衆議院

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第2号 平成26年10月14日(火曜日)

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平成二十六年十月十四日(火曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 北村 誠吾君

   理事 小野寺五典君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 武田 良太君

   理事 谷川 弥一君 理事 津村 啓介君

   理事 足立 康史君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    井林 辰憲君

      今津  寛君    岩屋  毅君

      大野敬太郎君    勝沼 栄明君

      門山 宏哲君    笹川 博義君

      東郷 哲也君    中谷 真一君

      野中  厚君    浜田 靖一君

      原田 憲治君    武藤 貴也君

      大串 博志君    大西 健介君

      三木 圭恵君    伊佐 進一君

      中丸  啓君    三谷 英弘君

      山内 康一君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         江渡 聡徳君

   外務副大臣        中山 泰秀君

   防衛副大臣        左藤  章君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   防衛大臣政務官      石川 博崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (海上保安庁海上保安監) 鈴木  洋君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  三村  亨君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十四日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     井林 辰憲君

  中谷 真一君     青山 周平君

  三谷 英弘君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     中谷 真一君

  井林 辰憲君     岩屋  毅君

  山内 康一君     三谷 英弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 この際、中根外務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。中根外務大臣政務官。

中根大臣政務官 おはようございます。

 外務大臣政務官を拝命いたしました中根一幸でございます。

 岸田外務大臣を補佐し、我が国が直面する諸課題に全力で取り組む所存です。

 北村委員長を初め委員各位の皆様、御支援と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

北村委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、外務省大臣官房審議官山上信吾君、外務省大臣官房審議官下川眞樹太君、外務省大臣官房参事官水嶋光一君、外務省北米局長冨田浩司君、外務省中東アフリカ局長上村司君、外務省領事局長三好真理君、海上保安庁海上保安監鈴木洋君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省大臣官房審議官辰己昌良君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省経理装備局長三村亨君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武田良太君。

武田委員 おはようございます。

 まずは、北村委員長、御就任、まことにおめでとうございます。また、政務三役の皆様方、そして岸田外務大臣は御留任、おめでとうございます。重責と思いますけれども、これから頑張っていただきたいと思います。

 まず、大変タイトな時間なので簡潔に申し上げますけれども、防衛大臣にお伺いしたいと思いますが、今、防衛省はもとより、政府を挙げて、全力を挙げて取り組んでおります沖縄の負担軽減問題について質問いたしたいと思っております。

 当委員会も、沖縄出身の委員の皆様方、複数おられますし、この問題は、ただ単に沖縄県の地方の問題としてだけではなくて、国家的、国際的な問題として重要な位置づけにあるわけであります。

 仲井真知事からは、五年以内の普天間の運用停止、そしてまた牧港等に関する七年以内の全面返還という明確な目途を定めた上での要請というものがなされておるわけであり、できることは何でも行う、そして沖縄県民の目に見える形での実績を残すということで、総理そして防衛大臣の陣頭指揮のもとに今取り組んでおられると思うんですけれども、今後の予定、そして現在の進捗状況等について、防衛大臣にお伺いしたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員が御指摘のように、昨年の十二月に沖縄県知事から四項目の御要望をいただいておりますけれども、沖縄の負担軽減については、政府としてできることは全て行うということが基本姿勢でございまして、その上で、本土における、それに向けた努力を十二分に行うべきであると考えているところでございます。

 特に、本年一月には防衛省内に防衛副大臣を長とする沖縄基地負担軽減推進委員会を設置し、負担軽減の具体化に向けた作業を進めております。

 武田委員におかれましては、防衛副大臣時代に、委員長として沖縄の負担軽減に向けて先頭になって取り組んでいただいたこと、厚く御礼申し上げたいと思います。また、八月にはワーク国防副長官との会談を行い、日米双方が引き続き緊密に連携して沖縄の負担軽減に係る具体的な協力を進展させていくことなどを確認するなど、本当に沖縄の負担軽減に大変尽力いただきました。

 この負担軽減に向けた具体的な取り組みといたしましては、空中給油機KC130の十五機全機の普天間飛行場から岩国飛行場への移駐について、八月二十六日に完了いたしました。また、オスプレイについては、岩国飛行場等への飛行訓練、フィリピン、タイ、豪州における訓練への参加など、県外への訓練移転等を着実に進めており、さらなる負担軽減を目指し、佐賀空港の有効活用についても現在米側とも相談をしているところでございます。

 キャンプ・キンザーの七年以内の全面返還につきましては、現在、米側による施設再配置のためのマスタープラン作成を日本政府として支援するとともに、その後の再配置プロセスも加速化し、返還までの期間を最大限短縮することを目指しているところでございます。また、既に本年四月には一部のマスタープランの作成が終わっておりまして、引き続き、移設先の環境整備や文化財の調査の早期着手など、次のプロセスを前に進めていきます。

 防衛省といたしましては、引き続き、各種施策を着実に進め、できることは全て行うという強い決意のもと、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減に努めてまいりたいと思っております。

武田委員 防衛省内に設置されております負担軽減委員会、前委員長が能力が乏しいゆえに、現委員長は大変な御苦労をされておる、そういうふうに思っておるわけですけれども、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 このいろいろな試みについて、確かにキャンプ・キンザーは大変莫大な用地、広い用地でありますし、規模が余りにもでかいということで、大変な労力を要すると思うんですけれども、マスタープラン作成等についても、積極的にアメリカ側にもさらなるスピード化を働きかけていただきたいと思いますし、地元の皆さん方の意見も組み入れていただきたいと思いますが、私が一つ思うのに、一つ一つ、やろうとする方向性そして今日までできたことを、もうちょっと、国民そして沖縄の県民の皆様方に知っていただく手段というものをもっと充実させるべきだと思います。

 本当に、一個一個、西普天間住宅地区の返還問題に関しても、横に小野寺前大臣がおられますけれども、いろいろな障害というものを乗り越えながらみんなで頑張ってきた実績というものがなかなか報道されずに、沖縄県民の耳に入ってこない。そして、別の問題が何かあったときには、それが拡大視されて、そうした問題ばかりが報道されてしまうという非常に悲しい現実が今起こっているわけであります。

 解決が困難な問題、そして着手が素早くでき、速やかにできる問題、さまざま、それを峻別して、できるものから手をつけて、そして着実に一個一個解決し、それを広く県民の皆様方にわかっていただけるように広報活動に努めていくということも今後重要になってくると思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。

 また、今、岩国への空中給油機等の移転問題、そして全国的な訓練移転の問題等について大臣から御説明がありましたけれども、もっともっといろいろな自治体の声を聞けば、災害訓練等でオスプレイを使いたいという自治体も、全国でたくさん要望が上がってきているはずなわけであります。

 昨日も台風がありました。毎年毎年こうした自然脅威にさらされる我が国でありますし、国民生活であります。いろいろな自治体は、積極的に、災害活動等、いろいろなフォーメーションを組んでやっていきたいという強い要望があると思いますので、そうした自治体の声というものを正面から受けとめて、さらにそうしたオスプレイ等を活用していただいて、それがひいては沖縄のまた負担軽減につながるという、この一定の活動をさらに充実させていただきたい、このことをお願い申し上げたいと思っております。

 次に、副大臣にお伺いしますけれども、南西諸島の防衛体制の問題であります。

 これは、日本列島、ずっと地図を見まして、よくこういう状況で今まで我が国は日本の安全をつくり上げてきたな、よく国を守れてきたなというふうに思うのが私の実感であります。島々を抱えた国の割には、全く無防備な島々もたくさんある。こうしたところをしっかりと守っていくためには今から何をなすべきかということを早急に考えていかなくてはなりません。

 その中において、鹿児島県奄美大島の皆様方には大変な御理解をいただいて、警備隊を奄美市そして瀬戸内町の二つの地域に配備する、そして、中SAM、SSM、そうしたミサイル部隊も配備することを、受け入れが可能になったわけであります。

 こうした、日本の安全保障に対して積極的に取り組んでいただける、理解をしていただける地域、誘致活動を熱心に展開していただける地域、こうした地域の方々の意見をよくよく聞いて今から事業を進めていくことが大事だと思うんですけれども、これが、日本の安全保障問題だけではなくて、それに付加価値がつく、何の付加価値かといえば、当然地元振興ということを常に念頭に入れて、地域住民の方々との一体化を図ってこの事業を進めていかなくてはならないと思っております。

 今後のこの事業に対する方向性と申しますか取り組みについて、防衛副大臣にお伺いしたいと思います。

左藤副大臣 まずもって、武田前副大臣が、今お話ありました奄美や瀬戸内町を三度訪問していただいて、また、小野寺前大臣も二回訪問していただいて、南西諸島における防衛体制の強化のために大変御尽力をしていただいていることにまずもって感謝を申し上げたいと思います。先生方の御尽力をそのまま継続させていただいて、しっかり対処をさせていただきたいと思っております。

 その中で、先生からの御質問でございますが、御存じのとおり、新中期防に基づいて、南西地域に警備部隊の配置について、平成二十五年度、沖縄県の先島諸島及び鹿児島県の奄美群島の有人島を中心に業務調査を実施しております。自後、具体的な候補選定のために現地調査を進め、総合的に検討をしております。全国的にいろいろ見ながら、候補を進めておるところでございます。

 今般、陸自が新設する警備部隊の配置先として、まず、先ほどお話ありました、奄美群島の奄美市や瀬戸内町、二カ所を選定しています。これは武田前副大臣のときになさったことでございます。

 奄美市には、御存じのとおり、普通科を中心とする警備任務部隊を初め、南西における重要地域及び部隊の防空を任務とする中距離地対空誘導弾、中SAMを配置、運用する部隊をさせていただきたい。これは三百五十名ほど想定をさせていただいております。

 また、瀬戸内町については、普通科を中心とする警備任務部隊を初め、敵艦艇を洋上において阻止することを任務とする地対艦誘導弾、SSMを運用する部隊ですが、これを、約二百名を想定しております。

 また、平成二十七年度の概算要求でございますけれども、これをしっかりやるために、施設配置の検討等を行う基本構想業務に着手をしておりまして、この要求については、用地取得等に必要な経費として約三十四億円を計上させていただいております。

 今後どう進めるかということですが、決定しているわけではありませんけれども、本年六月、まず宮古島市から現地調査に着手したところであり、引き続き、南西地域における部隊配置における検討をさらに加速させていただきたい、このように思っております。

 いろいろな面でこれからも前副大臣、前大臣の御指導もいただきながら、しっかりこの配備ができるように、地域の振興も含めて、頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

武田委員 日本の安全保障のためにも、また地域住民の方々にも自衛隊が来てよかったということを言われるように、しっかりと頑張っていただきたいと思います。

 次に、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、水陸機動団が新編されることとなっております。これは西方普通科連隊からの移行という形になろうかと思いますが、これには北村委員長の地元の佐世保の皆様方からも大変な御理解をいただいて、相浦そして崎辺等、そうした受け入れに対する事業が着々と進んでおると思うんです。

 この新しく新編される水陸機動団に属する自衛官に対してでありますけれども、相当危険な、そして過酷な訓練、そして、そうした島嶼防衛等の不測の事態が起こったときにはなおさらに危険な、また過酷な任務というものにつかなくてはならない、命がけの任務になろうかと思います。そうした厳しい環境の中で働く、国民のために働く彼らにとって今十分な手当がしっかりと用意されているかといえば、そうとは言いがたいと私は思っております。

 自衛官もやはり生身の人間ではありますし、また家庭というものもあるわけです。誇りと自信と、そして使命感を持って、水陸機動団で遺憾なくその能力を発揮できる環境づくりに政治が努めていかなくてはならないと私は思っております。彼らが、今から新たに新編される水陸機動団に、心から、そしてまた自分の全ての思いを込めてその職務に臨めるように、しっかりとした手当をつけるべきだというふうに私は思っておりますけれども、そのことについて防衛大臣の意見をお伺いしたいと思います。

 また、いろいろな自衛官は、陸海空それぞれ、厳しい訓練に耐えておるわけでありますけれども、特殊作戦群等、なかなか国民の目の前そして我々の目の前には出てこない、大変厳しい任務についておる部隊もあるわけであります。

 そうした、危険、過酷な任務に耐えておる、しっかりとそれに正面から向き合って国民に対して責任を果たそうとしておる部隊に対する責任は、やはり我々政治家が負っていかなくてはならないわけでありまして、御家族そして御本人、そうした方々がやる気を持って心からその任務につけるように、しっかりとした手当を定めるべきだというふうに考えておりますが、防衛大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

北村委員長 時間が来ておりますので簡潔に御答弁を願います。江渡大臣。

江渡国務大臣 委員の御指摘、もっともであろうというふうに思っております。

 特に、島嶼部に対する攻撃への対応に万全を期するということで、西部方面普通科連隊を母体として新編される水陸機動団の役割ということは、私も非常に重要であるというふうに考えております。

 ですから、このような部隊に所属して、平素から本当に著しい危険性あるいは困難性等を伴う過酷な訓練に従事する隊員に対しての処遇の確保ということは、私自身も大変重要なことであるというふうに考えております。

 このことを踏まえまして、現在、これらに従事する隊員の職務の危険性や特殊性などを考慮した処遇の改善を図るために、二十七年度の概算要求において、特殊作戦隊員手当の支給範囲の拡大及び支給率の対象及び範囲の拡大などを二十七年度の概算要求には盛り込ませていただいているところでございます。

 とにかく、我々防衛省といたしましては、これからも隊員が安心して任務についていけるように、また任務を遂行することができるように、自衛隊の処遇に関する施策については可能な限り実施してまいりたい、そのように考えております。

武田委員 我々もバックアップしてまいりたいと思いますので、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 この安保委員会、大臣質疑に関しては全委員会のトップバッターということであります。委員長を初め理事、委員の皆様に、速やかな運営について御協力をいただき、感謝を申し上げます。

 あと五分ぐらいしか時間がありませんので、冒頭お話をさせていただきますが、日・ASEANの防衛大臣会合、これは昨年十二月に日・ASEANの首脳会合の中で決められたということで承知をしておりますが、これの今後のスケジュールあるいはその意義について、大臣にお伺いいたします。

江渡国務大臣 今御質問にありましたASEAN諸国というのは、我が国のシーレーンの要衝を占める地域に位置するとともに、我が国と密接な関係を有しております本当に伝統的なパートナーであるというふうに思っております。このために、東南アジア諸国とは、安全保障分野を初めまして、あらゆる分野における協力を、あるいは深化、発展させる必要があるというふうに私自身も考えております。

 こうした考え方のもとにおいて、防衛省・自衛隊は、ASEAN諸国との二国間関係の強化に加えまして、二〇一〇年に創設されました拡大ASEAN国防相会議、ADMMプラスでありますけれども、これや、ASEAN地域フォーラム、通称ARFと言われておりますけれども、これらの会議においての取り組みを通じて協力強化に努めてまいってきたところでございます。

 また、今月の七日、日・ASEAN諸国防衛当局の次官級会合を開催いたしまして、法の支配や問題の平和的解決の重要性を再確認するなどの成果というものを得させていただきました。

 私といたしましても、これまでの取り組みを踏まえながら、引き続き、あらゆる機会を捉えながら、ASEAN諸国との二国間あるいは多国間の関係というものを発展、強化させていきたいというふうに考えているところでございます。

 また、お尋ねの日・ASEANの防衛相、担当大臣会合につきましては、ASEAN議長国でありますミャンマーの国防大臣から私宛てに、本年十一月十九日にミャンマーのバガンで会合を開催する旨の招待状をいただいたところでございます。

 本会合は、安倍総理が昨年十二月の日・ASEAN特別首脳会議で提案したものでありまして、今回の会議の決定というのは私は大変喜ばしいことであると思っております。日・ASEANの防衛協力の強化に向けた重要な一歩であると考えておりますので、国会等の、あるいは委員会等の皆様方の御協力をいただきながら、関係各部署とも対応を調整して、できれば出席させていただきたいと考えているところでございます。

小野寺委員 日・ASEANの防衛大臣会合、これは大変重要です。初めての開催ということになりますし、既にアメリカ、中国は同様の会議を持っております。ぜひ、江渡大臣には、その場で日本の考えをしっかり伝え、そして、日・ASEANの関係強化、防衛面でも努力をしていただきたいと思います。

 なお、この開催に当たりましては、外務省に大変お力をいただきました。改めて感謝を申し上げたいと思っております。

 さて、その中で、話題はちょっとかわるんですが、きょうお手元に資料をお配りしております。

 これは、先般からさまざまなところで議題になっておりますが、小笠原諸島周辺において、最近、中国漁船と見られるサンゴ漁船が多数見られるということ、特に九月になってからは多くの情報が寄せられるようになりました。私のところにも小笠原村長から要請がございまして、そして、海上保安庁等の協議の中で、今しっかり対応はしていただいていると思います。

 その中で、お手元の資料は、今月の五日、これは海上保安庁が中国漁船を拿捕したという事案であると思います。この事案の状況について、海上保安庁の方から説明をお願いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、大型巡視船、航空機により、小笠原諸島周辺海域において定期的に哨戒を実施しております。

 九月に入ってから、同海域で中国サンゴ漁船と思われる漁船が多数確認されていることから、現在、大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な態勢により、違法操業等を行う外国漁船の取り締まりを実施しているところです。

 十月五日には、先生御指摘のとおり、配備中の巡視船が、父島沖の領海内において違法操業を行っていた中国サンゴ漁船を追跡、捕捉し、同船船長を外国人漁業の規制に関する法律違反で逮捕しております。

 引き続き、法令にのっとり厳正に対処するとともに、小笠原村、海事関係者など、地元関係者への情報提供にも努めてまいります。

小野寺委員 このように、東シナ海だけではなくて、実は太平洋側、小笠原周辺においても中国漁船が多数見られ、そして、またしても、今までの中国のやり方といいますか、方向性を見ると、ともすれば初めに漁船団が多く出、そして、その漁船団を監視するという名目で海監等のいわゆる海上警察が出てきて、そして、それをまた後詰めするような形で海軍艦艇が来るというのが、これは東シナ海の例でございました。太平洋側でも同じようなことがもし今後広がるとすれば、この地域、やはり警戒監視がさらに重要だと思います。

 この地域の警戒監視の重要さ、その決意について防衛大臣に、そして、例えば、今後日中の協議の中でしっかりこの問題についても取り上げていくことを外務大臣にお伺いし、質問を終わらせていただきたいと思います。

江渡国務大臣 今委員御指摘のとおり、我が国の周辺の軍事的活動というのは本当に活発化しているところでございます。

 我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえまして、防衛省・自衛隊は、広域において常続監視というのを行いながら、各種兆候を早期に察知する体制を強化するため、新たな装備品の取得を含めた、周辺海空域の情報収集、警戒監視体制を強化してまいりたいと思っております。

 そのためにも、具体的には、平成二十七年度の概算要求においては、この警戒監視能力を強化するために、固定翼哨戒機や新たな早期警戒機等を要求しているところでございます。

岸田国務大臣 先ほど海上保安庁からありましたように、本年九月に入りましてから、中国サンゴ船と思われる船舶が多数確認され、そして十月五日の日に、違法操業していた中国サンゴ船を確認し、そして同船船長を逮捕したという事案が発生いたしました。

 外務省としましては、この逮捕事案が発生する前の段階におきましても、中国側に対しまして外交ルートを通じた注意喚起を行ってまいりました。そして、逮捕事案が発生した後、直ちに中国側に対して遺憾の意を表明し、再発防止を求めたということであります。具体的には、逮捕事案発生前は十月三日の日に申し入れを行い、そして、逮捕事案発生後は十月六日の日に再発防止を求めた、こういった対応をとりました。

 今後とも、外務省としましては、こうした状況につきまして、しっかり注視をし、そして適切な対応を考えていきたいと思っております。

小野寺委員 鈴木保安監を初め海上保安庁の皆さんの日ごろの労苦を多として、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 まず、北村委員長、御就任おめでとうございます。さらに、引き続き留任される岸田大臣、そして、新しく就任されました江渡大臣、日本を取り巻く安全保障環境というのが昨今大きく変化いたしまして、一層厳しさを増しております。両大臣初め政務三役の皆さんの御活躍と御健闘を期待しているところでございます。

 きょうは時間が限られておりまして、大臣所信に対する一般質疑ということでございますので、大きな項目を二点、代表して質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、日米防衛協力のための指針の見直しのことに関してでございます。

 先週の十月八日の夕刻に、防衛協力小委員会におきまして中間報告が発表されました。それを踏まえて何点か質問をさせていただきたいと思います。

 まず、江渡大臣にお聞きをしたいのは、今後の見直しの作業のスケジュール感についてお聞きをしたいわけでございます。

 これはもう御存じのとおり、二〇一三年の十月三日に、2プラス2、日米安全保障協議委員会で発表されたわけでございます。そのときに、見直しが指示されたと同時に、期限が明確にされました。二〇一四年末までに防衛協力小委員会でこの作業を完了させるように四閣僚が指示したということになっているわけでございます。

 ところが、最近、マスコミを通じて散見するところ、この作業スケジュールの期限というのがしっかり守られるのかどうかということが少し不安になるような、そういう報道があるわけであります。

 例えば、十月六日の日経には、「安保法制の骨格 越年も 各省の思惑にずれ」というような見出しが出ておりますし、九月二十七日の東京新聞には、「日米防衛指針 再改定越年も 防衛相言及」、そういうような記事も出ているわけでございますが、これが本当に、約一年前の2プラス2の約束したスケジュールが守られないということになりますと、これは日米の信頼関係にも大きく影響してくるんだろう、そのように考えるわけでございます。

 ですから、最初にまずお聞きしたいのは、今後のガイドラインの見直しの作業のスケジュール感につきまして、まず、江渡大臣の揺るぎない決意をお伺いしたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員御指摘のとおり、報道ではいろいろなことが言われているということは私も承知しているところでありますけれども、まさに、このガイドラインの見直しについては、二〇一三年の十月の2プラス2において、SDCに対して二〇一四年末までに作業を完了するということが指示されているわけでございます。

 引き続き、日米で合意したスケジュールのもと、先般の閣議決定を踏まえた法制の整備との整合性も十分留意しつつ、今回の中間報告で示された枠組みと目的に沿って、さらにガイドライン作業の見直しを着実に進めていきたい、そのように思っているところでございます。

佐藤(茂)委員 今、江渡大臣からも答弁ありましたように、まず、やはり安全保障法制、これは国内で、日本政府の中でしっかりと検討していかないといけないことだと思いますが、その整合性をしっかりと保つということもこれからの作業で非常に大事になってくるんだろう。そのことも踏まえて、ぜひ、当初からの予定の年末までにしっかりとこの見直し作業が終わるように、我々与党としてもしっかりと協力をしてまいりたい、そのように考えているところでございます。

 その上に立ちまして、もう一点確認をさせていただきたいのは、七月一日の閣議決定との関係でございます。

 今回のガイドラインの見直しの中間報告の中に、ローマ数字の5で、「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」の中に、「見直し後の指針は、」、これは最終報告のことですが、「日本に対する武力攻撃を伴う状況及び、日本と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生し、日本国憲法の下、二〇一四年七月一日の日本政府の閣議決定の内容に従って日本の武力の行使が許容される場合における日米両政府間の協力について詳述する。」このようにあります。

 すなわち、肝心な部分の、協力の部分の最終報告については、日米間でどういう協力ができるか検討されて詳しく述べられるということになっているわけですが、その検討の際の、日本側の原則として確認しておきたいことは、どこまでも、いわゆる新三要件を含めた七月一日の閣議決定を踏まえた内容で検討すべきであると私どもは考えますし、また、そのことをアメリカ側にもしっかりと理解させた上で詳細な検討作業を進めていくべきである、そのように考えますが、江渡大臣の見解を伺っておきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきます。

 政府といたしましては、先般の閣議決定で示された基本方針のもと、国民の命と平和な暮らしを守り抜くため、切れ目のない安全保障法制の整備に向けた準備を現在精力的に進めさせていただいているわけであります。

 また、内容が非常に多岐にわたるために少し時間がかかると考えておりますけれども、与党とも相談の上、法案提出時期も決めていきたいと考えております。

 具体的な進め方につきましては今後よく検討したいと考えておりますけれども、国民の皆様方により一層御理解を得られるよう、丁寧に説明しながら法整備を進めていきたいと思っております。

 また、先ほどガイドラインとの整合性の関係ということも言われていますけれども、米側に対しても、前大臣等々もそうですし、また私自身も、電話会談等々においても相手側にきちんとお話しさせていただいておりますし、また、各種会議等々において、防衛省側からも積極的に米側の方にも御説明させていただいているというところでございます。

佐藤(茂)委員 それで、これからの検討事項にもなろうかと思いますが、一つ大きな論点になる部分として、現行のガイドラインというのは、大きく事態を三つに分けて自衛隊と米軍の役割分担、協力関係を明記しているところが特徴でございます。

 その一つは、平時。そして二つ目が、日本に対する武力攻撃の事態、いわゆる日本有事ですね。三番目が、周辺事態。こういう三つの事態で、自衛隊と米軍の協力関係というものを明確に、役割分担も明確にしてきているのが特徴でございます。

 今回の中間報告というものを読ませていただきますと、「平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形で、」という表現は使われているわけでございますが、現行のような周辺事態という言葉は一切出てきておりません。

 そして、周辺事態という事態の概念は、そういうことから、このまま読むと、最終報告でもこのまま削除されていくのかということで決定されたのかどうか。そうすると、現行である法律、周辺事態法の存廃にもかかってくるわけでございますので、周辺事態について今後どのように扱われていくのか、御答弁をいただきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきます。

 今回の中間報告では、周辺事態という用語は用いていません。まさに委員指摘のとおりでございます。

 他方、現在、中間報告の段階でございまして、これをもって見直し後のガイドラインにおける周辺事態概念の扱いが決定されたということではないということも御理解していただきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、自衛隊の派遣につきましては、我が国として、みずからの国益に照らして主体的に判断するものでありまして、我が国の平和及び安全の確保や国際社会の平和と安定への貢献とおよそ関係なく自衛隊を派遣することはあり得ないということを指摘させていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 続いて、いわゆるグレーゾーン事態につきまして、今どのように検討されているのか確認をさせていただきたいと思います。

 七月一日の閣議決定では、最初に、「一 武力攻撃に至らない侵害への対処」ということで、閣議決定で述べられているわけでございます。現行のガイドラインについては、この武力攻撃に至らない侵害への対処、世間的にはいわゆるグレーゾーン事態について、規定がありませんでした。この武力攻撃に至らない侵害への対処、すなわちグレーゾーン事態について、平時からの協力事項として、私は、やはり今後のガイドラインには当然盛り込むべきだ、そのように考えますけれども、現時点での政府の見解を伺いたいと思います。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 今委員が御指摘のとおり、防衛大綱や七月一日の閣議決定にもあるとおりに、このグレーゾーンの事態対応というのは大変重要な課題であるというふうに私も認識しておるところでございます。

 グレーゾーン事態、すなわち純然たる平時でも有事でもない事態への対応というものは、我が国の平和と安全の確保にとって重要な課題であると思っております。防衛大綱においても、グレーゾーンの事態を含む各種事態に対してシームレスかつ機動的に対応することとされておりまして、また、七月一日の閣議決定においても、例えば、武力攻撃に至らない侵害への対処について、各般の取り組みを一層強化していくこととしているところでございます。

 今般の中間報告におきましても、「日米両政府は、平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形で、日本の安全が損なわれることを防ぐための措置をとる。」ことが明記されているところでございます。

 見直し後のガイドラインにおける個別事項の扱いについては、現時点では予断することは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、今後の見直し作業においては、中間報告で示された枠組みと目的に沿って、防衛大綱や七月一日の閣議決定で示された方針も踏まえつつ、日米協力のあり方をさらに検討してまいりたいと思っているところでございます。

佐藤(茂)委員 それに関連しまして、今後検討されるということなので、ぜひ検討していただきたいのは日米間の調整メカニズムでございます。

 現行のガイドラインは、日本に対する武力攻撃事態、武力攻撃がなされた場合、日本有事の場合と周辺事態にしか設置の規定がないこの日米間の調整メカニズムを、ぜひ、グレーゾーン事態のことも想定するならば、常設として、平時、特に、いわゆるこのグレーゾーン事態でも即時に日米が連携をとって、相互に緊密に連携、調整して効果的な作戦を実施できるように、そういう体制をしっかりと構築しておくことが必要ではないか。私はそのように考えるんですが、グレーゾーン事態などの平時の日米間の調整メカニズムの構築についての政府の見解を伺っておきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 現行のガイドラインにおきましても、日米両国政府は、武力攻撃事態や周辺事態に際しておのおのの活動に関する調整を行うため、両国の関係機関を含む日米間の調整メカニズムを平素から構築することとしているところでございます。

 その上で、今般の中間報告においては、「日本の平和と安全に影響を及ぼす状況、地域の及びグローバルな安定を脅かす状況、又は同盟の対応を必要とする可能性があるその他の状況に対処するため、」「切れ目のない、実効的な政府全体にわたる同盟内の調整を確保する。このため、」「同盟内の調整の枠組みを改善し、適時の情報共有並びに政策面及び運用面の調整を可能とする。」としているところでございます。

 防衛省といたしましては、かかる方向性をもとに、調整メカニズムを含めまして、同盟内の調整のあり方について、今後のガイドライン見直し作業につきまして、さらなる検討を進めてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

佐藤(茂)委員 続いて、外務大臣に、大きな二点目として、イスラム国への対応につきまして、時間の許す限りお聞きをしたいと思うんです。

 アメリカが、九月の二十二日に、イスラム教スンニ派過激派組織イスラム国を掃討するために、アラブ五カ国と連携いたしましてシリア領内の空爆に踏み切りました。今回の空爆が国際法上の根拠があって合法なのかどうなのか、日本政府としてどのように認識しておられるのか、伺いたいと思います。

 というのは、アメリカは、その後、国連の事務総長に文書を提出いたしまして、国連憲章五十一条が定める自衛権に基づいていると主張しているそうでございます。しかし、これはよくよく考えますと、アメリカとイラクの協定に基づく、イラク政府の要請によるイラク領内の空爆というのは集団的自衛権の行使と解釈できても、シリア政府からの明確な要請も同意もない、さらに国連安全保障理事会の決議もなく他国に軍事介入する、空爆する、そういう法的根拠を日本としてどのように理解されているのかということをお聞きしたいわけでございます。これは九月末の国連の場におきましても、中ロ両国はこの空爆の根拠というものを批判しているわけでございます。

 なぜこういうことをあえてこの段階で聞くかというと、我々は、イラクの対応でも、結果としてなかなか苦々しい思いをした経験があるわけでございます。これからイスラム国との戦いというのは長期化が予想されるわけでございます。であるがゆえに、初期段階でのアメリカの行動に対する国際法上の根拠を明確にして、それで日本として今後どうかかわるのか、何ができるのかということを考えていく必要があるのではないか、そのように思いますので、外務大臣の答弁をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、イスラム国、いわゆるISILですが、このISILの活動につきましては、国際秩序に対する重大な脅威であり、日本は、米国を含む国際社会のISILに対する戦いを支持してきております。

 そして、今回の米国等による空爆についてですが、まず、ISILが極めて残虐な暴力行為を組織的に行っており、そしてシリア政府がISILの武装勢力の活動を取り締まることができない、こういった状況の中にあって、ISILの活動によるこれ以上の事態の深刻化を食いとめるために行われたやむを得ない措置だったと我が国は理解をしています。

 そして、御質問は法的根拠でありますが、この法的根拠については、まず、我が国は、今回の軍事行動の当事者でもありませんし、また、現状の状況あるいは措置の内容について十分把握する立場ではありませんので、個別の行動につき確定的な法的根拠を行うことは差し控えなければならないと思っておりますが、その中で、御指摘のように、米国においては、国連常駐代表から国連事務総長に対して発した書簡において、イラクがシリア領域内のISILから攻撃を受け、そしてシリア政府がISILの活動を取り締まることができない状況の中で、イラクが米国にシリア領域内のISILを攻撃するよう要請を行った、こういった説明を行った上で、国連憲章第五十一条に規定される自衛権に言及しているということであります。

 この点につきましては、まず、シリア政府の考え方、対応が一つポイントになると思いますが、シリア政府自身、九月二十三日に外務省声明を発出しておりまして、今回の空爆については、空爆を開始する数時間前に通報を受けていた、こういったことを表明しています。加えて、シリア外務省としましては、テロリズムと闘う仕組みにおいてシリアはあらゆる国際的努力とともにあることを改めて宣言する、こういった声明をシリア政府自身が発出している、この点については留意しておかなければならないと考えています。

 基本的には、我が国としまして、確定的な法的根拠を行うことは控えなければなりませんが、こういったシリア政府の対応、さらには、我が国としても、国家以外の主体による攻撃であっても武力攻撃に該当する場合があり得ると考えております。

 この点、シリア領域内の非国家主体によるイラクへの武力攻撃に対する、イラクの要請に基づき集団的自衛権を行使するという考え方、こういった考え方は可能であるというふうに考えております。

 我が国の考え方、対応は以上でございます。

佐藤(茂)委員 それでは、参議院の外交防衛委員会もあるようですので、このあたりで終了させていただきます。

 大変ありがとうございました。

北村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十分開議

北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 江渡大臣に何点か御質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、沖縄の米軍の負担軽減等、幾つか質問通告をさせていただいておりますが、冒頭、それに先立ちまして、本日の朝、安全保障委員会の理事会で大臣が提出されました二通の仮領収証の件について質問させていただきたいと思います。

 本件、実は大変複雑な様相を呈しておりまして、安全保障委員会の皆さん全員が予算委員会での議論を全てごらんになっているとは限りませんので、まず、全体像、問題の所在を確認させていただきたいと思います。

 こちらのボードは、十月六日の予算委員会で、我が党の階猛議員が、大臣の政治資金管理団体であります聡友会から江渡大臣への寄附が過去何度も行われている、その違法性、適法性についての議論がございました。

 大きく分けますと、論点は二つでございます。

 一つは、平成二十一年八月に二度行われている、選挙運動を目的とした資金管理団体から江渡大臣への寄附でございます。こちらは合わせて七十万円でございます。そして、選挙運動を目的とした個人への寄附というのは、これは適法でございますけれども、こちらが選挙運動収支報告書の方には記載をされていなかった。これを、大臣は、大臣就任後に訂正されまして、収入に計上されているわけでありますけれども、これが、もし仮に、御自身がこの寄附を受けたことを認識していたにもかかわらず、選挙運動収支報告書に当時記載をしなかったとすれば、それは重大な公選法違反で、罰則もございます。

 大臣に伺いますが、二十一年八月当時、この寄附をお受けになったということの御認識はございましたか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 そこの部分については、予算委員会等々でも私はしっかりと御報告させていただいたわけでありますけれども、まずは、私自身、政治資金の関係の部分においては、専門家等々においての会計検査もしっかりと受けておりますので問題はないだろうというふうに私自身は思っておりました。

 そのような流れの中において、八月末あたりから、報道等において、私自身がもしかして入閣かもしれないというような流れがあったものですから……(津村委員「私は五年前のことを聞いています」と呼ぶ)

 ですから、その辺のところを申し上げたいと思います。

 ですから、そういう流れの中において、事務所の方においてしっかりと調べてくれということで、そして、調べていったらそのミスが出てきたということであります。

 そして、この選挙運動の部分についても、私は、事務員等からの報告等々を受けて、ああ、そうだったのかというふうにわかったところでありまして、であれば、きちんとした訂正をしてくれということでお願いしたという経緯でございます。

津村委員 今大臣から、事務員から報告がありましたということがございました。これは五年前のことでよろしいですよね。

江渡国務大臣 五年前ということではなくて、今回調べていって初めてわかったものですから、直してくれというふうに私自身がお願いしたところでございます。

津村委員 大臣は、この五年前の選挙運動のための七十万円について、寄附の領収書を発行されていると思うんですが、そこには江渡大臣のサインはないんですか。

江渡国務大臣 今段階で、あるかないかというのは記憶にございませんものですから、とにかく、私は、先ほど答弁させていただいたように、秘書の方に、きちんとした形で、もしミスがあるのであれば訂正してくれということでお願いしたところでございました。

津村委員 これは、大事なのは、五年前の時点で認識があったかなかったかです。ことしの夏の話はしておりません。

 この五年前の時点で、江渡大臣は、御自身の領収書を発行されているわけですね。そう御報告になっています。ここに御自身のサインがあるのであれば、それは認識していたということだと思うんですけれども、いかがですか。

江渡国務大臣 五年前のことでございますので、私自身、今ここであれこれ言われてもよくわかりません。あくまでも、今回ミスがあったということで報告を受けて、そして、きちんとした、そうであれば訂正してくれということでお願いしたわけであります。

 というのは、先ほどからお話し申し上げているように、実はきちんとした専門家の会計検査等も受けていたものですから、私は、違法性は一切なかったというふうに認識しておりました。ですからこそ、このように答弁させていただいているというところでございます。

津村委員 恐らく大臣のその答弁書にはことしの夏のことばかり書いてあって、それを読み上げられているんだと思うんですが、私は五年前のことを伺っています。

 五年前に、物として寄附の領収書があるわけですから、そこにサインがあったのであれば、御自身でサインしながら認識していなかったというのは成り立たないと思うんですよね。ですから、その領収書を出してくださいということを申し上げているんです。

江渡国務大臣 私自身、はっきり言って、その認識はございません。ですからこそ、このように答弁させていただいているところでございます。

津村委員 認識がなくて領収書を発行しているというのはおかしくないですか。御自身でサインをされているんじゃないんですか。それはきちんと示すべきじゃないですか。違法性がないということをおっしゃるのであれば、証拠を示すべきです。

江渡国務大臣 済みません、答弁させていただきたいと思います。

 今委員の方からいろいろなことを言われましたけれども、選挙のときで、いろいろな活動をしている最中でありまして、細かいことは私自身も記憶がございません。申しわけございません。

津村委員 そのときにサインをされて、しかし、五年前のサインのことまで今覚えていないというのはわかります。しかし、五年前にサインをされていたのであれば、その瞬間は認識をされていたということになりませんか。

江渡国務大臣 繰り返しになりますけれども、記憶にないから記憶にないというふうに言っておりますけれども。

 と同時に、しっかりと、それらのいろいろな領収書あるいは今回の政治資金の収支報告書等々は適正に私は処理されているというふうに思っておりましたものですから、ですから、今委員からそのようなことを言われたとしても、お答えができません。

津村委員 これは大変重要な論点でありまして、予算委員会から継続して議論になっているものでございます。

 この領収書の現物を公開していただくということをお願いしたいと思いますが、委員長、御判断ください。

江渡国務大臣 済みません、お答えさせていただきたいと思いますけれども、政治資金規正法上の領収書は、収支報告書の要旨の公表の日から三年間保存するということとされておりまして、この二十一年分については当該期間を過ぎているものですから、私は、今提出しろ云々は、これは最終的には理事会の方の御判断になると思いますけれども、そこは私はお答えができません。

津村委員 今大臣おっしゃったように、理事会での協議を要求いたします。

北村委員長 理事会を開け……(津村委員「この件については後日でも結構です。理事会で」と呼ぶ)はい、後ほど理事会で協議をさせていただきます。

 質疑を続行してください。

津村委員 冒頭申し上げましたように、二つの論点がございます。

 今、一点目の、選挙運動を目的としたものについて、大臣が認識をされていたはずだ、領収書にサインをされているはずだという件については後刻理事会で協議ということになりましたので、それで結構でございます。小野寺さんもよろしくお願いいたします。

 もう一点でございますけれども、選挙運動を目的としない寄附について、これが、本日大きなテーマになっております仮領収書の件でございます。

 こちら、大臣は、この選挙運動を目的としていない寄附というものは違法であるということは認識されていますか。

江渡国務大臣 そのように私も考えておるところであります。

津村委員 であるとすれば、違法の疑いが今あるという指摘について、きちんとした資料を示すべきだと思いますが、それでよろしいですか。

江渡国務大臣 私もそのとおりだと思うものですから、保存期間のあるもの、全部精査させていただいて、今回、理事会等に資料として提出させていただいたところでございます。

津村委員 予算委員会での議論は、この件についても二つのパーツがございました。

 一つは、この寄附の領収書、仮のものというふうに大臣は御答弁になっていますが、それがしっかりお示しいただけるかどうかというのが一点。

 そしてもう一つは、これは実は寄附ではなくて人件費だったんだ、だから違法ではないんだという御説明でしたけれども、その御説明を裏づける資料を出してくださいということが予算委員会での議論でした。

 その中で、参議院では、大臣が小川敏夫さんの質問に対しまして、この人件費を払った相手の方は税務申告をしていると認識しているということをおっしゃいました。また、源泉徴収については、申しわけございません、確認しておりませんでしたとお答えになっています。

 この二点について確認させてください。

江渡国務大臣 私自身も、この件に関しましては、ミスがあったということで受けて、それからいろいろな形で調査させていただいて、そして、しっかりと税務申告をしているというふうに報告を受けているところでございます。

津村委員 だとすれば、その税務申告の書類をお示しいただかなければこのことは立証できないと思いますが、いかがですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思いますけれども、この資料の提出その他、先ほどもお話しさせていただいたように、最終的には理事会での御判断というものがあろうと思っております。

 ただ、委員も十二分に御理解の上で私に御質問していると思いますけれども、政治資金規正法におきまして、人件費に係る支出については、受ける者のプライバシー等に配慮し、個別の明細は明らかにされていないこととされております。

 人件費を受け取った職員らの源泉徴収や税務申告の書類などの提出については、この辺のところも十分に御配慮いただければありがたいと思っておりますし、また、再度重ねて御報告させていただきたいと思いますけれども、本件の人件費につきましては、今回改めて本人にも受領を確認しておりますし、確実に支払っていることと、そのように委員も御理解いただければありがたいなというふうに思っております。

津村委員 個人のプライバシーには十分御配慮いただいて結構だと思いますが、何らかの形でこれは立証ができると思うんですけれども、その御努力をしていただけませんか。

江渡国務大臣 今御説明させていただいたように、最終的には理事会での御判断であろうかなというふうに思っております。

 ですからこそ、どうぞ、先生方も、この収支報告書その他いろいろな形においても、人件費等においての部分というのはそのように処理されているものではないのかなというふうに私自身も理解しております。

 再度繰り返しになりますけれども、私自身もしっかりとこの点は確認をさせていただいております、本人に。ですからこそ、本人の方からは、ちゃんと税務申告をしておりますということで報告も受けているところでございます。

 あとは、理事会の御協議の方に御判断を委ねたいというふうに思っております。

津村委員 例えば、その方のお名前を伏せた形で提出していただければ個人のプライバシーは守れると思うんですけれども、いかがですか。

江渡国務大臣 繰り返しになりますけれども、理事会の御判断にお任せさせていただきたいというふうに思っております。

津村委員 理事会で協議することがまた一つふえました。

 もう一つお伺いしたいと思っております。

 本日、仮領収証なるものが出てきました。

 私たちは三つのものを今まで要求しておりまして、整理をいたしますと、冒頭取り上げた、選挙運動を目的とした寄附七十万円の正規の領収書、それから二つ目は、今申し上げました、選挙運動を目的としない寄附三百五十万円について、これが人件費として支払われたという証拠、このいずれも理事会で協議ということで、先ほど、大臣、委員長、お認めいただいたことだと思っております。

 最後、三点目でございますが、これは、選挙運動を目的としていない、四回にわたって支払われた三百五十万円の寄附の仮領収書を、これは十月六日の予算委員会で、出すということを大臣がお約束されたわけですけれども、そのことは間違いありませんか。

江渡国務大臣 はい、私はそのようにお答えさせていただいたわけでございます。

津村委員 大事な御答弁でした。

 きょうは二件しか出されていないんです。今大臣おっしゃったように、四件三百五十万円、出すと予算委員会でおっしゃっていますし、会議録にも残っていますし、今もそうおっしゃいました。それなのに、二つしか出ていないじゃないですか。

江渡国務大臣 予算委員会でその四点云々という話はなかったと思っております。

 私自身、先ほども御答弁させていただきましたけれども、収支報告書、領収書等々の保存期間は三年間であります。ですから、ある中において誠意に私は対応させていただいたというふうに考えておりますけれども、その辺のところで御理解いただければありがたいなというふうに思っております。

津村委員 十月六日の予算委員会で、階委員はこういうふうに申し上げています。人件費の議論について紹介した後、いかにも不自然な弁解であり、違法行為の隠蔽工作のように思われますが、いかがでしょうか、もし、そうではないとおっしゃるのでしたら、今申し上げた該当する四件三百五十万円それぞれについて、人件費として支払われたという客観的証拠と仮の領収書なるものの原本を公開していただけますでしょうか、こう階議員が明確に述べております。御確認いただいても結構であります。

 これに対しまして、大臣は、この預かり金の領収書を仮領収書として出したというものでございまして、それはちゃんとありますものですから、その辺のところはさせていただきたいと思っておりますというふうにお答えになっています。

 これは、限定をされずにおっしゃっているので、普通に読めば、四件全てのことだと思います。また、先ほどもそう御答弁になっています。

江渡国務大臣 先生も御理解いただいていると思っておるわけでありますけれども、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ですから、私のところでは、保管期間の部分があるもの、その中においてきちんと丁寧に提出させていただいたということで、うちの秘書や事務たちにもきちんと捜してくれと言って、あった部分のものをきちんと出させていただいたというところでございます。

津村委員 今大臣が私の政治資金の扱いについて御発言になったところは削除していただけませんか。

江渡国務大臣 済みません。津村委員に対しての発言した部分は削除させていただきたいと思います。

津村委員 これは大臣に伺わせていただきますけれども、本日の委員会は六時間コースとなっております。これは、なぜ六時間という長さになったか、経緯を御存じでしょうか。

江渡国務大臣 申しわけございません、経緯は存じておりません。

津村委員 この六時間コースになったことにつきましては、北村委員長、小野寺筆頭を初め多くの理事の皆さんが、大変、予算委員会の先般の質疑で必ずしも明らかにならなかった、この大臣の政治資金の処理が適法であったということが十分まだ示されていない、そういう前提で、二つのことを理事会で私たちは要求させていただきました。一つは、仮領収書、四件三百五十万円でございます。もう一点は、寄附が最終的に人件費になったということの客観的な証拠、先ほどの税務申告の書類でございます。

 先般の理事会で、この四件三百五十万円の領収書の提示が今回の大臣所信聴取そして質疑の前提だったと記憶しておりますけれども、委員長、御確認ください。

北村委員長 津村理事のお尋ねにお答えいたします。

 予算委員会での質疑は予算委員会での質疑、そして、ぜひこの当委員会での質疑を深めていただきたい、そういうことで六時間コースというものを、両筆頭間でいろいろ協議の上、理事会においても確認をした、そして、きょうこうして審議をいたすことができている、そういう状況であるということを確認させていただきます。

津村委員 予算委員会で扱っているものは安全保障委員会では扱うなという意味でおっしゃっていますか。ちゃんと答えてください。

北村委員長 お答えします。

 安全保障委員会の理事会で協議をいたしまして確認したとおり資料の提出は行われていると委員長においては認識しております。ですから、ぜひ質疑を続行し、その中で、各般の疑義については質問の中でお進めいただきたいということを理事会でも確認したというふうに認識しておりますから、ぜひ津村委員、質問を続行してください。

津村委員 理事会の経過を、必要があれば、委員長、皆さんに御紹介していただいて結構でございますが、私たちは、この四件の領収書が出てくることを前提に大臣所信を聴取させていただきました。そして、それを本日の理事会の場で出すということを与党筆頭から御連絡をいただきました。そういうお約束できょうの理事会に臨んだわけですけれども、残念ながら、四件のうち二件しか提示をされていない。ですから、私たちは、これでは質疑に応じられない。

 なぜなら、こういうものがあるからこそその議論ができるわけで、通常三時間、二時間半で行われている大臣所信の質疑を今回六時間に延ばした、その背景には、この政治と金の問題をしっかりやろうじゃないか、これは与野党の合意があったわけです。(発言する者あり)理事会に入っていない方は黙っていてください。理事会ではそういう議論を徹底的にやったわけです。その結果として、再三、質疑の中でそれが出てくるからそこで明らかにしてほしいということを委員長そして与党の理事の皆さんがおっしゃったので、この場に臨んでいるわけです。

 しかし、ここで物が出てこないということであれば、本日、申し上げた三つのどれも出てきていないことになりますから、私たちは、質疑の前提が崩れたということで、これ以上の質疑は続けることができません。

北村委員長 私は、質疑の前提というふうなことが崩れるなどというふうには認識しません。

 私は、委員に、質疑のやり方についていろいろ意見をする立場にありませんが、必要であれば、休憩中の理事会を再開することも考慮いたしますけれども、私の認識としては、引き続き質問を続行していただき、角度を変えたり、また質問の仕方というものもあろうかと思いますので、ぜひ、貴重な時間ですから、質疑を続けていただきたいと要請します。

津村委員 先ほど、念のために理事会を休憩していただいたのは、ここでの質疑できちんとしたものが出てくるかどうか留保させていただいたからであります。私たちは、これでは仮領収書が出されたというふうには認識できません。ですので、今委員長がおっしゃられたとおり、理事会の再開を要求いたします。(発言する者あり)

北村委員長 静粛に願います。

津村委員 質疑にはこれ以上応じられません。時計をとめてください。

北村委員長 委員は質疑を続けてください。

 先ほども申しましたとおり、理事会では、この質疑の中で究明をしていただきたい、疑問を解いていただきたい、そのような答弁を理事者側にも求めるというふうなことで委員会を開会したわけでありますから、ぜひ津村委員に質疑を続けていただくことを要請します。どうぞ。

津村委員 認識が全く違います。お約束と違います。時計をとめてください。質疑には応じられません。時計をとめてください。

北村委員長 議事の整理は委員長においていたさせていただきますので、速記をとめることは必要ありません。ぜひ質疑を続行していただきたい。津村委員、質疑を続行してください。

津村委員 約束と違いますので審議には応じられません。退席をさせていただきます。

北村委員長 質疑を続行してください。津村委員に要請します。委員長として、質疑を続行してくださることを要請します。

 野党委員の一部が退席をいたしました。

 この際、委員長として、理事をして出席を要請させます。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 理事をして出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これにて津村君の質疑時間は終了いたしました。

 次に、大串博志君の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕

    〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕

北村委員長 これにて大串君の質疑時間は終了いたしました。

 以上をもちまして民主党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

 維新の党の質疑時間に入るのでありますけれども、御出席が得られておりませんので、委員長としては、理事をして出席を要請いたさせます。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 理事をして出席を要請いたさせましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 これより維新の党、足立康史君の質疑時間に入ります。

 速記はとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時四十八分開議

北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、民主党・無所属クラブ、維新の党、みんなの党、生活の党、社会民主党・市民連合所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請させますので、しばらく、恐縮ですが、お待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、維新の党、みんなの党、生活の党、社会民主党・市民連合所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。赤嶺政賢君。(拍手)

赤嶺委員 いつも私の質問に、自民党席からこのぐらいの拍手があれば大変いいんですけれども。

 先ほどの理事会で、委員会の再開が決まりました。中丸委員の方から順番を入れかえてほしいという要望もあり、私の方が先になりましたけれども、ただ、大臣に対する所信質疑がこんな形で行われることは大変遺憾であります。

 特に、きょうこの委員会室に残っておられるのは与党の皆さんですから申し上げたいんですが、いろいろ、与党、野党の間で意見の違い、立場の違い、そういうのはあろうかと思います。自分たちの立場だけを主張していくと、例えば午前中のように、野党が出ていったら速記をとめないで続けていく、空回しをやるというやり方は、円満な解決にはつながらないと思うんですね。きょう、今委員会の開会中も、与党、野党筆頭で、円満にこの委員会が運べるような協議もするということでありますので、ぜひ小野寺筆頭も、与党の立場を踏まえて、野党の意見も受け入れるべきは受け入れて、円満な委員会再開に努力していただきたい、このように思います。

 それで、両大臣、御苦労さまでございますが、先日の予算委員会に引き続いて、普天間基地の問題について質問をいたします。

 まず、地元辺野古区の要請の問題について伺います。

 辺野古区は、四月、沖縄防衛局に対して、代替施設に係る辺野古区の条件として、区や区民に対する永続的な補償や見舞金の支払いなどを求める要請を行いました。

 まず、防衛省の現行制度の中に個別補償の制度はないということは、これは確認できますね。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 久辺三区の区長の方々を初めといたしまして、知事が、大臣及び官房長官のところに、久辺三区の要望についてお持ちいただきました。

 その中で、補償的措置について検討されたいということがございまして、今先生が御指摘になった個別補償という、言葉の意味によりますけれども、例えば金銭的なものを何らかの形で補償するという一般的な条項が法律にあるわけではございません。

赤嶺委員 九月十日の久辺三区の防衛大臣宛ての要請では、住民への補償的施策の実施と、要請の内容が薄められています。

 現在防衛省として検討を進めているのは、個別補償そのものなのか、それとも、それに類する補償的施策なのか、どちらですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の久辺三区からの要望につきましては、たしか最後の項目であったかと思いますけれども、今御指摘の補償的措置ないしは施策というフレーズだったかと思いますが、そのほかに、喫緊に要望する項目及び今後の産業振興といった、かなり幅広い項目を含んでおります。それにつきましては、大臣の御指示に基づきまして、早急に担当官を派遣いたしまして、そういう要望をさらに酌み取るということでやっております。

 先生の御質問が、補償的施策、措置そのものということでございますれば、幅広く、いろいろな形について、どういうものがあり得るかということについて検討しておるところでございます。

赤嶺委員 補償的施策、たしか要望書は十八項目にわたっていたと思うんですが、その中で、補償的施策というのが独立して入っているわけですね。

 それはどういうことですか。現行法でそういうことができるんですか。

中島政府参考人 補償的施策ということにつきましては、その言葉の持つ意味合いは、恐らくいろいろなことが白紙的には考えられると思います。

 ただ、私どもがやはり考えなければいけないのは、現在そういうことでいろいろ不安に感じておられる辺野古、久志等の方々の本当の意向を、どういう形で私どもがそれに対してお応えすることができるかということであろうかというふうに考えております。

赤嶺委員 本当の要求は個人補償なんですよ。それは法律を変えないとできないはずですが、そういう法律を変える検討もしていらっしゃるんですか。

 ここは、大臣、ちょっと答えてください。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 直接法律を変える云々はまだ今検討はしておりませんけれども、とにかく、今、三区の皆様方のいろいろな要望をきちんとお聞きいたしまして、具体的に何ができるかということで、今、防衛省内で検討させているところでございます。

赤嶺委員 法律を変える検討はしていないということでしたが、いろいろな検討をやり、いつまでに結論を出すんですか。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 できるだけ早急に取りまとめたいと思っておりますけれども、いついつまでということで、ここで正確にお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 非常に曖昧になっていきますが、かなり前から出している要求であるわけですね。ずっと先延ばしされている。今の大臣の答弁もそういうことであります。結局、最後は非常に曖昧な決着にならざるを得ないのではないか、このように思うところです。

 次に、設計変更の問題について伺います。

 昨年末に埋め立てが承認されたばかりでありますが、九月三日付で、沖縄防衛局は、四点の変更を沖縄県に申請いたしました。埋立土砂の運搬方法の一部変更、美謝川の切りかえルートの変更、工事用仮設道路の追加、中仕切り護岸の追加の四点であります。

 ボーリング調査を進めているさなかでの変更でありますが、今後、施設の詳細な設計や工事を進めるに従って、また新たな設計変更を行うこともあり得る、そういうことですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおり、沖縄防衛局は、九月三日付で、代替施設に係る公有水面埋め立てに関しまして設計概要変更承認申請書を沖縄県に提出したところでございます。

 背景につきましては、この事業におきまして、昨年十二月の埋立承認以降も、埋め立てなどの工事につきまして、安全及び環境の保全に配意しつつ、より効率的かつ着実に進めるための方策につきまして、継続的に、不断に検討を重ねてきているところでございます。

 今般、これまでに検討されました方策を事業内容に反映させるため、公有水面埋立法の規定に基づき、沖縄県知事に対して、公有水面の埋め立てに係る変更の承認を申請したものでございます。

 今後とも、こういうふうな検討を行っていく過程で、工事の促進に資する工法への変更、あるいはさらなる環境保全の観点などから変更承認申請の手続を行うことはあり得るというふうに考えておりまして、このようなことは、他の埋立工事におきましても一般的に行われているものと承知をしておるところでございます。

赤嶺委員 他の埋立工事、防衛省の工事で岩国があったわけですが、公有水面を埋め立てた岩国の基地の滑走路移設事業、ここでは、いつ、どのような設計変更を行ったのですか。

中島政府参考人 岩国の飛行場の滑走路移設事業につきましては、まず、公有水面埋立法に基づきまして、平成七年の九月二十二日に公有水面埋立承認願書を山口県知事に提出しております。これは、平成八年の十一月二十八日に承認を得ているところでございます。

 今先生御質問の承認願書の変更でございますけれども、この事業におきましては、工事期間中に護岸の位置の変更、また埋立土砂の採取場所の変更などが生じましたことから、平成九年から平成二十年にかけまして、変更、願書の変更を計八回行っているところでございます。

赤嶺委員 計八回。

 資料も提出をしていただきましたが、相当数の変更があり得るということだと思います。そのたびに沖縄県の承認が必要になるということです。

 沖縄防衛局が県に提出した設計変更の申請書ですが、防衛省にコピーの提出を求めたところ、提出できないという回答でした。理由については、沖縄県において現在審査中である状況を勘案し、提出は差し控えますとなっています。

 沖縄県が審査中だと、なぜ提出できないのですか。

中島政府参考人 一般的に申しまして、やはり、事業者たる立場を考えますと、審査担当部局に対して提出させていただきました書類を各所に配付するといったことはいかがなものかというふうに考えた次第でございます。

赤嶺委員 防衛省、提出できないということが、そういう答弁が多過ぎてきょうの委員会もなかなかうまくいっていないというのもありますから。

 ただ、この問題はちょっと、防衛大臣、違うんですよ。

 防衛省は、去年の三月、埋立申請書を沖縄県に提出いたしました。その後、県の審査中であっても、国会からの求めに応じて文書のコピーを提出いたしました。

 今回は、そのときと何が違うんですか。

中島政府参考人 今先生の、そのコピーを提出したというのは岩礁破砕申請のことでございましょうか。ちょっと、そこら辺の事実関係について、今手元に資料がございませんので、恐縮でございます。

赤嶺委員 去年の三月の埋立申請書のことです。

中島政府参考人 失礼いたしました。

 先生の御指摘のものにつきましては、その後の公開プロセスが規定されておったものですから、それを勘案いたしまして公表したというふうに承知しております。

赤嶺委員 今回公表しないことを求めているのは沖縄県の側ですか、それとも防衛省ですか。どちらですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の設計概要の変更の承認申請につきましては、法律の規定上、関係者への照会等々の手続がそこの部分については適用されておりません。県と、事業者たる沖縄防衛局の間のやりとりになるものでございますので、そういう点を勘案いたしまして差がついたものというふうに考えております。

赤嶺委員 設計変更の中身は、この間予算委員会でも取り上げましたが、県民が知ることになったら、本当に反発が一層拡大しかねないような内容がたくさんあるんですね。

 この間取り上げた、辺野古ダム周辺の土砂採取の問題があります。

 沖縄防衛局は、今回の設計変更で、埋め立てに使用する土砂を、湖面をまたいでベルトコンベヤーで運ぶ計画から、ダンプトラックで国道を通って運ぶ計画に変更をいたしました。これに伴い、一日平均五百九十二台のダンプが行き交うことになります。ベルトコンベヤーを使うことでダンプの走行を最小限に抑え、環境に配慮した計画の根拠の一つとしていた環境影響評価書との関係をこの間ただしました。このことも、このとき防衛大臣は、沖縄県において審査中であることから、環境負荷がどうなるかについては、お答えすることは差し控えさせていただきたいと答弁しております。

 私が聞きましたのは、防衛省の認識であります。県は県として事実に基づいて判断すればよいことであって、防衛省が防衛省としての認識を明らかにすることが審査の妨げになるわけではありません。また、そうであってはなりません。

 環境負荷はどうなるのか、ダンプの走行に伴う粉じんや騒音、振動はどうなるのか、防衛省の認識を明らかにすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今般の土砂運搬方法の変更は、辺野古ダム周辺からの埋立用土砂の採取に関し、環境保全の観点から辺野古ダム近傍での作業をできる限り少なくするため、辺野古ダムをベルトコンベヤーにより横断する手法から、ダンプトラックによるものに変更したものでございます。

 また、今般沖縄防衛局が沖縄県に提出した普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面の埋め立てに関する申請は、工事内容の変更に伴い、埋立承認申請書に添付した環境保全に関する措置を記載した図書に変更が生じたから行ったものであり、再度、環境への影響について予測評価を行った結果、環境保全への配慮はなされているものと評価した次第でございます。

赤嶺委員 ですから、最初の、ベルトコンベヤーを使えば環境への影響を抑えられるという環境に対する配慮は、だからやっているんだという根拠が今度変わったわけですから、ダンプトラックに変わったわけですから、それでも本当に環境が守られるというのであれば、その埋立申請の変更、これは公開すべきだと思いますよ。いかがですか。

中島政府参考人 いろいろそういう、先生のような御意見もあろうかと思います。

 ただ、手続的に、県側の審査を事業者たる防衛局がお願いしているという状況で、事業者側の判断なり物事の考え方を一方的にいろいろな形で外部に発出するというのはいかがなものかというふうな考えでございます。

赤嶺委員 私のような考え方が大多数なんですよ、やはり公表してくれというのが。

 結局、都合の悪い事実は隠そうとしているんじゃないかとしか言いようがありません。環境アセス法との関係でも、名護市の権限との関係でも、およそこれは法令にのっとったものとは言えないと思います。

 それで、ダム周辺の問題については、それだけではありません。

 辺野古ダム周辺は、土砂を採取した後、緑化を行うというのが現在の政府の計画であります。

 ところが、共同通信が七月、二〇〇八年に作成されたアメリカ政府の内部文書を入手し、兵員の宿舎など三十棟以上を建設する計画の存在を明らかにいたしました。さらに、二〇〇六年の別の文書では、この問題について日本政府と協議した、日本政府は沿岸部のアセスしか考えていない、アセスが完全でないと、環境や生態系への意図しない影響の責任を米海兵隊が負わされかねない、このように指摘した上で、辺野古ダム周辺についてもアセスを実施することを推奨しております。

 辺野古ダム周辺の施設整備や、それに伴う環境アセスについて、アメリカ側と協議した事実があるのですか。大臣、いかがですか。

辰己政府参考人 お答え申し上げます。

 報道については承知をしておりますが、御指摘の資料について、その性質については承知をしておりません。

 いずれにせよ、普天間飛行場代替施設建設計画、事業の計画は、当該事業に係る環境影響評価書及び埋立承認願書に記載しているとおりでございます。

赤嶺委員 私が聞いたのは、辺野古ダム周辺の施設整備や環境アセスについてアメリカ側と協議した事実があるかどうかを聞いているわけです。

 これは、計画の大前提にかかわる問題です。もし宿舎建設の計画があるのであれば、当然、滑走路と一体で環境アセスをやってこなければならなかった問題であります。

 協議した事実があるかどうか、これは明らかにすべきでありますが、いかがですか。

辰己政府参考人 米側とはいろいろな問題について、この件についても協議をしておりますが、詳細については、相手方がございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

赤嶺委員 共同通信が報道した内容についても米側といろいろ協議しているということですね。

辰己政府参考人 米側とは当然いろいろな場面において協議をしておりますが、この件に関して具体的に協議をしているという状況ではございません。

赤嶺委員 今の答弁の趣旨がよくわからないですね。

 この問題について米側と協議した事実はないということでいいんですね。

辰己政府参考人 お答え申し上げます。

 普天間移設の問題についてはいろいろな場面で米側とは協議をしておりますが、どういう問題について協議をしているかということについては、米側との関係もございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思っています。

赤嶺委員 何か協議した可能性を認めている答弁でもありました。

 海兵隊の、二〇二五年、これは公開されている文書であります、この公開文書で、日本政府と協議していることを明らかにしているんですよ。日本政府は言えないと言っておりましたが、いるんです。

 アジア太平洋地域の海兵隊基地の施設整備を担当する米太平洋海兵隊基地司令部が、二〇二五戦略展望という文書を公表しております。そこで、現在の二国間のマスタープランには家族住宅の建設は含まれていないものの、米軍再編実施のための合意が承認されたときにはその問題は認識されていたことを明らかにしております。その上で、現在の合意には、キャンプ・シュワブに通勤する海兵隊員の負担軽減策をとることが条件として付されていることに言及し、高速料金を日本政府が負担することなどが一例として挙げられています。

 こういう問題は日米間で話し合われているんですね。

辰己政府参考人 お答え申し上げます。

 普天間移設の建設に係る問題については米側とは当然のことながら協議をしておりますが、どういう問題について協議をしているかについては、相手方の関係もございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

赤嶺委員 大臣、アメリカ方は発表しているんですよ。日本の側が差し控えさせていただきますと言って、またアメリカからいろいろな問題が発信されてくると思いますよ。何で、アメリカはこんなふうに公開文書の中に出てくるのに、日本政府が具体的に説明できないのか。

 政府は、SACO合意当時、あの当時は海上ヘリポート案でありました。そのときには、二千五百名の人員が辺野古に移駐すると説明をしておりました。現行の計画では、辺野古に移る人員は何名なのか、宿舎は何名分を建設する計画なのか、これを明らかにしていただけますか。

中島政府参考人 恐縮でございます。ちょっと、今手元の資料を調べておりますので、ちょっと……。恐縮でございます。

赤嶺委員 環境アセス手続の中で、キャンプ・シュワブ内の将来人口は六千四百人と明らかにしてきました。これは防衛省が提出した文書ですから。六千四百人、基地内居住者が四千九百人、基地外居住者が千百人、基地従業員が四百人、このように説明してきたわけですが、何人の人員が辺野古に移り、何名分の宿舎を建設する計画なのか。これは、こういう数字が出ている以上、明らかにできるはずであります。明らかにしていただけますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今ちょっと手元に具体的な資料がございませんので、もし誤りでありましたらまた後ほど訂正いたしますけれども、海上施設、撤去可能な海上施設、当時はたしか、当該施設の設計上どういうふうな数の人員ないしはどういうふうな機能が必要であるかということについてかなり詳細に検討した結果、諸々の施設なり、そういう海上の附帯の構造について検討したという記憶がございます。したがいまして、それと陸上の関係で宿舎がどれくらい、それで大体どれくらいの人員ということが計算できたというふうに記憶をしております。

 他方、現在、シュワブの埋め立てと、それから陸上の再配置ということにつきまして、いまだマスタープランが協議中のものでございますので、現段階で確たる数字ということはないというふうに考えております。

赤嶺委員 あれですか、皆さんの埋立申請書の中で六千四百人という数字が出てきて、必要な水道の確保、下水道の確保というのがありますが、それは数字が違うというんですか。それが申請書どおりであれば、宿舎何名分というのもちゃんと説明できるんじゃないですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 環境影響評価書の中でどういうふうな人員をその前提にしてはじくかにつきましては、その段階での数字を申し上げたところでございまして、では、確定的に今どうなっているかということにつきましては先ほど申し上げたとおりでございます。

赤嶺委員 聞いても、大臣はお座りのままで、それで防衛施設局長が答弁して、答弁の中では何も明らかにならない、こういう状態です。

 この戦略展望は、この中で、高速料金の負担を挙げております。果たして、沖縄本島の南部から毎日沖縄自動車道を通ってキャンプ・シュワブまで通勤するということになるのでしょうか。結局、宿舎を建設することになるはずであります。

 岩国基地では、騒音被害の軽減のためとして、隣接する愛宕山を削って滑走路を沖合に移す工事を行いました。ところが、完成間近になったら、新たに厚木基地の空母艦載機の移駐を押しつけられ、愛宕山には、行わないはずだった米軍住宅が建設されることになりました。

 今のやりとりを聞いていても、何も明らかにならない中でも見えてきたのは、辺野古も岩国と同じようになりかねないという危惧であります。

 オスプレイの配備についても、九七年のSACO合意の草案の段階で、日米の草案の段階で明記されていたにもかかわらず、日本政府の要請で削除され、県民に隠され続けてきました。

 私は、埋立申請の中身で、特に土砂採取地域の森林地帯についての宿舎建設について、さまざまな協議を行っているのはもちろんだという答弁にとどまらず、事実を明らかにするべきだということを強く求めたいと思いますが、防衛大臣、いかがですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 先ほどから審議官等々が御答弁させていただいているとおり、相手のあることでございますので、その点は御了承いただきたいと思っております。

赤嶺委員 相手があることであっても明らかにしていただきたいというのが私の要望であります。

 それじゃ、次に空中給油機の問題について伺いますが、これも先日の予算委員会で、岩国基地に移駐した空中給油機が沖縄に定期的に飛来している問題を取り上げたのに対して、防衛大臣は、KC130は全部移転しましたけれども、しかし、訓練等の関係、あるいは運用等の関係において沖縄に再度訪れるということはあろうかと思っておりますと答弁し、飛来は当然との認識を示しました。

 防衛省は、SACO合意当時、そのような説明を行っていましたか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 KC130の移駐につきまして、先生御指摘のとおり、SACOで、まずそういうような施策として挙げられたことは事実でございますが、その際に、KC130が移駐した後の運用について、そのSACOの中ないしはその関連の文書の中で何らかの記載ないしはその方向性を示すような文言があったかということについては、恐縮でございます、ちょっと、今のところ手元に資料がございません。

赤嶺委員 あったかどうかおわかりにならないという今お答えですか。

中島政府参考人 恐縮でございますが、ちょっと、それに関する資料が手元にございませんので、そういうふうなことでお許しいただければと思います。

赤嶺委員 SACO当時の認識は今持っていないということであれば、移駐後の運用について、では、先ほどの防衛大臣のような説明、いつからそういう説明を始めたんですか。

辰己政府参考人 本年六月でございますが、米側は、空中給油機KC130が、岩国移駐後も、引き続き沖縄の伊江島、嘉手納飛行場などを使用して運用、演習、訓練を支援するという公表をしております。

 そういう米側の公表もございますので、我々としてはそういうことだと認識をしています。

赤嶺委員 岩国に移駐した後に訓練や運用で沖縄に飛来することを防衛省が知ったのはことしの六月、間違いないですか。

辰己政府参考人 米側とは、当然のことながら、いろいろな状況、いろいろなところで話をしておりますが、我々として、米側が六月に公表したということでございますので、その後はそういう説明をさせていただいているということであります。

赤嶺委員 公表は六月に米側はやったかもしれませんが、それ以前から岩国市議会ではそのような説明をしておりますよね。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどのSACOでの記述でございます。「騒音軽減イニシアティヴの実施」の中で、「現在普天間飛行場に配備されている」、当時は十二機でございましたけれども、「十二機のKC130航空機を、適切な施設が提供された後、岩国飛行場に移駐する。」という記述でございます。したがいまして、その移駐後の運用の態様につきまして、特にSACOにおいて記述はないということで申し上げてよろしいかと思います。

 それから、岩国の市議会におけるKC130の飛来に関する説明でございますけれども、KC130につきましては、岩国移駐後も、引き続き普天間、伊江島、嘉手納などを使用し、運用、演習、訓練を支援する旨を米側は公表しているということで、御説明を申し上げたというふうに考えております。

赤嶺委員 皆さん六月と言いますけれども、昨年の岩国市議会での防衛局の説明について、一切の資料を私は持っております。

 結局、間近になるまで事実を知らせない、こういうやり方をずっととってくるわけですね。アメリカが言うからということで、オウム返しに繰り返している。

 それだけじゃないんですよ。SACO合意当時は、十二機の空中給油機を移駐する計画であったわけですよね。ところが、移駐の段階では十六機になっています。

 政府の言葉をかりれば、一日も早い危険性の除去が必要である普天間基地に、いつ米軍は空中給油機の追加配備を行ったんですか。それに対して日本政府はどのように対応したんですか。

中島政府参考人 恐縮でございますけれども、ちょっと、十二機、先生十六機とおっしゃいましたけれども、そこの経緯につきましては、ちょっと、手持ちにつまびらかにする資料がございません。

赤嶺委員 負担がふえていても日本政府は認識していない、一方で、一日も早い負担軽減だと言って宣伝をする、この実態が明らかになったと思うんです。

 防衛大臣に最後に伺いたいんですが、防衛大臣は、空中給油機が辺野古の新基地に飛来するかどうかは最終的には米側の運用状況によると答弁をされました。

 現在の普天間基地には、岩国基地からFA18戦闘機も飛来して訓練を行っています。岩国基地には今後、垂直離着陸が可能なF35B戦闘機も配備されようとしています。辺野古に戦闘機が飛来するかどうかも米側の運用によるということですか。

北村委員長 江渡防衛大臣、簡潔に願います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 具体的なことが米側から我々の方に報告がなされていないものですから、今の先生の御質問に対してはお答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

赤嶺委員 終わります。

北村委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 次世代の党の中丸啓でございます。

 まず冒頭、一言申し上げます。

 江渡大臣、きょう、非常に、理事会が何度も何度も休憩、再開を繰り返しまして、与野党筆頭理事も含め、みんなが本当に走り回って、いろいろなことがありました。おっしゃりたいこともおありだとは思いますけれども、野党が私と共産党の赤嶺議員しかいない、こういう状況になったというのは事実でございます。本日の混乱を踏まえて、やはり真摯に受けとめていただいて、今後、誠意を持って円満な運営に対応していただきたいということをお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 このようなことになったということは私自身の不徳のいたすところであろうと思っておりますし、また、私ができる範囲の中で誠意に対応させていただきたい、そのように考えているところでございますので、委員等々の御指導もよろしくお願いしたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 安全保障委員会は、その名のとおり、外交、安全保障、私は、ある意味、この国の一番重要な案件だと思ってこの二年間ずっと務めさせていただいておりますので、きょうも、本当にこの国の安全保障、外交に必要な案件をしっかりと質問させていただきたい、このように思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 まず冒頭、今回新しく副大臣に、中山外務副大臣、御就任おめでとうございます。

 冒頭なんですが、昨今、ノーベル物理学賞を日本人三名が受賞された、大変おめでたいというお話もあると思うんですけれども、私は、逆に、安全保障という観点から、実は、ノーベル平和賞に憲法九条を守り続けた日本国民がノミネートされたというような報道がありまして、テレビ、新聞等で、これは非常に残念だと。これが通れば日本国民は燕尾服を着て受賞に行くのかというようなことが書いてある某新聞もありましたけれども、あえて名前は言いませんが。こういったことが、我々次世代の党は、自主憲法制定を党是、イの一番にうたっておりまして、当然憲法九条も含めて取り組んでいくべきだと、この安全保障委員会の中でも、この議論は本当に必要なものだと考えております。

 今回のノミネートで落選された九条の団体の方は、名前は言わないということですね、ぜひまた来年というふうに張り切っておられましたが、これに対して、私は、ノーベル平和賞は非常に政治的色合いが強いと。核兵器廃絶をうたったオバマ大統領が受賞されたりとか、非常に政治的色合いの濃い中で、それともう一つ、日本国民が受賞対象。少なくとも私は受賞したいと思いません、今回のこの憲法九条に関して。日本国民全員が思っているわけでもないのに。

 外務省というのは、何かそういうものに対して、選定委員会なりなんなりにアクションとかヒアリングをされたりすることはあるかないか、教えていただけますか。

中山副大臣 お答え申し上げます。

 ノーベル平和賞の受賞者を決定するノルウェー・ノーベル委員会は、ノルウェー政府からも独立した極めて中立性の高い組織であります。賞の選定プロセスについても厳格に管理され、候補者及び選考過程は受賞者決定日から五十年間非公開とされており、誰がノミネートされるかについても政府として確認できるものではないということで承知しております。

中丸委員 憲法九条というのが、全ての国民が望んでいるわけでもないのに日本国民が対象になっているという点と、あとは、やはり、今回のマララさんのような活動をされた方が受賞される、これは誰が見てもそうだなと思うと思うんですね。

 今後、憲法九条というのを安全保障の中で考えないといけない中で、これが政治的にある意味影響を受けるノーベル平和賞というまないたの上に上がっていることについて、どうかということを聞きたいんですが。では、岸田大臣、いかがですか。

中山副大臣 ありがとうございます。

 いずれにしましても、先ほどの質問も含めて御回答申し上げますと、政府としては、これまで、ノーベル平和賞について国内の推薦を取りまとめたり、また、ノーベル平和賞に対して働きかけを行ったりということはやっておりませんということを申し添えたいと思います。

中丸委員 わかりました。

 とりあえず特別なことはしていないということだと思いますけれども、我が党としては、特に私、個人的にもこの問題は結構大きな問題だと思いますので、ぜひとも議論していただいて、今後そのまま放置するのか否かということは考えていただきたいと思います。

 続きまして、在外邦人の保護についてお尋ねします。

 俗に言う慰安婦、もうこの慰安婦という言葉自体、私も余り言いたくないんですが、こういった誤った情報や意図的な諜報活動に対して、オーストラリアやアメリカで慰安婦像や慰安婦碑が数々建っております。これは前も言って外務省の方にも随分対応していただいたと思いますけれども、邦人の保護対策、同じ日本人を守るという国家としての義務を果たす上で非常に重要だとは思うんですが、一つ、最近、海外のそういう団体の方と私はよく話をするんですけれども、例えばオーストラリアで活動されている団体、この人たちは、本当に現場で、相手は一万数千人いる例えば在豪のコリアの人たち、中国の人たちを相手に、日本人は大体七十人ぐらいで今活動をしているわけですね。一万対七十。それだけの数の違いの中で、彼らは、国の誇りと自分たちがその場所で生きていく生存権を一生懸命闘っているわけですけれども、そういった中で、意図的な情報やそういった活動、政治的圧力によって、非常に、子供のいじめも含めて、精神衛生上住みにくい、彼らの幸福追求権が傷つけられる状況がある中で活動しているわけですが、オーストラリアとアメリカ、その他の国、それぞればらばらに個人で、自分の手弁当で活動しています。

 こういうのに対して、外務省は、それぞれの領事館、大使館を通じて御支援できるところはしていただいていると思いますけれども、こういった海外のばらばらに動いている人たちを情報的にネットワークで結んであげるとか、お互いが情報共有する場を外務省としてぜひとも私はつくっていただきたいと思うんですが、岸田大臣、いかがでしょうか。

中山副大臣 お答え申し上げます。

 まず、外務省及び在外公館におきましては、従来から、在留邦人やそのグループと緊密に連絡をとり合いつつ、情報交換を行ったり、また在留邦人からの相談に乗ったりしてまいりました。また、特に慰安婦問題をめぐっては、在留邦人の安全確保の観点から、本年七月にいじめ問題に関するタスクフォースを立ち上げますとともに、関係課室、在外公館におきまして本件の窓口となる担当官を指名しております。

 こうした対応をとることで、より組織的に関連情報を収集、集約、共有するとともに、在留邦人からの相談に迅速かつ的確に応じることができるようになりました。先生の御指導のたまものであるというふうに我々も感謝いたしております。

 また同時に、政府としましても、慰安婦の碑や像の設置に対する思いは在留邦人の方々と同じでありますと同時に、先ほど申し上げましたような既存の枠組みも活用しつつ、引き続き在留邦人やそのグループに対する支援をしっかりと行っていきたいと考えておりますと同時に、先生から今、最後御質問がありました、在留邦人やそのグループの活動内容や、それから提供される情報につきましては関係公館にも伝達されているところで、今後、有益と思われる情報につきまして、各在外公館と在留邦人の意見交換の場等において、より積極的に共有してまいるように努めてまいりたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 恐らく、インターネットを通じて、世界じゅうのそういった活動をされている方、前回、私のところに来られたときに、きょうのことも伝えてございます、リアルタイムでないにしても、ごらんになっていただいていると思いますので、本当に同じ国の中でもばらばらに活動されていたりというのもありますので、これはやはり、ぜひとも外務省が中心になってそのネットワークをきちんとつなげてあげて、お互いが協力しながら、共有していけばさらに力は増すというふうに思いますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、続きまして、先ほど沖縄の辺野古の問題が出ておりましたので、ちょっと辺野古の問題に違った角度から触れてみたいと思います。

 辺野古の移転について、いろいろ、賛成意見、反対意見、それは当然あるだろうと思います。我々次世代の党は、積極的に辺野古への移転を推進していこうということで、九月の十八日、十九日の二日間、普天間基地及び辺野古の現場の視察をしてまいりました。その視察の中で、基地内でいろいろ説明を受けまして、実際に滑走路ができる現場、ジュゴンの問題も含めてさまざまなヒアリングをしたわけです。

 それで、基地内から基地外に出たときに、工事用車両の入り口ゲートに行かせていただきました。そして何をしたかといいますと、我々はその工事用ゲートの前で街頭活動を行ったわけでございますけれども、その街頭活動を行っている反対側に場所をとられて活動されている方がおられまして、写真を皆さんのお手元に今配らせていただいているんですが、一つ素朴な疑問が私の中で芽生えました。

 何かといいますと、まず右上の写真を見ていただきたいんですが、これは辺野古の基地のフェンスでございます。当然、米軍の基地のフェンスでございます。普通の一般家庭でいえば、自分の家を囲っている囲いでございます。そこに、見ていただくとわかるんですが、明らかに米軍のものではない、こういった横断幕がひもで結んであります。

 そして、その下を見ていただくと、これはその道路の歩道でございます。上に暑さしのぎにテントがつけてありますが、初め、何か露店市でもやっているのかと思ったら、そうじゃなくて、これは反対運動の皆さんが、暑いからだろうと思うんですが、テントを張っているという状況でございますけれども、このテントを張っている骨組みの部分も米軍のフェンスでございます。

 そして、こういういろいろなものを、道路を使う場合は、普通、警察の道路使用許可が要るはずでございます。そして、この設備はどうしているのかと聞きますと、毎日、朝七時ぐらいから設営部隊の方が設営をされて、夕方五時には撤去をして帰るということで、夜はないそうでございます。

 ということは、これは毎日、エブリデーやっているわけでございますので、警察がこういった許可を出しているのか否かというのは定かではありませんでした。現場に沖縄県警の方がおられたので聞きましたけれども、よくわからないというような返答でございました。

 まず、勝手にフェンスにつけていいかどうか、道路を勝手に使っていいかどうか。

 そして、左側の二つ、これは、この永田町かいわい、首相官邸も含めてたくさん見るものだと思うんですけれども、いろいろな、県警も含めて使われているのと同じ蛇腹のゲートでございます。この蛇腹のゲートをあけたり閉めたりで、中にトラックが出たり入ったりするわけでございますけれども、このゲートに見事にのぼりがたくさんくっついていまして、ゲートをあけたり閉めたりすると、のぼりが一緒に右に行ったり左に行ったりするわけですね。

 このゲートの入り口でトラックが一旦停車すると、ここの人たちは何をするかというと、トラックの後ろの積み荷に何があるかと勝手にあけて見るんですよ。何の権限があってやっているのかわからないですけれども。

 私は、反対運動をすること自体は、言論の自由ですし、結社の自由ですから、どうぞどんどんやってくださいと。ただ、こういった他人の塀やフェンスや、中にはかみそりを入れたテープを巻いていたところも、ここはなかったですが、そういうこともあるということは沖縄の方から聞きました。

 ここにいる人たちに、あなた方はどこから来たんですかと聞かれたんですよ。いやいや、我々は衆議院議員で、きょうは東京羽田から飛行機で来ましたと。あなたはどこから来たんですかと聞いたんですけれども、ああそうですか、私も沖縄の人間じゃないんですと答えるわけですよ。

 そういう外から来た人が、いろいろな団体が、この写真を皆さんに見ていただくので、あえて、どこの団体があったかというのは、きょうは、ここまでの流れもあり、敬意を払うという意味でも触れませんが、こういったことに対して、これは米軍から見たら外交問題ですよ、外務大臣。日本は法治国家ではないのか、こういうことを許す国なのかというふうに問われると思うんですけれども、岸田外務大臣、いかがお考えでしょうか。

岸田国務大臣 まず、住宅地や学校に囲まれ、そして市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化、これは絶対避けなければなりません。そして、これは安倍内閣の基本的な考え方でありますが、あわせて政府と地元の皆様の共通の認識であるとも思っています。

 米国との間を考えましても、例えば、四月の日米首脳会談において、両国首脳間で普天間飛行場移設を含む在日米軍再編を着実に進めていく考えを改めて確認をしています。

 政府としましては、普天間飛行場の一日も早い返還のため、関係法令に従い、安全確保にも万全を期しつつ、そして、辺野古への移設、着実に進めていくのが重要だと考えています。そして、こうした政府の取り組みについては、今後とも引き続き、地元の皆様方の理解を得るべく丁寧な説明努力も続けていかなければならないと考えています。

 こうした我が国政府の取り組みの方針、あるいは説明努力、これをぜひ多くの関係者の皆様方にも受けとめていただき、理解が進むことを期待しております。

中丸委員 いや、大臣、理解してもらおうと思っても僕は無理だと思います。

 ただ、これは僕は何を問題視しているかというと、こういう違法行為、不法行為が平気で行われる、日本の国の中でこういうことが行われることに対して、僕が米軍だったら、まず、いい気持ちはしないです。だから、日本の警察とか日本の政府は大丈夫かな、こういうのを許すのかというふうに思うと思うんです。活動自体のことじゃないです、不法行為に対してですね。そこをお伺いしたかったんですけれども、いかがですか。

岸田国務大臣 委員の方から貴重な視察の報告を聞かせていただきました。こうした指摘につきましては、しっかり受けとめなければならないと存じます。

 ただ、私も現地の状況を直接つまびらかに承知しておりませんので、具体的にどこがどう法令に違反するのか等確認することはできませんので、これ以上申し上げることは控えたいと思いますが、いずれにしましても、こうした活動につきましては、日本国内の話ですので、日本国内の各法令等にしっかりと従った上で進められるべきであると考えます。

中丸委員 ありがとうございます。

 ちなみに、別の県警の方に、こういう場合、普通はどうするんですか、この蛇腹になったゲートなんかはほかの県警でも持たれているみたいですから、聞いたら、まず警告します、というか、そもそも結ばせないとは言っていましたけれども、もし結ばれた場合、警告をして時間をはかって、相手が撤去しなければ強制的に撤去しますというような意見をする県警もありました。

 ということを一つお伝えして、そういう意味では、防衛大臣、これはすごい大事な問題だと思うんですけれども、今のやりとりを聞いて、いかがお受けとめになられますか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 この写真を見せていただいて、改めて、ううんという思いもいたしました。ただ、このキャンプ・シュワブのフェンス等に物を張りつける行為を禁止する警告板等々も一応設置されておりますので、ですから、その辺のところで御理解を賜るような努力ということも進めていかなければならないだろうなと思っておりますし、また、沖縄の県民の方々の中においてもさまざまな御意見があろうということは我々も十二分に承知しております。

 ですからこそ、私どもは、先ほども外務大臣等からもお話があったわけでありますけれども、とにかく普天間の固定化だけは絶対避けなければならない、そのことが大前提であるわけでありまして、また、そのことは、沖縄の県民の方々にとっても、また我々にとっても共通の認識だと思っております。

 ですからこそ、しっかりと、普天間飛行場のキャンプ・シュワブへの移設の意義とか、あるいは負担軽減に関する考え方というものを粘り強く御説明しながら、一日も早い普天間飛行場の返還とキャンプ・シュワブへの移設というものを目指してこれからも頑張っていきたい、そのように思っているところでございます。

中丸委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 次の質問に行きます。

 東シナ海、南シナ海、近隣各国との連携は非常に大事なポイントだと思います。

 次世代の党は、九月にフィリピンに参りまして、フィリピンの国会議員、上院、下院を含め十三名の方と超党派国際議員連盟、要は、力による海洋進出は絶対に許さない、そういったことを、今後さまざまな連携を議論しながら、各国の政府及び議会に声を発していく国会議員連盟をつくろうということで、六名でフィリピンに向かいまして、十三名のフィリピンの国会議員の皆さんに署名を頂戴しました。今後これを、ベトナム、インドネシア、インド、さまざまなところの国会議員と、与野党を問わず、我々は進めていきたいと思っております。

 フィリピンに行ったときに、フィリピンのコーストガードの船の操船技術であるとか、そういった人員の教育に対して、日本の、我が国の海上保安庁から二名の方が教育係としておられました。状況をお伺いしましたところ、訓練で船を出そうにも、現状のフィリピン政府の予算では、一隻当たり一日半、二隻で三日分しか燃料がない、ほかは、パトロールへ行くどころか、燃料がなくて訓練すらままならないと。

 今回、我が国から十二隻巡視艇を供与していくというお話ではございますけれども、それについてはどうするのかと聞いたら、予算はふやす、ただし、十二隻も全部、一日半ずつの燃料として予算をふやすと。都合幾らですか。一隻当たり一カ月フルに動かしたらぐらいの燃料しかないわけです。

 なかなか燃料の供与というのは難しいかもわかりませんが、十二隻供与するのであれば、そういったこともぜひとも考えていただきたいということを申し上げたいのと、こういった国際議員連盟、もちろん、政府としても外務省としても当然行われているとは思いますけれども、我々もこういった活動、これは代表質問で平沼党首からもあったと思いますが、今後も続けていきたいと思いますし、ぜひとも与党の先生方にも御参加いただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のような議員外交、これは、我が国が外交を進める中にあっても大変重要な切り口であります。もちろん、外交の最終的な責任は政府が負わなければなりませんが、議員外交を初め、さまざまなレベル、ルートを通じまして、意思疎通を図り、外交を進めていくこと、これは大変重要な視点だと認識をいたします。

 フィリピンを初めASEAN諸国に対しましては、我が国としまして、南シナ海の問題は、地域の平和や安定に直結し、そして我が国を含む国際社会全体の関心事項ということで、さまざまな、法の支配が貫徹されるための支援を行っております。御指摘のような人材育成等、海上の法執行能力を向上させる、こういった視点からさまざまな支援を行っているところです。

 御指摘の燃料費の点等、具体的な事項につきましては、ぜひ引き続きまして、しっかりと意思疎通を図りながら、我が国として何ができるのか、大切な南シナ海における法執行能力の向上という視点から何が協力できるのか、こういった観点から引き続き検討し、そして支援の努力を続けていきたい、このように考えます。

中丸委員 今回、次世代の党としてはフィリピンだったんですが、その前に、当時、今の江渡大臣が当委員会の委員長をされていたときに、フィリピン、ベトナム、インドネシア、経由でシンガポールも通りながら、さまざまな現地で、フィリピンは防衛大臣とも現地でお会いさせていただいたりしたと思います。

 その中で、質疑をやって、私も一緒に同行させていただきましたので、当時、江渡大臣もお聞きになられていると思いますけれども、ASEANの諸国が日本に期待しているのは、もちろん経済的なもの、さっきの燃料とかそういった支援もありますが、軍事的にも非常に、例えば、江渡大臣はよく御存じだと思います、フィリピンの空軍には戦闘機が今ゼロなんです。次に入れる十二機も韓国産の練習機なんです。それにミサイルを積んで、無理やりレーダーを積んで、レーダー基地もないのに運用するとか、もうほとんど訓練用みたいなものでしか今ないわけですね。

 そういった中で、日本に対する期待度は非常に大きいと私は思いましたし、今回フィリピンへ行ったときも、そういった声は非常にたくさん向こうの国会議員の方から上がりました。日本にもっと積極的に参加してほしい、もっと協力してほしい、こういう声があったことは御存じだと思います。

 江渡大臣、そういった声に対して、防衛大臣になられた今として、どういうふうにお考えですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 私が委員長当時、一緒に視察をさせていただいて、さまざまな意見の交換をさせていただいたということは、まさにきのうのことのようと私も思っております。

 また、今委員が御指摘のように、ASEAN諸国というのは、日本にとりまして、特にシーレーンの要衝を占める地域に、本当に重要な地域に位置しておりますし、また、日本にとりましても伝統的なパートナーであるというふうに私自身も思っております。特に、今やはり一番大事な点としては、海洋安全保障等の分野、ここにおける能力構築支援というものも、あの当時、たしかいろいろな形で各国から日本に対しての要請等々があったと思っております。

 ですから、そういうような形で、ASEAN諸国との協力というものを、これからももっともっと深めていくということは私は大事であろうと思っておりますし、その点に対しましても、また、しっかりとそのことを構築することが、この地域の安定にも私は資することだと思っております。

 外務省、岸田大臣ともども、何ができるかということも、お互いに協力し合いながら、これからのこの地域の安全のために、そして安定のために、汗を流させていただきたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 それでは、同じく防衛副大臣に新しく御就任された左藤副大臣にお尋ねします。

 昨年、イギリスのロンドンで、国際兵器見本市で左藤副大臣とは偶然ばったりお会いしたと思うんですが、実際にああいった国際兵器見本市の現場を見ていただいて、その必要性はお感じいただいていると思います。

 今後もこういった国際見本市へ、政府主導で、視察はもちろんなんですが、特に、今回、百三にわたる中小企業、防衛産業にかかわってきた中小企業が廃業を余儀なくされているような現状を踏まえて、今後、そういった中小企業の出展も含めて、政府主導でぜひともお考えいただきたいというふうに思うんですが、左藤副大臣、いかがでしょうか。

左藤副大臣 今、中丸先生と、九月十日だったと思いますが、イギリスで一緒でありました。

 御存じのとおり、防衛装備品の国際的な最新技術の動向は、常に情報収集しなきゃなりません。これは非常に大事なことだと思っております。そして、今、防衛省においては、イギリスやアメリカを初めさまざまな国と防衛装備、また技術協力を推進しているところでございまして、そういう防衛装備品に関する知見の涵養や向上を喫緊の課題と考えております。

 そこで、実は、昨年の九月五日にもポーランドで国際防衛産業展示会というのがございまして、私行ってまいりまして、その後に、先ほど、中丸先生と一緒になったイギリスでの国際防衛安全保障装備展示会を視察してまいりました。また、本年六月も、フランスで開催された同種の展示会、ユーロサトリ、これは武田前副大臣がお越しになって、日本の企業も多数出展をしておりました。当然、我々の防衛装備品を含めた、支える企業、それを非常に育成もしなきゃなりませんし、先ほどおっしゃったように廃業が百三十もあるという現状で、何とか日本の技術基盤を確立したい、こういう思いもありますし、また、そういう活動をこれからもしっかり支援していきたいと思っております。

 また、ことしは、実はこの前ですが、九月の二十四日から二十六日、ASEAN諸国の外務、防衛当局を対象とした海洋安全保障等に関するセミナーというのをさせていただきまして、防衛省内に、九月二十五日、防衛装備品等の展示会もさせていただきました。

 このように、今後も、国際的な防衛装備品の見本市等へ職員を派遣するだけじゃなくて、やはりこれは必要な予算の計上もやっていかなきゃなりません。しっかり前向きに検討して進めさせていただきたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 安全保障に関する国際会議、これは今、宇宙、サイバーテロ、こういった問題も出てくると思います。先日、イスラエルの防衛、安全保障、宇宙担当大臣という大臣がお越しになられまして、私も昼食会に一緒に参加させていただいたんですけれども、インドとかイスラエルとかとの今後の協調というのが必要な中、実は十一月の八日にテルアビブで国際会議が開かれます。

 私は、実はインビテーションをいただいていまして、行かせていただこうと思っているんですけれども、こういった国際会議、実は日本人で参加するのは、国会議員で参加するのは、私ともう一人、私の次世代の党の同僚の西田議員と二名というふうにイスラエルの方から伺っているんですけれども、これに対して日本側から行かれる予定というのはやはりないということでよろしいでしょうか。

黒江政府参考人 今先生御指摘の、来月イスラエルで開催される予定の国際会議ということにつきまして、現在、我々としてつまびらかに承知しておるわけではございませんけれども、現時点におきまして、防衛省からの出席の予定といったものはないというふうに承知をいたしております。

 ただ、他方で、さまざまな機会に開催されます国際的な会議でありますとか、あるいは、場合によりますと、我々も会議を積極的に主催するというような形で、多国間の交流といいますか対話には努めておる、その点についてはぜひ御理解を賜りたいと思います。

中丸委員 地政学的にもイスラエルとかイギリスは非常に遠いわけでございますけれども、また、そういう遠いところでやっているところほど、お互い腹を割って話ができるという現状もあるわけでございますので、そういったことも含めて、広く持っていただきたい。正直、私ごときが知っていることを天下の防衛省さんが御存じないというのは寂しいことでございますから、もっと情報収集をしっかり頑張っていただきたいと思います。

 質問をかえまして、ちょっと先ほど来お話がある、今後、大綱、中期防を通じて、来年度、二十七年度の予算要求概要を拝見させていただきまして、やはりこれは言わねばならぬなというのが一つございます。

 新中期防の期間中に、水陸機動団の新編に合わせて、二個中隊単位の、教育所要も含め、水陸両用車AAV7を五十二両導入予定というふうになっております。導入予定というふうに書いてあります。そして、考え方としては、まず一個中隊二十二両、それから教育所要として八両、この三十両をまず調達を二十七年度予算でして、そこから三カ年で調達していく。しかし、三カ年で調達していくというふうにヒアリングで説明を受けるんですけれども、年末までにこれを調達するかどうかを決めると。AAV7を調達するかどうかはまだ決まっていない。決まっていないけれども、三カ年で三十両、そして、その後にまた二十二両追加するということがほぼ決まっている。二百人から三百人の部隊で、部隊全体、水陸両用部隊としては三千名規模を陸自の一部として使うと。

 AAV7には、当時委員長だった江渡大臣も、何度も私が質問させていただいているから御存じだと思いますが、まず、サンゴ礁、リーフを上れない。これは、財務省からは防衛省の予算としておりているわけでございますけれども、実際に、今の島嶼で、少なくとも満潮時、大潮の満潮時であれば何とか上れるかもしれないという、釣りに行く前に潮見表を見るような話の答弁もありましたけれども、実際問題に、上れないようなものをこんなにたくさん本当に要るんですか、これは高いじゃないですかと。

 我々は、次世代の党は、とにかく防衛予算を大幅にふやさないと、この国は守れない。ただし、国民の皆さんの税金をふやさせていただくんだから、使い道は本当に有効に活用させていただきたいということを思って言っているんですが。

 正直、こういう部隊も要るだろうという意味では、二十二両、ここまでは仕方ないかもしれない。しかし、この先は、正直言います、やめましょうよ。これを御提言したい。いかがでしょうか。

黒江政府参考人 防衛省におきます水陸両用車の取得についての考え方に対する御質問であったと思います。

 先生御案内のこととは思いますけれども、我々は、この件につきましては、水陸両用機能といったものを備えた部隊というものを早期に編成していく必要がある。そういった能力を自衛隊としてつけていく必要がある、それも早期につけていく必要があるということが、まず問題の原点でございます。

 これに対応するために、御指摘ありましたような、それではどのような装備品が必要かという検討の一環として、水陸両用車といったものを検討して、今、我々としては、先ほど先生から御指摘ありましたように、参考品として購入したものを、各種の運用試験という形で使った上で、最終的には、ことしの年末の予算、正式な政府原案の決定までの間にこれが実用に供するものなのかどうかといったことを判断した上で、調達に結びつけていきたいということが我々の現在の考え方でございます。

 また、その過程で、サンゴ礁、リーフについて上れないのではないかといった御指摘もございましたけれども、既にこれは国会答弁でも何度か防衛省からもお答えをしておりますけれども、必ずしも全ての島が、我々が運用を考えております島嶼部が全てサンゴ礁に覆われているわけではない。それは、地形によっては進入できる場所といいますか、そういったものもある。また、先生も御指摘ありましたけれども、潮位といったものを考えながら運用するといったこともございます。

 それ以外にもさまざまなやり方というのがあるんだと我々は考えておりますけれども、そういった意味で、これにつきましては、現在、我々が参考品購入しましたAAV7といいますのは、少なくとも、参考品購入する際に、我々が我々の運用構想に合ったものであるという判断をした上で参考品の購入に至っておる。さらにその上で、細かい運用の要求にたえられるかどうかといったことを、さらに今精査しておる段階であるということでございます。

 そういう意味で、我々としましては、十分に、財政当局からの御批判、あるいは国民からの理解を得るために、さまざま提起されております御質問といったことには応え得る装備であろうというふうに思っておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。

中丸委員 多分そういうふうに言われるだろうと思いました。

 普天間もなんですが、ハワイの海兵隊の司令部も含めて、日本の自衛隊がこれをこんなに大量に購入することに対してどういう意見を持っているかと、私ら、質問しに行ったんですよ、わざわざ。はっきり言って、今、アメリカの海兵隊でさえ、これをフル活用するのは手に余っている。大き過ぎるんですよ。十三ノットしか出ないし。

 複合的な、統合的な作戦でしか使えないんですよ。これは装甲板があるから行けると言うけれども、これが行くということは、相手が火器を持っているからこれを使うわけでしょう。それが十三ノットでぷかぷかなんて、そんなのは的ですよ。これはRPGだって一発やられたら、いっちゃいますよ。

 普通だったら、これは空、空。まず制空権をとること。そうすると、攻撃ヘリなり戦闘機なりでまず相手を制圧して、初めてこれは成り立つわけですよ、統合作戦で。これだけたくさん買ったってしようがない。

 これを全部積めば、今「おおすみ」を改修していますけれども、四十四両積んだら、上も下もAAV7でいっぱいになって、ヘリは一機も積めないですよ。どうやって、統合的な作戦といって、この車両の数が要るんですか。どうやっても納得いかないですよ。もう一回答えてください。

北村委員長 黒江防衛政策局長、時間が来ていますから簡潔に。

黒江政府参考人 具体的な統合作戦の様相につきましては、我々ももちろん、現有の装備品でありますとか、あるいは、御指摘ありました「おおすみ」の改修といったことを通しながら対応することになりますけれども、必ずしも、先生御指摘のように、統合作戦に当たって、我々、「おおすみ」を一隻だけしか使わないといったことでもございませんし、また、当然のことながら、島嶼作戦におきまして、海空の戦力と陸上の戦力というものを統合的に運用するというのは我が方としても考えておるところでございます。

 ですので、必ずしも、今先生御指摘のように、このAAV7が単独で島嶼に向かってぷかぷか進んでいくということだけではないということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

中丸委員 時間になりましたのでここまでにしますけれども、これは、制空権を制圧するのに、今だとF2しか使えません。今後の、F2はもう製造しないわけですから、今の試作機、実証機を、私は、国産で、空対地攻撃、空対艦攻撃ができる日本の国産のジェット戦闘機をぜひともつくっていただきたい、その技術を開発していただきたいことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 中丸君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十一分散会


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