衆議院

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第8号 平成19年4月12日(木曜日)

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平成十九年四月十二日(木曜日)

    午前十一時八分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷  元君

   理事 御法川信英君 理事 内山  晃君

   理事 笹木 竜三君 理事 遠藤 乙彦君

      赤澤 亮正君    飯島 夕雁君

      石破  茂君    稲田 朋美君

      浮島 敏男君    小川 友一君

      小里 泰弘君    近江屋信広君

      大塚  拓君    大前 繁雄君

      亀井善太郎君    瓦   力君

      北村 茂男君    鈴木 淳司君

      長島 忠美君    西村 康稔君

      西本 勝子君    浜田 靖一君

      原田 憲治君    平口  洋君

      広津 素子君    福田 良彦君

      藤田 幹雄君    三ッ林隆志君

      宮路 和明君    山内 康一君

      山崎  拓君    小宮山泰子君

      神風 英男君    津村 啓介君

      長島 昭久君    赤松 正雄君

      赤嶺 政賢君    保坂 展人君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛大臣         久間 章生君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁業務部長)  伊藤 盛夫君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     御法川信英君

  辻元 清美君     日森 文尋君

同日

 辞任         補欠選任

  日森 文尋君     辻元 清美君

同月十二日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     原田 憲治君

  石破  茂君     広津 素子君

  高木  毅君     三ッ林隆志君

  仲村 正治君     平口  洋君

  山内 康一君     浮島 敏男君

  山崎  拓君     亀井善太郎君

  前田 雄吉君     小宮山泰子君

  辻元 清美君     保坂 展人君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     山内 康一君

  亀井善太郎君     山崎  拓君

  原田 憲治君     飯島 夕雁君

  平口  洋君     鈴木 淳司君

  広津 素子君     赤澤 亮正君

  三ッ林隆志君     長島 忠美君

  小宮山泰子君     前田 雄吉君

  保坂 展人君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     藤田 幹雄君

  飯島 夕雁君     北村 茂男君

  鈴木 淳司君     近江屋信広君

  長島 忠美君     西村 康稔君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     仲村 正治君

  北村 茂男君     小里 泰弘君

  西村 康稔君     小川 友一君

  藤田 幹雄君     西本 勝子君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     稲田 朋美君

  小里 泰弘君     安次富 修君

  西本 勝子君     石破  茂君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     高木  毅君

同日

 理事北村誠吾君同月十一日委員辞任につき、その補欠として御法川信英君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ち、民主党・無所属クラブ及び社会民主党・市民連合所属委員に対し、事務局をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。

 理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

木村委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に御法川信英君を指名いたします。

     ――――◇―――――

木村委員長 内閣提出、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省北米局長西宮伸一君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁施設部長渡部厚君及び防衛施設庁業務部長伊藤盛夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。

 これより午前中の民主党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

木村委員長 これにて午前中の民主党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時十二分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ち、民主党・無所属クラブ所属委員に対し、理事をして御出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。

 これより午後の民主党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

木村委員長 これにて民主党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党衆議院議員の赤嶺政賢です。私の質問全体にもそういう拍手をしていただけたら非常にありがたいと思います。

 そこで、前回に引き続いて、昨年四月の額賀防衛庁長官とラムズフェルド米国防長官の合意について聞きます。

 合意の中には基地内インフラとありますけれども、これは具体的にどういう合意内容ですか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 日本の分担するインフラにつきましては、電力、上下水道、廃棄物処理施設ということで考えているところでございます。

赤嶺委員 ですから、文字には電力、上下水道、廃棄物処理と書いてありますけれども、それが何を指すかということを聞いているわけです。つまり、基地内の配電設備、配水管、これらのことを指すのか、あるいは発電施設、浄水場、下水処理場、こういうことを新たに建設するということか、どちらですか。

大古政府参考人 このインフラにつきましては、沖縄からグアムに移転する海兵隊の移転に伴いまして需要が増加する分を考えているところでございます。

赤嶺委員 ですから、需要が増加する分というその中身ですよ、中身。例えば、グアムでは海軍や空軍や陸軍の増強も進んでいるわけですし、それから、私たちがグアムに調査に行ったときは、民間のインフラも整備を求める声が強くありました。

 グアム州議会の決議というものが手に入ったんです。昨年十二月の海兵隊の移転にかかわっての決議なんですけれども、決議では移転に伴う人口増加が既存のインフラに負担をかける点に言及しながらこう言っているんですね。「グアム島最大規模の地上水資源であるフェナ湖とその関連水道管理浄水施設等を大規模海軍水道システムと統合して、島一体の水道システムとして運営できれば、民間と軍関係者双方に有益となるであろう。」「移転計画のなかに、全島規模の頑丈な発電と電力配電ネットワーク、送電所及び関連施設の改善と制御装置システムを織り込み、軍及び民間地域への電力供給の質と安全を確保しなければならない。」このように指摘しているわけです。

 先ほども出ておりましたが、あくまで政府がつくるのは海兵隊八千人とその家族九千人の所要に限定した施設であって、よもやほかの軍種だとかあるいは民間の所要まで含めた施設はつくることはないと理解していいですね。

大古政府参考人 先ほど申し上げましたように、沖縄の海兵隊がグアムに移転することに伴いまして直接上の増加する分についてのインフラに限定したいと考えているところでございます。御質問の趣旨との関係で申しますと、アメリカ独自のグアム増強計画というようなものについて、日本側がそのインフラについて資金を負担するということは考えておりません。

赤嶺委員 そうすると、戻りますが、先ほどの質問で聞きました基地内インフラというのは、基地内の配電設備や配水管ということなのか、あるいは発電施設や浄水場や下水処理場というものなのか、どちらなんですか。

大古政府参考人 細部については今後日米間で協議して決まるということになるかと思いますが、基本的には基地内のインフラということでございます。そういうことで考えているところでございます。

赤嶺委員 はっきりしないんですね。つまり、海兵隊の増加分だけやるんだと言いながら、例えば、一戸ごとに配電施設を設備していくことなのか、あるいは一戸ごとに配水管を通していくことなのか、あるいはまた浄水場なのか発電施設なのか、そういう中身ははっきりしないといけないんじゃないですか。

久間国務大臣 今度のこの法律が通りましたら、これから先、事業スキームとか、今先生がおっしゃったようなことも踏まえながらやっていきますが、私どもが考えておりますのは、とにかく海兵隊が八千人、家族が九千人行くことによって最低必要とされるものについては日本側が負担しよう、そういう考えでありますから、例えばここにこれだけ移っていく、そうしたときに、今までの下水道なら下水道につなごうとしたらその管が小さ過ぎるというときに大きくする。その場合は、こちらから移っていくために必要に伴って出てきたものについては、これはやはりやらなきゃいけないんじゃないかと。

 これは、今度のものについていろいろ言われますけれども、例えば沖縄から北海道に移ったといった場合には、全部それはやるわけですね。そのときに、やはり移ったときに必要な施設が出てきた場合には、その分についてはやろう、そのかわり、北海道なら北海道でも、あわせて自分たちも古い管を新しくしよう、それだったら、そのアロケーションをやって移転に伴う分は幾らかということを計算するわけでありますから、こういう仕組みでやろうという今度の法律を通していただければ、それに基づいて、これから先のそういう事業スキームも含めて、あるいは事業費についても精査しながらアロケーション等もやっていく、その余地はやはり残っていると思います。

赤嶺委員 まだよくわからないんですけれども。

 結局、グアムの発電施設もそれから廃棄物処理場も大変老朽化しているんですよね。そして、グアムの人口に対して、物すごい比率で人口がふえますから、今持っているグアムのインフラではとてもじゃないけれども間に合わないということをおっしゃっているんですよね。ですから、今言った水道管が小さいのを太くする話なのか、それとも浄水場をつくったり、発電施設をつくったり、廃棄物処理場をつくったりということなのか、それによって大分変わってくると思います。

 そして、グアムの州知事もおっしゃっていたんですけれども、やはり民間も使えるようなものにしてほしいということだったわけです。海兵隊以外の軍や民間のためにも施設をつくるということになり得るのか、つくった施設がそういうことにもなるのか。いかがですか。

久間国務大臣 これからのそういう支出につきましては、この法律が通った後でも、事業計画が決まりまして、それから、真水の部分は特に財政出動でございますから、財政出動を出すときに予算を国会で審議していただくわけでありますから、そういうときまでにアメリカ側といろいろと協議しながら、そういうようなことについては詰めていく形になろうかと思います。

 ただ、基本的に言えますことは、八千人、家族を含めて九千人、その移転に伴う分、その分についてだけ日本は負担する、そういうことを決めているわけであります。

赤嶺委員 グアムに最新式の近代的なインフラ設備があれば、一万七千人の海兵隊が来ましたけれども、それは配水管を太くするだけで間に合うとかいろいろな問題があると思うんですが、老朽化しているわけですから、これだけの人口増に耐えられるインフラがないわけですから。今、何度聞いてもその点をはっきりおっしゃらないんですけれども、去年の四月の額賀防衛庁長官の合意当時、額賀長官はこうおっしゃっていたんですね、その金額については積み上げ方式で考えていったと。つまり、必要なものは何かといって積み上げ方式で考えていったと。

 ところが、前も質問しましたが、司令部庁舎、生活関連施設、一体何をどこまでつくる合意なのか、あるいは合意した負担額がいかなる根拠によるものなのか、政府の説明は全くないわけですね。積み上げと言いながら、何を積み上げたのと言われると、実態がないわけですよ。それは計画をつくってからとなると、これはもう本当に審議できる状態ではないと思いますよ。

 そういう点では、委員長、やはり去年四月の合意に、何をどのように積み上げたのか、具体的な内容とその積算根拠、これを本委員会に示すように求めたいんですが、いかがですか、委員長に。

木村委員長 答弁できますか。

 では、久間防衛大臣。

久間国務大臣 先ほどから何度も言っておりますように、積み上げ方式といいましても、これを具体的に事業費を精査して積み上げているわけでございませんで、考え方として、こういうものについて出します、そしてアメリカからの概算で、それについては最大限これぐらいだということで、我々としては、その上限を一応覚悟はしている。しかしながら、これから先、調査をしながら精査して、事業計画も積み上げていくわけでありますから、数字についてはそれで決まってくる。

 そのときに、さっき言いましたように、もし新しいものをつくるならば、そのうち、我々のこの沖縄から移っていく分がどれだけかということを、アロケーションをやって、分担を決めるわけであります。そしてそれが決まったら、それに基づいて我々は予算要求をするわけでありますから、そのときに国会で審議していただいて、よろしいと言っていただくか、高過ぎるからだめだと言っていただくのか、そういうことになるわけでありますから、私は、今度の法律とそれは全然関係ない、そういうふうに思っていただいて、数字等はこれからそれよりも下回っていくんだ、この数字ありきじゃないわけで、これは上限として、これぐらいまでは一応最大限やったらなるかもしれませんよというような、そういうものとして認識していただければいいんじゃないかと思います。

 今度の法律は、そういう枠組みづくりのための法律だ、数字を示すための法律ではないということをぜひ御理解していただきたいと思います。

赤嶺委員 数字は積み上げてでき上がった数字だということを額賀長官は四月には説明していたわけですよ。ところが、今皆さんは、基地内インフラとは何かと聞いたら、電力、上下水道、廃棄物処理としか言わないわけですね。電力もどういう規模のどんな電力なのか、上下水道にしても何なのか、廃棄物処理場にしても何なのか、現に、現地に行くと、いや民間も一緒にしてほしいとか、海軍や空軍も一緒にしてほしいとか、その方が安上がりだとか、いろいろ話が出るわけですよ。

 ですから、八千人の分と言うけれども、本当にその区分がはっきりするような基地内インフラの建設になっているか、なっているんであれば、その積み上げたものを出してくれ、見せてくれということですよ。これはいつまでたっても本当にあいまいだなという感じがいたします。

 それで、質問がかわりますけれども、今回の負担は、アメリカの国内で米軍が使用する軍事施設の建設への財政負担だと思いますが、これはそのとおりですね。

久間国務大臣 今度の場合は、アメリカ国内における支出ではございますけれども、先ほど言いましたように、沖縄の海兵隊が移転していくことに伴って発生する分、その分について日本の政府として負担するということであります。

赤嶺委員 目的を聞いているのではなくて、つくられる施設の中身を聞いているわけです。

 アメリカの領土であるグアムで米軍が使用する司令部庁舎、教場、隊舎や家族住宅、これを建設するわけですから、これは米国内の米軍の軍事施設の建設への財政負担ではないか、このように聞いているわけです。

久間国務大臣 そういう意味では、そのとおりであります。

赤嶺委員 そうしますと、憲法の第九条、これは国際紛争を解決する手段としての武力の行使、武力による威嚇を禁じているわけです。なぜ外国軍隊の軍事施設の建設への財政負担が現行憲法上可能なんですか。

久間国務大臣 現在沖縄にあります米軍の基地をよそに移転してもらいたいということで、それを国内に移転する場合でも、もちろんそれは日本国政府が負担しますが、国内ではなくてグアムに持っていく場合でも、これはこちらの方から、その分については移転してもらいたいということで移転していくわけですから、応分の負担はしますということで財政負担をするわけでありますから、憲法九条の問題とは関係ないと思います。こちらからの基地の返還、縮小に伴って生じる補償みたいなものだと思います。

赤嶺委員 そこにつくられるのは、いわば軍事施設ですね。アメリカ国内にアメリカの軍事施設をつくってあげる、それが憲法上は、例えば、今まで、武器輸出三原則とか九条、あるいは九条の精神に基づいて、軍備の拡張のためにあるいは軍備の強化のために日本がお金を出す、そういうようなことを極めて抑制的にしてきた。ところが、今度はグアムに新たな強大な海兵隊の基地をつくる、こういうのは、憲法の九条もそうですが、その憲法の精神に照らしても、これは認められないんじゃないですか。

久間国務大臣 つくるものが、例えば砲台でありますとか武力行使の一体化になるような、そういう概念、そういうものであるならば、そこは非常に厳密に考えなきゃなりませんが、隊舎とか司令部庁舎とかそういう建物の場合は、私は、現在あります建物の移転に伴うものだ、そういうふうに理解して、しかも、うちがつくるんじゃなくて、それをつくるための経費をうちが負担する、そういうことでございますから、憲法九条には抵触しないと思っております。

赤嶺委員 隊舎とか教場とか、まさに軍事行動と不可分の、一体の施設ですよ。やはり私は、そういうことは武力行使と一体化しないからといって外国にその国の軍事施設をつくってあげるというのは、およそ憲法の立場からしても許されないことだと思います。

 それでは、ちょっと別の角度から聞きますけれども、政府の資料によりますと、負担の理由として、グアムに移転する海兵隊の任務には依然として我が国の防衛が入っている、このように説明しているわけですね。それがよくわからないんですよね。グアムに移転する米軍部隊というのは、日米安保条約の目的達成のために駐留することになるんですか。

久間国務大臣 今度アメリカにつくります施設というのは、今沖縄にあります分を向こうに移す、その分について我々は、我々の申し出によって向こうに移すわけでありますから、それを負担するということでありまして、軍の目的が、ほかの目的があるかないかということよりも、現在の代替施設を向こうにつくる、そういうような考え方で割り切っているわけであります。

赤嶺委員 沖縄にある海兵隊が安保条約の目的達成のための軍隊であるかどうか、厳密に言えば、我々は、そんなことはない、別の行動をしているということを日ごろから指摘してきているわけですが、少なくとも政府としてはそう説明すると思うんですよね、安保条約の目的達成のためにというふうに。

 ですから、グアムに移った海兵隊も、防衛省が出したパンフレットに書いているんですよ、海兵隊の任務には依然として我が国の防衛が入っていると書いているわけですから、これは日米安保条約の目的達成のために駐留するということになるんですね。

久間国務大臣 それだけかどうかはわかりませんけれども、やはり、グアムに移ったその司令部が日米安保条約に基づく目的達成のための働きをするのは事実でございます。そして、それ以外の分野がどういう形で付与されるかどうか、これはまたこれから先のアメリカが考えることでございます。

 我々として分担するのはそのうちの、グアムへ海兵隊が移っていった、それに見合う分だけをうちが負担するということで、残りは米軍が出す。だから、米軍の真水の分が幾ら、我が政府の分が幾らという形で応分の負担をするという形になったんだと思いますので、もし丸々全部日本側だったら日本の政府が全部を出さなきゃならないかもしれませんけれども、それに合わせて米軍は米軍なりにいろいろなことを考えているんだろうと思っております。

赤嶺委員 グアムに移った海兵隊の任務が我が国の防衛の任務を持っているかのような、そういうようなお話をなさったりするわけですけれども、私は、アメリカの国内の米軍がどういう軍事行動をとるかというのは、アメリカの政府の判断に属する問題だと思いますが、この点、どうですか。

久間国務大臣 しかし、我が国で万一武力攻撃事態が発生したという場合には、この司令部機能が働いて、我が国に駐留する海兵隊の残った部隊等も指揮するわけでありますから、そういう点では向こうの司令部がそういう機能を持っているのは事実だろうと思います。

赤嶺委員 日本政府の希望はそういうことがあっても、縛りをかけることはできないわけですよね、米国内に駐留している軍隊に。だって、米国内に駐留している軍隊は日米安保条約の目的達成のために駐留している、すべての軍隊がそうなんですか、それともグアムだけは日米安保条約の目的達成のためにいるということなんですか。

久間国務大臣 それは、それだけとは言えないと思います。米国におる軍隊の場合はほかの目的のために動くこともあろうかと思いますが、少なくとも、今沖縄におります部隊が移っていった分については、これはそういう日米の安全保障条約に基づいて今まで駐留しておったその分を向こうに移すわけでありますから、その分の移転については我が国が応分の負担をする、それ以外の分については米国が負担する、そういう形で観念的に分けられるんじゃないでしょうか。

赤嶺委員 まさに、観念論だと思うんですけれども。

 私は、結局、アメリカの領土にある米軍というのは、やはりアメリカの政府の方針で動く軍隊だろうと。別に、日本政府が何か希望を持っていても、そこで縛りになるわけじゃない。結局、アメリカ政府というのは、イラク戦争に見られるような先制攻撃戦争も繰り返している。そういう軍隊に結果としてお金を出していくということになるわけですよ。だから、戦争の分担金を出すようなものであって、それは憲法違反ではないかということを指摘しているんです。

久間国務大臣 先ほどから何度も言っておりますように、海兵隊が沖縄に一万八千人おる。そして、これは集中しているので沖縄の負担が大変だ、そのうち幾らかでも減るようにしてもらいたいという沖縄の皆さん方の気持ちもある、我々としてもそれをかなえてやりたい。

 そのときに、米軍の再編の一環として、グアムに司令部機能を中心として海兵隊が八千人移っていく、そうなると、その八千人の家族が移っていく。それに見合う費用についてはこちらとしては応分の負担をするから、ひとつその残りの分については米軍で出してくださいよということで昨年の合意ができて、これが決まったわけでございますから、私は、一つの考え方の整理としてはそれでよかったんじゃないかなと思っております。

赤嶺委員 結果として、グアムに強大な、新たな米軍基地建設に日本の国民の税金を支出して、アメリカの戦争政策を応援する、そんなことが憲法九条の立場から許されるか、絶対に許されないということを申し上げておきたいと思います。

 それで、今回の法案は出資、融資の仕組みを具体化しただけで、真水については何も規定されていないわけです。

 具体的に聞きますが、真水とは具体的にどのように負担するのか、アメリカの会計に日本の税金を直接投入するということなのか、それとも日本側の発注で施設を建設してアメリカに譲渡するということなのか、どちらですか。

久間国務大臣 これは、まさにこれから事業スキームをどうするか、アメリカと日本とで話し合いながら、事業主体をつくってそこに出す形になるのか、これから先の決め方だと思いますけれども、真水という以上は財政支出でございますから、財政支出をするまでには事業スキームをきちっと決め、また金額等についても精査して、きちんと提案したい、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 軍事施設のための建設資金ですよ、真水は。日本の会計からアメリカの会計に直接投入するというようなことは、日米双方の会計原則からいって、そんなことも可能なんですか。

大古政府参考人 今大臣が説明しましたように、真水についての具体的スキームは、これから日米間で協議して決めることになります。その際、その方法によりましては、日本の制度との関係についても十分検討したい、こういうことになろうかと思います。

赤嶺委員 そこもまだ何も決まっていない。本当にあいまいなんですね。

 それで、今回のスキームの問題についても聞いていきたいんですが、政府は、家族住宅と基地内インフラについては国際協力銀行を通じた出資、融資で対応することになるから、米国が支払う家賃や使用料により将来回収されると説明しています。政府が日本の出資、融資は回収できるという根拠は何ですか。

久間国務大臣 これもこれから先、国際協力銀行の融資を使った、あるいはまた一般の民間の資金を使ったというようないろいろなケースが考えられますけれども、少なくとも事業を実施するまでには、その仕組みといいますか、回収についての仕組みもきちんと決めたいと思っております。

 今回の法律は、何回も言って恐縮ですけれども、国際協力銀行のそういう制度を使うという、そこについての御了解を得たいというのがこの法律でございまして、そこのところが、この法律が通らないとそういうことすら検討できないわけでありますから、今度の法律を通していただければ、それを受けた形で、そういうスキームづくりも含めて、回収を確実なものにするためにどうしたらいいのか、それを決めていきたいと思っております。

赤嶺委員 そうすると、回収が確実にできるスキームというのはまだできていないということですか。

久間国務大臣 いやそれは、回収を可能にするスキームというのは頭の中ではたくさんできておりますけれども、まずは米国がどういう形で関与するか、そういうようなことも考えなきゃなりませんし、あるいは直接、JBICが表に出るわけですから、JBIC自体がむしろこういうふうにしたいという希望もあるかもしれませんから、今度のJBICを使うということが決まりますれば、そういうようないろいろな考え方を整理して、一番かたい方法、リスクの少ない方法、そういうのを決めたいと思っております。

赤嶺委員 いや、よくわかりませんけれども、回収できるという説明をしてこられたんじゃないですか、出資、融資は。ですから、今大臣の頭の中にあるのもこちらに出していただいて、最小限、国会に対して説明できるものは説明すべきだと思うんですが、回収できる根拠についてですね。

久間国務大臣 それはアメリカ政府の方も、出した融資については確実に返ってくるような、そういう方途を政府としても考えると言っておりますから、これから先、まさにそういうやり方だと思います。

 要は、各住宅に入っている人たちのお金を一たんアメリカ政府を通した形で個々に支払うような形にするのか、事業主体が、どこかをつくることによって、その事業主体がそれを全部まとめて日本のJBICに対して返すようにするのか、そういういろいろな、あとはテクニックの問題だと思いますので、その辺については、日米両国の政府がこれから先、そういうスキームづくりについて議論をしていきたいと思っております。

赤嶺委員 しかし、基本は三千五百人分の家賃で賄うわけですね。

久間国務大臣 そのとおりでございます。

赤嶺委員 外務省に聞きますけれども、グアムの米軍基地は、ベトナム戦争の出撃拠点として使われていたころは、出撃拠点としてあったわけですが、九〇年代にはかなりの部隊と人員が削減されて、最近は再び増強されていると聞いていますが、グアムの米軍の部隊、人員規模がどのように推移してきたのか説明してくれますか。

麻生国務大臣 近年の在グアムの米軍の規模、人員の推移につきまして日本政府としてつまびらかに全部知っているということでは承知しておりませんが、第一お答えする立場にもありませんけれども、グアムに配備されております航空部隊、潜水部隊の増強等々を近年進めておるということぐらいしかわかっておりません。

赤嶺委員 外務大臣が答弁に立ち上がったので詳しく説明していただけるかと思ったんですが、それで、私も調べてきたんですよ。ミリタリーバランスで人員規模の推移を見てみたわけですが、空軍は一九八九年には四千二百人、それがその後千五百八十人、直近で千六百七十二人、海軍は四千人が直近は千二百人で、かなり変動するんですね、軍隊として。こういう軍隊の変動、人員規模の変動というのは今後もあり得ると思いますが、その点どうですか。

麻生国務大臣 当然あり得ると存じます。

赤嶺委員 そうすると、三千五百人分の住宅をつくったけれども、兵員は変動があると。これは回収の前提も怪しくなるんじゃないですか、防衛大臣。

久間国務大臣 それは、このスキームといいますか、グアムへの移転をしようとするときに、アメリカと日本の間で、三千五百人の海兵隊の移転に伴うその分については回収が確実にできるようにします、そういう中で話が進められておりますから、これから先、先ほど言いましたように、事業主体をどういうふうに置くのか、民間にするのか公法人にするのかわかりませんけれども、そういうようなことの中でそれは確実に返るようにしていきたいと思っておりますから、私どもは三千五百人の分については回収はできると、アメリカを信じて今取り組んでおるところであります。

赤嶺委員 外務大臣はグアムの軍隊は動くよ、これまでと同じような変動もあり得るよとおっしゃり、防衛大臣は三千五百人分の米軍の家賃を払ってくれると信じていると。

 ところが、政府の出した説明書の中に、こういうのがあるんですね。在沖米海兵隊のグアム移転について、「米軍人はSPEと契約し、SPEが提供する住宅に入居」とした上で括弧書きで、米軍人の任意で、その住宅に住むかは強制できない、こうあるわけですよ。これは具体的にどういうことですか。

大古政府参考人 基本的に、海外に赴任する米軍人につきましては、家族を伴って赴任する場合については家族住宅を供給するというのが米国政府の考えでございます。ただ、当該軍人の考え方によりますけれども、必ずしも米軍が手配した家族住宅に住むのではなくて、基地外の民間の住宅なりを借り上げて住むような場合もあるということでは聞いております。

赤嶺委員 そうすると、三千五百戸つくっても空き家になる可能性があるわけですね。長期になって空き家になる可能性がある、あるいはその住宅に住まないで別の住宅を求めることになるわけですが、そうなった場合には家賃が回収できなくなりますから、海兵隊以外の軍種、そういう軍人と契約することもあり得るわけですか。

木村委員長 大古防衛政策局長、時間になりましたので、簡潔に願います。

大古政府参考人 基地外の民間住宅に住むという者の比率が必ずしも高いとは考えておりませんけれども、そういうことも含めて精査した上で、必要戸数については日本の財政支援をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 終わりますけれども、沖縄の米軍基地にも思いやり予算でつくった米人の住宅がありますが、もうほとんど基地の外に住んでいる米兵さんが多いんですよ。だから空き家になるんですよ。今度は三千五百戸つくって、しかし、アメリカの戦略いかんでは急激に少なくなったりしていくこともあり得る、あるいはその住宅に住まない兵隊も出てくる、そうすると、皆さんが回収できるという前提が総崩れじゃないか。この法案はそういう点でも極めて欠陥、説明不足の多い法案だということを指摘して、私の質問を終わります。

木村委員長 次に、保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 昨日、外務委員会の方で麻生大臣が、オスプレー配備問題について、これは、完成品になった、つまり欠陥を克服して完成品になった段階で置きかえていく可能性は、我々としては十分考えておく必要がある、こう述べられました。

 防衛大臣に聞きますが、同じ見解でしょうか。

久間国務大臣 というよりも、いまだ完成品になっていない、米国においてすらこれが配備されていない、そういうような現在の段階である。だから、これについて、まだそういう、国内でも配備されていないものについて我々が議論するということ自体がいかがなものか。そういうような、実戦配備が国内で行われていないということを前提として、私たちはいろいろなことを考えております。

保坂(展)委員 では、麻生大臣に伺いますが、昨日は、二〇〇〇年代に入ってから事故を聞いておりません、当然ながら軍事技術は進歩をする、完成品ができるのであれば、それに置きかえていこうという努力を向こうがするのは当然だとおっしゃっているんですが、これは間違いないですか。

麻生国務大臣 軍事技術というのは進歩いたしますので、それは、欠陥品であれば、乗る人の方が、だって危なくてしようがないから乗らないんじゃないんですか。したがって、それが今実用試験段階ぐらいのところなんだと思いますけれども、知りませんが、技術のことを全部詳しいわけではありません。しかし、基本的には、落ちる確率が極めて高いものを実戦配備するなどということは常識的には考えられませんから、したがって、今防衛大臣のお話のように、アメリカでも配備をされていないという段階では、まだ完成品としては認められていないと、乗る側の方が言っておるわけですから。

 しかし、それが完成品になった場合の段階においては、今あるものから置きかえられていく可能性というのは常にあるんじゃないでしょうか。

保坂(展)委員 ちょっと、答弁のニュアンスが大分違うように思うんですが。

 岩屋副大臣に、オスプレーの事故は二〇〇〇年代に入って、外務大臣は聞いていないとおっしゃっているんですが、事故というのは、人が死ぬ、死亡事故は大事故ですが、それだけが事故ではないと思うんですが、どのように把握していますか。最近も事故はあるんじゃないですか。あるかないかで。

岩屋副大臣 きのうの委員会でもお答えしたんですが、それは先生も御承知だと思いますが、九二年、二〇〇〇年四月、二〇〇〇年十二月という事故のことについてはきのうの委員会で御報告させていただきましたが、それ以外の事故について承知しているわけではございません。

保坂(展)委員 ことしの三月のCRSレポート、これはアメリカの議会のレポートのようですが、こちらを見ると、二〇〇六年三月には、テークオフ中に翼とエンジンが故障して約百万ドルの損害だった、また六月には、最初の海外派遣を、エンジンコンプレッサーの故障で目的地に到達し得なかった、ことしになって二月、コンピューター制御系のシステムのチップに飛行コントロール不能のふぐあいが生じている、よって、海兵隊はすべてのオスプレーの飛行中止をしている、こういうふうなことが書いてあるんですが、これは把握していないんですか。

岩屋副大臣 先ほど申し上げたのは、構成部品の異常等によって事故が起きた、二〇〇〇年十二月に墜落死亡事故も起きているということを御報告させていただいたわけですが、今先生がおっしゃった点については把握をしておりません。

保坂(展)委員 これは、アメリカの議会の調査で明らかになっているものなので、把握をしないなんということはいけないことだと思いますね。

 防衛大臣にお聞きしますが、ちょっと事実の確認なんです。古い話ですけれども、九七年、名護市民投票の前だと思います、名護市体育館で、海上ヘリ基地とは何ぞやということで防衛庁が説明をした。その際に、アメリカ海兵隊が二〇〇一年からオスプレーに更新をしていくことは承知しているけれども、ただ、普天間に配備されているCH46やCH53が代替更新される決定はされていないんだ、海上基地はオスプレーの配備を前提にしてつくるものではない。これは、こういう見解を出されたというのは間違いないですか。

久間国務大臣 それは、そういう見解を出しております。

保坂(展)委員 次に、昨年の四月十八日に、この安保委員会で我が党の辻元委員が額賀大臣に対して、オスプレーの配備についてはアメリカと一回も協議していないんですかということに対して、協議しておりませんと額賀大臣は答えているんですね。日本に対する配備が計画されているということを聞いておりませんと。そして、当時の防衛局長は、今御指摘のオスプレーの問題につきましては、SACOの時点でも、アメリカ側としてオスプレーを配備する計画はないということで確認している、こう答弁しているんですが、これも間違いないでしょうか。

久間国務大臣 約十年前というか九年前、そのときも、そういうような具体的な話は何ら私自身も聞いておりませんでしたし、その後も、そういう配備についての相談があっているわけではありません。

保坂(展)委員 ところが、昨日の外務委員会でもあったようですが、沖縄の新聞には、こちらのように、オスプレーの配備明記ということで大きく報道をされていますね。

 この内容なんですけれども、これは、最終報告の少し前、九六年十月二十三日の日米の作業部会の記録の概要で、ワシントンで開かれている。そのときに、オスプレーの沖縄の配備について、日本政府がアメリカに対して、沖縄との協議についてどうしたらいいかという助言を求めている。三つの選択肢を示している。一番目は、オスプレーに言及しない。二番目は、具体的に言及する。三番目は、現在運用中の軍事機用にまず建設をし、アメリカ側がオスプレー導入を公表したら滑走路延長を求める。この三つの選択肢を示したが、アメリカ側は具体的に答えなかった。

 これは、外務大臣あるいは外務副大臣、答えられますか。こういう報道がありますが、いかがですか。大臣に答えていただければ。

麻生国務大臣 御指摘の米側の文書とされるものといたしましては、政府としては全くコメントする立場にはないんですが、オスプレーの沖縄への配備につきましては、従来のように、米側の方から一貫して、現時点で具体的なものは決まっていないと説明を受けておりますので、SACOの最終報告も、オスプレーの沖縄への配備を前提としたものではないと理解しております。

保坂(展)委員 外務大臣、実は、メモランダム・フォー・ザ・レコードという、九六年の十月二十三日にPLUという米軍機関が作成した文書があるんですね。この三ページ目のところに、今私が日本側の選択肢として示した部分が書いてあるんですね。

 つまり、アメリカ側の文書で、日本側がアメリカ側にどうしたらいいかと打診をしてきたということが書いてあるという事実があるんですが、それはいかがですか。

麻生国務大臣 今ほど御答弁申し上げましたとおり、御指摘の米側の文書の内容についてちょっとこちら側としてコメントする立場にはございませんので、先ほど答弁を申し上げたとおりの答えであります。

保坂(展)委員 このオスプレー問題は私も、これは沖縄北方委員会ですけれども聞いたことがありますが、外交ルートを通してそのたびに外務省はアメリカ側に照会して、現在のところそういう具体的な計画は何ら有していないという答弁で、ずっと、これはほとんど与野党全部の議員から聞かれているんですね。

 大臣、これは変な話ですが、日本側が打診したかどうかというのは日本側の記録に本来あるんでしょうけれども、アメリカ側に照会して確認したらどうですか。そういう文書がアメリカ側にはあるのかどうか。

岩屋副大臣 昨年の八月に、オスプレーの沖縄への配備に関する当時の報道がございました。これは、八月二十九日、沖北委員会において質疑がなされたところでございまして、その報道もございました。

 そこで、外務省から在京米国大使館に対しまして……(保坂(展)委員「今言っているものについて照会してください」と呼ぶ)今言っている文書ですか。それは大臣がおっしゃったとおり、政府としてコメントする立場にないということでございます。

保坂(展)委員 では、これは防衛大臣の方に伺います。

 国会答弁は大変重要だと思いますね。その国会答弁で十年にわたって政府は、歴代内閣は、こういったオスプレーの配備については何ら具体的な計画を有していないと米側から聞いていると与野党の議員全員に答弁してきたんですね。これは、日米の間でSACOの最終報告合意前の協議において、オスプレーの配備問題は議論されなかったのか、協議されなかったのか。そこに文書は全くないのか。少なくとも日本側からアメリカ側に対してそういう協議をしたという記録はないのか。事実はどうだったのか。しっかり答えていただきたい。

久間国務大臣 私はその日時の直後に就任しておりますけれども、SACOの問題について、特に普天間の移転については随分タッチしてきましたけれども、私の時代に、その直後から、私は十一月だったと思いますけれども、全然そのオスプレーについては議論すらしておりません。全く、オスプレーが可能性があるかのような話は一回も、その二年間にわたって、私の在任期間中に聞いたことはございません。だから、余りうちの方としては関心はなかったんだと思いますよ、そんな話については。

 というのは、その後十年たっても実用化していないわけですから。実戦配備されていないわけですから。そんな危なっかしいそういうものについて、その当時議論するような状況にはなかったんじゃないでしょうか、推定ですけれども。私自身は知りません。

保坂(展)委員 きのう外務大臣あるいは防衛省の政府参考人が答弁をしていますけれども、アメリカが現に普天間に配備しているCH46や53の後継機というのはオスプレー以外にないわけですよね。そこを確認したい。

 そして、ない以上は、いずれそれは、麻生大臣の答弁とも重なるんですが、これが改善されれば結局配備されるのはオスプレーじゃないか、これは間違いないですか。

久間国務大臣 それ以外にないと言い切れるかどうか。要するに、技術はずっと革新していきますし、そして、それがもし非常に安全な機種であればまたそのときに議論が出てくると思いますけれども、今のところ、まだそこまで全然、みんなが認識するに至っていないわけでありますから、先生みたいにそれを、次は後継機はこれなんだと決めて議論する必要があるのかどうか。私はそこまで考えておりません。

保坂(展)委員 では大臣、事務方とちょっと確認していただきたいんですが、きのうの外務委員会で、赤嶺委員に対して、オスプレー以外のものを開発しているとは承知していないと防衛政策局長は答弁しているんです。これは間違いないでしょう。ちょっと確認してください。

久間国務大臣 それはまた別の話でありまして、アメリカがどんなものを考えているかは別ですけれども、少なくとも、普天間の代替施設でありますキャンプ・シュワブに、今度移しますそこについてオスプレーがこれから先配備されるという前提での議論は全然していないということであります。

保坂(展)委員 ところが、このアメリカ側の文書を見ると、オスプレーの配備について、非常に説明するのが難しい、これは日本側から、こう言っておるわけですね。SACOの最終合意にこのオスプレーの配備を入れるということが直前まであって、それはやはり削ると。こういうやりとりがあるわけですよ、現実に。

 大臣は当時その直後に長官に就任されたということで、また十年後に今その大臣の席にいるわけですから、これはしっかり、本当にないのか、当時の防衛庁内あるいは日米のSACOの協議の中でオスプレーの配備について米側と協議した形跡がないのかどうか、確認。今断言できるなら断言してくださいよ、絶対にないならないと。

久間国務大臣 少なくとも、議論するときにはそれが安全かどうかというのを確認した上で議論するわけですから、十年前に、まだ不確かなものについて、そんなことをしているはずがないと思っております。

保坂(展)委員 当時、日本側が沖縄県民に対して、この質疑も特に沖縄県民は非常に関心を持って、今大臣言われるように、非常に不安定で事故を起こしている、たくさんの乗員も死亡している、そして最近に至っても私が紹介したような状況であるわけですから、これは大事なことなんですね。ですから、文書で、例えば米側に対して照会をかけたり、あるいは県民に対してどう説明するか。こういうやりとりは本当にないんですね。後から出てきたということはないですか。

久間国務大臣 それはないというふうに思っておりますし、何回も言いますように、安全性が確認されないものをわざわざ話題にすること自体が、開発されて安全だということが確認された段階で議論するならまだしも、そこが、まだ実戦配備もされていない、そういうものについてそれを議論するような、また問い合わせをするような、そういう段階でもないんじゃないかと思います。

保坂(展)委員 私の質問についても、八月二十九日、沖縄北方委員会でしたけれども、これは防衛庁、外務省ともに、米側に照会をかけたけれども何ら具体的な計画は有していないという答弁をされているわけです。

 外務副大臣に伺います。

 この米側への照会については、日本のどちらから米側のどちらに照会をかけて、具体的に何ら有していないというんですが、具体的に何ら有していなくても、大まかには有しているのかなと思ってしまうんですね。その辺はしっかり確認できますか。どういうルートでこれは照会をかけたんですか。

岩屋副大臣 さっきお答えしようと思っておったんですけれども、済みません、私の勘違いだったと思いますが。

 今のお尋ねについてですけれども、昨年八月、外務省の私どもの当局から在京米国大使館に対してオスプレーの沖縄への配備に関する米側の見解を照会させていただいておりますが、そのときに米側から、オスプレーの沖縄への配備については現時点では具体的に何ら決まっていないという回答を受けております。

保坂(展)委員 麻生大臣にも伺います。

 久間大臣にも伺いましたけれども、十年にわたってこのオスプレーの議論をしているんですね。我々は、いろいろな文書から、オスプレー配備について日米の間で協議したのは間違いないだろう、こう考えていますが、現時点でも麻生大臣は、そういった協議は全くないんだ、文書も何もない、米側に照会するつもりもない、こういうお考えですか。

麻生国務大臣 先ほど久間大臣の方から答弁があっておりましたけれども、少なくともSACOの最終報告に関しましてはオスプレーの沖縄への配備を前提としたものではない、交渉された当時の防衛庁長官がそう言っておられますので、私どもとしてはそのように理解をしておりますし、過去十年間にわたってその種の話が出ておりますが、それ以後この十年間で、米軍で実戦配備がされたという例を知りません。

 沖縄は危険を感じる、それは当然のことだと思いますが、乗らされる軍人さんの方も危険を感じますので、危険を感じるようなものを実戦配備することは常識的には考えられぬと思いますので、もしそういったことになるのであれば、それは、完成品になった段階で初めて話し合いになるかもしれませんけれども、技術の進歩と関係をいたしますので、少なくとも、今の段階でないということは、ないということです。

保坂(展)委員 久間大臣、東村というところにヘリパッドが予定されていますね。このニュースが伝わるや否や、沖縄では、やはりキャンプ・シュワブにオスプレーが配備されて、これは頻繁な演習などに、垂直離発着、こういう訓練に使われるんじゃないかと、非常に不安の声が上がっているんですね。

 そういうことはあるのかないのか。ずっとないとおっしゃっているんですが、これは後から出てきたら大変ですよ。もし出てきた場合、責任をきちっととれますか。この十年間、ずっとないと言ってきているんです、日本政府は。出てきた場合、どうしますか。

久間国務大臣 十年間あるあると言って、なかった、十年間のうち全然そういう動きがあってないわけです。だから、あるぞあるぞと言う方もみんなに対して不安をかき立てたことになるんじゃないでしょうか。

 だから、十年間、何もそういうのはありませんとあの当時から言っているわけですから、ましてや東村のヘリパッドについても、そういうようなことは全く今話題にもしておりません。

保坂(展)委員 では、防衛大臣にも伺いますが、こちらの文書があるというふうに示しましたけれども、これは日米でやった作業部会ですから、当然、現在の防衛省内にも記録は残っているはずなんです。残っているはずだと思います。それを、自分は知らないけれども、本当にないのか、きょうこういう質問が出たので本当にないのかというのをきちっと聞いていただけますか。

久間国務大臣 当時だれだれが参加しておったのか、それはまた調べてみようと思いますけれども、その文書そのものが、どういうところから出た文書なのか、公文書なのかどうか、その辺についても私どもの方はわからないんですよ。また、私文書といいますか、そういう私的な文書について、それについて正式な調査をするとかしないとか、これ自体がまたどうかと思いますので、その辺、非常に関心があられますから、その当時だれだれがアメリカに行っておったのか、まずその辺から調べてみようと思います。

保坂(展)委員 私が言っているのは、アメリカ側の文書はコメントできる立場ではないと外務大臣もおっしゃっていますけれども、防衛省内に、当時の防衛庁内にそういう協議や議論をした記録はあるんじゃないですか、いや、ないとおっしゃっているけれども、本当にないのかと一言聞いたらいかがですかと聞いているんですよ。

久間国務大臣 もう約十年前ですから、今防衛省内にはほとんどいないと思いますから、だから、だれが言ったのか、そういうことも含めて、先生の方でもし日本からだれとだれが来ていてこういうことを言ったんだと書いてあれば、そこをまた参考にさせてもらいますけれども、そういう意味で、その文書というのは本当に公文書として残っているんでしょうかということを聞きたかったわけであります。

保坂(展)委員 こちらは信頼できるルートできちっと示されたものというふうに受けとめています。これは論議の中でしっかり明かしていきたいと思います。

 最後に、防衛大臣の方に、今、厳しい財政事情の中から思いやり予算をかなりたっぷり払っている。そして、グアム移転ということで、沖縄からの負担が軽減されるんだと。しかし、今、オスプレーの話をずっとしていますけれども、これは結局、後継機で、安定するか完成したかどうかと日本側が別にテストするわけじゃないでしょう。アメリカが決めれば来てしまう。そういうものに対して、普天間が返ったぞという当時の橋本総理のあの言葉は私も非常に鮮烈に印象に残っています。しかし、現実に、この米軍再編で沖縄に負担軽減だといっても、基地の負担はかえってふえちゃうんじゃないかという不安、そして現実があるんじゃないですか。そういうことはないと言い切れますか。

久間国務大臣 今の普天間のあの状況から見て、今よりも悪くなるなんということは絶対ない、それは言い切れると思います。

保坂(展)委員 では、オスプレーが配備されたとしても、それは今の状況よりよくなる、こういうことですか。

久間国務大臣 配備されたとしてもとおっしゃいますけれども、配備するためには、安全かどうかが確認されて、米軍ですら今配備していないものを沖縄に持ってきて配備するという、そういう前提に立って議論すること自体がいかがかと思いますので、みんなに対して余り不安をあおるような、そういう言い方はやめていただきたいなという思いを持っております。

保坂(展)委員 不安をあおるという言い方をされましたけれども、それなら、はっきりアメリカに、完成しないものを持ち込むなということをきちっと日本側として示すべきじゃないですか。

 最後に一言だけ聞きますよ。アメリカのグアム島への移転に伴って、大きな経済負担があるわけですね。これをめぐってずっと議論していますけれども、これは、米軍が世界じゅうあちこちに出ていく、そういう拠点であって、日本国憲法に明確に違反する内容を伴っているんじゃないですか。

木村委員長 久間防衛大臣、時間になりましたので、簡潔に願います。

久間国務大臣 それは先ほど赤嶺先生にお答えしましたように、沖縄からの海兵隊の移転に伴って、それを我が国としても応分の負担をするということでございますから、これは憲法に反するものではございません。

保坂(展)委員 では、時間になりましたので、議論をしっかり続行したいという意思を示して、終わります。

木村委員長 次に、赤城徳彦君。

赤城委員 自由民主党の赤城徳彦です。

 きょうは、大変お忙しい中、麻生大臣にもおいでをいただきまして、ありがとうございました。

 最初に、外務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 これまでいろいろ議論してまいりまして、どうしても日本側からの見方、特に負担の軽減と抑止力の維持というふうな観点でとらえがちなんですけれども、米軍の再編というのは世界的な大きなテーマであります。特に、東西冷戦以降の国際情勢の変化、テロとか大量破壊兵器の拡散とか地域紛争、民族紛争、そうした大きな変化に伴って世界的に米軍が再編されるという、その中で日本が位置づけられている。

 こういうふうに考えますと、日本から見た場合には、負担が軽減、しかし抑止力は維持してほしい、こういうことですけれども、この日本の国内における米軍の再編が、アメリカから見たときに、この地域情勢の変化にどういうふうに対応しているのか、また、アメリカの安全保障政策上どういう意味が、メリットがあるのか、その点についての外務大臣のお考えを伺いたいと思います。

麻生国務大臣 赤城先生御存じのように、このアジア太平洋地域におきましては、これは朝鮮半島の情勢等々を申すまでもなく、いわゆる国際テロとか大量破壊兵器とか、昨今の安全保障を取り巻く状況、弾道ミサイルを含めまして、いろいろな新たな脅威というか不確実性が増しているということはもう否めない事実として、我々もそういうような認識をしておかねばならぬと思っております。

 したがって、アメリカとしてはこのような新しい安全保障環境に最も適切に対処し得るように、対応できるように、いわゆる軍事技術の進歩ということになろうと、BMDなんかみんなそういうことですから、そういった機動性の高い態勢をとるようにということを実現するというのを目的として態勢というのは見直しておるというのは、我々としても理解をしているところであります。

 その中にあって、今、在日米軍の再編というものはどう関係するかというお話ですけれども、米軍の軍事態勢の見直しの一環であることは間違いないところだと思います。同時に、私どもとしては、日本は太平洋の西というかアジアの東に地理的に属しておりますので、そういうところの地域にありながら、我々の方の、いなくなっても今の抑止力はちゃんと維持してもらうということを維持してもらいながらというのは我々の方の希望ですが、それは、基地の負担を軽減するというのももちろんですけれども、同時に、この地域の抑止力を維持するというのは、アメリカにとりましてもすごく大きなことでありますので、そういった意味では両者の意見が一致しつつあるというところだと理解しておりますので、これは日本にとってのメリットと同時に、アメリカにとりましても、そういう技術力の進歩によりましてより機動性の高いものができるようになりつつあるということだと私どもは理解をいたしております。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

赤城委員 日本の基地負担を軽減しても、技術が進歩して、例えばグアムに移転しても機動的に展開できるから抑止力は変わらないというものなのか、こういうふうに基地再編したことによってより積極的に情勢変化に対応できるようになったという部分があるのかなと、そんなことも少し議論したいと思ったんですけれども、残念ながら時間が十五分ですので、ここからは防衛大臣に伺いたいと思います。

 先般、参考人においでいただいて、いろいろお話を伺いました。その中で、再編交付金の交付の仕方、進捗状況に応じて交付していくというその手法が、あめとむちではないかとか、馬の鼻っ面にニンジンをぶら下げているようなものだとか、麻薬とむちだというふうな言い方をされた参考人もありましたけれども、ちょっとこのやり方が、余り評判がよろしくないということです。

 しかし、考えてみますと、ではほかに何があるのかといえば、やはり負担をしていただく、それに、何らかの負担の軽減といいますか、こたえていかなきゃいけない。そのために税金を使うとなれば、何も受け入れないのに、あるいは再編が進まないのにお金だけ出すというふうなことはできないでしょうし、やはりその負担の度合いに応じて、あるいはその進捗に応じて税金を出していく。大変大事なお金ですから、そういうふうなやり方をしていくということが、政策目的の達成と連携をしていくということが大事だ。そのことは、大臣も何度も言われているように、電源の立地でも同じようにやりますから、そういうことをきちっと説明していくということをさらにお願いしたいと思います。

 その上で、ではその交付金の交付とか公共事業の特例とか、確かに自治体にとって、今は財政難ですから、大変これはありがたいことだと思うんですけれども、負担を感じる住民にとって、その住民の負担感にこたえるような事業になっているのかなというところをちょっと、住民の気持ちと、いろいろな事業とか交付金との間に距離があってはいけないな、こう思うんです。

 では、その住民の負担感とは何なんだ。例えば、騒音であれば、この騒音を軽減してほしいというのはよくわかりますし、米軍が動くことによって何か渋滞が起こる、だから道路を整備しなきゃいけないとか、そういう関係はよくわかるんですけれども、例えば、犯罪がふえるのではないかとか、事故が起こるのではないかということになってくると、ではどういうふうにそれに対応していいのかというのは、ちょっとまた、これもいろいろ考えなければならないところだと思います。いずれにしても、より住民の思いに近いお金の使い方をする、事業のあり方をやっていくということが大事だと思います。

 その意味で、今回、ソフト事業が入れられました。これは、ハード、箱物だけでなく、いろいろなことに対応できるという意味では大変意義があることだと思います。ところが、このソフト事業をとらえて、これはまさにあめではなくて麻薬だ、こう参考人が言われたので、いや、そうじゃないだろうと。いろいろなニーズに対応できるという意味があって、大変画期的でよいことだと思うんですけれども、このソフト事業の意味について、大臣、どういうお考えかを伺いたいと思います。

久間国務大臣 結局、最終的にはその地方自治体、市町村が、まあ負担はふえるけれども国の全体の再配置のためにやむを得ないだろうというふうなこと、そのかわりに、村民のため、町民のため、市民のために、うちとしてもこういう事業をやりたいと思っている、地方の財政じゃなかなか厳しい点もあるから、これについて国としてやってもらえぬかというような、村おこしのためのイベントとかいろいろな場合に、今までみたいな箱物とか道路とか公共事業とか、それだけでないものもこれから出てくるんじゃないだろうか。

 だから、そういう出てきたものを対象に認めていったらいいんじゃないかということで、我々としても、今言ったようなことも踏まえて、ソフト事業としてどんなものが出てくるだろうか、そういう期待も持っているわけでありますから、そういう幅がある、そういう理解をしていただけたらいいんじゃないかと思っております。

赤城委員 このソフト事業、参考人が、麻薬だ、麻薬とむちだ、こう言われたんですね。それは、ソフト事業だと、箱物とかハードと違って後に残らない、しかも十年で終わる、だからその効果が切れたら麻薬が切れるようなものだということで言われた、そういう側面もあるんだと思うんですよ。私は、特別措置法で十年ですけれども、それが後々につながっていくようなことでなければいけないなと思っております。

 特に、再編の中で負担の大きい自治体がございます。また、沖縄とか岩国の周辺、そうしたところについて、この時限立法の期限以降、二〇一七年以降も、必要に応じて地元負担の軽減とか地域振興の観点から財政支援をしていくべきではないか、こんなふうに思うわけですけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。

久間国務大臣 これは立法の問題でございますから、最終的には国会がその時点でどう考えるか、そういう判断だろうと思いますけれども、私どもとしては、最低やはり十年ぐらいのタイムを置いて、そこで軌道に乗ってもらう、それによって、それがずっと持続できれば、それで一つの区切りになるんじゃないかなと思います。

 今言われましたような特殊な地域については、果たしてそれだけでいいのかどうかは、それは、そこでまた判断が下される時期が来るのかもしれません。しかし、今の時点で、そこまでいって、無期限にということではなくて、一定のやはり期限を切るべきじゃないかと。そうしますと、ほかの事業と同じように一応十年、そういう区切りをつくってこの法律をつくったっていいんじゃないか、そういう判断から、十年という期限を切った形でやったわけであります。

赤城委員 今の問題は、我々もしっかり心にとめて考えていくべきことかと思っております。

 それでは、先ほど来議論になっていました海兵隊のことですけれども、グアムに移転する、家族も含めて一万七千名、これは負担の大きな軽減になると思うんですけれども、一方で、戦闘要員は残るのではないかとか、全体として定員と実員ということもありますから、具体的にどれだけ負担の軽減になるのかわかりにくいというふうな指摘もあります。その点についても、さらに説明が必要かなと思っております。

 そこで、グアムに移転と関連して、今は、なぜ日本がこれに経費を支出するのかということについて、るる説明がありました。日本からお願いしたことですし、これはアメリカだけでやると期間がかかってしまう、一日も早く負担の軽減を実現したい、そのためにこういう支出が必要だ、こういうことであります。

 もし沖縄の海兵隊が全部グアムに移転しますと、負担は大きく軽減されました、グアムの海兵隊が安保条約に基づいていざというときは日本を守ってくれます、これは大変ありがたいことなんですけれども、安保の本質に変化が出てくるんじゃないかなと。要するに、アメリカが守ってくれます、それに対して基地を提供しますとやっていたのが、基地は提供しません、それはアメリカ本土やほかの国に行きました、しかし日本を守ってくれます、そのかわりにお金を出します、こういうふうな、何か本質的な変化を内包しているのかなと思ったんですけれども、大臣のお考えを伺います。

久間国務大臣 そういうわけじゃございませんで、仮定の話として、沖縄の海兵隊が沖縄の基地負担を軽減するために北海道に移るとなったら、これは全額出しても、だれも言わないわけですね。今度の場合はグアムだから、そこにちょっとどうかなというふうな思いがあろうかと思います。

 しかしながら、グアムに移るけれども、そこで抑止力については維持するということは、裏を返せば、日本の自衛隊と、米軍の海兵隊も含めて、米軍との共同作戦とか、そういうような分野でこれから先、非常に緊密な連携をとっていく、そういう前提が一方であるわけですね。

 そうしますと、八千人移って、一万人の定数で、実員数はいろいろあるかもしれませんが、一万人の定数を残しておっても、そういうふうなことで十分機能するし、そして司令部機能をグアムに置いておくことによって、そしてまた、今までのもので足らないときには、そこがさらに応援部隊を本土からでも呼び寄せるとか、非常に機動的にできるというようなことを考えますと、私は、そんなに難しい話じゃなくて、これから先の二十一世紀をにらんだ、そういう対応の仕方としては非常にいい方法じゃないかと。

 そのときに我々としても、沖縄から少なくとも負担が軽減される形になるなら、それはそれで非常にいいことだし、応分の負担はしますよ、そのかわりアメリカ自身も負担してくださいよ、そういう形で、ラムズフェルドさんと額賀さんとの間でああいう協定が結ばれた、そういうふうに理解しておるわけであります。

赤城委員 もう持ち時間がほとんどありませんので終わりにしますけれども、この問題、特にアメリカと日本との連携をより密にして、抑止力、また安全保障体制がいささかも揺るがないようにしていくということ、大変大事だと思いますし、また国民に対してもしっかり説明をしていくということも、ぜひ引き続きお願いをしたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

寺田(稔)委員長代理 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 今、赤城委員からも冒頭お話がございましたが、一昨日の四人の参考人の皆さんのお話、私もしっかり聞かせていただいて、非常に有意義な参考人質疑だったと思っております。

 その中で、お三方はこの法案の大事さというか大賛成であるという立場、お一方はちょっと疑念を呈されるというか反対のお立場でございましたが、その反対の方の最後の言葉が非常に印象に残っています。日米同盟とは一言で言ったら何か、こう聞かれて、日米共同覇権主義の象徴、シンボルだ、こういう言い方をされて、私は非常に、ちょっと大変な、一面しか見ておられないなという感じがいたしました。

 私は、この日米同盟、いろいろな側面がありますけれども、やはり日米が国際平和協力、そういう言い方、参考人の方の言葉をそのまま使わせていただくと日米国際平和協力のシンボル、こんなふうな言い方の方がむしろ大事かなと。

 先般、麻生外務大臣に当委員会で、自由と繁栄の弧という話を聞かせていただいたわけですけれども、やはり今も大臣からるる、赤城委員の御質問に対する最後のくだり、非常に意味深いことをおっしゃったと思うわけです。これからの二十一世紀の劈頭そして前半、こういう世界の中にあって、日本とアメリカがしっかりと、太平洋からユーラシア大陸全体をにらんだ上でのさまざまなことを展開していかなくちゃいけない。

 一面から見れば、確かに軍事的側面の抑止力という側面はありますけれども、もう一方から見れば、やはり沖縄を平和のキーストーンにしていかなくちゃいけない、また、グアムも同時にそういう側面を持たせていかなくちゃいけない、そんなふうなスタンスでおりますので、その基本に立ちまして、短い時間ですので少しばかりお話をしたいと思います。

 まず、先般予算委員会で、久間大臣にいろいろ質問させていただいた。私としては、大臣のお考えは先ほどの赤城委員に対する答弁でもわかるんですけれども、こちらがどちらかといえば沖縄の基地負担の軽減というものに対する過剰な期待、私がそう思っているわけじゃないんですが、一部にそういう方がいる。さっき大臣は不安をあおるなということを野党委員の方におっしゃっていましたけれども、私も決して不安をあおったわけではないんです、あのとき。不安をあおったわけじゃなくて、過剰な期待を持っちゃいけないと。

 やはりこれは、抑止力という部分で、沖縄もグアムも両方が一体になって、その存在が非常に大事なんだというスタンスに立った上で、私が少しきっちりと説明していただきたいと思うのは、先ほどもお話がありましたが、沖縄の米海兵隊の定員の問題なんですね。

 これは、従来から一万八千と。それで八千人が移動する、そして一万が残る。いろいろな波があるんですが、大体常時一万二千ぐらいという感じですね。もうちょっと少ないときもある、多いときもある。

 そういう流れで、私に言わせれば、理屈からいえば、一万ぎりぎりまで米海兵隊が沖縄に来るということも定員いっぱいだからいいという話になるので、それは一万二千から見れば二千少ないという話なんだけれども、従来の定員一万八千から見れば八千少ないということになるんですが、ちょっと過剰な期待を持った向きからすると、それって余り変わらないよねという議論をこの間させていただいたわけですね。

 あわせて、人間の数でいえばそういう話だし、基地の数からいけば、七五%というのは、古くから我々公明党は基地総点検なんてやりまして、どんどん米軍基地をなくして、かつては日米安保の段階的解消なんということをずっと昔の先輩は言ったわけです。よくぞ言ったなと思うんですけれども。

 そういうところを経て今日、基地の数がどうなるのかといったら、沖縄における米軍基地が今回のことで六九%から七〇%ぐらい、しかし、密集地はかなり負担が減る、こんなふうな議論をさせていただいて、大臣は、赤松は少し角度が違うんじゃないかと思っておられたような節があるわけですが。そのときの御答弁でこうおっしゃっておるわけですよ。要するに、「一万八千のときに住宅その他をきちんとそれに備えてやっているのが、」これは大臣の答弁ですよ、「やっているのが、一万ということになりますと住宅の数はやはり減るわけでありますから、」こうおっしゃっておるわけですね。

 そうすると、これは、一万八千のときの住宅の数、今度八千減る、具体的に、今あるおうちは壊すんですか。要するに、そういう角度のことを言ってください。

久間国務大臣 まさにそういうことでありまして、今、一万八千を前提としてやっておりますけれども、嘉手納以南の土地がかなり返ってまいります。その中にはもちろん住宅もあります。そういう形の中で、向こうに移るのがどういうふうに抜けていくのか、それによって、まとまって行くのならそこだけ廃止すればいいわけですけれども、歯抜けと言ったらいけませんけれども、ばらばらばらばらとなったときに、そのままでいいのかどうかとなりますと、やはりそこは集約しなければならないだろう。かなりの面積が返ってきますから、まさにそういうことで米軍と今協議をしているわけであります。

 六カ所ぐらいのところで、五カ所ぐらいまで話が大体煮詰まってきているんですけれども、まだ一番大きいところのものがどうなるかが、そういうことの返還の計画あるいは移転の計画が詰まっておりませんので、それでどれぐらいが減るということの数字は言えないわけですけれども、そういう点では、集約をすることになりますと、かなりの面積と同時に住宅戸数も減ってくるということになろうかと思います。

赤松(正)委員 ここはやはり住宅の数にこだわってほしいと思います。

 私は、先般予算委員会で言ったのは、要するにこれは、繰り返しになりますが、劇的に減るというのは余り期待できないんですよということを発したつもりなんですが、その辺のことについては、今、住宅の部分でしっかりと押さえていっていただかないと、米に対してしっかりその辺のことを言い、かつチェックしていかないと、私が言ったような懸念どおりになってしまう可能性が高い、このように指摘をしておきたいと思います。

 それからもう一点、先般私、与党のグアム調査団で行ってまいりました。前外務大臣の町村大臣、そして前防衛庁長官の大野功統さん、二人を中心に行ってきたんですが、そのときに、アメリカのメンバーというか太平洋の米軍の幹部の皆さんといろいろ懇談をしたときに、パワーポイントを見せていろいろ話があった。そのときに、日本の自衛隊のグアム常駐というくだりがあったんですね。これは説明がなかったんです。

 先般、議事録を見ますと、中谷委員の方からその辺、大臣とのやりとりがあって、私もそれを拝見させていただきましたので、その辺の中谷元防衛大臣の考え方もわかりますし、また大臣のお答えも、今直ちに常駐なんということは難しいというか、そういうことは考えていないというようなお話でございました。

 明らかにアメリカがそういうことを期待しているというか、日本の方にも中谷さんのような方とか、あるいは、先般、石破前長官と民主党の長島委員、あと森本さんとの間の鼎談、なかなかおもしろく読ませていただいたんですが、その中にも、グアムにおいて、日本の自衛隊がそこに行って共同訓練したり、常駐的なること、正確な言葉は忘れましたけれども、そういうふうなことがあってしかるべきだという、元気いっぱい三人がおっしゃっているのを読んで、非常に感慨深いものを感じたわけです。

 私は、それについてはやはり大臣自身のお考えと共通するところがあって、今直ちにそういうことは考えない立場なんですが、それとは違って、では、中谷委員もおっしゃっていましたし、また、私どもの同僚の遠藤委員もこの間の参考人質疑で提起していました。つまりグアムに、そういう自衛隊の共同訓練の場としてのグアム、これはこの際ちょっとおいておきまして、先ほど私が冒頭で言いました、平和のシンボルという側面をグアムに持たせるという観点から、かねて私は、いわゆるアジアにおける災害、例えばこの間パキスタンで大変な地震がありました、あのとき資材を持っていくのに大変に苦労をされたんですね、日本から行く場合、遠いから。

 それで、アジアのしかるべきところに資材センターというふうなものを置いたらどうだという提起を、大野功統元大臣に提起しまして、非常にいい、前向きな御答弁をいただいたんですが、大臣をやめられましたし、そういうことを引き継いでおられるかどうかもわからないんですが、私は、いざという場合の災害に必要なさまざまな資材というものが、日本の方から自衛隊員の皆さんがいらっしゃるときに一々物を持っていかなくても、適宜使えるものをアジアのどこかの場所に置いておくというのは非常にいい考えじゃないかというふうに思っているわけです。

 シンガポールあたりにお願いしてつくるのかなという気もしていたんですが、そういう具体的な地名どうこうよりも、例えばグアムに、繰り返すようですが、同僚委員もそういう提起をしておられますし、先般の参考人の方もなかなかいい考えだという提起もありましたし、そういう部分をグアムに持たせるべく働きかけをするというお考えありやなしやを大臣にお聞きしたいと思います。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

久間国務大臣 少なくとも今の時点で、自衛隊がそういう資材的な倉庫といいますか置き場といいますか、そういうのを国外に置くというふうなことはちょっと考えにくい状況でありまして、というのは、置いた以上は責任が伴いますから、それを管理するやり方をどうするか。

 そして、PKOは今、防衛省ではなくて内閣府で一応やっているわけですね。そうすると、そういうような、日本の国内の組織法との関係でもどうなのかということも整理せぬといけませんので、今おっしゃったぐらいの内容ならば、何もグアムに置いておかなくても、国内のどこかに置いておけばいいんじゃないかという議論も出てまいりますから、国際平和協力業務が本来任務になったからといって、そういうようなことを今ここで海外に求めて設置するということになりますと、非常に何かみんなに間違ったメッセージを送ることにもなりかねないので、私は、むしろここは慎重にやった方がいいんじゃないかなと個人的には思っております。

赤松(正)委員 大臣、なかなかいろいろな意味で慎重な方だなということを改めて思いましたけれども、前段の部分と今の部分と、つまり共同訓練の機会とか、あるいは自衛隊のグアム常駐というような話に至るまでのテーマと、今のテーマと、引き続き御検討願いたい、こんなふうに思います。

 最後に、先般の参考人質疑で、うちの同僚の遠藤委員と、それから軍事評論家の江畑さんとの間でやりとりがあった。ちょっと印象に残ったんですが、どなたかもこの場で議論がありました。つまり、沖縄からグアムに米海兵隊の司令部を持っていって、沖縄にはあと戦闘部隊の部分が残っているというのは、逆にした方がいいんじゃないかというようなお話があって、江畑さんも、そのとおりだ、その部分の国の説明はよくわからない、こういうふうな御発言がありましたが、私は非常によくわかるというか、今の政府の説明で十分だと思う立場なんです。

 つまり、それは、冒頭にも言いましたけれども、グアムと沖縄と両方込めて、この太平洋全体、そしてユーラシア大陸全体をにらんだ抑止力という観点でいくならば、どっちが主で従ということ、つまり全体の私の立論と関係してくるんですが、沖縄から劇的に米海兵隊を少なくするとかという発想は余り、もともとないというふうに私は思っていますから、その辺は臨機応変にやっていくということで、グアムと沖縄、両方とらえていく。こういう観点でいけば、今どうしてこうだという、両方の位置が逆じゃないかとかという発想は私にはない、こんなふうに思っているんですが、どうでしょうか。

久間国務大臣 ここは非常に答え方が難しいわけでして、というのは、やはり実際のことを考えますと、司令部機能というのは、これから先の二十一世紀のいろいろな不特定な多機能の脅威に対応するためには、幅広い分野をカバーできるような能力を持っていなければなりません。一方、我が国に置いている司令部だったら我が国のことしか考えられないということがございますから、少なくとも、司令部としてはもう少し幅広い視野を持っておかなきゃならない。ところが、日本におる海兵隊の戦闘部隊といいますか、それはやはり我が国の平和と安全のために活躍する部隊ですから、これはここに置いておいてもらいたい。

 そういうことを考えますと、今言われる、逆じゃなくて、司令部を向こうに置いておくことの方が私は合理性があるんじゃないかなというように思うわけでありまして、そういう意味では、今回のような決め方の方が結果として、これはもちろん試行錯誤でありますから、アメリカ軍の戦略ですから私たちがどうこう言うわけじゃありませんけれども、理にかなっているんじゃないかなと私自身は思っております。

赤松(正)委員 私もそう思っているわけでございまして、意を強くいたしました。

 では、以上で質問を終わります。

木村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後六時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後七時十五分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

御法川委員 動議を提出いたします。

 本案の質疑は終局し、直ちに採決に入ることを望みます。(発言する者あり)

木村委員長 ただいまの御法川信英君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより採決に入ります。

 本案に対しての賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者あり)お下がりください。お下がりください。お下がりください。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案は可決されました。(発言する者あり)

 委員会における報告書は、委員長に御一任いただくことに賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時十六分散会


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