衆議院

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第3号 平成24年4月17日(火曜日)

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平成二十四年四月十七日(火曜日)

    午後二時一分開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 神山 洋介君 理事 川島智太郎君

   理事 吉良 州司君 理事 楠田 大蔵君

   理事 宮島 大典君 理事 今津  寛君

   理事 岩屋  毅君 理事 東  順治君

      小原  舞君    下条 みつ君

      神風 英男君    空本 誠喜君

      高橋 昭一君    橘  秀徳君

      玉城デニー君    萩原  仁君

      福嶋健一郎君    松宮  勲君

      渡辺  周君    江渡 聡徳君

      大野 功統君    木村 太郎君

      中谷  元君    浜田 靖一君

      赤嶺 政賢君    渡辺 義彦君

      照屋 寛徳君    浅野 貴博君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   防衛大臣         田中 直紀君

   内閣官房副長官      齋藤  勁君

   外務副大臣        山口  壯君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   防衛大臣政務官      神風 英男君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  市橋 保彦君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           大庭 誠司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宮島 昭夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 新美  潤君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    伊原 純一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            内波 謙一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  長田  太君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  松本隆太郎君

   安全保障委員会専門員   湯澤  勉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  萩原  仁君     空本 誠喜君

同日

 辞任         補欠選任

  空本 誠喜君     萩原  仁君

    ―――――――――――――

四月二日

 南スーダンでの国連平和維持活動に自衛隊を派兵する決定、命令は撤回し、撤収することに関する請願(服部良一君紹介)(第五三七号)

同月五日

 南スーダンでの国連平和維持活動に自衛隊を派兵する決定、命令は撤回し、撤収することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八五七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射について)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射について調査を進めます。

 この際、防衛大臣及び外務大臣からそれぞれ報告を聴取いたします。田中防衛大臣。

田中国務大臣 北朝鮮による人工衛星と称するミサイル発射について御報告申し上げます。

 北朝鮮による人工衛星と称するミサイルの発射に対しては、防衛省・自衛隊としては、万が一の落下に備えるため先月三十日に私から破壊措置命令を発出し、SM3搭載のイージス艦を日本海及び東シナ海へ、PAC3部隊を予想飛翔経路下周辺の沖縄県及び首都機能のある首都圏に展開させ、また、万が一の落下による被害に迅速に対処し得る態勢をとるなど必要な対応をとることとし、四月九日に態勢を整えたところでございます。

 北朝鮮の通告する発射期日を迎えた四月十二日、私以下省内の関係幹部が集まり、情報の集約、共有等を行うとともに、私から、引き続き緊張感を持って二十四時間万全の態勢を維持するよう指示をしております。

 次に、発射当日の防衛省の対応について御説明申し上げます。

 四月十三日七時四十分ごろ、早期警戒情報の受信を確認いたしました。この早期警戒情報の受信直後、私以下主要幹部が直ちに中央指揮所に移動して緊急幹部会議を開催し、私からは、その場で、米国等と緊密に連携しつつ、情報の収集、分析に全力を挙げるよう指示いたしました。

 その後、各種情報を踏まえ検討した結果、北朝鮮から人工衛星と称するミサイルが発射された可能性がある程度高まったと判断されたことから、記者会見において、何らかの飛翔体が発射されたこと及び我が国の領域への影響は一切ない旨発表いたしました。

 我が国を含む関係各国が北朝鮮に対し自制を強く求めてきたにもかかわらず、今回、北朝鮮が発射を強行したことは、我が国を含む地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為であり、極めて遺憾であると考えております。

東委員長 次に、玄葉外務大臣。

玄葉国務大臣 衆議院安全保障委員会の開催に当たり、四月十三日の北朝鮮による人工衛星と称するミサイルの発射に関して御報告いたします。

 我が国を含む関係各国が北朝鮮に対し発射の自制を強く求めてきたにもかかわらず、今回、北朝鮮が発射を強行したことは、我が国を含む地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為と言わざるを得ません。また、今回の発射は、弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も行わないことを北朝鮮に義務づけた国連安保理決議第一八七四号を初め、第一六九五号及び一七一八号といった累次の安保理決議に違反するものであり、日朝平壌宣言にも違反し、かつ、二〇〇五年九月の六者会合共同声明の趣旨にも反するものです。さらに、国際社会において見られていた北朝鮮との対話を通じた問題解決に向けた動きにも逆行するものです。このような観点から、今回の発射は我が国として容認できるものではなく、北朝鮮に対して厳重に抗議し、遺憾の意を表明します。

 我が国としては、四月十六日に国連安保理が今回のミサイル発射を強く非難する議長声明を発出したことを歓迎します。現在、我が国は安保理理事国ではありませんが、今回の発射前から、米国、韓国、中国及びロシアを初めとする関係国とあらゆるレベルで重層的な連携と協力を行い、不断の努力を重ねた結果として、我が国の考えが多く反映される形で、今回の議長声明の発出に至ったものと認識しております。

 また、この機会に改めて北朝鮮に対し、この議長声明を重く受けとめ、関連する国連安保理決議の即時かつ完全な履行を求めるとともに、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に向け具体的な行動をとるよう強く求めます。我が国の主権にかかわる重大な問題であり、基本的人権の侵害という普遍的な問題である拉致問題の解決に向けて引き続き粘り強い努力を行います。

 東委員長を初め、本委員会の皆様の御支援と御協力を心よりお願い申し上げます。

東委員長 以上で報告は終わりました。

    ―――――――――――――

東委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官市橋保彦君、警察庁警備局長西村泰彦君、消防庁国民保護・防災部長大庭誠司君、外務省大臣官房審議官宮島昭夫君、外務省大臣官房参事官新美潤君、外務省北米局長伊原純一君、国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官内波謙一君、国土交通省航空局長長田太君、防衛省防衛政策局長西正典君及び防衛省運用企画局長松本隆太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山委員 衆議院の神山洋介でございます。

 二十分時間をいただきましたので、今回、人工衛星と称するミサイル発射についてということで議論をさせていただきたいと思います。

 国民の生命と財産を守るというのが国家の基本的な役割であり、領土、領海、領空におけるリスクを極小化する、これはもちろん政府ではありますが、そこに対しての対応をきちんととるために立法府ができ得ることは何だろうか、そういう観点から議論をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 時間もありませんので、早速まずは質問させていただきますが、四月十三日の金曜日、朝の七時三十八分、北朝鮮の西岸の東倉里というところでミサイルが発射をされたわけです。

 今回の一連の経緯を踏まえていろいろな報道、論評がなされているところであり、まだ確定をしていない部分もあろうかと思います。その中で、やはり一つ気になるのは、遅かったんじゃないかとか、いろいろな混乱があったんじゃないのかなという議論がなされているわけです。私は、全てが全て今明確になっているとは思っておりませんが、きちんと改めなければいけない部分もあるし、一方で、きちんと事実を事実として伝えなければいけなかった部分もあるんじゃないか、そういうスタンスに立っております。

 その議論をさせていただくに当たって、まず一つ、事実関係の確認をさせていただきたいと思います。

 今回のは遅かったんじゃないかとか、対応に不備があったんじゃないかという話の一つに、Jアラートの話があります。このJアラート、最終的には今回発信をされなかったわけですが、そもそも事実関係として、Jアラートはいかなる状況のときにいかなるタイミングで発信をされるべきものであったのか。Jアラートの発信基準について、これはまず齋藤副長官にお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。

齋藤内閣官房副長官 お答えさせていただきます。

 今回の事案におきましては、ただいまもお尋ねございましたJアラートについてですけれども、予告どおり沖縄県上空を通過する場合を含めまして、原則として、我が国の安全上何らかの影響がある場合に、迅速かつ的確に情報を提供することを考えていたところであります。

 具体的には、事前の通報どおり打ち上げられた場合にあっては、上空通過予定の沖縄県において、Jアラートも使用することを考えていたところでございます。また、万々が一、異常飛翔が発生をし何らかの物体が我が国の領域に落下する可能性がある場合等においては、関係する地方公共団体に対してJアラートを使用し、一つには、我が国領域に落下の可能性がある場合における屋内避難の呼びかけ、二つ目に、落下した場合における不審物に対して近寄らないこと等の呼びかけを行うことを考えていたところでございます。

 冒頭申しましたとおり、原則として、我が国の安全上何らかの影響がある場合には、迅速かつ的確に情報を提供することをまず考えていたことが一義的でございます。

神山委員 ありがとうございます。

 我が国の上空を通過する場合、何らかの影響があると考えられた場合にこのJアラートを発信、発動するというそもそもの基準であったということです。

 その意味でいうと、今回は、今の現状においてこれは明らかになっている事実として、発射直後、これは一分なのか二分なのか、そのあたりでだと思いますが、空中爆発をして、黄海、これは日本には遠く及ばない段階で落下をしているということであります。

 それで、タイミングとかというところはこれからまださらなる検証が必要ですが、結論としては、このJアラートが発信をされなかったということは、一定のタイミングの中で、我が国には直接この危険、影響はないものという判断をされたがゆえにJアラートは発信をされなかったんだということで理解をしてよろしいでしょうか。

齋藤内閣官房副長官 今後、神山委員を初め各委員の方々から逐次お尋ねがあることだというふうに思いますが、ただいま御指摘のとおりでございまして、原則として、我が国の安全上何らかの影響がある場合に、迅速かつ的確に情報を提供するということで、以下、沖縄県、そして万々が一ということがなかったということであり、今回、発信をしませんでおりました。

 ただ、お尋ね部分はまだございませんが、含まれるということであえてお答えさせていただければ、今回、昨日ですけれども、藤村官房長官より私どもの関係メンバーに、ミサイル発射に係る情報伝達の方針につきまして文書や説明会を通じて地方公共団体等に周知をしてきたところでございますけれども、しかしながら、内容も含めましてこのことが適切だったのかどうか、これにつきましては、今後の、やはり生かしていく、あってはいけないわけですけれども、あり得るべき状況をやはり私どもは十分予測しながら、私自身を長といたします検証チームを昨日も発足をしたところでございます。

 今回の経緯、そしてまた今後生かす意味で、この検証を速やかに行っていきたいということをお答えさせていただきたいと思います。

神山委員 ありがとうございます。

 今、副長官おっしゃっていただきましたが、我が国に何らかの影響がない場合においては、あえて言えば、これからミサイルが飛んでくるからすぐ屋内に避難をしてくださいということを防災無線を通じて国民に瞬時に伝えるという必要性はないわけであって、そういう意味でいうと、今回は、これはある意味では事前に想定をされたオペレーションどおりだったんだと思うんです。

 だとすると、事後にいろいろな論評を見ていても、Jアラートが発信をされなかったことがやはり問題だったんじゃないかとか対応の不備だったんじゃないかなという、そういう論評もあるわけです。ここは、明らかに事実関係がきちんとやはり国内全体に浸透していないということではないかなと思うんですね。

 ミサイルが発射をされたという早期警戒衛星での情報をもとに、もう発射をされたら、何が何でもすぐ発射をされたんだというふうにJアラートが発動するものだという事前のこれは報道であったりとか、場合によっては我々の何となくの理解であったりとか、国民の方々もそういうふうに感じていらっしゃった部分は、これは間違いなくあったんだと思うんです。

 だとすると、今後もこれと同じようなことが、あってはなりませんが、あり得るということを考えると、Jアラートが発動されるのはやはりこういうときなんだということをもっときちんと多くの国民の方々にお伝えをしなければいけなかったし、実際に国民の方々にそれをきちんとお伝えをする場合には、メディアの方々には協力いただかなきゃいけないわけですから、メディアにはもっと、こういう場合にはJアラートは発信されるけれども、こういう場合には発信はされないんだということを、今後のためにも、もう一度改めてこれはきちんと、ブリーフィングをする等々も含めて対応することが私は不可欠ではないかなというふうに思っております。

 今、副長官、もう事前におっしゃっていただきましたので、改めて御答弁はお願いをしませんが、やはりこういった件も含めて、今回立ち上がったこの検証チームの中でしっかりと御検証いただいて、今後に対しての明確な課題として、今後の詰めを行っていくという作業にのっけていただきたいということを要望させていただきます。よろしくお願いいたします。

 もう一つ、事実関係として確認をさせていただきたいことがありまして、これは防衛省にお伺いをいたします。

 今回のミサイル発射、これは事前に予告をされていたわけで、いろいろなパターンが想定をされていて、状況、シミュレーションが行われていたものだと思います。

 〇九年に、ミサイル発射についての探知をしたということで、これは間違って発表してしまったという経緯があって、かなり今回慎重に準備をされていたことだと思います。

 その慎重に準備をするための一つの方法論として、ダブルチェックをする、二重確認をするということがあったと思うんです。私は、これは間違っていないと思うんですね。迅速に正確な情報を国民の方々にお伝えをするという意味においては、早期警戒衛星の情報のみならず、我が国独自の情報もきちんと加味をして、これはイージスのレーダーだったりガメラのレーダーだったりすると思うんですが、そこを踏まえてダブルチェックをしてリリースをする、これは間違っていなかったと思うんです。

 ただし、今回、ミサイルが、詳細は明確にできないこともあろうかと思いますが、六十キロ、七十キロ、八十キロあたりのところで空中爆発をして、慣性で百五十キロぐらいまで上がって、おっこちちゃいました。地球が円形に、湾曲している中で、地上からのレーダーというのは、では、北朝鮮の垂直五キロ、十キロ上がったところで日本のレーダーもしくは海上からのレーダーでそれを探知できるかといったら、それは物理的に不可能だったんじゃないかなと私は思うわけです。

 そもそも、今回のミサイルの軌道を考えたときに、このダブルチェックというのは物理的に可能だったのか否かというところについて、まず事実関係をお伺いしたいと思います。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の事案では、七時四十分ごろに何らかの飛翔体が発射された旨のSEW情報が、早期警戒情報というふうに申し上げますが、もたらされたものの、発射弾数あるいは落下予想地域等が不明でございました。

 このため、先生も御指摘のように、自衛隊のレーダー等を用いて、SEW情報の正確性等について確認を行おうとしたところでございます。これがいわゆる二重のチェックということだと思います。

 しかしながら、弾道ミサイルの破壊措置に適した位置に配置しておりました私どもの自衛隊のイージス艦でありますとかあるいは国内のレーダーサイトは、今回のその飛翔体が落下した場所等がレーダーの見通し線圏外にあったため、結局、探知できなかった。そういったこと等から、結果として、二重の確認というのは行うことができなかったところでございます。

神山委員 今御答弁いただいたとおりで、結局、今回上がった高度から考えたときに、ダブルチェックというのは、レーダーという物理の問題において、これは不可能であったはずなんです。

 もちろん、上空から米軍のSEWによって、発射をされたという事実はわかったと思います。ただ、では、それが本当に今回発射が予定をされていたミサイルなのか、場合によっては、これはおとり、デコイじゃないのかということもそれでは探知できないでしょう。それを、イージスからのレーダーであり、ガメラからのレーダーであり、それで確認をしようとしていたのが事前の想定だったはずなんですが、物理的に地球が曲がっていることを考えると、もうあと一分ぐらい飛べば、恐らく日本のレーダーでもキャッチできたと思いますが、今回のタイミング、二分までいかないぐらいですよね、だとしたら、これは不可能だったはずなんです。

 とすると、間違った情報を流さないために、ダブルチェックをした上で国民にきちんと知らせる、場合によっては、沖縄県の方々を含めた地元の方々にもお伝えをするという、これは間違いではなかったはずなんですが、二分まで、ダブルチェックがきかないまでの間にどういうオペレーションをするのか、どういう可能性があって、どういうオペレーションがそのときあり得るのかということがやはり一つ課題ではなかったんじゃないかなと思うわけです。

 これはエムネットの話をさせていただきたいわけですが、エムネットで八時三分に発出をされた文書、今手元にありますが、「北朝鮮が、人工衛星と称するミサイルを発射したとの一部報道があるが、我が国としては、発射を確認していません。」という情報が、これはエムネットの第一報として自治体に流されたわけです。

 この時点では、確かにセカンドオピニオン、医療でいうセカンドオピニオンですね、日本独自のレーダーでキャッチをするということは不可能だったわけであって、確定的な情報はなかなか言いづらいというのはわかります。

 ですが、一方で、自治体の例えば担当者の立場に立ったときに、この「発射を確認していません。」という文言を見ることによって、では、どうやって住民にその情報を伝えるか。要は、自治体の方なりが住民の方にお伝えをしたいのは、ミサイルが一体どういう軌道を描いてどうなったのかということも大事なんですが、そのことよりも、安全なのか危険なのかということが極めて大事であったと私は思うわけです。

 そうすると、八時三十分の段階には、これは前の方は省きますが、後ろの方には、「我が国の領域への影響はないものと考えられる。」という表現が八時三十分にはあるわけですね。

 副長官にぜひお願いをしたいのは、今後の検証委員会の中での検証及び今後への改善点という意味で、八時三十分時点の「影響はないものと考えられる。」という、まさに自治体の担当者であり個々の住民の方々が必要としている情報をもっと早く、場合によってはこれは若干の不正確さもあるかもしれないが、きちんとお伝えをするためには、これは官邸内を含めた、さまざまな、どういうフローを描くべきなのかということをぜひ検証していただきたいと思います。

 今回に関して、先ほど申し上げた、Jアラートが発信をされなかったから対応が不備だったんだというのは、私は、明らかにこれは間違っていると思っていますが、一方で、エムネットの部分については、やはりこれは改善の余地があると思っておりますので、ぜひそのあたりを、国民の生命と財産をきちんと守るんだ、これは政権がどうだとか担当者が誰だとかそういう問題ではなくて、国家の基本的な機能としてそこは極めて大事な部分なんだという意味において、検証していただきたいと思うんですが、どうお考えでしょうか。

齋藤内閣官房副長官 お答えさせていただきます。

 御指摘の、ほとんどそのとおりだというふうに思います。

 改めて、今、御答弁に当たりまして整理させていただければ、今回の事案におきまして、エムネットについては、予告どおり沖縄県上空を通過する場合を含めまして、我が国の安全上何らかの影響がある場合に、迅速かつ的確に情報を提供することを考えていたところでございます。

 ただいまの御指摘のとおり、八時三分のエムネットの送信につきまして、次のような趣旨で送信したものでございます。まず、そのことについてお答えさせていただきます。

 その時点では何らかの飛翔体の発射があり、それが我が国に向けて飛来していないことは把握をしておりましたけれども、七時四十分に発射された飛翔体が短距離ミサイルである可能性や、今後さらにいわゆる人工衛星と称されるミサイルが発射される可能性が全く排除できるかどうかということについて、危険が去ったというメッセージは、その時点ではなかなか判断できないということもあり、我が国として、発射を確認していない旨のエムネットを送信したものでございます。

 このように、エムネットによって発信された当該メッセージが、今も御指摘のとおり、文言も含めまして、状況に応じた内容であるということも含めまして、文章の表現等も含めまして、今申しましたとおり、今後、立ち上がりました検証チームの中で、しっかり今後に生かす意味で、ただしていきたいというふうに思っております。

神山委員 ありがとうございました。

 今御答弁の中にもありましたが、七時三十八分の段階にSEWで検知をされた、探知をされたミサイルが我が国には飛来をしていないということは、その時点では明確であった。だとすれば、もちろん、それが短距離ミサイルであったという場合に、本来のものがまだ据えられているというリスクがあるのはわかるんです。

 ただ、少なくとも、七時三十八分に発射されたことが間違いないというものについては、そこの部分のリスクは現時点ではもうないということはわかっていたわけで、そのあたりの留保を逆に文書の中にでき得る範囲でつけることによって、ひとまず、七時三十八分に発射をされて、欧米メディアで既に、韓国も含めて、発表されているものについては、リスクはないんです、少ないんですということを言えたんじゃないかなというふうに私は思いますので、このあたりも含めた検証をぜひお願いしたいと思っております。

 最後に一点だけ。

 今回の件を受けて、日本も発射の瞬間の早期警戒衛星を持つべきじゃないかということの議論が、これは今までもあったわけですし、渡辺副大臣も週末にそんな発言をされたというふうにも仄聞をしているところです。

 これについてどう考えるかというところで、まさにこの後、同僚の福嶋議員も恐らく議論されると思いますが、大綱、中期防の完成を見て、粛々と、例えばサイバー空間であるとか宇宙空間も含めて、我が国の防衛力をきちんと計画的に強化していこうというプロセスにあるわけであって、逆に、今回の件があったから反射的に早期警戒衛星を持つべきだというエモーショナルな動きというのは、私は、ある程度ここはきちんと自重しながら落ちついて議論をするべきじゃないかなというふうに個人的には考えております。

 もちろん、副大臣もそういった観点の中でおっしゃったことだとは思うわけですが、今後の大綱であるとか中期防の流れを見た中で、我々として、やはり宇宙空間を戦略空間としてどう対応していくのかというのは極めて大事なポイントだと私は思っておりますので、大綱、中期防への展望も含めた形で、この宇宙空間への対応ということをどうお考えか、最後に御答弁をいただければと思います。

渡辺副大臣 委員は御存じと思いますけれども、平成二十一年に閣議決定した宇宙基本計画の中に、安全保障分野での新たな宇宙開発の利用ということがうたわれているわけでございます。今後、さまざまな、早期警戒機能のためのセンサーの研究であるとか、安全保障目的での新たな宇宙開発利用を推進するということを目標にしているわけですね。

 ですから、技術的な部分、例えばデータのソフトの面であるとか、あるいは、どんな立派な偵察機能を持っていても、それを見立てるいわば目がなければいけませんので、そういう人材の育成も含めて、財政的な問題もありますけれども、我々はやはり安全保障面で宇宙開発ということを考えていくということを既に決めているわけでございますので、これはいろいろな財政の問題もありますけれども、私どもとしては、やはり自前のそうした開発は必要であろうと。

 ただし、今おっしゃったような、大綱や中期防の中で今すぐ書き込めるかといったら、そうした研究開発の進展を見ながらでありますけれども、ひとつそういうことを我々は主眼として考えていくべきではないか、そのように考えております。

神山委員 ありがとうございました。

 国家の安全保障の自立性を高めるという意味において、やはり情報の独自性、オリジナルな情報を持っているのは極めて大事だと私は思っております。

 一方で、今回の件を含めると、例えば韓国とどういう形でもっと協力ができるのかということであるとか、玄葉大臣もきのうの発言にありましたが、米軍を含めた東アジア全体でどういう形で安全保障環境を、もしくは安全保障体制を強化することができるのかというのは、我が国の限られたリソースをどこにどう配分するのかという観点において極めて大事だと思っておりますので、ぜひそういう観点から今後も御尽力をいただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、福嶋健一郎君。

福嶋(健)委員 福嶋健一郎でございます。

 まず冒頭、今回の北朝鮮のミサイル発射、これは国連安保理決議に違反する暴挙である、もう到底許しがたいということを申し上げておきます。

 本来であれば、この質疑においては、そもそも北朝鮮にミサイルを発射させない日本の外交及び安全保障上の戦略が一体どうだったのかということを検証する、これが私は望むべき当委員会のやりとりだとは思いますけれども、残念ながら、その前に、今回の発射事案に対する、むしろ政府の対応というのが本当に適切だったのかということについて、与党の立場からもきちっと検証していかないといけないというふうに私は思っているところでございます。

 当日、四月十三日、現地では、自衛隊、そして警察、消防、海保、たくさんの皆さんや、あるいは関係自治体、団体の皆さん、何よりも沖縄の県民の皆さん初め国民の皆さんが非常に緊迫をしていた、こういう状況の中で四月十三日を迎えたわけでございます。これからの質疑を通して、政府としてたくさんおっしゃりたいこと、いろいろとそれなりの理由はあるかもしれませんけれども、国民の立場に立ってください。沖縄県民の皆さんの立場に立ってください。

 これは、八時前にテレビで、ワイドショーあたりで、最終のところで速報が出た。ミサイルが発射された模様、未確認だけれどもという速報が出て、大体国民の皆さんはそこで第一報を知るわけですね。その後に、では、Jアラートが鳴ったかというと、鳴っていない。八時過ぎにエムネットが、先ほどもありましたけれども、我が国は確認していないということがまた速報で流れる。そして、八時半前後に防衛大臣と官房長官がおのおの会見をされる。

 最終的にはどうだったのかというと、今の質疑でもありましたけれども、Jアラートは鳴らずに、その後、政府のコメントの中では、警告をするということはお騒がせをすることだというふうなコメントもされているところでございます。

 つまり、国民からしてみれば、もう知っているわけですよ。何を知っているかというと、ミサイルが発射されたら、十分少々で上空を通過して、場合によってはそこにどんと落ちるということを、国民はもう知っているんです。そういう中で、時間はかかるし、協力関係にあるアメリカとか韓国の言っていることと違うことが流れるし、国民に対する広報が一本化されていないし、発射情報に基づいて、当然、誰もが作動すると思っていたJアラートが全く動かない。後になって、言葉は悪いですけれども、便りのないのがいい証拠みたいな、そういうような感じになっているのではないか。

 要は、発射情報をJアラートに乗せるタイミングを実は逸しているんじゃないかということを、私は先週、地元に帰って、何名かの皆さんからこういうお話を伺いました。ぜひともこのことはただしてくれということで、すなわち、情報が伝達されないということと時間がかかることに対しての不満と不安を感じておられるというところであります。

 結果的に、発射されて一分から二分で落下、我が国のレーダーでは探知をしない、できない。ある意味、この事象自体は政府にとっては想定外のことだったかもしれませんけれども、これは、日程とかコースとか時間帯とか、もう前からわかっている話ですよね。それをそのまま信じるとしても、そういう中で、結果的にこういうふうに錯綜してしまうということは、むしろ、国民にとってこの事態が想定外なのではないかというふうに思っております。

 とにかく、不測の事態に政府がどのように対応していったのかということについて、国民の皆さんの疑念を払拭したいということで、このことを認識していただきながら質疑に入りたいというふうに思っているところでございます。時間もありませんので、簡潔にお願いをいたします。

 まず、このJアラート、システムは消防庁が所管をされています。消防庁にお伺いしたいんですけれども、この四月十三日の当日、Jアラートはシステムトラブルを抱えていたことはないかというのがまず一つ。そして、もう一つは、今回の事案において、Jアラートを作動させる、そういう場合でも、その発出する情報については、消防庁としては、システムを運用する立場上、関与をする余地はないのかどうかということについてお伺いしたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 Jアラートにつきましては、四月五日と十日の二回、試験を行ったところでございます。幾つかのトラブルがございましたけれども、これらのトラブルにつきましては、四月十二日までには各地方公共団体において改善をしていただいたと聞いております。

 また、二点目のお尋ねの消防庁の役割でございますけれども、消防庁においては、Jアラートに関する回線や管理システム等の整備を行うとともに、公共団体における受信機、自動起動機等のJアラートの機器や防災行政無線の整備を促進してきたところでございます。

 今回のような事態において、Jアラートをどのような場合にどのように活用するかなど、その使用につきましては内閣官房の判断に委ねられるものでございます。

福嶋(健)委員 システムを所管する消防庁で、その情報について関与するということは当然あってはならないということなので、まさにそのとおりであるというふうに私は思っているところでございます。

 当日、いろいろな方が警備あるいは警戒態勢をとられていたわけですけれども、警察の分野で警察庁にお伺いをいたします。

 まず、この四月十三日の、まさに当日のいわゆる組織体制、そして、ミサイルが発射されたという認知をした時間、どうやってそれを認知したのか、それに基づいて、どのような指示を例えば各都道府県警等に発出されたのか、まさに警備の面について、その当日の模様をお聞かせいただきたいと思います。

西村政府参考人 まず、当日の警備態勢でございますけれども、警察庁におきましては、発射通告期間前日の四月十一日に警察庁警備局長を長とする警察庁対策本部を設置いたしまして、事前対策を推進してまいりました。

 沖縄に対しましては、ミサイルの軌道に近い石垣、宮古両島に、沖縄県外の府県警察からNBC部隊を含む特別派遣部隊を派遣したほか、沖縄県警察のヘリコプターを石垣島に前進待機させるとともに、沖縄県内全域において機動隊員等による即応態勢を確保するなど、万一に備えたところであります。

 当日の状況でございますけれども、午前七時五十分ころに、警察庁対策本部におきまして発射に係る関連情報を入手し、国家公安委員会委員長に最初の報告を行ったところであります。その後、午前八時二十二分ころ、官邸から、北朝鮮が何らかの飛翔体を発射したという連絡を受け、沖縄県警察のヘリコプターによる上空からの情報収集を行うとともに、都道府県警察に対して関連情報の収集や重要施設などの警戒警備を強化するよう指示したところであります。

福嶋(健)委員 そういう意味では、具体的な都道府県警等への指示というのは八時二十二分を境に行われたということで、実態的に言うと、この事案においては、七時三十九分ですか、ミサイルが発射されて、日本には飛んでこなかったんだけれども、それを踏まえての警察の対応というのが八時二十三分以降ということで、これは警察の対応が遅いと言っているのではなくて、やはりそこのいろいろな判断をするに当たっての情報伝達というものについて今後精度を上げていくことができないかという観点でお聞きをしたわけでございます。

 本来、質問通告をしておりましたけれども、何を質問していたかというと、では、逆に自衛隊の体制はどうだったんだということを実は通告をさせていただいておったんですが、先ほど防衛大臣の御報告にもありましたように、九州ですから陸自の西部方面隊を初めとしてたくさんの方々が、現場では本当に最重点の警備状況、警戒をしているということでしょうから、あえてここについては質問を省略させていただきます、また別なところで質問させていただきたいんですけれども。

 要は、今回のこの情報伝達の仕組みというのは、新聞とかあるいはテレビ等々を見てみると、えらい複雑なように思えるんですが、私は実はシンプルだと思っています。つまり、どういうことかというと、防衛省が発射の情報を収集して、それを官邸に流して、官邸がそれを受けて、そしていろいろな手段を通じて国民に広報する、たったそれだけの話だと思っているんですね。

 ということで、いろいろな報道があって非常にわかりづらい、分刻みの話ばかりですので、少しここはこんがらがらないように、まず防衛省の中でどうだったのかということで質問をしたいんですが、防衛省として、ミサイル発射、何らかの飛翔体でもいいんですけれども、認知した方法と時間、官邸にその情報を発出したその方法と時間、そしてその間に防衛省で何が行われていたのか。これはいろいろな報道が出ていますけれども、要するに、これは危機管理上、組織から組織に対して受けた情報を流すあるいは受け取る、その間に、マニュアルなのか対処要領なのかわかりませんけれども、のっとっていろいろなことが行われているはずですから、ここについて簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の事案につきまして、防衛省としては、内閣官房と調整の上、誤情報の発信による混乱を生じさせぬよう、迅速かつ正確な情報伝達を行うこととしておりました。

 具体的には、短距離ミサイルの発射等にも感知してしまうSEW情報の精度の限界を考慮し、SEW情報にあわせ、自衛隊等のレーダーによって飛翔経路を捕捉され、これが我が国領域に向かっていることを確認した上で内閣官房に迅速に伝達することとしていたところでございます。

 今般の事案では、七時四十分ごろに何らかの飛翔体が発射された旨のSEW情報がもたらされたわけでございますが、発射弾数、落下予想地域等が不明でございました。そういったことから、SEW情報の受信後も各種情報の収集、分析を続けましたが、北朝鮮による人工衛星と称するミサイルとは別の、官邸等へ伝達する対象となっていない短距離ミサイルが複数発射された可能性も排除できなかったというふうに考えたところでございます。

 その後入手いたしました情報を踏まえ総合的に検討した結果、北朝鮮による人工衛星と称するミサイルが発射された可能性がある程度高まったというふうに判断できると思ったことから、八時十六分に内閣官房にペーパーで情報を伝達し、八時二十三分に防衛大臣が記者会見を開き、事実関係について公表したところでございます。

福嶋(健)委員 今御説明いただきましたけれども、やはり分刻みのことは大事なんですけれども、はっきり言ってよくわかりません。後になって何分だ、何分だと、後追いの話はそれはそれで大事な話なんですけれども。

 要は、先ほど神山議員からの質問もありましたけれども、ダブルチェックがなかなか、最終的には結局、結果としてできなかった。では、それというのは、もしダブルチェックができなかった場合には、例えばJアラートを発出するとか、あるいは、できなかったということを官邸に報告するとか、実はこれは質問通告していませんので、もしそこをお答えになれれば教えていただきたいんです。ダブルチェックができないということ自体を情報として次の段階に持っていくことというのは想定をされていたのでしょうか。もしお答えできれば、お答えいただきたいです。

渡辺副大臣 さまざまなケースを想定しておりました。それだけに、最も発射場所に近い他国の、言うなれば韓国とアメリカですけれども、イージスのレーダーの情報も含めて、我が国がとり切れない場合は、どういう形で、どのようにして入手しようかということにつきましても事前に議論はしておりました。そういうこともございまして、最も近いところから我が国のレーダーが今回は情報を得られなかった、ですから、他国の情報も含めて確認をとったということで少々時間がかかったということは否定できないことでございます。

 今回のことを受けて、今後、もし万が一、北朝鮮がまた新たなミサイルを発射ということになれば、今回のことも含めて、どのように今後対応していって万全の態勢をしくかということについては、次の検討課題として早急に考えていきたいなと思っております。

福嶋(健)委員 今、副大臣のお答えにあったとおり、そこは本当にしっかりと議論をいただきたいというふうに思います。

 今度は内閣官房にお伺いしたいんですけれども、Jアラートを動かさないということについて、後に、これは官房長官なのか官房の方なのかわかりませんけれども、我が国の安全を脅かす事態が生じていないと判断したからJアラートを動かしていないんだという旨のコメントをされておられました。

 では、いろいろな情報が防衛省から入ってきました、それを受けてJアラートを動かさないという判断をされたということについて、誰がどのような基準でいつ御判断をされたのかについて教えてください。つまり、安全を脅かさない、事態が生じていないということは何をもってそれを言うのかということも含めて、ぜひお答えをいただきたいと思います。

市橋政府参考人 今回の事案におきましては、Jアラートは、予告どおり沖縄県上空を通過する場合を含めまして、我が国の安全上何らかの影響がある場合におきまして、官邸対策室の長であります危機管理監の判断に基づき使用することを考えていたところでございます。

 しかしながら、今回の事案におきましては、我が国の安全上何らかの影響がある場合ではございませんので、国民への直接の警報の意味合いを持ちますJアラートを用いることとはしなかったところでございます。

福嶋(健)委員 今のお話を聞く限りにおいては、官邸に情報が来たときには、先ほど申し上げましたけれども、もう恥ずかしくてJアラートは出せないよねというふうな状況になっていたのではないかということもあるのかなと思っておるところでございます。

 やはり、こういったものは、人の手を介在すれば時間もかかるし、ヒューマンエラーも起きると思うんですよね。だから、こういったものについてはまた全体的に改善の余地はあるので、ぜひそこはしっかりとこれも改善をお願いしたいと思います。

 今のに関連してもう一つなんですけれども、これが最後の質問でございます。

 今回、地元の皆さんはJアラートが鳴らないというふうにおっしゃっていたわけですけれども、これというのは、例えば今回のような事態についてはJアラートは作動しないこともありますよということをきちんと官邸から関係自治体にお話をして、関係自治体はそれについて理解を得ていたというふうな整理でいいんでしょうか。

 先ほどの副長官の御答弁だと、何か自分たちは一生懸命説明したけれどもと、あたかも、関係自治体がもうちょっとそこはというふうな感じにもとられかねないので、そこはきちっとそういったことについて、沖縄県を初めとして自治体の皆さんと事前に、こういったケースで、発射されたから即鳴るわけではありません、こういったこともあるんですよということについてはきちんと説明をして理解を得ておられたのかどうか。よろしくお願いいたします。

市橋政府参考人 Jアラートをどのような場合に使用するかにつきましては、通知あるいは説明会におきまして、このような場合は使用しないという形ではなくて、このような場合に使用するというようなことで、予告どおり沖縄上空を通過する場合、異常飛翔が発生した場合、こういう場合に国民への警報としてJアラートを使用するというふうなことを説明していたところでございます。

福嶋(健)委員 時間になりましたのでやめますけれども、特に今の答弁なんかを聞いていて、確かに政府としてはやるべきことをやり、ミスはないということ、それは一理あるかもしれませんけれども、結果的に国民の皆さんが不安に思われて混乱されているわけですから、国民の立場に立って、目線に立って、これから改善点なりを議論して、きちっとした、あしたにでもどこかから予告もなしにまた飛んでくるかもしれないということをぜひ御認識いただいて、深い議論をしていただきたい、そして結果を出していただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

東委員長 次に、浅野貴博君。

浅野委員 新党大地・真民主、浅野貴博でございます。

 玄葉外務大臣、田中防衛大臣、皆様、御苦労さまでございます。

 このたびの北朝鮮によるミサイル発射により、神山委員からも福嶋委員からも、発射直後の政府の対応がどうであったのか指摘がなされております。この後、野党の議員の皆様からもより厳しい指摘がなされると思います。私はむしろ、これから先政府として何をすべきなのか、事後の対応も重要ですけれども、これから先の話をさせていただきたいと思っております。

 北朝鮮がミサイル発射の失敗を国内的にも対外的にも認めました。失地回復を狙ってさらなる暴挙に出るとも限らない。そのことをいかに防いでいくか、これが我が国にとって今後一番大事なことだと思っております。

 具体的には、過去に、二〇〇六年十月九日、そして二〇〇九年五月二十五日にも北朝鮮が核実験を実施しております。北朝鮮がさらにまた核実験実施をし、核兵器の保有をするということが最も懸念すべきことだと思っておりますが、その中で、四月十四日、産経新聞の中に非常に重大な記事が掲載されております。今回のミサイル発射にイランの研究者が北朝鮮に入国をし、その現場に同席をしていたと。

 玄葉大臣にお聞きします。今回、四月十三日、北朝鮮のミサイル発射を視察するためにイランの代表団十二人がひそかに訪朝していることが十三日わかった、こう産経新聞が報じておりますけれども、この事実関係、把握をしておられますでしょうか。

玄葉国務大臣 浅野委員が言われるように、これからのこと、大変大事なことだというふうに思います。

 その上で、イランの研究者十数名の北朝鮮入国という話については、これはさまざまなところからさまざまな情報が寄せられておりますけれども、この場で申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。

 ただ、イランと北朝鮮との関係という意味では、特に大量破壊兵器、そしてその運搬手段という面から、日本国政府としては当然ながら注視をしてきているところでございます。そして、少なくとも過去、イランと北朝鮮においてそういった協力が行われたというふうに考えられるということは申し上げたいと思います。

浅野委員 今、世界を最も不安定にさせているイラン、そして、我が国にとって非常に不愉快で厄介な国なんですが、隣国である北朝鮮。隣国という事実は動かしようがございません。この二国が提携をして世界にさらなる不安定要因をまき散らかす、これを何としてでも我が国として阻止せねばなりません。具体的にどのような外交努力を行っていくのか、御説明を願います。

玄葉国務大臣 まず北朝鮮でありますけれども、北朝鮮につきましては、御存じのように、拉致、核、ミサイルの問題を包括的に解決します。それと、実は今回の人工衛星と称するミサイルの発射というのは日朝平壌宣言違反でありますけれども、私は、この日朝平壌宣言というのは政治的に極めて重みのある文書であるというふうに思いますので、その有効性は失われていない。したがって、不幸な過去を清算して国交正常化する、それは日朝平壌宣言に基づいております。さらに、拉致、核、ミサイルの問題について包括的に解決するという基本方針をまず北朝鮮の問題については持たなければならないというふうに考えています。その上で、さらなる発射あるいは核実験といったものを防ぐためにどうするかということで、今回の安保理による力強いメッセージへの働きかけというものをこの間行ってきたということでございます。

 イランにつきましても、まず大切なことは国際協調であります。つまりは、対話と圧力、対話と制裁というふうに言いかえてもいいかもしれませんけれども、まずは国際協調して、制裁について、まさに効果があらわれるまでしっかり制裁を行っていくということが大切で、私は、一定の制裁の効果というのは出始めてきているというふうに見ています。ただ、どこかの段階でやはり対話というものを行わなければならないというふうに思っていますので、そのタイミングというものを間違えずに、適切な方法と適切なタイミングで対話を行うということが求められるのではないかというふうに考えております。

浅野委員 今、玄葉大臣が日朝平壌宣言について、非常に政治的に重みがある、その有効性は失われていないとおっしゃいました。しかし、今回で北朝鮮によるミサイルの発射は四度目になりますでしょうか。そして、核実験も二度行っている。

 今、私の手元に、外務省のホームページからプリントアウトしました日朝平壌宣言の文書がありますけれども、「三、双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」「四、双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。」この文言が非常にむなしく感じられます。有効性があると思えません。

 もはや、北朝鮮の暴挙を見るときに、この文書、宣言を基礎にして日朝の国交回復に向けた交渉を行うことは、その土台はもう既に崩れているんじゃないかと私は思います。むしろ今は、北朝鮮に対して、この平壌宣言を破棄するぞ、そういう宣言をしてもいいんじゃないか、それぐらい強い態度に出ることが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 私も手元に、二〇〇二年の九月十七日だったでしょうか、日朝平壌宣言、文書がございますけれども、「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。」「朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを二〇〇三年以降も更に延長していく意向を表明した。」この点に明らかに違反すると私も思います。その上で、今の浅野委員の御意見ということだろうというふうに思います。それはまさに一つの判断だろうと思うんですね。

 先ほど申し上げましたけれども、この日朝平壌宣言を今日本が破棄するということは我が国の利益ではないのではないかというふうに、現時点では私は考えているんです。それは、細かいことを言えば、一つ一つ条文を読んでいかなきゃいけないところもありますけれども、我が国としては、この日朝平壌宣言を全体として履行する、このことが北朝鮮との間の諸懸案を解決する、日朝関係を前進させる上で最も効果的なやり方であろう、少なくとも現時点ではそう考えています。

浅野委員 ありがとうございます。

 日朝平壌宣言の破棄も一つの判断である、現時点でそれを行うことが我が国の国益ではないという御答弁をいただきました。

 日本にとって必要なことは、何をおいても北朝鮮を国際社会に引っ張り出すことだと思うんです。いつまでも国際社会のニートでいてはいけない。ニートであるならば何もしないんでしょうけれども、ニートのくせして大変なことをしてくる。このままではこれまでどおりの恫喝外交はもう通じないんだ、今のまま暴挙を続けていくのであればルーマニアのチャウシェスクの二の舞を演じるんだ、そういうことを国際社会が一丸となって北朝鮮にわからせてやる、教育をしてやる、しつけをしてやることが必要だと思っております。

 その引っ張り出す一つのきっかけとして、平壌宣言を破棄するぞ、いつまでも好きなことはさせないぞと、強い態度に出ることが一つ重要な手段だと思っております。

 そのことに向けて、最後、玄葉大臣、もう一度御答弁をいただけたらと思います。

玄葉国務大臣 北朝鮮に対してどういうメッセージを出していくのかということは大事なことです。今回、安保理の議長声明、強いメッセージでありますけれども、一言で言えば、悪行には対価を与えないというメッセージだと思うんですね。

 一方、日朝平壌宣言というのは、不幸な過去の清算と国交正常化ということがありますので、本当によいことを行った暁にはよいことがあるんだというメッセージもある意味込められているところがあるわけでありまして、そこをどう判断するかということなのではないか。

 私の判断は、先ほど申し上げましたように、現時点で日朝平壌宣言を破棄するというのは我が国の利益ではないというのが私の今の判断でございます。

浅野委員 ありがとうございました。質問を終わります。

東委員長 次に、岩屋毅君。

岩屋委員 田中大臣、ミサイル発射からきょうで五日目ですよね。私は、これだけの時間があれば、今回の政府の対処のあり方について分析も反省も十分できているはずだ、こういうふうに思います。先ほど官房副長官が、検証委員会を立ち上げて二週間かけてやると言っていましたけれども、私はこれも間抜けな話だと思いますよ。さらに国民の不信や不安をあおることになると思いますよ。

 私は、結論から大臣にお伺いしたいと思います。

 今回の政府の対処は国民を安心させたと思いますか、あるいは不安を抱かせるに至ったか、どっちですか。

田中国務大臣 お答えをいたします。

 私は、国民の皆さん方に不安を与えてしまったという反省は持っております。しかし、防衛省として、また私といたしましては、今回の事案については、安全な対応を国民の皆さん方に、そういう意味では、この事案に対して、我が国の上空を飛来するというような事態はなかったということについて、この発射以来、私は全力を挙げて、私なり、あるいは官邸と協力をしてこの事実を発表させていただいたということでありますので、確実な情報を提供するという観点からすれば、私は、今ある自衛隊の能力あるいは運用、そしてまた情報伝達がございますが、確実な情報を提供できたんだと思います。

 しかし、確かに時間はかかりました。早く提供をしていかなければいけないという責務を負っているわけでありますので、私は、確かに皆さん方に、大変不安な時間を経過したのではないかと思っていますし、私は私の立場で、早急に改善をしていかなきゃいけないという認識を持って取り組んでおるところでございます。

岩屋委員 大いに不安を抱かせ、不信を買ったんですよ、大臣。もう韓国もアメリカも、すぐ反応しているわけでしょう。世界じゅうが注目していた事案なんですから、もうあらゆるメディアを通じて情報は流れているわけですよね。その第一報を得ていながら、政府は国民に知らせることができなかったわけですね。メディアで情報を得ていたわけですね。その後、今度は自治体に向かって確認できていないという情報を流し、そして、最後に大臣が会見するまで四十三分かかっているわけでしょう。その後、官房長官でしょう。

 これだけの準備期間がありながら、あれだけ政府が事前に万全の準備をやると言っていながら、このざまは何だとみんな思っているわけですよ。その深刻な反省がなきゃだめだと思いますよ。いかがですか。

田中国務大臣 確かに先生御指摘のとおりでございまして、我々は深刻に反省をし、対策をしていかなきゃいけないということは事実でございます。

 私は、SEWの情報によりまして、防衛省の中央指揮所に発表までおりました。何とか確実な事実を得るということに集中をしてきたところでございまして、今、いろいろシステムの問題がございました。今、あらん限りの対応をしてきたわけでありますが、SEW情報の入感以来、レーダーの確認、あるいは我が国の上空を通過するか、また我が国の地域に落下するか、こういうような危険な状態になるかどうかということを、前回の時間の経過も踏まえながら見てきたところでございます。

 三分たって、前回は我が国のレーダーが察知をしたわけでありますが、今回は、残念ながらといいますか、そういう事実がなかったわけでありまして、大変な状況の中で事実確認をしておったわけでありますけれども、この経過の中で、米軍から、飛翔体をロストした、見失った、こういう事態が十分後にあったわけでありますので、それ以降、この事実を確認し、そして、本当に遅かったかと思いますが、しかし、正確な事実であると確認をして発表させていただいたというのが事実でございます。

 本当に、発射されておれば、十数分の間の事実でありますが、そういう意味では、確認に時間がかかってしまったというのは大変反省だと思いますし、それ以降の伝達も、さらに早く、不安を生じないように連絡ができるようなシステムにしていかなければいけないということは切実に痛感をいたしておるところでございます。

岩屋委員 大臣、三年前に誤報という問題がありましたよね。確かに、その教訓は生かさなきゃいけないと思います。

 ただ、こういう事案は、時間をかけて正確な情報を流すというよりも、いち早く第一報を伝える、そして、情報を追いかけてどんどんどんどん分析していくわけですから、継続的に追加情報を伝えていく、こういう手法が私は正しいんだと思うんですよ。やはり三年前の失敗でちょっと防衛省全体が萎縮をして、とにかく正確じゃなきゃいかぬといって時間をかけている間に情報の伝達がおくれてしまった、こういうことだろうと思うんですよ。

 大臣が記者会見するまでの四十三分間、何を確認していたんですか。

田中国務大臣 私は、先ほど申し上げましたように、情報の中で、飛翔体を見失ったというような情報以降、では、どういう飛翔体だったかということを収集してきたわけでございまして、お手元に配付させていただいておると思いますが、何らかの飛翔体が発射されたけれども、その以降、八時に洋上に落下したものだということでございました。そしてまた、飛翔体については日本には影響はないということが統幕副長から私に伝わってきたところでございます。

 しかし、これについては、本当に我が国に影響がないのか、こういうこともさらに確認をしてきたところでございますけれども、この情報は官房長官に御連絡をして、そしてさらなる情報を収集して、八時六分ごろ、この飛翔体は一分以上飛行し、複数個の物体となって洋上に落下した模様である、こういうことで、また、日本に影響がないというさらなる確認ができましたので、この事実は発表ができるということで、その以降、情報の共有を防衛省と内閣官房としたところでございます。

 しかし、当初の予定は、官房長官の記者会見は、これは防衛省サイドのマニュアルでありますが、遅くとも三十分後には発表をしていただこうという計画にはなっておりました。その後、私が記者会見をするという想定をしていたわけでありますけれども、こういう時間の経過がありましたので、私は防衛大臣として、防衛省の所掌範囲の中で、そしてまた、我が国には影響がないんだ、領域に落下しておらない、落下する可能性がないんだというその情報を、私の判断で防衛省で発表させていただいたわけであります。

 当初の予定が若干連絡で前後したということは、官房長官にも後で御了解をいただいて、ただ、事前には、この情報は公表させていただくということで官邸の方には御連絡をしておった、そういうことでありますが、確かに、時間的には、皆さん方からの感じでは大変遅いという印象があると思います。私は、確かに正確さに重点を置き過ぎた面はあると思いますが、さらなる努力をして、早く情報を確認して連絡するということだと思っております。これは日米関係の中での今回の対応でありますが、そういう状況になるところでございます。

岩屋委員 大臣、何らかの飛翔体が発射された、それが何であるかという確認がまず第一だったというお話をされましたけれども、これも、国民が聞けばかなり間抜けな話だと私は思いますよ。

 それは、当該ミサイルでない可能性というのは排除されないですよ。排除されないが、北朝鮮がないことに記者会見までして、張りぼての人工衛星まで見せて、そして期間を告知した上で、これがいつ発射されるかということだったわけでしょう。一日目が過ぎた。やはり当該地の皆さんは本当に緊張状態の中にあったと思いますよ。

 そういうときに、我が方のレーダーでは水平線から下のものは最初から確認できないわけですから、しかし、一番近くで見ている米国、韓国、あるいは早期警戒衛星、それで発射をされたということが確認されたということであれば、まずその第一報をそれこそJアラートで流す、そういう判断であってしかるべきだったんじゃないですか。

田中国務大臣 先生の御指摘のとおりだと思います。常識的にはそういうことだと思いますが、私は、中央指揮所に参りまして、この入感した後、一分もかからないでそこに入りました。確かに、さっと放物線のものが出たことはありましたけれども、すぐ消えてしまいました。そして、私の個人的な感覚でありましたけれども、これだけ世界のマスコミを呼んでおきながら、それを出し抜くように発射するということは、あり得るのかなというのが一つでありました。

 そしてまた、専門家からいうと、この飛翔体というのは、短距離ロケットというようなこともそういう面では中に想定があると言う専門家がおりましたので、そういうことも考えた場合に、本当にこの飛翔体を確認をすべきであるということが幹部の皆さん方との認識でありました。しかし、大変努力をしていただいたこともありまして、米軍が、その飛翔体というのはロストした、見失った、こういう事態になったものですから、私は、何かが起こったのかなということは認識をしたわけであります。

 したがいまして、私は、常識的に考えれば、その飛翔体はテレビで映っておりますそういうものが発射されたと思いますが、第二の安全保障会議で、いろいろなところからの情報だと思いますが、防衛省もつかんでおりましたけれども、十一時には既にあそこの発射台にはいわゆるミサイルがないということを防衛省も確認をいたしましたので、この何らかの飛翔体は、北朝鮮のいわゆるミサイルだということを認定をいたしまして対処をしたところでございます。

 今の自衛隊の配備、能力、そしてまたその他の努力もしてきたわけでありますけれども、正確さの面ではこれだけの時間がかかってしまったということでございますので、これからの努力もしていかなきゃいけないというのが現状であると思っています。

岩屋委員 大臣、時間がかかってしまったと簡単に言っていますけれども、さっきから議論があるように、これは本当に我が本土に向かっていたミサイルだったらもう着弾しているんですよ、十分ちょっとで。その緊張感が防衛省にも政府にもなさ過ぎると私は思いますよ。

 国民に対する知らせはおくらせていながら、一方で、宮古島に配備されていたPAC3の部隊ですか、早期警戒情報を受けた途端に信号弾を発射したと。これは、島民の皆さん、自治体に知らせていたんですか。みんなびっくりしたんじゃないですか、突如信号弾が打ち上がって。それは部隊に態勢を整えよという意味の信号だったかもしれないけれども、私は、国民にまず第一報を知らせるということがあってしかるべきだったんじゃないかと思いますが、いかがですか。

田中国務大臣 宮古島で信号弾があって、皆さん方に大変驚きの状況があったということは、大変反省をいたしております。

 航空総隊司令官のもと、各部隊には準備ということで通報がなされたというふうに認識をいたしております。各部隊は信号弾を撃つようなことはなく対処をしたわけでありますが、宮古島の隊長がその地域の状況を見て、そして隊員に準備をするというような意味合いを持って実施をしたということで、私は空幕長に、やはりそういう特殊なことを計画するのであれば、しっかりと上げてもらう。隊長の判断のみならず、やはり我々が地域の皆さん方に、配備していくわけでありますから、まず事前に了解をとって対処していくということが必要ではなかったかということでございます。

岩屋委員 だから、これも手抜かりですね、大臣。たまたま宮古島の部隊だけがそんなことをやったという説明ですよね。これだけの準備期間がありながら、では、何でそれを部隊で徹底できなかったのか、自治体、住民に周知をしていなかったのか、これも大変な手抜かりだというふうに私は思いますよ。

 大臣、これから北朝鮮はどういう対応に出てくるかわからないわけですね。失敗したからまた打ち上げ直すかもしれない、あるいはほかの手段をとってくるかもしれない、だから危機は続いているわけですね。

 今までの議論、やりとりを受けて、例えばこのJアラートの使い方等、まずSEWの第一報をお知らせするというふうに変えるべきなんじゃないですか。いかがですか。

田中国務大臣 お答えをいたします。

 今の基本的な情報の流れからいきますと、先ほども申し上げましたけれども、SEWの情報が入感しました。その中でレーダーの確認をするということでございますが、今回の配置でレーダーで確認はできませんでしたけれども、その以降、上空を通過したときあるいは我が国に落下するというような危険があったときということでありますが、第三のケースということが今回起こったわけであります。不意にそういう行動が起こされるということも先生御指摘のとおりでありますし、また、何か間違って我が国の方に飛んでくる、そういうことも想定をしなければいけないと思っております。

 したがいまして、私は、先生が御指摘のとおり、これはやはりもっともっと、我が国は専守防衛でありますから、防衛という中にあってあらゆるケースを考えながら、そして、今の自衛隊の運用あるいは性能というものを最大限に発揮して対処していくということが今回大きな認識になると思っておりますので、早急に防衛省に検証、対策のチームをつくって、そして、日々これは緊張感を持ってこれからも取り組んでいきたいと思っております。(発言する者あり)ごめんなさい。

 政府でもつくられましたけれども、防衛省においても、きょう発表させていただいて、対策を講じるということでチームをつくらせていただくことにいたしました。

岩屋委員 大臣、就任以来、大臣の適格性についてさまざまな議論がされてきましたよね。でも、私は私なりに温かく見てきたつもりですよ。つもりなんだけれども、今回のミサイルの対処のあり方、大臣だけの責任ではないかもしれないが、やはり今の政府には任せられないな、心配だな、こういう国民の声は、大きくなっていることは事実ですよ。これは、やはり大臣、武士の情けですけれども、みずから進退を考えたらどうですか。いかがですか。

田中国務大臣 私は、職責を全うしていきたい、果たしていきたいというふうに思っておりますし、一日一日全力を尽くしていくという立場で今臨んでおります。

岩屋委員 続く議論は今津委員に譲りたいというふうに思います。

 外務大臣、議長声明ということになったわけですが、はっきり言うと、ランクはかなり下がりますよね。我が方の国連での努力、十分だったというふうに言えますか。

玄葉国務大臣 日本外交としてでき得る最大限の働きかけを行ったというふうに確信をしています。日中韓の外相会談初め、バイラテラルでも行いました。電話でも行いました。また、G8でも緊急声明を発出しました。G8でロシアも含めて緊急声明を出させていただいた、このことは非常に大きかったと思います。

 それで、決議、つまりは形式ですね、決議、議長声明、いわゆるプレス向け声明とかステートメントとか四段階ぐらいに分かれるわけです。形式、内容、そしてタイミング、私はこの三つをトータルで判断しなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 私は、今回、結果として、結論を申し上げれば、非常に評価できる内容になった、強いメッセージを出すことができたというふうに思っています。もし仮に形だけにこだわれば何が起きたかといえば、恐らく時間的に相当の時間がかかり、内容はかなり換骨奪胎されということもあったかもしれません、可能性ですけれども。私は、そういう意味では、非常に強い内容のものが、少なくとも〇九年のときの議長声明よりも強いメッセージを北朝鮮に対して送ることはできているというふうに確信をしています。

 ただ、大事なことは、〇九年だって〇六年だって、実は核実験をその後行うわけですね。そして決議になっていくんですね。

 先ほども質問の中にもありましたけれども、本当にどういうふうにこういったさらなる発射、さらなる核実験等を抑止するのかということについて、関係国と、特に北朝鮮に影響力を持っているのはやはり中国です。今回、ちなみに、米国との連携が一番功を奏しました。当たり前の話です。四月は議長国が米国でした。ただ、やはり中国がどのくらいこれから北朝鮮に働きかけをするかということが非常に大きいというふうに思っています。

岩屋委員 終わりますが、最後に、これはちょっと通告していないんですが、東京都が尖閣を買い取りたいということを言ったという報道があります。これは、外務省、政府、承知していますか。

玄葉国務大臣 これは報道は承知しています、全てではありませんけれども、ずっと私も朝から委員会に出ておりますので。そういう報道は承知していますから、まず事実関係をきちっと押さえないとなかなかコメントしにくいです。

 ただ、いずれにしても言えることは、尖閣諸島は言うまでもなく我が国固有の領土であって、歴史的にも国際法上も疑いのない事実であり、現に我が国は有効にこれを支配しているということだと思っています。

岩屋委員 本来国有地であるべきだと私どもも思っておりますが、ただ、自治体による、政府と全く関連のない動きについてはよくウオッチしておく必要があると私は思いますので、お願いしておきたいと思います。

 終わります。

東委員長 次に、今津寛君。

今津委員 原稿を見ないでしっかりと前を向いてお話をする大臣を初めて見ました。しかし、大臣、もう少し謙虚になった方がいいですよ。この事態は、大臣が言うように、一生懸命やったというように国民は見ていない。恐らく国際社会も見ていない。非常に厳しく今度の事案については見ているということをもう少し謙虚に受けとめて発言をしていただきたいというふうに思います。

 最初に、飛行体とか飛翔体とかいろいろ言われるんですが、今度、十三日に打ち上げられたあのテポドンというのはどういう種類のものなんでしょう、田中大臣。そして、それは何の目的で打ち上げられたものなのでしょうか。

 それと、先ほど岩屋先生の質問の中でありましたが、放物線を描いたって、スクリーンに映ったって、そして消えたとかおっしゃっていましたけれども、それはどのレーダーから受けた放物線であって、なぜ消えたというふうに把握いたしておりますか。その放物線のことを少し詳しく説明してもらいたいと思います。

田中国務大臣 お答えをいたします。

 中央指揮所の中でのことでございますので多くは申し上げるわけにはいきませんが、私は、SEWの入感という事態を受けてすぐに、地下にありますが、行ったところでございます。

 その中で、いわゆるジャッジの画面でその放物線を見たところでありますが、これは中のことでありますので、大変恐縮でありますがそれ以上のことは申し上げられませんけれども、すぐにいろいろな判断、予測を、この中の方々でされたわけでございます。

 したがいまして、その件はそれ以降、いわゆる飛翔体を見失った、あるいはその後の落下、こういうようなことがございましたので、この経過の中でのことでございますので、それだけの御説明にさせていただきたいと思います。

 最初の御質問は……(今津委員「いや、大臣に聞いたのは、どのような種類か」と呼ぶ)種類は、今のところ、テポドン2の改良型ではないかということでございますし、それ以上の分析はいたしているわけではございませんが、それぞれのところに、改良されておるということは報告を受けておりますが、今回こういう事態になりましたから、それがどこまで飛ぶものであるか、あるいは、もっと、前回よりも飛行距離が、能力がふえているのか、この点はさらなる検証をしていければと思っています。

今津委員 何の目的かということに答えがなかったんですけれども、それはいいですよ、大体みんなわかっていますから。

 テポドン二号の改良型だと思われると、はっきり言った方がいいですよ。だから、会見のときでも、国民の皆さん方はみんな心配していますから、そういうふうに、明快に結論を出したわけではないけれどもそう思われるということは、はっきり言った方がいいですよ。

 先ほどの放物線の話ですけれども、ジャッジに映ったと言いますけれども、これはどこから送ってきたものなんですか。本当に映ったんですか。どこから送ってきたんですか。

田中国務大臣 米軍のレーダーでございます。

今津委員 米軍のイージス艦からのレーダーですか。

田中国務大臣 そのとおりでございます。

今津委員 だから、そういうのもはっきり言わないと、言わないからみんなが心配をするわけですから、できるだけはっきり国民に説明した方がいいというふうに思いますよ。

 敵が迎撃すれば本物の戦争をしようと決心していた、これは、〇九年に日米がイージス艦などで迎撃態勢をとる中、北朝鮮の長距離弾道ミサイル、テポドン2が日本列島上空を超えて太平洋に落下したときの、管制指揮所で発射に立ち会った正恩氏の感想とされました。その敵は日米同盟を示唆しています。これは、北朝鮮にそんな能力があるんですかね。敵が迎撃すれば本物の戦争をしようと決心していた、本物の戦争をしようと決心していた、そういう発言ですね。

 お聞きをしたいんですが、今、北朝鮮のいわゆる核ミサイル、弾道はどれぐらいあるんですか。それから、移動するためのミサイルはどれぐらい持っているんですか。それから、大臣、これはつけなきゃなりませんよね、小型化というのは成功しているのですか。

田中国務大臣 北朝鮮の弾道ミサイルは、ノドンの開発ということで、今のところ、二千キロの能力を持つのではないかということでございますし、もっと距離のあるものもテポドンの2ということでございますから、それがどの程度まで開発されてきているかは、先般のパレードで出しておりますけれども、実際にこれが発射できるのかというのは、私は、すぐには、疑問に思っておるところでありますが、さらに検証をしていきたいと思います。

 核の小型化につきましては、もう既に核保有国が三十年前、四十年前に開発をされた技術でございますけれども、しかし、今すぐに小型化するという技術を習得するというのもなかなか難しいという環境にあるわけでありますから、私は、まだ数年かかるというようなことは情報として聞いておるところでありますが、さらに確認をしていければと思います。

今津委員 我が国の周辺には、上の方からいきますと、ロシア、それから中国、北朝鮮と、核保有国が並んでいるわけですよね。そして、核の脅威にさらされていると言っても過言でないというふうに思うんですね。

 そこで、我が国と核、そして抑止の問題なのですけれども、アメリカは、核抑止、通常抑止など、さまざまな抑止を総合的に持ち合わせておりまして、平成二十二年の核態勢見直しにおいて、自国に対する攻撃の抑止だけではなくて、同盟国に対する攻撃の抑止、同盟国、日本ですね、同盟国に対する攻撃の抑止、拡大抑止をも位置づけています。これは防衛白書からとったのですけれども。我が国の核攻撃に対する抑止力というのは、好むと好まざるとにかかわらず、アメリカの核の傘の下に入っていた。

 そこで、非核三原則の問題でありますが、持たない、つくらない、持ち込ませないということなのですけれども、今、現実的に、この三原則というのは見直すべきではないのかというふうに思いますし、特に、この持ち込ませないというのは現実的でないと思うんですね。これについて大臣の考え方を聞きたいと思うんです。

田中国務大臣 日米同盟の中で、いわゆるガイドラインで、この日米の、特に米国の打撃力というものを考慮するということは表現をされておるわけでありますが、それが、このミサイルの防衛の中で、実際に日米同盟の中で対応できるかということは、いま一つ、考慮するという表現になっておりますので、やはりさらなる日米間の深化、発展の中で取り扱っていくことではないかと思っております。

 私は、非核三原則の問題につきましては、今の憲法下にあるわけでありますから、そういう意味では、平和国家を追求する中にあっては象徴的な一つの姿ではないかと思っております。

 一方、当然、必要最小限の自衛隊の整備はしていかなければいけないわけでありますので、まあ先生御指摘の点はございます、いろいろこういう脅威を感じる時代でありますので、私は、国会では当然議論をしていただくことはしかるべきことではないかと思っておりますが、私あるいは政府の姿勢は、それを見直すということは今のところ考えていないことでございます。

今津委員 やはり大臣、せっかく大臣になられたんですから、一つか二つ、任期中にこれぞというものをやっていただきたい。それがやはり政治家だというふうに思うんですね。そういう面でいえば、任期中にこういう問題が起きた。だとすれば、現実的に日本の国民を守る、そして、いろいろな環境をきちっと現実的に変えていくということを私はおやりになるべきだというふうに思います。

 そこで、我が国は唯一の被爆国ですから、核軍縮にもっと積極的になるべきだというふうに思います。玄葉大臣に聞こうと思ったんですが、時間の関係で省かせていただきますが、ぜひ国連等で、我が国も常任理事国になって、あるいは非常任理事国の立場でも構いませんから、この核の軍縮についてはもっともっと積極的にやる責務を我が国は持っているというふうに思います。

 そこでもう一つ、かえまして、韓国との同盟関係なのでありますが、申し上げておきたいと思います。

 十三日、韓国軍は、北朝鮮が発射に失敗した長距離弾道ミサイルの一部が落下したと見られる海域に哨戒艦などを派遣して、ミサイル破片の回収に向けた捜査を始めて、今もやっておりますね。これは、報道によりますと、アメリカ海軍も周辺海域に配置をしていた掃海艇などを現場に急派、派遣をしているようだと。日米、米韓、日米韓の同盟などが言われている中で、なぜ日本がこの破片の回収に参加していないのでしょうか。

田中国務大臣 日本と韓国との防衛交流、あるいは共同のことについてでございます。

 韓国とはハイレベルの交流あるいは実務レベルの防衛の交流をしておるということでございますが、今回のこのいわゆるミサイルの関係につきましては、情報共有をしているところまではいっておりません。ですから、オペレーションをともにやっているということではございません。

 したがいまして、日米韓というような表現をいたしておりますが、残念ながら、日本と韓国とは、防衛の面では実質的なつながりはなかなか今のところとっておらない。先生が御指摘のように、早く韓国とは、私も指示して進めてまいりたいと思いますが、早く韓国に参りまして、今具体的にお話がありましたようなものも、我が国がいわゆるミサイルの破片の状況だとかいうものの情報を提供してもらえる、あるいはいろいろと研究をしていけるような、そういう日韓関係に今こそ踏み出していくべきだと思っておりますし、その点は努力を重ねたいと私は思っております。

今津委員 韓国やアメリカが黄海の破片を回収しているときに、実は我が国の自衛隊は早々と、PAC3などの部隊は解散し帰途についた。これは我々が目指すところではないのだけれども、本当は一緒に破片を回収しようという意欲を十分に持ちながらも、そういうことができないということは、はたから見ると何かまた一国平和主義的な、先ほどからいろいろ話が出ている、我が国には飛来はしない、我が国は安全だと。

 しかし、ミサイルが我が国だけではなくて、もし我々の同盟国に被害を与えるとするならば、私はそういう表現の仕方は非常に悪いというふうに思うんです。我が国は安全だ、我が国は大丈夫だったと。我々の同盟国はどうなんだというような、そういう認識、表現の仕方をやはり考えていかなければならないというふうに思うんですね。

 情報の伝達のことなんですけれども、韓国は早々に記者会見をしましたよね。アメリカもしましたよね。日本は、誤報があったので、SEWだけでは確認できないので、ダブル調査というか確認ということで時間がかかったと言うのですが、韓国との関係がもっと親密になっていれば、韓国のイージス艦のレーダーはきちっと最後まで追って確認しているわけだから、それは、我々のこの混乱というのはなかったということは大きな反省点の一つですよね。もっと言葉どおりに、日本と韓国とアメリカと一体となったそういう同盟関係というのはもっともっと構築するべきだったでしょうね。そうすれば、今回の混乱はなかったような感じがするんです。

 北澤大臣のときに韓国との防衛相会議がありましたね。その中では、閣僚級、次官級会談の定例化を呼びかけ、協力強化の意気込みを伝えた。そして、ACSA、物品役務相互提供協定の締結交渉開始を決めた。GSOMIAの必要性も一致した。大臣、わかりますでしょう、GSOMIA、わかりますね。

 しかし、その後どうなっているんでしょうか。我々に対してACSAとかGSOMIAの提案がまだないですね。議会の方に対してないんですが、どのようになっているんですか。

玄葉国務大臣 これは外務大臣だと思いますので、私の方から簡単にお答えいたします。

 おっしゃるように、韓国との安全保障分野での協力というのは、非常に大切だと思います。日本は米国と同盟関係にある。韓国も米国と同盟関係にある。つまり、同じ同盟国を持つ、しかも隣国である。ただ、時折難しい問題が韓国との間では生じていることは御存じのとおりでございます。

 そういった中でも、私は、大局的な観点に立って、今おっしゃっていただいたACSAそしてGSOMIAを進めていこうではないかということを韓国側に呼びかけをしている、そういうところでございます。日韓関係全般を良好にする中で、そういったACSA、GSOMIAについても、協力関係を結べるように努力をしたいというふうに考えております。

今津委員 去年かおととしだったと思うんですが、私と中谷さんと岩屋さんと韓国へ行きましたよね。そして、軍の関係者、しかもトップクラスの人たちと会ってこのACSAの話をしたんですけれども、軍の制服の人が、びっくりしましたけれども、名前は言いませんが、竹島問題とか、それから教科書問題とか言うんですね。いや、御国とはいろいろな問題があるということを制服の人が言われる、これは私はびっくりしました。

 そういうことを玄葉大臣は今切実に感じられて御苦労をされているというふうに思うのですけれども、しかし、これは外交努力というものでしっかりやって、どうか同盟関係を強化してもらいたいというふうに思います。

 しかし、だからといって、竹島のことを百歩譲ることがあってはならぬと思うんですよ。これは、固有の領土はしっかり守っていきながら同盟関係を強めていくというのは非常に難しい問題でありますけれども、しかし、今回の事案を見ましても必要なことだというふうに思いましたので、申し上げたところであります。

 それで、集団的自衛権のことを申し上げたいと思います。

 午前中の議論でも出ていましたけれども、アメリカの新国防戦略の見直し、それによって我々も、日韓、日米、日印、日豪など、フィリピンなどもそうですが、そういう同盟国と共同で東アジアの安定に寄与していく。しかし一方、中国、北朝鮮の核の問題もあるし、中国の軍拡もある。お互いに手を結びながら共同で国を守っていく、それから世界の平和に貢献をするということになると、当然、集団的自衛権の行使の問題というものが出てくるわけであります。

 これは、実は我が党も、集団的自衛権というものは保持をするが行使できないという主張をつくってまいりましたけれども、しかし、今回、次の選挙に向けて、集団的自衛権を行使して国家安全保障基本法をつくる、こういうものを政権公約として挙げることにしまして、今、党内手続を進めているところです。

 その根拠は、最終的には憲法改正をして改めるものでありますけれども、しかし、現実的に、過去と今と我々の国を取り巻く状況は極めて劇的に変わっている。とすれば、国民の安全を守るという意味では、憲法の改正を目指しながらも、しかし、現実的には、集団的自衛権を行使しなければならないときは行使をするということで今党内をまとめようと思っているんですが、まだ議論は残っているところであります。

 玄葉大臣、どうでしょうか。同調していただけるのではないでしょうか。恐らくそう思うんですが。

玄葉国務大臣 私は、集団的自衛権の問題というのは、いずれ乗り越えなければいけない大事な課題だというふうに思っています。

 現時点で四類型の議論が出ておりますけれども、そういったことも含めて、私は、活発に議論していかなければならないというふうに考えております。野田内閣として、現時点で集団的自衛権における解釈を変えているということではございません。

今津委員 閣僚ですから、発言がやはり慎重にならざるを得ないというふうに思いますが、しかし、それを目指していくというところではどうですか。それは一致できるでしょう。

玄葉国務大臣 いずれ乗り越えなければいけない課題だというふうに思っていますが、野田内閣としては、現時点で解釈を変えるということではないということでございます。私は、四類型の議論も大変参考になる議論だというふうに思っていますし、焦眉の急の課題も含めたテーマを投げかけているというふうには感じています。

今津委員 期待されている若い政治家ですから、こういう難しい問題にも積極的に道を切り開く役目というものを担っていただきたいというふうに私は思います。

 そちらから提案をしていただければ一気に解決する問題でありますから、我々は、政権をとったら提案をさせていただきたいというふうに思っております。

 そのほかに、我々は、まず、自衛隊を自衛軍あるいは国防軍と名前を称して憲法に正確に位置づけるとか、それから、やはり防衛大綱、中期防を見直して自衛官の数をふやしていく、近代的な装備を持っていく、さらには、PKOの五原則を見直すのみならず、恒久法をつくっていくということなどを掲げてこの次の選挙を戦いたいというふうに思いますし、できるならば、そういう国家の安全保障という問題ですから、私は共有できるものだろうというふうに思いますので、御党においても、あるいは政府においても、積極的にこの問題に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 終わります。

東委員長 次に、東順治君。

東(順)委員 公明党の東順治でございます。

 質疑通告はいたしておりますが、若干幅広になるかと思います。ちょっと緊急のことなので御容赦いただきたいと思います。

 最初に、官房副長官、急なことで大変御迷惑をかけまして、もう第一問で終わりますので、申しわけございません。

 最初に伺いたいのは、副長官、内閣の危機管理センターに、米国の早期警戒衛星情報、SEW情報というものをキャッチする画面なりシステムなりというのはあるんでしょうか。いかがでしょうか。

齋藤内閣官房副長官 ありがとうございます。

 もう正直に申し上げますと、私、今回の事案に関しまして、官邸にはもちろん七時前からずっとおりましたけれども、七時以降、私自身は危機管理センターに入っておりません。

 そして、多分と申しましょうか、今の先生の御指摘の、映像なりが入ってくるということについてはなく、あくまでも防衛省が一義的にそういう情報が一番入るところというふうに、私も事前も今もそういうことで受けとめさせていただいています。連絡体制について、危機管理センターではなくて、防衛省ということで受けとめさせていただいています。

東(順)委員 というのは、副長官、非常に気になる報道が出ていまして、わずかなんですけれども、自衛隊の幹部が、危機管理センターにはSEW情報を映し出す画面がある、防衛省と官邸には同時に米国のSEW情報が入る、こういう記事が出ていたものですから。

 これは、今回の事の起こりが、このSEW、結構ここから出発している混乱というのが多いように私は思いますので、そこをちょっと確認したかったんです。

齋藤内閣官房副長官 検証しますなんということを言える立場ではないというのは承知しておりますけれども、私は、今この時点では答弁する時点ではないというふうに申し上げさせていただきたいと思います。

東(順)委員 もう副長官、では結構ですよ、お忙しいでしょうから。急な御要望で済みません。失礼いたしました。

 私がなぜこれにちょっとこだわったかといいますと、「北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射事案クロノロジー」というのが出されましたよね、時系列によって。ここで、おやっと思うことが一つあるんですよ。

 これは、七時四十分ごろ、防衛省にSEWが入ってきた。同時に、その二分後、七時四十二分に「総理大臣、官房長官及び危機管理監は、「何らかの飛翔体が発射された模様、現在確認中」との情報を入手。」こうあるわけです。どこから来たのか書いていないんです。

 どこで受けたのか。受けたのは官邸ということなんでしょうけれども、まずどこから来たのかというのが非常にわからないので、これで、先ほどのSEWというものをキャッチする画面というのが、防衛省だけじゃなくて、実は危機管理センターにもあるんじゃないか、それでこういう話になったのかなと僕は思ったんですが。

 さあ、ここは防衛大臣に伺いましょうか。どう思われますか。あるいは渡辺副大臣でも結構ですよ。

    〔委員長退席、宮島委員長代理着席〕

田中国務大臣 お答えをいたします。

 先ほどから申し上げていますように、いわゆる中央指揮所からの伝達といたしましては、SEWの入感と、そしてまたレーダーの確認、あるいは我が国に飛来するというような条件のもとで官邸に伝えられるところでございます。

 しかし、そのような状況の中で、SEWのことは、情報がいろいろなレベルでお話があったのではないかと思っておりますし、政府全体としていろいろな情報を入手する。その中にも、若干いろいろな形での、公表できないようなルートもあるのかもしれませんが、恐らくそういう幅広いチャンネルの中で入手をしておる、認識をしたということだと私は推察をし、申し上げる次第でございます。

東(順)委員 まあ、これ以上はまたの議論にしたいと思います。

 そこで、大臣、私も、午前中の参議院の外交防衛委員会の質疑をずっと見ておりました。そしてまた、午後に入りまして、私どもの当委員会の質疑を伺っていまして、今回のことで大変な混乱をしたことは間違いないです。いわゆる危機管理ということにおいては、私は、本当に実際、我が国に着弾したときは、これはもう大変な話だったな、内閣が吹っ飛んでいたなというぐらいにやはり大変な事態であるという率直な感想を持つんですね。

 そこで、大臣、政府の現時点の、今回のことを通しての、国民に対しての情報伝達システム、これはどうですか。失格と思いますか、いかがですか。端的にお答え願いたい。反省というのはいいんですよ。要するに、本当に着弾していたときにどうだったか。いかがですか。

    〔宮島委員長代理退席、委員長着席〕

田中国務大臣 お答えいたします。

 システムとしては、私は、相当各自治体にも連携をして、そしてまた早く伝達ができるという形になっておったと思います。

 ただ、いわゆる正確な情報というものを、防衛省もそうでありますが、最優先に確認をする、そして、正確なものをまた国民の皆さん方に連絡をする、こういう二段階のところにあったわけでございますけれども、機械的にはなかなか、やはり一つ間違えますと、自動で防衛省からそういうシステムに、システムからまた全国へ、こういうふうになりますと、もとが間違えますと今度はもっと混乱することでありますので、若干、ダブルチェックというふうに官房長官も言っておりますが、そういう中で手際よくやっていくということが私は大事だと思います。

 Jアラートにつきましては、当初は、その地域に飛来したらアラームをかける、こういうことを私は聞いておりましたけれども、それだけでは満足がいかないということで、やはり初期の段階でも伝達をするという計画も立てられたようでありますが、それが結果的に、我が国に飛来したわけではありませんので、活用されなかったということであります。

 したがいまして、このシステムをどういうふうに使っていくかということは、やはりみんなが理解をしておかなければいけない、そしてまた説明をしていかなきゃいけないと思っていますし、自衛隊のこの活動の中でも、大変地域に御迷惑をかけたところもあるわけでありますので、私は反省点を持って今後の検討に加えていければと思っております。

東(順)委員 大臣、システムというのは、やはり成功してこそのシステムですよね。そういう意味では、今の御心境として、今回のこの事案で、このシステムは失敗だったな、生かせたかどうかという意味合いも含めて、これはいかがですか。失敗と認められますか。

田中国務大臣 Jアラート、エムネットについては十二分に機能が発揮できなかった、その責任は我々の責任だと思っております。

 決して想定外がないようにということで、防衛省・自衛隊も万全の態勢を組んだ、あるいは内閣も想定外がないように万全を組んだことでありますけれども、大変残念なことにそのような印象を与えてしまったということでありますので、さらなる想定外以上の想定外がないようにこれは取り組んでいく。原発事故においても大変反省をしておる時期でありますが、危機管理においてもやはり想定外が起こらないようにしていかなきゃいけない。

 私は、そういう意味では、この範囲内は想定外ではなかった、万全の態勢で臨んだということでありますが、正確さを追い求めるために速さが足りなかったということは大変反省をすることではないかと思っています。

東(順)委員 ずっと御答弁を伺っていまして、国民に安心を持っていただくためにということを強調されるんですけれども、同時に、やはり情報のスピードにおいて、一分一秒を争う国家の危機なんですから、これはやはりスピードというところにおける大反省というのは当然あるなと。今、率直に反省らしき弁をお述べになりましたけれども、これは私は大反省すべきだと思います。

 同時に、想定外、想定内とおっしゃいますが、私は、官房長官より先に防衛大臣が記者会見して国民にきちんと最初の正式なメッセージみたいなものを出すということは、私にとっては想定外でしたよ。要するに、ここら辺の官邸と防衛省との連携のまずさだとか、さまざまに大反省しなきゃいけない点がたくさんあると思います。

 あるいはまた、韓国の対応と我が国の右往左往の末での対応、それから時間的にスピード感を欠いた、いたずらな不安や混乱みたいなものを国民に与えてしまったこと等々を踏まえて、これは大失敗であった、二度とこんな失敗をしたら大変だ。今回は、不幸中の幸いといいますか、我が国に着弾ということが現実として起こらなかったからよかったものの、これは二度と繰り返してはならない、私はこう思います。

 そういう意味で、今後の検証とおっしゃいましたけれども、できるだけ早く、スピーディーに、きちんとして説得力ある検証をまとめていただきたいと思いますが、いかがですか。

田中国務大臣 官邸でも情報伝達の問題について検証される、我々も一緒にやっていくわけでありますが、防衛省といたしましても、チームをつくりまして、そして検証、対策というものを、早急に結論を得たいと思っています。そういう意味では、大体時期が合うようにやっていきたいと思います。

 それから、先ほど御指摘のありました、私が記者会見をいたしましたことにつきましては、これは防衛省のいわゆるルール、対処方針ということで、官房長官は、こういう問題が起きて三十分後ぐらいには、情報を我々も提供して記者会見をしていただこう。その中で、私はその後の四十分ごろに、当然、安保会議がありますから、防衛省を出る。そのときには、やはり防衛省の所掌の範囲内で私は、ぶら下がりの記者会見というのもございます、今回はこういう台でしっかり記者会見をさせていただいたわけでありますが、その中では、日本に影響がないんだ、日本の領域には落下しない、こういう国民の安全を守る防衛省としての大きな責務について、やはり私の範囲内で記者会見をさせていただいた。そしてまた、官邸にも、そういう記者会見をするということについてはファクスをさせていただいたわけでありますが、若干の時間の差があって、大変、私が先行したようになりましたが、私は自分の責務を果たすということで、私の判断で記者会見をさせていただきまして、事後でありますが、官房長官に御理解をいただいたところでございます。その点、つけ加えさせていただきます。

東(順)委員 だから連携だと言っているんです、官邸と防衛省の。連携がないからそういうことが起こるわけだから、そこに対して本当に真摯な反省と総括がなければ、これは大変ですよ、また起こっちゃったら。そういうことを僕は言わざるを得ない、だから言っているんです。

 それから、イージス艦について伺いたいんですけれども、アメリカと韓国のイージスが黄海に出ていましたね。日本のイージスは日本海と東シナ海ですね。ミサイルが発射をされて、日本のイージスでは途中で航跡を追い切れないという状況が生じましたよね。

 そこで伺いたいんですけれども、日米韓のイージスというのは、情報を常時共有しているんですか、ああいうふうに展開をしたときに。韓国とアメリカが黄海に出ている。日本が日本海と東シナ海。これは、瞬時に情報を共有できるように、情報共有はしておるんですか、どうですか。

田中国務大臣 太平洋艦隊の司令官も日本に来ていただきまして、統幕長と、日米韓のオペレーションとしての、そしてまた対策ということは書面にいたしまして合意をし、そして今回の事案に臨んだわけであります。

 したがいまして、日米は連携がとれているわけでありますが、残念ながら、日本と韓国の関係につきましては、このオペレーションは今回はできませんでした。政策レベル、実務レベルの、あるいは大臣同士の交流はある。昨年は北澤防衛大臣が韓国に行かれておりますけれども、それ以降の実際のそういうオペレーションまでは至っておらないということで、結論的に言えば、韓国のイージス艦との連携というのは、一切情報交流はなかったというのが現状でございます。

東(順)委員 では、イージスの情報は共有できていなかったということですね。これはこれからの大きな課題ですね。いつまた飛んでくるかわからないということなので、ここはしっかりやってほしい。何とか、日米のように具体的にきちんと情報を共有できる、そういう日韓関係を本当につくってほしい。そうしなけりゃ大変な話になるというふうに思います。

 それから、外務大臣に伺いたいんです。

 国連安保理が議長声明を出しましたね。それで、六つのポイントを出しました。今回は非常に早くて、かつ一致結束した感じの議長声明でありましたけれども、その中で、六番目のポイントですね、北朝鮮が新たな発射や核実験を行うなら相応の行動をとるという。大臣、具体的にこの相応の行動とはそも何ぞや、どのようなイメージを持っておられるのか、ここをお聞かせいただきたい。

玄葉国務大臣 今おっしゃったのは、主文が九つあるんですけれども、最後のパラだと思うんですね。大事なパラだと思っています。「安保理は、北朝鮮による更なる発射又は核実験の場合には、これに応じて行動をとる決意を表明する。」ということでございます。

 これをどう解釈するかというのは、私が今、有権解釈をできる立場であるわけではありません。ただこれは、一つの警告的な意味合いというものがやはりここには含まれているというふうに思います。つまりは、強く非難をするだけではなくて、いわゆる国際法を遵守すること、安保理決議を遵守することを要求し、しかも制裁も、具体的な作業について、これは項目の増加がありますから、しっかりと指示をしてあって、さらに最後に今御指摘をいただいたような抑止につなげるための文章というものを入れたということで、私は、この間、抑止につながるということが大切なので、こういった文言を入れるべきだという主張をしてまいりましたし、そういう意味では、日本が主張してきた要素というものはかなりの程度取り入れられているというふうに考えております。

東(順)委員 それは、先ほどの大臣の御報告、この中でも大臣はおっしゃっていますよね。「不断の努力を重ねた結果として、我が国の考えが多く反映される形で、今回の議長声明の発出に至った」「この機会に改めて、北朝鮮に対し、この議長声明を重く受け止め、関連する国連安保理決議の即時かつ完全な履行を求める」云々、こうありますね。

 そこで、大臣、一生懸命引っ張ってきて今回の議長声明に至ったんだ、それに至るまでの日本の役割は大きかったということをおっしゃっておられますね。

 そこで、これからなんですよ。いつまた核実験というもの、その道に入るかもわからない、あるいはまたテポドンというものを、ミサイルというものをいつまた発射してくるかわからない、これからそういう危機状況がずっと続く。

 であるがゆえに、大臣が主導して、六者協議の中の五者協議を、五者会合というものをぜひ提唱して、今これを開くべき。そして、北朝鮮に対してさらなる警告、あるいは国連安保理決議の履行ということを強く迫る、そのリーダーシップをあなたがおとりになるべきだ、私はこう思いますよ、ここまで引っ張ってこられたというふうに自負されるならば。これはいかがですか。

玄葉国務大臣 ただいまの御意見は、東先生のアドバイスとして、御意見として受けとめたいというふうに思います。

 おっしゃるように、五者との連携がどれだけ緊密にできるかというのが重要なポイントになるだろうというふうに思います。

 今回、中国が最終的に、今回のこの議長声明の内容は国際社会の基本的な共通認識だとまで発表している。私は、その意味合いというのは小さくはないというふうに思っているんですね。

 ですから、これから、米国を初め五者で協調していきます、緊密な連携をとっていきますが、やはり中国が御存じのようにエネルギー支援をし、中朝貿易というのは実はこの十年で、日本と北朝鮮の貿易額は何とゼロになりましたが、中朝貿易はたしか七倍になっているんですね。そういうことからしても、やはり中国がどれだけ働きかけをするのかということが大きいわけで、そういう意味でも、日本単独で中国に対して働きかけをするというよりは、先般、G8でロシアもあわせてメッセージを出したことは、私は今回の安保理の議長声明につながっている部分があると思うんです。

 ですから、そういう意味では、今おっしゃっていただいたようなアドバイスを含めて、五者が緊密に、もっと言えば、四者が緊密になって中国とよく連携をとるということは、これはまた非常に大切なことであるというふうに考えます。

東(順)委員 この際ですから、我が国外務大臣が声を発して、アメリカに呼びかけ、ロシアに呼びかけ、そして中国までもしっかり呼びかけて、いかがですか、当然韓国、もう一番喫緊にこれは大変な、ある種いわば被害国なんですから、黄海に落ちているわけだから、ちょっと間違ったらという。だから、ぜひ外務大臣のリーダーシップで、五者協議を開きましょうと。そして、北朝鮮にこの国連安保理決議の履行というのをきちんとだめ押ししましょうというリーダーシップを発揮してくださいよ。いかがですか。

玄葉国務大臣 俗に日米韓の連携、日米韓の連携と、拉致の問題を初め、必ず常套句のように出てくるわけであります。でも、今大切なことは、おっしゃるとおり、日米韓中ロ、この五者の連携というのが北朝鮮の問題については非常に大切、特に抑止ということを考えたときにはより大切ということではないかということを踏まえて、私としても、何ができるかというのを考えていきたいというふうに思います。

東(順)委員 ぜひ汗をかいてほしいと思います。

 最後に、ちょっとこれは質疑通告に入っていなかったんですけれども、一つすごく気になることがある。外務大臣に伺いたい。

 アフガンのカブールなんですよ。これこそ日本の危機管理が今問われているもう一つの問題ですね。日本大使館にロケットが四発もぶち込まれたでしょう。これは、今回のミサイル事案の陰で大変なことが勃発したな、このカブールの邦人をどうするんだ。これ以上事態が進んで、まさに命の危険に今さらされているわけですから、万が一のときの邦人の救出、危機管理、どういうふうに今お考えですか。

玄葉国務大臣 これは、おとといの夜に外務省の中にも対策本部をつくりまして、私からすぐ、邦人保護について遺漏なきようにということで指示を出しました。その日のうちにと申し上げてもいいと思います。さっき来ましたけれども、今手元になかったんですが、まず、その日のうちに全員の邦人の無事は確認しました。ただ、次の日の朝、つまりはきのうの朝もまた銃撃戦があったというふうに報告を受けています。

 これはもう到底許されざるテロでありますけれども、今の御質問は、邦人をいざとなったときにどう保護するかということだというふうに思いますので、それはまさに遺漏なきように行っていかなければならない。今、御趣旨は、もしかしたら自衛隊法をどうするのかとかそういった御趣旨なのかもしれませんけれども、今まで日本の場合は、邦人救出というのはまさに一回あって、あとは準備行為だけたしか四回あったかと思いますけれども、一番大事な邦人救出、邦人保護に関しては外務省としても万全を期すように、何度も指示しているところでございます。

東(順)委員 これで終わりますけれども、防衛大臣、これまた本当に大変な話ですよ。いろいろな問題をはらんで、どうするかということなんですけれども、アフガン、ひとつここも、大変な事態に至る前に的確なスピードが要求されますので、ぜひ具体的対応を速やかに、知恵を絞って、今現在の我が国の憲法の中でできるぎりぎりのところは何なのかということをまずやらないといけない事案だと僕は思います。大変な惨事にならないように、大変心配しております。どうぞよろしくお願いします。

東委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今回の北朝鮮によるロケット発射は、二度の核実験の強行を踏まえて、弾道ミサイルだけでなく、その技術を利用した人工衛星であってもこれ以上の発射を行わないことを求めた国連安保理決議一八七四号に明確に違反するものであります。

 安保理は、昨日、今回の発射が安保理決議に対する重大な違反であることを明記し、弾道ミサイル技術を使用した発射、核実験、またいかなる挑発行為もこれ以上行わないことを求める議長声明を全会一致で採択しました。

 北朝鮮に対して、安保理決議を遵守し、二〇〇五年九月の六カ国協議の共同声明に立ち返ることを強く求めるとともに、外務大臣には、国際社会が一致して平和的解決を図るための外交努力を求めたいと思います。

 きょうは、ちょっと時間も限られていますので、今回の発射に対応して、防衛省・自衛隊がとった措置に絞って質問をいたします。

 三月三十日の弾道ミサイル等に対する破壊措置命令を受けて、沖縄本島、宮古島、さらに、これまで自衛隊が配備されたことのない石垣島や与那国島に、PAC3を初めとする自衛隊の部隊が展開をいたしました。数百名規模の部隊、大量の車両、ヘリが押し寄せ、戦時体制さながらの物々しい雰囲気に島は包まれました。

 防衛大臣に伺いますが、三月三十日付の官房長官のコメントでは、何らかの物体が我が国領域内に落下してくるケースは、通常は起こらない、政府としては万々が一に備え、自衛隊の部隊を展開させると述べております。

 通常は起こらないとしながら自衛隊を展開させたのはなぜですか。どういう事態を想定していたのか。まず、その点を説明していただきたいと思います。

田中国務大臣 今回の北朝鮮のいわゆる人工衛星と称するミサイルの発射につきましては、いわゆるIMOに対して予告をいたしたところでございます。

 それは、我が国の領土の上空を通過するような計画であったわけでございまして、我が国は、我が国の領域で落下したもので国民の生命財産を失われる、守るという責務が生じたところでございまして、ミサイル防衛システムを活用して、我が国に落下するという事態になりましたらそれを破壊するということで、今回の配備をしたところでございます。

 しかし、その後の、この地域の皆さん方との御相談で、やはりそういう事態の中にあって、いわゆるそういう被害が生じるということは、第一義的に自衛隊がやるわけでありますが、地域の皆さん方にも御協力いただき、どうしてもまだ対応しなければいけない場合には、災害対策の要請をいただきながら自衛隊は国民の安全を図っていく、こういうことで今回展開をしたところであります。

 先般、この事案が終了いたしました。速やかに撤収をしていくということで指示をいたしたところでございますので、この期間、大変皆さん方に御心配をおかけしたことは、政府としても、私の防衛省といたしましても、対応を完全にしていきたい、万全の態勢でいきたいということでございましたけれども、いろいろと反省をし、そしてまた検証して、正すべきところは正していければと思っているところでございます。

赤嶺委員 私はこの安保委員会に所属して、武力攻撃事態法だとか、予測事態とかおそれだとか、どんな場合に自衛隊がどんな行動をするかという事態の定義についてはさんざん議論してまいりました。

 万々が一の事態という定義は、実際の話、私は知りません。通常は起こらないとおっしゃっているわけですよ。万々が一だと言いながら、何でこれだけの部隊を展開させたのか、極めて不可解だと言わざるを得ません。

 具体的に聞いていきますが、八重山諸島では石垣島にPAC3部隊が、そして与那国島にいわゆる救援部隊が展開をいたしました。参議院の予算委員会で、飛翔経路の下にある多良間島になぜPAC3を展開させないのかという趣旨のやりとりがありました。PAC3が配備された石垣島から、東西で見ますと、飛翔経路の下にある多良間島は東側なんですね。与那国島は西側で、石垣島を挟んでそれぞれ反対側に位置しております。なぜ反対側にある与那国島に部隊を展開させる必要があったのですか。

田中国務大臣 お答えをいたします。

 この配備の件につきましては、我が国の領域を守っていく、こういうことでございますし、南西地域の対応もしてきたところでございます。

 現地で、先生もそういう御疑問があろうかと思いますが、この配備をするに当たって、PAC3を配備するというためにはそれなりの港湾がなくてはならないとか、いろいろな地理的な条件もございました。しかし、万全の態勢を組むために地域の御要請も伺い、私も直接、そしてまた政務三役も対応して、地域に応じた対応をさせていただいたというのが現状でございますので、私は、この配備については、地域の皆さん方とよく連携をとりながら配備をさせていただいたというふうに思っております。

 さらなる対応が、反省点があれば、地域の皆さん方の御意向もさらに今後聞いていきながら改善をしていきたいと思っております。

赤嶺委員 何を反省しているのか、さっぱりわかりませんけれども。

 PAC3の射程は数十キロメートルということです。そもそも、多良間島と石垣島は三十五キロメートルです。PAC3が配備された石垣市の新港地区から多良間島まではそれ以上の距離があります。石垣島になぜ展開させたのか、よくわかりません。そして、そういう石垣島にPAC3を展開させながら、飛翔経路の反対側、距離にして百十六キロも離れた与那国島に自衛隊を展開させた。これは、それ以上に説明がつきません。

 何で、飛翔経路の下にある多良間島からPAC3を撃っても届かないような石垣島にPAC3を配備し、さらにそのずっと遠くに自衛隊を配備した。自衛隊の運用というのはそんなものなんですか。どんなふうに説明するんですか。

田中国務大臣 南西地域の八重山地域におきまして、宮古島、多良間島、石垣島、与那国島の地域があるわけでありますが、ここの地域の皆さん方とも、多良間島の方には、私、沖縄に参りましたときにはお会いする機会がございませんでしたけれども、この三地域の皆さん方とも直接お目にかかり、そして、配備について、やはり安心のために理解をする、こういう状況でございましたので配備をさせていただいたということでございます。

 多良間島のことにつきましては、物理的に配備が難しいということでございますので、連絡員を五名派遣いたしましてその対応をしたところでございます。地域によって若干の対応は違いましたけれども、基本的には配備をさせていただく地域の方々の理解あるいは話し合いということを進めて対処したところでございますので、御理解をいただきたいと思います。

赤嶺委員 あれだけ、ロケットと称する弾道ミサイルが落ちてくるかもしれない、落ちてきたら、万々が一のためにPAC3で住民の生命と財産を守ると言いながら、飛翔経路の真下の多良間島よりも数十キロも離れた石垣島にPAC3を置いた。届かない。さらにそれよりも百十キロ、ずっと向こうの与那国島に自衛隊を置いた。何の意味があるか。

 地元からの要請だとおっしゃっていましたけれども、結局、与那国島も石垣島も、政府が、防衛大綱、中期防に沿って自衛隊の配備を計画している地域であります。北朝鮮のミサイル発射に備える、こんなことを言いながら、実際には、大綱、中期防の自衛隊配備の地ならしを狙ったものと言わざるを得ないと思います。

 私は、軍事的な合理性という立場はとらないんですが、そういう立場からいっても非常に不自然な自衛隊の配備でありました。

 次に、弾道ミサイル防衛で住民の生活を守れるのかという問題であります。

 渡辺副大臣に伺いますが、沖縄に展開した部隊を視察した際に、PAC3について、命中率は八割を超えると述べ、そして報道もされております。これはどういう根拠に基づくものですか。防衛省としての公式な見解なんですか。

渡辺副大臣 PAC3の命中率について、防衛省で正確にこれぐらいというものを出したことはございませんが、ある専門家が書かれた本の中に、かつてPAC3の命中精度について日米の防衛産業がアメリカの国防総省の委託を受けて調べた結果、大体、失敗率が一五%ぐらいであったということがございましたので、私はそれをもとに、たまたま記者さんからの質問の中に、大体どれぐらいかと言うから、これはある専門家の書いた本によれば、その引用をしながら、かつて八割以上であったというようなことを私はぶら下がりの場で申し上げたわけでございまして、これはあくまでそのような本の中で私が知ったことでして、防衛省として、命中率がこのぐらいといって数値化しているわけではございません。

赤嶺委員 現場で八割とおっしゃるものですから、しかも防衛に詳しい渡辺副大臣という報道もされているものですから、防衛省の公式の見解かと思いましたけれども、そうではないということなんですね。

渡辺副大臣 防衛省で、命中率何割ということを正式な数値として出したことはないということでございます。

赤嶺委員 そのPAC3、八割という専門家の書いた本というのも、私、ちょっと知らないんですが、これはSM3のこととは違いますか。どうなんですか。

渡辺副大臣 SM3は、このミサイルについては、御存じのとおり、ハワイで日本のイージス艦も参加してミサイル発射の実験をして、四発中三発当たったというようなことは委員も御存じかと思いますけれども、それとはまた違う話で、私自身が入手した話でございます。ですから、SM3とは違います。

赤嶺委員 PAC3の迎撃率、これはどの程度と考えていらっしゃるんですか。(渡辺副大臣「SM3ですか」と呼ぶ)いやいや、今のはまたPAC3の迎撃率です。

渡辺副大臣 先ほどからのお尋ねでございますけれども、いわゆるPAC3でどれぐらいで撃ち落とせるかといえば、私が一つ根拠として申し上げたことを言えば、これは防衛省の公式な見解ではありませんけれども、八割以上ということをあるところで書かれていたので、それをもとに話したわけでございます。実際に、本当にそうかということは、もう少し直近のデータを、ニューメキシコ州あたりで実験をやっているようなデータを集めて、もう少ししたらまた別の機会に、もし何か必要であれば、どこかでお答えをさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 あれだけ沖縄じゅうを緊張させて、一千人以上の自衛隊員を送って、車両も物すごい数を送って、そして、Jアラートでは、テストのときに、沖縄が攻撃をされる区域だというようなことまで消防庁が流したわけですよ、防衛省じゃないですが。沖縄は攻撃されるぞというようなことで恐怖のどん底に陥れて、防衛副大臣が、防衛省の正式な見解ではなくて、自分が読んだ本で、ああいう場所で八割だからと言う。やはり、こんな程度でああいうことを展開していたのか、極めて不見識だというようなことを私は指摘しておきたいと思います。

 ちょっと時間がありませんけれども、過剰な対応という点でもう一つ。

 宮古島では、基地内の連絡のためとして信号弾を打ち上げました。高台にある基地で信号弾を打ち上げれば、住民が不安に思うのは当然です。こういう手段をとることについて、自衛隊は住民に事前の説明を行っていたんですか。

田中国務大臣 結論から言いますと、しておらなかったということで、大変不注意があったと思います。隊長の判断で行ったということでございまして、そのことにつきましては、統幕長と話をして、自衛隊では、そういう地域と関係のあることにつきましては地域地域の判断だ、こういうことになっておりますが、そういうことにはならないように今後気をつけることを私は指示いたしたところでございます。

赤嶺委員 アメリカの衛星情報の扱い方について、きょういろいろな議論がありました。いろいろな議論があるとはいえ、一つ、情報の発信はどこからやるというのは決められていたわけですよね。そのルールを現地の自衛隊がこれまた破るような行動をする、これも許されない話であります。

 やはり今回、本当に県民の生命財産を守るという立場からの自衛隊配備ではなくて、沖縄、南西諸島への自衛隊配備の地ならしのための訓練を皆さん方がやったと思わざるを得ないことを強く指摘しまして、質問を終わります。

東委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 冒頭、先週来、風邪にやられて、声が春のウグイスのようなきれいな声になっておりますが、お許しをいただきたいと思います。

 防衛大臣にお尋ねします。

 去る四月十一日、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレーが、アフリカ西部、モロッコで実施されていたモロッコ軍との合同演習中に墜落し、海兵隊員二人が死亡、二人が重傷を負う重大事故が発生しました。この事故が報道されるや、墜落したオスプレーと同型機がことし九月にも配備予定の普天間基地周辺住民を初め、配備に伴い訓練展開が予定されている名護市などの基地所在市町村住民らの間で不安や怒りが高まっております。

 防衛大臣は、モロッコにおけるオスプレー墜落事故を受け、普天間基地への配備に反対する沖縄県民の声が一層高まっているとの認識はお持ちでしょうか。

田中国務大臣 お答えをいたします。

 先生の御指摘のように、沖縄県そしてまた関係地域の皆さん方の御心配があるということは認識をいたしております。

 モロッコにおける事故につきましては、事務方から報告を受けたところであります。米国におきましては、事故調査委員会を立ち上げて調査をするということでございますが、配備の時期的な問題についてはさらに確認をしていかなければいけないと思います。

 昨日ですか、ルース大使の訪問を受けました。同行しているラボイ国防次官補代行に直接このオスプレーの事故の件につきまして指摘をいたしまして、アメリカからできるだけ早くこの事故の状況について我が国に情報を提供してもらいたいということで、強く私からも要請をしたところでございます。

 地元の皆さん方に大変御心配をかけておるということでありますので、私も、さらに、事故の原因というもの、そしてまた安全性というものに問題があったのかどうか、あるいはその他の条件で事故が起こったのか、その辺は早く解明をしていきたいと思っておるところでございます。

照屋委員 防衛大臣、MVオスプレーは、開発段階から安全性が疑問視されて、未亡人製造機などとやゆされる欠陥機であります。今回は、実戦配備された中にあっての訓練中の事故、しかも死傷者が出ております。

 この墜落事故を契機として、危険なオスプレー配備を中止、撤回するようアメリカに要求すべきだと思いますが、大臣の所信をお聞かせください。

田中国務大臣 中止、撤回するという段階に至っているわけではございません。当然、機動隊におきまして、MV21オスプレーという配備は大変重要な要素であると聞いております。

 したがいまして、事故率が今までの中でも数字的には低いんだというような報告を受けている中でのこの事故でありますから、そういう面では、こういう事故が起こったことによって、事故率が低いということは言えないわけでございますので、私は、その辺は至急に原因を、やってまいりたいと思います。

 東委員長もオスプレーには乗られたようでありますが、このオスプレーに試乗された方々から聞くと、特にこの機種が非常に危険だという印象はなかったということでありますが、防衛省といたしましても、この事故を受けて、最大限の努力をして皆さん方に御説明できればと思っています。

照屋委員 大臣、私は、単に言われるようなオスプレーが欠陥機だから配備をするなというだけにとどまらず、配備予定の普天間飛行場そのものが欠陥飛行場なんだ、世界一危険だと言われる飛行場なんだと。だからこそ、宜野湾市民もあるいは沖縄県民もこぞって反対をしている。

 そして、大臣おっしゃったように、この配備の段階になって、開発段階を超えて配備の段階で重大事故が起こったということを日本政府としても防衛省としてもぜひ注視をして、アメリカに配備中止を求めるぐらいの気持ちがないといけないと私は思います。

 それで、大臣、先ほどいろいろおっしゃっておりましたが、この事故直後、大臣が、事実関係を安全性という問題を含めて確認作業に入っているという趣旨の記者会見をなさっております。具体的に、防衛省のどの機関が、アメリカ側のどの機関に対して、いつ、どのような事実について確認を求めたのか、それに対するアメリカ側の回答はどうなっているんでしょうか。

神風大臣政務官 事実関係でありますので、私の方からお答えをさせていただきます。

 具体的に申し上げますと、四月十一日、これは米国時間になりますが、夕刻以降、在米日本国大使館より米海兵隊司令部及び国防省国防長官府に対し、事故の事実関係等に関して情報提供を要請したところであります。

 続きまして、四月の十三日、これも米国時間でありますが、防衛省防衛政策局日米課長より国防省国防長官府北東アジア部長に対し、事故の事実関係及び安全性について照会を行っているところでありまして、これについては、米側より日本政府に対して、できる限りの情報提供をしたい旨の回答があったところでございます。

 現時点では、米側からは、事故の原因は特定できていないが、原因等が判明次第、できる限りの情報提供をしたいという回答を得ているところでございます。

照屋委員 防衛大臣、私も、今回の北朝鮮による人工衛星と称するミサイル発射は、これは累次の国連安保理決議に反する許しがたいものであると思います。

 ところで、今回の北朝鮮による衛星ミサイル発射に関連し、防衛省出身で二〇〇四年から二〇〇九年まで安全保障・危機管理担当の官房副長官補を務めた柳沢協二氏が、四月九日付沖縄タイムスで、同紙の取材に対し、PAC3の沖縄配備に軍事的な意味はない、部隊展開の訓練と先島進出に向けた地ならしが目的だと明言をしております。

 大臣は、柳沢氏の見解にどういう所見をお持ちでしょうか。

田中国務大臣 先ほども、この自衛隊の配備の意味合いということにつきまして地ならしではないかという御指摘も、先生そしてまたほかの先生からもありましたけれども、私といたしましては、まずこの北朝鮮の事案について万全を期すということで、この期間内に配備をし、そしてまた速やかに撤収をするということでございますので、まずは国民の生命と財産を守るという大きな使命を持って自衛隊は活動をしてくれたんだと思っています。

 これから当然、政策的にもあるいはこれからの防衛問題につきましても、当然我が国を守っていく。あるいは、動的防衛力の中にも南西諸島の防衛力の問題も出てくるわけでありますが、総合的に今後やっていくことでありまして、これをもって地ならしをしていくというようなことは一切私は考えて命令をしたことではございません。

 これからの防衛力について、また御議論の中でもいろいろと御指摘をいただきながら、そして対策を推進していくということに尽きると思っております。

照屋委員 大臣、大臣と質疑応答をしていると、質問をしている私も限りなく徒労感に襲われるんですよ。先ほどの共産党の赤嶺議員との質疑を聞いておりますと、正直、これは一体何だと思いますよ。もっときちんと答えてくださいよ。

 私が聞いているのは、少なくとも、防衛省の出身で、しかも政府の安全保障・危機管理担当の副長官補をやった人が、PAC3の沖縄配備は軍事的な意味はないと。だから、軍事的な意味に限ってどうなんだということを言ってくださいよ。

田中国務大臣 御指摘の内容につきまして、しっかり読ませていただきまして、見解をすぐに申し上げたいと思います。

照屋委員 急にそんな答弁作戦変更をされると、これはまともな答弁どころか、どうしようもないので、やめます。

 私が一点だけ聞きたいのは、田中大臣、ちょっと聞いてください。今回の北朝鮮による衛星ミサイル発射の予想軌道がありましたね。マスコミ報道がありましたよ。PAC3が配備をされた沖縄本島や宮古島、石垣島というのは、どれぐらい離れておるんですか。

田中国務大臣 沖縄本島は予想飛翔経路から約四百キロメーター以内、宮古島は予想飛翔経路から約百五十キロ以内、石垣島は、飛翔経路によっては飛翔経路の下に位置するという状況でございます。

照屋委員 大臣、PAC3の射程距離は半径何キロですか。

田中国務大臣 半径数十キロでございます。

照屋委員 半径数十キロというのは具体的には何キロですか。数十キロというのは余りにも幅が広い。

田中国務大臣 東京の二十三区よりちょっと広いという状況でしょうか。

照屋委員 委員長、これではまともな質問はできませんよ。半径数十キロを、具体的に半径を示してくれと言ったら、東京二十三区よりもう少し。これで本当に、自衛隊のトップとして我が国の安全保障、危機管理を任せられますか。ちゃんと答えてくださいよ。聞いている方が限りない徒労感、悲しみに打ちひしがれますよ。

渡辺副大臣 ミサイルの射程距離とか命中率というのはなかなか防衛機密にかかわる部分もございますので、これも私の知っている限りのいろいろな資料を見ますと、大体数十キロ、十五キロから二十五キロぐらいというふうに専門家は書いている方もいらっしゃいます。

照屋委員 PAC3の射程距離が半径約二十キロというのは、ど素人の僕でもわかりますよ。私は本当にしっかりしてもらいたいと思いますね。

 北朝鮮からの予想軌道は判明している。では、半径約二十キロのPAC3を、四百キロ離れた沖縄本島に、あるいは宮古、石垣に、与那国になぜ部隊を配備したのか、展開したのか、これが聞きたい。これをただしたいのに、こんなことでは議論になりませんよ。

 それで、もうこれ以上聞いてもしようがないのであきらめますが、私は、こんな状態では、ミサイルからの危機管理以前に、我が国の大事な安全保障、防衛政策の根本的な危機管理が問われているなと思わざるを得ません。残念ですが、質問自体をやめます。

 玄葉大臣に一点だけ聞きます。

 先日来、連立与党の国民新党の下地幹事長から日米地位協定の抜本改正に向けた協議機関設置が提起されておりますが、玄葉大臣は、日米合同委員会の枠組みのほかに新たな協議機関をつくる必要があるとお考えでしょうか。先日も予算委員会で聞きましたが、私は、日米地位協定は抜本的、全面的に改正すべきだという考えです。今、沖縄では、新たな協議機関新設が調整段階に入ったという報道もあって、一体どうなっているんだという声が大きいんですが、真実をお教えください。

玄葉国務大臣 これは照屋先生に以前お答えをしたとおり、もともと日米地位協定の相互の協議を日米合同委員会で行うというふうにしているわけでありますので、日米合同委員会で日米地位協定の議論は行われるというふうに考えていただいて結構です。

 下地議員の御提案は一つの検討課題だというふうに考えております。

照屋委員 最後に、玄葉大臣と田中大臣にお願いを申し上げますが、来る十九日と二十日に、第三次嘉手納爆音訴訟の原告住民、普天間爆音の原告住民らを初め、訴訟団が上京して、爆音源を解消してほしい、地位協定の抜本改正を求めてほしいという住民の声を届けにやってまいります。私はぜひ、爆音下で苦しんでいる住民の声をできるだけ両大臣が、そして両大臣の日程がかなわないのであれば、せめて副大臣が対応して聞いてほしいと思いますが、両大臣、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 騒音に関する問題、これは大変深刻な問題でありますので、いらっしゃる方々の御意見は貴重であるというふうに思っています。

 今のお話につきましては、私は残念ながら日程の都合上お会いすることが難しいので、現在、政務二役がお会いする方向で調整をしているところでありまして、当日対応する政務二役からしっかりと報告を受けたいというふうに考えております。いただいている日程も、私、先ほども改めて第一希望から第三希望まで見ているんですけれども、なかなか難しそうな日程なものですから、政務二役の方で対応させていただきたいと思っています。

田中国務大臣 私は東京におりますので、できるだけ努力をして、お目にかかれればと思っています。時間的な制約がありますが、努力していきたいと思います。

照屋委員 終わります。

東委員長 次に、渡辺義彦君。

渡辺(義)委員 新党きづなの渡辺義彦であります。

 質問時間をいただきましたことを感謝申し上げます。

 我が国の国民の安全のために、緊迫した中で任務を御遂行されました現場の自衛官の皆様には、その労をねぎらうものでございます。

 その緊迫した中で、私は、護衛艦「あさゆき」への中国機接近についての御質問をさせていただきます。

 四月十三日付の産経新聞によりますと、護衛艦「あさゆき」に高さ、水平距離とも五十メートルぐらいまで中国海洋局の多用途機Y12が近づいている写真が写っております。しかも、二回旋回をしたようでございます。このような中国機の挑発行為に対して、どのような対処をしたのか。例えば、接近しないように呼びかけたのであるとか、護衛機はいたのであるかとか、スクランブルの要請でもしたのかとか、どういう対処をされたかということと、現況についてお教えをいただけたらと思います。

下条大臣政務官 お答えさせていただきます。

 まず最初に、自衛隊に対する労に対してお気持ちをいただきまして、まずは自衛隊にかわりまして感謝を申し上げたいというふうに思っております。

 まず、先生おっしゃったように、事実関係については、十二日の十二時九分に、「あさゆき」に対して、水平約五十メーター、垂直五十メーターの接近をして、周回二回したというのはそのままでございます。

 そのときに、その現場の対応については、中国機に対して護衛艦の方から声かけをしましたけれども、向こうは反応していなかった、何の反応もなかったということでございます。

 その後については、中国政府に申し入れを外務省の方からさせていただいております。危険であるので、二度とこういうことが起こらないようにという申し入れをしたと私どもは聞いております。

 以上であります。

渡辺(義)委員 未確認のといいますか、同盟国でも友好国でもない国の飛行機が我が国の艦艇といいますか護衛艦というか軍艦というかに接近してきたときの交戦規定というのはどのようになっておりますか。

下条大臣政務官 規定については、民間航空機については一応規定百五十メートル以上等々ございますが、また、日本の航空法においては、水上の物から百五十メートル以上の距離を保つ必要があるということであります。なお、国際法においては、一般的な軍用航空機の高度を規制して、また、他国艦艇への近接を規制する規則はないということであります。

 以上であります。

渡辺(義)委員 ミサイル発射予告で緊張した状況にかかわらず、中国機はこういった挑発行為をしてきたわけであります。中国と北朝鮮というのは、中朝友好協力相互援助条約というものを結んでおられる。同盟関係であるようなものでありますけれども、そういった場合、我が国の艦船に攻撃を仕掛けてこないとは限らないわけでありますね。「あさゆき」は中国機に対して、呼びかけはした云々ということでありますが、交戦態勢や攻撃態勢というようなものはとったんですか。

下条大臣政務官 先生の御質問でございますが、そのときの状態としては、いろいろ防衛的な問題もございますので、明細は申し上げられないと思いますが、ただ、先ほど先生おっしゃったように、現場ではY12と、一般のセスナという認識があったというふうには了解しております。

 以上であります。

渡辺(義)委員 中国は、こういう東シナ海といいますか、南シナ海の方でも、フィリピンと今にらみ合いを続けておられたりとか、我が国においても、海洋調査船が尖閣諸島付近の排他的経済水域に不法に侵入してきたりとか、我が国が測量調査をするときには、即刻中止せよとか、そういう抗議もいろいろとしておるわけであります。

 南シナ海、東シナ海においてもこういった緊迫状態がずっと続き、また、アメリカのシンクタンク、英国のシンクタンクでも、いつか、軍事衝突が近づいているんじゃないかというような、また、中国紙も昨年の秋にそういう可能性を示唆しておるようでありますけれども、防衛省としてはどのように今お考えになっておられますか。

渡辺副大臣 これはもう委員御指摘のとおりでございまして、例えばスプラトリー諸島をめぐるフィリピンあるいはベトナム、中国のいろいろな権益争い、これは我が国の近海でもそうでございますけれども、こういう偶発的あるいは突発的な衝突が起こらないようにするためには、さまざまなメカニズムの構築が必要だと思います。

 ただし、今回の近接事案というのは、これは平成二十二年、二十三年と何度も複数起きておりまして、その意図については、我が国に対しては正直よくわからないんですけれども、ただ、日本の艦船がどのような反応をするかということについて、やはり周回をしながら事例を集めているのかなと思います。

 我々として、では、向こうがこういうことをしてきたらこういうことをするぞというような、どういう対応をしてくるのかということを、もしかしたらこれはデータを集めているのかなとも推察できるわけでありますが、ただ、本当にこれだけ近接すると、何どき接触を起こして不測の事態が起きかねない。万が一そういうことがないように、外交ルートもそうでありますけれども、防衛当局同士の海上メカニズムを構築するということがやはり急がれると思います。

 いろいろ、海洋利権をめぐる中国のさまざまな意図のもとで、活動は活発化してきているんだろう、そのように我々としては考えておるところでございます。

渡辺(義)委員 何度も繰り返されていたら、日常的になって、つい油断も出てくるかもしれませんので、その辺はしっかりと監視体制を整えていただきたい、そう思っております。

 そこで、このことに対して、中国の報道局参事官は、国際的な規則を守って飛行している、中国の海域を飛行していて、正常な飛行活動であったと。抗議を入れたときにそのように反論をしておられるわけでありますけれども、その反論に対して、外務省としましてはどういった抗議なり対処をされたのかというところに関して、外務大臣からお聞かせいただけたらと思います。「あさゆき」の件でございます。

玄葉国務大臣 これは結論から申し上げれば、今回の事案というのは、いわゆる安全航行を妨げているということでの抗議、申し入れなんですね。いわゆる国際法上、国連海洋法上は、どこの国であってもEEZ、排他的経済水域の上空を飛ぶことは基本的には可能なわけです。ただ、今回の場合は、御指摘のように安全航行を妨げるということであったので、我々として、そういった申し入れを外交ルートを通じて行っているということでございます。

 中国側からは、事実関係を確認する、申し入れについては内部で報告する旨の反応があったということでございます。

 それ以上のやりとりは、外交上のやりとりなので控えたいというふうに思います。

渡辺(義)委員 質疑時間が終了いたしましたので、最後に、北朝鮮に対しまして、政府には制裁の強化、また玄葉大臣には、国連を初めとする国際社会に強く訴えていただきたい。また、クリントン国務長官とも意見交換をされたと聞いております。ぜひとも、テロ支援国家の再指定と金融制裁の復活、そのようなことも私は望みまして、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十四分散会


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