衆議院

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第12号 平成19年5月24日(木曜日)

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平成十九年五月二十四日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 木村 太郎君

   理事 赤城 徳彦君 理事 今津  寛君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 内山  晃君

   理事 笹木 竜三君 理事 遠藤 乙彦君

      安次富 修君    石破  茂君

      大塚  拓君    大前 繁雄君

      瓦   力君    北村 誠吾君

      木挽  司君    平  将明君

      高木  毅君    浜田 靖一君

      福田 峰之君    福田 良彦君

      松本 洋平君    宮路 和明君

      山内 康一君    山崎  拓君

      神風 英男君    津村 啓介君

      長島 昭久君    前田 雄吉君

      赤松 正雄君    赤嶺 政賢君

      辻元 清美君    下地 幹郎君

      西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         麻生 太郎君

   防衛大臣         久間 章生君

   外務副大臣        岩屋  毅君

   防衛副大臣        木村 隆秀君

   防衛大臣政務官      大前 繁雄君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  山本 庸幸君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 木寺 昌人君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            石橋 幹夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   西川 徹矢君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  大古 和雄君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  山崎信之郎君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  増田 好平君

   政府参考人

   (防衛施設庁長官)    北原 巖男君

   政府参考人

   (防衛施設庁施設部長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛施設庁建設部長)  千田  彰君

   安全保障委員会専門員   三田村秀人君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  福田 良彦君     木挽  司君

  山内 康一君     松本 洋平君

  山崎  拓君     平  将明君

同日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     福田 良彦君

  平  将明君     福田 峰之君

  松本 洋平君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 峰之君     山崎  拓君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

木村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として防衛省大臣官房長西川徹矢君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君、防衛省人事教育局長増田好平君及び防衛施設庁長官北原巖男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神風英男君。

神風委員 おはようございます。民主党の神風英男でございます。

 本日は、防衛省設置法及び自衛隊法の一部改正案について質疑を行いたいと思います。

 防衛施設庁の廃止というのが出てくるわけでございますけれども、これは、先般の官製談合事案をきっかけにして、まず一つは、これまで特権意識さえあると言われた、非常に風通しの悪い閉鎖的な施設庁を解体する、そして本省に統合して効率的な運営を図っていこうということであろうかと思います。

 これは当然ながら、施設庁廃止に伴ってリストラ効果というのも出てくるのかなと思っているわけでありますけれども、先般の委員会によりますと、九十二名の定員の純減ということのようでありますが、効率化という点で、もう少し効率化の期待というのがあるのかなと思っていたんです。平成十八年度では三千六十六人、大体これまで三千百人程度の規模を誇っていた施設庁でありますけれども、これは、民間の普通の企業の吸収合併とは違うとは思いますが、この程度のリストラ効果しかないんでしょうか。まず、その点からお伺いをしたいと思います。

北原政府参考人 神風先生に御答弁申し上げます。

 私どもといたしましては、防衛施設庁が廃止される、そして本省に統合されるに際しまして、これまで私ども防衛施設庁が果たしてまいりました機能、これはぜひ確保していかなければならないと思っています。また、防衛施設行政はますます重要になっていく、そういった認識に立っております。

 他方におきまして、政府としての行政改革の方針も踏まえまして、私ども、定員面におきまして合理化、効率化に努めたところでございまして、十九年度予算におきまして聖域なく見直しを行ったところであります。そして、その結果につきましては、先ほど先生がお触れになりましたように、合計で九十二名の定員の純減を行うこととしたところでございます。

 我々といたしましても、一生懸命効率化、合理化に努めたところでございますが、引き続き今後とも、業務の効率化、合理化に努めてまいりたいと考えているところであります。

神風委員 施設庁廃止については、閉鎖的な施設庁を解体するということと、もう一つ、まさにシステム化をしていた天下りの構造を壊すという意味合いもあったかと思っております。

 ただ、この点については、施設庁と同様に、防衛省所管の公益法人、この場合でありますと財団法人防衛施設技術協会というのが介在をしていたわけでありますが、当然ながら、こうした公益法人の問題についてもメスが入らなければならないと思っております。

 この財団法人防衛施設技術協会については解散をされたということでございますが、その経緯を教えていただきたいと思います。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今御指摘の防衛施設技術協会につきましては、OBの再々就職の問題、あるいは随意契約の問題、さらには再委託の実施などを中心にいたしまして、先生御指摘のように、大変大きな批判を招くなどいたしまして、運営の実態に問題がございました。それで、これを受けまして、昨年六月十六日に取りまとめられました再発防止の報告書、これに基づきまして、私ども、十八年度中の自主解散を要請するといったことでやってまいりました。

 その結果でございますけれども、本年二月二十六日に、私どもの防衛大臣より防衛施設技術協会に対しまして、平成十八年度中に自主解散することを要請いたしました。そして、同協会から、本年三月十六日に、三月三十一日付で自主解散する旨の解散認可の申請がなされました。そして、三月二十七日に、防衛大臣から解散を認可いたしまして、御指摘のように、三月三十一日付で解散したところでございます。

神風委員 これまで同協会が扱ってきた業務というのはどういうふうになったのか、ほかの公益法人が引き継いだのかどうか、その点、教えてください。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 これまで協会が行ってまいりました各業務につきましては、今先生御指摘の、他の公益法人へ引き継がせるもの、あるいは民間へ委託するもの、さらには防衛施設庁の職員がみずから実施するものというものに整理をしてきたところでございます。

 その私どもの整理の結果でございますけれども、防衛施設技術協会がみずから実施する防衛施設の建設技術などの調査研究、提言などに関する事業につきましては、比較的業務内容が類似をいたしております、私どもに財団法人防衛施設周辺整備協会というのがございますが、そこへ引き継ぐことといたしました。

 それから、防衛施設技術協会がこれまで随意契約によって受託をいたしておりました現場技術業務などにつきましては、一般競争入札等によりまして民間へ委託することといたしました。

 さらに、協会が行っておりました防衛施設の建設技術などの調査研究の奨励、助成、あるいは優良企業などの表彰の事業につきましては、この中で、賞状の贈呈など可能な範囲で国みずからが実施するということにしたところでございます。

神風委員 さきの官製談合事案を契機に、現在、二十二法人、防衛省所管の公益法人があるんでしょうか、これらに対しての調査というのは行われたのでしょうか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、当時、当方には二十二の法人がございまして、一つは、今北原長官の方から御説明がありました部分で、残りの二十一全部について、その段階で一応同じような調査を行いました。そして、その結果、一部の所管公益法人、これは五つでございますが、それには類似のようなものがございましたので、それに対するいわゆる改善措置というものを現在全部とり終わっております。

 ポイントとしましては、一つは、所管公益法人との契約というのは、基本的には一般競争入札へ全部移行するというルールをとらせた。それから、所管公益法人と随意契約を締結しておる場合には、再委託というものを現在一切認めていない、もうないということですね。それからあと、所管公益法人の役員についても、これも先ほどの法人と同じように、離職後五年以内の防衛省との密接な関係にある営利企業への再々就職、こういうものについては自粛してくれ、こういう格好の要請をしております。

 これらのそれぞれの分野については、引き続き今後とも十分な監視をしていく、こういう格好でやっております。

神風委員 今般の施設庁の廃止に伴って、これらの公益法人に天下りをする職員というのはいらっしゃるんですか。

北原政府参考人 御答弁を申し上げます。

 今回の防衛施設庁の廃止それから本省への統合ということに伴います新たな人事措置につきましては、防衛本省と密接に連携、調整いたしまして、所要の措置を講じてまいりたい、そのように考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、今回の統合等に伴う定員の合理化への対応として、直ちに整理退職とか、そういったことは生じないようにしたいと思っております。新たな人事配置につきまして、現在検討、調整中でございますので、確たることは申し述べる状況には今ございませんけれども、適切な人事配置になりますように努めてまいりたいと思っております。

 それから、一般論でございますけれども、退職者の再就職ということにつきましては、今般の事案等にも十分反省をいたしまして、公務の公正性を確保する観点からきちっと対応してまいりたい、そのように考えているところでございます。

神風委員 大臣にお伺いをしたいんですが、この施設庁官製談合事案というのは、本質的にはやはり天下りの問題が根底にあると私は思っております。

 そういう意味で、天下りの問題、さきにも緑資源機構が問題になっているわけでありますが、大臣の、この天下りの御認識をちょっとお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 これは、背景には勧奨退職という問題がありまして、非常に難しい問題を抱えております。

 したがいまして、今政府全体として、いわゆる人材バンクといいますか、そういうような形でやるというようなことを、各省庁が押しつけ的なことをやっているように国民から見られることはいけないので、その能力等について、国全体としてそういうような組織をつくってやったらどうかというような方向で、いろいろ案を出して、今、国会へも法案を出しておるところでございます。

 いずれにしましても、そのときに、自衛隊員であります防衛省の職員の場合は別扱いになっておりますが、それに準じて速やかに法案を出すことになっておりますので、そちらの方が決まりましたら、私たちもそれを受けた形で、あるいはそれを利用するのかどうするのかも含めて対応しようと思っております。

 少なくとも、仕事との関連で、天下りをするために仕事をゆがめるような、そういう印象を国民に持たれるというのは一番いけないことだと思っておりますから、そういうことのないようにしようと思っております。

 ただ、国の方においても、国全体でも、勧奨退職の制度そのものが、これはやはり、今は五十五ぐらいでおりますとまだまだ家庭でも大変ですから、再就職がスムーズにいきませんと大変なことになるわけでありまして、勧奨退職をしないということはそのまま定年まではずっと置いておくということになりますから、そういうことになりますと新規の採用がなかなかしにくい。そういうこととの兼ね合いもありまして、どうするか。定年延長するというような方向も一緒にパッケージでやるべきじゃないかという意見もございます。

 そういうようなこととの兼ね合いの中で、これは国の方において各省ともまとめられていくと思いますから、私たちもあの法律が成立するのを待って直ちに対応したい、そう思っているところであります。

神風委員 次に、今回新設をされる、大臣直轄の、独立性の高いと言われる防衛監察本部についてお伺いをしたいと思います。

 逆に、現在の防衛省内での監察の体制、監査の体制というのはどうなっているのか、その点を教えていただきたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、防衛省におきます監察体制ということでは、いわゆる隊務の適正な運営を確保するということを目指しまして、特に各幕僚監部、指揮官が行います部隊の統率に関する実情について客観的、総合的に調査を行うという形で、陸海には監察官、空がちょっと名前が変わっておりまして監理監察官となっておりますが、それぞれ監察機能を持つ者を置いております。

 そしてまた、方面総監部等におきまして、いわゆる各地方組織でございますが、ここにも同様に監察官等を置きまして、隷下の部隊に対する監察業務を行っている、こういう体制で行っております。

神風委員 これは、人員的にはどれぐらいになるんですか。

西川政府参考人 お答えを申し上げます。

 全体で百五十二名という格好でございます。

神風委員 すると、今回、防衛監察本部というのが新設をされた場合、現在の監察の、監査の体制というのは変更があるんですか。

西川政府参考人 これにつきましては、今回の防衛監察本部というのが重層的、すなわち重ね合う、オーバーラップして上からやっていくということを何度も申しておりますが、これの前提といたしまして、これまでの監察組織はそのままにして、それぞれ所管します目的あるいは内容というものはちょっとずれがございますので、オーバーラップした形でやっていくという格好で、体制的な変化はございませんということです。

神風委員 そこでお伺いをするわけでありますが、かつて調本事案というのが発生をいたしました。その反省に立って調本を解体して、原価計算部と契約本部に分けた、チェック機能を働かせるように分けたわけですね。それを、先般また装備本部という形で、ライフサイクル管理の要請から再統合するということになったわけでありますが、そのときに、その監査、監察は問題ないのかということが随分議論になったと思います。

 その当時、随分それを質問したときに、それは監査体制を二重三重に重ね合わせていくから問題ないんだということでありました。当時の議事録を見ても、「装備本部内に監査担当の副本部長それから監査課を置いて、そういった計算実務を行うところについて厳重な監査を行うとともに、」「日常的にチェックする統括調達官も置く。」また、「加えて、装備本部の外から、」「内局による監査ということで、新たに監査担当の審議官、監査課を設ける、」「あるいは外部のチェック機能として、従来設けました防衛調達審議会のほかに、民間法人による監査も新たに導入する。」そういう意味で、二重三重の監査体制をしくんだということでやってこられたわけでありますが、これに対してどう評価をされているんですか。

西川政府参考人 今先生お尋ねの監査につきまして、私先ほど監察ということで答えておりますが、監査ということで、専ら会計関係のいわゆる適法性、それから合理性あるいは効率性という面でずっとやっております。

 これにつきましても、やはり重層的にやっていく。業務そのものが、各部隊等を含めまして物すごく膨大なものがございますので、それぞれやらす形によって、時々といいますか突発的に入って、臨時に入ったり、あるいは不意に入ったりしまして、さらに検査の質を高めていくという格好でやっておりますので、重層的にやるということについての意味合いは十二分にある、こういうふうに我々は考えております。

神風委員 というと、仕事の内容がかなり違うということですか、この防衛監察本部とは。

西川政府参考人 監査という場合、どちらかというと会計的な、そっちの方の細かい、数字の、計数の整理云々とやっていきますが、今回のこの監察本部というのは、これはもちろんそれも含めて広くやりますが、先ほど、先生のお尋ねは監察という格好で、済みません、ちょっとこっちが言葉が足らなかったのかもわかりませんが、監察というお尋ねでございましたので、今回の目的は、あらゆる意味でのコンプライアンス、合理性、適法性とかそういうことをチェックしてまいりますので、当然、監査の部分についても入ります。

 ただ、監査の方も非常に事務系統が膨大でございますので、多分、一般の方からいろいろ情報が入る、これはおかしいじゃないかという話が入った場合に、ここが最終的に一番の権威を持って動くという格好にしております。我々としては、ちょっと中身的には、ここの監査はそれを含んでやりますが、実際にやる仕事の中身は少しずつ変わりますが、あくまでも重層的にチェックしていくという機構であることは間違いないというふうに思っております。

神風委員 今回できるこの防衛監察本部でありますが、先ほど申し上げた防衛省所管の公益法人、これらに対しての監査というのは行われないんでしょうか。

久間国務大臣 今度の置きます監察本部は、先ほどからも説明しておりますように、今までのいわゆる会計検査院的な監査、そういうような形での検査的なやり方じゃなくて、もう少し、自衛隊に対する信頼性を確保するためには遵法精神をどうやって守らせるか、そういうことも含めた形での監察というような建前で置きますので、広い意味ではすべてのものを含む。

 そして、公益法人等に対しての話でも、いろいろな情報等があった場合には、それに対して、いわゆる会計検査的な調子で乗り込んでいくという形ではなくて、いろいろな形で、それが本当にきちっとしているのかどうかとか、そういうことで、防衛大臣直轄で監察本部を置いて向かわせようとしております。

 これから先、本部がどういうふうに、五十人規模で果たしてどれだけやれるかは、いろいろ問題があるかもしれませんけれども、やってみたいと思っておりますので、決して今おっしゃったようなことを排除するものではございませんので、幅広く、防衛大臣としての所管の対象であるならば、それはすべて監察の対象になり得る、そういうような感じを持っております。

神風委員 今の大臣の答弁を聞いて非常に期待が大きくなったわけであります。大臣直轄で非常に独立性が高くて、しかも、今回初めて外に置かれるわけですね、内部ではなくて。ですから、防衛監察本部というものが実効性が上がるようなことになれば、ほかの省庁もそういった体制をとっていくことも出てくるのかなと期待をしているところでありまして、ぜひ成功させていただきたいなと強く要望するところでございます。

 あと、職務遂行に必要な専門知識を持った人材を外部からも登用するということでありますが、この人選というのをどういうふうに進めていくのか、また、現在五十名規模ということでありますが、この五十名のうちどのぐらいを外部から登用するような構想であるのか、その点、教えていただけますか。

西川政府参考人 数としまして五十名ということでございます。今現在、どれだけの人が必要になるのかということも含めましてニーズの面での最終的な検討を重ねておりまして、今ここで何名ぐらいというようなことは、我々としてはまだ結論が出ておりません。

 ただ、外部の知識を十二分に生かすということでは、例えば公認会計士の資格を持っているような方、あるいはそれにふさわしい能力を持っているような方を、今回、体制として五十名の中へ大体どれだけ蓄えておくのか。

 先ほどちょっと申しおくれましたが、いざ具体的事案になった場合には、各部隊の協力を必要に応じて大臣が命じまして、どこどこから何名出してきなさい、それも例えば、そういう特殊な力を持っている方を人選して呼んできて、臨時にタスクフォースなりなんなりの中に入れて作業をしていくということも考えております。

 ですから、それを引っ張っていけるような力のある方ということで、どれだけの者が必要かということを、今現在ちょっと内部調整しておりますので、何名ということは今ここで申し上げることはできないということでございます。

 それから、あと、専門性の問題で、部外から、何度もこの間から出ておりますが、法曹関係者云々という話もございます。これにつきましても、ちょっとなかなか、客観的条件等がどの程度整うかということで、いろいろな関係筋からいろいろな情報を得ながら、これが実現できるならばということで今現在作業中でございまして、まだ確定するに至っておりません。

 以上でございます。

神風委員 ちょっと細かい点で恐縮でありますが、前回のこの委員会で久間大臣が、大体五十名ぐらいを考えております、したがいまして、これは防衛大臣の直轄の組織になりますけれども、その分については実質二十名ぐらいの増員になろうかと思いますというような御答弁をされておりまして、私の認識では、外部からというのは二十名の範囲にとどまるのかなと思ったんですが、その点はいかがなんでしょうか。

久間国務大臣 まだ具体的にはそういうことは考えておりませんで、少なくとも、あのとき念頭にありましたのは、トップを初めとして何人かについては専門知識を持った外部の人をお願いしたいというような気持ちもあったわけであります。

 しかし、それと同時に、内部の組織を熟知している人もいなきゃなりませんので、どういう形にするかは、これから先、この法律が通った後、実際立ち上げるまでの間にまだ時間がございますので、その間に練ろうと思っております。

 ただ、先般、金融担当大臣の山本大臣が言っていましたけれども、民間から金融の専門官をとろうと思ったら、もう最近はほとんど申し出がない、給料の格差があり過ぎるんだろうというようなことを言っておられまして、やはり公務員で給料が限定されておりますから、不景気なときはともかくとして、最近みたいに金融関係がよくなってまいりますと、出向といいますか、来てくれる者がほとんどいないと言って嘆いておりました。

 しかも、先ほどから話がありますように、公認会計士みたいな資格を有する人が、果たしてこういう形で、今の職務でこういう給料でやるときに来てくれるかどうかというのは、正直言って自信はありませんけれども、OB等も含めていろいろな形で研究してみたいと思っております。

神風委員 最後に一一師団のことをお伺いしたいんですが、これは、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応するため、陸上自衛隊の第一一師団を旅団化するとあるわけでありまして、北海道に置かれている一一師団を改編するということであります。

 この改編の理由が、正直言ってよくわからないんですが、それをちょっと教えていただけますか。

大古政府参考人 お答えいたします。

 陸上自衛隊につきましては、常備自衛官が、御案内のとおり、防衛計画の大綱によって決められておりますけれども、十四万八千人でございます。そういう中で、限られた資源でより多くの成果を達成することが求められております。

 こうした考え方を踏まえまして、第一一師団につきましては旅団化に改編いたしまして、要員及び装備の効率化を図ることとしております。

 改編に際しては、規模は、定員は七千二百人から三千六百人ということで縮小されますけれども、各種機動性の高い車両を導入いたしまして機動性を高めるということにしております。それから、ゲリラとかNBC攻撃、大規模災害などの新たな脅威、多様な事態から本格的な侵略事態までに対応し得るよう、総合的なバランスを重視して部隊を改編することとしたものでございます。

神風委員 過去数年間の、例えばスクランブルの回数を見ますと、ロシアが、これまで百四十五、百二十四、百十八、百十六回であったものが、昨年、平成十八年は百九十六回に非常に急増しているわけですよね。中国は、ゼロ、二、十三、百七で、平成十八年はまた二十二回に減少している。

 まず、このスクランブルのロシアの急増の背景、ちょっと教えていただけますか。

山崎政府参考人 スクランブルにつきましては、ある程度長期間にわたる趨勢というのがございますが、また、その中におきまして各年度の特色というのもございまして、一概に言えない部分がございます。

 ロシア機に関しましては、最近、情報収集に従事をしている航空機等を含めまして、比較的長時間飛行するものがふえてございまして、それに対しての緊急発進の事例が多くなっております。

 逆に、中国につきましては、十七年度中に、情報収集に多分従事していると推定される航空機が割合沖縄方面において多かったわけでございますが、十八年度中はそのような事例が全く見られないような状況になっておりますので、急激な減少をしております。

神風委員 先ほどの大古局長の説明を聞いても、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応するために、どういう意味で一一師団を旅団化するのかがよくわからないのと、今申し上げたような、ロシア機へのスクランブル回数が急増していることについて、旅団化してこれは何も影響がないという御認識なのかどうか、その点だけ最後にお願いします。

久間国務大臣 防衛大綱あるいは中期防衛力整備計画に基づきまして陸上自衛隊の定数が決められておりまして、その方向に向かって整備を進めております。

 そういう中で、やはりどこか師団を旅団にしていかなければなりませんが、一方、やはりそういうふうに旅団にするということは、人数的には減るわけでございますが、減ったとしても、機動性を持たせるとか、最近の新たな脅威には対応できるような、そういう部隊として精強さは守っていきますということを強調したかったわけでありまして、一一師団が一一旅団としてコンパクト化されることについては、これは国全体の傾向としての中でやむを得ない選択をとった次第であります。

 なお、先ほど話がございましたように、ロシア機、長距離化してずっと回ってきておりますので、いろいろなところでスクランブルをかける格好になりますから、今までだったら、来てすぐ帰る、そこのところがやっておったのが、長期間になりますと、スクランブルをかける傾向もありますから、直ちにこれでもって北の脅威が増したというわけではございませんけれども、非常に活発になってきているというのは事実でございます。

 だから、それに対してやはり我々としては、監視体制はこれから先もずっと引き続き強化していこうと思っておりますが、これと旅団化の問題とは直接関係はないんじゃないかなと思っております。

神風委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、笹木竜三君。

笹木委員 笹木竜三です。

 質問を始めます。

 今回のこの法案、防衛庁を防衛省にするというあの法案のときから施設庁のことが問題になってきたわけですが、その施設庁を解体して、そういう改革がこの法案の中に入っているわけです。ただ、あのときに、この施設庁の解体そして官製談合の話と同時に、それ以外にもいろいろな不祥事のことが当然話題にもなりました。

 そのことも確認をさせていただきたいと思うわけですが、まず最初に、無断渡航、あの折も何度か指摘をさせていただきましたが、平成十九年の三月から、若干の、いろいろ内部での改革というか、いろいろな変更もなされたようですが、このことについて御説明をいただけますか。事務局の方で結構です。

増田政府参考人 無断渡航の御質問でございますけれども、まず、あの当時、私ども、無断渡航について全体に対してアンケート調査を実施いたしました。その結果、約五百数十名の者が、これまでに無断で海外に行ったことがあるという回答をいたしたところでございます。その関係で、ちょっと正確な数字はあれでございますけれども、私どもとして、そういう事案をもとに懲戒手続も実施いたしまして、約百名足らずの者に対して懲戒処分等を実施いたしたところでございます。

 それから、いわゆる再発防止策といいますか、改善策といたしまして一例を挙げますれば、例えば、無断渡航をした理由の中に、承認を得る手続が煩雑であったために申請をしませんでしたというような理由も結構多かったという点もかんがみまして、実は、休暇の承認権者と海外渡航の承認権者が違っておりまして、休暇の承認権者は自分の身近にいる人が多いわけでございますけれども、海外渡航の承認権者はもう少し上位のランクの者であります。そういった点で煩雑性があったのかなということも加味いたしまして、原則として同じランクにするという措置をとりました。

 それからもう一つは、例えば海外で近親者が病気になったとかいう場合に、急遽そこに出向かなければいけないというときには、承認をとるいとまがないというような場合には、それは事後に届け出るもしくは承認をとるという形でもいいというような形をとるとか、それから、今まではいつまでに承認をせよというようなルールが明確でございませんでしたが、基本的に、ちょっと正確にはあれでございますが、多分五日前までに承認をしなさいというようなルールを定めたところでございます。

笹木委員 ここでちょっと大臣に確認をしたいんですが、今、事務方の方から御説明があったわけですが、いろいろ注意もしたし処分もしたというお話と、もう一つは、非常に手続が面倒だった、そうした点を改善したんだという話。具体的には、十九年三月以前は二週間前にということだったのを、期日も短縮したということですよね、五日前にしたということがあるわけですよね。

増田政府参考人 これまでは特に期限の定めがなかったということを、原則として渡航日の五日前までに提出するようにというふうに、具体的な手続を明確にしたということでございます。

笹木委員 何か現場でいろいろ、そういう早目に申請をしないといけないからしなかったんだというような声も結構聞いたんですが、それはいいとしても、大臣に確認をしたいわけですが、海外渡航の場合にこういう申請をする制度、このねらいはもともと何なんでしょうか。

久間国務大臣 やはり海外に簡単に行けなかった時代からずっと訓令としてあったんだと思いますけれども、今みたいに簡単に行けるようになりますと、自衛官もやはり一般市民と同じように海外に、特に近郊に旅行するということはふえてきているわけであります。

 ところが、自衛官の場合は、いざというときには緊急に職務に復帰せぬといかぬというような、そういうのはほかの人と違ってちょっとありますから、公務員の中でも特別扱いにやはりなっている点もございますから、やはりそこはきちっとしておかなきゃいかぬという形で、従来から、そういうことについて昔の慣習がそのまま踏襲されてきたんだろうと思います。

 しかしながら、今も言いましたように、休暇の願いを出すときには、どういう理由で休暇をとるかというのは大体出すわけでありますから、こういうことで観光旅行で行くというようなことだってあり得るわけであります。

 そうしますと、その許可権者とその上の、とにかく司令官といいますかとが別でありますと、またそこで、上官がまたその上に対して説明をするということになりますから、そういうようなことをネグってしまって遵法精神がおろそかになってしまったんだろうと思いますから、そういうところについては現実的な対応をして、きちんと許可権者が判断して休暇を与えるならば、そのときに海外に行く、それはいいぞということも許可していいんじゃないか。

 しかし、これはちょっと、こういう問題があるから今はやめておいてくれということだって、そのときに、休暇はいいけれども、すぐ復帰できるように、ちょっと内々だけれども、実は問題が起きているんだというようなことを言う場合だってありますから、そういう形で同一にした方がいいということで実務上こういうふうに改善したわけでありまして、これによってかなり変わってくるんじゃないかなと思っております。

笹木委員 今お話あったんですが、今までアンケートを実施したということで、そのアンケートの簡単な報告を見ますと、海外渡航の承認の申請をしなかった理由で、期日に間に合わなかったとか面倒だったというのもありますが、制度があることを知らなかったというのもあるわけですね、三割あるわけです。

 もちろん、昔と違って海外はしょっちゅう行くようになったということはあるんですが、やはり事前に承認の申請を出すという、これは、自衛官であったり防衛省の方は、例えば海外においても、普通の行政官に比べても、自衛官あるいは防衛省のスタッフだということで、いろいろな誘惑があるかもしれないし、当然それをねらっていろいろ接近してくる相手もいる、そういう前提でこういう制度もあるんだと思うわけです。

 それで、制度を知らなかった、これは三割いるというのもやはりかなりずさんな感じがします。五日前までということをきっちりしたということ、承認も余り面倒じゃないようにした、これはいいんですが、一方で、知らなかったとかこういう実態もあるわけです。今お話ししました、例えば中国での大使館員の自殺事件、これは外務省でいろいろ話題になりました、かつてありましたが、こういう問題もあるわけで、そういうことも含めてしっかりと対応がされているのかどうか。

 今まで、申請すらしなかったとか、そういうことを守れなかったということは問題ですが、それをきっちり守るようにするということも必要ですが、あわせて、海外渡航をする場合にあるいは国内においても、後で情報流出の問題もありますが、国内においてもありますが海外渡航をした場合に、そういういろいろな、自衛官であるゆえに、あるいは防衛省のスタッフであるゆえに、さらに用心しないといけないことは当然たくさんあると思います。あるいは、自分は意図しなかったけれども結果的に巻き込まれてしまった、そういう場合にどうするのか、傷を深くしないためにどうするか。

 いろいろなことがあると思いますが、そうしたことを徹底されているのかどうか、そこをちょっと確認させていただきたいんです。大臣にお願いします。

久間国務大臣 詳しい教育の仕方その他については、また事務方から聞いていただければいいと思いますけれども。

 海外につきましても、昔は、結構そういうような形での、行ったときには注意せぬといかぬというような意識が本来は強かったんだと思うんです。しかしながら、二十七万、実二十四万の隊員の中で、そういうふうに秘密漏えいとかそういうのに携わるということは、まず、ねらわれるとか、そういう形というのは非常に希有な例でございまして、みんながそういうような意識で一々あれするということじゃないと思うんです。

 ただ、先ほど言われましたように、情報漏えいにしても、いとも簡単に、そんなの秘密じゃないと思っているのに、それが私物のパソコンからすっと抜かれてしまうような、そういうことだってあり得るものです。

 だから、そこの兼ね合いを、どういう形で教育を徹底していくかという問題と、簡単に思っていることが非常に取り返しのつかないことへずっと広がっていくことだってありますよということを、隊員みんなに意識を徹底して、植えつけるといいますか、油断するなということをどういう形でこれから先教育していったらいいのかということで、情報漏えいの問題は情報漏えいの問題として、規律違反については規律違反の問題として、やはり毎日の教育しかないと思っております。

 これだけではなくて、薬物の使用等についても、最初は好奇心でやって、それがだんだんだんだん深みに入っていく。いろいろなことを聞いてみますと、本当につまらぬことからいっている。最初の端緒がやはりそういうことで大事じゃないかなというふうに思いますので、その教育はどうあるべきか、これから先も引き続きいろいろと研究していこうと思っております。

笹木委員 事務局の担当の方にも確認したいんですが、そういう教育は、どの程度改善されているのか。さっきお話をしました、海外においても、自衛官であるから接近していくような相手も当然いるわけですが、そういうことに対するいろいろな教育、あるいは、巻き込まれてしまった後で気がついた、そういうときにどうするかとか、そういったことも含めての教育は徹底されているんでしょうか、改善されたんでしょうか。

増田政府参考人 今先生御指摘のような事案について、それぞれの部隊において、また学校において、服務教育もしくは服務指導という面で周知徹底をするようにいたしておるところでございます。

 それから、その前に、先ほど先生から、制度のそもそも周知の問題のことも、いろいろ、手続を改める通達の中に、それぞれの責任者は隊員に対してそういう制度の周知を徹底するようにという指導もしておるところでございます。

 なお、先生、三割が制度を知らなかったというのは、無断渡航をしたことのあると答えた者の三割はそういう制度があることを知りませんでしたということを理由に挙げておりますが、全体の中では、九六%の者がそういう制度があることを知っておるというふうに回答しておるところでございます。

笹木委員 ぜひ、さらに検証というか、検討していただきたいと思います。ますますふえるんじゃないかなと思いますから、そういう誘惑も含めてですが、ぜひお願いします。

 それと、大臣の先ほどのお話の中にあった薬物のこと、これも具体的にどういう改善が今されているのか、御説明ください。

増田政府参考人 薬物の問題も、もちろんあってはならないことでございますけれども、一昨年、十数名の逮捕者を出しまして、また昨年も、その種の事案が発生をしているところでございます。私どもとしては、当然、いろいろな教育の中で、薬物を扱ってはならないとかいう当然のことを教育するのは当たり前のことで、強化をしてきているところでございますけれども、そのほかに、いわゆる薬物検査というものを抜き打ちにやっていくというような措置を講じているところでございます。

 特に、そういった措置を講じても、また昨年も起こっておりますので、基本的には、抜き打ち検査の対象者数をふやしまして、これまでは大体、全体で一年間で二千人程度とか、そういうオーダーだったのでございますけれども、基本的に全隊員が何年かに一遍は抜き打ち検査の対象になるような形で抜き打ち検査を実施しようという方向で強化を図っていこうと思っているところでございます。

笹木委員 情報流出のことについていろいろ質問したいと思います。

 今週に入ってからの報道でも、最新の中枢情報にかかわるような、迎撃ミサイルについての、そういう中核情報にかかわるような情報も流出していた、漏えいしていたんだ、そういう話が報道されているわけです。

 これは何か、いろいろ読んでいますと、海自のプログラム業務隊が作成した資料が持ち出された、あるいは江田島での学生の間で広がったとか、いろいろなことが書かれているわけですが、これをちょっと、事実、わかっていることをもう一回整理して御説明いただけますか。

久間国務大臣 事実、公表していいことについては事務方から言いますけれども、ああいう報道があって、明らかに真実でない報道があるわけですね。そういうのが本当に報道なら、私自身が知っている。私のところにないのに、新聞で大々的にこんなに書かれることはおかしいので、ほかの新聞社の皆さん、大慌てしないでください、そういうことを私は言ったことがあります。だから、そういう意味では、それを打ち消すというのもまたおかしな話でありまして、難しいんです、今聞かれましたから言いますけれども。

 だから、そういう点については、本当に、ああいうようなことで、さも何かあるかのように言われますけれども、ある場合もあるし、ない場合もあるわけでありまして、その点を、そういう秘密に関すること、しかも、捜査に関することだから申し上げられませんと答えざるを得ないと、その報道がさも真実かのように思われてしまうという残念さもありますが、公表できる範囲で、また事務方から今までとった措置については公表してもらおうと思います。

増田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 この事案につきましては、海上自衛隊の第一護衛隊群所属の護衛艦「しらね」の乗組員である二等海曹の自宅を神奈川県警が妻の入国管理法違反容疑で家宅捜索したところ、秘密の疑いのある情報を記録した私有の外づけハードディスクが発見されたというものでございます。

 この事案におきましては、この外づけハードディスクが発見された後、秘密の取り扱いに係る法令違反の疑いがあるため、警察当局と協力して捜査を進めていくこととしておりまして、ことしの四月四日からでございますけれども、現在、海上自衛隊の警務隊が県警と共同で事案の全容解明に向けて捜査を行っているところでございますけれども、捜査の具体的な内容についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

笹木委員 これは、きっかけは、入管法違反ということで神奈川県警が捜査をした、中国人の妻のことで、まずそこがきっかけでわかったんだということですが、中国人妻との関係というのもあるんですか、この問題は。

増田政府参考人 恐縮でございますけれども、捜査の具体的な内容にわたりますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

笹木委員 こういう情報流出というのは過去たくさんあるわけですが、例えば、警務隊がありますね。警務隊は、過去、こういう情報流出のいろいろな事案というか犯罪について、みずからしっかりと把握したり、摘発したということはあるんでしょうか。

 例えば、去年とかおととしでもいいです、警務隊がどれだけ実際のそういう罪に当たるものを把握し、あるいは書類送致した、どういうような犯罪があるのか、そこをちょっと御説明ください。

増田政府参考人 平成十七年の実績で申し上げます。

 警務隊が書類を送致した人数は二百六十九名でございます。罪種別の主な内訳は、窃盗が六十六名、傷害が五十二名、暴行が二十九名というようなものでございます。

 それから、先生から、警務隊がいわゆる情報流出の事案を摘発した事案があるのかというお尋ねがございましたが、古うございますけれども、警務隊が、自衛隊法五十九条、秘密を守る義務違反等の秘密漏えいで犯人を検挙した例として、昭和四十三年に川崎事件というものがございます。

 なお、その後に、情報流出の関係で、例えば宮永事件もしくは萩崎事件というようなものがございましたが、これについては警察の方が検挙しております。

笹木委員 平成十七年のことを今説明されましたが、窃盗とか傷害とか暴行とかということが挙げられているわけですが、こういう軽犯罪的なものしか挙がってこないわけですか。例えば、ここ二、三年でも情報流出のことは非常に話題になっているし、たくさん事件としても起きているし、あるいは、その中には犯罪もあるわけですが、どうして、この警務隊がもう少し意識を持ってそういう案件について調べていくというか、そういう体制になっていないのか。

 大臣、率直なところ、これは機能していないんじゃないかと思うんですが、さっきお話があった軽犯罪以外については。

久間国務大臣 情報の流出、しかも、情報の流出が重い刑罰に該当するような流出の場合は、とにかく警務隊の責務として問題になるかもしれませんが、これまで挙がっておったのは、先ほどのイージス艦の問題は別として、情報流出の中身が、それほどの犯罪としてのそういうようなことではございませんので、警務隊が取りかかったり、今言った川崎事件とか宮永事件とか、こういったのはかなり大きい問題であったわけであります。

 そういう点では、なかなか端緒をつかむのも難しい点もございますし、限られた人数の中でそれを摘発していく、そういうような体制が十分でないのかもしれませんが、しかしながら、幸いにして、我が国の場合、防衛関係でそういうような大きな流出は今まではなかった。

 今度の場合は、たまたま端緒が、中国人妻のほかの事件で家宅捜索をやったときに出てきた中にそういうような内容が含まれておったということであって、それが意図されたものかどうか、今捜査の対象中でございますから、確たることをなかなか申し上げられないわけでございますが、そういう点では、不幸中の幸いで、今まで警務隊が取り上げるような事案がそう多く発生していなかったというようなことも、逆に言えば言えるんじゃないかなと思っております。

笹木委員 今回のこの事件もそうですが、コンピューター上の情報とか、こういうもの、非常に重大な情報が流出してしまうことはこれからも起こり得ると思うんですね。あるいは、いろいろ意図的にいろいろな相手がしかけてきて、それに乗ってしまうということも当然あるかもしれません。

 今後、そういうような犯罪がふえていく可能性もないとは言えないわけですが、警務隊に、そういうことを実際に対象に取り締まっていくような、あるいは取り組んでいくような能力というか、そういう体制があるのかどうか、そこはどうなんでしょうか。

久間国務大臣 警務隊だけでそれを取り締まれと言っても、私は、それは今の組織からいって無理だと思うんです。やはり、部隊を含めて秘密を扱うそういう組織が日ごろから情報漏えいについての意識を非常に強く持っておって、これはどうも漏れた疑いがあるぞというときは、すぐ警務隊を使って、強制権を持って捜査する、そういう形で踏み込んでいく、そういう形でないと、警務隊にこれを任せてもなかなか難しいと思います。

 これから先は、今度、特に情報保全についてはしっかりしようということを日米間で言いましたのは、情報を共有するということになりますと、向こうからも情報をもらわなきゃならない、こっちもまた出しますけれども。お互いが、もらった情報も含めて、そういう大事な情報については漏らさない、そういうような構えをしっかりとっているということをしておきませんと、国民からもそうですし、相手の国からも信頼されませんので、そういうような情報の管理について力を入れていこうということを誓い合ったといいますか、お互い確認し合ったわけでございますので、これから先は、そういう角度から取り組んでいきたいと思っております。

 そのときに、警務隊を使うべきものについてはどしどし使っていく、そういうことについてもやぶさかでないというようなことでございますので、今の警務隊にすべて任せても、それはなかなか難しいんじゃないかなと思っております。

笹木委員 そうしますと、情報流出の対応ということなんですが、どういうような体制で、今大臣のお話の中に、ある程度情報関係の専門的なそういう体制をつくる、あるいはそういう集団をつくるというお話だと思いますが、どういう体制でやっていかれようとしているのか。あるいは、現時点で決めていることはありますね。定期面談作戦とか、あるいは調査委員会、情報流出対策会議とか、いろいろなことに取り組んでおられますが、今やっておられること、そしてこれから目指されていること、もう一度ここで確認をさせてください。

大古政府参考人 今回の事件の再発防止につきましては、事案の解明をもって具体的に決めていくということになるかと思っています。

 ただ、今回の事態を重大に受けとめておりまして、既に、四月二十四日でございますけれども、大臣を議長とする情報流出対策会議を開催したところでございます。

 当面の対策といたしましては、職員の問題意識が低いという観点から、職員の問題意識を高めるために、内局幹部職員を長とする特別行動チームを各部隊へ派遣することなどの対策を決めたところでございます。

 それから、五月十五日でございますけれども、これも情報保全に対する隊員の意識改革を行うことを目的といたしまして、全隊員に対して、情報流出防止に係る指導を個別面談方式により上官から実施するよう、防衛大臣が指示を発出したところでございます。

笹木委員 インターネット上とかでの情報流出、こういうのも最近かなり起きてきているわけですが、そういうことで全省的な対応というか、そういう対応要領みたいなものは、いつつくられましたか。あるいは、そういったことに対する全省的な教育、そういう体制はいつごろからつくっておられますか。

大古政府参考人 お尋ねの点につきましては、いわゆる「あさゆき」事案、一連の情報流出事案を受けまして、最終的には、去年の四月でございますけれども、いろいろ抜本的対策を講じまして、その概要を申しますと、一部職場で私有パソコンが使われていたわけですけれども、これを一掃するということで、官給品のパソコン約五万六千台を緊急調達しております。

 それから、業務用のパソコンを使った場合につきましては、データを強制的に暗号化するということでございまして、要するに、可搬記憶媒体にデータを保存する場合には強制的に暗号がかかる。したがって、そういう暗号を解読する業務用のコンピューターでないと可搬記憶媒体は解読されないということについて、今そのためのソフトを導入中でございます。

 それから、先ほど先生の御指摘にありました、職員の問題意識を高めるとか、そういうふうな教育についても改めてやっているところでございます。

久間国務大臣 私が就任する前の昨年の四月に、そういうことをやっているということでやったわけでございますが、なかなかそれが徹底していない。

 私物のパソコンを官用にかえる、これは大体もう徹底しましたけれども、まだソフトが完成していないということもございます。そして、個人的に持ち帰ったものについては、家庭内にあるものについても廃棄してくれということを言って、一応みんなに徹底したという話でございましたが、やはり廃棄したというふうに報告があった隊員のパソコンからウィニーを通じてとにかく流出したというような、そういうことがあっておりましたので、今回、改めて二十五万人の全員に、とにかく上官がもう一回、一人一人個別面接でそれを徹底しておいてくれということで文書で指示をしたところでございます。

 くどいようですけれども、これはもう繰り返し繰り返しそれを言っていって徹底していく以外に、なかなか家庭内にまで入り込んで一々抜き打ちで調べるということもできませんので、これにつきましては、やはりそういう形で徹底しようということで、今、再度そういう文書を出したところであります。

笹木委員 先ほど事務局の方から御説明がありましたが、そういう全省的な対応とか教育とかの体制がとられたのも遅いと思いますし、ぜひこの対策会議で、特別行動チームですか、これからつくられるということですが、いつごろまでにしっかりした体制をつくるのか、それについてはまだ決まっていないわけですか。急いで取り組んでいただきたいと思いますが、どうでしょうか。

久間国務大臣 今般、GSOMIA等も日米間で締結されるわけでございますので、それを受けても、なおこの情報管理というのはしっかりしなければなりませんから、この対策会議では、今までやったことについての検証と同時に、これから先どういうような問題についてはどういう取り組みをしたらいいのか、そういうことも含めながら、また内部だけではなくていろいろな方々の意見等も聞きながら、どういう形で組織内の情報を、きちんと図っていくか、今までのものでいいのかどうかも含めて、私の気持ちとしては、もう少し幅広くいろいろな検討をやりたいと思っておるわけであります。

 先般、参議院の方でもいろいろ指摘されましたが、今、機密あるいはいろいろ分類しているものも少し多過ぎるんじゃないかというような指摘もありまして、あるいは、期間も長過ぎて、もう要らないものまでそのままになっているんじゃないかとか、そういうことで、余りに量が多いとかえってそれが徹底しないんじゃないかというような指摘もあっております。そういう御意見等もまた肝に銘じながら、その会議で忌憚ない意見を出し合いながら決めていこうと思いますので、今、いつまでに具体的にということはなかなかこの場では申し上げにくい状況でございます。

笹木委員 ぜひ急いで体制をつくっていただきたいと思います。

 先ほど、前の神風委員も質問していた防衛監察本部、監察監のことについてお尋ねをします。

 前国会で、私も結構しつこく何度か大臣にも確認をさせていただきました。当然、官製談合というのは犯罪なわけですが、この官製談合についても警務隊はほとんど、当然機能はしておりませんね。ですから、そういう組織ではだめで、大臣直轄で独立のものをと。いろいろな他の部署の上からの指示とかを受けるような組織では、組織ぐるみでやっているときに機能しない、だから独立の組織をつくっていくということですが、そうであれば、そのトップである監察監なんかもぜひ外部人材が必要だろうということを質問の中でも何度もしつこくお話をしました。たしか前国会では、大臣は、ぜひそういう方向で取り組む、予算の請求もするんだというお話でした。

 この間の委員会の質疑での答弁とかあるいはきょうの委員に対するお話でも、民間の方は給与の面で非常に難しい面があるんだ、そういうお話がありましたが、ぜひそこは、いろいろあると思いますが、例えば外務省の場合、査察官の場合、トップですが、現職の検事にお願いをして、ついていただいたわけですね。

 民間の金融関係が非常に、給与面でいろいろとかお話しになっておられましたが、さっき大臣御自身が言っておられました遵法精神ということ、何が法にかかわるのか、その意識も非常にずさんになっていた、そういうところにこれから切り込んでいかないといけないわけですから、組織ぐるみのものに対してもしっかりと物が言える外部の者をトップに据える、このことは間違いなくやっていただけるんでしょうね。確認をさせてください。

久間国務大臣 あのとき答弁したことは今でもよく記憶にありますし、そういう方向で今でもやっているところでございますので、そういう方向でこれから先も、まだスタートするまでにちょっと時間がありますけれども、ぜひやっていきたいと思っているところであります。

笹木委員 そういう組織が機能し出して、いろいろ活動し出して、当然、我々としてみれば、その組織が本当に、本来つくった、これは防衛省が発足するときにも非常に話題になった件ですから、こういう過去のしがらみを断ってちゃんと機能しているのか、監察本部が機能しているのかどうか、非常に世間も一般の方々も関心のあるところだし、我々も当然関心があります。

 その監察本部がしっかりとその業務の遂行、適切に行われているかどうか、それについて客観的に評価というか、あるいは外部から評価する、そんな仕組みというか、そういうことは考えられておられますか。

久間国務大臣 監察本部をつくって、その監察本部をまた監察する制度をつくるというのは、なかなかちょっと言いにくいといいますか、むしろ、監察本部をつくったけれども機能していないじゃないかというのは、国会等で議論していただく以外に、ずっと追っかけっこになってしまいますので、やはりそこは、まずはでき上がったものをちょっと見守っていただいて、本当に機能しているかどうか。機能させようと思ってつくるわけでありまして、しかも、外部からまたそういうような人材を、とにかくお願いして来てもらってでもやろうという意気込みで今やっておるわけでございますから、それをちょっと立ち上がらせていただきたい。

 その先はまた、別途、皆様方からいろいろな御批判等もあろうかと思いますが、それはそれでまた承りたいと思いますけれども、今は、そういうことで、まず立ち上げることに一生懸命になっているところであります。

笹木委員 ぜひ、まず情報公開という面で、監察本部がやっている活動について、毎年毎年詳細な情報公開をお願いしたいと思います。それはできますよね。

久間国務大臣 これは前回のときの議論でもそうでしたけれども、施設庁があそこまでずっといろいろなことを突っ込んでいきながら問題の本質を探ろうとしてやってまいりましたのは、やはりある程度相手との信頼関係も大事だったわけでありますから、今度監察本部がやるときにどういう形でどこまでやれるか、そのときに、相手との約束事がある場合にどこまで公表できるか、これはまた別の問題がございます。

 それはそれでまた議論をしていただかないと、監察本部が立ち上がって行動するときに、やはりそれとの信頼関係、隊員との信頼関係も必要でございますから、その辺が、情報公開との兼ね合いで非常に難しい点も出てくるケースもあり得るんじゃないかなと思いますので、これは委員の方向とは必ずしもぴたっといかないかもしれません。とにかく、スタートをさせてみたいと思っているところであります。

笹木委員 その情報公開のことはまた議論もしたいと思いますが、ぜひ、どういう活動をして、機能しているかどうか、我々もちゃんとわかるような情報公開のあり方をお願いしたいと思います。

 それと、これも前国会のときにも何度か話題に出た点ですが、官製談合の報告書、再発防止の報告書、調査報告書が出たときに、その直後には、この官製談合によってどれだけの税金が無駄に使われたか。それで、OBによって、自主的にでもいいからOBの方々がそういう形でその損害について返還する、一部でも返還するような、気持ちの問題だと思いますが、そういうことはなされるのかどうかというのを何度かここでもやりとりがありました。

 あの調査報告書が、再発防止報告書が出た直後には、ホームページでも、そういうOBによる返還というようなことも書かれていましたよね。会見でも言われていましたよね。その後どうなったのか。今の現状、あるいは前国会が終わってからOBの方々に対してどのような働きをされたのか、それについて報告をしてください。

久間国務大臣 施設庁長官が来ておりませんので、私からお答えしますけれども、私も、あのときのやりとりは、先生からも来ておりましたし、聞いておりましたので、施設庁長官もいろいろなOB会があったときにその話もしたということでもございました。

 私が、施設庁長官にその後どうなんだと言いましたところ、正直言って、自主的に幾らかでも返還といいますか、国に対して寄附といいますか、そういうことをした人はおりませんという話でございます。

 何でなんだろうなというふうなことを私も考えますが、みんながそろってやればいいのかもしれませんが、自分一人がやると、やましいことをやっておったかのようなことを人から思われる、そういう思いがどうもやはり強いんじゃないかと。

 あのとき、たしかどこかの県の例を先生は引き合いに出されましたけれども、みんなできちんとこうしようということで決めてやるといいのかもしれませんが、個人個人に働きかけたとしても、出した人が、何か、さも自分が後ろめたかったから出したんだろうというふうに思われたら困る、そういうようなことがあるんじゃないかと思います。

 それで、個人的に手紙をOBの皆さんに出すわけにはいかぬのかといいますと、これはまた、弁護士と相談してみますと、その人にさもそういうことがあったかのようなことで名誉を傷つけるという形で、名誉毀損で向こうから訴えられることだってなきにしもあらずだと。おれはそういうことをしていないのに、何でそういうような返還を督促するような手紙をよこすんだというようなことにもなって、それも出しづらいということで、正直言って、この問題については、あのときの先生のお気持ちはわかりましたけれども、さっぱり動いていないという実情でございますので、大変申しわけないという思いもいたしております。

笹木委員 あのとき、二つぐらいの自治体の例を出しましたが、その二つの自治体ともにOBの会があるわけですが、OBの会でそのことを議題にして話し合いをした。それで、決議をして、なるべく多くの者が、その額を一律に決めたわけじゃありませんが、集めて返還をした。当時の、その事件があったときの副知事とか、これはかなり個人として多目に出している、出納長も出していたと思いますが、そういう形をとったわけですね。

 あのときも言いましたが、どうして自治体においてやれることが中央官庁でやれないのか。しかも、さんざん何度も話題になって、問題にされて、今新しいスタートを切った。ここは、ぜひきれいにけじめをつけていただきたいと思うので、いろいろ大臣、なかなか大変だということで御苦労だとは思いますが、結局、今のお話ですと、前国会以来、何の働きかけも具体的にはされていないということですね。それでは困るんですよね。

 ぜひ、ここで具体的に何か取り組みをするということをお約束いただきたいと思います。

久間国務大臣 なぜ、地方自治体でやっていてこちらでやれぬのかなということも考えてみました。一つは、地方の場合は、同じ地域に住んでいて、みんなが出すときに自分が出さないというのが、非常に村意識といいますか、そういうので逆にまずいわけですけれども、今度の場合は、OBさんといっても全国に散っているわけですね。そうしますと、それをまとめてこうしようというのがなかなか難しいようなんですね。

 だから、この問題については、本当に、正直言ってなかなか手がつかないという状況でございますので、ありようにお答えさせていただきます。

笹木委員 では、しつこいですが、事務局の方に再度お尋ねします。そういうOBの会はあるわけですよね。例えば、年に何回集まるとか、最低でも年に一回ぐらい総会をやっているOBの会はあるわけですよね。

久間国務大臣 きょうは施設庁長官が来ておりませんけれども、OBの会はあって、懇親会等はやっているようでございます。

笹木委員 このことに一々大臣にお答えいただくのはちょっと恐縮でありますが、事務局のかわりの方で、きょうこの質問をするということは、事前にちゃんとお話ししていますが。

 ぜひ、OBの会で、こういうことが国会で再三話題になっているんだと。また、あのときの議事録、必要なら、具体的な、こういうふうに地方においてはやったということも、資料もお渡しします。再三話題になっているし、私だけじゃありませんよね、複数の委員から前国会でもこのことは要請をされているわけですから、そのことをお伝えくださいよ。事務局の方、お答えください。

西川政府参考人 きょうは施設庁の者がちょっと来ておりませんので、今の先生のお話、十分間違いなくお伝えしておきたいと思っております。

笹木委員 資料も渡すので、ぜひそのことをお願いしたいと思います。

 最後に一言だけ、先ほどの監察監、監察本部においてトップに外部からしっかりと入っていただくということを必ず実行していただきたいと思います。しつこいですが、きょうの法案の附帯決議にも入っておりますので、しっかりやってください。

 よろしくお願いします。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案について聞いていきますけれども、今回の防衛二法改正案、これは、三月末に発足した中央即応集団の司令部のもとに置かれる中央即応連隊の新編、そして、海上自衛隊の体制の見直し、陸海空三自衛隊の常設の共同部隊の設置、防衛施設庁の解体、防衛本省への統合、いずれも重大な内容を持つ法案であります。

 まず、中央即応連隊について聞きますけれども、これはどういう部隊なのか、そして、部隊の規模、編成、役割、これらについて説明していただけますか。

大古政府参考人 中央即応連隊、仮称でございますけれども、これにつきましては、本年三月に新編されました中央即応集団の隷下に置きまして、十九年度末に約七百人の規模で宇都宮駐屯地に新編予定でございます。

 この連隊の役割でございますが、主として、ゲリラや特殊部隊による攻撃等が発生した場合に、重要施設の集中する地域におきまして必要に応じて陸上自衛隊の各方面隊を増援する、これが一点目の役割でございます。二点目といたしまして、国際平和協力活動の派遣決定後、迅速に現地に先遣隊として派遣し、準備を行うなどの機能を発揮させるということを予定しております。

赤嶺委員 そこで、ことしの一月十一日付の朝雲新聞を見ますと、「宇都宮駐屯地では昨年、中央即応集団の隷下部隊となる「中央即応連隊準備室」が発足し、現在、即応連隊新編に向けての準備が進められている。」「準備室では現在、最初の要員となる隊員の募集・人選を行っており、全国にやる気と能力のある優秀な隊員を求めている。」とあるわけですが、これは事実なんですか。

 また、いつ準備室を立ち上げて、いつから隊員の募集や人選を行っているんですか。

大古政府参考人 準備室を設けているというような話は、私は承知しておりません。

赤嶺委員 一月十一日付の朝雲に写真入りで準備室というのが出ているんですよ。これは、架空の写真だとは思えないんですが。

 ちょっと説明していただけませんでしょうか。

大古政府参考人 事実関係を調査して、別途御説明したいと思います。

赤嶺委員 いや、新聞に写真入りで出ているんですよ。通告もしているはずですが。

 大臣、中央即応連隊の準備室ができたということが一月十一日付の朝雲新聞に出ていて、そして隊員も募集しているというのがあるんですが、これはどういうことでしょうか。

久間国務大臣 いや、それは私も聞いていません。まだ法律が通っていませんし、連隊のそういう予備的な動きをしているのかもしれませんけれども、できたときにすぐ動けるようにどういうのを人選するかとか、そういうのは内部でいろいろやると思いますけれども、私自身、そういう準備室が発足したというようなことはまだ正式には聞いておりませんけれども、どこの新聞ですか。(赤嶺委員「朝雲新聞です」と呼ぶ)それはまた、そういうふうな動きがあるんでしょう。当然そういうような方向へ向かってやっておりますから、方向としては。

赤嶺委員 当然方向として向かっているといって、国会で通らないうちに向かえるんですか、法律もできないうちに。

久間国務大臣 いや、そういう方向で向かうために法律を出しているわけですから、法律を出したときにそういう方向づけは一応政府としては決めて進もうとしているわけで、法律ができないとやれないわけですよね。だから、今お願いしているわけでありますから。

 しかし、そういう準備は、法律ができたときにどうするというのは、それは予算でもそうですよ。予算をお願いするまでは発表できませんけれども、予算はこういう箇所づけでしますよという準備はしておいて、そして、予算が通ると同時に一斉に出すようなことでやるのと同じで、準備をしていけないわけじゃないのでありまして、それはまた、そのために法律もつくって国会へお願いしているわけですから、それだって準備ですよね、法律をつくるというのも。

 だから、そういうことで、正式にスタートしたら、本当からいいますと、その後にすぐにでもスタートすべきだと思いますけれども、そこまではまだできていませんので、それから具体的にそういうのをつくり上げてやっていく。しかし、方向づけとしては、国会に法案を出したときから政府の姿勢としてはもう決まっておるわけですから、それまでけしからぬと言われてもちょっと困ると思います。

 ただ、そういうふうな形で公表されるということになると、まあ、まだ正式にはスタートしていない、私自身がサインしたわけでもございませんので、準備室ができたということではないと思います。

赤嶺委員 その準備室ができたという報道があるわけですよ。政府が決めたら何でもやっていいんですか、法律が通る前に。

久間国務大臣 法律が通らないとそれはやれないわけでありますから、法律が通ったときに、そのときにすぐ動けるように準備作業はやろうと。

 いろいろな、例えばPKO部隊を出すときでもそうですよ。PKOを出すときにはきちっと法律が通ってから出すわけですけれども、そのときに慌ててしないでいいように、今度はどこの部隊を出すようにしようかというようなことでの準備はする、そういうことはやるわけですから、そういう準備作業をやっちゃいかぬということにはならないと思います。

赤嶺委員 隊員を募集しているわけですよ、即応連隊の。そういうこともできるんですか。予算はどこから出るんですか。法的な根拠は何ですか。

大古政府参考人 今ちょっと急遽調べたところによりますと、準備室といってももちろん正式な組織ということではございません。ただ、政府として法案をお願いしていますので、さらに、今大臣御説明したような準備行為としてやっているということで、写真上は看板が出ているようでございますけれども、そういう正式な組織をつくったということではございません。

 他方、募集というのは、基本的に法律が通ってからいろいろ準備した上でやることになると思います。

赤嶺委員 これは一月ですからね。予算も通っていないわけですよ。もちろん法律も出されていないわけですよ。こういう時期に隊員募集など、準備室という看板をかけるのはやはり不適切だったということになりませんか。

久間国務大臣 予算については、もしこの法律が通って、現在の既存の予算で、広報活動とかなんとかで足らないとなれば、それは場合によっては補正も必要かもしれませんし、あるいはまた予算を使わないでやれる範囲でやるのかもしれませんし、そこのところはとにかく法律が通ってからよく検討してみますけれども、まずは法律を通していただきたい、そういうふうに思うわけであります。

赤嶺委員 こんなことをされて、法律も通らないうちに現場が隊員募集だの準備室だの看板を掲げて、それが不適切であるかどうかも明確にしないで法律を通してくださいと言って、そんな後追いなんかできないじゃないですか。国会の審議は、皆さん、防衛庁が防衛省に昇格してもシビリアンコントロールは変わりませんとか、国際活動が本来任務になってもシビリアンコントロールですとかと言って、いわば言った先から、法案が通ったら、直後からこんなことをやっている。これは横暴じゃないですか。横柄じゃないですか。

久間国務大臣 その法案を通すか通さないかは、そういう準備をするかどうかじゃなくて、そういう部隊を設けること自体がいいのかどうかで判断していただくわけでありまして、それを政府としてはつくりたいということでお願いをして国会に法案を出しているわけですから。そうしたら、それが通る、そして、政府のそういう気持ちもわかってもらえるだろうという前提に立って準備を始めたからといって、それは正式の準備室を、法令上必要な、あるいは省令に基づく、そういう室を設けたわけじゃございませんで、準備のためのそういう場所を明示したわけでありますから、それでもっていかぬということにはならないんじゃないでしょうか。どうなんでしょう、私はそういうふうに思いますけれども。

 まず、そういうことをやるならば法案を国会に出せ、そして我々の審議に応じろ、そういうふうに言われるなら、それはわかります。しかしながら、国会に法案を出して、こういう形でお願いしたいという、その中身をお願いし始めましたら、それにはどういうような、通った場合にどうするかという次の対応を考えるのは、そこまでけしからぬと言われましても、そこはいかがなものでしょうか。

赤嶺委員 法案の出ていない一月だから私は問題にしているんですよ。これは一月ですよ。一月十一日付の朝雲新聞ですよ。そういう認識も整理しないで、今さらけしからぬと言われても、これはおかしいと。だったら、国会で何を審議するんですか。政府が決めたらすぐこういうことを出して、対外的に発表して、募集も始める、こんなことができるんですか。

久間国務大臣 中央即応連隊というのは、たしか、法定のあれでは、法定事項ではないのかもしれませんね。(赤嶺委員「では、今回何で法案を出しているんですか、連隊の」と呼ぶ)いや、この法案で連隊の名前が出てきますか。それは、地方隊のことですね。ちょっと待ってください。(赤嶺委員「ちょっと委員長、時計をとめてください。今長引いていますから、これで」と呼ぶ)

木村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

木村委員長 では、速記を起こしてください。

久間国務大臣 即応集団はともかくとして、即応連隊をつくることについての法案を今回出しているわけですから、それが、一月の十九日とおっしゃいましたか。(赤嶺委員「十一日」と呼ぶ)十一日といいますか、それは少し先走っているのかなと思いますね。

 私は、法案を国会に出した後にそういう準備室の看板を上げたのかなと思ってさっきから答弁しておりましたけれども、その日付がその前だとすれば、それはやはりちょっと早過ぎるんじゃないかな、せめて国会に法案を出して、正式に、こういう連隊をつくりますよということを天下に公表してからでよかったんじゃないかなと思います。

 準備作業を、後でまた私もちょっと事実関係も調べてみます。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

赤嶺委員 事実なのかって、朝雲新聞ですからね。それで通告もしてやっていますからね。

 次の質問に移っていきますけれども、私は、これはシビリアンコントロールに大いに疑いあり、言っていることが信じられないと思います。そして、そのことについてのきちんとした調査と、どういうことであったか、不適切であったかというような説明がない限り、皆さんが言ってきたシビリアンコントロールというのは本当に疑いありと言わざるを得ないと思います。

 それで、今度は中央即応集団です。中央即応集団の司令官は、部隊発足の際の記者会見で「国際任務への対応は従来に比べ相当早くなる。政府の意思決定にもよるが、PKOなら従来、準備に半年かかっていたのが数カ月に短縮され、先遣隊はもっと早くなる。国際緊急援助隊なら数日単位で準備できるだろう」、このように述べているわけですが、緊急即応連隊の場合、海外へ先遣隊として派遣される場合、それは一体どれだけの期間で出動することを想定しているのか、なぜこのような体制をつくることが必要なんですか。

大古政府参考人 中央即応集団につきましては、いろいろゲリラとか特殊部隊等の攻撃があった場合におきまして、各方面隊を支援するという役割のほかに、先生の御指摘の国際平和協力活動、海外に行くことが決まった場合におきまして、その先遣隊の役割を担うということも考えているところでございます。

 ただし、この先遣隊につきましては、その時々の国際平和協力活動の状況によりますので、どのぐらいの準備で派遣できるかとか、そういうことは一概には申し上げられないということでございます。

赤嶺委員 この中身についてもうちょっと聞いていきますが、報道によりますと、都市部での市街地戦闘を想定し、各普通科中隊に狙撃班をつくる、こうなっています。なぜそういう狙撃班とかといったようなものが必要なんですか。市街地戦闘を想定した、そういう前例があるんですか。

大古政府参考人 中央即応集団の機能として特に狙撃がどうというようなことではないと思っておりますけれども、狙撃については、最近のいろいろな戦闘の中で、特に指揮官を狙撃することによって敵の部隊の効率を低めるというようなことが行われるというふうに承知しております。

赤嶺委員 市街地戦闘というのは何を想定しているんですか。国内でのことを想定しているんですか。

大古政府参考人 我が国の領土内で行われる市街地戦闘につきましては、そのときの様相によっていろいろ、各種あるとは思いますけれども、基本的には、大規模なゲリラとかコマンドの部隊が日本に侵入してきた場合を想定しておるところでございます。

赤嶺委員 なかなか想定しにくい状態なんですけれども、それでは、中央即応連隊を新編するに当たって、どんな装備を導入しようとしているんですか。

大古政府参考人 中央即応連隊の装備自体については、普通の自衛隊の師団の連隊の装備と同じでございまして、基本的には、車両や個人携行火器、小銃等を予定しているところでございます。

赤嶺委員 そのほかに特徴的なものはありませんか。

大古政府参考人 先ほど言いましたように、普通の陸上自衛隊の連隊と装備については基本的に同じでございますけれども、強いて特徴ということでございますれば、車両については機動性の高いものを多く装備するということを考えているところでございます。

赤嶺委員 これも、今回の法案を検討するに当たって朝雲新聞をめくってみたんです。そうしたら、二月十五日付に、「活動に必要な被服九百組を調達、中央即応集団等に一括保管する。 また、航空機も海外向けに改造。CH47JA輸送ヘリは砂塵などの環境下でも運航できるようにエンジンに防塵フィルターを装着。」と、いわば海外活動、しかも砂じんが舞い飛ぶ地域での活動を想定した装備品があるというようなものが書いてあるんですけれども、これはそのとおりですか。

久間国務大臣 お答えする前に、先ほどの、なぜ準備を始めたのかということですが、政府の方針として、予算案が閣議決定されましたので、予算案に基づいてそういうことについては準備ができる、そういう判断だったんじゃないかなと思っております。法案そのものは、その後に閣議決定しておりますから、先ほどの一月十一日と若干のずれがあろうかと思います。

 今の御指摘のその内容につきましても、予算の方でそういうことについての方向性が認められたので、予算案は三月末で仕上がるわけでありますけれども、そういうことで、そういうようなことの方向づけについて書いているんだと思います。

 いずれにしましても、今度、中央即応集団が機能しますと、国際協力活動としていろいろな形で出ていきますから、輸送等についても、今まで以上に、本来任務化されますと、それなりのやはり輸送の必要性が出てくるんじゃないかなと思っておりますし、国際緊急援助隊でもそうですから、そこは砂があるから行けないんだということにはならないわけでありまして、いかなる場合にでも行けるような準備は必要だと思っております。

赤嶺委員 先ほどの準備室の話は、今大臣がそうじゃないかなというぐあいに言われても、どうであるかということを明確にして、委員長、理事会への報告を、その経過、それを理事会にちゃんと報告していただきたい、そのことを求めたいと思います。

寺田(稔)委員長代理 理事会にて協議をさせていただきます。

赤嶺委員 それで、中央即応集団のパンフレットをいただきました。その最後のページに中央即応集団のシンボルマークが載っています。世界の五大陸が描かれているんですね。説明を読みますと、司令官、これは三つの桜のマークがあるんですが、「司令官の下、日の丸を背負い、全世界規模で活躍するCRFを表しています。」と非常に象徴的な書き方になっているんですが、同時に、「CRFの紫の影は陸海空自衛隊の統合運用を表しています。」こう書いてあるわけですよ。

 中央即応集団というのは陸上自衛隊の海外での活動の指揮を担うということなんですけれども、それにとどまらず、いわば統合運用をあらわしているマーク、この中央即応集団のパンフレットにあるわけですが、陸海空三自衛隊の統合運用の指揮も担うというのも想定しているということですか、このマーク。これはパンフレットに書いてあるんですよ。

大古政府参考人 統合運用される場合もあるということでそういうような記述になったんだと考えております。

赤嶺委員 統合運用される場合には、中央即応集団がやはり司令部の役割を担うというアピールだということですね。

大古政府参考人 統合運用する場合につきましては、いろいろケースがありますので、それは中央即応集団のパンフレットでございますので、そういうケースについて言及したんだと思います。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 中央即応集団が統合運用して、日の丸を背負って全世界規模で活躍する、こういうマーク。パンフレットの裏に書いているんです、「司令官(三つの桜)の下、日の丸を背負い、全世界規模で活躍するCRFを表しています。 CRFの紫の影は陸海空自衛隊の統合運用を表しています。」と。

 近いうち、中央即応集団は座間に移っていくということになります。座間には、御承知のとおり、米軍再編で米陸軍の新たな戦闘司令部が置かれる。その戦闘司令部は、アメリカの四軍の統合任務を可能にするものであります。

 今、中央即応集団司令部も統合任務が可能となっていく、そうなった場合には、まさに米軍と自衛隊が一体となって海外に乗り出していく態勢づくりではないかというぐあいに私は感じています。やはり今度の設置法、大変危険な方向の部隊づくりをしているというようなものを指摘しておきたいと思います。

 最後の質問ですが、パンフレットのCRFの編成を見ると、中央即応連隊以外にも新たな部隊の新編が盛り込まれています。十九年度末新編ということになっておりますが、これはまさか準備室はできていないんじゃないかと思いますけれども、対特殊武器衛生隊とあります。これは今まで全く編成表になかったんですよね、説明してこなかったんですね。どういう部隊なんですか。

大古政府参考人 御指摘の部隊につきましては、新たな脅威や多様な事態に実効的に対応するため、生物兵器、化学兵器等による攻撃への対処能力の向上を図ることとしておりまして、十九年度におきまして、約七十名から成る対特殊武器衛生隊、これも仮称でございますけれども、朝霞駐屯地に新編することとしております。

赤嶺委員 終わります。

木村委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、きょうは、きょう議題になっております法案に関連して、前回に引き続き、自衛隊の規律の問題を前半に、そして後半は沖縄問題を取り上げたいと思います。

 まず、前回の五月十八日、自衛隊の規律ということで、自衛隊内で強姦未遂致傷罪に当たるようなセクシュアルハラスメント事件があったという訴えがあった、このことを中心に質問をいたしました。

 これとの絡みで一問大臣にお聞きしたいと思います。

 前回、一九九九年から現在までに三百八十件のセクハラの相談があり、しかし、その年に「セクシュアル・ハラスメントの防止等に関する訓令」が出されてから、意識調査はたった一回しか行われていなかったということが答弁でありました。私は、強化が必要だと思うんですね。

 前回も紹介しましたけれども、アメリカでも、二〇〇四年初頭にイラク駐留米軍内での性的暴行の報告を受けた当時のラムズフェルド長官は、即座に国防省内での調査を二月に指示して、四月には報告書を出しています。これがその報告書で、性的暴行の被害者の保護に関する報告書なんです。これは、実態の報告だけではなく、それに基づいてどのような対策がとられ、どのような改善が必要かを詳細にレポートしているわけです。すぐ取りかかったわけですね。それくらい深刻な問題だと思います。

 私は、このような告訴に至るような事件も起こっておりますので、即刻実態調査を実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

久間国務大臣 その前に、セクシュアルハラスメントというのは、我が国の場合は、片一方の男性の方ではそれがセクシュアルハラスメントにならないというような認識のもとで、それがまた実際なっているというような、そういうケースも結構ありますので、やはりそういう点での基礎的な教育からきちんとしていかなきゃいけないんじゃないかなと思っております。

 それで、これから先、事件は事件として解決しなきゃなりませんが、そういうようなことをなくしていくためにどうするか、いろいろなことを考えなきゃなりませんが、その選択肢の一つとして、今委員が御指摘になったこの問題についても、いわゆる調査といいますかアンケートといいますか、そういうことについてもそれは考える余地はあるんじゃないかなと思っております。

辻元委員 これはもう世界共通の国際常識になっております。

 この裁判になっている女性がこういう発言をしているんですね。「私は、私の人権と女性としての尊厳を取り戻すため、国とたたかいたいと思います。 三年前、自衛隊に入隊したころ、私は自衛隊に対する大きな期待と夢を持っていました。今でも私は自衛隊に期待をしております。それは、今後自衛隊が社会常識が通用する普通の組織となり、女性が安心して働ける職場になれるかどうかにかかっていると思います。」

 女性自衛官はふえております。私は、これは即刻やられた方がいいと思います。私は、日本のためだと思っております。

 その中で、きょう、実はこの事件に関係しまして、この女性自衛官への性暴力事件の原告の代理人にある弁護士が、この事件が起こった自衛隊の基地の軍司令に対し、緊急の申し入れを行うと聞いております。それはどういうことかといいますと、提訴後、セクハラを行った被告に対する調査や処罰が行われるのではなく、原告に対して嫌がらせとか処分が行われるというような動きが出ている。具体的に申しますと、提訴の翌日の五月九日には、原告に対し、物置として使用される部屋への異動命令が出されたり、インターネットの2ちゃんねるの書き込みを印刷して、束にしたものを上司がこれ見よがしに机に置いたりという嫌がらせがあった。これはうそではないと思うんですね。こんなこと、うそは言わないと思います。

 この女性自衛官を人間としてさらに傷つけていくだけではなく、他の女性自衛官の間にも話が広がります。各地での職場への女性自衛官の不安が広がると思うんですね。ですから、これは今裁判になっていると思いますけれども、これが本当であれば、組織ぐるみになっちゃって、裁判、国はもっと不利になりますよ。ですから、大臣、この案件も、訴訟中という事情はありますけれども、きっちりとチェックしていただいた方がいいと思います。いかがですか。

久間国務大臣 先ほど私が直ちに調査、アンケートをしますということを言わなかったのは、そういうような裁判になったり、あるいはまた先生がここで取り上げたり、そうしてばっとやると、それが非常に一方的に決めつけるような格好になってしまうものですから、何かあったときには私は必ず半面をこうして見る癖がついておりますので、言っているのが一〇〇%正しいという前提では物を見ないんですよ、私の性分として。

 言っているときは、なぜ先生方を通じてこういう形で上がってきているのかな、そういう思いも片隅に一%ぐらいはありまして、そういう意味ですっかり乗れない。

 そういうようなものもありますから、今おっしゃっているものは十分受けとめますけれども、その上に立って、やはりこういうものについては慎重に、いろいろな関係を調査しながら、間違いないようにしたいと思っております。

 特に、訴訟のときには先入観を持たないことが非常に大事だということは私自身は非常に強く感じておりますので、そういう点では、ただ、今、処分の話もありましたけれども、そういうのは何か処分になるようなことがほかにあるのかどうか、そういうところを踏まえながらやはり研究せにゃいかぬと思っております。

辻元委員 先ほどほかの委員も薬物とか無断海外渡航のことも追及がありましたけれども、このセクシュアルハラスメント問題というのは、単に不祥事とか、この問題は人権とのかかわりで国際基準も非常に厳しくなっているわけですね。私たちは反対しておりますけれども、自衛隊が国際的に活動するというようなことも進めたいという御意向もあるようですけれども、この点は、私は、この裁判を不利にするとか有利にする話ではなく、きちんと対処していただきたいと思います。これは引き続きチェックをしっかりしていきたい。まだ実態調査が一回というのはおかし過ぎると思います。

 さて、そこで、今回の防衛施設庁の廃止と本省内内部部局等の組織改編について伺いたいと思います。

 防衛施設庁が解体されて、防衛施設庁内の防衛施設局が防衛省の機関として再編された場合、地方の防衛施設局は地方防衛局になると聞いております。例で那覇。今注目されておりますが、那覇の防衛施設局は那覇地方防衛局になり、そして、何か業務に変更があるんでしょうか。いかがでしょうか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 地方防衛局の設置につきましては、今回、防衛施設庁の解体に伴いまして、地方公共団体及び住民の方の理解、協力を得る事務というものを少しつけ加えまして、防衛省の外局として設置、そして、今まで防衛施設庁の出先として防衛施設局が担当しておりました業務はその中に一部として継承されていく、こういう格好でございます。

辻元委員 そうしますと、今地方の理解と協力を得るという話でしたけれども、先般の自衛艦の辺野古沖への出動ということは、きょうの沖縄の新聞でも、県会議員を中心にアンケート調査がありました、その中で、もうほとんど全員が反対または問題があると言っております。自民党や公明党の議員も含めて、おかしいという声が上がっているという報道がなされているわけですね。

 地方の理解と協力を得る業務もくっつけると言っているわけですけれども、そんなこと言っているやさきにあんなことをしておいて、これは大問題だと私は思うんです。

 さて、そこで、自衛艦の「ぶんご」を派遣、出動させたときの法的根拠を問われて、省庁間協力だというお話がございました。国家行政組織法第二条第二項の官庁協力であると。防衛施設庁から協力要請があったから出動させたと答弁されていましたね、久間長官は。

 そうすると、本法案が成立した場合、防衛施設庁が廃止されたら、依頼される相手がなくなるので、この国家行政組織法第二条第二項の省庁間協力を根拠とした今回のような出動は、これを根拠にできないという理解でいいんですか。

久間国務大臣 そうじゃございませんで、省庁間協力で、他省庁から依頼を受けたときでも、よその省庁のことででも協力することができるというわけですから、ましてや、防衛省の仕事について防衛省の内部から協力依頼があったら協力させるのは当然じゃないですかということを言っているわけです。

 だから、今度は、防衛省の出先機関である地方防衛局から、万一、もう危ないような状態で救助せぬといけない場合があるから、その部分で、海上保安庁ももちろん全般のことをやってくれるけれども、それでできないときには自衛隊もよろしくお願いしますと、地方防衛局からもし防衛省に、私の方に依頼があったら、海上自衛隊なりあるいは陸上自衛隊なり、そのときの、今度の場合は海上自衛隊でしたけれども、そういう海難救助を含めて、あらゆる態勢で、盤石の態勢をとってもらいたいというのを言えるわけでありますから、それは防衛施設庁が廃止になっても言えると思います。

辻元委員 では、廃止になった場合、同じ法的根拠で出すんですか、その場合は。

久間国務大臣 同じ法的根拠といいますか、要するに、他省庁の仕事でも依頼を受けたらやれる、地方自治体から依頼を受けたらやれる。そのときに、省内で、防衛省という組織の中で依頼を受けたとき、やれないということ自体の方がおかしいんじゃないでしょうか。

辻元委員 そうしますと、次にお伺いしたいんですが、自衛隊員が派遣されました。ダイバーとして働いた人もいると聞いております。この自衛隊員は、自衛隊法の何条にのっとった任務として派遣しましたか。自衛隊法にのっとって答えてください。自衛隊の任務は自衛隊法で規定されている任務しかできないはずですので、自衛隊法の何条の任務でしょうか。

山崎政府参考人 自衛隊法といいますよりは、防衛省におきまして、施設庁の協力依頼を受けまして、施設庁さんが在日米軍の施設・区域にかかわる業務を実施する上で、その一環としての現況調査をやっている。それに対しての協力をしたということだろうと思っております。

辻元委員 それはこの間からおっしゃっている、防衛施設庁の所管にかかわる防衛省設置法第四条十九号を根拠にするという答弁もほかの委員会でされているようなんですけれども、しかし、この防衛省設置法にも、第五条に「自衛隊の任務、自衛隊の部隊及び機関の組織及び編成、自衛隊に関する指揮監督、自衛隊の行動及び権限等は、自衛隊法の定めるところによる。」と入っておるわけです。

 自衛隊の行動は、すべて自衛隊法にのっとって行わなければいけない。ですよね。そこがおかしい。そこに根拠がない行動はできないはずですから今お聞きしているわけですけれども、今回の自衛隊員の任務、行動は、自衛隊法の何条にのっとった行動でしょうか。

山崎政府参考人 当然、自衛隊法につきましては、防衛省設置法の所掌範囲内において定められているものでございますので、今申し上げたように、防衛省設置法の中におきまして定められている権限の中で協力を行ったというふうに解しております。

辻元委員 そうすると、現在の自衛隊法の中の任務にはないという理解でいいんですか。

久間国務大臣 その議論は、前に、私が防衛庁長官のときも実はございました。

 札幌の雪祭りに自衛隊が一生懸命応援するんですけれども、これは自衛隊法のどの条項に基づいて出るんだと言われますと非常に難しいんですよ、厳密にいきますと。だから、やること自体が非常に、悪いことならともかくとして、国民から支持されているならいいじゃないか、あるいは防衛省の仕事にそれが一助となるならいいじゃないかというようなことから、具体的にどの条項のどれだと言うのはなかなか難しい。

 そして、私の、前のときに、この間も言いましたけれども、下甑島に不審者が上陸した、そういう情報のもとに青年団がみんな山狩りをする。そのときに、若い人は自衛隊も参加してくださいよと言われて、自衛隊は一緒になって捜しました、もちろん銃も持たず手ぶらですけれども。そういう形で参加した。

 そのときに、ある新聞社から、自衛隊法のどの条項に基づいて出るんだという話をされましたけれども、そこの一住民として、自衛隊のレーダーサイトがあっておるときに、それを、一緒になってみんなが不審者が上陸したというので捜しているときに、おれは知らぬと言ってよそを向いていていいのか。その条項の話よりも、そっちの方から見て、行動しない方が防衛庁長官としては責められるでしょうという話をしたことがございます。

 細かく言いますと、どの条項というのを一々、これこれと決めつけるのは、ああいうふうに成文化しますと、適用が非常にしにくい点がありますけれども、総じてそれが合理的かどうかという判断からやらざるを得ないというふうに思うケースが間々あるんじゃないでしょうか。

辻元委員 捜索活動とか、それと今回はわけが違います。例えば、雪祭りの場合ですと雑則で対応するんじゃないかという議論も随分ありました。土木工事の委託とかいろいろあるわけですよ。今回は事情が違うと思います。

 そうしたら、ちょっとお答えいただきたいんですが、派遣された「ぶんご」の乗組員は何人だったのか。どんな任務の隊員を乗せていたのか。それで、海上自衛隊のダイバーは何人業務に携わったのか。そして、民間のダイバーは何人業務をしていたのか。お答えください。

山崎政府参考人 「ぶんご」につきましては、たしか乗組員も含めて百五十名程度だったというふうに承知をしておりますが、潜水夫を含めて何名を派遣したかということにつきましては、運用上の個別具体的な動きでございますので、将来いろいろな差しさわりができるということで、答弁は差し控えさせていただきたいと思っております。(辻元委員「民間はどうですか」と呼ぶ)民間につきましては、ちょっと私ども所掌ではないので、承知をしておりません。

辻元委員 どんな差しさわりがあるんでしょうか。

山崎政府参考人 潜水夫を動員いたしまして、当然乗せて派遣をしたわけでございますが、例えば、自衛隊がどの程度の潜水夫の動員能力があるかどうかということについては、非常に極端な話、今後防衛行動を行う場合に、相手側に対して自分の手のうちをさらすような話になりますので、答弁を差し控えさせていただきたいというふうにお答えをいたしております。

辻元委員 だから派遣したらあかんということなんです。これは調査です。自衛隊員は自衛隊法にのっとって仕事をすると思っている。しかし、その根拠も明らかではない。何人行ったかもわからない。調査というのは公明正大にやることじゃないですか、大臣。

 大臣、記者会見でこうお答えしていますよ、その点問われているんですよ。何人がかかわっているか後で連絡してください。そのうち何人ぐらいが調査にかかわったというのは、別に秘密にするようなことではありませんからと。

 そうしたら、これは忍者部隊ですか。これでシビリアンコントロールだと言えるんですか。どうですか、明らかにされたらいかがですか。やはりちゃんと示すべきですよ。

久間国務大臣 今後、一連の調査が全部終了いたしましたら、それにかかわった人数というのは公表をして私は差し支えないと思っておりますが、今まだ、全部終わったかどうかも含めて言わないことにしております。

 それは、正直言って、この間、民間のダイバーがおぼれそうになって、海上保安庁に言っていったわけですね。そして、事情聴取を海上保安庁がしようとしたら、また反対派の連中がそれもさせなかったというような話でありまして、まだそういうような調査が平和裏に行われるような状況でないときにこちらの方の途中経過について話すというのはいろいろな差しさわりがありますので、もうしばらく時間をいただきたいと思うわけであります。

辻元委員 私は、自衛隊法の何条の任務かということがはっきり示されないということは、納得いきません。こういう形で自衛隊員を動員するというのはシビリアンコントロールに反すると思います。

 さて、そこで、山崎政府参考人は、五月十八日の私の質問に対してこうお答えになっています。沖縄沖合に停泊して潜水夫を派遣するということによりまして、従来、三年前のような海上における妨害活動というものが確率として減るのではないかということについて我々としては考えた次第でございますと答弁されています。

 山崎政府参考人は、妨害活動を減らすことができるだろうと目的のように発言されているわけですけれども、この妨害活動を減らす目的の派遣というのは自衛隊の本来任務なんですか。こんなこと、どこを読んでも、自衛隊法にもないし、こんな目的で自衛隊を派遣できるとお考えですか。こう答弁されているわけです。

木村委員長 時間になりましたので、簡潔に願います。

山崎政府参考人 私がお答えをいたしましたのは、派遣をした一例としてそういう効果があるということを申し上げた次第でございまして、当然、短期間に円滑かつ充実した調査を行うために「ぶんご」を派遣して潜水夫を派遣したというふうに考えております。

辻元委員 終わりますが、引き続きこの問題は取り上げたいと思います。何人かもわからない。そして、自衛隊法のどの条項かも根拠は示さなくていいという。これで防衛省の改革をするんだとか、それから防衛施設庁を解体して、一体化して、これはもっと不透明になると思います。その点を指摘して、引き続き、午後も質問をいたします。

 以上です。

木村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時開議

木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長山本庸幸君、外務省大臣官房審議官木寺昌人君、外務省北米局長西宮伸一君、海上保安庁警備救難部長石橋幹夫君、防衛省大臣官房長西川徹矢君、防衛省防衛政策局長大古和雄君、防衛省運用企画局長山崎信之郎君、防衛施設庁長官北原巖男君、防衛施設庁施設部長渡部厚君及び防衛施設庁建設部長千田彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 午前中の法案審議に引き続きまして、午後、一般質疑を行わせていただきますが、前回の本委員会での一般質疑に引き続いて質問をさせていただきたいと思っております。

 前回、防衛秘密の指定について伺いまして、例えばアメリカの場合、国家安全保障情報の秘密指定について、クリントン政権のときから、五年間短縮されて二十五年以上を経過すると自動的に秘密指定が解除になるという規定ができたということでありまして、これは日本ではどういうふうになっているのかという形で伺ったら、日本の場合にはそういう形にはなっていないと。つまり、自動的にそれが解除をされるという形にはなっていないし、また、秘密の指定について期間を定めているわけではない、ただ、時間の経過によって秘密を指定する必要がなくなった場合には、解除の手続をとって解除をされるということでございました。

 そこで伺いたいんですが、全体の防衛秘密の中で何%程度が現在指定を解除になっているのか、また、その解除になるというのは、アメリカのように、二十五年とか三十年とか、大体どれぐらいの期間で秘密指定が解除になるのか、それについて教えていただければと思います。

大古政府参考人 前回もお答えしましたように、秘密指定された文書につきまして、指定から解除までの期間について特に統計をとっておりませんので、それについて平均的にどうだということは統計がないんです。

 昨年の例で申しますと、これは省秘の方になりますけれども、現在、昨年四月から秘密文書の削減に努めている。これは、秘密文書をより適正に管理する観点で、過剰な指定は避けるべきであるということで秘密文書の削減に努めているわけですけれども、その関係で、昨年四月から本年三月までの間でございますが、千二百八十件の秘密指定が解除されております。

 他方、制度ということで申しますと、昨年四月に新たに通達を発出いたしまして、まず、秘の指定基準を明確化する。今まではそれぞれの組織に任せていたんですけれども、この種の資料を秘に指定すべきであるというような通達を発出しまして、その際に、基本的に、指定期間については原則として十年以内にするというふうにいたしました。特段の理由で十年を超える期間を指定する必要がある場合については最長三十年までとすることができる、ただ、この場合については、指定の際にその理由を明示しなければならないということにしたところでございます。

神風委員 今の千二百八十件というのは、どのくらいのうちの千二百八十件で、何%ぐらいになるんですか。

大古政府参考人 平成十七年末における省秘の件数が約十二万八千件でございますので、秘密指定が解除された千二百八十件については、約一%ということになるかと思います。

神風委員 これは、大臣、今後何かその解除をもっとオープンにしていく、開示していくというようなお考えはあるんでしょうか。それとも今のまま、一%の開示、これは結果的にそうなっているということでありますが、それをよしとされるおつもりなのかどうか。

久間国務大臣 この件数は、その年その年で結構変わるわけで、例えば、アメリカからいろいろなものをぼんともらったときなんかは、それに関係するものがどっとふえるわけですし、買わなかったときなんかは、大して、指定といいますか、その秘密がふえるわけじゃありませんから、各年で非常に変わってまいります。

 今言ったように、過去のものについては、おおむね十年を基準としてやっていくと、やはりかなり減ってくる。そのかわり、最長は三十年ということだってあり得るわけでございますが、そのときは、こういう理由だということを付して、理由をちゃんと選別してやりますから、そういう点では結構これから先は減ってくることになろうかと思いますけれども、一概に、減るともふえるとも、それはなかなか言いにくいというのは、そのときにどういうものを入れるか、それによってもかなり変わってくるんじゃないかなと思っております。

神風委員 今こうしたことを伺ったのは、改めて政府の情報開示の姿勢というものをお聞きしたいと思ったからでありまして、せっかくですから、外務大臣に例の西山事件について改めてお伺いをしたいと思っております。

 これはもう申し上げるまでもなく、沖縄返還協定の裏で、米側が負担することになっていた費用四百万ドルを日本が肩がわりしていた、そういう秘密合意が交わされていた、当時の毎日新聞の西山記者がそれを明らかにしたというような事件でありました。

 この密約の存在については政府は一貫して否定をしてきたわけでありますが、二〇〇〇年になって、アメリカの国立公文書館から公開をされた資料で交渉の内幕が明らかになった。まさに二〇〇〇年にアメリカ側で明らかになったというのは、クリントン政権で秘密指定が二十五年で解除になる、その解除された資料の中から出てきたわけでありますよね。既にもう米側ではこれは資料として公開をされている。それに加えて、昨年、みずから交渉に当たった吉野文六さん、元外務省のアメリカ局長も、その密約の証言をもう既に認められている。

 しかし、にもかかわらず、これまでも、当時の安倍官房長官も、密約はなかったと報告を受けていると。これまで、麻生外務大臣も、国会の場でも何回か、密約というものは一切ないと御答弁をされて、ことしの三月の委員会でもそういう答弁をされているわけであります。これについては、お聞きをするまでもないのかもしれませんが、改めて、この姿勢に変わりはないのかどうか、お伺いをしたいと思います。

麻生国務大臣 お察しのとおりであります。

神風委員 いや、質問するのも何だかあれなんですが、この沖縄返還交渉は、もう三十六年も昔の話、私が小学生のときの話であるわけでありまして、こうした姿勢を見ると、やはり日本政府というのは、いまだにお上意識というのが非常に根強くあって、よらしむべし、知らしむべからずという意識の中にあるのかなという気がしてしまうわけであります。

 逆にその一方、アメリカの議会というのも、それはいろいろ問題はあると思いますが、いろいろな情報を明らかにして、それで誤りがあれば誤りを認めて、それをやはり修正していくというのを議会の中できちんと自律的に行っている。その彼我の差を感じると非常にむなしさを感じるわけでありますが、この西山事件に限らず、情報というものに対して、あるいは情報を国民に明らかにしていくという姿勢に対して、閣僚としてどういうお考えなのか、ちょっと両大臣にお伺いできればと思うんです。

久間国務大臣 やはり、なかったというふうに言われて、それを引き継いでおって、あったということを立証せぬ限りは、なかったものはなかった、そう言わざるを得ない、そこが難しいところじゃないかと思うんですよ。

 自分自身が確認できればともかくとして、その資料なんかが仮に出てきたとしても、その信憑性とかいろいろなことがありますから、今までもなかったというふうに言っていると、そのなかったと言っているのが違っているということを立証せぬ限りは、次の人はなかったということで言っていく、そういうようなことになるんじゃないかなと、いろいろな事件とか、いろいろなことを見ながら言える。

 アメリカの場合は、そこがどういうふうなのか。資料を出してきて、それをやはりきちっと認めた上で過ちを言うのかもしれませんが、日本の場合は、過去の人がやったことでも、それが違っていた、間違っていたとなったら、今の政府がたたかれるという、非常に、マスコミもそれから国会でも、何かそこのところが、それはおかしかったんだと言った途端に、もう政府の態度はおかしいということで非難される。そこのところの違いが、基本的に文化の違いがあるんじゃないかな、私は非常にそういう気がしてならないんです。

麻生国務大臣 これは、神風先生、基本は今久間先生が言われたとおりなんだと思いますが、アメリカの場合と違って、こちらの場合は、国民全体がホモジーニアスな世界になっているせいもあるんだと思いますけれども、何となく前の人の話の間違いを、時代が変わっておかしいじゃないかというのはなかなか言わないというのが、親子三代、じいさんの話じゃないか、ひいじいさんの話じゃないかというのをばんばん言われるところですから、何となくそこらのところが、それは全然別人格ですよというのをなかなか言えないような風土があるというところが、こういったものをなかなか明らかにしないようなものになっているんだと思っております。

 ただ、むしろこちらの場合は、開示する前に、保持する方が余りよくしっかりできていないというのが最近の傾向ですから、そちらの方がまずちゃんとしないと、保持をきちんとしていて初めて開示ということになってくるんじゃないのかなという感じはいたします。

神風委員 今いみじくも大臣がおっしゃったように、保持する方ですよね。これだけ、ある意味では秘密主義とも言えるような対応をとりながらも、例のイージス艦の情報流出事件のようなものが発生をしてしまう。それぞれの個別の案件でいろいろな原因というのはあろうかとは思いますが、根本的な原因というのは、これだけ防衛省あるいは自衛隊内で情報関係の流出事件が発生するというのは、どこにその原因があると大臣はお考えなんですか。

久間国務大臣 やはり本質的には、そういう秘密を保持するということに対する甘さというのがあるんじゃないか。これは保持しなきゃならないとなったら、たたかれようが何しようが、とにかくもうそれを守り抜くというような、基本的にとにかく保持する、そういうような基本姿勢。まあいいんじゃないか、これぐらいならというような、そういう甘さが根っこにやはりあるんじゃないかなという気がいたします。

 これから先は、アメリカとの情報共有をしようと思うならば、そこのところについては、こっちは向こうから言われる以上の体制で臨まないと、日ごろのわきの甘さというのがやはりついどこかで出てしまうという気がしますので、その点については非常に口酸っぱく、そうしますと、えらく秘密主義を強調しているというので、また今度は国会で批判されるかもしれませんが、当分の間はそういう教育を徹底したいなと思っております。

 もう新聞記者から言われても何しても、これは危ないと思ったときは言わない、どっちかなと思ったときはもう言わないというぐらいにガードをかたくするような、そういう習性をつけるべきじゃないかなと思っております。

神風委員 次に、核の傘についてお伺いをしたいわけであります。

 昨年の十月、北朝鮮の核実験実施発表後にライス米国務長官が来日をした際に、記者会見で米国の核の傘を再確認したと報じられておりますが、これは必ずしもライス長官の自発的な発言ではなくて、谷内外務次官の働きかけによるものであったとされているわけでありますが、これは事実でしょうか。事務方で結構です。

麻生国務大臣 今いろいろありましたけれども、昨年の十月の北朝鮮の核実験と言われる、二日後のあの話の……(神風委員「そうです」と呼ぶ)これは、向こうが言った点に関しましては、来られてから後でライス長官といろいろ話をし合った結果、あの文ができたと御理解いただいて十分だと存じます。

 書き足しましたので、フルレンジサポートという言葉にあのときはなったと思いますが、間違いなくこれは、この問題が、アメリカにおける感覚とこの隣国にいる日本における感覚とは、全く違うものになっている。したがって、七月のテポドン、ノドン、スカッドに続いて、この種の話が三カ月後に起きているという現状を考えたときに、アメリカのいわゆる核の抑止力の確実なものというものが、日本人にとって、これは大丈夫なんだという、核の傘というものが確実なものだというのを感じさせる表現でない限り、波及効果が大き過ぎるという点を考えて記者会見に臨んでもらいたいという話は、確かにしました。

神風委員 これは先般、五月一日の2プラス2の会合でも再確認されたという報道があるわけですが、この再確認というのは、中身はどういう再確認になっているのか、両大臣にお伺いをできればと思います。

麻生国務大臣 一朝有事のときに、核の傘という名の抑止力、ディターランスというものが確実に作動するという確認を私どもとしては求めるのであって、日本に対する攻撃はアメリカに対する攻撃であるとみなす。したがって、それに対して直ちに行動が起きるか起きないかというのが一番の問題だと思いますので、直ちにそこに対しての、攻撃に対しての反応、対応というものがフルレンジに約束されているか否かというのが一番の問題です。

久間国務大臣 日本の方からは、我が国及び地域の平和と安定の基礎は引き続き日米安保体制に基づく抑止力である、抑止に係るコミットメントは適時に、一点の曇りもなく確認されることが重要である、こういうようなことを申しまして、これに対して、米側からは、あらゆる種類の米国の軍事力に基づく、日本の防衛に対する米国のコミットメントに変わりがないことを改めて再確認したいとの発言があったところであります。

神風委員 仮に日本有事の際に、米軍の部隊がどう動いて、核抑止力はどう機能するのか。米側から明確な説明と確実な担保というのは、現在どこまで得られているんでしょうか。あるいは、核の傘というのはその概念が存在しているというだけであって、その中身についてはまだ何も詰まってはいないということなんでしょうか。

麻生国務大臣 神風先生もうおわかりのように、これは運用にかかわる話ですから、いついかなる状態において、どのような形で攻撃力を使用するか、核兵器を使用するかを明らかにしちゃうということは、かえって抑止力がきかないことになりかねません、ここまでやって大丈夫なんだなといういわゆる情報を向こうに提供することになります。

 したがって、お尋ねの点について詳しく答えることはできないということなんでありまして、基本としては、今、久間防衛大臣がお答えになりましたように、揺るぎないコミットメントというのが繰り返し確認されてきたということだと存じます。

神風委員 というと、ある程度その運用手順については詰まっているものがあるけれども、それは現段階で明らかにはできない、そういう理解でよろしいですか。

麻生国務大臣 そうお考えになっていただいてよろしいかと存じます。

神風委員 わかりました。

 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 私は、昨日の財務金融委員会で同僚の古本代議士が取り上げました市ケ谷駐屯地に隣接する土地の高層マンションの件をまず冒頭お伺いしたいというふうに思います。

 防衛省本省が所在する市ケ谷駐屯地でございますけれども、この駐屯地の隣に、角地に三十八階建てのマンションが現在建設中との報道がございますが、大臣はこの事実を承知されていますでしょうか。

久間国務大臣 いつも見ておりますから承知しております。

津村委員 いつもごらんになっているということですけれども、多分かなり前から御存じだったんだと思います。

 昨日の財務金融委員会で、当該土地の売却につきまして、飯原政府参考人から、理財局から事前の相談はなかったとされながらも、現状特に問題はないという答弁がございましたけれども、大臣の御感想をお伺いしたいと思います。

久間国務大臣 現在のあの位置、あの配置、あのビル、あれに関して言うならば、別に支障はございません。

津村委員 支障はないとおっしゃられるのは、私は当該土地の売却について今伺ったわけです。つまり、平成十五年十二月に一般競争入札の公示がされたわけですけれども、昨日の財務金融委員会では、その売却の際、事前に理財局から当時の防衛庁に対する照会がなかった、そしてその中で、防衛省としては現在その土地の売却について手続的に問題はなかったという御答弁をされたわけですけれども、今のお答えは、その売却についてですか、それともミサイル防衛の、PAC3の展開候補地とされていることとの兼ね合いについてですか。

久間国務大臣 どこに展開するか言うわけにはまいりませんけれども、現在支障はないということであります。

津村委員 それでは、少し敷衍して伺いたいと思います。

 今少し触れましたように、ミサイル防衛の閣議決定は平成十五年十二月でございます。先ほど取り上げました三十八階建てのマンションが一般競争入札公示されたのは平成十五年十二月二十五日、閣議決定よりも後でございます。その際に、防衛省として、もうミサイル防衛については閣議決定しているわけですから、その後、例えばPAC3を配備することになる、あるいは、どこかは別として展開候補地を探さなければいけない、そういったことは既に予想されたシナリオだと思うんです。

 今回たまたま三十八階建てですけれども、より高い建物が建てられる可能性もあったわけで、この土地の売却について、当時、防衛省として、例えば買い取るであるとかあるいは何らかの注文をつけるといったことを検討されたということはございますか。

木村副大臣 今大臣がお答えを申し上げましたように、PAC3を安全に運用していくということで可能な地積、周りの状況も含めて、十分展開が確保され得る場所において展開をしていくということで今検討しておりまして、その段階で、今先生がおっしゃいます高層建築物が影響をするということは考えておりません。

津村委員 私は、当時検討されたかということをお伺いしたんです。

木村副大臣 検討しておりません。

津村委員 それでは、その件についてそれ以上お伺いしませんが、一般論としてお伺いします。

 今後、PAC3の配備、展開候補地を具体的に検討していかなければならないと思います。それをどれだけ外でお話しいただけるかどうかは別として、検討されるに当たっては、当然、PAC3ですから、人口密集地を中心に、やはりよりニーズが大きいという意味で検討されると思うんですけれども、蓋然性としては、そういったところには高層建築物が建っている可能性というのは高いわけで、そういう意味で、全く何も対応しなければ、ますます今後状況は悪くなっていくというか、後手に回るという可能性があると思うんですね。

 そういう意味では、どれだけ公表するかという技術的な方法はいろいろ考えなければいけないと思いますが、防衛省として、展開候補地を念頭に、あるいは駐屯地、ミサイル防衛に限らずですけれども、今回市ケ谷駐屯地のすぐ隣なわけですから、レーダーがあったりとか、私も乗せていただいたことがありますが、輸送機を飛ばしたり、さまざまな意味で非常にスペースは狭いわけですね。これから、その駐屯地周辺地域の高層建築について制限を検討するとか、今後何か取り組んでいくというお考えはありますか。

久間国務大臣 私の今聞いている範囲では、比較的まだ空地がいろいろなところ、可能でありますので、そういうのを、無理してそこをずっと制限しなくてもそれ以外のところで対応できるという報告を都心部について聞いておりますので、そういう点では、それほど神経質に構えていないわけであります。

津村委員 端的に伺いますが、今後制限区域を設ける必要性というのは特にお感じになっていない、検討するお考えはないということですか。

久間国務大臣 まあ、将来絶対ないかというと、そこはわかりませんけれども、わざとここはということで邪魔しようと思ってやられたらかないませんけれども、今考えられる範囲では十分対応できるということでございますので、結構、委員が御心配になるよりも余裕はあるというふうに、そう理解していただいていいと思います。

津村委員 今大臣がおっしゃられたから言うわけではありませんが、邪魔しようとする人だってもしかしたら、それは防衛省に対してはいろいろな立場の方がいますからあり得るわけで、これは国防としては非常に大事な問題だと思うんです。

久間国務大臣 PAC3に関して言うと、移動が可能でありますから、それはいいんですね。

 しかし、私が防衛庁長官になる前に、防衛省としても、当時は防衛庁ですね、ちょっと困ったな、持ち主さんも困ったなというケースは、実はほかのところで、電波情報を集めておるところが、その目の前に風力発電をつくると言われて、それをつくられてしまうと非常に電波が妨害されるというので困るなと。さりとて、それを建てるなという法律がないんですよ。

 今おっしゃったのは、国有地だから配慮すればいいじゃないかという話ですけれども、民有地の場合、それをとめてもらう、もうここは電波情報を、こちらの方から飛んでくるからとらなきゃならぬというところで風力発電をやられたら非常に困るんですよね。そういうときにどうするかという法制は今のところございませんで、まあ、地上権を強制的に収用することも今の法制ではちょっと公共事業と違いましてできませんで、非常に困っていた例がございます。

 今結果は聞いていませんけれども、断念してもらったのかどうなのか、地上権を買い取る形にしたのかわかりませんけれども、そういうようなケースが将来にわたって絶対ないとは言えないわけであります。

 しかし、これは国有地だから今おっしゃるようなことを言われますけれども、民有地だって言えるわけでございますから、そのときの法整備を果たして、そのためにここは制限をするということが今の国会で法律をつくって通せるのかどうか、その辺はなかなか難しいんじゃないかなという気がします。今の段階では、空地に持っていってそこで展開するという方法でまだ十分対応できておりますので、そういう方法で対応しようとしているわけであります。

津村委員 もう一問だけ、ちょっと別の話になりますけれども、米軍再編の法案が昨日成立したということでございます。米軍再編に伴って自衛隊の方もどういう再編の影響を受けていくのか、これから見守っていかなければならないわけです。

 私の地元に陸上自衛隊の日本原駐屯地がございまして、以前その廃止も含めてさまざまな議論がされた時期もありました。そうした中で、昨年、日米共同訓練が行われまして、改めて防衛省としての位置づけというものがまた議論されたんだと思います。

 そうした個別の例も含めてですが、米軍再編が今後の日米共同訓練の実施あるいは実施場所の選定にどのような影響を与えていくのか、事前に通告させていただいていると思いますが、御答弁お願いいたします。

木村副大臣 詳しくはまた担当の方から、事務局の方から説明をさせますけれども、日米共同訓練というのは、日米でその推進をしていくというのは2プラス2等々で確認をさせていただいておるところでございまして、その必要性は十分言われているわけでございます。

 先生のお地元の日本原の演習場、昨年の二月ですか、初めて日米合同演習が行われました。日本原の演習場というのは、中国、四国地方において唯一の火砲が扱える演習場でございまして、中部方面隊と米海兵隊でその訓練の内容、いろいろなことを詰めましたところ、日本原と饗庭野で訓練をしていこうということになって訓練を行ったものでございまして、これからも日米の間で、各部隊、またいろいろなところで共同訓練をしていくために各種の調整をしていかなければならないと思っております。

津村委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

木村委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、先週の海上自衛隊の辺野古沖への派遣について、出動について、午前中質問いたしましたが、疑問が残りますので、それを追加で質問し、そして環境への配慮ということについて後半は質問したいと思います。

 午前中、省庁間協力で出動をしたという話、しかし、防衛施設庁が廃止された場合は省庁間協力というのは成り立たないというように思いますという話をしました。これは、廃止された場合は防衛省のみになるわけですが、その際は、今回のような出動はどういう法的根拠によってなされるんでしょう、なされるとすれば。

久間国務大臣 同じ省内のことについては省内協力するというのは当然のことでありますが、よその省庁でも協力すべきであるということで国家行政組織法は書いているわけですね。だから、その前提としては、省内であれば協力するのは当たり前だ、そういう当然性があるわけですね……(辻元委員「そのときの根拠、法的な根拠」と呼ぶ)いや、法的というか、法律というのは当たり前のことをわざわざ書くことはないわけですから、よその省庁だったら協力をしない場合もあり得るから、それをあえて書いているわけですよ。そして、よその省庁で協力できることを省内で協力できないということ自体の方がおかしいんじゃないでしょうか。

辻元委員 それは違う、ちょっと論点がすりかわっていると思うんですけれども。

 そうすると、自衛隊の艦船を今回のように、今回の場合は辺野古の沖合に出しました。このようなことを防衛省が決断するとき、何らかの法的な根拠が要ると思いますね。これはどうなるわけですか。何の根拠もなく自衛隊の艦船をあちこち出して活動ができるわけではありませんから、そういう場合は、どういう法的な根拠として自衛隊の出動ができるんでしょうか。

山崎政府参考人 午前中に答弁をいたしましたように、国家行政組織法による官庁間の協力の一種の、防衛省内における官庁間協力であろうというふうに考えております。

 例えば、自衛隊法の根拠についてお尋ねがございましたけれども、自衛隊法は、先ほども申し上げましたように、防衛省設置法の所掌事務を受けて定められておるわけでございまして、例えば、「必要な教育訓練」ということが所掌事務の中に書いてございますが、それ自体が自衛隊法で規定をされているわけではございません。したがって、そういう例は幾つかあろうかと思います。

辻元委員 もう一回ちょっと整理をしたいと思うんですけれども、私が申し上げた、廃止された場合は、そうすると、防衛省設置法の根拠にのっとって出動することも今後あり得るということですか。

山崎政府参考人 その場合について、正直申し上げて、今検討いたしているわけではございませんけれども、防衛省に施設庁が吸収、統合されましても、要するに、自衛隊は防衛省内における特別の機関でございますので、やはり、今申し上げたような法律の適用というのは妥当するのではないかというふうに考えております。

辻元委員 今申し上げた法律の適用と、今申し上げた法律というのは何でしょうか。

山崎政府参考人 官庁間協力の一種というふうに考えております。

辻元委員 いや、それはおかしいと思いますよ。

 きょう午前中、自衛隊の、「ぶんご」は通常であれば乗組員は少なくとも百五十名である。今回、百五十名出動したという想定でいいのではないかと思いますけれども、自衛隊を動かすわけです。そのときに、防衛省設置法の何条、自衛隊法の何条ということに基づいて仕事をしますと言えなければ、私は、これは、今回、辺野古に行った例ですけれども、本当に将来危ぶまれます。

 もう一回聞きますが、今の、省庁間協力と言っていますけれども、今回のような出動、国家行政組織法第二条第二項の規定以外の法的根拠はないと考えていいわけですか。

山崎政府参考人 典型的に、公権力の行使として、例えば防衛行動等については、自衛隊法で自衛隊の行動、権限というのが定められておりますが、先ほど例示として申し上げたように、訓練ということについては防衛省設置法で定められておりますが、自衛隊法で特出しで定めているわけではございません。

 それと似たような話で、大臣の方から午前中、例示として申し上げましたように、自衛隊が札幌の雪祭りに対する協力ということを行っておりますけれども、これにつきましても、当方としては、防衛省の広報ということで部外協力を行っているというふうに考えております。

辻元委員 ということは、今の結論は、今の自衛隊法の中の、いろいろありますね、災害派遣とか地震防災派遣とかある中にはないという答弁ですね。

山崎政府参考人 おっしゃるとおり、明示的な規定というのはございません。

辻元委員 私は、これは大問題だと思いますね。

 そうしますと、今後、これは海の上でしたけれども、例えば、いろいろなところに基地をつくる、それから日米の合同で何か施設をつくったりするというときに、陸上であっても、同じようなことで陸上自衛隊が出ていくこともあり得るということですね。

久間国務大臣 自衛隊が権力の行使とかそういうことについてやるためには、それはできないということではっきり法律上明示しているわけですね。しかしながら、例えば空から写真を撮るとかそういうことについても、これは、撮ってもらいたいといったときに、撮っちゃならないという法律がなければ、そういう協力はできるわけですから。だから、協力の内容がそういうようなことかどうかの問題だと思うんですよ。

 だから、内容が、例えば警備まで行うような形になるならば、それはいわゆる海上警備行動としてのあれならよろしい。しかし、そうでなかったらそれはだめだとか言いますけれども、それ以外のいろいろな協力については、先ほど例示を挙げました雪祭り、これは、十年前のときも同じように、この法律のどこで読むんだというようなことを逆に私は言ったことがございます。しかしながら、それを、明示されていないからといってやってはいかぬというのと、やるのと、国民としてどっちがいいかと見たときに、やはりそこは協力していいんじゃないかということで、明示規定はないけれども、自衛隊は雪祭りに協力して結構だということで、最終的に私はそういう結論を出しました。

 だから、そういうことからいえば、明示されていないものはやっちゃならない、そういう非常に狭く狭く解する必要はないのであって、空中写真なんかでも、必要な場合はやっていいと私は思っております。

辻元委員 国民として利益があるならばというような発言をされましたけれども、きょう午前中も申し上げた沖縄の県会議員のアンケートの結果が出ました。圧倒的多数の人が、今の政権与党の自民、公明の議員も含めて、今回の海自の出動に対しては反対または賛成できないというような意思表示をしているわけですよ。ですから、大臣、雪祭りと今回の辺野古への海自の艦船出動を同列に大臣が考えていらっしゃるとしたら、私は、これは失礼で恐縮かもしれませんが、防衛大臣として見識が問われると思います。それぐらいの事態であるということを認識していただきたい。

 これはちょっとここでおきまして、違う観点から検証していきたいと思います。

 環境面のこともきょうやりたかったわけですね。皆さん、お手元にお配りした写真をちょっと見てください。ジュゴンとウミガメが一緒に泳いでいる写真です。これは辺野古の沖合の、二月十二日に日本テレビのカメラがとらえたものの、カラーコピーですから、本当はもっときれいなんですけれども、空中写真です。これは、沖縄の美ら海水族館の内田館長によると、天然記念物のジュゴンとウミガメが一緒にいるところは時々観察されているわけですけれども、撮影に成功するのはまれであると。私もその映像のニュースをその日に見ました。

 ジュゴンというのは天然記念物、そして絶滅危惧種に登録されております。これは水産庁も以前私の質問に対して答えております。そしてウミガメは、七種全種が国際自然保護連合のレッドリストに掲載されている絶滅危惧種で、保護しなければいけない。これはもう大臣御存じだと思いますが、辺野古の沖合が非常に国際的に見ても藻場が豊富で、ジュゴンやウミガメの生息にとって大事な地域であるということは御存じのとおりですね。

 大臣、この写真を見てどう思われますか。私、もう身を裂かれるような思いですよ、ここに基地をつくるというのは。いかがでしょうか。

久間国務大臣 私は、諫早の、とにかく干拓をやるときに、ムツゴロウがここで絶滅するということで随分非難されました。私自身も悩みました。ここを閉め切ることによって水位を下げて、水害があったときにそれから守るためにどっちをとるか、迷ったあげく、結局は、ここは閉め切ろう、ムツゴロウはその沖で生きてもらおう、そういうふうな判断をしました。そして、結局そっちの道を選んだわけであります。

 行政の場合、政治の場合、どこかで決断せざるを得ないわけです。確かに、私も、ジュゴンにしてもウミガメにしても非常に貴重な動物だからこれは保護していかなきゃ、守っていかなきゃならないと思いますけれども、これはあの地域の外ででも、あるいはその周りででもまた生息できるわけですし、それを守るための、あるいはまたそれをふやしていくための努力も我々としては後世の人たちのためにしなきゃなりません。しかしながら、必要な、今、普天間の飛行場の移設をやらなきゃ普天間が返ってこないというときに、どちらの判断をするかです。

 そして、先ほどから議論がありましたけれども、十年前に決めて、そして調査にかかったときに、邪魔されて、三年間くい一つ打てなかったんですよ。そういう思いがあるときに、それに対して協力をして、まず環境の調査をするということがどれだけ大事なことかは、それは価値観の違いかもしれませんけれども、私は、国民の皆さん方は納得してもらえることじゃないかと思っております。

辻元委員 今、邪魔されてという御発言があったんですが、沖縄県民のアンケート調査を見ますと、辺野古に代替基地をつくることには七割がほぼいつも反対しております。ですから、これを邪魔ととるか、海とともに生きてきた沖縄の人たちの、そして本当に戦後、基地で苦しんできた人たちの思いととるか、ここも大きく分かれるところです。(発言する者あり)今ちょっとお話がありましたが、私はアンケートの話をしているわけです、アンケートの話を。笑い事じゃないですよ。

 今おっしゃったように、かつては、例えば公共事業とか、軍事施設もそうですか、環境に対する配慮が少なかったわけです。しかし、ここのところ、地球温暖化の例を出すまでもなく、環境ファーストになってきているわけです。これはアメリカもそうなんですよ。アメリカは、後でこれは質問したいと思います、アメリカの環境基準は非常に厳しいですよ。これは写真一枚でアウトになる可能性がありますよ、裁判したら。御存じでしょう。

 では、お聞きしたいと思うんですが、今回この調査で、もう既に報道されていますし、きのうも他の委員会で問題になりました。この調査、サンゴの産卵状況などを調べる機材が設置されたけれども、その機材が生きたサンゴを破壊しているという指摘が今出ています。そして、那覇防衛施設局が機材を設置した、これは百カ所余りと言われていますが、漁港から約一キロ沖のマナル岩の北側のポイントでサンゴの損傷が確認されていると、新聞でも大きく報道されていますね。

 大臣、環境を調査すると言って、生きたサンゴをその調査で破壊しているというこの事実をどのように受けとめられますか。

久間国務大臣 いろいろな環境の調査をするときに、その機具を置くためにそこに置いたところが破壊されたというふうに言われると、そこすら、機具を置いたところがつぶされなかったとは私も言いません。しかしながら、その調査をして、ここはどうか、大事なところかどうかを調査するための機具の設置をした設置場所のその下になったところが、その面積からいったら、全体から見たらやはり少ないわけですよ。

 だから、何でも調査するときは、靴で歩いていってでも草を踏みつけるわけですよ。そうしたときに、調査員が踏みつけたという、踏みつけないように努力はしますけれども、そこまで行くのに、空中からつるして行くわけにいかぬわけですから、いろいろな環境調査を環境省だってやっていますよ。そのときに絶対皆無かというと、それは無理な場合もあるわけですから、海の中に環境を調査するための機具を設置して、その下になったところに、それをつぶしたじゃないかと言われますと、空中に浮いた形で調査の機具を設置できますか。そういうようなことまで言うと、もう本当に、ためにする攻撃じゃないかと思いますよ。

辻元委員 今回の調査は夜間に行われたという事実はありますか。

北原政府参考人 私ども、今回の調査につきましては、本当に円滑にやっていかなければいけないということでございますので、いつやったとか、そういうことにつきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと思っております。

辻元委員 環境調査で、いつやったか、どういうことをしているか答弁を差し控えるという態度は何ですか。物すごくおかしいですよ。現地では、これはもう既に沖縄県の方も、夜間の実施をしているじゃないかという声が上がっていることは御存じでしょう。

 今手元に、「地質調査・海象調査の作業計画について」、那覇防衛施設局が平成十五年十一月に出した資料があります。ここではっきり示されているわけです。これは世界じゅうどこでもそうですよ。環境アセスするときも環境調査するときも、ルールが物すごく厳格に決められているわけです。ここでも、ジュゴンや海草藻場、サンゴ等環境に十分配慮すると。そして、こうもありますよ。足場等いろいろ機材を置くときには、海草藻場、サンゴが確認されない場合、されないというのをきっちり写真で撮って、そしてそこに足場を組んだり機材を設置すると。

 さっき大臣がおっしゃったように、ちょっとぐらいあり得るという話じゃないんですよ。物すごく厳密に防衛施設庁は基準を示しています、それを全部記録に残すと。そしてさらには、ボーリング作業や弾性波探査の時間は、一般に、ジュゴンが夜間に浅瀬の海草藻場でえさを食べたり、昼間はやや深い海域に戻ると言われていることを踏まえ、日の出一時間程度後から日没一時間程度前までの間に設定すると、これも決められているわけです。

 今回、夜間にしていましたよ。そういう報告を受けていますよ。県でも問題になっています。申し入れしているはずですよ、施設庁に。ルールを守らずに、サンゴにも打ち込む。そして、大臣が、それはちょっとぐらい仕方がないだろうと。私は本末転倒だと思います、環境への配慮を調べると言いながら。この基準は、今回の調査でも当たっているわけですよね。いかがですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生が今お手元で読み上げられましたものは、前回のいわゆる地元に示したものでございます。ただ、前回そういうことを公表してやりましたところ、妨害に遭ってボーリングができなかった、調査ができなかった、そういう経緯があるわけでございます。

 したがいまして、私どもは、環境は大変重視しております。県からも配慮事項をいただいております。前回我々が県にお示しした考え方、今回の、自主的な調査ではございますが、それに十分取り入れております。取り入れておりますけれども、今そうやって先生が読み上げたようなことを公表すれば、また妨害になる。

 実は、今回の調査につきましても、もちろん、テレビで、海上での反対行動もございますが、海上で見えないところ、海底の中でも大変な反対行動があるわけです。潜水士の装備をつけて潜ってこられて妨害行動をする、大変危険な行為もあるわけでございます。

 我々といたしましては、環境を大変重視しております。そうした中で、この作業を円滑に実施していきたいということでございますので、詳細について御答弁をすることは差し控えさせていただきたいと思います。

辻元委員 最後に、今おっしゃいましたけれども、そうしますと、県の方に、配慮事項というのをお示しになっていますね、県からもらっていますね。そこには、藻場、サンゴ類及び海底地盤の状況について、写真とあわせて図示し記録すること。ちゃんと写真を撮っていますよね。そして、県に示しますよね。いかがでしょうか。

 こういう基本的なこともできずに、環境調査とかそれから生物の生態を観測したり記録するときは、細心の注意を払って皆やっているわけですよ。なぜかというと、正確な調査ができないからです。これを、例えば、私は思いますよ、自衛隊のダイバーの人が行ったと言いますけれども……

木村委員長 辻元委員、時間になりましたので、簡潔に願います。

辻元委員 はい、もうやめます。

 自衛隊のダイバーの人が行ったと言いますけれども、この中には、辺野古だったら辺野古の環境の実態を知っている人と二人一組でダイバーは潜らなきゃいけないとか、そういう規定もあるわけですよ。海を知り、その地域を知り尽くした人が行かないとできないわけですね。それを夜間に、それも全く知らない自衛隊のダイバーが行ってできる話じゃないんです。ちゃんと県にこれを示すかどうか、お答えください。

木村委員長 久間防衛大臣、簡潔に願います。

久間国務大臣 とにかく、三年前に県から許可をもらってやったところが、妨害によって何もできなかった。その悔しさを我々は嫌というほど知っておるわけですから、今回はそういうことのないようにだけはしなきゃならない。そのためには、混乱なくいかにすればできるか、それを一番の念頭に置いて、混乱のないようにということでやりました。

 おかげさまで、ちょっと危険に身をさらされたダイバーはいましたけれども、レギュレーターを外されるような、そういうのはありましたけれども、比較的スムーズにいったのは、今度はそういうような万全の態勢をとったからじゃないかなと思っております。(辻元委員「答弁、県に示すかどうか」と呼ぶ)

 県とは、これから先もいろいろな調整をしながらやっていこうと思っております。

辻元委員 引き続き、またこの問題は取り上げたいと思います。

木村委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 防衛庁の官房長にお聞きをしますけれども、官庁間協力というのが、建設省があって道路公団に、同じ省庁の中で官庁間協力という言葉を使った事例が今まであるかどうか、少しお願いしたいんです。

山崎政府参考人 例えば、着氷の観測のために航空機を提供するとか、あるいは硫黄島における遺骨の収集のために、やはり航空機の提供、輸送の役務の提供等を行っております。

下地委員 運用局長、そういう質問を聞いているわけじゃなくて、同じトップの省庁の中で、あるのかと聞いているんです。

山崎政府参考人 他省庁につきましては承知する立場にないものでございますので、ちょっとわかりませんけれども、防衛省内におきます各機関の協力の一例としては、先生よく御承知のように、県道一〇四号線越えの実弾射撃で陸上自衛隊が防衛施設庁さんに対して協力をしているという実例がございます。

下地委員 私が言いたいのは、久間長官がトップで、防衛施設庁長官はその部下であって、海上幕僚長も部下でありますから、私は、官庁間協力という言葉を使うと、なかなか一般の人はわかりにくい。だから、久間長官が五月の十一日に出された、環境現況調査協力の実施に関する海上自衛隊一般命令書というのを久間長官は海上自衛隊に出しておりますよね。僕はあれ一つでいいんじゃないかと思うんですよ。

 官庁間協力ということを言うからわかりにくくなって、いや、おれの部下がやると。しかも、先ほど久間長官が言っているように、非常に今まで厳しい状況で来たわけですから、今、私はあそこで民間のダイバーがやったらどうなるかわからない。それならば、日本の海上自衛隊のダイバーは非常に有能なダイバーがいるので、それを民間でやったら危ないけれども、では、海上保安庁にやりなさいということもそれはできない。自分の省庁で、海上保安庁でおやりになるというのは、私は一般的に考えられることだと思うんですね。

 ただ、問題は、長官、このことが県民にもわかっていないわけです。先ほど言ったように、県議会の中でも反対があるし、きのう沖特の衆議院議員が行ったときにも、仲井真知事が、私はわかりません、非常に不愉快だと言っているところが問題だと思うんです。それは、私は、なぜ海上保安庁をつくったのかというのを久間長官がちゃんと正面からお話をして、官庁間協力という難しい言葉じゃなくて、自分の部下に、危ないのはおまえがやれ、それが大事なんだというふうなことをやはりきちっとおっしゃる。

 そして、今、辻元さんが言っている環境調査をやらないと、環境に影響があるかどうかはだれもわからない。そして、あそこは埋蔵文化財が出てくるから、埋蔵文化財でこれからどうなるかもわからないわけですね。これは調査をやらないとわからないんですよ。だから、私は、そこを調査してから次のステップがあると思うんですね。だから、私はよく思うんですけれども、仲井真知事が百メートルずらすだとかずらさないとかと言うけれども、私は、最終的に方法がどうなるかというのは、環境調査が終わらないと物事は全部設計なんてできないかもしれませんよ。

 しかし、今は日米合意でやったことでやると言うけれども、世の中はいろいろなことがあるんです。私だって、政治的にちょろちょろしているようなところも、下地幹郎もあるわけです。世の中どうなるかわからないんですよ。

 だから、そういうふうなことを考えると、今できることをやって説明をしていくというのは僕は非常に大事なことだと思うので、久間大臣にお願いしたいのは、正面からお話しした方がいい。そうしたら、もっと沖縄県民はわかって、そのことに関して誤解を招かないんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

久間国務大臣 大変ありがたい話で、そういう意味では、もう少し説明の仕方が丁寧であった方がよかったんじゃないかなという気持ちはいたしております。

 しかしながら、何分いつやるかというようなことを言うとまた邪魔される、そういうこともありますから、それも早目になかなか言うわけにもいかない。それで、沖縄の方には直前になって電話で連絡をした、そうしたら、知事さんが上京して留守だった。そういうようないろいろな事情もございまして、大変誤解を受けている点がございますが、県との関係は大事にしていかなきゃならないという気持ちはございます。

 それと、これは、こういうことを言っちゃなんですけれども、本当にスムーズにいくなら、何もしないで施設庁が業者に任せて、業者だけでやっておけばいいんですけれども、業者だけでは果たしてうまくいくかなと思うと、手分けして、少し業者の方は向こうをやって、こっちを例えば海上自衛隊がやるとか、散らしてやることによって全部に妨害活動ができないようにするというのもいろいろとあるわけでございまして、そういう手のうちをなかなか言いにくいという点もございます。

 とにかく、私の立場としては、前回妨害されて環境の調査すらできなかった、それが今度は、これを受けた後、まだ事前調査ですから、これから正式にアセスに基づく手続を経て、きちっと環境アセスをやっていくわけでございますので、その結果に基づいていろいろなことを、また意見が出てくれば、そこはまた合理的に考えていけばいいと思っておりますが、現在は、考えている考えをもとにして、こういう調査をやりたいということでやっているわけでございますので、ある程度の幅を置いて調査しているのも事実でございます。

下地委員 この問題はもう触れませんけれども、工程とかいろいろな障害がありますから言う必要はありませんけれども、海上自衛隊のダイバーは普通の民間のダイバーが一時間でやるところを十五分でやるとか、非常に能力があると言われていて、さまざまなトラブルに巻き込まれないようにやるんだというようなこともあるということをはっきりと言って、もう一回ちゃんと説明をした方がいい。

 海上自衛隊とか陸上自衛隊とかを沖縄で使う場合には説明をするというのは大事だと思いますね。非常に、自衛隊と沖縄との関係は、時間の中で、みんなで協力しながらいい関係が保たれてきているので、そのことをこの環境調査で余り悪い方向に誤解をされることはよろしくないと思うので、私は、これからでもいいから、長官がきちっと説明をなされるというのは非常に大事かなと思っておりますから、そのことをお願いさせていただきたいと思います。

 二つ目ですけれども、2プラス2の協議がありました。外務大臣にお聞きしたいんですけれども、普天間の問題は、もう去年の日米合意で決めたとおり、もうそのまま実行するというような基本的なスタンスでこれからもずっと進むというふうに考えてよろしいんでしょうか。

麻生国務大臣 ことしの五月一日にワシントンで開催されました、新防衛大臣と向こう側の国防大臣、これは両方とも新任されておられる方々同士でありましたので、改めて2プラス2というのを、閣僚会議というのをさせていただいております。

 そのときに、今、いわゆるロードマップというのが正確な表現だと思いますが、普天間飛行場の移設もしくは返還等々いろいろあるんですが、そういったものにおいて、昨年の五月のロードマップで合意したとおりに、地元の理解というものを得ながら、一日も早くこれをきちんとつくり上げていきたいということを日米間で改めて確認したというように御理解いただければよろしいのではないかと存じます。

下地委員 わかりました。今の、決めたとおり、ロードマップどおりやるというふうなことでいいわけですね。

 では、かわりますけれども、ちょっと勉強をさせていただきたいんです。集団的自衛権のことで少しお話をさせていただきたいと思うんですけれども、今、この内閣の中で集団的自衛権の論議をしておりますけれども、外務大臣は、今この時期でこういう論議をして方向性を出すというのは、日本の政治にとって必要だというふうに思われますか。

麻生国務大臣 これは安倍総理が就任される前から、集団自衛権の話というのは、御本人自身はもちろん前々から御関心があったと存じます。また、集団自衛権の話というのは、何とも神学論争みたいなところが一部国会議員の中でもあったのも事実だと存じます。

 そういった中にあって、少なくとも、国際法上、国家が集団自衛権を有しているというのはもう明らかな話なんですが、やれ狭義だ広義だ、いろいろな話になって、どんどんどんどん話が論議のための論議みたいになっていくという状況が我々の周りであったというのは事実だと思います。

 しかし、傍ら、一九九〇年のいわゆる冷戦構造崩壊と同時に、少なくとも、北東アジアの周辺におきましては、我々を取り巻く環境というのは大きく変わってきて、朝鮮半島、台湾海峡、いろいろかなりきな臭い状態が起きたのは御存じのとおりであります。

 そういった状況を踏まえて、日本として、現実問題として、いざというときに、何か起きたときに、我々は有効に国家の防衛というものを、アメリカの抑止力、日本の防衛力というものを合わせてきちんと対応できるであろうか否かという点につきましては、きちんとした、いわゆる見解を一致させておかないと、もしくは机上でも訓練をしておかないと、いざというときには全然動かなかったというのでは意味がありません。

 なぜなら、近くで明らかにテポドン、ノドン等々を発射し、核弾頭の実験をやったと称し、その他大量破壊兵器と言われる、NBCと言われる、バイオだケミカルだというのを開発したと豪語しておられる方がつい隣におられますので、となれば、それに対応するようにきちんとしたことを我々としてやっておく義務が、法律があるからそれはできないんだというと、法律を守って国が守れないのかどうかというような本末転倒みたいな話が出かねないということはいかがなものか等々、いろいろ幾つか申し上げましたけれども、そういったようなことを考えて今の話が出てきたというのが背景だと思いますので、私は、この論議というのはもっともっとずっと前からきっちり整理されておくべき話だったんだと存じます。

下地委員 イエスかノーかだけで。あと一問だけします、あと二問ありますけれども。

 憲法改正をやるといっても、あと三年あって、周知期間があって、それからやりますから、憲法改正をやって変えるべきなのか、今の段階でやはり見直しをした方がいいと思われるのか、どっちでしょうか。

麻生国務大臣 憲法改正の話は、今いわゆる国民投票法、これで二十だ十八だというような話がまた出てきたりして、さらに時間がかかりそうな話になっていますけれども、憲法解釈を相手が、我々に危害を加える可能性のある国が待ってくれるかどうかは保証の限りじゃない、そうじゃないですかね。私はそう思いますよ。

 したがって、そういったものをきちんと対応できるように、我々、実質的に運用するのはどうするかという観点に立って判断をしなきゃいかぬのだと存じます。

下地委員 私、そのとおりだと思うんですけれども、集団的自衛権と言うから問題が起こると思うんですけれども、個別的自衛権の規定をつくると言ったら問題は起こらないんですよ。

 だから、アメリカの船がいて、アメリカの船が襲われて、第三国が、日本が事前協議をオーケーしたらあなたの国も襲いますよとか、アメリカは日本の事前協議なんて私は受けないと思いますよ、自分の国民が撃たれているのに、一々日本の国会がどうだとか。いや、おれはフィリピンに行きますとか、おれは中東に行きますと一回は飛んでいって、それで助けに行くのは、一秒二秒を争っている戦いだから、これは当たり前だと思う。

 そのときに、アメリカが事前協議を受けなくて行ったにしても、第三国が日本を攻めるとラジオで放送したりテレビで言ったら、これはもう個別自衛権であって、そのときはもう共同作戦をやるんだということになるというふうなことを言って、集団的自衛権の定義をつくろうとするから難しさがあって、個別的自衛権の定義をつくると言ったら、国民は、自分の国を守るためにどうするのかというのをしっかりと規定の中でわかってくるので、言葉をそろそろ集団的自衛権から個別自衛権にかえて論議をした方が国民にはわかりやすいんじゃないかなと。きょうの話のキーワードは、わかりやすく説明する、わかりやすく話をするというのが大事じゃないかなというふうに思っておりますから、お願いします。

 ありがとうございました。

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 きょうの質問通告は防衛省であります。

 私は、キャンプ・シュワブ沿岸域における環境調査、先ほどの辻元議員の質問に続いて質問を行います。

 防衛省は、二十日、サンゴの産卵状況を調べる着床具の設置を終了し、今後も、それ以外の調査機具の設置を継続する方針であります。今回、調査の現場でどういうことが行われたのか、事実関係を一つ一つ確認したいと思います。

 まず、海上保安庁に聞きます。

 憲法二十一条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と定めております。大前提の問題として聞きますが、いわゆる示威活動、デモ活動、これは、陸上であれ海上であれ、憲法上国民にひとしく保障された権利だと思いますが、どのように認識しておりますか。

石橋政府参考人 海上保安庁といたしましても、抗議活動が、威力業務妨害等の違法行為、あるいはほかの航行船舶の安全な交通に影響を与えるなどの危険な行為を伴わないものであれば、海上における抗議活動を実施することができると考えております。

赤嶺委員 海上での示威活動、デモ活動は、憲法で保障された権利であるわけですよ。

 それで、今回、現場海域で行われたのは、防衛省による基地建設、それから環境アセス法も無視した調査強行に抗議をして行われたんです。非暴力の平和的な抗議活動であります。

 海上保安庁は巡視船を現場に派遣していたようでありますが、どういう目的で、どういう活動を行ったんですか。

石橋政府参考人 海上保安庁は、キャンプ・シュワブ沖調査機具設置のための作業活動と、当該作業活動に対する抗議活動との間で、海上の安全及び治安を維持する観点から、不測の事態が発生することを未然に防止するため、所要の警備を実施したところでございます。

赤嶺委員 今回の海上保安庁の活動というのは、防衛施設庁の要請による活動ですか。

石橋政府参考人 海上保安庁は、海上保安庁法に基づきまして、法令の海上における励行、それから海上における犯罪の予防など、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務としております。

 このことから、一般に、警備要請の有無にかかわらず、海上の安全及び治安維持の観点から、不測の事態の発生を未然に防止するため、所要の警備を行っているところでございます。

 今般、那覇防衛施設局から第十一管区海上保安本部あて警備要請がなされていますが、当庁の警備は、ただいま申し上げたとおりの観点から実施したものでございます。

赤嶺委員 防衛施設庁の要請に基づいて警備活動に当たったわけではないということですよね。

 それで、抗議活動を通じて、何らかの逮捕事例あるいは犯罪行為、これが確認された事実はありましたか。

石橋政府参考人 現段階では、今回の抗議活動で違反行為に伴う逮捕者は出てございません。

赤嶺委員 犯罪行為やそういう逮捕事例もなかった。まさに、憲法に基づく正々堂々とした抗議活動であったわけです。

 今回のように、数隻のカヌーが海上で抗議活動を行うという場合に、海上保安庁では手に負えなくなり、自衛隊に協力を要請するという事態が想定されるんですか。

石橋政府参考人 海上警備につきましては、海上の安全及び治安の確保を任務とする当庁が一義的に担うものと理解してございます。

赤嶺委員 海上保安庁が一義的に担うもの。

 そして、海上保安庁としても、不測の事態に備えて医療態勢も整えていたと聞いておりますが、具体的にどんな態勢をとっていたんですか。

石橋政府参考人 今般の警備におきましては、万一の事態に備えまして、海上保安庁の潜水員を現場に配備するなど、所要の救助態勢を整え対応したところでございます。

赤嶺委員 海上保安庁は万全の態勢をとっていた。

 防衛大臣、三年前にもいろいろな行動が行われましたが、やはり今回と同じような対応なんです。憲法に基づく正々堂々たる抗議活動。そして、皆さんの、法律を無視した基地建設の暴挙、これに対する県民の抗議行動が今回の行動であります。

 次に、運用企画局長に聞きますが、今回の自衛隊の行動の法的根拠について、先ほどから出ている国家行政組織法第二条第二項の趣旨を踏まえた官庁間協力と説明しておりますけれども、自衛隊が行動するには自衛隊法上の根拠が必要になります。先ほど来から辻元議員が追及していた点でありますが、今回の行動については自衛隊法上の根拠があるのかないのか、はっきり答弁してくれますか。

山崎政府参考人 先ほど辻元議員の方にお答えをいたしましたように、明示的な規定はございません。

    〔委員長退席、寺田(稔)委員長代理着席〕

赤嶺委員 自衛隊法上の根拠がないということであれば、今回の行動は違法な行動ということになりませんか。

山崎政府参考人 これも先ほど答弁をいたしましたように、まず、自衛隊法は防衛省設置法の所掌事務を受けて作成をされておるわけでございます。したがいまして、防衛省設置法に基づいて、その所掌事務を遂行するのには問題はないと思っておりますが、防衛省設置法上規定があって自衛隊法上に明示的な規定がない例としましては、訓練というのが一つ事例としてはございます。

赤嶺委員 そうしますと、防衛省設置法の所掌事務が今挙げられたわけですが、具体的に、今回の自衛隊の行動は防衛省設置法のどの条項を根拠としているんですか。

山崎政府参考人 これは、施設庁さんの所掌事務の四条十九号に対する協力として、国家行政組織法二条に基づく一種の官庁間協力として行っているというふうに理解をしております。

赤嶺委員 四条十九号というのは、駐留軍の施設提供などのときの防衛施設庁の所掌事務ですよね。私が聞いたのは、自衛隊も、今回の行動、所掌事務の中に明記されているというので、その何条ですかと。いわゆる防衛省設置法の所掌事務のどの条項なんですか。さっきのは施設庁の条項でしょう。

山崎政府参考人 先ほど来から申し上げておりますように、法律上の根拠ということにつきましては、国家行政組織法の二条に基づく一種の官庁間協力に基づきまして、施設庁さんが行う環境調査に対する協力を行っているというふうに考えております。

赤嶺委員 自衛隊法上の根拠もない、そして防衛省設置法の所掌事務の中にも自衛隊を動かす根拠はない。いわば自衛隊は実力組織ですよ。実力組織であるから、これを動かす場合には、法律に基づいて、慎重の上にも慎重にというのがこれまでの政府の態度ではありませんでしたか。自衛隊法に基づかないで、何でこれが合法的と言えるんですか。

山崎政府参考人 先生御指摘のとおり、自衛隊の行動については慎重に配慮して行うべきであるというのは御指摘のとおりであろうと思います。

 したがいまして、私どもは、先ほど来から申し上げていますように、国家行政組織法に基づきまして施設庁に対する協力を行っているというふうに申し上げている次第でございます。

赤嶺委員 防衛省設置法の中でも自衛隊について規定されて、自衛隊の任務、自衛隊の部隊及び機関の組織及び編成、自衛隊に関する指揮監督、自衛隊の行動及び権限などについては、自衛隊法の定めるところによると明記されているわけですよ。自衛隊法に定めのない行動に出した。その唯一の言いわけ、弁解に、官庁間協力というのを先ほどから強弁しております。

 十八日の本委員会で、運用企画局長は、官庁間協力の要件をおっしゃっているんですよ。その一つは事務の公共性、二つ目には手段等の非代替性、三つ目には緊急性の三つを挙げております。

 こういう要件というのは、具体的にどこかに規定されているんですか。

山崎政府参考人 これは、運用上の基準として我々は考えております。

赤嶺委員 それは、明文化されて、文書になっているんですか。

山崎政府参考人 通常、官庁間協力を行うときにつきましては、この三つの要件に照らして適切かどうかということを判断しております。

赤嶺委員 文書にもされていないようでありますけれども、辺野古への基地建設が公共性を持つものであるかどうか、これは、私は大いに疑問であり、反対でありますが、まず、今はこの議論をおいたとして、なぜ今回の自衛隊の行動が非代替性あるいは緊急性を満たす活動なのか、この点から考えても全くはっきりしないわけですよ。

 例えば、今回の調査は民間業者が当たるべきだというのは防衛大臣が繰り返し述べておられたことでもありますが、その民間業者から、自分たちだけではサンゴの産卵時期までに調査機具の設置ができない、間に合わない、こういう協力要請があったんですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私、防衛施設庁長官から海上幕僚長に今回依頼をしておりますけれども、これは、民間業者だけでなくて海上自衛隊の保有する潜水能力を活用することによりまして、現況調査を限られた期間の中で円滑かつ十分に実施することができる、そのように考えて依頼したものであります。

    〔寺田(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 北原長官、聞かれたことにちゃんと答えてください。

 民間業者からは、自分たちの手に負えない、間に合わない、海上自衛隊頼むという要請があったんですか。その点、きちんと答えてください。あったかなかったかでいいですよ。

北原政府参考人 あったかなかったかを含めて、私はぜひ御理解いただきたいのは、今、防衛施設庁長官といたしまして、この現況調査を円滑にしっかりとやらなければなりません。そうした責任ある立場から今回要請をしたものであります。

赤嶺委員 民間業者からはなかったんですね。

北原政府参考人 繰り返しになりますけれども、責任者としてこれは要請すべきであると判断して要請をいたしました。

赤嶺委員 民間業者からはなかったようであります。民間業者が間に合わないと言っていたわけではないんですね。

 そうすると、地元でそういう基地建設に携わっている那覇防衛施設局からは、皆さんのところに、このままでは大変だ、間に合わなくなる、こういう要請があったんですか。

北原政府参考人 私ども、本庁並びに局、一体となって仕事をやっております。

赤嶺委員 一体となって仕事をやっているから答えていただきたいんですが、那覇防衛施設局からはあったんですか、なかったんですか。

北原政府参考人 一つの組織におきまして、部内でどのような議論があったか等々について、この場で一々御答弁することは差し控えたいと思っております。

 繰り返しになりますけれども、那覇防衛施設局長は防衛施設庁長官の隷下で仕事をしておりまして、東京と局、一体となって仕事をしていることをぜひ御理解賜りたいと思います。

赤嶺委員 違う説明をしたって御理解できないんですよ。

 那覇防衛施設局からあなた方に、もう私たちはこの現場は責任を負えない、防衛大臣が言うように乱暴者もたくさんいるというようなことがあったんですか、なかったんですか。要請があったんですか、なかったんですか。このことを答えてください。

北原政府参考人 繰り返しになりますが、防衛施設庁の責任者は施設庁長官であります。

赤嶺委員 責任者がやったことだというのをおのずから語っているようなものですから、それでは、責任者が判断したわけですね。

北原政府参考人 そのとおりでございます。

赤嶺委員 これは重大なことですよ。だって、代替性があるかないか、もう本当に海上自衛隊を出さなきゃいけないような、現場がそういう状況になっているか。民間業者もそう考えていない、那覇防衛施設局もそう考えていない。結局、トップだけがそう考えていたということになるじゃないですか。三年前だって、正々堂々たる、憲法に基づく表現の自由、そういう抗議行動ですよ。(発言する者あり)それを妨害といって、海上保安庁は、それを妨害したとして一人も逮捕していないですよ。そんなことははっきりしていますよ。なのに、あなた方は勝手にそういう判断をしているわけです。

 実力組織を動かすのに、自衛隊法上の根拠もないのに動かした。官庁間協力をやるのに、非代替性とかそういうことを言いながら、そういう必要もないのに動かした。官庁間協力の根拠もないわけですよ。だから、本当に恣意的に今回自衛隊を動かしたということを指摘せざるを得ません。

 重大なことは、今回の……(発言する者あり)今、不測の事態に備えたという、別にやじに何か言うつもりはないんですが、不測の事態に十分なる態勢をもって備えていたというのがさっきの海上保安庁の答弁ですから、よく答弁を理解しながらやらないと大変ですよ。

 今回のサンゴの調査によってサンゴが破壊されているわけですが、二十二日付の地元の各紙は、着床具の鉄柱が突き刺さり、そして割れたサンゴの写真を掲載しております。沖縄タイムス、琉球新報、それぞれ掲載をしております。

 皆さん、サンゴに与える、環境に与える影響を低減の上にも低減と言いながら、何でこんなことが起きたんですか。

北原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私ども、サンゴの着床具などの機材の設置に当たりましては、沖縄県からもサンゴへの影響を低減するよう配慮を求められております。したがいまして、私どもといたしましては、機材を設置するのに先立ちまして、四月二十四日から機材を設置するための現場確認を行いまして、そこでサンゴの分布などの状況を確認いたしたところであります。そして、可能な限りサンゴへの影響を低減していこうという場所を選定いたしまして、五月十八日から機材の設置作業を行ったところであります。

 私自身も、今先生御指摘の写真等を拝見いたしておりますけれども、我々といたしましては、今申し上げたような手順を踏みまして慎重にも慎重を期したところではございますが、そうした中でサンゴを大規模に破壊あるいは損壊したとは私どもとしては考えておりません。

 しかし、さはさりながら、調査の実施に当たっては、これからも環境には十分配慮してまいりたい、そのように考えているところであります。

赤嶺委員 長官、大規模に破壊したとは考えていないという答弁で事は済みませんよ。大規模に破壊したかどうか、破壊していないという証拠をきちんとあなた方が県民にも国民にも示す必要があるんですよ。あなた方が着床具を設置した場所についてサンゴを破壊したかしなかったか、きちんと現場の写真も撮って、公表して説明すべきじゃないですか。壊されたサンゴを見せられて、あなた方がこれからも気をつけてやりますと言って、はい、そうですか、こんな感覚で事が進むと思ったら大間違いですよ。やはり現場の写真を全部撮って、全部公開すべきじゃないですか。いかがですか。

久間国務大臣 今度の環境アセスの一連の作業がずっと終わって、一定の成果といいますか、その段階では、どこにどういう機具を置いてどうしたかということについては公表しようと思いますが、今の段階でやりますと、それをまた潜って引き抜かれるとか、あらゆることを考えておかなきゃいけませんので、とにかく前回の妨害で私はもう本当に嫌な思いをしておりますから、あれを一番痛切に感じている私が、今度はこの責任者として防衛省を今背負っているわけでございますから、今度は何が何でも環境調査をやらせてもらいたいという、環境調査すら前回できなかった、県からはちゃんと海面の使用許可をもらっておったのにできなかった、あの苦い思いを二度と繰り返したくない、そういう思いが物すごく強いということをぜひ御理解賜りたいと思います。

赤嶺委員 調査機具を引き抜くという話は、私は初めてです。大臣から初めて聞きました。地元の人といろいろ交流をしておりますが、そんな発言をする人なんかいませんよ。手順を踏んで調査したと言っておりましたけれども、手順は、まず大臣、今回のは環境アセスじゃないんですよ。環境アセスを踏みにじった違法な防衛省の環境調査なんですよ。

 そして、今回の調査に当たって、それでも、沖縄県が防衛施設庁に提出した公共用財産使用協議への同意書があります。「使用に当たっての配慮事項」、これは今回のものです。これが添付されております。例えば、ジュゴンへの配慮として、パッシブソナー、水中ビデオカメラの設置に当たっては、設置場所、設置方法及び設置機器について専門家等の指導助言を得て検討することを挙げております。いつ、どういう場で専門家の指導助言を得たのですか。

北原政府参考人 私どもが現在まずやっておりますこの調査につきましては、この国会の場でも何度も御答弁させていただいておりますけれども、私どもは、その私どもの所掌事務に基づきまして、法律に基づいてやっているわけでございます。もちろんアセス法ではございません。それとは別のもので自主的にやっているわけであります。

 そして、これを実施する上では、海底に機材を設置する必要があるということで、私どもは県知事に公共用財産使用に係る協議をしたところであります。そこで御了解もいただいたところであります。そして、そうした中で、今先生の配慮事項というものをいただいております。我々といたしましては、幾つかいただいた配慮事項、これにつきましては、これまでの経験等々を十分踏まえて、そしてしっかりとしたものをやっていきたいということで今やっているところでございます。

赤嶺委員 この配慮事項に定められている、調査の具体的な調査工程、調査期間、調査時期、調査機器設置方法、環境配慮の内容、これについて決定し次第、県に報告することとなっております。県に報告はしたんですか。

木村委員長 時間になりましたので、簡潔に願います。

北原政府参考人 その取り扱い等につきましては、県と緊密に調整をさせていただきたいと思っております。

赤嶺委員 結局、やっていないということなんです。

 皆さんは、自衛隊法の根拠なく掃海母艦を出し、そして官庁間協力の根拠なく自衛隊を出していった。まさに恣意的な、法律を守るべき政府が自衛隊の発動に当たって法律に依拠しなかったという点で重大問題であります。潜水士だけじゃないんですよ。

木村委員長 赤嶺委員、発言をおまとめください。

赤嶺委員 はい。今、私、ここに写真を持ってきましたが、これは母艦の掃海ヘリです。旋回訓練もしています。まさに軍事的に県民を威圧したということを強く、直ちに中止すべきだということも申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

木村委員長 次に、内閣提出、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、先ほど終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。赤松正雄君。

赤松(正)委員 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣提出の防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。

 本年一月、防衛庁は省として新たなスタートを切りました。防衛省に移行すると同時に、自衛隊の国際平和協力活動等が本来任務に位置づけられるなど、我が国がさらに国際社会の平和と安定に寄与することが期待され、防衛省の取り組むべき課題は、その質量ともにこれまでになく拡大をいたしております。また、新たな脅威や多様な事態に直面する昨今の安全保障環境のもとで、弾道ミサイル防衛や在日米軍の再編を通じた日米安保体制の実効性向上などは喫緊の課題となっております。と同時に、入札談合や相次ぐ情報流出等の事案の再発を防止するための対策を適切に講じていく必要があります。

 本法律案は、これらの課題に対応する体制の整備に必要な事項が含まれていると考えます。

 第一に、本法律案におきましては、防衛施設庁を廃止し、その機能を本省に統合することとされています。言うまでもなく、そのきっかけは、防衛施設庁入札談合等事案により、施設行政の適正な実施のための体制整備が最大の課題とされたことであります。前国会で成立しました省移行法の附則においては、公明党などの強い主張により、平成十九年度に防衛施設庁を廃止して統合することが定められており、今回の法案は、これを実現するものであります。さらに、大臣直結の防衛監察本部が新設されることとなります。これがしっかりと機能することにより、防衛施設庁入札談合等事案のような不祥事の再発が防止され、国民の信頼が回復することを強く期待いたします。

 第二に、防衛省の取り組むべき政策課題には、例えば在日米軍再編問題のように、日米安保体制の実効性向上という戦略上の要請と、基地を有する地元の負担軽減という施設行政上の要請が密接不可分に結びついたものが出てきております。防衛行政全般の地方における拠点を確立するため、本法律案により地方防衛局が新設されることは、こうした政策課題への適切な対応に向け、地方との協力関係を維持強化する役割を果たすものと考えます。

 第三に、我が国の安全保障を確固たるものとするためには、新たな脅威や多様な事態に対応するべく陸海空自衛隊の統合運用体制の一層の充実を図るとともに、国際社会が取り組む各種の活動への主体的かつ積極的な取り組みが行えるよう体制を整えていくことが重要であります。

 そのような観点から、陸海空自衛隊の常設の共同の部隊の設置を可能とすること、陸上自衛隊中央即応集団の改編を行い自衛隊の国際平和協力活動のための体制づくりを行うこと等を内容とする本法律案は、重要な意義を有していると考えます。

 以上、本法律案に賛成する主な理由を申し述べましたが、船出したばかりの防衛省が、今後直面するであろうさまざまな波浪を乗り越え、我が国並びに国際社会の平和と繁栄のために働かれんことを強く期待し、自民党、公明党を代表しての私の賛成討論を終わります。(拍手)

木村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛省設置法、自衛隊法一部改正案に反対の討論を行います。

 本法案は、従来の防衛省・自衛隊の体制を大きく変更するものですが、これは、アメリカが世界で進める米軍再編方針に沿って、米軍と自衛隊の軍事一体化を推し進めるものにほかなりません。

 第一に、ことし三月に発足した陸上自衛隊中央即応集団隷下に新編する中央即応連隊は、海外出動での先遣隊の任務を持つ歩兵部隊であり、海外のあらゆる事態に迅速に対応できる態勢をつくるものであります。

 昨年五月の再編実施のための日米のロードマップは、二〇〇八米会計年度までにキャンプ座間の米陸軍司令部を改編し、二〇一二年度までに中央即応集団司令部を座間に移転するとしています。イラクにも展開する最新鋭のストライカー旅団を率いる米陸軍の戦闘作戦司令部と陸上自衛隊の海外派兵司令部を一体化させ、日米が一体となって海外に乗り出す態勢づくりであり、断じて許されません。

 第二に、海上自衛隊の基幹体制の見直しは、現在、地方隊のもとにある護衛艦をすべて護衛艦隊に組み入れ、一元的に管理することによって、海外のあらゆる事態に即応し、任務の長期化にも持続的に対応できる態勢をつくるものであります。

 米海軍は、九・一一テロ以降、新たな戦略、シーパワー21を発表し、空母打撃群の即応態勢を抜本的に強化しています。今回の体制見直しは、こうした米軍の戦略変化に呼応した態勢強化にほかなりません。

 第三に、陸海空三自衛隊の常設の共同部隊の設置は、二〇〇六年三月に始まった自衛隊の統合運用体制の具体化として、指揮命令権限を統合幕僚長に集中、一元化した本格的な軍隊組織への転換を進めるものです。陸海空海兵隊四軍の統合運用を基本とする米軍との連携強化をねらったものであり、断じて許されません。

 最後に、防衛施設庁の解体、防衛省本省への統合は、防衛施設庁官製談合事件を直接の契機として出されたものですが、水増し、談合事件を繰り返してきた防衛省本省への統合が問題解決につながるとの主張には、何の根拠もありません。

 対米交渉と地元調整の権限を内部部局に一元化し、米軍再編を初めとする日米合意をトップダウン方式で強力に進める体制をつくるものであり、まさに日米一体化を支える軍事行政機構づくりにほかなりません。

 以上、米軍と自衛隊が一体となって海外で戦争できる態勢づくりを進める本法案には反対であることを強調して、討論を終わります。

木村委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社会民主党・市民連合を代表して、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論をいたします。

 自衛隊法の一部改正は、自衛隊を米軍とともに戦うことのできる部隊とするために再編していくものであります。陸海空の共同の常設部隊を設け、国際平和協力活動等を名目に自衛隊の海外派遣の恒久化が図られます。また、第一一師団を旅団に改編し、自衛官全体の定数は微減させるものの、即応予備自衛官の数をふやし、中央即応集団のもとに中央即応連隊を新設するなど、米軍のパートナーとして戦える部隊としての形を整えようとするものにほかなりません。この先には、憲法を無視した集団的自衛権の行使がはっきりと見えています。

 防衛省設置法一部改正では、防衛施設庁を解体し、防衛省で一体的に所掌することとし、さらに防衛監察本部を新設することにより、防衛施設庁における不祥事の再発を防ぐとされています。しかし、実際には防衛施設庁を防衛省本体の内局とし、防衛施設庁が担ってきた施設行政を内部化することで、透明性が一層失われることが懸念されます。防衛監察本部の独立性も何ら担保されておりません。

 本改正によって、米軍と自衛隊の一体化が一層進み、自治体には一層の負担が強要され、防衛省の密室性が一層高まる可能性が高いと考えます。

 今求められていることは、思い切った米軍基地の整理縮小、基地負担の軽減、思いやり予算の縮減、そしてシビリアンコントロールの強化であります。防衛施設庁の談合事件については、真相を徹底的に究明してうみを出し切った上で、憲法の理念に沿った防衛省の組織のあり方を見直すべきだということを訴え、本案に反対の討論といたします。(拍手)

木村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木村委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、寺田稔君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び国民新党・そうぞう・無所属の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。内山晃君。

内山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺漏なきを期すべきである。

 一 防衛施設庁を廃止し、改編された防衛省本省に同庁の機能を統合するに当たっては、入札談合事案等の反省と教訓、国会における議論を十分に踏まえ、業務のより一層の合理化、効率化を図り、施設行政に対する国民の理解が得られるよう透明性の確保に努めること。

 二 施設行政に係る内部部局の企画立案機能の強化に当たっては、防衛政策と施設行政の密接な連携を図るとともに、地方防衛局が行う施設行政については、地域の実情に即したものとなるよう配慮し、必要な情報の開示に努めること。

 三 防衛監察本部においては、会計監査業務や法令遵守に関し全省的な視点から厳格な監査業務を行うことにかんがみ、会計監査等に精通した専門家や法曹関係者等の起用を検討すること。特に、防衛監察本部の長たる防衛監察監の外部からの登用については、第百六十五回国会の「防衛庁設置法等の一部を改正する法律案」に対する附帯決議のなかで「新たに外部からの人材の登用等、監査・査察等に関する制度の創設」を採択しており、十分に検討すること。また、同本部については、既存の各組織からの独立性を十分に確保するとともに、同本部の業務を実効あらしめるため、既存の監査・監察部局の機能強化を図ること。さらに、防衛監察本部が行う監察業務の適正性を確保するための外部チェックの仕組みを検討すること。

 四 防衛省への移行に伴って、自衛隊の国際平和協力活動が本来任務化され、また、今般同活動の先遣隊としての機能を重視した陸上自衛隊の中央即応連隊が新編されることにもかんがみ、海外に派遣される自衛隊員が安心して任務に専念できるよう、派遣前後のメンタルヘルスケアや留守家族への支援の充実を含め必要な施策を講じること。

 五 海上自衛隊イージス護衛艦に係る高度な秘密情報が安易に外部に持ち出されるなどの新たな情報漏えい事案が相次いで発覚したことは、防衛省・自衛隊に対する国民の理解と信頼を大きく損ねる由々しき事態であり、遺憾の極みである。よって、これら事実の徹底的な究明を図り、違反者及びその監督責任者には厳正な処分を行うなど服務規律の厳格な保持に全力で取り組むとともに、情報管理の徹底と秘密保全体制の確立を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。久間防衛大臣。

久間国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、努力してまいります。

    ―――――――――――――

木村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十一分散会


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