衆議院

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第9号 平成27年4月24日(金曜日)

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平成二十七年四月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北村 誠吾君

   理事 小野寺五典君 理事 門山 宏哲君

   理事 金子万寿夫君 理事 新藤 義孝君

   理事 武田 良太君 理事 大串 博志君

   理事 下地 幹郎君 理事 佐藤 茂樹君

      今津  寛君    江渡 聡徳君

      小田原 潔君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    大見  正君

      木原 誠二君    木原  稔君

      小林 史明君    今野 智博君

      笹川 博義君    中谷 真一君

      中村 裕之君    野中  厚君

      浜田 靖一君    原田 憲治君

      堀内 詔子君    前川  恵君

      武藤 貴也君    小川 淳也君

      緒方林太郎君    玉木雄一郎君

      津村 啓介君    篠原  豪君

      吉村 洋文君    伊佐 進一君

      赤嶺 政賢君    照屋 寛徳君

    …………………………………

   防衛大臣         中谷  元君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   防衛副大臣        左藤  章君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  蔵持 京治君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鈴木 秀生君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   引原  毅君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 外園 博一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     堀内 詔子君

  笹川 博義君     小林 史明君

  野中  厚君     前川  恵君

  武藤 貴也君     大見  正君

  玉木雄一郎君     緒方林太郎君

  柿沢 未途君     篠原  豪君

同日

 辞任         補欠選任

  大見  正君     武藤 貴也君

  小林 史明君     中村 裕之君

  堀内 詔子君     木原 誠二君

  前川  恵君     野中  厚君

  緒方林太郎君     玉木雄一郎君

  篠原  豪君     柿沢 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     今野 智博君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     笹川 博義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎重孝君、内閣官房内閣参事官蔵持京治君、警察庁警備局長高橋清孝君、外務省大臣官房参事官鈴木秀生君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長引原毅君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房技術監外園博一君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君、防衛省運用企画局長深山延暁君、防衛省人事教育局長真部朗君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川淳也君。

小川委員 おはようございます。

 早速ですが、質疑に入らせていただきたいと思います。

 大臣には、一番最初に着席をされておりまして、頭の下がる思いでございます。

 まず、さらに一昼夜たちましたので、ドローンの官邸屋上墜落事案についてお尋ねをさせていただきます。もし、続報や、その後明らかになったことがあれば、この場で御説明いただきたいと思います。

 念のため、防衛大臣のお耳には、危機管理上、墜落を確認後どの時点でお耳に入ったのか、まずその点をお聞きしておきます。

中谷国務大臣 私は、おととい二十二日、防衛省内で執務中でございましたが、午前十一時四十八分、本事案についての第一報を受けております。

小川委員 ほぼ山谷大臣と同時刻ということで承りたいと思います。

 加藤副長官、ありがとうございます。では、官邸にお尋ねしたいと思います。

 これは、昨日の報道等によりますと、墜落がいつだかまずわからない、しかし機材には雨水がたまっていたというような報道もあります。恐らく、一昼夜含めて、相当長時間あの場に放置されていた可能性があると思いますが、職員の方の見回りで見つけたということは、ほぼ偶然見つけたというに等しい状況ではないかと想像いたしますが、その点、いかがですか。

加藤内閣官房副長官 官邸の警備にかかわるお話でございますから、具体的なことはコメントを控えたいと思いますが、ただ、今お話がありましたように、四月二十二日の午前十時二十七分に官邸の屋上にドローンと思われるものがあることを職員が発見したということは、そのとおりでございます。

小川委員 官邸の警備にかかわるというのは非常に便利な言い回しでありまして、お答え、詳細にできかねる部分は確かにあろうかと思います。しかし、屋根の上に何らかの異常な事態があったことを恐らく知らずに相当時間を経過したことは間違いないわけでありまして、その点は改めて、今から急いで御検討されるということだと思いますが、官邸の警備にかかわることなので申し上げられないというのは非常に便利な言い回しだということを改めて指摘しておきたいと思います。

 その上で、二、三お尋ねいたします。

 その時間帯なんですが、私どもも、例えば外部から来られたお客様の御案内で国会周辺にいたり、あるいはその道すがら官邸周辺を歩いたりということがございましたし、そうした方々はたくさんいらっしゃいました。

 最悪の事態を想定すればでありますが、大変攻撃力の強い爆発物である可能性もなかったとは言えない、あるいは、放射能、放射線の強さについても、報道されているレベルであれば直ちに人体に影響ということはないかもしれませんが、それもその限りだということはその時点では直ちに判明していない。ということからすれば、官邸の周辺、これは政府、国家機関、多々ございます、それから民間のオフィス、場合によっては住宅、そして行き来する人たち、こういった方々に対して注意喚起する、お知らせをするということは必要だったのではないかと思いますが、その点はいかがですか、危機管理上。

加藤内閣官房副長官 今御指摘のように、いろいろな意味で国民の皆さんにいろいろ周知していくことは重要だろうというふうに思いますが、本件については、先ほど申し上げた、官邸職員が発見をし、警察に対し事案の通報を行い、警察が直ちにいろいろと調査をしたわけでありまして、その中の形状や置かれている状況を総合的に判断して、警察において、今申し上げた周辺への注意喚起が必要な段階にはないと判断したというふうに承知をしております。

小川委員 今回、結果的には、恐らくその判断の範疇におさまる事案だったんだと思いますが、事と次第によっては、直ちに周辺に対するさまざまな注意喚起、あるいは場合によっては避難の勧告等々、そういった事態まで想定し得る、今後を含めて、そういう事案であったということを改めて認識を共有させていただきたい、指摘をしたいと思います。

 国交省にお越しをいただいております。

 現在、無人空中飛行物体ということに対しては、余りルール化されていない、あるいは規制が及んでいないということかと思います。現状、航空機の飛行の安全という観点からはさまざまなルールがあるというふうにお聞きをしておりますが、それと、今回の事案、例えば官邸を含めた政府の建物の近辺、あるいは皇居周辺、あるいは原発周辺の安全を確保するという意味での空の規制はほとんど皆無だと思いますが、この点をまず確認したいと思います。

うえの大臣政務官 お答えします。

 いわゆる小型無人機につきましては、現行の航空法におきましては模型航空機と扱われておりまして、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある場合を除きまして、その飛行につきましては特段の規制はございません。

小川委員 空港周辺で二百五十メートルですか、それ以上上げてはいけないという規制は辛うじてある。しかも、空港周辺なり航路周辺ということですよね。ですから、今回の事案を踏まえて新たなルールづくりを研究されるんだと思いますが、全く違った観点から規制なりルール化を検討しなければならない。

 これはどこが担当するんですか、政府機関の建物の周辺の安全、危機管理、あるいは原発、皇居周辺。きのう少し事務的にやりとりした中では、まさに国交省と官邸サイドが、いや、うちじゃない、うちじゃない、うちにはできないというようなことを少し事務的にやりとりする一面がありました。それは政府内でやってくださいというふうに申し上げたんですが。

 関係閣僚会議を設置されるということも報道でお聞きしております。どこが責任を持ってこの観点からの規制、ルールづくりを進めていかれるのか、その点を確認させてください。

加藤内閣官房副長官 今国交省からございましたように、ドローンを初めとする小型無人機については、既に航空法を所管する国土交通省において運用ルールの策定等の検討を進めていただいていたところでありますが、今回の事案を受けまして、関係行政機関の相互の緊密な連携を確保し、総合的な効果的な取り組みを推進するということで、きょうの午後二時半から予定しておりますが、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議を開催したいと思っておりまして、この会議を中心に、それぞれ所管がございますから、それぞれの所管を踏まえ、首相官邸を含む重要施設の警備体制という意味での検証、見直し、また小型無人機の運用ルールの策定、さらには制度の見直しということについて、政府一丸となって取り組んでいきたいと思っております。

小川委員 政府一丸は当然だと思います。どこが責任を持って、主管課として、主管担当部局として、このかつて経験したことのない、研究したことのない切り口で空の規制をする、どこが主に責任を担うんですか、それをお聞きしています。

加藤内閣官房副長官 今回の事案というのは大きく分けて二つあるんだと思うんですね。このドローンというものに対する規制というものと、さらに、官邸、あるいは国会もそうかもしれません、そういう重要施設をどう警備するのかという視点もある。さらに、ほかの視点もあるかと思いますけれども。

 それは、それぞれ所管がございますから、その所管がそれぞれの仕事をする上において、また関係省庁ともよく連携をとって対応していく、こういうことになろうと思います。

小川委員 官邸の警備上のことですから言えないにしても、あるいは関係省庁連携にしても、通りはいいんですよ。しかし、非常に便利な言い回しであるがゆえに、その責任の所在なりあるいは実効性なりという観点からすれば甚だ疑問の多い御答弁であります。これはまだ起きて間がない事案でありますので少し経過も見守りたいとは思いますが、改めて、責任の所在、そして実効性ある対応、こちらをお願いしておきたいと思います。

 それでは、防衛省設置法の改正案についてお尋ねをいたしますので、副長官、うえの政務官、どうぞ御退室いただいて結構です。ありがとうございました。

 では、中谷大臣にお尋ねをいたします。

 まず、この設置法の改正案、非常に主要な論点は文民統制のあり方だろうと思います。大臣のこの間の御主張、御答弁あるいは会見対応等を拝見いたしますと、特に十二条を中心とした今回の改正は何ら文民統制そのものに影響を及ぼすものではないし、あるいは、過去、内閣総理大臣を初めとしたしかるべき立場にある方々がこの点に関して発言をしてこられた経緯があります。そこには文官統制という言葉が間々登場をいたします。この意義等について、歴史的な経過も含めて、お認めになることに対して非常に消極的であるという印象を受けます。

 そこで、まずお尋ねしたいと思いますが、過去、日本の特殊な歴史に鑑みて、確かに文民統制とは、国民の代表たる政治家、防衛大臣、内閣総理大臣を中心とする文民がしっかりと軍事を掌握、統制し、優先順位を間違えないようにということに真髄があると思います。それは過去も今も変わらないと思います。しかし、事日本の特殊な歴史、戦前の大変残念な歴史、そしてその後、非常にイレギュラーな形で再軍備を整えてきた歴史等に鑑みれば、一定程度この文官統制という言葉が、非常にイレギュラーな形とはいえ、日本社会、日本の軍政、軍事行政の中で取り入れられてきたということをむしろ正面からお認めになった方が、今回の議論、非常に素直に受けとめられますし、建設的だと思いますが、大臣、まずその点をお聞きしたいと思います。

中谷国務大臣 二月二十七日のあの記者会見の中でも申し上げましたけれども、終戦までの経緯に対する反省に基づいてつくられた制度は、文官統制ではなくて文民統制の制度でございます。

 我が国の文民制度というのは、国会における統制、内閣における統制、防衛省における統制がありまして、そのうち、防衛省における統制というのは、文民である防衛大臣が自衛隊を管理運営する統制ということを指すものでございます。

 文民統制における内部部局の文官の役割は、この法案の条文でも明らかなように、防衛大臣を補佐することでありまして、防衛大臣による文民統制を助けるものとして重要な役割を果たしておりますが、政府として文官が部隊を統制するなどの文官統制という考え方はとっておりませんし、この日の記者会見におきましても、この旨を私から繰り返しお答えしたところでございます。

小川委員 文官の方々が大臣その他、特に政務のメンバーをしっかりと補佐することによってシビリアンコントロールに実効性を持たせるというところに対しては、私どもも全く異論を挟むものではありません。そのとおりだと思います。おっしゃるように、シビリアンコントロールの本質、本義は、大臣が御説明になられたとおり、その点も賛同いたしております。

 しかし、過去、内閣総理大臣初め、それこそしかるべき方々が答弁になってこられた経緯、これに対しては一定程度、現防衛大臣としても敬意を払うべきではないかと思います。

 例えば、もう既に政府統一見解で引用された御答弁、これも多々ございます。佐藤総理、それから竹下総理初め、防衛庁内部における文官統制が制度として確立をされている、確かに、制服組の上に立つとか偉そうな顔をするとか、そういうことではないということもつけ加えられているようでありますが、国会による統制、内閣による統制、防衛大臣による統制、これをサポートする形で文官がしっかりとコントロールをしていくんだ、関与していくんだということは再三にわたって答弁されているわけであります。

 その点は、改めて、まずお認めをいただきたい。何度も申し上げますが、お認めをいただきたい。そこから今回の議論は出発するのではないかと思います。それを否定されると、もともと十二条は何のための規定だったのか、そして、なぜ今回改正するのか、その点すら焦点が極めて曖昧になると思います。

 大臣、まず、大臣がお答えになった先般の記者会見、二月二十七日の記者会見のところから参りたいと思います。

 記者の方の質問に対して、この十二条の規定、また、運用企画局の存在等について、旧憲法下で軍部が独走してしまった反省から先輩たちの政治家がつくったというふうに大臣はお考えでしょうか。これは大臣は、そう考えていない、思わないという答弁を繰り返しておられますが、やはり、この文官統制の規定、十二条の規定、そもそも戦前の軍部の独走に対する反省から生まれてきたものではありませんか。その点、まず、いま一度お認めをいただけませんか。

中谷国務大臣 私も過去の答弁を繰り返し読んでみました。何度読んでも、終戦までの経緯に対する反省に基づいてつくられた制度というのは、文官統制ではなくて文民統制の制度でございます。

 そこで、防衛省における統制というのは、文民である防衛大臣が自衛隊を管理運営し、統制するということで、文官の役割というのは防衛大臣を補佐するということでありまして、この点、政策的見地からの補佐というのは文官が行います。

 ですから、答弁を読みましても、政策的見地からの補佐であるということでございまして、結果的に、全ての答弁も拝読をいたしましたが、いずれの答弁も、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると理解をされておりまして、この十二条と文民統制につきましての政府の考え方というのは最初から一致をしている。

 というのは、保安庁の制定時に大橋大臣も、防衛庁設置法制定時に木村大臣も、政治が軍事に優先して大臣が指揮監督を行う旨、また、内部部局の局長等は自衛官と並んで大臣補佐をするものであるという旨を答弁しているからでございます。

小川委員 その本質については、何度も申し上げているとおり、そのとおりだと思います。

 しかし、戦前の特殊な経緯に鑑みて、一定程度、内局にある事務官が、人事や政策や予算を通して積極的関与、そして、大臣を初めとした政務と幕僚の制服組との間に立つ形でさまざまな調整業務に奔走している。そのことが、ひいては、制服組の独走なり、場合によっては暴走のようなものを抑止することにつながっているという趣旨の答弁は、過去繰り返されているわけであります。

 その意義を一定認めた上で、私は、過去の答弁を見てまいりますと、特に昭和四十年代、五十年代ぐらいまで、あるいは六十年代ぐらいまでですか、竹下総理のころまでは、内局によるコントロール、内局による統制というのは非常に肯定的に、積極的に表明されているんです。シビリアンコントロールを担保する、あくまで一つの要素としてですよ、一つの機能としてです。

 ところが、平成十年の久間大臣、それから平成二十年の石破大臣、このあたりから少し雰囲気が変わってくるんですね。

 ですから、それは恐らく、再三申し上げますが、歴史的経緯で、日本社会には、それは政府内部においても、軍部とか軍人に対する警戒心やあるいは猜疑心のようなものが非常に色濃くあったんだと思います。だから、政治家による統制に加えて、内局、事務官による積極的な関与を肯定的なイメージで捉えてきた。これは昭和四十年代、五十年代、六十年代まではそうだったんだと思います。

 現に、事務次官や官房長を初めとした内局の幹部は、防衛省生え抜きというよりも、むしろ内務官僚や大蔵官僚や、そういった方々が占めるということも多々ありました。私自身も、なぜ先輩方が、この防衛省という、またちょっと畑の違うところで大幹部を務めているんだろうということを率直に疑問に思ったことも実際あったんです。そういう歴史的経過の中で防衛省内の事務、政策、運用の遂行は行われてきた。

 しかし、平成十年、二十年、やがては防衛参事官という過去あった制度も廃止されるわけでありまして、特に近年そうだと思いますが、制服組とか軍部とか、あるいは軍人とかいうものに対する少しアレルギー的な反応は、日本社会においては極めて少なくなってきている。それは裏を返せば、自衛隊、自衛官の皆さんの献身的な貢献であり、誠意ある努力であり、そういったものが内外の情勢変化と相まって、非常に国民の信頼と期待をかち得てきた歴史でもある。

 そのことは、むしろ、大臣、真っ正面から評価されて、過去こういう概念、過去こういう観念が日本社会、政府内外にあったかもしれない。それは当時の時代背景下においては一定の機能を果たしていた面がある。しかし、時代は変わってきた。より大きな信任、期待、信頼をかち取ってきた歴史でもあった。したがって、防衛参事官制度の廃止、そして今回、歴史的な経緯のある十二条の改正を含めて、きちんと、本当の意味で制服組とそして内局が両輪として、大臣がよくおっしゃる両輪として並立の関係に立って、しっかりと大臣初めとした文民を支えていくんだ。法的にも、実務に照らして、また世情に合わせて、本当にあるべき姿、望ましい姿にむしろ変えていくんだという文脈で御答弁になられた方が、極めて歴史に即した、理解しやすい今回の改正の趣旨に当たるのではありませんか。

 重ねてのお尋ねになりますが、今私が申し上げたことを御理解いただけるかどうか、御答弁いただきたいと思います。

中谷国務大臣 シビリアンコントロールという意味は政治が軍事に優先するということでありまして、自衛隊の発足当時からこの主体は防衛大臣、防衛庁長官であって、それを補佐するという意味で、政策的補佐におきましては内局、文官が、そして軍事的専門家の補佐としては統幕がということで位置づけをしまして、ずっと一貫してこれは守られてきたと思っております。

 過去の答弁を読みましても、中曽根防衛庁長官が、昭和四十五年の五月十二日ですけれども、「国家公務員相互においてせびろが制服に優越するということではない。」「文民優位とは政治家や、あるいは国民の代表である国会が軍事を掌握することである」と答弁をいたしたり、また、「文民優位とは政治優位であると考えておりまして、私たち政治家の責任においてこの問題は推進してまいりたい」。

 要は、責任がとれるというのは政治家でしかないんですね。官僚とか自衛官はやはり補佐をするということでございまして、いずれの答弁を読みましても、例えば、重要政策決定は長官を補佐するとか、また政策決定におきましては内局が補佐をするとか、また防衛行政の基本にかかわることということを言って、全て政策的補佐をする上においての調整を行うということでございまして、私としては、一貫してこの流れで従来やってこられたというふうに認識をいたしております。

小川委員 大臣、お互い言っていることが実はそんなに遠くないんだろうと思いますが、私が申し上げていることの方がより歴史に即した、また実感に即した御提案をしているのではないかと思いますし、大臣は非常にかたくなに、過去、文官をもって制服組との関係をしっかり統御、制御することを通してシビリアンコントロールを実効あらしめるということに対して非常にかたくなな姿勢をとっておられるというふうに私には思えます。

 では、ちょっと、過去、実際に文民統制が危ぶまれかねなかった事案、事件というのは複数あったというふうに私自身は認識をしております。

 例えば、昭和五十三年には、当時の統幕議長が、有事の際には自衛隊は超法規的行動をとらざるを得ないという発言をなさったことで事実上更迭になった事案がありました。栗栖事案と申し上げればいいのか。

 そして、下甑島に対する訓練名目で、部隊の指揮命令権の枠外において警備、警戒に自衛官が独自の判断で当たったという事案もございました。

 そして、さかのぼること、昭和三十八年までさかのぼるわけですが、これは統合防衛図上研究事案というものもございました。いわゆる制服組の方々、統合幕僚会議の事務局長の方とお聞きをしておりますが、戦時を想定し、国民国家総動員体制の研究、あるいは核の持ち込みというようなことを研究していたことが大問題になりました。

 こういった事案に対しては、今なおこれは十分注意をし、やはり軍事の専門家でありますから、ある面、責任意識だと思うんですよね、いろいろなことを想定し、頭の体操をしていくという責任意識から出るものかもしれません。しかし一方で、このシビリアンコントロールの原則というのは、戦前の反省もさることながら、先進各国を中心に民主主義の国家体制のもとでは、大臣、内閣総理大臣の指揮命令あらねば小指一本動かしてはいけない。これは極めて厳格な原則だと思います。そういうことからいえば、時代は変わりつつあるとはいえ、この過去の事案には学ばなければならない、あるいは、これを反省材料として、今なお緊張感を持って監視、監督をしていただかなければならない要素というのは多々あるんだろうと思います。

 重ねてになりますが、この昭和三十八年の図上研究事案、この後、参議院の予算委員会には、この問題を集中審議する小委員会が設立をされておりまして、そしてそこに、防衛省、当時の防衛庁から、実際のところどういう事務分担あるいは内部統制が行われているかということを報告した公式文書がございます。

 その中には、国会と自衛隊との関係、政府と自衛隊との関係、ここまではよく大臣がお述べになるところですよね。問題はこの先なんです。防衛庁内部における内局と幕僚監部等の関係という規定がございます。

 そして、当時のことですから、文官の参事官、防衛参事官が長官、政務次官、事務次官を補佐する、そして、官房及び各局の長にはその参事官が充てられるということが明記されています。そして、幕僚監部含めて、事務次官の監督に服するという規定もございます。

 さらに、国会や中央官庁との連絡交渉は内局の専管事項であり、幕僚監部職員は、長官が特に承認した事務以外については、国会等との連絡交渉を認めないとまではっきり書いている。各自衛隊の業務計画承認に際しては、内局が当該計画の審査に当たるという形で参画をし、統幕等の計画を実質的に統制する建前となっている。

 これは、この図上研究事案を踏まえて、防衛庁がみずから報告した公式文書であります。

 重ねてお尋ねします。

 ここには、内局が、政治、法律、予算等々に精通した内局事務官が、さまざまな政策、あるいは命令の伝達等も含めて、積極的に関与することを通してシビリアンコントロールを実効あらしめる一定の工夫なり配慮がなされていたということを、防衛庁みずからが作成した公文書で私は確認できると思いますが、改めてこの点をお尋ねし、今回、この通知、訓令自体は、後に、平成九年ですか、廃止されているんですね。しかし、廃止通知の中には、廃止に伴って実際の事務は変わりませんということを注記しています。それはなぜかといえば、一定の実績、実例が積み重なってきた実績がある、これに照らせば、あえてこの訓令をもって制御、統制する必要性がもはや薄れているということまで書かれております。

 ですから、大臣、改めてお認めください。当時は、歴史的な経過あるいはさまざまな文民統制が疑われかねないような事案への反省を踏まえて、実情をこのように防衛庁内部においても分析していたし、そういう歴史的経過があったんだ、そして、その訓令廃止後も事務の執行等に大きな変更はないし、そして、重ねてお尋ねしますが、今回、十二条を改正したことをもって、何らかの変更、これも恐らくないということだと思うんですが、その点も含めて改めて確認させてください。

深山政府参考人 ただいま、いわゆる三矢研究についてお尋ねがありましたので、大臣の御答弁の前に、三矢研究について若干補足させていただきます。

 御指摘の三矢研究は、昭和三十八年の統合防衛図上研究、これは御指摘のとおり、当時の統幕、統合幕僚会議事務局を中心に、有事における部隊の統合運用を中心課題として行われた幕僚の研究であります。

 本研究は幕僚の研究でございます。御指摘のとおり国会でも議論されたところでございますが、本研究に当たりましては、当時の統幕議長から当時の防衛庁長官に報告がなされるとともに、事前に内部部局に連絡があり、内部部局の関係課長も数回オブザーバーで参加していること等もございまして、当時、国会に御報告した中でも、文民統制との関係で特段の問題が生じるものではないという当方の評価を御報告していることであることを御報告いたします。

小川委員 大臣、今私がお尋ねした当時の事案、そしてそれに対する防衛庁の公式文書、ここでは内局が統制に当たる建前となっているとはっきり明記しています。

 この歴史的経過をお認めいただき、なおかつ、この訓令廃止後も、一定の実績が積み重なったことで、大幅に事務の変更が行われたりということはない、加えて、この十二条改正がそうした事務の政策判断、政策執行における変更を企図したものではないという点、大臣、ちょっと確認をさせてください。

中谷国務大臣 ただいま御説明をいたしましたように、これは政策的見地からの大臣の補佐ということで行われたことでございます。

 十二条の改正を行いますけれども、もう一度説明いたしますが、今般改正するのは、統合幕僚監部の改編、また防衛装備庁の新設で、防衛省の組織構成が変更されることから、この条においても、いわゆる政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐を調整、吻合するという従来からの趣旨自体を変更しないままで、新たな組織構成に適切に対応した規定とするものでございます。

 他方、防衛大臣が的確な判断を行うために、政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐が車の両輪としてバランスよく行われることを確保する必要がありまして、文官による政策的見地からの補佐は防衛大臣による文民統制を助けるものとして重要な役割を果たしているということで、今般の改正においてもこれは何ら変わることなく、文民統制を弱めるといったものではございません。

小川委員 当然、過去の経緯、そして今後の運用においても、大きな変更があるはずもないでしょうし、あってはならないんだと思います。

 文民統制、なかなかちょっと水かけ論になりがちなんですが、私どもの認識からすれば、変わらないのであればこの十二条の改正は必要ないし、そしてこれは、過去の経過に鑑みて、日本社会においては、極めてイレギュラーな形かもしれませんが、こういった概念のもとに文民統制を実効あらしめてきた歴史があるということは私どもの立場からの主張であります。

 そのことについては改めて確認をし、もう一点、先ほど下甑島事案についても申し上げました。これも大変、私自身、ゆゆしき事態だと思います。当の部隊からすれば善意でしょう、部隊からすれば。しかし、部隊の善意は全体の統制にもとることが大いにあり得べきでありまして、この点は、今後も、各部隊、特に指揮官の方々については極めて厳重に文民統制のもとにあっていただかなければなりません。

 そしてもう一件、これは〇四年でございますが、大臣御自身がかかわられている案件でありますので、ちょっと率直なところをお聞かせください。陸上自衛隊の幹部が、当時の自民党憲法調査会の中谷改憲案起草委員会の座長ですか、憲法改正案をまとめて、当時の中谷座長に提出した。これは、組織的に改憲作業に関与した誤解を与えかねないということで、注意処分を受けたということでありました。

 大臣、この事案は、まさにこの文民統制という観点からでございますが、極めて不適切な事案だと私は思いますが、大臣の評価をまずお聞かせいただきたいと思います。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の事案につきましては、平成十六年十月、陸上幕僚監部の二等陸佐が、中谷大臣、当時自民党憲法調査会の憲法改正案起草委員会の座長でございましたが、からの個人的な求めに応じまして改正案を作成して提供したものでございます。

 この二等陸佐の行為につきましては、陸上自衛隊としての組織的関与はなく個人的行為であったことから、文民統制との関係で問題はありませんでしたけれども、職場のファクスから送付するなどの一連の行為が組織的関与との誤解を与えかねず、自衛隊に対する国民の信頼を傷つけかねない配慮を欠くものであったというふうに考えておる次第でございます。

小川委員 そこは議論のあるところだと思いますが、ちょっと大臣のサイドからお答えください。

 なぜ、これは現役の陸上自衛官に対して改憲草案を提出してくれないかというようなことをおっしゃったんですか。これ自体、ちょっと不適切ではないかと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 各政党がございますが、政党で政策を立案する際は、広く国民各界各層の意見を聞いてしっかりとした政策をつくると思います。

 憲法に関しても、自民党は従来からずっとこれの研究、検討をしておりまして、当時、私もその起草委員会の座長という職にありまして、安全保障に関しても学者を初め幅広く意見を聞いておりました。

 しかし、やはり現場に従事をする自衛官からも意見を聞いてみたいということがありまして、当時、自民党の中で検討してきた内容を含めて、この内容に基づいて自衛官なりの見識を聞いたということの、私の政治家である活動の一環として行ったことでございます。

 御党もそうですが、こういった政策をする際は、幅広い方から意見を聞きますし、また、自衛官であろうとも、現場の意見も聞かれることもあろうかと思いますが、私はその一環で行った行為だと思っております。

小川委員 大臣、それは適切だったということをおっしゃっているんですか。政治家として、個人的な縁をたどり、そして現職の現場の自衛官に対して改憲草案を出させるということは適切だったということですか。

中谷国務大臣 やはり政策をする際は幅広く意見も聞きますし、現にその仕事に従事するような立場の人からも当然意見は聞いて政策を煮詰める必要があるかと私は思います。

 ただ、この聞き方において、私の個人的な関係で意見を聞きましたけれども、その行為が組織的に関与したという誤解を与えかねないものであったということにつきましては、私としては、もう少し正式に意見を聞けばよかったなというふうなことでございます。

小川委員 大臣、そこは最初からそうおっしゃってください。やはりどう見られるかということも大事ですよね。あるいは、結果として、これは現職の自衛官が注意処分を受けているわけですから、大臣は直接にこれを誘発、誘引してしまったという側の責任もあるわけです。そこはやはり、文民統制を今議論していますけれども、もっと注意深く言動なりあるいは対処をしていくという姿勢がなければ、こういった問いに対してもそういう角度からお答えいただかないと、私どもとしては到底これは納得しかねるということは重ねて申し上げたいと思います。

 残念ながら、過去の経緯ですよね、やはり日本社会には私はあったんだと思いますよ。軍人、軍部に対する大変大きなアレルギー、そして、何とか、二度と暴走を許さない、そして国民に惨禍をもたらさない、そのためにさまざまな工夫が二重三重に行われてきた、その中の、階層でいえば上位ではないかもしれませんが、一つの機能として、制服組でない人たちによる事務的な関与であり、それが場合によっては統制という言葉をもって語られてきた、その歴史は、重ねてになりますが、私は率直にお認めになった方がいいと思います。

 そして、結論から言うと、異常なんですよ、そういうことがそういう法制下で何十年も歴史をたどってきたこと自体が。しかし、その異常は、歴史に対する反省や、歴史を二度と繰り返したくないという思いから来ている。そういう意味では大切にしなければならない経過であります。

 それが変わっていくということに関しては、先ほども申し上げましたが、ある意味、時代の当然の流れかもしれませんし、あるいは、その陰には、現場の自衛官の方々が積年にわたって積み重ねてきたさまざまな期待や信頼というものがかち取ってきた一つの成果かもしれない、私はそういうふうに受けとめています。

 きのう津村委員もお尋ねになったんですが、この上は、やはり、軍事的見地から大臣を補佐する立場であるということが鮮明になりつつある、それは車の両輪であって、内局による予算的、法律的、政治的助言とまさに並立の関係に立つということを再三大臣はおっしゃっている。

 であるならば、長年、慣例により、幕僚監部は、国会にもう半世紀以上、御出席をいただき、軍事的見地からの大臣への助言、これに関して補足説明をするという機会なく、これまでやり過ごしてきました。大臣も、きのうの時点では、部隊の運用に専念させたいというようなお言葉でありましたが、さきに、統合幕僚長ですか、二月の記者会見で、国会で呼ばれたらぜひ出ていってきちんと説明したいということも会見でおっしゃっています、公に。この趣旨をしっかりと酌んで、今後、私は再三安保委員会で幕僚監部に対する出席を求めているんですよ。理事会で、残念ながらはねられている。

 これは委員長の御高配もぜひ賜りたいと思いますが、今般、この十二条の改正によって、形式的にも実質的にも制服組と事務方との並立関係にある大臣への助言という体制が完結、完成すると思います。その暁には、ぜひとも幕僚監部が、事と次第によっては、状況に応じて、必要性に応じて国会の場に御出席をいただき、その見地からの説明責任を果たしていただくということについて、大臣、ぜひ前向きな答弁をお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 統合幕僚長自身も、国会から求められればという前提で話しておりますが、自衛官の国会の答弁の必要性につきましては、まさしく国会において御判断をされる事項でございます。

 その上で申し上げれば、各幕僚長を初めとする自衛官は、引き続き、防衛大臣を軍事専門的見地から補佐するものでございまして、部隊運用等の隊務に専念すべきであることから、各自衛隊の隊務に関する国会答弁につきましては、従前と同じく官房長や局長に、また、改編後の統幕にあっては運用政策総括官というものを設けます、こういった文官に行わせる方針でございます。

小川委員 アメリカ、イギリス、フランス、事務的に確認したところで、同盟国を含めた他の先進国、幕僚監部、参謀本部を含めて軍人が議会に出席しないという例はないと思いますが、私の通告に従ってお調べいただいていると思いますので、大臣の口からお答えいただきたい。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国の議会における軍人の答弁につきましては、各国の議会等において判断されることでございまして、その態様はさまざまであると考えておりますけれども、例えば米国、英国やフランスでは議会において軍人が答弁している例があるものと承知しております。

小川委員 今回の法制ももちろんでありますが、まさにこれから集団的自衛権を含めていろいろと自衛隊の活動範囲が広がり、また、国際社会における責任もあるいはリスクも増していく、そして、それは翻って国民に対してさまざまな影響を及ぼすことも今後あろうかと思います。その際に、軍事的見地からさまざま幕僚監部が説明責任を果たす、大臣にどのような助言を行ったのか、大臣の判断のもとにはどういう情報があったのかも含めて、しっかりと公の場で説明責任を果たしていくということはこれまでにも増して求められることだと思います。

 その点、大臣にもぜひ御認識をいただきたいと思いますし、委員長、そして小野寺理事、与党幹部初め、しっかりと委員会運営において御高配をいただきますことを重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 では、最後の質問です。防衛装備庁の設置に関連した人事の規定が気になりましたので、お尋ねします。

 三十一条の改正で、防衛装備庁の人事は、適切な人事管理を確保するために、防衛大臣に対して、防衛装備庁の職員である自衛官の任用等について意見を述べることができる、この場合において、防衛大臣はその防衛装備庁長官の意見を尊重するものとする。これはちょっと異常な規定ではありませんか。防衛大臣の人事権を制約しかねない。

 防衛装備庁長官の意見を述べる、それはいいでしょう、それは勝手です。しかし、それを防衛大臣が尊重しなければならないというのはちょっと行き過ぎではありませんか。大臣の人事権をこういう形で法律によって、しかも部下たる長官の申し出を尊重するような形で制約するというのは異常な事態ですし、あるべきでないと思います。

 この規定は不適切な規定だと思いますが、いかがですか。

真部政府参考人 今のお尋ねでございますが、およそ外局に所属する職員につきましては、その外局の長たる長官の任命権に服するというのが基本でございます。ただ、防衛装備庁に所属する自衛官につきましては、自衛官の特殊性、そういった観点から、任用とか懲戒処分等々の任命権につきましては、防衛大臣にそもそも服することといたしております。

 この措置の一方におきまして、同じ防衛装備庁に所属する事務官と自衛官に対する懲戒処分結果の整合性、そういったことの観点から、自衛隊員同士の人事管理の公平性、これを考慮する必要があると考えております。このため、今般、新たに防衛装備庁長官の意見陳述及びそれに対する防衛大臣の意見尊重規定、こういったものを設けまして適切な人事管理の確保を図ることとしております。

 したがいまして、御指摘のような防衛大臣の任命権の制約に当たるというふうには考えていないところでございます。

小川委員 これは、あるんですか、こういう例は。外局の人事規定で、ほかにあるんですか。

真部政府参考人 今申し上げましたように、中央省庁内におきましての外局におきましては、長官の人事権というのが全体に及ぶというのが通常でございます。

 先ほど申し上げたように、防衛装備庁はいわゆるUC混合の組織になりますので、そこの中の自衛官の人事に関しては防衛大臣に一元的にお願いするという形で制度を考えたところでございます。

小川委員 これは、大臣、どう思われますか。御自身の人事権ですよ、御自身の人事権です。これに部下たる装備庁長官から、何らかの上申が上がってくるんでしょう、それは通例ですよ。しかし、法的に、法的に大臣にそれを尊重しなさいという規定が潜り込んでいる。

 これは、大臣御存じでしたか、こういう規定が改正法の中にあることは。私の通告以前から。そうですか。どういう感想をお持ちだったんですか、こんな規定が入ることで。私はちょっと不自然だと思いますが。

中谷国務大臣 これは防衛省以外も、旧大蔵省とか厚労省とか、外局があると思うんですけれども、そこの人事におきましては外局の長たる者が中心になって行っている、そういった例もあろうかと思います。

 人事等におきましては、やはり直接そこと日ごろから接している防衛装備庁の長官が非常に精通しておりまして、そこから上がってきた人事というのは私としては尊重したいと思いますし、また、そこで私が所見を述べますと、人事管理の公平性とか、これまでの評価、実績等に対してまた新たに考慮が必要でございますので、そういう意味で、意見を尊重するという規定を設けていたというふうに認識をしております。

小川委員 まさに文民統制、きょう全体として議論ですが、大臣が、部下たる長官の人事に関する上申を尊重しなければ、それはいいですよ、実務として尊重されるのは大いに結構。しかし、法的にそういう制約がかかるというのは異常事態だ、異常だと私は思いますし、大臣は、これ、法改正、もし御存じなのであれば、何だこの規定はと、当然尊重する、しかし法的にこういう制約をかけることはちょっとおかしいじゃないかというふうに私は指導されるべきではなかったかと思います。

 ちょっとその違和感を大いに表明いたしまして、ひとまず、時間ですので、質疑は終えたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 衆議院の、民主党の大串です。

 まず、質疑を始める前に、この委員会、定足に足りていますでしょうか。まず確認いただいて、そろっているかどうかを教えていただきたいと思います。もしそろっていないんだったら休会してください。

北村委員長 定足数には達しており、整っておるということでございますので、どうぞ。

大串(博)委員 確認まで。

 大変重要な案件の審議でございますので、もちろん私たち野党の方にも責任はありますけれども、法案を提出されている政府・与党の皆さんの真摯な御議論もぜひお願い申し上げたいというふうに思います。

 まず、私の方から、防衛省設置法等でございますけれども、大臣、副大臣、きょうおいでいただきまして、いろいろ議論させていただきたいと思います。

 まず、小川議員も今議論をされた、いわゆる文民統制、あるいは文官による統制、こういうふうに言われているものに関する、歴史的理解も含めた背景、大臣、これまでもいろいろな議論をさせていただきまして、ありがとうございました。

 その中で、かみ合う部分、かみ合わない部分がなかなかあります。

 私の考えをもう一回きちんとお伝えさせていただくと、大臣がおっしゃっているような、十二条の規定、保安庁の時代からありました。これは、文官と、制服組の皆さんの、統幕の皆さんの、それぞれの専門に基づく大臣への補佐、これを調整、吻合するものである、こういう長い歴史で来た、これは私わかるんです、これはもう納得そのものです。かつ、制服組の皆さんの任務というのが、軍事専門的な観点から大臣を補佐する、これは私は非常によくわかります。一方、この十二条の規定があるからといって、内局の皆さんが制服組の皆さんをコントロールする立場にあるものではない、これも非常によくわかります。

 その上で、その上で私が申し上げているのは、二十七年の大橋国務大臣の答弁を読んでいても、先ほど大臣がるるおっしゃった、いろいろな、各大臣のこれまでの答弁を読んでいても、それは納得しているんです。大橋大臣も、二十七年にはその点もおっしゃっています、調整する規定なんだということをおっしゃっています。それは十分理解の上で、一点なんです。一点、どうしても大臣と理解が整わないのは、大橋大臣は当時、そのことを理解した上で、この規定を、シビリアンコントロールをなすというふうにおっしゃっている。ところが、大臣は、これは文民統制を直接構成するものではないとおっしゃっている。この論点なんです、ここだけなんです。

 調整するということでも結構です。文民が自衛官をコントロールするものでないというのもよくわかります。かつ、それぞれの見地からそれぞれ補佐する、これもよくわかります。それも全部わかった上で、大橋国務大臣は当時、それでもこの規定を、シビリアンコントロールをなすとおっしゃっている。ところが、大臣はこの規定を、文民統制を直接構成するものではないというふうにおっしゃっている。

 ここが、私は非常に、議論のスタートラインとして心配なところなんです。そこをまずきちっと確認させていただくのが土台であって、それをずっと小川委員もおっしゃっていたんだと思います。ここが防衛省全体でどう共有されているのか、非常に大切なところであります。ここをまず確認させていただきたいと思いますが、まず、大臣にお聞きする前に、大臣を補佐する立場にいらっしゃる副大臣、この私が申し上げた二つの大臣の答弁のそご、どういうふうに説明されますか。

左藤副大臣 文官統制また文民統制の話ですが、大臣がおっしゃるように、シビリアンコントロール、補佐する者が大臣をしっかり、情報、いろいろなことを上げて、しっかり大臣がそれのもとにコントロールするということでございますので、大臣がおっしゃったことで正しいと私は思っております。

大串(博)委員 そうすると、副大臣がおっしゃるのは、十二条は文民統制を直接構成するものではないということを正しいとおっしゃっているとすると、副大臣にも説明責任が生じてくるのは、一方で、大橋国務大臣は、昭和二十七年に、この規定をシビリアンコントロールをなすとおっしゃっている、それとそごを来しますが、それはどういうふうに説明されますか。

左藤副大臣 文官は大臣の補佐であるということに尽きると私は思いますし、それがシビリアンコントロールの基本だと思っております。

大串(博)委員 私の質問をよく聞いてください。

 副大臣は、この十二条の規定を文民統制をなすものではないとおっしゃった、その大臣の答弁を正しいとおっしゃったので、それに対して、二十七年に大橋国務大臣がこの規定をシビリアンコントロールとおっしゃっている、このギャップをどう説明されるのかという端的な質問なんです。そこをお答えください。

左藤副大臣 今、大橋大臣のお話がありましたけれども、私どもは、文民統制を担う防衛大臣を補佐することであって、この補佐は機関の長たる職員の執行をそのすぐ下位にある職員が助けることである、このように理解をしておりますので、私どもは、この十二条ですが、文民統制そのものを定めたものと解することはできないと、条文上明らかだと思っております。

大串(博)委員 ちょっと、委員長、ぜひ督促をしていただきたいと思います。

 私が問うているのは、まさに副大臣が今、御自分の答弁、一番最後でおっしゃったように、十二条は文民統制を直接構成するものではないとおっしゃったから、それを理解しているので、であれば、二十七年に大橋大臣がおっしゃった、この規定はシビリアンコントロールをなすとおっしゃったこととそごを来すので、どうしてそのそごを来しているのか説明くださいというそこなんです。だから、今の答弁ではないんです。

左藤副大臣 改めて答弁申し上げますが、防衛省設置法第十二条は、文民統制そのものを定めたものではありませんが、文民統制を担う防衛大臣の補佐にかかわる規定であり、文民統制にとって重要な規定と思っております。

大串(博)委員 それはもう冒頭も聞きました、重要な規定であると。シビリアンコントロールに対しての重要な規定であるというふうに考えていらっしゃるのもよくわかります。

 しかし、明らかに、先ほど来シビリアンコントロールをなすものではないというふうにおっしゃいましたので、それに対して真っ向から違う答弁をされている、二十七年の大橋国務大臣のシビリアンコントロールをなすとはっきりおっしゃっていることとそごを生じますけれども、それをどう説明されるのかということをお尋ねしているんです。わかりますか、私の質問。

 どうぞ。

中谷国務大臣 議論の整理をさせていただきますが、十二条というのは、シビリアンコントロールそのものの規定ではなくて、それを支える内局と幕僚との関係を書いたわけでございまして、まさにシビリアンコントロールは大臣が行う文民統制でございますが、それを支えるものである規定であるということでありますし、その中身におきましても補佐ということが書かれておりまして、それは、大臣のシビリアンコントロールをなすものであるということでございます。

大串(博)委員 この点、もうこれ以上私は質問しません。ここには大きな認識の違いがやはり、私と大臣、副大臣の間、あるいは世の中的にも、先ほど小川委員も言われたように、あると思うんですね。

 この十二条に対して、文官統制という言葉を使うかどうかは別としても、文民統制の中の大変大きな、重要な役割とおっしゃっていました。多分、世の中的に言うと、文民統制の一翼であるというような意識すらあるんじゃないかと思う。それに対して、いや、そうじゃないんだ、重要な役割だというような言い方をされ、かつ、これは大臣が行う文民統制の補佐を意味するものだ、こういうふうにだんだん発言が変わってきているものだから、そこにいろいろなそごが生じてきているということじゃないかと思います。

 その大きなスタートポイントの違いがあるところに、今回の議論の非常なる立場の違いあるいは考え方の違いがあらわれてきているんじゃないかなと思うんです。

 それを前提に、この規定の意味するところをもう少しきちっと議論させていただきたいというふうに思います。

 この十二条がこういうふうに、変わります。

 十二条がもともとこういう形であった際の事務はどういうふうに流れてきたのか。すなわち、十二条において、例えば方針や実施計画に関しては、大臣が指示するときに対して、官房長、局長がそれを補佐する、これを大臣が承認する際においては、これを官房長、局長が補佐する、あるいは、大臣が一般的監督を行うときには官房長、局長がこれを補佐する、こういう規定になっている。

 これを体現して、どのような事務フロー、事務の流れになっていたのか。例えば実施計画をつくる際の指示を出されるときに官房長、局長はどう絡んでいたのか、どういう立場を体していたのか、承認をする際に官房長、局長はどのような役割を果たしてきたのか、一般的監督をするときに官房長、局長はどういう役割をこれまで果たしてきたのか、そこは、実態はいかがでしょうか。

中谷国務大臣 これは、防衛大臣を支える政策的な補佐としての文官の仕事の内容を記述したものでありまして、それに従って手続を大臣にしてきたということでございます。

大串(博)委員 そこをもう少し詳しくお聞かせいただきたいんです。大臣は直面されていると思います、下から上がってくるわけですから。

 大臣がこの実施計画の作成の指示をされるとき、あるいは、これを承認しなきゃいかぬというとき、あるいは、いろいろな問題があって一般的監督をしなきゃいかぬというときに、官房長、局長はどういう役割を大臣に対して果たされるんですか。

 私の理解では、この指示を大臣が出されるとき、その基本的なペーパーなりあるいは書類なり、下準備は官房長や局長さんがつくられる、あるいは、承認をされるときの承認に関するいろいろな判断がありますね、その判断をするときの材料を整え、こういうふうにする、承認するしないのようなことの考え方は、もちろん統幕とよく相談の上で官房長、局長が大臣に上げてこられる、こういうことではなかったかと私は勝手に想像しているんですけれども、いかがだったでしょうか。

中谷国務大臣 この項目のとおり、幕僚監部が実施する方針や実施計画の作成、また実施計画等の承認等につきましては、それぞれの起案を、内局たる防衛政策局等の局長が参りまして、そのときにはほとんど幕僚監部の人も同席をいたしておりますが、これまで調整をしてきた結果として、私が報告を聞いているということでございます。

大串(博)委員 今おっしゃったように、非常によくわかってきました。

 指示を大臣が出される、あるいは承認を出される、一般的監督をなされる、そのときには官房長、局長の方々が起案をされてこられる、そのときには幕僚監部の方々ももちろん一緒に来られて、調整されているんでしょうね、来られるというようなことだったというふうにお聞きしました。これが今の現状だと。

 この現状に何か不都合、問題点はございましたでしょうか。不都合なり問題点があるがゆえにこの規定は変えなきゃならぬということだったんだろうというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 現状においても、その決定の過程で調整また吻合した結果を聞いてきておりますので、バランスよく行っていると認識をしております。

 こういった業務の内容につきましては、基本的な業務の体制を変更する必要性が生じているところではありませんけれども、今回改正をするのは、二つの大きな組織をつくるわけでございまして、組織の構成が変更される、具体的には、防衛装備庁の長官も規定をいたしますし、また、統合幕僚監部への一元化ということで組織の見直しもするということでございますので、まず、新たな組織構成に適切に対応したものにしていくということでございます。

 仕事のやり方とか考え方におきましては、従来の、政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐を調整、吻合するという、同条の趣旨自体は変更をするものではございません。

大串(博)委員 少しずつ、論点を少し区分けしながらお尋ねさせていただきます。

 今、現状において、この十二条の求める事務フローに関しては問題が生じているわけじゃなくて、円滑な事務が行われているのでこれでよいということでした。

 一方、ではなぜ十二条を変えるかというと、二つの大きな組織変更がある、一つは統幕への一元化、そしてもう一つは装備庁、こういった大きな二つの組織変更があるので、それによりよく対応しなきゃいかぬ、こういうことでありました。

 これに関してもう少し聞きたいんですけれども、その前に、十二条が、先ほどおっしゃったように、官房長、局長が起案をして大臣に持ってこられる、その際に、来られるときには、官房長、局長の皆さんも、ちゃんと幕僚監部の皆さんと調整して、一緒に来られるということをおっしゃっていました。

 そうすると、新しい十二条になった際に、新しい十二条になった際に、今大臣の答弁の中で、何ら事務の流れは変わることがないようなことをおっしゃいました。十二条が新しくなった場合にも、例えば、大臣が方針あるいは実施計画の作成に関して指示を出す際には、新しい十二条のもとにおいても、官房長や局長が起案をし、それに対して幕僚監部の皆さんと調整をした上で、そして大臣のところに一緒に持ってこられるという流れは変わらないんでしょうか。

中谷国務大臣 変わりません。

大串(博)委員 もう一つ確認ですけれども、十二条の二号ですね、計画あるいは方針に関して大臣が承認を行われる、これに関しても、先ほどの流れでいうと、内局の官房長あるいは局長が起案をして、それを幕閣の皆さんとよく相談をされて、一緒に大臣の方に持ってこられるという流れも、この二号に関しても変わらない、ちょっとあわせて言いますと、三号に関しても変わらないという理解でよろしいですか。

中谷国務大臣 防衛計画の大綱とか中期防とか、そういう計画でございますが、三号も含めて、何ら今までと変わるものではございません。

大串(博)委員 わかりました。

 そうすると、ちょっと、いろいろな組織変更も考えられていると思うんですけれども、先ほどおっしゃいました、例えば指示ですね、仮に指示として話を進めていきましょう。

 指示をされるときに、その指示の起案は官房長、局長の方々が起案されて、幕僚監部の皆さんともよく調整をされて、一緒に大臣のところに持ってこられるということは変わらないということでございましたので、そのときの起案をする局長は誰なんでしょうか。

中谷国務大臣 それは案件によって異なりますが、この規定で明文化しておりますけれども、政策的補佐と、また軍事専門的補佐が調整、吻合して、車の両輪のごとく、決定をして、その結果を大臣に報告するということで、案件によって違ってくるということでございます。

大串(博)委員 ちょっと今までの話に戻しますと、十二条の一号の指示を出されるときに、これを起案してこられる局長さんというのは、私の理解では運用局長さんかなというふうに思っていたんですけれども、それは違いますか。

中谷国務大臣 現在、運用に関しては運用局長でございます。

大串(博)委員 今回、運用局を廃止して統幕の方に組織を移転して、統幕の方に運用担当の政策総括官ができるということです。

 もう一度お尋ねします。十二条の第一号の指示、これに関しては、先ほどおっしゃったように、官房長、局長が起案をして、幕僚監部の皆さんとも意見交換をよくして一緒に上げてこられるということは変わらないとおっしゃいましたので、もう一度お尋ねします。

 これまでの十二条一号においての起案をしてくる局長というのは運用局長だったということですけれども、そうすると、論理的に言うと、新しい十二条においても、この一号における指示を出すときの、起案をしてくる局長さんは運用局長でなきゃいかぬということになります。運用局長さんはいらっしゃらない。どの局長がやられるんでしょうか。

中谷国務大臣 組織改編後は、例えば、従来は内部部局も行っていた部隊運用、これに対する対外説明とか連絡調整や防衛大臣への状況報告といった業務につきましては統合幕僚監部が取りまとめて行うことになりますが、その際、内部部局に対しても必要な連絡調整というのは当然なされるわけでございます。

 また、部隊運用に際して防衛大臣が判断を行う場合には、内部部局は、統合幕僚監部と必要な協議を行い、政策的見地から補佐をいたします。特に、部隊運用に関して閣議決定や法令の改正を必要とするものなど高度な政策判断を伴うものにつきましては、内部部局が中心になって対応をいたします。

 したがって、改編後も部隊運用に関する業務というのは適切に遂行され、また、防衛大臣補佐という観点でも問題は生じないと思っております。

大串(博)委員 問題を生じるかどうかお尋ねしているのではなくて、事実をお尋ねしているんです。

 新しい十二条になったときの、十二条一号に係る大臣の行為、すなわち、実施計画等に関する指示を出されるときに、これまでは、運用局長さんがその起案をされて、幕僚監部の皆さんとも調整を行った上で上げてこられていた。今度、運用局長さんはいらっしゃらなくなります。先ほど大臣の答弁の中で、官房長、局長が起案をするというのは変わらないというふうな答弁でありましたので、では、この実施計画に関して起案をするのは新しい十二条のもとにおいては誰ですかということをお尋ねしたんです。

中谷国務大臣 統幕が行うわけでございます。

大串(博)委員 私もそうかなと思ってお尋ねした次第です。

 とすると、大臣が先ほどおっしゃった、現行の十二条一号、二号、三号における大臣の指示、承認、あるいは一般的監督、これまで、これに関して、官房長あるいは局長が起案をして、幕僚監部の皆さんとよく相談をして一緒に上げてこられたというのが今度は変わる。すなわち、起案をされるのが統合幕僚長になって、その人が逆に今度は内局の皆さんとよく調整をして大臣のところに上げてこられるというような形に変わるという理解でよろしいですか。

中谷国務大臣 それで結構でございます。

大串(博)委員 その変更が、今回、十二条における変更の一番具体的な変更なのかなというふうに私は思って、予測してというか感じておったんですね。

 その変更は、大臣が先ほどおっしゃった、何ら変わるものがないという程度のものなんでしょうか。いかがお考えになりますか。

中谷国務大臣 非常に大きな運用等につきましては、当然、政策的な要素もございますし、また、それを承認していただく内閣官房、また総理大臣もございますので、それを念頭にいたしますと、そこまで決定する際におきましては当然内局の政策的な見地での関与もございますので、それを調整した結果、私のところに上がってくるということでございます。

大串(博)委員 私にとっては、私も役人でしたからよくわかります、どっちの局が主導的な役割を担うのか、つまり、イニシエーション、始めていく、起案をする役割を担うのかというのは極めて大きな話だと思うんですね。運用局長がその任を負うのか、統合幕僚長がその任を負うのか、これは極めて大きな変更だと思うので、私は、先ほど大臣がおっしゃったように、防衛省内における取り扱いは変わるものではありませんというのとはちょっと違うと思うんですよ。それだけ私にとっては大きな変更になると思われるんです。

 この変更をなぜ今行わなければならないかということ、先ほど大臣の話では、今の事務フローで大きな不都合があるわけではありませんということでありました。それに対して、さはさりながら、こういう変更をしなければならない理由は、統合運用の強化、あるいは装備庁が新設されるということに伴ってというふうにおっしゃっていましたけれども、ちょっと胸に落ちないんですね。

 統合運用の機能を強化するため、あるいは防衛装備庁ができるため、それが二つの要因となると、なぜ、先ほど大臣がおっしゃったような、これまでは運用局長が起案をしていた、いろいろな物事をスタートしていた、責任を負っていた、それに対するものを、幕僚長がまず第一義的な責任を負うというふうに変えなければならないんでしょうか。

中谷国務大臣 それは、現実に自衛隊がいろいろな対応をしてきたわけでございますが、しっかりとした自衛隊としての判断を行い、そして効果的な対応を迅速に行っていくという観点で、平成二十五年八月に公表しておりますが、「防衛省改革の方向性」におきまして、部隊運用の迅速性、効率性の向上のため、実際の部隊運用に関する業務を統合幕僚監部に一元化することといたしまして、組織改編を行うという決定をしたわけでございます。

 この点につきましては、もう十年以上も、どうあるべきかということにおいていろいろな分野で検討がされて、その結果、二十五年にこの方向性がまとめられまして、それに従って現在法律の改正を行っているということでございます。

大串(博)委員 統合運用の機能を強化するという流れがずっとあるのは私も了知しておりますし、その流れ自身は私も是としております。

 そういった中で、今おっしゃった二十五年八月の防衛省の改革に関する取りまとめ、それは、その前の、いわゆるいろいろな防衛省の不祥事があった、これを経ての二十年の七月十五日の防衛省改革会議、ここで大きないろいろな改革案が出されて、その後実行されたものもあり、実行されなかったものもあった、それをさらに一まとめにして、二十五年の八月にまた報告書としてまとめられたんだと思います。

 そこに書かれているものを見ると、二十五年の八月に書かれているものを今大臣引用されました。「統合運用」、そこに「実際の部隊運用に関する業務を基本的に統合幕僚監部に一本化すべく、運用企画局を含む組織の見直し等を行う。」と、ここまでしか書かれていないんですね、ここまでしか書かれていない。

 さらにその淵源を持つ防衛省改革会議を見ると、「運用分野における施策 統合幕僚監部の機能強化」と四十五ページに書かれています。そこでは、「実態としての業務の重複を合理化するため、運用企画局は廃止し、作戦運用の実行は、大臣の命を受けて統合幕僚長の下で行うものとする。」、こういったことも書かれています。

 しかし、こういうことも書かれています。「部隊出動等の決定やその作戦計画の承認などは、防衛政策局を通じ、防衛会議の議を経て、防衛大臣の決裁を仰ぐものとする。」、こういうふうに、防衛政策局、ある意味、内局がまたここに関与する、一義的に関与する形が提案されているんですね。

 これが、私、本会議でも申しましたけれども、ある意味唐突なイメージのもとに、十二条も変えようというような流れでできている。しかも、十二条が変わるというのは、先ほど申しましたように、一義的に誰が責任を持って大臣に物を上げてくるかということが、運用企画局から統合幕僚監部へ変わってくるというような、極めて大きな変更をもたらしているわけですね。

 この唐突な変更が、本当にこれらの報告書の流れの中だけで説明できるんだろうかということが非常に疑問なんです。これは大臣いかがでしょうか。

中谷国務大臣 この一連の改革につきましては、平成二十五年の八月に方向性が決まりましたが、その前、平成二十五年の二月に防衛副大臣を長とする防衛省改革検討委員会を設置しまして、内幕の一体化や防衛省・自衛隊の組織、業務のあり方について検討を行ったわけでございます。その前に、平成二十年七月十五日に、「改革提言」ということで、「防衛省における司令塔機能強化のための組織改革」で、三に「運用分野における施策 統合幕僚監部の機能強化」ということで「実態としての業務の重複を合理化するため、運用企画局は廃止し、作戦運用の実行は、大臣の命を受けて統合幕僚長の下で行うものとする。」と、このときの報告書がございます。このように、これは長い年月をかけて、機能のあり方について検討をしてきた結果でございます。

 なお、今回の組織改編後は、部隊運用に関して防衛大臣が判断を行う場合には、内部部局は統合幕僚監部と必要な協議を行い、政策的見地から補佐をいたします。先ほど、防衛政策局長がということはまさにそのことでございまして、特に、部隊運用に関して閣議決定や法令の改正を必要とするなど高度な政策判断を伴うものについては、内部部局、すなわち防衛政策局が中心となって対応するものでございます。

大串(博)委員 先ほど来大臣がおっしゃっていますのは、これは大きな変更じゃないんですと、統合幕僚監部が指示、承認、一般的監督に関して起案するような形に今後なっていくけれども、内部部局とよく調整するんだ、内部部局は補佐をしていくんだ、こういうふうに言われています。

 その、内部部局が今後も、例えば指示あるいは承認、一般的監督に関して、大臣を補佐すべく、補佐する権限を持って統合幕僚監部から相談にあずかる立場にあるというのは、新しい条文においてはどこで担保されているんでしょうか。

中谷国務大臣 それは、政策的補佐というのは内局が行うものでございまして、大臣としても、こういった大きな決定をする際は当然内局の政策的な補佐を受けて、意見を聞きますし、また、それ以上に、防衛会議ということで、内局と幕僚長が同席をして、最終的に防衛省としての意思を決定いたしますので、それは、大臣がしっかりとそういう面で間違いのない判断をすることが可能であるということでございます。

大串(博)委員 私は法律論をお尋ねしております。実態論ではなくて法律論として、引き続き、内局の官房長、局長が、大臣の指示、あるいは大臣の承認、大臣の一般的監督に関して大臣を補佐する、すなわち、統合幕僚監部の皆さんがこれを第一義的な起案者として起こそうとしていく、そのときに内局の皆さんに相談しなきゃいかぬなという形にならざるを得ない、そういうふうな行為にならざるを得なくなる、その根拠規定は新しい条文だとどこにありますかということのお尋ねでございます。

中谷国務大臣 このため、防衛省設置法八条七号に、これにつきましての総合調整を行うということを特に書き出しをいたしまして、防衛省設置法の内部部局の所掌事務に係る規定におきまして、省内の統一を図るために、所掌事務に関して必要となる総合調整機能を行う、つまり、内部部局の有する役割について、より積極的に確認をするという規定を置いたわけでございます。

大串(博)委員 八条に書かれていることは「総合調整に関すること。」であります。

 大臣がさっきおっしゃったのは補佐なんですね。補佐をするという根拠規定はどちらにあるんでしょうか、そういう問いです。

中谷国務大臣 それは、七の基本にというところでございます。

大串(博)委員 もう一度答弁していただいてよろしいですか。

中谷国務大臣 大変失礼しました。

 防衛省設置法第八条における「基本に関すること。」ということでございまして、これは、防衛省・自衛隊の所掌事務のうち、全般的、基本的な方針や法令の企画立案といった基本的なものでございまして、内部部局の所掌事務を端的に規定いたしております。

大串(博)委員 いや、ちょっと違うんです、私の問うているのは。

 八条の七号で、今度新しく、内局の総合調整機能というものを明定された。これまでは政令、組織令で大臣官房が持っていたものを法定された、それはわかります。

 一方で、さっき大臣が繰り返しおっしゃった、統合幕僚監部が、大臣の指示、承認に対して、今度は彼らが起案をする、彼らが起案をするときに彼らだけで走っていかないように、内局の皆さんもちゃんと補佐をするんだ、自分たちの意見も聞いてくれというふうに言える立場にあるんだ、なぜなら自分たち内局の幹部も大臣を補佐する立場にあるからだ、指示、承認、一般的監督に対して補佐をする立場にあるからだと胸を張って言えるその根拠規定は、新しい規定の中ではどれにありますかということをお尋ねしたんです。

中谷国務大臣 それは十二条に書かれておりまして、これは、官房長、局長並びに防衛装備庁長官と幕僚の関係におきまして、この中で、「第三条の任務の達成のため、防衛省の所掌事務が法令に従い、かつ、適切に遂行されるよう、その所掌事務に関し防衛大臣を補佐する」という規定でございます。

大串(博)委員 そうなんですね。私もそれで理解しました。

 すなわち、補佐というものに関しては旧十二条から新十二条に変わっている。旧十二条において一号、二号、三号というのが明定された、これがなくなって、十二条に関して一つ、これは行数でいうと五行の書きぶりになっているということであります。つまり、一号、二号、三号という個別の書き方でなくなっていることをもってして、先ほど大臣がお認めいただきましたように、何が具体的な変化として生じたかというと、指示、承認、一般的監督に関してもともと起案をするのは運用企画局長であった、運用企画局長が起案をし、統合幕僚監部とも相談しながら起案をしていたことが、今度は統合幕僚監部が起案をするという、極めて大きな違いを生じていることになってきています。

 これは大臣、大臣は大きな変化はないというふうにおっしゃいますけれども、これは私は非常に大きな変化だと思うんです。

 先ほど、もともとの文官統制、文民統制の考え方のそごのことを申し上げました、歴史的な評価に関してもかなりの認識の違いがありますということを申し上げましたけれども、それと同じぐらい、私たちと大臣には認識の違いが相当あるな。大臣は、これは内部の仕事のあり方だからそんなに大きく前後で変わるわけはないんだとおっしゃいますけれども、組織的に言うと、誰が一義的に起案権を持っているかというのは大変大きなことなんですよ。

 この大きな変化を今回行う必要がどこにあるのかということに関しては、先ほど二で大きな組織改編ということをおっしゃいましたけれども、その組織改編があるからといって、これを、十二条まで変えてしまう必要があるのか。とてもその大きな理由があるように私には思えないんですね。

 かつ、一つ、それに対する措置として、八条七号のこともおっしゃいました。内局の所掌事務として、全体の「総合調整に関すること。」を法定したということもおっしゃいました。

 私は、いろいろな方と話をしているときに、この八条七号の規定、内局の総合調整規定を、これまで大臣官房の所掌事務として組織令に書いていたものを内局全体のものとして法律事項とするということは、十二条が旧規定から新規定に変わる、これによって内局のグリップが弱まるのではないかという懸念に対して、いやいや、そうではないんだ、内局も新しい権限を得るんだ、バーターという言葉はよくないけれども、そういうことではないのかという見方が各地にあったと思います。

 それを防衛省の方々は否定されてこられたと私は思うんですけれども、先ほど大臣は、いやいや、この八条七号の規定もあるので、内局が相談にあずかるということはあるんだとおっしゃいました。一体、そういうことなんですか。

中谷国務大臣 先ほども説明いたしましたが、この八条七号、これは、組織改編を二つを行います、一つは、内部部局以外に、防衛装備庁という、政策の企画立案機能を有する組織ができたということ、もう一つは、部隊運用に関する業務において統合幕僚監部が一元的に実施をすることとなるということでございまして、そのため、防衛省設置法の内部部局の所掌事務に係る規定に、省の所掌事務に関して省内の施策の統一を図るために必要となる総合調整を行うということを特に書き出して、内部部局の有する役割について、より明確に確認をすることとしたわけでございます。

大串(博)委員 それはわかります。それはこのペーパーにもありますので、八条七号の変更の趣旨はよくわかりますけれども、それは、先ほど申しましたように、十二条を前のものから新しいものに変える、それによって、指示、承認、一般的監督に関する大臣の権限に関する一義的な起案者が運用企画局長から統合幕僚監部に変わる、それによって内局の関与が弱まるのではないかということに対する代償措置的にこの八条七号をつくっているのではないですかということに対するお答えはいかがでしょうか。

中谷国務大臣 今般、大変大きな組織改編を伴いますが、省内の各機関、これをまとめて、防衛省の所掌事務全体について、私の判断で統一的に遂行されることを確保する必要があることから、防衛省設置法の内部部局の所掌事務に係る規定に、総合調整機能、これを確認的に明記するものでございます。

大串(博)委員 八条七号の機能はわかります。わかりますけれども、今のような世の中の理解がやはりあるんですね。

 その点も含めて、この十二条、八条をどう理解するかということを考えていくと、先ほど申し上げましたように、きのうまでの答弁の中でずっとおっしゃっていた、十二条が変わることをもってしても余り大きく変わるものではないというような答弁があったと思います。しかし、きょうこの質疑の中で、明らかに、これまでの事務の流れとは、過去とは違って、指示、承認、一般的監督に関して、これまで一義的にこれを起案してきたのは、運用企画局長が起案をし、事を動かし出し、そして統合幕僚監部の皆さんと、そちら側から調整をしてやってきたものが、今回は、統合幕僚監部がこれを起案し、そして内局に、こちらが今度は、逆側に相談をしていくという関係にある、こういう大きな事務の流れの変化があるということがわかりました。

 これがまさに統合運用機能の強化だということだと思いますけれども、であれば、であれば大臣、先ほど小川委員からも話がありました、きのう津村委員からも話がありました、統合幕僚監部、具体的には統合幕僚長、そこまでの権限、責任を負われるのであれば、やはり国民に対しても、あるいは国会に対しても説明責任をしっかり果たしていただかなければなりません。国会が決めることという面もありましょうが、政府としてその用意があるかという点もあろうかと思います。

 先ほど大臣は、統合幕僚長の国会答弁に関して、国会が決めることですという前置きをされながら、しかし、一義的には政策総括官、文官の方が務められる副幕僚長のレベルの政策総括官がやるんだということをにおわされました。

 しかし、それだけの法律の変化を伴って統合幕僚長に第一義起案者としての責任と任務を負わせるのであれば、やはり統合幕僚長に国会の場でも説明をしていただく、そのような体制を政府としてもつくるべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 私は、国会というのは最大のシビリアンコントロールである、原点であると思っておりますので、これは、その必要性につきまして、まさに国会において御判断をされる事項であると考えます。

 しかしながら、個人的に考えますと、オペレーションの責任者でありますし、また軍事専門的見地での補佐者でございますので、それに専念をしていただきたい。政策的なことにつきましては文官が行ってまいりまして、従来も国会で御説明をいたしたわけでございますので。

 非常に、こういった運用等につきましてはより責任を持って実施をする立場にあるわけでございますので、そういう点におきましてはこういったオペレーションに専念する必要があります。その中でも、国会の答弁につきましては、統幕の中の非常に大事な役職として、政策的な部分における事項を担当する者も入って、内幕一体として組織ができるわけでございますので、そういった面で機能を果たしていただければというふうに思っております。

大串(博)委員 責任は大きくなる、大きな責任を持つ、権限を持つ、でも、それは私はあっていいことだと思うんですよ。それも一つの組織のあり方だと思います。統合運用機能の強化、これは是とします。

 一方で、責任は大きなものを負うんだけれども対外説明はしないというのは、組織としてあり得ないと私は思うんですよ。間違った組織のあり方につながる可能性が私はあり得ると思います。これも考えると、統合幕僚長を歴任されたような皆さんが責任を負うのであったら、国会での、あるいは国民に対する説明は負わないとは考えられないと私は思うんです。それだけの責任感を持っていらっしゃると思います。

 私は、大臣にも、これだけ大きく転換して責任を持たれるのであれば、国会での説明責任あるいは対外的な説明責任も、やはりこれまでとは違った形をつくり出していただけないかなというふうに思っておりますので、ぜひこれはよろしくお願いしておきたいと思います。

 それから、今申したように、十二条が旧から新に変わるというのはこれだけ大きな変化をもたらします。しかし、それが本当に今、この日本の防衛省の中において大切なことだろうかという気もするんです。

 私たち民主党政権のときにも、日本の防衛省・自衛隊のあり方、特殊なものがあるというふうに本会議でも私は申し上げました。やはり、千二百人近い内局の方が建物の中にいらっしゃいますけれども、その中で、自衛官の方々が相互配置ということでだんだんふえてきていますけれども、それでもまだ四十数名ですね。まだ、相互配置、人事交流の少なさ、これが大きな論点、あるいは日本の特色であって、これを変えていくことがまず大切なんじゃないか。

 先ほど申しましたように、千二百名中の四十数名ではなくて、ここにもっと、百名、二百名単位で、幹部職も含めて相互配置がなされていけば、今のような制服組と背広組の間の何となしのバリアみたいなものはなくしていけるんじゃないかと思うし、まずそれをなくしていくことが一番大きな課題じゃないかと私は思うんですね。

 今回の十二条の変更はむしろ逆に働くんじゃないかというふうに思っていて、私も、今回この法律の審議の前に、いま一度市谷の中を視察させて、歩かせていただきました。運用企画局の廊下もずっと歩きましたし、横の、A棟があってB棟があって、そこもずっと見てまいりました、防衛装備庁が入る建物も見てまいりました、統幕の階も見てまいりました。なるほど、運用企画局が、ここがなくなって、ここが統幕の、こういうところに入っていくのかというようなのもリアルに感じました。これは、また何となく、内局の中の、制服組の皆さんの領域と文官の皆さんの領域とがまた離れるような気がしてならないんですね、実感として。

 よりは、もっともっと人事、相互配置、混交を深めていくのがまず第一義な解決策じゃないかと私は思うんです。諸外国の状況も含めて、大臣、これがまず第一の解決策じゃないかと思いますが、どうでしょうか。

中谷国務大臣 改革の方向性につきましては、委員がおっしゃったように相互配置ということも書かれておりますし、私も、この点につきましては大事なことで、現在もこういった部分におきましては一体感を醸成するために行っているところでございます。

 一方で、組織につきましては、やはり、運用において、同じ組織が二つあるということにつきまして、これは重複をいたしますと時間もかかっていきますし、また、その間、いろいろなことで間違って伝わることもございます。要は、大臣が適切に、また迅速に判断をするようなことにおきまして、今回検討いたしまして、統幕に一元化をする、また内局の担当者も入っていただくということで、私は、機能的には非常によくなっていくんじゃないかと思っております。

 おっしゃるように、シビリアンコントロールとか、またいろいろな部分の要素もございますので、運用等につきましては、大臣といたしましても、そういった、間違ったことがないように、適切に判断をしながら運用してまいりたいと思っております。

大串(博)委員 時間がかなり押してきて、三十二条とかあるいは八条に関してももう少し、あるいは二十二条、あるいは防衛装備庁に関してもかなり聞きたいことがあるんですけれども、今回の話と大きく関係があると思うものですから、ガイドラインのことに関してもちょっと質問させていただきます。

 すなわち、今回、日米ガイドラインの話を、週末から行かれて日米で話をされるんだと思います。そこで、ガイドラインに関して大きな変更を確定されてこられるんじゃないかという観測がございます。これは安保法制の大きな見直しを前提としている、整合的にというふうにおっしゃっていましたので、そういうことだろうと思います。

 こういうふうに安保法制の枠組みが大きく変わっているときに、それを受けて自衛隊の役割、海外での活動も含めて飛躍的に変わっていこうとするときに、今回のような十二条の変更をすべきなんだろうかと私は思うんです。まずは、一つ一つ、先ほどおっしゃったように、十二条、現在大きな支障をもたらしているものでないのであれば、ないのであれば、まずはじっくり、十二条のことは、先ほど申し上げたように人事交流等を先にやっていくというのがより大切なんじゃないかというふうに思うものですから、私は、これはガイドラインや安保法制とも大きく絡む問題だ、決して別の問題ではないと思うんですね。

 ガイドラインに関して私お尋ねしますけれども、まず一つには、安保法制と整合的にというふうにおっしゃっていましたけれども、安保法制の議論はこれから国会後半で始まります。本当に一国会でやれるのかという問題もあります。それがまだ国会でかかる前であるにもかかわらず、それを前提に、あるいは整合的にガイドラインの話を確定される。それが国会で仮に修正になった場合にはどうなるんだろうか、こういう疑問があります。

 そういう中で、特に問題になっている集団的自衛権に関する二つの、二事例の話がありました。ホルムズ海峡における機雷掃海と、あとは、近隣の有事等における米艦で退避する邦人のことがありました。

 どうも、報道等によると、機雷掃海に関しては日米ガイドラインの中に書き込まれるであろうというような報道がありました。私、あれっと思ったのは、ではもう一方の、米艦で退避してくる邦人の方々、これのことはガイドラインには入らないんだろうか。

 というのは、ホルムズにおける機雷掃海に関しては、私たちは国会の中でも随分議論して、こんなことが本当にあり得るんだろうか、存立事態を招くようなことがあり得るのか、非常に現実性、切迫性に関して議論させていただきました。ちょっと議論の頻度は少ないですけれども、やはり私なんかは、米艦で邦人が退避してくる、それに対する攻撃があるから、それに対して集団的自衛権を考えなきゃならぬというのも、極めて現実性なり切迫性が乏しいのではないかなというふうに思うんです。

 実際、中谷議員が、国会の中でも、質問者として前のガイドライン改定のときに、米軍による邦人の救出をガイドラインに入れて米国が実施する項目ということでお願いをしておったんですが、最終的にはアメリカから断られました、こういうふうに委員として述べていらっしゃいます。かつ、実際、今のガイドラインにおいては、両国がそれぞれ主体的に行う事項となっていますね。

 これはどうなるんだろうか。ホルムズが書かれるのであれば、米艦で退避する邦人のこともガイドラインに書かれるというのが、総理があえて二つの事例として出されたことですから、そうならなきゃおかしいんじゃないかと私なんかは思うんですね、本当に蓋然性があるのであれば。そこはどんな感じになりそうなんでしょうか。

中谷国務大臣 現ガイドラインにおきましても、邦人救出につきましては項目も記述がございますし、実際、日米間で訓練も行われております。

 今、ガイドラインの最終的な協議をいたしているわけでございますが、基本的に、ガイドラインというのは、条約のように縛るものではなくて、政策の方向性を一致させるということでございますので、必ずしもそこで合意したことを全てやる、すぐにやるというわけではございません。

 一方で、安全保障の法制につきましては、現在の日本の置かれた安全保障環境をめぐってまだまだ法律の整備が必要なところがございますので、その点において従来議論をしてきたわけでございますが、一方で、ガイドラインにおきましては、日米の防衛協力の指針ということで、これを議論する上において、整合性を持ちながら進んでやってきたというようなことでございます。

 機雷の話も、与党の間で議論もいたしておりまして、我々といたしましては、あらゆる事態に対応できる、切れ目のない対応ができる法制を目指して今検討を進めているというところでございます。

大串(博)委員 周辺から退避する邦人が米艦に乗って、米艦が攻撃されたから集団的自衛権の行使を考えなければならないということ、これは非常に現実性、切迫性が乏しいと思っているんです。

 中谷議員もかつておっしゃったように、アメリカから前回のガイドラインに入れることは断られた、よって、各国が主体的に行うべき事項として書かれている。邦人の退避に関しては各国が主体的に行うということですね。

 こういう蓋然性の低いことを前提に安保法制の議論が行われる、これは非常にまだ問題点の大きいものだと思っていますので、これらも含めて、きょうは、装備庁の問題等々、あるいは二十二条もほとんど議論できませんでしたけれども、さらにこの法案も議論させていただくことをお願い申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 大臣、お疲れさまでございます。

 民主党、緒方林太郎でございます。

 きょうは、防衛省設置法の改正ということで、若干ピンチヒッター的なところがあるんですけれども、質問させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 先ほど大串議員の方からもございましたが、今回、大きなものの一つとして、第十二条の改正の話が非常にクローズアップされております。

 大臣も本会議場で何度も答弁しておられましたが、別に何も変わることはないんだというような、もう少し意を尽くして言っておられましたけれども、余り変わることがないんだというふうに言っておられましたが、聞いていて、これだけ法律をいじっている以上は何か変わっているんじゃないかなと思うのが普通でありまして、大臣の真意についてお伺いをいたします。

 この十二条によって法的な作用として起こっていることというのは何も変わっていないのか、実態に合わせたのか、それとも新規で何か新たな規定を盛り込んだということなのか、いずれでございますでしょうか。

中谷国務大臣 累次、本会議でも答弁をいたしておりますけれども、変わらないことは、大臣を補佐する立場の文官と制服の関係において、政策的見地からの補佐と、軍事専門家としての専門的見地からの大臣の補佐、この関係は調整、吻合であって、両者相まって行ってきたということは従来から変わっておりませんということを申し上げました。

 しかし、変わったところといたしましては、防衛装備庁が新設をされ、また、統合幕僚部の改編があります。新設される防衛装備庁の長官、これも幹部になりますので、補佐の主体となると明記する必要がありますし、こういった所掌事務全般にわたるという点を明確化したということなど、再度明確にして確認したということでございます。

緒方委員 関係性については、これまでも、大臣とのさまざまな関係性、そして、それぞれの、制服組と背広組の関係性については変わらないということでありました。

 それをそのまま受けとめたいと思いますが、先ほど大串議員の方からも説明ありましたとおり、運用の方針とかそういったものについては、これまでの根拠規定というのは、恐らく、この防衛省設置法の第十二条において、大臣が、官房長、局長の補佐を得て、それで幕僚の方に指示を出すとかいうことだったと思うんですが、今後、運用の方針とかの根拠規定というのは、恐らく、自衛隊法第九条第二項の、「幕僚長は、それぞれ前条各号に掲げる隊務に関し最高の専門的助言者として防衛大臣を補佐する。」というふうにありますが、ここがキックオフになるわけであります。

 関係性が変わらないということはよくわかりました。ただ、運用の方針の作成とか、それを指示するとか、そういったことに関して、法律の根拠であるとか法的な作用であるとかいうものは、これは変わったということでよろしゅうございますか。

中谷国務大臣 改編して変わるところを申し上げますと、従来は内部部局も行っていた、部隊の運用に関する対外的な連絡調整や防衛大臣への状況報告といった業務は、今後、統合幕僚監部が取りまとめて行うことになりますし、その際、内部部局に対しても必要な連絡調整は当然にされるわけでございます。

 運用に関しては、大臣が判断を行う場合には、内部部局は、統合幕僚監部と必要な協議を行って政策的見地から補佐をするわけでございますし、部隊運用に関しても、閣議決定また法令の改正を必要とするものなど高度な政策判断を行うものについては内部部局が中心となって対応するわけでございまして、引き続き、政策的見地からの大臣補佐と軍事的専門的見地からの大臣補佐によって隊務運営が行われるということでございます。

緒方委員 私、関係性がこれまでと変わらないということに対して何か異議を唱えているとか、そういうことではないんですけれども、ないということを前提に申し上げれば、そこに立ち入ることをせずに、ただ、これから、運用に関するさまざまな、幕僚と内局と、そして防衛大臣の関係のところでの法的な根拠規定と法的な作用については変化がございますねということを聞いております。

 それでは、官房長、お願いいたします。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現在の状況におきまして、内部部局が運用の関係について所掌事務で含めておるのは、第八条の第二号で、いわゆる行動の「基本に関すること。」というのを担当しているからでございます。

 改正案に基づきましても、ただいま申し上げました第八条の第二号については改正がございません。その部分についての業務は引き続き担当するということになります。

緒方委員 端的にお答えをいただければと思います。

 それがいいとか悪いとかいうことではなくて、今後、運用に関しての、防衛大臣、内局、幕僚におけるところの三者、三者と呼んでいいかどうかわかりませんけれども、この間の、いろいろな、運用の方針等々に関する指示のあり方とかなんとかの根拠規定が変わっているんじゃないですか。そして、法律的な、法律的なですよ、実態じゃないです、法律上の作用の仕方は、これは変化がありますよね。イエスかノーかでお答えください、官房長。

豊田政府参考人 法律上の根拠につきましては、先ほど私が述べたとおりでございます。従来どおりの規定が維持されるということでございますから、部隊運用に関する、例えば法律の改正、政令の改正、訓令の改正、あるいは閣議決定を伴うような非常に重要なものについては内局が引き続き担当いたします。

 しかしながら、部隊の実際の運用にかかわるオペレーションについては、今回改編で取り上げておりますように、統合幕僚監部と内部部局の方で業務の重複がございました、その部分についてのみ、重複の部分についてのみ統合幕僚監部の方に一元化するという説明でございます。

緒方委員 なるほど、重複があるということですね。重複があるということで、そこを解消するための整理を行ったという理解で、では、これは一応確認までですけれども、大臣、お願いいたします。

中谷国務大臣 おっしゃるように、重複する部分がありますので、その辺は整理をしたということでございます。

緒方委員 それでは、質問を移したいと思います。

 防衛省から配っていただいた十二条関係の資料で、わざわざ法律用語の「相まつて、」というところに御丁寧に括弧がついておりまして、恐らくこれは、内閣法制局あたりと相談するときにこの相まってという言葉で相当もめたんだろうな、防衛省として万感の思いを込めての「相まつて、」という表現ではないかなというふうに、私もお役所にいましたのでよくわかります。

 確かに、この表現は余り法律用語で見ないので、ほかにもあるのかなと思って調べてみたら、それほどまれなものではなくて、幾つかあるんだということは私も発見をいたしました。

 ただ、これは本当に万感の思いを込めての「相まつて、」という表現だと思いますが、この相まってという言葉の意味はいかがでございますでしょうか。

中谷国務大臣 車の両輪のごとく、バランスよく行われるということも、その「相まつて、」の意味の一つでございます。

緒方委員 そうなんだと思いますが、もう少し詰めてみて、相まってというのは、それぞれ上に、トップに大臣がおられて、そして内局がいて幕僚がいてということなんですが、それぞれが、内局については今回の十二条において「補佐」をする、そして幕僚については自衛隊法第九条においての「補佐」があるということであります。

 これは法律上の解釈の問題ですけれども、どれぐらいお互いに相手のことに例えば干渉するとか、相手が持っているそれぞれ権限があるわけですね、幕僚が持っている権限、そして内局が持っている権限、そういったものに相手が、軍事専門的な見地からと政策的見地からというものの、それぞれお互いがやっていることに、すごい俗な言葉で言いますと口出しをして、そしてお互いが相互干渉することまでをも含めて相まってという言葉でしょうか。

 では、これは官房長、お願いいたします。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 「相まつて、」という文言についてのお尋ねでございますけれども、相互干渉という言い方は若干いかがかと思いますけれども、大臣が繰り返し申し上げておりますように、政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐が、両方あるわけでございます。

 今回、申し上げておりますように、大臣の所掌事務全般について政策的見地からの補佐を行うわけでございまして、大臣の行われる業務について、軍事専門的見地からの補佐を幕僚監部が行うのと並行して、私ども官房長、局長は、全ての分野について政策的補佐を行うということで、何か特定の部分について排他的に担当するという関係にはないという理解でございます。

緒方委員 例えばですけれども、法令用語でいうところの調整とか協力とか、そういった概念がこの「相まつて、」という言葉には含まれますでしょうか、官房長。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 車の両輪等々と申しますけれども、両者の、二つの、自衛隊法第九条の二項とそれから防衛省設置法十二条の規定、両方に「補佐」という文言が使われております。両者の調整、吻合という点で、防衛省設置法十二条の趣旨が従来から説明されているところでございます。

緒方委員 それでは、「相まつて、」という言葉は、今、調整、吻合と。吻合というのは余り使わない言葉ですけれども。では、調整、吻合という言葉を、それを簡潔に言いあらわした言葉として「相まつて、」という表現になっている、そういう理解でよろしいですか、官房長。

豊田政府参考人 御説明させていただいております両方の見地からの補佐の連携のあり方を端的に規定した文言が「相まつて、」ということでございまして、今般、この文言を設置法十二条に規定することによりまして、防衛大臣が両方の見地からの補佐を受けることを積極的に確認することとした次第でございます。

緒方委員 わかったような、わからないようなという感じでありますけれども、質問を進めたいと思います。

 両者が大臣を補佐するということであるんですけれども、今からお話しする話は、現実味がない話をあえてさせていただきます。

 今、中谷大臣のもとで、内局とそして幕僚が非常に密接に協力しながら補佐をしているということでありますが、ただ、こういう規定にする以上は、そうでない状態が生じたときにも制度的な担保があるということが私はとても重要だと思います。

 内局と幕僚の関係が、例えば、仮定ですけれども、悪い。それぞれがそれぞれに根拠規定を持って、根拠法令を持って大臣を補佐するわけでありますが、先ほど、相互排他的ではないということでありましたが、相互排他的に仮になってしまうとき、例えば、何か幕僚の方が大臣をこの件で補佐したいと思って、それが、相まってやろうと思ったら、内局の方の人たちからも、政策的見地からも物を言おうと思ったら、いや、これは純粋軍事専門的なものであって、あなた方が口を出すことはそもそも法令上認められていない、自衛隊法第九条第二項の規定に基づいて軍事専門的見地からのみ発言をしているのであるから入ってくるなというような、そういうことが私は生じないことを願っていますし、生じることは現在の自衛隊にはないとは確信をいたしておりますけれども、そういうことが仮に生じてしまったときの制度的担保というのがこの「相まつて、」だけというのは少し弱いのではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

中谷国務大臣 相まってという意味なんですが、これは幾つかの要素が重なり合って互いに作用し合うということであります。

 おっしゃるような事態がないように、大臣として、まさに統率でありますが、そのやり方としては、制度的には防衛会議というのがありまして、これは内局の幹部と各幕僚長が同じ席で大事なことを議論するわけですが、そういう会を招集して、時間をかけて調整するやり方もあります。

 もう一方は、内局の中に総合調整機能というものがございます。これは防衛省設置法上、内部部局の所掌事務として明記をされておりますので、しっかり総合調整しろということで、さらに調整を促すというような手段を講じたいと思っております。

緒方委員 「相まつて、」という言葉、それによって、ここにある調整、吻合であったり、それに対して協議をする場ということで、今、法定されております防衛会議ということがありました。防衛会議だけではなくて、日ごろの、平素のオペレーションから、まさにこの「相まつて、」というのは担保されるものだというふうに、当たり前の質問ですけれども、そう願っていますけれども、いかがでございますでしょうか。

中谷国務大臣 私のやり方ですけれども、週の初めは、事務次官と統合幕僚長と私と三人が十分、十五分会って話もしていますし、週末においても、各幕と話をしたり、また内局と一緒に話をしたり、やはりそういったコミュニケーションは平素から行っておりまして、仕事の環境整備をするというのも大臣の仕事の一つではないかと思っております。

緒方委員 それは、本日隣におられます小野寺大臣であったり中谷大臣のような方であれば誰も心配することがないんだと思いますけれども、変な大臣が来たりとか、変な幕僚長が来たりしたときとか、そういうときの制度的担保として、おかしなことが仮に起こるとするときに、今の法制度のままですと、仮に相まらないとしたときに、全ての調整機能が大臣に集約されるということになる、そういう危惧を持つわけですね。

 両方から結構異なる意見がぶわっと上がってきて、そして、相まってやろうとしたんだけれども、残念ながら相互排他的な効果が働いてしまった、その最後の調整機能が防衛大臣だけになってしまうということは過剰な負担ではないかというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

中谷国務大臣 それこそ防衛大臣の職責でありまして、やはり整々と組織を統括していくということで、防衛大臣の責任、能力というのは非常に大きなものであるというふうに思います。

緒方委員 最後に、一問だけお伺いいたします。

 今回こうやって、内局がいて大臣を補佐して、そして幕僚長が大臣を補佐して、それが相まってということで、そこで防衛大臣につながるんだと思いますが、それとは別に、第八条第七号において、今度、内局の総合調整という機能が入ってきています。ここの権限関係がよくわからないところがあって、それぞれが大臣に向かって補佐をして、ただ、そこは「相まつて、」とあるんだけれども、最後のところで、内局が総合調整で入ってくるというふうに見えてしまうんですね。

 そうすると、権限争いが生じないかなと思うんです。いや、自分たちは自衛隊法第九条第二項において大臣を「補佐」するという立場なんだ、ここに書いてあるじゃないかと思ったところで、その最後のところで、内局の人が出てきて、いやいや、我々は総合調整の機能を担っておりますということで、そこで、大臣に直接つながろうとしたら、そこにわっと総合調整で内局が入ってくるというような権限争いが生じるのではないかという不安を持つわけでありますが、では、これは官房長、いかがでございますでしょうか。

豊田政府参考人 権限争いを生じさせるための規定ということではございませんで、逆であるというふうに理解しております。

 第八条の第七号につきましては、今般の改編におきまして、統合運用機能の強化でございますとか防衛装備庁の新設など、かなりこれまでと違う組織改編を行わせていただく予定でございますが、それぞれが対外的に発信をしたり調整を行うということがございまして、防衛省の所掌事務全体につきまして、大臣の御判断のもとで統一的に遂行される必要というのを担保する必要があります。

 そういった形の統一性を担保するために、内部部局の所掌事務に「各部局及び機関の施策の統一を図るために必要となる総合調整に関すること。」という文言を加えさせていただいたところでございます。

緒方委員 議事録を見ながら勉強させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、吉村洋文君。

吉村委員 維新の党の吉村でございます。

 昨日は十二条関係で、シビリアンコントロールを含めて、この十二条の改正の持つ問題点、それから大臣の御意見、解釈というところの質疑をさせていただきまして、私の意見も述べさせていただいた次第です。本日は防衛装備庁の関係についてお伺いしたいと思います。

 今回、防衛装備庁を新設されるということで、さまざまその趣旨、御説明を受けました。一言でまとめると、装備品等の研究開発、取得、維持整備などライフサイクル全般を通じた管理を行って、プロジェクト管理の強化やさまざまな課題への取り組みを実施する体制の構築が必要ということで省内でもまとめられておるということでございます。

 私からは、この必要性は一定理解できるとしても、そもそもこれが外局として、装備庁として設立する必要性があるのか、そしてもう一つ、防衛装備を調達するというその事務の特殊性から生じるリスクというか、そういうこともあると思いますので、そのあたりについてお伺いしたいと思います。

 まず、防衛装備庁の人的構成なんですけれども、現在も防衛省内で防衛装備の調達に携わっている人、人員が当然いるわけでございますけれども、現在の調達にかかわっている人の員数が大体何人ぐらいで、今回装備庁が創設されるということで、そのまま新設される装備庁にこの人員が移行されるのかどうか、そのあたりをまずお聞きしたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の防衛装備にかかわる職員について、一概にその範囲というのを答えることは難しいのでございますが、今先生が御指摘になられましたような装備政策の企画立案、装備品のプロジェクト管理、研究開発、主要装備品等の調達等の取得関連業務に従事している職員と捉えますれば、現在、約一千八百人が従事しております。また、この人員は基本的に装備庁に移管されることになります。

吉村委員 今いる千八百人がそのまま横滑りして防衛装備庁に当初移行される。

 この装備庁を創設するに当たって、新たに人員を補強するとか、あるいはそういったほかの方策を講ずるというのであればともかくなんですけれども、そうではない、今いる人員をそのままということであれば、今ある制度の中で横串を刺して、あえて外局をつくらなくても、そういった政策的な機能を担うための横串を刺すことでその目的は達成できるんじゃないのかなというようにも思うんですけれども、そのあたりについてちょっと御見解をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 その点につきましては、限られた財政、予算の中でもありますので、一つは、スクラップ・ビルドという見地も必要であります。

 また、今回は、まず、装備品の構想、研究開発、取得、維持整備といったライフサイクルを通じたプロジェクト管理をすることによって、一貫性を持って効果を発揮する。現状は、装備政策は内部部局にあります、研究開発は技術研究本部にあります、主要装備の調達は装備施設本部にありまして、非常に組織が分散をしていまして、また、統括者、管理者も異なるということで、非常にこういったプロジェクトを行う上においての障害となっておりますので、これを一元的に集約するということで防衛装備庁を設置いたします。

 その際、プロジェクト管理や国際部門、また人員の強化も不可欠でありますので、単に横串を刺すのではなくて、大きな組織改編を行うことによって、総務部門などが廃止できますので、効率化をして、これらの分野に人員を配置することが可能になるということでございます。

吉村委員 先ほどの大臣の答弁の中で、構想も含めて、装備品のライフサイクルの一貫したプロジェクト管理を行うためにもこれは必要だということなんですけれども。ただ、今、内局にある整備計画局、あるいは各幕僚の後方計画部、これは、どういった装備を必要とするのか、そういったことを構想する部門でもあるとは思うんですけれども、結局そこはこの装備庁には含まれないということになっていると思うんです。

 結局、装備庁に一元化して、ライフサイクルを一元化するというふうに言ったところで、こういった部門は私は組み込めないだろうと思いますし、実際、組み込んでいないというような制度設計になっている。結局、外局をつくったところで、一定そういった部門も一元化できないわけでございますし、本当に外局をつくる意味というのはあるのかな。

 逆に言うと、例えばそういった構想部門である計画局とか、あるいは装備に関する後方の計画部とか、そういったところは装備庁に組み込めるんですか。どうなんですか。

中谷国務大臣 御指摘いただいた点は、今回の組織改編をする際に大変苦労したところでございます。今、防衛装備庁ができるわけでありますが、しかし、内局や各幕僚監部の関係部門が残るわけでございまして、その辺は連携をしていくことが必要不可欠でございます。

 こういった中で、プロジェクト管理をより効果的に行うためには一元的な組織にするということで防衛装備庁を設置するわけでありますが、この組織を基盤として、プロジェクトマネジャー、これが事業を担っていくということが必要と考えております。今後のプロジェクト管理につきましては、プロジェクトマネジャーを中心に、内局、各幕の関係部局を含めた会議体を設置いたします。これをIPMと申しますけれども、これにおきまして、防衛大臣のもとで効率的に意思決定を行いながら事業を行っていきたいと考えております。

吉村委員 行政組織は当然縦割りが生じてきて、それに対する問題がたくさん出てくるということがあって、それをどうやって横串を刺すかというのは難しい問題で、往々にして、例えば別の局をつくるとか外局をつくるとかというのは、発想としてはよくあるパターンなんですけれども、それによって結局行政がどんどん肥大化してくるというのもこれは過去の反省としてあることだろうというふうに思っています。

 そういう意味で、今回の当初の目的というか、それは一定、目的、その設置の必要性という意味ではあるんでしょうけれども、それ以外のデメリットというかそういった面を含めて考えたときに、本当にこれは外局化する必要があるのかなというところは少し疑問に思うところです。

 もう一つ、そう思う理由の一つとして、事務の性質なんですね。

 防衛部品、装備品の調達、まさに調達部門というのは大きなお金が動くところでもありますし、そして、防衛装備品の特殊性というところもあって、非常に不祥事が起きやすい性質の事務だと思います。これは、中にいる人がどうとかいう問題ではなくて、事務の性質として非常にそういうことが起きやすいところをあえて外局化するということになれば、やはり、それはどこまで監視が及ぶんだろうか。それぞれの幕僚であったり内局にあるうちは、それぞれの、そこの組織の中でのチェックも一定及びますけれども、外局で独立化していくとなれば、チェックというか、それが果たして機能するのか。独善化に走る可能性だってあるわけです。ですので、そういう意味で、調達事務ということに関して非常に不安というか、そういうものを感じているわけです。

 実際、過去、防衛装備品の調達に関しては多くの不祥事例があったのはそのとおりなんですけれども、その類型をちょっと御説明いただきたいのと、あわせて、その過去事例について、どうしてそういうことが発生したのか、その原因分析をどう理解されているのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省における過去の不祥事例を類型化いたしますと、一つは、職員による背任事案、二つ目のケースといたしましては、企業と職員による談合事案、三つ目の類型といたしましては、企業による過大請求事案などがあったというふうに承知してございます。

 その原因というようなものでございますが、これはなかなか類型化するのは難しゅうございますが、背任事案、談合事案、これについてあえて共通している要素というふうなものを申し上げれば、特定の、例えば建設部門というようなところで閉鎖的な人事管理が行われていて、なかなか風通しがよくない、こういうような中で事件が起こった、また、必ずしも法令遵守意識が徹底していなかった、こういうことがあろうかと思います。

 また、企業の過大請求事案につきましては、企業の希薄な違法性認識でございますとか、個別の契約における赤字の回避といったことが原因と考えてございます。

吉村委員 不祥事例をお聞きしているのは、結局、施設庁と、廃止になりましたけれども、それと同じような結果を歩むのじゃなかろうかというふうに思っているからお聞きしているわけです。

 まず、先ほどの人事管理、特定の人事部門の閉鎖的な管理があったということですけれども、今の人事体制とそれから装備庁になったときの人事体制を仮に比較すれば、先ほども議論がありましたが、結局、装備庁長官が人事について意見を述べるというような仕組みになるということであれば、やはりより一層その閉鎖性は増すんじゃないのかなというふうにも思います。

 特に、先ほどおっしゃったこと以外でいうと、やはり防衛装備品というのは市場自体がそもそも非常に閉鎖的な世界なんだろうなと思います。それゆえに、競争性が全くないぐらいの状況、随意契約がいかに多いかということもあると思います。先ほどおっしゃったような官民癒着、そういった本当に大きな問題点が発生しやすい環境にある、それを外局化しようというところに問題があるのかなというふうに思っております。

 それに関してちょっとお聞きしていこうと思うんですが、まず、現在の防衛装備品について、直近年度でいいんですけれども、わかる年度でよろしいんですが、契約の総金額に対して、契約の方式、競争入札、一般と指名がありますけれども、競争入札と随意契約の件数、それから、それぞれの契約の金額の総額、それと全体に占める割合、これはどのようになっていますでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の数値ということでございまして、平成二十五年度の実績で申し上げますが、競争契約が、件数で一万八千件、率にして約四二%、金額にいたしまして五千億円、約二二%ということでございます。随意契約が、件数にいたしまして約二万四千件、パーセントにして五八%でございます。金額にして一兆八千億円ということで、約七八%となってございます。

吉村委員 あわせてですけれども、その競争入札の分、一万八千件あって、金額が約五千億円ということですけれども、この競争入札の中で、いわゆる一者入札の件数というのはどのぐらいあるんですか。

吉田政府参考人 大変申しわけございません、今手元に数字がございませんが、一者入札も一定数ございます。

吉村委員 私がちょっと聞いているというか調べているところでは、大体四千八百件ぐらいじゃないかな、約三割。また後で違っていれば訂正いただきたいと思うんですけれども。

 言わんとしていることは、一者入札がこの一万八千件のうち非常に多くあるということなんですよね。入札といいながらも、事実上、ほとんど入札の体をなしていないんじゃないかというようなことも思うわけです。

 さらに、それをおいたとしても、全体における入札の契約金額の割合が二二%で、約八〇%が随契でやっているということですね。やはり、これだけ随契が多いとなると、本当にそれが適正な金額として、適正な契約がなされるのかというのは非常に疑問です。もちろん、装備品の特殊性というのはわかった上でお聞きしています。なかなか、特殊性があって、市場性が少なくてという前提で当然お聞きしているんですけれども、ただ、そういった実態として随契が非常に多い。

 行政で、私はもともと大阪市の出身で、市議会出身ですけれども、やはり役所でも随意契約というのは非常に多くありました。これはやはり変えていこうよということで、随意契約を入札型に多く変えていって、それで金額を浮かしていったという経緯があります。ただ、役所が一般競争入札しやすいというところの部分と、防衛装備品の特殊性の違いはあるのは当然わかると思いますけれども、それを前提とした上でも、やはりこの随契の割合、件数というのは非常に多いだろうなと思います。

 適正な金額になりにくい、そういった契約ではあるんですけれども、これに対して、何か対策というか、どういったお考えで、もし対策を講じているのであれば、そういった中身であったりとか、そのあたりをちょっとお伺いしたいなと思います。

吉田政府参考人 今の御指摘につきましては、先生がおっしゃるように、仕様の特殊性などから、防衛装備品については一般的に市場価格というのがないというようなことでございまして、材料費でございますとか加工費、こういったものを原価を積み上げて計算する原価計算方式というものをとっております。

 そういった意味で、この原価計算方式というものをきちっとやっていくということが大変大事になるわけでございまして、過去の契約実績とか企業の見積もり等をきちっと精査するというふうなことに加えまして、私どもとすれば、適正な調達価格を算定するため、コスト情報のデータベース化、それから、統計的な分析によるコスト推計手法とか、こういったものについても能力を向上させていきたいというふうに思っているのが一点と、もう一つは、防衛調達審議会、こういった外部の有識者から成るチェックというのを、随意契約になったもの等については受ける、こういうようなこととしております。

吉村委員 その原価計算方式については後でもちょっと触れさせていただこうと思いますけれども、会計検査院からやはり指摘は受けていて、この中でも、おかしいところが出ているんじゃないかという指摘は受けているところだと思います。

 一つ、防衛装備品の特殊性という、マジックワードというか、これは事実としてもそうだと思うんですけれども、そういうことによって、何かチェックが甘くなっているところが出やすい、そういった性質もあると思うんですよね。そういった意味で、やはりどうなのかなというふうに思うところが一つあります。

 もう一つお聞きしたいのが、随契するにしても、契約の相手方なんですけれども、二十五年度の装備品の契約総額に占める相手方の上位十社が占める割合と、加えて、上位二十社が占める割合、どのぐらいの企業が、独占と言ったら言い方は悪いですけれども、相対の契約の相手方になっているのかというあたりを教えていただけますでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、ちょっと二十社の積み上げでお答えさせていただきますが、平成二十五年度の契約相手方上位二十社というふうなことで申し上げると、七二・六%というふうになってございます。

吉村委員 上位二十社ということで、私の方で説明すると、上位十社でいうと、約六二・四%が上位十社で契約高を占めている。一番上が三菱重工業ですけれども、これが約二五%。つまり、国内企業の十社で六二%のシェアを占めている、そしてほとんどが随契でされているというのが今の調達の実態だろうということだと思います。

 そういった特定の企業と結びつくということになれば、これは必ずと言っていいほど、特に行政の場合は癒着が生まれる可能性というのが非常に高いし、そういう過去の経験も反省もあると思います。

 特に、行政の特殊性、一般論として言うと、やはり民間の場合は一円稼ぐのに一生懸命努力をし、削減をし、収入を得るわけですけれども、行政の場合は売り上げを上げるという努力がない、組織の中でこういった契約だけは特定の企業と結びつくとなれば、やはりそこは癒着が生じやすい、そういった状況になると思うんですね。特に、実態として、上位十社で六二%を占めるというような状況です。

 そういう意味で、特定の企業と結びつかないような何か対策というか検討、これも一定すべきじゃないのかなというふうに思うんですけれども、このあたりについて何か御見解はありますでしょうか。

中谷国務大臣 装備品の調達につきましては、できるだけ一般競争入札による調達を原則とすることで透明性を高めておりますが、どうしても法令等の制約や事業の性格から競争性が期待できない装備品の調達等については、随意契約が可能な対象を類型化そして明確化しまして、その活用を図ることといたしております。

 あと、先ほど答弁で会議体のチームの名前をIPMと申しましたが、IPTでございます。訂正させていただきます。申しわけございません。

吉村委員 やはりそこの特殊性ということに最後行き着いちゃうんですけれども、では、どこまでが、これが随契でやらなきゃいけなくて、ここが競争入札でという、そこの区分けについての判断がきちっとできているのかどうかというのも疑問ですし、そこがブラックボックス化されると、まさに適正さというのを欠いていく。そして、施設庁のときは、結局、不祥事がきっかけで廃止となったわけで、それは国民に甚大な被害が生じているということになる。まさに同じような外局をつくることで、この事務の特殊性ということを考えれば、また同じようにならないのか、非常に懸念を抱いているわけでございます。

 そういった結びつき、癒着ということに関して言うと、職員と、それから契約している企業との関係です。先ほど、上位二十社で約七二%の契約高、契約の相手方になっているということなんですけれども、二十五年度の防衛省の職員、自衛隊のOBがこの上位二十社に再就職している事実はあるのかないのか、あるのであれば、その人数についてお伺いしたいと思います。

真部政府参考人 平成二十五年度におきまして、中央調達の契約相手方の上位二十社、こちらの方に再就職いたしました本府省課長、企画官相当職以上の者は、事務官等は二名、自衛官が三十七名、合計が三十九名でございます。

吉村委員 その三十九名のうち三十三名、これが上位十社に再就職しているという状況です。事務官についてはこの上位十社に含まれている。

 片や、自衛隊全体で平成二十五年のOBの再就職の数という、総体は何人になるんですか。

真部政府参考人 申しわけありません。ちょっとその数字を今持ち合わせておりません。申しわけございません。

吉村委員 昨日の夜、ちょっと打ち合わせをさせていただきまして、このあたりは通告させていただいているところでありますので、ちょっと連携をしていただいて……。別に、数にかかわることなので、答えられないから特にどうという話じゃないんですけれども、聞いているところでは百八十一名が再就職者数ということです。

 きのう、打ち合わせをしたのは十時ぐらいで遅かったので、職員の方はいいんですけれども、いいですか。

真部政府参考人 大変失礼いたしました。

 二十五年度につきましては、全体、一佐職以上でございますけれども、それにつきましては百五十四名でございます。

吉村委員 ですので、百五十四名ということですから、その百五十四名中、約四十名、非常に多い割合がこの契約している相手方に再就職をしている。

 説明を聞けば、それは専門性が必要なんだとかいう話もあるんでしょうけれども、片や、国民目線から見たときに、よく天下りと批判されるようなこともあるわけでございます。そういう意味で、それによって癒着が生まれるんじゃないか、天下りそのものが悪いというよりは、それによって癒着が生まれて、果たして税が適正に使われるような体制になるのかというのがこれは根本的な問題点だと思うので、そういったことに疑念を抱かれないようにしないといけないと思います。

 数において言えば、非常に大きな数がやはりそこに再就職しているとなると、やはりそこの官民癒着、先ほど防止しなきゃいけないと総論ではおっしゃりながらも、そこが癒着が生じやすい、そういった客観的な状況になっているんじゃないのかなというふうに思っています。

 ですので、これに対してもしっかりと、そういうことがないように、再就職というのは禁止すべきじゃないかというふうに思いますけれども、このあたりについてどのようにお考えでしょうか。

真部政府参考人 今委員がおっしゃったとおり、自衛隊員の再就職が公務の公正性の確保に支障を生ずる、そういうふうなものであってはならないということは私どももよく承知しておるところでございます。

 このため、防衛省といたしましては、隊員の営利企業への再就職に当たりましては、法令に基づきまして、防衛大臣などが再就職の承認、不承認を判断する仕組みをつくっております。

 また、この防衛大臣の承認につきましては、外部の有識者から成りますところの防衛人事審議会、こちらの諮問を受けて、その議決に基づいて行うこととしておるところでございます。

 このように、隊員の営利企業への再就職に際しましては、一定の定められた承認基準を満たしまして、かつ、公務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合に限ってこれが承認されておるところでございまして、そういった癒着といいましょうか、天下りの温床になるといった御指摘は当たらないようにしているつもりでございます。

吉村委員 監視というか、それはしっかりやっていただく必要がありますけれども、数の上では非常に多くの方がそちらに再就職をされているということ。

 なぜこういうことを申し上げるかというと、先ほども申し上げたとおり、不祥事となる背景の原因、市場の閉鎖性であったり、それによる競争性の欠如、随契の多さ、癒着、そういったことが生じやすい調達事務に関して外局化するのであれば、そういった不祥事が起きるような原因を取り除くような措置をしっかりやらないといけないと思いますし、それが難しいのであれば、あえて外局化する必要はないんじゃないのかなというふうに思っておりまして、そういう意味で、先ほどのこの事務の性質から考えると、ライフサイクルを回すという目的ということですけれども、そこは非常に懸念を抱いているところであります。

 新しい防衛装備の輸出の三原則であったり、あるいは新しい安保体制の準備としてこれをやっているというのは、それはわかるんですけれども、ただ、それでもこれを外局化する必要というのは本当にあるのかなというふうに思います。

 先日、白石参考人がいろいろ発言されていました。結局、民間の側から見れば、一言で言うと、なかなかもうけが薄いというか、市場性がないことに対して、お国のためにそこを度外視してでもこの事業を維持しているというのが実態なんだというようなことをおっしゃっていました。

 であるならば、国として、そこに依存し続けるということは果たしてどうなのかなというふうにも思います。二十年後、三十年後を見越したときもそうですし、その体制をこのまま維持する、先ほど言った問題点にふたをしながら進めていくというのは、必ずまた同じような問題、施設庁のような問題が起きるのかなというふうに思っています。

 そういった意味で、参考人は、防衛装備の中でも、国内で保持すべきもの、あるいはそれ以外のものというのをしっかり分けて、選択と集中を図っていくのがこれからの日本に必要ではないかというふうにおっしゃっていました。私もそうなのかなというふうに思っております。

 当然、一定のルールのもとでの輸出というのは私はあると思っていますし、そうすべきかなというふうに思うんですけれども、そこの選択と集中という意味で、大臣の意見というか、そのあたりをお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 まさに御指摘のように、日本の防衛装備や技術基盤を維持強化していくためには、この特性を踏まえた上で、めり張りをつけて戦略的に実施する必要があると考えております。

 そこで、昨年六月に策定しました防衛生産・技術基盤戦略におきましても、陸上装備、艦船、航空機、誘導武器等の主要な防衛装備品の各分野に、今後の施策の方向性を示しているところでございます。例えば誘導兵器につきましては、「能力向上に迅速に対応し、技術的優位性を確保するため、一定の誘導武器について今後も国内開発を継続できる基盤を維持・強化していく。」ということを記述しております。

 今後とも、この特性をよく見きわめながら、防衛生産基盤の維持強化に努めてまいりたいと思っております。

吉村委員 その選択と集中というのをしっかりやっていかないといけないなと思います。防衛の装備の技術の基盤というか、それを強化していくということも必要だろうと思います。

 そういった意味で、今、市場の拡大ということで輸出の議論も出ておりますけれども、これまで完成品を輸出したという実績はあるのかないのか、それから、今後、防衛装備移転三原則との関係で問題になってくるところもあると思うんですけれども、そのあたりについて何か御所見があればお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 今御指摘ございました、防衛装備、完成品を輸出したことがあるのかというふうなことでございますが、これにつきましては、従来、武器輸出三原則というふうなことで、その例外化として、アメリカとの間で防衛用のミサイルSM3ブロック2Aというものの共同開発を行っているという実績はございますが、それ以外のものについては基本的にはない。

 それから、今後でございますが、昨年四月一日に防衛装備移転三原則というようなものが制定されまして、一定の要件を満たす場合には移転が認められ得るとなっているというふうなことでございまして、こういった新しい三原則に沿って防衛省としては対応していきたいと存じてございます。

吉村委員 新しい課題に取り組んでいくということで、また、この装備庁自体も、結局、どんどんやるべきことも多くなってくるから膨らんでくるんじゃないのかなというのがもう一つ私が思っているところ、それは必要であればそうすべきなのかもわからないけれども、懸念でもあるというところです。

 もう一つは、産官学の協同で開発をする、技術力を高めるために開発をするということ、これも本来必要だとは思うんですけれども、これも今までやってこなかったことの分野なのかなというふうに思うんですが、このあたりについてお伺いしたいと思います。

外園政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の技術力の向上のためには、防衛省が装備品のニーズに応じた先進的な技術を適切に発掘し、これを効果的に規制することが重要であると考えております。

 特に、大学や独立行政法人などの研究機関の中には、世界でも屈指の技術、研究環境を持つ組織が我が国内にもございまして、このような組織が生み出す先進的な技術を取り込むことが技術の向上につながるものと考えております。このような観点から、大学や独立行政法人などの研究機関との連携に努めておりますが、このうち防衛省と大学との連携については必ずしも進んでいるとは言えない状況にございます。

 このため、大学や独立行政法人などの研究機関や企業などが行うすぐれた研究に対しまして研究資金を配分するファンディング制度を今年度予算から開始させていただくこととしておりまして、効果的、効率的に先進的な技術を発掘、育成したいと考えております。こうした施策を講じることにおきまして、防衛装備庁におきましても産学官の連携を強化し、技術力の向上を図ってまいりたいと考えております。

吉村委員 お話をお聞きすると、防衛装備庁として新たにすべきことというのは結構たくさんあると思うんですよね。結局、今まではしてこなかった、今の自衛隊がしてこなかったようなこと、防衛省でしてこなかったこと、それをこの防衛装備庁でもしようというふうなことも、今お話をお聞きするとそうだと思います。

 そうすると、結局、今の人材でそもそも維持できるのか、もっと人材をふやさないといけないんじゃないのかという問題も出てくるのかな、それから、その体制についてもどうなるのか、そのあたりについてお伺いしたいと思います。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の方から御答弁させていただきましたように、今回の装備庁設置に際しては、スクラップ・アンド・ビルドというふうなことで、既存の組織を単に寄せ集めるだけではなく、これを見直して、削れるところは削った。

 そういった中で、今先生が御指摘になりました国際装備協力でございますとか技術戦略の強化でございますとか、新しい課題にも、全体の定員の数、枠は動かすことなく、無駄をスクラップしたところで新しい新規行政課題にも応えていく、こういうような見直しをしているところでございまして、そういった中で政策課題に対応する組織、人員を手当てしているということでございます。

吉村委員 枠を広げることなくスクラップ・アンド・ビルドで新しいことをしていくということであれば、それはその考え方は私もいいと思うんですけれども、そうなると、最初の話にちょっと戻るんですけれども、やはり外局をつくる必要はあるのかなというふうに、私としてはそこに思いつくんですよね。

 結局、今の人員でやるということですし、それから、先ほど申し上げたような、人員はふやさないとおっしゃいますけれども、肥大化していくんじゃなかろうかというのが一つと、もう一つは、やはり一番私が懸念しているのは、不祥事が非常に起きやすいような背景のところの事務について外局化する、独立化させるというようなところについて、結局、施設庁と同じ運命をたどるんじゃないのかなというふうに思っています。

 この装備庁の設置を視野に入れるということは平成二十五年の八月三十日の「防衛省改革の方向性」でも示されているところでして、それに基づきながらということだろう、内部的にはそうなんだろうと思うんですけれども、そこにあえて書かれていることが、「その際には、調達の更なる公正性を期するため監査機能の強化」をすべきだというような意見が付されているわけですね。これはまさに、あえてこういうことを言わなきゃいけないというのは、私が申し上げたようなそういった背景事情もやはりあるからなんだろうと思います。

 そういう意味で、ここに書かれている監査機能の強化対策というのはどういったものを今回予定されているのか、概要だけで結構ですので、お願いします。

中谷国務大臣 三つございます。一つは、長官直轄の組織として、監察監査・評価官の新設。第二に、防衛大臣直轄の防衛監察本部の強化、二名の増員を図ります。第三に、防衛調達審議会の一層の有効活用ということで、この監察監査機能の強化を図ってまいります。

吉村委員 それぞれについてちょっとお聞きしたいんですけれども、まず、防衛監察本部、これは今約五十名ぐらいいるらしいんですけれども、今回二名ふやすということです。これは平成十九年に設立されているわけですけれども、ここの過去の監査実績、それから、どういったことをしているのか、それが機能しているのか、それから、今回二名ふやすということですけれども、なぜ二名ふやすということなのか、そのあたり、監察本部についてお伺いしたいと思います。

豊田政府参考人 先生御指摘のとおり、防衛監察本部は、平成十九年に大臣直轄の特別の機関として設置されました。さまざまな事案が相次いだことを踏まえまして、独立した第三者的な立場から全省的に厳格なチェックを行うという趣旨で設立されたものでございます。

 このため、多様な知見を活用するという観点から、トップである防衛監察監には法曹関係者として元検事長の方を任用しておりますし、そのほか、検察庁あるいは公正取引委員会から職員が出向しております。また、公認会計士の方も在籍しているという形でございます。

 こういった体制のもとで、監察本部におきましては、定期防衛監察の具体的な内容として、毎年約五十から百五十の部隊等に対しまして、単なる書類上のチェックにとどまらず、管理者あるいは一般職員へのアンケートや面談等による意識調査や職務執行状況の実地調査など、各種の手法を組み合わせて厳格に実施しておるところでございます。

 今般、二名の増員をさせていただきますけれども、この二名につきましては、組織の中の、会計に関する監察を担当する班の人間を一名ずつ増強させていただく内容でございます。

吉村委員 あと、防衛調達審議会なんですけれども、それも新たに新設されることになると思うんですけれども、そこの構成メンバーをお聞きすると、公認会計士であったり大学教授であったり弁護士であったりというようなことらしいんですが、そこに防衛の専門家というのは入ってくるんですか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛調達審議会でございますが、先生が御指摘になられましたように、現状でございますと、大学教授が三名、公認会計士が二名、弁護士が二名というようなことで、それぞれ、企業会計、企業監査、競争政策、企業法務、こういったものに御知見を有される方というふうなことでございますが、必ずしも防衛の専門家という方々ではなく、まさに今申し上げたような知見から防衛の調達をチェックしていただいているという実情でございます。

吉村委員 よく行政がやるやり方で、チェックをしなきゃいけないというときにそういった何か審議会をつくる、その審議会のメンバーは何か肩書を持った人を入れておこうみたいな、私は、その中で、果たしてその審議会が、実態がない審議会というか、肩書きがあって特別な知見があったとしても審議できる能力がない、そういったところが非常に行政は多いと思うんですよね。

 今回、それにならないようにするためにも、特にこの防衛調達という意味では非常に専門性の高い分野だと思いますから、そういった会計士や弁護士や大学教授をフルに活用するためにも、中に防衛の専門家を入れるような組織にしないと、何か、とりあえずつくりましたみたいな、とりあえず社会的な立場がある人を入れましたからそれでいいでしょうみたいなことにならないように、そういったメンバーを入れていただきたいなというふうに思いますが、このあたりについてどうですか。

吉田政府参考人 防衛調達審議会でございますが、これについては活動概要等をホームページで公開しておりまして、今般の国会審議でも御審議いただきましたが、私どもからすると、先ほど申し上げましたような専門的な知見を持って防衛調達についての是正すべき点を幾つも御指摘いただいて、それに応じた対応策を講じてきているというふうなことでして、決してお飾りというようなことで思っているわけではございません。

 逆に、防衛の専門家というような方というのは、装備にすごく深く詳しい方とか時たまいらっしゃいますが、必ずしも調達の適正性というのをチェックできる方がいらっしゃるというふうなことでは、私ども承知していないところでございます。

吉村委員 私が言っているのは、そういう人と相まってという趣旨なんです。

 だから、結局、うるさく言わないとだめなんですよね。うるさく言われないと、こちらからするとチェックされる立場だから。そこで、そういった仕組みになっているのかというのは、我々野党でそういうチェックをしていきたいと思いますし、そういった組織にしていただきたいなというふうに思います。

 新たな監査として、従来の監査も含めて、防衛監察本部、それから先ほど大臣おっしゃった監察監査・評価官、それから防衛調達審議会、この三つが恐らく主たる監査の主体になろうと思いますけれども、この三つ、それぞれ横串を刺すようなそういった仕組みというのはあるんですか。

吉田政府参考人 横串を刺す仕組みとちょっと表現が違うかもしれませんが、私どもは、この三つを重層的に活用することによってガバナンスをきかせていきたいというふうに思ってございますし、もちろん、そういった有機的連携を図るというのは、新しく設置される装備庁長官の大事な任務だと思っておるところでございます。

吉村委員 今回、装備庁が創設されるということになるんでしょうから、そこの監査、この三つの監査がしっかりと機能するような、その仕組みはしっかり立てていただきたいなというふうに思います。

 会計検査院からも原価方式について指摘されています。平成二十四年に過大請求事案が発生して、調査した。そうすると、工数のつけかえをしていたりとか、実際の工数のデータを破棄していて、つけかえ工数のデータに基づいて帳票類をつくっている、そんなことをしながらも過大請求しているというような事案が発覚しまして、平成二十四年度以降、会計検査院からも、これについては、不祥事というか、これを防止すべきだという具体的な意見も付されているわけですけれども、これについて防衛省としてどう対応しているんですか。

吉田政府参考人 防衛省では、これまでの会計検査院の指摘を踏まえまして、原価監査に関する規程や書類の整備、保存の義務づけ、抜き打ちの制度調査の実施、それからコンプライアンスに関する要求事項の確認などの措置を講じることにより、防衛装備品等の調達の適正化に努めてまいったところでございます。

 検査院から何度か指摘を受けてございますが、これを真摯に受けとめ、所要の措置を講じてきているところでございますし、引き続き指摘をきちっと実行していきたいというふうに考えてございます。

吉村委員 本日、防衛装備庁の問題点というか背景事情もいろいろるる指摘させていただきまして、私は、あえてこれを、外局をつくる必要があるのかなというのは今でも思っていますし、非常に不祥事が生じやすい事務に関することで、施設庁と同じ運命をたどるんじゃないのかなというふうに思っています。

 ただ、大臣はそうじゃないという御意見だと思うんですけれども、そのあたりについて、大臣の、施設庁と同じようにはさせないよというようなことも含めて、何か御意見をいただけたらと思います。

中谷国務大臣 防衛装備というのは非常に必要なものでありますが、私も部内で今仕事をしていますけれども、関係部署がたくさんあり過ぎて、どこで誰が何をやっているのか余り見えない状態でございますが、今回、防衛装備庁という形で一つの省にまとまり、また、やっていることも、プロジェクト管理ということで一貫して行われますので、今以上、今よりは見えやすくなる、また機能的になる、また節約もできる、また専門家が集まっていろいろと協力し合える、こういったメリットはあります。

 しかし、心配されるような不正とか、またなれ合いとか、こういうことは決してよくないわけでございますので、こういった組織をつくった以上は、しっかりと機能できるように、運用をしながら監督もしてまいりたいというふうに思っております。

吉村委員 以上で私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 この際、暫時休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二分開議

北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。下地幹郎君。

下地委員 理事のメンバーとして、時間がおくれたことをおわび申し上げたいというふうに思います。

 この質疑ももう終局に近づいていますから、また深い論議をしながら、何とかよりよい法案の決定をしていければなというふうに思っていますので、よろしくお願いします。

 それで、きょうは、朝から十二条の話ばかりなんですけれども、文民、文官統制の話ばかり、もう一回、僕もそれを少しやらせていただきたいと思います。

 それで、大臣にちょっとお聞きしたいのは、政府答弁の重みというのをちょっと聞きたいんですよね。

 政府答弁をやると政治的な方向性が、大臣が発言したり総理大臣が発言すると方向性が出てきますよね。また、これは行政的にも一つの約束みたいなことにもなります、大臣の発言というのは。また、国民への説明責任や国民への約束みたいなものも出てくる。そういうふうなことがあるからこそ、野党も真剣に質問させていただくし、大臣も、こういうふうな、政治的な、行政的な、国民への説明という観点からしても、しっかりとした答弁をしなけりゃいけないというのがあると思うんですよね。また、もう一つは、歴代の大臣、歴代の総理大臣の答弁の継続性というのもありますよね。

 こういうふうなことなどを全部踏まえて、大臣とか政府答弁というものの重みについて中谷大臣はどういうふうな認識を持たれているのか、そのことをまずお願いしたいと思います。

中谷国務大臣 国会における政府答弁というのは、速記を通じて記録にも残りますし、その時点での政府の見解を述べるものでありまして、非常に重要なものであるというふうに認識をいたしております。

下地委員 まさにそのとおりだと思います。

 私たちが質問するに当たっても、佐藤総理大臣の答弁書を引き出してきたり、いろいろなことをお互いやりながら質問をしてきているわけですから、根拠となる答弁というのは物すごく大事な意味があるというふうに思うんですよね。

 そういう意味で、政府答弁をやった後、政府答弁を変えるときの手続というか、そういうものはどういうふうな形がいいんだろうか。政府の歴代の、同じ党の大臣が発言してきたものを変えていくときには、そのときの大臣が違うと言うだけでこれが変わるのか。集団的自衛権のときのように、閣議決定をして変えていくという方向性がありますよね。政府答弁を変えるときのやり方とか仕組みとかというのはどういうふうなものがあると大臣はお考えになりますか。思いのままでいいですよ。

中谷国務大臣 変えるという意味が定かでございませんが、国会の質疑を通じて、そういった国会の論戦を通じて政府が述べたことが正式な見解となるというふうに思っております。

下地委員 それで、きょうは、この部分から少し、大臣とまた意見が違うところが出てくると思うんですけれども、この三月の三日に、大臣が枝野民主党幹事長への答弁の中で申し上げている文官統制の話なんですけれども、この中で、大臣は、

 この文官統制という言葉は、政府としてその考えをとっておりません。

ということを明確に言っていらっしゃいます。また、

 政府としては、その文官統制という考え方は今まで持ったことがありません

というようなお考えを言っているんですよね。

 それで、歴代の、今までの総理大臣の方々がどういうふうに言ってきたかということをまず考えてみなければいけないんですけれども、そのときの文官統制と文民統制の違い、この部分に関しては大臣はどうお考えになりますか。

中谷国務大臣 文官統制というのを使わないというのは、近年における防衛大臣が何度かお述べになっておられます。

 私もよく答弁を調べてみますが、文官統制というものについての意味の記述、統制でありますので、これはコントロールで、指揮命令という意味でございますが、この文官統制という意味について述べたものは接しておりません。

 むしろ、シビリアンコントロールにつきましては文民統制でございまして、この文民統制の意味は、何度も何度も繰り返し述べておられますし、今の政府の見解としては、シビリアンコントロールというのは文民統制であるというふうに述べられております。

下地委員 昭和四十五年の四月七日の衆議院の本会議で、佐藤総理大臣が

 現在、自衛隊のシビリアンコントロールは、国会の統制、

大臣がよくお使いの。

 内閣の統制、防衛庁内部における文官統制、及び国防会議の統制による四つの面から構成されておりまして、制度として確立されている

という答弁をなされているのが一点あります。竹下大蔵大臣も、昭和六十年一月三十日に、衆議院の大蔵委員会で

 防衛庁そのものの中でいわゆるシビルの方、内局の方がコントロールしていかれる。

ということを答弁しているんですよね。

 これは、大臣の場合には、政府は保安庁創設以来一貫して、文官が自衛隊をコントロールする文官統制という考え方はないと明確におっしゃっていますけれども、当時の竹下大蔵大臣や佐藤総理の答弁書を聞くと、やはり政府として、文官統制というもの、文民統制の中に文官統制があってというようなことも明確に発言をしていることからすれば、これは一般的に、歴代の内閣でずっと文官統制というコントロールのあり方があったというようなことを認めてもいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 まず、文民統制について、佐藤総理大臣はこう述べております、文民統制ということは、これを言葉をかえて言うならば、政治が優先しなければならない、同時にまた、国会においても、最高の国家機関である国会が最終的に政治優先としての形で文民統制の実を上げている、かように私は理解をしているというようなことでございまして、やはり、これを読んでみますと、佐藤総理も、防衛省内部における文官統制となりますと、防衛大臣、当時は防衛庁長官でありますが、それが統制を行うわけでありまして、では、文官統制というのは一体何だろうかということでございます。

 これには何の注釈も解説もないんですが、戦前の例を挙げてみますと、武官と文官というのがありまして、武官というのは軍人、文官というのは軍人以外の者であるというようなことで、戦中戦前の皆さんはそういう意識で捉えておられたという部分があるのじゃないかな。つまり軍人以外の者であると。一時期は、制服も武官ではないというような解釈の時代もあったわけでございますが、文官というものの意味することが、非常にいろいろな意味がございます。

 しかし、統制となりますと、指揮命令権があるわけでありまして、この十二条の条文では「補佐する」というふうになっておりますので、補佐をする以上は統制ということはあり得ないわけでございますので、こういった佐藤総理のほかの発言等を踏まえれば、御指摘にあった佐藤総理大臣の答弁も、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民の統制の趣旨であるというふうに思っております。

 また、竹下総理のお話もございましたが、これも、答弁を見てみますと、防衛政策、政策については内局がコントロールするというような趣旨でありますので、これは政策的分野における補佐ということで、その補佐を通じて行われる大臣の文民統制であるというふうに私は理解しております。

    〔委員長退席、金子(万)委員長代理着席〕

下地委員 中曽根防衛庁長官が、昭和四十五年四月の十五日、

 三軍がばらばらにならないように、そういう意味で内局においてこれを統合するということは非常に大事な要素でもあるのです。 内局というのは長官を補佐する。いろいろ部隊、各幕に対して指示を与えるときも内局が審査して、そして報告にくるのも、また上から下へ下達するのも、内局を通してやるというシステムになっておるのであります。

これは文官統制じゃないでしょうかね、この答弁は。

中谷国務大臣 同じく中曽根防衛庁長官の発言でございますが、同じように、

 シビリアン・コントロールということは、政治理念が軍事理念に優越するということであり、国民代表である政治家、あるいは国権の最高機関である国会が軍事を掌握するとかいうことであって、国家公務員相互においてせびろが制服に優越するということではない。

また、

 文民優位とは政治家や、あるいは国民の代表である国会が軍事を掌握することである

という答弁があります。

 また、同じく中曽根総理の発言といたしまして、昭和五十八年九月十三日、

  防衛問題について官僚に任せるというようなことはいたしておりません。やはり文民優位を貫く。文民優位とは政治優位であると考えておりまして、私たち政治家の責任においてこの問題は推進してまいりたいと考えておるところでございます。

と答弁をしております。

 こうした答弁を踏まえれば、お尋ねの中曽根防衛庁長官の答弁につきましても、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であるというふうに理解をされます。

下地委員 福田内閣時代に、防衛前事務次官を初めとする防衛省・自衛隊の一連の不祥事を受けて官邸に設置された防衛省改革会議の報告書には、

 戦後日本における文民統制(シビリアン・コントロール)の在り方が独特であったことを想起しておかねばならない。戦後の政党政治がなお未成熟であり、社会が安全保障問題に理解を欠いていたことを想えばやむを得ない面もあるが、防衛庁内部部局が自衛隊組織の細部に至るまで介入することが、文民統制の中心的要素とされてきたのである。国民→国会→首相→防衛庁長官→自衛隊という議院内閣制民主主義の本旨に沿った文民統制のラインの確立よりも、いわゆる「文官統制」ともいうべき状態をもって文民統制とした戦後日本であった。

こういう記述があるんですよね。

 これは、政府内で、官邸でつくったものの中でこのことを明記しているわけですよ、記述しているわけですよ。

 同報告書は、続けて、

  戦後日本のこうした文民統制の問題点を承知しつつも、本会議はそれを全壊させるのではなく、内部部局の文官と自衛官の双方によって補佐される政治という基本骨格を鮮明にすることが、二十一世紀に安全保障上の任務を達成する上で最も適切と考える。

ということなんですよね。

 あるけれども、これが正しいことだとは言っていない、そういうニュアンスなんですよね。

 だから、こういうふうな、今大臣とやりとりしていますけれども、私の考え方ですよ、私の考え方は、今まではあった、あったけれども、これを変えましょうというような考え方の方がスムーズでいいのではないかというのが私の考え方。

 きょうも朝からずっと論議を聞いておりまして、僕らは、この文官統制とか文民統制という言葉に賛成しないんですよ、賛成しないんです。そんな言葉はもうなくなっていいんですよね。しかし、歴史的にそういうふうな過去があったということを認めた上で、さあ、十二条の解釈を変えるときに、見方を変えるときに、こういう言葉はもうなくしましょうねと言った方が、すっきりとして、自衛隊の隊員の皆さんも、私は評価されるんじゃないかというふうに思うんですけれども、このことについて反対というんだったら、それはもう論議がなかなか決着つかないんですけれども。

 大臣と私の考え方はある意味一緒なんですけれども、ただ、歴史的にこの国会答弁の中で今までいろいろな、私が中曽根さんの発言を引用したら、大臣も中曽根さんの発言を引用するというようなやりとりではなくて、もうそういうことが現実的にあったことを認めた上で、これを今回は徹底的に直してやりましょうというようなことが、私は、すっきりして、みんな案外賛成できるんじゃないか。この論議は生まれなかったと思うんですよね。

 安保制度の議論がこれから始まりますよね。これから安保制度の議論が始まるので、その中で一番大事なのは、国民が政治家の解釈がころころころころ変わるなというイメージを持たれることが私は一番だめだと思うんですよね。

 だから、今回の文官制度の見直しというのは、旧軍人が自衛隊にはもういないということや、自衛隊の世論調査での支持率はもう過半数を圧倒的に超えているという、国民の信頼が自衛隊にはもう集まっているんですよね。自衛隊を否定する人は、思想的に一部の人がいるかもしれませんけれども、大抵の国民は自衛隊に対する、役割というのはやはり必要だと認められている。これは、国を守るという観点からしても、東北の大震災の活躍を見ても、あらゆる災害時に自衛隊が活躍していることを否定するという人は、私は、いないとは言いませんけれども、そんなに多くないというふうに思っているんです。そういうふうな信頼がこれだけ高まっているから、この前からずっと歴史の中である文官統制とか文民統制という言葉を、今回変えましょうよと言った方が、ある言葉を変えましょうよと言った方が、私は自衛隊員のためにもいいのではないか。

 いや、今までは全くない、全くないと。全くないんだけれども、十二条にさわろうとすると、一体どっちなんだみたいな話になるところがいかがなものかと思うんですけれども。

 大臣、ここは、すっきりと、この言葉をなくすために、今度の設置法の中でもこれを正確に認めてやっていくというように言った方が、自衛隊の皆さんも評価をされたなというお気持ちになるんじゃないかなと思うんですけれども、いかがですか。

    〔金子(万)委員長代理退席、委員長着席〕

中谷国務大臣 この問題、この国会でも非常に深く議論をしてまいりましたが、私も、担当大臣として思うことは、私が一貫しているなと思っていることは、シビリアンコントロールでいえば、やはり防衛大臣、これが防衛省の中でシビリアンコントロールをしていく主体でありまして、では、そのためにその補佐として、片一方に政策的補佐を行う文官と、もう片方に軍事的専門見地から行う統合幕僚監部、制服、この両方の補佐を両翼として、車の両輪としてずっとやってきたのではないか。

 いろいろな歴代総理の表現等もありますが、要は、基本的な政策とかまた内局がやるべき政策的な補佐においては内局がしっかり調整をして補佐をする、また、軍事的なことにおきましてはこっちの、制服の声を聞いて行うというようなことで、そういう面においては非常に一貫してやってきたのではないかということであります。

 決定的に言えることは、補佐は補佐であって、指揮権も命令権もないし、どっちが上とかどっちが下とか、そういうことも定めたものではなくて、補佐というのは部下が上司を助けることでありまして、他人の行為に制限をかけたり禁止をかけたり積極的な命令をするというような統制というものは決して行う立場でもないわけでありまして、その辺はしっかりと自分の守備範囲において調整をして大臣を支えてきたなという意味では、私なりには一貫していることではないかなというふうに思っております。

下地委員 大臣が一貫していることはもう御尊敬申し上げますけれども、今までの歴史の中で数々の国会答弁がある中で、こうやって、文官統制があった、また国民の中にも、今まで文官統制という言葉が国民の世論の中にあったというのは、戦争が終わって今七十年の歳月がたっていて、それで自衛隊が実力組織になってきた、今回また安保法制度の中でもやったり、今回、私から見ても、実質的には七つの法律がこの設置法の中に入っているような感じなんですけれども、こういうふうに組織の改編も行ったりさまざまなことを行う中で、自衛隊というのが、大きな分岐点で、国民からの信頼を集めている、評価される、こういうような時期なんですね、時期。だから、私は、この時期に、昔からこの制度はなかったと言うんじゃなくて、昔はあったけれども今回で変えて新しいスタートを切るんだということを明確にした方が、この法案の意味からしても、非常に国民がわかりやすくて、新しいスタートが切れるというような思いになっているんです。

 ここは、大臣、大臣の今までの見識を変えてくださいということは言いませんけれども、私は、この文官の話を、これ以上はあったなかったというのは記者会見でもおっしゃらなくて、前向きな発言に変えていく。実際、来月この法律が通れば、もう上下関係とかという言葉そのものも出てきませんよ、何も出てきません。文官統制の話も出てきませんよ。だから、もうおっしゃらないで、前向きな方に答弁を変える。

 これから安保法制度の中でもいろいろな論議が出てくる中においても、そういうような、自分のお考えを、大臣の役割として一回封印してやる方が私はわかりやすいんじゃないかと思うんですが、いかがですか、大臣。

中谷国務大臣 下地委員がおっしゃるように、これまで、現行の第十二条について、官房長及び局長と幕僚長の上下関係を定めたように見えるのではないかといった御指摘や御意見もあったことは承知をしておりますが、私も、原点の昭和二十七年の委員の発言等を何度も読み返しました。やはり補佐でございます、両方とも。上下関係を定めたものではございません。

 したがって、当初から言っているのは、そういう政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐の調整、吻合であるというような同条の趣旨があったという点を私は申し上げているわけでございまして、その中で、お互いの立場を重視するようなニュアンスの発言等はありましたけれども、やはりシビリアンコントロールの根幹というのは、大臣、これが国民の代表であって、統制をする、両方の補佐を受けるということ以外なかったんじゃないかなというふうに私は思っております。

下地委員 シビリアンコントロールという中で、文官統制という言葉は、この法律が出たらもう、発言はなくなってきますよ。文官統制という言葉はなくなって、文民統制、政治家がしっかりする、そういうふうなことに私は変わる、大きな転換期になってくるのではないかというふうに思っておりますから、過去の正しいか正しくないかの発言にこれ以上こだわらない方が私はいいというふうに思います。

 小野寺筆頭と私は当選同期なんですよね。法の仕組みではどっちが偉いとか偉くないとかは決まっていませんけれども、誰が見ても小野寺さんの方が偉いんですよね。これは、与党で、力もあって偉いんですよ。人の見方というのは余り無視しない方がいい。人の見方を、いや、俺は同期だから同格だと言っても全然違うんですよ。それを私が言えば言うほど私は恥ずかしい人間になるんです。

 だから、そこのところは、私からすると、次のステップのある大臣ですから、しっかりとぜひそのことを御理解いただいて、頑張っていただきたいというふうに思います。

 それで、次ですけれども、この前アメリカへ行ってきたんですよ、ワシントンへ行って話をしてきたんですけれども、五年以内の普天間の運用停止ということについて話をしてきたんですけれども。

 大臣、この前の大臣の答弁がありますけれども、普天間基地の運用停止という定義は何ですかというような御質問に、運用停止というのは飛行機が飛ばないことだ、飛行をやらないことだということをおっしゃっておりましたけれども、この前の答弁と同じお考えでありますよね。

中谷国務大臣 普天間飛行場の五年以内の運航停止というのは、仲井真知事との間で政府がやりとりをした言葉でございまして、そのときに厳密な定義が合意されていたわけではございませんが、私が申し上げたものは、できることは全てやっていくということで、例えばKC130十五機が岩国へ移駐したとか、オスプレイの県外訓練移転とか、それによって、できることは全て行うという政府の基本姿勢に基づいて取り組む旨を述べたものでございます。

下地委員 この前大臣は、運用停止というのは飛行しないことと答弁したんですよ。僕はびっくりしたんですよね。これは、辺野古ができ上がるのに八年から十年、今のような状況だったらかかる。五年以内の停止だというと、あと三年と六カ月かな、仲井真さんが合意したのが二年前の、おととしの十二月ですからね。やったんですけれども、やはり僕らは、五年以内の停止、辺野古の期間が大体十年かかるんじゃないかというふうなことは誰しもがわかることなので、五年以内の停止を政府が合意したというので、非常にびっくりしたんですよ。

 これは、当時の仲井真県知事が印鑑を押すときの一番の前提条件、私が印鑑を押したということは何のためかといったら普天間の危険を除去するためですよということを言って、そのときの一番の条件の中にこの五年以内の停止ということを自分は提案したら、政府がその約束を守るというようなことを言ったという記事がどんと出たんです。

 そのときは私は落選していましたからこの場所にいなかったので、国会に帰ってきて、五年以内の運用停止というのはどうですかといろいろな方が質問したり主意書を出したりした中で、この前の安全保障委員会で、大臣が照屋寛徳さんの質問に対して、運用停止というのはどんなことなのと言ったら、飛行をしないことだというふうに明言したんですけれども、私はそれは難しいと思うんですよね。これは簡単じゃない。

 それで、アメリカに行っても、アメリカの国防省の日本部長さんにこのことについて聞いたんですよね、大丈夫ですかと。彼はもう完全に否定していましたね、それは難しいと。ウィンターニッツ国防省日本部長さんは、彼が言うには、辺野古が完成するまでは普天間を使う。私がアメリカ側の部長でも、それは当たり前のことを言うと思うんですよね。

 だって、辺野古が完成しないうちにどこかに行って、暫定のための場所をつくったりなんなりするだけでもまたお金がかかりますし、また、その場所でやって、五年とか三年とか向こうで十二分に海兵隊の運用ができるんだったら、それはもう辺野古をつくらなくてもいいというような論理になってくるんではないかと思うんです。

 だから、そういう意味では、私は、この発言は、この発言は今のうちに訂正した方がいい。運用停止という言葉は飛行をしないことだということを、大臣が先ほどの答弁の話と同じように、答弁でおっしゃったというのは、私は、今は、この前の答弁ではないと言った方が沖縄県民にとってわかりやすいことだと思うんです。今大事なことは、基地問題でうそをつかないことなんですよ、ここが大事なこと。これはあの鳩山さんのときもそうでしたね。国外、県外とか言ってできなかったというのがやはり大きな問題になったんですよね。

 だから、私は、今は、基地問題を冷静にやっていく段階において、この問題に関しては、アメリカも、私が行って聞いた範囲では、それはもう絶対に無理だとおっしゃっている、また、私から見ても無理だということになっているけれども、大臣が飛行はしないというようなことをおっしゃっていることをやはり僕はもう少し冷静に判断なされて、いや、この前の答弁ではなくて、負担の軽減、危険の除去をできるだけ、KC130を岩国に持っていったのは僕は安倍内閣の相当な成果だと思うんですよね。あとはもう二十四機のオスプレイがいるわけですけれども、あれをできるだけ今の調子で訓練を外に出していくということをやっていけば普天間の危険の除去というのは物すごく現実的に小さくなっていくので、これを進めていくというような答弁に変えている方が私は沖縄県民からしてもわかりやすいというふうに思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

中谷国務大臣 確かに、言葉というのは非常に大事なことでありますので、幻想を与えるようなことは言うべきではないというのはおっしゃるとおりでございます。

 普天間の危険性の除去を一日も早く行いたい、そして、五年間の運用停止、これは当時の沖縄県知事からの御要望でございますが、この点におきましては、政府も沖縄県もこの普天間の危険性の除去という点では一致しておりますので、それが実現できるように一生懸命やるということは一致をしておりまして、私としても、地元の御要望を真摯に受けとめまして、できることは全てやることにします。

 おっしゃるように、運用が、飛行機が飛ばないことということにおきましては、そういう意味におきましては不正確な発言であると私は認めておりまして、これは撤回はさせていただきます。

 しかしながら、こういった趣旨を酌んで、できることは一生懸命やっていきたいというふうに思っております。

下地委員 今の大臣の、努力をしていく、これが一番いいと思いますね。もうこれ以外ないんです。これは相手もいることですし、また、私たちも、沖縄側も、急激に過重な要請をして、急に閉めろとか全部をすぐ県外に持っていけといっても、これは簡単にできないことはもうわかり切っていることなんです。これは政治的なパフォーマンス的にはいいですよ。だけれども、日米安保とかシーレーンの問題とかさまざまなアジアの安全保障のことを考えたら、やはり現実的なやり方をしていくというのが私は正しい選択だと思います。

 厳しいことを私が質問したようですけれども、今のうちに今の答弁があった方が、私は、長い意味で沖縄との関係はよくなってくるというふうに思っていますから、大臣が勇気を持って答弁していただいて心から感謝を申し上げたい。一緒になって負担軽減をまた努力して頑張っていきたいというふうに思います。

 また、今度、那覇軍港の浦添の移設の話が浦添の市長からも合意を得られたということであります。あの合意は、私ども維新の党の参議員であります儀間光男、当時の浦添市長のころに、英断をもって那覇軍港を浦添に引き受けるということを決めた案件なんですよね。だから、一回頓挫したような雰囲気でしたけれども、これが着実に、儀間方針のとおりに今回戻ってきたということについては、私たち両方とも維新の党にいる者として、維新の党としても積極的にこの合意については、サポートできることはしっかりと私たちも頑張ってまいりたいというふうに思っていますから、その件についてもぜひ頑張っていただきたい。

 その件について一言。

中谷国務大臣 那覇軍港の移転におきましても、SACOで合意をしたことでございますので、私もできるだけ早く実現しなければならないと思います。

 思い出すのは、今から十五年前に、下地議員が沖縄選出の衆議員であったころに、当時の那覇市長であった翁長さんと浦添の市長さんと、そして県の知事さんでしたけれども、三者でこの移設の協議会というものをつくりました。その後協議が始まって、具体的な案までできたわけでございますが、十五年たってもまだそれが進んでいないということで、基地の負担軽減においてはもっと私自身も就任したときは努力しなければならないと思っていたときに、今の浦添市長さんがこの計画の変更と受け入れを表明していただいて、この問題が動き始めたということでございます。

 私は、縮減を図るという意味では心から敬意を表してまいりたいと思いますので、今後この協議会等が再び動きまして、この移設が早く進んでいくように私も心がけたいと思いますし、また、沖縄の地元の皆様方の御理解と御協力もいただきたいというふうに思っております。

下地委員 この移設協議会をつくったときは、普通ならば、移設を受ける方にだけSACOのお金が行っていたんですけれども、初めてなんですよね、基地を出す方にお金を出す協議会をつくってやったというのは初めて。その当時の那覇市長だった今の翁長県知事は、それで、今のセルラードームと言われる野球場をもう九〇%以上防衛省の予算でつくって、八条ですか、あれでつくられて、今、あのセルラードームがあるからジャイアンツが沖縄に来て、そして、沖縄のいろいろなコンサートがあのセルラードームで行われるというような、沖縄の観光の骨格になっているんです。あれは物すごい役割を担っているんです、セルラードーム。

 そのときの翁長さんもそうですし、儀間さんも私たちも、当時の政治をやっている者も、とにかく段階的にいこうね、移設をしながら段階的に、急に県外といって、国外といってもそう簡単にいかないから、人口の多いところから少ないところに移したりしながら、小さくしながら、軍民共用に変えながら、そういうのをやりながら、この時代は僕らは怒られるかもしれないけれども、気がついて、二十年、三十年したら、私たちが決断した現実的な基地問題の対応が評価されるということを信じて、あのときスタートしたんですよね。

 だから、私は、そういう意味では、今回の浦添市長の、彼は、公約で反対しましたけれども、これを認めたということで、改めて現実的な基地問題の対応というのがクローズアップされてくるのかなというふうに思っておりますから、そういう論議を、これから現実的な基地問題の論議を私たちはしっかりと、沖縄側もやっていかなければいけないというふうに思っています。

 こうやってドームをつくったり、浦添市は市民会館を六十億でつくりましたよ、今の市民会館は、あれは防衛省の予算で初めてつくった。浦添市からの条件でしたから、あのときの、SACOのときの条件でしたから。あれも今、浦添市のために効果を出しているわけですから。

 沖縄はお金はもらった、だけれども進んでいないというようなことが、もう自分で合意したんだから、沖縄の人が合意したんだから、それでやって、それで進んでいないということは、私は、逆に見ると、おかしいと思われる方々もいることは間違いないので、決めたこと、しかも、沖縄側が自分たちで判断したことについてはしっかりとやっていかなければいけないというふうに思っておりますから、そんなこともしっかり進めていきたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、今度の設置法でF15が那覇空港に来るんですよね。今度来ることになりましたけれども、この前ちょっと質問させていただきましたけれども、那覇空港が物すごく今騒音問題が激しい状況なんです。しかし、あの空港は国の二種空港でありますけれども、この前私が局長に質問をしたときに、二〇%近くは防衛省の自衛隊機が、F15が飛んでいる、今度またこれに伴ってF15が配備されるわけですから相当に負担が大きくなりますね、一般的な飛行機は大体七十デシベルぐらい、はかり方が一緒の場合ですよ、戦闘機になると百二十三ぐらいありますから、これは物すごく大きい状況になってきますねと。

 しかし、防衛省の対策事業というか、防音対策事業というかさまざまな事業が、これがもう、正直言って手薄で、ないに等しいんですよね、ないに等しい。国土交通省のメニューは何があるかといったら、またこれが、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、昭和四十二年の法律でつくられていて、しかも、一種、二種、三種とあるんですけれども、一番低いレベルの一種が那覇空港に選択されているんですよね。

 今、F15、嘉手納基地が五十機です。那覇空港、今二十四機あるでしょう、今度、二十四機に十二機配備されますから三十六機、そういうふうな状況になってくるけれども、同じF15でも、嘉手納基地の周辺、嘉手納町や北谷町や沖縄市への対策事業、米軍基地があるからというだけの対策事業と、同じF15があっての那覇空港の対策事業とは、もう本当に雲泥の差がある。やはりこれは不満が出ますよ。これは基地問題に対する不満にも僕はなってくると思うんですね。

 理由は何ですかといったら、あの空港は二種空港で国土交通省の管理している空港だから、防衛省から手出しはできません、これだけなんですよね。これでいいんでしょうかね。

 この前も見ましたら、国境におけるスクランブルの回数も、那覇空港の回数が四百六十何回かで、もう二番目になりましたね。今それぐらいの状況の中でやっていますけれども、今この制度があってこの制度がありますというだけで終わるんじゃなくて、ちょっと大臣、これは知恵を絞ってこれからどういうふうにしていくのかということを考えていく時期が来ているんじゃないかなというふうに私は思っておりますけれども、大臣のお考えはどうですか。

中谷国務大臣 前回もお答えをいたしましたが、いわゆる騒音防止法には特定防衛施設周辺整備調整交付金に相当するメニューが存在しないということで、防衛省から責任を持ってお答えすることは困難でございますが、きょう委員からも御指摘がありましたけれども、嘉手納飛行場また普天間飛行場と同様にということでございまして、国交省の所管する騒音防止法の施策と防衛省が所管する環境整備法に基づく施策について、共通している部分もあります。那覇空港においても、普天間や嘉手納と同様の、国としての必要な周辺対策が適切に実施されてまいっております。

 しかし、きょう御指摘もございましたので、国交省と緊密に連携して、那覇空港における防音対策、これが適切に実施されるように今後とも努力をしてまいりたいと思っております。

下地委員 国交省にお話を聞くと、F15が来て騒音がふえますねと言っても、それは私の管轄じゃありませんという話なんですよ。だから、国同士の関係では、私は、これはちょっとやはりおかしいよと。

 それで、安全保障に貢献する地域というのはやはり評価されるべきだというふうに僕は思うんですね。

 しかも、沖縄の場合に、差が広がっているんです。なぜかというと、金武町なんかだと、大臣、高校まで医療費の無料化があるんですよ。それで、保育料の補助もあるんです。今、自治体で、大臣おわかりのように、軍用地料は一千億ぐらいあるじゃないですか。この一千億ぐらいの軍用地料の中で、自治体がもらうところというのは、金武町なんかは物すごく大きいんですね。

 そうなってくると、基地のある周辺で生まれた子供の教育コストというか、それと、基地のないところで生まれてずっと基地のないところで育っている子供の教育コストとか、全く違うんですよ。これはやはりどこかで、今沖縄が基地問題で大きくもめていますけれども、こういうふうな背景がどこかにあるんじゃないかと思うんですよね。

 だから、そういうふうな意味においては、私は、今回のF15の配備は、日本の安全保障において、尖閣の問題においてもやらなければいけないというふうに思いますので、一回局長級でしっかりとお話し合いをして、次の概算要求までには方向性を出す。F15の配備が二十七年の後半ですよね、それまでには、こういう配備もあるから頑張れるぞと、周辺の人たちもあれは物すごく大きいんですよ、そういうふうな環境をつくる事務的手続をちゃんとやれるようなチームをおつくりになるというのはいかがでしょうかね。

中島政府参考人 大臣からお答え申し上げる前に、ちょっと事実関係について御説明させていただければと思います。

 航空自衛隊の那覇基地でございますけれども、ここに二個飛行隊を配備することとしておりまして、機数の増加に伴います防音対策、この防音対策につきまして適切に実施する必要があることにつきましては、委員御指摘のとおりであるというふうに考えております。

 ただ、防音対策という面に関して申し上げますと、国土交通省の設置、管理ということで、自衛隊機の騒音も含めて、仮にF15の増加配備によりまして音が広がればそこも含めて、国土交通省の対策によって拾っていただくということでございます。ただ、その際におきまして、防衛省として、引き続き、必要な状況、これを適切に提供してまいりたいと考えております。

 他方、今先生申されました周辺対策でございます。周辺対策につきましては、那覇基地におきましても、那覇基地が所在する那覇市に対しまして、これまで約五十九億円の民生安定施設の助成を行っております。近年には、平成十五年度から平成二十二年度にかけまして公園の整備が行われております。また、那覇基地の所在市町村ではございませんけれども、自衛隊航空機の進入経路直下にございます豊見城市に対しましても、これまで約七億円の民生安定施設の助成を行っておりまして、近年は、平成二十六年度、救急自動車の整備を行っております。

 今後の話でございますけれども、民生安定施設の助成ということにつきましては、具体的な計画を伺いました上で、障害の実態を踏まえて対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

下地委員 民生安定のこの今までのスキームは非常に弱いスキームだという認識を僕らは持っているんです。今回も、増強されてやる場合においても、この増強する機種が嘉手納基地と同じようなもので、違いがないようなものがあったにしても、この安定資金と、今皆さんが嘉手納町や北谷町でやっているものとはもう相当違うことは一番おわかりいただいていると思いますから、それとのギャップをどう埋めるか。

 国土交通省が何か上乗せしたものだけでいいという発想ではだめですよというようなことをしっかり考えた上で、沖縄全体の中で安定資金を考えるというようなやり方をしないとだめだというふうに思っていますから、ぜひ大臣、協議をして、しっかりとお決めをいただきたいというふうに思っていますから、よろしくお願いします。

 ちょっと理事会でおくれましたので、少し時間はありますけれども、終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 先ほどの質問とは大分逆の立場の質問になるのではないかと思いますが、どうぞよろしくお願いをいたします。

 法案について、きのうの質疑に引き続き質問をいたします。防衛装備庁の問題です。

 PAC2ミサイル部品のアメリカへの移転を認めた昨年七月の政府が発表したプレスリリースを見ますと、「ジャイロが組み込まれたペトリオットPAC―2は米国以外の第三国に移転されることが想定されている」、このように述べております。

 この第三国とは具体的にどこの国を指しているんですか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、我が国で製造されたジャイロが組み込まれましたPAC2が、米国からPAC2のユーザーへ移転される可能性があると承知してございます。

 米国とのFMS、有償援助調達の進捗によるところでございますが、具体的にはカタールが想定されていると承知してございます。

赤嶺委員 カタールということでありますが、このプレスリリースを見ますと、「一元的に管理する米国国防省からPAC―2ユーザー以外への移転が厳しく制限されること等その管理体制についても確認する。」としておりますが、これは、導入の目的や管理体制について日本が直接第三国に確認することはしない、そういう意味のことですか。

吉田政府参考人 日本国政府によります確認は米国政府に対してのものでございます。

赤嶺委員 カタールに対しては行わないと。

吉田政府参考人 カタールに対しては行ってございません。

赤嶺委員 なぜですか。

吉田政府参考人 私どもといたしますれば、米国政府から、本件の移転につきましてはPAC2のユーザー国に限るというふうなことで確認を得ているところであるからでございます。

赤嶺委員 防衛大臣に伺いますけれども、PAC2ミサイルを導入する国に導入の目的を確認しないで、この場合カタールですが、日本は、日本の安全保障に資するかどうか、こういう判断ができるんでしょうか。

中谷国務大臣 まず、この移転につきましては、米国政府から我が国に関心が表明をされたということで、この移転は、米国との安全保障、防衛協力の強化に資するものでありまして、我が国の安全保障の観点から積極的な意義を有すると認められるものでございます。

赤嶺委員 いや、ですから、PAC2ミサイルを導入する国に、導入の目的、日本はしないわけですよね、カタールに対して。何でそれが日本の安全保障に資するという話になるんですか。

中谷国務大臣 三原則がございますが、この移転は、部品をライセンス元に納入するものであるために、この三原則の上、仕向け先の管理体制の確認をもって適正な管理を確保することが可能でありまして、最終需要者である米国企業におけるジャイロの管理体制を確認し、加えて、ジャイロが組み込まれたPAC2を一元的に管理する米国防省からPAC2ユーザー以外への移転が厳しく制限をされることなど、その管理体制についても確認をいたしております。

 いずれにしましても、PAC2は、外的脅威から自国を防衛するための装備品であること、また、PAC2で使用されているシーカージャイロは一部品にすぎないということ、また、米国のライセンス元からの要求性能をもとに設計、製造されているものであることなどを勘案いたしますと、我が国製のジャイロが組み込まれたPAC2が、米国から、同国による厳格な管理体制のもとで、米国の安全保障上のパートナーである他のPAC2ユーザーに移転されたとしても特段の問題はないということでございまして、このPAC2ユーザー国におきましてはもう既に公表しておりまして、それぞれ標記をされた国家のみであるということでございます。

赤嶺委員 一部品にすぎないというのは言い過ぎですよね、PAC2の部品ですから。

 しかも、それが、なぜ第三国を確認しないのかといったら、アメリカの厳しい基準と体制というところに依拠されているわけですね。結局、それはアメリカ任せということになるんですよ。そのもとで、日本の企業がもうかりさえすればいいということになっているわけです。私は、これは極めて無責任なやり方だ、このように思います。

 そこで、そのPAC2の部品についてもそうですが、今防衛省が具体的にどのようにして武器輸出を推進しようとしているのかという問題について、さらに聞いていきます。

 去年の九月、防衛省で、初めてASEAN諸国を招いた防衛装備品、つまり武器の展示会、これが行われました。どういう目的でこのような展示会を行ったのか、参加国、そして展示された装備品、これはどういうものであったのか、説明していただけますか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の展示会につきましては、昨年九月二十四日から二十六日にかけて外務省主催で開催された海洋安全保障・災害救援能力構築支援セミナーの一環として、防衛省内において、ASEAN各国の出席者に対し、海洋安全保障でございますとか災害救助等、こういったものに関連する防衛装備品等を紹介するという目的で行ったものでございます。

 当該展示会には、ブルネイを除くASEAN九カ国の外務及び防衛当局の局長級など約二十名が参加いたしてございます。

 また、展示されたものにつきましては、通信機器でございますとか施設器材などの装備品等について、主として模型やパネルなどの展示を行ったところでございます。

赤嶺委員 その目的はどこにあったんですか。

吉田政府参考人 先ほどお答えさせていただきましたが、我が国といたしましては、東南アジアとかそういった関係の国々と、海洋安全保障でございますとか災害救助、海賊対処など、非伝統的な安全保障の分野において装備面も含めた協力関係を深めていこうというふうな趣旨でございます。

赤嶺委員 ちょっと答弁を聞き漏らしておりました。失礼しました。

 それでは、防衛大臣に伺います。

 中国と東南アジアの関係国との間では、南シナ海の島々の領有権をめぐって争いがあります。公船や漁船などとの間で衝突も起こっております。こうしたもとで日本が武器輸出を進めることは、領有権の問題で一方の側に肩入れすることになり、緊張を高める結果につながりかねないと思いますが、その点はいかがですか。

中谷国務大臣 昨年四月に閣議決定をいたしました防衛装備移転三原則、これは、国連憲章を尊重するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持した上で、防衛装備の移転に係る手続や歯どめをこれまで以上に明確化、透明化したというものでございます。

 そこで、この三原則においては、第一原則において、紛争当事国への移転となる場合等は移転を認めないということを明確にいたしております。その上で、この原則では、仕向け先及び最終需要者の適切性や当該防衛装備の海外移転が我が国の安全保障上及ぼす懸念の程度を複合的に考慮して移転の可否を厳格に審査するとともに、目的外使用や第三国移転について適正な管理を確保するということといたしておりまして、この基準に従いまして厳格に考えてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 防衛装備移転三原則の建前を幾ら並べて説明しても、南シナ海でやはり紛争が起こっている、その一方の側に武器をどんどん出していく、これは、領土問題という非常に機微な問題で日本が一方の側に肩入れする、このように見られても仕方がないんじゃないですか。

 これは、防衛装備移転三原則でどのように建前を説明したって、やはりそれはその地域に緊張を高める結果に、日本がそういうことをやっていると思われても仕方がないんじゃないですか、大臣。

中谷国務大臣 平和国家といたしまして、緊張が高まって紛争が起こってしまうことにつきましては、我が国といたしましても、そういったことは、このアジア地域の平和と安定を保っていただきたいという気持ちでございます。そういう点におきましては、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持いたしますし、これまで積み重ねてきた例外化の実績を踏まえて、これを包括的に整理して、防衛装備の海外移転に係る手続や歯どめをこれまで以上に明確化いたした原則に基づいて考えていくことになります。

 しかしながら、こういった情勢につきましては、力の支配とか、また国際法を無視した行為、これが続きますと、より摩擦や紛争は激化をしてしまいます。それぞれの各国の主権がしっかり守っていかれる、これは各国の責務でございますが、この同じアジアの地域でこういった紛争が起こらないようなことも必要ではないかなというふうに思っております。

赤嶺委員 紛争が起こらないようにするために武器の提供を続けるというのは、これは矛盾であります。やはり私は、地域情勢の緊張を招くような武器輸出はやめるべきだ、このように考えております。

 今まで例外措置でやってきたんだ、これからは何でもできるように明確化したんだと。武器がどんどん日本から出ていくことになるんじゃないか。これが本当に日本が東南アジア諸国から平和国家として見られるのかどうか大変疑問であり、そういう武器輸出は、地域紛争を激化させるような武器輸出はやめるべきだ、このように考えるものです。

 そこで、きのう参考人質疑がありましたが、民間企業の側が武器輸出に足踏みしている、そういう状況が話されました。

 昨年末に防衛省が設置した検討会のペーパーを見ますと、防衛省が相手国政府や民間企業に対してさまざまな支援を検討していることがうかがえます。

 ペーパーでは、相手国政府に対する法制、予算面での措置、財政援助、これを検討課題として挙げています。これは具体的にどのような検討を行っているんですか。

吉田政府参考人 今御指摘になられた検討会でございますが、これは防衛省の経理装備局長の諮問によって昨年暮れに設置したものでございます。

 ここの検討会では、実際に装備品を移転するに当たって、政府がどのような態様で移転に関与することが効果的、適切であるか検討を行う必要があるというふうなことでございまして、そういった中で、例えば、ASEAN諸国等から海洋安全保障などの分野の装備品の供与についての購入資金の融資、こういったものを仮に求められた場合について、どういうようなことができて、どういうことができないのか、そういった中でどうしていくべきかというようなものを検討課題として設定させて御議論いただいているということでございます。

赤嶺委員 きのうお話しになったのは白石参考人でしたか、武器輸出に参加することについて民間企業としても足踏みの状態があるということをおっしゃっておりましたが、多分その方は審議会の座長をやっていらっしゃる方だと思うんですが、そういうことがどうなのかということと、今、ASEAN諸国から、何か財政的な具体的な援助が求められるかもしれないと。どんな援助を求められるかもしれないと想定していらっしゃるんですか。

吉田政府参考人 今の御指摘の点につきましてですが、個別具体に、ASEAN諸国とか、そういった要請といったものがあるわけではございませんが、一般論といたしまして、先ほど申し上げましたように、装備の移転に際して、ASEANの移転先の国、非常に財政状況等も一般的に厳しい中で、何らかのそういった円滑化の方策というようなものが求められることもあり得るのではないかというふうなことで課題としているところでございます。

赤嶺委員 今のお話を、もうちょっとわかりやすく、私流に理解しているところを言いますと、ASEAN諸国は武器は欲しいけれどもお金がないから、そのお金の面でも日本の政府が何かしてあげられることはないか、そういう議論をなさっているということですか、わかりやすく言えば。さっきの言葉に戻さなくていいですから、わかりやすく言ってください。

吉田政府参考人 そのようなことも含めて検討しているということでございます。

赤嶺委員 いろいろ、武器を輸出するために、ASEAN諸国に、お金の心配もしなくていいよというところも日本政府が考えてあげている話なのかなというぐあいに思いました。

 日本版FMSを新設するということも挙げられていますが、なぜそのような検討が必要なのか、どういう検討を行っているのか、これを説明していただけますか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 装備移転に関してどのような形で国が関与していくのかというのは、国によって関与の仕方について違いがございます。

 そういった中で、米国につきましては、先生も御承知のとおり、FMSというようなことで装備協力のスキームを持っておる。他方、イギリスとかフランスとかこういった国々においては、そういったスキームは持っていない。そういった諸外国の事例などもよく勉強をしながら、日本がそういった中でどういった関与の仕方があり得るのかということを検討いただいているということでございます。

赤嶺委員 アメリカにはFMSのスキームがあるけれども、イギリスやフランスにはそういうスキームがないという、国の比較ということを私は聞いたのではなくて、何でFMSというスキームの検討が日本において必要なのか、そしてそれは具体的にどういう検討を行っているのか。全く初歩的な質問です。ちょっと答えてください。

吉田政府参考人 やや繰り返しになってございますが、FMSというのがどういった仕組みで、どういったもとで米国としてはそういったスキームというのを運用できているのであろうか。それに対して、イギリスやフランスはどうしてそういったスキームではなく当該国なりのスキームを導入しているんだろう。そういう比較検討の中で、日本として、日本国政府としてどのような関与のあり方が適切なのか、効果的なのかということを検討していくというふうな趣旨でございまして、いわゆる日本版FMSをというふうなことで具体的に検討しているわけではございません。

赤嶺委員 私が日本版FMSと言ったものだから、そこまでは検討していないよというお話だろうと思うんですが、アメリカではFMSという制度、イギリスやフランスではそういうスキームを持たなくてやっている。

 そこの中身を、アメリカがやっているFMSとか、あるいは、イギリスやフランスはそういうスキームを持たないで海外とどういうやりとりをしているのか、その辺をもうちょっと詳しく説明していただけますか。

吉田政府参考人 簡単に申し上げると、米国のFMSの場合は、政府間の約束事のもとに、米国政府が米国企業から装備品を取得して、それを政府ベースで日本に移転する、こういうようなスキームでございます。それに対しまして、イギリスやフランスでは、基本的には企業が相手国政府と物を、装備を契約し、移転する、こういうような形をとっていることが多うございまして、そういうような比較検討をしているというようなことでございます。

赤嶺委員 アメリカの場合は、武器や装備品について、自国の企業から取得して、それを日本なら日本に、F35なら35を売りつける。政府も保証してあげていますよということで、疑いが消えるというか信頼度が増すというのか、そういうやり方をやっているのかなというぐあいに理解をいたしました。

 この装備庁にかかわって、まだもうちょっと、きのうの参考人質疑も経て聞きたいことがあります。

 民間企業が実施する装備、技術移転に対しても、法制、予算面での措置、ファイナンスを検討課題に挙げております。これは具体的にどのような検討を行っているんですか。

吉田政府参考人 日本国企業が、例えば、仮定の議論でございますが、インドというふうな国にUS2というようなものを移転するケースを仮に想定したとすると、そのような移転のために仮に設備投資をする必要が生じた、そういった場合に、どうやってそういうような資金を調達することができるのか、また、そういうふうなところについてどのように政府が関与し得るのか、既存の融資スキームはどういうものがあるのか、そういったものを検討していただいているということでございます。

赤嶺委員 今のお答え、前半の半分はよくわかりました。岩国基地にあるんですよね、US2。ありました。視察のときに見てまいりました。インドが欲しがっているというお話も聞いてきました。

 そこで、その辺はよくわかったんですが、そうすると、今の答弁では、US2が欲しいインドで何か設備が必要なんですか。そして、それが日本側の資金援助が必要だ、そういうことを今さっき説明なさったんですか。どういうことですか。

吉田政府参考人 私が申し上げたのは全て仮定のもとでの議論でございますが、先生御指摘のような、仮にそういった移転を行う場合に、日本でそういった移転するものを製造するというふうなことであれば、日本に資金需要が発生することも想定されるわけでございまして、そういったときにどういった既存の公的金融等が使えるのか使えないのか、そういったことも含めて検討しているということを申し上げた次第でございます。

赤嶺委員 US2をつくっている企業がインドに輸出しようと、仮定の話だとはいえ、インドが欲しがっているというのはもう周知のことですから。その場合に、日本の企業がその設備を整える場合にどんな資金的援助、財政的援助ができるのか、それを検討している、そういうことですか。

吉田政府参考人 そのような、先生がおっしゃられたようなケースも含めて検討していく必要があると思ってございます。

赤嶺委員 別に意地悪な質問をしているわけじゃないんですが、私の言ったケース以外のケースというのはどんなものがありますか。

 やはり法案審査ですから、法律の隅々までわからないと態度を決められないものですから。いかがですか。

吉田政府参考人 これも仮定の議論でございますが、装備移転三原則の中で移転が認められ得るケースといたしましては、国際共同生産というようなケースというのもございます。その国際共同生産というのを、例えば相手国で共同生産を行えば、それは相手国において資金需要が発生するということも論理的にはあり得るのではないかというふうに思っているところでございます。

赤嶺委員 要するに、相手国で資金需要が発生した場合に、それを日本の政府がどんなふうに援助できるか、今いろいろ検討していこう、こういう理解でいいですか。

吉田政府参考人 そのようなケースも含めて検討していくというふうなことでございます。

赤嶺委員 一つのことをわかるのに、大体このぐらいのやりとりをしないとなかなかわかっていかない。だから、法案の慎重審査というのは、徹底審議というのは本当に大事なんですよね。

 さらに、我が国に後方補給拠点を設置する場合に、既存の自衛隊設備や器材の有効活用の検討が必要だ、このようにしています。

 なぜそういう検討が必要なんですか。最初の答えで大体全部がわかるように答えてください。

吉田政府参考人 近年、装備品にかかわる国際協力につきましては、装備品の共同開発にとどまらず、維持整備においても、共通の装備品を運用する諸国で部品等の融通を行うグローバルな枠組みの構築、こういったものも含めて進展しているところでございます。

 そういった中で、我が国といたしましても、補給部品の供給や維持整備を通じ、特にアジア太平洋地域における整備拠点としての後方支援面でのアメリカとの協力などを推進していくこととしてございます。

 このため、検討会におきましては、企業が他国軍用の装備品について維持整備を行う際に、自衛隊の装備品を維持整備するための資器材等を有効活用できないか、こういったことについても検討課題の一つとして御議論いただいているところでございます。

赤嶺委員 他国軍といえば米軍ということですが、そういう後方補給拠点という場合には、これは、何かオスプレイのあれを木更津にという話ですか、そこら辺も含めて説明してくれますか。

吉田政府参考人 日米共通の装備品についての後方支援面での協力というところでは、既に先生御承知のように、F35というような共通の装備面で協力関係、リージョナルデポという形で進んでいるというふうなところでございます。

 また、先生が御指摘になられたオスプレイについても、これは日本とアメリカで同じものを使用するというふうなことが今後想定されるわけでございまして、そのような面での協力というのもあり得るのではないかと考えているところでございます。

赤嶺委員 この点は理解できました。

 それで、最初に質問してまだお答えになっていない問題で、きのう参考人質疑の中でも出ましたけれども、防衛装備の移転三原則ができて海外への武器の輸出ができるようになっても、企業が評判を気にしてなかなか進出してこようとしていない面もある、参考人の方のそういう説明があったんですよね。それに対しても、何かいろいろ、誘導策というか、財政的あるいは資金的援助、それも考えていらっしゃるということでいいですね。

吉田政府参考人 きのう白石参考人がおっしゃられた趣旨というのは、私の理解でございますが、日本は、アメリカなどと違いまして、いわゆる装備専門企業というのがございません。そういった中で、装備というのは企業の事業活動において一部、それで、その他のところでは例えば民生品とかというのを扱っている、そういう企業においては、経営全体の視点としてレピュテーションリスクというふうなことを気にされる企業というのもあり得るでしょうというお話を白石先生がなさっていたものと承知しています。

 これは、各会社の御判断や、国民が企業をどう見ていくかというふうなものでございまして、別に、私どもとすれば、装備協力というのは日本の安全保障にとってプラスになるんだということを外に向かって説明していきたいと思ってございますが、企業が感じるレピュテーションリスクというふうなものについて、直接どうこうという形で何か関与していくというようなことまでは考えてございません。

赤嶺委員 今、日本の民間企業は民需で十分に利益を上げている。私たちの党がいつも内部留保金の問題を取り上げますが、とにかく軍需に手を出さなくても民需で経営的にやっていける。しかし、政府の側から見れば防衛産業の育成も大事だ。それをどうやって解決していくか、こういうのも検討しているということですね。

吉田政府参考人 済みません、先生が検討しているんですねと言われたことの具体の検討のイメージが少しつかみにくいのでございますが。

 いずれにしましても、防衛省といたしますれば、装備移転というのは我が国の安全保障や国際の平和貢献、こういうふうなものに貢献し得るものになり得る場合というのがある、そういったときに、では、ほっぽっておけばそういった貢献ができるのかといえば、多いか少ないかは別にいたしまして、昨年四月、制度を見直しても、具体化しているものというのは先生御承知のとおり多くはないわけでございまして、そういった中で課題をきちんと把握し、政府としてどういうふうにそれを評価するかというのを検討しているということでございます。

赤嶺委員 装備庁関連で、武器の輸出、まだまだ聞いていきたいんですが、ただ、防衛大臣に最後にこの点で伺います。

 きのうの参考人質疑で、防衛装備庁を新しくつくって武器の輸出を推進することは、アメリカの戦後史に照らして、日本に軍産複合体を許す流れを促進し、日本が戦争と永遠に縁の切れない社会になる危険についての指摘もありました。

 防衛装備庁の新設が日本の軍産複合体を促進するおそれについて、大臣はどのように認識しておられますか。

中谷国務大臣 委員が御指摘のような軍産複合体を生むことはないと考えております。

 というのは、この防衛装備の移転につきましては、昨年閣議決定した三原則に基づいて適正な管理を行っております。この原則というのは、あくまでも、国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念と、これまで平和国家として歩んで続けてきたことを堅持した上で、これまで積み重ねてきた例外化の実績を踏まえてこれを包括的に整理し、また、防衛装備の海外移転に係る手続、また歯どめ、これを今まで以上に明確化いたしました。

 この原則のもとでも、積極的に武器輸出する方針に転換をしたり、また輸出を大幅に解禁するといったことではなくて、これまで同様に厳正かつ慎重に対処する方針でございます。このため、委員の御指摘のような御心配はないものと考えております。

赤嶺委員 今の答弁を聞いて、少し懸念が拡大したような感じがいたしましたけれども、懸念はないかといえば、やはりまだ、防衛装備移転三原則、これができたからそういう不安が広がっているということを、防衛大臣、ぜひ認識していただきたいと思うんですよね。

 そこで、きのうの参考人質疑の中でパリ不戦条約への言及もありました。

 そもそも、勢力均衡政策、これが軍拡競争を招き、第一次世界大戦に突入した教訓を踏まえ、戦争を違法化し紛争の平和的解決を図る、集団安全保障の枠組みをつくり各国に軍縮を促していくというのが国際社会の努力の方向だったはずです。

 外務省、来られていると思いますが、国連憲章では軍縮についてどのように位置づけられておりますか。それに基づいて、国連を中心として国際社会が軍縮の面でどのように取り組みを進めてきたのか、改めてお伺いしたいと思います。

引原政府参考人 お答え申し上げます。

 国連憲章におきましては、軍縮・軍備管理についての規定が二カ所ございます。

 まず、国連憲章の第十一条の一、国連総会についてでございますけれども、国連総会が「国際の平和及び安全の維持についての協力に関する一般原則を、軍備縮少及び軍備規制を律する原則も含めて、審議」をする、「このような原則について加盟国若しくは安全保障理事会又はこの両者に対して勧告をすることができる。」、こういう規定がございます。

 それから、第二十六条で、安全保障理事会についてでございますけれども、「世界の人的及び経済的資源を軍備のために転用することを最も少くして国際の平和及び安全の確立及び維持を促進する目的で、」軍備規制の方式を確立するための計画を作成する、そういう責任を安全保障理事会が負っているということになっております。

 こうした規定に基づきまして、国連では、創設以来、こうした国連総会あるいは安保理等の場を通じて、軍縮問題に関する議論あるいは決議の採択というものが行われております。

 例えば、国連総会では、我が国が主導しております核兵器の全面的廃絶に向けた共同行動決議、いわゆる核軍縮決議でございますけれども、これを毎年提出し、昨年も圧倒的多数の賛成を得て採択をされております。あるいは、通常兵器の分野では、国連総会のもとで武器貿易条約というものが交渉されまして、二〇一三年に採択をされております。

 安全保障理事会では、核不拡散、核軍縮に関する安保理決議千八百八十七号、非常に包括的なものでございますが、こういった決議が採択をされております。

 それから、国連に関連する機関といたしましては、唯一の多数国間交渉機関として、いわゆるジュネーブ軍縮会議というものがございます。ここにおきまして、あるいはこの前身の機関におきまして、核兵器不拡散条約、いわゆるNPT、生物兵器禁止条約、化学兵器禁止条約、包括的核実験禁止条約等々が交渉、採択をされております。

 さらに、国連外の軍縮の取り組みといたしましては、対人地雷禁止条約、あるいはクラスター弾に関する条約、こういったものが採択をされてきているというところでございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 対人地雷についても、かつて中谷大臣が一政治家として頑張っていたことを私は認識しているわけです。

 国連は、やはり軍縮に対する取り組みというのは、国連総会や安全保障理事会を通じて、今外務省から説明がありましたように、軍縮に向けて、核もそうですが、通常兵器についても各国、加盟国がそれを努力していくという国連の根本精神があると思うんですよね。

 そこで、防衛大臣、防衛装備移転三原則、先ほどの答弁で、国際連合憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を引き続き堅持する、だから大丈夫なんだと繰り返しておられましたが、武器輸出の推進というのは、国連憲章の根本精神、つまり軍縮、これに逆行するものだと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 国連憲章というのは、戦後の世界の平和と安全保障の一番の中心になっておりますし、我が国の外交、安全保障におきましても、この国連憲章に基づいて考えている部分は非常に大きいと思っております。

 しかしながら、現状の世界を見てみますと、非常に紛争や戦争が継続をしておりますが、そういう中で、国連の果たしている役割の中で、国連の憲章で言う原則、これは非常に大事なものでございまして、今回の三原則におきましても、我が国の平和国家としての基本理念を堅持しながら、こういった国際条約とか、また国連の安保理決議とか、また紛争当事国におきましての条件とか、そういう国連憲章で言われる内容等を勘案いたしまして世界の平和のために必要な貢献をしていくという観点で臨んでおりまして、国連の目的、憲章、これは大切にしながら、我が国の平和国家としての理念を体現してまいりたいと思っております。

赤嶺委員 国連の根本精神である、二つの大戦を経て打ち立てた、世界が軍縮に向かって努力していこうという精神と、武器の輸出の拡大とは絶対に両立できない、そういうことを申し上げておきたいと思います。

 そこで次に、文民統制の問題について質問をいたします。

 ちょっと角度は違いますけれども、これまでの議論を整理しながら質問していきたいのですが、整理しながらというのは、私が整理するんじゃなくて、政府の側からきちんと整理していただきたいと思うんです。

 今回の法案は、防衛省設置法十二条を改定し、軍事専門的見地からの大臣補佐は各幕僚長が行うことを明記するものとなっています。

 まず、防衛省に伺いますが、現行の防衛省設置法第十二条が制定された経緯について説明をしてください。

豊田政府参考人 十二条の制定経緯についての御質問でございます。

 防衛庁の前身でございます保安庁の昭和二十七年の発足時におきまして、長官官房及び各局と幕僚監部という二種類の長官補佐機関が設置されたため、この両者の関係を規定する保安庁法第十条が設けられました。

 その後、昭和二十九年に防衛庁が設置された際も、保安庁法の規定と同様の趣旨の現行の防衛省設置法第十二条に当たる規定が設けられたところであります。

赤嶺委員 このぐらいの説明であると、また二問、三問、四問と続きますから、大体この議員はここまで説明すれば納得するなということもよくお考えになって答弁していただきたいと思うんですよ。

 保安庁の設置のときにも補佐機関として幕僚も内局も置かれた、しかし戦前とは違う仕組みになっているわけですね。その点がどこにどのように反映されているか、どういう議論があったのか、こういうことも聞きたいと思います。いかがですか。

豊田政府参考人 正確なお答えになっているかどうかあれでございますけれども、戦前の陸軍省あるいは海軍省におきましては、基本的に軍人だけがその組織の構成員という形をとっておったわけでございますけれども、戦後こういった組織を設ける際には、昨今議論で出ておりますように、いわゆる文官を主体とする組織である長官官房及び各局が設けられたということになります。

赤嶺委員 文官が設けられた経緯があるわけですね。

 今回第十二条の規定を改定するのは、これはどういう理由によるものですか。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の防衛省設置法十二条の改正につきましては、官房長及び局長による大臣補佐との従来の趣旨を変更しないままで、新たな組織構成に適切に対応した規定とするということでございまして、具体的には、大臣補佐の主体に防衛装備庁長官を加えるとともに、政策的見地からの大臣補佐の対象となる事項について、これまで限定的に掲げている現行規定を改めまして、当該補佐が防衛省の所掌事務全般にわたることを明確化すること、また、政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐の調整、吻合という趣旨をより明確化することが必要であるため、同条を改正するという内容でございます。

赤嶺委員 今までたくさんの議論がありましたので、次の質問に移りますけれども、今年度の予算には、防衛省の内部部局の運用企画局を廃止して、部隊運用に関する業務を統合幕僚監部に一元化するという改編が盛り込まれております。

 部隊運用に関する業務権限を統合幕僚監部に一元化するのは、これはどういう理由によるものですか。

豊田政府参考人 失礼いたします。大臣からお答えさせていただいた方がよろしいかもしれませんが。

 統合幕僚監部への実際の部隊運用業務の一元化ということでございますが、自衛隊の実運用に関する業務につきましては、現在、運用企画局と統合幕僚監部で一部に業務の重複している部分がございます。その重複部分について解消し、自衛隊の実運用にかかわる業務を統幕に一元化する。そのために、運用企画局を廃止し、運用政策総括官、さらには運用政策官といった文官ポストを統合幕僚監部内に新設するという内容でございます。

中谷国務大臣 現在、運用に関しましては、統合幕僚監部と運用企画局という二つの組織がございます。この業務の内容を見ていますと、内部部局と統合幕僚監部の間に、実態として業務の重複がかなり存在をいたしておりまして、このため、大臣に報告なり判断を求めるときに時間がかかったり、非常にストレートに上がってこないような場合もございます。

 非常に今の安全保障環境が激変をいたしておりますし、部隊の運用の回数もふえてまいりました。こういう意味におきまして、やはり、的確性と迅速性、そして効率性を向上させる必要がありますので、重複した部分を排して、運用に関しては幕僚監部が行い、また、運用の政策的な部分等におきましては内局に残して、統幕の中に内局の職員等も入れまして、政策にかかわることなどにおきましては統幕の中でより適切に実施できるようにという組織改編を行ったわけでございます。

赤嶺委員 自衛隊の実任務が非常に今の安全保障環境の変化のもとで大変緊急性が必要とされることになった、要約して言えばそういうことですね。

 それで、きのうの参考人質疑の中で、今回の法改正の背景として、九〇年代以降に自衛隊が海外に派遣され、実任務につくようになったということも指摘をされました。大臣の今の答弁の線だと思いますが、そういう理解でよろしいですか。

中谷国務大臣 そのとおりでございまして、自衛隊が活動をする場面、また回数は大変ふえております。このため、事務の所掌につきましては、当時、防衛局の中にあった運用課、これを運用企画局に昇格をさせて局を置きました。

 非常に対処がふえたという面がございますが、一方で、幕僚監部と重なる部分も出てきておりますので、先ほど説明をした理由で、より運用がスムーズに行われるようにしたわけでございます。

赤嶺委員 私も、中谷防衛大臣と一緒にイラクに行き、アフガニスタンに行き、ISAFの本部も訪ね、いわば、イラク戦争やアフガン戦争というものがどういうものであるかということをある程度共有している面はあると思います。

 共有しながらも政治的立場が違うことは非常に残念でありますけれども、憲法学者の方が文民統制についてこのように述べているんですよ。憲法学者の佐藤功先生ですが、一九七六年に出した著書の中で述べていることですが、ちょっと読み上げてみたいと思います。

 文民統制の思想は、軍隊や戦争が自由や人権や民主主義を脅かす存在であることを認め、その危険を防止しようとするものであるが、しかしそれは軍隊そのものを否定するというところまではいかない。ところがこれに反して、第九条は戦争を放棄するとともに、軍隊そのものを保持しないとした。したがって、それは文民統制の目標、つまり軍隊あるいは戦争によって人権や民主主義が否定されることを防止しようというその目標をさらに徹底した、あるいはそれを極限にまで貫いたものだといってもよいわけである。したがって、日本国憲法には文民統制に関する規定はない。それは第九条がある以上、当然のことといえるのであり、軍隊を保持しない以上、軍隊に対する統制は本来不必要なのである。

  ところがそれなのに今日、文民統制が論議され、また、文民統制が侵されたとか、文民統制を強化する必要があるなどといわれているのはなぜであろうか。いうまでもなく、それは自衛隊の存在に基づくわけである。つまり第九条のもとで否定されたはずの軍隊の実質を備えているところの自衛隊が存在する。そこに第九条のもとでは本来不必要となったはずの文民統制がなお必要とされることになったのである。

こう述べております。

 過去の侵略戦争に対する反省を踏まえ、二度と戦争はしないことを世界に誓って戦後の日本は出発をいたしました。国の最高法規である憲法に戦争放棄、戦力不保持と交戦権否定を明記することで文民統制は徹底したのであります。

 ところが、アメリカは、米ソの対決構造が強まるもとで、戦後初期の対日方針を転換し、日本再軍備へかじを切りました。朝鮮戦争の勃発を契機として、マッカーサーの指令による警察予備隊の創設という形で、コワルスキーが言うところの時代の大うそが始まったのであります。

 歴代政府は、自衛隊の違憲性を言い繕うために、自衛のための必要最小限度の実力組織は憲法に違反しないと弁明し、文官が自衛隊をコントロールすることを文民統制の一つの要素として説明せざるを得ませんでした。

 ところが、九〇年代以降、アメリカの新たな対日要求につき従って、現行憲法が全く想定していなかった自衛隊の海外派遣に道を開き、今度は、その海外での軍事作戦の迅速かつ効果的な遂行に邪魔になった文民統制さえも廃止しようというのであります。軍事合理性を貫き、米軍と一体の効率的な軍事組織につくりかえようとするものにほかなりません。

 今回の設置法の改正、文官統制ありやなしやと言う前に、そういう歴史的経過を踏まえたときに、憲法九条が一番の文民統制であったわけです。現行憲法のもとでこのような今回のような法改正は許されないと私は思いますが、それが許される余地がどこにあるんですか、大臣。

中谷国務大臣 原点が九条であるという点は一致をいたしますが、お話を聞いていると、自衛隊という組織が要らないという論法で論じておられます。

 では、誰がこの国を守るのか、どうやってこの国を守るのかということで、日本は主権を回復した以降、やはり独立国家として国の安全を守るのは誰かということで、当然これは国民でもございますし、それを代表した政府が行うわけでございます。

 そこで、普通の国なら軍というのが国を守るためにあるわけでございますが、いずれの国も、政府の責任において、国民がそれをコントロールする、国民の主権を守るために軍をしっかり国民がコントロールするというところから文民統制が行われておりまして、政治が軍をコントロールする、またこの点は一致をいたしているわけであります。

 我が国におきましては、自衛権に基づいて自衛隊というものが誕生し、また国の安全を担っておりますが、その点におきまして、やはりしっかり国民が自衛隊をコントロールしなければならないということで、政治がそれを担うというようなことでございまして、やはり国を守る上においては自衛隊というものが必要であって、それをしっかり国民がコントロールしていくということで組み立てられているわけであります。

 自衛隊という組織が、その方においては必要ないというふうにお考えなのかなというふうに思っております。

赤嶺委員 自衛隊がつくられた経過について述べ、今大臣は、どんな経過があったにせよ、誰が日本を守るんだ、そういうことでしたが、では、どういう実態になっているのか、そこについて、いわば日本の文民統制の現状について一つ一つ質問していきたいと思います。

 二〇〇五年から二〇〇六年にかけての一連の米軍再編合意で、戦術から戦略に至るあらゆるレベルで日米間の軍事一体化を推し進める方針が示されました。米軍と自衛隊の陸海空の司令部機能は、それまでの横須賀に加えて、横田、座間で既に一体化しております。

 まず、防衛省・自衛隊と米軍の主要司令部組織への相互の連絡官の派遣状況について明らかにしていただけますか。

真部政府参考人 まず、米軍からの連絡要員の主要な組織への受け入れについて申しますと、防衛省の内部部局、各幕僚監部、情報本部、中央即応集団司令部、自衛艦隊司令部、航空総隊司令部、こういったところには、連絡要員を受け入れているという、該当の者はおりません。

 また、防衛省・自衛隊の方から主要な司令部組織への連絡要員の派遣につきましては、在日米軍との連絡調整のために、在日米軍司令部に一名、第五空軍司令部に三名、在日米海軍司令部に六名が派遣されているところでございます。

赤嶺委員 では、その派遣されている連絡官は、具体的にどういう目的で派遣し、何の連絡調整を行っているんですか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど真部局長からもお答えしましたとおり、陸上自衛隊はキャンプ座間、海上自衛隊は、場所でちょっとお答えいたしますが、横須賀、航空自衛隊は横田に、それぞれ連絡官を派遣しておるところでございます。

 この連絡官を派遣することによりまして、日米間で緊密な連携のもと、共同訓練、あるいは警戒監視、災害時における共同対処などの調整を行っております。

 例えば、平成二十五年度日米共同統合演習、キーンエッジと申しておりますけれども、これにつきましては、キャンプ座間、横須賀、横田それぞれにおいて指揮所演習を実施したほか、首都直下地震対処計画では、横須賀、横田等に日米調整所等を設けることとしております。

 こうしたことで、これ以上の調整の詳細につきましてはお答えを差し控えたいと思いますが、こうした調整を行っているところでございます。

赤嶺委員 米軍側の司令部への連絡要員の配置と、配置する前と、どのように、何が変わったんですか。

深山政府参考人 自衛隊と米軍の間ではかねてより連絡調整を行ってきたところでありますが、こうした連絡官を派遣することによりまして、その連絡がより円滑に、スムーズに行われるようになったということは申し上げられます。

赤嶺委員 二〇〇五年に、役割、任務、能力に関する合意が行われました。あれから十年たちました。当時の合意は、「米軍及び自衛隊の間で共通の運用画面を共有することは、運用面での調整を強化するものであり、可能な場合に追求されるべきである。」このように述べております。

 この「共通の運用画面」、これはどういうもので、あれから十年、今どうなっていますか。

深山政府参考人 先生御指摘の共通の運用画面と申しますのは、コモン・オペレーショナル・ピクチャーと我々が称しているものかと存じますけれども、共同対処等が必要な場面におきましては、日米双方が共通の情報を持って協議、調整を行うという意味であろうと思っております。

 これにつきましては、その細部は運用にかかわることですのでお答えを差し控えたいと思いますが、そこに書かれたようなそういう体制を構築していけるように、なおも努力を進めているという状況でございます。

赤嶺委員 時間になりましたので。

 まだまだ法案の質疑は続くと思いますし、質問も、弾道ミサイルの問題や、今から質問の全てを言うわけにいきませんが、たくさん残っておりますので、引き続き徹底審議ということを求めて、質問を終わります。

北村委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 大臣、長時間、大変御苦労さんでございます。

 大臣は、先ほどの下地委員との質疑応答の中で、普天間基地の五年以内運用停止の定義について、先日の当委員会における私への答弁と異なる答弁があるように思いました。看過し得ない答弁だと考えますので、議事録を精査の上、次回にただしたいと思います。

 質問に入ります。

 私は、多くの識者が指摘しているように、日本国憲法第六十六条二項で文民統制、いわゆるシビリアンコントロールが採用されたのは、大日本帝国憲法下の戦前戦中に、軍部が、統帥権の独立、天皇の統帥権を掲げて暴走し、第二次世界大戦の惨禍をアジア太平洋の人々と日本国民にもたらした反省からであるというのが歴史的事実であると考えますが、中谷大臣の文民統制についての歴史認識を伺います。

中谷国務大臣 旧憲法下におきましては、統帥権の独立の原則は確立されておりまして、また、陸海大臣は現役軍人であった、こういう、事実上軍部の意向に沿う内閣でなければ成立できなかった、そういうことがありました。ということは、軍が不当に国政、政治に影響を与えていたということが言えるわけでございます。

 こういうことの反省に立ちまして、憲法におきまして、第六十六条第二項に「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。」と規定することによりまして、防衛大臣を含む内閣の構成員を文民に限ることを初め、各レベルで厳格な文民統制の制度を採用したというふうに考えております。

照屋委員 中谷大臣は、大日本帝国憲法下の戦前戦中において、軍部の独走をシビリアンがとめられなかった主たる原因についてはどのようにお考えでしょうか。

中谷国務大臣 私ごとで恐縮でございますが、私の祖父は、戦前、政友会で代議士をしておりまして、戦争が始まる際に、この戦争はやるべきではないというふうに考えておりまして、当時、大政翼賛会が始まりましたけれども、翼賛議員にならずに、戦時中は議員になれなかったということもございまして、そういうことを親の方から聞かされております。

 つまり、統帥権の独立等に加えまして、当時の社会情勢等からいたしましても、政治の場におきまして内閣また議会の統制の及び得ない点で戦争に至ってしまったということでございます。

 また、同じく旧憲法下におきまして、一時期を除いて、軍部大臣現役武官制として、海軍、陸軍大臣が現役軍人でなければならなかったために、事実上軍の意向に従う内閣でなければ成立をせずに、また、軍の賛成がなければ、国策を立てたり、これを遂行することができなかったということから、軍が不当に国政に影響を与えていたというような原因があろうかと思っております。

照屋委員 私も、今大臣がおっしゃったように、軍部暴走の主たる原因が、明治憲法十一条の天皇統帥権、そして軍部大臣武官制、それにあったんではなかろうか、これは私は大臣と同じような思いを持っております。

 それで、元防衛事務次官、退任後防衛大学校長をお務めになった夏目晴雄氏が、共同通信の取材に対して、「「軍隊は限りなく自己増殖する恐れがある存在。抑制する力が常に働いていなければならない」と、文民統制の重要性を説き、「制服を容易に政治に直結させてはならない」と警鐘を鳴らしていた。」と、三月五日付の沖縄タイムスの社説に書いてございます。

 これは質問通告はしておりませんが、大臣からは大先輩になる夏目晴雄氏の、今私が読み上げたお考えについてはどのような感想をお持ちですか。

中谷国務大臣 夏目元次官の御意見は拝聴をいたしました。しかし、軍なるものを政治に近づけてはいけないというのは、それだけで国の防衛、安全保障が本当にできるのかなと。

 まず、基本的には、政治が軍をコントロールしていく、コントロールをする上においては正しい判断をしなければならないわけでありまして、やはり軍は軍側の、こういった専門的な知見による助言を受ける、また、それに対して、文官である内局におきましては政策的な見地によって大臣を支えていくという観点、やはりこの両方がバランスをとりながら、大臣がしっかりとこれをコントロールしていくというのが私は真のシビリアンコントロールであると考えておりまして、遠ざけていればいいというのではなくて、しっかりとコントロールをしていかなければならない、私はそう考えております。

照屋委員 文民統制や文官統制については、いろいろな識者の間でも考え方が異なっております。

 例えば、文民統制について、山口大学副学長の纐纈厚氏が東京新聞で次のように語っております。「シビリアンコントロールのシビリアンは、軍人や武官ではない「文民」というだけでは不十分。民主主義の理念を理解した「文民」でなければならない。」その上で、「徹底した民主主義による軍事統制の意味を込めた「民主統制」や、市民が軍事の方向性を決める「市民統制」、市民がたづなを握る「市民ハンドリング」の方が、訳語にふさわしい」、こういうことも言っております。

 このような考え等を踏まえて、私は大臣にお聞きをしたいのは、憲法第六十六条二項の文民統制は、国会による統制、内閣による統制、防衛省内の統制、いわゆる文官統制のレベルで行われることが必要だと考えますが、大臣の考えを伺います。

中谷国務大臣 文民統制というのは、御指摘のように、民主主義国家における、委員のお話では市民でありますが、私は、国民、そしてそれを代表する政治家、これが軍事に対する優先を意味するものであると考えております。

 我が国の文民統制というのは、国会における統制、また国家安全保障会議を含む内閣による統制とともに、防衛省における統制がありまして、防衛省の中の統制につきましては、文民である防衛大臣が自衛隊を管理運営していく、統制をしていくということですが、その補佐として、防衛副大臣、防衛大臣政務官の政治任用者のほか、内部部局の文官による補佐も防衛大臣による文民統制を助けるものとして重要な役割を果たしているというふうに認識をいたしております。

照屋委員 文民統制、文官統制については、予算委員会や当委員会においていろいろと中谷大臣の見解が表明されたことは私も承知をしておるんです。

 大臣は、去る三月六日の衆議院予算委員会で文民統制に関する政府統一見解を示しました。その中で中谷大臣は、文民統制における文官の役割は防衛大臣を補佐することであり、文官が部隊に対し指揮命令をするという関係にはないと述べております。

 この中谷大臣が示した文民統制に関する政府統一見解に対しては、文官の役割を防衛大臣の補佐にとどめ、事実上文官統制制度を否定する内容であり、過去の総理大臣が示した見解と明らかに矛盾するとの批判がありますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

中谷国務大臣 お答えをいたします。

 そもそも、保安庁当時の大橋大臣も、防衛庁設置法当時の木村大臣も、政治が軍事に優先して、大臣が指揮監督を行う旨、また、内部部局の局長等は自衛官と並んで大臣補佐をするものである旨答弁をしておられます。また、佐藤総理も、文民統制は政治の優先である旨答弁をいたしております。

 この防衛省設置法十二条が官房長及び局長が大臣の補佐をする旨を定めた規定である点と、こうした答弁を総合すれば、歴代の総理大臣等の答弁も、内部部局の文官の補佐を受けて行われる大臣による文民統制の趣旨であると理解をされて、同条と文民統制につきましての政府の考え方を一貫して示しているものだというふうに発言をし、認識をしているところでございます。

照屋委員 大臣は、内局と幕僚監部それぞれの防衛大臣の補佐のあり方はどうあるべきだとお考えでしょうか。

 また、文官統制の根拠となっている防衛省設置法十二条と、自衛隊法九条二項の関係について、大臣のお考えを伺います。

中谷国務大臣 文民統制を行う上におきまして、防衛大臣が的確な判断を行う上におきましては、官房長また局長らによる政策的見地からの補佐と、各幕僚長による軍事専門的見地からの補佐が、いわば車の両輪としてバランスよく行われることが重要でございます。

 現行の防衛省設置法十二条は、かかる見地から、この補佐が適切に調整、吻合されることを制度的に担保した規定であります。また、自衛隊法の第九条二項は、各幕僚長が、それぞれの隊務に関する大臣の軍事専門的な最高の助言者として大臣を補佐することを定めた規定でございまして、かかる幕僚長の補佐と、官房長及び局長の行う政策的見地からの大臣補佐とがバランスよく行われることを防衛省設置法十二条で担保しているわけでございます。

照屋委員 大臣、自衛隊の部隊運用を各幕僚監部だけに任さない仕組みとして、防衛大臣に決裁を求める起案権限を、内部部局の防衛局運用課、現在の運用企画局事態対処課でしょうか、これに与えております。その理由について、ミスター防衛庁と呼ばれた西広整輝氏が、制服組は開戦の起案はできるが終戦の起案はできないからだと話したと防衛省内では伝えられているようであります。

 運用企画局を廃止して統合幕僚長のもとに運用政策総括官及び運用政策官を配置する本改正案では、西広氏の懸念が現実のものとなるおそれはありませんか。軍事的見地に力点が置かれ、内閣の政策的チェック機能が弱まるのではないでしょうか。大臣の考えを伺います。

中谷国務大臣 組織を改編した後、例えば、従来は内局部局が行っていた、実際の部隊運用に関する対外的な連絡調整とか防衛大臣への状況報告といった業務は統合幕僚監部が取りまとめて行うことになりますが、その際、内部部局に対しても必要な連絡調整は当然にされております。

 実際の部隊運用に関して防衛大臣が判断を行う場合には、内部部局は、統合幕僚監部と必要な協議を行いまして、政策的見地から補佐をします。特に、部隊運用に際して閣議決定そして法令の改正を必要とするものなど高度な政策判断を伴うものにつきましては、内部部局が中心として対応してまいります。

 このように、実際の部隊運用に関する業務の統合幕僚監部への一元化は、内部部局と統合幕僚監部の間の実態としての業務の重複、これを解消するものでありまして、文民統制の主体である防衛大臣に対して、引き続き、政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐が行われる体制を確保した上で、的確かつ迅速な意思決定を行うことを可能としたものでございまして、今般の組織改編等によって、防衛大臣に対する政策的見地からの補佐が弱まることはないということでございます。

照屋委員 大臣、今度の防衛省設置法十二条の改正との関連で、今御答弁ありましたように、この間の当委員会における各委員との質疑応答を聞いておりますと、どうも大臣は、防衛省設置法十二条の改正によっても何も変わらないんだというふうな言いぶりで、それを強調するように私は受けとめましたけれども、大臣、そうではなくて、自衛隊をどう動かすかの運用権限面で、いわゆる制服組の影響力が格段に強まってくるのではないでしょうか。

 大臣の考えを聞かせてください。

中谷国務大臣 この十二条の改正に伴いまして、統合幕僚監部の改編が実施をされるわけでございます。

 しかし、従来からの、政策的見地からの大臣補佐と軍事的専門的見地からの補佐、これはこれまでも調整をするということになっておりまして、従来からの趣旨自体は変更しないままで、新たな組織構成に適切に対応した規定とするものでございます。

 私も、実際運用する場合におきましては、これまでのように、軍事的専門的見地からの統合幕僚監部からの意見と、また、政策的な見地の内局の幹部の意見、両方バランスをとりながら間違いのない判断をしてまいりたいというふうに思っておりますし、また、統合幕僚監部が決定する際には、統合幕僚監部の中に内局の職員が入りまして、政策的見地からの判断も中でいたします。

 また、防衛省全体といたしましても、防衛会議という会議体がございまして、ここには内局も統合幕僚監部も一堂に会して、重要な事項におきましては防衛省全体として判断をしていくわけでございまして、政策的見地からの助言、補佐というものは非常に大事な要素であるし、引き続き、私としても、支えていただきたいというふうに思っております。

照屋委員 私など、もとより、大臣のような軍事専門的な知識は皆無でございますので、ただ、政治将校という言葉もあるやに文献で見ましたので、今度の法改正でそのような事態が起こらないように願っておるところであります。

 防衛装備庁の新設に伴う本改正案第三十七条で、三十三号には、防衛装備庁の所掌事務として、「防衛大学校、防衛医科大学校その他政令で定める文教研修施設において教育訓練及び研究を行うこと。」と定められておりますが、現在の人事教育局との間で担務のすみ分けはどうなるんでしょうか。

吉田政府参考人 事実関係について御説明させていただきます。

 防衛装備庁においては、今般の審議でも御指摘がございましたが、防衛装備品等の取得業務に必要な専門的な知識や技能などを習得させることを重視してございまして、将来的にはそのための文教研修施設の設置も想定されるところでございます。このため、防衛装備庁の所掌事務規定におきまして所要の規定を置いたところでございます。

 なお、第四条第三十三号が規定する文教研修施設には、人事教育局が管理運営する防衛大学校と防衛医科大学校などがございますが、防衛装備庁がこれらの管理運営を行うというふうなことではございませんので、人事教育局との間で所掌事務の競合とか重複が生じるというようなことは想定しておらないところでございます。

照屋委員 最後に、大臣にお伺いをいたします。

 今回の防衛省設置法一部改正で、第九航空団が新編されることになります。これにより、那覇基地所属の自衛隊機が大幅にふえます。那覇空港は、現在軍民共用空港で、観光立県沖縄の政策展開とともに民間航空機の発着件数が増加をしております。一方で、那覇空港における自衛隊機のスクランブル発進も増加しております。

 第九航空団の新編に当たって、那覇空港における民間航空機の円滑かつ安全運航は果たして確保できるんでしょうか、どのように確保するんでしょうか、中谷大臣に伺います。

中谷国務大臣 最近那覇空港が大変混雑をしているという点は認識をいたしております。

 そこで、那覇基地に第九航空団を新編するに当たりましては、航空交通への影響を緩和するための施策の検討、これが重要であると考えておりまして、那覇空港の空港管理者である国土交通省とも十分調整をした上で、周辺の航空交通や地域への影響に配慮した形で進めていく必要があると考えております。

照屋委員 最後に、大臣に要望でございますが、今週末から来週初めごろにかけて、2プラス2でニューヨークに行かれると伺っております。私は、その際に、沖縄の基地問題、とりわけ、沖縄では強い民意を背景に、翁長県知事や多くの県民が辺野古への新基地建設に強く反対している現状にあることを、ぜひ何らかの機会を捉えてお伝えしていただきたい、これを要望して終わります。

北村委員長 どうも皆様御苦労様でした。

 次回は、来る五月十四日木曜日理事会及び委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十分散会


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