衆議院

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第7号 平成21年4月28日(火曜日)

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平成二十一年四月二十八日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 今津  寛君

   理事 江渡 聡徳君 理事 嘉数 知賢君

   理事 新藤 義孝君 理事 中谷  元君

   理事 仲村 正治君 理事 松本 剛明君

   理事 山口  壯君 理事 佐藤 茂樹君

      安次富 修君    愛知 和男君

      赤城 徳彦君    小野 晋也君

      大塚  拓君    瓦   力君

      木村 太郎君    薗浦健太郎君

      武田 良太君    寺田  稔君

      福田 峰之君    山内 康一君

      山崎  拓君    神風 英男君

      津村 啓介君    長島 昭久君

      馬淵 澄夫君    田端 正広君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

      下地 幹郎君    西村 真悟君

    …………………………………

   防衛大臣         浜田 靖一君

   内閣府副大臣       宮澤 洋一君

   防衛副大臣        北村 誠吾君

   防衛大臣政務官      武田 良太君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    宮崎 礼壹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  櫻井 修一君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       大庭 靖雄君

   政府参考人

   (国家公務員制度改革推進本部事務局次長)     松田 隆利君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中島 明彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石川 和秀君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 北野  充君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   中江 公人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  高見澤將林君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  渡部  厚君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  井上 源三君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     福田 峰之君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 峰之君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

今津委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官櫻井修一君、内閣官房総合海洋政策本部事務局長大庭靖雄君、国家公務員制度改革推進本部事務局次長松田隆利君、外務省大臣官房審議官石川和秀君、外務省大臣官房審議官北野充君、防衛省大臣官房長中江公人君、防衛省防衛政策局長高見澤將林君、防衛省運用企画局長徳地秀士君、防衛省人事教育局長渡部厚君及び防衛省地方協力局長井上源三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今津委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 きょうの設置法の関係、特に、補佐官を今回設けられるということですね。まず最初に、補佐官を設けられることによってどういうことをされようとしているのか、御説明ください。

中江政府参考人 一昨年以来の防衛省における一連の不祥事を踏まえまして、防衛大臣の指揮監督が十分に貫徹していない面があるという御指摘もあり、防衛大臣の補佐体制を強化するために、防衛会議の新設とともに、それとあわせまして、この防衛大臣補佐官を新設することとしたものでございます。

 その役割は、防衛省の所掌事務に関する重要な事項につきまして、その見識に基づいて防衛大臣に進言をし、意見を言うという役割を担っているものでございます。

山口(壯)委員 防衛会議というのは今回新しいようですけれども、別に今までも三幕の長あるいは幹部で会議をされることはいっぱいあったわけですね。何が新しいんでしょうか。

中江政府参考人 委員御指摘のとおり、防衛会議は、これまでも訓令上設置をされておりました。これまでの防衛会議は、主として自衛隊の運用について審議をするための機関として設けられたものでございます。

 今回、この防衛会議を法律上位置づけることによりまして、またその中身につきましても、その運用のみならず、防衛省のいろいろな基本的方針について自主的な審議をすることによって、防衛大臣の意思決定あるいは政策判断というものに資することを期待して設けるものでございます。

山口(壯)委員 最近の不祥事でいけば、守屋さんの話、あるいは「あたご」の話、この補佐官によってどうやって守屋さんみたいな話がなくなるんですか。

中江政府参考人 前次官の問題につきましては、防衛省改革会議においてもいろいろな議論がなされたところでございます。必ずしも、今回御提案を申し上げております大臣補佐官の設置ですとか防衛会議だけでもって、先般の前次官の問題について、すべてそれに対する答えが出ているというものではないと思っております。

 今回の改正案に関して申し上げますと、少なくとも、防衛会議というものを設置することによりまして、そこで、大臣ほか政治任用者、文官それから自衛官の幹部が一堂に会することによりましていろいろな基本的な方針について審議をすることを通じて、それを踏まえて大臣が判断をされるということになりますので、一部の有力な幹部が何か恣意的な介入をすることによって政策がゆがめられるということは、この防衛会議によって防ぐことができるんじゃないかというふうに思っております。

 また、そのほか、前次官の問題につきましては、法律事項にないものでも、今回、防衛省改革会議の提言を受けまして、例えばいろいろ調達をめぐる問題がございましたけれども、調達の透明性あるいは公正性を確保するための調達改革の実施でありますとか、あるいは幹部を初めとする職員の法令遵守意識の徹底を図るためのいろいろな施策とかといったようなことを講じていくことにしております。

山口(壯)委員 私も、防衛庁に出向したときは、外務省と比べて、当時は防衛庁だったですね、先任部員として防衛課に守屋さんはおられたわけで、確かに仕事もよくできる人だなと思いながらも、非常に小さな世帯なものですから、私の担当は運用課というところで航空自衛隊の担当でしたけれども、領空侵犯の話があるといったら、空幕からさっと来て、そこから、当時の防衛庁長官は加藤紘一さんだったですか、すっと、所要時間は五分かからなかったですね、ぱんぱんぱんぱんと。いや、楽なものだなと。外務省の決裁なんというのは一日ぐらいかかるんですけれども、防衛庁の決裁というのは五分で、これは本当に小回りはきくけれども、反面、一人の人がやはり影響力を持ちやすいんだろうなと思っていたら、こういう話が出てきたものですから、そういう意味では、小回りがきくというのはいい面もあるけれども、ある意味で組織的にチェック機能がなかなか働きにくいんだろうなという気がするんです。

 今回、防衛会議というものを設けられても、例えば守屋さんのような事象というのは別に防衛会議を設けたから片づくような話でもありませんから、何か風土的なものが関係していると思うんです。今、官房長もいろいろおっしゃっていましたけれども、防衛会議あるいは補佐官制度ですぐそういうものすべてが片づくわけではないけれどもという認識は示されたわけですけれども、官房長として、こういう不祥事をいろいろ受けて、さらにどういうことを考えて防衛省が大きく発展しようとされているのか、その辺のことをお聞かせください。その後、大臣からもそのことについて見識を述べてください。

中江政府参考人 前次官の問題等一連の不祥事を受けまして、防衛省といたしましては、防衛省改革のための実施計画というものを昨年八月に定めました。この中には、今回の法律改正につながるものももちろん含まれておりますけれども、組織改革以外の、先ほど申し上げました調達改革ですとか、あるいはコンプライアンスの改善、特に幹部を中心としたコンプライアンスの改善ですとか、いろいろな施策を盛り込んでおります。

 また、組織改革につきましても、来年度にさらに抜本的な改革を予定しておりまして、この中で、今回の一連の不祥事で指摘をされました、各幕と内局との連携が十分でない、意思疎通が十分でないといったようなことも踏まえまして、UとCの混合組織を中心として大臣を支えるといったようなことも考えております。

 そういったいろいろな施策をこれから着実に実施していくことによって、防衛省に対する国民の信頼というものを回復していきたいというふうに考えております。

浜田国務大臣 今先生から御指摘があったように、我々とすれば、いろいろな不祥事があった、その中で、やはり風通しという部分もありますし、そしてまた防衛会議を法律で定めることによって、防衛大臣を中心とした体制をしっかりと確保するということがあろうかと思います。

 そしてもう一つは、やはり防衛参事官制度をなくすことによって防衛参事官会議というのもなくなって、逆に言えば内局は内局の中でというようなことがなくなるわけでありますので、私どもとすると、大臣を中心とした中の、そしてまた大臣を支える意味での補佐体制の強化というのは、やはりある意味、いろいろな形でのチェック、そしてまたいろいろな決定をする際のあり方というものを意識しながら今回の形を整えたところであります。

 そういう意味では、先生の御指摘のように、我々とすれば、今まで、そういった強力な人が出てくるとそれが中心になりがちというものをある程度、逆に言えば大臣がもっとしっかりして、その補佐体制も含めて今回直したというところが一番のポイントだと思っているところでございます。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

山口(壯)委員 大臣の見解ももちろん気持ちのあらわれでしょうけれども、ちょっと総論的に私には聞こえますね。防衛庁から防衛省に、私たちも賛成したわけですけれども、こんなに不祥事が続くようだと、やはり防衛庁の方がいいのかなという気持ちにもなりかねない。だから、もう少し具体的に、どういうふうに改善したらいいのかということを図っていきたいわけです。

 ちなみに、役所の同期の徳地さんもおられるから、きょうも来ているし、徳地さんにもあえて所掌の事務を離れて質問させてもらえればと思います。

 防衛庁としてきて、今は防衛省として、建物も変わりましたよね。昔は、六本木のときは、内局の建物があって、陸海空と幕がそれぞれ建物が違っていましたから、私も、空幕のところ、雨の中でぬれながら幕との往復をよくやっていましたよ。それが同じ建物になっていると何か連携がもっともっとよくなっているはずだと思ったら、どうも連絡は余り密でもない。一体どうなっているんだ。一体どこに原因があるんだろう。

 そこで、徳地さん、個人的に答えてもらったらそれで結構ですけれども、防衛庁としてやっていた時代、あるいは防衛省としてやっている時代に、私がさっき言ったような、中小企業的な小回りがきくのはいいけれども、何かきちっとした組織としての体をなしていないんじゃないかと思われるところも出てきてしまった。最近、徳地さん、どうですか、そういうようなことは徐々に解決されるやに感じておられますか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 私たちといたしましても、まさに防衛省改革の中で全体最適ということが言われておりますけれども、内局それから各幕僚監部その他、あらゆる機関が一丸となってきちんと職務をできるようにということで、今いろいろと頑張っているところであるというふうに認識をしております。

山口(壯)委員 こういうところで聞くとどうしても建前の話しか出てこないんだけれども、徳地さんもどっちかというと幕との関係よりも全体的な政策の担当の時間が長かったと思うのです。私は、たまたま出向したときに空幕担当ということで運用課にいさせていただいたので、特に現場との連携というのは心がけたつもりなんですけれども、当時と比べて、今の方が幕との連絡というのはどうも密になっていないんじゃないか、むしろ前の方がずっときちっとやっていたんじゃないかなというのが私の印象なんです。

 「あたご」の問題にしてもそうですね。何で連絡がそんなに、おかしいねと。普通、海幕のオペレーションルームからすぐぽんと電話が入ってくるんですね。私がいたのは二十年ほど前ですけれども、それでも、御巣鷹山に飛行機がおっこったとき、あれは六時過ぎだったですけれども、私は家が近かったから自宅にいたんです。一発で空幕のオペレーションルームからぽんと電話が入りましたね。山口部員、今、嘉手納から横田へ行くアメリカの飛行機、F4から連絡があって、どうも長野県のところに火が見える、民間機がおっこったんじゃないかという気もするから、よくわからないけれども、今からレーダーをいろいろチェックしますと。わからないけれども、すぐぽんと連絡が入ったから、私、当時の矢崎局長とか、全部ぱんぱんぱんぱんと連絡しましたよ。所要時間は、本当にその間、一分なんですね。何で今回それが一時間もかかってしまうんだろうというのが本当にわからない。たるんでいるんじゃないかとしか思えないんです。防衛省になってかえってそういうことになってしまったのかなと。

 だから、そういう意味で、今、徳地さんは建前の話しかできないでしょうけれども、だけれども、大臣、この間の「あたご」のこともありました。当時は必ずしもその中におられなかったわけですけれども、前よりも今、各幕との距離というのはなぜかできていると外部から見えてしまう。前の方がずっと、どちらかというと機械的に近いぐらい、ばんばんばんと連絡が行っていましたよ。

 大臣のところに例えば領空侵犯の事案についてもいろいろ報告があると思うんですけれども、見ておられて、感覚的にすぐ来ていますか。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

浜田国務大臣 先生御指摘の点、「あたご」の後、私もそのころはまだ大臣ではありませんでした。このごろのいろいろな連絡体制を見ていると、そこはかなりのスピードで私のところにも上がってきているというふうには感じております。

 ただ、先生がおっしゃるように、幕から内局への流れとか、そういうのはやはりもっと、先生から一時間かかるのはちょっとたるんでいるんじゃないかというお話がありましたが、逆に言うと、省になったからかはわかりませんけれども、一つずつルートがかなり複雑というか、すとんと上がっていっていないところがあったのも事実だと思います。ですから、そこの意識というのが、要するに幕と内局との間のところが、我々はもう少し整理しないといけないんではないか。

 そこで、今回の改革の中でも、党の方でもいろいろ我々は議論してきたんですが、そのときに、やはりUC一体化というのがあって、お互いのセクションごとに駆け上がっていくような形よりも、庁のときの方がそこはもっと速かったと先生がおっしゃっていましたけれども、まさにそういった感覚というのをまた取り入れる必要があるんじゃないかなという思いもあって、今回、いろいろな形での改革というのを考えた部分もあるのは事実です。

山口(壯)委員 一つのポイントは、内局制度を続けるかどうかということですね。

 この内局というのは不思議な制度ですから、私も行ったときに部員と呼ばれて、昔、テニス部員というのがありましたけれども、部員というのは、よく聞いたら参謀本部員なんですね。なるほど、スタッフの制度なんだなと。ほかの役所では補佐と呼ばれているのが防衛庁に行けば部員と呼ばれて、確かに昔のいいところと今の新しい部分をまぜるとこうなるのかなという気はするけれども、でも、内局の制度というのは不思議ですよね。

 私が行ったときは三十ちょっとのときですよ、三十一か二。相手の方が一佐で四十半ばだったりして、どうも私よりずっと経験を積んだ人に時には偉そうなことも言って申しわけないなと思いながら、カウンターパートとしてやってもらうわけですね。

 でも、この内局制度というのは、制服の方から見たら、どちらかというとちょっと、何でこんな若造にいろいろと話をしたり指示まで時々されるんだろうという気持ちを持たれることもあるでしょう。したがって、この内局制度を続けるかどうかというのは一つの大きなポイントだと思うんです。

 内局制度を続けた方がいいかどうか、場合によっては内局制度を外してするのがいいのかどうか、大臣、この辺についてはいかがですか。

浜田国務大臣 基本的に、内局制度全体をどういうふうに評価するかというのは、今まで我々がやってきた中で一つの形としてずっと来ているわけでありますが、その生い立ちを含め、やはり内局というのは、参事官制度が代表するように、要するに文民統制の誤解みたいなところがありまして、内局が制服をコントロールしていくんだみたいなところが往々にして見えて、それが何となく自衛官の中にも植えついてしまって、何か参事官制度というのにかなり違和感を持っておられたようなところもありますし、そういった意味において、今先生がおっしゃったように、では、それを理由にしていないのかという部分が私にすると感じたところもあります。

 要するに、我々は自衛官だから、我々は内局だからというようなところで、やはりどこかでこれを変えていかないとなかなかすんなりとはいかないのかなという思いもあり、内局というものに対する考え方、評価よりも、まず、参事官制度であるとかそういったものを一つずつ直しながらやっていくことが組織としてスムーズにいくことになるのかなという思いで今回のような改革を進めようという、私自身の考え方としてはそういうところもあります。

山口(壯)委員 今、浜田大臣が言われたのは、内局の制度について、今回は特にいじるところまでしないけれども、それも含めてまず一歩一歩考えていこうということですね。

 確かに私も、最初に言ったように、局長が実は本当は参事官なんだと。頭がこんがらがりましたね。参事官というのは局長の下にいるのかなと思ったら、局長であり参事官と言われると、確かに頭がこんがらがった。それを今回すっきりさせるということは、それはそれでいいんですけれども、でも、事の本質とは余り関係ないような気がするんですね。

 事の本質というのは、例えば海幕のオペレーションルームにぽんと連絡が入ったら、それがすっと自分の手足のごとく連絡が来る。そこが内局とか海幕とか離れていると、時間もかかる、気持ちも若干、一体かどうかわからない。そういう意味で、内局制度というのはむしろない方がいいんじゃないのかなという気が私はするんです。

 もう一回、建前の答弁しか来ないかもしれないけれども、渡部さん、どうですか。渡部さんは私より二期上なので、役所の関係で見ますと長いわけですけれども、内局制度というのはない方がいいんじゃないかと私は思うんですけれども、渡部さん、どう感じておられますか。

渡部政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも私の個人的な見解ということでございますけれども、やはり防衛庁から防衛省にかけまして、ずっと長い歴史がございます。その中で、内局というのは大臣を直接補佐するという仕事もやっているわけでございます。そういう意味で、私の感じとしては、各幕僚監部とはまた違った役割というのがあると思いますので、なくてもいいじゃないかと問われますと、いや、私としてはやはりあった方がいいといいますか、現在の形でいいのではないかと思っております。

山口(壯)委員 例えば、私の担当であれば空に関することでしたから、当時の運輸省航空局とやるときは私がやらせていただいた。だけれども、実際、BAK9とか、当時ありました、那覇でどうやって飛行機をぱんととめるかというときの。換装の話とか、詳しいことはわからないわけですね。全部空幕に聞いて、一佐の方に聞いて、こう言っていいんですね、ああ言っていいんですね、それは自分でこういうふうに伝えてくださいと、何かおれはまるで伝書バトみたいなものだなと思いながらやっていた。そういう内局だったら、本当はなくてもいいんじゃないのかなと。

 ただ、国会答弁に出るときは、内局の我々がかばんを持って局長を補佐した。でも、これも別に空幕の人が来たってそんなにおかしくないのになと思いながらやっていました。

 では、内局の方が見識がずっとあるかと言われると、まあそうなんでしょう。しかし、それもトレーニング次第では、それぞれの幕の方が広い見識を持たれることは当然あるわけですから。

 私は、どういうふうに内局を位置づけていくかといったら、今の位置づけ方、要するに外には内局、内では内局と幕の人がいろいろ、どっちかというと教えてもらうことの方が多かったですけれども、そういうことで本当にいいのかなというと、やはりそこは、内局の制度というのはむしろもうなくしてしまって、そして連絡をよくすると同時に、現場をさらに経験された幕の方々がむしろ国会にも出てきながら大臣を補佐していく方がずっとすっきりしていると思うんです。大臣、いかがですか。

浜田国務大臣 先生のおっしゃることというのは、我々も、大臣になる前に、党の方でも議論させていただきました。そういう意味では、要は、いかに我が国を守るためにスムーズに動けるか、そして運用官庁としてのあり方というものを考えたときには、先生のおっしゃるように、そもそも内局、制服という言葉があること自体がおかしくて、やはり一緒に仕事ができて、そしてより一層一体感のある形がとれればいいというふうに私は思っております。

 そこを目指して、やはり組織を含め変えていかなきゃいかぬという考え方のもとで我々も発想しておりますので、先生の御指摘というのは、まさに御自分が体験なされた中でおっしゃっているわけですから、私どももそういった思いもあります。

 ですから、そういったお互いの能力を十二分に生かし得る体制を今後どういうふうにつくるかということを考えていかないかぬということでございますので、先生の御意見も大変重要だというふうに思っているところであります。

山口(壯)委員 ちなみに、内局という制度はほかの国にもあるんでしょうか。

中江政府参考人 お答えいたします。

 各国の国防大臣を補佐する中央組織のあり方につきましては、それぞれの国の事情によりさまざまでございますが、調査した範囲で申し上げますと、我が国と全く同様の組織や制度を持つ国は認められません。

 ちなみに、アメリカとイギリスの例だけ申し上げますと、米国の国防省におきましては、国防長官を政策面で補佐する政治任用の文官中心の国防長官府や、作戦面で補佐する軍人中心の統合参謀本部等が設置をされておりまして、両者が連携して国防長官を補佐しているということでございます。

 それから、イギリスの国防省におきましては、主に事務次官が政策、財政管理に関して、国防参謀総長が軍事計画、作戦に関してそれぞれ分担して国防大臣を補佐することとされております。また、中央部局が文官と軍人を混合する組織ということになっております。

山口(壯)委員 きのう質問通告させていただいて、一日で調べるのは大変だったと思うんですけれども、でも、結論は、日本のような内局制度はないということですね。

 それがいいか悪いかはこれからさらに判断していけばいいんですけれども、確かに、我々、シビリアンコントロールということで、当初、内局が、シビルが制服をコントロールするという意味も込めていたやに聞いています。それが本当かどうかは知りません。

 我々の考えているシビリアンコントロールというのは、市民の代表は国会だから、国会が軍隊をコントロールする、こっちの方が大事であって、内局が各幕をというのは、我々にとっては、正直、シビリアンコントロールの意味とは違っていると思うんです。だから、それは今は防衛省でもだんだんそういう感覚になってもらっているとは思いますけれども、だから、そういうものはもう既になくしていいんじゃないのかなということを思うんです。

 ちなみに、今、いわゆるシビリアンということで、アメリカの国防省の話も出ました。でも、結局、イラク戦争とかをやらせたのは、ダグラス・ファイスとか、いわゆる副長官とかで入ってきたウォルフォウィッツという、正直、イスラエルに非常に造詣の深い人たちですね。影響力、イスラエルから大分、いろいろ気を使った人たちですね。それで、結局、制服の人たちは怒ったわけですね。何でこんな無駄な戦争をやらせるんだ、文官は一体、戦争をわかっているのかということですね。

 ですから、そういう意味では、内局の制度というのは、今回の設置法ではいじられませんけれども、やはり補佐官を置いただけでは、私は正直言って、物事の本質は何にも変わらないどころか、ややこしい話だなと。質問通告でいろいろ言っていたことをきょうほとんど聞いていませんけれども、補佐官の話というのは余りぴんとこないなと。

 でも、本質は、内局、幕という制度を防衛省としてこれからどういうふうに考えていくかによって、大臣がきちっと補佐される制度をつくる方がむしろ本質だろうなというふうに思います。そういう意味で、今回、我々、きょうの審議を踏まえていろいろこの賛否を決めますけれども、どうも物事の本質には必ずしも迫れそうにないなというのが私の偽らざる気持ちです。

 せっかくですから、副大臣もおられますから、今までずっとかかわってこられて、制服の方々との関係はどうですか。ちゃんと、すっと副大臣のところにもいろいろな話は来ていますか。

北村副大臣 私に関しましては、制服の方々との、私は不勉強ですから、わからないことがたくさんあるので、逐次いろいろなことは教えていただくようにしていますし、そこら辺の連絡というのは、必要に応じて連携はとれていると認識はしております。

山口(壯)委員 なかなか上の方にどこまで報告してどこまで整理してというのは、下の方ですごく気を使うところですね。だけれども、事防衛に関しては、生の情報がすとんと行った方がいい場合が多いと思うんです。実際にその防衛力を動かすかどうかの判断はまた別でしょう。しかし、何が起こっているかをまずすっと来るようにしておかなければ、多分「あたご」みたいな話は消えません。

 ですから、ぜひ、内局をなくせばそれがすぐできるかということでもないわけですから、いろいろまたさらに議論をしていただいて、これからどういうふうにまたよくなるか、よく考えてください。

 最後に一つだけ、これも質問通告していますからお答えいただければと思いますけれども、この間の、いわゆる新しい造語で、誤探知というのがありました。

 誤探知なんて本当にわけのわからない話ですけれども、一体、いわゆるこの誤探知について、まず、何か航跡のようなものがあった、だから発射されたというふうにだれが判断したんでしょうか。ついでにもう一つ、では、それが誤りであったと判断したのは、またさらにだれでしょうか。この辺はいかがですか。

徳地政府参考人 お答えを申し上げます。

 先般の北朝鮮によるミサイル発射に際しまして、情報伝達の手順については、北朝鮮からの発射につきまして米軍の早期警戒情報が防衛省・自衛隊に伝達されたことを確認した場合にこれを官邸の方に伝達する、こういう手順になっておったわけでございます。

 それで、四月四日の誤報事案についてでございますけれども、飯岡のFPS5の探知情報につきまして、航空総隊司令部の担当者が、スパークインフォメーション、飯岡探知という連絡を部隊から受けて、このときに、SEW、早期警戒情報が伝達されていなかったにもかかわらず、飯岡探知、SEW入感というふうに航空総隊司令部の中で連絡をしたということがまずございます。

 これを、その司令部の中の別の担当者から連絡を受けました防衛省の中央指揮所の担当官が、飯岡探知、SEW入感とそのまま繰り返して、それで別の担当官が発射というふうにアナウンスをして、これが、官邸の方でモニターをしていた防衛省連絡官を通じまして官邸の危機管理センターの方に発射というふうに伝達をされたということ、これが当時の全体の流れでございまして、その後、実際に早期警戒情報が入ってきていないということが確認をされましたので、その旨また連絡をした、こういうものでございます。

山口(壯)委員 中央指揮所の担当官というのが今二人出てきましたね。それは内局の人ですか、制服の人ですか。

徳地政府参考人 中央指揮所の方で連絡を受けました者は、これはいわゆる自衛官でございます。それから、先ほど、発射ということをアナウンスしたという、これは運用企画局の者でございます。

山口(壯)委員 運用企画局の人ということは、内局の人ですね。では、いわゆる最終的に発射があったと判断したのはその内局の人だったということですね。

徳地政府参考人 発射があったと判断したということよりも、むしろ、早期警戒情報が入ってきたという、SEW入感という連絡がありましたので、まさにSEWが入ってきたというふうに認識をして連絡したというものでございます。

山口(壯)委員 結局、今、だれが判断したんだということは明らかになっていないわけですね。答弁の中で徳地さんはそこははっきり言われないわけだけれども、そこら辺がやはり、だれがということをきちっとしておかないと、いつまでたっても内局だとか制服だとかいう話になりかねない。ちょっと今の答弁は、私はもう時間が来たからここでやめますけれども、納得しないですね。さらに、では、これは誤りだったと判断したのはだれなのかという話もあります。この話はちょっと、後でまたさらにやりましょう。

 だけれども、だれがということが命令系統の中で非常に大事ですから、内局の系統、制服の系統と言わずに、防衛省の系統としてだれがやることになっているんだということをきちっとはっきりさせていただいて、これからのオペレーションをお願いします。

 終わります。

今津委員長 次に、神風英男君。

神風委員 民主党の神風英男でございます。

 本日は、防衛省設置法の一部改正案ということでありますが、まず最初に、先日の本会議質問の中での北朝鮮のミサイル発射事案についてちょっと確認したい部分がありますので、その点からお伺いをしたいと思います。

 北朝鮮がミサイルの発射時間帯を米中ロ三カ国には事前に通告をしていた、米国を通じてそれが韓国にも情報提供されていたという報道がございました。それに対して、日本に対してアメリカからの情報提供があったのかということについて伺ったところ、いずれも、米国との間で情報交換を行っているが、その個別具体的な内容については、相手国たる米国との関係もあることから答えは差し控えさせていただくという答弁であったわけであります。

 これは、アメリカから日本に対しての何らかの具体的な要請に基づいてのことなんでしょうか、まずその点から確認をしたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 本会議の答弁の繰り返しになってしまって恐縮でございますけれども、個別のやりとりの詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり、差し控えたいと思いますということでございますが、いずれにしましても、このミサイルの発射に至る過程、特にその過程におきまして、日米間では極めて緊密に意見交換、情報交換を行ってきたところでございます。

 一般論として申し上げますと、いろいろな情報の中には、明らかにしないという前提のもとに提供された情報等もございますし、そういう意味では、なかなか個別のやりとりの詳細について明らかにすることができないという点、御理解を賜りたいと存じます。

神風委員 ただ、四月六日十五時からの防衛省の次官の会見の中では、米国経由の情報も含めて、ないということをはっきりと明言されていますよね。ここにありますけれども、ちょっと読ませていただくと、「一部報道で、北朝鮮が事前にアメリカ、中国、ロシアに対しておおよその発射時刻を伝えていたということがありますが、防衛省としては何かこの件に関しては」という質問に対して、「報道を承知している限りでございます。」と。その後に、「日本としては、そういう通知は受けていないということでよろしいのでしょうか。日本政府としては。」という問いに対して、「少なくとも、防衛省としては、そういうことは受けておりません。」と。続けて、「米国経由等も含めてないということでしょうか。」という質問に対して、「はい。」とはっきり否定をされているんですが、この事実関係はどういうふうになっているんでしょうか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 四月十七日の衆議院本会議でも同じやりとりがあったかと思いますけれども、防衛大臣から申し上げていますように、「防衛省、外務省、官房長官ともに、北朝鮮からミサイル発射時間に係る通報を受けたことがない」というふうにお答えをしているところだと思います。

 それで、今先生御指摘になりました四月六日の事務次官の発言でございますけれども、これは、要は北朝鮮からミサイル発射時間に係る通報を受けたことがないという旨お答えしたものだというふうに理解をしております。

神風委員 いや、だから、米国経由の情報も含めて、ないということをはっきり言われているわけですね。一部報道では、アメリカ経由で韓国には情報が伝わっていた、それによってNSCが開催をされたという報道があるわけです。ここら辺、食い違いがあると思うんですが、はっきりした事実関係をもう一度お答えいただきたいと思います。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事務次官の発言でございますけれども、北朝鮮からミサイル発射時間に係る通報があったか否かということをいろいろなやりとりの中で問われまして、他国を経由したものも含め、北朝鮮から通報を受けたことがないということをお答えしたというふうにとれるものだと思います。いずれにいたしましても、北朝鮮からミサイル発射時間に係る通報を受けたことがないということをお答えしたというふうに理解をしております。

神風委員 ただ、これを素直に読めば、場合によっては外務省にはその情報が伝わっていたかもしれないけれども、防衛省にはその情報が伝わっていなかったという形にもとれるわけですが、逆に外務省に伺いたいと思いますが、そのあたりはいかがですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の情報の取り扱いにつきましては先ほど答弁申し上げたとおりでございますけれども、外務省と防衛省との間の情報共有、これについては緊密に行っているというところでございます。

神風委員 緊密にと言いながら、何かその実態がそれに伴っていないような感じがするわけです。新聞報道では、「米国を通じ、韓国にもこの情報が伝えられたため、李明博大統領は五日午前に国家安全保障会議を招集した」という形で書かれておりますが、米国を通じて韓国にも情報提供があったという、この事実関係はどうなっているんでしょうか。確認をされたんでしょうか。外務省に伺いたいと思います。

石川政府参考人 米国と韓国という第三国同士の情報のやりとりにつきましては、日本政府としてコメントすることはできないということを御理解いただければと存じます。

神風委員 いや、確認をしたのかどうかという事実を教えていただきたいと思います。

石川政府参考人 アメリカ及び韓国との関係では、常日ごろから緊密に情報交換をしておりますし、この件に関しても極めて緊密に情報交換をしておりますが、恐縮でございますが、個別の問題のやりとりについては、相手国との関係もございますので、差し控えさせていただければと存じます。

神風委員 今の答弁ですと、やはり次官の会見自体が非常におかしいなという感じがするんですね。もしそういう姿勢であるのであれば、少なくとも防衛省としてはそういうことは受けておりません、米国経由等も含めてない、ここまで明言できないと思うんですが、そのあたりはいかがですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 今先生御紹介になりました次官のやりとりというのは、いろいろな報道があって、記者会見の中でいろいろな質問が錯綜しているという状況の中でやりとりが行われておりますので、そういう流れの中でいわばそういうふうな御理解になるような部分というのが確かに生じていたのかもしれませんけれども、私どもとしていろいろ確認をしておりますけれども、これまでも本会議等でお答えさせていただいておりますように、政府全体として、北朝鮮からは通報を受けていないということで一貫をしているところでございます。

神風委員 いや、北朝鮮から受けていないのはわかるんですが、これは報道自体が、米国を通じて韓国にも情報提供があったという報道があって、それを受けての会見ですよね。結局、アメリカ経由も含めてないのかという質問に対して、ない、はいということを答えているということは、これはアメリカからも情報がもたらされていないということを意図しているんではないですか。そういう意味ではないんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 インテリジェンスの関係のことというのは非常に緊密にやっているわけでございますけれども、具体的な記者会見の場でいろいろな質問が錯綜したような状況のときに、流れの中であたかも具体的なことに言及したというようなことになるのはありがちなことだと思います。ですから、この形が一番適切であったかということはいろいろ議論があるかもしれませんけれども、この点につきましては、要するにインテリジェンスの関係の部分ということにもなりますので、政府全体の立場というものと同じであるというふうに御理解をいただきたいと思います。

神風委員 この会見を自然に読む限りでは、いずれにしても、韓国には米国からそういった情報がもたらされていたけれども日本にはもたらされていなかったとしか普通には受けとめられないわけでありまして、ちょっとこの会見の対応がいかがなものかということも含めて、そこら辺のことをきちんと対応していただきたいなと思います。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 本改正案では、防衛参事官を廃止して防衛大臣補佐官を新設するということでございます。防衛省改革会議の報告書の中でそれは書かれているわけでありますが、逆に、私が大臣に伺いたいのは、実際に防衛省の中で御自身で指揮をとられていて、やはり実際に今の補佐体制そのものに問題がある、こういうところが問題なんだ、あるいはこういう不都合があるんだということを御自身の実感としてお感じになっていらっしゃるのかどうか。先般、本会議でもこれは質問させていただきましたが、あの答弁自体は報告書の中身でありますから、そうではなくて、御自身で実際に防衛省の中でどうお感じになっていらっしゃるのか、ちょっとその点をお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 この補佐官の話は参事官制度にかかわることでありますが、先生御指摘の点では、私は防衛庁の副長官もやらせていただいて、そのときに石破大臣ともいろいろなお話をさせていただいて、そもそも防衛参事官の所掌というのは全省的な立場で大臣を補佐するということになっているわけですが、ところが、そういう状況にあって、なおかつ自分の所掌があるわけですね、要するに局長だとか官房長だとか。そうすると、全省的な立場で見たときの補佐というのは、なかなかそれはされたことがないねという話もその当時ありました。

 私自身も、全省的な立場よりも、逆に言えば、この間のお答えでもしたように、形骸化しているというのはそういうところでありまして、各所掌においての部分でのことではあるけれども、しかし、防衛省全体として見た中でのところでは、余りそれを実感として、それで支えられているというふうには思えないところもあります。

 ですから、今回の場合には、参事官制度というのをやめて、そしてまたそこで補佐官というものを置くことによって、大臣の心配する点ですとか興味のある点、そういうところも含めて、全省的な立場で、補佐官の立場からいろいろな見方をしていただいて補佐していただくことがより適切ではないかということで今回のような形をとろうということで、私としてはそういうふうに考えているところであります。

神風委員 これは政治任用ということでありますが、大臣御自身、こういった人を任用したいなというようなことを既に想定されているのか、あるいは、御自身でこの人はと思うような、それに該当するような方というのは、これは雑駁な感想で結構なんですが、どのぐらいいる、何人ぐらいいるんだというようなイメージをお持ちなのか、ちょっとそこら辺を伺えればと思います。

浜田国務大臣 補佐官の任用については私ということになるわけでありますが、先生が今おっしゃった点からいえば、私はその前にも申し上げましたけれども、私自身の思うところというのは、これはあくまでも例えばの話でありますけれども、自衛官経験者の方ですとか、もっと言えば、組織論の、要するに大変その能力を持った方とか、そうすると、我々の防衛省・自衛隊の組織について、やはりいろいろな海外の知見も持っておられて、そしてまたそれを明確に、組織論としての体系を自分でお持ちになっているという方を、私自身とすれば、そういった方がいてくれたら、そういう意味ではいろいろなアドバイスがいただけるのかなという思いもあります。

 ですから、今私の頭の中にあるものといえば、そういった専門性、そしてまた全体的に防衛省を客観的に見られるという方がいらっしゃれば、私としては大変ありがたいなというふうに思うところであります。

神風委員 その点で、先日、二十三日に参考人質疑を行ったわけでありますが、その中で、田中明彦先生が次のようにおっしゃっております。ちょっと長いんですが、読ませていただくと、

 なぜ我々が防衛大臣の補佐官が必要かというふうに考えたかと申しますと、防衛大臣に任命された方が防衛省に行っても、直ちに、信頼に足る、すぐ相談できる人が周りにいない、ひとりぼっちだというような雰囲気が時に生ずるというんですね。事務次官、統合幕僚長、それから局長その他は、ずっと防衛省の中にいる人で、防衛省のことを何でもよく知っている。そこに、いかに有能であっても、国会議員で一般的な防衛政策、安全保障政策を持った人が一人で行って、その何でも知っている人たちに取り囲まれたときに、どういうイニシアチブでこれをリードしていくかということになると、なかなか難しい。

やはり信頼できる人と相談しつつやっていきたいということじゃないかと私は思っているというようなことを答弁されていたんです。

 これは特に防衛省に限ったことではなくて、ある意味ではすべての省庁、すべての大臣に共通している、そういう構図ではないかと思うんですが、なぜこれは防衛大臣に限って大臣補佐官ということになるのか。逆に言えば、防衛大臣に補佐官がつくのであれば、ほかの大臣にも補佐官がついてもおかしくはないという構図ではないかと思いますが、その点はいかがですか。

浜田国務大臣 今先生がおっしゃったように、それだったらほかの大臣にもということでありますが、しかしながら、防衛省の中で今まで防衛参事官制度というのがあった中で、そしてまたそういった全省的な立場で補佐するという部分、そしてまた防衛省の事務を統括する、防衛大臣を文民統制する側から支える体制をつくるという、そういう意味合いも含めて我々とすれば考えているところでありまして、もしも我々の防衛省でそれがうまくいけば、他省庁でもそういったことが考えられるのではないかなというふうに思います。

 私どもとすれば、私自身、そういった意味合いも含めて、私の今の立場でこれがいいというふうに思って今回御提案をさせていただいたところでございますので、その点は、我々の今までの防衛省の歴史というものもその中にあるということだと私は思っておるところであります。

神風委員 仮にこの大臣補佐官制度というのがシステムとして了であるとしても、人材を探すのはなかなか大変なことではないかというような気もしますし、先日、森本敏参考人からも、大臣補佐官の人材を探すというのはさほど容易なことではないというようなことが述べられておりました。

 結局、平均すると九カ月ぐらいで防衛大臣が交代されてきたわけでありまして、大臣が交代するたびにまたその補佐官も交代していくというようなことになった場合に、本当に防衛省・自衛隊という組織、機構の中でこの大臣補佐官というのが機能するのかどうかというのは、個人的にはかなり疑問ではあるんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 先生御指摘のように、そしてまた森本先生が御指摘になった点というのは確かにあろうかと思います。

 ですから、この補佐官のありようというのもやはりまだまだ我々とすれば考えなきゃいかぬところもありますけれども、しかし、補佐官というものの有能な人というのがまた適材適所でいらっしゃるということを我々選んで、そしてまた大臣がかわるたびにというお話がありましたが、しかし、その能力というものが適切であれば引き続きそれを任用することもできるはずでありますので、そういったものは、やはりこれからいろいろな経験、特に防衛省の中である程度の人選そしてまた大臣の人選というものをやっていくことによって、そこは収れんされていくものだというふうに思っております。

神風委員 この大臣補佐官の役割として、防衛省の所掌事務に関する重要事項に関し、防衛大臣に進言等を行うという形で書かれているわけですが、いま一つ具体像が鮮明になってこないようなところがあります。

 それで、これに関しても、先日、やはり参考人であった森本先生が次のようにおっしゃっておられまして、

 私が考える防衛補佐官に期待される業務というのは、結局のところ、防衛大臣の行う政務あるいは行政を国民、地域社会、メディアあるいは国外に広く知らしめ、これと連携して国家防衛のあり方について、より広範な国内世論、国際世論を醸成する役割を果たすということであれば、防衛補佐官の役割は少しは機能するのではないか、

というような、多少寂しいお考えを述べられていたんです。

 ただ、逆に、森本先生がここでおっしゃっているような方向性だと、今回のこの法案の趣旨とは、意図とはかなり違うのではないかな。むしろ広報官みたいなイメージで森本先生はおっしゃられているのかなという感じであります。本来的な、今回の改正案で求められている補佐官の具体像というのはこれではないと思うんですが、そこら辺はどうなんでしょうか。事務方でも結構です。

中江政府参考人 今回の改正法案の中では、大臣補佐官は、防衛省の所掌事務に関する重要事項に関し、防衛大臣に進言をするというふうに規定をしているところでございます。

 具体的にどのようなことについて例えば進言するのかということでございますけれども、これはまさに防衛大臣が補佐官にどのような役割を求めるのかということにもよるかと思います。例えば、補佐官の知見に基づきまして、防衛力整備ですとかあるいは自衛隊の運用に関するいろいろな基本的な事項、それから森本先生からお話のあったような防衛政策の国民等への情報発信というものも含まれると思います。さらには、その時々の政策課題などにつきまして、その全般あるいは個別具体的な事項に関して進言が行われるということを想定しているところでございます。

神風委員 あと、ちょっと細かいことで恐縮ではありますが、これは「非常勤とすることができる。」とあります。ただ、聞いたところでは、実際には、給与面等も含めて、常勤ではなくて非常勤とせざるを得ないというような、実態としては非常勤になるであろうというようなことであったんですが、そうすると、恐らく勤務一日につき三万五千三百円程度の給与になるのかなと想定されるわけです。そういう中で、これは何日ぐらい勤務になるのか、あるいは非常勤でどれぐらい拘束をされるのか、そこら辺はどうなっているんでしょうか。

中江政府参考人 補佐官につきましては、今委員御指摘のとおり、制度としては常勤、非常勤、両方の制度がございますが、今年度予算におきましては非常勤ということで措置をいたしております。

 その際の具体的な勤務の日数でございますが、これは、その時々の防衛省・自衛隊が抱える課題、それから、防衛会議のメンバーにもなっておりますので、その防衛会議の開催状況、あるいは防衛大臣補佐官おのおのが求められる具体的な役割などを考慮の上、決まってくるものというふうに考えております。

神風委員 その上で、見通しとしてはどれぐらいになるのかというのは、いかがなんですか。

中江政府参考人 なかなか具体的な日数というのを今の段階で申し上げるような状況にはございませんけれども、補佐官を単に置くだけではなくて機能させるということが大事だというふうに考えております。できるだけ補佐官を活用していく必要があるというふうに考えておりますので、いろいろな重要課題に応じまして、できるだけ勤務をしていただくということを考えております。

神風委員 また、この補佐官にも守秘義務が当然課せられることとなっているわけでありますが、特に非常勤、そういう場合に、その実効性というのがどういうふうに担保されるのか、そのあたりはいかがなんでしょうか。

北村副大臣 お答えいたします。

 防衛大臣補佐官にも自衛隊隊員に対して適用されるいわゆる守秘義務規定が準用されますし、その職務上知り得た秘密を漏らしてはならないとされておることは当然でございます。

 いわゆる守秘義務規定の実効性を担保するためには、簡潔に申し上げまして次の二つのポイントがございます。

 まず、防衛大臣が防衛に関する見識を有する者の中から適切な人材を選任することとしておりますけれども、その選任に際しましては、秘密保全についてしかるべく配慮すること、そして二つ目に、防衛省・自衛隊が保有する極めて機微な秘密である特別防衛秘密及び防衛秘密に関する罰則規定の適用を受ける、これらのことで実効性が担保できるというふうに考えておるところでございます。

神風委員 短い期間の任用ということになると、なかなかそういうのも現実問題として困難な面もあるのかなと思いますが、ぜひそこら辺はしっかり対応していただきたいなと思っております。

 それで、防衛省改革会議の報告書を拝見しますと、防衛省の司令塔機能強化の提言だけではなくて、官邸の司令塔機能強化についても言及をされております。そういう中で、安全保障にかかわる総理の補佐体制ということについても充実強化する旨が提言をされているところでありますけれども、以前、安倍内閣のときに安全保障問題担当の総理補佐官というのが存在をしたわけであります。この現実に存在をしていた総理補佐官はどういう評価であったのか、その点を伺いたいと思います。

北村副大臣 お答えいたします。

 安倍内閣におきましては、担当事項ごとに五人の内閣総理大臣補佐官が配置され、それぞれの内閣総理大臣補佐官が官邸の司令塔機能を強化し、政治のリーダーシップを確立するために御尽力なされたと承知しております。

 その具体的な評価につきましては防衛省といたしまして申し上げる立場にはない、こう認識しております。

神風委員 いわば防衛省として答弁する立場にはないのかもしれませんが、ちょっと気になるのは、この中にも、機動的に総理を補佐する安全保障政策に関して高度の知見を持つアドバイザーを置くというような形で、官邸の機能強化のことについて触れられているわけであります。

 そういう意味で、総理にもこうしたアドバイザー的な高度な専門知識を持った補佐官が安全保障関係についてつく、防衛大臣に対してもそういう補佐官がこれから置かれる。そこら辺の連携というか、そこら辺がうまく機能するのかなというのが、今回のミサイルの発射事案の経緯を見ても、なかなか官邸と防衛省自体がぎくしゃくしているようなイメージを外から見ているとかなり受けるわけですが、そこら辺は問題がないのかどうか、これは防衛大臣としてちょっと見解を伺いたいなと思います。

浜田国務大臣 我々の連絡機能というのは、決して今回悪くはなかったと私自身は思っております。

 ただ、一般論として、官邸とか、ほかの国においても、その大統領のそばにはいわゆる軍人さんがいたり、そういったまさにスペシャリストたる軍人さんがいらっしゃるわけでございますので、そういう武官の方がどなたか一人入っているとか、そういったようなことも含めて今後検討していただくのは、我々とすれば、できればそういった形が望ましいのかなという思いはあります。

 ですから、今後の対応の仕方によっては、もしもそういった、今の提言の中にあるようなことをするのであるならば、第一歩としてはそういったことをお考えになればいいのかなというふうに思っているところはあります。

神風委員 先ほども少し申し上げましたけれども、システムとしては了ではある、ただ、個別具体的にそれを実際に運用していくということになると、初めてのことでもありますから、なかなかこれは難しい面も出てくるのかなと思っておりますので、ぜひそこら辺は留意をしながら取り組んでいただきたいなと思います。

 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

今津委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今津委員長 次に、松本剛明君。

松本(剛)委員 防衛省設置法改正案について御質問をさせていただきたいと思っておりますが、この法案は、防衛省全体の改革というものを目指す一連の流れの中の位置づけである、こういう理解のもとにありますので、ある意味では、特に昨今の防衛省そして自衛隊の活動の根幹にかかわる国際協力、国際貢献の点について何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 今回の海賊派遣の問題でも、当委員会で私も質疑をさせていただきましたが、そもそも、これだけの国際貢献、国際協力をする、これは、自衛隊法改正によって任務の位置づけが変わったときから、私も安全保障委員会で質問をいたしましたけれども、やはりそういった活動を展開していこうと思えば、それに対する準備の点であるとか、それから人員の確保であるとか装備の確保であるとか、そういったものを十分に進めていただきながら、それに見合う形で海外に出していただく。自衛隊法の中で任務の位置づけが変わったとはいえ、当然のことでありますが、本来の任務は我が国の防衛ということになるわけだろうというふうに思います。

 例えば、中期防衛力の整備計画を拝見させていただきますと、やはり国際貢献、国際協力の部分というのは、ほかに比べると、例えば装備の準備なども表現が非常に抽象的であります。白書を拝見すると、多少、ヘリコプターとかそういう言葉が中に書いてある。中期防に具体的にヘリコプターであるとか軽装甲機動車という言葉が余りないのに、白書にどんどん事業として入ってきていいのかどうかというのは別の議論としてあるかもしれませんが、やはり予算の枠であるとか国民の理解であるとかいうことで、どのぐらいまでやるのかなということを、理解を得ながら多分整備を進められようとしていると思うんです。

 他方で、国民の理解が得られる範囲で整備できたそういう能力、余力の中で国際貢献の活動が行われるということであれば、私自身は、これはいろいろ御意見があると思いますが、現在のように海上自衛隊がインド洋にもアデン湾にも両方出ていくというのは、これまでの準備からすれば、少し過重な荷物を、負担を海上自衛隊はお引き受けになっているのではないのかなというのが私の率直な感触であります。

 そういう意味で、これからも我が国にとって非常に重要だという認識は私も共有をいたしますので、今後の国際貢献、協力を進めていくに当たって、そういう準備とか、それから装備や人員、訓練についての大臣の決意を少しお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 確かに、先生のおっしゃったように、中期防等で大枠が出てくる、そしてまたその中に我々は年度ごとに予算を提示して、そこでこういうものをそろえていきますということを御審議いただいて、それが通っているわけであります。

 そういった意味では、今のこの事態というのは、今般の世界の中におけるいろいろな事案が起きたときに、我々の対応する能力というのがなかなか予想のつかないところもあるわけでありまして、我々とすれば、いろいろなことを想定しつつ装備していかないかぬというふうにも思います。ただ、やはりそういったものを買うにも時間がかかったりとかいったこともありますので、その中で、今あるもので対応していくということになれば、少なからず、先生の御指摘のように、いろいろなところに圧がかかっていくのは当然のことだと思っております。

 ですから、今後、そういった意味では、我々の組織、そしてまた装備の体系というものが、どれだけいろいろなところに対応できるだけの体制と、そしてまた物を買っていけるのかということをやはり考えていかないかぬということもありますので、先生の御指摘のように、我々とすれば、あらゆる事態ということになれば、当然、そこをしっかりと考えてやって、そしてまた海外へ出ることに対しての備えというものもあわせてしっかりとしていかないかぬということで、先生の御指摘のとおりだと私は思っております。

松本(剛)委員 防衛省の改革の報告書に、他省庁との連携も検討し、深めるようにということが書いてありますが、例えば、今回の件でも問題になったように、これから海外へ出ていっていただくときに、今回も海賊でもかなり問題になりました司法警察的行動をいろいろしなければいけないといったときに、自衛官はそういう準備は、現段階ではそういう訓練も含めてしていないということでありました。他省庁との連携という考え方の中ではそういうことも今後、もちろん、そういうことをするに当たっては法整備その他いろいろなことがありますが、今おっしゃったように、訓練は一朝一夕にいかないわけでありますから、どういう準備をしていただくのかということも十分に検討してお進めをいただきたいと思います。

 申し上げておくだけでよろしいでしょうか。

浜田国務大臣 海上警備行動は今回初めてではございませんで、前にも経験がございます。そういった中において、常日ごろから我々も、海上保安庁との関係そしてまた警察との関係も、その意味では、年間を通して計画を立て、いろいろなところとの意見交換、そしてまた、できるものであれば一緒に訓練をするという形を我々としては進めてきておるところでございます。

 先生の御指摘のように、今度、法律的な部分、司法権の問題とか警察権の問題、いろいろなところは別にしまして、我々の実行できる範囲内、いわゆる運用の中でしなければならないことは、我々とすれば着実に今積み重ねているというふうに考えているところであります。

松本(剛)委員 申し上げた趣旨は御理解をいただいたということだろうと思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 それからもう一つ、国際貢献に協力するに当たって、今回の海賊事案でも大変大きな問題になりましたが、やはり武力行使というものの定義の問題について、何度か私ども民主党の同僚議員が今回の委員会でも質問をさせていただいておりますが、今回の海賊事案というのは、私自身は、武力行使の解釈というものに、今後の一つの大きな転換点になる内容だったのではないかというふうに考えておりますので、少しその辺のところを議論させていただきたいと思います。

 今回の海賊の対処については警察活動なので武力行使には当たらない、こういう解釈でよろしいのかどうか、これは法制局にお聞きをしたらよろしいでしょうか。

宮崎政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 警察活動というふうに言われるものについては、使う方によっていろいろ多義的だと思いますので、警察活動と言いさえすれば武力行使に当たらないということを申し上げてきてはおりません。

 このたびの法案におきまして海賊行為と申しますのは、若干繰り返しになりますけれども、私的船舶によるものであること、それから私的目的に出たものであること、すなわち私人の行為であること、それから公海上において行われるものであること、また、船舶の強取、財物の強取、乗組員の略取等、今日、いわば人類共通の敵、いずれの国等も許すことができないものであるという共通の評価があるもの、そういう定型を備えたものであることのすべてを満たすものとして定義し、処罰することとしております。

 このような海賊行為を行った者、すなわち私人に対して法令の範囲内で武器を使用することは、憲法九条が禁じている武力の行使に当たるものではないというのがこの法案を貫く考え方でございまして、憲法九条一項の武力の行使とは、基本的に我が国の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうというふうに今まで申し上げてきた、これまでの武力行使に関する考え方を変えたものとは思っておりません。

松本(剛)委員 では、海洋政策本部にお聞きをしましょうか。

 今回の対処法では、第二条に定める各号があろうかと思いますが、これに該当すれば海賊行為に当たる、こういう理解でよろしいんでしょうか。

大庭政府参考人 お答えを申し上げます。

 海賊対処法案第二条で海賊行為を定義いたしまして、第三条以下でこれを処罰すべきものといたしまして、さらにまた、第五条以下で海上保安庁等が対処すべきものとして定めておりますけれども、この第二条で定義いたしております海賊行為と申しますのは、船舶の乗組員等による他の船舶の強取などの、いわば海上強盗というような典型的な海賊の犯罪類型に該当する行為を初めといたしまして、これらと一連一体のものとして行われる行為や準備的な行為を列挙し、同時に、この行為の主体にかかわる船舶に関して、船舶からは軍艦及び各国政府が所有しまたは運航する船舶というものを除外するとともに、私的目的で行うものであることを要件といたしております。

 海賊対処法案に規定している武器の使用は、今申し上げたような海賊行為を行った者に対し、法令の範囲内で武器を使用するものでございまして、憲法九条が禁止する武力の行使に当たるものではないということでございます。

松本(剛)委員 私的目的というのは、私的な利得であるとか憎悪であるとか、そういった例示が海賊対策特別委員会の議論でなされていましたが、私的目的の解釈はそういうことでよろしいんでしょうか。

大庭政府参考人 ただいま御指摘をいただきましたように、本法案におきます私的目的と申しておりますのは、私人の利得の欲望、憎悪、復讐その他の目的という意味でございます。

松本(剛)委員 少し話を先へ進めます。

 海賊対処法の第六条でいわゆる警告射撃の話が出てまいりますが、これは、第二条の第六号で、海賊行為をする目的で、接近し、もしくはつきまとい、その進行を妨げる行為、こういうふうになっているわけであります。海賊行為、つきまとっている、もしくは著しく接近をした場合に警告射撃をする、これは合理的に判断できればそうだ、こういうふうなことがなされていますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

大庭政府参考人 第六条で規定をいたしております武器の使用に関しまして、第二条第六号に係る船舶への異常な接近、つきまとい、あるいは進行の妨害といったような、そういう行為を制止させるに当たり、このような行為を行っている者が、ほかの制止の措置に従わず、なお船舶を航行させて当該海賊行為を継続しようとする場合において、当該船舶の進行を停止させるために他の手段がないと信ずるに足りる相当な理由があるときに、その合理的に必要とされる範囲内で使用が認められるものでございます。

松本(剛)委員 この間の委員会の議論の中で、こういうふうにお答えになっているんです。これは宮崎長官の答弁ですが、

 我が国の法令に違反する行為をしているという外観があり、そして、客観的な状況に基づいて合理的に判断してそういう認定ができたということでありますれば、事後的にその対象が、あるいは、その対象といいますか、ある国が何らかの主張をして、それは自分のところのメンバーであった等々の主張をいたしましても、さかのぼって、その最初に行いました射撃の違法性が生ずるとか、あるいは違憲性が生ずるということはない

と。

 私も、海賊に対処しようと思えば、客観的に外から見てそうであればということで行動を起こさなければできないと思うんですね。

 しかし、この法律を読む限りは、実は、第六号そのものも「海賊行為をする目的で、」ということが書いてあって、また、その前に、この第二条全体に「私的目的で、」という言葉がかかっているんですよね。この二つの内容というのは、法文を読む限り、この二つの目的があって違法になるということですよね。違いますか、解釈として。

大庭政府参考人 第二条第六号の行為、処罰すべき行為に該当するかどうかについては、その目的に照らしてそれに当たるかどうかという判断が必要である。まずは、第二条の柱書きに「「海賊行為」とは、」ということで書き出しております、私的目的で行われるものであること、そしてまた、第六号に関しましては、「第一号から第四号までのいずれかに係る海賊行為をする目的で、」行うことというふうに規定をいたしております。先生の御指摘のとおりでございます。

松本(剛)委員 私的目的と認められるということ、海賊行為であると認められるということではなくて、私的目的であるということ、海賊行為であるということでなければいけないというふうにこの法律はなっている。

 法制局長官は、外観上合理的な理由があれば、それは先ほどの解釈をすれば、外から見て違法に見えたら警告射撃をしてもいいけれども、実は違法でなかったということがあるということを言っておられるんですよね、この法律で。

 そういう理解でよろしいですか。これは長官とどちらがお答えいただくのか。

大庭政府参考人 公海上において平穏に航行しておる商船、武器を備えておらないそういう商船に対して、二隻、三隻の船が高速で接近をする。接近をする行為自体、非常に海上では危険な行為、通常はない行為であります、そういう行為をする。その船に乗っている船員が例えば武器を持っている、あるいは身分なり目的なりを隠している。あるいは、その地域でどういうことが起こっているか、例えば繰り返し海賊行為が行われている。さまざまなその場における状況判断があるんだと思います。

 そういうものを踏まえて判断し、合理的にそういうものであると判断できる場合には対処が可能である、そういうお話であると存じます。

松本(剛)委員 今おっしゃったように、そういうときに私は対処すべきだと思うと申し上げているんです。でも、この法律だと、目的と認められるとかそういうふうに直さない限り、目的であると書いてある以上は、議論の中でもあるんですよ、例えば、そうでないということがわかったらリリースをすると。つまり、結果としては違法でないということが、可能性としてはこの法律上あり得る。

 だから、むしろこの法律は、本来、今おっしゃったように、認められるとかそういう文言を入れることで、外観的にそうであればこれは違法であって対処ができると書いておかなければいけないはずであって、その意味でも、この法律というのは、いろいろな修正を我々求めてきていますけれども、この点でも直す必要がある。

 今局長おっしゃったのは、事実として、現場の要請としてそうだというのは理解できます。しかし、この法律では、私的目的であること、海賊目的であることそのものが要件になっているんですよ。だからこそ海賊対策特別委員会でも、警告射撃をいたしました、そして立ち入りをいたしました、結果として海賊目的でないことがわかりました、リリースをいたします、こういう答弁があるんですよ。

 そうすると、違法でない行為に対して警告射撃ができるということを今言っておられることになるわけで、この法律自身、そういうところに無理があると思うんですけれども、いかがですか。

大庭政府参考人 さまざまな犯罪行為を処罰する規定におきまして、主観的な目的をその要件としておるような犯罪はあるわけでございます。そのような目的なりの要件を設けた上で、それを取り締まるべき立場に立つ権限を持つ者が、客観的なさまざまな情勢から認定して、それに該当するということで判断できれば、そういう対処を行うことができるということだと思います。

松本(剛)委員 今の議論について法制局長官にもお伺いをしたいと思いますが、今局長おっしゃったように、さまざまな司法手続で、もしくは司法警察的な手続でそういうふうになっているものはあります。しかし、この法律がそういうふうになっていないんじゃないですかということを申し上げているんですが、いかがですか。まず、局長にお聞きをしますし、法制局長官にもここまでの議論について、法制局長官答弁に関するものも多々ありますので。

 この法律の中でどうやって今、合理的であれば取り締まりをしていいというふうに読むんでしょうか。どこからそういうふうに読めるんでしょうか。それをお聞きしているんです。

大庭政府参考人 海賊行為の定義で、私的目的で行う次の行為というふうに具体的に構成要件を明記して、列記をしてあるわけでございます。こういう規定に照らし合わせて、これに該当するかどうかを判断して、適用の可否を判断するということになるものでございます。

宮崎政府特別補佐人 ただいま御答弁があったことと同じでありまして、この第六条の趣旨というのは、いわゆる直接強制の根拠条文でございますので、その性質上、認定という要素はどうしても前提になっているものと思います。

 ここで言う、海賊行為の制止に当たり、当該海賊を行っている者が、他の制止に従わないで、なお航行させて継続しようとする場合において、停止させるために他の手段がないと信ずるに足りる相当な理由があるときというふうに書いております限り、それの判断というのは、相手船舶の対応等から合理的に判断できるものということで、この法律ができていると思います。

松本(剛)委員 第六条には二条六号に係るものに限ると書いてあって、二条六号は「海賊行為をする目的で、」というふうに明記をしてあるわけですよね。

 では、ちょっと聞き方を変えましょう。こういう条文で、結果として違法でない、リリースするケースがあるというふうに特別委員会で長官もお答えになっていますが、結果として違法でない者に対して警告射撃をすることがあり得るということでよろしいですか。

宮崎政府特別補佐人 特別委員会でのやりとりは、長島委員からの御質問でございました。そのときに、同委員のお言葉では、警告射撃の後、いよいよ立入検査をして、そこでよく調べた結果、単なる漁民であるというようなことがわかった場合どうであるかという御質問でございました。

 私の方は、警告射撃というか、現在問題になっております、条文で言うと六条で、制止のための措置で武器の使用をするということの後で、その相手船舶を停船させることができて、立入検査になり、その後の取り調べをするというときに、海賊でないということがわかったということが実際に生ずるのかどうか疑問でありますがということを申し上げた上で申し上げたというふうに記憶しております。

 つまり、確かに、御指摘のとおり第六条は、第二条第六号で「海賊行為をする目的で、」と書いてあるから目的要素があるではないかというのは、それは規定上そのとおりでございますけれども、第六条では、「海賊行為の制止に当たり、」ですから、まずその前に海賊行為らしいことが行われているということが現認されているわけでございますし、また、「当該海賊行為を行っている者が、他の制止」、「他の」というのは当該海賊行為以外のということだと思いますが、制止に従わず、なお云々というふうになっておりますので、そこでその状況から判断ができる、海賊行為を行おうとしている、海賊行為をする目的ということも含めて判断ができるというふうに思っているわけであります。

 そういう場面で、その後、直後に海賊行為でないことが判明したということがそんなに生ずるということを考えておりませんで、その点は留保を申し上げて、御答弁を申し上げたつもりでございます。

松本(剛)委員 私は、今までの皆さんの答弁を総合すると、今回の場合は、客観的にというか外観的に見て対処せざるを得ないし、そういうふうに行動するし、外観的に見て行動した者は例えば警告射撃をしても問題はないんだ、こういうことを言われている。それでいいと思うんですよ。

 しかし、この法律を見る限り、それから、先ほど長官おっしゃいましたけれども、確かに、そういうことがどれだけあるかなかなかわかりませんけれどもとおっしゃいましたが、論理的にはあるわけですよ。ここは法律の論理の話をしているので、法制局長官が、そんなことは多分ないだろう、自衛艦が行ったらよけるだろうみたいな、総理大臣みたいな答弁をされたら困るんですよ。論理的にあり得るんだから、結果として違法でない場合でも六条違反にはならないことがあるということをお認めになったんですね、そこについてイエスかノーか、答えをいただきたいと思います。

宮崎政府特別補佐人 その場の別のところのお答えで、海賊を仮装して行為をするというようなことがあり得るかもしれないということを前提として申し上げました。そういうことであれば、そんなこともないだろうということまで申し上げようと思っておりません。

 したがって、そういうようなことも含めた上で申し上げれば、客観的な状況から判断して、合理的に認定してこの六条の行為をしたということであれば、それはその時点で適正に判断したということになるわけでございますので、その後に実はこうであったというふうなことの主張がされましても、さかのぼって違法、違憲ということになることはないだろうというふうに、法律論として申し上げたつもりでございます。

松本(剛)委員 自衛官の皆さんのためにも、違法でないだろうでは困るんですよ。

 ですから、私はむしろ、ここでも申し上げているのは、客観的に、先ほど大庭局長もおっしゃいました、急速に接近をするとかつきまとうということ自体が危険な行為であると。そうだと思いますよ。ところが、この第二条六号を見る限りは、それに加えて海賊目的でなければ対処の対象にならないわけですよね。海賊対処法だからそういうふうにされたんだろうというふうに思いますけれども。

 これはやはり、ちゃんと客観的に見てそういうふうに認められる行為であればそれは違法なものであって、そしてそれに対しては対処をするんだ、こういう規定ぶりにしないと、先ほど長官もおっしゃいました、論理的には違法でないけれども、その時点ではちゃんと判断したんだから違法ということにされることはないだろうと。こんな予報で、予測とか、だろうとか、推測の積み重ねで六条のような対処を認められるということであれば、極めて現場も大変なことになるわけで、先ほどのお答えを聞く限り、むしろ客観的に見たら違法とすべきでないから違法とならない、そういうことを言い続けておられるけれども、どうこの法律を読んだらその根拠が出てくるんですかということの答えはついにないと私はここで言わざるを得ない。

 その意味でも、きちっともう一度法案の審議というのも、まだ国会にかかっているわけですから、議論をして、我々の議論に対応していただきたいということを強くお話しさせていただきたいと思います。

 それから、同時に、今おっしゃったように、客観的な状況の中で警告射撃など武器を使用した場合は武力行使に当たらないということを今回事実上言っておられるに等しいわけでありまして、これについても何度か議論が出てきておりますけれども、外務大臣も、今回のソマリアの海賊が、国もしくは国に準ずる者、これは国際法の概念じゃないと言って切って捨てておられますが、武力行使に当たるかどうかに当たっては、我が国でそういう概念を使っているわけですから、その概念に当たるかどうかというのは判断をしていないということも委員会で明言をされておられます。

 その意味で、主体が何であろうとこの海賊行為に当たる、しかも、今の警告射撃であれば、外観的に合理的にそのように判断できたら当たるというふうにされているわけでありまして、これまでの国または国に準ずる組織というところで線を引いたのと、外観的に海賊行為に当たるということで国に線を引いたのとでは、これもおおむね一致をするとか大体同じようなものだというようなお話があるのかもしれませんが、論理的には違う物差しで線を引かれたことになるのではないか。

 私は、今回の、客観的な物差しできちっと線を引くということは、それが一つの考え方だと思いますよ。しかし、今までの解釈とは違うので、人類共通の敵の海賊行為だとおっしゃる、そのとおりだと思います。ですから、海賊行為はだれがやろうと海賊行為なんだということを言っているに等しいんですよ、ここでは。今までは、だれとだれとの紛争かということによって、武力行使に該当するかしないかということがかかわるんだということを言ってこられたけれども、この件に関しては、だれがやろうと海賊行為だということを言ってこられたわけですよ。

 私は、それをきちっと明言した方が、これからさまざまなところで海賊行為を含めていろいろなことを対処するときに、だれがやっても犯罪である行為は犯罪なんだ、それには対処をするんだというふうにする方が正しい解釈だと思いますけれども、長官、今の私の見解に対してどのようなコメントがありますか。御反論がなければ、やはり解釈は変わったと我々は解釈せざるを得ないんですけれども。

宮崎政府特別補佐人 今、最後に、だれがやっても犯罪行為であれば武力行使に当たらないという理解でいいかという御質問だったと思います。

 私どもはそういうふうに一本化して考えてはおらないわけでありまして、海賊行為に関して申し上げれば、何人の領有も支配も許さない海上で行われるこれこれの行為だということでありますから、またそれが今急に思いついたということではなくて、世界共通の認識として許すべからざる類型の犯罪行為として海賊行為があるということを踏まえて、この法律で切り出したわけであります。

 そういうことに関して言うと、海賊行為に該当するかどうかということは、定義上もまた実態上も判断ができ、そして、そうであればそれは私人の行為だというふうに類型的に考えることができるということに限って申し上げているわけでありまして、一般的に、今まではこう考えていたけれども、犯罪行為だというふうにある面認定できればこれまでの考え方を変えるということを申し上げているわけではありません。

松本(剛)委員 長官、私人の定義とは何ですか。

宮崎政府特別補佐人 それは私有の目的の私と同じことでございまして、私、プライベートな立場での存在といったことであろうと思います。

松本(剛)委員 外務省、おいでになっておられると思いますが、海洋法の、国際慣習法の世界でというんですか、ここで、私的目的という言葉が、古くから私的目的の有無で海賊から除くということで使われていると思いますが、この私的目的、由来をお示しいただきたいと思います。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 国際法の世界におきましては、海賊ということにつきましては、国連海洋法条約第百一条以下で規定があるわけでございます。

 これは、由来としましては、それよりもさらに以前の時代にさかのぼります公海条約を引き継いだ規定としてこのような形になってございます。

 今お尋ねがありました私的目的につきましては、これは公海条約の時代から同様でございますけれども、国際法上の海賊行為については、私的目的のために行われるものというふうな形で認識をされている。これは、国家自身による行為、あるいは国際的に承認をされた交戦団体により正統政府に対して行われる攻撃、このようなものを海賊行為に含めない、そういうふうな趣旨で設けられているということでございます。

松本(剛)委員 今回の解釈は政府が解釈をされるのかもしれませんけれども、本来の海洋法の世界での私的目的というのは、結局、国とか交戦団体ではないということからスタートしているわけですが、そうなると、この私的目的という言葉が入っていると、主体を確認しないといけないということに結論からすればなってしまうんですよ。ところが、これまでの答弁では、主体を確認する前に海賊には対処しなければいけないし、するんだと言っておられるんですよ。

 ですから、私がここで申し上げたいのは、そういうふうにされるのは私は合理的にもっともだと思います、海賊は。だとすれば、一つは、これまでの解釈、一般的な犯罪についてということではなくてとおっしゃいましたが、先ほどの長官の答弁は、いわば、今までの線があるとすると、海賊のところについては、出るのか入るのかわかりませんけれども、違うことですよということをさっき言われたに等しい御答弁だったというふうに理解をしますが、少なくとも海賊についてはそういう形でやるという解釈を一つ明言されるべきことと、それから、法律について、私は、今申し上げたように、どう考えても論理的には、結果的には違法でないものに対して対処をすることもあり得るということになってしまう。この問題は、やはり法律が成立をするまでにクリアすべき点だということを強く申し上げておきたいと思います。

 反論がなければ次へ行きますが。

大庭政府参考人 本件に関しましては、公海上において、普遍主義の考え方に基づいて、外国の船であっても我が国の刑法を適用するという管轄権を適用するというものでございます。そういうものであるだけに、国際的に理解の得られるまさに海上における強盗行為、そういうようなものを端的に行為として特定してこの対象としている、そういうものでございます。

 さまざまな要件を設定しておりますけれども、いずれにいたしましても、そういうものは、さまざまな客観的な行動なり、あるいはそれまでに積み重ねられているさまざまな情報を重ね合わせて、合理的に判断をして遂行していくということになろうと存じております。

 また、本法案における私的目的に関しまして、先ほど、私人の利得の欲望、憎悪、復讐その他の目的という意味であるということを申し上げました。逆の方から申し上げれば、国家等による国家等の行為として行われるもの、これはこれには当たらないということでございます。

 海賊対処法案に規定している武器の使用といいますのは、このような私的目的を要件としている海賊行為を行った、私人と評価されるような者に対して、法令の範囲内で武器を使用するものでございまして、憲法九条が禁止する武力の行使に当たるものではない、武力の行使に関するこれまでの考え方を変えるものではないと存じております。

松本(剛)委員 局長が今おっしゃったこととか、長官がこれまでここの場、それから特別委員会の御答弁を私は全部精査した上で、論理的に、今申し上げた点についてのお答えはあるのかないのかとお聞きをしましたが、最初の答弁に戻られているぐらいですから、答えはないというふうに私は解釈をさせていただきます。

 これは、政府・与党におかれましても、少し真剣に御検討をいただかないと、先ほど申し上げたように、現場の自衛官の皆さんにとっても、今のところ、ここでは多分違法ではない、特別委員会のときは違法ではないとおっしゃっていたんですけれども、きょうは違法ではないだろうに下がってしまっておりますので、だろうでは困るわけでありまして、きちっと法案の審議の中でお詰めをいただきたいということを強く申し上げて、本題に入らないといけませんので、設置法の議論について何点かお伺いをしたいと思っております。

 防衛会議、防衛大臣補佐官について何点かお聞きをしたいと思いますが、これまでの意思決定についてまず確認をさせていただきたいと思います。

 例えばこの法律案、最終的には閣議で決定をされて法律案として出されるわけですが、当然、防衛省の中で御検討を進められて、そしてある意味で防衛省から閣議に上がるという形になるんだろうというふうに思います。これは、局長、官房長、事務次官、大臣、そして与党の手続がありますけれども、それで閣議に上がる。与党に付する前に、防衛大臣としてある意味では原案を決定されて、与党の手続に入って閣議に上がる、こういう理解でよろしいんでしょうか。

浜田国務大臣 そのとおりであります。

松本(剛)委員 副大臣、これを決めるときに、副大臣はどういう形で関与されましたか。

 この法律案を事務方がいろいろ検討されると思うんですね、それで案が決まります。局長、官房長、事務次官で案をお決めになって、大臣の決裁を得て、与党の手続を経て、閣議で閣議決定をされて、閣法として国会へ提出されると思いますが、この手続の中で、副大臣は、この法律案、いつ説明を受けて、いいとか悪いとか、どこかで言われましたか。

北村副大臣 簡潔に申し上げさせていただきますと、個別に説明には来ていただき、説明を受けております。

松本(剛)委員 どの段階ぐらいで御説明をお聞きになりますか。つまり、大臣の決裁を受ける前なのか、受ける後なのか、どの段階でお聞きになったか、御記憶はありますか。

北村副大臣 もちろん、決裁を受ける前に聞かせていただかなければ、私の存在意義はないということです。

松本(剛)委員 この法案について大臣と議論されたことはありますか。

北村副大臣 大臣と直接議論をしたことはありませんが、私も、大臣が統括する防衛省の事務、この防衛省としての意思決定は防衛大臣が行うわけですから、その手前の段階で、官房長、各局長、各幕僚長等々の補佐する者、その一員として私も加えていただいておる、そう考えております。

松本(剛)委員 この法案も大変重要な法案だと思うんですよね。今回、防衛会議も、大臣、副大臣、政務官、そして、文官と言ったらいいんでしょうか、文官の方々、そして制服の幹部の方々が一つになってきちっと会議をして防衛省の方針を決めていこうということでありますが、私が今もお聞きをいたしましたのは、せっかく、あえてせっかくと申しますが、大臣、副大臣、政務官とおいでになるのであれば、やはり政治家が入って、そして別に政治家だけでなくてもいいですよ、この防衛会議の枠組みなんて非常にいいと思いますよ、それできちっと会議をして議論をして決める。

 副大臣のお部屋は私は伺ったことがないからわかりませんが、副大臣のお部屋にどなたかが行って、説明を聞いて、まあこんなことかということで終わるという、失礼しました、ちゃんと議論もされたんだろうと思いますが、やはりきちっと、法律案を出すというのは、政策決定としてはある意味では一番最終的な形なわけでありますから、これを決定するに当たって、やはりこういう防衛会議、これは訓令によるものが今回法律になるということですが、これに類する枠組みもしくは同様の枠組みがこれまでもあったというふうに承知をしていますが、こういうことをしていただかないといけないと思うんです。

 大臣、そういう形で今後、もちろんお決めになるのは大臣ですよ、しかし、いわばここに諮るかどうかというときに、これは防衛省に限らず各省とも、政治家がせっかく何人も入っているのに、政治家の議論がきちっと行われた上で最終的な政策決定が行われていない節が見受けられるんですよね。

 ぜひそういうふうにしていただかないと、これは防衛会議を法律で決めても、実は法定の権限は特にあるわけではありません。何を諮るかということも、どうなのかということもわかりません。そうなると、こういう大事な法律を出すとかそういうことも何も諮られないままの防衛会議であれば、法定でつくっても余り意味がないと思うんですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 当然、今先生の御指摘があった中で、そういうふうに見えるというのは、これは極めて問題だと思います。

 政治家としての立場というものをどれだけ、シビリアンコントロールというならば、それをいかに発揮するかということになろうかと思いますので、今回、この防衛会議、法律でしっかりと書いてやっていくということでございますので、今先生の御指摘のあったとおり、しっかりとこれはやらないかぬというふうに思っております。

 そしてまた、先ほどから何度も申し上げておりますが、前は参事官会議というのがありまして、そこで何となく決まっていたような感じにとられるところもあったわけでありますので、それをなくし、そして防衛会議でしっかりやっていくということが、これがまさに我々、今先生の御指摘にこたえられることだと思っておりますので、その点、しっかりやっていきたいと思います。

松本(剛)委員 防衛省改革会議の報告書ででも書いてあるんですよ。「とりわけ重要なことは、新しい体制の下の防衛会議を決して形骸化させてはならないことである。会議は、できる限り頻繁に開催し、防衛省の最高幹部の意思疎通を良好なものに、相互のチェック体制を確立しなければならない。」こう書いてあるわけであります。

 例えばこの法案が、そうやって一堂に会した中で議論をされておられないのではないか、少なくとも副大臣がそういう会議体の中で議論する場がなかったのではないかと思われるような状況というのは、今後、ぜひ避けていただく。こういうルールをやはり大臣の間につくっていただかないと、でき上がるまでほとんどお役所の中でやって、政治家は最後の姿だけ見せられるという形になるということであれば、せっかく大臣、副大臣、政務官と入っていただいているということに大きな疑義が生じると思いますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 続いて、防衛大臣補佐官の問題についてお伺いをしたいと思いますが、まず、防衛参事官についてお聞きをいたします。

 九人のうち六人は局長、官房長という立場でいらっしゃいますが、三人の方も担当がそれぞれ決まっておられるという理解でよろしいんですか。

中江政府参考人 お答えいたします。

 松本先生御指摘の三人の無任所参事官につきましても、それぞれ担当がございまして、国際担当、法制・IT担当、それから総合取得改革担当という任務をあわせて持っております。

松本(剛)委員 今度の新たな大臣補佐官、三人予定をされておられますが、担当をお決めになる予定はありますか。

中江政府参考人 補佐官の担当につきましては、まさに大臣が、そのときの考え方や防衛省・自衛隊が抱える課題に応じまして、その判断により任用されるということになりますので、その大臣の判断に基づきまして、例えばその三人の補佐官についてそれぞれ担当のようなものを決めるということはあり得るかと思います。

松本(剛)委員 大臣、三人の防衛大臣補佐官について、それぞれ、こういう担当をしてもらおうということ、今の段階でお考えになっていることがおありですか。

浜田国務大臣 先ほど神風議員にもお答えをしたところでありますけれども、私とすれば、そういう意味では、特に自衛官の出身の方とか、そしてまた、先ほど申しましたけれども、いわゆる組織論に通じた方、そしてまたもっと全般的に防衛省を客観的に見られる方というのがいらっしゃったら、大変これは便利なのかなというふうに思っております。

松本(剛)委員 私もそのとおりだと思うんですが、私の方に御説明に来られた役所の方は、防衛大臣補佐官としては、防衛力の整備を行うことの担当、自衛隊を運用することの担当、政策の企画立案や情報の発信を行うことの担当と、それぞれ具体的な三つの業務に一名の防衛大臣補佐官がつくことを想定している、こうなっていますが、このことは大臣御存じですか。

浜田国務大臣 大体その範疇の中に入ってくるものと思います。これは別に決め事が、今のところ、すべてそれで担当させるということではなくて、防衛大臣のチョイスというのが最優先でありますので、考え方としてはそういう考え方もあるということだと思います。

松本(剛)委員 大臣自身も、本会議での答弁でも、むしろ所掌にとらわれない形での補佐というのが必要なんだということを言っておられるわけです。私もそうだと思います。ところが、私のところへ説明に来られたお役所の担当の方は、こういうそれぞれ具体的なものを想定しております、こう言ってくるわけですよ。

 先ほど参事官のこともお聞きをしましたけれども、参事官が形骸化をしている、六人がいろいろ局長や官房長についているから形骸化をしているというけれども、三人も全部担当を決めちゃっているわけですよね。総合的な補佐というのは官房長がおられるから、私がやるんだ、こういうつもりで、あとの人は担当にしておけ、こういうことなのかどうかは知りませんが。

 今回の補佐官も、こうやって担当を決めていってしまうと、また同じ問題に陥るおそれがあるし、先般、参考人質疑で、例えばこの改革会議に携わった田中先生なんかも、先ほど神風議員が引用したところとは少し違いますけれども、いわば大臣の気心が知れた人になってもらうのも一つの方法だというような趣旨のことを言っておられるわけですから、こういう担当を想定するということは大臣御自身の、この範疇だというふうに上手に御答弁されましたけれども、勝手に想定をさせてはいけないというふうに思いますが、官房長、何か一言ありますか。

中江政府参考人 先生御指摘の三人の補佐官の担当についてでございますが、私ども事務方の説明が十分でなかったというふうに思います。

 三人の根拠というのは一体何かということにつきまして、防衛省の業務を大きく分けますと、自衛隊の運用ですとかあるいは防衛力の整備、あるいは外への、国民に対する説明責任、そういう三つの業務に分けられるだろう。そうしますと、三人補佐官がいれば大体防衛省全体の業務というのをカバーできるんじゃないかという意味で説明をさせていただいたところでございます。

 補佐官の担当につきましては、あくまでも大臣がそのときの判断と見識に基づいて決められるものだというふうに考えておりますし、また、その決められる補佐官の専門性にも応じてそういう担当も決まってくるものだというふうに考えております。

松本(剛)委員 もう一つお聞きをしたいことがありますので、話を前へ進めたいと思いますが、もう一度申し上げますけれども、浜田大臣は、この議論もこうやってやっておられるから、大臣が決めるものだという御理解になっておられると思います。しかし、こういう紙が既にでき上がって、それぞれ一人がつくということになっている。それぞれではなくて総合的な補佐も必要ではないかという議論が出ている中で、例えば次の大臣が来られたときに、補佐官はそれぞれこうやって一人つくことになっております、おう、そうかといって一人ずつ渡したら、そこで確定していってしまうんですよ。

 ですから、こういう想定というのはやはり官房長も大臣も一度おやめをいただいて、整理をいただいて、補佐官の職務については大臣が決めるというルールをきちっとしていただかなければいけないということを申し上げたいと思います。

 そこで、先ほど神風議員も少しお話をさせていただきましたが、今回、国家公務員制度改革で各省に政務スタッフというのを設けることになっております。個々の条文を読むと、例えば防衛大臣補佐官は進言をする、政務スタッフは命を受けて補佐をする、だから、防衛大臣補佐官は能動的で、政務スタッフは受動的なものである、こんな説明をいろいろいただきました。

 経緯はいろいろありますが、私どもは、そもそも、大臣補佐官というものをつくるべきではないかということになりましたが、与野党のさまざまな交渉の中で、これがある意味では政務スタッフというものに置きかわったわけでありますから、今回の政務スタッフと大臣補佐官というのは、実態としては極めて重なるところがあるのではないかというふうに私は考えているわけであります。

 現段階で重なるところはないという御説明を防衛省からはいただいておるかと思いますが、もう一度ここで御説明をいただけますか。

中江政府参考人 先生御指摘の政務スタッフにつきましては、全省庁共通の官職でございまして、大臣の意向により、大臣が行う企画立案や政務を、さまざまな補佐事務により、また、個人としてだけではなくチームとして多面的に補佐することを想定しているというふうに承知をしております。このため、大臣が必要と判断した場合にさまざまな人材を弾力的に登用できるよう、民間、公務員、国会議員の方から幅広い人材を登用できるようにしているというふうに承知をいたしているところでございます。

 防衛補佐官につきましては、これまでるる御説明申し上げたようなことで、防衛省の所掌事務に関する重要な事項につきまして、防衛に関して高い見識を有する部外の有識者による防衛大臣のサポート体制を整備するために、全省庁共通の政務スタッフに加えて、こういう補佐官制度を併置するということといたしているところでございます。

 政務スタッフ及び防衛大臣補佐官が防衛省において具体的に担う職務につきましては防衛大臣が定めることになりますが、いずれにせよ、時々の社会経済情勢や政策課題、それぞれの職の制度趣旨や、実際についている人材等を踏まえまして、時の大臣の御判断により適切な職務が割り振られるものと考えているところでございます。

松本(剛)委員 官房長、政務スタッフの特徴ということで、制度の細部の設計を意味する立案面での補佐、国会対応などの政務面での補佐が重視をされている、大臣の命を受けて初めて職務を行う受動的な存在で進言機能を有しない、こういう点が防衛大臣補佐官と異なるというふうにおっしゃっておられます。防衛省としては、政務スタッフはこういうふうに解釈をされるものだと理解をしているというふうにお聞きをしましたが、それでよろしいでしょうか。

中江政府参考人 先ほど申し上げましたように、政務スタッフにつきましては、かなり幅広い任務というものが想定をされているんだろうと思います。したがいまして、大臣に対するいろいろな意見具申とか進言をするというようなサポートをする政務スタッフも、制度としてはあり得るんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、この具体的な運用に当たりましては、どういう政務スタッフ、補佐官を配置するか、あるいはどういう任務を担ってもらうかによりましては、仕事の面で重なってくる部分があろうかと思います。そこは、先ほど申し上げましたように、大臣が、きちっとそれぞれがその機能を発揮できるように人材を配置し、適切な職務を割り振るということであろうかというふうに思っております。

松本(剛)委員 そうしますと、制度上は政務スタッフと防衛大臣補佐官とは重なる部分があるけれども、それを大臣なりが割り振りをして活動する。政務スタッフと防衛大臣補佐官の解釈についてはこういうことでよろしいということなのかどうか。防衛省とそれから国家公務員制度改革推進本部の事務局と、両方からお答えをいただきたいと思います。

中江政府参考人 政務スタッフにどういう任務を担わせるかによりましては、先ほど申し上げましたように、補佐官の任務に近いような役割を担うという面もあろうかと思います。

 ただ、私ども想定しておりますのは、先ほども申し上げましたように、政務スタッフについてはかなり幅広い任務を帯びているということで、そういう事務的な作業ですとかあるいはチームとして活動することも想定をしているところでございますし、また、政務を補佐するということになっておりますけれども、大臣補佐官につきましては、先生御案内のように、政務を補佐するということは任務としては予定をしていないところでございます。

 そういう意味では、基本的には役割が異なるというふうに私ども考えておりますけれども、その運用に当たっては適切に行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に今防衛省の中江官房長から御答弁いただいたことでよろしいかと存じますが、政務スタッフは、御存じのように、各府省における政治主導のために置かれるものでございます。それに加えて、防衛省におきましては、厳格な文民統制のもと、防衛政策に関する専門的知識を有する部外の有識者による防衛大臣の補佐体制が必要であるということで、この際、防衛大臣補佐官が置かれることになるわけでございます。

 そういう制度の趣旨の違いにより、今官房長から御答弁があったような違いがいろいろあるわけでありますが、そのような制度の趣旨それから実際におつきになる人材等を踏まえまして、具体的な業務といいますか任務といいますか、そういうものにつきましては、背景となりますさまざまな社会経済情勢や政策課題、そういうものを踏まえました時の大臣の御判断により適切な職務の割り振りが行われるものと考えております。

松本(剛)委員 私は、本来であれば、ぜひもうちょっと交通整理をしておいていただきたかったというふうに思っておるんですが、事務的にあと一つお聞きをしたいと思います。

 政務スタッフと大臣補佐官が兼任できるのかどうかというのを、防衛省設置法所管の立場と公務員制度、国家公務員法改正案の所管の立場から確認させていただきたいのと、それから、防衛省には、防衛省で政務スタッフが通称として大臣補佐官という言葉が使えるかどうか、国家公務員制度改革の方には、他省で大臣補佐官という言葉が通称として使えるかどうか、それぞれこの二点、お答えを簡潔にいただきたいと思います。

中江政府参考人 政務スタッフが防衛大臣補佐官を兼ねることは、制度上は可能であるというふうに考えております。実際問題として両方兼ねるということは私どもとしては余り想定いたしておりませんけれども、制度上は可能だというふうに考えております。

 それから、政務スタッフに補佐官という名称をつけるということにつきましては、防衛大臣補佐官という名前をストレートにつけること、これは法律上の機関ということで補佐官という名前をつけておりますので、ストレートにその名前をつけるということはできないと思いますけれども、何とか補佐官という形でそういう名称をつけることは可能だというふうに考えております。

松田政府参考人 今御答弁ございましたように、政務スタッフが防衛大臣補佐官を兼ねることは、制度上は可能であると考えております。

 ただし、防衛大臣補佐官につきましては国会議員の兼職禁止の例外とされておりませんので、国会議員の政務スタッフが防衛大臣補佐官を兼ねることは難しいのではないかと考えております。

 それから、他省で補佐官の名称は使用できるのかということでございます。

 さきに提出いたしました国家公務員法等の一部を改正する法律案では職名を政務スタッフといたしておりますが、複数の政務スタッフを配置する場合に、それぞれ職責段階に応じた呼称を訓令等で付与するといったことも可能であると考えております。したがって、そのような場合には、補佐官等の名称を使用することもあり得るものと考えております。

松本(剛)委員 時間が参りましたので終わりますが、一点だけ、これは今の国家公務員制度改革推進本部事務局にもかかわることですが、大臣に問題だけ提起をさせていただきたいと思っております。

 今回の国家公務員制度改革では、幹部についての、これが柔軟か柔軟でないかというのは議論がありますけれども、ある程度柔軟な人事をしようという方向は出てきているわけですが、自衛官は入っておりません。これは政治的な任用だということで、自衛官を入れるのか入れないのかということは別の議論があると思いますが、今後、防衛省改革の方向としては、運用に関しては統幕に集めて副長クラスに文官が入るということも考える、そして逆に、今までの整備その他に関しては、文官の方が局長をして、そこの次長に制服の方が入るということも考えるという方向で改革は進むというふうに理解をしております。そうすると、同じ組織の、しかもかなりレベルの高い幹部の人事のルールが違う形になるということが発生をするわけであります。

 昨今のいろいろあった制服の方々の問題というのを言い出すといろいろな波紋とか議論が出てくるから特にそこは触れませんけれども、私は、政治的任用というと何か政治の中立にかかわるような形になると思いますが、大臣の判断である程度人事ができるという言葉に置きかえれば、それは制服であろうと文官であろうと一定レベルの人というのはその対象になってもいいのではないかと思うだけに、今回は実は自衛官が外れているということは今後十分に検討をされるべき課題であるということを申し上げ、あと、通告をした関係でおいでをいただいている政府参考人の方々で質問の時間がなかったところについては御容赦をいただくということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 以上です。

今津委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案の防衛省改革の関連について聞きます。

 そもそも防衛省改革が問題となったのは、一昨年の新テロ特措法の審議の際に防衛省をめぐる不祥事や事件が相次いだからであります。海上自衛隊によるインド洋での給油活動をめぐる給油量隠ぺい疑惑、さらには防衛官僚のトップである守屋前防衛事務次官の収賄疑惑などが次々と発覚し、大問題となりました。

 政府は、こうした不祥事への対応として、防衛省改革会議を設置し、その報告書に基づいてさまざまな措置をとろうとしておりますが、その中心は組織改革になっています。いわゆる背広組と制服組の一体化を促進する組織改革を進めようとしております。

 防衛大臣に聞きますが、背広組と制服組の一体化を進めることがなぜ不祥事の対策になるのですか。

浜田国務大臣 先生、基本的に、今回不祥事等々があったわけでありますけれども、我々とすると、UC、要するに、ユニフォームとシビルという形の中で、ではこれを一体化するということが一体いろいろな不祥事防止につながるのかという今御指摘があったわけであります。

 私は、その意味では、お互いに分けることなくいろいろな問題を率直に話し合うためにも防衛会議というのもつくる、そしてまた、UC混合の中において、いろいろな政策決定も含め、いろいろな装備の体系も含め、そういった形の中でお互いの中で意見を言い合うことによってよりよいものをつくっていく、そしてよりよい動きができるというところに特化していく、これが極めて重要である。そして、防衛会議によって、大臣の決定によって物事が進んでいくということをしっかりやっていくこと、いわゆる全省庁に対しての風通しのよさ、そしてまた、防衛参事官制度をやめて、文官優位のような印象を与えるようなことではなくて、決めるのはシビルではなくて、我々政治家が中にあって目の届く範囲をしっかりしていくということを目的としているわけでありまして、そういう意味では、組織の改編というのは、私とすれば意味あることというふうに思っているところであります。

赤嶺委員 背広組と制服組の風通しがよくなれば不祥事はなくなる、そういうことを今御説明なさったんですか。

浜田国務大臣 そういうことではなくて、風通しがよくなるということではなくて、要するに、お互いにチェックのし合いができるということが、そこが一番大きなポイントかと思いますし、そしてまた、連絡体制も一本ですっきりいくというふうに私自身は考えているところであります。

赤嶺委員 守屋氏の収賄事件、防衛官僚のトップをめぐる問題であったわけですが、あのとき私も何度か質問に立ちましたけれども、キティーホークへの間接給油が初めて問題になった二〇〇三年当時、実は、内局も自衛隊も一体で疑惑を隠そうとしていたわけですね。

 私が一昨年の証人喚問で、その疑惑問題の当時防衛局長だった守屋氏、当時のアメリカ側への照会内容をただしたのに対して、守屋氏の答弁は、アメリカ側に事実の確認をしたのではなく、テロ特措法に基づく油の使用に疑惑を及ぼす可能性があるので、そういうことはないと言ってほしいとアメリカにお願いした、こういう証言になっていたわけですよ。

 去年秋の臨時国会で田母神前空幕長の懸賞論文などが問題になりましたが、以前から同種の発言や論文執筆を繰り返し、統幕学校に講座まで新設しながら、内局からは何のおとがめもなかった。つまり、お互いに都合の悪いことは隠ぺいし合っていた、見て見ぬふりしていた、こういうようなものがいわば防衛省の体質となってあった。

 そういう根幹にあるものに手を入れない限り、組織いじりではやはり不祥事はなくならないと思いますが、いかがですか。

浜田国務大臣 先生はそういうふうにおっしゃいますけれども、我々とすれば、そういったことをいいものにするために今回のような改革をしようということになっているわけでありまして、両方ともが悪いから、なれ合い体質でそういうふうになっているからということで、そういうお立場で考えられればそういうふうなことになるのかもしれません。しかしながら、今までそういったものを、お互いのことを隠してきたのではなくて、そこも含めて、内局のことを批判したりとか、また制服のことを批判したりとかということではなくて、お互いにそこはすっきりオープンでいきましょう、お互い、目のついた範囲内で一つの組織になっていった方がいいのではないですかということを考えることは決して悪いことではないと思います。

 そしてまた、いろいろな、我々も経験した中で物のよしあしというのは、これは当然本人自身が考えることであって、組織の中にいたからそういうことが起きたということは、それを培養する組織があるからではなくて、その人間の心の中にあるそういう弱さというものが、欲の部分だとかそういうものが出てくるがゆえにそういったことになるわけでありますので、そういった地位、ポストに長くいることの問題性、そして、それはいろいろな制度上の問題もあるかもしれませんが、組織を取っかかりとして、組織はつくったけれどもそこに魂が入っていないということではなりませんので、私どもとすれば、そういったことも含めて、すべて魂も入れて、しっかりとした組織をつくるための第一歩だというふうに考えているところであります。

赤嶺委員 結局、やった本人、守屋氏が悪いんだとか個人が悪いんだということになれば、防衛省改革という意味は何だったのか。

 私、今回の法案で、防衛参事官制度を廃止して、政治任用者、文官、自衛官の三者から成る防衛会議を法律に位置づけるとしている問題についていろいろ考えてみたんですが、防衛会議はこれまで、自衛隊の行動に関する助言を行うのが役割とされてきました。今後は、防衛省の所掌事務に対する基本方針について審議し、防衛大臣による政策決定を補佐する、このようになっています。

 防衛省に確認いたしますが、防衛省の所掌事務に関する基本的方針とは、具体的にどういうことですか。

中江政府参考人 基本的方針につきましてはさまざまな事項があると考えておりますけれども、例えば、防衛省・自衛隊の運用に関する点でありますとか、あるいは防衛力整備についての基本的な方針ですとか、あるいは防衛政策についての重要な決定をする場合でありますとか、そういった場合に防衛会議に諮って審議をするというふうに考えております。

赤嶺委員 今まで内局で決めていたことが、今度から防衛会議を位置づけて、そこには政治任用者、文官、自衛官の三者が加わって、大綱や中期防衛力整備計画なども決めていくということになるわけですが、来年度には、防衛政策局の次長クラス以下に自衛官を組み入れ、防衛政策局の機能強化を図ることも計画されております。

 防衛省に確認いたしますが、自衛官を組み入れることが、具体的にどう機能強化につながるんですか。

中江政府参考人 自衛官、文官、それぞれ専門的な知見、経験というものがございます。これをお互いにUC混合の組織とすることによりまして、互いに刺激し合い、補完し合って、防衛省全体の最適化が図られるというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 来年度は、さらに運用企画局を廃止して、自衛隊の作戦運用権限を統合幕僚長に一元化することも計画されております。

 防衛大臣に聞きますが、防衛省改革の中身は、防衛省の基本方針の策定に自衛隊が直接関与し、さらに、自衛隊の作戦運用権限を統合幕僚長に一元化するものになっております。不祥事への対応と言ってきたわけですが、実際には、自衛隊の権限や発言力を拡大するということではありませんか。

浜田国務大臣 防衛省改革というのは、当然、今回、改革会議の中の御指摘にあるように、そういったものも含めて不祥事を起こさないということもありますが、より一層、運用というか、我々とすれば、実際に実力組織を持った組織としていかに効率的に日本の防衛というものを考えていくか、そして、いざというときにどのように動けるかということが極めて重要でありますので、今先生の言われるように、自衛隊の権限をふやすというようなことではなく、与えられた所掌の中でしっかりと我々の任務を果たすための今回の必要な部分というふうに私は思っているところであります。

赤嶺委員 不祥事対策ということに出発して防衛省改革。結果からすれば、それを逆手にとって、やはり自衛隊の発言を基本方針などへの分野にも拡大していくということで、今度の防衛省改革というのはとても受け入れられるものではない、私たちはこのように考えております。

 もう一つ、この法案の特徴で、南西地域における防衛体制を強化するとして、第一混成団、これは那覇の方にあるわけですが、第一五旅団に改編するとしております。

 混成団と旅団は、活動や任務などがどのように変わるんですか。装備も強化するんですか。

    〔委員長退席、江渡委員長代理着席〕

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 防衛計画の大綱に定められた体制に移行するために、第一混成団を廃止しまして第一五旅団を新編するというのが今回のお願いでございますけれども、この主な目的というのは、南西地域における防衛体制の強化ということでございます。

 内容的に申し上げますと、事態対処能力の向上ということで、普通科連隊を新編するというのが第一でございます。それから二点目といたしまして、機動力を向上させるということで、高機動車でありますとか軽装甲機動車を導入するというのが二点目でございます。それから第三点といたしまして、現有機数は維持をしておりますけれども、航空運用能力の向上を図るというのがございます。

 その他、化学防護能力の向上ですとか情報収集能力の向上というようなことで、定員として千八百人の規模から二千百人の規模にするというような内容が含まれております。

赤嶺委員 混成団というのはどういう任務、役割だったんですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 もともと、混成団を旅団にするというのは、昭和五十一年の大綱の時点では十二個師団、二個混成団という体制でございましたけれども、平成七年にできました大綱におきまして八個師団、六個旅団というような形で、いわゆる新たな脅威でありますとか多様な事態への対応というようなところで、作戦の単位部隊というものを、よりバランスがとれて対応が迅速にできるというようなことを考えまして、それぞれの師団それから旅団の編成というものを考えているということでございます。

 今回の場合は、即応近代型の旅団ということで、南西諸島、沖縄の方面は離島が特徴でございますので、それに対応するものということでございます。ですから、混成団と比べますと、例えば基幹部隊でありますと、普通科連隊というようなものが入って、全体としての即応能力も上がりますし、それからまた指揮機能というようなものも充実するというような違いがあろうかというふうに思います。

赤嶺委員 混成団は、不発弾の処理だとか急患輸送活動、こういうのが中心だったと思いますけれども、旅団になるのは主に離島もあるから、こういう御説明でありましたが、旅団化すれば、訓練も強化されたりあるいは離島への展開もふえていく、こういうことですか。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 全般といたしまして、災害派遣の体制でありますとか、急患の輸送の問題ですとか不発弾処理の問題ですとか、これは沖縄県に限りませんけれども、地元のいろいろな問題に対して対応する能力というのも私どもとしては非常に重視してきているところでございますし、その意味で、全国にいろいろな部隊が配置されているところでございます。

 したがいまして、一五旅団になったからそういった機能が軽視されるというようなことではございません。また、不発弾の処理につきましては方面の方に整理をするというようなことになりますけれども、実際の対応能力というところにおきましては、従前同様、あるいはより機動的に対応するというようなことを考えているところでございます。

赤嶺委員 ですから、旅団になれば、それに加えて規模も大きくなり、装備品もふえる、拡大する、強化される。それで、さっき離島だとおっしゃった。だから、訓練もふえ、離島などの展開も拡大していく、そういうことになるんですね。

高見澤政府参考人 お答えいたします。

 第一五旅団としての任務がございますので、そういう定められた任務を効率的かつ効果的に実施するために、平素から、訓練をしたり計画を立てたり、あるいはいろいろな隊員の採用をしっかりやるとか、そういったすべての面にわたって任務遂行のために必要なことをやっていくということは当然であると考えております。

赤嶺委員 自衛隊が混成団から旅団になり、拡大強化されるということであるわけです。一方で、沖縄は、嘉手納基地や普天間飛行場の爆音や、金武町伊芸区の実弾射撃訓練による流弾事故や辺野古への新基地建設、基地被害は拡大しているわけです。

 自衛隊は、その流弾事故が起きている伊芸区のキャンプ・ハンセンの訓練場の共同使用も行っているわけです。非常に基地の被害が拡大している地域に、これに加えて自衛隊を旅団化し、拡大強化するのが今度の法律の中身になっているわけですが、浜田大臣、沖縄の県民の基地負担を軽減するという政府のこれまでの立場との関係で、自衛隊は一方で強化する、米軍との共同訓練も強化される。どのように説明しますか、負担の軽減で。

浜田国務大臣 我々は、今回の一五旅団への、これを変えていくというのは、これは島嶼防衛等、中期防というものの中にもいろいろ書かれておることでございますし、我々とすれば、そういったシフトをする中の一環としてやってきておるわけでございます。

 そしてまた、逆に言えば、我々防衛省・自衛隊とすれば、常に沖縄の県民の皆さん方の意向を踏まえながら活動してきたところでございまして、我々も、そういう意味では、しっかりと御説明をしながら、そして自衛隊自身も努力をしながらここまで来ているところでありますので、旅団がふえるといっても、数の面からいけばそんなにいきなりどんとふえたわけでもございませんし、そういった中で、いろいろな工夫をしながら、今後とも御理解を得ながらやっていくというのが我々の姿勢であります。

赤嶺委員 減らすというならわかりますよ。ふやし方がどんとふやしたわけじゃないから、そのぐらいは我慢してくれよというのは、これは負担の軽減にならないんですよ。そうでしょう。そして訓練もふえていくわけです。私は、今までは混成団という形で、何だか、不発弾処理ですよ、災害救援活動ですよと言っていた自衛隊が、今度からはやはり軍事的に大きな展開をしていく第一歩になる、そこに大きな問題があると思っているわけです。

 さきの大戦で、国内で唯一住民を巻き込んだ地上戦が行われたところが沖縄ですよ。日本軍による戦争動員、強制集団死なども体験した沖縄であります。私は、やはり今回の法案は本格的な自衛隊の体制を確立しようとするものであり、その意味でも認められないということを申し上げておきたいと思います。

 それで、ちょっと別の問題にも移っていきますが……(浜田国務大臣「委員長」と呼ぶ)では、大臣、どうぞ。

浜田国務大臣 我々とすれば、今まで混成団が長年にわたって沖縄県民のために努力をしてきたことをしっかりと引き継いで、自衛隊としてのやれる範囲内での努力をしっかりとやっていくつもりでもございますし、そして、我が国を守るために必要なものを我が国の自衛隊がやるのは、これは当然のことであろうと思っておるわけでございます。

 そういった意味において、負担だと言われるのであれば大変残念だと私は思うわけであります。我々とすれば、その負担をかけないように、県民の皆さん方にそういった印象を与えることのないような我々の訓練、そしてまた、そういった我々の存在というものを示していければというふうに思っているところでもあります。

 戦中、戦後を含めて、今、赤嶺先生からお話がございましたけれども、我々とすれば、そういった反省を踏まえて、そうあってはならないという思いの中で我々自衛隊をしっかりと指導しているつもりでありますので、そういった御懸念がないように今後とも頑張ってまいりたいというふうに思っておりますし、そして先生自身の御不信感というのはしっかりと受けとめてまいりたいというふうに思っているところでございます。

赤嶺委員 島嶼防衛だとか離島防衛もさっき出ましたけれども、静かな地域ですよ。何の情勢の変化もありませんよ。そこに自衛隊が来て、自分たちが守ってあげると言われたら、当該自治体の首長はこれまで、静かにしてくれ、国際間の紛争が仮に尖閣列島であるのであれば外交で解決してほしい、とにかく軍事力で構えるということはやめてくれというのが県民の願いですよ。幾らこの間の日本軍と自衛隊は違うんだと言ってみても、そう思いませんよ。

 やはり、軍事で構える、そこに県民は違和感を持ちますし、現に、米軍と一緒に共同訓練をして負担をかけているという実態は、大臣がどんなに説明しようとしても変わらないですよ。負担の軽減にならない。そういうことで、ちょっとふえるからいいじゃないかというのは我々の認識と違うということを強く言っておきたいと思います。

 私は、新田原基地についても聞きたいと思いますので、これを聞きます。

 政府は、米軍再編のもとで米軍機の訓練移転を進めてきましたが、新田原基地で規模の大きいタイプ2の訓練を進めるのに必要な大型輸送機を離発着させるため、滑走路のかさ上げ工事を計画しております。本滑走路の工事の期間中、仮滑走路を設置し、本体の工事が終わっても仮滑走路はそのまま残しておくとしておりました。撤去費用が二億円かかるというのがその理由でありましたが、私は昨年四月、ちょうどこの防衛省設置法の審議のときでしたが、本委員会で、滑走路が二本になれば基地からの排水被害が懸念され、排水対策で莫大な予算がかかるという地元の声を紹介いたしました。当時、排水対策については調査するとしていたわけですが、排水工事の費用はどのぐらいかかるんですか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 新田原基地におきまして、今後タイプ2の訓練移転を行うに当たりまして、施設整備を現在進めているところでございます。

 今委員御指摘のように、仮設滑走路を整備することとしているわけでございますけれども、これに当たりまして、地元の自治体等から基地内の排水対策についての御要望があったところでございます。現在、基地内の排水対策といたしまして、調整池の整備を新田原基地内に八カ所することと予定をしているところでございますけれども、その経費といたしましては、約十一億円を見込んでいるものでございます。

江渡委員長代理 赤嶺政賢君、質問時間が終わっておりますので、簡潔にしてください。

赤嶺委員 はい。もうまとめですから。

 大臣、新田原の基地についても、タイプ2の大型の訓練を嘉手納から移転させるために仮滑走路をつくる、本滑走路の工事が終わっても仮滑走路は撤去しない、撤去費用二億円かかるからと。ところが、仮滑走路があるために排水対策で十一億円かかるんですよ。第一、タイプ2の訓練を移転したって、嘉手納には外来機の飛来を認めて訓練を自由に日本政府はやらせているわけですから、何の負担の軽減にもならないわけですよ。

 嘉手納の負担の軽減にもならない、新田原では大型な訓練が行われて被害が拡大する、そもそも滑走路のかさ上げ工事をやめるべきであるということで、これももっと質問したかったんですが、そのことを強く申し上げて、質問を終わります。

    〔江渡委員長代理退席、委員長着席〕

今津委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 防衛省改革会議報告書では、形骸化している参事官制度を廃止し、防衛大臣補佐官を設置すべきであると指摘しております。

 一方、同報告書や昨年八月の防衛省における組織改革に関する基本方針では、なぜ防衛参事官制度が形骸化をしたのかという問題点については詳細に言及しておりません。

 浜田大臣は、防衛参事官制度が形骸化した理由をどのようにお考えでしょうか。

浜田国務大臣 先生、防衛参事官は、防衛省設置法第七条によって、「防衛省の所掌事務に関する基本的方針の策定について防衛大臣を補佐する。」とされており、固定した分掌にとらわれず、機動的にこれを活用することが期待されております。

 他方、防衛省設置法第九条により、「官房長及び局長は、防衛参事官をもつて充てる。」とされており、官房長及び局長は、防衛参事官として全省的な観点から防衛省の所掌事務に関する基本的方針について防衛大臣を補佐する役割と、官房長及び局長としてその所掌する事務を担当する役割をそれぞれ担っております。

 この結果、官房長及び局長に充てられた防衛参事官については、官房長及び局長としての所掌する業務への対応が中心となり、防衛参事官として防衛省の所掌事務全般にわたって大臣を補佐するという本来の役割を十分に果たすことが困難であること等の問題が生じており、これが形骸化を招いた理由と考えているところでございます。

照屋委員 防衛参事官の廃止と、かわって新設される防衛大臣補佐官は、政治任用をすること、非常勤とすることができるようです。このことに関連して、私は去る四月二十三日、当委員会の参考人質疑で東京大学の田中明彦教授に質問をしました。田中教授は、この防衛大臣補佐官の新設によっても、「直ちに適切な人材をこのポストに切れ目なく供給することができるかどうかというのは、その人材源を含めて今後考えていかなきゃいけない問題だと思います。」とか、「やはり日本における安全保障関係の人材の他分野での移動可能性ということを考えていかないと、なかなかこのポストを十全に活用するというのは難しいと思います。」と述べております。

 浜田大臣は、これらの田中参考人の意見をどのようにお考えでしょうか。

浜田国務大臣 四月二十三日の参考人質疑において、東京大学の田中教授が防衛大臣補佐官の人材供給等について御指摘のようなお考えをお述べになったことは承知をしております。さらに田中教授からは、安全保障面に関して、民間を含めて日本には潜在的にかなりの人材がいるが、問題なのは実務面、防衛省の中の実態がどうなっているかという知識を有する者をふやしていく必要がある旨述べられたと承知をしております。

 他方、防衛省の実務にいささか疎くても、バランスがとれて、大臣が信頼できる人を選べば機能する旨の御発言もあったと承知をしております。

 防衛省としても、安全保障に関する民間の研究者に防衛省・自衛隊の実態を知っていただく機会をより多く提供したり意見交換を行っていくなど、防衛大臣補佐官にふさわしい人材のすそ野を広げる努力をすることが必要であると考えておるところでございます。

照屋委員 防衛省改革会議では、自衛隊の情報流出あるいは護衛艦「あたご」の衝突事故、守屋前事務次官の背信行為などの不祥事案が議論されております。

 ところが、護衛艦「さわぎり」、護衛艦「たちかぜ」、航空自衛隊浜松基地などにおいて、上官のいじめによって自殺に追い込まれた自衛官の事件については全く議論がなされておりません。これでは真の組織改革にはならないと私は思いますが、浜田大臣はどのようにお考えでしょうか。

北村副大臣 お答えいたします。

 防衛省改革会議におきましては、この発足の時点におきまして国会等で大きく取り上げられていた文民統制の徹底あるいは厳格な情報保全体制の確立、そして防衛調達の透明性、これら三点につきまして、限られた時間の中で早期に報告書をまとめるべく、集中して議論を行ったものでございます。決して、自衛隊員の自殺問題を軽視して、議論を行わなかったなどということはございません。

 自殺した隊員のことに関しましては、従来から防衛大臣政務官を長とする防衛省自殺事故防止対策本部を設置いたしまして、事故防止を図るため、カウンセリング体制の整備、服務指導の徹底、隊員の心情把握等の措置を推進しているところでございます。

 以上です。

照屋委員 浜田大臣、陸海空ともに自衛隊員の自殺者というのはふえておるんですね。それで、きょう正確な数字は持っておりませんが、他の先進国における軍隊に比べても多いんです。

 浜田大臣の印象で結構ですが、私は、真の組織改革を図っていくためには、この自殺問題やあるいは隊内におけるセクハラ問題とか、そういうさまざまな事案も十分に検討して、背景や原因や対策について議論が必要であると思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

浜田国務大臣 先生のおっしゃるとおり、自殺問題というのは、かねがね、社民党の皆さん方が一貫して我々のその問題点について御指摘をいただいているところでありまして、自殺、そしてまたセクハラという問題に関してはいろいろな御提言をいただいております。

 我々もいろいろな形で、今回の対策ということで、セクハラ対策、そしてまた、自殺防止のためのマニュアルづくり等々、いろいろな取り組みをさせていただいてきているところでありますけれども、なかなかその数、下がったと言ってはおかしいですが、少しは減少傾向には来ているところもあるわけでありますが、決して数が少ないわけではないのは事実でありますので、そういった意味においては、我々、自殺の要因というものをもっと詳細に調べて、そしてそれに対するきめ細やかな対応をしていかなければならないという自覚は持っております。

 ただ、世の中の変遷によってその価値観も変わり、そして社会のありようも変わってきた中で、では自衛隊も別のものかというと、決してそうではなくて、そういった社会環境の中で、やはりお互い影響し合った中で来ているわけですから、一般社会の自殺者の数がふえるのと同じように、やはり同じような、借金の問題ですとか、いろいろな問題が重なり合って出てくるのは、これは当然のことであって、その中においてやはり自殺というところまでいってしまう。そしてまた、組織の中におけるいろいろなあつれき等々、いろいろあることは事実だと思います。

 ですから、それがやはり、そこで踏みとどまれずに自殺に至ってしまうということであるならば、我々としてはもっと、今そういった環境にあるということをしっかり認識しながら、社民党の先生方も含め、我々に対してのいろいろな御懸念、御心配等々いただいたわけでありますので、それにこたえるべく、今後ともいろいろと努力してまいりたいというふうに思っているところであります。

照屋委員 大臣、護衛艦「さわぎり」の自殺事件については、発生直後、私は当時、参議院議員として、また、提訴になってからは弁護士としてかかわってまいりました。護衛艦「さわぎり」事件の福岡高裁判決は、自衛隊内のいじめの存在を認めて、これを違法なものと断罪いたしました。そして、自衛隊における安全配慮義務の問題、さまざま、厳しい判決になっております。大臣も御承知でございましょう。国側が上告しないで、確定をいたしました。

 私は、この判決を受けて海上自衛隊は、御遺族に謝罪をして、被害者の霊前に線香の一本でも立てるべきだと思うんですよ。夢を持って、希望を持って、そして抱負を持って自衛隊に入隊をして、上官の執拗ないじめで命を絶たれたわけですね。しかも、被害者はもう子供が生まれた直後だった。誕生日に首をつって死んじゃったんですね。

 だから、私は大臣が焼香に行けとは言いませんよ。しかし、関係者がやはり行ってあげるべきではないでしょうか。

北村副大臣 お答えさせていただきます。

 今般の判決におきましては、直属の上司の言葉につきまして、いじめとの言及はございません。すなわち、心理的負荷を過度に蓄積させるようなものであったというべきであり、指導の域を超えるものとの評価であったと承知をいたしております。

 平成二十年十月、また平成十一年十一月に護衛艦「さわぎり」艦内で自殺をした隊員の御遺族の方、御両親が防衛省においでになられました際に、人事教育局長から御遺族に対して、かけがえのない御子息を亡くされ、防衛省としても悲しみを共有しているとの気持ちをお伝えするとともに、防衛省・自衛隊を代表して、御子息がお亡くなりになったことについておわびを申し上げたところでございます。

 以上です。

照屋委員 副大臣、言葉を返すようですが、心理的負荷の過度の負担、すなわちいじめなんですよ、教育を超えたものはね。そういうふうに余り弁解がましいことをおっしゃらぬ方がいいと私は思います。

 それで、これは大臣以外で結構ですが、けさの地元紙によりますと、昨日午後二時三十五分ごろ、浦添市消防本部に米海兵隊から救急車の配備要請があったようです。

 報道によりますと、昨日午後一時半ごろ、米軍牧港補給地区内の、国道五十八号線近くの倉庫から異臭のする液体が流れ出し、浦添消防に通報があったようですが、既に四、五日前から日本人従業員六人がのどの痛みや顔に湿疹が出るなどの体調不良を訴えております。

 一方で、在沖米海兵隊は、救急車の出動要請をしながら、沖縄防衛局の立ち入りを拒否し、浦添市消防も現場建物に入るのを拒まれております。

 付近住民が強い不安を訴えておりますが、防衛省はどのような対応をとっておるのか。そして、米軍からはいかなる報告を受けておるのか。日本人従業員の健康診断や被害補償はだれの責任でなされるのか。

 以上、三点についてお答えください。

井上政府参考人 今御指摘の牧港補給地区におけます異臭の案件についてでございます。

 昨日、沖縄県から私どもの沖縄防衛局に対しまして、基地周辺で異臭騒ぎがあったというような情報提供がございまして、直ちに沖縄防衛局から米軍に対しまして、事実関係の確認をさせていただいたところでございます。

 それによりますと、牧港補給地区の五十八号線に近い古い建物のパイプから、水か油か不明であるけれども、異臭のする液体が出ている。先週、日本人従業員から、目まい等がし、体調の不調を訴える者が八名いたため、米軍が週末から調査をしていたところ、昨日の十三時二十八分ごろ、建物のパイプの中から異臭液体が出たというような情報提供がありまして、そのことにつきましては、直ちに沖縄県浦添市に情報を提供させていただいているところでございます。

 また、これを受けまして、沖縄防衛局が現場に向かったところでございますけれども、既に米軍の方におきまして緊急職員が対応し、標準的な運用手順に従って、潜在的な危険を軽減するため、現場を封鎖して周辺建物から避難させる措置をとっていたということでございまして、沖縄防衛局の職員が現場に向かっておりますけれども、当該地域は立入禁止措置がとられておりますので、立ち入ることができなかったという事実でございます。また、その後、沖縄防衛局から米軍に対しまして、異臭の原因究明と再発防止について申し入れをしたところでございます。

 また、救急車の事案でございますけれども、浦添市消防に確認をいたしておりますけれども、昨日の十四時三十五分に出動要請がありまして、十四時四十四分、現地に救急車二台、ポンプ車、救助工作車各一台が到着をいたしております。現場に参りましたけれども、建物には立ち入っていないというように聞いております。その後、十六時四十四分には救急車の撤収をしたという事実関係を聞いているところでございます。

 いずれにせよ、私どもは今、米軍に対しまして、いかなる原因によってこういう事態が起こったのか、その究明を至急してほしいという申し入れをいたしているところでございます。それを受け、またさらに再発防止に努めてほしいという申し入れをいたしております。

 また、三番目のお尋ねでございますけれども、こうした駐留軍等労働者についての補償はだれの責任で行うかということになるわけでございますけれども、駐留軍労働者の方々、日本側が雇用いたしまして米国側が使用するということでございますけれども、法令は、労働者災害補償保険法、いわゆる労災法が適用をされます。

 したがいまして、その労災法に基づきまして適切なる補償がされるというふうに考えているわけでございますけれども、労働基準監督署への労災の手続につきましては、事業主でございます防衛省が責任を持っておりますので、責任を持って速やかに手続を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

照屋委員 終わります。

今津委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 それでは、防衛省設置法の一部改正案について質問をさせていただきます。

 私は、最後ですから、いつも皆さんの質問を聞いて、納得をしたり、なかなか難しい答弁も大臣なされるんだなと思って感心をしたりしておりますけれども、先ほどの赤嶺政賢先生の自衛隊の質問でありましたけれども、自衛隊と米軍とは違いが大きくあるわけでありまして、自衛隊の負担というとなかなか難しい。そういうような赤嶺先生のお考えをどんどん直すために、浜田大臣がチャレンジなされるような発言をしておりますけれども、なかなか難しいことだと思いますよ。赤嶺先生の考え方はそう簡単に変わるものじゃないと思いますね。

 そういう意味でも、私は、この問題をもっと前向きに、さまざまなことを解決していく努力をなされるべきだと思うんです。今度の設置法でも、南西混成団の旅団化の話が出ておりますけれども、こういうふうなものを旅団化していって防衛の能力を上げるというのは非常に大事なことですから、これはしっかりとやっていかなければいけないというふうに思います。

 そのことをやるときには、自衛隊であれ他の省庁であれ、どの役所も、やはり住民の理解というのを得ながらやっていかないと、国の必要な役割だからやりますよといっても、厚生労働省であれ国土交通省であれ、どこの省庁でも、やはり国民の理解というのが必要なんですね。国民の応援団がどこまで出るのかというようなことをやはりしっかりとつくっていきながら、行政は物事を解決していくというのが大事だと思いますね。

 そういう意味でも、沖縄という地域は、先ほど言ったように戦後の問題がいっぱいありますから、この問題を解決していくことは、私は沖縄のさまざまな行政を円滑に進める上では非常に大事なことだと思っています。

 この前、委員会でも質問させていただきましたけれども、不発弾の問題ですよ。これをどうしても解決をしていかなければいけないと思うんです。それで、きょうは宮澤副大臣がお越しになっていますけれども、ことしの一月の十四日に沖縄の糸満市で起きた不発弾の問題なんですけれども、今でもまだ解決されておりません。麻生総理が三月の七日にお見舞いに行かれたんですけれども、総理はどういうお気持ちでお見舞いに行ったんでしょうか。

宮澤副大臣 総理から直接伺ったわけではもちろんございませんけれども、やはりこのたびの大戦で沖縄は大変大きな被害を受け、そしてまた、不発弾といった意味でも、沖縄以外の地域に比べてさらに多い不発弾を抱えているといった中で今回の事故が起こった。やはり国として最大限の責務を負っているというお気持ちでお見舞いに行かれた、こういうことだろうと思っております。

下地委員 私も副大臣がおっしゃるお気持ちだと思いますね。戦争というのは国の決断によって始まって、国の決断によって戦争が終わって、不発弾が負の遺産で残ってしまう。その負の遺産で二十六歳の若者が非常に厳しい結果を得られるというのは大変なことだと思います。

 私も、二十五日の土曜日の三時にお見舞いに行ってきました。お見舞いに行ってお話をしてきましたけれども、表現は余りできませんけれども、正直言って、お会いして、これは悲しみの余り、見るにたえないものがありますよ。今の状況を見ていると、お顔を見ても、そして手を見ても、ああ、これは本当に私どもが見て、考えた以上の、想像以上の爆風だったんだなというふうなことを非常に感じるものなんですね。

 今も、一月の十四日に遭ってから今日まで、ゆっくりとお話を聞くと、御家族の皆さんが言うには、糸満市からも沖縄県からも、そして国からも何の連絡もない。説明にも来ない。どうなっているのかわからない。それは国の方はいろいろ進められているかもしれませんよ、進められているかもしれませんけれども、やはり頑張っているというか、国が方向性を示して、やろうとしている姿を家族が理解をしながら待つというのは当たり前のことだろうと思うんです。

 開口一番に言っている言葉は、糸満市からも県からも国からも、だれかが来て、今こういう状況です、こういうふうに変わろうとしています、今こういうふうに時間がかかりますから、しばらく待っていてください、こういうふうな解決方法を今模索していますとかという説明が全くないというんですね。これは私はいけないことだと思います。

 先ほどの総理がお見舞いに行ったというのも、沖縄の戦争の負の遺産というものがあったから総理は行かれたと思っているわけです。一国の総理大臣が行って一カ月もたっているのに、全く解決のめどを被害者の方々が感じていない、やはりこれは問題だと思いますけれども、これはどうなっているんですか、今の現状は。

宮澤副大臣 麻生総理が行かれたのが三月の七日、もう一カ月以上たっているというお話でございますが、私ども伺っているところでは、今月の二十二日には糸満市長が伺ったということは伺っております。今先生おっしゃったように、御本人また御家族が大変不安に思われているというのは本当に残念なことでありまして、私どもとして最大限のことをやっていかなければいけないと思っております。

 ただ一方で、今回、労災認定の話が少し長引いているということで、若干時間がかかっておりますけれども、県また市、またお医者さんともいろいろお話をして、何とか早く手続を進められるように知恵が出ないかなということを今考えているところでございます。

下地委員 糸満市長が二十二日に来たと。私が二十五日に行って、では、彼らが、お父さん、お母さん、うそをつかれたんでしょうかね。全員言いましたよ、全員来ていませんと言っていますよ。

 そのことはもうちょっとしっかりして答弁なさらないと、私が言ったことが間違いなのか、きょうまた行って聞いて、それを言って、本当に来ていなかったらこれは大変ですよ。

宮澤副大臣 私どもは、二十二日に市長みずから行ったという報告を受けておりますけれども、先生がそうおっしゃっているなら、もう一度確認させていただきます。

下地委員 それで、これは労災だというふうに言っておりますけれども、今、彼らは、もう何回も顔の手術をなされたり、目の手術をなされて、みずから自費の部分も出されてやられている。また、壊れた重機があるんですけれども、これの一千三百万の請求も来ているというようなことで、これは時間との闘いをしているんですね。

 今の状況の中で、副大臣、いつごろまでに本当にこの不発弾の問題で被害者に対して結果を出すおつもりなのか、どういう方法で出すのか、具体的に示してくださいよ。

宮澤副大臣 今まで御答弁しましたように、なるべく早くということでやっておりまして、いつまでというのはなかなかこの場で申し上げられないので残念なのでございますけれども、なるべく早くということで、私の方からも、また大臣からも強い指示が出ておりますので、事務方を督促したいと思っております。

下地委員 きょうの新聞を読むと、この十五兆円の補正予算の中に不発弾処理の磁気探査の件が出ております。壊れた建物の修復費だとか磁気探査のお金をつけていますけれども、こうやって被害者になった人のことを先にやるべきじゃないですか、どんなにやっても。人間が大優先で、こうやって被害に遭われた人が大優先で結論を出していかないと、この不発弾処理の問題を、そのほかのことをやろうというのはちょっと順番が違うんじゃないですか。

宮澤副大臣 おっしゃいましたように、今回提出させていただきました補正予算には、探査等々の予算を補正で追加をさせていただいております。

 一方で、まさに人間に対するものについては、御承知のとおり基金というものを早急につくらせていただきまして、ただ、なかなか、これは初めての運用なものですから若干時間がかかっているということでございますが、議員のおっしゃるように、本当に急いでやらなきゃいけないということは確かでございますので、極力急がせます。

下地委員 糸満市とか県から先にやってもいいじゃないですか、それは。後で国がフォローするんだったらフォローするで。極力とかなんとか言わずに、どういう方法でいつごろまでにやるかと示してくださいよ。

宮澤副大臣 それはもう議員が御承知のとおりでございます。基金は県につくってありますものですから、一方で国の補助金でございますので、国も関与しながら県が中心になって対策を練るということになろうかと思います。いつまでということを申し上げられないのは大変残念でございますけれども、極力早くやるということで納得していただきたいと思っております。

下地委員 これは、こんな答弁ではだめだと思いますよ。では、今具体的に、基金をやって国はどの予算で入れて、どういう方法でやろうとしているのか、答えてくださいよ。基金に対してどういう予算を入れていくのか、特別調整費を入れようとしているのか、どの予算をもってその方向性を模索しているのか。もう三カ月もたっているわけだから。

宮澤副大臣 基金につきましては、二十年度の予算で手当てをしておりますので、もう造成をされております。ただ、その使い方を今最終的にチェックをしている、こういうことでございます。

下地委員 この基金の使い方というのは、基金を取り崩してやるのか、それとも、金利はついていないわけですから、どうするのか。どっちを選択してやるんですか。

宮澤副大臣 当然、取り崩して行うということでございます。

下地委員 なぜ取り崩すのにこうやって時間がかかるのか、問題点を言ってください。

宮澤副大臣 一番の問題点は、お見舞金を出すという方向は決まっておりますけれども、労災認定というのが、やはり障害の程度区分というのを判断しなければいけない、こういう制度でございまして、これが実は大変おくれているということで、これを待つわけにはなかなかいかないのかなということで、別途知恵を出さなければいけない、こういう状況でございます。

下地委員 お話を聞きに行ったら、こういう答弁になると思って、診断書は今もう全部準備してありますよ。そういうふうに、もう何回も病院に行ったことも全部、お父さん、お母さんはそのことをちゃんと明確になされて、今の状況で診療は、もう一応はこれ以上は急激な回復はないと。目に至っても、左目はもう失明なされていますけれども、右目に関してもそう急激な回復がない、顔はこれから時間を見ながら整形の手術を何度もしていかなければいけないというような状況にあることだけは、言えば、病状が急激にこれから回復していかないというのは、もう一カ月前からわかると言っていましたよ。なぜそんなにこのことがおくれるんですか。

宮澤副大臣 主治医の方の診断書というのが実は必要でございまして、これが出てきていないという状況が今起こっております。ただ、これも少し時間がかかるというような話がございますので、別途の方策があるかどうかという検討をさせていただいているということでございます。

下地委員 もう限られた時間ですからあれですけれども、やはりこういう話は思いを込めてやった方がいいと思いますよ、役人に任せないで。これから私たち、この防衛省設置法で沖縄の旅団の問題もやって、非常に大事な論議をしていきますけれども、私は、こういうふうな戦後処理の問題は早急に解決する。一国の総理大臣がお見舞いに行って一カ月たっても何の返事もない、そういうふうなことをやっていると、さまざまな行政手続が不信感に変わってくると思うんですよ。

 だから、内閣府は内閣府として、やるべきことは急いで、あれだけ佐藤大臣もおやりになると明言をなされているんですから。こんなに時間がかかる必要はないというふうに思っていますから、そのことをぜひ、宮澤副大臣、もう早急にと申されましたから、副大臣が言っている早急はいつなのかということを、はっきりと沖縄県民にも見せるようにひとつお願いしたいと思います。

 それで、大臣、もう時間ですから一個だけですけれども、今度の旅団化は島嶼圏の対策として非常に大きな意味を持つものになると思いますけれども、この旅団化で沖縄本島にだけ、こうやって三百八十人ですか、数がふえて、いろいろと装甲車並びにこういうふうに強化されていくわけですけれども、宮古、石垣、与那国、この離島で国境に接するところに自衛隊がいないという国は、私はなかなかないんじゃないかと思うんですよね。与那国とか石垣だとか宮古島だとか、こういうふうに国境に接しているところにこれから自衛隊をやはり配備をしていって、安心をさせていくというようなことはお考えになっていませんか。

浜田国務大臣 今回のこの旅団に変えるという時点で、我々とすれば、今の時点では先島の方に部隊を展開するという考えはございません。

 しかしながら、先生がおっしゃるように、問題意識として、やはりそれも検討しなければならないときが来ているのかなということも考えながら、今後、中期防等々でまた議論していくことになろうかと思っておるところであります。

下地委員 偵察といっても、那覇空港からP3Cを飛ばして、一時間半かけて尖閣近辺を調査して帰ってくるというようなやり方をするのか、それとも、与那国には二千メートルの空港がある、それを活用しながら十分や十五分で行って、絶えずタイムリーに報告ができるような体制をつくるのか、それはもうしっかりとやっていかなければいけない時期に来ていると私は思う。今度は普通科連隊もふやすということになりますけれども、宮古島には航空自衛隊の連絡基地しかありません。こういうふうなものなんかも将来に向けてやはりしっかりと体制をつくる。

 旅団化をするときに、お聞きをしても、さっき大臣が言ったように、そういうふうなものはまだまだ検討されていないというような話でありますけれども、島嶼警備の強化という意味では、そのことをやらないと旅団化をする意味がないんじゃないかという声があるんですよ。本当に最前線の国境に接した島々にも防衛省がちゃんと能力のある強化をしていくことが旅団化の意味であって、沖縄本島の那覇基地周辺にふやすだけでは本当の意味にはならないというふうな声があるんですけれども、最後にそのことをお聞きして、また将来に対する思いもお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

浜田国務大臣 先生今御指摘の点、我々も十二分に頭の中にあるわけであります。そしてまた、先生がおっしゃったように、地域の皆さん方の御理解、そしてまたいろいろな説明等々も含め、今後考えなければいけませんので、我々とすれば、先生の御指摘のことを私自身は同じように考えておりますので、そういった意味では、今後とも検討して前へ進めていきたいというふうに思います。

下地委員 ありがとうございました。

 宮澤副大臣、早急にお願い申し上げます。

今津委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今津委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、日本共産党を代表して、防衛省設置法等一部改正案に反対の討論を行います。

 法案は、防衛参事官制度を廃止し、防衛省の基本的方針の策定は防衛会議で審議するとしていますが、これは、防衛政策の中枢に自衛官が直接関与する仕組みをつくるものにほかなりません。

 海外での実戦任務、米軍支援活動を経験してきた自衛隊の意向を制約なく直接政策決定に反映することによって、防衛政策、作戦運用、防衛力整備のあらゆる面から本格的な海外派兵型軍隊づくりを推進しようとするものであり、断じて容認できません。

 第一五旅団の新編は、これまでの第一混成団を、普通科部隊を増強し、化学防護や偵察などの各種機能を備えた旅団に改編するものです。

 島嶼防衛や南西地域における防衛体制の強化を理由にしていますが、それは、東アジア地域の緊張を高めるものにほかなりません。

 しかも、さきの大戦で、国内で唯一住民を巻き込んだ地上戦が行われ、日本軍による戦争動員、強制集団死などを体験した沖縄で、このような自衛隊の部隊の増強は認められません。米軍再編は沖縄の基地負担を軽減するという政府の説明にも真っ向から反するものです。

 自衛隊情報保全隊は、これまで陸海空各自衛隊に置かれていた情報保全隊を統合し、自衛隊の共同の部隊として新編するものです。

 自衛隊の秘密保護に関する情報を一元化し、体制を強化することによって、米軍再編の名による日米間の情報協力と共有、軍事一体化を推し進めようとするものにほかなりません。

 情報保全隊は、イラク派兵反対運動など、自衛隊の活動に批判的な市民や団体、政党の活動を日常的に監視、記録する違憲の国民監視活動を行ってきました。このような部隊の体制強化は、断じて容認できません。

 また、自衛官の勤務延長や再任用の任期延長、防衛大学校や防衛医科大学校における研究活動強化は、有効な人材を確保、育成することによって自衛隊の組織を維持強化し、防衛大綱、中期防に沿った自衛隊の本格的な海外派兵隊への転換を人的側面から支えようとするものであり、認められません。

 以上、討論を終わります。

今津委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党・市民連合を代表して、防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論いたします。

 社民党は、これまで防衛省設置法等の改正案については、内容ごとに是々非々を貫いてまいりました。

 今回の改正案では、防衛参事官制度を廃止し、防衛大臣補佐官を新設することなどが主たる内容となっております。防衛参事官制度の廃止及び防衛大臣補佐官の新設は、防衛省改革会議の報告を受けて、防衛省における組織改革に関する基本方針で確認されたものと理解をしております。

 しかしながら、さきに示された報告書や基本方針では、防衛参事官制度の廃止理由を「形骸化している」ことに求めながら、なぜ形骸化しているのかについては、きちんとした検証もなく、理由も示されておりません。

 他方、防衛省改革会議は、多発した不祥事案について、その発生原因や背景、再発防止策などを議論しております。ところが、護衛艦「さわぎり」、護衛艦「たちかぜ」、航空自衛隊浜松基地などにおける上官のいじめによって自殺に追い込まれた事件については、全く議論がなされておりません。自衛隊内におけるセクハラ問題などについても同様であります。まだまだ議論すべき問題が多く、現段階で法改正を行ったところで、真の組織改革が実現するとは思えません。

 社民党はこの間、独立した第三者機関が関与するシビリアンコントロールのあり方として、自衛官オンブズマン制度の創設を提起してまいりました。自衛官の命と人権を守るためには、強い調査権限を持つ第三者機関を自衛隊の外部に設け、情報を公開し、国民の目に見える形でシビリアンコントロールを図ることが何より重要だと考えます。

 最後に、改正案では、那覇の第一混成団を廃止し、第一五旅団に格上げするとしております。これは台湾海峡有事を口実として、沖縄を中心とする南西地域の軍備拡大につながるものであることを強く訴え、本案に対する反対討論を終わります。

今津委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

今津委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

今津委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今津委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

今津委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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