衆議院

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第6号 平成26年11月7日(金曜日)

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平成二十六年十一月七日(金曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 北村 誠吾君

   理事 小野寺五典君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 武田 良太君

   理事 谷川 弥一君 理事 津村 啓介君

   理事 足立 康史君 理事 佐藤 茂樹君

      岩屋  毅君    門山 宏哲君

      菅家 一郎君    笹川 博義君

      島田 佳和君    瀬戸 隆一君

      武部  新君    津島  淳君

      東郷 哲也君    中谷 真一君

      野中  厚君    浜田 靖一君

      原田 憲治君    武藤 貴也君

      務台 俊介君    山田 賢司君

      大串 博志君    大西 健介君

      三木 圭恵君    村岡 敏英君

      伊佐 進一君    中丸  啓君

      三谷 英弘君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   防衛大臣         江渡 聡徳君

   外務副大臣        中山 泰秀君

   防衛副大臣        左藤  章君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   国土交通大臣政務官    青木 一彦君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         樹下  尚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鈴木  哲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鈴木 秀生君

   政府参考人

   (水産庁次長)      香川 謙二君

   政府参考人

   (海上保安庁海上保安監) 鈴木  洋君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 塚原 太郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  今津  寛君     津島  淳君

  大野敬太郎君     島田 佳和君

  勝沼 栄明君     瀬戸 隆一君

  笹川 博義君     山田 賢司君

  三木 圭恵君     村岡 敏英君

同日

 辞任         補欠選任

  島田 佳和君     務台 俊介君

  瀬戸 隆一君     武部  新君

  津島  淳君     今津  寛君

  山田 賢司君     笹川 博義君

  村岡 敏英君     三木 圭恵君

同日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     勝沼 栄明君

  務台 俊介君     菅家 一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     大野敬太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長樹下尚君、外務省大臣官房審議官下川眞樹太君、外務省大臣官房審議官鈴木哲君、外務省大臣官房参事官鈴木秀生君、水産庁次長香川謙二君、海上保安庁海上保安監鈴木洋君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房衛生監塚原太郎君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省人事教育局長真部朗君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 本日、給与法の審議をさせていただきますが、まず冒頭、与党のお時間をいただきまして質問の機会をいただきましたこと、御礼申し上げたいと思います。

 安保環境が厳しさを増していく中で、まさしく第一線で命を張って、この日本の国土と、また日本人の命を守ってくれている、また、東日本大震災を初めとしたさまざまな災害、日本はこの災害のフェーズが変わってしまったというふうにも言われておりますが、頻発する災害の中で、現場で必死に活動していただいている、こうした自衛官の処遇をどう考えていくのかというのは、国会においても重要なテーマであると思っております。

 以下、質疑に入らせていただきます。

 まず、この給与法、自衛官の給与というのは、一般職国家公務員の給与改正に準じて、とりわけ近い警察官の俸給表の改定に準じて行われる。今回の法改正では、平成二十六年度は〇・四%アップ、二十七年度は、このアップした分を打ち消すかのようにマイナス一・六%という状況になっております。

 このマイナスの理由というのは地域間の格差の是正だということです。つまり、民間の賃金は都市部と地方との間で地域間の格差がある、この格差に合わせて、国家公務員あるいは自衛官の給与もその格差をしっかりと設けるという趣旨だと理解しております。その結果、平均一・六%、今回給与が下がったということです。

 問題は、この平均マイナス一・六%なんですが、特にこれは、伺うと、東北地方とか九州とか、ここは大体二%ぐらい下がるというふうに伺っております。

 自衛隊の皆さんの職場は地方の方が多いわけです。一般職の国家公務員と違って、半分以上が地方という中で、まさしく今の日本の自衛隊は、地方の現場の隊員が今の自衛隊を支えていると私は理解しております。

 この中で多くの自衛官の給与が引き下げられたということになるわけですが、頻繁に異動される自衛官の皆さんが、まさしく都市部と地方の格差が広がっていくことによって、どういう影響を受けるのか。よく引っ越し貧乏というふうにも言われますが、この格差が拡大していくと、自衛官の皆さんがなかなか地方に行きにくくなる、異動しにくくなる、そう思います。

 そこで質問なんですが、今回の俸給の改定で、地域によってはまさしく大幅に下がるところがある。この地域、激変緩和措置とか、あるいはこうした影響を抑えるため、何らかの措置が行われるのかについて伺いたいと思います。

真部政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の改正は、今御指摘のとおり、一般職の給与制度の総合的見直しによります改定、これに準じまして、平成二十七年度以降の俸給月額を引き下げる一方で、地域手当の引き上げなどを行うものでございます。

 地方におきまして勤務しておる隊員の生活への影響、これを考慮いたしまして、今回の改正では、俸給の引き下げによる激変緩和のために、三年間の現給保障措置をまず講ずることとしております。

 それに加えまして、広域的な異動を行う隊員に対する広域異動手当、それから、同様の、異動に伴う単身赴任手当、こういったものの大幅な改善を図ることとしておるところでございます。

 これらによりまして、地方の現場で頑張っている隊員の処遇が低下しないように配慮をいたしておるところでございます。

 これらによりまして、先ほども御指摘がありました、地方への円滑な人事異動あるいは適切な人材配置の確保が期待できるものというふうに考えておるところでございます。

伊佐委員 現場の自衛官は、本当に職場では極度の緊張の中で、特に、今第一線にいらっしゃる方々というのは本当に切れ目のない緊張の中で任務を遂行していらっしゃるわけですから、せめて生活環境だけでも安心できるような配慮をお願いしたいと思います。

 さて、この生活環境という意味で、もう一点、宿舎について。

 昨年来より議論になっておりますのは、自衛官の宿舎の問題でございます。本年四月から、一般職の国家公務員の官舎が二倍弱引き上げられました。賃金が引き上げられました。官舎の値段が引き上げられました。これは、各地の、それぞれの地域地域の家賃と比較して、その格差を埋めるという趣旨だと理解しておりますが、果たして、自衛官の宿舎も二倍程度引き上がって、本当に任務に支障を来さないのかというところが議論になっておりました。

 というのは、先ほど申し上げたように、一般職国家公務員における宿舎と自衛官における宿舎というのはちょっと意味合いが違うんじゃないか。一般職の国家公務員というのは七割ぐらいが都市圏に住んでいらっしゃいます。自衛隊員は、半数以上が先ほど申し上げたように都市部以外ということですので。

 自衛隊員は、事が起これば、あるいは何か災害が発生すると、緊急に参集する必要がある。つまり、職場に近いところに住む必要があるわけです。そうでないと、即時の対応性といいますか、こういうものが担保されない。

 もし宿舎の家賃が二倍弱に引き上げられると、例えば、では、こんな高いんだったら、同じぐらいの家賃でもっと便利なところ、もっと駅に近いところとか、多少駐屯地から離れたとしてもいい場所があるやないか、こういうことになるかもしれません。そうすると、宿舎から出て駅前の賃貸にという方々もいるかもしれない。これで本当にいいのかという議論があったと思っております。

 もちろん、自衛隊員の皆さんの生活のしやすさでありますとか住みやすさとか、こういうものも当然考慮しなきゃいけないと思うんですが、こうした点も配慮した上で、自衛隊の即応態勢をどうやってしっかりと維持していくのかという点、これは配慮が必要ではないかという議論があったと思いますが、果たしてどういう措置がとられたんでしょうか。

真部政府参考人 今の御質問にお答えいたします。

 平成二十五年十二月、昨年の十二月に財務省から公表されました「国家公務員宿舎使用料の見直しについて」、こういった文書がございます。これにおきまして、宿舎使用料が引き上げられることとなります一方で、災害発生時の即応態勢を確保するため、無料宿舎について、自衛隊の駐屯地などからの距離要件が、従来、それ以前の百メートル未満、これから、おおむね二キロメートル以内に拡充されたところでございます。

 これを踏まえまして、防衛省におきまして、即応態勢確保のために、そのおおむね二キロメートル以内の居住を義務づける対象者、これを平成二十六年度より約一万三千人に拡大をいたし、順次、その対象者に対する宿舎の無料化、これを進めているところでございます。

 この即応態勢の関連では、中期防の期間中でございますが、これは平成二十六年度から三十年度まででございます、この間に、さらに緊急参集体制を見直しまして、無料宿舎の拡大にさらに努めていきたいというふうに考えているところでございます。

伊佐委員 この無料宿舎の制度、即応態勢を維持するためのこういう制度をしっかりと措置しましたということ、それ以外にも激変緩和措置というのもとっていただいているというふうに伺っておりますが、本当にこういった措置で今の即応態勢をきちんと維持できるかどうかということについては、引き続き状況をしっかりと見守っていただければと思います。

 この自衛官の処遇という議論、処遇の議論をすると、いつも私は思うことがありまして、それは、防衛省の職員の業務というものと一般職の国家公務員の業務、これは比べると余りに特殊要因が多いんじゃないかというふうに思います。

 例えば、自衛官の方々は、昼夜の別がない、いつ事態が発生するかわからないとか、あるいは地方に職場が多いであるとか、任務でも危険を伴う特殊な任務がある。あるいは、定年だって一般の国家公務員よりも早いわけですから、早く定年して、では退職手当をどうするかという議論があったり。超過勤務手当もありません、休日給もない、夜勤手当も宿直手当もない。

 こうやって考えてみますと、一般職の国家公務員、今同じ給与体系を使ってやっています。改定についても、準じた形で改定が行われるということになっておりますが、本当に一般職国家公務員に常に準じる形でいいのかという議論もあると思います。

 これは根本的な質問なんですが、防衛省職員の給与体系、今後も一般職国家公務員と同じ体系で、準じる形で改定を行い続けるかどうかについて伺いたいと思います。

原田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 今先生から、現場の自衛官に対して、本当に温かい、配慮ある御質問をいただきました。ありがとうございます。

 これまで、給与改定におきましても、官民比較に基づきました人事院勧告を尊重した一般職国家公務員の給与改定に準じることで、給与制度の信頼性、公平性を確保してまいりました。これに加えて、自衛隊の独自の任務の特殊性を踏まえて諸手当を設けさせていただいております。

 防衛省職員の給与体系については、引き続き、人事院勧告を尊重し、一般職国家公務員の給与改定に準じることを基本としつつ、その任務の特殊性等を踏まえ、適切な措置となるよう努力をしてまいりたいと思います。

伊佐委員 今の御答弁は、今の体系のままでしっかりやりますという御答弁だったと思いますが、私の懸念を申し上げましたが、もし本当にそうであるなら、この特殊性というものはしっかりと考慮していただいて、その重要な任務と責務、責任というものに見合った処遇となるように御努力を続けていただければと思っております。

 さて、今回、この質問の機会をいただきました。このタイミングで、ちょっと別に確認をしておきたいことがございます。それは何かと申し上げると、安全保障分野における宇宙、宇宙利用の問題です。

 宇宙の分野では宇宙基本計画というものがありまして、これは、昨年一月に、総理がヘッドになっている宇宙戦略本部というところで一月にまだ策定されたばかりなんです。

 ところが、これは今、改定作業中、この十二月にはまた改定が行われるということなんですが、これはなぜかというと、九月に総理から指示がありました。今現在の外交、安保環境というものが急速に変化をしている、この変化に対応するために宇宙基本計画も書き直すようにという指示を政府にされまして、その中で今作業を進めている。実は、ちょうどあしたから中身が公開されてパブリックコメントに供されるというふうに伺っております。

 少し資料を配付させていただきました。見ていただくと、概要、この概要は公開してもいいということですので本日配付をさせていただいておりますが、内容を見ますと、新しい、新宇宙基本計画、これは安全保障にかなり重点を置いているものになっていると思います。

 例えば、二ポツの宇宙政策の目標というものを見ていただくと、上位の目標を二つ並べていますが、最初の一つが、まず宇宙安全保障、半分ぐらいが安全保障が目的だということになっております。その下の三ポツのところ、基本的なスタンスというところを見ていただいてもはっきりと書いています。宇宙安全保障の確保というものが重点課題だと書いてあります。

 次のページを見ていただいても、四ポツ、具体的にどういう政策をやるか、一番上にだあっと並んでおります、宇宙安全保障と民生分野。この四ポツに書かれている具体的な政策を見ましても、これまで安全保障というのは柱の一つ、地球観測とか測位とか、あるいは防災とか通信とか資源探査、さまざまな柱のあるうちの一つが安全保障だったんです。ところが、今回、この新しい計画では、一つの柱が安全保障で、それ以外は全部ひっくるめて民生分野だという書き方になっております。

 これまで日本の宇宙開発利用の歴史をずっとひもといてみましても、日本は、ずっと長らく宇宙の平和利用というものに軸足を置いてまいりました。平成二十年の宇宙基本法で一般化理論というものを出して、いわゆる安全保障の分野でも最先端の技術を使ってもいいですよというふうに解禁を平成二十年にされたわけですが、こうして安全保障の範囲というのが宇宙の世界でも拡大をされていく。

 これは、こういう声もあるんです。果たしてどこまでこれは拡大されていくんだろう、宇宙の平和利用というのは本当に大丈夫かという、御懸念の、心配される声も伺っております。

 そこで、大臣に確認をさせていただきたいんですが、この宇宙開発利用の中で、確かにこれまで安全保障というのはぽっかり穴があいていたわけです。そこを埋めなきゃいけない。私もそう思います。これをどうやって埋めていくのか、この努力はしなきゃいけないと思います。同時に、その上で、我が国が守らなければならないラインというものもあると思っております。防衛省は、宇宙とかかわっていく中で、宇宙の平和利用、すなわち日本国憲法の平和主義の理念は外さない、つまり、どこまでいっても専守防衛に徹するんだというこの点について、大臣、確認をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員はこの件につきまして十二分に御理解の上での御質問だと思っておりますけれども、改めてお答えさせていただきたいと思うわけであります。

 宇宙基本法におきましては、日本国憲法の平和主義の理念にのっとりまして、安全保障分野における宇宙開発利用を推進するためには必要な施策を講ずることとされておりまして、防衛省といたしましても、この理念にのっとりまして、宇宙開発利用に関する各種施策というものを推進させていただきたいというふうに考えているところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 日本国憲法の理念にのっとってというお話、つまり専守防衛でやっていくということを理解させていただきました。

 では、防衛省は、こうしてプレーアップされた宇宙基本計画の中の安全保障で何を具体的にやっていくのかということなんですが、次の資料を見ていただきますと、これは防衛省の宇宙関連予算の推移というものです。

 これは、先ほど申し上げた平成二十年から、つまり、宇宙基本法で安全保障の世界でも一般化理論を出して軍事利用が可能になったという、軍事の利用が拡大してからの推移をずっと防衛省が並べていただいておりますが、平成二十七年度、一番右の概算要求を見てみますと、三千七十三億円の要求をしている。これを見ると結構頑張っているんだなというふうに見えるわけですが、でも、実は、これは中身を見てみますと、そうでもない。

 下のオレンジの部分、ここは三千七十三億円のうち、実はほとんどの二千六百五十三億円、これはBMDです。BMDといっても、SM3とかブロック2Aとかこうした研究開発、こういうものじゃなくて、このBMDに計上されているのはイージス艦の本体の予算も入っているわけです。これが宇宙予算に計上されている。BMDのレーダーとかあるいはシステムならまだわかるんですが、「あたご」の本体の予算まで入って宇宙予算だということになって、これだけ宇宙で頑張っていますというふうに見えてしまう。

 では、残り四百二十億円、この四百億円強の中身は何かというと、例えば、上から二つ目は衛星通信とか、三つ目は画像情報等というふうに書いてあります。中身は、例えば海外の人工衛星が撮った画像情報、こういうものを買う支払いが入っていたりとか、あるいは通信の世界も、通信衛星との契約で使わせてもらっている、そこの部分、使用料として払っている部分、こういうものが入っています。つまり、単なる海外に対する支払いという部分も実は入っております。

 私がこれを見ていまして本当に宇宙関連と思うものはどこかというと、恐らく、Xバンドの部分と、一番上の黄色の調査研究というところぐらいじゃないかなと思います。

 今、宇宙基本計画の中で、宇宙の目標は、こうして大きく安全保障というものが掲げられたわけですが、私が少し心配なのは、こうやって、計画の上では安全保障はしっかりやるぞやるぞという姿勢を見せておいて、周辺諸国の警戒心だけをあおっておいて、実際、中身は何もない、何も物事は進んでない、これは一番しちゃいけないパターンじゃないかなと思っております。本来であれば逆で、余り無用な警戒心は与えちゃだめだ、与えない中で、それでいて、しっかりと、いざというときの備えを着実に行っていくということが重要ではないかと思っております。

 そこで、今の安全保障の世界、宇宙の世界ではどうも逆になりつつあるんじゃないかという懸念が私にはあるわけですが、ぜひ大臣に払拭していただければと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 防衛省といたしましては、国家安全保障戦略あるいは防衛計画の大綱等の政府の長期的な指針のもとにおきまして、この宇宙開発利用に関する各種施策というものを推進していくこととしておりますけれども、人工衛星を活用した情報収集能力とか、あるいは指揮統制・情報通信能力というものを強化するための取り組みということを実施しております。

 具体例を申し上げますと、委員御指摘の、民間運用の現行Xバンド通信衛星三基のうちの二基の設計寿命の到来に伴いまして、後継衛星二基を初の防衛省所有の衛星として整備中でありまして、平成二十七年から二十八年度に打ち上げする予定でございます。

 また、宇宙空間から、我が国に飛来する弾道ミサイル発射の兆候や発射情報等により早期に察知、探知する可能性について研究するためにおきまして、赤外線センサーの宇宙空間での実証研究を行うための経費というものを平成二十七年度の概算要求に計上しているところでございます。

 防衛省といたしましては、これらの施策を初めとする宇宙開発利用というものを、関係府省庁とも連携しながら推進していきたい、そのように考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 Xバンド衛星の三基目の話であるとか、あるいは早期警戒に資するような衛星の開発であるとか、まさしく安全保障の世界での研究開発というものもしっかりと進めていただければと思っております。

 時間が参りましたので、そろそろ、一問飛ばさせていただきます。

 最後の質問ですが、防衛省内の体制について伺いたいと思います。

 申し上げましたように、この宇宙基本計画の中で、大きな柱として安全保障というものが打ち立てられました。

 今回、これは、防衛省の方に、私、事前にレクに来ていただいていろいろ説明を受けたんですが、ちょっとふと聞いてみたんです。今、この防衛省の中で宇宙を担当している人というのはどれぐらい、何人ぐらいいらっしゃいますかと聞いてみました。

 宇宙というのは、御存じのように、これまで陸海空があって、これからサイバー、宇宙、こうしたグローバルコモンズと言われるような戦略空間、こういうものが非常に注目をされていまして、私は先日の安保委員会の中でサイバーの質問はしたんです、どれぐらいの体制でやっていますかと。まだ九十人しかいません、アメリカより二桁少ないんですという話で、これからしっかりふやしていきます、こういう答弁もいただいたわけですが、サイバーで九十人。では、宇宙は何人でやっているかと聞いたら、四人だと伺いました。これはあんまりだなと思っております。

 これは、資料を最後につけさせていただきましたが、アメリカの運用を見ていると、こんなしっかりした組織があるわけです。DODの中で、宇宙の中にもいろいろな部門を設けていまして、さまざまな体制をしっかりとつくって取り組んでおるわけですが、このアメリカの組織と比べても、我が国は比ぶべくもないわけですが、今の状態のままではちょっとあんまりだと思います。

 ぜひ、この宇宙安全保障の確保というものに向けて、防衛省内の体制を充実させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 防衛省といたしましては、宇宙空間の安定的利用のためには、宇宙監視機能の保持というものが必要であるというふうに認識しているところでございます。

 宇宙物体を追跡するために必要なセンサーとか解析システムなどの整備を目指して具体的な検討を進めるとともに、宇宙監視を任務とする専従の組織を設置できるように、今現在検討を進めているところでございます。

 現時点で具体的な機能保持の形態というものはまだ決まっておりませんけれども、今後、早期の機能保持に向けまして、関係府省庁等と連携しながら鋭意検討を進めさせていただきたい、そのように考えております。

伊佐委員 しっかりと充実した体制をつくっていただければと思います。

 少しまだ時間がありますので、簡単に一問だけ質問させていただきますと、ASAT、アンタイサテライト、つまり、衛星破壊であったりとか、あるいは衛星の機能を喪失させる、そういった行為、これをどうやって規制するかということですが、今、宇宙の軍事利用といってもなかなか、ASATをどういうふうに我が国は取り組んでいくかについて、最後、質問させていただければと思います。

北村委員長 時間がないので簡潔に。黒江防衛政策局長。

黒江政府参考人 ASATに関する御質問でございますが、この点につきましては、まず、監視をするということが最も大事であるということが我々の考え方でございまして、昨今、先生御存じのとおり、宇宙ごみの増加といったようなこと、あるいは衛星に対して機能を失わしめるような行為といったものがあるわけですが、こういったことに対して監視の体制をつくっていく、さらには、衛星の例えば通信妨害といったものに対して抗堪性のあるようなシステムをつくっていく、そういうことが大事だと認識しております。

 ですので、我々といたしましては、今年度、宇宙監視ということでは、内閣府さんあるいは文部科学省さんと共同で、宇宙監視システムの導入可能性の調査といったものを実施する等々の努力を払っておるところでございます。

伊佐委員 終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。おはようございます。

 きょうは給与法の質疑ではありますけれども、我が国の安全保障にも関連する喫緊の課題として、小笠原諸島周辺海域での中国のサンゴ船の問題について、まず冒頭お聞きをさせていただきたいと思います。

 太田国土交通大臣は、四日の閣議後記者会見で、台風で漁船が小笠原諸島に避難した場合でも上陸はさせないというふうに述べられました。皆さんのお手元に新聞記事を配付させていただきましたけれども、これは正確ではないというふうに思いますが、見出しは「サンゴ漁船入港を拒否」と書いてあります。

 ただ、これもつけておいたんですけれども、次のページでありますけれども、外国人漁業の規制に関する法律というのがあります。この第四条を見ますと、海難を避け、航行や人命の安全のために必要と寄港の申請があった場合には、これを許可しなければならないということであります。ということになれば、もしそういう、遭難しそうだから寄港させてくれという申請があれば、これは、この法律によれば許可しなきゃいけないんじゃないか。

 それから、実際、きのうですけれども、周辺海域に暴風波浪警報が出たということで、海上保安庁は、十三隻の中国船に対して、日本の領海内に一時的にとどまることを許可したということであります。これは緊急入域というらしいんですけれども、つまり、人道上の見地から、緊急避難上必要だということになれば、ある種、合法的に日本の領海内に中国船がとどまったりとか、今回はそういうことはありませんでしたけれども、遭難しそうだから寄港させてくれと言われれば、これは寄港を認めざるを得ないというのが現在の法制度ではないかというふうに思いますが、これを海上保安庁に確認をさせていただきたいと思います。

鈴木(洋)政府参考人 お答えいたします。

 国際慣行として認められるものとして、緊急入域というものがございます。船舶が、荒天遭遇、船体もしくは機関の損傷、乗船者の傷病その他の緊迫した危険な状況にある場合、これを回避するため、緊急措置として、外国の領海または内水に入域するものであり、これが国際慣行として認められております。

 議員御指摘のとおり、今般、台風二十号の通過に際し、中国サンゴ漁船が小笠原諸島の領海内へ入域したのも、この緊急入域によるものでございます。

大西(健)委員 残念ながら、今の御答弁のとおりだというふうに私は思うんですね。

 何を言いたいかというと、普通、台風が来ることがわかっていて漁に出るということは、私はないんじゃないか。つまり、今回、台風が来ることがわかっていてこの海域で漁をしていて、そして緊急避難ということで実際に日本の領海内にとどまったという既成事実ができてしまった。今回は寄港するということはありませんでしたけれども、そういう、合法的に領海内にとどまったりとか寄港するということを、ある種、つくるというのが目的だったのではないかと考えることも私はできるんじゃないかというふうに思います。

 それから、二百隻もいれば、幾ら宝石サンゴの値段が高騰していて、一獲千金を狙うといっても、二百隻全部が宝石サンゴをとれるわけじゃありませんから、それから、大変遠いところから船が来ているわけですから燃料代も非常にかかっていると思います。そうなると、これは私は、本当に漁が目的で来ているのだろうかと疑うのがある種自然なのではないかというふうに思うんですね。

 これは、日本の海上警備体制への挑発といった別の意図を持って来ているんじゃないかと考えるのも不思議じゃないというふうに思うんですが、きのう、我が党でも合同部門会議でこの話を聞かせていただきました。そのときに私は同じようなことを外務省の事務方に聞いたんですけれども、外務省からは、今のところはこれは漁を目的としているというふうに見ているということでありましたけれども、本当にそれでいいんだろうかというふうに思うわけであります。

 きょうは中山外務副大臣に来ていただいていますので、政治家として、これは本当に漁に来ているだけなんだという見方でいいのかどうなのか、答弁をお願いしたいと思います。

中山副大臣 ありがとうございます。

 まずは、小笠原諸島周辺海域等で多数確認されております中国船の活動につきましては、関係省庁とも密接に連携をして対応いたしております。

 まず、現時点において、当該中国船について、サンゴの採取以外の目的で活動していると断定できる情報に接していないというのが事実であります。

 いずれにしましても、中国のサンゴ船が我が国領海や排他的経済水域において違法に操業することはまことに遺憾であり、到底認められない問題であるというふうに思います。

 こうした観点から、外務省におきましては、現場海域で取り締まりに当たる、先ほど答弁もあった海上保安庁また水産庁等関係省庁と密接に連携をし、中国政府に対して、事態の改善に向けた迅速かつ実効的な対応を求めるべく、中国国内における取り締まりの強化また再発防止を粘り強く申し入れていくという考えであります。

大西(健)委員 政治家としての答弁を期待していたんですけれども、なかなか表向き言うのは難しいのかもしれませんが、二百隻も押し寄せている、これが本当に漁が目的なのか。漁が目的であれば、別にこの安保委員会で取り上げる話じゃなくて、密漁の話ですから農水委員会でやればいい話であって、私はやはり、これは日本の安全保障にかかわる問題だと思っているからこそここで聞かせていただいているんですけれども、もう少しでも踏み込んだ御答弁がいただけると思ったんですが、残念であります。

 次の記事をごらんいただきたいんですが、江渡大臣が本件に関して、同じく四日の記者会見で、今の状況で自衛隊がどうのこうのするということは一切ないというふうにおっしゃっています。ただ、同時に、どうしてもということがあれば今後の検討課題になるということを述べられたということにこの記事はなっているんです。

 そこで、江渡大臣にお聞きをしたいんですが、大臣の言われている、どうしてもという事態というのは、具体的にはどういうケースを想定されているのか。こういうふうになればこれは自衛隊が出ていくことも検討しなければならないんじゃないかということは、一体どういう事態を想定しているのかということについて、御説明をいただきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、委員も御理解されているとは思いますけれども、領土、領海の治安の維持につきましては、警察や海上保安庁が第一義的な対応の責任というものを有しているわけであります。また、海上における外国漁船の監視や取り締まりにつきましては、水産庁及び海上保安庁等において実施しているものというふうに私自身は承知しております。

 その上で、一般論として申し上げれば、自衛隊は、警察機関では対応が不可能または著しく困難である場合等においては、海上警備行動等の発令を受けまして、警察機関と緊密に連携して対処するということになるわけであります。

 しかしながら、現時点で個別具体的な対応につきましては予断を持ってお答えするということは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊といたしましては、今後ともこの状況というものを十二分に注視してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

大西(健)委員 第一義的には自衛隊の話でないということは私はわかった上でお聞きをしているわけです。

 例えば、海上警備行動、日本海で北朝鮮の船を追うのに当たって、海上保安庁の船ではスピードが足りないので自衛隊の海上警備行動が発令された事例もありますけれども、まさに、今、予断を持って具体的なことは答えられないということですけれども、私は、まさにこれは安保委員会で審議しているわけですから、大臣自身がこの記者会見で、今は自衛隊を出すことを考えていないけれども、そういう事態が生じたらそれも検討しなければならないと答えておられるわけですから、では、一体どういうふうになったら自衛隊を出すのか。これは、もう少し、ちょっと踏み込んで答えていただけないでしょうか。

江渡国務大臣 再度、繰り返しの答弁になるかもしれませんけれども、一般論として申し上げますと、自衛隊は、警察機関では対応が不可能または著しく困難である場合におきましては、海上警備行動等の発令を受けまして、警察機関と緊密に連携して対処するということになろうかというふうに考えております。

大西(健)委員 残念ながら、こういうふうになったらということをお答えいただけないわけですけれども、まさに、そういうことがあれば検討すると大臣はお答えいただいておりますので、そのときが来たら、しっかりとそのことも検討していただきたいというふうに思います。

 本日の議題である給与法ですけれども、この給与法自体は、先ほど伊佐委員の質問にもありましたけれども、人勧に伴って一般職給与法並びで防衛省職員の俸給月額等を改定しようとするものであって、私は、基本的には問題ない法案だというふうに思っています。

 強いて言えば、昨今、我が国の周辺の安全保障環境が非常に緊張の度合いを高めている、あるいは、御嶽山の救援活動でも大変自衛隊の皆さんに御活躍をいただきました。こういう形で自衛隊の負担がどんどん増していく中で、これも伊佐委員からも御指摘があったように、そもそも、自衛官の給与や待遇について、民間準拠を基本にしている一般職の給与法に準じる形で改定をしていくやり方そのものがこのままでいいのかということは、私も全く同じ思いがしております。

 そうした中で、危険を伴い、厳しい訓練にも耐える必要のある自衛官の募集というのも今大変難しい環境にあるんだというふうに思います。

 そこで、募集についてちょっとお聞きをしていきたいんですが、次の新聞記事というのをごらんいただきたいと思います。

 これは、ことしの七月、ちょうど集団的自衛権の行使容認に関する憲法解釈の見直しが閣議決定されたと同じ時期に、高校三年生の家庭を中心に、一斉に自衛官募集のダイレクトメールが発送されたということが話題になりました。

 次に、雑誌記事もつけていますけれども、そこに線を引いておきましたけれども、これはネット上の話ではありますけれども、これに対して、おかしいやろ、このタイミング、これが赤紙と呼ばれるあれか、集団的自衛権で志願者が減っているのかといった書き込みが相次いだということであります。

 これは、たまたまタイミングが偶然一致しただけだということではありますけれども、最初の方の新聞記事ですけれども、このダイレクトメールは住民基本台帳の情報をもとに発送されているということが明らかになりました。全国の七割以上の市町村、特別区が、適齢者、ちょうどその年齢に達する、高校三年生の年齢に達する人々の名前、生年月日、住所、性別、こういったものを、住民基本台帳の情報を自衛官募集のために抽出、閲覧、場合によっては紙媒体で提供していたということがわかっております。

 そこで、自衛官募集に関して、住民基本台帳の個人情報をどのように利用しているのか、その実情を御説明いただきたいのと、個人情報保護との関係で、こうした利用が問題ないと考えておられるのかどうかについてお聞きをしたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 自衛官等の募集に関して必要な募集対象者個人の情報、氏名、出生の年月日、あるいは男女別及び住所等につきましては、自衛隊法の第九十七条第一項及び自衛隊法施行令第百二十条の規定によりまして、法定受託事務を根拠といたしまして、市区町村から当該情報に関する資料の提出を得まして、自衛官及び自衛官候補生の募集に利用させていただいております。

 また、自衛隊法二十九条第一項及び第三十五条を根拠とした自衛官等の募集事務の遂行のために、住民基本台帳の一部の写しの閲覧を通じまして当該情報を得ておりまして、自衛官、自衛官候補生、陸上自衛隊高等工科学校生徒等の募集に利用させていただいております。

 具体的には、当該情報というものは、自衛官等の各募集対象者に対しまして個別に文書による募集を行うなどの方法によりまして、自衛隊法に基づく自衛官等の募集事務の遂行のために利用させていただいているというところでございます。

 なお、取得させていただいた個人情報につきましては、規則に基づいて適正に管理させていただいておるところでございます。

大西(健)委員 今の御答弁のとおり、これは自衛隊法の定め、それから法定受託事務ということで自衛隊員の募集に使っているということなんですけれども、ただ、おっしゃったように、閲覧は、それはいいと思うんですけれども、適齢者の情報を抽出して、それを紙媒体で渡すというのはちょっと行き過ぎではないのか。

 それから、それはぎりぎり許されるかもしれないんですが、この適齢者として収集した情報の中に中学生の情報が含まれている、中学校三年生の情報が含まれていると。先ほどの大臣の答弁にもあったように、これは自衛隊員の募集のために使うという名目で、法定受託事務として自治体にお願いしていることですけれども、先ほど答弁の中にもちょっと陸上自衛隊工科学校という言葉が出てきましたけれども、この工科学校の、学校の募集というのは自衛隊員の募集ではないですよね。

 そういう意味では、中学生の情報というのは、これは一体この工科学校の募集に使っているのか。それから、その場合には、自衛隊員の募集ではないので、これは法的根拠がないんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 防衛省におきまして、陸上自衛隊の高等工科学校生徒の募集のために、中学生の保護者に対して個別に文書による募集を行うなどの方法によりまして、中学生についての必要な情報というものを利用させていただいているところでございます。

 中学生につきましては、自衛官及び自衛官候補生の募集対象者ではありませんけれども、防衛省は、自衛隊法第二十九条の規定に基づき、陸上自衛隊高等工科学校生徒の募集を行っているところでございます。

 当該募集というものは、住民基本台帳法第十一条第一項に規定する閲覧請求要件、「法令で定める事務の遂行のために必要である場合」に該当するために、住民基本台帳の一部の写しの閲覧というものを請求することができることとなっております。

大西(健)委員 今の御答弁を聞いても、私は、自衛隊員の募集は自衛隊法に定められたことだと思いますが、工科学校の募集が果たして法的根拠があるのかというのは、ちょっと今の御答弁でも納得しがたい部分があります。

 もう一つは、中学生、先ほど保護者に対してということがありましたけれども、中学生はまだ大人としての判断ができない年齢ですので、ここの部分はかなりセンシティブな問題があると思いますので、今後も、もう一度この運用というのをしっかり見直していただきたいなということをお願いしておきたいと思います。

 今もお話をしてきたように、少子化や高学歴化が進んでいく中で、募集というのは大変難しくなっているということでありますけれども、今後、私は、集団的自衛権の憲法解釈の変更があったことによって自衛隊員の活動領域がどんどん広がっていくと、そのことがまた募集にますます難しさを増していくんじゃないかということを危惧しています。

 それに関連して、自衛隊の隊員になるに当たっては、自衛隊法施行規則の三十九条に沿って、宣誓書に署名捺印をして服務の宣誓を行わなければならないということになっています。宣誓では、「我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、」「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」ということを宣誓するということになっております。

 しかし、集団的自衛権行使が容認されたことによって、今後の法整備次第ではありますけれども、自国が攻撃されていないのに、他国が攻撃された場合であっても自衛隊が出動する場面というのが予想されるのではないかというふうに思います。隊員の諸君は、愛する祖国と家族を守るために命を賭す、この覚悟は当然のことながらできていると思いますけれども、他国を守るために命をかけるということまで誓った覚えはないという人も私はいるんじゃないかというふうに思います。

 そこで、現在の宣誓の内容というのを私は見直す必要があるというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員も御承知だと思いますけれども、今回の閣議決定によりまして憲法上許容されると判断するに至った武力の行使というものは、あくまでも新三要件を満たす場合に限定されているわけであります。ですからこそ、あくまでも、我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置に限られるわけであります。したがいまして、自衛隊が我が国の平和と独立を守ることを主たる任務とすることには何ら変わることはないというふうに考えております。ですからこそ、服務の宣誓の見直しというものを行う必要はないというふうに今の段階で考えております。

 いずれにいたしましても、自衛隊員が日本国憲法及び法令に従うことは当然でありまして、服務の宣誓の基本的考え方については何ら変わることはないというふうに考えておるところでございます。

大西(健)委員 今のところ、政府としては、仮に他国を守るために自衛隊員が働くにしても、それは日本の安全を守るためなんだから服務の宣誓の内容について変更する必要がないという御答弁だというふうに思いますが、この点に関して、私は、非常に参考になるというか注目すべき前例があるというふうに思っています。

 きょう、お手元に資料として配付をさせていただきましたが、これはちょっと、大分古い、昭和二十九年の新聞記事でありますが、自衛隊法が制定されたときに、保安隊から自衛隊に移行する、そのときには、宣誓の内容が変更されて、宣誓のやり直しというのをやっているんですね。

 新聞記事を見ていただいて、注目すべきは、このときに約六千三百名の方々が宣誓を拒否して退職をしたと報じられているんですね。四十名や五十名、いや、自分は宣誓できない、この内容では宣誓できないと言って退職したんじゃなくて、これは六千三百名。

 私、当時の参議院内閣委員会の会議録というのも見てみましたけれども、当時の木村防衛庁長官が、新聞では六千三百名となっていますが、退職者は約七千三百名だ、ただ、そのほとんどは自然退職だというふうに答弁はしているんですが、本当にそうなのか。

 私は、やはりこの前例というのは非常に重いものがあるんじゃないかというふうに思っています。いずれにしろ、任務が大きく変わる、保安隊から自衛隊になることで変わる、そのことをしっかり自覚した上で宣誓をやり直して、本人たちが納得の上で自衛隊員になるという手続が過去とられたということは、これは非常に私は学ぶべきものがあるのではないかというふうに思っております。

 それに対して、今回、政府は、自衛隊の任務の変更はないんだと先ほど大臣は答弁されました。そして、宣誓のやり直しも必要ないというふうにしていますけれども、それで本当に、現場で命がけで頑張っている自衛隊員の皆さんは納得されるんだろうか。

 今回の閣議決定を受けて、今後、自衛隊の海外での任務というのは大幅に拡大することが予想されて、海外での活動中に自衛隊員が死傷したり、あるいは相手国の国民を殺傷したりする可能性というのは、これまでよりはるかに可能性として高まるということは私は言えるのではないかというふうに思います。

 そうした現実をごまかして、今までと何にも変わらないと言い続けることが、本当に命がけの任務を遂行している現場の自衛官に対して、私は逆に不誠実になるんじゃないかというふうに思っております。

 リスクが高まることを自覚して、納得の上で任務についてもらうために、この宣誓の内容を見直して、改めて宣誓をやり直すということを私はやるべきではないかと思いますが、改めて大臣の御答弁をお願いします。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 我が国の平和と独立を守ることを主たる任務とする自衛隊は、秩序の維持を任務とする保安隊及び警備隊とは、組織の形態あるいは存立目的というのは本質的に異なるわけでありまして、新たな組織として創設されたものであることから、その創設時に新たな服務の宣誓というものを行ったというふうに私は承知しております。

 他方、今回の閣議決定によりまして憲法上許容されると判断するに至った武力の行使というものは、新三要件を満たす場合に限定されておりまして、あくまで、我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置というものに限られているわけであります。したがいまして、自衛隊が我が国の平和と独立を守ることを主たる任務とすることというものは何ら変わることではありません。改めて服務の宣誓というものを行う必要はないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、自衛隊員が日本国憲法及び法令に従うということは当然でありまして、服務の宣誓の基本的考え方については何ら変わるものではないというふうに考えております。

大西(健)委員 私が申し上げているのは、本当にリスクは高まると思うんです。やはり海外に出ていって活動するということもふえると思いますし、それに納得の上で皆さんにしっかりとまた任務に励んでいただくというためには、私はやはりその方が誠実ではないかということを申し上げているということを再度大臣に申し上げておきたいというふうに思います。

 自衛隊員の任務の拡大という点で、最後にもう一点お聞きをしておきたいと思うんです。

 これも新聞記事をつけさせていただきましたが、今回、政府は、エボラ出血熱の感染拡大を受けて、国際協力の一環として、米軍のアフリカ軍司令部に自衛隊員を連絡要員として派遣するということで今最終調整をされているという記事であります。

 このことの事実関係、今、その最終調整はどういう状況になっているんですか。

 加えて、アメリカに同調して、エボラへの人的な国際協力を今後行っていく以上、自衛隊員が感染をするということももしかするとあるかもしれません。当然そういうリスクというのは私は想定しなければいけないというふうに思いますが、この点についての大臣のお考えをお聞かせください。

江渡国務大臣 お答えさせていただきます。

 防衛省は、十月の下旬から、米アフリカ軍、AFRICOM、この司令部に、連絡官二名、二等陸佐と三等空佐を派遣しております。米国が行うさまざまな活動の状況とか、あるいは現地情勢などにつきまして情報収集を行っているところでございますけれども、現在、部隊派遣の予定というものはございません。

 また、エボラ出血熱への対応につきましては、我が国としても、国際社会の一員といたしまして人的、物的、財政的支援を行い、さらなる支援策につきましても政府全体で検討しているところでございます。

 今後の追加支援策につきましては、引き続き政府全体として検討を行っていくということになるわけでありますけれども、感染のリスク等につきましては十二分に考慮して検討する必要があろうと考えているところでございます。

大西(健)委員 今、大臣の御答弁の中にも、情報収集という言葉がありました。

 なぜ自衛隊員を連絡要員として派遣するのかということなんですが、資料の最後のページですけれども、この記事では、アメリカは既にパンデミックを想定しているからこそ軍隊を派遣しているんだと。また、パンデミックの問題というのは、各国の厚労省が担当すべき問題ではなくて、防衛省を初めとする各省庁が連携して対処する国防上の問題というふうに認識するのが世界の常識というか、世界では、こういう、パンデミックになったときは、これはもう軍が対処する問題なんだというふうに捉えているということであります。

 そこで、自衛隊員を、今回も連絡要員として情報収集、つまり、そういうところでどういうことを今やっているのかという情報収集をするために派遣されているわけですが、我が国でも、仮にエボラが上陸をしてアウトブレークした場合には、事態収拾の中心を担うのは自衛隊だというふうに考えられているということなのかどうなのか、この点について、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 エボラ出血熱への対応につきましては、先週開催されましたエボラ出血熱対策関係閣僚会議におきまして、感染が拡大している現下の状況に鑑みまして、海外で邦人の感染が確認された場合及び国内で感染が確認された場合に備えるなど、関係行政機関の緊密な連携のもとにおいて政府一体となって対応するというふうに確認しているところでございます。

 また、現在、西アフリカにおけるエボラ出血熱への対応につきましては、防衛省・自衛隊は、エボラ出血熱が国際社会による一致した取り組みが必要な課題との認識のもとにおいて、ドイツのシュツットガルトに所在する米アフリカ軍の司令部に連絡官を派遣いたしまして、米国の活動状況とかあるいはアフリカの現地情勢の情報収集というものを行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、状況の推移に応じて適切に対応するために、内閣官房とかあるいは厚生労働省を初めとする関係省庁との連絡の上、可能な協力というものを実施していきたい、そのように考えているところでございます。

大西(健)委員 先ほど私も指摘しましたように、アメリカはもう、軍隊がこの問題に対処しなければならなくなるんだろうということで動いている。私も、そう考えているからこそ連絡要員を派遣しているんじゃないかというふうに思います。

 いずれにしろ、きょうの質問で、きょうは給与法ということでありましたけれども、私が申し上げてきたことは、自衛隊員の活動領域というのはどんどんどんどん拡大をしている、災害救援からエボラまで拡大しているわけです。さまざまなリスクにさらされている。そうした中で、先ほども申し上げましたけれども、自衛隊員の給与や処遇がそれにふさわしいものであるのかということは、私たちはやはりしっかり考えていかなければならないんだろうということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。

北村委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 維新の党の三木圭恵でございます。

 江渡大臣、きょうはよろしくお願いを申し上げます。

 まず初めに、本日は給与法の改定ということで、そちらの質問をさせていただきたいと思うんです。

 我が党の姿勢といたしましては、日本国経済がデフレに陥っているということで、安倍首相がデフレからの脱却というものを掲げられまして、インフレターゲットの目標が二%、そして消費税の増税が三%されまして、その中で、アベノミクスということなんですけれども、実質賃金は低迷しているという中で、国民の生活というのは非常に今シビアなものになってきているんじゃないかな、そういう状況にあるのではないかなというふうに考えております。

 また、さらなる消費税増税が今まさに検討されているところだとは思うんですけれども、そういった中、さすがに、人事院の勧告であろうとも、公務員の給料を上げていくということはいかがなものかというのが我が党の姿勢でございまして、まずそれよりも先に、行財政改革とか、政治家自身も報酬の削減であるとか定数の削減であるとかそういった改革をして、その後に公務員の給料というものを適正に上げていこうというのが我が党の姿勢でございます。

 江渡大臣の方は、そのことに関してはどのようにお考えでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 まず、内閣の一員であります我々閣僚は、二割カットを実施させていただいているところではございます。

 それとは別に、隊員の給与ということにつきましては、人事院勧告に基づきまして民間準拠を基本として改定というものを行っている一般職の給与法に準じて改定を行っておりまして、このことが公務員給与に対する国民からの理解を得る上でも重要である、そのように考えております。

 民間に準拠して一定の給与を確保するということは、優秀な人材を隊員として確保するということからもやはり大事なことではないのかな、そのように考えております。

三木委員 それは、江渡大臣はそういうお考えで、閣僚の方は行政の立場でまたいろいろとあると思うんですが、我が党の方は、やはり政治家個人が一人一人襟を正して、自分たちの改革というものにも、身を切る削減というものにも取り組んでいかなきゃいけないんじゃないかなというふうに考えているところでございます。

 先ほどから、自衛隊員の方々のお給料ということで、いろいろな質疑が出ております。

 我が党の中ででも、公務員のお給料の中で、自衛隊員のお給料の件だけは、上げないということに関していかがなものかという意見がやはりたくさん出てまいりました。それは、先ほどからるる皆さんがおっしゃっているように、災害であるとかそういったときに身を挺して我が国を守ってくださっている、国民の生命や財産を守るためにみずからの身の危険を顧みずに日夜御努力をしていただいている自衛隊員の方々のお給料を上げるということに反対するということは、いかにも反対しづらいという部分とかというのはたくさんございまして、我が党の中でも、そういったことの中で、やはり、一般の公務員の方々の給料と同じように自衛隊の方々のお給料のことを考えていいのかと、多くそういう疑問が示されております。

 今後、給与体系のあり方全般に関して、やはり、自衛隊員のお給料を一般職と同じように考えていいものかどうかということを検討していくべきだと思うんですけれども、江渡大臣のお考え、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 委員のお考え、あるいは維新の皆様方のそのようなお考えというのは大変ありがたいというふうに思っているところでございます。

 この場で個人的な意見というのを述べるのはいかがなものかなということで、その辺のところは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、できるならば、今回の給与法の改正に対する法律案に対して御賛同いただければありがたいというふうに思っているところでございます。よろしくお願いしたいと思います。

三木委員 もう党内手続も終わっておりますので。本当に、江渡大臣のおっしゃることは非常によくわかるのでございますけれども、また今後、維新の党の中でも検討を鋭意させていただきたいというふうに維新の党の方も考えておりますので。

 それと、この安全保障委員会の中でいろいろと江渡大臣の政治資金収支報告のことについて審議がございました、御質問がありました。私も、一点だけちょっと御質問をさせていただきたいんです。

 それは、江渡大臣が献金を受けていらっしゃる政経福祉懇話会の件なんです。私は、江渡大臣の政治資金収支報告書を見せていただいて、毎月二十五万円の寄附が政経福祉懇話会の方から入っているということで、三年間というところが、共産党の赤旗という新聞に十一年間ということで、三千幾らかということで、ずっとそうやって寄附が続いて入っているという記事が載っておりましたが、それは本当でしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 十何年間と言われても、そこはちょっと私はわかりませんけれども、この直近の三年間においてはいただいているということは私も確認させていただいています。

三木委員 審議の中で、我が党の足立委員がずっと、政治団体登録をしなければいけないんじゃないかということを御指摘させていただいたと思うんですね。

 やはり、その政経福祉懇話会というものが、純粋に福祉であるとかそういう政治のことを勉強するだけの会であるのであれば政治団体登録というのは要らないと思うんですが、江渡大臣に献金をする以上、政治団体として届け出というのはやはり必要じゃないかなというふうに思うんです。

 政治資金規正法というのは、国民の皆様に、政治家の政治資金というものがどういうふうな流れで供給されているか、また、使われているかということを明らかに、透明性のあるようにしていくことが大事だということがうたわれております。

 毎年こうやって寄附を受けられていた、ことしも、もしかしたら来年も受けられる予定であるかもしれませんが、今後、そういった場合に、やはり政治団体登録というものをこの政経福祉懇話会というのはしていく必要があるんじゃないかなと思うんですね。これは江渡大臣がお決めになることではないかもしれないんですが。また、逆に、政治団体登録というものをしなければ、江渡大臣の方も寄附をお受けになることを続けるということが今後難しくなってくるんじゃないかなと思うんです。

 何でかといいますと、これはやはり、企業が約百数十社あるというふうに江渡大臣がお答えになっておられましたけれども、その企業がどういう企業かというのが全く国民に見えないという問題点があると思うんですね。

 やはりその中に、いろいろな大臣が外国人からの寄附を受けていて失職されたり、大臣をおやめになったりとか、外国人企業の持ち株が半数以上になっていたということが問題視されたりとか、そういったことが多々あります。政経福祉懇話会の企業さんの中に、そういった外国人企業があるのかないのか。また、政治資金規正法では、赤字会社が政治家に寄附することは禁止されております。それと、国からの補助金をもらっている会社も政治家個人に寄附することというのは、やはり禁止されていると思うんですね。そういった部分が、江渡大臣の、寄附を受けられている政経福祉懇話会という会の中の会社がどんな会社かというのが全くわからないので、これは非常に不透明だと言わざるを得ないんですね。

 ですので、これまでのこともあるんですけれども、今後のことも、江渡大臣の方でしっかりとやはり考えていただいて、対処していただかなければならないなというふうに私は思うんです。

 何で私がここでこういう話をさせていただいたかというと、自衛隊を束ねていかれる、自衛隊を所管されている防衛省で、やはり防衛省のトップとして、自衛隊のお給料の件とかもこういうふうに審議をさせていただいております。やはり政治家として、資金の流れというのは明確にして、透明化を図っていただきたいなと思うんですが、江渡大臣、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 今、委員の方からるる御指摘いただいたわけでありますけれども、これからしっかりと検討させていただきたいと思います。

 政経福祉懇話会という団体、これは私の方と直接関係あるわけじゃないものですから、そちらの方々がどのような判断をされるかということはまた別な問題であるわけでありますけれども、私自身としてみれば、できるだけ透明性というのを確保するということは政治家としてやらなければいけないことであろうというふうに思っておりますので、検討させていただいて、努力させていただきたいというふうに思っております。

三木委員 江渡大臣の御答弁をお伺いしましてちょっと安心もしたんですけれども、今回の一連の問題、いろいろな大臣の方々が答弁に立ってお話をされている姿を見るにつけ、政治資金規正法というのがまだまだ透明性が図れるような仕組みになっていないんだな、法律になっていないんだなということもあります。

 政治資金規正法の方もまた改正を重ねて、国民の皆様方に、政治家として個人個人が襟を正していけるような法改正というものも、我が党の中でも検討を進めていきたいなという話をしておりますので、ぜひ、江渡大臣お一人ではなくて、与党の中でもそういった検討をしていただければ幸いだと思っております。今、大臣で、ちょっと御答弁の方はできないと思うんですけれども、そういったことで、それは強く要望をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 先ほど大西委員の方からも御質問があったと思うんですけれども、小笠原周辺海域で、中国の漁船が二百隻以上押し寄せてきてアカサンゴを密漁しているという問題が日々報道されているんですけれども、現在の推定被害状況と、我が国の対策について、はっきりとした数字でなくて結構です、わかっているだけで結構ですので、御答弁を簡単にお願いいたします。

香川政府参考人 お答えいたします。

 水産庁といたしましては、これらのサンゴ船による密漁問題に対する対策としましては、違法操業を阻止し、徹底的に取り締まるべく、航空機や漁業取り締まり船を現場海域に派遣し、取り締まりを強化しているところでございます。

 引き続き、海上保安庁と連携しつつ、厳正に対処してまいりたいと考えております。

 なお、中国サンゴ船の違法操業は、宝石サンゴ資源に悪影響を与える可能性が高いものというふうに認識しておりますが、宝石サンゴ生息域は水深が深く、被害状況を把握するためには潜水艇等を用いた大がかりな調査が必要であるため、正確な情報は持ち合わせていないことを御理解いただきたいと思います。

鈴木(洋)政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、中国サンゴ漁船と見られる漁船が小笠原諸島周辺海域において多数確認されたことを踏まえ、同海域において、大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な体制を整え、違法操業を行う中国サンゴ漁船の取り締まりを行っています。その結果、十月五日以降これまでに五人の中国人船長を逮捕しております。

 引き続き、水産庁及び東京都が派遣している漁業取り締まり船等とも連携し、法令にのっとり、厳正に対処してまいります。

三木委員 海上保安庁の船が小笠原近海に配備されて、五隻配備されたというふうに報道で見たんですけれども、現在の海上保安庁の対応力、装備であるとか人員であるとか、そういったものは今本当に十分なんでしょうか。

青木大臣政務官 お答えいたします。

 海上保安庁は、尖閣列島や小笠原諸島周辺海域を初めとした我が国の領海警備などにしっかりと対応する必要がございます。

 このため、巡視船、航空機の整備や要員の確保など、体制の強化が喫緊の課題となっており、そのため、所要の予算の確保に努め、対応に万全を期してまいります。

三木委員 中国漁船が多数確認された九月以降、海上保安庁は最も大きい「しきしま」など大型巡視船を小笠原に派遣している、小笠原に常駐する職員は四人だけで、配備する五トンのボート一隻では、二百トン前後ある中国漁船に対応できないからだ、今は水産庁の取り締まり船二隻と合わせ、小笠原と伊豆諸島で五隻程度が警戒に当たるというふうになっているんです。

 今、二百隻以上の漁船が小笠原沖にいるということで、本当にこの五隻で対応できるのかどうかというと、非常に心配をしておりまして、非常に広い排他的経済水域、EEZの中で、この五隻の海上保安庁の船が、二百隻以上の、あちこちに散らばって密漁をしていると思われる中国船を取り締まるということが果たして本当に可能なのかどうなのか。本当に可能であればこういった報道にもならないわけです。

 そういったことに対する危機感と申しますか、今後どういう対策を打っていこうというふうにお考えになっているのか、お答えいただけたらと思います。

青木大臣政務官 お答えいたします。

 まず、現在の中国公船の活動への、これは公船です、対応を強化するため、平成二十七年度末まで、尖閣領海警備の専従体制を構築すべく、大型巡視船の整備を進めるとともに、必要な要員についても確保することとしております。

 また、さらなる情勢の変化等が生じた場合に、全国からの巡視船の応援派遣体制を確保するため、既存の巡視船の高性能化を図った代替等を進めているところです。

 さらに、平成二十七年度概算要求においては、すきのない海上保安体制を構築するため、航空機による哨戒体制や外国漁船への対応体制の強化等に必要な経費を計上しております。

 いずれにいたしましても、海上保安業務をめぐる情勢にしっかりと対応を期していくため、必要な体制整備に努めてまいります。

三木委員 私は、海上保安庁だけでいずれ手に負えなくなるときが、このままの状態が続けば手に負えなくなるときが来るんじゃないかなというふうに考えておりまして、そういうふうには考えたくはないんですけれども、考えておりまして、そうなったときに、先ほど大西委員の方からもあった、江渡大臣が記者会見でお話しになっていらっしゃったように、そういうことになれば防衛省としても考えるというような御発言が、自衛隊としても考えるというような御発言があったと思うんですが、いろいろなやはり抑止力というものを働かせていくことも大切だというふうに思うんですね。

 自民党さんの中では、罰金をもう少し上げていった方がいいんじゃないかというような検討もなされているというふうにお伺いしておりますけれども、これは一千万だと思うんですが、それ以上に引き上げていくというような考え方はありますでしょうか。

中川大臣政務官 三木圭恵先生の質問にお答えいたします。

 御指摘の、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律に定める罰金の引き上げについては、関係省庁と早急に協議させることとしたいと存じます。

三木委員 中川政務官、ありがとうございます。

 何か、いろいろと密漁のことについて調べていたら、海洋のことではないんですけれども、中国では、パンダを密猟したら、ちょっと前まで死刑だったみたいなんですね、死刑。今だったら禁錮で二十年とかという非常に厳しい罰則が設けられているんですね。やはりそれぐらいのきつい、ここでは禁錮刑はないということですので、それは検討できないと思うんですけれども、やはり簡単に釈放されてしまうような程度の罰則や罰金では、今ある現状を抑止力として抑制していけないような現状にもう今なっているというふうに思うんですね。

 ですので、ぜひそれは御検討の方をお願い申し上げます。これは要望でとどめさせていただきます。

 済みません、次の質問に移らせていただきます。

 小笠原諸島の中の島民の方も、非常に不安に思っていらっしゃるようでございます。これは朝日新聞の記事なんですが、人口約二千人の父島では島民たちが不安を募らせている、警視庁は今月、機動隊員など二十八人を派遣、小笠原署では当直人数を倍にふやし、二十四時間態勢で島内をパトロールする、島に住んで三十二年の主婦の方も非常に不安がある、夜間も外出を控えるようにというような文書が中学校から通達されたりとかしているようでございます。

 そこで、質問に移らせていただきますが、自衛隊法第八十二条、「防衛大臣は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。」これは海上警備行動でございますね。こちらの方を示唆されているのかなというふうに、先ほどの大西委員との審議の中で思ったのでございますが、こちらの方について検討するということは、今、防衛大臣、江渡大臣の方でお考えはありますでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 三木委員御指摘のとおり、海上警備行動というものは、海上における人命もしくは財産の保護または治安の維持を目的にしているところでございます。

 しかしながら、こうした海上における財産の保護等につきましては、海上保安庁等の警察機関が第一義的な対応の責任というものを有しておるところでございます。自衛隊は、特別な必要がある場合、すなわち、警察機関では対応が不可能または著しく困難である場合等に、海上警備行動等の発令を受けまして、警察機関と緊密に連携して対処するということになるわけであります。

 現時点におきまして、海上における外国漁船の監視や取り締まりにつきましては、水産庁及び海上保安庁等において実施しているものと承知しておりますけれども、先ほども御答弁させていただいたわけでありますけれども、防衛省・自衛隊といたしましては、今後とも、この状況というものを注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。

三木委員 十一月四日の大臣の記者会見で、小笠原のサンゴの問題のことについてお話をされております。それが、大臣のお答えが、我が国の領海あるいは排他的経済水域の方にも入り込んでいるということは十二分に承知しているところでございます、ある意味、中国当局としては、しっかりとこの件に対しましては対応していただければありがたいというふうに考えているところでございますというお答えなんですね。今御答弁いただいたように、あくまでも一義的にはこれは海上保安庁だ、あるいは警察等が行うことである、その後どうしてもというようなことがあれば、それは今後の検討課題になるというふうにお答えになっています。

 それから、岸田外務大臣も、御指摘の点については、九月中旬ごろから多数の中国船が確認されるようになってきました、そして十月三十日の報告を聞きますと、二百十二隻確認できたということでありました、そして今までのところ五回、逮捕事案も発生しています、こうした状況ですので、まず外務省としましては、これまでも再三、外交ルートを通じまして中国側に申し入れは行い続けておりますと。

 何か、これを聞いていますと、非常に、中国側に何とかしてもらおうというか、やはり中国漁船ですので中国の方から言ってもらって対応してもらった方がいいんじゃないか、これを余り、例えば海上警備行動とかに移してしまえば、中国を逆にかなり刺激してもっと深刻な事態になるんじゃないかというような意味合いを持っているのかなというふうに、私はちょっとこれは受けとめさせていただいたんですけれども。

 例えば、台風二十号がこの間小笠原付近まで行って、漁船ですから、中国漁船であろうとも、外国漁船であろうとも、やはり人道的な問題からは、台風が来たら日本の島のどこかに寄港させたりとかということはあり得るわけですね。

 今までも、例えば二〇一二年の七月十七日に、五島列島の方に、玉之浦港の方に中国の漁船が台風避難ということで百隻ほど寄港して避難をした、一週間ぐらい滞在をしたということで、百六隻の中国船が五芒星旗を上げて玉之浦港にざあっとやはりなったんですね。それは自民党の方もよく御存じだと思うんですね。そのときの新聞記事を見ていると、何かの委員会のあれで自民党も視察に行かれていて、新藤委員のお名前も出ておられたので、自民党の方も問題意識というのはきっとあるんだと思うんですね。

 中国というのは、御存じのように、国防動員法というものがあって、中国人というのは、いかなる場所にいようとも、中国政府が敵国とみなしたら、やはり中国として、中国人として戦わなければならないという法律もあるんですね。

 ですから、今回も小笠原のところでそういった中国人の漁船が、これはどういう中身かわかりません、どういう中身かわかりませんけれども、台風を口実に避難をしてきて、その後急速に侵略をしていくというような事態というものも最悪の場合やはり考えておかなければいけないことだと思うんですね。それが切れ目のない、シームレスなグレーゾーンの対応だというふうに私は考えています。

 やはり、先ほど防衛大臣、江渡大臣のお答えにもありましたように、ここで海上警備行動を発令すれば下手に刺激をしてしまうということがございますので、常日ごろから自衛隊の方が海上警備活動ということで、調査研究とかということではなくて、領域を警備するということを常に自衛隊の任務として位置づける必要があるんじゃないかというふうに我が党では考えております。多分ほかの党でもそういうことを考えていらっしゃるところはあると思うんですが、領域警備法について、江渡大臣、こういう場合、やはり私は必要だと思うんですが、大臣の御所見をお伺いいたします。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のグレーゾーンのこと、武力攻撃に至らない侵害への対処ということにつきましては、自衛隊が、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍部隊の武器等を防護し得るような、そういう形での法整備を行うというふうには政府としては検討させていただいているわけでありますけれども、近傍に警察力が存在しない場合等の対応に関しましては、現時点では、法整備を行う必要があるとの認識には至っておらず、運用の改善、このことを検討するというふうにしているところでございます。

 他方、先般の閣議決定を踏まえ検討を行った結果において、政府といたしまして法整備等が必要であるという認識に至れば、与党において改めて議論していただくことになろうかというふうに考えているところでございます。

三木委員 防衛出動であるとか海上警備行動であるとか、そういったときには、防衛大臣が発令するとか内閣総理大臣が発令するとか、それも国会の承認が要るとか、そういった、非常に抑制はきいているけれども時間がかかるというような問題点がやはり残ってしまうと思うんですね。

 ですから、タイムラグをなくすという意味でも、現場の自衛官が部隊行動基準というものをしっかり持って、やはり領域警備というものをシームレスに、タイムレスに行っていくということが、今、日本には一番求められていることじゃないかなというふうに思うんですけれども、タイムレスにするということについて、江渡大臣の方ではどのようにお考えでしょうか。最後なので、江渡大臣に聞きます。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 領土、領海の治安の維持につきましては、警察や海上保安庁が第一義的な対応の責任を有しているところでございます。自衛隊は、これら警察機関では対応が不可能もしくは困難である場合に、治安出動や海上警備行動の発令を受け、警察機関と連携しつつ対処することとなります。

 このような基本的な役割分担を前提とすれば、近傍に警察力が存在しない場合や警察機関が直ちに対応できない場合の対応について、現時点において、法整備を行う必要があるとの認識には至っておりませんで、治安出動や海上警備行動等の発令手続を経ている間に不法行為による被害が拡大することのないよう、状況に応じた早期の下令や手続の迅速化のための方策といった運用の改善を具体的に検討することとしております。

北村委員長 三木君。

 時間がないので簡潔にお願いします。

三木委員 今御答弁いただいたんですけれども、そういったことがないように下令手続とかを迅速に行うというふうにおっしゃっているんですが、それが多分できないだろうということが大前提で領域警備法をつくった方がいいんじゃないか、やはり自衛隊に正面から領域警備というものを任務として位置づけた方がいいんじゃないかというのが、領域警備法を制定した方がいいという議員が持っている意見なんですね。やはり、防衛大臣が内閣総理大臣の許可を得てというようなことが現場で起こっている即時対応に適しているかどうかというと、それは非常に難しいところがあるんじゃないかなというふうに考えます。

 目の前で起こっていること、例えば中国人の漁船だと思っていたのが、いきなり、軍人が乗っていて、非常にひどいこと、ひどいことと言うとあれですけれども、島に侵入してきた、侵略してきた、それも少しの人数じゃなくて大人数で入ってきたというようなときにどういった対応ができるのかなというのが非常にやはり心配なんですね。漁港に入ってきて、漁船だからそれは道義的にいいだろうというふうに許可をするわけでございますけれども、それがいきなり島に侵略して上がってきたらどうなるんだ、そういうような不安がやはり日本国民の中には今あるんじゃないかなというふうに思うんですね。

 だから、そこら辺のことを踏まえて、江渡大臣に最後に御答弁をお願いいたします。

江渡国務大臣 お答えさせていただきます。

 先ほども答弁させていただいたわけでありますけれども、現時点においては運用の改善で対応が十分であろうというふうに考えておるところであります。

 ただ、その中において、これからさまざまな形で検討していった場合において、やはり新たなる法律が必要であるというふうに考えた場合には、与党等とも協議させていただきながら検討させていただく、そういうところでございます。

三木委員 ぜひ検討の方をお願いいたします。

 以上で終わらせていただきます。

北村委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 次世代の党、中丸啓でございます。余り時間がないので頑張ってまいります。

 まず、先ほど来、各委員から出ています今回の密漁、違法操業、私はこれはただの盗人だと思います。

 例えば、銀座の町中でブランドショップから勝手に中国人が物をとっていたら、これはただの犯罪ですよ。警察官が逮捕しようと思って、走って逃げたら、これは追っかけて絶対逮捕しますよ。治安を守るというのはそういうことです。私はそう思います。

 今回の違法操業で、海上保安庁の皆さん頑張っておられると思うんですが、今現在どこまで現実的に動かれていますか、教えてください。

鈴木(洋)政府参考人 お答えします。

 海上保安庁では、中国サンゴ漁船と見られる漁船が小笠原諸島周辺海域において多数確認されたことを踏まえ、同海域において、大型巡視船や航空機を集中的に投入した特別な体制を整え、違法操業を行う中国サンゴ漁船の取り締まりを行っています。

 具体的な投入勢力ということについてはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、十月五日以降、これまでに五人の中国人船長を逮捕しており、違法操業を厳しく取り締まるため必要な勢力を投入しているところでございます。

 引き続き、水産庁及び東京都が派遣している漁業取り締まり船などとも連携して、法令にのっとり厳正に対処してまいります。

中丸委員 御苦労さまでございます。

 今、五人逮捕したというのはあるんですが、報道やらいろいろな映像を見れば、二百隻以上、船長で言えば二百人以上いるわけですね。ほんの数%。

 はっきり言って、これだけ来るというのは、なめられまくっているんですよ。逮捕されても、中国の大使館が保証人になれば保釈される。なめられているから、来るんです。だって、彼らにとっては、うまくいけば一獲千金、一億円以上の収入があるわけですから。

 当然、父島や周りの住民の方は、今度は寄港してきたらどうしよう、こういう不安も出ている。

 これは、追いかければ当然逃げるんだと思うんですが、船体射撃はやりましたか。

鈴木(洋)政府参考人 お答えいたします。

 外国漁船による違法操業の取り締まりにおける、いわゆる有形力の行使を伴う強力な措置につきましては、個別具体の状況に照らして、警察比例の原則に基づき対応することになります。

 なお、現場海域におきましては、中国サンゴ漁船と見られる漁船は、巡視船が近づけば領海外へは去っていく状況でございます。有形力の行使が必要な状況には至っていないと認識しており、船体射撃等は行っておりません。

中丸委員 当然、現場の判断ですから、それは現場の判断にお任せしますが、やるときはやるという姿勢を見せる、これが抑止力です。はっきり言うと、余り言葉はきれいじゃありませんが、びびらせて何ぼですよ。抑止力というのはそういうものだと思います。まあ、余りここの話をしてもあれなので。

 外務副大臣、この件に関して中国政府にどのように申し入れられて、まあ、いろいろな報道で見ていますが、はっきり言って、お願いしたいとかそういうレベルではなくて、ちゃんとやれと、厳しい意見を言ってほしいと思いますが、いかがですか。

中山副大臣 ありがとうございます。

 小笠原諸島周辺海域等の我が国領海や排他的経済水域における中国サンゴ船の違法操業は、まことに遺憾であります。そしてまた、到底認められないというふうに考えます。

 現在、関係省庁が連携をし、違法操業を行う外国漁船の取り締まりを強化しているということであります。

 また、外務省としましても、東京及び北京において、累次にわたり、中国国内における取り締まりの強化、再発防止を中国に強く申し入れております。当方からの申し入れに対しては、中国側は、本件の重大さを認識し、漁民に対する指導など具体的な対策に取り組んでいる旨を明らかにしております。

 外務省としては、今後ともさまざまなレベルで申し入れを行い、事態の改善に向けて、中国側に迅速かつ実効的な対応を求めていく考えであります。

中丸委員 多少は、中国政府も、これはまずいなと思っているんだと思うんですが、ただ、あえて一つ申し上げます。

 外国人、特に中国人を専門にいろいろな犯罪捜査をしている現場の警察官、いろいろ話を聞くと、日本人は、約束は守るもの、約束したら自分が守る、自分が守ると。中国人は、どういうふうに、通常、犯罪を犯した場合に考えているかというと、約束は守らせるものと思っています。もっと言えば、破るものであり、相手に守らせるもの。これは、実際に現場で捜査をすると、こういう意見が中国人の方からは出るそうです。そういうことも踏まえながら、ぜひ交渉していただきたい。

 それと、先ほど船体射撃のお話もしましたけれども、不法行為が横行するようであれば、そういった治安、サンゴも日本の財産ですから、そういうのを守るためにしっかりした行為もとる、これぐらいのことは僕は言うべきだと思うんですけれども、いかがですか。

中山副大臣 ありがとうございます。

 委員のお気持ちというのは、国民の皆さんも同じような思いで、この小笠原諸島の海域の様子というのを心配の向きを持って見ていらっしゃると思いますし、強く申し入れるというのは当然のことでございます。

 ただし、外交のテクニカル的なところも考えますと、本来ですと、一番いいのは、トップ同士が胸襟を開いてはっきりと物を言い合うというのが一番いいと思います。しかし、段階的にレベルを上げていくという外交の手法も、またこれは必要な措置だというふうに考えますので、今先生の御指摘をしっかり踏まえた上で、明哲保身、そしてまた主権的な外交の展開というのをやっていきたいというふうに考えていますので、どうぞ今後とも御指導をよろしくお願いします。

中丸委員 ありがとうございます。

 お立場があるのは重々承知の上で言わせていただいています。

 江渡大臣にこの件について伺います。

 先ほど、自衛隊が出動するのにタイムレスだとか、いろいろな話が出ておりますけれども、私は、そんなに面倒くさいことをしなくても、大臣がやると言ったらできる方法を一つ、きょう御提案させていただきます。

 この海域で、実弾を使った訓練をしましょう。いかがですか。

江渡国務大臣 委員のその御提案、それなりのことはあろうかと思いますけれども、いろいろなことを考えていく上においては、最初の対処方法としては、一義的にはやはり外交的な努力というのはイの一番でやらなければいけないことであろうと思っております。

 その上において、我が防衛省・自衛隊が何ができるかということは、これからさまざま検討させていただきたい、そのように思っております。

 委員の御指摘、頭の中に入れておきます。

中丸委員 ありがとうございます。

 訓練は、先日、十三旅団のところで、空港が占拠されたという前提の、空砲を使った奪還訓練、私も拝見させていただきましたけれども、至るところで自衛隊はやっているわけでございますから、当然、海の上、空、いつやるか、こんなのは言う必要ないですし、実弾を使うのであれば、その海域に立ち入るなよという通告をしていれば、入っている方が悪いわけですから。北朝鮮からミサイルが飛んでくるときも同じです。ぜひともこの手法を学んでいただきたいと思います。

 本題の、一般と比べた自衛官の給料のことについて、今回、一応法案審議ですので、若干触れさせていただきたいと思います。

 先ほど来、各党の委員からありましたように、現実問題として、ほかの公務員の皆さんと同じように考えるのはいかがなものかという意見がたくさん出ていたと思うんですが、内閣人事局もできていろいろやっているんだと思うんですが、何となくいまいちという印象は否めないかな。

 私が一つ、分けるというのを、先ほど来、国のために命をかけて、体を張ってやってくれている、これももちろん感情的にはあるんですけれども、もっと具体的に、業務の内容と自衛隊という組織の中で考えたときに、まず、通常の一般国家公務員は、当然、原則としては終身雇用でございます。自衛隊員の場合は、二年または三年を任期とする方も多くおられるわけです。まずここで既に大きく違います。

 それから、構成年齢が、三十二歳未満が、一般国家公務員は一六%程度、これに対して、自衛隊、自衛官は四一%がそういった三十二歳未満の若者、若年層を中心に構成されているという特殊性があります。

 もう一つ、定年が、一般公務員は原則六十歳、これに対して、五十六歳とか五十三歳、若年定年制が当然引かれています。働く期間が当然のごとく短い。

 それから、ほかにもいろいろあるんですが、服務宣誓とかもありますけれども、私は、一番はやはり勤務時間だと思うんですね。一般国家公務員は週三十八時間四十五分が勤務時間でございます。これに対して、自衛官は日課制。例えば、洋上に船で出れば、寝ているときもある意味勤務時間でございますね。潜水艦だってそうです。

 そうすると、もう全く勤務形態が違う。だから、これは手当だけで済ませる問題じゃなくて、全く別の職業だ、こういう考え方がまず議論の上で必要だと思います。感情論はあくまで感情論。

 現実的に、勤務体制も含めて全く別のものだというふうに私は考えますが、防衛大臣、いかがでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 これまでの給与改定におきましても、官民比較に基づきました人事院勧告というものを尊重した一般職公務員の給与改定に準ずることで、給与制度の信頼性あるいは公正性というものを確保してまいったところでございます。これに加えまして、自衛隊の独自の任務の特殊性というものを踏まえた諸手当等を設けているところでございます。

 今般の給与改定に際しましても、若年隊員に対する配慮、あるいは地方勤務者に対する配慮、こういうものがなされるなど、自衛隊の組織活性化に有益な措置ということも盛り込まれているところでございます。

 御指摘の独自の給与体系の構築につきましては、現在も独自の諸手当等を設けているところでございますが、今後も、自衛官の任務の特殊性というものを踏まえながら、適切な処遇となるように努力してまいりたい、そのように思っております。

中丸委員 ぜひ、なかなかすぐできることはないと思いますが、しっかりした取り組みをお願いさせていただきたいと思います。

 それでは、時間も迫ってまいりましたので、次の質問に入らせていただきます。

 在来外国人犯罪、なぜ安全保障の中で言うかというと、これは当然、中にテロリストのような工作員、いろいろなものが入ってくる可能性があるわけで、その犯罪の温床となっているものがどんなものがあるか、一つ、ちょっときょうは事例を挙げながら御説明をさせていただきます。

 これは華風新聞といいまして、新宿で配られています、あのかいわいで。ほぼ中国語で書かれたもので、一応二百五十円という値段は入っているんですけれども、ほぼフリーペーパーのように配られています。大体広告が中心になっているものなんですが。

 これが何が問題かというと、これに載っている広告の例を一つ挙げさせていただきますと、これはすごいんです。本当、配るのが嫌で資料配付はしなかったんですが。保証人、携帯の番号。広告です。保証人になりますよ広告です。

 ほかに、誰かの言葉をかりれば、口に出すのも汚らわしいというのもあるかもしれませんが、出張何とか、月収百万から百五十万とか百八十万とか。明らかに売春ですよね、これは。堂々とそういうのが、中国語であるのをいいことにじゃんじゃん広告で新宿で配られています。

 それから、もっとおもしろいのが、真厨師募集。要は調理師募集なんですけれども、調理師を普通に中国語、北京語にすると、厨師だけだそうです。これは何で真とつくかというと、にせものが多いんです。野菜も切れない、洗えないような者が、要は、調理人として入ってくると非常に、入国、ビザ、さまざまな点でやりやすくて入ってくる。だからわざわざ、中華料理を経営している中国人の経営者の人は、まことの料理人を募集しますよと。

 こういうことを真面目に出しているこういうペーパーがありまして、これは非常に問題だと思うんですが、これぐらいのことじゃないんです。

 売春はもちろん、もっとすごいのが、行政書士、日中国際法務事務所。中国語で書いてあるので全くわからないので、わかる人に翻訳してもらいました。ちょっとどういうことが書いてあるかというと、不法滞在、密入国、成り済ましの方と日本人や定住、永住資格者の結婚手続をします、特別在留許可申請で黒を白にします、留学、就学、投資経営ビザや日本人配偶者ビザを定住、永住ビザに、帰化申請をします、就学生や留学生の出席率や単位の不足、代行でビザしますと。これはすごいですよね。法務大臣認定と書いてあります。認定申請取次行政書士。これはとんでもないんです。ちなみに、ここに名前が入っている人なんかは多分帰化しているんですよね。名前が、中国人、林何とかという人がやっているものもあるんですけれども。

 こういうことを、要は、ビザが切れていようが、もっと言えば、これはもっとすごいのがあります。こういうのを率先してやっている団体もありまして、これも中国語なので、最近少しずつ覚えてきました。パスポートがなくて入った人の特別在留許可も申請できますと。このパスポート自体も、実はこれ、外務副大臣、よく聞いておいてください。これは上海の電柱です。(写真を示す)これは何が書いてあるかというと、偽造パスポートをつくりますよという広告なんですよ。すごいでしょう、中国という国は。

 こういうことが平気で行われているわけなんですけれども、こういうことに対して、外務副大臣、どういうふうに受け取られますか。

中山副大臣 まず冒頭、非常に問題のある広告、そしてまた、そういった法律に触れるような行為というものがもし行われているのであれば、非常に問題だというふうに思います。

 それと同時に、この間も歯科用のドリルのにせものをつくっている報道をあるテレビで見ましたけれども、あれも人体に、命にかかわるようなにせものまでつくっているという可能性があるのであれば、そういったものの水際対策、一元的には法務省がしっかりとやるべき、そして外務省も連携作業でやるべきだというふうに考えます。

 日本国内における外国人による、特に今御指摘の偽造旅券、また在留資格の不正取得等の違法行為への対策は極めて重要と特に考えています。

 我が省といたしましても、日中領事当局間協議等の場におきまして、中国側の当局に、来日した中国人による違法行為等の問題についても問題提起を行っているということです。

 また、同時に、外国人の不正な入国等を未然に阻止するため、関係省庁と連携をしていっております。水際対策の一環として、在外公館におけるビザ審査の厳格化も図ってきている。

 さらに、我が国は中国と日中領事協定を締結しており、同協定に基づき、我が国当局が中国人を逮捕した場合、必ず駐日中国公使公館に逮捕事実の通報が行われております。これによりまして、中国側の関係機関が、我が国における中国人による犯罪の状況等をより詳細に把握することが可能となっており、中国側が関連の措置をとる一助となっていると考えております。

中丸委員 ありがとうございます。

 本当に、これも、もちろん政府間もあるんですが、実態として、今、平成二十五年の在日外国人の犯罪検挙率でいくと、中国が断トツですよ、もうどの部門も。検挙数、刑法犯、売春、風営違反、入管。薬事犯ぐらいですね。銃刀法も含めて、もう断トツです。こことまともな国交というのは僕はもう無理じゃないかと思います。

 先ほどの、日本人配偶者後援会の電話番号、住所があるところ、行ってポストの写真も撮ってまいりました。(写真を示す)ここの住所がどういうものになっているかというと、民主中国陣線、知っている人は知っているだろうと思うんですが、そういう活動をしている団体なんですね。ここと全く同じ住所なんですよ。だから、そういう活動をしているところがこういう商売をしているわけです。これは気をつけないといけない。後でちょっと警察庁の方からコメントをもらいますけれども。

 この民主中国陣線の場所にある日本人配偶者後援会の登記をちょっと調べてみました。きょうはあえて名前を伏せますが、ここの役員の一人は、元国会議員の夫だという報道もあったそうです。どの党の誰とは言いませんが、今現職にはいないということだけお伝えをしておきます。

 こういったことも含めて、これは徹底的にオリンピックまでに取り締まらないといけないと思いますが、警察庁、いかがですか。

樹下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、外国人向けのフリーペーパーに犯罪を助長するかのような広告が載せられ、繁華街や歓楽街等で配布されているという状況があるということにつきましては、警察としても把握をしているところでございます。

 警察といたしましては、御指摘のようなフリーペーパーの広告を含めて幅広く情報収集に努めておりまして、実際に来日外国人がこういったフリーペーパーの広告をきっかけとして入管法違反でありますとか偽装結婚等の犯罪を敢行した事案も検挙しているところでございます。

 いずれにせよ、引き続き幅広く情報収集を行いまして、違法行為に対しましては厳正に対処してまいりたいと考えております。

中丸委員 ありがとうございます。

 もう時間になりましたので、次世代の党としては、入国制限法等も含めて検討しなければいけない問題であるということを申し述べまして、中丸の質問を終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 今、中丸委員の質問を聞いておりまして、なるほど、闇が深いなということを改めて実感した次第でございます。

 やはり、中国という国に関しては非常に厄介な国、もちろん、全てが全て、全部悪と言うつもりもありませんけれども、その弊害といいますか、その抱えている問題というのは、これは今日本が考え得る中で最も厄介な国というふうに言ってもいいのではないかというふうに考えております。

 その中で、今の小笠原の話を私もぜひとも質問させていただきたいというふうに思っております。

 本日は、やはり小笠原の話というのは一つ大きなトピックであろうというふうに思っております。その中で、少しセンセーショナルになり過ぎている部分もあれば、やはり物足りないという部分もあろうかというふうに思っております。そういう意味では、この質疑、本日の委員会の質疑全部を見ていただいて、より適切な情報が国民に伝わればいいな、その一助になればいいなというふうに思いまして、私もまずはこの点について質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず、今、二百隻から成る船が、漁船が日本の領海近くにいるというふうな状況ではあるというふうに理解をしておりますけれども、今停泊しているところではアカサンゴはとれるのでしょうか。

鈴木(洋)政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、台風二十号が過ぎましてから、台風から避難しております中国サンゴ漁船がまた小笠原近海の方に戻りつつあるという情報がございます。現在、隻数を調査しているところでございますが、いわゆるアカサンゴがとれる水域といいますのは、水深が約二百メートル前後の海域でございまして、特に小笠原海域におきましてはその大部分が領海の十二海里の中でございます。

 海上保安庁といたしましては、当該海域でサンゴを採捕されないように領海外に出している、退去させているという状況でございます。

三谷委員 今お答えいただきましたとおり、アカサンゴがとれる領域、海域というのは、基本的にはほぼほぼ全て領海の中にあるということであって、今、中国の船二百隻から成るというものがほぼほぼ、基本的には領海の外に停泊をしているというような状況、そこにいる限りはアカサンゴはとれない。一部領海の外に出ている部分もあるけれども、もちろんそこも監視の対象にされているということですので、入ってきたら違法操業がなされるかもしれないという意味で、ある意味、入ってこないようにしている限りにおいてはアカサンゴは守られるというふうには理解をしていいんですか。

鈴木(洋)政府参考人 お答えいたします。

 アカサンゴのいわゆる生息水域というものは、小笠原海域では先ほど申し述べたとおりでございます。一部、領海の外側にもその水深の部分がございます。それ以外にも、伊豆諸島近海でもかつてサンゴの生息地であったというふうに理解しております。

 いわゆる十二海里の領海線を越えた部分というのは、なかなか良質なものはとれないのではないかと思われます。

三谷委員 では、より問題は深刻だ。

 今の質問で何を確認しようかというふうに言ったかといいますと、先ほど中丸委員の話にもありましたけれども、これは、わかりやすく言うと、先ほどの例をかりて言えば、銀座のブランドショップの前に中国の方々がいっぱいいる、ちょっと警備員が目を離したすきにとろう、そういう、ある意味ヒット・アンド・アウエーでとろうというふうなことをたくらんでいる方々がいっぱいいるかもしれないというような状況にあるのではないかというふうに考えているわけでございます。

 中国の、そういう、ブランドをある意味盗むというような方々に対して、なぜ簡単に日本の警察が手を出せないかというふうなことをいいますと、それはもちろん、実行の着手がないわけであります。

 もちろん、観光目的ということで、そういったビザで入国をするということでございますので、実際何か盗みに手を出さなければ、なかなかそれを、今はビザが要る要らないという話はありますけれども、なかなかどうして、幾ら内心においてブランドショップで盗みをやってやろうというふうに思っていたとしても、実際動かない限りはそれを捕まえられないという現状があるわけです。だから、ある意味、手を出されない限りは、幾ら、不法だ、怪しい中国人がいても、捕まえるということはできないわけです。

 一方で、今回の二百隻なる漁船が何のためにこの海域に来ているかということは確認をされていますか。

鈴木(洋)政府参考人 お答えいたします。

 中国側の意図というものについては、私たちとしては申し上げる立場にはありませんけれども、中国ではサンゴが宝飾品として高値で取引されているという報道がなされていること、こういうことを踏まえますと、一獲千金を狙って中国サンゴ漁船の活動が活発化しているというふうに思っております。

三谷委員 要は、外形的にも観光目的ではないわけですよ、遊覧船で来て、日本の小笠原近郊が非常に風光明媚だからと。もちろん、日本の領海というものは、先ほどお話しいただいたとおり、十二海里というところでございますので、この中には入れないというところかもしれませんけれども、その外であれば、別に操業目的でなければ、いること自体は別に構わないというふうには思います。もちろん立入検査等々は応じていただかなければならないわけではございますけれども。

 しかしながら、そこの海域に来てずっとうろうろいるにもかかわらず、全く手が出せないというような状況で本当によいのかどうかということなんです。

 明らかにこれは、目を盗んで、すきを突いて違法な操業をしてやろうと。当然ながら、EEZの中では外国の漁船は許可がない限りは操業できないということになっているわけですから、許可があるかないかということに関しては、これはあらかじめ確認ができるわけです。基本的には許可がないわけです。

 その意味で、その中で、実際、実行の着手がなければ全く手が出せないという現行の法律というものは、私は理解をしているつもりではありますけれども、立入検査から逃げる、忌避したらもちろんそういった逮捕なりなんなりできるんですけれども、そうじゃない、そこの海域にずっと居続ける。これが、一週間がいいのか、二週間がいいのか、一カ月がいいのか、それはわかりませんけれども、そこの海域に居続けること自体について、これは明らかに違法操業目的ですから、何らかの手当てをしなければいけない。

 そういう意味では、そこの目的が明らかになった上で、そこの海域から出ていくということを命じることができるような、そういうような新しい法整備というのもやっていかなければ、いつまでたっても、ある意味、ブランドショップの前に中国人の盗人たちがずっとうろついているというような状況を打破できない、これは改善することはできないわけです。

 今の法律のあり方というものを、きょうは実務的な質問を中心にさせていただこうというふうに思っておりますので、政府参考人の方にしか来ていただいていないわけではございますので、その先の話はまた別の機会にというふうに考えておりますけれども、何らかの法整備というものが必要なんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

 この点について、加えて質問をさせていただきますけれども、今、海上保安庁の方で五人逮捕したというような実績をお話しいただいておりますけれども、二百隻から成る船があって、海上保安庁がしっかり対応しているというふうに言っている中で、やはり五人というのは余りにも少ないんじゃないかなというふうに思っているわけであります。

 では、具体的に、今まで何隻、実際に拿捕して立入検査してきたか、その辺の数値というのがわかれば教えてください。

鈴木(洋)政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁等における具体的な現場海域への投入勢力、これにつきましては、取り締まりの観点からお答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、十月五日以降、これまでに、御案内のとおり、五人の中国人船長を逮捕しておりますが、違法操業を厳しく取り締まるために必要な勢力を現在もなおかつ投入しているところでございます。

三谷委員 どうしてもこの具体的な数というのは、個別に聞いてもなかなか教えてもいただけないものですから。

 私はちょっと思っているところがありまして、対応能力、先ほども三木委員の方がそれを質問されておりましたけれども、やはり足りないのではないか。どう足りないかといいますと、海上保安庁なりの船を見つけると、そういった違法操業をやっているような船、漁船というのは、違法操業にまだ手を出していないとしても、わあっと逃げていくという話であります。

 わあっと逃げていくという中で、立入検査をするためにはどんどんどんどん追いかけていかなければいけないという話になりますよね。追いかけていって、追いかけていって、捕まえて、そして立入検査をやっている、その間じゅう、もともとのところががっぽり、もうすっぽり空白になっているわけですよ。その空白を、ではどうやって埋めているのかという話になって、実際は、追い散らすだけで、立入検査なんかやっていないんじゃないかというふうに僕はある意味思っているわけです。

 そこで、ちょっと質問したいんですけれども、やはり、この二百隻なる漁船があって、これは横のつながりがあれば、今どこに海上保安庁の船がいて、どこで取り締まりをしているから、ここがあいていますよとか、ある意味、陽動作戦で、こっちで引きつけておくから、こっちで操業しますとかということが簡単に、素人の私が考えても考えつくわけですから、ある意味、何らかの組織化されていれば、そういうことはもう容易に、自在にやっているんじゃないかと思うんです。

 その中で、実際何が必要かというと、立入検査をして、どういうような情報網、連絡網をとっているのかということまで解明していかないと、幾ら一隻一隻を拿捕してそれが逮捕だ何だというふうなことをしたって、余り意味がないというふうに思っているんですね。

 その意味で、横のつながりというのをどのように今理解されているのか、そこの解明についてどのような作業をされているのかということについて教えていただきたいと思います。

鈴木(洋)政府参考人 お答えいたします。

 中国側の意図につきましては、なかなかおもんぱかるところは難しいところであります。

 ただ、私どもが逮捕した船長等からさまざまな事情聴取を行っているところでありますけれども、具体的な内容については、捜査にかかわる事項でございますので、この場での御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

三谷委員 いや、実際問題、逮捕した人から話を聞くといったって、今、条約で仕方ないと思いますけれども、担保金を積まれれば早期に釈放しなければいけないという中で、本当にしっかりと取り調べができているのかというのも非常に私は疑問があるところであります。

 そういう意味で、対応に関しては、今の日本の法律のもとではしっかりやっていただいているというふうに私は理解をしていますけれども、しかしながら、残念ながら、装備が足りないし、人も足りない、それから法整備も足りないというような中で、現状なかなか追いついていないんじゃないかというふうに思っております。

 それから、安全保障委員会でございますので、やはり中国の今までのやり方ということを考えれば、まず漁船が来て、そういった民間人の保護という観点から、さまざまな、軍隊が押し寄せてくる可能性だってありやなしやというふうに理解をしております。

 そういった意味でのエスカレーションというのも十分に考えられるところでありますけれども、この点について、十分対応していますよというような内容で結構でございますから、江渡大臣のお答えをいただきたいと思います。

江渡国務大臣 先ほど来から答弁させていただいているわけでありますけれども、一義的には、これは警察あるいは海保等が行うことでありますけれども、それでも、なかなかその部分で思うようにいかないといった場合においては、海上警備行動というような形になろうかと思っております。

 どちらにしても、この件に対しては、防衛省・自衛隊としてはしっかりと注視させていただきたいというふうに思っているところでございます。

三谷委員 私は、何か困ったら自衛隊というのはちょっと違うのじゃないかというふうに思っておりまして、まずはしっかりと海上保安庁において対応していただきたいというふうに思っておりますので、この点どうかよろしくお願いをいたします。

 それから、法案質疑でございますので、自衛隊の給与法についても若干質問をさせていただきたいというふうに思います。

 これは全く余談なんですけれども、私は、幼少期といいますか、昔、結構長らく青森県の八戸というところに住んでいたことがございまして、その意味では、近くに選挙区をお持ちの江渡大臣にはいろいろな意味で親近感を持っているようなところではあるんです。

 それはともかくといたしまして、この自衛隊の給与法、きょうの質問の中で公明党の伊佐委員の方がさまざまな質問をされておりましたけれども、やはり、人事院勧告というものに本当にいつまでも縛られているべきものなのかどうかというのは、非常に大きな指摘なんだろうというふうに思っております。

 なので、まずは一般的に質問をさせていただきたいと思うんですけれども、今回の自衛隊の給与法の改正というものが自衛官の中でどう受けとめられているのかということについて、時間もありませんので、手短にお答えいただきたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今回の改正によりまして、平成二十六年度の給与の引き上げ、あるいは二十七年度以降の地域間の給与配分等の見直しあるいは地域手当の引き上げ等々を行うものであります。この見直しによって、地方で勤務する隊員の生活への影響というものを考慮しまして、俸給の引き下げによる激変緩和のため三年間の現給保障措置を講じるほか、広域的な異動を行う隊員に対する広域異動手当あるいは単身赴任手当の大幅な改善ということを図ることとしておりまして、現場で頑張っている隊員の処遇が低下しないように配慮しているわけであります。

 ですからこそ、これらの措置によりまして、隊員の給与処遇というものが改善されまして、また、地方への円滑な人事異動や適切な人材配置の確保ということが期待されることになることから、自衛隊の組織の活力の向上というものには私は寄与するのではないのかな、このように考えております。

三谷委員 私もさまざまな方に話を伺いましたけれども、今回の給与法の改正というものに関しては、現場の自衛官の方々においては非常に好意的に受けとめられているということは理解をしております。

 その中で、自衛官と一般職国家公務員との差異というものについて、先ほど中丸委員も質問されておりましたけれども、改めてこの点について確認をさせていただきたいというふうに思います。

 若年定年制というものがあるというふうに理解をしております。任期制というものがあるというふうに理解をしておりますけれども、そのほか、どういった点が主に違う点があるのかというところがあれば、簡単にお答えいただければと思います。

真部政府参考人 今、任期制あるいは若年定年制について御指摘ありましたので、そのほかの違い、一般職の公務員との違い等について触れさせていただきますと、まず、勤務時間につきましては、一般職の国家公務員は、一日につき七時間四十五分の勤務時間というものが割り振られております。これに対しまして、自衛官の勤務時間は、常時勤務態勢をとるとの観点から、行動訓練、演習等、それぞれの勤務の実情に即した日課制、日課をとることといたしております。

 また、もう一点だけ申し上げますと、自衛官の服務の宣誓についてでございますが、一般職公務員は、国民全体の奉仕者として、公益の利益のために勤務すべき旨の宣誓を行うことが義務づけられております。これに対しまして、自衛官は、その危険な任務の観点から、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務める旨の服務の宣誓を行うよう義務づけられております。

 こういう違いがあるところでございます。

三谷委員 本当に、今お答えいただきましたとおり、さまざまな点が違うというような中でございます。

 さらに申し上げれば、住むところというのも非常に限定をされておりまして、特に、遠洋航海等々へ出る場合は、ずっとその艦船の中で居住をしなければいけないというのは当たり前のことでございますし、営舎内居住の義務というのは、原則、曹士の自衛官に関しては課せられている。そういった、本当に一般職の国家公務員とはかなり執務の内容というものに関して差があるというようなところではないかというふうに思っております。

 その意味で、自衛官の給与というものに関しては、あり方そのものを見直していくべきではないかというふうに考えているわけですけれども、この点についてお答えをいただければというふうに思います。

江渡国務大臣 お答えしたいと思いますけれども、今委員の御指摘というのは、あくまでも独自の給与体系をというようなお考えなのではないのかなというふうに思っております。

 御指摘の独自の給与体系の構築ということにつきましては、現在も各種独自の諸手当等というものを設けているところでございますが、今後も、この自衛官の任務の特殊性というものを踏まえながら、適切な処遇ができるように、またなるように努力していきたい、そのように考えているところでございます。

三谷委員 以上です。ありがとうございました。

北村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案の問題点については討論の中で触れたいと思います。

 前回に引き続いて、十月二十日に公表された日米共同報道発表について質問をします。

 発表文書によりますと、普天間飛行場の返還条件について、「FRFの建設及び二〇一三年四月の統合計画に示す返還のための条件を満たすことは、統合計画に基づく普天間飛行場の返還のための手順の不可欠の要素である。」このように述べております。

 防衛大臣に伺いますが、これまで政府は、普天間飛行場五年以内の運用停止について日米協議の場で取り上げていることを強調してきました。しかし、五年以内、つまり二〇一九年二月までの運用停止を実現するには、返還時期を、部隊が辺野古に移った後の二〇二二年またはその後とした統合計画の見直しが必要になります。

 今回、統合計画に基づく返還の手順を再確認しているわけですが、これは、五年以内の運用停止は行わないことを日米間で確認したということでよろしいですね。

江渡国務大臣 お答えさせていただきます。

 まずは、住宅や学校に囲まれて市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化というのは絶対に避けなければならないということ、これは大前提でありまして、かつ政府と地元の皆様方の共通認識であろうというふうに思っているわけであります。

 このような認識のもとにおきまして、普天間飛行場につきましては、辺野古への移設が普天間飛行場の継続的な使用を回避する唯一の解決策であるということを日米間で再度確認させていただいたところでございます。

 その上で、普天間飛行場の危険性の除去というのを少しでも早く実現する観点から、普天間飛行場の五年以内の運用停止を初めとする仲井真知事からの御要望につきましては、米国に対しましても、さまざまなレベルから説明し、沖縄負担の軽減について協力を要請してきているというところでございます。

赤嶺委員 つまり、日本政府としては、唯一の解決策は辺野古だ、その立場には変わりないということですね。

江渡国務大臣 先ほどお答えさせていただいたわけでありますけれども、特に普天間飛行場の危険性ということにつきましては、辺野古の代替施設が完成するまでの間も可能な限りその除去に努めるというふうに我々も考えておりますし、また、普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む仲井真知事からの御要望につきまして、これは沖縄県民全体の思いとしてしっかりと受けとめまして、日本政府としてできることは全て行うという、この安倍政権の基本姿勢に基づきまして、米国を初め相手のあることでありますけれども、政府を挙げてその実現に向けて全力で取り組んでいるところでございます。

赤嶺委員 五年以内というのを、あれこれあれこれ実現に努めているかのような答弁を毎回繰り返しますけれども、唯一の解決策は辺野古移設だという立場は全く微動だにしない。この十月の日米合意でもそれがしっかり書かれている。

 今回の文書に書き込まれているのは、環境補足協定、牧港補給地区などの土地返還の加速化、KC130空中給油機の岩国移駐、オスプレイの訓練移転などであります。つまり、昨年末の沖縄県の仲井真知事からの四項目の要望に対する政府の対応が書かれています。

 その中で、一つだけ触れられていないものがあります。それが五年以内の運用停止であります。触れられていないどころか、この間アメリカ側が強調してきた統合計画に基づく返還が再確認されております。五年以内の運用停止は行わないことを日米間で確認したということは、これは明らかじゃないですか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきます。

 普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む仲井真知事からの御要望につきましては、負担軽減の課題の解決に向けまして、政府一体として全力で取り組みまして、着実な推進を図るために、関係閣僚、沖縄県知事及び宜野湾市長をメンバーとして設置いたしました普天間飛行場負担軽減推進会議などを通じて、地元の皆様方の意向というものを丁寧に伺いながら進めてきているところでございます。

 また、従来よりもさまざまな機会を捉えまして、米国に対しまして、仲井真知事からの御要望について説明し、沖縄の負担軽減について協力を要請してまいってきたわけでございます。

 いずれにいたしましても、仲井真知事からの御要望につきましては、米国初め相手のあることでありますけれども、できることは全て行うという方針で取り組んでいく考えであるということを御理解いただきたいと思っております。

赤嶺委員 この日米合意というのは、十月の二十日に発表されたものですよ。あなた方は、いろいろ努力する努力すると言っているけれども、日米間で公式に合意された文書が出てくると、そこには五年以内なんて一行も書いていないんですね。そして、やはり辺野古移設だということがしっかり書き込まれている。日米間で何かを話し合っていると言うけれども、国民に見える文書の中には、五年以内というのは、あなた方がアメリカと合意した、つい最近合意した文書の中にも書かれていない。

 やはり、知事選目当てのごまかしはやめるべきだと思いますよ。実際に進んでいるのは工事の強引な着工、推進であります。このことを指摘しておきたいと思います。

 次に、空中給油機の問題について聞きますが、発表文書を見ますと、岩国飛行場への移駐完了について、「普天間飛行場における航空機の運用を減らし、沖縄における訓練時間を更に減らしてきた、」こういう枕言葉がついています。十月二十日の普天間飛行場負担軽減推進会議での総理発言、先日、四日の参議院予算委員会でもそのことが強調されております。あたかも、沖縄での訓練や運用が総量として減っていれば問題ないかのような表現であります。

 改めて、防衛大臣にこの問題の経緯を確認いたしますが、二〇〇六年の米軍再編のロードマップ合意では、岩国飛行場に移駐した空中給油機の訓練、運用について、どのように書かれていましたか。

中島政府参考人 事実関係について、ちょっと簡潔にお答え申し上げます。

 平成十八年、再編実施のための日米ロードマップにおきまして、「KC―130飛行隊は、司令部、整備支援施設及び家族支援施設とともに、岩国飛行場を拠点とする。」ということで記述をされておるところでございます。

赤嶺委員 大臣、その後の文章で、航空機の訓練及び運用はどうすると書いてありますか。

中島政府参考人 恐縮でございます、議員御指摘のロードマップの文書、ちょっと今繰っておりますけれども。失礼いたしました。

 「航空機は、訓練及び運用のため、海上自衛隊鹿屋基地及びグアムに定期的にローテーションで展開する。KC―130航空機の展開を支援するため、鹿屋基地において必要な施設が整備される。」というふうに記述されております。

赤嶺委員 KC130の訓練及び運用については、沖縄で行う、沖縄で訓練を継続するということは一切書かれていないわけですね。

 私たちは、基地や訓練のたらい回し自体に反対の立場であります。しかし、政府の側は、空中給油機について、拠点も訓練も県外になるから負担軽減だと強調してきたわけです。ところが、ロードマップの中で一切言及のなかった沖縄での訓練、運用が移駐後も定期的に行われています。にもかかわらず、今になって、総量として減っているから負担軽減だという説明は、これは到底納得できるものではありません。

 ロードマップ合意以降、日米間でどういう協議が行われ、なぜ沖縄での訓練が継続されることになったのか、日本政府はどういう主張をしたのか、交渉の経過を明らかにしていただけますか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 平成八年のSACO合意に係る地元説明におきましては、空中給油機KC130の岩国移駐後の訓練実施場所等につきまして米側に照会したものの、回答を得ることができませんでした、そのため、一般論として、KC130は、射爆撃場等で訓練する戦闘機等の支援を主任務としていることから、主に沖縄周辺の訓練区域で実施するものと考えている旨、地元に御説明したところでございます。

 また、KC130が岩国移駐後に沖縄に飛来することについては、米側との協議におきまして、いつどのように承知したかは、相手方との関係もあり、申し上げることは困難でございます。

 しかしながら、その協議の中におきまして、岩国移駐後も引き続き、伊江島補助飛行場など、あるいはグアム、ハワイ、オーストラリア、タイ、これらのところが使用されるということは承知していたことから、昨年十二月の岩国の市議会の全員協議会においてはその旨御説明させていただいたというところでございます。

赤嶺委員 大臣、SACO合意は、場所を明確にしていなかった。しかし、SACO合意の後の、SACO合意の実施に当たるロードマップの中では、航空機は、訓練及び運用のため、鹿屋基地、グアムに定期的にローテーションで展開するとはっきり書かれているわけですよ。沖縄でやるとは書いていないんですよ。それが、岩国移駐に際して、突然、沖縄もまた使います、こんなことをアメリカが言い出してきた。一体何で、ロードマップで書いていないことが今沖縄でやられる。

 その経緯は、さっき岩国ということがありましたが、間があります、その間、間があります。どういう話し合いが行われて、どんなふうにそれを政府は主張し、認める立場だったのか、そうじゃない立場だったのか。いかがですか。ロードマップと違うよということは言わなかったんですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般論といたしまして、アメリカとはさまざまなレベルで協議を行っていたところでございますけれども、具体的内容につきましてここで述べさせていただくことは御容赦いただければと思います。

 他方、岩国の今回のKC130の移駐につきましては、先生が御案内のとおり、先行移駐という形で実現したものでございます。

 それから、先ほどのローテーション訓練につきましても、これは、空母艦載機の岩国への移駐が行われるまでにおいてどのような形で鹿屋基地で訓練を行うかということについて今後とも米側と協議を続けていくというような形で現在整理しているところでございます。

赤嶺委員 日本政府は、沖縄での訓練を継続するというアメリカ側の方針に異議を唱えたんですか。これは大臣、イエスかノーで答えてください。

江渡国務大臣 米側との協議につきましては、いつどのように承知したかということは、相手方のこともありますので、申し上げることは困難でございます。

赤嶺委員 承知したのがいつかというんじゃないんです。イエスかどうか。要するに、沖縄で訓練を継続することに何か異議を唱えたのか、それをイエスかノーで答えてくださいということです。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 SACOの合意時におきまして、岩国での地元説明におきまして、C130の岩国基地移転後の訓練場所について米側に照会したけれども回答を得ることができなかったという点、さらに一般論で申し上げますと、ハーキュリーズ航空機は、これはC130でございますけれども、射爆撃場等で訓練する戦闘機等の支援を主任務としていることから、主に沖縄周辺の訓練区域で実施するものと考えているという御説明を平成八年にしたことがございます。

赤嶺委員 要するに、射爆撃場が沖縄に存在する限り、本拠地がどこに移っても、訓練は沖縄に戻らざるを得ない。今、総量が減っている、しかし、そういう戻らざるを得ないという仕組みの中では、もとに戻っていく、それ以上になるかもしれない。いろいろなものが備わっているのが沖縄の訓練場で、そういうことにメスを入れないで、こんなのは負担軽減と言えないですよ。

 岩国に加えて、辺野古でも、鹿屋、グアムでも、日本政府が財政負担をして米軍基地を整備しようとしています。政府がやっていることは、沖縄の負担軽減をだしにして、国民の税金を使って、米軍に対して、沖縄、岩国、鹿屋、グアムという四つの拠点、訓練基地を整備してやるようなものです。全く沖縄の負担軽減はまやかし、こういうことを言わざるを得ません。

 しかし、これで納得するわけにいきませんので、委員長、空中給油機の岩国飛行場移駐後の訓練、運用について、ロードマップ以降、日米間でどういう協議が行われたのか、資料の提出を求めたいと思います。よろしくお取り計らいをお願いします。

北村委員長 後刻、理事会において諮らせていただきます。

赤嶺委員 この問題にかかわって二点確認をいたしますが、十一月の五日から、米軍のF22ステルス戦闘機がアメリカ本土から嘉手納基地に飛来しています。二〇〇七年以降、毎年数カ月間、十二機程度が暫定配備されてきていると思いますが、これまでの配備状況と、それに対して政府がどういう対応をとってきたのか、明らかにしていただけますか。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 米側からの情報提供によりまして防衛省が把握しておりますF22戦闘機の嘉手納飛行場への暫定展開の実績につきましては、平成十九年二月以降、これまで八回あると承知しております。また、これらの暫定展開が行われた期間外では、平成二十二年の二月及び三月にも嘉手納飛行場へF22が飛来したと承知しております。

 嘉手納飛行場の騒音軽減というものは、沖縄の負担軽減の観点からも大変重要な課題であるというふうに認識しておりまして、防衛省といたしましては、平成八年の航空機騒音規制措置を厳格に遵守し、可能な限り周辺住民の方々への騒音の影響が最小限となるよう、米側に申し入れを行ってきているところでございます。

赤嶺委員 F15の訓練移転というのは、あのときの防衛大臣は浜田さんだったと思いますが、負担軽減になるということをしきりに私に答弁しておられましたが、かわりにF22が来て騒音は拡大している、何の負担軽減にもなっていないということを申し上げて、もう時間ですか、質問を終わります。

北村委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 法案の質疑に入ります前に、一点、大臣に確認をさせていただきたいと思います。

 私は、この委員会で再三、日米ガイドラインの見直しの最終報告は先送りすべきだ、関連法整備にあわせてやるべきだということを申し上げてまいりました。

 その中、きょうの朝日新聞の朝刊に「日米防衛指針 年内見送り」、「か」ではなくて「見送り」という断定的な記事になっております。また、その検討にも入ったということと、関連記事では、アメリカもそれは了承しているんだというような記事がございます。

 この報道は事実でしょうか。

    〔委員長退席、小野寺委員長代理着席〕

江渡国務大臣 お答えいたします。

 報道につきましては承知しております。しかし、そのような事実はございません。

 ガイドライン見直しにつきましては、昨年の十月の2プラス2におきまして、SDCに対して本年末まで作業を完了することが指示されております。

 引き続き、今現在、日米で合意したスケジュールのもと、先般の閣議決定を踏まえた法制の整備との整合性というものにも十分に配慮しつつ、今回の中間報告で示された枠組みと目的に沿って、さらにガイドライン見直しの作業を進めていきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 これは年内に結論が出る話だと思いますけれども、先送りはすべきだろう、私はそのように思っております。

 それでは、法案の質疑に入らせていただきたいと思います。

 集団的自衛権の行使によりまして、自衛隊の役割が変化することとなります。ことしの自衛官募集にもそのことの影響が出ているのではないか。また、ことしの自衛官募集は難航しているとも聞いておりますけれども、現状に対する御認識を伺いたいと思います。

真部政府参考人 まず、自衛官の募集の傾向につきまして申し上げます。

 過去の自衛官募集の傾向を見ますと、自衛官の応募者数というのは、基本的に、景気とか雇用動向と強い相関関係があると申し上げることができます。すなわち、有効求人倍率が高水準の場合には自衛官の応募者数が減少し、その逆の場合には自衛官の応募者数が増加するという傾向がございます。

 最近の動向について申し上げますと、例えばこれは、九月九日でございますけれども、締め切られました平成二十六年度の一般曹候補生の募集、これについては三万一千人の応募がございました。ここ数年の応募状況から見ると、これは少な目ではございます。昨年に比べますと約一〇%の減になっております。

 ただし、これは、先ほど申し上げた文脈の中で言いますと、直近の有効求人倍率が一・〇九倍ということで、かなり高水準となっております。こうした有効求人倍率が示すような人手不足感の影響などがあらわれた結果であるというふうに受けとめておるところでございます。

 私どもとしては、いずれにせよ、自衛官の募集につきましては、地方公共団体とも連携いたしまして、自衛隊の任務、職務内容、勤務条件などを丁寧に御説明し、募集対象者等に対して、職業としての自衛官が正しく理解されるよう募集活動をしっかり行っていきたい、こういうふうに思っております。

    〔小野寺委員長代理退席、委員長着席〕

村上(史)委員 防衛省の方から、充足率も表をいただきました。おおむね九〇%台を維持しているということではあるんですけれども、ただ、階級別に見ますと、幹部、准尉あるいは曹までは九〇%を維持しているんですけれども、士ですね、士の充足率は七二・六%なんです。これは相当低い数字ではないか。

 後ほど全体のお話をさせていただきますけれども、今後、さまざまな要因でこの自衛隊の募集というのは厳しくなっていく可能性があるし、また、充足率を満たす、そして、防衛整備上支障を来すのではないかという懸念を持っております。

 そこで、具体の話で恐縮でございますが、防衛大学校の退校者の推移についてお伺いをしたいと思います。

 今お手元にお配りをしている資料によりますと、過去二十年間の推移を記していただいております。その中で、平成十五年から平成十九年度まで、五年間、百名を大幅に超えております。平年ですと二桁の人数です。なぜこういう退校者がふえたのか、どういう御認識をお持ちなのか、お尋ねします。

真部政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が配付なさいました資料のとおりの、防衛大学校の中途退学者についての推移はお示しのとおりでございますが、今特に御指摘のあった、百名を超えている期間でございます。この時期に、確かに、防衛大学校の中途退校者数が増加していることは事実、全くそのとおりでございます。

 ただ、中途退校者の多くは、まず一年生でございます。これは、大体八割ぐらいが一年生、約八割が一年生でございまして、その理由といたしましては、もちろん個々の、個別に異なるところではございますが、多くの人が、性格に合わないとか、あるいは、ほかの大学を受験したい、そういった理由を挙げて中途の退校をしたというふうに承知しておりまして、そういったこととの関連はあるとしても、個別の事情との関連があるとしても、自衛隊の活動と直接何か関係があるというふうには考えておらぬところでございます。

村上(史)委員 今の御説明では、なぜこれだけの退校者がふえたかという理由は全く理解できません。

 ちょうど平成十五年から十九年にかけて、イラクへの派遣、またインド洋での給油活動など、自衛隊の任務が海外で展開されるようになったという中でこういう退校者がふえたんじゃないかという思いをいたします。ただ、一人一人から聞き取ったわけではありませんので、傾向としてはこういう傾向があるのではないかということで指摘をしておきたいと思います。

 次に、同じく資料配付させていただいております、陸海空自衛官の、事務官含めて、自殺者の推移を表にしていただいております。

 これも、少ないときで四十四名の自殺者、自衛隊員ですけれども、四十名台であったときもありますが、ちょうど平成十六年、十七年、十八年、そして十九年にかけて、事務官も含めて百名を超える、自殺者がぐんと、ほぼ二割ほどアップしているんですね。

 この理由はどういうことでしょうか。

真部政府参考人 まず、確かに今委員御指摘のとおり、自衛隊員の自殺者につきましては、平成六年から平成十五年度までは大体四十人から八十人台、これで推移しておりました。ところが、平成十六年度から十八年度の三年間に関しては約百人と増加しておるところでございます。平成十九年度以降は、それよりは減った八十人台ということで推移しているところでございます。

 一般に、このような自殺の原因、こういったものにつきましては、私どもとしては、さまざまな要因が複合的に影響し合って発生するものだというふうに認識をいたしております。個々の原因について特定することは実際上は困難な場合も多うございます。ということで、必ずしも、私どもとしては、今回、こうした、この三年間百人にふえたということについて、これだという原因を特定しているということではございません。そこは、個別の事情によるものだろうというふうに思っております。

村上(史)委員 もちろん自殺の原因というのは千差万別、それぞれございますが、ただ、これも、十六年、十七年、十八年というのは、今申し上げましたように、イラクへ派遣をする、あるいはインド洋に展開をするという時期と重なっているし、あわせて、イラク派遣をされた自衛官が二十八人自殺をされている、こういう実態もあるわけです。

 ですから、今後のためにも、その辺のことはきっちりと原因究明、また、その対応、対策というものを考えていく必要がある、そのことを指摘しておきたいと思います。

 それで、今後、さまざまな要因の中で、自衛隊の隊員あるいは防衛大学校の生徒さん、危険度が増すことによっていろいろな動揺が走っているのではないかというふうな思いをいたします。また、今後、集団的自衛権行使容認、実際に海外に派遣をしていく、こういう事態になってまいりますと、やはり先ほどの資料からも類推できるんですけれども、自衛官の募集に対して、防衛力整備上、将来的に大きな問題点になるのではないか、そういう懸念を持っております。また、あわせて、少子化がどんどん進んでいきますので、若年者がどんどん減るわけです。

 そういう中で自衛官の充足率をどう維持していくかということも大きな課題になると思いますので、その点、大臣の御認識はいかがでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 まさに、委員の御指摘のように、近年、社会の少子化あるいは高学歴化の進展に伴いまして、募集の対象となる人口というものが減少しておりますし、また、自衛官の募集環境というのはますます厳しくなるということが予想されるところでございます。

 このため、防衛省・自衛隊におきましては、厳しい募集環境が継続される中においても、できるだけ優秀な人材を将来にわたりまして安定的に確保するために、自衛隊が就職対象として広く認識されるよう、あるいは国の防衛や安全保障に関する理解というものを促進するための環境整備、あるいは時代の変化に応じた効果的な募集広報、関係府省あるいは地方公共団体等との連携とか協力、これらの強化というものを推進していきたいというふうに今行っているところでございます。

 また、今後も、自衛官の募集を行いますには、地方公共団体等と連携した組織的募集というものを推進しながら、自衛隊の任務あるいは職務の内容、勤務条件などをできるだけ丁寧に説明した上で、募集対象者に対しましても職業としての自衛官が正しく理解されるように募集活動を行って、確固とした入隊意思というものを持つ優秀な人材の確保に努めてまいりたいと考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 今大臣の方から、詳しく職務の内容等について説明をして理解を得る努力をするということでございますけれども、先ほども若干出ましたけれども、やはり危険な任務は伴うわけですから、そのリスクについてはやはり正直に、誠実に語るべきだろう。そうある中で、覚悟を持って自衛官になる方もやはり多くなると思いますので、余り、心配ない、心配ない、戦闘地域には行かない、だから大丈夫だというような形の説明はいかがなものかな、そのことだけは指摘をしておきたいと思います。

 それでは、職員の手当について、待遇について、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 先般、御嶽山で噴火災害がございまして、自衛隊また警察、消防の方々が大変危険な中で救出活動をしていただきました。大変な、映像を見てもわかるように厳しい環境だったと思いますし、いつ噴石が直撃するかわからない、命にもかかわるような危険な状態でありました。

 そういう中で、あの方々への手当はどうなっているんだろうということで調べましたら、一日、日当が千六百二十円。あれだけの危険を冒しながら一日千六百二十円の手当でいいのかどうか。自衛隊の危険性を考えるならば、やはりこれは見直すべきじゃないかなという思いをいたしましたが、いかがでしょうか。

真部政府参考人 まず、先般の御嶽山における救助活動、こういったものに当たります隊員に対しましては、今委員御指摘のとおり、災害派遣等手当といたしまして、作業一日につきまして千六百二十円が支給されるところでございます。

 それで、これにつきましては、さらにこの手当につきましては、災害対策基本法等に基づきますところの警戒区域等における作業及び人命の救助の作業で特に生命に著しい危険を伴うものとして防衛大臣が定める作業、こういったものに当たる場合には、この二倍の日額三千二百四十円を支給することといたしておるところでございます。

 具体的には、今般の御嶽山における救助活動についても、防衛大臣が定める作業として該当するかどうかの検討を事務的に今行っているところでございます。

村上(史)委員 ぜひ大臣、危険の度合いはもう本当に皆さん御承知ですから、やはり手当については厚くすべきではないかな、そういうふうに御検討をいただきたいと思います。

 それでは、防衛出動、また戦闘行為に対する手当の規定というものはあるんでしょうか。

真部政府参考人 防衛出動に関しましては、防衛出動手当というものが支給されることとされております。

 具体的には、防衛出動を命じられた場合に、共通に認められる勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤労条件及び勤務の危険性、困難性その他の著しい特殊性に応じて支給される防衛出動基本手当と、防衛出動時における戦闘またはこれに準ずる勤務の著しい危険性に応じて支給されるところの防衛出動特別勤務手当、こういう二種類のものが定められております。

 以上でございます。

村上(史)委員 金額は幾らでしょうか。

真部政府参考人 具体的な支給額につきましては、今後さらに検討を行いまして、政令によって定めることとされているところでございます。

村上(史)委員 なぜ早く定めないんですか。

 それと、海外の事情はどうですか。

真部政府参考人 まず、海外の事情について申し上げますと、諸外国の有事給与につきまして私どもが承知している範囲内で申し上げますと、米国の場合は、戦闘行動等に従事する者に対しまして敵砲火・緊急危険手当と称するものが支給されるものというふうに承知しております。

 それから、私どもの手当の額につきましては、さまざまな意見がございまして、さまざまな諸手当とのバランス等々、検討の必要がさらにあると思っておりまして、検討を終わり次第定められるようにしたいと思っておるところでございます。

村上(史)委員 やはり、こういう手当は明確にしておくべきだと思います。自衛隊員に対してもそれをはっきりと説明する必要もありますし。

 ただ、私がこの問題で危惧するのは、今までは、自衛隊は戦わないものだ、専守防衛だ、戦うという前提で手当を出すことは国民のさまざまな議論を巻き起こしてしまうので、あえてそれを規定しなかったのではないか、そういう印象を持っております。本来なら、きっちりと、防衛出動の場合、そして戦闘行為の場合はこういう手当は必要ですよ、その金額はこういう金額ですよ、そういうことを明確にしておくべきだと思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

北村委員長 時間が来ておりますから、大臣、簡潔にお答えください。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 先ほど局長から答弁がありましたように、今後さらに検討を行いまして、政令でしっかりと定めていきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 議題となりました法律案との関係で質問をいたします。

 冒頭はっきり申し上げますが、私は、自衛官及び任官前の防衛大学校在学生の尊厳と人権は、最大限尊重されなければならないとの立場であります。

 そのような立場で、自衛隊内における上官や同僚らからのいじめによる自殺について、国を被告とする多くの裁判にもかかわってまいりました。また、裁判には至りませんでしたが、自殺寸前にまで追い詰められ、自衛隊内における配置がえを求める者から相談を受け、防衛省や自衛隊にかけ合って配置がえを実現したケースもありました。今現在も、私のところには、現職自衛官やその家族らからさまざまな相談が寄せられております。

 きょうは、防衛大学校におけるいじめや暴力行為について質問をいたします。

 なお、きょうの当委員会に防衛大学長がおいでになっていないのは極めて残念であり、強く抗議を申し上げたいと思います。

 去る八月七日、防衛大学生のKさんが、学内における上級生らからの執拗にして陰湿ないじめ、有形力の行使による暴行等で傷害を受け、重度ストレス反応を発症したとして、防衛大学在校生八人を横浜地検に、刑法第二百四条傷害罪、刑法第二百二十三条一項の強要罪で刑事告訴した事実を承知しておるでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきます。

 この防衛大学校の二年生が他の学生を刑事告訴したということは承知しております。

照屋委員 私は、捜査中ですので、その評価は尋ねません。

 Kさんの告訴は、テレビや新聞で大きく報道されました。私自身も、告訴人本人やその母親から直接事情を聴取いたしました。

 防衛省として告訴内容を承知しておるのか、また、防衛大学校では告訴人及び被告訴人らから事情聴取等を行ったかどうか、尋ねます。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 本件の告訴の内容につきましては、現在、捜査にかかわることでありますため、お答えというものは差し控えさせていただきたいと思っております。

 なお、本件におきまして、防衛大学校におきましては、防衛大学校長をトップといたします臨時調査委員会を立ち上げまして、現在調査を行っているところでございます。

照屋委員 江渡大臣、告訴人のKさんは、国立大学も合格をしておりましたが、あえて夢と使命感を抱いて防衛大学校へ進学したのであります。

 私は、告訴人を通じ告訴状を入手して、何度も何度も読みました。告訴内容そのものは非常に多岐に及んでおりますが、一つ二つ申し上げますと、被告訴人らが告訴人を真っ裸にした上で、除菌アルコールを裸体にかけて、ライターで陰毛に火をつけて焼いた。もう一点は、ラー油一本を無理やりに飲ませた。三点目に、告訴人の写真を遺影のように黒テープで囲い、無料通信アプリLINEに流すなどの悪質きわまりないものであります。特に私が注目をしたのは、ライターで陰毛を焼く、これは告訴後にも行われておるようであります。非常に残念であります。

 私は、弁護士として、このような陰毛を焼く事件の判例も幾つも読みました。これは正直申し上げて、通常人がやるようなことではなくて、判例であらわれたのも、本当に暴力団が実行したようなケースなんです。しかも、これらのいじめ行為を現認した教官は何らの対応もとらなかったということも言われております。

 将来の幹部自衛官を育成する防衛大学校にあって、かかる暴力行為は断じてあってはいけない。要するに、暴力の支配をもって防衛大学校で幹部を育成するような風潮があっては私はよくないと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

江渡国務大臣 お答えいたします。

 まさに言語道断な行為だというふうに私は思っております。たとえどのような理由がもしあったとしても、精神的あるいは肉体的にこのような苦痛を与えるような行為というのは絶対あってはならない、私はそのように思っております。

 ですからこそ、先ほど委員の方にも御答弁させていただいたわけでありますけれども、現在、防衛大学校長をトップといたしまして臨時調査委員会を立ち上げて調査を行っておりますし、また、その上で、被害学生に対しまして、誠意ある対応を含め、事実に基づいて適切に対応させていただきたい、そう考えております。

照屋委員 大臣、非常にくどいように思いますが、私は真剣なんです。

 それで、告訴人やその家族のもとには、つい最近まで、防衛大学校の教官らが、Kさんの告訴は全く問題ないから無視せよと発言をし、被告訴人らに対してKさんへの謝罪は不要であると指導しているなどの情報が寄せられております。Kさんは現在休学中であります。

 私は、防衛大学校として、また、被告訴人ら八人がKさんに心からの謝罪を尽くして、Kさんが快く復学できるように、そして、将来、自衛隊の幹部として立派に働いていくようにするべきであると思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

江渡国務大臣 今委員の御指摘のとおり、まさにそのとおりだと私自身は思っております。

 ただ、今委員が御指摘しました、防衛大学校の指導教官が加害学生に対して謝罪の必要はないとの指導をしているという事実はないというふうには一応私は報告を受けております。

 ただ、どちらにしても、あってはならないことであります。ですからこそ、先ほども答弁させていただいたように、今現在、委員会を立ち上げまして調査をしているところでありますし、また、あくまでも、どのような理由があったとしても、不当な精神的あるいは肉体的な苦痛を与える行為というのはあってはならないわけでありまして、防衛大学校においても、日ごろより指導教官から各学生に対して指導も行っております。

 いずれにいたしましても、この臨時調査委員会におきましてしっかりと調査を行いまして、被害学生に対しまして、誠意ある対応を含めた、そしてまた事実に基づいて適切に対応させていただきたい、そのように考えております。

照屋委員 先ほど村上委員からの質問、そして村上委員からの資料提出等がありました防衛大学校生の中途退学の問題については、その原因を含めて私も関心がございました。

 重複は避けますけれども、年次ごとの、要するに、一年生というんでしょうか、一年間の防衛大学校の募集定員は何名なんでしょうか。

真部政府参考人 募集定員は四百八十名でございます。

照屋委員 それから、去る六月六日の当委員会で、当時の日本維新の会、宮沢委員から、防衛医科大学校の歴代校長が慶応大学医学部卒業の医師で占められている問題について質問がありました。その際も、たしか防衛医科大学の校長はこの場に来ていないので、質疑と答弁が全然かみ合っていない。ところが、私もこの防衛医科大学の学長人事というのは世界の七不思議の一つだと思っています、正直。

 防衛医科大学の学長がなぜ慶応大学医学部出身者でなければいけないのか、その必要性と合理的理由と正当性について、端的にお答えください。

塚原政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛医大は、医師である幹部自衛官を養成するため、必要な教育訓練を実施するとともに、医学の教育及び研究に資するための病院を運営し、地域医療にも貢献をしております。

 防衛医大は、このような専門的かつ重要な役割を担っていることから、学校長の人事につきましては、従前から、医学、医学教育の知識経験のみならず、防衛医大の教授等の経験と、防衛衛生に関する見識、さらには学校、病院の管理運営能力を勘案いたしまして、適任者を選任し、任命をしてきたところでございます。

 御指摘のとおり、歴代の学校長には特定の大学出身者が任命されてきておりますが、これは、さきに述べたとおり、適切に適任者を選考した結果でございまして、特定大学の出身者でなければならないというものではございません。

 いずれにしましても、今後とも、学校長の人事に当たりましては、必要な知識、経験、見識、管理運営能力等を勘案しまして、適任者を選考し、適切な任命に努めてまいりたいと存じます。

照屋委員 全く合理的理由になっていないと思いますが、時間ですので、終わります。

北村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がございますので、順次これを許します。三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 私は、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論をさせていただきます。

 個人的な話ではありますが、私の父親は海上自衛官でありました。防衛大学校において厳しい訓練を繰り返し、卒業後はP3Cのパイロットとして、米ソ冷戦の真っただ中において常に最前線で危険に身をさらす、決して楽ではない業務でした。訓練中に同僚が命を落としたこともあると聞いております。また、その生活も、基本的には官舎の中に居住し、ほぼ二年ごと日本国内を転々と引っ越しが続き、私がある程度育った後はずっと単身赴任を続ける、そんな生活を送っておりました。

 そのせいか、私も、生まれ育った一定の場所がなく、昔からの幼なじみがいない、政治家としては致命的な状況に置かれているわけであります。

 それはともかく、そういった個人的な知見に加え、質疑の中で答弁いただいた自衛官の職務の特殊性に鑑みると、同時に、近時ますます増大する自衛官の役割、そしてそれに伴う危険性の増大もあわせて考えると、自衛官の給与のあり方そのものを大きく見直していくべき時期に来ているのではないかと考えております。

 先ほどの質疑でも明らかになりましたとおり、今回の給与法の改正案に関して、多くの自衛官の皆様が前向きな姿勢を見せていることは理解をしております。

 私が所属するみんなの党は、国家公務員の総人件費の二割削減を訴えて選挙を戦っております。その意味で、全体として国家公務員の人件費の増大につながる本法案に手放しで賛成するわけにはまいりません。

 しかしながら、同時に、我々は、霞が関に能力給をもっと導入すべきと訴えており、その能力に応じて給与が支払われることは必要だと考えております。その意味で、その職務の困難性に応じた給与差をよりつけることも考えるべきではないかと考えております。本日の質疑にもありましたが、人事院勧告に基づき給与が改定されているあり方自体も改めて検討することも必要だろうと考えております。

 また、その際には、危険な職務に従事をされているわけですから、自衛官に限らず、警察庁や海上保安庁において現場に立たれている方々に対する給与のあり方も同時に検討すべきです。

 その意味で、自衛隊の皆様を初め、特殊な職務に従事されている方々の給与のあり方そのものを見直していただきたいという思いも込めまして、今回の法案に対しては反対させていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、防衛省職員給与法一部改正案に反対の討論を行います。

 本法案は、一般職の例に準じて、裁判所職員や国会職員などと同様に、特別職国家公務員である防衛省職員の給与を改定するものです。

 人事院は、八月、今年度の一般職の俸給を平均〇・三%、ボーナスを〇・一五月分引き上げる一方で、来年度以降は、給与制度の総合的見直しとして、民間賃金の低い地域に合わせて俸給を一律に平均二%引き下げた上で、都市部の地域手当を引き上げることなどを勧告しました。

 本法案は、この勧告に沿った改定を行うものです。国家公務員全体の給与制度の改悪と切り下げの一環をなすものであり、反対です。

 以上、討論を終わります。

北村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることといたし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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