衆議院

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第3号 平成27年3月26日(木曜日)

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平成二十七年三月二十六日(木曜日)

    午前八時十分開議

 出席委員

   委員長 北村 誠吾君

   理事 小野寺五典君 理事 門山 宏哲君

   理事 金子万寿夫君 理事 新藤 義孝君

   理事 武田 良太君 理事 大串 博志君

   理事 下地 幹郎君 理事 佐藤 茂樹君

      今津  寛君    岩田 和親君

      江渡 聡徳君    小田原 潔君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      神山 佐市君    木原 誠二君

      木原  稔君    小林 史明君

      笹川 博義君    中谷 真一君

      野中  厚君    浜田 靖一君

      原田 憲治君    宮崎 政久君

      武藤 貴也君    小川 淳也君

      玉木雄一郎君    津村 啓介君

      中島 克仁君    山尾志桜里君

      柿沢 未途君    吉村 洋文君

      伊佐 進一君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         中谷  元君

   防衛副大臣        左藤  章君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   防衛大臣政務官      石川 博崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  前田  哲君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  石原 一彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鈴木 秀生君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    浅川 雅嗣君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           島村  淳君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     神山 佐市君

  木原 誠二君     岩田 和親君

  津村 啓介君     山尾志桜里君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     小林 史明君

  神山 佐市君     宮崎 政久君

  山尾志桜里君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     木原 誠二君

  宮崎 政久君     小田原 潔君

  中島 克仁君     津村 啓介君

    ―――――――――――――

三月二十五日

 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法案(内閣提出第二〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法案(内閣提出第二〇号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣府沖縄振興局長石原一彦君、外務省大臣官房参事官滝崎成樹君、外務省大臣官房参事官鈴木秀生君、財務省国際局長浅川雅嗣君、国土交通省航空局長田村明比古君、国土交通省航空局安全部長島村淳君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省人事教育局長真部朗君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木雄一郎君。

玉木委員 おはようございます。民主党の玉木雄一郎です。

 本日は、沖縄に米軍が上陸してから七十周年、七十年目という節目の日であります。我が国の平和と繁栄を願ってそのとうとい命をささげられた、民間人も含む全ての先人たちに心からの哀悼の誠をささげながらきょうは質問したいと思っております。

 まず最初にお伺いするのは、先般、中谷大臣とも御一緒させていただきましたけれども、私、去年に引き続き、硫黄島に、日米合同の慰霊祭に参加をさせていただきました。ことしは、中谷大臣そして塩崎大臣、岸田大臣は来られませんでしたけれども中山副大臣と、二人の閣僚が参列をされて、その意味では節目の大変すばらしい式典だったと私は思っております。

 わずか一カ月の戦闘の間に、我が方で二万一千人以上そして米軍でも七千人弱の、多くの命が失われた、人類史上、戦史史上の中でも最も苛烈な戦いが行われた場所が硫黄島だと改めて感じました。

 その上で、遺骨の収集といったものをこれからもしっかりと進めていかなければならない。二万人以上の我が方の兵士が亡くなったわけでありますけれども、まだ半分弱の、半分にも満たない遺骨の御帰還しか今実現していないという状況であります。半分以上がまだあの孤島、本土から千二百キロ以上離れた島に残されたままになっておりますので、これは与野党挙げて、遺骨の収集そして御帰還を進めていく活動をしっかりとやっていかなければならないと思っております。

 その上で、もう一つ、ことし戦後七十年ということで、そういった英霊の皆さんに報いる、あるいはその魂をお慰めするという観点からも一つ、私、提案と質問がございます。

 お手元にお配りしている資料一をごらんいただきたいと思いますけれども、ことしは、国会議員の我々で行ったときに摺鉢山には登りませんでしたけれども、実は、昨年訪れたときに少し感じたことがありまして、それは、ここの摺鉢山の、有名な、硫黄島の星条旗を掲げるこの写真、あるいは像が有名でありますけれども、この左の下に英語で書いておりますけれども、一九四五年の二月二十三日、熾烈な戦いの中で米軍が、要は勝利をおさめた、ここに星条旗を立てたと。これは何度も、実は一回立てたんだけれども、さらに、また日本軍が取り返して立て直したりという、それこそ激しい戦闘が行われた場所であります。こうして、いわば米軍の勝利の碑が今なおここに残されているわけであります。

 占領下であればひとつこれは理解できるんですけれども、我が国は今独立国として、独立国の領土の中に、今は日米同盟があって大変友好な関係を築いておりますけれども、米軍のこの勝利の碑が今もなおあり続けるということについては、私は個人的に、これは違和感を禁じ得ません。

 ただ、今回、式に参列してみて感じたことは、我が方の戦った兵士もそうでありますけれども、米軍もそれは勇猛果敢に戦ったという中で、我々は彼らに対する心からの敬意ということもやはり忘れてはならないというふうに思います。

 そういったものを、さまざまな恩讐を乗り越えて、現在合同で慰霊の式典が行われているということも踏まえて、ちょうど戦後七十年という節目であります。米軍が勝利をおさめた、こういう碑でありますけれども、日米のより深い友好関係と、まさに将来に向けたさらなる恒久的な平和と友好を確かなものにするためにも、こうした勝利の碑については、移設をするか、あるいは少し配慮したような展示のあり方、そういったことをアメリカ側に申し入れてはどうかなと思いますけれども、外務大臣、これはいかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、改めて、硫黄島において祖国のために戦われ、命を落とされた多くの兵士の方々、御遺族の皆様方に深い敬意と哀悼の意を表し申し上げたいと存じます。戦没者のとうとい犠牲と両国民のたゆまぬ努力があったからこそ、今日の日米両国の平和と繁栄があるということは忘れてはならないと思います。御指摘の、二十一日の合同慰霊追悼顕彰式においてもこれが改めて確認されたものと思っています。

 そして、硫黄島には、御指摘のこの碑のほかにも、日本側により建立されました硫黄島戦没者顕彰碑を含め、さまざまな碑があると承知しております。こうした碑は、恒久平和への誓いを長く後世に伝えるとともに、日米両国の友好関係の一層の発展に努力することの重要性を思い起こさせるものであります。

 そして、この御指摘の碑について移設あるいは撤去を考えたらどうかという御指摘をいただきました。今現在、そういったことは検討はしてはおりません。

 しかし、本年、戦後七十年です。そして、日米両国は、戦後和解して強固な同盟国となり、ともに地域と世界の平和と繁栄に貢献してきました。こうした点を強調するとともに、今後も両国で地域と世界に貢献していく、こういったメッセージを世界に発信していかなければなりません。このように、戦後七十年たち、日米両国が和解をし、そして強固な同盟国になった、こうした歴史を振り返り、そして未来に向けて日米両国で平和や繁栄のために貢献していく、こういった思いを世界に発信するためにどういう対応をとるべきなのか、そういった観点で御指摘の点についても考えていくべきではないかと考えます。

玉木委員 ぜひ検討をいただければなというふうに思っております。

 アメリカ側に対して、米兵に対しての敬意、尊敬を忘れてはならないと私も思いますけれども、我が国は、独立国の中にこういったものがあることについてはやはりこの機会に見直していった方がいいのではないか、またそのことが日米の本当の友好ときずなの深化といったものにつながるのではないかなと思っておりますので、御検討をお願いしたいと思っております。

 さて、次の話題に移りたいと思いますけれども、チュニジアのテロ事件についてであります。

 この件については同僚議員からも何度も委員会でも質問がありましたけれども、改めて、亡くなられた方に対してはお悔やみを申し上げますとともに、今なお負傷されている方については一日も早い回復を祈りたいと思います。

 その一方で、一部報道にありますけれども、被害者の、被害を受けられた方の一人が陸自の三佐だったという報道がございますけれども、まず、これは事実でしょうか。

中谷国務大臣 当該負傷者の中に、自衛隊中央病院所属の結城法子三等陸佐が含まれていると承知をいたしております。

玉木委員 三等陸佐というと、一般の方はちょっとわかりにくいと思うんですが、昔のというか、大佐、中佐、少佐ということでいうと、いわゆる少佐に当たるということで間違いないのかということと、あと、大体、いわゆる幹部と言われるカテゴリーに三等陸佐は入るのかどうか、この点、ちょっと教えていただけますか。

中谷国務大臣 昔でいえば少佐でございます。

 御質問の、幹部に相当するかどうかにつきましては、幹部に相当いたします。

玉木委員 もう一つ質問しますけれども、その結城さんという方なんですが、三等陸佐、海外に旅行するに当たって海外渡航申請は出しておられたんでしょうか。

中谷国務大臣 隊員が国の用務以外の目的で本邦以外の地域に渡航する場合には、あらかじめ、海外渡航承認申請書を承認権者に提出し、承認を受けなければなりませんが、今回、チュニジアで発生した襲撃テロに巻き込まれた隊員につきましては、当該申請書が未提出であることを確認いたしております。

玉木委員 私は、これはやはり危機管理あるいは情報の管理という観点から問題だというふうに思います。

 平成十八年に、これも、当時三百人以上の自衛官の方が無断で渡航するということが指摘をされて、そこで関連の内部規律あるいはルールを定めて、そういったことがないようにということをこの間やってきたと思うんですね。にもかかわらず、しかも北アフリカであります、イスラミックステートの問題、あるいは、北アフリカでも隣国リビアでは同様のテロ事件、そういったものが言われている中で、いわゆる幹部と言われる自衛官、まあ、医官とは承知しておりますけれども、ただ、大臣おっしゃったような、やはり幹部自衛官という方が渡航申請なく、つまりルールに反して海外に行っているということについては、これは非常に私は深刻に捉えるべき問題ではないかなというふうに思っております。

 その点について、大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 御指摘のとおり、服務規律また隊員の安全確保及び情報管理の観点から、海外渡航承認申請手続が適切に行われることが重要だと考えておりますが、当該隊員が海外渡航承認申請書を未提出のまま海外渡航したことはまことに遺憾でございまして、今後、再発防止に努めてまいりたいと思っております。

玉木委員 今回は、けがをされて、命には別状ないということで、そのことはよかったと思いますけれども、例えば、今回、この幹部自衛官が人質にとられていたという状況を想定すると、これは恐ろしくなります。先般の後藤健二さんも大変悲劇的な結末を迎えましたけれども、自衛官が人質にとられて、それで我が国政府が交渉に臨むということになると、それは全く違った重大なことを我が国政府に要求される、あるいは我々も決断をしなきゃいけないような側面が出てくるという観点で、これは非常に私は問題視をしたいと思っております。

 それの上で、資料二を見ていただきたいんですが、この結城さんは手記を出されています。これはもう公表されているので、一部抜粋しましたけれども、幾つかのことをおっしゃっていて、私も最初読んだときには、一被害者として読んだので非常にお気の毒だなと思ったんですが、これは、幹部自衛官が書かれたものとして読むとまたちょっと別の側面が出てくると思います。

 幾つか例示をしましたが、一つは、ここに書いてあるように、NHKやニューヨーク・タイムズを名乗る人々も来て、質問に答えるよう言われました、そうしなくてはならないのだと思い答えましたが、何を話したのか正直覚えていません、日本大使館の方がいらして、日本の家族の連絡先を聞かれましたが、携帯がなかったので実家の固定電話しかわからず、なかなか連絡がつかなかったようです、一日じゅう泣いていたせいで目が腫れ上がってあけることができず、ということなんです。

 繰り返しになりますが、一被害者としては、非常に気が動転していたと思いますし、こういうことかなと思いますが、やはり幹部自衛官であります。少し私は、こういったことを対外的に手記として発表されること自体いかがなものかなと思いますし、私も公務員でしたから思うんですが、もしこういうことが起こったら、もちろん家族に連絡するのもそうですが、まず役所に、上司に、上官に連絡するのが筋かなというふうに思っております。

 その上でお伺いしたいんですけれども、この結城さんという方が自衛官であると、防衛省として御本人に接触されたのはいつなのか、この手記の公表を防衛省として把握されていたのかどうなのか、この点はどうでしょうか。もし事務方でもわかれば教えていただきたいんですけれども、いつ、自衛官がこのテロに巻き込まれたんだということを把握されましたか。

真部政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自衛官であることがわかったというか、完全に確認いたしたのはしばらくたっているんですが、最初にその可能性があるというふうに認識いたしましたのは、テロが起こった翌日でございます。その後、本人との接触等に努めて、その確認作業を行ってきたところでございます。

 それから、手記の点につきましては、これについては、残念ながら、私どもに事前に何か相談があったということはございませんでした。

 以上でございます。

玉木委員 手記を出されているんですけれども、プライベートなことがほぼ書かれていますが、ただ、やはり職業柄、情報を外に出すことについてはより敏感になるべき立場の職種だと思います、一般公務員以上にですね。ですから、こういったことが出てしまうことについて、その背景そのものについて、私は非常に危惧を感じるわけです。

 資料の三に書いています、先ほども少し申し上げましたが、無断で渡航すると、いわゆる渡航が禁止された国に行くと、たしか停職になるというふうな取り決めなんだと思います。

 チュニジアは、退避勧告が当時出ていませんでしたので、危険な国ということではないんですが、ただ、防衛省の内規を読みますと、チュニジアは注意国というカテゴリーになっていることは間違いなかったと思うんですけれども、そういった、特に注意国、いろいろな意味で注意をしなければならない、例えば、情報漏えいに特に気をつけなければいけないような、我が国と利害が反するような国であったり、あるいは、今回のような、テロに巻き込まれる可能性の高いところについては、やはり相当の、より高い注意を払って、仮にプライベートであっても、そういうことを意識しなければいけなかったと思うんです。

 この注意国というところに無断で渡航した場合には、やはり、無断で通常の国に行く場合よりも重い処罰が予定されているんでしょうか。いかがでしょうか。

真部政府参考人 御質問にお答えを申し上げます。

 私どもの内部の、内規でございますところの、「海外渡航承認申請義務に関する懲戒処分等の基準について」と申します通達がございます。それによりますと、確かに、今回チュニジアは、この通達でいうところの注意国に当たる、当時そういう扱いでございました。

 それで、その場合に、この通達は、別紙におきまして、違反が起こった場合の、無断渡航等が起こった場合の懲戒の基準について一定のものを示しておるところでございまして、今御質問のあった注意国に関しまして、例えば、二回以上五回以下無断渡航した場合または注意国に無断渡航した場合は軽処分にする。(玉木委員「軽処分」と呼ぶ)軽処分というのは、済みません、処分基準につきましては、停職から注意までの幅の中で、言いかえますと、その幅の中で処分を行うという旨の基準が定められておりますので、その基準に沿って、具体的なケースに応じて処分等を行っていくということになろうかと思っております。

玉木委員 個別の事案について私はどうこう言うつもりはありませんけれども、イスラミックステートの問題が発生して以降、やはり中東、北アフリカをめぐる情勢というのは、これまでの単に危険な地域とか、テロの可能性がある地域というものとは質的に変わってきたと思うんですね。

 ですから、自衛官が、仮にプライベートであっても、そういった地域に渡航することについては、これまでの基準以上の厳しいチェックをやはり組織としても行うべきだと私は思いますので、必要に応じて、これは内規の見直しも含めて、よりしっかりとした対応を講じていただくようにお願いしたいと思いますけれども、大臣、御検討いただけますか。

中谷国務大臣 御指摘をいただいた点を含めまして、検討してまいりたいと思っております。

玉木委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 これに関して、最後に一点、外務大臣にお伺いしたいんですが、手記の中に、少し気になる、外交官、外務省職員の言葉が出てくるので、お伺いします。

 朝日新聞の記者の方がインタビューをさせてほしいと言っているが、受ける必要はない、体調もよくないし、インタビューがどう使われるかわからないし、あなたには断る権利があります、日本大使館員の方がこういうふうに言ったというふうに出ております。この前に、例えばNHKとかそういった取材はむしろどんどん受けていて、特段、そういった、受けるなということにはなっていないんです。

 これは、善意に解釈すれば、先ほど、自衛官だということが把握できた、あるいは、少なくともその可能性があるということを多分大使館経由で把握したので、言葉は悪いですけれども、余りべらべらしゃべらないでくれというようなことが大使館経由で本人に伝わったことかなとも思いますが、ただ一方で、大使館の職員に、メディアからの接触を断る権利があるとか、受ける必要はないと言い切る権限もないのかなと思うんです。

 大使館員の方なんですが、取材拒否を助言したというふうに捉えられる可能性もあるんですけれども、こういった対応について、大臣、まず把握をされているのか、そしてどう思われるのか、御見解を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の点につきましては承知をしております。

 そして、この対応ですが、外務省としましては、「海外における邦人の生命及び身体の保護その他の安全に関すること。」を責務としております。これは、外務省設置法第四条の九に定められているところでありますが、今般の事案につきましても、在チュニジア大使館において、被害に遭われた方々の心情に寄り添いながら、邦人の保護の一環として可能かつ必要な支援を行ってまいりました。

 そして、この手記の中に御指摘のくだりがあるわけですが、これは、高原駐チュニジア大使と御本人、結城法子さんとの間で記者からの取材についてのやりとりがあった中で、大使が、邦人保護の観点から、事件直後である結城法子さんの被害状況や精神状況を踏まえ、取材を受けるか断るかについて御本人の御判断次第である、こういった旨を説明したものであります。

 なお、今回の事件に当たりましては、現地に中根外務大臣政務官を派遣いたしましたが、中根外務大臣政務官に対しまして、被害者の多くの御家族の皆様方から、静かに見守ってほしいと報道機関各社にぜひ伝えてほしいという強い要請がありました。こういった要請等も踏まえながらの現地の対応であったと考えております。

 政府としましては、今後とも、邦人保護のために、被害に遭われた方々の心情に寄り添いながら適切な支援を行っていかなければならないと考えます。

玉木委員 私、そもそも、受ける必要がないとか、あなたに断る権利があるということを言う前に、やはり自衛官ですから、求められてもいないのに、あるいは何かを言うというのは、守秘義務ということが常にかかっている立場である以上、プライベートなことでも余り言うべきではないかなと思いますので、そこも、防衛大臣、少し緩みがあるのかなと思います。

 ただ、私は、多くの自衛官の方はこういう方じゃないと思いますよ。やはり、高い、みずからを律する気持ちとプライドを持って職務に本当に励んでいる方を私もたくさん知っています。ですから、こういうことが一つあることによって自衛隊に対するイメージが損なわれてくることも極めて残念だと思いますので、改めてのお願いになりますけれども、やはり、しっかりと規律を正す、特に海外における自衛官のありようについては、もう一度、今の、現在のルールを見直して、しっかりとした対応を行っていただきたいということを最後にお願い申し上げたいと思います。

 次のテーマに移りたいと思います。

 先般、総理が我が軍という言い方をして国会で答弁をされたということであります。このことについていろいろなことが取り上げられていますが、まず、これまでの理解で、自衛隊というのはいわゆる通常の軍隊ではない。これは、資料の五にもありますけれども、例えば平成十八年十二月一日の、質問主意書に対する安倍内閣の答弁書にも、「通常の観念で考えられる軍隊とは異なるもの」というふうにされていますけれども、なぜ自衛隊は、通常、国際的に言われる他の軍隊とは異なるものと言われているんでしょうか。その異なる理由を教えていただけますか。

中谷国務大臣 自衛隊は、我が国を防衛する任務を有するものでありますが、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものとされております。

玉木委員 今おっしゃった、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない、制約が課せられているから通常の軍隊とは違うというのがこれまでの整理、答弁だったというふうに思います。

 その中で、我が軍というふうに総理がおっしゃったことに対して、官房長官は、自衛隊も軍隊なんだということをおっしゃっておられて、多分それは、質問主意書の前段の、自衛のために武力の行使をするということは当然認められていますから、そこに関して言えば、もちろん、攻められたら自衛のために武力を行使する、それは通常のどの国の軍隊もやっているので、その点に関して言えば軍隊だということだと思うんです。

 私があえてこれを質問しているのは、これから安保法制の議論がありますけれども、新三要件、新三要件の三番目の要件です。ここには、私の理解では、依然として、必要最小限度の実力を行使するということが新三要件のもとでもやはり課せられていて、その意味では、これまでの、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約、これは、自衛というのが集団的自衛なのか個別的自衛なのか、ここは、それぞれ各党、各政治家によって考えは分かれると思うんですが、少なくとも、我が国現行憲法下における自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約が課せられている、あるいは課せられ続けるということについては、ある意味、通常の概念で考えられる軍隊とは異なるという理由はこれからも維持され続けるのかなと理解しているんですけれども、これでよろしいんでしょうか。

中谷国務大臣 例えば、自衛隊は、性能上専ら相手国の国土のせん滅的破壊のためのみに用いられる兵器を保有することは、自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合にも許されません。また、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって憲法上許されないということで、先ほど説明をいたしましたが、憲法上自衛のための必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられたということでございます。

玉木委員 そこは変わらないと思うんですね。

 ですから、例えば、国際の平和と安全のために自衛隊を派遣する場合においても、警察比例の原則とか、あるいは均衡性の原則とか、そういったものは多分きちんと維持されると思いますし、自己保存だけではなくて任務遂行のための武器使用とか、少し拡大するようなことがいろいろなことで議論されますけれども、この大原則、一定、つまり制約された自衛権であるということについてはこれからも変わらないという理解であれば、余りそれを飛び越えているようなイメージを与えるような、我が軍というような言葉は、これは総理が使われた言葉なんですが、特にこれから安保法制を議論していくということを国民に対して正確な御理解をいただくという観点からも、やはり少し、私ははみ出た発言だったのかな、もう少し慎重に言葉を選ばれた方がよかったのかなというふうには思いますけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 自衛隊は、憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられておりまして、通常の観念で考えられる軍隊とは異なると考えております。

玉木委員 その点は、これからも、安保法制を議論するときも、国民にしっかり説明していく必要があるなというふうに思っております。

 残りの時間、AIIB、いわゆるアジアインフラ投資銀行について質問したいと思っております。

 報道は幾つかなされておりますけれども、私は、この間のこのAIIBの構想をめぐる中国の動きというのは外交的に極めてやはり巧みだったなというふうに思います。

 このアジアインフラ投資銀行の動きについて、先日、国会での答弁で、麻生大臣は、まず、中国からのアプローチに関して、財務官とか国際局長のレベルで話し合いがあったとの趣旨を述べていますけれども、改めて確認しますが、これは事実なのか。中国側からどのような形で参加要請を受けたのか。改めて、事実だけ端的に教えてください。

浅川政府参考人 お答え申し上げます。

 アジアインフラ投資銀行に関する中国とのやりとりでございますが、具体的な中身やタイミングに関しましては、相手国政府があることなので差し控えさせていただきたいと思いますが、ただし、先日、財務大臣から答弁申し上げたように、この銀行、AIIBに関しましては、さまざまなレベルで、それからさまざまなタイミングを捉えて、中国側とやりとりを行っていることは事実でございます。

玉木委員 参加要請はありましたか。

浅川政府参考人 中国側から、本銀行に関しての意義を、日本側に詳細な説明がございました。

玉木委員 詳細説明があっただけで、要請については、ではなかったという理解でよろしいですね。

浅川政府参考人 正式な要請かどうかは別にいたしまして、中国側としては、本銀行に対する意義を日本側に説明して、日本側に理解を求めたということでございます。

玉木委員 これは麻生大臣の三月二十四日の財金委員会での答弁なんですが、参加の要請があったのは中国からでありますというふうに答えているんですけれども、では、これは、大臣の答弁と今お答えになったことは違うということでよろしいですか。

浅川政府参考人 財務省同士の議論の中で中国側から積極的なアプローチがあったことは事実でございます。それが正式なものだったかどうかは、済みません、私としては、財務省同士のやりとりの中でそういう話があったということ以上には把握してございません。

玉木委員 何か曖昧でよくわからないですね。

 外務大臣にお伺いしますけれども、二十一日に行われた日中韓の三カ国の外務大臣会合の場で、このAIIBの話は出たんでしょうか。中国側から、何らかの説明及び参加要請はございましたか。

岸田国務大臣 二十一日に行われました日中韓外相会議におきまして、AIIBについて言及はありました。そして、私の方から、日本側の考え方、立場について説明をさせていただきました。

玉木委員 大変慎重な姿勢だというふうに、いろいろ報道ぶりを見ていると理解しているんですけれども、三月末の期限の中では、日本としては今月末までには参加表明はしないという理解でよろしいですか。

岸田国務大臣 AIIBに対する我が国の立場ですが、公正なガバナンスを確立できるのか、あるいは、債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにより他の債権者にも被害を与えることにならないか、こういった点を含め、慎重な検討が必要であるというのが我が国の立場であり、この慎重な立場は今現在全く変わっておりません。

玉木委員 外務省にもお聞きしましたけれども、単なる金融のどうのこうのという話ではなくて、安全保障も含めた、それはやはり、アジアの秩序に対する、どちらがどうイニシアチブをとるのかという、私は、ある種のこれは挑戦だと思います。特に、戦後まさに今七十年ですけれども、いわゆるブレトンウッズ体制というようなもの、あるいはワシントン・コンセンサス、そういった秩序に対する、私は、これは非常に無視しがたい大きな流れを中国がつくろうとしていることは事実だと思いますね。

 その意味で、もう時間がないので最後にお伺いしますが、アメリカ側の意向であります。アメリカについては、極めて慎重だというふうに理解しておりますけれども、一方で、少し柔軟にそれを捉えていこうというような発言もあるやに聞いておりますけれども、日本として、アメリカがAIIBに対してどのような方針で臨んでいるのか、どのように認識しているのか、日本の、アメリカ側の認識についての理解、これを、大臣お答えいただけますか。

岸田国務大臣 米国政府からは、この新たに設立される国際金融機関はガバナンス等に関する高い基準を満たす必要がある、こういった米国の基本的立場を説明を受けておりますが、この米国の基本的な立場は今現在全く変わっていないという説明を受けており、我が国としましても、そのように受けとめております。

玉木委員 終わりますけれども、知らないうちに、アメリカが慎重だろうと思って慎重にやっていたら、米中で急に結びついて、日本だけが知らなくて、かつてのニクソン・ショックみたいなことにならないようにということ。

 もう一つ、お願いは、財務当局と外務省の連携をもっと強めてほしいんです。これは金融の話だから財務省といって、我が国の縦割りを、安全保障とか世界の秩序の変化を捉えるときに国内的な縦割りを持ち込まないで、ぜひ一層の連携をとって、しっかりとこの新しい動きに対応していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 維新の党の柿沢未途でございます。

 きょうは安保法制を中心に中谷防衛大臣にお伺いをしてまいりたいと思うんですけれども、中谷防衛大臣の胸にも私の胸にも同じバッジが光っておりまして、国会ラグビークラブの会長として、私もその所属選手として、日ごろから大変お世話になっているところであります。その中谷大臣にこうして御質問の機会をいただきましたこと、大変光栄に思っております。

 大臣は、与党の合意文書が正式決定をされた二十日の夕方の臨時の会見で、これから安保法制の法案の作成に向けて、与党に示してもらった方向性を踏まえて、作業を加速化して、必要な法案を五月半ばに提出できるよう努めたい、こういう趣旨の御発言をされておられます。

 この与党の合意文書というのは、与党の合意文書であって、政府が方針を示したというものとは必ずしも同じものではないとは思いますけれども、しかし、この間、議論もいろいろと見守ってこられたお立場でもあると思いますし、現職の防衛大臣であり、そして、与党に支えられている、そうした存在でもあります。そういう意味では、この与党の合意文書、内容及び趣旨というのは防衛大臣としても共有しているということで認識はよろしいかどうか、まず質問の最初にお伺いをしておきたいと思います。

中谷国務大臣 柿沢委員の御指摘のとおり、先般与党で御議論いただいた結果として、現時点における法整備の具体的な方向性について、今、示していただいたところでございます。

 その内容と趣旨については私も承知をいたしておりますが、この現在の与党に示していただいた方向性を踏まえて、今後、作業を加速化しまして、さらに、その後も与党に御議論をいただきながら、必要な法案を大型連休明けの五月半ばにも、視野に入れて、提出できるように努めてまいりたいと思っております。

柿沢委員 では、その御認識を踏まえて、これから御質問させていただきたいと思います。

 今回の安保法制、また集団的自衛権をめぐる議論を聞いていて、特に十五事例が出てきたときに、何となく非常に感慨深いものを感じた、個人的なそうした思いがあります。

 といいますのも、私の父は、御存じのとおり、外務大臣を務めた柿沢弘治という政治家でありますが、外交、安保の専門家の一人でありました。

 父がまだ健在だったころに、講演で話しているのを、もう二十年前ぐらいでしょうか、聞いたことがあるんですね。北朝鮮が弾道ミサイルを撃つかもしれない。この弾道ミサイルがどこに飛んでいくのか。地上から見詰めて、アメリカに行くのか、海上に落ちるのか、それとも日本に向かって落ちてくるのか。これをずっと見ていて見ていて、もしアメリカだったら、あるいは海の上だったら、これは撃ち落とすことができない。日本に来るのかな、日本に来るのかな、そうじゃないのか、そうじゃないのか、どうも日本に来そうだと思ったら撃ち落とせる。こういうばかな話があるかということを父が講演で話していたのを思い出すんですよね。そういう意味では、考えてみると、二十年も前から同じ話をずっとしているわけです。

 湾岸戦争やカンボジアPKOのころに話していましたけれども、世界の平和に貢献するには、やはり日本も犠牲を伴う覚悟を持たないといけない、もっと言えば、血を流す、こういう覚悟も持たないといけない、それを命じる立場にある政治家がその覚悟を持つべきであると。これは、当時の左派政党の皆さんと国会やあるいは「朝まで生テレビ!」みたいなところで激論を交わしていたのを、大変強い印象を持っています。

 今回、私は、そういう意味で、安保法制の議論をめぐって政府の説明にごまかしがあってはいけないというふうに思っています。危ないことは起こらないとか、戦争や戦闘をするわけではない、日本はますます平和になる。ここまでの政府の皆さんの、特に安倍総理の御説明には、時に、言ってしまえば、ごまかしがまじっているように思えてならないと思います。

 今回、安倍総理が目指して、また中谷防衛大臣も恐らく長年の悲願として実現させたいと願っているであろう、いわゆる安保法制の整備を実現すると、自衛隊は、日本の領域外で他国が行っている戦闘行為に対して、一定の条件を満たせばその支援活動に参加できるようになる、しかも、現に戦闘が行われている地域でなければ支援活動が行えるということで、活動可能領域も広がることになるわけです。また、弾薬を運ぶみたいな話もあります。それだけ自衛隊の部隊が直接的な武力攻撃の危険にさらされる可能性は高まるということにならざるを得ないと思います。

 そのときに、防御のため、自衛隊が武器使用に及ぶことも当然想定される。これは当然想定されることであって、逆に言えば、そうした事態を想定していなければおかしい、こういうことだと思いますけれども、中谷防衛大臣、ちょっとここについて、そういうことでいいかどうか、まず大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

中谷国務大臣 私も若手議員のときに、柿沢議員のお父様から、憲法論とか安全保障論等の会議でも拝聴させていただきましたけれども、非常に現実に即した立派なお考えでありまして、非常に勉強になりました。

 党ではそういうことを検討し、議論をしていただいたんですが、昨年の閣議決定の前に十五事例が出てまいりまして、これは、政府としてこういった現実を踏まえて例示をされたものでありまして、私は、この十五事例におきましては、現行憲法で懸案となるような例示を挙げられたものだと。こういった、柿沢先生のお父様などの議論を踏まえてこういう結果が出たということで、私は、政府としてそれをようやく取り上げるようになったのかということで、非常に、今まで先送りをしてきたことに対して真摯に対応しなければならないという姿勢だと思っております。

 そこで、現状の法体系で自衛隊はいろいろな任務をしておりますが、自衛官として、事に臨んでは危険を顧みず行動するという宣言をして日本の国の防衛の仕事をしているわけでありまして、私も、防衛大臣として、隊員のそういった行動に関しましては、隊員の命を預かる者としては、それなりのしっかりとした心構えで現在いるわけでございます。

 おっしゃるように、これまで、ソフトパワーをもちまして海外におきましていろいろな任務を遂行してまいりましたが、一人の犠牲者も出さずにこれまでやってまいりました。まさにこれは、日本のソフトパワーと呼ぶべきことでございまして、例えばイラクの派遣においても、日本の対応ということで、義理、人情、浪花節、こういった精神をもって現地で活動するというようなこともしながら、安全に任務を遂行したわけでございますので、こういった精神はしっかりとこれからも堅持をしてまいりたいと思います。

 片や一方で、現状におきましては、安全保障環境が非常に変化をしまして、もはやどの国も一国のみで平和を守ることができない。また、我が国がその国力にふさわしい形で一層積極的な役割を果たすことが期待をされておりますので、現在、それを踏まえて、今後の対応について検討しておりますので、こういった検討におきましても、委員が御指摘をされるようなことも踏まえて、まず、政治の側の覚悟と、また心構え、これをしっかりした上で、今後検討してまいりたいというふうに思います。

柿沢委員 大分先回りして御答弁をいただきましたけれども、残念ながら肝心なところにお答えをいただいていないと思います。繰り返し同じ問いを発することになりますが、お許しください。

 今回、安倍総理が目指し、中谷大臣も長年温めておられたであろうこの安保法制の整備というものが実現をすると、自衛隊は、日本の領域外で他国が行っている戦闘行為に対して、一定の条件を満たせば、現に戦闘が行われている地域以外においては支援活動を行うことができるようになるということですよね。活動領域は広がり、弾薬を運ぶというような話もあるわけで、そういう状況の中でいえば、今までと比べれば、自衛隊の部隊も直接的な攻撃にさらされるリスクも高まるし、それに応戦をするということで、結果的に武力の行使というべき行動をとらざるを得ない、そういう可能性も高くなる。

 このことは、私の理解はそうだと思いますけれども、中谷大臣もそういうことだというふうに理解をしているということでいいですか。ここの部分についてのお答えをいただいていません。ぜひお答えください。

中谷国務大臣 それは活動の仕方だと思っております。

 これまでも、我が国を防衛するために、隊員は命がけで任務を果たす覚悟を持ち、我々、大臣の方もそんな覚悟を持ってやっておりまして、確かに、新任務、新三要件の中で、新たな法整備により与えられる任務も変わってくるわけでございますが、命がけで対応するというのは今までと同様でございまして、問題はいかにそれを実行させるかということでございます。

 例えば、今後の活動においても、状況の変化によって、自衛隊が活動している場所が現に戦闘行為を行っている現場となる場合には、直ちに活動を休止または中断をすることになりますし、また、実際に自衛隊が活動するに当たっては、危険を回避して活動の安全を確保すべきことは当然でありまして、部隊の安全が確保できないような場所で活動を行うことはございません。

 このような点を検討いたしまして、しっかりと任務が果たせるという条件をつくった上で隊員を派遣できるように、そういったことを検討して海外の活動を行わせたいと思っております。

柿沢委員 大変残念なんですけれども、私は、今の御答弁がまさに一種のごまかしだと思います。

 まさに、これから安保法制を整備して、積極的平和主義という考え方のもとで、自衛隊の海外における活動範囲というか、質的にも量的にも範囲が拡大をする、このことは誰もが認めざるを得ないことだと思うんですよ。そうすれば、リスクが高まるのは当たり前だと思うんです。そこについて、安全確保をし、そして、現に戦闘地域になった場合は即時に撤退するから、そうしたことはあたかもないかのような、あたかもないかのような御答弁をされるというのは、私は誠実ではないと思います。

 先ほど先回りして御答弁をいただきましたけれども、これは中谷防衛大臣が御答弁をされなくても、そういうことになるんだということは誰もが薄々と、自衛隊員も含めて感じていることだと思うんです。

 日本は、これまで一貫して、憲法九条の縛りのもと、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄して、あくまで自国防衛の範囲において必要とされる最小限の実力組織として自衛隊を保持するという、専守防衛と言われる国是を貫いてきた。その結果、自衛隊は、一発の銃弾も撃たず、そして一人も殺傷しない、こういう日本の平和主義に対する信頼を戦後七十年にわたって築き上げてきたわけです。

 先ほど、イラクの陸上自衛隊の人道復興支援部隊の帰任式で、これは小泉総理が言った、イラクにおいて、一発の銃弾も発せず、一人も死者を出さず、これは日本国民にもイラク国民にも長く記憶にとどまるだろう、こういう言葉に象徴されているわけです。

 アフガンで武装解除にかかわった伊勢崎賢治さんとか、あるいは実際に紛争地で人道支援を行っている我が国のNGOの皆さんとか、こういう皆さんは、まさに日本がそういったソフトパワーを持っていることがいかに日本人が現地で活動をする上で身の安全の確保に役立っているか、こういうことを強調されておられるわけです。この信頼を、結果として日本は失うことになるわけです。程度はどうあれ、そうなることになると私は思います。

 それは、ある意味では引きかえの問題だと思うんですね。他国の若者が血を流して確保し、維持されてきた世界平和の一方的な受益者であってはならない、だから、日本も、リスクが高くなっても今まで以上の協力や貢献に踏み込むんだ、こういう考え方でしょう。

 だったら、そのリスクが高まるということを否定するのは、私から見ればごまかしです。日本国民に、また、アメリカ初め国際社会や諸外国に、そして何よりも自衛隊員に対して、私は不誠実だと思います。政治家がそれをやってはならない。残念ながら、そこに安倍総理は正面からお答えになっていないと思います。

 中谷防衛大臣は、自衛官の出身でもあり、また、自衛隊の指揮官として、私は、内心その覚悟をお持ちだと思っています。その覚悟をぜひ私はお伺いしたい。これは議論の最初の最初だと思いますので、それを確認させていただきたいと思います。

中谷国務大臣 まず、我が国は、戦後一貫して、日本国憲法のもとで平和国家として歩んできた。自衛隊も、高い能力と揺るぎない使命感、そして献身的な努力で、日本の平和を守り、世界の平和に貢献をしてきた。この歩みは国際社会において高い評価を得ており、これを確固たるものにしなければならないということでございますが、今後、新しい安全保障環境の変化に対して対応できる法律を今つくっておりまして、柿沢議員も御指摘をされましたことにつきましては、私は、政治家だけの問題ではなくて、日本の国民、日本の国として、どういった考えで隊員を海外へ派遣されるかという要素も非常に大きいのではないかと思っております。

 今回の検討におきましては、まず、そういった国民の理解。そして、この国会、我々政治家として、自衛隊を派遣するかどうか、そういった国会での統制。並びに、一番大事なのは、国際社会の中でそれが正当性のある活動であるという理解を得るかどうか。そしてもう一点は、隊員の安全確保、これは非常に大事なわけでありまして、そういう措置をした上で隊員を送り出すという体制をつくっていかなければなりませんので、そういったことがしっかりできる、そういう環境を整えた上で、今以上の任務遂行をさせるように整備をしていきたいと思っております。

柿沢委員 その今以上の任務の遂行ということに伴うリスクがやはり存在すると思うんです。

 国民の理解、支持、我々国会も含めて、そうしたことがやはり必要な条件になる。私は、隊員の安全確保をしないでいいなんて一言も言った覚えはありません。そして、戦争できる国になるのは反対だとか、そういうロジックで物を言っているつもりも決してありません。ですから、あえて私の父親の発言を最初に引用させていただきました。

 そういう立ち位置に立ったとしても、やはり、リスクが高まる、そのことについて一種引き受けて、そして、政治家の側が、覚悟を持ってそのことを示しながら、しかしそれは日本のために必要なことなんだ、こういうふうに物を言わなければ、残念ながら、大臣御自身が御答弁で期待をされておられる国民の理解も、また私たち自身の理解も深まらないということになってしまうのではないでしょうか。

 これは、このことを語っていただかなければ、私はこの先の議論に進めないぐらい大事なことだと思いますので、もう一度、ぜひ御自分のお言葉で語っていただきたいと思います。お願いいたします。

中谷国務大臣 現在までPKO活動やいろいろな国際活動をいたしておりますが、いずれも日本の国を代表した活動であり、日本国民を代表する自衛隊員が行っている活動でありますので、現在も、そういった目的、目標に加えて、隊員の安全については十分に配慮した形で海外活動をいたしております。

 今後におきましても、これらの任務を遂行する上の条件をまず示して、そして国民の理解をいただく。先ほどお話をいたしましたけれども、国会において最終的にそれを承認するかしないか、これは、国会においてそれぞれの政治家がこういったことについてしっかりと責任を持って送り出さなければなりませんので、当然、それなりの責任と覚悟を持って自衛隊の対応を決めてまいりたいと思っております。

柿沢委員 正直申し上げて、その覚悟というのがなかなか伝わってこない、こういう御答弁であると思います。

 私自身は、このお答えを政府の閣僚の皆さんが総理初め繰り返されるようであれば、もうこの議論はできないというぐらい非常にこのことについて強い意識を持っていますので、本当に国民に真摯に、誠実に、あるべきそのリスクというものをしっかり必要な範囲で示した上で、これから先に進んでいただきたい。そうでなければ、後からいろいろな意味で後悔をすることになる、こういうことにならないようにぜひしていただきたいというふうに思います。

中谷国務大臣 現在も自衛隊員は、任官をするときに、事に臨んではみずからの危険を顧みず職務を遂行するという宣言をしまして任務を果たしております。今後もこういった精神は変わらないわけでございますので、こういった心構え等につきましては同じだと思います。

 ただ、今後の活動をする際には、いろいろな条件やいろいろな目的、こういうことをつくって出さなければなりませんので、そういう点は政治の場で、どういう条件で海外活動をさせていくのか、非常に大事な指摘でありますので、そういうことを踏まえて、私も責任を持って法案をつくってまいりたいと思っております。

柿沢委員 事実上、私の考えを共有していただいているような、そういうふうに言葉の端々から受けとめられる部分もありますので、この先ちょっと個別の論点に進んでまいりたいと思います。

 与党の合意文書の中では、「国際社会の平和と安全のために活動する他国軍隊に対する支援活動(新法を検討)」とあります。国連決議等に基づいて多国籍軍が組織をされ、国際社会の平和と安全のために武力行使を含めた活動をする。つまりは、これらは国際法上は集団安全保障に該当する機能を有する活動に当たる、そういう項目だというふうに考えられます。

 与党合意文書には、こう書いてあるんですね。「国際社会の平和と安全のために活動する他国軍隊に対する支援活動を自衛隊が実施できるようにするため、以下の」四要件、四つの「要件を前提として法整備を検討する。」と。「他国の「武力の行使」との一体化を防ぐための枠組みを設定すること」「国連決議に基づくものであること又は関連する国連決議があること」「国会の関与については、対応措置の実施につき国会の事前承認を基本とすること」「対応措置を実施する隊員の安全の確保のための必要な措置を定めること」、この四つが要件とされています。

 この方針で、この要件で閣法の整備を進めていくということでよろしいかどうか、まずお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 今回、与党からそういった方向性が示されましたので、それを法案に取り込む形で検討したいと思っております。

柿沢委員 そうすると、支援活動に自衛隊の部隊を派遣するということになる場合、その判断の根拠として、昨年七月一日の閣議決定にも記された、いわゆる新三要件というものとの関係性はどうなるんでしょうか。お尋ねします。

中谷国務大臣 新三要件との関係ですね。

 これは、我が国の行う補給、輸送などの支援活動、それ自体は武力行使に当たらない活動でありまして、憲法との関係では、先般の閣議決定において、いわゆる武力行使との一体化論、それ自体を前提とした上で、議論の積み重ねを踏まえ、そして、これまでの自衛隊の実経験、国連の集団安全保障措置の実態を勘案して検討した結果、他国が現に戦闘行為を行っている現場ではない場所で実施する支援活動については、支援内容のいかんを問わずに、他の武力行使と一体化をするものではないと判断をするに至りました。

 一方で、新三要件を満たして自衛の措置として武力行使が許容される場合と、現在検討中の新法のもとでの支援活動との直接の関係はないと考えますが、この新法と新三要件の関連については、一連の法案を作成する過程で適切に検討して整備してまいりたいと思っております。

柿沢委員 前国会で、総理は、憲法上、武力行使が許容されるのはあくまで新三要件を満たす場合に限定される、これは集団的自衛権の場合でも集団安全保障の場合でも変わらない、こういうことを御答弁されております。つまり、新三要件を満たさない限り、集団安全保障に関しても、武力の行使を伴うような活動には参加をできないということをおっしゃっているんだと思います。

 今、御答弁を聞いておりますと、今回は、支援活動、後方支援、つまり武力の行使ではないのでここの抵触は生じないんだという解釈なんだと思うんですけれども、今回の支援活動というのは、現に戦闘行為が行われているところ以外ではできるわけですね。しかも、これから輸送等々の分野では、先ほど弾薬の例を出しましたけれども、そういう意味では、後方支援といえどもかなり戦闘地域に近接したところまで近づいていく、そういう可能性のある活動に自衛隊が従事することになると思います。

 これまでも前例がありますが、こうした後方支援部隊が戦闘に巻き込まれたり、直接的な武力の行使の対象になったり、そういう形で犠牲が生じたケースというのは他国においては多々あるわけです。ですから、後方支援だから、武力の行使、それと同等と言えるようなそうした行為を自衛隊が行わなくて済むという、その整理の仕方自体が私は一種のごまかしがあると思うんです。ですから、この新三要件との関係性はどうなんですかということをお伺いしているんです。

 これは後方支援だから武力の行使はない、こういう整理をするということで本当にいいんですか。本当にいいかどうか、まず御認識を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 これは法案を作成する過程における憲法上の整理でありまして、やはり、憲法上武力行使をしてはならないという原則がありますので、こういった後方支援におきましては、憲法上武力行使にならない範囲で行うという整理。そして、新三要件におきましては、我が国を守る上において必要上という、いろいろな三つの条件を課しました上の武力行使でございまして、ここが違うところです。

 お尋ねの、この間における活動はということにつきましては、今法案を検討しておりますけれども、例えば、自衛隊の活動を中止、中断するとか、また計画を立てるとか、こういう点におきまして、隊員の安全は考えた上でこういった活動を行うわけでございますが、あくまでも今は、憲法上の範囲において法案をどうするかということで、このような分類をしたということでございます。

柿沢委員 憲法上のことがあるのはそれはそうでしょうけれども、しかし、現に派遣をされる自衛隊員の皆さん、もちろん安全確保の話は再三再四前置きとしておっしゃっているのはわかりますけれども、その皆さんがどういう環境下においてどういうことをやるのかということ、想定の範囲を考えてみると、これはかなりのリスクがやはりある、そうしたところに踏み込む余地をつくり出している、そういう合意文書になっていると思うんです。

 しかし、後方支援であって、基本的に武力の行使は想定されない、こういうことを多分おっしゃっているんだと思うんですけれども、そうだとすると、これまたちょっと難しいことになるような気がするんです。

 つまり、武力の行使を行うために行くわけではない、そして戦闘地域でないところで活動するんだという前提のもとで行くとすると、例えば、派遣される自衛隊の部隊の装備とかいうことはどうなるのか、携行する火器等々についてはどこまでの範囲になるのか。

 武力の行使は行わないという前提で物を考えて組み立てていくと、万が一のときに自衛隊員自身の安全を守れないような装備で出さざるを得ないみたいなことに、法律上、憲法上こうだということを理由として、なっていかざるを得ない可能性があるんじゃないですか。そういう点はどこまで考慮されているんでしょうか。

黒江政府参考人 実際に自衛隊の部隊をこうしたケースに派遣する場合の具体的な装備品に係るお尋ねでございますので、私の方からお答えいたしますけれども、その際には、先生御指摘のような、御懸念のようなリスクが現場においてどのような形であるのかといったことを事前にきちんと評価をした上で、その上で、我が方が身を守るのに必要な装備品を携行するというのが基本的な考え方だと思っております。

 また、先ほど来の先生の御質問の中で、リスクがあるのではないか、そこで戦闘に巻き込まれるリスクがあるのではないかというところをお尋ねになっておられるんだと思いますけれども、これにつきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、それを回避するため必要な、極限まで回避するための仕組みをこれから整備していきます法制度の中で実現をしていきたい。

 例えば、現行の法制度の中にもございますけれども、戦闘が起きそうであるといったような予測がつく場合には、部隊指揮官がきちんと身の安全を確認した上で一時休止をする、その上で、再開するかどうかというのは、例えばしかるべき者が判断するといったような仕組みを設けることで、先生御懸念のリスクというものを局限する、そういうことを今考えているわけでございます。

柿沢委員 私自身は、そうした仕組みそのものの整備もさることながら、先ほど御答弁でおっしゃっていただいたような、やはり、あらゆる可能性を想定しつつ、しっかりと対応できるような体制をしくことが私は大事だと思っています。それは、事実上、武力の行使に及ぶ可能性があるという前提のもと、そうした部隊の体制を整備するということにならざるを得ないんじゃないか。そうすると、論理的に言うと、先ほどおっしゃった整理とコンフリクトを起こしてしまうのではないかと思うんです。ここの部分について、やはり一定のきちんとした整理が必要だというふうに思います。

 時間が大幅に経過をして、予定の質問を飛ばしていかざるを得ないんですけれども、申し上げてきたように、我が国は、憲法九条の縛りのもと、国際紛争解決の手段としての戦争を放棄して、あくまで自国防衛の範囲において必要とされる最小限の実力組織として自衛隊を保持する、専守防衛、こういう国是を貫いてきたわけです。

 専守防衛だからこそ、例えば、他国に攻め入って領土を占領する、こういう兵力というか、力は、能力は有していない、いわゆる戦力投射能力、パワープロジェクション能力というものは日本の自衛隊は有していないというふうに言われているわけです。一方で、日本自身が攻撃された場合に迎撃をして守る、こういう体制についてはかなり整備をされている。こういう、ある種、通常の国の軍隊と比べると、大変アンバランスというか、防衛に特化した、そうした戦力の配備になっている、こういうことが言われているわけです。

 我が国の二〇一三年の中期防を達成した場合の陸海空の自衛隊の体制というのは、少なくとも専守防衛を全うするのには十分な水準になる、こういう御認識かどうかについて、まずお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 我が国の防衛力整備は、専守防衛に徹するという基本方針のもとに防衛大綱と中期防ができておりますが、この大綱は、自衛隊全体の機能、能力に着目して、統合運用の観点から行った能力評価等を踏まえて、おおむね十年程度の期間を念頭に、自衛隊の具体的な体制の目標水準を導き出しております。

 二六中期防におきましては、現在の大綱の最初の五年間を対象としたものであるために、二六中期防の計画をもって防衛大綱に示された目標水準等が満たされるわけではありませんが、防衛大綱で示された自衛隊の役割に十分対応できるように、まずは二六中期防に基づいて着実に防衛力を整備していくことが重要であると考えております。

柿沢委員 満たされるわけではない、こういう御答弁です。

 元官房副長官補の柳沢協二さんがよく言う話なんですけれども、自衛隊の体制を比較すると、冷戦時代というのは、陸上自衛隊が十八万人、海上自衛隊が六十隻、航空自衛隊が四百三十機、こういう体制だった、現在どうかというと、二〇一三年の中期防、二六中期防を達成した時点でも、陸は十五・九万人、海上自衛隊は五十四隻、そして航空自衛隊は三百四十機、こういう体制でしかないと。

 専守防衛そのものだったかつての自衛隊の体制よりも、今、中期防で満たそうとしている水準は必ずしも高くない、むしろ低いわけですね、単純に比較をすると。こういう状況で、それこそ他国防衛を趣旨とする集団的自衛権の行使とか、あるいは国連決議に基づく多国籍軍への後方支援活動、こういうことに積極的に参加をしていくという余地、余力があるのかどうか、そのキャパシティーについてはどうお考えか、お尋ねしたいと思います。

黒江政府参考人 現有といいますか、目標としております防衛力の水準と、これから期待されております海外活動について、それが能力として十分なのかどうかといった点の御質問かと思います。

 これは現在においても同様のことでございまして、我々は、さまざまな環境を評価しながら、必要な防衛力の水準を導いて、それに向かって防衛力整備を行っておるわけですが、それと同時に、そういった現有の防衛力をどのように使っていくかという中で、我々に対してさまざまな国際的な要請があったときに、持てる能力の範囲内でこれにお応えしていくというのが現在の考え方でございます。

柿沢委員 そうなると、これは、できることは相当限られてくるのではありませんか。

 一方で、安倍総理は、オーストラリアの議会のスピーチにおいて、日本は長らく安全保障において内向きであった、しかし、これからは違う、そのために安保法制を一新するんだということを、堂々と胸を張っておっしゃられているわけです。

 できることの範囲を明示してその範囲で貢献を行うということと、こういう形で期待値を高めるということ。結果として、日本の持っているキャパシティーから考えると、期待値を高め過ぎると、むしろ、現実になし得ることとのギャップが生じると、かえって逆効果にもなりかねない可能性があるのではないかと私は非常に案じているところなんですが、そうしたことが起こらないように、しっかりと対外的にも日本がなし得る範囲というものを示していく必要があると思いますけれども、その点について御認識を伺っておきたいと思います。

中谷国務大臣 非常に大事な点の御指摘、ありがとうございました。

 ただし、現在の能力においても、まだでき得ることがあると思います。自分の能力以上のことはできませんので、できる能力でやるわけでございますが、例えば、こういうことをやってほしいとか、また、こういうこともやっておくべきだと、過去の海外活動におきましてもそういった観点とか教訓がございます。

 法律がなければそういうことはできませんので、今の能力においてもこういった支援ができ得るように、まず法律を整備した上で、今後、装備はどうあるべきか、そういうことは検討をいたしますが、現時点においては、現在の能力においてまだでき得ることがあるのではないか、そういう観点で法律を整備しております。

柿沢委員 そういう意味で、非常に今の御答弁のとおりに進めていただきたいというふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。

北村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、タイムテーブルで維新の間に割って入るような、そういうタイムテーブルになりましたが、私の他の委員会との関係でちょっとのっぴきならぬ事情がありまして、御理解をいただいた皆様に心より感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、昨日の外務委員会に引き続いて、辺野古の新基地建設問題について質問をいたします。

 まず、事実関係のみの質問をしたいと思いますが、今、政府は那覇空港の滑走路増設事業を進めております。事業にかかわって、岩礁破砕許可手続をめぐって沖縄県との間でどのような調整が行われたのか、その経緯を御説明いただけますか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の那覇空港滑走路増設事業などの公共事業に係る沖縄の振興予算につきましては、内閣府におきまして所要の予算を計上いたしまして、予算成立後はおのおの事業所管官庁に移しかえて執行されているところでございます。

 こうした中で、本件事業に関してでございますけれども、今の御質問に関しましては、本件事業の事業者でございます沖縄総合事務局に聞いたところによりますと、那覇空港滑走路増設事業に係る岩礁破砕許可につきましては、昨年の一月に事業者である当該事務局が沖縄県と打ち合わせを行いまして、岩礁破砕許可申請を行うタイミングでございますとかその対象になります工事等につきまして確認をしてございまして、当該打ち合わせの中で、浮標の設置については岩礁破砕許可手続が不要である旨確認をしているということでございました。

 また、本年二月に、那覇空港滑走路増設事業で使用しております浮標につきましては岩礁破砕許可の対象にならない旨を再度確認するために、沖縄総合事務局が再度沖縄県と打ち合わせをしてございまして、この際、沖縄県より、同事業で使用しております浮標のアンカーブロックについては、船舶の投錨と言える程度のものであるので問題ないと考えている、そういう旨の御発言をいただいたというふうに聞いているところでございます。

赤嶺委員 アンカーについては、船舶の投錨程度であるという認識のもとに協議は除くということですが、滑走路増設事業については、ボーリング調査は既に終了し、護岸工事の段階に入っていると思いますが、ボーリング調査の段階ではブイやフロートは設置しておりますか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 同事業におきまして、ボーリング等の調査段階では浮標は使用してございません。

赤嶺委員 今現在、ブイやフロートを固定するためのコンクリートブロックは幾つ設置していますか。その大きさ、重さはどれだけですか。御説明していただけますか。

石原政府参考人 沖縄総合事務局に確認いたしましたところ、現在使用しておりますブロックは、四十四個コンクリートブロックを使っておりまして、このうち、三十九個が一トン型、五個が三トン型のコンクリートブロックを使っているというふうに聞いてございます。

赤嶺委員 沖縄県内の他の空港、港湾、これらの整備事業で、ブイやフロートの設置に伴って、数十トン規模のコンクリートブロックを設置した事例はありますか。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄総合事務局が事業主体になって実施しております港湾、空港整備に係る事業につきましては、平成二十年度以降の例を確認いたしましたところ、浮標のアンカーブロックとして十トン以上のものは使用していないというふうに聞いてございます。

赤嶺委員 事実関係の確認だけでありましたので、委員長、内閣府、国交省は御退席いただいて結構であります。

北村委員長 御退席ください。

赤嶺委員 それで、防衛省に聞きますが、辺野古に設置を計画するブイやフロートを固定するためのアンカーについて、重量別の設置個数を明らかにしていただけますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 大浦湾内におけるコンクリートブロックにつきまして、フロートを伴うコンクリートブロックと、それからブイの設置に係るコンクリートブロックに大きく分かれます。

 フロートを伴うブイのコンクリートブロックの個数は、現在二十九個。計画は三十三個でございましたが、サンゴを避けまして、実際には二十九個設置しております。ブイの設置に係るコンクリートブロック、これは二十個でございます。

 重量別の内訳でございますけれども、最初申し上げましたフロートを伴うブイのコンクリートブロックにつきましては、十トン型が一つ、十五トン型が一つ、二十トン型が十九、四十五トン型が八でございます。もう一つ、ブイの設置に係るコンクリートブロックについてでございますけれども、二トン型が十二、四トン型が三、十トン型が二、十五トン型が三。合わせて四十九というふうになっております。

赤嶺委員 先ほどの内閣府の御説明にもありましたように、沖縄県内の他の事業で数十トン規模のコンクリートブロックを設置した事例はありません。

 なぜ辺野古の場合はそのような大型のブロックを設置する必要があるんですか。

中島政府参考人 一般的に申し上げまして、先ほど御説明いたしましたように、フロートを伴いますコンクリートブロックの方が重量が多くなっております。これにつきましては、フロートが波等によって引きずられるという力の関係上、どうしてもアンカーとしてのブロックの重量については重くならざるを得ないという面があります。

赤嶺委員 つまり、今、中島局長の御答弁、声が小さくて、私は聞こえたんですが、委員全体に聞こえたかどうか懸念がありますので、もう一度繰り返しの御質問になります。

 例えば、那覇空港の滑走路増設事業の場合は、ブイを必要な場所にピンポイントで設置をしております。しかし、辺野古の場合は、臨時制限区域に沿って数珠つなぎでブイやフロートを設置していますので、潮力が変わるわけですね。これが大型のコンクリートブロックの設置が必要になった要因の一つという理解でいいわけですね。

中島政府参考人 今委員がおっしゃったとおりで結構でございます。

赤嶺委員 二十四日に沖縄防衛局が沖縄県に提出した見解によりますと、その三項目めとして、「他の事業との公平性に欠ける」、沖縄県は他の事業との公平性に欠けるということを防衛局は指摘しております。

  沖縄県内で国を事業者として行われた他の同種案件においても、本件と同様のアンカーの設置は岩礁破砕許可手続の対象とされていないにもかかわらず、本件アンカーの設置についてのみ許可を必要とすることは、公平性を欠き、平等原則に反する。

このように防衛局は沖縄県に意見を提出しております。

 しかし、辺野古と他の事業では規模が全く異なるわけです。通常のブロックは一トンか三トン程度。しかし、辺野古の場合は最大四十五トンです。これだけの重量になれば、当然、大きさも相当なものになるわけです。サンゴ礁を破壊する可能性も高まります。

 公平性を欠くと言いますが、設置するコンクリートブロックは他の事業と同列に扱えない規模だという事実、この事実、否定できますか。

中島政府参考人 御指摘の点につきましては、少し経緯から述べさせていただければと思います。

 先生御案内のとおり、岩礁破砕の許可につきましては、水産資源保護法を受けました沖縄県の漁業調整規則におきまして、「漁業権の設定されている漁場内において岩礁を破砕し、又は土砂若しくは岩石を採取しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。」ということで、こういう行為をする場合は岩礁破砕等許可の申請書も提出することが義務づけられております。

 他方、その取り扱い方針の中におきまして、許可を要しない行為、この中に幾つかの行為が掲げられておりますけれども、これらの行為は原則として許可を要しないものとするが、行為者は事前に許可の要不要について知事に協議するものとする、こういうふうになっております。

 沖縄防衛局といたしましては、五月中旬ごろから、海上ボーリング調査に伴う協議書でございます、これは後者の方の協議でございますけれども、これを沖縄県の担当者間で事前調整を開始いたしました。

 この協議書につきまして、県との事前調整におきまして担当者の方から、灯浮標は、他事例において協議なしで設置していることから、協議する必要はないのではないか、部内でも確認する、こういうふうな御発言がございました。このときに、灯浮標の図面、これはフロート状のもので、きちっと区画をつけておりますけれども、こういう図面を示しながら説明をしていたわけでございます。

 それで、六月十九日、この協議書につきまして、局の担当者から県の方の担当者に対しまして、浮標の取り扱いに係る確認状況、これがどうなっているかを問い合わせるメールを送付いたしましたところ、翌日二十日になりまして、協議書について県の担当の方から、これまでの事例を踏まえ、灯浮標の図面の添付は必要ないこととするという旨の電話連絡がございました。

 同時に、今度は、許可の申請書でございますけれども、局の担当から県の担当に、事前調整の一環で、このとき名護市の意見が出ておりませんので、それを除いた内容一式をメールにて送付いたしました。このときには灯浮標の図面も添付しておるところでございます。

 六月二十四日に協議書についての事前協議は終了いたしまして、これをもちまして、事前協議でございますけれども、ボーリングにつきましては協議が実質的には終了したということでございます。このときに、許可の申請でございますけれども、この申請の案について県の担当から、灯浮標の図は不要という指示を受けたところでございます。

 こういう背景をもちまして、七月十一日、まずボーリングの方でございますが、岩礁破砕等に関する協議書、それから、岩礁破砕の許可についての申請書、これを県に提出したところでございます。

 こういう経緯を踏まえますと、先生、規模の話をなさいましたけれども、こういうことで灯浮標を設置しますということで、フロートにつきましても説明した上で、アンカーはこういうものになりますということで説明してきたところでございます。

赤嶺委員 私が聞きましたのは、沖縄県と防衛局の協議の経過、やりとり、これは後でちゃんと聞きます。

 今の質問は、那覇空港の滑走路の沖合展開でのブイやフロートの設置に関して、そのアンカーはほとんど一トン、重くて三トン、しかし、何で辺野古は四十五トンにまで上るようなアンカーを必要としているのか、何でこんな大規模なものになっているのか。やはり辺野古の場合は、辺野古に設置するコンクリートブロックは、ほかの事業とは同列に扱えない規模になっているという、この事実は、防衛大臣、お認めになりますね。

中谷国務大臣 ブイの設置につきましては、工事をする上において気象とか安全等を考えて設置されると思いますが、私の記憶では、この委員会で赤嶺委員から、この設置したアンカーが台風によって流されてサンゴを傷つけたのではないかというような御指摘もありました。

 沖縄の気象は、台風など、非常に海が荒れるわけでございますので、工事をする上においてその規模のアンカーが必要だというふうに判断をしたのではないかと私は思っております。

赤嶺委員 まるで私の質問が重いアンカーにつながったような答弁でありましたが、それは遺憾であります。私は、ああいう工事のやり方でサンゴ礁を破壊しているということを指摘したわけであります。

 とりあえず、やはり那覇空港の工事のやり方とは変わってきている。

 それで、さっきの答弁にもかかわってきますが、別の角度からもう一点聞いていきます。

 沖縄防衛局の見解によると、見解の二項目めに、「アンカー設置等について許可を不要としていた」ということを挙げております。

 先ほど局長も答弁なさいましたが、

 岩礁破砕等に係る許可等の手続きに当たって、当局から、アンカーを含む浮標の設置について、岩礁破砕等に係る許可等の必要性を添付図面を送付する等して確認したところ、貴県からは、他の事例を踏まえれば、浮標の設置は同手続きの対象とはならない旨が示されたところである。このため、当局としては、貴県からの指示に従い、アンカーを含む浮標の設置について、岩礁破砕等に係る許可申請を行わなかったものである。

このように述べております。

 先ほどの経過について改めてちょっと答えていただきたいんですが、沖縄防衛局が岩礁破砕等に係る許可等の必要性を沖縄県側に確認したということですが、それは、まず、岩礁破砕に該当するか否かについては沖縄県にその判断を行う権限があることから、県側に確認したということでよろしいですね。

中島政府参考人 先ほど申し上げましたように、本件につきましては、そもそも原則として許可を要しないものとされておりますボーリング行為、これは許可の申請ではなくて協議ということでございますけれども、この段階で、フロートつきブイの設置を含む図面を県の担当者にお示しして相談をしたということでございます。

赤嶺委員 ですから、防衛局がやろうとしている工事は岩礁破砕に該当するか否かについて沖縄県にその判断を行う権限があることから、沖縄県側に確認した、協議したということではないですか。

中島政府参考人 失礼いたしました。先ほど二つのタイプがあると申し上げましたけれども、いずれにいたしましても、沖縄県の方で許可、ないしは、協議を経て許可の要、不要を県の方でお示しする、こういうことの構造になっております。

赤嶺委員 ですから、沖縄県側に判断の権限があるわけです。

 その際に、沖縄防衛局は、岩礁破砕許可に関する沖縄県との事前調整の過程で、コンクリートブロックの具体的な重さや大きさを沖縄県側に示しましたか。

中島政府参考人 ブイとそれからアンカーの図については添付しておりますけれども、重量、大きさについては、そこに記述はございません。

赤嶺委員 私も図は確認いたしましたが、そこには大きさ、重さも何もありません。何でそれを示さなかったんですか。

中島政府参考人 先ほど申し上げましたように、いろいろ事前調整をしておったわけでございますけれども、沖縄県から、他の事案、事例を踏まえれば、ブイの設置は手続の対象にはならないという旨の判断が示されておりまして、我々からいたしますと、当然、沖縄県は浮標の事例を有しておりまして、浮標のアンカーにつきましても、潮流や波浪を踏まえた漂流を防止するための措置として相応の規模になるということを承知されていたのではないかというふうに考えております。相応の知見はあるものというふうに考えておりましたので、説明不足ということの御指摘はいかがなものかというふうに思います。

 また、事前調整におきまして、アンカーの設置が一定の規模以上になればそれは岩礁破砕行為に当たり得るという説明は特にございませんで、また、こういう基準が沖縄県により文書で示された例もないものというふうに承知をしております。

赤嶺委員 その前に、皆さんの側でも、事前調整を行っていた当時、具体的なコンクリートブロックの設置個数、重さ、大きさ、確定していたんですか。

中島政府参考人 大体の大きさにつきましての考えといいますか、めどはありましたけれども、完全にこれこれこれでこういう個数をここに置くというふうな形ではございませんでした。

赤嶺委員 皆さんの側も方針が曖昧だったと。

 そこで、具体的な設置個数、重さ、大きさが確定したのはいつですか。さっきの中谷大臣の答弁もあるんですが、それはいつですか。

中島政府参考人 正確に日付を申し述べるのはちょっと困難でございますけれども、実際にその作業を岩礁破砕許可を得て開始した八月、九月ごろであったかというふうに記憶しております。

赤嶺委員 ちょっと失礼します。何月ですか。

中島政府参考人 岩礁破砕許可は八月の末にいただいておりますので、それを得てから、ないしは九月であったかというふうに記憶をしております。

赤嶺委員 岩礁破砕の許可を得るための事前協議のときにはコンクリートの重さは確定していなかった。したがって、皆さんも沖縄県に説明していなかった、確定したのはその後だ、こういう答弁でありますが、沖縄県の岩礁破砕取り扱い方針には、岩礁破砕等の許可が必要な行為の例として消波ブロックの設置が挙げられていますが、皆さんが沖縄県と調整する当時、そのことを知っておりましたか。

中島政府参考人 恐縮でございます、ちょっと、先生御指摘の部分の記述を今探しておりますけれども。(赤嶺委員「いや、あるんですよ、ゆっくり探してください」と呼ぶ)ありがとうございます。

 いずれにせよ、漁業規則ないしは取り扱い方針のところにそういう記述があるということだと思います。恐縮でございます。

北村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

中島政府参考人 失礼いたしました。大変恐縮でございます。

 取り扱い方針のQアンドAの中に消波ブロックという記述がございます。消波ブロックや防波堤等は岩礁に当たらないのではというようなところのQの中に消波ブロックは入っているということでございます。

赤嶺委員 消波ブロック程度の大きさであれば岩礁破砕許可の対象に当たるということが取り扱い手続の方針の中でも明記されているわけですね。これは、事業をする人であれば、まさに常識の話ですよ。

 皆さんは、その消波ブロックが当たるということを念頭に置きながら、しかし、沖縄県に確認を行った際に、具体的な重さ、大きさ、これを何で示さなかったんですか。

中島政府参考人 我々がブイの固定のために使っておりますアンカーブロックでございますけれども、消波ブロックは単体で使うものではなく、波をとめるためには連結して使うということであろうかと思います。したがいまして、消波ブロックとアンカーにつきましては、これは違うものというふうに認識しております。

赤嶺委員 沖縄県への確認は、岩礁破砕の許可申請をとる手続の前の事前調整、そして、四十五トンのブロックの投下を決めたのは、実際に工事が始まってから以降、そういうことでよろしいでしょうか。もし整理されているんだったら、具体的な日時で示してください。

中島政府参考人 恐縮でございます。それをいつどのように決めたかについては、ちょっと今手元に資料がございません。ただ、時期的には、事前調整の時期でなかったことは、先生おっしゃるとおりでございます。

赤嶺委員 複数回にわたって沖縄県への確認、やりとりは行っているわけです。しかし、ここで出てくる疑問は、そのときになぜ具体的な重さや大きさは示さなかったのかということであります。

 他の事例ということを防衛局はよくおっしゃいますが、沖縄県で行っている他の事例でもそういうことを求められていないのに、防衛局にはなぜ求めてくるのか、二重基準だと言って沖縄県を厳しく批判しておりますが、他の事例と言われる場合に、沖縄県側が想定するのは一トンや二トンのブロックであります。これが船のアンカー程度、それをちょっと超えた程度。

 ところが、皆さんは、それをはるかに超えるコンクリートブロックを想定していながら、確定していないために、事前の協議では示すこともできなかった。だから、肝心の情報は隠したまま、許可手続は必要ないという言質だけを沖縄県からとってしまおうとした、そういうことではないですか。

中島政府参考人 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、県の方は、当然、先生おっしゃるように漁業規則を所管されているところでございまして、当然、そういう事案について相応の知見はあったものというふうに考えております。

 一定の規模以上であれば岩礁破砕行為に当たり得るという説明はございませんでしたし、基準について、そういう基準があるということが文書で示された例もないということで、繰り返しでございますけれども、お答えさせていただきます。

赤嶺委員 他の事例として沖縄県側が認識しているのは、十トン以上のブロックがアンカーとして使われたような国の工事は沖縄県ではなかったということなんですよ。

 まさに、他の事例をはるかに上回るようなコンクリートブロックを用意しておきながら、それを事前に示しもしない、話しもしない。そういうようなことで、しかし、他の事例、今までの事例に即して、岩礁破砕許可は海に浮かぶ浮標は要りませんという、それをとったら、しめたとばかりに、どんどんどんどんアンカーを大きくしていくようなやり方、これは国のやり方ですか、こういうのは。(発言する者あり)こそくですよ。今ありましたけれども、本当にこそくなやり方だと思いますよ。

 そこで、きのう外務委員会で質問いたしましたが、防衛大臣に改めて確認しますが、沖縄県の漁業調整規則の有権解釈権、これは沖縄県にあるというのがきのうの答弁でありました。この点は防衛大臣もお認めになりますね。

中谷国務大臣 そのとおりだと思います。

赤嶺委員 次の問題点に移りますが、沖縄防衛局の見解。「「岩礁」とは、海域における地殻の隆起形態であり、この隆起形態を変化させる行為が「破砕」であると解される。」とあります。これは、国が一般的に持っている見解であります。もっと言えば、山口県の農水部が国に問い合わせて、これでいいですかと聞かれて、はい、そうですと言った答弁であります。

 具体的に何が岩礁破砕に当たるかは沖縄県に有権解釈権があると思いますが、この点もよろしいですね。

中島政府参考人 恐れ入ります。

 先生お話しのように、一般に、都道府県の漁業調整規則に係る解釈権につきましては、当然、一義的に各都道府県において判断されると考えておりますが、他方、漁業調整規則、これは水産資源保護法第四条第二項第五号に基づく規制でありまして、農林大臣の承認を得ているものでございます。それが、水産資源保護法の趣旨、その内容、運用が沿ったものであるかどうかにつきましては、法を所管されます農林水産大臣において判断されることになろうかと思います。

赤嶺委員 その規則に基づいて沖縄県はずっと運用してきたんですよ。この規則に農水省から異議を唱えられたことがない。異議を唱えたのは防衛省が初めてですよ。水産に詳しいところから異議が出てきたら、わかりますよ。基地をつくらんがために沖縄県の漁業調整規則が間違っているなんて、そんな、おこがましいというか、基地をつくるためなら何でも言うのかというような怒りを覚えざるを得ません。

 防衛大臣に聞きますが、沖縄県内の他の事業で辺野古の場合と同規模のコンクリートブロックが設置された事例は、先ほどから繰り返されておりますが、ありません。そもそも、ボーリング調査でブイやフロートそのものが設置されていないわけです。

 沖縄防衛局が二月十九日付で沖縄県に出した文書には、「当局から防衛省を通じ水産庁に対して、アンカーを含む浮標の設置に関する岩礁破砕等に係る許可申請等の必要性について他の自治体における取扱いを照会したところ、手続きの対象とされていないとのこと」である、このように規定しておりますが、私たちも水産庁に確認したところ、各地の事例について、具体的な重さ、大きさに至るまで把握しているわけではないということでありました。

 辺野古の場合は、大型のコンクリートブロックの設置が必要になったのは、臨時制限区域に沿ってブイやフロートを数珠つなぎで設置しなければならなかったからであります。それは、県民の民意を無視した事業であるがために、抗議活動を排除するために、そのような立ち入り制限区域が必要になったものにほかなりません。大型のコンクリートブロックの設置が必要になったのは、民意を無視した事業であることにその根本的な原因があるのではありませんか。

中谷国務大臣 工事を行う上におきましては、やはり安全に行っていくという必要もございます。そして、赤嶺委員が御指摘されましたように、事実、台風等によってアンカーブロックが流されて、サンゴを破損したという御指摘もございます。

 したがって、こういった気象のことも鑑みて、この工事の進捗をさせるためにブイの設置がされたというふうに聞いております。

赤嶺委員 事前には四十五トンものコンクリートブロックを設置するという問題点を曖昧にして、十分な説明も行わないで、いわば、他の事例に照らして常識的に判断した沖縄県側の判断を、要らないと言ったのはあなた方じゃないか、こんな形で、いわば、善意というか、沖縄の常識を覆すようなやり方を防衛省が後で行うであろうとは夢にも思わなかった、そういうことを平気でやって、サンゴを大事にしようとする漁業の規則も間違っているとかといって行政不服審査を出すのは、これは間違っている。沖縄県知事が主張するように、臨時立ち入り制限区域内でのサンゴの破壊の調査を直ちに認め、その間は工事を中止することを強く求めておきたいと思います。

 それでは、次に、きのう外務大臣と少し残しましたので、そこからまた外務大臣への質問を始めていきたいと思います。

 東村高江の着陸帯建設の問題について質問をいたします。

 きのうの外務委員会で、沖縄県内で相次いでいる米軍機からの部品落下の問題を取り上げました。ことしの一月十五日には、普天間基地所属のAH1Wヘリが出砂島射爆撃場水域内で重さ二百キロを超えるミサイル発射装置を落下させました。

 出砂島射爆撃場で落下事故を起こしたAH1Wヘリは、事故から一週間近くたった一月二十一日、東村高江に沖縄防衛局が建設したN4地区の着陸帯におり立ちました。日米合同委員会で米軍への提供手続をとる前のことであります。住民によると、午前十一時半からヘリ一機が計八回離着陸を繰り返し、午後一時半から二機が飛来し、うち一機が低空でホバリングをしたと報じられています。事故を起こした米軍ヘリが、事故原因も明らかになっていないにもかかわらず訓練を再開し、提供されてさえいない着陸帯を使用する、これは一体どうなっているのか、大変疑問に思わざるを得ません。

 外務大臣は、提供前の着陸帯を米軍ヘリが使ったことについて、どのように認識されておりますか。日米地位協定違反ではありませんか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 日本側から米側に提供する施設等については、日米合同委員会を通じた手続を行った後に米側の使用に供しているものでございます。こうした施設の米側による使用は、所要の手続を経て米側に提供した後に行われるべきものと考えております。この点については米側も同様の見解を有しており、こうした考え方に基づいた運用が行われるものと認識しております。

赤嶺委員 いやいや、こうした認識に基づいた運用が行われるものと思いますという、この答弁はおかしいんじゃないですか。私が聞いたのは、こういう認識がありながら、こういう運用が行われていないじゃないですか、これは地位協定違反じゃないですかということを外務大臣にお伺いしたわけです。

鈴木政府参考人 御指摘のように、本年一月に北部訓練場において米側への提供前の着陸帯が使用されたことについて、沖縄防衛局が米側に事実関係を照会したところ、それぞれ不注意または状況判断により当該着陸帯に着陸した、そういう回答があったと承知しております。

 これらの事案については、政府として、米側に対し、しかるべく再発防止を申し入れているところでございます。

赤嶺委員 私は、地位協定違反でないかどうかということを聞いておりますが、アメリカ側の認識が何か伝わってきたので、それをよしとして、次は再発防止に努力するという、そんな答弁に聞こえたんですけれども。

 この米軍ヘリは、その一回だけにとどまらないんですよ。昨年三月にもN4地区の着陸帯を使っています。全く反省がないんです。

 当該訓練場がある、着陸帯がある東村の議会は、二月二十三日、AH1Wヘリによる着陸帯の使用に抗議する意見書を全会一致で可決しました。意見書はこのように述べております。

  北部訓練場へのヘリ着陸帯の建設は地元高江区をはじめ、村内はもとより県民の反対を押し切って建設が強行され、N―4着陸帯は昨年に工事が終了した。しかし日米合同委員会での使用開始の手続きは行われておらず日米地位協定上も許されない違反行為である。

  度重なる着陸帯使用は東村と沖縄県民を愚弄するものであり容認できない。

  渡名喜村で起きた装備品落下事故の原因究明と事故防止策も明らかにされないまま北部訓練場を使用し、高江区をはじめ本村上空を飛行するのは村民の命と暮らしを脅かす危険な軍事訓練であり、また民間地域も飛行し極めて危険な状況である。

このように述べて、N4着陸帯の使用禁止、事故原因の究明と、事故防止策を明らかにするまでのAH1Wヘリの飛行中止を求めています。東村議会で着陸帯の使用禁止を求める意見書が可決をされたのは初めてのことです。

 外務大臣、地位協定違反が繰り返され、再発防止に全力を尽くすといっても、この事態は何も変わらない。そうであれば、N4の着陸帯の使用禁止、そして当該ヘリの飛行中止を求めるこの村議会の意見書、これを外務大臣はどのように受けとめますか。耳を傾けるべきではありませんか。

岸田国務大臣 先ほども答弁の中にありましたように、米側による施設の使用につきましては、日米合同委員会を通じた手続を経た上で行わなければなりません。そして、米側も同じ認識に立っていると承知をしています。

 その中で、先ほど御指摘ありました昨年三月、そしてことし一月、御指摘のような事案が発生いたしました。このことについて、米側に事実関係を照会し、そして回答につきましては、それぞれ不注意または状況判断により当該着陸帯に着陸した、こういった回答があった次第であります。そして、政府としましては再発防止を申し入れた。

 これが経緯でありますが、今の決議等、地元の皆様方にとりまして、安全、安心、これは何よりも大切なことであります。このことをしっかり踏まえながら、引き続き米側に対しまして適切な対応を求めていきたいと考えます。

赤嶺委員 同様な事例で、屋久島の問題があります。

 鹿児島県の屋久島空港での米軍機によるローアプローチ、この問題について質問をいたします。

 私は、五年前の予算委員会の分科会で、屋久島空港で繰り返されていた米軍機によるローアプローチ訓練の問題を取り上げました。空港が閉まった後に、米軍機が突然轟音を響かせながら低空で進入し飛び去っていくというもので、世界遺産の自然豊かな島でこんな傍若無人な訓練が許されるのかということをただしました。

 当時の岡田外務大臣はこのように答弁しています。「屋久島空港におけるローアプローチ訓練でありますけれども、平成十八年に三回、十九年に七回、二十年に二回、二十一年は、三月十八日、六月二十二日、七月九日、把握しているだけで三回行われております。」飛行実態についてこう説明した上で、「我々としては、これは委員御指摘のようにかなり危険も伴いますし、基本的に日米地位協定上許容されていないというふうに考えておりますので、日米間でよく、今協議を行っているところでございます。」こう答弁しております。

 岸田外務大臣に伺いますが、民間空港で低空飛行を繰り返すローアプローチ訓練は日米地位協定上許容されていないという見解、これは今も変わりはありませんね。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十月に、屋久島空港において米軍機によるローアプローチ飛行が目撃された、こういう情報が寄せられたことを受けまして、外務省から米側に事実関係を照会していたところ、米側から以下のような回答があったところでございます。

 十月一日、屋久島空港においてローアプローチ飛行を行った米軍機があった、そういうことを確認した、当該飛行が空港当局との事前の調整なく行われたことは米側としても遺憾であり、再発防止のための是正措置を講じた、こういう回答があったところでございます。

 政府といたしましては、空港当局との事前の調整なくかかる飛行が行われた、それは極めて遺憾であり、米側にしかるべく再発防止を申し入れたところでございます。

 それで、日米地位協定との関係でございますけれども、一般論として申し上げれば、米軍機は、日米地位協定第五条に基づき、我が国の飛行場に出入りすることが認められている、そういうことから、ローアプローチ飛行であってもこの条文に言う「出入」を前提とした慣熟訓練に当たる、そういうものは認められると考えておるところでございます。

 御指摘のありました平成二十二年の答弁でございますけれども、当時は、平成十八年から二十一年までの間に十数回も、空港当局との事前調整がないままこの種の飛行が行われた、そういうことで、このような飛行は日米地位協定の適切な運用の観点から許容されない、そういう旨を答弁したものでございます。

 一方、このような事例は、当方で確認している限り、平成二十一年以降は昨年十月まで発生しておらず、また米側も、事前調整なく飛行したことを遺憾として再発防止のための是正措置を講じた、そういうふうにしているところでございます。

 政府としては、米側の今後の対応を見守りつつ、米軍機の飛行が適切な形で行われるように、米側と必要に応じて意思疎通を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。

赤嶺委員 平成二十五年以降は発生していない、そういうことでいいんですか、今の答弁は。

鈴木政府参考人 平成二十一年以降は昨年十月まで発生しておらない、このように承知しております。

赤嶺委員 それでは、防衛省に確認をいたしますが、防衛省が取りまとめている米軍機の飛行に関する苦情等受付状況表によると、昨年十月、米軍機によるローアプローチ訓練と思われる飛行に関する苦情が寄せられています。どういう内容か、説明をしていただけますか。

中島政府参考人 昨年十月一日、十八時二十分ごろ、十八時四十分ごろ及び十九時ごろの鹿児島県熊毛郡屋久島町小瀬田上空において、航空機の飛行に関し、十月二日に鹿児島県から九州防衛局に対して苦情が寄せられたところでございます。

 これを受けまして、十月三日、米軍に対しまして苦情の内容を通知して事実関係を問い合わせ、十月十五日、当該日時、場所におきまして米軍機が同地域にいたという旨の米軍からの回答を鹿児島県に情報提供したところでございます。

赤嶺委員 先ほどの外務省の認識と大分変わりますが、先ほどの答弁はあれでいいんですか。

鈴木政府参考人 平成二十一年以降、昨年十月まで発生していないという認識はそのままでございます。そのとおりだと思っております。

赤嶺委員 五年前は、日米地位協定に違反しているということで日米間で協議していく。協議した結果、ローアプローチというのは日米地位協定に違反するものではないという外務省の答弁がありましたが、防衛省から先ほど答弁がありましたように、十月一日、時刻は一回目が十八時二十分、二回目が十八時四十分、三回目が十九時となっています。屋久島空港がほぼ閉まった後の時間、二十分おきに三回の飛行が繰り返されています。

 苦情の内容としては、轟音でうるさい、地上六十メートルくらいを飛行していた、屋久島空港で訓練、ローパスをやっているのではないか、こういう声が寄せられています。

 ローパスというのは、屋久島空港に低空飛行してきて、滑走路におりないでそのまま飛んでいく、こういうことの繰り返しの訓練であるわけですね。米側が民間空港を使ってローパスの慣熟訓練をやること、これも日本政府は容認するんですか、大臣。

鈴木政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、一般論として申し上げれば、米軍機は、日米地位協定第五条に基づき、我が国の飛行場に出入りすることが認められていることから、ローアプローチ飛行であっても、同条に言う「出入」を前提とした慣熟訓練、これに当たるものは認められる、そのように考えているところでございます。

 ただし、たとえ同協定上認められる飛行であっても、実施に当たっては、原則として、飛行の安全確保等のため空港当局との事前の調整が行われるべきである。今回の事例においてこのような調整が行われなかった、今回というのは十月の事例においてこのような調整が行われなかった、そのことについては米側もこれを遺憾として、再発防止のための是正措置を講じたということでございます。

赤嶺委員 米側に事件を問いただすと、いや、私たちも遺憾に思っていますと。申しわけないじゃないですよ、遺憾に思っています、再発防止に取り組みます。これの繰り返しなんですよ。そして再発は繰り返されていくわけです。

 そもそも、そんな米軍相手に、事前の話し合いがなかったからといって、これから繰り返されないというような保証は何もありません。

 それ以上に、民間空港で米軍がローパスの慣熟訓練をやる、こんなのが本当に日米地位協定で認められているという認識で、これからは普天間飛行場のオスプレイが那覇空港でローパス訓練をやっても認めるということですか。屋久島だったら認めるけれども、ほかの空港だったら認めないということですか。そんな、一般論としておかしいじゃないですか。

 やはりそれ自身が周辺住民の生命の危険、大変な不安を感じている。やめさせるべきじゃないですか。やめろと言うべきですよ。これは大臣です。

岸田国務大臣 先ほども答弁の中にありましたように、まず、日米地位協定第五条によりますならば、我が国の飛行場に出入りすることは認められております。ですから、ローアプローチ飛行であっても、同条に言う「出入」を前提とした慣熟訓練に当たるものは認められる、これが考え方であります。

 ただ、実施に当たって、これは無制限に認められるということではありません。実施に当たっては、原則として、飛行の安全確保等のため、空港当局との事前の調整は行われるべきであります。地元の皆様方にとりまして騒音あるいは安全は重大な課題であり、政府としましては、こうした国民の皆さんの心配をしっかり受けとめなければなりません。

 今申し上げました事前調整等を通じまして、しっかりとこうした課題に取り組んでいきたいと考えています。

赤嶺委員 米軍は、空港管理者から許可を得ないで、あるいは了解を得ないで、了解しないと言っているにもかかわらず、その空港を使った事例、例えば宮古島の下地島空港などでは頻発をしておりました。空港当局の了解を得てといっても、それが住民の安全を阻害する米軍のローパス訓練をとめることにはならないと思います。

 苦情内容には、これは防衛省の苦情内容に書かれていることですよ。飛行機が墜落すると感じるほどの音で、死を感じた、死ぬんじゃないかと思った、こういう苦情が寄せられているんですよ。

 この米軍の飛行機は、屋久島で訓練を繰り返した後、九州南部の薩摩半島に向かったものと考えられます。このルートは二〇〇六年ごろからたびたび米軍機の飛行が確認されているルートです。ことしの一月一日付の西日本新聞は、米軍嘉手納基地が、同紙の取材に対して、MC130特殊作戦機を運用する第三五三特殊作戦群が十年以上前から九州上空に飛行訓練ルートを設けていることを認めた、このように報じています。

 外務省は、飛行訓練ルートについて米側に確認しておりますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍が所要の訓練のためにさまざまな飛行経路を使用している、そういうことは承知しておりますけれども、具体的にどのような飛行経路を用いているか、そういうことについては、これは米軍の運用上の問題でございますので、私どもとして承知する立場にございません。

赤嶺委員 こんな運用上の理由が許されたら、本当に住民の安全は守られません。

 そこで、次は、米軍予算による米軍基地整備の問題について質問をいたします。

 伊江島補助飛行場内で米軍の最新鋭ステルス戦闘機F35が訓練を行うための強襲揚陸艦に見立てた模擬甲板LHDデッキなどの改修工事が三月にも始まることが報じられております。これは、米軍の軍事基地建設予算、いわゆるミルコンに盛り込まれているものです。また、同予算には、嘉手納基地においても、F35のための整備用格納庫やシェルター、駐機場の整備費用が盛り込まれています。

 外務省に、二〇一五、二〇一六米会計年度予算に盛り込まれた伊江島補助飛行場、嘉手納飛行場におけるF35関連の具体的な施設整備の内容、これを簡潔に説明していただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一五年度及び二〇一六年度の米国政府の予算書に伊江島補助飛行場及び嘉手納飛行場の施設整備に関する記述がある、そういうことは承知しております。

 一方、米側からは当該予算についての説明を受けておらず、日本政府として、その内容についてお答えする立場にはございません。

赤嶺委員 外務省は答える立場にないと言いますけれども、こうした施設整備は基地周辺住民の生活に直結する問題です。にもかかわらず、具体的な施設整備の内容について日本政府に通報される仕組みにはなっていないと思いますが、岸田外務大臣、それでよろしいでしょうか。通報の仕組みです。

鈴木政府参考人 御指摘の点につきましては、今後、米側と在日米軍に関するさまざまな事柄について意思疎通を図っていく中で、必要に応じて当該予算についても取り扱うことも含め、適切に対応してまいりたいと存じます。

赤嶺委員 今度は外務大臣にお答えいただきたいと思います。

 今の答弁を聞いていて、基地の周辺住民に多大な影響を与える問題であるにもかかわらず、アメリカ側の予算に盛り込まれた具体的な施設整備について、日本政府の承認は必要とされていません。そればかりか、計画の報告さえ義務づけられていません。これは、主権国家とこれで言えるのかという疑問を持ちます。外務大臣は、こうした現状は問題だという認識はありませんか。

北村委員長 残余の時間が少ないので、簡潔に。外務大臣。

岸田国務大臣 米側の情報につきましては、米側から情報が得られる場合には、他の類似の案件と同様に、関係省庁と連携の上、地元に対してしかるべく説明が行われることになると理解しております。

赤嶺委員 しかるべき説明を米軍が行うということですか。

岸田国務大臣 米側から情報が得られる場合、我が国政府として、地元に対してしかるべき説明を行うことになるものと理解しております。

赤嶺委員 私が指摘したのは、情報が得られない仕組み、これを問題にしたわけです。この仕組みがない以上、いつまでたっても住民に説明はされません。これが主権国家と言えるのかということを強く指摘して、質問を終わります。

    ―――――――――――――

北村委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として水産庁資源管理部長枝元真徹君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 今、私ども、選挙区に帰りますと、もう辺野古の問題、その問題抜きにして政治を語ることはできないぐらい、もう大きな課題になっています。そういう意味でも、県民が知りたいこと、私が政治家として知りたいことをきょうは大臣にお伺いさせていただいて、また賢明な判断をしていくというような役割を果たしていきたいというふうに思っていますから、よろしくお願いします。

 三月の二十三日に、翁長知事は、海底面の現状を変更する行為を七日以内に停止するように指示する文書を沖縄防衛局に提出しました。これは、県が最終的に岩礁破砕の許可を取り消すという発言もにおわすような記者会見でありましたから、非常に厳しい状況であることは間違いありません。

 それに対して、沖縄防衛局は、二十四日に、県が言っていることは許可の対象外だとする政府の説明文書を県の水産課に提出したわけであります。そしてまた、農林水産大臣に対して、県知事の指示文書に対する執行停止申し立て書と、指示が適法かどうかの判断を仰ぐ審査請求書を提出しました。

 これが今のところの事実関係なんですけれども、それで、大臣にお聞かせいただきたいのは、許可した区域外でコンクリート製ブロックがサンゴ礁を破壊した、すなわち岩礁破砕が行われた蓋然性が高いことを問題視して、翁長知事は今回停止の指示を出したわけですね。

 しかし、防衛省としては、県の許可の対象外だと述べているんですけれども、ある報道で、こういうふうな報道がなされているんです。防衛省と県との事前調整で、防衛局がブロックの資料を提示したが、課長級の県の水産課副参事が申請書から削除させ、協議も不要と回答していたというようなことが報道で言われているんですよ。県の副参事が、防衛局の人間がこのブロックのことを協議したら、これは協議外だ、申請書からも削除したというようなことを言っています。

 これが事実かどうかをまず知りたいんですけれども。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 五月の中旬ごろから、海上ボーリング調査に伴う協議書、これは許可申請と協議と二つございます、ボーリングの方は協議書でございますけれども、沖縄防衛局と沖縄県水産課の担当者の間で事前調整を開始しております。

 六月四日、協議書につきまして、県との事前調整において、担当者が、灯浮標、他事例において協議なしで設置していることから、協議する必要はないのではないかと……(下地委員「聞こえない、大きい声でしゃべってくれ」と呼ぶ)失礼いたしました。部内で確認するというふうに発言された記録が残っております。

 また、このころより、埋め立てに伴います岩礁破砕等の、今度は許可申請でございますけれども、これについて添付が必要な名護市の意見書、これは未受領でございましたけれども、内容について、局と県の担当者間で事前調整を開始しております。

 六月十九日、協議書につきまして、局の担当から県の担当に対しまして、浮標の取り扱いに関する確認状況を問い合わせるメールを送ったところでございます。六月二十日、協議書につきまして、県の担当の方から、これまでの事例を踏まえ、灯標、浮標の図面の添付は必要ないという旨の連絡を受けております。

 六月二十日、申請書、今度は許可の申請でございますけれども、局の担当から県の担当に、事前調整の一環で、名護市の意見書を除きました内容一式をメールにて送付しております。このときに、灯標、浮標の図面も添付をしております。

 六月二十四日、ボーリングの協議書につきましての事前協議が終了いたしております。このときに、二十日に送付いたしました申請書の案について、県の担当の方から灯標、浮標の図は不要という指示を受けているところでございます。

 六月二十六日、名護市から意見書を受領いたしましたので、七月十一日、正式に岩礁破砕等に関する協議書、これはボーリングの件でございますけれども、あと岩礁破砕等の許可の申請書、これを沖縄県に提出した、こういう経緯がございます。

下地委員 もう一度局長に聞きますけれども、では、今回のこの報道は事実だというふうに防衛省は思っているわけですね。

中島政府参考人 図面について、申請の方に必要がないという旨の県からの指示を受けたことは事実でございます。

下地委員 今の話からすると、議事録というのは、防衛省と沖縄県の間で、お互いで照合しているのかどうなのかわかりませんけれども、これが事実だとした場合に、沖縄県が何でこういうふうなことを、事実に反するようなことを訴えてきたのかというようなことについて、局長、どう思いますか。

中島政府参考人 なぜかということについて私の意見というのは特にございませんけれども、我々の認識としては、こういうふうな経緯であったということで理解をしているところでございます。

下地委員 では、今回、政府の方から沖縄県に対して、政府の考え方を示す説明書を出したということがありますけれども、この今の局長がやった答弁書も全部つけて説明文書を県の水産課に出してある、つまりは、この地図の中では対象外だということをあなた方も認めて、私たちはこの許可をもらったんだということもこの説明書の中には入れて県には提出しているというふうに考えていいんですね。

中島政府参考人 今般の、二十四日に県の方に御説明しました、前日付の県の指示書に対する那覇防衛局の見解についてにおきましては、図面は、そのときは添付はしておりませんけれども、その前、ちょっと今資料を探しておりますが、そもそもこういう図面で御説明を受けて、したがって我が方としてはその許可をとらなかったということは、二月の時点で県の方には通知をしているという経緯がございます。

下地委員 局長、あなたは今申し上げているけれども、翁長さんが、この海底面の現状を変更する行為を七日間停止をして、その後岩礁破砕の許可を取り消すというようなことをにおわせている中で、それへの説明書を出している中で、今あなたが一番根拠にしていることを図面もつけないで説明するということはあり得る話じゃないでしょう。ちゃんとそれを説明書につけて、図面もつけて県に説明しない限り、これは説得力がないことになるわけだから。これをやっていないんですか。

中島政府参考人 失礼いたしました。

 二月十九日付の那覇防衛局からの書面で、こういう図面で御説明をしましたということについて、県の方に、今回の説明以前に文書を出させていただいております。

下地委員 局長、あなた、翁長さんがこの問題を提起したのは何日なの。

中島政府参考人 この問題とおっしゃいますのは今般の指示でございますでしょうか、三月の二十三日でございます。

下地委員 あなた、三月二十三日に指示を出した後の答弁書の中に、二月の答弁をしてどうするの。二月に私はこう言いましたと言うんじゃなくて、三月二十三日以降にあなたがどういう答弁をしたのかということを聞いているのに、二月の話をしてはいけませんよ。

 三月二十四日にあなた方が出した政府の説明書の中にちゃんとこれは書いてあるんですかと聞いているんですから、書いてあるか書いてないかを答えて、書いてなければ、何でこんなに根拠があるものを書かないで県に出したんですかと聞いているんです。

中島政府参考人 ちょっと先生の御質問の趣旨を履き違えているかもしれませんけれども、三月二十三日に、作業の中止等を指示する文書をいただきました。これについて、これこれこういう経緯で県の方から許可必要なしということを承っておりますということが二十四日に県に出しました文書には書いてあります。

 他方、そのアンカーの設置について手続を行うことを指示する文書が実は二月十六日に来ておりまして、このときの返答の文書におきまして、これこれこういう文書、それは先ほどの図面の話でございますけれども、こういう図面で調整していましたということで、一連の流れの中でそういうことをやっておるということでございます。

下地委員 これ以上この論議しませんけれども、ただ、もう一回だけ聞きます。

 三月二十三日、翁長知事が、海底面の現状を変更することを、新聞報道でもわかるように、対象外のところで岩礁破砕をやっているんだと言っているわけですよ。そうしたら、防衛省の方は、この岩礁破砕の許可をもらっているところは対象外だと言っているわけですよね、皆さんは。それは、図面に伴って沖縄県と調整してそうなったんですよということを言っている。

 翁長さんが今言っている趣旨とあなた方が言っている趣旨が違いがあるけれども、自信を持って、県から対象外だと言われたから私たちはやっているんですよということを、何で、三月二十四日に図面をつけて、そのことを説明することをしっかりとやらなかったんですか。対象外だということを示さなかったんですか。県が言っていることは違いますよと示したんですかと言ったら、あなたの言っていることは、言葉ではしゃべっているけれども図面はつけていませんと言っているでしょう。

 図面をつけて出したの。

中島政府参考人 三月二十四日付の文書には図面をつけておりません。

下地委員 大臣、大臣はこれに関しては物すごく強気な発言をなされているんですけれども、僕は、この図面が示されて、報道の関係者からいろいろ聞いたら、その図面に基づいて政府は自信を持って答弁なされているというようなことなんだけれども、聞くと、これは図面がついていないんですよ、図面がついていない。

 だけれども、この問題は、対象外か対象内かというのは図面でしか証明ができないような話なんですよね。だから、そのとき、対象外だと言った図面があることが説得力のあることになっているんですけれども、説明文書の中に入っていないということを大臣は知っていましたか。

中谷国務大臣 私は、昨年の六月二十日の許可申請のメール、図面、それは見ました。

 そこで、三月二十三日の前の、二月十九日に県に回答をしたときに、その図面を示して、こんな図面で説明しましたというような資料は出したと聞いております。

下地委員 だから、この図面は三月二十四日の説明資料の中には入れるべきだったんですよ、しっかりと。二月に出したからいいというんじゃなくて。それが、翁長さんがこのことを七日以内と、手続に基づいてきている以上は、ちゃんと協議した内容を示さなければいけなかったということを私は申し上げたいんです。

 それで、この手続ですけれども、農林省に聞きますけれども、審査請求書とか執行停止申し立て書というのが出ていますけれども、一般的に、この結論というのは何日間で出すんですか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありましたとおり、三月の二十三日に沖縄県知事が出した指示を不服として、三月二十四日に沖縄防衛局長から農林水産大臣に対しまして、行政不服審査法に基づく審査請求と指示の執行停止の申し立てがございました。

 審査請求につきましては、法律上、裁決の期限は定められておりません。一方、執行停止については、速やかに執行停止をするかどうかを決定しなければならないとされてございます。

 いつまでにという期限を定めるものではございませんが、本件の執行停止につきましては、沖縄県知事の指示にございます七日以内という期限も念頭に置きながら、請求内容等を十分に検討し、法令の規定に基づいて適切に対応してまいりたいと存じます。

下地委員 それは、今、期限はないと言うけれども、沖縄県知事は七日以内ということを言っている以上、七日以降にこの審査請求を審査しますといっても、意味がないことですよね。七日以内に農林省としては一つの結論を出すということが行政手続上当たり前のことだと私は思いますけれども、そういう認識でいいんですかね。

枝元政府参考人 裁決自体は、沖縄県の方に弁明書の依頼をしております。

 また、執行停止につきましては、意見書を二十七日までに出していただきたいというふうにお願いをしているところでございます。

 いつまでにという期限を定めるものではございませんけれども、執行停止につきましては、県知事の指示にございます七日以内という期限も念頭に置きながら、適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

下地委員 大臣、これは七日以内にこの審査の結論が出ますよ。翁長知事がしたことが正しいのか正しくないのか、それとも、停止のことが出てくると思うんですけれども、しかし、私の見ている範囲では、菅官房長官の、この期に及んでと記者会見で何度も、五回も使っている発言の内容とか、想定内だという政府の考え方、また大臣のこれまでの発言から聞いても、先ほど局長からも答弁があったように、これは、沖縄県の副参事と調整して、沖縄県の中でもう初めから削除したものであって、今ごろそう言うのはおかしいというような姿勢、さまざまなことからしても、防衛省としては、この七日以内に工事を、作業を中止して審査の結果を待つとか、翁長さんの判断を仰ぐまでの間これをやらないとか工事はとめるとか、そういうふうなお考えなのか、工事は粛々と進めていくという考えなのか、どっちなんでしょうかね。

中谷国務大臣 私たちは、今般の沖縄県の指示については、次の理由から、指示自体が無効であると。

 一つは、アンカーの設置について、海域の地殻を変化させるものではなくて岩礁破砕に当たらない。それから二つ目は、アンカーの設置については、沖縄県からは、ほかの事例を踏まえればアンカーの設置は手続とならない旨が示されていたことに反するから、今回の指示は禁反言の原則に反する。そして三点目は、沖縄県内の国を事業者として扱われた各種事案においてもアンカー設置は手続とされていないことから、平等の原則に反するものである。そしてもう一つ、この一部地域におけるアンカーの設置を理由に全ての施行区域における全ての現状変更行為の停止を求めることは比例原則に反するものであるということで、農林水産省に対してこの審査請求を出し、執行停止申し立て書を提出しております。

 今後、法令に沿って適切に審査されるものと認識をしておりますが、工事の方は粛々と実施をしてまいりたいと思っております。

下地委員 工事を粛々とおやりになる、これはもう政府の考え方。しかし、沖縄県は、工事を粛々とやる、作業停止をしなければ、これはもう岩礁破壊の許可を取り消すというようなことになってきますね。これから法廷闘争になるかどうかわかりませんけれども、岩礁破壊の許可が取り消された場合に、この埋立工事に対しての影響というのはどういうふうに出てきますか。

中谷国務大臣 私たちといたしましては、やはり普天間基地の抱える危険性の除去、それに伴う工事が必要だと認識をいたしておりますので、工事手順に従いまして、できるだけ早くこれが完了できるように努力をしてまいりたいと思っております。

下地委員 大臣、僕が聞いているのは、岩礁破壊というのはボーリング調査なんですよ。ボーリング調査の岩礁破壊の許可を取り消すとなると、ボーリング調査ができなくなる可能性がある。これは、できなくなると図面が描けないんですよ。地盤が、計算が立たないから、なかなかこの図面を描くことができないんですよ。岩礁破壊というのは、つまりは、埋立工事の本体をやるための強度をはかるための設計をする、そういうふうなことから考えると、岩礁破壊の取り消しが行われると、まさに埋立工事そのものができなくなる可能性があるというふうになってくるんです。

 また、今まで防衛省も、この許可が必要だからこそ、埋め立てをするのにこの岩礁破壊の許可が必要だからこそ、岩礁破壊の許可をとってボーリング調査をして図面を描くという行為を、埋め立てをする作業の一環としてとってきたわけですよね。

 これがとれなくなるわけですよ。県から認められなくなる。ということは、埋立工事そのものが計画が立たなくなるんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、それに対する対抗措置とかなんとかというのは大臣の方でどういうふうにお考えになっているのかということを聞きたいんですよ。

中谷国務大臣 工事、これから進めてまいりますが、護岸工事の着手に当たっては、ボーリングの調査やこの結果を踏まえた設計などの進捗を踏まえる必要があることから、現時点におきましては確定的にお答えすることは困難であると前置きをした上で、強いて申し上げるならば、せんだって下地委員にもお答えをいたしましたが、各種の準備が整うことを前提に、可能であればこの夏ごろにも着手をしたいと申し上げたわけでございまして、それの手続に従って実施をしてまいりたいと思っております。

下地委員 沖縄県が岩礁破壊の取り消しをしたら、これはもう法廷闘争しない限り、今言ったような夏ごろまでというのはなかなかできないわけですね。私は、こういうふうな状況になってきたときに、防衛省としては、法廷闘争によって、取り消しがあった場合には不服申し立てをするとか、いろいろな法廷闘争がありますけれども、どういうことをやろうという推定をしてお考えになっているかというのをお聞かせいただきたいんです。

中谷国務大臣 そういうことについては、まだ仮定の質問でございまして、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思います。

 防衛省としましては、ボーリング調査を含めて岩礁破砕等に係る手続については、所要の手続、規則を踏まえまして必要な調整を行った上で実施をしていると認識をしておりまして、かかる手続には瑕疵がないという認識でございますので、この工事を進めてまいる所存でございます。

下地委員 私の拙い知識ですけれども、これは、取り消しをやったら、私は、法廷闘争して、始まるまでの間はなかなか工事に着手できないんじゃないかと思うんですよね、仮処分とか、いろいろなものが法廷闘争になってくるわけですから。そうなると、大臣が今おっしゃったように粛々とということは、ボーリング調査は行えない、私はそう思っています。

 こういう闘争になると、一九九五年の、米軍用地の強制使用に必要な代理署名を拒否した、当時の大田県知事を国が訴訟したケースがあるんですけれども、これは最高裁まで行ったんですよね。最高裁が判決を出すまでに相当の時間がかかっているわけですけれども、そういうふうなケースになってくる可能性があるということを申し上げておきたいというふうに思っているんです。

 それで、今度またちょっと違う視点から、これは岸田外務大臣にお聞きしたいんですけれども、今回の辺野古移設の定義を私の方でちょっとお話しさせていただきます。

 憲法九十八条の二項には「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と規定しているが、この規定に関して、岸田外務大臣は平成二十五年の五月八日の参議院の予算委員会で「我が国が締結した条約は国内法に優位する」と答弁しています。また、日米安保条約六条は「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」と規定し、この規定については、我が国が米軍に対して基地を提供する義務があると解されているんですね。

 そういうふうな状況の中で、もし翁長知事の岩礁破砕許可の取り消しなどによって国と県が裁判を行う、争うことになった場合、辺野古の問題が、我が国の基地の提供義務を規定する安保条約、日米地位協定、辺野古に関する日米合意、さらにはロードマップに言及して、かつ国会で承認されたグアム移転協定、これはパッケージという言葉もよく使っておりましたけれども、辺野古移設とグアム協定はパッケージだと言っていましたけれども、こういうふうなもの、「我が国が締結した条約は国内法に優位する」という大臣の答弁と、私が今言った辺野古の基地を提供するという概念と、どういうふうにこれが結びつくのか。裁判に与える影響については大臣はどう考えるのか。

 私が申し上げたのは、辺野古の基地の提供は、もうこれは外交上、日米安保条約上、基地の提供責任で認めているから、どんなに国内法で裁判をやってもこれは結論は出ませんよと言えば、嘉手納の爆音訴訟のときも控訴審の判決は、これは国が負けたんですけれども、飛行停止は、条約が優先してできないというケースがありましたけれども、そういうふうに、基地を提供する過程の中に、この辺野古の埋め立ての移設の問題は当たるのか当たらないのか、どっちなんでしょうかね。

岸田国務大臣 普天間飛行場の移設につきましては、十九年前の日米合意、そして十六年前の閣議決定等を経て今日まで取り組みを続け、昨年四月の日米首脳会談におきましても、安倍総理から、普天間飛行場の移設は強い意思を持って工事を早期かつ着実に進める旨、オバマ大統領に伝えております。

 今、法廷闘争の話について御質問いただきました。今の段階で、法廷闘争、具体的な対応について、仮定に基づいて何か申し上げるのは適切ではないと思います。

 そして、今、日米安保条約あるいは憲法との関係についても御質問がありました。

 一般論としましては、日米安全保障条約第六条におきまして、米軍に対し施設・区域を使用することを認めている、そのとおりでありますし、また、日本国憲法九十八条の二に規定されているとおり、我が国が締結した条約と国内法が抵触した場合には条約が優位する、これは一般論としてそのとおりであります。

 ただ、普天間飛行場の辺野古への移設、これは日米間の政治的合意を踏まえたものであります。よって、政府としましては、一日も早い普天間飛行場の返還が実現できるよう、普天間飛行場の辺野古への移設をしっかりと進めていかなければいけない、こうした課題であると認識をしています。

下地委員 普天間基地の辺野古移設の合意事項による辺野古の工事に関しては、日米安保条約の規定の範囲、基地提供する範囲の中には入らずに、政治的合意だからこの範囲ではありませんよという認識でいいんですね。

岸田国務大臣 日米安保条約六条につきましても、今申し上げたように施設・区域の使用について定めているわけですが、一方、個々の具体的な施設・区域の提供については、日米間で協議の上、日米地位協定の定めるところにより、日米合同委員会において合意が行われることになる、このように理解をしています。

 いずれにしましても、日米の政治的な合意に基づいて、しっかりと取り組みを続けていきたいと考えます。

下地委員 もう一つだけ。

 嘉手納の飛行場に関しては提供義務があって、爆音に関しても、そういうふうな控訴審の決断にもなっている。これが同じように普天間になされたとしても、そういう結果に私はなると思うんですね。

 しかし、安全保障上の基地の提供に伴って、それをやるためにつくられている工事に関しては、その範囲ではないということなんですよね。

 私が申し上げているのは、嘉手納という、完成して飛行機が飛んだりヘリコプターが飛んでいるところに関してはその基地の提供の範囲になっているけれども、日米安保条約に基づいて、日米が合意して辺野古に米軍基地をつくるというような、この米軍基地をつくっている最中に関しては、その範囲に当たらないというような考え方を持っているのか、いや、これはもう提供するためにつくっているんだからその範囲に当たると考えているのか、どっちなのかということを聞いているんですよ。

岸田国務大臣 我が国は、日米安保条約六条に基づいて、米国に対し施設・区域を使用することを認めています。

 さまざまな課題についても、全てこの基本的な考え方の範囲内に入っていると認識をいたします。

下地委員 では、入っているんですね。これは、辺野古に関しては、工事の最中であっても提供義務の中に入っているというような答弁ですね。

岸田国務大臣 今申し上げましたのは、一般論としまして申し上げました。個々具体的な事案につきましては、今の段階で申し上げることは控えます。

北村委員長 鈴木大臣官房参事官。(下地委員「大臣がしゃべっているんだから、しゃべらなくていいんだ、質問している人が指示しないのに、何でしゃべるの」と呼ぶ)

 詳細の部分については参事官に答弁を求めます。(下地委員「いや、委員長、僕が指名していない人にはしゃべらせないでください」と呼ぶ)大臣の答弁について、彼の立場から説明をさせてくれと言っているんだよ。

 それでは、参事官、簡潔に。

鈴木政府参考人 日米安保条約は、第六条において、米国に対し施設・区域を使用するということを認めております。その範囲の中で、個々には日米合同委員会で決めている、そういうところでございます。

北村委員長 どうぞ、質問してください。下地君。(発言する者あり)

 大臣に答弁させます。

岸田国務大臣 まず、日米安全保障条約第六条において、米国に対し、我が国の安全及び極東の平和と安全の維持に寄与するため、我が国の施設・区域を使用することを認めております。

 一方、個々の具体的な施設・区域の提供については、米国間で協議の上、日米地位協定の定めるところにより、日米合同委員会において合意が行われることとなるものとされています。

 そして、普天間飛行場の代替施設についても同様であると認識をしております。

下地委員 私は、大臣のこの答弁が正しいと思うんですよね。だから、今回、沖縄県が行政訴訟とか法廷闘争に持っていっても、私は、最終的には、米軍基地の提供を妨げる国内法や行政処分は、なかなか法廷闘争では結論が出ないんじゃないかと思うんですよね。私はそう思っているんです。だから、完成している基地だろうと、合意してつくろうとしている基地だろうと、その範囲内に入るので、この問題を法廷闘争で解決するというのは難しいよというのが私の認識であるということを申し上げておきたいというふうに思います。

 それと、三点目に、大臣、この埋立許可、仲井真知事が印鑑を押しまして、これを進めていますけれども、仲井真知事が承認した埋立認可で、辺野古移設の工事は最終的なところまで完成することは可能でしょうか。また、私が識者の話を聞いたら、この仲井真知事が印鑑を押したものでは四〇%から四五%ぐらいまでしか工事は完成できないんじゃないかというような見方があるんですけれども、この仲井真知事の認可で、もうあとはそのまま最後までできるというふうなことを断定するのか、それとも、四五%ぐらいしかできないというふうに思っていらっしゃるのか、どっちなのかということをちょっとお聞かせいただきたいんです。

中谷国務大臣 工事の認可等につきましては沖縄県知事から承認されておりまして、これらの手続は既に関係法令に基づいて適正に行われたものと考えておりまして、埋立承認に続いて、海底ボーリング調査等の各種事業また環境保全等には、万全を期して粛々と進めてまいる予定でございます。

下地委員 では、もう、大臣の見方だと、この認可をもらったら最後まで、粛々と全部完成までできるというような認識なんですね。

中谷国務大臣 今後、次の段階に移る際に、工事の促進に資する工法への変更、また、さらなる環境保全等の観点からの変更承認申請手続を行うことはあり得ると考えております。

下地委員 僕も、だからそれが現実的な話だと思うんですよね。

 岩国の飛行場のときでも、願書の変更を出しているのは八回あるんですよね。これは山口県知事の承認をもらわないとできない。八回出している、これは、事務方、間違いありませんよね。

中島政府参考人 先生がお述べになったとおりでございます。

下地委員 これは、米軍基地じゃなくても、中部国際空港の場合は、変更は何回ぐらいあったんですか。

 航空局が来ていると思いますけれども、私が調べた範囲では、愛知県なんか十四回ぐらい変更があって、この承認をもらわないと埋め立てに基づいた飛行場は完成しないというようになっていますけれども、国際空港も、愛知県も、今の私が言った回数で間違いないのかどうなのか。

田村政府参考人 今御質問のありました中部につきましては、公有水面埋立法の許可手続、設計概要の変更につきましては四回、それから、添付図書の変更許可を二回取得しております。

下地委員 これが大体一般的な、埋め立てをやって飛行場をつくるときの経緯なんですよね。

 この前、中島局長がこういう答弁をしていますね。「今後とも、こういうふうな検討を行っていく過程で、工事の促進に資する工法への変更、あるいはさらなる環境保全の観点などから変更承認申請の手続を行うことはあり得るというふうに考えておりまして、このようなことは、他の埋立工事におきましても一般的に行われているものと承知をしておるところでございます。」こういうふうなことを述べています。

 ところで、大臣、これは、これだけの千八百メートルの滑走路をV字型で二つつくる、今大臣が申し上げたように粛々とやると言っても、変更は生まれますよというようなことになっているんです。

 そういう経緯の中で、翁長知事が今のような立場をしていると、法廷闘争をやっても、翁長知事が有利に闘うというようなことは私はあり得ないというふうに思うんですよ。しかしながら、ではそれならば粛々とこの埋め立ての工事が進みますかというと、この岩礁破砕の法廷闘争とは別に、工事が進んだにしても、最終的にまたそこで変更承認をもらわなければいけない。岩国で八回ですけれども、岩国の滑走路よりも大きな面積で滑走路も長いとなると、これは八回で済まないんじゃないかと言っているんですよ。翁長知事は印鑑を押さないんですよ、なかなか。なかなかというか、押さないでしょう、あの人は。

 というと、この工事はもう未完成になるのではないか。さっき言った、私が四〇%と言った。だから、今の時点で七百億のお金を使って、四〇%までになる。この前、答弁では、三千億前半ぐらいのお金でこの仕事は完成するだろうというふうに言っていますけれども、万が一、四〇%となったら、一千五百億使う、まあ、一千七百億使うかわかりませんけれども、それぐらいのお金を使って、設計変更の承認が出たら、翁長知事が変更を承認しなかったら、このかけた税金はストップしてしまう可能性があるんですよ。ストップするでしょう。そういうふうな状況の中において、解決をしないままに進めても、先が見えない。万が一したら、またとまるかもしれないという状況になりかねない。

 法廷闘争をもって全部を解決するのもなかなか難しい、こういうふうに変更の認可をもらうのも難しい、こういう状況になっているというようなことを、認識を私はしているんですけれども、大臣、いかがですか。

中谷国務大臣 一日も早く普天間の危険性の除去のために辺野古への移設を進めてまいりますけれども、できる限り全力で取り組んでおりますが、今後、過程の上でいろいろな事態が生ずるわけでございますが、その時点におきましては適切に対処できるように、また県側とも協議を行えるような状況を目指して、御理解いただきたいというふうに思っております。

下地委員 大臣がおっしゃるとおり、さまざまなことが出てくるというけれども、さまざまなことがもう予想されているんですよね。予想されないような項目ではなくて、法廷闘争も、どういう法廷闘争になるのかも、もう識者の間では全部予想されている。もう政府も、そういうシミュレーションを持って、それに対応するような措置を考えているでしょう。沖縄県も同じように法廷闘争で考えているでしょう。

 しかし、また今までの事例からしても、確実にこれは設計変更、留意事項の調整というようなことが、あの那覇空港でさえも、留意事項の調整を沖縄県とやって、一年間で四回の承認を沖縄県からもらって今那覇空港を進めているということになると、それはなかなか厳しい環境になってくるだろうなと思うんです。

 ただ、私はこう思っているんですね。翁長さんという人は、県知事は、この前の十一月の選挙で、私は絶対に埋め立てさせませんと言ったんです。埋め立てさせません、それが私の使命です、目標ですと言うけれども、あの人も目標を達成できないんですよ。どんなにやっても、法廷闘争の間は工事は私は進むと思うんです。そうなると、私の見識では、四〇%近くが仲井真さんが押した印鑑で工事が進むとなると、彼が選挙のときに公約をした、埋め立てさせませんというのはできないんですね、できない。ある一定の埋め立てはもう終わっているんです。そういう状況になるだろうと私は思いますよ。

 またもう一つは、国の方も、私は、国の目標は、あの普天間の飛行場を、危険の除去をして、辺野古に基地をつくって完成させるというのが目標なんですけれども、国も未完成のまま続くんですよ。お金は使うけれども未完成のまま続く。

 お互いが自分が目標としていることを達成できないような状況の今闘いをしているというのが私の見方なんです。どっちも勝利者にならない。翁長さんもとめ切れない、埋め立てを。国も未完成のまま。これがずっと永久に続く可能性があるというのが今の現状なんですね。

 私は、そういう意味でも、これを解決させる道は、行政訴訟でも法的根拠でもないんです、もうこれは政治家同士が話し合う以外に道がないんですよ。政治家同士が話し合わなかったら、これはもう全く前に進まない。今回翁長さんが知事になって、政府に会いたいと言ってもなかなか会えなかったとか、いろいろなことがあります。理由がありますから、どっちがどっちと言いません。だけれども、大臣、私の結論は、とにかく今回は会話をしていかないとこの問題は解決しませんよ。菅官房長官も大臣も強気の姿勢で押しまくって押しまくって押しまくっても、大臣が考えている飛行場の完成はあり得ないということなんです。

 さっき答弁したように、きちっと沖縄県と話をして、あらゆることを想定した中で、あらゆる対案も想定しながら、どうやって物事を考えていくかということをやっていかないとこれは難しい。このことを私は指摘しておきたいというふうに思います。

 大臣の答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

中谷国務大臣 御指摘ありがとうございました。

 現時点におきまして私自身が沖縄の県知事にお会いする決まった予定はありませんけれども、今後とも、政府全体で連携しながら、さまざまなレベルでの地元の皆様方との対話を行っていく中で、私と県知事の対話の機会が設けられていくものと考えておりまして、その際には、国の立場として、日本の安全保障、また沖縄の基地負担軽減、こういった全体像の中でこの普天間の移設の位置づけとか意義につきましても沖縄の皆様方とお話し合いをしなければならないと思っております。

下地委員 とにかく、大臣、沖縄に行ってください。菅官房長官も沖縄に行く、大臣も沖縄に行く、山口担当大臣も沖縄に行く。人にお願いする以上は自分で行くんですよ。この姿勢が今の政府には足りない。それだけ指摘して、私の質問を終わります。

北村委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 去る三月二十三日、沖縄県の翁長知事は沖縄防衛局に対し、辺野古新基地建設工事に係る海底面の現状を変更する行為の全てを停止すること、七日以内に行為停止を報告しなければ前知事が与えた岩礁破砕許可を取り消すことがあるとの指示を行いました。先ほどから当委員会で熱い議論が行われているところであります。

 この翁長知事の指示決定に対して、中谷防衛大臣は、同日の臨時記者会見の場で、我が国は法治国家であります、この期に及んでこのような文書が提出されたことは甚だ遺憾であると発言しました。菅官房長官も全く同様な発言をしております。私を含め、翁長知事や多くの県民にとって、防衛大臣のコメントは、今さらつべこべ言うな、国策には黙って従えとしか受け取れません。

 ここで聞きますが、中谷防衛大臣は、法治国家における法の支配や法治主義についてどのようにお考えでしょうか。

中谷国務大臣 お答えいたします。

 法治国家における法の支配とは、人権の保障と恣意的権力の抑制とを趣旨として、全ての権力に対する法の優越、これを認める考え方であると承知をいたしております。

 また、法治主義とは、憲法のもとにおいて、国などの行政権限の内容を定め、あるいは国民に義務を課し、または権利を制限するという場合には法律によらなければならないという原則であると承知をいたしております。

照屋委員 大臣、私は、全ての現状変更行為の停止を求めた翁長知事の指示は、関係法令や岩礁破砕許可条件に沿ったもので、合法的で正当な行政処分だと考えております。

 法治主義の理念は憲法の立憲主義や国民主権に根差すものであり、沖縄の民意を無視して、翁長知事による行為停止の指示や違法性が疑われる岩礁破砕行為の調査要求を拒む政府の姿勢こそ、私は、法治国家にあるまじき、警察国家、独裁国家であると強く指弾せざるを得ません。

 先ほども指摘した防衛大臣の法治国家云々、これは、私は、大臣が言った法治国家の法の支配の理念に反するコメント、行き過ぎたコメントだと思いますが、どうでしょう。

中谷国務大臣 国としても法律に従って手続を経ておりまして、今回の指示に対しては、まずアンカーの設置、これは、海域の地殻を変化させるものではなくて、岩礁破砕に当たらないために、当該指示は事実を誤認したものでありまして、水産資源保護法に基づく法定受託事務の執行を誤ったものであること。アンカーの設置については、沖縄県から、他の事例を踏まえれば、アンカーの設置は手続の対象にならない旨が示されていたことに反することから、今回の指示は禁反言の原則に反するものであること。沖縄県内で国を事業者として行われた同種案件においても、アンカーの設置の手続の対象とされていないことから、今回の指示は平等原則に反するものであること。また、一部地域におけるアンカー設置を理由に全ての施行区域における全ての現状変更行為の停止を求めることは比例原則に反するものである。

 以上の理由で、執行停止を求めることにつきましては、我々としては、法律的に見ておかしいのではないかということで、審査請求書並びに執行停止申し立て書を提出したところでございます。

照屋委員 今大臣がおっしゃったことはわかりますよ。わかりますというか、私も知っています。

 ところで、中谷大臣は、平成二十六年八月二十八日付の仲井真前知事による岩礁破砕許可が九項目の条件つきの許可であるという認識はお持ちですか。

中谷国務大臣 沖縄県知事から、岩礁破砕等の許可に対して九項目の条件が記載されていることは認識しております。

 この九項目というのは、許可期間は平成二十六年八月二十八日から平成二十九年三月三十一日……(照屋委員「内容はいいよ」と呼ぶ)内容はいいですか。その記載条件は認識をいたしております。

照屋委員 条件つきの許可の場合、付与された条件が守られないと許可が取り消されることは当然だし、合法かつ有効ではありませんか。

中谷国務大臣 私たちは、手続に従って工事をいたしておりまして、特に瑕疵があったということではございません。

 今回の指示自体が無効であると考えております。

照屋委員 大臣、私が聞いたのは、難しいことを聞いているんじゃない。翁長知事の全ての行為停止の指示は、許可条件六項に基づく指示なんです。違法な指示ではありませんよ。この指示が守られないと許可を取り消す、これは当然でしょう。

中谷国務大臣 何をもって中止をせざるを得ないのか、その九項目の中には、公益上の理由等によりというふうに書かれておりますが、何をもって公益上の事由と言われるのか、私たちにはその点が理解できないわけでございます。

照屋委員 しからば、大臣は、何のために岩礁破砕許可に仲井真知事が九項目の条件を付したと思いますか。

中谷国務大臣 この工事を行う上におきまして県側とこういうお話をしたということは事実でございますが、私たちといたしましては、その定めの範囲内で事業を実施しております。そういうふうな認識を持っております。

照屋委員 だから大臣、この条件を付与した許可で、条件が履行されないという判断に基づいて許可を取り消す、これは法の支配、法治国家で当たり前なんですよ。それを、あたかも、全工事の停止の指示をした、守らない場合には許可を取り消す、こう言った知事に対して、知事の指示や許可取り消しの発言は不法だとか無効だとか、そんなことを言っちゃいけないんだ。環境保全の立場、それから漁業調整の立場に立って九項目の条件を付した。

 さて、先ほど下地委員からもありましたけれども、中谷大臣は、かねて、辺野古新基地建設に反対する翁長知事と会っても意味がないと言い切りました。今回の翁長知事の指示と、それを不服とする国の対応を見ていると、今後国と沖縄県との間でさまざまな訴訟に発展することが予想されます。総理や防衛大臣が法廷の場で翁長知事と初対面するのではなくて、民意を受けて当選した翁長知事の言い分に率直に耳を傾けるというのが、憲法に定める地方自治の本旨に照らし、国のとるべき民主的な態度ではありませんか。大臣の見解を尋ねます。

中谷国務大臣 当日の私の発言につきましては、記者とのやりとりの中で、翁長知事はあらゆる手段を講じると述べて、徹底的に反対する意志を強めているのですけれどもという質問に対して、私は、知事にも理解をしていただきたいと思っております、では、どうすればいいのか、知事さんのコメントを聞いておりますと、工事を阻止するということしか言われておりません、もう少し、沖縄県のことや日本の国の安全保障、そういう点も踏まえてお考えをいただきたいなという気持ちでございまして、お会いしてよい結果が出ればいいと思うのですけれども、より対立が深くなるということではお会いしても意味がありませんということを言った上で、何とか御理解いただけるように、こちらとしても誠意を持ってやっていますので、お会いしてお話し合いをして、いい結果が出ますように努力をしてまいりたいと申し述べております。

 気持ちとしましては、今後、この件につきまして地元の皆様方とさまざまなレベルで対話を行いつつ、この問題につきまして知事さんともお目にかかってお話し合いをしたいというふうに思っております。

照屋委員 中谷大臣、知事と面会すべしというのは、単なる懇願ではないんだ。私は、民主主義の本旨に照らして、むしろかたくなな知事面会拒否が、単なる、政権が冷たくあしらう、政権が推した候補を破って当選した翁長知事に、単なる嫌がらせ、見せしめ、いじめにしかすぎないと思っております。

 ところで、質問はかわりますけれども、政府は、この間、普天間飛行場の五年以内運用停止を沖縄県民に約束してきました。

 中谷大臣は、普天間飛行場の五年以内運用停止とはいかなる状態を指すと考えているのか、またその実現可能性についてどのように考えているのか。

 普天間の五年以内運用停止というのはどういう状態か、何を指すのか、この間、質問主意書で何回聞いても、まともに答えない。

 中谷大臣、お答えください。

中谷国務大臣 この問題はもう十九年目になるわけでございますが、一番大事なのは、やはり普天間飛行場の固定化、これを絶対に避けなければならないということで、本当に長い時間かけて、いろいろなことが起こりましたけれども、結果的に、辺野古へ、これの移設が普天間飛行場の継続的な使用を回避する唯一の解決策であると私は確信をいたしております。

 その上で、普天間飛行場の危険性の除去を少しでも早く実現する観点から、普天間飛行場の五年以内の運用停止につきましても、仲井真前知事から強い要請を受けて、政府として全力で取り組んできているところでございます。

 既に、昨年八月、普天間飛行場に所在する固定翼機の大部分を占めるKC130十五機全機を岩国飛行場に移駐いたしました。政府としては、沖縄県を初め全国の自治体の御協力を得るように努力をしながら、オスプレイの沖縄県外における訓練等を初め、でき得ることは全て行うという姿勢で取り組んでまいっております。

 できるだけ早く、普天間飛行場の五年以内の運用停止、それを目指して全力を挙げて取り組みたいと考えております。

照屋委員 大臣、私が聞いているのは、普天間の五年以内の運用停止というのは、地位協定に基づくあの普天間飛行場の米軍への提供、すなわち、欠陥飛行場とも言われる普天間の飛行場機能、これを全て五年以内に停止される状態と理解していいんですか。

中谷国務大臣 先ほどお話しさせていただきましたが、普天間飛行場の危険性の除去を少しでも早く実現する観点から、仲井真前知事からの普天間飛行場の五年以内の運用停止の御要望について、官邸に設置された会議体がございます、また個別の会談を通じて地元の意向を伺いながら、精力的に進めてまいりたいと考えております。

照屋委員 先ほどから聞いても、わからないんですよ。

 五年以内運用停止というのは、私は、端的に、あの普天間飛行場の機能が全面的に停止をされること、要するに飛行場機能がなくなってしまうこと、これを指すんですかと聞いているんです。

中谷国務大臣 目指しているところは、普天間飛行場の五年以内の運航停止、つまり、飛行機が飛ばないということでございます。

照屋委員 その普天間飛行場の五年以内運用停止など、基地負担軽減を政府と沖縄県が話し合う負担軽減推進会議が昨年十月から開かれておりません。その理由について伺います。

中谷国務大臣 普天間飛行場負担軽減推進会議、これは、代替施設への移設までの間に、普天間飛行場の危険性除去を中心とした負担軽減の着実な推進のために、沖縄県及び宜野湾市との間で率直な意見交換を行うために設置され、これまで具体的な施策について検討されてまいりました。

 政府としましては、この負担軽減を着実に進めていくこととしておりまして、翁長知事との間では、当該会議における具体的な施策の意見交換よりも、まずは、日本の安全保障や沖縄の負担軽減の全体像の中で普天間移設の位置づけ、また意義について対話をしなければならないというふうに考えておりまして、この会議の開催につきましては、政府として、その設置趣旨を踏まえまして、状況に応じて適切に判断していくこととしております。

照屋委員 大臣、その推進会議のもとに設置された作業部会も開かれていないんだ。

 そうすると、今、大臣の御答弁によると、翁長知事が相手だからもう負担軽減推進会議は開く必要はない、このように判断しているんですか。

中谷国務大臣 沖縄県がこの会議において具体的にどのような調整を考えておられるのか、まず事務的に確認をしていく必要があるのではないかと考えております。

照屋委員 防衛大臣、この五年以内運用停止というのは、前知事の段階で沖縄県から要請があって、安倍総理も、五年以内運用停止の実現のためにできることは何でもやる、こう言ったんです。

 ところが、要請をした仲井真知事も、五年以内運用停止がどういう状態なのか、その中身をわかっていない。その要望を聞いた安倍総理や関係大臣もわかっていない。わかっていないままに、沖縄県民に、五年以内に普天間飛行場の運用機能は停止されるんだと期待だけ持たせて、その中身について、政府はいまだに具体的に説明できていないんです。できていないんです。だから、負担軽減推進会議も昨年十月以降開かれない、作業部会も開かれない。要するに、五年以内運用停止というのは、アメリカも、そんなことはできるはずないとはっきり言っているんだから、アメリカの高官も。

 これは、政府として、私は、県民に対するまやかしの説明。大臣、そうではありませんか。

中谷国務大臣 仲井真前知事との間で、五年以内の運用停止の厳密な定義が合意をされていたというわけではございませんが、沖縄につきましては、政府としては、米軍再編の中で、米軍基地の縮減、移転、また普天間基地の辺野古への移設など、できるだけ早くこれを実施すべく全力を挙げて取り組んでおりますし、また、KC130の岩国への移設、オスプレイの県外への訓練移転、できることは全て行う姿勢で現在も取り組んでおります。

 沖縄の皆様方との認識もまた合わせた上で、こういった協議等も実施をしなければならないと思っております。

照屋委員 大臣、大臣は去る二月十七日の記者会見で、普天間飛行場の五年以内運用停止との関連で、沖縄県知事を含む全国の知事の協力があって初めて実現するものだ、こういう趣旨のことをおっしゃっておる。

 私にはその趣旨が全く理解できない。五年以内運用停止は、政府がその実現を期すべきではありませんか。なぜ、全国の知事の協力があって初めて実現するんですか。いかなる意味でしょうか。お答えください。

中谷国務大臣 この発言は二月十七日の記者会見における発言でございますが、これは、沖縄の負担軽減を実施していくためには、例えばオスプレイの沖縄県外における訓練を進めていく上で、受け入れ先となる自治体の御理解と御協力が不可欠であるという旨を述べたものでございまして、自治体の理解と協力を得ていく上に当たりまして、相手があることでございますが、できることは全て行うという基本方針のもとに、政府としては粘り強く取り組んでいくということは当然であると考えております。

照屋委員 最後に大臣にお聞きをしたいのは、平成二十五年一月二十八日、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会共同代表らが、連署をもって総理大臣宛て建白書を提出しました。

 私は、この間、質問主意書や当委員会において、建白書は沖縄の近現代史の中でも極めて重大かつ歴史的な文書であると指摘してきました。その上で、当時の小野寺、江渡両大臣に、建白書の保存期間終了後の国立公文書館への移管を求めてきたところでありますが、改めて中谷大臣の御所見を伺います。

 そして、防衛省における建白書の保存期間が今月末日をもって終了しますが、もう三月末日で廃棄をしてしまうんですか。どのような取り扱い決定がなされたんでしょうか。お答えください。

北村委員長 残余の時間も少ないので、簡潔に答弁願います。

中谷国務大臣 建白書につきましては、かねてから照屋議員が重要性を指摘してこられたことでございますが、この建白書については、当初設定した保存期間が満了する日が本年三月末ということで、検討してまいりました。

 この建白書は、翁長知事が那覇市長時代に主導して取りまとめたものと承知しております。翁長県政における今後の政策の立案、実施についても理解していく上で重要な参照資料の一つになるものと判断をするに至ったため、今般、その保存期間を一年延長することといたしました。

 延長した保存期間が満了した際の取り扱いにつきましては、小野寺、江渡両大臣の国会における発言も踏まえつつ、今後適切に判断してまいりたいと思っております。

照屋委員 大臣、一年延長はわかりましたが、とりあえずは廃棄を免れた。

 ところが、この建白書は、後世の国民が、研究者が、ウチナーンチュだけじゃない、全国の皆さんが検証できるように、私は国立公文書館に移管して保存をすべきだ、こういうことを強くお願いを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

北村委員長 次に、内閣提出、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。中谷防衛大臣。

    ―――――――――――――

 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中谷国務大臣 ただいま議題となりました特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 現下の厳しい財政状況のもとで防衛力の計画的な整備を行うため、特定防衛調達、すなわち、専ら自衛隊の用に供するために製造または輸入される装備品等及び当該装備品等の整備に係る役務の調達であって、防衛力の計画的な整備を行うために必要なものであり、かつ、長期契約により行うことが当該調達に要する経費の縮減及び当該調達の安定的な実施に特に資するものとして防衛大臣が財務大臣と協議して定めるものについて、国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別の措置を定める必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、国が特定防衛調達について債務を負担する場合に、当該債務を負担する行為により支出すべき年限を、当該会計年度以降十カ年度以内とすることとしております。

 第二に、防衛大臣は、長期契約により縮減される経費の額の推計等について、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為を行う会計年度の予算の概算の閣議決定があったとき及び当該特定防衛調達に係る長期契約を締結したときに、それぞれ公表することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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