衆議院

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第3号 平成26年10月17日(金曜日)

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平成二十六年十月十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北村 誠吾君

   理事 小野寺五典君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 武田 良太君

   理事 谷川 弥一君 理事 津村 啓介君

   理事 足立 康史君 理事 佐藤 茂樹君

      今津  寛君    岩屋  毅君

      大野敬太郎君    勝沼 栄明君

      門山 宏哲君    工藤 彰三君

      笹川 博義君    東郷 哲也君

      中谷 真一君    野中  厚君

      浜田 靖一君    原田 憲治君

      武藤 貴也君    大串 博志君

      大西 健介君    三木 圭恵君

      伊佐 進一君    中丸  啓君

      三谷 英弘君    穀田 恵二君

      村上 史好君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         江渡 聡徳君

   外務副大臣        中山 泰秀君

   防衛副大臣        左藤  章君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   防衛大臣政務官      石川 博崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 荻野  徹君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 上冨 敏伸君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鈴木 秀生君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    三好 真理君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十七日

 辞任         補欠選任

  岩屋  毅君     工藤 彰三君

  赤嶺 政賢君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     岩屋  毅君

  穀田 恵二君     赤嶺 政賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、警察庁長官官房審議官荻野徹君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、法務省大臣官房審議官上冨敏伸君、外務省大臣官房審議官山上信吾君、外務省大臣官房審議官下川眞樹太君、外務省大臣官房参事官鈴木秀生君、外務省中東アフリカ局長上村司君、外務省領事局長三好真理君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省人事教育局長真部朗君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。民主党の大串博志でございます。

 きょうは、質問時間をいただきましたので、質疑に臨ませていただきたいと思いますが、まず、昨日、御嶽山の噴火に対する捜索が打ち切られました。亡くなられた皆様、被害に遭われた皆様に心から御冥福をお祈りすると同時に、不明なまま捜索打ち切りとなられた、残された皆様、御家族の皆様にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。その苦衷はいかばかりかというふうに思います。

 一方で、この間長きにわたって、大変過酷な中で捜索活動に臨んでくださった自衛隊、警察、消防、こういった皆様の命がけの作業にも心から、あわせて敬意を表させていただきたいというふうに冒頭思います。

 さて、さらに、審議の冒頭で、一言遺憾の意を述べさせていただきたいと思います。先般の当委員会の審議の進め方についてでございます。

 当委員会、大臣所信に対する質疑ということで、大臣の所信を聞き、大臣が大臣としてその職に当たるにふさわしいかどうか、その資質を含めて、そして政策的な考え方を含めて、国民の皆様の前で議論をさせていただくというのが当委員会でございます。

 その中で、江渡大臣に対して、予算委員会を含めて、政治と金の問題を含めたいろいろな問題があった。それを、理事会も含めて、この場で明らかにさせていただきたいという真摯な与野党の思いの中でセットされた委員会でございましたが、理解の整わない中で、私たちの立場からすると一方的に審議が進められた。これは大変私たちにとっては遺憾なことでございました。

 この大臣所信に対する質疑、国民の皆様も注目する極めて重要な会議でございます。与党の皆様も国会運営に当たっては、円満に、かつ事の真偽が明らかになるよう、ぜひ力をいただきながら進めていただきたい。この遺憾の意と、猛省を促す思いを伝えさせていただきたいというふうに思います。以上申し上げて、質疑に入らせていただきます。

 その江渡大臣の資金に関することでございますけれども、これは、先般予算委員会で階委員、そして先般の当委員会においては津村委員も使われたパネルでありますけれども、人件費というふうに項目がえをされている経費等々についてでありますけれども、先般来いろいろな議論が、当委員会のみならず参議院の外交防衛委員会等々でも行われてまいりました。その中でも、少しずつ大臣からの説明が出てきております。

 まず冒頭に、やはり、仮領収書なるものの存否、そして提出、これについて改めてお願いを申し上げておきたいと思います。

 予算委員会において、階委員が四件ということを明らかにした上で、かつ、その後、大臣の方からも、四件に関する説明を付された上で、その領収書についてはありますから対応させていただきますというような答弁があってのこの安保委員会での質疑でございました。

 ですから、今のところは、この下二件についての仮領収証しか出てきておりません。一番上の二十一年七月一日、そして二十一年十二月十五日付の仮領収書に関して出てきていないという状況にございますので、これは引き続き、委員長、予算委員会での答弁もいまだに残っているところでございますので、当委員会においても、事の真偽を明らかにするために、仮領収書の提出、改めて求めさせていただきたいと思いますので、理事会でのお諮りをお願い申し上げます。

北村委員長 理事会において諮らせていただきます。

大串(博)委員 さらには、上から二番目、三番目、二十一年の八月二十四日、二十一年の八月三十一日、これは選挙運動に対する寄附であったということで、選挙運動に関する収支報告書の訂正がなされたという事案でございます。

 これも、当時の江渡大臣の認識がどういうものであったかということが、ひょっとすると違法な行為にも結びつくかもしれないということも指摘された案件でございます。これに関しても、仮領収書なるものがあるというふうなことでございましたけれども、まだ提出されてございません。

 これに関してもあわせて、当委員会への提出、大臣の意思を知る意味で大変大切な資料でございますので、提出をあわせて理事会で協議していただきたいというふうに思います。

北村委員長 承知しました。

大串(博)委員 それを述べた上で、二十一年七月一日、そして二十一年十二月十五日の百万円、そして二十四年の五月二十五日、二十四年十二月二十八日、これらについての、いま少し、若干の確認をさせていただきたいと思います。

 二十一年七月一日、二十一年十二月十五日、これに関しては、大臣の親族の方への人件費としての支出であるという説明が今までなされてまいりました。

 そして、二十四年五月二十五日、二十四年十二月二十八日に関しては、昨日までの参議院も含めた審議の中で、大臣の元政策秘書であり、かつ今は非常勤の私設秘書として、聡友会、大臣の資金管理団体を担当していただいている方、聡友会の事務を担当していただいている高橋さんという方への人件費支出だということが言われました。

 聡友会の収支報告書を見てみると、過去三年間でございますけれども、約三百万円から四百万円、訂正後は五百万円台になっておりますけれども、人件費支出がなされています。

 聡友会の事務員は高橋さんお一人ということが昨日までの衆参の答弁で明らかになっておりますが、この二十二年、二十三年、二十四年の収支報告書、聡友会に掲示されている人件費、三百万円台から四百万円台、そして訂正後は、二十四年に関しては五百万円台になっておりますけれども、これは高橋さんへの人件費支出であるということで、大臣、お間違いないですね。

江渡国務大臣 御指摘の件についてはそうでございます。

大串(博)委員 非常勤、週に二日ほど出られていたということでございますけれども、この三年間において、高橋氏への人件費、通常の人件費の支出はどのような態様でなされていたんでしょうか。例えば、月一回、給与振り込みの方法でやられていたとか、あるいは不定期にどなたかの手からぽんと渡されていたのか、どのような給与の支出の態様であったんでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 毎月、交通費等も込みで手渡しをさせていただいているところでございます。

大串(博)委員 それは、人件費として、これがあなたの人件費、給与ですよ、報酬ですよということで、毎月、大臣の手から渡されていた、こういうことですか。

江渡国務大臣 うちの別の秘書あるいは事務員等から渡していたというふうに私は思っております。

大串(博)委員 それでは、二十四年の五月二十五日、二十四年の十二月二十八日、この支出に関してでございますけれども、この支出に関しては高橋さんへの人件費支出だということでありますけれども、このときは、この二件に関しては、いま一度、昨日参議院でも議論はありましたが、どのような態様で大臣から高橋さんに渡されたのでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきます。

 御指摘の、二十四年に人件費の支払いを行った職員は、東京の事務所においての私の私設秘書でありまして、平成八年の初当選当時から私の秘書として働いていただいた方でございます。

 当該秘書はもう既に七十歳を過ぎておりまして、それゆえに、非常勤として週二回ほど勤務してもらっておりましたけれども、ちょうどこの平成二十四年当時、東京のみならず地元の事務所の業務も、実は事務所の方でも人が少なくなったということもありまして、そしてまた、この秘書は、平成八年当時から私のところにずっと長くいたものですから、地元の方の首長さんあるいは後援会の方々、さまざまな方々をよくわかっておられたものですから、その地元の事務所の業務をあわせて見てもらうことなど、特別に負担をかけるということから、私から、どうしてもよろしくお願いしたいという思いがあったものですから、その趣旨を含めて直接手渡しをいたしました。

 この支払いにつきましては、この私設秘書T氏も人件費と認識していることを確認しておりまして、また、確実に支払っておりますことを御理解いただきたいと思っております。

 なお、T氏は、当該収入につきましては税務申告もきちんと行っております。

大串(博)委員 もう少し具体的に聞かせていただきたいんですが、この二十四年五月二十五日、二十四年十二月二十八日の手渡しをされるときに、それは、誰か事務のみをつかさどる方が銀行から資金をおろしてこられて、それを江渡大臣に渡されて、そのときに江渡大臣が仮領収書として領収書を書かれて、それを別途のタイミングで江渡大臣から高橋さんに渡された、こういう経緯でしょうか。

江渡国務大臣 平成二十四年の百万円そして五十万円のこの二件につきましては、まず、当該秘書にお金を用意するように指示はいたしました。それを受けまして、事務所の者がお金をおろしてきまして、その後私に渡したわけでありますけれども、その際、高額だったということもありまして、受け取ったあかしといたしまして、事務所の者が用意した領収書に私がサインしたということでございます。

 その後、後日、このお金を私が、先ほども申し上げましたけれども、地元との行ったり来たりということもあるものですから、何とかよろしく頼むということもありまして、直接私が手渡した、そういう流れでございます。

大串(博)委員 この高橋さんは、聡友会、資金管理団体の会計責任者であり、かつ事務担当者でもありますね。ですので、大臣がお金をおろしてきてくれというふうに高橋さんに指示をされたというのはなるほどかなというふうに思います。

 一方で、会計責任者たる高橋さんに、この金を銀行からおろしてきてくれ、出してきてくれというふうに言われたときに、これはあなたへの人件費であると、あるいは、それ以外の何がしかの使途に関する説明をされた上でお金をおろしてくれというふうに言われたんでしょうか。それとも、何もなしに、単にお金をおろしてきてくれというふうに言われたんでしょうか。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 そのときは、何も私は話しておりませんでした。

大串(博)委員 いろいろな方のいろいろな事務所がありますので、判断を差し挟むことではありませんけれども、いずれにしても、今、何も言わずに、使途は言わずに、とにかくこれだけのお金をおろしてきてくれというふうに高橋会計責任者に言われたということでありました。

 一方で、後日、そのお金を高橋さんに渡されるときに、大臣からは、これは人件費なんだということは伝えられたのでしょうか。

江渡国務大臣 人件費ということよりも、私は、地元の方に行ったり来たりするものですから、そのことにあわせての報酬並びに宿泊費あるいは交通費、それらをまとめたという形で、よろしく頼むということでお渡しさせていただいたというところでございます。

大串(博)委員 二件に関してはそうですね。それに関しては、いま一つはっきりしません。人件費なんでしょうか、人件費じゃないんでしょうか。すなわち、政治資金収支報告書も含めたところに記入するにはそれなりの精度が必要です。これは人件費だったんでしょうか。

江渡国務大臣 私は人件費という認識でおりました。

大串(博)委員 高橋さんは人件費という認識で受け取られたのでしょうか。

江渡国務大臣 私は、そのような認識であったと思っております。

大串(博)委員 人件費という認識であったということであれば、政治資金収支報告書をつくる際に会計帳簿というものをつくっていく必要がございます。今、人件費ということでありましたけれども、その都度その都度、政治資金収支報告書には、それに至る会計帳簿をきちんとつくっていく、こういう義務があるんですね。ですから、何の支出であるかということは極めて大切なんですね。

 もう一度お尋ねします。

 高橋さんは人件費であるという認識を持っていたというふうに大臣は今認識されていますけれども、そのときのやりとり、あるいは言葉、どういったものであったがゆえに、高橋さんは人件費だと認識していると認識されているんでしょうか。具体的に、当時、大臣はどういうふうに高橋さんにおっしゃったんでしょうか。

江渡国務大臣 先ほどもお答えさせていただいたように、東京と地元との両方を見てもらうということで、これは特別に無理してお願いする件であるからこそ、だからこそ、私自身は、先ほど申したように、報酬とそして旅費、そして宿泊費、これらを丸めた形でということでよろしく頼むということで話したものですから、彼はそのように受け取ったというふうに私は認識しております。

大串(博)委員 人件費の中にいろいろなものを丸めて入れた、それで、地元、東京も含めてお願いしますねということだったということですね。

 一つ確認しますけれども、高橋さんは、二十四年以前は地元と、東京以外のことは、すなわち地元のことに関してはある意味触れられていなかった、すなわち、二十四年になって地元のことに関してもタッチしなければならない事情が発生して、地元のことも行われるようになったんでしょうか。

 かつ、地元のことを行われるようになったというのは、具体的にどの程度のことを二十四年において行われたんでしょうか。

江渡国務大臣 私の秘書も長らくしておりましたから、それは何度か行ったり来たりはしておりました。ただ、二十四年のときには、地元の方においても事務所の方で人が足りなくなった、そして地元の方でよくわかっている人をやはり出さなきゃいけないということがあったものですから、Tさんの方にお願いして、何とかよろしく頼むということで、このときは特別でしたけれども、数カ月間行ったり来たりしていたと私は認識しております。

大串(博)委員 先ほど言われましたように、もし、そういうことで人件費だということで大臣が意を含めて渡されて、先方もそういうふうに理解したということであれば、先ほど申しましたように、政治資金収支報告書をつくる段階で会計帳簿というものをつくる必要があります。その中にはいろいろな支出項目を明らかにして、帳簿を控えておく必要がございます。その中には、高橋さんは会計責任者ですから、かつ事務担当者ですから、人件費という認識があるのであれば、当然のことながら、元帳たる会計帳簿にはこの百万円と五十万円に関しては人件費としての計上がなされているものというふうに思います。

 これは通告しておるので調べていただいているというふうに思いますが、当時、この百万円及び五十万円に関しては会計帳簿に人件費という記載がなされているんでしょうか。

江渡国務大臣 先生が今御指摘のように、政治資金規正法上、会計帳簿を備えまして全ての支出について記載しなければならないことや、領収書等を徴収しなければならないことは承知しているところでございます。

 そこで、この平成二十四年分の会計帳簿について記載内容を確認したところ、平成二十四年に支出した人件費については、会計帳簿についても政治資金収支報告書同様、いずれも私に対する寄附と誤記されていました。これは、私名義の仮の領収書をもとに、同時期に会計帳簿と政治資金収支報告書を記載したため、同様の誤記が生じたというふうに思われております。

 今後、このようなミスが生じないように、収支が発生した段階で速やかに会計帳簿を作成するようにということで、私も指示させていただいたところでございます。

大串(博)委員 会計帳簿がどうなっていたか、政治資金収支報告書と同様のミスがそこにあったということでございますけれども、会計帳簿が具体的にどのようになっていたのか、これは大変重要な資料でございますので、委員長におかれて、ここに提出していただくように理事会で御協議をお願いしたいというふうに思います。

北村委員長 理事会において諮ります。

大串(博)委員 会計帳簿も間違っていたということでございます。

 しかし、なかなかちょっと腑に落ちないんですね。すなわち、会計責任者であり、会計責任者であり、かつ事務担当者でもある方が、大臣からこれは人件費ですよというふうに渡され、であるにもかかわらず、であるにもかかわらず会計帳簿には人件費とつけなかったというのは極めて不自然な感じがいたします。

 というのは、会計帳簿をつくる上においては、これは生半可なものではありません。きちんと収支をとどめ、公開が必要なものに関しては公開していくということがあるものですから、これらの支出に関しては、人件費も含めて、領収書を徴収しなければならないということが政治資金規正法第十一条に書かれています。これは人件費も含めてです。

 これは、誰がそういうふうなことをしなきゃならないということになっているかというと、「政治団体の会計責任者」云々と書かれているので、政治団体の会計責任者は領収書をつけなきゃならないんですね。

 大臣に一つお尋ねしますけれども、これは人件費よと言って高橋さんに渡されたときに、大臣は、領収書を出してねというふうに言われましたか。

江渡国務大臣 私は、その辺のところは言いません。それは日々事務所の中できちんとやっているというふうに思っておりました。

 また、先ほど委員の方から、確かに同一人物であるTさんだということですけれども、Tさんは週二回ほどの非常勤という形で来ておりまして、日々のいろいろな業務等々はほかの事務員等がやっているものですから、最終的に会計責任者が全部チェックすればいいだろうというふうには私は認識しているところでございます。

大串(博)委員 実は、そのくらいの認識で書かれている法律じゃないんですね。

 大臣、これは、領収書を徴求するということをしなかった場合には、同法の第二十四条で、「第十一条の規定に違反して領収書等を徴せず、若しくはこれを送付せず、又はこれに虚偽の記入をした者」に関しては、「三年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」という罰則もあるんです。

 かつ、領収書を徴求するべき人は誰かというと、政治団体の会計責任者のみならず、それと「意思を通じて当該政治団体のために支出をした者」。この場合、大臣が支出した人なんです。すなわち、大臣が、会計責任者と意思を通じて、お金をおろしてきてくれという指示をして、そして、この当該政治団体のために、その職員に人件費として、大臣が高橋さんに支出されているんですよ。大臣が、この法十一条による支出をした人なんです。この支出をした人は領収書を徴求しなければならないと、大臣自身の義務として、この法律上は書かれているんです。

 高橋さんにしてもしかり、会計責任者だから領収書をとらなきゃならない、あるいは自分で出さなきゃならない。大臣は、お金を払ったときに領収書を下さいねと言わなきゃならない。その両方の、罰則に係ることが行われていないということなんですよ。ですので不自然だなと。通常はあり得ない、不自然だなということなんです。今、苦笑いをされていますけれども。

 もう一つ聞きます。

 それぐらい不自然なこと、本当に人件費として払われていたんだろうかという、非常に不自然なことがあるものですから、その疑念を正していただきたい。どこかにお金が、個人的に、私経済に使われていないかということを、疑念を払拭していただきたいということでこの委員会の審議は成り立っています。大臣も、それができればそうしたいということを、きのうおっしゃっていました。

 これが本当に人件費として支払われたという証拠を、あるいは根拠をこの委員会に示していただきたいというふうに思います。大臣、いかがでしょうか。そして、委員長、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 私は、真摯に皆様方に御説明させていただきながら、この状況ということを説明させていただいたつもりでございます。

 そして、書類等、いろいろな領収書等も、このミスがわかった段階で、全てきちんとするようにということで、事務所の者に指示をいたしまして、その段階で二十四年分が出てきた。ですから、そのミスがあったものですから、訂正していただきたいということをお願いしました。

 その後、ほかにないのかということでるる調べていったところ、二十一年分も出てきた。ただ、二十一年分が、あくまでもコピーしかなかったでした、出したものの。

 ですから、そういう流れの中で、あるものを私は真摯に出させていただいたというつもりでございます。ですからこそ、あったものの、二十四年分のところの仮領収証があったものですから、それを提出させていただいたというところであります。

 また、これまで、私は、るる各委員会においても御説明をさせていただいたわけでありますけれども、もし仮に、御指摘のような、法令で禁じられているような行為を私自身が意図的に隠そうとするならば、この収支報告書にわざわざ寄附として記載するということは私は考えられないことであろうと思っております。あくまでも、本件は、人件費の支払いを寄附と誤認した事務的なミスであるということを、どうぞ、委員を初め、ここの委員会の皆様方も御理解いただければありがたい、そのように思っております。

大串(博)委員 私の質問に端的にお答えいただきたいと思います。

 人件費としてお支払いいただいたということを示す客観的な資料があったら出していただきたい、そういうことなんです。

 というのは、資料をお配りさせていただいておりますけれども、大臣への個人的な支出と思われるものが極めて、大臣個人にお金が流れる支出、過去の収支報告書を見ると大変多いんです。

 二ページ目を見ていただくと、二十一年、二十二年、二十三年、二十四年と書かれていますけれども、聡友会及び党の青森第二選挙区支部があります。寄附から人件費へというふうに訂正されたもの、そして、二十二年には、組織対策費として、一枚目にありますように、江渡大臣本人に百万円、百五十万円、百五十万円、計四百万円届けられているもの。政党支部からは寄附としてなされています。これは違法ではありません。しかし、個人へのこのような支出、これだけ続くというのは、これだけで計千五百五十万円、私は異例だと思います。

 ですから、そのうちの一部たる、人件費だったというふうに言われているものに関しては、ぜひ、その資料を示して、これは間違いないんだということを示していただきたい。それが非常に重い責任を負われている大臣の責務だと私は思うんです。

 例えば、納税申告をされたというふうに言われました。

 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律というのがありまして、第十二条で、「何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる。」という法律があります。

 これは何を意味するかというと、確定申告書を、納税申告されているということでありますから、高橋さんは出されていると思います。これは、行政機関が保有する個人情報として、行政機関、すなわち国税庁がとっております。本人が開示請求をすることができます。

 開示請求をしていただいて、ぜひ、本人のプライバシーに当たるところは全て黒塗りで結構でございます、名前も住所も費用項目も、そしていろいろな収入、これが全て書かれています、これは全部黒抜きで結構です。しかし、ただ一点、黒抜きせず出していただきたいのは、その上で確認させていただきたい。二十四年の高橋さんの確定申告書には、収入として、聡友会から、この収支報告書が正しければ、五百六十万八千二百五十四円、この収入がありますと書かれているはずなんです。

 この資料は、大臣、高橋さんは秘書でいらっしゃいますから、指示をいただいて、開示請求をしていただいて、三十日間の猶予はありますけれども、即座に、大臣が高橋さんに、この開示請求をしてくれ、それを黒抜きで、全て黒抜きで、ここだけ白抜きで出させていただくということは少なくとも可能なはずなんです。

 ぜひ大臣、これを当委員会に提出いただくよう、即座に開示請求を高橋さんを通じてお願いするよう、お願いしたいと思います。

江渡国務大臣 確かに可能かもしれませんけれども、プライバシーの問題等々いろいろなこともあるものですから、その辺のところは、よろしければ御理解いただければありがたいと思っております。特に、この件は個人的な件でもございますので、何とぞ御理解をいただきたい、そのように思っております。

大串(博)委員 何をおっしゃっているのか、私よくわかりません。

 今申し上げたように、個人にかかわることは全て黒抜きで結構ですと申し上げているんです。名前、住所、費用、その他の収入、全て黒抜きで結構です。

 ただ一点、当委員会で問題になっている、二十四年の収入の中で、聡友会から五百六十万八千二百五十四円、この収入があるということだけ白抜きしていただいた確定申告書の写し、これを、制度として現存する、個人情報に関する情報公開という制度がちゃんとあるわけなので。

 しかも、高橋さんは大臣の私設秘書です。当該聡友会の会計責任者です。そういう意味で、責任も負っています。

 先ほど、冒頭申し上げましたように、大臣は、自衛隊の皆様の大切な命、国民の皆様の大切な命を預かる極めて重い立場にある。このような問題で疑念を受けているような状況にあっては、私、いかぬと思うんです。一刻も早くこの状況を解消しなきゃならない、私も大臣と同じように思います。

 であるならば、今のような環境下で、条件で開示請求をしていただく。何らプライバシーに当たるところはないと思いますが、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 同じような回答になるかもしれませんけれども、やはり個人の事柄でもありますので、そこは控えさせていただきたいと思っております。

大串(博)委員 個人のことに当たるというのは、どの部分のことなんでしょうか。私が今お願いした条件の中で、個人のことに当たるからできない。個人のことに当たるというのはどの部分なんでしょうか。

江渡国務大臣 私は、全てのことが当たるのではないのかなというふうに考えております。

大串(博)委員 全てのことがどうして個人的なことに当たるということなんでしょうか。もう少し具体的におっしゃってください。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思いますけれども、政治資金規正法においても、人件費に係る支出につきましては、その明細というものをつまびらかにするということまで求められておりません。受け取る者のプライバシー等に配慮されておりますので、人件費を受け取った職員らの源泉徴収票は、税務申告の書類などについては提出を控えさせていただきたいと思います。

 そして、いずれにいたしましても、今までも何度も何度も答弁させていただきましたけれども、本件の人件費につきましては、今回も改めて本人に受領を確認しておりまして、確実に支払っているということを御理解いただきたいと思います。重ねてお願いしたいと思います。

大串(博)委員 大臣は、国の安全保障をつかさどる極めて重い責任を持っているんですよ。こういうことで疑念を抱かれているいとまはないはずなんです。それに対して、最善の努力を行って晴らすというのが大臣のとるべき態度だと私は思います。

 政治資金収支報告書に人件費と一括して書いてよいのは、個人の名前を出さなくていい、そのとおりです。だから、だから、確定申告書に関しても、名前も住所も全て黒抜きでいい、それ以外のことは全て黒抜きでいい、ただ一点、この五百六十万有余の人件費のことだけがわかるような形で出していただければいい。

 多分、恐らく、この議論を聞かれている方どなたもがそれぐらいはできるだろうと私は思われると思います。それをやらないというのは、何か、本当に今までの答弁が真実でないというところがあるのではないかという疑念を改めて呼びます。

 大臣、ここは大臣の責務として、これからこの委員会で法案審議もあります。防衛省の諸君の皆さんの人件費に関する法律もあります。調達に関する法律もある。大臣としての職務を果たしていくには、その前提条件としてこのような疑念を晴らしていただかないと、本当に、大臣所信を聞いた中で、この大臣で、それらの法案審議を受けとめていいものか、私たち野党としては自信がない、そうなります。

 ぜひ大臣、いま一度、この確定申告、情報開示していただきますようお願いします。

江渡国務大臣 重ねての答弁になって申しわけございませんけれども、政治資金規正法においても、人件費に係る支出については、その明細をつまびらかにすることまで求められておらず、受け取る者のプライバシー等に配慮されておりますので、人件費を受け取った職員らの源泉徴収票や税務申告の書類などにつきましては提出を差し控えさせていただきたいと思います。

 また、重ねてお願いしたいと思いますけれども、本件の人件費につきましては、今回改めて本人にも受領を確認しておりまして、確実に支払っているということを御理解いただきたいと思っております。

北村委員長 大串君。発言してください。どうぞ。質問を続けてください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしていただきます。

 それでは、大串君、質問を続けてください。残り時間がわずかですから簡潔にどうぞ。

大串(博)委員 委員長にお願いします、委員長にお願いします。

 プライベート、個人に関することは全部黒抜きでいいと言っているんです。ただ一点、聡友会、そして五百六十万八千二百五十四円、これだけが白抜きで書かれている確定申告書の情報開示請求の結果のものを出していただければいいと言っているんです。大臣がおっしゃっている、個人に当たることですからということは全て除外していただいていいと言っているんです。

 そのことに関して、理事会として議論をして、ぜひ出すという方向で見直していただきたい。委員長にお願いしたいと思います。

北村委員長 委員長としては今後整理をさせていただきますけれども、質問は続けていただき、先ほど来両筆頭理事等も御意見がございましたので、この委員会の終了の後、理事会を開催させていただき、その理事会においてただいまの大串委員の発言につきましても諮らせていただくというふうなことで、質問を続けていただきたい。要請をいたします。

大串(博)委員 委員長にお願いします。

 先ほど申しましたように、この委員会は法案も抱えています。私たちとしてもしっかり審議していきたい。そのためには、隊員の命、国民の命を預かる大臣たるのか、きちんとした説明責任を果たす意欲と責任感のある大臣なのかということをきちっとはからせていただきたいということなんです。

 それを、委員長として、法案を預かられる委員長として、ぜひ理事会において真摯に、私は先ほどから繰り返し申し上げていますけれども、全て黒抜きでいいと言っているんです。除く、聡友会、五百六十万八千二百五十四円。これだけが載っている書類があれば、誰でも、ああ、人件費だったんだなと思うんです。それが出せないとなれば、おかしいなとやはり思うんです。だから、真剣にお願いしますと申し上げているんです。

 後々の委員会審議も含めて視野に置いていただいて、委員長において、理事会、いま一度、真摯に取り組んでいただくというお言葉をいただきたいと思います。

北村委員長 理事会において後刻お諮りをするということで質疑を続けていただきたい。お願いをいたします。

 私は、大串委員の求めに答弁をする立場にはありません。そのことは念のため申し上げさせていただきます。

 どうぞ。

大串(博)委員 お願いを申し上げておるところでございます。

 なぜこのように繰り返し申し上げているかというと、ぜひこういう疑念は払拭していただきたいという私なりの真摯な思いなんです。

 先ほど繰り返し申しましたけれども、大臣の収支報告書を見ると、大臣個人への資金の流れは大変、異例に多いということ、組織対策費、大臣本人の政治団体から大臣本人への組織対策費も含めた資金の流れが極めて多い、このことについて、大臣自身、最低限の人件費、最高の責任感を果たしていただくよう心からお願い申し上げ、時間厳守で質疑を終わらせていただきたいと思います。

北村委員長 大串君の質疑は終了いたしました。

 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 ようやくこの安全保障委員会での質問に立たせていただくことができました。私も、初当選以来、主として社会保障、厚生労働委員会で仕事をしてまいりました。また、特別委員会では原子力問題調査特別委員会でやってまいりましたが、今般、安全保障の法制をこれからいよいよ本格的に議論していかねばならない、こうした立場から、この安全保障委員会の維新の党の理事としてここに立たせていただいているわけでございます。

 私も、この安全保障委員会、そういう意味ではきょうがデビュー戦でございますが、江渡大臣におかれましても、大臣に御就任になられて、今回が初、先週から所信をいただいたわけでございます。そういった意味では、こういう形に審議が展開をしていることについては、極めて遺憾であり、残念な気持ちであります。

 この委員会、まさに安全保障、防衛を取り扱うわけでございますが、御嶽山の災害については、心からお悔やみを申し上げるとともに、お見舞いを申し上げたいと思います。

 実は、私の父母が新婚時代に御嶽山のそばで仕事をしておりまして、まさに私たちにとってはふるさとにも等しい地域でございまして、今、警察、消防、そして自衛隊の皆様が、きょうまで本当に懸命に御努力をいただいてきたことに心から感謝を申し上げたいと存じます。また、まだ行方がわからない方々につきましては、本当に御家族の方々に対して、一刻も早く発見されることを願っております。

 さて、きょう、今大串委員の方から質問がありました。私も大変残念な思いでございます。今般、この委員会が始まってから、委員の皆様、小野寺筆頭を初め皆様には大変感謝もしております。私たちがいろいろな思いを持って議論をさせていただいているのに対して、委員の方々は誠実に対応していただいていると思っています。小野寺筆頭、そして公明党の佐藤理事、武田理事におかれましても、何度も私のところにお見えになって、円滑な審議に御努力をいただいているかと思いますが、私は、やはり江渡大臣の御答弁、これは大串委員が申し上げたように、全く不十分だと思っています。

 まず、先ほどの審議の関連だけ先に、前倒しでさせていただきますが、大臣、これは大串委員が何度も申し上げたこの人件費、大臣はプライバシー、プライバシーとおっしゃいますが、大臣の事務所は勤務表はつくっていらっしゃらないんですか。

江渡国務大臣 私の事務所はつくっておりません。ほかの事務所の皆さん方がきちんとつくっているかどうかわかりませんけれども、私のところはつくっておりません。

足立委員 私は、大臣、今回大変残念なのは、冒頭申し上げたように、本来この安全保障委員会で議論をするべきことができていない。できればきょうこの時間で、できればこの一時間で、私はきょう一時間いただいています、この一時間で、全ての問題を払拭していただいて、本当の政策の議論をしたいと思っていますが、なかなか大臣からその御答弁がいただけない。

 もう一つは、私は、先輩方、恐縮ですけれども、まだ当選二年でありまして、見るもの聞くもの全て不可思議な世界であります。なぜ政治資金規正法はこうなっているのか、なぜ公職選挙法はこうなっているのか、全く理解に苦しんでおります。

 今、パネルをちょっと、委員の方々は紙でお配りをしていますので、ぜひごらんをいただきたいと思いますが、何度も、大串委員もそうでしたが、衆参の委員会で、参議院の委員会でも我が党からも御質問申し上げているこの人件費の問題。この紙が、このパネルが、私から見た概要でございます。これは小野寺筆頭からも、わかりやすい、こういうコメントをいただきましたので。

 これは、ぜひ国民の皆様もよくごらんいただきたいんです。赤いところ、今議論になっているのは、この赤い部分ですね。平成二十一年の分と、加えて、平成二十四年に百五十万円の寄附が行われていると記載をされていた。これについては、違法状態であったので、大臣御就任に前後して、これは人件費なんだということを訂正されたわけであります。

 私は、改めてこの人件費の問題、大臣にはしっかりと誠実にお答えをいただきたい。プライバシー、プライバシーとおっしゃるが、私は大串委員が言っているとおりだと思いますよ。プライバシーに係ることは全て黒塗りをして出していただいたらいいんです。出すことができる文書は山のようにあるはずです。

 大臣は今、勤務表をつけていないとおっしゃったけれども、ちょっと、私、新米で、やはり国会議員の事務所というのは勤務表は要らないんでしょうか。大臣の個人的御見解で結構です。

江渡国務大臣 少人数でやっているところですから、一々、出勤簿云々なくても、出ている、出ていないというのは皆さんがわかると思っておりますけれども。

足立委員 これも恐らく国民の皆様が聞かれたらびっくりすると思いますよ。

 皆さん、源泉徴収義務を負っているわけでありまして、税務処理をするに当たって、なぜ従業員の、スタッフの勤務状況を記録に残さないで、税金を払うことができるんですか。ちょっと大臣、個人的見識で結構です。

江渡国務大臣 日々、私の政治活動のために汗を流してくれているのがスタッフでありますから、その対価として給料を払う、あるいは報酬を払うというのは私は当たり前のことだろうと思っております。

足立委員 全くわからないですね。これは本当に、ぜひ先生方、またゆっくり教えてください。

 私は、二年前の総選挙で当選をさせていただいて、人を雇っている、雇用している事務所は社会保険等にも入るのは当然であるが、加えて、源泉徴収義務を負っているわけですから、そのための労務管理をしっかりやる、これはもう人を雇う、雇用している事務所として私は当たり前のことだと思っていましたが、まず、勤務表はないということであります。

 では、源泉徴収事務は行っていないんですか。

江渡国務大臣 ちゃんと行っておりますけれども、実は、二十四年の高橋、高橋と言ってはだめですね、Tさんの方は、あくまでも週二回の非常勤だということで、とっておりません。それから、二十一年のときは私の身内でありまして、そして、あくまでも最初はボランティア的で来てもらったということだったものですから、この二人はとっておりませんけれども、あとの東京のスタッフ、そして地元のスタッフはちゃんととっております。

足立委員 高橋さんなる方は私は存じ上げませんが、大臣とはただならぬ関係のように思われます。普通のスタッフであれば、しっかりと勤務を管理して、雇用管理をして、いわゆる一般の事務所に求められている労務管理については、政治家の事務所は、一般の事務所と並んで、当然のこととしてそういう事務は行うと私は思っておりましたので、山のように人件費に係る書類はあって、プライバシーに関することについて黒塗りすれば、幾らでも、大臣がこの、きょうあったような疑念を晴らすことは何ら問題ない。

 私は理事会でも申し上げました、五分でできるはずだと。こう申し上げましたが、なかなか膠着をしていますので、引き続き、私も委員長に対して、この人件費に係る物証、これを改めて提出いただくよう、お願いをしたいと思います。理事会にお願いします。

北村委員長 後刻、理事会において諮ります。

足立委員 さて、私、このパネル、これまでのいろいろな、マスコミもそうですが、この委員会での議論もそうです。皆さん、この赤いところばかり気にされておられますが、黄色い部分、わかりますかね。要は、寄附ではいけない、寄附ではいけないわけですね。一連の政治改革の法律改正の中で、これは禁止をされてきたわけでございます。罰則がございます。

 一方で、組織対策費と銘打てば、このパネルにあるように、江渡大臣個人に受領いただくことができる。また、さらに、左の方を見ていただければ、政党支部は、これは、言えば穴があいているわけでありまして、政党支部から個人に寄附をすることができる。資金管理団体からは寄附できないが、政党支部からはできるんですね。

 大臣、御専門じゃないと思いますが、これは何でだと思いますか。

江渡国務大臣 何でなんだかと聞かれても、私は法律家でも何でもないものですから、そこはよくわかっておりません。

足立委員 いや、これは皆さんが、大臣は現職でいらっしゃったんじゃないですかね。これは政治が、国会がつくったんですね。では、総務省に聞いたら答えは出ますか。これは皆さんが、いや、私は知りませんよ、私は一般人でしたから。大臣は法律を一緒につくったんじゃないんですか。

 この法律をつくった趣旨は、政治資金規正法が政党から議員個人への寄附を認めたのは何でですか。もう個人的見識で結構です。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 それは、あくまでもしっかりとした政党活動をしろという意味合いでそのような形になったのではないのかなというふうに思っております。

足立委員 まさにそうですね。政党というのは、これはまさに民主主義の根幹であり、この政党が行うことについては大丈夫だということで穴があいているんですよ。

 ところが、大臣、この表を見ていただいてもわかるように、この矢印、黒い矢印も、赤い矢印、青い矢印ですね、訂正をされたので。これは人件費かもしれませんが、いずれも、形は、江渡大臣が代表を務める政治団体から江渡大臣個人にお金が行っている、全く形式的には一緒です。なぜ、これは法律で禁止されているのに、百五十万円の二十四年の資金管理団体からのものは罰則つきで禁止をされているのに、大臣、これ、やっていいんですか。もちろん、法律上違法ではない。これはいいですよ。しかし、大臣、違法でなければ何をやってもいいと私は思っていません。

 では、ちょっと聞いていいですか。危険ドラッグはいいんですか、大臣。

江渡国務大臣 それは決していいことではないと思っております。

足立委員 これは、皆さん、委員の方々もよく考えていただきたいんですよ。法律を満たしていればいいということじゃないという象徴ですよね。そうですよね。

 要は、薬事法でうまく取り締まれないから、危険ドラッグは危険ドラッグとして大変な被害を国民に与えているんですよ。だから今、野党は、我が党も、井坂議員を筆頭に、危険ドラッグについては速やかに規制をしなければならないということで、野党で議員立法を提出したところであります。

 私は、政治資金規正法も大変勉強しましたが、難しい。これを禁止するということは、さまざまな憲法上の問題もあって、なかなかこれを完全に、要すれば、企業・団体献金はだめだ、個人の献金しかだめだと、ある、そういうふうに主張されている政党もあるようですが、やはり民主主義を支える仕組みとしてこれは要るんだということで、大臣、ぎりぎりの判断としてこれはいいということになっているんですよ。

 こういうことをやっていらっしゃる方は、多分、余り多くはないと思います。これは何に使われたんですか。

江渡国務大臣 先ほどから委員の方にも私がお答えさせていただいているわけでありますけれども、政党活動としてしっかりと使わせていただいているわけであります。また、そのための、私は、そういう形のお金だろうというふうにも思っております。ですからこそ、政党活動としてきちんと使わせていただく。また、そのことが、私は今自由民主党の議員でありますけれども、自由民主党の政党活動につながるものだと私は考えているところであります。

足立委員 これ、毎年数百万ですよ。もうびっくりしますね。

 我々新人議員は、自分が代表を務める政治団体に対して自分の給料から、自分の給料を全部注いで、私、これはユニクロですよ。どうでもいいことかもしれませんが。スーツも、アオキかコナカか忘れましたけれども。

 皆さん、政治家というのはこの制度に甘えちゃいけないんですよ。今申し上げたように、政治資金規正法の目的は、政治資金を国民の、衆目の前に出すことが目的なんですよ。それによって、民主主義の、政治の公正を確保することが目的なんですよ。

 ところが、これから安全保障法制を議論しようかという大臣が、人件費の問題で、大変、きょうの大串委員の質疑もそうでしたが、時間がたつごとに、日がたつごとに大臣の疑いは深まる一方です。深まる一方です、何も晴れていません。

 また、加えて申し上げれば、私は、大臣が説明すべきことは、人件費に関する資料だけではなくて、このパネルにある、この資料にあるお金全て、一体これは何に使っているんだ、なぜ政党支部で処理できないんだ、なぜ聡友会、資金管理団体で処理できない。

 大臣、私は新人なんです、ぜひ御指導ください。両政治団体でも処理できない政党活動というのはどういう活動ですか。私もぜひやりたいので教えてください。

江渡国務大臣 そのところは、委員がしっかりとお勉強されればよろしいのではないでしょうか。

足立委員 私は、個人的見解ですけれども、こういうものは全て、全て表に出したらいいと思っています。

 そうした中で、橋下代表とも相談をして、我が党の議員は、個人に入ってきたお金は全て領収書を全部出す、この十月からやるということで決定をして、今、維新の党のホームページに公開をいたしました。我々がやっているのは、議員個人に入ってきた公的なお金は全て国民の皆様に見ていただくという趣旨です。

 大臣がやっているのは真逆なんですね。政治団体に入ったお金を、政治団体はさまざまな規制があるので、個人に寄附をしているんです。政党からじゃないですよ、政党本部からじゃないですよ、政党支部から自分のポケットに入れているんですよ。何に使っているんですか。

江渡国務大臣 委員が何をお聞きになりたいのか私もしっかりわからないんですけれども、政党支部からのものは政党活動にしっかりと使わせていただいております。

 それと、私から御指摘するのはいかがなものかなと思っておりますけれども、その第二選挙区支部、政党支部に入っている献金と税金とありますけれども、税金の部分は、確かに入っている部分もあります。ただ、我が党は、あくまでも選挙の公認料のときだけは入っておりまして、それで、政党支部から政党交付金として出せますけれども、それ以外は自由民主党は一切できないというふうな形になっております。自由民主党の政党助成金指導要領で、公認会計士がどの議員たちも全部チェックしておりますものですから、ですから、その税金という部分は、できれば三角ぐらいにしていただければありがたいなと思っております。

足立委員 大臣、もうさすがに、私も一年生ですが、それぐらいはわかっていまして、使途等報告書もチェックの上でございますので、大臣が御指摘された点は理解をしますが、一方で、お金に色はないわけです。いわゆる政治資金収支報告書と使途等報告書をそれこそうまく書き分ければ、そこの仕分けはできるわけであります。

 むしろ、今大事なのは、政党支部という公器を使って、なぜわざわざ議員個人のポケットに入れる必要があるのか。それは何に使っているのかというのは本来国民の前に示すべきであり、大臣がおっしゃるように、政治資金規正法はそこまで求めていない。求めていないんだけれども、大臣はもう疑われているんです、疑念を招いたんです。

 これから安全保障法制、防衛政策、議論をしていくに当たって、大臣がこの疑いを晴らさないと、なかなかこれは審議入りもままならない。こういう観点から、我々は政策論議をしたいから言っているんですよ。一刻も早く政策論議をしたいから、早く、この時間、私の時間は三十八分まで、あと三十分弱でぜひこれは片づけましょう、大臣。

 もう一つ、大臣に対して、これも確認をしておきたいだけですから、気楽に聞いていただいたら結構です。

 大臣、これは、政党支部にさまざまな、今おっしゃった国民の税金もそうですし、また、さまざまな企業・団体献金を含めて入っております。加えて、どうもよくわからない部分が私にはありまして、政経福祉懇話会から毎年三百万円が寄附をされております。これはどういう団体ですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 この政経福祉懇話会の会員の方々には私の支持者の方々も多いというふうには私自身承知しておりますけれども、同会は、青森県の上十三地域の政治、経済、福祉等について勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体であるというふうに私は承知しておりまして、そういうところでございます。

足立委員 事務所はどこに置いてありますか。

江渡国務大臣 事務所は、私の方の事務所を貸してくれということで、しかも、この政経福祉懇話会の方々の中で私を大変支持している方がいまして、その方がこの団体の役員をやっているということで、何とか仮で置かせてくれということだったものですから、私は受けたということだけであります。

足立委員 では、この政経福祉懇話会の事務は誰がやっているんですか。

江渡国務大臣 事務は誰がやっているかは私はわかりませんけれども、その懇話会の方々がやっているのではないでしょうか。

足立委員 大臣の事務所ですよね、大臣の事務所にこの懇話会の事務所もあると。

 私はこの紙に書きましたが、政治資金の報告書を見ると、政経福祉懇話会という団体が毎年三百万円、江渡大臣の政党支部にお金を入れています。ところが、これは紙に書かせていただいていますが、政治団体の届け出がなされておりません。また、今大臣からも御答弁があったように、これは政党支部と同一住所。私は、同一住所なんだけれども隣かなとかいって、ずっと地図を見ていたんですけれども、どうもその様子がないので今伺ったら、いや、事務所を貸していると。同一の事務所ですね。事務員もいない、恐らくいない。いたら言ってください。恐らく賃料も払っていない。違っていたらおっしゃってくださいよ。恐らく事務は大臣の事務所がやっているんですよ。

江渡国務大臣 先ほどもお話ししたように、政経福祉懇話会の役員の方が私を大変応援してくれている方でありまして、その方が、設置場所の住所として私のところの事務所の住所を貸してくれということだったものですから、私はいいですよということだけだったんです。ですから、そういう流れできたということで、何も先生が言っているような、思いのような形というのは私は一切ございません。

 また、この政経福祉懇話会の規約にも明記されてありますけれども、あくまでも、青森県の上十三地域の政治、経済、福祉等について勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体でありまして、政治資金規正法が規定するような政治団体ではないというふうに私は承知しているところでございます。

 また、この政経福祉懇話会は、さまざまな勉強会とか懇話会とか、いろいろなことを開催しているところでございます。

足立委員 きょうは、法務、警察からも政府参考人にお越しをいただいています。

 これは簡潔で結構なんですけれども、要すれば、献金の主体を偽装したことに問題があったと私は理解しています。形の上からは、そうした違法な行為が行われている可能性は否定できないと私は見ていますが、法務省、これはちょっと見解があったら教えてください。

上冨政府参考人 個別の事案におきまして、犯罪が成立するかどうかといった点につきましては、収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、その点についてのお答えは差し控えさせていただきます。

足立委員 問題は、大臣、私も大臣のことを信じています。いや、そんなことないと思いますよ。ないと思うが、これでは疑念を抱きますよ、皆さん。どうなっているの、この先はと。

 大臣は、さまざまな支援者の方から企業献金も受けていらっしゃいます。この政経福祉懇話会のメンバーと、政治献金を別途いただいている会社さん、これは重なっていますよね。それを足したときに、もし、いわゆる政治資金規正法上の制限金額を超えていたらどうするんですか。その疑いは、大臣、払拭できますか。

江渡国務大臣 申しわけございません。そこは把握しておりませんのでお答えのしようがないと思いますけれども。また、私自身が受けているトータルの枠を見ていただければ、そのようなことがないというふうに御理解できるのではないでしょうか。

足立委員 政治資金規正法は、金額の制限だけじゃないですよね。浄財をいただくその方々については、例えば赤字企業はだめだとか、さまざまな規制があるわけです。

 こんなことをしたら、この政経福祉懇話会は、先ほど大臣がおっしゃったように、大臣の支持者の方の集まりですよね。恐らくこの三百万円は、皆様が浄財をつぎ込まれているんだと思います。なぜ、それを表に出して、名前を出さないんですか。なぜ、この懇話会でまとめて、その名前を消すんですか。なぜ、そういうふうに疑いを持たれるようなことをするんですか。

江渡国務大臣 おっしゃりたい意味が私はわかりません。何も、消したいとか消さないとか、そういうことは一切ないと思っておりますけれども。

足立委員 では、この政経福祉懇話会の背景にある会社さんの名前と金額、これを公にできますか。

江渡国務大臣 私と関係のない団体なものですから、確かに、そこに入っている会員の方々は、私を支持している方々はかなりの数はおりますけれども、でも、直接私と関係ないところなものですから、それを公にしてくれと言ったとしても、私にはできかねます。

足立委員 懇話会の事務所は江渡大臣の政党支部に置いてあるんですよ。関係ないんですか。

江渡国務大臣 先ほどもお答えさせていただいたわけでありますけれども、この政経福祉懇話会の所在地が政党支部や私の後援会と同じであるということは承知しておりますけれども、これは、先ほども言ったように、この会の役員の方、私の知り合いであるわけでありますけれども、その方から頼まれたものですから、便宜的に連絡先になったというふうに私は考えております。

足立委員 大臣、ぜひ御理解いただきたいんですが、私は、政治資金規正法に違反しているかどうかよりも、大臣とまじめに政策の議論を早くしたいから、疑いを全部晴らしましょうと言っているんです。だから、この件についても、ぜひ大臣の方から疑いを払拭していただけるような対応を今後していただけることを希望して、次の話題に、テーマに移りたいと思います。

 さて、今般、防衛省の陣容を拝見しますと、会議はもう大阪でやった方がいいんじゃないかというぐらい、大阪の先輩方が名を連ねられております。左藤副大臣も地元の大先輩でありますし、原田政務官も同じ選挙区で、同じ地域で仕事をさせていただいている関係でございます。

 そういった意味では、きょう、左藤副大臣の政治活動について若干取り上げさせていただきますが、これも、左藤先輩、疑いを払拭するということですので、ぜひ簡潔明瞭に御答弁をいただきたいと思います。

 まず、これは何でしょうか。

左藤副大臣 うちわでございます。

足立委員 松島大臣もぜひ今のように明瞭にお答えをいただいたら話が早いわけでありますが、これはうちわでございます。

 松島大臣はここに政策を書かれていますが、これは政策はないんですね。これ、三一〇というのはどういう意味でしょうか。

左藤副大臣 左藤でございます。

足立委員 きょうは余り受けをとる場ではないんですが、非常に私も印象に残る、名前を覚えていただきやすいものだと思うんです。

 これは、いつごろから、毎年何枚作成をされておられますか。

左藤副大臣 このうちわは、私が当選してからずっと、実はビアパーティーなんかをやっているんですが、これは、つくったのは平成十九年からでございます。大体毎年千枚ぐらいでございます。

足立委員 一千枚、どなたにお配りになっていますか。

左藤副大臣 先ほど申し上げましたように、実は、八月の上旬、毎年ですが、私のビアパーティーをやります。そのとき、暑いものですから、うちわを受付のところに置いてあります。そして、それを皆さんが、持って帰る人もいれば、置いていく人もいれば、全然使わない人もいます。これは千差万別であります。そういうことで、うちわをそういうところに置いております。

足立委員 すると、基本的には、例えばビアパーティーを開かれて、会費を集める。会費に対する対価として、例えば飲食を提供したり、あるいはうちわを提供したりした、こういうことでございますね。

左藤副大臣 当然、ビアパーティーでございますので、会費を取っています。その会費の中で全部賄っておる。このうちわも印刷費としてその中に入っております。

足立委員 私も、これを拝見したときに、うんと一瞬思いましたが、すぐに、左藤副大臣、ビールを飲んでいらっしゃるんですね。だからこれはビアパーティーだなということで私もわかりましたが、これも、疑いを払拭するという意味で、失礼ながらきょうはこちらにお持ちをしましたが、今のように明確に御答弁をいただければ、私、一年生でございますが、違法ではないということはすぐにわかりました。ありがとうございます。

 一方、左藤副大臣、私も初めての選挙で印象深いわけですが、二年前の年末にパーティーを開かれています。左藤副大臣、私たちの選挙、公示日は覚えていらっしゃいますか。

左藤副大臣 十二月四日だと思います。

足立委員 このパーティーはいつ開かれましたか。

左藤副大臣 十二月の三日でございます。

足立委員 私たちはよくパーティーを、私は実はやったことはありません、私はやったことはありませんが、これは左藤先生を再び国会に送る会ということで開かれています。

 ここに御来賓と打っていますね。どれぐらいの人数の方に御来賓として御招待をしたんでしょうか。

左藤副大臣 約六百ぐらいだと思います。ただ、招待はしておりません。来賓として来てくださいというお願いをしております。

足立委員 すると、この御来賓は全て二万円のパーティー券をお買いいただいた、こういうことでいいですか。

左藤副大臣 当然、その案内には振り込み用紙もございます、ちゃんと入れています。そして、当日、受付の場所で、来賓も全部ですよ、会費を納めていない方はここで支払っていただくか、後日振り込んでいただきたいとちゃんと紙に書いて、全部、受付に張ってあります。

足立委員 左藤先生、私はパーティーをやったことがないのでわかりませんが、いろいろ先輩議員に聞きますと、私も参加したことはあります、そのときに、我々も招待をいただくこともありますが、それは御祝儀としてお持ちすることもあれば、払わない、払わないというか、要は返していただくこともある。さまざまにございます。

 これは、この二万円の文字の上に御来賓と打っている意味はどういう意味ですか。

左藤副大臣 これは消してはいません。ですから、振り込み用紙も全部一緒に入れていますので、上にただ女の子が押しただけだと思います。

足立委員 すると、たまたま二万円という文字の上に打っちゃったということですか。

左藤副大臣 はい。そうだと思います。

足立委員 そうだと思います。

 こういう形で、いわゆる自治会の方々に、公示日前日に飲食を提供して、これは二万円、御招待、これは封筒にも御招待ですね。いいですか。(発言する者あり)御来賓ね。

 これはまた別の方です、別の連合町会長さんのもの。これはちょうど、私たちが入手したものは全て、連合町会長さんに宛てられた、御来賓宛てのものは全て、二万円の上に、二万円の文字の上に御来賓と打っています。これは御招待という意味ではないんですか。

左藤副大臣 招待ということには私のところはしていません、正直。来賓として御参加をしていただきたい。そして、受付にちゃんと、会費を振り込んでいない方はこの場でいただきます、または後日振り込んでくださいと明記を、来賓の受付にもちゃんと明示をしております。

足立委員 では、左藤副大臣、今、委員の方々からも御発言がありましたけれども、明らかに、二万円の上に御来賓と打てば、少なくとも私の常識では、これは御招待に見えます。ただ、副大臣は、これは、いやいや、来賓として来てもらったんだからお金は払ってもらったよ、こういうことですが、これは御来賓に何か挨拶等いただいたんですか。

左藤副大臣 ほとんどの連合会長というのは、うちの役員さんも兼務しています。しかし、やはり役員さんも来てもらう。ただし、役員であろうが何だろうが、二万円の対価はいただきます。そういうことでやっております。

足立委員 では、選挙直前、公示日の前日のこのパーティー、参加者の総数と収支、これを明らかにしていただけますか。

左藤副大臣 それは、選挙管理委員会に報告をさせていただいております。八条二項ですかに基づいて報告をさせていただいております。

足立委員 先ほど、参加されたのは六百名だ、こうおっしゃいましたが……(発言する者あり)来賓が六百名ね。参加者数総数は幾つですか。

左藤副大臣 約九百名です。

足立委員 すごいですね。九百名のパーティーで、六百名に来賓を打って、それも、二万円という文字、いいですか、二万円という文字の上に御来賓と打って御案内をしているわけであります。これは大変議論があると思いますので、私の方でまた改めて、今、左藤副大臣がおっしゃったように、資料もきょうは時間がなかったのでまだ見ておりませんが、確認をさせていただいて、払拭をしていきたいと思います。

 御発言、どうぞ。

左藤副大臣 ちょっと勘違いをしていただきたくないんですが、連合町会が六百人もいるわけじゃありません。何枚か各団体にお願いに行きます。そのときに、受付を、来賓のところに来てもらわないと大きな赤のバラを張れないので、それで全部来賓ということにしています。その中に、三枚、五枚買っていただく人も来賓として、要するに、受付のために、この場所へ来てくださいよということで、来賓という判こをあちこち押して出しているわけであります。

 ですから、六百名イコール地域の人に六百枚配ったのではありません。

足立委員 最後にしますが、副大臣、これは要すれば、御来賓ということで花をつけたいということでやられているということです。

 すると、御来賓と打ってあるが、二万円という文字の上に、すべからく二万円という文字の上に、少なくとも私が拝見した中ではすべからく二万円という文字の上に赤い御来賓という判こを押してあるが、一つ残らず対価はいただいた、こういうことでいいですね。

左藤副大臣 受付でそういうぐあいに指示をしておりますし、そういう現場、現実を、やっているのを見ております。

足立委員 もう時間がなくなってきましたので、もう一つちょっと確認をさせていただきます。

 副大臣、これは何のはがきですか。

左藤副大臣 事務所移転のはがきでございます。

足立委員 これは集会をされるということですが、日付はいつですか。

左藤副大臣 十二月四日八時半になっています。

足立委員 これは十二月四日の八時半。私も、地元の茨木神社というところで出陣の段取りをしておりましたが、これは公示日ですね。公示日のいわゆる出陣式はどこで何時にやったんですか。

左藤副大臣 これは、御存じのとおり、九時から受け付けをします。七つ道具が戻ってくるのは九時半ごろです。ですから、この場所じゃなくて、阿倍野斎場のところまで行って、そこで出陣式をやりました。

足立委員 すると、大臣、これは選挙活動ですか、政治活動ですか。

左藤副大臣 これは後援会活動であります。

足立委員 いや、もう驚きましたね。こんなことが、繰り返しになりますが、本当に不勉強で、この世界、こういうことがいいんだなと。十二月四日の衆院選の公示日の朝、出陣式をやる直前のその朝に、左藤副大臣は御地元で選挙とは関係のない集会を行われた。

 総務省、これはいわゆる公選法上問題はないんですか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 集会の当否につきましては、公職選挙法とのかかわりは特段ないと存じますけれども、この文書自体が、一般論として申し上げますと、いわゆる公職選挙法の事前運動の禁止等に当たるのかどうかという論点が一般的にはございます。

 ただ、その場合の選挙運動といいますのは、最高裁判例等で考え方が確立いたしておりまして、特定の選挙につきという選挙の要件、それから、特定の立候補者または立候補予定者に当選を得さしめ、また投票を得もしくは得させる目的をもってという目的のこと、それから、直接または間接に必要かつ有利な周旋、勧誘その他諸般の行為をすることをいう、このように解されておりまして、いわゆる選挙運動性の三要件と言われるものでございます。

 このような要素に該当するかどうかにより、個々個別の事案に即して判断されるべきものと考えております。

足立委員 このはがきについて見解を求めても、個別事案には答えられないということでしょうからもう聞きませんが、これは、公示日当日に向けてこのはがきが選挙区内にばらまかれているわけですね。左藤章副大臣の御名前も大きく大きく打ってあります。いいですか。もちろん、投票してくださいとは書きませんが。でも、私は、これは投票してくださいという意図があるようにしか見えません。見えませんが、これは、いわゆる文書図画の頒布、公選法の百四十二条、これに該当をするおそれはある、こう思っています。

 総務省、おそれは否定しないですね。

稲山政府参考人 総務省といたしまして、個別の事案につきまして具体的な調査権を持っているわけでもございません。お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

 選挙運動性の認定に当たりましては、先ほど申し上げたような最高裁の判例により確立した考え方がございますので、それぞれ、その要件に当たるかどうかにより、個別に判断されるべきものと考えております。

足立委員 今回、この国会で、この安全保障委員会を皮切りに、法務委員会、経済産業委員会等でも、政治と金の問題、これが大きくクローズアップをされてしまいました。私は大変残念であります。

 ただ、一方で、まあ仕方ないかなと思うのも、大体、我々野党ですが、いざ、では大臣に、また副大臣に、きょうは岸田外務大臣もお座りいただいており、まことにきょうは恐縮でございますが、本当はこの臨時国会で、日米ガイドライン、あるいは安全保障法制、この骨格も出てきていない中で何を議論すべきか。例えば、この間、いろいろなテレビでいろいろな討論がなされておりますが、政府・与党からは、まだ決まっていない、まだ決まっていない。決まっていない段階で何が議論できるのかと思っていたら、それでも我々は、国民の皆様の負託に応えるために、しっかりとその細かい文面を読んで、何としてもこれは政府・与党をただしていかねばならない、こうした思いでここに立っているんです。

 ところが、繰り返しになりますが、防衛政策、安全保障政策のツートップが、きょうるる申し上げたような疑いを払拭できておりません。

 例えば、今、左藤副大臣の、この事務所開設の御案内。繰り返し申し上げますよ、皆さん。これは、公示日当日に向けて、名前を書いたはがきを選挙区内にばらまいているんですよ。普通に考えれば、これは事前運動に該当するおそれが極めて高い、こう思います。

 また、その公示日の前日に開いたパーティーにおいても、多数の地域の地元の町会長さん、連合町会長さんたちに、御来賓として、二万円の文字の上に御来賓という赤い判こを押して、大量にこれを御案内している。

 副大臣、全くこれは国民に疑念を抱かせない、こう確信していますか。

左藤副大臣 そのはがきなんですけれども、これは実は、投函したのは解散の翌日です。つまり、それまでに、まさか解散するかどうか、正直言って、私は浪人中ですから、わかりません。だけれども、事務所をここに開きますよ、新しい事務所を開きますよと、十七日の日に、つまり、十六日がたしか解散だったと思うんですが、その日にもう投函しています。つまり、そういうことと関係なくそれをやっていたということ、たまたまその日がこうなったというだけの話なんです。

 それで、この問題ですけれども、先ほど百四十二条に、解散の挨拶でもありませんので、これは問題はないと私は思っております。

 それから、これは総選挙に向けた、選挙運動に係る期日もございません、見てのとおりでございます。ですから、私は、これは問題がない、合法のものだと思っております。

足立委員 まさに、今おっしゃって、私は驚きましたが、もっと前からかなと思ったけれども、要すれば、印刷をしていた。印刷をして、解散が行われると同時にこれをまいた、こういうことですね。これは明らかに、さあ解散だ、さあ選挙だと。

 さあ選挙だと、私の事務所だったら、左藤先生、先輩に申しわけないですけれども、私が左藤先生の立場だったら、これは印刷をしていても、お金がかかっていたとしても、事前運動の疑いを招きかねないから、もう廃棄しろ、送らないと。

 事務所開設であれば、後援会、特に左藤先生なんて巨大な後援会をお持ちなんですから、後援会組織を通じて連絡すればいいんですよ。これを、わざわざ解散がなされた翌日に、御名前を書いたはがきをばらまいた。

 選挙の期日は書いていないと言うけれども、これを受け取った方は、さあこれから選挙だと。選挙の期日はニュースでばんばんやっています。明らかに、事前運動の構成要件を満たす可能性、少なくともおそれは高い。

 左藤副大臣は本当にそう思いませんかと言っているんですよ。

左藤副大臣 失礼なんですけれども、この件は大阪府の選管に相談しました。大丈夫だということです。

 以上です。

足立委員 選管に相談をしました、大丈夫ですと。

 では、左藤副大臣、ほかのいろいろな方々にもこれは推奨、推奨というか、これをやっていいということですね。大阪府の選管に確認をされたということは、大阪府下、私も大阪です、大阪の選挙区では、解散の翌日に集会の案内を配っていいですね。一応、せっかく選管に聞いていただいたんだから、それについてちょっと御答弁ください。

左藤副大臣 私はいいと思っております。選挙が始まる前ですから、後援会活動。選挙活動ではありません。

足立委員 総務省、これはいかがですか。

稲山政府参考人 繰り返しになりますけれども、個別の事案につきましては、具体的な事実関係を把握する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

足立委員 もう時間が来ましたが、委員長、これはぜひ、きょう私、るるパネルを使って、資料を六枚お配りしていますが、全てパネルと同じものであります。

 一つ目は、るる大串委員からもあった、いわゆる聡友会、資金管理団体からの人件費の問題、また、それに付随するさまざまな疑い。私は、このパネルにある全体のお金の動きについては、その使途を明らかにすべきだと思っています。

 また、二枚目、政経福祉懇話会についても、これは事務所が同一であり、ダミー団体の疑いがある、このようにきょうは質問させていただきましたが、明確な疑念が払拭をされるところまでは参りませんでした。

 また、ツートップのもうお一方である、地元で恐縮でございますが、左藤副大臣についても、公示日前日の再度国会へ送る会への御来賓、二万円の上の御来賓ですね。連合町会長さんたちにおまきになった、御案内をされたこの資料、この事実関係ですね。一体何人案内をされたのか、どれだけの収入があったのか。

 また、解散の日の翌日に、御名前が大きく印刷をされたはがきを選挙区内にばらまいた。これについても、私は、事前運動の疑いが濃厚だ、こうきょうは指摘をいたしました。

 もう時間が参りますのでこれぐらいにいたしますが、委員長、これはぜひ、このいずれの点についても、大臣、副大臣、私繰り返します、これはもうこれぐらいで早く終わりにしたいと。だからこそ、だからこそ、委員長、大臣、副大臣の疑念を晴らす、そういう必要な資料、大串委員からも指摘のあった資料、ぜひ理事会に提出をいただくよう求めたいと思います。いかがですか。お願いをします。

北村委員長 後刻、理事会において協議をいたします。お預かりします。

足立委員 時間が来ました。きょうはたくさん時間をいただいていたつもりですが、余りに、防衛、安保、この分野のツートップ、江渡大臣そして左藤副大臣にまつわるいわゆる疑惑がもう出るわ出るわで、きょうやり切れないぐらい出てまいりました。恐らく、これは自民党政治のある種の形だと思うんです。

 私たち維新の会は、繰り返しになりますが、文書費は全て公開をする、きょうあったような議論についても、本来、公的なお金の流れは全て国民の皆様に開示をしていく、こういうスタンスで、自主的な取り組み、そしてまた議員立法の提出を含めて取り組んでいくことをお誓い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 これにて足立君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 江渡防衛大臣、左藤副大臣、先ほどからもう政治資金問題での厳しい追及で、さぞ御心痛でありましょう。いつになくお二人とも顔がこわばって、心なしか顔色が悪いように私には見受けられます。

 ただ、政治と金の問題は、全ての国会議員が襟を正して、きちんと説明責任を尽くさないと、国民の政治不信を招くことになります。私は、一連の大臣らの政治資金問題、これは第二次安倍内閣の崩壊の予兆のような感じを受けて、心配しております。

 大臣、防衛副大臣、真摯に対応されることを求めます。そうしないと、国の安全保障を担当する大臣、副大臣の政治家としての安全保障が自壊をしてしまうことになりかねないと老婆心ながら申し上げておきます。

 さて、今、沖縄では、名護市民、沖縄県民の強い民意を無視して、安倍政権が国家権力を総動員して、辺野古への新基地建設を強行せんとしております。これに対し、辺野古では連日、名護市民、県民の非暴力による反対運動が展開されております。

 来る十一月十六日の県知事選挙では、政府と一体となって辺野古新基地建設を推進する現職の仲井真知事と、ウチナーンチュの尊厳とアイデンティティーにかけて辺野古に新基地をつくらせないと公約する翁長前那覇市長による事実上の一騎打ちになると予想されます。私は、来る知事選において、政治家にとって命とも言うべき公約を裏切って、日米両政府と一緒になって辺野古新基地建設を推進する仲井真知事や自民党沖縄県連に対し、沖縄から民意の反乱が起きて、結果として翁長雄志新知事が誕生するものと確信をしております。

 質問に入ります。

 外務、防衛両大臣は、当委員会における大臣所信表明において、沖縄における米軍基地の負担軽減について述べております。両大臣は、沖縄における米軍基地の過重な負担とはいかなる内容のものと認識しておるんでしょうか、尋ねます。

岸田国務大臣 沖縄における過重な負担とはどのように認識をしているのか、こういった御質問をいただきました。

 照屋委員に改めて申し上げるまでもございませんが、国土面積の〇・六%という沖縄の地に、在日米軍の専用施設・区域の約七四%が集中をしています。このことは、安全ですとか安心ですとか騒音ですとか、さまざまな点において大きな影響をもたらすことになります。こうした沖縄の負担軽減、これは最優先で取り組むべき課題であると認識をしている次第です。

 そして、その負担の中でも特に、住宅あるいは学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化、これは絶対に避けなければならないということを強く感じます。

 こうした負担の軽減は極めて重要な課題であり、政府としましても、地元の皆様方のお気持ちに沿いながら、できることは全て行う、こうした方針でしっかり取り組んでいかなければならない大切な課題であると認識をしております。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 岸田大臣と同じように私も思っているところでございまして、特に、国土面積の約〇・六%のところの沖縄県内に、全国の約七四%の在日米軍の専用施設あるいは区域が依然として集中している、この現状につきまして、施設・区域の周辺地域におきまして、騒音等の障害あるいは土地利用上の制約等の負担をおかけするなど、県民の皆様方にとりましては大変大きな負担になっているものと認識しているところでございます。

 そういう中におきまして、住宅や学校等に囲まれて市街地の真ん中にあります普天間飛行場の固定化というのは絶対に避けなければならない。また、このことが大前提であり、かつ、政府と地元の皆様方の共通の認識であろうというふうに思っているところでございます。

 それらのことを含めながら、我々は、政府一体として、できることはすべてやるというその思いの中でこの負担軽減に取り組んでいきたい、そのように思っております。

照屋委員 外務大臣、私は、政治家として外務大臣を尊敬しているんです、この前も言いましたが。

 それで、両大臣にあえて言いますけれども、〇・六%の沖縄に在日米軍の七四%がある。要するに、過重な負担というのは、単に基地面積あるいは駐留米軍の数だけではないんだ。そもそも、過重というのは、肉体や精神などの負担が重過ぎる、これを日本語の正しい意味では過重と言うんだ。

 だから、在日米軍から発生する軍人軍属の犯罪の問題、あるいは軍用機墜落の恐怖、そして殺人的爆音、不平等、不公平な地位協定、これが過重負担なんだ。

 もう一度大臣にお聞きします。

岸田国務大臣 先ほどは面積と数字を挙げさせていただきましたが、先ほども申し上げましたように、在日米軍の施設あるいは区域、これがこれほどまでに沖縄に集中しているということは、御指摘のように、安全や安心や騒音、さまざまな分野において大きな影響をもたらすことになります。そして、そのことが、今委員御指摘のように、物的だけではなくて心的にも、物心ともにさまざまな大きな影響を沖縄県民の皆様方に与えているということ、このことは大変重くしっかりと受けとめなければならないことであると考えます。

 我々政治にかかわる者も、こうした点を特にしっかりと受けとめて、みずからの職責を果たしていかなければならない、このように強く感じます。

照屋委員 両大臣、過重負担と言う場合に、沖縄県民は、あのオスプレイの強行配備、そして日米合意を無視してやりたい放題の訓練強行、あるいは東村高江におけるヘリパッド工事の強行、そういう問題を言っている。

 特に、私は、もう国会議員になって二十年近く、日本が主権国家として、不平等、不公平な日米地位協定を抜本的に改正しない限り、ウチナーンチュの人間としての尊厳、日本国民の尊厳は守れないと思っています。ぜひそのことも、私は脳裏に刻んでいただきたいと思います。

 さて、江渡大臣、先ほど、目に見える沖縄の負担軽減のためにできることは全て行うと大臣はおっしゃいました。目に見える沖縄の負担軽減とは具体的に何なのですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 昨年の十二月に沖縄県知事から四項目の要望をいただいておりますけれども、沖縄の負担軽減につきましては、政府としては、できることは全て行うということが基本姿勢でございます。その上で、本土における、それに向けた努力というものを十二分に行うべきであろうというふうに考えております。

 負担軽減に向けた具体的な取り組みといたしましては、空中給油機KC130の十五機全機の普天間飛行場から岩国飛行場への移駐につきまして、八月二十六日に完了いたしました。また、オスプレイにつきましては、岩国飛行場への飛行訓練、フィリピン、タイ、豪州における訓練への参加など、県外への訓練移転等を着実に進めておりまして、さらなる負担軽減を目指して、また佐賀空港の有効活用についても現在米側と相談しているところでございます。

 また、キャンプ・キンザーの七年以内の全面返還につきましては、現在、米側による施設再配置のためのマスタープラン作成を日本政府といたしまして支援するとともに、その後の再配置プロセスも加速化いたしまして、返還までの期間を最大限短縮することを目指しているところでございます。また、既に本年四月には一部のマスタープランの作成が終わっておりまして、引き続き、移設先の環境整備や文化財調査の早期着手など、次のプロセスを前に進めていきたいと思っております。

 防衛省といたしましては、引き続き、各種施策を着実に進め、できることは全て行うという強い意思のもと、沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら、抑止力というものを維持しつつ、目に見える形での沖縄の負担軽減に努めてまいりたい、そのように思っております。

照屋委員 江渡大臣、政府としては、できることは全て行う、沖縄の負担軽減の。政府としてやるというんだから、当然、大臣個人としてもそういう決意なんでしょうね。

江渡国務大臣 私もその思いで一生懸命頑張っていきたいと思っております。

 特に、昨年でありますけれども、沖縄で実施されております空対地射爆の訓練、これを、私の選挙区であります三沢の対地射爆場の方でも行うという形で、私自身もできることは行いたいということで取り組ませていただいているところでございます。

照屋委員 その、大臣の選挙区である三沢基地に、沖縄の米海兵隊の機能をそっくり移す、そういう政治決断をできますか。

江渡国務大臣 これは相手のあることでございますし、また、米軍の運用上というところもあるものですから、そっくり移すということは、私はこの場で先生にお約束することはできないわけであります。

 ただ、私初め政府全体が、沖縄の負担を少しでも、そしてできる限り軽減したいという、その思いで取り組ませていただいているということは御理解していただければありがたいなと思っております。

照屋委員 江渡大臣、私も、九州を中心に各地の米軍基地、自衛隊基地、すべからく視察に行きました。司令官とも話しました。各自衛隊基地の司令官も、口々に言うのは、政治が決めたら沖縄の海兵隊機能を受け入れる、そう言っているんです。

 ところが、皆さんは、口では言うけれども、こんな米軍基地は沖縄に押しつけておけ、そんな態度じゃ決して私や県民の理解は得られない、こういうことだけ申し上げておきます。

 さて、江渡大臣、普天間飛行場の五年以内運用停止が仲井真知事や、安倍総理を初め関係閣僚からしきりに言われております。ところが、普天間飛行場の五年以内運用停止の状態、定義、内容などについて、私が三回にわたって質問主意書を提出し、問いただしても、政府からまともな答弁が全く得られません。

 防衛大臣、私の質問主意書に対する十月七日付の政府答弁書で、普天間飛行場の五年以内運用停止の始期はことしの二月であると、閣議決定しております。大臣も同じ認識でしょうか。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 普天間飛行場の五年以内の運用停止につきましては、沖縄県から、平成二十六年二月から五年をめどとするとの考え方が示されておりまして、政府としては、このような同県の考え方に基づいて取り組むこととしておるところでございます。

 また、相手国との関係もあることから詳細は差し控えますけれども、普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む沖縄県知事の御要望につきましては、これまでも各種の機会を捉えまして、米国に対して、さまざまなレベルから説明し、沖縄の負担軽減に向けた米国の協力を要請しているところでございます。そのところも御理解いただければありがたいと思っております。

照屋委員 江渡大臣、何かあると、皆さんは相手があることだと言ってごまかす。そういうことで私や多くの県民はだまされません。

 では、こう聞きましょう。日本政府は、アメリカ政府に対して、五年以内運用停止、これを正式に要請しましたか。

江渡国務大臣 米国に対しては、さまざまなレベルから説明をいたしまして、沖縄の負担軽減に向けた米国の協力を要請しているところでございまして、また、私自身も、先月、ヘーゲル国防長官との電話会談の際においても、この点についても御協力を要請したところでございます。

照屋委員 大臣、さまざまな機関を通してやっていると言うんだが、これはうそでしょう。そうであれば、いつ、どういう機関で、日本政府がアメリカ政府に要請したか、その一覧表を当委員会に提出してください。

 委員長。

北村委員長 後刻、理事会において諮ります。

照屋委員 防衛大臣、普天間飛行場の五年以内の運用停止の状態、定義は、大臣はどのように理解しているんですか。明確に答えてください。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む沖縄県仲井真知事からの御要望につきましては、普天間飛行場負担軽減推進会議におきまして、普天間飛行場が移設されるまでの間の同飛行場の危険性の除去を中心といたしました負担軽減というものは極めて重要な課題であるというふうに認識しておりまして、沖縄県との間で共有をさせていただいているところでございます。

 そして、政府といたしましては、引き続き、当該会議を通じまして、沖縄県の具体的な意向というものを把握していく所存でございます。

照屋委員 大臣、政府に普天間の五年以内の運用停止を要請している仲井真知事自身が、その内容を理解していない。

 大臣は、普天間の五年以内運用停止、これは、米軍の普天間飛行場の機能の運用を全て五年以内に停止をすることだ、こういうふうに明確におっしゃってください。

江渡国務大臣 繰り返しの御答弁になるわけで、申しわけございませんけれども、普天間飛行場負担軽減推進会議におきまして、普天間飛行場が移設されるまでの間の同飛行場の危険性の除去を中心といたしました負担軽減というものは極めて重要な課題であるとの認識を、沖縄県との間で共有しているところでございます。

 政府といたしましては、引き続き、当該会議を通じまして、沖縄県の具体的な意向ということを把握していく考えでございます。

照屋委員 大臣、くどいようですけれども、運用の停止というのは、文字どおり、文字どおり米軍普天間飛行場の機能を停止することですよね。私はそう理解している。それ以外の理解はあり得ない。どうですか。

江渡国務大臣 繰り返しの答弁になるわけでございまして、大変申しわけございませんけれども、あくまでも、普天間飛行場が移設されるまでの間の同飛行場の危険性の除去を中心とした負担軽減というのは極めて重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、また、これは沖縄県との間でも共通のところでございます。

 そしてまた、繰り返しになるかもしれませんけれども、普天間飛行場の五年以内の運用停止につきましては、沖縄県から、平成二十六年二月から五年をめどとするとの考え方が示されておりまして、政府といたしましては、このような同県の考え方に基づいて取り組むこととしているところでございます。

照屋委員 結局、この普天間の五年以内の運用停止というのは、仲井真知事による知事選目当ての大風呂敷、ひとり芝居なんです。それを総理や大臣も一緒になって演じておるだけなんです。

 きのうの共同通信配信記事によると、去る十月二日の外交、防衛当局による日米協議で、アメリカ側が、普天間飛行場の返還は最も早くて二〇二二年以降との認識を示している。その上で、五年以内運用停止について、空想のような見通しだと反対を表明し、日本政府が運用停止の目標時期を一方的に明言したため、アメリカ側は失望し、不満を抱いていると語ったようですが、間違いありませんか。

江渡国務大臣 お答えしたいと思います。

 そのようなやりとりがあったということは承知しておりません。

 普天間飛行場の五年以内の運用停止を初めとする沖縄県知事からの御要望につきましては、沖縄県民全体の思いとしてしっかりと受けとめまして、できることは全て行うというのが安倍政権の基本姿勢でございます。このような日本政府の立場につきましては、米国に対して、さまざまなレベルで繰り返しお伝えしておりまして、協力を求めてきているところでございます。

 いずれにいたしましても、一日も早い普天間飛行場の移設を初めとして、米軍再編計画につきましては、現行の日米合意に従って進めていきたい、そのように考えております。

照屋委員 これは、アメリカ政府がうそをついているのか、日本政府がうそをついているのか。私には、安倍内閣、日本政府が沖縄県民にうそをついている、このようにしか思えない。

 では、手短に、昨日、普天間基地の司令官がNHKのインタビューに対して、五年以内の運用停止は合意していない、楽観的に見ても十年先だと思うと発言したことを大臣は承知していますか。

江渡国務大臣 大変申しわけございませんけれども、そのようなことがあったということは私は承知しておりません。

照屋委員 だから、今多くの県民が、普天間の五年以内運用停止なんというのは単なる口約束、空手形、これだといって大きく失望し、ある面、怒りを抱いているんです。ぜひそのことを率直に私は受けとめてほしいと思います。

 最後に、小野寺前防衛大臣は、二〇一三年一月二十八日に沖縄から提出された建白書の国立公文書館への移管について、個人的には公文書館に送る必要があると認識していると私の質問に答えました。

 江渡大臣はどうお考えでしょうか。

江渡国務大臣 先生からの御指摘の建白書、昨年一月二十八日に、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会実行委員会から内閣総理大臣に提出されまして、現在、公文書等の管理に関する法律に規定する行政文書といたしまして、防衛省において適切に保有させていただいているところでございます。

 具体的には、本件行政文書の保存期間を一年、保存期間の満了する日を平成二十七年三月三十一日としておりますけれども、防衛省において、業務の必要性に応じ、保存期間を延長することができるわけでございます。

 本件行政文書が公文書等の管理に関する法律に規定する歴史公文書等に該当し、国立公文書館に移管されるべきものであるかにつきましては、さきの国会における小野寺前大臣の発言なども踏まえまして、今後防衛省において適切に判断していきたいというふうに思っておりますけれども、私も小野寺大臣と同じ思いでいるということをつけ加えさせていただきたいと思います。

照屋委員 江渡大臣、これは沖縄の近現代史にとって大変重要な問題なんです。だから、小野寺前大臣の個人的な見解は沖縄県民は高く評価していますよ。私は、今の江渡大臣も、個人的な見解ではなくして、早目に防衛省としての、機関としての国立公文書館への移管を決定してもらいたい。そのことを強く申し上げて、何かあれば一言。

北村委員長 時間が来ておりますから簡潔に。

江渡国務大臣 そこも含めまして、適切に判断させていただきたいと思っております。

照屋委員 終わります。

北村委員長 以上をもちまして照屋君の質疑は終了いたしました。

 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。当委員会初めての質問でございます。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まず、質問に先立つ前に、委員長にお願いがございます。

 先ほど、足立委員の質疑の中で、西松建設の献金事件という表現がございました。西松建設の献金事件というのは存在をしておりませんので、あわせて、そのことの表現によって特定の人物を類推させるおそれがありますので、後刻、理事会で削除の御検討をいただきたいと思います。

北村委員長 お申し出を受けとめて、理事会において適切な処置をいたすことをお約束します。

 質問をどうぞ。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 それでは、質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、江渡大臣また岸田大臣の所信的挨拶に対する一般質疑ということで、今後の委員会の参考になるような質問をさせていただきたいと思います。両大臣の認識、御見解を中心にお尋ねをしていきたいと思っております。

 そして、我が党は、日本の外交また安全保障の基軸は日米同盟にある、このことは明確に認識をいたしておりますし、また、ガイドラインの見直しの議論についても全く否定するものではありません。ただ、内容について疑問点あるいは懸念がありますので、その点をただして、質問をさせていただきたい、そのように思っております。

 そこで、まずお尋ねをいたします。

 中間報告の序文にも示されておりますけれども、今回のガイドラインの見直しをしなければならない理由、そして、なぜ今なのか、そのことに対して、大臣の言葉として御発言をいただきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、ガイドラインについてですけれども、前回、一九九七年の見直しから既に十七年以上が経過しているところでございまして、その間に、我が国の周辺の安全保障環境というのは、委員も御承知のとおり、一層厳しさを増しているところでございます。

 そのほか、グローバルな安全保障環境におきましても、海賊あるいは国際テロ等に加えまして、サイバー、宇宙空間といった新たな領域での課題への対応というものが今現在求められてきているところでございます。さらには、海賊対処活動、PKO、国際緊急援助活動のように、自衛隊の活動というものもグローバルな規模に大変拡大してきているところでございます。

 これらの安全保障環境の変化とか、あるいは自衛隊の活動、任務の拡大、さらには先般の安全保障法制の整備に関する閣議決定の内容をガイドラインの見直しに適切に反映させていくことによりまして、日米同盟の抑止力というのが一層強化されまして、また、日米両国が国際社会の平和と安全により広く寄与することが可能になる、そのように考えているところでございます。

村上(史)委員 それでは、続けてお尋ねをいたしますが、今回は中間報告で、最終報告は年内にも、あるいは年明けとも言われておりますけれども、最終報告はいつごろになるのか、お尋ねします。

    〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕

江渡国務大臣 お答えしたいと思います。

 さきの2プラス2で確認されておりまして、特に、昨年の十月の2プラス2において、SDCに対しまして、本年末までに作業を完了するということが指示されているところでございます。ですからこそ、引き続き日米両国は、日米間で合意したスケジュールのもとにおいて、また、先般の閣議決定を踏まえました法制の整備との整合性にも十分留意しつつ、今回の中間報告で示されました枠組みと目的に沿って、このガイドラインの見直し作業というものを進めていきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 最終報告は、恐らく、今の大臣の御答弁によって、一応年内をめどにということだと思います。

 ただ、大臣の御認識をお伺いしたいんですけれども、今回の最終報告にいたしましても、また、集団的自衛権行使容認の憲法解釈閣議決定も七月一日ということで、国会が閉じているときにそういう重大な政策変更並びに国民にとって議論が大きく分かれる内容が政治決定をされるということで、今回もそうなのかということなんですけれども、これでは、国会の審議を避けているんじゃないか、あるいは、国民的な議論を避けようとしているのではないか、そう思われても仕方がないと思っているんですけれども、大臣の御認識を伺います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 まずは、安全法制の関係あるいはガイドラインの見直し等々に含めてですけれども、これらの議論というのは、第一次安倍内閣当時から研究を開始させていただいて、既に七年にわたっておりまして、そしてまた、メディア等、いろいろな形の選挙等々においても訴えてきたものであるわけであります。

 そういうような流れの中において、七月の一日の閣議決定後も、七月の十四日及び十五日には衆参の予算委員会で集中審議が行われましたし、また、自衛隊が行い得る活動の根拠については法律が定めるものでありまして、閣議決定に基づきまして法律を作成し、国会に十分な審議をお願いしているわけでございます。

 とにかく、今後の法整備につきましては、政府としては、十分な検討を行いまして、与党とも相談の上、いつ国会に提出するかということを決めていきたいと考えておりますけれども、法整備のタイミングにつきましては、予断というものを差し控えさせていただければありがたいと思っております。

 また、その上で申し上げれば、国内法制整備とガイドラインの見直しにつきましては、両者を整合させて進めていくというのが我々の考え方でございます。

 また、ガイドラインの見直し作業につきましては、今回の中間報告を含めまして、引き続き、国会の御関心に応じて必要な説明を行っていくとともに、今後の法整備につきましても、政府として、十分な検討、準備を行いながら、与党とも相談の上、国会に提出し、御審議をいただきたいと考えております。

 このように、政府として、両者の整合性を確保しつつ、国会の御理解も得ながら作業を進めていく考えでありまして、国会での御審議よりも日米協議を優先しているような形、あるいは、国会が閉じているときにわざわざ出すのだというようなことではないということを御理解していただければありがたいと思っております。

    〔谷川委員長代理退席、委員長着席〕

村上(史)委員 今、大臣から、閣議決定後も衆参で集中審議したじゃないか、国会できちっと審議したじゃないかという御発言でございますけれども、わずか一日でございます。そのことは、やはり量的にも質的にも国会で十分な審議がされたということにはならないと私は思います。

 ましてや、今なお、集団的自衛権行使容認の問題については、国民の中にまだまだ理解が深まっておりませんし、また、反対意見も根強くある、半数以上が反対だという現実のことも十分踏まえて、今後ともまた質疑を交わしていきたいなというふうに思います。

 あわせて、私が思うには、最終報告が出ます、いわゆる方針が出されます。それと関連する法案は来年の四月以降であろうと言われております。私が危惧するのは、その最終報告そのものが既成事実となって、それを前提にという話になってくると、国民の議論としてはおかしいんじゃないか。やはり法整備と最終報告は同時期でなければならないんではないか、そのように思いますが、大臣の御見解を伺います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 法案の提出は、今現在、政府内で鋭意検討させていただいていまして、また、与党とも協議の上、提出時期ということが決まっていくだろうというふうに思っております。

 ただ、委員が今御質問されたのは、先にガイドラインの方が出てから法案が出ると、ガイドラインに引きずられるような形になるのではないかという御懸念だというふうに思っておりますけれども、そこは、我々も、できるだけ整合性がきちんととれるようにと。

 ただ、法案の作業というのはかなり時間がかかるものですから、いついつとはここでお答えすることはできませんけれども、我々は、できるだけ先に、法案の枠組みというもの、大枠というものをお示しさせていただきながら、御理解を賜りたいというふうに思っているところでございます。

村上(史)委員 最終報告に対する質疑が、国会閉会中だということで全然できないではないか、それではやはり十分な国民の理解を得ることができませんし、また、その内容についての吟味を国会の中でできないという面で、やはり同時期にすべきではないかという私なりの指摘であるということを御理解いただきたいと思います。

 そこで、今回の見直しでございますが、基本的には、アメリカのリバランス政策の中で日本の役割分担をどうするのかという部分と、そしてもう一点は、大臣もおっしゃいましたけれども、七月一日の集団的自衛権行使容認の公認を前提に、日本が日米協力で何ができるのかということを示すための見直しだというふうに理解をいたしております。

 また、同時に、今回の見直しの報告書を見ますと、日本がアメリカにどれほど協力できるのかという部分が余りにも強調されているんではないか、なぜ日本だけがそういう協力の項目はずっと並んでしまっているのか、アメリカが日本に対してどういう協力をしてくれるのか、あるいは、有事の際にアメリカはどこまできちっと日本と共同対処してくれるのか、それが全くこの中間報告では見えてこない、そういうふうに思いますけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

黒江政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、中間報告の序文におきまして、今回のガイドラインの見直しというものが日米両国の戦略的な利益に完全に一致する、それで、米国の戦略的利益というところでは、米国のリバランス政策、リバランスの戦略といったものと一致する、そういう記述をしておるところでございます。

 これは、先生もう重々御承知のことかと思いますけれども、この米国のリバランス政策自体がアジア太平洋地域における米軍のプレゼンスを強化するというものでございまして、この地域の平和と安定の向上といったものに大変に寄与するものであると我々は思っておるわけでございます。

 他方で、まさに今御指摘ありましたけれども、我が方が、日本側として現在とろうとしております領域と国民を守るための取り組み、あるいは国際協調主義に基づく積極的平和主義といったものに基づいて、同盟を強化していこう、そういう考え方をとっておるわけでございます。

 すなわち、これは、どちらか一方が一方的に負担を拡大していくという考え方ではございませんで、日米双方が両々相まって同盟全体の抑止力というものを強化していく、そういう考え方に基づいておるということでございます。ぜひ御理解いただければと思います。

村上(史)委員 それでは、一点指摘をしたいと思うんですが、十七年前の見直しの指針の中で「日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」という項目がございます。十七年前は、こういう表現になっています。「日本に対する武力攻撃がなされた場合には、日米両国政府は、適切に共同して対処し、極力早期にこれを排除する。」こういう表現になっています。

 今回は、「日本に対する武力攻撃の場合、日本は、当該攻撃を主体的に排除する。米国は、適切な場合の打撃作戦を含め、協力を行う。」というふうになっています。これは、どう見ましてもアメリカとして腰が引けているんではないか。

 また、尖閣の問題に関して申し上げますと、アメリカは中国に対して事を構えたくない、ただ、日本の領空、領土においてはアメリカも行動をするという項目になっておりますけれども、いわゆる周辺の事態に対してはアメリカは関与しませんよというような意味にとれるんですけれども、それでいいのか、日本の防衛上、こういう表現になっていいのかという思いが強いんですけれども、いかがですか、大臣。

黒江政府参考人 現行のガイドラインの記述に関連する部分でございますので、若干御説明申し上げますが、現行のガイドラインの中でも、日本に対する武力攻撃がなされた場合の対処措置といたしまして、「日本は、日本に対する武力攻撃に即応して主体的に行動し、極力早期にこれを排除する。その際、米国は、日本に対して適切に協力する。」そういう記述になってございます。先生が先ほど引かれました共同して対処するということは、今回のガイドラインの中でも当然の前提として考えておるところでございます。

 むしろ、中間報告で、武力攻撃がなされた場合というところで記述しておりますのは、今私が引いたように、あくまで我が国に対する武力攻撃であるとすれば我々がまず主体的に対応しないといけない、これに対して我々が足らざる部分、それがまさに象徴的なものは打撃作戦の部分なわけでございますが、そういったところを中心にして米国がこれに協力する、そういう基本的な枠組みになっておるという記述でございますので、これは、現行のガイドラインと、今回見直そうとしておるガイドライン、見直し後のガイドラインにおきましても、基本的な武力攻撃に対する対応の考え方というものに変更はないということでございます。

村上(史)委員 今の答弁については、やはり大臣からお聞きしたいんですが、また今後、この件については細部を詰めていきたいなというふうに思います。問題提起として、きょう質問をさせていただきました。

 集団的自衛権行使容認の問題については、私もいろいろな問題点を指摘したいなというふうに思っておりますけれども、きょうは限られた時間でございますので、集団的自衛権行使の問題そのものについての質問は後日にさせていただきたいと思います。

 ただ、中間報告は、集団的自衛権の行使を前提に、周辺事態という守備範囲の概念を排除して、グローバルという名のもとに日米協力の範囲を無制限に拡大するものではないかという印象を持っております。これでは実質的に日米安保条約の改定になるのではないか、そのように思いますが、江渡大臣並びに岸田外務大臣、御見解を伺いたいと思います。

江渡国務大臣 お答えしたいと思います。

 今回の中間報告では、周辺事態という用語は用いておりません。他方、中間報告の段階でありまして、これをもって見直し後の指針における周辺事態の概念の扱いが決定されたということでもございません。

 また、例えば第六章では、地域、グローバルな協力について記述しておりますけれども、これは、日米両政府が、より平和で安定した国際的な安全保障環境を醸成するため、さまざまな分野で二国間協力を強化するといった考え方に基づきまして、日米両国の協力分野に含まれ得るものを挙げたものでありまして、挙げられた分野について、あらゆる状況において常に協力するといったことを意味するものでもありません。

 いずれにいたしましても、自衛隊の派遣につきましては、我が国として、みずからの国益に照らして主体的に判断するものであるということは言うまでもありません。自衛隊の活動が米軍とともに際限なく拡大するということもないということを御理解していただきたいと思います。

中山副大臣 御質問ありがとうございます。

 中間報告で明らかにされておりますとおり、見直し後のガイドライン及びそのもとで行われる取り組みに関しましては、「日米安全保障条約及びその関連取極に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは変更されない。」という基本的な前提及び考え方に従うことになります。

村上(史)委員 今の御発言の中でもやはり問題点が、本当に無制限になってしまうのか、あるいは一方的な肩がわり、協力になってしまうのか、その辺はまだまだ議論の余地がありますので、今後の質疑に委ねたいと思います。

 それで、ガイドラインの見直しのもう一つの背景になっておりますアメリカのリバランス政策について、二点ほどお伺いをいたします。

 これも既に御承知のとおり、アメリカは、巨額の財政赤字を抱えて、軍事費の削減をせざるを得ない状況にあります。そういう中で、世界の保安官としての役割がなかなかしにくいということで、イラクあるいはアフガニスタンからの撤退にあわせて、膨張また軍備拡張の著しい中国を対象にして、その軸足をアジア太平洋地域に移すという政策であります。

 ただ、最近になりまして、中東におけるイスラム国への対応、あるいは、ウクライナをめぐるロシアへの対応、欧州安保への再保障の必要性など、アメリカにとって不安定な要因が生まれてしまったということで、このリバランス政策、オバマ政権にとって揺るぎのない政策となっているのか、また、変更を余儀なくされる可能性があるのか、その辺について、大臣にお尋ねをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 米国は、同国の厳しい財政状況を踏まえ、国防予算削減に取り組んでいる、その点は先生御指摘のとおりでございます。

 他方、昨年十月に開催された日米2プラス2共同発表にもあるとおり、米国は、アジア太平洋地域重視の取り組み、いわゆるリバランスを引き続き進めておりまして、日米同盟が世界及び地域の安全保障上の課題に対処することができるよう、その軍事力を強化する意図を有する旨、明確にしてきております。

 また、本年四月のオバマ大統領の訪日の際にも、日米両首脳は、我が国の国際協調主義に基づく積極的平和主義と米国のアジア太平洋地域へのリバランス政策の意義を確認しつつ、ともに、平和で繁栄したアジア太平洋地域を確かなものとしていくために日米同盟が主導的役割を果たす、そのことに貢献するという認識で一致したところでございます。

 このように、米国のオバマ政権は、さまざまな機会にアジア太平洋を重視する姿勢を堅持する旨明らかにしているところでありまして、我が国としても、この米国のリバランス政策を歓迎しているところでございます。

村上(史)委員 アメリカとしては、オバマ政権としても、このリバランス政策は遂行していくんだ、その前提の上に日米協力を進めていくということはよくわかります。

 実は、前国防大臣でございますパネッタさんが、リバランス政策の中で、アメリカが意図する対中包囲網を強化する手段として、日本、韓国、オーストラリア、フィリピン、タイをアメリカの中核的同盟国として挙げて、その上に立って軍事的な緊密化を図ると同時に応分の負担を求めるという発言をしています。

 私も、日米同盟の重要さを考えますと、応分の負担というものはやはり日本も負うべきだろうというふうにも思います。ただ、中間報告で言う周辺を超えた地域にまで日米協力を拡大することが、日本にとって本当に国益上プラスなのかどうかというのは議論が分かれると思いますし、まして、憲法上の問題も出てまいると思います。この件については、政府の方は何度もおっしゃっておられますけれども、その疑念は払拭できていないと思っております。

 日本の役割分担、負担というものは、やはり日本周辺地域で十分いいんじゃないか、それによって日本の防衛というものが十分確保できるのではないか、そのように考えますけれども、その点についての御答弁を伺います。

黒江政府参考人 今の先生の御指摘は、多分、中間報告の第六章のところに「地域の及びグローバルな平和と安全のための協力」という章がございますが、ここのところが新しく今回分かれて章になっておるわけでございます。この点につきまして、先生の方から、負担の拡大ではないか、そういう御指摘ではないかと思うんです。

 この章について若干御説明申し上げますと、もともと日米同盟が持っておりますグローバルな性格、要は、グローバルな場面で日米同盟が機能している、そういう実績というのは、既に、これも御案内のことと思いますが、たくさんございまして、現在行っておるものでありましても、例えばアデン湾の沖でやっております海賊対処行動といったようなものがあるわけでございます。

 そういう意味で、先ほど大臣から御説明ありましたけれども、今回のガイドラインの見直しは、前回が十七年前でございまして、この間の国際情勢の変化といったものを受けたものになっておるわけでございます。それは、同じように、政策を打つ側といたしましても、そういった脅威の変化あるいは情勢の変化といったものに対して、日米が共同して、今私が申し上げたような海賊対処等も含めて、さまざまな形で対応してきておる。そういった実績も踏まえて、ここの第六章といったものを設けておる、そういうことでございます。これは、あたかも、きのうきょう新しく出てきたといったような、そういうものではないということがまず一つ前提としてございます。

 また、そういう分野においても日米が共同して対処していくということが非常に有益である、そういったことを通して、我々に対する脅威というのを低減させていく、全体的に抑止力を強化していく、そういうことにもつながっている、そういう趣旨でございますので、ぜひ御理解を賜れればと思います。

村上(史)委員 もちろん、日米共同して抑止力を高めていくという方針については全く異論はないわけです。

 ただ、集団的自衛権の概念からいくと、地理的な制約もありません。ただ、集団的自衛権行使を容認するかどうかということはありますけれども、この範囲がこの地域に限定をされる、あるいは、その行動が限定をされるという概念はないんではないかと私は思っておりますので、これは拡大解釈が十分可能だというふうな点で危惧をしている。こういう問題についても、また後日、委員会で質問をさせていただきたいと思います。

 時間の方も押し迫ってまいりましたので、七月一日以降の、閣議決定後の自衛官募集の動向についてお伺いをしたいと思います。

 実は今、自衛隊の隊員の中で自殺する方が、理由はいろいろとあると思いますけれども、相当数いらっしゃいます。率でいくと、自衛隊の中で自殺をされるという方は、一般的な統計による自殺の率よりも高いと言われております。それと同時に、データをずっと見てみますと、イラクあるいはアフガンに自衛隊が派遣された後、自殺がふえているというデータもございます。

 この因果関係というのは、すぐ直結して、早計に言うべきではないと思いますけれども、少なくとも、今、自衛隊隊員あるいはその家族の中で、いわゆる集団的自衛権行使容認によって海外に派遣をされる、そして、武力行使はしないといっても、後方支援だといっても、敵からすれば、軍事的には後方支援であろうと、軍事的なオペレーションだという認識のもとに攻撃をされる、あるいはテロの対象になっていく、そういう不安があるということは事実だと思います。

 我々政治家がいろいろな法律を決めていきますけれども、現実にそれに対処するのは現場の自衛隊員の皆さんです。災害出動など、日本国内で大変な活躍をされている自衛隊員の皆さんに敬意を表する上においても、やはりこのような軍事的なあるいは安全保障上の大きな転換を迎えたときには、自衛隊の皆さんにも十分な説明と理解が必要だと思います。

 その点、防衛大臣、今までのそういう説明で十分だったのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。

左藤副大臣 先般の閣議決定において、憲法第九条のもとで許容されるのは、あくまで、国民の生命と平和な暮らしを守るため、必要最小限度の自衛の措置としての武力の行使のみです。

 新たな法整備により自衛隊に付与される任務は、これまでの我が国に対する武力攻撃への対応と同様、あくまでも国民の命と平和な暮らしを守り抜くためのものであり、その意味で自衛隊の任務は変更することはございません。

 自衛隊員が海外で国民を守ることと無関係な戦争に参加することは、断じてございません。

 いずれにしても、先般の閣議決定で示された基本方針のもと、法整備の準備、検討を行っているところでございますが、引き続き、隊員が安んじて任務に邁進できるよう、隊員への教育を含め、必要な措置をしっかりととってまいりたいと思っております。

村上(史)委員 今副大臣がおっしゃいましたけれども、政府は説明をしている、それを繰り返しておられます。

 でも、今なおそういう不安があるということは、説明が足らないのか理解が足らないのかわかりませんが、この問題については、やはり、自衛隊員の立場に立って、もっと丁寧に説明、理解を求めるという姿勢が防衛当局に求められると思っておりますので、その点についてのお取り組みを続けていただきたい、強くお願いしたいと思います。

江渡国務大臣 御指摘の点、真摯に踏まえまして対応させていただきたいと思っております。

村上(史)委員 それでは最後に、北朝鮮の拉致再調査についてお伺いをしたいと思います。

 昨日、家族会の皆さんから、再調査について、調査団を派遣すべきではないという申し入れがあったと聞いております。

 岸田大臣、この申し入れをどのように受けとめておられるのか、お尋ねします。

岸田国務大臣 まず、五月に合意されました特別調査委員会による調査ですが、最初の通報につきましては、本年夏の終わりから秋の初めごろに行うことが望ましいという点におきまして、北朝鮮側と共通の認識を持っていたところでありました。

 しかしながら、先月二十九日、瀋陽で会合を持ち、その際に、北朝鮮側から、初期の段階であり、具体的な調査結果を通報できる段階にはない、こうした説明がありました。

 まず、この段階で北朝鮮側から十分な説明を受けられなかったこと、このことについては残念に思っています。

 そして、拉致問題、これは、言うまでもなく現政権にとりまして最重要課題の一つであります。政府としましては、調査の現状あるいは結果を把握するべく、引き続き最善を尽くしていかなければなりません。北朝鮮に対しまして、迅速な調査を行い、正確、そして正直な、速やかな結果通報を求めていかなければなりません。

 そして、これに対する我が国の対応につきましては、今御指摘のように、本当に多くの関係者の方々からさまざまな御意見をいただいています。こうした御意見につきましては、まず真剣に耳を傾けなければならないということで、今さまざまな意見をお伺いさせていただいています。そして、その御意見に耳を傾けた上で、調査を前に進める、こういった観点から、政府全体の責任としてどう対応していくのか、この対応をしっかりと判断したいと思っております。

 現状、今こういった状況にあるということでございます。

村上(史)委員 微妙な時期ですので、大臣も答えにくい部分はあると思います。

 ただ、この問題は、本当に日本国民として、また政治家としても悩ましい問題だと思います。前に進めていきたいという思いがある一方、北朝鮮を利するようなことはしたくないという思いの中で、家族会の皆さんも含めて、揺れ動いているんだろうなというふうに思います。

 ただ、私が思いますのは、過去を見ましても、ずっとこの数年間、ほとんど対話のチャンネルがなかったということで、前に進めなかった。当時、拉致家族、被害者家族の皆さんは、何とか交渉のパイプをつくってほしいという要望もございました。そういう面において、今回、平壌に調査団を送ることのメリット、リスク、また、送らないことのメリット、リスク、それを双方考えなければならないと思いますが、これは意見が分かれると思いますけれども、対話の窓口を閉じないということ。

 それと、あわせて、北朝鮮という国は管理国家ですから、本来、調査なんてあしたにもできるという国だと思います。それを、あえてこういう形で交渉に、引き合いに出してきているということは、明らかに北朝鮮としては意図を持ったこういう提案だろうと思います。

 しかし、それを十分わかった上で、日本側の対応あるいは態度が一番重要だと思うんですけれども、いかなる北朝鮮の新たな提案、具体的な提案についても一切耳を傾けない、あくまでもこの調査を早く結果を出していく、それが北朝鮮の責任だ、我々は調査に来たけれども一切交渉には応じない、と同時に、北朝鮮の対応次第によっては、一部制裁を解除いたしましたけれども、これを再制裁をするんだというぐらいのことを北朝鮮にメッセージとして送っていく、シグナルを送っていくということも重要だと思います。

 そういう面で、この問題、シビアな問題ではありますけれども、ぜひ、全面解決に向けて、政府はもとより与野党の議員、また日本国民全体で解決に向けて頑張っていく、それに向けての大臣のかたい決意をお示しください。

岸田国務大臣 北朝鮮の諸懸案、この解決に向けては、我が国は、これまで対話と圧力の方針のもとで臨んできました。

 圧力の部分につきましては、国連安保理決議に基づく国際社会と連携した圧力に加えまして、我が国独自の圧力を加えるという形で行ってきました。北朝鮮の厳しい経済状況を考えますときに、この圧力の部分は一定の効果があったと認識をしています。

 そして、対話の部分につきましては、ことしに入りまして、一年四カ月ぶりに対話を再開いたしました。そしてその上で、今、特別調査委員会の調査を見守っている、こういった状況の中にあります。

 今後とも、我が国としましては、対話と圧力、さらには行動対行動、こういった方針をしっかり貫きながら、北朝鮮から前向きな行動をしっかりと引き出していかなければならないと考えています。

 今委員の御指摘等もしっかり踏まえながら、調査を前進させる、そして目に見える成果を上げる、そういった観点から、何が求められるのか、政府全体としてしっかり責任を持って対応を考えていきたいと考えます。

村上(史)委員 ありがとうございました。終わります。

北村委員長 以上で村上君の質疑は終了いたしました。

 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 まずもって、小野寺筆頭理事、それから津村野党筆頭理事、そして理事、委員各位の皆様に、私がこの場でこうやって質問させていただけるということに関しては改めて御礼を申し上げたいというふうに考えております。

 政府それから与党というものに関しては、独善的に、そして暴走しかねないというような危機意識のもと、野党として、しっかりと野党連携を図っていくということに関しては、一般的には非常に重要である、私もそのように認識をしております。

 しかしながら、一方で、安全保障に関する問題というものに関しては、本当に危機的な状況、そして、いつ何どき何が起きるかわからないというような観点もあります。それから、国会での審議というものをしっかりしていくというような観点からも、ぜひとも野党連携をしていけるような対応を、各野党の皆様とは意見調整をさせていただきたいというふうに考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、質問させていただきます。

 まず、実は質問通告になかったことではありますので、答えられる範囲で結構でございます。

 それこそ一刻一刻、日に日に状況が変わっていく問題として、今、安全保障上の脅威、そして、本当に日本の将来にも関係があるものだ、そういう認識でございますが、エボラ出血熱に関して、その脅威というものが非常に強くなっている状況ではないかと思います。

 本日も、スペインでは何と三次感染者まで出たんじゃないかというような報道もありますし、アメリカでも、二次感染というものは、医療従事者の中から二人目が感染されているというような状況のもとで、今もう五千人近くの方が亡くなって、一万人近い方が、WHOがカウントしているだけでもいらっしゃるというような状況のもとで、世界にこの脅威が広がっていく、その危機意識というのは、恐らくここにいらっしゃる全委員の中で共有させていただいているのではないかと思います。

 それに関して、昨日、オバマ大統領と安倍首相が電話会談をしたということでございますが、その内容について簡単に教えていただければと思います。

岸田国務大臣 一昨日になりますが、安倍総理とオバマ大統領の日米電話首脳会談が行われました。そして、その午後ですが、ケリー国務長官から私の方に電話がかかりまして、日米外相電話会談も行いました。その際、さまざまな課題が取り上げられましたが、最も大きなテーマがエボラ出血熱に対する対応でありました。

 この対応につきまして、まずは、我が国としての取り組みに対して米国から感謝の意が表され、そして、米国から、米国の取り組みについて説明が行われ、そして、今後とも日米でこの問題、真剣に協力していかなければいけない、こういったことを確認した次第であります。

 エボラ出血熱の状況につきましては、ただいま委員から御指摘がありましたように、大変深刻な状況になっています。日米のみならず、これは国際社会全体で取り組まなければならない、こうした大きな課題となっています。

 日本としましては、九月の国連総会の際に、安倍総理の方から、四千万ドルの我が国の支援について、さらには金額だけではなくして、人的貢献、あるいは候補薬の提供、さらには五十万着の防護服の提供、こういったものを表明し、説明をしたところであります。支援につきましても、ただいまのところ二千二百万ドル決定しているかと存じますが、日本としましては、引き続き、残りの部分をしっかりと実行するべく、作業を加速しなければならないと思っております。

 さらには、今の状況を考えますと、国際社会はもっとさらにこれは努力しなければならないと考えています。我が国としましても、追加で何ができるのか、これを真剣に検討しなければならない段階に来ていると認識をしております。

三谷委員 とあるアメリカの有識者、ちょっと正確な名前は忘れてしまいましたけれども、これから六十日間がエボラ出血熱との闘いでは非常に大きな、左右する、そういう大事な時期になっているという言葉もありました。

 九月の安倍総理の国連でのあの発言の際は、スピーチの際は、正直まだ、はっきり言えば、西アフリカに対する支援という認識、むしろそういうところが大きかったのではないかと思いますけれども、正直な話、それがこれだけ広がっているというような状況の中で、支援というよりは、自分の国を守るために何ができるのかというようなことになってくるだろうと思っております。

 潜伏期間が最長で四十日近くにもなるというような話もありますので、空港等々で水際で阻止するといっても、これは事実上不可能なんだろうと思います。その意味で、日本の中に入ってきたらどうするかということに関してはもちろん厚生労働省さんの所管なのかもしれませんけれども、その前の段階で抑え込むというようなことに関して、しっかりと国際連携を図っていただければというふうに思います。

 これに関して一つだけ、どういう状況になったら、こういう、西アフリカのエボラ出血熱が非常に多発している地域に関して渡航制限をかけていくというようなことを考えられるのかということについて、お聞かせをいただければと思います。

岸田国務大臣 御質問の渡航制限についてですが、各国の状況も具体的にはさまざまでありますので、そして、各国の状況は刻々と変化をしております。ちょっと今手元に資料もありませんが、基本的には、そうした状況を丁寧に確認しながら我が国の対応を考えていくということになるのではないかと考えます。

三谷委員 この点については、いずれにしても事前の通告等々がなかったので、これからもこの問題はいろいろと聞かせていただければと思います。

 それから、次の問題に移らせていただきます。

 質問の中ではちょっと真ん中ぐらいの質問ではあったんですけれども、今、日米ガイドラインの改定、この中間の報告があった中で、「三カ国間及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進」というものがありますけれども、この三カ国間及び多国間の安全保障、防衛協力の推進といった場合に、ここに韓国という国が入るのかどうかということについて質問させていただきたいと思うんです。

 昨今、産経新聞の元ソウル支局長が名誉毀損ということで起訴をされている。はっきり言えば、朝鮮日報の記事を訳してそれを紹介したということで、そういう起訴をした。起訴をするだけではなくて、今出国制限まで科されていて、帰ってこられないわけです。どのタイミングで本人が帰っていらっしゃるか、帰ってこられるような状況になるかというのはわかりませんけれども、果たして、自由とか人権とか、そういう共通の価値観というものを持っている国だというように御認識をいただけるのかどうか。

 先日も、別にこれはあおるつもりもありませんけれども、安倍総理大臣のマスクをした人、安倍総理大臣に見立てた人が土下座をする、旭日旗を踏みにじって、土下座をして、しかも、そういう人に対して足蹴にするというようなことをデモパフォーマンスとしてやっている。民間で何をやろうが、それは民間のことなので仕方ないかもしれません。しかしながら、そういったことをあおるかのような今の韓国政府の状況についてどのように御認識いただいているのか、まずは外務大臣にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の産経新聞の前ソウル支局長の逮捕の事案につきましては、我が国は、政府としまして、これまでもさまざまな形で懸念を伝え、韓国政府に慎重な行動を求めてきました。しかしながら、今回起訴されたということにつきましては、報道の自由、あるいは表現の自由、さらには日韓関係そのものにもかかわる問題であり、これは我が国としまして極めて遺憾でありますし、事態を憂慮しています。この点につきましては韓国側にしっかりと伝えているところであります。

 今後の対応につきましては、まずは、産経新聞前ソウル支局長の身辺の安全、これは邦人保護の観点から韓国側に適切な対応をしっかり求めてきているところでありますが、さらなる具体的な対応については、今後の状況も見ながら、適切に対応しなければならないと考えています。ただ、ここで具体的な対応まで申し上げるということになりますと、これはまたいろいろな影響もありますので、この場では控えたいと思いますが、大きな関心を持って注視していかなければならない課題だと思っています。

 そして、この問題についてはこのように対応していきたいと思っていますが、韓国との関係ということを考えますときに、こうした、本件も初め、さまざまな難しい問題が存在するわけですが、難しい問題があるからこそ、やはり政治対話、特に高い政治のレベルでの対話が大切なのではないか、このように強く思っています。こうした難しい問題があるからこそ、条件をつけることなく、政治対話、特にトップ同士の対話を行うことが重要なのではないか、こういった方針で臨んでいます。

 ぜひ、韓国側にも、こうした我が国の取り組みに応じていただきたいと強く思っております。

三谷委員 今の岸田外務大臣のお答え、ありがとうございました。よくわかりました。

 特にそれに関連してですけれども、防衛大臣にお伺いしたいと思います。

 先日の所信の中で、協力していくべき国々の中に、これはどういったあれがあるかはわかりませんでしたが、韓国という国が文言としてはなかったというところもありましたが、だからといって韓国と協力しないという意味ではないというふうに思いますけれども、この一連の出来事について、価値観がしっかりと共通している国だというようなことで、一緒に自由主義を守っていく国だ、そういうふうな認識を持たれているのか、そして、懸念があるのか、憂慮をされているのかという、今の大臣の御認識についてお答えいただきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、今般の産経新聞のソウル支局長の起訴というのは、岸田大臣と同じ認識をしておりますけれども、報道、表現の自由、あるいは日韓関係ということも踏まえて、大変遺憾なことであるというふうに思っておるわけでございます。ですからこそ、この事態というのは深く私自身も憂慮しているところでございます。

 さて、御質問の、ガイドライン等につきまして韓国という表現がなかったのではないかということはありますけれども、もう委員も御理解しているとは思うんですけれども、我が国と韓国というのは、ともに米国の同盟国であります。そして、この地域の平和と安定に関しましては共通の利益も有しているわけでございます。このため、大局的な観点から、韓国との協力というのを強化していかなければならないだろうと思っておりますし、また、北朝鮮の核、ミサイル問題というものを含むさまざまな安全保障上の課題というものに対して一致して取り組んでいくということが大変重要であろうと思っております。

 また、先ほど岸田大臣の方からもお話がありましたけれども、韓国との間でさまざまな困難な問題というのが時として起こったとしても、そのような問題が存在するからこそ、ある意味、前提条件を付すことなく率直に話し合っていくということが大変必要であろうというふうに私自身も考えています。

 それゆえに、防衛省といたしましては、今後とも、二国間のコンタクトの機会というものを引き続き追求していくとともに、多国間の会合とかあるいは日米韓の枠組みも含めまして、さまざまな機会、チャンネル等を捉えながら、我が方の考え方を伝えるなどしながら、韓国との交流推進に努めていきたい、そのように考えています。

三谷委員 ありがとうございました。

 日本でも、いわゆる民主主義、そして三権分立というようなものは当初からあったわけではなくて、いわゆる大津事件、皆さんも御存じだと思いますけれども、そういった中で、政治的な圧力をはねのけて司法権が独立を守ったというような話もこれはありました。そして、裁判官、司法権に準ずる立場として検察官の独立というのも、日本では、そして各国では認められているわけですから、そういう政治的な動きというものに韓国の検察官なりなんなりが屈することなくやっていただくというようなことを私からも韓国の方々には申し上げたいと思いますけれども、今の両大臣のお答え、まことにありがとうございました。

 それでは、質問を続けさせていただきます。

 今、日米ガイドラインの話をさせていただきましたので、この内容に関してお話をさせていただきたいと思いますけれども、この中で、いわゆる集団的自衛権の問題というものに関して少し懸念がございますので、御質問させていただきます。

 私も、集団的自衛権というものは、これは今の国際情勢の中では必要である、これを認めていくべきだというふうに考えておりますし、日米ガイドラインの見直しというものはその観点から重要であるというふうには考えておりますけれども、その一方で、今の中間の報告というものの中で、果たして大丈夫かなというようなところもございますので、御質問させていただきます。

 まず、これは五章というんですか、5の中で、「日本の平和及び安全の切れ目のない確保」というところで、「見直し後の指針は、日本に対する武力攻撃を伴う状況及び、日本と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生し、日本国憲法の下、二〇一四年七月一日の日本政府の閣議決定の内容に従って日本の武力の行使が許容される場合における日米両政府間の協力について詳述する。」というふうにあります。これが集団的自衛権に関する記述ではないかというふうに考えておりますけれども、その集団的自衛権の解釈が多少あやふやになっている部分があるというふうに思っております。

 先日も、七月十四日の予算委員会において、自民党の高村委員の質問に対して安倍総理大臣が、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に当たるのか。」「個別具体的な状況に即して、総合的に見ながら判断していく」というようなことをおっしゃっていただいた上で、ホルムズ海峡の件に関して、「海洋国家である我が国にとって、国民生活に不可欠な資源や食料等を輸送する船舶の安全確保は極めて重要」であるというふうにおっしゃった上で、ホルムズ海峡の地域で武力攻撃が発生したという場合に、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があると判断される状況に至らなければ、新三要件を満たすとは言えない」、そういう状況を満たすというふうになれば新三要件は満たすというような判断をされるんだという話がありました。それは、その限度ではそのとおりなんだろうというふうに思うんです。

 しかしながら、私が今、懸念があるというふうに申し上げたのは、その後の内閣法制局長官の答弁なんです。この中でどういうふうな答えがあったかといいますと、「国民に、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況」、「主に攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、その規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民がこうむることとなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断する」というふうな答えがありました。これは、そのときの内閣法制局の長官の答弁をそのまま今の部分は抜き出した部分でありますけれども。

 機雷が敷設された、そして石油の輸入がとまったというような場合に、それで国民の犠牲というような表現に該当する、そして、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様の深刻、重大な被害が及ぶことが明らか。ちょっと、総理大臣が考えられていることと内閣法制局長官の答弁が想定していることというのは開きがあるんじゃないかなというような懸念があるわけです。

 ここについて、大臣のお答えをいただきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、委員が一番懸念だというか、よくわかりにくいと言っている部分は、多分第一要件のところじゃないのかなというふうに思っております。

 特に、武力を用いた対処をしなければ深刻、重大な被害が及ぶ状況という部分は、第一要件の「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」ということは、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわちその状況下のもと、武力を用いた対処をしなければ、国民に、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるということをいうものでございます。

 いずれにいたしましても、この「明白な危険がある場合」に該当するかは、現実に発生いたしました事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合的に、客観的に、合理的に判断するということになります。

三谷委員 シーレーンにおいて機雷が敷設された場合に、石油がなかなか、とまってしまうというような状況の中で、この法制局長官の答弁というものを前提にすると、例えば兵糧攻めという戦い方が戦国時代からあるわけでございます。直接的にドンパチやらなくても、その国を、周りを軍勢が囲って、とにかく何カ月もそれを囲っていく、そうすると、当然ながら、お城の中ではどんどん食料が尽きていくという中で、もちろんお城の中の兵士もそうですし、周りの、そこの農民なり兵士、そういった地域の方々も亡くなっていく状況になる。そういう状況の中にあれば、いや、それはそういう犠牲というものが発生するんだというような状況になるだろうというのは、これはもうそうなんだろうと思うんですが、石油がとまりましたという段階で、いや、今ホルムズ海峡から石油を輸入していることが多いというような状況ではあるかもしれないんですけれども、それによって、では、どのタイミングでそういう国民の犠牲が生じたというふうに言えるのか。これは、はい、とまりましたといって、はい、では犠牲が生じますというふうになかなかならないだろうと思うんですね。

 だから、そういう意味では、私、繰り返しますけれども、安倍総理大臣の考えられている、ホルムズ海峡のシーレーンで石油がとまったというような状況での集団的自衛権というのを行使してよいよ、特に言えば、はっきり言えば、機雷の除去というようなことが念頭に置かれていると思います、私もそれをすべきだと思っています。しかしながら、内閣法制局長官の言っていることというのは、やはり温度感があるように見えるんです。

 そこについてお答えいただきたいと思います。

江渡国務大臣 まず、判断基準の部分のことを御説明させていただいてから御説明させていただきたいと思っておるわけであります。

 まず、この判断基準であります。

 「明白な危険がある場合」、これは「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し」た場合に、いかなる事態が「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に該当するかは、現実に発生した事態の個別具体的な状況に即して、主に、攻撃国の意思、能力、そして事態の発生場所、事態の規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民がこうむることとなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断するということが判断基準でございます。

 そこで、御質問のホルムズ海峡というようなお話になるわけでありますけれども、まさに、このホルムズ海峡というのは、我が国の輸入する原油の約八割、そして天然ガスの二割強というものが通過しているわけであります。ですからこそ同海峡というものが我が国のエネルギー安全保障の観点からは極めて重要であるということは、これは委員ももう御承知だと思うわけであります。

 仮に、同海峡の地域で紛争が発生いたしまして、機雷が敷設された場合において、我が国の石油備蓄量というのは約半年分あるといいながら、でも、この機雷自体が除去されなければ、そこには危険というものがそのまま存続するということ、これも御理解できると思います。それゆえに、同海峡を経由した石油供給が回復しなければ、世界的な石油の供給不足が生じます。これによりまして、我が国の国民生活に死活的な影響というものが生じ、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される、そのような事態が生じ得るということも御理解していただけると思っております。

 そのように、経済というのは国の存立の基盤でございまして、この基盤自体が脅かされるかどうかについても判断の対象になるだろうというふうに考えているわけでございます。

 どちらにしても、こういうことを行うかどうかということは、新三要件、第一要件、第二要件、第三要件、これらを満たすか否かということにかかっておりまして、実際に発生いたしました事態の個別的な状況に即して、政府が全ての情報を総合的に、客観的に、そして合理的に判断するという形になるということで、あくまでも、大事なポイントはこの新三要件を満たすか否かというところになるということで御理解していただきたいと思います。

三谷委員 ありがとうございました。今、明確な答弁をいただけたのではないかと思います。

 内閣法制局長官の回答が「武力攻撃を受けた場合と同様」、そういうところで、どうしてもそこでいくと直ちに、武力攻撃があればその場で人が亡くなったりとかけがをしたりというようなことを想定しがちではありますけれども、少なくとも、それに限られないという理解だというようなことで承知をいたしました。しっかりと、こういったところがこれからも問題になるんじゃないかと思っておりますけれども。

 そして、今の集団的自衛権なり新三要件の理解を前提にいたしまして、このガイドラインというものは、これから一四年末に向けてしっかりと中を詰めていくというようなことになるというふうに考えておりますけれども、ガイドラインの中間報告の中では「日米両政府間の協力について詳述する。」というふうになっているわけです。この内容をこれから詰めていくという形になりますけれども、その点に関して、先日、菅官房長官が、ガイドラインの見直しと法整備については整合させて進めていきたいというようなことをおっしゃっております。

 法整備について整合させていくという中で、現行、先ほどの村上委員の質問の中の大臣の答弁にもありましたけれども、できるだけ速やかに関連法について枠組みは提示をしていただけるということではありましたけれども、このガイドラインの中身をこれから詰めていくのは具体的にはどなたになるのでしょうかというようなことをまず一点質問させていただきたいのと、そのガイドラインの中身を詰める際に、法律を、法案をこれからつくっていかれるんだと思いますが、それは、菅官房長官のおっしゃっている整合させて進めていきたいというのは、あくまでも政府内または与党内で整合させて進めていかれるということを想定されているのか、それとも、国会での審議というものとガイドラインの中身を詰めていくというものを、平仄をとっていくというふうに考えていらっしゃるのか、そこについてお答えいただきたいと思います。

黒江政府参考人 今先生御質問なさいました第一点目でございますけれども、ガイドラインにつきまして見直しの作業を具体的に進めていく主体が誰であるのかというところでございますが、この点につきましては、昨年十月に開催されました2プラス2の閣僚会合が、ガイドラインの見直しをせよということを指示した。指示をした相手が日米防衛協力小委員会、SDCというものでございまして、この構成員は、私と、あと関連する外務省の局長等々が構成しておるということでございます。すなわち、見直しの作業主体は我々局長レベルということでございます。

 他方、整合性をどのように図るのかといったことにつきましては、これは累次防衛大臣からもお答えを申し上げておりますけれども、現在並行して進んでおります法制整備の内容といったものを我々として受けとめる。

 また、法制は法制で、また進め方、スケジュール等がございますが、これにつきましては、政府さらに与党にお諮りをしながら、さらに国会にどういうタイミングでお諮りをするのかといったことをこれからお決めいただく、そういう関係になります。

三谷委員 正直、率直に申し上げまして、一般的には、先にこのガイドラインというものをしっかりと詰めていかれて、SDCの中で詰めていかれるというのと同時並行して、政府内そして与党の中でこの法案というのは整備をしていくというようなことになるんじゃないかと思うんです。

 これは十七年ぶりのガイドラインの改定、見直しではありますけれども、十七年前も同じような感じではありました。これは別に今回が初めてではなくて、十七年前、九七年の九月に現行ガイドラインができまして、その後に、九九年の五月に周辺事態安全確保法というものができて、それから、その翌年に船舶検査活動法というものができた。ガイドラインができてから法案ができる、別にこれは、前回もそうだったから今回についてもそういう順番で起きるということについて、できるだけそうならないでほしいとは思いますけれども、それは、相手のあることですから仕方がないというふうに思います。

 だからこそ、今このタイミングで、日米ガイドラインがどうあるべきかということについてはしっかりと我々野党は国会で議論しなきゃいけないんだと思うんです。我々がこのガイドラインの中身についてしっかりと言えるということは、もちろん、日米ガイドラインの中身に関しては、日本の権利なり義務なりを制約するものではないというふうなことは書いてありますので、正直言えば、別に日米ガイドラインで何が決まろうが、国会で違うことが決まったら国会で決まったことが優先になるんでしょうけれども、相手のあることですからなかなかそうはいかないとすれば、今、日米ガイドラインはどうあるべきかということをしっかりとこの国会で審議をしていきたいというふうに考えております。

 そして、日米ガイドラインについて、関連して、まだ時間がございますので質問を続けさせていただきたいと思います。

 まず、幾つかありましたけれども、時間の関係で、ちょっと飛ばしながら質問させていただきます。

 この中間報告の中にありました、序文及び二章、アジアの中で、「アジア太平洋及びこれを越えた地域」の利益というふうにありますけれども、「これを越えた地域」というのが具体的にどこを想定されているのか。大西洋ですとか地中海とか、アジア太平洋以外の全てを意味するのかということに関してです。

 このガイドラインの見直しをされた後では、アジア太平洋地域の外でも、これは本当に全世界的に自衛隊と米軍の防衛協力が進むようになるのか。それとも、超えた地域の利益、世界の全体の利益のために、あくまでもアジア太平洋地域の中での限られた場所でのみ防衛協力というものが行われるというようになるのか。これはいずれなのかということについてお答えいただきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 これまでも、自衛隊は、アジア太平洋以外の地域におきましても、例えば国際緊急援助活動等を実施してきておりまして、その中で、必要に応じまして米軍と協力ということを、そのような活動を行ってきたところでございます。中間報告では、このような実績も踏まえつつ、変化する安全保障環境を踏まえまして、「日米両政府は、より平和で安定した国際的な安全保障環境を醸成するため、様々な分野において二国間協力を強化」しましょうということにしております。

 他方、あらゆる状況におきまして常に協力するということを意味するものではございません。また、あくまでも中間報告の段階でありまして、見直し後のガイドラインの内容というものはまだ決まっておりませんので、今後の作業におきましてさらに検討していくということになっていくわけであります。したがって、具体的にどのような地域でどのような協力を行うかということをあらかじめ特定するということは現段階では困難であるわけであります。

 ただ、中間報告では、変化する安全保障環境というものを踏まえまして、「より平和で安定した国際的な安全保障環境を醸成するため、様々な分野において二国間協力を強化する。」ということとしておりますけれども、あらゆる状況において、先ほども申しましたけれども、常に協力するわけではないということをもう一度御理解していただきたいと思います。

 また、自衛隊の派遣につきましては、我が国といたしまして、みずからの国益に照らして主体的に判断するということは、これは言うまでもないわけでありまして、ですからこそ、自衛隊の活動というものが米軍とともに際限なく拡大していくということは、これは絶対あり得ないというふうに思っております。

三谷委員 今のお答えは非常に心強いものではありますけれども、一方で、ちょっと質問の順番をどうしようかなと今考えているんですけれども、では次に、もう一つだけ進めさせていただきたいと思います。

 この六章の中に、今回の見直しによって、「地域の及びグローバルな平和と安全のための協力」を行うものとし、日米が国際の平和と安全に広く寄与するというふうにされておりますけれども、この中には国連という枠組みというものは触れられていない。そして、そういう中で、日本の安全に直結しないというようなものに関しても日米二国間で協力する姿勢を明確にしたというふうにも理解できるんです。

 これは日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインの中の範囲を超えることになるんじゃないかということについて御認識を伺いたいと思います。

黒江政府参考人 中間報告で触れております六章の内容に関連してでございますけれども、先生御指摘の、国連につきましては、他方で平和維持活動等の記述もございますので、決して、国連との協力といいますか、国連を念頭に置いていないということではないということでございます。

 また、さまざまな場面で、先ほど大臣からもありましたけれども、グローバルな活動ということで、インド洋でありますとか、あるいはハイチでありますとか、海賊対処であるとか、日米が共同してさまざまな活動をこれまでもやってきておりますので、そういった実績をも踏まえた記述であるということで御理解をいただければと思います。

三谷委員 もちろん、国連というものに触れられていないわけではないというのは私も承知をしておりますけれども、国連の枠組みのもとでですとか、そういったことであればわかりやすいんだろうと思うんですが、それ以外のところにも今回のガイドラインの見直しが及んでいきかねないというような懸念というのはやはり拭い去ることはできない。

 それはなぜかといいますと、そもそもの序文の書き方が非常に私は危惧があるところでございまして、どう書いてあるかというと、今回の指針の見直しというものは、「日米両国の戦略的な目標及び利益と完全に一致」するというふうに書いてあるわけであります。

 つまり、今回のガイドラインで、見直されました、いろいろ内容が変わりましたといったら、今、江渡大臣が、日本の国益に即していないものについては対応しないよと。と言うのは、我々の立場としては言うのは当たり前なんです。

 しかしながら、アメリカさんは何と言ってくるか。書いてあるじゃないか、今回の見直しによって認められた行動というのは、それは日米両国の戦略的な目標及び利益に完全に一致するんですよと。だからこそ、今回の事態について米軍に協力しないということが、ここのガイドラインの見直しのそもそも序文に書いてあることと違うじゃないかというふうに言われる可能性がこれはあります。

 だからこそ、この序文の書き方というのも、これは何らかの留保とか条件とかをつけるべきじゃないか。つまり、両国の目的とか目標とか利益が完全に一致するなんということはないわけですから、ここの書き方について見直される考えはないか、お答えいただきたいと思います。

黒江政府参考人 具体的な記述でございますのでちょっと私の方から御説明申し上げますが、ここで申し上げておりますのは、必ずしも日米両国の戦略的利益そのものが一致をしておるということではなくて、今回見直そうとする指針、見直しの方向性が、我々の戦略的利益あるいは米国の戦略的な利益とそれぞれ一致しておる、そこのところで一致しておる、まずそういう前提がございます。

 その上で、これも先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますけれども、日本は、日本の主体的な判断で、協力のあり方、あるいは何を協力するのかというのを決めていくということを申し上げておりますが、そういった趣旨は、三章の「基本的な前提及び考え方」のもとで、「日米両国の全ての行為は、各々の」「国家安全保障政策の基本的な方針に従って」判断される、そういう記述も含めてございますので、決して先生が御懸念なさるようなそういう内容ではないということはぜひ御理解いただければと思います。

三谷委員 ガイドラインの中身につきましてはまだまだいっぱい質問させていただきたい点はございますけれども、ちょっと時間の関係もありますので、話を別のところに移させていただきます。

 もう一点だけ質問したいと思いますけれども、我が党の、みんなの党の代表の浅尾慶一郎が今回の代表質問の中でさせていただいた点に関して、改めて確認をさせていただきます。

 日本が今国連の常任理事国に入るべく、いろいろな、さまざまな活動をされているということは、私も元来からそうだと思いますけれども、その際に、やはり、集団安全保障というものにどのように向き合っていくのかということは考えていかなきゃいけないわけです。

 集団安全保障には参加しません、でも集団安全保障に関して決議します、そして、いろいろな方がいろいろなことをして、それに基づいて動く、でも日本だけは指をくわえて見ています、これで果たして本当に世界の信用なり支持が得られるのかどうか。

 せっかく集団的自衛権の話がこれだけ議論されている昨今でございますから、この集団安全保障、これは国連を通じた枠組みですから、集団的自衛権よりもより理解されやすい話なんだと思うんです。その集団安全保障をより前向きに認めていくということについての、これは外務大臣なのかと思いますけれども、決意といいますか、御理解を、御認識をいただきたいと思います。

北村委員長 外務大臣、時間が来ておりますから簡潔に。

岸田国務大臣 まず、先般の閣議決定に基づく安全保障法制の整備が行われた場合、新三要件を満たせば、憲法上、我が国による自衛の措置としての武力の行使が許容されるということになります。このことは、国際法上の根拠が集団的自衛権となる場合でも、あるいは集団的安全保障となる場合においても、これは変わらないと考えています。

 そして、我が国は、御指摘のように常任理事国入りを目指しています。安保理改革に積極的に取り組んでいこう、来年、国連創設七十周年という年を目標に努力をしていこうとしているわけでありますが、その際に、我が国としましては、積極的平和主義の観点から、地域あるいは世界の平和、安定、繁栄にこれまで以上に貢献していこうという姿勢を示しています。

 安保理改革に当たっては、我が国として何ができるのか、どんな貢献ができるのか、これをしっかり説明しながらこの安保理改革に臨んでいかなければならない、このように考えます。

三谷委員 以上です。ありがとうございました。

北村委員長 以上をもちまして三谷君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十三分散会


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