衆議院

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第6号 平成23年5月26日(木曜日)

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平成二十三年五月二十六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平野 博文君

   理事 浅野 貴博君 理事 下条 みつ君

   理事 神風 英男君 理事 宮島 大典君

   理事 村越 祐民君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 佐藤 茂樹君

      小原  舞君    神山 洋介君

      菊池長右ェ門君    空本 誠喜君

      高橋 昭一君    玉城デニー君

      萩原  仁君    福嶋健一郎君

      松本 大輔君    森山 浩行君

      渡辺浩一郎君    渡辺 義彦君

      大野 功統君    高木  毅君

      武田 良太君    中谷  元君

      浜田 靖一君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   防衛大臣         北澤 俊美君

   外務副大臣        高橋 千秋君

   防衛副大臣        小川 勝也君

   防衛大臣政務官      松本 大輔君

   政府参考人

   (海難審判所長)     工藤 民雄君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    城野  功君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  木村 太郎君     高木  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  毅君     木村 太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)


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     ――――◇―――――

平野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として海上保安庁次長城野功君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。

 まず、質問に入ります前に、このたびの東日本大震災で犠牲になった皆様、また被災をされて今なお苦しんでおられる皆様にしっかりと心を寄せながら質問をさせていただきたいと思います。

 私の方は、茨城県の担当ということで党の方で今やらせていただいておりまして、神戸から空輸をする、飛行機会社に協力をいただいて物資を運ぶというようなことからスタートいたしました。

 基本的な、基幹的な物資は自衛隊で運んでいただく。そして、つめ切りであったりとか耳かきであったりとか、神戸の人たちが十六年前にこんなのがあったらよかったなというようなものをきめ細かく送りたいという、前の被災地からの思いを届けるというようなことをやってまいったわけですが、やはりこの間二カ月、基幹物資、特に自衛隊の皆さんに頑張っていただいているということを感謝申し上げたいと思います。

 十六年前、私はまだ学生でした。ドラム缶でふろを沸かすというようなことをやっておりましたが、どうしても数が全然足りない。自衛隊の皆さんが持っているおふろ、これが非常にありがたかったという思い出があります。今回についてもあちこちでそのようなお声を聞いておりますが、今回の震災対応におきます自衛隊の給水、また入浴の支援について、成果をお教えいただきたいと思います。

北澤国務大臣 十六年前のみずからの体験も踏まえてお話しでありました。

 現在のところは、生活支援はさまざまありますけれども、依然として需要が高いのが入浴支援でありまして、ずっと続けております。ほかのものについては徐々に自治体に移行しつつあるわけでありますが、最大時百八十カ所というようなことでございまして、延べにすると約七十万人がこれを利用しておるということであります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 本当に、赤坂プリンスへ来てほしいという話とか、あるいは温泉旅館を借り上げてそちらの方に行ってほしいというようなこともなかなか聞いていただけないというか、そもそも被災地にいたいという方々に対してこの入浴支援というのは非常に有効であるなというふうに思っています。

 また、新聞などでは、政府は何も用意しないんだというようなことを言われますけれども、むしろ被災者の方々のお心、お気持ちの方が強いんだということ、できたら温泉に行っていただきたいなというようなこともありますが、ぜひ、ニーズのある限りよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、今回の法律案の改正についてなんですが、東日本大震災におけるアメリカ軍、それからその同盟国であるオーストラリア軍、また韓国軍の支援活動について、防衛大綱における同盟のネットワーク化というのが我々の政権の中でもございます、また、政府としても継続をしてこられたところでありますけれども、この観点も踏まえて評価をお願いしたいと思います。

小川(勝)副大臣 お答えをいたします。

 御指摘がございましたように、今回の東日本大震災における米軍を初めとする外国の皆様のさまざまな御支援というのが大変印象深かったわけでございます。

 テレビなどでも報道されておりましたけれども、米軍はトモダチ作戦という名称をつけていただいて、捜索、救難、救助、救援あるいは救援支援物資の輸送、あるいは空港の復旧であるとか港湾の復旧、あるいは石巻市を中心とした学校の瓦れきの除去、あるいは気仙沼市の大島に重点的に御支援をいただくなど、大変印象深い御協力をいただいたわけでございます。

 また、原子力災害においては、CBIRFの来援という大変ありがたいオファーもいただきましたし、またバージ船の提供もいただいたわけでございます。

 そして、今回お願いをしておりますオーストラリアにおきましても、大変大型の輸送機を持ってきていただいて、物資や人員を輸送していただいた。また、韓国軍にも同様の御支援をいただいたところであります。

 今回の活動におきまして、またさまざまな形で日米、あるいは御指摘がございましたように米国の同盟国でありますオーストラリア、韓国と、一つ一つ、すなわち三カ国三カ国という協力体制、訓練体制がベースになろうかと思いますけれども、今回は、さまざまな連携を一層図っていける大変いいきっかけもいただいたんだろうというふうに思ってございます。

 御指摘いただきましたように、ネットワーク化というのを大事な観点として今回の大綱にも盛り込ませていただいておりますので、今回の教訓を得て、さらに深化させてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 深化ということなんですけれども、今回のような大規模な災害が発生したとき、今回は日本でしたから、日本が持っていない質的なもの、あるいは日本の数だけでは足りない量的なもの、この両面での御協力をいただいたと思いますけれども、ほかの国でやったときには日本が助けに行く、大規模災害においては日米豪の三カ国の協力体制を確立していかないといけないと思うのですが、具体的にどのような事態で役に立つというふうに思われておりますか。

小川(勝)副大臣 御指摘をいただいた観点、一義的には、例えば国際緊急援助活動、それから共同訓練、このようなときに物品役務の提供、あるいは提供をいただくということでいうと、まさに今御審議をいただいております設置法の中の日豪ACSAの主要なテーマになろうかと考えておるところでございます。

 また、最近はPKO活動も大変重要な防衛省・自衛隊の任務となっておりますし、そんな観点でも、豪、すなわちオーストラリアとの連携が強化できるものと考えておるところであります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 演習をしながら、またPKO、災害ということなんですが、特に枠と枠、組織と組織ということではうまくいくと思うんですね。ところが、担当者の方が向こうの担当者の方の顔を知っている、話をしたことがある、電話をしたことがある、こういうような平時の連携というのが非常に重要ではないか。特に、災害が起きているわけですから、連絡手段が平時とは違う可能性もあります。携帯電話であったりメールであったり、いろいろなことで個人的にしっかりとつながっているというようなことが大事ではないかと思いますが、それはどうお考えでしょうか。

小川(勝)副大臣 まさに今御指摘がございましたように、今回、日米のオペレーションが大変うまくいきました。それはやはり日ごろから訓練を重ねているということ、そして顔なじみになっているということが大変大きかったというふうに思います。

 今ネットワークということを御指摘いただいたわけでございまして、このACSAが成立することによって、さまざまな形で日ごろからの連携が深まっていき、今御指摘をいただいた訓練あるいは共同災害派遣のときなどもうまく連携がとれるようになる、そのように深化していくことを期待しておるところでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 また、今回の震災におきましては、経験あるいは教訓、たくさんの蓄積が現在も行われているところだと思います。これは防衛当局の間でも共有をする、こういうときこそしっかりと発信をしていくことが大事だと考えております。二国間ではもちろんなんですが、国際会議においてもこのような発信をしていくことが大変重要だと考えておりますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

北澤国務大臣 国際会議というのは、特に私が所管している防衛関係ということで申し上げれば、我が国の防衛、安全保障政策を発信するとともに、各国との意見交換を通じて安全保障上の課題を共有し、相互理解と信頼関係をさらに深めるという意味で極めて重要なことだというふうに認識しております。

森山(浩)委員 近々、シャングリラでの会合があるかと思いますが、ぜひ国会の皆様の御同意をいただきまして、我々もしっかりと後押しをしたいと思いますので、ぜひ出ていただいて、しっかりと発信をしていただきたいと思いますが、御決意を。

北澤国務大臣 今お話しのアジア安全保障会議、いわゆるシャングリラ会合は六月三日に開催されるわけでありまして、私にとりましては二回目ということになるわけであります。今お話をいただきましたように、前提とすれば国会の御理解をいただかなければならぬわけでありまして、その点についてはぜひまたよろしくお願いをいたしたいというふうに思っております。

 東日本大震災後初めて行われる大規模な国際会議でありまして、今回はどうもかなりハイレベルな出席者が予定されておるようでございます。そういう意味においては、十回目という節目でもありますので、相当有意義な会議になるかというふうに思います。

 そこで私のスピーチや各国との防衛相会談、バイの会談、あるいは日米豪、日米韓というような多国間の会合もセットされるだろうというふうに思いますので、積極的にこの体験を生かして、世界全体で、例えば原発の事故というようなことは極めて世界的に関心の高いことでありますので、さまざまな協議をしてまいりたいというふうに思っております。

森山(浩)委員 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 しかしながら、毎回毎回、大臣が出ることができるわけではない、あるいは政務三役の皆さんにどんどん行っていただくにしても、これも限界があるというとき、対外交渉を担う次官級ポストということで、今回、防衛審議官という提案をいただいておりますけれども、この意義についてお願いをいたします。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 近年の安全保障環境の変化に伴いまして、政策官庁としての防衛省・自衛隊の業務は格段に増加してきているところであります。特に、日米同盟の深化、アジア太平洋地域を中心とした防衛協力、交流、安全保障協力の推進といった対外関係業務については、業務量の増大が著しいところであります。

 これらの業務について、防衛大臣を補佐する体制に万全を期すためには、省内の部局をまたぐ事務を高いレベルから取りまとめる立場にある者が、米国を初めとする相手国のカウンターパートである事務方のトップレベルの者と、省全体にまたがる重要政策等について協議などを着実に実施していくことが必要であります。

 このため、対外関係業務を初めとする省の重要政策を総括整理する次官級の職として防衛審議官を新設する必要があると考えているところでありまして、ぜひとも防衛審議官の新設について御理解、御協力を賜りたいと思います。

森山(浩)委員 と申しますのも、これは各省の次官級の審議官を調べてきたんですけれども、対外的な業務を担うというところだけでも、総務の審議官、あるいは財務官という中では一人は国際的にというようなことが書いてある、あるいは農水の審議官、それから環境省の地球環境審議官というような形で、国際的なことに取り組むというような形で置かれておる。

 これはやはり防衛省が防衛庁であった時代からの名残かな、むしろ遅かったのではないかなというような気もいたしますが、特に対外的なこと、一つは、今震災が起こる、あるいは有事がある、そういうときに省内を指揮するために次官が必要であるというようなことになってきたときに、国際的な任務を背負う人というのはもう一人要るのではないかということでございますので、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 さて、さらに今回、定数の問題がございます。自衛隊の定数の変更などについては、防衛大綱それから中期防の内容に基づいて、あるべき防衛力の構築に向けて行っているということでございます。

 それにつきまして、定数が幾らであるかという部分は大事なんですが、逆に、定数に対して実員、実際の人数が足りないという状況が続いているかと思います。現在の自衛隊定数の充足率について、お願いをいたします。

北澤国務大臣 お答え申し上げます。

 自衛官の定数は自衛隊の任務遂行上極めて重要なことでございまして、本来、委員がおっしゃるように、これが十分に充足することがそもそも自衛隊の能力発揮に極めて重要なことであるという認識はいたしておるところでありますが、二十二大綱においては、定数を十五万四千人、千人減らすということでございます。

 定数と充足率の関係は、ここに、十七年ぐらいから私も調べてまいりましたけれども、陸自でいいますと、十七年度が九三・五、それが九三・六、九四・八、九四・六となって、二十一年度が九四・五、二十二年度が九三・一、そして二十三年が九二・五ということでございまして、おっしゃるようにいささかの差があるわけであります。

 財政上の問題その他も含めますと、なかなか厳しい道のりではありますが、常に、その充足率についてはしっかりやってまいりたい、このように思っております。

森山(浩)委員 今回の御提案では、幾らか人数を減らすんだということで、三百人の減員という提案をされております。三百人の減員というと、自衛隊員を減らすのかというふうにとられる部分もあるかと思いますが、そもそも、数万人のレベルで定員が充足をしていないという状況の中で、実員が達していないということの方が実は問題なのではないかというふうに考えます。

 つまり、我々が今やっている中期防、これ自体が実現をできていないという状況ですから、定数を百いじる、千いじるということ以上に、実態に合わせ、これをどう伸ばしていくかというようなところ、実員を定員に近づける努力についてどのようにされていくか、お願いをいたします。

北澤国務大臣 常に定数と実数をきちんと一緒にするということは一番理想的なことであるわけでありますが、なかなか現在の厳しい財政事情の中で難しい問題があります。

 そこで、即応予備自衛官というような制度も踏まえて、例えば今度の東日本の大震災では、十万人態勢ということで、そこへ予備自衛官を投入させていただくというようなことでやってきておりますが、私どもの立場とすれば、定数に極めて近い状況をつくり出すというのは我々の責務でもあるわけでありまするけれども、財政状況等をにらみながら、絶え間ない努力をしてまいらなければならぬという心づもりでおるところでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 我々もちょっと頑張って後押しをしていきたいと思いますので、ぜひ計画に沿った形で実際が動いていくようにお願いをしたいと思います。

 さて、今回の仙台空港あるいは気仙沼での瓦れきの撤去などを含めまして、米軍あるいは海兵隊、どんな形で見せていくかというようなことに関して、米軍の活動あるいは広報に学ぶべきことが多かったのではないかなというふうに感じておりますが、その辺の御感想をお願いいたします。

松本大臣政務官 今般の大震災において、米軍には、仙台空港の復旧、八戸港それから宮古港、さらには気仙沼港の航路啓開、JR仙石線の復旧などのインフラ復旧を御支援いただきました。こうした大型インフラの復旧作業の迅速さ、能力の高さは大いに学ぶべきところがあろうかと考えております。

 ほかにもいろいろありますけれども、広報という表現をされましたが、例えば作戦をトモダチというふうに名づけておりまして、新学期を前にした学校の清掃といった日本人の心を打つ支援のあり方、これについては我々が海外で災害救援活動をする際にもぜひとも参考にしていきたいと考えているところであります。

森山(浩)委員 どうしても日本人の心持ちといいますか、一生懸命やっていればだれかが見てくれるというような思いで一生懸命やることが多いわけなんですが、むしろ、どうやって見せていくか、見てもらうか。それがまた、頼りにされたり、頼りになる組織だと思われたりということにつながっていくかと思いますので、ぜひ参考にしていただいて、海外に対してもどう見せていくか、また国民の皆さんに対してもどれだけ頑張っているんだということをしっかりとお伝えしていくということも含めて我々の役割かと感じております。

 さて、電源を使用不可能にすることで原子力発電所が重大な事態を引き起こすということが今回わかりました。ばれました。これは世界じゅうの人たちがもう知るところとなってしまっています。

 そんな中で、今後例えばテロリストが攻撃をする、原発をねらって攻撃をするというようなときには、現在は警察が対応することになっているかと思いますが、これは大丈夫なんでしょうか。防衛省としてはこれは検討しなきゃいけない部分ではないかと思いますが、御答弁をお願いいたします。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 テロリスト等の侵入に備えた原発の警備についてでありますが、第一義的には公共の安全と秩序の維持を責務とする警察において実施をしているわけでありますけれども、一般の警察力をもっては治安を維持することができない、そういう緊急事態が発生した場合には自衛隊と警察とが緊密に連携して対応することとなります。

 原発等の重要施設における緊急時の対応については、これまでも警察との共同訓練を行っておりまして、施設の警備や検問等における互いの要領を確認するとともに、連携の強化を図っているところであります。

 また、国民保護法第四十二条に基づきまして、地方公共団体と自衛隊、警察、消防、こういった関係機関が共同して行う国民保護訓練においては、原発に対するテロ攻撃等の際の住民避難等に関する役割分担それから連携要領を確認しまして、連携の強化を図ってきたところであります。

 防衛省・自衛隊としては、今後、御指摘の点も踏まえまして、原発に対するテロ攻撃等緊急事態への対応に関して、今般の福島第一原発での経験を踏まえまして、関係機関による議論を一層深めるとともに、これらの共同訓練を精力的に実施するなど、さらなる連携の強化に努めてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 これはもういろいろな具体的な事態を想定して、それに対して何分で駆けつけることができるんだというような形での連携をぜひお願いしたいと思います。ロケットランチャーを持ってきた、電源施設をねらってきたというようなときに、ではどうやって防いでいくのか、どうやって確保していくのかというようなことも大事だと思います。

 また、現在の状況なんですが、原発の施設内には非常に高濃度の汚染された瓦れきがあります、あるいは高濃度の汚染された水があります。これを拾って帰って町中にどんというのは、これは一つのテロ行為ということにもなります。これを守るような形、千ミリシーベルトの、汚染された瓦れきがどんと町中に置かれるなどというようなことは非常に問題かと思いますけれども、これをとられないようにしているとか、今何か対応を打っておられることはありますでしょうか。

松本大臣政務官 必ずしも防衛省の所管ということではないかもしれませんが、そもそも二十キロ圏内については、出入りについて、警察官がいて、検問という形じゃないですけれども、ゲートを設けて対応していると思いますし、先ほど申し上げましたように、第一義的には公共の安全と秩序の維持を責務とする警察において適切に実施をしていくということであろうかと思います。

 それで、警察力をもって治安を維持することができないという緊急事態が万一発生すれば、そのときには自衛隊と警察とが緊密に連携して対応することになろうかと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 非常事態でございますので、どのような武器を持って入ってくるかなどというようなことも想像のできない部分もあるかと思います。ぜひ、緊張状態でもって見守っていただきたい、あるいはいろいろな情報を集める中で、危ない動きがあるようであれば警備に当たるなどというようなことも含めて考えていただきたいと思います。

 最後に、校庭の問題です。

 学校の校庭が現在二十ミリシーベルトまでは大丈夫なんだというような形で学校の活動を続けられておりますけれども、これは日常的に浴びる、また、子供ですからここから先が長いという中で、やはり安心ではないというような声が非常に上がってきております。

 自衛隊の皆さんのところには九百台のカウンターと、それからそれを使える方がいらっしゃるというふうにお聞きをしております。例えば、福島県内には八百校の小中学校があるという状態でございます。細かく校庭の今の状況をはかるとかいうような形で文科省と連携をして、子供がどうやったら安心できるのか、もし、ちょっとでも高い数字が出てきたときには避難をお願いするというような形、ここまで持っていかないと後から悔やんでも遅い、そんなふうにも感じております。もし、お答えできるようでありましたら、お願いをいたします。

小川(勝)副大臣 委員から御指摘がございましたように、特に子供を持つ親御さんの心配というのはまさに共感するところであります。

 一義的には、安全基準を決めるセクションあるいは文科省がその所管ということになりますけれども、今回の原子力災害派遣でモニタリング、除染、スクリーニング、さまざまな面で文科省と防衛省との連携も実績を上げてきたところでございます。政府部内で検討していただいて、そして結論が出ましたら、防衛省として協力をさせていただくことはやぶさかではないというふうに考えているところであります。

 いずれにしても、大事な御指摘でございますので、政府全体として、国民の皆さんに不安を与えないような施策、これを実施するように努めてまいりたいというふうに考えています。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 防衛省というのは、国民の生命と財産を守る、命を守る、そのために非常に大事な官庁であり、また自衛隊という組織はあるのだと思っています。今回の設置法改正を機に、さらに国民の安全と安心を守っていける組織へ向けてしっかりと国民にもアピールをし、そして海外的にも存在感を示していけるように頑張っていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

平野委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 岩屋です。おはようございます。よろしくお願いをいたします。

 法案に入る前に、一つ気になっていることがあるのでお伺いをいたします。

 このたびの復興のために国家公務員の給与を、これは期間限定でしょうけれども、一律引き下げるという話が出てきております。しかし、そうなりますと、このたび震災において、まさに身を挺して献身的に頑張っていただいた自衛官の皆さんの給与も引き下げられるということになるわけであります。同じ公務員だからという考え方もあるでしょうけれども、これは国民の皆様にとっても納得ができないということになるのではないかと心配をしております。

 一方で、諸手当も出るからという話もあるわけですけれども、ここはぜひ、自衛官の頑張りに報いるという形が国家としてとれなければおかしいのではないか、こう感じているんですけれども、この点、大臣はどうお考えでしょうか。

北澤国務大臣 現在の自衛隊の活動について、大変御理解をいただく御心情を披瀝していただいて感謝を申し上げるわけであります。確かに今、人事院勧告によらない給与の引き下げについてというようなことで極めて異例な措置がとり行われようとしておるわけでありますが、私といたしましても、国民感情との乖離を来さないように、閣僚間でも再々申し上げてきたところであります。

 御案内かと思いますが、五月十三日の閣議におきまして、国家公務員の給与についてということで内閣総理大臣発言がございましたけれども、その中に、特に、特別職に属する自衛官等の給与の取り扱いについては、総務大臣において防衛大臣と別途協議していただきたいという一項を設けていただきまして、今総務大臣と協議をいたしておるところでございます。お話のありましたように、今自衛隊員が被災者支援に尽力しているこの事情をぜひ反映させていきたい、このように思っております。

 それからまた、当然のことでありますけれども、自衛隊員は、団結権、争議権等の労働基本権すべてを制約されておりますので、一般職の職員とは異なる労働条件のもとにあるということも事実でございますので、より一層また御理解をお願いいたしたいと思います。

岩屋委員 大臣がしっかり配意をしていただける、こういうお話ですので、ぜひそのようにお願いしたいと思います。

 これは大臣、全体の士気にもかかわる問題だと思うんですね。崇高な使命感を有していただいている自衛官の皆さんのことですから、みずから不足を言うということはないと思います。ないと思いますが、このたび、本当に危険を顧みず頑張って帰ってきて給料が下がったなということで本当にいいのか。ここは、政府の側でしっかりとした配意をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 それでは、法案に入ります。

 自民党は、今態度をちょっと決めかねておるところでございます。柱は五本ございますね。全部に問題があると思っているわけではありません。防衛医科大学校の看護師養成課程の新設、四年制にしていく、そして六年間、勤労義務を課して、償還金を課する、これは適切な措置だというふうに思っておりますし、先ほども森山さんからお話がありましたが、日豪ACSA、これはしっかり進めていかなくちゃいかぬと我々も考えております。また、戦闘機のパイロットの手当を上げていくということについても、結構なことだ、こう考えているんです。

 問題は、自衛官定数等の変更、はっきり言うと削減、それから防衛審議官の新設、この二点について党内では強い異論がございまして、まだこの法案に対する態度を決めかねております。あす予定されている採決までには、党としての態度を決定したいというふうに思っております。したがって、主にこの二点についてお伺いをしたいというふうに思います。

 このたびの定数減の内訳を細かく見ていきますと、中央特殊武器防護隊も削減の対象になっているわけであります。これは腑に落ちません。今回の原発事故の教訓に照らせば、むしろここは、装備、人員ともに充実強化させていくべきではないかと思うんです。

 先般、大臣も立ち会われたんでしょうか。米軍のCBIRFという部隊と共同訓練などを通して、自衛隊も得るところがたくさんあったと思うんですね。そういうものを生かして、これから充実強化という方向にかじを切らなくちゃいけないのではないか。そのときに、人員はやはり確保されている必要があるのではないか。

 なぜ今回減らすことになったのか、理由を教えていただきたい。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、このたびの震災の対応にかんがみれば、原子力災害等への対応に活用し得る自衛隊の装備を充実し、中央特殊武器防護隊の化学部隊を強化していくことは重要であると我々も考えております。

 そこで、平成二十三年度、実は、当該部隊には、現有装備の化学防護車それから生物偵察車の後継として、この両方の機能を有するNBC偵察車を新たに導入する予定であります。この結果として、化学防護車と生物偵察車という二種類の車両の機能を新しく導入するNBC偵察車一両で果たすことが可能となったことから、新装備導入に伴う効率化によって乗員の減員が可能となったものであります。一方で、NBC偵察車には、現有装備にない新たな機能、例えば中性子線の測定などが追加されることになります。したがいまして、当該部隊の事態対処能力は向上するということであります。

 繰り返しになりますが、このたびの震災への対応にかんがみれば、御指摘のとおり、原子力災害等への対応に活用し得る自衛隊の装備を充実し、中央特殊武器防護隊の化学部隊を強化していくことは重要だと考えております。したがいまして、今後とも、国民の安心、安全の確保にこたえられるよう、万全を期してまいりたいと考えております。

岩屋委員 政務官、今の説明を聞いていますと、車がよくなったから少ない人数で対応できるようになったんだ、だから減らすんだ、こういう説明ですよね。そういう感覚で考えていていいのかなと私は思うんですよ。

 CBIRFという組織は、我が方の地下鉄サリン事件を契機につくられた組織ですよね。そして、今回日本の原発事故も見た。恐らく米国においても、むしろこのCBIRFの機能というのはこれから強化していかなきゃいかぬというふうに思っているのではないかと私は想像します。

 そういう中にあって、車がよくなってB、CだけではなくてNにも対応できるようになったから、三人じゃなくて二人で動かせるようになったから減らしましたという説明を防衛省がしておっていいのか。もっと本格的に、この中央特殊武器防護隊の機能を拡充するにはどうしたらいいかという考え方のもとに、こういう案が出てこないといけないのではないかなということを指摘しておきたいと思います。

 とはいえ、この中央特殊武器防護隊は、決して原発防護隊ではないわけですね。やはり防衛省・自衛隊の任務は、あくまでも本来任務は国防にあるわけでありますから、原発事故対処部隊ではない。しかし、今回の原発事故対応において、いろいろな不備が明らかになったことも事実でございます。これから、政府全体として、こういう原発事故への対応の備えをどういうふうにつくっていこうと考えているのか。その中で、防衛省・自衛隊はどういう役割を担うべきだと考えているのか。

 大臣、この仕切りをしっかりしておかぬと、何でもかんでも防衛省だ、原発事故ならもう一から十まで防衛省だ、こういうことではやはりおかしいと思うわけでございますが、その点、どういうふうに今お考えでしょうか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、自衛隊の主たる任務が我が国の防衛であるということは言うまでもございません。

 一方で、新大綱、新中期防にも記載しておりますとおり、大規模地震それから原子力災害など、さまざまな大規模・特殊災害等に迅速かつ適切に対応し、国民の生命財産を保護するために、関係機関と連携しながら各種の施策を推進することとしているところであります。

 このたびの震災への対応を踏まえまして、関係行政機関がその対処能力を向上させることは必要であると考えております。自衛隊についても、各種の災害への対処に活用し得る装備を充実し、災害への対応能力を向上させることはますます重要と考えております。実際、補正予算においても、今般の震災を受けて、被災地域での活動に資する装備品を整備するために必要な経費を計上しているところであります。

 我が国の防衛を担う自衛隊が、大規模・特殊災害に対処することになった際に、その持てる能力を最大限に発揮できるようにすることが重要でありまして、今般の震災の教訓も踏まえながら、必要な体制の維持、構築に引き続き努めてまいりたいと考えております。

北澤国務大臣 非常に的確な問題意識で御質問いただいたわけでありますが、今回の経緯を見ておりますと、本来、日本はロボット大国である、これはある意味、日本人は全員がそう思っていたと思うんですね。ところが、実際に外国のものを使用しなければならなかった。

 これは実は、忘れたころにやってくるのが災害でありまして、民間のところでこれを保持して実用に向けるというのは、利益追求の企業体質からすると極めて難しい話でありまして、そういう意味では、今後ぜひまた国会での議論にも供していただきたいんですが、ロボットを、無人機をどういうふうに使うか、しかも、それは常に訓練のできる組織でなければできない。それは、唯一陸自が年間を通して複数回訓練をして、それを毎年継続していくと、いざというときに使える、そういう自衛隊の持っている特殊性、利便性みたいなものを活用することも重要ではないかというふうに思います。

 本来、日本人が誇りに思っていたロボット大国がロボット大国でなかったということを大きな反省にして、今御提言のありましたように、新しい道を模索するのは大変重要だという認識を持っておりますので、今後ともまた御議論をお願いいたしたいと思います。

岩屋委員 自衛隊は最後のとりででございますので、いよいよ人が現場に接近することが極めて困難な任務というものを遂行する場合に、どうしたらいいか、どういう機材が要るか、それをどこが持っておくべきかという問題が今度惹起したと思いますので、今の防衛大臣の問題意識に基づいて、政府内でこれからしっかり協議をしていただきたいと思います。

 それから、今回の定数減というか改編の内訳の中に、保全隊というのが大きくございます。陸海空の保全隊をはぎ取って統幕直轄の共同の部隊に統合する、これは以前私どものときに決めた方針でございまして、当時いろいろな事件がありました。情報漏えい、イージス艦の話とか、深刻な問題がありました。統幕にこの保全隊を統合することによって体制を強化しようということの一環だというふうにはもちろん認識をしておりますが、改めて、ではこの情報保全隊の任務というのは一体何か。

 去年、本来任務ではないことまで、余計なことまでやっておるんじゃないかといろいろな報道がありました。確認をしたいと思います。この情報保全隊の任務とは何ですか。

小川(勝)副大臣 お答えいたします。

 保全隊がつくられました、あるいは改編されましたいきさつ等は、委員から御指摘をいただいたとおりであります。

 この改編されました情報保全隊は、大臣直轄の組織になっております。今、私どもの自衛隊が持つ装備や高度な情報というのが大変価値の高いものになりまして、これが言われるところの情報保全に対する規律違反等で部外や外国に出ないようにするために、いわゆる情報を保全する目的でつくられたものと考えておるところであります。

 すなわち、部隊や隊員等を保全するために、必要な範囲内で資料や情報の収集、整理を行うのが保全隊の役割でございまして、今後も引き続き、自衛隊情報保全隊の任務が適切に行われるように、私どももしっかり監視をさせていただきたいというふうに考えているところであります。

岩屋委員 まさに適切に監視をしてくださいね。昨年の一連のことについては、大臣は火のないところに煙が立ったというような言い方をされたと思いますが、我々はまだ疑念を抱いております。つまり、逸脱した活動監視というものに保全隊が従事をしていたのではないか。もう名前は挙げませんけれども、これはちょっと行き過ぎた活動だったと思いますよ、事実であるとするならば。だから、保全隊を大臣直轄で陸海空から集めて強化するということであれば、まさに今副大臣がおっしゃった本来の任務に忠実に活動していただくように、しっかり監視をしていただくことをお願いしておきたいと思います。

 それから、総じて、今回の震災対応の教訓からすると、むしろ自衛官は増員してしかるべきだと私どもは考えております。

 委員長とも一緒に視察に行かせていただきましたが、東北方面総監部、アウトソーシングが今まで行き過ぎてきたために、食事のおばさんがいないと飯がつくれない、バスでそのおばさんたちを集めてきて、ようやく炊事ができたということを聞かされましたが、業務のアウトソーシングが行き過ぎて機能に障害が起こったというところもありました。やはり自衛隊の基地、駐屯地というのは自己完結能力を持っていなきゃいかぬ、そのための人員は確保しておかなきゃいかぬ。

 それから、大臣、自衛隊には山ほど任務が今ひっついていますよね。国防、国内の災害、国外の災害、それにPKO、イラクにも行っていただいた、インド洋にも行ってもらった、海賊対策にも出てもらっている、邦人輸送という仕事もある。どんどんと任務を付加してきている中で、やはり警察官以下の人数でこれら任務に適切に対応するというのは難しくなっている。

 自民党も反省しているんです。行革の要請もあった、財政上の事情もあったけれども、この自衛官を減らしていくというトレンドをつくったのは私どもです。しかし、今回の教訓を踏まえて、やはりここは人員の増にかじを切るべきではないか、そのために早期に今の大綱、中期防を見直すべきではないか、こう思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

北澤国務大臣 今お話がありましたように、今回のこの大災害の中で、図らずもアウトソーシングの弱点というものが確かに散見されたというふうに私も認識いたしております。そこで、新大綱、中期防に基づいて、今般の震災の教訓も踏まえながら、自衛隊全体にわたり、人事制度改革を含む防衛力の構造改革の議論をさらに深めてまいりたい、このように思っておるところでございます。

 ちなみに、東北における駐屯地、基地業務のアウトソーシングの概要を申し上げますと、陸上自衛隊は、六百三十三人を給食担当として雇っております。また海上自衛隊は、ボイラー、車両、警護等で二十人。航空自衛隊は、ボイラー、警護等で二十名。これは平成十九年から二十二年度に、総人件費改革の一環として外部委託をしたわけでございます。

 今お話のあったように、これは与野党問わずに実効性のあるものにしていくという意味での議論がぜひ必要かというふうに思いますので、より一層のまた御議論と御理解をお願いいたしたいと思う次第であります。

岩屋委員 先ほども申し上げましたように、私どもにも責任があるわけですね。一六大綱の最後の年度というか、民主党政権が大綱、中期防をつくるのを一年おくらせちゃったものですから、その最後の年度と新しい大綱、中期防の最初の年度がかぶった過渡期にある措置なので、本当は大綱、中期防そのものを見直さないとこの定数の問題というのは解決しないということはわかった上で申し上げているんですけれども、しかし、この大震災の教訓というのは本当に重たくて、やはりここで今までのトレンドどおり自衛官の定数を減らすということについては、我が党の中でも非常に抵抗が強い、ここに大きな異論があるということを申し上げておきたいと思います。

 それからもう一点、防衛審議官の創設についても、なかなか厳しい意見が我が党の中にございます。主に国際交渉を担当するためのこういう審議官的なものが必要だということは随分前に自民党の改革案の中にもうたっておりまして、そのことについては一定の理解を私どももしております。

 しかし、我々が考えた改革案というのは、これだけじゃなくて、防衛省改革全般に及んでおったわけであります。もちろん、その中のかなりの部分に取り組んでいただいていることも承知していますよ。承知していますが、特に中央組織の改革案、とりわけUとC、ユニホームとシビルの混合化ということを柱にして我々は改革を考えていたんです。中谷、石破、浜田、我が方の防衛御三家ですね。頼りになるが、これがなかなかうるさいんですよ。こういう先生方を中心につくってきた改革案の、何か一部だけが取り出されたなという感じが非常にしております。

 このUC混合化を柱とした中央組織の改革案については、北澤大臣は、政権交代後に白紙に一たん戻して、その結果、平成二十二年六月三日に防衛省改革に関する大臣指示というのを出しています。その中で、運用部門や防衛力整備部門における内局及び幕僚監部への一元化やUとCの混合化については再検討するという表現になっていますが、要は、もうこういう考え方は採用しないということを大臣はおっしゃっているわけですが、そういう結論に達したのはなぜか、説明を願いたいと思います。

小川(勝)副大臣 今御指摘をいただいた点、私どもから先に答弁をさせていただきたいと思います。

 まずは、前政権の中で防衛省改革の議論があったことは承知をいたしておりますし、また、防衛審議官の新設とは若干議論を異にされたのではないかなというふうに認識をしているところであります。

 旧政権の防衛省改革においては、中央組織の抜本的改革、今委員から御指摘がございましたように、運用企画局を廃止して、その機能を統幕で担われる体制整備や、内局、各幕僚監部の防衛力整備部門の統合など、CとU、すなわち文官と制服、この組織統合が一つ検討されていたというふうに認識をいたしております。

 北澤大臣の御判断でございますけれども、まさに大きな政治判断あるいは政治責任を伴う改革であったので、白紙に戻し現在に至っているというふうに理解をいたしているところであります。

 今回、そのさなかに起きました東日本大震災におきましては、まさに現行法律どおりの運用を北澤大臣が行っているところを身近で見せていただきました。制服の持ち味、そして背広の皆さんのさまざまな持ち味、それぞれを巧みに北澤大臣が利用して、防衛省としてはまさに万全の対策がとれたものと私は考えておるところでございます。

 いろいろな未来に向けての組織の改編や、自衛隊はもっとこうあるべきだという議論はどんどんさせていただくべきだと思っておりますけれども、現在までのところ、現行の制度で問題があるというふうに、北澤大臣の運営を見ております者として、考えているところではございません。

 防衛審議官の新設は、先ほど来答弁をさせていただいているとおり、また委員も御承知おきいただいているとおり、国際化、これが一つのキーワードになろうかと思います。また、防衛省としても平成二十年度にも概算要求を行っていたものと承知をいたしておりますので、何とぞ御理解をいただきたいと心からお願いを申し上げます。

岩屋委員 UとCを大臣が巧みに活用されたということでございました。もちろん、私は北澤大臣の頑張りには敬意を表しておりますが、すべてが巧みであったかどうかについてはいろいろ疑義もあるところでありまして、これはまた追って指摘をしていきたいと思います、時間がありませんので。

 要は、どうしても、UとCという組織が二元化しているところに、妙味もあるし、問題点も常にある。これはもう、世界じゅうの実力組織というか軍は同じ問題を抱えていると思うんです。そういう中で、各国がいろいろな工夫をしてきている中で、日本の取り組みはやはりちょっとおくれているのではないかという問題意識が我々にあって、一歩踏み込んだ改革案を、大臣、つくらせていただいたわけでございますので、今の仕組みもうまく動かしていただいているということは理解しますが、しかし、さらに世界のいろいろな事例を参考にしながら、UとCのいい意味の一体化というか混合化ということについて、今後もしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それから、今度、防衛審議官を創設するために、当然のことながらスクラップ・アンド・ビルドで、何かポストをつぶしたと思いますけれども、どのポストを削ることにしたんですか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 防衛審議官の新設に当たりましては、地方協力局次長及び防衛監察本部副監察監等を廃止することとしております。

岩屋委員 防衛副監察監を廃止するというのは、私は問題だというふうに思うんですよ。

 というのは、大臣を初め副大臣、政務官も、なぜこういう監察本部をつくったか、経過はよく御承知だと思います。施設庁の談合事案もありました。結果、施設庁を廃止するということにもなりました。一方で、防衛監察本部というのをつくって、これは国家行政組織法八条の三、特別の機関として監察本部をつくって、監察監を置き、副監察監を置いている。それをいとも簡単に、防衛審議官を生み出すために廃止をしたというのは適切ではない、こう私は思うんですけれども、いかがですか。

松本大臣政務官 今回、スクラップ・アンド・ビルドというふうにおっしゃいましたけれども、防衛審議官の新設に加えまして、大臣官房審議官等の新設も行うこととしております。そこで、このポストが一名増加され計八名となるわけでありますけれども、機動的、弾力的に所掌事務を変更できる総括整理職である大臣官房審議官を一人増加させ、そして、そのいずれかに防衛監察本部副監察監が担っていた業務を担当させることを考えておりまして、これによって防衛監察本部の機能は維持されるものと考えているところであります。

岩屋委員 防衛審議官については、冒頭に申し上げたように、私どものかつての提案の中にもあったことであります。それまでどちらかというと、防衛に関する国際交流も外務省にかなり依存してこなければならなかったという事情があることも承知しておりましたので、やはりそういう役割が果たせる人が要るなというふうに思っておったのですが、どうもこれだけが今回突出してきておって、防衛省全体の改革というものが、全体像が浮き彫りになってきておらないというところに、我々は強い問題意識を抱いております。

 よくわからないのは、会議体がすごく多いんですね。防衛大臣を議長とする改革推進会議、これは事務方は企画評価課が受け持っているんでしょうか。それから、小川副大臣を長とするんですか、防衛力の実効性向上のための構造改革推進委員会、何をやるのか名前だけではよくわかりませんが、それから人的基盤に関する改革委員会、これも副大臣が長ですか。

 だから、やはりこういう会議体自体も整理をして、もう少し防衛省全体の改革、像というものをしっかり示してもらわないと、防衛審議官だけぽんと出てきても、なかなか我々としては評価がしにくいというふうに思うんですが、いかがですか。

北澤国務大臣 やや複雑に見えるという御指摘は大切にしなきゃいかぬというふうに思っておりますが、一方で、問題点について、政務三役が責任を持って防衛省の中に結論を出していく、そういう強い政治的な決意を持ってやらせていただいておりますので、もうしばらく結果を見ていただきたいというふうに思います。

 それと最後に、たびたび議論になるんですが、防衛省改革について、白紙に戻して、こういうふうに私が申し上げて再スタートしたわけであります。政権交代という我が国の歴史の中においては特筆されるような大きな政治的事象があって、やや私自身も高揚感があったのかなというふうに思っておりますが、内容的には、前政権が進めてきたものを検証させていただいて、その上で、よいものはとる、そしてまた我々として主張すべきものは主張していく、そういう姿勢であったということをぜひ御理解いただきたいと思う次第であります。

岩屋委員 終わります。

    ―――――――――――――

平野委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として海難審判所長工藤民雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平野委員長 次に、中谷元君。

中谷委員 東日本大震災で派遣された自衛隊の部隊に撤収という指示も出ているということでございますが、地震発生以来二カ月半、水も電気もガソリンもない厳しい環境のもとに、連日、汗と涙とほこりと放射能にまみれながら命がけで救援をしている自衛官の姿は、まさに国の誇りでありまして、すべてを失った絶望のふちにいる国民に夢と希望を与えている自衛隊職員に対して心から感謝を申し上げます。

 しかし、そんな必死に頑張った自衛官を待っていたのが給与カットの話でありまして、あれほど頑張ったのに、もらう手当よりも、派遣されて帰った後の手取りが少なくなるんじゃないかというような話も出ております。

 先ほど大臣がお答えになりましたけれども、六月三日に閣議決定がされまして、国家公務員の給与を二〇一三年度まで五%から一〇%下げる。中でも、幹部は一〇%下げて、若手、中堅は五から八%カットということで、特に旅団長、師団長、連隊長クラスは、全く交代も休みもなく、いまだに地元の駐屯地にも帰れない状態でありますが、こういった人たちのために、自衛隊は労働組合がありませんので、その分、大臣初め政務官がかわりに直談判をすべきでございますが、これは六月三日に決着をさせるという認識でよろしいんでしょうか。

北澤国務大臣 先ほどもお答えをいたしたとおりでありまして、この問題については、早い段階から私は官房長官、総理に、今まさに委員がおっしゃったようなことを進言してきておりまして、先ほどのように、閣議において、総理発言の中にわざわざ一項を入れて、総務大臣と協議をするようにということで、非常に綿密な協議はいたしております。近々、それが結論が出るというふうに思っておりまして、最大限やってまいりたい。

 ただ、国家公務員全体の四割を防衛省・自衛隊がしょっておりますので、ここを本当にがさっと下げると実効性が伴わない、そういう問題との間でどう結論を出すかということで、私も非常に悩みながら、片山大臣と協議をさせていただいております。

中谷委員 大臣も頻繁に現地へ行って、瓦れき処理の大変さ、本当にほこりの中で、体を害しながらも瓦れきを除去し続けた、また、遺体の捜索、運搬にしても、本当にだれもできないようなことを黙々とやっていただいたことには、やはりこういった面でこたえる必要があると思いますので、ぜひ全力でお願いしたいと思います。

 きょう審議されます防衛省設置法につきまして、まず、シビリアンコントロールというのは一体何なのでしょうか。国会というのは国民の代表者が議論する国権の最高機関でありまして、シビリアンコントロールの一翼を担っておりますが、今回、設置法で議論をされる自衛官の定員、これは今の防衛大綱、新しい大綱に基づいた結果でありますが、実は、国会でいまだ防衛大綱が議論されておりません。

 これは、官房長官も言っているように、国会に報告する義務があるんですね。いまだに報告を受けていない、議論もされていない中で、何でこの設置法の改正ができるんでしょうか。そういう意味において、非常に手続的にも軽視されているというか瑕疵があろうかと思いますし、現状からいたしまして、削減をされるということが本当に適切かどうか。

 実際、十万人以上のオペレーションを出された防衛大臣に伺いますが、本当に陸上自衛隊が三百四人削減される、十五万千三百人体制、これは一番大きいときには十七万人あったんですけれども、この体制の数値が適正であるのか、このまま削減をし続けていくつもりであるのか、この点につきましてもお答えをいただきたいと思います。

北澤国務大臣 きょうお願いしておりますこの設置法の議論と、それから大綱、中期防についての国会対応につきましては、我々とすれば、一六大綱のときと同じように、国会で報告をさせていただいて御議論をいただくということは私どもの方からもお願いをしておるところでありまして、今、設置法が先ではないか、こういうようなことでありますが、国会で一日も早くそういう状況をおつくりいただいて、総合的にぜひ御議論をいただきたいというふうに思います。

 また、陸上自衛隊のことについては、松本政務官の方から御答弁をさせていただきます。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 今般の震災においては、自衛隊は最大時十万人を超える態勢で任務に当たっておりまして、一人でも多くの被災者のお役に立てるよう、全力で取り組んでいるところであります。

 こうした状況を踏まえれば、陸上自衛隊を初め自衛隊の人員は我が国の防衛力を構成する重要な要素であり、自衛隊がその任務を実効的に果たせるよう、所要数を確保していくことが必要であると改めて認識をしているところであります。

 新大綱それから新中期防では、陸自の編成定数として十五万四千人を確保するとともに、厳しい財政事情の中でも有効な防衛力を確保できるよう、人事制度改革を実施し、精強性の向上や自衛官の実員確保に向けた取り組みを行うこととしております。

 いずれにしましても、防衛省としては、新大綱それから新中期防に基づく自衛隊の体制整備に当たっては、国民の安心、安全に十分にこたえられるものにしていく必要があると考えておりまして、今般の震災の教訓も踏まえながら、人事制度改革を含む防衛力の構造改革の議論を深めてまいりたいと考えております。

中谷委員 それでは次に、この設置法の中で防衛審議官の新設が挙げられておりますが、先ほど岩屋議員も言いましたけれども、全体の防衛省の機構改革の中でこれが必要だという結論に至ればわかりますけれども、全く内局のポストだけふやすようなこの案につきまして、この時期、何でこういうものを出してくるのかなという気持ちであります。

 というのは、先ほど申しましたように、防衛省の機構につきまして、いろいろな問題があろうかと思いますが、その中でも運用面におけるオペレーションについて、私のときから、陸海空、統合幕僚監部を一体的に運用するということで、現実にそのときはなっていましたが、これまた、内局の運用も一緒にしようという議論からスタートしております。

 しかし、内局の運用企画局はそのままの状態で残っておりまして、事オペレーションになりますと、二重の組織があることによって、タイムラグとか、指揮伝達において非常に複雑なもので、かえって時間がかかってしまう、判断ミスをしてしまうという問題もあって、統合に一本化しようという案をつくっておりました。

 防衛省内では結論を得ておりましたが、今回それが見直しとなりましたけれども、この運用面での一本化につきまして、今後どのように考えていかれるのか、伺いたいと思います。

北澤国務大臣 確かに、ここのところは前政権と我々で意見の分かれるところでありまして、私も一年八カ月に入っておるわけでありますが、まず一つ大きく評価するのは、統合運用ということは、今回の大震災を含めても、十万人という今までなかった態勢で対応するのには極めて有効であったというふうに思います。

 一方で、CとUの融合ということでありますが、私が体験している中では、一義的に内局がこれをまとめて、一方で、法の定めに基づいて制服組が私をしっかり補佐してくれる。したがって、私のところへは制服組と背広組で協議をしてまとめたものが入ってくる。そしてまた一方で、制服組からも直接私のところへ意見が入ってくる。そうしますと、私とすれば、運用局の方でまとめたものが妥当であるかどうかというようなことについては非常に鮮明に判断ができるという仕組みは、私自身は評価しておるわけであります。

 そこで、委員が言われる、時間がかかるではないかというようなことについては、これは確かに、今のところ問題は起きておりませんけれども、その可能性はゼロとはしないというふうに私は思っておりますので、今後、このことには注目をしながら、実態の運用をしっかり進めてまいりたい、このように思っております。

中谷委員 運用における無駄を省く、いわゆるオペレーションを一本化する必要性のある事例を、今回、ちょっと例を挙げてお話をさせていただきたいんです。

 震災当日の夜、東京電力の社長を名古屋からC130で輸送したんですが、途中で引き返したということがございます。当日は、十五時三十六分に福島発電所の全交流電源が喪失をし、十六時四十分に冷却機能が喪失、まさに炉心が爆発するという事態が発生をいたしました。そして十九時に、原子力災害対策特別措置法に基づく政府の緊急事態宣言が出されまして、ここで東京電力の社長は、この会社が運営しておりますので、一刻も早く本社に帰って陣頭指揮をしなければならないという立場でしたけれども、名古屋にいまして、もう新幹線も高速もとまっており、民間のヘリをチャーターしても夜間は飛べないということから、東京電力とか経産省の幹部から官邸の総理秘書官や担当者を通じて防衛省に依頼がありまして、結局、現場のオペレーションの方は、いろいろ任務は多いけれども、これは大事だ、政府からも官邸からも言われたということで、やりくりをしまして、実際にC130が二十二時に飛んでおります。

 その直後に防衛大臣から引き返せという命令がありましたけれども、大臣はこのことをいつ聞きましたか。そしてそのときに、実際に飛行機がもう既に発進をして東京に向かっているということまで報告で聞かれたんでしょうか。

北澤国務大臣 これについては再三衆参の委員会等でも私から御答弁申し上げておりますが、私のところに連絡があったのは、私が官邸の会議から防衛省へ帰る、これが二時間かかったわけでありますけれども、車中に頻繁にさまざまな報告事項、指示を仰ぐ要請が来ておりました。

 その中に、官邸の中で運用局長が、当時は危機管理監からというような明快な話ではなくて、それらしきことが打診をされたというようなことでございましたので、私の方からは、御案内のように、翌日、DMATの輸送がもう計画をされておりますので、自衛隊の輸送能力は震災対応を優先するようにきちんとしろ、こういうことを申し上げたわけであります。これは御案内のように、翌朝、四時五十三分から数次にわたってDMATの輸送を行っておるわけでありまして、そこで事態対処課長が、局長からそういう要請があったということをあらかじめ部隊の方へ伝えておいたということのようであります。

 私は、実際に飛行機が飛んで、しかも、そこに社長が乗って、引き返したということは、今ちょっと急な御質問で資料がございませんが、数日たってからその事実を承知したわけでありまして、私とすれば、そんな事態が起きていたとは夢にも思わなかったわけであります。

中谷委員 事実そうだと思いますが、そこが問題なんですね、タイムラグ。

 やはり伝達のシステムが、組織が二つあると、実際のオペレーションと内局が一つ一つ確認しながら大臣へ上がっていきますので、非常におくれてしまいますし、現場の感覚と、また大臣の感覚と違うわけでありますので、やはりこの点においては、組織的に一本化をさせて、よりスムーズに大臣にこういった状況や判断が上がる仕組みをつくっていかなければならないと思います。

 そういう意味においては、翌日の輸送においても、当然、オペレーションルームとしては承知をして、その上でこれは大事だということで飛行機を飛ばしておりますので、こういった問題も含めまして、私は、オペレーションの部門は統合幕僚に一本化をして、そして内局と協力をしながら、より無駄な手続を省いていくべきだというふうに思っております。

 それからもう一点、官邸の方も問題があって、翌日、官房長官にこれを質問したら、そんなのは車で飛ばせばいいんだというような発言がありましたが、事実、新幹線も高速道路も、とまったり、大渋滞で身動きがとれない状態でありまして、まさに、東京電力の社長を連れて帰るということは、国家にとっての大事な決断でございます。

 そういった状況も含めまして、できるだけ、現場でやっているオペレーションが迅速にいくように、ある程度任せるところは任せつつ、大事なところはしっかり手綱を締めていかなければなりませんが、基本的に、オペレーションにつきましては、こういった非常事態、緊急事態においては統合幕僚監部に一元化をするということで、大臣、いかがでしょうか。

北澤国務大臣 今の経緯の中で、もう一つ、私が申し上げなかったのは、事態対処課長が直接部隊へ言ったのではなくて、統幕を通じてもちろん言っておるわけで、これは、組織とすれば、委員は十分御存じだと思いますが、そういう形をとったわけであります。

 それともう一つは、今に至っても、東京電力がこのことを要請したということは一切、いまだにはっきり言っていないんですね。ですから、今検証してみますと、一体どこで明快な要請があったかということはいまだにはっきりしておりませんで、我々とすれば、そういう意味では、大きな反省材料であります。

 もう一つ、議論の中で事実を申し上げてまいりますと、私が実際にそのことを知ったのが数日後でありますから、その事実関係を申し上げると、大臣は責任を回避して現場に責任を押しつけているではないか、こういうような言い方をされる方も結構おるわけでありますが、それは全く違うのでありまして、責任の最後は私がとるのは当たり前のことでありますが、しかし、広く国民の皆さん方に、どういう経緯でこういう事態が発生したかということをお知らせするのも私の役割である。

 それからまた、今回のようなものは、確かに、私の指示がない中で飛行機が発進したということは規則違反でありまして、そのことを余り声高に言いますと、こういう事態の中でとが人が出るということは、部隊の士気その他からいっても必ずしも妥当ではない、しかし、一方で厳しく規則は守らなきゃならぬというところで、私にいささかの悩みのあることを委員は十分御承知おきいただきたいというふうに思うわけであります。

 そこで、本論へ入りますが、一体化という議論については、私のところでは先ほど申し上げたような認識を持っておりますので、また引き続き、御議論は深めさせていただきたいと思っております。

中谷委員 緊急事態であるし、いろいろと人命もかかったことでありますので、すべて報告して判断を仰ぐという形ではなくて、こういう事態においてはある程度部隊に任せて、できるだけ手続もスムーズにする。その上においては、今の組織が非常に二重手間になっている部分があるので、ぜひ、これは必要なことでございますので、もう運用企画局を廃止して、そのポストで審議官でもつくっていただいて、総合的な改革をしていただきたいというふうに思います。

 それから、今度は「あたご」の判決についてですが、五月十一日に横浜地方裁判所が、イージス艦の「あたご」と漁船の清徳丸の衝突事故をめぐる判決で無罪を言い渡しました。争点は航跡でありまして、裁判では、海難審判と検察が前提としております証拠に誤りがある、そして、検察、海難審判側が描く漁船の航跡図そのものを否定して、これをずさんな捜査であるというふうに批判いたしております。

 事実、調べてみると、今から二年前に海難審判所の裁決がありましたが、既にこのときから、海難側と「あたご」の当直士官の清徳丸の航跡の主張が違っておりまして、「あたご」の艦長も、清徳丸は「あたご」の艦尾を通過するはずの航跡であった、衝突直前に清徳丸が右転舵したので衝突をした、転舵せずに直進をしていたら衝突しなかったというふうに証言をしております。しかしながら、この海難審判所の裁定におきましては「あたご」に非があるということですが、さらにこれを調べてみますと、衝突の三分前、四時三分ごろ、「あたご」の信号員、水雷長は、清徳丸の赤色の舷灯を認めて、この船は「あたご」の艦尾を通過すると考えていたと証言しております。そして、一分前に、この漁船が増速をした、面かじをとったということを報告したという証言がございますが、地裁では、この信号員の証言はどう扱ったんでしょうか。

 結局、裁判所も言っていますけれども、客観的な証拠がないまま、僚船の漁船側の乗組員の目撃証言などで推定したのではないかということでございますが、実際、この僚船の船長の供述を見ますと、調書では、自船の左前七度の角度、三マイルを航行と詳細に書かれておりました。ところが、裁判においては、船長は、この辺と言っただけと法廷では証言をしまして、全くこの調書の供述が裏づけられていないということで、結論としましては、調書ができる前に既に清徳丸の航跡が海難とか検察側でつくられていたのではないかということで、判決は、恣意的にこれをつくったというふうに断じております。

 きょうは海難審判所長が来られていますけれども、この判決内容をいかに受けとめておられますか。

工藤政府参考人 お答えいたします。

 海難審判所の役目として、海難の再発防止を目的として審判が行われております。一方、裁判所の方は、刑罰を科すか否かを目的とした、そういう刑事裁判が目的であります。

 そういうことから、海難審判所といたしましてはコメントは控えさせていただきたい、このように考えております。

中谷委員 いろいろと海難なりには判断したと思いますが、問題は、防衛省の海上自衛隊ですが、乗組員がこういう証言をしているにもかかわらず海難審判の結論をうのみにしてしまったということで、やはり再捜査というか、きちんと防衛省側も調べて、不服申し立てとか意見聴取とか、関係者がこういう証言をしておりますので、しっかりと捜査をし、調べてもらいたいというふうに私は思います。

 そういうことで、これから、この点においてももう一度海自側が再検討する必要があろうと思いますが、この二人の処分も含めて、今後、防衛省としてはどう対応していくのか、伺います。

松本大臣政務官 現在、この事案につきましては、昨日、検察が東京高裁に控訴したところでありまして、判決が確定していない現段階において、判決を踏まえた今後の防衛省の対応についてコメントすることは差し控えたいというふうに考えております。

 それから、海自の調査の件でありますけれども、事故調査委員会は、「あたご」の乗員約八十名からの聴取を行っておりますし、資料収集を実施するとともに、事故発生時の当直士官などの立ち会いのもと、「あたご」の艦橋からの外部目標の見え方、それから目標のレーダー探知の状況等について実際に海上において調査を行って、当該調査から判明した事実に基づき調査報告書を作成しております。

 したがいまして、防衛省としては、海上保安庁の捜査等に支障を与えない範囲で、可能な限り乗組員への聴取や事故状況の検証を実施したものというふうに考えておりますので、調査自体が不十分であったとは認識をしてございません。

中谷委員 事実、この当直士官二名がしっかり裁判で闘っているわけですよ。「あたご」の艦尾を通過するはずの船であったとか航跡がわからなかったとか、そういう証言はしっかり取り上げてやっていただきたい。

 それから、この二名の職員も休職扱いで給料も減額されているままでありますが、一刻も早く職場復帰をさせて、彼らに罪はなかったという判決も踏まえて対応していただきたいと思います。

 そして、最後になりますが、普天間問題で新たな動きが二つありました。一つは、防衛大臣が、下地島につきまして、災害派遣のために非常にいい場所があって、全く使われていない滑走路、四千メートル級があって、遊んでいるわけです。ですから、私も、この地に、航空自衛隊や陸上自衛隊の拠点としてこの空港を利用して、現実、那覇空港がもういっぱいでパンクしていますので、こういった機能を使うべきではないかというふうに思っております。

 そしてもう一点、北部訓練場のある国頭村の安波地区、これはもともと北部訓練場の土地でありましたが、返還された後、農地になっていますが、ほとんど農業がされていないということで、地元の住民の皆さんが、ここを飛行場にしまして、那覇空港の航空自衛隊の代替とか米軍の普天間基地の代替施設として使用することができるのではないかということで、二十四日にも住民協議が行われております。事実、私は、普天間の辺野古移転よりは可能性のある話ではないかなというふうに考えますけれども、こういった点につきまして検討されるかどうか、大臣等の所感を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 前段の下地島空港の活用につきましては、既に沖縄の方から、振興部会に対する要請の中にそのことが書かれておるわけであります。これは一方で、もう御存じだと思いますが、屋良朝苗さんが代表をされておりましたときに、ここに軍事施設はつくらないということをはっきりさせておりますので、私とすれば、政府と沖縄との間で有効活用という観点で議論はあってしかるべきだ、このように思っております。

 また、北部のことにつきましては、防衛省に対して一切要請も、それから提言もございませんので、今のところコメントする立場にはない、このように承知しています。

中谷委員 ありがとうございました。

 もともと米軍の訓練場であったわけでありまして、そういう可能性は私はあるんじゃないかと思います。

 それから、最後に、委員長にお願いいたしますが、今回の震災の自衛隊の活動等を通じて、外国の軍隊等の運用等についても、余り協定とか取り決めがないまま来ておりますが、今回の自衛隊の対応を検証するための調査委員会なるものを設けて、防衛省からその報告を聞いて、やはり国会としてどう対応するかという場をぜひ設けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

平野委員長 委員会に対する提案ということでよろしゅうございますか。

中谷委員 はい。

平野委員長 後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

松本大臣政務官 先ほどの海上自衛官二名の復職の件でありますけれども、昨日付で復職させたということを申し添えておきたいと思います。

中谷委員 ぜひ彼らの正当性も見ていただきたいと思います。

 以上で終わります。

平野委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 自民党の国防御三家のお一人と言われた元中谷大臣の後を受けて質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、防衛省設置法の一部を改正する法律案の審議でございますが、今回のこの法案については、先ほど岩屋委員からもありましたけれども、大きく五つポイントがございまして、一つが自衛官の定数等の変更、もう一つが防衛審議官の新設、三つ目が防衛医科大学校に四年制の看護師養成課程を新設する、四つ目が日豪ACSA関係でございまして、五つ目が航空手当の支給上限の変更でございます。私どもは、党として検討いたしました結果、この五点とも非常に大切である、そういう観点から、きょうは、特に防衛審議官の新設と、後ほどACSA関係についてもお聞きをしたいと思いますが、その他のことも含めて質問させていただきたいと思います。

 まず、防衛審議官の新設でございますが、私は、防衛庁を省にするときに党内の意見を取りまとめました。そのときにも、私が強く主張したのは、防衛に携わるそういう官庁をやはり他省庁並みにしっかりとしていかないといけない、そういうことはもう最低限必要だろうということを強く訴えさせていただきました。

 今、他省を見ますと、やはり次官級の、名前はいろいろありますが、そういう審議官クラスがそれぞれの省庁にいて、対外交渉をやる省庁もあれば、さまざまな役割を担わせている。私は、そういう観点からしたときに、他省庁並みに対外交渉であるとか協議を行う今回の防衛審議官という次官級のポストはやはりつくるべきである。

 特に、今、防衛省を取り巻く環境を見ましたときに、普天間飛行場の移転問題を初めとした米軍再編、日米同盟をしっかりと強化していく、そういう交渉もありますし、中国や韓国を初めとした周辺諸国との防衛協力、さらには防衛交流、こういうことも必要ですし、先ほど大臣が今度行かれると言われていましたけれども、シャングリラ会議を初めとした国際会議で多国間の安全保障対話をしっかりとやっていくということも、国会対応も含めますと、事務方の中でそういうことを専門にするポストをしっかりとつくった方がいいのではないか。

 今は、残念ながら、防衛政策局長を初め各局長が兼ねている部分もありますけれども、どうしても中途半端になる。だから、私は、防衛省の中の対外関係、そういうものを専門にするポストというのは当然あってしかるべきである。また、そういうものを本当に機能させて、しっかりとした、重要事項に対して対応できる、そういう防衛省になっていってもらいたいという思いで、この防衛審議官の新設については賛成をさせていただきたいと思うんですが、改めて防衛大臣に、防衛審議官の新設の意義や目的と、今現に行われている他の局長等との役割分担についてどのように考えておられるのか、防衛大臣の答弁をいただきたいと思います。

北澤国務大臣 佐藤委員からは、大変御理解のある御意見をいただきまして、本当に感謝しておるわけであります。

 まず、近年の安全保障環境の変化に伴いまして、政策官庁としての防衛省・自衛隊の業務そのものが格段に増加してきておる。特に、日米同盟の深化、アジア太平洋地域を中心とした、今お話のありました防衛協力、交流、安全保障協力の推進といった対外関係業務について、業務量が非常に増大しておる。これが大前提としてあるわけでありまして、その大半を防衛政策局長が担っておるわけであります。

 また、防衛政策局長の所掌は非常に広いわけでありまして、対外的な業務の増加の一例を申し上げますと、先ほどのシャングリラ会議もそうでありますが、ASEAN地域フォーラムであるとか東京ディフェンスフォーラム、あるいはIISS、いわゆるマナーマ、ADMM、非常に大きくなってきていますので、私も、これをこなしていく中で、やはり専門の職種が必要だろうということを痛感しました。過去の経緯を踏まえますと、御党も非常に積極的にこれを推進、また自民党も提言をされたりしておりますので、私は、ある意味、機が熟したのではないか、こんなふうに考えておる次第であります。

 さらに細かく申し上げれば、特に米国との関係においては、対等なカウンターパートというのをしっかり設置しておくということは日米間にとっても非常に重要だということをしみじみ最近感じておりますので、ぜひ御理解をいただいて、この法案が成立するようにお力添えを賜りたいと思う次第であります。

    〔委員長退席、神風委員長代理着席〕

佐藤(茂)委員 ぜひ、私は、適任者をしっかりと選んでいただいて本当に機能するようにしていただきたいとともに、特に自民党の同僚委員なんかとも話をしていますと、事務方だけのポストをこうやってつくっておいていいのか、そういう御意見もありますから、やはり防衛省というのは、実動部隊というのは大半が自衛隊で支えられている部分もありますので、その辺も、実際にどういうように活用していくのかということも今後視野に入れた、そういう新しい民主党政権のもとでの防衛省改革というものをしっかりと進めていただきたいな、そのことだけ申し添えておきたいと思います。

 法案から離れますけれども、先週来、国会の審議や報道で話題になっております、鹿児島県の馬毛島でFCLPを行う方向で本当に調整に入ったのかどうか。これは、先週の議論も、議事録を読むと、本当にそこを明言されたようにも聞こえないような微妙な答弁をされているんですけれども、もし馬毛島にそういうFCLPの実施場所を持っていったとすると、私は、二つ、クリアしないといけないことがあると思っているんですね。

 一つは、本当にアメリカ側がそれで納得するのかという問題がございます。それは、アメリカ側が求める、岩国になるべく近い、具体的には百八十キロ以内という要求よりも、馬毛島というのは約四百キロ離れていますから、そういう四百キロ離れているという距離に対してアメリカ側が難色を示す、そういう懸念があるということが一点ですね。

 もう一つは、何よりもこれが非常に大事だと思うんですが、今までもこの馬毛島というのは、普天間の移設の場所も含めて候補地に何回か挙がってまいりましたけれども、地元の反対で頓挫してきた、そういう経緯があるわけであります。今回も、早速ですけれども、種子島と屋久島の一市三町の首長、議会議長でつくる米軍基地等馬毛島移設問題対策協議会が、引き続き反対する方針を既に確認されているんです。

 この米軍の要望にかなうのかどうなのかという点と地元の反対というこの二点について、本当にクリアできると考えておられるのか、防衛大臣のFCLPの実施場所についての御見解を伺いたいと思います。

北澤国務大臣 具体的な名前を挙げての御質問でありまして、私も、今の段階で明快な御答弁を申し上げることはなかなか難しいわけでありまして、その点は御容赦をいただきたいと思うわけであります。

 ただ、FCLPは、ロードマップの中で、〇九年には整備をする、こういうことであったわけでありますが、それが決定していないという中で、米側からの要請の強いことはもう御案内のとおりであります。特に今、これのかわりに硫黄島で訓練をしておるわけでありますから、これも早急に解決しなきゃいけない大きな課題だというふうに思っておるわけでありまして、私は、就任以来、適地はないかということで、その適地について検討するように指示はいたしてきております。地域を特定して名前を申し上げるわけにはいきませんけれども、数カ所の地点についていろいろ検討はしてきております。

 そういう中で、米軍との間の百八十キロということについても、内々意向を聞いてはおりますが、しかし、ここだからどうですかということが言えない今の状況で米軍の答えを得るということは極めて難しいわけでありまして、いずれにしても、前向きに検討をしておるということだけは御答弁させていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 これは実際、民主党政権だけの責任じゃなくて、二〇〇六年のロードマップを決定したときには我々も政権側にいたので。そのときには、〇九年七月またはその後のできるだけ早い時期に選定する、正式にはそうなったんですね。だから、〇九年七月というのは残念ながらもう期限を過ぎましたけれども、やはりこれもいつまでも放置しておくのではなくて、できるだけ早い時期に選定をしないといけない事項であることは間違いないんです。

 その実施場所、施設についての考え方ですが、自衛隊が施設を管理して米軍と共同使用することで米軍とも調整している、そういう報道もあるわけですね。

 私は、昨年五月の日米合意で、これは大分踏み込んだなと思いましたのは、米軍と自衛隊との間の施設の共同使用を拡大する機会を検討するということが、これは普天間を中心にした合意でしたけれども、しかし全体に通じる話だと思うんですが、そういうことが昨年の五月に合意されたと思うんです。

 ですから、このFCLPの実施場所も、これは明言できないと言われましたが、考え方としては、やはり自衛隊が施設を管理することによって、特に地元との調整なんかも、米軍にさせるのではなくて、日本の自衛隊が窓口になって、その地元の要望、施設に関係する要望とかをいろいろお聞きするということも一つのやり方としてはこれから大事になってくるのではないかなと思うんですが、今後のFCLP施設の管理のあり方や共同使用について、防衛大臣の今考えておられる御見解をお聞きしたいと思います。

北澤国務大臣 ただいまの質問は、今後の日米の基地のあり方について極めて重要な御質問でございます。

 実は私が、普天間の代替問題を中心にしてワシントンでゲーツ長官と会談をしたときに、シナリオの中にはある意味なかった提言として申し上げて、そのときには、自衛隊の管理の中で代替施設を米軍が、こういうことでありまして、ちょっとその日には大騒ぎになったわけでありますけれども、基本的には、ゲーツ長官も共同使用ということについては前向きに対応していただいたわけであります。

 それ以来、日米の間では常に、共同使用、共同訓練、それから場合によれば自衛隊の管理のもとにおける米軍の使用、こういうものをずっと模索してきて、これはかなり前進したというふうに思っております。今後、国内において、新しい基地というようなことで問題を解決していく上においては極めて重要な考え方ではないかというふうに考えておる次第であります。

佐藤(茂)委員 もう一点、法案からちょっとそれますが、先ほど中谷委員が最後に指摘された部分で、下地島空港の災害支援拠点化についてもう少しお聞きしたいんです。

 具体的に言いますと、宮古島市の下地島空港をアジア地域などの国際的な災害時に輸送する物資の集積場所とする災害援助拠点とするための検討を始めたことを、五月二十三日に行われた沖縄政策協議会の米軍基地負担軽減部会で北澤大臣から仲井真沖縄県知事に伝えた、そういう報道があるんですね。

 先ほどありましたように、前の町長さんからの約束で、軍事施設には使わない、しかし災害支援拠点として使うということであれば、これは明確に軍事施設とは違うということで、従来から、沖縄県の地元からも、沖縄振興策の一つとして災害支援拠点化というのは日本政府に要望していた一つだったと思うんですけれども、今回、下地島空港を災害支援拠点として使う検討を始めたということは本当に事実なのかどうなのか。また、何のためにそういう形で使おうとされるのか、防衛大臣の御答弁をいただきたいと思います。

北澤国務大臣 二十三日に、あらかじめ沖縄側から要望のあったことに対して政府としてお答えを申し上げて、その後、半分の時間を自由討議にしましょうということで、自由討議に入った中で、私の方から、かねて沖縄側からも御要請のあるこの問題について真剣に取り上げてはいかがか、また、今回の大震災、また各国からの支援、そういうものを踏まえると、私とすれば、後方支援のハブ化というようなことで、近隣諸国にも貢献できるというようなことから、有効活用をしてはどうかと。

 これは、防衛大臣として、防衛省の政策として申し上げているわけではなくて、負担軽減部会という中で提言を申し上げたわけでありまして、これについては、どなたも異論を挟む方はなくて、前向きに検討するべきだと。沖縄側も、そういう意味では受けとめ方は非常に積極的であったというふうに感じております。

佐藤(茂)委員 私は、そういう自由討議の中での防衛大臣を超えての御発言としては、非常にいい発言をされたのではないかなと。その大臣の発言がきっかけで、これから沖縄との関係でもそういうものが調整されて、進めていくことは、乗り越えないといけないいろいろな懸案はこれから出てくるでしょうけれども、いいことではないかなというように私は思うわけであります。

 次に、東日本大震災の入浴支援とACSAについてちょっとお聞きしたいんです。

 冒頭の森山委員からもありましたように、今なお避難所で暮らす人々にとっては、入浴支援のニーズというのが非常に高いんですね。

 五月十一日に、私どもも、平野委員長を中心に松島基地に行きましたけれども、基地のおふろ、これが入浴支援施設として非常に好評であって、ただ、司令にお聞きしますと、昼間から夜のゴールデンタイムぐらいまでは被災者の皆さんに全部入ってもらって、その後、夜の遅い時間になってから、全国から来ている自衛官にも交代交代で入ってもらっている、そういうお話を伺いました。

 公衆衛生学の烏帽子田さんという広島大学の教授も、入浴は心身をリラックスさせるとともに疲労回復などの効果もある、生活習慣だった毎日の入浴ができないことが徐々にストレスとなって被災者の心身に影響を及ぼすこともあり、入浴環境の整備を急ぐべきだと述べられているんですね。

 しかし、自衛隊が非常に頑張って、多分精いっぱいされているんだと思うんですが、内閣府の調査によると、三割以上の避難所が週一回程度の入浴しかできないで、衛生面を懸念する声も上がっているわけであります。そういう意味でいうと、やはり、さらに被災者への入浴支援というのはもう急務のことだと私は思うんですが、自衛隊として入浴支援に力を入れておられると思うんですけれども、入浴支援の現状と課題について防衛省としてどう考えておられるのか、見解を伺いたいと思います。

    〔神風委員長代理退席、委員長着席〕

松本大臣政務官 お答えいたします。

 入浴支援につきましては、数年前に、私の地元、江田島とか呉を結ぶところの水道管が崩落した際に、実は自衛隊から入浴支援をいただきまして、大変ありがたかったという個人的な経験もあります。

 そこで、入浴支援の状況についてでありますけれども、最大時約四十カ所の野外入浴セットの設置などで約七十万人以上の入浴支援を実施してきたところであります。被災地における入浴支援については依然としてニーズが高く、自衛隊としては引き続き、持てる能力を最大限活用して入浴支援を行っておりまして、新たなニーズに対しては、ニーズが低下した地域の野外入浴セットを転用することにより対応しているところであります。

 御指摘の今後の課題でありますが、防衛省・自衛隊としては、入浴支援についても、被災地において水や燃料を十分に確保することが困難な中で、心身の健康にかかわる重要な支援であるというふうに考えておりまして、今後とも、一人でも多くの被災者に役立つよう、積極的にこれらの活動に取り組んでいきたいと考えているところであります。

 こういった観点から、先日、御協力をいただいて成立させていただきました一次補正予算においても、野外入浴セット五式を計上するなど、防衛省・自衛隊としての入浴支援の体制強化に努めているところでございます。

佐藤(茂)委員 それで、今回、日豪ACSAがこの法の中にあるんですけれども、それとともに日米ACSAも、国緊の際の活動も対象にするというのがつけ加わりました。

 ただ、今回の改正の前の平成十六年のときに、日米ACSAの活動目的に大規模災害対処での適用というのが付されたんですが、今回、報道によると、アメリカ海兵隊が投入していたシャワー施設が日米ACSAに基づいて自衛隊に無償提供された、そういうふうに伺っているんです。私は、事実とすれば、ニーズが高い入浴支援等でも日米協力の枠組みが一歩前進した形で具体的に成果として出てきているんではないかと思うんですが、日米ACSAを適用しての入浴支援の施設提供の状況について、防衛大臣また防衛省の答弁を求めたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 本年四月三十日に、これは海兵隊ではなくて米陸軍でありまして、陸軍から陸自に対しまして、日米ACSA協定に基づいて十二セットのシャワー機材の提供があったところでございます。現在、米軍から受領したシャワー機材を自衛隊の管理下に置きながら、自衛隊の救援活動として、被災者の方々にシャワー支援を実施しているところでございます。

佐藤(茂)委員 アメリカは実動部隊は現場ではほとんど撤退していますけれども、引き続き、やはりアメリカのトモダチ作戦にあらわれた思いをうまく活用して被災者の入浴支援に生かしていただきたいな、そのように私は思うわけであります。

 日豪ACSAについてお伺いしますけれども、これは昨年の五月十九日に署名が行われました。このときに発表された内閣官房長官の談話についてちょっと確認をさせていただきたいと思うんですけれども、大きく二つのことを言われているんですが、その二項目めで、

  本協定に基づく物品又は役務の相互提供は、食料、水、宿泊、輸送、燃料、被服、通信、部品又は構成品等について行われるものとされており、「武器又は弾薬」の提供は実施しないこととしているものの、提供することとしている物品又は役務の一部には、武器輸出三原則等における武器等に当たるものが含まれることとなる可能性がある。政府は、これまで武器等の輸出については武器輸出三原則等によって慎重に対処してきたところであるが、一に述べた本協定の内容及び意義にかんがみ、本協定の下で行われる武器等の提供は武器輸出三原則等によらないこととする。

このように官房長官談話で言うんですね。

 私がお聞きしたいのは、「「武器又は弾薬」の提供は実施しないこととしている」、これは日豪ACSAに限らず、日米ACSAでもそうなんです、そうしておきながら、官房長官の談話では、武器等に当たるものが含まれる可能性がある、そういうように言われているのはどういうことなのか、ぜひ政府としての答弁をいただきたいと思います。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 日豪ACSAで言う、武器または弾薬を提供の対象から除外しているという場合の武器でありますけれども、ここで言う武器は、銃、火器等戦闘行動において直接人の殺傷その他の武力行使の手段として用いられる物品を指しております。

 一方で、日豪ACSAに基づき提供される物品の一部には、軍用の航空機、車両、船舶の部品、構成品、こういったものが含まれております。これらは日豪ACSAにおける武器には当たりませんけれども、いわゆる武器輸出三原則等における武器等に該当する可能性があるということであります。

 これは輸出貿易管理令の別表とかに定められているものの中から決められている関係でそのようなずれがあるということでありまして、そのため、日豪ACSAのもとで相互に物品を提供するため、こうした武器等の提供は武器輸出三原則等によらないこととし、その旨の官房長官談話を発出したところでございます。

佐藤(茂)委員 今、松本政務官の答弁をもう一回確認すると、要するに、ACSAで言う武器弾薬というものの定義や内容と武器輸出三原則等における武器等ではやはり内容に違いがある、そういう答弁だと受けとめましたが、それでいいのかどうか、もう一度簡潔に、はいそうですでも何でも結構ですので。

松本大臣政務官 御指摘のとおりであります。

佐藤(茂)委員 それで、なぜこういう微妙な問題が大事になってくるかというと、今後も、これは日米、日豪、次は、北澤大臣がことしの一月十日だったと思うんですけれども、韓国へ行かれて、日韓防衛相会談で、日韓のACSAもやっていきましょう、そういうことも具体的に議論を深めていくことで一致したとなっているんですけれども、大事なことは、やはりACSAといってもそれぞれ対象が違うんですね、日米と日豪では。日本有事であるとか周辺事態というのが日豪には対象の活動に入っておりません。

 日韓のACSAも、協力の対象となる活動などを含め、これは当然慎重に意見交換して議論を深めていく必要が私はあると思うんです。北澤大臣があの一月の時点で日韓のACSAの話をされたというのは私は極めて意義のあることだと思うんですが、今後の日韓ACSAの見通しについて、防衛大臣の所見を伺っておきたいと思います。

北澤国務大臣 日韓の連携が極めて重要であるということはもう御認識のとおりでありますが、私が一月に行ったときは、韓国ではちょうど責任をとって前任者がおやめになったところであったわけでありますが、しかし、非常に積極的な議論ができまして、今後このことについては事務レベルで調整を進めていくという今段階でございまして、今後の推移を見きわめながら、私は、できるだけ早く成果を上げるべきではないか、このように考えておる次第でございます。

佐藤(茂)委員 その際には、たしか日韓のGSOMIA、情報の協力も提案されたと思うので、ACSAとあわせて、これは極めて大事な防衛協力だと思いますので、ぜひ進めていただきたいな、そのように思います。

 最後に、次期戦闘機FXの機種選定の状況について、時間の許す限りお聞きをしたいと思うんです。

 F4戦闘機の後継機となるFXの機種選定に関して、防衛省は、四月に提案要求書と評価基準書を決定して、四月十三日に候補機種の開発国及び開発企業を対象にした説明会が行われたわけでございます。そこで、アメリカ政府はF35とF18、この二機種、イギリス政府はユーロファイターをそれぞれ提案する申し込みを防衛省にして、大体、計三機種の候補の申し込みが出そろったと報道されております。

 ところが、今月に入って、次期主力戦闘機の有力候補であるF35について、アメリカの国防総省のマイケル・ギルモア運用試験・評価局長は、五月十九日にアメリカの上院軍事委員会の公聴会で、任務につく能力を持った機体の初期運用試験、評価が始まるのは二〇一七年の春だと言われまして、二〇一六年に米空軍で運用を始めるとする現在の計画がおくれて、開発の最終段階となる運用試験が二〇一七年春に始まるとの見通しを明らかにされました。

 日本政府が先月に出したFXの提案要求書では、二〇一七年三月までの完成機納入などを条件としておりまして、このマイケル・ギルモア運用試験・評価局長の表明されたとおりだと、F35の計画がおくれるということですから、これは日本政府の次期戦闘機の選定に影響を与える、要するにF35は機種選定から事実上外れるおそれもある、そういう可能性が出てきたと私は考えるんですけれども、F35の計画のおくれが次期戦闘機FXの選定にどのような影響を与えると考えておられるのか、防衛省の見解を伺いたいと思います。

小川(勝)副大臣 事実関係は、委員からお申し越しがあったとおりでございます。

 現地時間の十九日、米国防省のギルモア運用試験・評価部長が米議会におきまして、F35に関して、開発段階の終了時期が約十六カ月おくれるとの見通しを示されたように承知をいたしております。

 大変ナーバスな事案でございますのできっちり答弁をさせていただきたいと思いますけれども、平成二十四年度予算案にFXに係る経費を計上するとの方針に変更はございません。

 いずれにいたしましても、FXの選定に当たっては、あらかじめ定められた評価基準にのっとって、九月下旬に提出される提案書の内容を公正かつ厳正に評価する予定でおります。

佐藤(茂)委員 だから、中身については今の段階では答えようがない、そういう答弁だと理解をいたしました。また引き続き質問いたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

平野委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。

 今回の法案の柱の一つは、日豪ACSA締結を受けた自衛隊法上の根拠規定の整備であります。日本がアメリカ以外の国と安全保障分野での条約を締結するのは今回が初めてです。

 日豪間では、二〇〇七年三月の安全保障協力に関する日豪共同宣言以降、さまざまなレベルで軍事的な協力関係を強化してきております。

 まず、その目的にかかわって外務省に聞きますが、宣言は、両国間の強化された協力が日米豪三カ国間の協力の強化に資すると述べておりますが、具体的にどのように資するのですか。

高橋副大臣 オーストラリアは、先日ギラード首相が日本に来ていただきまして、被災地も訪問していただきまして、大変友好国でございます。資源エネルギーの安定的な供給源として、我が国の経済安全保障上大変重要だというふうに考えております。

 一方で、アジア太平洋地域におきまして基本的な価値と利益を共有するという意味でも、戦略的パートナーになります。最近、北朝鮮の核問題、それから中国の透明性を欠いた国防力の強化、海洋進出など、我が国の周辺地域における安全保障環境というのは大変厳しい状況が続いております。こうした中で、価値観を共有して、ともに米国の同盟国であるオーストラリアと安保関係を強化するということは、アジア太平洋地域の安定にも資すると考えております。

 今回の日豪ACSAを締結するということができれば、国連平和維持活動や災害救援におきまして日豪がより緊密に協力して活動を行うということが可能になると考えます。それによって、国際連合を中心とする国際平和のための努力のみならず、今回のような地域の安全保障環境の中で国際的、地域的に協力を積極的にできるというふうに考えております。

赤嶺委員 日豪は、既にアメリカ主導の軍事作戦を支援する役割を果たしてまいりました。インド洋では、オーストラリア軍が海上阻止活動を、自衛隊は補給支援活動を担ってきました。イラク・サマワでは、オーストラリア軍が治安維持を、自衛隊は人道復興支援を担い、米軍占領を支援してまいりました。

 宣言以降、日豪間で合同訓練を強化してきておりますが、東アジア地域における日豪そして韓国の連携強化は、アメリカがQDRなどで打ち出してきた方針そのものであります。今回のACSA締結を含め、日豪間の軍事協力の推進は、軍事分担の拡大を求めるアメリカの戦略に沿ったものだということを指摘しておきたいと思います。

 日豪ACSAについて、関連してもう一点聞きます。

 政府が昨年末閣議決定した新防衛大綱、中期防は、韓国、オーストラリアとの二国間、アメリカを含めた多国間の共同訓練を強化する方針を打ち出しております。これは具体的にどういう訓練をどのような頻度で行っていくことを想定しているのですか。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、新防衛大綱では、韓国及びオーストラリアとの二国間及び米国も含めた多国間での協力を強化することとしております。自衛隊が実施する訓練においても、かかる方針に基づき進めてまいりたいと考えております。

 これまでの実績でありますが、韓国、オーストラリアとは二国間での訓練を実施しているとともに、米国を含めた多国間訓練に韓国、オーストラリアとともに参加してきておりまして、これまでも、日韓、日豪二国間の訓練における協力関係の強化に努めてきたところであります。

 それから、今後の方針でありますが、防衛省・自衛隊としては、これまでの実績を踏まえつつ、新防衛大綱に基づいて、今後、かかる共同訓練についてはその実現に努めてまいる所存でありますが、現時点においては、具体的な訓練の内容やそれから頻度などについては今後検討してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 外務省に聞きますが、歴代政府は、いわゆる第三国人、つまり米軍以外の外国軍隊などによる在日米軍基地の使用は安保条約上認められないとの見解を表明してきました。今後、オーストラリア軍が米軍基地を使用することが懸念されますが、今後もこの見解には変更はないと理解してよろしいですか。

高橋副大臣 在日米軍施設・区域は、日米安全保障条約第六条及び日米地位協定に基づきまして、日米安全保障条約の目的達成のために米国に使用を認めているものでございまして、オーストラリアを含む第三国の軍隊が訓練のために在日米軍施設・区域を使用するということは認められておりません。このことは、今回の日豪ACSAの締結によって変更されるものではございません。

赤嶺委員 去年の六月にはもうオーストラリアの空軍の哨戒機が那覇基地に飛来して、日米豪で合同訓練を行っております。那覇基地は今も自衛隊の訓練で騒音が激しくなっている地域であり、今後こうした合同訓練が増大していくことになれば、米軍、自衛隊に加えて第三国の軍隊の訓練によって騒音被害が拡大されかねません。こういうことは絶対に許されないことだと思います。

 次に、米軍による事件、事故の問題で、一点、確認いたします。

 四月二十一日の委員会で、二〇〇八年八月、うるま市内で米兵が引き起こした交通事故について、米側における処分結果について質問をいたしましたが、米側に照会中との答弁でありました。結果はどうなったか、報告してほしいと思います。

高橋副大臣 まず、御指摘の事故につきましては、とうとい人命が失われたということで、まことに遺憾でございますし、関係者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。

 二〇〇八年八月に、うるま市で交通死亡事故を起こした米軍人に対する米側の処分結果、先ほど委員御質問ございましたとおりでございますけれども、米側に照会をしておりますが、現段階において、いまだに結果の報告ができる段階にはございません。

 実は、懲戒という形になると御本人の承諾が要るということで、外務省の方から米側に問い合わせをずっとしておりますけれども、今の段階で御報告はございません。

赤嶺委員 前回の委員会からでも約一カ月を超えているわけです。結果を調べるだけなのに、なぜいまだにわからないのか。米側が本人の了解を得る必要がある、こういうことで来ているんですか。

高橋副大臣 そのとおりでございます。

赤嶺委員 一方、被害者は、加害行為を行った、家族の命を奪った、そういう犯人に対して、どんな刑事罰を受けたか、あるいは刑事罰ではなく処分であったかということは重大な関心事ですよね。大変な関心事ですよ。

 前回の委員会で北米局長は、日米合同委員会の合意によると、米軍人または軍属に対して米側にて裁判が行われた場合の裁判の最終の結果は、日米合同委員会を通じて我が国政府に通報されることになっていると答弁をいたしました。軍事裁判に至らない懲戒処分は基本的に日本政府には通報されない仕組み、そういうことになっているんですか。

高橋副大臣 刑事裁判ではなく懲戒処分がなされた場合には、さきに述べた日米合同委員会を通じた通報の対象とはなっていないことから、外務省として問い合わせはさせていただいておりますけれども、御報告はございません。

赤嶺委員 被害者の立場に立ったら、そんなことは絶対に許される話じゃありません。米兵に対して甘い態度をとっているんじゃないかということが常々言われているわけですから、刑事裁判権を奪われて、そのあげくに処分結果さえ基本的に報告されない、これは本当に屈辱的な関係ですよ。

 この間、私は何度も報告を求めてきておりますが、アメリカ側が刑事裁判権を行使した米兵犯罪のうち軍事裁判にかけられた件数、これは報告があるはずですからわかるはずです。さらに、懲戒処分とされた件数。それぞれ何件になるのか、過去五年間でいいです、その内訳を明らかにしていただけますか。

高橋副大臣 委員御指摘の件でございますけれども、米軍人または軍属に対して米側が刑事裁判を行った場合の裁判の最終結果については、一九五三年の日米合同委員会合意に従い、日米合同委員会を通じて我が国政府に通報されておりますけれども、その件数等について明らかにすることは、米国との信頼関係の問題があって、差し控えたいというふうに考えております。

赤嶺委員 私は委員長にお願いがありますが、米兵のそういう刑事犯罪が裁判にかけられても、日本政府に通報されても、そこどまり。それから、懲戒処分に至っては、報告を求めてもアメリカが報告しない、やみの中なんですね。これで綱紀粛正とか犯罪の根絶とか、とても言えるものではありません。

 今私が求めた資料を安保委員会の理事会に提出するよう、強く求めたいと思います。委員長、取り計らいをお願いします。

平野委員長 後刻理事会で協議をさせていただきます。

赤嶺委員 これは本当に明らかにしていかなきゃいけない問題だと思います。

 五月二十日に、米軍は嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を強行いたしました。九六年のSACO合意では、事故を減らすために伊江島に訓練移転を決定した経緯があるにもかかわらず、嘉手納基地を使った訓練は今度で六回目です。

 しかも、今回はこれまでと理由が全く違います。これまでは訓練当日の伊江島の悪天候を理由としていましたが、今回、一八航空団が公表した声明は、伊江島における天候が要因ではない、このようにしております。

 これまで外務省は、嘉手納基地での訓練を認める例外的な場合として、定期的でなく少人数であることとあわせて、伊江島の気象条件を挙げてきました。今回の伊江島の天候が要因でないとする米側の立場、これを外務省は認めるんですか。

高橋副大臣 二十日午後二時半ごろから、嘉手納飛行場所属の合計二十五名が上空からパラシュートで降下する訓練を行って、すべて同飛行場に着地したと承知をしております。

 パラシュートの降下訓練につきましては、平成八年のSACO最終報告に沿って、基本的に伊江島補助飛行場が使用されるということになっております。

 ただ、自然条件の制約により伊江島補助飛行場がどうしても使用困難な場合には、定期的でない小規模の降下訓練であれば嘉手納飛行場も使用し得るというのが日米両政府の従来からの理解であると考えております。実際、SACO最終報告後十年以上が経過しておりますけれども、先ほど御指摘のあったとおり、嘉手納で行われたのは今回を含め六回でございます。

 ただ、米国側によれば、この伊江島の補助飛行場で訓練をしようしようとしてきたときに、ずっと天候が悪くて、何度も中止になったというふうに聞いております。この状況が続いたことから、重要な救難任務の能力訓練を確保するという上で、そして今回、この降下訓練を行った部隊は、全員が今回の東日本被災地への支援にずっと入っていて、しばらく訓練ができなかったということを聞いております。そこで、より安定的に実施することが可能な嘉手納飛行場で例外的に使用せざるを得なかったということでございました。

 また、いずれにせよ、我が方からは、改めて、今後とも基本的に伊江島補助飛行場で行うように申し入れております。

赤嶺委員 トモダチ作戦に参加していた不足を補うと言いますが、友達なら約束を守るのが当たり前ですよ。友達らしくない行動をやって、友達だから許してくれというのは、もう友達の概念が違うんですよ、こうなったら。友達らしく、SACO合意に基づいてちゃんとやるべきだ。

 今度の声明は全然違うんですよ。今度の声明は、訓練当日の天候ではなく、いろいろ理由を挙げて、伊江島で訓練できなかった分、今後は嘉手納で補うということですよ。そういうことを認めたら、嘉手納での訓練は恒常化してしまいますよ。

 今回の声明の立場は認められないと、外務省は見解をはっきりさせるべきじゃないですか。

高橋副大臣 先ほど申し上げましたように、これは特例というふうに聞いております。改めて、伊江島補助飛行場で行うように外務省としては申し入れております。

赤嶺委員 終わります。

平野委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 私は最初に、法案との関連で防衛大臣にお伺いをしますが、米海兵隊が、アジア太平洋地域に展開する部隊の兵員輸送のため、オーストラリアの民間船会社から高速輸送船をチャーターしている事実を御承知でしょうか。

北澤国務大臣 米海兵隊がオーストラリアの民間会社から高速輸送船をチャーターしていることについては、米側の公表資料等により承知をいたしております。

照屋委員 海兵隊がチャーターしている高速輸送船の規模というか機能というか、人員輸送能力等、御承知であれば教えてください。

北澤国務大臣 当該の高速船の速度、定員、積載量、必要な経費などの詳細な情報については、防衛省とすれば、米側からは情報提供は受けておりません。

照屋委員 私は、いろいろな資料からあらましはわかっておりますが、私がきょう大臣に申し上げたいことは、在沖米海兵隊のトップである四軍調整官などを歴任したウォレス・グレグソン前米国国防次官補は、ハワイの太平洋海兵隊司令官であった当時、高速輸送船を三隻に追加して、アジア太平洋地域を巡回したいとの構想を抱いたようであります。

 海上自衛隊が高速輸送船を購入して、ただし、平時において米海兵隊に提供すれば、その輸送能力は格段に向上する、したがって現在地政学的な側面を強調して米海兵隊が沖縄に駐留する必要性はなくなる、このように私は考えておりますが、大臣のお考えを聞かせてください。

小川(勝)副大臣 御答弁申し上げます。

 沖縄は、御案内のとおり、米国本土やハワイ島と比較して東アジアの各地域に近い位置にあると同時に、我が国の周辺諸国との間に一定の距離を置いているという利点を有しております。また、南西諸島のほぼ中央にあることや我が国のシーレーンにも近いなど、安全保障上極めて重要な位置にございます。

 こういった地理上の特徴を有する沖縄に、幅広い任務に対応可能で、すぐれた機動性及び即応性を有する米海兵隊が駐留することによって、さまざまな事態に迅速な対応が可能、すなわち平素から抑止力の重要な要素として機能しているところでございます。

 仮に高速輸送船等の配備があったとしても、米海兵隊の存在あるいは抑止力の存在としての海兵隊の意義にいささかも変更はないというふうに考えておりますし、抑止力の維持のために海兵隊が不可欠な存在であるという認識を持っております。

照屋委員 私は、抑止力論とか地政学論とか、そういうものはもう、原発の安全神話が崩壊したように、今や県民でそういう理解をする人はおらぬということを申し添えて、後日議論しましょう。

 高橋副大臣にお伺いしますが、去る五月二十三日、第三回沖縄政策協議会基地負担軽減部会が開催されました。席上、松本外務大臣から、米国防省が作成する運航情報誌に普天間飛行場の飛行規制時間があいまいな形で記述されている点の改善を米側に求め、修正されたとの報告があります。

 修正前と修正後で、普天間飛行場の飛行規制時間の記述は具体的にどのように改善されたのでしょうか。

高橋副大臣 普天間飛行場の運用につきましては、平成八年の日米合同委員会合意による騒音規制措置において、二十二時から六時の間の飛行及び地上での活動は、米国の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限されるとされております。

 ところが、米国国防省が発行しておりました従来の運航情報誌における普天間飛行場の運用時間についての記述は、まず七時から二十三時までとした上で、詳細を種々解説する中で、二十二時から二十三時までは一定の制約があるという示し方になっておりました。

 つまり、読者は米国側のパイロットなんですけれども、パイロットが原則七時から二十三時までだというふうに理解をしかねない状況にあったということで、昨年後半に日本側から問題提起をしまして、米側と協議をした結果、本年三月、運用時間の記述を、まず七時から二十二時までとした上で、二十二時から二十三時までは運用上どうしてもやむを得ない不可欠な場合に限られると補足する形にした新しい運航情報誌を発行するに至りました。この方が、平成八年の日米合同委員会合意による騒音規制措置の趣旨というものが適切に伝わるというふうに考えております。

照屋委員 副大臣がおっしゃるように、普天間も嘉手納も、原則として午後十時から翌朝六時までは飛行が禁じられているんですね。私は、この矛盾を、昨年五月十三日の質問主意書、六月二日の再質問主意書で早々と問題提起をしたが、この間、全く策を講じてこなかった。

 今回の修正は、私は結果としてよかれと思っていますが、そうすると、嘉手納基地の運用時間の表記についてはどうなったのですか。

高橋副大臣 その運航情報誌における嘉手納飛行場の運用時間の記述ぶりというのは、従来から、平成八年の日米合同委員会合意による騒音規制措置の内容に沿ったものになっておりまして、特段の問題はないというふうに考えております。

照屋委員 副大臣、それは違うんじゃないでしょうか。国が監修した運航マニュアル二〇一〇年版では、嘉手納基地の運用時間は二十四時間と記載しているのです。これは一度きちっと精査をして、私はアメリカに修正を申し入れるべきだと思いますよ。

 さて、副大臣に、この記述修正によって、問題は、一九九六年三月の日米の合意、これが守られるのか、騒音防止協定が守られるという担保につながるのか、そこら辺はどう思っておりますか。

高橋副大臣 これについては、委員御指摘のとおり、さまざまな問題はあるかと思いますけれども、私たちは守られるというふうに考えております。

照屋委員 私は先日の委員会でもたしか触れたと思うんですが、嘉手納の爆音というのは、殺人的爆音という形容があるぐらい、すさまじいんですよ。私自身、フェンスの四、五キロ内に住んでいるからよくわかるんですが、これはもう常軌を逸しているというか、本当に健康被害も起こるぐらい。副大臣、聞いてくださいよ。だからこそ、先月の二十八日に、二万二千五十八人が原告となって、国を被告に、嘉手納基地爆音差しとめ等裁判が起こっておるんです。私も、第一次では十八年間、弁護士としてかかわりましたよ。第二次も第三次も、家族全員原告になっています。これぐらい爆音がひどい。

 だから、外務省は毅然として騒音防止協定を守らせる、こういう強い姿勢を示してほしいと思いますが、決意を伺います。

高橋副大臣 私も嘉手納の方は何度も行かせていただいておりまして、騒音については理解をしているつもりでございます。先生ほど、住んでいるわけではございませんので、その実感は違うのかもわかりませんが、それについては理解をしているつもりでございます。

 この日米協議の過程におきまして、米国側からは、普天間飛行場及び嘉手納飛行場に係る平成八年の日米合同委員会合意による騒音規制措置を引き続き遵守するという旨の確認はさせていただいておりますが、今後も私どもも注意深く見守っていきたいと思っております。

照屋委員 最後に、北澤大臣にお伺いをいたしますが、沖縄防衛局が、ことし三月、北谷町キャンプ桑江北側の返還跡地に埋まっていたアスベストや鉛などの有害物質を含んだ汚染土約千九百三十立方メートルを沖縄市登川の民間地に搬入して保管していた問題が発覚をいたしました。沖縄防衛局は、この事実を沖縄市に全く伝えていなかった。沖縄市は早急な撤去を求めておりますが、いつまでに撤去するおつもりか、大臣の決意をお示しください。

北澤国務大臣 キャンプ桑江の返還跡地についてのアスベストの問題は、今お話のあったとおりでありますが、平成二十三年三月末までの間に、沖縄県内で処理を行い、アスベスト含有廃材については、沖縄県内に処分場がないため、沖縄県外で処分することとしておったわけであります。しかしながら、廃棄物の数量が予想をはるかに上回り、さらに新たな鉛含有土砂が発見されたことから、平成二十三年三月末までに一部の廃棄物については処分が困難となったわけであります。

 このため、当該廃棄物については、返還跡地の土地区画整理事業や文化財発掘調査に影響を及ぼさないよう、廃棄物の一時保管を請負業者に委託いたしまして、平成二十三年三月末までに同業者は返還跡地から廃棄物を搬出し、業者の借り上げた沖縄市内の場所に一時保管をしたということであります。当該廃棄物の運搬及び保管方法等に関しては、廃棄物処理法上の届け出先である沖縄県と調整の上、適切に対応しているところであります。

 今後、具体的な処分の段取りとしては、現在一時保管しております当該廃棄物のうち、アスベスト含有廃材は県外へ搬出、処分し、鉛含有土砂は県内の処分場へ搬出、処分することといたしております。

 防衛省としては、速やかに当該廃棄物の処分に係る入札及び契約を終え、当該廃棄物を一時保管場所から搬出し、できる限り早期に処分を完了するよう、全力を尽くしてまいりたいと思っております。

照屋委員 大臣、これは明らかな農地法違反でもあるんです。うなずいておりますが。この問題は、やはり大きな論点が二つあって、地位協定第四条で、返還跡地の原状回復義務が米軍に負わされていない、それともう一つは、基地内環境汚染問題、有害物質処理問題の抜本的な解決を怠ってきた日米両政府に大きな責任があるということをぜひ自覚されて、返還される自治体は早く処理してほしい、一方的に捨てられるとこれは困る、こういうウチナーンチュ同士けんかしちゃたまりませんので、政府が毅然としてほしいということを申し添えて、質問を終わります。

平野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、明二十七日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


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