衆議院

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第4号 平成26年4月1日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月一日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 江渡 聡徳君

   理事 今津  寛君 理事 左藤  章君

   理事 薗浦健太郎君 理事 中山 泰秀君

   理事 武藤 容治君 理事 長島 昭久君

   理事 中丸  啓君 理事 遠山 清彦君

      岩屋  毅君    大野敬太郎君

      勝沼 栄明君    門山 宏哲君

      木原  稔君    笹川 博義君

      東郷 哲也君    中谷 真一君

      野中  厚君    浜田 靖一君

      武藤 貴也君    若宮 健嗣君

      中川 正春君    渡辺  周君

      今村 洋史君    宮沢 隆仁君

      伊佐 進一君    三谷 英弘君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         小野寺五典君

   防衛副大臣        武田 良太君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   防衛大臣政務官      木原  稔君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤山 雄治君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       長田  太君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     安藤 友裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 新美  潤君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 金杉 憲治君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           磯谷 桂介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         大脇  崇君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    岸本 邦夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 康裕君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  豊田  硬君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  玉城デニー君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  村上 史好君     玉城デニー君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(国家安全保障戦略、平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画)


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     ――――◇―――――

江渡委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に国家安全保障戦略、平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣審議官藤山雄治君、内閣官房総合海洋政策本部事務局長長田太君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長安藤友裕君、外務省大臣官房審議官新美潤君、外務省大臣官房審議官金杉憲治君、外務省北米局長冨田浩司君、文部科学省大臣官房審議官磯谷桂介君、国土交通省大臣官房技術参事官大脇崇君、海上保安庁次長岸本邦夫君、防衛省大臣官房長黒江哲郎君、防衛省大臣官房衛生監鈴木康裕君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省運用企画局長中島明彦君及び防衛省人事教育局長豊田硬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江渡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江渡委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山泰秀君。

中山(泰)委員 おはようございます。自由民主党の中山泰秀でございます。

 本日は、衆議院の安全保障委員会で、戦略を主に中心に、外務大臣、そして防衛大臣含め政府参考人の皆様方に御質問申し上げたい、かように考えてございます。

 昨日でしょうか、北朝鮮が国境付近、韓国へ向けてミサイル、大砲のようなものを五百発以上連発したということであります。非常に緊張感が朝鮮半島では高まっているという中で、北朝鮮がアメリカ西海岸に向けてミサイルを撃って、ロサンゼルスで多数の死傷者が出るという事態が起こっているという情報が先ほど入ってきた。こういった緊迫する世界情勢というものがもしこの委員会の最中に起きたとしたら、きょうはエープリルフールですからね、私は、逆にそういった事態にならないようにしなきゃいけないというふうに思うんです。

 今、私がこうやって緊張感のある、バーチャルではございますけれども、仮想の話を申し上げたら、両大臣のお顔に緊張感が走った。そして、後ろを振り向いて、秘書官は、そんな話は聞いていないぞという表情をなされた。けれども、私が、きょうは消費税が上がる日だけではなくてエープリルフールだと言った途端に、急に今までのネガティブな表情からプラスのほほ笑みに変わった。

 やはり、私たち世界の国に必要なのは、平和、そして安定した外交。同時に、そのためには、武力の武というのは、毎度申し上げますけれども、漢字の講釈で恐縮ですが、戈を止めると書いて武力の武、みずからそして相手の戈に血塗らずしてしっかりと戈を制止するという武力の精神にのっとって、軍事を抜いた政治は楽器を抜いた音楽だと申しますけれども、地球を俯瞰する、総理御自身もおっしゃっているような、しっかりとした戦略というものを持っていくべきだというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。

 私、一番最初にお伺いをしたいものが、実は、アメリカのQDRに関しましても過日、米国から発表があったというふうに聞いておりますが、これは、日米安全保障戦略上の我々の防衛大綱、中期防、それから米国のQDR、やはり日米安全保障という二国間で、特に太平洋を中心にし、緊張のある北東アジアそして南西アジアに対する責任を私たちは持っている、そしてまたアフリカ、まさしく、言っていったら、本当に地球全体に対する責任があると思います。この米国が先日発表なさったQDRとのマッチングといいますか、フィッティングというんでしょうか、そういった折り合いというのはどのようにお考えになられているか、お聞かせいただけたらと思います。

小野寺国務大臣 初め、どきっといたしました。かの国にエープリルフールがあるかどうかはわかりませんが、日本としては、さまざまなことについてしっかり対応していきたいと思っております。

 米国防省が先日発表しました四年ごとの国防計画の見直し、いわゆるQDRですが、二〇一二年の国防戦略指針に示されたアジア太平洋地域へのリバランス等を具体化し、同地域の同盟国等との関係を強化するとしております。我が国との関係では、同盟関係の強化、我が国における海軍プレゼンスの向上等に言及していると承知をしております。

 一方、日本としても、昨年十二月に策定しました国家安全保障戦略及び防衛大綱におきましても、日米安全保障体制を中核とする日米同盟が、我が国の平和と安全及びアジア太平洋地域の平和と安定に不可欠な役割を果たしているという認識をしております。

 今後、米国のQDRのもと、我が方としましても防衛大綱が策定されましたので、この分野のさまざまな議論を進め、今後の日米ガイドラインの策定にも資していきたいと思っております。

 なお、今月六日でありますが、米国防長官との会談も予定をされておりますので、その際にも、委員が御指摘されたように、日米の間でQDRそして防衛大綱のさまざまな意見交換をしっかりしていきたいと思っております。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 日米関係というのは、世界がうらやむぐらい、夫婦のような相円満な関係であるというふうに思いますし、相円満の中には、夫婦でも一つの屋根の下には二つの正義があると申します。夫の正義と妻の正義。この折り合いをどうやってつけていくかというのは、まさしく日米の二国間の外交も同じような関係を保つのが大事かなと思います。離縁をしてしまうというのが一番悲しいわけであります。

 来年は、広島、長崎への原子爆弾投下以来七十周年という、ある意味非常に痛ましいアニーバーサリーを迎えるわけでございますけれども、そういった敵対関係から今日のような関係を築き上げていけるということ、このことこそが逆に、私は、世界がうらやむ二国間関係という御指摘そしてまた敬意を表されるところにもつながるのではないかなと思います。

 そんな中、私がおぎゃあと生まれたのは一九七〇年、昭和四十五年の十月十四日、誕生日まで言う必要はないんですけれども。ちょうど大阪万博というので月の石に列ができた、そんなときでございました。

 昭和二十年から最初の十五年は戦争反省、わだつみの時代、昭和三十五年から次の十五年は上を向いて歩こうの時代、高度成長期、次の十五年、ちょうど昭和天皇が御崩御なさってバブルが崩壊したその間の十五年というのが、伝統、文化見直しの時代というふうに山本七平さんはおっしゃっておられました。

 では、その先、平成になって、日本はどういう方向を向いて歩き始めるのかということに対して山本さんは、日本はその先、国の進み行くべき方向を見失うだろうという予言をされたまま天に召されてしまいました。私は、山本先生を非常に尊敬しておりまして、同時に、幼少期、私のおやじの後援会に来てくださったとき、子供でしたけれども、握手をして、ああ、この人がイザヤ・ベンダサンかと思った、そんなこともございました。

 要は何を申し上げたいかというと、二十世紀の遺物をポジティブな意味で二十一世紀に継承していくならいいと思うんですけれども、二十世紀の負の遺産を、残念ながら私たちは二十一世紀になっても継承しているという事実がある。それが、先ほど冒頭に申し上げた北朝鮮問題、朝鮮半島の問題であります。

 あそこは生きたシーラカンスのような半島でありまして、それこそヤルタ会談のときに、チャーチルとルーズベルトとスターリンがその会談の中で、三十八度線以北はソビエトに武装解除し、そして三十八度線以南をアメリカに武装解除するという決定が二十世紀にされたまま、今でも変わらないということ。

 そして、国連の決議を見ていましたら、朝鮮半島には韓国しかないということが書いてあること。そしてまた同時に、北朝鮮と日本はいまだに国交正常化がされていない。特に、私は拉致特の筆頭もやっておりますので、拉致問題が解決しないという中で、日朝国交正常化交渉というのは非常に難しいということ、それも御指摘をしなければなりません。

 他方、ヨーロッパに目を向けますと、先日以来、ウクライナ情勢というものを私ども非常に、プーチン大統領という、世界の各国の首脳を見回しても、元スパイ、元KGBの人が国家のトップを占めているというのはあの国ぐらいじゃないかなと。リトビネンコの事件はどうだったのか、アンナ・ポリトコフスカヤが暗殺された事件はどうだったのか。

 こういったことを見ていましたら、私は、初当選させていただいた十一年前、一期目を終わって二期目にちょうどかわるときに、私の所属している派閥で、元総理などがひな壇に座っているところでこういう発言をしたんです。先輩方、解散の前に一言申し上げたいことがあります、それは、今、日本は正直、平和ぼけしている、国会議員も官僚もみんな、まさかの事態は起こらないだろうと思っていると。

 ソビエトはペレストロイカで民主化して、ベルリンの壁の崩壊によって東西ドイツが統一をして、あのとき私は学生でしたけれども、本屋さんに行ったら、平積みされている本の題名は大体、もうこれからは右でもない左でもない、中道主義だみたいな本がベストセラーになって平積みされていた時代でした。

 けれども、私は信じなかった。何を信じなかったか。ソビエトはロシアになってもソビエトだろうという疑いを捨てませんでした。そして、アメリカと一緒に、冷戦構造の中で、私たちは西側諸国として、しっかりと自由と民主主義そして繁栄の弧というものを、ちゃんと太平洋シーレーン防衛も含めて守らなければいけないという使命を日本という民主主義国家は帯びているんだということをかねてから思っていました。

 そんな中、今回のウクライナ情勢を見ていましたら、二十世紀の米ソ冷戦構造時代へ、時計の針がまるで逆戻しされているように私には見えるんです。冷戦構造はなくなった、元総理までが私に、おまえは何だ、新しい政治家で新しい人間なくせに古いことを言いやがって、もう冷戦構造は終わったんだとおっしゃられた。私はそれを忘れません。そのときに私は思ったんです。平和ぼけしている社会や、平和ぼけした日本の一部の政治家に対し、生意気ながら、この人たちではこの国は守れないと若いころ思った。

 国民を含めて、いかように、逆にいい意味での適度な緊張感を常に持って、そして国を守る意識を高めていくことができるとお考えか、お伺いしたいと思います。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しておりまして、大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威は深刻度を増しているところでございます。また、サイバー攻撃のような国境を越える新しい脅威も増大をしておりまして、このような状況のもとでは、脅威は容易に国境を越えてまいります。もはや、どの国も一国のみでは自国の平和と安全を守ることはできません。自国の平和と安全を守るためには、国際社会と協力して、地域や世界の平和を確保していくことが不可欠でございます。

 このような国家安全保障政策を中長期的観点から支えるためには、国民一人一人が、地域や世界の平和と安定及び人類の福祉の向上に寄与することを願いつつ、国家安全保障を身近な問題として捉え、その重要性や複雑性を深く認識することが不可欠でございます。

 国家安全保障戦略においても言及しているこのような問題意識を踏まえまして、適切な教育や広報が行われるよう、政府一体となって具体的な施策を推進していきたいと思っております。

中山(泰)委員 非常にいい答弁だと思います。

 同時に、改革、改革というと、すぐ永田町では霞が関バッシングばかりやるんです。けれども、私たちが税金を払ってお雇いしている公務員であって、そして同時に、日本の国を政治家と一緒になって、知恵袋で、お互いのいいところを寄せ集めてチーム日本で頑張らなきゃいけない中で、今の役所からの答弁というのを私たち政治家も生かしながら、お互いが相乗効果でプラスになれるような形というものをしっかりとつくり上げていくべきだというふうに思います。

 今おっしゃっていただいたこと、私ども政治家とチームとして相談をしながら、効果的に対外的な発信というのをやっていけたらなというふうに思いますので、ぜひそういった意味で御期待を申し上げたいというふうに思います。

 それから、ここにも予備自衛官の勝沼さん、それから元自衛官の中谷さん、自民党というのは自衛党じゃないかと思うぐらい、志高い、宣誓をして、自分の命をみずから張って、そして国を守ろうと思う人たちがたくさんいる。特に、東日本大震災で一番信用と信頼を失ったのは、もしかしたら政治家かもわからない、官僚かもわからない。けれども、一番信用を得たのは自衛官だということを国民は知っている。

 そして同時に、被災地で全てを失われた小野寺防衛大臣は、それを痛感していらっしゃるから、外務副大臣から外務大臣になるのかなと思ったら防衛大臣になって、逆に僕はその意味を総理は理解しておられたんじゃないかというふうに思います。

 その中で、通告では二つに分けていますけれども一つで御答弁いただきたいと思うんですが、第一線で国を守る自衛官に対する感謝の気持ちがあるのならということで、この間官舎の値上げを、一生懸命できるだけブレーキを踏もうという官舎には感謝で応える。自衛官に対する処遇を向上させる必要性があると考えるが、どのような方針をお考えか。要するに処遇向上です。

 もう一つ、だけど給与が大変なんだと。日本の台所も大変だという中で、給与が仮に上がらないとしたら、人々の心を満たせるのはやはり福利厚生というのも非常に大事だと思いますし、ついこの間までは、記章は一つだけが官給品、けれども、それ以外の、自衛官が胸につけているバッジは全部公費ではなかったんです。自費で買わなきゃいけない。あのベレー帽も自費なんですよね。こういったことを自衛官に負担をかけていいのかということも含めて、福利厚生を充実させる必要性を感じるがいかがでしょうかという御質問をしたいと思います。

豊田政府参考人 先生から御指摘ございましたように、宿舎につきましては、自衛隊の任務遂行を支える重要な基盤であるということで、即応態勢を確保するため、無料宿舎を大幅に増加することをお認めいただきました。

 なお、この問題につきましては、中山委員におかれましても、先頭に立って木更津、練馬の宿舎を御視察いただきまして、隊員や家族の皆様と懇談していただいたり、実情の把握にお努めいただいたところでございます。御尽力いただいたことに心より感謝を申し上げます。

 福利厚生施設についてでございますけれども、御指摘のとおり、隊員が安んじて任務を全うするためには、隊員本人に限らず家族の皆様に対しても支援が必要だというふうに考えておりまして、私ども、庁内託児施設の整備や緊急時の登庁支援といった施策を推進させていただいているところであります。

 また、給与につきましても、自衛官の職務の特殊性が認められる部分につきましては、その職務の困難性、危険性等が適切に評価できるよう、逐次、給与面での改善を実施しているところであります。

 また、隊員が高い士気と誇りを持って任務を遂行するため、防衛功労章の拡充を初め、隊員の栄典、礼遇に関する施策も推進することとしておるところでございます。

 このように、部隊の精強性を確保するとともに、隊員が安心して任務を遂行するため、自衛官の処遇に関する施策について、私ども全力で実施してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

中山(泰)委員 ありがとうございます。

 ぜひ頑張っていただきたいと思います。自衛官には労働組合も何もないわけですし、総理がベア、ベアと言って、ニュースで見ていて、自分たちはどうなんだろうと、もしかしたら思っているかもわからない。銃後の守りというのが私たちには求められているんだと思いますから、その点を私が言うまでもなく十分に御理解なさっていると思いますので、希望と、自分自身が申されたことに対する期待を胸に、逆に、スーツ組も防衛省の中で頑張って、制服組と一緒になって、それが分け隔てがないような形で御尽力をこれからも重ねていただきたい。小野寺防衛大臣の指導力に私も御期待を申し上げたいと思います。

 それから、私は、いつも最悪のシミュレーションをするべきだと思っています。私が政治家を志している理由というのはいっぱいあるんですけれども、自分たちの子供たちの世代を二度と戦火にまみえさせないということ、靖国神社に眠る英霊をこれ以上ふやさないということ、このことが一番大事なんじゃないかと私は考えています。

 その中で、もし仮に第三次世界大戦が起こるとすれば、私自身は、次は必ず海から始まる戦争になるだろうというふうに個人的にはシミュレーションしています。

 海の準備は万全なのかどうか。なぜ特にこういうことを申し上げるかというと、前回の質問のときも私は申し上げました。アメリカでは、セオドア・ルーズベルトの時代からオレンジ計画という計画があって、これはウオー・プラン・オレンジ、世界じゅうの国々を世界地図で色分けして七色に塗って、たまたまオレンジ色に塗られた日本というのとどうやって戦争を始めて戦争を終わらせるかといういわゆる戦争計画、この計画を、それぞれの国に対してシミュレーションを持っているというわけであります。

 その中で、第二次世界大戦の場合は、最終的にその七色がまざってレインボープランということになりましたけれども、セオドア・ルーズベルト、すなわち一九〇〇年の初頭に、既にアメリカの海軍大学校では、逆に、第二次世界大戦を予測していた、予定していた、シミュレーションしていたということにもなります。三十名ぐらいの中枢の将校がそれを常に数カ月置きにバージョンアップして、多いときには三百名の人たちが常にこの情報を共有していたということも、これはいろいろな書物に書いてございます。

 こういったことを考えますと、しっかりと海の準備というのをちゃんとやらなきゃいけない。特に、日米安全保障があるからというので、恐らく、第三次世界大戦になったら日米が一緒になって中国やそれ以外の北朝鮮と対抗するんじゃないかと想像していらっしゃる方も多いかもしれません。僕は逆だと思う。

 今のまま最悪のシナリオでいけば、第一列島線、第二列島線、この間のオバマと習近平の会談を見ていたら、逆に、西太平洋を俺らによこせと、まるで中国は太平洋の半分が我々の海だと言わんばかり。仮にそれが成功したとして、日本が中国の覇権の中におさまってしまった場合、下手をすれば、韓国も日本も北朝鮮も中国の波にのみ込まれて、逆に、アメリカと対戦、対決しなければいけないような最悪のシミュレーションもあるかもしれない。

 日米安保をちゃんと守らなかったら、沖縄の問題を軽く見ていたら、北方領土の問題、ロシアとの関係を軽く見ていたら、そのときは下手をすると、人類史上三発目のミサイルはもしかしたら米国から日本に降ってくるかもしれないというぐらい最悪のパターンを考えて、そうならないためにいかに回避する施策を講じるかというシミュレーションを、しっかりと時計を逆算してやっていかなきゃいかぬと私は思います。

 私は、今四十三歳、この十月十四日に四十四歳、あと十六年で還暦を迎えます。私が還暦を迎えるとき、もし私がきょう言っていることが本当に最悪のシナリオどおりになったら、それを私は想像すると、そうならないように、ぜひ、みんなでチームワークで、与野党問わず協力をしていくべきだというふうに思います。

 もう一つ一緒に質問をあわせて申し上げます。

 南極大陸、日本は昭和基地というのを保有しているんですけれども、なぜあの場所に所在しているのか。本来であれば、パーマー半島に所在させるべきではないかということを常に考えていますので、今前段に申し上げた質問に短く答弁いただいて、南極大陸の質問に移りたいと思いますので、ひとつ御協力をお願いします。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は四面環海でございまして、広大な排他的経済水域もございます。海上貿易と海洋資源の開発を通じて経済発展を遂げてきております。航行の自由、法の支配といった基本的なルールに基づく秩序に支えられた、開かれ安定した海洋の維持発展は我が国の平和と繁栄の基礎でありまして、また、国際公共財として、世界の平和と繁栄の基盤でもございます。このことは国家安全保障戦略にも書いてあるところでございます。

 他方、昨今の海洋に関するグローバルな安全保障環境につきましては、海賊行為、それから沿岸国が海洋に関する国際法について独自の主張に基づいて自国の権利を一方的に主張する、あるいは行動する事例が見られるようになっておりまして、公海の自由が不当に侵害されるといったような状況にございます。

 我が国の周辺を含みますアジア太平洋地域におきましても、海洋における経済権益等をめぐるグレーゾーンの事態というものが長期化する傾向が生じております。これがより重大な事態に転ずる可能性も懸念されております。

 中国につきましては、東シナ海あるいは南シナ海を初めといたしまして、海空域等における活動を急速に活発化させております。特に、海洋における利害が対立する問題をめぐりましては、力を背景とした現状変更の試みなど、高圧的とも言えるような状況にございます。

 我が国としては、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえまして、統合機動防衛力を構築いたしまして、海上優勢、航空優勢を確実に維持いたしまして、我が国周辺海空域におきます安全確保を図っていく所存でございます。

中山(泰)委員 先生方にお配りした資料、このグーグルアースのカラーのプリントを見ていただけたらありがたいと思うんですが、太平洋から大西洋というふうに書いてございます。これはどこの場所かというと、南米大陸それから南極大陸のパーマー半島、こういう鳥の爪のようなところ。ドレーク海峡という、この白い矢印は海峡をあらわしていますが、実は、原子力潜水艦を含めて潜水艦というのは、大西洋から太平洋を往来するためには、この場所を抜けるというのが一番ベストな航行方法とされています。

 御存じのとおり、スクリューからは音紋といって人間の指紋のように一隻一隻違うバブルが出ているわけですけれども、それをぱっとはかりながら、この潜水艦はオハイオクラスだ、これはバージニアクラスだ、これはソンクラスだ、ハンクラスだと分けているように私は聞き及んでおりますが、その中で、世界じゅうの軍事基地を含めて、南極大陸のパーマー半島に基地を有している。なぜか。音紋を採取するためです。

 ところが、日本は、次のページを見てください、これは南極大陸を真南から写していますけれども、白い矢印、この場所が昭和基地なんです。この場所は、大体、南アフリカからずっと南に行ったところが昭和基地の場所に当たるわけですけれども、パーマー半島は全然場所が違うんですね。昭和基地がなぜこの場所にあるのかということ、これを私たちは、先ほど申し上げたように、軍事を抜いた政治は楽器を抜いた音楽だということからも考えていかなければいけないという象徴のように私は思います。

 それと、皆さん方もけさ朝刊を読まれたかもしれません。産経新聞の一面も「調査捕鯨に中止命令」、「南極海の調査捕鯨 中止命令」、いろいろ書いています。これはなぜか。

 北極大陸、この後、公明党の伊佐さんが北極について御質問なさるようですけれども、北極と南極の違いは何かといったら氷なんですね。南極大陸というのは大陸の周りは凍らないわけです。凍らないということはどういうことかといったら、世界じゅうの潜水艦がこの南極の周りをぐるぐる回っている可能性があるということです。

 この可能性というのはどうなるかというと、調査捕鯨を含めてこのエリアを私たちはやっているわけですけれども、世界の国々には、逆に、潜っている原子力潜水艦がどこにいるのかというのを捕鯨をするふりをして探している連中がいる。ところが、それをやると軍事機密が漏れてしまう。だから、捕鯨反対運動をやって、海上の船を追っ払って、そして原子力潜水艦の潜航状況の安定環境は確保するというもくろみがあるから、逆に言うと、こういった動き、調査捕鯨について中止命令というような世界的なムーブメントも出てくる。

 ただ、おもしろいのは、中国とロシアは、本来、捕鯨賛成国のはずですよ。そこまでが今回は不思議に乗っている。これは、今、近隣諸国との問題もあるのかもしれません。

 それから、答弁も欲しいんですけれども、ちょっと時間の関係で、お配りした資料を先に説明させていただきたいと思いますけれども、潜水艦つながりでいきますと、私が自分自身で防衛省にもちょっと相談をしてつくらせていただいた資料、日本国内の電力を原潜で賄うには何隻必要かという資料をこちらに準備しています。

 これはどういうことかといいますと、私は考えたんです。地震が来て、そして活断層の上に原子力発電所があって、再稼働反対、賛成、いろいろな御意見がある中で、それ以外の方法で、もし自分が政策執行責任者だったらどういうアイデアが出るだろうと思って考えた。それは何か。津波が来ても、潜水艦なら潜って逃げられるんです。すなわち、潜水艦をカートリッジバッテリーのように考えて、日本に対して着いたり離したり着いたり離したりすることによって、おかの方に電力を供給できるシステムというものができないかなと。

 これはなぜかというと、私が学生時代、ハワイに遊びに行って、夕方ホテルでウノをしていたら、電気がぼんとブラックアウト、停電したんです。ところが、数時間後、米国の潜水艦が浮上してきて、第七艦隊が接岸をして、原子力潜水艦の電力でオアフ島に送電して電気をつけたという、今までにない、史上最大のハワイの停電というのに出くわしたんです。

 ああ、なるほど、今回使える知恵は日本だとこれかもしれないと思って計算をさせました。そうしたら、オハイオ級、これで四十四・八メガワットの発電量があるんです。一年間、原子力発電だと四万八千九百六十ですから、これを割り算すると、実に千百隻あれば一年間の原子力部分の代替措置というのはできるんですけれども、さすがに千百隻持つといったら赤嶺先生が反対するだろうと私は思いますので、せめて二隻、どうかなと。

 なぜそう言うかというと、泊原発で、実は九・一二メガワットの発電量があるんです。これは一基当たりのコストが二千九百億円なんですね。アメリカのオハイオクラスの潜水艦だと大体二十億ドルですから、約二千億円でできるんです。だから、武装とかそういうのは取っ払っていくと恐らく半額ぐらいでできるんじゃないかなと。この平和利用目的の潜水艦のあり方というのも提案をしたい。

 それと、最後に申し上げたいのが、最後の資料、日本に国連・国際機関等を誘致する議員勉強会というのを実は超党派でつくり上げました。二ページ目を見ていただきますと、設立発起人に内閣総理大臣安倍晋三さん、それから共産党の笠井先生も、そして穀田先生も入ってくれている。いわゆる超党派で、当時百人を超える議員連盟をつくったんです。

 これは何かというと、やはり日本に国連の本部機能を、私は第一次安倍内閣で外務政務官をやらせていただきましたけれども、南北アメリカにはニューヨークに国連の本部があって、そして議論をする。ヨーロッパにはスイスのジュネーブに国連の本部がある。そして、アフリカのエチオピアのアディスアベバにはAUという、国連の機関ではないですけれども、実際国連のシールがついていて、千人ぐらいの規模の議論できる場所がある。

 ところが、アジアには、インドと中国という世界最大の人口を誇る国で、成長も著しい国があるんですが、実は国連の本部機能というのが、UNU、国連大学ぐらいしかない。私は、外務大臣のお地元広島に、国連の本部機能、そして核廃絶を議論する、世界の人たちが集まって議論ができる場所をぜひおつくりいただきたいというふうに考えております。

 時間が参りましたので、これで質問を終わりたいと思いますが、ぜひ精力的な御検討そして御協力を賜らんことをお願いして、質問にかえます。

 どうもありがとうございました。

江渡委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日も、限られた時間、十五分間ですので、ワンイシューで質問させていただきたいと思います。

 先ほど中山先生の方から南極の話がありましたので、私の方からはきょうは北極の話をしたいと思います。北極の氷が解けることによって日本の安保環境がどういう影響を受けるのかという議論です。

 昨年の十二月に閣議決定されました国家安全保障戦略、この中にも、国際公共財、グローバルコモンズとして海洋と宇宙、そしてサイバーというものが掲げられているわけですが、もしかすると北極海というのは海洋の中でグローバルコモンズにならないかもしれない、こういう議論です。いかに北極海を平和の海にしていくかという点で議論させていただければと思います。

 まず、先日まで横浜で開催されておりましたIPCC、気候変動の政府間パネルですが、この報告書の中にこうあります。北極海の氷がどんどん解けてきている、既に後戻りのできない状態になっている、一九七八年以降どんどん縮小してきております。

 これまで、氷に閉ざされた地域、経済的にも軍事的にも、北極海というのは閉ざされた海でした。ところが、今、ここが開かれた海になってきている。つまり、安保上の話からいうと、北極海というのは背後の岸壁であって、ここをバックに守ればよかった、ところが、今、ここは開かれた海になってきている。配付した資料を見ていただくと、夏の六月から十一月まで、北極海航路、ロシアの北側の部分、ここが開通するようになりました。

 私は、この点で三つの影響があると思っております。

 まず一つは、航路、海の道という点です。極東と欧州を結んでいくのは、これまでであれば、マラッカ海峡を通ってスエズ運河を通って、大体一万二千海里と言われています。これが、開通した北極海航路を通っていくと六千五百海里、ここにはキロで書いていますが、一万三千キロ、大体約六割に短縮される。しかも、北極海のこの地域というのは、何よりも海賊のリスクが少ないという点があります。これまで実は、例えば二〇一〇年のデータでは、この北極海航路は船舶が四隻しか通っていませんでした。ところが、その三年後、二〇一三年には、七十一隻の船舶がこの北極海航路を通るようになっております。

 もう一つの観点が資源です。この北極海の地域というのは、たくさんの石油であるとか天然ガスが眠っておりまして、世界全体の未発見の石油の一三%、天然ガスの三〇%が眠っているというふうに言われております。しかも、この地域は、北極海というのは実は深度が浅いんです。太平洋地域とか大西洋とかインド洋と比べると非常に浅いので、天然資源を掘りやすいというようなメリットもあります。

 三つ目の観点、三つ目の変化が、安保環境の変化ということになります。この北極海というのは、特に冷戦期、ソ連の戦略原潜と、またそれに対してアメリカの攻撃型原潜が入って、つばぜり合いを繰り返していました。こうしたところが、今、潜水艦だけじゃなくて、水上が道が通るようになった。つまり、ヨーロッパと極東の間で機動的に戦艦を展開することができるというような状況に変化をしてまいりました。

 そこで、こうしたさまざまな変化があるこの北極海ですが、私がまず最初に質問させていただきたいのは、恐らく、今のこの変化に伴って北極海にまつわるさまざまな国際的な課題が出てくると思います。

 南極には南極条約というのがある。南極条約によって、例えば領土主権であるとか請求権、こういうものが凍結されていたり、あるいは資源についても、どの国も資源活動をすることは禁止されている、こういうルールがあるわけです。

 では、今こういうさまざまな変化がある北極海に対しては、どういうような国際的なルールが適用されるか。あるいは、こうしたさまざまな課題について、特にこの北極海について、どういう場で今議論が進められているか。これについてまず質問させていただきたいと思います。

新美政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも御指摘ございましたとおり、南極と異なりまして、そもそも北極海は海でございます。したがって、一般的に、国連海洋法条約を初めとする既存の海事、海洋関係の国際的なルールが適用されるというのが基本的な考えでございます。

 特に、国際法の観点からは、北極海の沿岸の五カ国、アメリカ、カナダ、ロシア、ノルウェー、デンマークが二〇〇八年に、北極海に適用される包括的な法的枠組みを新たに策定する必要はないと。これはイルリサット宣言と申しますけれども、つまり、これは海でございまして、国連海洋法条約を初め既存の国際法の適用がされるということで、新たな法的枠組みは必要ないということを確認しておりまして、我が国も基本的にこの考え方を支持している次第でございます。

 そして、議論の枠組みでございますけれども、北極をめぐる課題につきましては、多国間、二国間、さまざまな枠組みで議論がされております。特に、北極に特化して北極について設けられているものといたしましては、北極圏の国々を中心といたしました多国間の政治的協議の枠組みでございます北極評議会がございます。この北極評議会におきましては、北極における環境問題、委員御指摘されました環境問題、あるいは持続可能な開発等の課題について活発に議論が行われております。我が国も、昨年五月から新たに同評議会のオブザーバーとして正式に参加ができるようになりまして、同評議会の活動に貢献をしているところでございます。

伊佐委員 北極海は南極と違って海であるということで、国連海洋法条約というものが適用されるということだったと思います。この国連海洋法条約、グローバルコモンズをどうやって確保するかという観点は当然あるわけですが、実は北極海というのは非常に特殊です。このグローバルコモンズという観点から、果たしてそれがどうなのか。

 例えば、この海洋法条約には二百三十四条という条文が一条入っています。これは、海洋法条約の交渉の過程の中でロシアとカナダがかなり強硬に主張して、ごり押しをして入った一つの条文があります。何が書かれているかといいますと、氷に覆われた水域については環境保護のために沿岸国が法令をつくってよい、そして、その国内法がさまざまな航行してくる船舶に対しても適用されるというような特殊な条文、国内法が適用されるんだという条文が入っています。

 この条文によって、実は沿岸国はさまざまな主張をしておりまして、例えば、ここは内水だと。北極海ですが内水だと。つまり、領海のさらに内側の。無害通航権すら他国には与えられていないという主張をする国があったりとか、あるいは、本来であれば、EEZ、排他的経済水域の範囲の中では自由な通航ができるわけですが、例えばロシアの場合は、このEEZの中を通るときにはロシアの砕氷船を先頭にしていかなきゃいけない、そしてまた通航料も払わなきゃいけない、こういうようなロシアの措置がなされている。つまり、何らかの形で、北極海というのは実は航行がかなり制限されているというような状況です。というのは、実は北極海はほとんどがEEZに入ってしまいます。

 先ほど政府から発言ありました北極評議会、これについても、確かにこういう枠組みがあるんですが、日本はこれに関与していくのは非常に容易じゃない。つまり、非常に寡占的な協議体、閉じられた協議体になっておりまして、沿岸国が中心になっておりますもので、なかなかほかの国が自由にさまざまな議論を発言権を持ってするというような状況に至っていない。

 日本は確かに、昨年五月にやっとオブザーバーとして認められて入ったわけですが、日本がどういう選択肢を持ってこの協議体の中で発言をしていくか、影響力を持たせていくかというと、アメリカはアラスカがありますので沿岸国ですから、アメリカと協力をし合っていくということも一つ手としてはあるんですが、実はアメリカも、沿岸国の中で、北極評議会の中でそれほど強い力を持っていないんです。

 それはなぜかというと、アメリカは実は海洋法条約を批准していません、入っていない。この北極評議会八カ国の中でアメリカだけが入っていない、それが一つ大きな足かせに実はなっているというような状況です。

 では、日本がどのようにしてこの国際的な議論に向き合っていくか、北極海に対してどのように戦略的に向き合っていくのか。今どういう検討を政府の中で進めているかについて、お伺いしたいと思います。

長田政府参考人 先生御指摘の北極海の問題でございますが、昨年四月に閣議決定いたしました海洋基本計画の中におきましては、北極海に関する取り組みを重点的に推進すべき分野と位置づけまして、総合的かつ戦略的に進めることとしております。

 特に、現在北極海では、先生御指摘のとおり、地球温暖化に伴いまして海氷域の面積が減少しております。このような気候変動が及ぼす海洋環境の変化を踏まえまして、海洋基本計画におきましては、北極海をめぐる、まさに海上輸送の確保、調査研究の推進、あるいは環境保全並びに国際的な連携や協力の推進を対応すべき課題として掲げております。

 このため、政府としては、昨年七月に海洋政策本部の事務局におきまして、北極海に係る諸課題に対する関係省庁の連絡会議を設置しまして、北極評議会を通じた国際的な連携や協力、さらには先生御指摘の北極海航路をめぐる現状や課題、それから北極域の観測や調査研究の充実等につきまして、関係省庁間で情報の共有や連携を鋭意進めているところでございます。

伊佐委員 ぜひ政府も積極的に北極海の戦略に取り組んでいただきたいわけですが、各国はもう既に、日本が議論するはるか前から、いろいろな議論を行っております。

 例えば、中国は九〇年代から北極海を重視している。温家宝首相、一昨年ですが、二〇一二年にアイスランドを訪れて、アイスランドとはもうFTAを締結しております。アイスランドのレイキャビクに大使館を設置して、レイキャビクの港を中国が独占的に使用できる海運のハブ港にしているというような状況もあります。

 また、昨年十二月、中国は北欧五カ国との間で、中国・北欧北極研究センターというものを上海に設置することで合意した。かなり前向きな取り組みをしております。ぜひ日本も積極的な取り組みをしていただきたいと思っております。

 安保に話を移させていただきますと、例えばロシア軍は、非常に北極戦略、軍事力が必要だということを強調しております。一つの理由は、北極海の沿岸国というのは、ロシア以外全部NATO同盟国ですので、ロシアだけが違うというような状況が一つあると思います。北極の名を冠するような北極軍というものを設置したり、さまざま積極的な取り組みをしております。

 では、我が国に対してどういう影響があるか。先ほど申し上げたように、さまざまな観点から北極海の位置づけが、戦略的な重要性が増している。そうすると、各国、ロシアもアメリカも含めて、ここの地域に対して一定の戦力を割かざるを得ないというような状況になってくると思います。

 では、米国の動きですが、二〇一一年五月、国防省がアメリカの議会に報告書を出しました。北極海作戦。この報告書には何と書かれているかといいますと、北極圏の部隊、施設の強化は当面見送り、二〇三〇年までは現有兵力で北極海にも対応する。つまり、北極海に特別何かをつくらないけれども、今ある兵力で対応する。つまり、太平洋艦隊の一部を差し向けるという意味です。

 そうすると、当然、太平洋の今のリバランスの中で、太平洋を重視するという中でも、今は予算的な制限もありまして、アメリカがどんどん、もしかすると太平洋の軸足が十分ではなくなるのではないかという懸念の中で、さらにこの北極海というような新しい制約条件が出てくる。

 あるいは、核抑止力という点に関しても、今は例えば、ロシアの戦略原潜、ロシアの北極海の海域の活動期間とか哨戒範囲というのが拡大する。アメリカにとっても活動期間、哨戒範囲が拡大する。そうすると、核抑止力という点でも日本に影響があるのではないか、そう思っております。

 そこで質問させていただきたいのは、北極海でのこの動き、日本の安保環境にどういう影響があると防衛省は認識しているか、お伺いしたいと思います。

徳地政府参考人 お答えいたします。

 北極海は、戦略核戦力の展開あるいは通過ルートとして使用されてきたところでございますし、また、海上交通路としての活用の拡大の可能性も考えられております。軍事的には、特に海上戦力の展開あるいは軍事力の機動展開といったようなことに使用される可能性も考えられますので、戦略的重要性は今後高まっていくものと考えておるところでございます。

 それから、先生御指摘の国防省の北極海戦略でございますけれども、いろいろなリスク要因というところは考えておりますけれども、米国の国益あるいは国土を守るという観点から、同盟国などとの防衛協力の促進あるいは危機への備えを行っていくということにしていると承知をしております。

 アメリカといたしましては、先生御指摘のとおり、アジア太平洋地域へのリバランスを維持する、これは先般のQDR等にも明確ではございますけれども、いずれにいたしましても、今後、沿岸国、あるいは海上交通路の利用国の民間あるいは軍事の両面にわたる動向などを踏まえまして、北極海をめぐる動向を注視していく必要があるものと考えておるところでございます。

伊佐委員 時間になりましたので、最後、外務大臣と思っていたんですが、私の一言だけ。

 本当に、科学技術というのもまた一つの重要なカードであると思っておりまして、日本の科学技術力でぜひ交渉力を確保していただきたいと思います。南極と違って北極というのはまだまだこれからですので、ぜひ平和の海となるように御尽力いただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。民主党の中川正春です。

 久しぶりに質問の機会を与えていただきましたので、しっかりとお聞きしていきたいというふうに思います。

 最初、ちょっと恐縮なんですが、事前の通告をしていなかったんですけれども、北朝鮮の関係でちょっと聞いていきたいんです。

 きょうの新聞でも、日朝協議が局長級で進んでいるということが報じられております。

 実は、その一方で弾道ミサイルの発射があったり、あるいは、これもまたきょうの新聞をにぎわせていますけれども、北の砲撃があって、韓国がそれに応射している。延坪島じゃなくて、今回はもう一つ北の方のペンニョンドという島に着弾したということ。また、それに対して、戦闘機も緊急発進しながら反撃しているというような報道があります。

 いつも、日本と個別に話し合いをしていこうじゃないかということを北朝鮮が言い出すのは、よく言われるように、韓国や特にアメリカとの分断作戦というか、片方、アメリカ、韓国、あるいは中国もあるかもしれませんが、そういうところとの話し合いが行き詰まってきたときに、日本をてこに、それを分断しながらやっていくという、その戦略の中で日本との話し合いを持つということ、これがこれまで往々にして繰り返されてきたということだと思います。

 今回も、そういう要素も含めてこの日朝協議というのは今進んでいるんだろうというふうに私は考えているんですが、それだけに、いいことだと思うんですよ、話し合いをしていく。向こうがどういう意図を持っていようと、こちらは話をつないでいく。その意思というのは私は尊重したいと思うし、大事だと思うんです。

 ただし、そのときに、やはりアメリカあるいは特に韓国との連携がとれていないと、これは逆に日本が孤立するということになるわけです。そこのところをどのように意識されて、日本政府としてこの話し合いに取り組んでいるかということは、ここでやはりはっきり日本政府として表明していくことがいいんだろうと思うんです。特に、アメリカや韓国に対して必要なことだろうと思うんです。

 この機会をかりて、外務大臣として、そこの配慮、あるいはそこの連携というのをどのように意識しながら、何を達成していこうとしているのか。冒頭、そこのところを答えてください。

岸田国務大臣 まず、三十日、三十一日、二日間にわたりまして日朝政府間協議が行われました。日朝政府間協議が再開され、日本、そして北朝鮮、それぞれがこの関心事につきまして、真摯かつ率直な意見交換が行われたと報告を受けております。

 一年四カ月ぶりの再開でもありますし、協議は引き続き継続していくということで一致いたしました。ぜひ今後とも、粘り強く交渉していかなければならないと考えています。協議が継続されるということについては一定の評価をしているところです。

 こうした政府間協議、そして先日の日朝赤十字会談等、対話の動きは存在いたしますが、現実を見ますときに、北朝鮮側から、ミサイル開発ですとかあるいは核開発、そして御指摘のような、緊張を緩和させるということについて、前向きな、具体的な動きはまだ感じることができません。

 我が国としましては、拉致、核、ミサイル、諸懸案を包括的に解決していくという方針で臨んでおります。こうした諸懸案を包括的に解決するという方針において、米国あるいは韓国等、関係国との連携が重要になってくると認識しております。

 ぜひ今後とも、米国、韓国等関係国と緊密な連携を図りながら、拉致、核、ミサイルの諸懸案を包括的に解決する、こうした方針をしっかりと追求していきたいと考えております。

中川(正)委員 日本にとっては、この中でも特に拉致、二国間協議として拉致の問題を中心に進めていくということ、ここは大事な部分だと私も思います。

 ただし、この問題については、韓国も同じような、四百八十二人ですか、正式に拉致被害者として持っている、あるいはほかの国もあるわけですね。それぞれがこれを人権問題として捉えて、国連でも、コミッション・オブ・インクワイアリーと言われる調査委員会で幅広く指摘されたところであります。

 私は、この拉致の問題、日本独自という形で進めるのも一つの方策ですけれども、しかし、やはり多国間で組んでいくということ、特に韓国と連携して北朝鮮に迫るということ、これが、日本がこの問題だけじゃないかというふうな形で批判される、あるいは孤立していく、一つのキーになる部分だというふうに思うんです。それだけに、これから先の協議は、ぜひそうした観点も含めて巻き込んでいくということ、これが大切なことだというふうに思います。

 そこについてはどうですか。

岸田国務大臣 先日、二十四日に、オランダ・ハーグにおきまして日米韓首脳会談が開催されました。主要なテーマは北朝鮮を含む東アジアの安全保障環境でありましたが、その際に拉致問題についても取り上げられ、安倍総理から、米国、韓国に対しまして、拉致問題に対する理解に謝意を示させていただくと同時に、今後ともこの問題におきまして日米韓で一致して連携していく、こういったことが確認されております。

 おっしゃるように、拉致問題につきまして、こうした関係国、特に韓国との連携が重要だという認識を政府としても強く持っております。ぜひ、この拉致問題等においても、関係国との連携を重視しながら、他の諸懸案とあわせてしっかりと前進を図っていくよう努力していきたいと考えています。

中川(正)委員 私たちも、韓国の議員と一緒に、北朝鮮の人権問題に対処していくための国際議員連盟というのを結成しました。今、ハンナラの黄祐呂総裁が中心になって運動を進めておりますが、こういう議員間の連携というものも活用しながら、交渉の枠組みの中に韓国も入れていくというようなこと、これはぜひやるべきだと私は思いますので、そのことを指摘しておきたいというふうに思います。

 次に、アメリカのアジア戦略について、政府の認識を一つ確認していきたいというふうに思います。

 いろいろなことが言われます。さっきちょっと議論も出ましたけれども、リバランスあるいはピボットという形でアメリカはアジアを重視している。ここにアメリカのプレゼンスをしっかりと確保していくという、公式な、ペンタゴンなりホワイトハウスなりの意思表示はここにあるんだろうと思うんです。

 しかし、もう一方で実際に何が起こっているかということなんですが、これはアジアだけじゃなくて、イラクやアフガン、あるいはリビア、シリア、エジプト、グルジア、コソボ等々。いろいろなアメリカのコミットを見ていると、一つは、余りうまくいっていないということ、それからもう一つは、どちらかというと、特に財政的な限界ということが恐らく一番大きいんだろうと思うんですが、その限界の中で、引き揚げ始めてきたというか、プレゼンスをぐっと本国へ寄せながら、機動力を持ってあとは対応していこうという、その流れが世界的に大きく出てきているんだろうというふうに思うんです。

 それは、アメリカの議会の中の構成で、ここがねじれているということから、共和党との間で予算を交渉していく過程の中で、軍事力ということも例外なく、それぞれ緊縮予算を組んでいくというような流れが徐々に徐々にできていて、ある一方で、それに対するホワイトハウスや特にペンタゴンの危機感というか、そんなものがある。

 それぞれの地域で予算を引き出すためには、ここに脅威がありますよ、ここに不安定な力関係ができていますよということの中で、特に中国は実際に、さっきも議論が出ていましたけれども、覇権主義で海洋権益というのを展開してきている、これは一つの事実であろうとは思うんですが、それをしっかり強調する形で、軍事力を縮小させるわけにはいかないんだというふうな国内の主張というのが大きく影響しているのではないかと見ています。

 その上で、日本に対して何を求めているのか、あるいは、アジアの情勢に対してどういう形で選択肢をつくろうとしているのかということが課題になっていくんだろうと思うんです。

 日本のそのことに対する受けとめ方と、日本としてその中で何をやっていくのかということをはっきりさせないと、ただアメリカ国内の状況の中に巻き込まれていって、かつ、最終的には、アメリカのプレゼンスというのは昔のようには、口ではやるやると言っているけれども、実際に実力の中ではそうはいかないよというふうな形になったときに、日本が逆に取り残されてしまう、あるいは、あれは一体何だったんだというふうな形になってしまうおそれもあるんじゃないか、そういう懸念を持っている人というのがかなり今出てきているように思うんです。

 過去の日米同盟をそのまま信じて、それだけを大事にしていく時代というのは、どうも過去の古きよき時代になってしまって、現実はもっと厳しい、もっと日本も戦略的に考えていかないと将来を描き切れないというふうなところまで今来ているんじゃないかと思うんです。

 そういうことを前提にして、まず、政府は、今のアメリカの対外戦略と国内政治の事情を踏まえて、これをどう評価して、どのように見ているか、それぞれの世界観ですね。どういう世界観を持って臨もうとしているのか、そこのところをまず確認しておきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、アジア太平洋地域の厳しい安全保障環境の中にありまして、米国が引き続きこのアジア太平洋地域重視政策を継続しているということについては、地域の安定と繁栄に大きく貢献するものであると考え、我が国としてはこれは大いに歓迎しています。

 これまで、オバマ政権も繰り返し、アジア太平洋重視政策を継続するという旨表明し続けてきております。また、厳しい財政状況のもとでも、アジア太平洋地域において必要となる能力の維持等に努めていると認識しておりますし、アジアにおける米国の展開が退潮傾向にあるとは認識しておりません。

 例えば、先月、国防省が発表しましたQDRの二〇一四年版ですが、アジア太平洋地域重視政策の継続を改めて表明した上で、日本における米海軍プレゼンスの強化分も含め、米海軍のアセットの六割が太平洋に駐留することとなる、こうした記述もされているところです。

 御指摘のように、国防費のありようですとか、アフガニスタン、イラクを初め各地の動き、あるいは米国の欧州への対応ですとか、こういった動きの中においては、米国の世界展開が退潮傾向にあるのではないか、こういった議論もあるのは事実でありますが、そういった中にありましても、アジアに関しましては米国の展開が退潮傾向にあるとは認識していない、これが我が国の認識であります。

中川(正)委員 公式見解はそうなんでしょう。それぞれ、発表したところに基づいてそれを受けているということになるんですが、しかし、公式見解だけで物事を解釈しては間違うということになると思います。

 我々がアメリカの特に議会筋を回っていく中で、ジャパン・ハンドラーじゃなくて、一般の議員の意識と、それからペンタゴンやホワイトハウスでのアジア戦略のレベルと、非常に大きな格差があります。かつ、アメリカ議会というのは今非常に内向きになっていて、全ての関連においてそれこそ縮小という流れをつくっていこうとしている、そのことを私は今感じております。それだけに、逆に、ホワイトハウスやペンタゴンはアジア重視を声高に言うんだろうというふうに解釈していくのが正しいんじゃないかと思うんです。

 その上で、では日本としてどういう外交に持っていくのか、あるいは、アメリカが日本に期待することというのは何なのかということだと思うんです。いろいろな選択肢があると思うんですが。そのことと同時に、韓国や中国との関係をどう捉えていくのかという選択肢がいろいろあると思うんです。

 一つは、米韓日対中国という構図をつくって、その中で同盟関係をいわゆる旧来のスポーク型から面的に、それこそ将来の集団的な安全保障レベルの形で高めていく、そういう構図が一つ。それからもう一つは、米韓日対中国というよりも、中国も含めてその辺の将来の安全保障の戦略というのを考えていく、そういう考え方に立ってやっていくということがもう一つ。

 そんな中で、中国を敵対視するということになると、逆に、アメリカのプレゼンスがへこんでいく分、日本で責任を持ってやってくださいよという形が過去にあって、それが日本のそれこそ自衛隊の見直しにつながってきたということはあったんだろうと思うんですが、この筋道をとっていく限りアジアは安定化しないということは一つあるんだろうと思うんです。

 だからこそ、もう一方で、韓国は中国に非常に近づいていっています。私たちのレベルでも、議員間で話をしていると、韓国の議員はこの間こんなふうに言いました。韓国はどっちの位置にあるんだ、中国と組むのか、日本と組むのか、こう言ったら、日本、アメリカでしょう、当然こういう答えが出てくるのかと思ったら違うんです。ちょうど真ん中にいて、日本と中国の接着剤になっていくんだ、それを統合していくような位置に私たちはいたいんだ、そういう議論が韓国から出てくるぐらいのことでありますから、ここのところの戦略を日本としてもちゃんとした形で整えていく必要があるんだというふうに思います。

 根っこのところで、アメリカのプレゼンスが引いていくという部分に対して日本がそれなりの責任を持っていくというのは、一つの流れとしてあるんです。これを否定するわけじゃない。しかし、それだけじゃだめなんです。

 それだけじゃだめで、もう一つは、アジアの安定というものを外交的にどのように確保していくかということについて、戦略的に韓国や中国に対して道筋をつくらないと、今の安倍政権みたいに、けんかを吹っかけているというような話で、話もできないんだというようなことをやっていけば、これはアメリカの利益にもつながらない。今のアジアの動きとはそれこそ全く逆の話に日本はなって、中国、韓国、アメリカから日本が逆に孤立する、そういう可能性さえ出てきているということだと思うんです。

 そこのところを外務大臣としてどういうふうに認識しているのかということを、改めて確認していきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、冒頭委員から、基本的な構図として、日米韓対中国と考えるのか、あるいは中国を取り込む形でアジア太平洋地域の秩序を考えるのか、こういった問題提起がありました。

 その部分にまずお答えするとしたならば、我が国を取り巻くアジア太平洋地域の安全保障環境が大変厳しさを増す中にあって、日中両国は地域の平和と安定に大きな責任を有しております。また、地域の現在の環境を考えますときに、中国が国際的な規範を共有、遵守しながら地域やグローバルな課題に対してより建設的かつ協調的な役割を果たすように、米国ですとか韓国、さらにはオーストラリア、インド、こういった関係国とともに引き続き促していく、こういった構図を考えていくべきだと考えます。

 ですから、中国と日米韓と関係国が対立するというのではなくして、我が国は関係国と連携しながら中国が建設的かつ協調的な役割を果たしていくよう促していく、働きかけていく、こういった構図をまず考えるべきだと考えます。

 あわせて、アジア太平洋地域の各国の状況を見ますと、各国の発展段階あるいは政治経済体制、さらには安全保障観も実に多様であります。ですから、この地域に存在しますEAS、ARF、さらにはADMMプラスなど、こうした枠組みをその特性をしっかりと生かしながら活用していく、こういった姿勢も重要なのではないかと考えています。

 このように、関係国と連携して中国に協調的、建設的な役割を果たすよう促していく、さらには地域の既存の枠組みの中で地域の平和や安定を考えていく、こうした姿勢が何よりも重要なのではないかと考えます。よって、こうした考え方に立ちますときに、御指摘のように、中国、韓国との関係が重要になってきます。やはり、大切な日中関係、そして日韓関係を考えますときに、高い政治のレベルでの対話が重要になってくると考えます。

 先ほど言いました、中国への働きかけ、あるいは地域の枠組みの中で平和や安定を考える際に、大切な日中関係、日韓関係を大局的な観点からコントロールしていく、その視点からぜひ両国間との対話を重視していかなければならないと存じますし、現在、残念ながら大変難しい局面の中にあります、さまざまなレベル、さまざまな分野での対話を積み重ねることによって、高い政治のレベルでの対話につなげていくよう努力していきたいと存じますし、中国、韓国にもこうした我々の考え方に応じてもらうことを期待したいと思っています。

中川(正)委員 全くそのとおりなので、それだけに、さっきの答弁というのは非常に白々しく、空虚に聞こえます。こちらからけんかを売っておいて、あとは何とか仲よくしましょうと言っているわけですから。

 そこまで外務大臣がおっしゃられるなら、もともと安倍総理も、今の対応は特に、恐らく国内に目が向いているんだろうと思います。国内政治をいわゆる政治利用という形で外交に反映させるというのは、国家にとっても、この地域にとっても非常に危険なことです。だから、それを外務大臣がしっかりただしていくぐらいの根っこを持って議論していただきたいと思います。ここで格好のいいことを言ったって、実際に行われていることというのはその真逆をやっているわけですから、これはとんでもない話だというふうに思います。

 だからこそ、アメリカも、ディスアポインテッド、非常に落胆している。この落胆の言葉の中には、言葉以上に厳しい、日本に対する、稚拙な外交戦略に対しての批判というのが込められているんだろうと私は思います。そのことを指摘しておきたいというふうに思うんです。

 ちょっと具体的な話を聞きます、日中に関連して。

 海洋の部分、これで、従来から、緊急時の連絡メカニズムであるとか、あるいはホットラインをつくっておくということが、二国間の関係が不測の事態が起きたときにエスカレートしていくことに対して、リスク回避になっていくのではないかということで話し合いが進んでいたはずなんですね。アメリカも、MMCA、軍事海洋協議協定ですか、この枠組みを進めていると思うんですけれども。そんな中で、今、日本は中国と、ここの部分、特に尖閣を控えて、どこまで話し合いが進んでいるのか聞かせてください。

岸田国務大臣 まず、尖閣諸島につきましては、言うまでもなく、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、これを我が国は有効に支配している、こう認識しております。中国公船による領海侵入は極めて遺憾でありますし、受け入れることはできません。我が国としましても、引き続き緊張感を持ってしっかりと対応していかなければならないと思っています。

 ただ、その上で申し上げますが、日中間でこうした偶発的な事態が生じること、これは誰の利益にもなりません。無用な誤解あるいは摩擦を減じ、不測の事態の発生を回避するために、各種の対話、交流を通じて率直な意思疎通を行う、信頼醸成を行う、こういった姿勢は重要だと考えております。

 具体的な取り組みとして、日中の防衛当局間での早期の運用開始を目指しております海上連絡メカニズム、これは既に運用開始に合意しておりますが、運用が開始されておりません。こうしたメカニズムにつきましても、外務省としても、防衛省とも協議しながら、進展を強く期待しており、これまでも必要な働きかけは行っておりますが、ぜひこのメカニズムの運用開始に向けて、今後ともしっかりと働きかけを行っていきたいと考えております。

 こうした困難な課題があるからこそ、率直な対話、意見交換が重要だと認識しております。

    〔委員長退席、中山(泰)委員長代理着席〕

中川(正)委員 一つ指摘しておきたいんですが、防衛省レベルの話ではなくて、中国も二〇一三年に国家海洋局と中国海警局に海上法執行機関が統合されているということです。日本でいえば海上保安庁に該当する組織が、今、軍事活動を妨害する役割を海軍から海上法執行機関に移行させているということだと思います。

 だから、連携をとらなきゃいけないのは海上保安庁と中国の海上法執行機関、軍じゃないんですね。軍じゃなくて、海上法執行機関なんです。そこのレベルでの話し合いを持っていくということ、これが必要なんだと思うんですよ。そういう認識の中でやっておられるのかどうか。これも別に回答は要らないんですけれども、そこの部分を認識しないと、一挙に軍レベルへ行ってしまうということだけではないというふうに思います。そのことを指摘しておきたいと思うんです。

 先般、私も中国に行ってきたんですが、こうした問題は、中国の高官レベルでも一つの問題意識として持っているということを表明しています。私たちに対して、その問題意識を持っているんだということが表明されました。ですから、これはそれぞれに現場サイドで進められる話だと思うので、ぜひ早急にやっていただきたいというふうに思います。

 時間の関係でもう一つに入っていきますけれども、今、世界の紛争の中でさまざまな悲劇が起きていますが、その中でも大量難民が出ているということ、これは特にシリア周辺で指摘されていますし、あるいはまたアフリカ諸国でもそういうことが出てきています。これは日本にとって、人間の安全保障ということを前面に出しながら、今、日本の外交イメージあるいは安全保障イメージというのをつくり上げていこうとしておりますけれども、この難民に対しての日本のスタンスというのをまず基本的に聞かせてもらいたいと思います。

岸田国務大臣 我が国はこれまでも、シリアあるいはアフガニスタン難民に対しまして、国連難民高等弁務官事務所等を通じた支援を行ってきております。また、我が国は、国際貢献及び人道支援の観点から、第三国定住による難民の受け入れも行ってきております。

 第三国定住の今後のあり方については、内閣に設置された難民対策連絡調整会議のもとに第三国定住に係る有識者会議が置かれ、議論が行われているところであります。とりわけアジア地域の難民問題の解決に寄与することが望まれるとして、ミャンマー難民の受け入れを継続して実施すべきとの報告書が本年一月に提出されております。

 こうした報告書を踏まえまして、政府は、パイロットケースが終了する平成二十七年度以降もミャンマー難民を引き続き受け入れ対象とする閣議了解を行ったところであります。こうした方針のもとに難民問題に取り組んでいるのが現状でございます。

中川(正)委員 実は、私も政権時代に第三国定住を担当したんですけれども、今言っているレベルというのは、その話のレベルではなくて、ちょうどインドシナ難民が洋上を漂いながらいわゆる大問題になった、あのときは海ということだったんですが。シリアやその周辺というのはそれ以上の惨状が、陸地ではありますが、それぞれのキャンプであるということ、これを国際社会は非常に深刻に受けとめて、いろいろな対応をしているんですね。あのとき、日本は一万人ほどをインドシナから、難民の受け入れとして臨時的にやったということなんですけれども。

 恒久的に難民の受け入れとしてやるのか、あるいは一時的な避難措置として日本の国内でそうした受け入れをやるのか、その方法論というのはいろいろあるだろうと思うんですが、現地でUNHCRに資金提供するだけの対応ではなくて、国として、日本の国内の状況を使いながら対応する政策というのが、もし日本が人間の安全保障というのを積極的に構えていこうとするのであれば、私は正しい行き方なんだろうというふうに思うんです。そんな模索をぜひやってもらいたいというふうに思います。

 第三国定住については、それこそ二十人、三十人のレベルなんですね。これからモデル事業としてやって、恒久事業としてさらに展開していくということ、これは正しい方向だと思いますし、国を開いていく日本の新しい国家観というのも必要だという意味ではいいことだと思うんですが、そのレベルはそのレベルとして、もう一つ違った形の貢献というのがやはり望まれるんだろうというふうに思います。

 UNHCRからも、正式に日本に対して、他国がさまざまなことをやっていますけれども、日本もひとつそういう形で、他国と同じようなレベルで貢献してほしいという話も出ています。ぜひ、その具体的な方策について、もう一歩進めて考えていただきたいと思います。

    〔中山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

岸田国務大臣 まず、御指摘の難民受け入れにつきましては、委員も直接熱心に取り組んでおられましたので十分御案内のとおりかと思いますが、難民の受け入れ先の選定ですとか、難民への仕事のあっせんですとか、あるいは家族の教育ですとか、日本で生活を営んでいくためにさまざまな課題があります。そうした課題をしっかりと解決しながら日本の支援を進めていかなければならないところですので、まずは現在進めているミャンマー人の受け入れをしっかりと行って、さらに将来的な課題として検討を続けていくことを考えていかなければならないと存じます。

 UNHCR等を通じた難民への協力につきましても、こういった視点は大変重要だと認識しております。私も、昨年、シリアの難民キャンプを実際に視察させていただきました。UNHCRの関係者とも意見交換を行い、日本の協力について説明もし、要望も受けた次第であります。こうした取り組みもぜひ今後とも続けていきたいと考えております。

中川(正)委員 一つ言っておきますと、難民を海外から連れてくるまでは外務省はいいんですよ。国内でそれをどうケアしていくか、どういうシステムをつくっていくか、これについては落第。全く国内ネットワークもできていないし、そうした国内への取り組みを例えば各地方自治体にどのように組み立てていくかということについては、全く能力がないというか、そういう意味では今大変な欠陥を抱えた状況にありますので、そのことを一度点検していただくといいと思います。それを指摘しておきたいというふうに思います。

 もう一つ、最後に、さっきミャンマーの話が出ましたが、紛争地帯で、まだ少数民族との間で和解、和平ができていない、特にカチンだとかロヒンギャだとかいろいろ、さまざまな問題を抱えております。そのときに、日本の支援体系、いわゆる人道支援、経済開発支援、あるいはまた難民化した人たちのリロケーションを助けていく支援というのはさまざまにあるわけですけれども、これには欧米と一つ大きな違いがあります。それはどういうことかというと、日本の支援は、必ず今の中央政府、いわゆる軍事政権を通してでないと入っていかないんですね。

 欧米は、民間の団体をうまく使いながら、直接、紛争地帯で非常に厳しい状況にあるところへ向けて具体的に入っていくんです。入っていくだけに、例えば和平交渉等々を含めてそこに対するカードを持つことができて、それにかかわりをつくっていく、そういうこともあわせて非常に戦略的にやっているということ、私は現地に入っていって改めてそれを感じました。また、和平交渉の中でそうした役割を各国は担っているんです。

 日本だけがどうも、あそこの平和センターを通じてでないと事業が入っていかないというもどかしい話になっていまして、これはやはりもう一つ戦略性を持つべきだというふうに私は感じています。そのことを指摘しておきたいと思うんです。もし回答があるのなら。

岸田国務大臣 御指摘のように、地域住民に直接支援が届く、こういった支援を実施するためには、相手国の非政府主体等を通じた直接的な支援が重要だと考えております。その観点から、従来からも、草の根・人間の安全保障無償資金協力、あるいは日本NGO連携無償資金協力等を活用しているところであります。

 ただし、その際に、相手国政府との関係で一定の配慮が必要な場合もあり、このような場合においては、直接的支援の必要性とのバランスをしっかりとりながら慎重に進めていく、こうした方針で臨んでおります。

 実際、ミャンマーにおきましても、ミャンマー政府との調整を行いつつ、少数民族地域に直接届く支援を実施しております。今後も、このような支援形態を含め、地域住民に裨益する効果的支援ができるよう努めていきたいと考えております。

 また、シリアにおける支援におきましても、地域住民に直接裨益する支援を実際に行っております。

 こうした具体的な例もあるわけですが、今後とも、こうした形での支援の重要性も認識しながら、努力は続けていきたいと考えています。

中川(正)委員 終わります。ありがとうございました。

江渡委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 日本維新の会、宮沢隆仁であります。よろしくお願いいたします。

 本日は、時間も短いので、自衛隊医療、特に防衛医科大学校病院のあり方について、包括して質問をさせていただきます。

 実は私、十六年間、医師として防衛医科大学校病院で働いていた身でして、内部の問題点等はよくわかっておりまして、昨年の臨時国会の決算行政監視委員会と厚生労働委員会におきましてこの防衛医科大学校を取り上げて、小野寺大臣にもそこで答弁をいただいて、ありがとうございました。

 まずは、何が防衛医科大学校で問題なのかというのをちょっとサマライズさせていただきます。

 まず、防衛医科大学校は純粋な国立病院ですので、運営費は医療施行費がおりてくるわけです。それが大体慢性的に不足してきまして、十月ぐらいにそれが枯渇してくると、私も経験したんですが、手術をしてくれるなという通達が来るんですね。それは、例えば外科医等にとっては非常に屈辱的な話で、もうこれだけは何とかしてくれというのが現場の意見です。

 それから、それによって医師のモチベーションが下がるんですね。同時に、医官たちも実質的に、例えば手術症例数が減るものですから、トレーニングにならないということで、防衛医科大学校にいてもしようがないなということで、医官がどんどんやめていく、教官もやめる、看護師もやめるという、非常に悪循環に入ってきています。昨年までの現状では、救急部がもうほぼ崩壊に近い状態にあるという話を聞いております。

 その結果として、防衛医大病院のいわゆる総合病院としてのブランド力が低下してきておりまして、例えば、所沢に住んでいるんですが、手術を受けるのは防衛医大病院じゃなくて都内の病院へ行ってしまうとか、そういう現象も実際に起こってきているわけです。

 それで、私が防衛医大病院に在籍中に経験したことなんですが、今のような現状を何とか打破するために防衛医大病院の独法化を進めましょうという話が実際に省内で、あの当時は庁ですかね、防衛庁内で起こっていたという話を聞いておりまして、平成二十二年四月に、設置を予定されていました防衛医科大学校病院の独法化は見送られることになりました。その経緯はちょっと省略させていただきますが、防衛医科大学校を発展させるために、独法化という施策を再検討しておられるのかどうかというのをまずお聞きしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医科大学校の独法化についてお尋ねがございました。

 今御指摘のとおり、平成二十二年に独法化については見送るということにしております。その理由は、防衛医大の自衛隊病院との連携をますます強化する必要があるという中で、医官を育成するという医大の任務を独立行政法人が果たすということで果たしていいのかということがございましたし、それから、指揮命令等が十分に確保されないおそれがございましたので、独法化を見送ったということでございます。

 このような経緯でございますので、現時点において防衛医大を独法化するという計画はございません。

宮沢(隆)委員 わかりました。確かに、独法化がベストな施策であるか否かというのは私自身もちょっと迷うところなんですが、それはそれで決定として結構だと思います。

 それから、防衛医大病院の決算をちょっと見てみますと、大体、毎年、概算要求額が二百四十億円前後、病院としての歳入は年間百二十億円前後ということで推移しているんですが、これも昨年質問をさせていただきましたが、この防衛医大病院が稼いだお金というのは国庫に入ってしまうんです。それで、その稼いだお金を病院の設備投資にするとか、給与をちょっと上げて腕のいい医者を雇うとか、そういうことがなかなかできない。

 当時からあった話なんですが、国庫納入でなくて、歳入を別建てにして、あるいは特別会計化するなどして、財務省と交渉してでも病院職員のモチベーションを上げるような施策はできないものかということで、これは昨年の決算行政監視委員会でも鈴木さんにお尋ねしたと思うんですが、その後、それを実際に工夫する努力はされておられるのかどうかというのをお尋ねしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医大の病院の収支について御質問がございました。

 御指摘のとおり、診療報酬は歳入として国庫に入ってしまいますので、病院の運営に直接は反映されておりません。そのために、しっかりと適切な診療を行うために、私どもとしては適切に診療を予測して予算を確保するということを実施しておりまして、特に今年度は今までに比べまして十分な予算を確保したとは思っております。ただし、委員御指摘のように、会計を別にするということも一つの方策であるという御意見があるということは承知しております。

宮沢(隆)委員 いや、私がお聞きしたいのは、承知しているその先の話です。法律を変えてでも、あるいはつくってでも、今の状態を改善する意思があるかどうかということをお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医大の恐らく特別会計等の手段についてということだと思います。

 これについては、財政当局とも相談をさせていただきながら、先生の御指摘の方法も含めて、どういう方法がいいのかというのを幅広く研究、検討させていただきたいと思っております。

宮沢(隆)委員 検討していただけるということで安心いたしました。これはかなりキーになる施策ですので、本気で検討していただきたいと思います。これはもう現場の声そのものですので、よろしくお願いします。

 それから、さっき防衛医大病院のブランド力低下というお話をちょっといたしましたが、これはどこと比べてかというと、やはりアメリカのミリタリーホスピタル等と比べてということなんです。私が伝え聞くところでは、アメリカの医療というのはかなりミリタリーホスピタルが引っ張っているところがあるようで、もちろん予算も相当行っているようですので、技術開発に関しても先頭を走っているというお話を聞いております。したがって、日本の防衛医大病院もそういう立場になってもいいんじゃないかなと思うんです。

 一つ、私が防衛医科大学校の卒業生たちを教えていて感じたのは、いわゆる手術件数とか経験件数という意味では、防衛医大病院の卒業生は部隊に行かなきゃいけないということで、どうしても劣ってしまうんです。それは彼ら本人もわかっていて、その分を夜間、無料でどこかの病院で手伝ったりとか、そういうのでかなり努力をしておられる。

 もう一つ、防衛医科大学病院の卒業生が持っている別な力として、いわゆる防衛医学とか災害医学に関する知識、あるいはそのときの動き方については、ほかの大学の医学部卒業生は絶対学べないようなことを相当学んでいるんです。これを、彼ら卒業生のプライドになるぐらいに、一つの資格にしてしまったらどうかなと。これは私のアイデアなんですけれども、例えば防衛医学ライセンスというようなものを別途設けて、彼らにその資格を与える。

 その目的は何かというと、昨今、首都直下地震とか南海トラフ地震の影響というのが怖いということで話題になっていますが、たとえ自衛隊医官をやめても、全国に散らばっている防衛医大の卒業生がたくさんいるんですね。その人たちに、地域での災害医療、防衛医療の役割を担ってもらったらどうかと思うんです。

 今の現状を見ていると、普通に開業医とか病院に勤務して、医師会に入ってというような形で、一般の医師と同じような形で埋没してしまっているように私には見えるんです。もうちょっと彼らを生かしてもいいと思うんですが、このような発想について、いかがお考えでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医大卒業生の災害時の対応もしくはブランド化についてお尋ねがございました。

 防衛医大の災害時における役割については、さきの委員会で委員からも御質問がございました。大臣の御指示のもとで、現在、省内で検討を行っているところでございますけれども、防衛医大には職員である医師のほかにも研修しておる自衛隊医官もございますので、災害時の相応の対応能力があるのではないかということで、その発揮の方法等について現在検討を進めているところでございます。

 また、防衛医大卒業のブランド化ということでございますが、防衛医大は、単に医師になるための教育だけではなくて、防衛医学の研修であるとか、もしくは自衛官であることの訓練とか、そういうものをあわせて行っておりますので、防衛医大卒業が自身の誇りとなって、かつ他からも認められるブランドとなるような充実策というものに今後とも努めてまいりたいというふうに思っております。

宮沢(隆)委員 これも、努力されているようなので、ぜひお願いしたいと思います。

 昨年、この件で質問するときに、防衛医大出身の教授にCBRNEという言葉を教わりまして、ケミカル、バイオロジカル、ラジオロジカル、ニュークリア。これに関する医療というのはもうほかの大学の医学部出身者ではできませんので、ぜひこの辺に特化して、それをブランド力につなげていっていただければなと思います。

 それから、ちょっと災害との関連でお話ししたいんです。

 昨年も委員会で、三・一一のときに防衛医科大学校病院から現地に派遣されたのは、医師が二名ぐらいでしたか、数名のチームが派遣されただけだったということで、その当時在籍していた防衛医大出身の医師たちは、余りの対応のお粗末さに、ちょっと怒っていた人もいたぐらいなんです。私も、ちょっとお粗末じゃないかなと思ったんです。

 これはちょっと極論かもしれないんですが、防衛医療、災害医療を実際に将来仕事にする医学生たちですので、学生だとしても、ちゃんとしたルールをつくって、現地に派遣するということを今後考えてもいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医大の学生について災害医療の経験をさせたらという御提言でございます。

 確かに、防衛医大の役割の大きな一つとして災害医療というのがございますし、在学中にそれを教育研修するというのは非常に大事なことだというふうに思っております。

 ただし、現地に派遣するということになりますと、例えば、実際に教育訓練中である者に何らかの義務を負わせるというのをどういうふうに考えたらいいのかということもございますので、その辺も含めて検討させていただけたらというふうに思います。

宮沢(隆)委員 前向きに考えていただけるようなので、ぜひお願いします。

 実は、結構、僕は学生ともつき合っていたんですけれども、そういう希望もあるのは事実なんですね。アンケート調査でもしていただいて、学生たち自身の意向も酌んだ上で検討していただければと思います。

 その次は、防衛医大病院を少し離れて、自衛隊関連病院全体のことでちょっとお聞きしたいんです。

 これも昨年質問いたしましたけれども、日本の自衛隊病院全体の歳出対歳入比率が三〇五%、人件費の対歳入比率は二〇六%、これは普通の病院ではあり得ないような数字です。それからもう一つは、自衛隊病院の特徴として、空床が多いんです。例えばベッドが百あるとしたら、三十から五十ぐらいは埋まっているけれども残りは空床とか、パーセンテージでいうと二八%が病床利用率ですので、残りが空床ということです。この辺を改善しないと自衛隊病院全体が活性化しないのではないかと思うんですが、その辺に対してちょっとコメントをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊病院の病床利用率等についてお尋ねがございました。御指摘のように、二〇%台という状況でございます。

 これは、まさに御指摘いただいたように、有事の際の収容能力の維持という側面は確かにありますけれども、それにしても改善が必要だということで、二点ございます。

 一点は、平成五年以降、自衛隊病院を、オープン化と申しますけれども、いわゆる保険医療機関化して、地域の方も受け入れるということをしております。それからもう一つは、昨年策定させていただいた大綱、中期防の中にも自衛隊病院の拠点化ということがうたわれておりまして、現在、自衛隊病院は十六ございますけれども、これを地域的、機能的に再編成していって、医官の充実を図りながら、病床数もふやしていくということを考えてございます。今後とも努めてまいりたいと思います。

宮沢(隆)委員 確かにダイナミックに変わりつつあるようなので、期待していますので、よろしくお願いします。

 最後に、小野寺大臣に質問させていただきます。

 これも昨年質問させていただきましたが、まさに今、自衛隊医療及び防衛医科大学校病院、医科大学校そのもののあり方というのが問われていると思うんですね。この間、大綱で防衛医科大学校を明記していただいて、改革の意思が伝わってはきたんですが、例えば人事だとか、どの辺を強化するだとか、何か具体的な施策がありましたら、ぜひ御教示いただきたいと思います。

小野寺国務大臣 防衛大臣になりまして、防衛医大の卒業式に初めて行き、その後に防衛医大病院の視察をし、宮沢委員が御指摘されたような指摘内容については、現場からもお話をいただきました。

 本当に、この問題というのは、まず独法化の問題から始まり、特別会計の問題もあり、歳入面でもさまざま御指摘される課題がたくさんあると思います。また、医師の資質向上のためには多くの診療科目あるいはさまざまな症例に触れる必要があるという反面、自衛隊病院の役割とすると、やはりまた別な役割がある。その中で、卒業生の医師がさまざま苦悩されているということもよく承知をしております。

 現在、省内に、今回の大綱が出た後、その中にこの防衛医大の問題について、特に防衛医学の教育研究拠点としての機能強化ということがありますので、衛生全般として政務官を中心に委員会を立ち上げておりますので、そこの中で速やかに方向を出していきたいと思っております。

 なお、さまざま、ブランド化のお話もありますが、現場の教職員、今でも先生の後輩方が頑張っておりまして、ことしの医師の国家試験の成績におきましては、全国八十医学部、医大のうちの第五位ということで、非常に国家試験についても努力をしてもらっているということであります。

 今後とも、この問題については、大綱に明記するような重要な課題と位置づけて、速やかに検討していきたいと思います。

宮沢(隆)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 私が一緒に働いていた仲間の中には、本当に変わりたいと思っている人たちもいますし、中には、変われないと思い込んでいる人もいるようですが、僕は変われると思うんですね。

 それで、ほかの医学部にないことは、防衛省がこうだという方針を出したら必ずその方向に行かざるを得ないという意味で極めて特殊な医学部であると思いますので、ぜひ、その意思表示を近々示していただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。終わります。

江渡委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸でございます。

 通告していないことなんですけれども、きょうは四月一日でエープリルフールでございまして、別にエープリルフールの話題ではないんですが、昨日、ちょっと私の事務所にファクスが届きまして、同じファクスを外務省の北東アジア課や地域政策課にも送られている。それから古屋大臣、新藤大臣、稲田大臣、それからこの安全保障委員会の筆頭理事でもあります今津理事のところにも同じものが送られているということで、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 どういうことかといいますと、オーストラリアのストラスフィールドの市議会において、本日四月一日に、コンフォートウーマン、慰安婦が議題のクローズドセッション、非公開審議が行われるということで、これに対して、慰安婦像設置の支援側の人が三千名の署名を持って市議会に集まると言われています。現地の邦人の方々もこれに対する抗議運動を行っておられるんですが、いかんせん、数が全然違うのと、三月三十日付のメールで見ますと、その二日ほど前に市長に対して公開質問状として質問をしたところ、国際問題であり中韓と日本の間での論争になっている、この問題はストラスフィールド市としてはかかわりたくないとのことでした。

 慰安婦像を建てたいと思っているのは、たった一人の市議会議員で、韓国系の副市長のオク・サンドゥ氏、この人が建てようと動いているということです。グレンデールにも建っているんですが、これがどんな感じのものかといいますと、記事によると、シドニー慰安婦像は、韓国人、中国人そして白人の女性が手をとり合う形で設置される予定で、かなり具体的に、デザイン、設置場所、資金等が決定しているようであると。この少女像を三体つくるという、余りにネガティブなパワーが出ているというのが現状であります。

 この用地ということで、ストラスフィールド駅前広場など三、四カ所を敷地として物色しているというような状況で、シドニーの邦人の皆様も、グレンデールのことがありますから、これがあると、自分たちの、日本人の子供たちがまたいじめや差別に遭うんじゃないかとか、在留邦人の人権が侵害されるんじゃないか、こういう御心配を非常にされている。

 先日は中国の習近平さんが、三千五百万人の中国人を殺したとか、いろいろ非常に脚色されてどんどん膨らんでいる話題が世界じゅうを今駆けめぐっていまして、アメリカのみならず今度はオーストラリアまでという状況があるというような指摘をファクスでいただいたんですけれども、この件について、もし何か聞かれていることがございましたら、御答弁いただければと思います。

岸田国務大臣 オーストラリアにおきましても慰安婦像を建設するという意見が存在するということについては、以前から聞いておりました。

 我が国としましては、オーストラリアも含めて、我が国の慰安婦問題に関する立場そして今日までの取り組み等につきましては、大使館等を通じまして、地元関係者あるいは有識者等に丁寧に説明を続けてきたところであります。

 ただ、今御指摘の具体的な動きについては、私自身、ちょっと確認をしておりませんので、一度確認をした上で、我が国としての対応を適切に考えていきたいと考えます。

中丸委員 通告のない質問で申しわけなかったんですけれども、誠実にお答えいただき、ありがとうございました。

 ぜひとも、調査していただいて、こういうのがあるということで、自民党の先生方の数多くの皆様のところにも同じファクスが行っているとのことですので、外務省を通じて調べていただき、そのような動きが本当にあるのであれば、きょうそういう議会をやっているということですから、何らかのものはあると思いますから、ぜひともきちんと我が国の態度、必要な抗議をしていただきたい、このように思います。

 それでは、本題に入ってまいります。

 防衛大綱、中期防、こういうものが策定されて、本年度の予算も可決されまして、さまざまな新しい取り組みがこの中に盛り込まれていると思うんですけれども、その中で、やはり一つの新しい着眼点として見れば、水陸両用隊の設置、海外でいえば海兵隊機能を我が国の防衛のために所有するという方向が、大きな位置づけの一つだと思います。その主軸になるであろうというところで、陸上自衛隊仕様のAAV7の評価試験をこれから行っていくということになっているのであります。

 中期防の中を見せていただきますと、AAV7は、五年間かけて五十二両、大体年間で十両ペース、十両ずつ調達されることになるだろうと予測できると思うんですけれども、今回、参考品を購入して評価試験を行うということなんですが、この評価試験は、何を、どのように、どれぐらいの期間をかけて評価するのか、もしわかれば教えていただければと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年度予算で取得する水陸両用車の参考品四両につきましては、取得後、本年四月から速やかに各種検証等に着手する予定でございます。

 具体的な中身でございますが、水上及び地上における機動性能、耐弾性能等、基本的な性能確認、輸送適合性でございますとか通信適合性とかの適合性試験、それに加え、補給整備性試験等を実施し、部隊の使用に供し得るか否かを念頭に評価を行ってまいる予定でございます。

 期間といたしましては、二十六年度から二十七年度にかけて実施していく、こういう予定になってございます。

中丸委員 一年間行われるという認識でよろしいですか。済みません、そこだけちょっとお答えください。

吉田政府参考人 基本的な性能確認につきましては、二十六年度ということでございます。

中丸委員 二十六年度に基本的な性能確認をしていくということになっておりますけれども、以前、平成二十五年の四月十五日の予算委員会の第一分科会で私が徳地政策局長に質問させていただいたときに、「二十七年度までに取得をいたしまして、それから一、二年かけてこれにつきまして性能を確認する、あるいは運用の検証を行う。これによりまして、水陸両用車を導入すべきかどうか、それから実際にどの機種にするかということについて検討をするということになっております」という答弁だったと思うんです。

 この答弁であれば、評価作業が完了するのは二十八年から二十九年ぐらい。そうすると、AAV7が装備として予算が要求されるのは早くても二十九年になるのではないかというふうに考えられるんですが、そういう解釈でよろしいですか。

徳地政府参考人 お答えをいたします。

 確かに、先生御指摘のとおり、昨年の四月十五日、予算委員会の第一分科会において、中丸先生から御質問いただきました。その時点におきましては、AAV7のRAM・RSと呼ばれる機種のいわゆる新古品、これについて取得に向けた交渉をアメリカ政府側と行っておりましたけれども、その時点におきましては、具体的な取得可能時期というものは明らかになっておらなかったわけでございます。他方で、新造品の場合ですと三年ぐらいかかるということはわかっておりました。

 ですので、以上のことを踏まえまして、私も、その当時、まさに今先生御指摘のあったとおりですけれども、二十七年度までに取得をするということを申し上げた次第でございます。

 その後、このAAV7のRAM・RSの新古品につきましては、アメリカ政府と交渉をいたしました。そして、二十六年度の初めにも取得可能な見通しが立ったということから、新しい大綱、それから中期防において整備をすることとされました本格的な水陸両用作戦能力、これを早期に整備いたしますために、水陸両用車の参考品について二十六年度から各種の検証を実施する、こういうことに相なったわけでございます。

中丸委員 新古品ということで、多少そういうふうになったということは理解できました。

 ただ、今局長もおっしゃっていましたけれども、参考品ということで、今から評価試験を行うということは、試験ですから、当然、不採用になる可能性もあるんだと思うんです。中期防の中には五十二両を調達するというふうに書いてありますし、今から試験は行うわけですけれども、結果がまだ当然、今からやるので、二十六年度一年をかけて評価をするのに、先の調達予定が決まっている。何かしっくりこないと思います。

 安いものではないですから、やはりそれだけの税金で、誤解のないように言っておけば、私は、装備にお金をかけてはいけないということを言っているのではなくて、本当に国民の理解を得られる形で、必要なものを必要なときに必要なだけ購入していただきたい、こういうふうに思っているわけで、そういう意味では、やはり何となく不自然だと。国民の皆さんも、これは今インターネット中継もされていますし、当然、いろいろなところで見られている方がおられると思うんですけれども、不自然だという声の方が多いと思うんです。

 これはどういうふうに理解したら納得できるか、教えていただけますか。

徳地政府参考人 御指摘のとおり、今、平成二十五年度予算において計上したものが間もなく入ってまいりますけれども、これはあくまで参考品ということでございます。ですので、今後、運用のための検証をいたしまして、我が国の自衛隊の装備品として十分なものかどうかということをこれから検証していくということでございます。

 他方で、そもそも、これまで検討していた中では、AAV7以外の車種につきましては、我が国において実際に運用します場合に、さまざまな防護力でありますとかあるいは海上機動力といったものを考えますと、ほかのさまざまな機種の場合には我々として必要な性能は満たさない、こういうようなことまでは我々としては一応わかっておるわけでございます。

 今後、このAAV7のRAM・RSは、取得をされましたら速やかに検証を行って、これが我が国の防衛上の所要を達成し得るかどうかということを十分に検証して、その上で自後の防衛力整備を進めていきたいと考えておるところでございます。

中丸委員 検証はしっかりとやっていきたいんですけれども、水陸両用、いわば上陸するわけですから、当然、海を走って、水上を走って、陸地に兵士なり物品なりを運ぶわけです。

 島嶼、特に南西諸島を想定すれば、前も言いましたけれども、リーフ、サンゴ礁、こういうものがあって、当然、評価されるというか他機種と選定までされたわけですから御存じだとは思いますけれども、このAAV7は、そこは走れないんです。その中でAAV7を上陸させようと思うと、「おおすみ」型のような輸送艦からLCACに積んで持っていく。

 LCACに積んで持っていって地上に置くんだったら、AAV7じゃなくて普通の八輪装甲車でも全然使えると思うんですけれども、これは一体、五十何両、結構な数ですよ、どういった運用を考えられているのか。リーフは考えていないとすれば、逆にどういったところを想定されてこれの導入を考えられているのか、ちょっとお聞かせ願えますか。

徳地政府参考人 確かに先生おっしゃいますように、南西地域におきましては、周囲にサンゴ礁が多く分布をしております島嶼部、これはございます。一般論として申し上げれば、水陸両用車によって着上陸を行うという場合に、状況によりましてはサンゴ礁が地理的な障害となり得るということ、それは我々としても十分認識はしております。

 しかしながら、必ずしも島嶼部の全周がサンゴ礁によって囲まれているというわけではありませんので、その場合にはサンゴ礁を避けて運用するということもあると思います。それから、潮の満ち干というものもございますので、これとサンゴ礁の形状によっては、必ずしもサンゴ礁の存在自体が運用上の障害になるというふうには考えておりません。ということもありまして、サンゴ礁があるからといって、このAAV7、水陸両用車による着上陸が不可能になるというふうには考えておらないところでございます。

 それから、LCACのお話でございますけれども、水陸両用車の具体的な運用要領、これは今後、参考品につきまして各種の検証を通じてさらに検討を進めていくということにはなりますけれども、現時点におきましては、まず、事態対処が求められる島嶼部の周辺海域までは、水陸用車の機動展開につきましては輸送艦艇で行います。そして、これを拠点といたしまして、水陸両用車の発艦を行って、その後は、水陸両用車がみずから沿岸部まで海上機動を行って島嶼部に着上陸をする、こういう運用方法を念頭に置いておりますことから、LCACで水陸両用車を搭載して上陸する、そういうことは想定をいたしておりません。

中丸委員 それはどっちにしろ母艦から出るわけですよね。ただ、母艦の安全確保を考えたときに、LCACの活動範囲、行動範囲の距離であれば、片道二百七十キロ、往復で五百五十キロぐらい活動できるんですけれども、このAAV7というのは、三十五キロから四十キロぐらい、物すごい近いところまで近づくわけですよ、現実的に。

 今、リーフの走破の面のところで満潮と干潮の話をされたような気がするんですけれども、魚釣りじゃないんですから。いざというとき、必要なときに満潮か干潮かなんて、今は満潮だから行けるけれども干潮だったら行けませんみたいな話をするんですか。どうですか。

徳地政府参考人 私が今申し上げましたことは、サンゴ礁があった場合に水陸両用車によって着上陸が全く不可能か、その際に考えなければいけない幾つかの要素について申し上げたわけでございますので、潮の満ち干だけが決定的な要素になるということを申し上げたわけではなくて、まさにサンゴ礁の形状というものもあるでしょうし、その島がサンゴ礁だけで囲まれているかどうかということもあるわけでございますし、それから、さらに言えば、施設科部隊の使用ということも別途あるのかもしれません。そういうこともさまざま、いろいろ研究をしていかなければいけないと考えております。

中丸委員 そういったことも、参考品購入から評価試験をするのにさまざまなことが必要になってくるわけです。だから、それを、全てを実際に実機を使って、しかもこれは、ワンタイプだけじゃなくて、通信機能を搭載したものとか、ほかのタイプも含めて統合運用をするわけですよね。そういった小隊単位で動いたトータルの検証をして初めて、では、これだったらどれだけ要るのかという話が出るんですけれども、先に五十二両とか、こういう結論ありきの調達というのは、私はすごく問題意識を持っていますので、何度も言わせていただきます。

 ついでに申し上げれば、この評価試験用に調達したAAV7は基本的にアメリカの海兵隊型に準じているということでございまして、そうすると、武装は十二・七ミリM2機銃とMk19のグレネードランチャーが搭載される予定だと思うんですけれども、このグレネードランチャーは四十ミリですね。ベトナム戦争以来ずっと使われているものなんですけれども、同じ口径で我が国の自衛隊が使用している九六式の自動てき弾銃というのがございまして、これは同じ四十ミリなんです。ということは、弾は両方とも使えるということですか。どうですか。

徳地政府参考人 お答えをいたします。

 今回、参考品として取得をする水陸両用車、これにはアメリカ製の四十ミリてき弾銃というものが搭載をされておるところでございます。他方、先生御指摘の九六式の四十ミリ自動てき弾銃の搭載につきましては、その補給整備性でありますとか、あるいは弾薬の補給管理、それから国内の防衛生産、技術基盤等、さまざまな観点から考えていく必要がございます。

 その点も念頭に置いて検証していく予定ではございますが、国産品の場合には弾薬の給弾方式が米国製と異なるというふうに承知をしておりますので、仮に国産の四十ミリてき弾銃というものを搭載しようと思うと一定の改修が必要になるものというふうに考えておるところでございます。

中丸委員 時間がなくなってきまして、まだほかにもたくさん質問はあったんですけれども。

 ちなみに、同じ四十ミリでも、五十三ミリと五十六ミリで三ミリ違うんです。ということは使えないということですから、さっき局長がおっしゃられたように、アメリカ製のままでいけば、自動てき弾銃も、国産のものも積んでいくとしたら、弾を二種類持っていかないといけない。非常にタイトな輸送という中で、これはもう共用できるようにする方が常識的だと思いますので、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 先ほど来、AAV7のお話をしていますけれども、一つ、これが実際に動くときは、海上自衛隊の船に載せて動くという意味では、統合型で動かされるんだとは思うんですが、通常の訓練は北海道でされるというふうにいろいろ聞いたりもしています。そうすると、管理運営は陸自の隊員ではないかというふうに推測されるんですが、それで間違いないですか。

徳地政府参考人 今後、この水陸両用車を導入した場合に、その配備、それから訓練、演習といったものをどういうところでどういう形でやるかということにつきましては、今後、それらも含めて総合的に検討してまいりたいと考えておるところでございまして、現時点において固まったものは特にございません。

中丸委員 現時点で固まっていないのであれば、一つ御提案させていただきたいと思います。ぜひとも、運用も含めて、隊員の移動もありますけれども、海自でやっていただく方が自然だろう。

 ちなみに、アメリカとか諸外国を含めて、海兵隊というのは一般に海軍の派兵組織であり、海軍の総括の中に入るというふうに考える方が普通でございます。それは、当然、運用上、便利で合理的だからという理由だと思いますし、あるいは、統合幕僚の直轄組織にするべきだと思います。訓練とかも含めて陸上でやるから陸自というふうな考え方はちょっと硬直していると思いますので、検討中であれば、ぜひともそういったことも含めていただきたいんですけれども、いかがですか。

徳地政府参考人 先ほどの答弁は若干誤解を与えたかもしれませんので補足させていただきますと、訓練の場所等とか、そういうところにつきましては今後の検討ということは十分必要だと思いますが、水陸両用車を導入した水陸機動団につきましては陸上自衛隊の部隊として編成をする、このことは中期防におきましてもそのように決定しておりますので、そのことにつきましては御理解をいただきたいと考えております。

中丸委員 時間が参りましたので、またあさって、三日に続きをさせていただきたいと思います、小野寺大臣には特に。

 要は、装備品に係る全体費用の透明性、客観性と有効性をやはり、今一生懸命、局長もおっしゃっていただきましたけれども、やっておられるとは思いますが、さらなる上を目指していただきたいということで、こういう質問をさせていただいているという趣旨だけ御理解いただければと思います。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、安全保障委員会において、先日の防衛大綱等に関する質疑の時間をいただきました。限られた時間なので、有効に使って質問させていただきたい、このように考えております。

 みんなの党といいますのは、当たり前の自由主義と一人前の国家を目指している、そういう政党でございます。

 私は、先日、防衛大学校の卒業式に参加をしてまいりまして、実際、どのような様子で卒業式が行われているのかというものを拝見してまいりました。二時間にわたる式典の間じゅう、身じろぎ一つせずに、しっかりと総理大臣、そして防衛大臣、その他の方々の話を聞くという姿を見て、本当に感動すら覚える思いがいたしました。そういった方々にしっかりと日本を守っていただけるということは本当にありがたいことだと感じている、そういう中で本日の質問に立たせていただきたいというふうに考えております。

 特に、安全保障という観点からいけば、とにかく、危機的な状況に対して、しっかりと耳をそばだてて対応していくことが必要なのではないかというふうに考えております。

 本日の安全保障委員会の冒頭で、中山委員のエープリルフールというのがありましたけれども、そういう危機的な話をされて、一瞬、本当に、どうなのかなというような、大臣の顔色がちょっと変わったところも拝見させていただきました。私も、何らかそういうエープリルフールのことを申し上げたいと思ったんですけれども、今の党の状況からすると割とブラックなことしか思い浮かばないものですから、ちょっと私はそれはやめておこうかなというふうに思った次第でございます。本日は真面目に中身について質問させていただきたいというふうに考えております。

 それでは、先日の防衛大綱等について、私も本会議場で質問させていただいてるる御回答をいただきましたので、それに関してさらにつけ加えるというような観点で本日の質問に移らせていただきたいというふうに考えております。

 まず、先日の質疑の中で取り上げさせていただきました、島嶼部防衛について伺いたいというふうに考えております。

 この島嶼部防衛というものについては、もちろん最初から、島嶼部について、危なく国名を言いそうになりましたけれども、他国が攻めてくるぞというような話があったときに、それに対して防衛出動ということが行える、そんな単純な場合ではなく、最初はグレーゾーンということで、不審船ですとか、そういったところが近づいてきて、それに対して、初動は海上保安庁が対応する、国土交通大臣の指揮権によって行うということです。もちろん、それが武装船であったというような場合には、海保の対応能力を超えているということで、閣議を経て、内閣総理大臣の承認を受けて、海上警備行動、自衛隊による対応に切りかわるというような形です。

 一応、念のために確認です。

 この状況判断の変化に基づいた閣議決定というものを速やかに行うことが可能か。過去に数度、海上警備行動に切りかわっているというような状況がございますけれども、最短で何時間ぐらいで発令することが可能なのかということについて、まずお答えいただきたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 海上警備行動の発令につきましては、議員御指摘のとおり、閣議決定による内閣総理大臣の承認が必要となります。

 ただ、海上警備行動の発令に至るまでの間におきましても、海上保安庁などとの間で迅速かつ継続的な情報共有を図るとともに、閣議決定につきましても、例えば、緊急の必要があり、国務大臣の参集が困難な場合には、電話により各国務大臣の了解を得て閣議決定を行うことも可能だというふうに考えております。

 このような関係機関との緊密な連携、また迅速な閣議手続によりまして、自衛隊による対応が必要とされる場合には、遅滞なく海上警備行動を発令することができるものと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 海上警備行動がまず発令されました、電話等々によってそういったものを確認していくということですから、そんなに時間はかからないというふうに考えております。

 その上に、さらに事態がエスカレートしていくということで、海上警備行動から、場合によっては、これは過去に例がありませんけれども、防衛出動が必要だというふうに判断された場合には、一応、法律上は、まずは建前としては国会の承認を要するというふうになっております。

 もちろん、特に緊急の必要性があって、事前に国会の承認を得るいとまがない場合には事前には必要ないということではございますけれども、特に緊急の必要があり、事前に国会の承認を得るいとまがないということを判断する上では、大体、一般的には、国会の承認には最短でどれぐらいかかるのかということも、基本的には原則対応して、どうしてもそれでは対応できない場合には例外対応していくということを考えていく上では、まず原則対応するためにどれぐらいの時間がかかるのかということもシミュレーションされているのかどうか知りたいなと思うんです。

 最短でどれぐらい承認に時間が必要か、お答えいただければと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 ある事態が仮に武力攻撃事態に該当する場合におきまして、総理大臣は、自衛隊法七十六条に基づき、自衛隊に防衛出動などを命ずるなどして、事態に対処することになります。

 御質問の手続でございますけれども、事態対処法第九条に基づきまして、まず対処基本方針を閣議で決定いたします。この後、直ちに国会に承認を求めることとされておりまして、政府としては、可能な限り早急に所要の手続を進める考えでございます。

三谷委員 いや、そこの可能な限りの具体的な想定をちょっと伺いたいと思っているんですが、それがあるのかないのかだけでもお答えいただければと思います。

中島政府参考人 今、手続を申し上げましたけれども、現実にそういうような手続がとられる際には、種々の要素があろうかと思います。

 今お答えできるものといたしましては、可能な限り早急に所要の手続を進めるということで御理解いただければと思います。

三谷委員 では大臣、この点、何らかのお考えがあればお答えいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 国会の承認ということでありますので、直ちに議長を含め議運の中で国会が召集され、その中で承認をいただければということですので、どのぐらいの間かというのは、むしろ議会の中で検討していただくことが大変重要なことだと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 本当にそういう事態になったら、国を挙げて、それこそ、もちろん当然のことですけれども、党派を超えて、しっかりと国を守っていくという方向で動いていかなければならないのではないかと考えております。

 そのためには、それに要する時間というのはできるだけ短く、もちろん、その状況の確認等々には一定の時間はかかるでしょうけれども、それでも、国を守っていくために支障がないような形で、場合によってはもちろん例外対応もあるとは思いますけれども、そういったところに国会を挙げてしっかりと取り組んでいかなければならない、それは自省を含めて、そのように考えている次第でございます。

 最初に、島嶼部防衛の、自衛隊そして海上保安庁の連携という話から入りますけれども、実際には、一旦島嶼部が占領されてしまったというような場合、事態がエスカレートしていく場合には、もちろんこれを取り戻していかなければならないということになるわけでございます。

 その意味では、今回の防衛大綱等において、島嶼奪還能力を持つ、いわゆる水陸両用部隊というものをしっかりと持っていくんだというようなことになるわけですけれども、これはもちろん、占領されている島嶼部に水陸両用部隊でそのまま乗り込んでいっても、ほとんど実は返り討ちになってしまうという可能性も低くないわけであります。

 そのために、しっかりと上陸作戦が成功するように、船から、または飛行機から、島嶼部の中でもちろん構築されているであろう敵国の防衛部隊、これを無力化しておくということも必要になってくるのではないかと考えております。艦船や飛行機からの対地攻撃能力というものが十分に今備わっているのかということについて、これはある意味、水陸両用部隊の上陸作戦に対する支援体制ということになりますけれども、それについての体制というものは十分かどうか、お答えいただきたいと思います。

徳地政府参考人 お答えいたします。

 島嶼部防衛、特に島嶼部の奪回につきましては、水陸両用部隊を活用するとしても、その前提といたしまして、その場合における航空優勢あるいは海上優勢の確保ということがまず必要でございます。それだけではなくて、我が国の航空機による対地攻撃によりまして、あらかじめ相手方の上陸部隊というものを可能な限り減殺しておくことが必要になるというふうに考えております。

 そこで、航空機からの対地攻撃能力につきましては、平成十六年度からでございますが、航空自衛隊が保有する通常爆弾に精密誘導性能を付加する装置というものを調達することによりまして、いわゆるJDAM、精密誘導装置つきの爆弾の整備を順次進めてきております。それから、平成十八年度以前に納入されたF2につきましては、このJDAMを搭載できるように改修を順次実施しておるところでございます。

 さらに、F2によります移動目標対処能力の向上のために、ターゲティングポッドの取得、搭載のための機体改修、これを今後順次行っていくこととしておりまして、平成二十六年度におきましてはその試改修を行っていくこととしております。

 それから、ターゲティングポッドの搭載によりまして、移動目標対処能力を向上させたレーザー誘導爆弾、レーザーJDAMを使用する際に、これまでは地上要員によりましてレーザーを照射することが必要であったわけでございますけれども、航空機の上からの誘導のみでも移動目標に対する精密攻撃が可能となるというものでございます。

 なお、先生、艦船からの攻撃ということについても御質問がございましたけれども、海からの対地攻撃能力につきましては、護衛艦に搭載されております砲でありますとか、あるいは開発中の能力向上型の艦対艦誘導弾、こうしたものの使用も考えられることは考えられますけれども、島嶼奪回作戦のときには、どちらかといえば航空機からの対地攻撃というものが中心になるのではないかと考えておるところでございます。

三谷委員 航空機からの対地爆撃というところですけれども、もちろん、艦船からのいわゆる昔ながらの艦砲射撃ということでは、精密な場所を特定してそれをアタックするということはなかなか難しいところではございますから、できればトマホークのような、そういったものを撃てないかというふうに思っているところではあります。これは、また改めて、今のお答えを前提に確認をさせていただきたいというふうに考えております。

 とにかく、現時点においては、極東地域において自衛隊の戦力の方が上回っている、島嶼部奪還ということでいけば、それは奪還できるだろうというふうに言われているところでありますけれども、随時、周辺諸国の武力レベルがある意味どんどん上がっているという中で、しっかりと日本の自衛隊のレベルも上げていくということをぜひとも検討していただきたいというふうに考えております。

 それから、事前の通告ではデータリンクについてもありましたが、ちょっと時間の関係もあって、一点飛ばさせていただきます。

 以前、本会議でも質問させていただきました、中国のファーウェイテクノロジーズの電子機器を含む機器の日本の政府内での使用ということについて伺いたいというふうに考えております。

 これも先日申し上げましたけれども、ファーウェイテクノロジーズが提供する電子機器に安全保障上の問題があるんだという話が二〇一二年のアメリカ下院の特別委員会の報告で上がったということで、これはもう既にアメリカやイギリス、オーストラリア、そして韓国においてはそれぞれ、範囲の狭い広いというのはありますけれども、そういったものを取り扱う上での注意というものが出ているところであります。

 これは日本にはまだ出ていないというようなことですけれども、これを検討していく予定はありますでしょうか。

藤山政府参考人 この点につきましては、既に官房長官が先日お答え申し上げましたけれども、政府がIT機器を調達する際に、その安全性を確保するということについては非常に重要であるという認識は我々持っております。

 その実態につきましては、現在、関係省庁とも検討中でありまして、早期に、可能な限り早い時期に全省庁に対して調査を求めたいというふうに考えております。

三谷委員 早期にということですけれども、これは放っておけばおくほど、もちろん、具体的に、何でもないということであれば、それにこしたことはないわけです。先日も、報道ベースですけれども、アメリカ政府がファーウェイのネットワークに入っていって、中国当局と情報のやりとりがなされているかを調べていったというようなことも出ておりました。これは報道ベースですが。

 もちろん、日本政府が直ちにそこまでやれるということは、安全保障上の必要性があるといってもなかなか難しいということは理解はしていますけれども、常日ごろから、もしかしたら日本政府の中の情報がだだ漏れしているかもしれないという危機感はぜひとも持っていただきたいというふうに思っています。

 これは、実は、先日申し上げたファーウェイだけではない。もちろん、これは全部報道ベースなので真実のところはわからないんですけれども、レノボ社が提供しているパソコンにもバックドアが仕掛けられているというような報道もあるわけです。

 こういうものを日本の政府の中で使っていくということが、調べてみた結果、特段問題はありませんでしたということだったら、誰も不幸にならないわけです。ただ、日本が自分の費用で自分で調べていくということをやっていくのかどうかなんだと思うんです。

 先ほどお答えいただいたのは、どれぐらい使われているかということについて調べていくということでしたけれども、この危険性というものがどれぐらいあるのかということについて調べていかれる、それについての人員ですとか予算ですとか、そういったものを振り向けていく御予定はありますでしょうか。

藤山政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、まずは実態把握をしてみたいというふうに考えておりますし、その結果を踏まえて、その後の対応につきましては、御指摘の点も含めまして、あわせて検討してまいりたいというふうに考えております。

三谷委員 ここで総務省に伺いたいというふうに思っております。

 例えば、このファーウェイの機器というのは通信機器でございますから、もちろん、通信のかなめである、そこを情報が全て通っていくものに関して、その情報が漏えいするような仕組みが設けられているということであれば、ある意味、政府用、民生用を問わず、日本の中でやりとりされている情報が全て筒抜けになっているという危機さえあるわけであります。

 そういう意味で、日本の中の大手の通信業者、ドコモですとかauですとかソフトバンクですとか、通信機器の会社が幾つもありますけれども、そういうところでどれぐらいファーウェイの機器が使われているかということについて調査をされているか、お答えいただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点においては、個社における御指摘の機器の使用状況については把握していないところでございます。

三谷委員 現時点で把握していないということですけれども、それについて把握する予定というのはありますでしょうか。

安藤政府参考人 機器の調達先につきましては、事業者の重要な経営戦略に係るものであることから、一般論として申し上げれば、機器の調達先については把握することとしていないところでございます。

 ただ、御指摘の点に関しましては、政府調達について、今、内閣官房において調査に関し検討を進めているところであり、その結果なども踏まえ、対応を検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

三谷委員 今のお答えからすると、簡単に言えば、内閣官房でそういうものについてしっかりと調査しろよというような方向性が出たら調査する準備ができているということなんだろうと思いますので、しっかりとその辺についての検討ができるように、内閣官房には検討を進めていただきたいというふうに考えております。

 何しろ安全保障というものは、何も弾薬とか武器とか飛行機とかそういったことではなくて、まさに現時点での情報戦という側面が非常に強いわけですから、そこについてしっかりと、どういうふうに情報のやりとりをやる上で安全が図られるかということを考えていくのが安全保障の一つの肝なんだろうというふうに考えているわけでございます。

 この点、安全保障の中での情報のやりとりの重要性、そしてまさにサイバーセキュリティーの重要性ということについて、小野寺大臣の御見解をぜひとも伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 これは、防衛分野のみならず、さまざま、それぞれの国の基礎インフラがサイバー空間に頼っていることは事実であります。

 今後とも、私ども政府全体でのサイバー空間についてのしっかりとした警戒監視も必要だと思いますし、防衛省としましては、先般、サイバー防衛隊というのを設立し、今後、それをどんどん拡充していきたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 先日伺いましたサイバー防衛隊、九十人から発足ということで、アメリカは一万人規模ですので、ぜひともしっかりと、小さく産んで大きく育てていただきたいということをお願いさせていただきまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私も、防衛大綱、中期防に盛り込まれた水陸機動団について質問をいたします。

 先ほどから、中丸先生そして三谷先生、大変興味深い質問をなさっておりましたが、私の方はまた違う立場からの質問になるだろう、こう思います。

 武田副大臣は、三月二十四日、佐世保市を訪問して、水陸機動連隊を相浦駐屯地に、水陸両用車部隊を崎辺地区に配備する方針を伝えた、このように報じられておりますが、具体的にどのような説明を行ったのですか。

武田副大臣 お答えいたします。

 そもそも、佐世保市側からは、安全保障における佐世保市の位置づけというものを明確にしていただきたいということと、特に係留施設の充実というものを我々はずっと求めておりました。その中において、係留施設を充実させるためには、崎辺地区、先生御承知のように、米軍が持っているところを返還していただくように今協議を進めているところですが、そこをしっかりとした係留施設へと改良していくということ、その方向性について我々は説明をいたしました。

 一方で、水陸両用部隊に関しましては、その連隊というものを相浦に置きたい、ついては、水陸両用車を置く部隊については、相浦からすれば近傍に位置する場所が崎辺西区というもので、SSKが所有している地域ですけれども、これが適地の一つであるという考えを我々は持っていますという説明を申し上げ、そうであるならば、特にこういった問題は地元の意見というものが非常に重要になってくるので、よくよく調整を図りながら協議を進めていただきたいと。方向性については御理解をいただけたというふうに私は考えております。

赤嶺委員 防衛省が佐世保市に提示した資料も確認してみました。

 今副大臣からの説明もありましたが、崎辺西地区施設整備構想案として、現在SSKが所有する崎辺地区の西側に水陸両用車部隊を配備する、こういう方針を示しておられます。庁舎、隊舎、整備場などや、陸上における操縦訓練を実施するための訓練場も整備予定とあります。

 また、崎辺地区の東側では、米軍のLCAC駐機場跡地が返還された後に海上自衛隊が使用する方針を示しております。DDHなどの大型護衛艦や「おおすみ」型輸送艦等が係留可能な大規模な岸壁を整備予定、こうあるわけです。

 つまり、陸上自衛隊と海上自衛隊の新たな基地を隣り合わせで整備して、水陸両用車が輸送艦などに乗り込んで直ちに出動する、そういう体制をつくるということですか。

武田副大臣 統合力、機動力というものを充実させ、即応性を増すために、そのような方向性を我々はとっておるところであります。

赤嶺委員 大臣にもお伺いしたいんですが、水陸機動団は、昨年六月に、防衛大綱を策定するに当たって自民党が取りまとめた提言がありました。また、その翌月に防衛省が公表した、防衛力の在り方検討に関する中間報告もありました。これらの中で海兵隊的機能と表現されているものであります。海兵隊は、御承知のとおり、他国への強襲揚陸作戦を基本的な任務としてきた部隊でありますが、なぜこういう部隊を日本が持つ必要があるのですか。

小野寺国務大臣 私どもとしては、今回、水陸機動団、水陸両用の部隊ということで検討させていただいておりますが、委員も御案内のとおり、日本は、南西諸島の約一千の島嶼を含め、約六千八百の島嶼を抱える島国でありますし、それぞれの島は、日本の排他的経済水域を含めた、さまざまな日本の国益の基盤となるものであります。

 私どもとしては、今後とも、島嶼部において、これは日本の領土でありますから、そこをしっかりと警戒監視、守っていくためにはこのような水陸両用の機能を持った部隊が必要だということで、今回整備させていただく方向だということであります。

赤嶺委員 島嶼防衛のためということが繰り返されるわけですが、中期防には、先ほど中丸議員も指摘しておられましたが、水陸両用車を五十二両。必要なければ買う必要はないという趣旨だったのかなと思って、あの質問を聞いておりましたが。ティルトローター機、つまりオスプレイも十七機も購入する、さらに多機能艦艇として海兵隊のような強襲揚陸艦の導入まで検討していると。

 中期防全体の中で考えてみた場合に、なぜこれだけの装備を導入する必要があるんですか。

小野寺国務大臣 今回の防衛大綱、中期防を議論する中で、これは在り方検討ということで、江渡現委員長が当時防衛副大臣として中心になってまとめていただきましたが、そのときの考え方というのは、一つは、日本は島嶼がたくさんある島国であるということ、そして、その島嶼防衛には、従来の部隊に加えて、やはり水陸両用の機能を持つ部隊が必要だということ。

 さらにもう一つ言えば、東日本大震災がございました。東日本大震災のときに、これは私自身も経験いたしましたが、沿岸部、港湾、全て瓦れきで使用できないときに、実は物資の輸送を含めて一番有効に機能したのが、例えば空からの空輸、あるいは海上からの水陸両用のそれぞれ装備であったと認識しております。

 島嶼部が多いということを考えた場合に、私どもとしては、これからも、この水陸両用の機能、あるいは今ティルトローター機の話がありましたが、これはやはり災害救援、救急救難に大変有効な装備でもあると理解しております。つい先日は、小笠原の村議会でこのティルトローター機の早期導入についての決議をいただいたとも聞いております。私どもとしては、こういうさまざまな事態にしっかり対応できるように、今回、装備の充実を図っていきたいと考えております。

赤嶺委員 国外での運用は行わない、島嶼防衛に限定しているんだ、そういうことですか。

小野寺国務大臣 私どもとしては、基本的に、我が国の島嶼部の防衛ということが基本であります。

 今お話がありましたが、例えば、通常よく海兵隊という中での先制攻撃等について私どもが検討したり、他国の領土に強襲上陸して占領するといった任務を付与することはあり得ず、あくまでも、水陸機動団の新編というのは、専守防衛等の我が国の基本的な防衛政策の中での役割というふうに御理解いただければと思っております。

赤嶺委員 今のお答えですと、国外での運用を行わない、そう断言したというふうには思えないんですが、いかがですか。

小野寺国務大臣 専守防衛としての我が国の基本方針の中で、この水陸両用の部隊が機能するということが私どもの考えであります。

 それから、これは仮にさまざまな想定でございますが、例えば先般のフィリピンの国際緊急援助の中で、我が国に対して、被害を受けている国から、例えば緊急援助の中でこのような装備を持つものが対応できないかというときがあれば、それは政府として検討する一つの考え方かと思っております。

赤嶺委員 安倍内閣は今、憲法解釈を変更して集団的自衛権を行使できるようにしよう、こういう検討を進めています。この動きの一方で、海兵隊とは違うだとか、他国への強襲揚陸能力とか、そんなふうに言っても、なかなか、今の安倍内閣の政治の流れの中でこの水陸両用部隊というのを考えてみた場合に、信用されるものではありません。

 日米安保体制というのは、そもそも日米の役割分担については、米軍が矛、自衛隊が盾の役割を担うもの、このようにされてきました。これとの関係はどうなるんでしょうか。役割分担を次第に見直していくということですか。

小野寺国務大臣 あくまでも、水陸機動団につきましては、自国の防衛に供するものでありますし、私どもとして、盾という役割の考え方は変わってはおりません。

赤嶺委員 海兵隊機能を持っている部隊を持っていくということを盛んに自民党や政府の中間報告の中でも言われていたわけですから、非常に危惧の念を感じるところだと思います。仮に自衛隊が矛の役割を担おうというのであれば、自衛隊の性格の根本的な変容につながるものだ、こう言わざるを得ないことを指摘しておきたいと思います。国内の島嶼防衛のためだとしても重大であります。

 外務大臣に伺いますが、今、日中間では、日韓の間でもそうですが、まともな話し合いを持てない状況が続いています。国際社会からもこうした現状に懸念の声が高まっています。日中関係の現状、これをどう打開していこうとしているのですか。

岸田国務大臣 日中関係は我が国にとりまして最も大切な二国間関係のうちの一つであり、また、日本、中国、両国は地域社会あるいは国際社会の平和と安定にも責任を共有していると考えております。個別の問題があったとしましても、大局的な観点から、戦略的互恵関係の原点に戻って、両国関係をコントロールしていかなければならないと考えております。

 そして、その際に、やはり、二国間の意思疎通、対話が重要だと認識しております。個別の問題があるからこそ、難しい局面であるからこそこうした対話が重要であるということですが、残念ながら、現時点では高い政治のレベルでの対話が実現しておりません。

 しかし、日中の間には幸い、経済関係、市民交流、あるいは地方自治体間の交流など、さまざまな交流が存在いたします。また、環境を初め、両国に共通するさまざまな課題が存在いたします。こうした具体的な分野、そしてさまざまなレベルを通じた対話、意思疎通を積み重ねながら、ぜひ高い政治のレベルでの対話を実現したいと考えております。ぜひ中国側にも、こうした我が国の取り組みを理解し、応じていただきたいと考えています。

赤嶺委員 時間が来ておりますけれども、私も、若い時代に、あの南西諸島の島々で学校の教師をやっておりまして、教え子を今でも訪ねたり、本当にのどかな、平和な、人口よりも牛の数が多い島だとか、いろいろな島があります。向こうには、島嶼防衛だとかいう感じで、私からすれば非常におどろおどろしい話が広がっていく。

 日中問題についても、対話のテーブルに着く、双方が緊張を高めるような行動は厳に慎んでいく、そういうことが必要だと思いますが、安倍内閣がやっているのは、余りにも、集団的自衛権行使の検討や自衛隊の体制強化、さらには靖国神社への参拝とか、やるべきこととやっていることが正反対である。やはりそこに、平和外交にもっと力を入れていくべきだということを申し上げて、続きはまた次回にしたいと思います。

江渡委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 当委員会では初めての質問となりますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 私は、きょう、国家安全保障戦略と日米関係についてお尋ねをいたしたいと思います。

 今回の国家安全保障戦略では、厳しい国際情勢、東アジア情勢を踏まえて、中国への抑止力を強化する必要があり、そのために日米関係の深化、抑止力の強化が必要である、そういう形で戦略を立てておられます。

 そこで、基本的なことをお尋ねいたします。

 この戦略は、おおむね十年をタイムスパンとしておられます。その理由と、そして十年後の安全保障環境をどのように想定されているのか、お尋ねをいたしたいと思います。

    〔委員長退席、中山(泰)委員長代理着席〕

新美政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘がございましたとおり、昨年十二月に制定いたしました、国家安全保障の基本方針でございます国家安全保障戦略、これを策定するに当たりましては、我が国の国益を長期的な視点から見定めた上で国家安全保障の確保に取り組む必要があるという考えのもと、その内容をおおむね十年程度ということを念頭に置くこととしたものでございます。

 それでは、十年後の安全保障環境の見通しはどうなるか。まさに安全保障環境というのは日々大きく変化しておりますので、現時点で十年先の安全保障環境の見通しというのを確固たる形で述べることは困難だと思います。

 その上で、戦略が十年というのは、おおむね十年でございまして、この戦略につきましては、国家安全保障会議で定期的に体系的な評価を行うことになると聞いております。したがって、適時適切に戦略を発展させていくこととなるわけでございまして、もし情勢に重要な変化が見込まれるということになれば、その時点におきます安全保障環境を勘案して検討を行いまして、必要な修正を行うということはあり得るというふうに理解しております。

村上(史)委員 ということは、状況によっては見直しがされるということなんですけれども、安倍政権では、集団的自衛権行使ができるようにという方向に向かっております。ただ、今回の安保戦略では集団的自衛権のことには触れられておりません。集団的自衛権行使の問題が結論を得た場合、十年を待たずしてこの戦略を見直すことになるのか、そのことをお尋ねしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、国家安全保障戦略ですが、我が国の国家安全保障の基本方針であります。

 我が国を取り巻く安全保障環境は本当に厳しい中にあり、そうした現状を考えますときに、外交政策あるいは防衛政策を中心とした国家安全保障政策をより戦略的かつ体系的なものにするために、戦略を策定することは急務であるという考えに基づきまして、昨年十二月、この戦略を策定いたしました。

 一方、御指摘の集団的自衛権ですが、集団的自衛権と憲法の関係につきましては、御案内のとおり、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会、この有識者会議におきまして、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにいかにするべきなのか、こうした検討が行われているところであります。

 集団的自衛権の問題につきましては、政府として、懇談会の議論を待ちたいと考えております。よって、この懇談会における検討は、戦略では言及しないこととさせていただきました。

 そして、この議論によって戦略が改定されるのかという御質問をいただきましたが、まずは、これは今、安保法制懇において議論が行われております。この議論の結果を待った上で、必要なものがあるかどうかを検討するという方針でありますので、今まだ議論が続いている現状において、それについて具体的に申し上げることは難しいと考えております。

村上(史)委員 もちろん、仮定の話で今どうこうというお話もできないと思いますけれども、でも、少なくとも、集団的自衛権の行使を認めるということになれば、戦略そのものが大きく変化することは紛れもない事実だと思います。当然、見直しに着手するものだと私は理解しておりますけれども、きょうは、集団的自衛権のあり方、その是非を問うつもりはありません。ただ、今後の課題として、この問題も一つ取り上げていきたいなというふうに思います。

 といいますのは、アメリカにとって集団的自衛権の発動を求めた例といえば、いわゆる九・一一のテロによって、NATOや同盟国に対して集団的自衛権の行使を求めました。ただ、日本の場合はそれに応じることができなかったという事実がありますけれども、世界各国の中で、集団的自衛権の行使を認めていない国、中立国以外にはどこの国があるのか、教えてください。

    〔中山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

新美政府参考人 お答え申し上げます。

 世界に国連加盟国は百九十三カ国、百九十カ国以上ございますから、全ての国について網羅的にお答えすることは必ずしもできないかもしれませんが、委員御指摘のように、確かに、例えばスイスあるいはオーストリアといった中立国、中立を標榜している国について、集団的自衛権を行使することを想定していないというような国はあると承知しております。

 具体的に、例えばG20主要国でございますけれども、G20につきましては、そもそも国連憲章五十一条は、御承知のとおり、国連加盟国が個別的及び集団的自衛権の固有の権利を有すると規定しているわけでございまして、G20のメンバー国の中では、少なくとも日本以外に、日本のように集団的自衛権の行使の制限を加えているという国はないと承知しております。

村上(史)委員 今御答弁があったように、主要国の中では、集団的自衛権を認めていない国は日本だけだということです。裏を返せば、なぜ日本だけが集団的自衛権の行使を認めなかったかということは、やはり憲法第九条の制約があったから、これは当然だと思います。そういうことになりますと、逆に、それだけに、集団的自衛権の行使ができるという見直しについては相当慎重に構える必要があるのではないか。閣議決定で、閣議の憲法解釈だけでこの議論を終結させるべきではないということは一つ指摘をしておきたいと思います。

 そういう中で、具体論として、日本の周辺でさまざまな出来事が想定されます。日米安保条約も踏まえながらお尋ねをしたいのですけれども、日本の領域の中においては、日米安保条約で、何かの事態があったときには日米共同して対処することができます。ただ、日米安保条約の第五条ではそういう制約をかけておりますので、例えば、尖閣諸島の日本領海からすぐの公海上で日本が何らかの武力攻撃を受けたというときは日米安保条約は発動できないということになると、アメリカに対する集団的自衛権の行使を求める、期待するということになるのではないか。その点についての御見解を伺いたいと思います。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま、特定の、一定の状況のもとでの米軍の行動についてお尋ねがございました。

 政府といたしましては、この種の御質問を頂戴しているときは常にこういうことでお答えさせていただいているわけでございますけれども、事柄の性質上、個別具体的な状況を離れて、アメリカあるいは日本が具体的にどういう行動をとるかということをあらかじめ予断を持ってお答えすることは差し控えておりますので、御質問についても同様の対応をさせていただくことは御理解いただきたいと思います。

村上(史)委員 わかりました。

 それでは、一般的に話をしますけれども、集団的自衛権の行使を求める場合は、まず、武力攻撃を受けた国が、攻撃されたという宣言をします。その後に、集団的自衛権を行使してほしいという要請を出します。そして、その後、集団的自衛権が行使されるという手順を踏むことになります。

 そうなると、日本の周辺においてはいわゆるタイムラグが生じる。緊迫した情勢の中でそういう手順を踏むのはタイムラグがあるので、外国の、NATOとか米韓の同盟ではその点を割愛する協約をあらかじめ規定している。NATOにおいてもそうですし、米韓の同盟でも宣言と要請を必要としない協約が盛り込まれております。

 また、その上、米韓の場合は適用範囲を、太平洋地域というエリアを想定している。日本の場合は、日米安保条約の日本の施政権、いわゆる領有権の存在する範囲でしかアメリカの防衛出動が可能ではないという状況であります。だから、日本周辺で、どういう具体の例があるかわかりませんけれども、手続上はそれが難しいのではないか、タイムラグが生じるのではないかという視点についてはいかがお考えでしょうか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 重ねてのお答えになりますけれども、ある状況が起きたときに日米がどういうふうにこれを調整して対応するかということについて、なかなか仮定の状況についてお答えするのは難しいことにあることは御理解いただきたいと思います。

 その上で、条約上の整理と申しますと、安保条約の五条において、先生御指摘がございましたとおり、我が国の施政のもとにある領域における、日米いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合に、日米両国が自国の憲法の規定、手続に従って共通の危険に対処するように行動する旨定めている、これが条約上の整理でございます。

 そこで、日米両国においては、この条約、この条項がきちんと機能するように、平素からさまざまな形で意思疎通を重ね、さまざまな協力を行っておりますので、さまざまな状況の中で日米としてしっかり対応していくということで、日ごろから努力をしているところでございます。

村上(史)委員 この問題はこれ以上やりとりをしても前に進まないと思いますけれども、課題としてそういうことが残っているのではないかということをまず指摘しておきたいと思います。

 それでは、最後になりますけれども、間もなく日米首脳会談が行われます。これはちょっと質問通告はいたしておりませんでしたけれども、日米で今認識のずれがあるのではないかと指摘されるところもございます。靖国の問題、歴史認識の問題、また慰安婦の河野談話の問題などで、アメリカと認識がずれているんじゃないか。突っ込んで申し上げると、アメリカとすれば、日中そして日韓で余り摩擦を起こすようなことはしてほしくないのではないかということが考えられるんです。

 今回の日米首脳会談を通じて、その辺の意思疎通、確認、今後の東アジアにおける安全保障の戦略について十分話し合う必要があると思うんですが、その点について、外務大臣はどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 安倍政権におきましては、外交の三本柱の一つとして、日米同盟の強化を掲げさせていただいております。

 昨年二月の日米首脳会談以降、普天間飛行場の移設の問題あるいはTPPの交渉開始など、さまざまな具体的な案件を通じまして、日米同盟の強化を確認してきました。

 そして、こうした二国間関係の強化のみならず、シリアですとか中東和平、あるいはイランの核問題など、グローバルな課題におきましても、日米両国は具体的な協力関係を積み上げてきました。

 昨年来の日米同盟の強化のありようにつきましては、ことし二月、ワシントンで行われました日米外相会談におきましても改めて確認したところであります。日米同盟は大変強固なものであるということを確認した次第ですが、四月、今月予定されておりますオバマ大統領の訪日に当たりましては、改めて、日米同盟が強靱なものであるということを内外にしっかり示すことにより、今後の両国関係につきまして弾みとなる、よい機会にさせていただきたいと考えています。

村上(史)委員 ありがとうございました。

江渡委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 両大臣、長時間御苦労さまでございます。

 中期防との関連で尋ねます。

 陸上自衛隊初動担任部隊の、沖縄の先島、奄美群島への配置候補地選定に係る調査報告書の作成は終了して、防衛省に提出されたんでしょうか。

小野寺国務大臣 防衛省では、初動を担任する警備部隊の配置について、部隊配置の候補地選定の資とするため、沖縄県の先島諸島及び鹿児島県の奄美群島の有人島を中心に調査業務を委託しました。今般、その報告書を受領いたしました。

照屋委員 防衛省は、石垣市への陸上自衛隊初動担任部隊配置に関する二月二十三日付の琉球新報記事が事実と違う内容だとして、去る二月二十四日付で、琉球新報社と日本新聞協会に文書で抗議をしております。

 すると、小野寺大臣、調査報告書には、初動担任部隊の配置候補地として、石垣市の八島町新港地区、宮良のサッカーパークあかんまの二カ所は含まれていない、こう理解してよろしいでしょうか。

小野寺国務大臣 配置候補地選定に係る調査につきましては、既存の文献等の資料から得られる地積、自然条件、インフラの整備状況等の客観的事実をもとに、適地エリアとして条件を満足する土地を委託調査業者から提示させたものであります。

 他方、今御指摘がありました、先般、琉球新報に対しては、部隊を配置する島や具体的な場所について何ら決定しておらず、報道にあるような具体的な場所を挙げて最終調整に入っているという事実がないとして、同社に申し入れを行いました。

 本来、検討段階において具体的な候補地について言及することは、地元において無用な混乱を招くおそれがあるということから差し控えさせていただきますが、御指摘の二カ所につきましてあえて申し上げれば、委託業者から来た報告書におきましては、八島町新港地区及びあかんまサッカーパークの両地区は適地エリアには含まれておりません。

照屋委員 大臣、今私が指摘した二カ所については含まれていないということを聞いて、私も安心いたしました。

 いずれにしても、調査報告書、できましたら私どもにも閲覧、謄写の機会を与えてほしいと思います。

 さて、防衛大臣、四月五日から来日予定のヘーゲル米国防長官と小野寺防衛大臣との会談が、四月六日を軸に調整されているようであります。その会談では、普天間飛行場の辺野古移設問題、沖縄の負担軽減などについては話し合われるんでしょうか。

小野寺国務大臣 今の状況では、四月六日に国防大臣会議をする調整をさせていただいております。

 その際、さまざまな議題がありますが、私としては、今委員から御指摘がありました沖縄の負担軽減について、これも日米間でしっかりと協議が必要だということであると認識しておりますので、沖縄の負担軽減の協議はぜひこの機会にしたいと思っております。

照屋委員 大臣、負担軽減については話し合う用意があるということでしたが、例の、普天間飛行場の五年以内運用停止問題については協議されるんでしょうか。

小野寺国務大臣 御指摘の、普天間飛行場の五年以内の運用停止につきましては、沖縄の負担軽減に係る仲井真知事からの御要望でありまして、この御要望の意味するところについて政府の立場でお答えすることは適当ではないと考えておりますが、いずれにせよ、来るヘーゲル国防長官との会談では、沖縄の負担軽減についても日米間の緊密な協力を確認したいと考えておりますので、私どもとして、この負担軽減という内容で意見交換をしたいと思っております。

照屋委員 大臣、沖縄の負担軽減という、抽象的、一般的ではなくて、普天間飛行場の五年以内の運用停止というのは知事が総理に要望して、総理も、わかったということをはっきりおっしゃっているんだから。

 しかも、この前も質問したように、運用停止という中身も定かではない。しかし、期限は五年以内と言っているわけですから、ぜひ機会を見つけて、この負担軽減、スピードアップをする、そして運用停止に、アメリカへ交渉を切り込んでいくためにもいい機会なので、取り上げていただきたいと私は思いますが、どうでしょうか。

小野寺国務大臣 私どもとして、これは安倍政権のスタンスでありますが、沖縄の負担軽減のために、できることは政府を挙げて全力を尽くすという姿勢でありますので、その一環として、私も今回、ヘーゲル国防長官との会談の中では、沖縄の負担軽減について協議していきたいと思っております。

照屋委員 それでは、外務、防衛の両大臣に聞きますが、去る三月二十六日の記者会見で、菅官房長官は、横浜市内の米軍通信基地二カ所の返還時期が明示されたことを喜んでおります。その際、官房長官は、返還合意から十年を経ての返還時期明示は、仲井真知事の辺野古新基地埋め立て承認で日米間の信頼関係が回復した結果、米側が歩み寄ったものだと評価しております。

 両大臣も官房長官と同じ認識、評価なんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、日米間で協議する上において、両国間の信頼関係が重要であるということは言うまでもありません。

 そして、御指摘の、神奈川県の施設・区域の返還に関しましては、こうした日米双方の信頼関係に基づいてこれまで鋭意協議してきたところであります。平成十六年にこの返還方針について合意が行われ、そしてその後、協議を行い、その結果として、今般発表されました内容で認識の一致に達したものと認識しております。

小野寺国務大臣 外務大臣と同じ認識を持っております。

照屋委員 最後に、小野寺大臣に質問します。

 二〇一三年一月二十八日に提出された、沖縄建白書の保存がいよいよきょうから始まりました。一年間であります。この問題については、私が質問主意書を出して、今、沖縄じゅうで話題騒然になっております。

 私はさきに、歴史公文書として国立公文書館に移管すべきだ、こう質問主意書で尋ねましたが、小野寺大臣の前向きで真摯な決意を伺います。

江渡委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いしたいと思います。

小野寺国務大臣 この保存期限は、平成二十七年三月三十一日ということで承知しております。

 そして、それが歴史公文書に該当して国立公文書館に移管されるかどうかについては、今後、防衛省において適切に判断してまいりたいと思いますが、私個人としては、これは公文書館に送る必要があるのではないかと、その必要性は十分認識しております。

照屋委員 終わります。

江渡委員長 次回は、来る三日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十六分散会


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