衆議院

メインへスキップ



第6号 平成22年5月28日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十二年五月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 安住  淳君

   理事 生方 幸夫君 理事 神風 英男君

   理事 玉城デニー君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 新藤 義孝君

   理事 中谷  元君 理事 佐藤 茂樹君

      海江田万里君    楠田 大蔵君

      小林千代美君    阪口 直人君

      高橋 昭一君    橘  秀徳君

      津島 恭一君    中島 正純君

      中塚 一宏君    中野  譲君

      長島 昭久君    藤田 大助君

      鷲尾英一郎君    渡辺浩一郎君

      岩屋  毅君    江渡 聡徳君

      小泉進次郎君    武田 良太君

      福井  照君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君    下地 幹郎君

    …………………………………

   外務大臣         岡田 克也君

   防衛大臣         北澤 俊美君

   防衛副大臣        榛葉賀津也君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   防衛大臣政務官      楠田 大蔵君

   防衛大臣政務官      長島 昭久君

   安全保障委員会専門員   金澤 昭夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  小林千代美君     阪口 直人君

  藤田 大助君     中島 正純君

同日

 辞任         補欠選任

  阪口 直人君     小林千代美君

  中島 正純君     藤田 大助君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)

 国の安全保障に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

安住委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。岡田外務大臣。

岡田国務大臣 それでは、私から、日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2のまとまった結果について御報告申し上げたいと思います。ポイントだけ申し上げます。

 お手元に資料も届いているかと思いますが、一枚めくっていただいて、二ページからごらんいただきたいと思います。「両政府は、オーバーランを含み、護岸を除いて千八百メートルの長さの滑走路を持つ代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する意図を確認した。」「代替の施設の位置、配置及び工法に関する専門家による検討を速やかに(いかなる場合でも二〇一〇年八月末日までに)完了させ、検証及び確認を次回のSCCまでに完了させることを決定した。 両政府は、代替の施設の環境影響評価手続及び建設が著しい遅延がなく完了できることを確保するような方法で、代替の施設を設置し、配置し、建設する意図を確認した。」

 それから、各項目でありますが、訓練移転であります。「両政府は、二国間及び単独の訓練を含め、米軍の活動の沖縄県外への移転を拡充することを決意した。この関連で、適切な施設が整備されることを条件として、徳之島の活用が検討される。日本本土の自衛隊の施設・区域も活用され得る。両政府は、また、グアム等日本国外への訓練の移転を検討することを決意した。」

 環境であります。後段の方をごらんいただきたいと思いますが、「閣僚は、環境関連事故の際の米軍施設・区域への合理的な立入り、返還前の環境調査のための米軍施設・区域への合理的な立入りを含む環境に関する合意を速やかに、かつ、真剣に検討することを、事務当局に指示した。」

 施設の共同使用であります。「両政府は、二国間のより緊密な運用調整、相互運用性の改善及び地元とのより強固な関係に寄与するような米軍と自衛隊との間の施設の共同使用を拡大する機会を検討する意図を有する。」

 三ページであります。訓練区域。「ホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除を決定し、その他の措置についての協議を継続することを決意した。」

 グアム移転。「二〇〇九年二月十七日のグアム協定に従い、3MEFの要員約八千人及びその家族約九千人の沖縄からグアムへの移転が着実に実施されることを確認した。このグアムへの移転は、代替の施設の完成に向けての日本政府による具体的な進展にかかっている。」

 それから、嘉手納以南の施設・区域の返還の促進であります。「両政府は、嘉手納以南の施設・区域の返還が、「再編の実施のための日米ロードマップ」に従って着実に実施されることを確認した。加えて、両政府は、キャンプ瑞慶覧の「インダストリアル・コリドー」及び牧港補給地区の一部が早期返還における優先分野であることを決定した。」

 嘉手納の騒音軽減。「航空訓練移転プログラムの改善を含む沖縄県外における二国間及び単独の訓練の拡充、沖縄に関する特別行動委員会の最終報告の着実な実施等の措置を通じた、嘉手納における更なる騒音軽減への決意を確認した。」

 最後でありますが、沖縄の自治体との意思疎通及び協力。「米軍のプレゼンスに関連する諸問題について、沖縄の自治体との意思疎通を強化する意図を確認した。」ということであります。

 そして、最後のところに書いてありますように、「現在進行中の両国間の安全保障に係る対話を強化することを決意した。この安全保障に係る対話においては、伝統的な安全保障上の脅威に取り組むとともに、新たな協力分野にも焦点を当てる。」

 概略、以上でございます。

    ―――――――――――――

安住委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷委員 先ほど日米両政府の安保共同声明の発表の説明をいただきましたが、ここにはいろいろなポイントが書かれておりまして、まず、この文書は、二〇〇六年の「「再編の実施のための日米ロードマップ」に記された再編案を着実に実施する決意を確認した。」と書かれております。

 伺いますが、この日米ロードマップに記された再編案の中に辺野古沖のいわゆるV字形滑走路、これは地図まで付されて合意をされておりますが、その再編案を着実に実施する決意を確認するということでよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 その点については、先ほど申し上げましたように、そのことについて、二ページのところでありますが、「普天間飛行場のできる限り速やかな返還を実現するために、閣僚は、代替の施設の位置、配置及び工法に関する専門家による検討を速やかに(いかなる場合でも二〇一〇年八月末日までに)完了させ、検証及び確認を次回のSCCまでに完了させることを決定した。」と。検証及び確認というのは、一ページの最後に出てくるわけでありますが、「両政府は、この普天間飛行場の移設計画が、安全性、運用上の所要、騒音による影響、環境面の考慮、地元への影響等の要素を適切に考慮しているものとなるよう、これを検証し、確認する意図を有する。」

 つまり、ここに書かれた、位置、配置、工法について専門家で八月末日までに検討する、そしてそのことを閣僚間で検証、確認し、次回のSCCまでに完了させるということでございます。

中谷委員 それでは、この案に書かれておりますV字形滑走路、検証、確認の上、このV字形滑走路に決定されるということもあり得る、排除できないという認識でよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 そのことについては、これから専門家の議論をまたなければなりませんが、あらゆる可能性がある。

 もちろん、その後に、二ページの先ほど読み上げましたところの次の段落で、「代替の施設の環境影響評価手続及び建設が著しい遅延がなく完了できることを確保するような方法で、代替の施設を設置し、配置し、建設する意図を確認した。」ということでありますので、著しい遅延が出てくるということであってはならないわけでありますけれども、しかし、それ以上の条件がついておりませんから、委員御指摘の点も含めて、さまざまな検討がこれから専門家あるいは閣僚ベースでなされるということでございます。

中谷委員 八月までに位置、配置、工法を完了させるということで、環境影響評価も含めた考察ということですが、環境影響評価などの検討なくして新しい工法とか位置とかいうのは決定ができないと思います。

 では、そうしますと、この環境影響評価を再び行わないということでとらえてよろしいのでしょうか。

岡田国務大臣 ここで決定するのは、八月末日までにというのは専門家であります。そして、検証及び確認を次回のSCCまでに完了するというのは閣僚であります。したがって、それまでに環境影響評価を終えていなければならないということではございません。

中谷委員 しかし、この全体計画を完了させる日が、従来と同じく二〇一四年に普天間の移転を完了させるということも書かれておりますので、今さら環境評価をやり直しますと、少なくとも三年はかかってしまうわけで、この移転が不可能になってまいります。その点は、現行の環境評価をもとに進めざるを得ないと考えますが、それでよろしいのでしょうか。

岡田国務大臣 そのことは何も語っておりません。ですから、今の環境影響評価を前提にするということを確認したわけではございません。むしろそうではないわけで、ただ、制約がかかっておりますのは、著しい遅延がなく完了できるということであります。

中谷委員 しかし、普天間のできる限り速やかな返還を実現するということでございますので、新たに環境調査をし直すという意味が本当にあるのかな、現行計画をそのまま実施すればより速く沖縄との話も進んでいくと思いますが、現行計画をそのまま使うことに対して何か障害になることがあるんでしょうか。

岡田国務大臣 そもそも現行の日米合意案は、沖縄県としては必ずしも受け入れているものではございません。それを沖合により出すということを知事も主張しておられたわけであります。その出し方によっては環境影響評価も今のままでは使えないということも、もともとあり得るというのが日米合意案だったというふうに私は理解をしております。

 そういうことも含めて、それはこれから検討していく課題、しかし、著しい遅延がないようにしなければならないということであります。

中谷委員 そうしますと、この合意文書の内容等を聞いて今の大臣の答弁を伺いますと、昨年の八月の時点、連立政権、新政権ができる前の状態、その前に戻ったというふうにとらえてよろしいんでしょうか。

岡田国務大臣 この紙をごらんいただきますと、単に戻ったということではなくて、そこにさまざま、より環境に優しいとか、あるいは負担が少ないとか、そういったものについて議論する余地があるということでございます。

 同時に、この紙、2プラス2の閣僚間の合意でありますが、これは、単に普天間の基地の移設先の問題だけではなくて、そのほかのさまざまな、訓練移転や環境などの負担軽減策も一つのパッケージとして打ち出されているということでございます。

中谷委員 八月までに工法などを決定するということでありますので、これは政府間の約束として実施をしていただきたいと思いますが、その間、問題はまだまだ残されております。

 一つは、連立政権内の意見調整の問題。朝の段階でも社民党は、日米共同声明に名護市辺野古の移設が盛り込まれたら反対すると言っております。国民新党も日米合意は現実不可能な案だと言い切って、両閣僚が党首でありまして、これではとても政府として決定したとだれも認めていないと思いますが、きょう発表された政府の共同発表は日本政府の合意文書であるととらえてよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 この共同発表は、2プラス2であります。ですから、両国の外務、防衛担当大臣の名前で出されております。しかし、もちろん、担当大臣だけがこの文書について出したわけではなくて、それは政府として責任を負うわけであります。

 いろいろ御心配いただいておりますが、そういったことは、きょうじゅうにこの文書について何らかの政府としての考え方を取りまとめる、そういう予定になっておりますので、それをぜひごらんいただきたいと思います。

中谷委員 そこには少し解せないことがありまして、何で今の時点で出したのか、なぜ一日待てなかったかということであります。

 つまり、政府が案を発表するということは、総理大臣も了解をした案でありまして、当然、閣議了解というか、閣僚全体の一致した合意、了解に基づく政府案ということであります。きょうじゅうに決着すると言っておりますが、本来はもう現時点で社民党や国民新党の閣僚の了解を得ておいて出せばいいものの、何でそれが調わないままに出したのか。少しおかしいと思いませんか、この発表のタイミングが。

岡田国務大臣 これは、日米の2プラス2で合意をして、そしてこのタイミングで発表するということを決めたものでございます。それに先立ちまして、鳩山総理は、オバマ大統領と電話で会談をし、そのことについて確認をしたところでございます。

中谷委員 それはいいんですけれども、閣内で了解がなされていないものを政府の発表ですよということで発表すること自体、おかしいとは思いませんか。

岡田国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、この紙自身は2プラス2で合意したものでございます。ですから、それを発表するということは、恐らく自民党政権時代においても同じように、2プラス2について、そういったやり方をしておられたのではないかと思います。

 しかし、当然これは政府として責任を負うわけでありますので、しかるべきタイミングで政府としての考え方というものをしっかりと打ち出していかなければならないということでございます。

中谷委員 そうなりますと、非常にいろいろな矛盾が出てくるんですが、きのうの二十七日ですけれども、官房長官が記者会見で、政府の対処方針の方が日米合意よりも重いんだという発言をされました。

 つまり、条約と国内法があった場合に、条約と国内法が違った場合は条約の方が国内法を縛るわけでありまして、そういう意味からしますと、政府決定というのは日米共同文書を受けた方針でありまして、効力は当然日米合意文書の方にあると考えます。これは社民党自身もそういうことを言っております。この日米合意の共同文書は政府対処方針の前提であると考えますが、外務大臣、これでよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 まず、今委員は条約と法律の関係について言われました。その限りにおいては、それはそのとおりであります。

 しかし、この文書は条約ではございません。両国閣僚の政治的意図をここに明らかにしたということでございます。それから、もちろん、今政府がやろうとしているのも法律ではございません。閣議において何らかの表明をするということでございます。ですから、条約、法律ということを例にとって説明されるのは必ずしも適切であるというふうに私は考えておりません。

 いずれにしても、大事なことは、今回のこの日米共同文書と、そして政府の取り組み方について明らかにしたもの、それがどういう形になるかということはまだ決めておりませんが、その二つがきちんと整合性があるということであります。

中谷委員 これは条約じゃないから、いい加減に考えてもいいんだというような話だと思いますが、それは全く違うんですね。両大臣が向こうのカウンターパートの両長官と会ってそれを約束したことでもありますし、また、政府として公式に、アメリカに対しても、これをやるということを共同で約束した文書ですから、これは条約に匹敵する、条約と同じような内容だと思いますが、いかがですか。

岡田国務大臣 こういう議論は厳密にした方がいいと思います。条約そのものではありません。

 しかし、政治的に両国政府、特に関係四閣僚が政治的な意図を明確に約束したものでありますから、それが軽いということを言っているわけではありません。方程式として議論した場合に、これを条約と言うのは私は正しくないということを申し上げているわけであります。

中谷委員 しかし、外務大臣、防衛大臣はこれをアメリカと約束した責任者であり、張本人でありまして、自分の体を張って約束したことは守っていかなければならないと思います。

 そういう点で伺いますが、これをより確実なものとするために、日本政府としてこれをしっかり意思決定すべきではないか、そのためには閣僚の了解、署名は当然もらうべきではないかと考えますが、この点はいかがですか。

岡田国務大臣 まず、私、それから北澤大臣も当然そうだというふうに考えますけれども、この共同文書は四閣僚がきちんと議論を行い、約束したものでありますので、これは確実に実施をしていく、その責任を負っているわけでございます。そのことに疑いの余地はございません。

 そして、それを政府としてどういう形で確認するかということは、まさしく今、官房長官が総理と相談しつつ議論を行っているところでありますので、そのできたものを見た上でまた御意見をいろいろいただければというふうに思っております。

 私は、きちんと整合性のとれたものにする、そのことだけは申し上げておきたいと思います。

中谷委員 やはり政府として決定するかしないかということは非常に大事な問題でありまして、相手国に対して、日本政府の約束ですよということを証明する。現に、これに反対をしたり、できっこないと言う人が閣僚におるわけですから、これは全く閣僚としてはあるまじき行為で、総理が総理の名のもとにおいてやろうとしていることに対して閣僚が反対を唱えたままでは、これは正式な政府の決定ではないのではないか。

 今検討されている案には、総理発言という形で、閣僚の署名を求めないやり方などが検討されているようでありますが、これでは政府決定ではないと思うんですね。中間報告ですよ、総理の声明では。

 そういう意味では、両大臣はきちんと、中間の総理の声明ではなくて、閣僚の了解のもとの政府決定とすべきであります。これは大事な問題だと思いますが、その点はどうお考えですか。

岡田国務大臣 どういう形をとるかということは、これは内閣の問題でありますので、内閣にお任せをいただきたい。その結果についていろいろこの場などを通じて御意見をいただくことは当然だと思いますが、決めるのは内閣であります。

 しかし、総理の考え方は揺らぎはございませんし、そして、私、この共同声明に署名した一人、つくった一人として、この共同声明を確実に実行していく、そういう責任を負っているということをはっきり申し上げておきたいと思います。

中谷委員 きょう、この問題は党首会談まで話し合いをされるということですが、しかし、決着の仕方において、二つの文書や二つの意見があったままで決着をさせるということは、非常に相手国に対して、国民に対して、また沖縄県民に対して、さまざまな人に対していろいろな誤解を招きますし、これこそ問題の決着にならない、いわゆる先送りになってしまいますが、この点はどうお考えですか。

岡田国務大臣 ですから、先ほど来申し上げておりますように、整合性のとれたものでなければならないということでございます。

 そして、この共同文書の中にも明記されておりますように、「代替施設の位置、配置及び工法に関する専門家による検討」というのは二〇一〇年八月末日までに決めるということになっております。ですから、先送りするとかそういった考え方に立っている、そういうふうには考えておりません。

中谷委員 それでは伺いますが、五月末決着ということを政府は約束しておりますが、じゃ、こういった状態で、決着をしたという認識でございますか。

岡田国務大臣 これは私の考え方、受けとめ方でありますので、総理は総理でまた何らかのお考えをお述べになるというふうに思いますが、五月末決着ということの意味は、国会で私も答弁をしておりますけれども、これは、沖縄の理解を得、そして米国政府の理解を得た上で政府として決定をするということであります。

 そういう意味で、沖縄の理解が現時点で得られているかというと、残念ながらそういうことは言えない状況であるということは率直に認めざるを得ないというふうに考えております。

中谷委員 そのとおりなんですね。やはり沖縄県も、この文書で書かれております徳之島も地元の理解も合意も得られていないということですが、せめて連立政権の合意を得られるということは必要最小限でございますけれども、この連立の合意を得られるかどうかについて、やはりこれは選択だと思います。つまり、連立政権の維持を選ぶのか、それとも日本の国の安全保障や政府の信頼、日米関係を選ぶのか、どちらかを選ばなければこの話は前に進みません。

 泣いて馬謖を切るという言葉がありますけれども、社民党の福島大臣の行動が我が国の安全保障の障害となって、普天間問題の混乱、政府、閣僚内の意思の統一を阻害する要因になっているわけでありますが、両大臣は、この福島大臣の処遇、対処、これは辞任すべきであると考えますが、この点はいかがですか。

岡田国務大臣 まさしく今、連立与党の中で話し合いが行われているわけであります。したがって、そのことについて一閣僚である私が言及するのではなく、それは結果を見ていただきたいというふうに思っております。

北澤国務大臣 御質問の趣旨はまことに政治的には重い御質問でありますが、今外務大臣からも答弁されましたように、官房長官を中心にぎりぎりのところで政府内の意思統一を図る努力をしておりますので、今この時点でこれに対して私がコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

中谷委員 どうも担当大臣としては人ごとのようなとらえ方でありますが、事日本の防衛、安全保障、外交をつかさどる担当者といたしまして、現状のままではこの国の外交や安全保障に非常に障害となる、むしろ、日米間で約束を交わした時点でこのような状態を放置していたままではとても約束が実行できないと思います。

 改めて伺いますが、連立政権の維持と、日本の外交、安全保障のためにという点、どちらかを選ばなければ物事は進みませんが、どちらが優先されると思いますか。

岡田国務大臣 今、そういう二者択一の状況になっているわけではございません。先ほど北澤大臣も言われたように、官房長官を中心に、連立のパートナーとの議論、意見交換というものを続けているところでございます。ですから、議員の質問に直接お答えすることはできません。

 ただ、私の感想といいますか思いを言わせていただければ、今、日本を取り巻く安全保障環境はかなり重要なところに来ているというふうに思います。北朝鮮の発表といいますか公表しているところは相当な中身を含んでおります。そういう中で、内閣の中でいつまでも議論を続けているわけにはまいりません。私は、速やかにきちんと結論を出すということが必要だと思っております。

北澤国務大臣 今外務大臣が答弁したことに尽きるわけでありますが、一般論として政治を語れば、連立政権というのは世界各国でさまざまあるわけでありまして、そういう中で意見の調整を図るということは、それが意見の統一を図ることができるかできないかということは、その政権の強さ、弱さにも関係してくることであります。そういう意味では、先ほども申し上げましたけれども、国民の信頼を得るために閣内の統一を図る努力は極めて重要であるというふうに思っておりますので、今、官房長官の努力を期待しながら待っておるということであります。

 ただ、一般論で言わせていただければ、閣僚の一員として、これは特段福島大臣を指して言うわけではなくて、あくまでも一般論として申し上げれば、閣内において、特に安全保障のような極めて重要な課題について、もしどうしても意見が分かれるということであれば、それは政治家としての決断がまず先にあるべきであるというふうに思います。

中谷委員 まさにおっしゃるとおりなんですね。やはり総理としては、決断をする、そしてそれを身をもって実行するということが大事でありまして、余り閣内にそれに異を唱える者を抱えたままで政権が続きますと、それこそ、かなえの軽重、総理の力量というものを問われる事態になります。

 その一例として申し上げますが、二十三日に鳩山総理は沖縄を訪問しまして、移設先を名護市辺野古にする方針を沖縄県知事に表明しました。しかし、二十五日、社民党の福島党首は沖縄を訪問して、仲井眞知事に、鳩山首相が表明した辺野古への移設を拒否するように要請をして、そして閣内で移設に関する閣議決定や閣議了解、首相談話、いずれにも反対すると明言をされております。そして、何と、総理が言ったことに対して閣僚が、沖縄県と社民党が手をつなぎ歴史を変えましょうと呼びかけたわけであります。福島氏はその後、稲嶺名護市長とも会談をしましたが、名護市で開いた記者会見では、辺野古という文字が入った合意なら閣議決定でも閣議了解でも署名はしないと宣言をし、談話についても反対すると語っております。

 防衛大臣に伺いますが、これはクーデター、反乱行為ではありませんか。

北澤国務大臣 そういう発言をなさったということは私も報道を通じて承知をいたしておるわけでありまして、先ほど一般論を申し上げたわけでありますけれども、そこのところを何とか調整を図っていくというのも、これまた政治の大きなダイナミズムだというふうに思っております。

 卑近な例を挙げて恐縮でありますが、例えば郵政民営化のときのように、閣僚を罷免したり、あるいは党員を除名したりというようなことによって政党の崩壊につながる、これまた私どもも他山の石として参考にしなきゃならぬわけであります。

 国家の重要課題と政権の延命、継続、そういうことについては、これはまさに政治でありまして、民主党鳩山政権の力量が問われるところであります。私は、先ほど来申し上げておりますように、そういうことも含めて適切な判断が間もなく下されるだろうというふうに期待をいたしております。

中谷委員 私にとっては驚く発言でありまして、国家のために政党があって、政治家がいろいろなことをやっておりまして、やはり政治家として、内閣として、何が大事なのかと。

 すなわち、福島さんは閣僚であり大臣なんですね。内閣の構成の一員でありまして、その内閣の一員が沖縄へ行ってこれに反対を要請する、向こうの知事に、反対してくださいと。総理が行っているのにかかわらず、閣僚が行って、これに反対してくださいと働きかけをして、一緒に手を組んで歴史を変えましょうと言っているわけでありまして、これはまさしくクーデター。

 このクーデターという定義は、既存の支配勢力の内部で行われる政変のことをいうわけでありまして、閣僚でありながら、総理が辺野古に移設をしますよと言ったことに対して公然と反対をした上で、沖縄へ行って、総理大臣に反対してくれと働きかける、これはまさに反乱でございますが、こういう行為を同じ閣僚として容認するんでしょうか。

北澤国務大臣 既に日米で、担当大臣が2プラス2という舞台の中で確認をし合った事案でありますから、これは極めて重いわけでありまして、したがって、御懸念のあります福島大臣の件については、先ほど来申し上げておりますように、何としても了解を得るような努力が今続けられているということであります。

中谷委員 これは、防衛大臣は日本の防衛、安全の責任者であるという立場で、ましてみずからアメリカとお約束をした責任者であるから伺いますが、国の安全保障にとって、自衛隊という組織がございます。彼らは政治の流れを、発言することはできませんが、それを見ながら国の仕事をしているわけでありまして、北澤大臣はよく自衛官の服従の美学という言葉を言われますけれども、やはり尊厳、敬意なくして心からの服従というものはあり得ません。やはり服従させる側が安全保障に責任を持って、見識を持って的確に判断、命令、指示をするということが誇りの前提でございます。

 私は自衛隊時代に、教育の中で、指揮官は、企図の明示、自分がこう思うんだということを示すことが大事だと教わりましたけれども、やはり部下にしっかりと明示、方針を示すことが統率の基本でございます。

 君主論を書いたマキャベリは、軍事に通じていない君主はどんな不幸にも増して兵士たちから尊敬はされない、君主も部下を信頼できないと言っております。

 前回、総理は沖縄で、海兵隊の抑止力に思いが至らなかったと言いましたけれども、諸外国で一国の総理がこういうことを発言すると、とても軍としての士気、規律は保てないと感じますが、この抑止力に思いが至らなかったという発言、外務大臣、防衛大臣、お二人も防衛責任者ですが、総理と同じ認識なんでしょうか。

岡田国務大臣 その総理発言もたびたび国会で取り上げているわけでありますが、総理は非常に謙虚な方でありますから、委員がおっしゃったことに近いことは言ったかもしれませんが、現実がそうであるというふうに私は考えておりません。

北澤国務大臣 今外務大臣が答弁したのと全く同じ認識を持っておりまして、総理の謙虚さがたまたま誤解を生んだという側面は必ずしも否定できませんけれども、真意はまさに、しっかり安全保障というものを検証してきたということを総理なりの表現の仕方であらわしたのではないかというふうに理解しております。

中谷委員 総理大臣ですから、謙虚さだけで仕事は務まりません。やはりこの国の安全保障の責任者として、この八カ月、この期間は一体何だったのかと、やるせない思いであります。

 わかりやすく言いますと、レストランに入って食事を注文して、このレストランは飯がまずいといってお客さんを全部連れ出して、ずっとぐるぐる回った結果、どこも店があいていなくて、また帰ってきたという状態でありまして、まさに総理大臣としての見識が問われるわけでございます。

 総理大臣はシビリアンコントロールの最高責任者で、まさに権威と威厳がかかっております。米国と約束を守るということにも全力を尽くさなければなりませんが、それ以前に、国民との約束を守ることが求められております。

 そこで、最後に伺いますが、鳩山総理は、国外、少なくとも県外だとたんかを切って、政府案をけ飛ばして、そして沖縄県民をその気にさせたという点では、非常に大きな罪を犯しております。

 この点につきましては、沖縄県に行って県知事や名護市長に、多大な迷惑をかけたということでおわびはしましたが、やはりこれは国民に対しても、また国家に対しても、自分の言ったことができなかった、この五月末までに決着をさせるということもそうですけれども、ある意味、国民に対して謝罪と、そして反省の言葉が必要だと思います。

 総理大臣を直接補佐しております外務大臣、防衛大臣、この点について、少なくとも県外にということ、五月末までにこの問題を決着させることができなかったということに対して、国民に対して謝罪、反省の言葉がありましたら述べていただきたいと思います。

岡田国務大臣 私自身の考え方は先ほどお話をしたところでございます。五月末までにということを申し上げながら、沖縄県民の皆さんの御理解を得る状況にはなっていないということについては、私はおわびを申し上げなければならないというふうに思っております。そして、早くその御理解をいただき、今回、日米合意で決めたことをしっかりと実現していく、そのことが責任であるというふうに考えております。

 総理が御自身の発言についてどういうふうに考えておられるかということは、それは総理御自身がみずからの言葉でお述べになることだというふうに思っております。

北澤国務大臣 確かに八カ月過ぎたということは事実でありますけれども、ではこの八カ月が全くむなしかったのかということになれば、それはそういうことではなくて、先ほど外務大臣から日米の合意について御説明を申し上げましたように、前政権が米側と合意をした範囲以外の、訓練移転であるとか、あるいはまた代替の施設について、八月までに環境に配慮した新しい施設を目指すとか、さまざまなものが付加されておりますので、国民に謝罪するということについては、それを我々は受け入れるわけにはいかないというふうに思います。

中谷委員 全く反省をしておらないようでありますが、覆水盆に返らずという言葉があります。また、閣僚や総理にとって、ここは決断しなければならないときがあると思いますが、私は、その時点は昨年の十二月、十一月だったと思います。その時点で決断しておれば、これほど混乱せずに普天間の基地移転がスケジュールまでに実現できたと思っておりますが、そういう点では、全くその決断の時期を間違ってしまった。そして、覆水盆に返らず、この作業は今後ますます混乱をきわめていくんじゃないかと思っております。

 本日、まずもう一つの決断をしていただきたいということで、社民党を連立から排除することと、もう一点は、政府閣僚の署名をもらって正式に政府案とするということが肝心でございます。これをしないなら、ますます日本の安全保障においても影を落とすことになるのではないかということを申し述べまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

安住委員長 次に、新藤義孝君。

新藤委員 新藤義孝でございます。

 前回に引き続きまして、この普天間問題を質問させていただきたいと思います。

 この間、ちょうど二週間前なんですよね、この安保委員会が開かれたのは。その二週間前には、この問題はもう迷走に次ぐ迷走だ、混乱から迷走になって、そして国民の中に失望とさらには怒りまで巻き起こしてしまった、早く決着しなくてはいけない、与野党の別なく我々はこの解決の道を探ろう、こういうお話をいたしました。しかし、今、二週間たって、まさにこの状態は漂流状態。何とかきちっとした形を見せていかなければいけないという重大な局面に来ているというふうに思うんです。

 私は、今回の問題、何よりも政府が大いに反省していただきたいのは、いろいろと質疑をしてまいりましたが、何を検討しているのか、安全保障の論議や抑止力を維持する、こういったことがほとんど具体的なものがないままに、結局場所探しに終始した。自民党時代に決めたものとは違うものにしなくてはいけない、そこから抜け出ないまま八カ月がたってしまった。これを大いに、もうみんながわかっていることだから、反省をして、受けとめて、そして、今回、方針が決まろうとしているんだから、この方針を決めて、揺るぎないものにしなければいけない、このように思っているんです。とにかく前に進めていかなくては、この問題が日本の国力に、国に対して世界じゅうの信頼を失っている最大要因になってしまっていると私は思っていますので、ぜひしっかりとした議論をしたいというふうに思います。

 きょうは、日米の2プラス2、こういう節目となる文書が出ました。しかし、これは、前回の二〇〇六年五月の日米ロードマップを着実に実施する決意を確認したということなんですから、そもそもからして、大枠で言うと、今までのことを頑張りましょうと言っているだけのもの、こういうことになってしまいます。

 しかし、その中で、移設先として「キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する意図を確認した。」ということでございますから、これは非常に重要だったし、よいことだというふうに思うんです。日米合意の中で、移設場所が辺野古崎と特定されたということでございます。

 一方で、先ほどから話が出ていますけれども、これから、きょう午後、どういう日程になるのかわかりませんが、閣議が開かれて、政府対処方針を発表する、決定する。しかし、連立の社民党がこれに対して大きく反対をしている。日米合意文書に辺野古崎が入る限り署名はしない、賛成しない、このようにはっきりと福島党首は言っているわけですね。

 この状態、日米の合意文書と政府の対処方針が違う内容になる。社民党に配慮して、政府の対処方針からは移設先の場所が抜かれるという方針も聞いております。閣議決定ではなくて首相談話、首相発言、こういったもので何か対処方針を発表しよう、こういうような話も聞いております。

 政府対処方針の内容と日米合意文書が違う、これは完全なダブルスタンダード。新聞によっては究極の二枚舌、ここまで書かれちゃっている。これからどうなるかわかりませんよ。でも、少なくとも、これはダブルスタンダードを許しているわけにはいかないと私は思うんです。岡田大臣は先ほどから整合性をとると言っているけれども、言葉で幾ら理屈を重ねてみても、大もとがダブルスタンダードになっていれば話にならないんですから。

 その意味において、重要な発言がさらに加わりました。官房長官は、政府対処方針の方が日米合意よりも重いと発言している。辺野古の文言を入れないで、社民党も巻き込んだ形の政府対処方針を今後の調整で優先するということになれば、これは日米合意の確実な履行と相反するものになってきます。

 政府方針と日米合意はどちらが優先されるとお考えですか、外務大臣。

岡田国務大臣 政府方針なるものは、具体的なものが出てきた上で、決定された上で御議論いただかないと、今どういう表現がなされるかということを想定しても、それはまさしくこれから決まるわけであります。

 私からは、この二つの文書は整合性がとれたものでなければならない、そのことを申し上げているわけであります。一方の日米合意文書は既に公表されたわけでございます。それと整合性のある形で政府の何らかの文書というものがなければならないということであります。

新藤委員 大臣、私が聞いているのは、既に出た日米合意と整合性をとれたものにすべきかどうかということを聞いているのではなくて、今、もう既に出たこの日米合意文書と政府対処方針はどちらが重いのかということをお尋ねしているんです。

 それで、官房長官は政府対処方針の方が重いと言っているんですよ。だから私は聞いているんですよ。そんなことはあり得ないと思っているんですよ。最低でも同格ですよ。

 先ほどは、中谷委員の質問は、条約と法律とどちらが重いかと言うから、そうすると、あなたはまた言葉でもってそうやって条約と法律のことを言うけれども、条約ではないんだ、いや法律ではないんだ、そうやってすりかえちゃう。

 そうじゃなくて、政府対処方針と日米合意はどっちが優先されるんですか、その外務大臣としての見解をお聞かせください。

岡田国務大臣 まず、委員の議論の前提が、政府方針なるものと今回の合意文書に矛盾があるという前提であれば、どちらがという議論は非常に重要なことになるわけでありますが、そういうことがないようにするということを申し上げているわけであります。

 その上で、一般論として申し上げれば、政府の意図を明確にした政府方針、そして総理初め主要閣僚、特に関係閣僚、五閣僚ですけれども、相談の上、米国政府と結んだ2プラス2の合意文書、これはいずれも重要であります。

新藤委員 いずれも重要なんですよ。そのとおりですよ。

 だとすると、この官房長官の発言は間違っているんじゃないんですか。官房長官に、これは間違っていると進言すべきじゃないですか。どうですか。

岡田国務大臣 どういう状況下でどういう質問がなされ、そして官房長官が、その部分はわかりますけれども、それ以外に前後でどういうことを言われたか私は承知しておりません。委員もよく御存じのとおり、いろいろなことを考えてきちんと発言しても、そのうちの一部が切り出される、そこだけ報じられるということはよくあることでございますので、私はその発言一々についてはコメントいたしません。

 ただ、基本的考え方は先ほど申し上げたとおりであります。

新藤委員 私、これはきょう言うかどうか考えていたんですけれども、この間も申し上げましたけれども、私はこういう質問をするときにツイッターで、皆さん、大臣に意見を言いたいことがあったら言ってくれと、もらうんですよ。その中でいろいろな意見があって、私もそういうのを参考にしますよ。ただ、人が言っているからなんというつもりはないですよ。

 ただ、私はここで何度も岡田大臣とこうやって質疑させてもらっているけれども、岡田さんは、報道によるものについては一々答えないし、その前後が、何かそこだけ抜き出されたものについてというふうに、いつもそうやっておっしゃるんです。

 この件についてどういう意見が来ているかということ。国会で質問に答えず、その後の会見でぺらぺらしゃべって、それをもとに書かれた記事をもとにまた国会で質問されても、新聞の記事に書かれたことに一々答えないと言う、それは国会もメディアもばかにし過ぎている、特に岡田大臣、国会をこんなに注視するようになったのは初めてだ、政策云々以上に、そういう態度を人間としてずっと腹立たしく思っている、そういう国民のもどかしさをどうぞ伝えてくださいと。

 私の質疑をはぐらかしたって意味がないじゃないですか。重い発言をされているわけですよ。内閣として、やはりきっかりそこは、修正すべきは修正していかないと。官房長官発言がこのまま変にひとり歩きしていけば、アメリカとのこの合意文書が何だったのかということになっちゃうわけですから。ぜひ私の言葉を聞きとめていただきたいと思います。

 その上で、次に進みます。

 鳩山総理は、五月の二十三日に沖縄を訪問して、仲井眞知事に対して、普天間の代替地そのものは辺野古の付近にお願いせざるを得ないという結論に至った。結局、鳩山政権は、辺野古を白紙撤回して辺野古に戻ったということなわけです。

 今回の鳩山さんが言ったこと、そしてこの日米合意で発表された内容、これが政府の最終案と考えてよろしいんですか。岡田大臣、どうですか。

岡田国務大臣 まず、先ほどの委員の御指摘ですが、私は誠意を持って答弁しているというふうに思っておりますし、議事録をごらんいただければ、私がいかに正面から答えているか。ただし、やはり言葉は正確に用いなければなりませんから、先ほどの中谷委員の御発言なども、これは条約ではございませんし、法律ではございません。ですから、そういうことを正確に申し上げているわけであります。

 さて、今の御質問にお答えするとすれば、最終的なということの意味は必ずしもわかりませんが、この2プラス2、日米合意の文書、そこで「キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する意図を確認した。」ということでありますから、両国の外務、防衛担当大臣がそのことをはっきりと明らかにしたわけでございます。

新藤委員 これが最終案だということを私は願う。今言ったって、また変わるかもしれないと言うのかもしれないけれども、もうここで決めなきゃだめ。ですから、これを政府の最終案とすべきだと思います。

 時間があれば、じゃ、最終案だということになれば、これが鳩山さんの言う腹案だったのかということになって、腹案とは、鳩山さんの言っていることとは全然違いますよね。とすると、鳩山さんの腹案なんてなかったんじゃないのか。岡田大臣は、オフレコらしいけれども、腹案なんか知らないという話も聞いている。でも、それはもう答弁を求めない。とにかく、ごたごた、どたばたをここでやめなきゃだめ、私はそう思うんです。

 そこで、北澤防衛大臣にお尋ねします。

 二十二日、日米の大筋合意、これはルース大使と岡田外相とで大筋の合意がされたということでございますが、またこの中にも書いてあります、現行のアセスメントの著しい遅滞がなく完了できる範囲でこの仕事を進めるんだと。そうなりますと、建設地あるいはその工法は、現行案あるいはその微調整、私は前回も交渉ののり代だと申し上げましたけれども、この範囲にならざるを得ない。

 とすると、前回、QIP方式というのを、くい打ち桟橋方式を出しましたね。今、この現行の環境アセスメントの範囲の中でQIP方式というのは実現可能なんですか、まだQIP方式は今後も検討対象として残すんですか。

北澤国務大臣 この文書を正確に読んでいただければわかるわけでありますが、位置、工法については専門家で検討をする、しかも期限は限られておる、こういうことであります。

新藤委員 これは確認申し上げたいんです。

 だから、QIP方式というのは、今大臣がおっしゃったその範囲の中で実現可能な検討対象になるんでしょうかということをお尋ねしているんです。

北澤国務大臣 個別の方式、場所について今私がここで答えることは、予断を与えるということになりますので、御遠慮させていただきます。

新藤委員 もう揺れないで、決めてください。そのためには、そういう余計な要素はなるべく排除していかなければいけない。一点突破するのだって難しいものがたくさんあって、地元や連立のことを考えれば、今の日米合意だってできるかどうかわからない状態ですよ。大もとのところがぐらついちゃったら、それすらも、それがまた要因となって混乱する。だから、私はあえてここで申し上げているんです。個別具体のことが言えないというならば、しかし、その思いは受けとめていただきたいと思います。

 それから、鳩山総理は、今度の日米合意、そして鳩山さんが沖縄に行って言ったものは、現行案ではない、住民の安全と環境面に配慮する新しい形をつくりたいんだと。確かに、ここにグリーンアライアンスだとか、何かいろいろ入っています。でも、住民の安全と環境への配慮というのはこれまでのロードマップにだって入っていたし、訓練の移転なども検討しましょうというのは日米の中で話し合われたことでございます。

 一体、鳩山総理は自分たちが示している案は現行案と違うんだと言うんだけれども、何が違っているんですか。大臣、どうお考えですか。

北澤国務大臣 出発点は普天間飛行場の危険性の除去ということで、これは共通しておるわけであります。総理は、でき得れば沖縄県外へ何とか移設ができないかという思いを非常に強くしてスタートしたわけでありますが、御案内のとおり辺野古沖、こういうことで決定いたしました。

 そこで、何が違うのかということになれば、先ほど来申し上げておりますように、より環境に配慮をする、そしてまた訓練移転、基地の共同使用、それからまた沖縄が二十数項目にわたって延々と要求してきたものについても、この際これを解決する、さまざまなものを配慮しながらこの文書にたどり着いた、こういうことであります。

新藤委員 岡田さん以上に、鳩山さんは言葉をすりかえているだけじゃないか。ちょっと言い方、例えにしちゃったのは悪かったんですけれども。大臣としても言えないと思うけれども、変わらないですよ。重い言葉を軽く使い過ぎる、それが鳩山総理大臣、ここで言っても仕方ないんだけれども。だから、総理に来てほしいわけです。この安保委員会に何で来ないんだ、ずっと要求しているわけだけれども。

 それにしても、とにかく変わらないですよ。大臣が言えないなら、私が答えますから。こんなことで世間の目をそらしたって意味がない、このように思うんです。

 そして、北澤大臣は、今回この問題を決着させるに当たって、机をたたいて鳩山総理に決断を迫った、こういうことも新聞に出ていました。

 安全保障の専門的な知識を得て検討すれば今の案にならざるを得ないことは、これは大臣だったらばもうおわかりだったはずです。

 結局、私は、民主党政権の最大の失敗は、そういった知識もないままに、鳩山さんという代表が安保問題を選挙に持ち込んでしまった。政局や選挙に安保問題を使おうとしたこと、これを徹底的に反省してもらわなきゃならないわけです。

 ですから、その意味において、八カ月の迷走の末に今や漂流状態であるけれども、ようやっと岸にたどり着こうとしているならば、これは今後絶対変えないんだ、辺野古案の決断を迫ったその北澤大臣、今後この方針は変えない、ぶれない、その決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

北澤国務大臣 新聞報道に基づいてのことだと思いますが、私も真剣に議論はしますけれども、そんな荒ぶれて総理に御無礼なような態度をとるほど、もういい年をしておりますので、そのことは御理解をいただきたいというふうに思います。

 そこで、これはまさに、今、新藤委員がおっしゃるのは、鳩山政権としての完璧な設計図なんですよ。ですから、設計図を、その中に例えば位置だとか工法だとかいうのがありますが、これは施主との間の協議というのは必ずあるわけでありますから、この先、協議しなければならぬものはあるわけでありますけれども、おっしゃるとおり、この基本を変えるということはあり得ないというふうに御理解をいただきたい。

 それから、政治の場でありますから、それ見ろ、おれたちのやったところへ戻ってきたじゃないかと言いたい気持ちはわかりますが、我々は、新たに政権を担うことになって、沖縄の県民そしてまた我が国の国民の前で、先ほど来申し上げて、もう二度、三度と申し上げませんが、新たな総理の思いを酌んでこういうものを決定したということで、前政権のままのものを踏襲しているんではなくて、よりよいものを国民にお約束する、こういうことで御理解をいただきたいと思います。

新藤委員 いや、それはよく理解していますよ。しかも、私は、ほら言ったじゃないかとか、できっこないのに結局なんて、そんなことを言うつもりは全くない。それは必死でやっているんだから。だけれども、国のために決めなきゃいけないことが、つまらない要件で遠回りしたり、ふらふらしていることが困ると思っているんです。

 だから、この現行案、日米の合意を進めるために我々ももっと協力したいんですよ。そのことでもって責任を問うとか、そんなことじゃなくて、これを進めろというふうな思いで私はやっております。安全保障問題は、与党、野党、そんなことをやっていたらだめなんです。政局にしてはだめ。だから、ぜひ、その意味でも、逆に、しっかりとした御答弁もいただきたいというふうに思うんです。

 そこで、今、北澤大臣は、この方針から変えることはない、設計図を変えることはないということは、県外だとか国外なんというものはないということになるわけです。そして、辺野古崎に、ここで決めるということになったんです。

 そうすると、社民党は、それでは我々は一緒に仕事ができないということになって、今もめているわけです。先ほどから中谷委員に対する答弁を聞いていると、政治ですから、社民党と枠組みを崩すことなく調整することが政治の力量である、こういうお話をされましたけれども、信念や政策を変えてまで調整したって意味がないんじゃないですか。あちらの福島さんはチキンレースだと言っているけれども、自分の信念をかけて言っている。民主党は民主党で信念をかけて、自分たちのここは変えられないんだということをきちっと言うべきだと思うんです。

 岡田大臣、どうですか。今、北澤大臣は、設計図は変えないんだとおっしゃった。だけれども、社民党とのことを考えたら、何かでもしかすると将来的には県外、国外だとか、今回の移設先を明記しないだけではなくて、そういったところまで膨らませてしまったならば、これは全く意味のない暫定的なものになってしまうと思うんですけれども、今回、鳩山政権、岡田大臣は社民党との調整についてどういう考えで臨むべきだと思いますか。

岡田国務大臣 先ほど来答弁しておりますように、この日米共同文書というものは、既に両国政府が明らかにし、対外発表したものであります。したがって、これが変わることはございません。

新藤委員 だから、そうすると、社民党とどうやって調整すればいいんですか。連立離脱も辞さないと言っている。どうしても調整がつかなかったならば、そういったこともあり得ると。そして、既に岡田大臣は、福島党首が今回の行為は連立三党の合意に反している、それは違うとおっしゃっているんでしょう。

 沖縄に行ってあんなことまでやっちゃって、閣僚の中でこれだけ違うことをやっていて、そういう人を許すんですか。それはもちろん話し合いは必要ですよ。しかし、折り合いがつかなかったときに、今回の計画をねじ曲げてまで折り合いをつけるつもりなのか、それは調整するけれども、だめなときはだめだと、それだけの覚悟を持っているかということをお尋ねしたいんです。

岡田国務大臣 私が最近申し上げたことは、福島党首が三党合意、これは連立政権をつくるに当たって交わした文書でありますが、今回の日米共同文書がそのことに反しているというふうに言われますので、それは違うということを申し上げているわけであります。

 この三党合意というのは、私は民主党の幹事長として、取りまとめの責任者、福島党首とも何度も最終的な話し合いもいたしました。そして、その結果として、具体的な地名を入れない、基本的には民主党の選挙におけるマニフェストを踏襲した形にしたわけでありますので、そこで具体的なことが何か書いてあるということは全くございません。したがって、三党合意に反するというのは、それは違うということを申し上げているわけでございます。

 社民党、国民新党、いずれも連立のパートナーとして今までもともに仕事をしてまいりました。いろいろ意見の違うところはありますが、それはお互い苦労しながら調整して今日までまいりました。したがって、そういう形で、連立政権ということで引き続きやっていけるということは私は好ましいと思いますが、それはこれからの、まさしく官房長官を中心に調整をしている、その結果にゆだねるということだと思います。それ以上のことは私の口から申し上げるべきでないというふうに考えています。

新藤委員 私は、お二人は当事者なんですから、この日米合意、そして今政府がやろうとしていること、連立与党の同意は得ていないけれども、これは絶対崩さない、それはお二人が強い信念で進めていただきたい、このように思います。

 その上で、もう一つ北澤大臣にお尋ねします。

 この間、お帰りになったのはついきのうですか、アメリカに行ってこられたわけでございますが、ゲーツ国防長官と会談をされた。

 そういう中で、本来、この2プラス2の合意が得られるものは、アメリカ側はたしか、地元の同意を得たものでなければならないと今までずっと言ってきたはずです。地元の同意がないままに、今回この合意をしようとしているわけです。そして、沖縄ではもう、失望ではなくて怒りとなっている。今まで容認派に転じた人たちも、それを言い出せない状態もある。徳之島も、島を挙げて大反対だ、こういう状態になっている。

 ゲーツ長官に、日米は、専門家の当事者同士、実務者との協議ではこういうふうにするけれども、地元はまだまとまっておりません、そして反対しておりますと、そのことは正確に伝えていただいたんでしょうか。

北澤国務大臣 この件についてはもう、私から申し上げるまでもなく、外交ルートを通じて十分にゲーツさんは承知をいたしておりました。

 ちなみに、この問題に関してゲーツさんの発言の一部を申し上げますが、まだ問題は残っているが、ここまでの進展は大変喜ばしい、こういう発言がありました。このまだ問題は残っておるがというのは、位置の問題、工法の問題も含めて、地元の問題もそれに加わった認識だというふうに私は理解してまいりました。

新藤委員 社民党に対してもダブルスタンダードはだめ、アメリカに対してもダブルスタンダードはだめ、沖縄に対しても同じことですよ。もうここまで来ると、とにかく一本筋で頑張らないと、変な余地を残さないという意味において、これはアメリカ側の根本でございますから。

 そうすると、鳩山総理のおっしゃっている五月末までに三つの合意というのは、ことごとく全部だめなわけですよ。連立もだめ、地元もだめ、アメリカもまだ途中。だって、まだ今回の2プラス2は最終文書ではなくて、またもう一回、八月末に2プラス2の文書を出すということですよね。違うの。まあいいですよ。どっちにしても、これは最終文書じゃないでしょう。それは先ほどから皆さんおっしゃっているんだから。

 したがって、これは、鳩山さんが今まで言ってきたこと、国民に対して、命がけで、職を賭して臨む、しかも重大な覚悟を持って全力でやるんだ、必ず五月末までにすべてを決着させますと言ったことは、すべてできなかったということじゃないですか。そして、ここまで国じゅうを混乱させて、国際的な信用まで失墜させている、こういう状態。ここでもしこの話がうまくいかなくなってしまったならば、私たちの国の安全保障体制は致命的な打撃を受けることになりますよ。

 私は、ここまで来たらば、だれかが責任をとらなければ話は決着しない。日米で決めたことを、そして地元の皆さんともう一回丁寧に相談し直して、時期は全く守られなかったけれども、でも、ここまで来たら進めていくしかないんだから。これをだれも無傷で責任をとらずに進めていく、話をもう一度再開しましょう、話し合いをしましょうなんということを地元沖縄の人たちが受け入れるとは思えませんよ。

 その意味においても、職を賭して頑張ったのならば、今やるべきことは、鳩山さんが自分の職を差し出してこの混乱の責任をとって、しかしここまでまとめたからこの先を進めてほしいと。鳩山さんの責任こそが、この事態、局面を打開できることではないんですか。鳩山総理はここまで、本人は悪意があったわけでもない、全く気楽にしゃべっちゃっているわけだから。だけれども、総理大臣の発言は重い、責任は重いとするならば、今回のことは、鳩山さんが、自分の職を差し出すことで責任をとって、前に進めてくれと、国民に対して責任をとるべき、それは職を辞すべき。それができないならば、総理大臣として、解散・総選挙、信を問えということになるわけです。安住委員長がよくうなずいてくれていて、同意してもらっているのならうれしいけれども。

 どうですか。鳩山さん、ここで一発、総理大臣としての気概を見せてくれと。鳩山さんの責任をどう思いますか。

岡田国務大臣 先ほど委員が、安全保障の問題は、与野党なく、そして政局に絡めずにやらなければいけないというお話をされて、私はそのことについて非常に感服をして聞いていたわけであります。そういう観点からすると、今の御発言は非常に残念なことだと私は思っております。

 いずれにしても、これは、専門家による検討を二〇一〇年八月末日までに、そして検証及び確認を次回のSCCまでに完了するということが明記されているわけであります。したがって、委員もいろいろ御懸念はあるかもしれませんが、そういった全体の決定に従ってしっかりと、特に沖縄県民の皆さんに対する御理解を得るための努力ということを、内閣を挙げて行っていかなければならないというふうに考えているところであります。

新藤委員 私は政局で言っているんではないですよ。もし自民党の総理大臣だとしても、我々自民党議員はそうやってやってきたんですよ。野党だから総理を倒せと言っているんじゃないですよ。それをそういうふうにすりかえてしまうというところが、本音は違うと思うけれども、もうそういうのはやめた方がいいと私は思っているんです。

 今回のことは、鳩山さんが責任をとらなければおさまりませんよ。このことは、私が何かすることではない、自民党が何かすることではない、国民が決めることですから、ぜひしっかりと、支える閣僚として、そういった決断を、話をしていくべきだと私は思っています。

 そこで、毎回私が追及している竹島問題、残りの時間が短くなってきて申しわけないんですが、竹島問題をやります。

 この間の、北京で始まった米中戦略・経済対話、中国の胡錦濤国家主席、開会式で演説。米国との関係強化を呼びかける一方で、その演説の中で胡錦濤国家主席は、領土問題など中国の主権にかかわる問題では決して妥協しない姿勢を鮮明にした。中国人民にとって、国家主権の保護、領土保全よりも重要なものはない、これを米中の戦略対話の演説の中で堂々と言う。国家指導者、政府の任にある者はまさにこれが基本だ、思想、信条を超えて、変わらない指導者としての姿勢だと思います。我が国においても、この国の国民と領土を守り、国家主権を確立させること、それが国の務めであり、政府の務めじゃないですか。

 この竹島領有問題、この間、五月十六日に日韓の外相会談で、岡田大臣が初めて竹島問題を韓国との間で取り上げた。私は、この間それを進言した。その言葉が届いたのかどうかわかりませんが、いずれにしても、それは評価したいと思います。

 この日韓の外相会談、一歩進んだことは認めます。だけれども、その外相会談ではどういうことになっちゃったか。

 取り上げたことはよかったんだけれども、竹島問題について岡田大臣の方から、最近の動きを踏まえ、竹島問題に関する我が国の立場を申し入れるとともに、この問題が日韓関係全体に悪影響を及ぼすことのないよう努力していくべきだ、このように申し入れた、そしてその認識について一致したというのが外務省のホームページに出ていることですよ。

 でも、韓国側からいうと、韓国側の報道を私が調べると、岡田大臣がそういうふうに言った、そうすると、韓国の柳明桓長官は、竹島は歴史的、地理的、国際法的に明白な我が国固有の領土といった韓国政府の立場を比較的詳細に説明し、竹島や過去史問題が両国関係に否定的な影響を与えないように努力しなければと強調したと。

 これは逆じゃないの。我々が抗議をして、それに対して向こうが、申しわけない、良好な関係をつくりましょうと言うならともかく、こっちが良好な関係をつくるように努力しましょうねと言うことは、日本国民が騒がないように、竹島問題が日韓関係全体に悪影響を及ぼさないように、静かにしていてくれよ、こういうふうに言ったように聞こえちゃうんだけれども。

 大臣、このことで、地質調査以外に、ほかの一連の竹島で起こっていることをきちんと韓国に抗議したんですか。

岡田国務大臣 五月十六日の日韓外相会談では、私から柳明桓外交通商部長官に対して、竹島をめぐる最近のさまざまな動きについて韓国側の抑制を求めた上で、竹島問題に関する我が国の立場について申し入れを行ったところでございます。

新藤委員 あなたは全然明かさないから。

 だけれども、お尋ねします。今、竹島で何が起きているか。これは、私が韓国側の記事だとかいろいろなところから、いろいろなところというのは研究者だとか、そういう人たちから寄せた情報をまとめてみました。(パネルを示す)

 今、竹島で何が起きているか。ヘリポートの改修工事。そして、海洋科学基地の建設計画。竹島周辺海域の地質調査、これはもう終わりました。終わった後に大臣は抗議を言ったんですけれども。そして、漁業者宿泊所の拡張改築工事、これは今の倍になります。そして、太陽光発電所の建設が六月十五日に竣工しちゃうというんですよ。竹島において太陽光発電所の建設が進んでいて、もう完成するというんですよ。そして、大臣が日韓外相会談で抗議をしたその後に、今度は鬱陵島と竹島の間に定期観光船を就航させて、そして観光客が毎日、夏の間は一日二回、閑散期は一回、定期便が出る、そういう事業許可も与えた。

 柳長官が言っていることと、大臣がそうやって初めてちょっと触れた、そういう状態のときに、韓国側は全然気にしないでこれをやっちゃっているんですよ。この問題を問題にしなくていいのか。しかも、それを国民に明らかにすべきだと思うんです。こういうふうに韓国が、これは全部、自民党政権ではなくなって、あなたたち民主党政権になってから一挙に始まっちゃったんですよ。

 この計画自体は、独島領土管理事業というのが二〇〇八年の九月にもうできているんです。でも、我々のときには、こんなことは出せもしない。させませんよ。だって、島の周辺で海流調査をやっただけで我々は大騒ぎして、だめだ、だめだと言っているんだから。あなたたちが政権をとってから、友愛だとか何だとかと言っているうちに、もうここでいいからというのでばんばん始まっちゃっている。

 もっとありますよ。(パネルを示す)今度は、この二つの島の間をつなぐ防波堤をつくって、ここに防波堤をつくって、そしてここに宿泊所というのがあるんですよ、これを大きくして、船がしょっちゅう来られるようになっている。どんどんどんどん竹島の実効支配を強化している。

 これから、今、日中韓は、北朝鮮の哨戒艇問題を協力して対応していかなきゃならない、友好にやっていかなきゃならない、そういう状態。その中で、この問題を早く言い出さないと、話がもっと大きくなったときに、今そんなことを言っている場合かなんというので交渉のタイミングを失ってしまったならば、一度交渉しなくなってしまったならば、今度は、あなたの次に大臣になった人間が、あなたたちの次に政権をとった人たちが、この問題で国として主権を主張しようとしたときに、今までと違うじゃないかと。

 我々は今、国として、外交交渉の場において、とてつもないダメージを受けようとしているんです。それはあなた一人の判断なんです。鳩山さんの判断なんです。この問題を解決するかどうかではなくて、国民に公表して、韓国に抗議をして、そして日韓でこの問題をどうするんだという協議の場をつくれと言っているんです。竹島をすぐ戻せと言っているんじゃないんです。あなたが今それをやらなかったらば、日本国政府の今までのやり方があなたのおかげで変わってしまって、次になった人は、今度は、前の大臣は違ったじゃないか、前の大臣は何も言っていなかった、日本政府は何も言っていなかった、それが急に言い出すのか、日本はけしからぬ、そこから交渉を進めるのは極めて大変なことになる。

 もう時間が過ぎちゃっているから。

 これは、ちょっと待ってください。あした、鳩山総理と李明博大統領は日韓首脳会談をやるんでしょう。この現状を認識して、この問題を出さなきゃだめですよ。

 岡田大臣は、前、小泉政権のときは日韓関係が悪かったから時間が無駄だと言うけれども、小泉時代、それから以降、安倍、福田、麻生、私たちがやっていたときは、竹島問題、びた一つさわらせていないよ。めちゃくちゃに友好関係があったあの金大中さんのとき、太陽政策で、あのときだって、接岸施設をつくったり灯台をつくったり、友好関係と領土の主権問題は別になっちゃっているんですよ。あなたが事を荒立てないようにして仲よくやりましょうなんて、鳩山さんが友愛だなんて言っている。それはそれ、領土は領土、これが国際間交渉の実態じゃないんですか。この問題を早く国民に出さないと、私が幾ら言ったって新聞は書けません、政府が公表しないから。

 あしたの日韓首脳会談で、ぜひこれを取り上げるべきです。今後の方針を聞かせていただきたいと思います。

安住委員長 新藤君、持ち時間を大幅に延長していますので、岩屋君の質疑にそのまま会派としてとるということにします。

岡田国務大臣 外交、特に首脳会談において何を取り上げるかということは政府が決定することでございます。今、私がここで述べることはございません。

 それから、先ほど来、政権がかわって以降、竹島について、そこで劇的に変わったかのような御発言ですが、そこの写真に構築されている建物は、すべて自民党政権のもとでつくられたものであるということも申し上げておきたいと思います。

新藤委員 また追及します。でも、私の言葉が届くことを祈っています。

 ありがとうございました。

安住委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 岩屋です。

 どうも新藤さんの後だといつも時間が削られて、これも熱心さの余りですから、よくわかっておるんですが、今度は順番を変えてもらおうかなと思っているところでございます。

 両大臣には、曲がりなりにも日米共同声明までたどり着いた、これについては一定の評価をさせていただきたいと思います。普天間問題はもう中谷委員からも、また新藤委員からも触れさせていただいたので、後で私もちょっとお伺いをして意見を申し上げたいと思いますが、その前に、違う問題をちょっと聞かせてもらいたいと思います。

 さらにその前に、私は両大臣にちょっと苦言を呈したい、こう思っているんです。

 御承知のように、自民党の中で毎日のように部会を、外交部会、安保の部会を開いています。我々野党になって、物すごく提出される資料の量が減り、質が落ちているんですね。もちろん、与党に対する情報、野党に対する情報、ある程度それは区別があるというのはわかりますけれども、新聞情報以下のものしか出てこないことが多い。岡田大臣はいつも、新聞情報で聞くなとおっしゃるが、新聞情報以下の資料しか提供されないことが多い。これは、充実した国会審議をやるためにも余りよくないと思います。

 来てもらっている役人の方にも聞きました、何でこんなことになっているのと。いや、一々政務三役の了解を得て自民党の部会に資料を提出することになっているということでした。こんなことを自民党はやったことないですよ、それは役所が自分たちで自主的にコントロールしたということはあったかもしれないが。そのことを強く申し上げたら、かなり充実した資料が出てくるようになりました。

 やはり議論を充実させるためにも、それは出せないものはしようがないと思いますが、しっかり資料を出してもらいたいと思いますけれども、お約束してもらえますか、両大臣。

岡田国務大臣 今までそういった資料が出てこなかったということは、私はそういうふうには考えておりませんが、役所として、外務省として、これは与野党の別なく、必要な資料というものは提出する、そういうふうに申し上げておきたいと思います。

北澤国務大臣 私も、そんなこと、余りこだわる方ではございませんけれども、たまに相談があることもありまして、従来どうなっていたのかと言うと、いや、自民党政権時代も、野党に対してはこれかこの以下ぐらい出しておりましたという説明があるから、国会の質疑が向上するのならば、要求されたもので許せる範囲のものは出すべきだ、旧政権の悪弊を引きずるようなつまらぬことはやめた方がいい、こういうふうに言っています。

岩屋委員 旧政権の悪弊というのはようわからぬのですが、ただ、両大臣とも前向きに対応してくれるということで、ぜひそうしてもらいたいと思います。

 それで、領土問題です、北方領土問題。

 この間、五月十九日、ロシアのラブロフ外相は、下院の公聴会において、さきの大戦の結果を日本が認めなければ交渉はないんだ、最大限の譲歩をしても二島返還で決着するしかないという見解を述べたと報じられています。これは、外務省、確認していますか。

岡田国務大臣 そういう報道があるということは承知をしております。

岩屋委員 報道があるというか、何のために大使館を置いているんですか。そのぐらいのことは、ロシアの外務大臣が領土問題について国会において何をしゃべっているか、承知しておかなきゃいけないんじゃないですか。もう一度聞きます。

岡田国務大臣 ロシア外務省のホームページにその旨記載をされております。したがって、報道されたことは事実であるというふうに考えております。

岩屋委員 さほど驚くほどの発言内容ではない、ロシア政府のこれまでのある意味の公式見解でございますけれども。

 ただ、私は、この北方領土問題は、鳩山総理は、日ソ国交回復を実現された鳩山一郎元総理のお孫さんでもあるし、非常に意欲を燃やしておられるというふうに承知をしているので、これはやはり、この政権において、この政権が続いている限りにおいて、しっかり取り組んでもらいたいというふうに思っているんです。

 今、ロシアのメドベージェフ・プーチン体制はなかなか強固ですよね。長短両方あると思います。グリップが非常にきいているということは、政権が意思決定をしたときにそれがしっかりと浸透するという点がある。一方で、なかなか弱みは見せられないというか弱腰の対応はできないという、両方あると思いますが、私は、ロシアの体制が強固なうちに、やはりこの問題の解決へ向けて何かしらの前進を見るべきだというふうに思っております。

 総理も、従来の発想にとらわれないアプローチが必要だということを以前から述べておられる。私も同感なんです。お互いが言い分だけを主張し合って、あと五十年間、百年間解決しない、動かない、これは、日ロ両国にとっていいことではないし、また、極東全体の安全保障環境にとっても決していいことではない、平和条約すらないわけですから。けれども、では具体的にどうするのかという話になると、そんなことを軽々にまた言うべきことでもない。

 しかし、物すごく困難な道のりであっても、これは本当に柔軟なアプローチをすべきだというふうに私は考えておりますが、この北方領土問題について、外務大臣、基本的にどういうお考えでおられるか、聞かせていただきたい。

岡田国務大臣 まず、先ほどのラブロフ外相の発言でありますが、ラブロフ外相は、プロの外交官、そして外相としても長くやっておりますので、なかなか、原理原則ということで述べられているのだと思います。昨年の十二月にモスクワで長い会談を行ったときにも、相当、そういった原理原則論で意見の応酬になったわけであります。

 しかし、日ロ間において、第二次世界大戦の結果というのは、平和条約によらずに確定することはできないわけでありまして、既に第二次世界大戦の結果が確定しているかのようなラブロフ外相の発言は、日本政府として受け入れることはできません。

 そして、実際に、日ロ両首脳間では、国境が画定していないからこそ、北方領土問題を解決すべく、平和条約交渉を進めることで一致をしているわけであります。メドベージェフ大統領も、昨年十一月に、欧州諸国との間で第二次世界大戦後に画定した国境と区別する形で、日本との国境問題について、閉じられていない、つまり、画定しておらず、別の問題であることを率直に認めております。五月のイズベスチヤのインタビューにおきましても、メドベージェフ大統領は、平和条約の問題を非常に難しい問題としつつも、この問題に積極的に、誠実に取り組む必要性を述べているところでございます。

 委員御指摘のように、現在のロシア政府、メドベージェフ大統領、プーチン首相、そして日本の鳩山総理、こういった顔ぶれがそろっているときにぜひ前進を見たいというふうに考えておりまして、その旨も、私、十二月にラブロフ外相に最後に申し上げたところでございます。

 ぜひ委員各位の御協力を得ながら、この北方領土問題について、解決に向けて一歩踏み出したいというふうに考えているところでございます。

岩屋委員 ただ、こう言うと失敬かもしれないが、今、日本側の政権のグリップが弱過ぎるということは非常に日本にとってのマイナス材料かなと思いますよ。鳩山政権のもとでこの難しい問題を本当に解決していけるのかということについて私は不安を持っておりますが、一縷の望みを託しておきたい、こう思います。

 これは通告していませんけれども、総理の領土問題に対する認識というのはどうなっているんですか。きのう、知事会でとんでもない発言を総理はされたそうですね。石原知事から尖閣諸島の話が出されて、尖閣諸島について日米安全保障条約が適用されるかどうかは米国に確かめる必要があるということをおっしゃったそうです。これは麻生政権のときにもうしっかりと確認をして、国会で述べていると思います。当然これは安保が適用される対象になるわけです。さらに、首相は、尖閣諸島の帰属問題に関しては、日本と中国の当事者同士でしっかりと議論して結論を見出してもらいたいということだと理解していると。何ですか、この認識は。これが日本の総理大臣の認識ですか。

 再確認しますよ。尖閣諸島はどこに帰属しているんですか、外務大臣。

岡田国務大臣 また報道がと言われるとおしかりを受けるかもしれませんが、私が同席して聞いていた限り、そういう趣旨の、特に後段、総理が言われたというふうに私は認識をしなかったわけです。認識をすれば、当然発言をしております。ただ、あの場はオープンで行われたものでありますので、そういう報道がなされているということでありますと、ちょっと事実関係を確かめなきゃいけない。オープンですから、確かめればすぐわかる話でございます。

 あの場で石原都知事が、尖閣について、何か問題があったときに日米安保というのは適用されない可能性があるという趣旨のことを言われたので、総理としては、その前段としてそういう問題はないという認識を示された上で、その上で、知事に対して少し丁寧に、必要があれば確認する、そういうことでおっしゃったのではないかと思います。

 ただ、委員御指摘のように、尖閣問題は日本の領土問題ではございません。これは日本の固有の領土であって、そこに争いがあるというふうには考えておりません。

 それから、日米安保は、日本国政府の施政のもとにある、そこに適用されるわけでありますので、当然日米安保は適用されるということでありますし、そのことは何度も、旧政権時代、自民党政権時代に確認をされております。最近では、河村官房長官がその旨を明確に述べられているところであるというふうに認識をしております。

岩屋委員 これはネットでも、全マスコミに出ている問題ですから、外相は今かばうつもりでおっしゃったのかもしれないが、明らかにそういう趣旨の発言をしていると思いますよ。

 だから、認識していないんですよ、総理大臣は。これはすぐにどこかの局面で訂正させた方がいいですよ。それじゃなくても、やはり日中間、東シナ海の問題もこれあり、いろいろな難しい問題もやはりあるわけであって、日本国内閣総理大臣がこの程度の認識だったらつけ込まれますよ。今外務大臣は、尖閣諸島は日本に帰属をしている、安保が発動される対象になり得るときちんと答弁されましたけれども、これは総理にきちんと再認識をさせておいてもらいたい、そのことを申し上げておきたいというふうに思います。

 それから次に、韓国船、沈没というよりも撃沈と言った方がいいでしょう、撃沈事案についてでございますが、ここでも私は、総理の発言はちょっと危ういなというふうに思っているんですよ。これは余り前のめりになったらいかぬと思いますよ。この間、総理が、先頭を切って走るということをおっしゃったようですけれども、この先頭を切って走るというのはどういう意味ですか。

岡田国務大臣 総理が御発言になったのは、韓国の立場を支持する、すなわち、もし韓国が安保理に決議を求めるということであれば、ある意味で日本として先頭を切って走るべきだ、そのように考えております、こういうふうに言われたわけでございます。したがって、安保理に韓国が決議を求めるというときには、安保理の非常任理事国としてしっかりと役割を果たす、そういう趣旨のことを言われたというふうに考えております。

岩屋委員 ただ、その総理の発言というのは、五月二十日、調査結果が発表された直後に行われているんですね。韓国の李明博大統領が安保理の付託について触れたのは五月二十四日の演説なんですよ。だから、総理は、恐らく韓国は安保理にそういう問題を提起するであろうということを見越しておっしゃったのだろうと私は推察します。

 ただ、やはり外務大臣、こういう全体の状況をしっかりととらまえずに、また当該国の首脳の発言をきちんと踏まえずにちょっと先走ったこういう発言をするというのは、私は、ある意味非常に危険だと思っています。特に、こういう朝鮮半島全体が非常に緊迫していきかねない、また、その火の粉が場合によっては日本に及びかねないという危機管理上の問題でもございますから、総理大臣の発言というのは厳しくコントロールされていないといけないと思いますよね。そういう意味で、ちょっと軽率だったのではないか、前のめり過ぎていたのではないかと私は思うんですけれども、いかがですか。

岡田国務大臣 それは総理の御発言ですから、私からそのことについてコメントすることはいたしませんけれども、私が記者会見やさまざまな場でこの北朝鮮の韓国船撃沈事案について申し上げていることは、日本国政府としては冷静に、かつしっかりと対応していく必要があるということでございます。

岩屋委員 総理の発言されたことなのでといつも岡田大臣はおっしゃるんですけれども、やはり外交案件については、総理のそばにも外務省はついているんでしょうから、これは本当に言葉をしっかりコントロールしてもらわないと困りますよ。これも外務大臣の仕事だと思います。

 それから、多分ぶら下がりでこんなことを言ったんだと思うんですけれども、私は前から思っているんですけれども、一国の首脳があんな形の取材で毎日毎日べらべら物を言うなんというのは日本だけだと思いますよ。おかしなことですよ、本当に。これは超党派でこんなことをやめさせましょう。内閣総理大臣はある程度期間を定めた上でしっかりと記者会見をするという方式に変えた方がいいと思いますよ。大臣、そう思いませんか。あなたも将来の総理候補でしょう。たまったものじゃないでしょう、あのぶら下がりは。

岡田国務大臣 どういう形で国民に伝えるかというのは、それぞれの、そのときの総理がお決めになることだというふうに思います。今まで、このぶら下がり方式というのは小泉総理の時代に始まったことで、そのときにはかなり国民の期待を集めたという面もあるかと思います。それ以来これは定着しているわけでありますけれども、伝え方というものについていろいろ考えていった方がいいのではないか、私、個人的にはそう思っているところでございます。

岩屋委員 進次郎さんもここにいますけれども、やはりお父さんはある意味では達人でしたよ。だからああいうのをこなせたんだと思うんですけれども、鳩山総理はかなりつたないと私は思いますよ。非常に心配です。特にこういう外交案件について、ぽろっと思いつきで物を言ったりされると困るんですね。だから、この取材方法が続くということであれば、外交案件についてはやはり外務省、外務大臣あるいは防衛大臣、しっかりと総理の言葉をコントロールしてもらいたい、こう思っておるところであります。

 それから、特定船舶検査法、この間衆議院を通過しましたが、これは当然早く仕上げなきゃいかぬと思います。

 私は、国交委員会であのとき質問に立って、二つのことを申し上げました。一くくりにすれば、なぜあえて北朝鮮に対するメッセージ性を弱める法案にしたのか。政府案も野党案も、基本的には中身は一緒なんですよ。だけれども、わざわざ法律名から北朝鮮という国名を外した、わざわざ自衛隊が関与するという規定を外したというのは、メッセージ性を意図的に弱めるという意味で適切ではないということで、自民党は反対をしたわけであります。その直後に、この韓国船の撃沈事案の調査結果が発表されて、緊張が高まった。

 多分、新しい安保理決議も採択されるのでありましょう。そうしたら、前の安保理決議の番号を引いたこの法律というのは、えらいピントがずれたような話にもなる。まず、一日も早く成立をさせるべきだということと、こういう法律のたてつけというのは適切な判断ではなかったのではないかという私の指摘に対して、お考えを聞かせていただきたい。

岡田国務大臣 この問題は関係委員会でかなり議論、審議が行われたわけでありますので、そのことについて私が外務大臣として言うことが適切かどうかということはあると思います。ただ、自衛隊という言葉が出てこないからといって、それで法的意味が違うというふうに私は理解しておりませんので、中身がそれで変わったということではないということは申し上げられる思います。

岩屋委員 これ以上言いませんけれども、とにかくこのツールを早く準備する、持っておくということが大事だと思うので、もちろん国会も頑張らなきゃいけませんが、政府においても、早く成立するように努力をしてもらいたいと思います。

 自民党は既に北朝鮮に対する追加制裁措置のメニューを取りまとめて政府に提案をしたところでありますが、政府としてはどのような追加の制裁措置をいつまでにお決めになるおつもりでしょうか。

岡田国務大臣 この件は、実は先ほど官房長官が定例の記者会見の中で述べたところでございます。それに先立つ閣議で確認をしたところでございます。

 具体的な措置としては、第一に、北朝鮮を仕向け地とする支払い手段等の携帯輸出について届け出を要する金額を現行の三十万円超から十万円超に引き下げる、それから、北朝鮮に住所等を有する自然人等に対する支払いについて報告を要する金額を、下限額ですが、現行の一千万円超から三百万円超に引き下げる。

 なお、総理からの指示として、これまで実施してきている北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止、北朝鮮に向けたすべての品目の輸出禁止の措置の執行に当たり、第三国を経由した迂回輸出入等を防ぐため、関係省庁間の連携を一層緊密にし、さらに厳格に対応する。

 その上で、官房長官からは、今後北朝鮮がどのような行動をとるかは予断を許さないところであり、五月二十四日の安全保障会議において総理から指示があったとおり、引き続き情報収集を強化するなど、国民の安全、安心の確保に万全を期していく、その旨述べたところでございます。

岩屋委員 やはり迅速なメッセージの発出が大事だと思います。そういう意味でいうと、船舶検査も遅きに失したわけですね。ちょうど解散になっちゃって廃案になったということもありましたけれども、新政権において、あれももうちょっと早く取り組んでもらいたかったと思います。今度の制裁措置も、迅速に決めて迅速に発出をしてもらいたい、こう思います。

 それから、安保理で新しい決議案が出てくるんでしょう。そのときはまさに、先頭を走るとまでは言わずとも、韓国を支持するという立場に立って日本政府も努力をしてもらいたい、こう思いますが、かぎを握っているのは中国でありましょう。この中国の協力を本問題について引き出すために、政府としてはどのような働きかけを行っていくつもりですか、さらには、行っておりますか。

岡田国務大臣 この韓国政府が中心となって行った調査結果について、多くの国はその調査結果を受け入れているわけでありますが、若干慎重な姿勢を示しているのがロシアと中国ということでございます。中国政府に対して、これはロシアも同じでありますが、機会をとらえて意見交換をし、そして、日本のあるいは国際社会の考え方というものを伝えていく努力をしているところでございます。今般、日中韓の首脳会談も行われますし、そして、温家宝首相も月曜日に日本に来られるということでありますので、そういう機会にも意見交換をすることになるだろうというふうに思っております。

岩屋委員 北朝鮮にしてみると、中国が頼みの綱なんでしょう。そういう意味では、さきの金正日氏の訪中というのは、ある意味では絶妙のタイミングだったのかもしれない。しかし、言うまでもないことですが、世界広しといえども、今般の北朝鮮の行動、あるいはこれまでの行動を支持するような国は一つもないでありましょう。ぜひ中国には、本当に国際社会のステークホルダー、責任ある立場を占めたいと思うのであれば、やはりこの問題についてもしっかりと対応しなきゃいけないよ、そうじゃないと、あなたたち、世界で信用されないよ、そういうことをしっかりと日本政府からも話をしていってもらいたい、そのことを外務大臣にお願いしておきたいと思います。

 しかし、北朝鮮は、多分この事実を認めることなく、あるいは軍隊をちょっと動かしてみたりして示威行動を繰り返して、しばらくこの事態が長期化していくのではないかというおそれを私は持っております。そうなりますと、六カ国協議であるとか、ましてや日朝の二国間交渉であるとか、全く道がふさがれていきかねない。拉致問題もあることでもあるし、事態の長期化ということもなかなか我が国にとって難しい事態を招くな、こう思ってるんです。

 この難しい状況の中で、六カ国協議や日朝協議の再開の道筋をどういうふうに描いていけばいいか、外務大臣、その辺をどう考えておられますか。

岡田国務大臣 こういった重大な事件が起きたときに、四十六名の韓国国民が魚雷の発射によって亡くなっているわけですから、当面は、そのまま六カ国協議をすんなりと開こうということにはなり得ないというふうに考えております。したがって、まずは、今回のこの事案について、国際社会がどう対応し、北朝鮮に対して何を迫っていくのか、求めていくのか、そういった対応に全力を集中すべきだというふうに考えております。

岩屋委員 この問題について、冒頭に申し上げたように、余り前のめりになり過ぎずに、事態を冷静に分析して、誤りなき対応をしていってもらいたい。また、防衛大臣には、日本の危機管理の体制に抜かりないように、しっかりと備えをしておいていただきたいということをお願いしたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、最後に、普天間問題、米軍再編問題について意見を申し上げたいと思います。

 いろいろ言ってみても、総理が国民に約束をしてきた、三つの合意を取りつけて五月末までに決着するということはできなかった、こういう状況だと思います、これはもう大臣もお認めになったとおり。日米共同声明までこぎつけたという両大臣の御努力は評価をさせていただきたいと思いますけれども、約束は果たし得なかったということでありましょう。

 下地さんは来ていないが、多分おやめになるんでしょう。年来の友人で私は大変寂しく思いますが、五月末までに決着しなければ六月一日をもって辞任をするということでありますから、彼も男の中の男でしょうから、武士に二言はないものというふうに思っております。

 社民党との関係は、私はしっかりとけじめをつけた方がいいと思いますよ。その覚悟が見えないから、この鳩山政権というのは信用されないんですよ。目測を全く誤っているでしょう。これは連立を組んだときから見えていた話でしょう。これを解決しなきゃいけない、社民党とはきちんと話をして了解をもらわなきゃいけないと、見えていた話でしょう。名護の市長選挙を通り越したら、場合によっては大変な事態になるなというのも、目測できていなきゃいけない話でしょう。ことごとく判断を誤ってきているわけですよ。この期に及んで、両大臣が頑張って共同声明までつくったにもかかわらず、この状態でしょう。

 国民はばかじゃないですよ、ちゃんと見ていますよ。この政権が真剣にこの問題に取り組んでいるのか、日本の安全保障を真剣に考えているのか、何か連立を組んで参議院で数が足りるとか足らないとか、選挙で社民党に応援してもらえるとかもらえないとか、そんな次元で鳩山政権は物を決めているのかと。そうでしょう。そうじゃないんだということを見せたときに初めて、道が開けるんですよ。自民党は、本当に国家の安全保障のためだったら、協力すべきは協力しますよ。何でその勇気を持たないんですか、この期に及んで。

 閣僚が署名をしないと言ったときは、事前に罷免をして、総理大臣が兼務をして閣議決定をするというのがこれまでのやり方でしょう。自民党はずっとそうやってきましたよ。最後の決め方はどうするんですか。閣議決定にするんですか、どうですか。それを聞かせてください。

岡田国務大臣 先ほど来答弁しておりますように、きょうじゅうにどうするかということは明確になるわけで、今官房長官を中心に調整を行っているところであります。一閣僚の立場で、今のタイミングで何か物を言うということは避けたいというふうに思っております。

 ただ、この日米合意文書と、そして政府の考え方を伝える文書、その間に整合性がなければならないというのは当然のことでございます。

岩屋委員 さっき、北澤大臣も、一般論としてというふうにおっしゃいましたが、あれが本当に筋論ですよ。だから、やはり責任感を持って、勇気を持って、社民党さんとの問題もけじめをつけるべきはきちんとけじめをつけていただきたいと思います。

 正しい判断であれば、国民は必ず理解しますよ。国会は何とかなりますよ。そんなぼろな国じゃないですよ、この国は。そこを信じて頑張ってください。それをできないようだったら、もうやめてください、選手交代してください。これは、これだけ国民にも信用されない、沖縄にも信用されない、アメリカにも信用されないような政権で、この問題を解決できますか。閣内に残って反対し続けるという勢力と選挙のために組んでいて解決できますか。それができないんだったらもうやめてください。総辞職をするか、もう一回国民に信を問いましょう。

 一閣僚なんて、岡田大臣、言わないでください。岡田大臣、北澤大臣がこの問題を解決しなきゃいけないんですよ。机をたたくことはもう年だからしないと大臣はおっしゃったが、ばんばん机をたたいて頑張ってくださいよ。そのことを両大臣に強くお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

安住委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、朝一番から外務大臣に、何とかこぎつけた日米共同声明の簡単な概要説明もいただきまして、米軍普天間基地移設問題に何とか特化して質問させていただきたいと思うんです。

 まず、いろいろございましたけれども、日米間で共同声明の合意にまでたどり着けられた両大臣の御苦労にまずは敬意を表したいと思いますが、それに水を差すような発言が、きょう朝からありましたように、官房長官からされているわけでございます。

 私は、官房長官という人は、昔から人物はよく知っておりますけれども、どうもこの普天間基地の問題の取り扱いを見ておりますと、やはりこの分野についてはど素人で、自分の発言がどれだけこの日米関係に影響を与えるかというのをもう少し両大臣からもしっかり注意してもらった方がいい、そのように思うんですね。

 朝からありましたけれども、政府対処方針の方が重い、そういうように昨日の朝の会見で言われているわけでございます。私は、それは、朝、御紹介のありましたこの日米共同声明を取りまとめられた我が国の岡田外務大臣また北澤防衛大臣、そして先方のクリントン国務長官さらにゲーツ国防長官に対して極めて失礼な、そういう発言を政府の内閣官房長官という人がされたんではないのかな、そのように思うところでございます。

 ですから、朝から岡田外務大臣は整合性があるとかどうとか、そういう次元の話じゃないんですよ。要は、きちっとした整合性があるかどうか関係なく、この日米共同声明と、それから、きょうの午後にでもと言われているこの政府対処方針というのは少なくとも同格である、そういう認識を持っておられるのかどうか。そこをまず外務大臣、防衛大臣、両大臣から、簡単で結構ですから、見解を伺いたいと思います。

岡田国務大臣 先ほど御質問にお答えして、いずれも重要であるということを申し上げたところであります。

北澤国務大臣 これは外国との合意でありますから、これを基盤にして政府が追認するということですから、一連のものと認識しています。

佐藤(茂)委員 ですから、ぜひ、この分野を担当する外務大臣または防衛大臣として、官房長官にきちっとやはり注意するなり、内閣の調整役の発言がいかにいろいろな意味で悪影響を与えるのかということについては、少なくとも、もう言われたんでしょうか、それともこれから言われるつもりなのか、明確にしていただきたいと思います。

岡田国務大臣 私は、その発言をこの審議の場で知りましたので、当然、そのことについて官房長官とこの件で意見交換はしておりません。

北澤国務大臣 きょう質問をなさる議員の方の中からこれが取り上げられておるということで初めて承知をしたわけでありますので、官房長官の発言の趣旨を十分まだ細かく前後関係を見ておりませんけれども、私は、あれを見て、必ずしも、こっちが軽くてこっちが重い、こういうふうなことではなかったんじゃないかなというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 ですから、そういうことが、やはり早いうちに火は消さないといけないと思うんですね。確かに、今ブリーフを、例えば外務大臣とか防衛大臣だったらきちっとしたやりとりのが手に入るんですけれども、実は昨晩から動いているんですが、官房長官のは公表されるものが全然残っていないんですよ。だから、我々も、確かに、本当は前後を確認して急遽質問をしたかったんですけれども、はっきりしない。

 ですから、ぜひ、両大臣にこれから求めたいのは、その真意を確認していただいて、やはり認識が間違っている意図でそういう形で仮に発言されたということであるならば、ここはしっかりと、担当されている両大臣の方から官房長官に訂正をしていただくのが筋だろう、そのように申し上げるのが筋ではないか、そのように申しておきたいと思います。これ以上お尋ねしても余り生産的な議論にならないと思いますので。

 それで、もう自民党の三人の各委員の方からも質問があったんですけれども、あえて、私は党が違うので、ダブるかもわかりませんが、確認をさせていただきたいと思うんです。

 結局、鳩山総理が職を賭してと言われていた五月末決着というものがどうなったのか、そういう認識を、岡田外務大臣は既にいろいろ答弁されているので、ダブるのでもう聞きません、北澤防衛大臣にお聞きをしたい。

 同様に、鳩山総理が言われたのは、国民に約束されたのは、沖縄初め移設先の地元そしてアメリカ政府、連立与党の合意、この三者の合意による五月末決着ということを一貫して今まで言われてきたわけでございますが、今の現状は、残念ながら、移設先の地元、中心となる沖縄、名護、こういうところの合意はないばかりか、現時点で、今この段階でも、連立与党の中での合意の見通しというものもまだ極めて不確定である。

 そういう状況で、これは国民だれが見ても、総理が言われていた五月末決着というのにはほど遠い状態である、そういうようにしか言えないと思うんですけれども、ぜひ、北澤大臣に絞って、もう一度確認で、総理が当初から言われている意味での五月末決着は達成できている、そういうふうに見ておられるのか、御見解を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 委員がおっしゃるような前提を、総理がこう言っていましたよということでいえば、全部が解決したということは、多分、そういうふうには受けとめないんだろうというふうに思います。ただ、私たちは、総理を含めて関係閣僚でいろいろ協議をしてまいりまして、この五月末までにできる問題とできない問題、そういう問題を整理しながらここまでたどり着いたということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 そういう意味で、総理は、沖縄へ行かれて、場所の選定についても御了解をいただくよう努力、まだこれは解決しておりませんけれども、一応の、陳謝の意を表しながら、我々、2プラス2で共同文書を作成するところへたどり着いた、こういうことで御理解をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 それで、冒頭申し上げましたように、2プラス2のことは、私どもも、何とかたどり着いたことは、御努力は評価をしたいと思うんです。ただ、それが結果としていい方向に行くのかどうかというのはまださらに政府の努力が要る。というのは、やはり、総理も二回行かれましたけれども、行くたびに、沖縄の皆さんの失望を通り越しての怒りというのは非常に高まっているわけでございます。

 私は、そういう意味からしても、もともとどこが起因したのかというと、総理の御発言からこういうことが起因してきているということからいうと、極めて総理の政治責任は大きいと思うんです。その上で、今回の日米共同声明に至る経緯というのがさらに地元との合意を難しくしていくのではないのかなという懸念を私は持っているんです。

 というのは、問題をより一層深刻にさせていくのではないのかな。それは、私も大分前にこの委員会でも取り上げましたけれども、要は、話の持っていき方として、地元の頭越しに対米合意を優先させてしまおうというこの姿勢が、さらに今の沖縄の、また、今回徳之島というのも入れられましたけれども、そういう地元の方々の感情というものを逆なでするのではないのかなという懸念を私は持っているんです。

 ですから、それが結果として、決着への道筋をさらに一層困難にさせてしまうのではないのかな、そういう懸念を私は持っているんですけれども、何ゆえ、今回、地元の頭越しに対米合意を優先させることにされたのか、政府としての理由をぜひ北澤防衛大臣に御答弁いただきたいと思います。

北澤国務大臣 五月末という限られた時間の制約がある中で全部を解決するというのは極めて困難であったということはぜひ御理解をいただきたい。

 それから、頭越しということなんですが、これはなかなか、やってみますと難しい話でありまして、軍事上の問題で、米側の考え方、米側との了解がとれないもので地元へお話を申し上げてもせんないことでありますし、また、米側からは、持続可能性というようなことで、地元の合意がとれておるのか、こういうふうに言われる。ここのところの調整をしなければならぬわけでありますが、御案内のように、沖縄もそれから鹿児島県も極めて厳しい反対の声が上がっておる中で、我々とすれば、せめて日米の中で合意をして、政府の思いをそこに足して、そして、これから地元の皆さん方に、そしてまた連立に参加しておる政党の皆さんの了解を得ていくという道をとらざるを得なかったということは御理解をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 ですから、私は、御努力を全く否定しているわけじゃないんですよ。ただ、現実問題として、今回、日米間で合意された案といっても、地元が理解し、合意しなければ実現はとても無理であるというのは当たり前の話であります。

 ですから、アメリカ政府の、これはこの前来られたクリントン国務長官も、その前のゲーツ国防長官も、来日されたときに決まり文句のように言われているのは、作戦上、運用上とも言っていいんでしょうけれども、その面からも、また政治的にも持続可能な案なんだと。この政治的な持続可能な案というのは、一回ここでもやりとりしましたけれども、当然、地元の合意、そういうものも含まれての政治的な持続可能な案だということなんですけれども、私はやはり、今のままでは沖縄県や地元の反対で行き詰まる事態になるのは目に見えているのではないかなと。

 ですから、心配するのは、結局、日米間でこう決めたけれども、なかなか現実に進まない、結果として普天間基地が現状のまま継続される、危険性が除去されない、こういう状態になるのが最悪の事態であります。ですから、今、地に落ちるところまで行っている沖縄と名護市との信頼関係をやはりもう一回きちっと政府は、これは防衛省になるんでしょうか、あるいは官房長官になるのかもわかりませんけれども、まず、沖縄との信頼関係、鹿児島との信頼関係、徳之島との信頼関係を時間をかけてでももう一回築き直すということを、既にもうされているといえばされているんでしょうけれども、本当に腹をくくってやっていただかないと、そういうことに本気で取りかからなければ、決着への道筋というのは当然出てこないと思うんです。

 そういうことを本気でやろう、政府として今そういう心構えで取り組まれる意思があるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

北澤国務大臣 まさにおっしゃる政治の決断というのは極めて重要でありまして、実は私も、昨日、米国から帰ってきた後に総理に報告をする時間がありました。その最後に、この合意案を実現するためには相当な覚悟を持って地元との協議を調わさなきゃならぬ、今までは沖縄の問題については官房長官がこれをやっておりましたけれども、私どもも命がけでやりますから、総理から改めて関係閣僚に対して、個別具体的な形でもいいから発信をしてほしいということを総理にお願いといいますか進言いたしました。総理も、関係閣僚全員でやるという覚悟を決めましょうということで、今たまたま、先ほど来質問攻めになっておりますところの連立の問題があって、これが片づき次第、総理からそういう御指示が下るものというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ私は、本当に政権の命運をかけて、文書をまとめたから日米関係はそれでよしとするんじゃなくて、アメリカ側もそのことを気にしているのは当たり前のことであって、取り組んでいただきたい、そのように思うわけであります。

 もう一つは、今防衛大臣が最後に答弁の中で言われました連立政権の中の話でございまして、今、社民党の福島党首の暴走というのを見ていると、嘆かわしい、そういうように私どもは見ているわけでございます。

 先ほどからありましたけれども、五月二十五日には、総理が行かれた二日後に沖縄に訪問されて、仲井眞知事に、辺野古に新たな海上基地をつくらせないよう一緒に頑張りましょう、そのように呼びかけられて、また、名護市の稲嶺市長と会い、どんなことがあっても辺野古に新たな基地をつくらせない、社民党は不退転の決意で命がけでこの点についてはやると。そして、その直後の現地での記者会見では、閣議決定や閣議了解、首相発言のいずれにも反対する考えを表明されておるわけです。

 まさに、これはもう内閣不一致そのものでありまして、不一致どころか、閣内分裂、閣内対立としか言いようがない。そういう状況に内閣の消費者・少子化担当大臣である福島社民党党首がされているんですね。これは、どうこれを今連立維持のために取り繕おうとしていても、国民のほとんどは、一体どうなっているんだ、この政権はまさに末期症状じゃないか、そういうふうにほとんどの方が見ておられると思うわけであります。

 私は特に、これはほかのテーマではよしとか、そういうことを言うんじゃないんです。この普天間基地の問題というのは、国家の基本である安全保障政策で政府がまとまっていないんだということを、こういう醜い姿をあらわしているということが、いかに国際社会に発信されて国益を損しているかということをやはりもっと危機感を持って感じていただきたいな、そのように思うわけであります。

 それで、私が申し上げたいのは、鳩山総理にリーダーシップのかけらもまだ残っているんであれば、社民党をじきじきに説得されるか、それが無理なら福島消費者・少子化担当大臣を罷免されるか、あるいは福島大臣初め社民党が政権を離脱されるか、この三つしか選択肢はないと思うんです。これが一番すっきりするんではないかな、そのように思うんです。

 先ほどから岡田大臣は大分このことを聞かれておるので北澤防衛大臣に聞きたいんですけれども、北澤防衛大臣は、この普天間移設問題をめぐる福島大臣や社民党の騒動、暴走というのをどのようにとらえておられるのか、大臣の見解を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 先ほども一般論と前提を設けて答弁もいたしましたが、今、佐藤委員は、三つの方法しかない、こういうふうにおっしゃられましたが、私は、今のところは一つの方法しかない、こう思っております。それは、全力を挙げて説得をすることだというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 もし、それで説得して、要するに、彼女はどう言っているかというと、もう御存じだと思うんですけれども、日米合意に辺野古という文言が入るなら賛成しない、そういうふうに明確に言われているんですよ。

 もう入ってしまったんだ。そうすると、これから本当に説得できるのか、そういう可能性が本当にあるのか。説得すると言われましたけれども、本当にそういう可能性があるとお思いなんですか、大臣。念のために御答弁をいただきたいと思います。

北澤国務大臣 世の中、すべて絶望したら人生楽しくないわけでありまして、とにかく、これは国防の問題、我が国の重大な問題を一般的な処世訓になぞらえてはしかられるかもしれませんが、今、総理と官房長官はまさにこの一点にかけてやっている、短い時間でありますが、その成功を私は期待しながら待っている立場であります。

佐藤(茂)委員 私は、これから、その上でどういう文書を政府対処方針としてつくられるかわかりません。しかし、万が一、この日米共同声明に移設先を、先ほど岡田外務大臣の御紹介がありましたように、「代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する意図を確認した。」こういう表現と全く整合性のとれないような政府対処方針をもし今の鳩山内閣で作成されたとするならば、私は、二枚舌のそしりは免れないであろう、そういうように申し上げておきたいと思います。それは、仮の話ですから、結局、鳩山政権のその場しのぎの無責任な体質をまた一つつくってしまう、そういうことになる。

 これは国内だけの話ならいいんですけれども、対アメリカ、対米に対する文書、アメリカとの間でつくる文書と国内向けの文書が整合性のとれないようなものにしてしまったら、そのまま、特に国の安全保障にかかわることですから、これはもう大変な問題を放置したまま進んでしまうことになるわけですから、ここだけはないように、ぜひ外務大臣、先ほどから言われておりますけれども、命を張って、そういう中身のない政府対処方針にならないように御努力をしていただきたいと思うんですけれども、決意を伺っておきたいと思います。

岡田国務大臣 この日米共同文書と、そして政府のつくる文書の間、それは整合性があるものにしなければいけない、そのことは当然であります。

佐藤(茂)委員 もし、結果としてそういうものになっていないと私が判断したなら、来週以降、当委員会等でもまた要求して、徹底的にやらせていただきたい、そのように考えております。

 私は、何を申し上げたいかというと、結局、この騒動、騒動というかこれだけの閣内での亀裂、ここから生じてくる問題は、今政府と、特に社民党の、社民党は福島さんだけじゃなくて機関決定まできのうされているというんですから、そこであらわれているのは何かというと、辺野古を明記するかしないかとか、あるいは閣議決定、閣議了解に署名するかしないか、それは現象面のことでございます。その根底に、結局、この連立政権の中で安全保障の基本政策をめぐる見解の違いというのが明確に背景としてあって、現象面でそういうことになってきたのは、これはもう国民だれもが察知していることであると思うんですね。

 鳩山総理は、学べば学ぶにつけ、八カ月たってようやく海兵隊を含む在日米軍全体の抑止力の重要性を理解されたようなんですけれども、他方、社民党の福島党首は、海兵隊が抑止力と関係があるのか、そういうふうに反論し、日本の最大の抑止力は憲法九条だ、そう主張されているわけです。それはもう、ほとんどかみ合わないまま、この八カ月間、政権を担ってこられているわけですね。

 ですから、私は、与党三党の間で、中身はわかりませんが、安全保障の基本政策の本質的な議論をやってこられなかったんじゃないのか、そういうツケが普天間基地問題をめぐってこれだけ混乱を招くことになっているんだと思うんです。

 前回の委員会で、私は、岡田外務大臣に、時間をあげますので、この抑止力の意味合い、また、なぜ海兵隊が日本にとって抑止力になるのかということについて答弁してくださいということで話していただきました。

 そういうことを含めて、ぜひ岡田外務大臣と北澤防衛大臣にお願いしたいのは、今回の政権は、政策は内閣に一元化すると言われているんですから、そういう安全保障政策の本質的な議論抜きには、私どもが見ていて、今の連立三党というのはもう限界に来ているというように思うわけであります。ですから、この外交、安全保障政策の基本政策について本質的な議論を、ぜひこれを契機にして連立三党の中で本格的に始められたらどうか、そのように私は提案したいと思うんですけれども、どちらの大臣でも結構ですから、御見解を伺いたいと思います。

岡田国務大臣 これは三党合意をつくる際に議論はしたわけでありますが、なお議論が不足していると言われれば、それはそのとおりかもしれません。そういったことも行っていきたいと思います。

 それから、先ほど来、こういう問題は与野党を超えてというお話もございます。したがって、野党の皆さんとも、安全保障の問題について、国会での議論は議論として、また少し別の場で真摯に議論をしたり、あるいは場合によっては情報共有をするとか、そういう場があってしかるべきだというふうに私は思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、きょう発表されました日米共同声明の内容について、何点かお伺いしたいと思います。

 きょうの朝出たところなので、通告していないことも含めて確認をさせていただきたいと思うんですが、まずは、もう中谷委員の方からも幾つかあったので、ダブりをなるべく省きたいと思うんですが、二ページ目の環境アセス、「代替の施設の環境影響評価手続及び建設が著しい遅延がなく完了できることを確保するような方法で、」というように言われています。

 それで、この著しい遅延の基準というのは、どれぐらいが著しい遅延だと考えておられるのか。要するに、現行のこの環境影響評価というのは約三年かかってきたわけです。もう一回やり直すとすると、三年間かかるわけですね。三年までは許容範囲だと見ておられるのか、いや、そうじゃなくて、それよりも少ない期間で修正できるような環境影響評価手続ならやるんだという、この著しい遅延がなくというのは、どのように日本政府としては理解されているんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 率直に言って、ここは日米両国政府で議論になったところであります。なるべく今の環境影響調査をそのままにという考え方が一方である中で、それでは自由度がないということで、議論を行った結果、こういう表現になっております。

 したがって、どこまでいけば著しい遅延なくということに当たるかということは、これは明確に決めたものがあるわけではございません。決まっているのは、代替施設の位置、配置、工法に関する専門家による検討、これが八月末日まで、そして、そのことを踏まえた閣僚間の検証、確認を次回の2プラス2、SCCまでということが決まっているわけでございます。その枠の中で、必要があれば、環境影響調査について、今の調査以外の調査も含めて行えるということにはなっております。

 しかし、全体の枠組みとして、著しい遅延がなくという一定の条件がついているということでございます。

佐藤(茂)委員 これは全体の今のロードマップにもかかわってくる話なんですね。著しい遅延というものをどの程度と見るかによって、最終的に、二〇一四年という当初の二〇〇六年の段階のその期限を守れるのか、それとも、延ばしたとしても、どの程度までだったらアメリカ側も許容範囲だ、そのように考えておられるのかというのは、この文書をつくる際の一つの大きなポイントになっていたと思うんですよ。

 ですから、最終的にこのロードマップの期限をどのように見ておられるのかということにも関連すると思うんですけれども、そういうことについては、今、日本の政府としてどう考えておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 結局、これで新しい場所といいますか、これが決まったとしても、沖縄側が受け入れなければ、これは絵にかいたもちになるわけであります。ですから、沖縄の皆さんにも受け入れ可能な、そういうもので、かつ著しい遅延がなく行われるというものを具体的に決めていくということでございます。

 日米で決めるだけならそう難しい話ではないかもしれませんが、それが結果として受け入れられなければ全体の計画がどんどんおくれていくわけでありますから、そういうことにはしてはいけない、そういう日米の双方の認識に基づいて最善の案を考えていく、こういうことでございます。

佐藤(茂)委員 というのは、先ほどもありましたけれども、一枚目の下から三段目のパラグラフのところで、「二〇〇六年五月一日のSCC文書「再編の実施のための日米ロードマップ」に記された再編案を着実に実施する決意を確認した。」そこには、さっきも言いましたけれども、二〇一四年という期限も入ったのがこのロードマップだったんですね。これを着実に実施する決意というものを確認したということは、おのずから二〇一四年というものには縛られる、そういう決意をもう一度お互いに日米両政府は確認している文書になっているわけです。

 だから、今の外務大臣のその答弁だと、二〇一四年に決めたけれども、沖縄の地元もそういう形で受け入れるかどうかわからぬから、その先どうなるか全くわからぬというような、そういうことではなくて、当然二〇一四年というのは今も生きている、そういう日米両政府間の見解じゃないんですか。そこはちょっと確認しておきたいと思います。

岡田国務大臣 まず、従来決められておりましたのは、二〇一四年を目標とするという言い方でございます。そしてそこで、目標ということですから、若干のアローアンスといいますか、そういうものはそもそもあるということでございます。

 そして、結果としてできなければ意味がないわけでありますから、そういう意味では、沖縄が受け入れ可能なもの、それを、著しい遅延がない、そういう範囲でやっていくということでございます。著しい遅延なくということは、逆に言いますと、多少の遅延がある場合もあり得る、それは望ましいわけではありませんが、ということでありますので、そういったこと全体で御判断いただきたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 ですから、私は、ここに辺野古を入れた以外は、基本的に、今の答弁一つ見ても、辺野古というのは具体性がありますけれども、ほかのことについては、すべて、少なくとも八月までに工法とかを決める中で環境影響評価も決めますよという、はっきり言ったら三カ月先送りにした、そういう共同声明の内容になっているなという感じがするわけです。

 では、二〇一〇年八月ぐらいのその先を決めたときには、今の環境影響評価の問題も含めて、具体的な移設場所が決まるんですから、この文書よりももう少し具体性のあるものを日米両政府としては決める、そういうことになろうかと思うんですけれども、それでよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 正確に申し上げますと、二〇一〇年八月末日というのは、位置、配置及び工法に関する専門家による検討の結果であります。それを受けて検証及び確認を行い、次回のSCCまでに完了する、こういうことでございます。次回のSCCがいつかということは書かれておりませんが、それは常識に考えて、八月末からそう時間を置かないということは言えるだろうと思います。

 環境影響調査につきましては、それまでに完了しているということではなくて、位置、配置、工法が正式に決まれば、どのような環境影響調査が必要になるのかということが明らかになってくるわけでございます。既存のものが使える、全部使えるか一部使えるか、そういったこともこの位置、配置、工法次第でありますので、位置、配置、工法がはっきりすれば、必要な環境影響評価の範囲といいますか程度といいますか、そういうものも決まってくるということであります。

佐藤(茂)委員 それで、ちょっとさっき質問で確認し忘れたんですけれども、岡田外務大臣としては、この著しい遅延というのは、大体、例えば二、三年とか、どの程度のものである、そのように見ておられるんですか。著しい遅延でも、やはりそれは、とらえ方は人によって全然違うと思うんですね。

 だから、さっきも言いましたけれども、現行のをやっても、やり直すとしても大体三年なんですよ。環境アセスをやって最終段階に来るまで三年かかった。そうすると、もう一回やり直すとしても三年ということは、三年ぐらいの範囲内ならやり直しても許容範囲である、そのように見ておられるのか。いや、五年も十年も、そういうところまではいきませんよというように見ておられるのか。大体どの程度のめどを著しい遅延、そのように見ておられるのか。御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 私は、五年も十年もというのは、著しい遅延がなくという範囲を超えているというふうに思います。

 何年までが認められるのかというのは、それをあえてここに書かなかったところに意味があるわけで、それは、これから日米で協議していく中で、新たな案の場所とか工法とか、そういうことによって変わってくる。もちろん、そういう全体の期間ということも含めてトータルで、次回SCCで決める、それは全体の判断の中で決めていく問題であるというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 先ほどから、専門家による検討をやって二〇一〇年八月末までに完了させるんだ、その後できるだけ速やかに次回のSCCをやりたいんだと。

 この背景は、事前のいろいろな報道ベースでは、特にアメリカ側からのそういう期限、決定期限の要請が非常に強いという話も伺っております。特にアメリカの議会で、二〇一一会計年度の政府予算原案で海兵隊のグアムへの移転費として四億二千七百万ドル、日本円にして約三百八十四億円を計上済みなんですけれども、普天間移設が具体化に向けて動き出さなければ、この予算が議会で減額される可能性も前々から指摘されております。

 ですから、具体的な移設計画の日米間の具体論の取りまとめを、やはりこの十月ぐらいから始まる二〇一一会計年度予算までに間に合わせるようにという声がアメリカ側の中にも出ているというように聞いているんですけれども、このような観点が事実なのかどうなのかも含めて、なぜ、ここの文書に、括弧の中に書いていますが、二〇一〇年八月末日までに専門家の検討の結論を得るということにされているのか。ここについて、外務大臣、御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 交渉の経緯を余り細かく言うべきではないというふうに思います。

 ただ、もちろん、アメリカの議会で予算の審議が行われている中で、全体像が見えないということになれば予算がつきにくいということはあり得る話でございます。

 それから、二〇一〇年八月末日かどうかは別にして、日本政府側としては、やはりオバマ大統領がAPECの折に日本に来られることが想定されておりますので、それまでには全体の決着をつけたい、そういう思いもこもっているということでございます。

佐藤(茂)委員 それで、時間の許す限り、そのほかの項目も具体的にお聞きしたいと思いますが、一つは、施設の共同使用、これが新しい角度として入っているわけでございます。

 これは要するに、今回の新たな移設地も含めて、「米軍と自衛隊との間の施設の共同使用を拡大する機会を検討する意図を有する。」そういうようにとらえていいんでしょうか。普天間代替基地も含めて共同使用するということをここでうたっている、そういう考えでよろしいんでしょうか。

北澤国務大臣 この合意はこの文書に限るわけでありますが、交渉の経緯とか、新たに我が方からこの問題を提起した意図、そういうものからすれば、今委員がおっしゃった範囲で解釈をしていただいていいと思います。

佐藤(茂)委員 なぜそういうことを一つ一つ確認するかというと、二〇〇六年の現行の日米合意案では、嘉手納基地について共同訓練のために航空自衛隊が使用する、そういうこともあります。また、キャンプ・ハンセンを陸上自衛隊が共同訓練で使用する。そういう共同訓練のときには使用するというのはあったんですけれども、今回の合意では、訓練とかそういう期間的に限定される状況での使い方ではなくて、普天間の代替施設、移設先施設で、アメリカ軍だけではなくて自衛隊の共同使用を検討するということになぜされたのか。そこは、ぜひ北澤防衛大臣の御答弁をいただきたいと思います。

北澤国務大臣 これは、いろいろ協議をいたしました。それからまた、沖縄の皆さん方のお気持ちにも十分配慮する中で、「両政府は、二国間のより緊密な運用調整、相互運用性の改善及び地元とのより強固な関係に寄与するような米軍と自衛隊との間の施設の共同使用を拡大する機会を検討する」、こういうことでこの文書になったというふうに御理解をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 ですから、要するに、今までほとんど、二〇〇六年までの段階では、共同訓練のときには使いますよとなっていたわけです、米軍基地を。それを新たに、今回のこの合意文書の中では、訓練じゃなくて、訓練じゃないときにも共同使用しますよと。これは何を目的としているのかというのをもう少しわかりやすく御答弁いただきたいと思うわけでございます。

 例えば、今回、辺野古につくられる代替基地に、二〇〇六年の案のときにもそんな共同使用なんという考え方は一切なかったんですよ。ところが、今回のこの共同声明では、それを共同使用しますよと。なぜ共同使用する必要があるんですか。そこをもう少しわかりやすく、ただ文書を読むだけじゃなくて、御説明いただきたいと思います。

北澤国務大臣 こういう文書で日米で合意をしたわけでありまして、この合意に至るまでの間に、それぞれ、この効用について議論をいたしました。

 この後、工法それから位置、そういうものを決定していく中で、今私がこれ以上のことを申し上げると、位置を決定する、工法を決定するというところに予断を与えかねないというふうに私自身が思っておりますので、どうか御了承いただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 私は、この一つだけでも、また沖縄の方々は懸念を持たれる。それは、米軍だけでも大変な騒音あるいは事故等の危険性があるのに、そこに自衛隊が一緒に来て共同使用すると、さらに大変な騒音の影響が増大するんじゃないのか、さらに事故の危険性もふえるんじゃないのかという。そういう意味では、地元の理解を得るのはさらに困難な要素が入っているんじゃないのかなという懸念を持つんですけれども、北澤防衛大臣はそのことはどのように考えておられますか。

北澤国務大臣 この文書は、沖縄の施設の代替の施設ということに限って書いてあるわけではないわけでありまして、全国の基地についてもう一度検討したいというのが大前提になっておりますが、今せっかくの御質問でありますから、我々とすれば、沖縄の皆さんに従来以上の懸念を与えるなんということは毛頭考えておらないわけでありまして、むしろ安心感を醸成するという意図を持って米側と協議したということだけは御理解いただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 ですから、そういうことを、今はそれ以上答弁できないんでしょうけれども、本当にそのとおりに、本当に沖縄の方々に安心感を持っていただけるような、さらに負担軽減につながるような具体論をぜひこの八月にはきちっと公表していただきたい、そのように今の段階では申しておきたいと思います。

 もう一つは、これは外務大臣にぜひ御答弁いただきたいのは、三ページ目の訓練区域、これが、ホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除ということが言われているんですけれども、私ども、安全保障委員会で安住委員長を中心に行きましたときにも、沖縄県から、仲井眞知事からも文書を渡されて要請されたのは、このホテル・ホテル訓練区域の一部返還とあわせて鳥島と久米島の射爆撃場の返還についても沖縄の地元は要請されていたと思うんですけれども、結果としてここに出ているのは、この「ホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除を決定し、その他の措置についての協議を継続することを決意した。」となっております。

 もう一つの鳥島と久米島の射爆撃場の返還についてはアメリカ側に交渉されたんでしょうか。交渉の結果どうなったのか、外務大臣から御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 恐縮ですが、交渉のやりとりについて申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

 今回、さまざまな問題について交渉した結果として、結論を得たのはホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除、これは決定をいたしました。そのほかの問題については、引き続き協議をするということでございます。協議は継続中でございます。

佐藤(茂)委員 そうしますと、ぜひ継続していただいて、八月にはさらに沖縄の負担軽減策が、もう少し理解を得られるようなものを盛り込んでいただきたい、そのように思います。

 もう一つは、環境のところですね。ここに大変長い文章で書かれているわけですけれども、一つは、「再生可能エネルギーの技術を導入する方法を、在日米軍駐留経費負担(HNS)の一構成要素とすることを含め、検討することになる。」ということ。これは、太陽光発電を含め、そういう再生可能エネルギーの技術を導入するものをホスト・ネーション・サポートの中できちっと対応する、そういうことであるというように理解していいんでしょうか。意味を御説明いただきたいと思います。

岡田国務大臣 具体的に決めたわけではありませんが、一構成要素とするということを含め、検討するということにしたものでございます。

 ですから、全体の趣旨としては、委員がおっしゃったことで結構だと思います。

佐藤(茂)委員 その後の、後段の三行のことなんですけれども、これは、沖縄の方から我々も文書でいただいた中に、在日米軍基地の環境問題に関する、沖縄の方は日米地位協定への新設の要望があったんですけれども、そこを受けて、報道ベースでは、環境問題に関する特別協定の交渉を日本側からは相当されている、そういう報道もあったわけでございます。

 これは環境に関する特別協定の締結を速やかに、真剣に検討する、そういうことをこの下の三行はうたわれているのか、この三行の意味するところはどういうことなのか、外務大臣、御答弁いただきたいと思います。

岡田国務大臣 意味するところは、ここに書かれたとおりでございます。

 すなわち、ここに書いてありますように、「環境関連事故の際の米軍施設・区域への合理的な立入り、返還前の環境調査のための米軍施設・区域への合理的な立入りを含む環境に関する合意」、英語で言うとアグリーメントを「速やかに、かつ、真剣に検討することを、事務当局に指示した。」ということでございます。これ以上でもこれ以下でもございません。

佐藤(茂)委員 もう一つは、これは事前に質問通告しておりませんけれども、訓練移転のところで、今回、「徳之島の活用が検討される。」ということを明記されました。これは、地元も含めて、後々大変な反響が出てくるかと思いますけれども、その前に、「適切な施設が整備されることを条件として、」そういうことが書かれているんですね。

 そこで、ぜひ私、確認しておきたいのは、徳之島の今の空港の滑走路の着陸帯というのは、百五十メートルしかないわけであります。これは有視界飛行による着陸しか認められていないんです。計器飛行での着陸には三百メーター以上必要とされる、こういう問題もあって、やはり着陸幅を広げないといけない、そういうことがアメリカ側からも要求されているというように私は伺っております。

 もう一つは、徳之島空港の滑走路の強度も、小型旅客機の運用を想定してつくられたものであって、アメリカ軍のような大型の輸送機などを運用する場合には、滑走路の強度も不足をしている、そういう見方もアメリカ側はしていて、懸念を持っているというように言われているんです。ここの「適切な施設」というのは、そういう滑走路も含めて周辺の、米軍が訓練をするにふさわしい、そういう整備までするということも含めて、今回、あえてこの「徳之島の活用が検討される。」ということを明記されたのか、防衛大臣、御答弁いただければありがたいと思います。

北澤国務大臣 今、現状について佐藤委員の方から指摘されたことは、検討材料とすれば、まさに的確な事項だというふうに私たちも認識をいたしております。

 しかし、現状は、今言われたように、強度の問題であるとかそういうものを正確に我々が今把握しているわけではありませんので、その点は、今おっしゃったことが問題点として指摘されたことは間違いのないことであります。

 そこで、これは、沖縄の負担を減らして、しかも訓練移転は全国で分かち合おうという鳩山政権としての大きな意思を込めたものだというふうに御理解をいただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 それでは、少々時間が残っておりますけれども、最後に、ぜひ両閣僚、これだけの日米共同声明をまとめられたんですから、質問途中で見ましたけれども、結果として、二重基準であるとか二枚舌だと言われないような政府対処方針の取りまとめをぜひやっていただくことをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

安住委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

安住委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 きょうは、普天間問題一本で三十分間質問をさせていただきますが、前回に引き続き、岡田外務大臣を中心に質問したいと思います。

 鳩山総理大臣とは岡田大臣はもう長いおつき合いだと思いますので、率直に、端的に質問をしますので、お答えいただきたいと思います。

 鳩山総理が何を考えているかわかりますか。

岡田国務大臣 鳩山総理とは、私は自民党時代に同じグループに属しておりましたので、そういう意味で二十年、おおむね理解しているというふうに思っております。

小泉(進)委員 国民の皆さんは全然わからないんですよね。私も、鳩山総理が何を考えているのかがさっぱりわからないんです。

 それで、なぜわからないのかなと思ったら、鳩山総理という未知との遭遇だったんです、私たちは。鳩山総理は、就任会見でこういうふうに言いました、「多分、いろんな試行錯誤の中で失敗することもあろうかと思います。是非、国民の皆様にも御寛容を願いたいと思っております。何せまだ、ある意味での未知との遭遇で、経験のない世界に飛び込んでまいります。」

 鳩山総理が未知との遭遇をしたのではなくて、私たちが鳩山総理という未知との遭遇をしたんですよ。そして、鳩山総理みずからが遭遇したのは、未知ではなくて無知だ、私はそういうふうに思わざるを得ないんです。

 鳩山総理は、今から一年四カ月ぐらい前ですか、平成二十一年一月の二十九日、本会議で当時の麻生総理にこういうふうに言いました、「直近の世論調査でも、内閣支持率は下げどまらず、一〇%台であります。 麻生内閣は既に国民の支持を失ったのです。」「もはや、麻生総裁のもとで選挙をやりたいという人は、自民党、公明党の中にも、総理御自身以外はおられないのではないでしょうか。」私は、言葉をそのまま鳩山総理にかえたら、御自身に今はね返ってきていると思うんです。

 総理の発言がころころ変わること、私は、一緒にお仕事をされている各閣僚の皆さん、岡田大臣にきょうお伺いしたいのは、総理の発言がころころ変わっていることを認識されておられますか。

岡田国務大臣 政治家の発言というのは、気をつけないと、部分だけを切り出されてしまうと非常に真意が伝わらないということはございます。そのことは私も実感をするわけで、したがって、結果的にどうなるかというと、記者会見などでも話す言葉は短くなる。小泉元総理のような言い方に私もだんだん近づいているのかなと最近思うことがあるわけですが、やはり丁寧に長く説明すると、そのうちの一部だけが抜き出されてしまいますので、簡潔に短く言った方がいい。鳩山総理は、非常に丁寧に言われることを心がけておられたというふうに思います。それがさまざまな誤解を招く。

 ただ、この普天間の件でいいますと、一貫して変わらないのは、鳩山総理の、沖縄の負担を何とかして軽くしたい、軽減したいという思いであります。そのことを理解した上で鳩山総理のさまざまな御発言を見ると、そこにそういった一本筋の通ったものがあるということが御理解いただけるのではないかと思っています。

小泉(進)委員 鳩山総理が謙虚な方で、人柄もよく、そういう方だというのは多くの国民も理解をしていると思うんです。そして、沖縄の皆さんの負担を軽減したいというその思いもよくわかっているんです。しかし、思いと言葉のギャップなんです、問題があるのは。

 言葉というのは、その思いの発露が言葉であり、その言葉には思いが乗るんじゃないですか。しかし、鳩山総理の言葉からは、思いということは言うけれども、本当にその思いがわき出たものが言葉としてあらわれているかがわからないんですよ、私たち国民は。

 鳩山総理は、三月の二十四日、こういうふうに言いました、三月いっぱいには政府案をまとめる、それは約束すると言ったんです。三月の二十九日、今度はこう言いました、その約束するから五日後ですよ、今月中じゃなきゃならないと法的に決まっているわけではない。そして、その翌日、三月三十日、一日、二日、数日ずれることが何も大きな話ではない。こういうふうにころころ変わっていくんですよ。そして、鳩山総理、これは二月の四日の参議院の決算委員会ですけれども、移設先がもとに戻ることは解決ではないと言った。その言葉と現実として迎えた結果、この落差に、国民は鳩山総理の言葉を信じることができないんです。

 最低でも県外と言いました。しかし、最低が県外というのはうそだということがわかったじゃないですか。最低というのは最も低いボトムライン、しかし、それよりも下があった。自民党、公明党がつくった現行案は、埋め立て案だから自然への冒涜だと言った。しかし、まとめようとしている案はその埋め立てだという案も伝わっております。その埋め立てにヘドロを使うかどうかはともかくとして、埋め立ては自然への冒涜だと言ったんです。その結果が今を迎えているんですよ。今、テレビを見ても新聞を見ても、鳩山総理の言葉を信じられると思っている方、多くはありません。

 私は、鳩山総理にもし質問をする機会があったら、率直に聞いてみたいことがあるんです。ですが、そういう機会がまだありませんので、かわりに、大臣がどう思うか聞いてみたいんです。

 鳩山総理御自身が、御自分の発言がころころ変わっていることを気づいていると思われますか。

岡田国務大臣 いろいろな総理の御発言、その真意がどこにあるかということを私は一々確認しているわけではございません。それこそまさしく、自民党の中で機会を得て、そして予算委員会その他で総理と議論をされてはいかがかというふうに思います。

 ただ、政治家の言葉は重いわけでありますので、もちろん総理がその場その場で自分の意見を言っているわけではなくて、それは総理としてみずからの思いをしっかりと言葉に託して語っているというふうに思っております。

小泉(進)委員 それが私は国民との認識のギャップだと思うんです。総理がその場その場で発言をしていないとはだれも思っていないんです。その場その場で発言を変え、場当たり的な対応、発言をしているというのが多くの国民の感覚だから、今、総理の発言がばかにされ、軽んじられているんです。

 きょう、この質問で一つ私が確かめたいと思ったのが、鳩山総理だけでなくて、閣僚の皆さんのお持ちになっている認識と、国民が感じている実感との乖離なんです。その認識が余りにも大きい。その中で、発言が今の現実の姿と整合性がとれていないのは総理だけではありません。

 岡田大臣、一月二十九日の外交演説で、岡田大臣はこう言いました、「五月末までに政府として具体的な移設先を決定します。」二月の二十七日、三重県四日市市での講演で、五月末までの決着は内閣としての約束だ、必ず実現する、そう強調しました。三月九日のこの安保委員会でも、「五月末までに政府として具体的な移設先を決定します。」と言いました。しかし、今、具体的な移設先を決める段階に至らなかった。五月末の今、決着をする段階で、具体的な移設先を政府として決めることはできなかった。

 大臣は、今私が紹介した今までの発言と、今迎えているこの現実、整合性があると認識していますか。

岡田国務大臣 政府としての具体的な移設先を決定するということに関しては、もちろん沖縄県からの、受け入れといいますか、そういったものはないわけであります。ただ、政府として、「キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する」ということは、これは日米共同発表の中に書かれていることであって、これを内閣としてどういう扱いをするかということはこれから決まるわけでありますが、政府の意思として、この「キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域」ということは、これは政府として決めるということだ、私はそう思っております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 午前中の委員会でももうこの質問は出ましたが、岡田大臣、もう一度確認をさせてください。

 きょう、五時から鳩山総理が発表する内容、そして、もう既に委員会でお配りをいただいた日米の共同声明、これは五月末の決着を達成したとは言えない中身だ、それで間違いありませんね。

岡田国務大臣 政府としてはこういう考え方でいく、しかし、沖縄県側から、それを受け入れる、そういうことにはなっておりませんので、それはこれからの作業である。そういう意味で、沖縄県側も含めた決着ということにはなっておりません。そのことについては、私は先日来、沖縄の皆さんに対して大変申しわけないことであるということを申し上げているわけでございます。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 それではお聞きしますが、大臣は、いつから県外は無理だと気づいていましたか。

岡田国務大臣 私の個人的な思いとしては県外は難しいということは、昨年のたしか十月か十一月の記者会見でそういうふうに申し上げたことがございます。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 大臣の記憶は確かで、これは十月の二十三日、大臣は記者会見でこういうふうにおっしゃいました、普天間の危険な現状を考えると、時間をかけるわけにはいかず、県外移設は考えられない状況だ。大臣がもう十月の時点で、県外は難しい、こういう認識をお持ちだったこと、これは事実なんです。しかし、それだったら、なぜ、こんなにそこから延びたんですか。

 鳩山総理は、今月、五月の四日に沖縄に行って、そのときに、学べば学ぶにつけ、抑止力の重要性を理解したと言った。しかし、岡田大臣は、総理よりも先に、半年ぐらい先に、もうその重要性を理解して、県外は難しいと思っていたんじゃないですか。だったら、十二月に決定できず、三月にも決定できず、そして五月も、五月の決着から、できる限り努力をするという後退に次ぐ後退、先送りの四連発ですよ、なぜこうなったんですか。大臣がその認識を総理に申し上げて、県外は難しい、どうか総理、早く決断をしてください、こういう思いを大臣から鳩山総理にぶつけることができなかったんですか。

 そして、もし、それを言ったにもかかわらず今回ここまで延びたということだったら、鳩山総理に岡田大臣の思いが聞き入れられなかった、そういうことで構いませんか。

岡田国務大臣 まず、その十月の記者会見でありますが、私はあそこで言うべきではなかったのかなと今反省をしております。閣僚として、やはり内閣の中で議論した上で発言すべきではなかったか。

 ただ、当時は、この普天間の移設の問題を、私は外務大臣として、そして防衛大臣である北澤さんとともに二人で何とかしていこう、そういう思いでございました。なるべく総理を巻き込まないでやろうということで進めておりましたが、やはりこういう問題は内閣を挙げて取り組んでいかなければいけない。

 御質問にお答えするとすると、結局、一つのポイントは十二月というのがありました。十二月の段階で月内にという議論はあったわけですが、やはりそこは総理として、総理も発言されていますので私も申し上げますが、あそこで無理に、例えば現行案に限りなく近い案で決めたとすると、それはとても沖縄として受け入れられないものになっただろう。そういうこともあって、よりしっかりと、沖縄の負担軽減ということをさらに真剣に検討する時間が必要であった。

 結果として、今回の日米合意というものは、基地の移転の問題だけではなくて、そのほかの負担の軽減についても、今までになかったものが書き込まれ、全体としてかなり沖縄の負担軽減になっている。そのために時間を要したということであります。

小泉(進)委員 十二月に決めていたら大変だった、沖縄の理解は得られなかったと言いますが、今だって得られていないじゃないですか。全然変わっていませんよ。そして、十二月に期限を区切って、その一月半ぐらい前の段階から岡田大臣は県外は難しいということを気づいていたにもかかわらず、鳩山総理大臣は、ようやく沖縄に足を運んだのは今月じゃないですか。沖縄の理解を得ようと努力をしたのは、思い、思いという言葉だけですか。

 大臣は、きょう、大変真摯な丁寧な対応、答弁をしてくださっています。しかし、今までの発言と今のこの結果の整合性がとれないところ、これは野党としてもしっかりとチェックしなきゃいけない。これは、問い詰めるべきところは問い詰めなくてはいけません。

 前回の質問で、大臣は、決着の定義をこう言いました。「地元の理解を得、アメリカの理解を得ながら政府として結論を出すということであります。それ以上でもそれ以下でもございません。」以上も以下もあったじゃないですか。「地元の理解を得、アメリカの理解を得ながら政府として結論を出す」という意味は、まず地元の理解を得てからアメリカの理解を得るということじゃないですか。それが、アメリカとの大筋合意はできた、地元の理解はない、全然逆じゃないですか。この前、大臣が、二週間前ですよ、五月の十四日のこの安保委員会、ちょうど二週間前です。あのとき言ったときから、結果は全く逆だったんですよ。今回の決着の中身、もともと言っていた、当初の、決着というのは三つの合意だ、地元との合意、政府内の合意、そしてアメリカとの合意という三つの合意のうちの三分の一、しかも、その三分の一はアメリカ、しかも、そこは大筋合意ですよ。

 そして、十二月、三月、五月という三回の先送りになって、この五月末の決着も、今回の共同声明、そして、これから、きょう五時からある総理の記者会見、ここで一応の決着だと言うかもしれませんが、これは先送りですよ。八月まで工法も具体的な移設先も決まらない、つまり、工法と具体的な移設先は八月に先送り。先送りの四連発じゃありませんか。

 そして、私は前回の質問で、五月末の決着はだれが決めたんですかと聞きました。私は、総理みずからが五月末だと決めて、そういう方針で内閣が動いているのかと思ったら、大臣がはっきりと言ったのは、これは総理大臣が一人で決めた問題じゃない、五閣僚で決めましたと言った。そして、私が、もしそうだとしたら、五月末決着ができなかった場合、総理大臣一人の問題ではありませんねと言ったら、総理一人の問題ではありません、関係閣僚で決めました、そういう答弁がはっきりとありました。

 きょう、五月末の決着が、国民が想定していた決着が得られなかったということを率直に認めなくてはいけないと大臣はおっしゃいました。そのできなかった責任、大臣はどう責任をとるおつもりか。

 私はあえて言いますが、大臣の辞任を今求めているわけではありません。私は、大臣の責任は、この日米合意、きょうのこの二十八日の日付で発表された日米合意を日本政府の意思として確固たるものにすること、日本政府の意思として明確にすることが、この署名大臣の一人である岡田大臣の責任だと私は思っているんです。

 きょう、総理大臣が午後五時から記者会見をやるようです。連立の一角の社民党がどういう対応をとるかはわかりません。しかし、社民党の考えがどうであろうと、この日米という政府同士で決めたこと、これを政府の方針として発表する、つまり、閣議決定、閣議了解、こういう政府が一致した署名がある形で日米合意を粛々と進めるという、その確固たる証拠をつくること、これが岡田大臣の責任のとり方じゃありませんか。大臣の責任のとり方、教えてください。

岡田国務大臣 私は、私自身の責任というのは、この日米合意を実現することだというふうに考えております。

 そして、きょうのことについては、もうきょう結果はわかることでありますので、今官房長官を中心に、一生懸命に最後の調整をやっておられるわけですから、私からそのことについて触れることはありませんが、午前中も申し上げましたけれども、この日米合意と、そしてきょうじゅうに行われる政府としての態度の表明、そこに整合性がなければならないということであります。

小泉(進)委員 閣議決定がなされるかどうか、これは最後は総理大臣の決断も大きいと思います。しかし、大臣がみずからの意思を総理大臣に伝え、また閣僚として公にもする、閣議決定にすべきだと。この日米の共同声明と政府の対処方針と言われるもの、今メディアの中、国民の中では既に、ダブルスタンダード、二枚舌だ、二重基準だという評価ができています。それを打ち消すためには、日米の共同声明があくまでも根拠である、それを実効たらしめる効力を持つのが政府の対処方針だ、これを明確にすべきじゃないですか。

 安全保障政策というのは国家の基本ですよ。これを、連立の妥協、社民党がいてくれるかどうかを優先させるんですか。結果として優先するのは鳩山総理の判断です。しかし、岡田大臣の政治家としての判断、決意、私は、これが責任のとり方だと思っているんです。決断が下される前に、これは閣議決定すべきだと、大臣の意思を表明してください。

岡田国務大臣 どういう形で政府の意思を明らかにするかということは、政府にお任せをいただきたいと思います。私も、政府の一員として、先ほど申し上げましたように、きちんと整合性のある形というものを実現してまいります。

小泉(進)委員 大臣の個人的な思いはどうですか。私は、大臣は今まで、外交、安全保障、思い入れを込めて政治家として取り組んできたと思っています。今、安全保障政策の大きな責任を担う外務大臣として、日米の同盟という日本にとって最も大事な二国間関係、この根幹ですよ、これを、政府と政府が約束したものを日本政府として進めなければいけない、まさにこれこそ、政治家としての決断が問われていることじゃないんですか。大臣はそれでも、個人的には閣議決定がベストだと思うとも思いませんか。

岡田国務大臣 そういうことをこの場で私が申し上げるべきではないというふうに思っております。

 ただ、この合意文書、数カ月かけてつくってまいりました。つくるに当たっては、数限りない議論を行ってまいりました。外務省も防衛省も、それぞれの職員が土日返上で議論をし、私自身もルース大使と何度も何度も議論しながらつくってきたものであります。クリントン長官とも話もしました、そう深く長官とはやったわけではありませんが。

 そういう中で、私は、アメリカ政府もよく忍耐心を持って対応してくれたというふうに思っております。そういう中ででき上がったこの日米合意でありますので、その日米合意の趣旨というものがきちんと生かされるようにするというのは、それは当然のことであります。

小泉(進)委員 がっかりですよ。日米合意で表明された中身、辺野古の周辺と明記されているじゃないですか。そして、政府の対処方針でもめているのは、どういった表現だったら社民党が残ってくれるかですよ。結果は同じじゃないですか。辺野古に移すんですよ。しかし、社民党を残すかどうかの判断のために、文言でもめているんですよ。つまり、その文言が日米の政府同士の合意よりも尊重されるんですか。こんなのおかしいじゃないですか。国民はそう思いますよ。だから、二枚舌とかダブルスタンダードとか言われても反論のしようがないんじゃないですか。結果、二枚の文書を出したって、移設先は辺野古だということは一つじゃないですか。そこが決まっているにもかかわらず、社民党を残したいがために、その辺野古というのを外すかどうかの議論で今もめているんですか。これだけもめて、八カ月も迷走したあげく、最後の最後でもめているのは、社民党を残すかどうかですか。

 もともと、この連立三党ができたとき、これが起きることなんて、だれの目にも明らかだったじゃないですか。社民党はこう言っていますよ、鳩山総理よりも抑止力の存在意義はよっぽど前からわかっていた、違う意味で。憲法九条が最大の抑止力だと言っているそうですよ。しかし、民主党の抑止力の解釈は全然違うじゃないですか。

 安全保障の認識を共有しない党が連立与党を組んでいるんですよ。そして、この日米の関係が問われるときに、意思疎通がうまくいかない、認識の共有がうまくいかないなんということは、当初からだれだって言っていたじゃないですか。それを最後に、辺野古と決まっているにもかかわらず、それをどうやってぼかすかが今の政府のエネルギーを使う場なんですか。私は到底納得できない。

 そして、今回、閣議決定がたとえなくても政府の意思決定だということは、明らかに間違っている。それは、平野官房長官が一月にこう言っているんです、首相からの指示は、五月末までに日米との協議も含めて移設先を決めなさいということだ、当然、基本政策閣僚委員会、閣議決定というプロセスが入って政府の意思決定となると言っているんです。閣議決定というプロセスが入って政府の意思決定と言っているんですよ。閣議決定がなかった場合、政府の意思決定ではない、平野官房長官は一月に明確に言っております。大臣の認識は違いますか。

岡田国務大臣 閣議決定、閣議了解、あるいは総理としての発言、それぞれ法律的な意味は若干異なります。そういうことも含めて、きょうじゅうには結論が出るわけでありますので、一定の仮定に基づいて今物を言うべきではないと思います。

 それから、委員がいろいろ言われた社民党との関係については、それは報道に基づいて言われているんだと思いますけれども、必ずしもそういうことなのかどうかということでございます。

小泉(進)委員 五時からの記者会見、見るのが憂うつな気になりますけれども、きょう質問をして、改めて今までの八カ月を思い返すと、私は、今回なぜこういう結果になってしまったのか。結局は、自民党憎し、自民党の案以外じゃなきゃいけない。それを探すことによって、まず最初にやったことが、自民党、公明党が現行案としてつくったものを選択肢のわきに置いた。そして、ほかで探した結果、最後の最後、その現行案の修正案に近いものでないとだめだということが結果として見つかった。

 私は、二〇〇六年の日米合意、これは当時の自民党とアメリカの共和党の合意ではないと思っているんです。これは日本政府とアメリカ政府との合意だと思っています。そして今回、五月の二十八日、岡田大臣、北澤大臣、クリントン、そしてゲーツさん、この四名で発表したこれも、日本の民主党とオバマ民主党が合意をしたものではなくて、日本政府とアメリカ政府が合意をしたものじゃないですか。だとしたら、ベストな案を政権交代後に探す上でも、自民党がつくった案だからといって選択肢から除外をしたこと自体がまず間違っていた。政治だから、もちろん感情は入ります。しかし、感情と、実現可能性や現実性がどこまであるのか、現実に即するのかという感覚を失った結果が最初だと私は思っているんです。

 もうそろそろ時間ですから、最後に岡田大臣に、また、岡田大臣だけじゃありません、民主党の皆さんに言いたいんです。

 この普天間の協議が進んだのは、当時の橋本総理のときであります。一九九七年、当時の名護市長比嘉さんが橋本総理に贈った琉球の歌、琉歌があります。こういう歌でした。「義理んすむからん ありん捨ららん 思案てる橋の 渡りぐりしや」、これはどういう意味かというと、国に対する義理に背けないし、あれ、あれというのは住民投票の結果です、住民投票の結果も捨てられない、思案という橋を渡るのは苦しいが、やはり渡るしかない。

 そして、比嘉さんは、首相官邸を訪ねて、橋本総理にこう言ったんです、首相が普天間の苦しみを心より受け入れてくれたことにこたえたい、そのかわり私は腹を切る。みずからの辞任を引きかえに、後継を岸本さんに託し、岸本さんはその受け入れを容認した。

 今、鳩山総理の思いにこたえてくれる、こういった方はいますか。

安住委員長 小泉君、時間をオーバーしていますよ。

小泉(進)委員 言葉とその総理の覚悟、これを意気に感じて、何とか鳩山総理の思いに、鳩山政権の思いにこたえようという方が出てこないこと、私はこれが言葉の軽さのきわみだと思っています。そういう方が一刻も早く沖縄から出て、皆さんとともに、日本政府、アメリカ政府との合意を着実に進めてくださいますことを心から祈念して、私の質問にします。

 ありがとうございました。

安住委員長 できるだけ時間を守るように。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、普天間基地問題について聞いていきます。

 日米両政府は、本日、外務、防衛担当閣僚による共同声明を発表いたしました。普天間基地の移設先について、「キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域」と明記しました。

 県民は、県内移設断念を総意として繰り返し求めてきたわけです。これを真っ向から踏みにじって、名護市辺野古への新基地建設を県民の頭越しに押しつけるものであり、断じて許されない。

 総理はこれまで、アメリカと地元の合意を得て五月末までに決着させると繰り返し述べてきました。外務大臣も、地元の理解を得て、日米で合意する案を五月末までに政府案としてまとめると述べてきました。地元の理解は得られておりません。それどころか、県民の気持ちをもてあそんだあげくの基地押しつけに、県民の怒りは頂点に達しています。

 外務大臣に聞きますが、地元の理解を得られていないにもかかわらず、なぜ日米間で合意したんですか。これまでの言明に照らして説明していただけますか。

岡田国務大臣 もともと五月末ということを目指して、日米間で議論してきたものでございます。それがまとまりました。

 もちろん、沖縄の理解を得べく、総理みずからも二度にわたり沖縄に行かれ、そして努力をさせていただきました。しかし、残念ながら、今日に至るまでその理解が得られたと言える状況にないことは、委員御指摘のとおりであります。

 したがいまして、この日米合意案は、普天間の移設の問題だけではなくて、沖縄にとってのさまざまな負担の軽減を含むものでございます。このパッケージをお示ししながら沖縄県民の皆様の御理解を得る、それが、内閣が今行わなければならないことでございます。

赤嶺委員 地元の理解を得られる見通しもないまま、ああいう発言を繰り返してきたということですか。

岡田国務大臣 地元の理解を得るための最善の努力、総理初め内閣として、その最善の努力を払ってきたところでございます。しかし、結果を見れば、理解を得るに至っていないということでございます。

赤嶺委員 結局、今の政府の態度は、沖縄県民ではなく日米合意を優先した、そういうことであります。

 私たちは、この問題で、アメリカも県民も大事という立場は成り立たない、県内移設断念を求める県民の立場に立ってアメリカと交渉すべきだと繰り返し求めてきました。県民は、政権交代によってそれが実現可能だとも思った人たちも大勢いらっしゃいました。ところが、鳩山内閣はそういう立場には立たなかったわけです。

 しかも、アメリカから、日米合意を実行しなければグアム移転も嘉手納以南の土地返還もない、あるいは海兵隊のヘリ部隊は他の部隊から切り離すことはできないといろいろ言われて、結局、県内移設をのまされた。そして、そういう結果を見ると、やはり鳩山外交というのは、対等な日米同盟どころか、アメリカ言いなりそのものだ、ここに今県民が非常に怒っているということを申し上げておきたいと思います。

 先ほどパッケージという話もありましたが、今後、地元の理解を得られる努力、具体的にどのようにして得ていくつもりですか。

岡田国務大臣 今パッケージというふうに申し上げましたが、その中にはもちろん、ここにも書きました、八千名のグアムへの移転、家族九千名も含めて合計一万七千名の沖縄からグアムへの移転、そして移転に伴ってあいた基地の返還ということも含まれているわけでございます。

 そういったことを総合判断し、そしてこの普天間の危険な状況を除去しなきゃいけない、そのための移転というものを何が何でも実現しなければいけない、そういうことの中から出てきたのが今回の日米合意案でございます。

 もしこういう形でまとまらなければ、普天間の状況というものはさらに維持された、そのまま残ってしまったということになりかねないわけでありますから、我々としては、日米間で真摯な議論を行って今回の合意をつくり上げたということでございます。

赤嶺委員 嘉手納以南の土地の返還やグアムへの海兵隊の移転というのは、ロードマップの中身なんですよね。今までの自公の案なんですよ。そのパッケージが破綻したんですよ。破綻したから、民主党政権になって見直しが始まったわけですよね。

 今度、訓練移転とかいろいろ言われているわけですが、訓練移転も、この間行われた嘉手納基地のF15戦闘機の訓練移転の場合、全く負担軽減になっていません。それは、大量の外来機が飛来して訓練を行っているからであります。こういう実態を野放しにして幾ら本土への訓練移転を拡大しても、沖縄の負担軽減に全くつながりませんし、理解を得られることは不可能です。

 今回皆さんが検討している訓練移転の中に、沖縄への外来機の飛来をやめさせるということは入っていますか。

北澤国務大臣 この問題は沖縄県からも要請がありますし、今まで実効性が伴わなかったのは、まさに外来機がすき間を縫って演習をしていた、これを何としても減らす。政権がかわってから、ちょっと今正確に申し上げられませんが、たしか十月と二月に申し入れをいたしまして、その実は少しずつではありますが上がっておるということであります。

赤嶺委員 外来機の飛来をやめるとアメリカは言っているんですか。減らすと言っているんですか。

北澤国務大臣 これは沖縄から減らすということでありまして、それを全国の基地に展開してもらう、こういうことであります。

赤嶺委員 沖縄の米軍基地に展開している戦闘機を本土に移しても、防衛大臣おっしゃるように外来機がやってきて訓練を展開すれば、負担は増大するばかりなんです。負担軽減のためには、外来機は沖縄で訓練するなということを、負担軽減と言うんですから、皆さんがパッケージでと、県民に理解を求めていくと言うんですから、外来機は飛来するな、そういうことをアメリカと話し合って、アメリカはそうすると言っているんですか。

北澤国務大臣 我々が目指しているのは、まず沖縄の負担を軽減する、それは全国で分かち合おうと。そういう意味で、昨日、知事会議を緊急に開いていただいた。その後に、外来機の問題は、さまざまな軍事的な要素を秘めておりますから、そう簡単に日米で、はい、やめますということにはならないので、これには時間を要するということであります。

赤嶺委員 そこが、大臣、アメリカの基地の問題を勘違いしているんですよ。机上の空論ですよ。沖縄の訓練を減らせば負担が軽減するだろうという、算数式の問題じゃないんですよ。引き算の問題じゃないんですよ、これは。外来機がやってきて県民に大きな負担をかけながら、一方で、沖縄の訓練を本土に移転すれば本土も負担が拡大するだけ。沖縄の負担は減らず本土の負担はふえる、これがどうして負担軽減ですか。

 沖縄に大量の外来機が飛来して頻繁に訓練が行われるのは、訓練のための広大な空域、海域、自由勝手に使える射爆撃場があるからです。沖縄県はこれまで、鳥島、久米島の射爆撃場の返還も政府に繰り返し要求してきました。今回の日米合意に、久米島、鳥島射爆撃場の返還は入っていますか。

北澤国務大臣 その問題については日米で相当に協議をいたしましたけれども、今度の共同発表の中には名前を記して入ってはおりません。

赤嶺委員 何で入らなかったんですか。

北澤国務大臣 協議の進捗の状況の中で、これを文章化するには至らなかったということであります。

赤嶺委員 外来機は今までどおり飛んでくる、そして射爆撃場は今までどおり使うということになれば、どんなに沖縄の訓練の一部を本土に移しても沖縄の負担の軽減にはならないというのが、この間の沖縄が出した結論なんですよ。だから、知事も一生懸命、久米島、鳥島の射爆撃場の返還を皆さんに要求してきたわけでしょう。

 皆さんは、いや、自公政権時代にこんなこともできなかったんですか、我々ならやってみせますよというような発言まであったんでしょう。なのに今度の日米合意には入っていないんですか。おかしいじゃないですか、そんなの。

北澤国務大臣 外来機が演習に外へ出て行った、例えば嘉手納とかそういうところへ今後外来機が来ないような交渉をしているわけでありまして、今の委員の言い方からすれば、外来機が来るのはもう当然であって、減らないじゃないか、こう言っているんですけれども、私たちはそれを減らそう、こう言っているわけでありまして、そういう前提で議論いたしましても、それはなかなかすれ違いに終わるというふうに思います。

赤嶺委員 大臣、ごまかさないでいただきたいですよ。

 外来機がやってくるのをとめられないのは、外来機が海外や国内から嘉手納基地にやってくるのを今までの政府はとめられなかったんですよ。あなた方は交渉してとめると言ったんですよ、知事にも。とめていないじゃないですか。一番大事なポイントが抜けているじゃないですか。

 何で外来機が来るか。鳥島射爆撃場があるからですよ。鳥島射爆撃場についても、今度の日米合意には入っていないじゃないですか。一番県民に苦しみを与えている最大の問題が、この合意の中には入っていないんですよ。

 そして、鳥島では、最近も米軍の激しい射撃訓練が行われています。クラスター弾も投下されています。この訓練は、岩国基地所属のFA18戦闘機によるものです。これらの訓練について、久米島の漁協からも嘉手納基地周辺自治体からも怒りと不安の声が起こっていますが、政府は、鳥島の射爆撃場を使ってクラスター爆弾を投下するような、こんな訓練を放置しておくんですか。

北澤国務大臣 先ほどの御質問の中で射爆撃場とかさまざまありましたが、今、嘉手納という話になりまして、嘉手納については、ごらんいただけばわかるように、明らかにこの三ページのところに「嘉手納における更なる騒音軽減への決意を確認した。」、こういうことであります。それから、その次の「沖縄の自治体との意思疎通及び協力」の下に「両政府は、米軍のプレゼンスに関連する諸問題について、」、こういうふうに書いてあります。

 先ほど私が詰め切れなかったということを申し上げましたのは個別の問題についてで、例えば射爆撃場ならば別のものを用意しなければなりませんから、そこまでは至っていないということであります。

赤嶺委員 嘉手納基地のさらなる負担の軽減といっても、嘉手納基地の負担はふえているのに、皆さんが訓練移転してきても嘉手納基地の騒音はふえていて、その原因は外来機が訓練しているからだ、外来機が来るのは射爆撃場があるからだ、この関係にメスを入れなければ負担の軽減にならない。ところが、今、射爆撃場はかわりの基地を用意しなければ撤去しないとアメリカは言っているわけですか。先ほどそういう答弁をしたんですが。

北澤国務大臣 委員は、嘉手納はふえるふえると言っているんですが、何を根拠にふえるんですか、騒音が。我々は減らす、こう言って、ここにまで書いてあるじゃないですか。

 それから、射爆撃場は、前政権以来、そこで訓練をすることになっている。日米の安全保障条約それから日米の良好な関係からすれば、これを沖縄の知事が、何とか沖縄の負担を軽減してくれ、こう言っていますから、これにかわるものを我々は今模索している、こういうことであります。

赤嶺委員 返還を求めたらかわりの基地を探してあげる、こんなことやったら、いつまでも沖縄の基地は減らないんですよ。

 それから、あたかも嘉手納の爆音が減って、政府の決意を私がゆがめているようにおっしゃっていますけれども、防衛大臣、一度嘉手納に行って、二、三時間きちんと話を聞いてください。あなたの手元に上がってくる防衛官僚の数字がいかに実態と違って、いかに悲惨な苦しみを嘉手納町民が味わっているか、はっきりわかりますよ。まず行ってみてください、私が言うのがおかしいというのであれば。

 それで、私、鳥島訓練場でもう一つ言いたいんですが、鳥島射爆撃場について、久米島の町長は返還の、大臣、聞いてください。ちょっとあなた、後ろ、政治主導の答弁でしょう。政治主導の議論でしょう。(北澤国務大臣「資料を求めているんですよ」と呼ぶ)政治主導の議論でしょう。日米合意してきたのはあなたでしょう。

安住委員長 冷静に。

赤嶺委員 全部答え切れないと。大臣、冷静にと言われていますよ。

安住委員長 いや、両方とも。

赤嶺委員 鳥島射爆撃場については、久米島の町長は、返還のめどが示されなければ契約はしないとはっきり言っているんですよ。これは口頭で伝えられているはずですよ。つまり、契約更新を拒否する考えを示しているんです。それほど負担が重いんです。

 射爆撃場の返還をそれ自体として検討すべきではありませんか。かわりの施設が見つからなかったら、地主である町長が契約を拒否しても、皆さん、強制収用の手続をとってでも米軍に提供するということですか。

北澤国務大臣 まず、先ほどの嘉手納の騒音について、我々が政権を担当いたしましてから、ここに具体的な……(赤嶺委員「答えてください」と呼ぶ)答弁しなくていいんですか。(赤嶺委員「答えてください、答えられるなら」と呼ぶ)

 申し上げましょう。嘉手納からの訓練移転期間中、二十二年一月二十九日から二月五日まで、一日当たりの平均騒音発生回数は百三十六回であり、訓練移転開始前の平成十八年の百七十五回を下回っている。我々が政権を担当してから、米側に要請してこういうふうに下回っているという事実を先ほど来申し上げておるわけであります。

 それから、米軍との間で、日本が日米安全保障条約を結んでいる、そのことをだめだという前提で議論をしますと、全く今のようなことですれ違いになるんですよ。我々は、沖縄の実情を十分に承知しているからこそ、沖縄の負担の軽減を真剣になって取り組んでおるわけであります。

赤嶺委員 防衛省が調査したこの数字に早朝のエンジン調整の爆音などは入っていますか、そこまで言うなら。

北澤国務大臣 私も、その騒音も実際に見聞きしてきました。

赤嶺委員 データの中に入っていますかということを聞いているんです。

北澤国務大臣 早朝の騒音がここに入っているかどうかは、私には今お答えできません。

赤嶺委員 わからないのに、減っているなんて言わないでくださいよ。騒音調査というのは、米軍や防衛局がやっている調査の地点と、嘉手納町がやっている調査の地点と違うんですよ。嘉手納町は、生活の中に爆音がどんな影響を与えるかということで、早朝のエンジン調整から始まって、いろいろな調査をやっているんですよ。その結果、データが上がっているんですよ。もしあなた方がそう言うなら、嘉手納町と同じ場所で調査をやってみたらいいですよ。

 それから、安保条約の考え方の違いがあるからとおっしゃいましたけれども、久米島の町長が、地主である鳥島射爆撃場について今後契約しないよと言っているのは、安保条約に反対だから言っているんですか。違うでしょう。どうですか。

北澤国務大臣 町長からも知事からもそういう要請があるからこそ、我々はそれを何とかしようと努力をしておるわけであります。

赤嶺委員 ですから、負担を軽減するということは、安保条約の立場の違いがあるかないかの問題じゃないんです、今の沖縄は。本当に負担の発生源に向かって努力するかどうかですよ、大臣。

 だから、鳥島の射爆撃場は、かわりの施設を見つけなければといったら、またその痛みをどこかに押しつけることになりますよ。そんなのは負担の軽減にならないんです。

 ですから、少なくとも県外という約束は果たせなかった。しかし、今度の日米合意は、負担の軽減とパッケージだから県民が納得するだろうという、一番納得させなきゃいけない問題について手つかずで、アメリカに押し切られて何も決まらなかったということなんですよ。

 訓練移転では、「適切な施設が整備されることを条件として、徳之島の活用が検討される。」、このように明記されております。先ほどの答弁で、現在の空港の滑走路幅や強度の拡充などを念頭に置いていることを答弁されておりましたが、適切な施設、これは具体的に何を指すんですか。

北澤国務大臣 まだそこまで、十分に公にする立場にはないということです。

赤嶺委員 大体、訓練移転の場合に、今までの自衛隊基地への訓練移転の経験がありますが、例えば新田原では滑走路の新設工事をやったり宿舎をつくったりしておりますが、徳之島にはヘリの駐機場や格納庫それから米兵の宿舎は最低限必要だと思いますが、そういうのは入るわけですか。

北澤国務大臣 先ほども申し上げましたように、まだそこまで、日米で詰めておる、あるいはまた防衛省でそれを検討しているというところには至っていません。

赤嶺委員 格納庫、駐機場、宿舎というのは必要な施設ですよね。

北澤国務大臣 それも含めて、今の段階でお答えすることは差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 徳之島に行きますと、島じゅう立て看板が立っているんです。貧しくても基地は要らない、こういう看板も立てられているんですよ。そして、子宝、長寿日本一の島を誇りにして、島民のほとんどが身も心も売らないという揺るぎない思いを持っています。断食でも座り込みでもする覚悟だ、こういう決意を口々に訴えます。

 徳之島、奄美諸島は日本復帰の闘いのときには長期にわたる断食をやった島ですから、こういう島ぐるみの米軍基地反対の闘いを押し切ってでも徳之島への移転を強行するんですか。

北澤国務大臣 そういう方たちも含めて、御理解をいただく努力をしているということであります。

赤嶺委員 訓練移転では、日本本土の自衛隊の施設・区域も活用され得る、このようにしておりますが、これは具体的にどこを想定しておりますか。

榛葉副大臣 本土への訓練移転の問題でございますが、先ほど来大臣がお答えさせていただいているように、この問題も含めまして、今後どのように分散し、また日本全国でどのように負担の軽減ができるかということを今進めているところでございます。

赤嶺委員 大臣が合意してきたんですから、大臣の答弁をぜひ求めたいと思いますが、既に実施している海兵隊の地上部隊の移転訓練にヘリ部隊を参加させる、そういう報道がありました。これはそういうことですか。

北澤国務大臣 今、そこまでのことをお答えするわけにはいきません。

赤嶺委員 答弁席に立ったら、お答えするわけにはいかないと言う。これでは議論にならないですよ。理解を求めようというのに何も説明しないで、理解なんか求められようがないですよ。

 日出生台だとか矢臼別や王城寺原、北富士、東富士、こういうところで行われている実弾砲撃訓練と一体にヘリの訓練が移転する、そういうことはありますか。

榛葉副大臣 現在、沖縄の一〇四号越えの訓練を、北海道を含めて、また東富士等々でも代替訓練をやっているわけでございますが、個別具体的にどの場所で今後という議論はこれからでございます。

 ただ、総論は賛成、つまりは沖縄の負担は何とかしなければいけない、沖縄がかわいそうだ、しかし、どこで同じように負担を分散して、沖縄の基地の負担を軽減していこうという各論になると、みんな反対だということでございます。

 しかし、これは、しっかりと我が国の安全をどのように日本全体で考えていくかということで、今、大臣が先ほど来答弁しているように、基地をどのように全国できちっと負担するかという議論をしているわけでございます。ただ、個別具体的な名称については、これからの議論ということでございます。

赤嶺委員 外務大臣の先ほどの説明で、県民の理解を得るためには負担軽減とパッケージでということをおっしゃいました。しかし、合意されてきた中身は負担軽減につながらないというのは、先ほどの一、二の具体的な例を通しても明らかですが、ただ、負担軽減というのは、沖縄が辺野古に基地を受け入れようが受け入れまいが、そういう新基地建設とは切り離して負担軽減に取り組むべき問題じゃないですか。何でパッケージでなければだめなんですか。

岡田国務大臣 先ほど来議論をお聞きしておりますが、例えばホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除を決定したということでございます。そういった形で沖縄県知事が非常に強く求めておられたところが解除されることで、沖縄の漁業に携わる皆様を中心に負担の軽減ができるわけでございます。

 これはこれ、あれはあれ、別の話だ、こう言われますが、やはりアメリカと交渉していく中で、アメリカもある意味ではみずからの身を切って、今まで自由に使えたところ、それが本来適切であるかどうかというのは別の議論ですけれども、それを一部返していくということは、アメリカ側から見れば新たな負担になるわけであります。

 そういったことも含めて、全体として交渉して今回のパッケージができている、もしパッケージでなければこういうものはなかなか実現しなかったということは今までの歴史を見ればはっきりしている、そういうふうに私は思っております。

赤嶺委員 ですから、今までの歴史が間違っていたんですよ。

 訓練水域の一部返還といっても、訓練水域で漁をしている漁民に聞きますと、漁をしながら、いきなり海兵隊が海の底から飛び出してくるというんですよ。恐怖そのものですよ。これは良好な漁場で、米軍が優先的に訓練で使用している、こんなのはおかしいじゃないですか、だれが考えても。

 それから、騒音の一番の発生源になっている外来機の自由な飛来と射爆撃訓練、そして地主も拒否しているのに、これについてはアメリカから何の確約もとれていない。これでアメリカは譲ったんですよと言っても、納得しないですよ。

 私、辺野古について聞きたいんですが、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域は、これまでの日米合意との関係で、具体的にどこを指すんですか。

岡田国務大臣 今委員も御指摘になりましたように、キャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域ということでございます。ここに書かれたとおりでございます。

赤嶺委員 現行アセスのやり直しが必要とならない五十五メートルの範囲内で移設場所を決定する、こういう方針ですか。

岡田国務大臣 この場できょうも答弁させていただきましたが、そういう前提には立っておりません。

赤嶺委員 先ほど、環境影響評価手続を仮にとるにしても、建設が著しい遅延がなく完了できる、こういうことを言っているわけですが、環境アセスは、環境アセスの独自の組み立てと論理と法則で手続を決めている法律ですよね。それを、基地建設を早くするために遅延なく環境アセスをやるということは、今までやったアセス調査の材料を使えるものがあれば使う、こういうことでいいんですね。

岡田国務大臣 それは、環境アセスというその趣旨を逸脱しない、その範囲内において使えるものは使うことはあるかもしれません。しかし、そういったことも含めて、何もまだ具体的に決めているということはございません。

赤嶺委員 これは防衛大臣に申し上げておきますけれども、環境アセスの方法書というのは、最初沖縄県は受取拒否をしていたのを当時小池防衛大臣が強引に置いていって始まった。調査の過程そのものがすべて違法なんです、環境アセスは。前政権時代の違法で乱暴な環境アセスを今また皆さん方が受け継いでいくということは、これもまたとても許せない問題で、これから追及していきたいと思います。

 もう時間がありませんのでまとめますけれども、私、外務大臣の発言で、気になる発言がありました。それは、もう質問じゃないんですが、一昨日の衆議院の外務委員会で、我が党の笠井議員に対して、

 沖縄の中で米軍をめぐる大変不幸な歴史があったことは事実であります。私もその思いは委員と共通であります。ただ、他方で、やはり日本にいる米軍が日本の安全と地域の平和と安定のために日々努力している、そういう米兵、アメリカの兵士たちの努力とか行動とか、そういうものはきちんと評価しないと、そういった点について全く考慮の外に置いて、そして議論するというのは、私は一方的ではないかというふうに思います。

と、一方的だという言葉を使っておられます。

 沖縄の米軍基地に反対する県民の立場をあえて言わせていただければ、我々が米軍の直接占領下にいる時代には、琉米親善という言葉が使われました。琉球とアメリカは仲よくすべし、米軍は何のために沖縄にいるかと。その琉米親善の結果、県民の間から、琉米親善というのは一番侮蔑的な言葉として採用されるようになっています。

安住委員長 赤嶺君、時間が大幅に過ぎております。

赤嶺委員 芥川賞という賞をもらった「カクテル・パーティー」という小説をぜひ読んでください。今は、よき隣人という言葉が使われます。それがよき隣人でなかったというのも、沖縄県民の間でははっきりしているんです。だから、基地に反対することを一方的だというようなものは、余りにも歴史を振り返らない、そういう発言だということを申し上げて、私の質問を終わります。

安住委員長 岡田外務大臣、手短に。

岡田国務大臣 私は、基地に反対することが一方的であるというふうに言ったのではありません。日本にいる米軍あるいは米兵、その役割というものも同時にきちんと評価すべきであるということを申し上げているわけでございます。

赤嶺委員 終わります。

安住委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

安住委員長 次に、内閣提出、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。北澤防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

北澤国務大臣 ただいま議題となりました防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 防衛施設周辺地域における生活環境等の整備に係る需要が多様化していること等にかんがみ、特定防衛施設及び特定防衛施設関連市町村の指定に当たって特に配慮すべき市町村の事業並びに特定防衛施設周辺整備調整交付金の交付の対象となる事業として、公共用の施設の整備に加えて、その他の生活環境の改善または開発の円滑な実施に寄与する事業を規定する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 これは、特定防衛施設及び特定防衛施設関連市町村の指定に当たって特に配慮すべき市町村の事業並びに特定防衛施設周辺整備調整交付金の交付の対象となる事業について、公共用の施設の整備またはその他の生活環境の改善もしくは開発の円滑な実施に寄与する事業とするものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

安住委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.