衆議院

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第5号 平成22年5月14日(金曜日)

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平成二十二年五月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 生方 幸夫君 理事 神風 英男君

   理事 玉城デニー君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 新藤 義孝君

   理事 中谷  元君 理事 佐藤 茂樹君

      楠田 大蔵君    齋藤  勁君

      高橋 昭一君    橘  秀徳君

      津島 恭一君    中塚 一宏君

      中野  譲君    長島 昭久君

      橋本 清仁君    浜本  宏君

      福嶋健一郎君    藤田 大助君

      鷲尾英一郎君    渡辺浩一郎君

      岩屋  毅君    江渡 聡徳君

      小泉進次郎君    浜田 靖一君

      福井  照君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   外務副大臣        武正 公一君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  海江田万里君     橋本 清仁君

  小林千代美君     浜本  宏君

  鷲尾英一郎君     福嶋健一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 清仁君     海江田万里君

  浜本  宏君     齋藤  勁君

  福嶋健一郎君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  齋藤  勁君     小林千代美君

    ―――――――――――――

五月十一日

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 まず、外務大臣に質問させていただきます。

 現在、上海で万国博覧会が開かれておりますが、行った方々や現地の方々に聞きますと、政府の日本館に日本の国旗が掲揚されていないということでございますが、外務大臣はこの事実を知っておりますか。

岡田国務大臣 上海万博でありますが、日本館は、非常に内外の評価が高くて、人気館の一つになっているというふうに承知をしております。

 御質問の国旗の件でありますが、上海万博の日本館では国旗を常時掲揚するということはしておりません。他方、国家元首級の訪問が今後ある際に、当該国の国旗とともに日本の国旗を掲揚するというふうに決めていると承知をしております。

中谷委員 万国博覧会ですから、ほかの国がどうかということでありまして、現地の人とか見てきた人に確認をいたしますと、ほかのパビリオンにはその国の国旗がしっかりと掲げられている、掲げられていないのは日本だけだと聞いておりますが、外務大臣はこのことをどう感じますか。

岡田国務大臣 まず、事実関係でございます。

 委員は日本だけが国旗を掲揚していないというふうに言われましたが、五月十三日現在、我々が総領事館を通じて確認したところ、国旗を掲揚していない国は、日本のほか、アメリカ、カナダ、ドイツ、トルコ、メキシコ、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカなどでございます。掲揚している国は、イギリス、フランス、イタリア、ロシア、欧州連合、中国、韓国、インド、インドネシア等でございます。

中谷委員 それでは経産省に伺いますが、国旗を掲げるべきであるということについて、開幕直後からいろいろと御指摘をいただいたと思いますし、また開幕する前もこの検討が行われたと思いますが、どういう判断で国旗を掲げなかったんでしょうか。

高橋大臣政務官 事実関係は先ほど岡田外務大臣からお話があったとおりでございますけれども、過去に、スペインのサラゴサ博覧会、それからドイツのハノーバー博覧会、同様に日本の国旗を掲揚しておりません。今回だけに限ってこのようなことをやっていないということではなくて、中国だからといってそのことに対して配慮をしているということではございませんので、過去の慣例に従って掲揚しなかったということでございます。

中谷委員 これは国際博覧会でありますので、各国のことをアピールし、そして紹介するということでありまして、世界の人が日本の国というものを理解する上においては国旗というのは象徴的でありまして、多くの国のパビリオンが掲げているわけでございますので、やはり日本の象徴である国旗をしっかりと掲げるべきであると考えます。

 こういったことを指摘させていただきましたが、今後、掲げるような検討を行っていただけるかどうか、その点についてはいかがでしょうか。

高橋大臣政務官 次回の万博がいつになるかわかりませんけれども、適宜対応させていただきたいと思います。

中谷委員 次回というのは、怠慢というか遅いんじゃないんでしょうか。やはり中国で開催をいたしますし、日本の存在を理解してもらうという意味においては、せっかく国旗を掲揚する施設があるわけでありまして、堂々と国旗を立てていただきたいと思いますが、今回そのことを検討されませんでしょうか。

高橋大臣政務官 日本館にある掲揚の施設は賓客等がお見えになったときに掲げることで用意をしているというふうに聞いておりますが、委員の御指摘もございますので、検討をさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、これにつきましては、過去の、前政権のときにも掲げていないということで、我々が特にこのことにこだわって掲揚しないということではございませんので、その点だけ申し上げておきたいと思います。

岡田国務大臣 今回のことですけれども、まず、委員御指摘の、日本だけが掲げていない、そういう事実はございません。先ほど申し上げたとおりであります。それから、自民党政権時代の今までの万国博覧会において掲げてこなかったという事実もございます。そのことは明確に申し上げておきたいというふうに思います。

 それから、一部の報道で、いや、これは中国側に配慮してやめているんだという報道がございます。今私が申し上げた二点の事実をもって、そういう報道は全く憶測に基づくもので、根拠を欠いているということを明確に申し上げておきたいというふうに思います。

 以上のことを申し上げた上で、これは基本的に日本貿易振興機構がその館の運営を任されておりまして、そこが最終的に自主的に決めることではありますが、私は、日本国政府として、日本館に国旗があった方がいいか、ない方がいいかと言われれば、それはあった方がいいというふうに思いますので、最終的にはそれは政府が決めることではございませんが、ぜひそうしてもらいたいということは、私の方から、日本国政府の方からお願いをしてみたいと考えているところでございます。

中谷委員 どうもありがとうございます。

 やはり国旗・国歌、国旗を掲げるということは国の基本事項の一つのような気がいたしますので、今後、ぜひしっかりと国旗を掲げるようにしていただきたいと思います。

 では次に、中国海軍の日本近海における演習についてお伺いします。

 四月八日木曜日、中国海軍が沖縄と宮古島の中間海域を通過した際に、海上自衛隊が警戒監視を行っていたところ、突然中国の艦載ヘリが接近をしまして、その距離九十メートル、この至近距離で極めて緊張した威嚇行為をしたという報道がありました。その詳細につきましては余り詳しく発表がないんですけれども、一部、銃口のようなものを向けたというような報道もありますが、こういった事実はあったんでしょうか。

榛葉副大臣 今委員が御指摘された部分につきましては、我が国の態勢がどのようになっているのかという問題にも関係する問題でございますので、具体的な答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

中谷委員 これはやはり、国民側からすると、一体どういう状態であるのかということは知りたいところでもありますし、中国に抗議する上においても、事実は事実として発表すべきではないかと思います。

 そこで、伺いますが、この事案を、四月八日なんですが、当然この報告があったと思いますけれども、防衛大臣がそれを聞いたのは何時ごろなのか。その後、外務省、官邸にも連絡、報告をしたと思いますが、それは何時ごろだったんでしょうか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 四月八日十一時ごろに発生した中国艦艦載ヘリの護衛艦「すずなみ」への近接事案については、同日の十八時二十分ごろ、私が防衛省内におるところで報告を受けております。

中谷委員 当然このことを官邸や外務省に連絡、報告したと思いますが、大臣が十八時二十分に報告を受けたということですが、官邸と外務省には何時ごろ連絡したんでしょうか。

榛葉副大臣 お答え申し上げます。

 四月八日の十一時ごろに発生したこの中国艦載ヘリの護衛艦「すずなみ」への近接事案につきましては、内局の事態対処課から官邸に同日の十八時三十分ごろ適切に報告をしているということでございます。

 加えて、後日起こっている十日の分につきましても、二十時十分ごろに中国艦艇が沖縄本島と宮古島の間を通過した件でございますが、これも内局の調査課より同日の二十一時十五分ごろ内閣危機管理センターに報告をし、同センターを通じて適切な報告がなされているということでございます。

 加えて申し上げますと、四月二十一日十五時三十七分ごろから四十分ごろに発生した中国艦載ヘリの護衛艦「あさゆき」への近接事案の件でございますが、これにつきましても、内局の事態対処課から官邸に同日の十六時以降適切に報告をしているということでございます。

中谷委員 ありがとうございます。

 きょうは官房副長官もお越しいただいていますが、では、官邸の方はこれを受けて、その後、中国に抗議などを行うというようなことについて官邸内での判断はあったんでしょうか。

松野内閣官房副長官 今、榛葉副大臣が御報告したとおり、私どもの方に連絡があったということでございます。

 また、中国当局に関しては外交当局が行うものというふうに存じております。

中谷委員 領海侵犯とかこういう場合は、官邸に危機管理の部署がありまして、ここでの判断がまず第一であります。情報収集というのは非常に危険を伴うことでありまして、不測の事態も予測されるということで、現に隊員が大変危険な状況に陥りましたが、では、そのとき特に官邸内では判断をしなかった、それで外務省が判断したということでございますか。

松野内閣官房副長官 そのとおりでございます。

中谷委員 それでは、外務省に伺います。

 外務省はこの時点で、四月八日に連絡を受けたということですが、それに対して中国に抗議を実施したのはいつでしょうか。

武正副大臣 中谷委員にお答えをいたします。

 四月十二日月曜日の午前中に、中国・モンゴル課首席事務官から在京中国大使館参事官に申し入れを行いました。

中谷委員 もう一度伺います。だれがだれに抗議をしましたか。

武正副大臣 中国・モンゴル課首席事務官から在京中国大使館参事官に申し入れを行いました。それが十二日の午前中でございます。また、十二日の夜には、アジア大洋州審議官、また在中国日本大使館公使から中国外交部アジア司副司長に申し入れを行っております。

中谷委員 外務省の中の課や部署が対応したということですが、四月八日から十二日というと四日間もありますけれども、この間、一体何をしていたんでしょうか。

武正副大臣 八日に事案が発生をして、十二日の申し入れということになったわけでありまして、御承知のように、木曜日の後の、ちょうど土日を挟んでというタイミングであったということは事実としてあろうかというふうに思っております。また、申し入れについて、月曜日に行ったということになっております。

中谷委員 土日を挟んでということですが、本当にこれでよろしいんでしょうか。

 まず、こういった警戒監視につきましては自衛隊・防衛省では一年三百六十五日実施をしまして、これはただならぬ事態であるということで官邸や外務省に連絡をしておりますけれども、土日だったから抗議しなかったということは、これは我が国の危機管理、安全保障上ゆゆしきことでありますが、その点、どう思っておられますか。

武正副大臣 お答えをいたします。

 中国の艦載ヘリの近接飛行事案の詳細について、八日夕刻から夜にかけて説明を受けて以降、法的な評価を含め、申し入れの内容の十分な精査を行ったということがまず一つでございます。同時に、しかるべき申し入れの機会を模索した結果、十二日午前から夜にかけての累次の機会をとらえ、本件に関する事実確認及び申し入れを行うこととなったということでございます。

中谷委員 事実確認と言いますが、こういった事実があったから外務省に連絡をして、しかるべき措置をしていただきたいということで防衛省は通報したと思います。

 外務大臣に聞きますが、大臣は、この事実の連絡を受けたのはいつでしょうか。

岡田国務大臣 まず、この件について、先ほど武正副大臣も答弁いたしましたように、法的にどういうことなのかということについては関係部署できちんと詰めて、その上で中国側に通報したということであります。たまたま本省の審議官、アジア局審議官が月曜日に中国におりましたので、高いレベルで中国側に申し入れを行ったということでございます。

 御質問にお答えいたしますと、これはこの場でも以前答弁させていただいたというふうに思いますが、私自身のところにその報告があったのはかなりおくれました。したがって、そのことについて、私は外務省事務当局に対して、こういう案件についてはもっと迅速に政治レベルまで報告をし、そしてその判断を仰ぐようにということで申し、私の部下にこのことについて指摘をしたところでございます。

中谷委員 異常接近というのは、船からわずか九十メートルですから、ただならぬ状況でありまして、大変、何が起こるかわからないような状況でございます。

 したがって、こういった不測の事態を招かないためにも、こういう事実がありましたら、直ちに中国に抗議をして何らかの対応をしなければ、向こうは向こうで、日本が何も抗議しない場合は、また引き続きこういうことをしかねません。つまり、こちらの出方を見て向こうは対応するわけでありまして、そのためにも、きちんとこれは直ちに抗議をしておく。また、外務省ですから、そういったことは可能でありますけれども、まず大臣にも連絡をするということで、甚だ対応に問題があったと私は思っております。

 それに加えまして、きょう、官房副長官が来られていますが、翌日の、現地時間の十二日なんですが、ワシントンで日中首脳会談が開かれ、胡錦濤国家主席と鳩山首相の会談がありました。この場におきまして、本件発生後四日間たっていますが、注意と抗議は実施したんでしょうか。

松野内閣官房副長官 ちょうど日本時間でいうと十三日の早朝になるんですけれども、本件の事案につきましては、ワシントンでの日中首脳会談が行われる前に、総理に対して詳細な報告がございました。

 そして、これを踏まえて、鳩山総理から胡錦濤国家主席に対して、防衛当局間の海上連絡メカニズムの創設といった、東シナ海における日中間での危機管理のメカニズムの構築を進めていく必要がある、このような発言を行いました。胡錦濤国家主席からは、東シナ海を平和、協力、友好の海にするべきであるということの発言がございましたことを御報告させていただきます。

中谷委員 これは、国家首脳同士が会談をする中でこの海域の安全メカニズムをつくろうということを話し合ったならば、まさにいい事例だと思います。しっかりと安全保障の取り決めをすることこそ大事なわけであります。

 その前に伺っておきたいんですが、中国が太平洋でこういった演習をするということにつきましては、事前に日本政府のどこかに中国から連絡があったんでしょうか。

武正副大臣 中谷委員にお答えいたします。

 こうした航行あるいはそれぞれのそうした訓練というんでしょうか、こういったものが国際法にのっとって行われているという中で、事前に我が国に対して何か連絡があるということはないというふうに承知しております。

中谷委員 中国海軍がこれまでこのような演習を行ったということは聞いておりません。初めてのケースではないかと思っておりまして、それだけ中国の海軍の能力が向上して、十隻の連合艦隊のようなものを率いて、潜水艦も含めて訓練をしたと思いますが、普通ならば、日本の近海を通って、我が国の領土の島と島との間を通るわけですから、当然連絡があってもいいわけであります。こういったことは事前に連絡をして、こういう訓練をするということも公開すべきでありますので、今後、中国に対しても、事前に報告をしていただくようにお願いをしていただきたいと思っております。

 どうぞ、外務大臣。

岡田国務大臣 国際的な一般的な慣例がどうなっているかということだと思うんですね。ですから、国際法上、一般的な海域で訓練を行うことは何ら問題があるということではございませんので、日本の領海を通過することすら、これは別に、国際法上認められた権利であります。

 そういう中で、どこまで、これをやるということになれば、それは相互にということに当然なるわけでありまして、どの範囲までお互いそういったことを通知し合うのかということは、それは日本自身にとってもはね返ってくる話でありますので、よく検討を行って、そうした方がいいのか悪いのか、冷静に判断をしていかなければいけない問題であるというふうに思います。

 相手方にだけ一方的に求めるということにはなりませんので、双方向でこういう問題は議論していかなければいけない、そういうふうに思っております。

中谷委員 しかしながら、日中間の懸案としてメカニズムをつくろうじゃないかということは首脳会談で話をしておりますし、また尖閣列島付近の我が国の調査においても非常に物理的な妨害行動があったということでありますので、これはやはり双方が何月何日何時ごろどこで何をするかということを通報しておけば、安心してその内容に従って見ておればいいわけであります。こういった点におきましては、甘い認識じゃなくて、こういった緊張関係が起こらないような関係構築と話し合いとルールづくり、こういうことをしっかりやっていただきたい。

岡田国務大臣 私も、なるべくそういったいろいろな不測の事態が起こらないように、お互い意思疎通をよくしておくということは重要だと思います。しかし、それをどこまでルール化するのかということは慎重な議論を要する問題である、そういうふうに思います。双方向であるだけに、それは冷静に日本にとってどうなのかという判断をきちんとなされなければならないというふうに思います。

 それから、先ほど委員の御指摘の点は、結局、日本と中国の主張が異なっている、ある意味じゃ重なり合っている部分、つまり、日本というのは排他的経済水域そして日中中間線ということで主張しているわけですが、中国側は大陸棚の延伸論をとっている。

 そういう中で、双方がそれぞれ、ここの部分は日本の排他的経済水域である、いや中国のものである、こういうことでお互い主張が重なり合っている、ぶつかり合っていると言ってもいいと思いますが。そういう部分についての調査活動というのは、それぞれが、日本の主張からすれば当然これは日本の排他的経済水域であるので、日本が調査をすることは当然であるということになるわけですが、お互い主張が異なればこういった問題というのは起こり得るので、それはお互い通知し合ったから起こらないという問題ではございません。それはそれとしてですから、しっかりと解決の道を考えていかなければいけない、単に通知すれば済むという話ではないということであります。

中谷委員 それなら伺いますが、この海域のガス田の開発は日中間で共同でやっていこうという取り決めでやっていたんですが、こういったことの事業の進捗などはうまくいっていないということですか。

岡田国務大臣 まず、日中間の東シナ海のガス田の開発については、これは大きく言って二つあります。

 正確に私は申し上げたいと思いますが、中国側の言う春暁、我々の言う白樺については、中国側が行っていることに対して日本側が出資をするという話であります。中国側の法律に基づいて行っている中国側の活動について日本が出資をする、これが日中間の合意であります。北部海域につきましては、これは共同して開発するということであります。

 この二つは明らかに異なりますので、異なるというのは、日中の合意がそういうふうになっているということですね。そのことを申し上げた上で、この二つの問題について、日中間で、これは首脳間で合意したことですから、この約束をどうやって実施していくのかということについて累次話し合いを行ってきたところであります。

 我々は決めたことについて早く実施に移したいということで考えているわけですが、残念ながら、今日までの間、なかなか話は進展していないということであります。

 我々は高いレベルで議論すべきだということを言っているわけですが、中国側は、今までは課長レベルで、最近それが局長レベルに上がったということで、そういう意味では少し前進した感もありますが、いずれにしても、これは首脳間で合意がある問題でありますので、しっかり日中間で話し合いをして、そして白樺については出資の話、北部海域については共同開発の話、それを実施に移していきたいというふうに考えているところであります。

中谷委員 それなら、この海域の権益というものを守るために、相手の既成事実をつくらないためにも、より一層しっかりと警戒監視をし、不穏な動きがありましたら抗議をしなければならないわけでありまして、その観点で、今回の対応につきましては非常に、四日間も国民も知らないし中国にも抗議しないということは、甚だ目に余る対応であったと思います。

 最後に、防衛省にちょっと伺います。

 中国は、心理戦、世論戦、法律戦と、いわゆる三戦を使って、今回のケースもしっかりとマスコミでアピールをしているようなんです。我が国にとりましては、警戒監視活動をする際に命の危険も感じるような非常にゆゆしき事態であったということで、マスコミに対してやはりしっかり対応するという観点で、写真は新聞で拝見しましたが、当然ビデオで、この接近の模様やら向こうの艦艇の航行している映像などはふんだんに持っておられると思いますが、まだテレビでこういった映像を見たことがないのですが、広報においてどういう判断でこの映像を流していないんでしょうか。

榛葉副大臣 防衛庁長官をお務めになられ、まさにこの分野のエキスパートであられます先生は重々承知で御質問のことかと思いますが、今御指摘のとおり、中国がさまざまな戦略、今おっしゃった、特に宣伝戦であるとか心理戦を使っているということは私も承知をしているところでございます。こういった中国艦艇の動向というのは、やはりきちっと国民の皆さんに知らせていく必要があるというふうに私は思っております。だからこそ写真も提供したところでございますが、他方、先生御承知のとおり、どこまで情報を出すか、つまりは、映像であるとか画像であるとか、そういったものを出すことによってこちらの能力や態勢というものが明らかになる可能性が高うございまして、その辺の判断はなかなか難しいところでございます。

 いずれにせよ、国民の皆様にもきちっと周知をしていくということも大事でございますので、今後、しっかりと判断をして適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

中谷委員 国民の主権のもとに安全保障、外交を行っているわけでありまして、正しいこと、しっかりとした事実、こういうことは、隠ぺいすることなく、やはり国民に対して公表して、国民の意思によって外交というものはあろうと思っておりますので、こういう問題につきましては、ガス田の問題もありますので、今後の再発防止のために、しかるべき対応をしっかり今の時点でとっていただきたいと思います。

 続きまして、普天間問題ですが、五月末まであと二週間余りとなりました。いよいよ大詰めを迎えておりますが、まず、現時点でのお考えを伺います。

 両大臣は、今の連立政権を維持したままで五月中に普天間問題の決着というものができるというふうに考えておられますか、伺います。

岡田国務大臣 現時点では、関係閣僚間で綿密に連絡、協議を行いながら、鳩山総理を筆頭に努力を行っているところであります。最終的には、今の連立政権、つまり国民新党、社民党の御理解も得て、しっかりと五月末の決着ということを目指していきたいというふうに考えております。

北澤国務大臣 外務大臣の見解と当然のことながら同じであるわけでありますが、防衛大臣の立場としても、総理のかたい決意をしっかり支えながら、解決に向けて努力をしていくということでございます。

中谷委員 いま一つ、五月末に決着をさせるという意思が感じられないんです。これは総理自身が五月末に決着をさせると明言したことでもありますし、特に、四月の日米首脳会談、非公式でありますが、相手のアメリカのオバマ大統領に、五月末に決着をさせますと約束したことでありまして、この約束をかなえないということは国際的な信頼を失ってしまうと同時に、国会におきましても何度も総理に、五月末に決着させるのかということで、本会議場でも党首討論でも、五月末に決着させると明言をされました。

 そこで、言葉というのは非常に重いということをぜひ御認識いただきたい。特に政治家の場合は国民の負託を受けて仕事をしているわけでありまして、総理大臣の言葉というものが実行できない場合においては、国民の信頼を失ってしまうのでございます。特に内閣総理大臣というのは自衛隊における最高指揮官でありまして、この総理大臣の言葉が余りにもぶれていたり、約束を実現できない場合には、自衛隊の士気にも影響するわけでございます。

 そこで、防衛大臣に伺いますが、せんだって総理が沖縄を訪問した際に、海兵隊の存在は、必ずしも抑止力として沖縄に存在する理由にならないと思っていた、学べば学ぶほど、全体の中で海兵隊の役割を考えたときに、それがすべて連携し、その中で抑止力というものが維持できるんだという思いに至ったと発言をいたしました。

 これは、国の、自衛隊の最高指揮官が口にする言葉であるとは思えません。海兵隊の存在というものが抑止力にならないと思っていたというふうになりますと、これは責任を問うぐらい大事な問題ではないかと思いますが、防衛大臣、外務大臣も、そういう同じ認識でおられたんでしょうか。

岡田国務大臣 まず、御答弁する前に、その前に委員がおっしゃったことに関して一言申し上げたいと思います。

 日米間の信頼関係は重要である、それはそのとおりであります。したがって、日米間で意見交換を行いながら物事を進めているということでございます。お互い意思疎通を欠いている状態には全くございませんので、そのことはまず申し上げたいというふうに思います。

 そして、政治家の言葉は重いという中で、決着すると言ったじゃないか、こういうふうにおっしゃいました。それはそのとおり、政治家の言葉は重いと私も思います。

 ただ、委員も防衛大臣を経験されたわけでありますが、では日米合意なるものが完全に地元も含めて決着されていたのかというと、それは沖縄県としては、現行のV字形案、この考え方について必ずしも納得をしていない。だからこそ、それを少し沖合に移すようにという話が、政権がかわった後もそういう要望が沖縄県からは寄せられているわけであります。

 つまり、十三年間議論してきたと言われますが、最終的に日米合意した案というものは、沖縄がそのまま一〇〇%受け入れるということではない状態がかなりあったわけでありますので、全部一遍に決着すべきだという、その思いはわかりますけれども、旧政権時代に必ずしもそういうことではなかったということは指摘をしておきたいというふうに思います。そういう中で、防衛大臣をお務めになった方ですから、あえて申し上げさせていただいたところでございます。

 それから、沖縄の海兵隊に関してですが、私は従来から、海兵隊は、沖縄かどうかというのは今議論しているわけで、今というのは答弁したときのことをいうんですが、そのことについては明言しないが、日本に少なくとも海兵隊は必要であるということは言えるということを申し上げてきたところでございます。

 しかし、ここもいろいろな議論があり得るところではあるというふうに思います。私は日本に必要だというふうに確信をしておりますが、沖縄に海兵隊というものが、抑止力としてあえて沖縄に置く必要があるのかどうかということについてはさまざまな意見がある。防衛省出身で、旧政権時代に長く官房副長官補を官邸で務められた柳沢さんは、新聞に投稿されて、必ずしもそれは必要ないんじゃないかという趣旨のこともおっしゃっている。プロ中のプロがそういうふうに言われるということは、いろいろな議論はそれはあり得るんだろうというふうに思います。

 そういう中で、総理もおっしゃいましたように、この鳩山政権としては、海兵隊の抑止力というもの、その必要性についてはもちろん認めているところでございます。

北澤国務大臣 総理の認識は、少し旧聞に類するかもしれませんが、日米安保条約署名五十周年に当たる一月十九日に談話を発表されております。その一端を申し上げさせていただくわけでありますが、その談話の中で、「我が国が戦後今日まで、自由と民主主義を尊重し、平和を維持し、その中で経済発展を享受できたのは、日米安保体制があったからと言っても過言ではありません。」このように述べられまして、鳩山総理は、日米安保体制を支える米軍将兵への敬意を忘れることはないということで、みずからの認識を表明されておりますので、先ほどの御懸念はないものというふうに思っております。

中谷委員 まず、外務大臣の責任感に対する意識の欠落ということを感じました。

 やはり、五月末でやるということは非常に重いんですよ。今までできなかったからということではなくて、前の政権は少なくとも約束、合意に従って一生懸命やっていましたが、今回は、総理は五月末に決着させると大統領に約束をしたわけでありますので、その言葉をみんな信じてやっております。

 それからもう一点は、海兵隊の存在は抑止力にならないという発言は、そのために働いている、日本にいる米軍の将校、また政府の関係者に対して、余りにも不見識で、また失礼で不適切でありまして、これは、本来取り消しをしてもらわなければならないぐらい、日米間の信頼に傷をつけた言葉でもございます。

 また、日米安保のために一生懸命働いている自衛官につきましても、せんだって、言葉だけではだめだということで、一生懸命日米共同訓練をしていた隊員にも処分を実施したこともあります。

 やはり、トップがしっかり約束を守るということで、各国の防衛担当者も命がけで使命感を持ってやるわけでありますので、決して、努力をしたができなかったでは済まされないぐらい重い問題であるということを御認識賜りたいと思っておりますが、五月末までに決着をさせるのか、もう一度外務大臣に伺います。

岡田国務大臣 昨日も鳩山総理は、五月末までに決着をさせるという考え方を変えているわけではないということを言われております。私も同じ考えでございます。

中谷委員 以上で終わりますが、五月末までにできなかった場合は、しっかりとけじめをとって、責任をとっていただきたいと思います。

 以上です。

安住委員長 次に、新藤義孝君。

新藤委員 新藤でございます。

 また質問させていただきたいと思いますが、とにかく、沖縄の普天間基地の移設問題については、もう迷走に次ぐ迷走、そして混乱の中で、失望と戸惑い、さらには怒り、こういったものが今、国の中に起こっちゃっている。この問題一つで国が動いているわけではないんですけれども、どうも今、日本の国がどこに行こうとしているのかわからない、だれが責任をとって、そしてどうするんだということが一向に見えてこない、この国民の我が国に対する閉塞感の象徴的な問題になっちゃっている。だから、これを我々は国会として、いかに筋道をつけて、そしてみんなが納得できるように理解してもらう、そして決着させなきゃいけないというふうに思うんです。

 私たちは野党ですから、だからといって政府を何か邪魔したり混乱させたり、そしてこの件で政府を倒そうなんて、そんなこと思っちゃいけないし、思っていません。とにかく、これは解決しなきゃいけない問題なんだ。だけれども、解決させるためには、余りにも今のやり方は稚拙であって、そして場当たりになっていないかということを、私はこの場でずっと追及をさせていただいているんです。

 まず、一つ一つ確認をいたしますが、今回、五月十日に関係閣僚会議、それは総理と官房長官と外務大臣と防衛大臣と沖縄担当大臣、この関係閣僚会議が設けられて、そこで、キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる現行案を修正する案と、そして徳之島へヘリ部隊の一部か訓練移転を軸とした、今新聞報道で言われているような、そういったものを政府の最終案として基本的に合意した、そしてそれを持ってアメリカや地元に交渉に当たる、こういうふうに報道されておりますけれども、政府の最終案は今言われているもので固まったと理解してよろしいんですか。

岡田国務大臣 この普天間の移設の件、報道はかなり過熱しておりますけれども、何か具体的なことを決めたということはございません。そして、今の検討状況について、基本的に、一々具体的に述べるということは差し控えたいと思います。

 いろいろな混乱を招くという委員の御指摘はそのとおりでありまして、途中途中の話が勝手にひとり歩きして報じられると。かなり憶測を交えた報道だというふうに思います。その証拠に、メディアによって中身が違うわけですから。途中のことを我々は言うことはありませんし、今何か決めた、最終案を決めたという事実はございません。

新藤委員 それは、今の大臣の答弁だけを今の時点で聞けばそうかなとも思いますけれども、一体それは何カ月前から言っていることなんですか。

 政権が発足して、この普天間の問題を見直すんだと言って、そしてまず、たしか検証するんだと。検証中だから、今細かなことは言わないんだと。その後、今度、たしか日米のワーキングチームというのができて、それも二回ぐらいやって終わりになっちゃった。今度は検討委員会というのができて、皆さん入っている。でも、いつの間にかそれもわからなくなっちゃった。

 それで、もう五月の末で決めるんだと言っている二週間前になって、まだ途中のことは言えないと。三月末までに案を決めて、それを地元やアメリカや、そして連立の内部で詰めていく、そういう計画だったんじゃないんですか。今のここにおいてまだ案が決まっていない、そんなことを、外務大臣、言えるわけがないと思いませんか。

 もしそれをいまだに言えないんだとすれば、では、政権は何もまだ決めていないということじゃないですか。一つのものが決まらなかったら、どうやって相手を説得するんですか。打診してみてだめならばまた別の案と、そんなことをやっているから堂々めぐりになっちゃっているんですよ。

 報道でいろいろな案が出ると言うけれども、出したのはだれなんですか。特に官房長官、ホワイトビーチだの何だって、何個あの人は出したの、自分たちで出しておいて。

 岡田大臣の答弁は、私はいつも申し上げている。あなたは言葉が走って、私の質問に対してはその場で答えるんだけれども、その場をごまかそうとしているとしか私はだんだん思えなくなっちゃうんですよ。なぜ、今現在の正確な状況をできる限り詳しく我々に報告しよう、そして、政府としてはこれを決めたから進めていくというふうに言えないんですか。

 今の案がまだ最終案じゃないということは、では、まだこれからも別の案が出てくると。

 二つ聞きます。鳩山さんが四月の党首討論で言った腹案とこの最終案はイコールのものなんですか。もう一つは、今まだ決まっていないとするならば、それらも含めて、まだ今後も別の案を出すつもりなのか、そういう案を検討しているのか。この二つ、お答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 五月末までに結論を出すということで、今まさしく非常に重要な時期でありますから、そのときに、その途中のプロセスというものを出すことはあり得ないということは委員もよく御承知いただいていることだというふうに思います。

 普通の交渉事というのはそういうことで、あのV字形滑走路を決めたときも、最終的に、そういう考え方は、途中で示されたというよりは最後、市長との間で決着したということで、決着した後、ああ、こういうものだったんだということが世の中に知らされたというのが事実関係ではないかというふうに思います。したがって、現時点で、今どうなっているかとか、今の案がどうかということを申し上げるつもりはございません。

 したがって、腹案と最終案がイコールかといいますと、最終案について我々は具体的に決定したわけではありませんので、比較のしようもないというお答えしかないと思います。

 今後変わるのかということについても、我々は今、最終案を決定したというふうに言っているわけではございませんので、そのことについても、決まっていないときに今後変わるのかと聞かれても、それはお答えできないという答えしかないと思います。

新藤委員 要するに、まだわからないということなんですね。いや、いいです。だって、言ったって同じことしか言わないんだから。

 V字を決めるときでも、その決めるタイミングと、今、五月末まで二週間前と、それは同じ状況だとお考えなんですか。ごまかさないでくださいよ。話をすりかえないでよ。今は、もう案を決めて、外に向かってそれを誠意を込めて交渉してお願いしなければ期限の中で決着できない状態なのに、いまだにそれしか言えないということ、それは現状の、今の内容をまさに物語ることになってしまうので、とても心配しています。

 そこで、次に、またお話を聞きますけれども、米国側との実務者協議が始まっている、こういうことでございます。辺野古の現行案を一部修正して、そしてくい打ち方式に切りかえる、こういうようなことですね。

 こういう話をアメリカ側に打診しているというふうに聞いているんですけれども、この辺野古修正案というのは、まず、テロの危険性があると。くいがいっぱい、数千本打たれるわけですから、その間に潜み込まれる可能性が強くなる。テロの危険性があり、それから予算的にも、建設工費は一・五倍ぐらいになるんじゃないんですか。工期も、着工できたとしても、それから今の考え方の倍かかる。年間の維持管理経費も、さびどめも含めて三億円以上。ずっとメンテナンスしていかなければいけない。こういうことは、以前の我々のアメリカ側との交渉の中でもそういった話があって、これは却下された案ですよね。

 今回、私たちが外交筋から聞いている情報ですけれども、アメリカ側から、もしこれを本当にやるならばどうするんだと技術的に専門的にいろいろな質問が出たときに、日本は答えられなかった。なぜなら、そんなくい打ちの工法なんて私たちやったことがないから。だから、どこかに専門家がいないかと今国内に帰って探しています、だから答えられませんというようなやりとりがあった、こういう話を聞いていますけれども、そもそも、このQIP方式というものは実行可能な案なんですか。

岡田国務大臣 ですから、委員は、一定の報道に基づいて、その報道が事実であるという前提でお聞きになっているわけであります。日米間でいろいろな協議は行っておりますが、その内容についてお話しすることはございません。

 それから、今、外務大臣としてちょっと聞き逃すわけにはいかない言葉を言われました、外交筋から聞いたと。今委員がおっしゃったいろいろな話というのは、私は事実に反していると思いますが、もしその外交筋というのが日本の外交筋ということであれば、これは機密漏えいということになりますので、ぜひ情報提供していただきたいと思います。それは、私は厳罰をもって処したいというふうに思います。

新藤委員 外務大臣だけが外交をやっているんじゃないんですよ。外務大臣だけが外交をさわれるわけじゃないんですよ。あなたの考え方は、後でやるけれども、竹島の問題もそうだけれども、私がやっているから任せてくれと。みんなと協議して、最終判断をして実行する権限を持っているのは、それは大臣ですよ。なぜ、そういういろいろな情報があると、そんなふうにだれをと……(発言する者あり)いや、違う。

 それで……(発言する者あり)今、いいですか、漏えいの話は私が申し上げますから。

 外交筋というのは、日本の外交筋ではありませんよ。我が党の小野寺議員がアメリカに出かけていって、向こうのシンクタンクやいろいろな人と話をしてきたんですよ。そういう中で、今、日米の交渉がどうなっているかということを、あちら側の外交筋や、ワシントンのいろいろな活動をしている、そういう人たちから聞いてきた話。

 何か見つけたら、じゃ、外務省の職員を厳罰に処すなんて、そんなことを考えてやっていたら、職員は嫌になっちゃうんじゃないの。

岡田国務大臣 そこは、委員も外務省でかつて政務三役をお務めになったわけですが、私の感触は全く違います。

 やはり、機密を守るということがいかに重要か、そのことはしっかり私は省内でも申し上げておりますし、それは当然のことであります。日米間のいろいろな協議の中でも、日本からいろいろな、本来秘密にしなければいけないことが漏れるという指摘はたびたび受けております。そういうことになりますと、本当の議論というのはできなくなるわけで、少なくとも私は、外交、防衛にかかわる、そういう省の職員は、機密をきちんと守る、国家公務員法を守るということは当然であり、そのことは外務大臣として厳しく指導しなければいけない問題である、そういうふうに思っております。

 今委員が御指摘になったくい打ち桟橋方式に対する日米のやりとりについては、私は、事実関係はかなり違う。事実関係という意味は、やりとりの事実関係という意味ではなくて、その認識もかなり異なると思います、そのことについてとやかく言うつもりはありませんが。アメリカ側から漏れたと言いましたが、しかし、アメリカ側も、実際に交渉している交渉当事者がそういう情報をいろいろしゃべるはずはないわけでありまして、周辺でいろいろな憶測を交えて話した、そこからお聞きになった話かというふうに思います。根拠はないものであります。

新藤委員 ですから、私も情報だと言っているわけですよ。なので、わからないからお尋ねしているわけだから。

 外務省の、また日本の外交筋の中で漏えいがあれば、それは大臣のおっしゃるとおりですよ。でも、まだそれが何にもわかっていないうちからそうやってやることが、その大臣の姿勢が外務省の職員にどう映るかということを私は逆に心配しちゃうんです、私も外務省の政務官をやらせてもらいましたから。みんなで、わいわいがやがややるんですよ。それが、おれに任せておけ、余計なことをやったらしかるぞ、そんな状態じゃ、そうであるかどうかわかりませんよ。でも、そんなふうに目くじらを立てなくたっていいんじゃないですかということなんです。(発言する者あり)いや、漏えいはしていないんだ。

 それから、一つだけ、これはやはり報道筋なんだけれども、気になるから確認だけしておきますよ。

 連休後に岡田大臣がルース大使と会談した、こういう報道がやはり出ているんです。五月の連休明けですね。それで、その報道によると、今度はこれは新聞に出ていることだからそのまま言いますよ。外務省幹部の発言として、この普天間問題は、今後は実務者協議にゆだねる、外相とルース大使は普天間問題ではもう会うことはないだろうと語った、こういう記事が出ているんですけれども、これはどういうことなんですか。意味が全くわからない。

岡田国務大臣 ですから、そういう報道を一々余り信用しない方がいいというふうに思うわけであります。それは、委員も政務官をやられたからよくおわかりだと思いますが、事実に反する報道というのはたくさんあるわけであります。

 もちろん、実務者間での詰めというものは、特に技術的な詰めも含めて必要であり、現に行っているわけであります。今週もアメリカでそういった集まりはございました。

 そして、質問にお答えするとすれば、基本的なルートというのは、本来であれば私とクリントン長官ということになるわけですが、二人が会ったりして話すということもそう簡単ではございませんので、今東京にいるルース大使とそして私の間で外交ルートは一本化して、そこで話をしていくということでございます。もちろん、そういうことですから、必要に応じて会ったり電話で話したり、そういうことは頻繁に行っているところでございます。

新藤委員 私も、事実と思って聞いているんじゃないんですよ。新聞に書いてあるけれども、何でこんな、これはわからないから聞いているのに、結局何も答えていないじゃないですか。どうしてこの外務省の幹部が、今後は会うことはないだろうと。それはルースとの間でどういう話になっているんですかということを聞いているんですよ。

岡田国務大臣 そういう間違ったことを言う人がいたとすれば、それは、外務省の幹部にそういう人がいるとは私は全く思っておりません、信じがたい発言であります。

新藤委員 では、これは違うということですね。ルースとまた今後とも頻繁にやる、こういうことですか。わかりました。

 そこで、また次の話に行きます。

 鳩山総理は今月の四日に、昨年の衆議院選挙当時は海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないとは思っていなかった、学べば学ぶほど海兵隊の各部隊が連携し抑止力を維持していることがわかった、したがって海兵隊を沖縄から県外に出すことはできない、こういうことをお話しされた。

 だとすれば、これは一国の総理として、また自衛隊の最高指揮官として、そんなこともわからずにやっていたのかというので、我々はあきれちゃうし、日本じゅうが、これはだめだ、こういうふうに思った、そのきっかけのうちの大きな一つになります。でも、では総理が勉強をちゃんとして抑止力を学んでいれば普天間飛行場の移設問題はもっと着々と進んだのかしら、こういうふうに私は逆に思ってしまうんです。

 そこで、岡田大臣はその抑止力のことは理解していたわけでしょう。たしかいろいろなところで、自分は県外に行った方がいいというのは言ったことがないとか、そういう話をされたこともありますよね。ですから、大臣は、抑止力を理解していて、そして普天間の基地を県外に移設することは難しい、無理だ、抑止力の観点から置いた方がいい、こういうふうに思っていたんだということになります。

 とすると、それをどうして鳩山総理に進言して、総理、こういうことだということできちっと総理に理解をしてもらわなかったんですか。総理大臣とこういうことに関して、抑止力の観点から沖縄に置かなければだめだ、こういう進言はされたことがあるんですか。

岡田国務大臣 まず質問にお答えしますと、そういう議論はしょっちゅう行っているところであります。

 ただ、鳩山総理の御発言を今引用されましたが、鳩山総理は非常に謙虚な方でありますので、今委員が言われたことがそのまま鳩山総理の思いかどうかということについては、私は必ずしもそういうふうには思っていないわけでございます。

 そして、抑止力の観点から海兵隊を沖縄に置くべきだということについて、私はそういう考え方を今持っているわけでありますが、それが議論の余地のない明々白々なことかというと、それは必ずしもそうではないというふうに率直に申し上げなければいけないと思います。先ほど、防衛省の幹部を務めた、しかも内閣の中で副長官補という非常に重要な役職を長く務めた柳沢さんの意見が新聞に投稿されたということを申し上げました。彼は、果たして沖縄に海兵隊が抑止力として必要かという疑問を投げかけているわけであります。

 私が一貫して申し上げてまいりましたのは、海兵隊は日本に必要であるということであります。それは、一つは、沖縄から移すという話をまさしく議論しているときに、沖縄に必要であるというふうに断言するのはいかがなものか。それは、いろいろな話し合いをするために少し余裕を持って、日本には必要である、そういう言い方をしてきたわけであります。沖縄に必ず必要とは言わないが日本には必要であるというのが、私のことしの予算委員会などでの答弁でございます。

 率直に言って、沖縄の方が地理的にはより望ましいということは私は言えると思います。南シナ海、東シナ海、そういったところにより近いという利点はあるというふうに思っております。

 ただ、それが、ではほかの日本ではだめかというと、これはもう一つ要素があって、やはり訓練地とセットでなければならないというふうに考えると、沖縄以外で一からそれをつくり出すということは大変なことであります。地元の説得もそうですし、費用も非常にかかりますし、果たしてそういう適地があるのかというと、簡単には見つからないわけでありますので、そういう現実もあわせ考えて、やはり沖縄ということを私はある時期から申し上げているところでございます。

    〔委員長退席、神風委員長代理着席〕

新藤委員 ですから、それはいろいろな意見を言うのは結構だけれども、政府としては絞らなきゃならないわけですから、結果として、これは沖縄に残したいから、今のような政府案で辺野古の修正をしてやらせてくれと言っているんだから、それに絞って言えばいいんですよ。まだいろいろな選択肢があるんですと言うから、ではどうなっているのと。自分たちは、もう絞らなきゃだめだと言っているんですよ。これは今回のもので、県外への移転はもう断念する、こういうふうにやはりきちっと、そこはぶれないでやっていくべきだと思いますよ、御発言も。

 その上で聞きますけれども、県外移設できなくて、そしてここのところで現行案を修正するということなんですけれども、どうして現行案でだめなんだと私はずっと言っています。ましてや、現行案と今回の修正案は、場所も一緒、距離がちょっと違うだけ。抑止力の維持と負担の軽減という我々が与えられたテーマのもとで、現行案がだめで、そして政府修正案にするという、この抑止力の維持と負担の軽減という意味から、では、現行案と政府修正案の違いは何ですか。

岡田国務大臣 ですから、政府の案というものを、特にこれだということを今申し上げているわけではありませんので、質問に直接お答えすることにはなりませんが、ただ、我々、政権がかわって、そして沖縄の民意ということを考えたときに、もっと負担を減らす、できるだけ負担を減らしてもらいたい、これは沖縄の民意であることも事実であります。最近の沖縄で行われた集会でも、県外、国外という主張があったことも事実。

 そういう中で、しかし、抑止力の維持ということは我々の議論の前提でありますから、この二つの、沖縄の負担軽減と抑止力の維持というものをどこで折り合いをつけていくかということについて、我々はいろいろ議論を行い、そして検討を進めているということであります。

 総理は、とにかく沖縄の負担を少しでも減らしたい、そういう思いでいろいろ苦しまれながら議論を進めているということ、そのことをぜひ国民の皆さんに御理解いただきたいというふうに思っております。

新藤委員 大臣、全然答弁になっていないんですよ。沖縄の負担を減らしたいというならば、では何で今の政府修正案になるんですか。変わらないじゃないですか、場所が。私は、現行案と政府修正案、なぜ修正案でなければだめかと言っているんですよ。

 そこで、私は今回の質問をするのに、最近ツイッターというのをやっていまして、ツイッターで、皆さん、何か意見はないかというので、流したんですよ。そうしたら、いろいろなものをもらいました。その中で、こういうのがありました。五十ウン歳の女性の方です。

 質問。民主党の皆さんは野党時代に一体何をやっていたのですか。政権交代以来、現政権の政策のすべてが迷走するのはなぜか。特に、普天間問題における迷走は、日本国の国際的信用まで失墜させ、日米安保の土台を瞬時に吹き飛ばす勢いであり、国民の生命と財産を守るべき政府がその義務を完全に放棄しているようにしか見えません。政権交代直後に、現政権は自民党の政策をことごとく覆し、自民党のにおいのついているものは全部壊せという怨念すら感じます。もう茶番はやめてください。

 幾ら私が説明しても、専門的な何の説明もなくて、ただほかのものを探しているんだということになっちゃうと、しかも場所探しで四十何カ所もやったと。沖縄の問題はパッケージで、ロードマップで、グアムへの移転も嘉手納以南の基地返還もあるけれども、そっちは全然さわらずに、普天間基地の移設先の問題だけずっとやってきたということになりますね。

 それで、皆さんから全く答えが返ってこないということになっちゃうと、これは、私はこの間も言ったけれども、結局、民主党は、今の連立政権は、自民党と違う場所にしなければならない、そういうことで場所探しに終始しているんじゃないかというふうに思わざるを得なくなっちゃうんですよ。自民党案だからだめだというのは、現行案を採択しない理由の一つになるんですか。

    〔神風委員長代理退席、委員長着席〕

岡田国務大臣 自民党案というより日米合意案というふうに申し上げた方が正確だと思いますが……(新藤委員「これまでの政府案ですね」と呼ぶ)これまでの日米合意案ですね。それだからだめだ、そういう考え方は全くございません。

 ただ、先ほど来御説明しておりますように、やはり沖縄の負担軽減をいかに図るか、そういう視点でさまざま議論を行っているところであります。今の合意案よりもより沖縄の負担の少ないもの、どうやったらそれが実現できるかということについて我々は検討を行っているということであります。

 ただ、委員御指摘の中で、日米が合意した考え方の中に、グアムへの八千人の海兵隊の移転ということがあります。それから、移転に伴って嘉手納以南の基地の返還ということがあります。こういうところまで白紙に戻るということは、これは絶対避けなければならないというふうに思っております。

 ですから、沖縄の負担軽減ということを主張される皆さんに対して私からも何度も申し上げているわけですが、現行案でも八千人の移転とか嘉手納以南の基地の返還という非常に大きな沖縄の負担軽減策が入っているので、そういうものも含めてもう一回全部やり直すということになると、それは沖縄にとって大きな負担になる、だから、そういうことを避けつつ、それにプラスしてさらなる沖縄の負担の軽減というものをどうやって実現していくかということを今検討しているところでございます。

新藤委員 ですから、そのパッケージで、ロードマップを着実に進展させなければ沖縄の負担軽減にならないわけです。

 そこで、今大臣がいみじくもお話しされた、今度の普天間基地の移設問題で具体的な進展がないと、グアムの予算、これはアメリカで執行させるわけですから、このグアムの予算の執行についても暗雲が垂れ込めて、五月の下旬からまたアメリカで議会が始まって、そして今のこの日米の状況によってはロードマップの着実な進行というのはわからなくなってくるぞということも踏まえて、我々は、とにかく決着させようと。それには現行案なんですよ。もちろん現行案の一部修正は、修正の範囲は認めますよ。そもそも、大臣がおっしゃるように、逆に沖合に五十メーター移してくれと言っているんだから。でもそれは、合意した上での、受け入れた上での修正の範囲なんですよ。それは交渉ののり代ですよ。

 ですから、そういうことも考えて、しっかりとこれは現行案をきちっと進めていくこと、ほかのロードマップと同じように現行案も進めていくことが私は今最も国にとって大切なことだと思いますから、私らはその応援もしたいと思います。変わったじゃないかと言いませんよ。きちっとやっていく。そのかわり、やっぱりこれはだれかが責任をとらなきゃならない、ここまで迷走させたんだから。その覚悟を持って、でも、これ以上、国とそしてまた我が国をめぐる国際環境が悪化しないように、安保情勢が悪化しないようにこれは進めなければならない、判断しなきゃいけないことだ、こういうふうに思います。

 この普天間の問題で日米がぎくしゃくすることで、日米同盟そして安全保障環境が極めて脆弱になってきた。そこで、私は、きょうは防衛大臣にお尋ねしたいと思うんです。これは外務大臣にはもうさんざんやっておりますから、耳にたこができちゃっているわけなんですけれども、韓国の竹島の問題です。

 この韓国の竹島は、日本の領土であり、戦後五十八年間、韓国によって不法占拠された状態です。この私たちの島でありますが、なかなかこの問題を解決することができません。防衛大臣、閣僚として、我が国の政府の統一見解でございますが、これはお認めになりますね。

楠田大臣政務官 まず、事実関係を私からお答えさせていただきます。

 この問題につきましては、政府として、外務省のホームページにも載っていますように、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに我が国固有の領土であるということが政府の立場であります。また、竹島の占拠自体、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であるということは、我々としてもこの立場を踏襲しておるところであります。

新藤委員 今、不法占拠であるとおっしゃっていただきました。そのとおりです。

 大臣、何やっているんですか。聞こえるんだよ。そんなことを今ここでやったってだめだよ。私はここで、そこまで北澤大臣のことはやりませんから。

 とにかく、今、竹島に韓国が、歯どめがきかない状態で仕事が始まっちゃっているんですよ。竹島にあるヘリポート、三十年前にできておりまして、これは老朽化が進んでいるそうです。でも、この改修工事が今発注されていて、これが完成すると、CH47という、軍の一個小隊が移動可能な、そういう大型ヘリコプターが二十四時間、常時離着陸可能な施設に改修、強化される、こういう工事が今進んでおります。そして、このヘリポートの工事とあわせて、沖合一キロに、今度、地上でいうと十五階建て相当のこういう大きな海洋科学基地というのを建設する。これは予算化されているんです。これは、我が国の領土と領海に対する新たな工作物の構築であり、また現状の形質変更につながることで、我々は絶対に認めることができないと思うんです。

 この問題を国民に公表してくれ、そして、このことで韓国に対して我が国の立場をきちんと申し入れて、外交的な正式協議をしようじゃないか、こういうことを私はずっと岡田大臣に申し上げているんだけれども、累次適切な活動をやっていて、外交の個別案件についてはお答えしませんということで、一切明らかにしていないでしょう。

 そうこうしているうちに、今度は竹島の海底の地質調査が始まっているんです。海底の地質調査は何のためにやっているかというと、ボーリングをやって、要はこの工作物をつくるための基礎調査をする、そのための地質調査をやっている。これは外務省は、大臣、副大臣かな、電話して抗議したということなんですね。でも、これにとどまらないんですよ。

 大臣、きょうは資料をお配りしておりますが、その添付資料の中の一番最後のところです。竹島の中に漁業をする人たちのための宿泊所があったんですけれども、今度はその宿泊所の改築工事が始まっている、そして今の二倍の規模になるんだ、こういうことが韓国側の報道で出てきているんです。

 まず第一に、防衛大臣、韓国側はこれを主権強化、また軍事的な拠点の強化になる、このように向こうでは言っているわけですけれども、我が国の領土に対して、また我が国の主張する主権の中でこういったことができてしまって、これは国防上、安全保障上問題が出ませんか。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 冒頭、新藤委員は、こういう外交問題あるいは安全保障問題というのは、与野党で対立するのではなくて協力して解決するというまことに崇高なお気持ちを披瀝されまして、私も全くそのとおりだというふうに思っておるわけであります。

 そこで、この件については、先ほどのパネルも、二〇〇三年の時点でのパネルをお示しいただいております。したがって、長い懸案であるわけであります。前政権時代からの懸案であって、我々は今それを引き継いでおるわけですが、私どもとすれば、一貫して、これは外交上の経路を通じて平和的に解決すべきであるとの立場に立って対処してきておるわけでありますから、今この時点で、防衛省あるいは自衛隊が何がしかの対処をしろということには当たらないというふうに理解しております。

新藤委員 大臣、まず、これは、二〇〇三年のころの韓国側のEEZの中にできている施設なんです。別の建物で、これと同じようなものが今度は日本の領海内に建てられちゃいますよ、こういうことでございますので、そこは修正をしてください。

 それで、私が聞いているのは、防衛省が、また自衛隊がこれに対処すべきかと言っているのではなくて、こういうような施設ができて、このように韓国が韓国側の主権を行使して、そして軍の緊急展開ができるような施設を、設備を整え、そしてそこに滞在するための施設も拡充してきている、こういう状態、これは日本の安全保障上影響は出ないんですか、危惧されることはありませんかというお尋ねをしているんです。

武正副大臣 新藤委員にお答えいたします。

 まず、ヘリポートについては、一九八一年に建設をされたということで、今御指摘のような改修というような報道があることは承知をしております。

 また、先ほどの漁業関連宿泊施設増築の旨の報道についても同様でございます。

 それから、先ほどの地質調査については、御指摘のように、四月十六日、本件調査は、竹島の領有権に関する我が国の立場にかんがみ、受け入れられるものではなく、調査の即時中止を求める旨の抗議を、福山副大臣から在京韓国大使に行ったところでございます。

 ただ、そのほか、適時適切な機会に、韓国政府に対しては、竹島の領有権に関する我が国の立場は、御指摘のやりとりの機会を含めまして伝えているということでございます。

新藤委員 副大臣に聞いているんじゃないんだよ。しかも、防衛大臣に、この問題が日本の安全保障上影響を及ぼすことはないかというお尋ねをしているので、そこは、防衛大臣としてこの問題はいかがですか。

北澤国務大臣 ただいまも武正外務副大臣から経緯が答弁されたわけでありますが、この一件については、極めて友好的な韓国政府と我が政府との間でありますから、外交ルートを通じて解決するという我が国政府の強い意思を継続するべきであって、防衛大臣がこれについてコメントをすることは差し控えさせていただきます。

新藤委員 わかりました。外交ルートを通じてきちんと対処すべき、こういうことですね。

 ここであえて申しますけれども、私は、だんだん、さらに調べてきたらわかったんですけれども、韓国では独島領土管理事業という計画があるんですって。私は竹島領土管理事業でいいけれども、韓国が独島と言っているからね。韓国は、二〇〇八年に独島管理事業というのを選定して、竹島の主権強化をやろうということを実は計画していた。それは、海洋科学基地も漁民の宿舎もヘリポートの改修も、全部そういう計画があったんですよ。

 しかし、私たちが、自民党が政権をとっていた時代の日本政府との交渉の中では持ち出せなかったし、こんなことは我々もさせなかった。外交的な話し合いと外交的な抑止の中で、独島領土管理事業というのは表に出ることがなかったことなんですよ。

 それが、政権をとって、かわって、鳩山さんや岡田さんが韓国側と接触する中で、一挙に、今こそやるべきだということで出てきてしまって、歯どめがきかなくなっちゃっているんです。しかも、岡田大臣は、この竹島問題を韓国側との外交交渉の場において一度も取り上げたことがないとこの間もお話しされました。これが韓国側にさらに誤ったメッセージを与えることになっていて、歯どめがきかなくなって、これは今やっているうちに言わなければ、防衛大臣がおっしゃるしかるべき外交的な努力をもってというのは、表に出して、まず国民に公表して、そして韓国の政府に対して、この問題を話し合いしよう、日本は認められないぞ、こういう協議を正式に設けなければ、我々は今までもやってきたんですから。

 十八年のころには、海洋調査があって、韓国が海底地形を調査する、それならば日本も出すぞとぶつかり合って、そして一度は中止させた。三カ月後にまた別の、今度は放射能を測定する海洋調査をやると言った。そのときは日本の海上保安庁が船を出して、出ていってもらった。そこまでやっているんですよ。

 竹島周辺のEEZの中ですら、我々の領海内ですら、勝手なことをさせないぞと我々がずっとやってきたことなのに、今、島そのものを勝手にさわられて、どんどんどんどん大きな工作物をつくられるようになっていて、それに対して大臣が公表しないから、国民が全然知らないじゃないですか。私が幾らここで、委員会で言ったって、政府が公表しないからマスコミに出ないんですよ。

 これが前例になってしまったら、今度は日本は、あのとき言わなかったじゃないか、今まで言ってこなかったじゃないか、何で今になって言うんだと、もう交渉できなくなっちゃいますよ。

 あした、日中韓の外相会議を韓国でやるんでしょう。岡田大臣、この竹島の問題は、政府が事実を把握しているのならば、これはきちんと協議しよう、日本と話し合いしなければだめだということを出さないと。あした、日中の外相会談をするというのは聞きました。時間がもう大幅に過ぎちゃっているから、同僚に申しわけないのでもうやめますけれども、中国の東シナ海のガス田の比率だって、そんなもの簡単に変えたら大変なことになりますよ、新聞に出ているけれども。

 だから、そっちまでは行かないけれども、とにかく、この問題で、私は、表に出して、堂々と話をしようと。そして、日本と韓国がきちっと了解しなければこれはだめですよ。どうですか。あしたあるわけですから、話をしてくださいよ。

岡田国務大臣 まず、今回、日中韓の外相会談があります。その際に、日中間、日韓間の外相というバイの会談も予定しているところでございます。そこでどういうテーマを話し合うかということは、これは外務大臣たる私が決めることでございます。今この場で何か申し上げることはございません。

 そして、委員の今のお話を聞いていまして、自分たちのときはちゃんとやってきたけれども、鳩山政権になって、政権交代になってからどんどんやられていると。もしそうであれば、どうしてこういう建物が今竹島に建っているんですか。自民党時代にこれは許したわけですよ。ですから、それは、一方的な言い方は余りしないでいただきたいというふうに思います。

 そして、こういう問題は、やはり国を挙げてきちんと対応すべき、そういう課題で、いろいろな世論はあると思いますけれども、きちんと冷静に対応すべき話である、そういうふうに私は考えております。

新藤委員 自民党時代にやってきたじゃないかと政府が言っちゃだめですよ。自分たちが政府なんだから。今までのことをすべて引き継ぐのが今の政府なんだから。我々だって、その昔のことは、三十年も前のことを我々はできなかった。だけれども、少なくとも、直近の平成十八年、十九年、私たちが自分たちでやっていたときは、そうやってきちっとやって、現状をこれ以上悪化させないようにしてきたんだということを言っているんですよ。昔のことを言い出していたら、一体いつまでさかのぼるつもりなんですか。

 ですから、そういうことではなくて、今の政府としてこの問題をこのまま見過ごしてはいけないんじゃないかということを私は申し上げているんです。

 とにかく、一事が万事で、韓国がここまで強硬になってしまったのは、これはあなたの責任ですよ。それとあわせて、日米間が揺らいでいるから。平成十八年のときも、実はアメリカの外交的なそういった努力も入って日韓の海洋調査は中止になっているんです、あなたは全然知らないと思いますけれども。そういうふうに全部絡み合ってきているんです。だから、普天間問題を解決させなきゃいけないということ、それは韓国との関係にもつながってくる。中国との関係も同じです。

 とにかく、あした韓国との外相会談をおやりになるというならば、どうすべきかは、それは大臣がお決めになることです。しかし、私の声をぜひ受けとめていただきたい、このように思います。

岡田国務大臣 委員の御指摘は御指摘として受けとめさせていただきたいと思います。

 ただ、随分昔のことだとおっしゃいましたが、しかし、鳩山政権を批判するのであれば、まずみずからを省みてもらいたいという意味で、これは自民党政権のときに現にここまでの構築物ができたという事実を私は指摘したわけでございます。

 そして、鳩山政権が誕生してから、日中関係、日韓関係、私は、例えば小泉政権の時代と比べれば、随分変わったなというふうに思うわけであります。理由はいろいろあります。一方的に言うつもりはありません。しかし、あの時代のあの対立した日中関係、日韓関係の中で、失ったものは非常に大きかったなというふうに私は思うわけであります。

 例えば一つ、外務省を挙げて、あるいは日本国政府を挙げて取り組んだ常任理事国入りの問題、つまり国連安保理改革の問題ですね。こういう問題についても、あの当時は結果が出せなかった。さまざまな理由がありますけれども、やはり近隣の国との関係ということもその理由の一つであったことは、私は疑う余地はないと思うわけであります。

 ですから、国益というものをどういうふうにして実現していくかということを常に考えながら、一つ一つの問題の対応も重要であります、しかし、大局を見失わないようにしてしっかりやっていかなきゃいけない、それは外務大臣の責任、あるいは総理大臣の責任である、そういうふうに感じているところでございます。

新藤委員 時間が大変延びてしまって、同僚議員に本当に心からおわびを申し上げます。また外務委員会等でやりたいと思いますが、思いは同じです。ただ、手段が違い過ぎるので私は心配しているのでございまして、ぜひ私の話もきちっと受けとめていただきたいと思います。

 終わります。

安住委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 岩屋です。

 新藤議員が熱心な余り、大分時間が超過しましたので、余り細かいことは私は聞きません。

 この時局ですから、いよいよ、この普天間の問題、総理みずからが約束された期限が近づいてきました。私は、岡田大臣、北澤大臣の力量をもってすれば、難しい問題ではあるけれども、何とか解決に導いてくれるのではないか、やはり国益のために頑張ってほしい、そういう思いでこれまで物を申し上げてきたつもりでございます。

 それで、二、三日前ですか、関係閣僚会議が開催されたというふうに聞いておりますが、案の細かい話はもう聞きません。ただ、大方政府原案の骨格が固まった、それをもって日米の実務者協議あるいは現地との交渉などを今やっている、こういうふうに理解してよろしいですか。

岡田国務大臣 先ほど来答弁しておりますように、政府の中で検討しているその状況についてお話をすべきではないというふうに思います。

 いろいろな報道も先走っております。混乱することのないように、最後の詰めの段階ですからしっかりとやっていきたいというふうに思います。ただ、最後の詰めの段階ということは、それなりの方向性を持ってもちろんやっているわけでございます。

岩屋委員 交渉事ですから、ディテールについてここで細かく述べてほしいとは言いません。言わないが、しかし、政府原案というからには、これは政府・与党案ですか、与党の中での基本的なコンセンサスというのはできている案ですか。

岡田国務大臣 ですから、我々は政府原案という言葉を一度も使ったことはございません、メディアがいろいろ報じていることは承知しておりますけれども。

 これは、関係五閣僚の中で、これだと何かあるみたいに思えますが、そうではなくて、関係五閣僚の中で、お互いしっかり方向性を確認しながら、いろいろ関係方面と連絡調整を行っている、そういうことでございます。

岩屋委員 鳩山総理の国民に対する約束、あるいは同盟国に対する約束は、政府・与党内の合意、移設先との、現地との合意、それから米側との合意、こういうことではなかったんでしょうか。

 残りもう二週間ちょっとでしょう。与党の中でも、きのうも何か社民党さんは集まって、県内移設には反対だという意思を確認したというふうにも報じられている。それから、与党内の調整をする関係閣僚委員会、あれは何といったんですかね、まあ名前なんかどうでもいいが、それを開催しようというのを、いやいや、まだ時期尚早だということで見送ったということも報じられている。この段階でそんな状況でいいんですか。私は、社民党さんも国民新党さんも、余計なお世話かもしれないが、やはり政権与党を構成しているという自覚が足らないんじゃないかと思いますよ。

 自公政権時代、公明党さんとの間でもいろいろなやりとりが我々はありました。でも、敬意を表していますよ。本当に難しい問題を党内でしっかり議論をして、最終的に我々との合意をつくってくれた。

 内政の問題なら多少意見が違ってもいいんですよ。後でやり変えればいいんですよ。だけれども、外交、防衛は相手のある話でしょう。国の安全にかかわる話でしょう。これこそは与党の中でしっかりコンセンサスをつくっていなきゃいけない。決着しなきゃいけない期限はどんどん迫ってきている。こんな状態でいいんですか。担当大臣の岡田さん、北澤さんは、社民党、国民新党に真剣に話したことがあるんですか。今まで何をやってきたんですか。

岡田国務大臣 政府内でのコンセンサス、これを最終的にとる必要があることは、もちろんそのとおりであります。どのような手順でどうするかということは、これは政府にお任せいただきたいと思います。

北澤国務大臣 三党で内閣を形成しておるわけでありますから、最終的には合意を得なければならぬというのは国民に対する責任でもあるというふうに思っておりまして、私も福島党首ともお話をするときもありますし、また、私の方へ幹事長が足を運ばれて協議をするというようなこともたびたび重ねておりますので、その点は、しかるべき任務は果たしているというふうに思っております。

岩屋委員 本当にそれは真剣にやってくださいよ。例えば、受け入れてくれないかという話を持ち込まれた現地の皆さんも、あるいは日本政府としてはこういう案だということを示された米国側も、与党の中のコンセンサスすらできていないなんという案では、それはまともに受けとめていただけないんじゃないでしょうか。

 順番は逆でいいと思っているんでしょうか。まずアメリカと話をつける、それから現地に話をする、後、社民党さんを最後に口説く、それでいいと思っているんでしょうか。違うんじゃないでしょうか。やはり原案を固めるときには、大方、与党内はもうこれでいこう、三党そろって、国民に、米国にこの案で交渉しよう、こうならなきゃ話が詰まっていかないんじゃないでしょうか。これは本当に真剣に取り組んでもらいたいと思います。

 それはやはり民主党さんの責任だと思いますよ。三党連立といっても、政権の中核を担っているのは民主党さんでしょう。この問題の所管大臣は、岡田さん、北澤さん両大臣でしょう。私は、二人に中心になって汗をかいてもらってこの話をまとめてもらうことが、今後の日米関係を良好にしていく、2プラス2の関係を良好にしていくということにつながってくると思っていたので、頑張ってほしいということをずっと言ってきたんですよ。いよいよ佳境に差しかかっているわけですから、両大臣、本当に、進退かけて、与党内の合意もしっかり取りつけてくださいよ。

 私も鳩山家にお世話になった人間の一人です。個人的な感情はあるけれども、正直申し上げて、この間の鳩山総理の言動、私は、残念ながら、一国を担う総理大臣としての資質を疑わざるを得ないというところまで差しかかってきているのではないかなととても残念に思っています。

 言いわけしたらいかぬですね。鳩山総理初め民主党さんが本気で沖縄の基地を県外に出したい、うそをつこうと思ったんじゃなくて、だまそうと思ったんじゃなくて、本気で思った、それは私は信じたいと思いますよ。

 だけれども、政権をとっていろいろ、学べば学ぶほどというのは何かはやり言葉になりそうですけれども、一生懸命勉強してみた、だけれども、これはなかなか難しい、困難だ、やはり県外というのはできそうにない、申しわけない、だから公約を修正させてもらう。でも、日本の安全のためにこれしかないんだ、わかってくれと、まずおわびから入って、それから説得をするという手順を踏まなくて、いや、あれは公約じゃないんだ、私が代表のときに言った個人的な見解だなんて言うから、余計、反発を買っているわけでしょう。これは政治不信を加速させていますよ。こんなことを言っていたら私はだめだと思いますよ。

 それから、抑止力について認識が浅かったかもしれない、これは先ほど同僚の新藤議員も触れられました。謙虚な姿勢といえばそうなのかもしれないが、やはり国の安全保障の最高責任者として、抑止力について物を語る、安全保障について物を語るというときは、もう少しやはり気をつけて物を言わなければいかぬですよ。本当に、日本国内閣総理大臣の見識が世界から疑われるおそれがある、そういうふうに私は思っております。

 この抑止力の問題については、当然、外務大臣、防衛大臣が総理大臣をしっかり補佐しなくちゃいかぬということなので、これはさっき新藤議員からも指摘がありました。もうこれについては聞きません。しっかり補佐をしてもらいたいと思います。

 変なことをするなと私が思ったのは、総理が徳田虎雄先生を訪問されましたね。徳田先生は我々同僚議員のお父様でもあるし、私も、当選同期だったかな、よく存じ上げております。本当に、医療革命をやった立派な先生のお一人だと思っていますが、日本国内閣総理大臣が、何を代表しているわけでもない、現在は一私人の徳田先生に会いに行ったというのは、何かおかしくないですか。徳之島王国というのがあって、そこの王様ですか、この人は。非常におかしな行為だと私は思いますよ。島民の一部は不審に思っているんじゃないでしょうか。

 それから、官房長官、徳之島町の一部の議員と面談をしたということですが、こういうやり方も異例じゃないですか。全員に呼びかけたけれども来た人が少なかったということなのかもしれないが、内閣を代表する方がこういう形で交渉をやっているというのも、疑心暗鬼を生むばかりで逆効果だと私は思いますよ。変なことをやる政権だなと、ますます不信が増幅すると思いますよ。

 こういう行動は、岡田大臣、北澤大臣、承知の上のことですか。だれが司令塔になってこういうのを決めているんですか。相談にあずかっているんですか。ちょっとそこら辺を教えてください。

岡田国務大臣 政府内でいろいろ進めていることについての一つ一つのことをお話しするというのは適切でないというふうに思います。

 ただ、一般論として申し上げますと、国内の調整は官房長官が中心になって進めている、もちろん防衛大臣も担当大臣として大変な御苦労をされているわけですが、官房長官あるいは総理がどう行動するかということは、官房長官を中心に練られているというふうに私は認識をしております。

岩屋委員 期限も迫っていて、何かをやらなきゃいかぬ、できることは何でもやらなきゃいかぬ、そういうお気持ちなんだろうと思います。それはそれでわかるんですけれども、やはり一国の内閣総理大臣の行動、いかにあるべきか。こういうものはよほど慎重に手順を考えてもらわなきゃいかぬと思いますよ。常軌を逸したようなやり方をしていると、問題はさらに複雑になって、解決に近づかないと思いますよ。正攻法でやっていただきたい。

 そして、この徳之島の案なんですけれども、これはやはり、県外だと言った、何かを県外に移さなきゃちょっと説明がつかないということで出てきたような案に私は見えるんですよ。安全保障上の観点から出てきた案ではないんじゃないでしょうか。これはもう米軍の方も、海兵隊の運用上、訓練基地と海兵隊員がいるところとヘリ部隊があるところがそんなに離れていたんじゃ運用にならないということは、とうの昔から、米側も日本側に説明をし、日本側も納得をしてきたはずなんですね。そこで無理やりこれを出してくるというのは、ある種のつじつま合わせだと思います。

 こういう余計なことをやっていると、一番大事な問題がなかなか解決できない。だから、私は、徳之島の皆さんも本当に反対をされているわけだし、基地の一部移設あるいは訓練移転も含めて、早目にこの案は断念された方がいいんじゃないか、こう思いますけれども、いかがですか。

北澤国務大臣 徳之島の問題は、普天間の基地を返還させる、そしてまたもう一方で沖縄の負担を軽減させるという大きな大前提の中で、鳩山総理が何としても県外へ出したいと強い思いを持ったことは事実でありまして、また、そのことも表明されておるわけであります。その一環として徳之島へお願いをしたという経緯は私も十分承知をいたしておりますが、今まさにおっしゃるように、その一方で、安全保障上の問題、米軍のオペレーションの問題がありまして、さらには、沖縄の基地の負担を軽減するという国内政治的な側面もある。こういう中で、沖縄県に極めて近いところに活路を見出そう、こう思った、そのこと自体は、私は、そんなに非難されるべきではない。

 しかし、地元の受け入れ態勢が全くできていないということでありますから、鳩山総理の沖縄に対する強い思いをそれぞれ閣僚がそんたくして動いてきたということでありまして、今現在、このことの進捗状況を私の立場でお答えすることはできないわけでありますけれども、鳩山内閣総理大臣が沖縄の負担の軽減をしたいという純粋な気持ちだけはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

岩屋委員 純粋な気持ちはわかりますが、何度も言っているように政治は結果責任ですからね。心からそう願っていたからということで免罪されるような話じゃないので、そのことは指摘しておきたいと思います。私は、徳之島の案は早目に断念をされた方がいいと進言をさせていただきます。

 もう一つの鳩山政権の進め方の中の罪は、国の安全保障の問題が結果として地方に大きく左右されるような環境をつくってしまったことですよ。それは地方の声を聞くのは大事ですよ。大事だけれども、これは国の専権事項ですからね。国が責任を持って決めて、地方を説得して納得してもらうという以外にはないんですよ。ある意味では、地方の声で決めるわけにはいかない問題なんですよ。それを美辞麗句ばかり並べ立ててやってきたから、地方の声に左右されるような環境ができ上がってしまった。

 これは今、沖縄とか徳之島という話ですけれども、全国に、自衛隊の基地もあれば、米軍の基地も散らばっている。全国でこういう問題が今後起こってきたときに、極めて大きな影響を与えると思いますよ、今回の交渉の過程というのは。この影響についてどう考えていますか。聞かせてください。

安住委員長 だれにですか。

岩屋委員 では、続けて聞きます。

 もう一つは、何で総理が矢面に立っているんですか、今。

 総大将が出ていって相手にされなかったら、後はだれが決めるんですか、この問題。私は、この進め方も稚拙だと思いますよ。やはりまず役人が行って地ならしを一生懸命して、担当大臣が行ってさらに交渉を続けて、大方輪郭ができた、総理、お出ましください、こういう経過をたどらなきゃ決まらないですよ。いや、もう総理が来たって会わない、話もしない、絶対反対だ、こんなことを言われて、だれが解決できるんですか。これも極めて大きな政治判断上のミスだと思いますよ。誤った政治主導と言った方がいいのかな。

 もうここまで来たら、やはりロードマップに限りなく近い形で何とか、余計なものをはぎ取って、普天間の基地機能の移設という問題をまず解決するということに全力を注ぐべきだと思いますよ。余り余計なものをつけ加えない方がいいですよ。

 両大臣、こういう不手際の政治責任は極めて重たいと思いますよ、両担当大臣の。担当大臣でありながら政権全体を正しくリードできなかった、あるいはしなかった。この責任は両大臣にあるんじゃないですか、ここまで迷走して。どう思っていますか、今。

岡田国務大臣 我々としては、きちんと着地させるために、今全力で努力しているところでございます。

 それから、今、総理の沖縄行きの話がありました。これはやはり、沖縄の負担を軽減したいという強い思いの中で、総理御自身が決断されたことであります。それだけの強い気持ち、沖縄の負担を減らしたい、そういう総理の思いというものをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

岩屋委員 取りまとめの責任者は官房長官ということなんでしょうけれども、官房長官というのは、森羅万象を扱っていて、危機管理の責任者でもあるし、そんなに長いこと外せないし、これはやはり両大臣ですよ、外務大臣、防衛大臣ですよ、ここで働かなきゃいけないのは。

 それは、連休中、外遊していたのはわかりますよ。アフリカも大事、インドも大事。そんなことは私は言わないが、もっと両大臣が、みずから総理大臣の露払いとして沖縄へ行って、徳之島へ行って話をすべきだったんじゃないですか。何か、お二人の汗をかいているという姿が見えないのを私は非常に残念に思います、期待していただけに。

 それから、一度聞きたかったんですけれども、鳩山総理が封印したとされている常時駐留なき安保。

 総理大臣になった党の代表がおっしゃっていた考え方ですから、岡田大臣も北澤大臣も、この考えを理解しているか、共有しているのではないかと私は思います。

 私は、決して誤った考え方ではないと思います、将来の目標として。ただし、常時駐留なき安保というからには、二つの条件が成立することが必要だと思います。一つは、周辺の安全保障環境が極めてよい方向に改善をする。アジアの緊張緩和、周辺の緊張緩和が実現をする。もう一つは、米軍が後退する、あるいは出ていくことによって生じる穴をしっかりと自主防衛力で埋めるという覚悟と決意を日本が持つ。この二つが前提にならなきゃいけないと思うんですね。

 そして、すべての基地問題の根底には、実はこの問題があるわけですね。自民党も正面から向き合えなかったんですよ、これは。集団的自衛権の問題も含めて。

 でも、本当は、その覚悟と決意がなかりせば、米軍の基地は出ていってください、常時駐留は要りませんと言えないわけでしょう。だから、私は、鳩山総理はこれを封印する必要はなかったんだと思いますよ。遠い将来の目標はそこだ。短期的にはロードマップの解決だ、中期的にはさらに負担を沖縄から軽減しましょう、そして遠い将来の目標は常時駐留なき安保だと言えば、沖縄の皆さんも、国民も、米側も、私は理解してくれると思いますよ。

 この考え方について、大臣、防衛大臣はどう思っておられるんですか。聞かせてください。

岡田国務大臣 常時駐留なき安保、確かに、鳩山総理がかつてそういったことを主張されたことはございます。

 今から十年ちょっと前に、今の民主党になりました。そのときに、私は政策の責任者を務めておりましたので、安全保障論議を党の中で、主要な幹部が集まって二十回ぐらいやりましたか、それが一つの、民主党の安全保障政策という当時の冊子になっております。その中では、常時駐留なき安保という考え方はとられておりません。委員は、将来そういうことがあり得るというふうに言われますが、私は、常時駐留なき安保という考え方をとらないというのが結論でございます。

 将来、仮に、集団的安全保障体制というものがアジアに構築され、その中で日本も他の国と同じ責任を果たしていくということになれば、確かにそれは、日米安保以外の選択ということで、論理的には考えられるかもしれません。しかし、今のアジアの状況で、政治体制の違う国が混在するアジアで集団的安全保障ということは、予見される将来、そういうものは考えにくいわけでありますし、私は考えられないと思っています。同時に、日本が他の国と同じ責任を果たすということになれば、委員のおっしゃることも含めて、私は、憲法そのものを変えないとそういうことはできないと思っておりますので、そういう意味で、それは実現可能な道とは思えません。

 そういう中で、日米同盟ということでやっていく中で、必要なときだけ来てくださいという極めて手前勝手な、そういうことというのはあり得ないというふうに私は考えておりますし、少なくとも、民主党になってから、党の機関で議論をしてそういう考え方をとっていないということは申し上げておきたいと思います。

岩屋委員 ある意味で、ちょっと岡田さんらしくないなと思ったんですが。

 私も、一〇〇%完璧に、米軍あるいは米軍の基地をなくしていくというようなことを今提起しているわけではないのであって、ただ、基地の負担を減らしていくということは、常時駐留している米軍の規模を次第に縮小していくということですから、だから、そういう意味の目標として駐留なき安保ということを掲げておっても、私は決しておかしくない。むしろ、鳩山政権としては、その方が物事の説明がしやすい、国民の皆さんにも理解していただきやすい、そう思ったものですから、そのことを指摘させていただいたところでございます。

 新藤議員の頑張りによって私の時間が随分減ってしまいましたので、もうすぐ時間が来てしまうので、余り聞く時間もないんですけれども。

 要は、ここまで来たら、余り小細工しない方がいいですよ。私、そう思います。だから、訓練の全国展開とかいって知事会を招集するなんか言っていますけれども、これはまた、当てもないのにそんなことを始めたら、基地があるところはみんな疑心暗鬼になって、無用の混乱が今度は全国に拡大しますよ。

 五月末の公約が守れなかったというエクスキューズのために、この問題を全国にまき散らす、ある意味では国民のせいにする、こんな無責任なことは許されませんよ。総理が何回も何回も約束したことを守らなかっただけでも、極めて重大な公約違反なんですよ。そのしりぬぐいを全国民に押しつけようなんということは、幾らきれいごとを片っ方で述べてみても、そんなことは許されませんよ。

 まず、この普天間の基地機能の移設ということに絞って全力を注いでくださいよ。岡田大臣、どうですか。

岡田国務大臣 今のお話は、ちょっと返すようで申しわけないですが、私はやはり、この間いろいろ議論してきて、国民の中に安全保障に関する感覚が欠如しているというか、これは政治がきちっと説明してこなかったという問題があると思うんですね。

 つまり、例えば、何のために米軍が日本に存在するのかということについて、米軍なしで、自衛隊だけで、現状で日本の安全が保たれるのかといえば、そうではないわけであります。そういうことについてもっと率直にしっかりと国民の皆さんに説明をし理解していただく、そういう努力をあわせやっていかないとこの問題はいけないんだ。そういうことが今まで十分できていなかったというふうに私自身思っております。

 そういうことをもっと率直に、これはもちろん国民のせいじゃありません、語ってこなかった政治の方に責任があるわけです。しっかりとそういうことをこれからも語っていかなければいけない、外務大臣としてそういうふうに感じているところでございます。

岩屋委員 これで終わりますが、私は、失敬な言い方かもしれないが、今回の鳩山政権のこの問題に対する迷走の唯一の副産物は、全国民が初めてこの問題に直面をして、普天間の問題を考えるようになり、在日米軍基地の問題を考えるようになり、日米安保についてもう一度考え直す機会ができた、これが唯一の副産物ですよ。これを我々はやはり生かしていかなきゃいけないと思うんですね。

 ただ、だからといって、ずるずるずっていっていいということじゃないですよ、両大臣。これは両大臣の責任は重たいですよ、鳩山総理はもちろんだけれども。これは、きちんと公約が果たせない、解決できないということであったら、責任とってくださいよ。私は、少なくとも両大臣は辞職すべきだと思いますよ。

 そんなことよりも、もうここまでむちゃくちゃになったら、解散して国民に信を問えというのが我々の思いですが、きょうは、その思いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

安住委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、各党、各バッターの中でも一番多い持ち時間の一時間弱の五十五分いただいておりますので、これからじっくりと議論させていただきたいと思うんです。

 まず、きょう最初に、五月末決着ということを議論させていただこうと思ったんですが、鳩山政権と議論すると、きょうの各紙の報道なんかになると、予想していた大前提が大きく変わる、そういうところでございますので、非常に質問もしづらいという状況でございます。昨晩の段階で質問通告していた内容と、一問一答でいうと若干変わるかもわかりませんけれども、そこはぜひ両大臣、柔軟にまた御答弁をいただきたいと思うわけでございます。

 というのは、私は何を言おうとしているのかというと、例えば、きょうの一般紙の、代表的な、一番全国で読まれている読売新聞、見出しとして「首相、月内断念を表明 普天間「五月にすべて難しい」」、そういう見出しのもとに、こういうように報道されております。

  鳩山首相は十三日、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題で、「五月末決着」を事実上、断念する考えを表明した。首相が掲げてきた「移設先の地元、米国、与党すべての同意」を得た上での「五月末決着」は困難だと認めたものだ。六月以降も関係自治体や与党との調整を継続する方針だ。だが、「五月末決着」を「国民との約束」としてきた首相の政治責任を問う声が高まるのは確実で、政権運営は一層厳しさを増すと見られる。

これが記事に出ているわけですね。

 その中で、特に読売は、あと、四面のところで、昨日の総理の発言、割と詳しく要旨を書かれているんですけれども、ポイントが一面のところに出ておりまして、三点のことを言われております。

 一つは、「六月以降も、詰める必要があるところがあれば、努力する。」二点目は、「五月末決着の考え方を変えたわけではないが、五月ですべてが出来上がったということは難しい。」三点目が、「六月以降も安全保障の問題は議論しなければならないから、議論することもあると申し上げた。」そういう記事が出ているわけであります。

 これに対して、普通、新聞というのはそれぞれ論調が変わるものなんですけれども、例えば、読売新聞とはまた違う立場の毎日新聞という新聞がございます。その社説に「「五月決着」断念」、そういう見出しでどういうことを書かれているか、皆さん、読まれている方もいらっしゃるのであれですけれども、ただ、きちっと紹介をさせていただきたいと思うんです。

  「首相の約束」が、こんなに軽くてよいのだろうか。米軍普天間飛行場の移設問題について、重ねての約束破りである。

  鳩山由紀夫首相は十三日、繰り返し公言してきた移設問題の「五月末決着」に関して「できる限りのことはするが」「六月以降も詰める必要があるところがあれば努力する」と語った。事実上の断念である。

  移設をめぐる「時期」は先送りの連続だった。首相は昨年、オバマ米大統領に年内決着を示唆し、不可能になると「五月末決着」を言明した。「三月末」とした政府案決定を見送る一方、「五月末」はオバマ大統領にも約束し、国民に対しては、決着とは米政府、移設先地元、連立与党が合意することだと明言してきた。そして今回の先送りである。

そういう社説を書かれています。

 読売新聞も二面に、「重みない言葉 首相の信頼回復遠く」、そういう記事が出ておりまして、

  鳩山首相にとって、「国民への約束」とは、単なる「努力目標」だったのか。

  「五月という期限を作ったから、国民との約束の中で、出来る限りのことはする」「六月以降も、当然、努力はする」――。首相は十三日、米軍普天間飛行場移設問題で自ら課した「五月末決着」を、先送りした。「米国、地元自治体、与党すべての同意」を得た形の「五月末決着」を、「必ず」「職を賭す覚悟」で実現する、と悲壮な表現で何度も約束してきたのは首相自身であるにもかかわらず、だ。

  政権発足から八か月間、首相の発言の重みが問われている。普天間移設は「最低でも県外」とする方針を撤回し、「党の公約ではなかった」と釈明した。政府方針の「三月末決定」を先送りした際も「法的に決めなければならない状況ではない」と説明した。

 ちょっと時間をかけて、代表的な新聞の論調まで含めて紹介をさせていただいたんですけれども、私は、総理が昨日記者団に語ったあの発言というのは、大変重要な、国民に対しての背信行為ではなかったのか、そのように思うわけであります。

 というのは、総理は今まで、御自身の発言、これは民主党の公約ではないと言われていましたけれども、一つは、国外、最低でも県外ということ、私は、これは民主党代表としての総理の、また、民主党代表から今回総理にかわられた政治家鳩山由紀夫としての国民に対しての公約だ、これは間違いないと思います。

 もう一つは、五月末決着というのはみずから決められた国民に対しての公約だと思うんですけれども、これを、今回、見事に破らざるを得ないというか断念せざるを得ない、そういうことを発言されたということは、私は、国民一般から見て、これは絶対に許されない話ではないかなというように思うんです。

 ぜひ確認をさせていただきたいのは、防衛大臣、外務大臣、この総理の発言のとおり、五月末決着というのは政府として断念をされたんでしょうか。まず明らかにしていただきたいと思います。

岡田国務大臣 これは総理がみずから語っておられるとおりであります。総理が言われたことは、私は五月末に決着するという考え方を変えているわけではありませんということを述べられた上で、五月ですべてのことができ上がったということはなかなか難しいかもしれません、六月以降も安全保障の問題は議論しなければなりませんから、議論することもあるでしょうと申し上げたと。これが総理の最新の時点での御発言であります。

 最初に申し上げましたように、総理御自身が、五月末に決着するという考え方を変えているわけではありませんというふうに言われているところであります。私は、総理の発言、これが内閣としての考え方であるというふうに申し上げておきたいと思います。

北澤国務大臣 今外務大臣から答弁をいたしたとおりでございますが、私も、断念をしたなどという報道が盛んにされておりますけれども、これは、内閣あるいは総理の真意をあらわしているものではないというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 そうすると、今外務大臣は特にコメントがなかった、総理の言葉のとおりだと。北澤大臣が言われた、断念をしたということにならないんじゃないかというとらえ方というのは、私は、総理を擁護されようとするんだろうと思うんですけれども、それは、政府におられる一員として総理を擁護する側からのとらえ方でしかないと思うんですね。

 これは、要するに、もう一回目を通していただいたらいいと思うんですけれども、ずっと総理をそばで取材してきた各担当記者がとらえたとらえ方として、首相はやはり断念したんだ、見出しまでつけなくても、そういうことを各紙とも書かれているわけです。

 それは経緯がありまして、今まで鳩山総理は、繰り返しませんけれども、沖縄を初めとした移設先の地元、アメリカ、そして連立与党の三者についてきちっと合意を得る、これを五月末に持っていくんだ、そういうことを折あるごとに断言されていました。

 これは記者団に語っただけではなくて、よく引用されますけれども、四月二十一日の党首討論の時点でも、自民党の谷垣総裁のたび重なる質問に対してもやはり明言されているわけであります。

 要するに、例えば谷垣総裁が、「五月の決着というのはできるんですか。」総理は、「五月末までに決着をさせると、その思いは変わっておりません。」また、再度谷垣総裁が、五月末にきちっとやると今までおっしゃってこられた、「まさかこの期に及んで、そういうことはしないんだとはおっしゃらないでしょうね。五月にきちっとおやりになるんでしょうね。」こういう、谷垣さんにしては珍しく、珍しくと言ったら失礼ですけれども、しつこい質問をされておるわけです。それに対して鳩山総理は、

  これは何度も申し上げておりますように、これはまず沖縄の県民の皆さん、国民の皆さんと申し上げてもよいかと思います、さらには移設先になる可能性がある、なる方々の御理解も必要だと思います。そして、アメリカもこれは理解してくれなければ当然話にならないこともよく理解をしています。そのような三者というもの、これは連立政権でありますから連立の合意というものも必要だとも理解をしておりますが、それを行っていきながら、しっかりといわゆる私が申し上げている決着というものを行ってまいります。五月の末までという、その時期を変えるつもりはありません。

そういうように、今私が冒頭で申し上げたこと、同じことをやはり鳩山総理は、この四月二十一日の党首討論の時点でも言われている。

 だから、この時点でも、その後に何か交渉が残りますよなんということは一切言われていないわけです。それぞれ、沖縄を初めとした地元の皆さんとも合意を得、アメリカとも合意を得、そして連立与党の中でも合意を得るんだと。あとまだ、六月以降も詰める必要があるところがあれば努力していくなんということは、この時点では一切言われていない。だから、マスコミ各紙の一般的なとらえ方としては、これは五月にきちっと決着するなんということはないんだな、そういうふうにとらえられるのではないかなというふうに思うんです。

 ちょっと角度を変えまして、そうすると、両大臣にお聞きしたいんですけれども、この五月末決着の定義というのはどういうようにとらえておられるのか、まず北澤大臣から御答弁いただきたいと思います。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 五月末決着というのは、総理がかねてから国民の皆さんにお約束をしてきておる、政治家、なかんずく総理大臣としての重い決意であることは間違いないわけであります。しかし、それが、例えば日米の合意のように、両政府で合意に達したというレベルの話ではないと私は理解しております。それは、五カ月でそれほどのことができるはずがないわけでありまして、したがって、たびたび関係閣僚で協議をしながら、方向性を共有して今日までやってきたわけであります。

 一つの例をとりますと、そういう中で、総理は最低でも県外ということを言ってこられたわけでありますが、それは、総理は過日沖縄へ行って、そういう思いでやってきたけれども、沖縄の皆さん方に一部御負担をお願いしなければならないということで、沖縄の皆さんに理解を求めた沖縄訪問も御存じだというふうに思います。その中で、新たにどういう形でこの移設の問題を解決するかというのを今真剣に協議し、また沖縄知事とも、それぞれの立場で、私もたびたびお行き合いをしておりますし、官房長官もお行き合いをし、あるいは総理、官房長官はそれぞれ沖縄へも訪問をされておるわけであります。

 そういうところから導き出されてくる大筋の枠組みというのは、これは五月末にはしっかりやらなければいけませんが、その後に協議を継続しなければならないものが残るということは、これはぜひまた御理解をいただきたいというふうに思う次第であります。

佐藤(茂)委員 そうすると、今全く否定すると議論になりませんから、今るる答弁された中で、防衛大臣の答弁の中で私がぴっととらえたとらえ方によりますと、最後の方に言われた、五月末決着というのは要するに大筋の枠組みを決めることだ、その程度の決着というようにとらえておられる、そういう理解でよろしいですか。

北澤国務大臣 これは表現の仕方だと思いますが、おおよその大枠を決めて、中が空っぽだという話では全くないわけでありまして、中にしっかりした中身を詰め込んで、国民の理解を得ながら、地元あるいは米側の理解を得なきゃならぬわけでありますから、その中にまだ継続せざるを得ない事案が複数あるとすれば、それはその後協議を精力的にやらなければならぬ、そういう思いを申し上げたわけであります。

佐藤(茂)委員 だから、まだちょっと抽象的でよくわからないんですけれども、防衛大臣、そうすると、少なくとも、その大枠の中身もほぼ詰まったものということについては、米国なんかとは交渉が残っていても、地元の理解も得、そして連立与党の中の合意もしっかりと得ている、そういう案をイメージされているんですか。そういうことも定かでない、それぞれ三方ともに大枠のことだけ決まっていて六月以降も交渉は続くんだ、そういうイメージなのか。どういうことなんですか。アメリカとの交渉だけはそれからやっていくかもわからない、それ以外は五月までにはきちっと形を整える、そういうイメージをされているのか。ちょっとはっきりさせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 政府内ということは、三党の連立内閣でありますから、三党の合意はぜひさせなければならぬ、私はそういうふうに思っておるわけでありますが、これは内閣官房長官が専らこの職責を現在行っておるわけでありまして、米側それから地元との協議も、おおよそのところで合意を得なければ枠組みをつくるということにはならぬわけでありまして、そのことのために今集中的に努力をいたしておるわけであります。

 先ほど申し上げましたように、この大枠の中に含まれた各項目が、継続する部分が残る程度のものでなければならないというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 私は、いずれにしても、これ以上、個々のまだ決まっていない段階のことを突っ込んでもあれなんですけれども、五月末決着というのはどういうことだったのかということについて、少なくとも、総理が今まで何回も繰り返して言われていたことと今の北澤防衛大臣の言われていることと余りにも隔離があるというか差があり過ぎるわけですから、政府としてやはり明らかにする責任があるのではないかな、そのように思うんです。

 外務大臣、同様に、五月末決着というのはどういうものだというふうに解釈されているのか。岡田外務大臣、御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 五月末決着というのは、地元の理解を求めつつ、米国とすり合わせをして理解を求め、政府として本年五月末までに具体的な移設先を決定するということであります。

佐藤(茂)委員 そうすると、今のしゃくし定規の答弁と、きのう鳩山総理が記者に言われたことというのは全く矛盾しない、そのように外務大臣はお考えですか。

岡田国務大臣 矛盾することはないと考えております。

佐藤(茂)委員 それは国民に対して全く理解されない答弁だと思いますよ。

 基本的に、今答弁された内容だと、要するに、地元の沖縄を含めて、移設先、さらにはアメリカとの合意、それも得て、連立与党は言われませんでしたけれども、そういうものを決着というんだ、そういうふうに言われていることと、そして、きのう鳩山総理が、正確を期すためにある程度詳しい読売のこの記事によりますと、「当然、五月末という期限を私は作ったから、国民との約束の中で出来る限りのことはする。そして、すべてが果たせるかどうかということであるから、当然、六月以降になってもまた詰める必要があるところがあれば、努力はする。」

 要するに、六月以降もまだ残っているところは詰めますよ、合意されていない部分については詰めていきますよということとは、だれがどう、日本人として、言葉としてとらえても、同じことを言っているように私は思えないんですけれども、外務大臣、やはり同じことだというように理解されているんですか。

岡田国務大臣 先ほど言いましたように、総理御自身も、五月末に決着するという考え方を変えているわけではないということをまず明確に述べているわけであります。鳩山内閣として、その総理の考え方が我々の考え方でもあるということであります。

 委員、こういったところの言葉遣いは非常に注意を要するわけで、同じ意味であっても、少し自分の言葉で語りますと、また意見が違うというふうに言われることは目に見えているわけでありまして、あるいは、総理が一方でこういうふうに言っているのに、全然違うことを言った、そういうふうに報道されるわけですね。

 現に、昨日も、総理御自身は五月末に決着するという考え方を変えているわけではないというふうに断った上でるる述べた、そして、見出しは五月末決着断念ということになるということでありますので、私は、総理の答弁、これをもって私自身のあるいは内閣の考え方である、それだけ申し上げておきたいと思います。

佐藤(茂)委員 ただ、今、岡田外務大臣は、総理の言われた断片的なことしか紹介されていないんですよ。

 要するに、五月末に決着するという考え方を変えたわけではない、そういうふうに言われた後に、ただ、五月ですべてのことができ上がったということには、なかなか難しいかもしれないと。そういうふうに、考え方は変えていないというのは、まあ、言葉をかえると、努力目標だ。しかし、みずから言われているんですよ、ただ、五月ですべてのことができ上がったということはなかなか難しいかもしれない、目標にはするけれども、やはり五月に全部合意させる、決着させるなんというのは困難だと。難しいというのは困難だということですから。

 だから、そういうことを言われたら、当然、これは断念した、そういうふうに言われても仕方がない。普通の日本人だったら、当然、総理みずからの言葉を解釈しても、そのようにとらえられる。

 だから、外務大臣は、総理の話された一部だけとって、考え方は変えていないというそこの部分だけとっているんですけれども、そこにきちっと、相反することをその次には言われているわけですから、そこをあわせて考えたときには、これはやはりマスコミ各紙が書かれているように、五月末決着断念、そういうように普通の日本人だったらとらえるんじゃないでしょうか、外務大臣。もう一度御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 総理御自身が、五月末に決着をするという考え方を変えているわけではありませんというふうに述べられているわけです。もちろん、委員御指摘のように、その後いろいろなことを言っておられます。先ほども御紹介しましたが、五月ですべてのことができ上がったということはなかなか難しいかもしれない、あるいは、六月以降も安全保障の問題は議論しなければなりませんから、議論をするということはあるでしょうというふうに述べられているわけであります。

 しかし、それは、五月末に決着するという考え方を変えているわけではないという総理御自身のその言葉の後に出てくることでありますから、閣僚として、総理が五月末に決着をするという考え方を変えていないというふうにおっしゃっている、そのことは私も同じ思いであります。

 最終的な詰めの段階ですから、いろいろなことは言い得ると思います。ここで言葉遣いに気をつけなきゃいけないのは、またその発言を部分的に取り上げられるということはありますので、気をつけなければなりません。実際にできたものに対してそれがどうなのかという御議論は当然あってしかるべきだというふうに思いますが、途中の段階でいろいろ議論してみても、それは私は、何といいますか、お互い言葉のやりとりに終わってしまうんじゃないか、少なくとも私は閣僚として、総理が言われたこと、それを前提に申し上げたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 もうこれ以上やりませんけれども、私は、この普天間問題については、総理は、民主党のマニフェストには載っていませんけれども、冒頭言われたように、総理として二つの大きなことを沖縄を初め国民の皆さんに約束されてきたと思うんですね。

 一つは、最低でも県外。もう一つは、今議論してきました五月末決着。こういうことを、本当に総理としての公約を最終的に、まだ途中だからもうちょっと見守ってくれという話だと思うんです、外務大臣、果たせなかったら、やはりこれは首相としての、国内の、まず国民に対しての政治責任を明確にとられるべきである。

 もう一つは、この普天間の問題というのは対外公約でもあるわけです。同盟国アメリカに対して、五月末に決着するということを明確に何度も発信されてきているわけですから。これも果たせないという二重の公約違反というものを行われるときには、まあ、お二人の閣僚の皆さんに言ってもせんないことではありますけれども、総理みずからがやはりしっかりと自覚されて政治責任をとられるべきである、そのように申し上げておきたいと思います。

 その上で、次に、テーマをかえまして、北澤防衛大臣にまずお聞きをしたいと思うんですけれども、五月の十一日に仲井眞県知事が急遽上京されまして、十一日の夜に北澤防衛大臣と平野官房長官が会談をされたそうでございます。ただ、夜ということもあったので詳しく報道されていないんですけれども、その中で、北澤防衛大臣は、政府案の骨格、まあ政府案というよりも、先ほどからの政府原案とも言えない、関係五閣僚案と言った方が割と正確なところに近いのかもわからぬ、その関係五閣僚案の骨格を説明され、理解を求めたそうなんですけれども、会談後、知事が記者団に、これは一般紙それぞれ総合するとこんなことを言われています。

 記者団に知事は、県民としては裏切られたという思いが強くある、一部県内に残るとすれば説明はしっかりやってもらわないとどうにもならない、また、紙に書いたものがきちんとないと、口頭であらあらというのは協議とは言いにくい。また、会談での移設案の説明はと聞かれたときに、断片的にあった、そういうふうに言われた一方で、隔靴掻痒の感があると不満を示した。また、どう計画が進んでいるのか、いつまでたってもよくわからない。これは仲井眞さんの言葉を断片的に各紙が書いているんですけれども、知事側はそういう感想を残されているんですね。

 私は、五月末まで、あの時点であと二十日ぐらいの時点だったと思います。今だったらあと半月ですけれども、この期に及んでも、五月四日に鳩山総理が沖縄を訪問されて、あれだけ沖縄の県民の感情を害しておき、そして、その直後に沖縄の県民を代表して遠路上京されていた県知事に対して、会談した後にこのような感想しか、先ほど紹介したような感想しか持たれないような会談では、かえってこれは沖縄県民の不満、不信をさらに高めただけではないのかな、逆効果だったんじゃないかな、私は記事を見て、そういう感想、率直に思いました。

 そこで、ぜひ、全部言えないでしょうけれども、北澤防衛大臣は、仲井眞県知事との会談で、知事に対して一体どのような説明をされたんですか。

北澤国務大臣 仲井眞知事とは、一時間を超える会談をいたしました。そこで、知事が裏切られたような思いだというのは、これは、最低でも県外だ、こういうふうに総理が言っていた後、沖縄へ来られて、一部負担をお願いしたということについての沖縄全土の空気として、私にもそういうことを言われましたし、記者に向かってもそういうことを言われた。したがって、私もそういう気持ちで聞きましたから、記者に話した話の意味合いというのは理解ができておるわけであります。

 また、十一日の段階で私が、どういう名前にしていいかわかりませんが、政府原案といいますか、我々五閣僚で共有している認識の御説明をあらあらいたしましたけれども、知事は、あくまでも、政府対沖縄県だという意味からすれば、後日、紙をもって御説明いただかないと協議に入ったということにはなりませんよと。しかし、かなりの部分で、我々が努力しているということについての御理解はいただいたものだというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 私は、そこの部分、かなり努力しているという部分、確かに、持たれた部分というのはよかったのではないかなと思うんです。

 今後の姿勢として、私は、政府の地元への、沖縄が最終の対象になっているのかどうかも定かにされませんけれども、しかし、移設先の地元への姿勢の問題として、やはりもっと誠意を持って、あるいはもっと誠心誠意それを、誠心誠意というのは、言葉で言っておってもしようがない、形にすることが大事だ。

 我々も安住委員長と委員会視察で沖縄に行きまして仲井眞知事とお会いしたときに、同じことを言われていました。同じことを言われていたのは、私が、キャンプ・シュワブ陸上案と当時はホワイトビーチ案、こういうものが報道ベースでは出ているけれどもどうなのか、そういうことを聞きましたときに、仲井眞知事は、そういう報道で出ていることは知っているけれども、具体的に政府から紙できちっとした説明がないと。もっと言うと、図面で、ここですよということがないと、なかなか正確なコメントというのはしようがないんだ、そういうように言われたことが今でも記憶に残っているんです。

 ですから、今後、紙にすべきものはきちっと紙にして、それも、断片的に、ここはこんな感じですよ、こんな感じですよと語るのではなくて、全体像はこうであって、計画をこういう方向で今進めていますよというような、そういうきちんとした説明責任を、沖縄に限らず、移設先となるような地域の皆さんにはきちっと果たされていくのがやはり政府の姿勢として必要なのではないかな。

 私は、今後、そのような丁寧な説明の機会を再度、または再々度になるかわかりませんけれども、持たれていくべきである、そのように考えるんですが、ぜひきょうは、官房副長官と防衛大臣、順番はどちらでも結構ですので、地元への対応をされるべき省として、きょうは平野官房長官が来られていないので官房副長官に官邸を代表して、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。

北澤国務大臣 沖縄に対する内閣としての姿勢は佐藤委員のおっしゃるとおりだ、また仲井眞知事もそういうことを御要請になっておられますので、そのことについては私も同じ思いを持っておるわけです。

 ただ、どういう時期にやるかということについては、これは、現在のところ官房長官がその窓口になっておりますので、十分協議をしながらやっていきたいというふうに思っています。

松野内閣官房副長官 地元に関してでございますけれども、官房長官も、とにかく誠意を持って粘り強く、理解を求めるべく努力をされているという状況でございます。

佐藤(茂)委員 松野副長官、退席していただいて結構なんですけれども、もし答えられるんだったら答えてもらいたいんですけれども、通告していませんから、無理だというならいいです。

 私は、昨日来報道されています、けさも報道されていますが、先日、官房長官が徳之島町議に会いに行かれて、徳之島は御存じのとおり三つ町があるわけですね、滑走路が敷かれている天城町ではなくて、その横の徳之島町の五人の町議に会われた。なおかつ、既に三町長が代表して、徳之島の民意はこうですよ、二万五千八百七十八人にも上る署名簿を携えて、島としては反対ですよ、そのように言われていながら、その滑走路の地元の天城町ではない、徳之島町の町議五人に会われるというこの趣旨が全然わからない。極めてこそくな、何か地元の切り崩しを交渉されているのではないかな、そういうイメージを、首を振られていますけれども、国民全体に持たれているんですよ。

 ですから、誠心誠意やりますとか言うのであれば、やはり徳之島の地元の皆さん、鹿児島の地元の皆さんにも、真正面から交渉するなら、政府が誠意を持って交渉してきているなと。何かはすかいから徳之島町にぴょっと入って、五人の一部の地方議員さんだけにぴょっと会う、そういうやり方が本当に誠意を持った交渉なのか、そういうことについて私は疑問を感じるんです。

 今後、戦術的にも、戦術といったら何か戦いをやっているみたいですけれども、きちっと本当に地元の合意をいただくには、誠心誠意、地元の合意を得られるような姿勢で、やり方も工夫してきちっとやってもらいたいと思うんですけれども、官房副長官、もし答弁することがあったらお願いします。

松野内閣官房副長官 佐藤先生からアドバイスをいただきまして、ありがとうございます。

 この徳之島町議との意見交換の経緯を若干御説明させていただきますと、五月七日、総理官邸に徳之島町長らが御訪問されて、断固反対の意思を伝えられるとともに、政府としての考え方を説明させていただいた。そして、政府としては、今後の継続協議の打診をしたというところでございます。その後、五月九日、徳之島町長が徳之島町議等を招集して、上記、このような総理官邸での面談結果について御報告をされたというふうに聞いております。

 また、その後、複数の徳之島町議からの、自分らの思いを政府に肉声で伝え、そしてまた政府の考え方を直接聞きたい旨の要望が複数の筋を通じて官邸に届けられ、具体的には五月十二日、鹿児島市内で徳之島町議有志の勉強会が開催をされているということで、その機会をとらえて政府の考え方を説明してもらえないかという要望がなされたことから、急遽官房長官が鹿児島入りをして意見交換の場をつくったということでございます。

 ですから、ありとあらゆる場面を通じて粘り強く、地元の理解を得るべく努力をしているところでございます。

佐藤(茂)委員 ですから、その勉強会から要望があったので行かれたということなんですけれども、その行為が大局観に立ったときにどういうようにとらえられるか、そういう判断は当然官邸としてきちっとやった上で、今この時期にそういう角度でいくのがいいのかどうかというのは、今後、今回のことをきちっと総括して、やり方を工夫していく必要があるんだろう、そのように思います。当事者でない官房副長官に言ってもあれですから。

 いずれにしろ、総理と官房長官の動きというのはいろいろな意味で注目されているわけですから、その辺をきちっと、地元や国民に誤解を与えないような、本当に誠意がきちっと見られる、そういう動きをしていただくようにお願いしたいと思います。

 それでは、公務があるでしょうから、退席していただいて結構です。

 次に、海兵隊の抑止力の維持について、同僚委員からも何点かございました。私もやはり、総理が沖縄に行かれて、端的に言うと、学べば学ぶにつけ海兵隊の必要性を理解した、そういう御説明にびっくりしたところであります。海兵隊の抑止力について首相なりの認識を得るための勉強に八カ月も要したのかと。

 謙虚な方だからという守りの答弁もありましたけれども、しかし、我が国の国民の財産また生命を守るべき最高責任者がその程度の認識でこの八カ月間政権を運営されていたのかと思うと、愕然たる思いになったわけでございます。それはもうあえて言いません。

 首相はそのときに、抑止力を維持する観点から、普天間のすべてを国外や県外に移設するのは難しい、そういうふうに言われましたし、海兵隊の抑止力に対する認識が浅かったという趣旨のことも言われたんですが、県外も余り遠くに移すことは不可能だと判明した、そういうことも言われております。

 そこで、今回、結局、県外移設ではなくて一部県内移設をやはり認めてもらわざるを得ないという、そういうことの根拠として、理由として首相の言われた抑止力の維持、この観点から、普天間のすべてを国外や県外に移設するのは難しいという御認識も、あえて確認ですけれども、関係閣僚である防衛大臣も外務大臣も共有されているのかどうか、これは端的にお答えいただきたいと思います。

 余り詳しい説明は要りません。総理と同じように、そういう理由から、すべてを県外や国外というのは難しいんです、そういうように考えておられるのか、端的にお答えいただければありがたいと思います。

岡田国務大臣 私、従来から申し上げておりますことは、一つは、海兵隊の抑止力というもの、それからもう一つは、沖縄にある海兵隊の機能というのは、さまざまな機能を持っておりますけれども、その中で、訓練ということとそれから実行部隊、これを切り離すということは難しい。全体をワンパッケージで、では日本のほかのどこかに持っていくかというと、そのことは現実には厳しい。非常に大きなボリュームになりますし、それを受け入れるところはない。

 そういうことをあわせ考える中で、現在の沖縄に普天間基地の移設先のかなりの部分を残す、そういう結論にならざるを得ないということであります。

北澤国務大臣 海兵隊の持っておる能力を十分に発揮するためには地上部隊と輸送部隊が近接していることが極めて重要であるという一般的な認識は、私も共有しております。

佐藤(茂)委員 そこで、海兵隊の抑止力の維持、これは大体総理と同様に、大事であると御理解をされているということは確認をいたしました。

 ただ、抑止力の維持という言葉だけでは、国民の皆さんには非常に抽象的でわかりにくい、そのように思うんですね。ですから、鳩山政権としても、抑止力の維持というこの一言で済まさずに、具体的に、在日米軍の海兵隊の抑止力というのは何なのか、何に対する抑止力なのか、なぜそれで沖縄に基地がなければならないのかという、安全保障の基本的認識というものを、この委員会を通じてやはり国民に、また関係する地域の皆さんにしっかりと説明した上で、だから負担はこれだけお願いしたいんだ、そういう論理構成をした上での、もう一歩詳しい説明というものが必要なんじゃないのかな、私はそのように考えるわけです。

 そこで、今申し上げました点について、防衛大臣、外務大臣に、時間は十分、制限時間を切りませんので、在日米軍の海兵隊の抑止力というのは何なのか、何に対しての抑止力なのか、また、なぜ沖縄に基地がなければならないのかということを、なるべく丁寧でわかりやすい、そういう御見解をそれぞれ述べていただきたいと思うんです。

岡田国務大臣 まず、日本を取り巻く安全保障環境、かなりの状況にあるということは、率直に申し上げなければいけないと思います。特に、北朝鮮はミサイル実験を繰り返しておりますし、核実験も行った、そういう状況でございます。そういったことが一つ。

 それからもう一つは、中国を初めとする周辺の国々の軍事能力の向上ということであります。最近の中国海軍の訓練を見ましても、その能力が向上しておりますし、これは中国だけではなくてアジア全体が豊かになっていけば、これからそういった能力が全体に向上していくということも言えると思います。

 もちろん、周辺の国々がそういった能力を持っているから、それが直ちに軍事的衝突につながるわけではありませんが、しかし、安全保障というのは保険と同じでありますから、いざというときのための備え、そういうものはなくていいという論理に立つ方は別ですが、そういう方はほとんど国民の中にもいらっしゃらないだろうというふうに思います。

 そういう観点で見たときに、もう一方では、やはり日本は平和憲法を持つ国であり、憲法九条の制約の中で自衛隊の能力というものは限定されているということであります。

 専守防衛、基本的に攻撃する能力を持たない、そういったコンセンサスのもとで、戦後、自衛隊の能力というものは形づくられてきた。攻撃能力を持たない、守るだけである。つまり、日本に攻撃が加えられれば、それを防ぐことはあっても、それに対してやり返すとか、そういうことは基本的には想定されていない。能力的にもそういうことは考えられていない。だから、日本というのは限られた兵器しか持っていないということであります。

 それを補うのが日米同盟、日米安保条約でありまして、自衛隊が盾だとすれば、米軍は矛であるということであります。もちろん、そういう能力を持っているからそれを使うということではありません。しかし、もし攻撃を受ければ、それをやり返す、相手にそれ以上のダメージを与え得るという備えがあって初めて、相手方の攻撃を思いとどまらせる、こういうことになるわけで、それが基本的には抑止力の考え方であります。

 もう一度整理をいたしますと、万が一の保険だとしても、いずれにしても、日本が攻撃を受けないための備えとして、自衛隊だけでは限りがあり、そこに米軍の存在というものはある。それなくして、日本の国民の安全ということは維持できないというふうに思います。その現実はやはり国民の皆様にわかっていただかないと、いろいろな議論が結局前に進まないということになってしまうというふうに思っております。

 なぜ沖縄かということは先ほど申し上げたとおりで、海兵隊について、全体を日本のほかに移すということは、それは可能性はゼロかといえば、私はゼロではないと率直に思います。しかし、それを現実に引き受けるところはありませんし、ベター論でいえば、地理的状況からいって、本州、四国、九州、北海道もそうですが、それと比べれば沖縄の方がより近いということですから、それだけ抑止力としてもより大きなものが期待できる、こういうことだと思います。

榛葉副大臣 今、岡田大臣が言ったことに大体尽きるわけでございますが、今、岡田大臣がおっしゃったように、安全保障環境の問題、その中で、先ほど大臣もおっしゃいましたが、日米安全保障体制のもとでどのような、さまざまな緊急事態に迅速に機能的に対応するか、やはりこれに海兵隊というのは極めて重要な位置づけであるというふうに思っております。

 大臣も後段おっしゃいましたが、地理的には、ただ東アジアに近いというだけではなくて、逆に、一定の距離も保っているということも極めて重要な要素だと思っております。加えて、司令部隊、陸上部隊、航空部隊、そして後方支援部隊、この四つの部隊を兼ね備えた、いわゆるMAGTFと言われる非常に即応性、迅速性、そして機能的に活動できるこの部隊が平時からここにいるということは極めて重要なことだと思っておりまして、我が国の防衛に対する抑止力だけではなくて、この地域全体の抑止力にとって、この地域に海兵隊がいるということは極めて重要なことであるというふうに私は認識をしております。

佐藤(茂)委員 先ほど同僚委員の質疑の最後で、国民が余り安全保障を語っていないというような、そういう趣旨の話をされたと思うんですが、私は、それよりもむしろ、鳩山政権が安全保障をきちっと語っていない、そういう懸念を持っておったんです。

 ですから、今回のこういう問題を通じて、今、外務大臣また榛葉防衛副大臣が述べられたことをきちっと語りながら、なぜ米軍との日米同盟というものが必要なのかということを理解していただく、そういう努力は国会議員たる者はやっていかないといけないだろう。

 私は、公明党という割と平和を象徴するというような党でございますが、地元で折に触れてそういうことを語っているちょっと変わり者の政治家かもわかりませんが、そういうことをやってきておりまして、やはりそういう努力をぜひ今後ともやっていただきたい、そのようにお願いをしておきたいと思います。

 というのは、懸念として、やはりどうしても、基地が何か迷惑施設であって、それをどこに持っていくのかという、その程度の議論ではなくて、やはりそういう抑止力の維持と沖縄の負担の軽減ということを言われているんですから、このバランスある議論というものをしっかりとやっていく必要があるのではないか、そのように思うわけです。

 外務大臣が手を挙げられているので、ちょっと。

岡田国務大臣 今、佐藤委員が言われたとおりなんです。そのことを率直に語らなければならない。

 委員は今、自分は変わり者ではないかと言われましたが、そうではなくて、政治家たる者、そのことをしっかり国民に語らなきゃいけない。私は、それが必ずしも十分ではなかったのではないか、少なくとも、まだ国民の皆さんにそのことを理解していただくだけの状況にはなっていないのではないか、だから、もっともっと努力しなければいけないというふうに思います。そのために、もちろんそれぞれの議員が地元で語るだけではなくて、我々、内閣の一員である以上、より明確にそのことをしっかりと説得し、説明していく必要があるというふうに思います。

 ただ、そういうことを幾ら言ってもなかなか報じられることは少なくて、やはり普天間をどこに持っていくかとか、そういうことは連日記事になるわけでありますが、その根本のところをもっともっと伝わるように発信していかなければいけない、委員のおっしゃるとおりだと思います。

北澤国務大臣 まさに同感でありまして、先ほども岩屋委員の方から、鳩山さんの功績をちょっと皮肉まじりに弁論を尽くされておられましたが、私も、実は私のところへメールその他で、極めて率直な意見として、日本国民が今まで知らなかったこと、私自身も知らなかったことというような言い方で、よくわかりましたというようなことを言ってくる人が随分ふえてきております。皮肉の意味ではなくて、この際、そういうことが国民に浸透するような議論をぜひ我々は真剣にやらなきゃいけないということを最近強く感じておる次第であります。

佐藤(茂)委員 わかりました。

 ほか、細々としたことをお聞きしようと思いましたが、まだ交渉中でもあるということで、次の機会に譲ります。

 もう一つ大きなのでは、中谷委員も少し触れられましたけれども、日本近海での日本と中国の摩擦につきまして、残り時間が少ないんですけれども、端的にちょっとお聞きします。

 一つは、四月に、中国艦隊十隻が、沖縄本島と宮古島の間を堂々と航行されて、沖ノ鳥島近辺で演習された、その間に、八日と二十一日に、中国の艦載ヘリが海上自衛隊の護衛艦に近接飛行をやった、こういう事案がございます。

 もう一つは、これとはまた種類が違うんですけれども、五月四日に海上保安庁が発表しまして、その前日の五月三日に行われたというんですが、奄美大島の北西約三百二十キロの沖合で海洋調査をしていた同庁の測量船昭洋が中国政府船舶から調査中止を求められて、約三時間近くずっと追跡されて、調査を断念せざるを得なかった、そういう事件がございました。

 私は、これは看過しておく問題ではないというように思っているわけでございます。外務省も後日、中国側に抗議された。それは中谷委員が先ほど質問されたので、重なる部分は割愛します。

 その上で、あしたから始まる日中韓外相会談の際に、当然、日中二国間の外相会談というものも行われると思うんですけれども、この問題についてもきちっと取り上げるべきである、そのように私は思うんですが、取り上げられるおつもりがあるのかどうか。また、取り上げるとしたら、どういう内容を中国側に言われるつもりなのか。外務大臣が何を言うかというのは自分が決めるんだと言われております。もうあしたという日が迫っているわけであります。

 外務大臣、日本近海あるいは東シナ海でのこういう問題について取り上げられるつもりなのかどうか、端的に御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 日中外相会談、あすですか、あさってですか、いずれにしろ、日中韓の外相が集まって会議を持つ、その合間に日中の外相、二国間でも行うということは事実であります。

 何を話すかということは、それは私の決めることで、今ここで何か申し上げることは控えたいというふうに思います。

 ただ、私が大臣に就任して以来、この日中外相会談はもう五回やってきております。毎回毎回、非常に率直に、そして意味のある議論を行ってきたというふうに思っております。

 今回もぜひ、こういう、海をめぐってお互い緊張が高まるということはいいことではありませんし、不測の事態が起こるようなことになってはいけませんので、建設的に、しかししっかりと議論を行っていきたいというふうに思います。

佐藤(茂)委員 残念なのは、ぜひ取り上げる、そういうふうに断言してもらいたかったなという思いはありますが、それは外交問題ですので、当日はきちっと取り上げていただくことを外務大臣にぜひ期待したいと思います。

 その上で、きょうは長島政務官、こういう問題に敏感な、中国海軍の動向等をお聞きしたいと思っていたんですけれども、もう時間があと一分ぐらいしかありません。

 最後に、私がぜひ防衛省としても努力していただきたいなと思うのは、今回のはどう考えても中国側が挑発してきたとしか思えないんですけれども、それが不測の事態を招かないようにしていくということが両国間にとっては極めて大事であろう、そのように思うんですね。公海上とはいえ、不測の事態を避けるためには、日中間での一定のルールというのが必要になってくると思うんです。そういう事故防止ルールをきちっと設けるしかない、そのように私は考えております。

 既に、日ロ間ではそういう事故防止ルールというものが協定等となって定められているというふうにお聞きしているんですけれども、日中間でも、こういう不測の事態また事故を防ぐためのルールを定めるというか、そういう方向に日中間も努力していく必要が、私は、こういう事態の教訓としてやはり考えていくべきではないか、そのように思うんですけれども、防衛大臣の見解を最後に承っておきたいと思います。

長島大臣政務官 お答えいたします。

 大変重要な御指摘をいただいたと思います。

 日ロ間には、今先生御指摘いただいたように、海上事故防止協定というのが一九九三年の十月に締結をされ、十一月から発効しております。この中には、偶発的な衝突を防止する観点から幾つか取り決めがあるわけですけれども、例えば、艦艇や航空機に対する、砲をばっと向ける、そういう動作であるとか、衝突等の事故を未然に防止するための規定とか、あるいは情報交換を緊密にやっていこう、そういう方法などが書かれてあります。

 日中間にもそういうものが必要だという認識は私ども持っておりまして、特に昨年の十一月に、日中の防衛相会談、北澤大臣、そして先方の国防部長官ですか、が来られまして会談を行って、そのときも、防衛当局間の海上連絡メカニズムというものを構築していこうということで一致しております。

 今後、私どもで具体的な内容を、詳細を日中間で検討していく過程で、海上事故防止協定についても、必要であればその可能性も含め検討してまいりたい、このように考えております。

佐藤(茂)委員 必要があればとか、そういう前提つきじゃない段階に来ていると思うんです。

 中国海軍というのが、きょうはその論争をできなかったので、長島政務官にも答弁していただこうと思ったんですができなかったんですけれども、中国海軍というのは、かつての海軍じゃなくて、もう外洋海軍ということへ向けての脱皮を図りつつあると思うんですね。そうすると、これからも日本近海の公海上にどんどん出てくるという可能性が高まってきている、やはりそういう認識に立たないといけないと思うんですよ。

 ですから、ここは、今の事故防止ルールの設定というのは一刻を争う段階に来ていると思うので、そこは漫然と構えるのではなくて、やはり今回のこういう事態を教訓にして、しっかりと、日本側からも中国にきちっとそういうことを結んでいこうという前向きな努力をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 きょうは、初めて岡田大臣が私の質問のときに御出席をしてくださいまして、本当にありがとうございます。

 ゴールデンウイーク、両大臣とも大変お忙しかったと思いますが、私も、ゴールデンウイーク中、非常にいい外遊の機会をいただきました。超党派の訪米団、四人の自民党の議員そして三人の民主党の議員と一緒に、アメリカのワシントンに行かせていただきました。

 私にとって非常に貴重な経験となったのは、今の、現職の防衛政務官、長島政務官という政府の要職についておられる方とも同行することができたという、大変貴重な機会をいただきました。

 そこで、長島政務官に一言質問をしますが、あのワシントンで、これだけ普天間が大きくなっているときに感じた雰囲気、アメリカ側の空気というものはどういったものでしたか。

長島大臣政務官 もちろん、五月末までに日本政府がきちっとして結論を出す、こう何度も申し上げておりますので、やはりワシントンの空気としては、ぜひ五月末までに一定の方向性を出してほしい、そういう空気を感じて帰ってまいりました。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 私も全く同じ認識ですが、予想した以上にアメリカ側の受けとめは厳しいな、そういう認識を改めて持つことができた訪米だったと思うんです。

 そして、今政務官もおっしゃいましたが、今月末が決着の期限です。岡田大臣、五月末の決着、これはだれが決めたんですか。

武正副大臣 小泉委員にお答えをいたします。

 政府として五月末までに結論を得るということを、関係閣僚のもと確認しているということでございます。

小泉(進)委員 大臣、五月末の決着を明言したのは鳩山総理、これで間違いないですね。

岡田国務大臣 五月末ということは、関係閣僚政策委員会ですか、つまり、他の与党二党も含めて閣僚が集まったときに確認をしたことだと記憶しております。

小泉(進)委員 大臣は全然質問に答えていません。鳩山総理が明言をしたんですかと聞いたんです。それはイエスかノーかの答えで済むわけです。

岡田国務大臣 私は明確に答えていますので、もう少し礼をわきまえて言っていただいた方がいいと思います。

 つまり、関係閣僚委員会、構成は当然御存じのはずですが、そこで確認をしているということは、もちろんそこには鳩山総理もメンバーであることは御存じのはずですから、当然そういうことであります。

小泉(進)委員 そうやって最後に結論を言ってくれるのであれば、最初からその一言だけで質問は終わったんですよ。それを礼を失しているというのは、私はイエスかノーかで済むと言っているんですから、イエスかノーで答えていただければ、礼も失することはありませんし、時間もかかることもありません。

 五月の決着、まさにおっしゃいましたとおり、これを決めたのは鳩山総理であります。沖縄は五月決着を求めていませんでした。アメリカも五月決着を求めていませんでした。決めたのは鳩山総理自身です。なぜ五月末の決着ですか。

岡田国務大臣 言葉は正確にと思いますが、鳩山総理御自身が勝手に決めたのではありません。関係閣僚で確認をしたということでございます。だれが言い出したかという物理的な問題ではなくて、どういう決定の仕方をしたかということが重要ですから、私は丁寧に説明をさせていただきました。

 その上で、五月末ということについて、沖縄は求めていなかったということですが、なるべく早く行わなければいけないということは多くの人が認めるところで、普天間の危険性の除去ということを議論しているわけですから、いつまでもそれが先延ばしになることは好ましくない、なるべく早く、そういう思いの中で五月末ということが決められたということであります。

小泉(進)委員 岡田大臣の今の答弁ですと、私の今までの認識と少し違うようでした。

 私は、五月末の決着を明言し、それを決めたのは鳩山総理のリーダーシップだと思っていました。鳩山総理の判断。しかし、今の大臣の答弁ですと、鳩山総理だけじゃない、鳩山総理が五月末と言ったのは、関係閣僚と話し合った結果、五月末に決まった。つまり、関係閣僚も鳩山総理と一緒に五月末がベストだという結論に導いたわけですね。

岡田国務大臣 ベストかどうかは別にして、関係閣僚でそのことを確認したということです。

 総理大臣がこうだと決めればそうなるというのは、総理大臣によってはそういうことはあるかもしれませんが、我々は閣僚間できちんと議論をして、そして決めているということであります。

小泉(進)委員 それでは、もし五月末で決着できなかったら、総理大臣だけの責任では済まないということですよ。岡田大臣、その解釈でよろしいですか。

岡田国務大臣 五月末決着というのは、これは関係閣僚間で合意をしていることでありますから、それは総理一人の問題ではもちろんございません。

小泉(進)委員 では、関係閣僚でなぜ五月末と決めたんですか。

岡田国務大臣 先ほども言いましたように、この問題をいつまでも先に送るわけにはいかない、そういう中で、決めたのは十二月だったと記憶しますが、それから半年後ということで、五月末ということを決めたわけでございます。

小泉(進)委員 五月末に決めたのは、参議院選挙前までに片をつけたい、つまり選挙のことも頭にあった、こういうことはありませんか。

岡田国務大臣 そのことが念頭になかったかどうかというのは、個々人の頭の中にあったかどうかわかりませんが、そういうことを明示的に議論したことはございません。

小泉(進)委員 総理はそうおっしゃったんです。

 これは、沖縄に初めて総理が訪問したときです。参院選まで持ち越すと、責任を持った政治にならない、その後に県知事選も控えていると。選挙のことが頭にあったんですよ、総理は。

 そして、その沖縄訪問のときに宜野湾市内のホテルで関係の市町村長と総理はお会いになりました。そして、その場に出席をした島袋うるま市長はこう言ったんですよ、選挙日程を優先させた日程だったことに唖然とした、本当に総理かとショックを受けたと。

 これは、もし選挙のことも頭にあったとしたら、私は、なぜ十二月を先送りしたのかがわからないんです。一月だって名護市長選があったんですよ。それで、名護市長選挙の後に結果を先送りした結果、さらに解決を難しくして、この前の沖縄訪問で、その鳩山内閣が誕生をサポートしたと言っても過言ではないあの稲嶺名護市長とお会いし、そこで辺野古には受け入れられないということを正面切って突きつけられたんじゃないですか。

 もし選挙のことが頭になかったのであれば、あの十二月に決めるのがベストだったじゃないですか。なぜそれをしなかったんですか。

岡田国務大臣 なぜ五月末かというのは、先ほどお答えをしたとおりであります。

 それから、これは事実関係ですから、今委員の引用された総理の発言というのは、どういう問いに対してそう答えられたのか明確にしていただきたいと思うんです。つまり、なぜ五月末にしたのかということで聞かれたのか。つまり、いつの時点の判断について総理は答えたのか。十二月の時点の判断を言ったのか、それとも、沖縄を訪問したときに五月末じゃなくてもさらに延ばせるじゃないかと言われて答えたのか。

 そのシチュエーションによって変わりますから、どっちのシチュエーションの中でその問いが発せられ、総理の答えがあったのか、まずそれを明確にしてもらいたいと思います。

小泉(進)委員 私は質問権を持っていて、大臣はその質問に答えるんです。シチュエーションによって言葉が変わるのは、今まで鳩山総理の発言を見ていればよくわかります。

 それは、この選挙のことが頭にあるからこそ、今回、五月末になったんじゃないですかと私は聞いたんです。そして、鳩山総理もそれに符合するようなことを言い、そして鳩山総理と会った市長が、そういうことを聞いて本当に総理なのかとショックを受けたと言っているんですよ。この事実関係を私は聞いたわけです。

 そして、この五月末決着。この五月末決着の定義、これは午前中最後の質問者であります佐藤先生からもありましたが、五月末決着の定義をもう一度教えてください。

岡田国務大臣 その前に、やはり国会審議というのは、豊かに、中身のある議論をなるべく心がけたいというふうに私は思っております。

 ですから、さっきの話、つまり総理の答えがどういう問いに対してなされたのかということは、これは決定的に違うわけであります。つまり、総理が沖縄に行かれた時点でさらに延ばせるじゃないかということに対する問いなのか、それとも、もともと十二月のときになぜ五月ということなのか、それによって中身は全く異なりますから。それは同じだというふうにあなたは言うけれども、私は全く違うことだと思います。ですから、それはどっちの状況の中での問いだったんですかということを私は聞いているわけです。

 もちろん、私に質問権はありません。しかし、国会の審議をきちんとした豊かなものにするためには、前提がどうかということによってその答えは当然変わるわけですから、そのことをきちっと明確にして聞いていただきたいと、私は大分我慢をしながら、そういうことを申し上げているわけです。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

小泉(進)委員 それだったら、普天間問題に関する集中審議を開いてくださいよ。それで、総理大臣、官房長官、関係閣僚を全部呼べばいいじゃないですか。そうすれば、一番話がわかりやすいじゃないですか。

 そして、今私が最後に質問したことに答えていませんよ。五月末の決着の定義を教えてくださいと言いました。

岡田国務大臣 もう一度言いますけれども、それは、だから総理を連れてこいということではなくて、どういう場面で問われた問いなのかということを明確にした上で誠実にお答えしたいということを私は申し上げているわけです。

 それから、もう一つの問い、五月末の決着というのは、地元の理解を得、米国の理解を得ながら政府として結論を出すということであります。

小泉(進)委員 沖縄、そして連立三党、そしてアメリカ、この三つの合意ということでよろしいですか。

岡田国務大臣 私、先ほど答えたはずであります。地元の理解を得、アメリカの理解を得ながら政府として結論を出すということであります。それ以上でもそれ以下でもございません。

小泉(進)委員 三つの合意で構いませんかと聞いているんですから、そうですとか、そうじゃないですよとか、その答えでいいじゃないですか。

 連立三党の合意、沖縄との合意、アメリカとの合意、この三つの合意でいいのかどうか、お答えください。

岡田国務大臣 これは親譲りなのか、物事を非常にシンプルに言うということですが、私が申し上げておりますのは、地元の理解、アメリカの理解を得て政府案を決定する、政府として決定するということであります。

 その解釈をどうするかということは、私が一義的に行うものではなくて、これは内閣として行うものでありますので、私は、内閣として約束したその表現で答えさせていただきたいと思います。

小泉(進)委員 では、合意ではなくて理解ということですか。

岡田国務大臣 理解という表現を使っているはずでございます。

小泉(進)委員 完璧な後退発言じゃないですか。合意が理解ですよ。

 合意というのは、理解をした後にあるのが合意ですよ。理解はするけれども否定をするのも可能なんです。理解をするから合意をするのも可能なんです。だから、私は理解という言葉にこだわっているんじゃなくて、合意なんですかと聞いているんですよ。合意は合意。しかし、理解という言葉を使うのであれば、理解なんて、その後に、理解はするけれどもできませんも、理解はするからできますともできるんですよ。だから私は、理解なのか合意なのか、今問い詰めたんですよ。

 理解じゃなく、合意でいいんですよね。

岡田国務大臣 この間述べておりますのは理解ということであります。

 逆に、合意というなら、合意の定義をはっきりしてもらえませんか。何をもって合意というんでしょうか。

小泉(進)委員 大臣は、岡田大臣が大臣で、ここに立っている者が大臣じゃないんですよ。それを、質問者の私に、合意の定義を教えてくださいと。教えてほしいのは私です。

 合意の定義を教えてください。

岡田国務大臣 私は合意という表現を使っておりませんので、その定義を述べる立場にはないんですね。ですから、あなたが合意だというなら、何をもって合意というのか、そのことを明確にした上で質問しないと答えられないじゃないですか。

小泉(進)委員 ということは、岡田大臣は合意の定義を知らないということですか。知らないというわけじゃない、知っているよと。今の笑いは、そんなわけないじゃないかという笑いですよ。

 もし合意の定義を知っているのであれば、鳩山総理が何をもって合意と言っているのかを知っているということですよね。鳩山総理は何をもって合意と言っているんですか。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。御静粛に。

岡田国務大臣 ですから、合意というのはいろいろな考え方があるんです。それは一つじゃないんです。当然委員もおわかりのはずです。

 合意というのは、知事が了解するということなのか、あるいは地元の首長が御了解するということなのか、あるいは議会がどうなのか、あるいは沖縄県民がどうなのか、さまざまな合意というのがあるわけですから、そのことの定義を明確にした上で御質問いただかないとお答えできないのは当たり前であります。

小泉(進)委員 全部ごまかし答弁ですよ。大臣、全然答えていませんよ。合意の定義も国民に明らかにしないまま合意を探るんですか。そんなの、見つからないものを探しているのと同じことじゃないですか。合意の定義が明らかだからこそ、五月末決着にしたんじゃないですか。

岡田国務大臣 ですから、我々は理解ということを言っているわけです。

小泉(進)委員 ということは、大臣は、合意の中身はまだはっきりしないということでいいですね。だって、合意という言葉を使わないで、理解という言葉を使っているんだから。

 それだけ合意の中身を答えられない理由が私にはわからないんです。だって、五月末の決着で三つの合意を得るというのは、さんざん十二月から言ってきたことじゃないですか。(発言する者あり)言ってきましたよ。(発言する者あり)

安住委員長 御静粛に。

小泉(進)委員 では、その合意。合意という言葉を使っていないと言いますが、鳩山総理は何をもって五月末の決着としたいんですか。

岡田国務大臣 何度もお答えしていると思いますけれども、地元の理解を得、アメリカの理解を得ながら政府として決定をする、政府案を決めるということであります。

小泉(進)委員 では、今は政府案も決まっていない、報道で出ている原案もない、それでよろしいですか。

岡田国務大臣 政府として案を決めるというのは、もちろんこれからであります。

小泉(進)委員 では、今、徳之島、沖縄と協議している内容は、政府案ではなく、鳩山総理そして官房長官、お二人が知っている中身ということですか。

岡田国務大臣 委員は午前中のやりとりを聞いておられたと思いますけれども、今、政府案なるものはございません。五閣僚で共通の認識を持って、そして政府案として決めるべく現在さまざまに調整を行っている、そういう段階でございます。

小泉(進)委員 結果として、大変私たちにとっては衝撃的ですが、国民にとっても衝撃的ですよ。今の時点で、あと二週間のときに来て、政府案はないということを明言した。そして、合意というのも言っていない、理解だということもおっしゃってくださった。これは、沖縄の方が聞いたらびっくりするんじゃないですか。政府案もないのに、なぜ官房長官はあした徳之島に行くんですかね、鹿児島に。

 私は、この普天間の問題、ずっと安全保障委員会ですから、多くの質疑を聞いてきました。しかし、すべてが漠然としている。五月末に決めますからという一言で逃げられちゃう。

 その中でまた私がまだまだはっきりしないなと思ったのは、報告、連絡、相談そして情報共有、これが当事者の中で本当に行われているのかということなんです。この普天間問題、当事者とは一体だれですか。

岡田国務大臣 非常に漠然とした問いであります。閣僚でいえば五閣僚であります。

小泉(進)委員 五閣僚というのは、官房長官、外務大臣、防衛大臣、総理大臣そして前原沖縄北方大臣、これでよろしいですか。

岡田国務大臣 そのとおりです。

小泉(進)委員 その関係五閣僚、当事者の五人は、どのように日々、この沖縄の問題、普天間の問題を情報共有されていますか。

岡田国務大臣 そういうことは政府の中で責任を持って我々がやっていることですから、一々お話しすることではないと思います。

小泉(進)委員 では、政府として責任を持って五人で打ち合わせもやっているから心配をしなくていい、報告、連絡、相談、ホウレンソウと言われるこの三つはしっかりできているということでよろしいですか。

岡田国務大臣 小泉政権を初め自民党政権のときにどうだったか私は知りませんが、鳩山政権においてはきちんと、意思疎通をよくしながら進めているところでございます。

小泉(進)委員 もし、しっかり意思疎通、連絡ができているんだったらいいんですよ。できていないから私は聞いているんです。

 四月二十日、瀧野官房副長官が、政府が移設先に検討する鹿児島県徳之島の三町長、そして鹿児島県の伊藤知事に電話で、平野官房長官に会ってほしいと言いました。これは官房長官も存じ上げていることですよ。しかし、総理大臣はこれを知らないと言ったんですよ。交渉の、大臣がまさにおっしゃった関係五閣僚の一人ですよ。官房長官、そして今、前面に出てこの徳之島と交渉なんですかね、合意がさっきないと言いましたから何のために行っているのかわかりませんが、官房長官が瀧野副長官に電話をさせ、徳之島の三町長、鹿児島県知事に、何とか協力を願えないかという電話をしたこと、もしくは総理大臣と会ってほしいと言ったこと、これを総理大臣は知らないと言ったんですよ。全然連絡がとれていないじゃないですか。違うんですか。

岡田国務大臣 その連絡をとり合うということの密度の問題ですけれども、それは委員もよく御存じだと思いますが、総理大臣というのはいろいろなことを同時にやっていかなければなりません。ですから、電話で三町長に連絡したということを総理が御存じなかったとしても、そのことをもってこの問題に対する取り組みは連携がとれていないというのは、私はかなり論理の飛躍だと思います。

小泉(進)委員 ということは、官房長官が徳之島に対して起こしているアクションは、総理大臣は関知していないということですか。

岡田国務大臣 もう少しきちんとした議論を私はしたいと思いますが、つまり、そのこと一つを総理が御存じなかったからといって、そのことが何か連絡がとれていないということではないということを私は申し上げているわけで、関知していないということを私は申し上げたわけじゃありません。事実としてそのことを知らなかったからといって、連携がとれていないということではございません。

小泉(進)委員 別に、毎日の、日々起きている問題を一々関係閣僚で調べてください、連絡をとってくださいと私は言っていません。徳之島は、協力を願うために、今、政府が真剣に向き合っている相手じゃないんですか。だから官房長官が、みずからが足を運び、最前線に立って交渉に当たっているんじゃないですか。その方の今までとってきた徳之島に対するアクション、これは総理大臣は知ってしかるべきだと私は思う。総理大臣が沖縄に行って、徳之島の名前も言いましたよ。それでも、徳之島に対する官房長官の行動を知っていなくても、それは十分な連絡がとれていると言えるんですか。

岡田国務大臣 もちろん総理は、徳之島に対して何か官房長官が働きかけを行っているということは十分御存じだったと思います。ただ、個々の電話をしたかどうかということまで一々、それを知らないから悪い、だめだ、連絡がとれていないというふうに私は全く考えておりません。

小泉(進)委員 大臣の答弁も本当に、私は紳士的なものと思えませんよ。まあ、こいつも経験ないからこれぐらいでいいだろうという感じかもしれませんが。

 総理大臣が信頼の置けない行動を多くしているんですから、私はけじめがつかないのも仕方ないと思います。五月四日に総理大臣が沖縄に行きました。私は、総理が信頼をぶち壊し続けた結果だと思いますよ。

 鳩山総理が沖縄県に行きました。仲井眞知事に会った。その後に沖縄の県議団と会いましたね。県議団に言って、知事には言わないことがあったんですよ。それは徳之島のことです。仲井眞知事には言わなかった。しかし、県議団との会合、面談で県議団から問い詰められ、そこで、知事には口にしなかったと言われているのに、徳之島の名前を県議団には言ったんです。

 総理に、こういうふうに県議団の副議長の方が言いました、報道されている徳之島、そして辺野古の桟橋方式を含めどうなっているのか。総理はこう答えました、地域を指定した話は一切していない、メディアが推測して流している。そう答えたら、もう一度副議長が、沖縄と徳之島の関係者に会うのは報道の裏づけではないかと。当然の質問ですよ。そうしたら総理は、沖縄の皆さんにも徳之島の皆さんにも、基地に関して負担、協力を願えないかという思いで、少しでも理解をという思いでお邪魔をしましたと。

 私は、これは仲井眞知事に対する礼を失していると思いますよ。知事に言わず県議に言う。仲井眞知事は、何とかして普天間の危険性の除去を一刻も早くできないかという思いで、政府とそして県民との間で厳しい立場に置かれながら努力を続けている方だと私は理解をしています。

 沖縄で九万人と言われる県民集会、あの場にも、最後の最後まで悩み続けた結果、青いかりゆしを着て御出席をされたのが仲井眞知事でありました。総理は沖縄に行かれ、黄色いかりゆしを着ました。これは、沖縄の出身の議員の方もいますから、その思いもよくわかると思いますが、黄色のかりゆしというのは県内移設反対のイメージカラーになっています。もちろん総理は最低でも県外と言って、イコール県内反対に近いですから、その色を着たこと、もしもそれが実現できるのであれば拍手喝采でしょう。自分の思いと着ているものの意味も一致しますよ。

 しかし、今沖縄に行って黄色のかりゆしを見れば、多くの皆さんはそれがどういう意味を持つのか、たとえそういう意味を持っていない方が着たとしても、そういうふうに受けとめる方もいらっしゃるでしょう。それを、なぜ県内移設をお願いする立場の方があの色を着て会談に臨み続けたのかが、私は政府として配慮が足りないことだったんじゃないかと思っているんです。そこまで私は政府に考えてほしかった。

 総理は、沖縄訪問の最後にも、グアム、テニアン、この将来的な可能性にも触れましたよ。私はこれも、正直驚いたんです。なぜこの期に及んで今さら、グアム、テニアンは将来的にあり得る話を総理はされたんですか。グアム、テニアンの可能性に触れたということは、いずれ将来的にはあり得るということをアメリカ側も了解しているんですか、大臣。

岡田国務大臣 委員はいろいろおっしゃったわけですけれども、最初におっしゃった話、県議会の皆さんには徳之島の話をしたのに知事にはしなかったというお話をされました。

 それはオープンの場ではしなかったかもしれませんが、そのことはそのまま、知事に徳之島の話をしなかったということを意味するものではないということは、委員も当然おわかりだというふうに思います。言ったか言わないか私は承知しませんが、知事あるいは知事サイドとそして総理あるいは官房長官、連絡をとり合っておりますので、知事にとって全く知らないままいきなり県議団に徳之島の話が出たというふうに私は思っておりません。

 それから、グアム、テニアンの話が最後に出たという、その総理のお言葉の真意というのは私はよくわかりませんが、ただ、グアムについては、既に八千人の海兵隊の部隊を移設するということも日米合意されており、なるべく移せるものは移したいという気持ちは当然おありだと思います。

 テニアンは、今そういう具体的な話は全くございません。しかし、連立与党の中でそういう御主張をするところもあるので、そのことも考えながら触れられたのかなというふうに思います。

小泉(進)委員 時間が来たのでこれで終わりますが、私は、鳩山総理のこの八カ月間、信頼を壊し続けた八カ月だと思っています。沖縄県民の信頼、アメリカとの信頼、そして国民に対する言葉の軽さということでの信頼の喪失、また民主党内でも、県内移設は絶対ないだろうと思っていた一部の人たち、事実、民主党の沖縄県連も、県内は不可能だということをすべて声明で発表しています。この党内の信頼をもぶち壊した八カ月。

 鳩山総理は本来、信頼を築くこと、この重要性を理解していましたよ。就任当初、こう言いました、最低でも県外の方向で積極的に行動したい、アメリカ政権と徹底的に議論して信頼関係を築けば何事も不可能ではない。よく信頼関係の重要性を理解していますよ。しかし、十一月、オバマ大統領に言ったのは、トラスト・ミー。その直後に言ったのが、大統領とすれば日米合意を前提と思っていたいだろうが、それが前提なら作業グループをつくる必要がない。

 信頼関係があればアメリカとの協議で何でもできると言ったのに、信頼関係を壊し、何にもできない状況に追い込んだのは鳩山総理自身ですよ。このアメリカとの信頼だけじゃない、県民、国民そして党内の一部の信頼をも裏切った。この八カ月の重みをよく理解して、あと二週間ぐらいに迫った五月末決着、決着を心から望んで、私の質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

安住委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、月曜日の沖縄北方特別委員会に引き続いて、政府が主張する海兵隊の抑止力の問題について外務大臣に伺います。

 前回の質問の中で外務大臣は、日本そのものを防衛することは自衛隊の役割、相手国を攻撃することは米軍の役割で、そのような矛の役割を持つ米軍が日本に駐留することが日本に対する攻撃を抑止する、このように答弁なさいました。

 これは自衛隊と米軍の役割に関する従来の政府見解を踏襲したものだ、そう考えてよいですか。

岡田国務大臣 もちろん、米軍も日本を守るということについては、広い意味で守るということは日米安保条約上の義務でありますし、日米共同対処ということもあるわけですから、米軍が全く日本を守ることに責任がないとか守らないとかいうことを言っているわけではありません。しかし、基本的にそれは自衛隊が役割を果たすということであります。そういう趣旨で申し上げたところであります。

赤嶺委員 それでは、その在日米軍は現実に何をやっているのかという問題です。

 在日米軍は、いざというときに備えて日本国内にとどまっているわけではありません。常に世界各地に展開して、武力行使を含む軍事行動を行っております。二〇〇一年の九・一一テロ以降は、アフガニスタン、イラクに対する武力行使と軍事占領に参加をしてきました。

 外務大臣に伺いますが、在日米軍のアフガニスタンそしてイラクへの派遣状況についてどのように把握していらっしゃいますか。

武正副大臣 赤嶺委員にお答えいたします。

 政府としては、米軍の運用の一々につき申し上げる立場にはありません。

 その上で申し上げれば、米国防省発表等によれば、例えば平成二十一年十二月時点で、在日米軍からイラクの自由作戦、OIF、または不朽の自由作戦、OEFへの派遣数は二千名と承知をしております。

 それ以上の米軍の運用の一々について、政府として申し上げる立場にはありません。

赤嶺委員 今、不朽の自由作戦その他について、在日米軍から派遣されているということの答弁がありました。

 二〇〇三年のイラク戦争の開戦時には、横須賀を母港とする空母キティーホークの艦載機がイラクに対する空爆を行い、巡洋艦や駆逐艦がトマホークを撃ち込みました。二〇〇四年には、在沖米海兵隊は佐世保を母港とする強襲揚陸艦エセックスに乗ってイラクに展開し、数千人とも言われる市民を無差別に殺害したファルージャの作戦に参加をいたしました。その訓練中に起きたのが、沖縄国際大学へのヘリ墜落であります。こうした事実は外務大臣も認めておられますよね。

岡田国務大臣 今委員がおっしゃったこと全部を私は事実として認めるつもりはございません。例えば無差別殺人とか、そういうことについては認識が違うというふうに思います。

 ただ、沖縄の米軍基地から移動して、そして対イラク戦争に一定の人数が参加をしていたというのは、それは先ほど副大臣から説明したとおりであります。

赤嶺委員 横須賀もそうですよね。

岡田国務大臣 どこからということは明確には申し上げられませんが、しかし、海兵隊だけではなくて海軍も含めてそういったものに参加をしていたということは事実であると思います。

赤嶺委員 きょう資料を用意してまいりました。これはさっき武正副大臣もその一部を御説明いただきましたが、アメリカの国防総省、二〇〇四年十二月からホームページで、イラク、アフガニスタンへの米軍派遣状況を駐留国別に公開しております。これによると、在日米軍全体では千六百人から四千五百人の間で、海兵隊では七百人から千九百人の間で恒常的に派遣されているわけです。

 海兵隊を含む在日米軍は恒常的にイラク、アフガニスタンの作戦に参加している、そういう実態だということは、外務大臣、これはお認めになりますよね。

岡田国務大臣 沖縄に、あるいは日本にいる海兵隊やあるいは海軍、そういった兵士が移動して、そしてイラク戦争、アフガニスタンにおける作戦に参加をしているということは、それはそのとおりだと思います。

赤嶺委員 在日米軍というのは恒常的にイラク、アフガニスタンに展開をして戦闘作戦をやっている。

 それじゃ、その在日米軍、とりわけ沖縄の海兵隊が日常的に何のためのどういう訓練を行っているかについて、これはどのように把握しておられますか。

武正副大臣 今委員御質問の在日米軍の訓練の目的とか場所とか規模とか、詳細についての御質問だというふうなことでございますが、さまざまな種類の訓練を日米安保条約の目的達成のために米軍が行っているわけであります。

 ただ、個別具体的な訓練の、今申し上げました目的、場所、規模などの詳細については、我が国政府としてすべてを承知しているわけではありません。また、承知しているものについても、米側は運用上の理由から一般に公表すべきでないとしているので、我が国政府としても御説明することは差し控えたいと思います。

赤嶺委員 武正副大臣も、今の答弁、じくじたる思いでなさっていたと思うんですが、武正副大臣が野党の時代は、そのたびに、いや、アメリカの海兵隊のホームページでは公開されていることだよと述べていた、そういう場面を今思い出しております。ばくっと、日米安保条約の目的達成のために訓練していますと言ったら、意味がわからないですよ。

 実際に、在日の海兵隊はホームページで日本語で公開しているんですよ。そのホームページを見ますと、断片的ながら、海兵隊が行っている訓練の一部がわかります。そこで明らかにされているのは、イラクやアフガニスタンへの派遣を前にした訓練ばかりであります。

 イラク、アフガン作戦用の米軍車両でMRAPという装甲車がありますが、これは、路肩爆弾による米兵の死傷者が相次いだことを受け、新しく開発されたものです。二〇〇八年十二月二日付の海兵隊のニュースによりますと、これが沖縄にも配備をされて、キャンプ・ハンセン内で訓練をしているばかりか、日中百二十キロ、夜間五十キロの実地訓練を舗装道路で行っている、このように述べております。派遣を前にした免許取得のためのコースとして行われているんだ、このように書かれております。

 海兵隊はこういう訓練を行っているんですか。基地の外でこのような訓練を行っているとすれば、日米地位協定違反になるのではありませんか。

武正副大臣 今御指摘のMRAP型装甲車両についてでありますが、在沖海兵隊が使用しているとの報道等があることは承知しておりますけれども、先ほども申し上げましたが、在日米軍の装備の種類や、その訓練における使用の実態についてすべて承知しているわけではありません。また、承知している部分があったとしても、対外的に説明するには不適当な部分もあるということでありまして、そういった理由から、外務省として、在日米軍がそうした装備をどの程度保有し、どのような訓練において使用しているかといった事項については御説明することは困難でございます。

赤嶺委員 先ほど、外務大臣と小泉議員とのやりとりを聞いていましたら、国会審議をより充実したものにしていきたいという思いを言われましたけれども、海兵隊のホームページに載っている事実を質問したら、それを説明するのは適当じゃないと。こんなことをしたら、国会の議論にならないじゃないですか。

 要するに、海兵隊は基地の外でMRAPの走行訓練をしていたとみずからのホームページに書いてあるわけですよ。このことについて、これは地位協定違反ではないか、あすの委員会で質問するからということをきのうきちんと通告しているわけですよ。

 では、それをやっていたかどうかを調べようというおつもりもないんですか。

武正副大臣 そのMRAP型装甲車両等についての在日米軍による使用実態について詳しく承知をしているわけではないということで、ここでお答えすることは困難でございます。

 ただ、一般論として、先ほどのお話のように、米軍が本来、施設・区域内で行うと予想される訓練を区域外で行うことは地位協定の予想しないところでありまして、それ以外の訓練について、日米安保条約の目的達成のために必要である場合、それを施設・区域外で行うことが地位協定上排除されているわけではありません。

 米軍が施設・区域外において訓練を実施することが地位協定上認められるかどうかに関しては、個々の訓練の目的、態様などの具体的な実態に即し合理的に判断すべきであり、施設・区域外での訓練がすべからく地位協定上認められないわけではないと考えております。

赤嶺委員 ひどい答弁ですね。自公政権時代の官僚の答弁をほうふつとさせます。(発言する者あり)そういう答弁ばかりだったんですよね。

 それで、外務大臣、施設外で訓練することも場合によっては認められているということだったんですが、今、米軍の車両が道を間違えて、養護学校の中に入り込んだり、県立病院の中に入り込んだり、あるいは高等学校の中に入り込んだり、畑の中に入り込んだり、そういう訓練中の車両事故ではないか、道を知らない米兵がいろいろな事件を起こしているんですよ。それで、ホームページには、MRAPの走行訓練をやったとある。

 この事実関係について、どういう訓練であったのか、地位協定に反するのか反しないのか、調べて国会にきちんと報告すべきだと思いますが、外務大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 先ほど副大臣が答弁いたしましたように、米軍が施設・区域外において訓練を実施することが日米地位協定に必ず違反するというものではありません。それはケース・バイ・ケース。したがって、日米地位協定上認められるかどうかに関しては、個々の訓練の目的、態様などの具体的な実態に即して合理的に判断すべきことであるというふうに思っております。

 委員今御指摘の点につきましては、私も、率直に言って、どこまでの実態があるのかということを詳細に承知しているわけではございません。ホームページにはある程度書いてあるということであれば、そのホームページはぜひ見てみたいというふうに思いますけれども、その上で判断されるべきことだというふうに思います。

 運転の練習をするということでありますが、そのことが非常に大きな事故につながりかねないとか、そういう可能性があるということであれば、それはやはり日米間でよく協議をしなければいけないことだと思いますが、そういう実態にあるのかどうかということも含めて、現時点では承知しておりませんので、なかなか御質問にストレートにはお答えできかねるところでございます。

赤嶺委員 委員長に申し上げたいんですけれども、これは運転の練習じゃないんですよ。イラクやアフガニスタンで起こり得るいろいろな事態に対応するためのMRAPの訓練として、山道も使えば一般道も使う。そのために、いろいろなことが沖縄で起きている。

 そうであれば、それはどういうことかとアメリカ側に問い合わせて、そして、こういうことだという明確な説明が求められると思うんですが、委員長、これはきちんと求めていただきたいんですが、いかがですか。

安住委員長 理事会で協議します。

赤嶺委員 こんなので、アメリカを信頼せよとか、よき隣人だとか、日米安保条約の目的達成のために訓練しているんだとか、こんなことは口が裂けても言えないと思いますよ、沖縄の実態を見てみたら。日米安保条約の目的達成どころか、実態としては、やはりイラクやアフガニスタンへの派遣、そのための訓練を行っているわけです。

 外務大臣は、イラク戦争については、外務大臣御自身が国際法違反と厳しく批判してきたものであります。米兵による攻撃が開始された二〇〇三年三月二十日には、本会議で、当時の民主党を代表して質問に立って、当時の小泉首相を追及いたしました。在日米軍が在日米軍基地を利用してこのようなイラク作戦のための訓練を行い、作戦に参加している実態を外務大臣としてどうするのか、そして自公政権と同じようにそういう訓練も容認するのか、いかがですか。

岡田国務大臣 私は、イラク戦争が始まった折に、委員御指摘のように、本会議場で、イラク戦争が始まったことについて果たして国連の決議が明確にあるのかということで、時の小泉総理に対して問いかけたわけであります。特に小泉総理がそのときに直ちに支持をしたということに対して、私は、直ちに支持をするということではない、そういう考え方に基づいてこの問題を取り上げさせていただきました。

 今でも私は、あのイラク戦争が果たして国際的なルールに合致した、その要件を満たしたものであったかどうかということについては、当時と同じく疑問を感じているところでございます。そういうことについての検証というものをどこかではぜひしたいというふうに思っておりますが、他に行うこともたくさんございますので、段階を踏んでそういうこともぜひ議論してみたいものだというふうに思っております。

 今はイラク戦争そのものは一たん終了したわけでありますから、今イラク戦争に参加しているということではないというふうに思います。

 アフガニスタンというのはあります。アフガニスタンの米軍の活動というものは、私はこれが違法なものであるというふうには考えておりません。

赤嶺委員 結局、疑問を持っているけれども段階を踏んで検証する、今イラクでは何もやっていないはずだ、だから国際法違反の戦争に沖縄の在日海兵隊が行っているはずはないと。実際、行っているわけですよね。実際、行っているわけですよ。

 それから、アフガニスタンの戦争は外務大臣としては認めているんだ、こうおっしゃいましたけれども、結局、在日米軍基地というのは、日米安保条約の目的達成という言葉とは裏腹に、アメリカの世界各国に対する介入戦争、この出撃基地、訓練基地、補給基地として使われている、日本が戦争に加担しているということになるのではありませんか。

岡田国務大臣 ですから、ここのところは、在日米軍基地というものは日本及び極東の平和のためにあるということだけではなくて、安保条約上はそういうことでありますが、そこにいる米軍というものがアジア太平洋地域全般について、その平和と安定のために役割を果たしているということでございます。

赤嶺委員 世界の平和と安定のための役割を在日米軍が果たしている、本当に果たしてきたかという検証も必要だと思います。

 最近、「冬の兵士」という本が発行されております。これは、二〇〇八年の三月にワシントンDCで行われたイラク帰還兵による証言集会の内容を翻訳してまとめたものであります。冬の兵士というのは、そもそもは、一九七一年、ベトナム戦争から帰還した兵士たちが米軍による戦争犯罪や残虐行為を証言した集会の名前だそうであります。

 そのイラク帰還兵たちはこう言っています。

 イラク侵略の最中、バグダッドに向かって北進していくうちに、私に与えられる交戦規則は次第に緩くなり、ついには事実上なくなりました。どんな軍事行動をやってもいいということになった。上官たちの一般的な態度は、やられる前にやっちまえというもので、これは隊内教育によって階級を問わず浸透していました。そして、どんなことがその結果起こったか。アブグレイブの銃発砲地帯に派遣された米兵は、自分は発砲しませんでしたが、部隊の他の兵士は武器使用解禁令を歓迎し、民間人の乗った車に向かって、あるいは民間人を直接にねらって無差別に発砲しました。命にかけて誓いますが、自分はこの作戦中に一人の敵も見ていません。殺意のある人間もない人間も見かけは変わらない、どうやって見分ければいいんでしょうか。確実に生き残る道は一つしかなかった、やられる前にやる、身もふたもない言い方ですが。

 このように「冬の兵士」の兵士たちは証言しているわけですね。

 どんな侵略戦争で、そして交戦規則なぞお構いなしに、相手が民間人であろうと、お年寄りであろうと、娘であろうと、動くものは全部殺りくをした、殺した、これがイラク戦争だったじゃないですか。その拠点基地が在日米軍基地だったじゃないですか。それが抑止力とかということで合理化されることは、余りにも事実をねじ曲げているということを私は言わざるを得ないと思いますが、こういう国際法にも違反した、そういう戦争のために在日米軍基地を使っていた、このことはお認めになりますよね。

岡田国務大臣 イラク戦争の現実がどうであったかということは、今委員は一人の、あるいは一人じゃなくて複数かもしれませんが、元米軍兵士の発言を紹介されたわけであります。それがすべてであったかどうかという問題はございます。私の認識と委員の認識は同じではございません。

 そして、イラク戦争に日本にいる米軍が参加をしたかどうかということは、それは先ほど答弁したとおりであります。ただ、直接出撃はない、移動して参加をしたということを私は先ほどから申し上げているわけでございます。

赤嶺委員 直接出撃はない、移動しているんだという答弁も自公政権の外務大臣の答弁と全く変わりません。そんな答弁が受け入れられることはできないと思います。あれは移動であって、本来の在日米軍の任務は日本の防衛のためだなんという、こんなことを沖縄県民に理解させようとしたって無理ですよ。

 ちょっと別の問題に移りますけれども、あしたは、沖縄が本土復帰をしてから三十八年目の五月十五日を迎えます。翌十六日、あさっては、県民による普天間基地包囲行動が予定をされています。県民大会に続く県民の意思表示であります。

 ところで、二〇〇五年五月十五日には、当時の民主党代表であった岡田外務大臣も普天間基地包囲行動集会に参加をしておられました。そのとき、岡田代表はこう述べていらっしゃいます。

 今日は沖縄復帰から三十三年、終戦から六十年。三十三年前に沖縄が日本に復帰することが決まった時に、これで日本の戦後が終わったという声が上がったが、沖縄の戦後は終わっていない。その象徴が、普天間基地の問題だ。今、米軍基地の再編問題が議論されているが、日米両政府が普天間基地の返還を決めて何年が経ったのか。今こそ、心を一つにして普天間基地の沖縄県外への移転を実現していかなければならない。安全保障に対する考え方に違いはあるが、その違いを乗り越えて、気持ちを一つにして普天間基地の沖縄県外移転を実現していこう

このように述べておられます。念のために、これは民主党のホームページから引かせていただきました。

 党首の、党代表のあいさつですからそのとおりだと思いますが、この外務大臣みずからの発言、今どのように受けとめられますか。

岡田国務大臣 私もよく覚えております。あのときに、私の発言に対して一部罵声が飛びました。それはなぜかというと、集会の目的は普天間基地の即時返還ということだったわけであります、即時閉鎖、返還。私は、それがテーマであるけれども、しかし、ここは心を一つにして、まずは県外ということを実現していこうということを述べた。そのことに対して、もちろん拍手もありましたが、罵声も飛んだということでございます。そういう集会でした。

 私としては、沖縄にある米軍基地を直ちに閉鎖して返せというのは行き過ぎだろう、そういう思いの中で述べさせていただいたところでございます。

 なお、その代表の時代、私は代表を二〇〇五年の衆議院選挙でやめておりますが、その後、日米の間で普天間基地に関する合意ができたわけであります。そういう合意ができるまでの、そういう状況での私の発言であったということでございます。

赤嶺委員 一九七一年に沖縄国会が開かれます。沖縄返還をめぐる国会でありました。そのときに、沖縄の米軍基地には核弾頭も貯蔵され、そして核攻撃ができるメースBも展開し、出撃基地としてベトナム戦争にも出撃をしていた時期ですね。県民の人権はことごとく虫けらのように扱われていた時期ですが、そのときに当時の佐藤首相は、復帰すれば、安保条約の枠内において米軍の基地、施設を使用し、また基地を提供することになるのだから、実質的に変化があるんです、変化するんですと。米軍の直接施政権のもとにあった米軍基地と安保条約のもとにあった米軍基地とは変化しているはずですと言いながら、その裏で核密約やら沖縄返還密約を結んでいたわけですが、今でも、米軍の基地の自由使用、あるいは出撃、補給訓練という米軍の勝手で横暴な基地運用は何も変わっていないです。施設外での訓練が多くなってくるから、施設外での訓練が一概に地位協定違反ではないなどと言い出す外務省も我が国の政府にはいるわけですね。

 国土面積の〇・六%にすぎない沖縄県に全国の米軍の専用施設面積の七四%が集中したのは、沖縄を占領下に置いた米軍が、住民の同意も得ないで、勝手に基地を建設することが可能だったからであります。先ほどから、海兵隊は陸と空は一体だ、あんな広大な演習場を移す場所なんかどこにもないと。しかし、あんな広大な演習場をつくることを可能にしたのは何ですか。沖縄が米軍の施政権下に置かれて、日本の国内法が一切適用されない、土地の取り上げもアメリカのやりたい放題、だから大きな米軍基地ができたんじゃないですか。外務大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 委員の触れられた個々のことは別にして、復帰前の沖縄というのは日本の法令が適用されず、そういう中で、米軍の施政権下、沖縄というものがあったということは事実であります。だからこそ、先ほどの佐藤首相の当時の発言、復帰をすれば日本の法令が適用される、したがって状況は変わるんだということは、それはそれで一定の合理性を持った発言だと私は思います。

赤嶺委員 合理性を持っていたかどうかは、その後の歴史で検証されるんですよ。

 結局、復帰前と変わらぬ基地の使い方、広大な米軍基地。日本の国内法も適用されないで、アメリカが、まさに人間が住んでいた家屋を奪い、土地を奪い、そして補償もやらない。国際法に違反した形であれだけの広大な基地を取り上げたんですよ。今、ああいう基地は日本全国どこにもありませんから、やはり引き続き沖縄に海兵隊を置きましょうというのは、余りにも歴史を無視した不当な言い方じゃないですか、それは。

岡田国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本に沖縄が復帰するまでの間は日本の法令は適用されなかった。その間、さまざまな、民有地を含む土地を米軍が接収して建設したということは確かにありました。もちろん、復帰後、日本の法令が適用されることによって、そういうことはございません。

 沖縄の基地の現状、委員もおっしゃったように、狭い地域に専用基地が密集している、そこに集中的にあるということを何とかしたいという思いの中で、鳩山総理も沖縄の負担の軽減ということで取り組んでいるわけであります。

 この普天間基地の問題、内閣としてはかなりのエネルギーを注いでおりますし、その結果として、失ったものも私はたくさんあるというふうに思います。国民からもたくさんの御批判をいただいております。しかし、それだけのものをかけてやる価値があるというふうに鳩山総理も我々も思うからこそ、今この問題について懸命に取り組んでいるということであります。

 委員とは議論の前提が違うわけで、やはり米軍の存在なくして日本の国民の命が、日本の安定と平和というものが維持できるかどうかという問題であります。私は、それは今の自衛隊の能力だけでは無理だし、今の憲法下に、専守防衛ということでありますので、それだけでは足らない、したがって米軍の存在が必要である。もちろん、日本を守るためだけにあるというふうに私は言うつもりはありませんが、しかし、米軍の存在なくして、私は日本の内閣を構成する閣僚として、それで日本が大丈夫ですということは言えないということは、国民の皆さんに率直に語っておりますし、ぜひそのことは国民の皆さんに理解していただきたいというふうに思っております。

赤嶺委員 外務大臣、議論していくと、最後は必ず、私との間で前提が違うというお話をなさいますけれども、前提が違っているのは外務大臣と沖縄県民の側なんですよ。県民の願いは普天間基地の撤去にとどまらないんです。

 沖縄県は、今度、長期的な沖縄の将来像を描き、その実現に向けた取り組みを明らかにした基本構想、沖縄二十一世紀ビジョンというのをつくりました。この中に、基地のない沖縄を目指すことを明記いたしました。

 仲井眞知事も県民大会で、あいさつの最後に、県民の力を得て沖縄二十一世紀ビジョンをつくった、二十一世紀は基地のない平和な沖縄を目指すことが基本だ、ぜひチャレンジしていこうと訴えています。いろいろ複雑な思いを県民は知事に持っていますけれども、この部分だけは万雷の拍手でしたよ。

 県民が願うのは、基地のない平和な、豊かな沖縄ですよ。これを、安保条約だ、安保条約だと言って県民の総意に逆らって押しつけようとしているのが、皆さんの安保論であり、抑止力論であるわけですよ。やはり二十一世紀沖縄ビジョンで基地のない沖縄を目指そうと県民がそのビジョンに書き込んだ、これを重く受けとめて仕事をするのが、外交をするのが外務大臣の役割ではありませんか。いかがですか。

岡田国務大臣 基地がこれだけ集中している沖縄県民の皆様の思いということは十分に理解をしながら、そして、その負担の軽減ということでしっかりとやっていかなければいけないことは事実であります。

 ただ同時に、日本政府の閣僚として、日本国民の平和といいますか、外部からの侵略にさらされることなく平和に生活できる、そのことを確保していくということも、私は外務大臣としての大きな職責だというふうに考えております。

 この二つをいかに両立していくかということで、簡単な話ではありませんが、そのために私の責任を果たしていきたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 ですから、外務大臣は、今の日本の政府の外交姿勢は沖縄県民の総意と前提が違う、間違っているのは政府の側なんだという思いを抱いて沖縄の基地問題に取り組むよう、強く求めていきたいと思います。

 終わります。

安住委員長 次に、中野譲君。

中野(譲)委員 民主党の中野譲でございます。

 私は、最初の質問を防衛大臣にしたかったんですが、おトイレということなので、ちょっとずらしてやらせていただきたいと思います。

 きょうは、私は、自衛隊の海外派遣と国会の関与のあり方、そしてシビリアンコントロールについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私も、二〇〇三年に当選をしまして一年十カ月、きょう息子さんもいらっしゃいますが、突然、小泉さんの解散で見事に吹き飛ばされまして、四年ぶりに国会の方に戻ってきたわけでございます。

 私、常日ごろから考えておりますことは、やはり外交、安全保障は与党も野党も関係ないのではないか、そこにあるのは、国民そして国家の国益、そしてよりよい政策を実現していくことではないのかというふうに思っているわけでございますが、まず、ちょっと事実確認だけ整理をさせていただきたいと思います。

 イラク特措法、旧テロ特措法、そしてミサイル防衛、新テロ特措法、そして、今行われております海賊対処法案の国会の関与のあり方についてお聞きをしたいと思います。

 私の理解でいくと、国会の関与というのは、事前承認、事後承認あるいは報告というのが主な三つだと思いますので、今の法案について、現在どのような枠組みでくくられているのかをまずお聞かせください。

長島大臣政務官 お答え申し上げます。

 中野議員とは同期で、ともにこの国会の関与の重要性について何度も議論をしてきた間柄でありますので、基本的な問題認識は共有をしているという前提でございます。

 自衛隊の活動につきましては、その活動の地域が国内であろうが海外であろうが、きちっとシビリアンコントロールをきかせていくという原則については揺るぎのないものであるというふうに認識をしております。それぞれの活動の趣旨、目的、内容、態様、こういうものを勘案して、個別に国会の関与のあり方というのは判断をされなければならない、こう思っています。

 今、中野議員が五つ例示をされました。

 まず、旧テロ特措法につきましては、派遣について事後承認ということになっております。そして、基本計画の報告そして活動結果の報告が規定をされております。

 また、イラク特措法におきましては、これも、派遣についての事後承認、そして基本計画の報告、さらには活動の結果の報告、これが規定をされております。

 また、自衛隊法上の弾道ミサイル等に対する破壊措置につきましては、措置の結果の報告というものが規定をされております。

 それから補給支援特措法、これは旧テロ特措法から改正をされたものでありますが、この補給支援特措法は、実施計画の報告、そして活動の結果の国会報告が規定をされております。

 そして最後に、海賊対処法におきましては、海賊対処のための自衛隊の行動を総理が承認した旨の国会報告、そして対処要項の内容の報告、さらには行動の結果の報告が、それぞれ規定をされております。

 以上申し上げましたように、国会の関与につきましては、それぞれの活動を個別に分析して、承認または国会への報告、こういう分類で、過去の経験なども踏まえて、きちんとしたシビリアンコントロールが発揮されるよう努めてまいりたい、このように思っております。

中野(譲)委員 今御紹介いただいた法案について、私たちが野党の時代の民主党の国会関与のあり方は、各法案についてはどのような立ち位置であったのか、もう一つは、最終的にはその賛否は、民主党としては賛成だったのか反対だったのか、もう一度ちょっと整理をぜひしていただきたいと思います。

長島大臣政務官 だんだんお答えが難しくなってくるわけでありますが、今申し上げましたいずれの法案についても、私ども民主党は、当時、野党として、最終的には法案に反対をいたしました。

 今、中野議員の御質問は、国会の関与に絞ってお尋ねでありますので、その国会の関与に関しての私どもの反対の理由をこれから申し述べたいと思いますが、その反対の理由は、必ずしも国会の関与だけに絞って反対をしたわけではないということもあわせて御認識をいただきたいと思います。

 まずは、旧テロ特措法でありますが、自衛隊の海外派遣に対するシビリアンコントロールを十分にきかせるという理由から、事前の承認が必要だという主張を私どもはいたしました。

 イラク特措法も、同じく、イラク情勢及び民主的統制の観点から、事前の承認ということを主張いたしました。

 それから、弾道ミサイル等の破壊措置につきましては、命令が発令された後、承認、不承認ということになりますと、発令された命令が仮に不承認とされた場合には命令の効果はその後どうなるのかということに対して責任が持てないということで、政府案では国会報告だったわけですけれども、私どもは、承認と国会報告のちょうど中間であります承諾という提案をして、これが否決されております。

 この承諾の議決の効果でありますが、私どもの当時の主張では、承諾の議決が仮に得られなくても、破壊措置の効果を覆すことなく、しかし政府の政治責任は追及することが可能だ、こういうことで承諾という手段を主張いたしました。

 それから、補給支援特措法、海賊対処法、これはいずれも、自衛隊という実力組織を海外に派遣することになりますので、国会の事前承認ということでそれぞれ主張をさせていただきました。

中野(譲)委員 大臣がお戻りなので、今、大臣がお戻りになる前に、ちょっと事実確認だけさせていただきました。

 自衛隊が海外に派遣されるときに、私たちが野党のときは、国会の関与のあり方、やはり政府案と随分と異なる部分もありまして、結果的には、今御報告いただいた五つの法案は民主党はすべて反対をしたわけでございます。

 私は、繰り返しになりますけれども、与党、野党関係なく、国会議員としてあるべき姿は何かということを日ごろ考えているものですから、質問するに当たっても、与党、野党というのはないというふうな理解でいるんですね。大臣はどのようにお考えになりますか。

北澤国務大臣 我が国の主権は国民にあるわけでありまして、その国民の主権を執行するのは、国民に民主主義の中で選ばれた国会議員がやるわけであります。

 シビリアンコントロールというのは、国民に負託された国会議員がこれをきちんと執行する、そういう意味において、国会の承認であるとか報告であるということは極めて重要なことであります。しかし、実力部隊が敏速に行動しなければならぬという事態があった場合に、それを全部国会事前承認で縛って、効力が発生しない、あるいは大変なおくれを来すというようなことについては、国会の中で十分に議論をした中で決めていくという基本的な考え方を私は持っております。

中野(譲)委員 私も、質問をする前に、これはどこの省庁とかいうことは申し上げませんが、このような形の質問をしたいと言いますと、与党なんだからとか、与党的な質問をしてほしいとか、そういうようなことを結構言われるんですね。先ほど、小泉委員の質問を聞いておりまして、私たちは、残念ながらというか、あのような質問の仕方は与党の立場としてはできないと思うんですが、質問の内容としては、やはり言うべきことはきちっと言うべきだというふうに思っております。

 それで、今大臣お答えいただきましたけれども、私がなぜこの問題に常日ごろこだわっているかと申し上げますと、やはり責任を持つ立場になった与党として、かつて私たちが国会の関与のあり方とかシビリアンコントロールのあり方についてなぜ反対をしてきたのかということを、それを一つの国民に対する外交、安全保障のあり方として、私たちは私たちなりにずっと訴えてきた責任があると思うんです。それが、与党になったときに、私たちが言ってきたことと今やっていることのはざまがどうしても生ずるのはわかるんですけれども、そこのはざまについて、私は個人的には埋め合わせをする努力が必要だと思っております。

 例えば、国会関与のあり方でいえば、今行われております海賊対処法案にしましても、私たちは事前承認ということを申し上げてきました。先日、榛葉副大臣が、海上保安庁では対応し切れない場合は現実にある、だから、自衛隊に力をかしていただくことについては、私たちは与党の立場として受け入れるということをおっしゃいました。ただ、そのときに、受け入れることは受け入れるということで、現実的な路線を目指すことは大切だと思うんですが、受け入れ方の中に、私たちが先ほど申し上げたような溝を埋めていく努力をする必要は本当にないのかどうかということを大臣にお聞かせいただきたいと思います。

北澤国務大臣 この問題は国会という場における極めて根源的な質問でありますが、御案内のように、我が国は議院内閣制であるわけでありまして、議院内閣制であるから、時に国民の信頼をかち得て政権交代ができる、こういうことが前提になるわけですが、残念ながら、我が国の戦後六十年の歴史の中では、時に連立もありましたけれども、主体的には自由民主党の政権が続いたわけであります。

 したがって、国民の側からすると、その内閣の信頼性というものも大きな尺度になるわけでありまして、その信頼性の尺度というのはどういうことかというと、情報の開示であります。従来の政府がなかなか主要なところの情報を国会にも開示しないということで過ごしてきたことの弊害は当然あったわけであります。これからはそれぞれが内閣、与党を経験して、責任を持って政治を行うということになりますと、私は、そういう意味では情報の開示は非常に広がるし、それからまた政権に対する不信感というものも払拭されてくる。なかんずく外交とか防衛の問題については、お互いに、与野党問わず、信頼感を持って迅速な行動ができるような土壌をつくっていくことはこれから極めて重要だというふうに思っております。

中野(譲)委員 そうしますと、ちょっと一つ具体的な例で、これは四月六日の当委員会でございますが、公明党の佐藤委員の質問の中で、海賊対処法案について、佐藤委員は、野党の時代は民主党は反対をしたけれども、今この法案に対して、与党となってどのようなことを考えていらっしゃるのかという趣旨の質問をされまして、武正副大臣そして榛葉副大臣含めて、海上保安庁にこだわったんだけれども、自衛隊が対応する方がより有効に機能できるというふうに考えている、榛葉副大臣がそのような答弁をされました。その後、佐藤委員が、補給艦の追加派遣であるとかあるいはP3Cの追加派遣の可能性も含めて今後検討をしてみたらいかがでしょうかという質問に対して、北澤大臣が、十分現地の状況を把握しながら検討していきたいという答弁をされました。

 先ほどの話に戻りますけれども、やはり現場を見られて、恐らくいろいろな情報も、与党になり内閣になっていろいろなものを見る中で、より現実的な路線に私たちはかじを切るというか軌道修正をするということで、自衛隊の活用の仕方については、私は特に異議を申し立てることではないんです。

 ただ、そのときに、例えば、今後の自衛隊の海外派遣のときに、いろいろな活動をするときに、国会の関与とシビリアンコントロールについてはぜひもう一度整理をしていただくようなことを防衛省内でお考えをいただけないか。それは、先ほど申し上げたとおり、佐藤委員の質問に対して、例えば追加派遣や何かについても十分検討していくということをおっしゃっているのであれば、派遣の仕方についてどういうふうに国会の関与があるべきかということは、ぜひもう一度省内でお考えをいただきたいというふうに私自身は思うんですが、防衛大臣。

岡田国務大臣 先ほどからの委員の御指摘は、非常に大事なことを言っておられるというふうに思うんですね。

 私も、国会の事前承認ということは野党時代の主張で、特にテロ特措法を最初につくったときに、実はこの一点だけで我々は法案に賛成をしなかったわけであります。そういうことも過去にはございました。与党になったから急に変わったということではなくて、与党の立場を経験した、そのことを踏まえながら、しかし、シビリアンコントロールのあり方はいかにあるべきかということは、きちんとした議論が必要であるというふうに思っております。

 もう少し敷衍していろいろ言わせていただきますと、私は、外交とか安全保障に関して、もう少し与野党でお互い深い議論をしたいものだというふうに思います。そして、その前提はやはり情報の共有なんですね。しかし、情報を共有するということになると、場合によってはそれは守秘義務をかけなければいけないということも出てくると思います。そういう枠組みがないと、共有といってもなかなかできないわけであります。

 ですから、これは全員ということでは必ずしもありませんが、外交、安保について、限られた人々が、与野党問わず、一定の情報を持ち、そして賢明な判断をしていく、そういう仕組みづくりが何とかできないものかというふうに思っておりますし、委員会で、私が大臣になってからもそういう発言は過去にもしたことがございます。与党、野党ともなかなかそのことに対してはね返しがないのが、むしろちょっと残念に思っているぐらいであります。

 そういったことも進めながら、そして、いかにシビリアンコントロールはあるべきかということ、与党、野党、これはいつでもかわり得るというのが民主主義でありますので、与党だから、野党だからということではなくて、国民のためにどうあるべきかということをしっかりと議論する。ぜひそういう問題提起も、むしろ議員の方からも具体的にしていただき、党の中でも議論していただければ、あるいは党を超えて与野党で議論していただければ、大変有益なことではないかというふうに思っております。

長島大臣政務官 私も野党時代に、この国会関与については、自分で申し上げるのもなんですけれども、人後に落ちないつもりでおりました。ですから、何度も何度も国会で国会関与については質問をしてきた、そういう経験がございます。

 ただ、国会の関与はなぜ必要か。これは国会が関与することが目的ではないですね。国会が関与しなきゃならないのは、シビリアンコントロールを貫徹するためだ。

 シビリアンコントロールにはいろいろなレベルがあるわけですね。例えば国会がやる、あるいは内閣がやる、あるいは防衛大臣が自衛隊に直接シビリアンとしてコントロールをきかせる、いろいろなレベルがある。

 先ほど防衛大臣から、国民の信があって政権というものが成り立っている、こういう話がありました。私たちは、海賊対処法に事前承認が必要だといって反対をしました。しかし、今現在、我々は政権に入って、なぜ事前承認が必要かといったら、この海賊対処の活動というのは一体どういうものであるか、これがきちっと国益にかなうものであるのか、あるいは活動のメニューというものが実際に効果のあるものであるのか、こういうことをきちっと国会で議論する必要があるので、事前の承認が必要じゃないかと申し上げたわけですね。

 しかし、今度は我々が政権に入りました。当然のことながら、防衛大臣を中心にして、今やっている海賊対処の活動が実際国益にかなうものであるのか、あるいは我々が今まで非常に主張してきた、問題にしてきたそういう内容をクリアしたものなのかということを徹底的に検証して、そして実際に世界でも非常にいい評価を与えてもらっているし、自衛隊の活動としてもふさわしいものであるということで、改めて我々としてはこの活動を継続しようと。これも一つのシビリアンコントロールなんですね。ですから、ぜひそのことは我々の判断について信頼をしていただきたいというふうに思います。

 その上で、それでもまだ心配だというのであれば、やはりそれは立法府として、議員立法でも何でも結構でございます、もう一度この国会関与について、今まで、私はさっき五つの例を挙げましたけれども、過去の例をさかのぼってそういう提案をしていただくのも私は一つの考え方だというふうに思います。

 今現在、防衛省の中でも、過去のこの国会関与についてはかなりパッチワーク的になっていたという印象を私自身も持っていましたので、防衛大臣の指示で、実際に今、この国会関与のあり方がどうなのかということを検証している最中であることも、あわせて御報告をさせていただきたいというふうに思います。

中野(譲)委員 私も岡田大臣と気持ちは一つでございまして、今なぜもう一回再整理をしないといけないかというと、やはり外交、安全保障の問題が結局与野党間の政治的な駆け引きに使われてきた背景があって、本来あるべき姿はこういう姿なんだけれども、そのときそのときの与野党の勢力図によって、例えばここ何年かは、ねじれ現象がある中で、どのように法案を与党は通していくかというところの変な駆け引きの中に外交とか安全保障の問題がいつまでたっても巻き込まれてきた歴史があるわけですよね。

 ですから、今、長島政務官がおっしゃったように、それは私たちの方もきちっとその辺は整理をしていかないといけないと思いますが、今防衛省の方でも、パッチワーク的という表現をされましたが、もう一度、本来あるべき自衛隊の海外派遣のあり方というのはどうあるべきかということをやっていただいているということなので、またその点についてはどこかの機会で私たちにも御説明をいただければと思います。

 それで、前回の質問の中で、本会議の関係で時間が短くなってしまったものですから、ちょっとしり切れトンボになってしまいまして、これも私が個人的にこだわっている問題なんですが、前回のことをもう一度、若干簡単に繰り返させていただきます。

 ミサイル等のものが北朝鮮から飛来をしたときに、当然のことながら、ミサイル防衛で、イージス艦ないしPAC3でその飛翔物を撃ち落とす。第一義的にはイージス艦で撃ち落とすんだけれども、残念ながら一〇〇%の精度ではない、ゼロの可能性ではないということで、PAC3というシステムを日本は入れているわけでございます。

 そのときに、飛翔体に対してPAC3からミサイルを撃って破壊をするときに、これは必ず破損物、破片等が生じて、中には日本人の生命や財産に甚大な被害を及ぼすことがあるのではないんですか、そのときにどのような対応を政府としてはしないといけないかということを御質問させていただきました。

 北朝鮮からというふうに残念ながら一つの国をちょっと例として挙げざるを得ないわけですが、そのときに私が申し上げさせていただいたのは、北朝鮮から落ちてくる飛翔物に対して被害を受けたときに、国交のない国に対してどのような対応ができるかということでございます。

 例えば、明らかにそれが北朝鮮からの飛翔物であって、被害を受けている、損害は北朝鮮の方に賠償してもらわないといけないというときに、どのような対応をするか。恐らく、外交交渉になるかどうかわかりませんが、窓口は外務省になるのかなと思いますが、岡田大臣、それでよろしいんでしょうか。

武正副大臣 御指摘の点について、相手国の行為の態様や被害の具体的な状況など、個別具体の事例に即して判断する必要がありますが、いずれにせよ、日本政府を代表して行う外国との交渉は外務省が担当することになります。

中野(譲)委員 外務省が担当して北朝鮮とやりとりをしたとしても、今までの経緯からして、お金を払ってくださいと言って北朝鮮が払うことはまず一〇〇%ないのではないかということを前回の質問で私させていただきましたけれども、そのとき榛葉副大臣が、賠償責任について、国家賠償法に当たるのではないかという趣旨のことを、ちょっと読みますね。

  賠償責任でございますが、弾道ミサイル等に対する破壊措置は国の公権力の行使に当たるものであり、損害賠償については、国家賠償法に基づき整理をされるというふうに理解されると思っております。

  具体的には、国家賠償法第一条に言う、国の公権力の行使に当たる公務員が、その職務を行うについて、故意または過失によって違法に他人に損害を加えたときに該当しなければ、国は賠償責任を負わないという原則が適用されるというふうに思います。

ということですから、故意または過失ではないので国の国家賠償の枠組みではないというふうな理解でよろしいのかどうかをもう一度御答弁いただきたいと思います。

榛葉副大臣 そのような理解でよろしいかと思います。

 あくまでも、弾道ミサイル等のものに対する破壊措置は専ら受動的な措置ということになりますから、今委員のおっしゃったとおりになろうかと思います。

中野(譲)委員 ある省庁というか、ある部署にこの話をいたしました。そうしますと、結局、ミサイル防衛をしてPAC3からミサイルを発射するのは防衛省なんだけれども、その後、損害賠償等々を含めて実際に対外交渉をするときには、外務省も当然のことながらかかわってくる。ただ、そのときに、賠償金を北朝鮮からお払いいただけないときに、先日も申し上げましたけれども、目の前で被害を受けられている方々がいて、困っている日本の国民がいるときにどのような対応をされるんですかということをある部署に聞きましたら、私はその部署が関係すると思っているんですね、ただ残念なことに、うちの関係する大臣は出さないでくれと。それは、ミサイルを発射している防衛省が撃たなければそういうことにはならないんだから、ミサイルを発射した防衛省がやるんだ、そういう非常に国民とか国益を考えないような官僚が残念ながらいるんですね。ただ、今回は私も与党なので、それ以上その方に、いや、ぜひ出席してくださいという話はいたしませんでしたが。

 大臣にちょっとお聞かせをいただきたいのは、今のような状況で、お金は払ってもらえない、でも日本国としては、国家賠償に当たるような故意とか瑕疵が日本国にない、ただ目の前には実際に被害を受けられた日本の国民がいるというときに、どのような対応を防衛大臣としてはお考えになるか。

榛葉副大臣 今、中野委員が、お金を支払われないというふうに断言をされましたが、個別具体的、もしくは仮の段階で、どのような対応になるかということを断言することはできないということで、決してすべて賠償されないというわけではないと思います。

 外交交渉も、どのような国であれ我々は努力するべきでしょうし、起因する相手の行為というか、いろいろなことが想定されます。ひょっとして、ミサイルだけではなくて衛星というようなものもあり得るかもしれませんし、いろいろなものが想定されますから、これはケース・バイ・ケースで対応が変わってくるというふうに思っております。

 いずれにせよ、相手国との交渉並びに我が国の中でできる限りのことをやってこれに対応していくというふうに御理解をいただきたいと思います。

中野(譲)委員 いろいろなケースがあるのはわかるんですが、そうしましたら、今私が申し上げたようなケースは、実際に起きたときに対応ができる範疇にある事案というふうに考えてよろしいのかどうか、お聞かせください。

榛葉副大臣 大変いい御指摘でございまして、だからこそ、前回、時間がなくて議論が中途半端になったんですが、この問題は我々もしっかりと考えていかなければならないと思っております。

 ただ、事実関係を素直に申し上げますと、この損失補てんについては、今自衛隊の中には定規がないということでございます。

中野(譲)委員 質問時間が終了いたしましたので、最後に一言だけ申し上げさせていただきます。

 私も、先ほど申し上げたとおり、いや、これは防衛省の問題ではないでしょう、内閣全体として、こういうことが起きたときにはどういうふうな連携を組むのかということをお答えいただきたいということを申し上げたんですが、残念ながら、先ほどのようなことを私も言われまして、なかなかこちらサイドでアクセスをするのも難しいところもございます。防衛大臣、内閣の一員として、今私が申し上げたようなところもぜひ建設的に内閣の中で議論をされていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 昨日の地元沖縄の二紙は、嘉手納基地に飛来している米海兵隊岩国基地所属のFA18戦闘機が、沖縄近海の射爆撃場でクラスター爆弾を投下した可能性が高いと報じております。

 クラスター爆弾は、殺傷能力が高く、非人道的兵器として、日本政府が批准するオスロ条約でも使用が禁止をされております。

 外務省は、報道されている事実について、米軍に確認を求めたんでしょうか。

武正副大臣 照屋委員にお答えいたします。

 御指摘の報道について米側に確認をしたところ、米側は、日米安保条約の目的達成のために必要な訓練を定期的に行っているが、訓練内容、使用弾種、訓練実施場所等の詳細については、運用上の理由から明らかにできないとの回答でありました。

照屋委員 武正副大臣、この地元紙には、嘉手納基地でクラスター爆弾を米軍機に積み込む寸前の写真も鮮やかに掲載されている。だから、米軍が何と言おうと、やはり私は、日本政府として、オスロ条約も批准しているんですから、さらに厳重な申し入れをしてやめさせてもらいたいと思います。

 沖縄近海の射爆撃場でクラスター爆弾の投下訓練が行われている蓋然性が極めて高い、そのことに対して、岡田外務大臣、北澤防衛大臣はどのような御認識でしょうか。

武正副大臣 今の射爆撃場におけるクラスター爆弾の投下訓練についての認識ということでございますが、先ほどお答えしたとおりでありまして、この報道の米軍の訓練、これがクラスター弾の投下訓練であったことを前提の御質問にお答えすることは差し控えたいと思いますが、あくまで一般論として申し上げれば、米国はクラスター弾に関する条約を締結していないことから、在日米軍に対してこの条約上の義務が課されることにはなりません。また、我が国も、同条約上、在日米軍によるクラスター弾の保有、使用等を禁止する義務も負うことにはなりません。

 いずれにせよ、従来より、米側からは、米軍は日米安保条約の目的達成のために必要な訓練を行っている、そしてまた弾薬の保管、訓練の実施等に当たっては、厳重な管理体制のもと、安全の確保に万全を期しているとの説明を受けております。

 また、クラスター弾に関する条約の普遍化を進める努力については、我が国は、米国を含む条約未締結国に対して条約普遍化の働きかけを実施してきているほか、米中ロ等のクラスター弾の主要生産国及び保有国も参加する特定通常兵器使用禁止制限条約の枠組みにおいて、クラスター弾に関する議定書が作成されることを重視しておりまして、引き続き交渉に積極的に参加していく考えであります。

榛葉副大臣 今、武正副大臣が述べたことに尽きるわけでございまして、我が国も、一つでも多くの国々がこの条約に批准し、参加することをやはり支持していくということだろうと思っております。

照屋委員 どうぞ、岡田大臣、もう外務省の質問はありませんから、一分でも早く御退席ください。

 あとは北澤大臣に、ほんのりとした質問、それでいて厳しい質問をやりたいと思います。

 大臣は、五月十一日、仲井眞沖縄県知事と都内で会談をしておりますが、どのような話し合いをされたのでしょうか。

北澤国務大臣 仲井眞知事とは私が大臣に就任して以来のおつき合いでありますが、世代が同じだということもあって、大変率直な話し合いができる関係を醸成させていただいております。したがいまして、上京してきたときには、たびたび食事をともにしたりとかいうことをやっておるわけですが、五月十一日も、まさに夕食をともにしたいということで、会談を行ったわけであります。

 このときは、たまたま、御存じのように、十二日に審議官クラスで米国のワシントンで協議があるというようなことでもありましたので、ちょうどその一日前ということで、政府の考え方についておおよそ、口頭ではありますが、御説明を申し上げた次第であります。

照屋委員 県知事は夕飯を食べただけだと言っておりますが、やはりそうはいかぬと思いますよね。夕飯なんか、吉野家の牛どんを食べればいいので。

 それで、今おっしゃるように、知事との会談で、十二日からワシントンで行われた日米実務者協議にいわゆる政府原案としてアメリカに提起した内容は、口頭か書面かは別として、説明されたんでしょう。

北澤国務大臣 現在、総理を入れた五閣僚で検討をしておりまして、その方向性はお互いに共有し合ったわけでありますが、それを、地元あるいは米側に対して、要するに、案を作成する上において支障があるかないかというようなことも含めて事前の調整をするというのが十二日の段階でありましたから、これについて、沖縄の知事に鳩山総理が一部沖縄に御迷惑をかけるという表明もされておりますので、私の立場から、もし御迷惑をおかけする、御協力をいただかなければならぬという場合には、今こんなことも検討されておりますよというようなことをお話し申し上げたということであります。

照屋委員 北澤大臣は非常に正直者でいらっしゃるから、私も大好きなんですよね。

 それで、北澤大臣は、五月十一日の、もちろんそれ以前にも会っていますが、仲井眞知事との会談をもって、普天間移設問題について沖縄県との協議を開始した、あるいは協議は開始をされたとの認識はお持ちなんでしょうか。

北澤国務大臣 この件は午前中に質問がございまして答弁申し上げておるわけでありますが、仲井眞知事も、やはり口頭ではだめだ、本格的な協議ということになれば紙にしたものを欲しい、こういうふうにおっしゃっておりますから、我々も信義上そうすべきだというふうに思っておりますので、したがって、五月十一日は、正式な申し入れとか会談であるということではなくて、いささかの情報の開示を申し上げて、知事のお持ちになっておる気持ちも私の方とすれば承知をしたい、こういうことで行われたわけであります。

照屋委員 そうすると、仲井眞知事は、大臣との会談で、本格的な協議というには文書による提示が必要だ、こういうふうにおっしゃったんでしょうか。

北澤国務大臣 お行き合いした後、知事も報道陣に囲まれて発言しておられますが、その節も、私と話したときと同じように、きちんとした協議ということになれば、それはあくまでもペーパーで示してほしい、こういうふうに私に要請をされました。

照屋委員 ペーパーは示していない、お渡しをしていないんだが、ペーパーになる内容については大臣から口頭で知事に伝えたんでしょうか。

北澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、総理を入れた五閣僚の中で共有している事項、認識、それから沖縄に対してお願いをしなければならないようなこと、そういうことをあらあら申し上げたというふうに記憶しています。

照屋委員 大臣がおっしゃる五閣僚で共有している認識というのは、五月十二日、ワシントンの実務者協議で米側に提示した内容でしょうか。

北澤国務大臣 協議した者たちがまだ帰国しておりませんので、どの範囲まで協議をしたかということについてはつまびらかではございませんが、方向性とすればほぼ同じものである、しかし、沖縄にかかわりのない部分が幾つかあるということになれば、それはまた別問題だというふうに思います。

照屋委員 そうすると、日米実務者協議で話し合われたシュワブ沿岸部、辺野古周辺という、くい打ち工法なり、そういうものは知事には御説明していないと。

北澤国務大臣 場所であるとか工法であるとか、そういうものについては、まだ鳩山総理のもとで我々は特定しておりませんので、お話はしてございません。

照屋委員 最後に、大臣に確かめるというか確認をしたいのは、北澤大臣は、普天間飛行場の県内移設、沖縄県への移設、工法は別、あるいは場所は問わないでも、県内移設について仲井眞知事が理解を示しているとの御認識をお持ちでしょうか。

北澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、場所を特定せず、工法を特定せずということでありますから、そういう状況の中で仲井眞知事が認識をお持ちになるのはなかなか難しい、また、そうであったというふうに私が申し上げるのは無礼に当たりますので、あらあらの話をしたということで御理解をいただきたいと思います。

照屋委員 大臣、工法、場所は別として、県内移設、県内へ移すということについては知事は理解を示した、こういうふうに大臣は受けとめていらっしゃるんでしょうか。

北澤国務大臣 親しき仲にも礼儀ありでありまして、私は、知事が、ペーパーもない、それからあらあらの話で、沖縄百三十万を代表した知事として、そういうことはよもや思いはしないと。失望したというような表現も使っておるわけでありますから、その辺から御理解をいただきたい。

 私は、ぜひ今後とも理解を深めていただきたいという強い思いはありますが、まだそういう意味での具体的なものをお示しできない段階で知事に強要するということは全く考えておりません。

照屋委員 終わります。

安住委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十七分散会


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