衆議院

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第11号 平成19年5月18日(金曜日)

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平成十九年五月十八日(金曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 内山  晃君

   理事 笹木 竜三君 理事 遠藤 乙彦君

      安次富 修君    大塚  拓君

      大前 繁雄君    瓦   力君

      北村 誠吾君    高木  毅君

      橋本  岳君    浜田 靖一君

      福田 峰之君    福田 良彦君

      宮路 和明君    山内 康一君

      山崎  拓君    津村 啓介君

      長島 昭久君    前田 雄吉君

      前原 誠司君    赤松 正雄君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   防衛大臣         久間 章生君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  山本 庸幸君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  千田  彰君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  石破  茂君     橋本  岳君

  山崎  拓君     福田 峰之君

  神風 英男君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     石破  茂君

  福田 峰之君     山崎  拓君

  前原 誠司君     神風 英男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長山本庸幸君、外務省大臣官房審議官長嶺安政君、外務省大臣官房参事官伊原純一君、防衛省大臣官房長西川徹矢君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君、防衛省人事教育局長増田好平君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁施設部長渡部厚君及び防衛施設庁建設部長千田彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 きょうは、多少のお時間をいただきまして、今回当委員会に付託になりました防衛省設置法の改正案、そしてまた自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして審議を進めてまいりたいと思います。

 昨年来のこの防衛施設庁の問題、特に今回の法案ではこの問題が非常に大きな要素として入っているわけですけれども、防衛施設庁の解体は先般の入札談合事件に端を発するものであることは、当委員会の先生方も御承知のとおりでございます。

 本法律案におきましては、防衛施設庁の廃止に伴います内部部局の組織改編、そしてまた施設行政部門の政策部門との分離、そしてさらには防衛監察本部の新設、そしてまた自衛隊の共同の部隊として設置をされます部隊の業務内容等々が盛り込まれているわけでありますが、先般の防衛施設庁の入札妨害事件、いわゆる入札談合事件は、防衛施設庁の組織ぐるみの関与が明らかになったという意味で、国民の施設行政に対する信頼を損なうものであったわけであります。

 このような不正は、国民の税金の効率的な使用という観点から見ましても許されざることであることは当然でありまして、また、日々身を賭して懸命な国防の任務に従事をしております自衛隊員に対する背信行為でもあるわけであります。

 昨年初の本事件発覚以来、私も、党内におきまして、ワーキングチームのメンバーとしてこの再発防止策そしてまた一連のこの作業について参加をさせていただきましたが、やはり、今回のこの事件を踏まえまして、四つの大きな柱、これを同時並行で実施していかなければならない。すなわち、官製談合防止のための法整備、また施設行政組織に対する抜本的な組織の見直し、そして強力な内部監察体制の新設、四番目といたしまして不正の温床となります人事に対する政策に関する対策、この四つの柱が大変重要であるというふうに思います。

 まず、法整備面については、今回のこの事件、また九八年の調本事件等々を踏まえまして、また国土交通省のいわゆる橋梁談合等々も踏まえまして、官製談合防止法、いわゆる入札談合等関与行為防止法の改正がなされたわけであります。また、その際、談合の事実を知りながらその告発をしない、いわゆる不作為行為に対しましても同法の構成要件としていくことも当然その内容として盛り込まれるべきであるというふうなことで、この法改正がなされたわけであります。

 次に、組織に関する対策、二番目の柱でありますが、これについては、今回のこの防衛施設庁の解体とともに、本省におけます組織改編、また地方の組織の改編、これを同時並行で行っていくということでありますが、本省においては、地方企画局の創設とともに、予算の適正な執行を確保する体制を確立するため、施設庁の建設部を企画立案セクションと実施セクションに明確に分離をしていく必要があるわけであります。

 そして、その企画立案セクションにつきましては経理装備局、そしてまた、実施セクションにつきましては、装備本部を今回改編いたしまして装備施設本部に担わせることにいたしますとともに、地方組織につきましても、防衛施設局を解体して装備本部の地方組織とともに地方防衛局に改編すべきというふうなことで、今回のこの法律改正に盛り込まれております。

 今回の法律案はこれらの内容が反映をされたものとなっているわけですが、本法案審議に当たりまして、改めまして大臣に、今回のこの不祥事に対する御認識、御見解、そしてまた今回の法案に盛り込まれております再発防止のための組織改編に向けた大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。

久間国務大臣 今委員がおっしゃられましたように、こういうようなことはもう二度とあってはならない、今、自衛隊に対する、あるいは防衛省に対する国民の信頼が一番大事なときでありますだけに、我々としては、実態面からも、また組織的な制度面からもこれに対応しなければならないということで、先般来、検討会が設けられたようなことを着実にやっていこうとしているわけでございます。

 やはり、基本的には、防衛施設庁がそのスタートから一つの、一家として、いわゆる防衛省の一機関ではあるかもしれませんけれども、防衛施設庁としてずっと一くくりに、その中で育ってきた、そういうこともございますので、防衛施設庁を廃止しよう、そしてその仕事を、また廃止するだけではなくて、実施する部門と企画する部門とを分ける、実施する部門もまた契約を担当するところとそれ以外の部分ときちっと分けていこう、そういう形で制度的に担保しようという、そのためには法律改正が必要でございまして、先般の防衛省の設置法の改正のときに、附則ではうたわれておりましたけれども、具体的な内容を今回法案化して提出しているところでございます。これは、まさに今委員が御指摘になったその趣旨に合うようにしようとしているところでございます。

 特に、監察本部をつくりまして、部外の人事も行うことによって、防衛施設庁あるいは防衛省以外の新しい血といいますか目といいますか、そういうのを取り込もう、そういうようなこともありまして、監察本部、それの上に監察監というのを設けて対応しようとしているところでございますので、一日も早くこの法律が通りまして、私どもの考えでは九月からスタートさせたいと思っておりますので、そのスタートが可能になるように、どうぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。

寺田(稔)委員 今大臣の方から御決意のほどお伺いしたわけですが、今回の防衛施設庁の廃止は、さきの談合事案の反省と教訓、これを当然生かしていかなければならないということで、この施設庁の廃止に伴います防衛本省の組織改編によりまして、施設行政の透明性を大幅に高めていかなければならないというふうに思います。

 今大臣の方からも部外の目を入れるというふうなお話もあったわけでございますが、この透明性強化の観点から見て、今回のこの法律案は一体どういうふうに評価ができるのか、お伺いをしたいと思います。

久間国務大臣 まず、今回の法律案におきましては、防衛施設庁を廃止、統合する、そして、防衛施設庁の独自性、特殊性を解消して組織の透明性、公平性を確保することを目的としております。

 その際、建設工事の実施に関する企画立案と、実施事務並びに発注に関する積算と契約事務をそれぞれ分離するということにしております。具体的には、例えば、地方支分部局である地方防衛局において積算部門と契約部門を組織的に分離すること、それから、発注に係る相互牽制の仕組みをそれによって整備するなどの組織的な工夫を行っております。

 こういった組織改編により、御指摘の施設行政の透明性については、今までと比べまして一層の透明性が強化されるものと確信しております。

寺田(稔)委員 本法律案では、施設行政を適正に遂行する体制を強化する一つの眼目として、大臣直轄の特別の機関としての防衛監察本部を新設するというふうなことが盛り込まれているわけであります。この防衛監察本部は、防衛大臣の命を受け、各機関に対し全省的な監察を実施するものというふうにされているわけでありますが、この防衛監察本部、今回の改正の非常に大きな眼目であります。

 この防衛監察本部では、一体どれだけの人員で監察を行っていくのか、そしてまた、この防衛監察監の独立性、客観性を確保するためにいかなる具体的な措置が施されているのか、お伺いをしたいと思います。

久間国務大臣 まず、監察本部の本部長は防衛監察監という形で、それを長としますけれども、職員としては大体五十名ぐらいを考えております。予算の編成に当たっても五十名の定数を確保したところでございます。したがいまして、これは防衛大臣の直轄の組織になりますけれども、その分については実質二十名ぐらいの増員になろうかと思います。

 それから、監察の外部性、独立性、客観性を確保するために特別の機関として設置するわけでございまして、既存の組織からは独立したというか、各局から独立したような第三者的立場で全省的に厳格なチェックができるようにしようというふうにしております。

 先ほども言いましたように、直轄で、しかも既存の組織から独立したというような組織の性質にかんがみますれば、外部の人材による専門的な知見を活用することも重要であると考えておりますし、当委員会でもたびたびそういうような指摘を受けておりますから、そういうような角度から、今人事のあり方等について慎重に検討しているところでございます。

 ただ、正直言いまして、当委員会でいろいろ指摘のあった方々といいますか、いろいろなことを念頭に置いてやっておりますけれども、結構OBになられた方等は、今の公務員給与よりも非常に実質給与が高いとかいろいろなことがありまして、思うような人をぴちっと持ってくることが可能かどうか、今努力をしておりますけれども、非常に難しい面もあることもあえて一言申し上げておきたいと思います。

寺田(稔)委員 今大臣の方から、特別の機関であるところの防衛監察本部には第三者的なチェックの観点から外部の人材の登用をするということでございました。したがって、この組織のトップである防衛監察監についてはそういう外部の人が充てられることになるというふうな理解をいたしておりますが、実際、この防衛監察監の格付が非常に問題になってくるわけですよね。

 今、給与面の話も大臣の方から言及がございましたが、一体どういうふうな格付で、つまり、具体的に言うと何級職か、あるいは指定職なのか、あるいはまた、外部性を確保するための防衛監察監の位置づけが任期つき職員であるのか、あるいはまた、一体どういうふうなプロセスでもって外部の人を選ばれて、そしてまた承認をしていこうとされているのか、その点について現時点で御検討されている中身があればお伺いをしたいと思います。

西川政府参考人 寺田先生の問いにお答えいたしたいと思います。

 今現在、予算を一応お認めいただいた部分では、防衛監察監にありましては指定の六号俸をもらっております。いわゆる事務次官級という非常に高い位の方でございまして、現在、これをどういう形でということを具体的に、先ほどちょっと大臣の方から御指摘ございましたが、OBの方等は給与格差とかいろいろなものがございまして、いろいろなところで今努力して当たっております。

 一応任期つきという形になろうかと思いますけれども、そういう形で具体的に条件を示した上で、ふさわしい方ということでやろうと思っておりますので、我々としては今努力しているという形で、経過報告をさせていただきたいと思います。

寺田(稔)委員 そういうふうなことで、ぜひとも適正な方を防衛監察監に任用することによって組織の実を高めていただきたいというふうに思います。

 次に、防衛施設庁でございます。これまでもさまざまな機能を担ってまいりました。多くの局面でいろいろな仕事、防衛省が行う、あるいはこれまで防衛庁が行ってきた仕事の裏方として、目に見えない分野でも大変に尽力をされてきたわけであります。

 例えば、現在の事務所掌上、載っておる仕事を列挙するだけでも、例えば、用地の買収、あるいは米軍の場合でしたら賃貸借、また、いわゆる提供資産の整備、調整、自治体との調整。また、米軍関係施設の建設計画の調整事務。また、各種補償ですね。農業、漁業に対する補償業務、また周辺対策、民生安定対策、騒音対策、事件、事故の補償。そしてまた、国公有地の移管がえに伴います管理業務、また境界の画定、調整。

 さらには、今回、沖縄で嘉手納以南の地域が返還になるわけですが、そうした返還手続の調整、物件の撤去事務。さらには、防衛省・自衛隊関係の建設工事、測量、そしてまた周辺の緑地事業。さらには、契約、積算業務、これは今回の組織改編によっても大きく変わるところでございます。また、駐留米軍の従業員の管理統括、また米軍関係者の光熱水料の負担、また、こういった米軍関係の国及び自治体との各種対応、調整と、非常に幅広い業務を担っていただいているわけでございます。

 まずもって、これらの事務事業を担っております施設庁職員、本当に多くの職員が真摯に対応されているわけでありまして、心からの敬意を表するものであります。

 これらの十分な、必要な業務を、今後も当然これらの業務は行っていかなければならないわけでありまして、本省化された後もこれらの業務は当然必要となってくるわけでありますが、これらをいかに効率的に行っていくかというふうな観点から、私、昨年もこの質問をさせていただきました。行革の観点を考慮すると、施設庁の解体と防衛本省への統合により、単に人員を横横でお引っ越しをするだけでなくて、業務の重点化を図りながら、業務の効率化と定削、人員削減も同時並行で行っていかなければならないわけでありますが、昨年の当委員会において、こうした点について、当然そうした行革努力を行っていくべきとの御答弁、これは大臣からいただいたわけであります。

 今回、いよいよこの九月からそういったような組織改編が行われる、そして法案も提出された段階において、具体的に今私が申しました各種業務の一体どのような分野あるいは事務において、具体的にどれだけの効率化あるいは人員削減が行われるのか、お伺いをしたいと思います。

北原政府参考人 寺田先生に御答弁を申し上げます。

 その前に、防衛施設庁、生起いたしました事案にかんがみまして、今再発防止策に懸命に取り組んでおりますので、また御指導を賜りますようお願いいたします。

 今の御質問の点でございますが、先生御指摘のように、私どもといたしましては、私どもが果たしている機能を確保しながら、政府としての行政改革の方針も踏まえて、定員面において合理化、効率化に努めたところでございます。

 具体的に申し上げますと、平成十九年度予算におきまして、施設庁の各機能について聖域なく見直しを行いました。

 一点は、このたびの本省への統合に伴う総務部門の合理化によりまして、三十二名を削減いたしております。それからまた、人事、会計等の、先生が御指摘いただいた各種業務がございますが、その業務の中で例えば内部管理業務、それから施設の取得、管理、返還、あるいは周辺対策業務、さらには建設工事の契約、積算業務といった各種業務、これを合理化、効率化いたしました。その結果、ここから六十六名を削減いたしております。

 他方で、先生も御指摘をいただきましたが、米軍再編等の業務がふえてまいります。したがいまして、六名を増員ということをしておりますので、合計いたしまして、プラスマイナス差し引きいたしまして、九十二名の定員の純減を行うこととしたところでございまして、これからも業務の効率、合理化に努めてまいりたい、そのように考えております。

寺田(稔)委員 こうした合理化に加えまして、やはり今回の一連の再発防止策、入札談合ということも明るみに出た中で、やはり、予算統制の強化によります施設関連予算の効率的な使用、これも当然大きなテーマになってくるわけであります。

 この点についても、前回、当委員会で私より質問させていただきまして、当然、そういう予算の効率的使用、合理化に取り組むべきであるという前向きの答弁をいただいたところでございますが、この法案が提出された段階で、十九年度予算、実施をされているこの現時点において、より具体的なこの点についての取り組みをお伺いしたいと思います。

大古政府参考人 防衛省といたしましては、入札談合事案の反省に立ちまして、施設整備予算については、その効率的な計上及びその執行に努めているところでございます。

 一点目といたしましては、昨年七月に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針に基づきまして、防衛省の施設整備予算につきましては、防衛施設の特性に配慮しつつ、公共事業コスト縮減率を、平成十五年度から平成十九年度までの五年間で一五%縮減するということが決まっておりまして、そのことで、鋭意その執行の効率化に努めているところでございます。

 二点目といたしましては、これは予算の計上の関係でございますけれども、平成十九年度施設整備関連予算におきまして、特別な措置として、平均落札率の下落の実績を加味いたしまして、平成十八年度予算の単価に対し一〇%低減するということにいたしました。この結果として、予算計上額としては、今までの同一内容に比較しまして約百八十億円の削減が実現したところでございます。

 三点目といたしまして、これは昨年六月に防衛省で取りまとめました「防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策」におきまして、入札手続の改善策といたしまして、防衛省の行う建設工事につきましては、平成十八年度から、原則として一般競争方式による入札を行うことといたしまして、予算の一層効率的な執行に努めているところでございます。

寺田(稔)委員 九八年の調本事件を受けた調達改革では三割減という目標がございました。それは達成をされたというふうなことであります。今回の工事のコスト減によって一割減、そしてまた骨太の方針による効率化によって一五%減ですから、九八年時点から比べれば約半減というふうな形になろうかと思います。また、今の一般競争対象の拡大によって、さらなるコスト減が図られる。

 したがって、九八年時点から比べると、理屈としては、これはちょっと、随契対象のものと入札対象のものとそれぞれ区分がありますので、単純に三十足す十足す十五というふうにはいかないのはもちろん承知をしておりますが、ざっくり言って半減というふうな理解でよろしいわけですね。

大古政府参考人 先生御指摘のとおり、予算の効率的な計上と執行の効率というのは、両方足して、結果としての建設費が下がるという性格のものではございませんので、先ほど申し上げたように、実施面につきましては、平成十五年度から十九年度までの五年間で一五%の縮減を図るということと、それから、一般競争方式により原則として入札を行うことにしまして、実行額の節減に努める、こういうことでございます。予算については、実際の実績を加味いたしまして、厳しい予算の中でなるべく実施を見込める低い予算を計上した、こういうことでございます。

寺田(稔)委員 ぜひとも、コスト削減によって今回のこの改革の実を上げていただきたいというふうに思います。

 相当程度にこの実行単価も下がっているのも事実でございます。もちろん、一部資材については、ボトルネックが発生して逆に上がっている資材もあるのも事実でありますけれども、適正な単価計上と、そしてまた競争原理の導入による削減、そしてまた今回の、そうした単価減の反映プラス骨太の方針による効率化努力による減、これはオーバーラップするというより、単価減の要因と効率化要因というのはやはりそれぞれあるものと思いますので、それぞれ御努力をいただくということになろうかと思います。

 あと、今回のこの組織改編に伴い、地方の方も、防衛施設局と装備本部の地方機関を統合する形で新設されます地方防衛局、これが大変大きな改編になるわけであります。この地方防衛組織の見直しにおける、特に地方自治体との接点を担います地方防衛局がこれからは防衛行政を進めていく上で非常に重要な役割になってこようかと思いますが、この地方の組織改編についての意義について御所見をお伺いしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、昨今の安全保障環境等々踏まえまして、米軍再編あるいは多様な事態への実効的な対応など、さまざまな政策課題ができておりまして、それを今適切に対応するという意味で、地方公共団体を初め地方との緊密な関係を構築することが大事である、こういうことでございまして、この必要性というのがだんだん高まっていると我々は見ております。

 これをベースに、今回の防衛施設庁を廃止し、そして防衛本省への統合に当たりまして、まず、中央レベルでは、一つ内部部局に局をつくらせていただいた。地方においては、従来防衛施設庁にございました地方支分局の地方防衛施設局を、防衛本省の地方支分局としての地方防衛局という形で改編をさせていただいております。とりわけ中央にありましては、地方企画局、これは仮称でございますが、これを設けまして、いわゆる施設行政、従来の施設行政だけではなく、防衛省全般の業務、地方との関係というものを一元的に扱う形にさせまして、政策の企画立案の一元化を図っていきたいという気持ちでございます。

 いずれにしましても、非常に緊密化は必要であるということで、それを認識しながら、これからもしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

寺田(稔)委員 今、西川官房長の方から、まさに地方との接点を一元的に取り扱う部局として地方防衛局というふうな位置づけについて御説明があったわけです。

 そうしますと、これまでの地連、今の地協ですね、地協本部、これは御承知のように、それぞれ地方との接点として募集、援護その他必要業務を実施していたわけですけれども、この地協は、今度新設をされます地方防衛局の傘のもとに置かれるのか、あるいは、地方防衛局とは並立、併存する組織として地方協力本部、かつての地連というものが存在するのか。ちょっとその点について、確認ですが、お伺いをしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、地方協力本部と、いわゆる新たにこれからできます地方防衛局との関係ということの御質問でございましたが、去年七月三十一日に発足いたしましたこの地方協力本部、ここにつきましても、先ほどちょっと御説明申し上げましたが、昨今、地方との絡みが非常に多くなった、連携が非常に大事だ、こういう観点のもとに、従来の地方連絡部に、いわゆる募集等のものにプラスアルファで、広報的なものとか、そういう新たな任務をアドオンしまして、そして発足しました。

 今回の地方防衛局につきましては、これは施設庁の分野、それから新たな我々の防衛行政の中の地方との調整というものでやっておりますので、どちらかといいますと、地方協力本部の方は現場に相当近いようなところでございますので、これはそのまま置いて、先ほどちょっと、去年つけ加えた広報だとかそういう分野については、これは、今回設けます地方防衛局の方で一応統制、そこについてはいわゆる指示等の上下関係で見ていきますが、従来の募集とかそういうものは従来の形で残していく、こういう、ちょっとやるフェーズが違いますので、これは一応共存させて、なお効率化を図る、あるいは連携を図るという意味で、地方防衛局とそういう関係を密にする部分については密にさせる、こういう形であります。

寺田(稔)委員 募集等は引き続き別建てでやっていくということなんですが、今回、防衛庁が省に一月九日移行し、自衛隊員の皆さんが自信と誇りを持って国防の任務に当たる基盤整備ができたわけであります。そうした隊員の皆さんの真摯な努力に報いるためにも、また、国防の任務のみならずさまざまな任務に自治体との協力関係のもと従事をしている自衛隊員の皆さんのためにも、自衛隊のいわゆる人的側面、特に処遇面の改善等についても真摯に取り組むべき時期が来ているというふうに考えられますが、この大臣の御所見をお伺いいたします。

久間国務大臣 このことにつきましては私も大変気にしております。防衛省・自衛隊において、この厳しい勤務環境においても隊員が誇りを持って安心して職務に従事できるような適切な処遇が、今の段階でもなされておると思いますけれども、これから先もよくそういうことができるように、平素からやはり留意していかなければなりません。現在の状況でいいのかどうかということについては、絶えず検証しているところでございます。

 そういうようなことに加えて、任務の多様化、国際化、それから装備が高度化するというような、そういうのに対応できるためには、質の高い人材を確保して育成していくことが必要でございます。

 そういう点で、これから先進む少子化、そういうときに果たして十分確保できるだろうかというようなことを考えまして、今、私を長として、防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会というのをつくりまして、有識者の皆さん方というか、これまた有識者というとすぐあれですけれども、要するに、いろいろな方々の御意見等を、また民間から見た場合の目といいますか、そういうのも含めて御意見等を出していただきまして、ライフサイクルも変化してきておりますから、若年定年制の今のあり方、それから女性自衛官のさらなる活用、あるいは今の階級制の問題、給与体系、定年退職後の生活も含みますライフサイクル、退職後の経済的な問題、こういったことについて検討を行っているところでございます。

 こういうようなことを通じて、引き続き精力的に検討を進めて、ことしの夏ぐらいをめどに一つの方向といいますか取りまとめを行いたい、そう思っておるところであります。

寺田(稔)委員 ぜひともそういう方向でやっていただきたいと思います。

 今般明らかになりましたイージス艦の関連情報の漏えいの問題でありますが、前回行われました一般質疑でも論議されたわけでありますけれども、いわゆるリンク16及びベースライン7を前提とした情報であるとはいえ、やはり事態は極めて深刻、重大であります。

 今回ワシントンで開催されました2プラス2及び日米の防衛相会談においても、そういった秘密保全のための協定締結につき合意がなされるとともに、こうした事件の再発防止についても話し合われたというふうに思うわけでありますが、ぜひ、今回のワシントンにおける秘密保全についての2プラス2及びバイの会談におけますやりとりも含めて、こうした事案に対する防衛大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

久間国務大臣 先般行われました防衛首脳会談におきまして、私の方から、やはりこれから先情報を共有していかなければならないときに、アメリカから得た情報等についてはもちろんのこと、我が自衛隊の情報についても、とにかく秘密保全といいますか、漏えいのないようにしなければならない。そういう中で、このイージス艦に関する漏えい事案というのは極めて申しわけない、遺憾なことであるということを申し上げました。ただ、これについては今捜査が行われているので、この捜査結果を待って対応しますと。

 それと同時に、これまでもこういうような、いわゆる本当の意味での秘密漏えいじゃございませんけれども、それに至らないまでも、インターネット等にウィニー等で流れてしまったというような、そういうようなことについては従来から対策を講じてきておったということで、大古局長の方からも、アメリカ側にどういうことをやってきたかということを説明しながら、これを徹底していきたいということを申し上げたところでありました。

 しかし、いずれにしましても、過去のこととはいいながら、まだ徹底がされていない点がありまして、もう私有のパソコンは使わないというようなことにしておるわけでございますけれども、かつて私有パソコンを使っておったときに持ち出した可搬媒体ですね、それについてはうちに持ち帰ったものも廃棄しているかということで、各部隊等を通じながら徹底しておりますけれども、みんなもう処分しましたという返事が来ているにもかかわらず、処分していなかったという事案があります。

 それをどうやって徹底するか、これはなかなか難しいんですけれども、一々個人の家まで行って全部を調べ直すというわけにはいかぬわけでございますから、やはりこれはもう、もう一回再度徹底してくれということで、今私が指示文書を出しまして、各部隊の長から各部下に、そしてその部下の方からまたその下に、これをもう繰り返し繰り返しやる以外に徹底できないんじゃないかなと思っておりますので、今そういうことを繰り返しておりますし、また、私をヘッドとするこの情報漏えい全体についての対策会議をもう一回つくろうということで、今会議を立ち上げたところでございますので、これから先、この情報の保全につきましては、とにかく遺憾のないように、もう本当にやっていこうと思っております。

 これは、一つにはやはり意識の問題が一番あるんじゃないかなと思っております。先般出ました、これはビデオでございましたけれども、平成十二年のころのビデオですけれども内部の資料、これは秘密じゃないんですけれども、秘密の指定もあっていませんから、出たからといってこれが罰則になるわけじゃございませんが、内部の資料を外に持ち出すということ自体が非常に不見識だというようなことで、ちょっとした気の緩みがやはりそこにはあるんじゃないか。これはいつの時点かわかりませんので一概に言えませんけれども、今、そういうことで、そういうことの二度とないように、何回も何回も繰り返しやっているところであります。

寺田(稔)委員 ぜひ、こうした情報漏えいを根絶するためにも、そうした取り組みを強化していただきたいと思います。海自のみならず空自についてもこういった事例が出ておりますし、また陸自についても、五年前のIPアドレス流出事件等あったわけであります。これまでも幾多の再発防止策が施されたにもかかわらず多発をしているというふうなことで、今、大臣の方からも、みずからのリーダーシップで抜本的な解決策に取り組まれるというふうなことでございます。

 ぜひともそうした抜本策を施していただきたいと思いますし、自分の私有パソコンに持ち帰るケース、これはぜひとも根絶をしなければならない。まさしく持ち帰ることによって、単にソフトを処分しただけではだめなんですね。機械のハードの方にも情報は残っております。先般も防衛省にお伺いしたら、ハードの方の処分についてはなかなか十分に追跡できていないというふうなことも言われておりましたので、ぜひ、ハード、ソフト両面、そういった事例の根絶に向けて御尽力をいただきたいと思います。

 また、こうした情報漏えい事案に加えまして、これは本当にごく一部のケースかと思いますが、昨年も薬物事案、こういったような事案についても、十分な内部の啓発、研修、また内部監査を強化していくことによってその根絶を図るとともに、当然のことながら、高いモラルと士気を保持するために、隊員の皆さんに対しても十分な教育訓練を施していただくことをお願い申し上げまして、きょうの私の質疑を終えたいと思います。

木村委員長 次に、遠藤乙彦君。

遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に関しまして、質問を進めさせていただきます。

 寺田委員からも総括的に御質問がございましたが、ことし、五十年来の懸案であった防衛省昇格が実現をいたし、これは大変喜ばしいことでありますけれども、そうなった以上、これは大臣が常におっしゃっておられる政策機能の強化ということと、もう一つはモラルの向上、この二点において目に見えた形で前進がなければ、逆に、防衛省昇格は厳しい評価が下るのではないかと思っておりまして、ぜひ心してこれを進めていただきたいと思っております。特にモラルの問題は、今国民の大きな期待が防衛省にあるわけであります。これを裏切ることがないように、ぜひとも心して取り組んでいただきたいと思っております。

 昨年、大変な問題になりました防衛施設庁の入札談合事件を受けまして、施設庁は、逮捕、起訴された幹部職員二名を懲戒免職にしたほか、過去にもさかのぼって、談合に関与した関係者及び指揮監督責任を有した職員、合計八十二名の処分を行ったと聞いております。

 施設庁による談合は、これまでも伝統的に行われてきたことを考えますれば、ある意味で、同庁の体質となっていたというふうに言わざるを得ません。関与した職員の処分を超えて、今般、組織そのものを廃止したことは当然の措置であろうと考えております。

 今般の防衛省設置法改正案によりまして、これまで防衛施設庁が担ってきた機能は主に防衛本省の内部部局が引き継ぎ、また、施設庁の職員だった人は、処分を受けた人も含めて防衛省の職員となったわけでありますけれども、防衛施設庁が持っていた談合体質が、この組織改編によって、防衛省に根づくことなく、いかに排除されるかという点が大事であるかと思っております。

 確かに、今回、組織改編によりまして、チェック機能の組織はとりあえず整備された。しかしながら、人の問題、意識の問題、体質の問題、さらに組織文化の問題、これを本当に変えていかなければ、今後とも問題の発生があり得るわけでありまして、ぜひともそういった組織文化の改革という点につきまして本格的に取り組んでいただきたいと思っておりますが、そういった点、どのように今後進めていかれるのか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

久間国務大臣 今度のこの法律が通りまして、防衛施設庁が正式に廃止、統合されるということになりましたら、それを機会に、防衛施設庁の職員についてもそうですけれども、防衛本省の職員も含めて、なぜこういう形で組織が統合されたかという原点に戻って、そういうことから教育といいますか、みんなに意義の徹底を図ることによって、先般行われた、ああいう談合問題を初めとする不正が今後行われないように、そういうモラルの点での、意識の面での改革を行っていきたい、そう思っているところでございます。

 組織まで改廃してやるわけですから、それをやはり可として、そういう機会をとらえて、災い転じて福となすような、そういう方向に持っていきたい、そう思っております。

遠藤(乙)委員 大臣の言われる広義の教育、これが一つの決め手だと思っておりまして、具体的なプログラムとかさまざまな研修等、ぜひ今後検討していただいて、徹底的に組織文化の改革ということに取り組んでいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、もう一点ですけれども、この入札談合事件を受けまして、国土交通省を初めとする国の発注機関、地方公共団体等では、関与した企業への指名停止措置をとったわけでありまして、対象となった業者が非常に広範であったために、大規模事業を競争入札により発注しようとした際、対象業者数の不足が生じて、逆に、事業の発注が見送られるといった事態もあったと聞いております。このことは、見方を変えれば、大手ゼネコンなどに再就職し、談合という違法な入札にかかわった防衛施設庁やかつての防衛庁、また、自衛官など防衛関係者OBが数多くいるという実態を物語っているのではないかと思います。

 入札談合に関与した企業に対して、防衛省は有期の指名停止措置をとっておりますけれども、談合の芽を徹底して摘み取るためには、例えば、自衛隊法第六十二条第二項の規定にあります、離職後二年間は、防衛本省または防衛施設庁と密接な関係にある企業等に就職できないとする規定を、さらに規制を強化していく必要があるのではないかと考えております。

 確かに、一面、そういった自衛官あるいは防衛省OBの人たちの再就職はぜひとも支援していく必要があるかと思っております。当然、生活の問題、処遇の問題がありますので、そういった点をしっかりと、やはり国のために働いた人たちについてはきちっと支援をしていく必要があるとともに、他方、直接防衛本省または防衛施設庁と密接な関係にあった企業に再就職を規制する部分については、これは逆に規制を強化していく必要があるかと思っておりますけれども、この点につきまして、大臣の御見解を伺いたいと思います。

久間国務大臣 公務員とその再就職の問題につきましては、公務員全体について今法案を、四月何日でしたか閣議決定して、国会に出しておるところでございます。

 そのときに、自衛隊については特別法がございまして、いわゆる特別職の扱いになっておりますので、一応あれから外れておりますけれども、その閣議決定をするときに、自衛隊員である公務員についても速やかに対応するということになっておりますから、あれに準じた形で対応しなければならないというふうに思っておりますので、その法案の審議を見ながら、我々としてもその方向でやっていこうと思っておりますから、その中で、今おっしゃられましたようなことは十分、向こうの方でも入っておりますので、我々も対応したいと思っております。

遠藤(乙)委員 ぜひその方向で、国民が納得し得る議論をひとつお願いしたいと思っております。

 続いて、防衛監察本部につきまして質問したいと思います。

 今回の法案によりまして、防衛省は、予算の適正執行を確保するための会計監査業務とか、法令遵守に関する監察業務を行う新たな組織を立ち上げることになったわけです。これが防衛大臣直轄の独立性の高い防衛監察本部であり、防衛監察監を筆頭に五十名程度の職員が配置されると理解をしております。防衛監察監には相当大きな監察権限が付与される必要があると思いますし、また、高度の専門知識が求められるわけでありまして、それと同時に、監察の対象部局からの独立性も重要なファクターになると思っております。

 こういった要件を満たすためには、防衛省関係者ではなく、できる限り、検察官とか裁判官など司法関係者、あるいは公認会計士の資格を有する者の中から防衛監察監を人選すべきではないか、あるいはスタッフにもそういった人々を多数登用すべきではないかというふうに今考えておるし、これは以前にも御質問申し上げました。

 ただ、給与の面等があって、トップにはふさわしい人材を持ってこれるかという現実的な悩みがあることもよく承知をしております。トップではなくとも、実際のスタッフに優秀な若手のそういった司法関係者を引っ張ってくる。例えば、法務省と人事交流をして、地検特捜部に行くような連中を少し引っ張ってくるとか、そういう人事交流によって優秀な人材を引っ張ってくることは可能だと思います。

 そういった点につきまして、どのように防衛監察本部を現実的に機能させていくか、特に人材面でどのように考えているかという点につきまして、大臣のお考えを伺いたいと思います。

久間国務大臣 先ほどの寺田委員の御質問に事務方でも答えましたように、今おっしゃられましたような内容も含めて一生懸命努力しているところでございまして、監察本部が初めてスタートするわけでありますから、それにふさわしいような陣容になっているように、皆様方から見ても、うん、これならというようなそういう批評をしてもらえるような、そういう気持ちで今取り組んでいるところでございますので、まずその成果を上げたいと思っているところであります。

遠藤(乙)委員 大臣の今の抱負をしっかりと受けとめましたので、我々も期待を持ってウオッチしていきたいと思っております。

 続きまして、先ほど寺田委員からも御質問がありましたが、軍事機密情報漏えい関係でございます。

 防衛省にとって、私は、二大不祥事、防衛省は、当然人間の組織ですからいろいろな不祥事があると思いますけれども、談合問題と情報漏えい、これは特に防衛省の存立にかかわる大変大きな問題であると思っております。先ほどの談合問題に対する姿勢とともに、情報漏えいに対しても、これは国際的な信頼にもかかわる話ですので、ぜひとも取り組みをお願いしたいと思っております。

 先般、2プラス2で軍事情報包括保護協定、いわゆるGSOMIAというのが締結をされる。これは当然だと思っておりますが、やはりこの具体的な受け皿、具体的な考え方をしっかりと徹底させていく組織的工夫あるいは教育的工夫というものがぜひとも必要であると思っております。

 そういった意味で、例えば、今回の防衛監察本部に類した情報保護官、情報保護本部といったようなものを設けるか、あるいはまた防衛監察本部それ自体にそういった情報漏えい対策の機能をしっかりと遂行させるかといった考え方があるかと思いますけれども、こういった点につきまして、今後の情報管理体制のあり方、組織の面あるいは教育の面、改めて大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

久間国務大臣 情報の漏えいはあってはならないわけですから、それについては、やはり教育を通じて、あるいは日ごろからの徹底をしてやらなきゃなりません。

 それと同時に、意図的に情報を漏えいすることについては、やはり罰則もきちんとあるわけでございますし、それに基づいてやらなきゃなりませんが、情報漏えいをさせないために目を光らせるという形になりますと、ある意味じゃ、非常に暗いといいますか、だれかが監視していて、もうスパイ活動しておりゃせぬかということでずっと日ごろから監視するような、そういうイメージを与えますと、これは職場においても暗い感じを与えますから、そういうことはしないできちんと守られるような、そういうことにしなきゃならないんじゃないかと思っております。だから、そういう意味で、監察組織といいますか、そこを強化するということとはちょっと違うような気がいたします。

 それと、今までのものの漏えいのほとんどが可搬媒体といいますか、そういうものを勝手に持ち出してやったものですから、ソフトの面で、そういうものを持ち出したときには、それがもう機能しないようなソフトを今導入してやろうとしておりますので、それを一日も早く全部に徹底できるようにしたいというのが一つでございます。それと同時に、本当に意図的に秘密を漏えいして第三国に渡すというような、そういうことはあってはならないわけでございますから、それについては、やはり秘密に携わる人の人選、それも含めて徹底を図っていきたいと思います。

 ただ、秘密漏えいを守るために何かの組織をつくって目を光らせるというような、そういうやり方ということを言いますと、そこはちょっと違和感を感じますので、その辺については、そこまでは、余り組織をつくって云々というようなことは今のところ考えているわけではございません。

遠藤(乙)委員 暗い防衛省になっては困るので、明るい防衛省として頑張ってもらいたい。そういった意味では、確かにおっしゃるような形は余り好ましくないかもしれないけれども、基本的に情報管理に対する教育というのが大変大事なことだし、また日進月歩する技術の面でいろいろな工夫はあり得ると思いますので、そういった教育はぜひとも必要ではないかと思っておりますので、明るい防衛省を目指しつつ、ぜひ情報管理体制の確立をしっかりとお願いしたいと思っております。

 そこで、残された時間、あとわずかになりましたが、先般総理が訪米した際に、首脳会談が行われ、かけがえのない日米同盟ということがうたわれました。それは非常に結構だと思います。その中で、安倍総理から戦後レジームの脱却ということを発言されております。これがまた日米関係、安全保障面にもいろいろ影響があり得る、きょうも多分その一環だと思いますが、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会が開かれると聞いております。

 そこで、この戦後レジームの脱却、これは具体的に何を意味するのか。特に日米同盟あるいは安全保障問題の中で、戦後レジームとは何か、また、そこからの脱却とは何か、どういう志向性を持った考え方なのかということにつきまして、大臣は安倍内閣の一員でございますので、当然総理のお考えをよく理解されていると思いますけれども、ぜひ、そこら辺につきましてひとつ御教示をいただきたいと思っております。

久間国務大臣 確かに安倍内閣の一員でございますけれども、言葉の持つ意味を細かく一緒に共有しているかどうかになりますと、そこは若干違うのかもしれません。ただ、言えますことは、戦後六十年たって、あの当時でき上がった制度というのは、やはりその当時の背景ででき上がっておるわけであります。しかしながら、今日では安全保障をめぐりましても、あの当時ですと、東西冷戦が一番典型的でございますけれども、それでなくても国対国の形でのいろいろな対立、それを前提として安全保障体制というのは考えられておりました。

 しかしながら、今はもう本当に複雑で、国ではない、そういうようなことに対しても対応しなければならない。テロももちろんそうですけれども、例えば、テロだけではなくて、インターネットを利用した金融なんかについても、本当にあるとき突然攻撃がしかけられるというような、そういうことだってあるわけでありますし、また、生物化学兵器じゃございませんけれども、とにかく、昔の武器を使ったような形でない形で混乱を巻き起こして、その混乱によって相手にダメージを与えるというような、そういう予想できなかったようなこともございます。

 そういうのを考えたときに、従来の、わかりやすく言うと日本国憲法で禁じられている集団的自衛権というのがどんなものなのかということについて、あの当時の概念と本当に一緒なんだろうかと、憲法で禁止されているのはこういうものであって、ここまでは憲法は禁じていないんじゃないかとか、いろいろな角度から研究する時期に来ているんじゃないかというふうに総理は言われて、いろいろな方々の意見を聞きたいという話でございましたから、私は、それはそれで時宜に適したことなんじゃないかなというふうに御返事を申し上げたこともございます。

 そういう懇談会がきょう十時から開かれて、総理は、四類型といいますか、あるいは四分類といいますか、そういうようなことをパターンとして示されて意見を聞くんでしょうけれども、これに限らず、それ以外の分野も含めて、これから先はそういういろいろな議論をするというのは非常にいいことじゃないかなというふうに思っております。

 もちろん、それが現行憲法に抵触する場合は、我々は、政府としては、現行憲法下で行政を行う、そういうことを義務づけられておりますからそれはできませんけれども、憲法でもそこまでは禁じていないんじゃないかということだってあり得ると思いますので、幅広くいろいろな討議がされるんじゃないかと思って、それを見守っていきたいと思っているところであります。

遠藤(乙)委員 大変わかりやすい御説明だったと感謝をしたいと思っております。私なりに受けとめると、要するに、東西冷戦のもとででき上がったさまざまな考え方、それが今、東西冷戦が崩れて、危機も多様化し、不確実性が増し、アメリカ自体が、米軍自体が今、トランスフォーメーションあるいはグローバル・ポスチャー・レビューということで大きなパラダイムシフトをしているという中で、日本としても、新しい安全保障環境の中で、必要な法的整備ないしさまざまな防衛面での見直しは必要だろう、それはよく理解できる話だと思います。

 公明党の立場としては、集団的自衛権は踏み込むべきではない、現行憲法をしっかりと遵守すべきである。ただ、今までの、戦後積み重ねてきた憲法解釈、特に湾岸戦争以降、派遣と派兵の違い、武力行使と武器使用の違い、それから武力行使と一体化する後方支援とそうでない支援、後方地域支援、非戦闘地域と、いろいろ具体的な事例に即していわば積み上げてきたという実績があります。

 ただ、その中であっても、今の積み上げが必ずしも現行憲法そのものをすべて完全にクリアにしたかという点は、必ずしもまだ私はそうではないと思っておりまして、現行憲法下でも、例えば、国際平和協力でさらにできること、あるいはまた、日米同盟の中にあってもさらに協力を強化できる部分はあり得ると思っておりまして、そういう分野をしっかりと議論していくことは、私は非常に意義のあることだと思っておりまして、国民にもわかりやすい。それを、集団的自衛権に踏み込むという何か旗印を持ってやるから非常に反発を食うし、おかしくなると思うので、冷静な、しっかりと現実に即した、しかも現行憲法をしっかりと踏まえた上での議論、そういうことであれば、これは十分時間をかけて国民的な議論をしていくべきだと思っております。

 安倍総理も本来そういうことだろうと思って、マスコミがかなり集団的自衛権と騒ぎ過ぎているんではないかという気がしておりまして、多分、法制局の解釈も、私自身の思いでは、もうちょっと行けるところを、まだ免許じゃなくて若葉マークをつける、そういう趣旨で非常に安全係数を高くとっているという感じもしております。それも、若葉マークを外すという意味で、どこまで現行憲法で行けるかということは、大いに議論すべきである。

 例えば、武器使用の概念なんかは非常に議論の余地がありますし、また、後方支援の性質からくる見直しも大いに議論すべきだろうし、国連が人道支援活動を行っている、そういうような啓蒙活動をどうするかとか、それはいろいろなケースがあり得ると思いますので、ぜひそれは今後しっかりと、そういう冷静な、しかも現行憲法の枠を踏まえた議論をしていくということを、特に大臣はそういった面での影響力をぜひ発揮していただきたいと思っているところでございます。

 各論を議論しようと思っておりましたが、時間がありませんので、申しわけないですけれども、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。

木村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十九分開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前原誠司君。

前原委員 民主党の前原でございます。

 きょうは、久間大臣に、主にミサイル防衛、PSI、そして、時間があれば米軍再編に伴う基地再編について質問させていただきたいと思います。

 まずは、このミサイル防衛を議論するに当たりまして、北朝鮮のこの間の軍事パレードの中で確認をされたムスダンという新しいミサイル、これはいろいろなところで報道されて、アメリカも確認をしたということでございますが、これについて、事務方で結構でございますが、今、日本で知り得る情報というものをお教えいただきたいと思います。

大古政府参考人 北朝鮮の新型中距離ミサイルということで、射程としましては、はっきりはわかりませんけれども、大体三千キロから五千キロぐらいと言われているというところが防衛省として把握している情報でございます。

前原委員 何基ぐらい今あると想定をしていますか。それと、テポドン2とこのムスダンとの違いは、どういう把握をされていますか。

大古政府参考人 この新型中距離ミサイルにつきましては、開発中ということで、配備されて、その機種は何かということについては防衛省としては確認しておりません。

 それから、テポドンとの違いでございますけれども、テポドンにつきましては、北朝鮮がノドンで使った技術を踏まえまして自主開発しておりますけれども、この新型中距離ミサイルについては、ソ連からの技術を供与されたというふうに一般に言われていると思います。

前原委員 安全保障委員会で、特にミサイル防衛という巨額な費用を使って日本のミサイル防衛網を整備しているわけでありまして、その想定している国は北朝鮮であります。したがって、北朝鮮の新たなミサイル開発の動きについては、やはりしっかりと逐一国会に報告をしていただくということで、これからそういう姿勢で臨んでいただきたいということをまずはお願いしておきたいと思います。

 久間大臣、ゴールデンウイークにはアメリカに、ワシントンに行っておられて、タンパにも行かれたということでありまして、2プラス2の会合、そして日米防衛首脳会議を行われたということでございます。その中で、私も同時期にアメリカ・ワシントンにおりまして、ミサイル防衛についてさまざま意見交換をしてまいりました。

 その中で、これは以前から言われていたことでございますけれども、北朝鮮が発射をすれば七、八分で到達をするということの中で、それは、日本のものであろうがアメリカのものであろうが、イージス艦、あるいはセンサー、衛星、あるいはPAC3、あらゆるアセットというか道具を投入して遺漏なきように対処するということが必要なんだろうと思います。

 そのときに、C2BMCということがよく言われます。コマンド、コントロール、バトル、マネジメント、そしてコミュニケーションということで、C2BMCであります。

 私もローレス国防副次官とお話をしたときに、彼が言っていた言葉で頭に残っている一つの言葉は、日米の協力というものは、技術的な問題というよりも政策的な問題であるという言い方を彼はしておりました。つまりは、お互いのC2BMCをどのように具体的にできるだけ早く詰めていくのかと。つまりは、ハードをそろえていっても、このC2BMC、日米の統合運用というものがしっかりなされなければいけないんだろうというふうに思います。

 そこで、質問をしたいわけでありますけれども、ミサイルを撃ち落とすに当たってのC2BMCを具体的に、まだアメリカとは話ができていないと思います。もちろんPAC3も入間に一ファイアユニットだけしか配備されていませんし、日本のイージス艦もまだSM3が搭載されていない。したがいまして、現段階においては、センサー、これはアメリカ、日本両方、衛星、これも両方あります、それとPAC3は嘉手納にアメリカが持っている、あとはSM3配備のイージス艦は、横須賀に配備している米軍のシャイローというイージス艦、これだけになるわけであります。

 これから整備をしていく中で、このC2BMCというものが大変重要になってくると思いますが、このシステム設計をいつまでに完成させようとされているのか。その点について、まずお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 たしか十六年度の予算からこれは始めたんだと思いますけれども、我が国が全部を完備しますのは二十三年度ですけれども、それをもう少し前倒しして二十二年末にはある程度のことは進めなきゃならないと思ってやっております。

 とにかくその完成前には、すべて運用面まで含めてうまく機能しなきゃなりませんから、今回の2プラス2でも、こういった情報をどういうようなスケジュールで、どういうふうにお互いが持ち合ってまた運用していくか、こういうことについても、やはりロードマップをつくってやっていかなきゃいかぬ。これはもちろん、BMDについてだけじゃなくて、ほかの面も含めてですけれども、そんなことを言っているわけであります。

 今言うように、我が国が急げば急ぐほど、早目に完備しなければならない、そう思っているところで、今、いつまでということをちょっと私の方から言いにくい状況で、できるだけ早く、我が国にPAC3、SM3を配備するテンポに合わせてこれも完備したい、そう思っているところであります。

前原委員 その際に、前提として大事になってくるのは、三自衛隊の統合というか、情報交流が自動的に円滑に行われるということが大事なんだろうと思います。

 海上自衛隊においては、米海軍とかなり密接に連携をして、ネービー・ツー・ネービーで情報がリアルタイムに流れるということもやっている。しかし、アメリカと日本のネービー・ツー・ネービーではうまくいっていても、では、海上自衛隊と陸上自衛隊あるいは航空自衛隊、この三自衛隊、特にミサイル防衛になれば、先ほど申し上げたように、すべてのアセットを投入して七、八分で飛んでいるものを撃ち落とさなきゃいけないということになるわけですね。

 ということになれば、その情報がアメリカの情報であろうが日本の情報であろうが、あるいは撃ち上げるのがアメリカのイージス艦であろうが日本のイージス艦であろうが、とにかくたたき落とす、迎撃をする、これが最終の目的でございまして、どちらがどうなんということを言っていられない。

 ただ、そのときに、自衛隊の中の情報交換というものが果たして、ちょっと特異な言い方になるかもしれませんが、同じ言語で、共通言語でやりとりされているのかという問題点があるわけでありますが、この陸海空のいわゆる情報交換においてそごはあるという認識を私は持っております。しかしこれは、共通言語が使われるようにしなくてはいけないと私は思っておりますけれども、その点について、大臣の現状認識、取り組みをお教えいただきたいと思います。

久間国務大臣 今の時点ですべてうまくいっているかどうか私も自信がございませんが、やはり、部隊の統合運用という形で統合幕僚長を置いてやっとスタートしたばかりでございますけれども、我が国の場合は比較的早くそういう運用は可能になってきていると思いますので、現時点で、何かそごがあるのかどうか、具体的なケースとしてまだ聞いておりませんけれども、これから先、その辺をもう少し詰めていこうと思います。

 最近は大分変わってきているんじゃないかなと思います、特にそういう情報面での連絡等については。その辺は、もしあれだったら、現在の運用状況について事務方から答弁させます。

前原委員 今の状況について、結構です。とにかく、私の認識では、統合は確かに進んでいる、しかし、陸海空の共通言語というものはまだ確立をされていない。特に、時間を争う、一分一秒を争うミサイル防衛を前提とした場合においては、先ほど大臣がおっしゃったように、すべてのアセットがある程度整ってくる段階までには、まずは身内の情報交換というものが自由に行われるようにしなくてはいけないということで、御努力をいただきたいと思います。

 それから、次に大事になってくるのは日米の情報交換ということであります。ここで私が若干気になったのは、これももし大臣が御存じなければ事務方で結構でございますけれども、ローレス国防副次官が言っていたのは、これは私の認識と違ったんですけれども、早期警戒衛星、熱感知の高高度の警戒衛星、これはアメリカしか持っていません。この情報と、あとは青森県の車力に置いてあるXバンドレーダー、これの情報は今でもリアルタイムに日本に流している、こういう言い方をしていました。本当かと言ったら、確認をしてそうだというふうに言っていましたけれども、私が制服の方から聞いたら、そうではありません、こういう答えでありました。つまりは、リアルタイムでは来ていないということであります。

 アメリカは高高度の静止衛星の情報あるいはXバンドレーダーの情報はリアルタイムで流していると言っているけれども、制服の方から話を伺ったら、それはできていないということでありましたけれども、実際はどうなのか。

 そして、このことについては、やはり私は、繰り返し申し上げますけれども、飛んできたら七、八分で落とさなきゃいけないということになれば、これは、アメリカとの一体化というものがいいのか悪いのかという、イデオロギー的ないろいろな、賛否両論があると思いますけれども、事ミサイル防衛について言えば、これはもう一体化していかざるを得ない。それでなければミサイル防衛を導入した意味は私はないというふうに思っているわけです。ここはしっかりと腹を決めて、日米間の情報交流の一体化は進めていかなきゃいけないというのが私の考えです。

 そのときに、今申し上げた早期警戒衛星あるいはXバンドレーダーの情報が、本当に役に立つ形でリアルタイムに流されているのかどうなのか、その点について、大臣、お答えをいただきたいと思います。

久間国務大臣 アメリカとの情報交換については、こちらのこういうのを欲しい、こちらもこういうのを欲しいと、お互いがギブ・アンド・テークのいろいろな関係もございまして、微妙なところがございます。

 今言われました中で、Xバンドレーダーについては、車力のものですね、これはもらっておりますけれども、衛星のものについてはリアルタイムでこちらに来ているわけじゃないわけでして、そのためにはこちらの条件を何とかという話もいろいろありますので、やはりこれから先、完全とまではいきませんけれども、お互いできるだけ手のうちを交換しながら対処できるようにしていかなきゃならない。

 そのときのボトルネックになるようなことのないようにはしようと思っておりますが、やはり自分のところの情報は、それぞれができるだけ高く相手側に見せたいというのは、これはわからぬでもないわけでございますから、いろいろな問題がやはりあるんだろうと思いますけれども、現在、今言われたとおりではないということであります。

前原委員 今大臣がお答えをされたように、アメリカ側からすれば、欲しいのは日本の防空情報、バッジの情報なんだろうと思いますね。しかし、ミサイル防衛を、撃ち落とすということになれば、先ほど申し上げたように、高高度の静止衛星あるいはXバンドレーダーのみならず、さまざまなセンサー、目でとらえたものについての情報が、リアルタイムといって、それはやはり映像で流れてこないと意味がないわけであります。

 そういったやはり双方向の、どこでギブ・アンド・テークするかということは、極めて、戦術性なのか戦略性なのかわかりませんが、交渉の余地もあることだと思いますけれども、そういったものについては、先ほど高高度の静止衛星の情報はリアルタイムには来ていませんということでありましたので、あれが熱感知で一番早いわけですね、雷も反応するという話ですから、そのより分けというのは大事だと思いますけれども、そういう意味では、ぜひ、アメリカの持っている情報をしっかりと入手し、そして我々の持っている情報も、どれだけ出すかというのは交渉事の中でしっかりと、何度も申し上げますけれども、七、八分で飛んでくるものを遺漏なきように撃ち落とせるものにしなきゃいけない。

 そのときに、例えばイージス艦、これはアメリカのもの、日本のもの、どちらのものになるかわかりませんけれども、撃てという指令をするわけですね。これは当然ながら、法律ではもう、自衛隊法の八十二条の中で改正をして、事前閣議決定をして、そして時間のないときには現場の指揮官がということになっているわけでありますけれども、これはアメリカが得た情報で撃つ場合もあり得るわけですね。

 つまりは、一体的に統合的に運用されるということになれば、日本のアセット、つまりは、日本のイージス艦がアメリカの指揮官、今度府中の航空総隊司令部を横田に持っていってまた共同でやっていくということになるわけでありますが、アメリカの指揮官の命令で日本のいわゆるSM3を撃つあるいはPAC3を撃つということは、私はあり得ると思うんですね。また逆もあり得ると私は思うわけです。

 つまりは、日本の司令官がアメリカのイージス艦に対して撃てと、私は、逆に言えばそこまで一体化しないと七、八分というのは無理。あるいは、向こうはデコイも含めて、おとりも含めて撃ってくるかもしれない。しかも、撃ってくるときには何十発も撃ってくる可能性があるということになれば、どれが核弾頭なのか、どれがおとりでないのか、あるいはどこを捨ててどれを集中してたたくのかということは、相当戦術的な瞬時の判断をしなきゃいけないということになれば、先ほど申し上げたように、アメリカの指揮官が自衛隊に対して撃てという、そして日本の指揮官が、自衛隊の指揮官がアメリカの部隊に対して撃てということはあって当たり前なんだろうと思うんですね。それは統合運用を突き詰めていけばそういうこともあり得る、そういう認識を持っておられますか。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

久間国務大臣 そういう認識自体は持っております。しかしながら、それは撃てということじゃなくて、撃つべきだという指令であって、撃つか撃たないかの決定はこちらにやはりゆだねられている。こちらの場合も向こうにゆだねられている。今の日米の関係では、そういうふうに双方が主体的に判断するという建前になっておりますから、現実には、そういうときの判断は瞬時にしてやらなきゃいかぬわけですから、それはそうかもしれませんが、観念的にはそれぞれが主体的にやはり判断するというような、そういう理解をしていいんじゃないかなと思っております。

前原委員 そういうお答えになるのかもしれません。つまりは、動詞が初めに来て、プリーズも何も入らないという命令から、クッド・ユー・プリーズかウッド・ユー・プリーズかわからないけれども、そういう言葉が一つ入って、ただ、今これはためにする議論で言っているんではなくて、両方のアセットをしっかりと活用していこうと思えば、どちらが命令するとかいうことではなくて、本当にそれは一体化していかなくてはいけないんだろうと思います。

 そのときに、今おっしゃったことの前提で結構なんですが、今の日本の制度あるいは法的な問題点あるいは憲法上の問題点が生じると思われますか。

久間国務大臣 私は現実には生じないと思っているんですよ。よく、二人が並んでおるときに、相手を先に攻撃してきたときはこちらは手を出さない、こっちを先に攻撃してきたら手を出す、そういうことが、果たして現実問題としてその場におったときにできるんだろうか、そういう問題がございます。

 幸いにして、総理が今度、きょうですか、有識者会議等でいろいろな類型を挙げながら研究するということは非常にいいことだと思っておりまして、現実問題としては、私は、現地のそのときの、艦船が並んでいるときの例なんかの場合だったら即座に反撃をいたします、どっちなんということじゃなくて。とにかく自分たちの自衛権にかかわることだと判断しさえすればいいわけですからね。それはまたその判断がおくれたらもう存在がなくなるわけですから。だから、そういうことは現実的にはないんじゃないかなというふうに私自身は思っております。

前原委員 後でその四類型については若干議論をさせていただきます。

 私自身も、集団的自衛権ではまずない。つまりは、これは日本に対してミサイルが飛んでくるときにどう撃つかということでありますので、アメリカの集団的自衛権の行使ではあっても日本の集団的自衛権の行使にはならないわけですね、日本に飛んでくるものですから。また、自衛権の行使までいかなくても、それは今までの国会の答弁で累次あったように、いわゆる正当防衛というか、警察の警察権で撃ち落とすんだと。こういう答弁が今までありましたけれども、それをやることについて私は問題は生じないんだろうと。ただ、そういったことも含めて、ぜひ議論はしておいていただきたいというふうに思います。

 憲法上の問題はないかもしれませんが、ひょっとすれば法律上の問題はあるかもしれない。そこは、統合を進めていく上でしっかり議論していただきたいと思います。

 その四類型の話に入る前に、もう一つだけミサイル防衛で伺っておきたいことがあります。

 それは、今回、私もワシントンだけでしたけれども、超党派の同僚議員なんかは、その前にアラスカに行かれたり、あるいはコロラドのコロラドスプリングスというところに行かれたりということで、さまざまなミサイル迎撃サイトなんかを見られてきているわけであります。アメリカは、これは私は当たり前だと思うんですよ、批判をして言っているわけではありませんが、基本的に自国に対するミサイルをどう防衛するかということでミサイル防衛網を配備していっている。

 ですから、嘉手納のPAC3も、これは米軍を守るためであって別に沖縄県を守るためではない、かなりはっきり申し上げると。シャイローも、これはできれば、日本に飛んでくるものについても、米軍基地に飛んでくるかもしれないし、あるいは、初めは目をつぶさなきゃいけないということで、アメリカのXバンドレーダー、車力のXバンドレーダーを撃ってくるかもしれないとか、そういうようなことも含めて、とにかく自分のものをまずは守って、付随的に日本を守れるんだったら守りましょうということで、一義的には自国をどう守るかということだと思うんです。

 そう考えると、青森県の車力というところにXバンドレーダーをアメリカが置いているというのはよくわかるわけですね。北朝鮮の位置関係と車力の位置関係を見れば、まだ開発はされていないといっても、アメリカに到達する可能性が将来的にあるミサイルを一番見やすい位置が青森県の車力であるということであります。

 そうなると、私が大臣に伺いたいのは、日本も、Xバンドレーダーのみならず、さまざまなレーダーを開発してこれから配備していくわけですね。いただいた資料を見ますと、FPS―3の改良型ですか、それからFPS―XX、こういったセンサーをいろいろなところに置いていくということでありますけれども、やはりXバンドレーダーというのは、初期段階から追尾することについて極めて高い能力を持っているということを考えたら、私がさせていただきたい質問は、このFPS―3改を設置していくということとFPS―XXのレーダーサイトを設置するだけで、果たして日本のミサイル防衛は、北朝鮮から想定されるミサイル防衛には十分なのか、あるいは、日本もやはり独自に、もう少し日本がしっかり見られるようなXバンドレーダーを、青森ではなくて、西というか南の方に持っていくということで必要なのかどうなのか、その認識はどういうふうに考えておられるでしょうか。

久間国務大臣 私自身も、車力のものは少し北に偏っているので、九州なり、中国の山口でもいいですけれども、要するに、西の方にそういうのがないといかぬのじゃないかなと個人的には思いますけれども、事務方でどういう検討をしているのかまた聞いていただければ結構でございます。

 いずれにせよ、やはり一つだけあったのでは、何かのときにふぐあいだってあるわけですから、やはりダブルチェックをしないと安心はできないわけでありますので、そういうようなことからも、やはり日本も独自に同じような能力を備えておく必要はあるんじゃないかなと思っております。

前原委員 予算との兼ね合いになってくると思います。それはもちろん、大臣が一番考えられるべき問題だと思いますけれども、今おっしゃったように、仮に北朝鮮が撃ってくるということになれば、まず目をねらってきたり、あるいは原発という重点施設をねらってきたり、あるいは大都市ということになって、順番、イージス艦も含めて、そういう可能性、危険性は私はあると思いますので、やはり複数持っておくということを、今御答弁されましたけれども、予算を全体の中でどう配分していくかということは、極めて高い政治的な判断はあろうかと思いますけれども、私も検討すべきだということを申し上げておきたいと思います。

 さて、四類型の話、先ほど若干大臣がお話をされましたけれども、私は、四類型全部をきょうは議論するつもりはございません。ミサイル防衛に関してのみ、少しお話をしたいと思います。もっと突き詰めて言えば、この四類型の中で集団的自衛権なのは、ミサイル防衛ぐらいなんですね。ほかのは、これは集団的自衛権というよりも集団安全保障、あるいはマイナー自衛権の集団的自衛権版みたいな、そんなものですね。ですから、厳密に言えばミサイル防衛がこの集団的自衛権で、マスコミ報道はすべてが混同されているような、少し違和感を感ずるわけでありますけれども、私は、私が今から申し上げる考え方をどう思うかということを御答弁いただきたいと思います。

 私は自分のホームページにも論文を載せたのでありますけれども、集団的自衛権は、何もアメリカを守るだけのことではない。つまりは、集団的自衛権の行使というものが日本自体を守ることにもつながるというふうに私は思っています。

 具体的にどういうことかというと、北朝鮮が今は日本に届く運搬手段、ミサイルは持っている。しかし、アメリカに届くものまでは持っていない。しかし、恐らく開発するんでしょう。先ほどお話のあったムスダンも含めて、そういったことを開発してくるんだというふうに思います。

 よく言われる核の傘の議論でありますけれども、言葉の上では、あるいは2プラス2でも、あるいは日米防衛首脳会議でも確認をされたことなのかもしれませんが、日本に対する攻撃、同盟国に対する攻撃はアメリカへの攻撃とみなして、もしそういう攻撃が行われれば、アメリカは日本を攻撃した国を攻撃するということは、言葉では言っていますけれども、実際にそういうことが起きた場合に、果たして集団的自衛権の行使を同盟国であるアメリカが行うかどうかというのは、一〇〇%うのみに考えるのは少しばかげているんではないかと私は思っています。

 そのときに、どうやってアメリカを引っ張り出すかということを考えたときに、例えば、北朝鮮がアメリカまで届くミサイルを開発した、核弾頭が載っているかもしれない。そのときに、例えばシアトルやロサンゼルスのいわゆるアメリカ国民を犠牲にしてまで、日本に対してミサイル攻撃がされたので、同盟国であるからやらなきゃいけないというふうにアメリカの為政者が思うかどうかというのはいささか疑問なんです、繰り返し申し上げますが。

 では、そのときに、残存能力が日本にあるということが大前提になりますけれども、北朝鮮がアメリカに対して撃つというものについては、日本はしっかりと集団的自衛権の行使もして撃ち落としますということを常日ごろ言っているということになれば、これは、私は核の傘がちゃんと穴があいていずに差す可能性というのは出てくると思うんですね。つまりは、その分、シアトルやロサンゼルスに核ミサイルが飛んでくる可能性というのは減るわけで、そうすると、日本に対しての攻撃をみずからのものとみなしてアメリカが報復をしてくれる可能性もふえる、一〇〇%じゃないですよ、ふえる可能性は出てくるんではないかと思うわけです。

 そうなったときには、集団的自衛権の行使を行うということは、北朝鮮の日本に対するミサイル攻撃の抑止にもつながるし、そして、アメリカが核の傘を本当に差しかけてくれる可能性というのも出てくると私は思っています。

 首をかしげておられますが、どうぞ、御意見をおっしゃってください。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

久間国務大臣 日本に対する攻撃をしないで先にアメリカに対して攻撃をするということが、一体今の先生のロジックでどう出てくるのか……(前原委員「いや、日本に対して攻撃をした後ですよ、先に……」と呼ぶ)いや、した後なら問題ないんです。した後だったら、それはもう共同対処ですから、集団的自衛権の話じゃないんですよ、防衛出動の延長線として日米安保条約に基づいて一緒に戦うような形ですから。

 私が懸念しますのは、日本に対する攻撃はしないで先にアメリカに対してミサイル攻撃をするというような、そういうときに果たして現在の制度でどうかなという問題がまだ残っているわけですね。

 しかし、それとても、そういうような、アメリカに対する攻撃をするような雰囲気のときというのは、もう日本が危険にさらされておる。そして、日本に対する攻撃をしたらアメリカが反撃をする、そういう前提に立ってアメリカに対する攻撃をするんだろうと。そうなってくると、これはアメリカの自衛権だけじゃなくて日本にとっても自衛権として抑えることだってできるんじゃないか、どっちが早かったか遅かったかだけの話じゃないかな、そういうような気にもなりますから。

 だから、その与えられたシチュエーションがどういう状態かということを考えないと、単純に、アメリカに飛んでいくミサイルを日本で撃ち落とすのは集団的自衛権かどうかというような、そういうような形での議論というのは何か議論のための議論みたいになってしまうので、どういう状況下でそういうことがあり得るのかというようなことまで含めながら議論をしていかないといかぬのじゃないかなと思うわけであります。

 そうしますと、今先生が言われました、核の傘で、日本側に攻撃したときにアメリカが反撃しないためには、まず核兵器でアメリカを攻撃しておいて、そしてショックを受けさせておいて、あとはもう日本をゆっくり攻撃すればいいというふうな、そういうケースしかないんじゃないかなと思います。

 だから、私は、恐らく日本がそれを撃ち落とさなきゃならない状態のときはもっと日本は緊迫している状態だと思いますし、双方が一緒になっていろいろな情報を集めながら共同対処をしているような状況じゃないかなと思いますから、今の設定について、ここでどうだとなかなか言いにくいですね。

前原委員 いろいろなシミュレーションですから、どれが何%確率があるどうのこうのではありません。

 ただ、今の答弁で気になったことが幾つかあります。一つは、日本に対して先に攻撃をする、そして、日本が例えば防衛出動を発令する、その後に北朝鮮が例えばアメリカに対してミサイルを撃って、それをインターセプトするのは、これは個別的自衛権ですか。集団的自衛権じゃないですか。

久間国務大臣 私は個別的自衛権とか集団的自衛権という言葉自体が余り好きでないので、そういうのは憲法にも書いていないわけですから。

 そういうときは、要するに、我が国の自衛権の発動として、我が国が武力攻撃されておって、それで我が国と同盟関係にあるアメリカに対する攻撃が始まったら、それはもう我が国も、援護してくれるアメリカがつぶれたら我が国が危ないんですから、それは我が国の自衛権発動の一道程として当然考えていいと思いますよ。

 だから、それをあえて集団的自衛権、個別的自衛権という格好で区別しようとするからそこに問題があるので、我が国にとっての存在にかかわることであるならば、我が国は堂々とそれはやるべきだと思いますよ。

前原委員 いや、これは私、国会議員になって初めて聞く議論なんですよ。

 個別的自衛権や集団的自衛権は、久間大臣がどういうお考えであろうが、今までは政府見解で分けてきたわけですよ。だから、分けてきたのは政府ですから、それをやはりしっかり使ってもらわなきゃいけないんですよ。(久間国務大臣「それはそうでしょう」と呼ぶ)そうでしょう。そういうふうなことを考えるならば、どっちなんだと聞いているわけですよ。

 つまりは、日本がミサイル攻撃を受けた、そして個別的自衛権の発動を行うべく防衛出動の下令が下っている。しかし、明らかに日本ではなくてアメリカに向かって撃たれるミサイルを日本がインターセプトする。それは、同盟国であるアメリカがやられたら日本に対して支援してくれないから当然だというふうにおっしゃったけれども、ロジックは、当然だという論理はわかりますよ。わかるけれども、しかし、今までそれは憲法上許されるかどうかというところでいろいろな論争があってきたわけですよ。

 もう一度、繰り返し聞きますけれども、防衛出動が下令をされた後にアメリカに対して北朝鮮がミサイルを撃つ、それをインターセプトすることは個別的自衛権なんですか、集団的自衛権なんですか。

久間国務大臣 それはもう我が国に対する攻撃に対する延長線としての話ですから、それをあえて個別的自衛権と言えと言われれば、今までの政府の分け方で、政府はそういうことでの分け方はしていないと思いますけれども、個別的自衛権の延長だと思います、それは。

 というのは、そういう言い方をしますと、我が国が武力攻撃を受けた、それでサンディエゴを艦船が出てきた、どこの国かわかりませんが、我が国に武力攻撃したところがそれをやっつけるとしたときに、たまたま我が国の艦船がその近くにおったら、それに対する反撃は、我が国がA国と防衛出動しておって、そしてアメリカがそれに対する応援を日本に対してしようとするときに、それに対して攻撃があった場合は、場所がアメリカ国内であったとしても、それは反撃できると思うんですよ。それは、先ほど言うような我が国が武力攻撃を受けている場合の状態だったら、私はそれは余りちゅうちょする必要はないと思います。

前原委員 そのアメリカに対する攻撃も、今大臣がおっしゃった、サンディエゴから日本を支援するための艦船に対して攻撃なのか、あるいはロサンゼルスとかシアトルとか大都市をねらったものなのかということはわからぬわけですよ、打ち上げたときには。だから、それはひっくるめて考えなきゃいけないわけですよ。だから、ひっくるめて考えても、今おっしゃった個別的自衛権の発動でそれはできるということでよろしいんですね。だってわからないわけですから、打ち上げたときに。

久間国務大臣 我が国が武力攻撃を受けたときは、割と整理の仕方はしやすいと思います。

 今までいろいろ言われているのは、我が国が武力攻撃を受けていないときに、どうせ武力攻撃したら後ろの方が、親玉が出てくるだろう、その親玉を先にたたけというような形でやるときにどうなのかという、そこのところが非常に問題になるわけでありまして、もう武力攻撃を受けてしまってからだったら、あらゆる手を尽くして日米が一体となって戦っているという状況に現在の安保条約だったらなっているわけでありますから、その場合は、区別なく、日本近海で双方が一緒になって戦っているのと全く同じ状態じゃないかなと私は理解します。

前原委員 あともう一つ気になった、先ほどの答弁で。これは認識の違い、見解の違いかもしれません。アメリカを先に撃っておいて後で日本に対して攻撃の方が可能性が高いのではないかということをおっしゃいましたね、久間大臣は。私は逆だと思います。これは別に、お互い可能性がゼロでも一〇〇でもないわけですから、それはそれでいい。

 つまりは、久間大臣の想定であれば、それはアメリカは自分に対して攻撃を受けているわけですから、ぼこぼこ、どんなことがあっても北朝鮮に対して徹底的に攻撃して壊滅的な打撃を与えるという攻撃に出ると思うんですね。そうすると、アメリカと北朝鮮の軍事力の差は彼我のものがありますから、日本は後でゆっくり攻撃しようなんということに私はならないと思うんです。ですから、日本に対して攻撃が行われて、そしてその後、アメリカの攻撃を、核の傘を広げさせないために、要はおどしでやられる可能性がある、こういうふうに私は思っているわけです。

 これについては別にゼロでも一〇〇でもないわけですからいいわけでありますけれども。

 今のお話を伺っていると、ただアメリカが先か日本が先かによっては相当問題点が変わってくるわけですね。つまりは、先ほど大臣がまさにお答えになったように、こちらが先にやられていれば、後でアメリカに飛んでいくものも個別的自衛権で対処可能だ、でも、逆であれば、それはまだ日本に対する攻撃でないわけですから、日本はそのときは集団的自衛権ということにならざるを得ないと。

 しかし、それをやることによってまた、久間先生の論に基づけば、それに基づいて日本を後で攻撃する場合において、そのときにアメリカが助けてくれることを考えれば、やはり日本としてはアメリカに対する攻撃をしっかりとインターセプトすることが日本の安全保障のプラスにつながると私は思うわけです。これについては同意されますか。

久間国務大臣 私もそういうふうなことを考えますので、今、安倍総理が設けた有識者懇談会等で、そういうふうに、前後することによって、解釈上、片一方はできて片一方はできないような、そういう議論が本当にいいのかなという思いもありますので、いろいろな意見を出してもらって、その辺の整理がどういうふうに進むのか、非常に興味を持っているところであります。

 今までのような解釈でやっておきますと、さっき言ったように、二つ並んでいるうち、自分でない方が先に攻撃されたら、それは反撃できないから逃げてしまう、逃げなさい、自分が先に攻撃されたら反撃する、その後に向こうがやられたときは一緒になってやればいい、そういうようなやり方でいいのかなという思いがあるから、今度はいい機会だから、ああいう類型を示しながら、いろいろな研究をしてもらうと、それによってまた一歩前進することになるんじゃないかな、そういう思いがしているわけであります。

前原委員 お考えは一緒です。

 とにかく、法律の解釈論も確かに重要であります、法治国家ですから。重要でありますが、現実に起きた場合にどう効果的に対処できるのか。そして、そのことによって人命、財産あるいは日本の主権というものがしっかり守れるのかということで、私が質問したかった趣旨は、集団的自衛権の行使は、アメリカを助けることじゃないんだ、日本を助けることにつながるんだということの中での集団的自衛権の議論がしっかりされなきゃいけない。これは同意されますか。

久間国務大臣 いずれにせよ、我が国が対応するのは我が国の自衛権ですから、アメリカの自衛権のために我が国が武力を行使するわけではないので、日本が今の憲法下でやれるのは、我が国の自衛権としての武力の行使は、必要最小限であればできる、要するに我が国の存亡にかかわることならば我が国はやれる、私自身はそう思っております。アメリカの自衛権のために我が国が行うんじゃなくて、我が国の自衛権。

 だから、今の集団的自衛権という言葉の中にはどうも集団の自衛権かのような、そういうことを含んでいるおそれがありますので、私は非常に注意深く、集団的または個別的な自衛のための固有の権利を行使できると書いてあるわけですから、固有の権利というそこでとらえれば、そんなに難しいものではないんじゃないかと思っております。

前原委員 いろいろな政党、我が党の中にも、やはり集団的自衛権というのはだめだ、それはアメリカを守ることという、そういった、短絡的というか極めて思慮が浅い意見を言う人たちはいますよ。だけれども、今大臣がお答えになったように、自衛権というのは自分を守るためのものであって、それは個別も集団もないということをしっかり政治の責任として言い続けるということがやはり大事だと思いますので、大臣もいろいろなところでお話をされる機会があると思いますから、しっかりとお話しをいただいて、私も機会あるごとにこういった議論をしていきたい、自国のためであるということをしっかりと言っていきたいと思います。

 時間がありませんが、もう一点だけ、PSIについてなんです。実は、北朝鮮が核実験をやったときに、このPSIの問題では、周辺事態に認定をして、そして船舶検査をやるかどうかということでありまして、裏返して言えば、船舶検査をやろうと思ったら周辺事態に認定しなきゃいけない、しかし、それはアメリカのみの後方支援しかできない、こういうことですよね。

 でも、今までの流れというのは、別に北朝鮮の核問題のみならず、いわゆるこれだけグローバリゼーションが進んで、経済活動が物、人、金、どんどんどんどん地球規模で行われるようになってきて、だからこそ水際であるいは公海上で、しっかりとしたチェックをしながら、危険物質が拡散をしないために努力をしていくということはもう普遍の考えであると思うんですね。

 そうなると、私は、今の日本のPSI法制というのは穴が多過ぎる。つまりは、今申し上げたように、周辺事態に認定をするとか、あるいは米軍だけしか支援ができないとか、他国と一緒にやることについてはできないとか、あるいは旗国の同意が必要だとか、そういった限界があって、極めて狭いんですね。やはりPSIについて、これからそれをやるかやらないかは主体的な判断になりますが、やはり新たなPSIに向けての法制というのが必要だと私は思いますが、その点について大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

久間国務大臣 PSIの訓練等にも八十カ国近くが参加するようになってきたわけでありますし、そして、我が国としても、どれだけのことをやるべきかというようなことも決めながら、法制も今のままでいいのかどうか、これもやはりいろいろなそういう訓練等を通じながら研究していく時期に来たんじゃないかなと思っております。

 本来は、我が国が国連に入ったときに、国連等が、これはPSIといいますか、そういう形で何かやらないかぬというときに、どこまでやることが必要かまた可能か、そういう法制を、本来だったら、国連に加盟したときに加盟国の一員の義務としてもそれは検討しておくべきだったんじゃないかなと私自身は思います。

 そういう意味では、おくればせながら、これから先、そういうような法制についても研究していただくことは、これはもう与野党を超えて必要じゃないかなと思っております。

前原委員 海洋基本法もできました、そしてまた海の重要性というものは、今おっしゃったように、与野党関係なく共通認識を持っているものでありますので、我々もしっかり検討して提言をしていきたいと思いますが、政府としてはやはり一義的には責任を持って、そういった新たな法制に向けて努力をしていただくことをお願いいたしまして、終わります。

木村委員長 次に、内山晃君。

内山委員 民主党の内山晃でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 本題に入ります前に、一部新聞報道によりますと、「中国、米空母攻撃ミサイル開発へ」という記事をちらっと読みまして、非常にセンセーショナルに感じたものですから、お尋ねをちょっとしたいと思っております。

 中国軍が台湾有事をにらんで米空母攻撃用の対艦弾道ミサイルの開発に着手し、ロシアからは超音速長距離爆撃機を導入し、対米軍戦術を修正しているとの報道がございました。

 中国の軍事力を初め経済力に関しては、近年目覚ましい発展を遂げているわけでございまして、とりわけ中国の軍事力においては、軍事費を含め近代装備を着実に行っている中国に対し、我が国の安全保障上看過できない状況になっているのであろうと思います。

 中国の経済力が発展することに伴いまして軍事力が増強されていく現状を踏まえ、経済を含めた対外的安全保障の観点から、対中国政策をどのように考えておられるか、まずは外務省の見解をお尋ねしたいと思います。

伊原政府参考人 委員御指摘のとおり、中国の経済発展、これは大変な勢いで続いておりますけれども、経済発展という意味では、日本にとって、脅威というよりもチャンス、好機であるというふうに考えております。八年連続して日中の貿易というのは最高額を上回っておりますし、もう三年連続して日米の貿易額をも上回っております。このように、日中の経済関係ということをとってみますと、相互の補完関係というのはますます深まって、お互いになくてはならない存在になっているということが言えるかと思います。

 したがって、こういう経済関係を引き続き順調に発展させていくということは、日中両国のみならず、アジア、ひいては世界経済の健全な発展にとっても重要であるというふうに私どもは考えております。

 他方で、安全保障上の問題については、これは課題としてしっかりとした対応が必要であるというふうに考えております。

 我が国としては、当然のことながら、適切な防衛力の整備、日米安保体制の堅持、さらには国際社会との協力や外交努力を通じて適切な安全保障政策を推進していく、これがまず重要かと思っております。中国との関係では、中国が特に軍事面での透明性の向上を図るように働きかける、これが今、非常に重要であるというふうに考えております。

 中国の国防費は十九年連続で二けたの伸びで増加しております。核、ミサイルの戦力を中心とした軍事力の近代化、さらには先般の弾道ミサイル発射による人工衛星の破壊など、中国の国防政策には依然として不透明な点があると思っております。四月に来日されました温家宝総理との間でも、日中共同プレス発表において、中国側は政策の透明性の向上に努めるということを言及しておりますけれども、こうした面については今後とも中国側に対して働きかけていきたい、このように考えております。

内山委員 同じように、防衛大臣、この中国軍の米空母攻撃ミサイル開発へ、それからバックファイアですか、こういったものの導入をし、対米戦術を修正している、こういった報道がされておりますけれども、防衛大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

久間国務大臣 対米戦略を修正しているまでは、私は、ちょっとそこまで言うのはどうかなと思いますけれども、中国がかなりやはり近代化をしておりますし、船についても、場合によっては空母を持ちたいというふうなことを考えているとか、そういうことも常々聞かされているわけでございますから、かなり対米を意識はしているんだろうと思います。

 それと同時に、しかし、この間私のところに太平洋軍の司令官が中国に行った帰りに寄られましたけれども、中国は日米の同盟関係に神経質になっていないというようなことも言っておられましたから、やはり対米、対日に対しても、かなり最近の感じ方というのは和らいできているんじゃないかな、そういう気もします。

 しかし、和らいでいるからといってこっちが油断していると、知らない間にどんどんどんどん向こうが蓄積されておったということになったらいけませんから、今外務省が言われましたように、私たちも中国の関係者と会うたびに、もう少し手のうちを明らかにしてくださいよと、そうしないと、こちらも負けじとやはり軍拡になっていく、双方がそうなったら非常にそれは無駄なことだというようなことを向こうにも言っております。

 いずれにしましても、中国が国際社会に、ステークホルダーと言うんですか何か知りませんが、要するに、やはり堂々と出てくるような形の、舞台役者なんだという意識を持って、軍事面で張り合うということよりも、世界をやはり、アメリカと、あるいはEUと、ロシアと、日本と、そういったところと並んで、全体を地球規模でうまく持っていくための一人の役者なんだという意識を持ってプレーしてくれるというような、そういう日が一日も早く来ることを期待しております。

内山委員 ありがとうございました。

 それでは、防衛施設庁廃止につきまして、本題につきましてお尋ねをしていきたいと思います。

 まず、防衛施設庁の廃止、防衛省への統合でございます。

 この整理統合につきましては、機能の移行ということで、さらっとした感じの文章説明になっておられますが、昭和三十七年に連合国のために設立され、時代の変遷を経ながら、一九五四年に防衛庁が設置されたときから、附属機関、外局としての歴史ある歩みをしてきた役所でございます。

 そもそもこの統合の契機となりましたのは、昨年の防衛施設庁談合事件、いわゆる官製談合が発生し、施設庁の大幹部その他が逮捕されるという、世間を騒がせた官製談合事件の反省の上に立っての改編であると思っております。繰り返すようですけれども、この防衛施設庁そのものが、非常に談合事件が起きやすい体制と構図が長年にわたって醸成されてきたことは間違いのないことであります。それが昨年、一挙に噴出し、その反省を含めた組織体制の見直しであると国民の皆さんは見ており、期待をしていると思います。

 組織改編の改正趣旨を見ますと、全く反省の文言が入っておらず、木で鼻をくくったような文章になっているように感じるわけでございます。もう少し、不祥事の起こりにくい組織体制にしたとか、反省を含めた真摯な文言を使うべきでなかろうか、こう考えたわけでありまして、特に、大臣が読み上げました法案の趣旨説明には何ら国民に対するおわびや反省の文言がなかったことを残念に思う一人であります。

 久間大臣、法案提出の責任者として、どのようにお考えになられておりますか。

久間国務大臣 防衛施設庁という役所が米軍の基地を、あるいはまた自衛隊の施設を、そういうのを必要とするためにつくって提供するという、昔総理府に置かれたのを防衛庁の方に附置したという格好になっておりましたために、組織として別組織みたいなことになっておりまして、人事の採用から、後の内部の処遇から、全部一つのそういう流れになっておったものですから、一家意識があって、非常に閉鎖社会だったんじゃないかという気がいたしております。

 だから、やはりこの際、防衛施設庁という役所を解体するということで、ある意味ではショック療法みたいなことかもしれませんけれども、そういうような一家を分散することによって、そして本省なら本省に、地方なら地方に、それぞれの組織に入れる。そして、本省に入れても、やはりあのようなことがないように、今度は内部の機能を分担させる、地方でも同じように分担させる。そして、装備本部と一緒にするとか、そういうことで、そういうようなことの起きないようにしようという発想で統合をしたわけでございます。

 統合したら絶対ないかと言われますけれども、それだってこれから先の運用次第でありますけれども、少なくとも、そういうような姿勢を廃止して、統合して、そういう機能も分散させる。それと同時に、防衛監察本部というのを設けることによって、監査機能というか監察機能、そういうのをしっかりしようということでスタートするわけですから、私は、それによって我々の意図は示せたんじゃないかなと思って今度の法律を出しているところであります。

 法律の趣旨の中に、過去のことについておわびを言うか言わないか。この辺は、とにかくあの施設庁の談合事件が起きた後、私はこのポストに就任しましたけれども、防衛施設庁も、そして当時の防衛庁も、これはいけないということで、真摯なことで検討会までつくって、対策のいろいろなことも、もう額賀長官時代に全部いろいろなことを検討してやっているわけでありますから、それを実行するのが私の役目でありますので、おわびをする、おわびをして済む話じゃない、むしろ、それによってこれから先そういうことのないようにすることの方が大事だというふうに思っております。

 私は大体、余りおわびはしないんですよ。それは本当に正直な話、おわびをして済む話じゃないんであって、そういうことをさせないように。私はよく、最近は漏えい問題ではいろいろと、あれでもおわびはしていないので、とにかく何としてでも、させないようにどうすればできるか、そればかり考えております。

 おわびをするということは、それで終わりという、日本の場合はおわびをするということで済ませてしまおうというような風潮がございますので、私は、そういうことよりも、どうやってああいうことを起こさせないようにするか、それを制度的にこれから先きちっとしていかなきゃならない、そういうふうに思っているところであります。

内山委員 久間大臣のお考えはよく御理解をさせていただきました。

 それでは、実務的な中身につきまして、お尋ねをさせていただきたいと思います。

 防衛省設置法の中身で、「事務の委任」というところでございます。防衛省設置法第三十五条、「防衛大臣は、地方防衛局の事務の一部を自衛隊の部隊又は機関の長に行わせることができる。」ここで言うところの「事務の一部」ということは具体的には何を指しているのか、お答えをいただきたいと思います。

西川政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の防衛省設置法の改正案の第三十五条の規定でございますが、これは実は、現行の同設置法の三十八条の規定を引き継いでおるもので、この規定そのものは三十七年の防衛施設庁発足の当時から入っていたものでございます。

 これは、規定としまして意味しておりますところは、交通の不便な地域、離島とかそういうようなところにおいて防衛施設局の事務を実施することが非常に困難である、こういう場合等に自衛隊の部隊または機関に委任をして、そこで処理をしてもらう、こういう形でございます。

 先生お尋ねの、「一部」の「一部」とは一体どういうこと。例えばということで言いますと、もちろんその中で、小さな工事だとか、過去に答弁もございましたが例えば漁業権の補償だとか、そういうようなことも一応想定をしてつくったということでございます。

 今回、防衛施設局から新しい地方防衛局になった際にも、その部分の実態は変わらないという判断のもとに、今回もこれを、これは実は条文がずれたという格好でございますが、そういう形で盛り込んだものでございます。

内山委員 続きまして、この組織案を見ますと、内部部局の地方企画局、及び装備本部を改編し装備施設本部に改編されております。また、地方防衛局を新設することによって、十三カ所ある拠点を八カ所に整理し、全国を網羅した効率的な組織体制ができているようでございます。

 この一連の統合案を見まして感じましたのは、施設行政を「より適正かつ効率的に遂行し得る体制を整備するため、」とうたっているのにしては、人員数に対しての増減が明示をされていないことです。通常、どこの会社におきましても、吸収合併や整理統合いたしますと必ず人員の増減が問題となってきておりまして、組織の効率、機動性を考え合理化を前提にしますので、余剰人員が出ることになろうかと思うんですが、これらのシミュレーションをどのように考えられているか、総人員数、それからこれらの観点といったところをお尋ねしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の地方防衛局の新設に当たりまして、先生御指摘のように、これまでの防衛施設庁の地方支分局でございますが、地方防衛施設局八つと、それから装備本部の出先でございます支部五つ、これを八つの地方防衛局にするという格好で、組織上五つ減らすという格好になっております。

 この中で、先生御指摘のように、数字とか、そういう人の云々というのは余り出ていないなという話が出ておりますが、これにつきましては、機能的には、要するに地元との関係、あるいはその機能そのものはしかるべく維持しながら、そしてまた防衛省の拠点として機能を果たさせるということで、ダブるようなところで幾ら合理化しても限界があるということでございますが、具体的には今回、定員の効率化という形で六十五名の純減ということを図っております。

 そして、地方防衛局に、施設庁の出先の部分と装備本部の出先の部分、これは装備施設本部という格好にしております、動産、不動産ともに一手に引き受けさせるという形で、今回、その効率化を図りたいということでやっていることでございます。

内山委員 続きまして、特別の機関として防衛監察監を長とする防衛監察本部の新設についてお尋ねをしたいと思います。

 まず内容についてでございます。

 一、職員の職務執行における法令の遵守その他の職務執行の適正を確保するための監察に関する事務をつかさどる。二、既存の各組織にある監査、監察と相まって、全省的に厳格なチェックを行う体制を構築。三、防衛監察本部の内部組織は、政令で定めるとなっています。以上が目玉商品だと思いますけれども、この組織の防衛監察監の権限、法律案を見る限り巨大な権限を有しているようでございます。「防衛監察監は、防衛大臣の命を受け、」となっておりますけれども、不正行為や機密漏えい等の適正でない状態を監査となっており、その結果、不正行為を発見した場合の罰則を含む処分等について刑法上の取り扱いはどのようになっているか、お尋ねをしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 この防衛監察監は、これは先生おっしゃいますように、「防衛大臣の命を受け、」こううたっております。防衛大臣は、統督権と申しまして、いわゆる部下全体を指揮監督する立場に、すべて監督する立場に立っておられます。そのうちのいわゆる監査部門という形で、特にその職員の職務執行における法令の遵守その他の職務執行の適正を見る、ある意味ではそこを限って、防衛省・自衛隊の全組織を対象に今回は見ていただくという形で考えているものでございます。そして、この監察を行っていただいた上で、防衛大臣に対して改善策など、これを助言したり、必要なら処置を助言していただく、こういう格好でございます。

 それで、先生今お尋ねの、例えば防衛監察監等が行います監察の中で、犯罪行為にわたる、または犯罪の端緒情報等を入手した場合でございますが、これはもう当然捜査権限はございませんので、これにつきましては捜査機関で、我々の部内にございます捜査機関である警務隊、あるいは事に応じてはその他の機関等へ情報等を通報するという形になってきます。捜査そのものはしないということでございます。

内山委員 同じように、今ちょっとお話を先にいただきましたけれども、各自衛隊の幕僚監部に監察官、情報保全隊が、各部隊には警務隊があり、司法警察職員の権限を曹以上の自衛官に対しては警察法にのっとり付与されておられます。こういった既存の組織との兼ね合いはどのようになるのか。これらの整合性についてお尋ねをしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほどちょっと触れましたが、防衛監察本部につきましては、これは防衛大臣の、先ほど申しました統督権と申しますが、これの一部を直接分掌して、大臣の命を得て、内部部局等を含む全機関、他の機関の統制を受けることなく監察を実施する、これが大きなポイントになっておりまして、これは、大臣直轄の特別の機関という位置づけがされております。

 そして、自衛隊にございます監察官でございますが、これは視点がちょっと異なっておりまして、部隊の統率という点に限る、こういう観点から各部隊等の監察をするということでございまして、ある見方を限った形で見ている、こういうものでございます。

 それからもう一つ、情報保全隊というものは、情報保全業務のために必要な資料あるいは情報の収集、整理等を任務としてやっておる部隊でございまして、それから警務隊、これは先ほど先生御指摘のとおり、特別警察官としての捜査権限等一部付与されておりますが、犯罪の捜査及び被疑者の逮捕、隊内の警備等そのほかの任務がございますが、主に捜査等を行う、こういうことでございまして、いずれも、観点的には少しそれぞれ別の観点から調べておるということでございます。

 この防衛監察本部が監察を行う上で必要がある場合には、ただし、各部隊の特色のあるところを、場合によれば部隊に来てもらって手伝ってもらう、こういうフェーズがございますが、それぞれの部隊としては独立した組織として運営している、こういうことでございます。

内山委員 政令で内部組織を定めることとなっている、鳴り物入りでつくっても、内容が悪くては関係セクションとのあつれきが生じるんじゃなかろうか、こう懸念をしておるわけでありまして、本部員を五十名程度の発足でプランをしているようでありますけれども、そういった人数で大丈夫なのか心配しておるんですが。

西川政府参考人 この防衛監察本部にありましては、重層的にやるという言い方、さっき大臣の方からもこの場で、きょうの答弁の中で何回か出ましたが、要するに、重なるような格好でやっていくということでございます。

 五十名で足るかと言われると、これは先ほどちょっと私が触れましたように、各部隊の必要なところからその態様に応じて必要な人間を借りてきてといいますか、協力を得てやるという形になりますので、そういう意味では、格の上のところ、非常に高い位置から、しかも独立した立場から処理をしていくということでございますので、五十人でとりあえずやってみるという格好でも、実際に作業に当たるときはもっと多くの方を前よりは使う、こういうことでございますので、御理解賜ればと思います。

内山委員 全省的な監察とありますけれども、防衛監察監にはこのような人物という人選が必要であろうと思います。かなりのレベルの高い人格、識見、もとより防衛省内の職員も納得できるような人材配置が必要ではないかと思います。同時に、既存の組織と相まってとなっておりますけれども、文官だけで組織を考えておられるのか、混在を考えておられるのか、または外部からの登用があり得るのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 このいわゆる構成員をどうするかにつきましては、これはきょうも何度か問いにございましたが、特に幹部の、リーダーになる方ないしは枢要なポストに置かれる方は、非常に人選する上で我々今苦慮をしておりますが、先生御指摘のような、まず特殊な組織であるということから、それにふさわしい人という格好で、もちろん専門性も含めまして、人格の高潔性とか、そういうこともございますので、そういう人を今求めようという格好でございます。

 そのほかに、専門的知識という格好で、法曹関係あるいは公認会計士とかそういう特殊な技術をお持ちの、そういうものを持っておられる方もいろいろな階層で入れてみたい、こういうふうなことも考えております。

 それから、先生お尋ねの、文官だけでやっていいのか、これにつきましては、文官のみならず、制服のランクの高い方も入っていただきます。そういう意味では、最も所掌を効率的に推進できるような形というものを考えていきたい、このように思っております。

内山委員 法案の内容の変更案というのを勝手にちょっと考えてみたんですけれども、既存の組織をグレードアップしまして、自衛隊及び各分野の専門家で構成した上で整理統合し、防衛大臣直轄の監察監室の権限を強化していく、これも一つの方法ではなかろうかと思うんです。コストパフォーマンスの上からも非常に効率的ではなかろうかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

久間国務大臣 これはまた考え方かもしれませんけれども、私は、先ほど委員が各部署とのあつれきがあるんじゃないかと言われましたが、逆に、あつれきがあるぐらいの方が今度の場合はいいんじゃないかと思いまして、だから、大臣直轄の監察本部というのを設けることによって、ずっと積み上げじゃなくて、少し別組織みたいな形で強く出る、そういう形でやってみることの方が私は効果があるんじゃないかなと思っておりますので、これでやらせてもらいたい。

 そして、部外者も投入することによって、結構、場合によってはあつれきがあるかもしれぬけれども、あってでもやってみたいというような思いでございますので、これでとにかく進ませていただきたいと思っております。

内山委員 今度は自衛官の定数の変更というところでお尋ねをしていきたいと思います。

 自衛隊の陸自を例にとりますと、一一師団は総合近代化旅団に改編となっています。一三旅団については、戦車や火砲等の重装備を効率化し、即応性、機動性を重視した即応近代化旅団に改編となります。

 幾ら装備が近代化されても、それらを操作するのは人間で、余裕を持った代替的なプロの養成をしっかりとしておかなければ、緊急時には意味をなさないのではなかろうか。どんなに近代化されたものでも人間の介在が不可欠でございます。

 現場では、人員削減に対して決して納得はしていないとも聞いておりまして、士気の上がる政策も必要ではないかと思うんです。

 自衛隊は物を消費そして消耗する組織集団であって、物を生産する集合体ではないことは周知の事実であります。しかし、平時においては、災害時の人命救助や復興支援及び国際貢献での活躍、自衛隊ならではのものがたくさんあると思っておりまして、近代化による人員の削減についてどのようにお考えになっているか、大臣の御所見をいただきたいと思います。

久間国務大臣 これも防衛大綱あるいは中期防衛力整備計画等で、それぞれ陸海空をどのぐらいの規模にするかというのを、員数も含めまして非常に議論があったところでございますが、そういう線に沿いながら調整をしていっているところでございまして、私の気持ちとしても、とにかくもう少し人的余裕があった方がいいという思いはございます。

 されど、やはりそういう全体の流れもあって、防衛大綱、中期防衛力整備計画をつくりましたときの趣旨等もございますし、それともう一つは、これから少子化が避けて通れない、それも事実でございますから、やはりスリム化できるものはスリム化に少しなれておかないと、大変なことになりかねないという思いもありまして、師団のままで置いてもらいたいという地方自治体の考え方もいろいろありました。あるいはまた、そのほかにもいろいろなことがありましたけれども、予算編成を前にして、今年度こういう形で整理しようという形で決着を見たわけでございますので、それに基づいて定数の削減をやむなくやっておるということでございます。

内山委員 予算は一たん削減をしますとふやすことがなかなか難しいと聞いております。削減のための理由づけ、手元の資料の中に記載してあります、例えば陸自では、一一師団を一一旅団に改編、定員を縮小し、その中の対戦車隊を廃止となっております。また、一三旅団でも対戦車中隊を廃止となっておりますが、総人件費の抑制が米軍再編成絡みの予算からきているんではなかろうか、そんなふうに危惧をしているんですけれども、大臣に伺います。

久間国務大臣 それは全く別でございまして、米軍再編の問題については、これも財務省とは随分やりとりをしておりまして、これは本来別だと。米軍再編は米軍再編で、時代の流れの中で必要なものでやっていくんだから、今まで立てておる中期防衛力整備計画なり防衛大綱なりのそういうものがこれによって圧縮されるようなことになってはいけないということで、それ自身は強く言っておりますから、ここはまたあれが違うということをこれから先も強く主張していこうと思っております。

内山委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今出されております防衛二法改正案は、防衛施設庁の解体、そして防衛省への統合、この中身を持っています。

 ところで、その防衛施設庁と防衛省、二つの役所の関係がどういうものであるか、これを示す出来事がけさ起こっております。私、実態に即しまして、防衛施設庁と防衛省の関係などなどについて質問をしていきたいと思います。

 きょう十八日の朝、キャンプ・シュワブ沿岸域で本格的な環境現況調査に防衛省は着手いたしました。県民の圧倒的な反対の声にもかかわらず調査を強行し、しかも、その調査に海上自衛隊の艦船を出すという極めて重大な事態であります。まず、こうした防衛省の姿勢に強く抗議するものです。現場では今、基地建設と環境アセス法違反の調査強行に抗議する人たちと、自衛隊の潜水士と民間業者が対峙する状況になっています。

 まず、施設庁長官とそれから運用企画局長に聞きますが、今現場で具体的にどういうことをやっているんですか、自衛隊は今何をやっているのか、これをきちんと説明してくれますか。

山崎政府参考人 海上自衛隊につきましては、先生御承知のように、掃海母艦「ぶんご」を出しておりまして、防衛施設庁さんが行うキャンプ・シュワブ沖の現況調査に当たって、機材の設置等について、海上自衛隊が保有する潜水能力を活用する目的で派遣をしているところでございます。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 その前に、大変恐縮でございますが、赤嶺先生、先ほど、県民の皆さんが圧倒的に反対にもかかわらず云々ということをおっしゃいましたが、私ども、この調査をするに当たりまして、この委員会の場でも御答弁申し上げましたが、地元の名護市、また県知事の同意を得てやっているところでございますので、ぜひとも御理解賜りたいと思っております。

 それで、御指摘のように、本日早朝から、今申し上げました環境現況調査に必要となる機具等を設置する作業の今着手を始めたところでございます。

赤嶺委員 県知事と名護市長が賛成しているから県民の多数は反対していないとでも言わんばかりの施設庁長官の答弁でありましたが、この間、五月十五日に私が大臣に示しましたように、県民の圧倒的多数は、どんな世論調査でも名護の新基地建設は反対である。しかも、皆さんがやっているのは、環境アセス法に基づく環境調査を省略して、省略でなくても環境アセス法の精神を踏みにじって、現況調査を秘密裏にやっているというようなことを糾弾したばかりであります。

 それでは、聞きますが、海上自衛隊の専門的な能力を生かしてということですが、けさ六時から機器の設置に自衛隊の潜水士が一緒になって海に入ったということを聞いたわけですが、この潜水士は「ぶんご」から出ていったわけですか。

山崎政府参考人 そのとおりでございます。

赤嶺委員 「ぶんご」は、今どこにいるんですか。

山崎政府参考人 辺野古沖に停泊をしているというふうに聞いております。

赤嶺委員 まさに、朝早く「ぶんご」から潜水士がキャンプ・シュワブに出ていったというようなことになっているわけですね。

 今回の自衛隊の行動の法的根拠について聞きますが、これは何ですか。

山崎政府参考人 国家行政組織法第二条につきまして、「国の行政機関は、内閣の統轄の下に、」「その相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」という定めがございまして、この趣旨を踏まえまして官庁間協力が行われております。省内におきましても、一種の官庁間協力というのが当然行われてしかるべきでございますので、業務内容の支援といってもようございますけれども、一種の官庁間協力だというふうに我々は解釈をしております。

赤嶺委員 防衛施設庁と防衛省は、今出されている法律でいくと同じ役所になるわけですね。これを官庁の間の協力という説明ができるんですか。

山崎政府参考人 機関相互の協力ということは、先ほど申し上げましたような趣旨から可能であろうと思いますが、当然のことながら、海上自衛隊が防衛施設庁の機関事務を代行するということは法文上できないというふうに思っております。

赤嶺委員 そうすると、今回は、どこからどこへの協力だということですか。

山崎政府参考人 先ほど申し上げましたように、国家行政組織法を受けて、一種の官庁間協力として行っておりますが、当然、その場合、協力を行うに当たりまして、事務の公共性とか、あるいは手段等の非代替性あるいは緊急性について検討しまして、かつ、実際に協力を行う部隊等の業務に支障のない範囲で実施をするということが一つの基準となっております。

 当然、業務に支障のない範囲で協力を実施しておるわけでございますが、民間の、例えば現況調査におきます円滑な実施に関しまして、場合によっては多少能力不足ということがございますから、それにつきまして、緊急性等、基準を置きまして、我々の協力が十分可能であるし、あるいはそういう理由が十分満たされているというふうに考えております。

赤嶺委員 そうすると、防衛施設庁が委託した民間の業者は、莫大な予算を使って能力のない人に委託したんですか、その業務を自衛隊に応援させようというわけですか、そんなことできるんですか。

山崎政府参考人 業務の円滑な実施のために、なるべく妨害が行われないように、短時間でこの現況調査を終了したいというふうに考えております。そういう観点から、民間の業者の量的不足を場合によっては補う必要が生じるということを前提として協力をしているわけでございます。

赤嶺委員 この民間業者ができないとだれが判断したんですか。

北原政府参考人 今、運用企画局長が御答弁申し上げましたが、民間業者だけでなく、私どもといいますか、海上自衛隊が保有する潜水能力を活用することによって、先ほど申しました諸機材の海底への設置作業、これが限られた時間の中で円滑かつ十分に実施できると考えたわけでございまして、依頼しようと判断したのは防衛施設庁長官でございます。

赤嶺委員 それで、民間業者からはできないという話があったんですか。

北原政府参考人 今申し上げましたように、民間業者だけでなく、海上自衛隊が保有する潜水能力を活用して、そして、その設置作業を円滑かつ十分に実施するということが必要と判断したものであります。

赤嶺委員 官庁間協力というのは、どういう手続を経て、だれからだれに要請が行われるんですか、今回の場合。

北原政府参考人 私、施設庁長官から海上幕僚長に対しましてお願いをしております。

赤嶺委員 「ぶんご」に出動命令を出したのは、だれですか。そして、いつですか。

久間国務大臣 私は、今度の調査に当たって、万全の態勢で臨むべきである。防衛施設庁がもちろん責任者でございますけれども、防衛省を挙げて応援しなければならない、海上保安庁にもお願いをしているし、警察にもお願いをしている、そういう中で、防衛省を挙げて応援すべきである。その中で、海上自衛隊はあらゆることにこたえることができるようにということで、五月十一日だったと思いますが、そういう準備をして構えるように、それを私の方から命令を出しております。

赤嶺委員 ちょうどその五月十一日に、私、イラク特別委員会で大臣に質問をしているんですけれども、そのときには、この命令を出したとも言っていない。そのときの答弁はこうですよ。自衛隊がキャンプ・シュワブに出動することがあり得るのかどうかをただしたわけですが、それはないことはないですね、自衛隊というのは、あらゆることに対して、それが国民のためになる場合に、法に基づいて可能なことについてはやれるわけですから、ないことはないというふうにしか言えませんと言っているんですが、そのときには既にもう命令は出していたんですか。

久間国務大臣 あらゆることにこたえることができるように準備をして、それで態勢を整えるようにという命令は出しております。

赤嶺委員 久間大臣は、だれに対して命令を出したんですか。

久間国務大臣 自衛艦隊司令官に対してそういうような命令を出しております。そして自衛艦隊司令官は、それに基づいて態勢をとっておったんだと思います。私は、具体的な命令は出しておりません。

赤嶺委員 具体的な命令というのはだれが出すんですか。

久間国務大臣 潜水夫をそこで潜らせるとか、あるいはまた、何か遭難者が出たときにそれを救助するとか、そういう具体的なことは、指揮官なのか、その上官であります自衛艦隊司令官から包括的にまず言われて、それを受けて「ぶんご」の司令官が具体的な命令は出しておるんだと思いますけれども、私は、そういうようなあらゆる態勢を整えておくようにということは、五月十一日に言っております。

 そのときは、まだ具体的にどういうふうになるか、スムーズにいけばそういうこともせぬでも済むわけでありますし、それから、先生方御承知のとおり、現地ではかなり緊迫した状態が続いておったんではないでしょうか。民間だけではなかなかやりにくいなという状況になって、施設庁長官から具体的なお願いがあったんだと思います。

赤嶺委員 「ぶんご」は、キャンプ・シュワブの地形やら海域やら、そういう問題について調査を事前にしていたんですか。

山崎政府参考人 重ねて恐縮でございますが、運用の実態に係る面につきましては、発言を差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 運用の実態についての説明責任が今まさに求められているんですよ、大臣。そういうような、大体、環境調査自身が公開のもとで行われるべきものを秘密裏にやって、そして運用の具体的な中身についても国会に対しても説明しないというのは、私は許されないことだと思います。

 それで、久間大臣はきのうの参議院の外交防衛委員会でも答えておられますが、かつての調査で混乱、妨害があった、あらゆる事態が想定されるから万全の態勢をとっている、こう答えられているわけですが、あらゆる事態とはどういう事態のことを想定しているんですか。

久間国務大臣 いろいろなことが考えられます。民間業者が機具を設置しようとして潜っているのを、だれかが潜らせないというような形で阻止する場合もございますし、そしてまた、そういうトラブルの最中に思わぬ水難に遭いそうな場合だってあるかもしれませんし、そういうときは救助もしなければなりませんから、あらゆる事態というのは、現場においてどういうことが起きてもいいように万全の態勢を整えておいてもらいたいということをかねてから、十一日の日に言っているわけでありますから、あらゆる事態に備えておったんだろうと思っております。

赤嶺委員 現場で行われているのは妨害活動ではないんですよ。非暴力の、政府の法律も無視した乱暴なやり方に対する堂々たる抗議の闘いなんですよ。妨害活動でも何でもないんです。ですから、あの人たちに、辺野古に集まっている人たちに聞いてみてください。私たちは非暴力で抗議活動を頑張るんだ、こう言っております。

 ところで、今回の場合に、よもや自衛隊が警護活動、こういうことを行うというようなものは、私は法的根拠も一切ないと思いますが、行うんですか。そして、法的根拠はあるんですか。

久間国務大臣 法的根拠があるかどうかは別として、今回はそういうことは考えておりませんでした。

 しかし、非常に平和裏に抗議活動だとおっしゃいましたけれども、三年前のことを知っている私から見れば、それはどういうことがあるかわからない、あれ以上になるかもしれないわけでありますから、あらゆることに備えるようにというのは、とにかく、あのやぐらの上に上っているのを引きずりおろして海の中に突き落とさんばかりのような、そういう行動があったわけでありますから、ああいう状況で本当に事故者が出なくてよかったなというぐらいな感じであります。

赤嶺委員 やぐらをあの海に無法に建てたのが政府なんですよ、環境アセスなどもやらないで。そして、やぐらの上で抗議活動をしていたのは住民ですよ。それを引きずりおろしたのは政府の側なんです。逆のことを言わぬでください。何度もそれは指摘しておりますから。

 それで、いわば今回は警護活動は行わないと言っていますが、こういう場合に自衛隊が警護活動はできるんですか。

久間国務大臣 海上の治安状況がよっぽど悪化した場合には法律上できないことはないかもしれませんが、そこまでは想定されておりませんので、警護活動はやる必要はないと私は思っておりました。

赤嶺委員 この警護活動というのは、どういう場合に自衛隊はできるんですか。

山崎政府参考人 通常、海上における警備活動ということで、海上におきます人命あるいは公共の秩序の維持のために特別の必要がある場合、総理大臣の承認を得て、自衛隊が一種の警察活動ができるという定めになっております。

赤嶺委員 米軍基地に反対する住民の非暴力の闘いというのは、その警備の対象になるんですか。

久間国務大臣 非暴力の場合は、そこはそういう状態にならないであろうから、今回の場合はそこまではならないから警備行動に出るようなことまでは考えていませんでしたということを言ったわけでありまして、法律上は、どういう状態になったときにどうかというのは、絶対ないとは言えないので、そういうことには多分ならないだろうと私も思っておりましたから、そういう手順もとっておりません。

赤嶺委員 テロリストがいるとか、あるいはいろいろな場合というのを想定しての厳しい要件があるわけですが、しかし、軍艦を沖縄に派遣するというのは穏やかならないですよね。きのうは、その軍艦の掃海ヘリが旋回をしていたんですよ。掃海ヘリは何をしていたんですか。

山崎政府参考人 恐縮でございますが、掃海ヘリが旋回していたという報告については、私、今委員の御指摘で初めて承知をいたしましたけれども、いずれにせよ、各具体的な活動につきましては、先ほど来から申し上げていますように、運用上の話でございますので、御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 掃海ヘリが飛んでいた、何しに行くんですか、辺野古の海に掃海ヘリが。本来任務ですか。支障がない範囲でといって、まさに威嚇そのものですよ。

 私、久間大臣に申し上げたいんですが、一九九七年だったと思いますが、名護市の住民投票がありました。名護市のことは名護市民が決めるというときに、当時、防衛庁長官の久間長官は、防衛庁の職員を全国から動員して、名護市の民家にローラー作戦をかけました。そして力ずくで市民の声を抑えつけようとしたんですが、時の住民投票でも見事に、基地は要らないというのが勝利したんですよ。どんなに圧力をかけても基地は受け入れないというのをあのときに示しました。

 今回、海上自衛隊の艦船で威嚇して、そして、何か住民のそういうようなものを出し抜いて調査機具を設置した、しめしめと思っているかもしれないけれども、そういうおどしや威嚇には県民は絶対に負けない、譲れない。そして、今度の無法な調査は直ちにやめるべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 そこで、もう一つ、今回の法案の中では、常設の共同部隊、これがあります。新たに自衛隊法第二十一条の二を設け、「統合運用による円滑な任務遂行上一体的運営を図る必要がある場合には、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊として置くことができる。」このように規定しております。

 まず、「統合運用による円滑な任務遂行上一体的運営を図る必要がある場合」、その場合とは具体的にどういう場合ですか。

大古政府参考人 本件は、昨年三月に統合運用体制へ移行しましたので、それを踏まえまして、情報通信、後方補給、整備、教育、航空管制等の共通機能分野がございますので、そういう中で、自衛隊の能力発揮をより迅速かつ効果的なものにするための部隊レベルの統合を検討していく必要があるということでお願いしているものでございます。

 具体的には、十九年度予算におきましては、指揮通信の関係で部隊を新設したいというふうに思っているところでございます。

赤嶺委員 まさに新しくつくられる自衛隊の指揮通信システム隊ですか、これはどういう部隊ですか。そして、どういう範囲まで、通信分野に限らず、どこまでこういう統合部隊をつくっていくお考えですか。

大古政府参考人 十九年度に新設いたします自衛隊の指揮通信システム隊と申しますけれども、これにつきましては、百六十名の要員で市ケ谷駐屯地に新編する予定でございますが、中央指揮所の維持管理、それからサイバー攻撃発生時の適時適切な通信機能回復等を任務とすることとしております。

 二十年度以降についての共同部隊につきましては、今後検討することとしておりまして、現段階で決まったものはございません。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

赤嶺委員 このシステム隊の扱う情報、どういう情報を扱うんですか。そして、米軍との関係はどうなりますか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 扱う情報については、先ほど申しましたように、中央指揮所の維持管理を担当いたしますし、自衛隊の骨幹ネットワークでございます防衛情報通信基盤、DIIと申しておりますけれども、この維持管理をいたしますので、その維持管理において情報の取り扱いもするということになります。

 それから、この部隊の自衛隊との直接の運用等の関係はございません。

寺田(稔)委員長代理 赤嶺政賢君、時間ですので、簡潔にお願いします。

赤嶺委員 この続きはまた次回にやりますが、久間大臣、今回の暴挙は新たな県民の怒りを呼んでおります。そういう怒りを広げることにしかならなかった、久間大臣が県民に頭越しの態度をとればとるほどその反撃が強まっていく、私たちも全力で基地をつくらせないために頑張るということを申し上げまして、質問を終わります。

寺田(稔)委員長代理 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、きょうは自衛隊の規律の問題について質問しようと思っておりましたが、それに先立ちまして、今の赤嶺委員の辺野古に関する大臣を初め担当の方々とのやりとりで、ちょっと納得いかぬところがありまして、疑問がありますので、これはすごく重要な点だと思う。私は、防衛省の汚点になるんじゃないかと思っています。

 それで、なぜかというと、防衛庁を防衛省にするとき、そして、自衛隊の活動については今回も、改編をする、施設庁の不祥事もなくしていく、反省する、みんなに親しまれるものにするんやと言うてて、自衛隊を辺野古の沖合に出すんかと。私も、これはちょっと趣旨が違うでと。ちょっと違うて、間違っているというように思っていました。

 それで、今のやりとりで、先ほど海上自衛隊のダイバーの潜水能力の活用をするんだという答弁がありました。ほな、何でその掃海母艦の「ぶんご」まで出動させなきゃいけないんですか。なぜですか。だれも答えられないんですか。

久間国務大臣 先ほど言いましたように、海上自衛隊としては、あらゆることに対応できるように態勢をとっておく、そういうようなことで命を受けまして、そして待機しておったわけであります。

 施設庁からは、民間だけではなかなかスムーズに円滑にいかないので、できれば海上自衛隊の潜水夫で機具を、民間が手際よくやれないところについてはやってもらいたいというような依頼があったので、それじゃ、海上自衛隊の潜水ができる者に潜らせて設置しようということになったんだろうと思いますから、それは、いわゆる一種の公共財としての海上自衛隊をそういう形で施設庁長官が活用したといいますか、依頼を受けて海上自衛隊がそれに対応したわけでございますから、それ自身がそんなに仰々しい話じゃないんじゃないかなと思っております。

辻元委員 今、あらゆる事態にということでしたが、そうすると、何で「ぶんご」まで連れていかなあかんのかと聞いているわけです。乗っていくためですか、ダイバーが。

久間国務大臣 結果としては、先ほど言いましたように、潜水夫だけになりましたけれども、どういう事態になるかわからないわけでありますから、一応大きく構えておって、そのうちの小さい部分だけで対応したという、結果としてはそれで済んだからある意味じゃほっとしているわけでありまして、やはりこれが、もう本当に遭難者が出たりなんかして混乱になったときには、救難用のボートを出すとかいろいろなことをしなきゃならなくなったらもっと大変なことだったと思いますが、ああいう形でおさまって、まだこれから先もあるかもしれませんけれども、ほっとしているという状況であります。

辻元委員 知事も、きょう、私は報道を見ましたけれども、掃海母艦を出すのは、銃剣を突きつけているようなことを連想させ、強烈な誤解を生むと、かなり強く批判されていることは御存じのとおりですね。

 私は思いましたね、この話を聞いたとき。そうしたら、例えば、陸上で環境アセスではなくですよ、この環境調査についても私は合法性が疑われると思っていますけれども、陸上でその環境調査をするときに、陸上のどこかに戦車に乗って、手伝うてくれと言われたからいうて、陸上自衛隊の人が手伝いに行けますか。やっていることは同じやないですか。(発言する者あり)同じですよ。(発言する者あり)同じです。いかがですか。

久間国務大臣 それはちょっとオーバーなわけで、陸上の場合に陸上自衛隊が協力するとして、それは、乗用車じゃなくてジープで行く場合はあるかもしれませんけれども……(発言する者あり)まあ、それはトラックで行く場合もあるでしょう。だから、それは大きい船で行ったからといって、ゴムボートで行ったらよかったけれども、大きい船で行ったらいかぬという、それはやはり、大きい船を出して、そこで沖合に大きい船が泊まっておくということは、私は別に、そんな悪いことじゃないんじゃないかなと思っております。

辻元委員 大臣がそういう認識というのは非常に残念というか、普通の大きな船と、それから掃海母艦を出すということを同列に見ていらっしゃるんですか。そういう大臣なんですか。

久間国務大臣 掃海母艦というのは、御存じかもしれませんけれども、とにかく掃海艇をこうして出して機雷を除去したり、海中にある危険物を撤去したり、そういうような掃海艇を駆使する、そういう母艦でありますから、いろいろなことを想定して構えておるときには、機能的には非常にいい船でありますから、そういう点では、何も、軍艦、軍艦と先ほどから盛んに言われましたけれども、そういう仰々しいようなとらえ方はしなくていいんじゃないかなと思っております。

辻元委員 先ほど運用局長が妨害が行われないようにという発言をされたんですよ。この妨害というのは何ですか。

山崎政府参考人 先ほど来から申し上げていますように、「ぶんご」につきましては、防衛施設庁さんの行う現況調査の実施に当たって、機材の設置について海上自衛隊が保有する潜水能力を活用するという目的のために派遣しておりまして、実際に「ぶんご」を派遣して、辺野古沖から派遣を、例えば、潜水夫の方を多数海中に派遣するということが非常にやりやすいという観点から「ぶんご」を派遣したわけでございまして、先生が御指摘のような、何も相手を威圧するとかそういうような観点から派遣をしたわけではなくて、かなり技術的な観点から派遣をしたわけでございます。

辻元委員 私は、局長が先ほど御答弁で妨害が行われないようにとおっしゃったので、それは要するに、妨害が行われないようにというのは威嚇するということじゃないんですか。

山崎政府参考人 今申し上げましたように、沖縄沖合に停泊して潜水夫を派遣するということによりまして、従来、三年前のような海上における妨害活動というものが確率として減るんではないかということについて我々としては考えた次第でございます。

辻元委員 確率として減るということは、脅威に感じるから減らせられるとか、そういうことじゃないですか。

 なぜこれを問題にするかというと、先ほど申し上げたように、防衛庁から防衛省にするとき、自衛隊を、みんなに親しまれるんだとか、そういう答弁をされていたじゃないですか。そして、防衛省にした途端に辺野古に送るのかと。先ほど言いましたよね、掃海をするんだと言っていましたけれども、別に辺野古に機雷があるわけでもなく、紛争地でもないですよ。機雷はないですよ。辺野古にはジュゴンがいるだけですよ。そこに何のために送って、これは本当に防衛省の汚点になると私は思いますよ、大臣。もう引き返させたらどうですか。

久間国務大臣 海上自衛隊が持っている艦船の中で、ではどれを出すかと考えますと、やはり掃海母艦、これが一番適切で、DDHを出すわけでもないでしょうし、輸送艦というようなわけでもないでしょうし、やはり掃海母艦が考えたときには一番いいんじゃないかなと。ソフトな感じですよね。

 威嚇、威嚇と言われますけれども、掃海母艦というのは、要するに機雷が浮いているものを除去するための掃海艇なんかの母艦でありますからね、攻撃型の船と違うわけでありますから。だから、性格からいっても一番ソフトな感じなので、そういう点では私は一番適切だったんじゃないかなと思います。

辻元委員 今まで、例えば沖縄に基地をつくるときとか、そういうときに、掃海母艦であろうが何であろうが自衛隊を出したことはないですよ。そうじゃないですか。だから、ソフトな感じとか、私が言っているのは、何を出すかというよりも、自衛隊がそこまでコミットメントしていくということが問題だと言っているわけです。わかりますか、大臣。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

久間国務大臣 先生のおっしゃる意味もわかりますけれども、私は、十年前にこの問題にタッチして、その後、長官はだれのときだったですかね、そのときに、施設庁がやって、とにかくボーリング調査すらさせてもらえなかった、とにかくやぐらを組んだら引きずりおろされて、それでできなかったという、ああいう思いだけはやはりしたくない、その思いは非常に強いわけであります。

 これは、沖縄の知事から許可をもらって出しているにもかかわらず、前回のときもそうだったんです、やぐらの設置等、海底使用の許可はあのときもうもらっておったんです、もらっておったけれども、事実行為として妨害を受けてできなかった。法治国家でありながらそういうことができなかったという苦い思いがございますから、今回は万全の態勢で臨むべきである、私は強くそう思っておりました。

辻元委員 どちらにしましても、これは地元でも大きな問題にこれから広がっていくと思いますし、先ほどうちの、照屋議員は沖縄ですね、こういう発言をして、私はもう本当に、すごく沖縄の人の気持ちというのを肌身に感じたんですけれどもね。沖縄戦のとき、旧日本軍は住民を守らなかった、守ってくれなかった、自衛隊は住民より米軍を守るのかなと言ったわけですよ。これは割と率直な声だと思いますよ。侮ったらだめだと思います。丁寧にしないと、本当に、きのうも宜野湾の市長もいらっしゃったり、各基地を抱えているところの行政の長の皆さんも本当に苦しみながら仕事をされているということを私たちは学びましたので、引き続きこれは、この委員会でも追及していきたいと思います。

 さて、私はきょう、来週も委員会があるということなので、来週もきょう取り上げる問題を引き続きやっていきたいと思いますけれども、規律の問題で、以前に防衛施設庁の問題が出たときに、例えば、その他はどうなっているのか、薬物事案とか無断海外渡航とか出ていました。例えば、薬物案件ですと四十七件とか、海外渡航については限られた時期に九百九十三件とか、報告がありましたね。最近問題になっているのがセクハラ事案なんですよ。御存じだと思いますね。これは深刻だと思います。

 最近の、これは五月八日にある女性自衛官が国を告訴した、その事案をちょっと申し上げますと、訴えによりますと、女性自衛官は、昨年九月、夜勤中の男性自衛官、訴状を私ここに持っておりますけれども、訴状によると、その男性自衛官は勤務中に泥酔していた、そして、深夜呼び出されて施設内で暴行やわいせつ行為を受けた、上司に相談したが、男性自衛官を異動させるなどの措置をとらず、ことし二月には逆に退職を迫られ、理不尽な扱いを受けたとしていると。そして、女性自衛官は体調を崩して、三月に機能性胃腸症と診断された。訴状によれば、その暴行の中身は強姦(未遂)致傷罪というべき卑劣な行為だというようになっております。

 長官は、この告訴の内容を御存じでしょうか。

久間国務大臣 具体的にはその訴状は読んでおりませんけれども、そういうことがあったということは聞いております。また、それと同時に、それが刑事事件になるのかならないのか、その辺を踏まえて今いろいろな調査、捜査を行っておるけれども、まだ、捜査にまで至る事案になるかどうかも含めて現在調査が進められているように聞いておりますので、その推移を見守りたいというふうに思っております。

辻元委員 それでは、私のところには、この案件以外も、ほかのところで防衛省絡みのセクシュアルハラスメント案件が耳に入ってきたりしているわけです。最近ではこういう本も、この「軍事組織とジェンダー 自衛隊の女性たち」という本が出たり、女性自衛官もふえてきているわけですね。

 その中で、一九九九年、平成十一年ですけれども、男女共同参画社会基本法もできて、各省庁、それからいろいろな企業も含めて、男女平等だけではなく、特にセクシュアルハラスメント案件ということについてはかなり厳しい基準を設けて対応していこうということになっていました。そして、きちっと実態調査をしようということもありました。

 そこで、防衛省でもこの訓令が出されております、「セクシュアル・ハラスメントの防止等に関する訓令」というのが出されています。これが平成十一年です。それでは、この訓令が出てから今日まで、防衛省絡みで、自衛隊も含めて、セクシュアルハラスメントに関するトラブル案件は何件あったかという報告を受けているでしょうか、把握されているでしょうか。

増田政府参考人 お尋ねの件に関しまして、セクハラ相談の件数として何件受けているかという形でお答えをさせていただければ、平成十一年度から平成十七年度までの間に約三百八十件ございました。

辻元委員 このセクハラ問題というのは相談に行くまでが大変で、相談していない人もいると思うんですよ。

 さて、そこで、この訓令の中身についての防衛省の取り組みについて具体的に質問をしたいと思います。

 訓令の指針、第五条では、「官房長等は、」この「等は、」の中に幕僚長とかすべての長が入っているわけですが、「セクシュアル・ハラスメントをしないようにするために職員が認識すべき事項及びセクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合において職員に望まれる対応等について長官が別に定める指針を職員に対し、周知徹底しなければならない。」というようになっているわけですが、自衛隊員に対してはどのように周知徹底しているんでしょうか。

増田政府参考人 今御指摘の訓令の第五条に基づきます大臣が別に定める指針、「セクシュアル・ハラスメントをなくすために職員が認識すべき事項についての指針」でございますけれども、これにつきましては、各機関等におきまして、各機関の長等、まさに、外局であれば官房長、陸上自衛隊であれば陸幕長等がその指針の周知徹底のための通知文書を発出いたしまして、各関係の隷下の部隊等に示しておる、部隊の長がまたそれを隊員に徹底するという形で周知徹底を図っております。

辻元委員 さらに運用の通達もあるんですけれども、そこには、今の御答弁ですと各隊員に示しているという理解でいいと思いますけれども、きちんと配布はされているんですか。何を配布しているんでしょうか。

増田政府参考人 それぞれの末端の隊員に至るまでの周知徹底の仕方はそれぞれいろいろあろうかと思います。文書そのものを配布する場合とか、それから、みんなを集めてこういう内容だから理解するようにという場合、それからまた、部隊の掲示板等にこういうものを張り出すというような形で周知徹底を図るということであります。

辻元委員 確かに、訓令の第六条の第一項の「教育等」のところには、パンフレットの配布、ポスターの掲示、職員の意識調査の実施等が含まれるとあります。今、ポスターを掲示する場合もあれば印刷物を配布するという場合もあるとおっしゃいました。これはここの場でお願いしたいと思いますけれども、そうしますと、その具体的なポスターや印刷物を、事例の範囲で結構ですから、私の方に示していただけますか。

増田政府参考人 まず、今どうやっているかという点について、今の御質問の点を申し上げますと、部隊等では、セクハラの相談員がだれであるかというのを記載したカードを配布しております。それから、ポスターという意味では、毎年、実は一日だけなのでございますけれども、セクハラ一日電話相談という日を設けておりまして、そのことをポスターにして、何月何日が電話相談の日でございます、そして電話番号はここでございますという形でポスターを配布しております。

 資料として提出させていただきたいと思います。

辻元委員 それから、隊員の意識調査を行うということになっているんですが、意識調査は何回今まで行われたでしょうか。きょうはちょっと時間の関係で、続きはまた来週やりますけれども、ここまで御答弁をいただきたいと思います。

増田政府参考人 アンケート調査は、実は過去に一回、平成十一年に行っておるところでございます。

辻元委員 大臣、これはかなり深刻な問題だと思うんですよ。例えば、今、セクハラ案件、民間ですと、アメリカの三菱自動車の例が、セクハラの集団訴訟、これは和解金が五十二・五億円とか、それから、北米のトヨタで元社長がすぐ辞任になって、これは昨年ですね、女性の元秘書が二百十七億円の損害賠償請求をして、和解しているようですけれども、というように、一般常識からいってもそうなんですね。

 来週示したいと思いますが、アメリカでもあったんですよ、イラク戦争の、米兵の。ラムズフェルドさんはすぐに全体の実態調査と意識調査をしてこのような報告書を出して、アメリカの場合は女性の兵士が多いですけれども、二〇〇六年の調査では二千九百四十七件あって、どういうことがあってどういう予防をしなきゃいけないか、こういう報告書まで公開しているわけです。調査をして報告するということは抑止力になるわけですね。

 ですから、来週続きをやりたいと思いますけれども、大臣、ぜひ、もうちょっと厳しい調査とかこういう報告書を公表するとか、そういうことにも取り組んでいただきたいと思います。

 では、続きはまた、来週もあるということですので。じゃないと省庁の機構を幾らいじくっても、本当にこれは最低限の基本の問題ですから、今後大きな問題になりかねないので、この中では女性委員は私一人しかいないんですけれども、引き続ききちんと対応策を指摘していきたいと思います。

 以上です。

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十四分散会


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