衆議院

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第4号 平成27年3月31日(火曜日)

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平成二十七年三月三十一日(火曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 北村 誠吾君

   理事 小野寺五典君 理事 門山 宏哲君

   理事 金子万寿夫君 理事 新藤 義孝君

   理事 武田 良太君 理事 大串 博志君

   理事 下地 幹郎君 理事 佐藤 茂樹君

      今津  寛君    江渡 聡徳君

      小田原 潔君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    木原 誠二君

      木原  稔君    木村 弥生君

      笹川 博義君    中谷 真一君

      野中  厚君    浜田 靖一君

      原田 憲治君    武藤 貴也君

      村井 英樹君    小川 淳也君

      玉木雄一郎君    津村 啓介君

      足立 康史君    柿沢 未途君

      吉村 洋文君    伊佐 進一君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   防衛大臣         中谷  元君

   外務副大臣        城内  実君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   防衛副大臣        左藤  章君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   防衛大臣政務官      石川 博崇君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鈴木 秀生君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   西田 安範君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 外園 博一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  三村  亨君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十一日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     村井 英樹君

  野中  厚君     木村 弥生君

  吉村 洋文君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     野中  厚君

  村井 英樹君     木原 誠二君

  足立 康史君     吉村 洋文君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官鈴木秀生君、財務省主計局次長西田安範君、水産庁長官本川一善君、国土交通省航空局長田村明比古君、防衛省大臣官房技術監外園博一君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省経理装備局長三村亨君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。門山宏哲君。

門山委員 自由民主党の門山宏哲でございます。

 本日は、冒頭、沖縄の普天間飛行場移設問題について、中谷防衛大臣に質問させていただきます。

 普天間飛行場の移設については、翁長沖縄県知事が、辺野古新基地反対を県政の柱とし、知事の行政権限の行使として工事を中止する旨、公言しております。その一環として知事は、三月二十三日に、海上作業を一切停止するよう指示を出しました。これに対し、沖縄防衛局は、当該指示はバランスを欠き、岩礁破砕の理解を誤っているなどとして、農水大臣に審査請求と執行停止の申し立てを行いました。そして、昨日、農水大臣は執行停止を決定いたしました。

 このような国と地方自治体との間での法律論争は、国民から見て非常にわかりづらいので、大事な論点について、二、三お尋ねいたします。

 まず、沖縄県は、沖縄防衛局が辺野古沖で行ったアンカーの設置によって、沖縄県漁業調整規則に基づく許可を得ずに岩礁破砕行為がなされた蓋然性が高いと主張して、全ての作業の停止を指示しましたが、他方、沖縄防衛局は、水産資源保護法の目的に照らせば、アンカーの設置は地殻そのものを変化させる行為ではないので、岩礁破砕に当たらないと説明しております。

 このように国と県の見解が一致していない中、当該規則の有権解釈権は県側にあるという主張もなされておりますが、防衛大臣のこの点に関する所見をお伺いいたします。

中谷国務大臣 三月二十三日、沖縄県知事から沖縄防衛局長に対し、普天間代替施設建設に係る作業の全てを停止すること、また、これに従わない場合は、沖縄県漁業調整規則に基づく岩礁破砕許可を取り消すことがある旨の指示が出されました。

 この沖縄県漁業調整規則は、水産資源保護法の規定を根拠としております。その上で、同法の規定に基づき都道府県知事が規則を定める事務は法定受託事務とされ、知事が規則を定めるに当たっては、農林水産大臣の認可を受けなければならないと承知をしております。

 このため、沖縄県が沖縄県漁業調整規則に基づき事務を処理するに当たっては、水産資源保護法を所管する農林水産省が示す通知文や解釈の範囲内で行われる必要があると認識をいたしております。

門山委員 法と規則の関係についての御説明、よくわかりました。

 それでは、今問題となっている岩礁破砕については、農水省からは何らかの通知文やあるいは解釈を示されているのでしょうか。

中谷国務大臣 岩礁破砕に関しては、水産庁は、平成二年三月一日に、山口県からの問い合わせに対する回答として、岩礁とは海域における地殻の隆起形態であり、この隆起形態を変化させる行為が破砕であるという解釈を示しているものと承知をいたしております。

 したがって、沖縄県漁業調整規則における岩礁破砕の解釈についても、この解釈に従うことになると理解をいたしております。

門山委員 よくわかりました。

 また、沖縄県は、沖縄防衛局長、すなわち国の一機関が同じ政府部内の農水省に審査請求を行うのはおかしいと主張しておりますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

中谷国務大臣 一般に、国や地方自治体の機関が、その固有の資格においてではなく、一般私人と同様の立場で処分を受ける場合には、行政不服審査法に基づく不服申し立ての資格を有すると解されると承知をいたしております。

 沖縄県漁業調整規則において許可が必要であることは、国であっても特に区別はなく、沖縄防衛局は私人の事業者と異なるところはないことを踏まえれば、沖縄防衛局長が農林水産大臣に対し審査請求等を行うことは、法律上可能と考えております。

 また、水産資源保護法の規定によれば、審査請求に対する農林水産大臣の決裁を経た後でなければ、処分取り消しの訴えを提起することができないとされております。そのため、沖縄防衛局長は、今月二十三日の沖縄県知事の指示の効力について争うため、審査請求等を行ったものでございます。

門山委員 大臣、丁寧な御説明、ありがとうございました。

 続きまして、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法案について、何点かお伺いいたします。

 本法案は、国が特定防衛調達に係る国庫債務負担行為の年限を財政法上五年を上限としているところ、十年に延長することとしておりますが、この延長する趣旨は何でございましょうか。

中谷国務大臣 現下の一層厳しさを増す財政状況のもとで防衛力整備を着実に実施していくためには、装備品等の調達コストを縮減するとともに、安定的な調達を行っていくことが不可欠でございます。

 他方、装備品等については、調達のスケールメリットが働きにくく、また、企業としても高い予見性を持って計画的に事業を進めていくということが難しいという特殊性がございます。

 今般新たに法律を整備して、最長十年の長期契約を可能とすることによりまして、国としては、装備品等の安定的な調達が可能となり、大綱及び中期防に基づく計画的な防衛力整備ができます。また、企業としては、中長期的な見通しのもと、人員や設備の計画的な活用が可能となるとともに、資材や部品をまとめて一括発注することで、コストの縮減が可能となります。さらに、企業の予見可能性が高まることで、防衛産業から撤退防止にも寄与するなど、防衛生産、技術基盤の安定化にもつながります。

 なお、平成二十七年度の予算案におきましては、新たな法律の成立を前提として、二十機の固定翼哨戒機P1を調達し、約四百十七億円の縮減を見込んでおります。

門山委員 今、一部御説明いただきましたけれども、具体的に、長期契約の対象となる装備品、P1もそうでございましょうが、それとか、あるいは装備品等の整備に係る役務というのも今回対象になっているわけでありますが、それはどのようなものがございますでしょうか。

中谷国務大臣 長期契約の対象となりますのは、法案第一条の規定に鑑みれば、防衛力整備を確実に実施していくために必要となる装備品等及びその整備の役務であって、五カ年度を超える長期契約によりコストの縮減と安定的な調達が見込まれるものであり、具体的には、中長期的な防衛所要を勘案した上で、防衛大綱、中期防に基づき、確実かつ計画的に調達することが不可欠なものであること、製造期間を通じて仕様が安定していると見込まれ、長期契約により、企業が部品を一括で発注することなどでコスト縮減効果が期待できるものであること、長期契約によることで安定的な調達に資するとの効果が期待できるものであることといった要件を満たす必要があると考えております。

 具体的には、各年度の予算編成過程で財政当局と調整を行う必要があり、現時点で確たることを申し上げることはできませんが、例えば装備品等については、回転翼機のSH60KやUH60J、また、整備の役務については、成果保証契約、いわゆるPBL契約が対象になり得ると考えております。

門山委員 二〇一三年十二月十七日に閣議決定された平成二十六年度以降に係る防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画では、防衛力整備の効率化を徹底する必要があるとし、特に中期防においては、二〇一三年度価格において五年間で約七千億円程度を調達改革等を通じた効率化により確保するとしておりますが、五年で七千億円も削減できるのでしょうか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛大綱、中期防におきましては、格段に厳しさを増す財政状況を踏まえて、防衛力整備において一層の効率化、合理化を図ることとし、そのために、今般、長期契約の導入を初め、各種の調達効率化策に取り組む旨が定められております。

 中期防においては、おおむね七千億円程度の実質的な財源の確保を図るとされていることから、二十六年度に約六百六十億円、二十七年度に約千五百三十億円と、合わせて二千二百億円程度の節減を図ったところでございます。

 今後三年間で四千八百億円程度の節減を図ることとなりますが、長期契約を含めた各種の調達効率化策により、引き続き調達コストの縮減に努めてまいります。

門山委員 本法は二〇一九年三月三十一日限りの時限立法とされておりますが、時限立法とした理由は何ですか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省は、現在、平成三十年度までを期間とする中期防に基づき、計画的に防衛力整備を行っております。また、今般の長期契約法は財政法の一般原則の例外を設けるものであるため、財政への影響も勘案しながら、その効率化等の効果を評価する必要もあると考えております。このような観点から、本法律案を平成三十年度末までの時限法といたしたところでございます。

門山委員 先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、本法律により、我が国の下請企業の防衛産業からの撤退防止に寄与することが考えられるということがあるんでしょうか。具体的にはどのように寄与されるということでしょうか。

中谷国務大臣 近年、防衛装備品の高度化、また複雑化等に伴い調達数量が減少しておりまして、一部の企業におきましては防衛事業から撤退等が生じております。P1の製造に係る企業におきましても、これまで、機体、またエンジン等の部品を製造する企業が複数社撤退をしております。

 こうした中で、長期契約を導入することについては、企業としても将来の調達予定数量が確約をされ、人員、設備の計画的な活用ができるなど予見可能性が高まるために、装備品等の調達に係る企業の撤退防止に寄与できるものであると考えております。

門山委員 この法律により、今後とも、防衛生産、技術基盤の維持強化を図りつつ、防衛予算が有効に活用されることを期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日は、長期契約法の審議ということでございますが、安保環境が変化していくという中で、しっかりした対応、備えというものを行っていく、これはもう当然のことでございますが、同時にまた、限られた資源の中で防衛力を維持整備していくという必要性もある。その中で、当然、調達において、調達の仕方をどうするのか、あるいは契約の仕方をどうするのかということは大事な議論であると思っております。

 今回、この長期契約法の目的というのは、まず、しっかりまとめて買うということで、調達コストを削減しよう、減らしていこう、もう一つは、最長十年の契約で安定的な調達を行っていこうという、端的に言えばこの二つだというふうに認識をしております。

 私、前職で宇宙開発に携わっていたことがございます。その中で、宇宙関連産業というのも実は今同じ状況です。つまり、宇宙関連予算というのはどんどん先細っていく、その中で、宇宙の産業基盤というのが失われていっている、こういう状況です。それで、技術を持つ下請企業、特に中小企業の皆さん、これがどんどんこの世界から撤退していっている、日本の技術が失われているというような状況になっております。

 宇宙の世界では、ロケットを毎年四機打ち上げると何とか製造ラインが維持できるというふうに言われています。ところが、私が携わっていたときは、多くて年三機、少ないときは二機、一機、ゼロ機というときもありました。こういう状況の中で、企業の側からすれば、予見可能性がないとビジネスとしてなかなか成り立たない。つまり、調達コストの縮減という一つの目的ができないどころか、技術そのものがどんどん失われていくというのが現状ではないかと思います。そういう意味では、今回の長期契約法、非常に重要だというふうに認識をしております。

 具体的に、今回対象となりますのが、固定翼の哨戒機P1二十機、四百億円の削減になるというふうに言われておりますが、今回、平成二十七年度の予算の中には、ほかにもいろいろな買い物があります。例えば、F35ステルス戦闘機、あるいはオスプレイとかグローバルホーク、こういう調達も入っていますが、今回、この長期契約の対象にはこうしたものというのはなっていないというふうに認識しております。これらを長期契約の対象にしなかったのはなぜかということをお答え願えればと思います。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 長期契約の対象となる装備品等は、防衛力整備を確実に実施していくために必要となるものであって、五カ年度を超える長期契約により調達することでコストの縮減と安定的な調達が見込まれるものでございます。

 具体的には、中長期的な防衛所要を勘案した上で、防衛大綱、中期防に基づき、確実かつ計画的に調達することが不可欠なものであること、製造期間を通じて仕様が安定していると見込まれ、長期契約により、企業が部品を一括で発注することなどによりコストの縮減効果が期待できるものであること、長期契約によることで安定的な調達に資するとの効果が期待できるものであることといった要件を満たす必要があると考えております。

 この点、御指摘の装備品等につきましては、現段階では必ずしも製造期間を通じて仕様が安定しているとは言えず、また、長期契約によることで安定的な調達に資するとの効果が期待できるものであるとも言えないため、平成二十七年度予算においては、長期契約の対象としてはなじまないと判断したものでございます。

伊佐委員 調達コストの縮減だけではない、今、二つの目的がございますが、安定的な調達というところもしっかり考慮するんだという御答弁だったかと思いますが、この二つのうちの一つ、調達コストの縮減といったときに、これは、そもそも、長期契約で安くなるという以前に、現在の調達コストというのは果たしてどうなんだ、適正なのかという議論は常に行われているわけです。

 これまで何度も指摘されてきたのは、企業からの過大請求というものが議論になっておりました。

 防衛省の防衛調達の不祥事のリストというものがあります。きょうはお配りしておりませんが、この中を見せていただくと、例えば平成二十四年では八件の不祥事、平成二十五年では七件ありますが、これは、内容を見ますと、そのほとんどが過大請求です。何でこれほど過大請求が起こるのか。もしかすると契約の仕方に問題があるんじゃないかという点です。

 お配りした資料を一枚見ていただくと、二つの契約方法がある。一つは、一般確定契約、上の部分。もう一つは、原価監査つき契約と言われるものです。

 この一般確定契約というのは、企業との間で契約額が決まっている。その後は企業努力で、例えば、原価をどんどん安くすることができれば、その分利益が上がるということになります。当然、原価が膨らんでしまうと、その分は企業の責任として企業がみずからのみ込むということになる。最初から額が決まっているのが上の一般確定契約です。

 下の方が、原価監査つき契約。これは、ある額で契約はするんですが、その後で、もし企業努力で一生懸命原価をダウンさせた、節約した、そうするとそこで利益が上がるわけですが、今回、この下の方の契約というのは、上がった利益は全部国に返納するという契約です。逆に、原価がどんどん膨らんでしまったときにはどうなるかというと、その分は、当初の契約以上は払いません、自分たち企業で責任を持って吸収しなさい、こういう契約になっているわけです。

 これであれば、下の契約であれば、当然、企業としてはある程度余裕を見ないといけない、リスクを吸収できるような額にしないと商売は成り立たない。だから、少し多目に契約を見積もりたくなるというような構図じゃないかと思います。

 そこで、こうした契約が過大請求の温床になっているんじゃないか。実際に、契約本数自体は、上の一般確定契約が九割で、下の契約は一割ぐらいなんですが、金額ベースでいくと大体同じぐらい、半分半分だ。つまり、下の契約の方が大物の契約が多いという認識だと思いますが、こういう契約の仕方が過大請求の温床になっているんじゃないかという指摘に対して、防衛省はどう考えられますでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘ございましたような超過利益返納条項つき契約でございますが、これにつきましては、片務的な契約ではないかというような指摘をこれまでも受けてまいったところでございます。

 そういった御指摘も踏まえまして、防衛省といたしましては、あらかじめ契約代金を確定することが可能な場合については、先生が御指摘になられた、上の一般確定契約というようなものにするように努めているところでございます。

 また、下の超過利益返納条項つき契約につきましても、米国の例も参考にしつつ、契約のリスクを官と民が適切にシェアする仕組みについて、現在、防衛省の中に設置しました有識者から成る契約制度研究会、こういった場で検討を進めているところでございます。

伊佐委員 今、こうした議論がようやく始まったという段階だと思います。先ほど御答弁の中にもありましたように、もし原価が膨らんでしまったという場合には、例えば、先ほどアメリカの例をおっしゃっていただきましたが、原価の部分は、そこはしっかり補償しましょう、コスト補償、こういうものをする米国の例もありますので、ぜひさまざま検討いただければと思います。

 この調達コストが、開発するに当たってどんどん拡大していくという悩み、これは宇宙開発も同じでして、当初の見積もりよりどんどん拡大していくというのがよくあります。こうしたコストの拡大への対処として大事なことは、プロジェクト管理がちゃんと行われているかどうかという点じゃないかと思います。

 つまり、技術担当だけがそこにかかわるのではなくて、運用に携わるような部局、各幕であるとかあるいは内局、こういうものも全部一緒になってプロジェクト管理がしっかりできているかどうかが大事ではないかと思います。つまり、それぞれの立場で、一方的に注文をつけるだけであればどんどんコストは膨らんでいきますので、そうではなくて、コスト管理に同じように参画する、同じようにコストに責任を持つ、運用部署も含めて責任を持つということが大事じゃないかと思います。

 また、大事な点、私が思いますのは、コストが増加することに対してきちんと要因分析されているのかどうかということが大事じゃないかと思います。

 アメリカの例でナン・マッカーディー法というのがあると伺っております。これは、当初の見積もりよりもし膨らんだ場合、一定以上膨らんだ場合、例えば、一定以上膨らんで顕著なコスト上昇というふうに認定される場合、あるいは、さらにさらに膨らんで危機的なコスト上昇というふうに言われた場合には、このコストの上昇の要因をしっかり分析する、そして、事業を果たして継続すべきかどうか、この必要性も判断する、大臣にしっかり報告をして、その上で公表するというような仕組みがございます。

 こうした他国の例も含めて、プロジェクト管理をしっかり強化していくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、装備品のライフサイクルを通じたプロジェクト管理というのは極めて大事だと防衛省も認識してございまして、プロジェクトマネジャー等を設置するなどの取り組みの強化を図っているところでございます。

 また、その一環としまして、今御指摘ございました米国のナン・マッカーディー条項、こういったものも参考にしながら、プロジェクト管理開始時に設定した見積額に対して一定の基準を超えるコスト上昇が認められた場合については、原因をしっかり分析し、事業継続の必要性、コスト上昇に対する対処可能性とかをきっちり大臣に報告し、御判断を仰いでいく、こういった制度の運用について検討を進めているところでございます。

伊佐委員 現在検討を進めているということでございました。

 今までの話は、製造コストと開発コストの問題を取り上げさせていただきましたが、もう一つは、維持管理あるいは整備の費用。今、その維持管理費用というのがどんどん高騰していると伺っております。それによって新規調達の費用を大分、予算を圧迫していると伺っております。

 この一つの原因として、製造であれば、プライム企業というのがあって、そこが全部、各企業を取りまとめる、サブコンを取りまとめているというような調達の仕方をしていると伺っておりますが、実際に修理とか部品の供給、こういう点でどういうやり方をしているかというと、防衛省がそれぞれ部品のベンダーとか各企業と直接契約している。つまり、ばらばらに契約している。しかも、防衛省が誰と契約しているか。防衛省の中も、装備施設本部であったりとか各幕の補給本部がやっていたりとか、こういうやり方をしている。つまり、それぞれ複雑な契約が多重に結ばれているというような現状だというふうに伺っております。

 これは、どこか一つ部品がおくれてしまうだけで装備の可動率が思い切り下がるというような状況になりますので、製造だけじゃなくて維持整備についてもプライムを採用すべきじゃないかと思いますが、簡単に御回答いただければと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、維持整備の経費をきちんとコントロールするということも大事なことでございます。

 その一環といたしまして、先生御指摘のような、ばらばらに契約するのではなく、維持整備に係る業務を一括して代表企業に委託する、大臣が先ほど申し上げましたPBL契約、成果保証契約でございますが、私どもはこういったものを導入しているところでございまして、これをきちんと広げていきたいというふうに考えてございます。

伊佐委員 さまざま議論させていただきましたが、最後に大臣に伺いたいと思います。この長期契約法だけじゃなくて、さまざま、まだやることはたくさんあると思います。ぜひ、最後に大臣の決意を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 きょうは伊佐委員から大事な点の御指摘をいただきました。

 これまでも、契約方式の工夫を含めまして、維持整備方法の見直し、装備品のまとめ買い、また民生品の使用や、また規格、仕様の見直しといった取り組みを進めてまいりましたが、さらに効率化を進めるために、この長期契約法を今国会に提出いたしております。

 さらに、防衛装備庁、これを設置することによりまして、装備品のライフサイクルを通じた一元的かつ一貫した管理の強化に取り組むことといたしておりまして、今後とも、重層的にこういった努力を進めてまいって、予算の効率化に取り組んでまいりたいと思っております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 限られた予算の中で防衛力を維持整備していくという観点、当然コスト削減という観点も大事なんですが、先ほど議論もさせていただいたとおり、もう一つ大事な視点というのは、技術をどうやって守っていくかという点であると思っております。

 防衛技術についても、今、デュアルユースとよく言われますが、今はもう民生と安全保障、防衛の技術のミシン目というのはほぼなくなってきているというふうに認識しております。まさしく、この技術、産業基盤を守るというものが日本の技術を守るということにつながると思いますので、しっかり私も応援してまいりたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

北村委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 お疲れさまです。民主党の津村啓介でございます。

 本日は、長期契約法に関しましてるる質問させていただきますが、冒頭、先日、三月二十五日に就役いたしました護衛艦「いずも」、大変注目を集めておりますので、少しだけその件に触れて、本題に入っていきたいというふうに思っております。

 今回の「いずも」は、機能としてはヘリコプターを搭載する空母という機能を持っているわけですけれども、自衛隊での区分では航空母艦という区分がないということで、護衛艦として分類されているというふうに伺っております。

 若干、事実上の空母のようなものが空母ではなくて護衛艦だというふうに我が国として説明しているので、そのことについて海外からわかりにくいという声もあると思うんですが、私は、むしろ、過去の国会答弁等を見ますと、憲法上、攻撃型空母以外の空母は持つことが否定されていないという趣旨の答弁もされておりますので、この際、ここは空母なら空母ということでいいと思いますし、あるいは、これから日本が空母を保有していくことについての議論がもう少しオープンにされていってもいいのかなという観点から幾つか御所見を確認させていただきたいというふうに思います。

 通告をさせていただいておりますが、一問目は、空母の保有についての憲法解釈についての見解の確認でございます。

 少し引用させていただきますと、昭和六十二年の、これは参議院の予算委員会だと思いますが、当時の西広局長が、昭和六十二年から見てということですけれども、「今から恐らく二十年以上前に、三次防のころだと思いますけれども、対潜ヘリコプターを積んだ対潜空母というものを考えた時期があったと思います。」ということをおっしゃって、その後、議論が続いていくんですが、また、その文脈の中で、「防衛的なものであれば持てないことではない。」というふうに、空母の保有について触れられています。

 この議論をなぞる形で、翌年六十三年、瓦防衛庁長官が、「昨年五月十九日」、今触れたものですけれども、「参議院予算委員会において当時の中曽根内閣総理大臣が答弁したとおり、我が国が憲法上保有し得る空母についても、現在これを保有する計画はないとの見解に変わりは」ない、つまり、憲法上保有し得る空母という概念が出てきているわけですけれども、我が国は攻撃型でなければ空母を保有できるということでよろしいですよね。

中谷国務大臣 我が国が憲法上保有できる自衛力というのは、自衛のための必要最小限度のものでなければなりません。

 過去にも御答弁がございますけれども、性能上専ら相手国の国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる兵器については、これにより直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることから、いかなる場合においてもこれを保持することは許されず、例えばICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母は自衛隊が保有することは許されないと解しているとおりでございます。

 我が国が保有を許される自衛力の具体的な限度については、以上の考え方を踏まえまして、その時々の国際情勢、軍事技術の水準その他の諸条件を勘案しながら、最終的には、自衛隊に係る予算等の審議を通じて、国民の代表である国会において御判断いただくものであると考えております。

津村委員 端的な御質問を差し上げたつもりです。今おっしゃられたことは全て過去の答弁のとおりですので、何ら否定するものでもございませんし、更問いするつもりもないんですが、私が御質問申し上げたのは、六十二年の西広発言、国会答弁の確認と、続く六十三年瓦答弁の確認でございます。

中谷国務大臣 御指摘のとおり、過去の国会答弁で、理論上の問題として、我が国の防衛のための空母は保有し得ると説明している例がございます。

津村委員 例があるのは知っております。現時点でそういう御答弁をもう一度確認させていただきたい。大臣の御見解を伺っております。

中谷国務大臣 過去の答弁のとおりでございます。

津村委員 わかりました。結構です。

 続きまして、私は、先ほど申し上げましたように、言葉遊び的になることよりは、正面切って議論していけば、安全保障環境は大きく変わっているわけですから、五五年体制の議論のときのワーディングをずっと続けていくのもどうかなと思って質問させていただいているんですけれども、近年の安全保障環境の変化を考えると、今後、空母ないしは空母の機能を持った護衛艦でも結構ですけれども、これから保有隻数をふやしていくという議論、今どういう議論がなされているんでしょうか。

中谷国務大臣 これまでにおきましては空母の保有構想を有したことはございませんので、現時点でその予定もないということで、憲法上、具体的にどのような空母を保有し得るのかについても検討を深めておりません。そういう点では、先ほどの御質問にお答えするというのは困難でございます。

津村委員 恐らく、その紙に書かれているもの以上は出てこないと思いますので、本題の方に入ってまいります。

 本日議題となっております特措法、いわゆる長期契約法についてでございますが、まず、この契約法のカバーしている範囲といいますかスコープについて伺いたいと思うんです。

 長期契約の対象になる装備品等について、法案には幾つか、役務の調達まで含めて、幅広く書かれているんですが、平成二十七年度予算案については固定翼哨戒機P1の二十機のみが要求をされているということであります。

 今後、対象を広げて、このP1以外にも、来年度予算以降ですけれども、対象にしていくことはお考えですか。具体的にどういう装備が考えられるでしょうか。

中谷国務大臣 今回、長期契約の法案を提出いたしましたが、第一条の規定に鑑みましたら、防衛力整備を確実に実施していくために必要となる装備品等及びその整備の役務であって、五カ年度を超える長期契約によってコストの縮減と安定的な調達が見込まれるものでございまして、まず、防衛大綱、中期防に基づいて確実かつ計画的に調達することが不可欠なものであるということ、そして、製造期間を通じて仕様が安定していると見込まれるもの、コストの縮減の効果が期待できるもの、安定的な調達に資するとの効果が期待できるものといった要件を満たす必要があると考えております。

 具体的には、各年度の予算編成過程で財政当局と調整を行う必要があり、現時点では確たることを申し上げることはできませんが、装備品等については、例えば固定翼機のSH60KやUH60Jが対象になり得ると考えております。

津村委員 具体的なお話が聞けて、大変ありがとうございます。

 その次の質問として、通告では、F35、オスプレイ、グローバルホーク等の、中期防あるいは今年度予算にも出てくる装備についてはなぜ対象としていないのかということをお聞きしようと思ったんですけれども、先ほど同じ質問を伊佐さんがされていましたので、その三村局長の御答弁に対する更問いということで伺わせていただきたいというふうに思います。

 幾つか要件をおっしゃいました。仕様の安定性ということと安定的な調達という言い方をされたと思います。こういった要件が現時点でオスプレイやグローバルホークについては整っていない、なので、平成二十七年度予算においては要求していない、そういうふうに三村さんは先ほどおっしゃったと思うんですけれども、今後、F35であるとかオスプレイ、グローバルホーク、非常にロットの大きいものだと思いますが、こうしたものの仕様が安定して、先ほどの要件を満たすことになれば、検討はなさるおつもりでしょうか。

中谷国務大臣 まず、先ほどSH60KとUH60Jと申し上げましたが、これは回転翼機でございました。訂正させていただきます。

 先ほどの、今後の長期契約の対象という御質問でございますが、まず、製造期間を通じて仕様が安定していると見込まれて、長期契約によって、企業が部品を一括で発注することなどでコスト縮減効果が期待できるものであること、また、長期契約によることで安定的な調達に資するとの効果が期待できるものであることという要件を満たせば、今後、長期契約の対象とすることは排除されないと考えております。

津村委員 今回の法案の中に、装備品等だけではなくて、装備品等の整備の役務についても対象となるということが書かれております。ちょっとわかりにくいといいますか、装備ですとP1だとかオスプレイだとわかるんですけれども、整備の役務というのは具体的にはどういうことを指すんでしょうか。

左藤副大臣 長期契約の対象については、法案第一条の規定に鑑みれば、防衛力整備を確実に実施していくために必要となる装備品等及びその整備の役務であって、五カ年を超える長期契約によりコストの縮減と安定的な調達が見込まれるものであり、具体的には、中長期的な防衛所要を勘案した上で、防衛大綱、中期防に基づき、確実かつ計画的に調達することが不可欠なものであること、そして、製造期間を通じて仕様が安定していると見込まれ、長期契約により、企業が部品を一括で発注すること等でコスト縮減効果が期待されるものであること、長期契約によることで安定的な調達に資するとの期待がされること、先ほど答えがあったと思います。

 具体的には、各年度の予算編成過程で財政当局と調整を行う必要があり、現時点で確たることは申し上げられませんが、整備の役務については、例えば成果保証契約が対象になり得ると考えております。要するに、PBLという、維持整備に係る業務を一元的に代表企業に委託を申し上げて、成果の達成に対して対価を払うという契約、これを成果保証契約と申します。これが対象になります。

津村委員 わかりました。

 次に、中期防で七千億円の削減計画というのがあると思います。削減といいますか、同じコストでより大きな成果を上げるということで七千億円という数字が出ていると思うんです。

 私が事前に伺っている数字で申し上げますと、平成二十六年度の縮減額としては六百六十億円、平成二十七年度予算では千五百三十億円、うち四百十七億円が今回のこの長期契約法によってコスト削減効果がある。同じ二十機を買うにしても四百十七億円安く買えたというお話なんですが、この二つを合わせても二年で千七百七十億円しか合理化できていない、効率化できていないということになります。

 五年間で七千億円ということであれば、あと三年間で四千八百億円の削減、効率化が必要になるわけですけれども、これは現実的な数字ですか。どのような検討をされているんでしょうか。

中谷国務大臣 今後三年間で四千八百億となるわけでございますが、平均で各年度千六百億円程度の節減を図ることになりますが、実現困難とは考えておりません。

 具体的には、まず、長期契約のほか、従来から取り組んでいる維持整備方法の見直し、また、装備品のまとめ買い、民生品の活用や仕様の見直しなどによりまして、引き続き調達コストの縮減に努めてまいりたいと思っております。

津村委員 今後注視させていただきたいというふうに思います。

 続きまして、法案第三条に関連する部分ですけれども、縮減される経費の推計額ということを、これは閣議決定のときと長期契約の締結時と二度にわたって公表することになっていますが、二度公表するということは、その数字が変わり得るということを暗に意味すると思うんです。

 これは、どうしてこの推計額が、どういった場合に変わり得るか、その要因としてはどういうものを想定されていますか。

中谷国務大臣 まず一回目の公表は、予算政府案の閣議決定の後遅滞なく行う。これは、長期契約を行うと政府として判断した際には、速やかに国民に周知して、長期契約の効果について理解を得られるように努めるとともに、国会における予算の審議にも資することを目的といたしております。

 二回目の公表は、実際に契約が締結された後遅滞なく行うこととしておりまして、これは、予算閣議決定時の公表をもとにその妥当性が判断されたとしても、実際にはそのような効果が発現しないのであれば、当該の長期契約を真に評価したということにはならないことを理由といたしております。

 二回の公表を通じて国民への周知徹底の機会を十分に確保しながら、長期契約の活用によりコストの縮減と防衛装備品の安定的な調達に努めてまいりたいと考えております。

 なお、予算成立後、実際に契約するまでの間にさらなるコストの縮減を図ることができないか、これは不断に検証してまいりたいと思っております。

津村委員 ありがとうございます。

 そういった形で、少しでもコストを削減していこう、限られた財政制約の中で防衛力を強化していこうというのは評価すべき姿勢だと思うんですけれども、そういった意味では、今回のこの長期契約法案、今後さらに与野党で議論が詰まっていくと思うんですが、調達の透明性でありますとか、あるいは推計額の算定能力でありますとか、基準をしっかり厳格にしていくといったことが満たされていけば、これは前向きに議論していくべき法案だと思うんです。

 だとすれば、今回、なぜ時限法、特措法という形にしたのか。それだけ意義深い法律だということであれば、これは堂々と恒久法で法案を提出されればいいのではないかなと思うんですが、あえて時限法とした理由はなぜですか。

中谷国務大臣 これは、現在、平成三十年度までを期間とする中期防、これに基づいて計画的に防衛力整備を行っているからでございます。

 また、今般の長期契約法は財政法の一般原則の例外を設けるものであるために、財政への影響も勘案しながら、その効率化等の効果を評価する必要もあると考えております。

 このような観点で、平成三十年度末までの時限立法としたわけでございます。

津村委員 これは、平成三十年度末に改めて、この特措法の延長について、あるいは恒久法化するのか、議論があり得べしと想像するわけですけれども、だとすると、三十年度あるいは二十九年度に、三十一年度以降に調達する装備品について長期契約とすることが、対象とできなくなるのではないか。つまり、ラグが発生してしまうのではないか。結果として、時限立法にしたためにむしろ効率化額が減るのではないかということを懸念しますが、いかがですか。

中谷国務大臣 あくまでも一般論といたしまして申し上げれば、この法律の期限であります平成三十年度の予算につきましては、通常、前年の平成二十九年十二月に政府原案が策定をされ、その後、国会で御審議をいただくということになりますが、その時点において、次期中期防、これが既に策定されるのか否か、また、具体的にどのような装備品等が次期中期防の対象になっているのかについて、現時点において確定的に申し上げることはできないということでございます。

 このため、時限立法としたことによりまして効率化の額が減るかどうかについて確たることを申し上げることは困難ですけれども、防衛省としては、調達コストの縮減と調達の安定化を図るという長期契約の目的が達成できるように努力をしてまいりますので、平成二十九年に政府原案が策定された時点でまた国会で御審議をいただきたいというふうに思っております。

津村委員 今の段階ではそうしかおっしゃれないんだと思いますし、御誠実に答弁いただいていると思いますが、四年後、五年後のそういう不確定なリスクを抱えるような、今回、時限立法の提出のされ方だということは注意喚起させていただきたいというふうに思います。

 続きまして、今回、概算要求ベースと予算案の閣議決定ベースでは、P1の調達価格について、大分、一割ぐらい額が既に変わってきています。これが、先ほど来申し上げている推計額の算定能力といいますか、どういうふうにコストというものを見込まれているのか。半年で一割も見込みが変わるというのは随分丼勘定じゃないかなという疑念を持つわけですけれども。

 概算要求ベースでは二十機三千七百八十一億円だったものが、今回、予算案閣議決定ベースでは三千三百九十六億円になっています。これだけ大きく減額したのはどういった環境変化があったからでしょうか。

中谷国務大臣 一点、先ほど二十九年度末と申しましたが、三十年度末に期限が切れるということで訂正させていただきます。申しわけございません。

 P1につきましては、長期契約による調達コストの縮減と安定的な調達を確保する観点から、仕様が安定しているという必要がございます。他方、一層厳しさを増す我が国の周辺海域の状況を踏まえれば、固定翼哨戒機については、その警戒監視、情報収集能力を必要に応じて向上させていく必要があることから、今般、警戒監視、情報収集能力の向上による仕様の変更の可能性について慎重に見きわめることが必要であると判断をしました。

 このため、捜索用のレーダーなど、今後能力向上が必要となり得る一部の装備品の計上を二十八年度以降に先送りすることとした結果によりまして、長期契約による調達の対象額が、概算要求時の三千七百八十一億円から、平成二十七年度予算案では約三千三百九十六億円になったところでございます。

 このように、レーダーの部分におきましては、将来の性能の向上を見越して、これは別にしたということでございます。

津村委員 レーダーを別にしたのは結構なんですけれども、一部の装備品を翌年度以降に先送りされて、それで縮減額を大きく見せているようにも聞こえるんですが、いかがですか。

中谷国務大臣 縮減額につきましては影響はないというふうに考えております。

津村委員 いや、影響はありますよね。だって、概算要求の額と閣議決定の額で随分金額が変わっているわけですから、それは縮減額も変わってきますよね。

北村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 中谷防衛大臣。

中谷国務大臣 今回の要求した額で合計四百三億円の縮減を目指しておりまして、要求額が減ったとしても、縮減額の四百三億円の節減は変わらないということでございます。

津村委員 ちょっと数字を精査していきたいと思いますけれども。

 もう一つの角度から御質問いたします。

 これは副大臣がお答えいただくことになっているかと思うんですが、過去のP1の調達の経緯を振り返ってみますと、最初に調達したのは平成二十年度で、一機当たり百五十六億でこれは買っています。それから、調達がない年があると、一年挟まるとまた初期コストが発生するようで、一機当たりの価格というのは随分変動するようですけれども、高いときには、平成二十二年度に一機当たり二百十億で買っています。しかし、翌年は、今度は一機当たり百七十八億、二十三年度。

 ですから、一番少ないときは百五十六億で、一番高いときは二百十億で、百七十億とかいうことがあるんですけれども、今回、割り算をいたしますと、一機当たり百七十億ぐらいになりますよね。三千三百九十六億円を二十で割れば百七十億になると思うんですけれども、どうして、長期契約、これほど頑張って長期契約法までつくって年限を延ばしたのにもかかわらず、平成二十三年度の一機当たり、あるいは平成二十年度の一機当たりの価格よりも高い推計になるんですか。

左藤副大臣 平成二十年度の予算計上したP1については、量産の最初の契約でございまして、実績額が存在していない状況であることから、試作機の実績や会社見積もり等をもとに、一機当たり、先ほどおっしゃった百六十一億円と算定をしております。

 一方、平成二十七年度予算案に計上しているP1については、平成二十年度予算に計上したP1の実績額をもとに、今先生おっしゃった約百七十一億円なんですが、経済指数や企業見積もり等を精査の上、一機当たり約百九十一億円と算定をしております。

 平成二十年度予算における単価に比べ、平成二十七年度予算における単価上昇、約三十億でございますが、主な要因でございますが、平成二十年度の予算額よりも上昇した実績額を反映したことや、必要な仕様を追加したことによるものでございます。主に通信関係を追加させていただきました。それで上がったのでございます。

津村委員 P1というものが導入されてから七年、最初に予算が計上されてから七年もたっているわけで、どちらかといえば、汎用化、普及化しているわけですから、だんだん価格は下がっていくのかなと思いきや、今回、従来よりも、長期契約で、まとめ買いだとおっしゃっているにもかかわらず、過去の、初年度の、契約と実績が違うというのはわかりました、しかし、実績の百七十一億円よりもさらに三十億も高い予算でいかれる。確かに通信の新しいものを載せているということかもしれませんけれども、もっと言うと、これは、まとめ買いでなければ、それよりもさらに一機当たり二十億高いという話だったわけですから、五十億円も単価が上がってきているというのは、ちょっと通信設備だけでは説明不十分という気もします。

 推計額が随分企業寄りといいますか、企業から言われた言い値との比較でおっしゃっているだけで、防衛省さんがきっちりと差額を推計されているのかどうか、大変そこに疑念を感じるんですけれども、もう少し詳しく御説明いただけませんか。

左藤副大臣 今、追加の関係でございますが、例えばインマルサット、これは衛星通信装置の追加とか、それからヘッドアップディスプレーとか、スーパーバード、衛星通信の高速化とか、またXバンドに対応するものとか、そういういろいろなものを追加させていただいております。

 これは、最初に買ったP1と大分精度が違いますので、おっしゃったように業者から言われて云々ではなくて、防衛省として今最先端のものが必要だという解釈でこれを追加させていただいております。

津村委員 今、幾つか通信設備の固有名詞も出てまいりました。残念ながら、私、一つ一つがどのぐらいの性能でどのぐらいの価格のものか、この場ではわからないことがたくさんございますので、また改めて数字を詰めて議論させていただきたいと思います。単純に申し上げますと、これまでの実績よりも高い予算額を計上しておきながら、まとめ買いで安くなったとおっしゃっていることが非常に腑に落ちないものですから、これから数字を詰めて今後とも議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 それでは、少し切り口を変えまして、防衛費も、今回、装備が大きくなれば、継続費の制度もありはしますけれども、比較的仕様が安定したものについては長期契約という新しい手法が財政健全化と防衛力強化の両立に資するという観点で議論があるわけですけれども、同じように、今、文科省さんを中心に、長い期間、成果が上がるまで時間を要する科学技術研究費、科研費等については複数年度化の議論がなされております。

 そのことによって、まとめ買いに少し近いかもしれませんけれども、長い期間の研究設備をより買うことができたり、年度末の予算消化みたいな無駄を生まなくていいということだと思うんですけれども、防衛省の予算の中で、そうした研究開発費の占める割合というのが、実は、これは防衛省の成り立ちとも深くかかわるんだと思いますけれども、海外と比べて非常にいびつといいますか、研究開発費が非常に少ないという特徴を我が国は有していると思います。

 OECDの資料を、これは防衛省さんからいただいたものですけれども、主要国の国防研究開発費ということで、平成二十三年度で見ますと、DARPAを抱えているアメリカは多少特例ですけれども、年度予算が六兆を超えている。その次が韓国の千九百三十九億、イギリス千六百六十七億、フランス一千億、ドイツ九百三十一億。中国、ロシアについては数字がとれないようですけれども、中国、ロシアを除いても日本は六番目ということであります。

 また、韓国やドイツに比べますと、日本は、防衛費自体がロットがそもそも大きいわけですけれども、国防費に対する研究開発費の比率ということであれば、日本は二・三%ということでさらに順位を下げているわけであります。

 これは左藤副大臣に伺いたいと思いますが、平成二十七年度予算における研究開発費というのはどのような規模で、どういう特徴を持っているのか、お伺いしたいと思います。

左藤副大臣 平成二十七年度予算案については、研究開発に係る経費として、契約ベースで千五百二十五億円を計上させていただいております。

 防衛省において、研究開発の特徴は、基礎的な技術研究を行う大学等と異なり、自衛隊が使用する装備品の開発やそれに必要な応用研究を行っているというところであると思っております。

 いろいろございますが、その中で、近年は、科学技術の発展を背景として、防衛技術と民生技術の境界が曖昧となっている状況において、装備品の効率的、効果的な研究開発のために外部からすぐれた民生先進技術を適切に取り込むことが重要であり、デュアルユース技術の活用や、企業における先進的な防衛装備品を目指した研究育成を行っていくことが重要と思っております。

 そのために、大学や独立行政法人との研究協力を実施しており、こうした取り組みによって民生技術の活用を図り、効率的な研究を進めているところでございます。

 また、平成二十七年度より、防衛省独自のファンディング制度である安全保障技術研究推進制度を開始し、大学、独立法人、企業の研究機関が行う将来有望な基礎的な先進技術の発掘、育成に邁進してまいりたいと思っております。

津村委員 ちょっと難しかったんですけれども、日本の一つの弱点だと思いますので、研究開発、長い目で、将来の防衛技術をどう考えていくのか、そして、民間とのデュアルユースという考え方についても、防衛省サイドからもぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 そういう中、このデュアルユース研究について、世界の潮流と日本の比較ということをいたしますと、今申し上げたように日本は非常におくれているというふうに認識をするんですけれども、事民間企業との間のデュアルユースということであれば、宇宙を含め、一定の進展があるように思うんですが、学術界と防衛省さんの距離感というのが他国に比べて非常に大きいというか、これはまさに過去の不幸な歴史によるものと思うんですけれども、防衛省さんと大学の研究現場との距離が非常にあるなということを感じております。

 ことしの一月十六日に産経新聞さんが、東大が軍事研究を解禁するという記事を出しました。しかし、これに対しては、その日に東京大学はこれを否定するといいますか、少し長いんですけれども、大事なのでちょっと読ませていただきますが、浜田総長の名前でコメントを出されておりまして、

  軍事研究の意味合いは曖昧であり、防御目的であれば許容されるべきであるという考え方や、攻撃目的と防御目的との区別は困難であるとの考え方もありうる。また、過去の評議会での議論でも出されているように、学問研究はその扱い方によって平和目的にも軍事目的にも利用される可能性(両義性 デュアル・ユース)が、本質的に存在する。実際に、現代において、東京大学での研究成果について、デュアル・ユースの可能性は高まっていると考えられる。

  このような状況を考慮すれば、東京大学における軍事研究の禁止の原則について一般的に論じるだけでなく、世界の知との自由闊達な交流こそがもっとも国民の安心と安全に寄与しうるという基本認識を前提とし、そのために研究成果の公開性が大学の学術の根幹をなすことを踏まえつつ、具体的な個々の場面での適切なデュアル・ユースのあり方を丁寧に議論し対応していくことが必要であると考える。

非常に丁寧にといいますか、ただ、わかりにくいんです。

 実際の現場の状況を伺いたいと思うんですが、防衛省さんは、幾つかの大学、たしか七つと伺いましたけれども、大学との共同研究ということに着手をされていると思いますが、東京大学との共同研究のこれまでの実績について伺いたいと思います。

中谷国務大臣 防衛省におきましては、これまで東京大学との間で研究協力を行った実績はございません。

津村委員 共同研究だけでなくて、例えば、東京大学、いろいろな大学院が最近は充実をしておりまして、各省から、中期、一年とか三カ月とか、場合によっては二年、三年、出向であるとか国内留学であるとか、そういう形で職員を受け入れたり、あるいは人事交流ということも行っている。例えば文科省さん、あると思うんですけれども、防衛省さんの職員がこれまで人事交流で東京大学の職員になられたことや、東京大学の大学院等で国内留学をされたということは、どのぐらい実績がございますか。

中谷国務大臣 東京大学の職員と防衛省職員との人事交流については、これまでそのような人事交流を行った実績はございませんが、研究開発に係る防衛省職員の東京大学への留学につきましては、現在確認されているものでは、平成十九年四月から平成二十二年三月までの間、東京大学大学院博士課程に防衛省技術研究本部の職員が留学をしたという実績はございます。

津村委員 他の大学との共同研究等に比べると、随分限られているという印象を持ちます。

 今私が質問したことが全てをあらわすとは思いませんけれども、冒頭申し上げたように、大学と防衛省、あるいは防衛産業もそうかもしれませんが、もう少し距離を縮めていく努力をなさってもいいのかなというのがお話を伺っての私の感想でございます。

 文科省の山本政務官にも関連して来ていただきました。

 同じ話を文科省サイドから印象を伺いたいと思っているんですけれども、我が国のデュアルユース研究が進まないのは、今申し上げたように、アカデミアの側が軍事という言葉に非常に過敏に反応される面があって、軍事にもいろいろあると思うんです、中世の歴史とかいろいろな研究もあり得ると思うんですけれども、そういう、今回の東大の軍事研究云々という議論があったように、アカデミズムの方が、古くは日本学術会議が戦後直後にいろいろと、科学者は軍事目的の研究をしないというような決意表明をしたり、いろいろな歴史があると思うんです。

 ちょっと、そろそろ時代が変わっているというか、余り軍事という言葉を広く解釈し過ぎると萎縮してしまうのかな、デュアルユースの障害になるのかなというような印象を持っております。

 大学につきましては大学の自治ということを文科省さんがいつもおっしゃるのでなかなか難しいと思うんですけれども、例えば研究開発法人における取り組み等については、文科省さんももうちょっと積極的にデュアルユース推進にかじを切れるのではないかと思うんですけれども、所見を伺いたいと思います。

北村委員長 文科省山本大臣政務官。

 時間がないので簡潔にお願いします。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 文部科学省所管の研究開発法人におきましては、これまでも、防衛省の技術研究本部との間で包括的な研究協力協定を締結するなど、必要に応じて研究協力を進めてまいりました。

 例えばJAXA、宇宙航空研究開発機構においては、平成二十六年に防衛省との間で包括的な研究協力協定を締結し、赤外線センサーの衛星への搭載関連技術について情報交換を行っているですとか、JAMSTEC、海洋研究開発機構においても、防衛省の技研本部と平成二十六年に研究協力協定を締結しまして、水中の無人探査機のことに関して情報交換をしたりとか、文科省としましては、我が国及び国民の安全に係る研究開発は極めて重要と考えております。

 宇宙のみならず海洋など他の分野においても、防衛省を初めとする関係機関との関係で連携を深めてまいりたいと思っております。

 以上です。

津村委員 どうもありがとうございました。

 きょうの質疑の中で、最終的にもう時間がないので触れませんけれども、委員の皆さんに北極海航路の資料を配らせていただきました。

 端的に申し上げますと、今、地球温暖化の影響で北極海の海氷が解けまして、北極海航路の商業ベースでの利用がこの数年急速に広がっている。そういう中で、中国、韓国は、観測であるとか、砕氷船の建造であるとか、非常に地政学的なメリットを生かして取り組みを進めている中で、日本はその取り組みがおくれていると私は思います。

 防衛省さんは砕氷船「しらせ」をお持ちですが、これは、運用の関係で文科省さんが深くかかわる中で、南極観測に特化しているということでありまして、北極海での観測あるいは海図の作成、こういったものに日本が積極的に取り組んでいるという姿がうかがえません。砕氷船の増設等を今後防衛省さんとしてはぜひ検討していっていただきたいというふうに考えております。またこの件については改めて議論させていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 民主党の大串博志でございます。

 きょうは、長期調達法に関する質疑ということで時間をいただきました。

 その前に、幾つか最近の重要事項に関して、先般来の委員会でも議論になったことも含めて、確認的に議論させていただきたいと思います。

 まずその前に、通告は大臣にしておりませんが、ただ、大きな問題なので。沖縄の問題です。冒頭、自民党の委員の方からも話がありました。

 昨日、農林水産大臣が、水産資源保護法に基づく岩礁破砕許可を取り消すかもしれない、こういう沖縄県知事の話に対して、いわゆる行政不服審査法の規定に基づき、これを停止、失効させるというような手続を農水大臣がとられました。

 先般の委員会で、私は、沖縄の問題は、力対力ではなくて、北風政策ではなくて太陽政策で、やはりしっかり議論をした上で沖縄の皆さんの気持ちに寄り添っていかないと、逆に話はこじれる、拳がお互い上がるばかりで、逆に進まなくなってしまう、お互いにとってメリットがないのではないかということを申し上げさせていただきました。

 それが、一週間たってみて、事態はさらにお互いの拳が上がる方向に、法的に行っているというふうに見ざるを得ません。非常にこれを危惧しております。もっともっと、私たちとしては、先ほど申しましたように、沖縄の皆さんの身に寄り添う形での対話、解決策を探る、こういう手続が必要だというふうに思っております。

 大臣、この今のあり方、行政不服審査法に基づいて林農水大臣は執行手続をされたわけですけれども、行政不服審査法というと、私も大学で行政法を学びましたけれども、先ほどいわゆる私人という言葉もありましたけれども、私人というと、私たちのような私人がいろいろな行政作用から自分たちの権利をしっかり守っていくために、デュープロセス、適正手続を決めていくための行政不服審査法、一般市民を守るのが行政不服審査法だと私は一般的な理解として思っております。それが、国の方が国に対して行政不服審査法というものに基づいて執行手続をしている。私は非常に違和感を感じるんですね。適法かどうかということの前に、本当にそれが国のとるべき態度なのかという気がします。

 今申し上げたような太陽政策をとるべきだということも含めて、大臣、ここは国としての対話のあり方、手続のあり方、ぜひ考え直していただきたいというふうに思うんです。まず、御所見をいただきたいというふうに思います。

中谷国務大臣 この問題、もう十九年目に入るわけでございますが、一番大事なのは、普天間基地の抱える危険性と住民の皆様方の不安の除去でございまして、時間をかけながら県当局とも話し合いをしてまいりましたけれども、ようやく埋立申請につきましては、これを許可していただきまして、現在ボーリング調査をいたしております。

 前知事との協議をすることを前提にお話をしますと、岩礁破砕の許可を要しない行為と整理されておりまして、それで工事を続けているわけでございますが、今回、そういった手続で中止ということになりますと、我々としましては、やはり、そのことによってさらに工事が中断したり長期化したり混乱いたしますと、さらに普天間の基地の危険性の除去がおくれてしまいますので、工事は進めさせていただいているわけでございます。

 しかしながら、沖縄の皆様方とお話し合いをするということは大事なことでございまして、今後、政府全体として、いろいろなレベルで沖縄の皆様方と接触をいたしまして、御理解をいただくように努めてまいりたいというふうに思っております。

大串(博)委員 いや、この問題は、先週、もちろん先週、今週だけの話じゃないです、十九年とおっしゃった、確かに非常に長い間かけて進んできた問題であり、先ほどおっしゃったとおり、普天間の固定化をしてはならない、これは私たちも同じ思いであります。だからこそ、だからこそ、進む、実態的な方法を探していかなければならないという、非常に今大きな、剣が峰みたいなところに来ているんじゃないかという思いがあるんですね。それが非常にテンションが高まっているところが私は非常に心配、かえって進まなくなるんではないかという思い、懸念があるわけでございます。

 そういった意味で、沖縄の皆様のみならず、日本の国防、国益全体に大きな影響を及ぼしかねない、非常に大きな、剣が峰と私は今申し上げましたけれども、そういうときに来ているんじゃないかという気がしています。

 恐らくきょう、同僚議員の皆さんも、いろいろ各般からこの件を取り上げられるというふうに思いますけれども、私、委員長、これは非常に大きな問題が今動きを迎えているところでもありますので、この問題は我が安全保障委員会としてもしっかり議論をしていかなきゃならない課題だ。何せ、世論の声を受けて政府に届けるのは議会の役割なので、私たちが非常に大きな役割を果たさなきゃならぬときに来ていると思います。そういった意味からすると、この安全保障委員会においても、沖縄の普天間、辺野古移設問題を一定時間とって集中的に議論するような場もぜひこの委員会で持っていただくよう検討していただきたいというふうに委員長に申し述べさせていただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。集中的な審議の場をぜひよろしくお願いいたしますということでございます。

北村委員長 後に理事会でも相談をして、善処しましょう。

大串(博)委員 ぜひよろしくお願いします。

 やはり市民、国民の声を届ける議会の役割でございます。ぜひ政府とも対話させていただいて、いい方向に進むような道を探させていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。

 次に参ります。

 先般来ちょっと議論していたことを少し、法律の審議に入る前に整理させていただきたいと思います。

 まず、文民統制、文官統制の話。大臣とこれはいろいろ議論させていただいて、私の論点は、先般来申し上げましたように、防衛省設置法の十二条、防衛大臣を補佐すると言われる官房長、局長等々の役割、これが、昭和二十七年における保安庁の設置の審議の際にも、既に同じ形の条文に関して、当時の大橋国務大臣から、この規定をもってして「文官優位制と申しますか、シビリアン・コントロール」をなしますというふうにはっきり申し上げていらっしゃるにもかかわらず、大臣は先般の答弁において、それはシビリアンコントロールを直接意味するものではなくて、大臣が文民統制を行う、そのときに内部部局の文官の補佐を受ける、そのことを言っているんだというふうに理解されるというふうにおっしゃったので、その経緯、どういう理由で、どういう根拠で、そういうふうな内部部局の文官の補佐を受けて大臣が行う文民統制の趣旨であると解されるのかということをお尋ねしたわけです。

 なぜかというと、余りに言葉が違うから。余りに、二十七年に大橋国務大臣が言った、シビリアンコントロールだとすぱっと言い切った言葉と、大臣が今おっしゃっている、いや、それはシビリアンコントロールを直接言うものではなくて、自分、大臣が内部部局の文官の補佐を受けて行う文民統制の趣旨であるというふうに、非常に回りくどく変わっている。

 なぜそんなふうに、いつ、どういう根拠で変わったんですかということを問うた。しかし、なかなか答えがなかったので理事会預かりにしていただきました。きのう、理事会でも一定の考えを披瀝いただきましたけれども、とても私が理解できるものにはなっていません。

 大臣、どうでしょうか、もう一度きちんと説明していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 この文民統制に関する過去の答弁の経緯として申し上げれば、まず、保安庁法の制定当時の昭和二十七年六月十四日の参議院内閣委員会におきまして、大橋国務大臣から、「内局の局長とか」「も保安庁長官の一つの補佐機関でございますが、こういうものから部隊長に対して命令が出ることはない。」そして、「補佐機関といたしましては、幕僚長のほかに内局というものがあるわけでございまして、」「内局と併列して補佐することに相成るのであります。」「内局が担当すべき部分は、一般的な方針或いは大綱についての事柄、こういうことを分担いたしまするし、幕僚長は専門的な事柄を分担するわけでございます。」と答弁がございます。

 また、防衛庁設置法制定時の昭和二十九年四月五日の衆議院内閣委員会において、木村国務大臣から、「政治がすべて優先的にものを支配して行くべき」であります、「シビリアン・コントロールという言葉はよく使われますが、結局根本」はそこである、「何もいわゆる普通のシビリアンを軍務に従事しておる者の上に置くという意味じやありません。」と答弁をし、「自衛官と内局の職員は渾然一体をなして行かなければならぬ。対立関係があつてはいかぬ。」との答弁がございます。

 その後もそういった答弁が今までございましたが、要は、シビリアンコントロールというのは、政治の優先ということで、文官が優先することではない。そして、お話ししましたが、このようなことで、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であるとの理解の根拠になると考えております。

大串(博)委員 今大臣が根拠とおっしゃった、並列して補佐をするということをおっしゃいました。それは、実はこの大橋大臣も、当時、二十七年の答弁のときにおっしゃっているんですね。

 幕僚監部が長官に対して専門的な立場から助言をするのに対して、官房、各局は必要な調整を行う、こういうふうに並列な立場からやっているんだということもおっしゃっており、かつ、内部部局が部隊長に対して命令を出すものではないということもあわせて認識した上で、あわせて認識した上で、そこはそれでいいんです、そこはそれとした上で、なおかつ、当時の大橋国務大臣は「文官優位制と申しますか、シビリアン・コントロール」とおっしゃったんですよ。

 だから、大臣が今、ここが根拠だとおっしゃったところは、実は二十七年にも大橋国務大臣も認めた上で、認めた上で文官優位制というかシビリアンコントロールとおっしゃっているんです。だから、私、なぜそれが今の大臣の答弁では変わってしまうんだろうかということがよくわからなかったものですからお聞き申し上げているんです。どうでしょうか。

中谷国務大臣 私は変わっていないと主張しております。

 政府としての文民統制は、防衛省において文民である大臣がコントロールするという考え方でありまして、防衛省設置法の十二条によって、内局の文官が自衛官に優位して、文官が自衛隊や自衛官をコントロールするというような考え方をとったことはないということで、お尋ねの過去の答弁についても、内局部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であるというふうに理解をしております。

大串(博)委員 だから、私は結論のところだけ聞いているわけじゃないんです。結論のところだけ聞いているわけじゃなくて、大臣がおっしゃった、並列して補佐をするとか、あるいは部隊長に対して文官が命令を出すものではないとか、そういったことは大橋国務大臣のときの答弁の中でも所与とされた上で、所与とされた上で大橋国務大臣は、この十二条の規定が文官優位制、シビリアンコントロールだと明らかにおっしゃっている。

 にもかかわらず、大臣は今、理由は全く変わっていないんだけれども、変わっていないんだけれども、おっしゃっていることは、シビリアンコントロールとは言われないで、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制だというふうに違う言葉をされるから、だから、なぜそう変わってきているんですかということを申し上げているんです。

 大臣の答弁は繰り返し繰り返しで、全然答えていらっしゃらないんですよ。そこを整理していただきたいということなんですけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 そのコントロールするという意味はどういうことなんでしょうか。いわゆるコントロールといいますと、これは命令を出して指揮をする、統制をするということでございますが、補佐はそういうことができないわけでございまして、文官の補佐を受けて大臣が文民統制をするという趣旨であるというふうに理解しております。

大串(博)委員 確かにおっしゃるとおり、補佐をするということをおっしゃいました。補佐をするから違うんだとおっしゃいましたけれども、その補佐をするということの前提で、大橋大臣は、官房、各局が補佐をするという規定を前提に、それがシビリアンコントロールだとおっしゃっているんですよ、二十七年に。補佐をするということ自体がシビリアンコントロールだとおっしゃっているんですよ。

 大臣は、シビリアンコントロールだと二十七年に言ったことを否定されていますけれども、当時大橋さんは、補佐をする内部部局のあり方自体がシビリアンコントロールだとおっしゃっているわけですよ。大臣と同じ理由をおっしゃりながらも、大橋さんは当時、シビリアンコントロールとおっしゃっているんですよ。だから、大臣が今違うことをおっしゃるものだから、おかしいなと私は申し上げているんです。どうしてかみ合わないのか、不思議です。どうしてかみ合わないのか。

 委員長、こればかり長くやっていてもあれなので、もう一回また、きのうも理事会でも……(中谷国務大臣「もう一回答弁させてください」と呼ぶ)もう一回お願いします。

中谷国務大臣 大橋大臣が、内局の局長とかも保安庁長官の一つの補佐機関でございますと。では、補佐機関が統制とかコントロールできるんですか。補佐は補佐ですよね。

 ですから、こういったことを考えますと、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制であるということでございます。

大串(博)委員 全くそのとおりでいいんです。全くそのとおりで、その上で、大橋さんはそれをシビリアンコントロールだとおっしゃったんです。シビリアンコントロールだとおっしゃったんです。

 ところが、大臣はシビリアンコントロールではないというふうにおっしゃるから、その理由は何ですかというのをるる聞いてきて、ところが、また同じような答えになっている。だからわからないんです。非常に整理になっていない。整理になっていない。

 委員長、これはもう一度私は整理をしていただきたいと思います。きのうは紙一枚もらいましたけれども、これだけでは、経緯あるいは根拠になっているとはとても思えません、答弁を書いただけですから。もう一回きちっと、そこでいろいろやられていますけれども、整理していただいて、これだけで議論を費やすわけにいきませんから、きちっと整理していただいて、私、理解するところは理解しますので、きちんと書かれたら。それをぜひもう一回理事会でもお引き取りいただきたいというふうに思います。

中谷国務大臣 今、防衛省になって、その前身は防衛庁です。この防衛庁が誕生するときに、この十二条に関して、木村当時の大臣から、「政治がすべて優先的にものを支配して行くべきである。」「シビリアン・コントロールという言葉はよく使われますが、結局根本原則はそこ」でありまして、この「普通のシビリアンを軍務に従事しておる者の上に置くという意味じやありません。」「自衛官と内局の職員は渾然一体をなして行かなければならぬ。対立関係があつてはいかぬ。」ということでありますので、政治家たる文民がこれは統率をしていく、そして文官はそれを補佐するという役割で、その間に調整、吻合をしていくという役割でございます。

大串(博)委員 そのとおりの説明でいいんです。そのとおりの説明を当時述べられた上で、シビリアンコントロールだと大橋大臣は言われていたにもかかわらず、大臣はそう言われないので、なぜですかということを私ずっとお尋ねしていた。

 それがまだはっきりしていないので、委員長、もう一度、もうちょっと詳しく、今おっしゃったようなことも含めて整理いただくよう、理事会においてお引き取りいただくようにお願いしたいと思います。

北村委員長 後刻、理事会においてお諮りをしましょう。

大串(博)委員 もう一つ、このシビリアンコントロールの中で、大臣、副大臣、政務官、それぞれ大切な役割を負われるというふうに言われました。

 そういった中で、ほかの省庁でもちょっと疑義のあることがあったものですから、副大臣、政務官、どういうふうな任務、担務、そして勤務をなされているんですかということで、今回、資料をお願いさせていただきました。資料をお配りさせていただいておりますけれども、これを見て、私、実は少々驚きました。少々というか、かなり驚きました。

 副大臣、政務官、大臣をしっかり補佐していただきたいと私は思います。思う中で、私は、安倍内閣新体制が発足して以降の副大臣、政務官の出退勤記録をお願いしますと申しましたが、資料が、すぐアベーラブルなものという前提で三月分を見せていただきましたけれども、資料でありますけれども、見たところ、副大臣、両政務官、出退勤時刻にかなり変動があられるということがよくわかりました。

 特に、左藤副大臣におかれては、資料がないところもあります、穴あきのところは資料がないということだったというふうに思います。出張のところもあっていらっしゃいます。それはわかります。

 その上で、例えば、左藤副大臣なんかは、資料があるところが十日間なんですね。資料がないところは、ないのもわかります。その上で、資料のあるところだけを見ても十日間。その間の出勤時刻から退勤時刻までの間の数字を合算すると二十四時間、一日当たり二・六時間しか役所にいらっしゃらない。一日当たり二・六時間しか役所にいらっしゃらないで、大臣の補佐をどうやってできるんですか。

 ちなみに、大臣は、一日当たり六時間ぐらいいらっしゃいます。その間に、多分、いろいろな報告、相談事項を受けられていると思います。にもかかわらず、副大臣は一日当たり二・六時間。これで本当に、大臣を補佐できる、そういうふうな仕事ができているというふうに御認識ですか。

左藤副大臣 確かに在省時間は短うございますけれども、私は、いないとき、別に役所にいないから補佐をしていないわけではありません。いろいろな場所に顔を出したり、大臣のかわりに会合に出ていったり、在外公館の人たちにお会いしたり。また、いろいろな会があります、在京公館でも会議が。これには入っていないわけですね。

 それともう一つは、いろいろ政務もございます。これは特に、自民党の場合、国防部会とか安保法制の、いろいろなPTの報告とか、いろいろなものがあります。そういう会合に必ず出ておりますので、この先生に提出をした時間、それは防衛省にいない時間でありますので、党本部や、またそういうところに出ている時間があるから、そこに書いていないということでございます。

 そういうことで、ちゃんと、いろいろな話があったときには、しっかりと、大臣、また秘書官を通じて連絡をし、役所の方と相談をし、決裁も上げたり、また、大臣にこういう話をしてくれという話もそういうところでさせていただいております。

大串(博)委員 今言われたように、在外公館の方と会われたり、外の会議に出られたり。

 外の会議に出られたのは、出張と書かれていますからね。この出張の内容も確認させていただきました。一つ一つ、都内の出張等々も、ここに出張と書かれているので、出張はここにあらわされているんでしょう。そのほか、在外公館の方とも会われた、あるいは政務、国防部会等も出られている、そういうこともわかります。

 わかった上で、一日二時間半なんでしょうか。わかった上で、一日二時間半の庁内在庁時間で、いろいろな防衛省内に上がってくる案件を、本当に、副大臣、全部こなしていらっしゃいますか。どうですか。

左藤副大臣 私も、防衛省の大臣政務官を小野寺大臣のもとでさせていただいたり、また、その後、党の国防部会長をさせていただいたりしておりまして、いろいろな意思疎通というのはしっかり私はやっているつもりでありますし、先輩議員にもいろいろなアドバイスもいただかなきゃなりませんし、同僚の諸君がいろいろな御意見を部会等に出します、その意見もしっかり踏まえながらやらなきゃなりません。

 私は、そういう面で、しっかりそういうことを踏まえて、いろいろな法案の精査とかあり方とか、そういうものをしっかり勉強しながら、そういう役所の方々、また大臣と相談しながら、また政務官のお二人とも相談しながらやっております。

大串(博)委員 しっかりやられているということでした。

 ではお尋ねしますが、大臣のところにいろいろな案件が、事務方より相談が行くと思います。決裁という非常に最終的なまとまりの、判こをもらうようなこともあれば、途中途中の報告、あるいはその報告の中でいろいろな意思決定が実はなされることもあります。ペーパーの形にしっかりなっているものもあれば、途中段階のペーパーもあります。いろいろなものが大臣のところに上がります。

 その一つ一つ、何が、どう、いつ上がっているかということを副大臣自身はどうやって確認されていますか。

左藤副大臣 基本的には、大臣決裁をいただくものは、私のところに先に決裁として来ております。ですから、私は見ているわけであります。

大串(博)委員 だから確認したいんです。大臣のところに、どういう案件が、いつ上がっているかということを副大臣自身はどういうふうにして確認されていますか。

左藤副大臣 役所の方が説明したり、いろいろ来たときに、この後大臣にまた御報告しますという説明があったり、また、秘書官を通じて、これはどうなっているんだということで、いや、もう大臣に先週説明したとか、これから説明する、物によりいろいろあるんですが、そういうことをしっかりやっております。

大串(博)委員 大臣のところに、どういうものが、いつ上がっているか。副大臣のところに来るものを副大臣が全部見ているのはわかるんです。副大臣が見ていらっしゃらなくて、大臣にひょっとしたら先に行っているものもあるかもしれない。

 実は、私も、役所時代にいろいろなことがあって、政務官とか副大臣をすっ飛ばして大臣のところにいろいろな相談、報告に行かれるということが多々あった。それを私たちは非常に戒めていたんです。

 私たちのときには、副大臣も政務官も役所の滞在時間が非常に長くて、いろいろな報告、相談を、まず、大臣に上がる前に、政務の私たちですから、相談を受けて、そこでまず政治的な判断をして、大臣に過重な負担がかからないように、そこでいろいろなものを整理した上で大臣のところに負担がかからないようにしながら物を上げさせていたんです。そういう順番を極めて大切にしていたんです。だから、大臣のところに、いつ、何が、どう上がるかというのは、私たちは確認していたんです。

 副大臣にお尋ねしたいのは、つまり、自分のところに来ているものをどうやって認識しているかじゃなくて、大臣のところに、いつ、何が、どういう順番で上がっているかというのをどういうふうに御存じになっているんですか、そういうことなんです。

左藤副大臣 私より先に大臣に行くとき、これはある。これはなぜか。緊急を要しているとき、そして私自身がその現場にいないとき。こういうときは、大臣に先に行って、その報告を秘書官を通じて聞くなり、役所の方がまた説明に来たりします。

 ですから、今おっしゃったように、フォローをしっかりやっているかと言われると、一〇〇%と言われると困るんですが、私は、しっかりやっているつもりでありますし、漏れはない、このように思っております。

大串(博)委員 今、私、ちょっと驚きのことを言われました。一〇〇%と言われると自信がありませんがと。一〇〇%きちんと大臣を支えているかどうかに関して自信がない、そういうことですか。

左藤副大臣 それは謙虚に事を言っただけでありまして、だから、一〇〇%と言えないかもしれませんが私はしっかりやっていますと言っています。

大串(博)委員 私が申し上げているのは、大臣は一日六時間近く職場で仕事をされています。いろいろな案件があるからこそいらっしゃるんだと思うんですね。副大臣は一日二時間半しかいらっしゃらない。いろいろなことを決裁するにしても、私は、到底できる時間じゃないと思うんですよ。できる時間じゃないと思います。

 後からちゃんと報告が来ますというふうに言われますけれども、では副大臣にお尋ねしますが、後から物が来る、その前に、あれは自分のところに先に上げてくれというふうに言うための仕組みは何かお持ちですか。

左藤副大臣 役所にいるときだけが仕事をしているわけじゃないんですね。移動中また会館、そういうところでもしっかり聞いておりますので、私はそういう面でしっかりフォローできていると思っています。

大串(博)委員 私が聞いているのはそういうことじゃありません。

 大臣のところに物が上がる、それを事後報告で聞く。事後報告にならないような仕組みを、副大臣自身、どうやって構築されているんですか、そういうことなんです。

左藤副大臣 それはどうしても、先ほど申し上げた緊急性とか、私自身がその場にいないとき、それは逆になることもあり得るわけでありますけれども、それについては私としても認めているわけであります。それは、緊急性が必要ですから。それは、先生も副大臣をなさっていたんですから、よくわかると思うんですが。(大串(博)委員「そうならないような仕組みをどうしていたんですか」と呼ぶ)

 だから、仕組みは、ちゃんと報告をするように、秘書官また役所の方に全部お願いをしています。また、ちゃんとしていただいています。

大串(博)委員 なぜこんなに事前にということを聞いているかというと、私はそれが大切だと思うからなんです。

 すなわち、私も役人でしたから何となくわかるんですけれども、やはり副大臣、政務官の時間がとれないと、大臣に先に行こうとする役所の性向はありますよ。そうならないように、まず副大臣、政務官のところでしっかり押さえていただいて、判断するのは判断していただいて、大臣の負担を減らす。そうでないと、文民統制に関しても、大臣、副大臣、政務官、並んでやるんだ、並んで補佐するんだ、これを完遂できないじゃないですか。だから申し上げているんです。

 にもかかわらず、一日二時間半しかいらっしゃらない。ほとんどこれは適切な仕事を果たされていると思えません。今回は、きょうのところまでは、資料のアベーラビリティーということで、三月の期間というところでの数字がありました。しかし、これを見ている限りにおいては、本当に大丈夫かというふうに思わざるを得ない。

 だから、委員長にお願いしますけれども、もともとの私のこの委員会に対するお願いは、新体制発足後、ですから、十二月の末から一月、二月、三月を含めた上での出退勤記録をお願いしますと申し上げておりました。これだけでは非常に、ますます不安が募るような内容になっておりますので、ぜひ、もともとのお願いでありますところの一月、二月も含めた出退勤記録に関して、理事会での協議をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

北村委員長 理事会において協議をさせていただきます。

 中谷防衛大臣。

中谷国務大臣 先ほど大串委員の方からシビリアンコントロールはということで、お答えしましたけれども、これは、文民である大臣がコントロールするために補佐をいただいておりまして、それは文官による補佐もございます。しかし、副大臣、政務官、これによる補佐もありまして、要は、私が適切な補佐を受けるということについて働いていただいたらよいわけであります。

 副大臣また政務官、それなりの、私の補佐として十分な仕事をしていただいておりますので、必ずしも役所にいるということが補佐の仕事ではない。それは文官がいますので、事務的には抜かりなく補佐をしていただいておりますが、副大臣なりの補佐の仕方がありまして、私も、副大臣と政務官にそれなりの仕事をお願いして、補佐をしていただいているということでございます。

大串(博)委員 大臣、そうおっしゃいますけれども、私もそう信じたくもあります、しっかりやっていただいているだろうなと信じたくもあります。しかし、この資料を見ると、三月二日、左藤副大臣、十七時三十分に出勤されて、六時に退庁。三日、二時に出勤されて、十五時には退庁。五日の日、十一時に出勤されて、十二時には退庁。こういう状況で本当に大丈夫だろうかなと、普通、世間一般だとやはり思いますよ、思いますよ。

 ですから、しっかりやっていただいているという答弁はわかりましたけれども、こういったことも含めてしっかりチェックしたいので、また資料をお願いしますというふうに申し上げておりますし、ぜひ、これからも、委員会の場できちっとした答弁をいただけるかどうかということも含めて、またしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。

 時間がなくなりましたので、一つだけ、私、実は、この長期調達法案、非常に大きな論点があるというふうに思う点を大臣に確認させていただきたいんです。これは私のお願いも含めてであります。

 先ほど来、いわゆる公正な調達価格と縮減額、これは、私、鍵だと思うんですね。これが一番のメリットですから。この公正な調達価格と縮減額がきちんと査定され、策定されて、初めてこれを特定長期調達でやっていくのかどうかという正しい判断ができると思うんです。

 先ほど来お話がありましたように、いろいろな超過請求の問題点もこれまでありました。それを乗り越えて、この新しい制度がきちんと運用されるんだというためには、いわゆる縮減額と調達額の査定、これは防衛省の中でもチェック・アンド・バランス、チェックをされる機能があるんだと思いますけれども、今までのものでいいのかという議論が必要だと思うんですね。

 この新しい体制をきちんととるべきじゃないかと私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

北村委員長 中谷防衛大臣。

 簡潔に願います。

中谷国務大臣 縮減額につきましては、長期契約によらずに調達した場合の金額と、長期契約によって調達した場合の金額とを比較して算定をしておりまして、これらの金額につきましては、原価計算基準や企業会計原則等を踏まえまして、製造に必要な経費を構成要素ごとに積み上げるといたしております。

 また、過去の契約実績、経済指標、企業見積もり等を精査の上で、それぞれの金額について算定を行うこととしておりまして、縮減額につきましては、予算成立過程において、財務省と協議を行った上で公表して国民の皆様にお示ししたいと思っております。

大串(博)委員 しっかりやっていただきたいというふうに思います。

 両政務官、済みませんでした。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 今回の法案については、維新の党はきょう党内手続をして賛成の立場をさせていただいておりますので、そのことを踏まえながら御質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 防衛省の年間の装備品の調達予算というのはどれぐらいあるんですか。

三村政府参考人 お答えいたします。

 防衛関係費全体で申し上げますと、御承知のとおり、平成二十七年度におきましては四兆九千八百一億円でございますが、そのうち、いわゆる装備品の調達等に充てられます経費につきましては、物件費として二兆七千百億円でございます。

下地委員 御存じのとおりって、私は何も知らないんですけれども。

 二兆円ぐらいあるんでしょう、予算が。今回、P1の二十機を購入するということで、四百十七億円の節減になるというように書いてありますけれども、三千八百十三億円が三千三百九十六億円、一一%ぐらい削減されるときょうの資料の中にもあるんですけれども、これは二兆円ぐらいの規模がある予算なんでしょう。それが今回、例示で、このP1についてこうやって一一%ぐらい削減されるということになりますけれども、大臣、こんなにまで削減される、一年間で二千億円浮いてくるわけですよね、この長期契約に変えれば。

 今まで何で、国は、防衛省はこれをやらなかったんですか。やらない理由か何かあったんですか。

中谷国務大臣 調達等を改革しようということで、省内で検討いたしまして、あらゆる手段を講じましたけれども、その中の一つが、こういった予算要求にすれば縮減できるということがまとまった結果ではないかと思います。

下地委員 私は、今回これを見て、いい、すばらしい法案だと思いますよ。しかも、こんなに、一一%も予算が削減されて浮くんですから、何で防衛省はもっと早くやらなかったのかというようなことを質問を考えながらずっと思っていた。これだけでも毎年二千億円ですからね、五年やったら一兆円浮いてくるわけですよね。そういうふうな意味においても、この調達法案の効果をしっかりと財政面で出していただくというのが大事かと思います。

 もう一つですけれども、この法案によって、国内の防衛産業が非常に安定した経営というか、調達をやる役割になると書いてありましたけれども、今、国内の防衛産業の調達比率というのはどれぐらいあるんですか。

吉田政府参考人 済みません。正確な比率というのはただいま持ち合わせてございませんが、物によって違いがございますけれども、陸上装備等を中心に多くの分野で国産のものを調達しているということでございます。

下地委員 僕の言っている意味をもう一回言いましょうか。

 比率はどれぐらいあるのか。防衛省から二兆円あると先ほど申し上げましたよね。二兆円の中で、国内防衛産業から調達している金額はどれぐらいで、比率はどれぐらいなのかと聞いているんですよ。

北村委員長 質問の意味はわかりましたか。では、答弁の準備をしてください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こして。

 下地君。

下地委員 あしたの朝まで考えてください。

 だから、きょうの勉強会でも質問がいっぱい出ていたんですけれども、これは、景気の対策上も、これをやると非常によくなるのでというふうなことが説明資料の中にもあったから、それぐらいのことはすぐに答えられないと。そして、この調達をやることによって国内産業の比率がまた上がってよくなりますよという答えがぽんぽんと出てくるかと思ったんだけれども、出てこないから、非常に疑問を感じているんですけれども。

 それと、もう一つ、この調達法によって国内比率が上がってくるということにもなるんですけれども、大臣、集団的自衛権が今回閣議で決定されて、そして安保法制度が今論議される過程になってきますけれども、こうやって国内の生産が、ライセンス生産とかいろいろなのが出てきますけれども、米軍との関係によって、調達における互換制度といいますか、今、自衛隊と米軍との互換制度は、これもどれぐらいの比率という質問がいいのかどうなのかわかりませんけれども、どれぐらいのものでやられているんですか。

中谷国務大臣 特にミサイルが発射された場合の対応、また情報収集、警戒監視、またスクランブルなど、航空自衛隊が飛行しておりますけれども、こういった観点におきましては、日米で情報の共有や、また相互の行動につきましての点で、日米の装備におきましては、そのようなものを装備しているということが年々ふえて、より機能的に行動できるようにしております。

下地委員 大臣、私が今回この調達のあり方について、きょうのペーパーにも、先ほど申し上げましたように、国内産業にもというのがこの法案のメリットとして書いてあったんです、節減の問題と国内産業のことが書いてあったんですけれども、これはこれでいい。

 しかし、これから国の進み方としては、安倍内閣は集団的自衛権を閣議決定して進んでいく、今までと違う。アメリカ軍が襲われた場合においても、日本が、わかりやすく言えば助けに行ける。そういうふうなことがあったり、安保法制度で、地球の裏側というようなところまで行ったりしながら、相互に連携しながら作戦を練っていくということをやられるわけですけれども、ある一方で、国内の調達が上がるのと同時に、米軍との互換制度が低くなることで戦略的なミスマッチみたいなものが起こらないのかということを少し懸念するところがあるんです。

 これは大丈夫だよというようなことになるのかならないのかということを少し聞かせていただきたいんです。

中谷国務大臣 アビオニクスとかISR、こういった、情報の手段また機材等の日米の協力、これは一つの柱として研究をし、また協力をいたしております。より機動的に活用するという意味におきましては、この情報の部分においては今後の大事な柱だというふうに認識しております。

下地委員 自衛隊が韓国軍に弾薬の提供をしたケースがありますよね。あれは相互に同じものを使っているのか、そういうことだから弾薬の提供を自衛隊ができたということになると思うんですけれども、こういうことに全く支障がないことになると私は解釈しているんですよ。この調達法案の中で、国内産業とのバランスの中で、このこともしっかりと維持しながらできるようにしてもらいたいというのが私の今の提案であるというふうに思っていただきたいと思います。

 それで、もう一つですけれども、今度、オスプレイを十七機購入することになっていますけれども、一機どれぐらいの金額で、総額どれぐらいの金額で、そして、この長期契約法案でやるような形になればどれぐらい節約できる、節減できるというような予測をしているんでしょうか。

吉田政府参考人 ティルトローター機につきましては、今年度の予算で、五機で五百十六億円を予算計上してございますが、全体とすれば十七機ということで予定をしてございます。

 それで、これを仮に長期契約でというふうなことで御質問ございましたが、本件については、機種選定の過程で、提案企業に対してその提案を求めたわけでございますが、それについての十分評価に足りる回答というのはございませんで、今のところ、二十七年度の予算でまとめたらどのような効果があるかというところの十分な情報は精査できなかったという状況でございます。

下地委員 一機どれぐらいで、今の五機で予算というときにはどれぐらいなんですか。

吉田政府参考人 一機当たり百三億でございます。それで、先ほども申し上げましたが、五機で五百十六億でございます。

下地委員 一機百三億円で、五機で五百億円そこそこの金額で、これが十七機になるわけでしょう。十七機になったら、これは三倍だから千五百億ぐらいの金額になってくるわけだ。これの一〇%、一千五百億、この契約でやると浮いてくるわけでしょう。

 私の見方だと、今年度の予算で五機上げていますけれども、これは来年度に回した方がいいんじゃないの、この法案が通ってから。相手側との調整をして、一括十七機発注というようなものが、一一%も下がってくる、万が一したらもっと下がるかもしれない。そういうことになったら、今回五機購入して、また五機購入して、また五機購入してという金額よりも、一年間待って十七機を一挙に発注した方が、価格的にも、今この契約の目的である節減というものの大きな成果を得ることができる。

 先ほど大串先生がおっしゃっていたように、この成果が見えなきゃだめですよというようなことを言っていますけれども、そのやり方の方が国のためには一番いいんじゃないでしょうか。

吉田政府参考人 長期契約の対象となるものにつきましては、先般来大臣の方から御説明させていただいてございますように、一つは、製造期間を通じて仕様が安定していて、それで縮減効果が期待できること、そういった中で、財務大臣の協議とともに、相手企業とも調整した上で具体のものを決めていくというふうなことでお答えをさせていただいているところでございます。

 オスプレイについても、二十八年度以降どのような形にするかというのは、御指摘も踏まえながら、検討すべき事項だと考えてございます。

下地委員 だから、十七機でやる場合と十二機でやる場合と違うので、これを、協議を上げて、また、佐賀県も受け入れるか受け入れないか、まだ決まっているような状況でもないことを考えると、一年間で一千五百億税金が浮くんですよ。大臣、これは検討した方がいいんじゃないですか。

 オスプレイを入れるということはもう国の方針だから、反対とかと私たちが言うことはないんですけれども、ただ、この長期契約法でやる場合にはもう成果が、こういうふうな削減規模が出ますよということを防衛省が強く言ってこの法案を提出しているわけですから、それの成果を、P1だけじゃなくて、オスプレイの十七機の方が一番大きいんですから。三百八十億のものが三百三十億になるのと、一千五百億円のものが一千二百億円とか一千三百億円になるというのと、相当な開きが出てきますよね。

 これを一回検討なされたらどうですか、財務大臣との協議をおやりになって。その方がわかりやすい調達方法になるんではないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 基本的に、P1というと国内開発で、国産をやっているゆえにこういった長期契約がやりやすかったと思うんですが、オスプレイとかF35とかグローバルホークはFMSで、アメリカの政府との交渉で、非常に高度な技術も保有している中での購入となりますし、また、日本側がどれだけ生産にかかわれるかというのも一つの交渉になっておりまして、まだその時点には至ってないということで、今回とりあえずの購入をしたわけでございます。

 下地議員のおっしゃることも非常に大事な観点でございますので、今後、調達について、そのような努力をしながら、検討してまいりたいと思っております。

下地委員 この調達に関しては、米軍からのF35とかそういうふうな調達において、価格的に高いんじゃないか、アメリカの言い値で買っているんじゃないかというようなことをよく指摘されることがありますよね。

 そういうふうな指摘がされる中において、契約のあり方が今回見直されるということになりますから、これを機に、アメリカ側に対してのカードも切れる、機数を一挙に買いますよというカードも切れるということができるような環境になってきた以上は、大臣、ぜひ、日本の新しい仕組みの中で、購入、調達のあり方も検討して、できるだけコストが安くて、いい装備品を調達して、それで現場で働く自衛官がしっかりと仕事ができるというようなものにしていくことが大事だというふうに思っています。

 そのことについてもう一回御答弁をお願いしたいんですけれども。

中谷国務大臣 FMSというのは、長らく、装備の海外からの購入ということで、政府間の交渉になっていましたので、この問題につきましては、非常に重要、かつこれからの課題であると認識しております。下地議員から非常に大事な御指摘がございましたので、今後省内で検討して、できるだけ価格面で安い購入ができるように努めてまいりたいと思っております。

下地委員 この一括調達法の、予算というものについて今お話をして、予算を最大限出していきましょうという話でありましたけれども、デメリットというのはありますか、この調達法の。

三村政府参考人 お答えいたします。

 長期契約に関しましては、委員も御承知のように、長期間の契約をするということでございますので、今後の技術動向等によりましては、陳腐化のリスクでございますとか、価格変動による高騰リスクといったようなものがデメリットとしては考えられます。

下地委員 拙い私の知識で考えた場合に、一括購入してP1を買った、しかし、このP1に新しい装備をつけるという技術がこの二年以内でまた新たなものが出たというようなことをやったときに、もう買ってしまっているから、旧態依然とは言わないけれども、そういうものでずっと購入をしていかなければいけないというデメリットが一つあるのかなというのがありますよね。

 それと二つ目には、この国の財政的な事情によって、三十機買おうとした、二十機買おうとした、そういうようなものが、いや、ちょっと財政的な問題でこの機数を減らさなければいけない、これまでも何度かそういうことがあったと思うんですけれども、そういうことがあった場合に、契約したものの金額の節減のメリットよりも、それからまた賠償といいますか、契約どおりやらなかったらそれは賠償責任が発生しますよといって賠償が出る場合があるというようなことも二点目に想定されるわけであります。

 そういうふうなさまざまなデメリットを想定しながら、どんなに考えてもこの長期契約の方がいいというような観点に立ってこの法案を出されていると思うんですけれども、今私が言った二つのデメリットについて、どういうふうに解釈して、これはこうやって解決しますよというようなお考えなのか、少しお聞かせください。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 技術動向等につきましては、製造期間を通じて仕様が安定していて、企業が部品等を一括発注することでコスト縮減効果が達成できるようなもの、そういったものを選択していこうと考えております。

 また、今後の装備品の選択に当たりましては、中長期的な防衛所要を勘案した上で確実かつ計画的に調達することが不可欠なものの中から、長期契約によることで安定的な調達に資するとの効果が期待されるものについて、委員御指摘の財政事情等、あるいは国際経済情勢等、技術動向等を慎重に判断して選定していく、そういうことが重要ではないかと考えておるところでございます。

下地委員 長期契約のあり方というのは、本当に考えて、選定を間違えないようにやらないとデメリットが出る可能性があるということをぜひ頭に入れて、しっかりとやられていただきたいというふうに思います。

 あともう一つですけれども、防衛装備庁がもう法案として出されて、成立するということになれば、調達は防衛装備庁に全部行くわけですよね。この防衛装備庁の役割みたいなものは、先ほどから論議しているとおり大きなものになってくるわけです。金額も大きくなってきますし、これまでと違うような大きな役割になってくるんですけれども、防衛装備庁が将来できて、この調達の長期契約法と一体となってやってくると、ある意味、二兆円というお話がありましたから、公共工事が一年間で五兆円規模と言われる中においても、相当な金額のものになりますよ。

 そういうふうなことの中で、これまでに何度となく不祥事が発生したケースがあるわけなんですけれども、大臣からして、今度の長期契約法を、法案を通してやる際に、そして将来防衛装備庁をつくるという中において、検討なされている中で、不祥事が起こらない、透明性とかこういうふうなことについてどういう配慮をしていこうと考えているのか。庁内において、この部分に関してはもう一回大臣がリーダーシップを持って透明性を出すんだというようなことをお考えになっていることが何があるのか、少しお聞かせいただきたいというふうに思います。

中谷国務大臣 こういった装備品が非常に高価になっていること等に加えまして、組織的には、まず、管理局の原価計算部と契約本部を再統合して装備本部を設置しますけれども、まず相互牽制体制、そして内部部局への監査課の新設など、装備本部の内外から多重的、多層的にチェックを行う体制を整備いたしております。

 現在も、東京地検を経験されたような方々に部外から監察本部に来ていただいて省内のいろいろな事案を見ていただいておりますが、当然、こういった新組織におきましても、内外からチェックできるような体制を整備してまいりたいと思っております。

下地委員 第三者委員会とか、こういうふうな、東京地検からのOBも入れてということをもう少し国民にわかりやすく説明した方がいいかもしれませんね。そのことで、こういうふうな大型の調達に関しては非常に信頼性が湧いてくるというふうに思っていますので、あらゆる機会を得て、防衛省はこの調達法や装備庁をつくるに当たってこういうふうに、二度とこういう不祥事が起こらないような体制づくりをしているんだというようなことを示すことが大事だと思っていますから、そのことについてもっと具体的にお示しをいただくことが大事かと思いますけれども、最後にこのことをお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 御指摘のように、この設置に当たりましては、原価計算等の基準の作成機能、そして原価計算の契約実務を行う機能の分離による相互牽制、そして防衛調達審議会、内部部局の監査課によるチェック体制といった従前の措置に加えて、閉鎖的な人事管理にならないよう、事務官、技官、陸海空自衛官混合の組織にしております。また、防衛装備庁内における監察監査部門の設置、防衛監察本部の増員による外部からの監察機能の強化、教育部門の充実による職員の法令遵守教育の徹底など、これをしっかり措置することによって、透明性、公平性、これを確保してまいるように全力を尽くしてまいりたいと思っております。

下地委員 防衛省のさまざまな那覇基地での式典に参加するんですよ。そうしたら、その式典に出てくる司令官がいますけれども、司令官の前の司令官がOBになって、いろいろな会社にOBとして行かれるわけですよね。司令官になっていてそのまま退官なされて企業に行かれている人たちを紹介するわけですよ。三菱重工ですとか言って、やるのを聞いていると、ちょっと僕は違和感を持つんですよね、何か。OBとして来ているのはわかるんですけれども、この式典で、千人近くの人の前で、退官して私は三菱重工に行っています、私は日立製作所に行っていますと、みんな手を挙げて紹介しているんですね。僕はそういう行為を見ていて、普通の人は、天下りをしていてそこからまた物を調達してと、そういうイメージが湧いてくるんじゃないかと。

 決して何か悪いことをしているわけじゃないですよ、その会社に行くことも私は否定するわけじゃないけれども、こういうふうな長期契約法みたいな法案をやって、装備庁なんかをつくるということになってきたら、こういう小さいところまでやはり僕は気配りしながらやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思うんです。二十人も三十人も手を挙げてやるんですよ。全部制服組でOBになって天下りに行った人たちが挨拶するんですけれども、やはりそこもやめた方がいいんじゃないかというふうに私は思っているんですけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 自衛官の再就職につきましては、コンプライアンスの基準を持って行っておりますし、いささかもそういったものによって役所の仕事の公平性、これがゆがめられることがないように、厳しい規則を持って運営をいたしております。

 再就職先におきましては、それぞれの関連の会社もあるかもしれませんが、あくまでも安全保障、防衛に携わった人間としての専門知識、こういうものを有効に利用していただいている面もあります。退職した後は、OBは、いやしくも現在の自衛隊の活動がゆがめられるようなことは起こしてはならないという教育も行っておりますし、そういう意識で仕事をしているのではないかと思っております。

下地委員 私が申し上げたいのは、ああいう公式な式典では、もっと自衛隊の現職の、今の役割を中心にして物事を進められるのがいいのではないかということだけ申し上げておきたいというふうに思います。

 それで、辺野古の問題についてまた御質問させていただきたいんです。

 三月の二十三日に、翁長知事が、普天間飛行場の辺野古移設に係る海底面の現状を変更する行為を七日以内に停止するように指示する文書を防衛局に提出した。翁長知事は、国がこの指示に従わない場合は、県が認可した岩礁破砕許可を取り消す発言をしていた。

 これに対して防衛施設局は、二十四日、沖縄県に対して、辺野古沿岸部に投入した大型コンクリート製ブロックの設置は県の許可の対象外とする政府の説明文書を県の水産課に提出した。また、防衛省は、農林水産大臣に、県知事の指示文書に対する執行停止申し立て書と、指示が適法かどうかの判断を仰ぐ審査請求書を提出したというようなことがこれまでの流れなんですよね。

 そして、それに対しての農林水産省の答えが、決定書というのが昨日出されたわけなんです。この農林省が出された、申し立て書に対する執行停止、指示の効力を停止するというようなことについての大臣のコメントをまずお聞かせください。

中谷国務大臣 普天間の移設の事業等につきましては、定められた手続を踏んで工事を実施いたしております。

 特に、ブイの設置に伴うアンカーにつきましては、これは岩礁破砕手続によらなくても実施をしてもよろしい、また、それ自体が岩礁破壊ではないという認識で工事をいたしておりまして、今回、突然それに対して中止の指示がありました。

 我々は国でございますが、地方の自治体の方からこういった指示が出された場合につきましては、やはり、我々、一般私人と同様の立場でその処分を受ける立場になります。したがいまして、行政不服審査法に基づく不服申し立ての資格を有すると認識をいたしておりまして、しかるべき手続をとって農水省に御判断をお願いしたということでございます。

下地委員 今、農林水産省に判断を仰いだということですけれども、これは、水産資源保護法の第四条に「都道府県知事は、水産資源の保護培養のために必要があると認めるときは、次に掲げる事項に関して、農林水産省令又は規則を定めることができる。」と書いてあって、この四条に基づいて、翁長知事は、県漁業調整規則というので、今防衛省に対してこの停止を求めたわけですね。「漁業権の設定されている漁場内において岩礁を破砕し、又は土砂若しくは岩石を採取しようとする者は、知事の許可を受けなければならない。」また、「知事は、第一項の規定により許可するに当たり、制限又は条件をつけることがある。」というようなことを言って、この条件にそぐわないから停止をしてくれということを防衛省に言ったら、行政不服審査法に基づいて、今回は、速やかに執行停止するかどうかを決定するということの決定がこれになっている。

 きょう、水産省、来ていると思うんですけれども、この決定書の内容について農林省から説明してください。

あべ副大臣 委員にお答えをいたします。

 辺野古沿岸における岩礁破砕許可に係る沖縄県知事の指示に関しまして沖縄防衛局から出されておりました執行停止申し立てを認めまして、三月三十日の朝、沖縄防衛局及び沖縄県に決定書を出したところでございます。

 執行停止申し立てと同時に出されている不服審査請求の審理に対しましては、引き続き適切に対応してまいります。

 本件に関しまして、行政不服審査法における審査庁として決定したものでございまして、具体的な経緯及び理由につきましては事務方から答弁をさせます。

本川政府参考人 行政不服審査法におきましては、執行停止の要件につきまして、二つ要件が定められております。

 一つは、重大な損害を避けるための緊急の必要性があるかどうかでございます。それからもう一つは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないということでございます。

 一点目の、重大な損害を避けるための緊急の必要性という要件につきましては、審査請求人沖縄防衛局は、工事を停止した場合に普天間飛行場周辺住民に対する危険性や騒音の除去におくれが生じ、また、外交、防衛上の重大な損害などが生じると主張しておられまして、これについて、私どもは相当と認めたところでございます。

 それから二点目の、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないという要件につきましては、沖縄県知事の方からは、工事を停止しなければ岩礁破砕の確認調査ができなくなるということをいただいております。ただ、この点につきましては、工事をしておる、ボーリングをしておる場所と、それからアンカーが沈んでおる場所というのは、場所が違いますので、工事を停止しなくとも確認調査は可能であるということで、必ずしもこれは認められないという判断をし、この二つの理由から、執行停止の要件に該当するとの判断を行ったところでございます。

下地委員 これは副大臣、どういう手続で、省内ではどういう方々が論議してこれを決めたんですか。

本川政府参考人 事実関係でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。

 沖縄県知事から文書をいただいたのは、二十七日の金曜日の夕方でございます。その夕方に二百ページに及ぶ厚い文書を秘書官を通じて大臣にお届けをし、私が翌日土曜日に、下関の捕鯨目視船団、鯨の目視調査船団の入港式に下関に参っておりましたので、そこで大臣に御説明をし、了解をいただいて、翌日そういう手続を進めたという経緯でございます。

下地委員 これは副大臣、翁長知事がこの停止をしているのは、岩礁破壊があったかどうか、しかも、これが聖域内か聖域外かというようなことで、それを調査するまでの間、工事をストップしてくれというようなことで申請した。

 あなた方は現場検証もしていないの。

本川政府参考人 岩礁破砕があるかどうか、そういう論点につきましては、今私が申し上げた二つの要件には必ずしも、今回執行停止については必要となっているわけではございません。そういう実態的なものにつきましては、沖縄防衛局の御主張とそれから沖縄県の御主張がやはり食い違っておりますので、これは、裁決の過程で私どもは慎重に判断をしていく必要があると考えております。

 それから、行政不服審査法は、原則として書面による審査ということが書かれておりまして、必要におきますれば、参考人を呼んで意見を求めたり、あるいは、その場所を確認したりということはできることになっております。今後、裁決の過程において、これら全体、法律を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

下地委員 この文書を読んでみましょうか。「執行停止の要件該当性について」と書いてあるけれども、

  本件指示によって「当該許可区域を含め、当該工事に係る海底面の現状を変更する行為」の全てを停止することにより、審査請求人が行う普天間飛行場代替施設建設事業が大幅に遅れることとなるため、普天間飛行場周辺住民に対する危険性や騒音の継続による損害、日米両国間の信頼関係への悪影響による外交・防衛上の損害等といった回復困難で重大な損害が生じ、当該損害を避ける緊急性があるとする審査請求人の申立ては相当であると認められる。

  したがって、本件指示の効力を停止する必要がある。

と書いてあるんですね。

 これは水産庁の文章なの。これは水産庁が、アメリカの日米同盟についてどうだとか、こういうふうな文章のもとに、翁長知事が言っている岩礁破砕の問題と全く見当違いのところで結論を出していませんか。

 この停止があるに至っては、水産庁の立場、資源保護法の立場からこのことについてコメントが出てくるものだというふうに僕らは思っていたんです。これは外務省の文章ですよ、防衛省の文章ですよ。あんたら水産庁の文章でも何でもない。

 この根拠で出されているものは、水産資源保護法の四条から出て、そして沖縄県の漁業調整規則、百四十三号から出て、それで不服申し立てが出て、その結論が、これで停止ですか。

北村委員長 本川長官。

下地委員 待って。

 委員長、前から言っているけれども、僕が指名する人にしゃべらせてください、お願いしますから。

北村委員長 はい、わかりました。どうぞ、続けてください。

下地委員 政治的な案件だから、副大臣。

あべ副大臣 お答えいたします。

 今回の、特に審査に関しまして、公平公正に行われたかということに関しましてでございますが、農林水産といたしましては、本件の審査庁である省といたしまして、行政不服審査法の規定に基づいて、私ども、沖縄防衛局及び沖縄県から提出された書面の内容を慎重に審査し、執行停止の決定を行ったところでございます。

 なお、今回の執行停止に当たりまして、官邸、防衛省などと協議した事実はございませんでして、このことも含めて、私ども、適切に対応したというふうに考えております。

下地委員 誰が官邸と相談したと言えと言っているんですか。当たり前じゃないですか、あんた。相談する必要はないんですよ、こんなの。ここで答弁する必要もないんだよ。あんた、審査する方が官邸の意向を酌んで審査しているみたいな答弁ですね。

 公平公正は当たり前ですよ、それは。私が言っているのは、この文章の内容が水産資源法のかかわりになったような文章じゃないけれども、これはどうしてですかということをあなたに聞いているんですよ。副大臣、この内容は全く農林水産省のものになっていませんよ。

あべ副大臣 お答えいたします。

 今回の判断に関しましては、いわゆる岩礁破砕行為の有無について、沖縄防衛局及び沖縄県から提出された書面において見解が異なっていることから、この審理を尽くす必要があるものというふうに考えておりまして、先ほど政府参考人から説明をいたしました二点、行政不服審査法に関しましては、執行停止をしないと、重大な損害を避けるための緊急の必要性があるときに該当すること、さらには、執行停止をしても公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときなどに該当しないことが執行停止の要件とされているところでございます。

下地委員 だから、水産庁が重大な損失と言うのは、海洋資源であったりそういうふうなことに関する重大な損失で停止が行われるというのはわかるけれども、あなた方のこの文章は、防衛省や外務省の文章、初めから公正な審査じゃなくて、国の政策にのっとったもので回答しているんじゃないですかと言っているんですよ。

 だから、この文章のあり方そのものがもっと水産庁らしい説得力のあるものだったらそれでよかったんですけれども、そういうふうになっていないと言っているんですよ。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 審査請求人、この工事を停止した場合に、重大な損害を避けるための緊急の必要性について、審査請求人の方から、普天間飛行場周辺住民に対する危険性また騒音の問題に関しましての、外交、防衛上の重大な損害が生じるというふうに審査請求人が主張しておりまして、この点は相当であるというふうに考えております。

 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるのではないかということに関しては、繰り返しになりますが、沖縄県知事は、工事を停止しなければ岩礁破砕の確認調査ができなくなると主張しているところでございます。この点に関しましては、工事を停止しなくても確認調査を実施することは可能でございまして、必ずしも認められないというふうに判断いたしました。

 ここで、これらの理由から、執行停止の要件に該当するというふうに判断をしたところでございます。

下地委員 あんた、水産庁長官が読んだものを読んでいるだけじゃないの。同じ答弁するなよ、時間稼ぎみたいに。まともに答えなさいって、だから。答えになっていないんだよ、あんたが言っているのは。答えなさいって。僕にガンつけている暇はないよ、あんた。もう、本当に失礼な副大臣だね、この人。

北村委員長 水産庁長官も来ておりますから。(下地委員「副大臣」と呼ぶ)下地議員に御理解がいただけるような答弁は、水産庁長官が適切じゃないでしょうか。

 恐れ入りますが、下地議員、いま一度質問を行ってください。下地委員。

下地委員 だから、私は、水産保護法、この法律の四条によって翁長知事はこういうふうな今回の岩礁破壊に対して七日間の事業の停止というものをやっているんですけれども、これが全く違う、外交文書みたいな、もう防衛省寄りの、損害を受けるとかなんとかと書いてありますけれども、そういうことで翁長知事は出しているわけじゃなくて、あなた方水産庁が審査する場合には、岩礁破壊が域内か域外か、そして、それがどういうふうな、水産庁に対する、損害的なものをやるのかという文章だったらわかるけれども、そうではないだろうと言っているんですよ。

あべ副大臣 お答えいたします。

 岩礁破砕行為の有無などに関しまして、私ども、沖縄防衛局及び沖縄県から提出された書面において見解が異なっていることから、今後さらに審理を尽くす必要があるものだと考えているところでございます。執行の停止の申し立てと同時に出されております不服審査請求の審理に関しましては、引き続き適切に対応してまいります。

下地委員 私の言っているのを本当に理解していますか。私が申し上げているのは、今回の根拠になっている水産庁の水産資源法に基づいてあなた方は執行停止の結論を出すべきではないんですかと言っているにもかかわらず、これが違う観点から出てきているからみんな疑問を感じているんですよと。これだったら、初めから防衛省寄りの審査としか思われませんよと。そこを言っているので、そうじゃないということをわかりやすく説明してくださいと言っているんですよ。水産庁の本分から判断したものにならないのはなぜですかと聞いているんですよ。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 今回、行政不服審査法の規定に基づいて、私どもは、何度も申し上げますが、沖縄防衛局及び沖縄県から提出された書面の内容を十分に検討して、三月三十日付で、沖縄県知事が沖縄防衛局長にした指示について、効力を停止することにしたものでございまして、行政不服審査法に基づいて行っているところでございます。

下地委員 委員長、これはちょっとひど過ぎませんか、答弁。私がこの答弁じゃないですよと言うことを、もう四回、五回、同じ答弁を読み上げているんですよ。これではもう質問もできませんね、これは。(発言する者あり)

北村委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 それでは、答弁を願います。あべ副大臣。

あべ副大臣 岩礁破砕の行為の有無などに関しては、沖縄防衛局及び沖縄県から出された書面について見解が異なっております。今後さらなる審理を尽くす必要がございますので、これは御理解をいただきたいと思います。

下地委員 この停止をした根拠が私はおかしいんじゃないですかと言っているんですよ。岩礁破砕についてこれから審議するということ、その審査は後でおやりになったらいいですよ、それは、副大臣。しかし、あなた方が停止をすると言った根拠が余りにも防衛省寄りで、余りにも外交的で、水産庁の域を越えたような文章になっているから、それでいいんですかということを言っているので、その過程はどういうふうにして決めたんですかということを言っているんですよ。

あべ副大臣 お答えいたします。

 今回のいわゆる判断に関しましては行政不服審査法の規定に基づいて行っているところでございまして、先ほども申し上げておりますとおり、岩礁破砕行為に関しましてはこの行政不服審査法の規定とまた別なものでございますから、そこは御理解をいただきたいというふうに思っております。

下地委員 大臣、どうでしょうかね。

 私が申し上げているのは、停止をする根拠というものは、不服申し立てをしている人が、この前もこの場所で論議しましたけれども、岩礁破壊があったかなかったかということを言っていて、沖縄県の副参事がこれに関しては許可認可は要りませんよと言って物事を進めたんだというようなことがもうある意味明確になってきましたよね。これは沖縄県の行政そのものにも僕は問題があると思うんですよ。そういうふうなことの中でお互いが出して、意見が違うのは当たり前なんですけれども、この停止をする根拠が、まるでこれは外交文書を取り入れたような、防衛省寄りの、外務省寄りの提示文書というのはどうですかと。

 岩礁破壊のものについてはこれから審査して決めます、それはそれで決まっているんですよ、そういうやり方で。

 停止そのものの根拠が、これでは少し沖縄県民にとっても納得できるようなものじゃありませんよと。これだったら審査しなくていいんですよね。これはもう防衛省が書いたようなものですよ。そこを私は指摘していて、なぜこんなものになるんですかというようなことを申し上げているんです。

 大臣、これは、私がこれを質問するのは、辺野古の埋め立てを大臣は粛々と進めたいという中においては、論争があったものもきれいに説明していく能力の中から粛々という言葉が出てくるんです。だけれども、これは、見てみんなびっくりしているんですよ。こんなものではないはずだというような思いがあるんですよ。それが、私は、大臣が粛々と進めたいと言うものの、ある意味障害になっていないか。

 停止する根拠も、ああ、やはりこういう水産省が出す停止する根拠はそのとおりだなと思われるような文章であるべきだと思うんですよ。これは外交文書じゃないですか、防衛省寄りですよ、これ。審議なんて、水産庁がこんなことできるわけない。「日米両国間の信頼関係への悪影響による外交・防衛上の損害等といった回復困難で重大な障害が生じ、」と。「回復困難で重大な損害が生じ、」と。うちと、日米同盟の関係というのはそんな程度のものじゃないはずですよ。それを水産庁が判断してきて、これが根拠ですというのはいかがですかと言っているんですけれども。

 これは、どっちがいいかじゃなくて、大臣、これは丁寧にやっていくという大臣の姿勢に僕は共感しているので、ぜひ、こういうふうなあり方ではなくて、法廷闘争までいったら、これは本当によくないですよ。七五%も基地を背負う沖縄に、国が法廷闘争をやって新基地をつくるんだというようなことをやるのではなくて、説明しながら説明しながら物事を積み上げていくというやり方をしていかなければならないはずなのに、今回の水産庁の考え、副大臣の答弁を見たら、これは全くもう根拠になっていません。

中谷国務大臣 これは法治国家における法律の執行の問題であると思います。

 つまり、我々にしましては、なぜ工事がとまるのか、そういうことに対して不服審査を申し立てているわけでありますが、そもそも、この水産資源保護法第四条第二項に基づいて都道府県知事が規則を定める事務は法定受託事務でありまして、規則を定めるに当たっては農林水産大臣の許可を得なければならないとされております。この沖縄県の規則に基づいて事務を処理するに当たっては、この法律を所管する農林水産省が示す通知文また解釈の範囲内で行われる必要があると承知をしておりますので、私たちはこの執行停止に対しても不服審査を申し立ていたしまして、こういった資料も提出をしました。

 そもそも、岩礁破砕に当たらない行為であるのに何ゆえにとめられるのか、そういうことも述べましたし、水産庁が言われたように、この工事がとまることによって、それだけ普天間基地の移転、返還がおくれてしまいます。また、日米の関係も、合意の上でやっているわけでありますので、外交問題にもなります。また、安全保障におきましても、一つ間違えば国の安全が損なわれます。それが、鳩山政権のときにあのような判断をしたおかげで、非常に沖縄県も含めて混乱が起こりました。これは非常に大事なことでありますので、我々は不服審査を申し立てたということでございます。

下地委員 今の防衛大臣の答弁は、防衛大臣の考え方としてはいいんですよ。これは、沖縄県の翁長さんがこういう申し立てをして、防衛局がそれを訴えて、それで不服申し立てをして、そういう行為は当たり前の権利のある行為ですから別にいいと言っているんですけれども。

 ただ、国が国を審査して物事を決めるというようなことに対して、透明性があるかないかが非常に問われていて、透明性がないのではないかという疑いの中でこの工事を進めていかなければいけないというようなことになってくると、私たちからすれば、水産庁がこの停止を認めない根拠に対する考え方は水産資源法にのっとったものでなければならないというようなことを考えているのは、これは一般的な考えなんですよ。それが、そういうものじゃなくて、外交上の理由で、今防衛大臣が述べたような理由でそれを停止させるというようなことについて疑問を持っている方が多くいる。

 それを今回ただしても全く答弁にならない。後で議事録をお読みになったらいいけれども、同じ話を六回やっているんです、六回。これが本当に誠意のある答弁ですかと言っているんですよ。本質をわかっていないんだよな。

 それをもう一回考えてくださいと申し上げて、私の質問を終わります。

北村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず、法案について質問をいたします。

 今回の長期契約法案は、財政法上五年以内とされている国庫債務負担行為の年限を、防衛調達については十年に延長するものであります。

 まず、防衛大臣に基本的な認識を伺いますが、憲法第八十三条は「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定めています。国の財政は主権者である国民を代表する国会の議決に基づかなければならないとする財政民主主義の大原則であります。その上で、憲法第八十六条は、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」として、予算の単年度主義を定めています。

 現行憲法にこのような原則が定められたのはなぜか、防衛大臣はどのように認識しておられますか。

中谷国務大臣 赤嶺委員の御質問のとおり、財政民主主義は、日本国憲法第八十三条にあるように、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」との原則を定めたものでございます。

 今般の法律案に基づく長期契約につきましては、各年度の予算に国庫債務負担行為として計上され、国会の議決を経た上で認めていただくものでありまして、財政民主主義との関係で問題は生じ得ないものだと考えております。

赤嶺委員 私が聞いたのは、憲法に何でこんな原則が定められているかということをきちんと答えてほしかったからでありますが、今回の長期契約法案は憲法に違反するに当たらないという結論だけ述べられても納得できるものではありません。

 憲法に財政民主主義の原則が定められたのは、過去の侵略戦争で、戦費調達のために大量の国債を発行するなどして国家財政と国民生活を破綻させた痛苦の経験があったからであります。

 その憲法のもとで一九四七年に制定されたのが財政法であります。新憲法の精神に基づいて財政の民主化、健全化を図るというのが戦後の財政法の出発点でありました。

 一方、財政法第十五条には、予算の単年度主義の例外として国庫債務負担行為に関する規定が置かれました。しかし、制定当時の年限は三年でした。それはどのような考え方によるものであったか、この点について、防衛大臣、どう認識しておられますか。

中谷国務大臣 現在の財政法十五条三項による、国庫債務負担行為により支出すべき年限を五カ年以内とする規定は、昭和二十九年の改正による規定でありまして、当該の改正の前までは、その年限は三カ年以内とされていたものと承知をしております。赤嶺委員の御指摘のとおりです。

 現在の規定が、余りに長い年限を認めると、その後の財政状況に適応せず、財政硬直化を招くおそれがあるために適当ではないとの考え方から年限を設けたものとされておりまして、この基本的考え方は制定時においても同様であったものと承知をいたしております。

赤嶺委員 財政法制定当時の大蔵省の担当者が書いた財政法の解説、これは角度を変えてこのように書かれています。

  従来は国庫債務負担行為として非常に長期に亘るものが多かつたのであるが、あまり長期に亘り将来の国の債務を負担することは如何に国会の議決を経るとはいえ、国会の構成も時の経過に伴つて異るのであるから、避けるべきであるとの見地から原則として、三箇年度に制限したものである。

これは昭和二十二年、一九四七年の解説書であります。このように述べています。つまり、国会議員の任期も念頭に三年にしたということであります。その後、先ほどの一九五四年の改正で五年に延長されました。

 今回の改正は、その倍の十年先まで債務契約を行い、政府が自衛隊の艦船や航空機を導入することを可能にするものであります。選挙を通じて国の安全保障や軍事費をめぐって国民がどのような民意を示したとしても、国が一方的に債務契約を解除することは極めて困難になります。こういうやり方で、どうして国会の予算審議権が確保されるのですか。

中谷国務大臣 この第十五条三項の本文は、余りに長期にわたる債務負担を負うことで将来の財政支出を過度に確定させることがないようにとの考え方から、国庫債務負担行為の年限を五カ年以内とすることと定めているものと承知をいたしておりまして、長期契約を行うに際しては十分な検討を行う必要があると考えております。

 この点、長期契約の対象につきまして、この第一条の規定に鑑みますと、防衛力整備を確実に実施していくために必要となる装備品及びその整備の役務であって、五カ年を超える長期契約によってコストの縮減と安定的な調達が見込まれるものであります。

 具体的には、大綱、中期防に基づいて計画的に調達することが不可欠なもの、製造期間を通じて仕様が安定しているということでコストの縮減効果が期待できるもの、そして長期契約によって安定的な調達に資するという効果が期待できるといった要件、これをかませております。

 なぜかというと、これは財政の硬直を招くかという質問でございますが、結果的に、計画的な整備が、この調達コストの縮減によって財政負担の軽減が図られるものに限定するということで、財政負担が軽減されるということで、今回の十年に延長して、まとめて購入をするということにしたわけでございます。

赤嶺委員 私が聞いたのは、つまり、三年とか五年というのは、国会議員の任期やそういうことも参考にして三年や五年ということになっていたわけですね。ところが、十年ということになると、その間に選挙を通じて国の安全保障や軍事費をめぐって国民がどのような民意を示したとしても、長期契約ですから、もう契約してしまったものは債務契約を解除することは極めて困難になるわけです。つまり、国会の予算審議権が確保されなくなっていくのではないか、こういうことを聞いているのであります。

中谷国務大臣 まず、三カ年、五カ年の話で、我々も財務省に問い合わせたところ、議事録が存在することは承知しておりますが、債務負担行為の年限が当初三カ年とされていた経緯は不明であるということでございました。

 その上で、五カ年度内とする一方で、この十五条三項の本文のただし書きがありまして、その他法律で定めるものについてはこの限りでないと定めておるわけでございまして、この法律案につきましてはこのただし書きを根拠にしている。

 そして、五カ年を超える年限の債務負担行為を個別の法律で定めているのは、例えばPFI法がございます。これは、長期契約法以外にも例があると承知をしておりまして、財政法を改正するのではなくて長期契約法を制定することが防衛関係費を聖域化するものではないということでございます。

赤嶺委員 財務省に聞いたら財政法ができた当時の三年にした経過は不明だったという、とんでもない財務省があったもので、財務官僚が書いた解説書が今に残っていて、その中に私が先ほど申し上げたようなものが、財政法をつくった当事者が解説して残ったものがあるわけですから、聞いたらわからなかったというのは、これは答弁にもならないと思うんですよね。

 それで、結局、何があのとき問題だったか。今PFI法もおっしゃいましたが、いわゆる戦前、やはり軍事費が暴走していった。その一つに予算の債務負担行為の問題があったというわけであり、だから、防衛費、軍事費について慎重な考え方を持たなきゃいけないと思うわけですよ。

 今回の措置の対象となる装備品や役務についてでありますが、政府はまずP1を二十機一括調達する経費を予算化しています。この法律上、その対象に限定はあるんですか。

三村政府参考人 お答えをいたします。

 長期契約の対象につきましては、法案第一条の規定に鑑みれば、防衛力整備を確実に実施していくために必要となる装備品等及びその整備の役務であって、五カ年度を超える長期契約によりコストの縮減と安定的な調達が見込まれるものとなってございます。

 具体的に申し上げますと、中長期的な防衛所要を勘案した上で、防衛大綱、中期防に基づき確実かつ計画的に調達することが不可欠なものでございます。また、製造期間を通じて仕様が安定していると見込まれ、長期契約により、企業が部品を一括で調達すること等でコストの縮減等が期待できるものでございます。また、長期契約によることで安定的な調達に資することとの効果が期待できるものでございます。

 こういった要件を課してございますので、また、具体的には、長期契約の対象となる装備品を選定するに当たっては、コストの縮減あるいは安定的な調達がどの程度期待できるかなど、財務大臣と協議した上で慎重に判断していくということとなります。

赤嶺委員 財務大臣と協議すると書いてあるだけで、何の限定も置かれていないわけです。

 要するに、国会の議決なしに十年先まで予算を先取りし、その範囲も政府の判断一つでどこまでも拡大できるものであります。今回の改正は、憲法が定める財政民主主義の原則に真っ向から反するもので、絶対に許されないということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 そこで、質問をかえます。

 農水省にお聞きします。

 きのう出された決定書の執行停止の要件についての中で、沖縄県知事の出した指示によってボーリング調査をとめると、回復困難で重大な損害が生じると評価しています。

 この回復困難で重大な損害とは、先ほど議論になりました普天間飛行場の代替施設が大幅におくれることとなるというものなんですが、翁長知事は、いわゆる水産資源がきちんと守られているかどうか、岩礁破砕手続に沿って守られているかどうかを調査したいと言っただけであります。だけれども、農水省は、それ以上に重大なのは普天間基地の移設だ、日米の外交に影響を与えると。

 何で、ボーリング調査などをとめて許可権者である沖縄県が調査をする、そのことが日米両国間の信頼関係に具体的にどのような回復困難で重大な悪影響を及ぼすのか、水産庁、答えてください。

本川政府参考人 翁長知事の指示は、そういう岩礁破砕が行われている可能性があるので、工事をとめて調査をしたいから工事をとめなさいという内容だというふうに私どもは理解しております。

 これに対しまして、沖縄防衛局の方からは、その内容全体の審査請求と、それから執行停止、これが私どもに出されてきたということであります。(赤嶺委員「その区別はわかりますから、いいですよ」と呼ぶ)はい。その上で、行政不服審査法は、書面を出していただいて、両方から書面をいただいて、私どもとしてその書面を見て判断をするということになってまいります。

 この点に関しましては、沖縄防衛局の方から、普天間飛行場周辺に対する危険性や騒音の継続による損害、それから、日米両国間の信頼関係への悪影響による外交、防衛上の損害等が生じる、これについては当該損害を避ける緊急性があるというふうな御主張をいただきました。

 一方で、沖縄県の方からは、工事遅延については、仮にあったとしても一カ月から二カ月程度であるといったような内容、それから、普天間飛行場の返還の遅延については、政府の一方的論理によって辺野古移設を唯一の解決策と決めつけているというような御主張をいただきました。それからさらに、日米間の信頼関係への影響については、なぜ悪化につながるのか理解できないといったような弁明をいただいたところであります。

 これを私どもが比較いたしまして、やはり沖縄県の主張は、効果的な反論といいますか、それになっていないと私どもは判断をし、審査請求人の、重大な損害を生じるということについて、主張は相当と認めたところでございます。

 一方で、もう一つの要件につきましては、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがないことということでございますが、これについては、工事をとめなくても調査はできるということで、私どもとして、この点は当たらない。

 この両者を勘案して執行停止を行ったということでございます。

赤嶺委員 水産庁、工事をとめなくても調査ができるというのはあなた方の思い込みなんですよ。臨時制限水域に入れないように頑張っているのが防衛省であり、外務省なんですよ。それは水産庁とは関係ないという態度はとれませんよ。

 それから、沖縄県と防衛省、両方の文書を見比べてみたと。見比べてみたら、あなた方が引用しているのは、防衛局の執行停止申し立て書に書いてある内容をそのまま引き写しただけではありませんか。沖縄県の言い分は何も見ていない。出されているにもかかわらず、何も見ていない。何で二カ月ぐらい工事が停止したぐらいで日米関係に重大な影響を与えるのか。これは疑問ですよ、先ほどもありましたが。つまり、あなた方は、防衛局のあるいは政府全体の強硬な方針に引っ張られてああいう決定書を出したと言わざるを得ません。

 防衛大臣にお聞きします。

 不服審査制度の目的は国民の権利利益の救済であるということは、防衛大臣も同じ認識ですね。

北村委員長 申し合わせの時間に至っておりますので、大臣、簡潔な答弁をお願いします。

中谷国務大臣 そのように認識しておりますが、国や地方自治体の機関が、その固有の資格においてではなく、一一般私人として同様の立場で処分を受ける場合には、行政不服審査法に基づく不服申し立ての資格を有するというふうに理解しております。

赤嶺委員 きょうは時間がないのであれですが、ただ、行政不服審査法のコンメンタール、これを読んでみました。行政不服審査法で一番大事なことは、審理の客観性、審理の公平さを担保するためである、これが行政不服審査法の目的ですよ。

 審理の客観性は担保されていますか。政府の身内同士でやって、何も担保されていないですよ。身内が、八百長相撲みたいなものですよ。これが、公平さが確保されていないということを強く申し上げまして、質問を終わります。

北村委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 昨日、林農水大臣が、去る三月二十三日に翁長沖縄県知事が辺野古新基地建設工事に係る海底面の現状を変更する全ての作業を停止するよう沖縄防衛局に指示したことに対し、翌二十四日、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止を申し立てたことについて、執行停止決定を行いました。

 私は、沖縄防衛局には不服審査申し立ての当事者適格もなく、仮にあるとしても、執行停止には理由がないと考えます。したがって、きのうの林農水大臣の執行停止決定に強く異議を申し述べるとともに、沖縄では政府に対して怒りが高まっていることを大臣に申し上げ、本法案の質問に入ります。

 なお、民主党の大串委員から提起された辺野古問題に関する集中審議は、ぜひ実現できるよう委員長の計らいを求めます。

 大臣、本法案は、特定防衛調達に特化し、国庫債務負担行為を五年から十年に延長するための特別措置法であります。国家予算の仕組みにかかわるような案件にもかかわらず、財政法主体ではなく、防衛装備品に限定した特別法で扱うのは、防衛費を聖域化するものではありませんか。

中谷国務大臣 財政法の第十五条第三項の本文で、国庫債務負担行為の年限を五カ年度以内とする一方で、ただし書きがございまして、ここに、その他法律で定めるものについてはこの限りでないと定めているものと承知をいたしております。この法律案につきましては、このただし書きを根拠といたしております。

 財政法第十五条三項のただし書きを根拠として五カ年を超える年限の国庫債務負担行為を個別の法律で定めているのは、例えば、いわゆるPFI法など、長期契約法以外にも例がございまして、財政法を改正するのではなくて長期契約法を制定することが防衛関係費を聖域化するとの御指摘は当たりません。

 また、我々のこの法律の趣旨は、このような、十年に延長していただいて、まとめて買うことによって、国の防衛必要上の装備品を少しでも安く購入できる手だてであるというふうに認識いたしております。

照屋委員 中谷大臣にお伺いしますけれども、憲法上の財政民主主義がなぜに規定をされているのか。本法案が主権在民に基づく財政民主主義に反すると私は考えますが、大臣の所見をお聞かせください。

中谷国務大臣 先ほど赤嶺委員にもお答えしましたけれども、財政民主主義というのは、日本国憲法第八十三条にあるように、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」との原則を定めたものであると承知をいたしております。

 今般の法律案に基づく長期契約につきましては、各年度の予算に国庫債務負担行為として計上され、国会の議決を経た上で認めていただくものでございまして、財政民主主義との関係では問題は生じ得ないものだと考えております。

照屋委員 大臣に尋ねますが、本法案は現中期防の期末である平成三十年度までの時限立法であります。中期防が五年単位の計画であることを考えれば、防衛装備品の調達も、現行の五年上限の国庫債務負担行為の枠内で対応するのが筋ではないでしょうか。調達計画期間を超えて支払いがなされることになりますが、中期防との整合性をどうとるおつもりでしょうか。

中谷国務大臣 現在、自衛隊の有しております装備品、船舶、航空機につきましては、四カ年度あるいは五カ年度の国庫債務負担行為により調達をしているものが多く、これらを一定数量一括で調達しようとする場合には、五カ年度を超える長期の契約が必要になると考えております。

 他方、余りに長期の契約を行った場合には、国の財政の硬直化を招くおそれもありまして、こうした事情を総合的に勘案した結果、十カ年度以内としたものでございます。

 なお、現在の中期防は、平成二十六年度から三十年度までの五年間を対象にしておりまして、この法律案は、中期防の最終年度である平成三十年度までの時限立法としており、このため、中期防の範囲内でございまして、中期防との整合性も図られているものと考えております。

照屋委員 大臣、五年ごとの中期防で装備品を調達し、そして、その支払いは次期中期防にまたがってしまうというのは、借金のツケ回しでしかなく、後々、ローン返済で苦しむことにはなりませんでしょうか。

中谷国務大臣 我々は、結果的に経費の節減、予算の節約になると考えております。

 というのは、四年間にそれぞれ契約を行いますけれども、その契約は五年以上かかりますので、初年度の契約で五年間、次の年で五年間、その次の年で五年間、その次の年で五年間となるんですけれども、その数と同じだけ初年度で契約をいたしますと、それだけ経費が節減されて、安く装備が調達できる。どうせ防衛の装備の調達のために必要な数でありますので、それはまとめ買いをした方が経費的に節減できるということでございます。

照屋委員 私は、本法案審議に当たって、いろいろな資料を読み込んでみました。その過程で頭をよぎったのは、一九三七年、近衛内閣の臨時軍事特別会計法、この法律でございました。平和国家日本、そして平和憲法のもとにおける予算単年度主義との関係、それから軍事費のあり方を考えていく上で、私はやはり、一九三七年、近衛内閣の臨時軍事特別会計法の誤りを繰り返してはいけない、こういうふうに考えておることを申し述べておきたいと思います。

 さて、防衛大臣にこんなことをお尋ねするのは私の勉強不足のそしりを免れませんが、聞いておきたいのは、去る三月二十五日に海上自衛隊の護衛艦「いずも」が就役しました。護衛艦「いずも」は、アメリカ第七艦隊の空母ジョージ・ワシントンよりは小さいですが、フランスの空母シャルル・ドゴールとほぼ同規模であり、その大きさから、外見上はほとんど空母であるとの報道がありました。私も、テレビニュースで「いずも」の内部を放映している映像に接しました。

 空母に関しては、憲法上の立場から攻撃型空母を自衛隊が保有することは許されないとする一九八八年の政府見解がありますが、中谷防衛大臣もこの政府見解と同じ立場でしょうか。

中谷国務大臣 同じ立場でございます。

 我が国が憲法上保有できる自衛力は、自衛のための必要最小限度のものでなければなりません。

 これまでの政府見解では、性能上専ら相手国の国土の破滅的な破壊のためにのみ用いられる兵器については、これにより直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることから、いかなる場合においてもこれを保持することは許されず、例えばICBM、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母は自衛隊が保有することは許されないと解しておりまして、これは私もそのとおりだというふうに認識をいたしております。

照屋委員 先ほど、当委員会の民主党津村委員との質疑応答を聞いておりました。その中で、大臣から、武器技術の到達点、それから国際情勢の変化等々を加味して、憲法上保有が許される、あるいは許されない空母の概念は変わるんだというふうな趣旨の発言がありましたが、もう一度、私にもわかるように御説明してください。

中谷国務大臣 我が国が保有を許される自衛の具体的な限度につきましては、その時々の国際情勢、軍事技術の水準、その他の諸条件を勘案しながら、最終的には、自衛隊に係る予算等の審議を通じて、国民の代表である国会において御判断いただくものと申し上げましたが、通常、空母といいますと、長距離爆撃機をたくさん艦上に載せて、また、空母は単体ではなくて、空母群といいますけれども、周りを護衛とか補給で固めて行動するものでございまして、従来、国会で答弁をしてまいったように、長距離爆撃機とか攻撃型空母は自衛隊が保有することは許されないというところはしっかりと維持をしてまいりたいんですが、非常に国際情勢なども変わってきておりますので、いかにすれば国の防衛、また他国からの侵略に対する抑止力になるのか、許される範囲内、すなわち、自衛のための必要最小限度の範囲内で装備を保有してまいりたいと思っております。

照屋委員 最後に手短に、攻撃型空母と防衛型空母の違いはどこにあるんでしょうか。大臣にお尋ねします。

北村委員長 時間が来ておりますから、大臣、簡潔にお願いします。

 黒江局長。

黒江政府参考人 過去の国会答弁を御紹介申し上げますけれども、攻撃型空母につきましては、これは、「一般論として申し上げますと、」ということで、

 例えば極めて大きな破壊力を有する爆弾を積めるなど大きな攻撃能力を持つ多数の対地攻撃機を主力といたしましてさらにそれに援護戦闘機や警戒管制機等を搭載いたしまして、これらの全航空機を含めましてそれらが全体となって一つのシステムとして機能するような大型の艦艇、そうなりますとその性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いられるようなものになり得るのではないかと考えられます

こういったものがいわゆる攻撃型空母に該当するということだと思われます。

 それ以外の点につきましては、我々、具体的に、これは大臣からもこれまでも御答弁申し上げておりますけれども、具体的な空母の保有計画等々を持っておるわけではございませんので、それ以上、それでは、それ以外の空母とはどういうものなのかということについては知見はないというのが現状でございます。

照屋委員 大臣に本当にわかりやすく教えてもらいたかったんですが、これで、時間ですから、終わります。

北村委員長 次回は、来る四月二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十三分散会


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