衆議院

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第12号 平成13年6月1日(金曜日)

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平成十三年六月一日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 五島 正規君

   理事 伊藤 達也君 理事 稲葉 大和君

   理事 柳本 卓治君 理事 山本 公一君

   理事 小林  守君 理事 近藤 昭一君

   理事 青山 二三君 理事 樋高  剛君

      小渕 優子君    岡下 信子君

      熊谷 市雄君    小泉 龍司君

      河野 太郎君    下村 博文君

      西野あきら君    鳩山 邦夫君

      原田昇左右君    平井 卓也君

      細田 博之君    増原 義剛君

      奥田  建君    鎌田さゆり君

      今野  東君    佐藤謙一郎君

      鮫島 宗明君    長浜 博行君

      細野 豪志君    田端 正広君

      藤木 洋子君    阿部 知子君

      原  陽子君    山口わか子君

    …………………………………

   環境大臣         川口 順子君

   環境副大臣        風間  昶君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   環境大臣政務官      西野あきら君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   坂  篤郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  石井 隆一君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  篠崎 英夫君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  大塚 義治君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  冨岡  悟君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局次

   長)           佐藤  準君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整

   備局下水道部長)     曽小川久貴君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   炭谷  茂君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・

   リサイクル対策部長)   岡澤 和好君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  西尾 哲茂君

   環境委員会専門員     澤崎 義紀君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  鎌田さゆり君     今野  東君

  佐藤謙一郎君     細野 豪志君

  金子 哲夫君     山口わか子君

同日

 辞任         補欠選任

  今野  東君     鎌田さゆり君

  細野 豪志君     佐藤謙一郎君

  山口わか子君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     金子 哲夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 温泉法の一部を改正する法律案(内閣提出第六六号)

 浄化槽法の一部を改正する法律案(内閣提出第八一号)


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     ――――◇―――――

五島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、温泉法の一部を改正する法律案及び浄化槽法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官坂篤郎君、総務省大臣官房審議官瀧野欣彌君、総務省自治税務局長石井隆一君、厚生労働省健康局長篠崎英夫君、厚生労働省保険局長大塚義治君、社会保険庁運営部長冨岡悟君、農林水産省農村振興局次長佐藤準君、国土交通省都市・地域整備局下水道部長曽小川久貴君、環境省大臣官房長炭谷茂君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長岡澤和好君及び環境省自然環境局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

五島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

五島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樋高剛君。

樋高委員 おはようございます。自由党の樋高剛でございます。

 法案に関してお伺いする前に、環境関係で昨今若干話題になっておりますことについて幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、環境省さんが取り組んでいらっしゃることで、先週の五月二十六日の土曜日に新聞記事に載っておりました。とってもいい取り組みであると思いましたものですから取り上げさせていただきました。かおり風景百選についてであります。

 これは、良好な香りとその源となる自然や文化を保全しよう、そしてつくり出していこう、その地域の取り組みを支援していこうということで、かおり風景百選の推薦受け付けを開始されるということのようであります。

 私もちょっと興味がありましたものですから調べてみましたところ、以前にも環境庁さんで、残したい日本の音風景百選なんという取り組みもやっていらっしゃるということであります。また、地方におきましては、かおりポイントマップ、こういうのがありまして、環境保全を身近なところから始めようというさまざまな取り組みをなさっていらっしゃるということでありまして、私は、とてもすばらしいことではないかと思うわけであります。

 いわゆる環境の規制だけではなくて、よりよい環境の創造、そうした環境を生み出そうという住民意識の喚起を目指していく取り組みはなかなかおもしろいのではないか、ユニークでいいのではないかと感じたわけであります。

 大臣にお伺いしますけれども、この具体的な募集業務を行うに際しまして、どのようなかおり風景をイメージなさっていらっしゃるのか。大臣御自身が、香りに関連して、地域の自然や文化がよく保全されているとお感じになったことがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。

川口国務大臣 かおり百選は今公募中でございまして、それから、委員がおっしゃった音百選は環境省のホームページから入ることができまして、例えば釧路のタンチョウヅルの鳴き声とか、そういうものが入っております。

 かおり百選の具体的なイメージとして、これはいろいろな方がいろいろ思われると思いますけれども、例えば神社の梅とまざったお線香の香りなどといったようなことがイメージとして挙げられるかもしれませんけれども、私は、香りという意味で思いますのは、自然の香りというのが非常に好きでございまして、東京の夕暮れ、十月に町を歩いていて香ってくるキンモクセイの香り、それから、この間、ついそこを歩いていましたらカイヅカイブキの香りが非常に新鮮でとてもうれしかったというような、自然の香りが好きです。

樋高委員 ポジティブな取り組みである、私はいい取り組みであると思いますので、どうか積極的に、こういった身近なところから環境問題を意識する、住民の意識を喚起するということに取り組んでいただきたいと思います。

 また一方で、話題はまた変わりますけれども、つい先日、四月からの家電リサイクル法施行による不法投棄の状況につきまして環境省から発表がございました。これによりますと約六割、半分を超える六割の自治体において、家電リサイクル法の施行前に比べて不法投棄が増加しているというのが事実でありますということを環境省さんから発表になられたわけであります。また、特に四月は、その前月と比較して買いかえが減少している、こうした中で不法投棄がふえていることは非常に憂慮される事態であると思うわけであります。

 これはリサイクル料金の支払い逃れなどさまざまな原因が考えられると思いますけれども、この調査結果につきまして環境省はどのように評価なさっていらっしゃるのか、そして、こうした不法投棄の問題に対してどのような対策をとっていかれるのでしょうか、よろしくお願いします。

川口国務大臣 数字でございますが、全国八十六自治体を対象といたしまして、平成十二年の四月と十三年の四月を比べまして調査を行いました。廃家電の不法投棄台数は、増加した自治体が五十二、減少した自治体が二十九、変わらない自治体が五つでございまして、台数としては全体で四百二台の増加がありました。

 今後、不法投棄の動向あるいはその費用負担方法との関連につきまして判断をするには、さらに実態の把握が必要だというふうに考えております。

 不法投棄を防止する観点から申しますと、家電リサイクル法の趣旨なり役割分担なり、その一環として消費者が何を負担すべきかということについての国民の皆様の理解と認識を深めていく必要があると思っております。したがいまして、今後とも普及啓発に努めまして、不法投棄の実態の把握に努めたいと思います。

 それから、対策についてですけれども、これは、廃棄物処理法を昨年改正強化いたしまして、罰則や措置命令をより厳しくいたしまして対応できるようにいたしております。マニフェスト制度、それから地方公共団体によるパトロール、監視の要請を通じまして、廃家電の回収を行う小売業者等による不正行為の防止にも努めていきたいと考えております。

樋高委員 不法投棄の問題、私も今までずっと取り組んできてはいるんですけれども、これもとても重要な問題であると思うわけであります。

 フロンの回収・破壊法案につきましても今取り組んでいるところでありますが、これは完璧な法律だと思ってつくってみても、やはり実態としてどこか現実的になかなかうまく機能しない、実効性が上がらないというのが、ある意味ではこの家電リサイクル法で明らかになったわけでありまして、そういった意味からも、今後、この不法投棄ということも重要な、本当にそれが起きないように、なるべくなくすことができるように、我々でしっかりと取り組んでいかなくてはいけない問題であると思っております。

 そして今回の法律案でありますけれども、まず、浄化槽の方の関連からお伺いをさせていただきますけれども、資格制度についてであります。

 今回の浄化槽法の改正は、平成八年の公益法人に対する検査等の委託等に関する基準に従って、公益法人が行う行政代行的行為の透明化を図るということで、必要性につきましては了解をいたしている次第であります。よって、この法律案そのものに対して異議を申し立てるつもりはありませんけれども、今回の改正ですべてよしと、この資格制度を今後とも今のような形で存続させるということについては疑問が残るわけであります。

 といいますのは、小泉内閣におきましては、最優先課題の一つとして行政の構造改革を挙げていらっしゃいます。その中で公益法人の抜本的改革も位置づけていらっしゃるというふうに私は認識をしておりますけれども、こうした状況において、国の資格試験を公益法人に委託している本制度をそのままずっと存続させていくというのは、果たして現在の流れに沿っているとは言えないのではないか、私はどうしても疑問を感ずるわけであります。

 先日の週刊文春に「ニュースの考古学」というコラムが掲載されておりまして、その中で「「資格」だらけの不思議な国」というふうに題されまして取り上げられていたわけであります。要は、江戸時代の関所のごとく、国家資格が無数に存在し、通行料ともいうべき受験料等を徴収している、これらの国家資格により、国民から収奪した通行料で財団法人を維持して天下り役人を養っていること、さらに、こうした官業が民業の市場を奪っていることを指摘されているわけであります。

 まさにもっともな指摘でありまして、私の従来からの問題意識とも一致しているわけでありますけれども、実はこの記事の中で浄化槽関係の資格が取り上げられておりましたので、若干引用させていただきたいと思います。

 紛らわしい国家資格はたくさんある。浄化槽管理士は受験料一万七千七百円、講習料十二万九千七百円。環境省所管の財団法人日本環境整備教育センターが仕切っている。ここに国土交通省が絡むとまた別の資格が誕生する。浄化槽設備士の受験料が一万七千八百円、講習料は七万五千円である。これは国土交通省所管の財団法人浄化槽設備士センターが担当している。浄化槽の工事をするためにはこれらを全部取得しなければならないのだから、まるで因縁をつけられているようなものだ、以上のように述べられているわけであります。

 まず、浄化槽管理士、そして設備士の受験料、講習料についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 試験や講習の詳細な内容について承知しているわけじゃありませんので詳しい中身はわかりませんけれども、一見してかなり高いんじゃないかなという印象を持ったわけであります。

 例えば、管理士の方は十三日間の講習で約十三万円、設備士の方は五日間の講習で七万五千円、一日当たり一万円以上の講習料を現にいただいているわけであります。

 管理士の方は昭和五十五年設立、免状取得者が五万二千人以上。もしかしたら、この受講料の見直し、受験料の見直しは、もちろん途中経過であったのでしょうけれども、単純計算で、この免状取得者と講習料を掛けると、例えば管理士は十三万円ですから、五万二千人掛ける十三万円で、これだけで六十七億円以上がざっとこの財団法人に入った。また一方で、設備士の方も、免状取得者が六万五千人、そして五日間の講習で七万五千円、七万五千円掛ける六万五千人ですから、ざっと四十八億円以上が、昭和五十九年に設立したばかりなのに実は現に入っているわけであります。

 この料金というのは、コストに見合うようにきちっと設定がされているのかというふうに私は思うわけであります。財団に多額のもうけが出ているということはないと思いますけれども、仮に黒字が出ていないとしても、それは事実上の業務の独占のもとで放漫な事業運営をしている結果なのではないかと思わざるを得ないわけであります。

 例えば、受験料の例をとってみますと、身近なところでは、民間企業が競争的な条件のもとで行っております大学入試の模擬試験、これなんかはせいぜい五千円程度の受験料なわけであります。なぜこの受験料は二万円近くいただかなければいけないのだろうかというふうに思うんですが、いかがお考えでしょうか。

西野大臣政務官 樋高先生の御指摘にお答えをさせていただきたいと思います。

 御案内のとおり、汚水の施設の整備率というのは、全国的にほぼ七割、七〇%程度が下水道及び浄化槽等で整備がされておるんですが、とりわけ地方に多いと思われますけれども、残り三〇%は未整備の状況でございます。

 したがって今日まで、浄化槽等の整備あるいはそれを管理するために、一定の試験もしくは講習を受けまして認定をされておる方々は、それぞれ、今お示しされました六万五千人、管理士が五万二千人という実績で、その方々によって管理運営されておるわけであります。

 したがって、試験で合格なさる方それ以外には、講習がいわゆる試験にかわるものとして認定をされておるわけでありますから、講習といえども、中立性あるいは公平性というものが求められるわけでありまして、引き続いて継続性ということも当然求められておるところでございます。

 したがって、そういう意味から、実はこれらの講習試験の実施は公益法人にお願いをしておるところでございますから、これらに対しまして環境省としても、今後とも適正な運営が行われるように指導監督をしていきたいというふうに思っております。

 お示しのありました設備士の認定につきましては、財団法人浄化槽設備士センターが行っております。昨年の例でございますけれども、全国で十三会場、五日間にわたりまして三十七時間でございます。この受講料も、お示しのように七万五千円でございます。一日当たりにいたしましたら一万五千円前後、こういうことになろうかと思います。

 一方、管理士の方は、浄化槽管理士認定講習会としてあるわけでございますが、この方は、全国十六会場で十三日間、延べにいたしまして八十二・五時間を実施したところでございまして、受講料は、お示しのとおり十三万弱、十二万九千七百円、一日に一万と、こういうことになるわけでございます。

 この費用が高いのか安いのかという問題でございますが、当然ながら、受講者の負担を軽減する意味もあって可能な限り適切に対応していくべきだというふうに思っておりますが、この使途は、講師の人件費だとか通信費、それに受講される方の印刷あるいは製本代、あるいは講師の旅費、交通費、実はそういった実費に講習料を使っておる、充当しておるわけでございます。

 したがって、申し上げましたとおり、相当の数が受講をされておりますので、これらが適正に、しかも効率的に運営をされるように、とりわけ受講者の負担軽減という意味も含めて、今後ともこれを精査して、定期的に見直していくべきだというふうにも思っておるところでございます。

 他の例をお示しになりましたけれども、いろいろ試験制度は数多くございますが、例えば、エネルギー管理士研修は七日間で七万円、厚生労働省の関係の精神保健福祉士は九日間で六十三時間、七万円ということで、一日当たりにいたしますと、おおむね大体数千円から一万数千円までの受講料になっておるのかなというふうに思っております。

 これらにつきましても、十分今後とも定期的に精査して検討をしていきたい、このように思っておりますのでよろしくお願いします。

樋高委員 定期的にしっかりと、その料金、コスト、効率性、生産性をぜひきちっと見直しつつ行っていただきたいと思うわけであります。

 本日、浄化槽法と同時に審議しております温泉法に関しましては、環境大臣による温泉分析機関の指定制度を改めて、営利、非営利を問わず、一定の検査能力を持つ機関であれば、都道府県知事に登録することでよいという改正案が今回提出されているわけであります。

 現在、政府部内でも、行政委託型公益法人に委託している資格制度については、その制度自体の必要性も含め、国の関与の必要性等を厳しく精査する、その上で、国の関与が必要なものについては、公益法人という類型にとらわれず、営利法人も含めた、能力を有する者が幅広く委託等を受けられるような能力主義の仕組みに転換する方向で検討されているというふうに伺っております。私は、これらの動きにつきましては当然のことだと思うわけであります。

 そこで、今回の資格制度にまつわる規制緩和の必要性について伺いたいと思うのでありますけれども、浄化槽関連の資格制度につきましても、将来的には、公益法人にとどまらず、例えばNPOなどにもゆだねるなど、さらに規制緩和を進めることができないだろうかと考えるわけであります。

 例えば英検、英語検定の実施主体である財団法人日本英語検定協会というのは、民法第三十四条に基づく公益法人であります。一方で、TOEICというのがありますけれども、実施主体はETSというアメリカのNPOであります。だからといって、TOEICが英検に比べて信頼性がないとは言い切れないのではないかと私は思うわけであります。

 また、事実、このような試験業、講習業を広くNPO、ひいては民間企業に開放することによりまして、新たな企業活動のフロンティアが生まれてくるのではないかと思うわけでありまして、民に任せられるものは民に任せるというのが内閣の基本方針ではなかったのかと思うわけであります。

 今回は、浄化槽法、温泉法に関しての資格制度を取り上げさせていただいておりますけれども、そもそも川口大臣におかれましては、以前、規制改革委員会の委員でもあられたわけであります。その第一人者として御意見をお聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 民に任せられるものは民に任せろと小泉総理はおっしゃっていらっしゃいまして、地方に任せることができるものは地方に任せる、この考え方に私は賛成でございます。

 この浄化槽の設備士が、あるいは管理士がそういったジャンルに入るものかどうかということでございますけれども、御案内のように、浄化槽設備士は、浄化槽の設置工事を実地に監督する者の国家資格ということですし、浄化槽管理士は、浄化槽の保守点検を担う者の国家資格であるということです。

 この国家資格たるゆえんは、公共的な水、水質の管理に関係が非常に強いということでございまして、公共性ということから国家資格ということでございまして、英語のTOEICあるいは英検は、それぞれやっているのが公益法人であったりということですけれども、それは、テストの結果は個人に帰属をするわけでございまして、そういった公共性ということを視野に入れて考えなければいけない資格とは異なるというふうに私は認識をいたしております。

 もちろん、そういった公益法人の業務が適正に行われるように見ていく、監督をしていくということは非常に重要だと思っております。

樋高委員 公益性の部分、もちろんよくわかります。今回は一つの事例として、いわゆる公益法人からある意味で例えばNPOに委託をするような、民に任せていくようなこともしっかりと、もちろん水という部分でありますから公益性を考えて安全性を確保しなくちゃいけない、それはもう当然の話でありまして、そんな中でも、やはり全体の流れがそういう方向にもなっているからという観点もしっかりと考えていただきたいという意味で申し上げたわけであります。御要望申し上げたいと思います。

 そして、温泉関連の質問なんですけれども、こちらにおいでの関係の皆様方も御経験があるかもしれませんけれども、実は、温泉の成分が含まれていないにもかかわらず温泉だとうたっているケースが現に、事件というか、あったようであります。

 温泉法という今回法律でありますけれども、その温泉法という法律からは、いわゆる害はないからということで温泉という名称を使うことは取り下げろとは言えないんだそうでありますけれども、一方で私は、不当表示防止法また軽犯罪法に触れる可能性が十分にあるのではないかと思うわけであります。

 いわゆる広告等によりまして温泉に行ってみたけれども、温泉の成分が実は入ってなかったよというのがあったと伺っておりますけれども、このことにつきましていかがお考えでしょうか。

川口国務大臣 委員おっしゃられましたように、単に温泉というふうに称しているということだけであれば、それによってその利用者に健康被害があるとか、それから健康被害を起こすおそれがあるというふうには言えませんで、温泉法で禁止することにはなじまないということでございます。

 それで、虚偽の成分掲示をいたしましたり、それから効能効果を広告していいということではおっしゃるように全くありませんで、一般の人に著しい誤解を与える場合には、それは不当景品類及び不当表示防止法あるいは不正競争防止法、軽犯罪法違反の問題として扱われるということでございます。

 いずれにいたしましても、環境省といたしましては、その温泉の利用によって、利用なさっていらっしゃる方の健康被害があってはいけませんし、温泉源の保護は適切に行われないといけませんので、その観点から、温泉法の適切な運用には努力をしていきたいと思います。

樋高委員 温泉の成分というのは、温泉というのは長い歴史があるわけで、その地域地域に根差した形であると思うんですけれども、例えば地殻の変動、地震等々、また自然のいろいろな状況の変化によりまして成分が変わるということも考えられるんだそうでありまして、いわゆるこの成分が変わることによって健康被害を及ぼすということも私は考えられるんではないかと。

 事故が起きてからでは手おくれでありますけれども、何か伺いましたところ、いわゆる十年ごとに再分析の通知、十年ごとに分析をするようにという通知は出しているけれども、一切義務化はしていなくて、実は、一番最初に温泉をつくるときに、その一番最初に温泉をつくったのが百年前なのか二百年前なのか三百年前なのかわかりませんけれども、そのときにある意味でもう実質温泉として使用されている部分につきましては、もうなし崩し的に現状も使われているということであります。

 いわゆる温泉の成分によって事故が起きる因果関係というのは大変立証しにくい面ももちろんあるとは思うんですけれども、今回温泉法という法律案につきまして検討しているわけでありますから、温泉のこういった成分の見直し、許可も、やはり定期的にきちっと検査をして見直していく必要があるのではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。

川口国務大臣 私が理解をいたしておりますのは、温泉の成分については、一般的には、季節や時間帯で変化をする場合もありますけれども、大体泉質が、温泉の質が大きく変わることはないというふうに言われているということでございます。

 したがいまして、委員おっしゃられますように、温泉成分を定期的に分析することを義務づけているということではない。ただ、各温泉地の地質や気象等を総合的に判断して、おおむね十年ごとに再分析をすることが望ましいというふうに都道府県に対して指導を申し上げているということだと思います。

 一般的に、余り変化をすることがないという前提に立てば、それを義務づけることによって生ずるコストなりということと、それによって得る便益を比較して、義務づけることが妥当かどうかという判断でもあると思いますけれども、この場合には、余り変化をしないということで私ども理解をいたしておりますので、そういうことだということですから、義務づける必要はないのではないかというふうに考えております。

樋高委員 科学者、学者の先生にもちょっとヒアリングをしたところによりますと、一〇〇%成分が変わらないということはむしろあり得ないんだということでありましたので、御警告を申し上げておきたいと思います。

 最後に、要望なのでありますけれども、先般テレビを見ておりましたらば、神奈川県の箱根町、箱根の方に小学校がありまして、それは温泉小学校という名称なんだそうであります。ここでは温泉が校内に引かれておりまして、学校の中に温泉がある。生徒はもちろんだけれども、先生も一緒に温泉に入って、背中をこすり合ったり話をしたり、非常に楽しそうな、まさしく裸のつき合いをなさっている。

 学校教育については、今いろいろな問題がありますけれども、いわゆるこういった団体活動、自然体験学習を通じて環境教育に生かしていくということは、私はとてもユニークですばらしい取り組みだと思うわけであります。

 いわゆるエコツーリズム、温泉地を利用して地域振興、もしくはそこの温泉に触れることによって、自然について触れ、考える、そして環境について考える、意識を高揚していくということは重要であると思うんですけれども、こういった取り組みにも、ぜひとも環境省としても注視をしていただきたいと思うわけであります。きょうはありがとうございました。

五島委員長 細野豪志君。

細野委員 おはようございます。民主党の細野豪志でございます。私の方からは、温泉法に限って三十分フルに質問をさせていただきたいというふうに思います。

 言うまでもございませんけれども、温泉というものは、資源が非常に乏しい我が国にありましては貴重な資源でございます。実は私の地元が伊豆半島でございまして、日本の中でも温泉資源に一番恵まれたところであるわけです。

 ただ、一方で、今の温泉場の実情というのを見ていると、非常に厳しい。温泉の有効利用が果たしてなされているのかなというところで、私は若干疑問なしとはしておりません。

 今回の温泉法というのは、まさにその温泉の有効利用を図ったものであるというふうに私考えるんですが、まず初めに、川口大臣の方から、今の温泉場の実情と、本法の基本的な位置づけをどのようにお考えになっているかをお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 日本は温泉に非常に恵まれた国でございまして、今温泉ブームでもございますし、いろいろな温泉、特に隠れ湯的な温泉にみんなで行くというのを趣味にしている人というのは相当多くなっているというふうに思います。

 温泉は、そういう貴重な、全国民で楽しむことのできる資源であるわけでございまして、その温泉の水質なりといったことが、泉質でございますか、きちんと保護をされているということも重要でございますし、温泉が国民に利用しやすい形で存在するということが大事だと思っております。

細野委員 温泉法は、温泉の資源をどうしたら有効に生かしていけるかという話になるんだと思うんですね。

 今回の改正、主に三点ございまして、私は、それぞれ問題があるとは基本的には考えておらないんですが、少し細部についてお話を伺って、環境省さんの方の基本的な認識を確認していきたいというところがございます。

 まず一つ目なんですが、掘削期限の問題でございます。

 今まで掘削期限に関しては一応一年という基準はあったわけですが、実際はだらだらとなされているような事例を私もたくさん見ておりました。掘り始めたものの、掘削者の方がお金が続かなくなって放置されている例であるとか、また経営が破綻したような例というのも多々ございます。

 そういう観点からして、掘削期限を二年に区切るというのはそれなりの合理的な理由があるのかなというふうには感じるんですが、一方では、温泉の有効利用という観点から、ちょっと注意して見ていかなければならないこともあるのかなという感じがするわけでございます。

 というのは、温泉の掘削ですので、これは自然を相手にいたします。そうしますと、例えばかたい岩盤に当たって機械が故障するようなことも結構あるということを聞いておるんですね。

 そこで伺いたいのが、二年で仮に掘削が終わらなかった場合、プラス二年延長が可能になるという例外規定のようなものが実はあるわけですが、ここで言われている災害その他のやむを得ない事由というものを環境省さんの方としてはどのようにお考えなのかという点を伺いたいと思うんです。

西尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先生には、温泉の振興につきましては大変御指導をいただいておりまして、ありがとうございます。

 今回の改正案で温泉の掘削の有効期限を二年といたしましたのは、都道府県とか掘削業者のヒアリングなどによりまして、通常は三カ月から六カ月程度で完了するんじゃないか。確かに、途中で岩盤に当たった場合などは、工事を完了するまでに一年以上かかる場合もありますが、まず大体二年以上を要することは極めてまれであるということから、有効期間を二年と設定いたしました。

 しかしながら、これは、さきに先生からも御指摘がありましたように、許可を得てからなかなか工事にかからないとか、そういうことを防止するためでございますので、まじめにと申しますか、誠実に作業をしておる者がやむを得ない事由で二年間で工事ができないというような場合には、これは保護しなければいけません。したがいまして、災害その他やむを得ない理由により二年間で完了しないと見込まれるときは、都道府県知事が二年を限度として有効期間の更新をできるとしています。

 その災害その他のやむを得ない理由というのにどういうようなものがあるか、こういうことでございますが、これは、非常に典型的なものとしましては、地震で掘削坑、穴に被害を受けたりとか、あるいは洪水で掘削の機械ややぐらが流されたりというようなものがございます。それから、当然ながら、事前の地質調査では想定されなかったようなかたい岩盤に当たった、そこで、一生懸命作業をするんだけれども不測の日数がかかるというような場合もございます。

 そのように、掘削者が誠実に仕事をしているにもかかわらず、みずからの責めでなくて時間がかかっているというような場合につきましては、ここで言う災害その他のやむを得ない理由に該当するというふうに考えるということで提案させていただいている次第でございます。

細野委員 ヒアリングに関しては、掘削業者の方からもされたということは伺っております。ただ、私がちょっと懸念しておりますのは、中小の掘削業者なんですね。

 環境省さんの方としては、大手の掘削業者の方にはヒアリングをされたということなんですが、技術力といい、実際の人的な資源といい、やはり中小は劣る部分がございます。この部分、恐らく自治事務でそれぞれの都道府県が責任を持ってやるということだと思うんですが、そういう業者を結果として締め出すことにならないように、きちっと環境省の方で御配慮いただきたいということだけお願いさせていただきたいと思います。

 もう一点、ちょっと似たような問題で、掘削の許可の基準についても確認をさせていただきたいと思います。

 これも、もう地方分権の時代で、それぞれ地方がやれということになっていると認識しております。ただ、この許可基準についても、これは基本的には、温泉が枯渇するようなことがあってはならない、資源の保護と有効利用のバランスの問題だと私は考えます。

 したがいまして、都道府県によっては、例えば、一つ穴を掘ったら二百メートル半径には掘ってはいけない、こういう規定を設けているところがあるんですね。それはそれで、温泉の保護を図るという意味では合理的な規定なのかなというふうに考えるんですが、ボーリング業者なんかと話をしておりまして少しひっかかるのが、代替掘削。

 つまり、一つの温泉というのは、穴というのは、掘って一応周りを、ケーシング管というそうなんですが、鉄で固める、鉄を入れる。それが七十年から八十年すると結構腐食してきて、だんだん穴が詰まってくるというふうな現象があるらしいんですね。そこで、またその補修で掘って、毎回繰り返しでやっていくわけですが、最終的に、七、八十年たってくると、掘り直すことが非常に難しいということが多々あるそうです。そうなると、業者としては、温泉を持っている側としては、隣に掘りたい。もうそこは使えないのであるから、隣に掘りたい、これが代替掘削というんですが、こういうことをやりたいときも、この二百メートル規制というのがひっかかってできないというような事例が散見されております。

 これは都道府県の独自の判断とはいいながら、温泉の保護という目的とは必ずしも合致しないようなこういう規制は、環境省さんとしてどのようにお考えになるかということをお伺いしたいと思います。

西尾政府参考人 温泉の掘削の許可をいたします際の基準のことでございます。

 これは、先生御指摘のように、それぞれの都道府県におきまして、それからこれは専門家も入った審議会の議論も経て検討するということでございますので、その場合に、各地域の温泉の湧出量でございますとか利用施設の数などの実情に応じて、掘削場所の距離制限など、一応独自に客観的な基準を設けて判断しているという事例はございます。

 ただ、御指摘のように、これらの基準は、温泉の保護と適正な利用を推進する観点から設けられたものでございますので、その目的に対して合理的でなければならないというふうに思っております。そういう面では過度の規制にならないように運用される必要はあるのだと思っております。

 確かに、温泉の削泉井、いろいろ補修しましても、そのままの井戸を補修するというのは大変難しい場合がございます。確かに、新しく掘らないと能力を増強したり安全なものにならないというような事例もあるかと思いますが、その具体的な当てはめにつきましては、今後も、都道府県のいろいろなケースも私どもも勉強させていただきまして、各都道府県と連絡をとり、必要な場合は助言をするということで、温泉法の趣旨が全うされるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

細野委員 ちょっとしつこいようで恐縮なんですが、代替掘削というのはかなり大きな問題になっているんですね。ここに限ってどのようにお考えかということを確認させていただきたいのですが。

西尾政府参考人 基本的には、温泉許可の趣旨に照らして柔軟に対応すべきものだと思っております。

 ただ、それぞれの都道府県の判断におきまして、その扱いでありますとか運用でありますとかについてそれぞれ独自な部分があると思います。それにつきましては、やはり私どもとしては、過度の規制にならないという方向から必要な連絡をとっていきたいというふうに思っております。

細野委員 とにかく、温泉の保護という観点から、これは今非常に非合理な規制になっているという実情がございますので、適切に指導監督していただきたいというふうに思います。

 次に、温泉の有効利用という観点からちょっと、温泉法を離れるわけではございませんが、今回の改正部分とは違うのですが、御質問させていただきたいと思います。

 近年、先ほど大臣も御指摘いただきましたとおり、温泉に対する関心は高まっております。その高まり方なんですが、いわゆる団体で温泉場に繰り出して、それこそ座敷で大宴会を催して、場合によっては大酔っぱらいで温泉に入るのも忘れて帰る、そういう旅行ではなくて、まさにいやしを求めるような形での温泉利用ということで関心が高まってきているのかなという気がしております。

 そこで、私ちょっと注目しましたのが、温泉法の二十五条にあります国民保養温泉地、実は今のところ余りなじみのない制度なわけですが、これについて少し質問をさせていただきたいと思います。

 資料をいただきますと、これは昭和二十九年からある極めて歴史のある制度でございまして、日本の湯治場的な部分を掘り起こしていこうという意図があったのだと思うのですが、そもそも環境省さんとしては、どういう温泉地を指定しよう、どういうイメージでこの国民保養温泉地というのをお考えなのか、これは大臣にまずお答えいただきたいと思います。

川口国務大臣 国民保養温泉地というのが何かという御質問でございますけれども、まず温泉は、国民の健康の増進あるいは自然との触れ合いといった観点で非常に大きな役割を果たすということでございますので、それにふさわしい温泉地を国民保養温泉地として指定するということになっておりまして、これは、おっしゃいましたように昭和二十九年から始めまして、現在まで八十九カ所が国民保養温泉地として指定をされているということでございます。どちらかといえばひなびた温泉地という感じの温泉地でございます。

 さらに環境省は、ほかに国民保健温泉地整備事業というものを行っております。それは、今申し上げた国民保養温泉地の中から適切な地域を選んで、昭和五十五年度から施設整備の推進を図るために行っている事業でございます。中身といたしましては、市町村に補助を行いまして、温泉の多目的利用施設や飲食施設、遊歩道などを整備するということで、合計二十一カ所の整備を行いました。

 さらに、平成五年度からは、健康の保持増進に加えまして、自然との触れ合いを重視する自然教育の拠点として温泉地の育成をするという観点で市町村支援を実施することにいたしまして、これは、ふれあい・やすらぎ温泉地整備事業ということでございまして、自然観察施設や自然探求の歩道、それから温泉利用と自然と親しむ機能を備えた自然ふれあい・温泉センターの整備というものを補助するものでございまして、これまでに二十カ所選定をいたしておりまして、整備を実施または実施中でございます。

 今後とも、この事業の趣旨に沿って市町村の支援をしていきたいというふうに思います。

 済みません、先ほど飲食施設と言ったようですけれども、飲泉に訂正させていただきます。失礼いたしました。

細野委員 この制度なんですが、基本的には国民の健康志向なり温泉の志向と合った制度だということを私は感じておりまして、事業自体に正面から反発するつもりはございません。

 ただ、ちょっと疑問が出てまいりますのは、このふれあい・やすらぎ事業にしても国民保健温泉地事業にしても、多目的施設などを一つ補助対象とされている。しかも、この補助の事業の金額が結構大きい。三年間で三億円。これは小さい温泉地にとればやはりかなり大きな補助金だと思うのですね。

 どういう多目的施設をこの支援対象にしていくのかというところがもう少し明確にならないと、場合によっては、民業圧迫といいますか、それこそほかの温泉に人が来なくなるというようなことも考えられなくはないのではないか。

 伊豆半島などを見ておりますと、いっぱい外湯があるのに、温泉センターみたいなものが役場の遊休地にどかんとできてしまって、客のとり合いをしているというような見苦しい状況というのも実は散見されるものですから、その点で、この施設をどういうことに利用しようかということについてもう少し明確なコンセプトがあってもいいのではないかというふうに思います。

 そこで、私としては、これをもう少し健康志向に利用できるようなものに特化していくというのも一つのアイデアではないかなというふうに思うのですね。

 最近この手の調査が幾つか出ておりまして、私も温泉好きなものですからいろいろ見てまいったのですが、去年の三月に国民健康保険中央会というところが出した「温泉を活用した保健事業のあり方に関する研究報告書」などを見ると、来られるお客さんの方が今温泉に何を一番求めるかというと、やはり健康志向なんですね。

 サービスを提供する側は実は勘違いをしておりまして、いまだに遊興歓楽の温泉場を守っているわけですが、ここの、やはりサービスを提供する側と受ける側のギャップが非常に大きい。それを埋めていくことも、これは民間の努力で当然やるべきなんですが、こういう制度を利用するのであれば非常に望ましい方向性ではないかというふうに考えるんですが、御意見いかがでしょうか。

 ちょっと大臣の方から大枠の方向性だけ示していただいてもよろしいでしょうか。――わかりました。どうぞ。

西尾政府参考人 現在、国民保養温泉地あるいはふれあい・やすらぎ温泉地事業で行っております温泉センター施設の趣旨のお尋ねでございます。

 これにつきましては、もちろん地域の温泉、業として行っておられる温泉等々と競合するという趣旨は全くございませんで、市町村からの要望に基づいて整備をいたすものでございます。その趣旨は、それぞれの旅館でございますとか施設とかでございますとか、そういうところで内湯を持っておりますけれども、せっかくの温泉地であるので、全体に開放されたようなささやかな温泉施設があってもいいのではないかということがスタートでございまして、国民保養温泉地の場合にはそういうセンターを備えておりました。

 さらに、地域での温泉場の歴史でございますとか、あるいは自然環境を紹介するとかいう機能を持ったような施設がもう少し要るんじゃないかということで、市町村から御要望がある場合に補助をしておるということでございます。

 したがいまして、この事業は、そういうものもございますけれども、やはり基本的には、温泉地を自然探勝しながら歩いていただく遊歩道でございますとか、ベンチでございますとか、自然に親しむ施設、そういったものに大いに力を入れていきたいと思っています。

 それから、せっかくのことであるのだから、そこはもうちょっと、療養型といいますか、医療に近いようなこととの連携はどうするのかということがございます。この点につきましては、厚生省でもいろいろ工夫をして進めておられますクアハウス的な事業がございます。そういったものとはこれからも大いに連携をして、協力をお願いしていきたいというふうに思っているということでございます。

細野委員 この補助事業というのは、確かに自治体が上げてくる、市町村がやってくるものですから、もちろん決定権はそちらにある、発案はそちらにやっていただく必要があると思うんですが、やはり国からお金を出す以上、ネガティブチェックですね、意外と地方の市町村というのは雇用対策でそういうのをつくったりもしますので、そうじゃなくて、温泉場にとって本当にいいものであるというところはしっかりとチェックをしていただきたいということだけお願いをさせていただきたいと思います。

 先ほどちょっとお話にも出ました、厚生省との連携というところに私は非常に興味を持っております。ちょっと参考までに紹介をさせていただいて、厚生労働省の方にお答えをいただきたいのですが、現在、厚生労働省の方には、温泉利用型健康増進施設というものがございます。指定を受けた施設でお医者さんの指導を受けて何らかのケアを受け入れた場合に、医療費の控除を受けられるという制度がございます。

 この制度自体、いろいろ資料をいただいて見てみたのですけれども、極めて条件が厳しいんですね。指定されている施設が二十七カ所、箇所が二十七カ所というのも問題なんですが、最大の問題は、利用している人が昨年度はたったの九十三人ということを聞いております。

 国民の健康志向が高まっている中で、厚生労働省さんとしてこの利用状況の低さというのをどういうふうにお考えになっているかということをちょっと先にお伺いできますでしょうか。

篠崎政府参考人 今先生御指摘のございました温泉利用型の健康増進施設のことでございますが、ちょっと前ぶれの御説明をさせていただきますと、この施設については、国民の健康づくりにおいて運動が非常に大切である、まず運動という面から入りまして、昭和六十三年に創設をされ、そのときに、あわせて温泉利用型の健康増進施設ということで、運動施設プラス温泉ということだったものですから、若干要件が厳し過ぎるということがあったのかもしれません。

 ただ、今年度から私ども、健康日本21というのを、十年がかりで国民健康づくり運動として展開をしようと考えております。温泉につきましては、ストレスを低減させるとかそういう効果が期待されるところでございます。

 前回、先生に予算委員会の分科会で同じような御質問をいただきまして、そのときは、「必要とあらば事務的に検討」というふうに申し上げましたが、その後、局内でいろいろ検討いたしまして、十年間で二十七施設というのもちょっと国民健康づくり運動の拠点とするには数が少な過ぎるというので、要件と現状とがちょっと合っていないということも考えましたので、今後は認定要件の緩和についても検討を進めさせていただきたいと思っております。

細野委員 その方向性をぜひ進めていただきたいなと思います。

 その際に、私、ちょっと厚生労働省さんの方に考えていただきたいのが、医療というのを考えたときに、今のこの施設の考え方というのは、基本的に施設の中ですべて完結する。要するに対症療法的に、リューマチになった方がその施設に行って何らかの温泉療養をした場合に、温泉に入ってどうぞ帰ってください、そういう話なんですね。でも実際は、この温泉というのは、もう少し広く湯治というのはとらえていくべきであろうと思うんです。

 といいますのは、湯治文化というのは、まさに地域の風土が非常に重要です。その周りの例えば空気であるとか水であるとか風景であるとか、そういうものを総合的に、精神的な部分も含めて享受できたときにやはり初めて成果が出てくるものであると私は認識しているんですね。

 その意味でいいますと、この国民保養温泉地の中に、こういう補助事業で例えばこういう利用施設をつくっていくようなことがもう少し進んでもいいのではないか。すなわち、両方の施策の融合というのをぜひ厚生労働省さんと環境省さんの方で進めていただきたいなというふうに思います。

 では、まずちょっと厚生労働省さんの方にお答えいただいてよろしいでしょうか。

篠崎政府参考人 大変貴重な御意見でございますので、国民保養温泉地と私どもの温泉利用型健康増進施設につきまして、それぞれ協議の場を設けるなどいたしまして、環境省と連携しながらその普及促進に努めてまいりたいと思っております。

細野委員 では、大臣の方にもお答えいただきたいのですが、この温泉法でおもしろいのは、昭和四十六年に環境庁ができたときに所管になられている、その前は厚生労働省にあったのですね。ですからこれは、制度自体を見ておりますと、環境庁が当時できたことは非常に望ましいことではあったと思うんですが、縦割りの弊害がここへ来てかなり出てしまっているのではないかなという気が非常に強くいたします。

 四十六年、私の生まれた年でもあるんですが、どうでもよいことですが、ぜひ大臣の方からも一言、この連携についてコメントをいただければと思います。

川口国務大臣 最近、社会の変化が速くなってきていて、国民のニーズが非常に多様化している、こういう状況で、各省の施策の融合といいますか連携というのは非常に重要なことだと思っております。

 これは、温泉のみならず、一般的に広く行われるべきものでございまして、温泉につきましても、厚生省の温泉利用型健康増進施設と連携をして行っている山形県の碁点温泉という例もあるようでございますし、こういう例は今後とももっとふやしていきたいと思います。

細野委員 そろそろ時間もなくなってまいりましたので、最後に一点だけ質問をさせていただきたいと思います。

 温泉というのは、私が先ほど来強調しておりますとおり、非常に健康にいい作用ももたらす、一方で、場合によってはマイナスの作用ももたらしかねない、薬にもなるけれども毒にもなり得るという性格がございます。そこで、やはりその部分に関しても何らかの注意が政府としても必要なのではないかと考えております。

 実際、先ほど樋高委員の方からも御質問がありましたとおり、掲示されているものの中には、例えば長時間入ってはいけないとか、心臓病の人は気をつけてくださいと書いてあるんですが、そもそも、掲示されているその掲示板を見ると、これはもう三十年か四十年前に掲示されたままになっているんじゃないかというようなところがございます。また、見る人がほとんどいないようなところに掲示されていて、実際、私なんかは温泉によく入るんですが、年配の方で、大丈夫かいなと思うぐらい長時間肩までつかっていらっしゃる方もよく見ます。

 実際、温泉場なんかにおりますと、時々そういう温泉事故なんかの話を耳にしますと、せっかく健康志向で入ってきているのに、これは本当に不幸なことだなという気がするんですが、温泉の注意事項の掲示の問題ですね。

 あと、これは民間の取り組みになるとは思うんですが、温泉組合のようなところで温泉の健康被害みたいなことに対する何らかのガイダンス的なものがもう少しあればこういう事故は改善されるのではないかと思うんですが、この辺、大臣の御所見を最後にお伺いしたいと思います。

川口国務大臣 温泉に行って事故があるというようなことがあってはいけないということで、発生しないような注意は非常に大事なことです。

 温泉法の施行に当たりましては、例えば硫化水素が高濃度にならないといったような施設構造上の配慮をする、これを都道府県知事が指導するということでございますが、それから温泉の禁忌症や、委員おっしゃった利用に当たっての注意については、注意事項の掲示を義務づけているということでございます。

 今、民でできることは民でということでございますから、民が民の立場で基本的に注意をすべきことをしていただくということが基本だというふうに思いますけれども、環境省といたしましても、適正に温泉を利用していただけますように、都道府県と協力をして対処していきたいというふうに思います。

細野委員 この問題も、レジオネラ菌のような大問題に発展したケースもございまして、厚生労働省と環境省と両方にとって極めて重要なテーマだというふうに考えますので、あわせて緊密な連携をとっていただきたい、このことを最後にお願いさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

五島委員長 岡下信子さん。

岡下委員 自由民主党の岡下信子でございます。本日は、質問する機会をいただきまして、本当にありがとうございました。

 私は、昨年、一回生としてこの環境委員の末席に加えていただきましてより、大変環境行政というのは、幅広く、奥深く、そして専門用語がはんらんしておりまして、取り組みにも非常に困って、難しいなと思っておりました。

 私は、機会があったら大臣にぜひひとつお伺いしたいことがございまして、それは「環(わ)の国」ということでございます。そういう専門用語がはんらんしている中で、この「環(わ)の国」という新鮮な言葉が私は非常に強く心に響きました。

 この環(わ)ということは、地球に優しい環境の環(わ)、それから、全世界の人々が手をつないで取り組んでいく環境問題の環(わ)、循環型社会の環(わ)、はたまた私は、何物にも汚染されていないすばらしい自然環境にはぐくまれて、自然と共生をしていた遠い昔の大和の国、すなわち奴国よよみがえれというような意味合いもイメージをいたしました。

 そして、女性大臣ならではの美しい、人に優しい発想の二十一世紀のテーマ「環(わ)の国」に、大臣はどのような思いを込めていらっしゃるのでしょうか。ぜひお聞かせいただきたいと思います。

川口国務大臣 二十一世紀が環境の世紀というふうに言われておりまして、環境庁は、まさにその二十一世紀の初めに環境庁から環境省にしていただいたわけでございます。

 二十一世紀循環型社会をずっとつくっていくということを、二十一世紀が環境の世紀であって、国民の皆さん一人一人に行動していただく必要があるということをできるだけ易しい言葉で、易しい概念で、親しみやすい言葉で日本の皆様に訴えるということができないだろうかと私は思いまして、環境省の若い人に何かいい言葉はないかしらというふうに言いまして、幾つか案が出てきた中の一つがこの「環(わ)の国」という言葉でございました。

 私は大変に好きで、直ちに、これがいいんじゃないかしらと言って選ばせていただいたわけなんですけれども、環(わ)という言葉の響きというのはとてもやわらかいですし、今、岡下委員がおっしゃられたようなさまざまな意味があるというふうに思います。今までの大量生産、大量消費、大量廃棄から、非常に簡素だけれども非常に質が高い循環型の社会ということをイメージするのにいい言葉ではないかなというふうに思っております。

 この言葉が広まっていって、皆さんが「環(わ)の国」と言いながら、毎日の行動で循環型社会の形成のために御尽力を日本の一人一人がしていただくことが大事ではないかと思っております。

岡下委員 どうもありがとうございました。

 私も、非常に心に響いて、「環(わ)の国」、すばらしい言葉だと、環境委員としてまたいろいろ勉強させていただきたいと思っております。ありがとうございました。

 さて次に、浄化槽法の改正案についての質問をいたします。

 都市部では汚水処理施設の整備が進んでおりますのに、中小市町村の生活排水対策がおくれておりますのは事実でございまして、実際、私の地元であります中核都市の堺市ですら、平成十四年度までにようやく市街化区域の下水道設備が完了するということでございまして、調整区域についてはまだあと何年かかるかわからないような状態でございます。本来自然豊かなはずの農村部の生活排水が処理されずに、水環境が守られておりません。

 公共事業の見直しということが今盛んに言われておりますけれども、環境保全のための公共事業にこそ力を入れていくべきと思います。特に、合併浄化槽、これが推進されておりますけれども、これは工期も短く、それで管渠という、難しい言葉ですけれども、管も必要とせず、そして効率的な整備ができる施設であると聞いております。そして、積極的推進が必要であるとも思っておりますけれども、そのためにもこの浄化槽の性能を確保するために適切な施工と維持管理が重要だと思います。

 今回の改正案は、そうした仕事を行う資格に関する指定試験機関の事務執行の適正化、透明化を図るものでありますが、この浄化槽設備士あるいは浄化槽管理士の資格とは一体どういうものであるのでしょうか、そして、その必要性をお聞かせいただきたいと思います。

岡澤政府参考人 浄化槽の国家資格の御質問でございますけれども、今先生おっしゃったように、浄化槽はし尿と生活排水を処理するという非常に公共的な機能を持っているいい施設ではないかと思っています。

 ただ、おっしゃったように、それが適切に施工されて、維持管理されて機能を発揮するということがまさしく必要なわけでございまして、そのために浄化槽の設置、保守点検等の各段階に必要な規制を行って、これを実体的に担保するために浄化槽工事を実地に監督する浄化槽設備士という資格、それからもう一つは、浄化槽の保守点検を行う浄化槽管理士の国家資格を設けているわけでございます。これによって専門技術者の質の向上を図るという意味でございます。

 具体的に申しますと、その浄化槽工事に係る浄化槽設備士は、浄化槽工事の適正化を図るのが目的でございまして、例えば浄化槽の水平確保であるとか内部の設備や電気機器の適切な据えつけに責任を持つということになるわけでございます。

 また、浄化槽管理士の方は、適正な維持管理のための必要な資格ということでございまして、使用実態に合わせた機器類の調整とか機能確保のための点検を行う、こういう業務を持っております。

 仕事の内容が違うということもございますし、またこの資格を持つ業者、例えば設備士の資格を持つ業者というのは設備工事屋さんでございますし、管理士の資格を持つのは管理業者ということでございまして、業態も違いますので、この二つの資格については、そういう内容、業態のことを考慮してそれぞれ分けて国家資格を設けているものでございます。

岡下委員 お答えいただいたように、設備士とか管理士は重要な役割を担っておりまして、その資格指定試験機関等の制度は、透明性の高い、そして厳正なものでなくてはならないと認識いたします。試験問題が漏えいしたりすることのないようにしっかりと運用していただきたいということをお願いしまして、この質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

 次に、温泉法の改正についての質問をいたします。

 温泉の成分を分析する機関について、環境大臣の指定から都道府県知事への登録に改められて、民間機関でも一定の能力があれば登録を受けることが可能になるとのことですが、この点については民間参入あるいは雇用の創出、そして新しいビジネスチャンスの発掘にもつながる大変よいことだと私は思います。

 ただ、温泉成分の中には、さっき出ましたように、硫化水素のような有毒な成分もあって禁忌症を引き起こしたりすることがありますので、しっかりとした温泉成分の分析、検査が行われる必要があります。適切な分析機器を用いて、適切な能力を持った人が分析を行うことが制度的に担保されなくてはならないと思います。そして、新しい登録制度において正確な温泉成分分析をどのように確保するのかお聞かせをいただきたいと思います。

西尾政府参考人 御指摘のように、温泉の成分を正しく分析するということは、温泉利用、すなわちこれを適正に浴用あるいは飲用していくというための基本的な条件でございます。今回の改正案の核心にかかわるお尋ねだと思っております。

 御指摘のありましたように、硫化水素あるいは砒素といったようなもの、特に濃度が高い場合には健康影響が生じかねないわけでございますので、十分な能力を有している機関に分析させる必要がございます。

 この点につきまして、今回の改正案では、分析機関は都道府県知事への登録制としておりますけれども、登録に当たっては、都道府県知事が、一定の分析能力を有しているかどうかを確認するという仕組みになっております。

 そのときには、具体的には、水素イオンや総硫黄や、それから、そのほか今申し上げました有害な成分その他各種の温泉成分を適正に測定する、このために必要な分析機器をきちんとその業者が備えておるか、あるいは、その業者のもとには分析業務の従事者、しかるべき能力を有しておる者が従事しておるかといったようなことにつきまして環境省令で基準をきちんと定めました。それに従いまして都道府県知事がこれを確認するということにおきまして、必要な分析能力の確保を図るという仕組みといたしております。

岡下委員 ありがとうございました。

 次に、温泉の掘削についてでございますけれども、先ほどもどなたか委員がおっしゃいましたけれども、掘削の許可を受けながら工事に着工せず、そして放置されたまま置いている、それが問題化している例があると聞いております。今回の改正案では、このような問題を防止するために、許可の有効期限を原則二年にし、そして期間経過後は失効する制度に改められるとされておりますけれども、一体それで十分なのかなと私は懸念をいたしております。

 せっかく改正するのであれば、温泉法がざる法であると言われないためにも、例えば、許可を受けて以後、失効までの二年間を待つのでなくて、工事を着手し、ボーリングをし、湯脈を掘り当て、そして工事が完了というそれぞれの段階で報告を求めて、必要な指導を行い抜け穴を防ぐような仕組みをつくる必要があると考えますが、その点についてはいかがでございましょうか。

西尾政府参考人 御指摘のように、許可の有効期間内におきましても、適時その進捗状況等の把握が行われることは望ましいと思っております。

 実は、現在の施行規則におきましても、工事の着手や完了の予定日を記載するというような規定はございますが、今般、これに加えまして、この改正案では、工事が完了した場合あるいは事業者側が工事を廃止した場合は、遅滞なく都道府県知事に届け出るということを法律上義務づけることとしております。

 この届け出があれば、二年を待たずして許可の効力を失うことはもちろんでございますけれども、これを事業者が届け出の懈怠をする、届け出ない、ちゃんとやらないというふうな場合には、三十万円以下の罰金に処せられるということにもいたしておるわけでございます。

 したがいまして、今後都道府県で、これらの規定に基づきまして、こういう届け出を励行させるというようなことも適切に指導いただくことによりまして、二年間の許可の有効期間中におきましても、法律の趣旨に適した対応がとれるのではないかというふうに考えております。

岡下委員 どうぞ、そのように推し進めていただきたいと思います。

 最後に、私が思いますに、我が国には二万六千もの温泉がありまして、私たちは温泉については、くつろぎ、憩い、安らぎ、そして疲れた体をいやしてあすへの活力を蓄える、そういう意味合いにおいて古くから親しんでまいりました。昨今、若い人の間でも秘湯めぐりが非常にブームになって、温泉が一層クローズアップされてまいりました。

 しかし、温泉と称しながら、その実、温度が少し高かったり、あるいは冷泉を沸かしているものであったり、温泉という言葉の意味からして違和感を感じるものが多くなりました。貴重な天然資源である温泉の保護と有効活用にどのような方針で今後取り組んでいかれるのかお聞かせをいただいて、私の質問を終わりといたします。

風間副大臣 先生おっしゃるとおりだと思います。

 いずれにしても、古事記や日本書紀にも温泉が登場しておりまして、もう江戸時代には湯治ということが一般庶民の間で普及している状況の中でありまして、今まで温泉と健康な生活維持のための、いわゆる庶民との関係においては、一つはレジャー、観光、もう一つはレクリエーション、今度は、保健、健康管理という観点で注目を浴びているのも間違いございませんので、今おっしゃいましたように、「環(わ)の国」が豊富な資源に恵まれているということからしますと、いかに広くこの温泉資源を保護していくかということが必要になりますし、また、国民の心と体をいやす効果をどのように担保していけるかということも大事になってまいりますので、都道府県と協力いたしまして、温泉保護の観点から、今回掘削地の許可制度の適切な運用に努めていくということにもこの法案でさせていただいた次第でございます。

 また、先ほど来議論になっております、国民温泉保養地、つまり、ふれあい・やすらぎ温泉地整備事業も含めて推進していかなければならないと思っていまして、広く国民の皆様方に温泉がいろいろな意味合いにおいて利用されていただけるような施策を、厚生労働省とも連携をとって進めていかなければならないと思っておるところでございます。

岡下委員 どうもありがとうございました。

五島委員長 青山二三さん。

青山(二)委員 公明党の青山二三でございます。

 持ち時間が十五分という短い時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 今回の温泉法の改正につきましては、温泉の保護とその利用の適正化のために必要でございまして、速やかな法案の成立が望まれるところでございます。私の住んでおります栃木県は、皆様御存じのとおり、数多くの温泉地がございます有名な地域でございます。

 公明党には、温泉療法の発展と温泉地の振興を目指す東北・北海道温泉活用推進議員連盟があるのでございます。この議連が四月に「温泉療法の発展と温泉地振興の推進に関する提言」を発表いたしました。この提言は、国民の健康を守る立場から、東北、北海道を初め、我が国の豊富な温泉に着目いたしまして、温泉療法の普及と温泉の効果を生かした特色ある町づくりを目指しております。

 近年、国民の健康意識の高まりや疾病予防や、また健康づくり対策の推進が強く要請されていることからも、こうした特色ある町づくりは、今後大いに推進すべき重要な施策であると考えております。

 さて、温泉法の第十四条、新法では二十五条になっておりますけれども、国家的な見地から、温泉が本来有する機能を十分果たし得るような施策を講じる必要があることから、「環境大臣は、温泉の公共的利用増進のために、温泉利用施設の整備及び環境の改善に必要な地域を指定することができる。」との規定が置かれております。これに基づきまして、先ほど来議論のありますふれあい・やすらぎ温泉地整備事業などが行われているわけでございます。

 そこで、これをさらに充実発展させ、温泉資源を広く活用するために、仮称ではございますけれども、温泉地振興法というようなものを制定いたしまして、国民の健康の増進と全国の温泉地域の振興を図るべきであると思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。

風間副大臣 先生が今お話しされました、公明党内での推進議連による、仮称ではございますけれども、温泉地振興法を四月の中旬に出されたということは承知いたしておりまして、そういう意味では、単なる温泉利用ということだけではなくて、町づくりも含めた総合的な政策推進という観点に立っておる御提言だと思いますので、極めて興味深く思っております。

 特に、温泉地の振興については、交通、通信関係あるいは観光産業の振興とも相まって、関係省庁で検討しなければならない部分も相当あろうかと思いまして、まだ仮称としていらっしゃるようでしたら、ぜひ党内でも煮詰めていただきますよう期待をしております。

 今先生から御指摘のありました、いわゆるふれあい・やすらぎ温泉地の施設整備に当たっては、特にこれから、病弱なといいましょうか、健康不全な高齢者の方々も含めた高齢者の方々の御利用が極めて念頭に置かれているものというふうに思っておりまして、その部分につきましても、私どもが進めているこのふれあい・やすらぎ温泉地の施設整備に当たっては工夫をしていく必要があるものというふうに痛感しているところでございます。

青山(二)委員 大変ありがとうございました。

 副大臣は、北海道の御出身でもございます。また、公明党の所属の議員でもございますので、しっかりと前向きに取り組んでいただきたいと思っております。

 それでは次に、浄化槽法の一部改正に関連いたしましてお伺いをいたします。

 近年、日常生活に伴う排水が環境への大きな負担となっております。私自身も、水資源に関しまして、また、水質汚染の問題につきましては大変関心を持っております。例えば、油はそのまま流さないとか、おふろの残り湯は再利用するとか、また、洗剤はできるだけ合成洗剤を使用しないようにするとか、小さなことではございますけれども、気がついたところから発生源対策を実践しております。

 この生活排水対策といたしまして、合併浄化槽等の処理施設の整備が大変重要な問題となっております。現在、この処理施設といたしまして、合併浄化槽のほかに、下水道とか農業集落排水施設などの各種の施設がございますけれども、合併浄化槽について、他の汚水処理施設と比較した上での特徴とその処理能力についてまず御説明をしていただきたいと思います。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

風間副大臣 簡単に説明をさせていただきます。

 全国下水道処理はいずれにしても六九%の普及でありますけれども、いかんせん、人口十万以下の地域におきましてはまだまだ半分以下ということでございます。しかし、下水道工事をやる、完成するまで数年以上かかる、しかも経費も莫大ということになりますと、より生活に結びついた形で促進でき、なおかつ、費用効果も簡単に済める合併浄化槽の建設が極めて急務だというふうに思っております。

 そういう意味では、今まではどちらかというと、都市部は進めてまいりましたけれども、より地域が偏在しているいわゆる過疎地あるいは山村地あるいは条件不利地域におきましては、くみ取りや単独浄化槽でございましたが、ここにおきましては、さまざまな環境上に配慮しなければならない課題もまたございますことから、合併浄化槽の建設が急がれているのはもう御案内のとおりでございます。

 単独浄化槽に比べますと、値段が四、五人槽で一基大体九十万ぐらいかかるわけでありますけれども、先ほどの委員の指摘にもありましたように、管渠を極めて短く済ませることができるなどといった利点もございます。そういう意味ではより効率的な処理施設システムだというふうに思っておるわけですから、このたびのこの法案において成立をさせていただきましたなら、よりもっと進めていかれるものだというふうに思っておるところでございます。

青山(二)委員 まず、特徴とその処理能力について政府参考人にお伺いしたわけでございますが、副大臣からは、この合併浄化槽の早急な取り組みというようなことで御答弁いただいたかと思います。

 実は、この環境省の資料によりますと、平成十一年度は八百六十七万六千八百六十五基の浄化槽のうち、合併浄化槽はわずか一五・五%、残りの八四・五%が単独浄化槽ですか、そういうことになっております。この浄化槽から出てくるいろいろな不純物が水質汚濁の主な原因になっておりますので、これを何とか合併浄化槽に早くかえていただきたいという思いがございますけれども、これにはなかなかお金がかかる。

 いろいろと補助の制度もございますけれども、大体九十万かかるところの約四割が補助だということになりまして、やはり単独浄化槽から合併浄化槽にかえるには五十万ぐらいのお金がかかるというので、なかなかそうたやすく改造は進められるものではない、こんな思いがするわけでございますけれども、環境省といたしましても、これはしっかりと進めていかれる方向で頑張っていただきたいと思っております。

 時間も余りございませんので、次の質問に移らせていただきます。

 私は、一昨日、東京ビッグサイトで開催されております二〇〇一年ニュー環境展というのがございますけれども、これを見てまいりました。生ごみを飼料にしたり、また、廃油あるいは建築廃材をリサイクルする施設など、循環型社会を目指すそういう施設がもう数多く展示されておりました。企業の対応の早さには目をみはる思いでございました。

 今、食べ残しや売れ残りの生ごみは、全国で年間二千万トン出るそうでございます。その半分は家庭から出ている。学校給食で人気のないメニューは、一割が食べ残しになるということでございます。

 しかしながら、一方、世界に目を転じますと、十二億人もの人々が極貧状態にございまして、一日一ドルと申しますから、百二十四円以下で暮らしているということでございます。年間一千万人の子供が五歳の誕生日を迎えられずに極貧状態の中で死んでいる、こういうことを聞きましたときに、私は、食べ残しを処理することも大切ではありますけれども、その前に、食べ残しを出さない教育、そして物を大切にする教育、また、自然を大切にする教育、そういうものが大変大切だろう、環境教育は不可欠であると痛感した次第でございます。

 こうした教育は、特に子供のころから必要でございまして、家庭で、あるいは学校で、さらに社会人となってからも、企業が社員教育の中で環境教育を必ず取り入れるなど、こういうことが大切だ、生涯を通じた環境教育が必要であると考えているわけでございます。

 今後、特に環境教育には力を入れていただきたいと思いますけれども、環境省の取り組みについてお伺いをいたします。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

西野大臣政務官 今、青山先生、具体の例をおっしゃいました。私も、その話をお聞きしてふと思ったんですが、もうウン十年前になりますが、私の今は亡きおふくろが、当時は、靴下が破れますと、暗い電灯のもとで、眼鏡をかけて繕ってくれました。今靴下なんて、破れたのはそのまま、繕うところはほとんどなくて、恐らく使い捨てだろうというふうに思います。

 何か、大量消費と大量廃棄という問題、あるいは飽食の時代での問題、そういう中で、これからは地球と共生をしていく社会、それを持続可能であらしめるためには、幼いときから高齢者に至りますまで、いろいろな場を通じて、例えば家庭、学校、そしてそれぞれの地域等々において、この環境教育の普及啓蒙をやっていく必要があるのではないかなというふうに思っています。

 環境省では、きょう、ちょうど六月の一日でございますが、今月を環境月間というふうに以前から制定をいたしまして、この環境教育あるいは環境問題に対する人材の育成等々の諸施策を講じておるところでございます。とりわけ小中学生に対して、エコクラブが全国で数多くできておりますが、その事業等に対しましても、環境省としては側面から支援をしておるところでございまして、非常に大切なことだというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、関係の省庁や民間団体あるいは事業主とのいわゆるパートナーシップをしっかり構築いたしながら、環境教育、学習にこれからも積極的に取り組んでいくべきだ、このように考えておるところでございます。よろしくお願いします。

青山(二)委員 時間が参りました。これで終わらせていただきます。大変ありがとうございました。

五島委員長 小林守君。

小林(守)委員 民主党の小林です。

 先ほど、我が党の細野委員が温泉法の一部を改正する法律案について質疑しましたので、私は浄化槽法に限って質問をさせていただきます。

 まず、浄化槽法に基づいて、公共用水域への放流水の水質管理あるいは水質検査は現行法でどのように行われているのか、お聞きをしたいと思います。

岡澤政府参考人 浄化槽は、適切に維持管理して、水質汚濁防止法等に定める排水基準に適合した水を放流しなければならないことになっているわけでございます。

 浄化槽の設置者に、みずからが設置している浄化槽が適切に機能しているかどうかについて管理責任をかけているわけでございまして、浄化槽の設置者は、管理業者に委託をしてその管理状況について点検してもらう、かつ、指定検査機関の検査を受けて、その機能が果たされているかどうか確認するという仕組みになってございます。

小林(守)委員 保守点検をする浄化槽管理士と、いわゆる指定検査機関が行う水質検査、水質管理という形に分けて、実際に行う部分とそれを検査する部分がシステムとしてつくられているというふうにとらえていけるものと思います。

 そこで、まず最初に、いわゆる指定検査機関が行う水質検査、この信頼性とか正確性についてはどのように担保されているのかという視点に立ってお聞きをいたしたいと思います。

 国にありましては、指定検査機関を、これは都道府県に委任されている事務だと思いますが、都道府県においては、民間の登録検査分析業者に対して検査分析の委託ができるのかどうか、この辺を大きな問題としてとらえなければならないと思います。

 それで、具体的な事例で恐縮でございますが、指定検査機関に指定をする際に、国では、例えば公益法人に対して検査とか何かの委託をする場合には、法律で、民法三十四条の公益法人でなければならないというような形になっておりますが、その指定を受ける指定検査機関は、都道府県にあっても同じというふうに考えてよろしいでしょうか。

岡澤政府参考人 そういうことでございます。

小林(守)委員 栃木県では、私もお聞きしましたところ、社団法人の栃木県浄化槽協会がその指定の検査機関にされているというふうにお聞きいたしております。

 そこで、この指定検査機関の信頼性とか正確性というものを担保するために、民間の登録検査分析業者にその検査分析の業務の一部を委託することができるかどうか、これについてまずお聞きします。

岡澤政府参考人 指定検査機関みずからが行うことが望ましいわけではございますけれども、BODの検査に限って、これは設備とか、それと技術的な困難さが伴いますので、この検査については外部に委託してもいいというふうにしております。

小林(守)委員 民間の検査分析を業とする会社が、例えば環境計量士などを擁する会社は濃度の分析などももちろんできるわけでありまして、そういう点で分析業者の対象になるんだろうというふうに思いますが、実は我が栃木県において、その環境計量士の資格を持っている方が、民間同士の問題ではございましたけれども、虚偽の証明書を、あるいは検査なしでデータをつくり上げて証明書を出すというような問題が発覚いたしました。その業者そのものも、みずからそういうことをやったということを認めております。

 こういうようなことがありまして大変な問題になっているわけでございますが、今日までの例えばそういう水質などの検査分析体制においては、ペナルティーが極めて甘い。改善命令とか改善措置とかをして直せば、以降やりませんということになるならば、虚偽の証明書を出しておったり、データ改ざんをして一定の基準をクリアして報告をしていたというようなことが明らかであっても、これからやりませんというふうにすればペナルティーはないというような状態でありまして、水質検査の信頼性や正確性というものが本当に確保できているのかどうか、極めて大きな問題としてとらえなければなりません。

 そういう視点に立って考えるならば、県が浄化槽協会を指定検査機関として指定した、その際に、BODの検査分析については民間の検査分析業者に委託できるというときに、どういう基準で委託をするのか。これは資格があればどこでもいいということになってしまうのかどうか。要は、業者の中にもいろいろあるということも考えなきゃならないと思うんですね。それで、一定の基準はそれぞれの都道府県が指定する際にとるようになっているのかどうか、そこをお聞きしたいと思います。

岡澤政府参考人 都道府県が浄化槽の管理状況の検査をするために指定するのは、公益法人を指定検査機関として指定するわけでございまして、都道府県知事が、指定検査機関に対する監督の一つとして改善命令というようなことはございます。

 あと、指定された公益法人が一部の水質試験を外部に委託する場合には、指定検査機関みずからがその適正さについて判断して委託するということになるわけでございます。

 実際には、都道府県によっていろいろな運用があるようでございますけれども、一般に申し上げれば、都道府県の計量証明をしている業者に委託させているというふうなことが多いのではないかというふうに考えております。

小林(守)委員 要は、基準的なものではなくて、指定検査機関の責任においてやるということでよろしいですね。全責任は指定検査機関が持つということでいいんですか。

 栃木県の場合で恐縮ですが、社団法人の栃木県浄化槽協会が指定検査機関であります。これは、浄化槽管理士とか浄化槽設備士、そういうような資格を持って事業を営む人たちが構成している協会であります。これは実際に浄化槽を定期点検、保守点検したり清掃したり、そういうことをやっている業者の集まりですね。そこが指定検査機関になっているということであります。

 ですから、保守点検や浄化槽の設備をする業者は検査される立場ですよね。その検査される立場の人が、今度は、同じ協会の中で検査する立場にもなっている、こういうあり方というのはいかがなものなんでしょうか。

岡澤政府参考人 恐らく、管理会社の人たちが共同で設立した協会、公益法人ということだと思いますが、その中で実際に浄化槽の管理状況について検査を行うのは、これは検査員というものがおりまして、その検査員が個別の浄化槽の検査をするわけでございますので、実際に浄化槽の管理をする会社はあるとしても、その会社の人が検査をするわけではなくて、出資関係というようなことからいうとちょっとあいまいかと思いますが、実際にやるのは検査員、それから、検査員の検査の結果によって措置を講じるのはそれぞれの管理会社ということになりますので、そこは一応使い分けがされているのではないかというふうに考えております。

小林(守)委員 されているのではないかというようなことなんですが、少なくともそこはきちっと行政的に、国民の健康や環境の安全、保全を考える上からも、非常に甘く癒着の構造になってしまっては、公共用水域の水質の保全は保てないわけですよね。実際にそういう事例が起こって、その業者そのものが、環境計量士の資格を持っている方が認めた、今後やりませんという形で引き続き営業は続けているという実態がございます。そんなことを考えますると、相当きちっとした仕切りをつけるようなものがないと国民の信頼はいただけないのではないか、このように思えてなりません。

 そこで、例えば平成八年の九月二十日に、「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準について」というのが閣議決定されております。この中で、五番目なんですが、「委託等を行う官庁の出身者と委託等された検査等に関わる業界の関係者の合計が、理事現在数の二分の一を上回らないこと。」というような項がある。

 この例としてあるのは、例えば、国における財団法人日本環境整備教育センターの理事の構成はどうなっているんだと。これが、省庁出身者や関係の業界団体出身の理事が半数以上になった場合はだめですよと、閣議決定でこういうことは見直すんだというようなことをされているわけですね。

 ところが、都道府県に委託されてしまった事務なんですが、都道府県においては、実際は、するものとされるものが一緒の協会の中で委託されているということは、どう見ても、特定の浄化槽検査員が検査するのであって、浄化槽協会が委託はされたけれども検査しているんじゃありませんというようなことは、これはおかしな話であって、浄化槽協会の中にいるある職員がやっているのであって、やる方とされる方が浄化槽協会に両方入っているんですよ。これはやはり不透明であるし、検査の客観性とか中立性、信頼性というものは保てないのではないか、このように思うんですが、これに対して今後どういうふうに取り組んでいこうとしますか。

岡澤政府参考人 ちょっと個別のケースは今正確に把握していないので正確には申し上げられないのですが、国の方でも、当然一定の規制をかけて公益法人の改革を進めているわけでございまして、これは都道府県の認可した公益法人だと思いますが、同じような考え方で、誤解を招くことがないように、指定を受けている公益法人の役員構成だとか業務内容だとか、そういうものについては、是正を図っていく必要があれば図ってまいりたいと思います。

小林(守)委員 法律で認定をするわけですよね。指定検査機関として認定する。しかし、その指定検査機関が、検査をする側とされる側にきちっと制度的に分離されるような、そういうことをするような一定のガイドラインみたいなものを作成してやる必要があるのではないか。これは私も全国の例を調べておりませんが、栃木県の例ではこういう事例が間違いなくありますので、ちょっと問題だな、このように考えております。

 そんなことで、国の立場から、法律の趣旨がしっかりと生かされるような指導あるいは情報提供なり助言をお願いしたい、このように思っております。

 このような体制の中で公共用水域の水質の管理、検査が行われてきているわけですけれども、浄化槽管理士が定期的に保守点検の作業を行っております。これは、規模に応じて四カ月に一遍とか一年に一遍とか、そういうのもあるのかと思いますが、規模に応じて一カ月に一回とかいうところもあろうかと思います。

 その際に、水質管理をするということになっていますが、浄化槽管理士はどのような水質管理を行っているのか。実際にそこでBODの検査はできないですよね。それから、例えば水質で、これは細菌がどのくらい含まれているとか、そういう検査も、それは目で見てわかりませんよね。その場でやるわけですね。持って帰ってちゃんと検査するということが必要なものもあると思うんですが、保守点検を行っている浄化槽管理士は水質管理を行う、なおかつ資格試験の中では、あるいは講習の中では水質管理が必須科目になっています。それをクリアしないと資格が与えられないわけなんですね。

 そうすると、水質管理というのは何をやることなのか。ただ塩素が少し足りなくなったからこれは補充しておきましょうだけなのか。そのほか、機械とかがちゃんと作動しているかどうかを調べるんでしょうが、要は、水質管理というものに対して管理士はどこまでチェックできているのか、チェックするのかということをお聞きしたいと思います。

岡澤政府参考人 浄化槽管理士は、浄化槽の設備が適切に機能しているかどうかということ、管理が適切に行われているかどうかということについて見て調べるわけでございます。その中で簡易な水質検査は、つまり、浄化槽が正常に機能しているかどうか、あるいは正常に運転管理されているかどうかということを判断するのに足る程度の簡易な水質検査はそこで行うことになっています。具体的には、水温だとかpHだとか透視度だとかにおいだとか、そういうほとんどその場で見られるようなものでございます。

 これは、水質基準に適合する水が排出されているかどうかという観点ではなくて、浄化槽が本来備えている機能が発揮されているかどうかということですので、例えば色が、非常に着色がされるとか、においがするとか透明度が悪いとか、そういうことによって、この浄化槽はうまく運転されていないのではないかということが推測できるわけでございますので、その程度の検査をさせているということでございます。

 実際にその浄化槽が水質基準に適合するかどうかというような観点での検査は、これはいわゆる指定検査機関の検査において行われるということでございます。

小林(守)委員 そうしますると、いわゆる目に見えない水質の検査ということになると、これは現状では一年に一遍ですよね、これでいいんでしょうか。

岡澤政府参考人 それはたくさんやった方がいいと思いますけれども、お金のかかることですので、実際に浄化槽を設置して運転している状況というものをデータ的にとらえて、そうすると、通常の各家庭で設置しているような浄化槽の場合には、汚泥の引き抜きを定期的にやっておけば、あとは、保守点検というのは年に一回程度で十分機能するというふうな経験が得られておるわけでございます。

小林(守)委員 そういう仕組みにはなっているわけで、きちっと誠意を持って業務が遂行されているならば水質汚濁の問題は発生しないんだろうというふうに思いますが、現実に水質汚濁の問題が世間の中で大きな社会問題になるというのは、実際にその排出水の下流なりそのそばで魚が死んだとか、あるいは現物が流れているというようなときに大騒ぎになるわけですよね。それは、実際に保守点検をやっていて、なおかつ一年に一遍定期検査、権威のあるところが検査をしている中で起こってくるわけで、本来、定期検査とかあるいは定期的な保守点検をきちっとやられている中ではそういうものは出てこない。

 例えば、藤沢だったでしょうか、荏原製作所の排出水の問題が大きな問題になりましたけれども、環境にあれだけ真剣に取り組んでいる企業でさえああいう問題を起こしてしまう。しかし、定期検査とか定期点検の中できちっとやられていればみずからが発見できるはずなんですよ。そして改善されなければならないんだと思うんですが、みずから発見される事例はほとんどなくて、結果的に魚が死んだどうのこうのということで、住民があるいは環境にいろいろ関心を持っているNPOやNGOの皆さん方が指摘をして初めて問題になってくる、それから大騒ぎでその取り組みが始まるというような状況なんですね。

 そういうことを考えると、今日の浄化槽一つとっても、本当に保守点検あるいは定期検査の体制が機能しているのかどうか、いいかげんにやられているのではないかというふうに心配せざるを得ません。それに対してどういうふうに受けとめていくのか。

 法改正がされて罰則の強化がなされましたが、これは指定試験機関、講習機関のあり方の罰則を強化するだけの話であって、そんなものよりも実際にやっている部分で、水質の管理、水質の保全、その部分がきちっとした行われ方をしないとどうにもならないわけですよね。

 そういうことで、今回の法改正では、環境計量士にもかかわりますが、要は、浄化槽の管理士とか、あるいは浄化槽の機能を定期的に検査する指定検査機関が、もしいいかげんなことをやったらとんでもないことになりますよというペナルティーをきちっと強化するところが本筋だ、私はこのように思っているんですが、今回の改正ではそのペナルティーの方はなされていません。

 実は、経済産業省の関係で、計量法の改正の中で、環境計量士に対しては、虚偽の証明書を出した場合には厳罰、即営業停止一年以内というようなことが初めて今回の法改正で入ることになりましたが、浄化槽の方では、例えば指定検査機関が、民間にも委託することができるということになると、もし虚偽の証明書を出したならば即ペナルティーが出ますよ、あるいは浄化槽管理士の構成する浄化槽管理会社がいいかげんなことをやっていたらば即営業停止が出ますよというような、資格にかかわるペナルティーというものを今回は見直していません。そこがちょっと不十分だなというふうに思うわけなんですが、いかがでしょうか。

岡澤政府参考人 国家資格を与えた設備士ないし管理士がその業務を怠って、それによって公益的な被害を与えるというようなことがあれば、これは当然罰則の対象になりますので、従来なかなかこれは発動されてまいりませんでしたけれども、こうした罰則の活用も含めて、不適切な業者には厳しく対応してまいりたいと思います。

小林(守)委員 罰則といっても、さっき言ったように、まずは改善措置を勧告して、直したら、それでないんですよ、あとは。やり得なんですよ。そうじゃないですか。

 不正なことをやっていても、行政機関が指導して直しなさいと言えば、直しました、以後やりませんと言えば、今までずっとやっていた不正なことに対しては潜ってしまうんですよ。容認されちゃうんですよ。そういう制度でいいのかということなんですよね。

岡澤政府参考人 浄化槽に伴うトラブルというのはいろいろな理由があると思いますけれども、資格を持っている業者の活動に伴ってそういうことが生じた、それは監督が緩くてそういうことが生じるというようなことであれば、そのところは考えて、その規制を強化する意味があるのであればそういう方向も検討してみたいと思います。

小林(守)委員 ありますから、ぜひやってください。今回の法改正でそれがいっていないところが私は不満なんです。試験機関、講習機関に対してもそれだけの厳しいものをやるということについて異議はありませんが、これではちょっと本筋のところが抜けているじゃないかということを指摘させていただきたいと思います。

 実際に必要ですから。計量法ではそれをやったのだから。何で浄化槽法ではやらないんだということになるんじゃないですか。同じ水質にかかわる問題ですよ。もう一度お答えできますか。

岡澤政府参考人 私どもは、資格を持っている者が不適切な行為を行って、それによってトラブルが多発しているというふうな認識が余り今までないものですから、現場からの状況とかあるいは調査もした上で、そういうことが問題であれば、そういうものに対して十分な対応ができるような、罰則の強化も含めて措置をとってまいりたいと思います。

小林(守)委員 ぜひ実態を調べながら、しかも、めったなことでこういう事実というのは表に出てこない。表に出てこないんですよ。しかも、例えばBODが五なり二〇なり、ppmが二〇以上だった、二五だったなんと言ったって住民はわかりませんよ、BODがどうだというような数値的なものになるとね。有害な化学物質が含まれているとか、そういうものだってわかりませんよ。魚が死なないとわからないんですね。そこまでいったらもう本当に困るわけであって、そこを、ぜひ実態をよく見聞きしていただきたい、このように思っております。

 今度の法改正の中で、今の質問にも絡んでくるんですが、指定試験機関であり、また指定講習機関である財団法人の日本環境整備教育センター、ここでは、水質管理についての講習、内容、知識、技術を習得させるということになっておりますが、その中で、社会的に大変な役割を担った仕事なんだということをきちっと意識づけるような部分も、単なる知識と技術じゃなくて、そういうモラルの問題、社会的な責任の問題、先ほど環境教育のお話がありましたが、その辺のところもきちっとやっていただきたいなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

岡澤政府参考人 そういう意味も含めて、浄化槽の役割というのはどういうものだとか、保守点検業者が直接触らないような原理まで含めて実は説明しているわけですけれども、いいかげんなことをすれば当然悪い排出水が公共水域に出て公共水を汚染する、そういうようなことについては十分周知して、維持管理の保守点検を行う業者が十分な自覚を持ってその仕事ができるような、そういう講習会のカリキュラムとなるように配慮していきたいと思います。

小林(守)委員 それでは、最後に大臣の方に、このような議論の経過を踏まえて、環境省所管の中で、特に環境整備教育センターを国は指定の試験機関あるいは指定講習機関として指定しているわけですね。そういうことも含めて、特殊法人や公益法人の見直しという政府全体の課題もありますが、環境にかかわるような公益法人等に対して、その全体像と見直しの方向について大臣の方からお聞きをしたいと思います。

川口国務大臣 行政改革といいますか、公益法人の見直しというのは小泉内閣の大きな課題でございまして、環境省といたしましても、政府の一員といたしまして平仄を合わせて、むだのないように、それから、国民の公共の利益のために業務が行われるように見直しに取り組んでいきたいと思います。

小林(守)委員 終わります。

五島委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

五島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。奥田建君。

奥田委員 民主党の奥田建でございます。朝一番に質問に立ちました細野議員、そして小林議員に続きまして質問に入らせていただきたいと思います。

 私も、細野議員と同様に、全国温泉振興議員連盟というものの設立にかかわっております。この議員連盟、衆議院で百二人、参議院で百五人という、二百七名の大世帯でもございます。それだけ、何としても温泉地の抱える問題に対しての力強い応援団になりたいという気持ちがございます。

 そしてもう一つ、私は、党内の議員懇談会でございますけれども、温泉と健康を考える議員懇談会というところにも所属しております。こちらの方は、観光や地域振興という視点とはまた違い、名前のとおり、温泉と健康というものについて考えたいという議員連盟でございます。

 簡単に、順番に設立趣旨の中身を一部だけ読ませていただきます。

 全国温泉振興議員連盟の方では、現在、豊かな自然やいやしを求める国民志向が広がっており、また、温泉を貴重な観光資源としている温泉所在都市、これらは国内及び外国からの観光客の受け入れ態勢を整える必要があると同時に、お客様のためにも良好な都市基盤の整備が急務となっている。これらの温泉所在都市は、ごみ処理あるいはし尿処理、下水道などの環境対策、そして宿泊施設としての防災対策、さらには観光地としての都市の治安、安全、救急と健康の保持、そういった問題を抱え、ほかの都市以上に、お客様を迎えるという観点から、よりレベルの高いものが要求されるということになっており、それらの問題について取り組もうというのが全国温泉振興議員連盟の趣旨でございます。

 健康を考える議員懇談会の方では、生涯現役の生き生きとした高齢者社会を実現するため、温泉を活用した予防医療を確立し、地域の活性化と医療費の抑制に努めたいということが主になっています。

 それらの議員連盟の中で出てきた意見を集約してかりますと、例えば、羽田孜先生からは、体によい温泉には健康保険を適用してもいいんじゃないかというような提言、あるいは二階俊博議員からは、祝日、三連休をもっとふやしましょうという意見、さらには保利耕輔議員からは、温泉都市整備のために地方財政措置を講じていただきたいということが言われております。

 昨年の三月いっぱいでなくなりました特別地方消費税、これらについては、消費税が設立されましたときから、時限措置をもって打ち切りとするということは約束としてありましたけれども、地方の大切な財源でもございました。また、反対、撤回といいますか、この特別地方消費税をなくそうという形で、いろいろな御商売をやっていた方々、旅館業者あるいは飲食業者の方々たちからは、二重課税だという形で、何としても撤廃してほしいという動きがあったことも、私自身ずっと承知しておる次第でございます。

 ただ、今言いましたように、いろいろな施設整備がやはり行政の使命としてある都市にとりましては、大切な財源がなくなったというのも現実でございます。これらの所在都市からの要望でもございますけれども、昨年三月三十一日に打ち切られましたこの特別地方消費税の代替措置というものについてのお考えを総務省の方からお伺いしたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 特別地方消費税につきましては、先生の今のお話にもございましたように、平成九年度の税制改正におきまして、飲食、宿泊等の行為について、同一の料金に対して、消費税とそれから地方消費税、さらに特別地方消費税という三種類の税が課される場合があるということになりますので、廃止すべきじゃないかという意見が強かったわけでございます。

 一方で、お話に出ましたように、この特別地方消費税の課税対象とされております飲食、宿泊等の行為が、地方団体が行っております環境衛生ですとか観光振興、消防等の行政サービスとの間に密接な関連があるということで、存続すべきではないかという意見もあったわけでございますが、最終的には総合判断いたしまして、地方団体の財政状況が極めて厳しいこと等の事情から、三年間はそのまま延長しますけれども、その後廃止する、具体的には昨年、十二年の三月末で廃止するというふうにされたわけであります。

 おっしゃいますように、確かに特別地方消費税の税収がかなり多かった地方にとっては税収減ということになるわけですけれども、これにつきましては、地方団体の財政運営に支障が生じないように、普通交付税の算定におきまして、従来の都道府県の特別地方消費税の税収ですとか、あるいは最終的には市町村の方に半分交付金が行っておりましたが、市町村の特別地方消費税の交付金収入、それぞれそれまでは基準財政収入額の算定対象になっておったわけですけれども、特別地方消費税の廃止に伴いまして、それぞれの減収額相当部分は普通交付税の計算上措置するというふうにしております。

 したがいまして、県でいいますと八割、それから市町村ですと七五%が一応カバーされているということもございますので、地方団体の財政運営に何とか支障が生じないような措置を当時講じたということでございます。

奥田委員 ありがとうございます。

 名前がどうこう、あるいは目的税での一つの、小泉総理たちのお言葉をかりれば、硬直した財源というものでなくても、仕事は残っているけれども財源がなくなったということのないようにぜひとも御配慮をいただきたいと思います。

 今の御回答がそのままであれば、地方の都市の皆様も少しは納得のいくものであるかと思います。けれども、こういった要望が重なるということは、そういったことがなかなか通じているのかいないのか、そういうことをしっかりと伝えるということも大切な行政の仕事であると思いますので、よろしくお願いいたします。

 総務省の方はこれで結構でございます。ありがとうございます。

 続きまして、今回の温泉法の資料の中にも、環境省としましての国民保養温泉地指定の制度、あるいはふれあい・やすらぎ温泉地整備事業といったものの御紹介をいただきました。

 国土交通省の方にお伺いしたいのですけれども、これらのほかに、やはり観光施策あるいは地域の整備という形で、温泉地あるいは観光地といった形での振興法があるかと思います。その振興法について、制度の内容、あるいは予算、大まかな全体予算といった中で少し御紹介をいただければと思います。

木村(隆)大臣政務官 奥田先生のお地元の金沢、来年は前田利家公がNHKの大河ドラマで取り上げられますけれども、私の地元の名古屋・荒子が出生の地でございまして、初めて私の地元の小学校が金沢へ修学旅行へ参ります。ともに手を携えながら振興に努力をしていきたいものだと思っております。

 ところで、国土交通省の観光施策でございますけれども、大まかに三つ報告をしたいと思います。

 まず一点目は、JTBやらリクルートという旅行にたけた会社、その社員さんに御協力をいただいて、温泉地を利用した観光町づくりをどのようにしていくのか、そんなことを一緒に考えていただく観光アドバイザーを派遣する、そんな施策が一つ。

 そして、二つ目でございますけれども、日本観光協会が全国の温泉地という情報を発信する。当然、旅行会社はもちろんでございますけれども、情報社会でございますから、カーナビとかiモードを通じて、そういう新しい媒体も利用して全国に温泉地の情報を発信していきたい、これが二点目でございます。

 三つ目は、かなり今、東アジアを中心として、アジアから日本へ来ておられるお客さんが多うございます。そういう方々はかなり温泉というものに対するあこがれがあるようでございまして、海外の観光振興会、国際観光振興会を利用して、そういう地域で日本の温泉地をPRする、そんなこともしていきたい、こう思っております。

 そして、本年の三月から、リアル・ジャパン・キャンペーンというものを今行っておりまして、これは、温泉地だけではなく、日本全体の旅行需要を喚起する、そんな施策も今行っているところでございます。

 温泉地を中心とした観光施策、これからも一生懸命振興に努めていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

奥田委員 木村国土交通政務官の方から地元のPRもいただきまして、ありがとうございます。

 実は、繰り返させてもらいますけれども、来年度のNHKの大河ドラマは「利家とまつ」ということで、昔の旧加賀藩の石川県が舞台となります。そして、ことしのうちには都市緑化フェアというのがありますので、これも地元では多くのお客様をお迎えしたいという中で大変期待しておるものでございますので、この場をおかりして、やっちゃいけないことかもしれませんけれども、地元のPRをさせていただきます。

 さらに、石川県のキャッチフレーズが「ほっと石川」といいまして、安らぐほっと、ほっとするというほっとと温泉のホットをかけた、こちらもまた温泉の観光に大変期待をしたキャッチフレーズをつけておりますので、こちらの方もあわせて皆様によろしくお願いしたいと思う次第でございます。

 今国土交通省の方から、旧来から観光予算というものは大変貧弱であって、国内、あるいはぜひとも国際的な振興策というものを国としてもやってほしいというのは、多くの旅行関係あるいは観光関係の皆様の悲願でもあると思います。そういったところにまた国土交通省としてもぜひとも大きなお力をいただきたいとお願いする次第でございます。

 今いろいろと温泉のお話をさせていただきました。環境省、そして旧の主管官庁でもございました厚生労働省の方に、これからの温泉利用、温泉大国日本、聞くところによりますと、市町村の八割のところに日本は温泉が存在するというふうに言われております。これらの温泉利用に関して、これからの大きな流れといったものについて御所見を伺いたいと思います。環境大臣の方からお願いできますでしょうか。

川口国務大臣 委員おっしゃられましたように、温泉というのは日本には非常に豊富にありまして、多くの国民が、小さいときから老年に至るまで、温泉をかなり、しばしば楽しむということになっていると思います。

 そういった温泉を、国民が健康に問題のないような状況で、きちんと安全な形で温泉を楽しむことができるようになるということは非常に大事なことでございますし、それから、温泉に行きやすいといった、あるいは行きたくなるといったさまざまな整備も重要なことだろうと思います。

 温泉法はそういったことを目的としているわけでございますけれども、環境省といたしまして、この温泉法の改正を通じまして、また一層事業に、その行政に努力をしていきたいというふうに考えております。

奥田委員 それでは、同じ質問を厚生労働省の方にお願いしたいと思います。

 先ほど細野議員も何か保健関係の資料を出しておりましたけれども、国民健康保険中央会、国保中央会の方がことしの四月十八日に出しました「医療・介護保険制度下における温泉の役割や活用方策に関する研究」、こういった報告書が出されております。一言で言えば、温泉の活用で元気であることによって高齢者の医療費を抑制することができるのではないかという研究報告でございます。

 こういった報告を踏まえまして、厚生労働省の方に、これからの温泉活用、そして地域の予防医療のあり方といったものについてお伺いしたいと思います。

大塚政府参考人 ただいまお示しがございましたように、本年四月に国民健康保険中央会という団体のところの研究会が温泉利用に関する報告書をまとめられました。

 その中で、幾つかの市町村、相当数の市町村のヒアリング調査なんかをしているわけでございますけれども、温泉を利用いたしました保健事業、いわゆるヘルス事業でありますが、健康づくりを含めました保健事業を推進している地域と医療費との関係を見ますと、相対的に老人医療費が低い、もしくは低下をしているというようなレポート、それから温泉を利用しておられる高齢者の方々の医療費が相対的に低いというようなレポートが含まれているわけでございます。

 また同時に、同じ報告書におきましては、こうした地域におきましては、温泉利用を中心としながら、保健婦活動でありますとかその他の健康づくり活動と一体的に進めておるというところが特徴でございまして、また、そうしたところの地域の効果が特に顕著だというような内容でございます。

 私ども、これから高齢化が進む中で、高齢者医療あるいは高齢者の健康づくりというのは極めて重要でございますので、こうした地域の特性に応じました創意と工夫に基づく事業というのが大変重要であろうと思いまして、私どもの立場で、さまざまな情報を提供いたしたり、こうした国民健康保険中央会による研究の報告を御紹介したりというような活動を通じまして、地域のさまざまな健康づくり活動が推進されますように努めてまいりたいと考えております。

奥田委員 報告書の中の事例集を短く紹介させていただきたいと思いますけれども、例えば山形県村山市というところでは、二十年来こういった健康づくりの施策に取り組んでおって、小さいながらも、そういう施策の積み重ねをしていることによって高齢者医療費の伸びをとめている、あるいはわずかであるけれども削減に成功しているといった事例がございます。

 そして、長野県北御牧村というところでは、いろいろと、温泉施設を中心にしまして、地域のコミュニケーション、そして医療施設、医療相談所といいますか、診療所を併設して、リラックスしたままくつろぎに来る方の健康相談にこたえる。さらには、村の保健福祉課もそういった温泉施設の中に取り込んでおりますし、さらには、隣接して、特別養護老人ホーム、痴呆対応型老人共同生活施設といった集約施設にして成功しているという例もございます。

 そして、香川県財田町というところでは、保健と医療と福祉の連携強化といった包括的ケア体制をつくる。こういう施設の隣にも家庭菜園など、訪ねる方が楽しめるような要素を取り込んで成功している、こういった紹介事例もございます。

 ぜひともここにおられる委員の皆様も、こういった資料をぜひ取り寄せて、地域での温泉の活用をしていただければと思う次第でございます。

 本当はここで、健康保険が云々とか、あるいはいろいろな特殊法人、公益法人のハードの事業、宿泊施設でありますとかいったものがちょっと問題視されている中で、ぜひともその資金というものをソフトの開発の面にも頑張って使うことができればなということをお願いしたいと思います。

 そしてもう一つ、温泉の方で、今度はメンテナンスという形になります。細野議員の方からも、温泉の配管などの傷みが激しいといったお話がございました。確かに、スケールと申しますか、温泉にいろいろな成分があるのはいいけれども、機械や設備を傷めやすいといったメンテナンスの問題がございます。

 そしてもう一つ、私も、この場の質問を言われてから、温泉の掘削とメンテナンスをする何人かの業者の方と少しお話をさせていただくことがございました。

 厚生労働省の方に聞きたいのですけれども、少し昔、古くは一九七六年に始まりますけれども、アメリカで在郷軍人病というものが発生いたしました。日本におきましては、近年、循環型の二十四時間ぶろにレジオネラ菌が発生して、命にかかわる、あるいは、その販売をしていた家電メーカーがすべて販売を停止するといった事態が皆さんの記憶にもあるかと思います。そして、私も少し驚いたことに、これは昨年におきましても依然として何件も発生しておるわけでございます。

 先ほど言いました、温泉に仕事としてかかわる人たちとお話をしましたときにも、やはり温泉を管理する中で一番怖いのがこのレジオネラ菌なんだというお話を伺いました。健康を守るということとともに、扱い方を間違えれば命にかかわることになる。温泉だけではございません、プールなんかもそうですし、あるいは空調機のクーリングタワーといったところにも発生します。あるいは、多くはありませんけれども、院内感染といった問題も含んでおります。

 厚生労働省の方に、温泉に対するレジオネラ菌対策といいますか、一つのウイルス対策と言えばいいのですかね、菌の繁殖に関しての対策についてお話を伺いたいと思います。

篠崎政府参考人 お尋ねのレジオネラ菌でございますが、この菌は細菌でございますけれども、土の中や河川あるいは湖沼など自然界に生息をいたしておりまして、アメーバなどの原生動物に寄生をいたしておりますが、ちょうど温度が二十度から五十度ぐらいの間で増殖をするというようなばい菌でございますので、冷却塔の水ですとか、あるいは今先生がおっしゃった循環式の浴槽水などから菌が出るわけでございます。

 というのは、特に温泉でございますと、湯気から呼吸器系に入って肺炎を起こすというような病気なんでございます。昨年も、三月と六月に、静岡と茨城の温泉施設等においてレジオネラ症への感染による死亡事故が発生をいたしております。

 このため、厚生労働省といたしましては、昨年の八月に、レジオネラ症防止対策に関する営業者向けの「よく知ろう「レジオネラ症」とその防止対策」というパンフレットをつくりまして、全国の営業者の方に配布をいたしたところでございます。

 また、昨年の十二月には、旅館業等に対する指導の指針としております衛生管理要領というのがございますが、それを改正いたしたところでございます。その中身につきまして申し上げますと、旅館などの入浴施設の水質基準項目に新たにレジオネラ菌の数を加えました。それから、浴槽水の換水頻度、消毒方法などを定めまして、レジオネラ症の発生防止対策を追加したところでございます。

 今後とも、この管理要領に基づきまして、適切な入浴施設の管理が行われますように地方自治体を指導してまいりたいと思っております。

奥田委員 新たな検査項目の一つに入っておるという言葉を聞いて少し安心しましたけれども、端的でよろしいですから、レジオネラ菌対策に関する決定打と申しますか、有効な予防方法はあるかということをちょっとお聞きしたいと思います。

篠崎政府参考人 予防というのは、一つは、衛生管理上のことにつきましてはこのパンフレットにも書いてございますが、おふろには髪の毛や何かが入りまして、それが、換水をする蛇口といいますか、お湯の出るところをふさいで、フィルターでうまく菌がとれないということがあるのでございまして、そこに髪の毛などがつかないようにキャップをつけるような仕組みがございます。そういうものをするとか、あるいはお湯を、二十四時間ずっととはいいましても、ある時間、あるタイミングで新しいものに取りかえるとか、それから、ろ過をする膜がついておるのだそうでございますが、その膜をある頻度で取りかえるというようなことが書いてございます。

 それから、人の方のことで申しますと、子供さんとかあるいは老人の方とか抵抗力が弱い人にかかるような病気でございますので、そういう抵抗力をつけるということが大事でしょうし、また、早目にこういうものが発見されれば、呼吸器症状でございますから、早目の手当てによってそういう死亡事故というようなものは防げるのではないか、このように思っております。

奥田委員 小まめに清掃をしろという、すべてに通じるようなお話になったかと思いますけれども。

 検査項目には入ったけれども、本当に検知しやすいものなのかどうか、そういったことも知りたいのと同時に、先ほど言いました院内感染なんかもあります。

 前の質問のときにも、ごみの焼却場でガス化溶融炉という煙突の要らないような焼却施設ができたということを言わせてもらいましたけれども、今も、新しい技術でスーパーオキシドイオンという、これは活性酸素なのかな、物々しい名前がついておりますけれども、そういったもので循環水を浄化するという技術もございます。

 PRはしませんけれども、何だそれはという方がおられましたら、ぜひ私の方に御一報をいただきたいと思います。いろいろ院内感染の中で、消毒薬ではなくて中性の性能を持った除菌剤といいますか洗浄剤であり、循環させるときには、プールでありますとか温泉のそういったウイルスをガス化してしまうという特性を持っておるそうでございます。業者ではございませんので、そういった話はこのくらいにさせていただきたいと思います。

 本来の、温泉の分析機関の門戸の開放といったところの質問をさせていただきたいと思います。

 現在、大臣指定の八十五機関、それを都道府県知事登録に変えるということが今回の法改正で出ております。今も八十五機関のリストを見せていただきましたけれども、大体、旧公害衛生研究所といったようなところが、公的なお墨つきを持つ分析結果の発表あるいは分析を行う機関として当然指定されておるようでございます。

 私自身、地元の方でも、では今、温泉分析をするときに実際そこへお願いしているのかと聞きましたら、確かにお願いしている、そんなに件数が一遍にあるわけじゃない、ただ、そういった機関は来てほしいときに来てくれないんだと。例えばダイオキシンの問題がありましたときにはそちらの方にかかりっ切りで、当分の間は、その仕事が終わるまで、そんな、温泉の分析評価の仕事に現地まで来てくれない。そしてほかにも、そこからさらに委託されている機関も公的な公益法人としてあって、本当に細かな仕事なんかはそちらの方にどうも委託している部分があるようであるというような話も聞いております。

 この分析能力を有する者を登録するという中で、先ほどもお話がありましたけれども、その基準についてどういうふうに考えるか。例えば、当然、分析設備が必要だということはだれもが思うことであると思いますけれども、そういったものに今ある資格というものはどういうふうに絡んでくるのか。小林議員のお話にもありましたけれども、環境計量士という資格もあるそうでございます。あるいは、そういったものが必須になってくると考えればよいのであろうか。あるいは、今の分析体制の中でもし苦情というものがありましたら、あわせてそういったこともお聞きしたいと思います。環境省にお願いいたします。

西尾政府参考人 お答えします。

 今お尋ねの、この改正法によりまして登録制といたします分析機関の基準でございますが、これにつきましては、今後環境省令で具体的内容を定めたいと思っておりますが、二つの側面から基準を定める必要があると思っております。

 第一点は、御指摘の施設の面でございます。施設につきましては、これは水素イオンや総硫黄や、そうした各種の温泉成分を化学分析いたしますので、通常のpHや分光計から始まりまして、ガスクロマトグラフ、イオンクロマトグラフといったような基本的な化学分析の施設を持っている必要がございますので、そういうものを定めたいと思っております。

 それから、同時に、人的な要素でございますが、それに必要な技術者がいるということは必要でございます。

 そこの規定の書き方につきましては、これからさらに精査をしていかなければいけないと思っておりまして、環境計量士のような資格を持っている方は十分できるものであるというふうに考えておりますが、現実にこのほかにも、今までそういう県の衛生試験場のようなところで現に担当しておられる方とか、あるいは大学などでそういう分野を専攻しておられる方もいらっしゃいますので、同様な能力のある方であれば、そういう能力を有するということを判定して認めればいいのではないか。ただ、これは都道府県知事が判定しなければいけませんから、外形的にもわかる書き方をどうしようかということにつきましては、今後さらに精査をして適切な規定を置きたいと思っております。

 それから、これまでの指定分析機関につきましては、実は、ほとんどが衛生試験場でありますとか、そういうものをいわばちょっとアウトソーシングいたしました同様の機能を有する公益法人といったような機関を指定しておりました。したがいまして、これらの指定機関自身は分析能力というのは十分でございますので、今までは、そういう面では狭い機関でございましたが、逆に言えば、そういう機関で分析しておりますので、特に苦情があるとか、その分析について問題があったというような報告を都道府県から受けておりませんで、これらは適切に分析が実施されてきたものだというふうに理解しておるところでございます。

奥田委員 いま二つほど環境省の方に聞きたいと思います。

 ただいま、分析能力についてお話をいただきました。当然、都道府県の権限ということになりますけれども、都道府県の責任の中で果たそうとするときに、やはり判断が難しいというものもあるかと思います。そういったときに、決めつけるものではないにしても、一定のガイドラインといったものをぜひとも出していただければと思う次第でございます。

 もう一つ、温泉法の第四条について少し問題指摘を受けております。

 これによりますと、知事が掘削に関しての認可をおろすということになっておりますけれども、条文の中では、公益を害するおそれがあると認めるときのほかは、掘削の許可を与えなければならないということになっております。

 これも先ほどのガイドラインと重なってきますけれども、ここいらが、地方によって、地域によって、都道府県によって、半径五百メーターであるとか一キロ以内での二重三重の掘削は認めないというような条文はございますけれども、そういった何メーターという権利さえも余りしっかりとした根拠に基づいていないということがございます。あるいは、大深度の千メーターから二千メーターといったところで温泉をくみ上げるということが周辺にどのような影響を与えるかはっきりと示す、あるいはその根拠を出すということは都道府県の力では大変難しいといったお話もございます。

 平成十二年に、これは環境庁の方から「温泉の大深度掘削の基準作成検討調査報告書」というものが出ているとは聞いておりますけれども、都道府県の権限ではあるけれども判断に困る、あるいは根拠に困るといったものについて、相談を受ける体制というのは環境省の方にございますでしょうか。お伺いしたいと思います。

西尾政府参考人 最初にお尋ねの、四条の許可を行う場合の基準のありようでございますが、これにつきましては、やはり地域地域の地質その他の条件に照らして適切な基準を設け、あるいは適切な判断をするということで、今までそれぞれの地方で判断をしてきたところでございます。

 そういう積み重ねがございますので、できるだけ新しい知識なり技術なりというものは、できますれば、私どもの方からもできるだけ技術的助言を行うということは当然であると思っています。

 そういうことで、御指摘の大深度掘削、これは近年、一千メートル以上の大深度の掘削が行われる、そういう場合には、どうも今までと違ったような影響でありますとか、違ったような判定をしなければいかぬのじゃないか、こういうことは都道府県の方で迷われるところであります。それにつきましては、実は、平成十年度から十二年度にかけまして専門家に議論をしていただきまして私どもでまとめました。

 しかしながら、大深度といいましても、地質構造でありますとか地域によりまして事情が異なっておりますので、通常の基準と大深度の基準とは全然違う別の基準なんだとかいうようなクリアな形で判断基準を設けることは非常に困難であるということになりました。しからば、都道府県知事は一体どのようにしていったらいいのかということに相なります。

 そこで、大深度の場合には特に普通の地域に比べて注意しなければいけないということはやはりございまして、計画をした深度に対して、実際に掘っていった深度のどのあたりで事業を完了させるべきかということについてきちんと指導をする必要があるとか、あるいは大深度の場合には、いわばたまり水というようなものに行き当たっているのではないか、そういう場合には、そういうものをくみ上げた一定期間後に分析をしたり、適正なくみ上げ量をはからなければいけないというような特性がございます。

 そういったような特性につきまして、ケース・バイ・ケースにはなりますけれども、こういうことに注意をしたらいいのではないかという形で調査報告書をまとめまして、都道府県にも参考に送付させていただいているところでございます。

 したがいまして、出てきますそういう問題につきましては、私ども、専門家にもいろいろ検討をいただきまして、そして、得た新しい知識を都道府県に提供していくという努力は今後も行ってまいりたいと思っております。

奥田委員 もう一つ、だれがということではございませんけれども、環境省にお尋ねしたいと思います。

 今回、温泉の分析という業務について一つの門戸開放の糸口が開かれるということは間違いのないことだと思います。ただ、浄化槽法の方でも、やはり水の検査、排水検査というものがございます。厚生労働省の所管になると思いますけれども、口に入る水一つでも、水道法での水の分析が必要であり、あるいは建物に貯水槽を置けばビル衛生管理法の水質検査が必要になる、そして食品業であれば食品衛生法に準じた水の検査が必要になる、これは省庁の所管ごとの水の検査ということでございますけれども、一般の市場の方から見れば同じ水質検査、分析でございます。

 こういった一つの規制緩和の動きが、例えば水の検査ということ一つとってみましても、同じような基準で同じような時期にされているのか、そういった点について、はっきりと答えられないということを前に言われたのですけれども、環境省の方からほかの省庁に少し聞いていただいて、その結果を御報告いただきたいと思います。

西尾政府参考人 今御指摘のように、水質に関し、水質汚濁防止法でありますとか、浄化槽でありますとか水道でありますとかいろいろの各法に基づきまして必要な基準があり、必要な分析、検査というのが定められていると思います。

 そういうものが統一的、統合的、整合的に見られているかというお尋ねなのではないかと思いますが、まず、そういう基準や分析方法を決めますときに、私ども、それぞれのところで、他の類似の制度を見て、そういうものとの整合性などにつきましては当然検討いたしますし、関係省庁とそこはすり合わせますので、恐らく、基本的なところにつきましてはかなりの程度整合しておると思うのであります。

 しかしながら、それぞれの制度の趣旨でありますとか、あるいはそれが当てはめられます現場というのは違いますので、そのときに、それぞれ違った定めの中でしなければならないということはあるかと思っておりまして、そこを全部一括統合的に見るというのはなかなか難しいのではないかと思います。

 しかしながら、分析測定技術というのはやはり日進月歩しておるわけでございますし、そういうものがより迅速簡便化をしていくとか、あるいは精度管理や手法の共通化といった点で進化していくことは必要だと思っておりますので、これは私どもの省内の各担当でも連絡をいたしますし、あるいは、分析なんかをやる業界の団体の方なんかにも、よくよく情報交換とか研修だとか議論をしていただいて、そういうものに対してよく注意をしていくという努力をするべきものだというふうに思っております。

奥田委員 木村政務官、時間大丈夫ですか。ちょっと浄化槽法の方ができなくなりそうなので、浄化槽法に飛ばせていただきたいと思います。質問通告していたこともございますけれども、申しわけございません。

 浄化槽法の改正、平成十一年現在で約八百六十七万基の浄化槽があるように聞いております。これらの浄化槽を含めた下水道の普及率、水処理の施設の普及率といいますのが約七〇%、そのうちの合併処理浄化槽は一〇%というふうに聞いておる次第でございます。これらの普及率が高いか低いかということはともかくとしまして、各都道府県別に見ますと大変なばらつきがございます。上は九七%から下は二三%という大きなばらつきがあるという統計をいただいております。これらの普及率のばらつきに対する認識、そしてこれからの普及に関する対策といったものを環境省にお伺いしたいと思います。

岡澤政府参考人 先生今御指摘のように、汚水処理率というのは全国平均で七〇%になっておりまして、この内訳は、公共下水道と農業集落排水施設それから合併処理浄化槽を足し合わせたものでございます。一番大きなものはもちろん下水道でございます。ただ、下水道は人口の集中している都市部においては非常に効率よく整備ができますけれども、人口の過疎地域だとか散在している地域ではなかなかコストもかかりますし、難しいという問題もございます。

 下水道の整備は大都市から進めてまいりました関係から、大都市部では非常に整備率が上がっておりますけれども、農村部ではまだそこまでいっていない状況だというふうに認識しております。これからの部分につきましては、特に下水道の整備については経済的な効率が悪くなりますので、合併処理浄化槽だとか農村集落排水というような形態での汚水処理の普及というものを高めていく必要があるというふうに認識しております。

奥田委員 確かに、浄化槽の方のメリット、デメリットあるいは下水道の方のメリット、デメリットといったものがあるかと思います。今お話しのように、大都市部では下水道の方が効率がいい、しかし山間部や人口が集積していないところでは合併浄化槽の方がいい、あるいは、工期の面あるいは費用負担といった面でもよいと。浄化槽の方がメリットがある場合もあれば下水道の方がメリットがある場合もあるというふうに聞いております。

 一つ、下水道経費回収率といった指標がございまして、これは投下した費用に対してどれだけの施設が働いて効果があるかという指標だと思いますけれども、例えば下水道に関して言いますと、政令都市ではその回収率が八九%に上るのに、五千人以下の町村では二一%にまで落ちてしまう、こういったところからも、人口密集地でないところは合併浄化槽というものが大変効果的であると言えるかと思います。

 こういった合併浄化槽を普及させていくという中で、業界団体自身もPFI事業としての取り組み、行政からすれば面的な施設整備を行うということに大変有効ではないかということについて勉強しております。そしてまた、省庁の方でも、国土交通、農水と三省庁の協力のもとに統一的経済比較マニュアルといったものをつくられている、あるいはつくっている途中であるというふうに聞いております。

 これは、例えば今お話にございました特定地域の生活排水処理事業を市町村が採用するかしないかといったときの大切な判断基準になるものでもあると思います。個別の補助措置による普及というもの以外に、面的な普及という点の施策に関してお話をいただきたいと思います。また、経済比較マニュアルといったものの状況についても御報告いただきたいと思います。環境省、お願いいたします。

岡澤政府参考人 合併処理浄化槽は、標準的には個人設置型になっておりますけれども、それを面的に整備するために、特定地域生活排水処理事業という形で、市町村が設置するような合併処理浄化槽の事業を進めております。

 こうしたものにつきましては、先ほど先生も御指摘になりましたように、市町村設置型の公共事業としてやるものでございますから、PFI事業にもなじむということで、関係の自治体あるいは関係の団体とも相談して、こうした市町村設置型の合併処理浄化槽の事業がPFI事業としてプランができるかどうか今検討している段階でございまして、具体的な話が出れば私どもとしてもその支援をしていきたいというふうに考えております。

 また、下水道、農業集落排水施設、合併処理浄化槽の三者それぞれのすみ分けにつきましては、今全く先生御指摘のとおり、三省庁で連携いたしまして指標を出して、その指標によって市町村が、どの事業が自分の地域でやるのに最も効率がいいかということを判断できるような材料を提供しております。

 ただ、これは一律、市町村の地形とかいろいろな状況、自然状況にもよりまして、すべての地域で、例えば一人当たりの管延長が何メートル以上だったら浄化槽が全く有利だよという話には必ずしもならないわけですけれども、その地域ごとに多少修正というのは必要ですが、おおむねその考え方としては、それを見て市町村がみずから判断して、どういう形で事業を進めていくことができるかということが判断できるようなものとして資料を整えておりますので、こうした形で汚水処理施設の整備は一層進めていきたいというふうに考えております。

奥田委員 今のお話だと、まだマニュアルというのは検討段階で完成まではしていないということでよろしいでしょうか。

岡澤政府参考人 既にできて配付しております。今やっておりますのは、それをさらに精査して、より使いやすくするというふうな作業は引き続き行っております。

奥田委員 私もマニュアルの一枚紙のは持っているんですけれども、集約したもの、発表されたものは持っておりませんので、ぜひ一部いただければということをお願いしたいと思います。

 それとともに、やはり業団体の方からの指摘事項ですけれども、無登録工事業者あるいは無届け設置浄化槽というものがあるというふうに聞いております。こちらの方の把握自体、だれがやっているのかということもちょっとわからないような状況ですけれども、無届け業者と無届け設置の浄化槽についての現状把握がございましたら報告していただきたいと思います。

岡澤政府参考人 無届けの浄化槽がどのぐらいあるかということにつきましては、正確に状況把握はできておりません。ただ、特に以前は相当程度無届けの浄化槽というものがあったというようなことは承知しております。

 ただ、こうした無届けの浄化槽は、その後のメンテナンスの問題もございまして浄化槽に対する信頼を損なうというふうなこともございます。今回の改正の中でも、無届け浄化槽の設置の工事業者については、それが発覚した場合ということですけれども、罰金額を、従来五十万円だったものを百五十万円まで引き上げておりますし、無届け浄化槽の設置者自身についても、その罰金額を二十万円から五十万円に上げるというふうな措置をとったところでございまして、こうした罰金というのは一つの抑止効果があると思いますが、それだけではなく、取り締まりも強化しながら無届け浄化槽の監視を続けてまいりたいと思います。

奥田委員 いま一つ浄化槽について質問したいと思います。

 問題にされている中で、これは十一年十二月十四日付の行政改革推進本部規制改革委員会の報告書、第二次見解というものでございますけれども、現在の浄化槽検査の法定検査の受検率の問題でございます。

 施工後半年たってから二カ月以内にしてくださいという七条検査の実施率が七一・五%、年一回の定期検査の実施率が一三・四%。七一・五も問題ですけれども、この法定検査が一三・四%ということは一体どうなっているのだと。そういった受検率の引き上げのために、公益法人がこれら業務を独占する現状を改め、能力を有しかつ公正中立な業務の実施可能な民間法人に広く業務を開放する、そういった見解が出されておりますけれども、この見解について環境省の方の考え方を聞きたいと思います。

岡澤政府参考人 浄化槽の法定検査には、今先生おっしゃったように、浄化槽の設置後六カ月から八カ月の間に実施される設置後の検査というものと、その後毎年一回ずつ行われる定期検査の二つの種類がございます。

 設置後の検査の受検率は、今でもまあそんなに高くはないのですが、平成四年度には四五%であったものが、平成十一年度には七三%まで上がってきております。ただ、定期検査の受検率の方は、平成四年度の一〇%が、平成十一年度も一四%という低い水準で推移しているというのは事実でございます。

 民間開放によって受検率向上が図れるのではないかというふうな考え方も当然あると思います。ただ、民間企業は経営が必ずしも安定していない、あるいは条件のいいところだけとって仕事をするというふうな面もございます。検査手数料に大きな格差が生じたり、検査の実施に消極的となるような可能性もあるわけでございまして、この検査の性格から見て、民間検査にすべてゆだねることが必ずしも適切かどうかということについてはちょっと疑問があるのかなというふうに考えているわけでございます。

 また、検査率につきましても、現在の体制のもとでも都道府県によって非常に検査率の差がございまして、高いところでは八割以上の検査を実施しているところもあるということで、県の指導の熱意というようなこともあるのか、あるいはやり方そのものにむしろ工夫があって検査率を高めているというところがあるのか、その辺については、高い検査率を実施している県の状況などを調べて、低いところにその状況を伝達して参考にするようにということでやっておりまして、そういうこともあって少しずつ今検査率が上がっているということでございますので、引き続き検査率の向上については頑張りたいと思います。

奥田委員 少なくとも一三・四%という数字は、そういったことは言いわけに通じない数字だと思います。開放しなければいけないとは申しませんけれども、そういった実態をよく調べて、もう既に行動していなければいけない時期だとも思います。

 私自身聞いてみましたところでは、浄化槽を備えているうちからお願いが来ないと動かないというような話を聞いてみたり、抱えている検査を実施する件数、実施しなければいけない件数に対して、その体制が数人という非常に貧弱な、現実的じゃないものであったり、そういったところは、都道府県単位であれば既に目が届いて、環境省施策として届いているはずのことですから、すぐに是正の指導といったものを、都道府県に対してであれ公益法人に対してであれ、していただきたいと思いますし、もう民間がいいかげんなことをするなんということを言っている状況じゃない、公的機関の方がよっぽどいいかげんなことをしているという数字でございますので、ぜひともそういった点、勇気を持って改めていただきたいとお願いする次第でございます。

 時間が来ましたけれども、一つだけ大臣に、きょうも新聞に出ておりました道路特定財源の質問をさせていただきたいと思います。

 私ども政党では、これらは一時、一般財源として特定財源というものを見直してもいいんじゃないかと。たしか国の方だけで三兆五千億の財源があったと思いますけれども、もちろん道路整備にそれだけの財源で足りるか足りないかという議論をすれば、それは足りないということは思います。

 先日フリーディスカッションもありましたフロンの回収といった中でも、一台につき二千円か三千円、一年に出るという五百万台、掛け算をすれば百五十億円のお金をどこからどのように徴収して回収業者に渡すかという議論で約一年以上の時間を費やして、そして今国会で何とか成立するかしないかというところまで来ているけれども、その議論はまだ棚上げになったままである。

 しかし、これから環境施策の中で――道路特定財源といいますけれども、自動車ユーザーから見れば、自動車について、そして燃料についた税金でございます。そういった特定財源の考え方というものを少し柔軟に考えてもいい時期に来ているんじゃないかと私は思いますけれども、大臣の閣僚としての御意見を伺いたいと思います。

川口国務大臣 道路特定財源の議論というのは、現在、時々新聞をにぎわしておりますし、国土交通省あるいは財務省において、今、まず基本的に中で見直しが議論されているというふうに承知しております。

 これは、内閣全体としてどういうふうに考えていくかという問題でございますけれども、環境省といいますか、私といたしましては、やはり環境というものは非常に大事で、また、環境の保全について小泉内閣においてさまざまな議論がなされている折でもございますから、道路特定財源からより多く環境保全に使われていくことが望ましいというふうに思っております。

 今、既に六百五十億ぐらいのお金が環境保全のために使われているというふうに承知をいたしておりますけれども、各省におかれまして、さらに環境保全のためにそれぞれの省の行政の中で考えていただければいいと思いますし、環境省としても知恵を出していきたいと考えております。

奥田委員 どうもありがとうございます。

 少しずつ各省庁のおこぼれをいただく予算、それも、協力をいただくのもありがたいですけれども、環境予算と申しましても、道路の緑化政策や何かでやはりそこに権益と既得権がついているといった財源ではなく、本当に世の中に必要な財源として、これから自分たちの力で環境行政を切り開いていく、そういった財源をつくる努力も省全体として、私たちも応援しますので、よろしくお願いしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

五島委員長 藤木洋子さん。

藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。

 まず、温泉法の問題でお伺いをいたします。

 温泉法での掘削許可の問題ですけれども、掘削許可後一年以上着手していないか、一年以上工事を中止している件数が全体で八百四件あると伺いました。そのうち、近畿圏の京都が十九件、大阪が二十一件、兵庫県が六件、奈良県が四十件となっております。

 そこで、京都府の薬務課から伺ったのですけれども、八三年以降の未着手の事業者にことし三月末文書を送って状況の把握に努めているそうです。二月の府の審議会でも、委員から、未着手の十九件についての整理を指摘されたそうです。

 そこで、今回の法改正で整理しやすくはなりますけれども、それでは、八三年以降のこの十九件について、どの時点で線を引いて整理をしたらいいのかということが問題になると思うのですが、いかがでしょうか。

西尾政府参考人 現行の温泉法におきまして、先生御指摘のように、許可の日から一年以内に工事に着手しない場合、あるいは着手後一年以上その工事を中止したときには、都道府県知事はその許可を取り消すことができるとされているわけでございますけれども、このような措置を発動すべき時期につきましては現行法に定めがないわけでございます。

 したがいまして、これは、何年のところにさかのぼってそこから取り消し手続に取りかかることになるんだろうかという御質問でございますけれども、この点につきましては、現行法にそこは定めがございませんので、都道府県知事の判断にゆだねられているところでございます。

藤木委員 また、兵庫県の薬務課から伺ったのですけれども、これは比較的最近の許可だけとなっているんですね。なぜかといいますと、随時許可業者に対して、事業状況を確かめて、事業をやれない状況にあれば自主的に返納させているからだということでした。六件とも、資金繰りが苦しいことや地域の合意が得られないということなどを理由にして延期の要望が出ていますけれども、県の審議会からは、正当な理由がない場合はできるだけ早く整理するように言われているそうです。

 そこで、兵庫県では、許可業者に自主的に返納させておりまして、ここのところ聴聞会などは開いたことがないそうでございます。ですから、こういう実態にあるんでしたら、今回の法改正は必要がないのではないかというふうに思われるのですが、いかがでしょうか。

西尾政府参考人 今御指摘のように、許可を得た事業者がその後の事情で工事に着手できなくなった、そういう場合に、都道府県の指導により自発的に許可を返納するケースがあると承知しております。今の兵庫県のケースなどは、ですから、そういう県の指導が比較的うまくいっている、自主的に返納している、こういうケースがあるんだと思います。

 実は、そういうふうに指導に従って自発的に対処してくださる業者ばかりでございますればよろしいのですけれども、問題なのは、そういうふうな場合に自発的に対処しない、都道府県知事の方から、休止しているのではないかというようなことで聴聞をしようとするとまた再開をするような行動をとって、いわば取り消しを免れようとするというような事例も幾つか見られます。

 問題なのは、そういうような形で自発的に対処しないで、中止と再開を繰り返して許可の取り消しを免れるといったようなケースでございまして、現行法では、そういったケースにつきましては、結局、都道府県知事の方で、そういう未着手とか中断を克明に追っかけて、しかも聴聞でそういうことを明らかにしていかないと取り消せないというようなことでございますので、今述べたような悪質なといいますか、自発的に対処してくださらない事業者に対して迅速適切に対処できないというのが今の規定でございます。

藤木委員 兵庫県がまれな例のように言われますけれども、決してそうではありませんで、例えば、さらに奈良県の場合なんですが、これは生活衛生課から伺いましたら、奈良県では、県の審議会から指摘されて、九九年から二〇〇〇年にかけて独自の実態調査を行ったそうです。そして、二〇〇〇年四月末で六十一件あったものを、事業計画などを見て、二十一件を自主的に許可を返納させたそうです。

 そこで、現在ある四十件についてですけれども、そのうちの十六件が検討中なので、一、二年後に検討書を出させて、やる気がなければ自主的に許可を返納させる、十四件は、事業継続中でやる気があるのでこのままもやむを得ない、残り十件は未確認で、廃業、倒産、不明など調査確認ができずに現状のままということなのだそうです。そこで、奈良でも審議会から早く整理しなさいと言われていて、できるだけ十六件については聴聞会をしないでやりたい、こう言っております。

 ですから、あえて聴聞会抜きで取り消すような改正をしなくとも済むように思うのですけれども、重ねて同じような質問ですが、いかがでしょうか。

西尾政府参考人 自治体におきまして、そういう指導力を発揮していただいて問題の事案の解決を急いでいただくということは、私どもも全く歓迎するところでございます。

 しかしながら、温泉行政、実はその許可の後、利用の指導でございますとか各般の仕事について自治体に当たっていただくわけでございます。したがいまして、自治体に大いに努力いただく点として、そういう悪質な、悪質といいますか、どうも事業継続の意思がはっきりしない業者を追いかけてきちんと処理していただくことはありがたいのでございますけれども、そういうことに非常にたくさんな労力でありますとか注意をそがれるというようなことでは、全体としての温泉行政に対する配慮あるいは指導も行き届かないと思いますので、こういう事案につきまして、事業者がみずからの事業のために掘るわけでございますから、やはりそれは、一定の期間内に事業者の自己責任において事態が完結するような制度とする、自己完結するような制度とする方がすぐれているということで今回改正案を出させていただいている次第でございます。

藤木委員 奈良県の場合、その三十件の大部分は、バブル時代に多角的経営に乗り出して、奈良盆地の都市地域に許可を得たものなんです。残りは吉野地域にリゾート型民間開発で許可を得たものになっておりますので、温泉地域の地元の業者というのは比較的少ないんです。よそからの参入者が多いということでございますね。掘削許可は、一方でこれまで投資をしてきた事業者を整理しながら、一方で新規に申請を許可するということになるわけでございます。

 私がそうしなくともいいのではないかと先ほどから申し上げているわけは、やりやすくなるという側面があるのですけれども、この掘削許可というのは、とかく利権が絡む、そういう傾向がございますので、実態をよくよく調査して、利権に左右されないように対応すべきだ、とにかくやめさせさえすれば次の業者にすぐ掘らせられるというようなことだけを追求すべきではない、こんなふうに思うのですが、これは大臣にお伺いいたします。

川口国務大臣 利権が絡むからというお話でございましたけれども、温泉を掘削するときの許可というのは、周辺の温泉源への影響を防止するというようなことが目的、温泉源の保護が目的でございますから、鉱山を採掘する権利といった採掘権のような財産権を与えるといった性格のものではないわけでございます。したがって、利権に結びつくということはないのではないかというふうに思います。

 それから、掘削の許可を与えるに当たりましては、都道府県知事が専門家などで構成される合議制の機関の意見を聞くということになっておりまして、こういう規定が温泉法にございますので、それによって適正な処理がなされているというふうに思っております。今回の改正法案も、法律上、手続を明確に位置づけるということがそのねらいの一つとなっているわけでございます。

 温泉法の運用におきまして、御懸念のようなことがないよう適切にやっていきたいと思っております。

藤木委員 実態をよく調査して、その実態に基づいて進めていただきたいというふうに思います。

 次に、浄化槽法の問題でございます。

 小型合併浄化槽機能保証制度という制度がございますけれども、この制度は、合併浄化槽の機能に異常があると判断された場合に、機能の異常の原因をもたらした者が特定できるときは、原因者による機能の正常化のために必要な措置を確保する、同時に、原因者が特定できない場合など、機能保証制度によって浄化槽に対する国民の信頼を確保することを目的としているとされております。

 それでは、この制度は浄化槽法上の規定や根拠があるのでしょうか、お答えください。

岡澤政府参考人 お尋ねの小型合併浄化槽機能保証制度でございますが、これは平成五年から全国浄化槽団体連合会が実施している保証制度でございまして、特段法律上の根拠のあるものではございません。

藤木委員 この保証制度の対象となる浄化槽は、二つの要件がございます。一つは、全国合併処理浄化槽普及促進市町村協議会の実施する登録制度によって登録された浄化槽であること、もう一つは、全浄連と各都道府県浄化槽協会へ保証登録を行った浄化槽であることというふうになっております。

 そこで、この制度が創設された九三年度以降の小型合併浄化槽に対する国庫補助額と設置基数の推移がどのようになっているか御説明ください。

岡澤政府参考人 国庫補助基数の合計は、平成五年度から平成十二年度までで六十九万三千五百基でございます。ただ、これはすべてが機能保証制度を受けた浄化槽というわけではございません。

藤木委員 今おっしゃったのは、実施数ですね。実施率はどうなっていますか。対象数に対する実施数の率はどうなっていますか。

岡澤政府参考人 実は、正確にわかりません。

 と申しますのは、スタートした時点では、この機能保証制度に乗っている基数よりも補助基数の方が圧倒的に多かったものですから、その場合には国庫補助の方の基数の方が多かった。ただ、ある年度では、国庫補助基数は補助金の制約がありまして、補助基数よりもむしろ保証制度に乗った基数の方が多かったというようなことがあって、出入りがあるものですから全体がわかりませんが、最近の例で申し上げますと、例えば平成十二年度では、国庫補助対象事業として実施され整備されたもののうち九九%は保証制度に乗っていたものだということでございます。

藤木委員 国庫補助の額は幾らですか。

岡澤政府参考人 先ほどの説明でちょっと不正確なことがありまして、国庫補助の九九%が機能保証制度というふうに申し上げたのですが、逆でして、機能保証制度の対象となった基数のうちの九九%が国庫補助事業として実施されているということでございます。

 それから、全体のバランスがちょっとわかりませんので、この機能保証制度の対象になった浄化槽の金額というのは正確に把握しておりません。

 ただ、一般的に申し上げれば、一基当たり四十万円国庫補助金を出しておりますので、基数に約四十万円を掛ければ補助対象額の総額は算定できるということでございます。

藤木委員 では、この保証制度の対象となる機能異常というのは、浄化槽法第七条と第十一条に規定する検査等で、製造または施工上の瑕疵があり、保証登録浄化槽の機能に異常があると判定された場合となっておりますね。

 それでは、小型合併浄化槽に対する第七条の設置後検査と第十一条の定期検査の検査対象数はどうだったのか、実施はどうだったのか、その比率はどうだったのか、それぞれについてお答えをいただきたいと思います。

岡澤政府参考人 平成十一年度の数字で申し上げます。

 まず、七条検査でございますが、検査対象基数は三十万二千基でございます。検査を実施した基数は二十二万基、実施率は七二・九%になります。

 次に、十一条検査でございますが、この場合の検査対象基数は八百四十万九千基、検査実施基数が百十七万基でございますので、実施率は一三・九%でございます。

藤木委員 それはただの浄化槽じゃないですか、合併浄化槽なんですけれども。間違っていませんか。

岡澤政府参考人 浄化槽全体の数字でございまして、合併だけでいきますと、十一年度で、十一条検査の方でございますが、百一万九千五百四十基のうち、実施したのが三十七万二千六百八基、実施率が三六・五%でございます。

藤木委員 そうなっていますよね。

 国庫補助された小型合併浄化槽に対して、全浄連はこれまで幾ら保証登録料を取って、どれだけ基金が積み立てられていて、機能異常として幾ら保証してきたことになっているのかお答えください。

岡澤政府参考人 全浄連に納められた金額は、一基当たり千円でございます。登録料として千円になっております。十二年度末までで、約五十九万基が機能保証制度の対象になっておりますので、保証金の収入合計は約五億九千万円ということになります。

 それから、これまでの基金の保証実績でございますけれども、二件で合計で二百十万円ということでございます。

藤木委員 私が九六年度当時の基金の積み立てについて厚生省にお聞きしたときは、九〇%の受け取りで一億一千万円ということだったわけです。それが今や五億九千万円。しかも、保証したのは二件で二百十万円。私も一件は存じ上げておりますけれども、一件で七十万円ということになっておりました。

 小型合併浄化槽の構造は国土交通大臣の認可によるものであって、本来、機能異常などあってはならないものです。たとえ機能異常があったとしても、小型合併浄化槽に対する第十一条の定期検査の実施率などが極めて低くて、異常機能が判定される可能性もまた極めて低くなっております。しかも、これまでの機能異常として保証された実績は、今伺いましたら、二件、二百十万円ということですけれども、これは十年間ですからね。

 ですから、こうなってまいりますと、しかもそれは、業者が倒産したので支払われたという以外にはないというのが実態ですから、この国庫補助の小型合併浄化槽機能保証制度というのは実質上は機能していないのではないかというふうに思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

川口国務大臣 この保証制度につきましては、当初、いわゆる小型合併処理浄化槽についての設置なさった方々の不安がございまして、その不安に対応するということでこたえるという目的があったというふうに承知をいたしております。

 小型合併処理浄化槽機能保証制度というのは、おっしゃるように、浄化槽の機能に異常があると判断された場合に、原因究明をして正常化のための措置を確保する、そして浄化槽に対する信頼性を確保するということが目的でございまして、そういう意味で、そういう当初の機能というのがいまだに存続をしているのではないかと思います。

藤木委員 全浄連は一基につき千円の保証登録料を受け取り、二億一千二百万円の基金、現在では五億九千万円、これだけの基金が積み上がっているということですけれども、和歌山県では、一基二千円から四千円、非会員などの場合は一万円も取られているんです。また、保証登録料、申請費、第七条検査費を合わせますと、二万五千円から四万一千円、非会員の場合は三万一千円から五万円も徴収されております。

 しかも、県内に七つの支部がございますけれども、それぞれ金額はばらばらで、決まった額が徴収されているというわけではありません。たとえ一基について千円が協会から全浄連に上納されたとしても、協会には一千円から三千円、また非会員の場合は九千円ものお金が入ることになるわけです。手数料に多少違いがあるとしても、何万円も違うはずはないと思います。

 ですからこれは、制度に便乗して不当に協会が収益を上げていると言わざるを得ないと思うのです。実態をぜひ調査して是正の指導をすべきだというふうに思いますが、いかがですか。

岡澤政府参考人 先ほどちょっと申し損ねましたけれども、全浄連に対する総収入は五億九千万円でしたが、事務費等で支出しておりまして、現在手元にある基金としては二億一千万ということだそうでございます。

 あと、各都道府県を経由して全浄連に保証金が納められますので、各県ではそれに対して手数料を上乗せして取っているということでございます。

 ただ、今私ども、各都道府県がそれぞれ上乗せした手数料に対してどのぐらいの支出をして、どのぐらい費用が手元に残っているのか、その辺ちょっと承知しておりませんので、それについては、とりあえずまず幾つかの県について調べてみまして、不当に高い手数料を取っているようなことがあればそれは是正させるように指導してまいりたいと思います。

藤木委員 先ほどの二億一千万の話でございますけれども、それは現時点の話じゃないんじゃないですか。数年前の話であろうというふうに思いますよ。私、そんなふうにお聞きをしたときにお答えになっていらっしゃいました。しかし、それから数えて四年間たっておりますから、四十万基以上が設置されておりますので、そのぐらいの金額では済まないというふうに思います。

 それで、今のお話がございましたけれども、建築の確認申請書というのを建築主事に出す場合に、浄化槽協会支部を経由して保健所または和歌山市の浄化衛生室と事前協議を行い、浄化槽協会本部で予備審査を行ってから、建築確認申請書に浄化槽設置届出書を添付して建築主事または建築審査室に出さなければならない、随分複雑な、手の込んだやり方になっているわけです。

 ですから、今述べましたように、浄化槽協会支部との事前協議費に二万円ですよ。浄化槽協会本部との予備審査費が八千円、保証登録料が二千円、第七条検査費が一万五千円、この調査、検査の費用だけで二万五千円ですから、前の事前協議費と合わせますと実に四万五千円の、最低でもそれだけのお金が取られる仕組みになっております。BODの除去率が九〇%以上などの浄化槽を設置する場合、事前協議が省略されても二万五千円支払わなければなりません。

 こうした不当に便乗された保証登録料等の費用は、一時的には業者が協会に支払うことになりますけれども、結局その費用は設置者である住民の負担になっております。住民は、国庫補助で負担が軽減されるはずなのに、不当な費用負担が負わされて、実質上国庫補助が減額されるだけではなくて、住民の税金である国庫補助が保証登録料等の費用として業界の食い物にされていることになるのではないかと思いますが、どうですか。

岡澤政府参考人 浄化槽の設置に伴いまして、法定手続等の費用を徴収することは当然あってしかるべきだと思いますけれども、そういうものを名目にして不当に高い費用を徴収しているのではないかということだと思いますが、実態をちょっと把握してみた上で、本当にそういうことがあれば、それは私どもとしても、国庫補助金をせっかく入れても効果が薄められてしまうわけですので、むだな費用のために住民から費用負担をしていただくということはできるだけ避ける方向で指導してまいりたいというふうに思います。

藤木委員 しかし、浄化槽法五条に基づいて建築確認申請書を出せば一万四千円で済むんです。それが、附帯工事費の一部にすぎない浄化槽の設置届け出費用が二万五千円から四万五千円、住宅本体の費用の約四倍もの料金が取られる。これはどう見てもおかしいですよ。

 保証登録料は業界内の互助会制度のようなものだとお考えかもしれませんけれども、業者の利益の中から全浄連に納められ、設置者の負担にはならない制度になっているというのは建前だけなんです。業者の負担が大きくなれば設置者の負担が大きくなるのは常識です。それは、保証登録料は業者が負担することになっているけれども、機能異常での保証は設置者に支払われる仕組みになっているからなおさらです。

 例えば、五人槽の場合は三十六万円、六人から七人槽で四十六万三千円、八人から十人槽の場合は八十二万四千円、国と自治体の補助が受けられることになっていますけれども、この制度を利用することで実質上二万五千円から四万五千円以上も国庫補助から減額されることになるわけです。ですから、この制度はどうしても不合理だと考えます。是正すべきだということを強く求めたいと思います。

 互助会制度のようなものだとお考えのようですけれども、しかし、都道府県への環境省通知で、この保証登録料を工事施工業者が支払わなければ国庫補助が受けられない、そういう仕組みに最近までなっていましたね。確かに、九七年の通知で、それまで、保証登録されたものに限るとされていた九四年の通知を廃止していますけれども、実質上、保証登録料を支払わないと国庫補助が受けられない仕組みに現在でもなっている実態がございます。

 設置者は、当然負担軽減のため国庫補助のつく浄化槽の設置を望みますし、工事施工業者は、保証登録料等を支払って仕事をすることができる制度になっているわけです。会員、非会員にかかわらず、国庫補助を受けた仕事をするためには、国庫補助を独占した全浄連の傘下に入らなければならないということになるわけです。

 例えば和歌山県の浄化槽取扱要綱には、浄化槽協会による予備審査がありますし、和歌山市でも、浄化槽協会を原則として経由した事前協議、これが規定をされております。一般の浄化槽業者が保健所へ浄化槽設置届け出を提出してもなかなか受理されないというのが実態です。

 ですから、この制度は国庫補助を利用した全浄連の窓口一本化ではないかと考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

川口国務大臣 国庫補助の要件にはこの保証制度への加入はなっていないということでございますので、地域によっておっしゃるようなそういうケースがあるかどうか確認をいたしまして、問題があれば、国庫補助制度が適切に実施されるようにしたいと思います。

藤木委員 地域によってではないんです。これは環境省から通知を出して、この制度に即して仕事をやるようにということを言ってこられたのです。その通知の取り消しを前回なさったということなんですね。

 ですから、全浄連の窓口一本化では、県の取扱要綱でも、型式認定浄化槽の販売に関する届け出、環境保全に関する事前協議、設置届け出受理書、予備審査、設置変更届、工事の取りやめ、そして設置完了届け出などが原則として浄化槽協会を経由するものと規定しているように、浄化槽協会を経由しなければ設置できない、そういう仕組みを奨励してこられたのが実態です。

 全浄連の窓口一本化ではないというのであれば、私は、国庫補助と保証登録制度をリンクさせるような浄化槽協会による事務手続、それそのものをやめさせるという改善をしなければならないと思います。

 しかし、問題は、法律上何の規定も根拠もない、大臣今おっしゃいました。環境省が都道府県に実は九七年にも、合併処理浄化槽設置整備事業を実施する貴管下市町村に対しては、本制度の趣旨の徹底及び指導をあわせてお願いするという改正通知を出してまでも、全浄連が国庫補助を実質上独占して、保証登録料を上納させるような制度を積極的に活用するように指示しなければならないのか、その矛盾についてどのようにお考えでしょうか。環境省、お答えください。

岡澤政府参考人 合併浄化槽はそれほどまだ歴史がないシステムでございまして、当初は、設置に伴って、あるいは維持管理に伴って異常なトラブルが生じて、合併処理浄化槽が本来の機能を発揮しないというふうなことが間々あったわけでございます。国が補助制度を導入するに当たって、国費を入れる以上はむだな施設に入れるわけにいきませんので、一定の機能担保というものを求めて、それを全浄連側に対してそうした仕組みを求めたところ、全浄連がそうした今のような体制、機能保証制度というようなことで答えが出てきたということだと思います。

 しかしそれは、当初そういう懸念があったのですが、最近では設備もよくなりましたし、設備士、管理士という資格制度によって浄化槽もしっかり動くようになっていますから、今となっては、こうした機能保証制度自身が持っている役割というのはかなり少なくなってきているということは確かだと思います。

 今までたまってきた基金をどうするか、あるいはこれから機能保証制度を維持するのか、あるいは費用、今千円徴収していますけれども、その金額をどうするのかということを含めまして、全体的に機能保証制度のあり方について業界に検討させていきたいと思います。

藤木委員 もう時間ですけれども、どれを聞いても納得のいけるような御回答は全然ありませんでした。

 そこで私は、大臣にお願いしたいと思うんですけれども、小型合併浄化槽機能保証制度という保証制度、これは抜本的に見直すべきだと思うのですけれども、最後にそのことだけお願いしたいと思いますが、どうでしょうか。

川口国務大臣 この保証制度は、先ほど岡澤部長が申しましたように、合併処理浄化槽に対しての信頼性の確保という観点からできた制度でございまして、任意加入の制度でございます。決して国として、それが国庫補助の補助を受けるときの要件になっているものではないということでございます。

 ということではございますけれども、そういった浄化槽の機能の保証制度と国庫補助制度が適切に実施されるようには考えていきたいと思います。

藤木委員 そういう制度になっているにもかかわらず国がそうしてこなかったところに問題があるということを申し上げているので、もう一度会議録で私の申し上げたことをお読み直しをいただきまして、ぜひ是正くださるように、法律改正するに当たってそのことを申し上げて発言を終わらせていただきます。

五島委員長 原陽子さん。

原委員 社民党の原陽子です。

 本日、二つの法案が議題となっています。私たち社民党は、温泉法の一部を改正する法律案には賛成をするのですが、浄化槽法の一部を改正する法律案には反対をしていきたいと思っています。

 なぜかと申しますと、平成八年の閣議決定で、検査等の委託を公益法人にする場合、委託の基本的内容や、それを行う公益法人の基準を法律で定めることというふうに閣議決定でなっておりまして、今回の改正の理由の一つはそこにあるというふうに思うのですが、法律の条文を読む限り、委託の基本的内容も公益法人の基準も全く明らかになっておらず、試験や講習を行う機関を環境大臣や国土交通大臣が指定できるということになっているだけであって、閣議決定が求めている透明性とはほど遠いというふうに考えており、政府がおっしゃっている公益法人改革に一歩も近づいていないという理由で反対をします。

 済みません、ちょっと前置きが長くなりましたが、それでは早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今回、公益法人の改革という側面から、日本環境整備教育センター、立派な名前だと思います、それと浄化槽設備士センター、浄化槽にかかわる国家試験の機関に何で二つの外郭団体が必要なのかということに私は疑問を持ちます。設置と管理のためになぜ別々の財団法人が必要なのか、お聞かせ願いたいと思います。

 そして、この二つの試験センターを統合しても職員の数は三十四名で、現に、後からできた浄化槽設備士センターの方は、支出のうち、四名の職員の方々のお給料の合計が二千万円に対して、二人の有給役員に払われる報酬が同じだけ、ちょっと多い二千百万円で、頭でっかちな組織になっているというふうに思います。こういうお金の流れというのを見てしまいますと、まるで環境省とか元厚生省の天下り先を確保しているようにしか思えないので、公益法人改革の一環ということで、この二つの外郭団体を一つに整理するおつもりはあるかどうかということをお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、小林(守)委員長代理着席〕

岡澤政府参考人 今先生おっしゃったように、浄化槽法においては二つの国家資格があるわけでございまして、設備に関する設備士の資格と管理に関する管理士の資格がございます。それぞれについて別々の国家資格を持っていまして、資格の内容、試験の内容等も異なっておるようなところから、結果的にそれぞれの資格の指定機関を二つにしているということでございます。

原委員 私が思うに、設置する人と管理をする人というのは、別々にしなくても、結局持っている知識は共有するようなものが多いと思いますので、例えば、この二つの外郭団体を一つに整理するための検討をするおつもりはあるかどうかを再度お聞きしたいと思います。

岡澤政府参考人 私が先ほど申し上げましたのは、二つでも構わないということで、一つでももちろん構いません。

 要するに、公益法人改革の中の全体の動きがございますので、そうした政府の公益法人改革に基づいてこの二つの法人をどうするか。それぞれ、例えば国家試験をやる機関ですと独立行政法人化という考え方もございますし、このままの形でずっといくということではなくて、それは全体の流れの中で適切に対応してまいりたいと思います。

原委員 ぜひそうした改革というものを進めていただきたいというふうに思います。

 あと、汚水処理施設の自治体の選択ということについてちょっとお伺いをしていきたいと思います。

 先日政府からの説明を受けたときに、汚水処理施設を選択する、どんな施設を選択するかということは自治体自身が選ぶことができるというふうに説明を受けました。

 しかし、下水道と農業集落排水施設と合併処理浄化槽を比較した場合に、前者の二つは国庫補助が二分の一であるのに対して、合併浄化槽は、水源や湖、過疎地域などの特定地域に対しては国庫補助が三分の一、それ以外は一割程度の補助率であります。こうした国庫補助率の差というか違いが、下水道や農業集落排水事業を多くの自治体が選択せざるを得なかった原因となっていないかということをお聞きしたいのですが、これは総務省の見解をお聞きしたいと思います。

瀧野政府参考人 汚水処理施設につきまして、自治体の財政との関係でお聞きになられたわけでございます。

 御案内のとおり、下水道事業につきましては、雨水につきましては税金でやる、それから汚水処理につきましては使用料を徴収して行うということになってございます。

 そういう状況でございますが、使用料の料金水準がどうしても引き上げにくい中で、使用料で実際に徴収すべきものと実際に回収している率を比べますと、六割程度という状況に現在なっておるわけでございます。このため、地方財政は非常に厳しい状況になっておるわけでございますので、その経営改善は非常に重要な課題だというふうに考えております。

 今御指摘がありましたように、いろいろな制度がございまして、それぞれの制度の趣旨に従って補助率に違いがついているというふうに思うわけでございますけれども、そういった事業をそれぞれの地方公共団体が、自分のところの地域特性に合ったように取捨選択して事業をすべきであるということは常日ごろ我々も申し上げているところでございまして、今後とも、そういう方向で十分配慮するように地方団体に対して我々も要請をしていきたいというふうに思っております。

原委員 もちろん、本来、基礎自治体が、自分の地域に最もふさわしい汚水処理の方法を自治体自身が選択できることがベストだというふうに私も考えております。しかし、ここでこれから一つの例を挙げて、実態はそうじゃないということを申し上げたいと思います。

 神奈川県の大磯町の例を挙げさせていただきたいと思うのです。

 大磯では、平成元年に相模川の流域下水道事業がスタートをいたしました。第一次事業の許可区域では、当初、予算が五十二億三千九百万円だったのですが、スタートしたときから十年後、平成十年の時点で予算がその三倍の百五十二億八千四百万円と算定されて、また、平成十四年までの第一次事業計画期間も延長を余儀なくされている。つまり、当初よりも三倍の予算がかかると算定をされて、そして当初の予測よりも三倍の期間がかかるというふうに今されています。

 本来、自治体が選べるということなのであれば、合併浄化槽の設置を急いで、少しでも早く生活排水による汚染を防ぐという選択もできたはずなのですが、結局は、現段階では延々と下水道ができるまで待っていなければならないというのが実態だそうです。

 こうしたずさんな計画によって事業計画がおくれるケースについて、水質の汚濁を防止するという環境の面からの観点でどうすればよいとお考えになっておられますか、環境大臣にお聞きをしたいと思います。

川口国務大臣 生活排水等を中心にしまして、川あるいは水質が汚染するということは、今非常に大きな問題だというふうに思っております。

 おっしゃった大磯の例でございますけれども、基本的には地方公共団体が、自分の地域の情勢あるいはその特性に応じてどういった整備の仕方がいいかということをお考えいただくことでございますから、結果として時間が長引き、金額的にも膨らんで、その観点では、水質の汚染ということが短い期間で処理、対応ができなかったということは残念でございます。

 国としてそれでは何ができるかということで考えますと、さまざまな方法についての情報を十分に提供させていただいて、また今はITの時代でございますから、地方公共団体の方でもそういった情報を十分に把握していただいて進めていくということかというふうに考えます。

原委員 それでは、国土交通省にも大磯のケースをお聞きしたいと思うのですが、財政面と水質汚染の観点からどうすべきだと国土交通省はお考えになりますでしょうか。

曽小川政府参考人 全体としましては、下水道の事業計画についてのお尋ねということだろうと思います。

 御案内のように、下水道は、生活環境の改善でありますとか公共用水域の水質保全のために欠かせない施設でございまして、現在、第八次下水道整備七カ年計画に基づいて鋭意整備を進めておるところでございます。

 お尋ねのございました大磯のような具体の下水道の整備に当たりましては、将来的な水質保全の効果でありますとか汚水処理施設の効率性を的確に図る観点から、汚水処理施設に係る総合的な整備計画でございます都道府県構想に基づきまして、具体には五年から七年程度の事業計画にのっとって整備を段階的に進めておりまして、計画期間中においても、必要に応じて事業計画の変更を行っているということでございます。

 また、平成十年度からは、新規着手時におきます新規採択時の評価を実施いたしますとともに、事業採択後におきましても、その事業がどういうふうになっているかということで、十年を経過した時点で継続中の事業等につきましては、第三者から構成されます事業評価監視委員会の意見を聞くなどの手続を経て再評価を実施し、その事業を引き続き継続していく方がよろしいかどうかということについてチェックをいたしておるところでございます。

 また、昨年の十一月には、公共事業の見直しを行いながら、下水道事業においても十六事業が中止ということになったわけでございますが、これにつきましては、先ほど先生の方でお話ございましたような、地元の状況等によりまして処理場の用地取得が困難であるとかいう理由からそういうふうになったわけでございます。

 私どもとしましては、そういう下水道の計画を可及的速やかに実施をしていくということが、先生お尋ねの水質保全を図るためにどうしても必要だということで考えておりますので、他の汚水処理施設と連携を図りながら効率的な事業の実施を進めてまいりたいというふうに考えております。

原委員 それでは次に、農水省が行っている農業集落排水事業についてお聞きをしたいと思います。

 この事業は、法律に何の根拠もない要綱事業であるということを知って私は非常に驚いたのですが、ということは、制度が非常に不透明であるというふうに感じます。

 申し入れをして始まるということなので、もし中止した方が合理的であると自治体が判断した場合には、この事業に関しても計画の変更ができるというふうに考えてよろしいでしょうか、農水省の見解をお聞きしたいと思います。

佐藤政府参考人 農業集落排水事業についてでございますけれども、この事業は、処理水の再利用とか、それから汚泥の農地還元を通じて地域資源のリサイクルに寄与するということで、農村地域に適したいわゆる小規模分散型処理システムというふうに考えております。したがいまして、農林水産省で所管しております。

 この事業の実施そのものは、今申しましたように小規模であるということから、工期も実際におおよそ五年ぐらいで一つずつ完了してまいります。処理人口としても大体一千人程度が平均でございまして、そういう意味では、事業に着手して変更したいというようなケースが少ない事業だと思っております。

 ただ、この事業の要綱上は、実施主体といいますか、三〇%以上総事業費が変更になってしまったというような場合には計画変更をする、それからまた、著しく区域が変わってしまうというような場合には計画変更をするということで、基本的には、事業の計画変更の手続はできるというような形になっております。

 なお、もう一つ申し上げますと、各市町村でどういう地域を集落排水事業で取り組むかというのをあらかじめ、想定といいますか、構想の中に位置づけております。そういうようなものがもし時代の変遷とともに他の事業で実施するということになれば、その地域はそういう他の下水道事業等で行うというようなことも可能かと考えております。

    〔小林(守)委員長代理退席、委員長着席〕

原委員 大磯町では、計画がうまくいかないということを幸い前の町長さんが問題になさったそうで、一九九六年に住民と行政当局、そして学識経験者の方々を含む検討委員会をつくって、この事業を見直すべきだという答申が出されたそうです。そしてさらに、この研究会が三つの案を作成しました。

 その一つは、今のままで、三倍のお金がかかって、三倍の期間がかかる、いつできるやらわからない下水道事業を進めるのか。二つ目の案としては、今の計画のままで、人口密度の低い地域は中止をして合併浄化槽にする。三つ目の案は、工事を始めてしまった町の東側はそのまま下水道事業をして、着手をしていない西側の部分に関しては、下水道事業を中止して合併浄化槽にするという、この三つの案が作成されたそうです。

 そして、その比較検討が行われることがことしの三月議会でようやく決まったそうなんですが、この検討委員会ができたのが九六年で、ことしが平成十三年、大分長い月日がたってから比較検討をしようということが始まったということで、実際問題、自治体が選べるとか計画の変更ができるということがあっても、なかなかそうした計画変更自体に時間がかかって、一度始まったらやめられない、変更しがたいというような事業となっているのが実態であるというふうに思います。

 そして、こうした縦割りの行政というものにこだわらずに、費用対効果の高い事業を再検討するように、先ほど大臣もおっしゃいましたが、国もしっかりと情報を提供したり、指導したり、見直しを進めるべきだというふうに考えますが、どうでしょうか。

 そして、見直しを積極的に奨励するとすれば、それをどのように各自治体に周知させるか。また、一極集中させて、汚水を処理する計画が完成するのを待つよりも合併浄化槽に切りかえた方が、財政面、環境面からも必要な場合があるのではないかと考えますが、これは、環境省と農水省と国土交通省と総務省のそれぞれの御意見を皆さんからお聞きしたいと思います。

岡澤政府参考人 汚水処理施設の整備には、合併処理浄化槽、下水道、農業集落排水処理施設という種類がございまして、それぞれ、個別処理だとか集合処理という性格の違い、それから工期が長い短い、浄化槽ですと短いとか、それからお金が高い安いとか、いろいろございます。

 私どもの考え方としては、合併処理浄化槽というのは、管渠を使わずに、各家庭において個別処理するような仕組みですから、人口散在地域等に適したシステムだろうというふうに考えています。

 事業の見直しをするかどうかは市町村の問題でございますけれども、見直しをする場合、あるいは新規に計画を立てる場合に、比較できるように、昨年十月、当時の建設、農水、厚生の三省連名でございますけれども、下水道と農業集落排水処理施設、それから合併処理浄化槽の必要経費の比較が可能となるような、事業の比較が可能となるような算定式というものを通知しまして、都道府県における汚水処理施設整備に関する構想を適切な方向に誘導しようということで情報提供を行ったところでございます。

佐藤政府参考人 汚水処理施設の整備に当たりましては、今環境省の方からもお話がございましたけれども、各種汚水処理施設の持っています特性、それからその経済性、さらには、その後の施設の維持管理なども考えまして、それぞれの自治体が総合的に勘案の上、地域の実情に応じた選択をされるというふうに考えております。

 農業集落排水事業のことについて考えますと、いわゆる農村地域であって、なおかつ人口がそれでも比較的密な地域、集落などがまとまっているような地域においては、農業集落排水事業で行うというようなことが適当かと思いますし、さらに、もっとぱらぱらと人家があるというようなところにおきましては、合併処理浄化槽で整備をするというようなことが適当かというふうに考えております。

曽小川政府参考人 連携をしている三省のうち二省からお話がございましたので、基本的には同じお答えになるのではないかと思っておりますけれども、適切な汚水処理施設の選定に当たりましては、先ほどございましたように、下水道、それから農業集落排水施設、また合併浄化槽、それぞれ汚水処理施設の特性を踏まえまして、水質保全効果でありますとか経済性、これらを十分考慮いたしましてそれぞれの自治体が判断をしていただくということで進めております。

 その中で、下水道につきましては、市街地が連檐しておるような地域を対象として、基本的には集合処理ということでございまして、下水道で整備することが最も合理的な区域を下水道の区域として定めていこうということで指導しているところでございます。

 また、周知の方法等についてでございますが、先ほど来出ております都道府県構想、これの基本方針というものを三省でお示しをしておりますけれども、この基本方針の中で、構想策定に当たっては、地方公共団体の関係部局が相互に連携を図るとともに、情勢の変化に応じ、市町村の意向等を踏まえて、この都道府県構想の適宜必要な見直しを行っていただくようにお願いをしてきているところでございます。

 国土交通省といたしましても、下水道の主管課長会議、こういったところを通じまして、その見直しの徹底ということを図っておるところでございますし、また、構想の策定を促進するために、策定マニュアルというものもお示しいたしまして、地方公共団体で見直し等を行っていただいているという状況でございます。

瀧野政府参考人 総務省でございますが、私どもといたしましては、下水道事業につきまして、平成十年に「地方公営企業の経営基盤の強化について」という通知を出しておりまして、その中で、汚水処理施設につきましての整備に当たりましては、地域の特性、建設コストなどを勘案して、各種施設の中から地域ごとに最適な処理方法を選択するよう要請しておるところでございます。

 そのほか、平成十二年の九月には、当時は自治省でございましたが、自治大臣から各市町村あてに直接ファクス通信というのを出しまして、適切な事業選択に努められたいということを要請いたしておりますし、本年度に入りましてからは、各種施設につきまして一定の比較をいたしましたパンフレットを作成し、それを配付しておるところでございます。

 今後とも、汚水処理施設の効率的な整備の必要性につきまして一層周知に努めてまいりたいというふうに考えています。

原委員 皆さん共通していることは、多分、少しでも生活排水による汚染を防ぐということだというふうに私は理解をしていますので、縦割りの行政にこだわらずに、自治体が自分の地域に合ったものをしっかりと選んで、そして計画変更が必要だというときには国からも適切な指導なりをするような形で、生活排水による汚染を少しでも早く防げるようなものにぜひしていっていただきたいというふうに思います。

 それでは、時間もないので最後に、こうした大磯町の教訓から学べば、やはりこれからの下水道事業につきましては、自治体とか住民のニーズに合うよう、計画策定段階でより積極的に住民参加を奨励すべきではないかというふうに思っています。

 これは最後の質問なんですが、政務次官の政治家としての、こうした住民参加ということに関するお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。

田中大臣政務官 政務次官ではなくて、国土交通省の大臣政務官でございます。

 原議員とは同じ神奈川県ということでございまして、神奈川県の数字なども少しお話をしてお答えをしてまいりたいと思います。

 二十一世紀は環境重視の社会になるわけでありますし、自然生態系の保全などを考えれば、生活の雑排水を浄化して水質を保全するということは、もう当然のことでございますけれども、大変重要な課題であります。

 今日、全国で、今お話がありました三つの浄化方法があろうと思うのでございますが、整備率がまだ六八・九というのが全国の数字なんですね。神奈川県は幸いにして九二・七というところになっております。当然のことながら、早い時期に普及率一〇〇%の達成をしていかなければならないわけでございます。

 当然、この事業というのは、市町村だとかあるいは都道府県だとか地域の自治体の皆さんが主役的な役割を果たしていただかなければなりません。今委員からもいろいろの指摘があったとおりだと思っております。

 幸いにして、平成十年六月に、四十七都道府県すべてで整備計画についての大体の基本計画が、構想がまとまっておるわけでございまして、とにかく頻繁に、環境省、農水省、そして私どもの国土交通省として協議を重ねまして、ぜひひとつ真剣な対応をいたしてまいりたいと思います。

 ただ、これにつきましては、大変多額な予算を要することにもなるわけでございまして、委員の皆様方のお力をぜひお願いしたいところでございます。

 また、都市部においては、まだほとんど政令指定都市でしか手がついていないわけでございますが、下水道の方式も、実は合流式ででき上がったところが結構あるのでございます。それを雨水と生活雑排水の分流式に工事をやり直すという厄介な問題もございまして、新しい時代の環境問題に真剣に取り組んでまいりたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

原委員 どうもありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。

五島委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

五島委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、温泉法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

五島委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、浄化槽法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

五島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

五島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

五島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時七分散会


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