衆議院

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第2号 平成19年2月22日(木曜日)

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平成十九年二月二十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 内山  晃君

   理事 笹木 竜三君 理事 遠藤 乙彦君

      安次富 修君    石破  茂君

      大塚  拓君    大前 繁雄君

      瓦   力君    北村 誠吾君

      高木  毅君    浜田 靖一君

      福田 良彦君    宮路 和明君

      山内 康一君    山崎  拓君

      神風 英男君    津村 啓介君

      長島 昭久君    前田 雄吉君

      赤松 正雄君    赤嶺 政賢君

      辻元 清美君    下地 幹郎君

      西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛大臣         久間 章生君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   塩尻孝二郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 梅本 和義君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 片上 慶一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            奥田 紀宏君

   政府参考人

   (外務省国際情報統括官) 竹内 春久君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  飯原 一樹君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長塩尻孝二郎君、外務省大臣官房審議官梅本和義君、外務省大臣官房参事官伊原純一君、外務省大臣官房参事官片上慶一君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長奥田紀宏君、外務省国際情報統括官竹内春久君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君、防衛省経理装備局長飯原一樹君、防衛施設庁長官北原巖男君及び防衛施設庁施設部長渡部厚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。

仲村委員 まず、久間大臣に申し上げます。

 私は、日米安保条約が我が国の平和と安全に大きな役割を果たしているということはよく承知をいたしております。そして、その第六条によって我が国は基地の提供義務がある、こういうこともよくわかっております。

 ただ、沖縄の基地は安保条約とは関係なく、昭和二十年、太平洋戦争の沖縄戦で米軍が上陸して占領して、有無を言わさずに奪い取ってできた基地の延長線上にある。それが昭和四十七年、復帰によって追認をされたということでありますけれども、私たちの立場からすればまだ占領状態の延長線上にある、これを、子孫の時代までこんな状態を続けたら今に生きる私たちの責任が問われる、こういうことをいつも感じているということをまず私は真っ先に申し上げておきたいと思っております。

 質問の第一点目は、私は、最近の沖縄における米軍の演習や米軍の行動などを見ておりますと、昨年、日米間で取り決めた米軍再編によって、今まで戦後六十二年間、米軍の占領当時と全く変わらない、米軍基地の過重な負担を沖縄県民に押しつけてきたことが、ようやく軽減の方向に進められていくものと思っていた期待が、大きく裏切られる感じを抱かざるを得ないことが最近次から次に頻発している点を強く指摘したいと思っております。

 まず一点目に、SACOの最終報告で、今までパラシュート訓練を読谷補助飛行場で行っておりましたが、SACOの十一施設の移設、返還の中で、伊江島飛行場に移転をする、伊江島もこれに協力してくれて、伊江島飛行場でパラシュート訓練をしているような状況であります。

 ただ、米軍はもう風向きも天候も考えずにそこでパラシュート訓練をしているものですから、飛行場のフェンスの外六百メートルも一キロも離れたところにこのパラシュートが落ちてくる。これは何も人だけの降下訓練の話じゃないんです。トラックや貨物もパラシュートでおろすものですから、もう民間は恐怖におびえて、非常に困っている状態でありますので、何としても、やはり米軍に対して、風向きや天候をよく考えて実施すべきだということを政府の方から強く厳重に申し入れをすべきだ、こういうふうに思いますが、久間大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

久間国務大臣 沖縄における仲村先生の思いはよくわかります。安保条約に基づいて基地の提供をしておりますけれども、沖縄の場合は、確かにおっしゃるように、ちょっといきさつからいっても複雑な思いがあられると思いますし、私たちもそういう点では思いは同じくしているところであります。

 訓練のいろいろな問題につきましても、実を言いますと、これはよく防衛省に対してお尋ねになりますし、また防衛省が従来も答えてきたところでございますけれども、基地の提供とそれからまた運用に関することとは法的には若干違うわけでありまして、これが、今度の防衛省になったことによって、何か、さも出張ったようにとられたら困りますから、従来から防衛施設庁として答弁してきておりますのでお答えさせていただきますけれども、米軍の基地の提供とその中における運用、この問題については、正直に言いまして、外務省マターじゃないかなと思います。

 しかしながら、従来から我々が答弁しておりますので、その延長できょう答弁させていただきますけれども、伊江島でやることにしておりますが、確かに、風が強かったりなんかすると、敷地外に出るのは、これは大変ゆゆしきことでございまして、そういうことのないように、私たちもこれから先も努めてそういう提言をしていこうと思っております。

 この間、落下傘の降下を千葉で、空挺団の降下を見に行きましたけれども、このときもやはりぎりぎりの判断でした。あのときに、これより風が強くなったら基地外に出るので、そうしたら大変なことになるということで、やめるかどうか、司令官としては非常に慎重な判断の中で、やることに決定したんですけれども、初降下について。やはり、これぐらいの風だったら本当に危ないのかな、基地外に落下傘がおりることになることがあるんだなということを改めて感じた次第でございますので、これから先も、その辺についてはよく注意をしていきたいと思っております。

仲村委員 今御指摘を申し上げたように、SACOの最終報告で、せっかく読谷補助飛行場のパラシュート訓練を伊江島飛行場に移設する、こういうことになって、伊江島が好意的に受け入れてくれたからよかったんです。ただ、向こうでの演習が、今申し上げたように、もう風向きも天候も考えずにむちゃくちゃなことをしているということで、非常に危険を感じているという点をぜひわかっていただきたい、こういうふうに思います。

 そこで、SACOで決めておる中で、今度は、二月十三日に名護市のキャンプ・シュワブ第三水域と津堅島水域でパラシュート降下訓練を強行しておりまして、これはもう名護市やうるま市、そして県内の各漁協から猛烈な抗議が沸き起こっているのであります。

 ここでは、SACO以前は訓練をしていたみたいですけれども、それ以後、もう七年か八年ぐらい実施をしていない状況の中で、今回、このキャンプ・シュワブ水域あるいは津堅島でパラシュート訓練をしている、こういうことでございますが、SACOの取り決めが一体何であったのか、こういうことを感じてなりませんけれども、そういうことが本当に許されるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

久間国務大臣 読谷の部分を伊江島に持っていくということはSACOの合意をしているわけですけれども、やはりパラシュートの訓練というのはいろいろなところでやらなきゃいかぬわけでありまして、要するに水際に着水の訓練をしようとしますと、どうしても、提供水域の中であるかもしれませんが、そういうところでやるということになるわけでございまして、伊江島では着水訓練はできなかったんだろうと思います。

 だから、伊江島は読谷の代替としてのパラシュート降下の訓練場だ、そういうふうな認識をしておりますので、そこのところについては御理解賜りたいと思います。

仲村委員 私が先ほど申し上げたように、七、八年前まではそこで降下訓練をしていたようでありますけれども、その後は米本国に行ってやるようになっていた、こういうことでございますけれども、SACOで取り決めたことを今度は無視してここでやるようになったということについて、これは県民の立場として、一体SACOは何だったのか、こういうことを感じてならないわけでありますので、政府としても、その点は米軍に対して強く申し入れをすべきだ、こういうふうに思うわけであります。

 たまたまこのキャンプ・シュワブ水域でのパラシュート訓練をした同じ二月十三日に、ひっきりなしに一般車両が行き交う国道三百二十九号線、宜野座村の松田の潟原というところで、顔いっぱい迷彩色のペンキを塗った米軍がそこを行き交う車あるいは通りがかりの人に機関銃の銃口を向けて演習をしていた、こういうことで、これは地域の住民から非常に大きな恐怖の声、非難の声が上がっているわけでありますが、そういったことを本当にやらせていいのかどうか。演習場がちゃんとあるはずですが、その国道沿いから、通る人たち、行き交う車に対して銃口を差し向けるということは、一体どういうことか。

 この点は、私は政府として厳重に米軍に対して申し入れをすべきだと思いますが、お答えいただきたいと思います。

久間国務大臣 水陸両用車が故障して、同車両から外に出てきた米兵が警備の姿勢をとっていたところ、米兵の空砲射撃用の銃に実弾が装てんされていなかったとはいえ、その銃口が結果的に国道に向いたということで、周辺住民に不安感を与えたものと理解しております。

 本件につきましては、那覇防衛施設局長から在沖海兵隊に対して、施設・区域外におけるこのような行為は明らかに周辺住民に対して不安感等を与える行為と言わざるを得ませんので、厳しく抗議するとともに、周辺住民に対する配慮について隊員教育の徹底を強く要請したところであります。

 これも、先ほど言いましたように、防衛施設庁としての今までのあれでやっておりますけれども、これもまた、防衛省のマターかどうか、先ほど言ったのは、そういう意味で私は言っているわけであります。

仲村委員 米軍再編で沖縄の基地負担が軽減されるということが全くのまやかしというか幻想的な話だったのかということは、次から次へと米軍が新たな厳しい行動を押しつけてくるような感じがしてならないのであります。

 米軍再編合意の中で、嘉手納基地の騒音や過密な航空機の離着陸を軽減させるために、F15を日本本土の自衛隊基地で分散訓練をする、こういうことについて、石川の小松や宮崎の新田原、あるいは福岡の築城、青森の三沢、そして茨城の百里基地等々に移転をするということを出しているわけですけれども、これについて、どこも喜んで受け入れますというところはないんです。何日かの訓練でさえそういう状況で、全く、米軍再編の中で取り決めた負担軽減というものが本当に幻想的な話になってしまったことは残念でたまらないのであります。

 そういう状況の中で、今度は嘉手納基地に、米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターの配備についてでありますが、まず配備については、中継地のハワイから飛び立ち、嘉手納基地に二月十日に到着する予定であったわけですけれども、天候不良のため十一日午後に延期され、その後もいろいろな事故が発生をいたしまして、二回、三回の延期になったわけであります。

 その二回、三回目の延期について、アメリカの発表によりますと、ナビゲーションシステム、これは何か位置方向案内機という装置だそうでありますが、それのふぐあいで延期した、こういうことを言っているわけであります。

 ようやく二月十七日に、二機が嘉手納基地に飛来した。続いて八機が十八日に飛んできたわけでありますけれども、この八機も、最初、ハワイのヒッカム基地から飛び立つときは十機だったわけです。途中で二機がふぐあいが出て、太平洋のウェーク島に着陸をした、そして残りの八機が十八日に飛んできた、こういうことであります。

 先ほど申し上げたように、今でさえ嘉手納基地はF15の離発着が過密で、それを本土の自衛隊基地に分散する、こういう米軍再編の中の取り決めが一体何であったのか。次から次へこんな最新鋭機が飛んできて、これは騒音の点についても、北谷町が測定した結果、百デシベルの騒音であったというふうに言われておりますが、こういうことが、本当に米軍再編で沖縄の負担軽減ということが実現するのかどうか、この点をひとつお答えいただきたいと思います。

久間国務大臣 F15もF22も、騒音としてはそれほど変わらないというふうに理解しております。北谷町並びに防衛施設局において、確かに、飛来したときにそれを測定しましたところ、百デシベルという数字を出しております。したがいまして、防衛施設局の方からも、これにつきましても騒音等の規制を、抑えるように米軍に対しても申し入れをしているところでございます。

 ただ、新しい飛行機をやはり嘉手納基地が、要するに提供の基地として、また日本における日米安保条約に基づく基地として、そこで離発着をやはりやってみるということはこれまた必要なことでございますので、私どもが聞いておりますのは、五月までということで一応話を聞いておりますので、そういう意味でこれが飛来したものと理解しております。

仲村委員 嘉手納基地の周辺の嘉手納町あるいは沖縄市、北谷町の三市町が嘉手納基地司令官のハロルド・モールトン准将に会いましたら、今大臣がおっしゃったように、五月までの間、午前午後、嘉手納基地での訓練を続ける、こういうふうに言ったようでありますが、今までのF15でさえ、もう過密であるのでここから訓練を移転させるという状況の中で、今度はまた最新鋭機の飛行機が来た。これはステルス戦闘機F22Aラプターと言っているようでありますが、このようなことでは、米軍再編で負担を軽減しようといったことが本当に何であったのかということで、県民の立場からすると、全くこれは信用できない話じゃないかというようなことを言わなければならない、こういうふうに思っております。

 今のところ五月までと言っておりますが、今後そのまま常駐するのかどうかわからないけれども、そういうことのないように、ぜひ米軍再編で負担軽減を図るといったことの実現をしていただきたいと思いますが、その点についてお答えいただきたいと思います。

久間国務大臣 実際、F15の共同訓練を全国六カ所でやってもらうということで、今一生懸命お願いをして、その実現方、努力しているわけでございますから、減ることは減るわけなんです。

 今度の場合は、F15とF22と、新しいこういう戦闘機だというふうなことで、デモはあるかもしれません、デモンストレーションも。それと同時に、また、沖縄でそれをやはり使ってみるということも必要だったんだと思います。

 F15とF22が、アメリカはかえるというようなことももちろん言っていませんし、そんなにたくさんの飛行機を持っているわけじゃございませんから、しかも、このF22は外国に売らないという今法規制までしているというようなことでございますから、そんなに簡単に各地に展開できるわけじゃないわけですけれども、やはりいい飛行機であることには変わりないわけでありまして、ただ、非常に高い飛行機だということも聞いております。

 そういう飛行機がとにかく嘉手納でどれだけの性能を発揮するのか、やはりその訓練もしてみる必要が私はあったんじゃないかと思うわけでございますから、どうかその辺については、確かに減らそうと思って一生懸命努力している我々の努力についてもひとつ理解していただきたいと思うわけであります。

仲村委員 大臣が努力されるということでありますので、私も好意的にそれを受けとめておきたいと思いますが、米軍再編で沖縄の負担を軽減する、この基本的な考え方はぜひ実現するように、こういうふうに次から次へアメリカの新鋭機を持ってきて押しつけるようなことにならないようにぜひお願いをしたい、このように思っております。

 先ほども申し上げましたが、沖縄の基地というのは何も安保条約で貸したわけじゃないです。占領してできたわけですから、沖縄県民としては、やはり安保条約を追認した以上、日本の平和のためには協力はしなければならないということは十分わかっておりますけれども。

 今度は、普天間基地のキャンプ・シュワブ沿岸への移設について、今、地元名護市と沖縄県が政府の考え方に修正を求めている点について、沖縄県民がこの六十年間、米軍基地から発生する危険にいつも隣り合わせで生活をしていることについてぜひわかっていただきたい、そういう意味で、ある程度の修正を求めているということだと思いますので、その点について、ぜひ真剣に検討していただきたい。政府の考え方で押し通そうとするならば、ここはもう話ができなくなります。

 そういう点は、ぜひ、沖縄県の考え方も名護市の考え方も念頭に置いて話し合いを続けていかれることを希望いたしますが、どのようなお考えですか。

久間国務大臣 額賀長官のときにいろいろな考え方を整理して、このV字案がやはりいいんだというようなことで、そのときは地元の市長さんたちの意見も聞いて一応決めたわけであります。そしてまた、それについては、その結果はこうなりましたということで、稲嶺知事さんともまた話をして、ただ、そのときに、地元とこれから先もよく協議してやってくださいよというような、そういう話になっております。

 だから、このV字案が基本案としては非常にいいというのはだれしもが見ておるわけですけれども、ただ、そうはいいながらも、沖縄県とか名護市とか関係の市町村の意見も聞きながら、その辺はうまく調整していかなきゃならない、そういうふうに思っております。

仲村委員 V字案を決めたときに、名護市に対して千三百メーター滑走路、そしてその後、双方向着陸の照明をつける、これはもう緊急時にしようがないじゃないかというような話もありました。私たちが非常に懸念するのは、最後に千八百メーターというふうに決めた。そうすると、双方向の着陸灯をつけるとなると、これはもうタッチ・アンド・ゴーすること間違いない、こういう立場から、名護市としては、これは海にずらさぬといけない、どうしてもやはり、地域住民の安全確保のためにはある程度の修正をしなければならないという立場で今頑張っているところだと思いますので、ぜひ地元としっかり話し合いをしていただきたい、こういうふうに思います。

 そこで、平成十九年度予算に、米軍再編交付金、これは計上されていると思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。

北原政府参考人 仲村先生に御答弁申し上げます。

 いわゆる再編交付金につきましては、約五十一億円を計上しているところであります。

仲村委員 今、その再編交付金については十九年度予算に計上されているという話でありますが、二月九日の地元の新聞報道によりますと、一月十九日の普天間基地移設協議会で、日米が合意した合意事案に修正を名護の島袋市長が求めたことから、防衛省首脳が、名護市は再編交付金はゼロだ、こういうことを言ったということが報ぜられております。

 本当にこんなことで地元の協力が得られると思いますか。だれがそれを言ったんだ。答弁してください。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今御指摘の、まず、いわゆる再編交付金につきましては、これから国会で御審議をいただく法案の中に入っているわけでございます。そして、その再編交付金の交付対象、市町村等につきましては、これから国会での、当委員会での御審議を経て、法案が成立した後、その時点の状況を踏まえまして確定されるものでございまして、私も報道は承知しておりますが、市町村に云々ということは、今の段階でお答えできるものではないわけでございます。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、これからもこの再編というものが、抑止力並びに負担軽減といった観点から極めて重要なものと認識しておりますので、我々としては地元の理解を得るべく全力で努めてまいりたい、そのように考えております。

仲村委員 私は、その新聞報道を見て、ありがとうと言いなさいと。何も再編交付金欲しさにキャンプ・シュワブに基地をつくらすんじゃない、そのかわり再編交付金は要らない、キャンプ・シュワブに持ってくることはやめなさい、こういうことで言うべきだ、名護市民はそういうふうに言っているんです。

 そのような形で、交付金はゼロだ、こういったおどしをかけて問題が解決すると思ったら間違いですよ。大臣、お答えいただきたい。

久間国務大臣 どんな話だったのか実際はわかりませんので、ゼロだというような、そういう決めつけ方をするようなことはできないわけでありまして、これから国会での審議で法案を通していただいて、そして一日も早く軽減につながる、そういうような形での交付金が支出できますように、私たちも努力していこうと思います。

 ただ、キャンプ・シュワブにつくらなければ普天間が返ってこないのも事実でございますから、普天間を一日も早く返すためにはキャンプ・シュワブでの実現ができますように、ぜひ御協力をお願いいたします。

仲村委員 それは地元も、一生懸命協力をしなければならない、普天間基地の返還を早急にやらなければならないという立場に立って、今、県の姿勢も名護市の姿勢もあるわけですから、そういうふうにおどしをかけてやらせるようなことは絶対あってはならないと思います。私は、本当に心から怒りを込めてこの点について抗議を申し上げたいと思います。

 終わります。

木村委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 私、最近ドイツに出張する機会がありました。これは、ドイツ連邦議会それから政府の招聘で、EUの共通安全保障政策及びドイツの安全保障政策についてのテーマということで招待を受けたものでありますが、石破先生とか赤城先生、寺田先生、あるいは民主党の先生方とも一緒に行ってまいりました。大変参考になるよいプログラムだったと思っております。そんなことの所感も述べながら、質問をしていきたいと思っております。

 まず、私が大変強く感じたのは、EUにおける共通安全保障・外交政策が急速に進んでいる、その進み方に驚きを覚えたぐらいでございます。シュタインマイヤー・ドイツの外務大臣のお話も聞きましたが、光の速度で進んでいるというふうに表現をしておりまして、本来、この軍事安全保障という国家主権に属する、最も国家主権のコアに属する部分がそういったEUという枠組みで急速に発展している。EUバトルグループといったものも発足をしまして、特に地域の国際平和協力に出動する、そういった集団までできたわけでありまして、大変そのスピードに印象づけられたことが一点です。

 それからもう一つは、ドイツの外交・安全保障政策が急速に存在感を増しているということを感じました。特に今、ドイツはEUの議長国であり、また、ことしサミットの議長国でもありますけれども、そんなこともあって、ドイツは今この機会にさらに存在感を増していこう、そういった取り組みが大変感じられたわけであります。

 特に、ドイツは日本とある意味では似たような軌跡をたどってきたわけでありまして、戦後、敗戦国としてスタートをした。そういった中で、ナチズムという日本に比べてはるかに厳しい負の遺産を背負っていたわけでありますけれども、それを乗り越えるために、大変な国家的、国民的努力をしてきたということがうかがわれるわけであります。

 一九六〇年代の半ばから、フランスとの劇的な友好関係を改善した。そしてまた、EU統合の中核にもなっていったということ。そしてまた、東方政策を通じて、東欧諸国を中心に近隣国と和解を進めていった。そしてまた、東ドイツとの統合、これも成功させたわけでありまして、特にNATOとEUという二つの国際機構を最大限に活用して、ドイツが着実に存在感を増している。

 特に、最近になっては、一時シュレーダー首相のもとで米国とぎくしゃくしましたけれども、メルケル首相になってから対米関係の改善に最大に努力をいたしまして、今、米国関係も非常に良好になりまして、そういったアメリカあるいはNATOとの関係、そしてまたEUの枠組みにおけるドイツの努力、こういったことで非常にドイツの存在感を高めているということが大変印象づけられた次第であります。これは、今の日本の今後の外交、安全保障にとっても非常に参考になる一つの例ではないかと考えているところです。

 また、一つ気になったことは、ドイツのシンクタンクと対話したとき、またドイツの著名なシンクタンクの出しているレポートを見たとき、日本についての部分、ここに随所に、政治的孤立とか東アジアにおいて孤立を深めている、そういった表現がたくさん出てまいりまして、要するに、今の日本は政治的にアジアにおいて孤立化を進めている、そういう分析が基本的に定着をしておりまして、これは日本としても、よくこれは分析し、また取り組んでいかなければならない問題だと考えているところでございます。

 そういった中で、日本としても、今後NATOとかあるいはEUとか、あるいは特にドイツの外交・安全保障政策、大変に参考になるということで、これからも注目していく必要があるということを強く感じた出張でございました。

 そういった中で、質問をさせていただきますけれども、最近、安倍総理がNATOを初めて訪問されまして、NATOにおいてもスピーチをされて、NATOと日本はこれからいろいろな分野で協力をしていくということを表明されたわけであります。非常に、私もそういったことはよいことだと感じておりますけれども、まず質問として、今後、日本がNATOあるいはEU等と協力を深めていくことの意義をどのように認識しておられるか、久間大臣にお聞きしたいと思います。

久間国務大臣 確かに、今先生がおっしゃられますように、NATOの中では、あるいはまたEUの中では、ドイツがその存在感を示しておるというのは強く感じますね。

 ただ、やはり、ある意味では非常にラッキーといいますか、敵対するような脅威国が近くにないというような、そういうこともあって、その点が非常にまとまりやすいんだろうと思います。

 例えば、北朝鮮なんかを見ましても、EUとの関係では結構、大使を置いてやっていますけれども、我が国の場合、あるいはアメリカの場合、この東アジアでは、そういった特殊な事情がやはりありまして、国交が行われていないという。北朝鮮に行くときでも、北京経由で行かなければならないというような状況がいまだに続いておりますので、向こうの状態とこの東アジアでは若干違うんじゃないかなと思いますが、EUが、NATOがどういう形であんなふうにまとめてきて、これから何をしようとしているのか、私もそれはよく参考にしながら、学ぶところは学んでいきたいと思っております。

遠藤(乙)委員 確かに、ヨーロッパとアジアは、発展段階といいますか、状況が違っておりますが、ただ、基本的な課題という点では共通している。いずれアジアも、民主化、経済成長で、統合といったテーマで進んでいるわけで、特に統合が大きなテーマになってまいります。

 公明党も、昨年の九月に党大会を行いまして、新体制が発足をしたわけですけれども、新宣言というのを出しまして、ここで、これからの日本の外交、安全保障についての部分は、アジアの共生と統合を進めていくとともに太平洋のかけ橋になるということを表明しました。端的に言うと、日米同盟、日米関係をさらに強化しながら、日中関係を進め、アジアの統合にも日本は積極的に参加をしていくという、地政学的なそういうビジョンも出しております。

 そういった意味で、ヨーロッパの発展段階とは違いますけれども、例えばドイツの大戦略をよく学びながら、特に歴史問題、負の遺産をどのように克服するかということが一つの大きなポイントかと思います。その上で、外交、安全保障を考えていくことは大変大事だと思っておりますので、ぜひそういった意味で、NATO、EUあるいはドイツ等も含めて、本当の意味で知的な、戦略的な対話をしていただきたいと思っております。

 また、この関連で、今、久間大臣からも御発言がありましたが、NATOの場合、加盟国二十六カ国中、北朝鮮と国交を有していない国の数の方が少ないんです。米国、フランス、エストニアのみが北朝鮮と国交を有していない。それ以外は国交を有しているわけでありまして、そういった意味でも、東アジアの問題、特に北朝鮮問題、朝鮮半島問題に我が国として対応していく上でも、NATOとの関係はいろいろな意味で有益じゃないかと考えておりますけれども、この点につきまして麻生大臣の御意見をお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 二十六カ国中二十三カ国がたしか北朝鮮との国交があって、三つが、今、エストニア、フランス、アメリカ、その三つだというような御指摘も正しいと思っております。

 北朝鮮の一連の六カ国協議をするに当たりましても、国交とか大使館とか、そういったものが相互にある国というものをいろいろな意味で活用させてもらって、北朝鮮との国交をしていくときにいろいろな意味でパイプをつくるというのは、そこが大事なところだと思っておりますので、私ども、従来より、NATOとの関係というのを大事と思っております。

 昨年五月でしたか、たしかNATOの会議に日本の閣僚として初めて参加をして、そこでスピーチをしたのが昨年の五月だったと私、記憶していますけれども、それまでに我々は、例えばアフガニスタンの関係におきましては、インド洋でNATOの海軍に対して、重油というか油の補給をやっておりますので、その中におきましては、NATOからのアプローチというものは、私の演説が終わった後、海軍関係の人がばっと寄ってきて、とにかく物すごく感謝の念を出しておりましたので、私の方も、今回いろいろ北朝鮮をやるときに、そういうふうに寄ってきたところの国に関しては極めて話はしやすかったというのも事実ではあります。

 また、今回、安倍総理が一月にNATOに行っておられますので、そういった意味では、その場において、拉致、核、ミサイル等々についても安倍総理の方から話が出ておりますから、そういった意味では、相互関係でいろいろ協力関係というのはできるんだと思ってもおります。

 いずれにいたしましても、今久間大臣からお話がありましたように、北朝鮮の問題に関して言わせていただければ、当面、ここが一番日本にとって焦眉の急というか、いろいろ忙しいところでもありますので、その点に関しましては、NATOとの関係を密にするというのは、いろいろな意味で大いに活用されてしかるべき、双方で活用し合っていくというのは非常に大事なことだと思いますので、今の御指摘は重々踏まえて対応していかねばならぬと思っております。

遠藤(乙)委員 続いて、国際平和協力活動についてお聞きします。

 今回、防衛省に昇格をしました。改めておめでとうということを申し上げたいと思っておりますが、その中で、国際平和協力任務も本来業務に格上げされたわけで、むしろこれからの具体的な活動分野として最も実は忙しくなる分野だろうと私は思っておりますし、また、今まで日本は、カンボジアのUNTAC以来、このPKOに参加をしてきておりますが、まだいわば若葉マークの段階であって、いよいよ自前でしっかりと自立して、この分野でむしろイニシアチブを発揮していくべきであろうというふうに考えております。

 そういった意味で、今回、私もドイツに出張をして、NATO、EUの国際平和協力業務、大変経験も多く、既にまたノウハウも積んでおりまして、そういった意味で非常に多くを学ぶことがあるというふうに痛感をいたしまして、この面でもぜひ協力を進めるべきだと思っております。

 既にEUとして十六のミッションが行われ、今現在も九つのミッションが行われているところでありますし、軍事のミッション、非軍事ミッション、あるいは軍事非軍事混成ミッションということで、さまざまなタイプが行われておりまして、そのうちの半分ぐらいはもう既に成功しているというふうに評価をされているわけであります。そのノウハウの蓄積、経験、大変これはすばらしいものがあるというふうに感じた次第で、ぜひとも日本もこれから学ぶべきと考えております。

 いろいろな議論を通じて感じたのは、今、EUとしても、この国際平和協力活動、一つは予防重視に強く今志向しているということです。紛争が起こってから対症療法的にやるのでは非常にコストがかかる、逆に、いかに紛争を早期に予防していくかという、医学と同じだと思いますけれども、予防医学と同じような発想で紛争予防に非常に力を入れているということ。

 それからまた、ソフトパワーの充実といいますか、当然、軍事というのが不可欠でありますけれども、非軍事の分野にウエートを置き、また非軍事と軍事のミックスしたプロジェクトによって平和を維持していく、大変重要な考え方だと思っております。

 こんな点も含めて、NATOあるいはEUとの国際平和協力分野における協力ということをぜひ進めていただきたいと考えておりますが、この点につきまして久間大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

久間国務大臣 先ほどおっしゃられましたように、国際平和協力業務が本来任務になったわけでございますので、私たちは、今までの自衛隊が得た経験、知見ですか、それをもとにいろいろな教育もしていきたいと思いますが、それだけではなくて、今言われましたように、EUを初めとしていろいろなところで活動をしている、そういう国の実態、またいいところは取り入れていかなきゃならないと思っております。

 特に、今までの経験でもそうですけれども、自衛隊だけでやることよりも、NPOとの連携をうまくやった方がいいんだというような、そういう御意見等も結構出ておりますし、そういう点では、またEUとかドイツ初め北欧もそうですけれども、向こうの方がかなりのやはり進んだ知見があるようでございますので、そういったことについても、今度うちの方でも組織を、教育面を取り入れながらやっていこうと思っておりますので、そのときに検討してもらおうと思います。

遠藤(乙)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

 コソボに参加した要員の方からの体験談を伺ったときなんですけれども、その方々が言っていた話で非常に印象に残ったのは、今、現場で各国が国際平和協力に取り組んでいるけれども、共通の問題意識は、国際平和協力のヨーロッパ・モデルを充実することだということを言っていたのが、非常に印象に残った言葉でございます。

 多分これは、アメリカ・モデルに対比する言葉じゃないかと思っていまして、要するに、アメリカというのは軍事重視、そして非常に自分たちの価値観を絶対と思って押しつける、一種の原理主義的な傾向もなきにしもあらずであって、そういったことが現地の紛争を逆に悪化させる要素もあるということで、もっと文明間対話じゃないけれども、要するに比較文化的なアプローチ、あるいは現地の住民の目線でやる協力、あるいはこの非軍事の分野も重視した、開発なくして平和なしといった考え方で、いかにして、ヨーロッパの経験を生かしながら、新しい国際平和協力のヨーロッパ・モデルをつくるかということが一番実は現場の関心事項だということを聞いて、なるほどと感心をした次第でございます。

 特に、我が国も陸上自衛隊がサマワに行きましていろいろな経験をしたと思っております。むしろ日本の自衛隊が、現地の住民の目線に立っていろいろな交流、協力活動をやったことは、また現地のさまざまなプロジェクトに汗を流して一緒に動いたことが、非常に日本に対する評価を高めたというふうに聞いておりまして、そういった経験をぜひ総括し、日本型モデルといいますか、ヨーロッパ・モデルを凌駕する日本型モデルをつくり上げて、これによって、むしろ国際平和協力分野における比較優位というものを日本が築き上げていくということが、我が国の安全保障政策の重要な核だと思っておりますので、ぜひともそういった分野で御努力をお願いしたいと思うところでございます。

 続いて、先ほど仲村先生からも御質問がありましたが、基地問題ですね。

 在日米軍の再編問題、これは長年の懸案でありました。抑止力を維持しながら、特に沖縄に基地が集中しておりますけれども、負担を軽減するということにつきまして基本合意が得られた。これは非常に大きな前進だと思っております。問題は実行だと思います。これがなかなか大変だと思いますけれども、やはり今回防衛省に昇格をしたことの最初の試金石は、私は、特にキャンプ・シュワブの問題、これではないかと思っております。

 キャンプ・シュワブへの移転の問題、また岩国への移駐の問題等は、いまだに地元の合意が得られていない状況でありまして、一月にもこの安保委員会で沖縄に参りまして、知事のお話、また名護市長を含めた現場の市長さんのお話を聞きましたが、やはり基本的に頭越しで決められたという印象を強く持っております。政府側としては、そうではないと言われるんでしょうけれども、現地としては、やはり現地の意見、要望、また情報提供も不十分なままに頭越しでやられたということに非常に強い憤りを持っていることを感じた次第でありまして、むしろ、もう一回仕切り直して、しっかりと現地との対話、説明責任を果たしながら、納得をいただきながら、この重要な在日米軍再編問題に取り組んでいく必要があるかと思っております。

 そういった意味で、防衛省になってどのように、この地域に対する説明あるいは情報提供等をやっていくのか、特にこの点に意を用いてほしいと思いますが、久間大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

久間国務大臣 先般、協議会が開かれましたときにも、沖縄の知事さんからそのような話がございました。そこで、私はその前に額賀長官時代のいろいろなやりとりをずっと聞いておりましたので、決して頭越しとかそういうことじゃなかったわけでございまして、地元にもやはり丁寧には説明しておったつもりでございますが、それがやはり頭越しと沖縄の皆さんからとられたとすれば、それはやはり非常に残念でありますので、今後はそういうことのないように、真摯にやはり耳を傾けて意見の調整をしていこう、そういうことを申し上げたところであります。

 したがいまして、これから先、要するに集落の上を飛ばないということになってくると、やはりあのV字案しかないんじゃないかということについては大分理解が進んでまいってきておりますけれども、まだ今から先調整する問題もございますので、こちらからも真摯に県とか市の意見等も聞いていこうと思っております。

 それからまた、岩国の問題につきましても、先般、私も市長さんともお会いしましたが、やはり市長さんの立場もあられますけれども、市長だけではなくて、市議会の皆さん方とか自治会の皆さん方とか、そういったところにも御理解を得なければなりませんので、そういった方々にも説明をして理解を得ようと今努力しているところであります。

遠藤(乙)委員 防衛省になった意義、大臣がかねがね政策官庁としての機能強化ということをおっしゃっています。それに加えて、特に交渉能力とか説明責任能力とか説得力、こういったことが非常に重要な要素になってまいりまして、まさに防衛省になった一番の試金石がこの問題であろうと思っております。ぜひともしっかりと取り組んでいただきたい。特に地元の声を最大限に聞き、またアメリカ側の信頼もかち取るために最大の努力をしていただきたいということをお願いしておきたいと思っております。

 続いて、六カ国協議の件でございます。

 一定の前進を見たことは喜ばしいと思っておりますけれども、ただ、北朝鮮が相手であり、どうなるかなかなか予断を許しません。そういった中で、弾道ミサイルの問題が今回全く触れられておりません。これはやはり、核だけではなくて、弾道ミサイルの問題も核と相まって、将来、核が小型化されて弾道ミサイルに搭載された場合に、最も日本が脅威を受けるわけであって、ここについてもしっかりとした対応が必要と思っておりますけれども、この点につきまして、今後どういう対応をしていくのか。

松島大臣政務官 委員御指摘のとおりの問題がございますけれども、今回の六者会合の中で、弾道ミサイルの問題でございますが、この弾道ミサイルの問題につきましても、今般設置することが決まった作業部会におきまして、今後しっかりと取り上げていく考えでございます。

遠藤(乙)委員 時間がありませんので、先へ行きたいと思っております。

 もう一つ、拉致問題との関連ですね。今回、作業部会の中で米朝の作業部会が設置をされ、この中でテロ指定国家の解除を検討するということが明示されております。ただし、これが拉致問題と関係なく行われてしまうと、拉致問題は全くカードを失ってしまうということじゃないかと思っておりまして、チェイニー副大統領も、拉致問題等悲劇的な問題は日米共通の課題だという認識を昨日表明されたと聞いておりますけれども、そういった点からいえば、日本としては、拉致問題の解決なくしてこのテロ指定国家の解除をするなということを、逆に米国に強く申し入れる、またそれを採用させるべきだと思いますけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘のありましたテロの、いわゆる支援国家指定の解除という話が今話題になっているところですけれども、これは、何回もいろいろなところで申し上げましたけれども、指定の解除ということに関して、その作業を開始すると言っている、作業を開始するという話と指定を解除するとは、かなり意味が違うところでもあろうと存じます。

 いずれにいたしましても、昨日チェイニー副大統領と会う機会がありましたので、その際にも、これが一番大きな問題になるので、いろいろ米朝幾つか部会が立っているけれども、そのほかの部会が解決して、うちの部会だけが、向こうが全然応じてこなかったら全く進まないんだから、その点はどういう問題が起きるか、波及効果はいろいろあろうと思いますので、その問題に関しては十分に頭に入れておいてもらわなきゃいかぬ、多分問題なくわかっておるという話で、これはこれまで、この一年以上大分長いことこの問題だけやってきておりますので、理解は得られておる、私どもはそう思っております。

遠藤(乙)委員 当然のことながら、この作業部会間の話し合いのリンケージということ、これはきちっとしていかないと、どこかで穴があいてしまう可能性がありますので、この点はよく意を用いていただければと思っております。

 時間もありません。最後に、イラク問題をお聞きします。

 昨日のニュースでも、ブレア首相がイラクからの撤退計画を発表いたしました。在イラク英軍七千百人から今後数カ月以内に千六百人を撤退させるということで、既に出口戦略につきまして明確な方向性を示してきたわけであります。アメリカにおいても、今、出口戦略ということが議論されておりますけれども、ブッシュ政権自体は二万人以上の増派ということで、ちょっと違った動きをしておりますけれども。こういったアメリカの出口戦略が不透明な中で、我が国としてどうこのイラク問題の出口戦略を考えていくのか。この点につきまして、これは麻生大臣にお聞きしたいと思います。

麻生国務大臣 昨日のブレア総理大臣の発言の内容を読んでいただくと、我々がかつておりましたサマワの地域からの撤退ということでありまして、いわゆる権限の移譲ができるところから撤退していくという話を宣言しているのであって、従来の方針と特にそんなに大きく変わったというような意識を我々は持っているわけではありません。

 いずれにいたしましても、イラクに対しては、少なくとも、ここは過去約三年少々の間に、前政権が倒れた後、三回国政選挙をやって、自分たちで憲法をつくって、自分たちで議員を選んで、それに基づいて内閣をつくって、大統領、総理大臣、いろいろ決めて、選挙が終わった後、内閣ができるまで五カ月ぐらいかかったと記憶しますけれども、とにかく長い時間かけてつくり上げたんですから、今まで、少なくともフセイン政権の間に選挙とかいうのをやったことはありませんし、そういった意味では、非常に、自分たちなりに、自分たちの努力で、自分たちの政府を今つくっている最中でありますので、イラクの新政権によるいわゆる復興の努力というものを多として、我々としては今後ともこの支援をやっていくということで、一日も早く、そういった権限の移譲ができ、治安の回復ができ、それに伴って復興ができるように最大限の努力をしていくというところだろうと思っております。

遠藤(乙)委員 時間が来たので終わりますけれども、イラクの場合、やはり民生の安定、これが最も重要だと思っております。これについては日本も積極的に進めるべきだと思っておりますので、今までの軍事的な混乱から、ぜひ政治的な正当性を確立した政府ができ、また、民生の安定に向かうような戦略を積極的に日本も立案して、米国とも協議しながら、また関係国とも協議しながら、イラクの平和と発展をぜひとも進めていただきたい、強く要望して、質問を終わります。

 以上です。

木村委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党・無所属クラブの津村啓介と申します。どうぞよろしくお願いします。

 一昨日からですか、チェイニー米国副大統領が来日をされまして、昨夜の報道などを見ていましても、ニュース番組でトップに取り上げられるような、大変注目を集めているわけですけれども、両国政府の高官が、日米同盟はこれまででかつてないベストな状況にあるというようなことをおっしゃる一方で、やはり報道ぶりを見ておりましても、また、いろいろ国会審議などを見ておりましても、果たして本当にそうなのかなと少し気になるような発言等がございます。少し取り上げさせていただきたいと思います。

 まず、このチェイニー副大統領の来日の目的、意義でありますけれども、まず日本側からの意義というところをお話を伺いたいのですが、十九日夕方の塩崎官房長官の会見でこういうやりとりがあったという報道があります。来日の意義は何かという記者の質問に対しまして、塩崎長官が、向こうがおいでになるということだから、意義は向こうにある、我々としては、来られることは歓迎しているという御発言があったようなんですけれども、これをそのまま受け取ると、日本側から見ると余り意義を見出せない、そこまで意地悪に言うかどうかはともかく、ちょっと質問にお答えになっていないなという印象があります。

 日本側から見た今回の訪日の意義につきまして、まず、それでは麻生大臣、お答えください。

麻生国務大臣 私、きのうチェイニー副大統領と、委員会を途中で退席させていただいて、どれくらいでしたか、かなり、六時まで話をさせていただいたんですが、少なくとも、今回のチェイニー副大統領という人の立場からいきますと、副大統領というのはアメリカの上院議長を兼務しておりますので、議会開会中に議長が海外というのは、大統領の休みが一週間あるこの期間しかないということにルールでなっておりますので、その上で、日本とオーストラリアのみを選んで、あとの国は一切寄らずというところで選んで来ておる意義というのは結構大きなものがあるだろう、私の方はそう理解をいたしております。

 この後グアムに寄り、オーストラリアに寄っていくんだと思いますが、少なくとも、きのうの話をとっても、アフガニスタンのいわゆるインド洋上での支援の話やら、イラクでのいろいろな支援等々、極めて感謝の言葉が多かったので、私の方からも、いや、こちらの方こそ、北朝鮮等々、いろいろ我々の抱えている問題に対して共同で対処してくれたことに関しては、我々の方も大変感謝をしているところなので、双方で、少なくともこの地域における平和と安定というものは、この日米同盟というものは極めて大きな意義を持っているということだと思うということも言い、きょう、たしか横田めぐみさんの御両親夫婦と会っておられると思いますが、拉致の問題に対する関心をアメリカははっきり持っているということを見せつけるという感じにもなっているんでしょうし、いろいろな意味で、対応としてはかなり日本に対する配慮というものがなされたというような意味にとれますので、私どもからいいますと、日米同盟の有用性もはっきり証明されたことにもなろうと思いますので、今回の訪日は極めて意義があった、私はそう思っております。

津村委員 大臣、ありがとうございます。

 おっしゃることは一々ごもっともだと思うんですが、実は、外務省の方から同僚議員がいただいたものですけれども、「オフィス・オブ・ザ・バイス・プレジデント」と書いてありますから、米国副大統領の側のリリースがありまして、これはわずか五行しかないんですけれども。ごめんなさい、先に申し上げておくと、この後同じ御質問を久間さんにも差し上げようと思ってこれをちょっと引用するんですが、今のお話の中で、安全保障の話も一部ありましたけれども、そのほかの話も大分出てきたわけですが、先方のリリースによれば、わずか五行の中に一行ほど、「ザ プレジデント ハズ アスクト ザ バイス プレジデント ツー サンク ジーズ ツー アライズ フォー ゼア エフォーツ イン イラク アンド アフガニスタン」と。

 要するに、イラクとアフガニスタンにおける同盟国としての日本の努力に、オーストラリアもそうでしょうけれども、感謝を言うために行くんだと。ロジ的なことを書いた後にこれがありますから、かなり大きなウエートというか、ほぼ最大の目的なぐらいにこれが書いてあるんですけれども、日本側からすれば、その感謝を受けとめるというのは、逆に、その裏返しでいえば、非常に大きな意義のあることだと思うわけですね。

 そういう意味で、今回のチェイニー副大統領の我が国への訪問というのは、非常に安全保障に関する問題が最大関心の一つかなという気がするわけですが、久間大臣はそこはどうお考えでしょうか。

久間国務大臣 まだ我が国の方針がきちっと決まっていない段階でありますけれども、そういう中での期待を込めてのやはり無言のメッセージじゃないかなと思っております。

津村委員 ごめんなさい、これの解釈を伺ったわけではなくて、先ほどと同じ質問でありまして、チェイニー副大統領が今回訪日される目的を、意義を日本側からはどう受けとめているかという御質問です。

久間国務大臣 だから、今申しましたように、はっきりと口に出しては言わないけれども、無言のそういう期待を込めてのメッセージとしてお見えになったんだろう、そう思っております。

津村委員 済みません、私の理解が追いついていないんですけれども、そういうものということとは何かよくわからないし、それから、期待とおっしゃいましたけれども、こちら感謝ということで来ているようですから、ちょっと今、御発言の意味がよくわからない、もう少しかみ砕いて御説明ください。

久間国務大臣 これまでの協力に大変感謝しているというふうにおっしゃる場合は、その裏返しを我々だったらすぐ読むわけでしょう、これからも引き続きよろしくお願いしますよという。ところが、そういうふうに言われたときに、まだこれから先の方針が決まっていないのにそういうことを言った場合には、相手に対しては、ぴんとした答えが返ってこない場合に、そういうような無言のメッセージというのはよく政治家ではあるんじゃないでしょうか。

津村委員 割と全体的な意義を伺ったつもりなんですけれども、かなり的を絞ってお答えいただいたような感じがするわけですが、要するに、イラク問題への今後引き続きの、より一層のコミットを頼みに来たというふうに理解されているということですか。

久間国務大臣 こちらがそういうことをまだ決定していないわけでありますから、そういうのをやはり言葉としてなかなかはっきり相手は出せないだろうというときには、また違ったような接し方をされるんじゃないでしょうか、皆さんそれぞれが。

 そういう意味で、この場で今私どもは、それに対してどうこう言うことによって、また一つの方針をさも決まったかのように言うことは避けさせていただきたいと思います。

津村委員 比較的総括的におっしゃられた麻生大臣と、かなり限定的に今回の訪日の目的をとらえていらっしゃるように聞こえる久間大臣の御答弁では、少しフォーカス、焦点を当てているところが違うなという気がするんですが。

 それでは、あえて久間大臣に伺うわけですけれども、そういう訪日、来日の目的であったとした場合、今回、巷間報道されているように、現時点で久間大臣とお会いになる予定がないというふうにされていますけれども、ちょっとそれは、よくカウンターパートという言葉を使われますが、カウンターパートとして久間大臣が指名されないというか、日程上会われないというのは違和感を覚えるわけですけれども、どう理解したらよろしいですか。

久間国務大臣 逆に、私のカウンターパートは国防長官なんですね。国防長官とまだお会いしていない。そして、国防長官とお会いすれば、また具体的ないろいろな、沖縄の問題もそうでしょうし、いろいろなことをある程度詰めた段階でお会いしたいと思っておりますが、ちょっと格が上なので、天皇陛下にも会われましたし、あるいは総理大臣にも会われたし、外務大臣にも会われて、また官房長官にも会われましたけれども、やはり副大統領という場合は、大統領と副大統領というのは別格ですから、そこは私は余り気にはしない。むしろ、報道の方がちょっと先走っているような感じがいたします。

津村委員 最近、長官から大臣に格が上がられたばかりなのに、ちょっと寂しい感じがするんですが。

 もう少し詰めてお伺いさせてください。

 守屋事務次官が、二月十九日の会見で、会談は可能であれば望ましいということはあったがというふうに触れられているんですね。これだけ切り取ってはいけないかもしれませんけれども、日本側から会談のオファーをしたということなのか、それとも最初から、こちらから、そういうやりとりもなかったのか、そこをひとつお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 私は、そういうオファーをしてくれとも言っていませんし、また、すること自体が、先ほど言いましたように、私としては、ちょっと失礼に当たりはせぬかなというような、そういう気がしていたぐらいであります。

 だから、事実として、部下の、守屋さんも言っていないわけでしょうけれども、それ以下の下が副大統領の日程はどうなんでしょうかというようなことを聞いたかどうか、それは私はつまびらかでございませんけれども、何か副大統領は非常に立て込んでいるという話がありましたということは聞いております。

津村委員 格というふうにおっしゃるんですけれども、格が上とか下とかいう話は余り品のいい話だと思いませんけれども、例えば統合幕僚長がきのうお会いになられたりとか、あるいは、民間人といいますか、横田さんがお会いになったりとか、いろいろな、必ずしも副大統領はカウンターパートを探しに来たわけじゃないと思いますので、目的に応じて会われる方がそれぞれあってしかるべきですし、先ほど大臣がお答えになられたように、仮に、イラク問題の今後について大きな関心を持たれていらっしゃったということであれば、なおさら、久間大臣とお会いにならないというのは、あるいは久間大臣の方も意見交換をされようとしないというのは不思議な気がするんです。

久間国務大臣 横須賀の自衛隊の施設あるいは自衛隊の部隊を視察されたときに、我が国の自衛隊のトップが指揮官として行かないことは失礼に当たるわけですから、それはまた別の話だと思います。

 私は、さっきから言っていますのは、国防長官ともまだ会っていないのに、その上の人といきなり会って、今おっしゃられたようなことが話題になること自体が非常に失礼に当たりはせぬかな、私自身はそういうふうに思っているわけですね。それは、防衛庁長官が国防大臣になろうとなるまいとやはり同じことでありまして、特に外交問題というか軍事問題を言うならば、国防長官ときちんと話をした上で、大統領があるいは副大統領が会おうかと言われたときには、それはそうですけれども、まだそこまで全然やっていない段階で、それを飛び越えてというのは、ちょっと私は失礼に当たるんじゃないかなと思っているわけで、その辺の私の感覚が、どうなんでしょうね、先生のあれとちょっと違うのかもしれません。

津村委員 大臣は大変頭のいい方ですから、こういう話の流れを先読みされて、一番最初に今回の来日の目的を非常に限定的におっしゃったのかもしれませんけれども、やはりそうはいっても、少なくとも公式の文書で、先方はこれまでのことについての感謝を伝えに来ると書いているわけですし、あるいは、先ほど麻生大臣もおっしゃられたように、場合によってはオーストラリアとの関係、そのほか北朝鮮問題も含めて、かなり広範なテーマを扱われていると思うんですね。

 そういう中で、国防長官と事務的な話をするときに、先に副大統領と話しては失礼に当たるとかというのは、相当一部の話についての、かなり建前の話であって、大臣としては不本意かもしれませんが、この報道も含めて、少なくとも、多くの日本国民といいますか、特に報道において、要は久間大臣がそでにされたような報道をされて、それは正確かどうかわかりませんよ、こうしたものは主観的なものですから、それは私が決めつける立場じゃありませんけれども、そういった報道がなされてというのは、非常にこれだけ日米同盟の重要性ということを片方で言いながら、かつ、今回省昇格も含めて、日本の安全保障政策というものを、国民的にも関心が高まっているときに、一部には、大臣の資質なり職責というものに非常に大きな障害になるんじゃないか、そういうことをおっしゃる方もいるわけですね。

 これは私は、久間大臣、これまでの御発言の詳細なり真意なりについては、この後、場合によっては同僚議員から質問があるかもしれませんが、それはそれで久間大臣の御見識ですから、ぜひ、御意見をお持ちであろうと思いますし、それをお述べになればいいと思うんですけれども、今回の対応といいますか、カウンターパートじゃないから、自分の方が格下だからみたいな、そういう、あるいは日程上の御都合でというようなお話で今回の話を説明されていると、非常におとなし過ぎるというか、何かまるで言われたい放題になってしまっていて、もう少し御自分のお立場というものをきちんと説明されて、今回のことについても、ある意味失礼な報道がなされているとすれば、それは久間大臣、しっかりと、いや、自分はこういう考えなんだ、あるいは副大統領と、オファーをしたのか、されていないのか知りませんけれども、今後米国との関係を、国防長官といつ会うのかとか、あるいは今後どういう関係をつくっていくのかということを、もう少しはっきりと見通しをお述べになってもいいのかと思うのですが、いかがですか。

久間国務大臣 まず事実が違うということ、そして、報道はいろいろありますけれども、報道もどうも非常に偏った報道をしているということ、逆に、そういう形でもし拒絶されたということならば、副大統領に対してああいう報道は大変失礼なんじゃないかなと思っているぐらいでありまして、私はそういうことじゃないというふうに、だから、日米関係はそんなことで崩れることもございませんし、私自身、全然心配しておりません。

 むしろ、今後どういう形で日米関係をきちっときずなをしていくか、それが一番大事なことだと思っておりますので、先生の方では少なくとも、報道陣と違って先生は御理解していただきたいと思います。

津村委員 ごめんなさい。指示語というんですかね、そういうこととかそんな感じでという言葉が多くて、いま一つ私にとっては要領を得なかったんですけれども。

 大臣としては、今回、副大統領と結果として会えない。非常に大きなチャンスだと思うんですけれども、それを、私から見れば逃していると思うんですけれども、そのことをどう思われているのかということと、これから米国との安全保障議論、日本の責任者としてどういう日程あるいはスタンスでされていくつもりなのか、もう少し具体的に教えてください。

久間国務大臣 私は、日程はわかりませんけれども、いずれの日かアメリカに行って、ゲーツ国防長官と会って、そしてこれまでの進捗の状況あるいはまたこれからの取り組み、そういうことについての意見交換等をしていくという、自分に与えられた仕事をアメリカとの関係でもきちんとしていこうと思っております。

津村委員 久間大臣がアメリカに行かれて、国防長官と話をされたいということですか。

久間国務大臣 今、向こうのゲーツ長官が非常に忙しいので、向こうからこちらに来られることは非常に難しいんじゃないかと思いますから、多分、私の方から出向く形になるんじゃないかなと思っております。

津村委員 同僚議員からまた質問が続くかもしれませんが、少し話を私も前に進めたいと思います。

 今回のチェイニー副大統領の訪日、先ほど少しお話が麻生大臣から出ましたように、きょうから恐らくグアムに行かれて、その後、オーストラリアでしたでしょうか、わずか一週間という貴重な時間の中で日本とオーストラリアを訪問するというふうに伺っておりますけれども、今回の両国を訪ねていくという、重要性ということは先ほどおっしゃられましたが、それをもう少し具体的に、どういったねらいで日本とオーストラリアを訪問されると麻生大臣が見られているのか、お聞かせください。

麻生国務大臣 日米豪の三カ国というのは、いわゆる基本的価値観とか多くの戦略的関心とかいろいろなものを共有しておりますので、そういった意味では、アジア太平洋地域の安全保障というものを考えたときには、やはり日米豪の戦略対話というのは非常に重要。

 事実、昨年、日米豪の外務大臣会議というのを何回やりましたかね。とにかく、そういったのを何回かやっておりますけれども、昨年の成果の中の一つに、日米豪の外務大臣によります対話が極めて頻繁に行われて、非常にスムーズに、電話会談を含めて行われるようになったというのは大きなところだと思っております。

 この三カ国というのは、資源の大国でもありますし、太平洋の一番南の端と東の端と西の端とにいる大国でもありますので、そういった意味では、アジア太平洋地域のいわゆる平和と安定、そういったものに資するのではないかということだと思っております。

 したがって、アメリカとしては、従来、非常に東海岸というか大西洋に顔を向けていた部分が、今は太平洋に顔を向けるという部分が非常に多くならざるを得ない状況になってきていると思います。

 その意味で、アメリカが南の端のオーストラリアと西の端の日本というものとの連携をよくしていこうと考えるのは当然なのであって、その協力を強化していくのに資するというために今回のチェイニー副大統領の訪豪、訪日というのが行われている、私はそのように理解をいたしております。

津村委員 わかりました。

 自由と民主主義、そういった価値観を共有しているということが前提だというお話もありましたけれども、そういった意味では、従来、すぐ近くの韓国も同様の趣旨で日米韓という関係が非常に親密に続いてきたと思うんですけれども、今回、オーストラリアとの関係の方に少し関心といいますか目が行く一方で、韓国との関係は今どういう状況になっているのかなということがお聞きしたいんです。

 今回の日豪関係の強化、特に安全保障面でのこういった対話の強化というものが日韓の安全保障面での協力関係にどういう影響を与えるのか、あるいは与えないのか、お聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 日韓の場合も、もう御存じのように、価値観というものをかなり共有している部分が多々あろうと思っておりますので、戦略的なパートナーとかいろいろな表現がありますけれども、二国間関係というのは、いろいろな関係を築いてきたんだと思っております。

 最近では、北朝鮮の話にいたしましても、それからイラクにおきましても、少なくとも災害等々の人道派遣とか、結構いろいろ協力してやってきたというのが日韓における共通だったとは思っておりますが、私どもとしては、今回は日、豪だけに行かれたということによって、アメリカとの関係、米韓関係とか日韓関係とかいうのが、今回のチェイニー副大統領の日本、オーストラリアのみの訪問をもって日韓関係、米韓関係に影響を直接与えるというようなことはちょっと考えにくいと存じます。

津村委員 そこで、お尋ねをしたいんですけれども、少し日韓関係の方に話が移るんですが、従来から、いわゆる靖国問題がああやって火を噴く前は、日韓シャトル会談という形で、大体、年の前半に韓国、年の後半に日本、最後は指宿だったと思うんですけれども、半年ごとに両国首脳が行ったり来たりして会談をする。それも、国内さまざまな地域を回りながら、両国の過去の歴史も踏まえて、たしか指宿は征韓論の話があったようですけれども、関係修復等も含めて、そういう対話の場を、よりパイプをふやしてきたという経緯があると思います。

 ただ、一昨年ですか、靖国問題、秋の小泉首相の参拝の後、それが途絶えまして、去年は、たしかまた韓国の方で会談をされて、またAPECのときにもベトナムでという記憶がありますけれども、今後、いわゆるシャトル会談の枠組みを再開する可能性といいますか見通しというのはどうなっているのか、また開催地の選定についてはどういう方針で臨まれるのか、お聞かせください。

麻生国務大臣 日韓関係につきましては、いろいろあえて申すまでもないと思いますので、今言われた事実に基づいて、昨年の十月、安倍総理による訪韓、御記憶かと思いますが、北朝鮮による核実験というのがその日に合わせて、合わせて向こうはやったとしか思えませんけれども、その日に、着陸とほとんど同時に核実験をやったということになっております。そういった意味におきまして、そのときの話題も、当然その問題にかなり集中しておりますし、共通の目的、韓半島の非核化等々、いろいろ話題が出たと伺っております。

 したがって、そのときに、ぜひ盧武鉉大統領の訪日というのを安倍総理の方から招請をされて、大統領の方からは、適切な時期を選んで訪日したいとの意向が示されたというのがその十月の会談のときの記録でそうなっております。

 適切な時期がいつかというところは、ちょっとこちらも選挙、向こうも選挙というのが、多分、今正直なところだと存じますけれども、いろいろな意味で、盧武鉉大統領の訪日というものは、どう考えても有意義なものにしなきゃいかぬと思っておりますので、そういった意味では、いろいろ準備をしていかねばならぬということで、アジア局等々は、この問題に関してかなり神経を割いておるというのが今現状です。

津村委員 首脳会談の開催の予定についてはわかるんですけれども、将来、シャトル会談というのは、私は、独特の、少し変わった工夫だなと思って以前から注目をしてきたんです。

 このシャトル会談というやり方、また首都ではなくて地方、いろいろ誘致合戦もあるんですけれども、こういう地方で開催していくということも今後また軌道に乗っていくと考えてよろしいですか。

麻生国務大臣 開催地というのは、今G8サミットの開催地の話ばかりが新聞に出ていますけれども、現実問題として、シャトル会談の場所として過去に日韓の首脳会談というのが、日本で東京以外で行われたのは、鹿児島の指宿だったかな、それから熱海だかどこかでもありましたね、何かちょっと忘れましたけれども、いろいろな例があったと思います。たしか、静岡県の熱海で金大中、大分県の別府が橋本総理と金泳三だったかな、ちょっと正確な記憶じゃありませんけれども、そんなところだったと記憶します。

 今回、今候補として、一昨年の時点の話ですけれども、具体的に北海道、滋賀、岡山、この三県から首脳会談の開催地としての御提案をいただいておるというのは事実でありますので、もう少し煮詰まった段階で、そういった希望地がありますという前提に立ちまして、私どもとして対応していきたいと思っております。

津村委員 今大臣の方からもお話がありました、二〇〇八年のサミットについてもやはり関心が高まっているわけですが、本当であれば、もう少し時間があれば、ダボス会議との関連で御質問しようと思ったんですけれども、またそれは次回に譲りまして、今最後にお話をいただきましたので、やはり開催地のことを少し伺いたいと思います。

 幾つかの立候補地があるということと、最近また洞爺湖云々ということが、北海道知事選と関係があるのかどうかわかりませんけれども、また少し報道されているようであります。現在、候補地として外務省さんが認識されているところはどこであるのか、そして、どのような基準でいつごろをめどに決定するのか。遅くとも私はことしのサミットまでにはとは思いますが、具体的にはいつごろをイメージされているのか。候補地、それから基準、決定時期について、お答えいただければと思います。

麻生国務大臣 ハイリゲンダム・サミットの後、二〇〇八年、日本。二〇〇八年のサミットに合わせて、開催地に関しまして、今まずどれが出ているかと言われますと、横浜、新潟、京都、大阪、兵庫、岡山、香川というのが挙がっております県名です、また地名は別にいたしまして。そして、北海道の洞爺湖の話が挙がりましたが、これはまだ正式に立候補がされたわけではありません。(津村委員「間もなく」と呼ぶ)いやいや、そう言っている人が一部にいるというだけの話だから、正式に県から上がってきたわけではありませんから。それが状況であります。

 そこで、今の段階として、サミットの開催地の決定というのは、これは総理大臣にゆだねられていることなんですが、条件というのは、これは都市によって違うんですが、約三千人から五千人と言われますまず報道陣の宿泊地を、三千から五千確保というのはかなりの数だと存じます。そういったものができておりますのとか、それから、いわゆる、これだけのところにいきなりテロでもやられてはかないませんので、とにかくなるべく警備がしやすいようにというのを考えておったり、また、その地域が自分の地域として、メッセージとして日本というものをアピールするとか、アメリカの場合はテキサスをアピールしたり、国によっていろいろやり方がそれぞれ違うところでもありますので、今度のはハイリゲンダムのサミットをドイツでやるんですが、そこに行くまでには決める必要がどうしてもありますので、ちょっと二月というわけにはいきませんでしょうけれども、三月とか四月までにはどうしても決めないかぬところだろうなとは思っております。

 かなりの財政負担が出ることも確かですので、そういった面も考えて、ある程度そういったものの協力やら何やら得られないといけませんし、かなりその間交通面においては遮断が起きることは覚悟していただかないかぬところでもありますので、この間、東京マラソンのときに七時間というので、成功したお祭りになったとは思いますけれども、その間いろいろ御不満が出るところも当然あったと思いますので、そういったところも考えていかねばならぬ、いろいろなものを総合的に判断していかねばならぬと思っております。

津村委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。

 まず、六カ国協議につきましてお尋ねをしたいと思います。

 二月十三日、六カ国協議で北朝鮮の核廃棄に向けた共同声明が合意されました。「共同声明にいうすべての核計画(使用済燃料棒から抽出されたプルトニウムを含む。)の一覧表について、五者と協議する。」とありますが、北が保有しているとする核兵器と核兵器に使用されるプルトニウムの処分がされない限り、日本国民は安心できないと思うんですが、外務大臣、どのようにお考えになりますか、お尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 二〇〇五年の六者共同声明に従って、いわゆる北朝鮮がすべての核兵器及び既存の核計画を放棄するということが、いわゆる北東アジアの安全を確保する上で最も重要。今回の六者会合の最大の目的は、北朝鮮を核保有国にはしない、これが一番の大きな目的だったと存じます。

 今回の会合において、いわゆる初期段階の措置というのはよくお詳しいところだと思いますので、共同声明に従って放棄されているところの、共同声明にいうところのすべての核計画の一覧表というのが出て、それで六者協議で協議することで北朝鮮が同意ということになっております。

 その次の段階というのが今の関係してくるところなんですが、すべての核計画について完全な申告の提出などの措置をとることに同意ということになっておりますが、これらの計画の中に当然、燃料棒から抽出されたプルトニウムというのが含まれるということになっております。

 問題は、それをどうやってギャランティー、保証するかというところがこれからの一番大きなところだと思っておりますので、これは、いわゆる部会が立ち上がりますので、その部会の中には当然IAEAからのいわゆるプロが入ってくることになります。そういったプロの人たちを初め、極めて技術的なプロの人たちの見た目で、これはおかしいじゃないかという話やら何やらが、これからいろいろ押したり引いたり、かなり激しいことになるであろうと予想しておりますけれども、それが出てきませんと、おっしゃるように安心していられないというのが正直なところだと存じます。

内山委員 北朝鮮サイドからの自己申告ということになるというわけでありますけれども、今までさんざんだまされてきた国でありますので、どのように日本として検証していくんだろうかと非常に心配をしているんですが、いかがですか、その点。

麻生国務大臣 この点は、各国皆共通だと存じます。特に、アメリカの場合は、この前、クリントン政権のときに、マドリン・オルブライトという人が当時国務長官だったんですが、この人も平壌まで行って、結果的に、合意をして、十年間やってみたら、全くやっていなかった、履行していなかったという話になって、簡単に言えばはめられたみたいな話になっておりますので、それはもう極めて不信感は高い。特に、それをついて共和党は勝ってきていますので、民主党はこんなことをやっていたんじゃないかと言っておりますので、今回も極めてそこのところは厳しい対応がアメリカ側ですし、我々は、アメリカと違ってうちはノドンで届くところにいるんだから、こっちはよっぽど深刻で確率が高いというような、隣国の中では一番やられる確率が高いというのは我々だというのはわかりますので、そういった意味では、日米が極めてこの面に関してしつこく言っている背景は、どうしてもいま一つ信用ができないというところだと思っております。

 幸いにして、今回は、中国の方が、テポドンのときはそうでもなかったんですが、七月のミサイルのときはそうでもありませんでしたが、今回の核実験以降は極めて態度がアメリカ、いわゆる五カ国側に寄ってきたような感じがいたしておりまして、今回、一連の交渉の際の情報に関しましても、かなり我々はその多くを議長国である中国との連携が密にできた等々が、今までとは違ったところだったと思います。

 しかし、いずれにしても、これは、細心の注意を払わないと、一番最後になって、買いますと言って手形を振ったけれども、その手形が落ちるかどうかというのは、最後の最後まで見て現金化しないと商売は成立しませんのと同じことだと思っておりまして、一番最後までこれは細心の注意を払ってやっていかねばならぬ、御指摘はそのとおりだと存じます。

内山委員 KEDOでもさんざんだまされてきたわけでありますから、ぜひその点は注意深く検証していただきたい、こう思うわけであります。

 六者会合にあります、今後三十日以内に開催することとなります日朝国交正常化作業部会で拉致問題を含む諸懸案事項を協議するとありますけれども、北朝鮮は、この作業部会、拉致問題を含むと認識をしているんでしょうか。確認をしたいと思います。

麻生国務大臣 今回の日朝作業部会その他、五つの部会を立てるに当たりましては、これだけ別出しになった一番大きな理由がそれでありますから、これは向こうは十分に認識をいたしております。

 これはもう、出た交渉、きのうのアメリカも、全員、この点に関しましては、日本がこれを交渉してもらえないと、自分たちの分担金がふえることになりかねないから、これさえ解消してくれればおれたちの分も減るんだとか、非常に利害がそこのところは共通しておりますので、中国も、とにかく日朝やれと。日朝の話の中では、これが最大の問題ですから、これさえ解決してくれればいいんだというような言い方をするほど、かなり、我々以外の国も言っておりますので、このことに関して、認識は十分にいたしております。

内山委員 北は、従来どおり、拉致に関しては平壌宣言で解決済みだという形で逃げ込むんじゃなかろうかと危惧しておるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 戦術的にはこの問題は既に解決済みという対応で出てくるであろうことは私ども予想をしておりますけれども、それじゃもう全然話になりませんから、そこが今からの、最も激しいことになる。第一段階はそれからスタートすると思います。

内山委員 そうしますと、日朝国交正常化部会が不調であるとすれば、安倍総理大臣が言われます、断固支援はやらない、こういう形で日本は突っぱねるのか。または、次回開催される三月十九日の六カ国協議にどのような態度で臨まれるのか。ちょっとその辺もお尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 御存じのように、三十日以内でまずは部会を立ち上げることになっております。それで、六十日以内にそれなりのものをということで、そこでそこそこの成果が上がったという前提に立って六カ国の閣僚会議というものを開催する予定にしておりますが、少なくとも、日朝の話で、いわゆるもう解決済みというような話だったら作業は全然進まないことになりますので、その段階で、はなからぶつかることになる。仮に、それがそのままずっと六十日いったとした場合は、日本としては、悪いけれども、約束どおり、向こうが全く対応しないんだから、少なくともうちは新たに九十五万トンの分とかそういったものに関して分担する気は全くない。加えて、日本がやっている制裁決議、万景峰号とかいろいろございますけれども、そういったものも解除するつもりはありません。

内山委員 さらなる支援はしない、そして断固たる対応をとり続ける、そういう認識でよろしいということでありますね。わかりました。

 それでは、お隣の久間防衛大臣にお尋ねをしたいと思います。

 まず、歴代閣僚のだれもが発言をされたことがなかった発言、防衛大臣の発言に私も心から応援をしている一人であります。当然いろいろな意見があろうかと思いますけれども、よく本当のことを言ってくれたという意見と、対米関係の悪化につながる発言であるとの憂慮の声。大臣の一連の発言の内容にあります、イラクに核兵器がさもあるかの状況でブッシュ大統領がイラク戦争に踏み切ったことは、その判断は間違っていたと思う。この判断については、今ではアメリカ国内はもとより、世界の常識になっていると思っています。さすがに庁から省になりますと大臣の発言も違ってくるな、こう思っております。

 さて、イラク戦争に対するブッシュ大統領批判、そして普天間の滑走路について、アメリカは根回しがわからないとの発言は、よくぞ言ってくれた、実にすばらしいと私は思っております。アメリカの言いなりでなく、今後、真の日米両国のパートナーシップを築いていくためにも、日本の立場を理解していただきたいというふうなお考えだと私は理解をしております。

 しかし、アメリカはかなり神経質になっておりまして、2プラス2の開催未定や、津村議員の質問にもありましたが、チェイニー副大統領の防衛大臣との面会がセットされていないということに対して、大臣はどのように感じられておりますか。率直なお考えで結構でございます。

久間国務大臣 日米関係というのはきちっとしていると私は思いますし、いろいろな、まあ、私のしゃべり方自体も適切でない点もそれはあるかもしれませんが、真意は伝わっておりますから、そんなに遅くない時期に2プラス2だってやられると思います。

 ただ、私たちの方も、きちっとした成果を今言えるような状況でないのも事実でございまして、普天間につきましても、やはり地元との調整を、それこそ根回しと言われましたけれども、そういうような根回し等、やはりすり合わせをしていかなきゃならない、そういう時期でございますので、もう少し時間が欲しいな、そういうような気がいたしております。

 それと、イラク等につきましても、これから先どうするのか。アメリカは今一生懸命になって、ああいうふうに下院で反対決議があってでも、やはりここはイラクを安定させなきゃならないということでかなりの英断でやっているわけでありまして、私は、それはそれとして、当事者である米国はもう決意したんだなと思っておりますから、そこはやはり重く受けとめなきゃならない。

 そういう中で、私たちは今後どうするのか。これももうちょっと時間をかけながら、適切に対処していきたい、そういうふうに思っておりますので、御心配の点は大変ありがたいですけれども、もうちょっと時間をかけて、結果を見ていただきたい、そう思っているところであります。

内山委員 やはり日本には日本の独自の立場というものがありますから、それは明確に申し上げて何ら差し支えない、こう私は思っておりますので、ぜひともこれからも頑張っていただきたい、こうエールを送りたいと思います。

 それでは次に、在日米軍再編につきまして、テーマをかえていきたいと思いますが、御担当者の方で、恐れ入りますけれども、ロードマップの冒頭六行目あたりまでのところをちょっとお読みいただきたいんですが。恐れ入ります。

大古政府参考人 経費負担の関係のところで、該当部分を読み上げさせていただきます。「これらの案の実施における施設整備に要する建設費その他の費用は、明示されない限り日本国政府が負担するものである。米国政府は、これらの案の実施により生ずる運用上の費用を負担する。」ということでございます。

内山委員 今、お手数ですが、お読みをいただいた中のことでお尋ねをしたいと思うんですが、再編実施のための日米ロードマップの中で、冒頭三行目に「これらの案の実施における施設整備に要する建設費その他の費用は、明示されない限り日本国政府が負担するものである。米国政府は、これらの案の実施により生ずる運用上の費用を負担する。」こうあります。「明示されない限り日本国政府が負担するものである。」との、まず、明示とはだれがどのように明示をするのか、お尋ねをしたいと思います。

大古政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の明示につきましては、このロードマップ上に施設整備のための費用分担について明示されているという意味でございます。

 例えば、グアム移転のための施設整備については、ロードマップ上、日米の費用分担が規定されているところでございます。それから、また一例でございますが、在日米軍司令部の改編に伴う戦闘指揮訓練センターその他の支援施設の建設費、これは相模総合補給廠内に建設されるものでございますが、これは米側が負担するということが明記されているところでございます。

内山委員 もう一度お尋ねをします。

 明示は、だれがどのように明示するのか、その点だけ。

大古政府参考人 このロードマップ上に明示されているという意味でございまして、このロードマップについては、昨年の五月一日の2プラス2で日米間で合意されたものでございます。

内山委員 負担の歯どめがかかるのかと非常に心配をしているんです。言われるままに払わなければならないというようなことにはならないかと懸念をしているんですけれども、久間大臣、いかがでしょうか。

久間国務大臣 それはないと思います。そのために明示をしているわけで、これはアメリカが負担しなさいよ、そしてそれに明示していないものについては日本が負担しますということですから、それはやはり、かかった経費について、日本側がふえることもあるし、減ることもあります。

内山委員 一つ歯どめがあればそれでよろしいんですが、アメリカの言いなりになって、歯どめがなく言われるままに支払うような方式にならないように、ぜひひとつそこは、米国に苦言を呈するぐらいのことをやっていただきたいな、こう思うわけであります。

 さて次に、十九年度の重点外交政策につきましてお尋ねをしたいと思います。

 昨年七月、外務省が平成十九年度我が国の重点外交政策を発表しております。この中の一点だけお尋ねをしたいと思います。

 「日本外交の基礎体力の強化」の中で、「情報要員の強化、情報活動の環境整備等、情報収集・分析体制の強化」とあります。外務大臣、情報要員とはどのようなレベルの人を指すのでしょうか。

麻生国務大臣 情報部員というと、よく最近では、「カジノ・ロワイヤル」なんというのは多分一般的には受ける、非合法な情報調査員というのを持っている国もあるわけですが、日本がこの非合法の情報調査員をやるというようなつもりはございません。それを大前提にしておかないと、何となくこういう話は、すぐ最近は、「カジノ・ロワイヤル」のおかげで、わかっているはずの新聞記者まで言ってくるようになりましたので、これは明確にそういうことだけは申し上げておきます。

 在外公館においていわゆる幅広い情報活動というのをやることになるんですが、私どもの場合は、少なくともこの情報活動というものは、かなり国益をしょって向こうから情報というものをとることになりますので、そういった人間関係のものもきちんとありましょうし、それは各局やら各部でやるところでもあろうと思いますが、まず、基本的には、個人のレベルはかなり上げてもらわないかぬ。僕はそれは間違いなくそういうところだと思っております。また、職員の能力の強化ということに関しては、これはこの種のことに関する意識を持たせた上での研修が要りますので、そこもきちんとやってもらわないかぬと思っております。

 情報というものは、収集というのは今電波やらいろいろな形での情報収集というのは、かなり機械とかいうものに頼ってできるものは確かにありますが、集めた情報をただ眺めていて、意味のない人が読んでも何の意味もわかりませんから、それを見て、これは何に使える、あれに使えるという、いろいろな意味で、それに基づいてどうするかというのができないと何の意味もありませんので。組織としてそういった体制強化をやるということをきちんとしてもらわないと、おれの局に関係ないからといってぽいと捨てられたのでは話になりませんので、そういった意味では、幅広い情報のネットワークというものをきちんとやらないかぬということが大変重要だと思っております。

 これは、基本的に今まではそういった情報というものは、我々としてはそういった組織的にうまく集めるというのは個人技に頼っている部分がかなりあったと思いますので、こういったものを組織的にもっとやっていく必要があるのではないかということを申し上げております。

内山委員 そうしますと、情報収集能力を訓練とか指導するということとなろうかと思うんですけれども、今、情報収集要員を育成する施設というのは日本にはないと思うんですけれども、諸外国で見ますと、どのような国にも情報収集要員の専門を養成する訓練施設みたいなものがあるんですが、こういう施設をおつくりになるというお考えでしょうか。

麻生国務大臣 新たに箱物を建ててどうのこうのということを今の段階で考えているわけではありません。

 ただ、基本的には、まずはこういったような意識を持ってもらわないとどうにもなりませんので。外交官という職業というのは、かなりお国をしょって、向こうから、早い話が情報を、よく言えばちょうだいする、悪く言えば盗んでくる、いろいろな表現はあろうと思いますけれども、情報交換とかいろいろな形になります。

 そういったものが、集めたその情報が、自分にとっては何の値打ちのないものでもここに行ったら物すごい値打ちのあるものというようなものがありますので、それを分析していろいろ散らしていくというようなところから始めないといかぬものだと思っておりますので、今すぐ箱物を建ててどうのこうのということをしようというわけではございません。

内山委員 そうしますと、しかるべきところで訓練や指導をする、そういうことだろうと思います。

 情報と危機管理というのは一体と考えるべきでありまして、中国の上海領事館の事件などもございました。やはり、情報漏えいの防止につながる情報要員の強化というのをぜひともこれから一生懸命やっていただきたいなと思う次第でございます。

 次に、アフガン、イラク、イランの情勢につきましてお尋ねをしたいと思います。

 現在、テロ特措法によって海上自衛隊がインド洋において給油活動を続けております。現在、アフガン情勢は、タリバン勢力の拡大など、NATO軍の増強、アメリカ軍の増強、安定されていたと言われる情勢が大きく変わりつつあると思います。今後、自衛隊活動のあり方に変化がありますでしょうか。また、現在、アフガン情勢と自衛隊の給油活動、どのようにリンクをされているんでしょうか。その辺もお尋ねをしたいと思います。

久間国務大臣 テロとの闘いで活動している多国籍といいますか各国の軍隊に、海上阻止行動として動いておる艦船に補給をするというのが現在自衛隊が行っている任務でありまして、今のところ、これ以外の任務というのは考えておりません。

内山委員 同じように、イラクでは米軍のヘリコプターが携帯対空ミサイルによりまして相次いで撃墜をされておられます。イラクの航空自衛隊、C130、安全性が一体保てるんだろうかと非常に危惧をしておるわけでありますけれども、その辺はいかがでございましょうか。

久間国務大臣 私どもが聞いている話では、今のところ、そういうような脅威といいますか、脅威らしきものはあったとしても、直接脅威を感じていることはございません。

 一つには、ヘリコプターは非常に低空で飛びますので、そういう点でねらいやすいわけでしょうけれども、C130の場合は、そういう点ではそういうものではなかなか狙撃しにくいという点があるのかもしれませんが、いずれにしても、今のところ、それらしき何か銃弾の当たった形跡があるということはあったようでございますけれども、具体的なそういう脅威としてそれが発生したということは聞いておりません。

内山委員 続きまして、イラン・イラク情勢についてお尋ねをしたいと思います。

 一月十一日に、ブッシュ大統領が米国民に向けましてイラク新戦略に関する演説を行っております。発表した新イラク政策の中身につきまして、イラン及びシリアがテログループを支援していると断定をしております。

 外務大臣、アメリカのイラン、シリア敵視政策につきましてどのようにお考えになっておりますでしょうか。

麻生国務大臣 今御指摘のありましたように、ブッシュ大統領がイラクの新政策というのを発表されるに当たっては、イランとシリアがテロリストなどへのイラクの出入りを許し、両国からの支援を阻止するという旨を述べております。

 これはISG、イラク・スタディー・グループの提案とはかなり切った形になっておりますので、そういった意味では、先ほど久間大臣からのお話もあっておりましたように、少なくとも、イラクの情勢安定化のためにはさらに兵員の増員ということを正式に決めていくことをスタート、踏み切っておりますので、そういった意味では、明らかにアメリカはそっちの方に振ったことは確かだと思っておりますので、少なくともアメリカとしてはここ当分そういった対応を継続していくんだと存じます。

 これはまた、例のイラクの東半分のところはシーア派だったり、話がすごい込み入った話で、何回か聞かぬとさっぱり、何回聞いてもよくわからぬところもあるぐらい話は込み入っている話ですけれども。少なくともその中にあって、シリアとの関係とかヨルダンとの関係とか、それがまたパレスチナにつながっていったり、いろいろな関係がすごく複雑に入りまじっておりますので、もとのもとはパレスチナとイスラエルだったじゃないかという思いがなきにしもあらずですけれども、事は今イラク、イランの方へ、ずっと話がそちらの方に行っておりますので、正直、ここのところの情勢は極めて予断を許さない。

 ただ、幸いにして北の方と南の方は、クルドのところは安定しておりますし、南の方のサマワも安定し、今度イギリスがそこから権限移譲して撤退できることになりましたので、そういった意味では、真ん中辺になりますバグダッド周辺が問題ということに集約されてきているのかなと思っております。

木村委員長 久間大臣から訂正発言、どうぞ。

久間国務大臣 先ほどの銃撃の跡というのは、自衛隊のC130ではなくて、ほかの国のそういう例はあっております。

内山委員 今、麻生大臣からありましたが、アメリカ軍のイラク増派につきまして、五個旅団、約二万一千五百人の増派を決定しております。前イラク駐留多国籍軍司令官のケーシー大将、陸軍参謀長の就任に当たりまして、米国上院での証言、バグダッドの治安だけなら五個旅団は必要ない、二個旅団、約八千三百人で十分ではないか、こう証言をしております。やはり現場に詳しいケーシー大将の証言は非常に重いものがあろうかと思います。

 なぜ五個旅団が必要なのか、深い関心を持たざるを得ないわけでありまして、あえて申せば、イラン戦のシフトではないかと思われる。イランに対し、核施設の凍結または中止をさせるための抑止力またはにらみなのかと。対イラン戦の布石ではないかと思われる状況として、ペルシャ湾に一月末に空母ステニスを派遣し、既に派遣されている空母アイゼンハワーと二隻態勢になっています。特に空母ステニスには上陸用舟艇による作戦が可能な特殊海兵部隊が乗船している、こういうふうに報道されております。

 また、アビザイド中央軍司令官が退任し、新中央軍司令官にファロン海軍大将、前太平洋軍司令官が就任したこと。イラクの国内安定だけなら、陸軍の出身の方の方がよいと思うわけでありますけれども、この人事が何を意味しているのか。ファロン海軍大将は、湾岸戦争当時、空母で司令官をされていた人物でありまして、ペルシャ湾情勢には大変詳しい方だというふうに聞いています。

 ついこの間まで支援のためにサマワに自衛隊を派遣されていた久間大臣として、このような情報をどのように分析されますでしょうか。

久間国務大臣 他国の状況についてつまびらかではございませんが、やはりこれから先、いろいろな動きを注意深く見守っていきたいと思っております。

内山委員 外務大臣もぜひ、この辺の情報を把握されておられることがありましたら、お尋ねをしたいと思います。

麻生国務大臣 これは他国の軍のオペレーションの話ですので、ちょっと私の方からそれをもってどうのこうのということは言えませんけれども、二個旅団といえば、一個旅団四千人ですから、八千人ぐらいでできるというのは、それはそれなりに正しいのかもしれませんけれども、考えてみれば、最初イラク戦争を始めるときに、これで十分だと言っていたのが全然足りなかったわけですから、そういった意味では、ある程度余計に出さないと、今度は逆に、今度少なかったらえらいことになるとか、いろいろなことを考えられたのかなとは思います。

 いずれにしても、この地域の安定にもかけたわけですから、その意味では、その成果が上がるということを私どもとしては期待いたしております。

内山委員 まだお尋ねをしたいことがあるんですが、時間が参りましたので、きょうはここで終わりたいと思います。ありがとうございます。

木村委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 先ほど同僚の津村議員の質疑を聞いておりまして、防衛大臣、上手に答えられているなというふうに思ったんですが。きのう外務大臣に私は少し、チェイニー副大統領が防衛大臣に会わないで帰るというのは非常に違和感を持つし、もし巷間伝えられているところが本当だとしたら、かなり子供じみた対応じゃないか、こんな多少失礼なことも申し上げたんですが、一点だけ、米政府高官の中にかなり不興を買っている向きがある。つまり、ああいうことは本来同盟国の大臣として公の場では言ってほしくないというような声が出ていることだけは間違いないようであります。

 ただ、それも、日本のマスコミが大臣の発言をあおって、それを聞いて、何だ、けしからぬじゃないかというような部分もかなりあるんだろうというふうに思うんです。思うんですが、ここでせっかくの機会なので、少し発言を振り返って、先ほど津村議員も言っていたように、御見識を披瀝されたんだというふうに思います。私、何度かその発言を読ませていただきましたけれども、一つ一つもっともなことをおっしゃっているなというふうに思いますので、ぜひこの機会に少し敷衍して説明していただければというふうに思うんです。

 まず、イラクの開戦についてでありますが、昨年の十二月八日にこうおっしゃっているんですね。私は、早まったんじゃないかなという思いがそのときもしていた、そのときというのは開戦の当時、個人としては今でもそう思うと。そのときの発言なんですけれども、これは〇三年の二月、当時自民党の政調会長代理をなさっていたときの発言ですが、米英の対イラク開戦について、恐らく早まったんじゃないかなと、まだ大量破壊兵器の存在がはっきりしていない段階で開戦に踏み切っていますので、そのことを受けてだと思うんですが、支持という言葉を使うのは適切ではない、理解で十分だ、こういうおっしゃり方をされました。

 それから、それをさらに、ことしの一月二十四日に日本記者クラブの講演で少し敷衍されて、核兵器がさもあるかのような状況でブッシュ米大統領は開戦に踏み切ったのだろうと思うが、その判断が間違っていた、後をどうやってうまく処理するかの処方せんがアメリカにはないままだった、こういう御発言をされているんですね。

 これに似たような御発言は麻生大臣もされていまして、ことしの三日、京都市で講演された、これは防衛協会の会合だと思いますけれども、こういうお話をされています。平和構築を考えるとき、ドンパチ、戦争が終わった後が大変だというのがイラクでわかった。ラムズフェルド米前国防長官がばっとやったけど、つまり開戦をばっとやったけれども、占領した後のオペレーションとしては全く非常に幼稚であって、これがなかなかうまくいかなかったから、今ももめている、こういうお話をされました。

 私は、一つ一つは、私なんかが言うのは僣越ですけれども、実は正鵠を射た発言なんじゃないかな、こういうふうに思っているんです。こういうことが一々不興を買うような日米同盟であってはいけないと逆に思うんです。成熟した同盟関係を目指す上では、こういう耳の痛いことも、あるときには大臣というお立場であってもする、そして、そういうことから議論をして、ある意味でイラクに対するよりよい政策を考えていく、同盟国の間で大いに議論を深めていっていただきたい、こういうふうに思っているんですが、いかがでしょうか。まず、防衛大臣。

久間国務大臣 一国の政府の高官といいますか閣僚は、それが他国にどういう形で伝わるかということもやはりちゃんと計算した上で言わなきゃならないのでありまして、そういう点では、私があの教書発表がされたあの日にそういうことを言ったこと自体が、配慮が欠けていたのじゃないかなと言われれば、そうかもしれぬという反省もいたしております。

 それと、過去の感想であっても、やはりそれを今閣僚が言った場合に、それが現在もそのとおりだということで伝わってしまう、そういう点もありますので、そういう点についてもやはり配慮せぬといかぬのだなと思っております。

 ただ、先ほどちょっとそれが、核兵器があるかということじゃなくて、それだけではなくて、この問題には二つありまして、一つは、核兵器がないと私は思っておったということが一つと、もう一つは、後の処方せんがないままに戦争に突入してしまったということで、早かったんじゃないかな、そういう思いが実はありまして、それは実は、キッシンジャーがその直前に発表した、クルドとシーア派とスンニ派、この三つのグループに分かれて、後が大変なことになる、それについてどうしたらいいのか、それがまだ描けていないんじゃないかというようなことを言っていたのを記事で読んでおりましたので、私もそういうことが、でき上がった後の方がいいんじゃないかなと個人的にはそのとき思ったものですから、ああいう発言になったんですね。

 だから、そういう点については、個人的な感想であってもやはりそれは注意してやらぬといかぬし、閣僚であれば政府の方針に従ってきちっと発言をしていかなきゃいけないということは自分に言い聞かせております。

長島(昭)委員 最後のところは、わかるようなわからないようななんですよ。つまり、閣僚という立場があって、今、現政権は、ある種、余り疑問も持たずにイラク開戦について支持をした政権を継承している、こういうことですから、そこに符牒を合わせていかなきゃならない苦しいお立場はよくわかるんですが、本当にそうなんでしょうかね。

 何か、やはり大臣がおっしゃっていること、あるいは外務大臣もおっしゃっておられる、占領統治がちょっと稚拙だったということは、これはアメリカの中でもいろいろな識者が、それはキッシンジャーだけじゃなくて、ブレジンスキーも含めていろいろな人が言っている。あるいは、共和党の中にもヘーゲル上院議員なんか、もう非常に歯に衣着せぬ形で言っている人もいる。ですから、自国の人間に言われるのはいいけれども、同盟国の他人に言われるのはしゃくにさわる、こういう心理はあるのかもしれません。

 しかし、そういう話をどんどん内閣の中でやっていただかないといけないと思うんですね。そうすると、また私も含めて野党が閣内不一致じゃないかと言って足を引っ張る、恐らくこういう筋書きなんだろうと思うんですけれども、また、自民党の中からも、幹事長あたりが忠誠心がないじゃないか、こういう話になるのかもしれませんが、私は、そこは本当に物事を見詰めていって、同盟国としてどんなアドバイスがアメリカにできるかという観点から考えれば、私は極めて重要な指摘だと思います。

 と同時に、もしぎくしゃくするんだったら、そういう話でぎくしゃくしてはおかしいと思うんですね。例えば、同盟国としての義務が果たせなかったとか、政治は結果責任ですから、そういう役割を果たせなかった、責任を果たせなかった、例えば湾岸戦争のときみたいに、我々は同盟国だったんだけれども何もできなかった、そういうことについて非難されるのは私はあると思う。日米関係がそれでぎくしゃくするということもあると思う。しかし、一つ一つのいろいろな現象についての感想なり指摘なりを一々とらえて、もし米政府の高官が記者に対してぐずぐず言うようだったら、私は、それはそちらの方が間違っている、こういうふうに思うんですが、外務大臣、いかがでしょう。

麻生国務大臣 基本的には、やはりこれは、外国だからとかいうんじゃなくて、人間ですから、長島昭久が言うんだったらまあしゃあないのかなと思うけれども、あいつにだけは、言われたら冗談じゃないぞという、同じ話をしても言う人によってこっちのリアクションが違うというのは、これは何も外国人に限らず、外交に限らず、同じ党内、同じ議員でも同じ。まず、これは基本だと存じます。

 それで、そういうのを大前提に置いて言いますと、私の場合は、一年四カ月ぐらい外務大臣をやっておりましたし、その前から、総務大臣のときは何やらから、コンドリーザ・ライス、チェイニーという人とはいろいろ会う機会がありましたので、あいつが言っている意味というのはある程度理解されて聞いていますから、私の話は、向こうから抗議とかいうことは一切しませんという正式の文書が出ていますし、それはやはり今までずっと言ってきていますので言えるんだと思います。そこらのところが、外国だからとかなんとかいうんじゃなくて、大事なところだと思っております。きのうのチェイニーさんとの話のときも、かなり耳の痛い話もしていますし、向こうも黙って聞きますし、そこらのところは、あの国は結構フェアな国ですから、言えることははっきり言って、ああ、そういうやつもいるんだなという話なんだと思いますけれども。

 基本的には、率直に話ができるかできないかというのは、これは長い意味で、夫婦でもずっとお互いに辛抱しているとある日突然にという話はよくある話だそうですから、思っているところはかなり率直にある程度語り合わぬといかぬというのは、同盟関係を続けていく上では非常に大事なところだと思っております。

長島(昭)委員 私もそう思います。大臣もぜひずばずば今後も言い続けていただきたい。もし野党が言葉じりをとらえるような変な質問でやるようだったら、私もそこは、そちらの方をたしなめるようにしますので。そうでないとなかなか深まらないですよ、日米関係。いつも、発言して、何か不興を買ったから、ではそれは撤回しますみたいな、それじゃ大臣の信念も問われますし、そこはぜひやっていただきたい。

 そういう成熟した同盟関係をどうやって築いていくかということをやはりそろそろ政治家が真剣に考えなければならない、そういう時代に来ていると思うんですが、その一番の絶好の契機になったはずなのが米軍再編だというふうに思うんです。

 ここは両大臣にぜひ国民に対して説明していただきたいんですが、この成熟した同盟関係をどうやって築いていくか、あるいは、日米同盟というのをどうやって深化させていくか、そういう観点から今回の米軍再編の意義をぜひ国民の皆さんに説明していただきたい。なぜこういうことを聞くかというと、どうも今までの議論を聞いていると、日本は、負担の軽減、負担の軽減と、口を開けばおまじないのように負担の軽減と抑止力の維持、この二つをキーワードに言い続けていれば何となく説明した感じになっているので、私はすごく不満なんです。

 ですから、ぜひ負担の軽減という言葉を使わないで、これは変な受験の問題みたいになりますけれども、負担の軽減という言葉を使わないで今回の米軍再編の意義というのを国民の皆さんに説明していただきたい。大臣からお願いします。

久間国務大臣 米軍再編の前提として、やはり日米が、役割とかその分担、機能、これをどういうふうにしてやっていったら一番効率よくやるか、そういう点も一つあるわけでありまして、そういう点では、今度の米軍再編の中には、将来に向かってのそういう機能を強化する面が含まれておって、そういう点での内容は入っております。

 それと同時に、負担の軽減という言い方は、それを変えて何かほかの表現というとなかなか難しいんですけれども、今沖縄に結構基地が集中している、そこにまた米軍、特に海兵隊がたくさんおる、そういうことについては、沖縄に対する、気持ちはやはり我々も配慮せぬといかぬというようなことから、海兵隊の削減については、これは御党でもそうでしたけれども、我々としてもそういう機会があればというふうに思っておりました。

 しかしながら、アジア太平洋地域のこの地域について、なかなかそれをアメリカが、よし、これだけ削減してもちゃんと今までと同じような機能を果たせるぞと自信を持って言えるような状況でなかった中で、グアムに八千人移転する、そして沖縄からは確かに減る、そういうふうなことの中で、これでやれるんじゃないかというような、今までと同じような機能は保てるんじゃないかということで話が出てきましたので、これは非常に結構なことだということで、我々もぜひそれは進めようとなったわけであります。

 あるいは、厚木の艦載機の問題につきましても、厚木は今までかなり都市化しておりますから、これについては、やはり岩国なら岩国に持っていくことによって、しかも練度を保てるというようなそういう中で、岩国はせっかく沖合の方に、厚木みたいな土地の真ん中じゃなくて、海側に飛行場ができるわけだから騒音も違うじゃないかというようなことから、これもその方がいいじゃないかとか、いろいろな形で、今度は横田の空域につきましても、民間機が非常に今飛びにくい状況になっているから、これは、この際ここの部分を上げても米軍としても運用上は問題ないとか、いろいろなことを考え合わせた結果、ああいう形でロードマップを決めたわけでございますので、私は、それを実行に移すことが日米双方にとって大変いいことだと思って、この米軍再編をとにかくやってくれと言われたときに、これはやらなきゃいかぬと思って私は引き受けたわけでございますので、これから先、それに一生懸命全力を挙げていきたいと思っているところであります。

長島(昭)委員 外務大臣の前に、今の御説明は在日米軍基地の再編の説明になっているんですね。そうじゃなくて、今回のグローバルな米軍の再編を、アジア太平洋というこの地域で日本がどうとらえて、アメリカとどういう共同のものを実行していこうとしているのか、そういうところを少し伺いたいと思ったんですが、外務大臣、お願いします。

麻生国務大臣 一つは、やはり、冷戦構造崩壊とともに、約十六年、十七年たつことになりますが、その間の国際社会の中における脅威が、例えばテロというようなものは、今から十六、七年前、そういう話がこれだけ公にわんわん言われることはなかった。そういった意味では、脅威の対象がかなり変わってきたというのが一つ。もう一つは、それに対応する軍事技術の進歩が極めて劇的に変わったというほど大きく変わったと思っております。PGM、超精密誘導兵器等々を含めて、そういった軍事技術の進歩というのが片方に非常にあります。

 そういったものが両々相まって、日本としては、米軍の抑止力というものを維持してということに関して、前提に言われましたけれども、米軍の抑止力というものの向上は、いわゆる日米安全保障条約の強化というものにつながります。日米安全保障条約を深化、強化していくということは、少なくとも、世界のため、アジアのため、いろいろな意味で安定につながると我々は確信いたしておりますので、そういったことが両々相まって、今回の米軍再編ということによって、アジア全体に対してもより大きな安定をもたらし得る可能性を秘めておる、私自身はそう思っております。加えて、いわゆる軽減負担ということになるんだと思っております。

長島(昭)委員 おととしの十月のロードマップ、この前文というか、一番最初の概観というところに目的がきちっと書かれております。今外務大臣もおっしゃっていた、アジア太平洋地域の平和と安定を日米両国で確保していかなきゃいけない、環境の変化に応じて同盟の協力関係というものを適応させていかなきゃいけない、そのために、共通の戦略目標というのを〇五年二月に日米間で初めて合意してと。

 そして、皆様のお手元に配らせていただいている五ページ目ですけれども、この「日米協議の全体像」というところに、兵力態勢の再編と同時に、日米の役割、任務、能力の改編といいますか、こういうところも日米間で役割分担を見直していきながら、新たな国際環境の変化に適応できる日米同盟関係、成熟した、より深化した日米同盟関係を築いていこう、こういう大きな目標があるんだろう。そのために、負担の軽減というよりか、場合によっては負担をしていただかなきゃならない自治体も日本の中には出てくるんだ、こういう説明をぜひ政府の皆さんには求めていきたいと私は思っておりましたし、今後もぜひそういう観点で説明をしていただきたい、こう思います。

 それが一番典型的にあらわれていると思うのは、海兵隊のグアム移転だと思うんです。この海兵隊のグアム移転についても、もうこの委員会で何度も何度も今まで議論させていただきましたが、三つの観点があると思っております。

 一つは、これはもう今までさんざん言われていた、負担の軽減の観点です。負担の軽減という意味では、これはもう防衛大臣がいつも強調されていますけれども、八千人の海兵隊員が家族と一緒にグアムに行くんだから、これはある意味で、この合意というものを履行することによって沖縄の基地の負担というのが激減していく、こういうことなんだろうというふうに思いますね。これはここではあえて議論しません。

 もう一つ重要なのは、抑止力の維持という観点から見たグアム移転の意味があるんだろうというふうに私は思うんです。これは実はネガティブな意味でなんです。

 私は、ちょっとここで防衛大臣に伺いたいと思っているんですが、本当に、負担の軽減でのグアム移転というのは非常にすっきり耳に入りやすいんですけれども、この司令部要員を含めて八千人の米海兵隊が今まで沖縄にいることが地域の抑止力を構成してきたんだという説明を受けてきたんですね、我々も、地域の他の周辺国も含めて。

 しかし、今回、かなり思い切った削減策によって、これが移動するということになりました。海兵隊というのは、これはアメリカの海兵隊員から直接私は伺ったことがありますが、年間で百回ぐらい、地域のいろいろな国と、出動していって、共同訓練とか演習とかを繰り返していて、ある時期は兵力の半分以上が表へ出ていってしまって、がらがらになっていることがある。特に、イラク戦争の一番激しい時期は、31MEUという二千人ぐらいの特殊部隊も含めた、そういう部隊がごっそり出ていった。それから、海兵遠征軍の方から三千五百人ぐらいばっと出ていった。少なくとも実戦部隊が五千人以上、今定員ベースで一万六千人と言われている海兵隊の中から五千人以上が沖縄から出払っていた時期が半年以上もあったということなんですね。

 そのとき、私は、抑止力は大丈夫か、今まで必要だ必要だと言ってきて、こんなに長期間いないのに大丈夫なのかと聞いたら、いやいや、司令部要員も含めてまだ一万人ぐらい残っているから大丈夫だ、こういう説明だったんです。つまり、実戦部隊はどんどこ出ていく、半分以上出ているときもある、しかし、一万人ぐらいの司令部要員と、それからそれをサポートするエレメントが残っているから、全体として抑止力は下がっていないんだ、こういう説明なんです。

 しかし、今度は、その常駐していた司令部要員がごそっと八千人グアムに行くんですよ。そうすると、実戦部隊が出ていった後を守る部隊がほとんどいなくなるという瞬間が来るのじゃないかな、もぬけの殻になりはしないかというのが私は心配なんです。

 これは、沖縄出身の先生方から批判されるかもしれませんが、むしろ抑止力の維持という観点から、本当に今回のグアム移転というのは正しい処方せんだったんでしょうか。この質問にぜひお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

久間国務大臣 米軍も、やはり自分たちのオペレーションを考えながら、最低限これだけおれば可能だというようなことで決断をしたわけでありますから、私は、十分機能できるというふうに思っておるわけであります。私みたいな日本側の素人が判断するんじゃなくて、向こうの軍人その他も交えた上でこれは決断しております。

 それで、私が前の防衛庁長官をやっているときも、今先生がおっしゃったように、やはり絶えず訓練で、そのときは戦争はなかったんですけれども、オーストラリアに行ったりフィリピンに行ったりしてやるから、やはり一万人は置いておかないと、一万人を切ると、五千人単位で訓練もやるので、それがやはり大事なんだというようなことの説明を受けたこともございます。それはその後、五千人なのか三千人なのか、つまびらかではございませんが、いずれにせよ、米軍のオペレーションも考えた上で、米軍は、これで抑止力は維持できる、そう決断したから移ることになったんだと思っております。

長島(昭)委員 日本の防衛大臣という、安全保障をつかさどる大臣の御答弁として、失礼ながら、私は今のは不十分だと言わざるを得ません。

 つまり、アメリカが大丈夫だと言うから大丈夫なんだ、突き詰めて言えばそういう御答弁だったように伺ったんですが、日本の安全保障を担当する大臣として、かくかくしかじかの理由で、例えば、その軍は日本の自衛隊がきちんと穴埋めする、こういうような御答弁でもない限りは、アメリカの軍人も入ってやったから、彼らが大丈夫だと言うことを日本の安全保障担当大臣がうのみにされる、そういう説明だけで国民は納得しないと思いますし、そのことについて、我々は相当程度税金を負担させられるわけですから、これはぜひきちんとお答えいただきたいと思います。

久間国務大臣 先般も、審議官級の会談、その他、事務的にやっておりますけれども、その中には、日米の役割、任務、機能、分担、それらについてやはり結構詰めているわけでありますから、米軍がこれで大丈夫と言うときに、それを全然、ああそうですかというふうなことじゃなくて、やはり自衛隊としても、これは自衛隊の陸海空それぞれがいろいろな判断を加えながらやっておるわけでございますので、まあ、その辺は私は信頼しているところであります。

長島(昭)委員 まあと言われても、にわかには納得できません。

 いや、私は別に、今質問で、そういうところが不安だという言い方をしました。突き詰めて、ではおまえはどうなんだと聞かれれば、私は大丈夫だと思っていますよ。思っていますが、やはりそういう疑問というのは出てきておかしくないと思うんですよ。

 グアムに引いたからといって、引いたというふうに表現はしますが、地図を見ていただければわかるように、不安定の弧と言われているようなところに対してはほぼ平行移動しているだけですから。しかも、東南アジアについてはもっともっとグアムの方が沖縄よりも出動しやすいような、そういう地理的な環境でもありますし、トータルで考えればそれは大丈夫なんでしょう。しかし、もう少しぜひ御答弁を工夫していただかないと、もう少し意地悪な質疑者は時計をとめたりすることになりはしないかと心配します。

 もう一つの観点は、アメリカ戦略全体から見たグアム移転というのがあるんですね。これは、当然のことながら、負担の軽減と抑止力の維持というのをまさにコンバインしたような、そういう考え方になると思いますが、どうも、この間ずっとこの委員会でも質疑を続けてきましたけれども、沖縄の負担を軽減するために日本側から頼んで海兵隊に出ていってもらうからかくかくしかじかの税金の負担は必要なんだ、こういう議論なんですけれども、当然、アメリカの戦略全体にのっとって彼らは動いていますよ。

 ですから、きょう、今までの時系列で、六ページ目のものを見ていただきたいんですが、テロ以降のアメリカの再編についてのいろいろなアナウンスメントが出ていますけれども、これより前、九七年のQDR、前の四年ごとの見直しのときから、米軍のトランスフォーメーションという議論は御案内のとおり出てきました。そして、二〇〇一年にランド研究所というのが報告書を出しました。このランド研究所の報告書の主筆を務めていたカリルザドというのは、今米政権に入っています。ですから、単なる民間のシンクタンクの提言書というものではなくて、これはアメリカ軍の委託を受けた研究でありまして、その成果がランド報告書の形で出た。

 そのときに初めて、沖縄の海兵隊のグアム移駐ということが議論されているんですね。この移駐があっても、アジアの軍事危機に対し即応能力を損ねることはないんだという記述がありました。そして、二〇〇二年十二月に、ここにも書いてあるように2プラス2で初めて米軍再編について日米間で話があった。そしてその後、二〇〇四年八月に、ブッシュ大統領がいわゆるグローバル・ポスチャー・レビューというのを発表するわけです。

 その前に、二〇〇三年十一月に、トランスフォーメーションを世界的にやるという演説をブッシュ大統領はされて、そして二〇〇四年八月に、グローバル・ポスチャー・レビューを発表して、そしてそのときに、同時に、議会が、米政府がやるグローバル・ポスチャー・レビューを議会の諮問機関できちんと監督しなさい、政府がやることについてレビューをしなさい、こういう委員会を立ち上げるんです。通称、海外基地見直し委員会というのが二〇〇四年八月に立ち上がって、翌年の五月に中間報告を発表するんです。

 この中間報告に国防総省から提供された非公開文書というのが添付されて、そして誤ってホームページにアップされちゃうんですけれども、その後、国防長官から文句が入ってすぐそれをカットしたんですが、私は、そのカットする前にインターセプトいたしまして、手元に持っております。

 ここに何て書いてあるかというと、沖縄から第三海兵遠征軍の司令部を移転する、そういう可能性があるんだということがはっきり書かれていて、しかもそれが漠然とした可能性ではなくて、新しい施設を建設するために二十九億ドルかかる、三十億ドルとかいうもさっとした数字じゃないですよ、二十九億ドルというかなり詳細な数字が書かれていて、それと同時に、海空軍の基地もグアム全体を再編するんだということが書いてあるんですね。

 ですから、日本側からお願いして出ていただくとかなんとか、そういう話じゃなくて、もうアメリカは、九七年から準備をし、二〇〇一年でシンクタンクからの提言を受け、そして国防総省で議論をし、かなりまとまった段階で米議会に対してそういう情報提供をしてやってきているんですね。そして、二〇〇五年十月にロードマップが合意され、そして翌年五月に日米の最終合意がなされて、七月ですよ、二カ月後にはアメリカの太平洋軍がグアム再編計画というのを承認しているんです。

 そのグアム再編計画には、3MEF、第三海兵遠征軍の本拠をグアムに移して、沖縄や岩国やハワイにいる部隊をその隷下におさめて、まさにコンバットエレメントも含めて、つまり実戦部隊も含めた形でグアムを海兵隊の拠点にしようという、手回しのいいことに、二カ月後にはぱっとやって、承認をしているんですね。

 ですから、何が言いたいかというと、私は、金輪際政府の皆さんからこういう説明をしてほしくないのは、もちろん、沖縄の基地負担を軽減するというのは一つあると思いますけれども、しかし、日本側から頼んで出ていっていただいているので、日本の皆さんにも税金を負担していただかなければならないんだ、そういう議論は、私は、事実に反する、反するとは言い過ぎかもしれません、事実と少し違った言い方だと思いますので、これは、ぜひこういう説明を慎んでいただきたいということをお願いしたいんですが、防衛大臣、いかがでしょうか。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

久間国務大臣 経費の面も含めて日米が合意をして、これでいきましょうというのを決めるというのは、双方にとってそれでいいという判断をするからでありますから、私たちはまた、私はよく千載一遇のチャンスだと言ってきましたけれども、やはり海兵隊が八千人移動していくというのは、沖縄の問題を抱える我々としては大変ありがたいことだ、それはいまだに思っておりますし、また、それだけ減るということは、長期的には経費的な面で負担も減っていくわけでありますから、だから、日本としても、やはりそれは、負担するところは負担して、ただ、双方がどれぐらい実質面で、真水の面でどれだけ、どういうふうに負担するのか、それもいろいろ、ぎりぎりの交渉をやった結果ああいうふうに決まったというふうに聞いておりますので、私は、それなりに双方が努力したんだなと思っております。

長島(昭)委員 もちろん、双方の事務方が一生懸命努力されたというのはよくわかるんですが、やはり大臣は政治家ですから、それを主導していかなきゃいけないお立場だと思いますし、最初の私の問題意識に戻りたいと思うんですが、できるだけ対等で成熟した日米同盟関係というのをどうやってつくっていこうか、そういう問題意識からすると、やはり我が国の主体性、我が国はどうしたいんだ、我が国はアジア太平洋地域の安全保障についてどう責任をとるんだ、そういう部分の御説明をきちっとしていただきたいのが一点。

 それから、さっきの任務、役割、能力の分担ということからすれば、本来、在日米軍が削減をされていくという文脈は、完全に平和が訪れちゃって前方展開の必要がなくなったという場合を除いては、相互に役割分担、任務分担、能力分担を見直す中で、この部分については日本ができる。例えば、大綱でもはっきり言っているように、離島侵攻があった場合の対処能力というのを日本も着実にこれから五年、十年かけてつくっていく。そういう中で、海兵隊にその部分を担ってもらっている状況が変わっていく。だから、そのリダンダント、重複の部分についてはいなくなっていただいても結構ですよ、そんなに大変苦労しながら前方展開しないで、家族と一緒に米本土で生活してください、こう言っていくのが、私は、同盟国としての一つのあり方だ、そういう日本の主体性というものを中心に、ぜひこれから同盟のマネジメントをやっていただきたいというふうに思っています。

 もう時間がなくなってきたんですけれども、米軍再編の、沖縄の問題が一つと、時間がないので沖縄の問題は飛ばします、後で赤嶺先生もお出になると思いますので。

 再編経費と防衛費の関係、これは、私は実は以前、額賀防衛庁長官当時にお願いをしておいたことがありまして、それはどういうことかというと、米軍再編、ただでさえMD、ミサイルディフェンスの膨大な予算がこれからかかってくる、そういう中で、これからまた米軍再編の予算も防衛費で吸収するようなことになると、中期防で定めた目標を達成できないような、そんな状況になってしまうんじゃないかということが心配だったので、別枠でやってくれということについてお願いをしたんです。

 そうしたら、多少リップサービスで、長島さんと手を組んでしっかり話ができるんじゃないかとかおっしゃっておりましたが、最後にきちんとおっしゃったのは、防衛予算とは別に、新SACO方式で考えるのが適当であるというふうに思っています。新SACO方式というのは、SACOというのは沖縄の基地の再編について、かぎ括弧つきですけれども、防衛予算とは別枠でやってきた。それと同じ、今度はネーションワイドでやるんだから、日本全体の再編については、それもやはり別枠でやるということを前防衛庁長官がこの委員会できちんとお約束されたんです。

 そのようになっているのかどうか、防衛大臣からお聞きしたいと思います。

久間国務大臣 昨年の概算要求時点のとき、私は党の役員をしておりましたので、その立場で、SACOのときもそうだったんだから、今言われるように、ミサイル防衛とかいろいろな点で防衛関係費も非常に窮屈になってきているんだから、これはやはり別にしないとうまくいかないんじゃないかというようなことで、応援をした経緯がございます。

 そういう意味で、今度の予算編成のときもそういうような配慮はできるだけしたわけでございますけれども、では完全に別枠になってしまったかと言い切るほどにはなっていない点もあろうかと思いますが、やはり気持ちとしては、今先生がおっしゃったように、この米軍再編の問題に絡めて、ほかの経費が削られてそっちに回さざるを得ないような状況になると、やはり現在の防衛大綱並びに中期防が達成できないという点もございます。

 これはこれから先、大綱は五年に一回、また中期防は三年に一回見直す時期がございますから、そのときにきちっと詰めたいと思いますけれども、考え方としては、昨年の額賀長官と同じような気持ちで取り組んできたつもりでございますし、そういうようなことは反映されておると思っております。

長島(昭)委員 いや、それが余り反映されていないんですよ、大臣。それは、防衛省に昇格をしたわけですから、額賀長官のときよりもさらに前進していかなきゃいけないんですが、どうも私、これは意地悪な見方かもしれませんが、何となく後退している雰囲気があるんです。というのは、二つ、関連の閣議決定をやっていますね。

 まず、SACOの閣議決定についての、その経費負担の部分だけ申し上げますと、特別行動委員会、これはSACOのことですね、SACOで取りまとめられる具体的措置の的確かつ迅速な実施を確保するための方策について、法制面及び経費面を含め総合的な観点から早急に検討を行い、十分かつ適切な措置を講ずることにする。これがSACOのときの閣議決定です。

 それから、今回の、例の骨太の改革、方針二〇〇六で出てきた、これも閣議決定した、これの防衛庁部分を読むと、「米軍再編に要する経費については、既存予算の更に思い切った合理化・効率化を行ってもなお、上記削減目標の中では、米軍再編に関する地元の負担軽減に資する措置の的確かつ迅速な実施に支障が生じると見込まれる場合は、各年度の予算編成過程において検討し、必要な措置を講ずるものとする。」

 何か弱い表現になっていませんか。しかも、合理化、効率化を徹底的に行うなんということは、これは言わずもがなですよ。そんな骨太の方針があろうがなかろうが、これは防衛省の皆さんに伺えば、本当に切り詰めてやっていると。切り詰めて切り詰めて切り詰めてやってきて、そのあげくにこんなことをわざわざ言われて、それでも足りない部分があったら何とかしましょうみたいな話だと、私はSACOの別枠方式よりもさらに後退している印象を持つんですけれども、いかがでしょうか。

 ずばり伺いますけれども、こういう予算編成のやり方によって、米軍再編経費がかさんで中期防の見直しなんということにはならないのかどうか、これをきちっとお答えいただきたいのと、これで中期防の見直しをやって、そしてまた大綱の見直しをその中期防の見直しに合わせてするようなことになると、完全に本末転倒ですよね。大綱で全体を決めて、そのための装備品などの購入を決めて、人員の規模を決めて、それで予算をとっていくわけなのに、予算が切り詰められちゃった、では中期防も変える、では大綱も変えましょうか。これは全く転倒した議論だと思いますので、その点、はっきりお答えください。

久間国務大臣 やはり大綱を決めて、あるいは大綱の見直しを行って、そしてまた中期防の見直しを行って、その後に予算をどう各年度につけていくかということになるわけでありますから、それは、そういうようなつもりでこれから先も取り組んでいきますので、心配はないと私は思っておりますし、心配ないようにしなきゃいけないと思っております。

長島(昭)委員 いや、ちょっと頼りないですね、心配ないようにしたいと思っておりましてと。きちっと答えてください、そういうことはないと。

久間国務大臣 心配のないようにいたします。

長島(昭)委員 これはきちっとやっていただきたい。

 なぜかというと、平和ならいいですよ、周りが。別にそんなにかりかりしなくても、防衛予算は一%枠の中でちょろちょろやっていればいいよみたいな、冷戦が終わった直後みたいな状況ならばいいですけれども、きょう皆さんにもお配りをさせていただきました、まず二ページ目をごらんいただけば、防衛費はだんだん下がっている。明らかにこれは下がってきている。この下がったところに今度は再編の経費が乗ってくるわけですから、これが一体どういうふうに吸収できるのかというのはすごく心配。

 それと同時に、では中国はどうかというと、これは軍事力のベースで、こんなものはグラフを見るまでもなく、十八年連続で二けた以上の伸び率を示しているわけです、国防費が。ついでに、北東アジア、東南アジア諸国の国防予算の推移を持ってきましたよ。韓国だって、このところ、一二%、二七%、一四%と大きく伸ばしてきている。東南アジアの方の国々は財政規律がどうなっているかよくわかりませんので、フィリピンなんかは二〇%伸ばした次の年に二九%も下がっている。こういうこともありますので、一概に比較はできませんけれども、こういう不穏な状況の中にあるんだと。

 例えば、最近ではロシアが、これは今月九日の読売新聞の一面ですけれども、大軍備増強計画を発表して、二〇一五年までに総額約五兆ルーブル、日本円にして二十三兆円の予算を軍事費に割いて、装備の四五%を更新していこう。こういう御時世ですから、きちんとここはやっていただかなければならない。

 再編のための経費についても、先ほど防衛大臣は、心配要らないという御答弁をいただいたんですけれども、これは皆さんにお配りをした一番最初のページを見ていただきたいんですけれども、この再編だって、例えば普天間から、これは左上の沖縄を見ても、シュワブの建設費、これはどのくらいかかるかわからない。一兆円と言う人もいるぐらいかかる。それから、グアムへ八千人が移転するんですけれども、移転先のことについては議論していますよ。しかし、では移転経費、米軍が移動していくときの経費は一体どっちが持つのかとか、あるいは、嘉手納の訓練を千歳、三沢、百里、小松、築城、新田原、こういう飛行場に分散するんですけれども、では分散先の新たな施設が必要になってくるんじゃないだろうか、あるいは、そこにまた交付金が必要になってくるんじゃないだろうか。

 こういうことで、横田周辺でも、府中から横田に行く。聞くところによると、最大で二千人ぐらいの航空自衛隊員が動くということになりますから、これは二十二年度までに完成させるということですよね。ここでもまた隊舎をつくっていかなきゃいけない。日本の隊舎というのは、アメリカの兵舎と比べて随分見劣りするらしいんですね。だけれども、横田に、同じ敷地につくるんですから、余り見劣りするのも変だということで張り合ってつくるとまたお金がかかるかもしれない。

 こういうことで、ずばり伺います。大体、これは二兆円とか三兆円とか一兆円とか言われておりますけれども、再編のための経費、今後どのくらいかかるというふうに防衛大臣として見積もられておるんでしょうか。

久間国務大臣 これは、これから先具体的なそういうような積み上げをやっていかなきゃなりませんから、今ここでつまびらかに、どれだけかかる、そして、それを全部別枠でとれるかどうかという話になりますと、そこはちょっとお答えいたしかねるんじゃないかなと思っております。

長島(昭)委員 いやいや、では、施設庁長官でも結構ですよ。大体どのくらいかかりそうなのか。

 それは、今までのSACOの関連経費がありますね。大体、年間で百億とか、多いときで二百六十億とか、こういうものから推測するとか。あるいは、もう一つは、さっき少し防衛大臣がおっしゃいましたけれども、米軍が出ていくことによって、ホスト・ネーション・サポートが少し削れるところも当然出てきますよ。そういうところを勘案して、どんな見通しを持っておられるのか。

 全く見通しを持たないで、ことしは五十一億円、最初の年は五十一億円でいいですから勘弁してくださいみたいな話では、これは予算委員会だって通らないし、我が委員会だって通りませんよ。もう少し詳しくお話しください。

北原政府参考人 長島先生の御質問の点でございますが、今大臣からも御答弁させていただきましたけれども、今回の在日米軍再編に伴う経費につきましては、現在、再編案の詳細な計画などにつきまして日米間で検討をしているところでございまして、現時点で具体的に申し上げることはできないわけでございます。

 今後、いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、大変厳しい財政事情もあるわけでございますが、所要の経費をしっかりと精査いたしまして、できるだけ早期に、国会を初め国民の皆様に対して明らかにしてまいりたい、そのように考えているところであります。

長島(昭)委員 二年前のロードマップではっきりどこが動くということがわかっている。そして、日米合意を去年の五月にやっている。どこがどう動いていくかというのは、見通しは当然あるはずなんですね。それでも、相変わらず今のようなお答えを、去年からずっとそういうお答えで、グアムの経費だって、最終的に出てくるまではわかりません、わかりませんと言って、出てきたときにはもう決まっていますから、これで頼みます、こう言われておしまい。

 私は、そういうのでは国会の審議の意味が全くない、こういうふうに思いますので、きょうは時間があれですから、次の最後の質問に移りますけれども、これは安全保障委員会でこれから何度も何度もやっていくわけですから、今みたいな御答弁では恐らく別の質疑者ではもたないと思いますので、きちんと出していただきたいと思います。

 最後に、防衛大臣に少し整理をしていただきたいのは、例の普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会、いわゆる協議会。この協議会で、過去三回ありました。知事がかわられてから二回やっているんですかね、三回目が初めてでしょうかね。

 それで、今、ちょっと議論になっているのは、政府の中でも意見が分かれるんですが、名護市から修正案が出ていますね。

 さっきの大臣の御発言、大臣の御発言集を持ってきたんですけれども、その中でも、大臣は、変更する、修正する可能性があるんだ。まとまりそうな、つまり三者、日本政府、沖縄、米国、この三者が合意するんだったら、それは一ミリも動かさないなんという、そんな硬直した話じゃないんだ、修正の余地はあるんだと。もっとおっしゃっているのは、一月三日には、滑走路は一本でもいいと。これぐらいまで大臣はおっしゃっておられる。大臣は修正もあり得るというお立場。それから、高市担当大臣も修正があるというお立場。しかし、塩崎長官は、名護市修正案は協議会の議題になじまないから出してくるなと。それでも名護市長さんが頑張って、何とか議題にしてくれと言ったら、では、それは非公式の議事録の残らない懇談会でやってくれというような、こんな話なんですけれども、どうなんですか。

 これは、三者が、もちろん日米合意というのは重いと思いますよ。しかし、これを基本にとしか書いてないんですから、これまでの文書を全部読みましたけれども。この合意を基本にしてと書いてあるんですから、そこからびた一文動かさないとは書いてないんですね。ですから、名護市からいい、リーズナブルな修正案が出てきたら、これを受けて修正する余地があるのかないのか、はっきり整理していただきたいと思います。

久間国務大臣 ロードマップを決めますときにも閣議決定しているわけですから、現在の我々政府の立場として、政府の発言として言わせてもらうならば、政府が閣議決定する基本案を、これを実行する、そういう立場にあるわけですね。ただ、さはさりながら、沖縄県あるいは名護市等の意見にもやはり耳を傾けていきますよということもその中にも書いてあるわけでございますから、そういう意味で今調整をやっているわけです。

 ただ、その後に、私自身も額賀さんのときにまとめられたV字案を中心にずっと検討してみまして、やはり今V字案が一番いいのじゃないかということについては、ほぼ意見がだんだん集約されつつあるというような、そういう感じを受けております。しかしながら、まだ、名護市の御意見等もございますので、そういうのにも真摯に耳を傾けながら調整を図っていきたいと思っております。

長島(昭)委員 さすがにはっきり修正もあり得るというふうにはおっしゃらないんですね。ただ、やはり、ここは大臣御自身がおっしゃっているように、沖縄県の知事の意見を聞き入れながらやっていかなければならないのに、米国はわかっていない、こういうふうにおっしゃいました。これは一月二十七日の日に。余り偉そうなことを言ってくれるな、それが続くんですけれども、それはよしとして。

 私は、大臣のお立場として、米国と沖縄との板挟みになっておられるお立場として、こういう発言はあり得ると思っているんです。ですから、やはり大臣として、沖縄県が、みんなが喜んで、もろ手を挙げて賛成していただけるなんてことはあり得ないんですけれども、しかし、そこそこ、これなら仕方がないだろうと思われるようなところで、修正が可能なような、そういうリーダーシップをぜひ発揮していただきたいということを申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 私は、先ほどの長島先生とは日米同盟に対する考え方は違いますけれども、その違う立場に立ってもなお、長島先生が取り上げたかった沖縄の問題というのが嘉手納飛行場でのパラシュート降下訓練だろう、このように話し合っておりましたが、その問題について伺っていきます。

 在沖米軍は、一月二十六日に、九九年四月以来行われていなかった嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を強行いたしました。パラシュート降下訓練は、津堅島でも、そして辺野古のキャンプ・シュワブでも立て続けに行われております。私たちは、パラシュート降下訓練は、その訓練を行う場所がどこであれ反対であります。ところが、パラシュート訓練は、一九九六年のSACO合意で、伊江島補助飛行場に移転することになっておりました。

 まず、防衛大臣に伺いますが、パラシュート降下訓練を伊江島補助飛行場に移転する、このようにした理由は何ですか。

久間国務大臣 それは、読谷から伊江島に移したわけで、読谷飛行場でパラシュート降下訓練をしますと、あそこの関係で、らち外に、訓練場外に落ちたというようなこともあって、そしてこれはやはり伊江島に移そうということで伊江島になったんだ、そういうふうに理解しています。

赤嶺委員 読谷補助飛行場でやっていた降下訓練が、区域外に落下するような事件がたびたび起きた、だから伊江島に移したということでありましたが、今の御説明にもあるように、大変危険な訓練であります。

 私たちがパラシュート降下訓練ですぐ思い出すのが、一九六五年の棚原隆子ちゃん事件というものなんです。小学校五年生の女の子が、当時、読谷村ではパラシュート物資投下訓練、あるいはつり下げ訓練もやっておりました。つり下げていたトレーラーがヘリから落下してきた。棚原隆子ちゃんは、それを避けるために逃げ出したんですが、逃げ出した方向がトレーラーが落下してくる方向で、押しつぶされて命を失った。

 その降下訓練が嘉手納飛行場で行われるということは、付近の住民から見れば、そういう危険な訓練がまた戻ってきたという住民の認識なんです。あの当時の事件を思い起こさせるんです。私だってそうであります。

 なぜ今回、そういう危険な訓練、嘉手納での訓練というのを政府は認めたんですか。

久間国務大臣 認めたというよりも、伊江島での訓練が、風向きあるいは風力、そういったことから、どうしてもできない、しかし訓練はしなければならないということで、例外的に嘉手納でやるということで米軍が行ったというふうに聞いております。

赤嶺委員 久間大臣、SACO合意のときの当事者、大臣は、久間大臣ですよね。そのときに伊江島の天候についても織り込み済みだったんじゃないんですか。移転してみて初めて伊江島の天候というのがわかったんですか。伊江島の気候条件というのは既に織り込み済みで、承知済みで、SACO合意で伊江島に移転するということを確認したのと違いますか。

久間国務大臣 読谷から伊江島に行ったわけで、今度のものは、伊江島で風が強いからといって読谷に返ってきたわけじゃないので、嘉手納におりたわけですね。そこを、同じようなことで、もとのところに返ってきたかのような、そういうことをおっしゃられるのはどうかと思いますけれども。

赤嶺委員 私の質問に答えてください。読谷の補助飛行場と嘉手納飛行場というのは直近なんですよ。読谷補助飛行場は返還ということになっておりますが、直近ですよ。伊江島に移すと言ったわけですから、ところが、移したら気候条件が悪くて米軍の訓練が思うようにいかないから、今度はまた嘉手納でやらせてくださいという、そんな話はないだろうということですよ。

 つまり、SACO合意のときに、伊江島の気候条件を知らずに伊江島に移転するということを約束したんですか。

久間国務大臣 伊江島の条件が悪いから、これから先ずっと、戻ってきて嘉手納でいつもやるというんじゃなくて、例外的に今度の降下訓練を行った、そういうふうに我々は聞いておりますから、例外的な訓練であった、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 伊江島の訓練を気候が悪いから例外的に嘉手納に持ってきて、嘉手納で訓練なさいましたよね。そのときの、その日の伊江島の気候条件、御存じですか。

北原政府参考人 今回の嘉手納基地での例外的なパラシュート降下、これにつきましては、人命救助のための体制維持のため緊急を要する六名の救難隊隊員により、その資格等を保持するために、緊急やむを得ざる措置として例外的に認めたものでございます。

 パラシュート降下を実施したいという通告がありましたのが、たしか一週間ほど前だったと思います。ちょっと今は済みません。

 いずれにいたしましても、そういった、その時点で、政府といたしましては、例外的な措置としてこれをやむを得ないと認めた次第でありました。しかし同時に、あくまでも、先生御指摘のように、陸上のパラシュート降下訓練については、SACOに基づいて伊江島で行うんだ、それを基本とするんだということは引き続き求めていくということもあわせ決めたわけでございまして、我々といたしましては、二十六日の、その当日、天気がどうであった、こうだということもさることながら、その以前に意思決定をしているところでございます。

 それから、天候が云々ということでございますが、当然のことながら、伊江島につきましては、SACOで読谷のパラシュートが移転する以前から伊江島については行われているわけでございます。気候の状況その他を十分我々としては把握しております。そして、現実の問題として、例えばでございますが、十七年度の実績を申し上げますと、百十一日行っているわけです。あるいは十六年度は百一日とやっておるわけです。

 だから、政府といたしまして、またアメリカといたしましても、SACO合意に基づいて、基本はあくまでも伊江島でやるということでやっている。ただ、そうした中で、どうしてもやむを得ない今回の六人について嘉手納でやった、そういうことをぜひ御理解賜りたい、そのように考えております。

赤嶺委員 伊江島でも十分訓練はやっているのに、それでも嘉手納でやらせてくれと。これはだれが聞いても、伊江島で訓練をやったけれども、なおもっと大規模な訓練にしたいという米側の結局要求ではないですか。

 ちなみに、嘉手納でパラシュート降下訓練した日の伊江島の天気というのは、晴れですよ。伊江港で観測された降下訓練と同じ時刻の風は、南東向き、風速一・五メートルですよ。海もなぎ状態。あれこれあれこれ言ってきて、そして日本政府が例外的ですよと言って、例外的にしてくださいよと言って、嘉手納で訓練するのを認めたわけですね。

 この例外的ということについて伺いたいんですが、例外的というのは、今回が例外だよという意味なのか、あるいは、例外的に今後も実施するということなんですか。

久間国務大臣 ないことはないということでしょう。例外というのは、ふだんはやらないけれども、何かの事情、例えばさっき言った、風がどうだとか、天気がどうだとか、いろいろな事情で向こうではやれないのでこっちでやらざるを得ないというような場合がある。しかし、それはあくまで例外としてやるということですから。

赤嶺委員 つまり、あそこでできない場合は嘉手納でやるということですよね。

 では、その例外というのは、どんな場合に限られるんですか。きちんと言ってくださいよ。だって、これは例外ですよと言えばできるわけですから。さっぱり意味がわかりませんよ。

西宮政府参考人 いかなる場合が例外的に当たるかにつきましては、個別の事例ごとに、その具体的事情に即して判断する必要があると考えておりまして、あらかじめ一概に述べることは困難であると思います。

赤嶺委員 つまり、例外というのは言葉だけであって、一概に述べるわけにはいかないとなれば、いつでもできるということじゃないですか。これが例外だとアメリカが言ったら、伊江島が晴れていても嘉手納でやった、そういうことの繰り返しになるということなんですよ。

 ところで、私がもう一つ伺いたいのは、五・一五メモというのがありますよね。いわば沖縄の提供されている施設について、施設・区域の提供に関する合意であるわけですが、施設の番号だとか、施設名だとか、所在地だとか、使用主目的、区域の範囲、これを、米軍直接統治下で米軍が自由使用していた沖縄の米軍基地について、復帰したら日米地位協定に基づいてどんな使い方をされるかという、一九七二年五月十五日につくられたメモで、我々はその公表を求めてきたわけですが、長いことかかって、公表されなかった。

 少女暴行事件なんかも起きて、県民の怒りの中で公表されたこの五・一五メモというのがありますけれども、五・一五メモの中で、パラシュート降下訓練ができる施設、このように明記している、あるいは言及している、そういう米軍基地はどこですか。そして、どんな使用条件が定められているんですか。

北原政府参考人 五・一五メモで、今先生御指摘のパラシュートの降下訓練について具体的に明記されている場所と施設というのは、伊江島の補助飛行場でございます。

赤嶺委員 五・一五メモは、沖縄の米軍基地、施設のすべてについて使用条件を定めているわけですけれども、その中でも、パラシュート降下訓練が触れられているのは、伊江島の補助飛行場だけと。なのに、何で嘉手納飛行場でできるんですか、大臣。

北原政府参考人 パラシュート降下訓練について明記しているのは、今申し上げました伊江島補助飛行場でございます。

 他方、今先生御指摘の嘉手納飛行場でございますが、嘉手納については、五・一五メモでは、使用主目的が飛行場と記載をされているところでございます。まさにこの嘉手納飛行場の使用の主たる目的を定めたものでございますが、米軍の活動が、この使用主目的、すなわち嘉手納については飛行場でございますが、飛行場としての形態に反しない限り、今問題となっておりますが、御指摘されておりますパラシュート降下訓練のような訓練の実施を排除しているとは考えていない、こうした訓練が行われることについて、我々として、政府として、問題はない、そのように理解をしているところでございます。

 ただ、パラシュート降下訓練、先ほど先生も御指摘になりました。過去、昭和四十年の痛ましい事故の話も今ございました。したがいまして、そういった訓練を行うときには、くれぐれも安全、また周囲の住民の皆さん等々の安全には気をつけていただきたいということを強く申し述べていることは当然のことであります。

赤嶺委員 五・一五メモでパラシュート降下訓練が言及されているのは、伊江島の補助飛行場だけ、それ以外の基地施設は全く言及されておりません。私も全部確認してまいりました。言及されていないということは、そういう訓練が行われることが想定されていないということでしょう。言及されている伊江島では、パラシュート降下訓練に加えて、例えば、先ほど仲村先生が憂えておられましたが、物資投下訓練もできますということをちゃんと、パラシュート降下訓練で並んでやっているわけですよ。

 つまり、非常に限定されてこの目的が書かれている、その五・一五メモで書かれていないところでもやれる、これはどんなふうに説明するんですか。

北原政府参考人 私が先ほど御答弁申し上げました、要するに、米軍の活動が、五・一五メモで使用主目的というものが明記されているわけでございます。それは、これまでの、復帰までのその使用実態、用途などに即しまして、個々の施設・区域ごとに使用の主たる目的を明記しているものでございまして、繰り返しになりますけれども、その使用主目的としての形態に反しない限りは、訓練の実施を排除しているとは考えておりません。

 当然のことながら、逆の言い方をすれば、その使用主目的、飛行場なら飛行場でございますけれども、その形態に反するようなことについてはこれは認められない、言うまでもないことであります。

赤嶺委員 五・一五メモの主たる目的に反する反しないということになれば、嘉手納飛行場以外でも、パラシュート降下訓練は陸地において五・一五メモの考え方でできるんだ、そういうことが政府の考え方なんですね。

北原政府参考人 繰り返しになりますけれども、米軍の活動、例えば飛行場等について、五・一五メモではその使用の主たる目的が定められております。それを前提にいたしまして、その主目的の形態に反しない限りでの訓練の実施といったものについては、排除はしていない、そのように考えているところであります。

赤嶺委員 書かれていなくてもやれるということになったら、何のためのSACO合意だったんですか。私たちは伊江島でのパラシュート降下訓練の危険性も、これまで私は、安保委員会、外務委員会で何度も追及してまいりました。どこであろうと危険なんですよ。

 先ほど防衛大臣は、着水訓練は、キャンプ・シュワブでやったのは、着水訓練はそこしかできないからとおっしゃっていましたけれども、伊江島では、SACOの予算で、いわばボート代まで出してあげているわけでしょう、海に落ちたときの。伊江島のパラシュート降下訓練というのは、毎日できるんですよ、日曜日を除いて。

 あそこで、練度が足りなくなりました、では例外的に嘉手納を貸しましょう。例外という中身は何ですか、一概に説明できませんと。五・一五メモに書かれていないけれどもやるのか、書かれていなくてもやれるんですというんだったら、沖縄じゅうで、沖縄すべての基地が、米軍のやりたい放題、使いたい放題という、私が繰り返し指摘したようなことが、今度のパラシュート降下訓練でも起きているじゃないですか。本当に、米軍基地の運用に何の制限もかけられない、そういう日本政府の弱腰が、今日こういう基地の運用の仕方を生んでいると思うんです。

 私はきょう、津堅もキャンプ・シュワブについても取り上げたかったんですが、別の問題で、二月十四日の沖縄の新聞を持ってまいりました。琉球新報一面に、茂みの中に米兵が隠れて、国道に銃口を向けている写真です。これは、琉球新報と、それから沖縄タイムスも、こうやっているわけですね。国道のそばの草むらの茂みですよ。ここでです。ここは訓練区域だったんですか。ここで何でこんな銃口を国道の走っていく車に向けて訓練しているんですか。これは何ですか。

久間国務大臣 先ほど仲村委員からも御質問がございましたが、故障でとまった車から出てきた米軍の隊員が、警戒態勢をとって、銃を向けた。その中に実弾は入っていなかったけれども、住民に対して不安を与えたということで、それは、防衛施設庁の方から米軍に対しても強い申し入れをしておるわけであります。

 恐らく、ぱっと反射的にそういう態勢をとったんだろうと思います。そこが軍人としていいか悪いかは、それはまた別の判断があるかもしれないので、車からおりたときにとっさに周りを警戒するという習性を持っている人とそういうことのない人との違いですけれども。しかし、向けられた方は、大変恐怖感を覚えたんじゃないかと思って、それに対しては、そういうことのないようにということを防衛施設庁から申し入れたところでございます。

 これについては、本来、基地外でありますから、防衛省、防衛施設庁がそういう申し入れをするべきかどうか、そこも含めて、いつも先生方は防衛省にお聞きになるわけですけれども、運用の問題については、設置法上、防衛省マターでないんだというふうに私は思いますので、そこは、これから先も、よく我々も研究してみたいと思っております。

赤嶺委員 この米兵は四十人ですよ。車両は十二台ですよ。そのうち一台が故障したわけですね。とっさにと言いますけれども、距離はあるんですよ。干潟の場所と国道の茂みに隠れてやっている。それは防衛省だけに聞くなとおっしゃいましたけれども、同じような質問は外務省にもやっていますから、外務大臣、この問題をいかがお考えですか。

麻生国務大臣 二月の十三日でしたか、これは。宜野座村のところの話だというように聞いておりますが、移動中の、故障した際に、救援を待っている米兵が、水陸両用車の外に出て、民間地に向けて銃を構えている事態が発生したというように私どもの方としては伺っております。

 米軍側によりますと、今久間大臣から言われましたとおり、実弾は入っていなかったとのことですが、いずれにせよ、米兵が施設・区域外においてこのような行為を行ったということは、住民に無用な不安を与えるというものであり、遺憾だと思っております。

 したがいまして、政府としては米軍側に対して、訓練内容について住民に適当、妥当な配慮を払ったものにするように、私どもの方からも申し入れたところでもあります。

赤嶺委員 この場所は干潟が訓練水域になっているわけですね。そして、国道があって、国道のそばに民家があって、国道の向こう側はまた演習場なんですね。だから、頻繁に水陸両用車が通るところなんです。

 米軍は、故障した車両があったので警護の一環としてやったんだ、空砲、入っていなかったから安心しろということを言ったそうなんですけれども、こういうような場所で水陸両用訓練が起きたら、これはまた同じようなことが起きるんじゃないですか。このことについて一点。

 それから、この故障の原因は油漏れだったんじゃないかというようなことが星条旗新聞にも書かれておりますが、そのことについてどんなふうな認識を持っているか。この点について答えていただけますか。

木村委員長 北原防衛施設庁長官、時間になりましたので、簡潔に願います。

北原政府参考人 はい。

 今、故障の原因その他につきましては、問い合わせをしているところでございます。

 いずれにいたしましても、今回のような事案、これは政府といたしまして大変遺憾であります。これに対しまして、米側も大変遺憾であるといった回答をいただいているところでございます。

赤嶺委員 終わります。

木村委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 二月二十日に久間防衛大臣と麻生外務大臣の所信表明を伺いました。私は、特に流動化しておりますイラク、アフガニスタン、イランなどについて、どのような情勢分析や対応について述べられるのかと注目しておりました。残念ながら、この前聞いた所信表明とどこが違うのかな、同じような文言が並んでいたにすぎないという印象を持ちました。

 今、イラク情勢を含めて大きく動いております。両大臣の御発言を聞いていますと、アメリカを通してイラクを見るとか、アメリカを通してアフガニスタンを見るとかというふうに見えて、きょうは、そうではなくて、イラクやアフガニスタンの現実を真正面からじかに直視して、そこから日本のとるべき道はどうなのかということをぜひ一緒に考えていただきたいと思います。

 イラクの問題については多数取り上げられておりますので、きょうはアフガニスタン情勢について議論をしたいと思います。

 このアフガニスタン情勢も、非常に泥沼化してきたという報道があります。ある専門家の報告をちょっと紹介したいと思います。昨年です。

  二〇〇六年を振り返ると、タリバンなどの武装勢力、民間人、アフガン治安部隊・警察、多国籍軍の「国際治安支援部隊」兵士を含め一年間の死者は約四千人を数えた。辺境地域での戦闘は十分把握されていないため、辺境地域の戦闘に巻き込まれた戦死者を算入すると四千人を超えるといわれる。現在、月平均で三百人以上が命を落としており、しかも死者数は増加の一途を辿っている。

  米軍がイラク戦争で釘付けにされ、世界がイラク戦争に目を奪われている間に、アフガニスタン南部では略奪、放火、襲撃、戦闘、自爆テロが頻発するようになった。

  それはちょうど一年ほど前から、アフガニスタン南部を中心にはじまり、全国的な広がりを見せるようになった。

というようなレポートも報道されたりしております。

 さて、最初に麻生外務大臣にお伺いします。

 アフガニスタン情勢、外務省としてはどのようにとらえていらっしゃるのか。特に、タリバンの勢力の復活という点についてはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 アフガニスタンに関しましての治安状況というのは、場所によってかなり違うと私どもは認識をいたしております。

 少なくとも、カンダハル等々の南、またパキスタンとの国境沿い、パシュトゥンの多いところ、このような地域においては、いわゆる治安状況というのは極めて不安定なものになっておるというように理解をしております。

 片方、カンダハルの北の方は、いろいろな形で随分安定しているように思いますし、BBCの放送を見ましても、CNNの放送を見ておりましても、いずれもその地域において前よりよくなった等々のニュースがきのうもおとといも流れておりましたのは、もう御存じのとおりだと存じます。

 掃討作戦というのは、NATO等々がやり始めておりますのは、これも御存じのとおりでして、この中に当然米軍も入っているとは思いますが、約三万五千人の新正規軍が入ってきておりますし、いわゆる現地人の警察官というのが約六万五千人というように、いろいろな訓練等々を始めておりますので、そういった意味で、治安改善というものを努力するためには、軍よりは警察の治安強化というのが大切だというのが一点。

 もう一点は、武装解除というものが、我々、政府として主にやっておりますDIAGと称する非合法武装集団の解体というものに力を入れておりますが、こういったものも依然困難な状態ではありますけれども、いろいろな意味でこういったものが進んでおります。

 また、道路をつくっております人夫が襲われる等々の問題がありましたけれども、この問題につきましても、私どもとしては、インフラ整備ができないとこれはどうにもならぬということでもあろうと思いますので、南部の方の道路等々につきましては、引き続き私どもとしてはこれを継続してやっていこうと思っております。

辻元委員 イラクでも、地域によって治安状況や戦闘の状況が違うのは当たり前なんですけれども、全体的にアフガニスタンの状況は深刻化しているというように見た方がいいと私は思います。

 国連の事務総長も昨年の九月十一日に、アフガニスタン情勢に関する国連事務総長報告というのを緊急に出しております。これは、九月の段階で二千名以上の戦闘で死者、そのうち少なくとも三分の一以上が市民であったと。そして、これは前年の三、四倍の死傷者になっている。そして、今まで自爆テロというのは少なかったようなんですけれども、それが、二〇〇五年は十七件であったが、去年は八月の時点で既に六十五件になっているとか、それから、いろいろな案件をレポートされております。また、日本の国連大使の大島大使が、昨年緊急に安保理でお声かけをされて、訪問されまして、非常に憂慮を示しているレポートを、論文も発表されたりしているんですね。

 ですから、私は、このアフガニスタンの深刻さというのをかなり重大に受けとめた方がいいというようにまず思っております。

 さて、そこで、安倍総理が一月十二日にNATOで演説されました。きょうもNATOの問題は取り上げられておりますけれども、その中でアフガニスタン支援に触れられました。これについて引き続き伺いたいと思います。

 NATOの地方復興支援チームが、PRTと言われているあれですが、実施する人道支援との協力を強化しますと発言され、また、きのうのチェイニー副大統領との会談でも、このPRTに関して連携を今調整中だと説明されたようなんです。

 そこで、このPRTというのは、武装勢力との戦闘が続く危険地帯とか戦闘終了後の不安定地帯に、軍の防護つきで文民も一緒に派遣するというプロジェクトで、米軍が始めて、今NATOを中心とした治安部隊が引き継いでいるわけですけれども、今までの経過をちょっとおさらいしてみます。

 久間防衛庁長官にまずお伺いしたいと思いますが、二〇〇五年にもう既にこの話は出ておりまして、当時の大野防衛庁長官が、このPRTへの参加は特措法の枠組みでは困難である、そしてさらには、治安を含めた活動は武力行使あるいは武力行使と一体となるという憲法上の論議があるので慎重であらねばならない。さらには、これは政府参考人の答弁ですが、昨年ですけれども、現在の特措法上の協力支援活動には当たらないと解釈される、直接の活動に参加できない、実施できないという答弁なんですけれども、先ほど久間防衛庁長官も、自衛隊との関係で申し上げれば、アフガニスタンに今以上のことは考えていないという御答弁でしたが、今までの確認をさせていただきたいんですけれども、同じ認識でしょうか。

久間国務大臣 現在の特措法上で、テロ特措法でやれるケースがあるかなというと、皆無とは言いませんけれども、非常に少ないんじゃないかなというふうに思います。だから、このままの、現在のままの法律では非常に、もちろんこのPRTがどういう内容か、具体的にそれを、ミッションを聞いてみないとわかりませんけれども、一般的にやっているものからいくとなかなか難しいんじゃないかなという感じがします。

辻元委員 失礼しました。防衛大臣でございました。失礼しました。

 麻生大臣にもお伺いします。

 昨年の四月二十七日の参議院の外交防衛委員会で、大臣も、治安というのが入ってくるのでPRTに参加するのは難しいという御答弁、今も変わっていないでしょうか。

麻生国務大臣 今久間大臣の方からもお話があっておりましたけれども、このPRT、プロビンシャル・リコンストラクション・チーム、略してPRTと呼んでいますけれども、このPRTのことに関しましては、これは地方に軍事的プレゼンスを確保というところが一番難しいところなんだと思うんですね。そういった意味では、治安を維持して等々ということになりまして、今たしかPRTでは二十五か六チームが出ていると記憶しますけれども、そういうチームが今出ておるのは、やっておりますことに関しましてはそれなりの評価を得ていると思いますが、今言われましたように、現時点で、今の状態で、今の法律、すべての今の状況のままで直ちに今PRTに参加するというつもりはございません。

辻元委員 総理は、先ほど紹介しましたNATOの演説でこうおっしゃっているんですね。初等教育、医療、衛生分野を中心とする分野で、どのようにすれば日本の支援活動とPRTの支援活動がより深い相互効果を持つようになるかをさらに追求していきますと。麻生大臣も、所信で、NATOとの関係強化というのを表明されております。

 参加は無理と先ほどから御答弁がありますPRTへの検討ですね。これは、初等教育、医療とか衛生と言われていますけれども、具体的にどのような検討を政府内でしているんでしょうか。

麻生国務大臣 PRTの場合に、NGOとかNPOとかいろいろなものがありますけれども、少なくとも軍民共同みたいな形で治安を維持する、または秩序を、地位を持続させる、そういったようなものを前提にしてやるという地域に出すということになりますと、それは今のルールでは難しいのではないか、私どもは基本的にそう思っております。

 ただ、先ほど御指摘がありましたように、北の方のあたりではかなり治安がよくなってきているところで、ゆうべのBBCは、とにかく、そこの点に関しましては、かなり教育とか医療とかいうものは大変なんだという話が、これは住民の声として出てきております。ただ、そういった住民の声というのは、たくさんある中で都合のいいものを選んでつくるのはテレビの得意ですから、そういったものをまともにすぐ信用するというほど簡単な世の中ではないと思っておりますので、そういったものをよく見ながら考えないかぬところだと思っておりますが、少なくとも、今の段階で軍民共同でやるというのは、今のルールではなかなか難しいのではないかということを申し上げております。

辻元委員 ただ、総理はかなり踏み込んで、きのうのチェイニー副大統領との話でも、PRTとの連携を今調整中だと。連携という言葉が入っていますけれども、これはどういうことなんでしょうか。総理が上げた単なるアドバルーンですか。どういうことですか。

久間国務大臣 私はつぶさに聞いておりませんけれども、PRTそのものは非常に難しいと思いますけれども、PRT、軍民一緒になって活動する、そういうものの輸送まで排除する、そういう法律にはなっていないと思うんですよ。だから、必ずしも排除はできないものではないので、何らかの形で日本が連携を図ることは、それは可能性としてはあるんじゃないかなと思いますけれども、まだ具体的なそういう検討はしておりません。

辻元委員 具体的な検討はないということなんですけれども、輸送ということがちらっと出たんですけれども、それは自衛隊による輸送ということですか。

久間国務大臣 もちろん私の場合は自衛隊を念頭に置いて発言しておるわけで、民間航空機で民間がやる分については全然私の立場じゃございませんから。だから、そういうのが現在の法律で読めるのかなどうかなとか、そういうようなことは、これから先ちょっと研究してみようと思いますけれども、強いて言えば、現行の法律ではそういうところしかできないんじゃないかなと思っております。

辻元委員 冒頭申し上げましたように、アフガニスタン、今北部の方という例は出ましたけれども、これはどうなっていくかわかりません。悪化の方向に行っているということは、まずかなりこれは念頭に置いた方がいいと思いますので、私は、今何か輸送とかという話もありましたけれども、私は今の特措法では無理だと思うし、それから、この治安の状況というのをかなり深刻に分析された方がいいと思うんです。

 さて、もう一点、ちょっと角度を変えてこの問題を議論したいんですが、PRTそのものの評価なんですよ。

 大島大使も批判があるということを認めていらっしゃるんですね。これは、最初米軍が行って、その後引き継いだわけですけれども、いろいろなことがわかってきました。例えば、アメリカはこれはUSAIDなんかが一緒に行っているわけですけれども、結局部隊というのは、麻生大臣がおっしゃったように、治安を主としてまずやっていますので、百名の部隊であれば文人は一割程度なんですね。ですから、外から見たら、もうやはり軍隊なわけですよ。そして、そういう形で、住民の方からは、やはりこれは軍隊が来たなというように見られがちで、それで、一般の人道活動をしている人たちからも、自分たちが人道活動をしているところにやはり他国の軍が来るというと緊張が生まれますので、中立性がなくなるし、PRTの活動をしている人なのか、それとも一般の人道支援なのかわからないので、危険性が高まるという指摘も出ているわけです。

 それについては、既にもうこのUSAID、アメリカでも、このPRTの問題点ということで、軍と民が一体化して活動するPRTは中立性を重視する従来の人道援助団体の活動とは相入れない、安定化した地域に軍服を着たPRTが入ったため新たな緊張を招いた例もあるというふうに報告されて、かなり世界じゅうで検証が進んでいるわけですね。ですから、私は、今、これはPRTに何らかの形で参加を検討するというのはちょっと時代おくれではないかというふうに、まず一点指摘をしたいと思います。

 例えば、日本の人道支援団体がアフガニスタンで頑張っています。その団体からも、これは外務省の方に、PRT活動、この総理のNATOでの発言を受けまして、質問状みたいなものが出ているわけですね。やはり、自分たちの活動、中立性もなくなるし、もしも自衛隊が来るなんということになってしまったら、むしろ、今PRTが行くことであちこちで緊張が高まったり、それから、これは直接のつながりというわけではありませんが、例えば国境なき医師団などは、これは参議院でも指摘されておりますけれども、二十五年間にわたって活動してきました。しかし、フランス軍は行っていますので。日本は、まだ何とか頑張って活動を続けられている。私は、一つは、やはり自衛隊が現場に行っていないということもあると思うんですね。

 ですから、そういう意味で、このPRTを総理が検討するというのは、非常に現実を見ていない、PRT自身の評価をつぶさに見ていない御発言ではないかというふうに私は危惧しております。

 さて、そこで、またほかの一例も申し上げますと、例えば、人道支援団体ですと、この村人はタリバンの支援者かもしれないと思っても支援するわけなんです。しかし、PRTというのは治安目的もありますから、支援者かもしれないと思ったら、拘束したり情報を集めたりするわけなんですね。今まで平穏だった村全域にPRTが入っていって、治安及び情報の収集もあわせて援助をしようとするものだから、今まではうまくいっていたところがうまくいかなくなるというような例も、現地に行っている、先日援助団体の人からヒアリングをしましたけれども、出ております。

 ですから、やっている方はいい面をよく宣伝するんですけれども、このPRTについてはどんな支援であっても私は慎重であるべきだというように思っております。

 これは後で麻生大臣に最後に答弁を求めたいと思うんですけれども、時間が限られていますので、先に言いたいことを全部言いますね。

 日本は割合、現場で評価されているんです。どういうことかといいますと、先ほどどちらかの大臣が答弁されておりますけれども、復興援助として日本が指導的立場をとった元兵士の社会復帰支援、DDR、これはある程度うまくいったと言われているわけです。これはなぜかと追求して現場の人たちに聞きますと、日本は中立性があるとまだ見られていると。それは軍を出していないからなんです。いろいろな村に行ったときに、軍を出していないということで中立性の担保になっているというような信頼関係が、これは今の大使じゃなくて前の大使もそういうことをどうもおっしゃっていたようなんです。ですから、私は、このアフガニスタンの中の今の状況を改善していくために、この日本のポジションを最大に生かしたらいいと思うんです。

 そこで、麻生大臣に質問したいわけですが、今、アフガニスタンの復興、PRTが全国展開する前に、ピース・ジルガというのをやっていたわけです。それは、コミュニティー単位での和平合意を細かくしていこうという。これは割かし皆頑張ってやっていたと聞いております。現場に行っている援助団体なんかも、そういう情報が入っていました。ところが、そこにPRTが入っていったために、軍が入りますので、地域の中でやっていた均衡が崩れるという場合もあるわけですね。

 ですから、そういう側面からも、PRT自体はもう一度考え直すべきではないかと思っておりますし、そういうような情勢分析もありますので、ぜひ外務大臣はその点留意していただきたいと思います。

 日本は、そういう意味で、中立性をまだ担保できていると見られている節がありますので、このピース・ジルガを推進していくとか、そして、大島大使もこのようにおっしゃっています。タリバンの問題には軍事的解決はあり得ない、タリバンの根絶も望み得ないことであろう、タリバンの一部穏健派を政治プロセスに取り込むなどして過激派を孤立させたりして、何らかの政治解決が必要なのかもしれないと指摘をされているわけですね。

 結局、暴力の連鎖です。暴力の連鎖をどう断ち切っていくかというときに、日本の中立的と言われる立場を使ってこのアフガニスタンの現状をよく分析し、軽はずみにとは申しませんが、PRTに、いいんじゃないかというんじゃなくて、じかにアフガニスタンを見て対応していただきたいと思います。何だか、安倍総理の御発言を見ていますと、このPRTというのをうまく使って一般法をつくりたいみたいな……

木村委員長 辻元委員、時間になりましたので、簡潔に願います。

辻元委員 そういうような何か意図を感じ取れたりしますので、麻生大臣、そこは賢明な御判断をいただきたいと思います。いかがでしょうか、アフガニスタン和平に向けて。

木村委員長 時間になっておりますので、麻生外務大臣、簡潔に願います。

麻生国務大臣 賢明に判断します。

辻元委員 賢明に判断してください。

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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