衆議院

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第2号 平成22年3月11日(木曜日)

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平成二十二年三月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 生方 幸夫君 理事 神風 英男君

   理事 玉城デニー君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 新藤 義孝君

   理事 中谷  元君 理事 佐藤 茂樹君

      岡田 康裕君    海江田万里君

      楠田 大蔵君    小林千代美君

      小林 正枝君    阪口 直人君

      橘  秀徳君    津島 恭一君

      中塚 一宏君    中野  譲君

      長島 昭久君    藤田 大助君

      本村賢太郎君    鷲尾英一郎君

      渡辺浩一郎君    岩屋  毅君

      江渡 聡徳君    小泉進次郎君

      浜田 靖一君    福井  照君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   外務副大臣        武正 公一君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 黒江 哲郎君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十一日

 辞任         補欠選任

  高橋 昭一君     小林 正枝君

  橘  秀徳君     本村賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 正枝君     阪口 直人君

  本村賢太郎君     橘  秀徳君

同日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     岡田 康裕君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     高橋 昭一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として防衛省防衛政策局次長黒江哲郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安住委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 自由民主党の中谷でございます。

 ことしは日米安保五十年ということで、外務省、防衛省両省におきましては、日米間でいろいろな協議また共同訓練なども開催されております。国際関係におきまして、日米安保条約を維持する上において当然日米間の信頼ということが大切でございますが、その信頼を得るためには何が一番大事だと考えてお仕事をされているんでしょうか、両大臣に伺います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 信頼ということはお互いが深い理解を共有することであろうかというふうに思いますので、そういう意味では、大臣あるいはSSCといったような官僚も含めたきめ細かな協議が重要であるというふうに思っております。

岡田国務大臣 かなり抽象的な御質問ですので一言でお答えするのは難しいんですけれども、五十年を迎えて、同盟の深化ということをことし一年行うことにしております。その前提にあるのは、日本自身の安全あるいはアジア太平洋地域における平和と安定にとって日米同盟は不可欠である、そういう認識でございます。その認識を共有しながら、さらにそれを強いものにしていくためのしっかりとした議論をことし一年行っていきたいというふうに考えております。

中谷委員 信頼ということでありますから、これは夫婦間もそうでありますけれども、お互いに約束をしたことはしっかり守っていくということが一番大事だと私は思います。

 その上でお尋ねしますが、二月十日の宮城県王城寺原演習場におきまして、第六師団四四連隊と米国第一連合大隊が、ノースウインド二〇一〇年、日米共同実動演習を実施しました。その開始式で四四連隊長が、日米同盟は五十年間、東アジア地域の安定と繁栄の礎として機能してきた、依然として冷戦構造が残る東アジア地域においては現在もなおその重要性は揺るがないものであり、今後さらに世界に向けて発展させていくべき同盟である、同盟というものは、外交や政治的な美辞麗句で維持されるものではなく、ましてや信頼してくれなどという言葉だけで維持されるものでもない、両国の部隊がともに厳しい訓練で汗を流し、互いに戦術、戦技、技量を磨き合うことは、日米同盟を強化し、抑止力を高め、世界の安全と安定に大きく貢献する、お互いに誇りと信頼と尊敬のきずなで日米同盟をさらに一層強化しようと述べました。

 しかし、この二日後、十二日、防衛省は、この幹部は隊員たるにふさわしくない行為をしたとして、連隊長が注意処分になりました。そして、この三月でこの連隊長は転属になるということでございますが、いかなる理由で、いかなる根拠でこの処分を行ったのでありますか、具体的にその理由を説明してください。

北澤国務大臣 これにつきましては、まず、今読み上げられたとおり、政治とかあるいは外交という国家の意思を否定するような内容であったということと、さらには、最高の指揮官であります総理大臣の発言について、これをやゆするような疑いのある発言であるということから、処分権者であります第六師団長から陸幕の方へ相談がありまして、その後、会議を開く中で処分を決定した。

 それから、転属とかどうかということはまだ、人事のことでありますし、個人の人事について、これを私の方からただいまの時点で申し上げる時期ではない、こういうふうに思っております。

中谷委員 処分の内容を聞いたということでございますが、それはどういうロジックでふさわしくないというのでしょうか。

 というのは、この連隊長は、確かに信頼してくれということは言っておりますけれども、総理大臣の名前を言っておりません。主語がないわけであります。そして、この日米共同訓練という性格を考えますと、彼は訓練の訓示で言っていますので、米国とともに行動する部隊指揮官として、実際に射撃をしたり迫撃砲を撃ったり、これはまさに言葉だけでやるというのではなくて、実際に訓練をして、それをきちんとできるようにしなければいけないということで、彼は言葉だけではいけないと言ったと私は思っております。そして、この文の趣旨も、日米安保にのっとった訓練を真剣に、しっかり頑張ろうと言っておりまして、総理を批判するなら、そういうことは、言葉に出して表で言うというのは常識的に考えられません。

 彼の意図、そういう意図があったのかなかったのか、その点はしっかり調べたのですか。

北澤国務大臣 担当部署でしっかり調査をしたという報告を受けておりまして、この原稿が成立する前にも部内で協議があって、ここのところは外すべきだというような協議もされたようでありまして、原稿からは外れておるわけであります、特に総理に関するものは。しかし、それを、発言する中で、勢いに余ったかどうかわかりませんが、原稿にないものも発言をしたという経過からしても、意図的なものがあったということであります。

 いずれにしても、本人はいたく反省をいたしておりまして、処分の内容を十分に承知しておるというふうに報告を受けております。

中谷委員 この処分というのは法律上の処分ですか、それとも訓令なんでしょうか。

 というのは、自衛隊法六十一条によりますと、政党または政令で定める政治目的のために政治的行為をしてはならないとありますが、この連隊長は、政治的行為というものをしたものでもなく、日米安全保障基盤に基づいた訓練をしっかりやりましょうというために、現実に訓練もやっております。

 さらに加えまして、北澤大臣は、この処分の翌日、十三日に長野市での会合で、これはクーデターにつながる極めて危険な思想だ、規律が乱れ、組織が機能しなくなると独断専行や下克上が起こると発言をしております。

 防衛大臣というのは警務隊や下の報告も受ける立場でありまして、この翌日にクーデターにつながるという大変重たい言葉を出された背景には、この連隊長の言動についての調査結果もあったのではないかと思いますけれども、ほかならぬ防衛大臣がクーデターにつながるとの言葉を使われた以上、例えば自衛隊法六十一条、先ほど説明しましたが、この政治行為よりももっと問題のある行動があったということでこういう発言をされたんですか。いかがですか。

北澤国務大臣 まず、自衛隊法五十六条に規定する職務遂行の義務及び同法五十八条第一項に規定する品位を保つ義務に違反、こういうことで処分をいたしました。

 それから、私の発言についてでありますが、これは、私は戦中といいますか、少し正確に言うと戦前の生まれでもありますので、私の政治家としての歴史的な認識を非常に重く感じておりまして、そういう意味から申し上げたわけであります。

 特に、この前段には委員も御卒業なさった防大の歴史についても触れておりまして、その中では、吉田総理が防大の前身をつくるときに、初代の校長である槇先生に、どういう人材を育ててほしいかという中で二つの大きな柱を立てて、独断専行に陥らないこと、それから下克上をしないこと、この二つを大切にしてほしい、こういうような御趣旨をもって槇先生に御依頼した。槇先生は、あの時代にもかかわらず、世界各国を回って、それぞれの国の士官学校を視察する中でみずから建学の精神をつくり上げた、こういうふうに承知をしておりますので、幹部自衛官の発言というものは、そういう意味で非常に重いものであるということで申し上げた次第であります。

中谷委員 しかし、私も防衛大学校卒業でありますが、今現職で勤務している幹部自衛官は、この教えをよく守って、よき自衛官である前によき市民でありなさいということで、一般の国民のことを常に考えて勤務いたしております。

 この隊員、連隊長も、やはり日米共同訓練という、国を代表する非常に重い訓練の責任者でありまして、そういう自覚を持って訓練しておったわけでありまして、それをクーデターにつながるというふうに言うのは、私は余りにも邪推ではないかと。非常に物事を疑ってかかるということで、行き過ぎた言動であります。

 孟子はこのように言っています。仁政を表に上げながら武力で威圧するというのが覇者である、徳を施し仁政を行うのが王者であると。こういった、権威で隊員を従わせるというのは心から従わせるわけではなくて、懲罰で脅し上げるということもそのようなことではございません。

 また、自衛隊員というのは、いろいろな面でこれまで抑えつけられて、抵抗できずにつらい思いをして、それでもなお国のためにということで一生懸命頑張っているわけでありまして、彼の真意をもう少しそんたくしてあげてもらいたい。彼は、任務を通じて日米安保をさらに強化するということで言っているわけでありますので、もう少し隊員を生かすやり方があるのではないかと思っております。

 そこで、今度は外務大臣にお伺いをさせていただきますが、きょうの報道で、今後、普天間基地の対米交渉におきましては、米国との調整作業から在米日本大使館や外務省の幹部を排除する方針を固めたと言っております。協議の場も原則として日本国内とする、並行して複数の候補地案が運用可能か米軍関係者と検証する作業や日米間の実務的な調整もこの枠組みで行うと。いわゆる官僚をのけますということを決めたというふうに報道されますが、これは、外務大臣、真実、この方向、この方針を決めたんですか。

北澤国務大臣 私は、各施設を視察する中で、自衛隊員に対する愛情は日々深まっております。信頼もいたしております。それだけに、重要なことは分をわきまえるということでありまして、先ほど申し上げたほかに、二つの要件の結果として、服従の誇りということも校是になっておるというふうに承知をしておりまして、自衛官とすれば、上司の指示をしっかり守るということであります。

 今、委員はそういう気持ちはないんだろうと思いますけれども、自衛隊を賛美する中で甘えの構造をつくることが最も危険だというふうに思います。私は、昭和の歴史をひもといてこの任についておるつもりでありまして、どんなことがあっても、組織として成立するためには、先ほど申し上げた服従の誇りというものを大事にして、組織を大切にする。

 ややもすれば、補給活動のときもそうでありましたが、自衛官が劣悪な状況の中で頑張っている、だからすべてがいいんだということになってしまえば政治の存在がなくなるわけでありまして、昭和の陸軍、海軍の歴史を見ても明らかなように、わずかな、アリの一穴ということを大切にすべきである、私はそういうふうに思っております。

中谷委員 では、この隊員は何か命令に違反をしたというんでしょうか。それこそ、総理の命令どおり、日米安保の基盤を固めるために共同訓練をしているわけでありまして、決して総理の意向に反したと思っておりません。

 確かにそういう服従をするということも大事ですが、同時に、恒産なくして恒心なしという言葉があります。これは、上の立場に立つ者もよく状況を見てやってあげないといけないということで、やはり国の安全保障というのがしっかりしているから国民も安心しますし、自衛隊員もその使命感を持って勤務に励むと思っております。

 連日、新聞やテレビで今普天間問題が報道されますが、大新聞の活字を見ても、しぼむ日米同盟とか混迷する普天間とか揺らぐ日米関係とか、シリーズで掲載をされております。だからこそこの隊員は、自分たちがしっかり日米安保は守っていかなければならないという思いがあったんじゃないでしょうか。

 やはりこういうことは、そういう状況において、罪をかぶせてそれを捕らえて罰するという、隊員を獲物とりの縄にかけるような状況を政治がつくっていることも一因でありますので、この点はよく反省をして、しっかりとした安全保障体制をつくっていくというのが上に立つ者の責任でございます。やはりこの言葉のとおり、言葉ではなくて行動で示していくという点におきましては、上に立つ者は肝に銘じていただきたいと思っております。

 そういう意味で、大臣に伺いますが、政策過程で自衛官も専門家としてもっと議論に参画をさせ、そして政策に生かすということも大事でございます。アメリカでは、議会でも証言をしておりますし、軍事政策過程の一部も持って、やはり国の防衛、安全という形で総合的に政策を遂行しておりますが、この点につきましてはいかがお考えなんでしょうか。

北澤国務大臣 私は今の委員のお話を聞いておって大変残念なんですけれども、この処分は、私のところへ上がってくる前に既に第六師団長初め部内で協議をして決定して、私のところへ上申をしてきました。しかも、本人がいたく反省をしているというのに、今、先輩である中谷委員からこれを擁護するような発言をされるというのは、自衛隊の将来にとって大変残念だというふうに私は思います。本人が十分反省しておるということ、それから、日米の間で軍人同士がスタートするに当たって発言をするときに、政治にかかわる話をあえてする必要がどこにあるのかということであります。

 先ほど孟子の言葉を引用されましたけれども、孔子はこういうことを言っているんですね。国を治むるのに三つの大きな要素がある、それは食料であり軍事力であり信頼だと。国が傾いてまず何をそこからそいでいくかといえば、第一に軍事力である、その次に食料である、そして最後に残るのは信頼である、こういうふうにも言っておるわけでありまして、私は、国民の信頼を自衛官が、今大変高まっておる中で、さらに国民の理解を得るためには、指導者たる者たちの言動は厳に慎むべきだ、そういうふうに思っております。

中谷委員 この処分が行われたのは十二日でありますが、その前に大臣は記者会見で、けしからぬというようなことを言っておられたんじゃないですか。

 したがって、私が言いたいのは、やはり国を守るために最前線にある自衛官が非常に使命感とそして今危機感を持って夜も寝ないで一生懸命頑張っている、そういう隊員の気持ちも理解して仕事をしていただきたいということでございます。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

中谷委員 それでは、先ほどの外務省の方針につきまして、外務大臣から伺います。

岡田国務大臣 中谷さんも、大臣をやられた御経験から、日本のメディアがどういったものか、時には全く根拠のない報道をするということはよく御存じのはずであります。

 この普天間基地をめぐる日米の交渉というのは外務省が責任を持って行う、当然のことであります。

中谷委員 では、この報道は事実ではないということでございますか。

岡田国務大臣 私は個々のメディアについてコメントしないことにしております。一々コメントする必要はないと思います。

 しかし、御質問ですからお答えすれば、私は全くそういったことは承知しておりませんし、あり得ないことであります。

中谷委員 そのとおりで結構だと思います。

 やはり日米交渉といいますと、最終的には政治家が責任を持ちますが、それまでの間には、外交官もいれば大使館も介在をし、そして防衛当局も国防省とあらゆる面で交渉をしているわけでありまして、そういった、総合的に人材を活用して成果を得るということでありますので、そのような体制でぜひ成果を残していただきたいと思っております。

 その上で、日米協議、普天間問題について伺いますけれども、今、アメリカとの協議の中で、五月を一応のめどとしているわけでございます。これにつきましては、過去、日米合意がもう既にあった上での協議ということで非常に複雑な要素が出ておりますが、そういう面で、ことしの二月に、QDRというアメリカの国防省の四年に一度の国防政策の見直しの計画が発表されたわけでございます。

 これをよく分析して日本の防衛というものを考えて普天間問題にも臨んでいかなければなりませんが、この中で米側は、同盟国への期待ということで、日本との地域的抑止力の向上とロードマップの遂行を求めております。

 このQDRでは、抑止という言葉が頻繁に出てまいります。この抑止の言葉に三つの言葉がありまして、一つはデタランス、いわゆる普通の抑止と、拡大抑止そして地域的抑止と三つの抑止の言葉が出ていますが、政府はこれらの違いをどのように解釈しておられるのか、お尋ねをさせていただきます。

武正副大臣 中谷委員にお答えをいたします。

 抑止とは、一般的に言えば、侵略を行えば耐えがたい損害をこうむることを明白に認識させることにより、侵略を思いとどまらせることと考えております。

 いわゆる拡大抑止とは、エクステンデッド・デタランスという英語の、政治、安全保障上の学術用語の定訳であり、その意味するところは、ある国が有する抑止力がその同盟国等他国に対する抑止の提供となることであると考えております。

 地域的抑止について確たる定義があるとは承知しておりませんが、例えばある地域において、当該地域の安全保障のために提供される抑止力を意味していると考えております。

中谷委員 抑止というと二者間の抑止で結構なんですが、拡大抑止となりますと、それこそ同盟国も含めたお互いの国同士の抑止で、自分の国ではなくて、自分の同盟国が危険にさらされている場合の抑止も考えるということ、そして地域的抑止というのは、同盟国周辺の地域としての抑止力という意味でございます。

 では、この中の拡大抑止について、QDRの中の十四ページにこの拡大抑止についての定義がされていますが、この定義の中に、同盟国やパートナーへの米国のコミットメントを強化するために、まず米軍のフォワードプレゼンス、そしてミサイルを含む適切な通常戦闘能力、そして同盟国へ米国の核抑止を拡大するという継続されるコミットメントの統合である新たにつくりかえられる地域的抑止について、同盟国やパートナーと密接に話をすると書かれております。

 では、この中の、フォワードプレゼンス、前方展開について協議をしましょうということでありますが、この点につきましては日米間でどのような話し合いが行われていますか、この辺の現在の政府の認識をお伺いいたします。

武正副大臣 中谷委員にお答えいたします。

 現在、日米両政府は、同盟深化の協議プロセスにおいて、拡大抑止についても議論を行っております。そのような中で、在日米軍のプレゼンスは、信頼できる抑止力を米国が提供する上での当然の前提となっております。

中谷委員 それは必要だという認識ですよね。

 それでは伺いますが、では、この抑止という立場から、普天間基地の価値そして沖縄の海兵隊の存在ということにつきましてどういう評価をされておりますか、できましたら防衛大臣にお答えいただきたいと思います。

北澤国務大臣 前政権で合意をしたロードマップについては、私も十分承知をいたしております。今お尋ねのことを十分に踏まえたわけでありますから、我々とすれば、その中の一要素である辺野古への移転というものを、沖縄の皆さん方のお気持ちも体して今そのかわりをゼロベースで検討しておるわけでありますが、先ほどお話のありましたことは十分前提にした上での案になるというふうに認識をいたしております。

中谷委員 その前段部分が聞きたいんですけれども、要するに沖縄における普天間基地並びに沖縄の海兵隊の存在がフォワードプレゼンスとして我が国にとって必要かどうかという点でございますが、この点はいかがですか。

北澤国務大臣 これは今官房長官のもとで検討しているところと連動するという意味ではなくて、防衛大臣の立場とすれば、沖縄周辺における海兵隊のプレゼンスというのは極めて重要であるというふうに思っております。

中谷委員 周辺には、尖閣諸島や中国と台湾の問題もございます。そういう意味では、沖縄に海兵隊が存在することは必要だということでとらえてよろしいでしょうか。

北澤国務大臣 御案内のように、定数で一万八千人の海兵隊が今おるわけでありますが、その中から八千人がグアムへ移る。そして、実数でいえば、なかなかとらえがたいわけでありますけれども、ほぼ三千から四千の海兵隊員が今沖縄に存在する。

 この沖縄を中心にしたプレゼンスの重要性というものを、沖縄の皆さん方は県外でこれができないか、こう言っておるわけでありますから、その点も含めて、今私の立場でいえば、仮に県外であるというようなことがあったとしても、沖縄を中心にした位置的な重要性というのは相当に重視しなければいけない、こういうふうに思っております。

中谷委員 これは大事な問題で、やはり今の米軍再編というのは、あくまでも沖縄の辺野古に移転をするという前提で、いわゆる海兵隊の部隊が沖縄にいるという前提で協議が全部成り立っておりますので、これが仮に県外移転というふうになりますと前提がすべて狂ってくるわけでありますので、大変厄介な話でございます。

 そういう意味で、五月に政府は結論を出すということで協議をしているわけでありますが、やはりこの拡大抑止という考え方はもう既に米軍の国防戦略に入っているわけでありますので、ばらばらにできない要素があります。

 つまり、今は普天間ですけれども、この代替というものが含まれる前方展開ということになっていますので、先ほど申し上げました地域的抑止というところの協議をするとなりますと、あわせてこの問題も相当協議をしてこの五月には決着をさせなければならないということでありますが、これはそういうものだと考えていってよろしいですか。

北澤国務大臣 これは、委員のおっしゃるような重要性を十分に勘案して、総理が、五月末までには決めなければいけない、こういうふうに言っておるわけでありますから、そのように御理解をいただきたいと思います。

中谷委員 そういう意味で五月ということで、では、こういう日米間の協議も五月に決着をさせるという意味でよろしいですか。

北澤国務大臣 これは鳩山総理のかたい決意のあらわれであるというふうに我々も認識して、全力を挙げて、総理の方針に基づいて作業をしてまいりたい、このように思っております。

中谷委員 現在、政府は複数の案が出たということですが、これは単なる候補地を決めてどうするかという問題ではなくて、最初に申し上げましたとおり、日本の安全保障政策と米国の政策をあわせて考える、いわゆる安全保障の話をあわせてまとめなければならないということでございます。

 そういう意味で、米国はQDRというカードを出してまいりました。その中に書かれているのが、核抑止も含めた拡大抑止、そして通常戦闘能力などの話もあわせた話でありますが、では、日本側のカードとして、一体どのような姿勢、どのような内容でこれから話をされるのか、この点については今どう考えておられますか。

岡田国務大臣 ちょっと質問をクリアにしたいんですけれども、QDRが出たことは事実であります。そこにアメリカの地域的抑止も含めた考え方が書かれていることも事実であります。そのことと、今回の日米合意をめぐる普天間代替施設の議論、もちろんその議論をする際に日米間で協議をしなければなりません。その前提として、米軍の果たしている役割、日本の安全のために、あるいは地域の平和と安定のために果たしている役割ということは当然議論の前提になるわけであります。

 それ以上に何をお聞きになったのか私はよく理解できませんので、もう少し具体的におっしゃっていただいた方がいいかなと思います。

中谷委員 最初にお話ししたとおり、QDRには、同盟国やパートナーへの米国のコミットメントを強化しましょうというくだりに、米軍のフォワードプレゼンス、そして核抑止を拡大するという継続させるコミットメントの結合である新たにつくりかえられる地域的抑止ということについて、パートナー、同盟国と協議をするということでありまして、従来の核抑止に加えて、通常型の抑止も加えた新たな地域的抑止というものをつくり上げましょうということを言ってきているわけです。それに対して日本側がどうこたえるのかということでありますが、このお考えはどうなんでしょうか。

岡田国務大臣 率直に申し上げて、地域的抑止という概念は、実は余り聞きなれない概念であります。ですから、そこのところをどういうふうにとらえるかということによって、多分議論の中身が変わってくるんだろうというふうに思います。QDRの中で地域的抑止という言葉が扱われたことは事実でありますけれども、そういったことのクラリフィケーションといいますか、明確化も含めて、よく日米で議論していかなければいけないというふうに思います。

 このことを当然のように議論するというよりは、どういう意味でこの地域的抑止という概念を持ち出してこられたのか、その中身は何なのかということをもう少し明確にしたいなというふうに率直に思っております。

中谷委員 外務大臣の立場から余り中身についてまだよく検討されておられないようなお話でありますが、防衛省は、この核抑止、地域的抑止については、どう分析をし、どう臨もうとしておられますか。

北澤国務大臣 今外務大臣も御答弁されましたけれども、私も、この地域抑止という言葉は、新たに出てきた言葉でありまして、その概念を十分に理解はいたしておりませんけれども、いろいろな米側との協議その他を通じて理解をした範囲で申し上げるとすれば、その地域における相手国との共同の中で抑止をしていく、極めて単純なことでありますが、そういうふうに理解しております。

中谷委員 この問題は、もう既に韓国とは政治家同士で話し合いがされていまして、ゲーツ国防長官がアジアを回ったときに、日本では聞いておりませんが、韓国との閣僚同士で拡大抑止について話し合いがされております。日本もSSCでこの問題が今協議をされている。十八日にSSCがあったわけでありますが、単なるアメリカの核政策の変更の一環で、この抑止について、通常型の抑止も考えていこうというのがみそであります。

 この抑止につきましては、二月十八日にバイデン副大統領が演説をしまして、核兵器と同じ目的を達成する非核の手段を開発しているんだ、QDRとBMDR、これは弾道ミサイル防衛の見直しでありますが、この二つのポリシーを持ちまして米国とその同盟国を防衛するために通常戦力をさらに強化する計画を示していると。具体的には、世界的な範囲に届く通常弾頭を例に挙げたそうでございます。

 この点につきましては、どういうものであるか、政府としては分析をし、解釈をしておられますか。また、日本に提供されるこの新たな抑止につきましては、どんな役割を果たすものであるのか認識をされていますか。どちらでも結構ですからお答えください。

岡田国務大臣 その前に、中谷委員の言われたことですが、拡大抑止というときに、それは核抑止だけではなくて通常兵器による抑止も含むというのが、新しい概念ではなくて、私は従来からそういう考え方だというふうに思います。ですから、そこに新しさがあるということでは必ずしもないというふうに思います。

 今、韓国とアメリカとの協議の中身を例に引かれましたが、もちろん、そういったアメリカの戦略が変わる中で拡大抑止の中身が変わってくる、そういうことの議論は必要でありますが、私は、いま一歩、そのことと地域的抑止というもの、そういう新しい概念が持ち出されたこと、そこの関係が必ずしもよくわかりませんし、そういうことも含めてよく日米間で議論していく必要がある。

 向こうが新しい概念を持ち出してきたからそれを所与の前提として議論するということではなくて、そういった概念が持ち出されるに至った背景なども含めてきちんと議論をした上で、お互い議論を深めていく必要があるというふうに思っております。単に向こうが持ち出したから、それを前提に議論するという話ではないと思います。

中谷委員 防衛省、今のことについて。

北澤国務大臣 このことにつきましては、つい先月、ヒックスさんもおいでになって防衛省の事務方とも協議をいたしておりまして、その中身をまだ明らかにする段階ではございませんが、そういう経過の中から申し上げると、開発中の弾道ミサイルを指しておるのではないか。

 それから、もう一つ言えば、バイデンさんは、極めて核抑止に、核の拡散じゃなくて減勢していく方向で指導をされている政治家というふうにもお聞きをしておりますので、そういう概念もこの中には入っているのではないかというふうに思います。

中谷委員 この新しい通常弾頭は、CSMといいまして、通常弾頭を備えたミサイルですけれども、アメリカ本土から世界じゅうどこにでも、ねらったポイントに対して攻撃できるというものでありまして、これをアメリカが今力を入れて考えているということで、時代は科学技術の進展とともに一歩も二歩も進んでおりまして、単なる核だけが絶対的な抑止ではない時代に入ってきております。

 そういう意味においては、オバマ大統領の非核という政策も一つあろうとしておりますけれども、これは非核の通常弾頭を我が国の抑止にどう考慮するかという点でありますので、ぜひしっかり考えていただきたいと思います。

 ここまで来ますと、当然今までの核抑止のことにも触れさせていただきます。

 三月九日に調査結果を発表しましたいわゆる核密約問題につきまして、これまでの、広義での密約として、事前協議の必要性につきまして両政府の解釈の違いというのを認めて、従来これを暗黙の了解のままにやってきたということを事実として認められたと思いますが、では、今後、いわゆる暗黙の了解というものを継続させていくのであるのか、この点につきまして、これを発表しました外務大臣はどうお考えであるのか、伺いたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘のこの密約に関する発表、外務省の調査結果そして有識者委員会の調査結果、二つのものがありますが、そういう中で、持ち込みに関して、一時的寄港などを含むのかどうかということについて日米の間で明らかに解釈が異なったということを明らかにしたものであります。したがって、もう暗黙の了解ということはありません。そういうものが明らかに異なっているということを明らかにしたわけでございます。本来であれば、こういったことをもっと早く明らかにすべきであったというふうに私は思います。

 もちろん、その時々の、この密約が最初にできたのは五十年前でありますが、そのときの国際情勢とか日本の置かれた立場とか、あるいは国内の核に対する感情とかいろいろなことを考え合わせなければなりませんので、私は、一方的にけしからぬと言うつもりはないんですけれども、そのときの指導者が苦渋の選択をした、そういう面もあったとは思います。

 しかし、九〇年、冷戦が終了して、そしてアメリカの核に対する政策も九一年、九四年と変わった。それにもかかわらず、その後もずっとこのことについて広義の密約というものが保たれてきた。国会において、それぞれ時の総理なりあるいは外務大臣が、みずからわかっていたはずですけれども、しかしそれとは異なる答弁をし続けたということに対する反省、まずそのことを私はしなければならない。これは、国民に対して政治が一体何をするのかという視点から見ても、委員も御了解されることだと思いますが、そういったことについて今回終止符を打ったということでございます。

 今後どうするのかということでありますが、解釈が異なるという事態について、我々は、非核三原則を守る、堅持するということを明らかにしております。ですから、日本の解釈は変わりません。アメリカの考え方も変わることはないと思います。

 したがって、そこに違いが残るわけでありますが、幸いなことに、アメリカは、九一年、九四年の核政策の変更によって、戦術核については艦船やあるいは航空機に積むことはないというふうにしておりますので、そういう政策を前提にする限り、具体的に核が持ち込まれることはない、そういうふうに考えているところでございます。

中谷委員 実に認識が甘いと思いますね。我が国が核の抑止が必要だと言っている以上、実際に東アジアの有事また我が国の有事の際に我が国を守るためにはどうすればいいのかと考えますと、当然この問題は、解釈が食い違うということで済ませられるわけではございません。

 現実的な問題として、確かに戦術核というものはもう搭載していないことでありますが、いわゆる戦略核といいますと、例えばSLBM、これは潜水艦に実際に積めるんですね。我が国も佐世保、横須賀には潜水艦の寄港があっていますけれども、では、実際に戦略的核が積まれているかどうかを問い合わせしましてもアメリカは否定も肯定もしない政策をとっているわけでありまして、実際にこの問題はどうなのか。

 そして、きのうは亀井大臣が、有事がどういう状態で来るかはだれも想定できません、そういうときは両国がお互いに合意できることを緊急にやっていかなければならないという発言をされていますが、この発言は、まさに我が国を防衛する上においては当然の発言であります。

 有事の状況次第では、例外的な措置として核の持ち込みを認めることも当然検討しておかなければなりませんが、この辺は外務大臣はいかがお考えですか。想定できないということですか。

岡田国務大臣 委員もよくおわかりの上で言っておられると思いますが、戦略核を積んだ潜水艦というのは日本に寄港しておりません。本来、戦略核を積んだ潜水艦というのはアメリカの本土の周りにいることが通常でありまして、別にわざわざ極東まで来る必要はないわけであります。そういうことで、それは外形的に判定できますから、私は、委員がどういうおつもりで御質問になったかということはよくわからないわけであります。

 それから、有事の際にという御質問があります。それは一つの仮定の議論です。しかし、今、アメリカの政策を前提にする限り、そういうことは起こり得ないということを申し上げているわけです。

中谷委員 違いを明らかにした以上は、この解釈の食い違いという状態は現在も残っているわけでありまして、このアジア周辺の安全保障を考えますと、いろいろな事態が想定をされるわけでありますので、この辺は我が国の防衛政策の一環としてもしっかり考えておかなければなりませんが、この点、防衛大臣はいかがお考えですか。

岡田国務大臣 委員の今の御意見は、ですから、非核三原則を変えて二・五原則にしろとか、そういう御趣旨なのでしょうか。そういう御意見を自民党の中でおまとめになるのなら、そういう御議論をぜひ党の中でやっていただきたいと思います。私たちは非核三原則は変えません。

北澤国務大臣 岡田外務大臣と同じ思いであります。

中谷委員 そうなりますと、我が国の防衛、安全保障を考えますと、核抑止の点におきまして、いわゆるアメリカの行動に制約をかける状態になってしまいますから、非常に穴があく、空洞的な部分が生じてしまう可能性がございます。

 違いを明らかにした以上は、この点、しっかり対応しなければなりませんが、外務大臣、その辺についてのお考えを持っていませんか。

岡田国務大臣 委員は、先ほども言われたんですが、違いを明らかにした以上はというふうに言われますが、それでは、今まではどうだったのか。違いがあることはわかりながら、歴代総理や外務大臣が国会においてそれに異なる答弁を続けてきた、それがよかったというふうにお考えなんでしょうか。そこのところについて、まず明確にしていただきたいと思うんです。

 ですから、そういったことについて明らかにした上で、委員が、いやいや、三原則はやはりだめだ、二・五原則がいいというなら、そういう論理をきちんと党の中でも議論していただいて、そしてその上で国会などで議論したらいかがでしょうか。我々は変えるつもりはないということを申し上げているわけです。

中谷委員 国会で堂々めぐりという議論がありますけれども、我々は学者じゃなくて政治家でありまして、政治家の場合は、実際に日本の国を守っていく、そして安全を確保していくということをまずやっていかなければならないわけでありまして、そういう意味においては、これまで日本の周辺の地域の安定と日本の安全というものは確保されてまいりました。

 そういった問題点につきまして、事実がわかった以上はこれをしっかり穴を埋めていかなければなりませんけれども、それは我々政治家の務めでありまして、今までのことも検証するということは当然必要でありますが、大臣も言われましたとおり、我が国の国のあり方につきまして、歴代の政府としてなかなかできなかった部分を、そういう中で、国の安全という見地でやってきたというのが事実であります。

 では、これからどうするかという点につきましては、まさに我々自身が議論をして検討していかなければならないわけでありまして、この問題を明らかにした外務大臣がそれは責任を負う問題だと思いますが、その点はいかがですか。

岡田国務大臣 委員は、防衛大臣も経験されました、国の安全保障政策の責任の一端を担ってこられた方だと思います。

 今回のこの検証の中で明らかになったことは、時の、防衛大臣はどうだったかは知りません、しかし、少なくとも外務大臣、総理大臣は、日本の解釈とアメリカの解釈が異なることを知りながらそれを放置してきた。単に放置しただけではなくて、その結果として、過去に核が日本に寄港した、その可能性は排除できないわけであります。にもかかわらず、国会においては、非核三原則、したがってありませんと、いわばアメリカに責任を押しつけるような形で答弁をしてきたわけですね。

 そういうことについてどう考えておられるのか、ぜひ私は聞かせていただきたいと思います。そういったことをほおかむりして今の質問をされても、私は、いかがなものか、政治家の責任としてどうなのか、そのことをまず明らかにしていただきたい、そういう思いであります。

中谷委員 外交的な話でありまして、やはり物事を決める際には、中国との話もそうですけれども、お互いの国の利益をかけて一つに取りまとめをした場合に、お互いの国の読み方、解釈というのがあって、それでずっとやってきたと私は思います。それで結果的に最善な状況になったわけでありまして、ではこれからどうするかということも、明らかになった以上、これは今外務大臣に課せられた責任でありますので、その点の方が私は大事だと思っております。

岡田国務大臣 委員、報告書をよく読んでいただきたいんです。そして、私がさっき申し上げたことも思い返していただきたいと思います。

 五十年前に当時の岸総理が事前協議制度を導入した、そのことは私は評価しているんです。困難な状況の中でああいう制度を入れられたことは、立派なことだったと思います。そして、当時の日米関係あるいは極東の状況、そういうものを考えて、その事前協議制度にある意味で穴をあけざるを得なかった。例えば、朝鮮半島の問題もそうであります。そして、核の持ち込みの問題も、ある意味ではそういうことだというふうに思うわけですが、そのことは一方的に批判すべきでないというふうに私は考えているんです。困難な状況の中で時のリーダーが一つの判断を下したということだと思います。

 ただ、そのことと、しかし、冷戦も終わって、その後状況も変わったにもかかわらず、そして明らかに、解釈が違うということは時の総理や外務大臣はきちんと認識していたわけです。アメリカの考え方が違うということはわかっていたわけです。にもかかわらず、それを放置して、そして国会においては虚偽の答弁を重ねてきた、そういうことに対してどう考えているのか。

 ですから、私は最初のことを言っているんじゃないんです。最初のことを言っているんじゃなくて、ここ二十年のことを特に申し上げているわけであります。そこのところは、ぜひ報告書を読んでいただければ、明確に書いてありますので御理解いただけることだと思います。

中谷委員 したがって、おっしゃることは、国民もそれは知りたいということは理解できますが、外務大臣というのは、実際に日本の外交をこれからどうするか、それから日本の安全保障をどうするかという責任を持っていますので、その最初の話と私が質問した話、これはきちんとお答えを出していただかないと困る話であります。きょうはもう時間がなくなりましたので、引き続きこれは質問させていただきます。

 普天間問題は後ほどの新藤議員にもう一度質問していただきますが、一つ、PKOのお話をさせていただきます。

 二月十日に私はハイチへ行きました。現地の地震の状況と、PKO部隊の激励に行ってまいりましたが、一つは、医療隊の派遣がおくれてしまいました。十日間かかりました。これは、今の緊急援助隊法が、閣議の決定や国会の附帯決議にもありますけれども、現地の安全、治安を確認した上で派遣するということになっているわけでありますが、やはりこういった地震が発生した場合は、各国は、状況がどうであれ、まず救援隊を派遣して救援活動をいたしております。したがいまして、我が国としても、いち早く支援隊を出せるような環境をつくっていくことが必要であります。

 その点におきましては、国際緊急援助隊法の内容を、隊員の安全に留意するという附帯決議があるということでこういう状況になっていると思っておりますけれども、この点について内容の見直しをしていただきたいということと、実際にPKOは武器を携行して行っておりますけれども、やはり最初に出る場合も、今は丸腰でしか派遣ができないということになっていますが、この緊急援助隊法を改正してそれを認めるか、もしくは、今のPKO法を見直しして、いわゆる国際平和協力の一般法という形で法の整備もしていただきたいと思いますが、この点についてはどうお考えでしょう。

岡田国務大臣 今回のハイチの場合の難しさは、国連のPKO部隊が展開するような、そういう状況において地震が発生したということで、普通の国の場合とはかなり状況が違ったということであります。そして、現に医療の緊急支援隊を日本は派遣いたしましたが、彼らもスリランカの兵によって二十四時間守られながら医療活動を行ったということであります。

 したがって、そういう状況の中で、やはりある程度の確認、例えばそういう守る部隊がいるのかとか場所がどうなのかとか、そういったことの見通しをつけた上で派遣しなければならない、そういう事態だったと私は思っております。

 ただ、そうはいっても、もう一日、二日早くできなかったのか。例えば、空振り覚悟ですぐ近くのマイアミまでは送っておくことができなかったのかとか、いろいろな議論はあり得ます。そういうことについては、今、省の中で、あるいは政府の中で議論を行っているところであります。一日でも早く出せるような体制、もう少し工夫の余地がないかというふうには考えております。

 武器の問題は、私は、普通、こういう支援隊の場合に武器を持っていくということは国際的には余りないことでありますし、国会でも御議論いただければと思いますが、余り考えにくいことではないかな、現時点ではそう思っているところであります。

中谷委員 実際に今の法律で、担当者と話をすると、明らかに法律の制約等がありまして、現状になっております。ほかの国では、病院船を派遣したり、医療においてもさまざまな活動を展開しておりますので、今後さらに、こういった支援におきまして活動が実施しやすいように政府の側に法律の内容の検討をお願いいたしまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

安住委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、まず、質問の前に、順番を繰り上げて質問させていただくことをお許しいただきました自民党の新藤理事並びに野党筆頭の中谷理事に、感謝申し上げたいと思います。

 きょうは、大臣所信に対する質疑ということでもございますので、両大臣ともに所信の中で述べられておりました、一つは普天間飛行場の問題、時間がありましたらソマリア沖・アデン湾における海賊対処の問題、この二つについてお尋ねをさせていただきたいと思うわけでございます。

 まず最初に、普天間飛行場の問題でございますが、三月八日に政府・与党の沖縄基地問題検討委員会が開かれまして、国民新党さんと社民党さんから移設案が具体的に提示をされたわけでございます。

 私もこの分野に長く携わっておりまして、地元に戻ったりすると、民主党さんの案はどうなっているんだ、私は党が違いますけれども、そういうことをいろいろ聞かれるわけですね。これは本当に率直な国民の疑問だと思うわけであります。

 きょうは、本当は平野官房長官がお越しになっていただければ平野官房長官に聞くのが筋だと思うんですけれども、しかし、何ゆえ、小さな政党二つから案を出させておいて、衆議院だけでも三百以上議席をとって主軸である民主党さんが、八日の時点でも移設案を出されなかったのか。特に、民主党さんは、政策は内閣に一元化するんだ、そういうことを建前にされているんですから、今の段階で、民主党案というのはこういう案で考えているんだというのが出されてしかるべきだったのではないかと私は思うんです。

 例えば、昨年までやっておりました自民党、公明党の連立のときには、我々、小なりといえども、自民党さんが案を出されれば、公明党ももちろん案を出して、そして議論を闘わせて、最後、まとめていくということをやってまいりました。

 今回のこの三月八日の時点で民主党として移設案を提示されなかったのはいかなる理由なのか、両大臣を代表して岡田外務大臣に御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 この問題は、委員御指摘のように、今、平野官房長官のもとで検討委員会をつくり、そこで議論しているわけであります。

 確かに、政府と党は別だということになりますが、民主党の場合には、基本的に、政策は政府でという考え方がございます。そういうこともあって、党としての案を提示するということはなかったんだというふうに思っております。

 この問題の関係者、官房長官あるいは防衛大臣、外務大臣、みんな民主党の人間であります。そういう意味では、政府の考え方と民主党の考え方の間にずれはないというふうにお考えいただければいいのではないかと思います。

佐藤(茂)委員 ですから、政府の案というのが、報道では伝わっているんだけれども、具体的に、正式に一度も提示されたことがないというのが、やはり国民から見て一番見えにくい部分になっておるのではないかな。この後、ちょっとこの件についてはまたお聞きしますけれども。

 と同時に、この三月八日を受けて、翌日の新聞で、八日にそれぞれ両党案が提示されたということとともに、地元の沖縄の名護市議会が、その委員会が開かれる前に早々に、米軍キャンプ・シュワブ陸上部への移設案に反対する意見書と抗議決議を全会一致で可決したということが報道されておりました。ところが、それとセットで、平野官房長官が、可決したことを受けて、記者会見で、一般論として、決議を超えてやっていかなければいけない場合はあるんだということを言われた、そういう報道もございます。

 要するに、政府が地元の反対を押し切って移設先を決定する可能性を示唆したと各紙も書いているわけですね。私は、これは一月下旬に、名護市長選を受けて、その結果をしんしゃくしなければならない理由はない、そういうふうに述べて官房長官が一時批判されましたけれども、その発言に極めて近いような批判を地元では受けておられるのではないかな、そういう感じがいたしました。

 私は、この官房長官の発言にあらわれているようなそういう態度というのが、今の連立政権また与党の沖縄の地元に対する姿勢なんだろうか、そういうことを非常に今疑問を持つわけであります。

 沖縄の地元の反対を押し切って移設先を決めたとしても、私は、やはり移設の実現というのは極めて困難であろう、そういうふうに思うわけですね。ですから、アメリカと交渉を始める前に、やはり地元の理解と合意をしっかりと得るということが私は大前提だと思うんです。

 両大臣を代表して北澤防衛大臣にぜひお聞きしたいんですが、この名護の市議会の意見書をどのようにとらえ、また、地元の理解と合意を得ることがアメリカと交渉を始める前の大前提だ、私はそのように考えるんですが、北澤防衛大臣の御見解を伺っておきたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 議会の決議というのは、私も地方で議員をやった経験がありますので、極めて重い。しかも、つい先ほど沖縄県議会からも、委員会がスタートする前に決議書をいただきました。お答えもしておきました。

 そこで、官房長官のお考えでありますが、特段このことにおいて話し合ったことはないのでありますが、皆さん方も常々言っておられますように、一日も早い解決が大切であるという国防の観点から、不退転の決意を持ってやる意味において、地方の皆さん方の御理解をいただけるようなことは大前提ではありますが、一つの責任者としての意思を表明しているのではないか。

 しかし、私は、その前に、地元が沖縄であるというふうに、とかくその前提で話がされるんですが、どこに行くかわかりませんから、地元の理解というのは極めて重要であるというふうに思っています。

佐藤(茂)委員 今ちょっと最後に申されて、要するに、地元の理解を大切にしながらアメリカともこれから交渉していく、そういう答弁だということで再度確認したいんですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

北澤国務大臣 この問題は、まず地元が、一〇〇%ではないにしても、理解をしていただかなきゃいかぬということはそのとおりでありまして、これは公式な協議はしておるわけではありませんが、米側から聞こえてくるのも、提案をされるのならば地元との協議がまず大事ではないかというようなメッセージは仄聞をいたしておるところであります。

佐藤(茂)委員 それで、岡田外務大臣にぜひお聞きしたいのは、昨年、政権が始まりましてからいろいろ協議されて、最終的に十二月の下旬だったと思うんですけれども、新聞等は迷走の末というように書いておりました。総理から、来年の五月中に決めるんだ、ことしに入りましたけれども、五月までに決めるんだ、そういう話があったわけであります。

 これは、総理だけの御判断でそう言われたのではないと私は思うんですね。関係閣僚の外務大臣や防衛大臣も入った上でいつにするかというのを決められたと思うんですが、なぜ五月末なのかということについて、そもそも、あの時点では余り説明はなかった、そのように思うんですが、なぜ五月末という期限を設定されたのか、お尋ねをしておきたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、五月末というのは、関係閣僚が集まって最終的に決めたものでございます。その議論の中身についてお話しする必要はないというふうに私は思います。

佐藤(茂)委員 なぜ必要ないのか。その理由を聞いておるので、必要ないと言われても困るので、なぜ必要ないんですか。

 五月末という設定が、今だんだん、はっきり言うと非常に、もう三カ月を切っているところまで来ておるわけですね。なぜ五月末なのかということについては、いまだに国民の前にもきちっとした説明をされていないんですよ。なぜそれを説明する必要がないんですか。

岡田国務大臣 我々が決めたことは、これは関係閣僚だけではなくて、たしか福島党首、亀井党首も入った基本政策閣僚会議、この場でも確認をしたと私は記憶しておりますが、五月末までに結論を出す、決めたときから見ると大体半年後ということであります。

佐藤(茂)委員 まあいいでしょう。これ以上やっても、多分それ以上答弁されないかもわからぬ。ただ、それでは、はっきり言っておくと、国民に、五月末という設定というのは全く説得力のある説明になっていないということだけは申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、八日のあの議論、我々は野党ですから報道ベースしかわかりませんけれども、見ておりまして、十二月の末から沖縄の基地問題検討委員会というのが政権与党で何回か開かれているんですけれども、要は、表に出てあらわれてくる、我々が見ているのは、普天間飛行場の移設先の候補地探しに終始している。要するに、移設先探しばかりが議論されておるんじゃないのかという懸念を我々は持つわけです。そういう懸念が当たっていなければいいですよ。

 なぜ沖縄に海兵隊が必要なのかとか、先ほどちょっと中谷委員も質問されましたけれども、また、在沖縄海兵隊の抑止力をどう評価するのか、そういう安全保障の本質的議論というのが本当になされてきたのかどうかということについては、私どもは疑問を感じざるを得ないわけです。

 というのは、結果として、そういう議論を踏まえていないがゆえに、あの三月八日の時点で国民新党案で提示されたものと社民党案で提示されたものというのは、余りにも開きがあり過ぎる。要するに、日本の安全保障をどうするんだという根本の考え方が全く一致していないがゆえに、あれだけの開きがあるんじゃないのかなと我々は考えるわけです。

 そこで、もう一度原点に立ち返って、この沖縄の米軍再編のどの辺から結局議論として導き出されてきたのかということを思い出しますと、少なくとも、自公政権時代に、日米安全保障協議委員会、2プラス2が、平成十七年の二月から平成十八年五月まで、まとまったタイミングですけれども、三段階で行われてまいりまして、第一段階は、平成十七年の二月十九日に、日米の共通の戦略目標を確認いたしました。第二段階の十七年の十月二十九日、これについては、日米の役割、任務、能力の考え方と兵力態勢の再編の勧告というものをその当時明文化いたしました。三段階目は平成十八年の五月一日で、再編実施のための日米のロードマップ、そういうものを日米間で決めて、在日米軍の今問題になっている兵力の編成の見直しを行う、そういうことが三段階で決まってきたんですね。

 その過程の中で、我々当時の与党内で議論をして、普天間移設先についても、二つの考え方、一つは地元の負担を軽減しつつ、もう一つは抑止力を維持する、そういう基本的な考え方のもとに、大きなパッケージの一つとしてこの普天間飛行場の移設先を決めた、そういう経緯があるわけです。

 まず、岡田外務大臣に確認の意味でお聞きしておきたいのは、旧政権時代に行われました、今申し上げました、平成十七年から平成十八年の五月までに至る三段階で行われた日米間の日米同盟に関する協議、それについて外務大臣としてどのように評価されているのか。

 また、細かい部分は別にしても、大きな考え方の方向性というのは、そのときに三段階で決まった方向というものを継続されようと考えておられるのか、いや、あれは旧政権時代だから、政権がかわったから、全面的にこれは見直すべきである、そのように考えておられるのか。外務大臣の考え方をまずお聞きしておきたいと思います。

岡田国務大臣 私が一月十三日にハワイにおいてクリントン長官と会談をいたしまして、そこでまず決めたことは、安保五十年という区切りの年であります、したがって、日米同盟についてより議論を深化させて、できれば年内にその成果物を出そうということにいたしました。そして、それは2プラス2の枠組みで話し合っていこうということであります。

 その第一弾として、安保五十年の記念すべき日に、2プラス2として、ゲーツ長官、クリントン長官、そして北澤大臣、私の四名で、一定のステートメントといいますか宣言を出したわけでございます。

 委員御質問の件については、そういう五十年の区切りとした、そういった見直しの中で議論をしていくことになりますが、したがって、余り今いろいろなことをその議論をしている中で申し上げるべきではないと思いますが、状況はそんなに大きく変わっているわけではない。しかし、当時と比べれば、より、北朝鮮情勢もそうですし、あるいは中国の動向もそうですし、あるいはそのほかのアジアにおける新興国の状況というのもかなり変化もありますから、そういうものを盛り込みながら考え直していく、こういうことになると思います。

 しかし、大きな線がそう変わるというふうに私は思っておりませんし、それから、委員が御指摘された、この普天間基地の移転の問題を考える際に、沖縄の負担の軽減と、そして現に米軍が果たしている役割、つまり日本の安全と地域の平和と安定のために果たしている役割、言葉をかえれば抑止力、そういったことのバランスの中で考えていかなければいけない問題であるということは、議論の前提であります。

佐藤(茂)委員 今最後に答弁された、要するに沖縄の負担の軽減と、沖縄だけじゃないんですが、地元の負担の軽減と抑止力の維持という考え方については維持されながら議論されていくんだ、それは確認をさせていただきました。

 そこで、防衛大臣にお聞きしたいのは、新政権の考え方でぜひ明らかにしていただきたいのは、今、抑止力の維持の中でも、中でも在沖縄海兵隊の抑止力をどう評価するのか。要するに、沖縄の海兵隊というのは抑止力として必要か、そういう点について、北澤防衛大臣はどのような考え方をお持ちなのか、御答弁いただきたいと思います。

北澤国務大臣 先ほど中谷議員にも御答弁を申し上げましたけれども、まず基本的に、海兵隊が沖縄及びその周辺にいるということは、我が国の安全保障、ひいてはアジア太平洋全体における安全保障のために必要である。しかし、それを、普天間の危険性を除去するという中で、米側が八千人のグアムへの移行を表明したということでありまして、残された海兵隊の兵力は極めて重要であるというふうに思います。

佐藤(茂)委員 それで、北澤防衛大臣に代表してちょっとお聞きしたいんですけれども、北澤防衛大臣は、三月五日午前の閣議後の記者会見で、今の普天間飛行場の移設問題をめぐって、日米が合意した現行計画について、現行案ではなかなか難しいということで検討している、あらゆる機会をとらえて米側にそう申し上げている、そういうように言われたんですね。

 私どもは、まず明らかにしておきたいのは、そもそも、なぜ、今この言葉にあらわれているように、日米合意以外の案を検討することになったのか、日米合意の今の現行計画でなぜいけないのか。そのことに対して具体的な説明をぜひ防衛大臣の方から伺いたいと思うわけです。

北澤国務大臣 これは、一つには政治的な側面がありまして、政権交代をした中で、沖縄の皆さん方は象徴的に、あの美しい海を埋めるのはけしからぬ、こういう強い御要請があって、さらに申し上げれば、あのV字案の設計の段階で、調査をするということでスタートしましたけれども、前政権の中でも、これが反対に遭って手がつかなかった、さらに県民の皆さん方の期待が高まる、そういう中で、実態的にそれは無理ではないかという意味を込めて、米側の理解を得るように私から発信をしておった、そういうことであります。

佐藤(茂)委員 それで、八日の先ほどの委員会の後を受けて、九日の朝刊では各紙とも、官房長官はきょうはお見えにならないんですが、政府はキャンプ・シュワブ陸上案を軸に最終調整に入り、月内、三月いっぱいで移設案をまとめる方針だ、そういう報道が、これは五大紙プラス東京新聞、共同通信関係まで含めて、全部一斉になされているんですね。

 北澤防衛大臣に単刀直入にお聞きしますが、一般紙の報道どおり、キャンプ・シュワブ陸上案というのは極めて有力な案である、そのように防衛大臣はお考えなんでしょうか。

北澤国務大臣 これは現在、官房長官のもとで検討されておりますので、あの検討委員会には私は参画をしておりませんから、今の段階で私がそういうことを申し上げるのは僣越だというふうに思います。

佐藤(茂)委員 ただ、防衛大臣は、国会では慎重な発言をされておるんですけれども、外ではかなり思い切った発言をされておるんですよ。

 例えば、二月二十五日に国民新党の下地国会対策委員長のそういうパーティーに出られて、北澤防衛大臣はどういうように言われているか。各紙報道しています。翌日読まれたかもわかりませんけれども。代替案は下地氏が下地をつくって、なかなか話がうまいですね、しゃれをつくって、下地氏が下地をつくって、大体方向性は自分も同じであり、その方向に今進んでいる、そういうふうに述べられたんですね。

 要するに、何を言われているかというと、国民新党さんが結果として提示されましたけれども、政府内でもその陸上部への移設案がやはり最有力案である、そういうふうに検討されていることを明らかにしたというふうに、報道はそれを受けて書いているんです。要するに、国会では明確に答弁されないけれども、外では具体的に明確にしゃべっておられるんじゃないですか。

 だから、そのことについて、その姿勢自体、公式の場では安全保障を担当する大臣としてしゃべらずに、外でぺらぺらしゃべるというのは、私は不見識だと思いますよ。やはりこういう場ではっきりおっしゃった方がいいんじゃないですか、防衛大臣。ちょっと答弁をいただきたいと思います。

北澤国務大臣 ぺらぺらはしゃべっておらないのでありまして、佐藤委員も国会議員のパーティーの雰囲気というのは十分御存じだというふうに思います。きのうも、新聞を見ると、菅副総理が、パーティーへ行って、私の次にはあなたが財務大臣になるとか、ほかの場所へ行くと総理大臣が何人も誕生するような話は、これは自民党政権時代にも多々あったことであります。

 ただ、私は、あのときには、下地さんの行動力を後援者の皆さんに御披露しようという気持ちの中で、彼はまさに天馬空を行くような政治行動をしておる、彼の思いが国政の中で実現するということは間々あることだというような意味において、その場の雰囲気も少しは盛り上げなきゃいかぬという気持ちの中で申し上げた言葉であります。

佐藤(茂)委員 それで、キャンプ・シュワブ陸上案、これは当委員会でも、委員長の御配慮で今度我々安全保障委員会も視察に行かせていただきますけれども、既に我々検討済みで、二つの大きな問題があるということははっきりしているわけです。

 一つは、キャンプ・シュワブ陸上に移したとしても、普天間の周辺住民が今不安に思っている危険性とか騒音被害、こういうものがそのまま名護市辺野古地区の、なおかつ今の現行計画よりも住宅地域にさらに近づいてくる、こういう問題をどうするのかという問題があります。

 もう一つは、キャンプ・シュワブ内に飛行場をつくるには山の掘削が必要になって、土壌の赤土がどう環境に悪影響を及ぼすのか、こういう問題。

 この問題に加えて、きょう私、時間もないんですけれども、さらに、日本政府としてぜひ明らかにしていただきたいのは、アメリカが、これからの配備計画として、垂直離着陸機、MV22オスプレー、これからオスプレーと呼びますけれども、それを早ければ二〇一二年度あるいは二〇一三年度から沖縄に配備する計画であるとも言われていますけれども、日本政府として、オスプレーの配備についてどのように認識されているのか、防衛大臣に伺いたいと思います。

北澤国務大臣 これは米側の資料には、今、佐藤委員おっしゃるように明快にありますが、ただ、日米の間で、このことについて米側からの意思表示は全くないのであります。

 私も参議院で外交防衛委員長を一年半いたしまして、沖縄選出の議員を初め、防衛省に対して非常に、そのことについて明快に答えろということでありましたが、防衛省側は、当時の局長たちが、全く米側からの提案はないということで言ってきました。私も防衛大臣を拝命してからその辺のところもいろいろ調べましたけれども、米側から正式には全く来ておらないのが現状であります。

佐藤(茂)委員 だから、ただ、日米の間で話していない、米側では正式に来ていない、そういうふうに言われますけれども、きょう、せっかくなので、長島防衛政務官が来られていますけれども、これは三月二日の毎日新聞でもう既に報道されている。毎日だけではない、ほかの新聞社も、書くか書かないかの問題ですけれども。三月一日の東京都内の会合で長島昭久防衛政務官は、「「オスプレイは一二年十月から二十四機、沖縄に随時導入されることになっている」と明言。」こういうようにきちっと、これは防衛政務官がしゃべられているじゃないですか。

 ですから、日米間でそんな話になっていない話が、なぜ防衛政務官からそういう話が出るんですか。これはやはりおかしいんじゃないでしょうか。

北澤国務大臣 どちらが責任が重いとかどちらが偉いとかとは申しませんが、防衛大臣の言っていることを御信頼いただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 防衛政務官が発言を求めていますので、防衛政務官、お願いします。

長島大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 私が会合で申し上げたのは、先ほど委員がお触れになりました、アメリカの海兵隊の二〇一〇会計年度の海兵隊航空機計画というもの、ホームページにもアップされておりますけれども、それに基づきますと、二〇一二年の十月から一三年にかけて、ツー・スコードロン、つまり二個飛行隊、普天間という基地に配備されるという計画が米側の資料に載っていることを私は申し上げたわけであります。

佐藤(茂)委員 これは、米側が勝手に言っているだけだという問題では済まないわけでありますから、日米間でそんな話にないということなら、米側がそういうことを明確に公表しているわけですから、やはり日本側の担当省として、オスプレーの配備についてはどうなんだ、また、日本の考え方としてはこうなんだということをぜひ私は日本政府としてきちっと明確にされるべきじゃないのかな、そのように思うんですが、防衛大臣、御答弁いただきたいと思います。

北澤国務大臣 先ほども申し上げましたが、累次にわたって国会で質問されておりますので、防衛省としても米側に確認を何度かとっておりますが、依然としてそういう正確なことはありません。

 ただ、せっかくの御質問でありますから申し上げますと、米側からたくさんの要人が防衛省へも訪ねてこられまして、中でも海兵隊の責任のある立場の方もおいででございまして、私も、表敬訪問の中でお尋ねをするんですよ。やはりはっきり言いません。米軍全体とすればオスプレーに配備がえをしていくことは間違いない、しかし、日本の国の中へいつそういうことをするかということについては今は申し上げられないというお話をされて帰っていきます。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

佐藤(茂)委員 このオスプレーの問題は、私もこの委員会は結構長いんですけれども、過去に先輩方からもいろいろ追及がありました。

 なぜ問題なのかというと、アメリカは二〇〇七年からイラクに実戦配備しております。その前の段階のときに、オスプレーというのが非常に問題になったのは、ウイドーメーカー、未亡人製造機と言われるぐらいに、試作段階でとにかく墜落が多くて、死者を何人も出している。これがそのまま、今、普天間になるのか、あるいは沖縄のほかの移設になるのか、沖縄以外の県外になるのかにしても、日本国内に配備されてくるというようなことになる、そのままの安全性で配備されるということになると、これは新たな問題を生起しかねないわけであります。

 ですから、このことについては、ぜひ防衛大臣、アメリカ側からないからとか、そういう時点で終わらすのではなくて、日本側から積極的に、どうなっているんだということを、先ほど防衛政務官も、そういうのに載っているから話したんだという話でしたから、明確にされていくべきである、そのように申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 次に、新藤義孝君。

新藤委員 新藤義孝でございます。

 防衛、外務両大臣の所信に対して質問したいと思うんですが、まず基本のところを押さえたいというふうに思います。

 鳩山総理は、本会議において、普天間の移設先は五月末までに決定する、こういうふうに表明しているわけですけれども、この決定というのは、連立三党間の合意、それから沖縄の自治体、地元の同意、そして米国の同意、この三つがすべて同意を得られる、そういう案をつくって、そして具体的な移設先を決定する、こういう意味でよろしいんですね。これはまずお二人の大臣に、基本中の基本でございますので、確認したいと思います。

岡田国務大臣 鳩山総理は、五月末までに政府としての結論を出すというふうに言われております。政府としての結論を出すという意味は、地元の理解を求めつつ、アメリカともすり合わせをし、そのアメリカの理解のもとで政府としての結論を出すということであります。

北澤国務大臣 外務大臣と同じであります。

新藤委員 念のために、今ちょっと注意して聞いていたんですが、地元と米国のことをおっしゃいましたが、連立三党の合意もこれには含まれているんですね、今お話しされました中に。

岡田国務大臣 政府としての結論を出すということですから、今連立三党で政府を構成しておりますので、連立三党の合意というのは当然であります。

新藤委員 では、続いて、さらにこれも基本的なところでございます。

 仮に、五月までに移設先が決まらなくて決定が先送りになる、そういう場合がもしあったとして、この際には、普天間基地の継続使用はあり得るのか。

 この問題が決まらずに先送りになって、結果として普天間基地の先送りがあり得るのか。こういうことに対して、鳩山総理は、一月二十八日、参議院予算委員会で、移設先が見つからなくても今までどおり使うという話はない、継続使用はしない、このように答弁しています。

 しかし、その三日後ですか、岡田外務大臣は、日本記者クラブでの記者会見で、望ましくはないけれども、ほかになければ普天間が今のままであるということもあり得る、こうおっしゃっていますが、現状において外務大臣はどうお考えなんですか。

岡田国務大臣 ここは発言を気をつけてしませんと、言葉じりをとらえられがちであります。

 私が申し上げていることは、もともとは、これは普天間の危険性除去のためにどこに移設するかということで始まった話であります。したがって、そういった結論が出ずに今のまま残るということのないように、今、五月末までにということで政府を挙げて議論をしているところでございます。五月末までに必ず移設先を決めるという決意のもとでやっております。

新藤委員 これは大臣、全然答弁になっていないですよね。決まるのなら問題ないんですよ。決まらなかったときのことを仮定してお尋ねさせていただいたときに、総理大臣と外務大臣の答えが違うんですよ。

 ですから、こういうことをどうしてすり合わせしないんですか。この問題についてどういたしましょうかと、お互いの発言が食い違ったんですから、閣議なりなんなり、毎日顔を合わせているわけですから、総理大臣と外務大臣はこの問題についてすり合わせをして、統一見解を出すべきでないんですか。

岡田国務大臣 当然、すり合わせをして発言をしております。今申し上げたとおりでございます。ですから、そういうことのないように、しっかりと結論を出すということであります。

新藤委員 そういうことのないようにはわかったんです。もし起きてしまったらという仮定のことを聞いているんだから、それに答えないというのは、だって、最初から答えないのならいいんですよ、もう既にお互いに話をしちゃっているんじゃないんですか。それで食い違っちゃっているんだから、どうしてこれを正そうとしないのかということなんですよ。

 これは幾ら言っても、要するに、そういうことのないようにしますしか言わないんだから。だけれども、それでは責任ある答弁になりませんよということなんです。

岡田国務大臣 ですから、繰り返しになりますが、食い違っておりません。よくすり合わせをした上で発言をしております。

新藤委員 すり合わせしたんですね。よく気をつけていただきたいと思いますよ。少なくとも、そういうふうにすり合わせをした、そして統一見解になったというのは、どこにも話はないですよね、今大臣が言っているだけで、いや、別室でやっておりますよと言っているだけで。それは、一回出した見解が変わったならいい、それから修正して統一になったというならば、どこにも発表されていないじゃないですか。もういいですよ。

 だから、そういうふうにうやむやにしないで、僕はやってないと思いますよ、申しわけないけれども。言わなければ、お互いにそういうことは、仮定のことだから、もしうまくいかなかったらのことは言うのをやめますと言っているだけの話じゃないですか。それは統一見解でも何でもないですよ。もう結構です。

 それで、次に、官房長官にお尋ねしたかったんですけれども、きょうはどうしてもおいでいただけないということですから、かわりの松野副長官、おいでいただいてありがとうございます。安全保障論議についてお尋ねしたいと思います。

 政府・与党の沖縄基地問題検討委員会において、社民党、国民新党からそれぞれの案が提出されました。今後、政府はどのように政府案を絞っていくのか。それは今回の二党の提案の中から選択するのか、それとも別の政府案を出すのか、こういうことなんです。まとめて言っちゃいますけれども、二月十六日の記者ブリーフでは、当初、検討委員会で民主党案を出すと官房長官は言っているんですね。それは松野さんもいるし、私もいるから、民主党案も出しますよと言っていた。だけれども、出なかったんです。さっき同僚委員からの質問もありましたけれども、どうして出さなかったんですか。

松野内閣官房副長官 新藤先生にお答え申し上げます。

 この沖縄基地問題検討委員会というのは、基本政策閣僚委員会のもとに置かれた委員会でございます。まだこの委員会は今後も存続をしてまいるつもりでございますし、また、三月八日に、社民党、国民新党の委員の方から案をいただきました。ですから、まだこれから案が出てくる可能性というのは十分ございますし、また、そういうものを見ながら鋭意検討しているところでございます。

 また、移設先につきましては、負担軽減を望む沖縄県民の皆さんの気持ち、また安全保障上の観点を踏まえて、特定の前提を置かず、現在ゼロベースで、これから作業に入っているところでございます。

新藤委員 だから、どうして民主党案を出さなかったのかということを聞いているんです。

松野内閣官房副長官 基本的に、今申しましたように、各党ということでそこにメンバーが入っているわけではございません。ですから、もちろん、社民党、国民新党、各党党首クラスの入った、または関係大臣の入る基本政策閣僚委員会のもとに置かれておりますので、そこで社民党、国民新党さんの委員というのがいらっしゃるということでございます。

 ですから、基本的には、民主党案というよりも、私どもは委員という立場で入ってございますので、また私ども委員という立場で案を出す可能性もまだ十分ございます。

新藤委員 では、今後、この基地問題検討委員会は存続させるんですね。官房長官は打ち切ると新聞報道に出ているよね。

 それから、政府案ではなくて民主党案を出すと言っていたのに、今回どうして出さなかったのか。これは、これから出すということ。まあ、これから出すことが、民主党案は政府案になるんだ、こういうことだと思うんですけれども、本当はこれはちょっと微妙に違うんだよね。だから、何か私は、官房長官がやっていることは極めてちぐはぐで迷走している、こういうふうに思うんです。

 では、今後は、政府案を決めるときには、水面下で選定作業を行って、官邸とホワイトハウスが連絡調整に当たる、こういうふうになるんではないか。その確認をするために、ルース大使と官房長官それから大臣が、北澤大臣、御一緒だったんですか、お話をされた。官邸とホワイトハウス間が今後調整に当たるということでよろしいんですか。

    〔委員長退席、神風委員長代理着席〕

松野内閣官房副長官 事の内容につきましては、内容が内容でありますので、どういう場所か等々のことについてお答えは今後差し控えたいというふうに思っておりますし、また、それが表に出て発表されることはないというふうに思っております。

 また、後段の御指摘の交渉ルートに関しましては、まだ、これからどういう形で、関係各省とも連携をとりながら交渉ルートについては決めていくところでございまして……(発言する者あり)もちろん外交ルートを含めて交渉を決めていくことでございますので、当然、今おっしゃったホワイトハウスと官邸ということが決まっていることは全くございませんし、そのことだけはお答え申し上げます。

岡田国務大臣 先ほど答弁を既にいたしましたが、米国との交渉は外務省で責任を持って行う、そのこと以外の答えはございません。

新藤委員 私もそれを質問しようと思っていたんですよ。だって、外務大臣はそういうふうにおっしゃっていますよね。でも、今の話は違うんだよ。だって、外務大臣が違う違うと言っていたじゃないの。答弁の最中に、違う違うと自分で今言っていたじゃないですか。もうわかっている。

 だから、そういうふうに、ちぐはぐじゃないのと。何か問題が起きると委員会をつくり、それがうまくいかなくなるとまた別の組織をつくりと、ピンボールのように迷走していると私は思っちゃうんですよ。だから、そこは十分に誤解のないように、それから政府内の調整をしっかりしていただきたい、このように思います。もう結構です。

 それから……(岡田国務大臣「ちょっと一言」と呼ぶ)ではどうぞ。

岡田国務大臣 これは国益に関することですから、申し上げておきたいと思います。

 総理との間で、外交ルートを通じてきちんとやるということは確認しておりますし、それ以外のことは考えられないことだというふうに明言しておきます。

新藤委員 明言もいただきましたし、私もそう思います。政府というのはそういうものですから。ここがいたずらにぐらぐらしないように、これは御注意を申し上げたいというふうに思います。

 続いて、先ほどもお話ありましたけれども、報道等で、この基地問題検討委員会はとにかくどこに決めるんだと。グアムに出かけていったり、いろいろなことをやっています。

 移設場所をめぐる情報は乱れ飛んでいるけれども、そもそも、この普天間基地の移設問題を議論するときは、まず大前提として、安全保障上、軍事的な優位性を維持した上で、抑止力を維持した上で沖縄の負担の軽減を行う、そのための答えを見つける、それがこの作業だったと思うんです。

 ですから、沖縄にどうして海兵隊が必要なんだ、なぜ要るんだ、こういうところをしっかり煮詰めた上で、その前提に立って、ではその条件を満たす移設先はどこだというのを決めていく。その議論が行われてしかるべきだと思うんですが、この沖縄基地問題検討委員会では、安全保障上の観点からどういう議論が出たんですか、そしてどんな方向性が打ち出されたんですか。

松野内閣官房副長官 沖縄問題検討委員会において、過去の普天間基地移設問題に関する検討の経緯、また米軍再編の考え方、また在日米軍や海兵隊の機能などについても、当然、防衛省や外務省からこれまでの委員会の中で意見を聴取して検討を実施しているところでございます。

 また、同委員会における普天間飛行場の移設先の検討に当たっては、安全保障上の観点を踏まえて行っていくのは当たり前の話でございまして、そのように御答弁をさせていただく次第でございます。

    〔神風委員長代理退席、委員長着席〕

新藤委員 御自分でもわかっていると思うんですけれども、だから、どういう内容の議論をして、そしてどんな方向性を見出したんですかということ、中身を聞いているんです。

松野内閣官房副長官 まだ今鋭意検討中でございますし、また、中身については、場所等の特定等、また事の性格上、それはお答えするのにふさわしくないというふうに思っておりますので、ここでは差し控えさせていただきますし、まだ現在随時作業中でございますので、今のところの答弁はこういうことになるというふうに思います。

新藤委員 これは極めておかしいですよ。ベースになる前提が整理されないのに、移設場所を出しちゃったじゃないですか。どうして、前提となる安保上の守らなければいけない枠というものを設定しないで、その上に載せる移設場所の提案がなされるんですか。おかしいでしょう。

 だから、細かく、一つに決めたことに対してのことを言っているんじゃないんですよ。そもそも、日本において、安保上、在日米軍、そしてその中の在沖縄米軍、さらには沖縄の海兵隊、こういう位置づけをどう整理したのか、ここを聞いているんですよ。

松野内閣官房副長官 検討委員会としてまだ移設先を決めたということもございませんし、それが出たことはないというふうに思っております。

北澤国務大臣 防衛省から検討チームがその会合へ出席をさせていただいておりまして、その経過から申し上げますと、まず、普天間飛行場の移設にかかわる経緯、こういうものを三回にわたって御説明をしてあります。次に、米軍再編の考え方、それから三番目に、政府として過去に正式に検討した移転先の場所、それから今委員がおっしゃっておられる四番目は、在日米軍及び海兵隊の機能、さらに在沖縄米海兵隊のグアム移転、この五つについて経過を説明しながら、協議に資するようにさせていただいております。

新藤委員 大臣の御答弁も副長官の御答弁も同じなんですけれども、何をやったかという行為は、どんなことを議題にしましたというのはお話しされるんだけれども、その中身はどうなったんですかというのがちっとも出てこないんですよ。ここを我々は、なぜ国会の場で明らかにしないんですかと。議論の大前提があやふやなのに、その先どうなるか、結局、最後、どこかに決まる、その一つに決めたことに関していいか悪いかを言わせるつもりなんですか、こういうふうになってしまうんです。

 そもそも、きのうは、官房長官は沖縄県知事とようやっと会談されたわけですね。前は、ルース大使との会談の直後に上京された知事とは会わなかった。知事に説明したわけでしょう、この会談の状況や今の現状をですよ。

 それから、今回の普天間の問題については、官房長官が政府側の責任者になって今対応しているわけでしょう。党や地元自治体と話をしている、アメリカとも接触している。国会に全然説明していないじゃないの。この安全保障委員会に全然出てきて説明もしないで、これは国会軽視と言うんじゃないの。

 私は、これは皆さん、中谷委員からもお願いしておりますけれども、この問題で、なぜ総理大臣が出てきて私たちと議論しないのか。加えて、今度は、その総理から責任を任されている官房長官が出てこなくて、きょうは副長官、本当に御苦労さまだと思うけれども、これはここの場でやらないで、一体、国会というのは何と思っているんだということになるわけです。

 ですから、総理大臣、官房長官においでいただいての普天間基地移設問題の集中審議をぜひやっていただきたい、これは委員長にお願いしたいと思います。

安住委員長 はい。

 どうぞ、質問を続けてください。

新藤委員 いや、これはちゃんと理事会で検討してくださいよ。

安住委員長 はい、理事会で協議します。

新藤委員 いいですね。

安住委員長 はい。

新藤委員 何かみんな、委員長までそういうことをやるの。委員長、公平な委員会審議をやってくれなくちゃ困りますよ。

安住委員長 了解しました。どうぞ。

新藤委員 では、続いて、これは外務大臣にお尋ねしようと思いますが、民主党が選挙前に主張していた、そして社民党が今回提案している県外、国外移設、これを行った場合には、軍事的空白が生まれる可能性があると思うんです。

 外務大臣は今回の所信の中で、在日米軍が日本の安全を確保する抑止力として重要な役割を果たしていること、これを国民の理解を深めたいと、ここの中に入っています。沖縄の海兵隊が県外や国外移設をされても在日米軍の抑止力は維持される、このようにお考えなんですか。

岡田国務大臣 まず、お答えする前に、選挙の前、民主党のマニフェストに書かれていたことは、県外とか国外ということではございません。そのことは申し上げておきたいと思います。事実として申し上げておきたいと思います。

 それから、今の御質問にお答えいたしますと、私は、外相演説の中で、在日米軍が日本の安全に果たしている役割、あるいは地域における平和と安定に果たしている役割、そういったことをもっとしっかりと国民に語っていかなければいけないということを申し上げたつもりでございます。その思いは今も変わりません。

 基地をどこに移すかという議論をするに当たって、まず前提として、米軍が日本の平和のためにどれだけ大きな役割を果たしているかということを踏まえた上で議論しないと、それは私は間違ってしまうというふうに考えております。そういう訴えが必ずしも十分ではなかったんじゃないか、そう思って、あえて外相演説の中にそのことを書かせていただいたわけでございます。

 その上で、では、沖縄に海兵隊が必要なのかという御質問ですけれども、私は従来、国会で、日本に海兵隊は必要であるという言い方はしております。ただ、沖縄かどうかということは、まさしく官房長官のもとで今議論をしているわけですから、それをあたかも縛るような議論というのを今私が外に向かって言うべきではない、そういう思いの中で、日本にとって海兵隊の存在というものは重要であるということを国会では申し上げているわけであります。

 そのことが、では沖縄でなくていいのかとか、あるいは沖縄でなくてはいけないのかとか、そういうことについて私は全く何も申し上げていない。それはまさしく官房長官のもとでの検討委員会にゆだねているということは申し上げておきたいと思います。

新藤委員 大臣、本当にそれでいいんですか。あなたは、二月の二十七日、三重県四日市の講演で、県外、国外移設は実現可能な具体案があるかというと非常に厳しい、普天間移設の県外は困難であると。これは新聞報道に出ていますよ。

 今あなたは、日本に必要だけれども、県内、県外について私はまだ論調しないんだと。自分で地元に行って話をしているじゃないですか。

岡田国務大臣 私が申し上げたのは、客観的な見通しを申し上げたわけであります。

 沖縄の外に持っていくというのは、具体的な候補地を選定しなければなりません、それはなかなかこの限られた時間の中では大変なことであると。もちろん、大変だからといって、不可能だと言ったわけではありません。ですから、困難だ、厳しいという言い方をしているわけで、官房長官のもとでそれにかわる案が取りまとめられるということであれば、それは大変立派なことだというふうに思っております。

新藤委員 私も大臣の意見と同じなんですよ。非常に困難だと思うんです。ですから、おっしゃっていいと思うんです。でも、ここで違うことを言うから、委員会の場だけ。

 私は前も指摘したけれども、大臣は言葉が走っちゃうんですよ、目の前の質問にすぐ対応していっちゃうから。だから、そこはちゃんと気をつけてもらわなきゃならない。

 それで、次……(岡田国務大臣「ちょっと」と呼ぶ)いや、もういいです。防衛大臣、防衛大臣は、今度の大臣の所信で、在日米海兵隊の重要性を考慮しつつ、具体的な移設先を決定する、このように述べられています。この海兵隊というのは、沖縄の海兵隊のことですよね。

北澤国務大臣 沖縄に在留する海兵隊、しかし、その実数は、先ほどもちょっとお話し申し上げましたが、我々としてもなかなか把握はできないのでありますが、私が所信で述べておるのは、イメージとすればそういうことでありますが、日本に駐留する海兵隊全体を申し上げております。

新藤委員 最後だけちょっと私は納得いかないんですけれども、ここにあるのは、これは在日米海兵隊の抑止力の重要性といったって、要するに、海兵隊は沖縄と、それからあと岩国でしょう、飛行部隊。あとはないんだから、だから、飛行部隊を除くと、これは、沖縄の海兵隊の重要性を考慮しつつ、こういうふうに私は読んで、しかも、最初の御答弁は、前半はそういうことだったんですけれども、いかがですか。

北澤国務大臣 今、新藤委員がずっと質問の文脈の中で、沖縄の米軍の海兵隊を中心にした安全保障環境を論じておりましたのでそういうことを申し上げましたが、しゃべっているうちに、途中から所信のこれを思い出しまして、正確には、在日米海兵隊の抑止力の重要性を考慮しつつ、こういうことでありますので、よろしく御理解をいただきたい。

新藤委員 いや、余り理解できないんですけれども。

 いずれにしても、これは私ども、どう見ても、現状における海兵隊というのは沖縄と岩国なんですから、全体を考えれば、この文脈は、これは沖縄の海兵隊の重要性。しかも、普天間問題に関することに関してここに記述されているわけでございますから。ですから、そうなると、外務大臣も防衛大臣も、これは、海兵隊という安保上の機能上、県内移設しかない、県外、国外は想定していないというふうにこのところから見えてくるんですよ、御発言やそういうところから。

岡田国務大臣 私は言葉を厳密に選びながら常に発言しているつもりでありますが、ですから、客観的な見通しとして、非常に困難さがあるということ。それから、しかし海兵隊が果たしている役割は重要だというときに、今は主として沖縄にある、そして岩国に一部あるということですけれども、それが、では日本のどこかに移転したときに同じように抑止力が果たせるかどうかという問題。それは、果たせないというふうに決めつける必要はないのであって、果たせるということがあるのであれば、それも検討の対象であります。

 しかし、それは果たせることができるとしても、実際に移転できるかどうかというとなかなか見通しは厳しいということを申し上げているだけであります。それ以上のことを申し上げているわけではありません。

新藤委員 だんだん整理されてくると思うんですよ。

 次に、現行案について、これも確認したいと思うんです。

 両大臣とも所信の中で、日米合意の重みを十分に認識する、これは外務大臣、防衛大臣は、米国とも調整して理解を求めると。これは、米国の理解というのが非常に重要だということをおっしゃっているわけです。その米国は、オバマ大統領から関係の閣僚、大使に至るまで、すべて現行案がベストだと言っているわけじゃないですか。そして、総理と官房長官は、移設問題はゼロベースで見直すんだ、このように言っているんですね。

 三月五日、参議院の予算委員会で総理は、政府として米国に、現行案を断念したと打診したことはない、こういうふうに答弁されています。ということは、現行案もまだこの普天間基地移設先の候補地として検討対象に残っているということなんですか。外務大臣、どうですか。

岡田国務大臣 官房長官のもとでゼロベースで議論しております。ゼロベースというのは、あらゆる案が対象になっているということでございます。したがって、現行案もその対象としてあるということであります。

 それから、日米合意の重要さということを私は触れておりますが、これは、普天間の移転ということだけではなくて、八千人のグアムへの移転、そしてその結果としての基地の沖縄への返還、普天間以外も含めてですね、そういう合意でありますから、これはもちろんそれぞれ独立してはおりますが、実質的には一つにつながった話であります。そういった八千人の移転や基地の返還ということも極めて重要なことだと私は思いますので、そういうことも含めて申し上げているところでございます。

新藤委員 防衛大臣、防衛大臣は、三月五日、記者会見で、現行案ではなかなか難しいということで検討している、普天間基地の移設に対して現行案は難しいと。そして、それをあらゆる機会をとらえてアメリカ側にこう申し上げていると。

 これは、防衛大臣はアメリカ側に現行案では無理だと伝えているんですか。

北澤国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますが、政権交代があった中で沖縄の皆さん方の期待感が非常に高まっているという側面と、それから、先ほども申し上げましたように、現行案で、防衛省が任された設計に対する調査すら反対運動の中で頓挫して進んでいない。そういう全体的な状況を認識した上で、難しいと。

 そもそも、官房長官のもとで検討委員会を開いてゼロベースで検討をするということは、先ほど申し上げた沖縄における政治的な背景も踏まえた上で、難しいから、さらにほかに案はないか、こういうことで検討しているということであります。

新藤委員 今、非常に重要なところなので、ということは、防衛大臣は、現行案は検討対象には入っていないということなんですか。

北澤国務大臣 新藤委員は十分おわかりだと思いますが、私も、自民党を出て、心ならずも十六年間野党をやりましたから、ちょっと言葉じりをとらえたりすることは野党とすればやむを得ないところでありますが、今私が申し上げたところからそんなふうな解釈はできないんだろうというふうに私は思っております。

新藤委員 わかりました。

 ということは、現行案も含まれるということですね。難しいけれども、検討の一つにはなると。

北澤国務大臣 ゼロベースということであります。

新藤委員 それでは、そういう中で、政府内ではキャンプ・シュワブの陸上案が非常に有力だ、こういう話が盛んに出ている。それはまだ決まっていないことでもあります。ですから、決まる前に私はお尋ねしたいんですけれども、現行案のキャンプ・シュワブの沿岸部はだめで、陸上ならいいと。一体なぜ、現行案ではだめで、陸上案ならいいんだ。これはどういう違いがあるんですか。

北澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、ゼロベースで官房長官のもとで協議をしておるわけでありますから、個別の案件についてこっちはいいとか悪いとか、そういう意味で発言した覚えはございません。

新藤委員 これは、アメリカ側がベストだと言っている案を、それではだめですよ、こっちにしますよというときに、中身がきちんと説明できない限り、その必然性と、それから軍事的優位性というんですか、こういったものが理論構成されない限り、もう最初から交渉にならないわけですから。

 これは全く不思議なことで、しかも今、地元の名護の市議会は陸上案絶対反対だと決議しました。でも、その決議書の中には……(発言する者あり)いや、違うんです。これは、よく調べてというか、御認識いただきたいんですが、名護の市議会は陸上案反対なんです。

 何で、県外、国外移設、こうならなかったか。これは、このときの与野党の市議会の中の議論、野党側が現行案に反対姿勢を示せば米軍再編交付金がストップする、市長選は接戦で、今も市民の多くが現行案を容認している。市民の多くはまだ現行案を容認している人もいる、だから、現行案の反対を含めれば全会一致にならないよと、名護の市議会は全会一致を選び、そして陸上案に限って反対する、こういうことも起きているわけですよ。

 だから、ここは、地元の声を大事に聞くことも重要なんです。でも、あわせて、この国にとって、沖縄のアメリカ軍の抑止力をどう機能させるかという、ここが一番のベースなんだから、そういう線に沿って最善の策を私はぜひ決めてもらいたい。これは国益にのっとって政府が判断しなきゃいけない問題ですから、ぜひそこを指摘しておきたいというふうに思います。

 そこで、これも原則のところなんですけれども、まさか、皆さんがこの日本の国策を決めるときに、その前提として、前政権が決めたことだからこれはだめだ、そういうような前提、また意識をお持ちでないでしょうねということを確認しておきます。

 これは新聞報道、我々は最近、皆さんが話をしているところがちっともわからないから。ことしの二月二十四日の読売新聞です。政権がかわっても外交、安全保障政策は継続だと普天間をこのままにしていたらば、我々が政権交代をアピールする最大のチャンスを失う。

 これは、民主党の沖縄ビジョン策定の中心になった渡辺周、今総務の副大臣をやっていますね、彼が話をしている。そして、渡辺さんと一緒に、榛葉賀津也さん、長島昭久さん、今それぞれ副大臣、政務官。去年の、二十一年の二月末に、渡辺さんや長島さんや榛葉さんたちが集まって、普天間問題について出口を探る。そして、辺野古に持っていったら何のための政権交代か、こういうふうに一人が訴えた。それはだれなんだ。これは報道だから。

 だけれども、何でこんなことを書かれるのというの。中身がちっとも明らかになってこないんですよ。そして、その根底にこういうようなものがあるんだとすれば、これは大変な問題になるよ。これはどうですか。

榛葉副大臣 渡辺周衆議院議員であるとか長島昭久衆議院議員、野党時代からさまざまな安全保障問題を議論してまいりました。また、党派を超えて、それぞれの信頼ある議員さんたちと議論をしてまいりました。しかし、そのような記事が書かれるというのは全く心外でございまして、三名が会っていろいろなところで議論をしたことはありますけれども、そのような議論をしたことは全くございません。

新藤委員 三名とは書いていないんだよ。でも、みんなで集まったときに、有力メンバーとして、あなたたちの中でこういう話し合いがあったということが書いてあるよ。後で自分で調べて、二月の二十四日だから。あくまで報道ですから、だから確認しているんですから。でも、少なくとも、そういうようなものがかいま見えちゃうんです、中身を全然言わないから、みんなで。そこをぜひ注意してもらいたいんです。

 そして何よりも、私は、民主党は国民の声を聞いているのかと申し上げたいんですよ。閣僚は話をしている、関係自治体とも話をしている、市民とも集会をやったりしている。だけれども、全国の国民からの声を聞いているんですか。

 国民の声というのはどうやって聞くかといったら、私たちの国は間接民主制なんだから、国会議員がみんなで地元の声を聞いてきて、それを国会で議論して、それは党派も超えて議論するけれども、まず党内で、三百人を超える議員たちがいて、沖縄の声と、あとは関係者でしかやっていないんじゃないんですか。党内民主主義を徹底するということもあるけれども、国民の声を聞くということをきっちりやらなかったら、この問題に対する誤った判断に、それが原因になると思うんですよ。

 だから、党風刷新ですか、これはいいと思うんだよね。今度政策研究会を設置されるけれども、事前審査もなければ何の権限もないじゃないの。この中には中心人物になっている方もいらっしゃいますよ。ぜひ僕は応援したいの。これは何党であろうとやらなきゃだめだよ。やはり国民のための政府なんだから。民主党のための政府じゃないんだから。我々自民党もずっとそういうふうにやってきたんだから。これはきっちり、ぜひお願いをしたいと思います。

 時間がなくなってきちゃったので残念なんですけれども、もう一つ大きな懸念は、小沢幹事長が県内移設に対して極めて否定的なコメントを出しているという新聞がございます。これも新聞報道ですから、わかりません。

 外務大臣、防衛大臣、小沢幹事長と、そういった報道がなされたことに関して意見の交換をおやりになったんでしょうか。

岡田国務大臣 新聞はいろいろ報道することは委員も御案内のとおりであります。小沢幹事長は、その後、会見で、そういった発言をしたことはないというふうに否定されたと承知しております。

新藤委員 ということは、お話し合いはしていないんですか。話し合いをした方がいいと思いますよ。どちらにしても、したかしていないかを含めて、どうですかというすり合わせをちゃんとしなきゃだめですよ。この間、私も、連立与党の協議をした方がいいですよと、去年の十一月にまだしていなくて。それで始まったら、こんなざまになっちゃったじゃないですか。早く小沢さんとちゃんとすり合わせをした方がいいと思いますけれども。まあいいです、結構です。

 ちょっとこれは最後、もう二分ぐらいしかないので恐縮なんですが、防衛大綱の見直しと中期防の策定の中で、ぜひ考慮すべきだと思うことがございます。

 与那国島の防衛力整備、これは私たちの自民党で、二月に古屋圭司さんと山谷えり子さんが現地視察に行ってきた。とにかく国境に最先端の島ですね、台湾の方がはるかに近い。こういう島で、島には、派出所が二カ所、警官二名、税関職員が一名、これしかいない。そして、町の中で聞いてきた話ですよ、一目で中国人民解放軍の人ではないかなというような、その筋の人じゃないかなという人がカップルを装ってうろうろしていると。これはわからないんだ、現場で言っているんだから。

 しかも、自民党のときには、浜田大臣が現地まで行って、自衛隊誘致のための、賛成派の町長とお話をされて、前向きに検討するよということになった。しかし、政権がかわり、北澤大臣が慎重な姿勢を、隣国を刺激しないようにとか、そういうことを当初言われたという話も聞いております。でも、その後に、これはどっちにしても、島嶼部の防衛のことですから、既に防衛大綱にも含まれていますね。ですから、中期防の中にもっときっちり、この与那国島の不安、それから周辺に対するきちんとしたメッセージを出すためにも、与那国島の防衛力の配備について、より検討を深めるべきだと思うんです。

 ここはエールを送りたいので、ぜひ北澤大臣、地元では、いや、北澤大臣はまだ消極的じゃないかというふうにとられているんですよ。でも、町長ともお会いになっていますね。ですから、そこをしっかり、大臣の方針をここでお答えいただきたいと思います。

北澤国務大臣 政権交代して直後にそういう御質問もありましたから、私の信条とすれば、そういう意見を時々聞いてはおりますが、長年にわたって政権を担当してきた自民党で何でできなかったのか、そこのところも検証しなきゃいけない。ちょっと言葉は悪いかもしれませんが、自民党内における防衛族の皆さん方の発信力が弱かったのかと勘ぐってみたりもしたんですが。

 防衛省に対しまして、私は、そういう政治的な予断を持たずに純粋に国防上の観点から意見を上げてくれということで、二月の末でしたか、防衛省の方から第一回目の意見具申はありました。慎重の中にも、防衛という観点からしっかり対応していきたい、こういうふうに思っています。

新藤委員 ありがとうございました。

 これは、自民党、民主党にかかわりませんから、ぜひ島の皆さんにきちんとそれが伝わるように望みます。ありがとうございました。

安住委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 防衛大臣に伺います。

 この間、沖縄では二つの大きな決議が上がりました。二月二十四日には沖縄県議会が、普天間基地の早期閉鎖、返還と県内移設に反対とする決議、意見書を全会一致で採択いたしました。三月八日には名護市議会が、キャンプ・シュワブ陸上案の検討に反対する決議、意見書を採択いたしました。

 けさ防衛大臣は、委員会に先立って、この決議を携えて上京した県議会の代表と会われましたし、今こちらで傍聴もしていらっしゃいますが、大臣はこの決議の内容をどのように受けとめていますか。

北澤国務大臣 先ほどもちょっと答弁をいたしましたが、私も地方議会には長くおった経験もございますので、沖縄県議会が全会一致でこの問題について決議をして政府に要請をされたということは極めて重いことでありますので、先ほども御陳情の際、皆さん方の御意見の重さは十分に認識しておるということを申し上げております。

赤嶺委員 県内移設に反対する決議が全会一致で採択されたのは、一九九六年に、普天間飛行場の全面返還を促進し、基地機能強化につながる県内移設に反対する意見書決議以来のことであります。

 その後、日米両政府がSACO合意を結び、県内移設を押しつけてくる中で、県内移設もやむなしとする勢力との間で残念ながら対立が続いてまいりました。

 政府が県内たらい回しに固執したために、十三年間、普天間は動きませんでした。こうしたもとで、ことし一月、名護市長選挙で、海にも陸にも基地はつくらせないと主張した稲嶺市長の勝利から、沖縄の情勢は大きく変化をしております。

 自民党からそして私たち日本共産党まで、党派の違いを乗り越えて一致したということは、県内への新しい基地建設は絶対に受け入れられないという県民の総意のあらわれであります。

 防衛大臣は、県内移設反対が県民の総意だ、そういう認識はありますか。

北澤国務大臣 県議会は一つの民意であるということは、十分承知をいたしております。

 ただ、そこで、私がもう少し調査をしなきゃいかぬと思っておりますのは、国会の場で自民党の皆さん方は現行案がベストであるということを言っておられる中で、沖縄の県議会の自民党の皆さん方が反対だ、ここへ来て急遽そうなったというふうに承知をいたしておりますが、そのことはまだ私にはちょっと理解のできないところであります。

赤嶺委員 県内移設に反対だと自民党まで同意をした、これが重いんですよ。一般的に、地方議会の決議、県議会の決議が重いという一般論じゃないんです。沖縄でいろいろな苦難を乗り越えて、自民党から共産党まで、そしていろいろな国政の影響下にある県内政党のグループまで県内移設に反対した、この重み、これが重いという中身なんです。

 平野官房長官が名護市議会の決議を受けて、一般論として決議を超えてやっていかなければならない場合がある、このように述べたのに対して、鳩山総理は、沖縄を初めとする国民の理解をいただかなければ最終的な移設先が決まるわけもない、国民、特に沖縄県民の理解が得られる案に集約させるプロセスが必要になってくると。防衛大臣は、我々も地元の理解を得られないままに進めるということにはなりませんと記者会見で述べております。

 県民の総意は、県内移設反対であります。これまでゼロベースの検討だと繰り返してきましたが、地元の理解を得られないまま進めるということはないということであれば、県内移設はあり得ないことではないかと思います。きっぱり県内移設は断念をすべきだと思いますが、いかがですか。

北澤国務大臣 御案内のように、平野長官のもとで、今、ゼロベースで検討をいたしております。検討案が明らかにならない段階で私が沖縄の決議について先走って発言することは差し控えなければなりませんが、今委員は沖縄に限定してお話をされておりますが、私の想像するところでは、官房長官のもとの検討委員会は、県内、県外、国外も含めて、ゼロベースでやっているということを御承知おきいただきたいと思います。

赤嶺委員 検討委員会がどういう議論をしているのかというのを聞いているわけじゃないんです。検討委員会を受けたら、防衛大臣も外務大臣も加わっていくわけですよね。そのときの、その審議に臨む防衛大臣の認識を今私は聞いているわけです。

 検討委員会にはキャンプ・シュワブ陸上案が提案され、そして政府でもこれを軸に検討を進める方針であります。これに対して県民の怒りが島じゅうに噴き出しているのが、今の沖縄です。

 キャンプ・シュワブ陸上案とは、久志岳や辺野古岳など、米軍の射撃訓練演習場の基地の中につくるものです。これは、以前も日米間の検討の対象に上がって、結局立ち消えになった案であります。なぜ立ち消えになったのか、防衛大臣、答えてくれますか。

北澤国務大臣 今検討している中で、委員の言われるのは、あたかも陸上案が確定したような前提でお話をされておるわけでありまして、今、検討委員会に参画していない私の立場でそのことを前提にして答弁するということは適当ではない、このように思っております。

赤嶺委員 大臣、私の質問をよく聞いてください。

 あなた方は過去の案について検証したんでしょう、キャンプ・シュワブ陸上案も含めて、今まで出てきた案を。それで、何でキャンプ・シュワブ陸上案がこれまでの経過の中で立ち消えになったんですか。その検証結果を答えてください。

北澤国務大臣 検証の中身からすれば、発進それから着陸において民家に影響がある、あるいは訓練の周回、そういうものが大きな影響を与えるということの中で海上の方へ行ったということは承知をいたしておりますが、検証の結果を見ると、いずれの案も幾つかの項目があって、この項目についてはマル、この項目についてはバツ、この項目については三角というような総合評価の中であそこにたどり着いたということだと思います。

 しかし、それも、沖縄の皆さん方が現にこうして反対をされておるということからすれば、前政権で決めたことが一体どういうことだったのか。しかも、その当時賛成された自民党の県議団の皆さん方が今回は反対だ、こう言っているところでありますので、この辺は私どもとしてもしっかり調査をしなければならぬ、こういうふうに思っております。

赤嶺委員 名護市議会の決議では、「久辺地域及び名護市民の安全と安心して暮らす生活環境のみならず、国立沖縄工業高等専門学校や地元小中学校等の教育環境までをも破壊するものであり、断じて許されるものではない。」、検討さえすべきではない、このように決議しています。過去には、今大臣おっしゃいましたように、アメリカの政府でさえも、普天間の抱える問題をよそに移すだけだといって反対をされました。

 私、地元の人に聞いてみたんです。久志岳も辺野古岳も、先祖代々の村人の生活を支えてきた尊敬する信仰の対象の山、このように教えられました。その山の姿を、久志富士とも例えられております。人々は、その山が実弾射撃訓練場の標的にされているということに胸を痛めてまいりました。信仰の対象になっている聖地に泥靴で踏み込んで米軍基地をつくることになるのではありませんでしょうか。

北澤国務大臣 今度の問題は、普天間の危険性、沖縄の負担を軽減するというところからスタートしておるわけですから、あらゆる問題について沖縄の皆さん方に御負担はかけないという考え方のもとで今多分検討しておるというふうに思いますが、今委員の御発言を聞いておりますと、既に案が決定して、それを前提にして質問をされておられますので、そういう前提を持ったものに対して、今作業が進行中の中で私に答弁をしろ、こう言っても、それは無理な話であります。

赤嶺委員 私は、最後は皆さん方が決めるわけですから、そのときに県内移設はだめだという認識、県内につくることになったらどんな問題が起きるか、そういう姿勢で臨んでほしいと防衛大臣に今求めているわけですよ。検討委員会でキャンプ・シュワブ陸上案が検討されているという話を聞いているんじゃないんです。県内移設案がこんな形で平気で出てくる、これでいいのかという話をしているわけです。

 防衛大臣は、キャンプ・シュワブ陸上案について、「基地の中へ移転するというのは、かつて楚辺の通信所がキャンプ・ハンセンに移ったときに、沖縄の皆さん方からはそんなに大きな反対運動は起こらなかったと、そういう歴史的なものに学ぶべきところはあるのかもしれません。」と記者会見で述べております。沖縄に対する認識不足であります。

 過去にも、キャンプ・ハンセンの恩納村側に建設された都市型訓練施設は、県民の怒りに包囲されて、撤去闘争が、村長を先頭に、村民ぐるみの県民規模での座り込みの闘いが行われました。近くは、金武町伊芸区の実弾射撃訓練場、レンジ4の撤去をめぐっては、伊芸区民はもちろん、県民大会まで開催をされました。県民の怒りに囲まれた基地は、安保体制そのものを揺るがすことになります。これが沖縄の歴史です。

 沖縄の問題とは、基地の整理縮小に踏み込んで、対米追随の外交を転換させて、代替施設なき普天間基地の返還を求めることです。近く、自民党から私たち日本共産党も一緒になって、文字どおり超党派で県民大会が開かれます。防衛大臣が、沖縄の自民党が参加していることに先ほどから首をかしげますが、あなたがどんなに首をかしげても、沖縄では超党派の県民大会が開かれるんです。県内移設を強行しようとすれば、民主党政権はこの県民の怒りに直面をするんです。私たちは、このことをよく認識していただきたい、北澤防衛大臣もそして岡田外務大臣もそれを認識していただきたいということを申し上げまして、きょうは大変短い時間になりましたが、質問を終わりたいと思います。

安住委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 一昨日、岡田外務大臣が、日米密約に関する外務省調査結果と有識者委員会の検証報告書を公表いたしました。日米間の密約というのは、日米安保条約改定時の、核持ち込み、朝鮮半島有事の際の在日米軍基地自由使用、沖縄返還時の核再持ち込み、沖縄返還時の原状回復補償費用の肩がわり等であります。これら四つの日米密約に関し、外務省の有識者委員会は、沖縄返還時の核再持ち込みを除く三つの密約の存在を認めました。

 岡田外務大臣の、有識者委員会の調査報告に対する所信を伺います。

岡田国務大臣 先日発表した密約に関する調査は二つございます。一つは、外務省の中における調査。これは、外務省にある資料を徹底的に調べて、調査結果を十一月の末にまとめたものでございます。そして、その外務省の調査を受けて有識者によって議論していただいたものが、二つ目の調査結果であります。二つまとめて先日発表させていただきました。

 有識者の方は、その事実関係、資料に基づいて、その後ヒアリングなども加えて、そして、それぞれ我が国の第一人者でありますが、専門家としての見識で、場合によっては推論なども行った上で、今委員がおっしゃった、広義の意味での密約ということも含めますと、四つのうち三つが密約と言える、こういうふうに結論を出したわけでございます。

 それについて外務省はどう考えるかということでありますが、もちろん、日本を代表する専門家の皆さんが出した結論でありますので、これは尊重しなければならないというふうに思っておりますし、非常に立派な結論を出していただいたと思います。ただ、それをそのまま外務省が受け入れるだとか、あるいは一つ一つについて何か具体的にコメントするというよりは、やはりこれは有識者の結果として受けとめさせていただいて、なおこれからもいろいろな方がいろいろな検証をされて議論が深まっていく、むしろそのことを歓迎したいというふうに考えております。

照屋委員 今回検証された四つの密約は、いずれも、米国側の情報公開や、あるいは関係者の証言、学者の研究等で明らかにされたものであります。いわば公然の秘密でございます。にもかかわらず、歴代自民党政権がその存在を否定し、国会と国民にうそをついてきた。政権交代を果たして岡田大臣が勇断をされた、その調査結果と私は評価をしております。

 そこで、岡田大臣、今回の調査結果と我が国の外交、安全保障政策のあり方、あるいは外交文書の公開、保存のあり方を含めて、大臣のお考えをお示しください。

岡田国務大臣 今回四つの検証対象になったいわゆる密約の中で、委員御指摘のように、三つは、アメリカにおいて、情報公開などでかなりの資料が既に出ていたものでございます。沖縄返還時の核再持ち込み密約に関しては、むしろ日本の交渉に携わったとされる学者の本が出ていた、今回、佐藤総理の御遺族から実物が明らかにされた、こういうものでございます。

 私、先ほども言ったんですけれども、その時々における決断を迫られた人の苦渋の決断という部分もあったと思います。例えば、岸総理が今の安保条約を締結した際に事前協議制度というものを設けた、私はそのことは評価できると思うわけですけれども、しかし、その中で、朝鮮有事については例外にするという密約を結んだ。そのことを批判するのは簡単ですが、当時の朝鮮半島の情勢とか、あるいは日本とアメリカの力関係とか、そういうことも考えますと、ほかに手はなかったかもしれません。そういったことは歴史家によって評価されるもので、余り簡単に断罪するというのは、私は適切でないと思います。

 ただ、やはり冷戦も終わって、そしてアメリカの核政策も変わった中で、この二十年間ずっと国民に対して正しくないことを総理あるいは外務大臣が言い続けてきたということは、私は極めて残念なことだというふうに思います。少なくとも、二十年前にきちんと検証作業はできたはずである、こう思っております。

 最後に、文書。いろいろ調べていく中で、外務省の職員も非常に頑張って、そして徹底的に文書を精査してきたわけでありますが、その中で、本来あるべきであるにもかかわらず、ないというものも幾つかあることがわかりました。文書管理をもっとしっかりしなければいけない。

 それから、もう一つは、三十年たてば基本的に公開するという外交文書に関するルールがあるにもかかわらず、やはり中でやっていますと、どうしても守りに入って公開が少なくなる。そういうことについて、私のもとに今委員会をつくり、文書の保存とそして公開について、もっとわかりやすく一定のルールに基づいて公開していく、そういう制度に改めるべく現在検討を行っているところであります。

照屋委員 大臣、自公政権下で膨大な外交文書が消却をされた、廃棄をされた、こういうふうな疑いもありますので、ぜひ引き続いてしっかりした調査をお願い申し上げたいと思います。

 それから、沖縄返還時の原状回復補償費用の肩がわりについても密約の存在が認定されました。関連して、旧自公政権下で締結されたグアム移転協定で日本側が負担する経費についても、密約、裏取引があるんではないかという疑念が持たれております。

 岡田外務大臣と北澤防衛大臣は、グアム移転協定や思いやり予算、その他、在日米軍施設整備費等に絡む旧政権下での日米合意、あるいは密約、裏取引等について、その存否を含めて検証するおつもりはないでしょうか。

岡田国務大臣 今回の作業で、四千を超えるファイルについて、外務省の中を徹底的に精査いたしました。もちろん、それは四つの密約に関するものでありますが、当然その過程で文書について精査をしておりますのでこれ以上のものはないというふうに考えておりますが、もし具体的にこういったものがあるのではないか、そういった御指摘があれば、その部分についてさらに調べることにやぶさかではございません。

北澤国務大臣 照屋委員の質問の通告の中にもその辺がございましたので、防衛省の中で聞き取りをいたしました。

 そういうものがあるという認識は今の段階ではありませんが、ただ、一部、米側と日本側の解釈の違いというものは存在したようでありまして、それはもう当然修正されております。例えば、グアムへ二十八億ドル、米側はこれを、全部米側で自由に使う、こういうような認識であったようでありますが、それは、日本側とすればそうではなくて、その都度きちんと使途について協議、合意を得て進めていくということで、米側も結果的には了解をした。そういうものはありましたが、今のところ、委員がおっしゃるようなところは見つかっておりません。

照屋委員 次は、事実関係を北澤大臣にお伺いいたします。

 去る二月十六日、大臣が元沖縄商工会議所会頭の太田範雄氏に会った、こういう報道がありますが、事実でしょうか。

北澤国務大臣 防衛大臣になってからさまざまな方々がおいでになりますし、また、表敬等を含めて、言っておられた方がほかの人を伴ってくるというような事案もたくさんございます。そういう中で、私は、公式な会談とかそういうもの以外でどなたと会ったということを特段申し上げることは控えなければならぬ、そういう思いでおりますので、御理解をいただきたいと思います。

照屋委員 北澤大臣、私が太田氏に確認をしたら、お会いになったということは本人もお認めになっているんですが、その際に、普天間飛行場の移設先案については、何らかのお話や提案はなかったでしょうか。

北澤国務大臣 民主党の同僚議員がそういう案を持ち込んできたということはありますが、その委員がおいでになったときに、もしかして、今本人がそう言っておるということであればそうなのかもしれませんが、特段、今の私の段階で、太田さんですか、行き合ったというようなことは、確認もしなければいけませんが、今申し上げることは差し控えさせていただきます。

照屋委員 最近、よくホワイトビーチ沖案とか、あるいはうるま市勝連沖埋め立て案という報道が飛び交っております。

 両大臣に申し上げておきますが、ホワイトビーチ沖から津堅島沖というのは、埋め立ては技術的に不可能だと私は思っています。理由は、非常に水深が深い、津堅島付近は潮流が激しい、こういうところで、このホワイトビーチ沖案というのは報道の先走り、私は誤報だろうと思います。

 ところで、うるま市勝連沖埋め立て案というのは、どうやら浮原島から宮城島に向けて二百ヘクタール埋め立てて、千八百メートルの滑走路をつくろうという案らしいんですが、二百ヘクタールというと、辺野古の現行案、百六十ヘクタールより大きいんですね。しかも、その一帯はモズク養殖が盛んで、コモンシロサンゴとかハマサンゴが生息をしている。

 私は、やはりそのような埋め立て案は到底無理だということをきょうは両大臣にお考えいただきたい、こういう私の考えを伝えておきたいと思います。

 それで、最後、黒江防衛政策局次長にお尋ねをしますが、防衛省内の特命検討チームにおいて、今指摘をしたホワイトビーチ沖案やうるま市勝連沖埋め立て案について検証、検討しているんでしょうか、したんでしょうか、お答えください。

黒江政府参考人 お尋ねの件でございますが、現時点で特定の移設先案についてどういうことを検討しておるのかということについては明らかにしないというのが政府としての方針であると私は理解をいたしておりますので、お答えは差し控えさせていただきます。

照屋委員 終わります。

安住委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 この基地問題の論議が過熱をして、新聞でもテレビでも毎日出てまいりますけれども、私は、この基地問題の論議をやはり冷静に見ていかなければいけないと思うんです。

 先ほど私の尊敬する新藤議員が御質問をしていましたけれども、沿岸案がいいのじゃないかとか安保論とか多くのことを言っていますけれども、一月の名護市長選挙までは県内移設で一生懸命頑張ってきた自民党の県連が、二月になったら県外、国外と言う。この根拠を示してくれというんですよ、まず。変わった根拠は何なのか。これはだれしもが疑問を持つことですよ。それで……(発言する者あり)県議会に行ってこいって、同じ政党じゃないか。

 そういうふうなことの安易な論議を県連でやっておきながら、それでここに来たら安保論を徹底的に話をしようと言っても、それはなかなか説得力に欠けるんじゃないかなと僕は思いますね。

 だから、そういう意味でも、私たちは、もう一回冷静に物事を考えていくというようなことをぜひこれからやっていかなければいけないんじゃないかと申し上げさせていただきたいと思います。

 私は、県外、国外に反対だと言っているわけではないんです。十五年の歳月、時間をかけて、そして県外、国外ができるような環境をつくったらいかがですかというのが私の考えで、今のこの全部の環境からすると、大きな理想を上げて県外、国外が一挙にできるかのように状況をつくって、最終的に動かない状況をつくるのは沖縄県民のためにならないというのが私の考えであるわけであります。

 それで、グアムに今回、八千人と家族で一万八千人が行きますけれども、二〇一四年までに、十七万人の人口のグアムに、アメリカ本国や米軍再編のプラン全体でどれだけの人口がふえるのかということをまずお聞きさせていただきたいんです。

北澤国務大臣 先ごろ公表されました米側の環境影響評価書によりますと、ほぼ七万九千名がグアムに移動する、こういうふうに承知しております。

下地委員 この七万九千人の内訳を少し、事務方からでもいいですから。

北澤国務大臣 今申し上げました七万九千人というのは、これは動きがありますから、ピーク時を押さえての数字であることをまず御承知おきいただきたいと思います。

 そこで、その時点で、軍人及びその家族は約二万人、軍属及びその家族は約三千人、工事労働者及びその家族は二万三千人、その他の人口増は三万三千人ということであります。

下地委員 今十七万人しかいない人口のグアムに、あのキャパのところに八万人、米軍再編のプランで多くの人たちが行く。

 今のグアムの環境、水であったり電気であったり、そういうふうな環境の中にあって、グアムの人たちが何と言っているのかということについて、大臣がお聞きしていることはありますか。

北澤国務大臣 御案内のように、私もグアムを視察してまいりました。その折、カマチョ知事ともじっくり協議をいたしましたが、カマチョ知事は、沖縄から行く八千人プラス家族の九千、これで手いっぱいだということを言われておりまして、それでもややグアムのインフラは窮地に陥るというようなお考えでありました。

 したがって、それをとらえて、グアムへの移転というのは、全部がグアムに行くのはなかなか難しいな、こういう認識は持ったわけでありますが、さらにその後、今申し上げたような人口移動があるということで、グアムの知事の言っているのはそういうことだったのかなというふうに今認識しております。

下地委員 海兵隊が八千人そして家族九千人が行くわけですけれども、そのほかに、残っている海兵隊の隊員や家族は何名いますか。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、下地委員がお触れになった八千人、九千人という数はロードマップに記載をされている概数でありまして、定員ベースでいくと、兵員が八千人、海兵隊がグアムに移るということになれば、残るは一万人、これは定数ベースで一万人です。そのことは米側から説明がなされているんですけれども、しからば、その家族が一体どのぐらい残るか。大体、移動する海兵隊員の内訳もまだはっきり示されておりませんので、それに付随してどれだけの家族が移動してどれだけの家族が残るかということについては、今この場で確たる数字を申し上げることはできません。

下地委員 今、長島政務官が話をしたように、残っている海兵隊員が一万人、そしてその家族を添えると今の八千人に九千人というような一つの事例で見ると、あと一万人近くの家族がいる。あと二万人の方々が国外や県外、国外の移設先と認められているグアムに行くんだというようなことになったときに、私が先ほどから申し上げているように、インフラの整備の問題からして、そしてさまざまなグアムの人たちの環境からして、できるのかということを私たちは考えなければいけないと思うんです。

 この前、これはグアムの議会の報告書です、グアムの議会が採決したものを社民党の阿部知子さんと私たちにいただきました。この議会の採決の中でこう書いているんですよ。グアム議会は、我が国及び世界の安全保障を強化する責務を喜んで請け負うが、国家の防衛がグアムの人々、文化や環境や生き方の破壊という代償を払って達成されるものではないというようなことを冒頭で言っているんです。だから、沖縄の八千人と九千人は世界の安全保障のために私たちはやります、しかし、これ以上の強化がなされると、グアムの文化や環境が今のインフラの状況ではうまくいかないということを明確に言っているんですね。

 だから、チャモロの人たちが何を考えてやっているのか、チャモロの方々の理解がなければこの米軍再編計画はうまくいかないんです。だから、そういう意味でも、私たちはこの八千人、九千人という数字をしっかりと今は実現することが大事で、過重な負担をそのまま、このグアムにどうしてもやりたいんだといってやっちゃうと、計画そのものもうまくいかない可能性がある。だから、私はそのことをしっかりと考えてもらいたい。

 しかも、こういうことも言っているんですね。非チャモロの有権者人口の拡大は、結果的にはチャモロ人の政治家や公務員の比率に影響を与える可能性がある、これによって、文化的な問題やその予算に大きな影響を及ぼす、グアムの政治的地位に関するあらゆる将来の住民投票の結果に影響する可能性があると。

 十七万人のところに八万人来るんですよ。沖縄だったら、百五十万人のところに七十万人新たに来るのと一緒。一億三千万人の国家に七千万人新たに人たちが来るというのは、やはり私は限界なんじゃないかと思うんですね。

 だから、そういう意味でも、グアムということをおっしゃるなら、私たちは時間をかけて、チャモロの人たちが理解できるような、そういうふうなインフラ整備をしていくことが大事だと私は申し上げているんです。サイパンとかテニアンとかという地域がありますけれども、訓練地には非常に適していると私は思います。また、テニアンの知事もそのことをいいですよと申されている。しかしながら、住環境を考えると、やはりグアムの整備というのは、これから沖縄の海兵隊を後方まで下げて、私はグアムが限界だと思いますけれども、下げて、それでアジア全体の抑止力を守るという意味では、私は、時間をかけながら将来像を描いて、グアムに沖縄の海兵隊がちゃんと行けるような環境整備をこれからもやらなければいけないと思うんです。

 それで、大臣にお聞きしたいんですけれども、私は十五年の使用期限を言っておりまして、時間をかけながら丁寧にやっていくというのが私の考えです。一挙に国外、県外を追いかけて、それで混乱を招いてはいけないというのが私の考えなんです。

 その中で、今の六千億円のグアム協定は全部基地内です。インフラ整備に一個も行きません。将来の沖縄の基地の負担を減らしていくという中で、受け皿的にグアムが今後も受けてもらえるような環境づくりをするというために、今のグアム協定のお金だけじゃなくて、受け入れてくれるチャモロの人たちの整備に関しても、うちの沖縄の海兵隊が行くわけですから、そういうような人たちにしっかりと整備をしていく、そういう方向性はお考えにならないかどうか、お聞きをさせていただきたいんです。

北澤国務大臣 下地委員は沖縄選出ということで国政に参画されておるわけでありますが、今、沖縄県議会も、先ほどお話のあったような議決をしております。そういう中で、沖縄の将来を見通していろいろ案を提示されておる、そういうことには心から敬意を表するわけであります。

 今、私の段階で、検討委員会から明確な案が集約されていないという段階でいろいろ申し上げるのは差し控えなければなりませんが、先ほど来お話のありますカマチョ知事の先行きに対する不安、さらには、知事が民間業者に託して造成事業をやって、それが今は使われないでブッシュになっているような場所も見させていただきました。しかし、それの収容能力も、今お話にあったような巨大な人口移動には耐えられないんだろうなというふうに思っておりますので、案が確定した段階でまたいろいろ知見もお聞きを申し上げて対応していきたい、こういうふうに思っています。

下地委員 基地問題がなかなか理解が得られないのはよくわかっていますけれども、将来像を見せることが大事ですね。先ほど、また新藤さんの名前を挙げますけれども、何で沿岸案がだめでシュワブ陸上案がいいんだ、答えろと言っていますけれども、だめな理由は、十四年間できないからですよ。これがもうできないから、十四年間で自分たちでできなかったから、だめなんです。

 だから、そういうふうなことを考えると、私は、将来像をしっかりと見せる、いつになったら減っていくんだというのを、負担軽減するというのを見せるのは非常に大事だと思っています。私は、フィリピンであったりグアムであったりテニアンであったりというところとこれからどうやって日本が私たちの国家としておつき合いをしていくかというのは真剣に考えながら、沖縄の基地の負担を考えなければいけない。日本全体の国民がその沖縄の負担を受け入れてくれるというんだったら、それでいいですよ。そう簡単な状況じゃないということを考えると、私は、ここは十二分に将来像を描いて決断をしていくことが大事だと思いますから、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

安住委員長 岡田大臣、退席していただいて結構です。北澤大臣も退席していただいて結構でございます。

 質疑を続行いたします。藤田大助君。

藤田(大)委員 こんにちは。民主党の藤田大助でございます。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 きょうは、各委員の先生方がいろいろと、さまざまな切り口、観点から御質問いただいて、私も、最後ということで重複する部分があるかと思いますけれども、ぜひ率直に我が国の安全保障について御質問させていただきたいと思います。

 まず、政権交代から半年以上たって、民主党の掲げる政治主導というのが徐々に徐々に浸透してきている、あるいは進んできているところもあるかと思いますけれども、安全保障ということですので、基本的な部分については与党、野党、認識してやっていかなければならないというふうなことも一般的に言われているということは、私も認識しております。

 そんな中で、ただ一方で、政権交代をしたことによってやはり変わってきている部分、あるいは政治主導でやっていかなければならない部分というものがあると思います。

 そこで、まず政務官に、政権交代から半年以上たった現時点での我が国の安全保障についての考え方、また思い、そういったことをお伺いしたいと思います。政権交代の意義もあわせてお願いします。

長島大臣政務官 藤田委員、ありがとうございます。

 政権交代ですから、私たちも、無血の平成維新、こういうふうに呼んでおりますので、これまでの政権が行ってきたあらゆる政策を見直しの対象にするということはもちろんであります。特に、内政面では相当な、革命的ともいうべき大改革が今なされようとしているというふうに思っています。

 ただ、今、安全保障というお尋ねでございますので、そこに絞ってお答えを申し上げますと、やはりこの安全保障、外交という面においては、かなり継続すべき点が多いのではないかというふうに思っております。特に、日本国憲法のもとで専守防衛という方針をこれまでも貫いてまいりました。軍事大国化しない、攻撃的兵器は持たない、あるいは日本の安全保障のベースとしては日米安保体制を堅持する、日米同盟を基軸にする、こういった方針については引き続き妥当性がある、このように私ども認識をしております。

 加えて、今回、十二月十七日、昨年の末ですけれども、閣議決定を行って、大綱の見直しをしていくわけですけれども、その大綱が空白を生じてしまう一年間については、新たな防衛力整備に当たっての指針というのを定めまして、そこでは三つ柱を立てました。各種事態の抑止や即応・実効的対応能力の確保、地域の安全保障環境の一層の安定化、グローバルな安全保障環境の改善に向けた取り組み、いずれにおいても、前の政権から引き続き、新しい国際環境に合わせるような形で継続していくべき政策が続いている、こういうふうに理解しております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。また後ほど、防衛大綱やそういった点についてはお伺いさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、我が国の安全保障を考えていく上で、政治の役割というのは非常に大きいと思っております。また、政権交代ということですので、政治主導がやはり一番重要になってくるというふうに思います。そういった意味で、ぜひ各政務三役の皆様方には頑張っていただきたいと思います。

 そこで、一点、これも各委員の先生方がいろいろと議論を尽くしていただいたところなんですけれども、私自身も、政権交代で変化、事情が変わってきたという部分で、普天間について若干御質問させていただきたいと思います。

 先日、ルース駐日大使と平野官房長官、北澤防衛大臣が会談したというような報道がなされたり、あるいは、いろいろと、日に日に急ピッチで五月決着に向けて取り組みが進められてきているところだと思います。また、その会談を受けて、鳩山総理も、これからは全面で、正面から外務大臣、防衛大臣が交渉に当たっていくのが望ましいのではないかというような趣旨の発言もされておられました。

 そんな中で、特に、今後、五月決着に向けて、防衛省はどのような対応をしていくのかということを御説明いただきたいと思います。官邸で進められている部分もあると思いますので、この五月に向けて、そういった関係とか役割分担を少しお伺いしたいと思います。

榛葉副大臣 お答え申し上げます。

 まず、遅参をいたしまして済みません。参議院の予算委員会へ出席をしてこの場に駆けつけまして、申しわけありませんでした。

 過去八回にわたりまして、検討委員会は、平野官房長官のもと、武正外務副大臣、私そして官房副長官も出席をして議論してまいりました。負担を軽減しながら、他方、抑止はしっかりと維持をしなければいけない。この中で、どのような交渉をして出口を見つけていくかという大変難しい手続に今後入るわけでございます。

 午前中の議論でもございましたが、外務大臣がさまざまな交渉をすることもあるでしょう。そして、地元を含めて、防衛省が鋭意努力しなければならない点もあると思います。しかし、基本的には、官房長官のもとで、我々がチームで、政務三役そして各省がつかさつかさで自分たちのできる交渉をやっていく。

 どのようなプロセスでという問題は、相手もあることでございます、アメリカという相手、そして地元という相手。ですから、どのような交渉でやっていくか、ここですべて御説明するということは若干難しいかなというふうに思っております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 これは、大臣の所信でも、地元沖縄県民の思いを大事にする、岡田外務大臣も、日米合意の重要性を本当に認識しながらということですので、非常に難しいかじ取りだとは思いますけれども、ぜひ、それぞれの役割の中で、政務三役の皆様が主体になって、しっかりと五月決着に向けて頑張っていただきたい、このようにお願い申し上げる次第でございます。

 そこで、次に、防衛大綱について質問をさせていただきたいと思います。

 いわゆる防衛大綱については、我が国の周辺諸国の動向、武器輸出三原則あるいは自衛隊の国際貢献のあり方などを含めて、さまざまな論点があると思います。そんな中で、一年延長されたような形で有識者懇談会がスタートしております。

 このような中にあって、くどいようですけれども、政治主導や政権交代を実のあるものにしていく、ここでぜひ政務三役に大きな役割を担っていただきたい。そして、我々個々の議員もしっかりとバックアップして、日本の我が国の安全保障をしっかりとしたものにしていきたい、このように私自身も思っておるところでございます。

 そこでまず、もう皆さん御存じのことでありますけれども、防衛大綱の改定、昨年の動きを振り返ってみますと、前政権が一月から有識者懇談会を開催し、衆議院解散中の八月に、報告書が当時の麻生総理大臣に提出されました。その後、総選挙の政権交代で九月に現政権が誕生したことになるわけですけれども、北澤防衛大臣は、就任当初、麻生前内閣の有識者懇談会の報告書を踏まえながら、昨年のうちに防衛大綱を改定するというような意思を述べておられました。しかし、結果的には、内閣において、先ほど長島政務官がおっしゃられましたように、方針が出されてという形になったと思いますし、ことしにその有識者懇談会が設置されるということになりました。

 私としましては、率直な思いとして、二十二年度の予算の編成や我が国の安全保障の環境の変化を考えてみますと、防衛を担当する大臣としてはやはり昨年内の改定を目指していたというところは、非常に理解するところであります。

 ですので、政務三役の方に、ぜひそのときの思いと、また、一年延長して、今、有識者会議が設置され、スタートされている現状、そういったことについて少しお伺いをさせていただきたいと思います。

榛葉副大臣 前政権で安防懇があり、また、報告書が出されました。誤解を恐れずに申し上げますが、その中身は決して悪いものではないというふうに私は思っております。極めて貴重な提言もございますし、従来より一歩踏み込んだ議論もございました。

 他方、今委員おっしゃったように、政権がかわりまして、鳩山内閣のもと、野党時代、私もそうでしたが、得られる情報が極めて限られるという中で、政府に入って、国民からの期待、そして新しい内閣、政府が、政務三役が防衛省に入りまして議論をし、そしてこの問題は防衛省だけではなくて内閣官房、内閣全体の問題でございます。そして財務省の財源的な裏打ちもなければならないということで、来年度の予算についてはその準拠となる方針を示したということでございます。

 これからいよいよ新安防懇が始まるわけでございますが、限られた財源の中で、また新しい安全保障環境の中でどのような防衛大綱をつくっていくのか。それぞれの省庁と連携をしながら、また有識者の、新安防懇の御意見を賜り、また我々防衛省の中でも、防衛会議の中でもこの問題は常に議論をしているところでございます。ぜひ、政党側、議会側の方からも、闊達な議論をしていただいて、我々に御提言を賜れればというふうに思っております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 ぜひ政治側の政務三役にリーダーシップを発揮していただきたいということと、それとまた、我々個々の議員の意見を、思いを反映させていただいた中で防衛大綱をつくっていく、そのプロセスを変えていくというようなことをぜひお願いさせていただきたいと思います。

 いずれにしてみましても、中期的な防衛計画がないままに、方針は決定されましたけれども、そんな中で予算編成というふうになったわけであります。

 政府の方針というものにつきましても、政権交代で時間がなかったということもありますけれども、何か事業仕分けの後に政府の方針を決定するということは、外に向けてのメッセージとしても、非常に不信感を、不安な気持ちにさせる、そういった側面もあるのではないかなというふうに私は思っております。これは時間的な、時期的な問題で非常に難しい問題があったんだとは思うんですが、これからぜひそういったところもしっかりと取り組んでいただきたい、このように思っている次第でございます。

 二十二年度の予算案を今参議院で審議中ということでありますが、夏ごろからは、二十三年度予算の編成作業ということになります。現在、首相官邸で設置されている有識者懇談会は、夏に報告書をまとめる。防衛省の二十三年度予算の概算要求は、これとどのように関連していくことになるんでしょうか。さらに、本年末には防衛大綱、中期防が改定されるということですから、そういうプロセスの中で、予算編成やそういったものとの関連づけがどのようになっていくのかということをお伺いさせていただきたいと思います。

長島大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今進められている大綱の見直しの成果が来年度の概算要求につながっていくというのは全く御指摘のとおりであります。

 今、官邸の方で行われている懇談会、この懇談会は、現状の予定でいくとことしの夏ごろに報告書を取りまとめる、こういうことになっております。

 ですから、私どもとしては、その成果も十分に取り入れながら、防衛計画の大綱の見直しを行い、それに基づいて中期防を確定して、それを概算要求へ反映させていきたい、こういうことであります。今も、基本的には一年かけて大綱の見直しを行うということになっておりますけれども、北澤大臣のお考えでは、なるべくそのプロセスを促進させることによって、次の概算要求には私どもの検討の成果を反映させていきたいということであります。

 大綱は、つくって終わりということではなくて、これはもちろん、これから十年、十五年先の国際情勢もにらみながらつくっていくわけですけれども、その大綱に基づいて中期防を決め、予算要求をしていく、こういうプロセスでありますので、そこは時間的な観点もにらみながら、なるべく懇談会の成果も取り入れながら、防衛省内で、先ほどから委員御指摘のとおり、政務三役主導のもとに策定をしていきたい、このように考えております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 速やかなプロセスというか、促進していただいて、予算と防衛大綱、中期防、そういったものが明確に関連づけが国民の皆さんにわかるようにしていただければ、より私たちの暮らしの中でそういったものを実感できることになるんじゃないかなというふうに、私もそのように思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 そこで、少し、有識者懇談会の位置づけというか、そういった政府と有識者懇談会との関係等について質問をさせていただきたいと思います。

 特に、防衛大綱の改定作業に携わる中で、首相官邸が主導的にやるということはもう当然のことなんですけれども、その際、防衛省との関係がどのようになってくるものなのかということを少しお伺いしたいと思います。

松野内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 内閣官房というのは、御案内のとおり、内閣の重要政策に対する企画立案、総合調整というのが内閣官房の役割でございます。

 その中で、防衛計画の大綱というのは、我が国の安全保障の方針、防衛力の意義や役割、さらに、これらに基づく自衛隊の具体的な体制、また主要装備の整備目標の水準、こういった今後の防衛力の基本的な指針を示すものでございます。その見直しは、国家の安全保障にかかわる最も重要な政策の一つと言っても過言ではございません。また、中期防衛力整備計画、いわゆる中期防は、大綱が定める方針のもとで策定をされる実質的な計画と言えるものでございます。

 そういう中で、防衛大綱、中期防にかかわる作業は、先ほど申し上げましたけれども、内閣の重要政策に関する企画立案等を担当する内閣官房が総合調整を行い、そしてまた、防衛力というものに関して責任を持つ防衛省、また外交に責任を持つ外務省と緊密な連携をまずとることが第一だというふうに思っております。そして、最終的に、内閣に設置をした安全保障会議の決定を経て、閣議決定を行っていくものであります。

 まず、見直しに関しては、先月、二月の十六日、内閣総理大臣決裁によって決定をしました先ほどの懇談会において幅広く御意見をいただき、その意見を参考にしながら、政府としてしっかりと検討していく。いわゆる政務三役主導で、政治がしっかり決定していくということでございます。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 そういう政治主導でぜひ進めていただきたいなというふうに思っております。

 また、政権交代によって政治主導、私はこれを繰り返し言っているんですけれども、防衛省としても政治主導になってきている部分があると思うんです。ですから、従来の考え方にとらわれずに、ぜひそういった意味で、防衛大綱とかあるいは中期防、こういったところに積極的にかかわっていただいて、松野副長官が言われるような、そういう緊密な連携をとってやっていただきたいなというふうにお願い申し上げる次第でございます。

榛葉副大臣 委員おっしゃるとおり、政治主導は大切だと思います。

 ただ、私、民主党の副大臣としてこのようなことを言うと失格かもしれませんが、気をつけなければならないのは、政主導というのは、政治家の官僚化ではないと思っております。きちっと政治家が責任を持ち、そして官僚と信頼関係をつくりながら、これは物すごい能力と情報、そして経験を持っていますから、この方々たちよりもおれたちの方が詳しいんだ、専門家なんだ、偉いんだという、ややもすると、我々野党のときに、役所の方を論破して、勝ち誇ると言っては誤解が生じるかもしれませんが、部門会議等々でよくそういう場面を私、見ました。私は、これは間違っていると思います。

 ですから、政主導というのは、決して政治家の官僚化ではなく、きちっと官僚と車の両輪となり、そして責任を我々がとって議論をリードしていくということだろうと思っています。

 特にこの問題は、長い間、十年、二十年にわたる我が国の安全を担保する大切な議論ですから、官僚の方々とも真剣に議論をして、そして情報をとり、信頼関係をつくりながら、我々が責任を持ってつくっていくということだと思います。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 副大臣おっしゃられるとおりだというふうに思っております。官僚組織というか、防衛省の皆さんとしっかりと連携しながらやっていくことだろうと思います。

 私の思いは、ぜひ官邸と防衛省との関係を、もう少し現場で、政務三役、しっかり取り組んでいただいておりますので、そういう防衛省側の意見も、そしてその背景にいる我々一人一人の議員の思いも踏まえて取り組んでいただきたいなというような思いでございますので、よろしくお願い申し上げます。

 そこで、次に、スケジュールの観点で、一年延長したということなんですけれども、前の改定も含めて、年が明けて有識者懇談会が設置される、その後、夏ごろに報告書が作成されるというスケジュールでございます。これは一年延長しても、このあり方は変わっていない。有識者のメンバーはかわって、本当に見識ある方々がしっかりと議論していただけるものだと思いますし、しっかりとしたものも出てくると思います。

 ただ、政権がかわったわけでありますから、このプロセスとかたたき台のつくり方とかそういったところに、政治の主導というか、政務三役の考えや、それは当然入ってくるとは思うんですけれども、つくり方の変化というかプロセスを変えていくとか、そういったことは何かお考えであるのかどうかということをお伺いさせていただきたいと思います。

長島大臣政務官 大事な御指摘だというふうに思います。

 スケジュール観は先ほど私が申し上げたとおりでありまして、ことしの夏を目指してまとめ上げていく、こういうことでございますけれども、二月十八日に防衛省内の防衛会議が開催されまして、大臣から大綱の見直しに向けての指示が出されております。

 私どもとしては、鳩山政権のもとで新たな大綱をつくっていく、その議論に資する形で、私どもも国防に関する専門家集団でございます、背広の人、制服の人、こういう知見を集めて、我々も主体的に提案をしていかなければいけない、こういうことでございます。

 例えば、少し内容に踏み込んで申し上げますと、まず、今の安全保障環境をどう認識するか、これが一点ですね。それから、今日的な防衛力のあり方はどのようなものであるか。そしてそこから、陸海空の自衛隊の体制というものを導き出していこう、こういうことであります。

 その中で、私ども、今回、新たな状況の中で、二つ意を用いていかなければいけないなと感じているものがありまして、まず第一点は、我が国の安全保障あるいは国防体制を支える一番の基盤は何かといったら、それは人と装備ですね。人の面で、今の自衛隊のあり方が本当にベストなものかどうか。例えば平均年齢をとると、アメリカは大体三十四歳、日本の自衛隊は四十歳をちょっと超えるぐらい、こういう平均年齢が出てくるわけですね。それは、今の採用のあり方はどうなのか、あるいは早期勧奨退職をさせていくわけですけれども、そういう部隊のあり方はどうなのかということをもう一回、マンパワーの基本に返って検討し直したい、これが一点。

 それから装備についても、やはり防衛生産に当たっている産業、企業、こういうものの技術基盤というものを日本の中に維持していかなければいけない、こういうところをどう考えていくか。これが今回の私どもの大綱の見直しについての新たな視点だと思います。

 いずれにしても、今は二つの厳しい状況があるわけです。一つは、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しい、これが第一点。もう一つは、財政状況がますます厳しくなる。こういう中で、我が国の平和と独立を一方で守りながら、厳しい財政のもとで、より効率的で合理的な防衛装備のあり方、あるいは人的資源のやりくりの仕方、こういうものを追求しながら防衛計画の大綱を見直していきたい、このように考えております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。

 本当にわかりやすい説明をしていただいて、私も、これから政務三役に思いをぶつけて、我が国の安全保障というものを、一期生なんですけれども、ぜひ議論していきたいなというふうに思っております。

 いずれにしましても、政権がかわって六カ月以上たつということですから、いよいよ、いろいろな問題で正念場も迎えているところもあると思いますし、これから大事な課題というのも山積していると思います。ぜひ、もう御理解していただいているとは思いますけれども、改めて、政務三役の主導、そして我々、それぞれの議員の思いを受けていただいて、また、官僚組織と決して対立という意味じゃなしに、しっかりとした形で我が国の安全保障を構築していただければなと。そのために、全面的に私たちも体を張って頑張っていく、そういう政治にしていきたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 いずれにしましても、きょうは、貴重な時間をいただきまして本当にありがとうございました。

 以上で質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

安住委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


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