衆議院

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第3号 平成28年3月8日(火曜日)

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平成二十八年三月八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長代理理事 小野寺五典君

   理事 江渡 聡徳君 理事 大塚  拓君

   理事 武田 良太君 理事 山口  壯君

   理事 青柳陽一郎君 理事 玉木雄一郎君

   理事 伊佐 進一君

      今津  寛君    小田原 潔君

      大西 宏幸君    勝沼 栄明君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      北村 誠吾君    熊田 裕通君

      小松  裕君    笹川 博義君

      瀬戸 隆一君    薗浦健太郎君

      中谷 真一君    原田 憲治君

      藤丸  敏君    辻元 清美君

      原口 一博君    横路 孝弘君

      佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君

      下地 幹郎君    照屋 寛徳君

      武藤 貴也君    吉田 豊史君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         中谷  元君

   外務副大臣        木原 誠二君

   文部科学大臣政務官    堂故  茂君

   防衛大臣政務官      熊田 裕通君

   防衛大臣政務官      藤丸  敏君

   会計検査院事務総局第二局長            村上 英嗣君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  永井 達也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福井 仁史君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田 昭典君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 垂  秀夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   中尾  睦君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            堀地  徹君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     瀬戸 隆一君

  中谷 真一君     小松  裕君

  長妻  昭君     原口 一博君

同日

 辞任         補欠選任

  小松  裕君     勝沼 栄明君

  瀬戸 隆一君     小田原 潔君

  原口 一博君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     中谷 真一君

    ―――――――――――――

三月三日

 戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(宮本徹君紹介)(第五四八号)

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(真島省三君紹介)(第五四九号)

 同(宮本徹君紹介)(第五五〇号)

 同(真島省三君紹介)(第七三一号)

 緊急出動のある自衛官の官舎の改善に関する請願(西村明宏君紹介)(第六三五号)

 同(勝沼栄明君紹介)(第七三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

小野寺委員長代理 これより会議を開きます。

 委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行います。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官永井達也君、内閣府大臣官房審議官福井仁史君、公正取引委員会事務総局審査局長山田昭典君、外務省大臣官房審議官水嶋光一君、外務省大臣官房審議官垂秀夫君、外務省大臣官房審議官相木俊宏君、外務省北米局長森健良君、財務省理財局次長中尾睦君、文部科学省国際統括官山脇良雄君、国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長真部朗君、防衛省地方協力局長中島明彦君、防衛省統合幕僚監部総括官高橋憲一君、防衛装備庁装備政策部長堀地徹君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長村上英嗣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小野寺委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小野寺委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原口一博君。

原口委員 おはようございます。民主党の原口一博です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。大臣に主に伺っていきます。

 まず、今回の裁判所の和解勧告、普天間基地の移設問題に関して、どういう和解勧告の内容を受け入れて、そして何を中止するのか、そして今後どのような見通しを持っているのか、この三点について伺います。

中谷国務大臣 先日、金曜日でしたけれども、四日に福岡高裁那覇支部の和解勧告を受け入れまして、沖縄県と和解をすることに決定いたしました。

 内容は和解条項に書かれているわけでございまして、国としては、代執行訴訟を取り下げ、工事を中止する。また、沖縄県も、別の二訴訟の取り下げに同意をいたします。これを受けまして、国が沖縄県知事に辺野古埋立承認取り消しの是正指示をいたしまして、その後、不服がある場合、ない場合ということで、それぞれ国地方係争処理委員会に審査の申し出をいたしまして、そこでそれぞれの手続に従いまして判断をするということでございます。

 この理由といたしましては、国と沖縄県双方が延々と訴訟合戦を繰り広げておりますと、普天間の飛行場がこれからも何年も固定化をされかねないということでございます。

 その点を踏まえまして、防衛省といたしましては、和解勧告の内容を誠実に実行する考えでございまして、沖縄県と協議を進めてまいりたい、誠実に対応してまいりたいと思っております。

原口委員 その和解勧告の中身を本委員会に提出することはできますか。

中谷国務大臣 それは可能でございます。

原口委員 それを拝見した上でまた。速やかに出していただきたい。

 そして、和解勧告の何を受け入れて、そして工事はもうストップしているという理解でよろしいですね。

中谷国務大臣 政府が和解勧告を受けると判断した時点で裁判所を通じまして沖縄との和解が成立をしまして、その後、総理の方から工事の中止をせよという指示がございましたので、私の方から工事の中止を指示したということでございます。

原口委員 辺野古移設についてはボーリング調査や工事だけではなくてほかのものもございますが、そういうものも一切とめるという理解でよろしいですね。

中谷国務大臣 現在、防衛省内で検討をいたしておりますが、和解に伴う防衛省の対応につきまして、和解の当事者間の認識に異なることがないように、和解の内容をよく確認した上で適切に対応をしていくということでございまして、あくまでも和解の内容を全て誠実に実行していくという考えでございます。

原口委員 和解の内容を誠実に実行していく。

 調査とかはもうとめているわけですね。工事はとめているでしょうけれども、とめろと総理が御指示になったというのは官邸のホームページにも出ていますが、調査もとめていますね。

中谷国務大臣 和解内容に書かれていたことにつきましては、埋立工事を直ちに中止するということでございまして、現在、関連する部局において検討しております。

 ボーリングの調査など和解に伴う防衛省の対応、具体的なことにつきましては、和解条項に示された手続、また沖縄県との協議、これを誠実に行っていくということを踏まえまして、和解の当事者である沖縄県側の認識と異なることがないように、和解の内容をよく確認した上で適切に対応していく考えでございます。

原口委員 手元に私たちは和解案を持っていないわけですよ。だから、どういう和解の内容かということがわからないので、ちょっとこれ以上この問題については質疑ができないなと。

 ただ、ボーリングはとめているわけでしょう。進めるんですか、調査は進めているんですか。それだけお答えください。

中谷国務大臣 現在、ボーリングの調査も含めて作業は中止をした状態でございます。陸上に係る工事等も行っておりまして、全域につきまして、今回の和解条項に示された手続、また沖縄県との認識に異なることがないように、一つ一つ今確認作業をしているということでございます。

原口委員 和解案を拝見して、また後の議論にしたいと思います。

 私は、やはり安全保障の中核が大きく変わっていると思うんですね。全世界の軍隊の中で、海兵隊を持っている軍隊、それは余りありません。今回、我が国もオスプレイを十七機配備して海兵隊のような機能を導入する。本当にそこが力点なのかなと私は思います。むしろ、同じ予算、大切な国民の税金であれば、サイバーやさまざまなところにしっかりと使っていかなければいけないというふうに思います。

 委員長、お許しいただいて、資料の配付をよろしいでしょうか。

小野寺委員長代理 はい。

原口委員 資料の一をごらんください。これが新ガイドラインです。英文で出させていただきましたが、これはいろいろなところにトレーニング・アンド・エクササイズという項が出てくるんですけれども、日ごろから、抑止力を強めるためにも日米は共同してバイラテラル、マルチラテラルなトレーニングに励むんだ、こう書いてあります。

 日米の共同訓練の重要性というものは、前のガイドラインに書かれていたときよりもはるかに強く書かれているという認識をしておりますが、大臣の御認識を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 資料に書かれておりますけれども、平時からの防衛協力といたしまして、日米間で相互運用性、持続性、即応性を強化するために日本国内外双方において実効的な二国間、多国間の訓練、演習を実施する、適時かつ実践的な訓練、演習は抑止を強化するとされております。

 日米安保体制におきましては、我が国自身の努力と相まって、我が国の安全保障の基軸であります自衛隊と米軍は、それぞれの戦術技量、レベルですね、それと相互運用性、インターオペラビリティー、これを向上させるということで日米の共同対処能力を高めるために共同訓練を実施しているということでございます。

 やはり、共同訓練を実施するということは、日米間で一致した意思そして能力を示すことになりまして、米国の我が国及びアジア太平洋に対するコミットメントの維持強化にもつながることから、日米同盟の抑止力の強化に資するものと考えておりまして、今後とも、日米共同訓練の内容の充実に努めてまいりたいと考えております。

原口委員 ありがとうございます。

 今お話しになった点を、今回の沖縄の負担の軽減、あるいは、我が国の新しい防衛大綱の中における、水陸両用といいますか海兵隊機能がどういう位置づけなのかということで議論をしていきたいと思います。

 資料二をごらんください。これは予算委員会でも使った資料でございますが、FMSです。

 これまでの政権では、年間のFMS、有償軍事援助は多くて八百億でございましたが、安倍政権になってから大幅にふえています。このFMSの不透明さ、これは非常に一方的な部分が多くて、お金を払っているのに物品が来ない、あるいは未精算が多いということは予算委員会で指摘をしたものでございます。

 私は、本当にこんなにFMSをふやす必要があるのかと。本当に大事な防衛は、大臣とも安全基本法を一緒につくらせていただきましたから、私たちは何でもだめだと言う気はありません。しかし、限られた予算、限られた資源を有効配分するというのはとても大事ではないかと思います。

 資料三をごらんになってください。防衛省中央調達の手引、平成二十三年防衛調達基盤整備協会、これは前、談合疑惑で東京地検の調査が入ったところかと思いますが、上の段落で、「FMS調達物品は、米軍検査にて合格済のものが引渡され、所有権が米国内の最初の出荷地点で日本側に移転されているので、直ちに不合格とすることなく保留という判定を行う。」こういうことをやっているわけですね。これは極めてまれなことだと思います。

 この根拠の条文を、これは何が根拠になっているのか、事務方で結構ですから教えてください。

中谷国務大臣 このFMSというのは、自衛隊が創立した当時から米国の武器の調達ということである制度でございまして、この調達につきましては、米国政府が、米国の国内法がございまして、武器輸出管理法に基づいて、武器輸出適格国、すなわち同盟諸国及び友好諸国に対して装備品等を有償で提供する制度でございます。

 日本を初めとする購入国は、調達物品の所有権が移転される時期を含めまして、米国政府の定める条件を受諾して初めて必要な装備品等の提供を受けられるということになっておりまして、FMS調達の制度そのものを改めるということは困難でございますが、防衛省としては、今後とも適切な調達に努めてまいりたいと考えております。

原口委員 いや、私はその先のことを申し上げていて、米国内で引き渡した時点で所有権が移ると書いてあるわけですね。そうすると何が起きるかというと、不足や欠品、いろいろなものがあるでしょう、しかしそれは応じないとアメリカの方のマニュアルにあるわけでしょう。それは援助ですから、私たちが援助を受ける側ですから、いろいろな文句を言うことはできないかもわからないけれども、しかし、同盟関係が始まってかなり長い時間がたちます。

 私は、こういったところは米国内でも議論をしていただいて、余りにも一方的で不合理なもの、予算委員会では、未精算あるいは未納入がなくなるように、防衛調達システムとFMSのシステムをリンクさせて一括管理できるようにということで提言をした。大臣も前向きにお考えいただくというふうに思っていますが、こういうところから直していく必要があるんじゃないかと思います。大臣の御答弁を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 通常の商慣行におきましては、その品物を購入した、お店へ行って購入を決定して、そして自宅に着いて受領する、受領した時点で自分の所有物になるというのが一般的でございますが、FMSというのは、規定上、資料に書かれたような内容で契約を行っているということでございます。

 仮に、給付を受けた装備品にふぐあいが発見された場合でございますが、米側から受領した装備品にふぐあいを確認した場合は、直ちにふぐあい報告書を米国政府に送付いたしまして、その対応を協議することといたしております。損害がどちらに原因、理由があるのかどうかも含めまして米側にその対応を協議するということで、具体的には、訓令に基づいて、外見上の損傷、さびの発生等の異常があるときは保留として、ふぐあいとして米国政府に報告をしているということでございます。

原口委員 しかし、その米国政府の文書を見ますと、ディナイ、つまり、そういうものがあっても、所有権は移転しているんだから米国政府は受け付けないという資料をきのう、夜遅くでしたけれどもいただきました。

 私は、こういったものは変えていくべきだし、密接な同盟関係、緊密な同盟関係、先ほど新ガイドラインを読ませていただきましたけれども、その観点から見ても決していいことではない。

 会計検査院に来ていただいていますが、FMS調達において、米国での出荷時点で米国から日本に所有権が移転されている、今大臣が御答弁になったとおりでありますけれども、本来であれば受領検査後に所有権が移転されるべきだと思います。会計検査院は所有権の移転時期についてしっかり検査をする必要があるんじゃないか。

 これまで、未納とか未精算については四度にわたって指摘をされました。ちょうど二十年ぐらい前ですか、私、当選させていただいて、この部屋だったと思います。利子もついていなかったんです。それを利子をつけるようにして、少しずつは改善してきているけれども、会計検査院の基本的なスタンスを伺いたいと思います。

村上会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、アメリカ合衆国政府の有償援助による防衛装備品及び役務の調達、いわゆるFMS調達につきましては、その前払い金額が多額に上っていることなどから、従来、重点を置いて検査を実施してきたところでございます。

 会計検査院といたしましては、FMS調達につきましては、今委員御指摘の点につきましても念頭に置きつつ、引き続き多角的な観点から検査を実施してまいる所存でございます。

原口委員 ありがとうございます。応援の意味で申し上げました。

 次に、公取。防衛装備庁発注の戦闘服等の調達に係る入札談合疑惑について、三月一日に公取は立入検査を行ったという情報に接しましたが、事実関係を教えてください。

山田政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会では、御指摘のような防衛装備庁発注の一部の繊維製品の調達につきまして受注調整が行われていたという疑いがありましたことから、その調査の一環としまして、三月一日に関係事業者に対しまして立入検査を実施いたしました。

 なお、現在審査中の事案でございますので、それ以上の具体的なお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

原口委員 今、事実関係、具体的なことは述べませんでしたけれども、質問の中で述べたことが間違っていないということがわかりました。

 これも予算委員会でしたけれども、弾薬の行政事業レビューについて質問した際に、中谷防衛大臣は、仕様が特殊なので、一者応札、随契、高い落札率が多くなるとお答えになりましたが、私は、それは特殊だからそのまま放置していていいというものじゃないと思うんですね。しっかりと状況を改善する、その意思をぜひお示しいただきたいと思います。

中谷国務大臣 弾薬の製造販売をする企業につきまして、これは法律の規定で、武器等製造法に基づく製造事業に係る経産大臣の許可、火薬類取締法に基づく製造営業に関する経産大臣の許可及び販売営業に関する都道府県知事の許可、こういった認可が必要でございます。

 防衛省に向けた弾薬製造販売を行う企業は十数社ほどあるわけでありますが、企業ごとに得意な種類の弾薬に事業を特化しているという特徴がございまして、例えば、五・五六ミリ普通弾に関しまして、武器等製造法の製造事業の許可を得ていても、火薬類取締法の製造営業と販売営業の許可を得ていない企業もあります。また、五・五六ミリ普通弾に関して許可を得ているわけでありますが、戦車砲用の徹甲弾に関しての許可を得ていないという企業もありまして、弾薬の種類によって必要な製造技術、製造施設が異なる場合がありまして、事業対象としての弾薬の種類に対するそれぞれの企業による経営判断の結果でございます。

 つまり、設備投資をしてまで競争しようとする意欲を持った企業が少ない、結果的に限られた企業で一者応札とか随契とか、そういうことにならざるを得ないということが現状でございます。

原口委員 委員長も防衛大臣をなさって改革に取り組まれたと思いますが、事務方が書くと、そういう言いわけみたいなペーパーになるんですね。

 私がお言葉を聞きたかったのは、それは特殊でしょう、それから限られているでしょう、しかし、その中でも国民の大切な税金、しかも防衛装備品という極めて日本の安全保障の中核の物品について、やはり適正な競争が行われるように、その意思を聞いたわけですが、前回と同じ答弁だったというのは非常に残念でございます。

 沖縄の負担軽減、最初の質問に戻りたいと思いますけれども、資料四をごらんください。宜野湾市長さんが沖縄防衛局長に出された平成二十七年十月十九日の文書、「普天間飛行場における米軍機による騒音等について(抗議・要請)」なる文書であります。

 沖縄の負担軽減をどうやっていくのか、普天間の負担軽減をどうやっていくのか、これはとても大事なことでありますが、予算委員会において中谷大臣は、どういう訓練をどこに移すんですかという私の質問に対して、高知県で行っている防災訓練に対して沖縄に所在するオスプレイが参加して訓練をするという計画立案をしていると御答弁いただきました。ただ、その後調べてみると、防災訓練へのオスプレイ参加については、高知県は慎重な姿勢で、実現していませんね。実現しているんですか。

中谷国務大臣 これまで、平成二十五年の十月、そして平成二十六年の二月の二回、高知県の防災訓練と連携して行った日米共同統合防災訓練において、オスプレイの参加を計画いたしました。ただし、平成二十五年の十月二十五日の防災訓練では、大雨警報が発令をされまして、気象的な理由により、この防災訓練自体を中止いたしました。平成二十六年に計画された防災訓練、これは天候が非常に悪くて、米軍が、天候上の理由を含めて、その日に、総合的に勘案した結果、オスプレイの参加は中止となりました。あくまでも計画では実施をする予定でありました。

 御指摘の点につきましては、平成二十七年の六月七日にも、防災訓練と連携して日米共同の統合防災訓練を実施いたしましたけれども、この間のやりとりにおきまして、在日米軍、高知県等と訓練内容について調査をした結果、オスプレイではなくて米軍のヘリのUH60、これの参加を得て訓練を実施したということでございます。

原口委員 ありがとうございます。

 普天間基地におけるオスプレイの離発着回数、これはわかりますか。佐賀空港にも、七十機配備するような大規模な自衛隊の基地をつくろうということで今要請をされておられますけれども、佐賀空港の御説明は、年間離発着回数は一万七千回、そのうちオスプレイが何回なのか。普天間基地におけるオスプレイの離発着回数と、佐賀空港での、これは米軍と自衛隊で違いますけれども、自衛隊の離発着回数、佐賀空港の場合は予定ですけれども、内訳を教えてください。

中谷国務大臣 まず、普天間基地におけるオスプレイの離発着回数でございます。これにつきまして、MV22オスプレイ、これは普天間飛行場でありますが、同機の離発着状況の集計結果を毎年公表しておりますが、平成二十六年度の離発着回数は二千七百三十五回でございました。前の平成二十四年九月に夜間飛行の制限が決められておりますが、平成二十五年、これも踏まえまして、離発着回数が千六百六十三回ということでございまして、二十五年に比べて二十六年の回数は増加をしているということでございます。

 また、佐賀の場合は、V22オスプレイ十七機、また目達原駐屯地から移駐する約五十機のヘリコプターと合わせて約七十機の航空機を配備することを念頭に置いておりますけれども、これら七十機の航空機を運用した場合、その離発着回数は年間一万七千回程度と見積もっているわけでございます。このうち、V22オスプレイ十七機の離発着回数は、夜間の離発着回数も含めまして、年間四千五百回と見積もっております。

原口委員 資料四に戻ってください。

 今大臣が御答弁なさった平成二十六年度MV22の飛行回数、これは宜野湾市長さんがおっしゃっているとおりの数字ですね。これは恐らく離発着をカウントしたものだと思いますが、二千七百三十五回で、これでも過重だとおっしゃっているのに、佐賀空港は、今、これよりはるかに大きな四千回以上という御答弁がございました。

 普天間の負担軽減というのは、実際に、この宜野湾市長さんの抗議文を見ても、なされていないんですよね、オスプレイというこの一つの数値を見る限りにおいて。

 そこで、何でそうなるのかなということで、資料五をごらんください。

 これは、予算委員会で私の要求した資料に基づいて外務省が出してくださったものです。ちょっと経緯が複雑で、資料五の左の二十四日の外務省文書では、こう書いているんですね。「外務及び防衛官僚が当時の総理及び外務大臣に説明した公文書を出してほしい。勝手に怪文書を出して当時の総理を惑わせたと理解しており、指定期間過ぎたものは開示してほしい。」

 私は外務大臣に強く抗議しましたよ、私はこんなことを予算委員会で言っていないです。私はこんなふうに理解していません。にもかかわらず、外務省はこういうペーパーを勝手につくって、議事録にも当たらず、そして国会での議員の質問を勝手に改変するとは何事だということで、竹下委員長を初め皆さんが、外務省に謝罪と訂正をということで、二十六日に出されたのが右です。外務省のどなたが来られるかと思っていたら、安保条約課長が来られて、口頭での謝罪でございました。

 どうしてこんなことが起きるのか。外務省の機密費問題を追及したときに、本当にこの方々が日本を背負って外交をなさっておられる、その大切な人たちを守ろうと思ってやったんですけれども、出てくる資料、出てくる資料でたらめ、今回もそれにほぼ匹敵するようなことなんですね。

 外務大臣がお見えでございますので、なぜこんな文書が出たのか、訂正はしていただきましたけれども、経緯をお調べいただきましたでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御指摘の文書については、委員が二月二十二日に予算委員会で御質問をされました。その質問、御要請を受けて、二十四日にまず文書を提出したわけです。資料でいきますと左側の文書を提出させていただいたわけですが、この要求事項の部分、これは、今までのやりとり等を踏まえて、外務省として、外務省の責任で整理をさせていただいたわけでありますが、御指摘のように、この御指摘の箇所について原口委員御本人から御指摘をいただきました。それを踏まえて、二十六日の日に、この資料でいきますと右側の資料を修正版として再提出をさせていただいた次第でございます。

 御指摘の箇所については、外務省として、外務省の責任で今までのやりとりを整理したものでありますが、不十分であったということ、そして委員の御趣旨に沿っていなかったというようなことであり、この点につきまして、まずは担当課長が委員の方に足を運ばせていただき、陳謝をさせていただき、説明をさせていただいたという経緯を承知しております。

 この整理のあり方について不十分だったということについては、心からおわびを申し上げたいと思います。

原口委員 いや、不十分じゃないんですよ。逆に、聞いてもいないことを足して言ってもいないことを足していますから、十分過ぎるとは言いませんけれども、余計です。

 これは本当にひどい話で、与野党の、竹下委員長初め皆さんが協議をしていただいて、これはちょっとひどいねということでこうなったわけで、ただ、抗議しなきゃ、私が、怪文書を出したというふうに理解をしているとまで書かれているわけです。私がじゃないんですよ、勝手に防衛官僚が出した、そういうふうに私が理解していると。

 本題はそこではありません。今大臣から陳謝という言葉が出ましたから、それはここでおきますけれども、なぜ普天間の移設というのが難しいのか、あるいは、佐賀空港に十七機のオスプレイを配備すれば、逆に言うと普天間の負担は軽くなるんだろうか。

 佐賀空港配備と米軍の普天間基地の負担軽減とは関連しますか、防衛大臣。

中谷国務大臣 沖縄の基地負担軽減というのは政府として取り組まなければならないことでございまして、従来から、オスプレイにおきましては、沖縄以外の県におきまして受け入れていただくように努力をしているところでございます。

 これはあくまでも全国の全ての都道府県を対象にしたものでございまして、佐賀県に、過度にそういうことに期待をするとか、集中するとか、そういうことではなくて、全国レベル的にそういうことを計画し、またお願いをしているということでございます。

原口委員 負担の軽減と佐賀空港のオスプレイ配備は関連しますか。関連するんですか、しないんですか。

中谷国務大臣 これは、いたしません。あくまでも、佐賀県につきましては、自衛隊のオスプレイの佐賀空港への配備についてということでございます。

 沖縄の負担軽減等の、米軍等のことにつきましては、沖縄の負担を全国で分かち合うという観点から、全国の他の空港と同様にお願いをさせていただくという考えでございます。

原口委員 関連しないという答弁をいただきましたけれども、私は、どうかなと。むしろ、佐賀空港に配備されることによって、一で示したような日米のガイドラインに沿って訓練を行えば、佐賀空港に展開する自衛隊オスプレイも沖縄に飛んでいく、あるいは沖縄の米軍と共同訓練をする、これは当たり前のことじゃないかと思います。当たり前というのは、避けられないという意味での当たり前ということでございます。

 中期防では、九州の離島防衛を目的とした三千人規模の水陸機動団を相浦駐屯地に新設することになっています。そのため、有事の際、その部隊をオスプレイで運ぶために佐賀空港への配備ということになった。

 今、長崎県佐世保市の相浦駐屯地、離島防衛を任務とする西部方面普通科連隊は六百人だと思いますが、それを一挙に三千人にして、そして、新たに購入する水陸両用車は長崎県の崎辺町に陸上自衛隊の基地を新設してそこから出動する。

 大変大きな日本版海兵隊の基地がこの三つを拠点にできるんだ、そう理解をしていますが、私の理解で正しいでしょうか。

中谷国務大臣 これは現中期防にも書かれておりますけれども、島嶼への侵攻があった場合に、速やかに上陸、奪回、確保するための本格的な水陸両用作戦能力を新たに整備するということで、連隊規模の水陸両用作戦の専門部隊から構成される三千人規模の水陸機動団を今中期防期間中、すなわち平成三十年までに新編をするということにいたしております。

 具体的には、佐世保市の相浦駐屯地に普通科を中心とする着上陸部隊として水陸機動連隊を編成するとともに、水陸両用車を運用する部隊として水陸両用車大隊を、海上自衛隊と連携を考慮して佐世保市の崎辺西地区に配置をする予定でございます。

 佐賀につきましては、これは陸上自衛隊の航空部隊ということで佐賀空港にお願いをいたしておりまして、この関係におきましては、やはり航空部隊と陸上部隊が密接に連携するということが不可欠になるわけでございまして、先ほどお話をいたしました水陸両用部隊とこの佐賀のオスプレイは緊密な連携を確保する観点から計画をさせていただいているわけでございます。

原口委員 私の認識どおりの御答弁でございました。

 すなわち、陸上部隊と航空部隊の密接な訓練、そして、冒頭申し上げましたような日米新ガイドラインによるさらなる緊密な日米共同訓練、これをやっていくわけです。

 これは普通に考えると、今大臣が御答弁いただいた、簡単に日本版海兵隊と申しましょう、この言葉がいいかどうかわからないけれども、これは、沖縄へも飛んでいくでしょう。沖縄でも訓練しますね。そうしなければ、日米のオスプレイの共同性、統合性というものは図れないと考えますが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 あくまでも、自衛隊につきましては、我が国の防衛、また国際貢献などの活動任務等もございますし、災害の任務等もございますが、そういうことを考えて、全国的に考慮して、西方の方に配置をするというふうに決めたわけでございます。

 一方、沖縄につきましては、米国の海兵隊が所在しておりますけれども、これは、戦闘機などの打撃力を有するなど、極めて総合的な機能を有しておりまして、大規模紛争に当初から投入されることもあるなど、極めて幅広い任務を有しております。他方、陸上自衛隊はあくまでも我が国の防勢作戦ということで、両者はその任務を異にするものでありまして、同列に論じることは適切とは考えられませんけれども、我が自衛隊の将来計画等も含めまして、この水陸両用部隊については佐世保市に配置をするということが適切と考えたわけでございます。

原口委員 大臣、私が質問したことにストレートに答えていただきたいんです。

 それは、専守防衛を目的とする我が国の自衛隊と米軍とはそもそも違いますよ。しかし、冒頭何回も御紹介申し上げましたけれども、日米新ガイドラインは、インテグレートされた情報の基盤をつくり、お互いに訓練を日ごろから行っていく、そして、すわ有事に備えていくということからすると、今大臣がお答えになったこの自衛隊は沖縄の海兵隊と緊密に共同訓練を沖縄において行うということは排除されない、いや、むしろそれが当然になるのではないか、だから沖縄の負担はむしろ重くなるのではないか、そう考えて懸念する人たちがいるわけですけれども、いや、そんなことはない、沖縄県の負担は軽くするんだ、そう御答弁なさいますか。

中谷国務大臣 今後の訓練等につきましては、新しい状況に応じて、新ガイドラインに書かれておりますけれども、相互の運用性、インターオペラビリティーの向上、また共同対処行動の円滑な実施を目的といたしまして共同訓練を行うわけでございますが、例えば、海外で米海兵隊と共同訓練、ドーン・ブリッツ、アイアン・フィスト、これは自衛隊と実施をしております。また、国内でも米海兵隊との共同訓練、フォレスト・ライト、これは訓練参加部隊の規模も勘案しまして、全国の沖縄ではない演習場で実施をしてまいりました。

 今後、米海兵隊と共同訓練を実施する場合におきましては、特に沖縄で集中的に実施をするということは想定しておらず、実施部隊の利便性、規模、得られる効果等を勘案しまして、国内外を問わず、適切な場所を選定の上、訓練を行っていきたいということでございまして、防衛省といたしましても、極力、沖縄に対する負担軽減、これに努めて考えてまいりたいと考えております。

原口委員 沖縄に訓練を集中させるとは、私は聞いていないんですよ。佐賀、長崎の佐世保の部隊は沖縄でも訓練をするでしょう、北部演習場で訓練をやっている米海兵隊と合同してやらないという担保はありますかと。いや、それはやりませんということであれば、私はそれは一つの見解だと思います。そこを伺っているわけです。

中谷国務大臣 米海兵隊との共同訓練でございますが、特に沖縄で集中的に実施をするということは想定しておらず、実施部隊の利便性、規模、得られる効果等を勘案しまして、国内外を問わず、適切な場所を選定の上、訓練を行ってまいりたいということでございます。

 国内においては、関係自治体に対して適切に説明をして御理解を得るということでございますが、沖縄県は、県民の皆さんにとって大きな負担となっているということを認識しておりまして、その負担の軽減には着実に取り組んでまいりたいと考えております。

原口委員 必ず、集中的にという前振りがあってお答えになって、沖縄県で訓練をしないとはおっしゃりませんでした。

 資料八をごらんになってください。これが佐賀空港の公害防止協定の覚書でございます。

 自衛隊との共用はしない、そういう考えは持っていない、また、空港運営変更にもなることであり、当然に事前協議の対象となる。これは、ぎりぎりの線でここまで書いているわけです。

 民間空港を軍用化した例というのは、ほとんどが救難隊ですね。七十機の基地というと、もう木更津とほぼ匹敵するような大規模基地であります。私は、こういう協定についての認識も大臣から伺っておかなきゃいけない。

 当時の防衛大臣が、この協定も知らずに、紙も持たずに当時の佐賀県知事に言った。目の前に委員長がおられるので、政経塾時代からのあれはありますけれども、私はとんでもないと思いますよ。

 大臣が紙も持たずに、あるいは協定の内容も知らずにお願いする、それはどうかなと思うんですけれども、この覚書について、この重要性について、大臣の御認識を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 防衛省として佐賀県に協議を申し込んだというのは事実でございますが、漁協との間で佐賀県が交わされた公害防止協定の附属資料の中で、佐賀県が自衛隊との共用をする考えは持っていないと記されているのを把握したのは、当時武田防衛副大臣が佐賀県知事に申し入れを行った平成二十六年七月二十二日でございます。また、防衛省が当該協定書を佐賀県から入手したのは七月の二十八日でございます。

 防衛省は、平素から、飛行場に関するいろいろな情報などは収集をいたしておりますが、いろいろと検討した結果、佐賀空港がV22オスプレイ等の最適な候補地であったという結論を得ております。

 この協定書は佐賀県と漁協との間で締結されたものでありまして、この内容について防衛省としてお答えする立場にはございませんが、いずれにせよ、佐賀空港へのオスプレイの配備に当たって、地元の方々の懸念に対して引き続き丁寧な説明に努めてまいるわけでございますが、配備先の候補地の検討段階において、地元への申し入れの以前に、防衛省が地元で締結された協定等についてすべからく承知をしているわけではございません。

 これは、部外者に対して広く聞き取りを行えば地元が混乱をいたしてしまうわけで、かえって御心配、御迷惑を佐賀県の方にもおかけするわけでございますので、こういった状況から、防衛省としては、配備先選定に至るプロセスの中で、公害防止協定の有無等については考えて調査を行っていないということに対して、問題があるというふうには考えていないということでございます。

原口委員 その認識はやはり改めてほしいですね。署名した漁協の一人は私の大おじなんですけれども、佐賀県の国会議員あるいは県会議員に聞いても、誰でも知っているようなことですね。こういうものを知らないでやるものだから、ああ、つけ焼き刃で、沖縄知事選のためにやっておられるのかな、そうみんなが思うわけです。かえって混乱させているというふうに思います。

 残された時間で、外務大臣がおられますので、さっきのペーパー、これはどういう意味ですかね。私に出していただいた二十六日付のペーパーで、わざわざ鳩山元総理が求めておられるものにも言及されていますけれども、「その存在は確認できなかった。」と。

 公文書の存在が確認できないというのは二つあって、もともとその文書がないか、もしくは、一年以内という廃棄の期間の短いもので、資料六をごらんください、公文書等の管理に関する法律のポイントです。廃棄をする場合も必ず台帳をつくらなきゃいけない、帳簿をつくらなきゃいけない。廃棄をすることについても、しっかりと答申を受けて、そして許可を受けなきゃいけないというふうになっているわけです。

 「確認できなかった。」という意味は何ですか。

岸田国務大臣 提出させていただいた文書における「確認できなかった。」ということの意味ですが、確認作業を行いましたが、要は、その存在が確認できなかったということであります。

原口委員 過去、薬害肝炎の命のリスト、これも同じような答弁が来たんですよ。それで、後でありましたと。

 この資料六をごらんになっても、確認できないというのが、どこの時点で。文書が作成されていなければ、それはもともとないですから確認できないでしょうけれども、少なくとも、一で、当時のその説明した資料については公開できないと答えているわけですね。平成二十八年二月二十二日の原口議員からの要求事項について、政府内の検討に係る文書を対外的に公表することは適切でないと考えると。わざわざ外務省が私に二で答えた文書は、この鳩山総理云々と同じものを皆さんは推量しておられるんですか。

 一では、あるけれども対外的に公表できない、二では、確認したけれどもその存在は確認できなかったと。

 これは後でまたやりますけれども、なぜこれをここでやるかというと、米海兵隊は陸上部隊と航空部隊を一体として動かさなければいけない。きのう参議院で答弁を大臣はなさっていますけれども、それは、沖縄の戦略的位置から一定以上離れることはできない。六十五海里かどうかというのは、それは航続距離とかそういうものの進歩で延びていますよ、六十五海里の存在についても大臣はお認めになっておられませんけれども。少なくとも徳之島では無理なんだ、その根拠となるものだからです。

 私たちは、沖縄の負担軽減を与野党の区別なくやっていかなきゃいけない。しかし、何の訓練がどこに動かせないのか、それはなぜなのかというのを知らなきゃいけないんですよ。だから、公開をお願いしているわけです。

 少なくとも、移設に関する文書については広く国会議員が情報を共有して、そして日本全体で沖縄の負担の軽減を図るというためにも、情報を開示して、それぞれの国民に理解を、地域の方々に理解をいただくということが一番大事であるというふうに思います。

 あと、憲法の問題についてもきょう伺いたかったんですけれども、中谷大臣に二点。

 そもそも、日本国憲法制定時に政府が芦田修正を採用しなかった理由、これは何ですか。

中谷国務大臣 芦田修正というのは、憲法制定時に、帝国議会の小委員会において、憲法改正案の修正で芦田均委員長のもとで行われたものでありまして、憲法九条第一項に「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」という文言を、また、第二項に「前項の目的を達するため、」という文言をそれぞれ加えてきたということでございます。

 この修正が加えられた上で制定された憲法第九条の規定の解釈として、政府は、従来から、武力の行使や実力の保持が認められるのは自衛のための必要最小限度に限られるという解釈を採用いたしております。

 この芦田修正論につきましては、確立された定義があるわけではないと承知しておりますが、一般に、憲法九条一項はいわゆる侵略戦争を放棄していると解した上で、第二項は、前項の目的を達するため、すなわち、いわゆる侵略戦争を放棄するために戦力の不保持を定めているとして、侵略戦争ではない、自衛のための、あるいは集団安全保障のための実力の保持、武力の行使には制限がないとする考え方であると承知をいたしております。

 この芦田氏が、昭和三十二年に、第九条二項に言う「前項の目的」とは侵略戦争を放棄することを指すという考えを述べられたと承知しておりますが、しかしながら、従前より政府は、憲法九条の規定について、武力の行使また実力の保持が認められるのは自衛のための必要最小限度に限られるとの解釈を採用してきておりまして、いわゆる芦田修正論とこれまでの政府の憲法解釈とは論理的に整合しないと考えているわけでございます。

原口委員 ありがとうございます。

 もうこれで終わりにしますが、私は、一緒に安全保障をずっと議論してきました。限定的な集団的自衛権によってあらゆる事態に切れ目なく対応できるとしながら、それがあの安保法制です、私はあれは反対です、その舌の根も乾かないうちに憲法改正によるフルサイズの集団的自衛権を言い出すというのは矛盾している、そのことを指摘して、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長代理 これにて原口君の質疑は終了いたしました。

 次に、辻元清美君。

辻元委員 辻元清美です。

 私は、きょうは、沖縄の基地問題と、それから、三月十一日、東日本大震災五年目を迎えます、大規模災害のときの自衛隊の救助、東日本大震災の教訓を踏まえて強化されていると思いますが、その件について質問をしたいと思います。

 まず、沖縄の基地の問題ですが、中谷大臣にお伺いします。

 昨日、翁長知事に対して、辺野古の埋立承認を取り消したということに対し是正を指示したという報道が早速出ております。これで、沖縄の声として、県の関係者も、四日に成立した和解条項は円満解決に向けた双方の協議を定めている、そうですよね、沖縄県の町田知事公室長も、是正指示の前に、出す前に、せめて一度は協議すべきではないかというような声がきょう上がっているわけですよ。

 これでは、以前の強硬姿勢と変わらないじゃないか。中谷大臣、一回ぐらいは沖縄と協議した上で対応すべきじゃなかったですか。いかがですか。

中谷国務大臣 防衛省といたしましては、今回の和解内容を誠実に実行する考えでございまして、埋立工事を中止するとともに、裁判所の提示した手続にのっとって、円満な解決に向けて沖縄県との協議を進めてまいります。

 この手続におきましては、国は、代執行訴訟を取り下げ、工事を中止する、沖縄も別の二訴訟の取り下げに同意をするということにおいて、この内容において、国が沖縄県知事に辺野古埋立承認取り消しの是正指示を行うと書いております。その後不服がある場合においての手順も書かれておりまして、国といたしましては、この和解の条項の内容に沿って手続をしつつ、また沖縄県との協議も進めているつもりでございます。

辻元委員 私は、その姿勢と、沖縄と今後どうこの問題を解決していこうかという点を問うているわけです。

 今大臣がおっしゃったことは私も承知しております。しかし、円満な解決に向けてなんですよ。であるならば、今後どうしましょうかと、政府としてはどういうような協議をしていくか。

 では、一つお聞きしたいと思いますけれども、先ほど工事の中止の話が出ましたね。この工事の中止の項目について沖縄県とすり合わせをするような発言がございましたが、沖縄県と、この工事は普天間移設関連の工事であるからやめましょうとか、やめましたとか、そういうすり合わせはするんですか。

中谷国務大臣 これは、先週の四日に、政府として和解勧告を受け入れて、沖縄県との和解が成立したわけでございます。私の方からも、直ちに埋立工事の中止を指示いたしました。

 ただ、工事がいきなりとまったわけでございますので、それに付随する法的な根拠とか計画とかいうことにつきまして非常に多岐にわたっておりまして、この点につきまして、現在、防衛省内の部局によりまして、具体的なところにおいて検討をいたしているわけでございますが、和解の当事者の認識に異なることがないように、まず和解の内容をよく確認した上で適切に対応していくという考えでございます。

辻元委員 では、和解の内容をこれからよく確認するのに、なぜ昨日、是正の指示を出すんですか。矛盾しているんじゃないですか。

中谷国務大臣 これは、県と政府が合意に達した和解条項というものがございまして、政府と沖縄県が和解条項の内容を実現していく上で必要な手続でございます。

 これは、もう既に和解条項の中に是正指示を行うと書かれておりますので、こういった内容を実現していく上において必要な手続として実施されたということでございます。

辻元委員 今大臣おっしゃっておられることの中身、つらつらおっしゃったけれども、結局、何の工事を中止するか、これは沖縄と合意しなきゃいけないでしょう。埋立工事とおっしゃるときもあれば、関連工事というようにおっしゃることもある。

 例えば、工事の中止一つとっても、海で見える部分の工事だけじゃないわけですよ。キャンプ・シュワブ内の工事、ここに入札・契約状況調書というのを取り寄せましたけれども、この中に、普天間飛行場代替施設事業に係る仮設工事等を行うものであるということで入札している工事が多々あるわけです。

 例えば、先ほどボーリング調査の話はとめたとおっしゃいましたけれども、米軍兵舎の約六十棟の建てかえ工事とか、シュワブ基地内の生コンプラントとか、それから埋立土砂の採掘、これは全部関連事業なんですよ。今これは全部とまっているという理解でよろしいですか。

中谷国務大臣 キャンプ・シュワブ内におきましては、代替施設建設事業と直接関係のない建物を機能的かつ効果的に再配置するために、平成十九年以降、代替施設の飛行場区域とは異なる地域において、隊舎の整備等に係る工事も実施をし、また、そのための生コンプラントの設置も計画をいたしておりますが、議員御指摘の関連工事はこれらを指しているものと考えております。

 その上で、今回、和解に伴う防衛省の対応の具体的なところにつきましては、和解の当事者の認識に異なることがないように、和解の内容をよく確認した上で適切に対応していく考えでございます。

辻元委員 では、まだ確認していないんですね。

中谷国務大臣 現在、省内において、この和解の内容の、工事の中止というものにつきまして、整理、検討を行っているということでございます。

辻元委員 工事の中止が先でしょう。工事を中止した上でその次に移るんじゃないですか。大臣、そういう認識じゃないんですか。

 きのう、早速、辺野古の埋立承認を取り消した翁長知事に是正を指示しているわけですよ。その工事の中止は、これとこれとこれを工事中止しましょうということを確認して、沖縄県と合意した上で次に進みましょうというのが順序じゃないですか。違いますか。それはまだ曖昧なままなわけですね、政府は。

中谷国務大臣 先ほどお答えしたとおりでありまして、この是正の指示につきましては、もう既に和解勧告条項の中に書かれておる手続の一つでございます。これらの手続を通じて沖縄県と協議を行っていくということでございます。

辻元委員 政府側が工事を中止するという和解勧告に沿った行動をした上で物事を進めていくのが筋じゃないかと言っているわけですよ、順番でいえば。工事を中止しました、では、次はどうしましょうか、指示を出しますかどうかというのを政府がアクションをとるわけであって。

 そうすると、大臣にお聞きしますが、いろいろな入札がされていて、この入札・契約状況にキャンプ・シュワブ内の施設についてとちゃんと書いてあるわけですよ、普天間の移設に関する工事ですというのが。これはいっぱいありますよ。これを全部とめる、要するに、こういう入札のときにちゃんと書いてある普天間に係る一切の関連事業もとめる、この点、まず確認させてください。

中谷国務大臣 現在、工事を中止することを指示しておりますが、まず、ボーリング調査についても現場の作業はとめております。ボーリング調査も作業をとめております。

 こういった和解に伴う防衛省の対応の具体的なところにつきましては、和解の当事者であります沖縄県側と認識に異なることがないように確認して対応してまいりますが、その点において、防衛省の中でしっかり整理をして、間違いがないようにいたしたいということで、現在、金曜日にこれは決定されたわけでございまして、御指摘のように、膨大な作業、資料がございますので、それを見ながら検討しているというところでございます。

辻元委員 今明らかになったのは、直ちに工事を中止したと言うけれども、今確認をしているという段階である、きょうこの時点で直ちに全ての関連事業を中止したわけではないということでよろしいですね。

中谷国務大臣 ボーリング調査も含めて、現場での作業はとめている状況にございます。

辻元委員 そうしますと、もう一度聞きます。

 普天間飛行場代替施設関連事業に係るさまざまな工事がございます。これが、入札するときにきちんと、これは普天間ですよというふうに、関連事業ですよと出てきているわけです。これを全部今とめたから次に進んだという理解でいいのか。膨大な資料があるから、普天間の移設に係る工事はまだとまっていないものもあるかもしれないし、何をとめるかも今検討中である。どちらですか。

中谷国務大臣 キャンプ・シュワブ内におきましては、代替施設建設事業とは直接関係のない建物を再配置するということで工事を行っている関連事業もございます。

 したがいまして、今回の和解等につきまして、防衛省の対応の具体的なところ、これは当事者の沖縄県と認識が異なることがないように、今、確認した上で適切に対応していくという作業をしているということでございます。

辻元委員 ということは、一つ一つ適切に対応するために、どの工事をとめるか今確認中であって、これはシュワブ内の話ですよ。これだけじゃないんですよ。シュワブ内の関連事業とか土砂の切り出しとかいろいろあるわけです。それを一つ一つ今確認中であって、この関連事業がとまっているかとまっていないか、大臣は今御存じないということですね。

中谷国務大臣 キャンプ・シュワブ内には、代替建設事業と関係のない事業が動いてきております。その点におきましては、それぞれの隊舎の整備等に係る工事も実施して、生コンのプラントも計画しております。

 そういうことでございますが、今回の和解を受けまして、私が指示をいたしまして、ボーリング調査も含めまして、現場の作業はとめているということでございます。

辻元委員 そうしましたら、大臣、確認させてください。

 今、沖縄県と協議するとか防衛省内で精査しているというのは、普天間飛行場代替施設事業に係る工事全てである、今回とめるのは。それはそうですよね。目に見える海の工事、埋立工事だけじゃなくて、係る工事全部という認識でよろしいですか。

中谷国務大臣 和解内容につきましては全て誠実に実行する考えでございますが、具体的なところにつきましては、条項に示された手続、また沖縄県との協議を誠実に行っていくということを踏まえまして、和解の当事者である沖縄県側との認識に異なることがないように、和解の内容をよく確認した上で適切に対応していく考えでございます。

辻元委員 今申し上げているのは、どの工事をとめているかもまだわからないような状況で、実際に是正の指示を国土交通大臣がもう出したわけですよ。先に工事を全て、沖縄県とこれをとめましょうということで、静かな状況になって、確認をして合意をした上で国が前に進めていくための手続ですよ、是正の指示というのは。それを、きのう郵送したと聞きました。沖縄では報道されております。これは手順が違うんじゃないですかと申し上げているんです。大臣、正しい手順だと思いますか。

 沖縄の皆さんに理解を得たい、円満な解決をしたいというのが今回の和解の中身じゃないですか。まず沖縄と話し合って、この工事もとめました、そして、全て納得していただいた上で次の和解勧告に沿った行動をとっていくというのが普通の円満な解決に向けての協議の手順じゃないですか。いかがですか。

中谷国務大臣 普天間の代替施設建設事業につきましては、ボーリング調査も含めまして、現場での作業はとめている状況でございます。

辻元委員 キャンプ・シュワブ内の関連施設というものも全てとまっていますか。

中谷国務大臣 先ほどお答えしましたが、キャンプ・シュワブ内には、代替施設建設事業と関係のない、隊舎を機能的かつ効果的に再配置するための事業、これは行っているわけでございます。代替施設の飛行場区域と異なる区域において隊舎等の整備に係る工事も実施をいたしております。

 これではなくて、代替施設建設事業に係る工事におきましては中止をしているということでございます。

辻元委員 もう一回確認します。

 キャンプ・シュワブ内の代替施設に係る工事は全て中止しているという理解でいいですか。

中谷国務大臣 それに係る作業は全てとめております。

辻元委員 それは、埋立工事ではなく、関連工事全てですね。土砂の切り出し等も入っていますね。

中谷国務大臣 そのとおりでございます。関連する工事は全てとめております。

辻元委員 それでは、次に移ります。

 中谷大臣は、辺野古が唯一の選択肢だとおっしゃっていますね。そのとおりですか。

中谷国務大臣 私も、政治家として二十年、沖縄の普天間基地の移転、非常に政治家としても取り組んでいるわけでございますが、どう考えてみても、普天間飛行場を辺野古に移設するということが、相手方、アメリカもあります、また沖縄県もあります、地元もあります、こういうことを総合的に勘案いたしますと、唯一の手段であるという考えには変わりございません。

辻元委員 そうしますと、大臣の理解によると、今回の和解の勧告に従って手続を進めていった場合、最後は裁判になる可能性がありますね。

 そうしますと、裁判になった場合は、国が裁判に負けた場合は辺野古断念、そして、沖縄県が負けた場合は、その裁判に係る内容に限り辺野古の国の主張を認める、受け入れるという理解でいいですか。

中谷国務大臣 和解をしたわけでございますので、今回の内容を誠実に実行する考えでありまして、司法判断が下された場合におきましては、その判断に従い誠実に対応してまいりたいと考えております。

辻元委員 ということは、国が敗訴すれば辺野古は断念せざるを得ないという理解でいいですか。

中谷国務大臣 これから円満な解決に向けて沖縄県と協議を続けてまいりますけれども、その上で、司法の判断が下された場合には、その判断に従い誠実に対応してまいりたいと思います。

辻元委員 ですから、司法の判断で国が負けた場合、辺野古は断念するということでいいわけですね。

中谷国務大臣 現在、手続に従って協議を進めてまいっているわけでございます。その上で、司法判断が下された場合におきましては、その判断に従って誠実に対応していくということでございます。

辻元委員 ですから、その司法判断は、国が敗訴した場合、沖縄は辺野古は認められないと言っているわけだから、それを受け入れることも含めてこれから対応していくということですよね。

中谷国務大臣 和解の条項に書かれております。国も沖縄県も司法判断が下された場合にはその判断に従う、そしてお互いに協力して誠実に対応する、これが合意でございます。

 この和解内容に沿ったプロセスは始まったばかりでありまして、司法の判断を予断した御質問を先ほどから再三再四受けておりますけれども、そこにお答えをするということは不適切であると考えておりまして、国としてはこの和解内容を誠実に実行していく、そのことに尽きるわけでございます。

辻元委員 なぜかというと、円満な協議ということが書かれているわけですよ。そして、多くの人たちは、国に対しても、円満な協議に向けての姿勢、どういう対応でいくのかということ。要するに、裁判で敗訴しても、今は受け入れると言っているけれども、また強硬な態度に出てくるのではないか。その繰り返しなわけですよ、沖縄の人たちから見たら。ですから、そこのところを確認しているわけです。

 普天間の五年間の運用停止というのを、仲井真知事の時代に辺野古受け入れの四条件の一つとして出されましたね。今、こういう和解条項に沿った検討ということになりますが、岸田大臣、これは引き続きアメリカに求めていくということでよろしいわけですね、生きているわけですね。

岸田国務大臣 御指摘のように、普天間飛行場の五年以内の運用停止は、仲井真前知事からの四項目の要望のうちの一つでございます。

 これにつきましては、これまでも、首脳あるいは外相レベル、そして私自身も、米国国防長官と会談した際も、さまざまな機会に米国側に説明をし、協力を求めてまいりました。米国側からも負担軽減のコミットメントを得ております。

 引き続き、こうした要望につきましては説明をし、そして協力を求めていかなければならないと考えます。

辻元委員 それは、当初から言われている二〇一九年二月までという理解でいいですか、この五年間というのは。

中谷国務大臣 五年以内の運用停止につきましては、沖縄県から、平成二十六年二月十八日の推進会議の開催から五年をめどとするという考え方が示されておりまして、政府としては、このような沖縄県の考え方を踏まえて取り組む考えでございます。

辻元委員 この問題は、きょう沖縄選出の議員の皆様も引き続き質問されると思いますので、その皆さんの質疑を聞いて、私も続けて質問をこれからも委員会でしていきたいと思います。

 もう一つは三・一一の問題です。

 これは事務方でも結構なんですが、東日本大震災というのは、死者数でいえば一万八千四百七十九名亡くなっています。これは、津波災害では死者数が観測史上世界で二番目なんですね。そして、マグニチュード九・〇、これは四番目なんです。

 自衛隊の皆さんは、本当に頑張って多くの皆さんの御支援をし、そして救助をし、感謝されている。私も当時、総理補佐官で、自衛隊の皆さんと一緒に活動いたしました。敬意を払っております。

 そんな中で教訓というものがあると思うんですが、次の大きな震災に、東日本大震災級というのは先ほど申し上げましたように地震でいっても観測史上世界で四番目という大きな規模の災害ですが、この教訓と、それから、それに伴って自衛隊法や災害対策基本法などの改正が行われたのか、また、新たに何かこのような立法をするべきじゃないか、そういう点があるのかどうか、お聞かせください。

中谷国務大臣 震災発生五年になりますが、当時、辻元議員と私はNPO法案の打ち合わせ等をやっておりましたが、発災後から辻元議員は被災地に入って何カ月もボランティア活動等を中心に、また、政府の補佐官としてのお仕事をされたと記憶しております。

 防衛省は、この教訓につきまして、平成二十四年の十一月、東日本大震災への対応に関する教訓事項の取りまとめをいたしました。この教訓事項は、意思決定、運用、人事・教育、装備等、十分野二十三項目にわたって発表いたしておりまして、これらの教訓を踏まえまして、自衛隊の統合防災演習を初めとした防災訓練で得られた成果を反映させるための自衛隊地震対処計画の見直し、装備品の取得、そして日米協力のあり方、情報通信、人事、メンタルヘルスの実施の推進など、自衛隊の部隊を支える機能の強化などに取り組んで、逐次対応いたしているわけでございます。

 法的改正につきましては、現在、自衛隊の行動権限に関して新規立法は行っておらず、また、現在、新規立法に向けた検討を行っているわけではございません。

辻元委員 それは、新規立法をせずとも、今の災害対策基本法や自衛隊法の範囲で十分訓練をしたり備えをしていく、実際の日ごろの活動が大事であるという理解でよろしいですか。

中谷国務大臣 災害対策基本法につきましては、例えば平成二十四年の六月に、災害時により広域的な支援を有効にするための、都道府県、国による調整規定の充実、新設といった法改正が行われました。したがいまして、現在はこういった新規立法については検討を行っているわけではございません。現在の法律の中で対応をいたしたいと思います。

 なお、先ほど検討項目二十二項目と申し上げましたが、三十二項目でございました。訂正させていただきます。

辻元委員 ありがとうございます。

 なぜこういうことを申し上げるかといいますと、これも中谷大臣とずっと議論してきた憲法の問題にかかわるからなんです。

 今、憲法の緊急事態条項、大災害のときに対応が不十分になるから必要ではないかという議論が出てきているわけです。自民党の日本国憲法改正草案も、緊急事態条項を憲法に入れることの必要性の一番の根拠が大規模災害への対応なんですよ。

 そうすると、あれだけの大規模災害ですよ、観測史上二番目とか三番目と言われている、そのときの災害の教訓を生かして、実際に今の法律を改正せずとも運用で対応していけるというのが政府の姿勢なわけです。

 となると、自民党の中には、東日本大震災のとき緊急事態条項がなかったから対応が不十分だったとか、そのために憲法を改正しなきゃいけないというような声もあるわけですが、大臣、私は、今の法律のもとでしっかり訓練をしていくということで、緊急事態条項がないから大規模災害に備えられないとは大臣は夢にも思っていらっしゃらないと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 憲法草案等につきましては、自民党としてまとめられたことでございまして、私は今政府の一員でございますので、それに対してお答えすべき立場にもございません。

 そういうことで、政府といたしましては、憲法改正につきまして、国民の理解が不可欠でございますので、国民的な議論の中で、各政党間でしっかりと話し合いをしていただくということを希望するものでございます。

辻元委員 最後に、ここに、政府の危機管理組織のあり方についての最終報告、これは内閣官房でまとめられたものだと思いますが、平成二十七年三月三十日付のがございます。

 これはよくできているんです。防衛省でもこれに沿った対応の検討をされていると思いますが、自然災害、大規模な火事、事故等、原子力災害、新型インフルエンザ等、武力攻撃事態等の非常時に対して、警察庁、消防庁、国土交通省、海上保安庁、防衛省、原子力規制委員会など、安保関連法制で議論したいわゆる事態対処、武力攻撃事態対処についても含めての検討の成果がございます。

 私は、本当によくできていると思うんですよ。このとおりに各省庁が日ごろからの訓練をしっかりやり、連携体制をとっていくことこそが大事で、憲法を改正して緊急事態条項が大規模災害等のときに必要だということは、私は、スローガンやお題目としては結構ですけれども、実態とは乖離していると思います。

 大臣、憲法に緊急事態条項がなくとも、今までの自衛隊が活動してきたように、大規模災害に対して万全を期する体制を整えているという理解でよろしいですね。

小野寺委員長代理 中谷防衛大臣、時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

中谷国務大臣 政府といたしましては、緊急事態等につきましては、各省庁としっかりと連携協力をして対策を実施しているということでございます。

辻元委員 終わります。

小野寺委員長代理 これにて辻元君の質疑は終了いたしました。

 次に、中谷真一君。

中谷(真)委員 自民党の中谷真一でございます。きょうは質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、安全保障委員会では初質問でありまして、少々緊張しておりますけれども、一生懸命務めてまいりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、早速質問に移らせていただきます。

 まずは、辺野古移設をめぐる和解が普天間返還に与える影響についてお伺いをしたいというふうに思います。

 かつて、国防長官だったラムズフェルドが、ここは世界一危ない基地だというふうに言われた。その基地を移設して、そして沖縄の皆さんの安全を高めるということがそもそもの目的だったというふうに思っております。そういった意味で、我々は責任を持ってやっていかなければいけないというものである、この目的を忘れてはいけないというふうに思います。

 ただ、私は自衛官時代に海兵隊と沖縄で六度訓練を一緒にやりました。その際、普天間、シュワブ、ハンセン、また嘉手納、こういった基地に伺いました。これは非常に大きな沖縄県民の皆さんの負担があるなということも肌で感じた一人でございます。

 そういうことを熟慮の上で、今回、四日、総理は、移設をめぐる代執行訴訟で福岡高裁の那覇支部の和解案を受け入れることを決められたというふうに思います。

 ただ、問題なのは、先ほども申し上げました目的を我々は責任を持ってしっかりやっていかなきゃいけない。

 そういうときに、アメリカのハリス米太平洋軍司令官でありますけれども、二月二十三日に米上院軍事委員会で、普天間基地の辺野古移設は二年おくれる、そして二〇二五年になるんじゃないかという見通しを示したという記事もございます。

 こういった中で今回の決断をされた。この早期除去がそもそもの目的であるということを考えた場合に、今回の和解案が与える影響について政府はどう考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

中谷国務大臣 先日、四日に和解勧告を受け入れまして、沖縄県と和解をするということを決定いたしました。目的は、普天間飛行場の抱えている危険性、また、周辺の住民の皆さんの心配、これを取り除くということで移転を推進するということでございますが、もう既に二十年になってまいりました。

 御承知のとおり、国と沖縄県との双方が延々と訴訟合戦を繰り広げているという状況になりまして、結果として、膠着状況になりまして、住宅や学校に囲まれた市街地のど真ん中にある普天間飛行場がこれから何年も固定化をされるということが起こりかねません。

 そういう意味で、今回、和解内容を誠実に実行する考えでありまして、埋立工事を中止するとともに、裁判所の提示した手続にのっとって、円満な解決に向けて沖縄県との協議を進めてまいりたいということでございます。

中谷(真)委員 沖縄県民に寄り添いながら、ただ、これはしっかりと責任を持って実行していただきたいというふうに思います。

 次に、武器装備移転についてお伺いをしたいというふうに思います。

 これは新三原則というふうに言われておりますけれども、やはり世界の潮流に対して対応していかなければいけない。今、武器装備というのは非常に高度化しておりまして、また、値段が非常に上がってきております。そういう中で、アメリカでさえそうなんです、大きな軍事費を使っているアメリカでさえ、共同開発を行って、いわゆる自国の生産コストを下げていくということを行っております。これをしっかりできるようにということであったり、我が国としては、国内の生産基盤をしっかり維持していかなければいけない、また、これが他国との関係強化にもつながっていくんだろうというふうに私は思っております。

 今、政府は、GツーG、オーストラリアに対しては潜水艦、また、インドに対してはUS2、こういったもので交渉を行っております。ただ、GツーGだけじゃなくて、民間もやっていかなければいけないものだというふうに思っております。

 そこで、政府は、ユーロサトリ、これは国際装備展でありますけれども、こういったところに出ていって、そして民間の企業にも参加を促しているというふうに聞いております。

 ただ、国際装備展に参加した民間から聞こえてくるのは、例えば、持っていっても、スペックが出せないとか、どこまで出していいのかよくわからないので、全部出さないわけです。これだとなかなか説明ができないというふうに思います。さらに、たとえ引き合いがあったとしても、それを出せるかどうかを相談するところがないというんですよね。これではなかなかそういったものが進んでいかないんだろうというふうに私は思います。

 これを進めていく上では、防衛省、経済産業省、NSC、そして外務省、こういったところがしっかり横串を通してしっかりとしたスキームをつくって、どのようにしてそれを審査、判定していくのか、こういったことを整備しなければ、いたずらに民間企業を海外に連れていっても、彼らも自費でやっているわけでありますから、これは非常に経営を厳しくするだけになってしまうというふうに考えております。

 こういった整備を行っていかなければいけない、このことについて御見解を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 防衛装備移転三原則に基づきまして、政府としては、全体として厳格な審査を実施することが必要でございます。

 昨年十月に防衛省に防衛装備庁が発足をしまして、この重要性に鑑みまして、装備移転に係る防衛省の一元的な窓口となる国際装備課を装備政策部に設置をいたしております。企業からの装備移転に関する相談はこの装備政策部に一元化をして、関係省庁と連携して対応していくということになるわけでございます。

 海外の装備展示会等もたくさん開催をされておりますが、我が国として出展をして高い技術力を発信するということは、防衛装備、技術協力の推進に寄与するということと、諸外国の防衛装備に関する情報を直接収集する場として意義があるものでございまして、このような展示会への出展の意義等も踏まえまして、出展企業の御事情も勘案しつつ、関係省庁と連携してきめ細やかな対応をしてまいりたいと思っております。

 本年六月にフランスで開催が予定をされているユーロサトリ二〇一六及び本年十月に東京で開催が予定されております二〇一六年国際航空宇宙展に防衛装備庁が出展をするための予算を計上いたしておりますが、こういった防衛装備庁による施策の発信と連携して、我が国の中小企業が有する高い技術力を発信することも計画をしておりまして、この三原則のもとに、今後とも海外の装備品展示会に適切に対応してまいりたいと考えております。

中谷(真)委員 展示会に参加するだけではなくて、実際に実を得ていただけるように、ぜひ施策を進めていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 FMSが非常に増加をしておりまして、これが国内産業に与える影響についてお伺いをしたいというふうに思います。

 FMSというのは非常に大きな伸びを示していまして、これは、平成二十二年が五百五十一億円、ここからぎゅうっと伸びていきまして、二十三年も五百億円台、そして二十四年、二十五年、二十六年については一千億台になりました。そして、二十七年に至っては四千億にいきなりはね上がっております。そして、二十八年は四千八百五十八億になるのではないかというふうに言われております。これは、いわゆる限られたパイの中でやりますから、非常に圧迫をするということはもう自明の理であります。

 そういう中で、さらに、二国、三国と言われている新規後年度負担というものがございまして、これは繰り越しをして支払いをしていくというものであります。これが二十九年度、三十年度の予算を大きく圧迫するのではないかというふうに言われています。これは二十九年度問題というふうにも言われていると聞いております。これが非常に国内生産基盤を圧迫する。今、二十九年度の歳出化予算もだんだん固まってきているという中で、非常に心配をされているわけであります。

 FMSの増加によって重要な防衛産業が非常に圧迫をされていて、ここは非常に厳しい局面を迎えております。大きな企業においては、これは一部でやっていますから、撤退しようとか、あとは、小さなところは、これはもう倒産の危機であるという声を大変いただいているところでありまして、これに対しての対策をまずお伺いしたい。

 イギリスなんかでは、防衛生産戦略というものがありまして、これは二〇〇五年に策定をしております。これによって、二〇〇八年からは、イギリスにおいては、例えば、非常に重要な一般弾薬とかの生産基盤保持のためにBAEという会社と二十五年のパートナーリンクを結ぶ。これは八〇%の弾薬を生産しております。残りの二〇%をいわゆる競争入札にするというふうな施策をとっております。

 こういったことを行いながら、世界でも、ただ市場に任せていくだけではなくて、重要なものについては国が責任を持つということを行っております。これはマーケットがかなり限られているということも考えますと、私は国の責任は大きいというふうに思います。このことも踏まえまして、ぜひ御見解を伺いたいと思います。

中谷国務大臣 先ほど民主党の原口委員からも同様の指摘がございました。

 御指摘いただいたように、FMSの調達が非常に増加しておりまして、国内産業からの調達が減少傾向にあります。

 ただし、FMSの内容がF35とかオスプレイ、またグローバルホーク、イージスシステムといった先端技術に基づくものでございまして、防衛省といたしましては、国の防衛上必要なものでございますが、一方で、国内の生産基盤、技術基盤は我が国の防衛を支える重要な、不可欠な基盤であります。

 このような認識のもとに、長期契約法に基づいて、装備品の一括調達など、企業の予見可能性の向上に取り組むなど、防衛生産の技術維持に資する施策を進めているところでございます。

 それぞれの皆様の御指摘も踏まえまして、防衛省としては、今後とも、FMSの調達の増加が国内基盤に与える影響について分析、調査をするとともに、二十六年六月に策定した防衛生産・技術基盤戦略において示した防衛装備品の分野ごとの今後とるべき施策の方向性を踏まえて、積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 この点については、日米間でも協議、話し合いはいたしておりまして、例えばオフセット方式というのがございます。これは、輸入する一方で我が国から輸出をする、バーターで契約をするというようなことがありまして、これは各国で行われていることでございますが、このFMS調達の方式等につきましては、今後とも検討の上、対応を図ってまいりたいと考えております。

中谷(真)委員 これは非常に重要な問題でございまして、先ほど、イギリスは戦略を練ってこれをやったというふうに申し上げたんですけれども、実は、イギリスは戦車を落としちゃって、戦車の技術を全部失った、それで今大騒ぎしているそうです。

 こういう意味では、ただ漠然とやっていくと、倒産しちゃうと本当に全部その技術はなくなっちゃいますので、これはしっかりやっていかなきゃいけない。また、それをやる上でも、先ほどの質問に戻りますけれども、武器装備移転といったことも絡めて積極的にやっていかなければ、今非常に悲鳴が聞こえてきていますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 次は、国産水陸両用車についてでございます。

 今、FMSが非常に圧迫をしているというお話をさせていただきました。このFMSの中にAAV7というのがございます。これはアメリカの水陸両用車であります。これは今五十二両の調達を計画しているというふうに聞いています。これは一台七億円するんですね、結構高価ですね。戦車は一台十億円程度ですから、非常に高いものであります。ところが、これをアメリカで買うと一億から二億だということも今聞いております、これはどうしてなのかというふうに思うんですけれども。

 さらに問題なのが、これはつくったのが一九七七年なんですよね、非常に古い装備だ。ちょっとカスタマイズしているとはいえども、そもそもの技術は一九七七年のものを使っているというものであります。

 実際に水の中に入ったときの時速は十三キロでありまして、どんぶらこどんぶらこという感じですよね。本当にこれで現代戦に対応できるのかというような疑問もあります。でも、これは防衛省が決めた、いわゆる島嶼において非常に重要だということで導入をされるというふうに理解をしているところであります。

 ただ、これに合わせて、国産のものも今開発が進んでいるというふうに聞いています。速度はそれに比べると非常に速いというふうに聞いています。また、サンゴ礁を乗り越えるとか、これは日本の地形に合ったものである、そういうさまざまな、いわゆる日本の特性に合わせたものが入っているというふうに聞いています。

 私は、こういったものは、今、日本に技術がないものですから、導入時はアメリカのそういう知見であったり技術だったり、こういったものを受け入れていくべきだろうというふうに思いますが、今後は切りかえていかなければいけないのではないか。それは、FMSに対してどうするかという観点もございますけれども、やはり国内で生産して国内で技術を持っていくという意味でも重要だというふうに私は考えております。

 そこで、早期に切りかえていこうとした場合は、私は、二十八年度予算から頭を入れていかなければいけないんではないかなというふうに思っております。このことについての御見解をいただきたいと思います。

真部政府参考人 防衛省といたしましては、現下の安全保障環境を踏まえますと、島嶼部に対する攻撃への対応に万全を期すために水陸両用戦能力の着実な整備が喫緊の課題と思っておりまして、今委員御指摘のとおり、AAV7の五十二両の整備というものを進めておるところでございます。

 他方におきまして、我が国の防衛生産、技術基盤の維持強化といった観点から、国内産業の維持あるいは技術力の確保も非常に重要と考えておりまして、水陸両用車両の国産技術につきまして一部の要素技術に強みを有しております現状にあるというふうに認識しておりまして、今後は、中長期的な国内の技術力の向上も視野に入れつつ、国産技術の優位性を活用する最適な水陸両用車の取得方法について検討いたしてまいりたいと考えておるところでございます。

中谷(真)委員 頭を入れてから開発が完了するまである一定の期間がありますから、ぜひ早急に検討していただきたいというふうに思います。

 最後に、日韓GSOMIAについてお伺いをしたいというふうに思います。

 北朝鮮のミサイル開発がかなり進展してきております。そういった意味で、私はこれは必要ではないかなというふうに思っております。

 かつて、二〇一二年六月二十九日に、ドタキャンという言い方はよくないかもしれませんが、韓国が直前で席を立ったというものであります。ただ、日米、また米韓では結ばれているということもございます。これは、今後、日韓も結んで三国でしっかり情報共有する。特に、北朝鮮に近いところが情報提供していただければ、日本の防衛力は非常に上がっていくわけであります。

 NSC、特定秘密保護法も整備をいたしました。また、慰安婦も和解したというところでございます。そういった意味では、私はこれを進めるべきだというふうに思います。これについて御見解を伺いたいと思います。

木原副大臣 委員御指摘のとおり、北朝鮮による核、ミサイルへの対応のためにも、日韓が情報面で協力していくことは極めて重要であります。そして、御指摘いただいたように、昨年末の日韓外相会談で、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認した。このことによって、日韓関係が新しい未来志向の時代に入ったこと、また日韓の安保協力も推進する素地ができたということでありますので、政府としては、御指摘のGSOMIA、秘密情報保護協定の早期締結を含めて、日韓安保協力をより一層進め、そしてまた日米韓の協力も進めてまいりたい、こう考えております。

中谷(真)委員 終わります。ありがとうございました。

小野寺委員長代理 これにて中谷君の質疑は終了いたしました。

 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に行かせていただきたいと思いますが、まず冒頭、質問させていただきますのは、中国との間の海空連絡メカニズムの話です。

 まさしくこれは、御案内のように、いざ日中の現場で何か起こったときにはすぐに連絡がとり合えるホットラインということで、不測の事態を回避していく、意図しないような偶発的な衝突を避けるというような意味があるわけですが、これは当然、非常に重要なわけで、日中の間では二〇〇七年の首脳会談で一致をして、その後、何度かこの交渉が進められて、ある程度、骨子まで固まってきたわけです。

 これが、残念ながら日中関係がこじれまして、骨子が定まった段階で、この後ずっと、長らく中断をしてきたというような状況でございました。それがようやく、二〇一五年の一月から、二年半ぶりに第四回協議というものが再開されました。私、これを非常に今心配しております。

 それはどういうことかと申し上げると、協議が今この時点できちんと順調に進んでいるのかどうかということでございます。第四回協議、何を合意したかというと、協議を加速するということで合意をいたしました。第五回が開催されたのは、その半年後です。二〇一五年の六月、ここで合意されたのも同じなんです。協議を加速するということが合意された。それから今、半年以上たっています。九カ月たっています。ところが、いまだ次の第六回の会議日程すら決まっていないというような状況です。着実にこれが水面下で動いているのであればいいんですが、どうも、そういう感じも見受けられない。

 我が党公明党も、山口代表が習近平国家主席と会談した折にも、あるいはそれ以外、さまざまな累次の会談でも、この重要性というものを何度も主張してまいりました。我々の公約でも、この海空連絡メカニズムを推進するということで約束させていただいております。

 今、日中関係は好転の兆しが見られているわけでございますので、今こそこうした協議をしっかりと前に進めていかなきゃいけないというふうに思っています。この進捗がどうかとか、あるいは進まない理由とか、こういうものはこの場でなかなか言えないというふうに思いますが、恐らく、交渉の現場ですから、いろいろなことがあると思います。いろいろな理由もあると思います。報道でもいろいろ出ているところもありますが、しかし、日中双方の努力で、ここは何としても、この海空連絡メカニズムを着実に前に進めていただきたい。

 改めて、しっかりと前に進めていくという決意を大臣からお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 日中の海空連絡メカニズム、これは我が国の安全保障を考えても非常に重要なことでございまして、私も、昨年の十一月四日になりますけれども、ADMMプラスの場におきまして、日中の防衛大臣会議をいたしました。この会議におきまして、日中の両大臣で、この海空連絡メカニズムの早期運用開始を初め、日中関係強化のために日中防衛交流を発展させていくことの重要性を確認いたしております。

 それぞれ、日中間の担当レベルにおいても、三項目で議題がありまして、まず、定期会合の開催、ホットラインの設置、そして艦艇、航空機間での直接通信で構成をするということで、これは日中で一致をしておりまして、現在、その具体的な内容につきまして中国側と調整を続けているところでございます。

伊佐委員 その上で、もう一点確認したいことがございます。

 それは、例えば米中ホットラインというのがあります。アメリカと中国との間、これは政府間では一九九八年に開通しております。ところが、これは、いざというときにうまく機能していないというふうに言われています。

 例えば、一九九九年、ユーゴスラビアにある中国大使館を誤爆した際、このときにもつながらなかった。あるいは、二〇〇一年、米軍機が中国の戦闘機と接触して海南島に不時着したというような事案がございましたが、このときにも機能しなかった。軍同士のホットラインというのは、二〇〇八年、米中の間で開通していますが、そのとき、例えば、翌年の二〇〇九年には、南シナ海で米海軍の音響測定艦が進路妨害されたんですが、このときも機能しなかったというふうに言われております。

 何か事が起こるたびにホットラインが遮断されてしまっている。関係が悪化するたびに遮断してしまうのであれば、本来のホットラインの目的に反するというふうに思っております。だから、日中のホットライン、今まさしく協議していただいているわけですが、危機が発生したときにシャットダウンされないように、何らかの工夫というのが必要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 日中防衛当局間の海空連絡メカニズム、これは先ほど大臣からも御説明がありましたが、ホットライン、あるいは艦艇、航空機間の直接通信といった仕組みを設けることによって、先生も今御指摘になったように、不測の事態を回避、防止するということを目的としたものでございます。したがって、それがきちんと運営されることは非常に大事なことだというふうに認識をしております。

 今まだ協議をしている段階であるわけでありますが、このメカニズムが構築をされた場合においては専門家会合等を設けるということが一つ議題になっているわけでありますけれども、こういう場等において、連絡の実施状況等を不断に確認する、そして必要な改善を行う、こういった取り組みを日中双方が継続的に取り組んでいくことというのが非常に大事になると思います。

 もう一つ、同時に、さまざまなレベルで、日中間で対話あるいは交流の促進を通じまして相互の信頼関係を高めるように努力をするということも、ベースとして非常に大事だと思っています。

 さらに、現在は、CUESと申しますけれども、洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準というのが、これはボランタリーに定められた枠組みがあるんですけれども、こういった多国間の仕組みを地域に根づかせていく、こういった取り組みも有益であると考えてございます。

 政府といたしましては、こうした点も踏まえながら、まずは本メカニズム、日中の間で早期運用開始に向けて鋭意調整をしていく考えでございます。

伊佐委員 さまざまおっしゃっていただきました。確かに、信頼関係を日ごろから構築しておくということは当然非常に重要なわけでございますし、いずれにしても、いざというときにしっかりと機能するというものを目指していただきたいと思います。

 海空連絡メカニズムというのは、日中双方だけの話じゃなくて、まさしくこの地域の平和と安定をどうやって維持していくかという観点から見ても本当に大事なものだというふうに思っておりますので、これについては、日中双方の努力でしっかりと前に進めていただきたいというふうに思っております。

 次に、北朝鮮の問題を質問させていただきますが、三月三日、安保理決議二二七〇号というものが全会一致で採択をされました。この内容というのは、これまで以上にさまざまな強い内容が入っている、北朝鮮に対する強い非難であったりとか、あるいは制裁措置というものも強力なものが並んでいるというふうに思っております。

 一歩大きな前進になったわけですが、これまで、我が国は我が国で独自の制裁措置というものを科してまいりました。三月三日に採択される前、二月の十日の時点でも、我が国は対北朝鮮措置として独自の強化措置というものを発表してございます。

 国際社会全体が、こうしてこの安保理決議によってかなり強まった内容になったわけですが、では、それと比べて我が国の制裁措置というのは一体どの程度なのか、我が国もしっかりやっているというふうに言えるのかどうか、お答え願います。

垂政府参考人 お答えいたします。

 今般採択されました安保理決議第二二七〇号は、北朝鮮による一月の核実験及び二月の弾道ミサイル発射を安保理決議違反と認定し、強く非難するとともに、貿易、金融、人の往来、航空・海上輸送等に関する措置の大幅な追加、強化を定めており、包括的かつ強い内容のものであります。この安保理決議の履行に当たりましては、その実効性を確保するため、関係国と協力し適切に対応していく所存でございます。

 また、安保理決議と単純比較することはできませんが、我が国としては、同安保理決議の採択に先立ち、二月十日、政府として、我が国独自の厳しい措置を科すことを決定しております。

 これまでも、安保理決議に基づく制裁に加え、北朝鮮との輸出入全面禁止等、既に厳しい対北朝鮮措置を実施してきていたところではありますが、新たに、一、在日外国人の核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先とした再入国禁止を含む、従来より対象者を拡大した人的往来の規制措置、二、北朝鮮向けの送金の原則禁止、三、人道目的の船舶を含む全ての北朝鮮籍船舶の入港及び北朝鮮に寄港した第三国籍船舶の入港の禁止、四、資産凍結の対象となる関連団体、個人の拡大といった措置を決定し、順次実施に移してきているところでございます。

伊佐委員 確かに、単純には比較できないとはいうものの、一個一個項目を見させていただくと、さっき少しだけ紹介いただきましたが、例えば物の流れ、この今回の安保理決議では鉱物資源の輸出を禁止ということですが、日本はそもそも輸出入全て禁止というような状況にしておりますし、いろいろな点においても日本はしっかりやっていると言えるものだと私も確信をしております。

 こうした北朝鮮の動きに絡んで、少し気になるのは韓国の動き、韓国の国民の皆様の切迫した心境のあらわれといいますか、こういう報道が最近なされております。

 具体的に言いますと、例えば核武装論というものも出ております。大手のメディアとか、あるいは与党の議員までこういう発言をしている。

 韓国の聯合ニュースあるいはKBS、こういうものが実施した世論調査では、韓国独自の核兵器開発をするんだとか、あるいは在韓米軍に対する戦術核再配備、これまで在韓米軍は持っていたわけですが、それを再び配備するというような、その賛成意見が半分を超えた。五二・五%、こういう数字が出ているわけです。

 こういう状況を見て、我々は何を考えなきゃいけないかというと、韓国もそうですが我が国もそうです、国民の皆さんに安心していただけるような防衛体制をいかに構築するか、ミサイル防衛の体制をいかに構築していくか、これをしっかり我々が前に進めていくことが重要だというふうに思っております。

 我が国の弾道ミサイル防衛は、イージス艦から発射されるSM3で大気圏外に飛んでいるミサイルを迎撃するというようなもの、あるいは落ちてくるものについてはPAC3で対応する、多層防衛というものを行っているわけですが、今の北朝鮮のミサイルもどんどんどんどんと進歩している中で、SM3自体も日本も研究開発を今進めてさらにバージョンアップを図ろうとしている。

 ノドンミサイルには今のSM3で対応できるけれども、北朝鮮が射程の長いムスダンを使って日本を狙った場合には、もしかすると、高度的に少し制限があるかもしれないというふうに言われております。

 そういう意味では、このSM3のブロック2Aというものを研究開発するんだということで長らく進めてきたわけですが、これは平成十八年に開発に着手して、今、十年が経過をしております。

 一体これは今どういう状況になっているのか。今の日本の置かれた状況というのを考えると、開発をしっかりと加速化させて、一刻も早く配備に移行すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今先生が御指摘になりましたSM3の能力向上型のミサイル、SM3ブロック2Aでございますが、これは日米の共同開発をいたしてございます。大量破壊兵器あるいは弾道ミサイルが拡散する中で、国民の生命財産を守るために、BMDシステムの着実な能力向上を図っていく必要があるという認識に立って、御指摘ありましたように、平成十八年度から実施をいたしてございます。

 このSM3ブロック2Aでありますが、防護範囲を拡大する、あるいは高性能化、多様化する将来の弾道ミサイルに対応できるようにする、こういうことを目的といたしましてやっているわけですが、平成二十九年ごろの開発完了を目標といたしてございます。

 今年度実施をいたしました二回の地上発射試験におきましては、迎撃ミサイルの一連の動作が正常に行われたことを確認するなど、この共同開発はこれまで順調に進捗をしてきていると認識をしておりまして、現在、最終段階に入りつつあります。

 我が国における配備段階への移行につきましては、これは来年度に予定されております海上での発射試験、この結果等を踏まえて決定していきたいと考えてございますが、いずれにしましても、防衛省としては、この共同開発も含めまして、引き続き、弾道ミサイルの脅威から国民の生命財産を守るべく万全を期してまいりたい、このように考えているところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 中期防に書かれていますのは、このブロック2Aは生産、配備段階への移行について検討ということしか書かれておりませんでした。その中で、来年度の海上発射をもってしっかりと判断していくという回答をいただきました。ありがとうございます。

 時間もなくなってまいりましたので、最後、外務大臣にお伺いしたいと思います。

 クリミア情勢についての質問です。

 先日、ウクライナのハルチェンコ大使とお会いいたしました。我が党の部会に来ていただきました。その中で、クリミアが併合されて、今、ちょうど二年になります。現状、一体どういう状況なのかということを、さまざまお話を伺いました。

 クリミアに対する我が国の立場というのはこれまでも一貫しておりまして、力を背景とした現状変更の試みを決して看過できない、あるいはウクライナの統一性、主権及び領土の一体性を尊重するということでございます。

 二年たちまして、国際社会の中では、例えば、シリアの問題、難民の問題があったりとか、今回こうした北朝鮮の問題があったりとか、どうしても、ウクライナが今どうなっているのかというところに関心がどれぐらい向いているのかというところもございます。

 今、ウクライナの東部で何が起こっているかというと、二年たった今でも依然衝突が続いておりまして、大使がおっしゃっていたのは、砲撃が今でも続いている、死傷者が後を絶たないというような状況です。

 ウクライナというのは非常に我が国にとっても重要な国で、彼らの経済的な潜在力というものも、欧州でも面積が二番目でもありますし、穀倉地帯でもあって、もともと、欧州のパンかごと言われるぐらい豊かなところでもあります。あるいは、チェルノブイリの事故も彼らは三十年前に経験をしておりまして、我が国とも、放射線についてのさまざまな協力というのも今進んでおります。

 こうした国に対して、日本ではなかなか報道されていないんですが、海外のメディアを見ますと、例えば、東部二州から逃れた国内の避難民というのが百五十万人というふうに言われています。気温は今、零度を下回る中で、食べ物も十分じゃなくて、ワクチンもない、ポリオワクチンが不足している。ひどい状況に追い込まれてしまっています。

 ウクライナ大使がおっしゃっていたのは、日本からの支援というのは非常に感謝をしている、同時に、こうした支援をしっかりと継続してほしいという思いを訴えていらっしゃいました。

 本年四月にポロシェンコ大統領が訪日して安倍総理と会談する、こういう報道もあるわけですし、何よりも五月には、G7の議長国としてサミットが我が国で開催されるわけで、確かに、ウクライナあるいはロシアの関係というのはいろいろな複雑な要素もあると思いますが、ウクライナについてどういう議論を進めていくかというのは、日本のリーダーシップが問われる大事なイシューだというように思っております。

 日本政府として、ウクライナの平和と安定のために今後も積極的な関与また支援を行っていくという旨、御決意をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 ウクライナ情勢につきましては、国際社会の秩序、安定にもかかわる大変重要な問題であると認識をしております。

 そして、委員御指摘のように、ウクライナ東部におきまして散発的な戦闘が続いているということ、こうした状況につきましては、我が国として憂慮しており、そして、改めて、全ての当事者によるミンスク合意の完全な履行が不可欠であると考えています。

 そして、ウクライナ自身も、ミンスク合意に基づいて、広範な国内改革を実施する必要があります。我が国としても、財政支援あるいは専門家派遣等、さまざまな形でウクライナ政府の取り組みを支援してきております。我が国は、ウクライナが改革の歩みを続ける限り、今後も支援を継続する所存です。

 そして、ウクライナ情勢の平和的解決に向けて積極的な役割を果たしていきたいと考えます。

伊佐委員 私、ウクライナ大使と話しておりまして感じたことは、大使は日本の置かれた立場というのを非常によく理解していただいていると思いました。

 そんな中で、今、二年たっても大変な状況にあるわけで、私が感じたのは、この状況を忘れないでほしい、ぜひ関心と支援を継続してほしいというような訴えというのも私は感じさせていただきました。

 先ほど、大臣から支援を継続するという言葉をいただきました。ありがとうございます。

 以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

小野寺委員長代理 これにて伊佐君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十四分開議

小野寺委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。青柳陽一郎君。

青柳委員 維新の党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、三十分の時間をいただきました。ありがとうございます。

 早速ですけれども、質問に移ってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 まず、在日米軍駐留経費負担、新たな特別協定の件について伺いたいと思います。

 この特別協定は、二〇一六年から五年間、各年度平均すると年間千八百九十三億円の支出を行っていくというものでございます。

 これは、日米同盟、日米関係、そして日米安保条約からすれば理解はできるところでございますが、国民の目線から見ると、どういう理屈とどのような交渉でこの経費を支払っていくということになるのか、また、同様に他国と米国との間においてこのような経費を負担しているような関係があるのかということについて、改めて大臣から御説明をお願いしたいと思います。

 そしてもう一つ、加えて言えば、安保法制がこれからすぐ施行されていくわけです。そうすれば、我が国の人的な貢献、人的な負担というのが確実にふえていくわけでございます。そういう中で、この米軍駐留経費負担というのが、新たな特別協定といいながら、これまでの、過去の五年間とほぼ同額の支出を今回見込んでいるわけでございまして、国民の負担、これは税金ですから、国民の納得感を得ていくというのは、私は、これは日米関係にとってもとても重要なことだと思います。

 こうしたことを踏まえて、大臣に、この新たな特別協定の意味と、そして、どういう交渉をやってこられてこの金額になっているのかについて、あるいは、外国との関係でもこういうことがあるのかどうかということについて御説明をいただきたいと思います。

岸田国務大臣 在日米軍駐留経費負担の問題ですが、そもそも、交渉をするに当たりまして、我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増している中にあって、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支える在日米軍駐留経費負担、HNS、これは引き続き重要であるという認識のもとに、一方で、委員御指摘のように、日本の厳しい財政状況を考えますと、国民の理解を得られるものでなければならない、この点を念頭に、主張すべきことは主張し、米軍側と協議をしたということであります。

 そして、金額におきましては、ただいま委員から御指摘がありました新たな特別協定のもとでの規模、最終年度、平成三十二年度で約一千八百九十九億円となっています。これは、現行の特別協定の最終年度である平成二十七年度とおおむね同じ水準ということであります。

 ただ、金額は同じでありますが、内容におきましては、より効果的な、効率的な内容を吟味しなければならないということで、最新鋭の装備を配備するに当たって米軍の能力発揮に直結する装備品の維持整備等に従事するMLC労働者の日本側負担上限数を増加する一方、福利厚生施設で働くIHA労働者を削減するですとか、それから、駐留軍等労働者に対する格差給等に係る経費措置も段階的に廃止する、あるいは、光熱水料等の日本側負担割合も七二%から六一%に引き下げるなど、内容におきましてめり張りある経費負担ということを実現したと考えております。

 このように、量ももちろん重要ですが、質におきましても、しっかりとした、国民の理解を得られるような協議を行ったと考えております。

 そして、その際に、他国の状況についてどうかというお話がありました。同じように米軍駐留経費を負担している国は存在するわけでありますが、ただ、これはその国によって置かれている安全保障環境がさまざまでありますし、また、負担している経費の範囲もさまざまでありますし、何よりも、受け入れ国の安全保障に対する負担自体もさまざまでありますので、もちろん、さまざまな例を念頭に、参考にしながら議論は行いましたが、直接比較するのはなかなか難しいのではないか。念頭に置きながら、我が国として最善の内容を追求したというのが今回の交渉のありようでありました。

青柳委員 ありがとうございます。

 今の御答弁で、主張すべきことは主張したということで確認できましたが、引き続き、国民への説明責任を果たしていっていただきたいと思います。

 次に、沖縄の基地問題、本日も議論がいろいろありました。今後もあると思いますけれども、私からも一点伺っておきたいと思います。

 私は、今回の和解、政府が本当に沖縄県と本気で話し合っていくんだ、そして何らかの合意を見出していくんだ、出口を見つけていく、こういうことに最大の努力をしてくれるということであれば、これまでの強硬一辺倒路線に比べれば一定の評価はできると思いますが、残念ながら、現状、一般に和解という言葉からはほど遠い状況ではないかなと思っています。

 本日の議論でもいろいろありましたけれども、私は、時間の関係もありますので、一点だけ、今後のスケジュール感について伺いたいと思います。

 きょうも議論がありましたけれども、米国のハリス太平洋軍司令官が米国議会公聴会で、普天間飛行場移設完了は二〇二五年になるという旨の発言をされているということでございますが、政府は今後、いつまでにどういう交渉をして何を行っていくのか、それがまとまらなかった場合はどうするのかについて、大臣から御説明いただきたいと思います。

中谷国務大臣 防衛省といたしましては、今回の和解内容を誠実に実行する考えでありまして、埋立工事を中止するとともに、裁判所の示した手続にのっとりまして、円満な解決に向けて沖縄県との協議を進めてまいります。その上で、司法判断が下された場合におきましては、その判断に従って誠実に対応してまいりたいと考えておりまして、普天間飛行場の危険性の除去、これは沖縄県と全く同じ思いでございますので、国も県もお互いに協力、努力をしていきたいと思っております。

 現実的な流れにつきましては和解条項に沿って行っていくわけでございまして、現在、代執行の取り下げ、工事を中止し、そして沖縄も別の二訴訟の取り下げに同意をいたしまして、今、国が沖縄県知事に対して辺野古の埋立承認取り消しの是正指示をいたしました。一週間以内に、これは不服の場合に国地方係争処理委員会に審査の申し出をいたしまして、審査をいたしまして、それぞれ司法の判断に従うということで、これからこの和解提案に従って実施されていくということでございます。

青柳委員 今の御答弁で、必ずしも出口戦略というものが余りよくわからないのは残念であります。

 この沖縄の問題は、たとえどの政権がやっても非常に難しい問題だと思っています。ただ、今回の対応が単なる時間稼ぎであったり参議院選挙前だからやったということでないことを祈っておりますし、建設的な協議になっていくことを私も期待したいと思っております。

 次に、本日はせっかくの機会なので、私も神奈川県内の議員なんですが、神奈川県内の基地問題について伺いたいと思います。

 まず、神奈川県にある池子住宅地区の米海軍との一部土地の共同使用問題について伺いたいと思います。

 この池子住宅地区の問題、政府と米海軍そして逗子市との合意が交わされているわけですけれども、この合意について、この土地の利用について、特に維持管理や国の補助についての概要を、これは政府委員の方から御説明していただきたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘いただきました池子住宅地区及び海軍補助施設の一部、四十ヘクタールの土地等についてでございます。

 これは、平成二十三年十月に逗子市から、公園として米海軍と共同使用したいといった旨の申請がなされたところでございます。

 これを受けまして、平成二十六年六月二十六日の日米合同委員会におきまして、共同使用区域における維持管理、それから米側の運用等に係る基本的な条件について合意されております。同年十一月、現地の実施協定書が締結されまして、南関東防衛局から市に対しまして、提供国有財産の一時使用許可がなされているところでございます。

 自然公園に係る国有財産につきましては、公園としての使用ということで、逗子市に対して無償で貸し付けをしております。また、防衛省としては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第八条に基づきます民生安定施設の助成といたしまして、この施行令に基づきまして公園の一部施設の設計、工事等、これを三分の二補助しているところでございます。

 維持経費についてでございますけれども、一般に、補助事業の維持経費につきましては補助事業者が支払うこととされております。今般の公園につきましても、南関東防衛局からの使用許可に当たりまして、使用財産の維持保存、現状変更、また使用のため支出する経費、これは使用者である逗子市が負担することとされておりまして、この内容につきましては市も了承いただいているところというふうに承知をしております。

青柳委員 ありがとうございます。

 今の御答弁で、無償で逗子市は借り受けている、施設を整備する場合には、三分の二を国が補助してくれる、しかし、維持経費は自治体が自分たちで賄いなさいということでございます。

 この維持管理費は、二十八年度予算計上だと五千八百万円強、逗子市は計上しているんですけれども、地元の声を聞くと、とてもその金額ではおさまらないだろう、これは上振れしていくんじゃないかということです。そしてさらに、運動場、野球場、駐車場など、老朽化している施設がかなりあるということで、これを全部、三分の一負担していくのは逗子市にとっては非常にしんどいことだろうと心配する声が地元で上がっております。

 本来、こうしたことは全額国が負担する、あるいは国自身が維持管理していくべきだという声があるんですが、これについてはどうお考えになりますでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 制度的な背景は先ほど申し上げたとおりでございまして、国有財産の無償使用ということにつきましては、やはり一定の法令に基づく条件というものがございますし、それから補助につきましては、基本的には、維持管理につきましては補助事業者の方で見るというのが基本的な原則であろうかというふうに考えております。

 共同使用中の公園について、維持管理費を捻出するためにいろいろお考えになっているというふうに聞いておりますけれども、これにつきましては、この法令上の……(青柳委員「それは次の質問ですね」と呼ぶ)わかりました。恐縮でございました。

青柳委員 ありがとうございます。

 自治体でしっかり維持管理しなさいというのがお答えですね。しかし、維持管理しろと言う割には自由度が全くないんじゃないかという声もあります。

 例えば今、池子住宅の共同使用の場所には野球場やテニスコート等があるんですけれども、実際にそこには自動販売機が二台しかないという状況です。こういう自然を利用してキャンプ場をつくってほしいとかキャンプ場をつくりたい、そして売店やカフェをつくってほしい、あるいはつくったらいいんじゃないか、その収益を一部、収益が上がるわけですから、収益が上がったのを維持管理料に充てていけば一石二鳥じゃないですかという声も結構あるわけですね。そしてまた、病院を建設してほしいという要望もあるようでございます。

 今の御答弁ですと、こうしたことは認められないということなんですが、維持管理料を払うのであれば、せめてそういう営利事業をやらせていただいて、その収益を維持管理料に充てていくということは検討すべきことだと私は思いますが、いかがでしょうか。

 こういうことをやったらいいんじゃないかなという地元の声がありますけれども、これは事務的に答弁していただくよりは、大臣にむしろお考えを、私は検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

中谷国務大臣 共同使用中の公園につきまして、使用者であります逗子市の方から共同施設の充実について要望がある場合におきましては、当該施設が都市公園法上の都市の公園施設に該当するか、また、当該施設の使用が防衛省と市の間の使用許可書において規定をされている使用面積、また使用期間等の使用条件に抵触しないかといった点を考慮の上、使用可否を判断することになります。

 また、当該の公園は市に対して無償で使用させていることから、使用施設を拡充する場合には、市が年間を通じて公園の管理費用を超えて相当の利益を上げることにならないか確認する必要がございます。

 いずれにいたしましても、逗子市の方から具体的な御要望がありましたら、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

青柳委員 御答弁の最後の部分が重要だったと思います。丁寧に対応していただけるということで、可能性はゼロじゃないというふうに受け取りました。

 最近では、米軍の施設に限らず、公共インフラを稼ぐインフラに変えていくというのは各地の自治体でも見られていることですので、都市公園法でも、解釈の違いによっては営利事業をやって、例えばスターバックスが公園の中にできるという事例も実は出てきています。こういうことをぜひ前向きに検討していくべきだろうと私は思っておりますので、この問題は引き続き取り上げてまいりたいと思います。

 もう一つ、横浜市には上瀬谷通信基地というのがございます。この上瀬谷通信基地は全部返還ということで合意されていますが、こちらは返還後の跡地利用については自治体の裁量で決められるという理解をしておりますが、こういうことでよろしいでしょうか。これは、事務的に参考人の方から御答弁ください。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年六月三十日に返還されました旧上瀬谷通信施設、これにつきましては、返還後、原状回復措置の一環として、土壌汚染に係る試料等の調査を昨年八月から十二月まで実施しているところでございます。

 跡地利用についての御質問でございますけれども、これは横浜市、それから財務省の間で跡地利用に関する構想についての協議が行われていると承知をしておりまして、今後とも、横浜市、財務省等で検討されていくものというふうに考えておりますけれども、防衛省といたしましても、地元の方々の御意見を踏まえながら、関係機関などと調整しつつ、我々の持ち分等については取り組んでまいりたいというふうに考えております。

青柳委員 これも同じですね。せっかく土地が返ってくるのであれば、有効に活用すべきだと私は思っておりますので、指摘しておきたいと思います。

 さらに、もう一つ伺います。米軍厚木基地の問題です。米軍厚木基地に配備されている米空母艦載機の岩国飛行場への移駐について伺いたいと思います。

 本件は、そもそも、二〇〇六年の2プラス2で合意された再編実施のロードマップで、当初の予定では、二〇一四年までに五十九機を移駐していくということで合意していたそうですが、これが残念ながら実現しないまま、二〇一三年に、2プラス2で二〇一七年の移駐ということで合意をし直しているわけですね。

 今回はこの合意に基づいて着実に実現するのかどうかの見通しをまずお伺いしたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐でございます。

 先生御指摘のとおり、平成二十五年十月の2プラス2の共同発表において、平成二十九年、二〇一七年ごろまでに完了することを確認しているところでございます。

 防衛省といたしましては、現在、その実現に向けまして、岩国飛行場や愛宕山地区におきまして各種工事を着実に実施しております。具体的には、岩国飛行場における司令部庁舎、家族住宅、愛宕山地区におきましては野球場、橋梁等の工事を実施しております。

 このように、空母艦載機の移駐について、今後とも、地元の御理解を得られるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

青柳委員 重ねて伺いますけれども、二〇一四年までにはできなかった、五十九機と言っていてできなかったわけですね。今回は二〇一七年までには実現するというのは、何が違うのか、何が違うから今回は実現の可能性が高いのかというのをお伺いしたいと思いますし、何機ぐらいを移駐していくのか、今現在七十機あると言われていますけれども、その辺の数についても、お答えできる範囲で御答弁いただきたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 空母艦載機の移駐につきましては、やはり何と申しましても、受け入れの方の自治体の方々の御理解を得る必要がございます。そういうさまざまな調整の過程におきまして、スケジュールをいろいろ検討しながら、平成二十五年の2プラス2の発表に至ったというふうにお考えいただければというふうに思います。

 それから、艦載機の機数についてでございますけれども、平成十八年のロードマップにおきましては、FA18、EA6B、E2C、C2が移駐することを確認しておりまして、この当時、移駐機数につきましては、米側から、五十九機の航空機が岩国飛行場へ移駐するといった説明を受けているところでございます。

 空母艦載機の移駐につきまして、先ほど申し上げましたとおり、現時点において五十九機というふうに承知しておりますけれども、移駐する航空機の機数につきましては、米側の運用上の理由によりまして変更がありますことから、移駐する前の適切な時期までに米側への確認を終える考えでございます。

青柳委員 中谷大臣には、ぜひ、これは神奈川県では地元の負担軽減につながる大きな案件だという認識をしておりますので、引き続きフォローをお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 日中関係と安保法制について伺いたいと思います。

 日中関係、これは岸田大臣の所信にもあるとおり、非常に重要な二国間関係だと表明されておりますが、最近の日中関係の現状、そして課題について、まずは大臣から現状認識をお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 日中関係につきましては、一昨年行われました日中首脳会談を契機に、首脳会談あるいは外相会談、そしてさまざまなレベルでの対話が行われてきています。全体として改善傾向にあると認識をしております。ぜひ、戦略的互恵関係に基づいて大切な日中関係を進めていかなければならないと考えています。

 ただ一方で、東シナ海等においては、一方的な現状変更と言えるような動きが存在いたします。このことにつきましては、毅然として、そして冷静に対応していかなければならないと考えています。

 こうした認識に基づいて、日中関係をどう進めていくのか、引き続きしっかり検討していきたいと考えます。

青柳委員 ありがとうございます。

 今大臣おっしゃられたとおり、二〇一四年の十一月の日中首脳会談以降、私も、日中関係というのは少しずつ好転してきているのではないかなと思います。これは、私は野党ですけれども、安倍内閣の外交努力の成果だ、一定の評価だと思っております。

 ただ、今これも大臣おっしゃられたとおり、一方では、現実的には、東シナ海での領海侵犯、領空侵犯というのはもう常態化して、全く減っていない、それどころか、ふえているわけですね。

 中国に対するスクランブルの発生回数というのは、平成二十三年は百五十六回だった。最新の数字、平成二十六年は、二十三年からすれば三倍の四百六十四回ということでございます。

 またさらに、南シナ海では、防空識別圏、中国風に言えば防空識別区だそうですけれども、この防空識別圏を独自に設定するんじゃないかという指摘が今まさにある。これこそ、まさに力による現状変更そのものだと思います。

 政府の昨年の安保法制の国会での説明では、安保法制を変えていくのは抑止力を高めるためにやるんだと何遍も答弁されているわけですから、それでは、ことし、今月になるんでしょうか、安保法制がしっかり施行されていけばこうした抑止力が高まるということは、スクランブルの回数が減るという認識でよろしいんでしょうか。それとも、抑止力は高まっても、より好戦的になってスクランブルの回数がふえていくということになるんでしょうか。

 抑止力が高まるということであれば、普通に理解すれば、スクランブルの発生回数は減っていくんだろうと思いますけれども、安保法制の施行によって、こうしたことにどのように影響を与えることになるのか、お考えをお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 委員御指摘のように、中国の公船が領海侵入を繰り返したり、自衛隊のスクランブルの回数が増加するなど、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しているということは間違いありません。

 平和安全法制は、特定の国や地域を念頭に置いたものではありませんけれども、あらゆる事態に対して切れ目のない対応を行うことができる体制を整えて、国民の命と平和な暮らしを守り抜いていくことを可能とするために必要不可欠なものでありまして、この平和安全法制の整備によりまして、日本が危険にさらされたときに日米同盟は一層効果的に機能するようになり、それを世界に発信することによって抑止力がさらに高まって、日本が攻撃を受けるリスクは一層下がっていくと考えております。

 このように、平和安全法制によって紛争を未然に防止する力、抑止力が高まるものと考えておりますけれども、他方、抑止力の向上については、必ずしも、他国による領海侵入の件数、また自衛隊のスクランブルの回数そのもので示せるものではないと考えております。

 防衛省・自衛隊としては、我が国周辺の海空域における警戒監視に万全を期しまして、関係省庁と連携をして、いかなる不法行為に対しても切れ目なく十分に対応してまいりたいと思っております。

青柳委員 特に領海侵犯については本当に常態化しているわけでございまして、我が党は、こうしたことの問題意識から、民主党と維新の党共同で、今国会に領域警備法というものを提出させていただきました。我が党の民主党さんと共同で提出した領域警備法については、昨年の安保法制、安保国会から提出しているわけでございますが、この領域警備の法改正の必要性について、大臣はどのようにお考えでしょうか。昨年の国会で少し改正されていますけれども、それで十分とお考えでしょうか。

中谷国務大臣 政府といたしましても、あらゆる事態に切れ目のない対応ということで、武力攻撃に至らない侵害に対しましても、いかなる不法行為に対しても切れ目のない対応を確保するために、海上警備行動また治安出動等の発令に係る手続の迅速化のための閣議決定を行いました。警察、海保などの機関がそれぞれの対応能力を向上させ、情報共有、連携強化、各種訓練の充実をすることによって各般の分野における必要な取り組みを一層強化いたしておりまして、こういった点で体制を整備いたしておりますので、現時点におきましては新たな法整備が必要であるとは考えていないということでございます。

青柳委員 時間が来ましたので終わりますが、質問通告で、北朝鮮の関係で文科省さんにもお越しいただいていたんですが、済みませんでした、時間切れになりまして。また次回、よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

小野寺委員長代理 これにて青柳君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 米軍普天間基地問題について質問をいたします。

 三月四日、辺野古への米軍新基地建設をめぐり、国と沖縄県との和解が成立をいたしました。和解条項には、双方が訴訟と審査請求を取り下げ、沖縄防衛局は直ちに埋立工事を中止すること、国と県が円満解決に向けた協議を行うこと、訴訟となった場合は双方が判決に沿った手続を実施することなどを明記しています。

 総理は、同日、沖縄県の翁長知事と会談し、笑顔で握手を交わし、和解が成立し本当によかった、今後は誠意を持って沖縄県と協議を続け、円満解決に向けて話し合いたいと述べました。ところが、政府は、七日、埋立承認取り消しの是正を指示する文書を発出しました。和解の成立からわずか三日、国と県の協議が一度も開かれていないもとでの是正指示であります。

 翁長知事は、安倍首相は誠意を持って沖縄県と協議をしたいと言った、いい方向に結論を出そうという中で、入り口でこういう形でやるのは大変残念だ、このように述べております。

 まず防衛大臣に確認をしますが、政府として、いつ、どこで是正指示を出すことを決めたんですか。

中谷国務大臣 和解条項の中に、国土交通大臣は、沖縄県知事に対し、埋立承認取り消しに係る地方自治法二百四十五条の七の所要の是正の指示をし、県知事はということが書かれておるわけでございます。

 これにつきましては、和解条項に従いまして、昨日、沖縄防衛局の職員がこれに合わせまして国土交通省に赴きまして、沖縄防衛局長が昨年十月に行った審査請求及び執行停止申し立てを取り下げる旨の文書を提出いたしました。和解条項に従いまして、七日、国土交通大臣から沖縄県知事に対しまして法令違反を是正するよう指示をする旨の文書を郵送されたと承知いたしております。

赤嶺委員 是正指示については、おっしゃったとおりに和解条項に書いてあります。だが、いつ出すかまでは書いてあるわけではないんですね。

 政府として、直ちに是正指示を出すことを、総理と翁長知事の会談の前に決めていたのか、それとも、会談の後、関係閣僚会議などを開いて決めたのか、どちらですか。

中谷国務大臣 四日のちょうど昼過ぎに総理の方が和解案を受け入れ、そして、沖縄県に対しましても、裁判所の方で和解が成立したということでございます。

 総理が知事に会われたのが四時半だと伺っているわけでございますが、この和解の内容におきまして、今回の対応につきましても、政府と沖縄県が合意に達した和解の条項に基づくものでありまして、政府と沖縄県が和解条項の内容を実現していく上で必要な手続でございます。

 結果的に、昨日、国交大臣から指示をする文書を郵送されたということで、この手続に従って実施をしたわけでございますので、時程的に考えますと、四日の四時半に面会をした後のことではないかと思っております。

赤嶺委員 四日の翁長知事と総理が面談をした後、是正指示を出すことを決めたんですか。どこで決めたんですか、誰が決めたんですか。

中谷国務大臣 政府といたしまして、この和解条項に従って対応するということで、政府全体として決定したということでございます。

赤嶺委員 和解条項に是正指示について書かれていることはもう百も承知の質問なんですよ。

 ちょっと国交省に聞きますが、その是正指示を出すことを決めたのは、総理が翁長知事と会う前ですか、会った後ですか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 この和解条項に基づき和解が成立するということにつきましては、今、中谷防衛大臣から御答弁があったとおり、関係閣僚会議においてそのようなことが決まったということでございます。

 国土交通省においては、その合意に達した和解条項に基づき、是正の指示を昨日郵送により沖縄県知事に送ったところでございます。

赤嶺委員 そうすると、既に、関係閣僚会議で和解を受け入れるということを決めたわけですから、そのときは是正指示に進むことも決めていた、そういうことですね。

中谷国務大臣 政府としては、和解の提案を受け入れると決まりまして、その後、沖縄県との和解が成立するわけでございます。これを受けて、直ちに、工事の中止におきましては私の方に総理の方から指示がありまして、私も指示をいたしました。このように、その後、政府として意思決定をしたわけでございます。

 今回は国土交通省の対応ということで、それにつきましても、政府として、和解が成立した後で決定をして、指示がされたというふうに思っております。

赤嶺委員 和解が成立しなきゃ是正指示を出せないのは当たり前じゃないですか。今聞いているのは、総理が翁長知事と会う前ですか、会った後ですかということですよ。

 関係閣僚会議というのは、翁長知事と会う前に開かれて、和解の受け入れを決めたわけですよね。翁長知事と安倍総理が会って、その後、関係閣僚会議が開かれたんですか。

中谷国務大臣 これは、それぞれ事務方においても手続や検討が必要でございまして、四日の昼に和解が成立しました。これにつきまして、防衛省は、昨日、沖縄防衛局の職員が国交省に赴きまして、そして、十月に行った審査請求と執行停止申し立てを取り下げる旨の文書を提出しました。そのために、その後、国土交通大臣による執行停止の決定が失効しましたので、現在、埋立承認は沖縄県知事によって取り消された状態にあります。

 それに従いまして、和解条項に従って、国交大臣から県知事に対して法令違反を是正する指示をする旨の文書を郵送されたということで、手順に従って行っているということでございます。

赤嶺委員 いや、私は、その手順をもうちょっと踏み込んで聞いているわけですよ。

 総理が翁長知事と会う前に、既に政府においては是正指示を出すことを決めていたんですか、その後ですか。大臣は答えませんから、国交省、答えてください。

中谷国務大臣 出すこと自体は和解の条項に入っております。和解が成立したということで、それが動き始めるわけですね。

 その手続におきましては、先ほど説明いたしましたが、七日の月曜日、十一時半ごろ、沖縄防衛局の職員が国交省に赴きまして文書を手交したわけでございますので、国交省の手続はそれ以降ということでございます。

赤嶺委員 和解が成立をして、そして円満解決、これから協議に入るときに、沖縄の立場から見れば、いきなり是正指示で、もう一度裁判をやろうじゃないか、もう一度裁判に出てこい、裁判をやれるならやってみろという雰囲気ですよ。(発言する者あり)そんなことないと笑っているから、いつまでたっても普天間問題は解決しないんですよ。ここを理解できないで何だかんだ言ったって、ここの中での話ですよ。解決しないですよ。非常に不誠実な対応だと思います。

 裁判所が一月二十九日に提示した和解勧告文があります。これは御存じですよね、和解勧告文。そこでは、沖縄対日本政府という対立の構図になっていることを双方が反省すべきとした上で、このように述べています。

 平成十一年地方自治法改正は、国と地方公共団体が、それぞれ独立の行政主体として役割を分担し、対等・協力の関係となることが期待されたものである。このことは法定受託事務の処理において特に求められるものである。同改正の精神にも反する状況になっている。

和解勧告文には裁判長がこのように言っているわけですよ。政府がやってきていることは自治法改正の精神にも反する状況になっている、こう述べたわけです。

 これについて防衛大臣はどう受けとめていますか。

中谷国務大臣 政府といたしまして、今回、和解勧告という新たな状況を踏まえて熟慮した結果、国と沖縄県との将来にとって最適な選択であると判断して、今回の和解を受け入れることといたしたものでございます。

 これにつきましては沖縄県も同様でございまして、結果的に、この和解条項を受け入れて、和解が成立をしたわけでございます。その和解条項には、それぞれやるべきことが書いてあるわけでございまして、これに従って誠実にとり行っていくわけでございます。

 御指摘の協議につきましては、この和解条項の中に、国交大臣と沖縄防衛局長、沖縄県知事は、是正の指示の取り消し訴訟判決確定まで普天間飛行場の返還及び本件埋立事業に関する円満解決に向けた協議を実施すると書かれているわけでございまして、この是正指示の取り消し訴訟の判決確定までということで、それまでの時程がこの和解条項の中に示されているわけでございますので、政府としては、これに従って誠意を持って行っているということでございます。

赤嶺委員 和解勧告文について聞いたわけです。和解勧告文の中で、代執行訴訟に訴える政府のやり方は、改正された地方自治法の精神にも反する状況だ、裁判長はそういう和解勧告文を出したわけですよ。あなた方が間違っている、裁判長はそう指摘しているわけですよ。沖縄県は、そういうやり方について抵抗し、法治主義を守るために裁判に訴えました。

 裁判長からこのように言われたことについて、大臣はどのように受けとめているんですかということを聞いているんです。

中谷国務大臣 和解案に従って誠実に対応していくということでございますが、考え方といたしましては、政府といたしましては、平成二十五年末に仲井真前知事からいただいた普天間飛行場の辺野古への移設に必要な埋立承認は何ら瑕疵がなく、既に行政判断は示されているという考えには変わりがございません。

 しかしながら、裁判所からの勧告という状況を踏まえまして熟慮した結果、沖縄県と国との将来にとって最適な選択であると判断して和解を受け入れたということでございます。

赤嶺委員 政府は、あなた方は、仲井真知事の埋立承認は正しいといって、とるべきでない代執行訴訟という手段をとって、余りにも乱暴だと言われて和解勧告が出された、そういう経過であるわけです。だから代執行訴訟をおろしたわけでしょう。

 それで、一昨年の名護市長選挙、沖縄の県知事選挙、総選挙で、新基地建設反対の民意は明確に示されました。ところが、安倍首相は当初、選挙で選ばれた翁長知事に会おうともしませんでした。昨年夏に集中協議が行われましたが、県の意見には耳を傾けようともしませんでした。去年の十月に埋立承認が取り消された後は、国民の権利救済を目的とした行政不服審査制度を悪用し、直ちに工事を再開させました。さらに、承認の取り消しそのものも消し去ろうと、県の権限を剥奪する代執行訴訟に訴えたのであります。

 私たちは、民主主義も地方自治も無視するやり方で、問答無用で基地を押しつけるというこの政府の対応を、この委員会で繰り返し繰り返し批判してまいりました。こうした安倍内閣の強権的な姿勢が地方自治法改正の精神に反するものとして裁判所から否定された、こういうことであります。

 円満解決に向けた協議に合意しながら、和解成立の直後から、総理からも、官房長官、防衛大臣からも、辺野古への移設が唯一の解決策だという発言が繰り返されています。国の結論を一方的に押しつける政府のやり方は、県民の願いを踏みにじるものであるのはもちろん、和解勧告に込められた裁判所の意向を踏みにじるものだと言わなければなりません。

 和解勧告文は、

  本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである。そうなれば、米国としても、大幅な改革を含めて積極的に協力をしようという契機となりうる。

ここまで踏み込んで指摘しているわけです。

 裁判所の指摘を重く受けとめて、是正指示を取り消して、まず沖縄県と真摯な協議を行う、ここから始めるべきではありませんか。

中谷国務大臣 この問題の原点は、普天間基地の抱える危険性の除去でございます。そのため、もう二十年にもなりますけれども、いろいろな案を協議し、交渉し、そして、申請手続を踏まえまして、一日も早くこの普天間飛行場の移設が実現できるように取り組んでまいりました。

 しかしながら、現状として国と沖縄県が訴訟合戦を繰り広げているという関係が続けば、これはこれから何年も固定化をされるようになる懸念がございます。

 それでは地元の皆様方にとって解決が遠くなるわけでございまして、今回、政府といたしましては、熟慮を重ねまして、裁判所によります和解案を受け入れて、その手続によって、司法の場においても解決をしますし、また、解決に向けて円満に事を進めるために協議をしていくということでございまして、この和解内容を誠実に実行いたしまして、工事も中止をいたします。そして、沖縄県との協議も進めながら、しかしながら、その上で、司法判断が下された場合には、その判断に従い誠実に対応してまいるということでございます。

 沖縄県も国も普天間基地の危険性を除去するということは同じ思いでございますので、この共通の目標に向かって、お互いに協力、そして努力をしていきたいということでございます。

赤嶺委員 熟慮とおっしゃいますけれども、熟慮しないで、地方自治法の精神に反して代執行訴訟をあなた方が提起したことから間違いが始まったんです。

 政府の考え方の一方的な押しつけ、それを訴訟合戦だと言いますが、行政不服審査法に基づいて執行停止をやるという、およそ行政法の専門家の間でも抗議の声が起こるような、法治主義を無視するようなやり方に、やむを得ず沖縄県は裁判に訴えた。その根源は、皆さんが熟慮なしに、政府の一方的な考え方を押しつけるために代執行訴訟をやったところにあるわけです。今度の結果について、ここをきちんと反省しなきゃいけないと思いますよ。

 沖縄県との協議に当たって、私は防衛大臣に一点要望したいことがあります。

 普天間基地の問題は、戦中戦後の沖縄の歴史と切り離すことのできない問題です。

 きょうは官房長官はおられませんけれども、先月の二十九日の予算委員会で看過できないやりとりがありました。翁長知事が、昨年の集中審議で、戦後の強制的な土地収用がこの問題の原点であるということを指摘したことについて、官房長官は、翁長知事のそうした主張は、橋本元総理を初めとして沖縄県、米国の関係者が重ねてきた今日までの努力を無視するものだ、このように述べ、さらに、官房長官は昨年も、戦後の日本の歴史については沖縄だけではない、日本全国、悲惨な中で皆さんが大変御苦労されて、今日の豊かで平和で自由な国を築き上げてきた、このように述べました。こういう発言が出てくるところに、国と沖縄県の協議が交わらない、平行線に終わる原因が象徴的にあらわれているのではないかと思います。

 住宅地に囲まれた普天間基地の一刻も早い閉鎖、返還が必要であることは当然であります。原点、二十年と言いましたが、その前から求めているんですよ。なぜその前から求めているか。復帰をしたら普天間基地に航空機を集中させて、危険な基地になったんですよ。危険の原点は政府にあるんですよ、そして、町の真ん中に土地を強奪してつくった米軍の側にあるわけです。そういう基地を閉鎖、返還ということは、我々はずっと言い続けてきたんです。

 なぜ、政府の言う代替施設の建設が受けられないのか。そこには、県民の四人に一人が犠牲になった沖縄戦、住民の土地を強制的に奪って構築された米軍基地の成り立ち、基地あるがゆえの県民の苦難の歴史が深くかかわっているからであります。

 今、委員外の発言で、住宅は基地をつくるときになかったと言っておりましたが、これこそまさに歴史を知らない人の主張であります。こういうことの共通認識、議論の土台をつくらない限り、中身のある協議はできません。

 防衛大臣に要望したいと思いますが、今回の協議に当たっては、今申し上げてきた戦中戦後の沖縄の歴史、とりわけ普天間基地を初めとする米軍基地の形成過程において、国際法上の合法性も含めて検証することを求めたいと思いますが、いかがですか。

中谷国務大臣 我々は、さきの大戦におきまして、沖縄県におきまして悲惨な地上戦が展開をされ、そして、サンフランシスコ平和条約の発効以降も一定期間我が国の施政権外に置かれたという沖縄県の苦難の歴史、これを忘れてはならないと思っております。

 累次、沖縄の皆さん方とは話をし、協議をしているわけでございますし、昨年、一カ月作業中止をいたしまして集中協議も行ってきたわけでございますが、まだまだ政府の立場において沖縄県の御理解を得るには至らなかったということでございます。

 この原点についても議論が交わされて、戦後七十年の米軍基地負担についての沖縄県の思いを拝聴する機会もありましたし、また、政府の考えもお話をさせていただいたわけでございます。

 累次、沖縄県の負担の軽減、また普天間の危険性の除去などには目に見える形でお示しをいたしておりまして、今回の辺野古移設案におきましても、現在の普天間基地の機能を大幅に軽減するような内容でございまして、環境においても調査の上で実施をいたしておりますので、この点につきましては御理解をいただきたいと思いますけれども、お話がありましたとおり、沖縄県の皆様方のお心とか実情等につきまして、しっかりと認識をしながら進めてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 それにしても、そういう答弁が出るにしては、一方的な辺野古推進にこだわっている。ここを改めない限り、普天間の基地の危険性の除去は進みません。

 結局、工事が中止ということになりましたけれども、確認をいたしますが、これまで政府は、在沖米軍基地の統合計画で、普天間基地の返還時期について、二〇二二年度またはその後としてきました。今回の和解成立を受けて、この返還時期も見直しが必要になると思いますが、防衛大臣はどういう認識ですか。

中谷国務大臣 これは、二〇一三年の四月に日米が普天間飛行場を含む嘉手納以南の米軍施設・区域の返還に係る統合計画に合意をいたしております。その中で、この返還時期を二〇二二年度またはその後と示しておりまして、返還までに必要な一つ一つの手順、それぞれの手順を実施するために必要な期間が明記をされているということでございます。

 この和解によりまして埋立工事を中止することになりますが、和解内容に示された手続を経まして移設作業を再開するまでの間、予断をして今後の移設作業の見通しについてコメントすることは困難でございまして、誠実に和解の手続に従って一つ一つ実施をするということによってこの問題が解決をされまして、早期に普天間飛行場の移設が実施できるように全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

赤嶺委員 そうすると、二〇二二年度またはその後というのは見直さざるを得ないということですね。

中谷国務大臣 今回の和解によりまして埋め立ての工事は中止をすることになりますが、手続を経まして移設作業を再開するまでの期間、これは予断をして今後の移設作業の見通しについて現時点でコメントすることは困難でございますが、この統合計画の早期の着実な実施に今まで取り組んできたわけでありまして、今後とも引き続き日米間で連携して取り組んでいく考えでございます。

赤嶺委員 私は、そういう事態になって、普天間基地の危険性の除去にどう対処するか、大事な課題が提起されていると思うんです。

 今度の宜野湾市長選挙は、辺野古が争点にならなかったとかいろいろな問題がありましたが、一致点があったんですよ。普天間基地の返還は移設条件をつけたから二十年もおくれたんです。県民はずっと主張してきて、たらい回しの条件では沖縄では無理です。

 やはり、たらい回しの条件はつけないで、普天間基地は、危険性の除去が県民みんなの願い、政府の思いと言うならば、直ちに閉鎖、返還をすべきだ、そのためのアメリカとの交渉に入るべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

小野寺委員長代理 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。

 次に、下地幹郎君。

下地委員 外務大臣、ちょっと通告していないんですけれども、一つ。

 きょうの朝日新聞にG7の広島外相会合のポスターが出ているんですよ。このポスターを見ると、北方四島の択捉と国後と色丹と歯舞が入っていないんですよ。資料提出をしていないので、入っていないんですけれども、このポスターは外務省がつくったんですか。

岸田国務大臣 御指摘のポスターは広島市が作成いたしました。

下地委員 このポスターは、その前にもイタリアの国旗を間違えて刷りかえしたポスターなんですよね。また今回も北方四島が入っていない。

 これは広島市がつくったといって本当に許されるんでしょうかね。これは外務省の省内にも全部張ったポスターなんですよ、全部張っていいといって。だけれども、これに北方四島が入っていなくて、二月七日の日比谷公会堂で北方領土の返還大会に私たちも出て、私は特に沖縄ですから、二十七年間アメリカの占領下にいたので、北方四島の元島民の気持ちはよくわかると思うんですけれども、これを拡大して見るとここに入っていないというのは、これはちょっとひどいポスターじゃないですか。

 これは二回にわたってつくりかえをしていますけれども、二回にわたって、広島市がつくったからといって、外務省はそれを認めて、省内でも全部張る、各市町村にも張らす。果たして、大臣、外務省は全くこれについて私は関知しませんと本当に言い切れるんでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のポスターにつきましては広島市が作成したものですが、御指摘の点、問題があります。全て回収いたしました。その上で、新たなポスターの作成をこれから検討すると承知をしております。

下地委員 これは回収して、もう一回しっかりと、三回目の刷り直しがないようにしっかりとやってもらう。しかも、広島で、大臣の地元でやるポスターですから、しっかりと大臣が見て管理をしてやっていただくということを期待申し上げたいというふうに思います。

 さて、防衛大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、この前、分科会で私とやりとりしたんですよね。そのときに、今、二〇二二年、ハリスさんが二〇二五年だと言った、しかし二五年ではないよねと言ったら、それはないと言って、二二年その後と言ったので、何回も、議事録を見ておわかりのように、その後とはいつまでですかと言ったら、その後とまた言うから、その後というのはいつなの、この二〇二五年とハリスさんが言ったのがその後なのと言ったら、最後はもう、その後という言葉を抜いて、二〇二二年というようなことを申されたわけですよ。あのやりとりはもう三十分間にわたり私と一緒にやったから、半分近くはこれの論争をしたのでよくわかっていると思います。

 この二〇二二年という大臣が示されたことが、今回の和解で、この時間が、早くて半年、遅くて一年間、違法確認訴訟判決まで円満解決に向けた協議を行うということでありますけれども、違法確認訴訟判決後直ちに判決の結果に従いということを聞くと、一番早くて半年、遅くなると一年ぐらい工事がストップするというようなことになるわけですけれども、この二〇二二年という大臣がお話ししたことは今もって変わらないというような認識でよろしいんですか。

中谷国務大臣 せんだっての分科会の質疑におきまして私が答弁いたしまして、順調に進めば五年間で工事が完了して、二〇二二年度に普天間飛行場の返還が可能になるということでございました。

 今回、和解によりまして埋立工事が中止をすることになりますが、和解の内容に示された手続を経て移設作業を再開するまでの期間、これはこれから手続が始まって物事が動いていくわけでありますので、現時点でいつまでというように予断をして今後の移設の見通しを申し上げるというのは、正直、現時点で困難でございまして、この期間につきまして明確に年限を申し上げることはできません。

 いずれにしましても、この返還時期を二〇二二年度またはその後といたしておりまして、最大限努力はしていきたいわけでございますが、相手のあることでございますので、米国、両政府におきましても、この統合計画の早期、着実な実施に取り組んできたわけで、引き続き日米間で連携をしていく考えでございます。

下地委員 きのう、シアー国防次官補が来て、大臣と会談をなされて、大臣は、辺野古移設が唯一の選択肢との認識で一致し、緊密に連携していくことを決めたと新聞記事にも載っていましたけれども、そのとおりですね。

中谷国務大臣 そういう説明をいたしております。

下地委員 だから、和解をしても、和解というのは本当に物事がまとまったわけじゃないから、これから沖縄県と話をして、この和解は、決裂をするか、それとも沖縄県が辺野古を認めるか、国が辺野古の考え方じゃなくて新しい代案を認めるか、この三つのうちの一つになるわけなんですよね。

 しかし、大臣は、辺野古の移設に関してはこれまでどおりやっていきたいということを申されているわけですから、これまでどおりやっていきたいということは、これまでどおり述べてきたことがそのまま踏襲されないといけないんですよ。

 だから、私が申し上げているのは、二二年というのは一年間おくれるというのはもう誰にもわかることなんです。私は、大臣、答弁でこうやってごまかさないで、沖縄県民にも、順調にいっても二二年は守れなかったら守れないと言った方がまだわかりやすいんですよ。

 裁判でこうやって工事がとまって一年間おくれるのに、大臣の職にある人が当初のとおり二二年にできますなんて言ったら、誰しもが、何を考えているんだろうな、おくれていいじゃないかと。おくれても自分たちはやりたいことはやりたいとちゃんと言った方がいいにもかかわらず、それを、何でこんなにまで。

 この前もそうですけれども、今、辺野古を見に行ってください。全部もう引き揚げていますよ。建設会社、ゼネコン、マリコン、全部引き揚げていますよ。こういうふうな状況であることははっきりしているのに何で、二二年は守れません、これが国民に対する当たり前の丁寧な説明、県民に対する説明だと私は思いますけれども、本当にこれは守れるんですか、二二年。

中谷国務大臣 せんだっても答弁いたしましたが、順調に進めば五年間で工事完了で、二二年度に普天間飛行場の返還が可能になる旨、私は述べておりますが、今回、工事が中断しますので、当然、この経緯の間どうなるかという心配、予測はございます。

 しかしながら、今、これを推進していくためには、裁判所の和解案を受け入れて、この手順に従って物事を進めていく以外ないわけでございまして、誠実に対応していくわけでございますが、では、この見通し、再開するまでの期間どれくらいかかるのか、現時点において見通しを申し上げるのは困難でございます。

 ただ、一つ言えることは、この和解の手続に従って誠実に実施することによって、司法の判断を受けて、それに従うということで両者同意をいたしているわけでございますので、そのことによって打開をし、そして全力でその工事を実施していって、一日も早い普天間飛行場の移設を実現したいということでございます。

下地委員 この和解の協議が半年かかった、それから和解の協議をやって決裂した、それで裁判所が判断を出した、判断を出して国が勝った、それから工事を始めるというようなことが半年であったり一年であったりしても、二二年というのを今でもずっと言い続けるんですか。今、和解がスタートして、これは一、二カ月で本当に終わりませんよ。

 私は、県民に正しく説明をしていって信頼をかち得る方が、大臣、これはスムーズにいきますよ。ここは、できないならできない、延びるものは延びるとはっきり言った方がいいんですよ。誰が見ても、全部が見ても、これはもうできないことはわかっている。それでも二二年というのを何で言い続けるのか、そこがわからないんですよ。

 そういうふうなことをやっていると、基地問題に対する不信感が続きますけれども、それで本当にいいんですか。

中谷国務大臣 和解の手順や作業がいつ終わるのか、これは今、断言できません、予断ができません。

 しかし、これしかないんです。この手続を進めて、この期間においても解決のために円満な協議を行いますし、また、最終的に示された司法の判断におきましては、両者は確定判断に従うということで実施をいたしておりますので、お互いの理解、そして納得、こういうことが得られれば、その後の工事におきましては全力で実施できるように努力をしていきたいというふうに考えております。

下地委員 僕はずっと二十分間これをやりますけれども、和解の決定が出るまでに物理的に時間がかかることははっきりしているんですよ。大臣も、国の顧問弁護士や法務省からもそれはもうちゃんとお聞きになっていて、私もそれをわかりながら質問しているんですよ。だから、一カ月、二カ月で和解が決裂して、その後、裁判官が急に、国が勝ちましたからどうぞ辺野古をやってくださいと、これはそう簡単に判決は出ないんですよ。だから、私は、この二〇二二年というのは確実に、今、守れない。

 しかも、アメリカの海兵隊も、自分たちの白書の中にも二〇二五年だと書いてある。そのことについて、この前、菅官房長官も大臣も、ハリスさんに抗議をするんだ、根拠がないんだと言って、ずっとおっしゃっていましたけれども、では、大臣、二二年というのを守れるとはっきり言ってください、この場所で、議事録のところで。そこまでおっしゃるんだったら、二二年に私は必ずこれをつくりますと明確におっしゃってくださいよ。

中谷国務大臣 この目標につきましては、順調に進めば五年間で工事が完了して、二〇二二年度に普天間の返還が可能になるということでございます。

下地委員 では、順調に進めばというものの中に、この和解をするということも順調の中に入っているんですね。

中谷国務大臣 今、この和解に従ってプロセスを進めるしかないんです。

 今回の和解におきましても、できるだけ期間を短縮していくということで、例えば、是正指示をしてから一週間以内に国地方係争処理委員会に審査を申し出るとか、また、その後一週間以内に高裁等に提訴するとか、司法の方もできるだけ期間を短縮するということで調停をしていただいておりまして、この案等も勘案しながら、同時に協議も進めまして、しかしながら、最終的に下された判決については両者が従うということで、誠意を持って実施をするということで取り組んでおります。

下地委員 両者が従うのは、もうこうやって裁判所の和解勧告に出ているから、僕も読んでわかっていますよ。問題は、大臣が言っているように、順調にいって二二年というのに、今度の和解訴訟は大臣も予想し得なかったことだと思うけれども、これが順調の中に入って二二年なんですか。

 しかも、きょうの朝日新聞にも出ているけれども、私たちも司法関係者に聞いても、どんなにやっても二〇一六年の九月四日以降、遅くて二〇一七年の三月四日までに判決が出る。これは事務方からも聞いて大臣が一番わかっていることじゃないですか。

 私が申し上げたいのは、守れないものは守れない、自分がやりたいことはやりたいと明確にやらないと、大臣としての信頼が湧いてきませんよと言っているんです。

 だから、もう一回申し上げますけれども、今のこの和解の話があっても、自分から見たら順調な手続が進んでいて、それで、二〇二二年にできます、今の状況は順調のうちの範囲ですということを言っていただければ、僕はもうこれでいいんですよ。

中谷国務大臣 いつ決着がつくのか、現時点においては時期的なことはまだ予断を持って申し述べる段階ではございません。

 ただし、沖縄県からの要望によって、移設を五年以内にということで、政府はあらゆることを実施いたしておりますが、これも、やはり地元の協力が得られるということが前提であります。

 順調にいけばということも、地元の協力が得られるということが前提でありまして、この和解をめぐって、そのプロセスを経ますと両者は確定判決に従うということになっておりますので、その上で、地元の皆様方の理解と協力を得ながら、我々としましては、一日も早く辺野古の移設が実現できるように頑張っていきたいと思っております。

下地委員 こう書いてありますよ。初めから読むと、

  本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである。そうなれば、米国としても、大幅な改革を含めて積極的に協力をしようという契機となりうる。

この裁判官はすごいですよ。政治家並みのことを書いている。そして、

  そのようにならず、今後も裁判で争うとすると、仮に本件訴訟で国が勝ったとしても、さらに今後、埋立承認の撤回がされたり、設計変更に伴う変更承認が必要となったりすることが予想され、延々と法廷闘争が続く可能性があり、それらでも勝ち続ける保証はない。むしろ、後者については、知事の広範な裁量が認められて敗訴するリスクは高い。仮に国が勝ち続けるにしても、工事が相当程度遅延するであろう。他方、県が勝ったとしても、辺野古移設が唯一の解決策だと主張する国がそれ以外の方法はありえないとして、普天間飛行場の返還を求めないとしたら、沖縄だけで米国と交渉して普天間飛行場の返還を実現できるとは思えない。

こういうことを具体的に書いて、これは時間がかかるということを認めてやっているんです。

 二十分だから、時間が来たから終わりますけれども、これはこれから何回もやりますが、大臣、僕は素朴にやった方がいいと思うよ、素朴に。その方が逆に信頼が湧くし、何のために和解したかというのがよくわかってくるんじゃないかなということを申し上げて、私の質問を終わります。

小野寺委員長代理 これにて下地君の質疑は終了いたしました。

 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。

 中谷大臣、きょうの委員会審議の中で、多くの委員から、きのう国が地方自治法に基づき沖縄県への是正指示を発出したことに対する質疑がありました。

 代執行訴訟の和解成立から土日を挟んでわずか三日間という短期間での是正指示は、辺野古埋立事業に関する「円満解決に向けた協議を行う。」との和解条項第八項に明確に違反するやり方であります。想定内とはいえ、翁長知事や県の弁護団が強い不快感を示したのは私も共感を覚えます。私も怒り心頭であります。

 中谷大臣は、今回の是正指示が三月四日の和解の趣旨に合致しているとの理解でしょうか。認識を伺います。

中谷国務大臣 和解の内容に従って、誠実に実施をしていると認識をいたしております。

 今回、和解を決定いたしたわけですが、やはり、延々と訴訟合戦を繰り広げるという状況が続きますと固定化が続くわけでございまして、何とか現実を打開したいということで、熟慮を重ねまして、今回、和解を成立するという決断をしたわけでございます。

 この和解の条項の中にそれぞれの手続が書いてありまして、その中に、所要の是正の指示をして、知事は、指示があった日から一週間以内に国地方係争処理委員会に審査を申し出、そして、その後の手続もできるだけ短縮をして裁判所側も進めて、最終的にこれの決着を図るということも書かれております。

 したがいまして、我々といたしましては、この司法の判断に従いまして、誠実に実施していると認識をいたしております。

照屋委員 大臣、大臣がおっしゃった是正指示の和解条項は私も知っていますよ。それと同時に、和解条項の第八項に「円満解決に向けた協議を行う。」と明確に書いてある。だから、私が言いたいのは、是正指示をわずか三日で起こす、これは和解条項第八項違反じゃありませんか、こう聞いたんです。

 ところで、中谷大臣が、三月四日に国が福岡高裁那覇支部の和解勧告に応ずるとの情報に接したのはいつか。その時刻を明らかにしてください。

中谷国務大臣 時刻につきましては、最終的に政府で和解案の受け入れを決定いたしましたのは十二時過ぎでございますけれども、それぞれ、政府部内でさまざまな熟慮、検討を実施いたしておりまして、その点につきましては、私の方から答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。

照屋委員 さまざまな報道の中では、今回の和解は官邸主導で受諾が決まった、防衛省はその議論から外されておる、これがたくさんの報道なんです。

 それで、私は、三月四日の和解は沖縄県にとって勝訴的な和解だと評価をしています。マスコミ報道では、県の暫定勝訴、国の不戦敗、あるいは国による敗訴のリスク回避などの評価もなされております。

 ところで、中谷大臣は、福岡高裁那覇支部が示した和解勧告文はお読みになりましたか。

中谷国務大臣 読ませていただきました。

照屋委員 裁判所が示した和解勧告文を精査すると、一点目に、代執行訴訟提起は、国と地方の対等、協力関係をうたった平成十一年の地方自治法改正の精神に反するものと国を痛烈に批判している。二点目は、先ほど下地委員が質問したように、非常に大事なものですが、今後、埋立承認の撤回がされたり、設計変更に伴う変更承認が必要となった場合、特に後者においては、知事の広範な裁量権限に照らし、国が敗訴するリスクが高いと裁判所は明言しております。

 これら和解勧告文における二点の指摘について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

中谷国務大臣 今回、和解の内容をよく読んでみますと、国と沖縄県で訴訟しております三つの訴訟を一つにまとめました。そして、判決が確定するまで普天間飛行場の返還及び埋立事業の解決に向けた協議を行いまして、判決で司法の判断が示された場合には、国も沖縄県も判決に沿った手続を進めるとともに、その後もその趣旨に従って互いに協力をして誠実に対応するということを確約する内容となっておりまして、国といたしましても、これが最適な選択であると判断をして受け入れたわけでございます。

 ここに示された事項に誠実に従うということによって、この手続が早期に円満に解決できるように努力してまいりたいと思っております。

照屋委員 今、大臣の御答弁は、大変大きな認識違いだ。三つの裁判を一つにまとめたんじゃなくして、三つの裁判は取り下げた。そして、改めて地方自治法に基づく是正指示からやり直しなさい、こう言っているわけです。そうじゃありませんか。

中谷国務大臣 手続といたしましては、おっしゃるとおりでございます。

照屋委員 それで、先ほど来の質問にもありましたけれども、大臣は、今度の和解の後、新たな裁判をやり直して、最終決着がつくまでどれぐらいの期間を要すると予測しておられますか。

中谷国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたが、この和解の条項の中に、是正指示が行われて一週間以内に国地方係争処理委員会に申し出をする、そして、それぞれ答えが出た場合に、一週間以内に高裁に提訴をすると書かれております。

 現在わかっていることはこれでございますが、裁判でございますので、現時点において、予断を持って、この期日に終わるとか判決するとか、そういうことをお答えさせていただくのは困難でございます。

照屋委員 訴訟当事者である国と沖縄県が誠実に和解条項を履行していく、これは裁判上当然なんです。同時に、先ほど言った、和解条項に是正指示が書いてあるから、その他の和解条項、第八項に書いてある誠実な協議を怠るというのは、これは和解としては、私は、国のやり方はとても県民、国民に理解はされないだろう、このように思っております。

 聞きたいのは、中谷大臣は、午前中の原口、辻元両委員の質問に対し、普天間飛行場代替施設、いわゆる辺野古新基地建設事業に係る工事については全て中止をしていると答弁をしております。大臣の答弁からすると、残り一カ所のボーリング調査も当然中止、中断となります。

 そこで、お尋ねしますが、大臣がおっしゃっている、一切の工事が中止されるとの前提に立つならば、ボーリング調査用の台船やその他工事に係る船舶、重機などの貸借契約、リース契約等は全て合意解約されるという理解でよろしいでしょうか。

中谷国務大臣 裁判所の和解案で示されたことは、埋立工事を中止するということでございまして、現在、防衛省としては、埋立工事を中止するということを指示いたしまして、ボーリング調査など各種の現場の作業は現時点でとめている状況でございます。

 その上で、御指摘のボーリング調査など、和解に伴う防衛省の対応の具体的なところにつきましては、和解の当事者である沖縄県側の認識と異なることがないように、よく確認をしまして、適切に対応しているところでございます。

照屋委員 大臣、埋立工事が中止をされる、それから、あと一カ所のボーリング調査も当然中止、中断されると。私が聞いているのは、ボーリング調査のために大型の台船を用船している、それから重機や埋め立てるための船舶等も防衛省は契約を、この契約は一旦合意解約されるんですねと。

中谷国務大臣 キャンプ・シュワブ内におきましては、代替施設建設事業とは直接関係のない建物を機能的に、効果的に再配置するために、平成十九年以降、この飛行場区域とは異なる区域において隊舎建設工事などを実施しております。

 現在、この和解に伴う防衛省の対応の具体的なところにおきましては、内容をよく確認した上で適切に対応すべく検討しているわけでございますが、裁判所から示された埋立工事の中止ということにおきまして認識が異なることがないように、今検討をしているということでございます。

照屋委員 委員長、本日の当委員会における大臣の、普天間飛行場代替施設建設事業に係る工事については全て中止をしているとの答弁を裏づける資料、すなわち、中止をしているあるいは中止をする全ての工事が記載された事業リストの当委員会への提出を求めます。

小野寺委員長代理 後刻、理事会で協議をいたします。

照屋委員 最後に、中谷大臣に大変重要な質問をいたします。

 平成二十五年一月二十八日、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会共同代表らが連署をもって内閣総理大臣宛て建白書を提出しました。

 私は、この間、質問主意書や当委員会において、建白書は沖縄の近現代史の中でも極めて重大かつ歴史的な文書であると指摘してまいりました。その上で、防衛省における建白書の保存期間終了後には、直ちに廃棄することなく、国立公文書館へ移管するよう求めてきました。一年間延長された建白書の保存期間が今月末日をもって終了しますが、取り扱いは決定しましたでしょうか。

中谷国務大臣 防衛省が業務を実施していく上で、翁長県政における今後の政策立案、実施について理解する必要性は現在も変わっておりません。引き続き、重要な参照資料の一つとして建白書を活用していくために、防衛省において保存期間のさらなる延長を検討しているところでございます。

 この保存期間が満了した際の取り扱いにつきましては、平成二十六年の小野寺、江渡両大臣の国会における発言も踏まえまして、今後適切に判断してまいりたいと考えております。

照屋委員 これは大臣、一旦定められた保存期間を延長して既に間もなく一年、さらに延長するというのはどれぐらいの期間延長するのか。

中谷国務大臣 現在、一年延長ということでございまして、この期間も含めまして検討しているということでございます。

照屋委員 これは中谷大臣、小野寺大臣も江渡大臣も、非常に個人的には前向きな答弁があったんですよ。これをだらだらだらだらと一年も二年も保存期間を延長して、そのうち沖縄県民は建白書の存在を忘れてしまうだろう、こういうこそくな考え方だと、私は、国がこの間、沖縄の負担軽減に努力をするとか、あるいは沖縄県民に向き合うとか、そういうのが白々しく受けとめられる。

 大臣、これはぜひ、歴史的な文書ですから国立公文書館に保存するように早期に決定するように意見を申し上げて、質問を終わります。

小野寺委員長代理 これにて照屋君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十四分散会


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