衆議院

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第4号 平成28年5月24日(火曜日)

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平成二十八年五月二十四日(火曜日)

    午後一時三十五分開議

 出席委員

   委員長 左藤  章君

   理事 江渡 聡徳君 理事 小野寺五典君

   理事 大塚  拓君 理事 武田 良太君

   理事 山口  壯君 理事 青柳陽一郎君

   理事 玉木雄一郎君 理事 伊佐 進一君

      井上 貴博君    今津  寛君

      小田原 潔君    大西 宏幸君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      北村 誠吾君    熊田 裕通君

      笹川 博義君    辻  清人君

      中谷 真一君    西銘恒三郎君

      橋本  岳君    原田 憲治君

      藤丸  敏君    八木 哲也君

      緒方林太郎君    辻元 清美君

      長妻  昭君    横路 孝弘君

      佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君

      下地 幹郎君    照屋 寛徳君

      武藤 貴也君    吉田 豊史君

    …………………………………

   防衛大臣         中谷  元君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   外務副大臣        木原 誠二君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   防衛大臣政務官      熊田 裕通君

   防衛大臣政務官      藤丸  敏君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 露木 康浩君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 掛江浩一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 辻  裕教君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中島 明彦君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     辻  清人君

  門山 宏哲君     八木 哲也君

  薗浦健太郎君     西銘恒三郎君

  原田 憲治君     橋本  岳君

  長妻  昭君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     小田原 潔君

  西銘恒三郎君     井上 貴博君

  橋本  岳君     原田 憲治君

  八木 哲也君     門山 宏哲君

  緒方林太郎君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     薗浦健太郎君

    ―――――――――――――

三月九日

 大軍拡中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七九五号)

 同(笠井亮君紹介)(第七九六号)

 同(志位和夫君紹介)(第八三九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八四〇号)

 緊急出動のある自衛官の官舎の改善に関する請願(宮川典子君紹介)(第七九七号)

 同(山田賢司君紹介)(第八三八号)

 同(大西宏幸君紹介)(第八七四号)

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八三三号)

 同(池内さおり君紹介)(第八三四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第八三五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八三六号)

 同(宮本徹君紹介)(第八三七号)

 同(清水忠史君紹介)(第八八七号)

同月二十三日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(田村貴昭君紹介)(第九〇一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九〇二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第九〇三号)

 同(畠山和也君紹介)(第九〇四号)

 同(藤野保史君紹介)(第九〇五号)

 同(堀内照文君紹介)(第九〇六号)

 同(真島省三君紹介)(第九〇七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九〇八号)

 同(宮本徹君紹介)(第九〇九号)

 同(本村伸子君紹介)(第九一〇号)

 同(池内さおり君紹介)(第九九五号)

 同(笠井亮君紹介)(第九九六号)

 同(宮本徹君紹介)(第九九七号)

 緊急出動のある自衛官の官舎の改善に関する請願(中谷真一君紹介)(第九二九号)

 同(小田原潔君紹介)(第九八三号)

同月二十九日

 西日本各地からの辺野古埋め立て用の土砂採取計画の撤回に関する請願(真島省三君紹介)(第一一二二号)

四月十五日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一四四九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一五四七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一五四八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五四九号)

 同(真島省三君紹介)(第一五五〇号)

 同(仲里利信君紹介)(第一五六八号)

 同(真島省三君紹介)(第一五八一号)

 戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(真島省三君紹介)(第一五五一号)

 辺野古新基地建設工事の中止に関する請願(堀内照文君紹介)(第一五八二号)

五月九日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六二五号)

 同(大平喜信君紹介)(第一六二六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六二七号)

 同(清水忠史君紹介)(第一六二八号)

 同(島津幸広君紹介)(第一六二九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一六三〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六三一号)

 同(堀内照文君紹介)(第一六三二号)

 同(真島省三君紹介)(第一六三三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六三四号)

 同(本村伸子君紹介)(第一六三五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八二三号)

 同(岡本充功君紹介)(第一八二四号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一八二五号)

 同(重徳和彦君紹介)(第一八二六号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一八二七号)

 同(古川元久君紹介)(第一八二八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八二九号)

 戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(島津幸広君紹介)(第一六六〇号)

同月十六日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(清水忠史君紹介)(第一八六六号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一九一五号)

 同(池内さおり君紹介)(第二〇一五号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二〇一六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二〇八六号)

 同(堀内照文君紹介)(第二〇八七号)

 戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(清水忠史君紹介)(第一八六七号)

 辺野古新基地建設工事の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二〇八八号)

 同(池内さおり君紹介)(第二〇八九号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二〇九〇号)

 同(大平喜信君紹介)(第二〇九一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二〇九二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二〇九三号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二〇九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二〇九五号)

 同(清水忠史君紹介)(第二〇九六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二〇九七号)

 同(島津幸広君紹介)(第二〇九八号)

同月十八日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二一九一号)

 同(真島省三君紹介)(第二一九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二五三号)

 戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(志位和夫君紹介)(第二一九三号)

 同(真島省三君紹介)(第二一九四号)

同月二十三日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(清水忠史君紹介)(第二三〇四号)

同月二十四日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(池内さおり君紹介)(第二六〇六号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二六〇七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六〇八号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二六〇九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六一〇号)

 同(島津幸広君紹介)(第二六一一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二六一二号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第二八五六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八五七号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三一二二号)

 同(近藤昭一君紹介)(第三一二三号)

 辺野古新基地建設工事の中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二六一三号)

 同(池内さおり君紹介)(第二六一四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二六一五号)

 同(大平喜信君紹介)(第二六一六号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六一七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六一八号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二六一九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六二〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第二六二一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六二二号)

 同(島津幸広君紹介)(第二六二三号)

 戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(島津幸広君紹介)(第二六二四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二八五八号)

 同(池内さおり君紹介)(第二八五九号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二八六〇号)

 同(大平喜信君紹介)(第二八六一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二八六二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二八六三号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二八六四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二八六五号)

 同(清水忠史君紹介)(第二八六六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八六七号)

 同(島津幸広君紹介)(第二八六八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二八六九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八七〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二八七一号)

 同(畠山和也君紹介)(第二八七二号)

 同(藤野保史君紹介)(第二八七三号)

 同(堀内照文君紹介)(第二八七四号)

 同(真島省三君紹介)(第二八七五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二八七六号)

 同(宮本徹君紹介)(第二八七七号)

 同(本村伸子君紹介)(第二八七八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

左藤委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官露木康浩君、警察庁長官官房審議官掛江浩一郎君、法務省大臣官房審議官辻裕教君、外務省北米局長森健良君、防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君、防衛省整備計画局長真部朗君、防衛省地方協力局長中島明彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

左藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 きょうは、委員外委員でありますのに、委員長を初め理事の先生方、委員の皆様、発言の機会を与えていただきましたことを、冒頭、心より感謝申し上げます。

 大変な事件が発生しました。四月の下旬から行方不明になっていた沖縄県うるま市の女性が遺体で発見され、元海兵隊員の軍関係者が五月の十九日、死体遺棄容疑で緊急逮捕されました。

 この事件は、私は、米軍基地があろうがなかろうが、被疑者が米軍関係者であろうがなかろうが、どこの国の人間であれ人間としてあるまじき行為であり、絶対に許されない犯罪行為だと考えております。御遺族のことを考えると、本当に言葉を失ってしまいます。心から御冥福をお祈りいたします。

 沖縄県民にとりましては、また起こってしまったのかという感情と同時に、深い悲しみ、悔しさ、怒り、恐怖感、そして大きな衝撃を与えております。恐ろしい状況であります。

 なぜならば、一九七二年の祖国復帰から今日までの四十四年間で米軍関係の凶悪犯罪が五百七十四件、一九六四年から六八年の五年間、この時期はベトナム戦争の激しい時期にも重なるかと思いますが、五百四件、さらには、それ以前の終戦直後から一九五〇年代、まだまだ社会が落ちついていないこの時代に、記録には残らない数え切れないほどの犯罪が存在をするからであります。

 このような歴史的な背景の中で、今回の事件をぜひとも認識していただきたいと思うのであります。

 今の沖縄の状況を御出席の先生方に御理解いただくために、県民を代表する県議会の場での議論のやりとりといいますか、決議案の状況等について、ぜひとも御理解をいただきたく、手短に説明をしたいと思います。

 元海兵隊の米軍関係者による女性死体遺棄事件に関する抗議決議案、これは与党、野党で今すり合わせをされている段階であります。

 元海兵隊員の米軍関係者によるこのような蛮行は、県民の生命をないがしろにするものであり、断じて許せるものではない。遺族の悔しさや悲しみははかり知れず、県民からは激しい怒りの声が噴出をしている。県議会は、米軍人軍属等による事件、事故が発生するたびに、綱紀粛正、再発防止及び関係者への教育等を徹底するよう米軍等に強く申し入れてきたところであり、ことしの三月二十二日には、那覇市で発生した米軍人による女性暴行事件に関する抗議決議を行い、厳重に訴えたばかりである。それにもかかわらず、またもやこのような事件が続発したことは極めて遺憾であり、米軍における再発防止への取り組みや軍人軍属等に対する教育等の実効性に疑問を抱かざるを得ない。よって、本県議会は、県民の人権、生命、財産を守る立場から、今回の事件に対し厳重に抗議するとともに、下記の事項が速やかに実現されるよう強く要求する。

 一、遺族への謝罪及び完全な補償を行うこと。二、米軍人軍属等の綱紀粛正及び人権に関する実効性のある教育等を実施し、再発防止の取り組みを行うこと。三、普天間飛行場を閉鎖、撤去するとともに、県内移設を断念すること。四、在沖海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理縮小を図ること。五、日米地位協定の抜本的な見直しを行うこと。

 この五項目が、今与野党で協議をされている最中であります。三番目の県内移設を断念することという部分や、四番目の在沖海兵隊の撤退という部分で、私ども自民党の県議団と県政与党の皆さんとで意見の一致が見られないままの状態が続いていると聞いております。このような大変な状況になっていることをぜひとも御理解いただきたいと思います。

 冒頭、県民の感情、思いからいたしますと、今回の事件の名称が死体遺棄容疑事件となっておりますが、なぜ殺害という文字が入っていないのか、一般論として、この事件はいわゆる凶悪犯に該当すると考えておりますが、見解を伺いたいと思います。

露木政府参考人 お尋ねのこの事件でございますけれども、沖縄県国頭郡恩納村の雑木林に、当時二十の女性の死体を遺棄したとして、五月十九日、沖縄県警が三十二歳の元米軍人の男を逮捕したものでございます。

 お尋ねの殺害についてでございますけれども、沖縄県警察におきましては、被害者が死亡した経緯あるいは犯行動機などについて現在鋭意捜査を進めているところでございまして、今後の捜査により、その点を解明してまいりたいと考えております。

 なお、凶悪犯かどうかにつきましては、私ども警察の犯罪統計におきましては、殺人、強盗、放火、強姦、この四罪種を凶悪犯というふうに分類いたしておりまして、死体遺棄そのものにつきましては含まれておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、今後の捜査によって殺人といったことが解明されてくれば、これは凶悪犯という範疇に入るものと考えております。

西銘委員 こういう大変な事件に対しまして、県民感情といたしましては、被疑者に対して極刑を望む声もあります。我が国刑法の規定でどうなっているのか、御説明をいただきたいと思います。

辻政府参考人 我が国の刑法第百九十九条におきましては、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」このように規定されてございます。

 それで、殺人罪の適用についてでございますが、御指摘の事件については、現在、那覇地方検察庁において、送致を受けて捜査中であるものと承知しております。今後、殺人罪が適用されるか否かにつきましては、捜査機関によって収集された証拠に基づいて判断される事柄でございますので、現段階におきましてお答えは差し控えさせていただきたいと存じます。

西銘委員 捜査の関係で、日米地位協定との関係で質問をしたいと思います。

 報道によりますと、被疑者は、五月の十六日、任意の事情聴取の段階では関与を否定していたと。ところが、五月の十八日、車からDNA反応が検出された後、五月の十九日には、死体遺棄の現場をみずから自供し、その現場で緊急逮捕になったと聞き及んでおります。

 そこで伺いますが、一般論としてで結構でありますが、警察の捜査の現場で、任意事情聴取の後、被疑者がもし米軍基地の中に逃げ込んだ場合、地位協定の十七条、身柄拘束に関する部分で、現場の捜査に支障を来すものと考えております。地位協定十七条の身柄拘束の問題も含めて、今回の事件について、そういう現場での捜査に支障がなかったのかどうかを含めて御答弁をお願いしたいと思います。

露木政府参考人 今回の捜査におきましては、ただいま委員御指摘のとおり、被疑者は沖縄県警察の手中にあり、沖縄県警察において逮捕いたしておりますので、身柄の問題については、現実の問題として生じてはおりません。

 なお、一般論ということでございますけれども、今御指摘のとおり、日米地位協定第十七条5(c)の定めにより、米軍人または軍属である被疑者の身柄が米軍当局の手中にある場合には、米軍当局の協力を得て取り調べをするということになろうかと思います。

 なお、平成七年の刑事裁判手続に関する日米合同委員会合意により、起訴前に被疑者の拘禁が移転され、日本側で身柄を拘束することもできる場合があるというふうにされております。

 いずれにいたしましても、警察としましては、関係する規定に従って捜査を遂げるという立場でございます。

西銘委員 なぜ県民の中から日米地位協定の抜本的な改正を望む声が出てくるかということに関しまして、先ほど、歴史的な背景をお話しいたしました。一九四五年の終戦直後から社会が落ちつくまで、五〇年代、六〇年代、本当に、記録に残らないさまざまな犯罪が起こっております。そのときに、米軍基地の中に逃げてうやむやになったという事例が、記録に残らない中で数多くあるわけです。そういう中で、日米地位協定が壁になって、現場の捜査、真相を徹底解明することに支障が生じることは絶対にあってはならないと考えております。その意味で質問をしたわけであります。

 県民の中には、日米地位協定で米軍人軍属が特権的に守られているから、あるいは、激しい地上戦を戦って血を流して領土をとったといいますか、植民地感覚がいまだに残っているのではないか、それらのことがこれらの凶悪犯罪の温床になっているのではないかと考える人もおります。

 日米地位協定の抜本的な改正を望む県民の思い、この辺に思いをいたして、日米地位協定の身柄引き渡しの十七条五項の(c)を取り払えば、運用改善、(a)の運用とでうまくできるんじゃないかというところまで私は考えが及ぶのでありますが、木原外務副大臣の見解を伺います。

木原副大臣 まず、本件につきましては、まさに将来ある大変若い女性の方が、米軍属の極めて卑劣な行為によりまして、極めて残忍で凶悪な事件に巻き込まれたということであります。私どもとして極めて遺憾に思っておりますし、アメリカに対しましても、強く抗議をするとともに、再発防止等を求めているところであります。

 今、日米地位協定の御質問をいただいたわけでございます。

 この地位協定に対する沖縄県民の皆様のさまざまな思いをこれまでも私どもは受けとめて、これは相手があることではありますけれども、いわば実質的にこの改善を積み重ねてきたということでございます。

 今御質問をいただきました刑事分野におきましては、これまでもさまざまな運用改善の取り組みを行ってきておりますけれども、日本側に第一次裁判権がある犯罪についての被疑者の拘禁について、起訴前の拘禁の日本側への移転を可能とする一九九五年の日米合同委員会合意の枠組みが現状ございます。実際に、同合意に基づいて起訴前の拘禁の移転が行われてきているという事実もございます。

 引き続き、日米地位協定についてさまざまな御意見があることは重々承知をしておりますが、まず、私どもといたしましては、手当てすべき事項の性格に応じながら、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取り組み、実質的な見直しという中で不断に改善を図ってまいりたい、このように考えているところでございます。

西銘委員 日米地位協定の改善に向けた取り組みが、私も委員会でそれぞれ何度も質問しておりますから、大変厳しい状況は認識をしております。

 ですけれども、一九四五年の終戦から七十一年近くたった中で、時代の状況が大きく変わっている。国会の中でも、日本国憲法の改正の審議会、議論が行われている。日米安保条約に基づく日米地位協定についても、九五年の少女暴行事件以来、運用の改善で身柄の引き渡し等についても改善された点も理解をしておりますが、県民のこの歴史的な背景からくる思いといいますか、どうも特権で守られていると。

 憲法改正を議論するような時代の中にあって、日米地位協定の改正の議論が、不磨の大典ではない、時代に合わせて変わるべきところは、日米関係が深化すればするほど、信頼関係があればあるほど、もう一歩踏み込んで何か話ができないものか。

 日米地位協定運用改善は、日米合同委員会の合意事項といって、記録に、文言に残っていると思いますが、この合意された事項を条文に書き込む。そのことによって、私の感覚では、現場で捜査をしている警察の方が、軽犯罪についてもむやみやたらに身柄を要求するとは考えておりません。県民感情がわかる現場の警察の捜査官は、この事件は大変だから早目に身柄をとろうとか、そういう現場の判断に支障がないような状況に地位協定の改善を条文に書き込むことがなぜできないのかという思いが素朴な思いであります。

 木原副大臣におかれましては、答弁は苦しいと思いますが、その辺の県民の歴史的な思いも含めて、御所見を賜ればと思います。

木原副大臣 今まさに御指摘いただきましたように、憲法には、幸福追求権という十三条がございます。憲法と日米地位協定、ではどちらが優先するのかといえば、当然これは憲法の規定が優先するわけであります。そしてまた、憲法について、改正の議論もあるということも承知をしております。

 そういう中にありまして、やはり憲法上守られるべきさまざまな権利がしっかりと守られるように、この日米地位協定の運用改善を通じながら、これをしっかりと確保してまいりたい、このように思っております。

 また、日米地位協定は、もう委員御案内のとおり、さまざまな日米間の合意を包括的にまとめた体系でございますので、今御指摘いただいたようなさまざまな日米間の合意につきまして、全体として運用改善が図られるように私ども努力をしてまいりたい、このように思っております。

西銘委員 厳しい米側との交渉の中で、環境の点でも合意に至ったという点は評価をしておりますが、県民の感情、特に政治の現場にいる私たちは、この思いというものを無視することはできません。

 どうぞ、木原副大臣、将来ある若手政治家として、改正するべき時代に変わって、変わると同時に改正すべきものは改正していく、守るべきものは守るという気概をぜひ持っていただきたいと思います。

 次に、米軍関係の事件、事故が起こるたびに沖縄県議会は抗議決議を繰り返してきております。私も、県議会に四期十五年おりましたが、その中で、綱紀粛正と再発防止、この言葉を何度も何度も、そして何度も繰り返し要請をしてきております。恐らく、百四十二万県民にとっては、この言葉はもはや、むなしいといいますか、さびついた言葉といいますか、もうこれ以上聞きたくないというぐらいの感覚の言葉になっております。

 今回の事件は公務外の軍属による犯罪でありますが、ことしの三月には、先ほども話したように、米兵による女性暴行事件が発生をしており、同様の事件がゼロになることがありません。

 再発防止という視点で、市民、県民、国民の安全、安心にかかわる部分は、市町村、あるいは県、国、米国を含めて関係するところが全てこれまでの取り組みを詳細に検証をして、二度と起こらないように、凶悪犯罪をゼロにすべく、今後の取り組みまで含めて、政府の強い決意をお伺いしたいと思います。

木原副大臣 改めまして、今回の事件につきまして、極めて卑劣な行為でありますし、残忍で凶悪な事件であり、極めて遺憾だというふうに思っております。

 そして、今委員から御指摘いただいたように、綱紀粛正と再発防止という言葉は非常にむなしい思いがするということについて、私ども、しっかりと胸に刻みたいと思いますし、大変申しわけなく思うところでもあります。

 こうした事件が二度と起こらないようにということで、私ども、岸田外務大臣がケネディ大使を招致というか呼び出して、極めて強い抗議を行う、このことも含めて米側に対しては強く抗議をするとともに、再発防止の徹底、とにかく実効的で、そして具体的な再発防止策を組むようにということを強く求めているところでありますし、私どもも、これを引き続き求めると同時に、しっかり関与してまいりたい、このように思っております。

 そして、やはりそうした再発防止策の検討、具体的な、そして実効ある再発防止策の検討に当たっては、これまでの取り組みがどうだったのかということの検証なくしてこれは前に進まない、このように思いますので、米側のこれまでの対応の実効性についてもしっかりと議論をしてまいりたい、このように考えております。

西銘委員 米軍基地の周辺の市町村、そして県、国、警察関係、あるいは米軍の中の警察機能を果たしている部分、ありとあらゆる関係する部署が常日ごろから情報交換なりすることによって、本当に実効性のある再発防止対策を講じていただきたいと強く強く要望しておきたいと思います。

 次に、今回の逮捕が起こった時点で、防衛大臣、外務大臣が夜中に在日米軍司令官あるいはケネディ駐日大使を呼び寄せて強く抗議をした点、速やかな行動には敬意を表したいと思います。

 いよいよ今月の末にはサミット、日米首脳会談が予定をされております。我が国の安全保障を担う防衛大臣、今回の事件を踏まえ、防衛大臣としての取り組み、また、総理に対して、今回の事件をぜひオバマ大統領との首脳会談で取り上げるよう強く申し入れるべきだと考えておりますが、防衛大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

中谷国務大臣 今回の事件は、絶対にあってはならない、極めて残忍で凶悪な事件でありまして、言語道断で、このような事件が起こったことは極めて遺憾であり、そして強い怒りを持ちまして、米国に対して申し入れ、抗議をいたしました。

 先週土曜日、私は、沖縄に参りまして、四軍調整官、ニコルソン司令官を呼びまして、同趣旨の抗議を行い、また再発防止を求めました。また、当日の夜、カーター国防長官に電話で、日本政府としての抗議、また再発防止を求めたわけでございます。

 具体的にしっかりと対応していただくということで、沖縄のニコルソン四軍調整官からは、こういった米軍人のみならず軍属による事件、事故の再発防止についてしっかり対応すると。また、そういった議論を沖縄の防衛局長との間で行うように、防衛局長には指示をしましたが、カーター国防長官からもニコルソン四軍調整官にしっかり対応するようにと、しっかり対応するというようなことをカーター長官の方から約束をいたしたわけでございます。

 サミットにつきましては、総理が翁長県知事と会談をした際に、オバマ大統領に対しても、国民の気持ちを踏まえて厳正な対処を求めていきたい、首脳会談が行われた場合にはそういう趣旨の話をすると、総理の方から話したわけでございます。

 こういったことで、政府としても、しっかり米側に今後の対策を求め、二度とこのようなことがないようにしっかり対応してまいりたいと考えております。

西銘委員 ぜひ強い決意を持って、二度とこういう事件が起こらないように、凶悪犯罪ゼロを目指して取り組んでいただきたいと思います。

 木原副大臣に、通告外ですけれどもお伺いしたいんです。

 我が国の安全保障、周辺の国々を見ていても、台湾で新しい政権ができて、中国との関係、中国の軍備の状況、あるいはロシア、安倍総理とプーチンとの会談が十三回に及ぶ、あるいはヨーロッパでは、イギリスでEUを離脱するのかしないのかの国民投票が行われる、こういう第四次の産業革命が起ころうともしている大きな時代環境の変化の中で、安全保障環境も私は変わってきていると思っております。

 日米安保体制を基軸にする安全保障の根幹の中でも、一九九〇年代のアメリカの上院議員でサム・ナンという軍事委員長がおりましたけれども、彼がこういう発言をしております。米国のヨーロッパとの安全保障のかかわり方で、地上軍ではなくて空軍を主体にするべきではないかという議論が九〇年代ぐらいから出ているのであります。

 私は、ずっとこのことが気になっておりまして、これをそっくりそのままアジア太平洋地域に応用できるとは考えませんけれども、我が国の安全保障のあり方として、空軍主体、ICTがこれだけ発達していく中で、空軍主体の日米安保条約体制のもとでのあり方、あるいは横須賀の海軍の基地との連携でのあり方、それも踏まえて、そろそろ柔軟な発想で検討すべき時期に入ってきているのではないかということを強く感じますが、木原外務副大臣の御所見を聞かせてください。

木原副大臣 大変難しい御質問をいただいたというふうに思います。

 委員から、国際環境の変化ということを御指摘いただきました。

 やはり、私どもにとりましては、日米安保体制を中核とした日米同盟が我々の外交そして安全保障政策の中核であるということはこれからも変わりがありませんし、日米安保体制が我が国の平和とアジア太平洋地域の平和に引き続き貢献していくということも変わらないというふうに認識をいたしております。

 そういう中にあって、同時に、私ども、やはり海の安全ということが非常に大切な国であります。海洋の安全保障をどう確保していくかということは最大の課題であろうというふうに思います。

 そういう中で、御専門はやはり防衛大臣かというふうに思いますが、陸海空含めてバランスよくきちっとした安全保障体制にしていく、そして不断の見直しを図っていくということが大切なことであろうと認識をしております。

西銘委員 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 今回のこの卑劣な事件に対しまして、まず強く抗議をさせていただきたいというふうに思っております。県民のこれほどの憤り、不信、不安であったり、また、御遺族の方々の苦しみ、これを思うと言葉がありません。

 しかし、こうしたことがずっと繰り返されてきたわけでございます。これを沖縄の問題じゃなくて日本全体の問題としてしっかりと捉まえて、また、日本全国で同苦していく、苦しみを共有していくことが必要じゃないかというふうに思っております。日本政府は真剣にかつ誠実に対応していただきたいと強く申し上げたいと思います。

 公明党の沖縄本部としても、怒りの抗議というものをしております。沖縄にあります米国総領事館、外務省、また防衛省にも抗議をさせていただいております。県民の怒りはもう限界だ、この趣旨に沿いつつ質疑を行わせていただきたいと思います。

 事件がたびたびこうして起こってきた、そのたびに再発防止というものが繰り返されてまいりました。一九七二年に復帰をして二〇一五年までの間の四十三年間で、米軍関係者の犯罪検挙数は五千八百九十六件、凶悪犯は五百七十四件。先ほどの同僚委員の方からも、記録に残らないものもあるのではないかというような御示唆もございました。

 まず、私が質問させていただきたいのは、謝罪と賠償についてお尋ねしたいと思います。

 今回の事件、まずその全容をしっかりと把握していく、そして動機であるとかあるいは背景というものを解明していく。つまり、そうでないと、本当に再発防止といったときに有効な手段は一体何なのか、本当の意味で再発防止というのができないのではないかというふうに思っております。

 謝罪については、米国政府から、既にカーター国防長官からも謝罪があった、ケネディ大使からも謝罪の気持ちの発言がございました。

 では、賠償はどうかということですが、今回のケースは公務外です。また、責めを負うべきは罪を犯した者、罪を犯したとなれば当然その本人になるわけですが、しかし、日本での滞在の理由、資格というものを考えますと、地位協定によって身分が保障されているわけです。

 つまり、軍属がやった、軍人じゃないんだというわけですが、日米政府は、軍属であったとしても、また公務外であったとしても、地位協定によって身分が保障される以上は賠償に対して責任があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、今般の事案は米軍属による公務外の事案であろうかと承知しております。

 一般論として申し上げますと、公務外の事案である場合には、原則として加害者が賠償責任を負って、当事者間の示談によって解決されることがまず追求されることになります。

 しかしながら、示談が困難な場合、これは軍属の居住状況などによりますけれども、日米地位協定第十八条第六項におきまして補償金の支払いについての規定がございます。

 具体的には、米国政府が慰謝料の額を決定し、被害者の受諾を得た上で支払うこととされておりますけれども、この米国政府による慰謝料の決定に当たりましては、我が国として、被害者からの賠償請求を受けまして、事件に係る全ての事情を考慮してその内容を審査した結果、報告書を米国政府に送付することとされているところでございます。

 今般発生した事件の事実関係につきましては現在捜査中でありまして、この条項の適用について確定的なことは申し上げられませんけれども、防衛省といたしましては、捜査の推移を注視しつつ、御遺族の心情に配慮しながら、できる限りの対応を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

伊佐委員 確かに今まだ捜査中でございますので、確定的なことは申し上げられないということでございましたが、言及いただいたように、地位協定十八条第六項の中では、場合によっては、当然、米国政府が慰謝料を払うというような可能性もあるということでございました。

 いずれにしても、御遺族の方々の心情に十分に配慮して対応していただきたいというふうに思っております。

 再発防止について伺いたいと思います。

 事件が起こった後の日米の権限について、つまり地位協定については後ほどまた議論させていただきたいというふうに思っておりますが、まずその前に、事件を起こさないという再発防止について質問させていただきます。

 先ほどの同僚委員からもありましたように、もう何度もこれは言われてきた、再発防止という言葉がもはやむなしい、こういうように感じられるようになってしまってはいけないんじゃないかというふうに思っております。再発防止というものを本当に有効性があるものにするにはどうするのか、しっかりと知恵を絞っていかなきゃいけないというふうに思っております。

 一九九五年に小学校六年生の女の子が米兵三人に暴行されて、米軍関係者の起こす凶悪事件の七割が沖縄で発生しているという状況です。直近では、二〇一二年の十月に海軍兵士二名が集団強姦致傷容疑で、最終的には実刑判決を受けました。また、本年三月にも那覇市内のホテルで観光客の女性が米兵に暴行された。

 こういうことがあるたびに再発防止というものをやってきたわけですが、この再発防止、今まで米軍はどういうような措置をとってきたというふうに日本政府は認識していらっしゃるでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、平素から米軍に対しまして、隊員の教育、綱紀粛正を図るなど、事件、事故の防止に努めるよう申し入れているところでございまして、我々が承知している限りにおきまして、米軍において、事件、事故の防止のため、軍においては、例えば、勤務時間外行動の指針、これはリバティー制度と呼んでおりますけれども、こういった措置を講じて未然防止に取り組んできていると承知しております。

 具体的には、リバティー制度におきまして、米軍施設・区域外の公共の場における飲酒の制限、外出時間の制限、外出時の同伴者の義務づけなどを規定しているところでございます。

 このほか、沖縄におきましては、在沖米軍によります取り組みといたしまして、米軍人が週末及び休日の夜間に生活指導のために市街地等の巡回を行っているというふうにも承知しております。

 また、各軍におきましても、それぞれ、例えば、陸軍においては毎週金曜日に安全面に関するブリーフィングを実施しているほか、海兵隊におきましては、車両の出入りの際、抜き打ち的に飲酒検査を行っているというふうに承知しております。

 このように、米側においては、軍人による事件、事故の未然防止に取り組んできているものというふうに承知しております。

伊佐委員 翁長知事が総理との会談の中で、激しい憤りとやるせなさを感じるということをおっしゃっておりました。やるせなさという言葉を使われたわけですが、私もそのとおりだろうというふうに思っております。

 こうしていろいろ再発防止をやってきた、今回はこういうことをやりました、そういうものがあってもこうやって繰り返される。これをどうやって本当に有効性あらしめるのかということが重要で、再発防止について、大臣の方からも、米軍人のみならず、米軍属に係る実効的かつ説得力ある再発防止が必要というふうに米側に申し入れられております。この実効的かつ説得力あるというのがどういうことかというのが大事だと思っております。これは、答弁の中でも、こういうふうに承知しておりますと。

 もちろん、再発防止を誰が本当に主体的にやっていくか。当然、米軍であり、また米国政府、一義的にはそうだというふうに思いますが、では、米国が考えてくれればいいんだ、もっとしっかりやってくれとこっちからお願いするばかりでいいのかというふうにも思っております。

 日本だって再発防止に責任がないかというと、私はそうじゃないというふうに思っております。この再発防止に対して、日本も責任を持って、一緒になって何ができるかというのを申し入れて、しっかりと話し合っていかなければいけないというふうに思っております。

 大臣に伺います。

 米軍が約束する再発防止ではありますが、日本政府としても積極的にかかわっていくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

中谷国務大臣 二度とこのようなことが起こらないように、私の方から、沖縄に参りまして、ニコルソン四軍調整官に徹底した再発防止を求めました。その際、ニコルソン四軍調整官からは、今後は、軍人のみならず、軍属による事件、事故の再発防止を強化するという発言がありました。

 その際、私の方から、同席をしておりました沖縄の防衛局長に対して、こういった米軍属による事件、事故の再発防止策について米側と協議を行うように指示をしまして、それに対して、ニコルソン四軍調整官からは、そういった協議をするという回答がありました。

 その夜、カーター国防長官に電話をいたしまして、こういった実効性ある具体策を求めて、このような沖縄でのやりとりも話したところ、カーター長官から、沖縄のニコルソン四軍調整官による取り組みをバックアップするということで、将来このような事件を防止するためにできることは全て行うという発言がございました。

 こういった対応等につきまして、従来、ワーキングチームがありまして、その場において再発防止、綱紀粛正、教育強化について働きかけをしたわけでございますが、今後、さらなる対応をとるということで、こういった精神教育からいろいろな指導等につきましていかなる対応が実施できるかどうか、しっかりと米側と協議をして、早急にまとめて実行してまいりたいと考えております。

伊佐委員 大臣の方からワーキングチームの言及がございました。ことしの三月に事件が起こって、それを受けて四月から始めた。これは、米軍が独自に考えるだけじゃなくて、しっかりと日本政府も、あるいは関係者もそのワーキングチームに入って、そこで一緒になって汗をかいていく、努力していくものだというふうに伺っております。こうした事件が続く以上、なお一層のこと、日本側としてより積極的に、主体的にかかわっていただきたいというふうに思います。

 米国側も、今までの再発防止で本当によかったのか、その有効性がどうだったのか、こういう認識でいるんじゃないかというふうに思います。ケネディ大使も、十九日の時点で、このような事件が二度と起こらないように努力を倍加するというような発言をされております。倍加する、つまり、今までよりもさらに一層やらなきゃだめなんだという認識でいるというふうに思いますので、ぜひ日本政府としても積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、地位協定についてです。

 今回の捜査、ケネディ大使も捜査に対して全面的に協力するというふうな発言があって、また、カーター国防長官からも同様の趣旨の発言がございました。

 まず伺いたいのは、今回の事件の捜査を進めていく上で地位協定上の障害があるのかどうか、伺いたいと思います。

露木政府参考人 日米地位協定が今回の捜査の障害になったというような報告はございません。

伊佐委員 地位協定が障害になっていないということですが、それは、今回、容疑者が軍人じゃなくて軍属だから地位協定上の障害がないということなんでしょうか。いかがでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 今答弁がございましたとおり、本件については、これまで捜査の障害にはなっていないと承知しておりますし、今後もそういうことは想定されないと考えております。これは、被疑者が軍人ではなくて軍属だからということではないというのが認識でございます。

 と申しますのは、地位協定上、第十七条、刑事裁判管轄権に関する規定を含めまして、軍人と軍属の扱いについては基本的に違いがないという状況でございます。

 軍人、軍属を問わず、公務外の犯罪については我が国が第一次裁判権を有しておりまして、したがって、本件について、日本国の当局が被疑者の身体を拘束している以上、日米地位協定によって手続が滞ることは想定されないと考えております。

伊佐委員 つまり、軍人か軍属かによって今回障害がなくなったというわけじゃないということ、軍人であっても軍属であっても、地位協定上の扱い、身分は一緒だというふうに今答弁をいただきました。

 だから、今回の事件は、まず公務外であったという点と、そしてまた県警が最初に確保したというところ、これによって県警主導ということになった。つまり、地位協定上の障害なく捜査が進んでいる。今の警察庁の答弁もございました。

 今回は地位協定上の問題、障害はないんですが、ただ、今回を機会にして地位協定の見直しをすべきじゃないか、こういう質疑も今なされているわけでございます。これに対して、今まで政府側は、運用の改善をしてきましたという答弁をしておられます。つまり、機敏に対応できる実質的な取り組みということで運用の改善をしてきたと。

 これは、九五年に先ほど申し上げた少女暴行事件があって、米側が先に容疑者の身柄を拘束した。県警がこれに対して引き渡しを要求したものの、米側は結局、それを地位協定を盾にして拒否した。ここから県民の怒りが爆発をして、そして世論の反発もあって、その年の十月に運用の改善というものを行いました。

 運用の改善というのは、刑事裁判上の手続で、地位協定上のさまざまな制約があったとしても、殺人及び強姦という凶悪な犯罪では、日本が被疑者の起訴前の拘禁の移転を求めれば、米側は好意的な考慮を払うと。凶悪犯罪であれば、起訴前であれば身柄の移転を求めたら配慮します、好意的な考慮を払う。この好意的な考慮というものでどこまで対応できるのかというのも一つ重要なポイントじゃないかというふうに思っております。

 この運用の改善を行った後に、例えば二〇〇二年の十一月には、具志川市、今のうるま市でございますが、ここで米兵の女性暴行未遂事件が起こりました。このときも県警が身柄引き渡しを要請しましたが、拒否されております。

 そこで、ちょっとお尋ねしたいんですが、今回の地位協定、運用の改善でこれまで臨んできたというふうに政府はおっしゃっておりますが、では、これまで、さまざまな事件において、この運用の改善が適用されて身柄引き渡しになった例というのはありますでしょうか。

森政府参考人 ございます。御指摘の九五年の合意以降、五件存在しております。

 平成八年の長崎県での強盗殺人未遂事件、平成十三年、沖縄県の強姦事件、平成十五年、沖縄県の強姦致傷事件、平成十八年、神奈川県の強盗殺人事件、平成二十年、神奈川県の強盗殺人事件、以上五件が実例としてございます。

伊佐委員 適用はされてきているという話でございました。

 でも、先ほどの話に戻りますが、県民の皆さんの不安とか不信にどう寄り添えるかというのが一番大事なポイントであって、例えば、この運用の改善という点についても、もしそれが運用の改善で対応するというのであれば、それがしっかりと実効性を持つ、有効性を持つように米国に不断に求め続けていくべきだというふうに思っております。

 その上で、さっきの答弁にもありました、地位協定上は軍人と軍属の差はないんですということです。つまり、身分の差というのは基本的にない。

 その上で、では再発防止をどうやって促すか、もっと言えばどうやってコントロールをきかせていくか、ここは実は私は違うと思っています。地位協定上の保障は同じなんですが、それに対してどのようにこの再発防止の影響力を与えていくか、これが恐らく軍属と軍人では違うというふうに思います。

 軍人というのは指揮命令系統に入っております。つまり、上官がこうせよと、先ほどの夜間外出するなということになれば、それに従わざるを得ない。でも、軍属にそれが言えるか、そこまで強制できるか。なかなか難しいんじゃないかな。ましてや、米軍が直接雇っていない、基地が直接雇っていない方に対して、そういう者に対しては、有効的な再発防止、こうせよと言うのはなかなか難しいんじゃないかなと思います。

 でも、一方で、軍属だから知りませんとは当然言えないわけです。当然許されない。地位協定によって身分が保障されているのは変わらないわけですから。その上で、米軍の意識も、ニコルソン四軍調整官も、軍属の事件においても全ての責任は私にあるというふうにはっきりと言っておられます。

 伺いたいのは、今回、完全な指揮下にないこうした軍属の人たちに対して、どのように実効性のある再発防止の取り組みができるのかということについて伺いたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 本件につきましては、岸田大臣からケネディ大使を初めとしまして、綱紀粛正、再発防止を強く申し入れ、これは米側においても重く受けとめております。

 私どももいろいろな議論をしておりますけれども、その中で、米側は、今後の対応として、まずは事実関係をしっかり把握したい、経緯をしっかりと学びたい、そこから何ができるか考えたいということでございます。

 現在、本件は捜査中でございまして、必ずしも、どうしてこういうことに至ったのか、関係者がよくわからないところが多々ございますので、本件については、極めて残忍で残酷な事件でございます、これがどうして起きたのかということから始めたいというのが現状でございます。

伊佐委員 もちろん、今捜査中でもありますし、その背景、そうしたものをしっかりと調査して、また把握していくということは重要なことだというふうに思っております。

 軍属だからといって何もできないよということではないと思います。例えば、一カ月に一回でもしっかりと面談の機会を設けるとか、最近生活はどうですかとか、こういうようなものをやっていただくことによって、軍属と言われる者一人一人が今どういうような状況にあるのかということを把握してもらうとか、こういうような取り組み、何らかの具体的なものも必要なんじゃないかというふうに思いますので、ぜひワーキングチームやさまざまな機会を通じて調整していただきたいというふうに思っております。

 大臣は、二十一日の夜にカーター国防長官と電話の協議をされました。その中で、報道されていますのは、カーター国防長官からは、大変痛ましく遺憾な事件であった、遺族に心から深い謝罪の意を表明する、そしてまた再発防止に取り組む、こういう応答がございました。

 いよいよ来週以降、米国のオバマ大統領も日本を訪問する。その中で、総理と直接会って、本件に対して、また本件につながるさまざまな沖縄の事件、取り組みに対して、強い抗議と、そしてまた対応を求めていく、こういう機会が来るわけです。

 まず、木原外務副大臣にお伺いしますが、来週の伊勢志摩サミットで、オバマ大統領に対して本件についてどのように対応を求めていきますでしょうか。

木原副大臣 事件の発生を受けまして、米側に対しまして、外務大臣からケネディ大使、また、防衛大臣からもカーター国防長官を初め、強い抗議を申し上げたということについては既に御紹介がございました。

 今度のサミットの際の日米首脳会議、まだ具体的に日程自体は調整ができておりませんが、オバマ大統領に対しましては、安倍総理から国民の皆様の気持ちをしっかり踏まえて厳正な対処を求めていく、このように考えてございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 先ほどは失礼しました、今週の伊勢志摩サミットでございます。

 国民の気持ちを踏まえて厳正な対応を求めていきたいというお言葉でございました。

 中谷防衛大臣もカーター国防長官と電話では会談をされましたが、来月シンガポールで、アジア安全保障会議というところで直接会われて、そこで会談をするという機会がございます。直接会った機会に大臣はどのような姿勢で臨むのかについても伺いたいと思います。

中谷国務大臣 本年のシャングリラ会合は六月の三日から五日の予定で開催されますけれども、私も、諸般の事情が許しますと、この会合に出席する方向で今調整をいたしております。

 カーター長官と先日の電話会談で、その際、日米防衛相会談を行うべく調整いたしております。これが実現しますと、カーター長官との会合は五回目になるわけでありますが、防衛政策、地域情勢、日米防衛協力、在日米軍再編等、共通の幅広い話題について意見交換を行いますが、その中で、今般の沖縄の事件に関連しまして、私から、改めて米国に対して、この米軍属の逮捕事件について強く抗議をいたしまして、米軍人軍属の綱紀粛正、そして、遺族に寄り添った対応をしっかりしていただくように、また、事故の再発防止の徹底も強く求める考えでございます。

 いずれにしましても、日米間で、さまざまなレベルでさまざまな機会を通じまして、しっかりと誠意ある対応を求めていきたいと考えております。

伊佐委員 大臣がおっしゃっております実効的かつ説得力ある再発防止というものがしっかりと前に進むと。

 先ほどの、県民のもう限界だという声、怒り、憤り、またやるせなさと申し上げました。こうしたものにしっかりと寄り添っていただいて、最大限の誠意を持って事に当たっていただきたい。つまり、地元の理解がなければ日本全体の安全保障というのは成り立たないというふうに思っております。しっかりと地元に寄り添った対応をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。

 本日は、安全保障委員会、三十分質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 引き続き、沖縄での殺人死体遺棄事件についてお伺いをいたします。

 この件については、先ほどから何度もありますとおり、もう本当に言葉もない、そして絶対に許せないという思いを日本人全体として持っていかなくてはいけないというふうに思っております。

 まず、若干重複があるかもしれませんが、今回の事件の概要を時系列的に御説明いただければと思います。警察庁。

露木政府参考人 今回の事件でございますけれども、沖縄県国頭郡恩納村の雑木林に死体を遺棄したとして、五月の十九日でございますけれども、沖縄県警察が三十二歳の元米軍人の男を逮捕したものでございます。

 遺棄された御遺体につきましては、本年四月二十九日に沖縄県警察が行方不明届を受理して捜査などを行っておりました、当時二十の女性のものと確認をいたしております。

 現在、沖縄県警察におきまして、事案の全容解明に向けて鋭意捜査を推進しているところでございます。

緒方委員 本件が明らかになったのは琉球新報の記事がきっかけであったというふうに理解をいたしております。記事を読む限りは、情報源は捜査関係者ではないかというふうに思われます。そして、その記事を追うように、軌を一にしてかどうかわかりませんけれども、逮捕であったり、その後情報がさまざま出てきたということでありまして、これは、G7サミット前に、例えば官邸の意向をそんたくしてとか、情報を隠そうとした、そういう意図はないでしょうか。

 幾ら任意聴取をしていたとはいえ、そういう危険な人物が存在するということをあたかも秘匿したかのように見えることは問題だと思います。異常な事態だと言わざるを得ないと思いますが、いかがですか。

露木政府参考人 先ほども申しましたけれども、ことしの四月二十九日に、うるま警察署におきまして、今回の被害女性の行方がわからなくなっているとして、知人男性から沖縄県警が行方不明届を受理したものでございます。

 同日以降、沖縄県警察におきましては、関係者からの事情聴取、被害者宅周辺の検索、防犯カメラ映像の確認などの行方不明者の捜索や捜査を実施してきたものでございます。

 五月十二日には、行方不明となった被害者に関する情報を広く求めるために公開手配を実施いたしました。

 その後の所要の捜査により、今回の元米軍人の男性を被疑者として特定をして、本人を現場に案内した上で御遺体を発見し、緊急逮捕したというものでございまして、委員御指摘のような、他事を考慮したというふうな事実は一切ございません。

緒方委員 それでは、質問をかえていきたいと思います。

 この事案が生じて以降、いずれかの閣僚、さらには政府関係者から、タイミングが最悪だ、そういう発言があったそうです。複数の報道によって報じられておりますので、これは恐らくどなたかが発言をしたのだろうというふうに思います。

 中谷大臣にお伺いをいたします。この見解を共有しておられますか。

中谷国務大臣 全くそのような見解を共有するものではございません。

緒方委員 そうです。最悪なのはタイミングではないんです。起こったことが最悪なんです。

 こういった発言が政権与党から出てくる、さらには、いずれかの閣僚が発言したと報じられることによってどれだけ沖縄の方々の心が傷つくか、そのことに思いをはせていただきたいと思います。

 これは委員長にお願いをいたしたいと思います。

 これは複数の新聞社が報じている以上、かなりの確度でどなたかが言っているんだと思います。政府側に情報の提出を求めたいと思いますが、いかがですか。

左藤委員長 理事会で協議します。

緒方委員 安倍総理大臣は、本件について、具体的かつ実効性のある再発防止を求めていくというふうに国会でも述べています。

 お伺いをいたしたいと思います。

 この具体的かつ実効性のある再発防止というのは何を指しているんでしょうか。大臣。

中谷国務大臣 本件の逮捕がございまして、その日のうちに在日米軍司令官を防衛省に呼びまして、再発防止を強く要求したわけでございます。

 その後、二十一日に沖縄に参りまして、ニコルソン四軍調整官と直接面談をしました。そして、その夜、カーター国防長官と電話会談をいたしまして、こういった対応等につきまして、まず、強い遺憾の意、そして抗議をし、そして、米側が御遺族の心情に寄り添った心のこもった対応を行うこと、そして、米軍人軍属の綱紀粛正と事件、事故の再発防止の徹底、こういったことを強く求めたわけでございます。

 四軍調整官と話をした際に、調整官の方から、米軍属に対してしっかりとした対応をとるように考えていきたいということがございました。

 その際、同席をしておりました沖縄の防衛局長に命じまして、これはしっかり日米間で具体的な対応策を協議してもらいたいと。そして、米側も、カーター国防長官からニコルソン四軍調整官に、しっかりとそれをバックアップする意味で国防省から指示を出してほしいとお願いしまして、その点については、当然こういったことをしっかりやっていくということで合意をいたしました。

 今後、こういった具体策を速やかに構築し、そしてまとめるように、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

緒方委員 では、現時点で、具体的かつ実効性のある再発防止ということについて、日本側から、これをやるべきだ、あれをやるべきだということについて、何か具体的なアイデアを持っているということでしょうか。これから協議をしていくということですが、日本側としても何らかのアイデアを提示すべきだと思います。安倍総理がそこまで言っているんですから。

 現時点で、具体的かつ実効性のある再発防止として日本側が申し入れていくべき方策というのは何だとお考えでしょうか。大臣。

中谷国務大臣 現在のこういった再発防止の具体策としては、リバティー制度というのがあります。ただし、これは外出禁止とか制限をするものでありますが、米軍人をきちんと、指揮命令系統がしっかりとした強制力のある対応をするということで、こういった制度が考えられておりますが、米軍属となりますと、これは軍人ではなくて、その基地内に所在をする各関連の企業やその社員など、民間人が基本でありますので、そういった対象に対してしっかりとした対応をとれる方法がいかなるものがあるのか、この際、こういった軍属に対する考え方、定義などをしっかり整理しまして、そういったところにきちんと対応できるように考えてまいりたいと思います。

 また同時に、ワーキングチームが既に存在しております。これは沖縄県の地元の市長さんや民間の代表の方も入った米軍人軍属の事故防止のための会議でありますので、こういった場から広く意見を求めて、しっかりと対応していく手段を考えてまいりたいと考えております。

緒方委員 これからいろいろな協議をしていくということですが、アメリカ側に求めるだけではだめなんです。こちら側からきちっと、こういうことをやれば再発が防止できる、綱紀粛正に必ずつながるというようなことをこちら側からも積極的にアイデアを出していく。その際には沖縄県ともしっかりと協議をした上で、我が方のアイデアを中でしっかりぶつけていかないと、相手側から御意見拝聴ではだめだと思います。その決意についてお伺いいたします。大臣。

中谷国務大臣 そういう意味で、私も沖縄に参りまして四軍調整官と話した際に、同席をしておりました防衛省の沖縄防衛局長に命じまして、この問題についてしっかりと日米間で協議をしてまとめるように指示をしたわけでございます。

緒方委員 最後のところで、命じて、日米間で協議をしてというところ、もう一言強く言ってほしかったなと思うわけでありますが、もう一度だけ、これは確認で私の方から申し上げるにとどめますけれども、日本側からもきちっとしたアイデアを出していただきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。

 そして、翁長県知事は、オバマ大統領に会って話をしたいというふうに言っておられます。私も外務省におりましたので、これが例外的なことであるということについては自分自身もわかります。

 しかしながら、起こっていることも例外的なんです。そうである以上、やはり県民を代表する声を聞く場を設けるべく、政権として最後の最後まで努力をすべきだというふうに思いますが、官房副長官、いかがですか。

萩生田内閣官房副長官 今回の事件につきましては、岸田大臣がケネディ大使に申し入れるなど、政府から米側に対し、極めて強い遺憾の意を伝えて強く抗議をするとともに、このような事件が発生したことは言語道断であり、強い憤りを覚える旨を伝え、再発防止策等を強く求めているところであります。引き続き、政府として米側としっかり話し合いをしていくつもりでございます。

 その上で申し上げれば、翁長知事の県民を思いかばう気持ちは私もよく理解できます。しかし、一般論として申し上げれば、安全保障や外交に係る問題については中央政府間で協議されるべきだと考えております。

緒方委員 まさに、今、一般論として申し上げればというふうに官房副長官からございました。一般論としてそうだと思います。しかし、起こっていることは極めて例外的な、あってはならない事例だと思います。

 もう一度お伺いをいたします。政権として、沖縄県民の代表たる県知事が直接先方の国家元首に対して地元の声を伝えたいというその思い、酌んでいただけないでしょうか。官房副長官。

萩生田内閣官房副長官 沖縄県民であると同時に、大切な日本国民であります。ですから、このサミットを通じて米国との首脳会談の日程調整もさせていただいております。安倍総理として、きちんと米国側に、思いや、そして遺憾の意はしっかりお伝えさせていただきたいと思います。

緒方委員 しかしながら、三月にも女性に対する暴行事件が起こっているんです。そして、そのときもニコルソン四軍調整官は謝罪をしたばかりであります。抗議をした、憤りを伝えた、再発防止、綱紀粛正を求めた、いろいろなことを言っておりますが、私が懸念をするのは、その怒りの熱が相手に伝わっていないんじゃないかと思うんです。

 ともすれば、これは、そういう疑いを私はしたくありませんけれども、この事件に対する対応とまた別のところで、日米関係のマネジメント、そういった言葉が頭に来ているんじゃないか。抗議もしなきゃいけないけれども、日米関係もしっかりマネジメントしなきゃいけないよねと、むしろそちらの方が先に来ているんじゃないかと思いたくなることもございます。

 しかしながら、ここは、精いっぱいの怒りを、精いっぱいの怒りをアメリカにぶつけるときだと思います。見解はいかがでしょうか。中谷大臣。

中谷国務大臣 米軍といたしましても、沖縄におきましては、地元の皆様方の信頼や、また安全確保ということは非常に大事なことであると認識して、米軍に対してそのような指導も行ってきたわけでございますが、このたび、米軍人ではなくて、軍属による犯罪が発生していたわけでありますので、従来の米軍人のみならず、米軍属も含めたこういった服務指導や対応等も必要になってきているわけでありますので、しっかりとそういった対応をしていけるように、全力で対応してまいりたいと考えております。

緒方委員 日本国民そして沖縄県民の心の叫びを、そして精いっぱいの怒りの思いを日米首脳会談においてぜひぶつけていただきたいというふうに思うわけですが、これはもう一言、官房副長官。

萩生田内閣官房副長官 日米首脳会談の具体的な日程は今調整中でございますけれども、本件の深刻さ、重大さはよく認識しているところであります。安倍総理からオバマ大統領に対し、国民の皆さんの思いをしっかり踏まえ、また翁長知事の思いも添えて、きちんと厳粛な対処を求めてまいりたいと思います。

緒方委員 官房副長官はここで結構でございます。ありがとうございました。

 ここまでの議論で、私のみならず、前に議論された方も含めて、軍属、英語でシビリアンコンポーネントという言葉が出てきます。今回の容疑者は、米軍に直接雇用されていたわけではない、恐らく請負の業者から雇用されていたのではないかというふうに思われます。

 日米地位協定上、軍属に当たるというのは、米軍との関係では、雇用、勤務、随伴、この三つの要素のいずれかであるということで日米地位協定には書いてございます。今回の容疑者は、この雇用、勤務、随伴のうちのいずれに当たる方でしょうか。外務省。

森政府参考人 お答えします。

 御指摘のとおり、地位協定上、軍属の定義というのがございまして、その中で、おっしゃいましたとおり、雇用され、勤務し、またはこれに随伴するものという概念がございます。

 今回の事件の容疑者につきましては、日米地位協定上の軍属の身分であったということでございますけれども、それでは、その詳細、どういう人なのかということについては、まずは、本件は現在捜査中であるということ、それから、私ども関心を持ってそうした事実関係を具体的に照会中でございますけれども、現時点において御質問に断定的にお答えする材料はございません。

緒方委員 いや、三つしかないんです。雇用されているか、勤務されているか、そして随伴しているか、この三つしかなくて、これに当たる人間が軍属だというふうに言われていて、しかし、軍属であるということは明らかだ、しかしこれのどれに当たるかわからない。この説明は成り立たないですよ。この説明は成り立たないと思います。

 どれかに当たるから軍属だと判断しているわけであって、雇用、勤務、随伴、これぐらいは答えていただきたいと思います。外務省。

森政府参考人 御指摘のとおり、この三つのいずれかに当たるということなわけですけれども、その点につきまして、私どもが照会を行い、それに対して責任のある回答は現時点においてはないという状況でございますので、これは引き続きフォローしていきたいと考えております。

緒方委員 それでは、今回の容疑者については、米軍から直接雇用されているわけではない、指揮命令系統下にもないということであります。日米地位協定がどうであるかということをあえて脇に置いて考えるときに、そういう人間にまで日米地位協定の保護を与えることは私は過剰だと思います。

 指揮命令系統下にもない、そういった人間に対して日米地位協定の庇護が今行われているということについておかしいというふうに思われませんか。中谷大臣。

中谷国務大臣 地位協定というのは条約のようなものでございまして、日米間で取り決めをして決まっていくものでございます。

 本件等につきましては、これまでも、過去の経緯も含めまして日米間で協議されてきたことでございますので、そのあり方等、内容等につきましては、これは日米間で協議すべき問題であるというふうに考えております。

緒方委員 過剰だというふうに思われませんか。もう一度答弁ください。中谷大臣。

中谷国務大臣 地位協定によりますと、軍属というのは、「合衆国の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴する」ということとされているわけでございます。

 今般の事件の被疑者につきましては、日米地位協定上、軍属の身分を享受していたものと承知しておりますが、その詳細につきましては捜査中ということで、防衛省としては、その捜査の状況を注視していきたいと考えております。

 したがいまして、この三つの分類からいきますと、軍属に属するというふうに解されるのではないかと思っております。

緒方委員 雇用という言葉は、英語ではエンプロイと書いてあります。勤務という言葉はサービング・ウイズ、サーブするということであります。随伴するというのはアカンパニーであります。これだと、請負業者のみならず、単についてきている人、アカンパニーしている人だけでも軍属だということになるんですね、文章の読み方として。

 日本語では勤務と書いてありますけれども、日本語で勤務という言葉から連想するものと、英語でサービング・ウイズと書いてあるもののその語感というのは、恐らくかなり異なります。多分、英語の方が広いと思います。ましてや、随伴でアカンパニーであります。これだと物すごく広いんです。

 外務副大臣にお伺いいたします。

 これだけ広いものというのは、やはり一度見直すべきではないかというふうに思いますが、外務副大臣。

木原副大臣 改めて、繰り返しで大変恐縮ですが、まず、本件につきましては、まさに現在捜査中でありますし、米側に照会中ということでありますので、御理解を賜ればというふうに思っております。

 そして、軍属の範囲についての御指摘がございました。

 私どもといたしましては、いずれにしても、この日米地位協定についてさまざまな意見があるということでありますので、手当てすべき事項があれば、それをしっかりと事実上の修正の中で個々の手当てをしていくということをやってまいりたいというふうに思っております。

緒方委員 例えば、NATOの地位協定では、米軍に雇用されていない者は外れるんですね。日本語にあるような、サービング・ウイズとかアカンパニーという言葉はないんです。米軍に雇用されている人間だけなんです。このケースですと、今回の容疑者は外れてくると思います。

 日本国のアメリカと結んでいる地位協定との関係では、明らかに軍属の範囲が日本の方が広いんですね、NATO協定と比べて。だから、今回、こういった形で、なぜこの人が地位協定の庇護を受けるのだというような人までが地位協定の対象になるということが生じるんです。

 今回、図らずもこういった事例を通じて、軍人のみならず軍属ということに対して焦点が当たるようになりました。NATO協定並みに軍属の概念を見直すべきだというふうに思いませんか。外務省。

木原副大臣 繰り返しで恐縮ですが、まず、今回の具体的な事案については、いずれにしても、まだ捜査中でありますし、米側に照会をしながら確たる回答をまだいただいていないということでありますので、断定的なことは申し上げないようにしたいというふうに思っております。

 その上で、今、NATOのことも含めて諸外国の例を御指摘いただきました。

 私どもといたしましては、そういう規定ぶりのみならず、実際の運用あるいは背景といったものも含めた全体像の中で検討する必要があるんだろうというふうに思っておりますので、一概にどちらが広い、どちらが狭いということではないのかなというふうに理解をしているところであります。

緒方委員 いや、一概に広いですよ。だって、同じ用語、イン・ジ・エンプロイ・オブという、雇用されているという言葉だけでNATOの協定はでき上がっているわけです。その横に、日本の協定は、サービング・ウイズ、アカンパニー、勤務と随伴という言葉がついているので、一概にどちらが広いと言えないというその答弁は訂正いただいた方がいいと思いますよ。そして、これは広過ぎるというふうに思いませんか。副大臣。

木原副大臣 今、私、正確に申し上げたつもりでありますが、私が申し上げたことは、その規定ぶりだけではなくて、実際の運用あるいは背景といったものを全て含めて総論的に考える、概括的に全体を含めて議論をする必要があるので、一概に申し上げることは難しいということを申し上げたわけであります。

緒方委員 これを運用で解決するときには、例えば、アメリカとして、これからいろいろな人を派遣する、日本に米軍として派遣するときに、勤務とか随伴に当たる方をアメリカとして軍属から落とすような運用で派遣してくるというのであれば、これはアメリカの自発的な運用として実現可能だと思います。そういう方向性を目指していかれるということですか。外務省。

木原副大臣 先ほど防衛大臣からも答弁をさせていただきましたように、これは、今後、再発防止について、特に軍属についての再発防止について、既に防衛大臣そしてカーター国防長官の間で双方しっかり協議をしていこうということでありますので、その協議をしている中で、予断を持って申し上げることは差し控えたいというふうに思っております。

緒方委員 しかしながら、この問題を解決するためには本当にここに手をつけないと、軍属、今のままだと本当に、勤務といっても物すごく広い概念での勤務が入っています。そして、随伴。読みようによっては、単についてきている、アカンパニーというのはついてくるという言葉なので、ついてくるだけでも軍属になるということなので、ここは広過ぎるので、今後、運用改善されるということであれば、こういった方はアメリカ側として軍属から外していくように、こちらから求めていく。そういう運用改善、アメリカ側の自発的な措置としてそういうものを目指していくべきじゃないか。そういうやりとりを、仮に運用改善でやるのであれば、そういうことをやるべきではないか。

 意気込みだけでもお聞かせください。これは中谷大臣。

中谷国務大臣 先ほど、より実効性のある対応という御質問もございました。

 地位協定についてはさまざまな御意見がございますけれども、防衛省といたしましては、関係省庁、また関係機関とも協力しながら速やかに米側との議論を行いまして、米側において実効的かつ説得力のある再発防止策がとられるということが大事でございますので、引き続き関係省庁、機関と協議をしてまいりたいと考えております。

緒方委員 今、せっかくこれだけ軍属の方に焦点が当たっているときに、その問題が明らかにクローズアップされているわけですよ。それに対応する機会じゃないですか。ちょっと答弁が弱いと思いますよ。残念です。

 最後に一つだけ質問をさせていただきたいと思います。

 報道で見ました。もう本当に口に出すのもはばかられるようなことなんですけれども、自由民主党の神奈川県議の方が、米軍基地に抗議する人について、基地の外にいる人たちだ、それをもじって、基地外の方、そういうふうに言われたという報道がございました。そういうやゆする表現があったというふうに報じられています。

 中谷大臣にお伺いします。問題発言だと思いませんか。

中谷国務大臣 私、きょう初めてその話を聞きました。報道について一つ一つコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

緒方委員 残念であります。

 しかしながら、今回の沖縄の事案、絶対にこれを許してはいけない。そして、日本として、日本国民として、沖縄県民の方々の意を体して、最大限の怒りの思いと抗議の思いを、日米首脳会談、さらには閣僚級での機会にぶつけていただきたいということを要請いたしまして、私の質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 五月十九日、沖縄県うるま市在住の女性の死体を遺棄したとして、元米海兵隊員で嘉手納基地に勤務する米軍属が緊急逮捕されました。被害女性が四月二十八日以降行方がわからなくなっていることが地元紙で報じられて以降、私たちも非常に心配をしておりました。二十歳の女性がウオーキングに出かけたまま行方不明だと、毎朝の朝刊の報道に目を凝らしていたところであります。

 無事に帰ってきてほしいという御家族、関係者の願いを踏みにじられ、そして県民の思いも踏みにじるかのように、事態は最悪の結果になりました。御遺族、関係者の皆様に心からのお悔やみを申し上げたいと思います。

 私も現場を見てまいりました。地元の人たちが普通にウオーキングをしている場所であります。被害者にとっては生活圏の範囲内です。どこか遠いところに行ったというわけではありません。大型商業施設も立ち並んでいる近隣であります。

 容疑者の供述の内容が報じられておりますが、目を背けたくなるような、極めて悪質で計画的な犯行であります。何の罪もない被害女性の命と未来を奪った卑劣な蛮行、これは絶対に許すことはできません。

 事件を受け、政府からは、また綱紀粛正、再発防止の言葉が繰り返されています。実効性のある再発防止と強調してみたり、きょうは、本当に実効性のある再発防止とさらに強調して、言葉だけ強調している。非常にむなしい感じがするわけです。

 外務副大臣に伺います。

 今回の事件に対する日本政府の責任というもの、これを一体どのように認識しておられますか。

木原副大臣 今委員から御指摘ありましたように、今回の事件は、まさに将来ある若い女性が、米軍属の卑劣な行為によって、極めて残忍で凶悪な事件に巻き込まれたということであります。改めて、極めて強い遺憾の意を申し上げたいというふうに思います。

 そして、そのことを踏まえて、私どもとしては、十九日、深夜でありましたけれども、岸田外務大臣がケネディ大使を招致、呼び出して、強い抗議を申し上げるとともに、綱紀粛正、そして実効性ある再発防止策を講じるようにということを申し上げたところであります。

 私どもといたしましては、今後、米側とよく調整をする中で、実効性ある、そして説得力のある再発防止策について、日本もそういう協議の中に入っていく中で私どもの責任をしっかりと果たしてまいりたい、このように考えております。

赤嶺委員 こういう事件が起こると、大体、沖縄県民に謝罪するという言葉が繰り返され、アメリカには抗議をしましたということが言われ、そして、再発防止、綱紀粛正。決まり文句なんですね。

 何で決まり文句だと政府が批判されているか。それは、日本政府に当事者意識が全くないからですよ。何か、どこかよそごとの事件のように扱っていて、政府が安保条約のもとで基地を提供している地域でこういう事件が繰り返されている、繰り返されるたびに、謝罪、抗議、再発防止、綱紀粛正。これには本当に当事者能力が感じられない、このことを厳しく申し上げておきたいと思います。

 そこで、皆さんの再発防止策、これについて具体的に聞いていきます。

 三月十三日に那覇市内のホテルで米兵による女性暴行事件が発生いたしました。米軍のリバティー制度のもとで外出を禁止された米兵による外出禁止時間帯の犯行でした。

 私は、三月二十三日の外務委員会で、リバティー制度については以前から抜け穴が指摘されていたことを取り上げました。外出禁止措置は、禁止時間帯の基地ゲートの出入りをとめるだけで、時間帯を過ぎて朝帰れば何のおとがめもないという問題であります。

 そのとき外務大臣は、再発防止を実効性あるものとして、四月十九日のワーキングチームで政府としてしっかり議論をしていきたい、このように答弁をされました。

 外出禁止措置の抜け穴について、ワーキングチームではどういう議論を行ったんですか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のワーキングチームの会議は、本年四月十九日に外務省沖縄事務所において第二十四回目が開催されました。日本側からは、外務省沖縄事務所、沖縄防衛局、内閣府沖縄総合事務局、そして沖縄県、沖縄県警本部、関係市町村、関係団体の実務者が、米側からは在沖縄米軍及び在沖縄米国総領事館関係者が一堂に会しまして開催されました。

 同会議におきましては、まず、沖縄県警本部から米軍人軍属等による刑法犯検挙件数及び検挙人員の報告を受け、事件、事故の減少に向けた努力を強化していくことを確認し、また、在沖縄米軍からは現行のリバティー制度の概要について説明があり、実効性を含め議論を行い、そして事件、事故の防止に向けて引き続き努力していくことを確認いたしました。

赤嶺委員 リバティー制度について何を確認したかと言っているんですよ。

 つまり、リバティー制度、外出禁止時間帯が決められている、ところが、外出禁止時間帯の中で帰ってくるんじゃなくて朝帰りすればおとがめがないので、外出禁止時間帯は基地の外で米兵がうろうろしている、そういう抜け穴が三月の事件を引き起こす結果になったんじゃないか。

 リバティー制度における外出禁止措置の抜け穴について、あなた方は実効性のある措置をとると言ったわけですから、四月のワーキングチームで何をやったか、それを聞いているわけですよ。

森政府参考人 以前の委員会の審議におきまして、委員からリバティー制度の抜け穴ということで御指摘がございましたけれども、その点に関しましては、私どもとしては、制度的な欠陥があるということではないという説明を受けております。

 米側のとる外出制限措置については、これはもちろん完璧ではございませんけれども、これまでの米側とのやりとりにおきまして、外出禁止の時間帯に門を通らないことによって摘発を免れているという事例が常態化しているとの指摘は当たらない、これは、通常、若い兵士たちは隊舎で集団生活を営んでおり、違反が発覚せずに継続するようなことは想定しがたい、また、違反には軍紀違反としてさまざまな罰則が適用されている、こういう状況の説明を得て、抜け穴があるというふうには私どもは認識していないところでございます。

赤嶺委員 それを信じたんですか。アメリカ側のそういう説明を信じたんですか。

 だって、三月の事件というのは外出禁止措置の時間帯で起こっているんですよ、基地の外で。しかも、外出禁止措置がかけられている兵士ですよ。それが何で起こったかという原因解明をするために米側に聞いたら、いやいや、抜け穴はないと思う、罰則も強化している、そんなことはあり得ないと言って、そして信じたんですか。では、あの事件は何で起きたんですか。

森政府参考人 今申し上げましたとおり、制度はもちろん完璧なわけではございません。

 そこで、米側といたしましても、二〇〇八年以降、性犯罪防止タスクフォースを立ち上げ、性犯罪に対応するための四軍調整委員会の設立、あるいは四軍共同による性犯罪防止に係るシンポジウム、ワークショップ等の開催、あるいは地元飲食店業者等との協力強化、さらには再発防止のための指導方法や過去の成功例の米軍ウエブサイト内での共有等の取り組みを実施したと承知しております。

 また、海兵隊におきましては、外出制限措置であるリバティーカード制度についても見直した結果、階級にかかわらず全ての海兵隊員をリバティーカード保持者の対象とするとともに、リバティーバディー制度の対象者も拡大したと承知しております。さらに、生活巡回指導の範囲の拡大や、新たに着任する海兵隊員の研修時間、内容の拡充も実施したと承知しております。

赤嶺委員 防衛大臣、別に質問をぶつけるわけじゃないんですが、今のような説明をして、要するに、政府はより実効性のある再発防止策ということを言って、リバティー制度を防衛大臣も説明されました。しかし、そのリバティー制度というのは抜け穴がある。時間外に基地の外に出て、そして時間外に帰ってくれば何の規制もない。そうやって起こったのが三月の事件だったわけですよ。三月の事件、これを四月に検証すると言った。だけれども、今、制度は完璧でない、完璧でなければ何を直すんですか。完璧でないものをないままで放置しておくんですか。それじゃまた同じ事件が起こるじゃないですか。

 それで、今、外出禁止の措置という言い方ではなくて、外出制限と言っておられたんですが、つまり、外出を禁止しているわけではなくて、外に出かけていってもいい部分もある、外出の制限ということですか。余計リバティー制度の趣旨がわからなくなるじゃないですか。大体、こんな説明をされて、それで次に事件が起きたら実効性ある再発防止なんて、こんなばかな話はないですよ。なぜあの事件が起きたか。外出禁止措置が完璧なものでなければどこを直すんですか。答えてください。

森政府参考人 御指摘の、外出禁止という、カーフュー制度の趣旨でございますけれども、これは夜間外出禁止ではなく夜間外出規制であり、リバティー時間中は、在日米軍施設・区域の外におきましては自宅や宿泊先にとどまるか公務についていなければならないという趣旨であるとの説明があったと承知しております。

 また、あわせて、夜間外出規制違反を防止するため、ゲートの出入り管理や飲酒の抜き打ち検査などを実施するとともに、生活指導巡回等も行っているという説明を受けております。

赤嶺委員 リバティー制度というのは外出禁止ではなくて外出制限だ、外に出ていくときは宿泊しておればいいと。まさに三月の事件というのは宿泊先で起きた事件ですよね。

 では、あの犯行に及んだ米兵は皆さんの言うリバティー制度に違反しているわけではなかった、こういうことになるんですか。

森政府参考人 現在、明示的な確認を求めているところでございますが、ホテルに宿泊しているということでございまして、さきに申し上げました自宅ないしは外部での宿泊というのに当たるのではないかと考えております。

赤嶺委員 違反していないということになるんですよね。防ぎようがなかったということになるんですよ、リバティー制度では。

 防衛大臣、そういう制度でいいんですか。

中谷国務大臣 今回、ワーキングチームというのは、軍関係者のみならず、沖縄県民、市民、また商工会の方も入った制度だということで、さまざまな御意見が出されていると思っております。

 三月十三日の事件を受けて、四月十九日にワーキングチームをしたわけでございます。

 今回の事件につきましては、米軍人ではなくて軍属が起こした犯罪でありまして、やはり軍属に対してもしっかりとした再発防止策が必要でございますので、今後、米軍人のみならず、米軍属につきましてもこういったワーキングチームなどで再発防止策を議論していく必要があるのではないかと思っております。

赤嶺委員 再発防止策をつくるためにワーキングチームが設置されていると。ワーキングチームではそういう制度をつくっているんですか。再発防止のための制度を、いろいろ沖縄県や米軍が集まってつくっているんですか。

森政府参考人 お答えいたします。

 ワーキングチームと申しますのは、先ほど御答弁申し上げましたとおり、非常に多岐にわたる関係者が一堂に会して、さまざまな情報交換をし、考え方を述べ合い、そして議論をするという場でございます。

 そこで得られた考え方を再発防止等に役立てていくということでございますが、ここで何か合意をするというような場ではないと認識しております。

赤嶺委員 意見を述べ合い議論をするだけなんですよ。合意をするということはないんですよ。これも全く実効性がない。

 先ほどちょっと抜き打ち検査の話がありましたけれども、ゲートでの出入り管理、これを強めるために抜き打ち検査というのもありましたが、外務省、それに対して何かおっしゃいましたか。

森政府参考人 議論の詳細については差し控えさせていただきますけれども、そういった説明を受け、政府の方からは、さまざまな事案について懸念を表明し、一層の努力を求めたところでございます。

赤嶺委員 懸念を表明し、努力してくださいよというお願いなんですね。米軍を規制するものは何もないわけです。

 抜き打ち検査についても、以前から問題があるということは指摘してまいりました。違反は横行してきました。

 今度の事件が起きた翌日の日曜日にも、外出禁止時間帯、午前二時四十分に北谷町で米海軍の三等兵曹が酒気帯び運転で現行犯逮捕をされています。三等兵曹は外出禁止措置の対象ですよね。いかがですか。

森政府参考人 御指摘のとおり、大変遺憾なことに、今月二十二日深夜、沖縄において、三等兵曹の米軍人が飲酒運転をしていたとして現行犯逮捕されたと承知しております。

 このリバティー制度の関係でございますが、今回現行犯逮捕された三等兵曹はいわゆるE4クラスに該当し、リバティー制度により午前一時から午前五時までの間外出が禁止される対象であったと承知しております。

赤嶺委員 米軍というのは、こんな重大な事件を起こして、防衛大臣が四軍調整官や国防長官に遺憾だと言って再発防止を強く要求した翌日に、あなた方が再発防止策だと言っているリバティー制度を破ってこういう事件を翌日に起こしているんですよ。

 まさに、あなた方の言っている再発防止策というのは、事件が起きたときの言葉だけの言い方であります。綱紀粛正、再発防止という言葉は、県民がまたそれを言うのかというぐあいに怒るのは当然であります。

 さっき軍属の話が出ましたけれども、今回の事件は、元海兵隊員で現在は米軍属でありますが、この点について、米軍のニコルソン四軍調整官は沖縄県の安慶田副知事に対して、容疑者は米軍の兵士でなく米国政府の従業員でもない、地位協定という立場上の身分があるので、私に全責任があると述べました。副知事は、この事件は基地あるがゆえに発生したものだと述べています。

 警察庁に聞きますが、これまでの全国と沖縄県内の米軍属による犯罪検挙状況を明らかにしていただけますか。

露木政府参考人 私どもの犯罪統計で確認できる範囲で申し上げますと、平成元年から平成二十八年、本年四月末までの全国における米軍属の刑法犯検挙件数は二百三十一件でございます。このうち、沖縄県警察における刑法犯検挙件数は、軍属が八十四件でございます。

赤嶺委員 軍属というのは軍人よりも数が少ないですから、事件、事故の数、統計上はそういうものですが、かなりの頻度で毎年軍人も軍属も県民の怒りを買うような事件、事故を起こしているわけです。

 ところが、その軍属について、先ほどの防衛大臣の答弁を聞いていますと、具体的な措置がとられていなかったという答弁であったように聞こえましたが、それは本当ですか。

中谷国務大臣 軍でしたら、いろいろな規則、規約、これは命令がありますので、徹底する部分があろうかと思います。

 軍属の場合は民間人でありまして、基地内の雇用されている人とか、随伴した人とか、また関連企業とか、さまざまな形態がありますが、しっかり徹底をさせるという意味におきましては、今回の事件を契機といたしまして、こういった軍属、民間人に対してもしっかり徹底する必要があるのではないかというふうに考えております。

赤嶺委員 我々沖縄県民は、軍属も地位協定で保護されている軍人と同じレベルで見てまいりました。なぜなら、同じような事件、事故を起こしてきたからであります。

 ところが、これは外務省に聞いた方がいいかもしれませんが、軍属については何の対策措置もとっていなかった、そういうことですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の方から答弁させていただきましたけれども、先般のニコルソン四軍調整官との会合におきまして、現実に、先ほど申し上げましたようなリバティー制度、これは制度的には軍属を対象としていないところでございます。ただ、現実の運用状況がどうであったかということ、今どういう状況になっているか、例えば軍属でリバティーカードを持っているということがあるのかどうかといったことにつきましても、今後、沖縄防衛局と四軍調整官との間でいろいろ議論しながら、事実関係を含めて協議を進めていきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 リバティーカードを持っているかどうかさえ日本政府は掌握していない。これでよく米軍人軍属の事件の再発防止、綱紀粛正に努力するという発言を繰り返してきたものだなと思いますよ。

 きのう、知事が総理に向かって、綱紀粛正や再発防止などというのはこの数十年、何百回も聞かされたが、全く何も変わらない、日米地位協定のもとでは、米国から日本の独立は神話であると言われているような気がする、こう言っています。

 地位協定というのは、今回の事件で地位協定で捜査上の障害があるかないかという議論じゃないんですよ。地位協定があるということは、沖縄のあれだけの広大な基地があるもとでは、軍事が優先される社会ができ上がっているということなんです。だから翁長知事は、綱紀粛正、再発防止と同じことを繰り返すのではなくて、地位協定にまで踏み込むべきだ、そうでなければ再発防止なんというのは机上の空論だ、こういうことを言っているわけです。

 机上の空論じゃないですか、実際にリバティー制度もワーキングチームも。まさに、そういうことも改められない、そして軍事優先の社会を放置している。だから私は、日本政府も今度の事件には当事者としての大きな責任があると思います。

 その上で、今回、名護市辺野古への新基地建設、これを繰り返しているわけですが、基地を辺野古に移したとしても、米軍犯罪にかかわる県民の被害、苦しみは変わらないのではありませんか。

中谷国務大臣 このような事件は、決してあってはならない、極めて凶悪で残忍な事件でありまして、言語道断、許されないということで、これはしっかり、二度とこのような事件を起こさないように求めていっております。

 お尋ねの普天間飛行場返還につきましては、最も大事なことは、一日でも早くこの普天間飛行場の抱える危険性、問題点、これを除去するということでございます。

 これについて、一日も早く実現すべく政府は取り組んでいるわけでありますが、沖縄県とは訴訟になりまして、現在、和解条項に従いまして協議をいたしまして、沖縄の方々と話し合いをしまして、今後の取り組みに理解をいただくように、引き続き粘り強く取り組んでまいりたいと考えております。

赤嶺委員 終わりますけれども、これだけの事件、事故を起こして、二度と起こさない、絶対許せないというのは、それは人間としては当然出てくる言葉ですよ。しかし、あなた方は、日米地位協定を維持し、基地を提供し、事件、事故を二度と起こさないと言いながら何回も起こしている当事者ですよ。あなた方が責任を持たぬといけないですよ。それを、そう言ったからといって、そうしますから辺野古をつくらせてくださいというのは、絶対にこれは納得いかない。

 辺野古も撤回すべき、そして日米地位協定も見直すべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。

左藤委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 四月の二十八日に発生した事件によって犠牲になられた方に御冥福とともに、また、御家族に対してもお悔やみを申し上げたいと思います。

 大臣、見ましたか、きのうの七時のニュース。見ていませんか、NHK。(中谷国務大臣「見ました」と呼ぶ)見ましたか。遺棄された場所に行って子供の魂を拾うというお父様の、本当に見ているだけでも涙が出てくるようなシーンがありましたね。やはりこれは、大臣も私も、政治家として、もう二度とこういう事件を起こさせないという思いを持って取り組まなければいけないというふうに思っています。

 私も、日米同盟は非常に重要だと思うし、また、オスプレイにおいても日本の国会議員で最初に乗ったのは私だというぐらい、いろいろな意味でも軍事の役割というのは大事だと思います。しかし、これだけの事件を起こして日米安保となかなか言いにくい、そういうふうな政治環境になっているのをどうやって変えていくのかというのは、私たちの課題として考えていかなければいけないということを申し上げておきたいというふうに思います。

 この事件ですけれども、警察庁に聞きますけれども、死体遺棄で今やっていますよね。私がいろいろな識者に聞くと、これは、わいせつ目的の略取、その次に監禁、その後に強姦、そして殺人、死体遺棄、こういうふうな五つの今の容疑者の罪状があるのではないかと言われているんです。死体遺棄は、皆さんが今取り調べをしています。死体遺棄ということは殺人があったということですよね。強姦があったことももう報道されている。あとは監禁と略取ですけれども、この五つが容疑者の犯罪としてあるというのは、戦後七十年間で初めてのことだと言われているんですよね。今までこの五つが同時に罪状としてあるというのはなかったということですけれども、それは七十年間で初めてじゃないですか。

露木政府参考人 先ほど来答弁をいたしておりますとおり、今回の被疑者については死体遺棄の容疑で逮捕し、現在取り調べをしているところでございまして、なぜ遺棄をしたのかという犯行の動機でありますとか、あるいは被害者がそもそも亡くなった経緯は何なのかといった点についてももちろん明らかにしていかなければならないものだと考えておりますけれども、それは、今後、捜査の中で法と証拠によって認定をしていくということになりますので、現時点において予断を持って申し上げるということはいたしかねるところでございます。

 なお、今委員お尋ねの略取誘拐、監禁、わいせつ、殺人、死体遺棄、その全てが行われた事案というものが今回初めてであったかどうかについてはちょっと私ども承知をいたしておりませんけれども、その犯行の手口そのものは間々あるものであろうというふうには認識をいたしております。

下地委員 警察庁、私はちょっと強く申し上げたいんですけれども、早目に罪状を決めることはあなた方にとって大事なことですよ。被害者にとって、ずっと死体遺棄で取り調べをやっていること自体が私はおかしいと思うんです。これは、新聞を見てもテレビを見ても、この五つの罪状があるというのは誰しもが思っていること。いつまでこうやって死体遺棄だけで取り調べをしているのか。やはりそこに信頼が出てこない根拠がある。また、ここで、日本人だったらこの問題についてすぐやるかもしれないけれども、アメリカだったらやらない、そういう疑念を持たれることになるんですよ。

 Yナンバーが、この容疑者が捜査線上に上がったのはいつですか。

露木政府参考人 私ども、刑事訴訟法に従って捜査をするという立場でございます。逮捕したときにまずその逮捕容疑について取り調べをするということが刑事訴訟法で求められておるわけでございまして、まずそこを解明するということが現在の状況でございます。

 なお、今委員、Yナンバーの件について、防犯カメラから特定したのではないかという前提でのお尋ねだと思います。

 確かに私ども、犯行現場周辺における防犯カメラ画像の収集を徹底いたしましたし、現場付近の地取り捜査ですとか聞き込み捜査、こういうものを徹底いたしまして、それらの結果、被疑者を特定したというものでございますけれども、犯人の特定に直接結びつく証拠関係というのは、今後、捜査及び公判の中で明らかにしていくということでございますので、この場でそれを明らかにすることは差し控えたいと思います。

下地委員 では、いいでしょう、それは。

 二つのことを申し上げておきます。

 今の罪状について、沖縄県民はあなた方に疑問を感じているということが一点。

 それと、二つ目ですけれども、事情聴取したのが十六日ですよね。これはもう新聞報道で出ているから、それはそのとおりだと思う。そして、十七日の朝の七時半に救急車が容疑者の家に行って、この容疑者は自殺未遂をしていますよね。その後、この容疑者、自殺未遂をしたものをまた戻して、十八日、この容疑者は二回目の、ウイスキーを二本飲んだとか、そういうことを言われて、沖縄県警が呼んでも来なかったと言ってそのままほったらかしにして、そして十九日の十時から事情聴取をして、十七時二分に逮捕するということでやっていますけれども、自殺未遂をした人を何で戻しているんですか。しかも、自殺未遂をして、睡眠薬を飲んだ人が、翌日は大量のお酒を飲んだ。この人、亡くなるかもしれませんよ。

 日本の捜査で、こういう容疑者で取り調べをしている人が自殺未遂をしたら、家に帰しますか。地位協定の範囲じゃないか範囲であるかと今論議していますけれども、一般的に見て、この罪状のあり方とか、自殺未遂をしても家に帰すとか、米軍から何か圧力をかけられてそういうことをしたんじゃないの。そうとしか私たちにとっては思えないんですけれども。

 これは何で帰したのか、ちょっと答弁してください。

露木政府参考人 まず、今回の被疑者について通常の殺人死体遺棄事件と異なる取り扱いをしているのではないかという、そういう事実はございません。死体遺棄から逮捕して、後に殺人にそれを発展させるというのはしばしば行われていることでございます。

 なお、今月の十九日に被疑者を逮捕する前に、それに先立って任意に被疑者の取り調べをしているということでございますけれども、これは任意の段階でございますので、仮に自殺未遂があったとしても、だからといって、被疑者の身柄を拘束するということは、それは証拠がなければできないことでございますので、そういうものであるというふうに御理解をいただきたいと思います。

下地委員 この問題についてはこれ以上聞きませんけれども、ただ、本当に疑問を持たれているということだけは感じておいてくださいよ。答弁をうまくやればいいという問題じゃなくて、早目にこの罪状を明確にして、遺族の方々に、県民に対してもしっかり見せるということ。それと、罪状が決まらないうちに自殺未遂をしたからといって身柄はとれませんよと今答弁しましたけれども、本当にそれが納得できるものなのかどうなのか、あなたの答弁がこれからもさまざまな事件に当てはまるような答弁なのかどうなのか、それをよくお考えになっていただきたい。

 それで、県民の間には、こういう米軍の事故などになると、疑問を持たれるんですよ。読谷の交通事故のときも、本当は飲酒のはずなのに、三日間基地内に入って出てこなくて、お酒が抜けているから、結局はひき逃げだけで終わった。こういうふうな事例が今までも何回もあるから、警察が強い姿勢を見せることが大事だと県民はいつも期待している。その期待を裏切らないように、疑問を持たれないようにする、これがあなた方の役割だということをぜひ自分の心に秘めて、末端の刑事の皆さんも頑張っているかもしれませんけれども、そのことを強く要望しておきたいと思います。

 次に、大臣、この人は軍属ですよね。これは地位協定の範囲ですよね。法の範囲の中で守られる方、そういう認識でいいですか。

中谷国務大臣 地位協定によりますと、軍属というのは、「合衆国の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊に雇用され、これに勤務し、又はこれに随伴するものをいう。」ということで、被疑者につきましては、今回、日米地位協定上の軍属の身分を享受していたものと承知をいたしております。

下地委員 北米局長、一九七二年から二〇一四年までに、犯罪検挙は五千八百六十二件、そのうちの凶悪犯、殺人や強姦などの犯罪は五百七十一件、これは間違いありませんか。

森政府参考人 突然のお尋ねでございまして、今手元に資料を持ち合わせておりません。

下地委員 北米局長、この委員会が何で開かれているのかを考えたら、これぐらいの数字は質問されなくても頭に入れてこの委員会に出てくるのが当たり前じゃないの。

 この五千八百回という数字がありますけれども、大臣、これは全部地位協定で守られている方々の事件ですよ。再発防止ということがこれから成り立つんですか、大臣。今までの政府がやってきたこと、これは誰が考えても、五千八百回という数字は、さまざま大臣などが今まで再発防止だとか粛正とか言ってきましたけれども、できていなかった、自分たちの今までのやり方では間違いだったというのを認めるべきじゃないですか。どう思いますか。

中谷国務大臣 件数におきましては、下地委員の御指摘の件数があろうかと思います。この中でも、やはり殺人とか強盗とか、凶悪で許されない犯罪もあります。

 そういう中で、そういう犯罪を二度と起こさないようにするために努力をしておりまして、御紹介をさせていただきましたワーキングチームを含めまして、これまでさまざまな観点で再発防止を実施しておりましたが、今回、軍属による犯行であるという点を鑑みまして、単に軍人のみならず、軍属の方も、こういった犯罪を防止するような努力をこれから検討してまいりたいと考えております。

下地委員 私は、自分の考えを示すフェイスブックの中でも、翁長知事は絶対に東京に行くべきじゃないと書いているんですよ。安倍総理と会談をすべきでもない、ケネディ大使と会うべきでもないと。

 ケネディ大使は謝罪もしていませんよ。悲しみだとかそういうことを言っていますけれども、この問題について、マスコミでも報道されているように、大使はこの問題をアメリカの問題として受けとめて謝罪はしていません。安倍総理も、この問題について、どういうふうなことをやるともまだ言っていません。

 そういう中で、なぜ沖縄の県知事が東京まで行って十分間総理大臣に会わなきゃいけないのか。抗議をやるということでお会いになっていますけれども、今までの県知事も全部同じことをやってきてこの五千八百回なんです。だから、動かないで待てというようなことを私は自分なりに発信をしてきたんですけれども、結局は同じことをやられているんですよね。

 今大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣は、今回のことで、再発防止とかこういうようなものに対して自分なりの案というのはありますか。こういうことをやらないとこういう事件、事故は絶対におさまらないな、私たちがこうやって質問で強く言うだけじゃなくて、大臣みずからも、二回も防衛大臣をなされていて、こういうことをやっていこうと。

 今、委員の皆さんの中では、地位協定を変えろとか、いろいろなことをおっしゃっています。そういう中で、本当に、大臣として、もう二度とこういうふうな悲しみをつくらないために私はこういうプランを持っていますというようなものは、きょう委員会をやるに当たって自分でお持ちですか。

中谷国務大臣 今回の事件でさまざまなことを考えておりますが、例えば、自衛隊におきましては、飲酒運転、酒気帯び、これをすれば懲戒免職になるわけでありまして、それだけの厳しいルールと自覚を持って事故が発生しないように心がけております。

 米軍人も、そういった綱紀粛正、当然ルールがありますが、軍属となりますと、大変範囲が広くなってまいります。例えば防衛省におきましても、中に入っている理髪店とか食堂とか、そういう中で従業員がいらっしゃいますが、そういった一人一人もきちんと自覚を持って対処していただくべきでございまして、そのような大変幅広い軍属等につきまして、いかなる対応をすればそれが徹底するのか。

 これはまさに、基本的には米国が自分の問題としてしっかりする問題でございますが、今回は、沖縄の防衛局長に命じまして、しっかり日米で協議をして、二度と発生しないような方法を検討するということでございますので、しかるべき対応をしっかりとってまいりたいと考えております。

下地委員 在日米軍のジョン・ドーラン司令官が大臣と会談したとき、こう言っていますよね。わかっていることは、現役の米軍の軍人ではないこと、国防省の軍属、職員ではないこと、また米軍に雇用されている人物ではないこと、こういうふうな発言をなされていますよね。これは事実ですか。

中谷国務大臣 当日夜、ドーラン在日米軍司令官にお会いしました。この発言につきましては、米側としての事実関係を述べたものと承知しておりますが、逮捕された男性は、日米地位協定上の軍属の身分を享受しているものと私は承知をいたしております。

下地委員 先ほど大臣が、軍属に関しての命令権とか指揮系統とか、なかなか難しいですよというような認識を示されている。

 ドーラン司令官も、この方は違うと。私からすれば、違うか違わないかは別にして、何言っているんだ、日米地位協定の範囲の人じゃないか、こういう説明をすること自体がおかしいよと言いたいところですよ。日米地位協定の範囲の人じゃなければ、こういうふうな説明をする必要はないんだ。しかし、この人をこういうふうに説明するということは、軍人ではないと強調しようとしていることはもうはっきりしているんですよ。

 それで、大臣、ここで日米地位協定、大臣が言っているようになかなか命令権もないというんだったら、日米地位協定の中からこの軍属を外したらどうですか。今、軍人を外すということは地位協定の中でも難しいかもしれない。軍属を外して法の範囲を縮める、そういうことをやれば、この軍属の方々は裁判権の問題が全部日本に移っちゃうので犯罪の抑止力に私はなると思うんですよね。

 これを大臣から提案して、まあ軍人はそのままにしても、軍属だけは今回の事件を受けて地位協定の範囲から外す、そういうことをやることによってアメリカ軍もリスクが少なくなる、そして、このことが犯罪の抑止力になる。私は、これをやる以外、道がないんじゃないかと思うんです。

 いかがですか、大臣、みずからの提案としてアメリカ側とこれを交渉してみるつもりはありませんか。

中谷国務大臣 地位協定というのは条約でございますので、第一義的には外務省が所管をいたしております。

 防衛省といたしましては、こういった犯罪が発生しないように日米間で協議をして具体策を検討するわけでございますが、日米の地位協定につきましては外務省が所管をいたしておるわけでございます。防衛省としましても、外務省と密接に省庁間の協議はしてまいりたいと考えております。

下地委員 私は、防衛大臣、所管かどうかというのは別にして、安全保障を一番つかさどる大臣が、こういう問題が起こらないように、所管じゃなくても外務省に対してしっかりとこういう提案をしていくというのが大事だということを改めて申し上げておきたいと思うんです。

 北米局長、私が今言ったことをアメリカ側と交渉する気持ちはありませんか。

森政府参考人 本件は軍属による凶悪な事件でございまして、これをどのように再発防止をしていくかということについては米側も真剣に取り組んでいるところでございます。私どもも、必要に応じて協議にあずかり、この徹底を行っていきたいというふうに考えます。

 一方、地位協定の対象から軍属を外すということになりますと、これは地位協定の改正ということになるわけでございますが、その点につきましては、地位協定についてさまざまな意見があるということは承知しておりますけれども、政府としては、手当てすべき事項の性格に応じて、効果的かつ機敏に対応できる最も適切な取り組みにより、不断の改善を図ってきているということで御理解いただきたいと思います。

下地委員 一九七二年の復帰から、先ほどから申し上げているように五千八百回あって、地位協定は運用の改善しかせずに、抜本改定は一回もやっていないんですよね。それでまた同じような、お茶を濁したような、靴の上から足をかくようなことをして終わろうというわけには今回はいかないんじゃないかと僕は思うんですよ。

 本格的にアメリカと交渉する外務省の姿が見えなかったら、辺野古を進めるなんて、それはもうとんでもない話になりますよ。ちゃんとやるべきことをやって、それで辺野古を進めたいというならわかるけれども、これもやらないで辺野古だけは進めますとか、こういうようなことを言っても沖縄県民はなかなか理解しませんよ。

 もう一回申し上げますけれども、これを本気で交渉するつもりはありませんか。

木原副大臣 今、北米局長から申し上げたように、まず、私ども、ぜひ今回の事案についてその背景等々をしっかり検証する。その上で、こうした事案が二度と起こらないように米側の努力をきっちり求めていく、その中に私どももしっかり関与をしていく。

 その上で、日米地位協定については、北米局長からも申し上げましたが、その中で、運用の改善が必要であればそれをまずはしっかりやらせていただく、そういう手順で臨んでまいりたいというふうに思っております。

下地委員 副大臣、もうあなたに質問しないけれども、この背景というのは七十年間あるから、とってつけたように、副大臣になって、それで今のような答弁をしてもこれは感動を生まない。余りこういう軽い御答弁はしない方がいいと思う。これは重みを持ってやらないと、人が一人亡くなっているんだから。

 大臣、これは基地あるがゆえの事件だというようなことを沖縄では言っていますけれども、大臣はどう思いますか。基地があるからこの五千八百件は起こっている、基地がなかったらこの五千八百件はなかったというような論議が今沖縄でありますけれども、やはり、基地があるから事件、事故が起こるんでしょう。

 よく比較する人がいますよね。沖縄の人口とその犯罪率を米軍の犯罪率とやったら、米軍の犯罪率の方が少ないんですよ、こういうふうなとんちんかんなことを言う人がいますけれども、やはりこの五千八百回というのは基地がなかったらなかった数字ですよね。そうでしょう。

 大臣が、基地があるからこういう事件が起こるというのを認めたところからこれはスタートすると思いますけれども、これは認めますか。

中谷国務大臣 犯罪につきましては、ひとえに心がけでございまして、そのために綱紀粛正、また事故防止策、こういうことを措置しまして、犯罪がないように努力をしているわけでございます。

 今回の件につきましては、非常に米国は重く受けとめておりまして、カーター国防長官も、大変痛ましく遺憾な事件であって、深い謝罪の意を表明して、今回の事件の捜査に全面的に協力をする、全て日本の司法当局に責任を持って対応してもらいたい、また、二度とこのような事件が起こらないように、米軍人軍属による事件、事故の再発防止に向けてできることは全て行うという発言がございました。

 このように、犯罪が起こらないように米側の努力が必要でございますが、そのための方策につきましては日米でよく協議をして、犯罪が起こらないように全力で対応してまいりたいと考えております。

 また、基地がなくなればいいということにつきましては、やはり日本の安全保障の問題でございます。ここ数年、日本の南西地域における軍事的な状況が非常に厳しくなっておりまして、力の空白をつくったり、またこういった対応をおろそかにいたしますと我が国の安全保障にかかわる問題でございますので、これは日米間で協議をしながら、沖縄に過度に集中する基地につきましてはその負担軽減に努めておりますけれども、我が国の安全保障をしっかり維持するための抑止とまた沖縄の基地負担軽減、こういったものについて引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えております。

下地委員 私も、この事件があったから沖縄の基地を全面撤去なんということは言っていないんです。安全保障の論理は大事だと思っているんです。だけれども、大臣、カーター国防長官が言った話も、少女暴行事件のときもアメリカの高官はみんな今と同じことを言った。中城で暴走して、飲酒運転で小学生の女の子がひき殺されたときも同じように言った。裁判権は日本に渡すと言った。これも当たり前のこと。当たり前のことのコメントがアメリカの高官からずっと続いてきて、五千八百回になっているんですと僕は申し上げているんです。

 私が言いたいのは、大臣が、基地があるからこの問題があるというのを認めたところからこの問題は解決していくと思うんです。誰も基地を全部撤去しろと言っていませんよ。しかし、基地があるからこういう事件が起こる、そういうことを大臣がまず認識した上で、どうやったらなくしていけるのかという話をしていかないと、そこの原点のところをずっと曖昧にしたままでは、沖縄には基地があるね、五万人の軍人軍属がいるからこういう事件が起こるんだよ、だから自分たちも何をすべきか考えなければいけない、ここをやはり言わないと僕は前に進まないと思いますよ。

 今、沖縄の県議会で何をやっているかといったら、きのう副知事のところに行って、会派の人たちが言っているこの文書を見て、うちの県会議員もいたのでちょっとびっくりしましたけれども、日米地位協定が変えられなかったら条例をつくるよ、もう条例をつくる以外に道がない、国が何もしないんだったら、もうそれだと。

 凶悪な犯罪を起こしたら県道は使わせない。県民の財産でつくった県道は使わせない。もし凶悪な犯罪を起こしたら、県の施設には米軍は入れない。もし凶悪な犯罪を起こしたら、基地で訓練のときに使う水だとか電気は供給しない。こういうことまで要望書の中に書かなければ、もう自分の県のことは自分で守らなければだめだという認識まで来ているんですよ。

 国が、北米局が米国べったりで、七十年間一つも地位協定を改正してこなかった背景のところが、もうここぐらいまで、自分たちで条例をつくらないと自分の県の人たちを守れないというところまで来ているんです。恥ずかしくないか、あなた方。改正しろよ。一人の大事な命を殺しておいて、いつまでアメリカ寄りの態度をとってやっているんだ、おまえら。ふざけているよ、本当に。

 まともなやり方をしないと、今回は納得しませんよ。これは私だけじゃなくて全部の思いだと思うから、そのことだけ申し上げて質問を終わりますけれども、本気でやってくださいよ、大臣。大臣ならできるよ、本当に。何か今までのものと違ったもの、これを一個見せれば、また新しく日米同盟の重要さ、安全保障の重要さが芽生えてくるということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

左藤委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 沖縄県で発生した、元米海兵隊員で軍属による女性会社員死体遺棄事件は、極悪非道、計画的であり、犯行態様も極めて悪質きわまりない犯罪であります。緊急逮捕後の容疑者の自供によりますと、ウオーキング中の被害者を後方から襲い、棒で殴り、首を絞め、ナイフで刺して暴行の上、殺して遺体を遺棄しております。

 中谷大臣、私はきょう、かりゆしウエアの喪服をつけて質問しております。実は、被害女性は私と同じうるま市に住んでおり、犯行現場も私はよく知っている。御遺族と多くの県民の深い悲しみ、強い怒りを共有したいとの思いで、あえて喪服をつけました。喪服をつけて国会で質問するのは異例なことかもしれません。委員各位には、被害女性がどんなにか悔しかったか、御遺族と県民の無念の思い、激しい怒りに御理解を願いたいと思います。

 中谷大臣は、去る二十一日にとり行われた被害女性の告別式に参列されました。私も参加した。中谷大臣は、その際、御遺族に何かお声がけをしたんでしょうか、また、御遺族や関係者の心痛をどう受けとめておられるんでしょうか、尋ねます。

中谷国務大臣 五月の二十一日の土曜日に沖縄の名護市で行われました葬儀に参列をさせていただきました。

 私といたしましては、本当に若く、これから未来のあるとうとい命が失われたということに対して心から御冥福をお祈り申し上げ、そして、御遺族の皆様方に心からお悔やみを申し上げた次第でございます。

 特に、御両親さんにつきまして、私の方から心からのおわびを申し上げ、そして、このような事件が起こってしまったことにおきまして、沖縄で、しかも軍属による非常に凶悪な、そして許されない犯行が行われたということについて強い怒りを持っておりますが、それ以上に、沖縄でこういった犯行が行われたということに対して大変申しわけなく感じているわけでございます。

 もう二度とこのようなことが起こらないように、遺影に対しても誓わせていただきましたし、また、御両親を初め御親族の大変深い悲しみと怒り、そういうことを十分に自分の胸に刻んで、今後こういった犯行が行われないような施策に向けて全力で努力をしてまいりたいと誓ったわけでございます。

照屋委員 中谷大臣、人間は心が大事。私が非常に残念なのは、名護市の告別式にいらっしゃって、なぜ、そう遠くもない死体遺棄現場に足を運んで、被害者の冥福を祈り、合掌するようなことができなかったのか。

中谷国務大臣 御葬儀に参りまして、私といたしましては、心から御冥福を申し上げ、そして御親族の皆様方に対してもお悔やみを申し上げ、そして哀悼の念をささげたわけでございます。

 同時に、四軍調整官にも会いまして、今回の事件につきましての日本の政府の認識を伝えて抗議をしまして、二度とこのような事件が発生しないような方策を強く求めたわけでございます。

照屋委員 大臣、事件を受けて、沖縄では在沖米軍基地の全面撤去を求める声が日増しに高まっておりますが、大臣はどのように受けとめておられるでしょうか。

 それから、二十一日深夜の日米防衛相電話会談で、カーター米国防長官に沖縄での基地撤去の高まりをお伝えしましたか。

中谷国務大臣 先ほどお答えいたしましたけれども、現在の日本の安全保障の状況を考えますと、しっかりと国を守っていくということにおきましては、日米同盟、在日米軍の抑止力、対処力、こういったことが必要でございます。

 確かに、戦後七十年を経てもなお沖縄の皆様方に大変大きな負担を背負っていただいているということは是認できるものではなくて、この負担の軽減に全力を挙げて今取り組んでおりますけれども、今後とも、できることは全て行うという考えで沖縄の基地の負担軽減に取り組んでまいりたいと考えております。

 カーター長官につきましては、大変強い沖縄の皆様方の意を酌んで、断じて許されない、言語道断の事件であるということを強く申し上げ、この再発防止を求めたところでございます。

照屋委員 大臣、断じて許されない、言語道断、そんなのはわかっていますよ。

 私が聞きたいのは、そして、大臣とカーター米国防長官の電話会談、地元紙も報道していますよ。しかし、多くの県民が、なぜ大臣が率直にカーター長官に、沖縄の民意とか、沖縄で事件を契機に在沖米軍基地の撤去要求が高まっているということをお伝えしなかったかと聞いているんです。

中谷国務大臣 これは日本の安全保障をいかに維持するかということでございまして、在日米軍につきましては、やはり緊急事態に迅速に機動的に対応しなければならないということで、平時から対応いたしております。抑止力といいますけれども、プレゼンスによってそういった事態が防げるということで、今の日米同盟、在日米軍基地の配置があります。

 そういう点につきまして、私なりに、沖縄に海兵隊が所在をすること、そして、普天間の基地が非常に危険で、一刻も早く辺野古に移転をしなければならないということで取り組んでいるわけでございますが、二度とこのような悲惨な事件、事故は起こしてはいけないわけでございますので、その中で、こういった事件、事故の再発防止について厳重に申し入れをしたということでございます。

照屋委員 大臣、お言葉ですが、戦後七十年間、沖縄と沖縄県民がこの国の安全保障の犠牲になっている、このことが大きな問題ですよ。それをよくわかっていただきたいと思いますね。

 さて、本件事件の背景には、沖縄に過密に米軍基地が集中し、膨大な数の米軍人軍属が駐留していることがあります。中谷大臣は、基地あるがゆえ、軍隊が駐留するがゆえの犯罪であるとの認識はお持ちでしょうか。

中谷国務大臣 基地が所在をして大きな負担を与えているということは認識いたしております。

 しかしながら、自衛隊もそうでありますが、こういった集団において、事件、事故を起こしたり、また国民に迷惑をかけたりすることは許されないわけでありますので、ひとえに意識をしっかりして、綱紀粛正や事故防止に全力を挙げるということが必要でございます。

 米軍人また軍属による事件、事故があってはならないということでありますので、平素から米軍に対してはこういった教育とか綱紀粛正を求めております。

 米軍もこういったことには努力はしているわけでございますし、また、地元の皆様方とも信頼関係、御理解をいただくということでいろいろな政策をしておりまして、例えば、住民の方々との交流や、ビーチとか公園の清掃、児童養護施設、老人ホームでの奉仕活動、よき隣人としての関係の推進に努めている部分もございます。

 許されないのは、こういった事件、事故を起こす米軍人また軍属がいるということでございますので、そういった事件、事故が起こらないように、信頼をかち取るように、さらに厳しく求めてまいりたいと考えております。

照屋委員 大臣、米軍絡みの事件、事故が繰り返されるたびに、日米両政府は、綱紀粛正、再発防止などという手あかのついた言葉を言い募っております。今回の残忍で非情な事件は、それらの言葉が全く実効性のない空証文であったことを如実に物語っております。

 先ほど下地委員あるいは赤嶺委員から厳しい質問がありましたが、防衛大臣の考えていらっしゃる実効性ある再発防止策とはどのようなものですか。具体的に示してください。

中谷国務大臣 米軍人等につきましては、これまでも事件、事故があるたびに申し入れをしておりますので、米軍人につきましては組織的に対応している部分もあろうかと思います。

 今回発生しましたのは、そうではなくて、軍属の方が凶悪な犯行を犯したわけでございまして、では、軍属においていかなる対応ができるのか。きょうの質疑でもありましたけれども、雇用とか、また随伴とか、さまざまな形態がある中でどのように対応していくか。これはやはり、一つ一つ、現実にどのように指導できるかということについて具体策を考えて実施をしていくわけでございますので、私の方から沖縄の防衛局長に、ニコルソン四軍司令官とこの点についてはよく協議をして、答えをまとめて実施をしてもらいたいという要請をいたしました。カーター長官もニコルソン司令官にその旨指示するということで、両国でしっかりとした対応が早急にできますように努力をしてまいりたいと考えております。

照屋委員 大臣、米側に求めるだけで終わらせてはだめなんです。日本政府として具体的な策を示さない限り事件、事故はなくならない、そういう考えはお持ちですか。具体性がない。それで再発防止をアメリカ側に求めても何にもなりませんよ。

中谷国務大臣 これは、まずもって米軍が、自己管理、しっかり兵士、組織を管理していくということでございます。そのために、カーター国防長官と電話で会談をし、さらにその対応を求めました。

 また、今度、シンガポールで日米の防衛相会談がございます。米国の政府として、沖縄の基地、軍人、そして軍属、こういうことをしっかりと管理して、二度とこのような犯罪が起こらないような仕組みをとってもらう、このことがまず第一に必要であります。

 また、日本政府も、そのために真剣に米国と協議をし、それを実行させるということによって、地元の皆さんの信頼を回復するように、一つ一つ地道に丁寧にやってまいりたいと考えております。

照屋委員 外務副大臣にお尋ねをしますが、今回の事件を機会にして、沖縄では、不平等、不公平な日米地位協定は運用改善や手直しではもはやだめ、全面改正すべしとの声が一層高まっております。翁長沖縄県知事は、きのうの安倍総理との会談で、今の日米協定のもとでは日本の独立は神話と言われますよと強く訴えておるんですね。このような知事や県民の思いについて、外務省はどうお考えですか。

木原副大臣 まず、今般の事件につきまして、極めて卑劣、そしてまた残忍で凶悪な事件であります。

 まずは、こうした事件が二度と繰り返されないように、先ほど防衛大臣からも御答弁されましたが、アメリカにおいてしっかりとした再発防止策をとっていただく。アメリカも、私どもの強い抗議を受けて、本件について極めて重く受けとめておりますので、これをしっかり見守りながら、また我々もその中でしっかりと適切に対応してまいりたいというふうに思います。

 そして、今御指摘をいただきました日米地位協定についてでありますが、昨日、翁長知事からも御指摘があったということは承知をいたしております。

 私どもといたしましては、日米地位協定についてさまざまな御意見があるということは承知をしておりますが、例えば昨年九月に日米地位協定の環境補足協定に署名させていただいたように、手当てすべき事項の性格に応じて効果的かつ機敏な対応をこれからも適切に積み上げていきたい、このように考えているところでございます。

照屋委員 大臣、私は、当委員会で先ほど民進党の緒方委員と大臣のやりとりを大変注意深く聞いておりました。どうも大臣は、緒方委員に比べると地位協定の理解がいまいち十分ではない。

 そして、びっくりしたのは、大臣は各委員の質問に、今度の事件の容疑者が、やたら軍属は民間人だということを強調しておる。これは間違い。

 事件後、安慶田副知事を県庁に訪ねた在沖四軍調整官が、被疑者は米軍人ではない、米軍や米政府の予算で雇用する軍属ではないなどと弁解、責任逃れを言っております。これは断じて許せない。元海兵隊員で、極東最大の空軍基地で働く軍属であることは明々白々なのです。

 そこで、大臣、容疑者は、日米地位協定の運用上、特権が与えられているSOFAと呼ばれる地位にあることは知っているでしょう。そして、SOFAの軍属は、日米地位協定上、限りなく軍人に近い保護を受けている。このことを恐らく緒方委員は問いただしたかったと思うんです。どうですか、大臣。

中谷国務大臣 確かに、今回の容疑者は米軍属に位置をするということでございまして、日米地位協定上の軍属の身分を享受していたものでございます。特権もあろうかと思います。

 私が申し上げたいのは、民間人だから許されるというわけではなくて、軍の場合は厳しい戒律等がありますので、コントロールはそれなりに今までやってきたわけでありますが、民間人に対していかなる手段をもってしっかりと綱紀粛正や事故防止が徹底をされるのか、これは、今回の事件を契機に、軍人のみならず、軍属もしっかりルールを守って凶悪事件を起こさないようにすることが必要であるという意味で申し上げたところでございます。

照屋委員 大臣、私が申し上げたかったのは、日米地位協定上、いわゆる軍属については何種類もあるんですよ。ところが、本件の容疑者は、先ほど言ったように、SOFAと言われる軍人と同じような保護を受けている軍属であるということをしっかり留意してもらいたいと私は思います。

 それで、外務、防衛両省は、二〇〇八年以降、在日米軍等の施設・区域内外における居住者数についてと題する資料を毎年公表しておりました。ところが、二〇一一年三月末時点以降のものについて、市町村別の人数は公表されず、都道府県別のみにとどまっております。突如非公表となったのはなぜでしょうか、理由を尋ねます。

 この間、沖縄県内の米軍基地所在市町村長は公表を強く求めてまいりました。本件事件の被疑者が基地外居住の米軍属であることに鑑み、速やかに公表を再開するよう米側に働きかけるべきだと考えますが、防衛大臣の見解を伺います。

中谷国務大臣 防衛省は、二〇〇八年以降、在日米軍からの情報提供を受けまして、市町村別に区分をした米軍人等の施設・区域内外居住者の人数についてホームページで公表をするとともに、関係自治体に対して情報提供してまいりました。

 しかしながら、米側から、市町村別の居住者数といった詳細な数字を公表することに対してセキュリティー上強い懸念が示されたところから、防衛省は、日米間の調整で、二〇一二年、平成二十四年三月末時点以降は都道府県別の居住者数を公表するということといたしまして、関係自治体に情報提供を行っておりました。

 その後、米側から、国際社会における米軍に対する脅威により、詳細な居住者数を提供することに対してより厳しい考慮が必要であるとして懸念が示されたことによりまして、平成二十五年以降、在日米軍人等の居住者につきましては、都道府県別、市町村別ともに情報提供されていないところでございます。

 米側の懸念につきましては、防衛省としても配慮が必要だと考えておりますが、他方、在日米軍施設・区域の安定的な使用を確保する観点から、公表も含めた居住者数に係る情報の適切な取り扱いにつきましては、関係省庁と連携をして米側と協議をしているところでございます。

照屋委員 最後に、大臣、これは質問通告はしておりませんでしたが、先ほどの民進党の緒方委員が最後の方で聞いておりましたが、残念ながら緒方委員の持ち時間がなくなってしまった。

 実は、きょうの地元紙朝刊報道によると、自民党神奈川県議の小島健一氏が、沖縄で基地反対と騒いでいる人たちをキチガイと呼んでいる、発言しているようです。

 このように差別用語を使い非難をするのは断じて許せません。情けない。怒り心頭であります。基地負担の犠牲で苦しむ県民の気持ちを全く理解しない暴言。在日米軍基地は全て神奈川県に引き取ってもらいましょう、私はそう言いたい。

 小島県議の発言について、大臣はどのように思っておられますか。

中谷国務大臣 詳細につきましては承知しておりませんが、キチガイという用語につきましては、一般的に好ましくなくて、使用すべきではないと考えます。

照屋委員 最後に外務副大臣、お願いですが、翁長沖縄県知事が安倍総理に求めた、オバマ大統領が来日する際に、ぜひオバマ大統領と翁長知事が直接会って会談できるように、外務省としてもその仲介作業をすべきだと思っておりますが、どうでしょうか。

木原副大臣 まず、本件につきまして、既に岸田外務大臣また中谷防衛大臣から米側に強く抗議を申し上げ、再発防止等を求めているところであります。引き続き、政府として適切に対応させていただきたいというふうに思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、安全保障また外交に係る課題については中央政府間で協議されるべきであろうというふうに考えております。

 ただ、今週、オバマ大統領がサミットに来られるわけでありまして、まだ日時は決まっておりませんが、日米首脳会談がセットされます。安倍総理の方から、翁長知事の思いも、そしてまた沖縄県民の皆さんの思いもしっかり踏まえながら、厳正な対応を米側にしっかりと求めていく、そういうふうにさせていただきたいと思っております。

照屋委員 終わります。

左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十二分散会


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