衆議院

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第4号 平成20年12月16日(火曜日)

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平成二十年十二月十六日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 今津  寛君

   理事 江渡 聡徳君 理事 嘉数 知賢君

   理事 新藤 義孝君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 山口  壯君

   理事 渡辺  周君 理事 佐藤 茂樹君

      安次富 修君    愛知 和男君

      赤城 徳彦君    大塚  拓君

      河井 克行君    瓦   力君

      武田 良太君    寺田  稔君

      松本 文明君    山内 康一君

      山崎  拓君    神風 英男君

      津村 啓介君    長島 昭久君

      馬淵 澄夫君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    辻元 清美君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   外務大臣         中曽根弘文君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   外務副大臣        伊藤信太郎君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   防衛大臣政務官      武田 良太君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       大庭 靖雄君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  山本 庸幸君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 西村 泰彦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 三浦  守君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    西宮 伸一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            鈴木 敏郎君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ審議官)      秋元 義孝君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    深田 博史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           又野 己知君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 関口 幸一君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            城野  功君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  長岡 憲宗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月十六日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     河井 克行君

  福田 康夫君     松本 文明君   

同日

 辞任         補欠選任

  河井 克行君     木村 太郎君

  松本 文明君     福田 康夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

今津委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房総合海洋政策本部事務局長大庭靖雄君、内閣法制局第一部長山本庸幸君、警察庁長官官房審議官西村泰彦君、法務省大臣官房審議官三浦守君、外務省大臣官房審議官中島明彦君、外務省大臣官房参事官小原雅博君、外務省北米局長西宮伸一君、外務省中東アフリカ局長鈴木敏郎君、外務省中東アフリカ局アフリカ審議官秋元義孝君、外務省領事局長深田博史君、国土交通省大臣官房審議官又野己知君、国土交通省航空局次長関口幸一君、海上保安庁警備救難部長城野功君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省運用企画局長徳地秀士君、防衛省人事教育局長渡部厚君、防衛省経理装備局長長岡憲宗君及び防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今津委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 おはようございます。

 国会におきましては、テロ対策の補給支援法が成立をしまして、国際的に日本の目に見えた貢献ができたと思っております。つきましては、きょうは、イラクの復興支援活動におきまして、航空自衛隊の輸送支援が撤収に入って、輸送機、本隊が帰国するというニュースも入っておりますが、二〇〇三年からの五年間の支援活動で延べ八百二十一回の空輸、四万六千五百名の要員輸送、六百七十三トンの物資輸送がされ、本当に御苦労さまでございました。

 陸上での復興支援活動も含めて、住民とのトラブルを一切起こさず、武器も一切使用されず、イラクの治安も大分落ちつき、復興支援も済みまして、他国から非常に尊敬され、感謝されて終わるということは、国家としてまことにすばらしいことでございます。これは、酷暑の中、命がけで現地の指揮官や先方部隊長に礼を尽くして調整するなど、自衛隊の運用がうまくいったという成果でありますが、イラクでの活動の意義と教訓は何だったのか、防衛大臣にお伺いします。

浜田国務大臣 先生方の御指導をいただきながら今までイラクにおいて活動してまいりましたし、また、そういった意味では、大変御理解をいただいて御支援をいただいたことに心から感謝を申し上げる次第でありますけれども、イラクをまずテロの温床とせず、平和で民主的な国家として復興させることが、中東地域、ひいては我が国を含む国際社会の安定に極めて大きな意義があった、そしてまた、我が国の国益にかなうものだというふうに思っておるところでございます。

 こうした考えのもとに、我が国は、イラクの国家再建を支援する国際社会の責任ある一員として、平成十六年の一月以来、イラクでの活動を実施してまいりました。

 陸上自衛隊の活動においては、イラクの南部のサマワにおいて、困難な状況に置かれた住民のための医療、給水、学校、道路等の公共施設の復旧整備及び人道復興物資の輸送などの支援を実施してまいりましたし、イラクの自主的な国家再建に向けた取り組みに貢献したものと考えておるところであります。

 また、航空自衛隊の空輸支援については、イラク各地でイラクの復興等にかかわる国連及び多国籍軍の活動に対する重要な支援として、国連、各国政府から高い評価を得てきたものでございます。

 イラクにおいて、こういった活動から得た、今後、自衛隊が海外で活動を行う際に留意すべき点といたしましては、まず第一に、現地情勢等を踏まえて、早急に現地のニーズ及び自衛隊の能力に合致した活動内容を決定して部隊を派遣することが必要であること、第二に、自衛隊による人的貢献と政府開発援助、ODAによる支援を車の両輪として着実に連携させることにより大きな効果を上げたことを踏まえ、我が国の持てる資源を有効に活用し、関係省庁と密接に連携して支援を実施する必要があること、三番として、実りある国際平和協力活動を安全かつ確実に行うためには、基礎となる教育訓練や装備品を充実させるとともに、隊員の福利厚生やメンタルヘルスのための施策に配慮することが必要であるというふうに考えておるところでございます。

 また、委員御指摘のように、自衛隊がサマワでの人道復興支援を実施するに当たっては、イラク復興の主人公はイラク国民自身であるという認識のもとに、常にイラク国民に敬意を表し、誠実に現地の人々の目線に立った活動に努めたことが、無事に任務を終えることができた要因の一つであると考えておるところであります。

中谷委員 私は、日本の外交、防衛の二本柱でよい国際貢献がされたと思います。特に、日本人としての能力、国民性、この高さを世界の人々が目の当たりにしたと思いますが、一方で課題も残りました。

 それは、武器の使用権限が極めて制限されていることでありまして、自衛隊が多国籍軍に参加しても警備支援をお願いしなければならなかったことでございます。やはり、武器使用というのは、部隊全体として指揮官が行動する場合にも認められるべきでありますが、もう一つは、根拠となる法律が成立していなければ対応がおくれるということでございまして、今後、国連決議などに基づいて、多国籍軍と活動する集団安全保障ができる法整備が必要ですが、その件につきましてどうお考えでございますか。

浜田国務大臣 自衛隊が国際平和協力活動を実施する際の武器使用権限については、要員の安全確保や任務の着実な実施という観点から検討されるべきものと考えております。

 イラクでの任務の態様を踏まえて、武器使用につきましては、自己等の生命身体を防衛するために必要な権限を規定しました。また、今後、この武器使用に関しては、現場に上官があるときは、その命令によるべきものとしたところでございます。

 政府としては、現在、自衛隊が国際平和協力活動としていかなる活動をいかなる権限に基づき実施すべきかという点も含めて幅広く検討しておるところでありますけれども、いわゆる一般法の整備については、与党における議論、また、この議会での議論、国民的な議論の深まりを一層、十分踏まえて検討を進めていく必要があるというふうに考えておるところであります。

中谷委員 もう一点、大臣に伺いますが、海外派遣手当でございます。

 これは、国際貢献をして、それで手当としてもらっているお金でも、その後、税金でがっぽり取られると聞いております。この功績をどう国が考えるかということでありまして、現に、公益的な目的に基づくものや社会政策的配慮に基づくものとして、ノーベル賞の賞金、文化功労者の年金、在外公館に勤務する職員に支給される在外勤務手当は非課税扱いなのに、どうして国際貢献の手当に税金がかかるのか。これだけ国のために一生懸命働いた人に対する功労金でございますが、それを非課税にしようと働きかけをされるかどうか、伺います。

北村副大臣 お答えさせていただきます。

 ノーベル賞の賞金、また文化功労者の年金などは、公益的な目的に基づくものとして、社会政策的配慮に基づくものなどについては、所得税法上、非課税とされているということは御承知のとおりでございます。

 一方、給与は、その者の所得を構成するものでございますから、原則として所得税の対象となるというところでございます。また、海外に派遣される自衛官等に支給される国際平和協力手当やイラク人道復興支援等手当も、勤務に対する報酬としての性格を有しておりますから、給与として所得税が課せられるというふうに承知しております。

 ただし、在外公館に勤務する外務公務員が在外公館に勤務するのに必要な衣食住等の経費に充当するために支給される在勤手当や、実費弁償としての性格を有する航海手当等は、所得税法上、例外的に非課税とされております。

 したがいまして、国際平和協力手当やイラク人道復興支援等手当を非課税とすることは困難であると考えますけれども、今後、国際平和協力手当を所管する内閣府やイラク人道復興支援等手当を所管する内閣官房ともよく相談をいたしまして、検討を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

中谷委員 困難だというのは何事ですか。現に、公益的な目的に基づくものとして文化功労者やノーベル賞をもらった人は非課税なんですよね。世界平和を実現することは、まさに公益的な目的に基づくものではないでしょうか。現に、在外公館の勤務手当も非課税なんです。したがって、防衛省はその努力をしていただきたいとお願いをさせていただきます。

 外務大臣に伺いますが、米国にオバマ政権が来年始動します。外交、安全保障では、今後、アフガン、パキスタンを重視しつつ復興支援を進め、気候の変動、アフリカ支援、貧困対策などグローバルな取り組みも積極的に進めるものだと思っておりますが、これこそ日本がこれまでやってきた分野で、これは非常に日米共同のよい機会と考えるべきでございます。

 そこで、オバマ政権もアフガン支援、これに力を入れていくのではないかと思いますが、恐らく米国は同盟国にもっと支援するように圧力をかけてくると思っております。しかし、アフガンはイラクよりもはるかに危険度が高く、大きな政治課題になるでしょうが、今後、日米が中心となって、自衛隊を含めた官民協力による国際協力、援助の枠組みをつくることが必要でございますが、今後どのようなことを考えていかれるのか、お伺いをいたします。

中曽根国務大臣 米国の次期政権、オバマ政権とは、今委員がおっしゃいましたようないろいろな国際的な諸問題、また地球規模の問題等について、緊密に連絡をとり合ってまたやっていかなければ、そういうふうに思っております。

 今御質問にありました今後のアフガン支援についてでございますけれども、いわゆるテロとの闘いというのは非常に息の長い取り組みでございます。アフガニスタンを再びテロの温床としないためにも、国際社会が一致協力して、いわゆる治安・テロ対策とそれから人道復興支援、この両面において、これをやはり粘り強くやっていくということが大切であることはもう言うまでもございません。

 これまでも、タリバン政権が崩壊して以降、国際社会は治安の維持、回復についてアフガニスタン政府を支援してきたわけでありますけれども、今後も国際機関それからNGO等と緊密に連絡をして協力をして、官民挙げて互いに連携、調整しながら人道復興支援をすることが大事だ、そういうふうに思っております。

 アフガニスタンにおいてはさまざまな進展も見られますけれども、残念ながら、依然として治安の改善あるいは麻薬問題等、いろいろな問題が山積をしていることはもう委員も御承知のとおりでございます。そのためには国際社会は、部隊の増派に加えまして、共同調整モニタリングボード、JCMBですね、これはアフガニスタンの今後の国づくりに関するアフガニスタン・コンパクトの実施をモニターすることを目的として創設されたもので、二十四の国、機関により構成される支援調整会議でございますけれども、これや、それから国連アフガニスタン支援ミッション、UNAMAですね、これらを通じましたドナー協調によって援助効果の強化を図るなどの取り組みを行ってきております。

 今お話ありました米国でございますが、我が国が今後いかにしてアフガニスタンに対しまして実質的な支援を行うかということにつきましては、我が国自身が決定する問題である、そういう一貫した立場をとっておるわけでございます。

 我が国といたしましても、米国を初めといたしますこうした国際社会の枠組みと協力をして、また協調しながら、海上自衛隊による今までやっております、また今回延長させていただきます補給支援活動、これとともに、幅広い分野で今まで約十四・五億ドルの人道復興支援をやってきておりますけれども、今後も我が国にふさわしい適切かつ効果的な支援をやっていきたい、そういうふうに考えておるところでございます。

中谷委員 今後はパキスタン、アフガニスタンが一つの焦点になりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 インド洋の補給支援活動が継続することになりましたが、一方で、近傍海域で海賊被害が多発をいたしております。現在、自衛隊はインド洋で燃料給油支援を行っていますが、この部隊が、例えばアデン湾とかオマーン周辺、近傍で海賊被害が発生して、それを目撃し、通報を受け救助を依頼された場合にどうしますか。自然災害や事故などで遭難したいわゆる海難については一般船舶を救助することが可能だと思いますが、こういう場合、日本の自衛隊の船としてどういう対応が考えられるんでしょうか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、海上におきまして遭難者がありました場合には、その救助につきましては、これは合理的に期待される範囲で船長の義務とされておりまして、このことは海上自衛隊の船の船長にも適用されるものでございます。

 そして、補給支援活動を実施している海上自衛隊の艦艇が、仮定の問題でございますが、現に海賊行為が行われている場面に遭遇をして、この船舶の危急を救うためにやむを得ない場合には、事実行為といたしまして、沿岸国あるいは関係機関などに対しまして通報を行うとともに、実際に任務とされております補給支援活動との関係を勘案しつつ、これを継続して監視をする、あるいはできる限りの措置をとるということは否定されるものではないというふうに考えておるところでございます。

中谷委員 お答えをいただきましたが、一般的な海難救助というのは、事故もあるし、私は海賊もあるのではないかということで、以前、インドネシアの津波の際は、防衛庁長官が急遽艦艇にこの人命救援の任務も付与して捜索に当たりましたが、ぜひこういった海賊対策などには、応戦はしないものの、外国人、日本人の救助、救援、エスコートなども検討していただきたいと思います。

 それから、一般的に艦艇は任務を二つ、三つ、四つあわせ持って航行いたしております。このことを考えますと、補給支援活動を行いながら、海賊対策として、ソマリア沖に出動している多国籍軍の艦船への給油を今後行うこともできるのではないかということでございますし、また将来、海賊対策として日本の護衛艦が派遣された場合に、補給船がOEFのMIOに参加の船の補給と海賊対策の護衛艦への給油を兼ねるという活動をすれば、非常に合理的で喜ばれると思いますが、こういう任務をあわせ持たせることは可能なんでしょうか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、前半の方でございますけれども、海上自衛隊の船舶が外国の艦船に対して今の補給支援特措法に基づきまして給油を行うということになりますと、当然のことながら、相手国の艦船が実態として海上阻止活動に従事しているということが枠組み上必要というふうに考えております。ただ、もちろん、付随的に海賊対策を行う船であっても、これは制度上は不可能ではないというふうに考えております。

 そこで、先生御指摘のように、ソマリア沖に出動している多国籍軍の艦艇への給油を行うということにつきましては、今申し上げましたような枠組みのもとでどう考えるかということでございますが、政府全体としての海賊対策のあり方、あるいは給油活動の根拠等の法的側面、それから部隊運用上の課題、あるいは諸外国、関係機関との協力のあり方というような点につきましてさらに十分に検討をすることが必要であるというふうに考えております。

 それから後半の方でございますけれども、海上自衛隊の補給艦がOEF・MIOへの参加艦艇への補給それから海賊対策の護衛艦の給油を兼ねるということにつきましてでございますが、OEF・MIOへの参加艦艇につきましては、先ほど申し上げましたとおり、特措法に基づく補給ということは可能でございます。

 それから、海上自衛隊の護衛艦への給油ということでございますと、これは、派遣されるということになりますれば、当然これに対する補給というものは派遣のための枠組みの中での活動の一環ということでございますので、これは海上自衛隊の中の話でございますので、その補給そのものは当然可能でありますので、あとは運用上これをどう両立させるかということにつきまして検討をしてみるということが必要であるというふうに考えております。

中谷委員 非常に、この補給支援活動は、現に今、海賊が多発しているソマリア沖、アデン湾のすぐ近くでありまして、現に日本郵船所属の高山というタンカーが海賊被害に遭ったときに、第三国の軍艦が助けてくれました。よく調べてみると、この軍艦はOEF・MIOに参加し、日本から燃料補給を受けた船でありまして、こういう形で我が国にメリットが出てきておりまして、ぜひこの任務をあわせ持つ船には補給をしていただきたいと思いますし、また、将来におきましては、この海賊対策も含めて燃料補給ができるようにお願いをいたしたいと思います。

 現在、この海賊対策におきましては、自民党内でプロジェクトチームをつくりまして法律を検討しているわけでございますが、今のところ、法律をつくる根拠につきましては、やはり国連海洋法条約の百条におきまして、すべての国は海賊行為の抑止に協力する義務があるということであります。また百五条で、いずれの国も、海賊船を拿捕し、または海賊を逮捕すること、さらに裁判にかけて罰することができるということを定めていますが、我が国の刑罰法令もこうしたことに対応できているのでしょうか、伺います。

大庭政府参考人 お答え申し上げます。

 国連海洋法条約百条は、海賊行為の抑止のために一般的に各国が協力を行うべきことを定めておりますが、これには、各国がそれぞれの事情を踏まえて可能な範囲で協力を行うということを義務づけておる趣旨でございまして、海賊行為の取り締まりを条約の義務として各国に課したものではないというように承知をいたしております。

 我が国の法令の適用に関してでございますけれども、公海上における海賊行為が日本船舶内で行われたとき、すなわち、海賊船舶が日本船舶である、あるいは被害船舶が日本船舶であるというような場合には我が国の刑法の適用があり、また、これを日本国民が犯したとき、あるいは日本国民が被害者になったとき、そのようなときには殺人、傷害、強盗などの罪について我が国の刑法が適用されるということと承知をいたしております。

 他方、海賊船舶も被害船舶も外国船舶であって、しかも外国人が外国人に対して海賊行為を行ったというような場合には、我が国の刑法の適用はないというように承知をいたしております。

中谷委員 これは非常に欠落した部分なんですね。国際条約によって、逮捕し、裁判にかけて罰することができるとなっておりますのに、人のものを奪ったり暴力行為が行われているということですから当然刑罰で対応できるものにしなければなりませんし、外国船同士の海賊行為につきましても、今それは、現状は処罰できないということでありますが、やはり海賊罰というようなものを創設して、それをしっかり適用していくというふうにする必要があるのだと思いますが、今後そのような方向で法整備をしていくお考えはありますでしょうか。

大庭政府参考人 ただいま御指摘のございました、海賊行為の当事者が外国船同士、すなわち海賊船舶も被害船舶も外国船であるというような海賊行為をも取り締まるために、総合海洋政策本部におきまして、国連海洋法条約などにのっとって、船舶の国籍を問わず公海上の海賊行為を我が国の国内法上の犯罪とするというような法整備について検討を行っているところでございます。

中谷委員 処罰の規定はそれでよろしいかと思いますが、実際、法律ができたら執行しなければなりません。その執行につきましては海上保安庁がそれをまず第一義的に担うものでございますが、現実として、ソマリア沖まで行くにはかなり能力的にも厳しい部分があります。こういう点は自衛隊が担うべきだと思いますが、しかしながら、海上自衛隊は警察機関ではありませんし、司法警察職務として逮捕、犯罪捜査の権限、能力を現場においてできることが今できませんが、これに対してどう考えておられるのか。例えば、護衛艦に海上保安官を乗せて、お互いが協力して対処するというようなことが考えられますけれども、これにつきましてどう考えたらよろしいんでしょうか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の刑罰法令が適用される犯罪につきまして、自衛官が刑事訴訟法の第二百十三条に基づきまして現行犯人の逮捕を行うということは、制度上可能でございます。ただ、この場合でも、同法の第二百十四条に基づきまして、直ちに現行犯人を検察官または司法警察職員に引き渡さなければならないというふうにされておるところでございます。

 そこで、現時点では、海賊行為の取り締まりのための措置といたしまして、自衛隊がいかなる対応をとるべきかということについては一定の結論が出ているわけではございませんけれども、逮捕後の手続につきまして、先ほど述べましたような厳格な時間制限を刑事訴訟法が定めておりますので、このような趣旨も踏まえまして、海賊を拘束したような場合に、この身柄を沿岸国等の関係国に引き渡すのか、あるいは我が国の司法手続に従って我が国に移送するのかというような点、こういうさまざまな論点がございますので、海上保安庁でありますとか法務省でありますとか関係省庁と連携をして、具体的に検討を積極的に進めてまいりたいと考えておるところです。

中谷委員 もう一点、武器の使用でありますが、海警行動の場合は、海上保安庁法の準用ということで、正当防衛、緊急避難のみ危害を加えるという制限がついております。しかしながら、ソマリア沖につきましては、ロケットランチャーとか重火器で武装をしている海賊でありまして、その場合、正当防衛、緊急避難だけで派遣をしますと、本当に任務が果たせるかという点を心配いたしております。

 そこで、法制局に伺いますが、海賊対策ということで派遣された場合に、これは刑法の法基準がありまして、いわゆる警察権の行使として任務を行う場合の武器使用につきまして、自衛隊がその代行として行う場合に、武力行使との関係におきまして、これは警察活動であるという認識で対応することができるのかどうか、憲法との関係で問題になるかどうか、お伺いいたします。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、海上における公共の秩序の維持のため、自衛隊法八十二条に規定する海上警備行動が発令された場合に、我が国の刑罰法令が適用される犯罪に当たる行為を行った海賊に対して、自衛官が自衛隊法九十三条により準用する警察官職務執行法第七条の範囲内で行う武器の使用は、憲法九条に反するものではございません。

中谷委員 これは確認させていただきました。

 今、政府は法律を検討されていると思いますが、来年の通常国会にこの法案を提出していただきたいと思いますが、この時期と見通し、そして最後に、政府の決意として防衛大臣にその決意のほどを伺いたいと思います。

大庭政府参考人 海洋の安全の確保というものは我が国の繁栄と発展に不可欠でございまして、特に海賊への対処は、国際社会が一致して対応すべき重要で緊急の課題であるというように考えております。このようなことを踏まえまして、総合海洋政策本部事務局におきましては、関係府省の協力を得ながら、できる限り早期に検討結果を出すべく、最大限努力をしているところでございます。

 時期の見通しを明らかにするまでには至っておりませんけれども、できる限り早期に検討結果を出すよう努力してまいりたいと思いますので、御支援をお願いしたいと思います。

浜田国務大臣 今、中谷先生からの御指摘があったように、我々も、海賊というものに対しての認識は強く持っているところでございますので、今後、必要な検討を政府の一員としてしっかりやっていきたいというふうに思っておるところでございますので、また御指導のほどよろしくお願いいたします。

中谷委員 一生懸命取り組んでいただきたいと思います。

 それから、防衛省改革についてお伺いをしたかったわけでございますが、防衛省改革で防衛力整備部門というものを統合して、それを内局に置くということを聞いております。そもそも防衛省改革というのは、守屋事務次官が非常に権限を使い過ぎて、非常に風通しがよくなかったということでございますが、この改革が、内局にまた新たに防衛整備局を設けて大内局にすれば、幕との関係において、幕僚長の権威というか部隊掌握力が落ちてしまうような心配、危惧がございます。

 ぜひ、省内でも党内でもこれは余り議論せずに結論が出てしまったということでございますが、防衛省の組織機能としては非常に大事な問題でございますので、よく部内で検討をして、しっかりとした、いい形をした改革にしていただきたいことを要望して、質問を終わらせていただきます。

今津委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 まずは、昨日起きました護衛艦「しらね」の事故について伺います。

 昨日十五日の朝に横須賀港内で、護衛艦「しらね」が第六本栄丸という作業船と接触、衝突事故を起こしたということが報じられておりまして、この「しらね」の問題というのはかつても、この委員会で私も取り上げましたけれども、火災を起こして、その損失額たるや膨大なもので、推定で何百億円ではないかというような話もございました。

 まず伺いたいのは、火災後、修理から戻ってきて直後の事故でございまして、「しらね」自身、火災の修繕に要した費用、これは一体幾らかかって、どれぐらいの時間をかけて修繕、修理されたのかということについてお答えいただけますか。

徳地政府参考人 大変恐縮でございますが、先ほど御質問通告を受けたばかりでございまして、ちょっと今間に合っておりませんので、済みません、調べて御報告したいと思います。

渡辺(周)委員 では、どれぐらいの時間を要したのですか、修繕、修理に。

徳地政府参考人 「しらね」の火災事故につきましては、昨年の十二月十五日の朝に鎮火をいたしまして、その後、いろいろ調査を行っておったわけですが、ことしに入りまして修理を行いまして、その後、済みません、ちょっと今具体的な資料を持ち合わせておりませんので、いつまでというのは直ちにお答えできかねます。申しわけございませんが、修理を終えたところでございます。

渡辺(周)委員 昨年の十二月十五日に火災を起こした船が、十二月十五日に今度はまた衝突事故を起こした。一体これは、どういうわけでまたこういう事故が起きたのか。その点は、今どういう調べになっていますか。

徳地政府参考人 御答弁申し上げます。

 「しらね」とそれから先方の船であります第六本栄丸、これはどちらも人的被害もございませんで、それから自力航行は可能ではございますが、いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊といたしまして、今般の事件の原因あるいは被害の状況につきまして早急に調査を実施しまして、同種の事案の再発防止の徹底に万全を期したいというふうに考えておるところでございます。

渡辺(周)委員 私がこれを問題にするのは、たしかこのときはCICですか、最も心臓部の、あるいは人間に例えれば心臓なのか頭脳なのか、最も大事なところで火災を起こして、しかもそれが、不起訴処分になったとはいえ、たしか報告書を見ましたら、個人が、隊員が缶コーヒーを温めるか何かするための私物を持ち込んで、それが原因ではないかというところまでは我々も報告を受けました。

 その点についても国会で議論しましたけれども、信じられないような理由で、多額の税金をつぎ込んでつくった旗艦がこういう形で損傷をし、しかも修理をしてまた航行を始めたら今度は接触事故を起こす。全く信じられないようなことが起きるわけでございまして、一体自衛隊は何をやっているんだろうかというのが本当に率直な思いでございます。

 この委員会でもずっと、いろいろと防衛省のさまざまな不正やら不祥事やらについても取り上げてきました。本当は、余りこんなことばかりやるのは私自身は本意ではないわけでございますけれども、今答えられなかったら、ぜひ改めて、私の部屋でも結構ですし、委員の皆さん方に、どれぐらいの時間がかかって、一体どれぐらいの修繕費、修理費がかかったのかということについては速やかに御回答いただきたいというふうに思います。

 委員長、またよろしくお取り計らいのほどを。

今津委員長 はい。

渡辺(周)委員 もう一つ、昨年来から取り上げてきています、例の防衛省の裏金問題と言われるものが昨年の暮れに新聞報道されました。

 この問題についても何度も取り上げてきたわけでございますけれども、防衛省の裏金問題と指摘された事実について、調査をしている、調査をしているということでたしか今日まで来ておりますが、現状どうなっているのか、その点お答えいただけますか。

長岡政府参考人 御指摘のございました問題でございますけれども、昨年末の報道を受けまして、防衛省が情報収集及び犯罪捜査に使用している報償費について、関係する内部部局、各自衛隊の部隊等における報償費の支出状況の確認、関係者からの聞き取り調査等を行いまして、使途が適切であったかどうかについて確認作業を実施しているのは、今御指摘のとおりでございます。

 この作業を進めておりました中で、報償費の透明性、効率性の観点から、幾つかの改善を要する事項が判明いたしましたので、今後、そういった報償費の使用に関する改善策について早急に実施しようということで、七月二十五日にその中身を公表させていただきました。

 防衛省・自衛隊といたしましては、現在も引き続き確認作業を実施しております。それで、本改善策について各部隊等に出向いて指導する等、またその際に、関係書類の精査、関係者からの聞き取り等についても確認作業を続けております。

 そういうことで、引き続き確認作業を続けておるということを申し上げさせていただきます。

渡辺(周)委員 今、局長お答えになった改善を要する事項というのは、具体的にどういうことですか。お答えいただけますか。

長岡政府参考人 確認作業の中で早急に改善した方がいいということでございますけれども、その改善策の主な内容は、一番目といたしまして、報償費の使途を限定すべきで、決算上の支出区分もわかりにくいという御指摘に対応して、新科目を創設いたしております。これは、この委員会でかつて渡辺先生から御指摘をいただいております報償費の使途を限定すべきであるという御指摘も踏まえて、今、情報収集等活動費ということで概算要求をさせていただいております。

 二点目は、報償費につきまして、総括取扱責任者が複数でございますので、その配分額が従前の実績をもとにした固定的なものになりやすいという点がございましたので、これに機動的、効率的な執行を確保するため、今後、大臣官房におきまして報償費を一括管理するということにさせていただきました。これが二点目でございます。

 それから三点目は、報償費の配分に関しまして、従前、会計機関の関与が少のうございましてチェック体制として必ずしも十分ではなかったという点につきまして、今後、すべての報償費の配分につきまして、各機関の会計機関を通じて実施するといった改善策を実施させていただいているところでございます。

渡辺(周)委員 私は、この問題をずっと取り上げてきた中で、報償費は大きく分けて二つありまして、隊員の方の身の上に不幸があった場合に支払われる賞じゅつ金とそれ以外の報償費。中身については、まさに今指摘があった報償費の中に、情報収集、あるいは自衛隊員に対する表彰の副賞等々があるんですけれども、この賞じゅつ金以外の報償費というのが、過去全部見ましたら、ほとんど同じ額。平成十七年度からさかのぼること平成九年度まで、何と一億二千三百十九万七千円、当初予算額。決算額もずっと同じなんですね。これはどう考えても、帳じりを合わせているとしか思えないということも再三指摘しました。

 この問題の最後に伺いたいんですけれども、実際、情報収集は私は否定はしません。情報収集した上で、本当にしたのかどうか。何か名前だけ借りて受け取りだけ書かせて、適当にだれかが判こだけついたら、もうそれで支払われていたんじゃないのか。本当に情報収集していたのかどうか。この点についてはちゃんと確認していますか。その点はいかがですか。

長岡政府参考人 確認作業の中で、そういった情報収集につきましては自衛隊の活動等に必要なものでございますので、それはきちんとやっております。

 ただ、今先生おっしゃいましたように、もっと、後で確認しやすいようないろいろな工夫はした方がいいだろうということで、今申し上げましたような改善策について今後実施していきたいと思っておるところでございます。

渡辺(周)委員 では最後、大臣に伺いますけれども、石破さんが大臣のときにもさんざん、やっていく、とにかくちゃんと究明する、調べる、調査をするというような約束をこの場でされました。当然、引き継ぎは受けていると思いますけれども、この問題は、やはりあいまいにしてはいけないと思うんです。

 制度を変えたからいい、これまでのことは不問に付されるのではなくて、本当に情報収集をやっていたのか、いわゆる裏金づくりに使われていたんじゃないか、あるいは別のことに流用されていたんじゃないかということが再三指摘を、新聞社からもされましたし、私も国会の中でこの問題を取り上げました。

 実際、この問題について、まずちゃんと調べる。これは不名誉なことですから、もしなかったらないで、書いた新聞社を訴えるなりをして、訂正を出せ、こんなことはなかったと。これは防衛省の名誉にかかわることですから、そこまでの覚悟はありますかということも以前私は尋ねたことがございました。

 この点についてやはり真相を究明すべきだと思いますけれども、この点については、大臣、どのような認識を持っていらっしゃいますか。

浜田国務大臣 先生のおっしゃるように、こういった新聞報道を含め、先生からの御指摘というのは、大変重く受けとめておるところでございます。

 今装備局長からも話しましたが、今調査をしているということは、当然、先生の御指摘を受けて、我々としても究明をしたい、そしてまたその中で皆さん方に説明できるだけのものをつくらなければいけないというふうにも思っておりますので、石破大臣同様に、しっかりと究明をしながら、そしてまた疑惑の点があるならばそれを解明し、それを御説明していきたいというふうに思っているところであります。

渡辺(周)委員 この問題については、中間報告という形で私も受けておりますが、最終的にいつぐらいをめどに結論を出すんですか。そして、何らかの形で国会へ報告すべきだと思いますけれども、そのめどはいつと考えていらっしゃいますか。

浜田国務大臣 今申し上げましたように、時期的なものに関しては、できるだけ早くとしか今の状態では言えませんけれども、私なりにしっかりとチェックをして、できるだけ早く提出できるように努力してまいりたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 この問題では本当にいらいらするんですね。指摘されたのは昨年の話ですね。もう一年たっているんですよ。一年たって、今も調査中、今も調査中と言って、結果的に何でこんなに時間がかかるんだと言ったら、いや、複数の関係者がおりまして、中にはやめた者もいましてなかなか調査が進まないと言ってみたり、あるいは資料が膨大で、一つ一つチェックする時間がかかっていますと言いますけれども、どう考えても私は時間切れをねらっているとしか思えない。

 この問題については、ぜひ大臣、お約束をしていただきたいというふうに思います。

 さて、時間もありませんので、次の質問に。少し前向きな質問もしなきゃいけませんので、質問させていただきます。

 ことしの七月、今津委員長が筆頭理事だったときに、この安保委員会で各党の委員の皆さんと中東、アフリカに行ってまいりました。そして、UNDOFの展開されているシリア・ゴラン高原、それからクウェートのアリ・アルサレム基地、そして、今自衛官の方が派遣されたスーダン・ミッションの本部と行ってまいりました。

 国際貢献をしていることについては、私も我が党も決して反対をしているわけではございません。その都度の国際環境、あるいはその国の治安情勢、そして政治判断によるわけでございますけれども、その中で、現地の方々ともいろいろお話をして非常に関心を持ったことがございます。

 その中で一つ、国際貢献をして、先ほど中谷委員も触れられましたけれども、現地で展開をされる中において言葉の問題、通訳の問題。

 インテリジェンスレポートという冊子がありまして、私たまたま読んでおりましたら、与党、自衛隊出身の佐藤さんがインタビューに答えられて、情報不足のこと、あるいは情報の重要性であるとか地元有力者とのパイプづくり云々という中で、通訳の確保が一番苦労したんだということが書かれていました。

 また、私も中東等に行きましたときに、現地で活動されている方々ともいろいろ何人かの方とお話をして、同じようなこと、言葉の問題をやはりおっしゃっていました。

 これはもっともなことだと思いますけれども、お尋ねしたいのは、自衛隊の中に、通訳ができるレベルの語学が堪能な方というのは今どれぐらいいらっしゃるんですか。

北村副大臣 お答えさせていただきます。

 私も、当時御一緒させていただいた一人でございまして、同様の思いをいたしたものでございます。

 お尋ねの件につきましては、一概に、通訳ができる能力、語学堪能な隊員の人数というものを確定することは困難がありますけれども、例えば、語学職採用の事務官が約三百五十名、通訳レベルの研修等を修了した自衛官が約二百名おります。

 そのうちで、語学職として特に中東、アフリカ地域にかかわりのあるところでは、ペルシャ語とアラビア語というふうなことで採用された事務官等を述べさせていただきますと、それぞれ二名ずつ、アラビア語の研修を受講中の自衛官が二名おります。

 そして、防衛省・自衛隊の国際社会における活動機会が今後、先生御指摘のようにますます増大する中で、語学教育の重要性や通訳要員の養成の必要性もますます高まっていくと認識しておりますから、引き続き、通訳研修を含む各種の語学の教育に努めてまいらなければいけないと考えておるところでございます。

渡辺(周)委員 今のお答えですと、ペルシャ語の通訳レベルの方が二名、アラビア語の方が二名で、さらに受講中の方が二名、これはアラビア語の方がいらっしゃる。つまり、この二名の方が通訳として一人前になるとして、六名ということでよろしいですか、確認ですけれども。そうしますと、二名と四名ということですか。はい。

 たまたま、この佐藤さんのインタビューを読んでいまして、与党の方ではありますけれども、自衛隊出身の方ということで、現地に行った方のこれは多分本音だと思いますが、ほかの国は自国籍の通訳を使っていた、例えば相手の国の人間に通訳したことが相手の国に筒抜けになる、それを実際確認するすべはないわけでございまして、本当に意図が伝わっているのかということで、複数の通訳を並行して使ったりしながら苦労していたということが書かれております。

 国際貢献が本来任務になった中で、今のお話ですと、ペルシャ語二名、アラビア語二名というのは、私は非常にまだ数が少ないのではないかと思いますけれども、実際、今後国際貢献をしていく中において、ペルシャ語、アラビア語に限らず、さまざまな言葉が必要とされるわけでありますけれども、この点について、人材育成ということについてどうお考えなのか。

 佐藤さんがおっしゃっている中に、「難民に自国籍を取らせた上、積極的に通訳として使っている。米軍では冷戦後、アラビア語とペルシャ語の教育に力を入れていると聞いている。我が国も、法務省が難民を積極的に受け入れてくれたら、楽になる面がある。」つまり、難民に日本国籍を取らせて、日本の人間として、ネーティブの言葉をしゃべることができる人間を通訳にすべきではないかというような指摘もあります。

 こうしたことを踏まえて、我が国の国際貢献をしていく上において、自前の通訳というものをどのように確保していくかということについては今後どうしていかれるのか、お答えいただけますか。

浜田国務大臣 当然、ニーズが出てきたというのは、我々とすると、人材育成というのは時間がかかるわけで、そういった意味においては、新たに中東の展開ということが出てきたわけで、その中で予算的な部分、そして人材的な部分というのを考えたときには、これからしっかりやっていかなければいかぬと思いますので、その点のところにしっかりとした認識を持ってこれはふやしていかなければいかぬというふうに思っているところであります。

渡辺(周)委員 これから、各国の要請を受けて、国際社会の要請の中で我が国がいろいろな形で国際貢献をしていく中でやはり、我々日本人としての感覚で物をしゃべる、相手国の文化やいろいろバックグラウンドにある宗教的なもの、民族的なものを含めて理解をした中でコミュニケーションをとれる人材をつくっていかなきゃいけませんし、それがひいては真の国際貢献につながるでしょうし、また、そこで展開をされる自衛隊の安全を高めることにも寄与するんだろうということでございますので、自前の人材をつくるということについて、ぜひ積極的に人材育成を図っていただきたいというふうに思うわけでございます。

 さて、最後の質問になりますけれども、国会の質疑をやっている中で、いわゆる制服組の方、私たちとしては、今回の田母神事件を契機にして、それ以前からも要請はしてきましたけれども、やはり制服組の方々にも直接所信を聞く機会をつくるべきじゃないかと。ところが、この話になりますと、これまでそういうことがまずほとんどなかったと。何でですかと聞いたら、これは御存じのとおり、昭和二十七年の保安庁通達というものが根拠になるわけでございますけれども、これが平成九年には廃止をされた、しかし、あわせてそのとき同時に、事務次官通達でこれまでと変わりないと。

 つまり、昭和二十七年の保安庁通達で内局と幕僚の所掌事務というものが分けられていて、その点がこれまでの、制服組が国会出席、答弁をしないということの根拠とされていました。一九九七年、平成九年、橋本内閣のときに廃止をされましたけれども、これ自体は、もう既にそのことについては、実務の積み重ねによって能率的かつ適正に実施されているからこの事務調整訓令というものが廃止されたのである。

 しかし、この事務次官の通達では、ただし、この廃止によって現行の事務の運営の方法が変更されるというものではないと、またそれを打ち消す通達があわせて出されておりまして、結果的に、このことがあって、制服組の方々が国会で答弁しないということの根拠になっているわけでございますけれども、これはいまもまだその通達が生きているということで判断をしてよろしいんでしょうか。大臣、いかがなんですか。

浜田国務大臣 今回の通達に関しては、今の時点では、我々とすると、この事務次官通達によって、国会との交渉については、国会における審議等が主として政策的な観点から行われますので、基本的に内部部局が対応して、各幕等は必要に応じ、軍事専門的、技術的事項その他権限と責任を有する事項について対応してきたところである、今後ともこれらの点には変わりはないというふうに記されているわけでございますので、私自身とすれば、今までどおりの体制でやっていくということをここに書かれたんだと思っているわけでございます。

 今後、では一体どうするのかという話になってきますと、確かに軍事的な部分の専門知識とかいろいろな意見というのは当然お聞きになりたいこともあろうかと思いますけれども、その点について、政治的な部分に関しては我々ということになるわけでありますが、しかしながら、国会の方で、逆に受け皿の問題も多分あるんだろうなというふうにも思っているところであります。

 私は、防衛の観点、非常にいろいろと機微な部分、そしてまた防秘の部分等々もありますので、その受け皿づくりというか、国会においてもいろいろな議論をさせていただいているところであるというのも認識しておりますので、そういうところも含めてかかわってくるというふうに思っております。

 我々防衛省側とすれば、この事務次官通達によって、今のところそういった形をとらせていただいているというところでございます。

渡辺(周)委員 実は、事務次官通達が出る前の保安庁の訓令の中には、第十四条に、「幕僚監部の職員は、長官の承認を得た場合又は技術的事項に関する場合を除き、国会等との連絡交渉は行わない。」とされているんです。

 つまり、廃止になる前は、長官の承認を得た場合は国会に出てもよろしいということで、長官の承認があるかないかが極めて判断の一つの材料になったわけですけれども、これが廃止されたということになって、これもなくなった。

 では、例えば国会に出てもらうには、事務次官通達をもう一回通達し直すということならば可能だということですか。それとも、今でもまだ長官の承認があれば出られる、今の大臣ですね、というふうにお考えですか。いかがなものか。

浜田国務大臣 今現時点で、今先生御指摘のように私が変えて、それをいきなり今の時点で判断しろというのは、大変、私自身としても、もう少し検討させていただきたいなというふうに思います。考えなきゃいかぬというふうに思っておるところであります。

 そしてまた、今申し上げたように、逆に言うと、国会の方の議運での議論等々も含めて考えなければならないのかなというふうに思っておるところでありますし、今現時点で私自身がここですぐ変えるということは、もう少し私なりに考えさせていただければと思う次第であります。

渡辺(周)委員 それでは、もう時間もありませんので最後に伺いますけれども、幕僚長の、特に制服組のトップがかわって、所信を聞くということは、大臣、必要だと思いませんか。

 つまり、記者会見では、あるいはどこかで、許可を得れば講演に行って持論をとうとうと述べて、記者会見の席では出ているわけですね。ところが、国会には来ちゃいけないということは、どう考えても、これは、国会、立法府がシビリアンコントロールをする。シビリアンコントロールというのは内局統制ではありませんから、当然、国会、立法府の中で制服組の方々の意見を聞く、所信を聞く。もっと言えば、先ほどの通訳の問題。実際、外国で国際貢献で活動した、現地にいた方々のまず実体験の上で、こういうことであるということを我々も聞きたいんですね、内局というフィルターを通さないで。

 この点についても、私は決して何ら問題ないと思うんですけれども、大臣、いかがお考えですか、その重要性というものについて。これは個人の見解でもいい。個人の見解があるかどうかわかりませんけれども、大臣に。

浜田国務大臣 前々から、この件に関しては渡辺先生ともいろいろな形で、場面場面でお話をしてきたところであります。当然、今おっしゃったような点等、疑問点というのはあるわけでありますので、そういったところも含めて考えれば、先ほどから申し上げておりますように、国会の方で受け皿というものがしっかりとできて、秘密の保全等々いろいろなことができれば、我々も検討に値すると思っていますし、逆に言えば、その考えを、今おっしゃったような形で国会で直接聞けない、ほかではしゃべっているではないかという指摘を受ければ、当然そういったところもあるわけでありますので、我々とすると、少なからず、今後検討という、私が先ほどから申し上げているように、私の思いとすれば、そういった環境が整えば当然そういったことも可能になるのかなというふうには思っておるところであります。

渡辺(周)委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に一つだけ。

 もう一回確認ですけれども、検討というのは、防衛省内部なりあるいは政府内で制服組の国会出席について本当に何かの形で検討しますか。よくある行政用語で、検討というのは何もしないことで、そのままとにかく一回やり過ごしてしまうために、検討しますと言って大体ごまかされますけれども、これは本当に本気で検討する気はありますか。最後に伺います。

浜田国務大臣 当然、防衛省改革等々いろいろな話を今しているところでありますので、我々とすれば、逆に言えば、内局、自衛官の能力というのを同じようにスキルアップしていくということになれば、当然そういったことも考えられますし、まず、そういった我々の方の自衛官の能力、そしてまたそういったものを含めて考えてやっていきたいというふうに思っています。

 それと、本当に早くするのであるならば、逆に言えば、国会における議運の議論というのが合わさったときにはかなり早くなるのかなという気はしております。

渡辺(周)委員 終わります。

今津委員長 次に、山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 きょうは、アフガンの問題について事前の通告をさせていただいているわけですけれども、先ほどイラクの話が出ました。どういう教訓があったか。あるいはテロの温床にならないようにという話もありましたけれども、そろそろ歴史的な検証をすべきときに来ている。本当にイラクに行って間違いじゃなかったのか。

 まず最初に、どういう目的でこのイラクの戦争を始めたのか。有名な話です。二つありますね。一つは、大量破壊兵器があるんじゃないか。もう一つは、アルカイダの基地があるんじゃないか。この点について、浜田大臣、これは事前通告していませんけれども、大きな話ですから、まず、この大量破壊兵器について、実際にどういうことだったのか、どういう御認識でしょうか。

浜田国務大臣 今まで、イラクの場合においては、十二年にもわたって決議というものに対して違反をして、その証明をしてこなかったというのが一つあろうかと思うわけでありますし、確かに、先生御指摘のように、なかったではないかというのもあるわけでありますが、国際的な国連の場において、それに対して説明責任を負わなかったというところからも一つの問題があったのではないかなというふうに思っておるところであります。

山口(壯)委員 浜田大臣が認められたように、確かに大量破壊兵器は一発も見つからなかった。そして、テロとのつながりと言われているアルカイダの基地も見つからなかった。これは、アメリカの上院の正式な報告書にしっかりと書いてある。

 そうすれば、では、自分で国連の場で、ないということを証明できなかったから戦争するということが本当に許されるのかという話になるわけですね。これは、実は教訓ということにつながっていく。アメリカがもしも間違いをしているのであれば、同盟国としてそれを正していくということが一つの大きな仕事のはずです。

 この間のテロ特でも私申し上げましたけれども、イラクとアフガニスタンにおいてアメリカが巨額の戦費を使っていることが、実は、今の経済危機、アメリカの経済の底を抜きつつあるという側面があるわけですね。例えば、イラクの戦争について、スティグリッツという人が三兆ドル戦争という本を書きました。三兆ドルということは三百兆円。五年間で割れば六十兆円。一年間で六十兆円ということは一月五兆円。一月五兆円ということは一週間で一兆数千億。これとアフガンと合わせると毎日数千億円のオーダーで戦争にかかわる費用がなされている。

 このことが、もしも今アメリカの力を大きな意味でそいでいるのであれば、日本としたら、このイラクあるいはアフガニスタンというものに対して、教訓ということであれば、それに対して日本は、どういうふうに、もっときちっと言えなかったのかということがあると思うんです。

 私も、たまたま九月十一日の翌日は、ホワイトハウスでマイケル・グリーン、彼とこの議論をしたわけですね。彼は、アフガニスタンとイラクと戦争だと言うから、では、証拠を見せてみろと。現実にイラクでは核兵器は一発もなかったわけです。

 私が申し上げたのは、ソ連はアフガンに手を出してつぶれたんだぞ、アメリカは大丈夫かと。十年で崩壊したけれども、アメリカは大丈夫かと。彼は、三日で片づける、三カ月で片づけると言っていましたけれども、三年でも片づかないし、いまだに、八年目に入っても片づかない。むしろ今、増派しようとしている。そうした場合に、アメリカは大丈夫かと言われていたら、リーマン・ブラザーズは起こる、ビッグスリーは吹っ飛びそうになっている。もはや大丈夫じゃないんでしょう。

 そうすると、この教訓という場合に、日本が何をそのときに言うべきであったかということは、もう少し違う観点から考えなければいけなかったのではないかと思うんです。浜田大臣に先ほど聞いたので、中曽根大臣。大きな話ですから、そういう、歴史的に、大きな目で見てみて、日本としての教訓といった場合に、少し違う切り口があるんじゃないのかということに対して、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 この問題は大変難しい問題でありますけれども、今委員がおっしゃいますように、客観的に、大局的に、このテロとの闘いのあり方あるいはイラクの問題を考えてみる必要はあろうと思います。

 そういう中で、国際社会の一員として日本が何をなすべきか、日本のなすべきことももちろんありますが、米国等に対しましても、よりよい提言とかそういうものがあれば、私は、そういうものは、日本として、地域の発展のためにこれが資するものであると考えるならば、そのような対応といいますか、助言といいますか、意見の表明といいますか、そういうものもあっていいんじゃないかと思います。

山口(壯)委員 出口戦略ということに関連して今おっしゃっておられるんだと思います。それは、出口戦略というのは、大きな意味でどういうふうにこの問題を解決していくかということであって、別にどう引き揚げるかということに限らず考えていきたいわけですけれども。

 今、出口戦略ということに関連しておっしゃったわけですから、では、アメリカとの連携、オバマさんという新しい人がチェンジということを掲げて出てきた。それに対して、我々がどう対応するかという観点じゃなくて、本当は我々がどうむしろアメリカを助けていくかという話があり得ると思うんです、ベトナム以上の大きな間違いをアフガニスタンでしているわけですから。戦闘では勝っているけれども、戦争では負けているんですね、ある意味で。個々の戦闘では勝っているように見える、しかし、大きな意味でとらえた場合に、戦争では勝っているとは言えない。それは、現場の司令官も、イギリスの司令官も言っているし、アメリカの統参本部の議長もはっきりと言い出している。

 そうした場合に、むしろオバマさんがどう考えているかということは、本来、それが第一義的じゃないんですけれども、まずそこから始めましょうか。今、外務省として、オバマ次期大統領がアフガンに対してどういう戦略で臨もうとしていると認識されているか、その点、いかがでしょうか。

中曽根国務大臣 オバマ次期大統領が政権をスタートさせた場合にどういう政策をとるかということについては、現時点で日本の政府としてお答えする立場にないのではないかと思います。

 しかし、今までの選挙期間中の同氏の発言等から見ますと、このアフガンに対してテロリスト対策というものをさらに強化していくということははっきりと述べておられるわけであります。我々としては、やはり、テロとの闘いは日本自身の問題でもまたあるわけでありまして、そういう意味で、新政権の方針がまだわかりませんけれども、我々のやれることを実施するということによってテロとの闘いの国際社会の活動に参加をしていく、そういうことではないかと思っています。

山口(壯)委員 今、中曽根大臣は、我々ができることは何かという観点からということをおっしゃっているんですけれども、私はもう少し前にということを申し上げようとしているんですね。

 というのは、アメリカが何を言うかということの中で何ができるかということではなくて、どういうふうにこの問題を解決できるかという発想を持ち始めたらいかがでしょうかと。

 申しわけない、いつ総選挙があるかわかりませんけれども、もしも私たちが政権をとらせていただける場合には、もちろんそういう動きをするでしょう。その場合に、今どこを中心に見るべきかということに関しては、パキスタンということが言われているわけですね。

 たまたま私もパキスタンに勤務させてもらっていたことがあって土地カンは十分あるつもりなんですけれども、パキスタンからアメリカ兵が、アメリカの軍隊が攻撃されて毎日のように死者を出している。アメリカとしたら、国境というか、デュランド・ラインとかいろいろなところを越えて、そしてこのインサージェンツというか反乱分子というか、そういう人たちをむしろ攻撃している。相当話がややこしくというか難しくなっているわけですね。

 そうした場合に、まず、アメリカがどういうふうにしているかということを考える場合に、日本としても、パキスタンという国に対しては今まで物すごく大きな援助もしているし、つながりも深いしということで、私は、まずオバマさんがどうしようとしているかという認識を伺ったわけですけれども、では、我々はどういうふうにすべきかということに関しては、このパキスタンをどういうふうに考えるかということもあり得ると思うので、中曽根大臣、まずこのパキスタンについて思っておられることをおっしゃっていただけますか。

中曽根国務大臣 アフガンの出口のお話がありましたけれども、委員がおっしゃいますように、長期的な観点からも、また総合的にも判断していくということが大事だと思います。アフガン政府が行おうとしております、努力している和平交渉を初め、どういう形が望ましいのかということは十分考えなければならないと思います。

 また、パキスタンのお話でございますけれども、パキスタンにおきましては、ことしの二月の総選挙、そして九月の大統領選挙を経まして、ザルダリ大統領を中心とする民主政権が成立したわけでございます。

 このザルダリ政権は、テロとの闘いに、また経済問題など重要な課題に、今非常に一生懸命取り組んでいるわけでありますが、軍事的な作戦だけでなくて、紛争解決のための対話とか、それから貧困地域の経済開発、そういうものも、包括的な戦略という形で一致団結して取り組んでいるところであります。

 パキスタン政府は、アフガニスタンとの間で、もう委員御承知のとおりでありますが、地域の部族長による会合を行ったりして連携強化にも取り組んでおりますし、またインドとの間では、インド、パキスタン両方の政府が関係の改善に努力しているわけであります。そういう中で、さきのムンバイの連続テロ事件が発生したわけでありまして、この両方の地域の安定が損なわれることのないように、今、事件の真相究明に取り組んでおりますが、我が国といたしましては、パキスタンの安定というのは国際社会の安定にとって大変重要である、そういう認識のもとに、引き続いて、一生懸命テロと闘っておりますパキスタンに対しましても支持、支援をしていく、そういう考えでございます。

山口(壯)委員 パキスタンに対する支持、支援というお言葉ですけれども、私は、全体として何をしようとしているかということを日本がもう少しはっきりさせた方がいいと思うんです。

 パキスタンについて、何か今されようとしていますか。あるいは、パキスタンを含む全体像で日本はどういうふうに今動かれようとしていますか。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

中曽根国務大臣 我が国は、先ほど申し上げましたけれども、テロとの闘いにやはり努力しているパキスタンに対しまして、この支援には取り組んできたわけでありますが、私が国連総会に大臣就任後出席させていただいたときにも、フレンズ会合に出席して、この問題、各国と話し合いを行いました。

 今申し上げました、部族の地域へのこういう支援も含めまして、今後、我が国の支援のあり方について検討していきたい、そういうふうに思っております。

山口(壯)委員 部族地域という意味では、北西部あるいは南西部、両方あるんだと思うんですけれども、FATAというかフェデラリー・アドミニスタード・トライバル・エリアという、連邦直轄部族地域というんですか、このところに、例えばアメリカが七億五千万ドル、約八百億でしょうか、七億五千万ドルも援助をしようとしているけれども、現実には、国際的枠組みがないからこれをどういうふうにやろうかということがよくわからないんだということが言われているようです。

 そうしたら、先ほどまた別の委員の質問の中にあるいは答えの中に、アフガン・コーディネーション・モニタリングボードとか、あるいはアフガニスタン支援ミッションとかいうことも出てきましたけれども、今日本が非常任理事国になっているわけですから、例えば国連の安保理事会のお墨つきあるいはオーソライズを得て、そしてパキスタンが何を今不安に思っているのかということを順番に解決してやる一つの仕組み、特別チームみたいなものをつくるというアイデアがあり得るはずなんです。

 例えば、パキスタンが何でタリバンをちょこちょこいじっているか。ISIという諜報機関があるわけです、インターサービシズインテリジェンスとかいう。このISIというのは、どうしてもタリバンにちょこちょこしている。というのは、アフガニスタンが脅威にならないように、カルザイ政権に対するタリバンをちょこちょこいじっているわけですね。だから彼らが、例えばインドとアメリカが原子力に関する協定を結んだらもう怖くて怖くてしようがない、それとカルザイのアフガニスタンが一緒になって自分たちを攻めてくるんじゃないのかという恐怖感を持っているわけですね。だから、それを順番に解いてやる動きというのが一つあり得るわけです。我々が今政権の立場にあったら、それは即動くような話だと私には思えるんです。

 大きなダイナミックな構想だと思うんですけれども、今、日本としてあるいは外務省として、何かそういう発想あるいは動き、持っておられますでしょうか。

中曽根国務大臣 委員のおっしゃることは大変大事なことでありますし、外務省としても日本政府としても、そういうものを考えなければなりませんし、また、今考えておるところでもございます。

 委員のおっしゃることも参考にさせていただきながら、今後の進め方については研究していきたいと思います。

山口(壯)委員 総選挙がいつになるかわからないし、結果はだれもわからないわけですけれども、どちらがどういう立場になろうとも、やはり今から進めておいていただく方が、後で始めますというよりもずっと大事なことだと思いますので、ぜひ、だれのアイデアということではなしに、そういう非常任理事国として世界の平和をつくっていくという。

 しかも、アメリカとかヨーロッパはこういう話が今できなくなっているんですね、当事者過ぎて。だから、我々は当事者過ぎないように、インド洋の給油についてもどちらかというとリザベーションというのをすごく持っているわけです。軍隊による解決というのはむしろ今問題になっている、軍隊の存在は解決ではなくて問題になっているという認識が非常にあるわけですから、オバマさんについても、それは増派ということは言っているけれども、現実にはそれが解決にはならないだろうということがよくわかっているんです。

 そういう意味で、日本がどういうふうに解決に持っていこうとしているのかということは、アメリカを助けるということにこの話はなるんですね。だから、そういう意味では、インド洋の給油というのは正直、私には、安上がりという議論があるけれども、安上がりということは安っぽいという話ですから、チープという話ですから、日本がそういう外交に、戦略に行くのではなくて、だれかから感謝されているからやるというのが目的じゃないですよ。解決に結びつくかどうか。この給油の話というのは急遽の策でしょう。ショー・ザ・フラッグと言われてやっている。

 しかし、アフガニスタンの解決、あるいは大きな意味での出口戦略という意味では、私は日本ができることというのは今そこに見えてきているわけですね。パキスタン、そしてそこから結びつくインドの話、ロシアの話、中国の話、そしてイランの話、全部結びついてきているわけですから、日本が当事者過ぎないように、むしろ中立の立場で調停できるという利点を確保しながら動かれることが非常に大事だと思うんです。

 今、中曽根大臣はむしろ前向きなことを言われましたけれども、もう少し具体的に気持ちの中に刷り込んでいただけるように、この構想に対して、これはアメリカでもどんどん出てくるはずです、ぜひ前向きの答弁をさらにいただきたいと思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。

中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、また委員もお話ありましたけれども、国連におきまして安保理の非常任理事国にもなりまして、国連、他の国々と協力しながら世界の平和と安定のまたある意味では主導的な立場もとっていかなければならない、そういう日本の役割というものも考えながら、また、今、パキスタンそしてアフガニスタンを取り巻く各国との状況等、そういうものも十分に踏まえながら、委員がおっしゃいましたようなものも参考にしながら、今後議論し、検討していきたいと思います。

山口(壯)委員 オバマさんは、ゲーツ国防長官を留任させるということを発表しました。ある意味で頭がいいのか冷徹なのか、アフガニスタンの泥は共和党にかぶせようということかもしれない。だけれども、注意しなければいけないのは、チェンジと言いながら、この部分はひょっとしたら党派を超えて間違いを引き続けることになるかもしれないということを日本はよくわかっておかなきゃいけないと思うんです。だから、そういう意味では、アメリカが何を言ってくるかということを軸にせずに、どういうふうに解決できるかということを軸にして日本が発想していただくようにぜひお願いしたいと思います。

 この意味では、アメリカの中でも対話ということがだんだん戦略として言われつつあります。タリバンの中にも、アルカイダとの関係というか、アルカイダはむしろもう追い出してしまおう、ちょっと何か一緒にされるのは嫌だということが当然のことながら出てきているわけですね、タリバンといってもいろいろなタリバンがいるわけですから。

 そういう意味で、日本が例えばアフガニスタンの大使館を通じてなり、あるいはパキスタンの大使館を通じてなり、このタリバンと今どんなふうに接触しているか、もしも御存じであれば教えてください。もしも大臣が詳しくなければ、鈴木局長からでも結構です。

鈴木政府参考人 私ども、一般論としましては、以前より大臣の方から国会での御審議の過程で申し上げてきているとおり、タリバンとアフガン政府の間での和解の動きというものが形成されていけば、それは基本的には望ましい方向の動きであろうというふうには考えております。

 他方、日本政府としましては、もちろん、先ほど山口委員がおっしゃられましたように、今後アフガニスタンについてどういうことをいろいろ考えていくかということはいろいろな方面で検討していますけれども、その中で、やはり和解の要素というものは確かに重要になろうというふうに考えておりますが、現段階で、少なくとも私が承知しております限りで、日本政府がイニシアチブをとってタリバン、特にタリバンの指導部といいましょうか、そういうところとコンタクトしているということはございません。

 他方、パキスタンにおきましてもアフガニスタンにおきましても我が方大使館は相当幅広い人脈というものを有しておりますので、そういった中にはいろいろな考え方の人もおります。今後、そういった人たちとの関係というものを場合によってはいろいろな格好で活用していくということはあるかもしれませんけれども、現在そういう状況でございます。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

山口(壯)委員 今、鈴木局長から正直にいろいろ御説明いただいたことは私は多とします。現実にタリバンとの接触というのはある意味で難しいものもあるんでしょう。

 ちょうど私パキスタンの大使館にいたときに、当時ムジャヒディンと呼ばれたおじさんたちとよく接触をして、私自身はそのまた部下の人たちと会っただけですけれども、当時一緒に勤めた同僚はマスードとかドストムとか、ああいう人たちとよく接触していました。そのことが実は非常に大きな意味を本当は持ったんだと思うんです。

 今、私がパキスタン、パキスタンと言って、またパキスタン大使館からもというふうに申し上げたのは、タリバンに対してこのパキスタンの影響力というのが異常に大きいわけですね。ですから、そういう意味で、パキスタンを通じても、あるいはパキスタンにどういうふうにかかわっていくかということを通じて、現実にアメリカをアフガニスタンのベトナム以上の泥沼からどうやって救い出していくか。これは時間はかかるけれども、軍隊による解決はできない、むしろ軍隊によるアプローチというのはどんどん悪化するばかりになっていく。傷を広げるばかり。そういう意味で、アメリカを助けていく、このことがアメリカの株価を上げ、日本の株価を上げ、現実に日本の景気回復をしていくということに本当の意味でつながっていくと思うんです。

 だから、パキスタンという、どちらかというとアフガニスタンの隣の方に今中心の問題点が移っているわけなので、日本としてパキスタンに今までやってきた大きな援助の話、そういうものを全部活用しながら、今までの経験を生かしていただくべきだと思うんです。アフガンについてぜひそういうふうにやっていただきたいと思うんです。

 さて、中曽根大臣、これも事前通告はしていませんけれども、この間、クラスター爆弾、結局署名に行っていただいたわけですね。これは非常に大きなポイントだったと思います。

 そういう意味で、我々は、日本にもクラスター爆弾はたくさんあるわけですけれども、まず、中曽根大臣、十二月四日に九十三カ国が署名した中に日本を初めとした先進国があった、アメリカはまだでしょうけれども、日本としてはその一国として署名をしたわけです。大臣、これからどういうふうにこの署名したことを実際のアクションに結びつけようとされていますか。

中曽根国務大臣 去る十二月三日でしたか四日でしたか……(山口(壯)委員「四日」と呼ぶ)四日でしたかね、署名をしてまいりました。約百カ国の国々がこの禁止条約に署名をしたという意義は大変大きいわけですし、また、我が国がそのような方向を打ち出してアクションしたということも、我が国にとってもある意味では歴史的な意義がある、私はそういうふうに思っております。

 私どもとしては、国会で条約を早く締結できるようにさせていただきたいということが一つでありますし、それから、クラスター弾を所有また開発等しているその他の国々に対する働きかけをしっかりやるということだと思っておりまして、私は今、この二つが当面の一番大事なことではないかと思っております。

 今後も人道的な観点から、いろいろな政策面においても、どういうことが今後あるかわかりません、地雷の問題も御案内のような形でございますけれども、人道面からも、いろいろな政策において十分な配慮をしていくことが必要だと思っています。

山口(壯)委員 今、中曽根大臣から、国会における手当て、そして他国にもそれを慫慂すること、この二つをおっしゃいました。

 もう一つは、我々自身が持っているクラスター爆弾をどう処理するかという話が三つ目にあると思うんです。このことも事前通告は全くしていませんけれども、浜田大臣、大きな話ですから答えられる範囲で答えていただきたいんです。

 日本として署名をしたクラスター爆弾、これを、この署名をしたことを踏まえて、処理をどういうふうに考えておられるか、お答えいただけますか。(中曽根国務大臣「委員長、ちょっと訂正させてください」と呼ぶ)

今津委員長 その前に、いいですか、大臣から発言を求められておりますので。

中曽根国務大臣 私が署名をいたしましたのは十二月三日でございました。(山口(壯)委員「三日だったですか」と呼ぶ)訂正させていただきます。

浜田国務大臣 当然これは、外務省の方で署名をされるということになれば、それに向けて我々もしっかりとした手続を踏みながらやっていかないかぬと思っておりますので、補正において今調査の方の予算も確保しておりますし、これから条約によって課せられたことに対して忠実に手続を進めていきたい、やっていきたいというふうに思っておるところであります。

山口(壯)委員 イギリスは既にこのクラスター爆弾の処理を始めたようです。そして、イギリスにあるアメリカのクラスター爆弾についても、アメリカにちょっとのけてくれということを申し入れているようです。既に署名をしたことを踏まえて例えばイギリスという国は動いているわけなので、ぜひ日本としても動いていただくようにお願いしたいと思います。

 先ほど浜田大臣がお答えいただいた内容というのは、自衛隊の持っているクラスター爆弾についてもそれを廃棄する、あるいは壊してしまうということとしてとらえてよろしいですか。

浜田国務大臣 当然これはそのようにしたいと思っております。

山口(壯)委員 きょうは、イラクの話から始まって、アフガニスタン、どういうふうに我々が動くべきか。

 そしてそのことが、実は、テロとの問題を超えて、アメリカがベトナム以上の大きな泥沼に今足を突っ込んでしまってなかなか抜けられないで困っている。アメリカもヨーロッパも当事者になり過ぎてしまってどうも身動きがとれなくなりつつある。その中で、パキスタン政策というのは国際的にコーディネートする人がどうもいない。パキスタン自身も困っている。その中で自分たちがコントロールできない人たちがムンバイまで行ってしまったりしている。

 では、日本として、ここに大きな枠組みで、例えば非常任理事国という立場を使って、国連のオーソライズを得ながらやっていく、大きなそこに可能性の窓が開いているということをぜひぜひ共有していただければと思います。

 クラスター爆弾についても、中曽根大臣御苦労さまでした。これから浜田大臣、またそれを受けてよろしくお願いします。

 質問を終わります。

今津委員長 次に、辻元清美さん。

辻元委員 社民党の辻元清美です。

 私は、きょう、三つの提案をしていきたいと思っています。

 一つ目は、自衛隊のシビリアンコントロールと言論の自由の関係の整理という提案、二つ目が、東アジアの信頼構築、そして三つ目が、先ほどから出ております国際的な紛争の予防や仲介、これは非常に外交、安全保障にとって大事な三つの柱だと考えております。

 一つ目なんですけれども、浜田大臣、先日からの続きです。

 私は、今回の田母神事件で、自衛隊員の皆さんの言論萎縮を防ぐこともとても大事だと思っているんですね。そのためには、ある程度だれでもはっきりわかるルールがあった方が萎縮にならないと思うんです。それがないと自粛しちゃう。ルールがないと、これを言っていいのかな、悪いのかなと思っているうちに不健全な空気が生まれるんじゃないか。ですから私は、はっきりとしたルールをこの際もう一度検討し直すと。

 今見ますと、先日御指摘しました金田誠一議員への答弁書と、それから自衛隊関連の法案、それなどしか、ちょっとしかないわけです。もうちょっと具体的に踏み込んでルールをお決めになったらいかがかという御提案を申し上げたいと思うんですが、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 辻元先生からの御指摘、大変重要に思っておるところでございます。

 当然、もっとわかりやすく言えば、今まで手続をとらなければならないものをとらなかったところもあるわけでありますので、そこは明確にしていきたいというふうに思っています。

 特に、部外への意見発表の手続に関しては、従来より防衛省では、論文の寄稿や講演会等において職務に関し意見を発表する場合、あらかじめその旨を上司に届けるように特に大臣官房長通知によって定めておりまして、各幕僚長等にあってはあらかじめ大臣官房長に通報するということにしておるわけであります。

 当然この手続について周知徹底を図っていますが、こうした手続が適正に機能しなかった可能性もというか、周知徹底できていなかったからこういう問題になっているわけで、表現の自由等の基本的人権に抵触しない範囲でどのような改善が可能か検討しているところであります。

 特に、そしてまたその幅もあると思うんですが、要するに、ただ単に上の方ではなくて、書籍等々もいろいろあるわけでありますので、そういったものにもやはり我々は注意を払わないかぬ。その手続の仕方を明快にしていくことは極めて重要だというふうに思っているところであります。

辻元委員 これはどこの国も、本当にどうするかということの、言論の自由と職務の権限や職務上の守秘義務もありますので、特に外交や安全保障にかかわる部分というのは他の省庁に比べて特殊性がありますから、そこの兼ね合いですよね。

 一例、ドイツの例を申し上げたい。

 ドイツも、御承知のようにナチスの時代を経てということで、過去の戦争の反省から軍の暴走というものをとめなければいけない。先般この委員会でも、政治的活動は一体何なんだというようなこともございました。

 例えば一例、ドイツでは兵員法の十五条で政治的活動を定めておりますけれども、兵士は任務において、その是非にかかわらず特定の方向を持つ政治活動を行ってはならない。これは当たり前だ。この後こういうことがある。同僚同士の会話として自身の考えを述べる権利はこの限りではない。

 次、こう続くわけですね。兵舎及び軍施設における任務中あるいは自由時間の間、自由な意見表明は兵員の基本規則によって制約される。自由時間も制約されるとはっきり書いてある。そうしたら、どこで言っていいのか、悪いのかとかいうのがはっきりしているわけですね。兵士は任務における結束を妨げないよう行動しなければならない。特に、兵士は特定の政治グループを宣揚してはならない。この後も、これには演説、文書配布、政治組織の代表につくことが含まれる。

 そして、兵士は政治的催しにおいては制服を着用してはならない。これはもうちょっと調べますけれども、制服の着用についてもやはり定めをきちんとする、それの方が皆活動しやすいと私は思うんですね。

 兵士は上官の立場として、田母神さんは上官の上官だったわけですけれども、その是非にかかわらず政治的見解について部下に影響力を行使してはならないということです。

 そしてさらに、ドイツやスウェーデンの場合は、軍隊との関係でオンブズというものを別に置いています。このオンブズというのは、何かあったとき、独立した権限で、もちろん守秘義務があるわけですけれども、調査できるというようなことを担保しながら、シビリアンコントロールというものをトータルに完成させているわけです。

 ですから、私も、やはり先ほど大臣がおっしゃった、これからもう少し踏み込んでいくと。届け出をするというだけじゃなくて、もうちょっと具体的なことまで、別に縛るんじゃないんです、ここはいいよ、ここは悪いよとはっきりした方がむしろ省内の風通しがよくなるんじゃないかなと思っております。

 それで、もう一点確認させていただきたいんです。歴史教育の問題がこの間からこの委員会でも多々上がっておりました。その中で、前回私は「翼」という雑誌をお示ししましたけれども、田母神さんの事件が起こる直前の九月五日発行の「翼」を見ますと、こうあるわけです。現在、航空自衛隊では組織を挙げて歴史教育を重視する施策が推進されておりますとなっているわけです。その組織を挙げてやっていたのが、ちょっと大臣の言葉をおかりすれば、右に偏っているんじゃないかとはっきりおっしゃいましたけれども、だったわけですね。

 この歴史教育の見直しの進捗状況、あれから大分時間がたっていますので、一たんああいう形で生まれたものですから、廃止も含めて御検討なさったのかどうか。いかがでしょうか。それと、もうちょっと踏み込んで具体的にした方がむしろいいと私は思います、自衛隊の皆さんのために。いかがでしょうか。

渡部政府参考人 お答えいたします。

 歴史教育を含めまして、統合幕僚学校を初め、各幹部学校あるいは防大、それぞれにおきます課程あるいは教科書等々を今検討を進めているところでございます。

辻元委員 しっかり国会に報告をしていただきたいというように思います。別に包み隠しすることではなく、バランスとおっしゃっていたわけですから、バランスがとれるものにしていきたいということ、オープンにしていくことが信頼回復への道だと思うんです。ルールをこうしましたということをはっきりと皆がわかるようにする。解釈によってはわかりにくいなということを残した方がむしろ萎縮するし、風通しが悪くなると思いますので。これは一つ目の提案です、シビリアンコントロール。

 もう一つは、きょう中曽根大臣に初めて質問させていただきます、東アジアの信頼構築です。

 私は、先般の十二月十三日に行われました日中韓首脳会議に注目をしております。前からこういう会議があった方がいいなと実は思っておりました。特にこの中で注目をいたしましたのが、三カ国の防災協力に関する共同発表が行われまして、これから防災協力の連携を強めていこうという、ここに注目しています。

 なぜかといいますと、お互いに一つの案件で具体的な協力をし合うことは信頼構築につながり、東アジアの緊張、安全保障上も緊張を低下させていくことにつながっていくと思うんですね。

 この防災協力の今後の取り組み、どういうように具体的にお考えでしょうか。

中曽根国務大臣 去る十三日に福岡で行われました日中韓首脳会議におきましては、今委員からお話ありましたように、この三カ国が総合的な防災体制の整備について協力を強化していくということで合意がされたわけでございますが、さらにこの防災協力を具体的に進めていくために、防災担当の閣僚級による定期的な会合を立ち上げるということについても合意をされまして、第一回の会合を我が国で開催するということが決まったわけでございます。

 防災の分野ではこれまでも、例えば、韓国との間では実務者レベルでの対話を定期的に実施しておりますし、また、中国との間におきましても、四川大地震の復興視察団を受け入れて、復興に向けた取り組みなどで協力をしてきておるわけでございますが、今後は、今まで韓国、中国と個々にやっておりましたけれども、それをもとに、三カ国での具体的な防災協力のやり方について、今申し上げましたけれども第一回会合を日本で開くことになりましたので、今後の協力の仕方について話し合うことになろうと思います。

 特に我が国は、我が国のいろいろな過去の災害時での経験等もまたございますので、そういうものを生かしていくということが大事だと思います。

辻元委員 私は、ある理想と言ったらおかしいんですけれども、東アジアの近隣諸国と共通の、各国から人材と資金を出した共通の、防災に特化した災害救助隊みたいな多国籍のものができればいいなと実は考えていたことがあるんですね。

 それはどういうことかといいますと、日中韓が中心になりまして、ロシア、そしてモンゴル、そして北朝鮮もこれからは前に進んでもらわなければ困るわけです、民主化して、今の体制を変えていただいて、その中で北朝鮮も入ってくるというような形でそれぞれが、いろいろな国々の共通の部隊になりますと、どこであっても、例えば四川大地震があった、残念ながら過去の経過もあって、自衛隊の皆さんはなかなか行きにくかったという経緯もあります。これが、共通の人材と資金を出した東アジア共通の災害救助隊であれば、どこでも行ける。

 私は、体制が違う国にも入れるというようにしながら、そして世界から要請が来れば、東アジアからどこでも飛んでいきますというような世界一の、そういう共同の災害救助隊を東アジアでつくったらどうかと。私は、そういうことを積み重ねていくことが安全保障だと思うんです。安全保障というのは、複合的、風邪薬でいえば総合薬で、軍事的なことだけではないと思うんですね。

 そういう意味で、そういう展望も含めて、ぜひ前に進んでいただきたいと思いますが、今私が申し上げた提案はいかがでしょうか。

中曽根国務大臣 地域の防災協力についてはいろいろなやり方が考えられると思いますし、いろいろな制約もまた一方であろうかと思います。委員の今のお考えも一つの方法だと思います。そういうものも十分参考にさせていただきたいと思っております。

辻元委員 私は、今、東アジアの緊張、緊張といってもあるのかないのか人によって見解が違いますけれども、総合的に東アジアはピースであり、そして、これから経済的にもここは牽引力になる地域だと思いますので、その信頼構築の一つとして非常に重要だと思いますので、御提案申し上げました。

 三つ目の提案は、紛争の予防、解決です。

 先ほどからアフガニスタンの話が出ております。外務大臣、ことしのノーベル平和賞、十日に授賞式がありました。平和賞だけはノルウェーでやっているわけですけれども、どなたか御存じですか。

中曽根国務大臣 私、お名前ははっきりと覚えておりませんが、フィンランドの元大統領が受賞したと思います。

辻元委員 アハティサーリ。アハティサーリというのは覚えにくいですけれども、前フィンランド大統領です。

 この方は、インドネシアのアチェを初め、世界の紛争の仲介役を果たしてこられたということでノーベル平和賞をおとりになりました。以前は、対人地雷の全面禁止条約をNGOが牽引して、そのNGOとそれからジョディ・ウィリアムズさんという方がとった歴史もありますけれども、私は、確実に、冷戦が終わり、そして、このイラク、アフガニスタンの議論も今ありましたけれども、やはり武力以外で紛争を予防、仲介していく役割というのが国際的にもとても評価され、大事になってきていると思います。

 このアハティサーリさんが言っているんですね。「成功させるには、少人数で有能な人々によるチームが必要だ。政府だけが和平交渉を担えるわけではない。交渉がだらだらと続いて、何の成果も得られないこともある。」この人は政府もよく御存じですから。その後、御自分で小さなNGOをおつくりになったんですね。それを母体にしてさらに活躍をされています。「市民も、平和をつくる作業に加われる」。「政府主導の仲介だと、国の利害が絡み合い、中立的な立場を貫きにくい。紛争当事者と仲介者との個人的な信頼関係を築くのも難しい。「民」主導なら、こうした「官」の限界が出にくいと指摘する。」と。例えば、三十年以上続いたアチェの紛争は、交渉を支えたのは十人前後のチームだったわけですね。

 それ以外にも、アハティサーリ氏の仲介により、コソボの人権弾圧を理由にしたNATO軍の七十八日間に及んだユーゴ空爆は終わった。なぜこの大役が可能だったのか。同氏は、もしフィンランドがNATO加盟国だったら、私は仲介役としての役割を果たせなかっただろうと言っているわけです。

 要するに、実際に武力行使を実戦としてやっている者同士というのはお互いに戦っていますので、仲介役というのは、先ほどのやりとりでもありましたけれども、中立ということがかなり担保されていないとやりにくいわけです。

 私は、日本はこのアフガニスタン、イラクでイニシアチブをとれると思うんです。あらゆる紛争を武力でうちは解決しませんと憲法九条で世界に宣言しているわけですから、武力以外やったら何でもしますで、特に仲介だったらリーダーシップをとりましょうと。

 そこで、私は、NGOの役割というのが非常に大事だと思います。

 政府とNGOの連携、中谷さんずるっとされましたけれども、それは時代おくれですよ、そういう態度は。フィンランドとかカナダがどうしているかというと、ノルウェーもそうなんです、まず、各国の例えばお医者さんとか人道支援をやっているところが中立な立場で各派に入っていくわけですよ。信頼関係を構築するわけです。そして、ある程度信頼関係を構築して、それぞれの、そういう勢力には和平をしようと思っている人も必ずいますから、そこと連携をしながら、最終的に和平のテーブルに着くときにノルウェーの政府なんかはぐっとバックアップするわけですね。

 常に連携しているわけです。そして政府は、税金をしっかり使って、そういう人を育成しているわけです。私は、そこの研究と、そこへの感性と果たしている役割というのをきちんと政府としてもう少し研究していただいた方がいいと思っているんです、これから非常に重要になってくると思いますので。その中で、平和構築者の寺子屋をつくろうとか、これは麻生外務大臣のときに表明をされたり、その方面にも少し外務省の方も動いてきているように思うんですけれども、本当にこれは侮れない一大勢力に今なっています。国際的な連帯がすごいんですよ。インターナショナルに物すごいネットワークを持っています。

 ですから、大臣、特にアフガニスタンについて、先ほど、タリバンとの接触はないということでしたけれども、先日、中村哲さんという方が参議院に呼ばれて、いつもこの方の名前が出てきますけれども、彼だけではなくて、物すごい情報を持っていますよ。援助活動をするというのは、そこにタリバンもいるし、違う勢力もいるんです。でも、両方と話ができるから村に入っていけるんですね。長老とは幾らでも話ができるわけなんです。私は、もったいないと思います。私もNGO出身なんです。そういう活動をしている人も知っています、実際に現場をしていて。リスクもあるんですけれども、やっているわけです。

 これは、公に、こうやっています、ああやっていますと今やっていたとしても、御答弁できない案件であるということもよくわかっている。最初は秘密でやりますから。けれども、私は、やはり外務省としてそういう研究をなさって、アフガニスタン、イラクについてイニシアチブを持つ、そして、そういうチャンネルから情報を仕入れて、特命部隊じゃないけれども、外務省の中にイラクやアフガニスタンの仲介及び紛争解決の特別チームみたいなものをつくってお取り組みになった方がいいと思いますが、これが三つ目の提案です。いかがですか。

中曽根国務大臣 アフガニスタンの和平、また、この紛争の仲介というものは非常に大事でございますから、日本の立場として、できることならばそういうものに努力をすべきだと思っております。ただ、現在のアフガニスタンの状況というのは、もう委員も御承知のとおりでございまして、例えばタリバンと言われる人たちが必ずしも一枚岩ではないというようなこと、それから、タリバン指導部がアフガニスタン政府との交渉というものを否定している、そういうような状況もあるわけで、和平の流れがまだ、方向性といいますか、少し見通しもなかなか立たない、定まっていないという状況で、非常に複雑な情勢が続いている、そういうふうに思っております。

 したがいまして、今は、テロとの闘い、治安・テロ対策というものをしっかりとやるということが大事だと思いますし、アフガニスタン国軍、それから多国籍軍によるテロ対策等をまず優先してやるということ、そして同時に、今おっしゃいましたような、和平的な取り組みはどういうことができるか。委員はNGOの役割をお話しされまして、これも大変大事だと思っておりますし、外務省の中の国際協力局に民間援助連携室もありますし、またNGOの皆さんとも定期的に連絡の会議などもやっていますが、こういうものもさらに充実をしたものにしていくということが大事ではないかと思っています。

 また、かつて、スリランカのときは明石さんなどには大変御苦労いただいたわけでありますが、いろいろな取り組みの仕方があろうかと思いますので、今のアフガニスタンの状況は先ほど申し上げましたような状況でございますが、今後、そういうものもやはり検討していく必要があるだろうとは私も思っております。

辻元委員 その仲介を、外務省の中でもう既にされているのかもしれないですけれども、それを特別にきちんと検討する、そういうことをぜひやっていただきたいし、これはまた引き続き御質問していきたいというように思っています。

 以上です。終わります。

今津委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、二十四分という限られた時間ではありますが、沖縄で起きました金武町伊芸区での流弾事故、そして名護市で起きましたセスナ機墜落事故、同時に、先週からの続きである田母神問題、こういう順序で質問をしていきたいと思います。

 最初に、米軍の実弾射撃訓練場キャンプ・ハンセンに囲まれている金武町伊芸区で、自宅の駐車場にとめていた乗用車のナンバープレートにキャンプ・ハンセンからの銃弾と見られる流弾が貫通している事故がまた発生しました。一歩間違えば人命にかかわる重大な事故であります。警察の捜査はどうなっていますか。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの事案は、ことし十二月十三日、沖縄県国頭郡金武町の住宅駐車場におきまして、駐車中の普通乗用車の前部ナンバープレートが破損し、そこから銃弾様のもの一個が発見されたというものであります。

 現在、沖縄県警察におきまして、関係者からの事情聴取、発見現場の見分及び銃弾様のものの鑑定等、所要の捜査を行っておりますが、米軍からも協力を得つつ、捜査を進めているものと承知しております。

赤嶺委員 車の後ろでは、そのときにはその家族の主婦が庭に水まきをしていた。車がなければその流弾は自分に当たっていただろうと。一歩間違えば重大な事故につながるということなんですが、米側の協力を得ていると言うんですが、いつまでに米側からその返事をもらうつもりですか。

西村政府参考人 現時点で、いつまでにということはお答えいたしかねます。

赤嶺委員 私、外務大臣も防衛大臣もお聞きいただきたいんですが、警察に任せて事実が本当に判明できるかどうかという不安を持っているんです。

 過去にも、金武町や名護市で流弾事故があったと思いますが、過去の事件について、警察庁はどんな捜査をし、どんな結論を出していますか。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、沖縄県におきまして、複数回の流弾事故が発生しているものと承知しております。

 警察において内容が確認できるものとしましては、昭和六十三年十月、沖縄県国頭郡金武町の住宅地域等におきまして弾丸九個が発見された事案があります。沖縄県警察では、一部の弾丸が米軍保有の銃器から発射されたものと特定し、器物損壊等で事件として立件し、検察庁に送付したものと承知しております。

 なお、これ以外、キャンプ・ハンセンではございませんが、平成十四年の七月、沖縄県名護市のパイン畑の土の中から弾丸一個が発見された事案がございます。この事案につきましては、米軍保有の銃器から発射されたものとの特定には至らなかったと承知しております。

赤嶺委員 国頭郡金武町で起きた、弾丸九個が発見されたというのは、同じ伊芸区なんですね。そうすると、検察庁の方では、これは事件としてどんなふうに判断したんでしょうか。

三浦政府参考人 ただいま警察庁から答弁されました事件につきましては、不起訴処分とされているようでございますけれども、何分、事件の一件記録がもう既に保存されていないという状況でございまして、その詳細を確認できない状況にございます。(赤嶺委員「起訴処分」と呼ぶ)済みません、不起訴処分でございます。

赤嶺委員 米軍のものであることは明確だったんだが、不起訴であるわけですね。

 それから、平成十四年、二〇〇二年、名護市数久田で起こったものは米軍使用の弾丸との特定に至らずとありますけれども、これは、米軍自身は自分たちの弾丸であったということで演習場のさまざまな改善措置をとったと思うんですけれども、外務省あるいは防衛局、答えてくれますか。

井上政府参考人 お答えを申し上げたいと存じます。

 今御指摘の事案でございますけれども、米側といたしましては、地元の方々の御懸念を深く認識した上で、安全対策について鋭意検討を行ったというところでございまして、すべての水陸両用車に新たに改良した射角制御装置を装着すること、そして、この射角制御装置の装着と、これまで訓練実施部隊レベルに遵守をゆだねていた安全手順を正式に海兵隊基地射撃場規則として採用するというような安全対策をとることとしたというふうに承知をいたしております。

赤嶺委員 私、この事故のときに、当時パイン畑に行きました。パイン畑の持ち主とも話をしました。弾丸が一個、ここにおいて発見されたともいいますが、飛んできたんですよ、足元に。この方はぶるぶる震えて車の陰に隠れて、もう二度と畑に行くことができないというぐらい震えていたわけですよ。それを、いろいろ調査したけれども、米軍側使用の弾丸との特定に至らずというのが警察庁の判断で、一方で、米側は、住民の感情に配慮して演習場を改良しましたと。これは、事実上認めたようなものですよ、米側が。明らかに米側のものでありながら認めてこなかったという経過があるんです。

 今度は大丈夫ですか、警察庁。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお答え申し上げましたが、現在、沖縄県警察におきまして、実況見分、あるいは関係者からの事情聴取、銃弾の鑑定等、所要の捜査を進めておりますので、その捜査の進展を見守りたいと思います。

赤嶺委員 外務大臣、捜査の進展を見守っていたらこの問題ははっきりしないんですよ。過去にも、流弾がありながら、米側がなかなか認めない、そしてあいまいにされる、事故の再発防止策、これもあいまいにされるということが繰り返されてきたんです。

 今度の問題について、米側に協力を求める、その程度でなくて、もっと強くきちんと、いわばこれが米側の弾丸でないということがはっきりするまでの間、すべての訓練、演習を中止すべきだと思いますが、いかがですか。

 そして、あなた方は申し入れたと言いますが、米側はそれにどういう答えをしてきておりますか。

中曽根国務大臣 今月の十五日に外務省からも、在京の米国大使館に対しまして、訓練の安全が確保されるまでの間は、関連する訓練を中止するよう申し入れをしておるところでございます。

 これに対しまして米側からは、米側としても日本側の捜査に協力している、現時点で本件が米軍の訓練の流弾によるものかどうかは判明していない、そういうことであるけれども、改めて訓練における安全対策には万全を期することとしたい、そういう回答があったわけでございます。

 今回の事案が米軍の訓練による流弾によるものかは判明していないわけでありますが、米側としても、米軍による流弾であるかどうかということについての確信がないということから、今、米側は訓練を中止していない、そういうふうに承知しておりますが、米側よりは、改めて訓練の安全対策には万全を期していく、そういうような回答があったところでございます。

赤嶺委員 米側は、自分たちの弾丸でないとはっきり断定できるんですか。

西宮政府参考人 大臣からも御答弁申し上げたとおりでございますが、今、警察の捜査にも協力して事案の解明に努めているということでございます。

 また、安全確保には万全を期したいという回答がございました。

赤嶺委員 捜査に協力、安全確保。事故の起こるたびの決まり文句なんですよ。それが繰り返されている。事件の処理があいまいなまま繰り返されている。そんな感覚で外務省がアメリカとの交渉に臨むから、流弾事故が繰り返されるんですよ。

 それで、アメリカのものであるかないかはっきりしないというのであれば、警察庁はその弾丸の写真を撮っていると思います。今までは、レンジ10の際は、その見つかった弾丸は公表されているんですよ。それで、見る人が見れば、明らかに米軍のものだとすぐわかりました、米軍が最後まで認めなくても。今度も、その弾丸を公表すべきじゃないですか。

西村政府参考人 現在、現場で発見されました銃弾様のものの鑑定作業を行っておる最中でございまして、鑑定結果が出るまでにはもう少し時間がかかると思われます。

赤嶺委員 今私が申し上げたのは、皆さんが撮った写真、それを公表してください、どんな弾丸だったかと。

 住民は不安なんですよ。どこから弾丸が飛んできたかわからないということで、大変不安がっているんですよ。毎日毎日、演習は中止されずにきょうも行われているんですよ。だのに、事態の解明について何かアメリカ側の言い分を待つみたいな、これでは事態は解明されないですよ。

 だから、皆さんが持っている弾丸の写真をマスコミに公表すべきだと思いますが、いかがですか。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、現在、弾丸につきましては鑑定を実施しておりまして、現時点での公表は考えておりません。

赤嶺委員 あなた方の鑑定というのは、米側がこれは自分たちのものであると認めない限り、あなた方はそれを特定しないんですよ。レンジ10の場合もそうじゃないですか。こんなやり方で本当に真実が解明できるか。

 それでは伺いますが、事件は十二月十日に起こっているわけですが、米軍はキャンプ・ハンセンでその日訓練をやっていたのか、どういう訓練だったのか、これを説明してくれますか。

井上政府参考人 キャンプ・ハンセンにおきます訓練についてでございますけれども、在沖米海兵隊より沖縄防衛局に対しまして、訓練実施日の七日前までに一週間分の演習通報が出されているところでございまして、その内容につきましては速やかに関係地方公共団体に通知をいたしているところでございます。

 ただ、個々のレンジごとの訓練の詳細等につきましては、米軍の運用にかかわることでございまして、承知をしていないところでございます。

今津委員長 訓練したかどうかぐらいわからないの、井上さん。

井上政府参考人 アメリカからは一週間分の訓練の予定についての詳細なといいますか、どこでどのような訓練をするかという通報は来ているわけでございますけれども、どのような訓練を行っているかということにつきましては、米軍の運用にかかわることでございますので、私ども承知をいたしていないところでございます。

赤嶺委員 つまり、その日は、米軍は金武町伊芸区を取り囲むすべての実弾射撃訓練場、レンジを使って訓練するという通告があったわけですね。

井上政府参考人 米国側からは、レンジ1、2、3など十四カ所のレンジにおいて実弾射撃を行う、それから、ライフルレンジ、ピストルレンジにおきましても実弾射撃を行う、レンジ6におきましては一般演習を行う旨の演習通報があったところでございます。(赤嶺委員「レンジ7もあるでしょう」と呼ぶ)レンジ7も実弾射撃を行う旨の通報があったところでございます。

赤嶺委員 つまり、すべての実弾射撃訓練場で行っているわけですよ。どこから弾丸が飛んでくるかわからない。

 念のためにということで沖縄のマスコミは、けさの新聞にも出ていましたが、猟銃愛好会というんですか、そういう方々に聞いてみたら、こんな弾丸は使わないと言っているんですよ。地元の人は、この弾丸はどこそこのレンジで使われている弾丸だ、これと同じだ、今まで見たことがないからはっきりわかるということも言っているんです。だから、住民は、これまでの身近な生活の中でもう、警察の鑑定を待たずしてはっきり断定しているわけです。

 政府がきちんと断定しないと、安全対策も求められない、再発防止策も求められない。これは、緊急に事態を明らかにする責任があると思います。警察庁は当然、外務大臣も防衛大臣もあると思いますが、この点いかがですか。

中曽根国務大臣 たびたび政府参考人から御答弁申し上げておりますけれども、しっかりと捜査をするということがまず第一でありますし、私どもとしては、先ほど申し上げましたけれども、米軍側に対しましては訓練の中止を申し入れたわけでありまして、安全対策に万全をとる、そういうような回答もありましたので、まずは捜査をしっかり見守りたい、そういうふうに思います。

浜田国務大臣 当然、こういった捜査を確実にすることは重要なことだと思っていますし、我々とすれば、沖縄の皆さん方に不安を与えるということは本意ではございませんので、そういったことを踏まえてしっかりと対処していきたいというふうに思います。

赤嶺委員 今までの流弾事故に限って言っても、特定されても原因は究明されず、さっき法務省から説明があったように、不起訴だというようなことになったり、あるいは明らかに米軍のものであるのに米側が認めないから特定できないというぐあいに問題が終わったり、そして流弾事故が繰り返されている。私は、政府の責任は非常に重大だと思うんです。政府の対米姿勢が再発防止策を有効なものにし切れていないというものだと思います。

 防衛大臣にも一言申し上げますと、きょうはもうできなかったんですが、当時、自衛隊も使っているんですよ、共同使用。共同使用をやめろと言っているにもかかわらず、使っているんですよ。やはり自衛隊も共同の責任を負っていると思うんです。

 ちょっと急ぎたいと思います。セスナ機の問題に入ります。

 十月二十四日に起こった米軍嘉手納基地第八二偵察中隊所属の米兵四人が乗った同基地内レクリエーション組織嘉手納エアロクラブのセスナ機の墜落、炎上した事故について調査報告書が出されました。どんな内容ですか。簡潔に説明してください。

西宮政府参考人 十月二十四日の事故に関する調査報告書が、十二日、米側から公表されました。

 ポイントといたしましては、同報告書によりますれば、本件事故は、燃料計画が適切でなかったこと、及びパイロットが奄美空港で燃料補給を怠ったことにより、奄美空港から嘉手納飛行場まで安全に飛行するための燃料が十分でなかったことなどが原因であったとのことでございます。

 政府といたしましては、本件事故調査報告書の提出を受けまして、米側に対しまして、改めて本件事故に関する遺憾の意を伝えるとともに、再発防止に万全を期すよう申し入れたところでございます。

赤嶺委員 北米局長が抜かしたところをつけ加えますと、飛ぶ前に入れてあった燃料が、飛んでみたら、雲がたくさん出て高いところを飛ばなければいけなくなって燃料切れになったと。およそ、飛行機で飛ぶのに気象の確認さえしないで飛んでいったのかと。非常にずさんな飛行のあり方というのを調査報告書の中で見るのですが。

 ところで、警察にまた聞きますが、警察の方は、事故原因は燃料切れと特定しているんですか。

西村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明がありました米軍によります調査結果につきましては、沖縄県警察に対しまして、十二月十二日に説明があったところでございます。

 県警といたしましては、引き続き米軍の協力を得ながら所要の捜査を推進しまして、法と証拠に基づき厳正に対処してまいると承知しております。

赤嶺委員 外務大臣、今の警察庁の答弁を聞いておかしいと思いませんでしょうか。

 いや、おかしいと私が指摘しているのは、警察は特定していないのに、もうアメリカは特定して発表しているんですよ。これは公務外に起こった事件ですよね。第一次裁判権は日本の側にあるわけです。ところが、日本の側は何もできていないのに、アメリカの方からは燃料切れでしたというような結論が出てくる。

 事故現場の捜査のときも、セスナ機ですよ、軍用機じゃないですよ、それは米軍立ち会いのもとにある。立ち会いのもとというか、米軍主導ですよ。セスナ機は米軍が回収して持っていく。乗組員の事情聴取も大変おくれて始まる。事故の結果は、米側が報告書を出して、日本の警察はまだ特定できないでいる。これは、第一次裁判権で、公務外の事件であれば、もう特定できている事件ですよ。

 こういうやり方、こういう日米関係、地位協定、おかしいと思いませんか、今度のことを通じて、外務大臣。

中曽根国務大臣 再三御答弁申し上げておりますように、事故原因の調査というのは一番大事でありますけれども、この事故調査報告書が公表されて、燃料が十分でなかったということがはっきりわかったわけでありまして、私どもとしては、再発防止という意味で、米側に対しまして、再発防止が講じられるまでの間は、飛行クラブ所属の航空機の飛行を再開しないようにと申し入れているわけであります。

 米側からは、同クラブ所属の航空機の飛行については、再発防止策が策定されて実施されるまでは引き続き飛行停止を継続するとの説明を受けております。

 今委員がおっしゃいましたけれども、日本の警察等も、この原因等について、米側と協力しながら事故調査を行ったわけでありまして、それを尊重したい、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 こういうことは日本の警察が先に特定すべきことなんですよ。アメリカがこう言ってきましたよ、公務外の事件でそういうことがあってはならないと思います。

 それで、飛んでいるときの飛行計画も出しておりませんでした。過去に、米軍の飛行機で飛行計画を出さずに飛んでいた事例、これも依頼してありましたので、それも報告してくれますか。国土交通省ですかね。

今津委員長 赤嶺君、時間になりましたので、御協力をお願いします。

関口政府参考人 お答え申し上げます。

 過去五年間におきまして、以下二件の事案につきまして飛行計画が受理されていないことを確認しております。

 一件目は、平成十六年十一月二日、米軍横田基地所属のヘリが静岡県沼津市のグラウンドに緊急着陸した事案。それから、もう一件につきましては、同じく平成十六年十一月二十三日、米軍横田基地所属のヘリが調布飛行場に緊急着陸した事案。この二事案でございます。

赤嶺委員 時間がなくなってしまいましたけれども、飛行計画を出さなければ罰則がついて、五十万円以下の罰金というのも払っていないんですよね。問うてもいないんですよ、日本は。問い詰めてもいないんです。

 こんな米軍の事件、事故について、米軍に対して日本の側が捜査の主権を確保していないために、公務外であっても手も足も出ないような状態、これでは米軍の事件、事故の再発は防げないということを申し上げまして、質問を終わります。

今津委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 来年の一月の二十日にオバマ政権が誕生します。そういうふうな環境の中で、もう一度、私たちの日米関係にとって大事である沖縄の基地問題、そして、その中でも特に重要視している普天間基地の移設問題について、客観的なお話をさせていただきたいなというふうに思っております。そして、私の客観的な話をさせていただいた後に、両大臣から、答弁をやるともう同じですから、御感想をいただきたいなと思うんです。

 一九九六年の四月十二日に橋本総理大臣とモンデール大使との間で普天間基地の移設計画が合意をしてから、きょうまでにもう十二年と八カ月、時間がたちました。この十二年という時間、その当時は五年間で完成して移設をしようということでありますから、二倍を超える時間がかかっているわけなんですね。

 その十二年間の間に、五回、工法が変わりましたね。

 一つは、海上ヘリポート。撤去可能な海上ヘリポートをやるということを当時の橋本総理がおっしゃって、千五百メートルの千三百メートル。それで、大田政権から稲嶺政権にかわりましたら、海上ヘリポートの撤去可能なものではだめだ、これはもう沖縄の経済に資するようなものでなきゃいかぬということで、軍民共用の空港ということを言いました。

 しかし、軍民共用ということを稲嶺前知事は申し上げましたけれども、そのことも十五年の使用期限で、十五年後には米軍は撤去してくれというような条件をつけたわけですね。二千億近くのお金で米軍基地のために埋め立てをして滑走路をつくるけれども、十五年したらこれはやめてくれというようなことを条件に言って、ここも、この条件をのむかのまないかで暗礁に乗り上がったわけでありますね。

 その後、三番目にL字形というのが出て、このL字形で騒音を少なくしてやろうということでスタートしましたけれども、これも変わりまして、最終的にはV字形というのを、今、日米両政府で合意をしているわけであります。

 しかしながら、このV字形も仲井眞県知事がこれに対して賛成をしていませんから、仲井眞知事が当選なされてこのV字形が一挙に進むのかという期待がありましたけれども、二年たちましたけれども、百メートル移設をしてくれ、もう少し沖に出してくれというのが日米両政府でなかなか合意に至らなくて、これも決まっていない。

 知事の案まですると、五つの案が十二年間で出て、大きく変わってきたというふうなことになります。

 この中でも、県知事は三人、市長は三人、総理大臣は七人、防衛大臣は十八人、十二年間でかわっていますよ。

 数を申し上げましたけれども、知事が出てきても、大田さんのときと稲嶺さんのときと仲井眞さんのときとは違う。比嘉市長のときと岸本市長のときと島袋市長のときも違う。総理大臣が出てきても、また考え方が違ってくる。そして、防衛大臣が十八人いますから、沖縄寄りの防衛大臣もおれば、強硬に日米両政府の考え方をやる防衛大臣もいて、なかなか防衛大臣の個性でも揺らぐような傾向がいっぱいありましたよ。こういうふうなことで、十八人の方々がやっておりますね。

 そして、その後、この報告書も、SACOの報告書、そして普天間飛行場の代替施設の基本計画に対する小泉政権の報告書、再編実施のための日米のロードマップというものの三つの報告書が出て、その報告書も先ほど申し上げたように全部変わってきました。

 そして、今後の工程ですけれども、この工程は、環境影響評価手続が二〇〇七年から始まって、これを三年間、環境調査をやって、二〇一五年までに完成したいというようなことを今言っているわけです。環境の現状評価等準備書、評価書、公有水面の埋め立て手続、こういうふうなものが重要なそのときの節目になってくるわけですけれども、現在は、この手続さえも八カ月から九カ月おくれているというような環境になっていますね。

 それで、沖縄県知事の意見は三回、この手続の中でやらなければいけない。沖縄県知事の承認は一回なければ、これはできません。まあ、一般的に見て、反対勢力の人は、住民の意見と沖縄県知事の意見が出ると、この沖縄県知事の意見が住民の意見と違うわけでありますから、そのときには必ず裁判に訴えてくるというケースになりますから、泡瀬の埋め立てと同じように、三回は裁判が行われるだろうなというふうな形になってくるんじゃないでしょうか。そして、最終的には、知事の埋立許可がないとできないというような形になってまいります。

 それで、この十二年間で、普天間基地の移設計画に関する予算、これを見てみますと、北部振興費で五百九十億円、特別調整費で一千億円、米軍の所在市町村の活性化で八十四億円、SACOで二千億円、米軍再編で四百五十億円、基地交付金で二百六十三億円、基地周辺整備事業で七百四十億円。五千百億円使っていますよ。五千百億円、十二年間で予算的には。

 そして、これから、その当時と含めて、その当時は、スタートのときは、SACOのときは、大田県知事が反対派で、残りの、総理にしても、衆参にしても、県議会にしても、名護市長にしても、名護の議会にしても、全部が賛成派だったわけですね。

 今度は、議会も変わっていまして、国の方は参議院がこの推進はしない勢力、沖縄県議会が、これは変わった勢力。そしてここが、今、総理大臣や衆議院、名護市長、議会は賛成勢力となっていますから、あのときと政治環境も少し変わってまいりましたよね。

 変わってくると、県知事の承認のときに、反対派の県議会は、これは間違いなく反対決議を県議会でやる。この県議会が反対決議をした後、知事が強引にこれを認めて遂行されるかどうかというのも一つの疑問。いろいろなトラブルがここで起こるだろうというふうに思っていますね。

 参議院においては、今のところの段階で変わっていますから、予算の面だとか法律の面で賛成、反対が必ず起こってくるということになってきますから、周りの政治環境は東京も沖縄も違ってくる。衆議院選挙があったら、またどういうふうに変わるか。またいろいろと流動化をしてくるわけですから、そこも出てくるだろうなというふうに思いますね。

 そして、アメリカ側を見ると、アメリカ側も、これは二〇〇七年から始まって二〇一〇年までに環境調査をやるというようなことを決めておりますけれども、その環境影響評価の工程の素案を二〇〇九年の春ごろまでに、二〇〇九年の年末までに最終案、環境影響評価決定書の署名は二〇一〇年となっておりますけれども、このことに関しても一年から一年半ぐらいおくれるんじゃないかというようなことを言っているんです。

 この米軍再編のことに関しては、日本政府もアメリカ政府もパッケージだと言っているんですね。辺野古の移設がうまくいかなかったらグアムもやりませんよ、これはもうパッケージだと、これは政府が言ったことですから、沖縄が言ったことでもなければ。パッケージだと言うけれども、このパッケージということになってくると、辺野古の移設の問題が前に進まないと、辺野古はうまくいかなかった、グアムには二兆円規模でお金を投資した、グアムはできたけれども辺野古がうまくいかないという状況になると、これは日米の外交的にも信頼的にもおかしくなりますから、これもなかなかうまくいかないということになりますね。

 そして、アメリカも大統領がかわりましたから、まあ、日米同盟はそう変わらないにしても、米軍再編の中でさまざまな動きが出てくるんだろうなというふうな感じがしております。

 ざくっと、今この十二年間の予算であったり経過とかという話をさせていただきましたけれども、これを見ていて、この私の今の客観的な話を見ていて、両大臣ともどう思われるのかということを一点お聞きしたいと思いますね。

中曽根国務大臣 今委員がお話しなさいましたように、この普天間飛行場の代替施設の問題は、平成八年からいろいろないきさつがあって、多くの方の御苦労等もあってこのロードマップというものが決まっているわけでありますが、これはやはり、米軍の抑止力を維持するということと、それから、いつも申し上げておりますが、沖縄の県民の皆さんの負担を軽くする、そういう意味においても大変重要なことでありますので、ぜひこれは実現させていただきたいと思っております。

 ただし、住民の皆さんの声にもよく耳を傾けて、そして関係省庁ともよく連絡をとってやることが大事だと思っておりまして、また先生方の御協力もぜひお願いをするところでございます。

下地委員 外務大臣、この外務大臣の答弁は、これはもう何人もの大臣が読まれている答弁だと思うんですよね。七人の総理大臣も同じような答弁を読んでいますけれども。

 どうですか、本当に今のままの状況で、やりたいという気持ちと、大臣は、このプランが、今の私が言った政治環境やいろいろなものの変化で、前のころよりももっと厳しい状況の中でできるというふうにお考えになれますか。

中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、この移転、返還というものの意義というものを考えますと、困難は伴うと思いますし、今までのいきさつも十分承知しておりますが、沖縄の皆さんとよくお話し合いをしながら、御理解いただきながら進めていくということに尽きるのではないかと思います。

下地委員 この工法が五回変わって今いろいろ動きましたけれども、これができる、できないというけじめをどこかでつけなきゃいけないと思うんですね、十二年間ずるずる来ているわけですから。

 防衛庁長官、どこがけじめだと思いますか。

 もし沖縄県の埋め立ての許可がとれなかったら、この案はだめだということをアメリカに持っていくけじめは、ここなのか。もっと違う、意見書のところで裁判で訴えられたらだめだと思うのか。どの時点をできる、できないの分岐点にして、これはパッケージですから、アメリカにもちゃんと言わなきゃいけないから。そういうふうな日本側の節目というのはどこだとお考えになりますか。

浜田国務大臣 その時期は、判断するには大変難しいと思います。ただ、今、下地先生のお話の中で、やはりもういいかげんというのは、何回同じことを言っているんだと言われればそのとおりでありますし、我々とすれば、そうならないように、今回も予算措置も含めてしっかりやりたいというふうに思っています。

 ですから、その時期についてまだまだ、今この時点でそれを想定しながらというわけにいきませんので、これからもそれをしっかりとまた追求しながらやっていきたいというふうに思っています。あきらめてはおりませんので、しっかりやります。

下地委員 もう答弁じゃなくて、やはりここにいる役所の人たちは、北米局長を二年間やって、防衛局長をやってどんどん出ていって、これは無責任で終わっちゃうんです。

 やはり大臣、ここは五千億もお金を使っているわけだから、時間も十二年かけているわけですから、沖縄県側が、埋立許可をもしとれなかったら、やらなかったらこの時点で終わりだ、これだったらやるというふうなことを明確に分岐点を示さないと、この問題は、私はずるずるいっちゃうんじゃないかと。

 それで、私の考え方は、分岐点を示して、それと同時に違う物語もつくっておくべきじゃないでしょうか。沖縄で今一番問題なのは何なのかといったら、普天間の危険度が一番高い。この考え方もそれでスタートしているわけですから、これは同じなんですよ。できているか、できていないかだけの話で、これが厳しい。嘉手納基地の騒音が裁判でも負ける、厳しい。この二つが今一番、肉体的にも精神的にも大きな基地問題。事件、事故、先ほど赤嶺委員からも弾の問題もいろいろありましたけれども、常時肉体的な問題があるというのは、やはりここに大きな問題があると思うんですね。この問題を解決しなければ、沖縄の基地問題の大きな部分は解決しない。

 しかし、これが十二年間できていないとなると、分岐点をつくって、それができなかったら違う物語をつくって、この嘉手納の騒音と普天間の危険の除去を別の物語をつくって解決していく。それをそろそろ考えてやる時期に来ているのではないかなということを私は思っているんです。

 だから、基地の問題は、私たちは、日米同盟は賛成ですから、安全保障も、沖縄の基地の役割が一挙になくなるとは言えませんから、米軍が沖縄から一挙になくなるなんて考えてもいません。そういうのも含めて、しかしながら、私どもでさえも、この計画には無謀さを感じる。だから、この役所の方々に振り回されないで、そろそろ政治が決断する。

 北米局長、何か反論はありますか。なければ、もう一回、私は、さっき言った分岐点というのをぜひ考えていただきたいなということをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

今津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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