衆議院

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第3号 平成20年2月26日(火曜日)

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平成二十年二月二十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 嘉数 知賢君

   理事 今津  寛君 理事 北村 誠吾君

   理事 武田 良太君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 山口  壯君

   理事 渡辺  周君 理事 赤松 正雄君

      安次富 修君    赤城 徳彦君

      大塚  拓君    瓦   力君

      木原  稔君    木村 太郎君

      薗浦健太郎君    谷畑  孝君

      寺田  稔君    浜田 靖一君

      細田 博之君    山内 康一君

      山崎  拓君    市村浩一郎君

      内山  晃君    神風 英男君

      園田 康博君    田村 謙治君

      高井 美穂君    津村 啓介君

      馬淵 澄夫君    松木 謙公君

      田端 正広君    赤嶺 政賢君

      辻元 清美君    下地 幹郎君

      西村 真悟君

    …………………………………

   防衛大臣         石破  茂君

   内閣府副大臣       中川 義雄君

   総務副大臣        谷口 隆義君

   外務副大臣        小野寺五典君

   財務副大臣        森山  裕君

   防衛副大臣        江渡 聡徳君

   防衛大臣政務官      寺田  稔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 羽田 浩二君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   小松 一郎君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   藤岡  博君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            石橋 幹夫君

   政府参考人

   (海上保安庁交通部長)  米岡 修一君

   政府参考人

   (防衛省防衛参事官)   小川 秀樹君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  地引 良幸君

   安全保障委員会専門員   板垣 芳男君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     谷畑  孝君

  長島 昭久君     田村 謙治君

  馬淵 澄夫君     内山  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  谷畑  孝君     木村 太郎君

  内山  晃君     市村浩一郎君

  田村 謙治君     園田 康博君

同日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     高井 美穂君

  園田 康博君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     馬淵 澄夫君

  松木 謙公君     長島 昭久君

    ―――――――――――――

二月二十六日

 沖縄防衛局が進める沖縄県東村高江区周辺における米軍ヘリパッド建設の即時中止及び北部訓練場の将来的全面返還に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二四二号)

 同(辻元清美君紹介)(第二四三号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第二四四号)

 同(日森文尋君紹介)(第二四五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

嘉数委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に防衛省改革に関して調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官羽田浩二君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省国際法局長小松一郎君、財務省理財局次長藤岡博君、海上保安庁警備救難部長石橋幹夫君、海上保安庁交通部長米岡修一君、防衛省防衛参事官小川秀樹君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省運用企画局長徳地秀士君、防衛省人事教育局長渡部厚君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君及び防衛省地方協力局長地引良幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

嘉数委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

嘉数委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武田良太君。

武田委員 武田良太でございます。

 きょうは、防衛省改革に関する集中審議ということでございまして、まずは、その中身の前に、今回のイージス艦の事故について少し申し述べたいと思います。

 国民の生命と財産を守るべき自衛隊が、また、大臣の言葉をいただけば、国民の最後のよりどころとなる自衛隊がこういった事故を起こしてしまった。これは、断じてあってはならないことであろうと私は考えておるわけでございます。

 そこで、事故というのは、陸上でも同じなんですけれども、悪い条件の歯車が瞬時にしてかみ合って起きるのが事故だと思います。いろいろな条件というものがかみ合ってこの事故は発生したと思いますけれども、一言で言って、この事故の原因は、何がこういった事故を導いたのか、大臣はどうお考えでしょうか。

石破国務大臣 委員御指摘のとおり、あってはならないことが起きました。それは申しわけのないことで、幾重にもおわびをしておるところであります。

 原因というものは今捜査当局で解明をされておりますので、私がここで、ああだと思う、こうだと思うと言うことはかえって適切ではないと思いますが、今回のことであれ何であれ、委員が御指摘になりましたように、基本というものが守られているのか。海上衝突予防法という法律があり、あるいはさまざまな規則が海上自衛隊の中にはあるわけでございます。そういう基本的な法令や規則の遵守がきちんと行われていたのかどうかということだと私は思っております。

 私も、この法律をもう一度全部読み直してみましたが、一部、裁量といいますか、安全な速度とは何であるかとか、そういうような判断に係る部分があります。それが適切であったかどうかということは捜査の結果でございますが、基本を遵守するということがあるいは欠けていたのかもしれない、推測めいたお話で恐縮ですが、私はそのように思います。

武田委員 大臣、概して言うと、基本を遵守していなかったのがやはり大きな原因ではないかと。私は、これはなれだと思うんです。

 今回の事故というのは、プロとプロの事故なんですね。私自身も船舶の免許を持って、みずからかじをとることもありますし、オートヘルムという自動操舵も使います、GPSも使います。一番なれが怖いのは、自然に対する恐怖だとか事故に対する恐怖というのが薄れてしまうんですね。海上というのは、陸上と違いまして、潮の流れや風、波のうねり、それによって本当に視界が閉ざされたり、いろいろさまざまな厳しい条件というのが重なり合うことはたくさんあるんです。

 この海域は、関門海峡そして瀬戸内海とあわせて、非常に混雑する海域でありまして、いろいろな船が行き交う。その中で、絶対忘れてならないのは、相手の船の動きというものを予測はできても断定することはできないということを忘れてはならない。ですから、船は、予防法の中にもあると思いますけれども、回避義務がどっちにあるかということが確かに存在するんですが、基本的には、お互いにこれは気をつけていかなければならないものなんです。そうしなければ、事故というものは根絶できないわけですね。

 先ほど大臣の答弁にもありましたけれども、防衛省は事故の一方の当事者ですね。今、海上保安庁の方で捜査に入っておるということになれば、当事者として、自衛官、乗組員の皆さん方もまだ船内にとめ置かれておるという状況で、そこからの確かな情報というのが入るわけがないんです。これは、どんどんそこから入っておったら、では捜査はどうなっておるんだという話になるので、そうした問題については、いろいろな事情聴取そして捜査が進む中で、実態が明らかになってくるとは私は思っておるんです。

 しかしながら、今回、私が防衛省改革の中で問題にしたいのは、やはり大臣に報告九十三分というものですね。大臣に報告が上がったのは、九十三分かかったということ、こういうことがまだ防衛省では起こっておるのかと。二年半ほど前に、とにかく重大な事故については、事柄については、幕僚監部から直接大臣の秘書官の方に連絡が行くということを決めたはずなんですね。これが全くなされていないということが非常に問題だと私は思っております。

 また、新聞紙上、またいろいろなところでいろいろな情報が飛び交って、それぞれいろいろなことを言っておられる。先回の委員会の中でも、情報というものは、きちっと防衛省という組織が一元化を図って、しっかりとした情報、正しい情報というものを出すべきだといういい意見も出ましたけれども、私は、防衛省ができる限りの正しい情報というものは出していただきたいけれども、今捜査が続行中ですから、そこのところは、正しい情報というものはやはりしかるべきつかさが発表するべきであると私は思うし、防衛省は、この事故に対するできる限りの誠意というものを見せなきゃいけないと思います。

 そこで、今日まで、漁を取りやめて、各漁協の皆さん方は捜索に協力をしていただきました。今、原油高、そして、今どこの地域でも漁業というものは非常に苦しい立場に追い込まれている中で、今回の事故に関して、本業であります漁をせずに捜索活動に参加してくださった。こういった漁協の皆さん方に手当てはするのか。

 それともう一つ、もうこれ以上は生活に支障が出るということで、無念の捜索断念というものをしたときに、防衛省は、その協力していただいた皆さん方にしっかりとした謝辞を言ったのか。そうしたところは、今状況はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。

石破国務大臣 当日、江渡副大臣が現地に参りました。翌々日、私も参りました。関係者の方々が本当に、漁を休み、昼夜を分かたず捜索に当たっておられるお姿を目の当たりにいたしまして、私からも、申しわけございませんというおわびと、そして、捜索に御尽力いただいて、ここの言い方はとても難しいのですが、ありがとうございますというか、感謝申し上げますというか、そういうようなことを誠心誠意申し上げてまいりました。それは、海の仲間だからねということだと思います。ある意味、シーマンシップというのでしょうか、そういうことだと思います。

 しかしながら、私も水産関係を長くやりましたが、非常に経営が厳しい中にあって、何日も漁を休んでということに対して、防衛省として、政府としてどのような形が示せるかということについては、言われたからやるとかそんなお話じゃなくて、私どもとして、本当に何がおこたえできる誠意の示し方かということは、自分たちで考えなければいけないことだと思っております。

 どういう形ができるか、今検討をいたしております。

武田委員 国民の深い理解をいただくためにも、そうした一つ一つの局面での対応というものを怠ることなくやっていただきたいと思います。

 改革の本丸に入りますけれども、シビリアンコントロールの問題であります。

 先ほど、大臣に報告するまでに九十三分かかった。そしてまた、防衛省の前回の改革案の中に、一時間以内で報告する、こういうことが上げられておりますけれども、何でこれだけの時間がかかるのか。そして、一時間以内にと。何で一時間という時間を要する必要があるのか。シビリアンコントロールをしっかりと機能させるためには、今の防衛省のやり方では何が悪いのか。防衛省が存在する絶対条件というのは、シビリアンコントロールがしっかりと機能しておるということが絶対条件ですから。

 なぜ一時間という時間が要るのか、運用局長、答えてください。

石破国務大臣 通達には一時間以内と書いてありました。私は、これは不適切だと思います。ここは削除する方向で今検討いたしております。一時間以内だったからいいじゃないかみたいな、そんな話には全然なりませんので、この一時間以内というのは削除いたしたい、その方向で検討いたさせております。

 もう一つは、現場で、今回の場合には野島崎沖の「あたご」で事故が起こった。そこから護衛艦隊に入り、自衛艦隊に入り、同時に横須賀総監部に入り、市ケ谷のオペレーションルームに入り、そこから内局の方にお知らせが行き、幕の方はそっちのラインを伝って海上幕僚長、こう行くわけでございます。

 私は、とりあえずの第一報というのは、それは間違いがあるのかもしれない。しかしながら、少なくとも、市ケ谷のオペレーションルームに入った段階で大臣秘書官に上がるということを確立しなければいかぬのではないかと思っています。

 ただ、当直のまだ若い幹部たちが、これは大臣秘書官に上げていいんだろうか、こういうことを上げたらいかぬのじゃないかというような迷いが生じるということではいけませんので、こういう場合は大臣に上げるということを、きちんとした形で、迷いが生じないようにしなければいけない、主観が入らないようにしなきゃいけない。

 それで、仮に午前二時であろうが三時であろうが、秘書官が連絡を受けて、結果としてそれほど重大じゃなかったことかもしれない。だとしても、何でこんなものを上げてきたというようなことを大臣から言うようであれば、それはもう二度と情報は上がってこないのだと思います。

 私は、そういうことをきちんとしたルールとして確立する。今回も、委員御指摘のように通達には書いてあるんです。書いてあるんだけれども、本当にそれをやっていいんだろうか、あるいは、ほかの部署がやっているんじゃないだろうかという思い込み、迷い、それをどれだけ排除できるかということが今回のポイントだと私は思います。

武田委員 大臣、その一時間以内にというふうなことを取り決めたときに、重大なときは内局を経ずしてということもたしかあったと思うんですよ。

 今回、内局を経ているわけですよ。だから、内局の皆さんだって私は決してサボっているわけじゃないと思う。なぜそこで、内局を経ずしてというのを一々内局を経てしまった。だからこそ無用の、情報操作をしているんじゃないか、ベールに包まれている、フィルターだということで、内局も無用の誤解で責められなきゃならない。すべてがうまくいかなくなるんですよ。

 ですから、第一報というものは、四時七分に事故が確認された、その一分後の四時八分に、要するに救助活動の号令というものをおろしているというふうに私は聞いておるんです。救助活動の号令をおろすというのは、これは重大な事故だ、何かとぶつかった、それが漁船なのかプレジャーボートなのか何なのかということまでは報告せずとも、四時七分に何らかの事故が起こった、どの海域で何時何分という第一報はすぐ入れるべきなんです。あとは、詳細は逐次追って説明するでいいわけですから。大臣は、総力を挙げてやってくれと言えばいいわけですよ。

 なぜ、詳細なものじゃなくて、事実を報告することでさえもそんなに時間がかかるのか。これをやはりしっかりとしたものにしなければ、国民の信頼も得られませんし、シビリアンコントロールの機能強化、確立も図ることはできないと思いますので、今週中に大臣は何かまとめられると聞いております。これは直ちに、そうした情報伝達の責任が果たせるシステムというものを具体的に提示をしていただいて、提示をしていただくだけではなくて、それに伴うしっかりとした訓練を大臣の指揮のもとでやっていただきたい、このように私は思います。

 大臣は、改革のもう一個のテーマとして、組織の改編等々についてもいろいろなビジョンをお持ちだと思います。これは、我々政界、そしてまた内局、制服等、いろいろな面で風通しが悪いと指摘される中で、風通しをよくすることというのは私は非常に大切だと思うんですね。

 ただ、大臣、我々政治家も政治家としてのプライドとロマンがある。内局の方々も内局の方々としてのプライドとロマンがある。海の男は海の男としてのプライド、ロマンがあり、陸も陸であり、空も空である。そうした一つ一つのチームが寄って、一つの悠久の大義、国家国民の平和を守るということにつながっていくと思うんです。

 ですから、ここで改編するときに、それぞれのチームのモチベーション、そしてロイヤリティーというものが損なわれないような改編をどうか目指していただきたい。人間は感情の動物です。そこのところを十分注意していただいて、組織改編等々に対します改革案、それを煮詰めていただきたいと思っております。

 時間も少なくなりまして、もういよいよ最後になりますけれども、今、新聞等々で大臣の責任についていろいろと言われております。リーダーというのは、人間ですから性格も価値観も全部違うと思います。

 しかし、大臣、この局面は、大臣のとるべき決断というのは、決して楽な決断をしてはだめだということです。楽な決断というのは、職を辞するなんと考えることなんです。大臣が就任されて今日まで、いろいろなことがあり過ぎた。肉体的にも精神的にも、疲労がもう極限状態になっているのは私も十分理解できます。

 しかしながら、あの御家族の気持ち、大臣が行かれたときに祈るような言葉で叫ばれた、その思いというものを、大臣、深く受けとめていただいて、大臣が今回トップリーダーとしてとるべき責任は、あなたの手で、あなたの指揮のもとで全力を挙げて捜索活動を展開していただくこと。何度も何度も繰り返し言われるように、本当の意味での防衛省の改革を断行していただいて、国民の信頼を得て、そして国民から親しまれる防衛省をつくっていくことでないかと私は思っております。

 河井継之助が言いました。一つの忍をもって百の勇気を支える、一つの冷静さをもって百の動揺を制する。いろいろ御苦労もあると思います。しかし、政治家として、防衛省のトップリーダーとして、あなたのとるべき責任は何なのか、そこのところは十分に考えていただいて、今回の事故に対する対応、そして防衛省改革に全力を挙げて邁進していただきたいと思いますけれども、御決意のほどをいただきたいと思います。

石破国務大臣 お言葉をいただきまして、ありがとうございました。

 責任のとり方というのはいろいろあるんだろうと私は思います。潔くやめちゃうというのも一つの責任のとり方であるし、私はそれを否定するものではありません。

 ただ、翌々日行きましたときに、妹さんであるとか、あるいはいとこの方であるとか、あんたがやめてどうするんだ、絶対やめるな、この原因を究明し再発防止策をきちんとあんたがやってくれなきゃ、行方不明の二人はどうなるんだということを、本当に心底言われた。だから私は開き直ろうとか、自分がとどまる正当化にしようとか、そんなことを思っているわけでは全くありません。自分がどなたのお気持ちにこたえるべきなのかということは自分で判断しますが、私は、その御家族の方、漁協の方がおっしゃる思いにこたえるのが自分の責任だというふうに思います。

 防衛省改革につきましては、また委員と議論させていただきたい、党でも国防部会長代理もお務めであります、いろいろな議論をさせていただきたいと思います。

 ただ、昔、陸海総力を挙げて戦い、余力を持って英米に当たるという言葉がありました。冗談みたいな話ですが、そういうことが本当にあった。かつての日本帝国はそうであった。しかし、統帥権というもの、軍令というものが完全に独立したことによって判断を誤ったということも、私は歴史の事実としてあるんだと思います。

 そして、内局がどうの背広がどうの、車の両輪として支えるといったときに、この調整に時間を要しているとするならば、それは防衛省として、自衛隊として、機能を発揮する上においてこんなプラスがありますということが何が言えるのか。私は、そうは思わない。

 もちろん、有識者会議でいろいろな御議論をいただいておって、その結論を得て、私どもはそれを尊重してやるべきものでございますが、私も委員もいらっしゃる皆さん方もそうですが、使う側、シビリアンコントロールというのは、国民に対して責任を負い得る唯一の存在であるがゆえに、政治家が責任を負う、使う側にとって使いやすい組織かどうかという議論は、私はちゃんとしなきゃいかぬと思っているんです。どこでだれが何をやっているのか全然わからぬというような組織であって、本当にそれでシビリアンコントロールが果たせるのかということは、我々政治家が、使う側の立場に立ってきちんと責任を果たして考えねばならないものだ、私はそう思っております。

武田委員 もう時間が来たので終わらせていただきますけれども、防衛省は、組織の防衛ではなくて国の防衛を果たす職責があるということをよく理解していただいて、頑張っていただきたいと思います。

 同僚の安次富議員にかわらせていただきます。ありがとうございました。

嘉数委員長 次に、安次富修君。

安次富委員 おはようございます。自由民主党の安次富修でございます。

 質問に先立ちまして、今月十九日未明に発生しましたイージス艦事故に関しまして、行方不明になられました吉清治夫さん、哲大さん並びに関係する方々に心からお見舞いを申し上げます。

 それでは、沖縄関連で質問をいたします。

 外務省、来ておられますか。女子中学生暴行事件についてお尋ねをいたします。

 まず最初に、米兵による女子暴行事件でありますが、ここは沖縄県の北谷町、まさに私の選挙区であります。米兵が十四歳の女子中学生に暴行するという事件が起きました。このような卑劣な犯罪は断じて許すことができず、米政府、米軍に対し強い憤りを感じております。

 今までも何度も何度も、米兵による事件に県民は心を痛めてきました。一九九五年の少女暴行事件の際の怒りの県民大会は、政府関係者も記憶にしっかりと残っていると思います。それ以来何度も、再発防止や二度と起こさないとの口約束に沖縄県民は翻弄されてきました。今回の事件の直後にも綱紀粛正が言われましたが、その後すぐフィリピンの女性暴行事件、飲酒運転、住居不法侵入といった事件、事故が次から次へと相次いでおり、再発防止や綱紀粛正はまた口先だけかと県民は怒りに満ちております。

 それを踏まえまして、二十二日に高村外務大臣は事件の再発防止策を示しましたが、これで十分再発防止につながるとお考えでありますか。例えば、共同パトロールにも疑問の声が上がっております。沖縄県警としては、最初から身柄は日本側で拘束するということを明記しないと、やはり屈辱的な思いがあると思います。

 そこで、再発防止策の実施に当たっては、警察庁や沖縄県警等とも十分協議した上でしっかりと実施していただきたいと思いますが、外務省の御見解をお聞かせください。

西宮政府参考人 まず、政府といたしましては、今般の事件を受けて、地元や米側とともに、このような事件が二度と起きることのないよう、より実効的かつ包括的な再発防止策の検討を進め、御指摘のとおり、二十二日に当面の措置を発表いたしました。

 これらの措置を策定するに当たりましては、地元からいろいろな申し入れ等を私自身も直接受けましたし、警察当局を初め関係省庁とも協議し、また米側とも協議して発表したものでございまして、再発防止のためには何よりも継続的な取り組みが必要である、あれで発表しておしまいということではなくて、今後とも、米軍タスクフォースというのができておりまして、これが各地の米軍基地に調査に参ります。それから、沖縄県におかれましても御意見をまとめられましたので、そういったものを踏まえながら、米側とともに、今般の再発防止策が着実に実施されるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

安次富委員 二十七日にはアメリカのライス国務長官が訪日し、この少女暴行事件の件に関して遺憾の意を表明するとの報道がなされておりますが、さらに一歩踏み込んで、ライス長官と再発防止策に関して具体的な話をするということは考えていないのでしょうか。それについてお聞かせください。

 ライス国務長官が直接沖縄県民に語りかけることが大事であります。特に、少女暴行事件を初めとする女性や弱者に対する事件が頻発しております。ライス国務長官も、世界の女性のトップリーダーとして、この際しっかりと約束すべきではないでしょうか。高村外務大臣との効果的な会談を期待しておりますが、この点につきまして御所見を賜ります。

西宮政府参考人 先ほども申し上げたとおりでございますが、今般の事件、極めて遺憾でございまして、二十二日に措置をまとめたところでございます。

 これは米側からもいろいろな形で遺憾の意が表明されておりますが、ライス長官自身も十二日、ヒル国務次官補を通じまして、在ワシントン我が方加藤大使に対しまして、本件事件を極めて懸念しているといったメッセージを発出しておるわけでございます。

 二十七日、ライス長官、訪日されまして、我が国外務大臣ほかと直接意見交換を行う機会があるものでございますから、これまでの日本の立場を踏まえまして、本件につきましてもしかるべく取り上げられるものと考えております。具体的な議題は今調整中でございますが、外務大臣を初めいろいろな方々とのやりとりの間で本件もしかるべく取り上げられるものであると予想しております。

安次富委員 ライス国務長官から直接しっかりと、謝罪そして遺憾の意を表明させるべく、外務省として取り組んでいただきたいと思っております。

 それから次に、普天間移設に関しましてお聞きをいたします。

 先日の普天間移設協議会において町村長官が、地元から話のあった沖合修正もしっかりと念頭に置き、できるだけ早い時期に決着が図れるよう最大限の努力をしていきたいと初めて修正の可能性に言及され、県と国との歩み寄りの姿勢が示されたことを沖縄県民として評価しております。このことにより、具体的に普天間移設が進むことになろうかと思いますが、ライス長官との会談に際して、この普天間移設問題を初めとする、特に沖縄県が要望している沖合への修正について、議題に上るのかどうかお聞かせください。

 さらに、石破大臣にお聞きいたします。

 ゲーツ国防長官は、一インチたりとも修正することはまかりならぬと言っておりますが、アメリカ側をどう説得するつもりなのか。アメリカ側を説得できなければ、単なる沖縄へのリップサービスとして受けとめられかねないと思いますが、この点についてしっかりと御答弁をお願いいたします。

西宮政府参考人 日米外相会談を初め、ライス国務長官訪日の際の各会談の議題等につきましては、現在引き続き整理、調整中でございますが、お尋ねの普天間飛行場代替施設についての現在の案につきましては、これは生活環境や自然環境、実行可能性に十分留意して検討し、地元名護市などとの合意を踏まえて米側と合意したものでございます。

 このように、現在の政府案は、さまざまな観点から最も適切な形として決定したものであり、合理的な理由なくして変更することは困難でございますが、今後とも、地元と誠意を持って協議し、日米合意に従い、普天間飛行場の移設、返還を着実に実施してまいりたいと存じます。

石破国務大臣 政府の立場は、今、北米局長が答弁いたしたとおりでございます。

 委員御指摘の、本当にリップサービスに終わらないようにということは、よく我々心していかねばならないことであります。合理的な理由がない限り変更は困難ということでございますが、私たちとして、沖縄のお気持ちを初め、多くの方々がまさしく沖縄の思いを体現しておられる、そのことに思いをいたしながら今後作業を進めていかねばならない。リップサービスに終わらせるというようなことを考えたことは、一度もございません。

安次富委員 しっかりと協議を進めるべく頑張っていただきたいと思っております。

 最後に、米軍基地内におけるパワハラ事件に関しまして質問をさせていただきます。

 一月十三日付沖縄タイムスにおいて、米軍基地で働く従業員に対するパワーハラスメントの問題が記事になっておりました。パワハラは重大な人権侵害であり、仕事ができない、仕事の場を奪われる苦しみは大変な問題であります。

 基地で働くということは、日米両政府の間で不安定な立場に置かれることであり、基地で働く従業員を日本政府、特に防衛省はしっかりと守っていかなければならないと思いますが、防衛省における基地従業員の労務管理体制、米軍との意思疎通、再発防止に向けた取り組み等について、防衛大臣の御所見をお願いいたします。特に、このパワハラの問題は基地内の警備隊の中でのことだと聞いておりますが、この点についても詳しく御説明をお願いいたします。

地引政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような、駐留軍等労働者の方々の職場におきまして労働者間に生じる問題につきましては、まず第一義的には、職場の管理者であります米軍が問題解決の責任に当たるべきものと考えておりますけれども、御指摘のような事態が起きた場合につきましては、基本労務契約の枠組みの中で問題の解決がなされることとなっております。

 具体的には、一つは、駐留軍等労働者の方々が苦情を有する場合、基本労務契約におきまして救済手続が設けられておりまして、順序を経まして四段階の苦情処理を行うことができることとなっております。三段階目以降につきましては、その内容が日本側に通知されることとなっておりまして、これを受けて、日本側においてその内容を精査し、必要に応じて、米側に是正を申し入れるなど、駐留軍等労働者の方々の権利の確保のため、適切に対応することとなっております。

 また、規律等を乱す等の行為を行った駐留軍等労働者の方に対しては、基本労務契約におきまして制裁手続が定められておりまして、米側の要求を受けまして日本側が制裁を行うという仕組みになっております。

 いずれにいたしましても、防衛省は、良好な職場環境の確保は大変重要なことというふうに認識しております。職場内の問題につきましては、基本労務契約に定められた措置に加えまして、駐留軍等労働者の方々から事情を聴取した上で、米側に申し入れを行ったり、米側が職場内の問題について調査する際に日本側で調査した内容を米側に示すなどして問題の解決に努めるなど、良好な職場環境が確保できるよう適切に対応してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

安次富委員 時間が参りましたが、実際、けりを入れられたりヘッドロックされたりして、そういういじめがあるんですよ。だから、この点につきましては、注意深くこれからも見守っていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

嘉数委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 おはようございます。公明党の赤松正雄でございます。

 まことに石破大臣におかれましては、極めて厳しい事態が次々と起きて、心中察するに余りあると思います。十二分に反省もされ、そして厳しくみずからも、また自衛隊・防衛省に対しましてもいさめておられるはずの人に追い打ちをかけるようなことは余りしたくない私でございまして、そういう観点ではなくて、一体何ゆえにこういうことが起こったのかということについて私なりに冷静にお尋ねをしたい、こんなふうに思います。

 まず、きょうお尋ねをしようと思っていたことに先立ちまして、朝、新聞を見ますと、一部新聞の報道ででかでかと、「防衛相「十二分前」当夜把握」と。十二分前に現場で掌握をされていたということについて、大臣が当日の夜に掌握をされていた。ところが、現実には、二分前という話を当日もされている。変更の発言をされたのは翌日になってから。

 こういうことについて、この報道に対する言い分があろうかと思いますけれども、まずその点からお尋ねをしたいと思います。

石破国務大臣 今回の事故が起こりましたときに、何も調査中でわかりませんというような態度をとるべきではないということを私はまず申しました。わかったもので確認できるものは、そして公表していいものは積極的に公表すべきであるということを最初に申し上げましたのは私であり、いろいろな発表をしておりますのは、それはすべて私の責任によるものでございます。

 今回の委員御指摘のことでございますが、事故当日、十二分前の午前三時五十五分に「あたご」見張り員が漁船を確認したという情報は、翌日二十日に公表しております。この公表に至る経緯は、まず、十九日、事故当日午後四時十八分、「あたご」に乗っておりました護衛艦隊幕僚長、「あたご」は護衛艦隊に属しておりますので、その幕僚長が「あたご」に乗っておりました。これは派遣されて乗っておったのです、事故当日に。この幕僚長が、海上幕僚監部にこういうことだということを報告いたしました。

 海上幕僚監部は、午後五時十四分、それを聞きました約一時間後に、この報告に基づき資料を整理したということがございます。三時五十五分というのは、十九日の四時十八分に入ってきて、五時十四分に資料を整理したものでございます。夜の八時半になりまして、海上幕僚監部が、私に対しまして、とりあえずこういう情報が入りましたという報告をいたしました。

 しかしながら、この報告がばらばら断片的でございましたので、この日の夜十一時から翌二十日の午前二時四十七分までの間、海上幕僚監部は、「あたご」の乗員に、この時間は本当に確かなのかという確認を行っております。この確認をいたしました時点で初めて、この時間は三時五十五分ということが判明をいたしました。これが、午前二時四十七分、二十日のお話でございます。それで、翌日の午前八時半に、その内容を改めて私に報告をいたしました。そういうような経緯をたどっておるものでございます。

 したがいまして、不正確な時刻、これは出してはなりません。この数字は本当かというようなものを、部内の中で確定しておりませんものは、私は外に出すべきだったと思いません。かえって、出せば混乱が生じたと思います。

 もう一つは、この手の情報は、海上保安庁と、これは外へ出していいですか、いけませんかという調整をしなければなりません。私は、きちんとした数字、そして外へ出していいもの、その確認の作業は絶対に必要だと思っておりまして、とりあえずの第一報が入った時点でなぜ言わなかったのかと言われますが、私は、不正確な数字や外へ出してはいけないかもしれない数字を出す方がよほど問題だと思っております。

赤松(正)委員 大臣、確認をいたしますが、今の時系列的に言われたことは、きょうこの場で初めて言われた。総括的に、ばらばらいろいろな情報があって、それを一々報告するのはすべきではないと思ったという発言は予算委員会等で聞いておりますが、細かく時系列的に言われたのはこの場で今初めてということでよろしいのですね。

石破国務大臣 順を追って系統立ててお話ししたのは、この場が初めてかと存じます。

 あるいは、似たようなブリーフィングを昨夕遅くやっておるかもしれませんが、大臣という職責において公の場で申し上げたのは、これが初めてでございます。

赤松(正)委員 わかりました。

 私は、この事件が起こって、かねがね大臣に直接聞いてみたいなと思っていたことがあります。それは、要するに、報告がおくれたということを盛んに今言われるわけで、私もその点については、その事の重大性というのはしっかりと認識をいたしておりますけれども、正確に事件の直後に、一時間以内、あるいはアメリカでは九分以内、こういうふうなことがあるようですけれども、時間はともかくとして、できる限り早い段階で大臣に一報が入っていたとして、石破茂大臣はどういう対応を、その時点で現場に指示をしていた、こんなふうに思えばよろしいでしょうか。

石破国務大臣 もしもっと早く入っていても、私は、人命救助に全力を挙げよという指示しか出せなかったかもしれません。ただ、早く入っていれば、もっと早く登庁はできたと思います。防衛省に登庁して、そして、関係方面との調整であるとか、あるいは指揮であるとか、そういうものができたかもしれないという思いはございます。

 知った瞬間に何ができたといえば、繰り返しになりますが、人命救助に全力を挙げよということしか、私は、早くても多分言えなかったと思う。ただ、早目に、三十分でも四十分でも早く登庁して、大臣室からどうなっているかというような指揮がその場でできた方がよりよかったかもしれないという思いはございます。

 ですから、今回のことでどうだったかといえば、そういうお答えしかできませんが、これがさまざまな事案が起こったときに、やはり一時間以上おくれるということはあってはならないことだ、この件とは別に、私はそう思っております。

赤松(正)委員 私も、大臣の答弁は想像どおりであります。恐らく、早く入っていたとしても、このケースではほとんどさしたることは言えなかった。しっかり頑張れ、直ちに飛び込めということも言えないでしょうし、なかなかそれは難しい判断であったろうと思います。

 ただ、後段言われた、早く登庁できただろうというのは、これは、果たしてそれで大臣が適切なことをその後されたかどうか。かえって、事態がややこしくなったかもしれないという観点もなきにしもあらずかなという感じもするんです。

 それはともかくといたしまして、私は、この問題でもう一つ、今言った点が一つと、もう一つ指摘をしたいというか気になるのは、先ほど武田委員が、こういった事故はなれということが根底にあるんだということを言われたわけですけれども、私は、この「あたご」というのは、「あたご」並びに「あたご」に乗り組んでいた艦長以下の乗組員約三百人、こういった人たちが果たしてなれていたのかどうか。「あたご」に乗ってこの海域を航行したというのは、実は初めてではなかったのかな、そんなふうに実は思います。

 この「あたご」は、昨年の三月に就役をして、十月に舞鶴を出てハワイに向かっている。ハワイで仕事をして戻ってきた。だから、それぞれが違う船であの海域を通ったことはあるにしても、「あたご」があの海域を通ったのは初めてじゃなかったのかな、こんなふうに思うんですけれども、そういったケースで、具体的にどういう訓練が「あたご」艦長以下、乗組員になされていたのか、このあたりについて述べていただきたいと思います。

石破国務大臣 ここの海域を通ったのは、「あたご」にとって初めてでございました。

 初めてだから事故が起こったなぞというのは何の言いわけにもならないことでございまして、こういうようなふくそう海域においてどのようにして操艦をするかということは、艤装が終わりまして就役をして、自衛艦旗を授与されて「あたご」という海上自衛隊の船になったときから、いろいろな錬成訓練を行います。それぞれの地域に所在をしております、そういう練度をチェックする部隊が、こういう場合の航行について十分かというようなチェックを何度も行いまして、それにはクリアしたという船だというふうに報告を受けております。

 この船が本当にハワイまで行き、帰ってきて、ふくそうする海域、やがて浦賀水道を通るということもあるんでしょうか、それで横須賀に入るという場合に、この船は十分それにたえるだけの練度を持ったというような判断をして、この船は運航されておったものだというものでございます。

 では、なぜこんなことが起こったかということについて、そこの検証が必要だ。ですから、練度が不十分なまま出しちゃったのかといえば、そういうことはございません。にもかかわらず、なぜこのようなことが起こったかが問題だと思います。

赤松(正)委員 今、練度が不十分だったことはないというふうに大臣は断定的に言われましたけれども、私は、そうかなという感じがします。初めてというのはやはり初めてでして、いろいろなケースを想定しての練習、練度というのは積み重ねられたということを言われたわけですけれども、しかし、初めて通るということについて、やはりそれぞれの持ち場持ち場の担当しておった人たちの対応というものが非常に欠けていた部分があるんだなということを改めて感じざるを得ません。

 そのことと、実は私、きのう予算委員会で大臣の答弁を聞いていて、最後の委員の質問に答えられた部分と、それから、せんだって日曜日に、NHKのテレビの番組で岡本行夫さんと対談というか、ほかに何人か、沖縄の大学の先生もいらっしゃいましたけれども、あの話の中でのこととがちょっとひっかかって感じられました。

 というのは、きのう大臣は、今回、この「あたご」の事件だけではなくて、「しらね」のこともあるし、さまざまな出来事、もちろん防衛事務次官のことも、随分過去のような感じもするわけですが、まさに問われているただ中の問題であります、また、インド洋上におけるさまざまな問題等もあります。こういったことについて大臣は、全部ひっくるめてだと思うんですけれども、あるいは、そうじゃなかったらそうじゃないと言ってほしいんですが、偶発的とは思っていない、基本一つ一つをおろそかにせぬように、こういう言い方をされました。さっき武田委員に対する答弁でも、基本を大事にということは発言としてありました。

 私は、偶発的とは思っていないということについて、結構、少し異様に感じます。つまり、先ほど大臣が練度は積み重ねられていると言ったことと、それからこの偶発的とは思っていないということとの関連性、何かこういったことが起こるというものは、いつか起こるんじゃないのかという、起こってはあり得ないということを言いながら、一方で偶発的とは思っていない、こういう言い回しの関係性について少しひっかかりを感じる。

 同時に、岡本さんの話の中で何を私は感じたか、あるいは、多くのテレビを見ていた人が同じように思ったんじゃないのかなと思うのは、大臣は、要するに、ほとんどすべてのと言っていいぐらい多くの自衛官が懸命になって今任務についているということを言わないで、どちらかといったら厳し目の話を、こういう事態であるからなんでしょうけれども、言われる。それはそう言わないで、やはり日本全体に向けて、多くの自衛官が頑張っているということを言うべきだ、そういう意味合いのことを岡本さんは言われたと思うんですね。そのことと、今、偶発的とは思っていないということとの関連性。

 要するに、聞きようによっては、いつ何どきこういうことが起こってもおかしくない、必然的なんだというぐらいに、極めて自衛官の周辺というのは危ないことが起こっているんだというふうに思わざるを得ない発言ではないか。

 別に揚げ足をとるつもりはありませんけれども、先ほどの大臣の答弁の中で、制服とそれから背広の話の中で、どこでだれが何をやっているかわからぬでは困るというわけです。わからぬでは困るというんだから、どこでだれが何をやっているかわからぬという状況が少なからずあるんだろうというふうに聞こえてしまうんですね。このあたり、どういうふうに答弁されますか。

石破国務大臣 一つは、NHKの日曜討論で岡本行夫氏から、警務隊との合同捜査みたいなことはできないのかというようなお尋ねがあって、それは検討してみたいということを申し上げました。

 それで、私の知識が不十分で、見ておられる方々に御迷惑をおかけしたのでありますが、昭和二十八年十月一日のものですから、相当に古いものでございます。まだ防衛省が保安庁と言っておった当時のお話でございます。このときに、保安庁と海上保安庁との犯罪捜査に関する協定というのがございまして、今流に読み直せば、防衛省と海上保安庁との犯罪捜査に係る協定というふうに読みかえても構いません。そこにはどう書いてあるかというと、保安庁、今でいえば防衛省、防衛省の施設外の海上における犯罪の捜査は、原則として海上保安庁が行うものとする、こう書いてございます。

 今回起こりました海域はまさしくこれに該当するものでございまして、原則海上保安庁が行うということになっておって、私どもとしては、海上保安庁の捜査が、必ずしもなじむ言葉ではないかもしれませんが、一段落した時点で、私どもとして自己責任において調査を行い、必要な公表は行うことになるというふうに考えております。

 そこで、委員御指摘の、偶発的ではないんだと言ったのはどういう意味か、それをひっくり返せば必然的なのかと言われれば、ロジカルにはそんなことになってしまいまして、そんな危ないことなのかということになりかねない。ここは誤解を招いたとしたら、私の言い方が余り十分ではなかったのかもしれません。ただ、例えば航泊日誌の誤破棄事案、「しらね」の火災の事案、あるいは補給量の取り違え、それが防衛庁長官、官房長官まで間違って上がって、それが気がつかなかったということ、そういうことを全部つなぎ合わせてみますと、これは何かがおかしいというふうに思わざるを得ない。何かがおかしい。

 それは、海上自衛官が今もインド洋で灼熱、まだ灼熱ではありませんが、もうそろそろ春になれば暑くなるわけで、そういうところで何カ月も家族と離れて一生懸命やっているということ、圧倒的多数の隊員たちが一生懸命任務に邁進しているということと、基本がおろそかになっていませんかと。一生懸命まじめに頑張っているということは評価します。だけれども、さはさりながら、基本というものがおろそかになっていないかということは、私はそれは言わなきゃいかぬと思います。

 ある意味、防衛大臣というのは嫌われ者でいいんだと思います。大臣は何だ、おれたちのことをわかってくれないのか、こんなに頑張ってやっているのにわかってくれないのか、そういう声があるのは知っています。おまえは防衛省・自衛隊員に対して愛情が足らぬのではないか、そういうがみがみ怒るような、そんなことでどうするんだというおしかりも随分いただいています。それはよくわかっています。ですけれども、それと、基本がおろそかになっていませんかと。文書の管理にしてもそう、今回の海上衝突予防法がちゃんと遵守されていたか、あるいは各種法令、規則が遵守されていたか。それはそれとして、国の独立と平和を守る組織ですから、そして極めて危険なものを取り扱う組織ですから、規律厳正ということはそれは常に言い続けなければいけないことだ。嫌われるのが嫌でそれを言わないとするならば防衛大臣なんかやらない方がいい、私はそう思います。

赤松(正)委員 今の大臣の答弁はそのとおりだろうと思うんですが、私が言いたいのは、その二つのことをやはり同時に発信しないといけない。現場で頑張っている自衛官に対するねぎらいとそれから宣揚、これをしっかり言うと同時に、基本がおろそかになっていないのか、何ゆえにこういったことが連鎖の状況で起きてくるのかということで厳しく言うというのは常にセットで発信されなければいけない、そう思うんですが、どうも大臣の発言を聞いていると、そうじゃない。今の事態でやむを得ないという部分はあるんですけれども、後ろの方に力点が置かれ過ぎているんじゃないのかというのが私の感想であり、テレビで言った岡本さんの意見もそこに力点があったんだ、そんなふうに思うわけでございます。

 次に、先般、テロ対策特別委員会の場で私が大臣に対しまして、制服の国会における参考人出席という問題について、このあたりで考えるべきではないのかという質問をいたしました。それは私、今回の事態を前にして、より一層その必要性を感じます。大臣の答弁の中にもありますけれども、かつて昭和三十年代に制服が国会に出てきて答弁をした、源田実さんでありますけれども、そういうことがあった。以降、そういうことはない。それにはさまざまな理由があろうかと思うんですね。

 大体、自衛隊の存在そのものを憲法違反だというふうに、私が属しております公明党も昭和五十六年、一九八一年の時点までは憲法違反の疑いあり、そういうスタンスに立った政党であったわけですけれども、昭和五十六年の時点で憲法解釈を変えまして、自衛隊が合憲の存在であるというふうに変えた。以降、そういう立場をとっていないわけですけれども、ほかの政党のことをとやかく言うべきではありませんけれども、一部政党においては、そういったことに近い立場をいまだにとっておられる政党がある。

 そういう状況の中でずっと続いてきて、なかなか制服が国会に出てくるというのは難しいという側面があったということは十分にわかるわけですけれども、庁が省になったということもあり、そして、どうもこういう事態で、先ほど大臣がいみじくも、だれがどこで何をやっているかわからぬという、わからぬでは困るということだから、実際にそうかどうかは別にしてですけれども、ただ、やはりそれに近いようなことがあるんじゃないか。現実に今回の事態でも、私たちがやはり内局の皆さんを通じて聞こうとすると、なかなかやはり隔靴掻痒の感がある。よくわからない。無理もないんですよ、内局の人もわかっていないんだから。だから、そういうわからないことでもってどうなんだという議論をするのは非常に変なことになってしまう。

 そういう点では、やはりここいらでそのあたりを少し見直す必要があるんじゃないか。いきなり一気にとは言わないまでも、そういった問題についていろいろな角度を検討して、さまざまな観点で見直しをする必要があるんじゃないか、そんなふうに思うわけですけれども、大臣は先般も極めて前向きなことを言われました。「専門的、技術的なことは、やはり陸海空の自衛官の方がきちんと答弁できるのではないか。確かに局長たちも、あるいは政治家もできるのかもしれません。しかし、本当にそれに乗って命をかけて国を守る、その人たち、あるいは電子工学なりなんなりの専門家たち、そういう人たちが専門的、技術的な観点において述べるということはあってもよいのではないか、むしろあるべきではないかという議論は私はあるのだと思います。」こう言っておられますが、この答弁、もちろん後段の方もありますけれども、今も変わらずこういう姿勢でしょうか。

石破国務大臣 それは国会がお決めになることでありますので、私が出るべきだとか出るべきじゃないとかいうことを申し上げるのは余り適切ではない。

 極めて専門的、極めて技術的で自衛官しか答えられないということは何なのだろうかということも、これは議論しなきゃいかぬのだろうと思います。やはり、今まで基本的に対外的な説明というものは、国会であれマスコミであれ、基本的に内局や政治家が負ってきたわけでありまして、そこでなお足らざる部分はどこなのかなということを私は考えなきゃいかぬのかなと思います。

 もう一つは、私、前の長官のときもそうですし今もそうですが、極めて専門的なことを、例えばここで自衛官の陸海空の方がわあっと専門的なことを言って、わかる人が一体どれだけいるかということだと思うのですね。私は、そこのところがどうやったらばちゃんとわかっていただけるのか、そのことを説明する立場の人間がちゃんと理解するという努力をまずしなきゃいかぬと思っているのです。軍事的なこと、技術的なことについて、やはりコントロールする側ですから、私たち技術のことはわかりません、軍事専門的なことはわかりませんということではなくて、答弁に立つ政治家あるいは内局が本当にわかったというふうな、得心を得るという努力をまずしなきゃいかぬのじゃないか。わからないままいいかげんな答弁をするということがあってはならぬことであって、そこの努力は最大限しなければいけない、私自身はそのように努めておって、なお足らざるところを反省しておるところでございます。

赤松(正)委員 大臣のその辺のお考えというのは、「国防」とかあるいは「坐シテ死セズ」、なかなか読ませる本二冊であって、そこに懸命にしゃべっておられることを読んでよくわかります。

 ただ、今おっしゃった件、私、この間の答弁も読んだからそういう流れになったんだろうと思うんですけれども、いわゆる、こういう今回のような事件ではない、平常時といいますか普通の状況の中で軍事に関する問題についてのやりとりというのは今おっしゃったようなとおりだろうと思うんです。

 これは答弁する側の政治家あるいは内局というのだけじゃなくて、こちらに座っている我々、大臣の方を見ますと、政治家は防衛をわかっていないということを盛んにいろいろな角度でおっしゃって、なかなか耳が痛いというか胸が痛むわけですけれども、そういう点で、要するに政治家が第一義的にそういうシビリアンコントロールの先頭に立たなくちゃいけないという観点でいろいろ勉強していかなくちゃいけない、そのとおりだろうと思うんです。

 それはそれとして、今言っているのは、こういう異常時といいますか非常時といいますか、こういう事件が、先ほど大臣御自身が挙げられたさまざまな、現場のいわゆる制服の皆さんがとても考えられないようなことを次々起こすということに、こういうことに限定した場合は、先ほどおっしゃったようなそういうこととは若干ニュアンスが違う。そういう点で、間にいろいろ人が入るよりも、直接そういうことに手を下した人が出てきていろいろ事態を説明するということはあっていいんじゃないか、そんなふうに思うわけですよね。

 それも国会がお決めになることですという答弁になるんだろうと思うんですが、改めて。

石破国務大臣 国会がお決めになることであります。

 そこで、かつて源田実さんとかいろいろな人が出てきていろいろなことを言ったようでございますが、それは主に機種選定をどうするかというときに呼ばれたというふうに、私、議事録を読んで承知をいたしております。ですから、例えば、あのときはF104の導入のときでしたでしょうか、この飛行機の性能はどのようなものかとか、そういう本当の事実に関して、数字に関してのお尋ねであれば、それはそれで制服でなければわからぬということがあるんだと思う。何が本当に制服でなければわからぬのか。これはどうしても内局や政治家では答弁できない、よってというようなことが必要なのではなかろうかと私は思っております。

 いずれにしても、国会が御判断になることでありますが、私どもとして、出すべきだとか出すべきじゃないとか、そういうことを申し上げる立場にはないのでございます。

赤松(正)委員 もう一つ、かねてよりの大臣の御持論で聞いておきたいことがあるんですが、参事官制度について、御著作でも、あるいはまたいろいろなところで、現行の防衛参事官のありようというものが余りうまく機能していない、つまり、各局を束ねている局長が同時に防衛参事官の任務を兼務しているというのは、結局、いざといういろいろな事態のときに自分の束ねている局の方に足を引っ張られて、実質的に大臣をサポートするその役割としての防衛参事官の本来の役割を果たしていない、そういうふうなことでかなり激しくおっしゃっているくだりが本の中にもあったわけです。

 この辺についても、時間がありませんのであれですけれども、防衛参事官は今たしか七人ですか。今大臣が考えておられるのは、七人ぐらいの、ありていに言えば七人の侍で、いわゆる局長を兼務しない、民間からでもあるいは政治家からでも、何かそういう大臣をサポートするチームとしての防衛参事官を考えておられるのか。それとも、一人とか二人とかごく少数の、言ってみればいざという場合の防衛大臣の相談相手としての参事官を考えておられるのか。どちらでしょうか。

石破国務大臣 まだ確たる方向性を決めたわけではありません。ただ、本当に省内に入ってみるとよくわかるのですが、きょうは、大臣の大先輩、あるいは副大臣、副長官、政務官、大勢いらっしゃいますが、防衛参事官というのは何ですかと聞いたときに、それは防衛省設置法で、「防衛参事官は、命を受けて、防衛省の所掌事務に関する基本的方針の策定について防衛大臣を補佐する。」こうなっていまして、官房長、その他の局長は、防衛参事官をもって充てる、こう書いてありまして、基本的な方針の策定についてというのは、所掌にとらわれない、防衛政策局長は私は防衛政策局のことしかわかりませんとか、運用企画局長が私は人事教育局のことまでわかりませんとかいうことじゃなくて、オールラウンドで補佐をしましょうということになっているわけです、建前は。

 どうしてそんなことがあるか、防衛参事官制度というほかの省庁にない制度があるかといえば、基本的に、防衛大臣というものは素人なので、軍事についても、あるいは法律についても、予算についても素人なので、それはほかの省庁とは違う補佐官的なスタッフが必要なのだということでこの制度ができたとするならば、何で官房長、局長が充て職になるのか。

 あなたは防衛政策局長として私を補佐してくれていますね、官房長として補佐してくれていますね、だけれども、全般にわたって補佐していただいているかといえばそれは違うのではないかという印象を、少なくとも前の二年間のときは私は持ちました。

 それがどうであるかは、またいろいろな有識者会議等で御議論になるのでしょう。それが何人であるべきなのか、どこから登用するべきか、それはまた別の議論ですが、私は、本当に有権者に対して直接責任を負い得るがゆえに、文民統制の唯一の主体である政治家を補佐する体制とは何だ、それは官僚、自衛官、それだけで本当にいいのかということだと思います。

 それでいいのだということであれば、それで結構でしょう。そこは、少なくとも、どうなのだという議論はやはりなされなければ、シビリアンコントロールというのは何なのだということの核心には迫れないと私は思います。

赤松(正)委員 終わります。ありがとうございました。

嘉数委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 先週に引き続きまして、質問に立たせていただきます。

 「あたご」の事故からきょうで一週間がたちました。一週間たっても、いまだ事実、詳細なことはつまびらかにされない。一週間もたっていながら一体なぜこんなにもどかしい思いをしなければいけないのかというのは、これはもうここにいらっしゃるすべての委員が同じ認識だろうと思います。

 私も、防衛庁を省に昇格させる議員連盟の一員として、防衛庁が省に昇格をするということを後押ししてきました。昨年の一月九日に防衛庁が省に昇格をいたしましてから今日まで、出てくる出てくる事案はろくなことがございません。防衛庁から省に変わってろくなことが出てこない。省昇格議連のメンバーとして、このようなことをした自分の不明を恥じるべきなのか、まさに償いの思いで、私はこの委員会で何度も質問をしてまいりました。

 昨年からずっと質問に立ちますけれども、結果としていつも出てくるのは、調査中、調査中の言葉ばかりでございます。もう何回この議論を大臣とやったかなと思って、本来の国防の議論というのがもうほとんどできない、まさに無念の思いでございます。

 まず冒頭、イージス艦の事故について質問をいたします。

 きょうの新聞に出ております、十二分前に大臣は把握をしていたではないかというふうな報道が各紙出ております。先ほどの赤松委員の質問に対しての答えを聞いていますと、これは、未確認であるけれども情報が上がってきたからもう一回確認をしたところ、午前二時四十五分までかかって調べたら、そうではなくて、実際の確定情報は午前八時半に大臣のところに上がったということであります。

 だとするならば、この把握という言葉は間違いだというふうに大臣はここでおっしゃいますか。

石破国務大臣 日本語はなかなか難しいのですが、そこの時点で、海上幕僚監部から、この三時五十五分であったということを確認した内容を報告を受けました。その時点で知っていた、承知をしていた、把握をしていた、どのような言い方でも構いませんが、その時点で承知をしておったことは事実でございます。

渡辺(周)委員 そう承知をして、本来なら、これは直ちに公表すべきだったと思います。なぜ夕方五時の与党の国防部会まで公表しなかったのか。本来なら、知った時点でできるだけ速やかに公表すべきだったと思いますけれども、なぜ大臣は公表されなかったのか。その点はいかがですか。

石破国務大臣 この情報を我々としては確認いたしましたが、これを公にするということについて、これは本当に公にしていいですかという調整作業に時間を要しておりました。これは、おっしゃるとおり、これを我々が知ったからには早く言わねばならぬ。それまでは、二分前、二分前、よく正体不明の緑色の明かりが、こう言っておったわけですね。

 私は、この事故の第一報を受けて省内大臣室で議論したときに、じゃ、普通、船は左舷灯が赤、右舷灯が緑、そして、マスト灯というのはついているはずだろう、突如としてこの緑色の明かりが二分前に見えたのですか、その前に確認していなかったんですかということは、事故発生直後から私は申し上げておりました。それで、翌朝の八時半にこうでしたと。三時五十五分、明かりが見えておりましたというふうな情報で、ああ、やはりそうかということを思うわけですね。

 これは、事故原因が何であるかということの核心、つまり、いつの時点で気づいていたかということは非常に核心に迫る部分でございます。今まで二分前にしか見えなかったと言っていたものが、何だ、十二分前に見えていたじゃないかというのは、私どもにとって有利な情報でも何でもございません。むしろ、早く気づいていたのに、その後の動作はどうだったのだということを問われる内容になるわけでございます。

 このことを外で申し上げてよろしいかどうかということに相当の時間を要しました。私は、確認ができたもの、外へ向けて言っていいもの、これは早く出すべきだという考えに全く変わりはございません。しかしながら、数字が、時刻が不正確なもの、あるいは捜査の進捗状況に支障を与えるもの、それを防衛省の判断で、はい、これを知りました、はい、あれを知りました、未確認ですけれども出します、政府部内で調整もついておりませんけれども出しますということは、私は、政府の一機関として、また、ましてや当事者の一方である私どもが勝手な判断でやっていいものだとは断じて思っておりません。

渡辺(周)委員 私が伺っているのは、午前八時半に正しかった報告、つまり、確定情報が上がった時点で大臣は把握したとすれば、それを公表するのをなぜ自民党の部会まで待っていたのか。そこは直ちに記者会見をするなり、あるいは、大臣が公務で記者会見する時間がなければ、どこかに指示をしてやらせるべきだったんじゃないかということを私は聞いているんです。

 それをなぜしなかったのかというのは、なぜそんなに時間がかかって調整をしたのか。海上保安庁と調整をしていたのか。あるいは、今まで二分前と言っていたことを十二分というふうに訂正するに当たっては何か合理的な理由が要る、しかし、その合理的な理由が見つからないから、何とかしてつじつまを合わせようとして苦心をしたんじゃないか、そんな疑念も持つわけなんですけれども、もう一遍、そこはいかがなんですか、なぜこんなに時間がかかったんですか。

石破国務大臣 つじつま合わせも何も、十二分前に知っていたんでしょうということですから、これはつじつま合わせを行うような余地はございません。つまり、十二分前に知っていたにもかかわらず、その後何をしていたかということと、二分前に正体不明の緑色の明かりが動くのが見えたので、漁船、私はこれは動力船というふうに読みかえた方がいいだろうと思っていますが、そういった確認をしたということは、その二つの情報は何ら矛盾するものではございません。つじつまを合わせるとか、そのようなことを行うものでもありませんし、むしろ、この間何をしておったのということを我々が問われるべきものだと思っております。

 二十日というのは事故翌日でございますが、本当に、どのようにして行方不明のお二人を捜すかということで忙殺をされておりました。それと同時に、今の情報を早く出せというお話。そして、先ほど来申し上げているように、防衛省だけが勝手に判断して、あれ出します、これ出しますということではいかぬ。

 ですから、当然海上保安庁に、こういうものは出させていただきますよ、事実として動かしようのないもの、判断が入らないもの、これは出させていただきますよ、しかし、出す前には調整は必ずかけさせていただきますよということは最初の取り決めでやっておりました。そうしますと、この三時五十五分なる時間を出していいですかということを調整するのに、確認をするのにそれだけの時間を要したのでございます。(発言する者あり)

 それは、結局こういうことではないでしょうか。船は横須賀にあります。そして、三管が捜査をいたしております。海上保安庁というのは当然霞が関にあるわけでございます。私どもは市谷。船は横須賀にあり、それは三管にあり、これを出していいか、出していけないかという判断が瞬時にできるか。私は、海上保安庁内部のことをとやかく申し上げるつもりはございません。

 今、もっと早く出せたはずだとか、そんな調整に時間がかかることが信じられないとか、そういうような御指摘があります。それでは、どういうような手があったのでしょうか。批判をするのは簡単です。あれができる、これができるというのはあるでしょう。しかしながら、政府の中でどのように調整をするか、それは極めて難しいことだと私は思います。早く正確にというのは当然です。

 しかしながら、先ほど来申し上げているように、未確認なもの、出していいかどうか政府内で意思が統一できないもの、それは出しません、出してはいけません。

渡辺(周)委員 私が何度も聞いているのは、未確認情報を確認して、それが確認情報として正式に上がったのが朝の八時半だったとすれば、なぜそれが公表されなかったのですかという、大臣の意思を聞いているんです。あのときに公表する意思がなかったと。というのは、ここに書いてあるように、進退問題に波及するわけですよ。進退問題に発展する可能性があるということですから、これは大臣の進退の問題にまでなってくるわけですね。

 ですから、知っていたけれども、調整に時間がかかって、夕方の自民党の国防部会までなぜ話さなかったのか。そこのところが一番肝心な部分なんです。なぜそこで、その時点で公表しようという決断をされなかったのですかということを聞いているんです。その点を私は聞いているんです。

 実際、横須賀と市谷と距離があるというけれども、そんなもの、電話で話をする。当然、書類を持って飛んできて、渋滞の中走ってきて、そこで会って、だから時間がかかったという話じゃないんですね。なぜそれを瞬時にできなかったのか。

 もっと言えば、これは動かしがたい事実です。だとするならば、確定情報で上がってくるんだったら、これはもう表に出すぞということをなぜ大臣がやらなかったのかということを私は聞いているんです。そこだけ簡潔にお答えください。

石破国務大臣 それは、海上保安庁長官と私が電話で話をつければ、それで出していいというものにはならないことは、委員も長い議員の御経験で御存じだと思います。

 私と国土交通大臣は、これを出していいですかと言って、よし、いいというようなことで出ているとしたら、厳正な捜査なんてどうなるんでしょう。捜査の上において、捜査を行う当局が、これを出していい、これを出していけない。それは、我々がうかがい知れない、いろいろなことがあるのだと思います。私たちは断片的な情報しか持っていません。断片的な情報であっても、何も出さないということはあるべきではないということで、情報を、知っている限り正確なものを、出していいという確認がとれたものを出しています。

 私たちは中がわからない。捜査の中で、いろいろなパーツがあって捜査というものが行われている。それは、捜査をやっている人間、指揮をとる人間、海上保安庁の方、きょういらっしゃっているでしょうけれども、海上保安庁のそういう任にある者、長官、国土交通大臣、いろいろな人の指揮があって、その中で、本当にこれはいいですかということを確認をとるのに、それなりの時間はかかるでしょう。防衛大臣が、じゃ、わかりました、これは私勝手に出しますと言ったときに、それは捜査権というものを、そして、円滑な捜査というものを妨害することになっても出せということであれば出しますが、私はそのようなことがあるべきだと思っていないのです。

渡辺(周)委員 では、もう一回別な言い方で聞きますよ。

 では、二十日の午前八時半に十二分前が正しかったというのは、これは確定情報ではなくて、まだ未確認情報だというふうに大臣は認識していたわけですか。

石破国務大臣 それは何度も答弁しておりますように、この時間に三時五十五分であることが判明したということでございます。それまでは違う数字が上がっておったというふうに聞いておりますが、つまり、いろいろな情報が入ってくる。どれが本当なのか。こういう事故のときに、一分あるいは数秒、そこの違いというのはとても大事ですよね。そこのところが、三時五十五分ということが判明したのが翌二十日午前二時四十七分ということを先ほど来答弁を申し上げているのです。(渡辺(周)委員「じゃ、八時半に入ってきた情報は確定だったわけですね。確定情報だった。それは正確な情報だったわけですね」と呼ぶ)判明された情報、再確認をした内容が私あてに報告をされたということでございます。

渡辺(周)委員 御自身の進退にまで波及するのではないかと言われるぐらい重大な問題でして、今の話は石破大臣らしくないんですよ。これは非常にすっきりしない話です。本来、私は発表したかった、公表したかった、しかしそれができなかったのだ、それはいろいろ捜査の状況があったから。

 では、それが結局、公表を直ちにしないで自民党の国防部会まで時間がかかったというのは、その時点で海上保安庁等と話を、公表しますよ、自民党の国防部会というところで私はこの事実を明らかにしますということをその間に話をしていたということでいいですね。

 では、この話をなぜきょうの午前零時に防衛省は発表したのか。これは、我が党の笠浩史委員が昨日の予算委員会で二分前と十二分前のことについて質問をした。そうしたところが、きのうの夕方六時に防衛省の方から説明に来た。そして、自分が、恐らくこれは笠委員が質問をしたから、この問題、昨日の、未明、零時過ぎに会見をするなどという異例のことになったと思うんですが、これについてはどうお考えですか。それまで、もし笠委員が予算委員会で質問しなかったら、この事実は出てこなかったんじゃないですか。いかがですか。

石破国務大臣 いや、この事実というのが何の事実か私はよくわかりませんが、事実としてございますのは……(渡辺(周)委員「石破大臣が把握をしたという事実です」と呼ぶ)私が把握したということですか。それは出てこなかったかもしれません。ただ、私が把握をしているということと、私から発表するということは、それはまた別の判断でございます。

渡辺(周)委員 二分前で発表されていたのが十二分に訂正された。まさにここが、一体なぜこんな食い違いが起きたんだということをさんざん問題にされていた。だとすれば、一日も早く訂正をして出さなければ、結果的にやはり何か隠ぺいを行っていたのだと。それを、これは防衛省で不名誉な問題ですよ。そこですよ。だから、過ちがあったら訂正するということをなぜもっと早く発表しなかったのか。だって、二分前というのは、それがあたかも既成事実のように流れていたわけですからね。それは本質的なんですよ。だって、これは大臣の進退にまでかかわることなんですよ。(発言する者あり)いや、私はやめろとは言っていませんよ。

石破国務大臣 いやいや、進退とかなんとかは置いておいて、それが何で隠ぺいになるのでしょうか。私は、十二分前、先ほど申し上げたように、事故が起こったときに、右舷灯ですか、左舷灯ですか、マスト灯ですか、そういうことはどうなっていますかということを問いました。それは、少しでも海上衝突予防法を読んだことがある人間であれば、それはまず真っ先に浮かぶ疑問だと思います。

 それで、それは一体どういう状況だったのか。私は……(渡辺(周)委員「いや、そんなことじゃないんですよ。もうそれはわかりました。八時半以降」と呼ぶ)ですから、そのことを、何が委員の御納得を得にくいのか私にはよくわかりませんが、保安庁という組織において、だれとだれが確認をして、これを出していいというふうに言うのか。大臣と国交大臣でしょうか、大臣と海上保安庁長官でしょうか、あるいは運用企画局長と海上保安庁長官でしょうか。

 向こうは厳正な捜査というものをやっている、そこにおいて情報の一つ一つはとても大事に取り扱っている。私たちが、早く出したい、知ったものは早く出したい、だからといって、調整もしないまま、海上保安庁の了解も得ないまま、幾らでも言っていいとおっしゃるのであれば言いますが、私はそれは捜査を厳正に行う上において正しいことだと思いません。それを行うことが正しいとおっしゃるのであれば、なぜ正しいのかということを御教示いただきたい。

渡辺(周)委員 誤ったことがひとり歩きをしているから、それを一時間でも三十分でも早く訂正することが信頼につながるということを私は言いたいんですよ。そのことを申し上げているんです。

 ただ、この質問について、この後の我が党の委員の質問に譲りますので、これ以上はちょっと時間の関係でできませんが、もう一つだけイージス艦について伺いたいのは、スピードなんです。

 我々、最初に事故が起きたとき、初動についてヒアリングをしたとき、十ノットだというふうに発表されましたけれども、これは今も間違いないんでしょうか、それが一点。

 それと、もう一つ。私どもの民主党も、浅尾防衛担当ネクスト大臣を団長にして、現地に行きました。そして、漁協の関係者や御家族の方と会った中で、とにかく納得がいかないという中で、やはり我々胸が痛むのは、大臣や副大臣が行かれましたね。どうして艦長が出てきて、別に事実をここで言えとは言いません。せめて艦長、イージス艦の艦長、護衛艦の艦長であるならば、やはり男らしく格好よく出てきて、私が艦長です、このたびはこういう事故を起こしてしまったことは相手の方にとって申しわけない、心を痛めている家族、親族、そして関係者に申しわけない、今、海上保安庁の調べを受けているところなので事実関係については話はできないけれども、一言やはり艦長として私はわびをしたい、そういうことはないんでしょうか。あるいは、すべきだと思いますけれども、いかがですか。その二点を伺います。

石破国務大臣 速力は、公表しておるとおりでございます。十ノット。これは、いろいろな記録によりまして、速力、方位等々は記録に残っておりますので、それを今、私ども、「あたご」の乗組員と接触ができない状態でございます。十ノットと聞いてはおりますが、それがレコーダーに本当に十ノットとして記録をされていたかどうか、そのことについては私ども知る立場にございません。それが最初のお答えです。

 ですから、それがわかっていれば幾らでも調べられますが、それを今、乗れないわけですね。乗ってレコーダーが見られないから、十ノットというふうに聞いておりますが、そのレコーダーに何と記録されているか、そのことについて責任を持ったお答えができる立場にはないということです。

 それから、後段の方は、一日も早く艦長が行くべきだというふうに私は思います。行ける状況ができた時点で一番最初に行うことは、現地に赴き、御家族に申しわけございませんということを言い、そして漁協の関係者の方々におわびを申し上げる、そういう状況ができたらば、イの一番にそれはやらせます。

渡辺(周)委員 艦長がどんなことをこれからおっしゃっても、あるいは船乗りとして、護衛艦の艦長として、これから何を言っても、今回のことで艦長はどういう責任をとられるのかわかりませんけれども、海の男だから、本来なら格好よく、潔く、やはり示しをつけていただきたいと思うんですね。ですから、それはぜひ、艦長が私ですとやっていただくべきだ、やらせなきゃいけないと思います。

 それから、スピードについてですけれども、一般論で結構です。これは、方角は自動操舵に入れるとすれば、スピードは自動じゃないんですか。そこはいかがなんですか。もしかしたら、調査中だから答えられぬと言うかもしれませんけれども、これについては、方向は、自動操舵で方角は決めてあります、だけれどもスピードは手動ですということはあり得ない。車のペダルを踏んでいるんですか、アクセルを踏んでいるんですか。それについてはどうなんですか。

 私が最初聞いたときには、自動操舵の中には何の情報をインプットするのかと言ったら、方向とスピードも入れますというふうに聞きましたよ。これは説明に来られた方の認識違いかもしれませんけれども、そこのところについてはどうですか、事実を確認します。

石破国務大臣 私が今承知しております時点で、自動操舵の場合には、方位、方角のみが自動で定まると聞いております。速力について、例えば十四ノットに保つとか十五ノットに保つとか、そういうような機能は付与されておりません。この方向で走るということをインプットし、その方向に走るべく自動操舵が行われるというふうに私は聞いております。

渡辺(周)委員 次の質問がありますので、この点について余り長く時間がとれないのが残念でございますけれども、次の委員にさらなる質問を譲りたいと思います。

 防衛省改革について、それでは残りの時間で質問をさせていただきたいと思います。

 そもそも、この防衛省改革に関する集中審議を委員会でやるべきだということの発端は、昨年の十二月の十六日、新聞社が報道しました裏金の問題でございます。昨年十二月十六日に新聞報道がございました。防衛省が、これは私の地元の静岡新聞というところですから共同通信さんだと思いますけれども、共同通信ですけれども、「防衛省、報償費から裏金」ということが十二月十六日の朝刊に出ました。その後、幾つか関係者の証言ということで、その後追い記事が同じ新聞に出ておりますけれども、その際、十二月の十八日だったでしょうか、我が党の参議院議員の藤田幸久委員の質問に答え、そして、一月八日には、同じ参議院で社民党の委員の方の質問に大臣は答えて、調査を始めたというふうにおっしゃっております。

 その後、この裏金の問題、裏金疑惑については一体どうなっているのかということについて、今この調査はどうなっていますか、大臣。

石破国務大臣 今委員御指摘のようにお答えをいたしました。

 これは、情報収集、犯罪捜査に使用しております報償費につきまして、経理装備局がメーンでございますが、関係する内局、各自衛隊の部隊等における報償費の支出状況の確認、関係者の聞き取りを行うということを通じまして、使途についての適切性について確認作業を進めております。

 どのように使われたのか、これは前も委員と議論させていただいたと思うのですが、情報収集、犯罪捜査でございますので、例えば渡辺周さんから情報をもらいたくて幾ら払いましたとか言った途端に、もう二度ともらえなくなるわけでありまして、ここはもうある程度の限界はございます。しかし、これが本当に私的に流用されるとか、そういうような不適切な使用方法をされていなかったかということについて力点を置いて調べるようにという指示を私はいたしております。

渡辺(周)委員 ということは、今これは調査中ということですか。それは、どなたが中心になって、どこが中心になって、調査対象をどこにして行っているのか。その点について、詳細について伺いたいと思います。

長岡政府参考人 調査でございますけれども、私のおります経理装備局が中心になって行っております。

 それで、対象につきましては、こういった報償費を使用しております部署、これを調査対象として、今大臣が申し上げましたように調査をさせていただいているところでございます。

渡辺(周)委員 だから、具体的にどんな調査をしているんですか。

長岡政府参考人 調査の内容でございますけれども、情報収集それから犯罪捜査に使用している報償費につきまして、関係部署が保管をいたしております証拠書類につきまして、そういった証拠書類等が適切に保管されているか、支出に関する手続が適正であったか、あるいは、使い道、使途は適切であったかということなどを中心に、文書の審査、それから関係者から事情聴取して調査を進めているところでございます。

渡辺(周)委員 十二月の十六日付で調査を開始したというふうに大臣が答弁をされてからもう二カ月以上たっています。年末年始を挟んでやや中断したのかもしれませんけれども、どれぐらい調査は進んでいるんですか。

長岡政府参考人 お時間をちょうだいいたしておりますけれども、それで今、先ほどお答え申し上げましたような内容についてでございますけれども、確認作業でございますが、文書類は五年間保存をいたしておりますので、過去五年分についての対象について、当時の担当者も含めて調査をしているところでございます。それから、人事異動等によって交代していることもありますので、そういった人も対象に調査をさせていただいております。

 それから、予算をすべて使っているというのは不自然ではないかという御指摘もございまして……(渡辺(周)委員「いや、していませんよ、まだ」と呼ぶ)いや、ことし参議院の方で御指摘がありましたものですから、そういった執行が年度末に集中していないか、あるいは、予算をすべて使うために不自然な執行形態になっていないかというようなことも含めて、年度末執行についても重点的に今確認をさせていただいておるところでございます。

 大変おしかりをちょうだいして恐縮でございますが、もう少し調査のお時間をいただきたいと思っております。

渡辺(周)委員 調査対象は、内局と各部隊も含まれていると思うんですけれども、一体、どれぐらいの対象範囲なんですか。対象者は何人ぐらいいるんですか。

 守屋前事務次官のゴルフ接待を受けて特別防衛監察をしたときは、本省課長級相当職事務官百六十六人、将補以上の自衛官二百六十三人、四百二十九名、これだけの数を調べたんですね。今回、この新聞報道では、組織的に裏金づくりが行われていて、新聞の記事を見ますと、これはもう防衛省の関係者あるいはOBという人たちがどうも取材元らしいですね、新聞を読む限りでは。かなり具体的な手口を書いています。先般も、週刊文春でしたかね、裏金づくりの実態について週刊誌にも出ました。

 これは、はっきり言って物すごい不名誉な話ですよ。名誉にかかわる問題ですよ。特別防衛監察はある程度ここまで進んできているわけですから、これだけ、裏金、もっと言葉は悪いですけれども、公金を猫ばばしているというふうなことを、不名誉なことを今言われているわけですけれども、これについては本当に本気で調べていますか。対象範囲はどこですか。対象者は何人ぐらいいるんですか。その点をお答えください。

長岡政府参考人 防衛省の報償費でございますけれども、大臣官房、防衛政策局、地方協力局等において使用されております。今回の調査におきましては、こういった報償費を使用している部署すべてを調査対象といたしております。

 大変恐縮でございますが、対象の人数等につきましては、報償費の使い道、情報収集の規模などに触れることになりますので、そういった場合、情報収集体制の一端が明らかになり、自後の情報収集業務に支障を来すおそれがございますので、人数についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 いや、情報収集者を明らかにしてくれとは言っていない。私は、情報収集は必要だと思っていますから、当然、表に出せない機密費があって、当然国防に関する情報収集をするということは否定はしていません。しかし、お金を使った人は、経理責任者なりいるわけですね。ですから、その人数はどれぐらいいるんですかと聞いているんです、お金を扱う人は。

長岡政府参考人 報償費でございますが、先ほど申し上げましたように、大臣官房ですから官房長、防衛政策局長、地方協力局長等の管理に基づきまして使用しているわけでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、人数等になりますと、どういった人数でやっているということで、報償費につきましては、その性格上、使い道でございますが、使途については申し上げかねる性格のお金でございますので……(渡辺(周)委員「いや、使途は聞いていないんですよ」と呼ぶ)そういったことにつながることについては、大変恐縮でございますが……(渡辺(周)委員「だから、調査対象はどれぐらいあるのと聞いている」と呼ぶ)繰り返して恐縮ですが、今申し上げました部署等をすべて調査対象といたしております。

渡辺(周)委員 先ほど、調査項目の中で、支出が適切であったか、領収書が出せない場合は支出証明なりがあるかどうかということを確認していると言いますけれども、これは、報道されている裏金問題、裏金と疑われるものあるいは裏金化しているもの、それがあったかないかということは、当然調査項目に入っていますね。

長岡政府参考人 証拠書類はきちっとしているか、使途は適切であったかということを調べさせていただきますので、当然、裏金というのがどういう性格のものかわかりませんが、そういったものには、こういうことを調査することによって週刊誌に書かれているような事実があるかどうかというのは判明するものと考えております。

渡辺(周)委員 防衛省のOBら複数の関係者が新聞報道でも明らかにしているわけですよ。

 裏金というのはどういう性格のものかといったら、仲間内で飲み会に使ったり、あるいは、例えば次官室枠。守屋事務次官当時の次官室枠というのがあって、月数十万円単位で次官に渡すための要は裏金をつくっている。つまり、そういうことをしていたというふうにまで言われているんですよ。これは大変不名誉なことですよ。もう今までも幾つもの裏金問題がありました。地方の警察、地方の役所、ほかの省庁でもございましたけれども、まだこんなことがあるのかということを非常に嘆かわしく思うんです。

 では、裏金という性格のものがあるのかないのかということは、いかがなんですか。そう思われても仕方ないものが今の調査の段階で出てきているかどうか。それをお答えください。

長岡政府参考人 報償費につきましては、これまで、従前でございますけれども、その使い方について問題があったということは私は聞いておりませんが、しかしながら、今先生御指摘のように、昨年の年末そういう報道がございましたので、そういう事実があるかないかについて今確認作業を進めさせていただいているところでございます。

渡辺(周)委員 今確認作業と言うが、もう二カ月以上たって、一体何をしているんですか。何でこんなことが出てこないんですか。本当に調べているんですか。もう一回答えてください。

長岡政府参考人 恐縮でございますが、調査中でございますので、調査の結果が出たらどのような形になるかよく検討いたしましてお話をさせていただきたいと思いますけれども、調査中でございます、調査の途中では必ずしも断定的なことは申し上げかねますので、調査結果が出るまでお待ちいただきたいと思います。

渡辺(周)委員 もうその調査中という言葉は本当に聞き飽きたんですよ。昨年から、給油の取り違えの話、航泊日誌の誤破棄の話、今回のイージス艦のこと、とにかく全部調査中、調査中。何か時間をかけて調査していたらそのうち忘れるぐらいに思っているんじゃないですか。

 調査中、調査中って、では、これはいつをめどに出すんですか。大臣いかがですか、この議論を聞いて。これは納得できますか。ここまで新聞や週刊誌で報道されて、防衛省は裏金をつくっていると、しかも事細かに手口まで書いてあって。こんな不名誉なこと、これで防衛省改革を幾ら議論したって、自分たちにかけられたこの裏金の問題について全然まともな答えが出てこないということについて、大臣、この調査結果、結果じゃない、経過でも聞いていますか。どうなんですか。

石破国務大臣 私も調査中ということは言いたくないんですね。そのうち大臣がやめてみんなうやむやみたいな、そんな話になって。これは、私はもうとにかく調査中でわかりませんということを極力言わないようにということでやっております。

 ですから、今度のイージスにしても、それは委員のおしかりをいただきましたが、わかっていて言えるということになったものを出すということでやってまいりました。そのことが一日遅い、それで進退問題だというふうに言われますが、そのことを私はどうこう言っているわけじゃありませんが、では、何も出さなきゃよかったんですかということ、逆に言えば、未確認のもの、政府部内で調整もとれないものを出せばよかったんですかと言えば、私はそうだとも思いません。

 この問題に戻りますと、私は、補給量にしても、あるいは航泊日誌にしても、全件調べろということを申しました。調査のやり方は、例えば補給であれば、それはやり方についておしかりをいただいたかもしれませんが、七百九十四回、それについて全部調べる。航泊日誌については全艦調べる。「しらね」の火災にしても、ああいうような、コーヒーメーカーのようなものを持っている船があるのか、ノーなのか。いついつまでに全部調べて持ってこいということを言っておるわけでございます。

 この報償費につきましても、これはどれほど公表できるかということについては、事柄の性質上問題はございます。ですけれども、どういう形で調べているか、いつまでにわかるのかということは、ごめんなさい、これはもう一度私は意識を持ってやらせていただきます。公表できるできないと、調べ方の問題は別だと思っております。

渡辺(周)委員 一部その当時の報道では、実質的には石破大臣は、裏金の存在、プール金の存在を認めたというふうに出ているんですけれども、これは今調査している中で、こういうことがある、あるいはあり得る、そういう疑いを持っているということはいかがですか、大臣。

石破国務大臣 それは、金額については、そのとき、たしか二千万とか三千万とか、そういう数字を言ったような記憶がございます。間違っていたらごめんなさい。そういうものもあるのではないかという疑念を防衛省をお預かりする者として持っている。ただ、そういう二千万とか三千万とか、その数字について確定をして申し上げたものではないというような答弁をそのころさせていただいたと思います。

 ですから、これが週刊誌にいろいろな報道があります、新聞にもいろいろな報道があります。そういうようなことが本当に行われているのかどうなのかということについては、調査という言葉は言いたくないですが、私として、どういう調査方法、いつまでに何がわかるということについて、私あるいは副大臣、政務官、分担をすることになるかもしれませんが、きちんとした方針というものを国会にお示ししなければならないと思っております。

渡辺(周)委員 もう既に委員会の答弁の中で、十二月十六日付で調査を開始したということを大臣はおっしゃっているんですね。ですから、きのうきょう聞いた話じゃなくて、今、現状どうなんですかと私はお尋ねしているんです。

 何かその途中経過でも上がってきているんですか。そこはどうなんですか。

石破国務大臣 現時点で、いろいろと週刊誌で取りざたされているようなことが事実であるとか事実無根であるとか、どちらにしても私が得心するような報告はいまだ上がってきてはおりません。

渡辺(周)委員 つまり、大臣が得心するような報告は上がってきていないということは、大臣も私が質問していることと同じような疑念を持っているということで理解してよろしいですね。

石破国務大臣 それは、私は防衛省の中にいたわけではありませんから、こうやって裏金をつくるのだとか、これがそのテクだとかいうのは存じません。

 新聞や週刊誌等々でそういう報道がなされている。これは何も裏金に限りません、いじめとかなんとか全部そうです。これは本当にそうであるのかないのか、そのことをお預かりする私が得心しなければ何の意味もないということでありまして、これはまさか本当じゃないだろうね、本当だとしたらこれは大変なことだよねという意識を持っていることは、委員と同様でございます。

渡辺(周)委員 一つ例を挙げますね。

 これは私が防衛省からもらった資料ですけれども、賞じゅつ金、つまり公務中に亡くなった方、あるいは負傷した方のために出す賞じゅつ金、報償費からその賞じゅつ金を引いた賞じゅつ金以外、まさに業務に必要な情報収集、犯罪捜査等に必要なものを、金額を出してくれと言ったら、平成九年度から平成十七年度まで、賞じゅつ金以外、一億二千三百十九万七千円、当初予算額。決算額も同額。これが平成九年から十七年度まで、九年連続で一緒なんですよ。御存じでしたか、大臣。こんなばかげたことがあるわけないですよ。

 しかも、賞じゅつ金は、平成十八年度になるとゼロになるんですよ、決算額。この年に十三名の方が実は亡くなられているんですね、十七年度に。失礼、十八年度です。十八年度に十二人の方が亡くなっている。

 それまでは、ずっと、公務災害で亡くなった方や負傷した方の一覧を出してくれと。そうしたところ、賞じゅつ金が幾らですという決算額が出てきました。これは、亡くなられた方や負傷された方が予想よりオーバーした場合は、不足額は流用増によって別の費目から対応している。平成十八年度にいきなりゼロになるんですよ。それで、賞じゅつ金以外というところが、今までの、先ほど申し上げた一億二千三百十九万七千円という九年連続で同じ額、決算額も同じだったものが、突然、十八年度から賞じゅつ金以外の予算額がふえるわけなんです。決算額もふえるわけなんです。

 これは一体どう説明できますか。大臣、こういう数字は知っていましたか。後で、最後に聞きますけれども。

    〔委員長退席、北村(誠)委員長代理着席〕

長岡政府参考人 賞じゅつ金以外の報償費でございますけれども、御承知のように、業務に必要な情報収集、犯罪捜査、自衛隊員に対する表彰の副賞でありますけれども、毎年度の予算額の範囲内で優先順位を勘案いたしまして……(渡辺(周)委員「決算額はなぜ一緒なのと聞いている」と呼ぶ)最も適当と認められる方法でやっておりますので、機動的にいたしております。したがいまして、結果として予算額と決算額が一致していると思っております。

 なお、先ほども申し上げましたけれども、そういう御指摘を賜っておりますので、今回の調査におきまして、年度末の執行について、特に重点を入れて確認をしていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 情報収集や犯罪捜査の決算額が毎年、九年連続で一緒なんてあり得ないんですよ。これは、装備品でも購入して、それで最後つじつまが合っているというなら、まさにまだわかりますよ。だけれども、決算額がずっと一緒だなんて、調査したらわかるじゃないですか。だって、その費目で出していたお金が、全国を調べたら、毎年使っているのが、内局も、あるいは地方の部隊も含めて、毎年、計算が全部千円単位でまで合うなんて、こんなことはあり得ないわけですから、こんなものは操作しているに決まっている。

 この点について、大臣、やはりおかしいと思いますよね。報償費が必要だというならば、私は、情報収集名目で機密費にした方がまだいいと思いますよ、これは言えませんと。そういう名目で予算立てした方が、まだいいと思います。これは情報収集に必要だから機密費として、ほかの公安調査庁やあるいは外務省にも、これは問題になりましたけれども、あるんだと。だったら、そうした方がいい。こんな報償費なんていうところから出すからわけがわからなくなるんです。

 とにかく、この問題について、大臣、これはちゃんとお調べになりますか、この不名誉な裏金疑惑について。いかがですか。大臣、最後に伺いたいと思います。

北村(誠)委員長代理 石破防衛大臣、質問の終わりの時刻が来ておりますので、簡潔にお願いします。

石破国務大臣 国民の税金ですから、それを私用に飲み食いとか私の遊興とか、そんなことに使わないようにということは徹底をしないと、モラルにも何にもならないと思います。

 委員御指摘のように、機密費というのを設けるかどうか、そして、その使途をどのようにして、これは透明性を持ったらどうにもなりませんもので、それを国会におけるどういうふうなチェックをいただくかという議論は別として、私は今、賞じゅつ金については政府委員からお答えを申し上げたとおりでありまして、平成十八年度は十二人おりますが、その年に支払うべき人がいなかったということなのでございます。

 ただ、数字を最後に合わせたのかと言われれば、別に意図的ではありませんが、結果として最後にそういうことになったということは、それは毎年一緒なんて考えてみればおかしいですから、そうすると結果的にそういうことにしたのだろうというふうに、不適切かどうかは別にして、そういうことだったろうということは認めざるを得ないと思います。これをどういうふうにして使うのか、どういうふうにして透明性を保つかは、本当にいろいろなやり方を今検討いたしております。

 今、委員から機密費という御提案をいただきましたが、サゼスチョンをいただきましたが、どういう形が一番いいのか、そして、どれが国民の税金の使い道として一番正しいのか。私も省内でいろいろな議論をいたしておりますが、委員も、情報収集、犯罪捜査の必要性はお認めいただいておりますので、これが流用されない仕組みなのだというものについて、またお知恵をいただければありがたいと思います。私どもの方としても一生懸命考えます。(渡辺(周)委員「あと、最後に聞きたかったのは、裏金に対して、これを解決するという意気込みを最後に聞きますというふうに言ったんですが」と呼ぶ)それはしなきゃいかぬと思います。します。しなければいけない。そのために最大限の努力をいたします。

渡辺(周)委員 これも、テロ特措法が終わったら三月ぐらいまでの間というふうに以前は言っていたと思いますけれども、いつまでにやりますか。最後に聞きます。

石破国務大臣 これはいつまでというふうに申し上げて、そのときまでにできなかった、けしからぬというおしかりをいただくことがございます。別にそれは逃げるわけじゃありませんが、事務当局と、一体いつまでにできるのか、中間報告でもいいから出せないのかということ。これはみんな、人事異動もございます、それぞれどこへ行っちゃったかわからないみたいなこともありますが、もうそんなことは言いわけにも何にもなりませんので、せめて中間報告でも出せないのか、どういうフォーマットで出せるのかということについて、委員の次の御質問までにお答えができるようにしておかねばならないと思います。

渡辺(周)委員 終わります。

北村(誠)委員長代理 念のため申し上げますが、それぞれ委員長の許可を得てから発言を願います。

 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 当安全保障委員会、実は初めて質問をさせていただきます。

 きょうは防衛省改革ということで、組織あるいは制度といったもの、これも十分に見直さねばならないということ、これについては質疑をさせていただきたいと思っておりますが、まず冒頭、渡辺委員が質疑をさせていただきましたイージス艦の問題については、一点、触れなければならないと思っております。

 きょうも赤松委員が指摘をされておられまして、また大臣の御答弁もいただいておりますが、先週二月二十二日の当委員会で渡辺委員が大臣に、連絡が、イージス艦の衝突から大臣への一報、九十分もかかったということも含めて、これについては、九十分の間に口裏合わせでもするために時間稼ぎをしていたんじゃないかと思われるところです、このように渡辺委員が質疑をされましたが、大臣は、普通そう思いますよと答弁された上で、先ほどもおっしゃっておられましたが、これも調査中、あれも調査中と言うのはやめろということを私は申し上げました、こういうふうにおっしゃっております。しかし、まだ確認中ですがという注釈をつけた上で出せるものは出したい、このように述べられました。このお考えというのは変わりはないでしょうか。いかがでしょうか。

石破国務大臣 先生御指摘のとおり、そこが私は実は悩むところなのです。確認中、つまり先ほどの三時五十五分というのは、確認した数字を出したと申しました。ですので、ここは言い方を少し慎重にしなければいけないと思います。

 私に入ってくるのは、まだ確認中ですがとりあえずというものでいい、しかしながら、外に向かって公に物を申し上げるときに、まだ確認中ということを注釈をつけたとしても、あたかもそれが事実であるかのごとく、確定したものであるかのごとく流布されるということになれば、まだ確認されていないものは出してはいけないものだというふうに私は今思っております。

 急ぐ方がいいに決まっていますが、これはもう馬淵委員の方がお詳しいのかもしれません。捜査の体系の中にあって、一担当者が、出していいよとか、これは出しちゃいかぬよみたいなことにはならないというふうに思っておりまして、なるべく早く、しかし、確認したものを政府全体で出していいというような合意を急いでとってということだと思います。

馬淵委員 答弁が若干、悩みを持っておられるということでありますが、変わったということなんでしょうか。

 二十二日の段階では、少なくとも確認中ですがという注釈をつけた上で出せるものは出したいとおっしゃっているわけですね。つまり、とにかく調査中だから出せないんだという話はしたくない、先ほどもおっしゃっていました、そういう答弁はしたくないんだと。国民の皆さん方に説明責任を果たしていきたいんだ、だからできる限り出していきたい。つまり、確認ができていなくても、注釈をつけた上では出せるものは出したいんだとおっしゃっておられた。これは二十二日、先週の金曜日の段階です。

 しかし、今の御答弁を伺いますと、そういう注釈をつけたとしても、それが流布されてしまうかもしれない、だから、少なくともみずからが知ったところでは、これはあくまでそれを知り得たという状況でしかないけれども、それについては不正確かもしれないので出せないんだと今お答えをいただいたと思います。

 大臣、この二十二日からなぜ変わってきたんでしょうか。けさ、先ほど渡辺委員も指摘をされました、このように報道に上がっている、三時五十五分に知り得ていた、三時五十五分だということを知り得ておられたと。しかし、少なくとも二月の二十二日、当委員会での質疑の段階では、これは四時五分だということを前提におっしゃっていた。昨晩、このことを防衛省として公に発表した段階で、大臣は御答弁を変えておられますよ。

 大臣の考え方は、悩んでおられることは、私は、人間ですから、これはわかります。人として悩まれるのはよくわかりますが、責任あるお立場で、出せるものは出したい、注釈つきでとおっしゃっているのが、いや、それも流布されるのであるかもしれないから出せない、このように変わっておられるわけです。これは時系列で考えれば、少なくとも笠委員の質疑に対して、大臣が認識をされたという事実を公にしなければならないということを、昨晩、未明ですね、決まった段階で御答弁を変えられているんじゃないですか。いかがでしょうか。

石破国務大臣 結果的にそういうような御指摘を受けてもやむを得ないのだと思います。私は、全く答弁が変わっていないというふうに強弁をするつもりはございません。

 事故が起こった当日から、繰り返しになってもう聞きたくないとおしかりをいただいたら困るのですが、まだ未確認ですがということで出せるファクト、事実は出そうということを申しました。ただ、あの時点で、何が起こっていたのか、何が本当に事故の核心的な部分なのかということを考えたときに、未確認ですがとりあえず私のところに入った情報で政府部内で調整いたしましたところということを出すことは決してよくないなということを思うに至ったのでございます。

 まさしくこの三時五十五分と四時七分なぞというのはその典型であって、私は、隠ぺいしようとかなんとかそんなつもりは全くありません。普通、少しでも知識があれば、こういうのがあったときに、先ほど来申し上げているように、右舷灯か左舷灯かマスト灯が見えていなきゃおかしいでしょうということを思うのは、それはある程度物を知った人間の常識というものであって、そんなものを隠ぺいするとか、時間がおくれて発表しても何の利益もないわけでございます。

 それから、あるいは委員が冒頭おっしゃいました、事故発生から大臣報告まで隠ぺいとか情報操作が行われていたじゃないか、そんなこと、今どき通用しません。そんなときに隠ぺいしても何してもすぐばれます。そんな愚かなことはいたしません。

 ただ、そういうふうに、委員からいろいろ変わったじゃないのという御指摘を受ければ、私の答弁が一貫しておらなかったということは、それは事実として認めるものでございます。

馬淵委員 私は二十二日の質疑を引用して申し上げているのであって、私は、隠ぺいしていると、どうこう言っているわけではありません。

 大臣は今、答弁が変わってきたんだとお認めになられました。二十二日の答弁から確かに変わっておられます。しかし、その変わっているのは、昨晩、未明に発表されたからだけではありません。きょうの委員会の中でも、赤松委員の質問に対しては、大臣は、海保と調整後、部内で確認していないからと。これは要は、八時半、改めて報告されたというところで、きょうるる詳細を御説明されました、初めて公の場でこういった時系列を述べられたということでありましたが。

 先ほど赤松委員の質問の中で、お答えとして、不正確なもの、そしてもう一つ、出してはいけない情報、この二点については、これはよく考えて出していかねばならないんだ、このようにおっしゃったわけですね。

 しかし、渡辺委員の質疑、そして今私が確認したところによりますと、いや、とにかく確認ができていないものはもう出せないという答弁に今変わられているんですよ。いやいや、そのように聞こえますよ。少なくとも先ほどの答弁の中では、不正確なもの、あるいは、これは出してはいけない情報、これは捜査の問題だとおっしゃいました。不正確なものを出さない、これはわかります。だから、確認がとれていないんだ、認識したけれども不正確だ、だから出せない、わかります。もう一つ、出してはいけない情報とおっしゃった。出してはいけない情報はつまり捜査にかかわる問題だと。

 今回の問題は、少なくとも不正確なものだったという認識なのか、それとも出してはいけない情報という認識だったのか。先ほど、赤松委員への御答弁と、今私が確認させていただいたことでは、ここはすりかわっているんですよ。大臣、いかがですか。

石破国務大臣 三時五十五分という時間をきちんと特定する、判明するのにまず時間を要しました、これが一つです。その上で、これ、言っていいですかということについて、私ども防衛省と海上保安庁の間で、少なくとも私が報告を受けておりますのは、まだ言っちゃいけません、ようやっとこれを言っていいことになりました、では言うかというようなやりとりをしたことを私、よく覚えております。

 それから、どっちかと言われれば、それはどっちもですというふうに言わざるを得ない。防衛省に入ってきた時点では、それは当然政府部内の調整を了しておらないものであり、結果的に時間が正確なものではございませんでした。委員がおっしゃる両方とも満たしております。時系列的に言えば、最初数字が確定をし、その次の段階で政府部内で調整を了したということでありまして、両方とも満たしているというものだと私は考えております。

馬淵委員 先ほど、答弁を変えてきたんだとおっしゃっていますから、まさにそこの部分は、当初不正確だった、そして、それがやがて出してはいけない情報になったんだということを今御答弁いただきましたが、当初言われていた、不正確なものであれば、これは確認中ですがという注釈をつけた上で出せるものは出したいとおっしゃっていたところが、これはやはりずれているというふうに言わざるを得ません。そして、未明の発表を受けてこのように答弁を変えられたということは、国民の皆さん方が大臣のお言葉を聞くと、どうしても、何らかの形で、出してはいけない情報がそこに含まれているのではないか。

 これは捜査上、あるいはそこで、私はこの舷灯の話、細かいことは現場にいないからわかりませんが、まさにこれは、確認できていないということよりも、出してはいけない情報、その一点ではないかということに聞こえてくるんですが、大臣、これはいかがですか。不正確なことではなく、まさにこの十分の間に重要なファクトが隠されているんだという証左ではないですか。いかがでしょうか。

石破国務大臣 私は、海保の捜査というのはそんなにいいかげんなものだと思っておりません。私どもとして、「あたご」が横須賀に回航された時点で、これは、捜査の厳正性、公正性を重んじるため一切接触をいたしておりません。若干の事実の確認を除きましては接触をいたしておりませんし、乗組員とも会ってもおりません。

 その中で、海上保安庁で、当然捜査のプロですから、いろいろなプロットが示され、そしてデータとして残っているものもあります。今、行方不明のお二人からお話を聞くわけにはならないわけで、どうしても、その周りの船の方がどうごらんになったかということが報道に出ます。私どもとしては何にも接することができませんので、情報を我々からもう今の時点で発信することはできません。おかしいじゃないか、小出しにしているじゃないかというふうに言われますが、私は、海上保安庁の厳正な捜査というものは、それは信頼すべきものであって、防衛省が細工なんかできる問題ではないというふうに思っております。

 同時に、我々の方として、海上保安庁の捜査が一段落をして、我々の方として聴取できる段階になったならば、これは先ほど来、当省の中でどのように法令の遵守徹底が行われていたのか、どのように訓練が行われていたのか、そういうことも加味をした上で、自衛隊としての考え方というものは、私どもの責任において、捜査の進展あるいはこれから行われる審判、それにどういうような影響を与えるかもよくよく考慮をした上で、我々としてこうですということはできる限り発表をしたいというふうに思っております。

 そこにおいて、また委員のおしかりをいただくのかもしれませんが、まだ不確実だけれどもねみたいな、そんな話は許されることではございませんので、そこはきちんと確認したものを出したいと思います。

 ただ、これから審判に影響を与えるということがあってはなりませんので、本当に慎重に取り扱っていかねばなりませんが、当事者である防衛省としてこう思いますということは明らかにしていかないと、隠ぺいしているとか操作しようとしているとか、責任逃れしようとしているとか、そういう非難を免れることはできないと思っております。

馬淵委員 海保の捜査が厳正なものであることは当然だと思いますし、またそのことは我々も望むものであります。

 しかし、私は、先ほど申し上げたように、不正確であるもの、そして出してはいけないものというこの二点について、段階的にこれは、出してはいけないものに集約されていった、私はそのように理解をしますし、先ほどの大臣の御答弁をお聞きしても、結局、この十分の違いというのは、重要なファクトがここにあるのではないかということは、これは考えられるのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 この問題ばかりを聞くわけにはまいりません、一点だけお聞きしたいのは、先ほど来、捜査の問題である、政府内の調整ということをおっしゃいましたが、最終的には、ではどなたが判断されるんですか。どなたが公表するということも含めて判断されるんでしょうか。大臣は、自分一人で国交大臣と、あるいは関係省庁の責任者と、では発表していいねということは決められないとおっしゃいました。しかし、最終的には判断がなされるはずです。どなたが判断されるんでしょうか。その一点、明確にお答えください。

石破国務大臣 判断は、これは実務レベルで担当者を決めております。私どもの責任者は運用企画局長でございます。ただ、判断はそこでいたしますが、責任は大臣が負うべきものでございます。

馬淵委員 つまり、石破大臣が判断されるということですよね。石破大臣が、先ほどのお話ですと、まるで、いや、自分で決められないんだ、調整だ調整だとおっしゃるけれども、調整をした後に決めるのは一人ですよね、少なくとも責任を持たれるわけですから。石破大臣の責任において判断して公表するという、その仕組みだということでよろしいですか。

石破国務大臣 私も、海難審判規則を全部承知しているわけではございませんで……(発言する者あり)指揮官なら全部知っていますか、それは。知っているわけではありません。ですから、自分としてそれを、どうである、いい悪いという判断は、それはできかねる部分がございます。ですから、実際の判断はだれがするのといえば、そのことについてよく知悉をしている当事者同士が行うものでございます。しかし、そこにおいて下された判断というものは、それは私の判断ということになりますし、それに責任を負うべきは当然のことでございます。

 ただ、実際に、技術面において、あるいは運用面において、あるいは法令面において、規則面において、十分知らない者がおれの判断だと言って振り回して、そういうことを行っていいことになるとは私は思いません。それが主体性があるとか決断力があるとか、私は少なくともそういう判断をいたしません。

馬淵委員 石破大臣、社会で、世の中で、部下にそれぞれ専門的なことを聞いて判断する中で、自分が全部決めるわけではないなんというトップはいませんよ。必ず情報を得た上で最終的に責任を持って決めるのはトップじゃないですか。先ほどのお話であれば、これらの事態の公表というのは、すべて石破大臣が責任を持って判断して出しているんだということじゃないんですか。それを、先ほど来、いや、調整しているんだ、いや、局長がそれぞれ専門的な知見をもって判断しているんだ、すべてを私がわかっているわけではない。福田総理もそのようなことをおっしゃるんですが、私は、まさに政治家が責任を持って、文民統制の中での政治家が、大臣として、トップとして判断をすべき立場にいらっしゃると思うからこそ、確認をさせていただいているんですよ。

 私は、この問題で大臣の進退云々なんということを一言も申し上げていません。大臣が責任を持って判断しているんだということをこの委員会の場で確認させてくださいと言っているんですよ。いかがですか。

石破国務大臣 どうでしょうか。これは海難審判というのがこれからあるわけですね。そして、その後、上告審があるのかもしれない。これは、裁判というものが、あるいは審判というものがなければ、それは自分の判断でいろいろなことを言ってもいいのかもしれない。

 しかし、実際に人が二人行方不明であって、厳正、公正な捜査を前提として審判が公正に行われるということを考えたときに、それは当然私の責任で、これを出さない、よし出さない、出す、判断は私がしていますよ。それはすべて任せっ切りにしているわけじゃない。

 しかし、当事者というか、それにかかわる者たちが、本当に議論して議論して、これは明らかにしても審判に影響を与えない、そういうふうに言えないものを私の立場で言う、これはおれは言うんだ、審判に影響を与えると君たちは言うけれども、おれは判断して言うんだということを少なくとも私はいたしません。彼らが審判に影響を与えるというふうに考えて、これを今出すべきだというふうに意見具申してこないものを、私がいいと、君たちにはいろいろな考えがあるかもしれないが、僕の決断において出す、審判がどうなろうが裁判がどうなろうが、そんなことは私の責任だ、そんなことに、責任を負えないことを私は自分が発言していいとは全く思いません。

馬淵委員 大臣、私の質問の論点をずらされていませんか。調整するというのは私は認めているじゃないですか。この審判を踏まえた上で判断するのは大臣なんですよ。だから、大臣が国民に向かって、いや、これは今、先ほど私は確認しているんですよ、答弁が変わりましたねと。不正確なもの、出せない情報、この二つについて、不正確なものでもできるだけ注釈をつけて出したいとおっしゃっていたのが、いや、これは出せないと答弁が変わってきたんです、未明の発表を受けて。

 その上で、私は再度、では、どういう形で、どなたが判断して国民の皆さん方に知らしめるんですかとお尋ねしたところ、いや、最終的には、局長だ何だかんだ言われるけれども、やはり大臣が責任を持つんだとおっしゃった。だから、大臣、それを明確にこの委員会の中で確認させてくださいとお尋ねをしているにもかかわらず、いや、ある意味司法の判断があるんだ。そんなことはわかっていますよ。

 今、私どもが国民の代表としてこの立場でお尋ねをしているのは、大臣がそこで明確なリーダーシップを示しているということを、これをこの委員会の中ではっきりと言っていただかねば、それこそ防衛省改革など実現できるんですかという本論の話につながっていくんです。

 大臣、防衛省改革に私は残り時間を使いたいので、大事な部分なんですが、大臣がそれこそ司法の判断にまで何かみずからの考えを入れるなんということを私は一言も申し上げていません。調整後に、まさに調整した後の判断は大臣がされるんですよ。リーダーシップを持って国民に発表していくということじゃないんですか。その一点、確認させてください。

石破国務大臣 その点においては、何ら異論はございません。そのとおりです。

馬淵委員 日ごろ、歯切れのいい石破大臣、私はそのように思っているんですが、非常に、今回のこの問題に関する御答弁は、ちょっと歯切れが悪いんじゃないかなと思っておったのですが、今明確にいただきました。

 その上で、このように連絡の早い遅いという問題だけでなく、やはり、今まで防衛省をめぐるさまざまな事件、事故がございました。だからこそ防衛省改革が叫ばれてきたわけであります。

 さて、本論に入らせていただきますが、その中で大臣は、今回のこの問題に絡んでこういった答弁もされていますね。いわゆる無責任の、なれ合いの構図というんですか、無責任体制を生んでしまってはいないか、これは大臣が今回の問題に関して答弁をされています。この事故が起こる前から、私は、制服と背広の連携というものがどうなのだと、これは二十二日の鳩山委員に対する答弁でありましたが、車の両輪ということにはなっているけれども、無責任体制を生んではいないか、このように大臣はおっしゃられています。まさに背広と制服、この問題を私は防衛省改革の中心の議論だというふうに理解をしております。

 そこでお尋ねをしますが、今回も報告のおくれとかさまざまな問題が、これから先にわかることでありますが、予見される部分としてあるんですが、こうした背景には、背広組、いわゆる内局と制服組の方々、このあつれきというものが関係しているのではないかということについてはいかがお考えでしょうか。

石破国務大臣 あつれきが直接だとは思いませんが、現場からオペレーションルームに入ってきた段階で、運用当直と申しますが、それには連絡が行きました。そこからだあっと大臣に上がるものだというふうに制服の方は思うわけですし、内局の方は、いやいや、これだけ重大なことだから幕僚長から上がるんだろうというふうに思うわけでございます。これはあつれきというよりも、お互いが何をすべきなのか、きっとあっちがやってくれる、きっとあっちがやってくれる、そういう思い込みというものが一番よろしくない。

 では調整をすればいいだろう、適度に調整をすればいいだろうといいますが、この調整というのは物すごく時間がかかるものでございます。昔はもっと簡単にできたよとおっしゃる方がありますが、昔だって同じです。昔、そんなに早く入ったということはございません。それは、時間が何時であるのか、そのときの状況がどうであるのか、そういうことを一つ一つ見てみなければわからないことですし、今の実態がそうなっておるということでございます。

 ですから、通達を今週中にできれば改めたいと思っております。もう両系統から上がってきたって構わないということにしなければ、こういうことはなくならないのではないでしょうか。

馬淵委員 あつれきというよりも、なれ合いの中でお見合いをしてしまっている、まさにそこは組織の緩みであり、問題点だと私は思います。

 そもそも、防衛省、少なくとも文民統制、シビリアンコントロールという課題の中で、いわゆる文官と武官との対立とまで言うと言い過ぎなのかもしれませんが、見合ってしまっている状況、無責任体制を生んでしまっているということは、大臣はたびたび指摘をされますし、この当委員会の中でも議論に上がっていることだと思います。

 この安全保障委員会の中のメンバーの皆さん方は、もうこれはよく承知のことかもしれませんが、いわゆる日本のシビリアンコントロールというのは大変いびつな形になってしまったのではないかということがたびたび言われている。戦後、政治に介入して軍が戦争に突入した轍を踏まないために、いわゆる米国主導で導入されたこの文民統制という仕組み、しかし、日本では本来の文民統制とは異なる形が育ってしまったのではないか。

 同じ自衛隊の隊員でありながら、背広組による制服組の支配が連綿と続いている。あるいは、いびつな姿の中で、背広組による非常に厳しい統制を、いわゆる武官を統制するという仕組みができ上がってしまっている。背広組による制服組の支配ということが起きてしまっているという問題意識を、私自身は、今回の防衛省改革の中で大臣も非常に持っておられるのではないかということを感じているわけでありますが、大臣、こういう理解でよろしいんでしょうか。いかがでしょうか。

    〔北村(誠)委員長代理退席、委員長着席〕

石破国務大臣 私の中にはそういう問題意識がございます。

 ただ、軍政、軍令ということを委員であればよくおわかりかと思いますが、では、軍政は背広、軍令は軍人、この場合でいえば制服ですね、これで全部やるといった究極の姿が統帥権独立だったわけでございます。あの結果は決していいものではなかったということを考えると、軍政は軍政、軍令は軍令というふうに整然と分ける形が本当に望ましいかといえば、それはそうではないだろうというふうに思います。

 そうすると、背広が制服を押さえつける、だから、制服の発言権を増すために参事官に制服組をもっと入れろというのも一つの議論でしょう、内局に制服をもっと入れろというのも一つの議論だと私は思っています。逆に、背広組が、例えば通信幕僚とか広報幕僚という形で現場にもっと行くべきだというのも一つの考え方なんだと思います。

 ただ、そういうふうに人事交流をたくさんやっていけばこの問題は解決するのだろうか。そこから先にももっと解決しなければならない課題があるのではないだろうかというのが私の現時点での問題意識でございます。

馬淵委員 今、防衛参事官の名前も出てまいりましたが、それは後ほど確認をしていきたいと思うんですが、今お話にありましたこうした背広組、制服組との職掌の関係性、これについては問題意識をお持ちだということでありますが、先ほど、この報告の通達についてはまた今週中にというお話もございました。今回おくれがあったということで、報告については速やかに上がるような形で、いかなる形でも速やかにということで通達を出していくんだということでありますが、これは二月十九日付でも既に出されておられますよね。

 そこで出されておられる、これはこの事故を踏まえてということでまず緊急的に措置されたんだと思いますが、ここには、事故発生直後、これは事件、事故となっておりますが、発生直後の報告の中では、通常の報告、そして重大な事件、事故、あるいは軽微な事件、事故の報告、連絡ということの連携が、この新たな通達、二月十九日付で示されております。

 これは制服組、背広組のその関係の問題というのもございますが、例えばこの通達一つとっても、では、重大と軽微の判断ということ、これについて現時点ではどのようにお考えでしょうか。

石破国務大臣 何が軽微で何が普通で何が重大かなぞという分け方自体がおかしいのだということを言っているのです。それは通常と重大に決まっている、こんなもの。これは分け方が少なければ少ない方がいい。人によって、これは重大だ、人によって、いやいや、これは普通だみたいな判断の迷いが生じるようなことはよろしくない。

 ですから、これとこれとこれ、例えば今回のようなのは重大に決まっています。あるいは、戦闘機が訓練中に山林原野に墜落し、搭乗員は脱出しました、山林原野で火災が起こっているが間もなく鎮火の見込みというものは、では、どっちだろうというようなことを、一つ一つ世の中に起こりそうなこと、過去十年間に起こったこと、これから先起こりそうなこと、これを類型化して、オペレーションルームからでもすぐ大臣秘書官に入るようにしなきゃいかぬと思います。

 統幕長、海幕長、空幕長、陸幕長は、彼らが知った時点で大臣に直接上げる、オペルームからはそこで恣意的な判断を交えず大臣秘書官に上がる、この二系統は確保しておかなければいけないことだと私は思っておりまして、そういう内容の通達というものを、できれば今週中に省内の理解を得て、これで本当に動くねという理解を得て、だって、通達をつくったって知らなきゃ何にもならないんですから。通達は立派なのがありました、でも現場の人はそんな通達があることを知りませんでしたということでは話にならぬので、どんなに立派な文章だってみんながわからなきゃ意味ない、これわかるかということも含めて、できれば今週中に、きょう火曜日でございますが、あらあらこういう方向ということで固めたいと思っております。

馬淵委員 大臣の方から、現状のこの二月十九日の通達は、これは全く変えなければならないという認識をいただきました。私もまさにそう思います。

 何が軽微で何が重大なのか、この中に書かれているのは、直接に連絡をするということは確かに経路として書かれましたが、それでも一方で、大臣の御答弁にありました、参議院の元自衛官の方が、なかなか直接に言いにくいという現状があるんだとおっしゃっている。それを通達によって一つの経路を明確にしたことの意味はあるかもしれないが、重大、軽微という分け方であれば、これはまたそこでボトルネックになりかねないわけでありますから、この問題については今週中にということを、明確な御答弁をいただいていますので、またそれは当委員会の中でも精査をさせていただきたいと思いますが、非常に重要な問題であると思います。

 そして、そうした制度を整理する中で、通達でさまざま連絡のそのレポーティングストラクチャーと呼ばれるものを整理しながら、さらに、背広組、制服組の関係性ということについて確認をしていきたいと思うわけであります。

 大臣、先ほど、防衛参事官のお話をされました。また、これは当委員会の中でもたびたび議論に上がっております。この防衛参事官という方々の存在、そして、そもそも文民統制というものが文官統制に陥ってはいないかという議論、これは大臣の私案もございまして、これはまた後ほど聞かせていただきますが、これについては、平成十八年の十一月三十日の当委員会の中でも、同僚の長島議員が当時の久間長官にお尋ねをさせていただいております。

 当時の議事録を見ますと、長島議員が、防衛参事官の位置づけにこれは矛盾があるのではないかということを問いただしております。

 いわゆるドイツ等では、内局、幕僚、これは一体という形になっています、しかし、内幕一体が本来の制服とシビリアンの、文民のまさにベストミックスなんだという指摘をしながら、一方、日本ではどうかというと、防衛参事官というのが、内局と統幕、車の両輪というその上にもう一つ、防衛参事官という三極になっていないか、こういう指摘をされました。

 そこで、設置法、これは現行では七条ですか、当時この議事録では九条と書いていますが、先ほど大臣のお話にもありました、「防衛庁に、防衛参事官を置く。」というこの位置づけと、そして、これはつまり内局の上に置くということなんですが、内局に超然するという形で防衛参事官というのを想定しながら、現行は九条の二で、「官房長及び局長は、防衛参事官をもつて充てる。」こうなっている。

 これについて、当時の官房長が、これはフリーな職掌だ、このようにお答えをされていますが、長島委員の指摘としては、いや、もともと官房長、局長と充て職なんだからこれは矛盾しているんじゃないかということの指摘をした。久間長官はこれに対して、検討しなきゃならぬのだ、いろいろ検討しなきゃならぬし、まさに、これから先やはり議論を本当にしていただきたい、変えていかなきゃならぬ課題だ、私は、このように当時の長官が述べられたというふうに理解をしております。

 この段階で、問題意識は少なくとも政府もこの当委員会も持っていた。しかし、今日においてこの改革の議論というのがどういう方向になっているかというのは、これはまだ二月の中間報告が出ておりませんが、現状でのその考え方について、これは端的にお答えいただけますでしょうか。

石破国務大臣 官邸における有識者会議、私も毎回出ております。

 調達改革、秘密保全と並んで文民統制のあり方がまさしく今後の一番の大きなテーマであって、端的に言えばこの三つなんです。

 参事官制度は今のままでよいという考え方、すなわち、それは、陸海空いろいろな考え方があるだろう、陸海空それぞれの最適化がなされて上がってくるんだけれども、その調整をしているのがまさしく内局なのであり参事官なのである、だから今の制度でいいのだという考え方。

 何言っているの、作戦や軍事のことがわからない内局はそれは軍政だけやっていればいい、軍事専門的なことは制服がやるんだという二分論。これは前から唱えられておる議論でございます。これが二番目。

 三番目は、いや、そうではないと。委員御指摘のドイツ型等にも当てはまるのかもしれませんが、UC混合で政治任用のものを支えていく、参事官というものはそれは補佐官的に任用されるべきもの。ただ、ドイツの場合には文民統制の主体が議会になっておりますので、日本とはちょっと違う議論をしなければいけないのかもしれません。

 私は、その三つのどれを置くのかという中において、参事官の位置づけをどうするか。有識者会議は、今その三つが提示をされて、これから先どうあるべきかという議論を今、これから先行うところだというふうに承知をいたしております。

馬淵委員 今御説明をいただきました。そこで、では、これから改革、今三案あるというお話がございました。方向性としてはあるということでありますが、今、現行の設置法並びに自衛隊法、この法的な根拠、この位置づけの根拠というところを確認していきたいんです。

 少なくとも参事官については、設置法で「基本的方針の策定について防衛大臣を補佐する。」このように定められていますが、これもたびたびの議論で上がっていることかと思いますが、軍事事項についての基本的方針の策定については果たして背広組に補佐が可能なのかということ、これは制服組が適任ではないのかということは、当然今までもさんざん議論されてきたはずです。

 しかし、これについては、今日までに制服組が着任されたことはないという、この中での法的な位置づけとして、制服組はつけないということになっていますか。いかがですか。

石破国務大臣 つけないということになっています。

 つまり、つけようと思えばつけられるのかという話ではなくて、防衛参事官に制服はつかない、このようになっております。ちょっとごめんなさい、法的根拠について今すぐ御説明できませんが、私もその議論をしましたが、それは精神論ではなくて法的にもそうであるというふうに、たしか私、以前研究したことがございます。

馬淵委員 法的にはつかないということが法を根拠として定められていると今大臣おっしゃいましたが、ではどの部分でそれが読めるのかということ、私ちょっとそこを尋ねたいんですが、これは確認をさせていただきました、通告しているんですが、部局の方。

中江政府参考人 お答えいたします。

 防衛省設置法の十一条で「防衛大臣は、必要があると認めるときは、」「自衛官を内部部局において勤務させることができる。」というふうに規定をいたしております。

 こういうふうに規定をいたしておりまして、この内部部局には防衛参事官は含まれておりませんので、いわば反対解釈として、防衛参事官には自衛官はつかないというふうに解釈をしているところでございます。

馬淵委員 十一条でということでございました。

 しかし、久間長官は、少なくとも平成十八年の議論の中で、これはやはり議論をしていかなきゃならないと、問題であるという認識を示されていると、私はこの長島委員の指摘の中から読み取れます。

 今大臣は、防衛省改革の中で確かに今三案が議論されている最中だということでありましたが、このような問題意識を持ちながら法律を変えていくということは、まさにこの国会の場でやれることですから、これについて、余りにも時間がかかり過ぎている、遅きに失している。

 その中で今回のイージス艦の問題、これは直接関係するとは私は言いませんが、しかし、防衛省の中での風通しのよさ、あるいは連携の緊密さというものが十分に図られない、その一つの大きなポイントになり得るのではないかということを指摘させていただいているわけであります。

 これはもう既に二年近くたっているわけですね。大臣、やはり内部での今の制度を維持しようというまさに抵抗勢力というような強い反対の意思が働いているのではないかと思われるわけですが、これはいかがでしょうか。

石破国務大臣 それは、これはいい、ぜひやろうという人は余りいません。報道が、どういうところから何を聞いてきているのか知りませんが、内局からも各幕からも非難ごうごうとか、批判続々とか、大臣孤立とか、そういうふうにいろいろ書いてあることは私もよく承知をいたしております。

 ただ、だれのための組織なのということを考えたときに、これは本当に有事にちゃんと動くのかという、ある意味のエフェクティブネス。もう一つは、国民に対してきちんと説明が果たせるのかというアカウンタビリティー。この二つを満たすために今のがベストだと私は思わないんです。だから、おっしゃるとおり、設置法も隊法も変えていかなきゃいかぬ。そのために十年かかりましたみたいなのはとんでもない話で、安全保障環境は全く変わっているわけですから。

 だとすれば、できれば早い機会に、少なくとも省として、有識者会議の御議論を踏まえながら案をまとめ、国会で議論をしていただく。

 それは御党が政権をおとりになったときに、これは本当に使える組織なのかと。安全保障について与党も野党も関係ないんですから、そんなもの。どの党がついたとしたって、この組織は使いやすい組織にしておかなければ、これはいかぬのだと思っております。

 そういうのをまとめて、それは省内にはいろいろな議論があるでしょう。ですけれども、国会の御議論、国民の御議論、これが賜れるように作業は急がねばならぬ。有識者会議の方向を踏まえるのは当然のことでございます。

馬淵委員 今大臣は、大変な、いろいろな意見もあるだろうけれども、国会で決めていくべきことであり、これはまさに国を守る安全保障の上では重要な課題だ、そういった御答弁をいただきましたが、一方、大臣、先ほどの三案に加えて、石破私案というのを発表されておられる。発表というか、公の場で語られています。

 ただ、この石破私案、これはかなり改革が進むというか、随分ラジカルな案であるというふうに言われているかと思いますが、ここでは、内局が大臣官房、五部局の現体制を半減させて、防衛力整備、部隊運用、国会、国民への説明責任、この三部局に再編するんだ、いわゆる制服組、背広組のミクスチャー、これを大臣は私案としてお持ちである、このように報道されています。

 これについて、齋藤統合幕僚長は、これは簡単にできる話じゃないと、もちろんそうです、組織を大きく変えるなら時間がかかると述べられている。

 大臣が、今のお話であれば、今のままでいいわけではない、そういうお考えをお持ちだ。そして、今まさに官邸を中心に防衛省改革、組織の部分も見直しを図られている。三案も出ている中で、その上でさらに石破私案というのを御提示されている。

 しかし一方で、統合幕僚長が、いや、これは簡単にできない、組織を大きく変えるなら時間がかかるとおっしゃっている。先ほどおっしゃったように、十年かけてやる話じゃないんだというそのお考えの中で、やはりこれは大臣の進もうという方向性に対して、私は、防衛省の内部でちょっと待てよとストップをかけるそうした意思が働いているような声に聞こえるんですが、いかがでしょうか。

 なぜこの石破私案をあえて出して、内局も含めあるいは制服組も含め、防衛省組織の改革を推進させようとしているかということについて、私は、大臣のある意味とんがった意見を出すことによって加速させようというそういう意思がおありだというふうに感じるんですが、一方で、それに対しては全く反対の意見が出ている。

 この状況で果たして本当にリーダーシップを持って進められるのでしょうか。私は、むしろ逆に、孤立化されていく中で、これはまたうやむやにされてしまわないのか。結果的には、だれに迷惑がかかるか、だれにその被害がかかるかというと国民なんですよ。イージス艦の問題も含めてそうなんです。

 大臣、いかがでしょう、この私案を含めて内部では大変な反発を生みそうだということがあります。これに対して大臣は、ではどのような意思で、これは国会がお決めになること、あるいは官邸で議論している最中だという御答弁が出てくるのは暗に想像できますが、そうではなくて、石破私案も持った上で、こうした反対のある中でどの程度の今お考えをお持ちなのか、お答えください。

石破国務大臣 私は改革チームの第一回非公式な会合でこのように申しました。今のままでいい、あるいはマイナーチェンジでいいというのであるならば、なぜそれが国民にとってベストなのかを立証せよということを申しました。

 私は、委員に御指摘いただきましたように、防衛省の機能、自衛隊の機能というのは、要はどのようにして防衛力を整備するか、それをどうやって使うか、それをどうやって国民に向けて説明するか、分ければこの三つでしょう。この三つのはずなんです、多分、機能というのは。

 ラインはライン、スタッフはスタッフで分けて考えなきゃいけない。私は、陸海空の自衛隊をやめちゃえなんということを言ったことは一回もありません。陸海空はきちんとしたラインのもとで動かなきゃいかぬということと、スタッフ部分はその三つでしょうということを申し上げているわけで、こちらの方が使う側としては使いやすいと思います、いえいえそうではありません、あなたは使いにくいかもしれませんがこれが一番よいのです、なぜならばということは、挙証責任はあなた方にあるということを申しております。

 私は、そういう観点で、自分の組織の最適化というか、利益を議論する人であれば、それは議論に加わってもらわなくて結構。本当に陸海空の垣根を越え、UCの垣根を越え、これが一番国民のためにいいのだという立証がみんなの共通認識になることを急いでいかねばならぬ。

 私の考え方が誤謬であって、これが唯一絶対のものだというようなつもりはありません。おまえの考えは間違いだ、なぜならばという意見は虚心坦懐にお聞きをいたします。

馬淵委員 この話は、私は一方で公務員制度改革の問題にも取り組んでおりますが、まさに同じ構図なんですね。大臣がどんなに発信をしようとも、古い体質の中で引きとめようとする勢力がある。幾らカンフル剤的な議論を出したとしても、そこで現実問題として動かなくなってしまう。だからこそ、政治家のリーダーシップが必要だと私は申し上げています。

 先ほどのイージス艦の報告の話の中で、リーダーシップを持ってまさに国民に説明をしてください、こう申し上げた。そうした意思がなければこれは進まないんですね。

 このことをしっかりと大臣には認識をいただいて、この防衛省改革については、中間報告がこの二月にまた出るということでありますから、これは三月に入ってしまうのかもしれませんが、この中間報告をもってどのような方向に進んでいくのかということを再度この当委員会の中でも指摘をさせていただいて、決して後戻りすることのなきように、また、現状維持でとどまることのなきようにしていただきたいということを指摘させていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 以上です。

嘉数委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介と申します。

 石破大臣には初めて御質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 副大臣は要求をさせていただいていないと思いますので、お引き取りいただいても結構でございます。

 まず最初に、先ほどから少し議論も出ておりましたけれども、海上自衛隊イージス艦の衝突事故の問題を少し触れさせていただいた後、防衛省改革、そして韓国あるいはロシアでの政権交代が、韓国は就任式が行われましたし、ロシアでも間もなく大統領選挙ということでもありますから、我が国の安全保障環境の変化について防衛大臣の認識を伺っていきたいというふうに思っております。

 まず、イージス艦の問題でありますけれども、私は、現在、海上保安庁あるいは海難審判庁でさまざまな事情の聴取、事実の確認が行われているという中で、大臣は繰り返し、現在調査中のことについて、特に事故の核心に触れる内容については国会で余り述べないようにということを言われているということをおっしゃるわけですけれども、既に幾つかの事実として明らかになっていることについては、その評価やあるいは防衛省としての考え方を確認させていただく、このことはぜひお願いしたいと思っております。

 まず最初に、艦長あるいは航海長の当夜の行動について、既に明らかになっていることについて少し伺っていきたいのですが、報道等によれば、艦長は、当日、危険海域とされる地域であったにもかかわらず仮眠をとられていたということであります。また、手動操船への指示というのは特に出されていなかったということだと思います。

 私は、その辺、専門的なことはよくわからないんですけれども、こういったことは、それだけでは、責任がある、あるいは間違った判断だというふうに一概に言えないのか、それとも、やはり現場の常識として、そういった地域で手動操船を指示しないまま仮眠をとられていたというのは、これは非常識な行動と言うべきなのか、どちらなんでしょうか。

石破国務大臣 これは、今回のことに関しては海保庁がいろいろな捜査をなさっておられるところです。

 ただ、私は、委員御指摘のように、ここで自動操舵をとっておったこと、このこと、すなわち事故の原因なのかといえば、自動操舵であっても手動に切りかえるのはすごく簡単なのですね。見張りが本当にきちんと厳格になされておって、それが当直士官に伝わっていれば、たとえ自動モードで走っていたとしてもすぐに手動に変えれば避けられたのではないかという評価も一つございます。これはすべて一般論で申し上げております。

 危険な海域ということでございますが、これは太平洋ど真ん中ひとりぼっちみたいな、そういう状況と、あるいは浦賀水道をまさしく通峡しているという状況と、今回の野島崎沖というのを考えたときに、それは、艦長が仮眠をとっていたこと、すなわちすべていかぬのかといえば、当然起きてブリッジに上がっておった方がよかったねということはございます。それは、何が事故の原因として、ファクターとなるのか、これは海上保安庁で捜査がなされる。

 ただ、私は、今の時点で申し上げられることは、例えば自動操舵というものは一切行わないということにいたしました。このことが判明するまで、自動操舵装置をつけている船、何隻かございますが、自動操舵装置の使用というものは一切行わないということにいたしました。そして、海上衝突予防法等々に書かれてある法令、規則、これの遵守方、それはその日のうちに通達で出した。通達で出して何になるんだと言われたらどうにもなりませんが、これはやはり本当に遵守されているのということで、その日のうちにいたしました。

 幾つかのことはやらせていただいておりますが、それぞれ一つ一つが、これは望ましいことではないということは申し上げられますが、事故原因との連関性につきましては、私、判断する立場にございませんので、お許しをいただきたいと存じます。

津村委員 事故原因との関連性についてはお尋ねしていなくて、この海域でこの時間帯に自動操舵ということで、特に手動の指示を出さずに仮眠をとられていたことについて、これは事故が起きようが起きまいがですが、そういう行動をとられることは十分考えられることなのか、それとも、それだけをもってもやや非常識な行動と言うべきなのか、どちらなんですかという質問です。

石破国務大臣 済みません。御質問の意味が正確に理解できておりませんで、失礼をいたしました。

 どこで自動操舵にする、どこでしないということは、実は法令で決まっておるものでも何でもございません。自動操舵かどうかということは、実はそれぞれの船ごとに違うということなのだそうでございます。今回初めてわかって、そんなことがあるのかということで、だから、それは艦長の技量にかなり任されているところがある。Aという船、Bという船、Cという船、Dという船、それが、いや、おれの流儀だ、おれの流儀で操艦するんだみたいなことがあっていいとは思いませんので、今回が適当であったかどうか。

 私は、太平洋ど真ん中ひとりぼっちではない状況で、やはり自動操舵にしておったのは好ましくないと思いますが、この後、船乗りの意見をきちんと聞いてみた上で、これは統一しなければいけないと思っております。

 また、もうそろそろ東京湾に入ろうという時点で艦長が仮眠をとっておったこと、それ自体は私は決して望ましいことだと思っておりません。そのことと事故との連関性はわかりません。

津村委員 それに関連しまして、当直士官、航海長の行動についてもお伺いしたいんですけれども、報道によれば、海難審判庁あるいは海上保安庁からの事情聴取に先立って、当直士官の方、航海長だと思いますけれども、市ケ谷に呼ばれて事情を聞かれたというふうに伺っております。

 だとすれば、海上保安庁から乗組員への接触は遠慮してもらいたいとの要請がありというふうに伺っていますけれども、その要請以前にそういうふうに事情を直接聞かれているわけですから、少なくともその方の行動なり判断については十分な情報をお持ちだというふうに想像するんですけれども、彼の行動、当夜の行動については問題は認識をされていますか。

石破国務大臣 彼が事故当時、実際にブリッジに上がっておったわけではございません。したがいまして、入ってくる情報には限りが当然ございます。彼から聴取をいたしました内容につきましては、当然三管の方にお伝えをし、共有をいたしておるものでございます。

 彼がどういう認識を持っておったかというのは、それはいろいろな情報はございますが、これは先ほど来の繰り返しになって恐縮でありますけれども、捜査の核心に触れるようなものについてはお話しできないということで、明らかにしているものと、していないものがございます。

津村委員 現時点で、そうすると、艦長ないし航海長、当日の当直士官の方々については、何らかの責任をとっていただいて、処分をするということにはなっていないということですね。

石破国務大臣 現在、直接接触をいたしておりませんので、不十分情報のまま処分をすることはできません。

津村委員 現在、きょう時点で「あたご」はどのような責任体制のもと運航、ないし、停船をしているのかもしれませんが、されているんでしょうか。

石破国務大臣 横須賀岸壁に停泊中でございます。海上保安庁の聴取がその中で行われているというふうに承知をいたしております。艦長以下乗組員は上陸は一切いたしておりません。

津村委員 そういう場合に、そのロジスティクスその他、何か判断をする場面もそうはいっても必要だと思うんですが、艦長は引き続き艦長としてその責に当たられているということですね。

石破国務大臣 それは、ある程度の時点で処分というものは当然考えざるを得ないと思います。いつまでも艦長の任にとどまるということは、これだけの事故が起こっておりますので、ふさわしいことだとは私はちっとも思いません。

 ただ、そこにおいて、まさしく委員がおっしゃいますように、彼が自動操舵というものを定めていたということはどうなのだ、その時間仮眠中であったということはどうなのだということがそれぞれ明らかになってまいりませんと、けしからぬ罪なのでおまえは艦長解任だというようなことにはすぐにはならないのだと思います。

 ただ、やはり、私は思っているのですが、艦長がもし外へ出られるという状況になれば、イの一番にやらねばならないことは、御家族のところに行くことであり、関係者の皆様方のところに行くことだ。まず、そこを考えた上で、処分というのは適正になされるべきものというふうに思っております。プライオリティーを間違えないようによく気をつけてまいりたいと思います。

津村委員 イージス艦「あたご」が清徳丸の存在に気づいた時間について、このところ、いろいろな報道が、けさもされていますが、漁船を発見したのは何分前ですか。

石破国務大臣 午前三時五十五分でございますから、衝突が四時七分でございますので、十二分前でございます。

津村委員 十二分前にということについては視認の時間だと思うんですけれども、大臣がおっしゃる意味は、十二分前以前にはレーダーで探知はできていなかったということですね。

石破国務大臣 私どもは、三時五十五分に明かりを見たということで承知をいたしておるわけでございます。三時五十五分は、そういうふうなことであった、要するに漁船を視認したということでございます。

 「あたご」がその漁船を確認したのがそれが初めてだったのかどうなのかということについて、私ども今、先ほど来申し上げておりますように、接触する状況にございません。これが本当に初めてですかということについて、私として責任を持ってこれが初めてですということは申し上げられない。

津村委員 つまり、漁船を確認した時間は十二分前とは限らないということですか。

石破国務大臣 それは、結局、視認したのが三時五十五分だとすると、その前にレーダーで見ていなかったのかということになるんだろうと思います。

 目で見るよりも、このときは、どのレンジにしていたか、どのモードにしていたかはわかりませんが、航海用レーダーを回していたのかもしれません。そこにおいてどうだったか、それよりも以前にレーダーが漁船清徳丸を認識していたのではないかということは、これは捜査の根幹にかかわることですのでお答えできない、ノーということでございます。お答えできる状況になれば、それはまさしくポイントでございますので、早くお答えをいたしたいというふうには思っております。

津村委員 素人なのでよくわからないんですが、視認というのはあくまでも漁船発見の手段の一つにしかすぎないわけで、それが十二分前だ、二分前だといろいろありましたけれども、視界がもっと不良なときもあるわけですから、場合によっては、レーダーというのは、非常に重要な探知の手段、発見手段になると思うんですね。そこについて特に注釈をつけられないまま、私の最初の質問にも、あるいはそのほかの御報告でも、しきりに十二分前とおっしゃるんですが、それ以前の可能性もあったということをもう少しきちんと常に御説明されるべきなんじゃないですか。

 十二分前より以前に確認していなかったと断言できるのならば、そうおっしゃればいいけれども、今のようにあいまいにお答えになるのであれば、十二分前より以前にもレーダーで探知していた可能性がある、まだわからないとお答えになるべきじゃないですか。

石破国務大臣 ですから、私たちが報告を受けたことを加工せずに申し上げている。その前に知っていたか知っていないかは、我々、情報を持っていない、持っていないものは言えない。だから、可能性は否定しませんよ。だけれども、これが、その前に知っていた可能性があると言っただけで、防衛省その前に知っていた可能性示唆みたいな話になったですね。それは捜査に影響を与えることになるんでしょう。そこはよく考えていかねばならないことだと思います。

 委員が御指摘のような、そういうような疑念、それは出るんでしょう。ですけれども、そう遠くなくこれは出るのです、結論が。結論というか、こういうようなことであったということが出る。そして、我々も、調査していい段階になったらば、我々の責任において調査をする。そのときにおいて、どうして情報操作する必要があるんですか。どうしてわざわざおくらせて言う必要があるんですか。そんな必要はどこにもありません。

 私は、入ってきたものというのを、正確性を期した上で、政府内での調整を得た上で出しているということを申し上げているわけで、そのことについて、さらに、ではほかのこともあるのか、ほかのこともあるのかということであれば、それは一切出さないのがよいということになるのだろうと思います。

津村委員 今かなり思い切ったことをおっしゃったと思うんですけれども、二つ決定的に違うのは、レーダーの探知について情報を持っていないのであれば、レーダーで探知したかどうか、情報を持っていないと言い切られるのであれば、それは一つのお答えだと思います。逆に、情報を持っていたかどうか、確認できない、言えないというのはまた別の話で、結局、レーダー探知状況、レーダーで探知をした可能性について本当に情報を持っていないのか、あるいは持っていてこの場でおっしゃらないのか、それが大きな違いなんですが、いかがですか。

石破国務大臣 持っていません。

津村委員 水かけ論になりますので最後にもう一回だけ確認して終わりますが、清徳丸の、漁船発見時間については、現在、大臣が御存じなのは、視認という方法での発見時間が十二分前だということであって、レーダー探知によって何分前に漁船を発見したかは現在御存じないということですね。

石破国務大臣 そういう御理解で結構です。

津村委員 もう一つ、少し違う話になりますが、海上衝突予防法というもので「あたご」側に回避義務があったということだそうですけれども、これは、船の大きさにかかわらず、そういうルールになっているということだとは思うんですが、警笛を利用するとか、特に、浦賀水道とか、たくさん船がある場面では、場合によっては小さい船の方が、遠慮してなのか慣行なのかわかりませんけれども、避けるというケースも実際にはあるやに聞いているんです。

 これは、どんな場合でも、とにかく位置関係が、今回のように右側に相手方の船が見えた場合は「あたご」に回避義務が生ずる、これは大小にかかわらずで、そのことは海自の隊員の皆さんに徹底されているコンプライアンス上の常識だというふうに理解してよろしいですか。

石破国務大臣 海上衝突予防法上はそのようになっております。

 ですから、ちっちゃな船の方がよけるべきだというふうに慣行としてそうなっているとか、そういうようなお話はよく承ります。だからといって、今回「あたご」が直進したことが正しいということを私はここで申し上げるべきだとは思っておりません。法律上は、大きい小さいにかかわらず、当該船を右側に見た方がよけるという義務を負っておる、それは海上衝突予防法の基本であり、そのことはみんな知っており、遵守をしておるものというふうに私は考えております。

津村委員 今回、「あたご」と清徳丸が衝突をして、「あたご」サイドの損傷というのはどの程度のものだったんでしょうか。

石破国務大臣 我が方の損傷について、私どもの方から人を出して調査をしたわけではないから、正確なことは申し上げられません。しかしながら、航行に支障を及ぼす、あるいはオペレーションに支障を及ぼすような損傷ではないように私は見受けますが、そのことはきちんと調査をしてみなければわかりません。

津村委員 民間の方にこのように迷惑をかけてしまうようでは、悪意のある相手方、例えばテロとか、そういったケースが仮にあった場合、なおさら衝突回避というのは、今回は光がついている船ともぶつかってしまったわけですから、例えば光がついていない船だったりすると、先ほど来、視認にこだわられるわけで、無灯火でしたら視認できないですよね。そういう場合に、こういう事故が起きる可能性がより高いというふうに理解しておけばよろしいですか。

石破国務大臣 アメリカのイージス駆逐艦のコールという船がアデンの港で自爆ボートにぶち当たられて、乗組員の大勢が死傷したという事故がございました。何であんなことが起こったのということでいえば、それは、一言で言えば、警戒態勢の緩みということだったと思います。

 したがいまして、今おっしゃいます自爆ボート等々についてどうなのだといえば、今回の場合と全く状況が異なりますし、どういうような状況を下令しておくかということで全く違います。

 ただ、私たちとして、今回の事故原因の究明、それは徹底的にやらねばならないということと、その自爆ボートみたいな場合はどうなのだということは分けて考えなきゃいけないことですが、多くの国民の皆様方はそういうふうに思っておられるわけで、コールの例ももう一度リマインドしながら、どういう形が一番望ましいのか、要は、コールもそうですが、きちんと見張っていれば、きちんと危機意識を持っていれば、ああいうことは避け得たのではないかというのが教訓なのでございます。

 そうすると、あの場、船は停泊中でございましたので、停泊中の船の警備体制をどうするかみたいな話は、「しらね」の話とも連動して、我々にとって大きな課題であると認識をいたしております。

津村委員 時間が迫ってきましたので、少し話を進めていきます。

 駐留米軍の海兵隊の方でしょうか、いろいろな事件あるいは事故の話が最近あるわけですけれども、米軍再編に関連いたしまして、少し御質問をいたします。

 日米共同訓練ということで、最近では初めて、これは沖縄からグアムに海兵隊が移転することや、さまざまな、より大きな米軍再編の動きの中でのことだと思いますが、日米共同訓練の開催地というのが以前よりも多様化しているようにお見受けをいたします。

 そういった中で、今回のような不祥事件が続きますと、それぞれの開催地周辺の皆さんには、非常に不安というか、日米共同訓練自体の意義を私は否定するものではないんですけれども、非常に理解をより丁寧に得ていかなければいけないのかなということを思うわけですが、地元への配慮といいますか、開催地に事前事後のどういう説明、フォローをしていくのかということ、これは事前通告をさせていただいておりまして、今回、政府参考人の方をお呼びしていないので、大臣、申しわけありませんが、お答えください。

石破国務大臣 現状については、もう委員御案内かもしれません。繰り返しになりましたら、ごめんなさい。

 直近でいえば、昨年十一月に日本原で演習を行いました。これは十一月十一日から二十三日、私の選挙区とも近いところでございます。

 陸自がこの演習場におきまして日米共同訓練をやるに先立ちまして、昨年の八月、広島防衛施設局あるいは中部方面総監部から演習場所在の地元自治体である津山市及び奈義町に対しまして、内容、期間を事前に御説明いたしました。自治体からは、訓練計画をきちんとしてほしい、あるいは火砲射撃は行わないでほしいなどの御要望をいただいて、御理解をいただいたところでございます。あるいは、演習場への立入禁止措置について、津山市及び奈義町を通じ、あるいは演習場の掲示板を利用して、住民の皆様方に知悉をしていただくということとともに、防衛局の職員が演習場に待機し、情報収集、不測事態への初動対応の態勢をとったというふうに聞いておるところでございます。

 そのような形で、やはり抑止力の維持というのは、沖縄だけにお願いするのではなくて、本土も負っていかねばならないということなんだと思います。そこのところの御理解がやはり一番大切で、この国の防衛というものを沖縄だけじゃなくて本土も負おうよということを、それは役人が言うことじゃないのかもしれませんが、我々政治家の側でよく御理解をいただかなきゃいかぬ。そして、地元の皆様方がまずそのことについて御理解をいただかなければ、やはりうるさい、危険だという話になるのだろうと思います。このことについて、政治の説明責任は重いなというふうに私は思います。

津村委員 大体趣旨はわかるんですけれども、今御紹介がありました日本原の演習の後、年が明けましてから、さまざまな米軍兵士の不祥事が、報道があったわけで、そのことで、より地元対策というのは重要になってきたんじゃないかというのが私の問題意識なんですが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 まさしく、ここは委員の御地元でもあるわけで、どうだったか、市民の皆様方がどのような反応をお示しになったか、迷惑なさったことはどのようなことかということをいろいろお教えいただいておると思いますが、今後ともお教えをいただきたいと思います。

 これは、また別の機会に答弁を申し上げるかもしれませんが、アメリカの兵隊さん、基地の外に居住をしておる方々、これの基準というのは本当にこのままでいいですか、あるいは外出時間、このままでいいですかということは、私どもから本当に主体性を持ってちゃんと言っていかなきゃいかぬのだと思います。こういうことはアメリカに申し上げました、それだけで終わったらば、それは、沖縄に限らず、日本じゅうの方が御不安になるのではないでしょうか。

 私どもとして、こういうふうな確認をとって、このように実効性を持たせますということは、日本政府の責任でもあると私は思います。

津村委員 後段も含めて、大変貴重なといいますか大切なことを言っていただいたと思います。ありがとうございます。

 もう時間が余りないのですが、最後に、日米韓の安全保障環境について、韓国の大統領が新しく就任されましたので伺っていこうと思いますが、時間の範囲で伺っていく中で、まず、外務省さんに、きのう、新大統領と福田総理の初めての会談の成果の一つだと思いますが、日韓シャトル首脳会談の再開について合意を見たということであります。報道によれば、四月の二十一、二十二日ごろかという話もありますが、その開催地と、今後の開催地選定の予定について伺いたいと思います。

小野寺副大臣 日韓関係を改善するためにシャトル外交の再開ということ、委員の御指摘のとおり決定いたしましたが、開催につきましては、基本的に、まず一回目の開催、訪日ということになりますと、どうしてもやはり東京ということが通常の慣例ということになります。

 ただ、これはシャトル外交ですので、これから逐次開催ということになります。過去の事例を見ましても、その際には、地方を含めた開催地の検討ということが行われることが通常だと思っております。

津村委員 民間外交が日韓関係が冷え込んだときも非常に重要な両国関係の礎として続いてきたということを私は大変大きく考えているんですが、そういう中で、以前、シャトル外交では、指宿が、征韓論を唱えたとされる西郷さんの地元であえてやろうということでされたとか、一時期は、盧武鉉前大統領がゆかりのあった滋賀県でやること、滋賀県が要望されたとか、いろいろな話があります。

 今回、新大統領は大阪生まれということも伺いますが、さまざまな地域が手を挙げているのだと思いますけれども、今後どういうプロセスで、どういうことを勘案しながら検討されていくのか、教えてください。

小野寺副大臣 過去に、日韓首脳会談、日本の地方で行った事例といいますのは、京都市、大阪市、別府市、熱海市、指宿市で開催がございました。今後、やはり韓国側と相談しまして、地方開催に当たりましては、しかるべく適当な場所ということを選定することが大事かというふうに思っております。

津村委員 韓国側の意見を非常に尊重するということですか。それとも、日本側ではどんなことを検討するのか。以前は、警備のこととかもう少し詳しくお答えいただいたことがあるんですけれども、もう少し詳しくお答えください。

小野寺副大臣 基本的には、一義的に日本国政府で考えていくということになりますが、もちろん韓国側との相談ということも必要だと思っております。

 やはり過去の開催事例を見ましても、時の日韓の関係に合わせて適当な場所ということを検討していくことだというふうに思っております。

津村委員 きょうは総務省から谷口副大臣にもお越しいただいております。

 と申しますのは、やはりこの韓国との関係に関連するんですけれども、新大統領ないし新政権の幹部の方々は、日本に対して、いわゆる永住外国人の地方参政権付与について、テーブルの上であるいは下で、いろいろな形で働きかけをされているんだと聞いております。

 そうした中、副大臣は公明党の議員さんでもいらっしゃいまして、公明党さんは大変この問題に熱心に以前から取り組まれているわけでありますけれども、実はこれは、総務省の方では、経緯のある問題でもあるし、各党各会派で議論をしてくれというのが公式見解のようでして、そういう意味では、ここでの議論が一つ意味があるのかなと思って、実はきょうは呼ばせていただきました。

 谷口副大臣は、この永住外国人の地方参政権付与の問題についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。

谷口副大臣 今おっしゃったように、総務省といたしましては、永住外国人に対する地方参政権付与の問題というのは非常に重要な問題で、我が国の制度の根幹にかかわる問題である、各党各会派に御議論をいただきたい、こういうふうに考えております。

 今委員の方は、私自身がどうなのかという問いかけでありましたが、私も含めまして、公明党といたしまして、平成十七年十月二十一日に、永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権の付与に関する法律案を提出させていただいております。これが今現在、継続審査中ということでございます。私は、なるべく早急にこの法案を審議していただきたい、このように考えております。

津村委員 もう少し時間があれば、日米韓の防衛協力のあり方、最近少し実務者協議が滞っているようですので、お話を伺いたかったんですが、申しわけありません、時間が参りましたので、これで終わります。また伺わせてください。

嘉数委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

嘉数委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 本日は、防衛省改革に関する集中質疑ということでありますが、まず防衛大臣に、情報開示の姿勢についてお伺いをしたいと思っております。きのうちょっと情報開示の姿勢ということだけお知らせをしておいたんですが、少し具体的な二点の事項についてまず伺いたいと思っております。

 まず最初に、防衛省には防衛秘密の指定というものがあることは御案内のとおりであるわけでありますが、これがアメリカの場合には、国家安全保障情報の秘密指定について、二十五年以上を経過すると自動的に秘密指定が解除になるという規定になっております。それに対して、日本の場合は、これは昨年の当委員会でもやりとりをしたわけですが、秘密指定の解除は、一定の期間が経過をすれば自動的に解除をされるというものではない、また、実際に秘密指定が解除されたものというのは約一%程度であるという回答でございました。

 そこで、今後、日本でも、一定の期間が経過をすれば、自動的に秘密指定の解除がされるというようなシステムに変更されるようなお考えが大臣としてあるかどうか、まずその点からお伺いをしたいと思います。

石破国務大臣 これは政府全体の問題ですので、私がどうのこうのと言うべきものではないと思います。

 ただ、私は、何でアメリカ合衆国がそういうふうにしているんだろうかということについては強い関心を持っておりまして、二十五年という年数を区切って、いかなるものでも解除される。ですから、それによって、時の政府が言っておったことがうそではないかということがわかることもあるんだ、それはそれでもよいのだとされる理由は一体何なのだろうということを、一般論ですが、思ったりするわけです。

 もちろん、政府としてうそを言うべきではないし、日本政府がそのようなことをやってきたということを前提に申し上げておるわけではありません。私どもとして、そういうようなことはないし、だとするならば、一定年限が過ぎたときにそれを出す。

 ただ、そういうときに多分、安全保障、外交上のというお決まりのフレーズが出てくるんだと思うんです。私どもの国だけではなくて、ほかの国とのいろいろな関係がある。外交も安全保障もそうでございます。そのときに、我が国だけの一義的な判断でそれを出すということがいいのか。合衆国もそうだろうと思いますが、そこについてどうなのか、私はちょっと知識を持っておりません。御見識豊かな委員のお考えを教えていただければ、大変ありがたいと思います。

 私自身、情報は、一定年限が過ぎれば、それは原則として解除してもよいのではないかということは以前から考えております。

神風委員 もう一点、西山事件についてお伺いをしたいと思っております。

 申し上げるまでもなく、沖縄返還協定の裏で、米国が負担することになっていた費用四百万ドル、これを日本が肩がわりするという秘密合意があったという内容の事件であるわけでありますが、この密約の存在についても、政府は当時から一貫して否定をされてきている。

 ところが、二〇〇〇年になって、アメリカの国立公文書館の方で公開された資料によると、交渉の内幕が明らかになっている。つまり、アメリカではもう既に事実が明らかになっている。さらに、一昨年には、みずから交渉に当たられた吉野文六さんという元外務省のアメリカ局長が、密約の事実も認めていらっしゃるわけであります。

 それにもかかわらず、既に三十七年もたった今でも、政府はいまだに、秘密合意というものは一切ないという答弁を繰り返されているわけでありますが、石破大臣のこの姿勢についての御見解をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 日本政府の一員として、今の政府の態度、これを支持するものでございます。

 西山事件というのは、私も判決文を何度も読んでみました。判決そのものとは関係ないのですが、判決の何が問われたかというと、その取材方法が問われておったのであって、報道の自由そのものについて踏み込んだ判決があったわけではございません。

 そうすると、二つの側面があって、外国でそうでないということが明らかになって、日本政府としてどうするんだということが一つ。もう一つは、報道の自由というものを、外交上の秘密というものと絡めて、どのように考えたらいいのだということが一つございます。これは、私の中でも解が今のところございません。

 ただ、繰り返しになりまして恐縮ですが、政府の一員であります以上、日本政府の立場というものに私自身変わりはございません。

神風委員 今二点について伺ったわけですが、そうした質問をさせていただいたのは、これまで私も、安全保障委員会なりあるいはイラク支援特別委員会なりで質疑をさせていただきましたが、やはり防衛省の中に、防衛省の情報開示に対する姿勢として、本当に何が秘密なのか、秘密にしなければならないのか。一方で、どこまでの部分を公開すべきなのか、公開できるのかということがわかっていないのではないかなというのを非常に痛感するわけであります。

 本当に秘密のものだけ秘密にすれば、その秘密のルールというのも非常に守られるのではないかなと思うわけでありまして、逆にそれが非常にあいまいな形で、何でもかんでも秘密ということにしているために、その本当の秘密というものが守られていないのではないかなということを痛感するわけでありまして、例のイージス艦の情報流出事件、そういったことも、そういったことが原因となって、いとも簡単にああいう事件が発生するのかなという気がするわけでありますが、それに関しての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 後でややこしいことになるのが嫌なので、何でもかんでも秘密だということでぺたぺたぺたということになりますと、これはそういう意識が弛緩してしまうと思うのですよ。何が秘なのか、何が特別防衛秘密なのか、防衛秘密なのかということは、基準をきちんと定めまして今標記も行うようにいたしております。何でもかんでもやたら秘というのはだめということで、省内のいろいろな書類、文書を整理いたしておるところでございます。

 もう一点は、これが、イージスの場合には書類が出たわけじゃないんですよね。コンピューターを使って、そこの情報を例えば可搬式記憶媒体に入れたとか、そういうようなことになるわけです。そうすると、例えばそういうものであれば、これが防衛秘密に入ることぐらい当然わかるだろうという話であって、ここは実質秘、形式秘めいた話になるのですが、やはり標記を付せるものと、そうではなくてもこれは防衛秘密であるということをきちんと認識させる、これがどっちも大事なことなのだろうと思っております。

 イージスの本当に性能に係るデータなどというものは、これはだれが見たって、その辺の童子であればともかくとして、海上自衛官であれば、だれが見たってこれは防衛秘密に当たるということはわかるはずなのでございます。ですから、そこのところの認識の徹底というものにどこか穴があるのではないか。

 ただ、いずれにしましても、そういうデータを家に持ち帰らない、私物のパソコンは持ち込まない、可搬式記憶媒体は家に持って帰らない、そういう面の対策はすべて講じたものでございます。

神風委員 今回のイージス艦の衝突事故についても、防衛省の一連の情報開示の姿勢に対して同様のものを感じるわけであります。ある意味で、国民の皆さん方も防衛省に対して、その不信感あるいは怒りを相当募らせているなということを感じるわけであります。

 これまでも何回か質疑があったと思いますが、きょうの新聞に報道されておりました。二十日午前八時半に、清徳丸の発見は衝突十二分前であったということを、そういった確定情報を防衛大臣が得ていたにもかかわらず、同日の午後五時の自民党国防部会までそれが公表をされなかったということでありますが、それはなぜですか。

石破国務大臣 るるお答えをいたしておるとおりであります。

 一つは、その情報の判定。つまり、五十五分なのか、一時、五十三分という話もあったのですね。これが五十五分というふうに判定をする。それができたのが二十日の日、翌日の午前二時四十分かなんか、そういうような報告を受けております。それがとりあえずのものとして私にもたらされました。これが朝の話。

 そうか、普通はそういう明かりが先に見えていなければおかしいよね、普通見えるよねということを、私自身問題意識として起こったときからずっと持っていたものですから、これを明らかにしていいのかということの確認に時間がかかっております。

 別に、自民党の国防部会があるので、それをねらってその時点でということを考えたわけではなくて、ここは体制に問題があったと私は思っていますが、同じ時間に報道官の記者会見がございました。そこでは、報道官はそのことを知っておりませんでしたので、十二分前に確認をしたということを申すことができませんでした。したがいまして、マスコミの皆様方からすれば、何だ、自民党の部会で言って、報道官が同じ時間にやっているのに全く違う内容とは何だというお怒りを買っておるわけであって、その点は、私自身反省をし、おわびをしなきゃいかぬというふうに思っております。

 私自身、これは言いわけで、何の言いわけにもなりませんが、御党の部会もそうだと思いますが、自民党の部会というのは、記者さん、カメラさん、全部入って冒頭の発表は行われるわけでございます。したがいまして、マスコミをシャットアウトしてとか、そういうようなつもりはございませんでしたが、そこは反省する点が多々あると思っております。

 長い答弁になって恐縮ですが、私自身、何もわかりません、調査中ですということはやるべきではないということを事故当初から申しておりました。詳細確認中ですがという言い方をつけた上で、出せるものは出そうということを最初申しました。それは、私が間違いなく申しました。詳細確認中というものをぼろぼろ出すということはやはりよくなくて、事実として、ファクトとして明らかに確認されたもの、そして捜査の厳正を確保する上で、出しても差し支えないもの、この二つの要件を満たしたものは可能な限り出すということが、私は、あるべき姿ではなかったか。

 今回のを出すに当たって幾つかの混乱がございましたのは、その点の確認を十分行わなかったということの反省を私自身強く持っております。

神風委員 報道官は、同じ時間帯に、発見は二分前でしたと。大臣は、自民党の国防部会で十二分前でしたと。これは、自民党の国防部会の方が公共性が高いという意識なんですか。

石破国務大臣 そういう意識は全くございません。

 連絡の不徹底ということで、私自身は、その時間に報道官会見が行われていることを知りませんでしたので、もし知っておれば、それは知らなかったこと自体悪いと言われればそれまででございます、ごめんなさい。そういうことであれば当然、自民党の部会で申し上げることを報道官会見の同じ時刻にも申し上げなければいけないという指示を、もし知っておれば出したと思います。その点は、幾重にも申しわけのないことだというふうに思います。

 そっちが重いとか軽いとか、そんな意識を持ってやったものではございませんし、重い軽いというような意識を持っているとするならば、その意識は間違いだと思います。

神風委員 これは福田総理にも、自民党の部会前後に至るまで報告がなかったということでありますが、それはなぜですか。

石破国務大臣 それは、総理からいただいております御指示は、とにもかくにも、遭難して行方不明になっておられる方々、そういう方々の捜索救難に全力を尽くせという御指示をいただいております。そのときに、五分前でした、いや十二分前でした、そういうことをそれぞれ総理に御報告申し上げるということではないと思います。

 それは私自身が責任を持ってやっていかねばならないことでございまして、当然総理に対して御報告を上げるべきものではございますが、私として、五分前にまず見ておりました、その後で十二分前にも確認をしておりました、それは今後、捜査当局によって、だれが、いつ、何をし、それがどのような連携体制になったのかということは明らかになってくるものでございます。

 そういうような状況の中で、自己正当化とか隠ぺいとか、そんなことは考えつくはずもないし、できるものでもございません。こういう事故が起こったときに、政府部内の緊急対処とは別に、これがなぜ起こったかという原因の解明、そこについての情報の出し方、共有の仕方、これは一つのルールが必要だというふうに、私は個人的には思っております。

神風委員 今大臣がお話しされたような心情というのは、ある意味で「あたご」の乗組員にも共通するものなんだろう。だから、一時間半あるいは二時間、総理にも報告がおくれたということではないんですか。

 つまり、大臣は、そういった不確定な情報であってもとにかく一報を入れろというお話をこれまでもされてきた。二分か十二分前かというのは、この事件の場合にはかなり重要な要素だと私は思っております。その一報だけでも総理にお伝えするというのが本当ではないんですか。それが不確定であるから確定してからお伝えをするんだ、それはまさに、「あたご」や今回の防衛省の連絡のおくれの心情と全く同じ構図じゃないですか。

石破国務大臣 それは全く同じだとは私は思いません。なぜならば、こういう事態が起きて緊急的にどう対処するかということと、一体なぜこれが起こったのかというのは別物だというふうに思っております。私自身、精査もしていない、正確な情報も持っていない、そういうような、ある意味で精査ができていない、生煮えという言葉は不適当かもしれませんが、そういう状態で何でもかんでも総理に上げるということには自制がございます。

 しかし、こういうことがあって、まず政府として、人命救助に最大限の全力を挙げなさいということは、最高指揮官である総理から迅速にいただく。それは、私が同じ判断をしたとしてもです。指揮命令の問題と判断の問題と、時間差あるいは判断の基準、それはおのずから異なるものだと思っております。

神風委員 いずれにしても、情報開示というのが信頼回復の第一歩であると思います。

 そういう点で、現在、海上保安庁が調査中であるからということでなかなか情報が開示をされないわけでありますが、海上保安庁としては、この事案、どういう形で情報開示をされるのか、いつごろその御予定があるのか、それについて教えていただきたいと思います。

石橋政府参考人 海上保安庁におきましては、本件事故が発生しました十九日以降、関係者の取り調べや衝突状況についての専門家による鑑定などの捜査を進めているところであります。こうした捜査によって、護衛艦「あたご」と漁船清徳丸の位置関係や衝突に至る経過等の事実関係を明らかにし、また海上衝突予防法の規定に照らしつつ衝突原因を究明していくことで、関係者の刑事責任について調べていくこととしています。

 これら捜査を引き続き慎重に進めていくためには、一定期間を要し、現時点では具体的な捜査の終結時期を申し上げることができる段階ではございません。また同様、内容につきましても、現時点において公表の時期を申し上げる段階にはありません。

神風委員 二十年前の「なだしお」の衝突事件のときにも、海難審判庁での裁決がされるまで、事件発生から二年ぐらいかかっているわけであります。最終的に司法の決着がつくのは六年ぐらいかかっていた。

 しかしながら、そうした法的な責任の解明とは別に、事故の検証についての情報開示というのは早急に行うべきだと思いますが、これについてはいかがですか。

石橋政府参考人 海上保安庁としては、捜査機関として今現在捜査を進めているということでございます。もちろん、その中で原因の究明ということも当然やるわけでございますけれども、現在、そういったことで関係者の刑事責任について調べております。

神風委員 連絡のおくれが、先ほども申し上げたわけでありますが、例えばこれがミサイル防衛の場合、この連絡の体制というのはどうなっているんでしょうか。何分以内にそれが大臣まで届かなければいけないというようなシステムになっているんでしょうか。

石破国務大臣 これは何分ということをきちんと申し上げることはできません。なぜならば、どこから撃たれたか、どういう状況でそれが飛来をしているか、そういうことによってそれぞれ違いますので、例えば五分ですとか十分ですとか、そういうことを申し上げることはできません。

 これはミサイル防衛法制のときにも議論したことでございますが、具体的な作業といたしましては、情報の伝達を受けた防衛省の中央指揮所の勤務員が、通報上の音声メッセージを作成した上で一斉通報を行うということになっております。これらの弾道ミサイル飛来に関する情報は、自衛隊の部隊または米軍から中央指揮所に伝達された後、あらかじめ登録された防衛省・自衛隊、関係行政機関及び内閣総理大臣官邸の連絡室に対し、これは専用の機器を使用して一斉に通報するという形になっております。

 ですから、専用の機器を通じて、そういう状況にありますよ、こういうようなことが起こりましたよということについて一斉通報がなされますので、人の手をいろいろ介します今回のような事故対処とはやや異なっているということでございます。

神風委員 海上保安庁に伺いますと、艦船の航行というのはあくまでも目視が基本であって、レーダーというのは目視を補うためのものであるというような認識を伺ったわけでありますが、これは、イージス艦を初めとした自衛艦においても、その目視が基本であるという姿勢に変わりはないんでしょうか。

石破国務大臣 私どもとして、海上衝突予防法が、目視が基本だというふうに条文として書いてあるとは理解をいたしておりません。これは、条文をそのまま理解すべきものであって、目視が基本、レーダーが補助とか、そういうものではない。あるいは、温度でありますとか風向きでありますとか、そういうものも全部、かぎ括弧をつければ、「総合的」で判断をされるものであって、目視が基本という認識は持っておらない。目視が重要ではないということを申し上げているわけではございませんが、条文からは、そのとおりは読めないのではないかと私は思っております。

神風委員 海上自衛隊の自衛艦では通常、日中は二時間半、夜間であれば二時間ぐらいでこうした当直体制が交代するというようなことを伺いましたが、この交代のシステム自体に不備があるという認識はおありなんでしょうか。

 つまり、今回も、二十六人全員が四時前後ですかの時点で交代をしている。それを、例えば半数交代に変えていくとか、あるいは、危険が予想されるような場合には交代の時間を延長するとか、そこら辺の対応はどういうふうになっておるんでしょうか。

石破国務大臣 委員は、今回の「あたご」がどうであったかというお尋ねではなくて、一般論としてどうなのかというお尋ねではないかというふうに理解をするところでございます。

 今回のことがどうであったかにつきましては、これは、当時の状況を申し上げることは捜査の核心に触れるということに相なりますので、今回どうだったかというお話はできません。

 ただ、見張りが全部交代する、例えば二時、四時、六時というふうに二時間ごとに交代が行われるわけですが、そこの引き継ぎというものはかなり詳細に行われる。つまり、一、二の三と、AチームからBチームというふうにごそっと入れかわるという話ではなくて、AチームからBチームにかわるときに、引き継ぎというものは詳細に行われる。こういうような目標が見えているということについてちゃんと確認が行われ、引き継ぎが行われている。それが一般だと私は認識をいたしております。

 ですから、ごっそりかわっていたんだというような言い方は、それは、全く知らない人がやってきて、もう一回目標の視認から始めるというふうな印象を与えるかもしれませんが、そういうような交代の仕方は、私どもの船でもそうでございますし、商船においても同様の、そのようにごっそりかわって、何もわからない人が目をならすところから始めるというようなことは行わないものでございます。

神風委員 「あたご」は、清徳丸と衝突をする直前に警笛を五回鳴らしたという報道がある一方で、複数の僚船の乗組員らはいずれも、そうした警笛は聞いていなかったと口をそろえているわけでありますが、これは一体どちらが正確なんですか。

石破国務大臣 現時点で、私どもとして、汽笛を鳴らしたかどうかについて、情報は持っておりません。

 汽笛というものは、何か報道等々を見ておりますと、汽笛が鳴るともう全員が飛び起きるような、そんなすごい音であるぞというような報道もあれば、そこまで大きくはないけれども、それはブリッジに出ている者、そういう者は当然気づくんだという議論もありまして、そこは、汽笛というものを鳴らしたとするならば、あるいは鳴らさなかったとするならば、その場の関係者が認識をしていないということはあり得ないと私は思います。

 この件につきまして、私は、汽笛を鳴らしたかどうかについて、現在情報を持っておりません。

神風委員 二十年前の潜水艦「なだしお」の事案というのは、今回の事案で何か生かされたものはあるんでしょうか。「なだしお」の教訓というのが生かされたものはあるんですか。

石破国務大臣 「なだしお」は潜水艦でございましたので、教訓というものは幾つも、潜水艦に特化したもの、そうではないものがございます。

 教訓として、水上艦にも当てはまりますものは、例えて言うと、東京湾など船舶ふくそう水域などにおける航行安全を図るため、海上交通センターとの情報交換の確実な実施ということが一つございます。ただ、この野島崎沖を航行しますときに、海上交通センターとそういうような情報をとり合っていたかどうか、そのことにつきましては、私は現在知識がございません。

 もう一つは、事故等の不測の事態が発生した場合の情報伝達要領の整備ということでございます。例えば、海上保安庁へは現場から直接通報をすることとしたというようなことでございます。

 水上艦に限りましての教訓というのは、再発防止策というのは、今申し上げた一番、そして二番は潜水艦特有のものでございますが、飛ばしまして、三番ということでございます。

神風委員 報道によりますと、吉川海幕長の更迭の方針であるという報道がなされておりますが、これは事実でしょうか。

石破国務大臣 現時点で、人事権者であります私から、海上幕僚長の進退について申し上げる立場にはございませんし、申し上げるべきだとは思っておりません。

 なお捜索救難ということについて全力を挙げるということが、当面の私どもの責任でございまして、それは、海上自衛隊のトップであります海上幕僚長も、そういう強い認識のもとに毎日事態に当たっているというふうに私は認識をいたしておるところでございます。

神風委員 この吉川海幕長は、イージス艦の情報漏えい事件、あるいはインド洋での海上自衛隊の補給艦の給油量訂正、また航泊日誌の誤破棄問題など不祥事続きのために、いずれにしても三月末で辞任をするということが確実視をされている方であるということをお聞きしておりますが、それは事実でしょうか。

石破国務大臣 いろいろな報道はなされておりますが、最終的に決定し、決裁をするのは私でございます。このように決めたということはございません。

 それは、人事というのは常に動くものでございます。そうしますと、本当に最終的な判断というものは、本当に直前になってなされるものであって、このように予定をしておるとか、そういうような報道というのは、あるいは往々にして違う場合があるだろうと。

 人事権者はいろいろなことを考えて人事を行うということは、委員もよく御案内のとおりでございます。

神風委員 福田総理が、今回の自衛隊の、防衛省の一連の対応に関して、これは体質の問題であろうかというような発言をされておりましたが、ちょうど二年前の防衛施設庁の官製談合事案のときにも、これは防衛施設庁の体質である、閉鎖性であるとか排他性、あるいは特権意識が強いからだと。そのために、防衛施設庁を解体して、本庁と統合をして、それによって問題が解決されるんだというようなことを当時言われていたわけであります。

 そしてまた、それが統合されて、こういう形で、体質の問題であるということが言われるわけでありますが、ぜひ、その体質を本当に変えていただきたいと思います。

 私自身は本当に、この防衛省の改革をするためには、石破大臣というのは非常に最適な人物であろうと思いますし、大臣の責任を持って防衛省の改革というのは進めていただきたいと思うわけでありますが、と同時に、やはりけじめはけじめとしてつけられる必要はあるのであろう。今、少しお話をしましたが、辞任間際の海幕長の更迭という形で、それでけじめがついたということはあり得ないと思っておりますが、御自身のけじめのつけ方として、今お考えがあればお示しをいただきたいと思います。

石破国務大臣 これを自己正当化と受け取られるととても御迷惑をおかけしますが、やはりその御家族が、あなた、やめないでくれ、絶対やめちゃだめだよと言われたことは、私には物すごく胸に重く存在をいたしております。

 事故の原因究明、再発防止というのは、委員御指摘のように、そんなに簡単なものだと私は思っておりません。

 そしてもう一つは、これは再発防止とつながるのかつながらないのか、もっと大きな議論なのかもしれませんが、文民統制の主体というのは、国民に対して責任を持つ政治家です。この政治家が本当にコントロールできる組織なのだろうか。

 私は、正直言って、防衛施設庁というのがあったときに、防衛施設庁に足を運んだことというのは数回しかございませんでした。あるいは技術研究本部、あるいはいろいろな特別な機関がございます。政治が見てコントロールしやすい組織なんだろうかということを考えたときに、やはりいろいろと政治のコントロールが行き届くような組織にしていくということは必要なことではないのだろうか。どこでだれが何をやっているかよくわからないというような組織は、やはりそれはシビリアンがコントロールしにくいのではないかというふうに思っております。

 そこまでできるかどうか、それはわかりません。わかりませんが、責任のとり方は自分で考える。しかしながら、再発防止策というのはきちんと講じたい。

 そして少なくとも、防衛省改革というものが不可逆的に動いていく、いつの間にか消えてしまうということではなくて、民主党さんは民主党のお考えがあるだろうと思う。あるいは、各党とも各党のお考えがあるだろうと思う。もし自分が防衛大臣なりせばこの組織はどうなのだという意識を持っていただいて、私は議論をしていただきたいと思っているんです。

 来てみたら、こんなことだと思わなかったということであるならば、今お預かりしている我々がちゃんとしなければいけないことだと思っておりまして、コントロールされる側の立場から、この組織はどうなのだという議論をぜひ政治の場で賜りたいと思っております。

神風委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

嘉数委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、イージス艦の衝突事件について聞きます。

 イージス艦「あたご」が清徳丸に衝突し沈没させた事件が発生してから、ちょうど一週間たちました。吉清さん親子は今も行方不明のままであります。

 まず、海上保安庁に聞きますが、捜索救助活動の現状は今どうなっていますか。

石橋政府参考人 事故発生後、海上保安庁は、海上自衛隊、水産庁、千葉県、それから海洋研究開発機構及び僚船等と協力、調整し、夜を徹して捜索してまいりました。

 また、発見された船体については、海上保安庁特殊救難隊等による船内捜索を実施しましたが、いまだ乗組員二人は行方不明となっています。

 引き続き、海上自衛隊、水産庁、千葉県、海洋研究開発機構とも協力して、行方不明者の捜索に当たってまいります。

赤嶺委員 きのうのニュースを見ていましても、家族の申し出を受けて、地元の漁協は捜索を打ち切っております。そうした申し出をした家族の思いというものを考えますと、本当に胸が詰まります。

 改めて、お二人の捜索に全力を挙げるよう政府に求めたい、このように思います。

 きょうは防衛省改革に関する集中審議ということになっておりますが、防衛省改革というのであれば、今日求められるのは、やはりあの「なだしお」事件の教訓が生かされているのか生かされていないのか、この点に改革の核心があるだろうと思います。

 事故原因の究明についてでありますけれども、軍艦が漁船に衝突し沈没させるなどということは、絶対にあってはならないことです。しかも、その後の防衛省・自衛隊の対応が、自分たちに不利な情報は出さないで有利な情報ばかり出してきたことに対し、国民の怒りと不信の声が上がっています。政府には、きちんとした情報を積極的に明らかにする責任があるだろうと思います。

 海上保安庁に聞きますけれども、現在の捜査状況、これについて説明していただけますか。

石橋政府参考人 海上保安庁においては、本件事故が発生した十九日以降、関係者の取り調べや衝突状況についての専門家による鑑定等を進めているところであり、こうした捜査によって、護衛艦「あたご」と漁船清徳丸の位置関係や衝突に至る経緯等の事実関係を明らかにし、また、海上衝突予防法の規定に照らしつつ衝突原因を究明していくことで、関係者の刑事責任について調べていくこととしています。

 これら捜査を引き続き慎重に進めていくためには一定期間を要し、現時点では、具体的な捜査の終結時期を申し上げることができる段階ではありませんが、衝突原因の早期究明に向け、取り組んでいくこととしております。

赤嶺委員 報道ですと、二十日には、衝突のときについたと見られる「あたご」の傷の検証、二十一日には、清徳丸の船体の実況見分に着手した、こうあります。

 報道では、「あたご」は、清徳丸の左舷側にほぼ直角に乗り上げる形で衝突したと見られる、このように伝えられていますが、そういうことか、これまでにどういう事実を確認しておりますか。

石橋政府参考人 護衛艦「あたご」の主な損傷状況等につきましては、艦首部先端の一部に塗膜が剥離して地金が露出、それから艦首部先端から右舷側後方に向け地金が露出、それと右舷側に「あたご」の塗料とは異なると思われる塗膜が付着といったような状況が認められております。

赤嶺委員 今のは「あたご」の右舷側ということですか。清徳丸についても。

石橋政府参考人 現在のは「あたご」の関係でございます。

 それから、清徳丸の損傷状況につきましては、船体が分断、破断面は鋭く切断されておりますけれども、他の船体各部には大きな損傷は認められません。左舷側には、清徳丸の塗料とは異なると思われる塗膜が付着しているといったことが認められております。

赤嶺委員 海上衝突予防法のことが先ほどから言われておりますけれども、民間船舶であろうと軍艦であろうと、船舶同士が互いに進路を横切る場合、相手を右舷に見る船舶の方に回避義務がある、これは間違いないですね。

米岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の横切り船の航法の概要でございますが、海上衝突予防法に規定します横切り船の航法は、二隻の動力船が互いの進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときに適用される航法でございます。

 他の船舶を右舷に見る船舶は、他の船舶の進路を避けなければなりません。この場合において、他の船舶の進路を避けなければならない船舶は、やむを得ない場合を除き、他の動力船の船首方向を横切ってはならないというふうになっております。

赤嶺委員 横切り船のルールという予防法の立場から見ても、先ほどの海上保安庁の説明、清徳丸の左舷側に塗料が見つかっており、右舷側には付着していない、こういうところから見ても、「あたご」に回避義務があったことはもう明らかだろうというぐあいに思います。

 もう一度確認しますけれども、海上保安庁としては、海上警察の警察権の行使として、刑法百二十九条二項の業務上過失往来妨害被疑容疑で「あたご」の家宅捜索を行い、乗組員の取り調べを行い、物証である艦艇の破損状況を鑑定し、衝突状況の解明を進めている。つまり、刑事責任の追及のための捜査、あるいは事故原因の解明と再発防止を目的とする海難審判をやるための捜査を行っている、そういうことで間違いないですね。

石橋政府参考人 海上保安庁としては、現在、刑事責任について調べております。

赤嶺委員 きのうから予算委員会での答弁を聞いていますと、何か海上保安庁からの要請を受けて、石破大臣は、基本的な事実関係すら説明しなくてもいい、そういうふうに受け取られるような答弁が続いています。

 今回の事案は、船舶と船舶の衝突事故です。陸上でいえば交通事故です。軍事機密でも何でもありません。しかも、海難審判で事件が決着するのはずっと先のことになります。それまで防衛省が何も説明しなくていいなどということではないと思います。

 先週、防衛大臣に千葉県漁連が申し入れを行いましたが、その中には、防衛省においては、行方不明者の捜索に全力を挙げることはもちろん、正確な情報開示、速やかな原因究明、及び房総半島並びに東京湾周辺海域における漁業操業実態を十分に把握した再発防止対策を講じられたい、このように要請しております。

 基本的な事実関係、衝突の原因と再発防止策、これを明らかにするのは、衝突を引き起こした防衛省・自衛隊の当然の責任だと思います。

 そこで、防衛省の運用企画局長に聞きますが、防衛省が出してきた今回の衝突についてのペーパーによりますと、まず衝突の発生時刻は十九日午前四時七分とあります。海幕防衛部長が十九日に行った記者ブリーフでも、平成二十年二月十九日火曜日四時七分ごろと説明しています。これはどのように確認されたものですか。

徳地政府参考人 この件につきましては、二月の十九日の日に「あたご」の航海長から聴取したものに基づくものでございます。

赤嶺委員 「あたご」の航海長が四時七分ということですね。

 さらに、防衛省のペーパーによりますと、衝突の発生位置、これは野島崎の沖合約四十二キロメートルとあります。具体的な衝突地点の経度、緯度、これを明らかにしてくれますか。

徳地政府参考人 今私どもが聞いておりますのは、北緯三十四度三十一分、それから東経百三十九度四十八分ということでございます。

赤嶺委員 この北緯三十四度三十一分、東経約百三十九度四十八分、これはどのように確認したものですか。

徳地政府参考人 これにつきましては、「あたご」から海上保安庁への国際VHFによる通報であるという報告を受けております。

赤嶺委員 そうすると、防衛省は、海上保安庁からそういう報告を聞いたということですか。

徳地政府参考人 今申し上げましたような通報を海上保安庁にしたということを、通常の経路に従って報告を受けております。

赤嶺委員 「あたご」の方から海上保安庁に報告したということを皆さんが聞いたという理解でいいんですか。

徳地政府参考人 「あたご」から海上保安庁の方に先ほど申し上げたような位置を通報したということを、「あたご」の方から上級部隊を通じて報告を受けているということでございます。

赤嶺委員 「あたご」から聞いたということですね。

 それで、防衛部長はやはり記者ブリーフで、衝突前の「あたご」の速度について約十ノット、このように説明しております。これはどのように確認したものですか。

徳地政府参考人 これにつきましても、当初、最初の段階で海幕の方で聴取した内容の中に含まれているものと思われます。

赤嶺委員 今回の記録なんですが、海上保安庁、民間船舶の場合は、針路を自動的に記録するコースレコーダー、針路記録器というそうですね、それから、全速前進や半速など、どのような操作を行ったかを機械的に記録するエンジンロガー、機関操作記録器、GPS、これを積んでいると聞いていますけれども、間違いないですか。

石橋政府参考人 大きさは、たしか三千トン以上の一般船舶には、そのようなものが義務づけられておるということを承知しております。

赤嶺委員 報道によると、「あたご」には、こうした針路や速度を記録する航海情報記録装置、これは積んでいなかった、石破大臣もそのように答弁したと思いますけれども。このような基本情報を記録していないということは、さっきの説明からしてもちょっと考えにくいわけですよね、やはり緯度なんかもきちんと報告されているわけですから。実際には記録があるのではありませんか。

徳地政府参考人 護衛艦の「あたご」には、日付、時刻、位置、速力、船首方位等の航行情報を常時記録できる装置を装備はいたしております。

赤嶺委員 そうすると、先ほどの報告というのも、これらの装置に基づいて報告されたものというぐあいに理解していいですね。

徳地政府参考人 「あたご」には、常時記録できる装置は装備をしておりますけれども、先ほど申し上げた緯度、経度について、そのような機械に記録をされているかどうかということについては確認に至っておりません。

赤嶺委員 緯度、経度というのはどうやって確認したんですか。あれは機械でないと、装置がないと確認できるものじゃありませんでしょう。「あたご」はどうやってやったんですか。

徳地政府参考人 この装置に記録が実際になされているかどうかということについては、確認をしておりません。

赤嶺委員 こんなこと、いわば装置あるいは機械がなければできないような記録、こういうことは捜査とは何の関係もないわけですね。捜査に影響を与えることもないわけですよ、客観的な記録ですから。それらの記録については、国会にきちんと防衛省として報告すべきではありませんか。

徳地政府参考人 先ほどの御答弁の繰り返しになりますが、「あたご」においては、記録をできる装置というもの、先ほど申し上げたような航行情報を記録できる装置を装備はしておりますけれども、これについて記録しているかどうかということについては確認をしておりません。

赤嶺委員 確認したらどうですか、防衛大臣。これは機械でしょう。捜査に何の影響を与えるんですか。これは基本的な情報ですよね。事故を起こしたのは防衛省じゃないですか。確認して、国会に提出すべきではありませんか。

徳地政府参考人 お答えいたします。

 今の先生御指摘の点につきましては、現在、海上保安庁による捜査が行われているという段階でもございますので、この点については、私たちとしては確認をいたしておりませんし、これ以上のことを今お答えできる用意はございません。

赤嶺委員 これらの装置というのは今どこにあって、そして、だれの管轄のもとにあるんですか。

徳地政府参考人 この常時記録できる装置というものは「あたご」にございますが、現在、今それがどのような状況になっているかということについて、私どもは承知をしておりません。

赤嶺委員 だれの管轄のもとにあるのか。あなた方の船でしょう。だれの管轄のもとにあるんですか。

徳地政府参考人 これは船に、護衛艦に搭載されているものでございますので、当然、その護衛艦のいわば管轄と申しますか、そこの中にあるわけですが、今現在どのような状況になっているかということについては、私ども具体的に承知をいたしておりません。

赤嶺委員 そんな客観的な事実さえも確認しようという姿勢がないのかなと思ってしまいますけれども。

 衝突をしてから、海上保安庁による「あたご」の検証と捜索、差し押さえ、これが開始されるまで十二時間以上ありました。たとえ今「あたご」が、その装置がどこか仮に海上保安庁の管轄のもとにあったにせよ、その十二時間、当然、その間に必要なデータについてはコピーをとっていたのではありませんか。

徳地政府参考人 承知をいたしておりません。

赤嶺委員 確認したらいかがですか。

徳地政府参考人 二十一日の日に、海上保安庁の方から、乗組員への接触は遠慮するよう連絡がございました。このようなこともあり、我々の方といたしましては、現在、そのように確認をするということは、今のところ考えておりません。

赤嶺委員 接触をして情報が隠されたりしたらたまりませんから、海上保安庁もいろいろ考えるんでしょうけれども、今私が求めたのは、客観的な機械の記録ですよ。そんなのは、国民に対する最小限の説明責任だと思いますよ。

 最近の民間船舶、ARPAと呼ばれる自動衝突予防装置、これを設置していると聞いておりますけれども、このような装置、これは「あたご」を含めて海上自衛隊の艦船には積んでいるんですか。

徳地政府参考人 そのような装置は積んでおりません。

赤嶺委員 防衛部長の記者ブリーフで、「あたご」がハワイを出港した時刻は二月七日五時二分、横須賀への到着予定時刻は二月十九日の午前九時、このように述べておりますが、これは間違いありませんね。

徳地政府参考人 「あたご」は、ハワイ沖で試験に従事をいたしておりまして、十九日の当日、横須賀に入港する予定でございました。

赤嶺委員 先ほど私が言った時間、ハワイを出発した日付は間違いないかと聞いているんですが。

徳地政府参考人 恐縮ですが、今資料を持ち合わせておりませんので、今お答えする用意がございません。

赤嶺委員 今まで聞いたのは、国会に提出をしても何ら捜査に影響を与えない客観的な記録やデータなんですよ。しかも、それはあるわけですから、そういう装置もあるわけですから、やはり防衛省は、国民への説明責任の最小限を果たすという意味での、具体的な衝突時刻、衝突地点、衝突前の「あたご」の速力、衝突前の針路、衝突時の船首方位、これらの航行情報、この記録を提出すべきものだと思いますが、理事会で検討していただけますか。

嘉数委員長 後ほど諮らせていただきます。

赤嶺委員 次に、「あたご」が漁船を確認してからどういう行動をとったのかという問題であります。

 防衛部長は、二十日の記者ブリーフで、三時五十五分ごろ「あたご」見張り員が清徳丸の灯火を視認したと思われる、このように述べております。漁船を初めて確認した、つまり初認したのは三時五十五分という説明であります。衝突の十二分前です。計算してみました。十二分前、衝突前の速度が十ノットだったとすれば、漁船との距離は少なくとも二マイル、三・七キロあったということになります。初認が本当にこの時点だったかどうかは別にして、少なくとも、この時点で回避行動をとっておれば衝突は避けられた。

 見張りは、灯火を確認すれば必ず、何がどういう方角に見えるのかをブリッジに逐次報告する。その報告を受けて当直士官は、レーダー員に具体的な情報を確認させながら行動をとる。見張りが報告しないなどということはあり得ないと思います。そうではありませんか。

徳地政府参考人 護衛艦「あたご」は、日本時間で、ハワイを出港したのは二月の七日というふうに承知をしております。

 それから、事故直前の状況でございますけれども、私たちといたしまして、公表をいたしておりますとおり、現時点までに報告を受けているところは、午前の三時五十五分ごろに護衛艦「あたご」の見張り員が清徳丸の灯火を視認したと思われるというところでございます。

 それで、この見張り員が、この認識について、艦の中でどのようにこの情報を扱ったのかというようなことなどにつきましては、我が方として今確認がとれているわけではございません。

赤嶺委員 この問題は、安全航海について「あたご」がどのように考えているか、防衛省自身が自己検証すべき課題だと思いますよ。やはり私は、見張りがどういう行動をとっていたか、ブリッジとの間でどのようなやりとりがあったか、当直の引き継ぎはどのように行われたか、これも防衛省としてきちんと明らかにすべきだと思います。

 そこでちょっと聞きたいんですけれども、海上自衛隊に事故調査委員会が置かれています。何をしているんですか。

徳地政府参考人 この事故が起こりました当日十九日に、海上幕僚監部の副長をヘッドといたします事故調査委員会が発足をしております。この事故についての調査を行うべく立ち上げたものでございます。

赤嶺委員 その事故調査委員会のメンバーを明らかにしていただけますか。

徳地政府参考人 今、そのメンバーのリストをちょっと持っておりませんが、委員長は海上幕僚監部副長でございます。

赤嶺委員 手元に持っていないというのであれば、ちょっとこちらから伺いたいんですが、護衛艦隊司令部の幕僚長、これはメンバーに入っているんですか。

徳地政府参考人 大変恐縮ですが、今リストをちょっと持ち合わせておりませんので、お答えしかねます。

赤嶺委員 こんな大事な事故調査委員会のメンバーについて答えられないんですか。おかしいじゃないですか。防衛省・自衛隊として、事故の調査についてはこういうメンバーで当たっている、今何が明らかになっている、これは国民に対する最小限の説明責任でしょう。

 メンバーについて、手元にないから答えられないということは、これは私納得できませんよ。答えてください。

徳地政府参考人 二十一日の日に、海上保安庁に対しまして、海幕の事故調査委員会による調査の可否について照会をいたしましたところ、海上保安庁の方からは、乗組員への接触は遠慮するようにという連絡を受けておるところでございます。

 調査委員会の状況は、そういうことでございます。

赤嶺委員 私が今聞いているのは、その事故調査委員会のメンバーに護衛艦隊司令部幕僚長、これが入っているかどうかを聞いているんです。こんなのは簡単じゃないですか。答えてください。

徳地政府参考人 同じことを答えて恐縮ですが、現在リストを持ち合わせておりませんので、申しわけありませんが、現在はお答えできません。

赤嶺委員 石破大臣、石破大臣の責任で答えていただけますか。

 この事故調査委員会、石破大臣も責任ある調査委員会だと思います。そのメンバーに護衛艦隊司令部の幕僚長、入っているんですか、入っていないんですか。

石破国務大臣 私も報告は受けておりません。

 それは、事故の原因というものを客観的にきちんと調査するために、だれがふさわしいかという基準で選んでおります。実際に、直属上級部隊であります護衛艦隊の幕僚長が入ることが必ずしもベストな話なのかどうか、これは、私どもの事故調査委員会で、きちんとした客観的な厳正な判断がなされるべきと思います。

 それから、一つつけ加えておきますが、委員は先ほどから、防衛省からどんどん情報を出せというお話でございます。他方、今局長から答弁申し上げましたように、接触はするなというふうに海上保安庁から言われておるわけです。そうしたら、どうすればいいんですか。接触をするなという状況で、それを侵して接触して、いろいろなことを知りましたということをどんどん国会に明らかにするんですか。そうすると、では、捜査の厳正性というのはどうやって担保されるんでしょうか。

 今、理事会に諮るべきだ、理事会で国会に明らかにせよというお話でございますが、捜査の厳正性、そして捜査当局の意向、我々は一方の当事者として、それは最大限尊重しなきゃいけないものだというふうに思っております。防衛省として事故原因を究明して、それを明らかにする。それはしたいです、私たちも。ですけれども、捜査が厳正、公平であるということは、私たちの明らかにしたいという欲求よりも、それはまさるものではないでしょうか。

赤嶺委員 大臣、私は、メンバーを明らかにしてくれと言ったんですよ。それが何で捜査の公正だとか厳正に影響を与えるんですか。当たり前のことじゃないですか。

 どういうメンバーで、防衛省としては、事故の発生原因、再発防止に取り組んでいますというのを国民に説明するのは、当たり前のことでしょう。そんな当たり前のことを説明できなくなったら、いや、これは捜査の公正、厳正にかかわる問題だなんて、そんな居直りが通りますか。ちゃんと説明してください。

石破国務大臣 いやいや、そんなことを申し上げているのではなくて、委員の構成というのは、それは幾らでも申し上げられます。ですから、御通告をいただいておれば、こういう者が委員でございますということの答弁はできました。ごめんなさい。それは、御通告を、よくしておかなかったからいかぬのだということかもしれません。それを明らかにすることは、捜査の厳正性とは関係のないものでございます。

 できれば、本当に審議の妨げになって申しわけのないことであります。事実関係につきまして、御通告いただければ、即座に対応できるように今後いたします。

赤嶺委員 私たち、どういう人がメンバーかというのは防衛省に聞いたんですよ。あなた方が答えないから、何で委員会の部屋以外のところでは答えたものを答えないのかなという思いをしているんですよ。答えないどころか、今度は捜査の公正だ、厳正だといって、そんなことじゃ本当に説明になっていないと思うんですよ。

 私、なぜそれを繰り返し今聞いているかというと、朝、大臣の答弁の中で、護衛艦隊司令部の幕僚長が「あたご」に乗船していたという説明がありました。衝突当時に「あたご」に乗船していたのと同じ上官が事故調査委員会のメンバーになるということ、これではまともな事故原因の解明はできないと思いますけれども、それはないですよね、大臣。

石破国務大臣 失礼しました。

 今入りましたのは、このメンバーは、海上幕僚副長、それから海上幕僚監部監察官、護衛艦隊幕僚長、海幕運用支援課長、総括副監察官等々で構成をされておるということの報告が今ございました。

 委員が私どもの政府委員に対してお尋ねになりましたときにお答えをしなかったとするならば、それは申しわけのないことでございます。私どもとして、私どもの事故調査委員会は調査委員会として、それは厳正に調査がなされるということであります。

 ただ、繰り返しになりますが、そこで知ったことを何でもしゃべっちゃうということになりますと、それは捜査の厳正性がどうなのだろうか。そこはやはり両々相まって、きちんと政府部内で調整をとっていかねばならないお話であるというふうに思っております。

赤嶺委員 今、大臣は、護衛艦隊幕僚長がメンバーの中にいるということでありましたけれども、その幕僚長が「あたご」に乗船していたわけですよね。いたわけですね。朝の説明でそのように答弁しておられますよね。乗船していた上官が事故調のメンバーになっている、これは違うんですか。そうなったら、もみ消すんじゃないかという不安が国民の間に起こるのは、これは常識じゃないですか。いかがですか、大臣は。

石破国務大臣 私は、それが常識だとは全く思いません。

 もみ消す組織だとか隠ぺいする組織だとか、そういうふうに先入観を持っておっしゃっておられるのではないかというふうに推測したら、それは失礼なのかもしれませんが、こんなこと、もみ消しようがありますか。こんなこと、隠ぺいのしようがありますか。私は、そんなことができるような、海上保安庁の捜査というのは厳正に行われるものだと思いますし、それはレコーダーというものもございます。例えば、方位、速力、そういうものはデータとして残っておるわけでございまして、人間的な細工のしようがないものがたくさんあるわけでございます。

 何で委員が先ほどからそれにこだわっておられるのかと思っておりましたが、護衛艦隊の幕僚長が入っている。それは乗ったときにもみ消したのではないかというようなお話ですが、上級司令部として、こういうときに何が起こったかということを把握するのは、それは指揮系統の責任というものでございます。

 そして、そこで聞き取ったことを、海上保安庁と情報をシェアするということも、それは常識でございます。それは上級司令部として、このような事故が起こったということについてまず情報を知悉する、どういうことか、それを捜査当局ときちんと共有する、私は、そういうことは当然行われてしかるべきものであり、行われない方がおかしいと思います。

赤嶺委員 発生当時に「あたご」に乗船していたのと同じ上官が事故調査委員会のメンバーになっているということになれば、李下に冠を正さずというようなこともありますから。さっきそういう答弁でしたでしょう。やはりそれは、国民の常識からしてちょっと違う、事件の真相解明がなされなくなるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

石破国務大臣 何か誤解をしておられるのかもしれませんが、発生後に護衛艦隊の幕僚長は乗ったのであって、発生時に乗っておったわけではございません。そこは、お間違いのないように御認識を賜りたいと存じます。

赤嶺委員 終わります。

嘉数委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社会民主党・市民連合の辻元清美です。

 本日も、二月の二十二日に引き続きまして、海自イージス艦の衝突事故について、石破防衛大臣にお尋ねをしたいと思います。

 まず最初に、情報開示の経過について。

 きょうの委員会でも取り上げられてまいりました。きょう、大きく報道されております。「あたご」見張り員が清徳丸に気づいた時間について、防衛省が当初二分前としていたのを十二分前と訂正した問題で、事故当日の十九日夜に石破防衛大臣に十二分前との連絡が上がっていたにもかかわらず、その後に行われた海上幕僚監部の会見では二分前と誤った情報を公表していたということが報道されています。先ほどからも質問されていますが、どうも不可解な点がありますので、事実関係をまず質問したいと思います。

 大臣、残念ですよ、こういう報道がなされたということは。私はきょう、「なだしお」との教訓をどう生かすかということを議論したかったんですけれども、またこういう報道が出ています。

 まずお伺いしたいんですが、きょうの議論の中で、当日の経過です、当日から数日間の。なぜ二分が十二分になり、大臣はいつ知られたのかという事実経過をまず確認したいと思います。大事な点だと思うんですよ。もしも大臣がちゃんと知らされていなくてブリーフィングをするとか発表をするとか、そういうことが、これは本当はあってはならぬことなんですね、もしも大臣に情報を上げていなかったとしたら、これはもう大変なことになります。ですから、ここの事実経過をきちんと確認させていただきたいと思うんです。

 大臣は、退路を断ってまでやると前回の質疑で私に対して答弁されましたので、非常に緊迫して仕事をされていると思います。その中での情報伝達というのはとても大事だと思いますから、事実関係を確認したいと思います。

 きょうのやりとりで、まず、十九日の当日、別の委員の問いに対して、その問いというのは、「あたご」の航海長がヘリコプターで海幕に来て、これは午前十時ごろと言われていますけれども、説明をしたと。先ほど大臣は、そうだと御答弁されていますけれども、それでよろしいですか。

石破国務大臣 結構でございます。

辻元委員 大臣は、その「あたご」航海長の説明を聞かれましたか。

石破国務大臣 私も聞きました。

辻元委員 見張り員が最初に発見したというのは、最初、確認したのは二分前という情報でございました。このときの、航海長が二分前と言ったんですか。

石破国務大臣 そのように承知をいたしております。あるいは事実関係に間違いがあったら恐縮ですが、私自身はそういう認識でおります。

辻元委員 そうすると、最初にヘリコプターで海幕に来た航海長の説明が間違っていたということですね。

石破国務大臣 そうとは言い切れません。つまり、彼は、二分前に緑色の明かりが動いたので、漁船、私はそれは動力船と言いかえるべきものだと思いますが、と認識したということを申しました。そのことに何ら誤りはございません。

辻元委員 そうすると、その後の経過をお伺いしたいんですけれども、この日、大臣は夕方五時ごろ、自民党の部会で、最初に今回の事案で見張りの者が確認したのは二分前だというように発表されたと承知しておりますが、それでよろしいですか。

徳地政府参考人 十九日は十七時に自民党の国防部会がございまして、そこで大臣から発表がございました。

辻元委員 大臣、ところが、きょうの報道もごらんになっていると思いますけれども、防衛省の中では、大臣が十七時に発表される前の夕方の四時十八分に、護衛艦隊の幕僚長から海幕に、十二分前という情報がもたらされていたわけです。これは報道でもされております。

 大臣、大臣は五時に二分前と発表されているけれども、その小一時間前に十二分前だという情報が、それを精査しろ、精査しないは別ですよ、海幕にもたらされていたわけですよ。普通そうであるならば、ここからはちょっと事務方は結構ですので、大臣にお伺いしたいのです、大事なことですよ。その情報がもたらされていたとするならば、大臣が五時に発表するのを普通とめなきゃいけないですよね。ひょっとしたら、十二分前という情報も入ってきた、そうであるならば、大臣が発表しちゃったら大変なことになるので、十二分前かもしれないから、しっかり確認してから大臣に発表してもらわないと取り返しがつかなくなるということで、四時十八分と報道では言われていますけれども、情報が飛び込んできていたとするならば、大臣が五時に二分前だと発表した、これは防衛省内の情報のコントロールだけじゃなくて危機感の欠如だと思いますが、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 危機感の欠如と表現するかどうかは別にして、五時の時点で二分前ということを申し上げる、その時点で、いや、実は十二分前ということが入っていたとするならば、それはやはり認識をシェア、共有すべきものであったと思います、それは。だから、それが確認できるかどうか、つまり、十二分前というのを確認したのは、夜の、つまり十九日の午後十一時から二十日の午前二時四十七分までかかったというふうに聞いておりまして、これは未確認だから大臣に上げるのをやめておこうという判断が、つまり、またいいかげんなことを言ってはいかぬという判断があったのではないか。三時五十五分というのと、それから四時五分ですか、十二分前と二分前、それは、その二つは矛盾するものでもないわけです。何にも矛盾するものでもない。

 私は、これが起こったときに、これを答弁するのはもう四回目ぐらいになりますが、緑色の灯火を二分前に見たということを言ったときに、右舷灯か左舷灯かは別にして、舷灯は見えませんでしたか、そしてマスト灯は見えませんでしたか、普通見えるはずでしょうということを言っておりました。それはもう私どもの常識です。

 だから、それについての情報が入ってきた。ただ、そのことについて時間が正確かどうかを確認しなきゃいけなかったので、別の情報も入っておりますがという連絡は、それは来てもよかったと思います。

辻元委員 最初に発見したのはいつかという情報というのは、とても大事なんですよ、大臣。私は、今の大臣の認識はちょっと認識違いだと思いますよ。いろいろな情報がありますけれども、最初に発見してから事故が起こるまでに何が起こったかというのが今後の捜査の焦点にもなるわけです。そしてちょうどこれは、三時五十五分かそれとも四時五分かというのは、交代が通常は四時に行われると言っています。そうすると、二分前か十二分前では、だれが関与していたのかということも大きく違ってくる時間帯なわけです。

 ですから、今大臣の御答弁は、私は残念ですね。防衛大臣がそんな、矛盾はしないとか、最初にいつ発見したのかというのは、この本件の事件では非常に大事であるという認識が、ちょっと甘過ぎると思いますよ、ちょっと待ってください。

 それで、次に伺います。

 五時に発表しちゃったと、二分前で。その後、八時ごろに、いや、実は最初は十二分前だったんだという説明を受けたわけですね。その夜に説明を受けたわけですね。そのときに受けた説明が、さっきの説明だったと思うんですね、今さっき答弁された。

 大臣は、そのときに、普通であるならば、そんな、二分前と言っておいて十二分前というのは、これは非常に大きな間違いじゃないか、最初に確認したのはいつかという、記者会見でもそれが焦点になっていたわけですから。それは怒り狂って、一体どうなっているんだ、確認しろというような対応に出られたんですね、結局その後は。

石破国務大臣 何を称して怒り狂ったかは、それは難しいのですが、何だこれはということは申しました。ですから、最初から言っているでしょう、最初に舷灯かマスト灯が見えるのが普通でしょうということ。委員おっしゃるとおり、何が最初かが一番大事なんです、それは。だから最初にそういう問いをしているんです。

 それで、最初に来た報告が、緑色の明かりが二分前に動いたということで、「ブイではなく」動力船、あんなところにブイが浮いているかという話は別にして、であることを認識した。それは変だねと普通思います。変だけれども、そのことは事実であって、だとすれば、それは変だけれども出すということ。

 それと、実は十二分前、それが矛盾するものではない。大事なのは十二分前であり、それが本当に最初だったかどうかは、それは今私たちにはわからないということです。

辻元委員 もう一回確認したいんですけれども、二分前だ、十二分前だと。次に、自民党の部会に行って、大臣は二分前と発表しちゃった。しかし、十二分前だというのが来た、それが夜ですね。

 では、普通であるならば、ちゃんと確認しろ、十二分前かどうか、二分前と言っちゃったじゃないかと。今度はもう失敗は許されぬぞと普通思いますね。ですから、夜八時に十二分前という情報が大臣のところに飛び込んだときに、確認を指示されましたね。これはそうなのかということを正確に確認してから言ってこい、しっかり確認せい、そういう感じで言ったかどうかは知らぬけれども、そういう態度だったわけですね、そういう姿勢だったわけですね。

 そういうふうだったかどうかだけ聞きたいです、確認を指示したと。

石破国務大臣 当然、この確認はやらなければなりません、その前に二分前ということを言っているわけですから。私はその後、十二分前が入ってきたことを悪いと言っているんじゃないんです。入ってくる時期がずれたということであって、むしろ、我々の方に不利なものが出てきたということは、それはそれでいいことだと、変な言い方ですが。

 だから、ここを確認はしなさいということは当然申し上げるべきものでございます。

辻元委員 その後が問題なんですよ。

 大臣はそこまで確認されて、しかし、それは十二分という、飛び込んできた情報は非常に重要な情報であるということは認識されていると思います。先ほど申し上げた点で、見張り交代とかいろいろあった時期ですから、焦点になっていました。

 ところが、この日の夜の十一時に海幕部長がブリーフィングをしているわけです、正式なブリーフィングを夜に。大臣は八時ごろ、確認しろと、そんなもの、いいかげんじゃ困るじゃないかという姿勢だったと思いますよ。ところが、夜の十一時に海幕部長は、記者が質問しても、二分前とずっと言い張っているわけですよ。

 これは大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣は、二分前ということを記者会見では言うようにと指示したんですか。普通ですと、十二分という情報も上がってきているから、大臣、どうしましょう、十一時からのブリーフィングはどうしましょうと相談が来るはずですよ。大事な点ですから。

 そのときに、大臣に相談があったのかなかったのか。あった場合はどう指示したのか。自分も自民党の部会で二分と言ったから、二分で統一して、今は混乱するから統一しろと言ったのか、それとも、十二分という情報も飛び込んできているから、きちんと、今、さらに詳細を確認中でございますということで含みを持たすなり、きちんとその状況を情報開示しろと言ったのか、それとも、大臣に相談なくブリーフィングが行われたのか。どうですか、夜は。

石破国務大臣 ブリーフィングの内容を事細かく私が指示したという記憶はございません。これは何度も申し上げておりますとおり、まさしく十九日の夜の十一時から二十日の午前二時四十七分までの間、どうなんだ、どうなんだという確認を行って、三時五十五分であることが判明したということでございます。

 そこで、未確認だけれどもこういう情報が入っているということが言えたか言えないかなんですね。やはり海幕防衛部長であろうが、大臣であろうが、あるいは海幕長であろうが、会見をしますときには、数字を申し上げますときには二つの要素がある。判断材料があるというのは先ほど来申し上げているとおりで、そこは、この二つの要素のうちの、まず三時五十五分というのを確定できていない、それから、これを言っていいかどうかということについて海保との調整が済んでいない。

 ですから、十一時に海幕防衛部長が十二分前のことをちゃんと言わなかったということは、それは殊さらよくないということは言えない。私がもしそこで指示をしたとしても、これは確実か、そして言っていいのということについてちゃんと確認しなさいということは言ったと思いますね。

辻元委員 なぜかといいますと、十一時に記者会見で、また二分前と言っているわけです。そして、先ほど大臣もおっしゃったように、防衛省の確認作業は、夜の十一時から朝の二時四十七分まで行ったと言っているわけです。ブリーフィングが終わってからなんですよ。

 でも、大臣に上がったのは八時でしょう。普通で考えるならば、十一時にブリーフィングがあるんだったら、八時だったら、今からすぐに確認しろ、きょうの夜のブリーフィングでまた間違ったことを言ってしまって、そうしたらとんでもないことになるから、大急ぎで確認作業、または大臣に上げるまでもなく確認作業、調整作業をやると思うんですよね。

 大臣が知ってから十一時まで何もしていなかったということですか、これは。どうですか。大臣も知らないんですか。

徳地政府参考人 十九日の二十三時の時点で防衛部長のブリーフィングが始まっているわけでございますけれども、他方で、大臣にそれまでにとりあえずの御報告は上げてあるわけでございます。

 それで、その大臣への御報告の後、他方で、二十三時に報告内容の確認を始めているわけでございますけれども……(辻元委員「二十三時まで何していたかと聞いているんです」と呼ぶ)はい、そこに今からお答えをいたします。

 大臣にとりあえずの御報告をしてから二十三時までの間、これは「あたご」の乗員にコンタクトをすべく努力をしていたという状況にございました。

辻元委員 大臣、なぜこういうことを聞くかといいますと、これは焦点になっていて、当時の記者会見では緊迫していたわけですね。

 それで、私はこの話を聞いたときに、かつてのインド洋、アメリカ軍等への給油取り違え事案を思い出しましたよ、二十万ガロンを八十万ガロンの話を。事務方は知っていて、あれは大臣は知らされていなくて、発表しちゃっていたわけでしょう。それで、後でたどっていったら、いろいろな、知っていたけれども言わなかったとかいう事案があったじゃないですか。つい先日でしょう。これは時間は短いんですけれども、そういうようなことが二度と起こってはならぬと、さんざんあのときおっしゃっていましたね。

 大臣、私が思うのは、今、努力をしていたと。そうすると、やはり今回のブリーフィングもそうですよ。今もブリーフィングされていますけれども、そうしたら、やはり今確認中のことも、この件についてはあるとかないとか、その中身が言えなくてもはっきり言わないと、それでなくても、前回の質問で私は大臣に申し上げたでしょう、国民の声は何かと。大臣がお答えになったんじゃないですか、自衛隊・防衛省が隠ぺいしている事実があるんじゃないかということが一番声が多いと。事実、言っていないんじゃないかと。またこういう事案が起こりましたので、今申し上げているわけです。

 さてそこで、そうしますと、今、大臣自身が、二分という事実もあって、十二分という事実もあって、それは余りどちらがどうというのは大臣の案件じゃないとおっしゃったけれども、私はそうではないとさっきから申し上げている点と、それから、夜の十一時に二分だということでブリーフィングをしたことは、防衛省としてはちょっとまずかったな、問題があったと思いませんか。いかがですか。率直に言ってくださいよ。

石破国務大臣 これは、事実かどうかを確認するのは、海上幕僚監部が「あたご」の乗組員と接触を何とかしてやっている。どこまで言ってどこまで言っちゃいけないかというのは、これはたぶん内局が、国交省、海上保安庁とやっているんだと思いますね。そこにおいて、連携のなさというのは私はある、否めないんだろうと思います。それもすべて、防衛省で起こっていることは私の責任ですということは、先般委員にも答弁させていただいたとおりですが、まだ未確認ですが、こういう情報もございますということを言っていいかどうか、それは幕で判断がつきかねたのだと思います。

 結果として、私は、では、これはまだ未確認だけれども、こんな情報もございますということを言っていいねということを、私自身が海上保安庁に確認をとらなきゃいけなかったのかもしれない。これは、今後本当にどのようにしていくか、反省はたくさんございます。まずかったねと言われれば、結果論としてまずかったと思います。

辻元委員 今、未確認の情報は言えない、それは理解できる点はあるんですよ。

 そうしたら、お伺いします。翌日です。大臣は、翌日、朝に知りました。確認されたということを確認しました。私は、前回質問した折に、何で自民党の部会で説明したんだということを問いました。きょうも別の委員が問いましたね。それは五時でしょう。ここまでの間に随分時間があるわけですよ。直ちに知らせなきゃいけないと思ったから、自民党の部会が直ちだったから、大臣はそのときに発表したんだと言っているわけです。

 ですから、この日、朝八時半に大臣は確認されて、十七時ですよ、自民党の部会は。この間に、八時間三十分もあるわけです。そして、答弁は、なぜ自民党の部会でしたんですかと言ったら、直ちに知らせなきゃいけなくて、自民党の部会が直近だったからという答弁をされていますね、前回。もうろうとせずに聞いてください。お疲れだと思いますけれども。

 こういう発表の仕方でいいと思いますか。朝八時半に知ったわけですよ。そうしたら、これはまずいな、二分か十二分かというのは非常に大事な点で、国民の関心も高い点だ、直ちに記者会見を開いて、正式に発表しようと思いませんか。何で大臣、もたもた自民党の部会まで待っていたんですか。

 それに、さらにお聞きしたいのは、自民党の部会が直近だったから、慌てて、とにかく早く知らせなきゃと思ってやったと答弁されましたよ、前回私に。どうしてなんですか。(発言する者あり)違う、違う。二日目もです。どうしてですか。朝、何で午前中にやらなかったんですか。

石破国務大臣 ですから、それは、反省点はたくさんありますが、海上保安庁の方、別に海上保安庁を悪者にするつもりも何にもないんですよ、みんな海保のせいだなんといって、一生懸命捜査をしている海上保安庁に責任を押しつけるようなつもりも全くないのですが、我々として、本当に、ここまで言えます、やはり、これを言っちゃいけませんというのがあるわけです。

 私たちにはうかがい知れない捜査のこれはポイントだとか、ここは言ってもいいものだとか、それは海保で調整が済んだか、まだかということも、私は、確認ができた後もずっと言っているわけですね。それがなければ、私たちは言えません。

 何度も同じことを言いますが、これを知っているから、確認したから、捜査にどんなに影響を与えようと私しゃべりますということであれば、それはある意味、防衛省はどんどん情報を開示しているといって褒めてもらえるかもしれない。だけれども、海保がそういうことについては言わないでねと言われているときに、言われちゃいけないと言っていることもどんどん出しますということは、私はやるべき態度じゃないと思っているのですよ。

辻元委員 ではもう一点、今先ほどから海保の話がよく出てきまして、海保との調整というのも私たちはわかると言っているんですよ、捜査中ですし、裁判になるかもしれないし。これはもう前回から言っているわけです。それにしても、防衛省の情報の出し方がおかしいんじゃないかというのを、今この経過を例に挙げながら言っているわけですね。

 では、もう一問伺いましょう。これは、海保は関係ありませんよ。

 大臣が、五時に自民党の部会で、二分前じゃなくて、最初の確認は十二分前だったと訂正されましたね。さっき驚きました。私は、さっきの他の委員の質問で、そのときに、防衛省が記者会見をしていた、報道官はそのことを知らなかったと大臣おっしゃいましたね。防衛省というのはそんな組織なんですか。おかしいと思いませんか。

 報道官が正式なブリーフをするわけでしょう。大臣が自民党の部会で、いや、二分じゃなくて十二分前だったと言って重大な変更、それも問題だと思うということは指摘しましたよ、自民党の部会で言うのは。ところが、報道官はそれを知らされていなかった。どんな連携体制になっているんですか。

石破国務大臣 私が、もしそのときに五時から報道官の会見ですということを知っていれば、これはちゃんと報道官は知っているよねということを言っています。責任転嫁をするつもりもありませんが、私、知りませんでした。そういう指示を出しませんでした。知らなかったことも、指示を出さなかったことも、それは私の責任で、報道官の責任ではありません。

辻元委員 そうすると、大臣にも情報を上げ、報道官にもしっかりブリーフィングの前に情報を上げるじゃないですか。その責任者はだれなんですか、防衛省内の。

石破国務大臣 そこは極めて本当は難しいんだと思っていまして、このことの防衛省の全体の責任者というのはいないんです。いないんですと言うと何事だと思われるかもしれません。責任者は最終的に私しかいないんです。つまり、報道が、ちょっと言い方を気をつけなければいけませんが、内局広報、海幕広報というのとありまして、それぞれ、海上幕僚長が責任者であり官房長が責任者でありということになっているわけです。

 それぞれがばらばらと記者会見をするときに、本当は情報の共有とか認識の統一とかやらなきゃいかぬのですが、そこがばらばらと行われて本当にいいのかという問題意識があります。ですから、責任者がいないというのは言い過ぎです。それぞれに責任者がおるというふうに言った方がよろしいかと思います。

辻元委員 幕僚とか内局とか、ばらばらだという話をされました。

 それで国を守れるんですか。危機のときに、この情報一つも、報道官の言うことが違う、大臣の言うことが違う。そして、二分、十二分、夜のブリーフィングで大臣、知っていたけれども言わないのはこういう理由でと多々おっしゃいましたけれども、今大臣がおっしゃった答弁というのは、防衛省というのは、国を守るとか大きなことをずっと言っているけれども、実際は全く機能しないということを大臣がおっしゃったに等しいと思いませんか。今の情報のあり方、こんなこと一つでもそうですよ、どうですか。

石破国務大臣 そのようなことは言えません。国を守るのに十分守れないなぞということは、防衛大臣として、口が裂けても言えることではありません。

 しかし、本当に今の話でも、繰り返しになりますが、海保庁と調整するのは内局。海幕が、ほら、ブリーフィングしろ、ブリーフィングしろ、おまえ早く明らかにしろと言われる。それはやはり問題があるんだと思います。国民に関係ないですもの、内局がどうあろうと幕がどうあろうと。それは、中にいて、本当にこんなことでいいのかという意識を私は強く持っています。

 ですから、どうすれば大臣がコントロールしやすい状況をつくるか。今の例でいえば、これから報道官のブリーフィングがありますよということが、すぐ入ってこなければおかしいでしょう。それが機能していなかったということです。私が指示が出せなかったということです。

 ですから、内局が悪いとか幕が悪いとか、そんな話はどうでもいいから、だれがどこで何を決めるのかという責任体制、今回の事故の対応もそうです。そういうような、本当はアドホックな事故対応会議みたいなものを立ち上げて、幕だ内局だ、そういうことはやめてくれというのが私の、つい怒り狂ってそんなことを言いましたが、そういう対応をしていかなければならない、私は今回痛切にそう思っておるところでございます。

辻元委員 今、きょう報道された案件を取り上げて、細かいことのように見えますけれども、実は、神は細部に宿るですよ、何事も。特に、安全保障というのはそういうことじゃないですか、人が行っているわけですよ。

 また今度、質問しますけれども、「なだしお」事件のときの、衝突の原因の分析の要約というのがあります。一番、見張りの不適切ですよ、それとか、判断の誤り、緊急回避措置をとらなかった、情報の乱れ、これは全く変わっていないですね、今と。

 大臣、私は、先週金曜日に質問をした後に、勝浦市に行ってまいりました。勝浦の漁協の皆さん、本当にお疲れの中、頑張っていらっしゃいます。その中で一番多かった声が、正確な情報を伝えてほしいということだった。当時、捜索活動を必死でされているわけです。そうすると、どこでいつどうなったかということを知らせてもらうということは、自分たちの捜索にもプラスになるんだという観点だと思います。それで、じれったいと。

 ですから、先ほどから、言えることと言えないことがある以前の問題ですよ、今私が指摘しているのは。報道官は知らない、大臣は言っている、どこかの部会で言っているとか、それから、情報経路が幾つもあってといって、みずから大臣がおっしゃったようなことは。それは、海保が何か言うてる、調整せなあかんとか、それから、捜査中だから言っていいことと悪いことがある以前の話ですよ、そうでしょう。報道官が知らなくて、大臣が言っちゃったとか、先ほど大臣がみずから指摘した点ですよ。以前の、防衛省の問題でしょう。

 市長も、勝浦市の市長に事故後、連絡が全くなかった、堂本知事と、要請に来られるまで電話一本もなかったと、防衛省から。そして、テレビでニュースを見て、勝浦の自分のところの市民の方が被害に遭っているということがわかったというありさまでしたね。

 最後に、一問だけ。

 大臣、今私は、最後の、報道官は知らなかったというのはかなり決定的だと思いますよ、こういう態度というのは。情報がきちっと統一されて発表されていないということですから。今、大臣を初め皆さんが発表されている情報だって全部疑いの目で見るじゃないですか、これ本当かしらと。統一された意見を言っていらっしゃるのかしらと。

 私は、大臣に退路を断ってやってくれと、大臣もそうするとおっしゃいましたけれども、退路の断ち方が足らぬなと思いました。どうですか、もう一度決意を伺いたいと思います。さらに退路を断ってやるという姿勢で臨んでいただきたい、いかがですか。

石破国務大臣 そのとおりだと思います。

 話にならないということが多いんです。話にならない。ですから、正直申し上げて、私は防衛省の代表でもございますが、文民統制の主体者として防衛省にもおります。改めるべき点は改めなければならない。それぞれが自分の理屈を言っておったってどうにもならない。それは、退路をもっと断てと言われるのはそうだと思います。人に嫌われるのが嫌で、それで迎合するぐらいだったら、こんな仕事はやらない方がいい。

辻元委員 引き続き、また行います。

嘉数委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 それでは、お疲れだと思いますけれども、また最後に質問させていただきます。

 組織改革というものをやるときには、大上段に構えてやる場合もありますけれども、一つの小さい事故とかそういうふうなものを教訓にしながら、組織を一つ一つ見直すというのも非常に大事なことだというふうに思いますね。今回の事故を通して、防衛庁全体の組織をどうあるべきかというのを考える機会にして、二度と起こらないようにしなければいけないというふうに思います。

 また、こういう残念な事故が起こりました。本当にまことに残念ですけれども、日本の国の守り、とめるわけにはいかないので、海上自衛隊が役割を停止するということもあってはならないことだ。そういう意味では、再発防止と日本の守りというのは、共通して一緒にやっていかなければいけないというふうに思います。

 そういう意味でも、この再発防止のために、どういうふうなことを、海保が調査しているけれども、今できることは何なのかということをしっかりとやらなければいけないと思うんです。

 私は、先週の土曜日に千六百トンの貨物船に乗って、いろいろな船員の話を聞いてまいりました。そうすると、船の標準的な装備というのは五つあって、一つはレーダー、一つはGPSですね、もう一つは居眠り予防装置、もう一つは衝突の防止装置、そしてもう一つは緊急用の無線、この五つが標準的に船にはついていると言うんですね。

 レーダーというのは、この千六百トンの船でも七十二マイル、百四十キロ先まで大体レーダーは見えると。しかし、一般的には十二マイル、大体二十四キロ先を、範囲を見ながら、船は運航をしていきますよというふうなことを言っておりました。

 そして、この衝突予防装置の場合には、湾外だったら一マイル、湾内だったら〇・五マイル、一マイル以内に船が入ってきたら警報装置が鳴って、言葉で発するものにもなる、〇・五マイルでもそのようになる、これで大体のことはわかりますよと言っていましたね。

 それで、十二ノットで走行して十二マイルというふうになると六十分かかります。しかし、相手も十二ノットで来ると三十分ですね。そして、十二ノットで一マイルをやると五分間。相手も十二ノットで来ると、これが二分三十秒。一番最悪のケースの、衝突予防装置を〇・五にセットすると二分三十秒で遭遇するわけですけれども、相手も十二マイルで来ると一分十五秒というんです。一分十五秒でこの衝突の回避ができるのかできないのかというふうなことを、五人ぐらい集まっていましたから船長さんに聞くと、これは十分にできますよ、だから〇・五にセットするんですよと彼は言っていたんですよ。

 そして、では、どういうやり方をするのと言ったら、一つは、自動操舵装置から手動操舵装置に変えて、そして切りかえを行った後、相手の赤灯が見えて自分の赤灯を見せるために、右に大きく旋回するというんです。きょう新聞に、大臣が、自動操舵装置から手動に変えるという基準をつくると書いてありましたけれども、自動操舵装置から手動に変えるには大体〇・三秒ぐらいでできますね。ボタン一個ぽんと押したら、手動に一気に変わりますよ。それで右に旋回、回りますと言っていました。

 そしてもう一つは、後進に入れてスピードを落として同時にかじを右に曲がると、一挙にスピードも落ちるけれども、後進になると船は左に曲がる癖があると言うんですね、左に、後ろが振る癖があって。それに右を曲げると、急激に落ちるけれども右にも曲がると。一分十五秒というのは非常に短いようで長い時間で、この衝突を防止するというのは十分にできる時間だということを、一分十五秒、話をしておりました。

 そこで一点だけ、今捜査中でありますから、私も今、聞いてきた話をしているわけでありますけれども、一点だけ、この船には衝突予防装置がついていて、これがちゃんと作動して音が鳴ったのかどうかだけ、一回、お聞かせをいただきたいんです。

徳地政府参考人 事故のあったそのときに、どの機械がどのように作動していたかということは、これは捜査にもかかわることでございますし、それから、実際、我々としても、そのところは具体的に確認はできておりません。

下地委員 大体こんな答弁だろうなと思っていましたよ。しかし、私の今の質問を聞いて大抵の人が、あんなイージス艦に衝突予防装置がついていないということはあり得ないと思うし、ちゃんとやっていれば鳴っているはずなんです。

 だから、大臣、ここは大事なことなんですけれども、僕は捜査結果が出るまで慎重にすべきだと思いますよ。だから、今この捜査の中でよく言われております、十二分前に確認ができたとか、それとか、衝突一分前まで自動操舵でやって、それが十ノットでやっていて航行を続けていて、それが衝突寸前に後進に変えたとか、そして今、船が真っ二つに割れたのを見ると、プロが見ると、正直言って後進にも入れていないだろうし、あの船の割れ方を見ると、そのまま乗り越して、これが右にずれて減速した後にぶつかったものでは全くないとかという、いろいろな声がありますよ。今断定できませんから、いろいろな声と言っておきます。

 だから、私は、防衛庁が発する発表には物すごく慎重性を期して、そしてその発表が、今も答えられないということをいっぱい言いましたけれども、これが海上保安庁から出た結果のときに大きく違っていたら、また信頼を失う可能性があるので、よく慎重にしてやってもらいたい。

 それで、だけれども、今は再発防止が大事でありますから、三つのことをお願いしたい。

 一つは、もう一回、この装置は全部の船についているはずですから、装置の、レーダーの、二十四キロなのか、衝突防止装置はちゃんと作動するように運用しているのか。こういうふうな当たり前のことまできちっと、具体的に大臣の口から指示をした方がいいと思いますね。

 それともう一つは、艦長が艦橋に入る基準。防衛庁は、艦長が艦橋に入る基準があいまいなんですよ。だから、普通だったら、出港時だとか、難しい航路だとかとありますけれども、艦長が艦橋に入る基準があいまいになっているので、それも丁寧に、ここでは乗りなさい、ここでは操舵長に任せないで自分がやりなさいと。私は、具体的にこれもちゃんとやってもらいたい。

 そして、三十秒というか〇・何秒で自動操縦から手動に変わると言っていますけれども、この基準も今はつくる。

 この三つを再発防止策として、まずしっかりと海上自衛隊に指示をして、やっておく。結果が出てからやるというのでは、これは、国の守りは今でも動いていますから、ぜひ具体的に再発防止に動いてもらいたいと思いますので、大臣の答弁をお願いします。

石破国務大臣 委員がおっしゃったのと全く同じことを省内に指示をいたしております。

 ここは難しいのですが、例えば、下地艦長と安次富艦長とで船の流儀が違うというのがあるんですって。おれはこういうふうに船を操る、この船の性格はおれが一番よく知っているみたいなことで、そういう個人芸、名人芸みたいなものがあるんだそうですよ。本当にそれでいいのかと。そうじゃなくて、どこで自動操舵にする、どこで手動に切りかえるとか、艦長はいつブリッジに上がるとか、それは、船によってばらばらまちまちで本当にいいとは思わないので、これはやはり統一した基準をつくらなければいかぬということを私は申しております。

 ただ、私がきのう言ったのは、大臣の言うことはそれはまた違うのです、船乗りというのはそういうものではありませんということであれば、どうぞ意見を述べてくれということを申しております。私としてはこう思うということを言っておりますが、それが違うかどうか。今委員おっしゃったことは、今省内で検討いたさせております。

 委員おっしゃるように、まさしく今も国防は動いているわけで、事故原因が究明されなければ再発防止策はない、そんなばかな話はないのであって、再発防止策は再発防止策として、事故原因の究明とは別にきちんとやらなきゃいけない。委員のおっしゃるとおりでございます。

下地委員 今、私、下地船長と安次富船長という話がありましたが、そのとおりだと思います。ただ、一時間半から二時間ぐらい、その船に乗って話を聞きましたよ、船長の皆さんの話を聞いたときに。考えられないと言うのですよ、考えられないと。

 僕は、きょう委員会だから、海上自衛隊の立場もあるので、それは言葉は上品にしゃべっていますよ。しかし、どう見てもこれがまじめに、あれだけの人員があって、あれだけの装備があるなら、こんなことにはならないと言うのですよね、ならないと。音は必ず鳴っているはずだ。それがぶつかるなんて、あのぶつかり方は尋常じゃない。極論からいったら、全員寝ていたのかなと言っているんですよ。

 だから、私は、こういう基礎的なものを大臣がちゃんと言わないとだめだよと言いたいんです。だから、今、艦長の皆さんの個性を少しおさめて、基準どおりやりなさい、そういう指示をすべきが大事だということを私は申し上げているんですよね。

石破国務大臣 そのように申しております。艦長の個性とかそんなことを言っているような場合かということであって、今回こんなことが起こっていて、私の流儀だ何のかんの、そんなことを言われてはたまりませんので。

 ただ、衝突予防装置につきましては、これが作動したのか作動しなかったのか、今私たち、それを知るだけの知識を持ちません。私ももう一回勉強し直しておりますが、衝突予防装置というものが、何でもかんでも近づけばアラームが鳴るものなのか。それとも、つまり、いろいろな目標がありますから、これとこれとこれというふうに特定しなければならないものなのか。それがどういうものであったのかということについて、捜査当局はやっておられるんだろうと思います。

 それはそれとして、この衝突予防装置を積んでいる船がどのようにこれを運用するかということは、それは余り、艦長の個性、技量にゆだねるべきものではないと思います。

下地委員 これはあの船だと、漁船だと鳴ると言っていましたね。これは確実ですから、これから海上保安庁の調査を見ていかなければいけないと思います。

 それで、もう一つは、旧軍用地の問題、この前やりましたので、もう一回聞かせていただきますけれども。

 この旧軍用地の問題は、振興法でやると決めました。この問題に関しては、個人補償もありません。そして、団体補償もありません。慰藉事業でもありません。純粋な振興法としてやると決まった、これは振興策だということを明確にしておかなければいけないと思います。

 そして、平成十四年の沖縄振興開発計画に載って、決まりまして、この振興策に載ったものは、沖縄北方委員会の参議院、衆議院で附帯決議にも旧軍用地の問題は明確に示されておりますね。

 そして、この振興策をめぐっては、これまで私たちはさまざまな要請活動をしてきましたよ、いっぱい。そして、その要請活動の中で、多くの大臣からコメントを引き出してまいりました。歴代の理財局長さんにも全部、今までお会いしましたけれども、この問題はもうはっきりと振興策でやると決めたんだから、内閣府が上げてきたら、それはしっかりとやりましょうというのは、ずっと私たちは確認してまいりました。先ほど申しましたように、もう経過が変わってきて、振興法に載ったのであります。

 一つのいい例を言うと、理財局の室長の山岸さんと、内閣府の仲程さんという方がいて、私の部屋で懇談をしたときに、山岸さんはこう言いましたよ。理財局にだけ話をするんじゃなくて、これは内閣府が出す振興策だから、あなた、主計局にもちゃんと説明しなさいよと、僕の目の前で内閣府を怒られるわけですよ。そうしたら、わかりましたと言って、主計局に行って、これは振興法で来るから、沖縄県から上がってきたらちゃんとやるようにしますというふうなことを言って、それから、私たちが会議を終わった四時間後には、この仲程さんからうちの事務所に電話があって、私は主計局に行ってきました、振興策としてやることを話をしてきましたと言って、電話をもらっているんです。

 今までさまざまな経過があって来ているわけなので、これが、窓口が、この前言っているようにわからないというようなものはおかしいと思うんです。

 森山副大臣にもう一回聞かせていただきますけれども、これは振興策です。個人補償でもありません。団体補償でもない。慰藉事業でもない。沖縄振興策で来るものは、沖縄振興策のものは、どこから財務省には予算の要求だとかなんとか来るんですか、大体。

森山副大臣 私の方からお答えをするのはいかがかと思いますが、沖縄振興計画は内閣府の御所管でございますので、副大臣も御出席でございますから、そちらの方にお尋ねをいただきたいと思います。

下地委員 沖縄振興策は内閣府から来るんです。だから、副大臣は、振興策でないと言うんだったら、私のところと違いますと言ってもらえればいいんです。つべこべした話じゃなくて、私のところの振興策なのか、私のところじゃないのか、それだけお話しいただければいいと思いますから、お願いします。

中川副大臣 一言だけ言えと言った、一言でもいいんですけれども、これまでの経過がございますから、一応、ここにいらっしゃる皆さん方にもそれは知っていただかなければなりません……(下地委員「もう時間がないですから、副大臣」と呼ぶ)それで、一言で言うと、これが沖縄振興計画に載っている、具体的な問題じゃなくて、基本的な指針みたいな形の中で、この言葉は、文言は載っております。しかし、これが具体的に、だれがどのようにして扱うかということになると、これはいろいろな問題があると私は承知しています。

 ただ、これを総合的に取り扱っているのは内閣府でありますから、そういった意味で、内閣府が責任を逃れる、そういう気持ちはございません。

下地委員 沖縄県議会も、歴代の沖縄担当大臣には全部要請していますよ、これは。沖縄県から内閣府に上がってきたら、内閣府は財務省にやる。これは一つのルールになっています。今副大臣お答えしたとおり、沖縄県から上がってきたらそれを伝える。そのために沖縄担当相があるわけですから、ぜひその役割を果たしていただきたいというふうに思います。

 私の認識のように、沖縄県から上がってきたら、振興策で上がってきたものは内閣府が窓口になってそれは財務省に要求する。それでいいですね。

中川副大臣 沖縄県からどのような形で上がってくるかはまだ承知しておりません。しかし、上がってきたものはすべて内閣府が財務省に予算として要求するものではない。やはり内閣府は内閣府として、これが適法にしっかりと運用されるかをよく見た上で、その判断のもとで、予算として具体的に財務省に上げるかできないかは、これは内閣府の判断でするしかない、こう思っております。

下地委員 上げるか上げないかも含めて、窓口は内閣府ですね。

中川副大臣 内閣府が責任を持って検討しなければならない窓口であると思っております。

下地委員 僕はそれでいいと思いますよ。これは、予算がつくかどうかは、どういうメニューが上がってくるのか、それがちゃんとその時代時代に合ったメニューなのかどうなのかは、それから決めてやればいいんです。窓口がどこかと言っていることだけですから……(中川副大臣「今言ったとおりです」と呼ぶ)そのとおりです。それで言えばいいんですよ。そんなに難しい話じゃないはずだと僕は思っていますから、ぜひお願いします。

 それともう一つですけれども、外務省に、基地のゲートをやっている警備員がいますけれども、この警備員が今、ニューヨークのテロ以降、けん銃を携帯しているわけでありますけれども、けん銃を携帯して警備員が基地外に出ることは日米地位協定や日米の合意事項で許されることなんでしょうか。

羽田政府参考人 御質問の点についてお答えいたします。

 米軍は、日米安保条約の目的達成のために、必要な場合には軍隊としての機能に属する諸活動を施設・区域外で行うことが認められており、日米地位協定上、かかる施設・区域外の活動が銃の携行を伴っていることのみをもって認められないということではございません。

 例えば、米軍の重要な兵器など軍用の財産を警備するために、米軍人が施設・区域外において銃を携行することは想定されているところでございます。

 もっとも、当然のことではございますけれども、米軍人が施設・区域外で活動を行う際に銃を携行する場合には、住民に無用の不安を与えないようにすべきであるということは当然でございます。

下地委員 今の話だと、警備員は、けん銃を持って基地外に出ていってもいいということですね。必要ならばいいということですね、外務省。大事なことだよ、これは。

羽田政府参考人 はい。合衆国は、日米地位協定第三条に基づいて、施設・区域内において警護のために必要なすべての措置をとることができるとされており、米軍が、警護のために必要な措置の一環として、日本人警備員に銃砲等携行の上、施設・区域内において警護に当たらせることは地位協定上認められております。

 他方、米軍は、日本人警備員が銃砲等を施設・区域外で携行することを禁じているというふうに承知しております。

下地委員 どっちか意味がわからない答弁をしていますけれども、二月の十一日に、けん銃を携帯して施設間の移動をしていいというふうな司令官の指示があって、この警備員の人たちは、これは日米合意で許されないんじゃないか、警護をするわけでもなし、何か荷物を郵送するわけでもない。そういう中で、フォスターで三十五人、コートニーで八人、二月の十二日には、フォスターで十二人、コートニーで四人、昼食をするためにけん銃を携帯して外に行った。

 彼らは、それはおかしいのではないかといって、警察にも問い合わせしたら、警察は、それは絶対許されない、昼食にけん銃を携帯して施設間を移動することは絶対にあってはならないことだ。もしもう一回そういうことをやったら逮捕しますよというふうなことを密告して、彼らは上司にこういう決まりはないはずだからやめてくれといって、三日後に取り消しになったんです。

 これは、あなた、大丈夫だと言っていますけれども、大丈夫なんですか、本当に。

小松政府参考人 同僚政府参考人の答弁、米軍人とそれから日本人の警備員についての若干混同したところがあったように聞いておりましたけれども、二度目の答弁で同僚から答弁をいたしましたように、日本人警備員が銃砲等を施設・区域の外で携行することは禁止をされているというふうに理解をしております。

下地委員 それはそうでしょう。そんなことをやられたら大変なことになりますよ。あなた、撤回した方がいいんじゃないか、将来のためにも。これは、簡単な答弁でやったらだめですよ。これは警察も非常に注目をしていますよ。今、そういう意味では、緩みが出ているのよね、緩みが、米軍の問題も。

 こういうふうなことをもう一回見て……(発言する者あり)日本人です。これは、アメリカともう一回しっかりとさまざまな細かいことを打ち合わせしないと、この緩みからまた事件、事故が起こる可能性がある。そのことを注意しておきたい。

 そして、先ほどから言っていますけれども、これでも、さまざまな意見が言えないというんですよね、今の米軍には、下の者から上に。だから、罵倒されたりいろいろなことをされたりという、先ほど話もありましたけれども、もう一度皆さんの方で、この基地従業員とそしてアメリカの使用者の方と、どういうふうなコンセンサスがとれるような仕組みがあるかというのをしっかりと見ていただきたい。そして、このことについてもう一回、明細を出してもらいたい。

 日本人がけん銃を抱えて二日間にわたって外に出ているということは、これはもう大変なことですから、これはもう一回やって報告をしていただきたいというふうに思っております。それでよろしいですか。

羽田政府参考人 ただいま委員御指摘の点については十分検討したいと思います。

 最初の私の答弁で、日本人の警備員かどうかというところについて、警備員一般というふうに理解しましたので最初のような答弁になりまして、日本人警備員については二回目の答弁で明確に答弁したとおりでございます。

下地委員 はい。終わります。ありがとうございました。

嘉数委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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