衆議院

メインへスキップ



第7号 平成27年4月17日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十七年四月十七日(金曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 北村 誠吾君

   理事 小野寺五典君 理事 門山 宏哲君

   理事 金子万寿夫君 理事 新藤 義孝君

   理事 武田 良太君 理事 大串 博志君

   理事 佐藤 茂樹君

      今津  寛君    江渡 聡徳君

      小田原 潔君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    木原 誠二君

      木原  稔君    笹川 博義君

      中谷 真一君    野中  厚君

      浜田 靖一君    原田 憲治君

      武藤 貴也君    小川 淳也君

      玉木雄一郎君    津村 啓介君

      柿沢 未途君    吉村 洋文君

      伊佐 進一君    赤嶺 政賢君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         中谷  元君

   防衛副大臣        左藤  章君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   防衛大臣政務官      石川 博崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山本 条太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鈴木 秀生君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    三好 真理君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 可部 哲生君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  三村  亨君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

四月十七日

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

 国の安全保障に関する件(沖縄基地問題等)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に沖縄基地問題等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山本条太君、外務省大臣官房参事官鈴木秀生君、外務省中東アフリカ局長上村司君、外務省領事局長三好真理君、財務省大臣官房審議官可部哲生君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省大臣官房審議官辰己昌良君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省人事教育局長真部朗君、防衛省経理装備局長三村亨君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 いよいよ、先ほど防衛省の設置法の改正案、審議入りをいたしました。大変歴史的な部分を含むものでございまして、これは法案審議の場において十分議論させていただきたいと思います。

 ただ、本会議の席上、私どもの立場からすれば大変いい質問をした大串議員に対して、にわかには、直ちには承服しかねる御答弁も多々あったやに感じております。この点も含めて、しっかりと法案審議の場で議論させていただきたいと思います。

 あわせて、きょうは沖縄ということですので、今し方でしょうか、総理と翁長知事との会談が行われたか、まだ続いているか、ちょっと定かではありません。内容等については今直ちにというわけにはまいらないと思いますが、大臣、まず、翁長知事就任後五カ月目にしてようやく総理と面談が実現したというこの点、そして防衛大臣みずからまだお会いになっていないというこの点、二点について所感をお述べいただきたいと思います。

中谷国務大臣 今回の会談につきましては、先般、沖縄に参りました菅官房長官と翁長県知事との会談が行われまして、そのときに翁長知事の方から安倍総理にお会いしたいとの御要望を受けて、今回会談が実現したというふうに思っておりますが、このように、安倍総理と翁長知事が直接会って政治的にお話をする、会談が実現したということは非常に意義のあるものだと考えております。

 私も、双方の都合が合えば翁長知事にお会いしたいと思っておりまして、そのときには、普天間移設の位置づけとか意義とか、また日本の安全保障、また沖縄の負担軽減につきましてのお話をいたしたいと思っております。

 これは政府全体で連携して対応してまいりたいと思っておりますので、さまざまなレベルで沖縄県との対話を深めてまいりますけれども、今後とも沖縄の知事さんとの面会、対談等はお願いをいたしたいと思っております。

小川委員 ぜひそうお願いしたいと思いますが、日程が合えばというお言葉の中に、いま一つ積極性に欠けるものも感じます。ぜひ日程を合わせて、一刻も早く直接のコミュニケーション、対話をお願い申し上げたいと思います。

 それで、きょうは沖縄問題もメーンなんですけれども、一般質疑ということでございまして、私、四月に入りましてから、不祥事、また省内の規律含めて、複数気になる報道に触れておりまして、きょうはちょっとその点お尋ねしたいと思っております。時間も限られていますので、ちょっと駆け足で、事項だけまず指摘いたします。

 四月の六日には、海上自衛隊が管制を行います徳島空港におきまして、極めて重大な管制ミスが行われました。四月の六日には、陸上自衛隊の二等陸尉、練馬駐屯地とお聞きしておりますが、二十八歳の男性、窃盗、詐欺等の容疑で逮捕されました。

 同じく四月の六日には、宮城県上空で訓練飛行中のヘリコプターが田んぼに不時着した。住宅街のすぐ近隣であります。

 そして、四月六日、同じく六日でありますが、総務省行政評価局の行政評価において、防衛省が、災害備蓄が不十分であるという指摘を受けている。

 このあたりが連続して起こっております。大変気にかかっております。これらについて一つ一つお尋ねいたします。

 その前に、外務大臣、同じく四月の六日なんですが、イエメンのソコトラ島とお聞きしております、ちょっと聞きなれないんですけれども、そこに旅行していた邦人、日本人を中国艦船が、日本政府の要請に応じるのではない形で、軍艦によって、他国の軍艦によってその身の安全確保がなされた。これに対して日本政府は謝意を示した。これまた珍妙といいますか奇妙といいますか、悪いことではないのかもしれませんが、少し違和感のある事案がございました。

 まず、なぜこのような事態になったのか、これをちょっと御説明いただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の事案ですが、四月の六日、イエメンのソコトラ島に滞在していた邦人旅行者一名が中国軍艦船によってオマーンに輸送されたという事案でございます。

 本件につきましては、中国政府より、現地に滞在している中国人を通じて、当該邦人に対して、中国人の退避のための艦船への同乗の申し出がありました。この申し出を本人が受けたことによってこの輸送が行われたものだと承知をしております。

小川委員 お聞きしたところ、外国艦船によって邦人の安全が確保された事例というのは、過去にも、ほかにもあるようであります。しかし、いずれも例外なく、正式な日本政府からの要請によって、日本政府がきちんと関与をし、ある意味責任を負う形で進められた事案が全てでありまして、恐らく、今回政府の要請に基づかずに他国の軍艦に日本人の身の安全を委ねたということは、これは極めて大きな例外事例であり、私は、今後もこういうことが普通に行われるということは、願わくは避けた方がいい、はっきり申し上げてそう思っています。

 イエメンの近郊には、ジブチに海上自衛隊の拠点もあるはずですよね、すぐ近郊に。そうしたことも含めて言えば、緊急避難的な事態は別だと思います。もう本当に、誰の了解を得るまでもなく、とにかく身柄の安全確保が最優先だという事案もなくはないでしょう。しかし、今回に関して言えばそういう事態ではないようでありますので、なおさら、外務省、防衛省、よく緊密に連携をいただき、そして、基本的に、日本人の身の安全については日本国政府管轄下の装備等によって身の安全を確保するということを改めて原則としていただき、このような例外が仮に起きるとすれば、事前の政府間の確認、これを旨としていただく。

 この決意を外務大臣のお言葉でしっかりと述べていただきたい。いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、当該事案におきまして、カタールで執務をとっていた在イエメン日本国大使館を通じて、当該邦人と緊密に連絡はとっておりました。そして、ソコトラ島、現地の情勢は安定しており、当該邦人の安全も確認されておりました。また、本人も日本政府による救出を特段希望していなかったということもあり、自衛隊による移送等については検討していなかったということでありました。

 その一方で、ソコトラ島からの公共交通手段が途絶し、その時点で島を離れる見通しが立たなかったことから、本人が中国艦船への同乗の申し出に応ずる、こうした希望をされたと承知をしております。

 まず、民間定期便での出国等が困難になった場合は、個別具体的な状況に応じてその時点での最も迅速かつ安全な手段を活用することが邦人退避の支援についての基本的な考え方であります。

 ただ、政府としまして、邦人の安全確保、これは大変重要な責任ある課題であります。政府としての責任は最大限果たすべく、具体的な事案には対応していきたいと考えます。

小川委員 最大限なんですけれども、一義的に、最優先であるということも含めて。

 それで、当該邦人と連絡をとるのは当たり前だと思うんですが、私が今申し上げているのは、これは政府間関係だということであり、どうも、事務的にお聞きしたところ、六日にこの救出劇が実行されたようでありますが、三日に、現地の大使館同士、日本と中国の大使館同士で当該邦人の旅券番号などを確認したのが最後の交信になっているようなんですね、三日にですよ、四月の三日に。その三日後、六日になってこの行為が実現をされ、そして七日に謝意を示しているという時系列になっています。

 ということは、旅券番号を日本政府から知らせた後三日間、ほぼ音信不通なりあるいは確認がとれていない中でこの行為が行われているということも含めて、今後は、やはり政府があくまで責任主体だということが経過の上でも具体的にあらわれるような、そういった細心の注意をぜひともお願いしたい。非常に違和感を感じたものですから、これについては指摘をさせていただきたいと思います。

 さて、防衛大臣、先ほど申し上げた災害備蓄の不備についてであります。

 二十六年三月の閣議決定で、防衛省でいえば、緊急事態、首都直下型地震を含めた緊急事態に際しては、参集要員七千八百人分の食料、水、簡易トイレ、これをきちんと準備しなさい、一週間分だというふうに決められていたようであります。事前にお聞きしたところ、一週間分であるはずのものが三日間になっている。しかもそれがきちんと備蓄管理されているかどうかが不明の回答になっているということで、今回の公表に至っております。

 なぜこのようになったのか、そしていつまでに新たな基準のもとできちんと体制をとり直すのか、この点御答弁いただきたいと思います。

中谷国務大臣 この点につきまして報道があったわけでございますが、この報道は、総務省が昨年十二月一日の時点での政府機関における災害に必要な物資の備蓄状況を調査して、本年三月に中間報告として公表した調査結果に基づくものと承知しております。

 防衛省につきましては、調査時点における物資の備蓄量は、政府業務継続計画の策定以前の考え方に基づくものであったことから、この計画に定められた備蓄量七日分、これは達成されておりませんでした。

 首都直下型地震の大規模災害時に初動対応を迅速的確に行うためには、業務の継続性の確保は極めて重要でありまして、防衛省としては、政府の業務継続計画に基づいて必要な物資を速やかに備蓄してまいりたいと考えております。

小川委員 きのう事務的にお聞きしたところですと、二十八年にはしっかりとやりますということですが、これは、同じく指摘を受けている消防庁は直ちにやっているようなんですね。

 予算、それほどお金のかかる話でもないようなんですよ、せいぜい何十人、何百人、何千人分の水や食料の話ですから。二十八年に向けて概算要求、予算要求しますという話のようですが、これは、防衛省はそもそも予算も大きいですし、多少の柔軟な支出にも恐らく対応できるんでしょうから、できるところから速やかに整備していただきたい、そのことはお願い申し上げたいと思います。

 加えて、ちょっときょうは項目が多いのであれなんですが、先ほど申し上げた陸上自衛隊のヘリの不時着についてであります。

 まず、事案の概要を御説明いただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の事案は、本年四月六日、陸上自衛隊東北方面ヘリコプター隊霞目駐屯地でございますが、そこに所属するOH6D観測ヘリコプター一機が仙台市内の民間の耕作地に不時着する事故でございます。

 同ヘリコプターは、部隊整備後のオートローテーション、これは、エンジンの出力を用いずに、ヘリコプターの回転翼の自然の回転による揚力を用いて軟着することを指しますが、これを模擬する試験飛行のため、エンジン出力を低下させたところ、エンジン出力が回復しなくなり、そのままオートローテーションにより不時着しました。

 機体は、メーンローター及びテールローター部を破損しており、着陸現場周辺に部品が飛散いたしましたが、搭乗員二名にけがはなく、部外にも被害を与えてございません。

 事故の原因につきましては、現在、陸上幕僚副長を委員長とした航空事故調査委員会において調査中でございます。

小川委員 けが人がなかったことは幸いでしょう。しかし、だからといって、その調査、真相究明なり、あるいは再発防止なりが緩んでいいということにはならないわけであります。

 それで、二点お尋ねします。

 一つは、今回、模擬とはいえ、エンジンの停止試験を、これは上空でやったということですよね。それは、近隣に住宅地がある、田んぼなのか、あるいは住宅なのかわかりませんが、特定の訓練地域というよりも、非常に普通の市民生活が行われているところにおいてエンジンを停止する試験をした、そうしたらそのエンジンの出力が回復しなくなって、幸いとはいえ田んぼにおりたわけですが、写真を拝見すると、田んぼの近郊には本当に住宅地が密集しているんですよ。

 ちょっと、まず一点目のお尋ねは、こういう、場合によっては危険を伴う訓練をこういう住宅地に近接した空域で行うべきですか。大臣、この点はいかがでしょう。

中谷国務大臣 今回の事例の説明をさせていただきたいんですけれども、今回のオートローテーションの試験につきましては、飛行安全上の観点から、霞目駐屯地からの進出、帰投のために一時的に市街地上空を飛びましたけれども、試験は、地上に民家等がない海岸沿いや耕作地上空で実施をいたしました。

 また、陸上自衛隊は、オートローテーションの試験を実施する際には、パイロットは、試験を開始する前に、地上に民家や住民がいないことを目視により確認することとしておりまして、今般もその手順を踏んだと報告を受けております。

 今般事故が発生したことはまことに残念ですが、このような安全対策を踏まえて、地上への被害は避けられたところでございます。

 防衛省としては、今般の事故も踏まえつつ、飛行試験時の安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。

小川委員 二月にも、これは和歌山県沖で海上に不時着しているんですよね。今大臣がまさにおっしゃったように、海の上ならなるほどと思います。しかし、耕作地上空といえば、日本には、確かに一部には広い田園地帯もありますが、およそ都市型であり、およそ住宅地に近接しているということが通例だと思います。

 そうすると、通常の飛行訓練ではなく、エンジンを停止するような、危険を伴いかねない訓練については、やはり、大臣が今おっしゃった中でいえば海上を原則とするとか、そういうことも含めて、より厳しい基準が必要ではないかと思います。指摘をしたいと思います。

 あわせて、今般の当該ヘリコプター、OH6D型ですか、これは、耐用年数ならぬ耐用時間が残り二百時間程度しかなかったという報道があります。これは事実ですか。

中谷国務大臣 報道によれば二百時間ということでございますが、OH6Dの耐用命数は五千五百時間でありまして、今般の事故で不時着した機体は、残りの飛行時間は約百六時間というふうに伺っております。

小川委員 報道で二百時間と見たときに、私は驚いたんですね。今の御答弁では、さらにその半分の百時間しかなかったということですから、今申し上げた危険な対応の訓練を、極めて古い機材、耐用の極めて限られた機材で、機体で行っていたということもこれからいろいろと検証されるんでしょうが、こういうことが本当に適切かどうか、しっかり見ていってください。

 それで、ちょっとこれは参考までにお尋ねします。

 四月の六日時点で耐用、残り百時間余りの機体を、三月三十一日時点で定期検査していますね。これは、費用対効果という意味でいうとどうなんですか。これは通例あることですか。

 何となく、素人考えと言うべきかどうかわかりませんが、直観的には、三月三十一日に定期検査を行って、残り百時間しか飛べないようなものを、どういうローテーションで動かしているのかわかりませんが、ちょっとこの合理性なり不合理性なり、今わかれば参考までにお聞きします。今答えられなければ、追ってちょっと報告してください。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘になられました整備につきましては、部隊整備と称されておりますものでございまして、使用部隊が、分解することなく、かつ試験用器材等を使用しないで実施できる軽易な故障探求、こういうような整備でございまして、整備の深さというふうなことでいうと、部隊でできる、まだ入り口の段階の整備ということでございます。

小川委員 ちょっと、またそこは、少し事実に基づいて一度御説明をいただくように、この場をおかりしてお願い申し上げたいと思います。

 今いただいたところですと、かなり古い機体もふえているようですね、自衛隊が保有する航空機についても。ですから、古い機体をどう扱うか、そして今申し上げた、危険を伴いかねない訓練についてどういう危機管理を行っていくかというその二点、この事案を通じて指摘をさせていただきたいと思います。

 それから、もう一点お聞きしたかったのが自衛官の犯罪行為なのでありますが、これもちょっと細かく入る時間がありませんので指摘にとどめます。

 今回の事案は、かなり、被害額なり余罪も含めて非常に大きいようにお見受けしておりますが、どうも、二十五年度一年間で、刑事事件で検挙された自衛官が八百二十一人ということのようであります。

 それで、これは符合する数字かどうかはわかりませんが、参考までに警察に聞いてみたんですね、同じく高い自己規律が求められる警察官でどうですかと。そうしますと、はっきり符合する数字かどうかはわかりませんが、懲戒処分者数で三百人だということです。自衛隊員が二十万人余り、警察官が三十万人弱ですので、千人単位でいえば警察が一人、千人当たりでいえば自衛官が三人。

 そして、ちょっとこれも統計的に意味のある数字かどうかはわかりませんが、あえて紹介させてください。日本国民全体で刑法事案で検挙された人員が、同じ平成二十五年で二十六万人だそうです。千人当たりで大体二人ぐらいの計算になります。そうすると、千人に一人の警察、千人に二人の国民一般、千人に三人の自衛官という数字が、これは対比には検証が必要ですが、少なくとも表面上そういう数字が出てくる。大臣、これは大変ゆゆしき事態だと思います。

 一つお願いです。

 この八百二十一人の検挙人員、検挙人数と、防衛当局がみずから懲戒を行いましたと言って公表した、みずから公表した事件の件数六百件、六百人とが符合しないんですね。これはやはり、軽微なものとか、あるいはいろいろな状況を総合勘案してのことだと思いますが、少なくとも検挙に至ったような事案についてはこの乖離が二百人余りあります。

 全てみずから公表をし、さらなる自己規律に努めるという方針を、大臣、ちょっとこの場でお述べいただきたい。いかがでしょう。

中谷国務大臣 隊員の懲戒処分の公表基準につきましては、まず、職務上の行為またはこれに関連する行為に係る懲戒処分と、職務に関連しない行為に対する懲戒処分のうち、免職、降任、停職である懲戒処分がございますが、いずれも懲戒処分後速やかに公表を行っております。

 犯罪件数と懲戒処分の公表数の乖離の原因としては、懲戒処分の公表基準の対象とならない懲戒処分、また、犯罪が起きた年度に調査に時間を要するなどの理由によって懲戒処分を実施できない場合が原因であると考えられますが、委員御指摘のように、懲戒処分をした後速やかに公表を行ってまいりたいと思っております。

小川委員 積極的な御答弁をありがとうございました。

 ぜひとも、高い信頼なり自己規律を求められる組織でありますので、みずからに厳しい姿勢を、大臣みずから指導力を持って、事に当たっていただきたいと思います。

 では、最後に、徳島空港の管制ミスについてお尋ねをいたします。

 先ごろも、広島空港で大変残念な事故がございました。

 もう時間も限られておりますので、まず、国交省からお忙しい中お越しをいただき、ありがとうございます。来ていただいていないのかな。いらっしゃいますか。いない。ごめんなさい、では結構です。

 それでは、国交省からお聞きしたことでありますが、日本国内には大体百カ所ぐらい空港があります。そのうち、自衛隊が管制を行っている空港が三十八あるんだそうですね。残りの六十余りについては全て二人体制で管制業務を常に行っているんだそうです。しかし、今般事故になりかねなかったこの徳島空港の事例においては、事件の当時、一人しか管制官がいなかった。これは海上自衛隊が管制を行っている空港であります。

 もう少し内訳を申し上げます。

 自衛隊が管制を行っている三十八空港のうち、陸上自衛隊が管制を担当しているのが十一、航空自衛隊が十六、残りの十一を海上自衛隊が行っている。

 さらに突っ込んで申し上げますが、陸上自衛隊と航空自衛隊においては、民間管制、国交省による管制と同様、常に二人体制でやりなさいということを業務規程上しっかりと明記している。海上自衛隊のみがどうもそれをしていないようであります。

 今回、なぜ、一人という、一人がミスをすれば誰もそれをカバーする人がいないという状況を瞬間的につくってしまったのか、そして、なぜ、海上自衛隊が管制をする空港では、ほかでは当然のこととされている二人体制をこれまで明記せずに来たのか、そして、今後どう速やかに改善されるのか、あわせて大臣からお答えをいただきたいと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、海上自衛隊徳島飛行場では、管制業務は通常四人で行っておりましたが、本件発生時には一人だったという報告を聞いております。このような業務対応については問題があったものと認識しております。

 また、海上自衛隊におきましては、管制業務を行う際に二人以上という点まで定めた規則はなくて、この点も問題があったものと認識をしているところでございます。

 本件につきましては、海上自衛隊におきましても、まだ規則類の制定には至っておりませんが、中央から通知を出しまして、二人以上で管制を行うように残りの飛行場についても既に指示をしておりますし、今後、国土交通省の調査等も踏まえまして、対策を講じてまいりたいと考えております。

小川委員 これは、二人体制で海上自衛隊もしっかり足並みをそろえるということで、速やかに御対応をお願いしたい。

 失礼しました。総務省からお越しいただいたんですね。ごめんなさい。大変失礼しました。

 災害備蓄、実際にごらんになって、防衛省のみならず、そして所管の消防庁も含めて、大変不備があったということでありますので、その全体状況をごらんになってどういう感想を持たれるか、また、行政評価を担当される立場から今後どのように各省を指導していかれるか、その点、お答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。

武藤大臣政務官 もうなかったものと思っておりましたけれども。

 大変御見識の深い小川先生でございますので。

 行政評価の件については、先ほど大臣から、防衛省についてはお答えをさせていただいたとおりであります。

 全体的な話として、これは中間報告ということでございまして、総務省では、ことしの夏場ぐらいまでには地方分も含めてまとめさせていただいて、そしてまた、こういう大変大事な案件でございますので、引き続き注意深くこれからも考えていきたいと思っています。

 以上です。

小川委員 きょうは、不祥事、自己規律、風紀という観点から複数お尋ねをいたしましたが、それぞれ改めて襟を正し、国民の信頼にたえ得る業務に当たっていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 お疲れさまです。民主党の大串博志でございます。

 きょうは、一般質疑、沖縄問題、基地問題等ということで時間をいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。

 私も、きょう冒頭、先ほどの小川委員に続きまして、きょう沖縄県知事と総理との面会が一時半からになっているという報に、きのうの夜接しました。もちろん、第一感としては、私はよかったな、知事が五カ月間求めていらっしゃったことでもありますし、それが実現されて本当によかったなというふうに思います。

 どういうふうな会談の内容だったか、後でもしっかり私たちも検証していきたいというふうに思っておりますけれども、その経緯、先ほど大臣の方から、菅官房長官が沖縄県知事と会われた、そのときにも、総理にも会いたいという御要望もあり、これが今般実現したというような経緯に関する説明がございました。

 ためにする議論でもないし、意地悪に見るつもりもないんですけれども、五カ月間のうちになぜ今になっちゃったんだろうなという思いは、これまでのこの委員会審議の中のいろいろな思いを通じても、やはりあります。

 そういう中で、非常に沖縄と国との間のテンションが高まっている。変に思いたくはないですけれども、総理が月末にアメリカに行かれる前に、知事と会ったということをきちんと示せるようにしておくための面会ではないかと見る向きもあります。そうならないように実質的な意味を持たせていくのが必要だとなおさら思いますけれども、やはりそういうふうな疑念の目すら持たれるような形に、今回、この遅い段階での面会となったこと、非常に私は遺憾だというふうに思うんですね。

 どういう経緯だったかというのを聞いても同じ答弁だと思いますけれども、しかし、今申し上げたような、まさか、きのう下地委員がこの場でも質問されましたけれども、アメリカに行って、ちゃんとやっているんだよということを説明するだけのために会われたということはないでしょうね。その辺の経緯ももう一回、大臣の思いも含めて御答弁ください。

中谷国務大臣 アメリカに行くからお会いしたということは全く私はないと思っております。

 非常に、沖縄の問題は大変重要で、かつまた難しい問題でございますが、政府として全体として取り組んでおります。官房長官がその対応の取りまとめ役ということでございまして、官房長官が沖縄に出向いて会談をして、そして、その席上で、総理にもお会いしたいということを先方から申し入れがございましたので、調整をして、きょうお会いいただいたということになったということでございます。

大串(博)委員 これは非常に難しい問題です。私たちの政権のときにも、皆さん御案内のように、本当に苦労しました。

 であるがゆえに、やはり沖縄に寄り添った形をどうつくっていくのかというのを、きのう、下地委員も、何度も何度も閣僚の皆さんが足を運んでということもおっしゃいました。ああいう努力も必要なんじゃないかなと思いますので、ぜひ沖縄に寄り添う進め方を肝に銘じてしていただければなというふうに思います。

 さて、次の質問内容でございますけれども、アジアインフラ投資銀行を外務大臣にお尋ねさせていただきたいと思います。

 これは、三月の当委員会のときにも、私、取り上げさせていただきました。まだ当時は、三月末の、いわゆる創設メンバーに入りますかと中国から問いかけを受けている、それが各国に問いかけが行われている状況下での質問でありました。そのときには既に、私自身非常に、ドイツ、イギリスなどが参加表明をしていたものですから、一体どうなっているんだろうという危機感も覚えながら問うたわけでございましたけれども、最近見ると、相当案件が進んでいるようにも見えます。

 現状を外務大臣から御説明いただきたいと思います。

岸田国務大臣 AIIBをめぐる状況ですが、まず、中国政府によれば、現在のAIIB設立協定交渉への参加国数は五十七カ国とされています。今後、本年六月までに協定の交渉、署名を行い、本年末までに協定を発効させ、そして業務を開始することを目指している、このように承知をしております。

 そして、現状、我が国の対応ですが、これにつきましては、これまでも明らかにしてきたとおり、AIIBにつきましては、ガバナンスの確立、あるいは債務の持続可能性、こういった点において慎重な見きわめが必要であるという立場、これは変わっておりません。

 政府としましては、こうした観点に立ちながら、特定の期限にとらわれることなく、引き続き、関係国とも連携しながら、AIIBが国際金融機関にふさわしい基準を満たすよう中国側に働きかけていきたいと考えております。

大串(博)委員 私、三月に取り上げたときもそういう思いで取り上げたんですけれども、非常に危機感が乏しくていらっしゃるような気がしてならないんです。

 といいますのは、聞くところによるとということで、五十七カ国というふうに創設メンバーの候補者として挙がっている。相当なメンバーですね。かつ、先進国からも、イギリス、ドイツを初め多くの国がもう手を挙げている、こういう状況。G7の中でも結束が乱れてしまっている。今、アメリカと日本ですね、慎重な立場を維持しているのは。カナダもそうですけれども。そういった、非常に、ある意味外堀の埋まったような状況になっているんじゃないかという気がしてならないんですよ。

 こういった状況になったのは、なぜそうなったのかというのが私は非常によくわからなくて、三月に質問をしたときに、役所の皆さんからもいろいろ聞きましたけれども、そのときは、いやまあ、三月の末に創設メンバーは手を挙げてと中国は言っているけれども、どこまでいきますかね、六月というのがAOA、設立協定の交渉の末だけれども、その段階でもどこまでいきますかね、二〇一五年末までに業務を始めると中国は言っているけれども、これは野心的ですよね。極めて楽観的な雰囲気で私に伝わってきていたんですよ、三月の中でも。

 ところが、実際、それから数週間、四月に入って、また、ふたをあけてみると五十七カ国、これだけの状況。日本とアメリカがある意味取り残されている、こういう状況。何でこんなふうになったのか、そこは外務大臣としてどういうふうに評価されていますか。

岸田国務大臣 AIIBにつきまして、我が国として危機感が少ないのではないか、取り残されているのではないか、こういった御指摘をいただきました。

 ただ、AIIBをめぐるさまざまな状況につきましては、こうした構想が発表されてから後、関係国とは緊密に連携、情報交換はしてきました。そして、三月に、英国を初め関係国が交渉参加を発表いたしました。その際も、英国、あるいは、私の承知しているだけでもフランス、あるいはドイツ、あるいはオーストラリア、こういった主要国は、交渉参加を発表する前に、事前に我が国に対しまして通知、連絡をしてきております。こうした情報交換を行いながら、我が国としての対応については、先ほど申し上げました対応を続けているところであります。

 先日、G7の外相会談に出席をしてまいりました。その際にも、東アジアをめぐる議論の中で、私の方からAIIBについて触れ、そして議論をする場がありました。そうした場においても、日本の立場を説明する、これはもちろんでありますが、関係各国とも、AIIBにつきましては、ガバナンスの確立の重要性ということについては一致をしておりますし、交渉に参加する、あるいは参加しない、この立場の違いはあるにしても、それぞれの立場から、中国側に対しまして、AIIBが国際金融機関にふさわしい基準を満たすようしっかり働きかけをしなければならない、働きかけをしていこうということについて一致したということでありました。

 我が国としましての方針は先ほど申し上げたとおりでありますが、さまざまな立場の違いはあるにしても、AIIBにつきましては、関係各国との連携を重視しながら、中国側への働きかけは続けていきたいと考えています。

大串(博)委員 この間も少しお聞きしましたけれども、英仏独豪から、事前に自分たちは参加しますよという通知は受けておった、だから連絡調整はあったんだということでございましたけれども、そういうのも聞くとなおさら心配になるところがあるんですよね。そういうきちんとした連絡のみならず、もっと事前の段階から、幅広い外交、情報の交換も含めて、もっともっとできた面はあったんじゃないかという気がするんです。

 というのは、今から何ができるんだろうか。つまり、今外にいます。外にいる中で、このガバナンスのあり方、あるいは融資がどういうふうに行われるか、確認し、求めていくということですけれども、どういうことが今これからできるんだろうか。

 というのは、国際機関をつくるというのは、ちょっと今回とは違う経路をこれまでたどってきたのが過去の歴史だと思うんですよね。

 例えば、今回アジアインフラ投資銀行は、もう既に、本部の場所も中国だ、初代総裁も中国の方だ、こういったうわさが出まくっている。ところが、国際機関をつくるときに、通常は、初代総裁を誰にするか、場所をどこにするかと、これは物すごい、どういう参加国に入ってもらうかということも含めた交渉事項なんですよね。

 ADBを見ていただくと、総裁は日本人です、しかし、場所はフィリピンなんですよ。これはいろいろな外交努力の結果、そうなったんです。今、条約がかかっていますAMRO、チェンマイ・イニシアチブのいわゆる事務局ですね。あれは、日本が長年かけてつくってきたイニシアチブです。だから、トップの担当者は日本人がついていますけれども、場所はシンガポールですよ。

 こういったいろいろな外交努力の結果、全世界が納得するようなものをつくっていくのが私は国際金融機関だと思うんですけれども、今の中国のアジアインフラ投資銀行のつくり方は、とにかく中国が一つ手を挙げて、そこに皆さんが寄ってくる。

 こういう形で、もし、非常にある意味緩い形で条件づけられた融資が行われるとすると、ADBに資金を借りる国はなくなりますよ。全部ここに行きますよ。そういった場合に中国が相当な影響力を行使することになるような大きな問題だからこそ心配しているんです。私は、だから、そういう意味からすると、既にもう外交的な敗北じゃないかというぐらい非常に心配しているんです。

 大臣、これはこれから本当にどうされるのか。もう少し危機感のある御答弁をいただければと思いますけれども、どうでしょうか。

岸田国務大臣 まず、AIIBに対する我が国の対応ですが、AIIBに、もし、アジアの一国である我が国が参加するとしたならば、これは大変大きな出資を求められるという想定がいろいろ出されています。我が国の国民の貴重な税金を使うわけですので、出資、お金の使い方として、やはりAIIBというものがガバナンスがしっかり確立されているものなのかどうか、それから、他の金融機関との関係も今委員の方から御指摘がありました、債務の持続可能性という点についてどうなんだろうか、こういった点をしっかり明らかにした上で国民の税金の使い道を考える。政府として責任ある態度として、これは当然なのではないかとは思います。

 そして、アジアのインフラ需要がこれからますます大きくなってくる、インフラに対する融資が大変重要になってくる、こういった御指摘は私も全く同感であり、二〇一〇年から十年間でアジアのインフラ需要は八兆ドルと言われています。これは桁外れの金額になります。

 そうしますと、AIIBの議論、もちろんこれはしっかり注視していかなければなりませんが、そもそも、AIIBのみならず、従来のADB、さらには世界銀行初めマルチの国際機関が総動員され、そしてしっかり連携する、こういった考え方ももちろん重要でありましょうし、民間部門の資金ですとかノウハウ、これも総動員されなければなりません。そして、我が国自身も経済協力のさまざまなツール等も活用しなければなりません。そうしたさまざまなツールを総動員することによってインフラ投資、ぜひ、質の高いインフラ投資をアジアで実現するべく取り組んでいかなければなりません。

 こうした質の高いインフラ投資をアジアで実現するために、AIIBというものがどんな金融機関になるのか、こういった関心はしっかり持っていかなければなりませんが、八兆ドルと言われる莫大な投資にどう対応していくのか、その全体がしっかりとした秩序のもとに進められる、こういった観点からあるべき対応、あるべき金融機関を考えていくというのが我が国としてとるべき道ではないかと考えます。

大串(博)委員 今おっしゃったことは、そのとおりです。

 しかし、現在目の前にある状況を見ると、私はやはり危機感を相当覚えざるを得ない。安保外交のみならず、経済外交でも非常に厳しい状況が目の前にあるかもしれないという気すらします。ぜひ危機感を持って臨んでいただきたいと思います。

 残りの時間で、安保法制担当大臣たる中谷大臣にお問い合わせさせていただきたいと思います。あるいは、防衛担当大臣としての中谷大臣に質問させていただきます。

 日米ガイドラインの見直し、月末に向けて行われているというふうに私は聞いています。具体的な内容は交渉事なのでお答えできないということでありましょうけれども、しかし、進んでいるというふうに聞いています。この間のカーター国防長官との会談の内容も見せていただきました。一方、安保法制の見直しに関しては、与党の間で話し合いが進んでいます。去年の十二月の2プラス2の中の一応の結論では、安保法制に対する整合性もとっていくのでこの年央までにということになっています。

 すなわち、安保法制と整合性をとる形で議論が今ガイドラインに関しては進められていると思いますが、私、ちょっと不思議なのは、一体、今与党協議が行われている段階の安保法制のどこまでの内容をアメリカに、今般ガイドラインを確定する際に説明し、それを前提にガイドラインが決まってくるのか、そこがよくわからないんですよ。

 七月一日の閣議決定はあります。先般の、三月の与党間の合意はあります。しかし、政府として、一体どこまでのことをガイドラインに盛り込んでもらっていいですよとアメリカに説明してこられるのか。そこは、先ほど私、本会議でも申し上げました、国民不在の議論にならないように、国会不在の議論にならないように。極めて重要な点だと思うんですね。

 そこはどうなんでしょうか、大臣。

中谷国務大臣 ガイドラインというのは、名前のごとく、日米防衛協力のための指針ということで、ある程度政策的な合意を図るという目的で実施をいたしております。現在もこれについては協議を実施しておりますが、同時に、安保法制の整備も現在与党間で行っていただいておりまして、やはりこの整合性を確保するということが非常に重要であります。

 せんだっても、カーター長官が来られたときにも、現在における進捗状況についてはお話をいたしておりますし、お互い、協議等も通じまして、安保法制の整備の進展を踏まえながら、ことし前半の見直し完了に向けて議論を深めているところでございます。

大串(博)委員 先ほど私、本会議でも申し上げましたように、与党間で行われている議論、それはそれで結構でございますけれども、やはり国民には、私、よくまだわからないと思うんですよ。もちろん、法案も出てきていないから国会もよくわからない。そういった中で、アメリカにだけ説明される、やはり違和感を感じざるを得ないんですね。

 同じことは、総理、今度訪米される、そしてアメリカでいろいろな会談をなされると思います。その発言要領なり、あるいは、議会でも演説をされるというふうに言われておりますので、そういった内容にも、どの程度今日本で検討される安保法制のあり方が述べられていくのか、これも非常に気になります。まさか、私たちが聞き及んでいる、日本で知っている以上のことがアメリカで先に話されるのではないか、こういった主客転倒がありはしないか、こういった心配も私は持っています。

 その辺、外務大臣、外交に関する取りまとめとして、そうならないような目くばせはしていただいているんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、ガイドラインの見直しと安保法制の整備との関係については、今防衛大臣の方から説明があったとおりであります。

 そして、予定されております総理の米国議会においての演説でありますが、演説の詳細については、現在、最終調整を行っているところです。

 そして、これは既に官房長官等が明らかにしておりますが、今回、訪米において、総理は、基本的なメッセージとして、日米両国が戦後和解して強固な同盟国となり、ともに地域と世界の平和と繁栄に貢献してきたことを振り返るとともに、両国が今後も連携して世界に貢献していく姿勢を強調するということ、こういった内容を議会演説の中で強調していくことになるものだと考えております。

大串(博)委員 いずれにせよ、今回ガイドラインの見直しが行われる、これは、今回歴史的な大転換たる安保法制の見直しを、整合性を確保した上でつくられる。これは2プラス2で定められていますね。ですから、日本にとって、日本の安全保障に関して極めて大きな影響を持つものだと思いますので、これが固められた際には、委員長、ぜひお願いを申し上げたいと思いますけれども、当委員会においても、この日米ガイドラインの見直しに関する集中的な質疑をぜひこの場で行わせていただきたい。これから法案審議もございますけれども、法案審議の間に割ってでも、ホットなものであれば、そこで、ここの委員会で集中的な審議を行うべきだと私は思うんです。委員長においてぜひお取り計らいをお願いします。

北村委員長 後刻、理事会において協議します。

大串(博)委員 そういうふうな思いがあります。

 先ほど本会議でも述べましたけれども、この安保法制の見直し、一括法というふうな話もありましたけれども、到底一国会でできるような話ではないと私思うんです。ですから、ぜひ、アメリカにどう説明されるかということも含めて、日本国民にまず、国会にまずしっかりとした理解と議論が起こることを心からお願い申し上げて、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

北村委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 先ほど翁長沖縄県知事と安倍総理の面会が終了したというふうに承知しておりますけれども、今の段階で、もし、その概要なり御紹介をちょっと、一時間ぐらいたっていると思いますので、何か進展があったのかどうか、紹介できる範囲で結構ですので、防衛大臣、よろしくお願いいたします。

中谷国務大臣 本日一時半過ぎから、安倍総理と菅官房長官、沖縄県側からは翁長知事と安慶田副知事が出席して会談が行われたと承知をしております。

 安倍総理からは、普天間、辺野古移転が唯一の解決策であり、丁寧な説明をさせていただきながら理解を得る努力をしたいという旨が述べられたと承知をしております。また、翁長知事からも御自分の主張を述べられたと聞いておりまして、政府と県が理解を深める第一歩になるものだと考えておりますが、これ以上の情報は私も知り得ておりません。

玉木委員 先ほどもありましたけれども、大臣もぜひお会いになって、丁寧な話し合いをぜひ進めていただければと思っております。

 それでは、私も、先ほどの大串委員に引き続きまして、AIIBについて質問したいと思います。

 今、岸田大臣のお話を伺っていまして、私も、緊迫感というか、切迫感がもう少しあってもいいのかなと正直思います。トランスペアレンシー、透明性とか、フェアネス、公正性、公平性、こういったものを担保していくことは当然必要でありますし、G7でも各国一緒になって働きかけを中国に対してしていこう、これも当たり前だと思います。

 ただ、問題なのは、仮にそういったトランスペアレンシーとかフェアネスが確保されなくても、もうこれは設立されてしまうんですね。

 一番私は問題だと思うのは、国際的な基準から、特にADBなどと比べて少し緩い、あるいは恣意的な融資が行われるような体制、ルールのままで、この大きな新たな金融機関が発足してしまって、我々としては、ある意味こういうことは問題ですね、けしからぬですねと幾ら言っても、できてしまったら、それは相当のインパクトを持つのではないかと思うんです。

 そこでまず、これは事実関係を聞きたいんですけれども、アメリカについてであります。

 アメリカは、我が国と一緒で、参加を三月末までには表明しませんでしたけれども、聞くところによると、世界銀行に三十年ぐらい勤めた経験のある、金融のプロであるアメリカの法律専門家を顧問としてAIIBに派遣するというか、AIIBが受け入れるというような報道が一部ございます。

 この点について、水面下で米中が一定の歩み寄りを探っているんではないのかというふうに思われるんですけれども、こうした米国人の法律専門家を、つまり、お金は出さないけれども人は何らかの形で出していって、少なくとも情報をとっていくような、そういうことをアメリカが始めているのではないかと思うんですけれども、まず、この事実関係について教えてください。

可部政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、AIIBの多国間暫定事務局で、元世銀の法律専門家であった方が勤務しているということは報道等により承知をいたしております。

 なお、その方が設立後のAIIBにおいてどのような形で雇用されるのか、されないのかといったことについては承知をいたしておりません。

玉木委員 私は、これは大事なことだと思うんですね。

 今、暫定事務局というのがそもそもあって、そこに世銀で働いた経験のある米国人がいるということは、私はこれはすごく大事なメッセージだと思っておりまして、きょうはもうこれ以上深くはやりませんけれども、日本も、これはいろいろなやり方があると思います。公務員を出すということはなかなか難しいと思いますけれども、日本も、世銀、ADB、IMFあるいはJBIC、さまざまな国際的な金融村で働いた経験のある優秀な方はいっぱいいますので、ぜひ、金は出さなくても人は出す、あるいは口だけ出すとか、そういったことに対して積極的にそろそろ踏み込んでいくときなのではないか。

 というのは、申し上げたように、これはもうできてしまうんですね。一番最悪なのは、国際ルールにのっとらない、そういった金融機関ができてしまうことはやはり日本の国益にとっては私はマイナスだと思いますし、既存の債権もそういう意味では影響を受けますから、ぜひ、そういった人的な関与、こういったことを、日本としてもこの段に至っては戦略的に進めるべきではないかなと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 暫定事務局の雇用の形態については私の方から何か申し上げる立場ではありませんが、米国政府から、このアメリカ人の職員について、米国政府が派遣したものではないという説明は受けていると承知をしています。

 AIIBはどうせできるのだから、インフラ整備、金融に影響が出ないようにしっかりと見ていかなければならない、この点は私も委員と全く同じ考えであります。

 先ほど申し上げました八兆ドルと言われる莫大なインフラ整備にどう対応していくのか、これは国際的な大きな課題であります。AIIBだけでも、これは当然のことながら対応できるような額ではありません。ADBですとか世界銀行、従来の国際金融機関が総力を挙げて連携しながら対応しなければいけない課題ですし、民間の資金も、また金融以外のさまざまな経済協力手法も総動員していかなければなりません。その全体の秩序が乱されることがないように、AIIBにも責任ある対応をとってもらわなければいけない、こういった問題意識については、世界各国、共有できているんではないかと思います。

 そして、交渉参加国、五十七カ国と言われています。しかし、その外側にも多くの主要国がいるわけですから、立場の違いはあっても、中国に対しまして、AIIBが国際基準に沿った金融機関であるようしっかりと働きかけていかなければなりませんし、こうした全体の国際金融の秩序に影響を及ぼさないように、関係各国と連携しながらAIIBについても注視していきたいと考えます。

玉木委員 国際秩序という言葉を今大臣が使われて、まさにそれがポイントだと思います。

 我々は、これまで我々が従ってきた国際秩序が永遠に続くと思っているんですが、この国際秩序そのものを新たにつくり直そうとしているのが、私はある意味、あらゆる分野の中国の意図だと思っています。

 もちろんその融資基準もポイントなんですが、私は、AIIB、もちろん八兆ドルの大きな市場に対するアクセスもそうなんですが、やはり人民元での決済圏をふやそうというのが一番の中国の実は狙いなのではないのか。基軸通貨はもちろんドルです。ただ、これがこれから十年、二十年、三十年、五十年たった中で、アジアを中心に決済するときの通貨で何を使うのか。このボリューム感、これをやはり今のうちからしっかり押さえていこうというもし意図があるとすれば、こういったことにもやはり我々はしっかりと戦略的に向き合っていく必要があるのではないかと思いますので、お金は出さなくても、関与する何らかの方策をぜひ探っていただきたいというふうに私は思っております。

 それでは次に、安保法制の話に移りたいと思いますが、安保法制担当大臣としての中谷大臣にお伺いしたいと思います。

 その前に、私も、今、安保法制の議論が行われていて、野党でもありますし、新聞で見たり聞いたりとか、なかなか直接に詳しい情報に接することができないんですが、ちょっと三つのことが欠けていると思っているんですね。

 一つは、これはよく指摘をされますが、国会での審議。アメリカと先にやるとか、そういう批判もありましたけれども、やはり国会で、あるいはもっと言うと、国民に対する説明、審議、こういったものが欠けているのではないかというのが一点ですね。

 二つ目は、余りにも法制論に偏り過ぎではないか。これは、戦後の日本の安保の議論が常に、いろいろな経緯もあって、とにかく法律論に余りにも陥りやすくなって、実際の具体的なオペレーションとか、もっと言うと、派遣される自衛隊の皆さんが一体何をして、どういうリスクにさらされて、一体どういうことに具体的に向き合っていくのかというリアリティーの方が後になって、法律をつくるからリアリティーは後からですというような感じが若干するということ。リアリティーが欠けているんじゃないかということが二点目。

 三点目は、優先順位です。

 お手元にお配りした四の資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、これは全体像ということで、先般、内閣官房、内閣府から御説明いただいたんですが、今回整備するさまざまなものがあるんですね、恒久法をつくります、周辺事態法を変えます、あるいはPKO法を変えますと。

 私はこれに注目したんですけれども、右側の軸に烈度、事態の烈度が、右に行くと、より緊迫していくということだと思うんです。上が我が国に関する事項、下へ行くと国際社会に関する事項ですね。我が国の平和と安全に関することが上で、下の方に書いているのが国際社会に関する事項。私は、これは非常にわかりやすかったんです。わかりやすかったんです、法律論としてはこの整理はすごくわかりやすい、頭に入りやすかった。

 ただ、私がこれからお伺いするのはリアリティーの話です。例えば、烈度がすごく低いですといって一番左に位置づけられていて、かつ国際社会に関する事項だから我が国に直接関係しない、つまり、一番左の下に位置づけられている国際平和協力法、これに関することをきょうはちょっと、まだ法律を見ていませんから具体的な議論はできませんけれども、これまで出てきた情報の中で、少し大枠のお話をさせていただきたいんですね。

 PKOについての活動の拡充をしていきましょうということ、これは我々は賛成です。PKOの形態もさまざまなものになってきましたから、例えばDDRとかSSRとか、こういったものについては我々民主党としても賛成です。ですから、武装解除したりとか、あるいは治安セクターのリフォームについて積極的に関与していく、これはやったらいいと思うし、今の法律だと読めないところがあるのも事実ですから、きちんとこれは世の中の動きに対して対応していけばいい。

 きょう私が取り上げたいのは、加えて広げようとしている治安維持であります。

 これは事務方の人に、治安維持と言うとき英語で何と言うのというふうに聞いたんですけれども、答えが余りなかったんですが、例えばISAF、アフガニスタンでいうと、ISAFなんかだとセキュリティーアシスタンスということで言われておりますけれども、いわゆる治安に関して、それを維持したり、あるいはそれを回復したりすることに対する何らかのアシスタンス、支援活動、こういうこともこれからのPKO的な活動として広げていくという方向性はわかります。しかし、私は、広げていくのであれば、一体それは具体的に何を意味するのかということの議論はきちんとやらなきゃいけないと思っているんです。

 私は、我が国の領土、領空、領海をしっかり守っていくという防衛はきちんとやるべきだと思っているんです。ただ、私は財政当局にいたのでいつも考えるんですが、資源が無限じゃないので、限られた予算、装備、定員、こういったものを、変化する安全保障環境の中に、一体どの分野にどう振り向けていくのかは、先ほど申し上げたように、やはり優先順位を明確にしないと、資料四で示したものをべたっと同じ優先順位でやるのは今の日本にとっても難しいと思うんです。

 アメリカが歳出を強制削減する、一・二兆ドルを十年間でやります、その半分は軍事費です、だから負担は自国だけではできないので、日本やドイツにもというのがリバランスの一つの背景にあることは間違いないと思うんですね。ただ、現状を見ると、アメリカより日本の財政の方がよっぽど真っ赤っかですよ。ですから、財政的な観点から見ても何でもかんでもできないというときに、現実を見ながらどこに重点を置くのかということが大事だと思います。

 そこで、質問をしたいと思いますけれども、広げようとしている治安の維持、いただいた資料だと「住民保護などの治安の維持」とか、あるいは資料の四でいうと「警護」という言葉が出てきますけれども、この治安の維持活動というのは具体的にどういう活動に広げようとしているのか、具体的なイメージを教えていただければと思います。

中谷国務大臣 イメージは閣議決定で記述をいたしておりますが、「近年の国際連合平和維持活動において重要な任務と位置付けられている住民保護などの治安の維持を任務とする場合を含め、任務の遂行に際して、自己保存及び武器等防護を超える武器使用が見込まれる場合には、特に、その活動の性格上、紛争当事者の受入れ同意が安定的に維持されていることが必要である。」と書かれております。

 現実にPKO活動をこの二十年やってまいりまして、日本なりに各国から評価されるような活動がされておりますが、現に南スーダンにおきましても、ジュバ周辺で活動しているのに比べて、中国とか韓国とか、さらにUNMISSの区域の中で日本以上に活動しているわけでありますが、問題は、安全確保という面におきまして武器使用、周辺の治安の維持などを任務とする場合にどうなるのかという点におきまして、こういった、範囲と、任務がさらにできるかどうかという検討を行っておりまして、こういう点につきまして現在与党でも議論をしていただいているということでございます。

玉木委員 今大臣が七月一日の閣議決定を引かれましたけれども、私もこれは読みました。

 二十年の経験、確かにそうですね。ただ、新しく広げようとしているので、二十年の経験ではないものに踏み込んでいく部分があるのではないかということでお伺いをしているんです。

 確かに、「住民保護などの治安の維持を任務とする場合」となっているので、住民保護はわかるんですが、問題は、この「など」のところが一体何を指すのかが現時点でわからないので、お伺いをしたということであります。

 私の問題意識は、治安の維持活動といっても、実際にやっているのは、例えば、テロリストの平定作戦であるとか、あるいはゲリラの討伐とか、事実上治安を維持するということですから、相手が何かすごい、一定程度平定したとしても、さまざまなゲリラ集団とか、必ずしも政府に認められていないさまざまな反政府組織もあったりして、予想しないような人、団体があるわけでありまして、結果として、そういった、治安の維持という警察的なイメージからはかなり超えた、戦闘行為に類するようなことに巻き込まれていくということも考えられるのではないかと思うんですけれども、それはいかがでしょうか。

中谷国務大臣 当然、派遣する上においては、安全確保などを念頭に置かなきゃいけませんので、どのように活動をしていくかということにつきましては、隊員の安全確保に配慮することを明記する規定を設けるほか、危険を回避するための、業務の一時休止とか、また、実施要項においても、隊員の安全を確保するための措置について明示的に記載することを考えております。

 先ほど、DDRとかSSRなどの活動についてお話がありましたし、現在のPKO法におきましても、PKFに係る活動で停戦の合意とかのメニューもございます。また、それに加えて、現在におきましても、新たに、防護を必要とする住民等の生命身体に対する危害の防止及び抑止や、特定の区域の保安のための駐留、巡回を行うことを規定することも検討をいたしておりますが、いかにすれば御指摘のような犠牲や危険がない中で活動できるのかということも踏まえて検討しているということでございます。

玉木委員 PKO五原則というものがありますけれども、これからは必ずしも国連の決議に基づくものではないものにも少し広げるので、PKO五原則に類したようなものを決めて、その範囲の中で出ていくということなんですが、質問は、いわゆる、現に戦闘が行われている地域には多分出さないということだと思います。ただ、裏から言うと、戦闘再開可能地域には出ていくということですね。これは多分これまでとは異なっていて、そこが仮に一旦おさまっていて、出ていって安全ですけれども、急にいろいろな形で戦闘が始まったというときには、これは、いろいろな答弁にもありますけれども、やはり活動の中止を求めたり、あるいは撤収したりということによって安全を確保するということでよろしいんでしょうか。

中谷国務大臣 今検討しております。

 従来の五原則がございます。また、いわゆる宮沢四原則というのもございまして、こういった原則は徹底をしておきますし、もう一点は、国家安全保障会議における紛争当事者の受け入れの同意の安定的な維持の確認、また、本邦の現地の在外公館を含む関係機関と密接に連携して、安全に係る情報を共有することによりまして、このPKOの業務をどういうふうにやるのかということにつきましては、安全の見地から検討はしていっているということでございます。

玉木委員 これはPKO活動に限りませんけれども、いわゆる武力行使との一体化の議論の中で、例えば、恒久法の話でも出てきますけれども、いつも思うんですけれども、何かオペレーションを特に多国籍軍でやっていた中で、突然危険になったからといって、済みません、ちょっとここからはできないんですと帰れるのか。

 例えば、燃料を部隊に輸送している際に、平時は輸送するんですけれども、突然ゲリラに襲われた、大規模な戦闘を繰り広げなきゃいけないような状況になったときに、では、ここでやめますと言って引き返せるのかという、武力行使との一体化をしないようにということなんですが、ただ、実際は、オペレーショナルには、運用は一体化しますから、途中で抜けられたら、危険になったら引き下がる日本の自衛隊というのは、お金だけ出して血を流さないということよりも不名誉なんじゃないかと私は思うのです。

 その辺についてはこれから具体的にお決めになるんでしょうけれども、余り中途半端なことにならないように、最初からやはり出ていく条件、状況というのはしっかりと決めていた方がいいのではないかと思います。

 きょう資料をお手元にお配りして、なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、少しアフガンのISAFの話をさせていただきたいなと思うんです。

 ドイツの例をちょっと出して説明したいんですけれども、まず、今回法改正をすれば、かつてのアフガンのISAFのような治安支援活動みたいなことにも出ていけるようになるということでよろしいんでしょうか。

中谷国務大臣 まず、ISAFにつきまして、現在、いわゆる安全確保におきまして、駐留、巡回等によって人の生命身体の保護等を行うことを想定しておりますが、他方、このような活動を超えて、特定の武装集団を標的として戦闘能力そのものの無力化を目的とするような作戦に参加するということは考えておりません。

 いずれにしましても、PKO五原則、これを非常に重視したいと思います。

 先ほど、途中で撤収できるのかということでありますが、これは原則でありますので、国連等とも調整を行って、我が国の法律の規定に基づいて、実施要領に従って業務を中断いたします。その上で、短期的に回復しない場合には、閣議決定をいたしまして、事前通告を国連の事務総長等にした上で派遣が終了されるということでございます。

 国連のPKOにおきましては、こうした各国の判断による中断、撤収というのは他国においても実例がありまして、活動の歴史を通じて確立された慣行となっておりまして、あらかじめ国連や参加各国に十分説明して理解を得ることによって、中断、撤収をすることは可能になるということでございます。

 ISAFの実例を挙げられましたけれども、派遣する際には、こういった原則を十分踏まえて対応していくということになろうかと思います。

玉木委員 では、ISAFのようなものにも、条件が満たされれば出ることができるという理解でよろしいんですか。

中谷国務大臣 この参加条件につきましては、現在与党でも議論をいたしているわけでございますが、先ほども申し上げたとおり、いわゆる安全確保においては、駐留、巡回等によって人の生命身体の保護を行うことを想定はいたしておりますが、現実に、固有のミッションとか、また国際機関等につきましては、どのような範囲で参加が可能であるのか、これは現在与党で検討はされているということでございます。

玉木委員 駐留、巡回、こういう日本語を聞いても我々はよくイメージが湧かないんですね。

 実は、イラク戦争のときもそうですけれども、例えば米兵でも、たしか四千五百人ぐらいが亡くなっていますよね。ただ、二〇〇三年の三月に空爆を始めて、五月のたしか一日だったと思いますが、ブッシュが勝利宣言をする、その間で亡くなっている人はたしか数百人なんですよ。多くの死者、負傷者は、その後のイラクにおけるさまざまな駐留活動に伴ってやはり起きている。

 例えば、検問所に人を置いて警備をしますといっても、よく映画にも出てきて、私は実際にそこに行ったことがないから映画でしかわかりませんけれども、いわゆる自爆テロですね、時には子供だったり女の人が抱えてきて、そういう検問所や、あるいはタンクの、戦車のところに行って、それを爆破する。

 そういう駐留活動の中で行っているので、こちらが何かアクティブに、あるテロ集団に、みんなで行って、それで作戦をするから死者が出るんではなくて、そういった平常時の駐留活動の中で多数の死者が出ているということの中で、私は、現実的な議論をもっとイメージを持ちながらやらなければいけないということで、この問題を提起させていただいています。

 それで、済みません、資料の一をちょっとごらんいただきたいんですが、ドイツのISAFに派遣するまでの経緯を少しまとめました。

 我が国と一緒で、ドイツの憲法たる基本法には、防衛のための軍隊を設置すると書かれてあって、これは日本と非常に同じような議論をしていて、つまり、NATOの域内であれば、ある種、我が国的に言うと専守防衛みたいな、防衛のためのことで軍隊が発動できるんですけれども、これをNATO域外に派兵するときにやはりいろいろ議論になって、もともとはUNSCOMなんかの議論だったんですが、その後、カンボジア、ソマリアということでNATOの外に出すときに、これは閣議決定により派兵をするんですね。

 そうすると、日本と違ってドイツは憲法裁判所があるので、我々のような野党が連邦憲法裁判所にこれは違憲だと提訴するんです。そうしたらどうなったかというと、合憲という判断が出て、出すんですが、ただし、議会の同意が必要なんだと。つまり、きょうも本会議で答弁がありましたけれども、民意の、シビルのコントロールがきちんときいた中であれば、閣議決定で出すことにおいてもそれはぎりぎり合憲だという話で出ていくわけですね。

 二〇〇二年のアフガンへの派兵ということになるんですが、最初は、やはり学校建設とか医療支援ということで、いわゆる人道支援、後方支援ということが中心だったんですが、資料二をごらんください。

 これはクンドゥズ事件ということで、ドイツのISAFに派遣された部隊が燃料を部隊に輸送していたら、途中でタリバンにタンクローリー二台を奪われるんですね。奪われたら、では、そこで取り返すために何か応戦してやったかというと、そうじゃなくて、やはり陸路での奪還というのはドイツ兵を危険にさらすということで、NATOの空軍に、これはとられたらまたテロの準備行為に使われるので空爆してくれといって、空爆するわけです。

 五十六人、タリバンが死んだのでということだったんですが、後に民間人も含めて多数の死傷者が出たことがわかって、最初、これは国防大臣を含めて、いや、タリバンをやっつけただけですということだったんですが、後に真実が発覚して、子供を含む民間人三十名が死亡していたということで、ドイツ軍が隠蔽していたということで、国防大臣、国防次官、参謀総長の辞任に発展するということがありました。

 何を申し上げたいかというと、ドイツも、いわゆるアフガンの北部は比較的安全な地域だと言われていて、北部地域に行きます、しかも、やっていることは復興支援、人道支援、学校をつくりますとか医療支援ですといいながら、実際、非常に戦闘に巻き込まれていくわけですね。

 資料の三を見ていただきますが、このアフガンでのISAFの派遣国別の死傷者でありますけれども、ドイツは、左のところの上から五番目に書いてある五十四人。千二百六十五人今は派遣して、これは四月八日現在ですけれども、最大のときには五千人ぐらいを派遣して、そのうち五十四人が亡くなっているので、一%ぐらいか、まあ一%未満でしょうけれども、ただ、死傷者はやはり出ているんですね。

 こういうことをやはりイメージしながら安全保障の議論も進めていかなければならないと思っておりまして、最初の資料四に戻りますけれども、事態の烈度は低くて、国際社会なので我が国に直接の影響はないという中で、派遣される自衛隊員にとってみれば、緊要な、烈度の急速に高まる事態が発生し得るし、我が国という観点からすると遠いかもしれませんけれども、派遣される自衛隊の皆さんにとってみれば命の危機にさらされるようなことさえ生じ得るということをやはりリアルにイメージしながら法的な議論もしていかなければいけない。

 我々も、もう追っかけるだけで、これはどの法律でどうなんだというのを毎日追っかけるだけで大変で、法律の議論に没頭しがちなんですけれども、我々は、国会議員にしたって外交官にしたって、幾ら議論したって現地に行きませんよ。でも、現地に本当に行く人の安全のことを具体的にイメージしながらやるということをぜひやる必要があるということで、今回問題提起をさせていただきました。

 最後にお聞きをしたいのは、平成二十年に、これは参議院の外務防衛委員会で福田総理が、ISAFに対して出すことは憲法に違反するのかしないのかということを聞かれた際に、散発的なテロということであれば憲法上の抵触には当たらないかもしれないけれども、組織的、計画的なテロというとなかなか難しいということを申し上げた、つまり、その場合は憲法抵触の可能性が出てくるのかなというような答弁をされているんですね。

 私は、今回、繰り返しのちょっと質問になりますけれども、ISAFのような治安維持あるいは治安支援活動に対して、今回のPKO法の改正をして行う活動、住民保護を含む治安の維持としか今は書いていませんけれども、こういったことを行うことが憲法との関係で本当に問題がないのかどうか、この点について今の考えを、大臣、教えていただけませんでしょうか。

中谷国務大臣 今考えていることでございますが、いわゆる安全確保活動においては、駐留、巡回等によって人の生命身体等の保護等を行うことは想定をいたしておりますが、他方、このような活動を超えて、特定の武装集団を標的とし、戦闘能力そのものの無力化を目的とするような作戦に参加することは考えておりません。

 この大前提は、先ほどお示ししましたが、従来の参加五原則、また、憲法、国際平和協力法の枠内で行われるといった宮沢四原則、こういうものを徹底するということで考えておりまして、現在、法律を検討して取りまとめをいたしておりますが、委員も言われたような、現場の派遣されている隊員の立場とか、現場の状況、また、法律論でありますが、憲法の解釈及び国会の審議、統制、こういうものを踏まえてしっかりとした形で派遣できるようにしてまいりたいと思っております。

玉木委員 終わりますけれども、最後に二つ申し上げたいと思います。

 一つは、ISAFに派遣する、そうすると、テロの相手方の様態によって憲法違反になったりならなかったりするというような答弁は過去にもあります。ですから、その辺の整理を明確にしていただくこと。特に、本当に隊員の生命身体にかかわるようなことについてはしっかりと定めていただくということが一つ。

 もう一つは、私も冒頭申し上げたように、我が国の安全保障環境は激烈に変わっています。ですから、我が国の領土、領空、領海を守ることについては、今まで以上のことに踏み込まなければいけないところがあることは我々も認めます。ただ、我々を守ることと、遠く海外に限られた資源である自衛隊を派遣すること、つまり自衛隊の海外派遣については、私はどちらかというと慎重に考えて、むしろ本当に集中すべきところにさまざまなものを、限られたリソースを集中していくということを、優先順位を持ちながらこの議論をしっかりと進めていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きのうに引き続きまして、きょうも沖縄基地問題等集中ということになっています。

 先ほど翁長県知事と安倍総理との会談が終わったようでありますが、これから理解を深めていく話し合いだというお話もありましたが、安倍首相はまだまだ理解が深まっている様子ではありません。やはり引き続き県民の民意を示していきたいなと思います。

 ただ、対談の中身の中で非常に興味深かったのは、きのうから私は、一九九九年の閣議決定によって稲嶺知事、名護市長は受け入れたんだということについては違うと。翁長知事ははっきり安倍総理に申し上げております。官邸の中とこの委員会で同じ議論をしているなと思って、興味深く感じたところです。

 それで、きのうは、稲嶺知事がどういう経過でL字形案を拒否するに至ったかということをお話ししました。きょうは、では名護市長がどういう経過だったのかということを議論してみたいと思いますが、その議論に入る前に、冒頭、南西地域への自衛隊配備について、委託業者が実施した調査報告書の問題にちょっと絞って質問をいたします。

 中期防に盛り込まれた南西地域への部隊配備にかかわって、防衛省は、二〇一三年九月から昨年三月にかけて、委託業者による候補地選定のための調査を実施いたしました。昨年からその報告書の提出を求めてきましたが、一年が経過した先月になってようやく提出をされました。ところが、報告書の中身は黒塗りばかりであります。

 防衛省に聞きますが、こうした資料の提出になぜ一年もの時間がかかったんですか。

三村政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの調査報告につきましては、現中期防に基づく南西地域における警備部隊の配置に係る検討の資とするため、平成二十五年度に、沖縄県の先島諸島及び鹿児島県の奄美群島の有人島を中心に、既存の文献等の資料をもとに基礎的な調査を実施したものでございます。

 当該調査報告書には、同警備部隊の、現在防衛省内で行っております配置場所の検討段階における未成熟な情報が含まれておりまして、当該部分は、開示により御地元に無用な混乱や臆測を招くおそれがあるため、開示を控える必要があると考えております。

 そのため、当該部分の特定を行う作業を進めていたところでございますが、該当部分が非常に多く分布していたため、提出に所要の時間を要したためでございます。

赤嶺委員 今のお答えですと、黒塗りをするために時間がかかった。一年もかかるんですか。そんな、説明になっていないですよ。全然理解を得られるものではないと思います。

 全く黒塗りなんです。この黒塗りばかりの中から、その報告書を、私たち日本共産党として、八重山郡委員会という郡委員会がありますが、わずかに開示された記述から候補地を推定して、今月の八日にその結果を公表いたしました。

 石垣市内の七地区が候補地として挙げられています。その中には、あかんまというサッカーパーク周辺も入っています。昨年二月に琉球新報が候補地の一つとして報道し、それに対して防衛省が、事実に反するとして、同社と新聞協会に抗議の申し入れを行った経緯があります。

 昨年四月の本委員会で、私のお隣におられます当時の小野寺防衛大臣は、あかんまについて、委託業者から来た報告書においては適地エリアには含まれていないと答弁いたしました。しかし、報告書を見ると、あかんまかその周辺地区ではないかと思わざるを得ない場所があるわけですが、その点、いかがですか。

三村政府参考人 本調査業務は、既存の文献等の資料から得られます地積、自然条件、インフラの整備状況等の客観的な事実に基づき、一定条件を満足する土地を委託業者から提示させたものでございます。また、これは、現在行っております南西諸島への警備部隊の配置に係る検討の資とするためのものでございます。

 検討段階におきます具体的な地名について言及することにつきましては、先ほども申し上げたことの繰り返しとなって恐縮でございますが、地元において無用な混乱や臆測を招くおそれがあることから差し控えをさせていただいているところでございますが、経緯もあり、あえて申し上げますと、委託業者からの報告書においてサッカーパークあかんまは候補地に含まれておりません。

赤嶺委員 候補地としては挙げられていないということですか。小野寺元防衛大臣は、適地エリアではないという答弁ですが、その答弁とちょっと違いますけれども、本当に報告書の中には候補地として一切挙げられていないということでいいですか。

三村政府参考人 具体的な地名の記載の有無につきましては、まことに恐縮でございますけれども、お答えすることを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、あえて申し上げますが、委託業者からの報告書においてサッカーパークあかんまは候補地として含まれておりません。

赤嶺委員 今の説明ですけれども、その黒塗りだらけの皆さんの報告書の具体的な記述を、土地の人が見るとわかるんですよ。全域において造成は容易であり、上下水道などのインフラ設備も整っている、現時点での情報から評価すると、適地エリアは施設の設置には比較的、好条件の立地であると考えられる、ただし、地域住民の利用施設が大部分を占めているため、開発を行う場合には代償施設の整備などの配慮が必要である、こう述べております。

 好条件の立地と書いてあるわけです。地域住民の利用施設が大部分を占めているという記述もサッカーパークのことを指しているとしか思えません。あの石垣島でそういう利用施設という場合には非常に限定されてきますので、サッカーパークのことを指している。

 その対象地に含まれていないという非常に否定的な答弁を行っていますけれども、今私が挙げた具体的な記述との関係、これは記述はあるんです、その関係、そこから見ても、あかんまではないということをどうやって説明するんでしょうか。

三村政府参考人 繰り返しの答弁で本当に恐縮でございますけれども、検討段階におきまして具体的な地名の有無について言及することは、地元において無用な混乱や臆測を招くおそれがあることから差し控えさせていただきたいと存じます。

赤嶺委員 一年かかって黒塗りの作業を防衛省がやる、そして、自分たちは黒塗りの報告書を示して、マスコミがいろいろな取材ルートを通じて取材して記事を書いたら、これはけしからぬと。これは言論に対する抑圧ですよ。

 やはりどこから見ても、あの報告書を読んでいて、それはあかんまパーク以外にないと推定される場所が書かれているわけですから、その点について、いや違うんだと本当におっしゃるのであれば、全部黒塗りを解いて、そのあかんまパークの私たちが言っている部分、これは実はあかんまパークではないよということを示していただきたいと思います。

 防衛省の言論に対する圧力は、これはとても見逃せない、そういうやり方だった、戒めるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 それで、きのうに続いて、普天間基地問題にかかわって、九九年、平成十一年、沖縄県知事と名護市長の受け入れ表明、その後の政府の対応について質問をいたします。

 きのうは、受け入れの条件だった十五年使用期限が米軍再編でほごにされた経緯を取り上げました。稲嶺知事がそこから、これにはもう賛成できないということになったわけです。

 岸本市長も閣議決定を受け入れる際にいろいろな条件を挙げました。十五年使用期限も同じですが、岸本市長は、それに加えて基地の使用協定、これも挙げました。九九年十二月の岸本市長の受け入れ表明では、多くの前提条件が必要とした上で、基本的には住民生活に著しい影響を及ぼさないことであり、それを保障するものとして、日本政府と名護市が基地の使用協定を締結することを挙げておりました。

 そこで、中谷防衛大臣に伺いますが、その後、二〇〇二年、平成十四年七月二十九日付で、代替施設の使用協定に係る基本合意書が結ばれております。当時の尾身沖縄担当大臣、それから中谷防衛庁長官、川口外務大臣、稲嶺沖縄県知事、岸本名護市長が名前を連ねております。中谷大臣はそれを覚えておりますよね。

中谷国務大臣 平成十四年七月、総理官邸でそのサインをいたしましたことをはっきりと覚えております。

赤嶺委員 合意書にはこのように書かれています。「代替施設がキャンプ・シュワブ水域内とはいえ新たに建設されることから、安全性、騒音及び環境への影響等住民生活への影響を最小限に抑えることを目的として締結する」、こう述べまして、具体的な内容も挙げられております。

 まず、場周・飛行経路の設定が挙げられています。実は、これは大変重要な点でありまして、現行計画の環境アセス評価書では、今政府が盛んに海上の場周経路を飛びますからということを説明しておりますが、それを強調しているんですけれども、そこからほかの基地や訓練場に向かう際の飛行経路は示されておりません。岸本市長はそこも要求しておりました。

 それから、代替施設近傍の高度の規制、飛行時間の規制、日曜日等における飛行規制、場周経路内の航空機数の規制、曲技飛行の規制、エンジンテスト時間の規制など、さまざまな措置が明記されています。

 使用協定の締結時期については、アメリカ側と、協定の内容について日米合同委員会等で合意を得て、「工事着手までに代替施設の使用に係る措置の内容を明確にし、供用開始までに締結する。」となっております。

 工事着手までに使用協定の内容を明確にするというのが地元との合意内容ですが、既に昨年の七月に飛行場本体の関連工事に着手し、この夏には護岸工事に着手しようとしています。

 中谷大臣がよく覚えていらっしゃるこの使用協定、どうなったんですか。

中谷国務大臣 岸本市長は、政府と地元との調整に精力的に対応していただきまして、平成十四年の七月の協議会でその協定に至ったわけでございますが、残念ながら、平成十七年の十月の2プラス2の発表でL字案合意を前に、岸本市長は三選出馬の断念を表明されまして、その直後の平成十八年三月に、残念ながら六十二歳で急逝をされたわけでございます。

 しかしながら、その遺志を継ぎまして、翌四月に、島袋名護市長と額賀防衛庁長官との間で在沖米軍再編に係る基本確認書が締結をされまして、五月の2プラス2で現行のV字案が承認をされました。その後、八月以降、政権交代まで、普天間飛行場の移設に係る措置に関する協議会におきまして、政府と県また関係自治体と、代替施設の建設計画、また環境影響評価手続、普天間飛行場の危険性の除去等について協議を重ねていったということでございます。

赤嶺委員 岸本市長は米軍再編直前に亡くなられた。しかし、名護市長として中谷大臣と使用協定を結んだわけですね。行政の継続が必要であります。

 工事開始までには日米間でその協定の中身を明らかにする、飛行経路も含めてとあったのは、それはどうなったんですかということですよ。今、どうしようとしているんですか。

中谷国務大臣 使用協定を代替施設の供用開始までに締結することについては、現在のV字案に関して額賀防衛庁長官と島袋市長が平成十八年に交わした基本合意書に盛り込まれている点などを総合的に勘案して、米国を初め相手のあることでありますが、適切に対応する考えでございます。

 他方、現在の稲嶺名護市長が普天間飛行場の県外移設を強く主張されていることは承知しておりますので、まずは、キャンプ・シュワブへの移設について一層理解を求めて、普天間飛行場の代替施設とその使用協定の必要性について考えを共有して、環境を整えた上で、使用協定の話を進めていくべきだと考えております。

赤嶺委員 新しく島袋市長が額賀防衛庁長官と結んだのには、使用協定のかけらもないんですね。岸本市長も亡くなる直前まで、いわゆるV字形には賛成するなということをずっと言い続けていたわけですよ。ちなみに、V字形に賛成した首長、知事は全部次の選挙で落選しています。

 つまり、皆さんが言う、十九年前に日米間で合意し、十六年前には知事も市長もそれを受け入れた閣議決定、これはきょうも翁長知事が総理に対して申し上げているんですが、二〇〇六年、平成十八年にその閣議決定は廃止された。廃止して、沖縄側との協議が調わなかった問題をあえて今持ち出して、十六年前から沖縄は賛成していたんだというような主張は通らない。そういう主張を政府がやっていて、沖縄から理解を得られるはずがない。

 沖縄の民意はSACO合意からいろいろな経過を通してやはり沖縄の基地の削減、縮小という場合に、県内たらい回し、県内移設するやり方は間違っているんだ、ここの見直しをしなければ、沖縄の基地負担の軽減はあり得ないということでありますから、私は、改めて強く辺野古の新基地建設のボーリング調査の工事のストップを求めて、質問を終わりたいと思います。

北村委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 きょうは、外務大臣にお聞きをしたいと思います。

 外務大臣は、去る二月七日、新潟市在住の杉本祐一さんに対して一般旅券返納命令を発付し、杉本さんは旅券返納に応じました。

 私は、この大臣による杉本さんに対する旅券返納命令は、憲法二十二条の居住、移転の自由及び旅券法第十九条四号との関連で大変に重要な問題点をはらんでいると指摘しておきます。

 ところで、杉本さんが去る三月二十日、改めてパスポートの発給申請をしたところ、シリアとイラクへの渡航を除く地域限定のパスポートが発給されたと聞き及んでおります。

 大臣に伺いますが、地域限定のパスポートは、旅券法十三条に言う刑事公判中の者あるいは執行猶予中の者を除き、一般国民で杉本さん以外にも発給されたことがあるんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、杉本氏からの新たな旅券の発給申請に対しまして、四月九日、渡航先をイラク及びシリアを除く全ての国または地域とする一般旅券を発給いたしました。

 そして、これまで、本人の生命または身体を保護する目的で旅券返納を命じたことはこの杉本氏のケース以外はありませんので、杉本氏と同様の事案で旅券の渡航先や有効期限を限定した一般旅券を発給したことはありませんが、ただ、いわゆる限定旅券としましては、旅券の発給申請者が訴追または執行猶予を受けている場合等に発給されるものであり、例えば、平成二十六年には六百七十六件、限定旅券を発行しております。

照屋委員 大臣、私は、発給条件を制限される旅券法の規定はわかっていますよ。だけれども、今回のように、シリア、イラクを除く、こういう地域限定の発給というのは恐らく杉本さんが初めてでしょう。

 私がこの問題にこだわるのは、かつて沖縄は、二十七年間、アメリカのパスポートがなければ東京にも大阪にも行けなかった。そういう時代があった。私自身も体験をしております。

 それで、憲法の居住、移転の自由、渡航の自由というのは、かつて経済的な自由権の立場で議論されていましたが、今や、人身の自由、表現の自由あるいは人格形成の自由との関連で非常に重要な問題だから私は聞いたの。

 さて、大臣、いわゆるイスラム国によって殺害をされたジャーナリスト後藤健二さん、あるいは湯川遥菜さんの遺骨がいまだ遺族のもとに帰還しておりません。御遺族は遺骨の帰還を強く願っているようです。

 去る二月二十七日の記者会見で、菅官房長官も、政府も後藤さんの遺体は何としても探し求めて御遺族にお返ししたい気持ちがある、最大限努力はしたいと述べております。

 私は、他国で殺害された日本人の遺骨を帰還させる交渉は政府の仕事であると考えます。外務省は、この間、後藤健二さん、湯川遥菜さんの遺骨返還交渉をどのように進めてきたんでしょう。

岸田国務大臣 ISILの活動地域は極めて危険であることから、極めて厳しい状況ではありますが、日本政府としましては、お二人の御遺体について、御遺族のもとに返還できればよいという強い思いの中で、現地対策本部を中心に情報収集に最大限努めているところであります。

 御指摘のように、日本政府として、御遺体を御遺族のもとに返還するために、現地対策本部につきましても今日までしっかり引き続き維持をし、こうした課題に取り組んでおります。

 ぜひ、情報収集等、全力を尽くし、結果を出すよう引き続き努力をしていきたいと考えます。

照屋委員 ぜひ、私は、外務省、最大の努力を尽くして、御遺体が遺族に返還できるように頑張っていただきたいと思います。

 さて、昨年十月二十日、日米地位協定の環境補足協定に実質合意したとの日米共同報道発表、いわば中間報告が発出されました。それ以降、具体的な日米間の動きがありませんが、環境補足協定の正式署名の時期はいつごろになりましょうか。また、今月二十七日にワシントンで開催予定の2プラス2で同問題は議題に上がるんでしょうか。岸田大臣に尋ねます。

岸田国務大臣 日米地位協定の環境補足協定につきましては、昨年十月に、日米両国のまたは国際的な環境基準のうち、より厳しいものを採用する米側の基準の発出、維持、さらには、文化財調査を含む返還予定地の現地調査や環境事故の際の調査のための立ち入り手続の作成、維持といった規定を明確な形で含む協定の案文について、米側と実質合意に至った次第です。

 現時点で具体的な署名時期は未定でありますが、協定のもとで作成する、施設・区域への立ち入りのための手続を定める文書等の協議を行っているところであり、引き続き作業を進めていきたいと思います。

 そして、お尋ねの、2プラス2においてこれが議論されるのかという御質問でありますが、まず、2プラス2自体、具体的な日程等も今調整中であります。よって、内容についても引き続き調整をしておりますので、今この場で内容について申し上げるのは控えたいと思いますが、先日、カーター米国防長官が来日した際に、これは四月の八日のことですが、私、お会いさせていただいた際に、双方で、日米地位協定の環境補足協定の早期署名に向けて協力していく、こういった点では一致をした次第であります。

 ぜひ、引き続きまして早期署名に向けて努力をしていきたいと考えます。

照屋委員 大臣に、釈迦に説法になりますが、沖縄の基地問題というのは、決して安全保障の問題だけじゃないんです。沖縄の基地問題は、極めて大きな環境問題なんです。だから、そういう点では、ぜひ環境補足協定が一日も早く日米間で署名できるように私は大臣に頑張ってもらいたい。これは、多くの県民、多くの自治体から強い希望があるんだ。

 さて、岸田大臣、四月から沖縄県がワシントン事務所を開設し、駐在員に、在沖米総領事館勤務経験を持つ平安山英雄氏が起用されました。岸田外務大臣は、沖縄県のワシントン事務所設置をどのように受けとめておられますか。

岸田国務大臣 沖縄県がワシントンに駐在事務所を開設する準備を進めていることは承知をしております。ただ、外務省として、同事務所が担う役割など詳細を承知しているわけではありませんので、コメントすることは控えたいと存じます。

 一般論として申し上げるならば、外交は政府の責任において行うべきものであるということは言うまでもありません。

 ただ、同時に、地方自治体が、国際交流や経済交流の取り組みを幅広く行うことを目的として、海外に駐在事務所を置くことはあると承知をしております。

 一般論としてそのように承知はしておりますが、ただ、先ほど申し上げましたように、今回の沖縄県のワシントン駐在事務所については、詳細、把握しておりませんので、コメントは控えたいと存じます。

照屋委員 大臣がおっしゃるように、それは外交は国の専管事項でしょう。しかし、そういう中にあっても、今や自治体としていわゆる自治体外交をする中で、特に沖縄は膨大な米軍基地を抱えているわけですから、そういう意味で、私は、ワシントン事務所を設置する意義も大いにあるし、大臣に申し上げたいのは、わざわざ沖縄から行っているんだから、さまざまな便宜供与はいいけれども、少なくともいじめるようなことはしないでください。よろしくお願いします。

 さて次に、大臣、沖縄県が再三再四にわたって、外務省を通じて、例の岩礁破砕許可区域外でのサンゴ礁破壊の実態調査をしたい、したがって米軍に立ち入りを認めるように働きかけてくれとお願いしておりますが、現段階でどうなのでしょう。

鈴木政府参考人 事実関係について御説明いたします。

 三月十九日付の沖縄県から米軍に対するキャンプ・シュワブへの立ち入り許可申請につきましては、御指摘のとおり、外務省より米側に申請を伝えておりますが、現在、米側においてその可否を検討中であるというふうに承知をしております。

照屋委員 中谷防衛大臣にも、このことだけはぜひ聞いておきたいのがございます。それは、先ほどの赤嶺委員の質問とも関連します。

 そして、きょうの安倍総理と翁長知事との会談における知事の発言、地元紙の電子版号外で私は発言内容を確認しました。

 それに関連して、中谷防衛大臣は、大臣就任後、普天間飛行場の辺野古への移設が唯一の解決策であると繰り返し述べております。

 その発言の中で、一九九六年の日米合意や、一九九九年当時の稲嶺沖縄県知事、岸本名護市長が十五年使用期限、軍民共用化、基地使用協定などを条件に受け入れを表明し、かかる沖縄県と名護市の意向を受けて閣議決定したことを根拠に、しきりにそれを強調しているが、ところが、大臣の言う一九九九年十二月二十八日に閣議決定の普天間飛行場の移設に係る政府方針は、二〇〇六年五月三十日の閣議で廃止決定されたのではありませんか。

 中谷大臣、閣議決定、閣僚の一人が廃止があったということを素直に私は認めた方がいいと思うんだ。それを認めないままに大臣の発言が繰り返されるのは、私は誤った世論誘導であり、欺瞞以外の何物でもないと思いますが、お答えください。

北村委員長 あらかじめ申し合わせの時刻が来ておりますので、大臣、簡潔に願います。

中谷国務大臣 改めて申し上げますが、確かに閣議決定で廃止になったのは事実でございますし、当時の稲嶺知事もいわゆるV字案には反対であるということは発言されたわけでございます。

 二〇〇六年の五月十一日に沖縄米軍再編に関する基本確認書がありまして、これは当時の防衛庁長官の額賀福志郎さんと沖縄県知事の稲嶺知事でございますが、この中に、防衛庁と沖縄県は、平成十八年五月一日に日米安全保障協議委員会において承認された政府案を基本として、普天間飛行場の危険性の除去、周辺の住民の生活の安全、自然環境の保全、同事業の実行可能性に留意して対応することに合意をするということがございます。

 いわば2プラス2の政府案を基本として対応することに合意するということで、当然、受け入れは反対であるということは知事さんも申されましたが、その後、地元の島袋市長さんに受け入れを同意していただいて、協議会において話し合いも続行されておりますし、また県との間の話し合いも続きましたので、私が言っている原点は、この基本確認書で政府案を基本として対応することに合意するということで、反対であることは承知しておりますが、話し合いが続けられてきたということでございます。

照屋委員 大臣、今の答弁は遅きに失したけれども、正直でいいと思います。廃止されたんです、廃止された。

     ――――◇―――――

北村委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。中谷防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中谷国務大臣 ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 防衛省の所掌事務をより効果的かつ効率的に遂行し得る体制を整備するため、防衛装備庁の新設、技術研究本部及び装備施設本部の廃止、内部部局の所掌事務に関する規定の整備、自衛官定数の変更、航空自衛隊の航空総隊の改編等の措置を講じる必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省設置法の一部改正について御説明いたします。

 第一に、平成二十七年度に実施する防衛省改革の主な事業として、統合運用機能の強化、内部部局の改編、防衛装備庁の新設を行うこととしており、これらに必要な措置として、防衛装備庁の設置、任務、所掌事務を新たに規定するとともに、統合幕僚監部の所掌事務、内部部局の所掌事務についても所要の規定の整備を行うこととしております。

 第二に、防衛装備庁の新設、自衛隊の部隊の改編等に伴い、自衛官の定数を変更することとしております。

 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。

 第一に、南西地域における防空体制の充実のため、航空自衛隊の那覇基地に第九航空団を新編することとしております。

 第二に、防衛装備庁の新設に伴い、同庁の職員である隊員の任用等は、幹部隊員及び自衛官を除いて、防衛装備庁長官またはその委任を受けた者が行うこととする等の所要の規定の整備を行うこととしております。

 第三に、自衛隊の部隊の改編にあわせ、即応予備自衛官の員数を変更することとしております。

 最後に、自衛隊員倫理法の一部改正について御説明いたします。

 これは、防衛装備庁の新設に伴う所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

北村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.