がってきたときに、どこでどういうふうに取りまとめながらオーソライズしていくか、ここのところが大事だということで、イギリスに行ったときには、イギリスで評価委員会というのを、合議制のものをつくって、そのトップにしかるべき人を置いておいて、そこがきちっとオーソライズしたのを首相に持っていくというような、そういうやり方をしているという話を聞いて、なるほどな、そのイギリスのやり方が一番似合っているのかなというふうなことを言いながら帰ってきたことがございます。

 いずれにしましても、そういうようなことも含めながら、これから先NSCがどういう形で動き出そうとするのか、形が見えてくるのか。見えてきた段階で、私たちもまたいろいろ意見を言ったり、あるいはまたその方から教えてもらったりしながら対応をしていきたいなと思っております。

神風委員 そうしますと、まだ検討中ということで、これもお答えいただけないのかもしれませんが、このNSCで先ほどの集団的自衛権のような研究というのは行われていくんでしょうか。

久間国務大臣 それはまた違った形になるんじゃないでしょうか。

 NSCは、そういうよりも、もう少し官邸が中心になって、危機管理なりなんなりの今までの情報の収集の仕方、あるいは危機管理のときの伝達の仕方、いろいろなことを含めて機能するような、そういう組織になっていくので、法律解釈とか憲法解釈とか、そういうものについてはまた違う何か研究会が必要になってくるんじゃないかなと私は思っております。

神風委員 現状においては内閣総理大臣を議長とします安全保障会議というものがあるわけでありますが、実態としては余り、重大緊急事態対処の検討はほとんど行っておらず、決定事項を追認するだけの機関にすぎないということでありますけれども、この安全保障会議と日本版NSCとの関係というのは、どういう関係になるんですか。

久間国務大臣 NSCを本当に具体的につくるときになりますと、安全保障会議との関係も整理をしないといけないと思います。

 今の段階では、安全保障会議は、確かに、委員おっしゃられますように、先導するような形じゃなくて、むしろ最後の結論を確認し合うような形の安全保障会議になっているような気がいたしておりまして、もう少しNSCというのは、それよりも動いている状態の中で方向性を見出していくような、そういう機能といいますか、そういうのが求められているんじゃないかなと思っております。

鈴木政府参考人 ただいまの安全保障会議との関係でございますが、今防衛庁長官の方からも御答弁がございましたけれども、若干重なる部分もございますが、御説明させていただきたいと思います。

 安全保障会議は御案内のように設置法で決められておりまして、そこでの検討事項、委員も御案内のように一定のものが、国防の基本方針であるとか防衛計画の大綱、武力攻撃等への対処方針等々が設定されておって、その構成についても、特定の大臣のもとで議論がされるということで運営されてきておるところでございます。また、平成十五年に、有事法制の導入等を踏まえまして、新たに、内閣官房長官を委員長として関係行政機関の関係者で構成されます事態対処専門委員会というものも設けまして、平素よりそういった緊急事態等への検討も進めてきているという側面もございます。

 他方、現在、官邸の機能強化ということで、NSC等々のような格好でどうするかという議論が行われていることにつきましては、これはむしろ官邸の強いリーダーシップのもとで、官邸の機能をどのように有効に強化していくかという調整機能の強化等も含めまして検討していくという観点でございます。

神風委員 このNSCというのは、今の安倍政権のみにかかわらず、後々の政権についてもずっとこれは続いていく、継承されていく組織であるという理解でよろしいんですか。

久間国務大臣 総理がどういう考え方でこれから先引っ張っていこうとしておられるか、これから先の有識者会議の結論等が出まして、それを受けて各省庁がまた対応しながらまとめていくわけでございますが、せっかくつくりまして、いいものができたらやはりそれは後々まで持っていくような、そういう組織であってもらいたいという思いもございますから、できればそういうふうに有意義なものにしていきたいというふうに思っております。

神風委員 次に、防衛参事官制度についてちょっと伺いたいわけですが、〇四年六月に、当時の海上幕僚長が内局の防衛参事官制度の廃止を文書で要求されて、陸上、航空幕僚長も同調したと伺うわけであります。その結果、〇五年八月に、参事官制度のあり方に関する最終報告が発表されたということでありますけれども、これによって、この参事官制度というのはどのように変わったんですか。

西川政府参考人 参事官制度につきましては、これは、参事官そのものは、庁の基本的方針の作成についての長官補佐者として、そもそもは庁の設立当時からずっとございましたものでございますが、これについて、今先生御指摘のように、先般の改正でどうしたか。

 それを端的に申しますと、従来、どうも固定化していると。当初の設立のときはなかなか、どういう目的でやるのかいろいろ探ったんですが、とても古い時代のことですので、ちょっと我々、完全にこうだという格好では言い切れません。大体こういうことだろう。

 すなわち、もっと広い立場でやるんだという形の、いろいろ高所から見てやるんだという形でやっておりましたが、それが長年経過するうちにどうも固定化してきて、本来の機能を果たしていないんじゃないか、こういう御指摘を当時の大臣、石破先生の方から受けまして、我々としてはその見直しをやろうという格好でやったわけでございます。

 その中で、結論的にどう変わったかということに絞っていきますと、要するに、本来の、できるだけ高い立場で大臣に対する政策的な面での補佐ができるように、高所の立場に立った補佐ができるようなものへ持っていこう、もとのところへ戻していこう、またそれで長官に対する助言をやろう。それからもう一方で、現在の安全保障環境等に対応できるような形でもっと柔軟に運営できるように、いろいろな大きなプロジェクトに対応できるような形で機動性を発揮させよう。こういう形で、従来も非常に高度に技術的な部分であった技術の参事官と衛生の参事官を、その仕事が非常に固定的だということで内局の中へ持っていきまして、衛生監、技術監という形にして、参事官そのものを十名から八名にした。

 こういう形で、できるだけもとの、本来の目的でございます助言機能それから機動性のある機能を生かそうという形で運用しようと現在努力しているところでございます。

神風委員 余り変化がないというか、ほとんど変わっていないという印象しか受けなかったわけでありますが、平成十六年に防衛会議というものが設けられておりますけれども、この防衛会議と参事官制度というのはどういう関係にあるんですか。

山崎政府参考人 防衛会議の方は、自衛隊の行動等に係る長官の指揮監督について、関係幹部が必要な助言を行うための会議として設置をされたわけでございまして、ここは当然、行動ということで、統合幕僚長以下、各幕僚長それから情報本部長が、今申し上げている内局の参事官である官房長等を含めて一緒に会議をしている、あるいはメンバーであるということが端的な違いであろうかと思います。

神風委員 最後になりますが、今回の省昇格については、先ほど申し上げたように、自衛隊管理庁からある意味では防衛政策省に変わるんだということが一番大きなポイントであるのかなと理解するわけですけれども、その意味では、防衛省に戦略企画室ができて、官邸に日本版NSCができて、また現状の安全保障会議があって、また防衛参事官制度であるとか防衛会議がある、そこら辺の整合性が非常にわかりづらい。

 そんな中で、先ほども長官御自身がそれについては懸念を表明されておりましたけれども、それをどう統合していくおつもりなのか、加えて、現状で、国家安全保障担当の小池補佐官がいらっしゃるわけですが、防衛庁長官御自身は、小池補佐官と御自身との役割分担というのをどう認識されているのか、その点、最後にお伺いをしたいと思います。

久間国務大臣 確かに小池補佐官はおられますけれども、これはやはり総理の補佐官としての役割でございまして、防衛庁長官は、防衛庁設置法に基づく防衛庁の仕事の責任者でございますから、そこは、具体的なそういう仕事をする点、あるいは、今度省になったとしても政策を含めてやることでございまして、補佐官は補佐官として総理の補佐をやはりやっていくという立場ですから、その辺は余り区別はないと思います。

 しかしながら、NSCというのができたりなんかしますと、その辺との関係はどう持っていくか。これは防衛省になりましてからでも、NSCをつくるときにどういうかかわり方をするか。これは、うちの省だけではなくて、ほかの外務省も、公安の関係の法務省も、あるいはまた各省が絡んでくるわけでございますので、みんなと相談しながらよりよいものをつくっていって、運用に支障のないようにしていきたいと思っておりますので、その辺は整合性はとれるようにしていこうと思っております。

神風委員 時間が参りましたので、終わりにします。ありがとうございました。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 法案に関連をいたしまして、先週の安保委員会での久間長官の発言について、改めて質問していきたいと思います。

 核艦船の領海通過について、先週の安保委員会で長官は、緊急事態の場合にはやむを得ない、その後に事前協議できなかったという報告がある、このように答弁されております。

 この問題について改めて聞きますが、緊急事態というのはどういう場合を指しているのですか。災害に限られているんですか。

久間国務大臣 あらかじめ緊急事態がどういう場合かということを列挙するのは非常に難しいかもしれませんので、私は災害等を連想しながら言ったわけでありまして、それ以外でも絶対ないかと言われると、それはわかりません。例えば急病人が出たとか、そしてそれを急いで搬送しなきゃならない、そういうふうな状況が発生したということだってあるかもしれませんし、とにかく緊急事態というのは、一概に特定することは難しいんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 災害に限られているのかという質問だったわけですが、特定することは難しいというお話なんですけれども、そうしますと、周辺事態や武力攻撃予測事態や武力攻撃事態、これは緊急事態に該当しますか。

久間国務大臣 そういうふうに特定していろいろ言われると、そういうことについて絶対ないかという頭の体操をやりますと、何らかの形で潜没しているときに攻撃を受けて致命傷を負った、そして逃げ出さなきゃならない、そういう状態のときに、では通過しないかというふうに開き直られますと、私はないとは言い切れないんじゃないかなという思いもしますので、それも緊急事態に入るのかなというふうに思います。

 とにかく緊急事態というのは、前もって予測することはできませんけれども、生命にかかわるような非常に緊急な事態が発生したときと思っておけば、大きな違いはないんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 長官は頭の体操というお言葉が非常に大好きでありますけれども、しかし、過去の政府答弁というのはそういうことは全く触れていない、そのことは長官も御承知だと思いますけれども、緊急事態を含め、いかなる場合であっても核の持ち込みは許さないというのが政府の説明であったわけです。

 私、きょうは、一九八一年五月二十五日の参議院本会議での鈴木総理大臣の答弁を持ってまいりました。「わが国への核持ち込みは、いかなる場合であっても認める考えはありません。緊急避難のごとき場合にも非核三原則を堅持することに変わりはありません。」こう答弁しておられます。

 そこで、政府見解ということで官房長官をお願いしてあったんですが来られておりません、政府見解、官房副長官にお伺いいたしますけれども、緊急避難の場合であっても核の持ち込みは認めないというのが政府の見解だと思いますが、これは間違いないですね。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 我が国が核を持たず、つくらず、持ち込ませずと非核三原則を堅持することについては、これまで歴代の内閣により累次にわたり明確に表明されてきていたところでございます。政府としては、今後ともこれを堅持していく立場に変わりはございません。

 事前協議の対象である核の持ち込みの中に領海通過が含まれていることについては、合衆国軍隊の装備における重要な変更を事前協議の対象とする岸・ハーター交換公文及びいわゆる藤山・マッカーサー口頭了解からして十分に明らかでございまして、このことは、平時あるいは御指摘の緊急時のいかんを問わないことでございます。

 我が国の領域への核の持ち込みについての事前協議が行われた場合は、政府としては常にこれを拒否する考えであり、この政府の立場、考えは従来から一貫しているものであり、これからも変わるものではございません。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

赤嶺委員 政府見解は明らかでありますが、そうしますと、防衛庁長官がおっしゃいました頭の体操という意味が私にはちょっとよく理解できないんですけれども、今の政府見解と久間長官の答弁とは違うと思いますけれども、いかがですか。

下村内閣官房副長官 久間長官も、さきの委員会において、このような政府の一貫した非核三原則という立場について支持、踏襲をするという上でのお話であったというふうに承知しております。

赤嶺委員 緊急事態のときにはあり得るというような想定を現に長官がやっていらっしゃるわけですから、やはり政府見解と違うんじゃないですか、いかがですか。

久間国務大臣 先般も申しましたとおり、我が国の姿勢としては、緊急事態であれ、とにかく核を搭載した潜水艦等も含めて、あらゆるものについて領海、領空、領土、すべてのところにその持ち込みを認めないという、事前協議があったらノーと言いますという姿勢を姿勢として持っているわけです。だからそれは変わっていないわけですよ。

 さはさりながら、死ぬか生きるかになったときに、それを事前協議するいとまがないわけですよ。潜水艦というのは、御承知のとおり、上までブイを上げてそこから電波を飛ばして、それで初めて連絡がとれるわけですよ。そういう状態のときにどういう行動をとるかというのは、合理的な範囲でならばあり得るわけですから、そういうことまでがないのかというのと、事前協議があったらノーと言いますという政府の姿勢とは、姿勢としてはもちろんそのとおりですけれども、そういうことがないということは言えないということを言っているわけであります。

 あなたがそのときの司令官だったらどうしますか。そのときは人命を救う方に回るでしょう。そういうことはあり得るということをやはり現実問題としては知った上で、ただ、核を搭載した潜水艦はもう今戦術核を積んでいませんから、我々のこの周りに来るようなことはないわけですから、そういう事後報告すら行われていないという現実、この二つを現実として認めればいいんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 やはり違ったことをおっしゃっているんですよ。違ったことを中身に挟みながら答弁しておられるんですよ。私が司令官の立場になるわけもないですから、それはもうはっきりしております。

 そこで、外務省に伺いたいんですが、今長官も触れておられましたけれども、いわば、今米国は、国外の米軍基地や艦船に核兵器を配備する方針はとっているんですか。外務大臣をお呼びしてありましたが、外務大臣もいらっしゃっておりません。いかがですか。

岩屋副大臣 米国による米国領域外における核兵器の配備についてのお尋ねでございますが、もとより日本政府として責任を持ってお答えする立場にはないわけですけれども、既に公表されているところによりますと、一九九一年、ブッシュ・パパのときでございますが、大統領のイニシアチブの中で、海外基地に配備された地上発射型戦術核兵器をすべて海外基地から撤去するとともに、米海軍の艦艇、これは水上艦及び攻撃型潜水艦を含むということですが、及び航空機から戦術核兵器を撤去する旨表明しております。

 それから、一九九四年、これはクリントン時代でございますけれども、核体制見直しの中で、米軍の水上艦船及び空母艦載機から戦術核兵器の搭載能力を撤去することとしております。

 なお、欧州の米空軍基地に配備された航空機搭載型の核兵器は冷戦後も引き続き維持されるとともに、弾道ミサイル搭載型潜水艦については、戦略核ミサイルが依然搭載されているものと理解をしております。

赤嶺委員 緊急事態の場合にどうなのか、過去の政府答弁というのはもっと明確に述べておられます。

 これは一九八一年五月二十九日の外務内閣安保連合審査会の中での園田大臣の発言ですが、「非核三原則の中で緊急避難の場合は別だなどということになりますと、それを利用して、緊急避難だ、緊急避難だといって着陸をして、非核三原則がなし崩しにされるという心配もあるわけでありますから、こういう問題はよほど慎重にしてかからなければならぬと考えております。 いずれにいたしましても、非核三原則を断じて守るという総理の方針、わが国の方針、これをあらゆる折に強化し、推し進めていくことが大事」であります。あらゆる折に推し進めていくことが大事だ、こう述べておられるわけです。久間長官の発言のように、非核三原則をなし崩しにしていくことになると私は考えます。

 やはり久間長官の答弁と政府のこれまでの公式見解と余りにも開きがありますので、きょうは法案の質疑にも入らないといけません、この違いについてどのように考えておられるのか、文書で当委員会に公式の見解を改めて出していただきたいと思います。いかがですか。

久間国務大臣 さっきから何度も言っていますように、政府の公式見解については、私はそれを踏襲しておりますので、私に出せと言われれば、今先生がおっしゃったような、そういう政府の公式見解を言うわけであります。

 しかし、今のおたくが言われた議事録の中にありますように、それは、着陸と言いましたね、だから飛行機の場合ですよ。飛行機ですら緊急の場合は着陸があり得るという可能性を示唆している文章ですよ。だから、そういうことを考えても、非常時のときにはないわけじゃないけれども慎重にやらなきゃならない、そういう答弁になっていましたね。

 だから、そこのところも、やはり言わず語らずで、非常時の場合、人命救助の場合はやむを得ない場合があり得るんだということをお互いが知った上でそこは追及していなかったんじゃないですか、当時。どうなんでしょうか。私はわかりません、そのときいませんから。

 しかしながら、慎重にしなければならないという言い方は、抑制的にやらなければならないという言い方は、やはりそれは、姿勢としては抑制的にやらなきゃならないと思いますから、私は野放しにしようなんて思っていませんよ。しかし、緊急時について絶対ないか、論理的にないかと言われますと、ないわけじゃないでしょうね、そういう場合にはということを言ったわけでありまして、政府の姿勢、方針としては一貫しているわけですから、私もそれに従っています。

赤嶺委員 長官は、当時の答弁を直接はお知りでないと言いながら、長官流の解釈を加えていきました。

 私は、やはりあらゆる場面で非核三原則の立場を強化すべきというのが政府の立場だと思います。長官の公式見解、そして政府の公式見解をぜひ文書で出していただきたいというぐあいに思います。よろしいですか、官房副長官。

下村内閣官房副長官 先ほど政府の公式見解については述べたとおりでございまして、また久間長官も、政府の公式見解について、そのとおりだというふうに述べられているわけでございまして、まさにそれ以上でもそれ以下でもないと思います。

赤嶺委員 そもそも何で日本政府が非核三原則という方針をとるに至ったか、これは長官もよく御存じだと思います。長官は長崎、私は沖縄、やはり戦争というものについていろいろ考えてまいりました。

 日本政府が非核三原則をとるに至った立場、これはどういう立場からのものなのか、なぜ、堅持する必要がある、このように考えているんですか、政府の見解をお願いします。

岩屋副大臣 なぜ非核三原則をとることになったかというお尋ねでございますか。

 今先生がお触れになったように、我が国は唯一の被爆国でもございますし、沖縄の返還という重要な事態に備えて、我が国が核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませずという原則を明らかにする必要がある、そういう背景もあったのではないかと考えているところでございます。

赤嶺委員 端的に言えば、広島、長崎が原爆によって一瞬に焦土と化した、その地球上唯一の被爆国が、核兵器の持ち込み、配備などあってはならない、核戦争の足場にされてはならないという被爆国の国民の思いであるわけですよね。そういうような立場がやはりある。

 だから、日本政府が目指すべきは、どういう場合には核の持ち込みに至る場合があるのか、ならないのか、そんな頭の体操よりは、やはり地球上から核兵器を廃絶していく、核戦争に至らないように努力していく、特に日本の周辺国の中で核兵器の配備や核戦争に至らないような努力をしていく、そのことが私たち日本国民に、日本政府に、防衛庁長官に求められているのではありませんか、いかがですか。

久間国務大臣 それはもうおっしゃるとおりであります。

 ただ、先生の言い方の中に、被爆国だからというような、そういう言い方をよくされます。私は、被爆県民だからということで言っているわけじゃないので、被爆国であろうと被爆県民であろうとなかろうと、そういうふうな核兵器をこの世からやはり廃絶すべきである。そのためには、日本はそういう経験もあるわけだから、日本が非核を言うのが一番効果的だ、そういうこともあって言っているわけですけれども、情緒的な観点だけで物を言うのは、そういうふうなことを受けていないところに対してはきかないわけでありますから、そういう言い方がいいかどうかというのは、やはり私は考える時期に来ているんだろうと思うんですよ。世界の中で被爆国は、チェルノブイリを除けば日本だけなんですから。そうすると、日本だから言えるんだといったら、ほかの国は言えないということになるわけですから。この地球から核をなくそうということに対してもっとみんながやるためには、被爆国であろうとなかろうと、核の愚かさをやはり訴えるべきだと思うんですよ。

 私は、そういう点では、非核三原則を日本が堅持するのは非常にいいことだし、これはやるべきだと思っております。それは日本が率先してやるべきだということは、もう先生と同じように、同じ気持ちであります。

赤嶺委員 被爆国だからこそ体験に基づいて被爆、核兵器の恐ろしさについてやはりリアルに説得力を持って訴えられる。ですから、今、そういう被爆者の立場をないがしろにして、国会で核の持ち込み、あるいは核兵器の保有について議論されている、そういう議論の中で防衛省の問題や自衛隊の海外活動の問題が行われている。

 この際、防衛庁も各地方で防衛省法案について説明会を行っているわけですから、やはり被爆地、長崎やあるいは広島で被爆者の思いも聞くような地方公聴会、この法案の審査に当たってぜひ開催していくように求めたいと思います。

 委員長、そういうことについて理事会での協議をお願いしたいんですが、いかがですか。

寺田(稔)委員長代理 理事会において引き続き協議をさせていただきます。

 質問を続行してください。

赤嶺委員 それでは、法案に入っていきたいと思います。

 まず、定義から聞きます。本来任務ということになっているわけですが、本来任務というのは何ですか。

久間国務大臣 自衛隊の本来任務とは、まず、そのうちの主たる任務というのは我が国の防衛でありまして、それ以外のものが従たる任務であります。主たる任務、従たる任務、この二つを合わせて本来任務というふうに言っております。

赤嶺委員 つまり、自衛隊法三条に規定している自衛隊の任務のことになるわけですが、それでは、自衛隊法で付随的任務とはどういうことですか。

久間国務大臣 今までも雑則で規定されておりましたけれども、例えば国体への協力とかその他いろいろなことがあろうかと思います。そういう付随的な任務は、これまでもやってまいりましたし、これからもやるつもりであります。

赤嶺委員 自衛隊法の中で付随的任務という任務があるんですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 付随的な業務という言葉が法律上あるわけではございません。ただ、いわゆるという言い方になりますけれども、自衛隊法の八章「雑則」でございますが、この中で規定している義務、あと、一部附則で規定している義務がございますけれども、そういうものについては付随的な業務という言い方を通常我々のところでしているところでございます。

赤嶺委員 付随的任務という任務は法律上位置づけられていないわけですよね。便宜上、いわゆるという話になるわけです。

 いわゆる任務に位置づけられなかったことが今度自衛隊法第三条に位置づけられるということになるわけですから、法律的に言えば、自衛隊法上任務でなかったものを今回自衛隊の任務にするということでいいわけですか。

大古政府参考人 先ほど説明したいわゆる付随的な業務についても、自衛隊法上、八章なりで法的に位置づけられております。これについて、任務でないという言い方は必ずしも適切ではない。いわゆる自衛隊法三条の任務につきまして、いわゆる本来任務という言い方で御説明しているわけですけれども、これからも行います八章「雑則」で規定している業務について、必ずしも自衛隊の任務ではないという言い方は適切でないと思っております。

赤嶺委員 先ほどの説明だと、自衛隊法上の任務とは位置づけられていなかった、いわゆるという、いろいろな経過や事情の中で雑則や附則にいろいろなことが入れ込まれていった。今後、そういういわゆるを取っ払って、やはり新しく任務というところに規定していく、ですから、任務でなかったものが任務ということになっていくことにこれは間違いないと思います。

 そこで、今回の改正で、いわゆる国際平和協力活動を自衛隊の任務に位置づける、このように述べております。国際平和協力活動というのは、どういう活動を指すのですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 具体的には、国際緊急援助活動とかPKO活動、テロ対策特措法に基づく活動、イラク特措法に基づく活動等を考えているところでございます。

赤嶺委員 PKO活動とか緊急援助活動、そしてテロ特措法、それぞれの活動が、目的も違う、内容も違う、そして条件も違う、これらすべてを束ねる活動というのは、束ねていわゆるここで国際平和協力活動と呼んでいるわけですが、その共通項は何ですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案におきまして、自衛隊法三条の第二項の二号の中で使用している用語でございますが、「国際協力の推進を通じて我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動」というふうに理解しているところでございます。

赤嶺委員 そうすると、今のような答えでいきますと、海外で軍隊が行う活動の中で、これは該当しないという活動はあるんですか。あるいは、そういう活動上の限定があるんですか。

大古政府参考人 海外で自衛隊が活動する活動という意味でいいますと、邦人保護のための輸送もございます。ただ、これについては、先ほどの「国際社会の平和及び安全の維持に資する活動」としては、法的には整理していないところでございます。

赤嶺委員 そうしたら、国際平和協力活動という本来任務に位置づけた、これについて限定があるのかということを聞いているわけです。

大古政府参考人 先ほど条文で説明した活動ということでございますが、この三条の規定だけで新しい業務ができるわけではなくて、まさに条文にございますように、「別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものを行う」ということになってございます。

赤嶺委員 「別に法律で定める」というその法律の中身は、今はっきりしているのはどれどれですか。

大古政府参考人 国際緊急援助隊法、それからいわゆるPKO法、テロ対策特措法、イラク特措法というふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 それ以外のものは今後は入らないという限定がついているという理解でよろしいですか。

大古政府参考人 現時点におきましては、この自衛隊法三条の二項の二号に基づく活動は、今お示しした法律に基づくものに尽きるということに考えております。

赤嶺委員 では長官、それ以外のものはもう今後も入らないわけですね。

久間国務大臣 本来任務である国際協力業務というのは、法律で規定しない限りはそれ以外には入らないわけです。

 ただ、ちょっと、海外でやるのはそれだけかと言われたので、違いますよということを言いたかったんですけれども。というのは、国際協力業務じゃありませんけれども、雑則のままですけれども、南極隊が行くときに輸送業務を行っております。これは雑則のままで、しかし本来任務には入っていないわけですから、国際協力業務と違います。

 国際協力業務という場合は、あくまでも法律で列挙した、これらに基づくものでありますから、これから先も、それに入ってくるためには、特別の法律がない限りは入ってまいりません。

赤嶺委員 特別な法律をつくれば入ってくるという理解でいいわけですね。ですから、そこには、いわゆる無限定というか、憲法とのかかわりでいえば、武力による威嚇や武力の行使にわたらない活動であれば、これからも新たな法律ができれば本来任務の中に入っていくという理解でいいですね。

久間国務大臣 国会の方で新しい法律をつくっていただければ、それは入る可能性はあります。

赤嶺委員 今後、いろいろなことが、海外活動が本来任務になっていくという要素をここに見るわけであります。

 三条二項の二号の定義で、「我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する活動」というのがあります。これは、我が国を含むということは、我が国の平和と安全との関連性の存在を要件とするということですか。

大古政府参考人 この点については、イラク特措法も目的規定の中に同じ表現がございますけれども、我が国の平和と安全というのが国際社会の平和と安定と結びついているという観点から、従来からこういう表現を使っておるところでございます。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 そうすると、国際社会の平和と安全についての相互依存関係が異常に強まっているということであって、いわば、我が国の平和と安全、これとの直接の関係はこの国際平和協力活動の要件ではないということですか。

大古政府参考人 直接我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態につきましては、むしろ周辺事態ということで、そちらのこととして三条の二項の一号の方に規定しているところでございます。

赤嶺委員 そうすると、全く日本の平和と安全とは関係のない活動を含む、先ほども言いましたが、いろいろな海外での活動を自衛隊の任務に位置づけていく、そういう意味でも無限定だと思うんです。

 武力の行使や武力の威嚇にわたらない範囲というぐあいに言っても、何が武力による威嚇なのか、武力行使なのかという規定そのものが大きく揺らいで議論されている状態なわけですから、法律が通ったら、全く違ういわゆる武力による威嚇、武力行使という解釈のもとにこの法律が動くようになっていくということじゃないかと思います。

 今回の法案で、テロ特措法とイラク特措法、これも自衛隊の任務に位置づけました。あれは時限立法だったわけですね。だけれども、今回、この法律に自衛隊の任務というぐあいに位置づけた、これはなぜですか。

久間国務大臣 現在、自衛隊が法律に基づいて海外に行って、そして粛々とその仕事をやっているわけでありますから、その仕事を本来の任務として位置づける方が適当であろうと思ったわけであります。

 ただ、位置づけの仕方を、時限立法でありますから附則の方にそれを書いたという違いはございますけれども、法に基づいて行っている自衛隊の仕事を本来の任務としてやはり置くのは当然なことじゃないでしょうか。

赤嶺委員 法律をつくるときには時限立法だといってこの附則の中に入れて、そして今回その本来任務の中に入れる。では、ああいうイラク戦争とかアフガニスタンにおける戦争だとか掃討作戦、あれはこの国際平和協力活動、これに当たるというのが政府の認識ですか。

久間国務大臣 それに当たるからこそ特別の法律をつくって自衛隊が出かけていったわけでございますから、国際の平和と安定に資し、そしてそれが我が国の平和と安全に資するという観点からその法律がつくられたわけでございまして、全く無関係に法律をつくって自衛隊を出したわけじゃございませんので、そこのところは御理解賜りたいと思います。

 ただ、あれは時限立法でつくられておりますから、時限が来たらあの法律はなくなるわけであります。ただ、もう少し延ばしたいというようなことで、先般それを延ばさせていただいたところであります。

赤嶺委員 今のイラクの事態、アフガニスタンの事態を見て、国際社会の平和と安全の維持に資する活動ということですが、ああいうアフガニスタン攻撃、イラク戦争というのが、具体的に国際社会の平和と安全の維持にどのように資したんですか。

久間国務大臣 我が国の自衛隊がイラクに行きましたのは、イラクの復興をやるために日本も手伝ってもらいたいという国連の要請があって行ったわけでございまして、ここで自衛隊が行って手伝うということはイラクの安定につながりますし、それは国際社会の平和と安定に寄与するわけであります。

 また、アフガニスタンについても、やはりそこで我が国は、インド洋ではありますけれども、テロ活動を阻止するために海上阻止行動を行っておる、それに対して補給活動を行うことはやはり国際の平和と安定に寄与するということでやっているわけでございまして、先般もテロ特措法の改正のときにそれについては何回も御答弁申し上げたとおりであります。

赤嶺委員 それにしても、イラクはもう泥沼化ですよね。アフガニスタンも混乱を拡大している。アナン事務総長がこの間退任に際する記者会見で、一番後悔しているのがイラク戦争をとめられなかったことだ、国連安保理で米国主導のイラク戦争を回避できなかったことが悔いだ、大量破壊兵器疑惑を調べる査察官はもう少し時間を与えられるべきだった、そう言っているわけですよね。

 結局、国際平和協力活動というのは、実態は、イラクやアフガニスタンの泥沼化している事態が、国際社会の平和と安全の維持に資する活動どころか、国際社会を大混乱に陥れているじゃないですか。そういうようなものがアメリカの戦略として九・一一テロ以降出てきた。今回の法律というのは、そういうアメリカの戦略に従って海外での活動を自衛隊の任務に位置づけるということでありますから、我々はこの意味でもずっと反対を表明してきているわけであります。

 今回の法案で、先ほど出ました国際平和協力活動と周辺事態に対応して行う活動を自衛隊の任務に位置づけているわけですが、これら二つの活動のうち、日本の平和と安全にとってどちらがより重要な活動だと政府は認識しておりますか。

久間国務大臣 そこの、主たる任務と従たる任務がありますけれども、防衛出動は主たる任務でございますから、これは一番ウエートが高いのはわかりますけれども、あとのものはそのケースケースで違ってくるわけでございますから、どれが優先順位が高いか低いかを論ずることは一概にできないんじゃないでしょうか。そう思っております。

赤嶺委員 長官の先ほどの周辺事態法の答弁、説明を私伺っていたんですけれども、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」と言っているわけですから、我々は、周辺事態の活動も国際平和協力活動も賛成ではありません。しかし、政府の立場に立って仮に論じたとしますと、国際平和協力活動と周辺事態というものを比べた場合に、日本の平和と安全により重大な意味を持つのはどれなのかというのははっきりしているんじゃないですか。

久間国務大臣 もし具体的に周辺事態とほかの事態が、ほかの任務が同時に起こったとすれば、今先生のおっしゃるようなことかもしれません。しかしながら、法律上は同じレベルで並べてあるということを私は説明したわけであります。

赤嶺委員 もう時間になりましたけれども、まだまだ法案の中身について問いただしたいことがたくさんあります。いずれにしても、慎重で徹底した審議をこれからも引き続き続けていく、地方公聴会、中央公聴会も開催し、そして、なおかつ被爆者の意見も聞く、法案の重さにふさわしく、官房長官、外務大臣、総理出席のもとでの委員会開催も行うということを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。

木村委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、きょう、主に自衛隊法の改正の部分について質問をしたいと思っています。といいますのは、私、今回の改正の核心は、自衛隊の任務についての根本的な改正にあるというように考えているからなんです。

 そこで、自衛隊の国際平和協力活動などの本来任務化について、まず質問をしていきたいと思います。

 自衛隊の任務については、現行の自衛隊法三条でこのように規定されています。「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」と、私は限定されてきたんじゃないかというふうに思うわけです。それは、必要最小限度の自衛力と、先ほど防衛庁長官も専守防衛ということをおっしゃいましたけれども、これはやはり、戦後、憲法九条との整合性をとるための任務設定だったのではないかと私は考えておりますが、いかがでしょうか。

久間国務大臣 私は、それは正しい認識だと思います。

辻元委員 一方、PKO活動を初め国際緊急援助活動とかテロ特措法に基づく活動、それからイラク特措法に基づく活動などは、これまではいずれも自衛隊法第八章の「雑則」もしくは附則に置かれてきたのも、やはり本体業務というのは専守防衛で、やはり憲法九条を持つ国という歴史的な意味があったというところもあると思うんですね、いかがですか。

久間国務大臣 自衛隊法ができた当時はそうだったと思います。しかしながら、その後の世界の状況、そして国連にたくさんの国が加盟していった、そういう状況、そして現在グローバル社会が実現した今日の社会情勢、そういう中で、従来からのそのような考え方にプラスして国際平和協力業務というのが我が国にとって欠かせない仕事になってきた、それをやろうとすると自衛隊が主として活動せざるを得ない、そうなってくると、自衛隊の活動に、今までの主たる任務に加えて従たる任務を加える必要が出てきたというのが現状認識じゃないでしょうか。

辻元委員 PKO法案の審議のときに、そのときから話が始まっていると思いますけれども、「自衛隊法三条を改正いたしまして自衛隊の存立目的自体を変えるということの変更を行うためには、なおかつ、我が国の自衛隊の位置づけでございますとかあるいは我が国における自衛隊は一体何なのかというような基本論は、防衛庁あるいは政府部内においても十分これはなさなければならないことでございますし、また、中長期的に見て国民的な議論を経た上で行うことが必要であると考えております。」という御答弁だったわけです。

 ここで、きょうは、果たして、我が国の自衛隊の位置づけとか自衛隊の存立目的自体を変えるということはどういうことなのか、国民的な議論は十分なされてきたのか、一つ一つ長官に伺っていきたいと思っております。私の立場は、やはり任務を専守防衛としてきた、本来業務に加えるべきではないというように思っております。その立場で質問をいたします。

 まず、今回の自衛隊法三条二項の一で言う周辺事態に対応する活動というのは、具体的にどういう活動でしょうか。

久間国務大臣 周辺事態が認定されて活動する、例えば米軍への後方地域支援、これはそこで言う活動になりますし、あるいはまたそれに基づいて行われる船舶検査活動、これもそこにおける活動になろうと思います。

辻元委員 「国際平和のための取組への寄与」、二つ目です、これはどういう活動が具体的にありますか。

久間国務大臣 単に寄与といいますといろいろなことがございますけれども、国際平和協力活動については、先ほどから言っていますように、やはり自衛隊を海外へ持っていくわけでございますから、それは法律に基づいてやらなければならないということで、法律で列挙した諸活動が今言う活動になるわけであります。

辻元委員 例えば、パキスタンの地震災害救援活動というのも行きましたね。それから、現在展開されているイラクのバグダッドにも、空港へも入っていると聞いておりますけれども、航空自衛隊の活動、こういうものも非常に私は質が違うと思うんです。質が違いますけれども、今回の提出法案の三条二項の二の任務ということになるんでしょうか。

久間国務大臣 それらの活動は、いずれも、立法府でつくられました法律に基づいて自衛隊が活動を行っているわけでございますから、法律に基づく自衛隊の活動として、任務として本来任務に入れていいんじゃないかということで列挙したわけであります。

辻元委員 それぞれ、一つ一つの今までのPKO活動やそれからイラクでの活動をどれだけ検証されてきたのか。私は一つ一つ違うと思うんですね。それをまとめて本来任務の中に入れてしまうというのは非常に無理があるし、今後禍根を残すんじゃないかと思っております。その点について一つずつちょっと質問をしていきたいと思います。

 まず、PKO活動について。

 これは何でもそうだと思います。軍事的な活動、PKOは非軍事ということですけれども、防衛庁長官として、やはりいろいろな問題についての、よいところよりも問題点はどこなのかということを常に頭に入れながら前に進まないと、防衛庁長官というのは務まらない任務だと私は思っております。何でも、こういうのはよかったよかった、行け行けどんどんでは困るわけで、一番慎重に、かつ、この場合の問題点は何なんだ、この場合の懸念は何なんだということを積み重ねていっていただかないと困る立場だと思いますから、あえてお聞きしますけれども、PKO活動についての総括的な成果というのは、何となく漠然とおっしゃるわけですが、今までの問題点はどこにあると思いますか。ないと言ったら、それは問題ですよ。

久間国務大臣 問題点はそれはいろいろあろうと思いますけれども、私は、悪いところよりも、PKO活動をすることによって日本が国際社会で得たそういう評価の方をやはりある程度高く買うべきじゃないかなと思います。行く苦労もあったわけでございますが、やはり、今や日本のPKO活動というのが、決してどこからも、PKOに来てあれはだめだったというようなことじゃなくて、よかったという評価の方があって、マイナスの評価をほとんど受けていないと思いますので、そういう点で私はよかったんじゃないかなと思っております。

辻元委員 よく、自己完結性があるということを評価の一つにとらえられる方がいらっしゃるんですけれども、これ一つとっても二面性があるんですね。

 私はここでなぜ一つ一つ丁寧に議論をしていただきたいと言うかといえば、やはり本来任務にするということは、政治的にも大きな意味を持つわけですね。これは本質的な自衛隊の活動、憲法九条のもとでの専守防衛だという質を変えることになると私は思うので、それはちょっと後で議論したいんですけれども。

 例えば、この委員会でも問題にしてきたこと、この間、参考人の方のときもちょっと申し上げたんですけれども、今までのPKO活動などについて幾つかその内容を議論してまいりました。その一、二を挙げていきたいと思うんですね。

 例えば、ザイールで給水活動をした折も、やはり自衛隊という自己完結性を持った部隊で行くと、上官からピラミッドの組織で行かなくちゃいけないので、例えばゴマに二十人ほど人がいるんですけれども、現場は数十人だったんですが、物すごい動き勝手が悪いわけですね。難民キャンプの現場に入っていくと危ないからキャンプの現場には行くなということで、他の国なんかは、国際協力に特化した非軍事の部隊が来ているところはもう本当に即断即決でいろいろな活動をしている。日本の自衛隊は非常に動きにくい。自衛隊という組織の形態を持っているので国際協力がしにくいという側面があるんではないかということで指摘させていただきました。

 それとか、カンボジアの場合も、私、当時、カンボジアの自衛隊のキャンプに行きましたよ。私はNGO活動をしておりました。そうすると、何百人かでどかんと入っていくわけですが、他の部隊を見ていますと、いろいろな国の、特に途上国の部隊なんかは混成隊で、地元の人たちと同じものを食べて、一緒に道をつくったり、建設工事とかいろいろやっているわけです。そうしたら、地元の人たちも技術を覚えるし、そしてコストも安く済むわけです。当時はもう、キャンプ、基地、危ないということで、要塞のような基地を建てて、そして食べ物も日本から持っていってやっていたわけです。中で働いている自衛隊の皆さんは一生懸命やってはるのはわかるんですけれども、国際協力ということとか復興とか人道支援という観点でいうと、自衛隊という性質上、これはちょっと別のもので、非常に動きづらい。

 ですから、本来任務にするとおっしゃるんですけれども、たくさんの費用を使うわけですから、現実的にもっと効率的な別組織をつくることを前から提案していたわけです。ですから、そういうように中身を点検していただかないと、PKOはようござんしたという話だけじゃなくて、そういう、私が今申し上げたような総括とか問題点というのは現場から一つも聞いていらっしゃらないですか。

久間国務大臣 いや、そういうような意味で言ったわけじゃなくて、マイナス面ということじゃなくて、やはり、これまでPKOその他行っていますけれども、日本の場合はなれていない点もございましたから、むしろ今度本来任務化することによって、教育隊その他で教育のあり方、あるいはまた行ったときの現地のNGOとの組み合わせ方、いろいろなこれまでの経験を生かしながら、それを今後に生かすような方向に持っていく、そういうことはもちろんやらなきゃならないことだと思いますから、それはそれで私はやったらいいと思うんですよ。

 だが、それはしかし、本来任務化したからいかぬということじゃなくて、今おっしゃったようなことは、やはり自衛隊が行くこと自体はいいわけだけれども、行き方についてもう少し研究の工夫があるんじゃないか、そういう点での御指摘なら、それは私は、いいものはどんどん取り入れていったらいいと思うんですね。

辻元委員 結局、非軍事部門へ、国際人道支援とか復興支援は国際的には民間部門にどんどん移行していっているわけなんです。やはり、軍事組織という側面を持ちますと動きにくい。

 例えば、アフガニスタンでアメリカが空爆を始めたころ、パキスタンとの国境地域にたくさん難民が出てきていたときに、あのときテロ対策特別委員会で私も議論しましたけれども、あのときも早急な支援が必要だったわけです。ところが、自衛隊でやりますといって、そのときも指摘したんですが、例えばやったことというと、何か、C130六機を飛ばして百四十人で行かれたんですけれども、テント三百十五張りとか、毛布二百枚とか、スリーピングマット二十枚とか、百何十人も行って持っていかはったわけですよ。そのテントも、パキスタンに持っていくのにパキスタン製のテントをわざわざ日本で買って持っていっていた。私はそのときに、早急に自衛隊を行かすよりも、ちゃんとしたそういう支援を現地でできるような方向で別のことを考えた方がいいという提案をしたんですね。

 これは全部、何か揚げ足をとっているわけじゃなくて、一つ一つ、やはり自衛隊の組織で行くと、現地の飛行場、敬礼して皆待って、ばっと来てやっていましたよ。けれども、そんなのしている場合でもない。だから、何か人道支援とか復興支援ということ、日本の場合は非軍事部門しかできないじゃないですか。これは私は、自衛隊の本来任務というよりも、やはり今の国際的な波に沿って別組織を、もちろん自衛隊の経験も生かしていいと思いますけれども、つくった方がいいというように思っているんですね。

 そういう意味でも、本来任務化するというのは、非軍事部門しかできないわけですから、時代の趨勢とちょっと違う御判断じゃないかなというように思っています。

 長官、PKO活動につきましても積極的にこれからも参加していきたいというようなことを先ほどおっしゃったじゃないですか。PKOも実際には、この間も御紹介したんですけれども、小国なんですよ、参加しているところは。ベストテンを言うと、バングラデシュ、パキスタン、インド、ヨルダン、ネパール、エチオピア、ウルグアイ、ガーナ、ナイジェリア、南アフリカと。小国がやはり混成部隊で中立的な活動として入っていくとか、それから、途上国は経済的に苦しいですから、PKO活動に途上国が積極的に参加することで途上国の経済支援にもなりますので。そこに日本が、自己完結的な六百人、五百人、千人の部隊でぼんと行ってやりますというのは、ちょっとこれからの国際協力のあり方としては時代おくれというか、国際的な常識からちょっと外れていると私は思いますが、いかがですか。

久間国務大臣 PKOにどういう形で参加して、また参加すべきであるか否か、これは、今内閣府がPKOの本部を持っているわけですね、だからそこで、これは自衛隊に行ってもらおうということで来たときに、自衛隊はそれに行きますという形になるわけですから、本来任務といえども自衛隊が自衛隊で決めていくわけじゃございませんから、そこのところは若干違うんですね、決定権を含めて。

 しかしながら、だからこそ、防衛庁設置法じゃなくて、自衛隊法の一部改正の中に今度本来任務として取り込んだということでありまして、それは、行くときに、従たる任務ですよじゃなくて、やはりそれは本来任務のうちの従たる任務になる、そういう位置づけでいいんじゃないかということでやるわけですから。

 防衛庁の長官である私にPKOを、これをどうだと言われましても、それは、これから先のPKOのあり方はどちらかというとそこで決めてもらうわけで、それで、そこでやるべきだと決まったら、自衛隊を所管する私としてみれば、わかりましたという形で堂々と行かせる、その根拠規定を雑則じゃなくてちゃんとしたところに置いておいてもらいたいという気持ちで書いているわけですから。

辻元委員 そうしますと、ちょっともう一例、イラクを検証していきたいと思うんですね、先ほどからも出ていますので。

 イラクで結局給水活動や学校の修復などをなされたということなんですけれども、費用はたしか五百四億円、これはちょっと先日いただいた資料なんですけれども、かかっているわけですね。それで、サマワの基地には長官は行かれていないですか。周りは危ないだろうということで、警備に物すごい人とお金がかかるわけですよ、結局は。その活動本体よりも警備の人とその動力たるものや、すごいかかるわけですね。

 結局、イラクへの自衛隊の出し方というのは、私は、本当の人道支援だったら、もっと全然自衛隊じゃないやり方で給水とか学校の修復っていっぱい方法はある、今時間がないから余り具体的にお示ししませんけれども。非常に政治的な出し方だったと思います。

 アフガニスタンのときに、ショー・ザ・フラッグと言われてインド洋まで行きました。今も給油していますね。先ほど、結局パキスタンに自衛隊の医療部隊とか出したいと言って出せなかったですよ。というのは、現地でも、行ってみたら国境地帯にお医者さんが割かし失業していて、言葉がわからない自衛隊のお医者さんが行くよりも、むしろお金を出してあげてその人たちを雇った方がずっと意味があるということを私、委員会の理事会で報告したと思うんですけれども。

 インド洋の給油などで五百四億円で、イラクの方は七百九十八億円、一千億ぐらい全部でかかっているわけですね。

 だから、結局あのときもショー・ザ・フラッグと言われて、今度ブーツ・オン・ザ・グラウンドと言われて、それで何とか自衛隊を出したけれども、結局警備に金と人はかかる。そうしたら、本当に人道支援をするといって、それは、行かぬより行ったら喜ばれるとか評価されるというのはありますけれども、私は、国の方針としてそういう形で自衛隊を出していって、そして人道支援だという側面だけをとらえてこれからも本来任務にしていくという、イラクの活動は非常に無理が特にあると思いますが、いかがですか。

久間国務大臣 やはりなかなか難しい点があるんですね。湾岸戦争のときに自衛隊が行かずに、あのときは一兆円の金をたしか出したんですよね。ところが、日本は何もしなかったということであのとき感謝してもらえなくて、日本の国旗は上がらなかった。貢献してくれたところの旗は全部掲げられて、日本の旗が上がらなかった、そういう残念な思いもございまして、やはり何かせないかぬ、やはり行かないかぬ、そういう思いが強かったのは事実だと思います。

 そして、今先生が言われましたけれども、いずれの使い方をしたとしても、そのお金が結局イラクの地で、それは部族に地代として渡って、あるいは資材を買ったら資材費に消費されて、イラクの経済に回っているのも事実なわけですから、だからお金だけぽんと渡すのと、そういうふうに出かけていって金が幾らかかかったとしても、それはどっちがいいかというのも一概に、今になって議論してみても、今イラクは非常に混乱していますから、その後、いいなる方向じゃなくてまだ悪い方向へどんどんなってきてしまっていますからあれだけれども、あれでもしイラクの政府ができ上がって、万々歳だ、日本ありがとうございましたという形になったら、あのとき行ったことは非常によかったということになるわけで、同じ行為が後の結果がいいか悪いかだけで判断されると非常に困るという点もあるわけですね。

 しかしながら、そうはいいながらも、私たちは、その結果がいいように予測を立てながら、やはりできるだけ効果のあることをしなきゃならないというのも事実でございますから、そういう意味で、私は反省するところは反省しますけれども、だからといって、イラクに今法律に基づいて行っている連中も一生懸命やっていたし、これから残っている者も危険の中でやはりやっているわけでありますから、そういう点についてはやはり評価してもらって、それが今度、従たる任務になりますけれども、本来任務の中に入ってくるということはいいんじゃないかなと私は思っておるわけです。

辻元委員 自衛隊の皆さんお一人お一人は、暑い中、カンボジアでも頑張っていらっしゃるんですよ。政治の選択としてどういう政策を打つかという議論を私はしているわけですね。

 今、イラクは混乱しているとおっしゃいました。結果がよかったとしても、自衛隊という本当に組織形態を持ったもので人道復興支援とかに適しているかどうかという話をしていて、適していないんじゃないかというのが私の意見なんですね。

 これもこの間も申し上げたんですよ。人件費が高いんです。出張手当だけで約二万円かかっているわけです。五百人ぐらいですから、一日一千万かかっているわけです。イラクなんかで学校の修復、地元の人を雇ってやれば六百万円から七百万円ぐらいで一校できる。修復じゃなくて新設できる。高くても一千万ですよね。

 そうしますと、本当に人道復興支援がしたいという思いであれば、やはり自衛隊と違う方法で日本はやっていこうという方向を探っていかないと、本来任務にしました、さあ自衛隊がここで頑張ってもらうんだという方向に日本が行くというのは、国際協力とかからいえば、むしろちょっと反対になっちゃうんじゃないかなという懸念すら持っているわけです。

 湾岸戦争のときのお金の話をされましたけれども、あのときは、私、外務省の怠慢だと思いますよ。それだけお金を出しているわけですから、それはアピールせなあかんと思います。

 私は、お金は悪くないと思います。例えば一例ですけれども、私たちが入院したとしますね。入院したときに、花とかパジャマを持ってきてくれたり、手伝ってあげると言っていっぱい来てくれるのはうれしいんですけれども、五千円くれた方がうれしいんですよ。その現場の人が今欲しいもの、子供に御飯を食べさせたかったら御飯を食べさせられるし、自分で医療に使える。

 援助の現場は割かし、今ちょっと卑近な例で申し上げましたけれども、本当にそういうところがあるわけなんですよ。(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。そこに自己完結性を持って行って、ようけお金使うて本来任務で国際協力していますというのは、私は、時代おくれだし、日本の将来にとって、もうちょっと考え直した方がいいと思います。

 それで、防衛庁長官、ちょっと質問です、時間がないので早口で恐縮ですけれども。イラクに行っている航空自衛隊は今何を運んでいるんですか。バグダッドにも行っているんですよね。

久間国務大臣 それは行っています。クウェートからバグダッドへ、国連の、あるいはまた一部多国籍軍のそういう人員とかあるいは物資を運んでおります、それは。

辻元委員 実は、ある市民団体が、どういうものを運んでどういう活動をイラクで航空自衛隊がしているか、情報公開法に基づいて資料の開示を求めたわけです。皆さんのお手元に配ってあります。それは一部なんですよ。一個だけ、何か差しさわりのなさそうなものだけかよくわかりませんけれども、顕微鏡とかいうのが入っているんですが、あとは全部真っ黒けなんですね、出てくるものが。

 それで、国際協力というか活動で、私は、このイラクでやっている航空自衛隊、言われへんのやと思うんですよ、バグダッドに何を運んでいるか。多分米軍の兵士とか武器弾薬も運んでいるでしょう。では、これを言ってほしいです。

 そうすると、国際協力というか復興支援で行っているということですけれども、何をやっているかという情報開示もほとんどなされていないわけです、言えませんと。私は、アメリカの要するに後方支援をやっているというように思いますよ。そうでないならば、防衛庁長官も何を運んでいるか御存じないんですか、いかがですか。

久間国務大臣 国連の職員及び多国籍軍の職員あるいはそれに必要な物資、そういうのを運んでいると聞いております。

辻元委員 そうしたら、どうしてこれが黒なんですか。もう全部なんですよ。

 人道復興支援をする、国際協力をする、それも自衛隊の誇りのある仕事をするといって、やっている中身を、先ほど、じゃ、国民のコンセンサスがとれているのか、十分に国民に理解を得られているのかという中で資料を提示してくださいと言ったら、このような状態ですよ。

 ですから、PKOのときからさかのぼりまして、先ほど、防衛庁の内部で自衛隊の任務とは何かとか、そもそもどうなんだという議論がどうなされてきたのか、それがなされない限り三条の本体任務にはできないというような話も当時出ておりました。

 それから年月がたちましたけれども、今議論させていただいていても、本質的に日本はどういうように自衛隊を世界で位置づけたいのか。そして、非軍事、武力の威嚇とかは省くと書いてあります。そうしたら、非軍事部門は果たして何ができるのか。それは自衛隊という組織形態が有効に働けるのかどうかということを、具体的に自衛隊の皆さんが汗を流してこられているわけですから、今までの検証をきちっとやった上で、私は、本来任務というのは、今の議論をちょっと聞きましても何か十分な議論をされているとは思わないし、そして国民の皆さんが資料要求をしてもこのような真っ黒けです。

 防衛庁長官、これで活動について国民の皆さんのコンセンサスを十分得られていると思いますか、いかがですか。

久間国務大臣 しかし、国際協力業務については、自衛隊の諸君ももちろんでございますけれども、国民世論でもみんながそれを評価してきているわけでありますから、評価の仕方が、先生は現地に行かれて自分の目から見たときに、たまたま、これはむしろNPOなりなんなりにやらせた方がいいというふうに判断された。そういう場面に遭遇されておるからそうかもしれませんが、我々はやはり、マスコミ等の目から見ても、あるいはまたその国の、サマワの知事さんとも私も会ったことがあります。そういうことの評価を聞いても、自衛隊の評価については、私は非常によくやってくれているという評価をしているわけでありますから、そういうマイナス面を強調するのではなくて、いい面をもっと強調しながら前向きに進んだ方がいいんじゃないかなと思う。

 ただ、そのときに、やはり、もっといい効果的な方法が、こんな方法があるんだというときには、それを採用することについても、それはまた考えたらいいんじゃないかなと思っております。

辻元委員 例えば、最近日本でも災害が多いですね。それで、災害活動、国際的にも津波などがありまして、本当は私は、災害だったら災害に特化した組織を、災害救助隊、世界じゅうのどこにでも二十四時間以内に駆けつけますよという、それに特化した訓練を受けている部隊とか、やはり自衛隊は軍事組織ですから、組織のあり方とか士気とか心構えは違うんですよ、国際協力に行くのと災害に行くのと軍事活動するのは。国際協力などに行くときは、どこの国とでも何とでも、ばあっと交渉したり、いろいろ要るわけです。また、ピラミッドでしか動けないというと困るわけですね。

 ですから、私は、災害救助や国際協力というのは、本当に別組織をきちんとつくって、自衛隊の皆さんは専守防衛に徹していただくという方が、日本の将来のビジョンとしては物すごく貢献もできて、経済的にも効率がいいんじゃないかと思っています。

 そして、もう一つ最後に申し上げたいですけれども、防衛庁を防衛省にするよりも、そういう意味では憲法九条があるので、ある意味、平和省みたいなものをつくって、国際協力や本当にそういうものをきちんとやっていくような方向で、それで防衛庁として防衛庁の専守防衛という中できちんと士気も高めていただくという方が日本のあるべき姿だと私は思っていますので、この法案には反対をしています。

 以上です。(久間国務大臣「委員長」と呼ぶ)

木村委員長 時間が来ておりますので、これで。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後五時二十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後六時二十三分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 次回は、来る三十日木曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十四分散会


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