衆議院

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第4号 平成21年11月26日(木曜日)

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平成二十一年十一月二十六日(木曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 生方 幸夫君 理事 小林千代美君

   理事 神風 英男君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 新藤 義孝君

   理事 中谷  元君 理事 佐藤 茂樹君

      岡田 康裕君    海江田万里君

      楠田 大蔵君    高橋 昭一君

      橘  秀徳君    玉城デニー君

      津島 恭一君    中野  譲君

      藤田 大助君    森本 哲生君

      山崎  誠君    鷲尾英一郎君

      渡辺浩一郎君    岩屋  毅君

      江渡 聡徳君    小泉進次郎君

      武田 良太君    浜田 靖一君

      福井  照君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 中井  洽君

   外務副大臣        武正 公一君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  中塚 一宏君     山崎  誠君

  長島 昭久君     岡田 康裕君

  鷲尾英一郎君     森本 哲生君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     長島 昭久君

  森本 哲生君     鷲尾英一郎君

  山崎  誠君     中塚 一宏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言申し上げます。

 去る二十日の委員会審査に当たり、円滑なる運営ができ得なかったことは、まことに遺憾に存じます。

 今後は、より公正かつ円満な委員会運営に努めてまいりたいと存じますので、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

安住委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩屋毅君。

岩屋委員 おはようございます。自民党の岩屋です。

 きょうは、冒頭、委員長から、ふだんの委員長らしからぬ殊勝な御発言がございまして、しかと受けとめさせていただきました。円滑な運営をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、きょうは安保委員会でございまして、先般は外務委員会で岡田外務大臣と議論をさせていただきました。ありがとうございました。きょうは、初めて北澤大臣とこうやって質疑をさせていただいて、本当にありがたく思っております。北澤先生とは、自民党時代も短い間でしたけれども御一緒させていただきましたし、私の県会議員時代からの盟友であります現大分市長釘宮磐さんとは盟友の関係にあられますし、政務秘書官の濱田さんは私の郷里別府の先輩でございまして、非常に親しみを感じております。

 岡田さんが民主党きっての政策通ということであるならば、北澤大臣は、民主党には数少ないと言うと語弊があるかもしれませんが、いぶし銀の政治家だというふうに私は思っておりまして、このお二方が外交と防衛を担当されるということで、日米関係を初めなかなか難しい問題が横たわっておりますけれども、上手なハンドリングをしてくださると期待をしておりますし、ぜひそうあってほしいというふうに願っているところでございます。

 最初に、日米の問題、特に米軍再編問題でございます。

 これまで、総理や関係閣僚、あるいはその他の閣僚の発言が余りにもばらばらで、米側も疑心暗鬼、そういう状態だったと思うし、沖縄サイドも、そのたびに混乱の度を深めてきたという展開だったと思います。ここへ来てようやく外務大臣、防衛大臣の発言がそろってきたのかなというふうに私は受けとめておるわけでございます。

 さきの日米首脳会談で作業グループというものが設置をされて、今、早速に検証の作業を精力的に進めていただいているというふうに思いますが、この作業のめどをいつごろに置いておられるのか、また作業の進展ぐあいはいかにあるのか、そこをちょっと最初に教えていただきたいと思います。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 それに先立ちまして、ただいま岩屋議員の方からお話がありましたように、よもや与野党で質疑をするパートナーになるとは思ってもおりませんでして、往時を思い出して大変懐かしく思っております。ただ、御評価のいぶし銀というのは、私も一生懸命に磨いてみましたが、銀の素地は全然見えませんので、大変じくじたる思いがいたします。

 さて、このワーキンググループでありますが、これは岡田大臣とルース大使との間で下段取りをしていただいて首脳会談で決定をされたということでありまして、そのキーワードは迅速に結論を出す、こういうことでございますので、極力そういう趣旨にのっとって一日も早い結論を出したい、こういうふうに思っています。

岩屋委員 さっき、外相、防衛相の発言が大分そろってきたのではないかというふうに私が申し上げたのは、外務大臣も防衛大臣も、なかなか難しい問題ではあるけれども、大方年内に決着をしなければいけないのではないかと。特に北澤大臣は、予算編成という問題もこれあり、やはりそこは年内の決着が望ましいとお考えになっている、こういう発言をされてきたと私は認識しておりますが、そのとおりでよろしゅうございますか。

北澤国務大臣 私の立場、気持ちからすれば、そういうことであります。

岩屋委員 外務大臣はいかがでしょうか。

岡田国務大臣 私と北澤大臣はワーキンググループの責任者でありますので、年内にできるだけ結論を出したいというふうに考えております。

 ただ、最終的に決定するのは内閣であり、そして内閣総理大臣であります。鳩山総理は、自分が最後は決める、こういうふうにもおっしゃっているわけで、そういう意味で、我々の思いは先ほど申し上げたとおりでありますけれども、実際にどうなるかということは、それはひとえに総理の御決断にかかっている、そういうことだと思います。

岩屋委員 もう一つ、お二方の御見解が大分そろってきたのではないかと思っておりますことは、県外、国外といっても、それは現実的な選択肢としてはなかなかに困難なのではないかな、こういうニュアンスの御発言をなさっておられるというふうに私は認識しておるんですけれども、その点については、まず防衛大臣、いかがでしょうか。

北澤国務大臣 確かに、おっしゃるように厳しい道のりだというふうに思います。

 しかし、昨日も、きょうここにお見えの照屋寛徳先生も含めて、社民党を代表して文書でお申し越しがありまして、これはさきの衆議院選の沖縄の民意ということからすれば極めて重いお申し越しだというふうに思っておりますので、私どもとすれば、沖縄の皆さん方の御意思を大切にして最後まで努力はしたい、こういうふうに思っています。

岩屋委員 外務大臣にも、県外あるいは国外というのはなかなか難しいという御認識でよろしゅうございますか。

岡田国務大臣 この件に関しても何回も御答弁申し上げているわけですけれども、普天間の現在の極めて危険な状況を何とか早く除去しなければならない、これが議論のスタートであったはずであります。にもかかわらず、随分時間もかかりました。これ以上かけるわけにはいかないというふうに考えております。一から新しく候補地を見つけて地元との調整も含めて進めていくということになりますと、やはりどうしても時間がかかってまいります。

 そういう意味で、私は、なかなか県外、国外といっても難しい面が多い、こういうふうに申し上げているところであります。

岩屋委員 今のやりとりでも明らかになりましたように、できるだけ年内にこの問題については結論を出したい、それから、現実的な選択肢としてはなかなか県外、国外は難しいのではないか、まだ検証を続けるけれども、こういうことだと思います。

 最終的には内閣が決め、総理大臣が判断されることだ、こういう御答弁でございますので、やはりこの問題については、総理のお話を国会で聞かせていただく必要があると思います。私どもは、そういう意味で、集中審議で総理にもお出ましをいただきたいというふうにお願いをしておりますので、引き続きそのお願いを続けていきたい、こう考えているところでございます。

 しからば、県外、国外というのはなかなかに困難であるということであるならば県内移設ということしかないわけですが、しかし、県内移設にも合意案以外の選択肢はないのかな、最後まで検証してみよう、検討してみようというのが両大臣のお考えであろうかと思います。

 この間、この問題については、日米間でさまざまな議論を行い、さまざまな合意をつくってまいりました。

 今私が手元に持っておりますのは、二〇〇五年十月二十九日、「日米同盟 未来のための変革と再編」という合意文書でございます。我が方、町村外務大臣、大野防衛庁長官、先方、ライス国務長官、ラムズフェルド国防長官というときのことでございまして、その中で、「普天間飛行場移設の加速」というところに、

  沖縄住民が米海兵隊普天間飛行場の早期返還を強く要望し、いかなる普天間飛行場代替施設であっても沖縄県外での設置を希望していることを念頭に置きつつ、双方は、将来も必要であり続ける抑止力を維持しながらこれらの要望を満たす選択肢について検討した。双方は、米海兵隊兵力のプレゼンスが提供する緊急事態への迅速な対応能力は、双方が地域に維持することを望む、決定的に重要な同盟の能力である、と判断した。さらに、双方は、航空、陸、後方支援及び司令部組織から成るこれらの能力を維持するためには、定期的な訓練、演習及び作戦においてこれらの組織が相互に連携し合うことが必要であり続けるということを認識した。このような理由から、双方は、普天間飛行場代替施設は、普天間飛行場に現在駐留する回転翼機が、日常的に活動をともにする他の組織の近くに位置するよう、沖縄県内に設けられなければならないと結論付けた。

こういうくだりがございます。

 つまり、沖縄県民はできるだけもう県外に持っていってもらいたい、そういう強い御希望があるということを承知の上で検討した結果、しかし、この海兵隊の抑止力というのはしっかりと維持しなければならない、また代替施設については、この普天間飛行場のヘリが日常的に活動をともにする他の組織の近くに位置しなければならない、かなり詳細な検討をした結果、こういう結論に至ったんだと思います。

 作業グループでいろいろな角度からの検証を進めておられるんだと思いますけれども、この基本認識というのは大きく揺らぐことはないのではないかというふうに私は思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

北澤国務大臣 今改めて読んでいただきまして、私も、あのときの苦悩と矛盾、現在も全く同じであります。前提としては沖縄以外、こういうことでありますが、米軍の作戦展開上は近辺に置きたい、こういうことで辺野古への決定があったわけであります。

 ただ、そのときの沖縄の政治状況と今日の沖縄の政治状況が大きく変わったということで、さらなる苦悩が今政府に襲いかかっておる、こんなふうに感じておりまして、この短い、難しい道を何とか切り開きたいという趣旨で今努力をしている、こういうことであります。

岩屋委員 県内に移設する際に、ほかに選択肢はないのだろうかということで、岡田外相は、嘉手納統合というのは一度出てきた案であるし、一度出てきたからにはそれなりの理由があるだろうし、なぜ立ち消えになったのかということも含めてもう一度検証してみたい、こういうふうにおっしゃってこられました。

 それはそれで私は理解をしておりますが、その際に、外務大臣は、ただし、嘉手納に統合する際には、嘉手納の負担が軽減されること、もっと具体的に言うと、騒音被害というんでしょうか、それが軽減されることがあくまでも前提でなければならないとおっしゃったと思います。

 一時期、報道で、米側が嘉手納のF15の一部を三沢に移転するなどという話もあったやに私は記憶をしておりますが、外相が嘉手納をもう一回考えてみたいとおっしゃった背景には、具体的に、嘉手納での騒音というものが軽減される可能性が全くないことはないという情報なり何かを得てそういうお考えに至ったんでしょうか。

岡田国務大臣 まさしく今検証中でありますので、細部に至ることは避けたいというふうに思いますが、今委員のおっしゃったようなことも念頭にあって、空軍として嘉手納基地をどのように位置づけているかということをまずしっかりと確認した上で、そういう余地があるのかないのかということも含めて検証しているということであります。

岩屋委員 もし嘉手納から戦闘機がある程度どこかに移転をして、多少騒音が軽減されるという可能性が出てくるかもしれないけれども、やはり米軍というのは、ある意味では常に有事というものを想定して動いている軍隊であると思います。だから、日常の訓練上たとえ支障がないと判断される場合においても、万が一の場合、軍隊でも組織系統も違うわけですし、またいよいよ有事ということになりますれば、ジェット戦闘機と回転翼機が同じ空港でぐるぐる動くということはやはり運用上極めて危険である、あるいは困難である、こういう判断に立って物事を考える組織だろうと思います。

 したがって、そういうことも含めて日米間でもう一度よく協議をしていただいて、やはり実現可能性のある案に集約をしていっていただきたい。そういう意味でいうと、実際にはなかなか困難だなという案については、できるだけ早く外務大臣、防衛大臣のところで整理をしていただく必要があるんではないかなというふうに私は考えております。

 防衛大臣から、なかなか沖縄の状況は以前にも増して難しい状況にあるというお話がございました。確かにそうだと思います。我々旧政権の側にも、長い時間かかって、もちろん努力はそれなりにしてきたわけで、何もしていなかったという議論は私はちょっと言い過ぎだなと思っているんですが、ただ、時間がかかり過ぎてしまったという反省は我々もしなくちゃいかぬと思っております。

 一方、民主党さんも、選挙の段階で、県外という具体的なプランがあったわけではないでしょう。国外という具体的なプランがあったわけではないでしょう。マニフェストには書かなかったにせよ、やはり選挙であたかもそれが実現可能かのようなことをおっしゃって、確かに選挙には勝たれた。しかし、ある意味では沖縄側に過剰な期待を抱かせてしまった。このことについては、私は、やはり民主党さんにも責任を感じてもらわなければいけないんではないかなと。そのときは真剣にそうしたいと思っていたということは理解できますけれども、いよいよ政権をとられて、今までの発言というものにみずからの手足を縛られているという側面もなきにしもあらずというふうに私は考えております。

 そこで、この問題は、どっちが悪いとかいいとかいう議論をしても解決には至らないわけであって、特に外交、安全保障は、国政、国の根幹でございますから、与党も野党もないのであって、特に日米関係というのは重要でございますから、やはりある意味、双方が協力してこの問題に結論を出していくという姿勢が私は大事だというふうに思っております。

 この間、政権が発足して数カ月たっておりますが、やはり選挙の結果もこれあり、沖縄側の皆さんのお気持ちをしんしゃくしなければいけない、だからもう一回見直せるものなら見直したい、検証もしっかりやりたい、これはよくわかります。また、沖縄の方々も、その新政権の苦悩については十分理解をしてくださっているんではないかなと私は思います。

 しかし、いつまでも先延ばしにしていい問題ではない。米側も予算上の問題もあるでしょう。我が方にもそれがある。日米首脳会談で、オバマ大統領は作業グループをつくって早く結論を出してくれと言った、鳩山総理はトラスト・ミーというふうに言った。やはりそういう信頼関係というものも大事にしていかなきゃいけないということで、私は、ぜひ、冒頭に両大臣からお話がありましたように、年内に結論を出すということで閣内声をそろえていただいて、そのように頑張っていただきたいと思っております。

 ただ、総理の発言を聞いていて心配なのは、もしかしたらまたこれを持ち越して、名護の市長選挙やまた次なる参議院選挙や県知事選挙や、そういう何か選挙の結果にこの問題をゆだねてしまうおそれがあるのではないか。

 これはやはり国政の根幹をなす問題ですから、地元の声は聞かなくちゃいけないけれども、最終的に国が責任を持って、担当大臣が腹をくくって、ある意味では政治生命、進退をかけて決断して、何とか地元を説得して結論を出すというたぐいの問題であって、現地の皆様方の、一部の地域の皆様方の、しかも、本来は、市政であれ県政であれ、安全保障の問題だけで争われるべき選挙ではないと思います。そういうところにゆだねるというのは、国民目線とはとても言えない、むしろ無責任な政治ということになりはしないかと思っております。

 当該地の選挙の結果にゆだねるということだけは回避すべきだと私は思っておるのでございますが、大臣の見解はいかがでしょうか。

北澤国務大臣 鳩山総理の発言でありますが、私は、鳩山総理の、市長選もある、また知事選もあるという御発言は、かなり深い意味があるんではないかと推測をしておるんです。

 ということは、仮に、日米の協議がなかなか整わなくて、現行案やむなし、こうなった場合に、日米の間で協議は整っても、実際に事業を始めるということになると当該市長、当該知事の認可が必要になってくるわけでありまして、そこのところまで見通して、かなり苦悩を続けながら、第三の道を探りたい、そういう意味での国民全体に対する私はメッセージではないのかなというような気がいたしております。

岩屋委員 この事業をやるということになって、着手する段階でまた新たな問題が発生しないように、そこまで総理も考えておられるんだということについては理解をいたしますが、しかし、実際に選挙結果にこの問題をゆだねるというようなことになりますと、いよいよ始末がつかないことになっていくんではないか、日米同盟も危険水域に突入してしまうんではないかな、私はこう思います。

 この問題の結論を、こういう質疑を通じて述べよなどとは申しません。ただ、きょういろいろと議論をさせていただいて、ある程度問題意識も共有させていただいたと思います。ぜひ、日米同盟がこの問題で、ピースの一部を外したことによって全体が崩れていくということにならないように、防衛大臣、外務大臣、まさにかなめのお二方でございますから、万全を期して努力していただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、余り時間がないので、海賊の問題についてちょっと聞かせていただきたいと思います。

 防衛大臣は、さきの所信においても、現行の海賊対策の活動あるいは成果というものを高く評価されたというふうに私は認識しましたが、それでよろしゅうございましょうか。

北澤国務大臣 そのとおりであります。

岩屋委員 そういたしますと、鳩山政権としては、この海賊対策を継続する、海賊対策の根拠になっております現行法をそのまま継続するお考えであるというふうに考えてよろしゅうございますか。

 ですから、海賊対策には海上自衛隊に出ていってやっていただいているわけでございますから、その根拠法になっておりますのはさきの国会で決まった法律でございまして、民主党さんはあのとき対案を出されました。現行法のスキームとは違った考え方の法案だったと思いますので、海賊対策をしっかりやっていると大臣が評価されたということは、現行法をそのまま継続していっていいんだという御認識なのか、あるいは、さきの民主党法案の趣旨に沿って、これはやはりやり変えた方がいいというふうに考えておられるのか、ちょっと見解をお伺いしたかったわけです。

北澤国務大臣 既に御存じで御質問だと思いますが、所管は官房長官ということでありまして、我々は、法に基づいて実施をしていく立場であります。しかし、先ほども申し上げましたように、かなりの成果を上げておるということでありますから、我々とすれば、国際社会の平和と安定のために貢献できる重要な施策だという認識のもとに、許される範囲で継続していくことが妥当だ、このように思っております。

岩屋委員 そうですね、官房長官あてにも一度しっかりとこれは議論をさせていただきたいと思うんです。

 ちなみに、当時の民主党さんの修正案は、一に、海賊対策は海上保安庁が主体的に取り組むべきものだ、二番目に、海保だけでは対応できない場合は、海賊対処本部を設置し、自衛官に海賊対処隊員の身分を持たせて活動をさせる、三番目には、自衛隊派遣には国会の事前承認と事後報告を義務づける、四番目には、海上警察の国際連携を促すという四項目が主たる民主党さんのお考えだったというふうに思います。

 この法案は、我が方も努力して最後まで修正協議をやったわけですが、現在の連立三党さんの民主党さん、社民党さん、国民新党さんの国会での共闘を優先しようというお考えだったんでしょう、残念ながら決着をしなかったわけでございます。そんなに双方に大きな考え方の違いはなかった問題だというふうに思います。あのときは、社民党さんはあくまでも自衛隊派遣はだめよというスタンスだったと思います。国民新党さんは、途中でちょっと修正協議から抜けられたということだったというふうに思うんです。

 私は、インド洋の問題にしてもこの海賊対策の問題にしても、それから、これから議論する北朝鮮の船舶検査についても、自衛隊を国際の平和のために活用するということについて、やはり早く連立政権内でしっかりとコンセンサスをつくってもらわなきゃいけないなと思うんです。

 自公政権時代も大変苦労しました。私はいつも安全保障の与党PTにメンバーとして出ておりましたけれども、やはり公明党さんからも厳しい御指摘、御意見をいただきながら、でも、私は公明党さんにそこは敬意を表したいと思います、本当に真剣に取り組んでくれて、支持者も説得をしてくれて、たくさんの法律をつくって、自衛隊による国際貢献という実績を積んできました。

 それが、新政権になって、ちょっと自衛隊派遣に関しては、すべからく何か消極的な姿勢に変わりつつあるんではないかなと。それがもう政権全体の意思だということならいいんですけれども、何かはれものにさわるような形で、いたずらに自衛隊派遣に消極的になるということは私はいかがなものかなと思っておりましたので、この海賊対処のための法案についても、どう考えておられるのかなということを教えていただきたかったわけであります。これについてはまた別の機会に議論をさせていただきたいと思います。

 いよいよ、北朝鮮船舶検査法、政府からも出されました、我が方も議員立法で出させていただきました、あしたから議論が始まります。私も質問に立ちますので、詳しくはそこでやりたいと思うんです。細かい通告はしておりませんので、余り細かいことを聞くつもりはありません。

 ただ、自衛隊が積極的に関与することも可能にするという条文のところを政府案は抜いておりますので、あくまでも海保が主体だということで国交委員会にかけるということなんでしょうが、事は対北朝鮮の問題ですから、本当を言うと、国会の中でも外務あるいは安保、国交の合同審査をするなり、あるいは北朝鮮の拉致というのはテロでございますからテロ特でやるなり、国交大臣、防衛大臣、外務大臣がそろったところでしっかりと議論をするというのが本来筋ではなかったかなというふうに思うのであります。

 政府案と自民党案の最大の違いは、今申し上げたように、自衛隊の扱いにあるわけですね。自民党案の規定では、海上警備行動の発令などについては九条二項でしっかりと読める。つまり、万が一の場合があったら積極的に対応することができるという念押し規定みたいなことで入れているわけでございます。政府案はそこを抜いている。抜いているということは、万が一の場合の自衛隊の対応について、どういうスタンスでおられるのかなというのが防衛大臣に一番聞きたかったことなのでございます。

 だから、書いていなくても、自衛隊法等によって当然できることだから書いていないんだ、やらないということではないんだ、こういう御説明なのか、その辺のところをぜひ聞かせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 ただいまの御質問でありますが、先ほどの海賊対策につきましても、たしか八名の海保の職員が同乗しておって適切に措置がなされておる、こういう体験も極めて重要なことでありまして、我々とすれば、公海上の外国船舶を対象とする場合には旗国の同意が必要であるので、海上警備行動等の措置が必要となることは考えにくいことから、あえて規定を設けるまでの必要は乏しい、こういう判断をいたしたということであります。

岩屋委員 しかし、相手は、さっきも申し上げたように北朝鮮ですね。過去の不審船の事案などを見ても、特に「特定貨物」と法に書かれております、いわゆる核関連物資であったり、そういう危険なものをもし積んでいる北朝鮮籍の船であるとするならば、私は、場合によっては重武装していることが大いにあり得る。実際に不審船から反撃を受けて対処したという事例もあったわけでございまして、やはり不測の事態に対応する規定というのは、しっかりと法律の中に書かれていてしかるべきではないかというふうに考えております。

 これを何かしらその他の政治的配慮や理由によって削除するということがあってはいけないのではないかと思っておりまして、あしたまたそれは国交委員会の場でしっかりとやらせていただきたいと思います。

 それから、思いやり予算ですね、大臣。何か、きょう事業仕分けにかかるというふうに聞いております。

 事業仕分け、全体的に国民から、過程がよく見えていいことだ、こういう評価が高いというのは承知をしておりますが、この思いやり予算というのは、言わずもがな、やはり日米同盟を支える大きな柱の一つでございまして、当然、無駄なものは削減しなくちゃいけないでしょう。旧政権においても、できるだけそういう努力をしてきました。しかし、それはあくまでも外交交渉上の舞台で行われるべきことであって、ああいう形にこの思いやり予算を付すというのは私は適切ではない。

 大臣もそのような発言をされたやに聞いておりますけれども、この点については、大臣、いかがなんでしょう。不適切なんじゃないでしょうか。

北澤国務大臣 新政権になりまして、予算をどういうふうに決めていくのかということが国民の目にわかりやすく映った、これは新政権としての行政刷新会議の大きな利点であったというふうに思います。しかし、今委員がおっしゃるように、事の性格上、あの場になじまないものというのは当然あるわけでありまして、その点について、私が過日、記者の問いかけにお答えをしたということであります。

 しかし、この思いやり予算につきましては、例えばビリヤードのところで働いている職員だとかバーテンダーだとか、ほんのわずかなところですけれども、国民に極めて刺激的に伝わるような事例を挙げての批判があるということも承知をしております。

 そういう意味で、仕分け人の方から殊さらに事例を挙げた批判があったというようにも聞いておりますが、あくまでもあの場は国民の目線の中で問題提起をされた、こういうふうに受けとめて、実際の協議については、既にもう米側と防衛省の間で真剣に協議をいたしておりますので、そういうベースでの考え方は委員とも共有している、こういうふうに思っております。

岩屋委員 仕分け作業というのは、それなりのインパクトを今国民に与えていると思います。しかし、よく考えてみると、本当は国会でしっかりあれができなきゃいけない、あるいは各党間の協議の中でできなきゃいけないという反省も込めて、私もあの光景を拝見しているところでございます。

 事柄の性質上、仕分け作業を通じて思いやり予算についてどういう判断が下されるかはわかりませんが、それはそれとして、外交交渉、日米間の協議でしっかりと詰めていくんだということをもう一度確認させていただきたいと思います。

北澤国務大臣 多分これからまた我が省とすれば第二ラウンドが始まるわけでありますが、御趣旨は十分共有するところがあります。

 ただ、事業仕分けをする姿を国民の前でオープンでやるということは、今までの政権、行政の中ではなかった。いろいろ審議会とかそういうものをつくってオーソライズしてきましたけれども、その審議会の議論とかそういうものが国民の目の前にあらわれてこなかったということに対する国民のいら立ち、これは、極めて大きい財政上の負担がのしかかっている中で、国民のいら立ちというのは当然あるわけでありますから、そういう意味では一つの政権としての成果ではないか、こんなふうに思っております。

岩屋委員 仕分け作業についてここで議論するつもりはありませんが、確かに大臣がおっしゃったような効果、成果というのは上がっていると思いますが、そもそも法的な根拠のない、立脚しておらない仕分け人がああいう形でばんばんばんばん一時間ぐらいの議論で事を決していくというスタイルは、私は余り正常な姿ではないと思います。

 だから、今回あれをやってみて、そこからわかってくることがたくさんあると思います。その成果を今後の予算編成に生かしていってほしいと思いますが、毎年毎年あんなことをやるということは私は本来の正常な姿ではないのではないかなと感じるものですから、その点だけ申し上げておきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、大綱、中期防ですね、大臣。

 大臣は、就任直後においては、それはやはり年内につくらないかぬ、こういうお考えだったと思いますが、所信においては、大綱、中期防を一年先に延ばすというふうにおっしゃいました。判断が変わった理由を教えていただきたいと思います。

北澤国務大臣 就任当時は予算編成というものを念頭に置いて、きちんとした基準がない中で予算編成するのは極めて厳しい話ですから、そうはいっても、前内閣の大綱をそのまま援用する、こういうわけにもいきませんので、そういう問題提起をいたしまして、閣内で協議をした結果として、総理の御判断で、鳩山内閣としての防衛大綱、中期防は一年かけてしっかりつくる。そのかわり、我々防衛省側としてお願いした、その間に穴のあくような、基準のない、あるいは方針のない中で予算編成をすることだけは避けさせていただきたいということで協議をした結果、総理のところで方針を決定して、大綱あるいは中期防に準ずるものを内閣の責任において示す、こういうことで、現在、関係閣僚会議あるいは基本政策委員会、これは連立内閣の党首が入っての会議でありますが、ここのところ連日開催をしている、こういうことであります。

岩屋委員 今大臣がいみじくもおっしゃいましたが、日本国の防衛に関する基本的な考え方あるいはそれに基づいた各整備の計画、これに空白期間ができるというのはやはりある意味失態だといってもいい事態ではないかなと私は思います。おっしゃったように戦略なき防衛力整備、計画なき防衛力整備ということになるわけでありまして、今、それに準ずるものを当面間に合わせにつくるというふうにおっしゃいましたが、それはいつごろできそうでございますか。

北澤国務大臣 ただいま詰めの段階に入っておりまして、副大臣レベルでの協議が順調に進んできて、先ほど申し上げましたように、関係閣僚会議が既に二度、それから基本政策委員会が二度行われております。期日を申し上げるわけにはいきませんけれども、予算編成を完了させるという期日はもうわかっておるわけでありますから、それに合わせて間に合うように、こういうことであります。

岩屋委員 これは一年先送りにすると決めてしまったのなら仕方がないにしても、国のこういう防衛力整備の方針が固まらないと、我が国の防衛産業、これは防衛力を支えている基盤の大きな一つですね、もう見通しが全く立たないという状態になっておりますので、そこはそういう悪影響が出てこないように、ぜひ大臣においてしっかりと方針を早く示していただきたいと思います。

 最後に、一点だけ岡田外務大臣に、深い議論はまたにさせていただきたいと思いますが、大臣がおっしゃっておられる核抑止、核の先制不使用というのは、やはり日本にとって今必要不可欠な核抑止力をいたずらに軽減させるおそれがあるのではないか、誤ったメッセージを周辺諸国に与える心配があると私は感じてちょっと心配をしているんですが、その真意を聞かせてください。

岡田国務大臣 核なき社会を目指していく具体的なステップを考えたときに、先制不使用というのは非常に重要な概念だというふうに考えています。

 ただ、核の先制不使用という中にもさまざまな段階があるというふうに考えておりまして、例えば一国だけが先制不使用を宣言してもそれはほとんど意味のないことで、やるのであれば、すべての核保有国が実効性ある、つまりそれがきちんと確保できる形で行わなければ意味がないということであります。したがって、それは少し先の課題だというふうに思っております。

 ただ、大きな流れとして、核の先制不使用という流れは私は否定しようがないと思います。そういう中で、今具体的に何ができるかということをきちんと議論していかなければいけない。例えば、核を保有していない国に対する核の使用は制限をするということは、私は議論するに値する問題であるというふうに思っております。それは先制不使用の中では第一歩かもしれませんが、非常に重要な第一歩だというふうに思っているわけであります。

 そういう議論をすること自身封ずる意味というのは私はよく理解できないわけで、大いに議論したらいいというふうに思っております。現実にどこまで直ちにやるかというのはまた別の問題であります。

岩屋委員 時間が来たので終わります。

 北朝鮮のこともこれあり、議論は大いにすべきだと思いますが、今そういう発言が日本から出るのは適当ではないのではないかなと私は思っております。もう時間が来たので、またやりましょう。

安住委員長 いいですよ、ちょっとだけ。

岡田国務大臣 ですから、核を持っていない国に対する核の使用、これがだめだ、それは問題があるという議論というのは、別に北朝鮮は関係ありません、北朝鮮は核を持っているわけでありますから。ですから、きちんと議論をした方がいいというふうに申し上げておきたいと思います。

岩屋委員 続きはまたやります。ありがとうございました。

安住委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 北澤防衛大臣、また岡田外務大臣、御就任おめでとうございます。委員会でこういう形でさせていただくのは初めてなものですから、お祝いを申し上げたいと思います。

 今、日米関係の懸案を初め、国際情勢を見ても、時々刻々さまざまに、お二人を中心に新しい政権で対応していただかないといけない問題が多い状況でございます。前政権のときには、この外交、安全保障分野というのは与党で受け持った部分が相当多かったんですね。例えば、先ほど岩屋先生が質問に出されておりました、ことしの通常国会の海賊対策さらには北朝鮮の貨物検査、こういう法案づくりについては、今おられませんけれども自民党の中谷先生と私が共同座長で取りまとめをさせていただいて、最終的に細かい法案化については政府にお願いした、そういう経緯があったんですけれども、新政権になってやはりそこが大分違って、閣僚を中心に、政務三役以上で相当物事を進めていかれる、そういう滑り出しなのかなと我々は拝見しております。

 そういうことからすると、やはり相当な御負担がお二人の閣僚を初め皆さんにかかってくるであろうということから、ぜひ、まず体の方も気をつけていただいて、しっかりと対応していただければいいのかなというように見ております。

 私が質問しようと思った部分について岩屋先生がちょこちょこと後半に質問されましたので、何点か重なる部分もありますけれども、同じ質問じゃないかというようなことを言わずに御答弁いただきたいと思うんです。

 まず、日米間の一番の懸案でございます普天間飛行場の移設問題について、最初にちょっとお時間をいただいて質問させていただきたいと思うんです。

 私は、この問題をこれ以上混迷させると、日米関係、日米同盟に非常に亀裂が生じかねないという懸念を持っておりまして、問題を先送りするのではなくて、やはり早急に解決すべきである、そういうように基本的には考えております。

 お二人の実務担当の閣僚の御発言を聞いておりますと、相当整足されてきているなという感じはしているんですけれども、問題は、やはり鳩山総理が後はどう決断されるか。この混迷の原因の一つは、報道のされ方にもよるんでしょうけれども、ひとえに、連日のように発言がぶれ続けて明確な判断を下さない鳩山総理にあるのではないかなというように私自身は見ております。やはり鳩山総理中心にもう一度関係閣僚の皆さんがしっかりと、もう何回も話し合われている報道はあるんですけれども、話し合っていただいて、方針を明確にして、そしてきちっと事に当たっていただくのがいいのではないかな、そのように思っております。

 ポイントは二つあると思うんです。一つは、結論を出す時期ですね。もう一つは、移設場所をどこにするのか。この二つについて、再度お聞きをさせていただきたいんです。

 結論を出す時期については、私は、お二人の閣僚はそんなにぶれておられないのではないかなという所感を持っているんですが、あえて聞かせていただきます。

 一番最近の報道でも、十一月二十一日ですか、二十二日の報道に出ておりましたけれども、岡田外務大臣は三重県の四日市市内の講演で、来年度予算要求を考えると十二月いっぱいで決着をつけないといけない、県外、国外移設となると何年もかかる、そういうふうに述べられて、県内移設の方向で年内に結論を出すんだ、そういう必要性を強調された、そういうように報道されております。

 ところが、同じ日の二十一日に鳩山総理は、結論を出す時期について、最初から期限を限定されたら交渉が極めてやりにくくなる、最初からおしりを切った形の交渉はできない、また、年内決着との見方については、まだそんな段階ではない、全くの推測でそういう話が出ているが、そういう状況ではまるでない、そういうふうに述べた。この二十二日の新聞は、閣内不一致、そういう見出しが出ていたのを覚えているんです。

 そこで、私は、もう一度改めて、十九日にもお二人と総理と話し合われていたと思うんですよ。この結論の時期について、その辺の意思統一が図られていないのか、そこに物すごく不安を持ったのと同時に、そういう発言の違いがあるにもかかわらず、まず外務大臣にお聞きしたいのは、やはり担当閣僚としては、あくまでも年内の決着を目指す、そういうお考えであるということでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 ここは報道のされ方ということに絡むわけですが、ただ、十一月二十二日に私の発言を報じた新聞が確かにありましたが、そこの中では、十二月いっぱいに決着させた方がいいという報道で、させなければならないと今委員が言われた言い方はしておりません。

 そして、報道されたのは私の発言の一部でありまして、私、交渉担当者として、十二月いっぱいに決着させた方がいい、しかし最後に決めるのは総理だ、そういうことを留保した上で、交渉担当者としての思いを述べさせていただきました。それが、先ほど言ったようなことで報道され、それをもとにまた鳩山総理の発言が報道される、こういうことになっているわけです。

 私は一貫して交渉者としての私の思いを述べておりますが、同時に、最後に決めるのは総理である、したがって、そこの部分については留保させてもらいたい、つまり、十二月いっぱいかどうかは最終的に総理の決断にかかっている、そういうことは常に申し上げているところであります。

佐藤(茂)委員 防衛大臣にも同様の御質問をさせていただきたいんですが、結論を出す時期についての防衛大臣のお考え方というのは、どういう考え方を持っておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。

北澤国務大臣 防衛大臣の立場としますと、まず一番切実な問題は予算編成ということがありますので、それを基準にして発言をたびたびいたしておりますが、先ほど岩屋委員にも申し上げたように、これに間に合うような時期に結論を出していただきたいという私の強い願望であります。

 しかし、これは、日米の関係であると同時に我が国の防衛にかかわる重要な課題でありますから、最終的には総理が御決定をいただくということで、総理の方針に従うということと、さらには、総理の御決断に資するような、できる限りの資料は総理の方へ申し上げる努力を続けている、こういうことであります。

佐藤(茂)委員 ですから、お二人とも言われているのは、最終的に総理の御決断に従うんだ、そういうところで一致しているとなお、私は自民党ではございませんけれども、ぜひ当委員会でも、また予算委員会でもいいんですけれども、立法府として、やはり総理の出てこられるところで総理のお考えをしっかりと問いただしていく機会を我々としてはいただきたいな、そのように考えております。

 その上で、さらに、お二人が、できるだけ年内で決着をさせた方がいい、そういう岡田外務大臣の言葉に象徴されるように、私も、年内というよりも、むしろもう少し早くしなければいけないのではないのかな、そういう感覚を、ちょっと前まで与党でやっておった立場として考えております。

 というのは、今回の米軍再編というのは、普天間飛行場ということだけではなくて、一つの大きなパッケージの中の一つが普天間飛行場なんですね。ですから、在日米軍基地の整理統合、グアムへの海兵隊の移転、そしてその移転経費を日本側も負担するし、アメリカ側も負担する、そういう大きなパッケージになっているわけです。

 そうすると、一つの要素として考慮しなければいけないのは、これは、日本の事情だけではなくて、アメリカ政府、さらにはアメリカの議会がどうなのかというところもしっかりと視野に入れていかないといけないんだろう、そのように私は考えておりまして、特に気になるのが、アメリカ議会の海兵隊のグアム移転予算をめぐる動きでございます。

 十月下旬に、これは両大臣、会われたと思うんですけれども、ゲーツ国防長官が来日されまして、あのときに、その後も何回も使われておりますが、普天間移設の道が閉ざされるようなことがあれば、アメリカ議会は海兵隊のグアム移転予算を認めないことになるだろう、そういう警告ともとれるような発言を残して帰られたわけであります。

 その言葉のとおり、十七日のアメリカ上院の本会議で、沖縄のアメリカ海兵隊八千人のグアム移転経費としてオバマ政権が要求していた三億ドルのうち、約七割に当たる二億一千百万ドルを削減した、そういう予算法案をアメリカの上院は可決されたわけであります。

 ただ、この予算法案というのは、十二月中旬までに両院協議会で調整がされてもとの要求額に戻る可能性もある、そのように言われているわけですね。

 しかし、普天間問題が決着しなければ、グアム移転計画の予算もつかず、オバマ政権の米軍再編というのも予定どおり進められなくなるわけです。つまり、その段階をめどに早期に結論を出さなければ、在日米軍再編自体が白紙に戻りかねない、そういうおそれもあるということを大きな問題としてやはり我々はとらえなければいけないんだろう。何もアメリカにすべて左右されるということではないんですけれども、しかし、この問題は、日本とアメリカと共同歩調でやっていかなければ、この在日米軍再編というのはできないわけですから。

 ですから、そういうことからすると、アメリカのことも視野に入れたときに、アメリカの両院協議会が最終法案を作成するめどである十二月中旬までに一つの結論を日米間で出さなければ、米軍再編も大変な事態になる、そういう認識を持って事に当たらなければいけないのではないかな、そのように私は考えるんですが、これについても、外務大臣、防衛大臣、順番に、両大臣の見解を伺っておきたいと思います。

岡田国務大臣 この十二月の米議会の動向というのは、よく注視しなければいけないというふうに考えております。

 ただ、委員おっしゃった中で、ことしの話ではなくて、もう少し大きな意味でとらえると、八千人の海兵隊の沖縄からグアムへの移転、これは沖縄の負担軽減につながることであると私は思いますが、そのことと、移転の後の基地の一部の返還、そして普天間の問題というのは、法律的に一つになっているわけではありませんが、事実上はリンクしているというふうに考えるべき問題だと思っております。そういったことを前提にやはりこの問題を考えていかなければいけない。

 私も沖縄でも記者会見を先日いたしましたが、そのときにも申し上げました。県外、国外の移転、そのことについて、賛成か反対か。そういうふうに問われれば、七割の県民の皆さんが反対している、これは事実である。しかし、それだけ問うのではなくて、その八千人の移転あるいは基地の一部返還ということも一緒に聞いたときにどういう答えが返ってくるかというのは、それはまた別の問題ではないか、そういうふうに記者会見で述べたわけですが、基本的に、全体を一つとして考えていかなければいけない問題だというふうに思っております。

榛葉副大臣 委員にお答えいたします。

 先ほど北澤大臣から御答弁いたしましたように、防衛省といたしましても、一刻も早く本件について結論を出して、来年度の予算に支障のないようにしなければならないというふうに考えているところでございます。

 我々も、改めてアメリカの予算を今回しっかりと勉強させていただいて、米議会における、アメリカには授権法、歳出法という形であるわけでございますが、授権法につきましては、委員御指摘のとおり、両院協議会を経まして結論が出た。他方、歳出法につきましては、今後審議が始まり、この状況をやはりしっかりと見きわめて、踏まえて、今外務大臣から御答弁がありましたとおり、今後も、外務省ともしっかりと協議をし、また、ワーキンググループでも一日も早く結論が出るように努力をするべきだと思っています。

佐藤(茂)委員 済みません、しつこいようなんですけれども、アメリカの両院協議会が最終法案を作成するめどというのは、二〇一〇会計年度暫定予算の期限が切れる十二月十八日だと言われているんですね。そこで、日本の各紙も、十二月中旬までに結論を出さなければ、外務大臣の言われたリンクしている米軍再編というのが大変なことになるという報道をしているんですけれども、この十二月中旬という、こういう頭は大臣の中にはありませんか。外務大臣。

岡田国務大臣 まず、いつまでに結論を出さなければいけないという、そういう期限を日米間で定めているわけではありません。ただ、日米間で決めたのは、迅速に、できるだけ早く、この二つの言葉であります。そういう言葉に沿って今議論を行っているところであります。

 私、担当大臣としての思いとしては、年内というのは一つの私にとっての目標であります。しかし、先ほど申し上げましたように、最終的にはこれは内閣全体で決まること、総理が最終的に決断することであります。

 十八日というのは一つの意味を持った数字だというふうに思います。ただ、ことしの予算の問題と全体がどうなるかという問題は、これは必ずしもイコールではないということも申し上げておきたいと思います。

北澤国務大臣 今の外務大臣の答弁に尽きるわけでありますが、予算につきましては、ゲーツ国防長官とも協議をいたしましたときに、お互いに議会というものがあるので、これは我々にとっては極めて大きな味方でもあると同時に大きな壁でもあるということで、半分笑い話ではありますが、議会の動向というのは極めて重要だ、こういう認識を共有したところであります。

 ただ、御案内のように、ワーキンググループの中で事務方の協議も米国で昨日、一昨日行われたわけでありまして、まだ帰国しておりませんから詳細はわかりませんが、そういうものをしっかり詰めていく中で時期を特定していきたい、こういうふうに思っております。

佐藤(茂)委員 なかなか断言しにくいんでしょうけれども、ぜひ私は、そういうところもしっかりと見定めた上での賢明な最後の御決断をお願いしたいなというふうに思います。

 もう一つは、冒頭申し上げました、移設場所をどこにするのか、そういうところでございますけれども、今までの報道を見ておりますと、大体現行案を前提にした打開策を北澤防衛大臣は検討されている。岡田外務大臣は、今なおかどうかはちょっと聞きますが、現行案も視野に入れながら、嘉手納飛行場への統合も模索されている。鳩山首相は、ここは一番よくわからないんですけれども、県外移設も否定されていないし、最後は私が案をつくるんだ、そういうことは最近では明確にされている。

 何が言いたいのかというと、やはり国民から見ても、また当事地域である沖縄県民から見ても、これでは結局、政権の意思がどこへ向こうとしているのかというのがいまだによくわからない、そういうところが一番の問題ではないかと思いますので、少し聞いてみたいと思うんです。

 まず、北澤大臣は、大臣に就任されてから今日に至るまで、記者会見等も追いかけてみましたけれども、その発言を検証しておりますと、現行の日米合意案をほぼ容認されている、また、それを前提にした案を考えておられるというように考えてよろしいんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

北澤国務大臣 我々は、前政権から政権を引き継いで、その中に日米の合意がある、これを前提として物事を考えるわけでありますが、我々はそれをすべて容認して物事を進めるということではなくて、合意をしっかり検証して、第三の道がなかるべしか、こういうことでレビューをしてきたわけであります。

 報道は、両極をつくると報道がしやすいということで、私はかなりロマンチストだと思っているんですが、どうやら世間で見るとリアリストみたいな感じを受けるらしくて、私が合意案、いわゆる辺野古案を容認しているというように報じられておりますが、これは全くの間違いでありまして、私と岡田外務大臣は、何度も協議する中で、全く同じ姿勢でやっております。

 ただ、私は、合意案がある、これを基盤にして第三の道を、こう言っているわけでありまして、辺野古のヘの字も申し上げたつもりはございませんので、報道の扇動に惑わされないように御理解をいただければありがたいと思います。

佐藤(茂)委員 ですから、言葉を大切にされているとは思うんですが、ただ、合意案を基盤にしながら、第三の道があればという、そういう考えなんだ、そういうお話でございました。

 そこで、さらに報道は進んでおりまして、先週ぐらいからだったと思うんですけれども、防衛省としては、現行案の名護市辺野古への移設を前提にしながら、沖縄の負担軽減策などを盛り込んだ防衛省案を作成して、防衛大臣が十九日、例えば首相官邸を訪ねて首相や外務大臣に説明された、そういう報道になっておるんですけれども、防衛省案というのはどういう案なんでしょうか。答えられる範囲で御答弁いただきたい。

北澤国務大臣 これは全くの誤報でありまして、私は大変機嫌を損じまして、まあ私ごときが機嫌を損じてもどうということはないんですが、最近余り報道の諸君とは会話をしないようにしておるんですけれども、これは本当の誤報であります。辺野古案を前提にして我々が何か案を提出したということは全くありません。我々とすれば、防衛省として考えられる知恵の限りを尽くして、こんな場合もあるというようなことを総理に御進言は申し上げましたが、中身については御勘弁をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 全く誤報だというのは意外な答弁だったんですけれども、そうすると、沖縄の負担軽減策などもそのときには全く提示されなかったんでしょうか。

北澤国務大臣 さらなる軽減案、そういうものについては十分に検証しています。

佐藤(茂)委員 わかりました。今の段階では、まだ相手も、アメリカもあることだし、なかなか言いづらい、そういうことが言外に伝わってきたわけですが、時間の限りがあるので、岡田外務大臣にお聞きをしたいと思うんです。

 私は、もう今から十六年前ですか、八頭馬車の細川政権のときから、いしずえ会の事務局長ということを岡田外務大臣がされたときから、ぶれない人であると。これは世間でもそうなっているんですけれども、一度こう言ったことはなかなか変えられないというのが大臣の特徴ではなかったかなと思うんですが、ただ、移設場所については、これは残念ながら変遷されているんですね。

 変遷されているというのはどういうことかというと、要するに、岡田大臣が民主党の代表をされていたとき、平成十六年の七月二日の琉球新報では、那覇市内で記者会見して、普天間飛行場移設問題について、沖縄以外の国内への移設を全く排除しているわけではないが、日本の外を念頭に、沖縄の県外に移すべきだ、そう述べられていた。また、二カ月後の九月四日、これは平成十六年ですけれども、朝日新聞では、米軍のトランスフォーメーションの中で政府はどこまでアメリカ政府に普天間の問題を言っているのかと政府の対応を批判して、普天間飛行場を国外に出すことをアメリカ政府にきちんと主張するべきだ、そういうふうに語っておられたわけであります。

 ことし、選挙前の、これは幹事長時代です、六月七日の朝日新聞には、「普天間飛行場について「県内で移転したら必ず固定化する。米国に考えさせる必要がある」と指摘。」して、「「どこかで引き受ける覚悟も必要だ」とも語り、県外移設を視野に候補地の具体的な検討の必要性を指摘した。」そういうふうに報道されているんです。

 要するに、五年前の代表のときには国外を念頭に県外移設、五カ月前にも県外と言われておりました。

 外務大臣になられて、九月二十九日の段階でも、記者会見では、現時点で私の考えは言わない方がいいと思います、基本的な考え方としては、マニフェストに書きませんでしたが、その前の沖縄ビジョンの中で県外、国外と言っております、そういうふうに言われたんですね、九月二十九日の段階では。

 ところが、十月二十三日の記者会見でそれを大きく変えられるわけですね。県外移設は困難であるという考えを示されて、移設先に関しては、その時点で、アメリカ軍のキャンプ・シュワブ沿岸部、嘉手納基地との統合、この二つの案に絞られた、そういう認識を示されて、特に嘉手納基地との統合案を模索しているということを明らかにされたと報道されているんですね。

 要するに、外務大臣になられて、このテーマについては、野党の代表や幹事長時代と全く違う嘉手納基地との統合案の模索に転向されているんですけれども、いかなる理由からこういう変化を遂げられたのか。そこについては、やはり再度国民にきちっと説明する必要があるんじゃないかなと思うんですが、外務大臣の答弁をいただきたいと思います。

岡田国務大臣 まず、私が民主党代表だった折、これは二〇〇五年の九月までであります。この間、私は、県外に何とか実現できないか、そう思っておりましたし、そういうふうに発言もしてまいりました。当時は、まだロードマップが日米で合意する前のことであります。したがって、日米で真剣に交渉すれば何とかなる、そういう余地があるというふうに思っておりました。二〇〇五年九月の総選挙で勝利をすれば、まさしくそのことをしっかり実現したいというふうに考えておりました。

 しかし、二〇〇五年九月の選挙は、民主党は敗れたわけであります。ロードマップが成立したのは、最終的には二〇〇六年の五月ですね。ですから、日米が合意するまでと合意した後で考え方に修正を加えなければいけないということは、委員も御理解していただけることだと思います。しかし、思いとしては、やはりできれば県外にという思いはずっと持っておりました。それは今だって思っています。

 したがって、幹事長のときの発言もあります。しかし、最終的に党として総選挙に挑んで、マニフェストをつくるというときになって、もちろん、その前の沖縄ビジョンでも、県外に直ちにということを言っていたわけではなくて、県外を模索し、将来的には国外を目指す、そういうふうに書いていたわけで、直ちに県外、国外と言っていたわけではないんですけれども、マニフェストをつくるに当たって、全体をもう一度総合的に判断して、普天間とか県外とか国外、そういう文字は落としたわけであります。やはりそこに一定の判断があったということであります。

 思いとしては、もしできれば県外にという思いはずっと持っておりますから、外相になっても、県外という考え方を基本的に変えたのかと言われれば、私の思いとしては県外ですと。しかし、マニフェストにはあえてそれを書かなかったということを外相になってから説明させていただいたことはございます。

 ですから、私自身、代表の折、ロードマップができるまでとできた後では確かに考え方の重点を変えてきておりますけれども、その後、私自身が一貫していないというふうには全く思っておりません。今でも思いとしては、それは沖縄のことを考えれば、県内ではない選択肢がないかという思いはあります。

 しかし、先ほど来申し上げておりますように、普天間の危険な状況を早期に除去し、同時に、委員もおっしゃった八千人の海兵隊の移転とか基地の一部返還とか、そういうことも考え合わせると、現実的には、今、県外とか国外という選択肢というのは極めて狭い道になっているというのが私の認識であります。

佐藤(茂)委員 その上で、岡田外務大臣の、今、県内の中での、キャンプ・シュワブではない、もう一つの嘉手納基地への統合案についてちょっと御質問させていただきたいんです。

 私は、この嘉手納基地への統合案については、大きく二つのハードルというか壁があると思っているんです。ほかにも細かいのがあるかもわかりません。

 その一つは、何といいましても地元が反対であるということが大きな壁になっておると思うんですね。それは、騒音被害、さらには事故のリスクが増大してくる、普天間でも沖縄国際大学にヘリが落ちたという事故がありましたけれども、そういうものが今度嘉手納に集中してくるという問題もあります。

 もう既に、岡田大臣が行かれる前に、そういう話が報道された段階で、嘉手納町では、十月二十八日に町議会で統合案の撤回を求める意見書を全会一致で可決されているし、十一月七日には嘉手納町民大会が、二千五百人集まって統合反対の大会が行われております。さらに、岡田大臣が十五、十六日でしたか、沖縄に行かれたときにも、町長を初め多くの反対意見が出されたと私も報道で知っているんですけれども。

 この地元の反対というものをどのようにして岡田外務大臣は説得されようとしているのか、その辺につきまして大臣の答弁を求めたいと思います。

岡田国務大臣 嘉手納統合というときに、私はいつも申し上げているんですけれども、地元に対する騒音とかさまざまなリスクがありますね、そういう負荷が今よりも減る、そういう案でなければこれは実現できないということを申し上げているところであります。

 そのためには、現在嘉手納が持つ機能の一部をほかに移すということが必要になります。そのことが非常に多くの困難を伴うことは承知しておりますが、しかし、検証するだけの価値がある、そう思って、米国側との検証にこの問題を取り上げてきたところであります。

佐藤(茂)委員 私は、そこはやはりぜひ具体論として、本当に、ほっておけば騒音被害というのは減るのではなくて当然ふえると思うんですね。さらに、事故の可能性も相当、例えば今の嘉手納にある戦闘機あるいは普天間にもともとあるヘリを別のところに移すという案でなければ、ほっておけば当然事故の確率というかそういうものはふえていくと思うので、そこをも含めて当然考えておられると思うんですが、今はまだそういう具体論として明かされないというか、そういう状況ではないと思うので聞いても無駄でしょうから、これ以上お聞きしません。

 二つ目の大きなハードルというのは、米軍の運用上の問題である。これについては、外務大臣も、十月二十九日にはライス在日米軍司令官とかルース駐日大使、さらには国防総省の担当者らを外務省に呼ばれて相当詰めた説明を聞かれたそうなんですけれども、特にアメリカの運用上の問題というと、先ほど岩屋先生もちょっと触れておられましたけれども、普天間飛行場の主力ヘリと飛行速度や機能が全く違う嘉手納の戦闘機とが混在すれば、まず平時でも、離着陸も含めて非常に事故になる可能性が出てくる、そういう運用面での危険が生じる。さらに、日本有事、極東有事のときには、アメリカ本土からそれぞれ、一説には、嘉手納には今の戦闘機の倍ぐらいの戦闘機が集中してくる、普天間には今のヘリの七倍ぐらいのヘリになる。

 そういうことを考えていったときに、一つに集中されるというのは、確かにアメリカが言うように有事即応能力が低下するという危険性があろうかと思うんですけれども、こういう問題について、アメリカの運用上の問題、それが反対理由だということに対してどう乗り越えようと考えておられるのか、あわせて外務大臣にお聞かせ願いたいと思います。

岡田国務大臣 議論の中身を今言うべきでないというふうに思います。

 ただ、一般論として言わせていただくと、ヘリと戦闘機が共存できないという議論をよくされます。それはもちろん、リスクは高まります。しかし、それは受忍限度を超えるようなリスクなのかどうかということを本当に突き詰めて検証した人が一体どれだけいるのか、あるいは、そういう立場にあった人が本当に検証してきたのかという問題は残るというふうに思います。

 私は外務大臣として責任ある立場でありますので、やはりそれは可能な限りしっかりと現状把握をして、自分なりに納得させる必要がある。そういうことを歴代外相なり防衛相はやってこられたとは思いますけれども、米国側から外には出せないような情報も提供を受けて、私なりに納得できるかどうか検証を今行っているところであります。

 有事の際には、確かに嘉手納空港もより忙しくなることは間違いありません。しかし同時に、有事のときの全体の展開がどうなるのか。周辺事態法によれば、いろいろな既存の飛行場を活用することもできるわけであります。そういうことを全体でしっかりと私なりに理解をした上で結論を出したい、こういうふうに思っているところであります。

佐藤(茂)委員 防衛大臣にお聞かせ願いたいのは、外務大臣がいろいろ苦悩されているのを横で見ながら、防衛大臣としては、この外務大臣が模索されている嘉手納基地への統合案についてはどういう見解を持っておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。

北澤国務大臣 私は、就任して直後に沖縄へ行って、二日間、いろいろな皆さん方の御意見を聞いてきました。特に、三連協の市町村長さんともじっくりお話をしてきました。当然、私のところにも嘉手納統合案というお話は来ていましたから、それも含めていろいろお話を聞いてまいりまして、私の印象とすれば、これは極めて厳しい道のりだと。

 ただ、岡田大臣とは、そういうことについても十分に協議をしました。したがって、現在、岡田大臣がこれに挑戦しているのは、政治家としての勇気の差かなというふうに思っておりまして、私は少し難しい話かと思っておりましたが、岡田大臣は、難しいからこれを追求してみたいと。私は、そういう意味では、同僚で言うのはいかがかと思いますが、その勇気は大いに称賛すべきであって、また、新しい政権を担った責任者としては、ある意味、当然探求すべき課題ではあるというふうに思います。

佐藤(茂)委員 ただ、私は、その努力を全く評価しないというかそんなことじゃなくて、冒頭から申し上げましたように、これはある程度早期に、また迅速に結論を出さないといけない。そういうことでは日米間で、特に実務者レベルでは合意しているわけですから、検証されて、もう相当時間もたってきておりますので、不十分な点をとことんまで突き詰めるというのは大変なことだと思います。どこかでやはりきちっと一つの結論、決断を出さなければ、相手あってのことですから、これはどこまで行っても平行線をたどると思いますので、どこかできちっと、早期に結論を出される御努力をお願いしたいと思います。

 次に、大きく別のテーマにかえまして、インド洋の補給支援活動について、この国会でやはりやっておかなければ、もう法律の期限も切れますので、御認識を伺っておきたいと思います。

 まず、インド洋における洋上の補給支援活動についての基本的な認識として、そもそも、この活動については、憲法上これを違憲とみなしておられるのかどうか、合憲か違憲か、そのことについて両大臣の見解を伺いたいと思います。外務大臣、防衛大臣の順に御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 私は必ずしも違憲だというふうには思っておりません。

 そもそも、この法律のもともとはテロ特措法であります。私は、当時政調会長として、この法案を党内で取りまとめる責任者及び自民党、与党側と調整、協議をする、そういう立場にありました。当時のことを思い出しますと、民主党の中で、国会の事前承認ということが確保できればこれは賛成しようというふうに党内をまとめて、そして総理官邸まで行きましたが、さまざまな理由の中から事前承認はだめだということになって、決裂したということを思い出します。ということを考えれば、この法案そのものが違憲であるという前提には立っていないということは明らかだというふうに思っております。

 ただ、あの法案をつくったときの状況、それは、明確な国連決議はない、それを支持するような国連の決議はあった。そしてもう一つは、アメリカの自衛権の行使、そういう中で日本がどういう支援をするか、そういう状況だったと思います。その後、タリバン政権が崩壊をいたしまして、そういう意味では、自衛権の行使とは言えない状況が生まれてきておりますので、状況は大分変わったとは思います。ただ、根本的に、即憲法違反、そういうものではないというふうに考えております。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 我が国の活動の地域が非戦闘地域であることなどの法制上の枠組みが決められておりますし、そういう意味では、他国の武力と一体化しないという意味で違反ではない、こういうふうに考えております。

佐藤(茂)委員 ありがとうございます。

 外務大臣、防衛大臣とも違憲だとは思わない、そういうことですね。

 そうすると、ちょっと防衛大臣に確認しておきますが、二〇〇七年十一月十三日の信濃毎日新聞の朝刊で、新テロ特別措置法、これは補給支援特措法と言った方がいいと思うんですけれども、これが十一月十二日に衆議院特別委員会で可決されたことについて、県内の各党代表に受けとめを聞いた。そのときに、北澤当時長野県連代表は、自衛隊の給油活動はアメリカによる戦争への支援であり、憲法上問題があるというのが党の認識だ、そういうふうにこのときに言い切っておられる記事があるんですけれども、そうすると、これは、今からいうと撤回をされるというか、そういうようにとらえてよろしいんでしょうか。

北澤国務大臣 政治の中には与野党がありまして、野党の立場で政治的に発言し、行動するのは、政権獲得への一つの段階であるということで御理解いただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 ですから、要するに、あのときのあの発言は政権を獲得するための発言であった、そういう認識であって、そのとき、憲法上問題があるというように言われていたことについては、今から思うと間違いであった、そういうようにとらえてよろしいんでしょうか。

北澤国務大臣 当時の認識とすれば、全く間違ってはいなかったというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 別のことを聞こうと思ったんですけれども、要するに、そうしたら、当時の認識と今防衛大臣になられての認識は、やはり認識が変わった、そういうことになりますか。

北澤国務大臣 防衛大臣としての重い任務を背負う中で、佐藤委員の御質問に誠実にお答えをしたということであります。

佐藤(茂)委員 それと、もう一つは、私は、北澤防衛大臣が、なられて二日目の記者会見で、インド洋の補給支援活動に触れて、評価が低い、そういうふうに記者会見で、そのとおり言われたかどうかというと、記者からの質問に答えられたという記者会見だったと思うんですけれども、そういうふうに言われたんですね。大臣が、評価が低い、あるいは、その後言われたのは、極めて限定的なところで成果が上がっている、感謝している、そういう評価になっていると認識された根拠、理由というのをぜひお示しいただきたいと思います。

北澤国務大臣 既にあらゆる御質問にお答えをしておりますが、御案内のように、補給活動の回数が激減してきておりまして、先月はわずか一回だけということであります。

 さらに、これは米国の意向がすべてということではありませんが、ゲーツ長官との会談の中でも、ゲーツ長官は、もう米国は受益国ではない、これを続けるか続けないかは日本の決断だ、こういうようなはっきりしたメッセージも出しておられますので、そういう意味で申し上げた発言であります。

佐藤(茂)委員 もう時間も来ましたので終わりますが、あの時点ではまだ、十月は一回でしたけれども、九月の時点で一回でも何でもなくて、月に五回から六回は続けていたんですね。そのうちの、後でまた機会があれば質問をやろうと思いますけれども、アメリカはもう日本からの恩恵を受けている国じゃないんですね、内訳を見てもらってもわかるように。第一位はパキスタンで、第二位はフランスです。第三位がドイツです。

 こういう国に本当に評価を聞かれてそういう発言をされたのかどうかというのは、私は、極めてあの時点ではあいまいだったのではないのかな。そういう先入観念を持たれて評価が低いと言われたことについては、やはり私どもとしても納得ができないところもありますので、また今後機会がありましたら質問をさせていただきたい、そのように思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。

安住委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、冒頭は、金武町伊芸区の流弾事件について聞いていきます。

 事件について説明をいたしますと、昨年十二月十日の午後三時過ぎ、金武町伊芸区に住む当時七十歳の玉城ミツさんが自宅の車の後ろで鉢植えに水をやっていたところ、突然バーンという乾いた音を聞き、振り向くと、駐車場の地面から白煙が上がっていた。そのときは何も見つけられなかったが、三日後、孫の陽一さんが、車のナンバープレートに長さ四・五センチ、直径一センチの銃弾のようなものが突き刺さっているのを発見した。その後の県警による鑑定で、発見された金属片は米軍が使用する銃弾と一致することがわかっています。

 金武町伊芸区は、米軍の実弾射撃訓練場キャンプ・ハンセンに隣接した地域であります。最も近いレンジ4は、集落からわずか三百メートルのところにあります。

 米軍は、この事件について、四月に最終報告書を公表いたしました。事件が発生した十二月十日に、恩納村側にあるレンジ7で、発見されたものと同じ銃弾を使用した訓練を行っていたと認めております。ところが、事件への関与については、当初の県警の誤った報告をよりどころに、翌日の十一日だと言い張って、そのときは訓練を行っていなかった、こういうことを理由に否定してまいりました。

 国家公安委員長に伺いますが、総選挙前の五月二十二日の外務委員会で、私の質問に対して警察庁の西村審議官は、事件の発生日について「米軍側の理解を得た」と答弁しておりました。ところが、その後の地元紙の報道で、海兵隊報道部は認識を変更していないことを明らかにしています。

 五月以降の経過について説明していただけますか。

中井国務大臣 いろいろとお地元のことで御心配をおかけし、たびたび御質疑を通じて御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 御心配いただきました事件につきましては、先生御承知だと思いますが、この二十日と二十四日に初めてレンジ7へ日本側が立入調査をすることができました。これは詳細な報告等がまだ上がってきておりませんが、上がり次第また御報告もさせていただける、このように考えております。

 お尋ねの事件当日の日にちにつきましては、アメリカ側の言い回しとして、日にちにはこだわらない、こういうことを言っておりまして、日本側の断定した、先生のおっしゃる十日という日にちで一致しているものだと私どもは考えておるところでございます。

 私ども素人から見れば、ここのレンジ7から現場までかなり距離があるわけでございます。そこまで弾が飛ぶのかどうかというようなことも含めて、方向性も含めて、十分検証していきたい。同時に、あってはならない事件でございますから、再発防止のためにもきちっと真相を解明していく、こういうことで急いでいきたいと考えております。

赤嶺委員 現場からレンジまでの距離、あの程度の距離であれば今まで何度も飛んできているんです。ですから、住民は、レンジからの弾だというのを実感として持っている。

 現場調査が行われたというお話がありました、今月に入ってからでありますけれども。事件は去年の十二月なんですね。それで、現場調査についても、金武町の伊芸区の池原区長は、遅過ぎた前進だ、今認めるなら米軍はなぜ事件直後に現場調査ができなかったのか、区民の精神的苦痛は余りに大きいと、米軍の対応を批判しております。これだけの期間を経て、解明につながる捜査が本当にできるのかという疑問も持っております。

 その根底にあるのは、事件の発生日について、常識的に考えたら海兵隊は日本の警察のその日付を認めざるを得ないのに、言を左右にして、認めたという態度をとらない。ですから、海兵隊が認識を変えたのかどうか、明確に変えたのかどうか、この点が大事なんです。この点、いかがなんですか。

中井国務大臣 私も直接尋ねたわけではございませんけれども、沖縄県警からの報告を聞いております範囲では、米軍は当初の主張と認識を変えている、このように私どもは考えています。

赤嶺委員 認識を変えたのであれば、変わっていないまま出されている最終報告を撤回すべきなんです、海兵隊は。あの最終報告に基づいて海兵隊は繰り返しメディアに説明していますから、そういう最終報告の撤回を求めるべきだと思いますが、いかがですか。

中井国務大臣 レンジ7への立入調査を含めまして、沖縄警察の調査が完了しました時点で、米軍側と十分調整をしていきたいと考えています。

赤嶺委員 今の国家公安委員長の答弁に基づいて、外務大臣に次は伺いたいと思うんですが、外務大臣の答弁まで、国家公安委員長、いらしていただいておきたいと思います。

 事件からもう一年たちます。来月で一年です。

 地元では、結局またうやむやにされようとしていると。戦後、伊芸区では、米軍の演習による流弾事件や山火事が繰り返されてきましたし、一九五六年には、庭先で遊んでいた三歳の女の子の足を銃弾が直撃した。六四年には、部屋で化粧中の十九歳の女性の足を銃弾が直撃した。それ以外に、集落一帯に照明弾が落下してくる、民家屋上の給水タンクを銃弾が貫通する、沖縄自動車道のパーキングエリアの窓ガラスを銃弾が貫通する、水源涵養林に砲弾が撃ち込まれるということが繰り返されております。

 ところが、数多くの事件を起こしながら、米軍が責任を認めたのはわずか一件なんです。あとはすべてうやむやにされてきたんです。事件の解明に背を向けながら、相変わらずそのレンジ7を使って米軍は今も演習を続けております。こういう繰り返しなんですね。こんな演習場が存在することについて、外務大臣はどう考えますか。

岡田国務大臣 まず、委員御指摘の今回の流弾事件に関しては、地元が大変御心配になっていること、そこはよく理解できるところであります。

 今、中井大臣が御答弁されましたように、警察の方で捜査を行っているところでありますので、外務省としても、米国側に協力を求めながら、連携して事実の解明に努力していきたいというふうに考えております。

 こういったことが起きることについてどうかという御質問ですけれども、そうならないために、外務省としても、米国側にしっかりと、こういう事件が起きた際に迅速に解決されるように求めていきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 事件が起きたのが去年の十二月で、現場に日本の警察が求めて入れたのがことしの十一月なんです。迅速になんというようなこととは全く遠い、基地と住民との関係、基地と政府、警察との関係がある。

 ことしの三月には、区民の総決起大会が開かれました。この大会決議では、区民は常に流弾の脅威を感じながら恐怖と不安の中で生活を強いられ、まさに戦場さながらの状況と指摘して、実弾訓練の即時廃止、そしてすべての実弾訓練場の即時撤去を求めております。日米安保条約に対する立場の違いはあります、違いはありますけれども、演習場の撤去を求める決議が上がっているわけです。

 ところが、これまでは政府はどうしてきたかといいますと、米軍再編のもとで、防衛大臣、このキャンプ・ハンセンに、新たに自衛隊によるキャンプ・ハンセンの共同使用を押しつけているんです。米軍の演習だけでも被害が大きいのに、これは実弾射撃訓練場といって、便利だといって自衛隊が共同使用をやっていく。

 伊芸区に近いレンジ4には都市型戦闘訓練施設がつくられました。これに対する強い反対運動で、レンジ4を山の上の方に移すということで、日本政府が思いやり予算でハンセン内の別の場所に移設するようになりました。ところが、移設した後もレンジ4の訓練施設はそのまま、今も米軍が使っているわけです。日本政府は撤去を求められないんです。

 これは外務大臣への質問でありますけれども、しかも、レンジ4を山の上の方に移した、そこにあったレンジを次々玉突きで下の方に移してきた、そのすべてのレンジが全部日本政府の予算によって新しくなったんですね。機能も強化したわけですよ。レンジ4の移転を求めたのに、キャンプ・ハンセン全体の実弾射撃訓練場が日本政府の予算でつくりかえられた。まさに、あの伊芸区を見ていたら、これが対米従属外交ではないか、そのきわみだというようなことを実感いたします。

 ですから、外務大臣に伺いますけれども、私は、これまでの政府の姿勢を根本から転換して、演習場の撤去を求める住民の意思を正面から受けとめた、そういう外交をやるべきではないかと思いますが、いかがですか。

岡田国務大臣 演習場の撤去を求めるかどうかは別として、よく実態を把握する必要があると思いますので、私も機会を見て現場に行ってみたいと思います。

赤嶺委員 実態は私が申し上げたとおりであります。現場に行かれることは歓迎します。流弾事故の処理も含めて、伊芸区の区長や金武町長やあるいは金武町議会の皆さんと話し合っていただきたい。一体ここで何が起きているかということを認識した場合は、日米安保条約の違いを超えて撤去を求めている住民の真剣な訴えが聞けると思います。ぜひやっていただきたいと思います。

 引き続き、普天間飛行場の問題について聞きます。

 先週の質問で、普天間返還合意以降の十三年間の経緯に照らして県内たらい回しはやめるように求めたのに対して、外務大臣は、日米合意には海兵隊八千人のグアム移転や嘉手納以南の土地返還が盛り込まれていることも考慮する必要がある、こういう答弁をされ、きょうも繰り返されております。

 海兵隊のグアム移転については、私たちも民主党も反対をしてまいりました。岡田大臣も当時その論陣の先頭に立っておられたと思います。グアム移転に関する日米合意は、皆さん方民主党の言葉をかりるなら、対等ではない日米関係を象徴する合意だと思います。

 まず、沖縄の米軍基地の返還を求めたら、これに条件をつけたものだという問題です。

 沖縄の米軍基地は、外務大臣御承知のように、住民の理解を得てつくられたものではありません。この間も繰り返しました、住民の土地を強奪してつくったものであり、沖縄戦で米軍が上陸した直後から、住民を強制収容所に囲い込んでいる間につくったものであり、戦後は、反対する住民に銃剣を突きつけ排除し、ブルドーザーで民家をなぎ倒してつくったものであります。住民は、自分たちの土地を奪われ、基地にへばりつくようにして生活せざるを得なかった。私が育った那覇市内の小禄という地域も、銃剣とブルドーザーによって土地を強奪された、そういう地域であります。

 ところが、そういう土地を返還してほしい、返還してほしいのなら辺野古に新たな基地を建設せよ、そしてグアムにも基地を建設せよ、こういうのが日米合意のパッケージ論であります。県民からすれば、納得できるはずがないんですよ。

 日米合意がこういう中身になっていることについて、外務大臣、どう考えますか。

岡田国務大臣 日米合意ができるプロセスでのとらえ方と、それから、既にもうそれができてしまった後で、考え方に若干の差が出ることは私はやむを得ないことだというふうに思います。

 八千人の海兵隊が沖縄からグアムに移るということは、そのこと自身をとれば、それは沖縄にとって負担の軽減である。しかも、その結果として基地も返ってくるということでありますので、この八千人のグアムへの移転、そしてその結果としての基地の返還ということは、これは沖縄にとって軽減になることは間違いないと思います。

赤嶺委員 グアム協定が締結される前の話ではなくて、グアム協定に署名した日米外相会談、これがことし行われたわけですが、それを受けて出された民主党の談話では、そもそも沖縄に駐留する米海兵隊が米国に戻るための移転経費を日本が税金で負担する理由や移転経費の積算根拠について政府の説明責任は全く果たされていない、これがグアム協定を締結した直後の民主党の談話なんです。

 そして、私たちも、グアムはアメリカの領土であり、海兵隊がグアムに移転するということは、日本からアメリカに撤退するということであります、撤退後にその部隊をどうするかというのはアメリカ政府の責任に属する問題であって、なぜ戻る先の確保まで日本の税金で見てやらなければならないのか、このように指摘してまいりました。

 この点について、外務大臣はどう考えますか。

岡田国務大臣 撤退する結果として、そのことにコストがかかる、それを日本政府が一部見るということは、アメリカ側からすれば、沖縄にそのままいてもいい、しかし、日本政府と協議の結果、グアムに行く、それに伴って一定の資金的な支援をしてもらいたいというのは、資金の程度がどうかという議論を別にすれば、そういう一つのパッケージというのは私はあってもおかしくはないというふうに思います。

 ただ、もちろん、国民の税金を使う話でありますので、それが本当に約束どおりきちんと使われているのかどうかということについては、これは日本国政府としては今後も関心を持って、そしてチェックをしていかなければいけない、そういうふうに思っております。

赤嶺委員 ことしの「世界」の七月号に岡田さんが登場しておりますが、グアム移転協定を締結したことについてどう考えるかということについて、「普天間の基地移設を前提にした協定になっていますね。グアムへの人員移転と普天間の基地移設が切り離されたものであれば、またさまざまな議論もできたかもしれませんが、一体ですからこれには反対です。」と、この七月に述べておられたんですよね。全く今と立場が違うんです。

 その上で、八千人のグアム移転の問題についても伺いたいんですが、負担軽減につながるのかという問題があります。

 政府はこれまで、沖縄の海兵隊の司令部八千人がグアムに移転し、実戦部隊は沖縄に残すと言ってきました。ところが、その後明らかになった米軍の計画では、グアムに、地上部隊、航空部隊も合わせた一万人規模の海兵旅団をつくる方針が明らかになっております。そのうち、司令部要員は二千八百人なんですね。一方で、海兵隊は沖縄だけでなくさまざまな地域からグアムに移転してくる、このように述べております。

 先週公表されたグアムの基地建設に関する環境影響評価の素案、かなり長いページのものですが、これでも、司令部機能は三千四十六人、地上戦闘部隊は千百人、航空戦闘部隊は千八百五十六人、兵たん戦闘部隊が二千五百五十人、家族も九千人移転すると言っています。現在家族は沖縄には八千人台しかいませんので、沖縄から家族は一人もいなくなってしまう、こういう計画なんですね。でも住宅はつくりつつある、そういう実情があるわけです。

 ですから、この疑問は、民主党も一緒に追及してきた議論であります。八千人というけれども実数はどうか、こういう疑問は、新しい政権になりまして解消したんですか。いわゆる計画の全容というのは、外務大臣のところで明らかになっているんですか。いかがですか。

岡田国務大臣 まだ話はそこまでいっていないんですね。つまり、普天間の移設の問題を議論しておりますから、まだ八千人、これが恐らく、普天間の問題の対応いかんによっては八千人ということがすんなり実現できるかどうかということもわからない状況であります。

 したがって、今優先すべきは普天間の問題だというふうに私は考えておりますが、もちろんその先の話として、八千人の移転の問題、これがきちんと約束どおり行われるのかどうかということは、日本政府としては関心を持ってしっかりと、約束の履行がなされるかどうかについて関心を持つのは当然でありますし、予算措置もそれにある意味ではリンクした話でありますから、国民の税金が無駄に使われることがないようにするというのは当然のことだと思います。

赤嶺委員 私は、外務大臣は答弁はごまかさない方だ、このように信じておりますが、当時、グアム協定の議論の際に、八千人についていろいろ疑問を呈しました。本当に実数なのかと提示しました。家族もどうかと。そういう疑問を解消、まだそこまでいっていない。いっていないのに、何で、八千人は沖縄県民の負担の軽減になるのではないか、日米合意は重い、そういう言葉を繰り返されるんですか。

岡田国務大臣 さまざまな疑問があるというのはわかりますけれども、両国政府で合意した数字でありますので、それを前提に議論するというのは私は当然だと思います。

赤嶺委員 外務大臣になられた今こそ、当時持っていた疑問のさまざまを解明して、そして県民に説明する。実は、あれは八千人と言ったけれども、やはり我々が野党時代に追及していたように実数が幾らかわからない、こういうことまで解明して県民に説明してあげる。

 外務大臣はさっきから、県外移設が七割は当然だ、しかしそれがパッケージになっているということを県民が知ればその比率は落ちるだろうと言われていたんですが、そのパッケージの中身も、負担軽減になるかどうか皆さんが野党時代に持っていた疑問も解明していない。解明していないのに、何で県民に説明ができるんですか。

岡田国務大臣 仮に八千人が過大であったとしても、しかし、それが何人であったとしても極端な数字にはならないわけで、そういう意味で沖縄県民の、あるいは沖縄の負担軽減になることは間違いないと思います。

赤嶺委員 当時の民主党の疑問は、今海兵隊は沖縄に一万二千人から三千人だ、一万人残るということを政府はるる説明しているが、それでは八千人ではなくて二千人じゃないか、こういう疑問を繰り返し提示していたんですよ。ただ、日米関係というのは、数字が正確に説明されているかということもありますが。

 つけ加えて、私、ことしの二月の予算委員会で取り上げましたけれども、宜野湾の伊波市長が、当時の在日米大使館のグリーン安保課長、今沖縄の総領事をしていらっしゃいますが、沖縄の海兵隊の家族は現在八千人であり、九千人がグアムに移転すれば沖縄には家族住宅は要らなくなる、したがって海軍病院の建設も不要になる、このように指摘したのに対して、グリーン課長は、沖縄から八千人移るけれども、別のところからやってくる、このように述べました。

 沖縄から海兵隊が移転しても、別の部隊が沖縄にやってくるのでは何の負担軽減にもならないんです。現に、米軍再編以降、嘉手納にはPAC3の部隊が、部隊で六百人、家族で九百人ふえました。負担軽減の一番の対象であった嘉手納基地に兵員はふえたんです。嘉手納の訓練移転でF15が訓練移転したら、今度はF22がやってくる。

 安保条約は、日本は無償で無条件の基地提供を義務づけられているわけですから、安保条約そのものを見直さない限り、こういう日米関係を見直さない限り、沖縄の負担軽減にはならないと思いますが、外務大臣はいかがですか。

岡田国務大臣 そこは、根本的に委員と意見の分かれるところだと思います。

 我々は、日米同盟というものは日本の、そしてアジア太平洋地域の平和と安定のために極めて重要なものである、そういう前提に立って議論をしているわけであります。

 それから、先ほど委員が言われた海兵隊の問題ですが、何を基準にして議論するかという問題もあると思います。現在、海兵隊もイラクやあるいはアフガニスタンにも展開しているという中で、現に沖縄にいる現員としては数は減っているという状況もあると思います。したがって、ベースにする数字をどうするかという議論もある。

 いずれにしても、そういうことについても日米間でしっかりとコミュニケーションをよくして、そして国民の税金が無駄に使われることがないようにしっかりとやってまいりたい、こう考えております。

赤嶺委員 海兵隊の移動はベースの問題じゃないんです。移動した後、沖縄には一万人残る、こう言っているから、そうすると八千人という数字はどこから出てくるんだという話なんです。

 さっき、安保体制、安保条約について見解の相違だということをおっしゃいましたけれども、私は安保は破棄すべきだと思っております。それは見解の相違があります。ただ、私が今議論しているのは、そうではなくて、安保体制、日米同盟の危機だ、危機だと言って、沖縄県民にいろいろなことを押しつけているけれども、そういう安保の仕組みがある限り負担は軽減されないという問題なんです。

 先ほど述べた伊芸区も、実弾砲撃訓練が本土五つの自衛隊基地に移転をしました。当時、本土が受け入れた、これで負担の軽減になるかというような議論もありました。ところが、伊芸の苦しみは何も変わっていないんです。さっき伊芸を訪ねたいということでしたので、実弾砲撃訓練との関係も聞いてください、移転して苦しみは変わったかと。倍加した、増加しているというようなことが出てきます。

 米軍の必要に応じて基地がどんどん強化される安保体制のあり方、これを根本から見直さない限り沖縄の基地問題は解決しないんです。米軍の判断次第で新たな部隊を配備できる、新たな基地を建設できる、そういう仕組みこそ、今のワーキンググループや日米交渉の中で見直すべきではありませんか。これが沖縄県民の負担軽減につながるのではありませんか。

岡田国務大臣 先ほど来申し上げているように、やはり日米間のコミュニケーションをもう少しよくした方がいいというふうに思っています。

 例えば、嘉手納基地に行きましたときに、嘉手納町長からも、日米合意があって本来騒音は減るはずだったけれども、沖縄の外から来る飛行機の数が深夜、早朝ふえて、結局、騒音レベルは変わっていないどころかむしろ悪化している、こういうお話もありました。

 そういった、どういう実態にあり、そしてそれは日米で合意したこととの関係でどうなのか、改善の余地はないのか、そういうことをやはり日米間でもっとしっかりと議論していくということが大事だと思います。

安住委員長 赤嶺君、時間が来ています。

赤嶺委員 もう時間ですのでまとめますけれども、岡田外務大臣は、当時、「世界」の七月号で、「われわれは県外、あるいは国外に移転すべきだと主張しています。」と、そのときも主張を繰り返して、沖縄の基地の認識について言われております。沖縄の基地は、

 戦後を引きずっているのです。沖縄にこれだけ基地があるのは、沖縄の悲惨な地上戦の結果です。アメリカの海兵隊から見れば、自分たちが血で勝ち取ったものだという認識があり、容易に手放そうとはしないでしょう。

  しかし、サンフランシスコ平和条約が締結されてこれだけの時間がたち、もう「戦後」は終わっているわけです。そうした過去の遺産ではなく、いま現在、沖縄にこれだけの米軍基地がることがノーマルなことかどうか、白紙から話し合うべきなのです。私はオバマ大統領ならそれが可能なのではないかと考えています。

 こういうチャンスが今、岡田外務大臣の前に広がっているんです。コミュニケーションが足りないから基地の被害が拡大しているのではありません。日米関係が余りにも従属的だから基地の被害が拡大していくのを食いとめられないんです。そういうことを申し上げて、質問を終わります。

安住委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

安住委員長 次に、内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 防衛省の職員の給与に関する法律の審議に入りますが、まず、提案者からこの法案の趣旨説明をお願いいたします。

北澤国務大臣 この法律案は、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に準じて防衛省職員の給与について所要の措置を講ずるものであります。

 具体的には、一般職の職員の例に準じて、若年層及び医師または歯科医師である自衛官を除く自衛隊教官及び自衛官の俸給月額の引き下げ改定を行うこと、防衛大学校及び防衛医科大学校の学生並びに陸上自衛隊の学校の生徒の期末手当について支給月数を年間〇・三月分引き下げること、一般職の職員と同様に、十二月期における期末手当の特例措置として、本年四月以降の官民較差解消のための減額調整を行うものであります。

中谷委員 一般職に準じて給与の改定ということはいたし方ないことでありますけれども、しかし、防衛省の職員や自衛官は、事に臨んでは危険を顧みず、命をかけて国防に専念しておりまして、その名誉、処遇、地位の確保はもとより重要なことであります。

 海外においても、海外勤務をした軍人は、アメリカにおいてはミリタリーディスカウントというのがありまして、買い物をするときには割引もありますし、税金がかからない。それだけ国家として重要な仕事だと位置づけて対応されております。

 大臣も当然その認識を持って給与や隊員施策を考えておられると思いますけれども、その認識はお持ちでありますか。

北澤国務大臣 お答えいたします。

 防衛省・自衛隊においては、お話のありましたように、極めて厳しい勤務環境において、隊員がその中で誇りを持って安心して職務に精励できる、そういう適切な処遇がなされるよう、平素から留意をいたしておるところであります。そのため、その任務の特殊性を評価して、自衛官に対する独自の自衛官俸給表や手当を措置いたしております。

 今後とも、実力組織である自衛隊の特殊性も踏まえつつ、防衛省職員にとってふさわしい給与面での処遇が図られるよう対応したいと思います。

 中谷委員におかれても、日ごろこのことについては大変熱心に発言されておられまして、また、特に防衛大臣も経験をされておられまして、その折にも省内に対してこういう考え方を披瀝されておったということは十分承知しておりますが、この分野においては、与野党関係なく、引き継いでやっていきたい、こういうふうに思っております。

中谷委員 そこで、お伺いしますけれども、やはり一般職の公務員と違うわけですね。自衛官は全国各地、特に僻地で勤務をしておりまして、離島とかレーダーサイトのある山の上とか過疎地とか、そういった場所で生活をしている隊員と、東京・市谷、非常に便利で文化のあるようなところで生活をしている職員との処遇の比較であります。

 近年、諸手当の改正によりまして、これは一般の公務員と一律ではありますけれども、どうも、都市部、東京で働く職員の手当が増額をされて、その反面、寒冷地とか僻地の手当が減額をされてしまった。そうなりますと、地方で勤務する隊員の手取りが減ったということで、どうも、部隊の指揮官、隊長の管理職手当よりも市谷で勤務する職員の手当の方が高い。部隊の隊長というのは、部下の冠婚葬祭などによって、当然そのための必要経費というものがかかってまいります。今、自分の給料から隊員の結婚式のお祝いとかお葬式の香典とかを捻出しているのが実態であります。

 こういった地方の部隊で勤務する隊員、幹部の手当をもう少し充実してあげるべきではないかと思いますけれども、大臣はいかがお考えですか。

榛葉副大臣 中谷委員にお答えいたします。

 自衛隊では、離島を初めとした地方の現場の第一線部隊で隊員等が厳しい任務に従事しており、これらの隊員に対し適切な処遇を確保することは極めて重要であると認識をしております。また、先ほど委員から御指摘がございました、これら第一線の部隊等を指揮する幹部自衛官に対しまして、管理または監督の職責にふさわしい給与面での処遇を図ることも必要と認識をしているわけでございます。

 こうしたことから、第一線部隊等において過酷な任務や危険な任務に従事する隊員に対する手当や、管理または監督の地位にある職員に対する管理職手当について、毎年度予算要求の改善を図っているところでございます。

 私自身、先日、硫黄島の方に視察に行ってまいりまして、携帯電話の電波も届かない、メールもやることができないというようなところで働いていらっしゃる自衛官諸官の姿を見て、本当に何とかしたいという思いがございました。

 他方、そういった僻地でなくても、現場現場では、今委員から冠婚葬祭の話もございましたが、例えば地域でのおつき合いであるとか、そういった細かい面も大変御負担がいっているという点も事実でございます。

 こういった点につきましてもしっかりと対応できるように、鋭意努力をしてまいりたいと思います。

中谷委員 地方の部隊の視察、どうも御苦労さまでございます。

 本日も、業務仕分け会議というものが開催をされまして、防衛予算の人件費が議論をされるそうであります。確かに、聖域なく見直しをするということは必要なことでありますが、この防衛、安全保障は防衛計画の大綱や中期防で決まったことでありまして、特に自衛隊の定員は、陸海空二十四万人、陸上自衛隊は十四万三千人となっておりまして、やはり国防上必要だから、国が決めて定めている人員でございます。

 きょう議論をされるわけでありますが、現在の隊員の充足率、そしてこれらの充足を向上させることについて、大臣の見解を求めます。

北澤国務大臣 お話のように、人件費につきましては、関係閣僚会議でも、財務当局の方からかなり厳しい意見をちょうだいしながら議論をいたしております。私の力量でこれをはね返すことができるかどうか心配ではありますが、精いっぱいやらせていただいております。

 定数に対する充足率、これはもう既に経過は御存じだというふうに思いますが、極力高齢化を排除して、一線部隊に優秀な隊員が任務できるような体制をしっかり維持するように努力をいたしたいというふうに思っています。

中谷委員 本来、充足率を満たしていないということがおかしいわけでありまして、きちんと定められた定員の確保をすると同時に、なぜ必要かということをしっかり説明していただきたいというふうに思います。

 ところで、今回、鳩山内閣は、補正予算におきまして、防衛省要求の三分の一に当たる五百億円を返上いたしました。この中には、隊員の宿舎また事務所のある隊舎、庁舎などの耐震予算も含まれております。どうも、政府の官公工事をやめることが一つの目標になっているということでこの予算が返上されたと伺っておりますが、現在、隊員の官舎、宿舎等の耐震改修率はどうなっておりますか。

榛葉副大臣 事実関係でございますので、私からお答えをいたしたいと思います。

 二十一年十月十六日の閣議決定で、平成二十一年度第一次補正予算の執行見直しというものが行われました。ここで、自衛隊の隊舎等の耐震化対策にかかわる補正予算の約五億二千四百万円のうち、約五億一千六百万円を執行停止にしたところでございます。

 執行停止とした耐震化対策予算のうち、耐震診断及び耐震化対策のための調査経費として約四千万円を平成二十二年度概算要求に計上しているところでございますが、これに対しましては、安全性が極めて低いところからしっかりと、可能な限り早期に耐震化対策を図っていくように努力をしたいと思っております。

 また、比率等々でございますが、現在、全国の自衛隊組織のうち、新耐震基準の導入以前に建設された三階建て以上かつ一千平米以上の庁舎、隊舎等から優先的に耐震化対策を講じてきたところでございます。平成二十年度末現在で、庁舎、隊舎等四百八十一棟のうち三百四十五棟、約七割が耐震診断を実施しており、またそのうちの百七十六棟、約四割について耐震化対策が完了しているということでございます。

中谷委員 では四分の三はまだやっていないということで、自衛官にとってまさに生活、居住の場ということで、安全対策をしっかりすると同時に、災害等緊急事態におきましてはこの庁舎というのが防災拠点になるわけでありますので、それを踏まえて、こういうのは返上されないようにぜひお願いしたいと思います。

 そこで、来年度予算の話をいたしますけれども、一年間先送りということで、とりあえず来年のために、今、政府は防衛力整備のあり方を十二月中旬までに作成するとしておりますけれども、大臣、いかなる国際情勢、いかなる国内の防衛力の整備の考え方等で部隊の数とか装備の配備を考えるおつもりですか。

北澤国務大臣 来年度に大綱をしっかりつくるということの経過については、既にお答えもしております。

 そこで、我々といたしましては、来年度予算に向けて、鳩山内閣としての、どういう方針、基準というものを確立するかということでただいま議論をいたしておるところでありまして、関係閣僚会議も二回にわたって既に行われておりますし、連立与党の基本政策委員会も開催をいたしております。

 これに至る経過といたしましては、防衛省とすれば、見直しを早くして、防衛予算を国民に理解していただくような大綱、中期防をお示しするのがしかるべし、こういう提言をいたしましたけれども、余りにも日にちが足らないということで、ただいま申し上げたような経過になったわけであります。

 その中で、では、その方針の素案といいますか、素々案程度のものはどこが担当すべきかということでも議論をいたしましたが、防衛省がそれを担うということになりまして、防衛省が責任を持って提言いたしまして、それをもとに、総理から指示がありまして、関係閣僚会議でただいま議論をしている、こういうことであります。

中谷委員 防衛大臣は、政府で取りまとめをした有識者の懇談会による次期大綱の見直しのための提言はお読みになったとは思いますが、一体、国際情勢のどこがおかしくて、そしてどの点が防衛体制において納得いかないから先送りをするのか、我々は全く理解ができません。

 安全保障につきましては、継続性もありますけれども、思考停止とか手抜き、こういうものは認められません。現に、中国、ロシア、韓国、いずれも防衛費を増大させて、せんだっても中国は建国六十周年記念パレードがあって、天安門前の広場では相当近代化された軍事パレードが行われましたし、早期警戒機も購入をし、また空母も建設をされているという現状で、一年おくらせてもいいという発想は全くナンセンスであります。

 現状において、我々としては、精いっぱい検討し、積み上げてまいりました。それを全く見ようともせず、評価もせず、検証もせずに新たにやり直すという認識ではほかの国にますますおくれをとってしまうわけでありますが、前の政権でつくったからだめという認識で一年おくらせるわけですか。

北澤国務大臣 有識者による安防懇の中身について、十分かどうかはわかりませんが、承知はいたしております。

 先ほども御答弁申し上げましたように、来年度予算に向けての方針は防衛省が責任を持って素案をつくるということでありまして、この安防懇の中で出された提言は、さまざまな面で我々も多とするとの認識をいたしております。

 さらにまた、防衛省の幹部職員、それぞれ前与党の中で議論に参画をしていた者たちでありますので、その点についての我々政務三役との協議の中には十分にそういうものは反映されておる。

 委員がおっしゃるように、国防というものに空白期間をつくることは極めて国の安全のために避けなければならぬ、こういうことは私どもも十分認識をいたしております。ただ、我が国において本格的な政権交代が行われた鳩山内閣とすれば、まさにそういう重要案件であるだけに、新しい有識者会議を設立して、その中で鳩山内閣としての大綱をつくり上げて責任を果たしていきたい、こういう発想であることを御理解いただきたいと思います。

中谷委員 政権交代によって国防の体制とか外交、安全保障の力を弱めるということはあってはならないわけでありまして、政権交代があったからというのは全く理由になりません。現に、北朝鮮のミサイルにどう対処するのか、中国の情勢をどう分析するのかということを考えますと、今まさにやらなければならない事業や仕事がたくさん残っているわけでありまして、この点におきましては、直ちにしっかりしたものをつくっていただきたいということで、その認識をしっかり持っていただきたいというふうに思います。

 それで、今度は普天間問題に移りますが、先ほど佐藤議員の質問に大臣は、現行案を容認したことはない、辺野古のヘの字も言っていないよと発言をしましたけれども、本当にそれでよろしいのでしょうか。これでまた事態が混乱をすると思いませんか。

 つまり、これまで防衛省としては、組織として、沖縄県や米国に辺野古案での調整をしてきた経過がございます。そして、地元の名護の市長も苦渋の決断をいたしまして辺野古移設を受け入れてくれまして、市長が、もうこれ以上市民を翻弄しないでほしいということまで言っております。大臣のそのような当事者意識というか、国家の責任者としての明確な意思がないために地元はさらに混乱が続いてしまいますが、もうそろそろタイムリミットに来ているのではないでしょうか。

 というのは、概算要求が迫っておりますので、これらの経費の計上をしなければなりません。そのためには、トップの防衛大臣がまず決断をし、そしてその意思を国家国民、そして沖縄の人たちに説明をして伝えるという重要な職責があろうかと思いますけれども、この件に関しまして、大臣の認識をもう一回伺いたいと思います。

北澤国務大臣 この件は極めて重要な問題でありまして、総理がたびたび発言しておりますように、最終的には私が決定をいたしますと、それだけ大きな決意と重い課題の認識を持っておられるわけであります。

 その中で、実務を担当する防衛大臣の立場として、前政権が合意した日米案を前提にして作業を進めますよと私がもし発言したとすれば、これは、総理がみずから決めるということとも反しますし、慎重な中にも慎重に検証していくという姿勢からも外れるわけであります。この検証をなぜ我々が一生懸命しなきゃならぬかということになれば、これは、前政権で合意をしたその経過について、国会の中でも我々野党に対して内容の開示が極めて少なかったということにも起因するわけであります。

 ただ、委員がおっしゃるように、時間的な制約は極めて厳しいものがあるということは十分認識をしておりますので、鋭意努力をいたしております。

中谷委員 そうでしょうか。私は、大臣、特に防衛大臣というのは国の安全保障、防衛の責任者でありまして、やはり言うべきこと、そしてやるべきことがあれば首をかけて総理に進言をし、そして決断を迫らないと、この任務というものは全うできないと思っております。

 というのは、日米合意でも言われましたが、アメリカの方はもう既に日米合意の履行を強く求めていますし、現に、沖縄の各市町村、自治体におきましても、これまでの政府の要請に従って苦渋の決断をいたしまして、その手順によって作業は進んでおります。現に、埋め立ての工事も、もう既に沖縄から返事が返っていまして、それに対して政府がこうですよと言う番でありますが、ここで発言をしないと来年この作業にはかかれない。つまり、二〇一四年の期限がおくれてしまって、グアムの移転もどうなるかわからない。

 そうなりますと、今、名護市の市長選挙が行われておりますが、もしこれで移設反対であるという市長が誕生したら、防衛大臣としてどう責任をとられますか。つまり、名護の市長選挙において、現職の市長さんは推進するべきだということで今主張されていますが、この現職の市長さんに賛同して、市長さん頑張れという形で応援をされるかどうか、大臣に伺いたいと思います。

北澤国務大臣 私が自分の意思を表明しないというのは、鳩山内閣にとって極めて重要な課題であるからということでありまして、私が総理に私の考え方を示していないということではないわけであります。また、岡田外務大臣とも再三にわたって協議をしておるということは御理解いただきたいと思います。ただ、私が総理とお話をしている内容を公に申し上げることは控えているという意味で申し上げていることを御理解いただきたいと思います。

 さらに、市長選の問題でありますが、我々が極めて慎重なのは、総理が市長選についても、また知事選についても言及しているのは、私は、極めて大きな枠の中で沖縄の問題を見ていると思っています。

 仮に、今お話にありましたように、賛成市長がいるからその任期のうちに駆け込みでやってしまえといって、その後の市長選で反対の市長、あるいはまたそのさらに後で反対の知事が誕生したら、駆け込みでやったことが実現できなくなる。また、我々とすれば、沖縄の市民、県民の意向が今委員が言われるようにもし推測ができるとするならば、その推測を無視して駆け込みをするというのは、政治判断としては極めてひきょうなことではないかなと思います。

中谷委員 仮に、では地元で反対の市長が当選をしてしまったら、もう基地移転はできないということになってしまいまして、普天間の移転は振り出しに戻ってしまいます。そうなりますと、当分この普天間基地の騒音問題は解決ができないということになります。

 我々は、前政権ですけれども、それぞれ苦労しながらここまで積み上げてまいりまして、あとは政府が沖縄に対して答えを出せば、それによってまた一つ事業が進むという段階でありますが、仮に市長選挙で推進派の現職が負けてしまいますと、これは一からやり直しということで、結果的に普天間の基地がずっと残るということになりますが、大臣はそういう場合には責任をお感じになられないということでございますか。

北澤国務大臣 たびたびでありますけれども、これから行われる市長選について、どっちが勝つ、どっちが負けるというようなことをこの場で長く議論するのは無礼に当たるというふうに思いますし、また政治的にも極めて妥当性を欠くのではないか、こういうふうに思っております。

 したがって、ただいまの御質問に対して、私の方から責任をとるとかとらないとかということは、私の立場で発言すべき話ではないというふうに思います。

中谷委員 沖縄の県政、市政の問題でありますが、これは防衛問題もしっかり絡んだ問題でありまして、事この問題は、国家の問題なんですね。地元に判断を求めるというやり方ではなくて、国家としてこうなんだという姿勢を示した上で、地元の皆様方に、判断をし、御理解をいただくのが筋でございまして、国家自身がこのような優柔不断な態度で、いかにしてこの日本の国の防衛というものは成り立つんでしょうか。

 やはり国家にとって必要なことはきちんと正直に述べて、その上で国民や沖縄県民の理解を伺うのが筋だと思いますが、大臣は、その国家としての責務を果たさなければならないという認識はお持ちですか。鳩山内閣云々の問題じゃありません。日本の国家にとって大事な問題という認識はございますか。

北澤国務大臣 私の立場とすれば、十分承知をしておりまして、殊さらそのことで声高に言われる筋はない。

 ただし、我々が、国家の大切な防衛の問題だからこう決めますよということを頭越しに沖縄の皆さん方に申し上げるということはいかがかと。あくまでも国民、県民、市民の意思というのは政治の根幹でありますから、そういう意味において、我々は今、前政権が決めた日米合意のほかに、沖縄の皆さん方ときちんと折り合いのできるような新しい道がないかということで、短い期間ではありますが、ちょうどきょう帰ってまいりますが、昨日、一昨日と事務方が日米で協議もいたしておりまして、この帰国後の報告を受けながら、関係閣僚でしっかり協議をしてまた日米のワーキンググループに臨みたい、こう思っております。

中谷委員 別に、頭越しに決めろとは言いません。これはやはりルールに従って、手順に従って作業を進めていただきたい。

 つまり、基地の移転につきましては、もう既に環境調査というものは防衛省挙げて実施をしまして終わっておりまして、沖縄からの御意見を聞いた上で政府として最終的な判断を示すというのがちょうど今なんですね。

 これをやり直すとなりますと、例えば基地の変更で、埋め立ての一〇%以上の変更をする場合は、また二年かけて環境調査をやり直さなければなりません。つまり、五十メートル以上の修正というのはなかなか、こういった日本側の問題もあって、非常に事態をおくらせるだけの結果になってしまいます。

 大臣として、アメリカに防衛局長を派遣して協議をしていますが、こういった問題について、今の現行案を多少修正するという以外に解決の道はないと私は思いますが、何かほかに検討されていることはありますでしょうか。

北澤国務大臣 この日米の合意に基づく全体の計画については、一部、例えばキャンプ・シュワブのところでも既に建築工事が始まっていますし、また岩国もしかり、厚木基地からの移動、そういう現に進行している部分もあることは委員は十分御存じだと思いますが、事の一番は、普天間の飛行場が返還されるということ、そしてその代替施設がどこに行くべきかということであります。ここのところで新たな道を今探っておるということでありまして、今私がこういう案がありますよということをここで申し上げることについては、御遠慮させていただきたいと思います。

中谷委員 非常に調整をしてここまでやってきたわけでありますので、ここでいろんな案を提案すると、かえってそれが複雑な展開になります。この日米の合意の中には、米国側のメリットだけではなくて日本側のメリットも入っていまして、例えば航空自衛隊の飛行において、那覇飛行場が非常に混雑していますので、嘉手納においての離発着も盛り込まれていますし、陸上自衛隊が訓練をキャンプ・シュワブ近くでやるということも盛り込まれております。こういったことがパッケージで物事が進んでおりますので、余りこういったことを中止したりやめるということは、自衛隊にとってもよろしくありません。

 先ほど、官邸でいろいろ検討をしたとお話を聞いていますが、航空自衛隊のこの嘉手納の使用につきましては、変更されるおつもりはあるんでしょうか。

北澤国務大臣 そのことも含めまして今検討をいたしておりますが、実は、もう大分月数がたちますけれども、私は、今回の日米合意について、普天間基地が返還される、嘉手納基地以南が返還される、さらには北部の訓練場が半減されるということと、それから八千人のグアムへの移転、これを実行するのは大変成果の上がることだ、まずそこのところをしっかりとらえてさらに新しい道をという、記者諸君との話をいたしましたら、ひどくしかられました。そういうことを前提にして合意案を実行するのかといってしかられましたが、私は全く、それだから合意案を実行するのではなくて、合意案の中にも沖縄の軽減ということにおいてはかなり大きなものがあるということを発言したんですが、やはり沖縄の皆さん方のお気持ちは、私が筋道立てて話したつもりでも大きな反響が出るということを実感いたしました。

 そういう意味において、今協議していることの中身についてはぜひ御理解をいただいて、もうしばらく推移を見守っていただきたいと思います。

中谷委員 防衛大臣がお願いしなくて、一体だれがお願いできるんでしょうか。やはりこういった問題は、米軍だけでなくて、我が国の防衛、特に九州の南西海域といった陸海空自衛隊にとっても大変大事な問題で、これをぜひまとめてほしいというのが防衛省の職員の総意でありますので、ぜひ、そういう国防の見地から、防衛大臣みずからが決断をして、お願いする立場になってほしいと私は思います。

 最後に、インド洋の派遣等でせんだって新しい艦艇が出港いたしましたが、大臣、土曜日だったと思いますが、見送りをされなくて非常に残念でございました。ただ、隊員は、本当にこの期間、国を代表して一生懸命任務について、誇りを持って、これは大変重要な行為であると認識をしておりますので、ぜひ、この活動をもし終えるとしたら、最後には、よくやった、非常に重要な仕事をしてくれたということを言ってほしいと思いますが、その点を確認して、終わらせていただきます。

北澤国務大臣 私は、政策として決めたことと、任務につく自衛隊員の職務に精励したこととは厳密に分けておりまして、つい先日も任務を終了した幹部職員と大臣室で懇談をいたしました。たびたびそういうことは実施しておりまして、中谷委員の体験からもそういうことは大切だという認識は、私も引き継いでおるわけであります。

 先ほど、防衛省の職員の総意をということで御発言をいただきましたが、防衛省の職員の総意をまとめるのは防衛大臣としての私の務めでありますので、御承知おきをいただきたい。

中谷委員 ぜひ、心からお願いしたいと思います。

安住委員長 次に、福井照君。

福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。

 本日は、人勧関係の法律の審議でございますので、大臣の組織管理上、人事管理上の基本的スタンスを伺わせていただきたいと思いますが、冒頭に、連日新聞をにぎわしておりますし、国会の会期もあと金曜日と月曜日ということになりますので、ちょっと大臣の御感想を聞かせていただきたいと思います。

 十一月二日の毎日新聞で、鳩山総理の売却した株式について、七千二百二十六万円の所得を税務申告していなかったというふうに報じられたことを受けて、いろいろ国会で自由民主党の同僚が御質問させていただきましたが、その株の取引問題の端緒になったこのお金の所得申告漏れのもととなった売却された株式の銘柄等々につきましてはまだ明らかになっておりませんし、きょうまた、産経新聞をちょっと読ませていただきますと、友愛政経懇話会をめぐる偽装献金問題で、任意の事情聴取に対し、鳩山氏の実のお母様から資金提供があったことを認めた上で、参考人聴取について慎重に検討しているというようなこともございました。

 今まで総理は自分のお金だということでおっしゃっていたわけですけれども、もしお母様からのお金だったら、贈与税、相続税、その他国へ支払うべき税金、あるいは政治資金規正法上の問題があるわけでございますけれども、もちろん御本人じゃございませんので、今こうやって毎日、新聞紙上をにぎわしているということにつきまして、内閣の一員、枢要なポストでいらっしゃる大臣として、まず御感想を聞かせていただきたいというふうに思います。

北澤国務大臣 一部報道でそういうことが報じられているということは承知をいたしておりますが、それが真実であるのかどうかも含めて、私が論評する立場にはない。感想を求められた総理自身がびっくりしているのに、他人の私がびっくりを二つ重ねても、コメントの出しようがないところであります。

福井委員 当然のコメント、御答弁だと思いますが、またあした、船舶検査法の問題で国交委員会で御質問させていただきますので、出たらまた同じことを聞かせていただきますので、ちょっとまた一日考えていただきたいというふうに思います。

 それでは本論に移りますが、私は公務員の味方をしておりまして、いわば抵抗勢力で、時代に廃れる直前の姿だと思います。しかし、時代認識、歴史認識を大臣に伺いたいんですけれども、歴史は繰り返す、神が時代に織り込んだメタファーだと思うんですけれども、ちょうど八十年前の一九二九年、昭和四年の世界同時大恐慌の後、政治が混乱をしまして、当時大連立になったわけですけれども、その前に、本当に選挙にかかわる、要するに政治が選挙一〇〇%になったわけです。

 知事を勝手にかえたり、それから警察の長官をかえたりしてまさに混乱をしたので、それで、五・一五が終わった直後に、革新官僚という言い方もありますし、改革官僚という言い方もありますけれども、いわば横ぐしの、各省庁の省益じゃなくて、この日本を国士として大改革するんだということで官僚集団が生まれたんですね。当時、通産省時代の岸信介さんを初めとしたいろいろな方が昭和十五年体制をつくりました。昭和十五年体制があったので、あの戦後の大躍進があって、要するに国民全体として一致団結してお国を再生するんだということができたわけです。

 それで、時代は繰り返すという意味は、まさに当時の与党が、自民党も含まれていましたけれども、国家公務員法の改正案を出して、国家戦略スタッフというのを、各省庁から選ばれた人、そして政治家もなれますけれども、国家戦略スタッフで、その横ぐしのまさに昭和十五年体制をつくった革新官僚、改革官僚に相当するような、もっとすごい制度を考えていまして、それはもちろん流れましたけれども。

 今、行政刷新会議と国家戦略局をつくっていただいて、本当に国民の一人としては感謝しているんです。ですから、本当に期待したいんですね。本当にこれから五十年間、百年間、日本が国際社会で生き抜いていけるような、そういう日本の組織とかあるいは法律とかをこの国家戦略局で考えていただきたいなというふうに思います。

 今何を言っているかといいますと、防衛省からも国家戦略局に行くような、横ぐしの、志の高い、そういう人をとにかくもっと出さないといけないと思うんです。もちろん、政治家もなれますし、行政マンもなれますよね。今、もとの省庁に帰ることもできるし、民間もなれるしということになっていますけれども、しかし、防衛省で例えば二十年、三十年勤めて、そして国家戦略局に勤めて、もう帰らなくていい、もうここで命を落としてもいいと思うような覚悟でこれからの日本の体制をつくるんだというような人を、ぜひ北澤大臣のリーダーシップのもとで、今の体制でリードしていただきたい、志高い人をもっとつくっていただきたいというふうに思います。

 どうですか、歴史は繰り返すという歴史観はもちろん共有するものじゃないと思いますけれども、今、大臣として何万人もの人を率いておられて、そのリーダーとしての感想も含めて、国家公務員のあり方、そして組織管理のあり方、人事管理のあり方、それこそ御感想を、そして今の、これからおれはこうやるんだということ、目標がございましたら、ちょっと御紹介いただきたいと思います。

北澤国務大臣 昭和の歴史からひもといてのお話であります。

 私は少し認識が違いまして、昭和の前半は、司馬遼太郎さんの言をかりるわけではありませんが、近代国家をつくり上げた明治の人たちの思いを昭和の初期に全部台なしにしてしまった。そのときに、日本の昭和の初期の政治体制の中で、革新官僚が果たした役割は私はゼロとは言いませんけれども、しょせん彼らも最後は軍部の流れの中に巻き込まれていって、最終的には三百五十万人もの国民が犠牲になるという大変悲惨な、国家存亡の危機というところまで陥ったのではないかというふうに思います。これをしっかり踏まえて、戦後の復興を果たしたわけであります。

 そういう中で、防衛省の職員に対しての言及もありましたので、申し上げさせていただきたいと思います。

 防衛省は、今、二十五万人の体制で自衛隊はやっておるわけでありますが、その中の幹部自衛官は、ほぼ防衛大学を出た人間が相務めているわけであります。

 この防衛大学がどういう形でできたかといえば、米軍から、幹部自衛官、当時は自衛官ではありませんが、幹部の軍人を育てる学校をつくれと言われて、吉田総理が悩んだ末に小泉信三さんに相談をして、これに値する人材を紹介してくれ、こう言われて、槇校長が初代校長になったというふうにお聞きをしております。槇校長に対して吉田総理が言ったことは、まだ終戦直後でありますから思いも強かったと思いますが、軍人の基本的な養成の根底は、下克上と独断専行、この二つを戒めるような教育をしてほしい、こういうことを要請されたというふうに伺っております。槇校長がそれを体して防大の皆さんに示した教育の根幹は、服従の誇り、こういうことを言われたそうであります。

 私も、今の五百旗頭校長とお話しする中でそういうことをお聞きしまして、いささかの書物を読ませていただいて大変感銘いたしておりますので、国家の帰趨にかかわるようなところへ実力部隊の幹部が参画することは慎むべきだ、こう思っています。

福井委員 いいお話をいただきまして、ありがとうございました。

 それで、今大臣のお話を聞いて思い出したのは、国家公務員法の全体の奉仕者という言葉ですね。

 もと、GHQの言葉は、サーバント・オブ・ホール・コミュニティーなんです。ノット・オブ・エニー・スペシャル・グループスということになっているんです。だから、ホール・コミュニティーという言葉、もちろん前の憲法の天皇の官吏ということじゃなくて、国家国民全体というのを、国民とか国家という言葉を省略して全体という言葉しか使っていないんですね。全体の奉仕者が国家公務員であるということなんです。

 これは戦後の我が国にインプリントされたいわばミステークといいましょうか、全体としか言っていないので、今まさにおっしゃった、犠牲を払ってでも国家に仕えるとかあるいは国士的な考えとか、そういうものがひょっとして捨象されてしまったんじゃないか。ホール・コミュニティーという言葉に対応する言語として全体という日本語しかやっていなくて、だから、国家全体とか国民全体とかあるいは国益とかいうところにストレスを置いていなくて、今の民主主義が六十年間続いてきたんじゃないか。

 せっかく今大臣がいいことをおっしゃったので、今、何を言っているかというと、給料を下げるわけですよね。ですから、コンペンセートしないといけないので、モチベーションを上げないといけない。ですから、二十五万人の皆さん方は、おれはこういうふうに考えているんだということで、今は少し我慢していただきたいんだけれども、皆さん方の志はこういうふうにわかっているんだ、おれについてこいというふうにおっしゃっていただきたいわけです、今からもその質問を重ねますけれども。

 そのときに、国家公務員の基本である、憲法上、国家公務員法の全体の奉仕者という言葉の解釈について、もちろん、だから僕の個人的な解釈は、全体としか言っていないがために、そういう国益的なこと、国士的なところが捨象されたんじゃないかという意識を持っているわけです。そうでないということだったらそれでいいんですけれども、今せっかく防衛大学校のお話をされたので、そこのところをちょっと、戦後の国家公務員像について大臣の所見を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 お気持ちはよくわかります。

 私は少し世代が古いので、私の感覚からすれば、全体の奉仕者というよりは、我々が公務員に持っていた基本的な気持ちは、公僕という認識であります。国士のような意識で仕事をする前に、まず公僕であるべきだというふうに思います。その仕事の中で国民の幸せのために主張をしていくということは極めて重要な、委員がおっしゃるとおりのことだというふうに思います。

 ただ、そこで、自衛官までその中に入るかというと、これはそういうことではなくて、本人がおいでのところで恐縮ですが、中谷委員は自衛官の幹部として体験をされて、私は議論をお聞きしておりますと、かなり抑制的に主張されておられるように思います。私は、そういう意味では、今の自衛官というのは健全だなと。しかし、どこにも鬼っ子というのはいまして、この間の空幕の田母神さんのような人もたまには出てくるので、さらに戒めていかなきゃいかぬかな、こういうふうに思っております。

福井委員 大臣の危機感からいうとすごいレベルが低い話ですけれども、私も、建設省で阪神・淡路大震災のまさに直後の復興時から行きまして、システムというものが世の中にないんだと実感しました。手の届く範囲内、声の届く範囲内でしか人々を助けることができないし、そして道路や河川の復旧もできないしと実感しました。

 それと、もう一つ感想は、やはり日ごろの頭の訓練、図上であろうが頭の中だけであろうが、どういう危機が重なって起こってもこういうふうに対処するという演習をしておかないと、頭の体操をしておかないと、なかなか瞬間的な判断ができないなというふうに思いました。政治の本質というのは、とにかく、その起こった瞬間に、逃げろとかそこにいろとか、瞬間的な命令を人々に出すということだと思いますね。

 ですから、大臣、まさに現場におられて、三百六十五日、二十四時間、これからずっと緊張していただくわけですけれども、この数カ月間でどんな演習をされて、どういう頭の体操をされていたのか。言えない話の方がもちろん多いと思いますけれども、若干そこを紹介していただいて、国民全体も、そして二十五万人もぜひ大臣についていきたいと思わず思わせるような名答弁をお願いしたいと思います。

北澤国務大臣 大臣に就任しまして第一に感じたことは、二十四時間連絡が入ってくる。つい先ごろの「くらま」の衝突事故もそうでありますが、あれはまだ八時ぐらいでありましたから対応できますが、夜中に六本木で隊員が捕まったとか、さまざまな連絡が入ってまいります。そういう意味においては、大変な緊張感を持ってやっております。下世話な話で恐縮ですが、私は結構酒をたしなむ方でありますが、量は控えなきゃいかぬということは、まず、わかりやすく言えば、実感をいたしました。

 それから、多分お尋ねなのは、質問通告の中にもありましたが、危機、例えばハイジャックの話もありました。このときに、防衛省の中でも議論をしたんですが、もちろん官邸に危機管理センターが立ち上がります。一方で、防衛省の中の地下に指揮所がありまして、これは浜田大臣も何か悩まれたようで、悩まれたというか、むしろ主張されたようでありますが、防衛大臣はどっちに行くべきかと。当然、官邸の方へ行くのは義務づけられておりますが、官邸へ行っていても、では防衛省の地下にある指揮所でもってだれがこれを指揮するのかという話になってくるわけであります。浜田大臣は、お聞きするところによると、おれは官邸へは行かぬ、ここで指揮をとると。これも一つの見識だと思います。

 しかし、基本的な指示が総理のところからおりてくるものをその場にいて生で聞いて指示をするのが妥当なのか。ここのところは、専門家でもありますから、また御意見も拝聴していきたいというふうに思いますが、この辺は、まだ我が防衛省の中でもどっちかということを結論づけるところに至っていない。ここは、私の考え方として、早急にやりたいと思っています。

福井委員 役人もずるくて、普通、日常で起こる問題は役所、役人が判断できるんですね。役人が判断できるものよりはるかに難しい問題があります。例えば、ANAかJALかが羽田から出た、それでハイジャックされた、明らかに新宿の高層ビルかこの国会に向かっている、それを撃ち落とすかどうか、自衛隊機はもうそこにいる、それを命令できるか。命令しても命令しなくても地獄なんですね。そういう判断を一億二千七百万人が大臣、副大臣、政務官にお任せをしているわけです。

 ぜひ、そういう図上演習をして、頭の体操をして、そして覚悟を決められるように、そして瞬間的な判断ができるように、来年また機会がありましたら御質問させていただきたいと思いますので、演習方よろしくお願いしたいと思います。

 それで、給料の話になりますが、職員管理上、自衛隊あるいは防衛省に、一体どういう職種で、何人入って、普通の役所でしたら大体三十年とか三十五年とか平均サービス年数があるんでしょうけれども、防衛省・自衛隊においてはどんな状況になっているのか、ちょっと具体的な数字を教えていただけたらありがたいです。

楠田大臣政務官 さまざまな職種があるわけでありますが、まず自衛隊の教育の部分で答えさせていただきますと、陸上自衛隊の十一の職種学校、また海上自衛隊は四つの術科学校、また航空自衛隊は五つの術科学校及びその他の基幹部隊等においてさまざまな技術教育や専門教育を実施しているというところであります。

 職種別の人員数ということのお話もありましたけれども、この点においては、過去の答弁においても、防衛力の詳細を明らかにするという点でもありますので、支障を及ぼすおそれもあるということで、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

福井委員 限界ですからそれはしようがないのでございますけれども、一つ御紹介したいのは、キャリアカウンセラーという職種が最近日本でできまして、自慢じゃないですが、予算委員会でキャリアカウンセラーのことについて質問したのは後にも先にも私だけでございまして、二〇〇〇年初当選ですけれども、そのときは一人もいなかったんです。労働省を呼んだらそれは文部省だ、文部省を呼んだらそれは労働省だといって、全く日本政府として相手にしてくれなかったんですけれども、小泉構造改革で五年で五万人つくるということで、やっと今五万人になったんです。

 例えば、アメリカの高校には三種類のカウンセラーというのがいて、理科、数学がわからない人にアドバイスするアカデミックカウンセラーというのと、それから心のカウンセラー、それからもう一人、キャリアカウンセラーというのですね。キャリアというのは職業とか人生全体とかいう意味で、職業をどう選んだらいいのかと自分自身に問いかけるときに助けてあげるカウンセラーですね。自分自身を見詰めるカウンセラーが今、日本で五万人できました。だけれども、どこにいるのかというと、普通の会社にいないんですね。普通の学校にもいない。ハローワークにしかいないんですよ。

 それなので、先ほど数字は教えていただかなかったんですけれども、自衛隊員にも防衛省の職員さんにも、モチベーションをさらに高める意味で人生計画というのをやはりきちっと立てていただかないと、これだけ役所をいじめられて、政治主導と言われて、やる気にならぬわけですよね。

 ですから、防衛省をどうしても目指したい、防衛省で日本を立て直したいというふうに思う、そして六十歳まで、五十五歳でもいいです、そのサービスをして、そしてその後もこういうところで力の限り働けるというような計画をつくることを助けるカウンセラーというのは省内に要るんですね。それは、事業仕分けにかかったらそんなもの要らぬと言われるに決まっているんですけれども、省内に要るんです。絶対に必要なんです。

 それはどうしてかというと、移動が盛んだから。移動が全くないところだったら要らないんですけれども、もし、三十代、四十代で別の会社に移りたい、あるいは別の役所に移りたいというようなことがあったら、それを助けてあげる人がいたら安心できるわけです。

 そういう装置として、そして人生計画をつくる装置等があればモチベーションがさらに高まるというふうに思いますので、今のところ、いらっしゃるかどうか存じ上げないんですけれども、いらっしゃるかいらっしゃらないか、あるいは使うつもりがあるかないか、簡単に五秒で答弁してください。

楠田大臣政務官 ちょっと五秒を過ぎるかもしれませんが、自衛隊は特に若年定年制であるとか任期制という制度もありますし、まさにキャリアカウンセラーの制度というのは、適用するのは重要だと考えております。その中で、特に陸上自衛隊においては、平成十六年度からこの取得を開始させて、現在までに九十名が資格を得たところであります。

福井委員 ありがとうございました。

 あと五分しかないので、事業仕分けのことについてどうしてもお伺いさせていただきたいと思います。

 私自身も、そして自民党のある部会でも勉強したんです。無駄とは何か。

 ムダどり学会というのがありまして、無駄を取る学会というのがあるんですよ。その主宰者は、複雑系の数学者で、渋滞する、渋滞して突然車がぴたっととまるというのは、マイナス四度の水が突然氷になるのと同じ相転移なんですね。液相、固相という相ですね。相が突然転移する相転移と同じ現象であるということを看破した数学者と、工場をずっと実地に回って、リストラして、その工場の無駄取りをして生産性を上げるという、いわば職人さんですね、数学者と職人さんがコラボレーションしてムダどり学会というのをつくって、そしてありとあらゆる実体験をして、極意の結論に至ったんです。

 無駄取りの極意とは何か。それは、すべての人間を生かし切ることだ。いいでしょう、これ。すごくいいんです、特に地方の私にとっては。すべての人間を生かし切ることだ。だから、無駄な中山間地帯などどこにもない、無駄な人間なんかどこにもいない。もちろん、二・六・二の原則もあります。だから、余り働かない、サボっている二割の人も必要なんですね。無駄じゃないんです。すべての人を使い切ること、これが無駄取りの極意であるというのが結論なんですね。それが一つ。ちょっと頭に入れていただきたい。

 それから、私、町づくりとか道路づくりとか河川づくりをしていて、まず現場に行って教えられるのが、例えば、今ダムがとめられていますけれども、川に行ったら、川の相があるから、川の相を見なさいと言われるんです。人相、手相の相です。つまり、洞察力が必要だということですよね。都道府県のダムだったら都道府県知事が、市町村の道路だったら市町村長が、それぞれ地相を見て、そして人々の人相を見て、そして川だったら川の相を、総合的に全人格をかけて洞察して、この道路が必要か、この河川が必要か、どういう河川整備をするかということをまさに総合評価するんです。

 今事業仕分けをしている物差し、これは一体何か。まさにマネータームのBバイCでしかすぎないわけですよね。きのうやられた、おとといでしたかやられたのをちょっと後で御紹介していただきたいと思うんですけれども、その物差しが間違っているということをぜひ大臣からも言っていただきたいと思うんです。私たちも間違ったことが一回ありました、三位一体のときに。自民党の各部会ごとに、私たちはこれだけ削減しましたということを、当時与謝野政調会長でしたけれども、争ってやったんですね。

 ですから、私に言わせれば、今やっていることは主計局ごっこです、主計局ごっこ。人民裁判とは言いません。公開処刑とも言いません。ごっこです。だって、ずっと自民党でいらっしゃったころ、最終、八百億ぐらいですよね。最後のプラスするのを大蔵省が政治家にやらせた。

 今、やはり同じように、マイナスですけれども、それは一兆、二兆とけたが上がっていますけれども、そこのところをいわば政治家にやらせている、仕分け人にやらせているというふうにしか私には見えないわけです。しかも、その物差しが単一スケールですね。BバイCでしかはかれないようなことで判断しようとしている。

 しかし、私たちは政治の本質を知っている。政治の本質とは洞察力であり、そして総合評価であり、そして歴史観であり、総合的なもっと深い価値基準であるはずなんです。今まで六十年間ずっと国家公務員がやり過ぎたから、例えば治山治水だって役所しかしていなかったから、こうやってダムの問題も政治の世界で議論しなかったから、いわば霞が関が永田町をスポイルしたという認識がありますね。ですから、今はいいんですよ。だから、そうやって政治の世界で、総合評価とはいかなることか、そして評価した結果として予算はどうあるべきか、制度はどうあるべきかというのを今議論しているというのは非常にいいことだと思います。

 もう時間がなくなってしまいましたので、済みません、政務官、御答弁なしで。大臣に、今行っている事業仕分けの物差し、価値基準と、あるべき価値基準、本当に個人的な、それを総理大臣におっしゃっていただきたいとは言いませんから、ここでおっしゃれる範囲内で結構ですから、そこのところをちょっとお述べいただきたいと思います。

北澤国務大臣 福井学説をこれ以上聞いておりますと、私も危険な発言をしそうでありますので気をつけたいと思いますが、まことに傾聴に値する御意見でありました。

 私は長いこと国土交通委員会にずっと所属しておりまして、国土交通委員会で省庁のいろいろなお役人さんとつき合ってきましたが、福井委員とお行き合いできなかったのは極めて残念で、このような世界に来ないで、ずっとあそこでいて陣頭指揮をしていただければ国土交通省も未来が展望できたんじゃないかと、今残念な思いをいたしております。

 今のお話は、場合によっては、無駄の極意を政権与党で一度御講演いただければ、ある程度の成果が上がるのではないかと思います。現在進行しております行政刷新会議については発言をちょっと控えさせていただきたいと思います。きょうは本当にありがとうございました。

福井委員 終わります。ありがとうございました。

安住委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 きょうは朝から議論が大分盛んに行われまして、私の質問の始まり時間ももう十二分、予定の時間表よりもオーバーしたところから始まっておりますので、なるべく皆さんのために時間は短縮努力をして質問させていただきたいと思います。

 そこで、順番を変えて、法案に即しては後ほどしっかりとやらせていただくとして、先ほど少し聞きかけたんですが、ほかのテーマでもやはり鳩山新政権の物事の考え方、政策の考え方ということについて、きょう一つだけ確認をさせていただきたいと思うんですけれども、武器輸出三原則についての鳩山政権の考え方を伺っておきたいと思うわけであります。

 ぜひ、北澤大臣、武器輸出三原則というのは歴代、これは自民党政権が長かったわけですけれども、しかし、歴代政権の政府の方針で、またきちっと遵守されてきている、そういう考えが今までの政府の中にはあるわけでございますが、鳩山新政権にかわって、武器輸出三原則を中心とした武器輸出の考え方というのは遵守される意向なのかどうなのか、まず伺っておきたいと思います。

北澤国務大臣 具体的なものについてまだ議論をする段階には至っておりませんが、総理から特段の御指示はございませんけれども、今、閣議あるいは閣僚懇でいろいろ議論している中では、この三原則は厳守していく。

 ただ、委員も御案内のように、佐藤内閣でこれが閣議決定をされて以来、たびたび、個別事案については例外措置をとってきたということもあります。それからまた、現在の財政事情から、防衛装備について極めてシビアな物の考え方ができている中で、効率的な装備の購入とか、そういうことに関して言えば、いろいろと議論の余地はあるのではないかというふうに思います。ただ、守るのかと問われれば、そのとおりであります。

佐藤(茂)委員 それで、佐藤内閣の次の三木内閣でさらに厳格化されて、その上に立っての、今、北澤大臣が言われた、個別の案件ごとに例外も認められてきたという部分があろうかと思うんですね。

 そこで、きょうお聞きをしたいのは、これは一般紙の報道ですが、ゲーツ国防長官がお見えになったときに、十月二十四日、その後の一般紙で、北澤防衛大臣との会談で、ミサイル防衛、MDに関して、日米両政府が共同開発している海上配備型迎撃ミサイル、これは専門的にはSM3ブロック2Aというんですけれども、これをヨーロッパなどの第三国へ供与できるよう対応をゲーツ国防長官が求めていたことがわかった、複数の日米外交筋が二十三日、明らかにしたという報道があるわけでございます。

 まず事実関係として、北澤大臣、ゲーツ国防長官からこの報道のとおり要求されたというか対応を迫られたのか、これは事実かどうか、まず御答弁いただきたいと思います。

北澤国務大臣 お答えをいたします。

 ゲーツ長官との会談の中でこの問題が提起されたことは事実であります。

 そういう中で、ゲーツ長官からは、ミサイル防衛の分野における協力は日米関係における成功例だ、こういう発言がありました。さらに協力関係を発展させていきたいという旨の発言もございました。日米のBMD協力の重要性については、そういう意味で、認識が一致したところであります。

 しかし、さらに詳しい内容については、米側との関係もありますので、この場での発言は控えさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 それで、このブロック2Aというのは日米間で共同開発してきたわけですけれども、アメリカはこれを二〇一八年、平成三十年から配備する計画を持っておられるんですね。さらに、今に始まったことではないんですが、アメリカはドイツなどのヨーロッパ諸国への供与も視野に入れている、そういう報道もあって、多分、ゲーツ国防長官はそういう発言をされたんだと思うんです。

 先ほど、武器輸出三原則について、例外的に個別の事案について認めてきたというBMDの部分については、一六大綱、今の新防衛大綱を定めるときの内閣官房長官談話、その後の、まさに今言いました新しい、能力向上型迎撃ミサイルに関する日米共同開発に関する内閣官房長官談話、これは平成十七年の十二月二十四日ですけれども、そのときに二年にわたって明確に言われたのは、迎撃ミサイルを共同開発、生産する場合に武器輸出三原則の適用対象から外すと発表されて、ただし対米供与に限り容認するんだ、そういう趣旨のことを内閣官房長官談話では言われたと思うんですね。その上で、翌年には、六月だったと思うんですが、日米交換公文で、日米の事前同意のない目的外利用や第三国移転を禁止、そういうふうに明記されているし、厳格な管理を取り決めた、こういうふうになっているんです。

 これから、ゲーツ国防長官との一回目の会談でそういう話が出てきたことを考えますと、仮にアメリカが今後求めてきた場合に、今の内閣官房長官談話までの範囲でいくとアメリカ以外の第三国への供与というのは認められないことになるんですけれども、そういう御認識を北澤大臣は持っておられるのかどうか、見解を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 ゲーツ長官の発言は、欧州における米国のミサイル防衛システムに対する将来の政策を示したものでありまして、そういう意味からいきますと、大変恐縮ではありますが、そういう仮定を前提にしてどうするんだと言われて私の立場でお答えすることは、ちょっと控えさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 ですから、将来、二〇一八年ですから平成三十年であることは間違いないと思うんですけれども、そうすると、今の話というのは、その段階になると、今までの武器輸出三原則についてさらに例外的なことも考え得る、そういう答弁だというように受け取ってもよろしいんでしょうか。

北澤国務大臣 佐藤委員がどういう趣旨で今そういうなぞかけめいた御質問をされるのか理解にちょっと苦しむところでありますが、あくまでも、SM3ブロック2Aの第三国への供与、これに我々が今の時点でコミットするということはないというふうに……。

 ただ、先ほども申し上げましたように、厳しい財政状況の中で合理的な装備の調達ということについては前向きに検討は、この問題とはまた別に検討していきたいと思っています。

佐藤(茂)委員 この問題はまた引き続き別のときにやりたいと思います。

 もう一つは、今自民党の各委員の方々からもありました、きょう行われていると言われています事業仕分けです。これは、我々は、実は平成十八年の行政改革推進法の中に、私どもが与党にいたときに、私どもの党が主張して法定化させた経緯があるのです。ですから、事業仕分け自体に我々は賛成でございます。

 ただ、問題は、やはりやり方と、仕分け人はどういう人を選んでくるのか。また、その仕分け人にそれを仕分けするだけの知識があるのか、例えば外交、安全保障について。さらに、どういう基準で仕分けるのかということが非常に大事になってくるのではないかなというように考えております。

 そういうことから考えましたときに、きょう、いわゆる思いやり予算のうちの在日米軍基地で働く労働者の給与水準が入っているわけですけれども、果たしてその仕分け人が、どういう人がどういうようにさばくのか。要するに、素人に刀を持たせたら非常に危ないわけでありまして、やはりある程度外交、安全保障政策にしっかりとした知識のある人間がやらないと、これは国の安全というものを損なう、また日米関係を損なうのではないかな。ましてや日米安保体制にも影響する政治的な予算でもございますし、一時間程度の簡単な議論で結果を出すようなそういう問題ではないと私は考えているわけであります。

 これも、やはり扱いを間違えば新たな日米間の問題になりかねない、そういう問題でもありますので、政治判断が必要な項目を盛り込むということは私はどう考えても解せない、そのように考えておりますが、防衛大臣の答弁を確認の意味でいただいておきたいと思います。

北澤国務大臣 ただいま行われております仕分けについては、佐藤委員の御認識は、ある一面で全く共感するところがあります。

 ただ、鳩山内閣としては、予算編成のあり方を財務省に一任してきた今までのやり方と違って、国民の目で見てわかりやすいものを国民に提示していきたい、こういう志は、先ほど、御党でも発信されたということでありますから、おわかりいただけるというふうに思います。

 ただ、そこでやり方があって、人間どこでも熱中しますと舞い上がる者もおりますので、私は、そういうものを含めて公開すれば、これは自然の法則の中で淘汰すべきものは淘汰されていくということであります。ただ、あそこで投げかけている問題意識というのは、私は、各省庁に対する問いかけでもあるというふうに思うんですよ。あそこで決めたものが全部決まるわけではありませんから。

 ただ、民主党が政権をとった上で国民にわかりやすい政治をやっているという非常に象徴的なことだというので、私は、これは、ネガティブに見ないで、もう少し前向きに見ていただいて、国防の重要なところについてはおっしゃるとおりの見識を持って我々が責任を持ってやる、こういうことで御理解をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 まさに国防の重要なところは、ぜひ大臣初め、関係閣僚委員会でもいいと思うんですけれども、事業仕分けというのは法的拘束力のないものですから、しっかりとした見識でもう一度やっていただきたいなというふうに思うんです。

 というのは、一六大綱を決めるときにも、財務省主計官というのが何人かおりました。そのときにも、最近の財務省主計官というのもレベルが下がったなと私はつくづく思ったのは、その中には後に衆議院議員にまでなられた有名な方もいらっしゃいましたけれども、外交、安全保障に対する基本的な認識もなく、ただそろばん勘定で人員を削ったり装備を削るというようなことに一生懸命熱を上げる、そういう部分がありまして、私のもとに最初は説得するために来たんですけれども、資料を出したときにどうだったか。要するに、イギリスと日本を比較して、イギリスも島国です、日本も島国です、イギリスがこれだけ今防衛費を削減しています、人員も削減しています、だから日本も削減しないといけないのです、そういう比較表を持ってきたわけです。私は、あなた、十年間勉強し直してからもう一度私のところに来てください、そういうふうに申し上げたんです。

 要するに、イギリスを取り巻く安全保障環境というのは、もう冷戦後で大きく変わっているわけです。日本というのは、北朝鮮もおり、また中国という十数年防衛費を非常に拡大していっている、そういう周辺の安全保障環境、そういうイロハのイもわからないような人たちが財務省主計官をやっているような状況でございますから、今後予算折衝等、また大臣のところで頑張っていただかないといけないと思うんですけれども、ぜひそこは主張すべきことは主張して、きちっとした防衛力の整備をやっていただきたいな、これは余談ですけれども、お願いしたいと思います。

 もう一つ、それで私が気にしているのは、今の事業仕分けで、一応決めたということなんですが、国際平和協力センターの整備が廃止されたということでございます。これはやはり、今言いましたように、いかに安全保障政策、なかんずく国際平和協力活動に仕分け人と言われている人たちが無理解であるかということを顕著にあらわしている例ではないかな、そのように私は思うんです。たしか数年前から防衛省も予算をとって準備に入って、予算をつけている状況だと思いますけれども、今年度、平成二十一年度も十億弱の予算をつけて基盤整備をやっている、そう認識しているので、質問事項で入れていないんですけれども、事務方の方でも結構ですから、今の状況、簡単に言えるものがあれば、ちょっと答弁いただきたいと思います。

榛葉副大臣 委員にお答えいたします。

 その前に、先生を初め公明党の皆さんには大変、このPKOセンターにも御関心そして今日まで御指導賜っていることを心から感謝申し上げたいと思います。

 その中で、今の仕分けの結果でございますが、PKOセンターの整備につきましては、去る二十四日の事業仕分けにおいて、本事業の核心であるPKO教育そのものについては、その意義を説明し、仕分け人の方々にもその必要性については御理解を賜ったところでございますが、施設の建設そのものは廃止という結果が出たということでございます。

佐藤(茂)委員 だから、今具体的に、副大臣、経過をわかった上で、今はそれで相当事業は進んでいると思うんですけれども、今の状況が大体わかれば簡単に述べていただきたいと思います。

安住委員長 速記をとめて。

    〔速記中止〕

安住委員長 速記を起こして。

 榛葉防衛副大臣。

榛葉副大臣 お答えいたします。

 先日、私も現場を見てまいりまして、予定地に石灰で線まで引いてくれてあったり、盛り土が若干してあったりという現場を見てきたんですが、現在の状況ですが、二十年度予算、第一期工事分で十四・九億円、二十一年度予算、第二期工事分で約九・七億円、そして二十二年度概算要求分、これは備品等でございますが、約六・六億円ということでございます。二十年度分の十四・九億円につきましても、契約は済んでおりますが履行はしていないという段階でございます。

佐藤(茂)委員 私は何が言いたいのかというと、何年も積み上げてきた、実施してきた事業を、内容も余り御存じない方々が短時間で判定するというのは、やはり極めて乱暴過ぎるのではないかな、そういう印象を持っております。

 特にこれについては、根拠のないことでも何でもなくて、今の新防衛大綱の中にも、国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組むため、教育訓練体制を含む各種基盤を確立すること、そのようにされております。防衛省としても、国際平和協力活動のための教育、研究、広報を実施する基盤として国際平和協力センターを整備する、そういうことで進めて、今年度は組織の新編も進められる予定である、そのように認識しております。

 もっとそういうことよりも、そもそも、この国際平和協力センターという名前ですけれども、今まさにPKOセンターと通称呼ばれましたように、世界的に有名な、例えばカナダのピアソン平和維持センターであるとか、あるいはスウェーデンのフォルケ・ベルナドッテ・アカデミーに匹敵するような、そういうアジアの拠点としての国際平和協力センターにしていこうと。ですから、自衛官及び我が国関係者の教育だけではなくて、各国際機関からも、諸外国からも来ていただいて教育を行う、そういうことまで検討しているんだということは、歴代の防衛省の答弁でもございました。

 ほかならぬ民主党さんも、二〇〇一年には、ネクストキャビネットで、こういう国際貢献していく方々の訓練を行うPKO訓練センターの設立というのは提言されているんですね。

 さらに言うと、きょう委員長がいらっしゃいますけれども、安住委員長が委員のときに、当委員会でも、この問題について質問の中で主張されているんですよ、「国内の体制の整備、カナダのピアソン・センターのように、アジアの中にそういう中心的なセンター、アジアのPKO活動の拠点をつくって、私は、日本というのはPKO活動のアジアの中心だと言われるような活動をすべきだと思うんです。」と。明確に、これは平成十三年十一月二十七日の当委員会の質問の中でも言われているわけでございます。

 私は、そういうことからいうと、一度事業仕分けの段階で廃止ということになりましたけれども、防衛省としては、やはりこれは最終的に政治判断するべき問題である、そのように考えますが、防衛大臣の見解を伺っておきたいと思います。

北澤国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、建物については廃止ということでありますが、PKO教育の大切さとか人材の発掘、こういうものはしっかり認めておるわけでありまして、民主党もPKO改革案なんというものを出しましてやっていますから、既存の建物の中で何か見つけられないかというのがどうも基本のようでありますから、その辺はしっかりやっていきたいと思います。

 民主党の中にも隠れた人材があったことを発掘していただきましたので、協力してまた頑張っていきたいというふうに思います。

佐藤(茂)委員 要するに、日本が湾岸戦争後、あのときの反省後、人的貢献をやはり国際社会の中でやっていこう、そういうことで、自衛隊もPKOの活動を初めいろいろ御苦労されてきたわけです。国際緊急援助隊なんかも、今は、災害があったら相当出やすくなりまして、非常に評価されているんですね。そういうものをしっかりと広報もし、さらに次の人材も教育をする、そういうあわせ持ったものとして国際平和協力センターというのは前向きにやはりとらえるべきではないかな、そのように考えております。

 それで、あと二、三分、法案の中身をさせていただきたいと思うんですが、一つは、今回の法案で、人事院勧告では、公務員が民間給与を上回るマイナス較差、これが〇・二二%あるというんですね。それを解消するために、一般職の俸給の引き下げは平均〇・二%となっておりました。

 ところが、それに準じて今回も防衛省の給与法案を出しているんだと言いながら、具体的な数字で言うと、自衛隊の教官の俸給月額の引き下げは平均〇・一四%、自衛官の俸給月額の引き下げは平均〇・〇二%というように、一般職の〇・二%の引き下げというのとは少し開きがあるわけですね。ただ、期末手当等についてはそのまま大きな違いはないと思うんですけれども、自衛隊の教官や自衛官の俸給月額の引き下げについて、この数字の妥当性について明快な説明をお願いしたいと思います。

楠田大臣政務官 お答えします。

 簡潔に申しますと、やはり教官と一般の自衛官の年齢構成の違いというのが大きなところであります。若年層は今回俸給引き下げの対象外になっているという中で、教官の若年層の比率は二四%、そして自衛官は四六%と、若年層の比率が非常に自衛官の方が高かったということでありますので、引き下げ対象の割合が大きくなって、今回の下げ幅が低いということであります。

 もう一つは、自衛官の俸給構造の特殊性の中で、委員も御存じだと思いますが、常時勤務態勢のもとにある自衛官でありますので、そうした中で、この点においては月例給が実際に上がるという形になっているわけであります。

 以上です。

佐藤(茂)委員 もう一つ、この法案に関係して、やはり人材の安定的な確保や、隊員が安心して職務に専念する環境を整えるというのは非常に大事なことだと思うんですが、前政権時代の平成十八年の九月に、防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会というのが設置されまして、その報告書が翌年の十九年の六月に、三十九項目にわたって作成されました。これは当時の防衛庁長官のもとで、部外の有識者も入れて、これだけの分厚い報告書、三十九項目にわたって出されているわけであります。

 これはどれも非常に見るべきものがあると思いますので、ぜひ、北澤大臣におかれましても、前政権のときだということではなくて、人的側面についてどう改革していくのかということについての、非常に内容の詰まったものでありますので、読んでいただければありがたいと思うんです。

 その一項目に、「女性自衛官に関する施策」というのがあります。我々公明党もここの部分については今までも力を入れてきたつもりなんですけれども、その中の一つが職務の拡大ということなんですけれども、母性の保護や男女間のプライバシーの確保に配慮しながらも、さらなる配置制限の見直し、活躍の場の拡大を図っていくということが報告書に述べられております。

 それを受けて、昨年九月にも、「ひゅうが」を初めとした護衛艦、掃海母艦、さらに回転翼哨戒機への配置制限が解除されたというのは大きな話題になりました。

 私は、今後とも、自衛隊の精強性の維持とか各人の能力、適性、意欲を考慮しつつ、女性自衛官の活用、登用の拡大は大いに図っていくべきである、そのように考えますけれども、防衛大臣の見解を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、この抜本的改革の報告書は非常に参考になるものというふうには認識しております。

 もう御存じのとおりだと思いますが、例えば潜水艦のような特定のものは除いて、女性の活躍する場所は拡大をいたしております。つい先ごろの観艦式でも、私は感動したんですが、艦上へ上がりまして栄誉礼を受けるときに、その指揮官がちょっと小柄だなと思いまして、よく見たら女性の指揮官でありました。極めてきびきびとした指揮をやっておりまして、ああ、我が自衛隊もここまで来たかという感を強くしたわけであります。御趣旨に沿って、またさらなる拡大に努めてまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 それで、女性自衛官の定着率の改善策ということを考えましたときに、やはり中途退職の比率がまだまだ高い状況にありまして、その一番の要因は、出産、育児についての環境をしっかりと整備できるかどうかということが、この改善策の一番のポイントだと思うんですね。具体案としては、育児休業代替要員制度の整備と託児施設の拡充というのがこの報告書の中にも掲げられております。

 私どもも、平成十九年四月に三宿の託児所というのが自衛隊で設置をされたんですけれども、すぐに、今の山口代表、さらに浜四津代表代行、両方参議院議員ですけれども、私もその三宿の託児所に行かせていただきました。やはり自衛官というのは不規則な勤務形態などの特殊な勤務下にある、そういう人たちにとって、そういう特性に合った育児の場というのを確保できるかどうかというのは非常に大事で、そういう観点からいうと、この三宿の託児所というのは非常に歓迎され、喜ばれているということを身をもって実感してきたわけでございます。

 その後、本年は熊本駐屯地、来年は横須賀地区にも託児施設が開設される予定なんですけれども、ぜひ、コンクリートから人へというのがこの鳩山政権のうたい文句ですから、特にこういう人に対する施策というのは充実をさせるべきであると私は考えておりますし、さらに地域を広げて、規模が三宿ほどまでならなくても、託児施設というのはやはりどんどんどんどん開設していくべきである、そのように私は思います。

 さらに、代替要員としての任期つきの自衛官の採用制度の整備とあわせて、今後の見通しについて、防衛大臣の見解を伺っておきたいと思います。

楠田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 委員の御指摘もありましたように、我々としましては、防衛省改革についてはまず白紙にしたところでありますが、この防衛力の人的側面についての抜本的改革の報告書の検討はそのまま進めているところでありますので、まずこの点を事実としてお伝えさせていただきます。

 加えまして、先ほども申されましたような庁内の託児施設でありますが、委員が申されたことに加えまして、今度、横須賀、また陸上自衛隊の真駒内駐屯地、平成二十三年四月に予定をしております、準備中でありますし、平成二十五年四月には陸上自衛隊の朝霞駐屯地地区に開設し得るよう概算要求していくという方針を立てております。

 先ほどの育児休業の代替要員制度についても、さらに情報提供に努めてまいるということでありますので、御指摘に沿って進めてまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 ぜひ予定どおりの整備をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

安住委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛省職員給与法一部改正案に反対の討論を行います。

 人事院は八月、今年度の一般職国家公務員の給与について、民間準拠を理由に、過去二番目の下げ幅となる月例給〇・二二%、期末・勤勉手当〇・三五月分の引き下げを勧告し、政府は同月、勧告どおりに改定することを決めました。

 本法案は、一般職の例に準じて、裁判所職員や国会職員などと同様に特別職である防衛省職員の給与を改定するものです。国家公務員全体の給与切り下げの一環である本法案には反対であることを述べ、討論を終わります。

安住委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

安住委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

安住委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

安住委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十五分散会


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